くにさくロゴ
1985/04/24 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 大蔵委員会 第17号
姉妹サイト
 
1985/04/24 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 大蔵委員会 第17号

#1
第104回国会 大蔵委員会 第17号
昭和六十一年四月二十四日(木曜日)
   午前十時開議
出席委員
  委員長 小泉純一郎君
   理事 笹山 登生君 理事 中西 啓介君
   理事 中村正三郎君 理事 上田 卓三君
   理事 野口 幸一君
      越智 伊平君    大島 理森君
      金子原二郎君    自見庄三郎君
      高鳥  修君    東   力君
      山中 貞則君    伊藤  茂君
      伊藤 忠治君    兒玉 末男君
      沢田  広君    戸田 菊雄君
      中村 正男君    堀  昌雄君
      柴田  弘君    薮仲 義彦君
      玉置 一弥君    正森 成二君
      簑輪 幸代君
 出席政府委員
       大蔵政務次官   熊川 次男君
       大蔵省主計局次  小粥 正巳君
       長
 委員外の出席者
       参  考  人
       (日本銀行総裁) 澄田  智君
       参  考  人
       (財政制度審議
        会委員)    宮崎  仁君
       参  考  人
       (東京大学教授) 貝塚 啓明君
       大蔵委員会調査
       室長       矢島錦一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保
 を図るための特別措置に関する法律案(内閣提
 出第五号)
     ――――◇―――――
#2
○小泉委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案を議題といたします。
 本日は、参考人として日本銀行総裁澄田智君、財政制度審議会委員宮崎仁君及び東京大学教授貝塚啓明君に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。参考人各位には、本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 次に、議事の順序について申し上げます。まず、各参考人から御意見をそれぞれ十分程度お述べいただいた後、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。
 それでは、澄田参考人からお願いいたします。
#3
○澄田参考人 財政及び国債発行に関する当面の問題につきまして、日本銀行としての考え方を申し述べさせていただきたいと存じます。
 我が国の財政の現状を見ますると、ここ数年、政府における歳出の抑制努力等を通じ、ひところに比べ赤字国債の新規発行額は減少しており、この結果、名目GNPとの対比で見た財政赤字はかなり低下を見てきております。しかしながら、昭和五十年以降、財政赤字が長期化していることから国債発行残高は年々累増しており、その名目GNPに対する比率も今や国際的に見て著しく高い水準にあるほか、歳出に占める国債費の割合も増大を余儀なくされております。こうした点に示されるように、財政が依然極めて厳しい状態に置かれていることには変わりはございません。しかも、今後における高齢化社会の到来を展望すれば、財政需要は増大傾向をたどるものと予想されます。
 こうした観点に立ってみると、財政の弾力性、適応力を回復することは、我が国経済の健全な発展を図る上で引き続き緊要な政策課題であり、赤字国債への依存体質から早期脱却を図るという財政改革の基本路線は、今後ともこれを堅持していくべきであると考える次第であります。
 この点、我が国の対外不均衡是正に関連し、財政を活用することによって内需の振興を図るべきであるとの考え方も見受けられるところであります。言うまでもなく、対外不均衡の是正は我が国の当面する最大の課題であり、今後とも各方面において粘り強い取り組みを積み重ねていかなければならないのは当然でありますが、ただ、内需振興のために財政負担をさらに重くすることに関しては、ただいま述べたような財政の現状から見て政策発動の効果とそのコストを十分吟味することが不可欠である、かように考えます。こうした観点を踏まえて言えば、当面の財政運営については、財政改革の基本路線はあくまでこれを維持し、その大枠の中で財源の重点的、効率的配分などにできる限りの工夫を凝らしていくという方向で対応していくべきであろう、かように思います。
 次に、国債発行の問題に関して申し上げると、ここ数年来、新規債の発行減額が着実に行われてきていることは冒頭に申し述べたとおりでありますが、その点、政府の御努力は多としたいところであります。しかし、六十年度から特例債の償還、借りかえがかさんでいるため、借換債を含めた全体の国債発行規模は相当大きなものとなっている次第であります。幸いにして、これまでのところ、こうした大量発行にもかかわらず市中における国債の消化は比較的順調に推移してきております。これには金融緩和政策が進められてきた中で、企業等の資金需要も落ち着いているという最近の金融情勢が少なからず影響しているものと考えられます。
 しかし、こうした環境が将来にわたっていつまでも続くという保証はないわけであります。今後景気の動向いかんで企業の資金需要が活発になれば、大量の国債発行は民間の資金需要と競合することになり、国債発行の環境も悪化せざるを得ないといった事態も十分に想定し得るところでございます。国債発行に当たっては、市中消化の原則が大前提であることは言うまでもないところでありますが、円滑な市中消化を将来とも確保していくためには、基本的には財政改革を通じ、国債の発行量自体の圧縮に努めていくことである、かように思います。
 それと同時に、国債発行に当たって、市場実勢尊重の考え方を徹底していくことが重要であります。発行条件が市場実勢に即した適正なものであり、投資家のニーズに合致したものであれば、国債の購入に資金が円滑に振り向けられ、市場が梗塞するといった事態は回避し得るはずであります。先ほど申し述べたように、五十年度以降に発行された特例国債の満期が到来し、借換債の大量発行が避けられなくなっているだけに、発行条件の適切な設定ということは一層重視さるべきであります。近年、国債の発行条件は弾力的に改定されるようになってきておりますが、関係者の間でこうした慣行を一層定着させていくことが望まれるところであります。
 最後に、国債の大量償還及び借りかえという環境の中で、日本銀行としては従来同様、国債の日銀引き受けを禁止している財政法の精神を厳に守っていく考えでございます。財政法の精神を遵守していくことこそが、将来にわたって財政面からのインフレを未然に防止していく上で極めて重要であると確信をいたしております。この点を申し添えまして、私の意見陳述を終えたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
#4
○小泉委員長 ありがとうございました。
 それでは、次に宮崎参考人にお願いいたします。
#5
○宮崎参考人 宮崎仁でございます。
 私は、財政制度審議会委員ということで本日意見を陳述するようにということでございますので、そういった立場を踏まえて御意見を申し上げたいと思います。
 また、私は経済審議会にもタッチしておりまして、企画委員会委員長ということで、リボルビング報告の取りまとめ等もいたしておりますので、そういった立場も若干踏まえながら、これから御意見を申し上げたいと思います。
 まず、当委員会において御審議の対象になっております昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保に関する特別措置法、この法案については、私は賛成でございます。
 この法案の内容になっておる三つの問題は、いずれも既にここ数年とられておる措置でございまして、例えば特例公債の発行ということになれば、昭和五十年度以降とられておる措置でございますし、国債整理基金の定率繰り入れの停止の問題も昭和五十七年度以降行われておると承知をいたしております。また、政管健保の繰り入れの問題に関する特例につきましては六十年度以降行われておるようでございまして、この問題について私は、特にそう深く勉強いたしておるわけではございませんが、昨年に引き続く措置であるという意味で賛成をいたしたいと思います。
 ところで、財政制度審議会における財政運営あるいは経済問題に関する論議の過程を通じて出てきておる問題につきまして、若干私見を交えながら御意見を申し上げたいと思います。
 御承知のとおり、現在の財政再建の大きな基本戦略と言われるべきものは、昭和六十五年度までに赤字公債から脱却をするということで、このために毎年度の予算で歳出の削減に大蔵省は大変に苦労されて、それなりの成果を上げてこられたという評価をしてよろしいと思いますが、今回六十一年度予算の審議のために提出されております仮定計算例からもごらんいただきますように、だんだんこの路線を予定どおり成就していくということが相当厳しくなっておる、こう感じております。この仮定計算例を見ますと、一般歳出の伸びを仮にゼロに抑えてこれから運営していくといたしましても、六十二年度以降毎年一兆三千億余の特例公債の減額をしないと達成できないということになっておるわけでございまして、過去数年の状況を見ますと、なかなか一兆円の減額も難しかったという状況から見て、大変厳しい状況であるというふうに理解をいたします。
 また一方では「増税なき財政再建」ということが言われておりまして、これは必ずしも財政制度審議会で言い出したというわけではございませんが、財政審においてもこういった考え方でいくべきであるという意見が大勢であろうと思います。こういった状況につきましても、今申し上げました赤字公債脱却の問題等を含めて議論をしてまいりますと、これを堅持していくということについて相当の苦労が要るのじゃないかと思っております。特にこの数年間予算の編成に当たって、五十七年度はゼロシーリング、さらにそれ以降マイナスシーリングということで概算要求を抑える措置をとっておりますが、こういった予算の編成もある程度限界に来つつあるのではないかと私は考えておるところでございます。今までのような手法だけでやっていくことが果たして資源の適正配分をするという財政の使命から見て適当かどうかという感じは若干持たざるを得ません。
 一方、税制については、六十二年度に抜本改正をするということで現在政府税調それから自民党の税制調査会においてもいろいろ御論議が進んでおるようでございますが、その内容がどういうものになってくるか、私ども非常に関心を持って見ておるところでございます。安易な増税をするということはないとは思いますけれども、一方では所得税、法人税の減税の問題がどうしても必要になるという状況において、果たしてどのような財源増加の措置をとっていただくのか。この状況いかんによりましては経済界に対する影響も相当大きいのではないかと、関心を持って眺めておるわけでございます。
 当面の経済あるいは財政運営について、最近問題になっていることについて若干私見を含めて申し上げます。
 まず本年度の経済見通しの問題でございますが、御承知のように、今年度の政府見通しは実質成長率四%、消費者物価が一・九%増、それから問題になっております国際収支、経常収支ベースで五百十億ドルの黒字というようなことで出されておりまして、これが予算審議の基礎になるということで承知をいたしておりますが、最近出されましたOECDの「エコノミック・アウトルック」によりますと、まずインフレ率については、原油の下落等の問題あるいはドル安・円高という問題もありまして、インフレ率がさらに下がるのではないかということで、八六暦年でございますが、〇・五%という数字が出ております。現時点に立ってみると、果たしてどちらがしかるべきかというと、政府見通しの方もちょっとどうであろうかという感じがいたします。また実質成長率については、政府が四%という数字を出しておりますけれども、これは、民間の研究機関等の数字と並べてみますと政府が一番高い数字でありまして、政府の見通しというのは必ずしも単なる見通してはなくて、政策運営の裏づけを含めてやっていこうということのようでございますからそれなりの意味があると思いますが、OECDは三・二五%という数字を出しております。それほどの違いがあるとは思いませんが、ただ問題は、インフレ率がかなり下がるために恐らく名目成長率は、政府見通しの五・一%というのが果たして実現できるかどうか。きょうの新聞などを見ておりますと、実質成長率よりも名目成長率の方がむしろ下がるのではないかというような問題もちょっと書いてございましたが、もしこれが相当下がるとなりますと、税収に相当の影響が出るのではないかというような心配があるのじゃないかと思っております。
 また経常収支については、五百十億ドルという見通しそのものも相当大きくて大変でございますが、最近における原油の下落等の影響というものがかなり大きな数字になると思いまして、むしろOECDの見込みは七百七十億ドルでありますが、この五百十億ドルが相当ふえるということになると、これまた相当大きな問題になるのではないか。もちろん政府は、経済総合政策とか、さらにいろいろの政策手段をおとりになって、これを適正な水準にとどめるように努力をされるとは思いますけれども、その辺についての運営はなかなか大変であろうと考える次第でございます。
 また、聞くところによりますと、OECDの閣僚理事会において財政の使命について、OECDの事務局が準備したもののようでありますが、財政の中立化といいますか、ニュートラルファイナンシングというようなことが言われておるようであります。その内容は、一般会計、地方財政並びに社会保障基金の合計額とGNPの比率をとりまして、これで見ると日本と西独がイギリスとかフランスとかアメリカに比べてかなり低い。また比率そのものが安定的といいますか、むしろある程度停滞、低下ぎみにあるというような状況から、日本、西独がもう少し内需振興を思い切ってやってもいいのではないかというような議論が出たようであります。これに対しては日本政府代表から相当強い反撃があって、結局結論としては、このような明確なことは書かれなかったようであります。しかし、財政の運営に当たって名目成長率程度には伸ばしていいのではないかというような議論が最近いろいろと出ております。財政制度審議会の議論としては必ずしもこういった伸びについて大勢が賛成ということではございませんけれども、一方では内需振興の問題もあり、こういうことに対して今後どういうふうに持っていくのかというようなところがいろいろ議論の対象であろうと思います。
