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1985/04/23 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 大蔵委員会 第16号
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1985/04/23 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 大蔵委員会 第16号

#1
第104回国会 大蔵委員会 第16号
昭和六十一年四月二十三日(水曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 小泉純一郎君
   理事 笹山 登生君 理事 中西 啓介君
   理事 中村正三郎君 理事 堀之内久男君
   理事 上田 卓三君 理事 野口 幸一君
   理事 坂口  力君
      越智 伊平君    大島 理森君
      加藤 六月君    金子原二郎君
      自見庄三郎君    田中 秀征君
      高鳥  修君    中川 昭一君
      東   力君    村上 茂利君
      山崎武三郎君    山中 貞則君
      山本 幸雄君    伊藤  茂君
      伊藤 忠治君    兒玉 末男君
      沢田  広君    中村 正男君
      堀  昌雄君    矢追 秀彦君
      玉置 一弥君    簑輪 幸代君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  熊川 次男君
        大蔵大臣官房総
        務審議官    北村 恭二君
        大蔵大臣官房審
        議官      大山 綱明君
        大蔵省主計局次
        長       小粥 正巳君
        大蔵省理財局長 窪田  弘君
        大蔵省証券局長 岸田 俊輔君
        大蔵省銀行局長 吉田 正輝君
        大蔵省国際金融
        局次長     橋本 貞夫君
 委員外の出席者
        環境庁企画調整
        局企画調整課長 松田 篤之君
        外務省北米局北
        米第二課長   田中  均君
        通商産業省通商
        政策局米州大洋
        州課長     渡辺  修君
        通商産業省産業
        政策局総務課長 水野  哲君
        郵政省電気通信
        局電気通信事業
        部監理課長   谷  公士君
        参  考  人
        (日本電信電話
        株式会社常務取
        締役)     寺島 角夫君
        参  考  人
        (日本電信電話
        株式会社経営企
        画本部企画部長)石井 康雄君
        参  考  人
        (日本電信電話
        株式会社労働部
        長)      朝原 雅邦君
        参  考  人
        (日本電信電話
        株式会社電話企
        画本部営業推進
        部長)     西脇 達也君
        参  考  人
        (日本電信電話
        株式会社通信機
        器事業部副事業
        部長)     岩佐 直正君
        大蔵委員会調査
        室長      矢島錦一郎君
    ―――――――――――――
四月二十三日
 大型間接税の導入反対及び大幅減税等に関する
 請願(上原康助君紹介)(第三五二九号)
 同(小澤克介君紹介)(第三六五二号)
 国庫負担金・補助金削減反対に関する請願(横
 江金夫君紹介)(第三五三〇号)
 国民本位の税制改革に関する請願(小川仁一君
 紹介)(第三六四八号)
 同(森井忠良君紹介)(第三六四九号)
 所得税減税等に関する請願(富塚三夫君紹介)
 (第三六五〇号)
 同(安井吉典君紹介)(第三六五一号)
 国庫負担削減反対等に関する請願(伊藤茂君紹
 介)(第三六五三号)
 同外一件(野口幸一君紹介)(第三六五四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保
 を図るための特別措置に関する法律案(内閣提
 出第五号)
     ――――◇―――――
#2
○小泉委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を求めます。竹下大蔵大臣。
    ―――――――――――――
 昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#3
○竹下国務大臣 ただいま議題となりました昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、我が国財政を取り巻く環境には一段と厳しいものがあります。このため、政府は、引き続き財政改革を一層推進することとし、昭和六十一年度予算編成におきましても、特に歳出の徹底した節減合理化を行うことを基本とし、あわせて、歳入面についてもその見直しを行い、これにより公債発行額を可能な限り縮減するよう最大限の努力を払ったところであります。
 まず、歳出面におきましては、既存の制度、施策の改革を行うなど徹底した節減合理化を行い、全体としてその規模を厳に抑制することとし、その結果、一般歳出の規模は前年度に比べ十二億円の減に圧縮されております。これは昭和五十八年度以降四年連続の対前年度減額であります。
 他方、歳入面におきましては、税制について、その抜本的見直しとの関連に留意しつつ、税負担の公平化、適正化を一層推進する等の観点から必要な見直しを行い、また、税外収入についても、可能な限りその確保を図ることといたしております。
 しかしながら、これらの措置をもってしてもなお財源が不足するため、昭和六十一年度においては、特例公債の発行を行うこととするほか、国債費定率繰り入れ等の停止などの措置をとらざるを得ない状況にあります。
 本法律案は、以上申し述べましたうち、特例公債の発行等、昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置を定めるものであります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、特例公債の発行についてであります。
 昭和六十一年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で特例公債を発行できることとしております。
 第二に、国債費定率繰り入れ等の停止についてであります。
 昭和六十一年度における国債の元金の償還に充てるべき資金の一般会計から国債整理基金特別会計への繰り入れについて、国債総額の百分の一・六に相当する金額の繰り入れ及び割引国債に係る発行価格差減額の年割額に相当する金額の繰り入れは、行わないこととしております。なお、昭和六十一年度においては、単に定率繰り入れを停止したままでは公債の償還財源が不足するという事態に立ち至るので、別途、国債整理基金残高等を考慮した必要最小限の予算繰り入れを行うこととしているところであります。
 第三に、政府管掌健康保険事業に係る繰り入れの特例についてであります。
 昭和六十一年度における一般会計から厚生保険特別会計健康勘定への繰り入れについては、健康保険法に規定する国庫補助に係る額から千三百億円を控除して繰り入れるものとするなどの措置を講ずることとしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#4
○小泉委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○小泉委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、明二十四日、参考人として日本銀行総裁澄田智君、財政制度審議会委員宮崎仁君及び東京大学教授貝塚啓明君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○小泉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#7
○小泉委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村正男君。
#8
○中村(正男)委員 昨日は、日米首脳会談につきましての緊急質問が本会議で行われたわけでございますが、円高が極めて急激に進展をしておりまして、これはきのう、総理あるいは大蔵大臣の答弁が一応あったのですけれども、私もお聞きをしておりまして、率直に申し上げて政府も意外な展開に少し戸惑っておられるのじゃないかなというのが感想であります。そこで、円高大臣にお尋ねを申し上げるわけですけれども、今後これにどう対応されようとしておられるのか、冒頭お聞きを申し上げておきたいと思うのです。
#9
○竹下国務大臣 現在百六十七円六十銭ということでございます。確かに、先週後半から急速なドルの全面安、それを背景に円も急騰をいたしております。今申しましたとおり、百六十九円三十五銭の終わり値となりまして、今が百六十七円六十銭、こういうことでございます。
 このドル安は、一層の米ドル金利低下予想と、それに伴いますドル先安感に基づく市場の思惑的な動きによるところが多いではないかというふうに思います。
 このところ為替相場の動きはかなり急激であります。相場が一方に行き過ぎますと、いずれ是正の動きが出て安定に向かうというような普通の見方も確かにございますが、私どもとしましては、相場の動きが急に過ぎ、乱高下と判断される場合には、適時適切に介入する考えでございますが、介入の有無ということにつきましてはコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思うわけでございます。これからもこの動きに注目しながら、しかも各方面との連絡も密にして対応していかなければならないというふうに思っておるところでございます。
 感想としてお述べになりまして、ちょっと困惑しているんじゃないかという御指摘でございますが、その御指摘は私の心境と同じような感じがしております。
#10
○中村(正男)委員 何とか百七十円あるいは百八十円台くらいまで戻して安定をしていくのじゃないかな、こういう大方の期待があったと私は思うのです。特にサミットを前にして総理がわざわざアメリカに行かれたわけですし、その前段には大蔵大臣もG10あるいはG5のそれぞれの国々との協議も重ねてこられたわけでございますから、こういう形での円高の急伸というのは、政府はもとより産業界あるいは国民全体としても極めて不可解といいますか、憂慮すべき事態というふうに深刻に受けとめていただきたい。アメリカとの協調介入ということがほぼ絶望的な段階でございますので、そういった見方に立って、日本の政府としての積極的な市場介入を強く要望しておきたいと存じます。
 本題に入りまして、財確法の質問をやらしていただくわけですが、財政再建ということと内需拡大、これは一見相対的には非常に相矛盾する難しい課題だというふうに思うのです。きょうは私はそれについて質問をしていきたい、かように思っております。
 きょうは通産省にもおいでをいただいておりますので、まず貿易黒字そのものについて前段ひとつ考えてみたいと思うのです。
 アメリカの八五年度の貿易統計が発表されました。それによりますと対日赤字は四百九十七億ドル、対ECで二百七十四億ドル、カナダ二百二十二億ドル、台湾百三十一億ドル、香港六十二億ドル、メキシコ五十八億ドル、ブラジル五十億ドル、韓国四十八億ドル、こういう数字を私は見る機会があったのですが、この数字は大体間違っていないかどうか、その辺をひとつ先にお伺いしたいと思います。
#11
○渡辺説明員 お答え申し上げます。
 今先生御指摘いただきましたように、アメリカの商務省の統計によりますと、一九八五年の全世界に対する貿易赤字というのが千四百八十五億ドルという大きな数字になってきております。
 そのうち、他国は省略させていただきまして日本との関係で言いますと、今御指摘いただきましたとおり、四百九十七億ドルというのが対日赤字でございまして、御指摘のとおりのような数字になっております。
#12
○中村(正男)委員 今申し上げた他の国の赤字も、数字的には大きく間違ってないですか。――そういうことなんですが、今、対日赤字五百億ドル、これだけがピックアップされて大問題になっておるわけですけれども、不均衡は決して日米間だけではございません。アメリカとしては、全世界にわたってこうした大きな貿易赤字の数字になっておるわけです。
 例えば台湾を見てみますと、人口は千八百万人、日本は一億二千万人、人口数で比較をしますと約六倍になるわけですね。日本の対米黒字を人口比率で直しますと八百億ドルあったとしても、台湾と比較した場合、間違った数字ではない。表現はどうかと思うのですが、日本だけがアメリカから特段指摘されるというのはどうも合点がいかないわけですね。むしろ台湾の方が重体といいますか、重症患者ではないか、そう思うのですが、この点はどうですか、通産省。
#13
○渡辺説明員 全く先生御指摘のとおりでございまして、特にアメリカ議会あるいはアメリカの新聞論調等見ますと、対日赤字五百億ドルという数字が非常にクローズアップされているわけでございます。もちろんこれは大きな赤字ではございますが、アメリカの全世界に向ける貿易赤字というのが、今御指摘ありましたように八五年で千四百八十五億ドルでございます。ちなみに八四年で申し上げますと千二百三十三億ドル、その前の八三年で見ますと六百九十三億ドル、こういう数字になっておりますので、特に八三年から八四年に約二倍にふえたというところが非常に大きな貿易赤字になっておるわけでございまして、そのアメリカの世界全体に対する貿易赤字に占める日本のシェアというのを見てみますと、一九八三年が約三一%、八四年が約二九・八%ということで、むしろ年々下がってきておったわけでございますが、ただ八五年にこれが再び三三・五%にシェアが上がった、こういうのが実態でございます。トータルで見て三割くらいが対日赤字である。しかしながら、絶対的に大きいのは、アメリカの全世界に対する貿易赤字というところが一番大きな問題であろう。御指摘のとおりだと思います。
#14
○中村(正男)委員 今そういったお答えがあったのですけれども、これにはいろいろな背景あるいは要因、それが重なってあると私は思います。したがって、今から私が申し上げるようなことは、単純にそのことだけだというふうには私も思いません。しかし、はっきりしていることは、アメリカ自身の構造的な体質から来ておるのじゃないかと思うのです。
 仕事を進めていく上のシステムを見てみますと、いわゆる開発、生産、販売、サービス、こうした各機能があるわけですけれども、結局生産という機能だけを海外に移転をしておる。その結果、それぞれの国ではむしろアメリカ資本を中心にしたそういう多国籍企業が生産を担当して、そしてそれをアメリカに輸出というよりも納めている、納品している、アメリカ自身は国内の販売、サービス網で消費に回している、こういう構造的なところから来ておるのじゃないか。アメリカ自身はこの貿易赤字のために失業が増大をしておるとかいろいろ言っておりますけれども、雇用状況を見てみましても、現実に就業人口の七〇%以上が第三次産業に従事している。言いかえますと、第三次産業の方にかなり就業人口が移転をしてきておるというふうなことからしても、このことははっきりしているのじゃないだろうか、私はこう思うわけです。
 日本も、その例外ではない。いろいろな統計数字で、日本のアメリカ資本系の企業から生産されたものがアメリカに年額どのくらい出されておるのかというのがちょっとはっきりしないのです。きょうはそのことを事前にお願いをしておきましたから、通産省の方でその数字、五百億ドルとかいろいろ言われておりますが、少し数字を御説明いただきたいと思います。
#15
○渡辺説明員 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたアメリカ全体の大きな赤字の原因がどこにあるか、これは経済諸活動の結果の数字でございますので、いろいろな要素が絡み合っているかと思いますが、極めて大きく影響したものとしては、やはり日米間で見た場合の経済成長のスピードの差、つまり景気の格差があったということが一つ挙げられるかと思います。
 もう一つは、先ほど来既に御指摘がございましたが、特に一九八四年、それから八五年の前半におきますドル高というのが極めて大きく影響しておる。それが相対的にアメリカの輸出を難しくし、かつ輸入を促進した、こういう結果が今申し上げたような数字になっておるのではなかろうかと思います。
 それから、御指摘のありました米系企業が日本に来ておる。かなり来ておるわけでございますが、それの対米輸出というのがどのくらいあるかということでございます。これは数字のつかみ方がいろいろ非常に難しいわけでございますが、我々で試算いたしましたところで見ますと、我が国におります米系企業からアメリカに輸出されておる金額というのが、一九八五年の数字で約二十億ドルくらいに該当するのではなかろうかという数字をつかんでおります。
 若干敷衍して申し上げますと、一九八五年のアメリカ向け輸出、トータルで六百五十三億ドルございますが、この輸出をもう少し子細に、構造的に分析してみますと、今申し上げましたようにアメリカの日本における企業からの輸出が約二十億ドルございます。そのほかに、例えばアメリカのブランド名でアメリカで売られておりますが、中身は日本から輸出して向こうでアメリカのブランドをつけて売られておるもの、これをOEMと呼んでおります。例えばVTRとかいろいろございますけれども、そういったようなものとか、それから、アメリカで機械を組み立てている場合に不可欠な部品の輸出といったようなのもございます。アメリカで経済活動を行う場合に不可欠な部品のようなものに組み込まれているとか、あるいはOEMとか、今先生御指摘になった米系企業からの輸出とか、そういったものを全部トータルいたしますと約二百十億ドルぐらいに該当いたすかと思います。したがいまして、六百五十三億ドルの中の約三割、二百十億ドルぐらいがまさにアメリカとそういうふうに経済的にインテグレートしたといいますか、一体化した輸出、こういうふうに我々は考える次第でございます。
#16
○中村(正男)委員 膨大な額が結果としてアメリカ系企業あるいはOEMとして輸出をされているわけですから、これは単純に日本からの一方的な輸出だというふうには言えないと私は思うんですね。本題と関係がございますけれども、時間の関係もございますから、私が申し上げたいのは、要は対日赤字、我が方からいいますと貿易黒字を単に五百十億ドルだとかいうようなことで責められるだけではなしに、きっちりとアメリカに物を言ってもらいたい。その上でそれをどう是正をしていくのか、中曽根内閣としては余り明確にそのことが主張されていない、そんな印象を受けるわけですね。これは大蔵大臣、所管ではないと言いますけれども、むしろこの貿易黒字というものが大変大きな影響を財政全般にも及ぼしておる課題でありますので、大臣の所見をお伺いをしておきたいと思います。
#17
○竹下国務大臣 今、通産省からかなり詳しく、私も興味を持って聞かしていただいておりますが、その種の主張は、確かに我々の仲間では、カウンターパート同士では絶えず本当はやっております。
 なお、お読みになったかもしれませんが、文芸春秋の大前論文というのがありまして、「貿易不均衡はあるが、相手国に与える影響度に不均衡はない。」という議論でございます。すなわち、これは八四年でございますけれども、米国の対日輸出は二百五十六億ドルだ。米企業が日本で生産、販売しているのが四百三十九億ドル。そうすると、米国の日本への販売の計は六百九十五億ドルになる。今度は日本の対米輸出、八四年ですから五百六十八億ドルだ。日本企業が米国で生産、販売をしておるというのが百二十八億ドルだ。そうすると六百九十六億ドルですから、六百九十五と六百九十六で、これはまさにとんとんじゃないか、こういうお話も、本当は絶えずしておるところでございます。
 確かに今おっしゃいましたように台湾、しかし、台湾の場合はいわゆるかなりの所得の差があるということと、それからアメリカでは生産しないものを台湾から買っているという傾向がございます。例えば日本でも、この間も岐阜の多治見へ参りましたが、陶磁器なんというのは経済摩擦をアメリカと起こしたことはない。ただ、台湾と競争して完全にシェアが逆転してしまった。向こうとしては、輸出輸入量は一向に変わらないというような問題もございます。
 それからもう一つ、カナダがございます。カナダも、人口割にしたらこれは問題にならぬ、本当は大きいのでございますが、そうした主張も我々もしております。カナダになりますと、所得水準も台湾みたいな感じじゃございませんし、結局はいわゆる米国経済の急成長によります輸入拡大あるいは巨額の財政赤字を主因とした高金利、ドル高によって米国の企業が対外競争力を失ってしまったという今の産業構造の点もあろうと思います。いわゆる生産活動に従事する人数も、またバイタリティーも、私どもから見れば競争力を失う一つの原因ではないかというふうに思います。
 ただ、アメリカでも、まだ効果が出たとは言えませんが、例のグラム・ラドマン法なんという、私どもも、通って驚いたような法律でございますけれども、そういう財政赤字削減の意欲は見える。それから金利もまだ三%差がございますけれども、低下傾向にあるというような姿、それにさらにいわゆるドル安・円高、こういうような問題から、赤字は、直ちにではございませんが改善に向かうであろうというふうには思われます。が、私どもも絶えずあなたのところのいわゆる高いドル、財政赤字からする高金利、それからもう一つは販売努力でございますね、右左のハンドルも全然変えないじゃないか、ドイツは右左のハンドルを変えてでも日本に出ていくということで、ドイツの方のシェアが自動車一つ考えましても多くなっている、こういうことでございますから、販売努力というようなことに対する要望と申しますか、そういうことも絶えず繰り返して我々は議論をしておる。非常に競合するものがあるという点は確かに台湾等とは違います。だから、選挙を前にした米国の下院議員さんの自分の出身地の競合産業に対しての直観的な危機感というのがかなりオーバーに喧伝されておるという嫌いは十分あると私も思っております。
#18
○中村(正男)委員 通産省、どうもありがとうございました。もう結構です。
 そういう貿易不均衡の中身の論議をもっといろいろ続けたいわけでございますが、徐々に本題の方にウエートをかけて申し上げていきたいと思います。
 今の論議は論議といたしまして、次に貿易不均衡ですが、今日、ここまで大きな数字になってきたのはどこにその原因があるのか、そのことを少し考えてみたいと思うのです。
 私は、大きく言って二つの要素があったと思います。
 一つは、これはもう当然なことでございますが、一次、二次の石油危機が去って、結局輸入全体がマクロ的には減ってきたというのはもうはっきりしております。
 それからもう一つ、これはこの財確法とも関係があるわけですけれども、五十四年以降の財政再建路線そのものが結果的に輸入を減らし、外需依存型の経済体質に持ってきたのじゃないだろうか、こう思うわけです。この間、御案内のように公共投資が抑制される、あるいは賃金が抑え込みになる、行政改革というようなことから官の賃金抑制をまず念頭に置いて、そのためには民間の賃金を抑えることが結果としてトータルとして賃金の抑制になるというふうなこと、さらに減税が見送られて実質増税が行われてきた。可処分所得が伸び悩んできた。そういうことで内需不振、そのことが外需依存の体質、こういうふうに思うわけですね。
 五十六年には経常収支は五十九億ドルの黒字であったのですが、六十年ではこれがもう五百十億ドルの黒字になってしまった。私は、この二つが要因だと思うんですね。特に財政再建路線、この定着が大きな要素になっているのじゃないかと思うのですが、大臣いかがでしょうか。
#19
○竹下国務大臣 ここのところの見方はいろいろございますが、一つは、今おっしゃいました問題の中で、もうドル高とか高金利の問題は別として、我が国のいわゆる輸出動向というものを見ますと、自動車など海外に強い需要のある製品を中心に売り込んだのじゃなくして、いわば中曽根総理がよく使う言葉でございますが、吸引された形で増加しておる。すなわち内需が不足して我が国内で売れないから押し出されたのじゃなく、向こうが需要が強いから吸引した、こういう表現でございます。そういう考えが一つございます。
 されば内需ということで見ますと、いわゆる民間設備投資を比較しますときに、製造業よりはいわば非製造業の方へ偏ってはおりますものの、対GNP比で見ると高度成長期とほぼ同じくらいな水準となっておるという二つの別の見方があるわけであります。
 それから、今度はいわば財政再建路線というものの影響を見ますと、いつも言う話でございますけれども、仮に三兆円建設国債発行して公共事業をやりますと、人によっての見方は違いますが、十三億ドルくらい鉄鉱石とかそういうことが輸入増になるのではないか。だから買うものが余りないとでも申しましょうか。それから五兆円といいますと我が国の所得税の三分の一でございますけれども、仮に五兆円減税しますと何ぼ輸入がふえるかという試算は、七億ドルというのがあるわけでございます。買うものがないといえばそれまででございますけれども、そういうことを見ますと、影響は全くないとは申しませんが影響というのは金額的に見れば非常に少ないものだな。
 それで、一兆円やれば三・七倍の三兆七千億がツケになって残る。一時、三年間で四千数百億の増収になるだろう。しかし、残ってくる残高、最終的には三・七倍の負担を後世代に残すということになると、一層財政体質を悪化させてしまう、そういう問題がございますので、一朝一夕に解決し得ない問題が多うございます。したがって、やはり息の長い対応というもので対応していかなければならぬではなかろうか。短期ももちろんでございますが、中長期の問題も考えながら対応していかなければならぬではないかということを折々議論をいたしておるところでございます。
#20
○中村(正男)委員 この間仮に実質成長率並みに輸入がふえておれば、六十年度、これはあくまでも仮定でありますけれども、六十年度の経常収支というのはわずか六十億ドルの黒字にとどまっておるということですから、この間の緊縮財政路線が貿易黒字を増大さしたということは絶対に明らかでないかということを私は申し上げておきたいと思うのです。
 そこで、今こういう事態になって内外から内需拡大に向けての大合唱が起こってきております。中曽根内閣のとってきた経済財政路線に対する批判というふうに受けとめなければならぬと私は思うのですが、そういった状況の中で、政府は矢継ぎ早に新たな展開を図ろうということで、差益還元を中心としたいわゆる総合対策、さらに内需拡大、国際協調型経済の実現を目指した構造転換、これは経構研報告を土台にしてということでありますが、七本柱、七本並べれば何か華やかな、しかも具体性のあるようなことに聞こえるのですけれども、いずれも実際の中身は、総合経済対策にいたしましても円高差益の還元が頼みということですし、国際協調型経済、輸入型経済を目指すといっても、これも中長期の問題だと思うのです。そうなれば、当然ここでは財政がやはり内需拡大へ向けて避けて通れない段階に来たのじゃないかな、私はこう思うのです。
 そこで大臣の基本的な考え、財政が内需拡大へ向けてこの際避けて通れないというお立場に立たれるのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
#21
○竹下国務大臣 財政主導による内需拡大というのは、一つの経験からいたしますと、かつての機関車論のときが一つの典型的なものであったかなと思います。あの機関車論は、しかし今は先進国では機関車論はとるまいという合意がありますのは、要するにフランスとかイギリスとか、そういう国はかつて宗主国であった。英領何々とか仏領何々とかいっぱいあるわけですから。そこが、日本さえやっておるのに宗主国がやらぬとは何事かというような感じから、いわば機関車論というのは結果として高金利をもたらして開発途上国が困った。だから機関車論というところまでは、確かにみんなの合意がありますからそこまではまだいかないが、内需を求める声があるということは私どもも十分承知しております。
 そこで、財政主導してやったあの機関車論の時代から見ますと大変に公債残高がふえて、五十五年からいわゆる対前年度一兆円公債を減すんだという財政再建路線に入っていったわけでございます、ちょうどそのとき、私は大蔵大臣でございますが。そこへもってきて五十六、五十七というものが世界同時不況で、要するにほかの国、世界全体が第二次石油ショックから脱却できなかった。したがって、二年足して九兆円歳入欠陥が出たというようなことが財政体質というものをなお悪くして、五十八年から私、また大蔵大臣に返ったわけでございますが、それで今度は、いわば対前年度同額以下というような手法をとらしていただいておる。
 だから財政の主導する範囲というのは非常に狭い。その中でどう工夫していくかというので、衆議院でこの間御論議いただいて、今参議院の特別委員会で御論議いただいておる補助率等を変えることによって実質四・三%公共事業費を伸ばしたというのが狭い選択肢の中でとった一つの措置であります。