 また、最近中曽根総理大臣の諮問機関として国際協調のための経済構造調整研究会、経構研、前川報告と言われておりますが、この内容等を見ますと、財政についての記述は、中期的にバランスがとれた経済社会を目指し、機動的な対応を図る。この機動的という意味がどういう意味なのか実は文面だけではちょっとわかりにくいところもございますが、従来のような路線そのものでいいのかどうか、その辺のところについてもこれから議論があるのではないかと思っております。
 以上、若干私見も含めまして、私が感じておる問題点等も申し上げましたが、結論としては、やはり厳しい財政運営を今後とも続けていっていただきたいということを申し上げまして私の意見といたします。ありがとうございました。(拍手)
#6
○小泉委員長 ありがとうございました。
 それでは次に、貝塚参考人にお願いいたします。
#7
○貝塚参考人 貝塚でございますが、参考人として意見を述べさせていただく機会を得まして、光栄に存じます。
 私は大学の教師でございまして、試験問題に対して答えるということはございますので、財確法の内容について具体的に――財政全般につきましては後で御質問がございましたらそのときに意見を述べさせていただきたいと思いますが、財確法につきましては基本的には賛成でございますが、その点について幾つか申し上げたいと存じます。
 六十一年度におきます特例公債の発行につきましては、既にお二人の参考人も言われておりますが、公債依存度は着実に低下しておりまして、例えば実績ベースで申し上げますと、昭和五十四年度というのは全体の公債依存度は三五%でございます。それがほぼ二〇%に下がっております。特例公債の依存度は二二%でございましたが、現在一一%に下がっております。
 財政収支と申しますのは、日本のような経済社会においては歳出の必要性というものはだんだん潜在的には高くなっておりまして、大幅に増税をしないという状況のもとでは一挙には下げられないということでございまして、そういう意味では公債依存度の低下は財政運営において非常に努力が払われたということだと考えております。したがいまして、全般的には公債依存度あるいは特例公債の依存度が縮小の方向にあるとすれば現在そういう道をたどっておりまして、そういう点では評価されるべきであろうと思います。
 ただし、財政体質の改善が非常に進んでいるかということになりますと、ストックの面では何といいますか、政府の負債の残高、借金の残高はウエートがだんだん高くなっておりまして、それに伴って利払い費がふえておりまして、確かにフローといいますか、毎年毎年の収入の面で申しますと状態はよくなっておりますが、債権、債務の関係は必ずしもそうではありませんで、むしろ悪化しているということであります。将来の社会保障は、現在の社会保障は非常に黒字でございますが、政府は社会保障の将来の給付についてある程度の約束をしておりまして、大分先のことでございますが、これをもし仮に負債であると考えますと、相当大変なことであるということでもありますので、フローとしては改善しておりますが、今後ともストック面における改善に留意すべきであろうと考えます。
 以上が主として特例公債の発行に関することでございますが、第二番目に国債の繰り入れ等の停止につきまして多少意見を述べさせていただきたいと存じます。
 現在、日本の財政制度というのは国債整理基金というのを持っておりまして、恐らく先進諸国ではむしろ珍しい事例に属していると思いますが、これは恐らく財政のディシプリンを守るという点では制度的には意味があるし、そうだろうと思います。
 ただし、現状のように公債発行がある意味では恒常化している状況のもとで国債整理基金をどういうふうに運営するかということは、それほど簡単ではないように思います。ですから、現在の国債の繰り入れを停止するということは、平たく言いますと、基金の積み増し部分をやらないということですので、早く借りかえをしなければいかぬということになります。したがいまして、ほかの選択としては、現在で繰り入れしてそのかわり公債発行のフローをふやすかということでありますが、私はここで提案されておりますように、繰り入れを停止して借りかえが少し早くなるということはやむを得ないのではないかと思っております。それによって現在の財政の収支のバランスの方は、新規の公債発行は避けるという方向の方がいいのではないかと考えております。
 三番目に、実を言いますと、今年度は恐らくNTTの株式の売却ということがありまして、思わざる財政収入があり得るわけでございます。
 その点について多少意見を述べさせていただきますと、現在いろいろ先進諸国でも、特にイギリスから始まりましてサッチャー政権、それからレーガン政権、ある意味では現在の日本政府もそうなんですが、民営化というのが非常に盛んになってきております。プライバティゼーションどいいましょうか、理由としては国営よりも民営に移す方が経営の効率性が高くなるということで、それ自体は結構だという気がいたします。恐らくNTTの場合もそういうことであります。それは結果として財源として使えるということであろうと思います。
 しかし、一言多少率直な印象を申し上げれば、余り財源対策的に政府の資産をそういつも売却するのが得策であるというわけではないと思います。これはやはり一時の便法でありまして、要するに民営化してメリットがあるのであればそれはそうでありますが、余り財源対策的にやるのは好ましくないのではないか。多少申し上げれば、日本は経済大国になっておりまして、経済大国の政府がどんどん資産を売っているというのは政府は貧乏になるということでありまして、やはりそこには限度があって、便法としてそういうことはやむを得ないとは思いますが、そういう点で長期的には余りそういうことにウエートをかけるのは望ましくないというふうに考えられます。NTTの場合は、最初申し上げましたように民営化がそれ自身メリットを持っているということでありますので、その点は別に問題ではございませんが、一般論としてはそういうことではないかと思います。
 最後に、財政の今後の見通しということについて一言だけ申し上げたいと思いますが、日本の財政が現在がなり赤字幅が大きいということはそうでありますし、先ほど申しましたように資産、負債の関係で、負債といいますか借金の残高が大きいということもそのとおりであります。ただしその現状において、日本経済において財政の赤字が悪影響を持っているということではありません。インフレは別に非常に鎮静化しておりますし、民間の設備資金とかいうものが締め出されているわけではありません。アメリカ経済の赤字とは日本経済の赤字は随分違った面がございます。
 ただし、現状はそうなのでありますが、そこで議論が分かれますのは、要するに将来の問題で、日本の財政の規模が拡大していくときに現状のようなやり方を続けていって果たして大丈夫かという問題がいつでも最終的には議論の分かれ目になりまして、内需の拡大をするため財政が幾らか力をかすべきであるかどうかというところは、最終的には現状の問題というよりも将来の財政を見込んだときに大丈夫かなというところが問題になっているということでございます。
 財政のことにつきましては、御質問がありました折にまた私見を述べさせていただきまして、とりあえず意見をこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
#8
○小泉委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#9
○小泉委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
#10
○沢田委員 参考人の先生方には大変御多用の中に我々のために貴重な御意見をいただきまして、厚くお礼を申し上げます。また、質問の中には若干失礼な言葉も出てくるかもわかりませんが、その点はひとつお許しをいただきたいと思います。
 最初に財政再建の問題で、皆さん御賛成だ、こういうことなんでありますが、こういう体質を喜んでいいというのではなくて、今の状況ではこれ以外の手はないだろう、仕方がないだろうというあきらめた感覚で賛成だ、こう言っているのじゃないのかなという気がするのでありますが、財政審議会を担当されております宮崎さんは、賛成だと口では言われておりますが、もっとほかに手があればほかの手を模索すべきであって――こういう借換債を出したり、あと十年もたてばもう二百兆にも達する赤字を抱えることは必至なんでありますから、こういう体質がいいとは言えないと私は思うのですね。世の中には悪意の悪と必要悪と善意の悪と、あえて言葉に言えばこういうふうなものがありますが、宮崎参考人としては、どういう立場でこれを是認されるのか、ちょっと根拠を教えていただきたいと思います。
#11
○宮崎参考人 今回の財源確保法の内容に対して賛成と申し上げましたが、特にこのうち国債整理基金に対する繰り入れの停止の問題あるいは昨年から実施をいたしております特例公債の借りかえの問題、これにつきましては、実は制度実施の前に財政制度審議会の中に小委員会が設けられまして、当時の桜田財政審議会長が委員長になられて、かなり集約的な議論が行われました。私もその委員の一人として参画をいたしたわけでありますが、とにかく特例公債の脱却ということは、先ほど申しましたように六十五年度までにやっていくということはどうしてもやっていかなければならない。その際に、特例公債について現金償還をするということにいたしますと、毎年二兆円余の新しい財政負担が生ずる。これではちょっと思い切った歳出削減をやるにしても少し無理が出てどうにもならぬだろう。といって、一方増税ということは今の情勢から見て不可能であろうということから、その小委員会での結論は、この際借りかえということはやむを得ないというのが結論でございました。その借りかえのルールをどうするかということもいろいろ議論されたわけでありますが、これはこうしたら最も理論的によろしいというような方法はございませんので、結局、当面建設公債、四条公債と同じように六十年で償還をするというようなやり方でいくことはやむを得ないだろう、こういうことで財政審としてこの制度を容認しようということになった経緯がございます。
 こういう状況というのは、現在むしろますます厳しくなっておるということであろうと思いますので、私も、ほかにもっといい方法がございますればまたむしろその方を考えた方がいいだろうという御議論もあろうかと思いますが、当面としてはやむを得ないということで、借りかえ問題については賛成を表したわけであります。
 それから、国債整理基金の定率繰り入れの問題でありますが、これもこの数年やってまいりましたので、決していい方法であるとは思いませんけれども、今の六十一年度の財政事情から見ればこれもやむを得ないのではないかということでございます。
 そういった意味で積極的賛成というわけにはまいりませんけれども、当面やむを得ないということで御意見を申し上げた次第でございます。
#12
○沢田委員 なお、若干ちょっとつけ加えてお願いいたします。
 例えば七十四年を例にとりますと、三十兆の要償還額が出る。それに対して、定率繰り入れに今積んでいったとしても三兆円しか積み立てていけない。これは、気持ちは、精神はいいけれども、実効は上がらぬということになるのではないかと思います。いろんな周りの条件は別として、借金返済に、本来なら六万円ずつ住宅ローンを払うのだが、五千円しか払えぬので五千円ずつ積み立てている、おまえよく努力しているからまあいいやという論と同じになりはしないか。やはり六万円返すのには六万円の努力をするというのが繰り入れの原則だと思うのですね。
 今、定率繰り入れのお話が出たから、それをあえて是認をされるとすれば、四十年であるか二十年であるか、そういうことのあれはさておいたとしても、償還期限のときにはその借金に見合うものが積み立てられていく、こういう原則を確立されることが、定率繰り入れを百分の一・六と定めている一つの根拠だと思うのです。だから、そういうようにわずかでも入れていればいいのだということではない。それは根本的な誤りなんだというのが基本的な原点ではないのか。ただ財政上あるいは諸般の事情でやむを得ない、仕方がない、ない袖は振れない、こういうことなのではないかと理解いたしますが、参考人の立場、一生懸命定率繰り入れを入れているからよく頑張っていると褒めておられますが、褒められるわけにはいかぬのだが、しかし零点よりは三点でもとれば、まあ百点には遠いけれどもまだましだ、こういう論理ではないのかという気はいたしますが、いかがでしょうか。宮崎参考人にお願いいたします。
#13
○宮崎参考人 先ほど申しましたけれども、この定率繰り入れの制度に関しては、確かに御議論のようにそういった御意見も当然あるだろうと思います。政府が出しておる法案を見ますと、この定率繰り入れの制度そのものをやめてしまう、そういうのではなくて、当面停止をするということでございますから、原則は残しておきたいということであろうと思います。しかし、その原則が発動できるのはいつなのかということになれば、私は、昭和六十五年度くらいまでの状況というものを見ると条件は非常に厳しいと考えざるを得ません。したがって、せっかく制度として残しておきながら、なかなかその原則に戻れないというような状況が恐らく実情であろうか、こういうふうに考えます。
 そういう意味では先生御指摘のような感じとやや私も似ておりますけれども、しかし、これからの財政運営いろいろと努力をしていただきまして、今すぐとはいかなくても、数年先あるいは十年先ごろにはもっと健全な姿に戻していただきたいということを衷心から希望しておるということでございます。
#14
○沢田委員 諸先生が述べられた中で、インフレがない、こういうふうにおっしゃられました。我々も、インフレはないし、また、これ以上またインフレを求めてはならない、これは絶対の至上命令だというふうに思っております。
 今インフレがない、その原因はどこにあるのかということを、これはたくさんの条件はあると思うのでありますけれども、二、三項目で結構ですが、東京大学の貝塚先生からひとつお答えいただきたいし、それから日銀の総裁からもお願いいたしたい。
#15
○貝塚参考人 インフレが現在鎮静している原因はどういうことかということでございますが、ここに澄田総裁がおられますが、一つは、やはり金融政策の運営が第一次石油危機以降よろしきを得たということではないかと思います。ということは、物価の安定が非常に重要であって、その点で金融当局が非常に配慮されたということが一つだと思います。
 それから第二番目は、やはり原油価格が、昔の予想では原油価格というものはどんどん上がっていくということでございましたが、ところが、OPECのカルテルがほとんど崩壊いたしまして、実を言うと予想以上に、ちょうど第二次石油危機以前の状況に戻りまして、急速に低下したということがあります。ですからこれが、要するに日本がエネルギーとして使っている原油の価格が非常に下がったということで、その結果輸入価格の低落を通じてインフレを抑えるのに非常に役に立ったということだろうと思われます。
 それから、恐らく、産業界といいますか日本の企業は現在の世界の先進諸国の中では、やはり生産性の向上という点では一番すぐれております。ただ、もう少し賃金の方も上がった方がいいんじゃないかという感じもいたしますが、そういう点で、日本の企業の生産性の高さということが製品価格その他を高くならないようにしている。
 そういう三つ、金融政策と原油価格の急速な低下、それから日本の企業の生産性の向上、これは何も大企業だけではございませんで中小企業を含めて、そういうことがインフレを抑えるのに役立っているというふうに考えます。
#16
○澄田参考人 私からは、ただいま貝塚参考人が言われましたこと、それはいずれも私もやはりインフレ鎮静の非常に大きな原因である、かように思うわけでございますが、それに追加するような形で申し上げたいと思います。
 やはり昨年の九月以降をとりますと、円高化が進んだということは輸入物資、輸入原材料の価格低下ということをもたらしたわけでございまして、これは現時点においては非常に大きくインフレ鎮静の作用をなしている、かように思うわけでございます。そしてその需給の関係というものがバランスをしてきているということがさらにインフレ鎮静の基本的な条件をなしている、かように思うわけであります。
 その需給の鎮静という中には、物の需給というのはもちろん大きな要素でございますが、資金の需給というものも大きくバランスがとれているということの中にウエートを占めている、かように思うわけであります。
 資金の需給という点になりますと、今までの財政再建の努力というものは新規の発行の国債を減額をしてきている。非常な努力でありますし、減額の規模は所期するところまで至らなかったというような場合がございましても、しかし毎年毎年の新規発行額というものが減額をしてきているということは、それだけ財政面からの新しい追加の資金の需要というものを抑えてきている、こういう効果があるわけでございまして、この点は資金の需給のアンバランスということを財政面から起こさない、こういう働きをなしてきているという面があるのではないかというふうに思うわけであります。
 金融の面につきましては、先ほど貝塚先生が申されたことでございますので、また従来金融政策を運営してきております日銀の立場から申しまして、今後ともそういう点については資金の需給面、マネーサプライの面というような点について一層の配慮をしてまいりたい、かように存ずる次第でございます。
#17
○沢田委員 六十年度、六十一年度の見方、現時点の見方と、また現時点のものが六十一年度続くかどうかということの見方は違ってくると思うのです。貝塚先生のお話の中で、今資金の需給ということも言われたのでありますが、賃金についてはちょっと遠慮されて言われておったようでありますが、ただ一バレル三十二ドルの時期もこの中にはあったわけですね。ですから、今十ドルの台に来ていれば、これは当然鎮静に大いに役立つのでありますが、三十二ドルのときも乗り越えてきた。一応インフレであった。とすれば、それを支えたものは何だったのだろうかということをもう一回、一歩踏み込まなければならぬのではないかと思うわけですね。そうすると、ではそれは何なんだろうかと言えると思うのです。
 日銀総裁が若干それに触れられたようでありますが、それはまた後でお話ししますが、貝塚先生としては、三十二ドルというインフレを乗り越えた力は何であったのだろうか、その点はどういうふうにお考えになられますか。
#18
○貝塚参考人 今の御質問は第一次石油危機の後のことでございますが、このときには実を言うと相当のインフレでございました。昭和四十九年から恐らく五十一年ぐらいまで消費者物価の上昇率で年率二〇%以上、卸売物価もたしか三〇%近くなりました。
 このときをどういうふうに乗り切ったかということは、金融引き締め政策を非常に強くとられた結果、そこは石油ショックと言われておりますように日本経済には実を言うとかなり犠牲があったと考えます。成長率がゼロとかになりました。したがいまして、この物価安定は必要であったのですが、経済全体についてはやはりかなりの副作用があったと思っております。
 その後、第二次石油危機はうまく乗り切ったわけです。これは恐らく第一次石油危機の経験に徴して早目に金融政策の方で引き締め政策をとって、第一次石油危機の対応が日本はまずかったということは恐らくそうだろうと思いますので、その経験に徴して今言われた第二次石油危機の石油価格の高騰を、三十二ドルと申されましたが、そこはうまく乗り切れたと思います。
 ですから、ちょうど第一次石油危機の苦い経験を踏まえて、全体としてそこを一生懸命やって、特に金融政策、財政の方も締めているわけでございますが、そういうことと、それから先ほど申し上げたように労働界の方も余り賃上げもせずにきたわけでありますが、それもありまして、日本の経済の各部門それぞれが相当うまく対応したのではないかと思っております。
#19
○沢田委員 これで時間をとるわけにいかないのですが、これは日銀の総裁の方からお答えいただきたいと思います。
 インフレを抑えた最大の原因は、私なりの一つの結論では、勤勉さということもありますが預貯金が非常に多かった、国民貯金が。だから、財政インフレを生じなかった最大の理由は言うならば国民の預貯金が赤字国債を支えたし、あるいは財投資金を支えた、こういうことに基本はあるのではないかと思いますが、それがマネーサプライ全体のものに影響していったということだろうと思います。
 もう一つは、やはり先端技術にいち早く乗り出して、今日問題になっておる輸出大国になった。それが今日の状況をつくった一つの、これも幾つかのモーメントはあると思いますが、大きな要素ではないのか。
 時間がかかるので、私の方は実はそういうところに視点を置いてもらって答えていただきたかったという期待を込めて、一言お答えをいただきたいと思います。
#20
○澄田参考人 それには資金の需給のバランスが必要であった、それが日本の場合においてはとれるような状態になってきた。
 その間においては、金融の引き締めというようなことも必要ではございました。また、これに早目に手を打ってくるということも心がけなければならないことであったわけでございます。
 しかし、資金の需給のバランスという根底に、やはり資金の供給面において、日本の貯蓄性向が高い、そういうことで貯蓄がふえ続けたというようなことが他面において十分にマネーサプライの過度の伸びを抑え、そして資金需要、財政面の資金需要さらには民間の資金需要を含めまして、これを賄うことができた、こういうふうなことであろう、私はかように思う次第でございます。
#21
○沢田委員 こういう財政再建の方式は、この「ファイナンス」を見ますと、ずっと七十四年まで延々とこの表は載っているわけなんでありますが、こういう形態をこのままずっと続けていく。六十五年までに赤字国債から脱却をというのが当面の目標ですが、六十五年で赤字国債から脱却できた後の形態はじゃどうなるのだろうか、こういうことについて、我慢に我慢をしてきたのだから、それから借金も出して、そしてまた逆に戻る、そういうことも必要じゃないかという意見もあちこち聞くわけであります。
 その点だけ一言、後の問題と関連しますが、六十五年以後の形態はやはり今の条件下においては引き続きこういう条件を続けていかなければならない、こういうふうにお考えになっておられますか。それとも、六十五年になったら全面見直しなんだというふうにお考えになっておられますか。これはお三方にそれぞれ、六十五年以後はこうだということで、余り長くならぬようにひとつお答えいただきたい。
#22
○澄田参考人 財政再建の目的が、やはり財政の適応力等を回復する、こういうことにございます。財政の使命であります、社会の需要に応じて財政として対応できるという適応力、対応力というものを回復するということにあるわけでございます。
 したがいまして、六十五年以降という場合に考えますと、その財政が対応すべき問題には対応していくということでございますが、今まで我慢したからその分余計にということであってはならない、かように思う次第でございます。
#23
○宮崎参考人 先生おっしゃいますように、たとえ今基本戦略として考えております六十五年度赤字公債脱却ということができたといたしましても、やはり経済の規模が拡大していくに応じて財政の需要もまた拡大していくであろう、常識的にいけば大体名目成長率ぐらいは伸びるのではないか、こういうふうに考えられます。そうなってまいりますと、当然この四条公債等はだんだんにふえてまいるわけでありますし、また、この国債の残高もそれなりにふえていくであろうと思います。しかし、そういうふうに全体は大きくなってまいりますけれども、財政の内容としてはもっと機動的にやれるような姿が望ましいし、またそういうふうに持っていかなければならないと考えます。
 この前提としては、税制がどういうふうになっていくかということもございますけれども、大幅な増税というようなことは到底期待できないだろうという前提に立って考えてみましても、やはり六十五年度以降において、できるだけ早く財政の弾力性、機動性というものを回復するようにしていかなければならない、こういうふうに考えております。
    〔委員長退席、笹山委員長代理着席〕
 一方、国際的な面というような問題もこれからどういうふうに動いてまいりますか、それに応じて日本が世界経済のために果たしていく役割というものもいろいろと大きくなってくると思うのでありまして、そういう面についてどのように対応できていくかというようなことも大きな問題であろうかと思います。
 いずれにしても、財政全体の姿として見れば、確かに一方ではまだ公債も大きくなり、それから残高もふえるということでありますけれども、公債依存率という点では現在よりさらに縮小していって、そしてもっと健全な姿に持っていくということに考えるべきであろうかと思っております。
#24
○貝塚参考人 六十五年度以降ということでございますが、現在のプランといいますか目標が達成されたといたした後は、やはり多少は新規経費などの増加は可能で、財政が果たすべき役割は今よりは幾らか弾力的に対応できるというふうな状況ではないかと思います。
 ただ、財政体質は、そこでも依然としてまだ借金の残高は相当ございますので、それほど簡単ではないというふうに考えております。
#25
○沢田委員 この間、中曽根総理がアメリカへ参りまして、言うなら前川レポートといいますか、経済構造改善という案をレーガン大統領に出してその同意を得た、こういう報道がされております。
 日銀総裁は、当時アメリカに行かれる前であったのか、行っていた期間かもわかりませんけれども、寝耳に水といったのが一般国民の印象、与党の自民党もそう、閣僚もそう、我々もそういう状態であった。この経済構造改善の中身については一切知らされていなかったという状況で、この大統領と、こっちも大統領のつもりになっちゃったのかもわかりませんけれども、そういうことで決めてくるということの中身と決め方というのは、日銀総裁の立場から見て、はてさて弱ったなという感じなのか、いや、結構でしたという感じなのか、どちらなのか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
#26
○澄田参考人 大変難しい御質問でございます。私が、IMFの暫定委員会あるいはG10の会議ということのためにワシントンに一両日滞在いたしたわけでございますが、このときは全く会議だけでございます。ちょうどその直前にいわゆる前川リポートの発表が、日本を立つ日でございましたか、あったという状況でございまして、私自身のアメリカ滞在中には全く、中曽根総理の訪米以前でございますし、この点についての反響、印象というようなものは何も持っておらなかったわけでございます。
 ただ、内容自体、国際調和ということ、それがこれから日本にとって非常に重要であるということと、そうしてそのためには中長期的に日本の経済あるいは広く日本の社会体質というものの構造改善というようなこともその中に含まれていかなければならないということについては、私の私見でございますが、これは必要なことである。そういう意味において、前川リポートの内容自体については評価すべき点が非常に多い、かように存じている次第でございます。
#27
○沢田委員 それは、前川さんはちょうどあなたの先輩ですからね。先輩を誹謗するようなことは仮にもできないだろう、前川さんと一緒に仕事をしてきたわけでありますから。
 ただ、このことの重要性といいますか、産業構造を変革するということについて、これは日銀としては今後大変な影響を及ぼす問題である。これは報道の関係からだけしかわかりませんが、前川レポートについて、構造を変えるということは製品輸入をふやすということである。現在でも農業段階の十二品目は大変難航しております。もしこれが上陸すれば日本の農業はつぶれることは必至であります、現状においては。そういうようなことで、製品輸入をすることによって――円高の問題はこれからやりますが、カメラなどもこのごろは日本じゃ買えない、かえってアメリカの方が安いというようなことすら出ている状況ですね。
 ですから、こういう新たな形てしょうがないというのか、こういう方向は正しいというのか、その点、日本の産業にとっては大変な変革だ。それをどの程度の期間でやることが必要なのか。これは長い、五十年とか三十年かけてやるというなら別でしょうが、今の当面の貿易摩擦の中でやる方法として短期間にこれをなすということは大変な産業の変革であるし、倒産あるいは流動、こういうものが渦を巻くように起きるということは想像にかたくないと思うのですね。その点、総裁としてはどういうふうにお考えになっておられますか。
#28