 さらに、これを前倒ししていこう。前倒しすれば今度は下期に息切れするのじゃないか、常識的にいつもその意見がございますが、幸い、例えば棒鋼とか建設事業に使われますところのいろいろな原材料などの卸売物価が大変落ちているから、例えばの話でございますが、今まで百メートルできたところは実際問題として百十メートルできるようになるのではないか。それが下期に対する事業費ではなく事業量として伸びていく傾向になりはしないかということを狭い選択肢の中で知恵を絞らしていただいておるというのが現在の実情でございます。
#22
○中村(正男)委員 そのことをちょっとおいておいて、円高、為替レートの安定、そのことをベースにしてこれからは輸入型経済構造に、中長期というのがついておりますが、それが果たしてどうなのかという問題なんです。
 ちょっと突然の質問で恐縮なんですが、輸入型経済、輸入型体質というのは、いろんな大きな波及的な影響が出てくると私は思うのですね。確かにそうしていかなければいかぬと思うのですが、もう製品輸入はそんなに期待できないのじゃないか。
 この前、四月十七日ですけれども、物価問題対策特別委員会で、輸入商品の価格動向調査に実は行ってきたのです。日本橋の三越に行ったのですが、かなり安くなっているものもございます。平均して、昨年の今ごろと比較しますと、二〇%くらい小売価格は下がっているというふうには見えるのです。
 そこで、大臣にちょっと聞いてみたいのですが、日本橋三越が昨年三百八十二億円の売り上げがあったのです。その中での輸入商品の比率というのはどの程度のパーセント、およそどのぐらいのウエートであったとお思いになるか、感じとしてで結構ですから大臣の感覚をお聞きしたいのです。
#23
○竹下国務大臣 私も、これはちょっとワンポイントテストみたいな感じがしますが、大変少ないだろうとは思っております。
#24
○中村(正男)委員 さすが名答弁なのですが、私も、実はもっとあるだろう、こう思っておったのですが、六・七四%なんですね。それをベースにして、今この円高が急激に進んでいる中で輸入型経済にして製品輸入をふやしていこう、こういうアピール、中曽根総理はもう随分前からこれを提唱されておりますが、六十一年度はどの程度の計画をこの三越はしていると思いますか。売上高比率。
#25
○竹下国務大臣 やはり一けたぐらいじゃないかと思いますが、よくわかりません。
#26
○中村(正男)委員 これも、私も意外だったのですが、七%の計画でしかないわけです。売り場をずっと回りましたけれども、そんなに製品輸入――口ではたやすく言えますけれども、率直に申し上げてそんな甘いものじゃないというふうに実感として持って帰ってきたわけです。ですから私は、この内需拡大ということと輸入の増大、とりわけ製品輸入というのはそう簡単なものじゃないということを報告しておきたいと思います。
 そこで、財政の問題に戻りますけれども、結局、六十一年度からがむしろ問題なんですね。国債の現金償還分が増大をいたします。六十一年度一兆六千五百億円、六十二年度二兆三千三百億円、以降すっと二兆円以上が続くわけですね。これをどう償還していくのかということなんですが、一般会計から国債整理基金特別会計への定率繰り入れもこれを停止していくということ、それから、この特別会計の償還財源そのものが不足をしておるわけでして、本来なら一般会計からこの定率繰り入れをやっていけば問題がないのですが、そうすれば一般会計がそれこそさらにしわ寄せ、圧縮を受けるわけですから、そういう措置をとられたと思うのですね。
 それでは、現在のこの公債の償還方法としてどういう手だてを考えておられるのか。現在のルールは、借換債で六分の五、六分の一を現金による償還ということになっているのですが、借換債で全額償還するということについてもう決断をする時期ではないのか。部内での検討は相当進められておると私は思うのですが、まず、この基本的なお考えをお聞きしたいと思います。
#27
○竹下国務大臣 御指摘なさいましたとおり、六十一年度におきましても定率繰り入れの停止をせざるを得なかった。そこでぎりぎりの、償還に支障を生ぜしめないという四千百億円の予算繰り入れ、そして、まだ売り方が決まっておりませんが、恐らく間もなく答えが出るだろうと思いますNTT株の売却収入ということで国債整理基金の運営をするという措置をとらしていただいておるわけであります。
 おっしゃいますとおり、六十二年度以降は償還財源の問題はさらに深刻な問題となります。そこで、去年も財政審でいろいろ議論をしてもらいました。結局、我々がその意見の中でとっておりますのは、いわゆる減債制度の基本は維持してまいりたいということでこれをとっておるわけでございます。現在、その基本を維持するという財政審の報告のいわば縛りの中に私どもは存在しておるという考え方でお答えをいたしますと、これは電電株式の売却収入がどうなるかというようなものを踏まえて何とかいわゆる特例公債依存体質脱却を目指して汗を絞っていかなければならぬ問題だ。
 前からある議論は、いわば永久国債と言うと、ちょっと表現が、持っていらっしゃる人に――資金は借りかえをいたしましても、持っていらっしゃる人にはちゃんと返っていくわけでございますけれども、永久国債と言いますと、持っているのまで返ってこないか、借りかえさせられるのかという誤解を受けがちなものでございますから、表現として必ずしも適当でないと思いますが、そのような議論も議論としてはあり得ることであろうと私も思っております。これからそれこそ減債制度の基本は維持していかなければならぬ、あれだけ議論して減債制度というのをつくったわけですから。したがって、この全額借りかえということになりますと、確かに二兆何ぼ助かりますね、実際問題。だから、それは赤字公債脱却の目標に近づける一つの手法でございますが、そこまで踏み込むということになりますと、基本にかかわる問題ですから、今の我々が縛りをかけられている枠内でお答えするのはなかなか難しい問題でございます。
 いわゆる借りかえを前に行わしていただいたときにも、その前年にその議論が出て、それで翌年やりまして、あなたがそういうことをおっしゃったからやりましたという答えをしてしかられたことがございますけれども、本当に今の縛りの中で、減債制度の基本というものの中でどうやっていくかということは、これは非常に慎重な検討をしないと、ここで、なるほど中村さん、私もそう思っておりますと言える環境にはないということが実情でございます。
 長くなって申しわけありませんが、もう一つつけ加えさせていただきますと、G10でこの間議論しておりましたら、厚生年金の積立金でございますね、あれで黒字を議論するのです、あなたのところはあれを使ったらいいじゃないかと。
 そんなようなことを考えますと、本当に今の縛りの中で、狭い選択肢で、今の御意見に対してはまさに慎重な検討を要する問題だというふうに思っております。
#28
○中村(正男)委員 NTT、NTTと、もう期待を一身に集めておられるようですけれども、そうなれば、NTTの株による収益といいますか、それはもう膨大なものを見込まなければならぬということにもなりますし、このまま六十五年まで歳出削減を、いわゆる一般会計伸び率ゼロを本当に続けていかれるおつもりなのか。事実上これはもう無理というよりも不可能だという今の状況じゃないかと私は思うのです。現に今そういったことを裏づけるように既に税制改革が具体的に進められておりますし、もちろんその背後には増税ということも当然検討されていくでしょうし、社会保障の見直しということも現に政府の方から具体的に出ています。等々考えますと、これはもう私は、国債というものに対してどういう見方をしていくか、公債というものにどういう見方をしていくのかという段階に来ているのじゃないかと思うのです。
 そこで一つは、これは私の私見として聞いていただきたいのですが、そんなに国債は何が何でも悪なんだという決めつけは、この段階に来て考えるならば、その考え方を変えるべきじゃないかな、少し甘いかもわかりませんが、そういう立場に立たないことには財政というものを進めていけないのじゃないか、こう思うのです。今六十一年度末百四十三兆円になろうとしておりますが、一つの物差しとして名目GNPの比率で国際的に比較をしてみますと、日本は一・一、西ドイツは〇・九、アメリカは三・七、フランスは三・二、イギリスは三・六、イタリア、カナダはもっと大きい、こういうふうに言われております。日本は、先ほどの健康保険の五十四兆円ですか、黒字だというふうな見方をするようなことも含めて考えるならば、いま少し国債発行に柔軟な考え方を持つべきじゃないか。それ以外やりようがない。全額借換債についても否定をされなかった。もうその決断の時期が来ていると私は思いますし、そのこと自体、財政再建路線の修正ということにも踏み切る時期ではないかと思うのですが、もう一度その辺どうでしょうか。
#29
○竹下国務大臣 債務残高を全部見ますと、それは六十一年度末見込みですと日本は名目GNPに対する比率は五〇%、アメリカが三六・五、イギリスが四七・二、西ドイツが二〇・三、フランスが九・九、そういうようなことになるわけでございます。したがって、やはり残高で見ると実際問題として大きいわけですね。
 それで、私どもが今申しております考え方が二つの縛りの中にあるなといつも思いますのは、一つは赤字公債依存体質から早う脱却しとうございます、六十五年までに、非常に難しい問題でございますが、この旗をおろせません、こう言っているのが一つ。それから今度は、年々比率を落としていこう。だから、赤字国債も建設国債も一緒に減額してきておるわけで、全体の比率を落とそう。この二つの縛りがあって、そこまで来たら今度は残高をGNP比に対して落としていくようなことにしなければいかぬというのは少し先の課題というところで、そういう縛りの中で政策選択をしておるわけです。
 ただ、では例えば、永久国債にいたしましても、あるいはいろいろな工夫をして赤字国債依存体質だけは仮になくしたとしますか、そうしても、やはり残高になった場合は赤字国債も建設国債も全く同じものになってしまう、そこのところに悩みがあるわけです。ただ、対名目GNPの五〇%にもなるわけでございますから、長い間ある種の残高は背負い込みながら財政運営をやっていかなければならぬという覚悟はしておるわけであります。例えばでございますが、土地再評価税みたいなものでも取って荒療治をして、一遍にぱんとしてしまうとかいうような乱暴なことは考えておりませんから、ある程度のものは背負い込みながら歩みを進めていかなければならぬという覚悟はしておりますが、可能な限り第一段階は赤字公債依存体質、それから毎年の予算の公債依存度そのものを下げていく。
    〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕
 実際私が最初大蔵大臣になったときに三九%、結果としては三四%ぐらいになりましたけれども、こんなに背負っちゃ大変だな。そうして、あのとき国債が売れなくなったときでございますから、今国債が売れない状態じゃございませんけれども、あの残高というものを、大きな荷物を背負って歩くというのは、今のところは結構でございますが、後世代のことを考えると――大平さんが私に財政家として取り返しのつかないことをしたという御意見をおっしゃったのは五十年、ちょうど大蔵大臣であられたわけですから、赤字公債を出したことじゃないかなと思って聞いておりましたけれども、やはり重い荷物を後世代にそのままパスしていくということには耐えがたい、生きとし生ける者としての悩みを感じます。
#30
○中村(正男)委員 竹下大蔵大臣の胸のうち、非常に難しい御心境だと思うのですが、ただ今度の経構研報告を見てみましても、いわゆる財政再建路線の堅持、これはきちっと出しておるわけです。しかし、従来といいますか現在の財政再建目標の六十五年赤字公債脱却、そういう六十五年という期限は明示されてないわけですね。明らかに、これからの日本経済に対しての財政のあり方としては転換すべきだ、こういう指摘がされておると私は思うのです。
 この永久国債、借換債の問題、あえてこれ以上踏み込みませんけれども、具体的にちょっと聞いておきますが、いつごろこれについての結論を出されるのかということと、全額借りかえ償還という方向を仮に出されるとするならば、仮定で恐縮なんですが、その場合は期限を限るという方法をとられるのか、あるいはもう思い切ってこの際期限も考えないというふうな方向でいかれるのか、その辺はどうなんでしょうか。
#31
○竹下国務大臣 やはり今減債制度の根幹は維持するという一つの縛りの中にありますと、今後の検討の方向を予測するようなお答えは難しかろうと思っておりますが、こういう問答が出るようになったということは問題意識としては十分持たしていただいております。
#32
○中村(正男)委員 私も大蔵委員一年生で質問の仕方が悪いし、専門的にも勉強がまだまだ足りませんが、大体大蔵委員会の質問というのはこんなことかなと三回目でようやくわかってまいりまして、本当に具体的な御答弁というのは難しいなとは思います。
 そこで、先ほど大臣が国債の依存率云々をおっしゃっておられました。私も、この六十五年脱却がもう経構研報告にもないということからするならば、新たな財政再建に向けての目標を設定する、そうしてにしきの御旗をずたずたになったから引きおろすというのじゃなしに、旗を少し色合いを変えてもう一遍掲げ直すというふうな段階ではないかな、その場合に、国債依存率というものでもって考えてみたらどうだろうかなというふうに思うわけです。六十一年度は二〇%強、これを六十五年に赤字公債脱却、ゼロでしょう。そういうことじゃなしに、当面これを六十五年には一五%くらいまで下げる、そして三年間、六十八年にはいわゆる赤字国債をゼロにするというふうなことであれば一般歳出の方への抑制も今以上に厳しくはならないだろうし、三年間ぐらい延ばしても今の日本の経済の持つ活力からするならばそんなに大きな影響ということにはならないと私は思うのですが、その点どうでしょうか。
#33
○竹下国務大臣 私、現実的な御提案という意味には受けとめさせていただきますが、今一番恐れておりますのは、一たび旗をおろした場合に一挙に歳出圧力が出てきはしないか。そして国債の問題も、五十五年、六・一国債が売れなくなったという状態ではないわけですから、金がいっぱいあるという表現はおかしいのですが、そうすると、それがイージーにつながっていったら結局またクラウディングアウトだ、インフレだというような問題が出てくる、そのきっかけになってはいかぬというので、非常に慎重に構えておるということでございます。
 今、時々思います、大蔵大臣をしておって、これだけ渋ちんをやっておって何で暴動が起きないかなんてだれか言いましたが、それは何で起きないかというと、やはりインフレがないということだろうと私は思うのでありますので、その辺のインフレの問題等、いきなりインフレになるという意味でおっしゃったとも思えませんし、私も思いませんけれども、そういうインフレ懸念のきっかけみたいなものをつくってはならぬなと思って、そこのところがたびたび申し上げます狭い狭い政策の選択肢だなと思っておるところでございます。
#34
○中村(正男)委員 かなり無理をして今日まで財政再建路線を進めてこられたわけですが、内外からこれは行き詰まっているということをはっきりと指摘されておるわけですし、もう竹下政権も近いわけですから、さわやかにひとつ転換を図るという時期じゃないかと思うのです。
 西ドイツはいろいろ日本の国とは比較されますけれども、同じような経済体質、財政体質を持っていると私は思うのです。その西ドイツですら、ことし日本の通貨に直して一兆六千億円の減税をやる。さらに一年置いて八八年にも同規模の減税をやる。合計して三兆円以上の所得減税を実施するわけでしょう。日本だけがいまだにそういう路線をとっておるということには国民生活も到底ついていけない、率直に私はそう思うわけです。税のあり方、取り方が今検討されていますけれども、結局、日本は世界最大の債権国になった。しかし、政府そのものは過剰な借金を背負っている。過剰な資金はどこが持っているかというと企業だ。その辺に財政再建のかぎがあるのじゃないかな。財政政策、経済政策の思い切った転換を図って、国債の発行について柔軟に対応する、それしか道はないのじゃないかということを私は申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。
#35
○堀之内委員長代理 伊藤忠治君。
#36
○伊藤(忠)委員 今、同僚議員の中村先生の方からも問題点の御指摘がございまして、やはり今回の財確法をずっと私ども勉強させていただいたわけでありますが、一つのそういう結論に到達するような感じが私もしているわけです。
 時間の関係がございまして、基金特会の減債制度のあり方についての質問を実は後でやらしていただきたい、こう思っているわけですが、いずれにしましても、基金の資金状況が枯渇をしてきまして、しかも、これは五十七年から四年連続で繰り入れ停止が行われてきているわけです。それだけ一般財政が厳しいということになるわけですが、その中で特に六十一年度の場合には、枯渇した特会の財源を確保するためにNTT株売却というのが大きな目玉になっているわけでして、いただきました資料を見ましても、結局四千億しか余裕財源としては残っていない、こういうことなのであります。
 実は、四月十九日付の新聞記事で、大臣の諮問機関というのですか、研究会が、約七カ月にわたって研究を進められてきているわけですが、その記事が載っております。記事の中身は、私、中身にこだわるわけじゃございませんが、大蔵省が政府保有株式の売却方法を固めたと、極めて断定的な表現になっているわけでして、最後の方のくだりでは、四月二十四日に、あすになると思いますが、研究会の報告が最終的に出まして、その報告書に株売却に対する大蔵省の方針を盛り込む、こういう表現にこの新聞記事ではなっているわけです。
 私は別にそのことにこだわるわけじゃございませんが、このことに関連をしまして、以下大蔵省のお考えについて幾つか質問をさせていただきたい、かように考えているわけです。
 まず一点目は、株式の評価方法についてなんです。今日まで政府の持ち株売却を行った例としましては私、間違った理解をしておるかもわかりませんが、過去におきましてKDDあり、日本航空あり、日本合成ゴムの例あり、電源開発あり、国内的にはこういうことだと思います。外国の例としては近々、BTの例がございました。この国内四つのケースというのは売却収入を予算に計上するというような方法はとらなかったという点が違うのじゃなかろうか、こう思うわけですね。しかし、今挙げました幾つかのケースの場合、今回おとりになったような評価方法が採用されてきていたのかどうかという点をまずお聞かせをいただきたい、かように考えます。
#37
○窪田政府委員 政府保有の株式売却収入を予算に計上しました例は、NTT以外に、国際電電、日本合成ゴム、電源開発、日本航空、東北開発という五例がございます。
 国際電電と電発、東北開発の三例につきましては、額面金額で予算に計上をいたしております。
 日本合成ゴムにつきましては、前年の処分価格を基礎としております。前年は予算にあらかじめ計上しておりませんでした。
 日本航空につきましては、市場価格を基礎にしてそれぞれ予算に計上いたしております。
#38
○伊藤(忠)委員 今お聞きをしておりますと、今回のこのNTT株の評価方法といいますのは、今回特徴的に採用された考え方である、このように理解をしてよろしゅうございますか。
#39
○窪田政府委員 これは昨年の暮れに研究会から御意見もちょうだいをいたしたところでございますが、NTTの場合には、まず第一回の決算がまだ発表されていないということ、売却方法とか評価方法もまだ決めかねておりましたので、歳入予算に計上するに当たっては、実際の売却に予断を与えたり支障を生ぜしめたりしない観点から、新しく積算を行った価格じゃなくて、額面金額でございますとか発行価額のような客観的な価格を使った方がいい、こういう研究会の御意見をちょうだいいたしましたので、それによったわけでございます。法律上は株式の売却限度数を書けばいいことになっておりますが、予算総則で限度数をいただいて歳入の方には何も計上しないというのも、これはいかがなものか、こう考えまして、客観的な数字として発行価額を使わしていただいたわけでございます。
#40
○伊藤(忠)委員 財源確保が絡んでいるものですから、どうしてもそういう格好にならざるを得なかったと思うのですが、問題は、その純資産を株数で割りまして一株二十一万円という株価評価ということになったわけですね。といいますと、つまりそのことは、これから一連の株売却をやっていく中で、値をつける段階で、大体これが基礎なんですよということを政府から提示をするというか考え方を出すことになる、そういう意味合いをどうしても持っているというふうに私は考えるのですが、その点はどうなのでしょう。
#41
○窪田政府委員 そうなってはいけないということで、客観的基準から導き出されます額面価額がその純資産額を使うということの御意見をいただいたわけでございます。しかし、その額面価額、一株五万円でございますが、これはその純資産額と比べていかにも小そうございますので、やはりこの純資産額の方を使わしていただく方が穏当ではなかろうか、こう考えた次第でございます。その後のいろいろな新聞の報道等を見ましても、これが一つの予断を与えているということはないように思いますので、その点は世の中の誤解もないのではないかと思っております。
#42
○伊藤(忠)委員 私がお聞きしましたのは、おやりになったその方法のよしあしを言っているのじゃございませんので、例えば今回電電売却に対して、純資産を総株数で割って株価を二十一万というふうに決めるというこの決め方は、これはもう唯一無二のものであって、これまでもずっとやってきたし、これからだってもしそういうケースが起こり得る場合にはこれでいくんですよというものではなくて、今回のNTT株売却、これは財源確保とも絡みまして、予算計上の計算の根拠の一つとして政策的にこういう決定方法が採用をされたんですねということを私は聞きたかったわけです。
#43
○窪田政府委員 その点につきましては、電電の研究会からいただいた報告にも、「NTTの場合には巨額の資本準備金があること等を考慮すれば発行価額による計上がより妥当であると考えられよう。」こういう御意見をいただいております。従来の例で申しますと額面価額が多いわけでございますが、NTTの場合には資産額が非常に多うございますので、この研究会の御意見をちょうだいして、これによったということでございます。
#44
○伊藤(忠)委員 しかし、この二十一万円という株価といいますか、一株二十一万円で予算に計上するということは、つまり額面で計上していくよりも、株数はもう決まっているわけですから、やはり金額は、予算に確保する財源としては財源総額が膨らむ、こういうことは事実ですね。
 それで、今おっしゃいましたことは私も理解できますが、そういう考え方で政策的に決定をされて、今回予算に計上されて、それが基金特会の財源確保になった、こういうことなのでありますが、売り出し価格の決定方法に話を移したいと思いますけれども、新聞記事によりますとこういうふうに表現しているわけですね。「1機関投資家などを対象にした競争入札にする 2大蔵省がその落札価格を参考に売り出し価格を決め、一般投資家に売却する」、つまり二段階方式でやる、こういうことを言われているわけですが、そういう考え方で理解をさせてもらっていいでしょうか。
#45
○竹下国務大臣 先生が今御指摘なさいましたように、研究会はいわゆる意見を取りまとめてもらう、あしたがそれでございまして、それで、もし金貨の法律が通ればそのデザインあたりがあさってかな。もう一つは、税調の中間答申じゃございませんが、報告みたいなのがあさってから、大体この連休前に一連のものをというような考え方もありまして、二十四日にちょうだいできるようになったという報告を受けております。それでもって今度は正規な国有財産審議会で、これは恐らく連休後から議論が始まるであろうと思っております。
 そういう手順だけ私が理解しておりますことだけをまず申し上げて、これはプロでないと、私のようなアマではちょっと答弁が難し過ぎますので、専ら理財局長様にお願いしようと思っております。
#46
○窪田政府委員 大臣の御答弁にありましたように、明日御意見をいただくべく今最後のまとめをしていただいておりまして、その報告書をそのまま御披露はいたしかねるわけでございますが、大体今までいただいた御意見を要約をいたしますと、研究会では、国民全体の貴重な財産でございますので、国民に疑惑を抱かせることのないように公正な価格、方法で行うことが必要だ、こういう前提に立っていろいろ御議論をいただいております。
 六十一年度の売却方法といたしましては、基本的には一般競争入札と証券会社を通じる売り出し、この二つの方法が考えられるわけでございますが、両者とも一長一短がございますということをいろいろ御検討いただきました。
 結局、公正な価格形成を行う必要があるということ、第二に、広く国民に購入の機会を与える公正な売却方法が必要である、この二つの条件といいますか要請を満たす必要がある、大体こういうふうな御議論になってまいりまして、その場合は、やはりまず一部の株式について一般競争入札を行いまして、その結果を参考にして価格を決めまして売り出しを行うという、入札と売り出しの組み合わせ方式とでもいうようなものが適当であるという御意見が行われておりますので、恐らくそういう方向でおまとめをいただけるのではないかと思っております。
#47
○伊藤(忠)委員 その場合、競争入札に充てます株数はおよそ何%ぐらいをお考えなのでしょうか。
#48
○窪田政府委員 これは実際の売り出しをやる場合の問題でございまして、先ほどの大臣の御答弁にもありましたように、今後この研究会の意見を参考にして国有財産中央審議会に具体的な売り方をお諮りして、慎重に検討することになるわけでございます。したがって現在、入札をどのくらいの割合にするかということは全く決めておりません。
#49
○伊藤(忠)委員 どちらかといえば、一般に国民全体に、望む人に買っていただこうというのが基本的な考え方で、大臣にもしばしば態度表明をいただいていまして、私は全く賛成なんでございますが、それが目的でもって、しかし当面はどれくらいで売り出すのかを決めなければいかぬものですから、一つの方法として、前段で競争入札という一つのトンネルをくぐらなければいかぬということだと思うのです。ですから、そんなに多いパーセントにはならないだろうと私は思っているわけですが、研究会の中では、一〇%ぐらいだとか、いや二〇%にした方がいいんじゃないかというような議論はどの程度まであったのでございましょう。
#50
○窪田政府委員 そういう具体的な数字が特に議論されたということではございませんで、それは、余り少ないとフィーバーを招きますし、余り多くても、多くの方にチャンスを与えるという意味では問題であろう。実際は、売るときに株式市況とか投資家の需要とかを見きわめて判断すべきであるが、なお国有財産中央審議会でよく御審議をいただくのが適当であろう、こういうことになっております。
#51
○伊藤(忠)委員 これから引き続き財産審議会で議論をされるということですから、まだちょっと時期尚早なんだということですが、次に、これと関連をしまして、新聞記事では「機関投資家など」という表現になっています。競争入札の際には参加する団体が、機関投資家だけではなくて「など」がついておりますから、「など」の中身はどういうケースを想定されているのかということについてお聞きしたいと思います。
#52
○窪田政府委員 これはまさに「など」でございまして、どういうものにするかは絞っていないわけでございます。具体的に出るときに政府が決めるわけでございますが、そのところは、新聞記事は推測ではなかろうかと思います。具体的に資格を定めるとか、そういうとが果たしてできるものかどうか、これは今後の検討課題であると考えております。
#53
○伊藤(忠)委員 具体的な名前が出ているものですから、私はそれに絡んでお聞きしたのです。申し上げますと、NTTの「社員持ち株会も機関投資家と同様、入札に参加できるようにする方針。」こういう表現があるものですから、そうすると、これはかなり範囲が広がっていくのか、対象者を、入札に参加する団体を事前に絞るのか、それともオープンで募られるのか、そのあたりは随分議論になると思うのです。それもこれからの議論だと言ってしまえば終わりなんですが、しかし一応大蔵省当局としては、寄ってらっしゃいというような格好でやったら大変なことだと思いますので、その点を新聞記事も一定のめどをつけながら「など」と書いたと思うのです。ですからそのあたりについて今日現在考えとして固まっている点があれば私はお聞きしたい、これが質問の趣旨でございます。
#54
○窪田政府委員 その辺はまだ具体的にこうしろということまでは固まっておりませんが、私ども、今短期国債は入札の方法で売り出しておりますが、これはディーラーの資格を限定しております。しかし、このNTTの株の場合には、広く国民に売り出すという趣旨から、恐らく限定は難しいのではなかろうか。しかし、今先生まさにおっしゃいましたように、入札は私どもの方でやる、具体的には財務局でやるということになろうと思いますが、余り大勢の方が入札に参加されても事務的に大変でございます。そこで最低の応募の数を限るとか、そこは何らかの工夫が必要であろうというふうな御意見はございました。
#55
○伊藤(忠)委員 結局、応札の株数の上限下限を決めてということも一つのセーフする方法なんですね。それから、参加する団体、だれでもいいというようなことにはいきませんで、大体のところをめどをつけて参加をいただくということですね。その中には機関投資家だけではなくて、「など」というのは、今言いましたような持ち株会ができたのならそれも入れるというような考え方で現在構想されているのか、そのあたりをちょっとお聞かせいただきたい。
#56
○窪田政府委員 大体今お話しのあったようなことになろうかと思います。
#57