○澄田参考人 製品輸入をふやすということ、これは前川リポートをまつまでもなく、日本としてはもっと製品輸入をしてしかるべきではないかということは前から外国からたびたび指摘されておったところでございます。そしてさらに最近におきましては、その製品の中には部品を海外で生産をして、そしてそれを日本へ持ってくる、こういうことも含まれるというような情勢でございます。したがいまして、製品輸入自体が増大をしていく傾向自体は今後の趨勢であるというふうに受けとめなければならないことではないかと思います。
 ただ仰せのように、期間についての問題ということになりますと、これはやはり構造変化というには、それに必要な期間というものは要るものである。そうでなければ余りに衝撃を与えるという場合もないわけではない、かように考えるわけでございます。したがいまして、前川リポート、経構研の考え方というのは、これは中長期的なものである、かように承知をしているものでございます。
#29
○沢田委員 次に、内需を拡大するためには、この財政再建のこういう厳しい状況の中でどういう方法とどういう方法をとったら内需拡大に向かっていけるのか。御三方から、これとこれとこれだと三つくらいで結構でありますが、政策目標としてこういうことをやったらどうかという御提言があればひとつ教えていただきたい、このように思います。
#30
○澄田参考人 先ほど私、冒頭陳述の中で、内需拡大は財政負担を重くするということではなくて、財政改革の基本路線はこれをあくまで維持して、その中で財源の重点的、効率的配分、これにできるだけ工夫を凝らす、こういうことを申したわけでございますが、抽象的な言い方ではございますが、やはりそれが第一ではないかというふうに思います。
 そしてこれに加えまして、いわゆる民活と言われております民間の創意あるいはエネルギーあるいは資金というようなものを活用する、うまく引き出していくということを考えるべきではないか。これとの関連ではございますが、規制緩和というのはやはりそういう意味で重要ではないか、かように考えるわけでございます。
#31
○宮崎参考人 私も今総裁のおっしゃったことと大体同じようなことでございますが、当面の内需振興策ということになりますと、つい最近、政府が総合経済対策ということで具体策を発表しておられますが、その内容としては、一つはやはり金融政策の問題である。これは総裁を前に置いて大変恐縮でありますが、三次にわたって非常に機動的に金利の引き下げが行われたということは、何としても相当大きな効果が期待できるのではないかと考えます。
 それからさらに、通常内需振興というと常に公共事業の拡大とか促進とかいうことが言われるわけでありますが、先ほどから御議論のような財政事情のもとでは財政が主体性を持って内需振興に役立つようにすることは事実問題としてなかなか難しいということもありまして、公共事業の前倒しの問題であるとかあるいは地方公共団体における単独事業の拡大とか財政投融資の問題とかいうようなことでいろいろ工夫をしておられるようであります。私自身この効果はそれほど大きく出るとは期待はいたしませんけれども、やはり住宅対策その他を中心に進めていかなければならないのであろう、こういうふうに考えます。
 それからもう一つの問題として、規制緩和ということでいろいろの具体策が行われております。特に市街地開発問題であるとかあるいはいろいろの公共投資のプロジェクト実施に当たりまして、現在あります各種の規制が相当大きな制約であることは間違いないと思います。こういう面については、実際に具体策となると各省それぞれの権限もございますのでなかなかそう簡単にできないというのが従来の実績であったと思いますけれども、こういう時期に思い切ってこういう面にメスを入れていただくということは大変結構なことじゃないかと考えております。
 以上、三点ほど申し上げます。
#32
○貝塚参考人 お二人の参考人が言われましたこととほとんど重複いたしますが、一つはやはり金融の緩和ということ、それから財政の制約がございますが、もし必要ということになれば重点的に住宅投資、要するに財源を使って有効に需要が喚起できる分野というところに限って行うのがよろしいのではないかと思います。大体それくらいでございます。
#33
○沢田委員 私の期待している答えが出てこなくて、どうもすれ違いになっていて甚だ残念です。減税をやれとか労働時間が長過ぎるからもっと縮めなければいかぬとか、そういう提言があってしかるべきではなかったかという気がすをのでありますが、住宅政策のお話が出ましたから、総裁と貝塚先生にお伺いします。
 今の日本の土地政策の状況で、住宅の金利を一%、二%下げたからといって果たしてそれだけ土地が求められ、住宅が建つという条件が今の勤労者の生活、所得であり得るとお考えですか。総裁と、今、住宅だということをおっしゃられた貝塚先生に若干その辺の見解をお伺いしたい。余り長くなると時間がなくなりますから、ひとつ簡単にお願いします。
#34
○澄田参考人 いろいろの制約の中で非常に難しいことではございますが、しかしながら、例えば住宅のローンの金利が下がるというようなことは、住宅取得の上においてはそれだけ条件が緩和されることは間違いがないところであろうかと思います。また、住宅減税というものもそれなりの効果はあるというふうに思うわけでございます。
#35
○貝塚参考人 住宅対策で本当にどの程度需要が出てくるかというお話でございますが、確かに東京のような状況を考えてみますと、それはかなり難しいということはあるのかもしれません。しかし、東京は必ずしも日本全体の典型でもありませんで、やはり地価というものは地方地方で随分違います。したがいまして、それなりに住宅対策の効果はあるんじゃないかというふうに考えております。
#36
○沢田委員 続いて時間の関係で、澄田総裁がやってこられたことでお伺いしますが、この間の第三次の金利の引き下げは、何とか円相場を百八十円台で保持していきたいという期待を込めてアメリカと日本が共同の歩調をとりながらやっていきましょう、こういう趣旨だったと思うのですが、その点はどうなんでしょうか。
#37
○澄田参考人 やはり内外の諸情勢、その中には物価や為替相場あるいは景気というような問題も含めまして、その総合的な判断の上に立ちまして先般の公定歩合の引き下げを決定したわけでございます。そして、為替がより安定するように、そういうふうなことも我々が考えるうちには要素になっておったわけであることはもちろんでございます。
 ただ、特定の為替相場の水準というようなことは、これは前々から申し上げておることでございますが、そういう水準を想定してということではないわけでございまして、ニューヨークのG5のときの合意にございますように、為替相場が各国経済のファンダメンタルズをよりよくあらわすようにという、そういう機能を果たすように、こういうことを常に今まで目標にしてきた次第でございます。
#38
○沢田委員 そうすると、どの程度まで百八十円ということはお互いの約束――これはすべきものでもないし、また触れられるものでもないかもしれませんが、その辺の相場の中で世界経済の均衡と調和といいますか発展というものを考えよう、そういうアバウトな話の中ではほぼそういう線で来たのだろうと思うのです。百八十円という重箱の隅のような数字できちっとという意味じゃなくて、アバウトな話としてはその付近が望ましいという期待を込めてお互いが話し合ってこられたものなんだろうと我々推察する。
 では、逆に、今の円高は妥当な円高の相場なんですか。どうなんでしょう。
#39
○澄田参考人 昨年九月、ニューヨークでのG5の会合におきましては、為替相場が対外不均衡の、これは黒字も赤字も含めての対外不均衡でございますが、その調整にもっと有効に働くべきである、そのためには為替相場が各国経済のファンダメンタルズをよりよく反映すべきである、こういう合意のもとにスタートをしたわけでございます。そういうふうなことによって、それまでずっと続いたドル高の修正というものが相当程度ここで進んできた。その成果というものはことしの一月のロンドンのG5においてさらにこれを評価されて、そしてこれが後退するようなことがあってはならない、今後ともこれを継続していく、こういうことであったわけでございます。
 相場が、ある特定の相場が適当であるかどうかというような点につきましては、これはとりわけ為替のいわば市場に密着をしている当局者の立場として、いかなる水準が適当であるかというようなことに対してのコメントを申し上げることは避けさせていただきたい、かように存ずるわけでございます。
#40
○沢田委員 十億ドルも日銀さんが介入してドルの相場を支えだということは、頭隠してしり隠さずということで、やはりそれは困るなということがあったからこそ介入したのだろうと思うのです。これは答弁は必要ないと思うのですが、介入した趣旨は、やはり急激な円高は日本経済に好ましくないということがあったからだと思うのですが、そうでしょう。
#41
○澄田参考人 基本的な基調といたしましては、日本の大幅な対外不均衡の是正を図るために円高基調というのが望ましい、こういう立場は常に維持をしているところでございます。しかし、余りに急激に動くというようなことは日本経済の対応を困難にするという問題がございます。したがいまして、当面におきましては安定をすることがより望ましいところである、かように考えている次第でございます。
#42
○沢田委員 ある新聞に、急騰歯どめなしとして、夏までに、例えば東銀の為替資金部長、第一勧銀さん、富士銀行さん、住友信託、三菱、第一生命、三菱商事、野村総研、こういう人たちのほとんどが、円の相場は大体百六十円ぐらいで、そういうふうに言っています。総裁からは、それはいいとか、いやそれは間違っているとか言いにくいけれども、そういう事実はお認めになられますか。
#43
○澄田参考人 変動相場でございますので相場はかなりいろいろと動く、それに伴いましていろいろな予測等が出ているということはよく承知をいたしておるところでございます。
#44
○沢田委員 これは、ある新聞にこういう言葉、「アメリカで六万を踏み大見えを切った中曽根首相。ポンと胸をたたき、「ヤスは男でござる」。歴史的転換期でござる。日本経済を、輸出型から輸入型に必ずやしてみせましょう。「待ってましたッ」と大向こうから声をかけたのは本物のダイトウリョウ。あんまり調子が良すぎるので、眉にツバをつけてみたくなるところだが。」こういうふうなことでありますが、ある程度皮肉も入ると思いますけれども、言われております。
 こういうことで、総裁の両肩にかかっている今度の重さというものは極めて大きいと思うのです。だから、急激な円高になっていくことを食いとめるためにはどうしても介入せざるを得ない、それにはアメリカも一緒に金利を引き下げてもらいたい、こういう期待は持っておられると思いますが、その点はいかがですか。
#45
○澄田参考人 先ほども申し上げましたように円高基調は望ましいことでございますが、しかし急激な為替の動き、最近の、殊に先週半ば以降の動き等はかなり思惑を交えて急激な動きでございますので、こういうような動きに対しては、これはできるだけ安定することが望ましいという考えで対応をしている次第でございます。
 今御指摘のような日本の経済構造を輸入というものの多い形に変える、そういう転換というものを含むと、これは単に為替だけの問題ではないというふうに思うわけでございますが、やはりそういう中長期的な問題の背景にも、円高基調が続いている中で行われるということが今後展望されるところではないか、かように思う次第でございます。
#46
○沢田委員 こう円高、百六十円台の円高で日本の産業で生き残れるものと生き残れないもの、業種の中においてもでこぼこはもちろんあると思うのですが、総裁として見ると、やはりこれは相当影響が出てくる、百六十円ではとても輸出産業はもたないとお考えか。鉄の関係もしかり。非鉄金属、電機、自動車、それぞれ挙げていくと切りがないくらいでありますが、ざっと見ても百六十円では恐らく太刀打ちできないのじゃないか、こういうふうに一般的に言われておりますが、総裁としては、この日本の輸出入の状況で、五百億ドルも抱えているのだから少しは忍の一字でこの点はやむを得ぬ、そういうふうにお思いになっておられるのか、あるいは他に方法を見つけようと考えておられるのか。その点、若干アバウトな話でありますけれども、この影響力と、それからそれに対応する対策、こういう意味でお答えいただきたいと思います。
#47
○澄田参考人 円高が進む過程におきまして輸出企業の輸出数量が抑制されるあるいは輸出による収益が圧迫されるということは、これは起こらざるを得ないことであるわけでございます。その結果として、ある程度輸出から内需へ転換をする、そういう転換というものも、業種により、また企業により行われていくということも、今後これが余りに急激であり、あるいは一時に集中するということがあれば大変な問題でございますけれども、期間をかけてそういうことが行われていくということは、これも今後の傾向として認めざるを得ないところではないか、かように思う次第でございます。
#48
○沢田委員 じゃ、アメリカのベーカー財務長官との会談で、これは竹下さんに聞かなければならぬことなんですが、これはまたもう一回別なところで聞きますが、そのときに為替の安定化についてはほぼ合意した、百八十円台の水準維持に自信を深めていた、そして日本に帰ってきてもほぼその線でいけるだろう、こういうふうに新聞紙上等にも発表されていたと思うのです。総裁、こういうことは御存じですか。
#49
○澄田参考人 私も同じ時期にワシントンに参っておったわけでございますが、ただ、これは非常に会議が多い中で、竹下大蔵大臣は国会の関係もあり早急に日本に御帰国になるということで、その間にベーカー財務長官と会われまして、会われたときあるいはその直後、私は別な行動をとっておりました。その後もお伺いをする機会はございませんでした。したがいまして、その内容等については私は承知をいたしておらないものでございますが、ベーカー長官の考え方には、為替の急激な変動というものはやはり好ましくなくて、徐々の変化ということであるならば、それはドル高の是正ということは望ましいことである、こういう考え方が常にあるということは承知をいたしております。
#50
○沢田委員 そうすると、今言われた御発言を聞くと、方向としてはそういう方向へ行くのだが、今の食い違いが起きている現象というのは、そのニュアンスの違い、片方は急激に下がって片方はそんなに速くは行くとは思わなかった、そういう食い違いだとお考えになっておられますか。
#51
○澄田参考人 どうも憶測で申し上げるのは非常にぐあいが悪いわけでございますが、為替の安定というようなことを考えますと、そういう言葉が使われたことを考えますとやはり為替の変化のスピードというような点についての話ではなかったか、かように思うわけでございます。
#52
○沢田委員 そうすると、総裁の立場もありますから、純粋の日銀総裁ということの身分には変わりがないわけですから、それ以上微妙な発言というのはなかなか困難だろうと推察はいたします。しかし、参考人ということで、日銀総裁の肩書をちょっと外してみてもらって物を言ってもらおうか、こういうふうに思ったわけでありますが、ただ、パリのOECDでも十八日にアメリカのマルフォード財務次官補が日本の記者団に対して、日本は全く孤立していると言った。そして、日本の評判は悪いというその中に、マルコスなんかの例のようにひもつき援助を盛んにやっておる、そういうことが結果的には貿易摩擦を生じている原因の一つである、そういうふうに西ドイツを含めていろいろな国々が言っておるというふうに言われております。これも日本に対しては厳しい批判の一つとして受けとめていかなければならぬだろう、こういうふうに思います。
 これは財政の制度を含めてお答えいただきたいと思いますが、宮崎参考人、澄田参考人からひとつお答えいただきたいと思います。
#53
○宮崎参考人 最初の意見のときに若干申し上げましたが、私が伺っておりますOECD閣僚理事会での雰囲気ということでありますと、今回は原油の大幅な下落によりまして先進国経済に相当大きなプラスが出るということが言われておりますが、そういった雰囲気が参加各国の閣僚の意見等にもやはり大きく反映しておったようでありまして、非常に心配しておったような厳しい雰囲気はなかった、こういうふうに伺っております。そういう意味では、日本の今の貿易摩擦問題に対してのいろいろな批判とか、そういうことが相当厳しく出るだろうということで準備して行かれたようでありますけれども、比較的その点は穏やかであったということだそうであります。
 財政面については、先ほどちょっと申し上げましたけれども、日本の今の財政運営、財政再建ということに対して理解は示していただいたようでありますけれども、ただ考え方としては、財政が景気の足を引っ張るというような格好はどうであろうかという意味で、財政の中立化というようなことが言われたように拝聴いたしております。ただ、これは相当大蔵省が強い反対をしたんだろうと思いますけれども、最後にまとめられたコミュニケにおいてはそういった明確な表現は消えてしまっておるということでございまして、今後またいろいろの機会に議論が出るのかな、こういうふうに感じております。
#54
○澄田参考人 何分にも日本の貿易収支及び経常収支の黒字幅が非常に大きい。ドイツが日本に次いておりますが、しかしドイツの規模は日本から比べますと規模的にははるかに小さい、こういうことでありまして、日本あるいは日独二国が世界の貿易バランス、経常収支のバランスの中で黒字の非常に大きな部分を占めているということに対してはやはり批判の声が非常に強いというのもやむを得ない面があるわけでございますが、我々もそれは受けとめなければならないところであるというふうに思うわけであります。
 全体といたしましては、原油の値下がりを含めまして、世界経済が、今宮崎参考人も言われたように、昨年よりはことしの方が好転をしているという雰囲気の中で、そんなに厳しいものではないですが、しかし、今の問題というのはやはり指摘をせざるを得ない、そういうことであったかと思うわけであります。しかも、その原油の値下がりというものは、日本、次いではドイツにさらに大きなプラスになる、黒字の幅を拡大をする、こういうことであるだけに、一層そういうことではなかったか、こういうふうに思うわけでございます。
#55
○沢田委員 どうもありがとうございました。まだ若干ありますけれども、あと若干の時間で、私の方から提起する問題にお答えいただきたいと思います。
 日本は、先進国では労働時間二千時間を超えている唯一の国であります。何とか二千時間以下に下げたいと私たちは考えておりますが、その点は三人の参考人の方々は現状やむなしという考えですか。せめて週休二日制はサミット前からでも実現をするというくらいの意思は持っていいんじゃないかという気がするのですが、その一言ずつ、どちらを選択されるかお答えいただきたいと思います。
#56
○澄田参考人 労働時間の短縮、その一つとして週休二日制ということをやはり日本は進めていかなければならない、かように思う次第でございます。
#57
○宮崎参考人 私も、今澄田総裁のおっしゃったことと大体同じでございますが、若干申し上げてみますと、先ほど申しました経済審議会で、今度は「展望と指針」という格好になっておりますが、これのリボルビング報告という形で見直しをいたしております。今回の見直し作業は、一月にリボルビング報告として経済審議会から報告をされておりますが、この中に労働時間問題について二千時間以下を目標にしてやるべきであるという提言を実はいたしております。そういったことから見て、今後の運営としては、やはりそういう面をできるだけ早く実現していくようにすべきであると考えております。
#58
○貝塚参考人 週休二日制をなるべく早く実現した方がいいと考えております。
 それは要するに、現状ではどうしても休みが正式にありませんと毎日毎日超過勤務で働くということがありまして、休みにしますと、これは休みの日は超過勤務がないわけでありますから、制度的にそうしてしまうのがいいというふうに私は思います。
#59
○沢田委員 続いて減税でありますが、我々、何とか年内にも一兆二千億程度あるいは戻し税減税でもやらなければならぬだろうというふうに主張もし、与党の方でも若干考慮をする余地を示している。内需の拡大には、もう春闘も終わりましたからこれから賃金の値上げは難しいでしょうが、減税は可能でありますから、その点に対するお三方の御意見を伺って私の質問を終わりたいと思うのであります。弾性値を考えて、総裁なんかはそれは二兆円くらいやらなければ恐らく内需の拡大はできないのではないかという御回答が出れば幸いだな、こう思いながらひとつお願いいたしたいと思います。
#60
○澄田参考人 六十二年度に抜本的な改正を行う、そういうことで政府は進めておられ、またそれで政府あるいは自民党の税制調査会というようなところで検討が行われているというふうに承知をいたしております。
 内需拡大という見地から申しまして、それに減税が有効であるということは私も十分そういうふうに考えるものでございます。
#61
○宮崎参考人 現在の非常に厳しい財政事情、今後数年間も恐らくそういった状況が続くという状況から見まして、大幅な減税をしていくということの難しさはよくわかっておりますけれども、しかし、六十二年度を目指して抜本改正ということで今いろいろ議論が進んでおるようでありますが、特に所得税、法人税等についてはやはり相当の減税をしていただきたいものであるというふうに考えます。その見返りの財源をどういうふうにするのかということはいろいろ御議論が多いことと思いますけれども、今回の機会にそういった面で相当是正をしていただきたいと考えておる次第でございます。
#62
○貝塚参考人 減税は、先ほどいろいろ御議論がございましたように、結局、為替レートがどれほど急速に下がるかというふうなことが恐らく相当重要なファクターではないかと思います。ですから、為替レートが安定的に推移すれば内需拡大というのはある意味ではそれほど積極的にやらなくても済むというところにかかっておるのではないかというのが私の意見でございます。
#63
○沢田委員 どうもありがとうございました。
 以上で終わることにいたします。
#64
○笹山委員長代理 柴田弘君。
#65
○柴田(弘)委員 きょうは、各参考人にはお忙しいところを貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。
 私は、今沢田委員の方からも御質問がありましたが、当面の最大の課題であります円高問題について御質問をさせていただきたい、このように思います。
 一ドル百六十円台という史上最高値を記録したわけであります。質問の途中ちょっと失礼なことを言うかもしれませんが、どうかひとつ円高不況に悩む中小企業の悲痛な声だ、こういうふうに御理解をいただきまして、お許しをいただきたい、このように思います。
 そこで、きょうの東京市場、先ほど私の方に報告がありましたが、百六十六円七十五銭でスタートをいたしました。そして円の新高値が百六十六円六十五銭、このように記録をされました。総裁も御承知かと思います。日銀が十時五十分に介入をいたしまして百六十七円八十五銭まで戻したというわけであります。昨日、ニューヨークにおきまして、ベーカー財務長官がドルの下落は秩序立ったものである、つまりドル先安感は非常に根強いものだ、つまり円高というのは根強い、こういうような発言をいたしているわけであります。
 まず最初にお聞きしたいのは、日銀が一生懸命に単独で介入しても一向に円高是正というのはされない、こういった状況について、総裁どうお考えになりますか。
#66
○澄田参考人 介入問題につきましては、私など、何と申しましてもやはり当事者でございますし、市場に非常に影響を与えることでございますので、介入についてはいかなるときにいかなるような介入をするあるいはまたそれに対してどういう効果を期待をするということまで含めまして、介入について私の口から申し上げますということは、これはどうしても差し控えさせていただきたい、かように思うところでございます。
 ただ、今の御質問に関連いたしまして、昨年九月のニューヨークのG5以降、介入が行われ、それは協調介入という形のものもございましたし、その中には単独介入というものもございました。全体としてドル高の修正ということが進んできたわけでございます。これは円だけではなくてほかの通貨の関係においてもそうでございますが、そのときにはドル高の行き過ぎということは、市場を含めまして全体にそういう空気が既にみなぎっておった。そういう中でニューヨークのG5の会議が行われ、合意が行われたということで、ドル高はそういう状況の中で急速に介入の効果が発揮をされ、ドル高修正が行われた、こういうことであると思います。したがって、市場の状況によって介入というものの持つ意味合いも違ってくる。介入というのはそういう意味で市場の動きと非常に密着をしているものでございます。それだけ申し上げさせていただきます。
#67
○柴田(弘)委員 総裁、期待するのは日銀の介入じゃありませんか、ドル高修正への逆介入といいますか。
 しからば、国際的な日米協調の介入というのはできますか、どうでしょう。
#68
○澄田参考人 先ほど申し上げましたように、そういう点について私から申し上げるということは差し控えなければならない、こういうふうに思うわけでありますが、G5以降極めて密接に各国の通貨当局との間で連絡をとり合っている、市場の状況、それに対する対応の仕方、それぞれについて連絡をとり合っているという状態でございます。
#69
○柴田(弘)委員 連絡をとり合っているとおっしゃっているわけでありますが、要するにこの四日間連続の急激な円高、これは今、日銀総裁も沢田先生の質問に対して、こういった急激な円高というのはいかないことである、為替相場の安定が望ましい。これは総裁だけではなく、終始一貫政府側の答弁でもあるわけであります。ところが、この四日間連続の急激な円高を見てまいりますと、アメリカのレーガン大統領が貿易不均衡の是正のためには円高が望ましい、こう発言して新高値になったのですよ。あるいはまたベーカー財務長官が先ほど申しましたような発言をしている。つまり連絡をとり合っていわゆる国際的な協調体制を組んでいると日本側が思っておっても、アメリカの方はより一層の円高を望んでいるわけであります。それがこういった発言になる。そのたびに市場が敏感に反応をして、そして商社、銀行の投機筋がやっているのじゃありませんかね。そういうことだから、協調、協調と言いますが、本当に協調がなされているか、私はこれは極めて疑問である、こういうふうに思います。くどいようですが、どうでしょう。
#70
○澄田参考人 最近の為替相場の動きの中には極めて思惑的なものを含めて市場が動いております。市場のセンチメントというものがそういうふうな状況でございます。したがいまして、いろいろな発言がそれに敏感に作用するということは今おっしゃったとおりでございます。
 私が先ほど連絡をとり合っていると申しましたのは、広い意味の協調ということでございまして、いわゆる協調介入という意味で私が連絡をとり合っていると言ったわけではございません。市場の働き、これに対する対応について常に連絡をとり合っている、こういうことでございます。
 そして、日本が介入をするということ、あるいは日本がニューヨーク連銀に委託をいたしまして、そしてニューヨーク連銀が日本の委託を受けてニューヨーク市場で動くということについては、アメリカ側はこれについて完全に了解を与えておる、こういうことでございます。
#71
○柴田(弘)委員 いずれにいたしましても総裁、私思います。日銀の単独介入だけではこれはもう支え切れない、しかも、日米国際協調というのは、それの介入というものはできない、今はこういった状態でないかと私は判断をいたすわけであります。まことにくどいようでありますが、もう一言お願いします。
#72
○澄田参考人 米国の通貨当局におきましてはドルが暴落をするということに対しては極めて警戒的でありまして、そういうことはどうしても避けなければならない、こういう考え方でございます。したがいまして、暴落につながるような動きに対しては極めて警戒をし、そういうことにならないようにするという考え方は持っておると思います。したがいまして、今の為替市場の動きがそういう暴落に至るようなものではない、こういうような判断ではなかろうか、こういうふうに思っておる次第でございます。
#73
○柴田(弘)委員 そうであるならば、今の百六十円台、最高値をつけたわけであります。これは質問しても御答弁がいただけないと思いますが、行き過ぎは困るんだ、円の安定が望ましい、こうおっしゃるならば、一ドル百八十円が妥当なのか。これは日米合意ができたとかできぬとかということでありますが、一体どの程度が妥当だ、こういうふうにお考えになっているでしょうか。
#74