○伊藤(忠)委員 結局、これは国有財産でありまして、政府とすれば、財源状況は厳しいのですから最も効果的に高い値段で売りたいという気持ち、私はそのとおりだと思うのです。安い値段で売るより高い値段で売った方がいいわけです。問題はその売り方、公明正大ということが保障されなければいかぬわけです。しかし、そうはいいますけれども、では競争入札で上から下までずっと値がついてそれぞれ落札されていくと思うのですけれども、一番高いもので売り出そうということになったら、これは一般の皆さんに売り出すときにいろいろな影響があるし、市場にも影響するでしょうから、気持ちと実際にこれで売り出そうという売り出し価格を決めることとは調整が要るだろう、政策判断が要るだろうと思わざるを得ないわけであります。そういう場合には、競争入札で形成されました中心価格を参考に政府は売り出し価格を決めるという考え方に立たざるを得ないのじゃないかと私は思うのですが、その点について大蔵省の御見解はどうでございましょう。
#58
○窪田政府委員 その二段階目のお話かと存じますが、そこがまさに非常に難しいところでございまして、これはやはり配分の公正さを確保し得る方法ということで、実際には研究会の意見を参考にして今後国有財産中央審議会でそこは慎重に御検討いただくのが適当であろうと考えておるところでございます。
#59
○伊藤(忠)委員 それで、一般の国民の皆さんに、希望者に持っていただくために広く売り出していこうということにこれから進んでいくわけですが、その場合には政府が証券会社と随意契約で、売ってくださいよということになって、引き受けた証券会社がそれを国民の皆さんに、広く公募という格好になるでしょうが、売っていく、こういうふうに理解をしていいんでしょうか。
#60
○窪田政府委員 大筋としては大体そういうことになろうかと思いますが、その場合も、それでは具体的にはどういうふうにお願いするかというやり方はいろいろあろうかと思いますので、これは今後細かく検討し、詰めてまいらなければならないと思っております。
#61
○伊藤(忠)委員 大蔵省の立場からしますと、これは全部証券会社にお任せして、引き受けた証券会社は、会社別によってやり方が違ってはいけませんから、一元的にそれはやらなければいかぬ。どうしたって大蔵省が管轄するというのですか、大蔵省の指導のもとに方針が貫徹するような格好で、販売をされる証券会社はその方針に基づいて画一的、統一的にやっていくということにならざるを得ないと思うのですが、そういう理解でよろしゅうございますか。
#62
○窪田政府委員 その点も含めまして今後どうするかということは検討するわけでございますが、この研究会の御意見でも、売り出しの場合も配分の公正さを確保し得る方法を考える必要があるということをいただいております。どういうふうに具体的にやればそうできるのか。これはまた、国有財産中央審議会の御意見も伺って今後検討してまいりたいと思っております。
#63
○伊藤(忠)委員 すべて財産審議会の決定待ちということになると、私は一番この点を心配しているわけですが、電電株というのは市場に出たら百万もするぞ、五十万は当然だというような記事が週刊誌なんかでも出回りまして、今日の財テクブームにますます火をつけるのじゃないか。それが、真意が伝わってないという記事も間々見る場合があるのです。なぜそんなことになるのかなというような、黒い霧が必ず発生するのじゃないかとか、政治家が絡むのじゃないかとか、そういう気になるような表現も出ているわけですね。実は、このことが非常に解明をしっかりされていくというか、ガラス張りでいかなければいけない部分じゃないかと思うのですね。例えば、すべて何もかも大蔵省が一手に引き受けてやることにならぬだろう。それで、随意契約でもって証券会社が扱っていくということになりますと、証券会社が皆さんに公募をしてやるという過程で、今言ったような興味をそそるような表現がまことしやかに通っていくということになりはしないのか。したがって、今日時点でそういうものが、国有財産審議会の結論が出るまでは、大蔵省としては思っていても言えないのです、手続の関係もあって。表に出る時期が遅くなればなるほど、言うならばそういう記事が非常に出る。そして国民の皆さんも、私たち地元を回っておりましてもそうなんですが、伊藤さんにお願いすれば株は安く特別に割り当てをいただけるのではないかということを言われますと、私も答えようがないのですな。そういうことは絶対あり得ないと言いましても、しかし、何々の雑誌が書いていたとか、どこどこにはこういうのが載っているということで、どうも真意が国民の皆さんに伝わっていないと思うのです。ですから、そういうことになってはいかぬわけでして、少なくともここまで研究会の結論が出る段階に来ておりますので、政府としてはそういうケースをとったにしても、言うならば疑惑が生じないように、例えば二重権行使が何かちょっとやれば可能になるような、そんな仕組みにはなっていないのです、ガラス張りで政府はやっているのですよという基本的な政府の態度を出していただく時期ではなかろうか。でないと、だんだん燃え広がっていくような懸念を私は持ちます。そういう立場で質問をしておりますので、ひとつ御見解をいただきたいと思います。
#64
○窪田政府委員 そういう御議論は研究会の中でもございまして、やはりこういう方法で売るのだという透明性のあるような方法を今後考えまして、誤解を与えないように工夫をしてまいりたいと思っております。
#65
○竹下国務大臣 例えばことしの四月十一日には、電電株式売却に関する国会の主要な議論というのを全部事務局が説明して、いろいろ御議論をいただいておる。今の伊藤さんの趣旨などがそこへも入っておるわけでありますが、私は非常に素人なりにいろんな議論を聞いておりますが、結局いろんな週刊誌がいろんなことを書いたりしたがあけてみたらあれはうそだったなという、肩すかしみたいなぐらいにいいものを出したいと実は思っております。場合によっては、週刊誌とだまし合い――だまし合いというと表現がおかしいのですが、彼らの議論の方向が、皆だめだったような感じのものが出るようにいろんな角度から議論しておるということでございます。
#66
○伊藤(忠)委員 ぜひとも大臣がおっしゃいましたように、そういう立場で国民の皆さんに公明正大、疑惑のない方法でさわやかにこれがやられていきますように強くお願いを申し上げたいと思うのです。
 それで次は、売却の時期について。私はこれは持論を持っておるわけですが、時期は、何ぼ早く売るにしても六十二年の方がよかろうと私が主張を申し上げます。その心といいますのは、拙速主義で行って、行き先、結局望む成果が上がらなかったというか、所期の目的に沿うことができなかったとなってはいけない、私はそういうことなどを考えまして、何か一つ覚えのように言ってきているわけです。この点について、やはり早く、高く売って財源確保を図りたいという財政当局の気持ちは、これは当局としては当然お持ちだろうと私は思うのです。しかし、電電の民営化といいますのは、財政審の審議の中でもきちっとございますように、目的というのは、やはり一人前の民間の健全な会社として通信事業自由化の新たな時代の中で発展していかなければいかぬというのが基本だと思うのですね。でないと、これから株式配当だって、あるいは次年度からの政府の計画によりましても百九十五万株は続けて売却をしていかなければいかぬわけですから、それにいささかの不安もないというか、大丈夫だろうというような確信を持った、言うならば状況というのをもっともっと醸成される方がよかろうというのが私の真意でございます。
 ただ、六十一年度中にこの株売却をやろうということの政府方針なんですが、一方で市場競争の状況というのが、早くても六十二年の秋にならなければ専用線のレベルで考えましてもなかなかそういう状況は出てこないと私は思うのです。本格的な市場参入、市場競争の状況といいますものは六十三年秋だろう、このように私は判断をしているわけでありますが、郵政省に御無理をお願いしまして来ていただいておりますので、そのあたりについての私の考え方が、あなたはそんなに心配することないのですよ、政府方針の六十一年度で十分NTTの状況はしかと確かめることができるのですよということでございましたら、その辺も含めてひとつ教えていただきたい、こう思うのです。
#67
○谷説明員 お答え申し上げます。
 先生おっしゃいましたように、今回のNTT民営化の趣旨は、将来の高度情報社会に向けまして、事業の公共性に留意しつつ民間活力を導入いたしまして、事業経営の一層の活性化を図るということにあるわけでございます。NTTにおきましても、こういった法の改正の趣旨を体しまして、民営化以来社内の体制を整備し、また、職員の企業意欲の振興を図って努力しておるところでございますし、また、その経営の状況につきましても、当初の計画を五割程度上回るような経常利益を予想しておりますように、非常に順調に推移しておるところでございます。
 一方、この分野への新規参入状況でございますが、先生ただいまおっしゃいましたように、現在五社が許可を受けておりまして、これらの会社につきましては、本年秋以降一部専用線サービスを開始し、来年秋以降電話サービスを開始する。また、宇宙系の会社につきましては、六十三年の春からサービス提供を開始するという状況でございます。
 こういった競争原理導入の趣旨につきましては、新規参入事業者とNTTの間で公正かつ有効な競争状態をつくり出しまして、これによりまして両者が切磋琢磨して活力ある電気通信市場を形成し、豊富な、かつ利用しやすいサービスを国民の皆様に提供するということにあるわけでございます。
 したがいまして、事業開始につきましては今申し上げたようなことでございますが、事業開始後どのような状況で展開していくかということにつきましては、それぞれにこういった法の趣旨を体しまして、十分活発な活動をしていくということを私ども期待しておるところでございまして、具体的な競争状態、実質的に有効な競争状態がいつごろ出るかということは、それぞれの企業の努力いかんにかかわるところでございますので、一概にいつと申し上げることはできないかと思っております。
#68
○竹下国務大臣 今郵政省から非常に正確なお答えがありましたが、私の感じで申しますと、一つは、民営になりましたから、ボーナスの交渉のときに、組合の方と何と自主交渉で決まりました。本当にそのときはうれしゅうございました。毎年の有額回答だのほかの公社とのバランスを見てやるだのということがなくなって、ああ民営というのはいいもんだなという感じが素直にしたわけです。これは本当にしました。仲裁裁定だの国会に付議するだのというような、業績手当がどうなのという、あの勉強だけが私の頭からぬぐい去れて、本当にそのときうれしゅうございました。
 それからもう一つ、やはり株は早く売らなければいかぬな、というのは、財政問題とは別に今一人株主でございましょう。株主総会を開きますと、御異議ありませんかと言って自分ではいと言うのでは――だから、やはりせっかく民間になったのなら可能な限り早く多くの株主の意見がまた企業にも反映するようなことはしたいものだなと思いました。これはたばこに対しても同じ気がします。この間しかられながら値上げさせて地方財政の財源に充てたのは、あれも一人株主だからやったんじゃないかと言われると、本当に、もう法律が通ったにしましても一人株主というのは気持ちのいいものでないということだけは素直に申し上げておきます。
#69
○伊藤(忠)委員 一人株主のいろいろな心情を含めて大臣からお話がありまして、当事者能力で賃金問題がああいうふうに決めていけるというのは、私は労使間でも本格的な実感というのですか、そういう経験だったと思うのです。ただ、私が一番気にしていますのは一〇%配当ということ。一応規模なりその企業の性格からいいましてもやはり期待にこたえようということになっていくのだろうと思うのですね。その場合を考えましても、六十一年度決算はまだわかりませんけれども、何か三千億に近い言うならば経常利益、こんなことも判断されているようなんですが、そこへ持ち込んでいくまでの努力というのは相当やられていると私は思うのですよ。それだったらこれまで楽だったのか、急に民間になったから、みんながさあ大変だというのでしっかり厳しく運営をやってきているのかというと、そうではなくて、歴史的に大臣の場合には随分といろいろな賃金問題を初めとしましてこれまでかかわってきていただいておりますので、トータル的に御理解いただいていると思うのですが、何せ私もびっくりするのですけれども、経費の節減の例を一つとりましても、今ワープロ時代ですよね。そうしますと、プリントしますと白い紙が出てきますよ。ところが民間になって今日約一年たとうとしておるのですが、職場へ行ってみますと何と白い紙ではございませんで今青焼きにかわっていますよ、かつての青焼きに。液につけて出てくるというものです。あれは紙一枚とっても経費が安いものですから、みんな事務経費を節減をするということなんだと思いますが、そういう格好でみんなそういう方法で取り組んでいる、頑張っているということなんですね。あそこまで徹底して、事務経費だってみんなが一斉にやれば相当な経費が浮くということなんでしょうけれども、やり方によっても限界があるのじゃないかというようなケースが間々ございます。そういうふうにして一〇%株の配当に取り組んでいくというのは、ずっとその状態を続けていくというのは相当無理じゃないか。相当無理しているなどいう感じが実はしているわけですね。
 ですから、これは配当の関係に移れば郵政省も通産と共管でございまして、産業投資特別会計では基盤整備に絡みまして、これからインフラを建設していくための言うならばそちらに資金が行くことになっていますね。これは一〇%配当が八%や七%に落ち込んでいけば、やはり国の基盤整備、この事業の促進もだんだんと緩やかにならざるを得ないということなんですし、そういうこともやはり絡んでいるものですから、今相当背伸びしてやっているのがこのままいりまで続いていくのだろうかということを私は非常に心配しております。
 それで、そういう点も心の中にあるものですから、あれやこれや考えますと、やはり六十一年度にどっと出ていくというのをもう少し慎重にやればこういうことにならなかったのになと後悔してもそのときには遅いだろうと思うものですから、転ばぬ先のつえという立場を強く訴えて、早くとも六十二年度というふうにしたって遅くないじゃないか、私はこういう立場で質問をしておりますので、その点をもう一度郵政省の方、これは所管の責任ある省でございますので、その点を踏まえて今後指導に当たっていただきたいと思っておるのですが、どうでございましょう。
#70
○谷説明員 お答えいたします。
 ただいまもお答え申し上げましたように、NTTにおきましては今回の法改正の趣旨を体しましていろいろと努力を重ねておるところでございまして成績も上がっておるところでございます。一方新規参入があるわけでございますが、先ほども申しましたように、NTTもさらにこういった状況を踏まえて今後努力を継続していくと私ども思っておりますし、そうであれば健全な経営を今後も維持できるであろうと考えております。またNTTにつきましてもその他の新規参入事業者につきましても、私どもとしてはともに健全な経営を維持していけるように十分配慮してまいりたいと考えております。
#71
○伊藤(忠)委員 今お聞きをしまして、確かに確信を持ってやられるでしょうから、私が自分の意見を言ってもその辺はなかなかかみ合わないと思うのですが、しかし相当新規参入が出まして、これは市外回線にとどまらず市内網に相当食い入っていくと思います。また、自由化というのはそういうことだろうと思うのです。
 そういう中で、公益性を外した事業として、言うならば基幹事業ですよ、基幹の企業としてこれからも健全な発展がなされていくような、そういう郵政省としての指導をいろいろな場面でぜひともお願いをしたいなと思っています。もちろんこれは公正競争ですからそれを踏まえての話なんです。
 何といったって条件が恵まれているというところでいろいろな面があるじゃないですか。だから、それは条件が恵まれているというのは今日時点の話でございまして、先行き思わぬことになったなということでは困りますので、私はそういう立場で言っておりますから、郵政省としてのその点に対する見解をいただきたいと思います。
#72
○谷説明員 NTTと新規参入事業者との間に有効かつ公正な競争が確保され、かつ、双方ともに健全な経営を維持していけるように行政といたしまして最大限の努力を尽くしていかなければならぬと考えております。
#73
○伊藤(忠)委員 大臣にお伺いするのですが、私はこの一連の制度改革を含めてかかわってきまして非常に感心することが一つございます。
 歴史的に見ましても上納金、これもずっと財確法で規定をされて公社時代に財源確保の一翼を担ってきたという経過もございます。二十七年にこれは電気通信省から公社に移りました。あのときの政府の出資金が、調べますと百八十二億円ですよ。それが、債券だとか設備負担法だとか、あるいは電話の利用がどんどん高まってきたという中で、言うならば国民の皆さんのそういう協力体制のもとで今日の財政基盤がつくられてきて上納金の確保、今回はこういう株売却益ということになってきているわけです。一連のことをずっと考えますと、これは相当頭のいい方がしかれた戦略だなというか、そういう意味では一つの仕掛けであったのかなと私は思っておるわけです。これは臨調から始まっているわけですから、八二年の五月十七日ですか、第二臨調に報告がなされましてから今日まで四年間です。この四年の間に見事に問題をクリアして、今日財源確保の一翼を担うというところまで到達しているわけですが、これは恐らくその指導的役割を果たされている大蔵大臣がお考えになったのかな、これは相当頭のいい人だろうと私はいつも驚嘆しているわけです。その点はどうなんでしょうか。
#74
○竹下国務大臣 私、七九年でございますか、昭和五十四年に大蔵大臣になったときに、行政改革というのが――大平行革と言っておりましたが、そのときには本当は考えもしなかった。ですから、臨調というものができまして、それこそ本当に頭のいい人がおられたものだな――自分ではございませんよ。それからのスピードでございますね。私が五十四年、五十五年に大蔵大臣をやっておりましたときに今のことを予測しておっただろうか、予測していないわけですね。ある意味においては、あのやみ市、焼け跡のときに今日の日本の復興を予測した者がだれもいなかったとちょうど同じくらい、本当に驚嘆すべきことだなと実際思っております。
 この間来、一人株主でございますから中間のいろいろなお話を伺っても、いわゆる自主的に賃金交渉の問題が決まったというのもそれは大変うれしゅうございましたが、その後、格付がAAAになりまして、資金運用の方法も相当なものだといいますか、非常に民間プロの運用をしておられるな。あるいはこれで外債発行というようなことにもなったりして、そうしたら電話債券早期繰り上げ償還をしてしまって安いのに借りかえたらどうだと私が言ったら、市場に出ているものはもうそんなに安く買われませんよというような話もございました。いずれにしてもAAAになったわけでございますから、本当に驚嘆に値するという感じがしております。
 変な思い出話をして申しわけありませんけれども、私三十年前に県会議員をしておりましたときに、私の村へ電報電話局をつくってくださいということで、広島まで、とくらとくら出かけました。私教師をしておりましたから、私の教え子をたくさんもしもしガールに採ってもらいました。そうしてしばらくしましたら、驚異的な機器の開発によってみんな仕事がなくなって編み物をしておるというような話までしてくれた彼女たちも既に五十を過ぎたおばさんになっておりますけれども、そのころからも労使関係なんというのはかなり立派だなと思っておりました。最近、今節約のお話もございましたが、実際行ってみても、三階まで歩けとか、ああいう点につきましても相当な努力をしておられる。私らみたいな金融関係から見ても、資金運用とか、AAAの格付を取ったとか、相当なものだなと思って驚嘆しておるというのが実感でございます。
#75
○伊藤(忠)委員 時間の関係がございまして、基金特会の方へ移らせていただきたいと思います。
 今も同僚議員の質問を通じて大臣が答弁をなさいましたが、減債制度そのものは保っていかなければならぬだろう、そういう立場を崩すわけにいかない。しかし、実際に回っていかないのですね。私たち、資料もいただいているわけですが、それを見ましても、仮定計算でいきますと六十二年度は定率繰り入れを実施するという前提で組まれておりまして、六十二年は二兆三千三百億円ですよ。こういうふうにやられていくというのも将来の話でございまして、実際にそれができるのだろうかということになりますと、非常にきついと思うのです。ですから、これは借換債で全部やっていくということも一つの打開策としてはとらざるを得ないのではないかというところに結論がいってしまうというのが私の考え方でもあります。そのことが一つ。
 二つ目は、財政再建ということでもって仮定計算例が出されておりますが、これでいきますと、五%の一般歳出伸びでいきましても、名目成長率が六・五、弾性値が一・一、現在の経済情勢を見ますとこれはちょっと無理だと思います。到底なし得るものではありませんが、それでいきましても要調整額が六兆八千八百億円、三%の伸びでいきましても三兆九千四百億円、こういうふうになっていくわけですから、結局つまるところは、経済の成長をなし遂げるために活性化をどう図るか、それは内需拡大であろう。内需拡大の言うならば大きな柱として、支出を伸ばすために具体的な財政政策をこれからどのように積極的にやっていくかというところにいかざるを得ないと私は思うのです。
 一つは全額借換債の問題、二つは仮定計算例でいってもこれは実際にはなかなか難しいのではないかということになれば、果たしてどのようにやっていかれるのかという点、この二点をお聞きしたいと思うわけでございます。
#76
○竹下国務大臣 第一番目の問題でございますが、今は昨年の暮れの財政制度審議会の報告の縛りの中に私自身が存在しておるわけでございます。したがって、今おっしゃいましたような借換債、名前はちょっとおかしいかもしれませんが永久国債みたいな議論というものはかなり古くからある議論ではございますけれども、今それを一つの手法として検討に値するというお答えまで踏み出すわけにはいかない。だから、減債制度の基本を維持しながら、結局六十二年度の予算編成に当たってぎりぎりの汗をかいてみなければいかぬなということがお答えの限度であるかなと思います。
 二番目の問題につきましては、仮定計算あるいは中期展望、一つの前提の上に立って、しかも現行の制度、施策をそのままに置いてということでございますので、去年、おととしから何が変わったかというと電電株が売れるようになったということだけが変わった要素でございますので、予算等を審議していただくほんの手がかりの資料というふうになっておるわけでございます。これも毎年毎年の予算編成でどういう工夫をしていくかということになろうかと思いますが、確かに六ないし七の中間値をとって、弾性値を十年間の平均値で一・一をとってというのもまさに仮定の前提であるということでございますので、ことしの名目成長率はそもそも五・一ということを見込んでおるわけでございますから、仮定計算どおりの税収とかいうものについても変化が来ると見なくてはならぬと思っておりますので、結局は、年々年々の努力というものがどんな知恵を出していくかということで、結果で御議論をまたいただくようになるのじゃないかな。したがって、大蔵委員会の財政問答をしておりますことが政策選択に大きな影響を今日までも実際問題として与えておられる。赤字国債、特例債の借りかえの政策転換をいたしましたときも、前年度からそういう議論が出たから、あんたが言ったからおれはその手法をとった、そんなことは言いませんけれども、よく考えて、かつては野党の皆さん方の言われることを大体三年後に採用すると永久政権につながるのじゃないかというようなことを言ったことがございますけれども、そのテンポが大体少しずつ詰まっておるなというような印象を受けながら、毎年毎年の汗かきでどこまでやっていくかという狭い狭い選択肢の中で苦労しておるという心境だけを申し述べさしていただいて御勘案賜りたいと思います。
#77
○伊藤(忠)委員 最後に一言。
 結局、お答えいただいて聞いておりますと、この繰り入れは、来年の話ですが、やらなければいかぬけれども、しかし、非常に難しいというか、今日の状況を見ていると非常に厳しい、こういうことなんでしょうかね。
#78
○竹下国務大臣 端的におっしゃれば、そのとおりでございます。
#79
○伊藤(忠)委員 今お答えをいただきまして、大体現状認識について聞かしていただいたわけですが、いずれにしましても、私はこう思うのです。減債制度を守っていくというのは基本なんですね。守っていければいいのですけれども、実際に財政政策というのはいずれにしたって国民生活に直結していますし、日本の経済と全く直結した問題ですから、やはり一つの考え方とかそういうことじゃなくて、現実に対応できなければ、私は、意味がないような気がするわけです。そこのところの調和が難しいのでしょうけれども、いずれにしても、財政政策そのものが生活の安定なり経済の発展に寄与できる、機能するということでこれがやられていくことが一番望ましいわけですから、そういう立場でぜひともひとつ御努力をいただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。
 どうもありがとうございました。
#80
○堀之内委員長代理 兒玉末男君。
#81
○兒玉委員 大蔵大臣にお伺いをしますが、質問を通告してない件について二、三お伺いしたいと存じます。
 第一点は、先般OECDの会議において、日本の貿易黒字が約八百億ドル、こういう数字が出て、今後かなり西欧陣営からも厳しい注文が出てくるんじゃないか。こういうことと同時に、来月のサミットにおいてもかなり厳しい反撃があるだろう。このことについて大蔵大臣としてはどういうふうな御見解をお持ちなのか、まずお伺いしたいと思います。
#82
○竹下国務大臣 OECDの閣僚理事会においていろいろな議論がなされた。外務大臣の報告を聞きますと、去年ほどじゃなかった、こう言っておりました。
 八百億ドルというのは、私も計算しても、計算がなかなか難しゅうございますけれども、いわゆるJカープという、要するに円高になりまして、かなり需要の強いものは値上げして売るわけでございますから、とりあえずの黒字は大きく変化しない、徐々にそれが数量に影響して、中長期的には減っていく、こういうことになります。だから、いわゆる貿易黒字が大きく減っていくという環境にはとりあえずはないといたしまして、その上に恐らく原油値下がり分をカウントして、それも相当大きく値下がりするというようにカウントして八百億ドルという数字は出たのじゃないかと思っております。現実、二月末が二十七ドルの原油が入っておりまして、三月末が二十二ドルの原油が入っておりまして、恐らく今ごろは二十ドルを割った原油かもしれません。そういうものをカウントしながら恐らく八百億ドルということが出たと思いますが、安倍外務大臣の話を聞いたら、去年ほどじゃなかった、こういうことを言っておりました。
 しかし、いずれにせよ、日本と西ドイツ、それは全部原燃料を買います国ですけれども、そうでない国から見れば、そのことを必ずしも理解してくれないと、数字の面ではさらにもっといわゆる輸入努力をしろというような議論はあるであろう。サミットにおきましても、機関車論は私は出ないと思いますけれども、お互いのサーベーランスといいまして、お互いの総合的な経済運営の監視という意味で、フリーディスカッションしますときに、まだ日本にはもっと財政の出動の余裕があるじゃないかとか、あるいはもっと内需を振興すべきじゃないかとか、そんな議論は行われるであろうというふうに私も、予測でございますけれども、そんな感じはいたしております。
#83
○兒玉委員 それから、大蔵大臣もきのう新聞に発表されておりましたが、予想外の円高攻勢ということで、恐らく円高によって非常にもうかる企業と非常に不況になる企業というのが、その格差が大変大きくなる。これは経済政策、為替問題においても非常に重大な問題でございます。これに対応する道は一体どうあるべきかということで、例えばレーガン大統領等の介入もあったとかいろいろなことを言われていますが、これは非常に重大な問題でございまして、今後の経済政策を担当する大蔵大臣としてはこれからどういうふうな対応を持っていかれるのか、このことについてお伺いしたいと思います。
#84
○竹下国務大臣 きょう、寄りつきが百六十七円八十五銭で、三十分ごとにこうやって持ってくるわけでございますが、今、十一時半の分で百六十八円ちょうど、こういう感じでございます。少し戻ったとでも申しますか、そういうことで見ておりますが、一昨日のレーガン大統領の談話というのが載っておりましたけれども、あれは子細に分析してみますと、G5以来のいわゆるドル安傾向に日本も含め各国が努力したことを評価するというのであって、さらに円高になるのを評価するとは言ってないようでございます。それで、さらに新聞記者が、もっと円高になるのかという問いに対しては、やはり節度を心得えておられますから、答えられない、ノーコメント、こうおっしゃったようでございます。
 きのうまた、産業人のアイアコッカさん、クライスラーの会長、これは車の方でございますから、日本の車との競争で、これはもっと円高がいいと言った。それは輸出産業の向こうの人で見ればそのような発言があるということもやむを得ぬことかなというふうに思っております。