○澄田参考人 特定の為替の水準ということは私どもは申しておりません。為替相場がより経済のファンダメンタルズをあらわすべきものである、こういうような考え方に基づいて昨年の九月以来対応してきているものでございます。したがって、ある特定の水準を指してそれが望ましいかどうかという点についてのお答えは申し上げかねる次第でございます。
#75
○柴田(弘)委員 そういたしますと、経済のファンダメンタルズですか、これを志向していくのが望ましい、こう言うのならば、今の百六十円台のこの相場というのはそれを反映していないと判断していいですか。
#76
○澄田参考人 私が現時点においてはより安定が望ましいと申しますのは、急激な動きということは対応を非常に困難にする問題でございますので、急激な動きをできるだけ避けて、安定した動きになるということを期待している次第でございます。
#77
○柴田(弘)委員 幾らで安定するかということを聞きたいのですが、それはお答えにならない。そうしますと、少なくとも今の百六十円台、連日の新高値、これは急激で行き過ぎだ、不安定だ、こういう理解でよろしゅうございますね。
#78
○澄田参考人 思惑の部分を含めて非常に急激な動きであって、そして市場は不安定な状況である、かように思っております。
#79
○柴田(弘)委員 しからば、円高が、不安定でありますから修正されますでしょうか。また、修正するために通貨当局としてはどのような方針で臨まれるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#80
○澄田参考人 先ほども申しましたように、介入も必要に応じては適時適切に行わなければならないことであると私どもは思っておりますが、市場はいろいろな要素によって動くものでございまして、変動相場というのは変動するという性格を持つものでございますが、変動しながらも、荒っぽい、急激な、不安定な動きができるだけおさまるようにと考える次第でございます。
#81
○柴田(弘)委員 非常に失礼な御質問をして恐縮だと思っておりますが、御容赦ください。
 観点を変えまして、私は、今回の為替相場の適正水準については日米の合意がないと考えております。そして、協調介入も非常に困難なのではないか。ここで初めて為替相場水準について日米の思惑の違いが鮮明になった。つまりこの通貨問題で日本は孤立した局面に立ったのではないかと判断いたします。これは、もし御意見があればお聞かせいただきたいのですが、御答弁いただかなくても結構です。
 もう一つは、産業界に言わせれば、今やこの円高は企業努力の限界を超えた、これははっきりしている。しかも、輸出型中小企業、例えば繊維関係は採算ラインが百八十円、陶磁器は二百円から二百十円、刃物業界は二百円、こう言っております。でありますから、今回の金融政策も一時しのぎであり、今回の円高は政策的なものだと思いますので、こうした行き過ぎた円高の責任は政府、日銀でとっていくのが本当であろう、こういう考え方を持っておるわけでありますが、御意見があればお聞かせいただきたい。
#82
○澄田参考人 最初におっしゃられたことについてでございますが、G5以降の各主要通貨当局の間の連絡関係、協調関係というものは今後とも続くものであり、また続けていかなければならないものである、かように思っております。
 それから、円高の各業種、企業に対する影響の問題でございますが、時間をかけて対応する問題であろうと思いますし、必要な状態においては転換ということも含めて対応していかなければならない問題である、かように思う次第でございます。
#83
○柴田(弘)委員 それから、今、投機筋というお話が出ました。アメリカはこの一―三月の経済成長年率三・二%。これは確かに景気がよさそうに見えるのですが、中身を見てみますと、民間設備投資はマイナス十三・六%であります。たしか最終需要もマイナスになっておったと思う。結局、アメリカ経済というのは余りよくない。でありますから、もっともっと金利も引き下げなければなりませんし、そういった観点で、商社あるいは銀行筋が、協調介入もないであろう、あるいは日銀の介入というのも怖くない、だからより一層投機的な為替市場を形成しているのじゃないか、こんなふうに思います。
 それから、公定歩合を〇・五%引き下げました。これは円高、円急騰を回避して景気を刺激する目的であったわけでありますが、皮肉なことに円急騰を回避するどころかますます円高になりまして、こういった日米の金利の協調引き下げというものが円高と同時進行形になった、こういうことであるわけであります。この辺はどうでしょうか。第三次公定歩合の引き下げが円高と同時進行形になった、こういう現象についてどう判断していらっしゃいますか。
#84
○澄田参考人 前二回に引き続いて今回三回目の公定歩合の引き下げを行いました。その目的とするところは、これによって内需の一層の拡大を図りますとともに対外不均衡の是正に資するという意味合いを込めて、円相場がより安定したものになるということも含めて、総合的な判断に立って実施したものでございます。
 たまたま、先週半ばから世界的にドルの全面安といったような地合いが為替市場において進んでまいりました。センチメントもそういうふうな状態になってきたわけでございます。その中には、今御指摘のアメリカの当面の経済指標が必ずしも強いものではない、アメリカ経済は、ドル高修正が進んだことのメリットあるいは石油の値下がりのメリット等もあり、後半にはある程度回復するとしても、当面の足元においては必ずしも経済の状態が強くないというようなところが市場に影響して、アメリカの金利先安ということも市場に影響している、こういうふうに思うわけでありますが、いずれにしても、市場がそういうふうな、円高だけでなくて、マルクその他を含めて全面的なドル安地合い、こういう中であったということであるわけでございまして、第三次公定歩合の引き下げ自身、あるいは一次、二次もそうでございますが、これは当面の市場というよりも、ある程度の期間を置いて見た場合に為替相場がより安定するということに資するものである、かように思っている次第でございます。
    〔笹山委員長代理退席、委員長着席〕
#85
○柴田(弘)委員 今回の公定歩合引き下げについては、第二次の公定歩合の引き下げ効果を一遍見守りたい、こういう考え方も日銀内部にはあったのじゃないかと思います。ところが、アメリカの方が景気がそういう状態でありますから、やはり公定歩合を引き下げなければならない、それは協調利下げ、こういうことでありまして、こんな言い方をして恐縮でありますが、アメリカの金利引き下げへの追随引き下げをしたのではないかというような気持ちを多少私は持っているわけであります。
 それはともかくといたしまして、本当に公定歩合引き下げの効果というのはあるのでしょうか。金融政策だけで内需拡大があるのでしょうか。つまり、景気刺激策の面では、銀行の貸出金利というのは既に限界近くまで低下していると思います。企業資金はだぶついております。投資意欲、設備投資、これは景気の先行きに非常に不安がありまして盛り上がっていない、それに加うるに円高不況というのは今後ますます厳しくなる、こういう点を考えてまいりますと、実際の効果というのは余りないのではないかというような心配をいたしておりますが、いかがでしょうか。
#86
○澄田参考人 金融政策は、直接的に需要をつくり出すというものではございません。金利を通じて間接的に作用するものでありますので、その効果を量的にはかるということは、常にそうでございますが、困難でございます。私どもといたしましては、今回の措置が一月及び三月の公定歩合の引き下げの効果と相まちまして金利水準一般の低下を促す、企業の借入コストの低減という効果をもたらす。貸出金利も限界というお話も今ございましたが、今回の引き下げによってさらに金融機関の調達コストも下がる、そうして貸し出しの方の金利も下がるということは、これは当然に期待できるところでございます。こういった企業側の借入コストの低減を通じて、企業の設備投資やあるいは家計の住宅投資等にもよい影響を及ぼすほか、企業収益面にもプラスの効果がある、企業マインドの面でも好材料である、こういうふうに考える次第でございます。政府で決められた総合経済対策とも相まちまして、内需拡大の効果を十分に期待できるものである、そういうふうに考えておる次第でございます。
#87
○柴田(弘)委員 先ほどもお話がありましたが、OECDの八六年の経済見通しては、日本は実質成長率三・五%から三・二五%へ下方修正をいたしました。四%成長というのは達成される、こういうことでありますが、金融政策というのは、やはり景気の面では量的な面の拡大というのは余り期待できない。この金融政策と相まって何らかの財政支出等による内需拡大策、こういうものが不可欠ではないかというふうに私は思います。これは昔の話でありますが、現実に、四十六年のニクソン・ショックとか五十二年あるいは五十三年のカーター・パッケージと同じような財政の出動、いわゆる減税というものが当然ここで考えられなければいけない、あるいは公共投資の拡大、補正予算措置による追加措置、こういった面も、将来を展望した場合には金融政策と相まって必要になってくる可能性がある、私はこのように判断をいたしておりますが、この辺についてもひとつ御意見があればお聞かせいただきたいと思います。
#88
○澄田参考人 先ほど、冒頭の参考人としての陳述でも私は申しましたが、財政政策につきましては、今後とも赤字国債への依存体質からの早期脱却を図るという意味において、財政改革の基本路線というのはやはり維持して、その大枠の中で財源の重点的なあるいは効率的な配分に努めるということにできるだけの工夫を凝らしていくという方向で対応していくべきものであると思っております。
 先般の総合経済対策もそういうような意味合いを持っているものと思うわけでございますが、民間経済の活力の利用というような点におきましても、そういう意味において重要である、こういうふうに思うわけでございます。規制緩和等について、やはりそういう見地からこれを進めていただきたい、かように思うわけでございます。
#89
○柴田(弘)委員 この問題についてはこれ以上質問をしてもなんでございますのでやめますが、金利の引き下げによる金融緩和政策の問題、いろいろな問題が懸念をされます。
 一つは過剰流動性の問題。いわゆる株式、土地投機に流入していく。今インフレの心配はないというお話でありますが、やはり過剰流動性に配慮した金融政策というものもひとつとっていかなければならない、この点の御判断。
 二つ目には、超低金利政策に対する対応。これはいろいろと問題があります。高齢者の皆さん方はいわゆる預貯金によって生活をしてみえる。今回の公定歩合引き下げに伴って、確かに銀行預金には配慮されております。しかし、税制面においてこういった人々に対して考慮されておるか。もうスズメの涙になった利息にまた税をかける問題、あるいはまた小口定期預金のいわゆる金利の自由化を進めていかなければならない問題、こういった問題もあるのじゃないか。
 このように取り巻くいろいろな問題が出てくると思いますが、総裁の御所見をひとつお伺いしたいと思います。
#90
○澄田参考人 株式市場、債券市場、あるいは不動産価額、これは都心部の地価の値上がり等について、これを過剰流動性の懸念と結びつけて言われる御意見を伺うわけでございますけれども、地価の点について申せば、これはやはり何といっても、情報化社会を迎えてのビルの需給関係というものが都心部において非常に逼迫をしているというようなことに基づくものでございますし、そういう意味合いにおいて、これは金融緩和によってもたらされているものであるというふうに決めつけるわけにはいかない問題であろうかと思います。ただ、金利がこれだけ下がってきておりますし、金融も十分に緩和されている状況であるので、そういう点につきまして今後十分に注意深く見守っていかなければならない、そういうふうに考えておる次第でございます。
 それから、低金利が進んで、殊に預貯金金利につきまして預貯金金利収入に依存して生活しておられる方々に相対的に大きな影響が及ぶことは、私どもも十分理解をいたしております。預金金利の改定を含めまして金融政策の運営は、国民経済全体の見地から総合判断の上で行われるべきものでありまして、こういう情勢でございますので金利を引き下げなければならないという必要がある点については、十分にこういう方々の御理解をお願い申し上げる次第でございます。
 なお、付言をいたしますと、過去二回にわたる預金金利の引き下げに際しましては、福祉年金受給者などの経済的に恵まれない方々が預入する一年物定期預貯金については、一定の期間と金額の範囲で金利を引き下げる前のままの水準で据え置くという措置がとられておるわけでございます。今回の三回目につきましては、本日、金利調整審議会、明日、郵政審議会が開かれて、その審議によって決められることではございますが、その際にも同様の措置、配慮が払われることになるのではおいか、かように考える次第でございます。
#91
○柴田(弘)委員 第四次の引き下げについてちょっとお伺いをしてまいりますが、総裁は、第三次引き下げの記者会見のときに、第四次引き下げがあり得る、こういった考え方も示唆されたと報道されておるわけであります。過剰流動性というのは、先ほど御答弁がありましたように、心配はない、障害にならないということでありますが、第三次引き下げのときにアメリカのいろいろな状況というものを聞いてまいりますと、つまりアメリカは〇・五%でなくて一%というものを期待をしておった。現実にアメリカのTBは一%の引き下げを見込んだ水準まで金利が低下をしておったわけですよね。こういった状況を私もお聞きをしたわけであります。でありますから、今回〇・五%でありますが、先ほども御答弁がありましたようにアメリカというのは景気が余りよくない。つまり、金利先安感というものがあると思いますね。でありますから、もしアメリカが〇・五%下げたい、こう言ってきた場合には、やはり今回の第三次引き下げと同じように、日本も、国際協調ということでそれに連動して引き下げていかなければならないだろう、こういうような感じを持っているわけでありますが、この日米協調と第四次引き下げというのはあるのかどうか、そしてアメリカ側の金利先安感、こういったものの今後の動向等を含めてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#92
○澄田参考人 公定歩合政策を含め、金融政策はその時点その時点におきまして総合的な判断をもってこれを行うべきものでございます。しかしながら、現在の時点におきましては、第四次引き下げというような点については全く私ども念頭に置いておりません。考えておらないところでございます。
 ただ、アメリカの点につきまして今お話がございましたが、アメリカにおきましても現在公定歩合引き下げの結果、それまで金利先安感というものが強かったわけでありますが、引き下げが行われましてから後は市場の空気というものは変わってくるものである、こういうふうに思うわけでございます。今後、第四次の点につきましては、私ども、現時点においては全くこれを考えていないところでございます。
#93
○柴田(弘)委員 時間があと一分しかありませんので、これで御質問はやめます。
 いずれにいたしましても、今回の公定歩合の引き下げあるいはまた為替相場の動向を見てまいりますと、これはこんなうがったことを言っては失礼かもしれませんが、アメリカ側に追随をして、アメリカ側の御都合によってどうも日本経済というものが振り回されているのじゃないかということを私は強い疑念を持っておるわけであります。こういったことを指摘する人も随分おるわけでありますが、この点を申し上げまして、御質問を終わりたいと思います。どうも失礼なことを申して恐縮でございました。
 それから宮崎参考人、貝塚参考人、質問できなくてどうも恐縮でございました。
 ありがとうございました。
#94
○小泉委員長 玉置一弥君。
#95
○玉置(一)委員 きょうは大変お忙しい中を来ていただきまして、ありがとうございます。
 特に日米首脳会談以降、国際的にもいろいろな新しい動きが始まるかというような感じを受けておりましたけれども、特に、先ほどからお話が出ております円高の問題、これがますます加速をしたような状況でございまして、それぞれ御意見をいただいた中で、やはり急激な変動はよくない、そして安定的な円高基調といいますか、そういう方がいいのではないか、こういうふうな御意見を伺ったというふうに思います。
 本日は、財確法ということでございまして、まず財確法の関連からお話を伺ってまいりたい、かように思います。
 先ほどのお話の中にもございましたように、現在の中長期の国債発行、これの残高がGNP対比で約五〇%という水準に達してきております。中曽根内閣としては「増税なき財政再建」ということを柱にして進めてきておられますけれども、我々の目から見て、今の状態でいきますと、まず、六十五年赤字国債脱却というのが非常に難しいのではないか、こういうふうにも思いますし、今の発行残高からいきまして、これを返していくというのはこれからよほど経済の伸びがなければ非常に難しい、こういうふうに思うわけでございます。
 と申しますのは、社会保障関係のこれからの財政負担、これがかなりの年率の伸びを示しておりまして、今社会保障関係では、昭和七十年を一つのめどとして大幅な改定をやっていこう、こういう動きがあるわけでございます。そういう中で考えていきますと、社会保障の財政負担がふえてくる、そして片方では償還のための利払いがふえてくる、そして税収の伸びは従来より落ち込んできている、こういうふうに考えていきますと、このままの形で財政再建ができるのかな、こういうふうな疑問が生じてくるわけでございます。
 そこで、各参考人に、まず同じ問題に対してお答えをいただきたいと思いますが、現在の税制度、そして社会保障制度等、現行のままということで考えてみた場合に、果たして六十五年赤字国債脱却ができるか、そして今GNP対比で五〇%ぐらいになっております赤字国債、要するに中長期の国債、国債だけじゃなくて債務全体でございますが、この辺について、将来の償還が可能かどうか御意見を伺いたいと思います。
 では、澄田参考人の方から順にお願いしたいと思います。
#96
○澄田参考人 冒頭の意見陳述でも申し上げましたように、赤字国債への依存体質、そういう状態からの早期脱却を図るという財政改革の基本路線はやはり堅持していかなければならないものであるというふうに考えるわけでございます。
 具体的にどういう目標を設定して、そしていつまでにということにつきましては、現在の考え方ということはございますが、しかし今後どうであるかということになりますと、これはそのときどきの事情を踏まえて、政府においてこれを勘案の上決定されていかれるべき事柄であるというふうに思うわけでございます。国債残高のGNPとの対比において日本が一番高い状態でございますし、その高さというのは相当な水準であると言わざるを得ないところでございます。
 しかし、これは時間をかけて対応していく、その間においては、その国債を抱えた経済の円滑な運営、国債の円滑な借りかえ償還ということについては、これは経済運営として重点を置いていかなければならないことである。金融の面においては、今まで対応してまいりましてそうして円滑に参ったと思っておりますが、今後ともそういうことでなければならない、こういうふうに思っております。
#97
○宮崎参考人 まず第一点の、六十五年度に赤字公債から脱却するという問題でございます。
 冒頭の意見でも申し上げましたように、六十一年度における特例公債発行予定額は五兆二千余億であります。これを六十五年度にはゼロにするということになりますと、算術計算をいたしますと一年間に一兆三千億ぐらい減らさなければならないということになるわけであります。これそのものは非常に厳しい作業であると私は考えております。よほど思い切ったことをやらないと、なかなかこれは大変であろうと思います。しかし一方で公債の依存率という点で見ますと、過去三四%ほどまでいったものが既に二〇%に下がってきておる。今後ともこれを努力していくということになると思いますので、公債の発行残高という面で見ますと、今後とも相当長期間にわたって絶対額は増加をしていくであろうと思いますけれども、しかし、GNP比率とかそういう面で見ればやはり改善が図られていくのではないかと思いますし、財政の機動性といいますか、弾力性という面では、こういった政策を続けていくことによって六十五年度以降かなり回復をしてくるのではないかと考えておる次第でございます。
#98
○貝塚参考人 財政の見通しについての御質問でございますが、現状認識としては、今御質問で言われました点は大体同感でございまして、ここ数年ぐらいの国債依存度の低下と同じテンポであと六十五年まで行うというのは相当困難ではないか。その理由は、最近の円高の不況というのがございまして、恐らく税収は余り伸びないと思います。したがいまして、そういう点の環境の変化もしばらくはございます。そういう意味では、目標自身が本当に達成できるかどうかについては、私自身率直には相当難しいという印象を持っております。しかし、方向性としては、公債依存度をできる限り下げていくということではないかと思います。
 それから、国債の残高のGNP比率は、赤字が最初フローの方でふえますと残高が累積していく局面がありまして、どうしてもしばらくはまたふえると思います。それから利払い費もふえる、それから、しばらくたってやがて減り始めるというふうに大体予測しております。
#99
○玉置(一)委員 一応三人とも御意見の中で共通しておりますのは、国債発行依存度が低下してきていることに対して、このまま低下をしていけば、財政という面から見るとある程度いい方向に来ている、こういうお考えだと思います。そして残高がある程度一定の期間ふえていって様子が変わってくればまた減ってくるだろう、こういう見通したと思うわけであります。私も見方は同じでございますけれども、残高が減っていくような時期ですね、この時期にまた社会保障負担というものがかなり影響してくるのではないか。先ほど貝塚先生のお話の中にもございましたように、社会保障の給付について政府がいわゆる制度的に約束をしている、こういうことがございますし、高齢化の進度からいきますと、あと十数年いたしますとかなりの財政負担という形になってくるわけでございます。
 まず分けて考えていきますと、国債発行の依存度は今二〇%ぐらいでございますが、昭和六十一年度予算を見ますと、この国債発行以外に、国債費の定率繰り入れの停止一兆六千億余り、そして厚生年金等の国庫負担の一時繰り延べ三千億、政管健保国庫補助の繰り入れ特例千三百億とか、こういういろいろな小手先で逃げているのがございまして、これを合計いたしますと二兆九千億ぐらいあるわけですね。こういうものが表に出ないであるわけでございまして、今回の場合、本当はこれを含めて考えていかなければいけないと考えるわけです。そういう意味からいきますと、今期の国債発行額に二兆九千億がプラスされて初めて財政が成り立っていると考えていかなければいけないわけでございます。正規の法律による、これも法律ですけれども、財確法によります赤字国債の発行以外にこれだ付あるわけでございまして、こういう状況から見て、まさに六十五年度赤字国債脱却は非常に難しいと思います。一応今の御意見の中に依存率が下がってきたというお話でございますが、それはあくまでも国債という分野でとらえられてのことだと思いますが、ほかにこれだけの金額のものが六十一年度であるということについてどういうふうにお感じになりますか、あるいは将来に対してどういう御意見をお持ちでございますか、それについてそれぞれお答えをいただきたいと思います。
#100
○澄田参考人 私、今手元に数字を持ち合わせておりませんが、今お示しの点につきましては、確かにそういう問題はあるということは私も承知をいたしております。しかし、傾向といたしまして、国債発行依存度がかつては三十数%でありましたものが二〇%程度のところまで下がってきている、逐年そう下がってきている、そういう状況そのものはやはり認めなければならないことでありますし、また評価をしなければならないことである、かように思っている次第でございます。
#101
○宮崎参考人 ただいま先生御指摘の社会保障関係費その他のいろいろの財政的な特別の措置でございますが、これは毎年度の予算編成においていろいろそういったものがあることは通例でございますけれども、六十一年度も状況は非常に厳しかったためにそういう技術面で大蔵省は大変苦労された結果であろうと思います、しかし大勢は、今日銀総裁もおっしゃいましたように、ここ数年の我慢をして、その先には相当いい方向に行くだろうと私自身は考えておるわけであります。もちろんそのための努力はなお相当大変だとは思いますけれども、しかしそれ自身が非常に悪化していくというような状況ではないと思っております。
 それから公債依存度の問題も、公債をゼロにしろというほどのことはないのではないか。財政の弾力性ということを考えていけば、建設公債等は適正な水準で出していく分にはそれほど問題ではないのではないかと思いますし、その辺については財政の弾力性を保持していくという面で、より広い視野で見てもよろしいのではないか。それから財政負担という面で見ますと、これは明確な数字は財政制度審議会等ではございませんけれども、臨調の答申等では、ただいま三十数%の財政負担、これは社会保障負担も含めてでございます。それがヨーロッパの水準を超えない程度、長期的に見てということですから、いつごろを目指しているのかわかりませんが、今先生御指摘の高齢化社会というのが本当に実現してくるころには、どうしても社会保障負担を含めた財政負担というのはある程度増加せざるを得ないと思います。それを欧州水準を超えないくらいのところを目安にする。大体何%でありますか、恐らく四十数%というようなことを考えておるのだと思いますが、そういう長期的な展望を見ながら今後の財政運営が図られていくものであろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
#102
○貝塚参考人 ただいまの御質問、現在の財政の公債依存度ではかった以上に実質の赤字がもう少し大きいのではないかということでございますが、御指摘のとおり私も実質の赤字はもう少し大きいと判断するのが現状認識として正しいと思います。
 ただしその場合、それではそれをそのまま例えば公債発行に回した方がいいのかということになりますと、そこのところが財政運営の非常に難しいところではないかと思います。ある種の目標を置いておいて、数字として公債依存度をここまで下げていくということを目標に置いた場合、やはりそういう目標を置いておくということ自身が恐らく予算編成上のディシプリンとしてかなり重要であって、各省庁がいろいろ予算を請求してくるときに、全体としてこういうのが目標だということがかなりはっきりとないと――私は恐らくその辺に財政当局の御苦心がある、やむを得ない面があるのではないかという気もいたします。
#103
○玉置(一)委員 ちょっと要点を絞ってお伺いしたいと思います。
 今、目標を置いて押し込んでいくということが改善の一つの手法である、こういう感じで、私も同感だと思います。
 そこで、財政の中期展望という試算が大蔵省から出されておりますけれども、実は我々の方で、国の予算のある程度の方向を示すために、中期展望という形ではなく財政計画のような中期計画をつくって、その中でいろいろな政治課題を解決をしていく、単年度予算でございますけれども少なくとも中期の三年なり五年なりのある程度の見通しと方向を示した財政の中期計画というものを政府の間でつくるべきだ、こういう主張をしているわけでございますが、中期計画の必要性について貝塚先生にお考えをお聞きをいたしたいと思います。
#104
○貝塚参考人 現在も財政のある種見通し、後年度負担を中心とした見通しがつくられておりまして、それ以上に計画的なものを入れたらどうかという御趣旨だと思いますが、この問題はプラス・マイナス両面がありまして、プラスの面は、将来のことが、よりはっきりした形で計画的な要素があって全体として判断がつきやすいという問題があります。
 他方において、計画というのは約束したという面もあり得るわけで、そういうふうにとられることがあるのじゃないかと思います。こういう問題は恐らく社会保障なんかについても潜在的にはいろいろあり得るわけでして、社会保障についてプランをつくること自身は約束するという面もあるのじゃないか。
 もう一つは、これは技術的にかなり難しい面もありまして、要するに、現在経済企画庁がやっておられる経済計画的なものの数字の先の長さでどの程度の――例えば五年先あるいは七年先のところで数字を出したときに、それは経済情勢の変化その他でかなり不確実な数字であります。そういうことで、うんと先のことを出しておいたときにある意味で的外れになることも十分あり得るというところで、計画というのは、昔考えていたよりは現状では難しい、経済の不確定性がかなり大きなところで難しくなっているのではないかというのが率直な印象でございます。
#105