 いずれにせよ我が国の競争力というものにつきまして、例えばこの間陶磁器の産地へ本当は参議院の選挙の応援みたいに行っておりましたら、産地の人につかまりまして、自分らは日米経済摩擦を起こしたことない。そのとおりです、アメリカでは全くできないものを売っているわけですから。ただ、競争力がNICS、いわゆる韓国、台湾等の方についたので、完全にそのシェアをとられてしまった。そういう産業に対しましては、この間通していただいたあの法律でもって金利をまた下げましたし、これらによっていわば内需志向あるいは業種転換というようなことをお考えいただかなくてはならぬだろうというのが具体的な当面の課題の一つではないか。業種転換といいますと、すぐ、そんなこと言ったって、あなたに歌うたいになれと言ったってすぐ歌うたいになれるわけないじゃないかと、こういう話もありますが、なるほどそうです。私がどこかで歌でも歌えばそれはとても聞きに来る人もおりませんし、だから、業種転換というのもなかなか難しい問題ですが、そういう指導を申し上げて、そして金融上の措置は心配ないようにという国内対策というのはやっていかなければならぬというふうに思います。
 それから一方、メリットということになりますと、それは兒玉さんこの間外国へ行かれましたが、外国へ行った人は円高メリットというのをトタで感ずるわけでございます。こっちでは輸入品が安くなるわけでございますが、それが経済の市場原理の中で実勢価格に反映するのには時間がかかるという問題がございます。
 それから、よく言われますが、国内へ来た場合は輸入物価の下がった半分しか消費者還元にはならぬじゃないかという議論もございます。確かに、先ほども御質問にございましたが、ウイスキー等が一万円が八千円になったというような状態にはございますけれども、すぐもろに出ておるとは私も思っておりません。
 それからもう一つは、いわば国が関与する価格、市場原理でないもの、電力、ガスでございますが、これはこの間の総合経済対策で、実質減税と同じことになりますが、一兆円の消費者還元をしようということが決まった。何月からかというのは、これは通商産業省の方で今御検討なすっておるさなかだというふうに私も思っております。
 したがって、経済運営自身に対しましては、そういう当面のデメリットのみの感じられるところへ非常に目配りのきいた対応策をしながら、一方では交易条件が改善されるわけでございますから、それをどういうふうにして内需に結びつけていくか、それにはやはり金融も大事だというので、この月曜日からでございますけれども、日本銀行さんも第三次のマル公の引き下げを行われた。そうすると、三・五%ということになりますから、アメリカとの差はまだ三%ございますけれども、西ドイツが三・五%でございます、だから、戦後最低の、世界最低のと言っていいか、そういう状態になったな。ただ、これがほかの金利に連動しなくてはいけないわけですから、あしたでございますか、金利調整審議会に諮問をいたします。それからもう一つ、郵便局が郵政審議会に諮問されます。そうすると、もろもろのそういう金利体系が完全に落ちつくのが来月の十九日くらいじゃないか、それだけこれはかかります。そういうものもやはり内需への下支えの一つにはなるであろうというふうに考えておるところでございます。
 当面の為替そのものにつきましては、さまざまな適切な措置を講じて安定をさすということがやはり一番大事なことであるという問題意識を持っておりますが、まさに市場で決まっていくわけでございますから、G5というものが一つの契機にはなりましたけれども、仮にあれがなかったらどうであったろうかと思ってみますと、あれがなくてもあるいは市場が変化しておったかもしらぬという気もしないわけでもありません。為替レートというのは、介入もありますし、それから最近は口介入といいますか、口で言ったのが勝手な方向へ動く、これは本当は余りいいことではないと思うのでございますけれども、そういうことで政策努力だけではなかなかまいりません。市場の心理というのはそういう点も気をつけていかなければならぬなというように今思っております。非常に整理しないままのお話ですが、そういうところへすべて目配りをして対応していかなければならぬ課題だというふうに思っております。
 最後にもう一つ申しますならば、補助金の法律案を今参議院で審議をちょうだいしておりますが、この間いわゆる補助率の関係のないものは箇所づけ内示をしましたけれども、これが上がるや否やまた箇所づけ内示をさせていただきたい。本当はその時期からでないと前倒しの効果も出ないわけでございますから、それまでに全部入札その他の準備だけはしておいてもらって、何とか四%成長というのを目指しておるわけでございますから、実質四%成長の下支えになるように速やかな対応をしなければならぬというふうなことを考えております。
 これが今私の感想を含めた兒玉先生に対するお答えということでございましょう。
#85
○兒玉委員 もう一つぜひお伺いしたいわけでございますが、こういう円高によって業界間に非常にアンバランスが生じる。そこで、いい企業はほくほくです。けれども、悪い企業についてはやはり金融政策その他の諸政策を講じなければにっちもさっちもいかぬだろうということを考えるわけでございますが、金融面における対応についてはどういうふうなお考えを持っておるのかお伺いしたいと思います。
#86
○竹下国務大臣 金融面におきましては、私どもの方の関係で言うならば中小金融機関三機関でございますが、そういうところには十分対応できるだけの資金量は手当てができるという状態にあります。その上に先般通産省所管の法律を出しまして、その後決めた金利が事業転換五%、一般のが五・五%でございましたか、そういう考え方でこれに対応しておりますから、金融面の対応というのはおおむねできた。それからもう一つ、これは税制上の問題でございますが、指定された業種において、前期利益が上がっていたが今期は円高の傾向で利益がなくなった、それに対する還付の例外もその法律に書かれてあった。そんなことで、当面のデメリット産業といいますか、そういうものに対しては対応していっておるというところでございます。
#87
○兒玉委員 それから、円高によって石油関係、電力関係はますます笑いがとまらぬということでございます。この間もお答えをいただきましたけれども、その後、円高差益の石油業界あるいは電力業界はどういうような対応をされてきておるのか、これについてお答えをいただきたいと思います。
#88
○竹下国務大臣 電力業界はその還元の問題が一つございますが、もう一つ、いわゆる設備投資の前倒しといいますか追加投資、ちょっと今数字を忘れましたけれども、相当なものだなと見ておりました。例えば電線を地下へ埋めるような作業をも含めて、いわゆる前倒し的な追加投資というものが図られております。それも先ほどの議論にもあっておりましたが、前倒し的な設備投資はNTTも、これは円高差益の問題じゃなく、いわゆる国内産業に対するむしろ奉仕みたいなつもりで随分やっていただくようになりましたが、円高差益の分では電力会社は設備投資の追加というようなことを――ちょっと金額は忘れました。
 それで、石油業界は、これは私も素人でございますから必ずしもよくわかりませんが、今までの過当競争によりまして非常に利益が出ていない状態であった。にもかかわらず、今、市場原理を通じてではございますが、ガソリンの値段が下がってきておるというようなことは顕著にあらわれておる一つの事例ではなかろうかというふうに思っております。
 事業転換分が五・五%の分を五%に下げて、経営調整分というのが五・三%というような金融上の問題は、先ほどちょっと正確にわからなかったものですからつけ加えてお答えさせていただきます。
#89
○兒玉委員 問題の六十五年度特例公債脱却の目標を実現するということでございますが、この資料によりますと、これから四年間で一兆三千億ずつ目標を減らしていくということでございますね。その可能性についてどういうふうなお考えをお持ちなのかお伺いしたいと存じます。
#90
○竹下国務大臣 六十五年度までに特例公債依存体質から脱却するという努力目標、この達成はまさに容易ならざるものがあるという認識は持っております。しかし、財政改革の推進がまさに国民的課題であるという意味において、目標達成のために今後とも全力を尽くしていかなければならぬというふうに思っております。
 そこで、具体的にどうするか。結局は、仮定計算、中期展望等で示しておりますいわゆる要調整額というものを毎年毎年の予算編成でそれを埋め込んでいかなければならぬわけでございますから、やはり歳出面においても国、地方を通ずる行財政の見直しを進めなければならぬし、中には既存の制度、施策にも手をつけなければならぬということで努力をしていかなければならぬ。
 また一方、今度は歳入に関することになりますと、税制に関するさまざまなゆがみやひずみや重圧感があるということで今抜本見直しを精力的に進めていただいておるところでありますので、国会の議論等をよく承知しながらこの税制のゆがみ、ひずみ等を排除しつつ、しかも安定的な歳入が確保できるようなことを目指して、これは税調の答申をいただいてからのことではございますが、政策選択というものを年末には行わなければならぬであろうという気持ちでおるわけでございます。結局は負担増か、歳出削減が、あるいは赤字公債を目標を捨てて増発するか、そういういろいろな組み合わせがあるわけでございますが、今の場合、赤字公債脱却というものの旗をおろしておりませんし、やはりその歳入構造というものも含めてこれは対応していかなければならない。だから六十二年度予算編成というときが一つの正念場ではないかな、こんな感じがしておるところでございます。
#91
○兒玉委員 六十一年度の特例公債の額が五兆二千四百六十億となっております。それでこれを四等分しますと一兆三千億の減になっていかなくてはいけませんが、具体的にそれが可能なのかどうかということが問題のポイントではなかろうかと存じますが、いかがでございましょうか。
#92
○竹下国務大臣 この問題、いわゆる容易ならざることだということは私も十分認識しておりますが、これは不可能でございますと言えば六十五年度脱却の旗をおろしたことになりますので、毎年毎年のまさに努力というものが必要になってくる。従来と若干相違した問題として申しますならば、いわゆる電電株の売却収入というようなものが従来なかったものとして期待できるというのが新しい要素としては存在しますものの、容易なことじゃないと思っております。
#93
○兒玉委員 財政担当、いかがですか。
#94
○小粥(正)政府委員 特例公債の今後の返還の容易ならざる状況、見通しにつきましてはただいま大臣からお答えのあったとおりでございます。私ども事務当局といたしましても、ただいまの大臣のお言葉のように、大変容易ならざる状況であることは十分に認識しつつ、しかし六十五年度までに特例公債依存体質から脱却するという目標をあくまで掲げまして、そのもとに、年々の予算編成の過程におきまして極めて厳しい環境の中で精いっぱいの努力を続けてまいる、こういうことに尽きるわけでございます。
    〔堀之内委員長代理退席、中西(啓)委員長代理着席〕
#95
○兒玉委員 もう一つ、我々が非常に不安に思っていることは問題の定率繰り入れの問題でございます。そちらにも数字があるでしょうが、御承知のとおり五十七年から定率繰り入れを停止しておるわけでございます。これはどういうふうな数字を見ておりますか、お伺いしたいと思います。
#96
○小粥(正)政府委員 ただいまお尋ねの五十七年度以降の定率繰り入れ停止の具体的な数字でございますが、五十七年度は一兆一千九百八十四億円、五十八年度は一兆三千九百七十三億円、五十九年度一兆六千百二十七億円、そして六十年度一兆八千六百二十七億円と、五十七年度から六十年度までただいま申し上げましたようないずれも一兆をかなり上回る大変大きな規模の定率繰り入れ予定額を結果として例年停止してまいった、こういう経緯でございます。
#97
○兒玉委員 今、六十一年度を言われましたかね。
#98
○小粥(正)政府委員 六十一年度につきましては、二兆七百三十八億円がその数字でございます。
#99
○兒玉委員 結局、この停止の金額というのはどこかにまた肩がわりをされて、そしてまたその負債がふえるのか、あるいは歳出の節減をしてそれに回すのか、どういう形をとっているわけでございますか。
#100
○小粥(正)政府委員 ただいまお尋ねの六十一年度で結果として五年間継続をした定率繰り入れの停止でございますが、その額は、端的に申し上げますと各年度の一般会計予算の規模の縮減、あるいは別に申せば特例債の縮減に直ちにつながっている、そういうことでございます。
#101
○兒玉委員 それでは、六十二年度からはどういうふうな方針をおとりになろうと考えているのか、このことについてお伺いします。
#102
○小粥(正)政府委員 六十二年度予算につきましては、もちろん現在まだ具体的な方針、考え方を申し上げる段階ではございませんけれども、先ほど来先生の御質問にございますように、今年度にも増して六十二年度の財政状況は厳しい環境にございます。したがいまして、定率繰り入れの取り扱いの問題につきましても、いやが上にも大変厳しい環境の中でどのような対応ができますか、先ほど大臣からお答えがございました、六十一年度に初めて計上をされておりますNTT株の売却がどのような状況になるか、それから、当然のことでございますが、六十二年度の税収を含めまして、歳入歳出両面にわたりまして具体的にどのような状況になりますか、今の段階ではまだその点について具体的に申し上げられる段階ではございませんけれども、繰り返して恐縮でございますが、六十一年度にも増して厳しい状況の中でぎりぎりの歳入歳出両面にわたる検討を行ってまいらざるを得ないということでございます。
#103
○兒玉委員 現在の繰り入れ停止額を上回るのか、それともまた減らすのか、それはどうですか。
#104
○小粥(正)政府委員 六十二年度の具体的な取り扱いにつきましてまだお答えできる段階でないことは御理解いただきたいわけでございますが、いずれにいたしましても、六十一年度の国債整理基金の状況を考えますと、定率繰り入れは停止をさせていただいたわけでございますが、国債整理基金特別会計の資金の状況を見まして、最小限に必要な四千百億円の予算繰り入れを行ったところは御案内のとおりでございます。これに加えまして、NTT株の売却収入をいわば支えとして整理基金特会の円滑な運用に資するという意味で売却予定額を計上しているところでございます。
 したがいまして、六十二年度につきましては、定率繰り入れの問題を含めまして、先ほど来申し上げておりますように、具体的な金額ではまだ私ども見通し、予想を申し上げられる必要な資料を持っておらないわけでございますけれども、いずれにしましても状況は大変厳しいことだけは間違いないと考えております。
#105
○兒玉委員 それから、政府健康保険の黒字を口実にして、去年が九百三十九億円の国庫補助の削減、本年度は千三百億ということになっておりますが、このことを続けていきますならば、将来、給付額の引き下げあるいは保険料の引き上げということにもなりかねない非常に重大な問題を持っていると思うのです。それの見解はいかがでございますか。
#106
○小粥(正)政府委員 ただいまのお尋ねは、御審議をお願いしておりますこの法律の三つの項目のうちの一つでございます政管健保の千三百億円に上ります国庫補助の削減の問題でございますが、今回のこの特例措置は、国庫補助金の減額を行いましても政管健保の事業運営に支障が生じないと見込まれますような政管健保の現在の財政状況に着目をして行われるものでございます。したがいまして、ただいまのお尋ねでございますが、将来もし政管健保の事業の適正な運営が困難になるようなおそれが生じた場合には減額分の繰り戻しなどの適切な措置を講ずる予定でございます。
 ただいまお願いをしております千三百億円の国庫補助削減措置は、ただいまの政管健保の状況では、この政管健保の運営に支障が生ずるものではないと考えております。したがいまして、さらにお尋ねがございましたように、今回の特例措置が将来の保険給付額の低下なりあるいは保険料率の引き上げをもたらすような問題、そういう問題に直接結びつくものではないと私ども考えております。
#107
○兒玉委員 現在の政管の関係の収支状況といいますか、それはどういうようになっていますか。
#108
○小粥(正)政府委員 ただいまのお尋ねの政管健保の現在の収支状況でございますが、昨年度、六十年度におきまして、単年度にかなりな規模の黒字、具体的には千八百七十二億円と見込まれますが、黒字が生じる状況でございまして、年度末におきましてかなりの規模の積立金、合計で三千九百一億円と見込まれますが、その程度のかなりの規模の積立金が見込まれる、このような状況でございます。したがって、このような財政状況に着目をいたしまして、ただいま御審議をお願いしております今年度の特別な特例措置としての千三百億円の国庫補助金の減額という措置をお願いしている次第でございます。
#109
○兒玉委員 それならば、保険料等の引き上げは全く心配要らないということになりますか。
#110
○小粥(正)政府委員 ただいまの政管健保の財政状況が今申し上げましたようなことでございますので、いずれにいたしましてもただいまそのような心配はございませんし、あるいは先ほど来お尋ねの今後の問題にいたしましても、これは保険料率の引き上げ等に直接結びつく問題ではない、このように考えております。
#111
○兒玉委員 先ほどいわゆる電電の問題が出されておりますが、電電株式の売却益によって約四千億でございますか、収益を上げるということでございますけれども、それは一体どういうふうな建前から四千億程度の収益が見込まれるのか、これについて御説明いただきたい。
#112
○窪田政府委員 四千億と申しますのは、今回、今年度、六十一年度に売却することをお許しをいただいております百九十五万株に一株当たりの純資産額二十一万三千円を掛けて算出した額でございまして、これは実際に売ってみますとどれくらいになるか、かなり変動することになろうかと存じますが、一応歳入の見積もりといたしましてはそういう機械的な計算をしているわけでございます。
#113
○兒玉委員 「六十一年度における電電株式売却に関する意見」というのがありますね。去年十二月十八日に出ておりますが、これにはいろいろな問題が出されておりまして、「NTTの六十一年三月期中間決算における経営成績は順調であり、同社も六十一年三月期決算では当初計画を上回る経常利益及び配当を予想している状況である。この面からも、株式売却を行うこととしても特段の問題はない」こういうふうに書いてあるわけでございますが、この収益については、これからどの程度の期間このことを考えておりますか、これは大臣なり局長からお願いいたします。
#114
○窪田政府委員 期間と申しまして、実際は明日あたり研究会の最終的なレポートをいただきまして、それから国有財産中央審議会の御審議を七月くらいまでかけていただく、その後電電会社の方で決算あるいは有価証券届け出書の提出、その他必要なディスクロージャーをしていただきまして、恐らく実際に売却するのは秋以降ということになろうかと存じます。
 この電電研究会で昨年の暮れいただきました報告にもございますように、全体の株式数のうち半分を今後四年間に売っていくということを一応計画をいたしております。それは、六十五年度に民営化に踏み切って以後の再評価をすることになっておりますので、六十五年度までに半分の株式を売却するということでございます。六十一年度には機械的にその四分の一という売却数量を見込んでおりますが、六十二年度以降どういうテンポで売っていくかはまたそのいろいろな情勢を考えまして決めてまいりたいと存じております。
#115
○兒玉委員 この資料によりますと、「会社法上、発行済株式総数千五百六十万株の三分の二である千四十万株までは売却が可能である。」というふうに書いてあります。同時に、「六十四年度までに最大限売却可能な株式は、発行済株式総数の二分の一である七百八十万株」となっておりますが、これはどうなんですか。
#116
○窪田政府委員 発行総数千五百六十万株のうち三分の二に当たります千四十万株につきましては、国債整理基金特別会計に帰属をさせていただいております。つまり国債の償還に充てられるわけでございます。したがいまして、この国債整理基金に所属した三分の二に当たるものが売却可能でございます。そのほかは産業投資特別会計に所属しておりまして、その配当は先端技術の助成等に使うことになっておりますので、これは売却を予定していないわけでございます。
 二分の一と申しますのは、六十四年度までに、とりあえず半分売った時点でまたこの会社のあり方をもう一遍見直してみようというのが郵政省の方針でございますので、とりあえず六十四年度までに半分を売却することが可能である、こう考えている次第でございます。
#117
○兒玉委員 それで、この売買を通じましていろいろな要望が出ておるようでございますが、最後の四項の二に「電電株式売却収入の六十一年度予算への計上に当たっては、実際の株式の売却価格あるいは売却予定価格につき予断を与えることがあってはならない」こういう厳しいことが書いてありますが、これは一体どういうことを意味するのかお聞かせいただきたい。
#118
○窪田政府委員 法律上求められておりますのは、その年の売却限度数量を書くようにということでございます。したがいまして、国債整理基金特別会計の総則にその百九十五万株という数だけ書けば法制上はいいわけでございます。しかし、売るということを総則に明らかにしながら特別会計の歳入に何も数字を載せないのはいかがかということで、歳入に数字を計上するのが適当であるということでございます。その場合の載せ方でございますが、まだ全く売ってもいないものを幾らの価格で計上するか、それにつきましてこの四項の二にございますのは、実際の株式の売却あるいは予定につき予断を与えることがあってはならない、こういう御指摘がありまして、それがすぐ次の三項に続きまして、したがいまして、「客観的基準により導き出される既存の金額を用いるべきである」、それは額面金額とか発行価額によることが妥当であろう、しかもその場合、NTTの「巨額の資本準備金があること等を考慮すれば発行価額による計上がより妥当」であろうというその次のパラグラフに続きますので、実際の予算の計上はこの発行価額によらしていただいているわけでございます。
#119
○兒玉委員 それで、社会党としては、このNTTの処分については次のことを要望しているわけでございます。
 第一点は「NTTの株式の処分に当たっては、国民共有の貴重な財産としての認識に立って、いささかも疑念のないよう厳正かつ公平、明朗な処置をすること。」二つとしては、「NTTの民間移管の趣旨を尊重し、自主、独立、創意を生かすとともに、NTTの健全経営が行えるよう努めること。」三つには、「NTTの株式は、特定の個人、法人に集中することのないよう十分配慮するとともに、具体的株式の処分の方法については、今後とも、国会における審議の経過等を尊重し、慎重、適切に対処すること。」こういうことが強く要望されておるわけでございますが、このことについて、大蔵大臣並びに関係局長の御答弁をお伺いしたい。
#120
○竹下国務大臣 これは全部ごもっともなことであるというふうに思っております。したがって、厳正、公平、きょうもいろいろ、二段階方式という議論も先ほど来出ておりました。私、素人ながら、やはり最初の値を決めるところで、一億国民がみんな参加しても容易でないとすれば、ある種の下限を設けまして、それからもちろん上限を設けまして、しかも場合によっては、何といいますか、入札保証金という言葉になりますのか、供託金みたいな形で資格の基準にするのか、これはまだ決まったわけではございませんが、いろいろなことを考えて、値決めのときからそもそも上限も決めて特定ないわば個人、法人に集中するというようなことがないようにしなければいかぬ。第二段階におきましてもとにかく可能な限り、もちろんフェアでなくてはいけませんが、希望される国民の皆さん方に均てんするような方法をとらなければいかぬということで、大筋はあした意見をちょうだいしまして、それで国有財産審議会、連休明けから入ってもらいまして、二カ月ぐらいかかるでしょうか、いろいろ議論してもらって、今兒玉さんがおっしゃいましたように、なるほど考えたな、こういうような結論を出さなければいかぬ、拳々服膺して対応しようと、まじめに本当にそう思っております。
#121
○窪田政府委員 今大臣からお答えのあったとおりと考えております。電電株式売却問題研究会でもそういう御意見がございました。また、その研究会にはこの国会の御議論は逐一詳細に御報告をして、その方針はそのとおりであるということで御議論をいただいておるところでございます。
#122
○兒玉委員 では、終わります。
#123
○中西(啓)委員長代理 午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時五十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時一分開議
#124
○小泉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として日本電信電話株式会社常務取締役寺島角夫君、同経営企画本部企画部長石井康雄君、同労働部長朝原雅邦君、同電話企画本部営業推進部長西脇達也君及び同通信機器事業部副事業部長岩佐直正君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#125
○小泉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#126
○小泉委員長 質疑を続行いたします。坂口力君。
#127
○坂口委員 昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案につきまして質問をしたいと思います。
 いわゆる財確法というのは、大蔵委員会の毎年なくてはならない法律のようになりまして、最初のころは最重要法案として扱われてきたわけでありますが、何年か月日を経ましていささか色あせた感じはございますけれども、重要法案であることには変わりないわけでございます。
 そこで、財源確保につきましては、竹下大蔵大臣から日ごろの委員会でいろいろの発言を得ているわけであります。昭和六十五年の償還が果たしてできるかどうかということにつきましては、六十五年の償還を目指して最大限努力をするという御答弁が先日もあったというふうに記憶をいたしております。しかしながら、現実は非常に厳しい状況になっておりまして、これから後四年間、一年に一兆三千百億円ずつ減額をしていかなければならないというところまで追い込まれてきたわけで、言うはやすく、なかなか容易なことではないと思うわけであります。
 大臣は、可能な限りと申しますか六十五年償還を目指してなおかつ努力をする、旗は上げ続けるということでございますが、そうは言いますものの、ある時期を迎えましたらそうも言っていられないときも来るのではないかと思うわけです。したがいまして、六十五年ぎりぎりいっぱいまで旗を上げ続けるのか、それとも、最後の年になればそんなことは言っておられないから、もう少し前に六十五年にゼロにするという計画は考えなければならないときを迎えるかもしれない、いろいろの考え方があると思います。
 そこできょうは、六十五年ゼロにするためになおかつ努力をするという御答弁を先日いただいておりますが、それはそれとしながらも、現在の心境として、これから先、来年、再来年その旗は上げ続けるべきものなのか、それとも、どの時期になってこの辺で一応下げて考えなければならないという次の決断をすべきなのか、その辺のところの判断はいつごろになったらなさるのか、まずお聞きをして質問に入っていきたいと思います。
#128
○竹下国務大臣 これは確かに容易ならざることであるということは、私も問題意識として十分持っております。
 目標先送りということになりますと、私が一番恐れますのは、もちろん長期的にはそれだけ負担が増加することになるわけですが、一挙に歳出増加圧力が強まった場合に、今までの節減合理化の努力がまさに水の泡と帰してしまうという――考えようによれば不見識かもしれません。それはおまえがちゃんとやればいいではないか、こういうことになりますが、そういうことを非常に恐れておることは事実でございます。
 恐らく坂口さん、現行の制度、施策をそのままにやったらできぬじゃないか、こういうことだろうと思います。したがって、現行の施策、制度そのものもやはり見直していかなければならぬ課題だというふうに考えておるわけでございます。容易ならざる問題ではあるが、目標年次を先延ばしするということは今の場合適当でない。それではどういうふうな政策転換があるかと言われますと、いろいろ考えられることは、新たに入ったのは電電株の問題があります。あるいは税制改正というもので安定的な歳入構造がどういうふうにして仕組まれるかというような問題も念頭に置かざるを得ないではなかろうかというふうに思いますので、いつ旗をおろすかと言われると、何か旗をおろすことが前提になっているような感じもいたしますので、いわく言いがたしということにならざるを得ないというふうに考えております。
#129
○坂口委員 いつ旗をおろすかということを決してお聞きしているわけではございませんが、現行の施策、政策を続けるとすれば、一年一年、その後に残りますものの額はふえてくるわけでありますから、これはかなり難しい段階に至らざるを得ない。ただ、今おっしゃいますように、六十五年という一つの目標に向けて施策、政策の変更をしていくということであれば、六十五年完全脱却ということができ得るわけであります。その施策、政策を変えるにいたしましても、このままでいけばだめだ、いや施策、政策をこういうふうに変えればいける、それも一つの転換だと思うわけですが、現在このままにおける六十五年脱却ということに対する目星はもうつかないから、現在この旗はおろさないとおっしゃるのは既に施策、政策を変えることによってこの目的を達するのだというところに至っているのか、まだそこまでは至っていなくて、現在はこのままでもあるいは返せることがあり得るというふうにお考えの上での話なのか、そこはいかがですか。
#130
○竹下国務大臣 非常に難しいことでございまして、ここは大蔵委員会でございますから、それはいろんな考えをしてみたことはございます。これは、そんなこと言ったら人ごとになりますけれども、例えば、特定財源を一般財源化してもらって、その分だけは仮に別途それの見合いの建設公債を増発すればいわゆる一般財源は楽になって、そうして赤字公債分はそれだけ減していく方法もありはしないかとかいうようなことも考えないわけじゃございませんけれども、なかなか今一挙にそういうことを言い出せる環境にはもちろんないというようなことを考えてみますと、それは容易ならざることではあるが、例えば特定財源を建設国債に振りかえたといたしますと、いわゆる依存度は落ちないわけですね。依存度を引き下げながら一方赤字国債を脱却しようというわけですから、そこのところに難しいところがあるわけですので、そうすると、一方の国債依存度を毎年落としていくということとは相反することになってくる。仮にそういう粗っぽい手法で赤字国債を一兆円以上減額することができたとしても、そこのところが問題でございまして、それだから電電株だけが幾らか新しい要素でございますね。
 そうして、もう一つの問題は、税制改正があった場合に、減税しなきゃならぬが、安定的歳入源としての位置づけを別途またしていかなきゃならぬ。そういうことをかれこれ見ながらでないと、いわゆる政策転換もなかなかできぬことだ。
 それからもう一つは、今でいえば国会でまだ御審議いただいております老人保健法、そういう仕組みの問題が将来に対してどれだけ財政負担そのものに影響を与えていくのかというような問題もやはり考えてみなきゃならぬというと、かれこれ考えながら、難しい問題ではあるものの、要するに今予見して物を申し上げるという状態には残念ながら至っていない、こういうことでございます。
#131
○坂口委員 きょうは、前川レポートや円高の問題も少しお聞きしたいと思いますので、余りこのことばかりやっておるわけにいきませんが、前回私の方の矢追議員が、ひところは、好むと好まざるとにかかわらずこういうことにならざるを得ないのではないかというような質問をしたことがございます。それは、借換債で全額償還をもうせざるを得ないのではないかということを言ったことがあります。そのときにはそれを肯定するような御答弁ではなかったように記憶をいたしております。
 先日、新聞情報によりますと、六十二年度から「借換債で全額償還」という文字が出ておりまして、行き着くところに来たのかな、あるいはそういう話し合いがかなり大蔵省の中でもあるのかなという感じで見せていただいたわけであります。真向こうからこのことをお聞きしますと、私の方は全然そんなことをした覚へはございませんといつもお答えになりますので、多分そうお答えになるだろうと思うのです。しかし、火のない所に煙は立ちませんので、多分そういう議論は少なくともあったのではないか、こう思いますが、そういうことになりつつあるんでしょうか。
#132
○竹下国務大臣 この六十一年度でも、ぎりぎり工夫して四千百億円の予算繰り入れということにしたわけでございます。しかし、六十二年度以降はさらに深刻なものになることは事実でございます。しかし、我々が今置いておるポジションというものは、減債制度の基本は維持していきなさいよという財政審意見等の縛りの中にみずからを置いているわけでございますから、したがって、先ほど来の電電株の売却収入がどうなるかという問題もございますので、何とか特例公債の減額を進めていく道がどういうふうな形であるものか、ぎりぎりの汗をかいてみなきゃいかぬ課題だなというふうに思います。
 矢追さんからの御議論ございましたが、率直に申しまして、前からそういう議論、全く存在していない議論ではございません。減債制度そのものの一番先の議論というのは、それはそれだけ赤字公債をふやすことに結果としてなるのじゃないか、こういう議論があって、いわば繰り入れを停止さしてもらったときもそういう議論をうんとしてもらった上でやったわけでございますね。したがって、それは考え方としてはあり得る考え方でございますけれども、減債制度そのものの本当の問題がどういうふうにクリアできるか、非常に難しいところの判断ではないか。だから、そういう勉強をするのも汗をかく汗の中に存在しておるということでございます。
 ただ、僕も若干気をつけておりますのは、やはりもう借りかえするしかないじゃないかという話が出まして、それで翌年やったわけですね。そうしたら、あなたがそういうことを言ったからやったじゃないかとも言われませんし、責任はこちらにあるわけですから、したがって、相当な汗かきの中の主要部分に入る検討課題ではないかなというふうに思っておるところでございます。
 それは、電電株が大変な勢いで売れたりすればまたそれも考慮のうちへ入れなきゃいかぬし、税調の答申が出れば安定的歳入の確保としての税の位置づけというものも考えていかなきゃいかぬし、本当に年末ぎりぎり、どなたが大蔵大臣であるかは別として、大変な汗かき材料だと思っております。
#133
○坂口委員 奥歯に物が挟まったと申しますが、前歯に物が挟まったような大臣の答弁でありまして、よくわかりましたと言いがたい答弁でございました。しかし、この「中期的な財政事情の仮定計算例」などにもございますように、要調整額なるものが明確になれば別だけれども、現状のままでいけば借換債で全額償還ということも中心課題にならざるを得ないという御答弁だというふうに承りましたけれども、そのぐらいな感じですね。
#134
○竹下国務大臣 要するに、いろいろな知恵を出して汗をかく一つの問題点だということは問題意識として持っておりますが、それがまさに汗かきの中心的課題だというところまでは位置づけをしておりません。
 それから、やはり今の場合財政審というものの枠の中に自分自身のポジションをとっているわけでございますから、それは相当な、そこを踏み切ったお答えをするという環境には今ないじゃなかろうかなと思っております。
#135
○坂口委員 税制改正等がどのような形で進むか、これはわかりません。予算委員会等でも税制論議、かなりございましたが、それは増額と減額とをイコールにする税制改革なのか、それともかなり増額を見込んだ税制改革なのかというところもいま一つ明確でないわけですね。ここでその点を詰めた議論をしようと思いますと、これは政府税調で今やっているところだから余り政府税調の議論を拘束するようなことはここでは控えたいという大臣の答弁がいつも返ってまいりまして、それ以上この話は進まないわけですね。それ以上話が進みませんと、この財政改革につきましても、これは一体どうするつもりですかという議論をしましてもなかなか詰まってこない議論になるわけですね。
 ですから、今お伺いいたしましたように、要調整額と言われますこの部分を埋めるだけの増額の税制が実現するのか。それができなければ、それはNTTの株はございますけれども、その株はちょっとおいておいて、これで全部埋まるわけじゃないのですから、余って返るのだったらそれはよろしいのですが、そうもいかないだろうと思うのです。そういたしますと、もう借換債でいかざるを得ないということにも可能性としてはなる。だから、汗をかく材料の一つだけれど、それがその中心であるとも言いがたいということですが、しかし、少なくとも汗をかく中心にはならざるを得ない、中心の中の一つの議論にはならざるを得ない、その辺まではもう来ているんじゃないだろうか、さもなくば増税ということ、どちらかではないかというふうに私は思いますが、いかがですか。
 ことしの予算編成を見ておりましても、よくぞ探して切るものだと思うほどいろいろのところで切り込みをやっている。しかし来年は、もうこれ以上また知恵を出して切り込んでいくということは、いかに切ることの上手な大蔵省といえども限度に来ているのではないだろうか。そういうことを考えますと、これは税制改革で増税なのか、さもなくば不本意ではあるけれどももう借換債で全額償還をするという、全額であるか多少は残すかは別にいたしまして、大部分を借換債でいくかというその二者選択を迫られてくる可能性が非常に強いのではないだろうかという気がするわけです。
 確定的なことをここで答弁をいただこうとは思いませんけれども、しかし最重要課題の一つにはなると私は思うのですが、もう一度ちょっと答弁をいただいて、次の質問に進みたい。
#136
○竹下国務大臣 やはり検討の中の一つだという位置づけでございましょう。結局、税制改正というのも答えられる限界というのがございますけれども、レベニュー・ニュートラルで諮問をしているわけです。だから恐らく、二十五日にあるいはいただけるかもしらぬというのが中間報告ですが、それは、ここのところに痛みがある、ここのところにゆがみがあるというような話でございます。それを総合的に秋までに結論が出て、その税というものは増収を目的としたものではもちろんない、だから中立的なものが出てくる。しかし政策選択の問題はその後に残るわけでございますし、それから株の問題も、それは不確定要素の一つですが、やはり大きな問題意識を持った課題であることは事実ですし、それぞれ総合して考えるべき問題ではなかろうかなというふうに考えております。二者択一のものではないだろう、こういうことでございます。
#137
○坂口委員 わかりました。言うに言われない大臣の心境を読み取ることができるわけでありまして、これ以上お聞きすることは差し控えたいと思います。
 いわゆる前川レポートのことにつきましては、先日のこの委員会におきまして総理が御出席のときに総理にもお尋ねをいたしました。それから矢追議員から大蔵大臣にもお尋ねをいたしました。その議論の中ではっきりした面もございますし、しかし案外はっきりしない点もまだ残っているわけであります。それ以後のマスコミ等の情報を読みあるいは見させていただきましても、前川レポートなるものが内閣の中で一体どういうふうに位置づけられているのかということも、いま一つはっきりしない面も実はあるわけであります。しかし、これはこれからの日本の将来並びにきょう議論をいたしております財政確立のための非常に大きな要因になることは間違いないと思うわけであります。したがいまして、このことはやはり明確にさせておく必要があるのではないかと考える一人であります。
 そういう意味でお聞きをするわけですが、一応前川レポートなるもの、正式に言えば、国際協調のための経済構造調整研究会の報告書なるものは、閣議で認知をされたものというふうに理解をしてよろしいのでしょうか。まずそこをひとつお聞きをして質問を進めていきたいと思います。
    〔委員長退席、笹山委員長代理着席〕
#138
○竹下国務大臣 ちょうど私、アメリカへ行っておりまして出なかった閣議が八日の閣議でございまして、その八日の閣議で総理の談話が閣議決定されておるということでございます。
 ただ、きのうも議論をいたしまして、経済対策閣僚会議で議論して経済構造調整推進会議を設置した。それは前川レポートに基づいて設置したということではなく、政府・与党の責任において設置したということでございます。だから、経済対策閣僚会議における経済構造調整推進会議は、前川レポートを実施に移すためのものではないということでございます。
#139
○坂口委員 そうしますと、八日に何を閣議決定されたのでしょうか。この前川レポートなるものを閣議で了解をして、そしてこの線に沿っていくということを閣議決定されたのでしょうか。それとも、こういう私的諮問機関として出てまいりました報告書がここへ上がってきました、こういうものが出ましたということを正式に認めたということなのでしょうか。これは内容も全部ひっくるめて認めたということなのでしょうか。
#140
○竹下国務大臣 これは、なるほどこれでございます。「政府は、この報告を参考として、与党とも十分な連携を図りつつ、関係審議会等における調査審議も含め、早急に必要な検討を行ってまいります。また、我が国の経済構造調整を政府・与党を挙げて積極的に推進するため、所要の体制整備を図ってまいります。」だから「所要の体制整備」がきのうできた、こういうことになるわけでございます。
 この閣議決定された談話というものは、政府は、この報告を参考として、関係審議会等の調査審議も含め、検討を行うということが閣議決定されておる、それで別途、経済構造調整を政府・与党を挙げて積極的に推進するための体制整備が、きのうできました経済構造調整推進会議というものであるということでございます。だからその辺、いわゆる私的諮問機関の位置づけというものを、それは税の問題は税調でやりますし、八条機関等のいろいろな法律に基づく審議会がちゃんと存在しているわけですから、それらも含めて検討しよう、こういうことでございます。
#141
○坂口委員 わかりました。今おっしゃったのは、前川レポートなるものを参考にして、これを下敷きにして、そして政府・与党で経済構造調整をこれから行っていくということを閣議決定した、こういうふうに理解してよろしいわけですね。同じことだったら、もうよろしいです。
 今おっしゃったことを僕は復習したまでで、間違ってたら言ってください。同じことだったら、もうよろしいです。今大臣がおっしゃったのは、前川レポートを参考にして、そして政府・与党自身が経済構造調整の研究、改革にこれから乗り出していくということを閣議決定した、こういうことですか。どっちですか。
#142
○竹下国務大臣 ちょうど私はいなかった閣議でございますが、報告を参考にして検討することということが閣議決定されて、そしてこの経済構造調整の機関というものは昨日決まった、こういうことだと思います。
#143
○坂口委員 わかりました。
 そうしますと、総理がアメリカに出かけられる前の八日の閣議決定では、前川レポートなるものを参考にして検討するということが閣議決定されたんですね。
#144
○竹下国務大臣 そのとおりであります。
#145
○坂口委員 そういたしますと、その前に日米あるいはヨーロッパとの間で、この前川レポートなるものに基づいて日本がどのように体質改善をしていくかということを、監視という言葉は悪いですけれども、相互に見ていこうということは協議されておるわけですね。
#146
○竹下国務大臣 前川レポートというのは、確かにG10のときにも、どうなったという話がございましたくらいです。ミスター・マイクということで――何でマイクというか知りませんが、ミスター・タケと言ってくれる人はおりませんけれども、ミスター・マイクということで、前川さんはその筋では国際的に有名人でございます。だから、私にそういう質問がありましたから、ミスター・マイクのレポートというのは大変関心を持たれておったと思います。それで、私が出た後閣議決定されて、あらましは私も承知しておりましたが、短期的な問題と中期的な問題と長期的な問題があるというようなお話をそのときはしておきまして、前川レポートが相互監視、お互いのサーベーランスの基準本になるという性格では必ずしもなかろうというふうに思います。
#147
○坂口委員 だんだんわかりにくくなってきますが、余りそこのところをやっていると時間がなくなってしまいます。
 私がお聞きをしたいのは、前川レポートなるものはどういう形で政府が評価をし、そしてそれを外国に出したかということはいま一つはっきりいたしませんけれども、今おっしゃるように、少なくとも参考にはするということを決められたわけでありますから、参考にして中曽根総理もレーガンさんにお話しになったのでしょう。だからレーガンさんも、新聞発表の中で、新しいそういう報告書が出て、それに基づいてやるというお話だから、それに対しては賛意を表したということを言っているわけですね。
 問題は、それを今後どんな形で見ていくか。日米間で互いにこれを協議の対象にしていくことになっているのだろうと思うのですが、これを参考にして、そしてこのレポートをいかに実現をしていくか、そのとおりではないにしても、少なくとも大筋としてこれをいかに実現をしていくかということについて、日米間で協議をしていこうということになっているのじゃないですか。
#148
○田中説明員 お答え申し上げます。
 今委員おっしゃいましたように、前川委員会の報告並びにそれをどうするかというのは日本の問題でございまして、これを直ちにアメリカと協議をするということではございません。
 実は今回、総理訪来に際しまして、日米間で構造問題対話というものを行おうということが了解されたわけでございますが、これには幾つかの前提がございまして、そういう前提もアメリカは了解をしておるわけでございます。
 まず第一の前提は、日本、アメリカ両方の国の構造的な問題を扱っていきましょうということが一つ。もう一つは、こういうことは交渉ということではございませんで、これはあくまで対話である、新しい合意とか結論を求めるということではございませんで、これは対話であるということでございます。すなわち、日本、アメリカそれぞれの構造的な問題が今の五百億ドルという不均衡にどういう関係を持つのかということを対話していこうということでございまして、そういう性格のものである以上、新しい機構をつくるということはやはり不適当であるということでございまして、できるだけ既存の機関を使って、例えば日米間に存在する高級事務レベル協議等の場を活用してやっていこうということになっております。
 繰り返しになりますけれども、前川委員会の報告そのものあるいはそのフォローアップということを協議の対象に取り上げるものではないということは米国とも了解をしておることでございます。
#149
○坂口委員 大蔵省、よろしいですか。
#150
○北村(恭)政府委員 ただいま外務省から御答弁したとおりでございます。
#151
○坂口委員 日米間で構造問題対話というものをこれから続けていくという答弁だけれども、現在の環境からしまして、たとえ言葉は対話であったとしても、協議会か何かよくわかりませんが、その話し合いの中で出ましたことが日本をかなり拘束することだけは事実ですね。たとえ言葉を対話と言おうと何と言おうと、私は言葉はどうでもいいと思う。しかし、現在の日米の置かれております経済環境を考えますと、そこで話し合われたことというのはかなり日本を拘束することになる問題である。ただ単にそこで話だけはしました、しかし、話はわかりますけれども私のところはそうはできませんと言って、知らない顔をしていることのできることではない、そうでしょう。
#152
○田中説明員 そもそものアメリカ側の問題意識と申しますか、これは日本も共有しておるんだろうと思いますけれども、やはり五百億ドルという非常に大きな貿易赤字、不均衡がございまして、これは個別の問題も非常に大事である、他方、それぞれの国の経済構造、アメリカにも問題があるわけでございまして、そういうものが不均衡に一体どういう関連性を持つのだろうかということはきちんと日米間で議論をすべきであるという問題がございまして、私どもの了解、これはアメリカの了解でもございますけれども、そこで出てきた議論が拘束力を持つとか、あるいはそれに従って政策をとる義務が生ずるということは一切ないというのが日本、アメリカ双方の理解でございます。
#153
○坂口委員 そこは私はちょっと納得しがたいのですね。議論はするけれども実行はしなくてもいいということでは決してなくて、議論をする前提は、何とかしてそれをお互いに実行しようということを前提に議論するわけですね。ですから、それは単なる各国間の話し合うサロンの場であって、それをおまえのところは実行しなければならぬぞとかなんとかいう筋合いのものでは決してないという非常にやわらかい形で言っておみえになりますけれども、しかし現実は決してそんなものではない。もっと重みを持ってくるものである。もし対話の中で議論されたことが実行されなかったら、また為替レートあたりにもこれははね返ってくることだと私は思う。ですからそれは、ただ話し合いの場にのるだけのことであって、それを実行するとかしないとかということは別問題だとか、非常に軽々しく言っておみえになりますけれども、そんな内容のものではないと思うのです。
 だからこそ総理も、レーガンさんとの対の話の中でこれを出されたのだと私は思う。先ほど私は、日本の中でそれが認知されていたのかいなかったのかということを言いましたけれども、認知されているされてないは別にいたしまして、総理がそこでレーガン大統領に真剣に言われたのは、やはりそれだけの重みがあるから言われたのだと私は思うし、また、その後の新聞発表におきましても中曽根総理も明確に前川レポートのことに触れられたし、レーガン大統領も触れられた。そういう軽々な、ただ外交上の話し合いの一つに上るだけのことであってそれを実行するしないの拘束をされる問題ではないという考え方のものではない。もしそれが事実であったといたしましたら、先日の中曽根総理とレーガンさんの話し合いは一体何であったのか、私は無に帰すという気もするわけであります。それほどお二人の話し合いの中ではこれは重要な地位を占めていたと考えざるを得ない。今外務省が言われるような軽いものであったとしたら、これは中曽根さん、一体何しにアメリカまで行ってきたのかということにならざるを得ないほどの問題ではないかと私は思うわけです。――何偏聞いても同じですから、結構です。
 それで、私がなぜここでこの問題をきょう取り上げるかと申しますと、この中には所得税減税の問題も出ておりますし、それからマル優問題も明確に触れられているわけでありまして、今後の我が国の財政確保ということについて非常に大きな影響を与えるレポートでもあるわけです。したがってこのレポートが本当に認知をされているのかどうかということを念には念を入れて聞いたのもそういうことによってでありますし、また今後日米間でこの問題がどのように協議されていくのかということについて根掘り葉掘り聞きましたのも、このレポートを重要視するなら、それが非常に大きな影響を与えるということをもって私はお聞きをしたわけでございます。
 この中に、一つは、先ほど言いましたように減税の問題が触れられております。大臣も先ほど、これは中期的、長期的な問題だとおっしゃいましたが、確かに中長期にわたって改革をしなければならない問題ではございますが、それではスタートはいつかといったら、スタートはすぐ始めなければならない問題なんですね。スタートも先の話じゃないわけです。中長期で今から五年先あるいは十年先に始めたらいいという話ではなくて、始めるのは今なんです。そしてそれが完結するまでには、中期のものもあるし長期のものもある、しかし始めるのは今だ、こういうことではないかと思うのです。そういうことになりますと非常に重要な意味を持っていると思うのです。
 この中に減税問題も明確にすべきだということが触れられております。それからマル優制度の問題だけは、きのう本会議の議論でもございましたけれども、明確に改革するということが打ち出されている。きょうは大蔵委員会の質疑でありますから、特に減税問題と貯蓄優遇税制の問題につきましてお聞きしたいと思います。
 とりわけ貯蓄優遇税制については抜本的に見直す必要があると明確にここになっているわけですね。それで、政府税調あたりでもこの問題は多分検討されていると思いますが、先日総理にも私申しましたように、この前川レポートなるものは政府税調の議論をかなり拘束するものであるということを述べました。大臣はそういうふうにお考えにはなりませんか、もう一度お聞きしたいと思います。
#154
○竹下国務大臣 二つの問題がありまして、一つは所得減税、この問題は、政府の方のスケジュールで申しますならば秋までに答申をいただいて六十二年度税制で考えておる、こういうことでございますから、よりそれを確実にすることになろうかなとも思います。一方、ただ幹事長・書記長会談というものの年内に結論を出すというのが一つございますので、あれをどう評価するか、重く受けとめなければいかぬ。さすがだなあと、あるいは政府税調の進行ぐあいを横目でにらみながら相談していこうというのかなという印象をとっさには受けましたが、この間来二回でございますかお会いになったというふうに聞いておって、いろいろな資料を持ってこいというようなことに対しては積極的に協力を申し上げておるということでありますから、所得税減税問題というのは、既に税制調査会で議論がなされておるという段階であるわけです。
 二番目の、いわゆる貯蓄優遇税制の問題ですが、これは税制全般の見直しの中で、いわゆる非課税貯蓄制度を含む利子配当所得の課税のあり方について、これはスケジュール的にいうと税調ではちょうど後半の議論の予定になる、こういうことでございますので、別にこちらが前川レポートにこう書いてありますということを報告しなくても、メンバーがいらっしゃいますからわかる話ではございますけれども、税調の方へ国会の議論をお伝えするように、報告はした方がいいかなと私は思っております。いずれにせよ、その問題に対する検討の答申は税調で秋に答申をいただけるではなかろうか。ただ非課税貯蓄制度を含めた利子配当課税のあり方というのは、今までも政府税調で随分議論していただいておることは事実であります。政策選択の中でとり得なかったことはございましたけれども、そういう問題点であろうと思っております。だからやはり税の問題は審議会というものをネグって進めるわけにはまいらぬというふうに思います。
#155
○坂口委員 ちょっと時間がなくなってきまして、うまいぐあいに議論がかみ合わなかったのですが、大臣、先ほど申しました、これからこの前川レポートを参考にするにしろあるいはこれをそのまま推し進めるにしろ、それが話し合いなのか何なのかそれもよくわかりませんが、今後日米間でとにかく議論はしていくわけですね。これは議論の上にのっていく。そのときに大蔵省は大蔵省として意見もその中で言うでしょう。しかしこのことは、やはりその中の議論はかなり日本に対する重い意味を持つものだというふうにお考えになるのか、それとも、今外務省がおっしゃったようにそれはただ単に話し合いだけであって、そしてそこで話し合われたからといって日本があの前川レポートのようなことにたとえしなくても別にそれは差し支えないものなんだ、こういうふうにお考えになるのか。その辺、いかがでございますか。これは簡潔にひとつ。
#156
○竹下国務大臣 前川レポートというのはあくまでも日本の政府が参考にして検討すべきものであって、有名にはなっておりますが、それがいわばテキストブックになる性格のものではないというふうに思います。
 それから、高級事務レベルの協議というのは従来も円ドル委員会、大場・スプリンケルというのでやっておりますし、従来もいろいろなことを高級事務レベルでやっておるわけでありますから、そういう形でいろいろ意見交換をすることは双方にとって有益なことではないかというふうに思っております。
#157
○坂口委員 その高級事務レベルで議題の中に、前川レポートというのはそうすると必ずしも入っていくというふうには認識してお見えにならないわけですか。それはあくまでも日本の政府が参考にすることであって、前川レポート並びにそれに似通ったもの――前川レポートを参考にして、日本の政府・与党がこれから経済構造調整研究会なるものをつくってその結論を得たものを出すかは別にしまして、ここに挙げられておりますようなことを日米間の高級事務レベルで話し合いの中にそれは入れるべき問題ではない、そこまで決まった問題ではないんだというふうにお考えなんですか、今の御答弁は。
#158
○竹下国務大臣 このレポートはあくまでも政府みずからの責任で検討すべき問題であって、先ほど申しましたようにこの報告書そのものが取り上げられて議論されるという性格のものではない、こういうことであります。
#159
○坂口委員 もう一つ念を押しておきますが、それは前川レポートそのものであるかどうかはわかりませんけれども、その中に触れられておりますような、言うならば日本の経済構造改革のあるいは経済構造調整と言ってもいいかもわかりませんが、経済構造改革なるものは高級事務レベルの中での議論の対象には必ずしも入らない。前川レポートそのものではなくて内容です。これは大臣にひとつお聞きしたい。
#160
○竹下国務大臣 推進会議ができたわけでございますから、我が方の推進会議で物が決まっていけばそれらは議題になる、議題というか話し合いの素材にはなるだろうと思っております。前川レポートではなく、これは日本政府自身が参考にするものですから、日本政府でこれから、この間つくった会議がございますから、経済構造調整推進会議、そこでいろいろなものが決まったものは、それは恐らく話し合いの中で、政府はこうしてこういうものを決めたということを出すわけですから、それはそういう性格のものであろうというふうに思います。
#161
○坂口委員 そこなんですね。そこをはっきりしておきませんと、日本の方は、それは高級事務レベルでただ我々のところはこういうふうにやっていますと言うだけである、別にアメリカからどこまで、今年中にこうしろとか来年中にこうしろとか言われる筋合いの問題でないというのならばそれはそれでよろしいですが、向こう側はそういう考え方ではなくて、それを前川レポートといおうと経済構造改革案といおうと、そうした日本が考えておるものをどういうふうにして日本が実行していくかを我々は大きな目で監視をしているぞというふうに向こうはとっているのではないだろうか。そこをはっきりさせておきませんと、また後になりまして、いやおれたちはそこまで思ってなかったのだと言いましても、いやそんなことはない、おれたちはそのつもりでいたのだというようなことでまた話はおかしくなる。
 G5の協調介入の話でも、大蔵大臣は協調介入のことについてかなり話をしたというお話もこの前この委員会でも出ました。しかしそれはドルを下げて円を上げることについての協調介入ではあったけれども、今度はうんと円が高くなり過ぎたときに逆に協調介入するというところの協調介入までではなかったという結果が今出てきているわけですね。だから、その辺の認識がどうも多少甘かったのではないかという気もしないではないわけです。だから、同じようなことになってもいけないというので私は今言っているわけです。向こうはそうはとっていないのではないだろうかという感じが私はしてならない。
#162
○田中説明員 今委員御指摘のとおり、いわゆる構造問題対話の中で前川報告自体あるいは政府としてどうするかということを監視していくという性格のものでないことについては、米側も了解しておるということでございます。
#163
○竹下国務大臣 私も、前川レポートというものはあくまでも日本自身が、政府が参考にして検討すべき問題だと思っております。
 そこで、その例示としていわゆるG5というのがあった。必要に応じて協調介入あり得べしという合意というのは今日もあるわけでございます。ただ、今おっしゃったのは、いわばドル高を是正するためのときには確かに協調介入があったが、円高是正のための協調介入は約束していないではないか、いわゆる協調介入というのは、そのことをせんじ詰めると、今度はターゲットをお互いが持っているのではないかということになりますが、為替相場はあくまでも市場至上主義だから、市場が神様だから、そこでファンダメンタルズが正確に反映さるべきものであるということでございますから、ターゲットについてだけはお互いに言ったこともない。したがって、今の円高の問題について我々はいろいろなことを考えていなければいかぬが、これをどう見るかについて一つのターゲットを持っておるということはないと御理解をいただきたいと思います。
#164
○坂口委員 もう最後にしますが、確かにそれはターゲットは持っていないかもしれません。しかしあうんの呼吸と申しますか、やはりその辺のところがなければ協調介入というのはあり得ないわけですね。だから、ドル安・円高の方向に向かわしめるための協調介入にしても、それではターゲットはあったのかなかったのかという議論になりますわ。これは多分、それとてここまでという決まったターゲットはなかったのでしょうけれども、しかしこれはあうんの呼吸で、言わず語らずにお互いの気持ちというものを察し合って協調介入していったのだ。だからある意味では、きちっとは言わないまでも、心の中ではそれぞれターゲットを持っていたと言ってもいいんじゃないかと私は思うのです。
 だから、今度は逆介入の場合も、ぴしっとしたターゲットはないにしても、お互いのあうんの呼吸というものが合えばそれは協調介入というものをなされていくことが約束をされていたのか。しかし、たとえそういうふうになったとしても、そこまでは約束はしていなかったんだぞ、少々日本は苦しんでいるけれども、日本が苦しんでいるのをもう少しおれたちは見ているぞということであるならば、ドル安・円高の問題だけはうまいぐあいに、言葉は悪いですけれども、G5ということで日本を引っ張り出したが、後はうまいことしてやったりというような目で見られている可能性もなきにしもあらずといううがった見方もできないではない、こう私は思うわけであります。ですから、あえて申し上げたわけでございます。
 だからもし、その辺の甘さはなかったんだ、ないんだ、その辺はぴしっとしているんだと竹下大蔵大臣がここで言っていただくのであれば、それにこしたことはないわけでありまして、本当に御苦労さまでございましたと敬意を表して質問を終わりたいと思うわけであります。
#165
○竹下国務大臣 これは、現状は各国の経済の実勢を反映していないじゃないかという合意があったことは事実ですね。それで、いわば結果として、協調した介入が行われ、そしてドル高基調というのが修正されてきた。だからターゲットは持っておったわけのものではない。そして、市場の実勢の中で今日物が動いておる、こういうことであろうと思うのであります。
 ただ、為替というのは、円がどうとかマルクがどうとかは別として、要するに市場で決めるべきものだが、経済のファンダメンタルズを必ずしも適切に反映しないと思ったときには、乱高下等についてあり得るという原則は、ウィリアムズバーグ・サミット以来残っておる原則であるというふうに私は見ております。
 ただ、介入問題というのは、要するにいつ、どういう場合にやりますということは言わないから効果がある、こういう性格のものでありますので、奥歯か前歯かへ物が挟まったような答えにならざるを得ないという、事の性格上やむを得ないと御理解をいただきたいということであります。
#166
○坂口委員 通産省からお越しいただいておりまして、お聞きする時間がなくなってしまいまして申しわけありません。ひとつお許しをいただきたいと思います。
 それで大臣、きょうは終始一貫春がすみみたいなものでありまして、大臣の答弁、わかったようなわからぬような御答弁で終始いたしまして大変残念でございましたけれども、時間が参りましたのでこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。
#167
○笹山委員長代理 玉置一弥君。
#168
○玉置(一)委員 きょうは日本電信電話株式会社の方々にもおいでをいただいておりまして、大変お忙しい中、わざわざ来ていただきましてありがとうございます。
 ちょうど一年前に民営化の法案が通りましてから、初めて民営会社としてスタートされたわけでございます。中曽根内閣の行革の柱としてNTTの民営化、そしてたばこ産業、そして今度国鉄と、こういうふうに民営化が行革の柱であるような形で言われているわけでございますが、NTTの場合にはもともと企業体質が非常によかったというような評価もございまして、それと、今はやりのいわゆる情報ネットワークを主体にした産業である、こういうようなところから時流に合って会社業績が伸びてきているところもある、こういうふうに判断をするわけでございます。
 この民営化が本当にプラスかマイナスか、それよりも企業体質として、やはり民間企業というのはこれからいろいろな競争に向かっていくわけでございますし、今のところは独占企業でございますが、いずれいろいろな分野での競争が始まってくる、こういうふうに思うわけでございまして、それぞれ企業体質あるいはこれまでのいろいろな合理化努力等についてお聞きをしていきたいと思います。
 現在は三十三万人の人員、ほぼそのままの形でやっておられますけれども、まず、今までの公社のときと、民営化された民間会社になってからと、基本的にどこがどういうふうに変わってきたのか。これは非常に大ざっぱな質問で多少お答えにくいかと思いますけれども、例えば組織改革、これは、法律で定められておりました従来の分野を守っていくために必要なところと、それから民間会社として、やはり従来の分野ももちろんでございますけれども、企業収益を主体にした場合と大分様相が変わってきているのではないか、こういうふうに思うわけでございまして、その辺についてまず大ざっぱに、民間会社になって一年、従来の公社と違ってどういう努力をされてきたのか、この辺についてお聞きをしたいと思います。
#169
○寺島参考人 ただいま、大変広範な点についてのお尋ねでございましたが、御指摘ございましたように、昨年の四月から電気通信事業に競争原理を導入するという全く新しい体制に入ったわけでございます。
 その一つの必然の結果といたしまして、従来公共企業体でございました日本電信電話公社が株式会社NTTとして新しい発足をして、今日一年を経過したわけでございます。この間、この一年間の成果と申しますものは、当然、株式会社でございますから数字であらわれるべきものでございますが、この六十年度の決算につきましては、御案内のとおり、ただいま先月末で締めましてその集計作業中でございまして、現時点でまだ数字を確定的に申し上げる段階に至っておりませんので、その点はお許しをいただきたいと思いますが、一つだけ申し上げられますのは、昨年、中間決算をいたしました段階で、六十年度を見通しまして経常利益といたしまして二千九百二十億というものを年間想定をいたしました。それが、現在まだ決算を締めておりませんが、その過程で判断されますのは、三千億は超える経常利益を計上することができることは間違いないというふうに考えておるわけでございます。そうなりますと、中間決算時にお約束をいたしました一割配当というものが、配当性向もまあまあというところでできるということになるわけでございまして、公益事業といたしまして、また一年目といたしましては、我々に課せられました義務と申しますか責務と申しますか、そういうものをまあまあ何とかぎりぎり達成できたのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 そういうふうになりましたのも、ただいま御指摘ございましたように社員一同の努力も当然でございますけれども、いろいろな意味で意識の変革というものが、三十万人全体に浸透したというのは言い過ぎかもしれませんが、そういう社員挙げての節約と増収の努力、それからお客様第一主義というものがこういう形でできたのではなかろうか、そういうふうに考えておるわけでございます。しかしながら、同時にお客様方、そしてまた国会、政府その他関係各方面の皆様方の温かい御激励と御鞭撻のたまものでもまたございまして、その点、この席をおかりいたしましてお礼を申し上げる次第でございます。
 なお、一つつけ加えさせていただきますが、その成果と申しますか事業の効率化がどれだけ進んでおるのかということにつきまして、人員だけで申し上げるのもいかがかと思いますが、従業員の数ということで申し上げますならば、既に公社時代からその削減に努めておりまして、例えば五十五年度末は三十二万七千人の俗に三十三万と呼んでおりました従業員がございましたけれども、この五年間で約二万三千人の減員を行いまして、この六十年度末は三十万四千人というところまで現在減っておりまして、三十万人を切るのがもう手の届くところまで参りました。ちなみに一人当たりの売上高という形から申し上げますと、人員が減って売り上げがふえておりますので、五十五年度を一〇〇といたしますと六十年度の見込みでは一人当たりの売上指数が一二六と、順調な伸びを示しておるのではないか、かように考えておる次第でございます。
#170
○玉置(一)委員 姿勢はよくわかるのでございますが、例えば合理化のポイントというのがある程度あると思うのです。我々が外から眺めた感じで見ますと、例えばいわゆる電話回線の維持あるいはサービスといいますか、こういう分野でありますとか、あるいは各企業、工場、事業所間のいわゆるデータ回線といいますか、そういう分野でありますとか、逆に今度は用地管理とか、今まで電電公社の時代の剰余金が資本金組み入れという形でいろいろな建物なり土地の購入というような形に回ってきておりまして、この部分だけでも、設備投資をある程度抑えるだけで莫大な利益が出る、こういうふうな会計のシステムになっておりましたから、それだけでも収益としては出てくるわけでございますから、考えようによっては幾らでも操作できる、こういうことですね。それから人員についても、年齢構成が非常に若い分野でございます。公社にしては非常に若いですね。そういう面から見て、時代とともに伸びてきて、さらにこれから情報化時代に突入していくということで、当然いろいろな技術者の養成とかあるいは事務職、いわゆるデータセンターとかそういうところの養成とか、いろいろあるわけですけれども、片方ではやはり末端のサービスといいますか、こういうものについても充実をさせていかなければいけない、こういうように思うわけです。
 そういうようにある程度ポイントを絞っていきますと、世帯が大きいわけですからやればやるほど切りがないところだと思いますけれども、例えばどういう分野に限ってとか、そういうふうな分け方で御説明をいただきたいと思います。
#171
○寺島参考人 大変難しいお尋ねでございますが、先ほど人員を年々減らしてきておると申し上げたわけでございますけれども、既に御案内のとおり決して生首を切って減らしたわけではございませんで、結局やめていく者と採用する者との差と申しますか、そういう形で減少に努めたわけでございます。それだけにこれはいろいろな合理化努力の積み重ねでございまして、例えで申しまして大変恐縮でございますけれども、一打逆転のホームランというようなものはございませんで、シングルヒットみたいなものを積み重ねることによってこういった減員を行っておるわけでございます。
 例えば、電報の受け付け局を減らしていくとか、あるいは従来は社員がやっておりました配達業務を委託に回していくとか、あるいは電話の手動受け付け業務というものの取扱局を集約いたしまして、幸い電話というのは時間を克服いたしまして瞬時につながりますので、そういった人の集約努力、あるいは保守部門におきまして新しい技術を導入してより少ない人員でできるようにするとか、挙げれば切りがないわけでございますけれども、こういう各般のことを積み重ねた結果とひとつ御理解いただきたいわけでございます。こういう努力というものは今後とも当然我々の使命として、いろいろな形を組み合わせながらなお進めてまいりたいと考えておるところでございます。
#172
○玉置(一)委員 国のいろいろな公社、国鉄もそうでございますけれども、昔の専売公社、あるいは国税の職員あるいは税関の職員、こういうところを見ますと、例えば合理化をやらなければいけないときには、人を採ってはいけないというので採用がストップになっている、そして採らなければいけないときは、大量に今までの不足分も採ってしまうというような形で、人員構成に大変な山があるわけですね。この辺は、民間会社になったならばある程度定期的に人員計画を立てていただいて、そして片方では合理化によって余った人をどうしていくのか、こういうことも考えていかなければいけないと思うのです。
 この前の民営化の法律改正のときに、子会社の設立ができるようにということで我々の方も努力して、まあもち屋はもち屋でございますから、余り世帯が大きいと細かいところまで手が届かないということもございますし、合理化をやって、ある程度熟練した専門家がそこに派遣をされてそれで子会社としていろいろなサービスの補完をする、こういうようなことが必要ではないか、こういうことで子会社の設立ということにかなり主眼を置いて、それをできるだけNTT独自で発案されて、それが実施できるようにということでやった記憶がございます。まだ一年でございますから、子会社をつくってどうしているという話はなかなか聞けないと思うのですけれども、どういう活用を予定されておるか、これについてお聞きをしたい。
#173
○石井参考人 ただいま先生からお話がございましたように、今回の制度改革によりまして私ども投資について、従来非常に制約が多かったわけでございますが、これができるようになりました。
 今回の電気通信制度の改革の趣旨と申しますのは、電気通信事業に競争を導入いたしまして、それによって事業の効率化を進め、いいサービスをお客様に提供するということにあろうかと思います。私ども、ただいま寺島の方から御説明申し上げましたように、この趣旨に沿いましていろいろ効率化施策を強力に推進しているわけでございますが、こうやって効率化施策を推進いたしました結果、余剰人員というものがどうしても出てまいります。余剰人員の受け皿として、新規事業、新しい子会社の創出ということが非常に大きな役割を今後果たしていくだろうというふうに考えております。
 現時点ではそれほど大きな効果は出てきておりませんけれども、ここ一年間で三十数社の子会社に出資をいたしまして、現在約七百名弱の従業員を子会社へ出向させております。これはまだ会社設立後間もないということで、それほど大きな効果を生むには至っておりませんが、今後子会社の経営が順調に推移いたしますれば、相当大きな余剰人員の受け皿として機能してまいるというふうに期待しているわけでございます。
#174
○玉置(一)委員 先ほど一人当たりの売上高の指数でお話がございましたけれども、本当を言いますと、この中で加入件数がふえたために上がった分と、それから人員を減らしたためにということで分けていただきたいのですが、ちょっと無理だと思いますので、企業分析というか合理化の分析――私も会社で十二年間やっていましたけれども、例えば公社としての予算、これは逆に逆算して予算を立てる。大蔵省なんかで納付金よこせと言って、その分削って経営計画を立てられるという、逆の順序でやられてきたことが多かったと思いますけれども、例えば東京都内とかいわゆる一般の電話、こういうものとか、あるいはコンピューターを活用したいわゆるデータ処理とかあるいはデータ回線ですね、それからいわゆる工場間の他社の企業のデータを移送する、こういうシステムとか、そういういろいろな分野に分けて、それぞれ、ここはこのくらい投資をして伸ばしていこうとか、あるいはここはそこそこにしておこうとか、いろいろな方法があると思うのです。そういうふうに逆に採算面においても分野別にある程度把握をして、それにやはり人を投じるのか、資本を投下するのか、あるいはそこそこにするのか、その辺も考えていかなければいけない、こういうふうに思うわけでございまして、そういう現在の経理面での改善というものも、合理化の中身を把握するあるいは的を的確に絞っていくという面で必要だと思いますが、これについて御意見ございませんか。
#175
○石井参考人 私ども、会社移行をいたしましてからほぼ一年経過したわけでございますが、この間におきまして、これは一つ社内的な改革でございますが、従来私ども、昔は逓信省ということでございまして、その後電電公社になりました。そういうことで社内の組織が職能別組織と申しますか、いわゆる官庁組織と同じような組織になっておりまして、これをここ一年間かけまして事業部制を採用いたしまして、何とかこの四月から事業部制という形でスタートいたしております。
 これに伴いまして、各事業部ごとに収支の責任を与えまして、いわゆるプロフィットセンターといたしまして、事業部別の収支が明確に出てくるようないわゆる管理会計の制度を導入いたしております。これがまだ十分動き出すに至っておりませんけれども、今後一年ないし二年かけてこれを十分リファイルいたしまして、民間的な経営のノーハウを導入しながら収支の改善に努めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#176
○玉置(一)委員 そこで当委員会の本題でございますけれども、先ほどお伺いしますと、大体経常利益が三千億円を超えるだろう、こういうお話でございました。
 これも六十年度の見通しということで出していただいた資料の中に、租税公課の負担、これは市町村納付金とかあるいは電柱の道路占用料とか事業所税、こういうものを含めてでございますけれども、ざっと千三百億円あるわけでございます。これ以外に法人税とか住民税というものがあるわけでございますが、これが大体千五百九十億円、これは当初見込みということでございます。
 これは、従来当大蔵委員会の財確法によって納付金をお願いしておりましたのが、今度は二手に分かれて負担という形でやっていただいておるわけでございますが、この辺が、従来のいわゆる経常利益に占める納付金の金額と比較をしてどうなのか。初年度でございますけれども、民営化して法人税、地方税合わせて御負担をいただいておるわけでございますけれども、これが、従来の納付金、あるいは納付金にかわるものもあったかと思いますけれども、こういうものに比較をしてどう変化したか、この辺をお答えいただきたい。
#177
○寺島参考人 ただいまお話ございましたとおりでございまして、六十年度の新しい会社になりましての税負担と申しますのは、まだ決算が確定しておりませんので中間決算時の推定数字で申し上げますならば、法人税が約千三百億、住民税が三百億、事業税が四百億、それからいわゆる市町村納付金、固定資産税に相当する分でございますが、これは従来から払っておりますので、この分は同額といたしますと、これでほぼ二千億見当の増加になるわけでございます。なおそのほかに、税とは言えないと思いますが、道路占用料とかあるいは社会保険料のような新しい負担がございます。
 そこで、もう一つのいわゆる国庫納付金、これは御指摘のとおり、ただいま申し上げましたように会社といたしまして当然に支払わなければいけない税金とは全く性質が異なるものだと私どもは考えておるわけでございまして、お国の事情から緊急かつ一時的な措置として電電公社時代に負担をいたしたわけでございまして、その金額は先生御案内のとおり五十六年度、五十七年度がそれぞれ千二百億円、五十八年度が二千四百億円、さらに五十九年度が二千億円、合計いたしましてこの四年間で六千八百億円というのを国庫納付金といたしまして納めた次第でございまして、これはそういう意味で税金とは全く別のものだというふうに私は考えております。
#178
○玉置(一)委員 今の数字でいきますと、大体年平均二千億ということになりますと従来の国庫納付金とほぼ同額といいますか、金額的には今度の方が若干負担が大きいというふうに出ておりますけれども、これにさらに今度一割配当されるというお話がありましたので、今全額国が持っているわけですから、配当として今度いただけるわけですね。
 大蔵大臣、今お話ありましたように国庫納付金にかわる今度の法人税等いろいろな税もございますけれども、そういうものは、従来に比べて見通しよりややいい方向に来ているということでもございまして、例えば初年度から一割配当をやって内部留保しなくていいのかというようなこともあるわけでございます。この辺、先ほどもちょっと話が出ておりましたけれども、今の決算予測によりますと三千億を上回る経常利益が出るということでございまして、お聞きの約二千億ぐらいが新たな税の増収ということになるわけでございますが、現在のところはやはり企業として一割配当をお考えになっているのか、あるいは国の方針として一割ぐらいはやったらどうだというお話をされているのか、これはどっちなんでしょうか。
#179
○寺島参考人 ただいま配当のお話がございましたが、株式会社でございますから、ただいまのところ株式が全額政府の保有でございますけれども、当然に株主に対して配当をいたすのは義務でございます。しかし、その額が一体幾ら、六%なのか八%なのか一〇%なのか、これは営業の成績と申しますか経営状況によって変わるわけでございますが、私ども、昨年の六十年度のスタートのときに郵政省に提出いたしました収支の見通しては経常利益を二千二十億と推計をしたわけでございます。しかし、考えてみますと二千二十億という数字は到底一割配当ができる数字ではございません。したがいまして、幾ら公益事業と申しましても一割配当をすることができなければ我々一人前だとは言えないわけでございまして、そういう意味で、少なくとも一割配当ができて、かつ配当性向が悪くても五〇%台と申しますか、公益事業並みのところへ行くような、そのためには三千億程度の経常利益が必要だ、それを目指して社員挙げて頑張ろうではないかということで社長の大号令がかかりまして、社員一同心を合わせて取り組みました結果が今のようなことでございまして、中間決算時の二千九百二十億ということから推定をいたしました一割配当のときの配当性向が、ちょっと不正確でございますけれども、たしか五八%程度だと思いますので、留保がなくなるという状況ではございません。
#180
○玉置(一)委員 余りこればかりやっていますとここで終わってしまいますので……。
 私が言いたいのは、新会社で資産がない会社じゃないですけれども、資産の切り売りをやって資金調達をされるかどうかわかりませんが、普通ですと立ち上がって三年間ぐらいというのは非常に苦しいわけですね。いろいろな思わぬ資金が要ったり、あるいは新しい事業に対しての資金投下というものがあるわけでございまして、そういう意味で最初から一割やって本当に大丈夫かなという心配をしているわけです。国としては税金は欲しいし配当は欲しいし、そして配当をすれば、今度は株式の公開をするときに値段が上がります。こういうことを考えていきますと、ともかく頑張ってくれれば国が助かるのだ、こういう感じがするわけですね。ある程度はお願いしたいなと思いますけれども、余り甘いところばかり国に取られないで、自分たちが企業として生き残ることを十分考えていただきたいと思います。
 それで続きの話でございますが、時間の関係で、株式売却のお話に入っていきたいと思います。
 株のボリュームが非常に大きいわけでございます。現在発行されております株式千五百六十万株、五年以内にこの二分の一を売ろう、こういうことでございます。これを見てみますと大変な株の数でございます。従来と違って高い株価、一株五万円でございますから相当の金額になるわけです。現在は、たしか今年度中に株式の売却を予定されておりますのは百九十五万株で、予想価格としては二十一万三千二百十円。これはどういう形で出されたのか、大蔵省にお聞きしたいと思います。
#181
○窪田政府委員 今予想価格と仰せられましたけれども、これは予想価格ではございませんで、私ども昨年の九月にお願いをいたしました電電株式売却問題研究会で御検討いただきまして、昨年の暮れに中間報告をいただきました。そのときに、売却株数は今後五年間に半分売るとして、残りは四年でございますから、仮に均等に売るということで単に四で割った百九十五万株ということで予定をするのがいいのではないか。本来、法律上は売却限度株数を総則に書けばよろしいわけでございますが、歳入予算に全く収入見込み額を書かないのもいかがかということで、その場合は予断を与えないような、実際の売却の株価に影響を与えないように客観的な基準によって計上すべきである。そのときに、客観的な価格といたしましては額面金額と発行価額と二つございます。発行価額と申しますのは会社の設立時の一株当たり純資産額でございます。この一つの客観的な基準があるわけでございますが、NTTの場合には巨額の資本準備金があることなどを考慮いたしますと、額面は余りにも小さいものでございますから、やはりこの際、発行価額による計上が妥当である、こういう御意見をいただきまして、二十一万三千二百十円という単に純資産額を株数で割った金額で計算をさせていただいた、こういうことでございます。
#182
○玉置(一)委員 百九十五万株で、これは一株五万円でございますから、普通の株のように何万株とかなかなか買えないと思いますから、相当多くの人たちに分けていかなければいけない、こういうふうに思うわけですね。
 新聞には、株式の売却の方法について第一段階、第二段階、こういうふうにありますよと書いてあったのでございますが、大蔵省にお聞きをいたしますとまだ何にも決められていない、こういうことでございます。
 少なくとも公平さの確保というものが必要だと思いますし、またこの株をめぐって物すごい人がいろいろ裏で動いているとかいううわさが飛び交っておりますけれども、そういううわさが出ないようにできるだけ表でというか公開の場でいろいろな作業をしていただきたい、こういうように思うわけでございます。
 少なくとも六十一年度中には今の百九十五万株については売却をされるということでございますが、予算に計上されましたときにどういうような形で売却をして、これだけの四千百五十八億円ですか、単純計算するとそれぐらいになるのですけれども、それだけの国庫への繰り入れですか、こういうことをやる予定だったのか。新聞だけがどんどん先行して、ここがいつも大蔵省の悪いところなのですけれども、新聞に流して、雰囲気を見て物事を進めていく、何となくそんな感じがするわけですね。
 まず、大蔵省としてどういうふうにするのか、あるいはどういうふうにNTTの方と御相談なされたのか、その辺についてお聞きしたいと思います。
#183
○窪田政府委員 今おっしゃいましたように、電電の株の大きさというのは我が国の株式市場の大きさから見て非常に大きいものでございまして、今の株式による資本調達は年間大体一兆円程度の規模でございます。そこへこれだけの株式を売却するわけでございますから相当慎重に考えなければならないということで、本来これは国有財産の売却でございますので国有財産中央審議会の議を経て売却をするわけでございますが、問題が資本市場あるいは株式市場その他もろもろに関連をいたしますので、昨年の九月に学識のある方にお集まりをいただきまして研究会をつくっていただきました。その後十二回御検討いただきまして、実は明日、最終の報告を取りまとめていただく、こういう段取りになっております。明日の報告は、恐らく大筋の方向をお示しいただくことになると思うのでございますが、その後、再び国有財産中央審議会で具体的な売却について御検討いただいて、その後いろいろ手続をとりまして、秋以降に実際に売っていくことになろうかと存じます。
 今のところ、御意見の大勢といたしましては、売却方法は基本的に一般競争入札と証券会社を通じる売り出しの二つがありますが、両方とも一長一短がございますので、広く国民に購入の機会を与えるという命題と公正な価格形成をするという二つの命題を考えますと、やはりまず一部の株式について一般競争入札を行いまして、その結果を参考にして価格を決めて売り出しを実施する、入札と売り出しの組み合わせ方式が適当であるというふうな御議論が大勢でございますので、恐らくあしたそういう御意見をいただきまして、さらに細かい点につきましては国有財産中央審議会でいろいろまた御検討いただく、こういう運びになろうかと思っております。
#184
○玉置(一)委員 国有財産でございますから大蔵省でございますが、監督官庁として郵政の方も、これは株式の売却の方法はもちろんでございますけれども、どれだけ売るかというボリュームの問題とか、例えば先ほどの配当の話とか、こういうのを含めて郵政省は、もう民営化になったから今は知らないということでなくて、どういうようにこういうところへ参画をされているか、それについてお伺いしたい。
#185
○谷説明員 お答え申し上げます。
 ただいま電電の株式につきましては普通財産として大蔵省の方で所管しておられるわけでございまして、その売却方法等について検討しておられるわけでございますが、国会で法案の御議論をいただきました際にも、郵政、大蔵両省よく話し合いをして、この貴重な国民的な資産の処分に当たっていくようにという御意見をいただいております。
 そういうことでございますので、私ども、この予算の計上その他今回のこの処分の取り運びにつきましては、随時大蔵省の方からいろいろお話をお聞きして、相互に打ち合わせをしながら進めてきております。今後も具体的な売却方法の検討に当たりましては、よく政府部内で検討しながら話を進めていきたいと考えております。
 それから売却方法につきまして、私どもの考えでございますけれども、この電電株式のもとになります公社の資産形成の経緯等にかんがみまして、広く国民に購入の機会が与えられるような、そして公正な売却方法をとることが必要であると考えておるところでございます。
#186
○玉置(一)委員 今NTTの内部で、株式の持ち株会ですか、これが検討されているということでございます。各企業、ほとんどのところにこういう持ち株会がありまして、従業員の方がいわゆる我が社意識といいますか愛社精神で――上がったから売れるというものではないので、その辺はよく間違って買われて売れないというのがあるのですけれども、特に管理職なんか、まず売れないのですね。そういうのもありますけれども、実際、当初からそういう愛社精神といいますか、こういう意味でそういう制度が論議されているならばぜひ進めていただきたいと思うわけでございますが、どういう形で今論議されてきているのか、そして将来どういう形で維持していくのか、その辺についてお聞きをしたいと思います。
#187
○朝原参考人 お答えいたします。
 先生御指摘のとおりでございまして、企業、従業員の一体化その他の目的から、持ち株会はつくりたいと思っております。
 その形あるいは将来という御質問でございますけれども、民間企業一般でやっておられます民法に基づく組合という形でうちの社員持ち株会もつくりたい、かように思っております。
 安定的に、まさに先生御指摘のとおり、もうけが云々というのじゃございませんので、一般民間でやっておられますような組合にしまして、脱退あるいは入会等もそれに似た形でやらしていただきたい、かように思っております。
#188
○玉置(一)委員 これは株価が非常に高いわけでございますから当献金額が大きくなってまいりますし、人数が多いからそう考えるほど大変じゃないのかなとは思いますが、しかし、いずれにしたって初期の段階では資金手当てが大変だと思うのですね。積立金よりも借入金が先行するような形になっていくと思いますけれども、その辺はどういうふうにお考えになっておりますか。まだそこまで検討されてないですか。
#189
○朝原参考人 先生御説のとおりでございまして、積立金につきましては民間と同じように大体三十口、一口千円という形でやっております。
 御案内のとおり、当初、振り出しのときには確かに一時的にお金が要るわけでございまして、まだ全くの検討段階でございますが、何らかの形で融資を考える必要があるかなということ、その辺が今、検討の段階でございます。
#190
○玉置(一)委員 それでは、第二電電の競争力の話に移りたいと思います。
 一昨年でございますか、民営化の法律のときに、電電公社として、その当時でございますが、いいところばかり持っているわけじゃない、国鉄でいうと地方線という問題がございまして、人が好んでやらない部分も行政上のサービスということでやっていただいている、こういうことがございます。それから、今の料率でいきますと特に大都市圏の市内通話の料金がちょっと安いのではないか、こういうのがあるのですけれども、私たちの田舎へ行きますと、こんな見えているところで隣へかけると市外通話を取られるというのも逆にあるわけですね。まあ大臣のところもそうですね。そういうところに我々、住んでおりますから、本当に東京都内というのはそんなにもうからないのかなという感じがするわけですが。
 ところが、第二電電グループというのが、いわゆるメーンの動脈、特にデータ回線をねらって出てきているということで、新規参入でございますから当然不採算のところをねらうわけはないわけでございまして、今NTTとして採算のとれている部分についてのみ接触をしようということでございます。ところが、ごく最近また電力会社が参入をしてまいりました。電力会社というのは、御存じのように各家庭にみんな入っているわけですね。各事業所もある。そして営業所は町単位に全部あります。こういうネットワークのあるところが進出をしてこようということでございまして、従来は、いわゆる基幹の部分だけが競合する、両わきの枝の部分についてはNTTが受け持つというような形になるだろうということで、非常に安易にこの第二電電問題を考えておられたと私は推測をいたしますけれども、電力会社が進出をしてくれば、各家庭とはなかなかいかないと思いますけれども少なくとも特高電圧を使っているところは全部いくだろうし、事業所間、ここまでいきますと非常に利用度の高いところは全部押さえられてしまうということになるわけでございます。
 果たしてこの第二電電との競争についてどういうふうにお考えになっているのか、そして私が今申し上げたことに対して絶対自信をお持ちなのか、この辺についてお聞きしたいと思います。
#191
○石井参考人 お答えいたします。
 今回の電気通信事業の自由化に伴いまして、先生も御案内のことと思いますけれども、現在、第二電電、日本テレコム、それから日本高速通信という地上系三社と私ども申しておりますが、いずれも先ファイバーですとかマイクロウェーブを使いまして、長距離市外通話区間に参入する事業者がございます。そのほか、最近また電力会社、特に東京電力が子会社を設立いたしまして、参入の準備をされているというふうに伺っております。また、関西電力も参入の準備を進めておられるということも漏れ承っております。
 そういう状況になってまいりますと、特に新規参入事業者の設備と申しますか、これは最新の技術を使って入ってまいりますので、例えば通話の品質ですとかというものにつきましては私どもNTTの通信回線と全く差はございません。したがいまして、お客様がどちらを選ばれるかということはひとえに料金にかかってくるというふうに考えております。料金につきましては、これからそれぞれの事業者が郵政省へ認可申請をなさるということになると思いますが、従来から新規参入の各社ともNTTの通話料金の三割安くらいで参入したいということを世上言われております。そういうことでございますと、やはり私どもとしてもかなりのダメージを受けるということになってこようかと思いますね。
 もう一方におきましては、NTTは特殊会社でございますので、会社法上全国あまねく電話のサービスを提供する責務を課されております。いかに採算のとれないところからも撤退することは認められておりません。そういう非常に大きなハンディキャップを負っているということがございます。そういうことがありますので、私どもとしましてもこういう競争の中でそういった責務を果たしていけるように、まず第一義的には経営の効率化を全力を挙げて推進していくということが一つでございます。
 もう一つ、これはまだ勉強中でございますので、まだこういう国会の場で申し上げる段階まで至っておりませんけれども、料金の問題がございます。現在の料金体系につきましては独占時代の料金体系をそのまま踏襲してきておりますし、この料金と申しますのもやはり独占であったということを反映していろいろ社会政策的な配慮が加えられているのではないかというふうに考えております。そういうことで、非常に収益性の高い部分と非常に低い部分、赤字の部分というところがございます。そういうことで、収益性の高い部分に競争が参入するということは、このままほうっておきますと全国あまねく電話の役務を提供するという責務を果たす上に支障を来すことになりかねないということもございまして、私ども、料金につきましては今後どういうふうに持っていくかということについて現在勉強を開始しております。ただ、現時点ではまだ十分に世の中の御納得をいただけるようなデータを持ち合わせておりませんので、現在の段階ではそういったデータの整理を含めて勉強している段階だということでございます。
#192
○玉置(一)委員 同じ問題で郵政省にお聞きをしたいのでございますが、今たまたま答弁の中に料金問題も出てまいりまして、今の体制を一年間見ておられて、それまでの論議もございましょうけれども、こういうものを含めて第二電電のいろいろな分野がございますけれども、それとの競合でどういうふうになっていくと見ておられるか。そして今の料金体系はどうなんだろうか。その辺についてお伺いしたいと思います。
#193
○谷説明員 お答えいたします。
 新規参入、ただいま五社許可を受けているわけでございますが、このうち三社につきましてはことしの秋から専用サービスを東名阪におきまして開始をいたします。また、電話のサービスにつきましては来年の秋からということになっております。宇宙系の二社につきましては六十三年の春から全国的に専用サービスを開始する運びでございます。先生今お話ございました電力関係でございますけれども、去る三月七日でございましたか、東京電力が中心となりまして会社を設立いたしておりますけれどもまだ許可申請に至っておりません。
 いずれにいたしましても、このような形で新規参入事業は出てまいりまして次第に具体的な競争に入ってくるわけでございますが、そもそもこの競争制度を導入いたしました趣旨は、これらの事業者間で有効かつ公正な競争が行われて互いに切磋琢磨する中で、より良質で低廉なサービスが提供されるようにということが期待されているわけでございます。それでNTTにおきましても、先ほどもお話がございましたように、民営化後、社内体制の整備あるいは職員の企業意識の高揚等にずっと取り組んできておられますし、また経営状態についても非常に順調に推移をしておるところでございます。今後、こういった新規参入が入ってまいりましたならば、さらにその中で法の趣旨を体しまして、それぞれ創意工夫を凝らして有効な競争を実現していただきたいというふうに期待をしておるところでございます。
 それで料金の問題でございますけれども、ただいまNTTの方からもお話がございましたように、現在の料金は基本的には従来の公社時代の料金体系をそのまま引き継いでおるわけでございます。したがいまして、ただいま申し上げました切磋琢磨の中でそれぞれ民間の創意と工夫でいろいろな料金体系を編み出してくるということが一つ。それから、そもそもこういった競争を導入いたしましたのは、より低廉なサービス、より良質なサービスを国民に還元するということでございますから、そういった方向での見直しということはこれからの民営化の効果として当然出てくるべきものだろうと思っております。
 ただその際に、どのような形でそういった料金体系を考えていくかということにつきましては、これもただいまNTTから御答弁がございましたように、いろいろデータも集め、これから勉強していくということが必要ではないか。またその際に、特にNTTにつきましては、全国的なサービスの提供という実態から見まして、社会経済活動、国民生活に深くかかわっておるということについても十分配慮していく必要があるだろう、かように考えておる次第でございます。
#194
○玉置(一)委員 きょうはほとんどというか全部NTTさんの問題で使ってしまいそうなんですが、大臣、もうあと時間がありません、いつでもまたお聞きできると思うので、いろいろ準備したのでございますが、あと残った問題一問だけまたNTTさんにお聞きをして、終わりたいと思います。
 最近非常に普及をいたしておりますいわゆるカード電話機の問題です。カードの発売場所は非常にたくさんふえたのでございますけれども、どうも電話機が、あるところには集中し、いざ使うというときには見当たらない、こういう状況でございまして、確かに普及の途中だと思いますけれども、万遍なく普及させていただくのはいつごろでございましょうかという問題が一つ。
 それから、我々みたいに長距離をよく利用する者につきましては、カードの端数が例えば五点以下になりますとそればかり持ち歩くというのは非常に難しいわけで、ある程度少なくなってきたら、この少なくなったのを何枚か持っていくとまた大きいのにかえていただくとかいうことができないかな、こういうふうに思うわけです。これは一種のボランティア活動にも活用できるわけで、そういう面から見ていきますと、今はたしかできないと思いますけれども、そういう制度も考えていただいていいのではないか、こういうふうに思うわけでございます。この二点についてお答えをいただきたいと思います。
#195
○西脇参考人 お答えいたします。
 ただいまカード公衆電話のお尋ねでございますが、現在全国に約六万台ついてございます。先ほど来の、なかなか全国的にバランスよくついてないではないかというお話でございますが、最初でもございますので、空港でございますとか駅でございますとか、そういう人の多く集まるところから設置を始めまして、だんだんにふやしてきております。今年度はさらに七万台ふやす予定にしてございますので、感じとしましては、ボックス型の公衆電話の半分以上、六割近くまでカード化されるというふうに考えております。先生のおっしゃいましたような御期待に一歩近づくことになるかと思います。
 二番目の、残度数のあるカードにつきまして何とかならないかというお話でございますが、実はこのテレホンカードは回数券でもございまして、換金をしない、お金にかえないという前提で発行させていただいております。これはカードの裏にもちゃんと書いてございますし、私どもの約款でもそういうふうにお願いをしてございます。また、これを換金いたしますと実は紙幣類似ということで取り締まられるものでございますので、大変恐縮でございますが、残ったものにつきましてはもう一枚新しくカードを追加していただきますと二枚続けて使えるように電話機の方の構造もなっておりますし、もし足りません場合でしたら硬貨を入れてもお使いいただけるようになっておりますので、そういうことでお使い切っていただくようにぜひお願いをいたしたいと思います。
#196
○玉置(一)委員 確かにつながっていくのはよくわかるのですけれども、細かいのがあっちでもこっちでも残ってきたら、それを例えば二分ごとにとかしょっちゅう入れなければいかぬことになってくる。ですから、換金するというのではなくて、束ねて同じ点数だけ違うものに移しかえるだけですから、非常に簡単だと思うのですね。要するに、例えば端数を集めて五十点になったら五十点だという形で新しいものに交換をしてくださいということなんです。お金にかえてくれという話ではないのですね。その辺のことはできると思いますが、どうですか。
#197
○寺島参考人 ただいま西脇からお答え申し上げましたような事情でございます。
 ただ、先生からもお話ございましたように、カードの普及というのはこれからもますます進んでまいろうかと思います。ただいまのお話は、そういうカードの普及に伴って生じてくる、少ない間は余り出てこない問題かと思いますので、ただいまの時点では私どもできるというふうには申し上げかねるわけでございますけれども、そういうお話があったということは十分承りまして、胸に置いておきたいと思います。
#198
○玉置(一)委員 これは百五点ですけれども、例えば四、五点しか残っていないということになるととって置いておく場合があるわけですね。カード枚数、何枚出ているか知りませんけれども、百分の四ずつ機械にかからなかったということになると、お金は払ってありますからこれはNTTのもうけになりますね。これは、まとめて持っていけばその点数だけ返してくれるのですか。
#199
○西脇参考人 先ほどちょっと触れましたように、お金にかえないということで発行させていただいておりますので、換金はいたしておりません。やはり使い切っていただくしかないと思いますが……。
#200
○玉置(一)委員 お金にかえない――自分のところで発行したものだから、買い戻すことはできるわけでしょう。よそがかえるわけではないわけですね。もしそれができないというならば、なぜ点数を持っていったら同じ点数で一枚のものにかえてくれないのか、これは何もお金にかえる話ではないのですね。そういう問題があるということです。
 今すぐ結論というのは難しいと思いますが、民営化をされてからちょうど一年ということでございまして、我々の方も日常のいろいろな通信の面倒を見ていただいているわけでございますし、やはり今まで業績のよかったところでございますからさらによくなるように期待をしたい、かように思うわけでございます。
 きょうは、大変お忙しい中来ていただきましてありがどうございました。時間も参りましたので終わります。
#201
○笹山委員長代理 簑輪幸代君。
#202
○簑輪委員 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、中曽根総理大臣の私的諮問機関である国際協調のための経済構造調整研究会の報告書では、六十五年度赤字国債依存体質からの脱却という表現は消えておりまして、財政の機動的な対応という表現が使われております。この報告書の執筆に関与したというある委員が、機動的とは建設国債の弾力的発行をするという意味などの指摘もされておるやに聞いております。また、渡辺通産大臣は昨日の閣議後の記者会見で、こうした円高が続く場合は異例の手段をとる必要があるというふうに発言して、下期には建設国債の増発など財政出動による大規模な景気対策の必要性を示唆しているという報道もあります。また、六十五年度赤字国債依存体質脱却との関連で、建設国債の発行はフリーハンドという総理大臣の発言もあるようです。
 こうして見ますと、建設国債の発行という点について何だか非常に前向きというか、必要性があるかのような論調があれこれ言われているわけですけれども、大蔵大臣はこの建設国債の発行という点についてどのようなお考えをお持ちかお尋ねしたいと思います。
#203
○竹下国務大臣 まず建設国債に限って申しますと、私も今日まで建設国債というものの果たしてきた政策的効果や役割は決して否定するものではございませんが、基本的には、建設国債と赤字国債とを区別しておる国は日本と西ドイツだと思うのですよ。あとはいずれにしたって赤字には違いないのじゃないか。日本の場合でも、残高になったら同じものになってしまう。ということから考えますと、やはり非常に慎重にならざるを得ないということであります。
 もう一つは、仮に補正とかいうことになりますと、まだ予算をどうして使うかという法律が通らぬ前に補正予算の話をするのは、これはやはり大蔵大臣としては見識に欠けておると言われるのではないかと思って言わないことにしております。
#204
○簑輪委員 おっしゃるとおり、建設国債であろうとも赤字国債と同様に税金の先取りである。したがって、後に利子をつけて返済をしていかなければならないというものでもありますので、これが異常にふえていくということは、財政を縛るという意味で決して好ましいことではありませんし、財政法の健全財政の精神からいきましても、赤字国債は断じて発行してはならないということが定められておりますし、建設国債についても気軽に発行すべきものでないという姿勢を貫いているというふうに思うのですね。そうしますと、このような発言というのは非常に問題があると私は思います。そういう点で六十五年度赤字国債依存体質脱却というこの目標は一体どうなるのだろうかという点を考えてみますと、だれしもそのようなスローガンが掲げられてはおるものの現実の状況は絶望的であるというふうに見るのが常識になっているように思います。
 そうした中で、国債については六十年償還のルールがあって、それに対応する制度ができ上がっておりますが、いよいよこの六十年償還ルールそのものの見直し、変更というようなこともちらほら取りざたされているやに伺いますけれども、そういう動きというのは一体どうなっているのでしょうか、お尋ねしたいと思います。
#205
○小粥(正)政府委員 国債の償還ルールについてのお尋ねでございますが、現在の大変厳しい財政事情のもとで、六十一年度予算におきましてもやむを得ず定率繰り入れを停止せざるを得なかったところでございます。しかし、六十一年度におきまして、公債の償還に支障を生ぜしめないためのぎりぎりの措置といたしまして、御案内のように四千百億円の予算繰り入れを行うこととしております。あわせましてNTT株式の売却収入を計上いたしまして、これによりまして国債整理基金の円滑な運営に資することとしているところは御理解をいただきたいと存じます。
 そこで、お尋ねに係ります今後の公債の償還財源の問題でございますけれども、六十一年度は今申し上げましたような事情でございますが、これにも増して大変難しい状況であろうかと私どもも覚悟はしているわけでございます。ただ、当委員会で大臣からもこの点に関連してお答えを申し上げておりますとおり、政府といたしましては、従来から減債制度の基本は維持してまいりたい、こういう考え方をとってきているところでございまして、六十二年度以降の取り扱いにつきましては、先ほど来御議論がございます電電株式の売却収入がどうなってまいるかという問題もございます。歳入歳出両面にわたりまして、政府の目標でございます六十五年度特例公債依存体質脱却、これを目指しましてさらに何とか特例公債の減額を進めていく道がないものか。これも大臣の答弁の表現を拝借しますと、ぎりぎりの汗と知恵を絞って努力、工夫をしていきたい。そういう中で、ただいま御質問の問題につきましても広く、しかも慎重に検討していく必要がある、こんなことを考えているわけでございます。
    〔笹山委員長代理退席、委員長着席〕
#206
○簑輪委員 何か最後のところ、とても微妙な発言をされましたけれども、そのぎりぎりの汗と知恵ですか、絞る対象として、六十年償還ルールの見直しということが対象となっているのでしょうかということがお尋ねの趣旨でございます。
#207
○小粥(正)政府委員 ただいまお答え申し上げましたが、六十二年度以降の予算編成の過程におきましてぎりぎりの努力、工夫をしてまいりますが、国債償還のあり方につきましても幅広くいろいろな問題を検討していかなければいけないと考えておりますので、お尋ねの問題につきましても、その幅広い検討の対象の一つといたしまして検討、勉強してまいりたい、こういう趣旨でございます。
#208
○簑輪委員 大変重大な問題だというふうに思います。というのは、基本的に国債というものが発行されて、その返済というものの制度が一応制度上確立されていながら、それが現実にはどうにもならなくて、あれこれ異例の措置をとってきたわけですね。土壇場に来たらもうその基本さえも投げ捨てて、後は野となれ山となれというか、新しい考え方で臨むということになりますと、歯どめがなくなってしまうという意味で、財政法上の健全財政という点から見ましても大変危険であるというふうに指摘せざるを得ないというふうに思います。これからさまざまな汗と知恵と言われますけれども、それはよりよい健全財政確立のための知恵でなければならないにもかかわらず、一層の借金だらけというか、雪だるま式に借金がふえていく、それを合理的に説明する知恵をひねり出すということであっては決してならないというふうに思うわけです。その点はちょっと指摘をしておきたいというふうに思います。
 関連して、三月九日付の日経新聞では、日銀が国債などの有価証券の貸し借りを利用して短期資金を取引する第二債券現先市場の創設を検討しているというふうに報道されております。これは有価証券取引税がかからないというのが特徴であるというふうに指摘されておりますけれども、こうした税金逃れの方法が次々に創設されていくというのはまことに問題ではないかと思いますが、大蔵省としてこの点についてどのようにお考えか、お尋ねしたいと思います。
#209
○岸田政府委員 御指摘のように、国債等の債券の貸し借りを利用しまして短期資金の取引を行ういわゆる第二現先市場を創設するというようなことが三月上旬に新聞に出ていたことは事実でございます。ただ現実には、既にもう債券の貸し借りを通じましてファイナンスを行うことは、証券会社と生保、信託等で、それからまた機関投資家を含めましてそういう取引が行われておりまして、三月末でございますけれども、残高で三千三百億くらいの規模になっているわけでございます。ただ私どもといたしましては、これを意図的に拡大して新しい制度をつくるとかいうようなことは今のところ全く考えておりませんし、日銀に確かめてみましたところでも日銀でも考えていないということでございます。
#210
○簑輪委員 では、続いてお伺いしたいと思いますが、レーガン大統領が円高容認の発言をしたことを契機にして円相場が非常に高騰し、一気に一ドル百六十円台に突入したという事態を迎えております。
 いろいろ申し上げたいこともありますけれども、絞って申し上げます。円高の影響で輸出関連中小企業の倒産が非常にふえておりまして、二月に十四件、三月に三十二件、昨年十月から七十二件と非常にふえてきているわけです。今後もこの影響による深刻な事態が大変心配されます。
 そこで、私どもの岐阜県下でも関の刃物、多治見の陶磁器、先日大蔵大臣がお訪ねになったようでありますけれども、ここから、何としても地域の地場産業を守りたい、歴史ある伝統ある産業を一層発展させたいという思いでさまざまな要求をいただいております。政府としては事業転換等の方策もあるというふうに言われておりますけれども、現場の地場産業の従事者たちはそれこそ一体どのような事業転換があるのか、そういうことは考えられない、この産業を発展させたいという姿勢です。したがって、これまでにも再三円高緊急融資の金利の引き下げを要求してまいりましたけれども、今新たな事態を迎えまして、一層この金利の引き下げを行う時期に来たのではないかというふうに思います。それで、激甚災の被害者融資とかあるいは二百海里の漁業水域制定の関連融資などは三%ということもございましたし、少なくとも三%程度までは引き下げて中小企業の危機を打開していくという必要があるのではないかと思いますが、この円高緊急融資の金利の引き下げについてどのようにお考えでしょうか。
#211
○吉田(正)政府委員 お尋ねの円高緊急融資、これは正確に申しますと、国際経済調整対策等特別貸し付けということで、経営調整資金と事業転換資金とで成り立っておりまして、前者は臨時の経営危機を回避しながら事業転換等の企業の経営調整を図る、事業転換の方は、輸出面で影響を受けた中小企業が事業転換法に基づき事業転換を行うための必要な資金を供給するということで、総合経済対策の一環といたしまして、極めて厳しい財政事情のもとでございますけれども、四月八日に事業転換資金の方は五・五%から五・〇%へ、経営調整資金は五・三%まで引き下げたところでございます。この金利水準でございますけれども、現在の民間金融機関の優良企業向け最優遇金利である長期プライムレート、これが現行は六・四%でございます。それから国民公庫や中小公庫の最優遇特利も現行では六・〇五%でございます。こういうような水準を大幅に下回っておりまして、事業資金としては極めて低い水準になっているということでございます。
 この円高にかかわります中小企業対策の重要性は十分認識しておるところでございまして、円高基調によって影響を受けている中小企業において、政府において講じましたこの低利の融資を活用されて今後の事業転換等の企業経営の調整が円滑に図られることを期待しているところでございます。
#212
○簑輪委員 今局長から御答弁ございましたけれども、やはりこれは政治的な判断が求められる事柄ではないかと思うのですね。こうした事態を受けて大蔵大臣として今、現場の人の声も聞いた上での金利の引き下げについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#213
○竹下国務大臣 八日に五・三と五・〇で引き下げたばかりでございまして、これは今申しましたように、各種長プラ、特利から比べれば事業資金としてはやはり相当低利であるというふうに理解をいたしております。恐らく簑輪さん、災害と同じじゃないか、こういう背景があってのお尋ねだと思いますが、まずは現段階、八日に決めましたのがぎりぎりの線ではなかろうかというふうに思っております。
#214
○簑輪委員 三月に予算委員会の分科会等で通産大臣にもこの問題についてお尋ねもし、お願いもしたわけでございます。その後四月の段階でそういう引き下げということが行われましたけれども、またその後の緊急な事態が起こってきている今日、やはり再引き下げという問題についても考えるべき課題ではないかというふうに私は強く思うわけでございます。そうでないと、やはり地域の皆さん方にしてみたら、再三言われておりますように、自分たちがこの原因をつくったのではないのだ、にもかかわらず、その結果だけ押しつけられて、そして息の根をとめられるということはどうしても納得できない、何としても生き抜いていけるように、地場産業が歴史と伝統を持ってさらに発展できるように、政府が本気で援助してほしいという切実な要望があるわけですね。ですからその辺のところを、大臣がせっかく現地へ行って話を聞いてこられたなら、それを受けたような、身も心もあるような対応がされてもよろしいのではないかというふうに私は思うのです。さっきの御答弁は通り一遍というふうにしか私には受けとめられないわけですね。ですから、今後の状況がどうなるかという点は本当に心配されているわけです。そういう点から見ますと、やはり今後の推移をも踏まえてぜひその問題について積極的に考えてみたいという姿勢をお示しいただきたいなと思うのですが、いかがでございましょうか。
#215
○竹下国務大臣 八日に決まって、私が岐阜へ行ったのは十三日でございます。おっしゃっているのは、その後公定歩合がまた下がったじゃないか、恐らくこういうことが念頭におありでございましょう。各種金利というのは、大体来月の十九日ぐらいまでに出そろうと申しましょうか、そういうことになろうと思っております。が、今私は、この間やったばかりで、しかも相当なものだという評価を実はしておるところでございまして、そもそも政策金利でございますから、公定歩合とはちょっと別の位置づけに置かれるべきものでございますので、今そういう考え方は持っておりません。
#216
○簑輪委員 型どおりの御答弁ということでちょっと納得できかねますけれども、私は、政府系の金融機関の金利の問題もさりながら、もう一つ、民間銀行の金利の問題もあわせて問題にしなければならないと思うのです。
 大企業向けの金利は公定歩合の引き下げに連動して下がってきていますけれども、中小企業向けは下がりぐあいという点で不十分である。民間銀行の中小企業向け金利についての引き下げという点についても、大蔵省の方からさらなる指導が行われるべきではないかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
#217
○吉田(正)政府委員 民間の金融機関の貸付金利は、本来はその背景にございます金融情勢のもとで自主的判断で決められるべきものでございますけれども、最近は量的にも金融緩和基調が続いておりまして、漸次低下傾向をたどっているという一般的認識でございます。先ほども大臣から申し上げたとおり、最近においても一月及び三月の公定歩合引き下げで金利全般の低下を受けまして、金融機関は短期プライムレートを二度にわたり引き下げた。つまり、合計一%を引き下げたところでございます。さらに今般の公定歩合引き下げで金利全般の一層の低下が見込まれ、今申しました短期プライムレートも一段引き下げが期待されるわけでございます。このような状況のもとで、民間金融機関の中小企業向け貸出金利についても今後一層の引き下げが行われるものと考えられるわけでございます。
 それから、一般的な情勢でございますけれども、先ほど申し上げましたような量的緩和基調もございますし、金融機関の中でも自由化の中で競争が行われておりまして、中小企業志向型の競争も行われサービスも向上しているというのが、個々の事情の問題はあるかもしれませんが、一般的にはそういう私どもの認識でございます。こういうことでございますので、金融機関の自主的判断がもともとございますけれども、中小企業者の個別、具体的実情に応じ弾力的に中小企業金融に対処し、円滑化が十分行われるように期待しております。
 いずれにいたしましても、政府といたしましても全体的には貸出金利全般の低下を通じまして中小企業の金融が円滑に行われるよう期待し、今後の動向を十分注視してまいりたいという姿勢でございます。
#218
○簑輪委員 引き下げられるだろうし、適切に運用されるであろうことを期待しているという御答弁でございますけれども、中小企業にとりましては本当に死活問題ということでもございますので、やはりその辺はきめ細かく見ながら適切に指導していくということが機敏に行われなければならないというふうに思いますので、その点はよろしくお願いしたいと思います。
 さらに、ことしの一月以来三度にわたる公定歩合の引き下げの効果ですけれども、ラフな試算をしてみますと、全国銀行、相互銀行、信用金庫を合わせた個人の定期性預金残高の合計は、八五年十二月末現在で百三十兆六千三百二十一億円となっています。この間の一年定期預金の下げ幅が一・三七%、したがって約一兆八千億円の利子が減少するという計算になります。一方、個人部門が金融機関から受けている貸出残高は、割賦返済方式による住宅、消費者ローンを除くと三十四兆円。仮に一%の影響があるとすると三千四百億円。差し引き一兆四千六百億円の利子減少という計算になってまいります。他方、産業部門について見ると、日経新聞の試算によれば、波及効果も入れると全産業の経常利益が二兆三千億円増加するというふうにされております。
 対米協力的な公定歩合の引き下げ、そしてそれに連動した預貯金金利の引き下げということが、こうして見ると、個人の利子が減少し、産業部門では利益がふえるという形になってきている。国民生活から見たときにいささか問題がある、あるいはこんなことでいいのだろうかというふうに思わざるを得ません。さらにまた第四次公定歩合の引き下げというような話も出ておりますけれども、大臣のこれに関する御見解はいかがでございましょうか。
#219
○竹下国務大臣 第四次公定歩合の引き下げということについては、日銀総裁が、きのうでございましたか、考えておりませんというお答えをなすっておりましたことを御報告を申し上げます。
 それから、いわゆるマル公の操作というのは、銀行、金融機関でございまして、やはり預貯金金利に連動しませんことには経営自体が成り立たないわけでございますから、これは当然と申しますか、必然性があるだろう。ただ、これからの問題でございますけれども、例えば普通預金で見ますと、〇・五%ということになりますと完全連動すればゼロ。かつて預け賃というのがあった時代もあるそうでございますけれども、それはいろいろな問題があるであろう。したがって、これから二十四、二十五、郵政審議会を初めいろいろ開かれていきますので、いわゆる連動しないということはあり得ない。いわば自由主義経済下においてそれはまあおわかりいただけるだろうと思います。
#220
○簑輪委員 連動した結果こういうふうになるということを申し上げているわけで、だからそういうことも考えた上での公定歩合の引き下げということにならなければおかしい。その辺の結果がどうなるかということを踏まえて政策判断をすることになるだろうと思うのですね。考えてないということをお聞きしたわけで、大臣もそれ以上のことはおっしゃらないと思いますけれども、そういうふうに国民生活にも重大な影響が出てきて、結果としてはわずかな預金の、たくさんの国民への影響という点を考慮に入れなければならないということを申し上げたいわけです。
 続いて、先ほどの経構研の報告の中で「内需主導型の経済成長を図るとともに、輸出入・産業構造の抜本的な転換を推進していくことが不可欠」という立場から、「特に貯蓄優遇税制については、」非課税貯蓄制度の廃止を含め「抜本的に見直す必要がある。」という提言がされております。
 貯蓄優遇税制の問題について、国民にとっては非常に重大な関心がございますので、まず最初に、竹下大蔵大臣がこの非課税貯蓄制度の廃止を含めた貯蓄優遇税制についてどのような基本的見解をお持ちか、お伺いしたいと思います。
#221
○竹下国務大臣 現在税制調査会で抜本見直しが行われ、非課税貯蓄制度を含む利子配当所得の課税のあり方ということにつきましてもいろいろ議論が、これからでございますけれども、まだ今のところ税調ではこの利子配当課税の問題にまでは恐らく審議が入っていないというふうに思っておりますが、今後さらにいろいろな角度から審議が進められるものであろうと考えております。まさにこの問題は税調待ちということがございますが、従来税調で議論されておったことは既に簑輪さん御存じのとおりでございます。
 利子配当課税のあり方を考えるに当たって、個人貯蓄の六割を占めるに至っている非課税貯蓄の現状が課税の公平の面から問題があるという指摘もあるし、それから結果として所得水準の高い階層ほど利用割合も高くて、高額所得者をより優遇する結果をもたらしておるという指摘があったり、限度管理でやると貯蓄者、貯蓄取扱機関及び税務当局に少なからぬ手間がかかるという問題がありましたり、それから利子配当所得は発生の大量性、その元本である金融商品の多様性、浮動性等の特殊な性格を有すること等に配慮する必要があるという指摘があったり、受け取り利子も所得の一形態であり本来すべて総合課税の対象とすべきものであるが、長年定着した非課税制度を一時に抜本的に改革することは好ましくないという話があったり、いろいろな問題があるわけでございますから、まさに幅広い角度から検討が進められていくものであろうというふうに考えております。
 したがって、国会の議論を税調へ報告いたしますように、別に報告をしなくても中には経構研のメンバーもいらっしゃいますから恐らくお読みでございましょうけれども、税調へ資料としてはお送りすべき性格のものではないかなというふうに考えております。
#222
○簑輪委員 こういった問題をお尋ねすると、税調へとか税調がとかということで大臣のお考えをお聞きすることが全くできないというのが非常におかしいなというふうに最近は思っております。やはりいろいろな論議を反映した税調の論議というのはあっていいわけですけれども、この国会での論議が、すべて税調へお伝えする、お伝えするだけで大臣としての御見解もないということは、ちょっと問題ではないかなというふうに思っております。
 産業構造審議会では日米の貯蓄・投資バランスの問題を取り上げております。さらにアメリカとかヨーロッパとかからは、我が国の経常収支と高貯蓄率を結びつけて対日圧力の一つの論拠とするという問題もあります。
 我が国の家計貯蓄率というのは諸外国より高い水準を維持しています。けれども、一九七四年をピークにだんだんこれが低下してきています。家計貯蓄率が低下し始めた一九七五年以降、金融資産純増の構成比が低下してきているのに負債純減の構成比が逆に上昇してきています。金融資産の純増は一九七三年七〇・四%から一九八四年の五六・〇%へ一四・四%低下し、それから負債純減は八・四%から二八・二%へ一九・八%上がって、住宅価格の高騰がその背景にあるものと思われます。
 保険純増と負債純減の合計額を固定貯蓄、それ以外を任意貯蓄として家計貯蓄を分けてみると、任意貯蓄の割合は一九七四年には七五・五%と四分の三を占めていたのですが、一九八四年には四四・六%となって固定貯蓄よりも小さくなっている。任意貯蓄率は全体の家計貯蓄の低下より一層低下してきているという点から見ますと、勤労世帯の生活実感として貯蓄にゆとりがあるというふうには決して言えないというのが数字の上からも裏づけられていると思います。
 さらに、家計貯蓄の動向を所得階層別に見てみると、低所得階層と高所得階層の貯蓄率格差というのでは、一九六五年の第一分位と第五分位の貯蓄率格差は九・三%だったけれども、一九八四年にはそれが一三・七%に拡大をしてきている。低所得階層の場合、ゆとりがますますなくなって、貯蓄に手をつけざるを得ないという状況がふえてきているわけです。
 任意貯蓄の割合を見てみると、一九七〇年には第一分位の任意貯蓄の割合が六一・〇%、第五分位の任意貯蓄の割合が七一・二%であったのに、一九八四年の場合は、第一分位の任意貯蓄率が九・八%、第五分位の任意貯蓄率が四九・二%という数字になっております。結局、低所得階層と高所得階層では、貯蓄率格差のみならず、任意貯蓄の格差が一層拡大してきているという状況です。
 そうしてみると、我が国の貯蓄構造は家計の裁量で増減できる任意貯蓄率が急激に低下して、低所得階層ほど任意貯蓄率の低下が著しくなってきている。そうなりますと、持てる者と持たざる者との貯蓄の格差、不平等化というのが、今後金融自由化のもとで一層拡大されるのではないかと懸念されます。
 アメリカの連銀の調査によると、各種金融資産の保有状況を見てみると、一九八三年の数字で、全体の二%を占める高所得階層でMMA一五%、CD一五%など流動資産が全体で三〇%、株式五〇%、債券三九%、免税債等七一%と、わずかな高額所得者によって金融資産がひとり占めされているという状況があります。
 さらに貯蓄に関する世論調査というのを見てみますと、ふやしたいと思う貯蓄の種類について、債券、株式、投資、信託において階層間において非常な格差が出ているということです。金融自由化になりますと、その恩恵は結局高額所得者ほどより多く享受できるというふうに今まで申し上げた状況から言えると思うのです。
 そうすると、このような金融資産の分配の不平等化は金融と税制面でぜひ正していかなければならないというふうにも思いますけれども、この点についていかがお考えでしょうか。
#223
○吉田(正)政府委員 金融の自由化でございますけれども、これは国民経済の効率化、それから我が国が国債大国になっているというようなこと等を背景といたしまして、国の基本政策として、全体といたしましては、国民全体、国益全体に寄与するという判断のもとに行われているわけでございます。
 ただいま貯蓄の数字をいろいろお挙げになってこられたわけでございますけれども、全体といたしましては、我が国の貯蓄率は国際的に見ますと高い水準で推移しているわけでございます。幾つかいろいろとその要因がございますけれども、私どもといたしましては、一方では貯蓄の重要性も認識しておるようなところでございますけれども、全体といたしますと、金融自由化の中で国民経済的な判断から見ますと、その中で国際的に見ると貯蓄率は高いという判断をしておるところでございます。
#224
○簑輪委員 平均の貯蓄率が非常に高いということはそのとおりなんですけれども、勤労者世帯の平均貯蓄残高が六百九十二万円というふうに言われております。けれども、これはあくまで平均でございまして、最頻値、最も数の多い値は百七十三万円であるというふうに言われております。勤労者世帯の三分の二が貯蓄残高は平均以下であるということもあります。それが一九八三年二百二十万四千円、一九八四年百八十四万一千円、一九八五年百七十二万五千円と最頻値が下がってきているわけです。こうして見ますと、平均すると非常に高いということは、一部の高額所得者がたくさん貯蓄をしていることによって平均値がぐんと引き上げられるということが統計学上明らかでございまして、圧倒的多数の勤労者世帯の貯蓄というものは、まさにマル優を満たすに十分でないという程度のものであることが数字上も明らかになっております。
 こうした実態を見ますと、このマル優制度、非課税貯蓄制度は、少ない資産、少ない貯蓄だからこそこの分については非常に貴重でもあり、廃止されることはまことにゆゆしいということで国民の関心が非常に高いわけです。ささやかな年金等も貯蓄に回して、その金利も十分に計算に入れた上、そして税金もきちんと計算した上で生涯設計を立てるというケースもございますし、いろいろな意味で非課税貯蓄制度というものは現在国民に定着しており、生活設計の一部にもなっているという点から考えてみましても、これを廃止するという方向が打ち出されてきているというこの経構研の指摘というのはまことにゆゆしいと思います。この非課税貯蓄制度の廃止は絶対にしてはならないと思いますが、重ねて大臣にお尋ねしたいと思います。
#225
○竹下国務大臣 お答えは税調で御審議いただくということになるわけでございますけれども、これはちょっと、必ずしも適切じゃないかとも思いますが、沖縄が復帰いたしました途端のときに、私、用件で沖縄の人とお話し合いしました。ところがあの人たちは、貯蓄制度が占領下にあったわけでございますから、本土へ復帰したら税の対象にならぬ貯金というものがあるそうでございますねというような話を聞いたことがあって、一般的な感覚から言うとたとえ少額であろうとも所得は所得、課税最低限であるとかなんとかは別としまして、それが枠の外に置かれておるということはやはり一つ問題意識は持たなければならぬなとは思っております。やはり総合的な税体系の中でいわゆる課税最低限とかそういうものは決まっていくので、格別なものが枠外に存在するというのに対しての論理矛盾みたいなのは私も感じないわけでもございません。
 しかし、さはさりながらというので、この間のときもいわゆる福祉定期なんかの金利の問題についてはそれをいじらなかったり、そんな政策的配慮と申しましょうか、そういうことはいたしておるところでございます。いずれにせよ、最終的には税調でけんけんがくがく議論していただく問題であろうというふうに思っております。
 私どもが何で貯蓄率が高いかという議論をしますと、私がいつも説明するのは、質素倹約をとうとぶ国民性であるとかいうような話をしておりますし、ボーナス比率が高いとか、日本の特殊性を六つばかりいつも挙げております。が、逆に、そういう議論の中で貯蓄優遇税制という問題も一つの要素だと言って、私が出さなくて、相手側から出てくる場合もあるということでございます。
#226
○簑輪委員 もちろん貯蓄優遇税制が現存するわけでございますので、それは政策的な配慮でとられていることでもあり、それをよしとして私は質問をしているわけです。
 貯蓄をするというのは、もう一つ、大臣があえてお挙げになりませんでした老後、病気、不時の出費等々の不安、そういうものに備えて、国の社会保障制度の未熟な部分といいますか不十分な部分を国民がみずから補うという意味で、別に趣味でやっているわけじゃなく、貯蓄が国民性というようなものでもなく、必要に迫られてやっている部分もあると私は強く申し上げたいと思うのです。
 次に、企業の財テクについてちょっとお尋ねしたいと思います。
 近年、資金過剰を背景に、企業が本業とは別に金融資産への投資や運用を積極化することで収益を上げるという財務活動、いわゆる財テクが大企業を中心にますます盛んになっています。一、二部上場企業の金融収支上位五十社合計で、五十九年度五千百二十五億円、そのうち、トヨタ自動車、日産自動車、松下電器産業、日立製作所、シャープ、三洋電機、千代田化工建設、日本電気、日本石油、松下電器貿易の上位十社で三千二百二十四億円と六三%を占めています。しかも、こうした財テク資金は各種引当金や準備金等、税法上の非課税や課税繰り延べ資金によって運用されているわけです。
 財政再建の折でもあり、このもろもろの引当金の見直しとか準備金の整理、株式発行、プレミアム差益等に対する課税など、企業に適正な負担を求めるのが当然あってしかるべきではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
#227
○大山政府委員 資金運用の面におきまして企業の収益性の指向が高まっていることは事実かと存じますが、これをいいとか悪いとか一概に言うわけにもまいらないかと思います。法人税は、税負担はいかにあるべきかということから極めてニュートラルな税でございますので、財テクから上げた収益に対しましても通常の法人税がかかるということで負担があるわけでございます。
 ただいま御指摘になりましたプレミアム課税という点でございますが、プレミアムはいわば資本でございますので、プレミアムに対する課税というのは適切でないとかねてから申し上げているところでございます。
 それから、引当金等がその原資になっているではないかという御指摘もございましたが、かねがね申し上げておりますとおり、企業の損益計算を適切にするためのもの、ただし、率などにつきましては常に見直しが必要だ、このような観点から、引当金そのものがいい、悪い、その存在意義を否定するのはいかがか、こういうように存じております。通常の法人税は、財テクによる収益に対しましても課税されておりまして、その中で一部いい所得であるとか悪い所得であるというふうに分けて課税することは法人税の性格になじまないのではないかと私どもは考えております。
#228
○簑輪委員 プレミアム課税の問題はこれまで何度も論議されておりますが、これについては当然必要だし、かつ政治的に検討されなければならないだろうと思います。と同時に、引当金問題についても、企業が営業を発展させるために考えられている制度であるにもかかわらず、それを利用して本来の営業とは無関係な財テクに使われるということは、やはり見直すべき問題点を指摘していると思います。このことを申し上げて、時間がなくなりましたので次に進みたいと思います。
 発展途上国への我が国政府開発援助に関連して、環境アセスメントの問題です。
 環境庁は、途上国への政府開発援助に際して、その開発事業が周囲の自然や環境にどう影響するかを事前に調査、予測する環境アセスメント、影響評価を実施するためのガイドラインを六十一年度から三年がかりでつくることになったと報道されております。
 こういうガイドライン作成に当たっていろいろな調査をされるわけですけれども、円借款で建設されたフィリピン・レイテ島西岸にある肥料工場、銅精錬工場など工業団地周辺で、魚を食べた住民たちから皮膚の異常や胃痛などを起こす者が続出している、地元の医師たちが深刻な公害病に発展する可能性もあると指摘しているということが述べられております。公害の輸出ではないかという懸念もあるわけで、このような環境アセスメントに関するガイドラインを制定するに当たっては、こうした具体的なケースについてもきちっと事実を把握し、その調査結果を反映したガイドラインにすべきだと考えております。
 したがって、これからどんな計画がされているか、概要と、その中でこのフィリピンのレイテ島の問題等もぜひ調査し、盛り込んでいただきたいと思いますが、その点についての環境庁の御答弁を求めます。
#229
○松田説明員 先生御指摘のように、私どもは、後進国における開発援助に際しまして環境アセスメントを実施することは大変大切なことだと思っておりまして、六十一年の新規予算におきまして、仰せのような計画に基づきましてアセスメントの確立の手法を勉強したいと思っております。当然、その検討の過程におきましてはいろいろなことを勉強しなければいけないと思っております。
 この制度を勉強するに至りました経緯は、昨年六月にOECDで環境大臣会議がございまして、そのときに決まった理事会の勧告に基づきまして、性格、規模及び立地場所等の理由によって環境の質に著しい影響を及ぼす可能性のある援助、補助等についてはできるだけ早い段階で適切な環境の配慮をしなければいけない、そういうアセスメントをやりなさいという勧告に基づいて検討を始めたものでございます。もちろん、検討のやり方といたしましては、既にアメリカや世銀等の先進的な機関においてはアセスメントを実行しておりますし、私どもの方のJICAやOECF等においても、具体的なフィージビリティースタディーの段階で個々のケースについてはそういうことをやっているケースもございます。
 そういったものを踏まえ、また御指摘のような後進国におけるいろいろの問題、インドのボパール事故といったものもございましたけれども、あるいは地球的な環境規模の問題として熱帯樹林の減少とか、いろいろな問題が指摘されておりますので、そういった問題を幅広く検討して、できれば三年がかりで政府の開発援助を行う機関が窓口で机の横に置いて貸付審査の対象に使えるようなものをつくってみたいという意気込みでつくるわけでございますので、御指摘のような個々のケースについても当然勉強の対象にしてまいりたいと思っております。
#230
○簑輪委員 ぜひこのフィリピンの問題を対象として、きちっと調査していただきたいと思います。
 同時に、今、後進国というふうな御答弁がございましたけれども、これは適切じゃないと思いますので、発展途上国と御訂正いただきたいと思います。
#231
○松田説明員 申しわけございません。そのとおりであります。訂正させていただきます。
#232
○簑輪委員 次に、ことしの三月七日に第四銀行前橋支店と群馬銀行新潟支店が同時に店舗廃止されました。この両行の廃止店舗にかかる顧客取引については、相互に相手行に引き継がれたにもかかわらず、両行の女子行員については、第四銀行前橋支店の女子行員一名が同行高崎支店に転勤したのを除いて、全員が希望退職という形で事実上解雇させられているということです。第四銀行は五名、群馬銀行は八名です。両行の女子行員としては当然相手方へ再就職できるものと思っておりましたところ、このような仕打ちを受けて非常に納得できないということです。銀行というのは一人一人の人間が財産でもございますし、このような無情な、女子行員を切って捨てるというようなやり方はまことに許されないのではないかと思います。
 こういった店舗交換とか営業譲渡とか店舗廃止とか、いろいろなケースが今後あり得ると思いますけれども、そうしたときにこういう仕打ちがどこでも行われることになると大変な問題だと思いますので、銀行局として、こうした女子行員の相手行くの再就職という点についての指導についてぜひ適切な配慮をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#233
○吉田(正)政府委員 金融の自由化が進行してまいりますと、銀行も自由化の中での効率化というようなことで、店舗配置をしばしば、最近は配置の問題につきましても創意工夫を凝らしているという中での現象が起きておるわけでございます。
 そこで、その際の女子行員の処遇でございますけれども、一般的に銀行は本人の希望を十分尊重いたしまして、僚店へ転勤させる場合、それから再就職をあっせんする場合、銀行を退職する場合があると聞いておりまして、基本的には労使間で十分な話し合いにより処理されているものと承知しているわけでございます。
 この二つの銀行のケースにおきましても、労使間において十分話し合いの結果、円満に退職または再就職されると聞いておりまして、銀行自身に対しても当事者から不満の意思表示はないと聞いております。
 ただ、先生のおっしゃるようなことでございましたら、またもう一度念を押してみてもいいと思うのですけれども、銀行からは、円満に、不満の意思表示はないというふうに聞いておるところでございます。
#234
○簑輪委員 労使間で円満に話し合いがついていれば、何も私こんなところで質問をする必要はないわけでございますので、そうではなくて、行員の方から、こういう事態があって、これは到底納得できないし、具体的に群馬銀行女子行員の話では、群馬の頭取が第四へじきじきに電話で相互の女子行員の受け入れを依頼したけれども、第四銀行の方が断ってきたということがあったというふうに聞いているわけです。そういう女子行員の相互受け入れという話し合いをしようという努力が今後も当然されなければならないし、このケースは既に退職してしまったということのようですけれども、今後の銀行行政の中で、そういう点も今後次々起こってくるということがありますので、基本的な姿勢として、そんなものはしょうがないというようなことではいかがかと思うのですね。
 女子行員の場合は、しばしば支店採用ということもございまして、転勤を当然の前提とした雇用になっていないわけです。その点もあわせ合理的な解決をすべきではないかというふうに思うわけで、ぜひその辺の今後の御指導よろしきをいただきたいと思うわけです。重ねて御答弁いただきたいと思います。
#235
○吉田(正)政府委員 銀行の店舗譲渡に伴う女子行員の取り扱いでございますけれども、やはり労使間の話し合いということが基本になるということでございます。銀行自身も、店舗につきましては、地元の利便性それから経営の自主性、この両方が両立するようにしながら全体として店舗政策を行っているわけでございます。したがいまして、銀行が地元の支店を引き払うときには、預金者あるいは顧客それから行員、全体についてはやはりぎりぎりの判断として行われているというふうに聞いておりますが、私ども銀行を指導いたします場合、全体として労使双方の話し合いが円満にいくように今後とも配慮してまいりたい、かように考えております。
#236
○簑輪委員 今後起こってくるケースなだけに、重ねてお願いをしたわけでございます。今後よろしくお願いします。
 最後に、昨年もお尋ねしたのですけれども、米州開発銀行のニカラグアへの融資の問題ですが、昨年は、ニカラグアの農業開発のための五千八百万ドルの米州開銀の貸し付け決定の問題で、アメリカが妨害しているということでこれがなかなか決定されないという状況がありました。この米州開銀の融資に当たっては、あくまでその国の経済開発に資するか否かという点で行うべきであるというふうに大臣もおっしゃっております。したがって、別途アメリカがニカラグアに対してどのような思惑を持っているにせよ、政治的な、軍事的なねらいをこの米州開銀の融資に絡ませてくるというのはまことに許しがたいことだと思います。
 私は、ことし一月ニカラグアに参りまして、このニカラグアの農業開発資金の融資が非常に緊急に求められている、ぜひ一日も早くこれを実施してほしいという声を直接聞いてまいりました。昨年の五月二十一日の質疑で、検討作業はほぼ終了して近いうちに理事会で結論を出すと言われておりましたにもかかわらず、今日に至るもこういうふうに結論が出てないということは一体どういうことなのか、どういうことになるのか、私はぜひ早急に融資の決定がされるように求めて、大蔵省の見解を伺いたいと思います。
#237
○橋本(貞)政府委員 御指摘の、ニカラグアに対する米州開銀の農業開発融資でございますけれども、昨年そのような質疑がございましたのはそのとおりでございまして、その後事務局とあるいはニカラグアとの間におきましていろいろなやりとりがあったように聞いておりますけれども、現時点におきまして事務局内でプロジェクトの開発効果等について引き続いて検討中であるというふうに聞いております。
 事務局の調査が終了いたしましたならば、いずれ理事会に正式案件として提出されることになろうかと思いますが、その時点におきましては、御指摘のような経済開発に資するかどうかという観点からそのような案件が適当であるというふうに判断される場合には、我が国といたしましても支持するという方針でおるわけでございます。
#238
○簑輪委員 理事会に出すこと自体をアメリカが妨害しているということになりますといつまでもこの決定がされないというゆゆしい事態だと思いますので、私は大蔵大臣にお願いをしたいと思うのです。傍観しているということ自体がこのアメリカの妨害に加担をしているというふうにも見られるかもしれないわけですから、検討作業が昨年もう終了したというふうにも言われている状況なのにいまだにこれが決定を見ないというのはやはりおかしいし、非常に異常なことですので、我が国としても、コンタドーラ・グループの和平提案を支持するという基本的姿勢からいいましても、こうしたニカラグアへの農業開発資金融資が早急に行われるように御努力願いたいと思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
#239
○竹下国務大臣 いわゆるプロジェクトの経済効果の問題、それはやはり難しい問題でございますから議論されておるわけで、理事会にまだ諮る以前の段階にあるのだろうと私はこれを見ております。
 米州開発銀行自体の問題でございますが、御意見のございました点は、私もそれでは関心を持たせていただくということで御勘弁願います。
#240
○簑輪委員 ぜひ促進されるように御努力を願って、私の質問を終わります。
#241
○小泉委員長 次回は、明二十四日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時八分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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