○玉置(一)委員 計画をつくって修正をしないということではなくて、やはり一つの政治目標あるいは政策目標というのを掲げた中で試算をして進めていき、また年度年度で修正をするということが必要だと思うので、そういう意味で、確かに見通しをそのとおりやるというのは難しいことと思いますけれども、修正は修正ということで認めていけば可能ではないかなと私自身は思っております。
 それから先ほどの円高問題の中でお話が出ておりましたけれども、いわゆる日銀の市場介入の問題について、これをやるかやらないかという話は日銀の判断でございますからあれでございますが、従来の円高基調あるいはドル高のときの介入の状況を見ておりますと余り買い支えになっていない、あるいは売り支えになっていない。何となく不安を感じるわけでございますが、いわゆる日銀の市場介入というのが相場にどういう影響を与えるのか。それは規模によりますけれども、市場介入の目的とそのときの介入規模、そういうのをどういう判断のもとにやっておられるのか、本当にやればどこまで力があるのか、この辺についてお伺いをしたいと思います。
#106
○澄田参考人 原則論的に申し上げますれば、介入はやはり市場が極めて不安定であって乱高下があるというようなときに行うものでございます。そして効果もそのときの市場の地合いによって非常に違うわけでございます。
 いかなる時点で、そのときどきの判断についてどうするかという点は、私申し上げるのを差し控えさせていただきますが、そういう性格のものでございまして、したがって、定量的にと申しますか、金額と効果との関係をはっきり結びつけて御説明申し上げるということのできない性格のものでございます。
 昨年の秋のニューヨークのG5以降において介入がかなりきいた、効果があったというふうに一般に評価をされておるところでございますが、これは為替市場が既にドル高行き過ぎという見方が非常に市場に強まっておって、いわばそういう熟柿状態のようなときに行われたという意味で、機が熟していたときにあったからそれだけ効果が大きかったという面はあろうかと思う次第でございます。
#107
○玉置(一)委員 投機が始まってくると、介入してくるのを見込んで相手が投機をするということもあるわけですね。やればやるほどに相手をもうけさせるということにもなるかとも思いますけれども、それは専門家によってやられるわけでございますから、ぜひ適正でかつ効果のある、タイミングもあると思いますし規模もございますから、ぜひこれからもそういう面で頑張っていただきたいと思います。
 先ほどのお話の中に出ておりました預金者保護といいますか、特に年金生活者ですね、そういう方々の保護のために、公定歩合がどんどん下がってきて、今度は預金金利との関係で日銀の中でも論議されておりますけれども、これをぜひ念頭に置いてこれからの預金金利の決定をしていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。本当は質問しようと思ったのですけれども、時間になりましたのでお願いにとどめさせていただきたいと思います。
 では、時間が参りましたので終わらせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#108
○小泉委員長 簑輪幸代君。
#109
○簑輪委員 参考人の皆様にはお忙しい中、御苦労さまでございます。
 わずかな時間でございますので端的にお伺いしたいと思いますが、日銀総裁、円高の問題でちょっとお尋ねしたいと思います。
 この円高は、昨年の九月、二百四十二円であったものが今日百六十円台になるという異常な円高になっているわけで、私ども、特に地場産業、中小企業の皆さん方から、このようなことでは死ねと言われるようなものだという声を聞いているわけですね。こうした円高、まあつくられたものというふうにも言われております。特にこのところその円高ぶりが非常に急激であるということで、総理大臣も、乱高下というふうに見られる場合には適切な措置をとらなければならないと述べられておりますけれども、乱高下というのはどういうのを乱高下と見るのかという点について、日銀総裁の御見解をちょっと承りたいと思います。
#110
○澄田参考人 どうも乱高下は乱高下であるというお答えになってしまうわけでございますが、一日の値動きの幅が非常に大きいというようなこと、そのもとに市場が非常に神経過敏になっておりまして、不安定なセンチメントがある、したがって、何かのニュースが入るとか、何かの思惑で動きがあると、それに過大に反応する、こういうような市場の状態、変動相場でございますので常に動いている相場ではございますが、その中で特にそういう傾向が著しいというような状態が乱高下であろうか、そういうふうに思う次第でございます。
#111
○簑輪委員 そうしますと、昨年G5があって以来ずっと円高を続けてきているわけですけれども、その円高の水準というものとぞれから乱高下というものとは必ずしも一致しないといいますか、不安定要因ということでなく、着実に、安定的に円高が進むということであるならば、それは乱高下ということにはならないというような感じに承ったわけでございます。
 けれども、その円高のテンポというものについて、例えば昭和五十三年のころの円高という点でいいますと、二百円から百八十円になるまでに九十四日間かかっている。ところが、今回は二百円から百八十円になるまでに二十五日である。その後また一層の急激な円高という状況があるわけですね。前回の五十二年の状況と比べて今回のこの円高の特徴とその解決策と申しますか、そのような点について、日銀総裁、どのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
#112
○澄田参考人 おっしゃいましたように、水準ということと乱高下というのは、これは全く別なことであろうかと思います。今回の場合では、前回に比べまして特徴と申しますのは、何といっても第一点はニューヨークのG5がスタートでございまして、その時点におきましては、各国の間の合意に基づいてそして協調介入を行う、そういうふうなことで対応いたしてまいりました。各国協調のもとに介入も各市場においてそれぞれ協調する、こういうようなことでやってまいりまして、そういった意味でその点が前回の場合とは――前回は偶然に各国がそれぞれ市場でやるということはあっても、それは協調関係のもとにおいてやったものではない。そういう意味において前回と介入の状況が違ったという点はございます。
 それから、今回も、分けて考えますと、その間にしばらくある水準でとどまっておって、また動き出すと急に動く、こういうようなことがございまして、前回もそういうことはあるわけでございます。したがって、その間の日数というのも、動いている日数とそれから比較的落ちついている、安定している時期というものと両方あって、交互に動いて今日に至っている、こういう感じがいたしておりまして、その辺のぐあいも前回とは少し違う動きで、総じて見れば今回急速な動きになった、こういうふうに思う次第でございます。
#113
○簑輪委員 乱高下の事態を迎えて、日銀としては介入をして為替相場の安定を図る努力を続けておられるようですけれども、参考人のお三方にお伺いしたいと思います。
 もともと円高というのはつくられたものである。そして、政策的にそれが目指されている。それは貿易不均衡の是正という課題を実現していくためにということになっているわけですが、為替の協調介入がない中で、単独介入という日銀の努力だけで、あるいはまた為替相場だけで、この貿易不均衡の是正ということは到底不可能ではないかと思わざるを得ないわけです。そもそも貿易不均衡がもたらされた原因につきましては、アメリカ側の原因もあり、また、日本側の原因もある。それらを詳細に、正確に分析をし、それに適切な対応をとらない限り、為替相場のやりくりだけで事を何とか安定させようというのはとても無理なことではないかというふうに思いますが、その点の御認識をお伺いしたいと思います。
#114
○澄田参考人 おっしゃるとおりの面があると思います。ニューヨークのG5におきましても、為替相場に対する、為替に対する協調介入ということを合意いたしますとともに、各国が政策面においてできるだけ整合性のとれた政策をとるという意味においてそれぞれ受け持つべき政策を決めまして、それを列挙をいたしました。そして各国ともそういう政策的努力を行う。そういう中で協調介入も行われたというのがG5のときの経緯でございます。こういう経緯も示しておりますように、政策の整合性というようなものができるだけとられるという努力を続けていかなければ為替相場というものは安定しないものである、こういうふうに思っている次第でございます。
 そうして、不均衡是正のためには、為替が円高の基調で今後とも維持されるということは必要であると思いますが、しかし、それ以外に、為替だけでなくて総合対策がとられ、あるいは市場開放が行われるということはぜひ必要なことである、かように思う次第でございます。
#115
○宮崎参考人 ただいま総裁のおっしゃったとおりだと思いますが、御承知のとおり、為替相場の動きというのは、いわゆる経済のファンダメンタルズと言われる主要な経済指標を代表してこれは動いていくというのが本来の姿であろうと思っております。当面、我が国が非常に大きな国際収支の黒字を出しておるということの対策として、この為替相場の問題も出てきておると思いますけれども、今度の総合経済政策でも出ておりますように、あるいは前川報告と言われる経構研の報告でも言われておりますように、やはり産業構造の問題であるとか内需振興の問題であるとか規制緩和の問題であるとかいろいろの政策がとられていく中においてこういった問題も動いていくものだというふうに理解をしておるわけでございます。
#116
○貝塚参考人 ただいまの御質問に関して、私は国際金融をそれほど詳しくは研究いたしておりませんが、現在の変動為替相場というのは、一番最初の制度を導入したときには、貿易収支あるいは国際収支のファンダメンタルズを調整するよりもうまく動くものだというふうに考えていたことが多いわけです。ところが、最近しばらくの経験は、実を申しますと投機的な要因が非常に強くて、恐らく世界じゅうの金融のマーケットですごい資金が即座に流れ得るほどある意味で国際間は自由化されておりまして、したがいまして、変動相場制というのは相当振れるという危険性がいつもあって、事実振れているということではないかと思います。したがいまして、できる限り、日銀総裁も言われておりますように円高に修正することが望ましいのですが、そのスピードが安定的に少しずつ高くなっていくという状況であればよろしいのではないかと思います。できる限り政策的にはそういうふうに介入していただいたらいいんじゃないかとは思います。
 それから、ただ最後につけ加えておきたいのですが、日本の国際収支はやはりどうしても黒字が残ると思いますし、日本経済というのは世界の中で競争力が強いわけですから、黒字黒字と言っておりますが、現在黒字の幅が大き過ぎるということであって、ある幅に狭まれば何もそう世界の中で問題にされる筋合いのものではないというふうに思っております。
#117
○簑輪委員 間もなく東京サミットが開かれますけれども、そこで通貨安定のための通貨制度改革問題が焦点となるというふうにも言われております。この問題について通貨当局としてどのような構想をお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。
#118
○澄田参考人 国際通貨制度につきましては、現実問題として現在の変動相場制にかわり得る通貨制度というのを見出すことは非常に困難なことであろうと思います。この点を踏まえまして、先ほども申しましたように変動相場制のもとで各国が協調して為替の調整に努めてきたわけでございます。
 今後いかなる通貨体制を築いていくべきかということにつきましては、IMFの暫定委員会等の場で議論されておる問題でございますが、いずれにしても各国が経済の良好なパフォーマンスを維持するということがその基本的な条件でございます。そのために相互監視と申しますか、サーべーランスを強化するというようなことが必要とされるところでございます。そうして、そういうことを通じまして変動相場制という制度のもとに、為替相場のできる限りの安定を目指して努力をしていくべきものである、かように考えておる次第でございます。
#119
○簑輪委員 日本経済調査協議会というところで昭和五十八年に変動相場制度十周年を総括して提言がされております。これによりますと、少数の為替安定のための中核となる金融安定のためのクラブを形成することを目指すべきである。そして政策協力も含めて通貨安定の協力を行う。この「中核となるべき「クラブ」が実現すれば、当然為替レートについての合意、具体的にいえば、弾力的な目標圏(ターゲットゾーン)についての取決めが実現可能となるはずである。」というようなことが述べられておりますけれども、この提言についての日銀総裁の御見解をお伺いしたいと思います。
#120
○澄田参考人 為替取引が自由化をされまして、そうして資本取引が極めて活発化してきている現在のもとにおきまして、変動相場制が必ずしも各国のファンダメンタルズを適切に反映しない、そういう問題点があることは事実でございます。一方、ただいまお示しの日本経済調査協議会の提言に見られるようなターゲットゾーン、これにも緩やかなものが考えられているようでございますが、しかしながら、緩やかな形にしろ特定の目標為替水準を設けるということ自体がまたいろいろ問題が多いわけでございます。現実問題としては、先ほども申しましたように変動相場制にかわり得る制度というのも見出しがたい、見出すことはなかなか難しい、こういうふうに考える次第でございます。
 そういう見地から申しますと、繰り返しになりますが、各国が良好な経済パフォーマンスを維持する、そのためには相互監視というような意味のサーべーランスというようなものをいろいろ工夫をしていく、そういうことが先般のIMFの暫定委員会においても議論をされ、そういう方向が今各国の間で進められつつある、そういうことでございます。
#121
○簑輪委員 時間が参りましたので、終わります。
 ありがとうございました。
#122
○小泉委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人各位には、御多用中のところを御出席の上、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありが上うございました。厚く御礼を申し上げます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト