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1985/05/07 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 大蔵委員会 第18号
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1985/05/07 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 大蔵委員会 第18号

#1
第104回国会 大蔵委員会 第18号
昭和六十一年五月七日(水曜日)
    午前十時五分開議
出席委員
  委員長 小泉純一郎君
   理事 笹山 登生君 理事 中西 啓介君
   理事 中村正三郎君 理事 堀之内久男君
   理事 上田 卓三君 理事 野口 幸一君
   理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君
      臼井日出男君    越智 伊平君
      大島 理森君    加藤 六月君
      金子原二郎君    北川 正恭君
      自見庄三郎君    鈴木 宗男君
      田中 秀征君    高鳥  修君
      中川 昭一君    東   力君
      藤井 勝志君    宮下 創平君
      村上 茂利君    山崎武三郎君
      山中 貞則君    山本 幸雄君
      伊藤  茂君    伊藤 忠治君
      兒玉 末男君    沢田  広君
      戸田 菊雄君    中村 正男君
      堀  昌雄君    柴田  弘君
      玉城 栄一君    古川 雅司君
      矢追 秀彦君    安倍 基雄君
      玉置 一弥君    正森 成二君
      簑輪 幸代君
 出席国務大臣
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
       厚 生 大 臣  今井  勇君
 出席政府委員
       大蔵政務次官   熊川 次男君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     北村 恭二君
       大蔵省主計局次
       長        保田  博君
       大蔵省主税局長  水野  勝君
       大蔵省理財局長  窪田  弘君
       大蔵省証券局長  岸田 俊輔君
       大蔵省銀行局長  吉田 正輝君
       大蔵省国際金融  行天 豊雄君
       国税庁次長    塚越 則男君
       厚生省年金局長  吉原 健二君
       郵政省貯金局長  塩谷  稔君
       建設大臣官房会  望月 薫雄君
       計課長
 委員外の出席者
       臨時行政改革推
       進審議会事務局
       参事官      加藤 武久君
       経済企画庁調整
       局産業経済課長  黒川 雄爾君
       経済企画庁調整
       局財政金融課長  大塚  功君
       経済企画庁総合  服藤  收君
       計画局計画課長
       経済企画庁総合  小林  滋君
       計画局計画官
       科学技術庁原子  井田 勝久君
       力局政策課長
       科学技術庁原子
       力安全局防災環  千々谷眞人君
       境対策室長
       環境庁大気保全  伊藤 卓雄君
       局企画課長
       法務大臣官房参  米澤 慶治君
       事官
       文部大臣官房調  宇田川勝之君
       査統計課長
       厚生省保険医療  横尾 和子君
       局企画課長
       資源エネルギー
       庁公益事業部計  林  昭彦君
       画課長
       郵政省簡易保険  佐藤  豊君
       局次長
       参  考  人
       (税制調査会会  小倉 武一君
       長)
       参  考  人
       (日本銀行副総  三重野 康君
       裁)
       参  考  人
       (日本電信電話
       株式会社電話企  西脇 達也君
       画本部営業推進
       部長)
       参  考  人
       (日本電信電話
       株式会社電話帳  恩田 勝巳君
       事業部企画部長)
       大蔵委員会調査  矢島錦一郎君
       室長
    ―――――――――――――
委員の異動
五月七日
 辞任         補欠選任
  加藤 六月君     北川 正恭君
  藤波 孝生君     臼井日出男君
  山中 貞則君     鈴木 宗男君
  薮仲 義彦君     玉城 栄一君
同日
 辞任         補欠選任
  臼井日出男君     藤波 孝生君
  北川 圭恭君     加藤 六月君
  鈴木 宗男君     山中 貞則君
  玉城 栄一君     薮仲 義彦君
    ―――――――――――――
五月二日
 所得税の減税実施に関する請願(天野光晴君紹
 介)(第三七〇五号)
 国民本位の税制改革に関する請願(小川仁一君
 紹介)(第三七二四号)
 同外一件(浦井洋君紹介)(第三七六九号)
 同(三浦久君紹介)(第三七七〇号)
 同(簑輪幸代君紹介)(第三七七一号)
 同(村山富市君紹介)(第三七七二号)
 大型間接税の導入反対及び大幅減税等に関する
 請願(小澤克介君紹介)(第三七二五号)
 国庫負担削減反対等に関する請願(兒玉末男君
 紹介)(第三七二六号)
 税制改悪反対等に関する請願(柴田睦夫君紹介
 )(第三七七三号)
同月六日
 国民本位の税制改革に関する請願外二件(近江
 巳記夫君紹介)(第三八六五号)
 所得税減税等に関する請願(田邊誠君紹介)(
 第三八六六号)
 大型間接税の導入反対及び大幅減税等に関する
 請願(大原亨君紹介)(第三八六七号)
 同(大原亨君紹介)(第三九一〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保
 を図るための特別措置に関する法律案(内閣提
 出第五号)
 有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法
 律案(内閣提出第八三号)
 預金保険法及び準備預金制度に関する法律の一
 部を改正する法律案(内閣提出第八二号)
     ――――◇―――――
#2
○小泉委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案を議題といたします。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として税制調査会会長小倉武一君及び日本銀行副総裁三重野康君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○小泉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#4
○小泉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
#5
○堀委員 きょうは、財源確保の法律に関連をいたしまして、現在の日本の置かれておる金融の状態というものが非常に低金利の時代に入ってまいりました。そこで、実は資金運用部、かつては預金部資金と言っていたこの制度の問題について、少し郵便貯金及び厚生年金等の関連を含めて最初の三十分間質疑をいたしたいと思っております。
 実は私、昨年でしたか内閣の改造のときに、これまでは、族と言われる専門的な勉強をしておられる議員がその省の責任者になるということは大体なかったのでありますけれども、今度の内閣ではそういう意味では非常に専門的に勉強をしておられる方がそれぞれの省の大臣に就任されたということは大変いいことだと思っているわけであります。今井厚生大臣も長く社会労働委員会でお仕事をされておりましたので、そういう意味で、今井厚生大臣がこれまでのキャリアを生かして国民のために期待される厚生行政が推進できますように、最初にひとつ御要望申し上げておきたいと思います。
 そこで、まず最初に大蔵省にお伺いをいたしますけれども、預金部資金、それが昭和二十六年に資金運用部資金に変わってきたわけでありますが、現在の資金運用部資金の概略の経過について、最初にちょっと説明をしてもらいたいと思います。
#6
○窪田政府委員 御指摘のように、戦前は、預金部と言いまして郵便貯金を受け入れてこれを運用するという仕組みがございましたが、昭和二十六年に資金運用部資金法が制定されまして、郵便貯金その他特別会計の資金は、これを資金運用部に統合して運用する、有利、確実かつ公共目的に運用するという目的のもとに資金運用部制度が設けられ、昭和二十八年にはその運用部資金、それから産業投資特別会計の資金、政府保証債等、いわゆる公的資金を含めた財政投融資計画というものをつくりまして、その公的資金の運用計画をつくる。資金運用部資金はその主要な一環として位置づけられる。その後、年金の改革その他がございましたけれども、統合して公共目的に運用するという仕組みが今日まで続いているわけでございます。
#7
○堀委員 今大蔵省が説明をいたしましたように、実はこの資金運用部というものの歴史は郵便貯金特別会計と表裏の関係で今日に至っておる、こんなふうに思います。ですから、今の仕組みを見ておりますと、大きないろいろな流れというのは、郵便貯金特会と並行的に問題が処理されてきておる。預託利子の問題につきましても、この預託利子というのはおおむね郵便貯金との関係において今日まで変遷が行われておる、こんなふうに思いますが、その点は大蔵省はどう考えていますか。
#8
○窪田政府委員 資金運用部がお預かりをする預託利子でございますが、御指摘のように、その原資の大宗でございます郵便貯金の金利というものが大きな要素になります。片や財投機関等への貸し出しというものがございますのでその運用金利及びその預託利子の大宗であります預貯金の金利、この両方をにらみまして総合的に決めているわけでございます。
#9
○堀委員 そこで、預託利子という問題については、預託をする側と預託されたものを運用する側と二つの立場がありますね。この場合に、預託をする方はどちらにしても金利が高い方がいいのです。ところが、預託された資金をそこから借りたりいろいろして使う方は預託金利が安い方がいい。これは当然の状態でありますけれども、私はずっとこれを見ておりまして、非常に特徴的な問題があるのは、預託をする側に、今の郵便貯金のように貯金を国民から集めて、そうした原資を運用部に預ける、しかし実際はどこかから金利が来なければ国民の預金に払えないわけですから、これまでの歴史的な伝統によってあるときは特利をつけるというような制度の変更が行われて今日に至っておる。ここのところは、私はそれなりに長い歴史の伝統の中で調整がおおむね行われていると見ておるわけですが、ここでちょっと違うのは、一つは、実は簡易保険の問題が新たな形で出てきておる。ここは郵便貯金とは取り扱いが非常に違う。
 もう一つは、かつての労働者保険であります。やがて今日の厚生年金に転換をしてくるわけでありますけれども、この問題、次に、拠出制国民年金というものができてきて、国民年金特別会計というものができてきた、この二つが新たな預託の大宗になってきた、こういうことであります。
 この厚生年金の問題というのは実は預ける方が主でありまして、還元融資とかその他多少バックペイのような格好のものがありますけれども、主たるものは預託が中心、こうなってくるわけですね。
 そこで、最近の日本の金融問題をいろいろ論議しておる過程で、預託金利が資金運用部資金法で法定化されておるということは今後の非常にフレキシブルな金利の変動という問題に対して果たしていかがなものであろうか。デレギュレーションというのは私はこの委員会で一貫してずっと主張してきているのでありますが、この資金運用部の問題、これはきょう引き続き十一時半ごろからやりますが、昭和五十六年の二月に、当時渡辺大蔵大臣のときに私は三つの問題を提起いたしました。一つは、財政投融資計画の抜本的な改革をすべき時期に来ておるのではないかという財投計画の抜本的な見直し。二つ目が、国債特別会計という仮称で問題を提起いたしました国債発行のファイナンスをより自由に行えるような制度を考えたらどうかという問題。三つ目が、現在の金融の諸関係から見ると、これまでは銀行局と証券局というのが広義の金融問題ということで考えられていたけれども、大量の国債発行という時代に入ってきて、理財局も非常に大きな金融のウエートがかかるようになった、さらには国際金融局も非常に大きなウエートがかかったので、これらを統括する金融財務官構想を考えたらどうか。実はこの三つ提起いたしました。
 その一つの財投計画の使う側の話が主として行われたのでありますが、そのときはそこまでで、実は預託をする側の話はこれまでやっておりをせん。きょうその問題を少しやっていきたいと思っているのでありますが、実は厚生年金の取り扱いを見ておりますと、どうもその他の関係とに運用上の差別があるというふうに感じられます。今法律が年金一元化という方向へどんどん進んでおりまして、年金システムとしては一元化の方に来ているわけでありますけれども、資金運用の面ではこの問題とは別個の問題のように取り残されているというのが現状のようですね。ちょっと厚生省の資料を調べてみましても、かつて占領前には取り扱いが還元融資や何かが認められておったものが、今の資金運用部の資金というのは昭和二十一年に国債、地方債に限定するという占領政策によって抑え込まれて、その後二十六年に資金運用部ができても依然として還元融資が行われなくて、二十七年になって例の占領がなくなってから徐々に動いてきた、こういう経緯があるようです。そして昭和四十八年に預託金利が大幅に下がったときに還元融資その他について弾力性がかなり付与されているけれども、私の見ておるところでは、厚生年金の資金運用の問題と厚生年金基金の資金運用の問題と共済年金の資金運用の問題というのは、いずれも資金運用について格差がある、こういう感じがするのでありますが、厚生大臣、いかがでございますか。
#10
○吉原政府委員 今御質問にございましたように、同じ年金制度でございましても、厚生年金、国民年金の資金は全額資金運用部に預託されて財政投融資の原資として使われている。共済制度につきましては、現時点では同じ国が責任を持つ公的年金制度の一種でございますけれども、沿革的な理由もあるのかもしれませんが、原則として自主運用、一部財投協力という形になっているわけでございます。それから厚生年金基金につきましては、先生御案内のとおり、厚生年金の報酬比例部分プラスアルファの給付を基金をつくって年金制度を運営している、こういう仕組みでございますけれども、その資金につきましては基金が自主運用している、その利率も資金運用部の預託金利よりもはるかに高い金利で運用している、これが実態でございます。
#11
○堀委員 窪田理財局長も共済年金加入者でございますし、ここへ座っている方は多く共済年金加入者なんでしょうけれども、共済年金の方は、沿革があったにしても自主運用が認められておる。厚生年金の方は、原則として、還元融資その他は別としても、全部預託をする。どうしてこういう差別があるのでしょうか。
 要するに、法のもとに国民はすべて平等であるという憲法十四条が基本にある限り――同じような雇用者年金のシステムの中で、民間労働者の厚生年金については、これも二つあるわけですね。今話がありましたように、要するに中小零細な部分で厚生年金に主として入っておる人たちは全部預託金利で処理しますよ。しかし、報酬比例部分のある民間の大きな組合所属の厚生年金加入者は、厚生年金基金で処理をして、これは一・五%くらい、もうちょっと高くなっているかもしれない、かなりの高い金利で運用が認められておる。
 私は、どうもこれまでは大蔵委員会でこういう議論がされたことがないんだと思うのです。私はかつて大蔵委員会で簡易保険の運用問題を取り上げまして、ここでともかく簡易保険の自主運用をもっとやらなければ民間と簡易保険余り格差がひど過ぎるじゃないかということで、かなり改善をされた歴史があるのであります。久しくこの問題に触れなかったのでありますが、制度の根幹を考えるときには、同じ国民、同じ業態の雇用者がこれほど格差のある年金運用をやるというのは――私はきょうは時間がありませんからやりません、日を改めてやりますが、今の財投計画の中でのむだ遣いというのは非常に大きなものがあると思うのです。そういうものの犠牲として格差がそうやって依然として置かれておるようなことは私は納得ができないと思うのです。積極的な理由があるのかどうか、ひとつ大蔵省から答弁をいただきたい。
#12
○窪田政府委員 資金運用部資金法の一条を見ますと、郵便貯金その他政府の特別会計の積立金は資金運用部に統合管理するとございます。財政法の仕組みで申しますと、国の会計を分かって一般会計と特別会計にする、要するに全部国の仕組みのもとに集められたお金は統合管理するのが合理的だというのが資金運用部資金法の考え方で、これはこれとして私は非常に合理性のある考え方だと思うのです。したがいまして、年金というものは国の特別会計で国が直接運用するという仕組みをとっている以上、やはりそこに集められた積立金は統合管理するのが合理的だと私は考えております。
 ただ、この年金が将来仮にほかの基金とか共済組合という仕組みになるとすれば、おのずからそこはまた運用についても別の考え方があり得るかとは思いますが、特別会計でそこに積立金として集められている以上、各特別会計がそれぞれ自分のお金を別個に運用したら資金の効率的運用になりませんので、やはり資金運用部資金法一条の考え方はそれなりの合理性を持っているというふうに考えております。
#13
○堀委員 これは古い法律で、資金運用部法というのは昭和二十六年にできた法律ですね。昭和二十六年の当時は、今のような金利がいろいろな形で動いてそれをうまく運用すればかなり効率的運用ができるなんという時代じゃなかったのですね。ですから私は今日古い法律を片っ端から見直せと言っているわけです。この間も理財局長に貨幣法の見直しということで、皆さんもその気になっていただいて見直しをしていただくことになったのですが、私は資金運用部法そのものを来年は抜本的に改正をすべき時期に来ておる、こう思うのです。そのことが今申し上げておる預託の問題に非常に大きな関係があるわけです。
 統一運用といいますけれども、統一運用はしてないのじゃないですか。預託という形式を使って、要するに一つの金利でお借りしますよ、こういう話でしょう。統一運用といって何か運用していますか。高利回りその他を求めて国民経済にプラスになるような運用をしているならちょっと答弁してください。
#14
○窪田政府委員 法律上の言葉は「統合管理」ということになっておりまして、資金運用部でお預かりをして財投計画のもとに運用しているということでございます。
 ただ、御指摘のように一年金資金につきましては、その性格によりまして、昭和十七年に労働者年金ができてから、年金資金の運用は統合管理ではあるが別ではないかという議論が絶えず繰り返されまして、その過程で還元融資のような仕組みも生まれたり、あるいは預託金利の水準につきましても年金をお預かりしているという事情を考慮して決めたりしております。しかし、国の仕組みのもとに集められたお金であるという性格は共通でございますので、それを統合管理させていただいているわけでございます。
#15
○堀委員 厚生大臣、私が言いたいことは、これからは大変な老齢化社会に向かうわけですから、厚生省所管の問題の中でも年金の問題というのは非常に大きなウエートを占める問題になる。
 実は私どもは、この後で投資顧問法という法律案についての審議を今週の九日にやります。この投資顧問法というのは、昭和三十九年でありますか、田中角榮大蔵大臣のときに証取法の改正問題というのを提起をして、証券会社を免許制にしようという提案をして、当時の事務当局は大変消極的でしたけれども、田中大蔵大臣がやりましょうということで実は今日の証取法改正になったのです。そのときに、余りにも証券会社の事故が多いということで、それまでは証券会社の一任勘定というものが認められておりましたのをやめるべきだと言って、証取法の改正以来この処理がされていなかったのでありますが、だんだん時代の進行とともにいろいろな年金資金その他が非常に巨額になってきまして、年金運用その他の問題は、より効率的に専門的な人たちが運用して、できるだけリスクは少なくしかし、安定的ではあるが高い利回りで運用するというのが今や世界の大勢になっていると思うのです。
 ですから、そういう意味で実は投資顧問法というものを考える必要がある。一任勘定ではなくて今度の一任運用というシステムで、資金は安全な信託会社とかいろいろな銀行とかに預けてあるが、その運用を指図をして、その運用を指図することによる手数料というものを受け取りながら国民のためにより高い、安定した危険のない運用をやるという意味で投資顧問法というものを国会に出していただいているわけです。こういうものは少なくとも競争原理が働いて高い金利が保証される。
 片や今の法定化の資金運用部預託金利というのは法律の上にあぐらをかいている。これはさっき答弁がありましたような郵便貯金との関係が主になっておりますからね。公定歩合が下がる、郵便貯金の金利を下げる、そうしたら当然これに合わせて預託金利も下げる、こういうことで、一回前に六・〇五になったのがずっと上がってきて、またもとの五十三年当時の六・〇五に戻ってきているわけですね。私はこのままでいけばまた下がると思うのです。今の状態では恐らく日本のいろいろな経済状態、諸外国と比べて円高も非常に急激に動いておりますから、やがて金利が下がるということが起こるでしょう。起きたら、また預託金利は下がりますね。厚生大臣、今度は六・〇五が五・幾らになってしまうわけですね。どんどん下がる預託金利、このままであなたはいいとお考えになりますか。どうでしょうか。
#16
○吉原政府委員 現在資金運用部の預託金利、七年以上の期間のものにつきましては、先生御案内のとおり六%にプラスアルファの特別利子を付する。これは私どもの立場では、年金の預託利率というものを念頭に置いて昭和三十六年、国民年金ができますときにその積立金の運用管理の問題が大変大きな議論になりました。全額資金運用部に預託をするけれども、利率としては六%にプラスアルファ特別の利子を付するということで今日まで来ているわけでございます。私どもの立場から申し上げますと、できるだけ高い金利を資金運用部の預託金利として保証していただきたい、それを法律で明記をしたのが現行法の考え方だ、こう思っておるわけでございます。したがいまして、現行の年金の資金を資金運用部に全額預託をするという前提である限りは、資金運用部法のいわば最低の金利というものはきちんとしておいていただきたいというのが私どもの気持ちでございます。
#17
○堀委員 あなたに来ていただいているのは政治の話をしたいからで、ですから、私が聞きたいのは、今のままで、あなた、厚生大臣として多数の国民の年金を預かっていてこれでいいのか、あなたが言うべきことがあるのじゃないかというので厚生大臣の出席を求めているのですから、あなたの方で少し答弁してください。
#18
○今井国務大臣 先生おっしゃいますように、年金の積立金というのは将来の年金の給付の貴重な財源でもございますし、年金財政が長期に安定するためにも高利運用というのはぜひ必要だと私は思っております。
 現在のように統合運用の原則を維持する前提のもとで預託金利の法定制を取り払うということにつきましては、年金積立金の資金運用部預託をめぐりますこれまでの経緯からいいましても、年金の加入者の納得をこれでは得られまいということで、私はにわかに賛成しがたいところでございます。しかし、先ほど局長答弁しましたように、年金積立金の別建ての高利運用ということにつきましては、昭和六十一年度はこれを見送ることになりましたが、今後とも、大蔵大臣との間で意見の相違はございますが、検討をいたしまして、何とかしてその実現に努めまして、私どももやはり自分の年金積立金については別建ての高利運用をぜひ図りたい、このように私は思っております。
#19
○堀委員 実は昭和三十五年九月、資金運用審議会、これは資金運用部に置いてあるのでしょう、ここで、国家資金の統合運用の立場に立ちながらも、次のような建議が行われた。「国民年金積立金については、毎年度預託金増加額の二五%の範囲において特別融資として、厚生省において拠出者に明確に理解できるような形で、国民年金制度の趣旨に沿うような施設等の整備に充てることが望ましい。 厚生年金積立金については、厚生年金制度の円滑な運営に資する見地から、還元融資の枠は、毎年度増加預託金の二五%の範囲まで拡大すべきである。 積立金の運用利回りは六分五厘程度とするよう努めるべきである。 資金運用審議会の運営を改善すべきである。」こういうのが昭和三十五年の九月に出ているのですね。今は大体二五%ぐらいになっているのだと思うのですが、歴史を調べてみますと、なかなかそうなってないのですな、実は。
 そこで、さっきちょっと申しましたが、昭和四十八年度以降に次のように措置するということで、「還元融資の枠は、毎年度預託金増加額の四分の一から三分の一とする。 還元融資はできる限り低利とし、その運用に関しては厚生省の意見を極力尊重する。 被保険者住宅資金貸付制度を実施するほか、年金福祉事業団による福祉施設の設置、運営を検討する。」昭和四十七年九月にこういう処理がされておるというふうに伺っておるわけであります。
 私は、今の預託金利のデレギュレーションとあわせてこれは来年度でやらなければならないわけですから、もう少し厚生省も――今後の日本の財政問題の中で最も大きい部分を占めるものは何かといったらやはり年金である、こうなるわけですね。その年金が安全、有利の問題で運用されているかどうかということについて――委員長、次の時間をちょっと圧縮しますから、もう少しこれをやらせてもらいます。
 ちょっと簡易保険の資金運用というのを調べてみたわけです。そうしますと、簡易保険の資金運用というのは、これは簡保と郵便年金ということになっているのですが、これは大変性格が違うのですね。ちょっとこれは郵政省の方から答弁してください、資金運用の面で。
#20
○佐藤説明員 簡易保険、郵便年金の資金の運用のことでございますが、簡易保険は大正五年に創設されましたが、そのときに資金の運用を定めております特別会計法が制定されまして、大正八年から簡保資金の郵政省におきます運用を実施いたしております。年金の方も大正十五年に制度ができましたが、そのとき以来郵政省におきまして資金運用をいたしておるところでございます。
 その後昭和十八年に戦時中の一時的な措置といたしまして、契約者貸し付け、地方公共団体、公共貸し付けなどごく一部を除きまして運用を停止いたしまして、大蔵省預金部に預入するということをいたしておりますが、戦後昭和二十八年に、また再び戦前のように簡保資金、郵便年金資金とも郵政省におきまして管理運用をいたしておるところでございます。
#21
○堀委員 理財局長、あなたは、特別会計の資金は統合運用だ、こう言っていますが、今の話を聞いていただくと、簡保は統合運用の枠から外れていますね。これはどうしてですか。昔やっていたものなら外すんだ、新しいものは全部取り込むんだ。ちょっとおかしいのじゃないですかね。我々の常識としては考えられない。
#22
○窪田政府委員 この簡易保険だけが唯一の例外でございまして、昔の経緯によるものでございます。私どもは、しかし、これは異例のものであって、やはり統合運用をしていただきたいという考え方を持っておりますが、歴史的な経緯でこういうふうになっておるわけでございます。
#23
○堀委員 これは与党の皆さんにもよく聞いていただきたいのですけれども、昔の沿革があったら仕方がない、現状で物を見ようという発想がないというのが日本の官僚制度の最も悪いところだと私は思うのです。日本の官僚制度というのは、私は長いつき合いをしておるわけです。二十五年以上もつき合っておるのですけれども、基本的に極めて保守的だ。要するに現状をできるだけ守っていきたい。現状をできるだけ守ろうということは沿革にこだわるということですね。これから二十一世紀に向かって、今や新しい世界の時代に日本が生きていこう。これまではキャッチアップですから、そういうやや保守的な発想でよかったと思うのですけれども、これから一番前へ出て、自分たちで物を考えて前へ進んでいかなければならないというモデルがない時代になってきて、依然として後ろを向いて、後ろで決まったことなら例外だ、そんなものが通用するなんということは、私は近代社会で考えられない。これは自民党の皆さんもひとつ真剣に考えてほしいのですね。だから、一体国民のために今何が一番重要かということを国会でしっかり考えて、最も重要なことのためには、私は決断をもってこういう問題を正していかなければいかぬと思うのです。
 厚生大臣、御退席のあれがありますから一つだけ伺っておきますけれども、来年度の問題について、これから私どもも党の中でも社会労働部会の皆さんとひとつよく相談しながら、少なくとも今の厚生年金資金の運用のあり方について、大幅にデレギュレーションをやって高い金利が保証されれば、そのことが結果的には財政負担が楽になるのですよ。財政負担を楽にしなければならぬので、これは財確法なんてはかなものがいつまでも出てくるわけですからね。そういう問題があるにもかかわらず、ともかくも低い金利で抑え込んでおるなんということは近代社会として考えられない、こう私は考えていますので、預託金利の自由化とあわせて厚生年金運用についても、大幅な、安全な、しかし高利運用ができるようにしたいと思います。あなたの答弁を求めて、大臣御退席いただいて結構です。
#24
○今井国務大臣 私も、実は先生のお考えはよくわかるのです。せっかく集めましたものをやはり高利運用していって預金者にバックしていく、これは大事なことだと思います。そこで大蔵省といろいろやり合いまして、全部とは言わないから一部高利運用をさせてくれということをやったわけでございます。これは六十一年度見送ることになりましたけれども、私はあきらめておりません。何とかしてそれをやりたいと思っておりますので、ぜひお力をおかし願いたいと思います。
#25
○堀委員 では、どうぞ御退席ください。
 そこで、私は、物事は全部段階的にということでありますから何も一遍に厚生年金を自主運用させろとは言ってないのですけれども、調べてみると、六十一年度、三千億だけ少しフェーバーを与えることになっているようですね。理財局長、どうですか、そこは。
#26
○窪田政府委員 先ほど御指摘のありました還元融資というのは、昭和十七年に初めて出現して以来、その後一たんなくなったりしておりますが、昔はむしろ今と考えが違いまして、加入者に安い金利で還元しろという思想がございまして、先ほどお話がありました住宅ローン、住宅資金貸し付けでありますとか、あるいは年金保養基地をつくるというようなことがございました。しかし、最近は今御指摘のような考え方がございますので、還元融資事業そのものに資するために高利運用ということができないかどうか、やってみたいというお話でございましたので、還元融資の枠内でそれではやってみられたらどうですかということでつくったものでございます。ただ、有利運用と申しましても、最近国債の利率も五・一と下がるようになかなか実際問題としては難しいのでありますが、還元融資事業そのものの円滑な運営に資するために有利運用を試行的にやっていただくということでございます。
#27
○堀委員 ちょっとここで銀行局長に伺いますけれども、確かに今の状態で公定歩合が下がる、預金金利も下がる、郵便貯金の金利も下がる。だんだん下がってくると、今市中で起きている一つの現象は、普通預金はほとんど利子がないに等しくなってきた、それならば中期国債ファンドに預けようというようなことになっている、今金利選好の感覚が非常に広がってきていますからね。だから、今の金融機関の問題はそれとしても、金融機関も今度はバンクディーリングが認められるようになって、きょう後半でやる短期国債のディーリングとかいろいろなことが可能になってくる。そうすると、銀行業務ですらどちらかというと債券を運用するということで収入を上げたいというような時代に来つつあるわけですね。
 郵便貯金はどうかというと、自主運用問題については依然として大蔵省はお断りだ、こうなっているようですが、簡保の資金は少なくともかなりフレキシブルに運用されているんですね。さっき理財局長は、歴史的なものなので仕方がないのだという話なんですが、仕方があるかないかは別としても、現実問題として社債、金融債に五十九年度末で七・三%、簡易保険の運用が行われておるし、六十年度末では一三・三%社債、金融債等で運用が行われているわけですね。
 だから私は、銀行が既に単なる貸し付けと預金というシステムだけでなしにバンクディーリングのような形を通じて収益を上げるという時代が来ておるのならば、郵便貯金特会も、簡保もこういうふうになっているから段階的に一部そういうような国債あるいは地方債等の運用、あるいは短期国債の運用等、そういうものを専門家の手にゆだねながら運用することは、金融機関という広義の立場から見るとおかしくないと思うのですが、銀行局長とう思いますか。理財局の立場ではなしに銀行局の立場で言ってくださいよ。
#28
○吉田(正)政府委員 大変広範な根幹にわたるような問題の提起ではないかなというふうに考えながら先生のお話を承っておったわけでございます。
 先生の御議論は、恐らく資金の効率的運用を官業も民業もともに認められていいのではないかという御趣旨かと思います。
 私、今とっさのお答えになるわけでございますけれども、官業と民業という見地、これは銀行局的な見地から申し上げておるわけでございますが、これをはっきり整理した上で物事を考えていかなければいかぬのではないかということが第一点でございます。つまり、官業は民業に比べましてやはり各種の恩典を持っているというのが私どもの考え方でございまして、課税上もそういうことになっているということが第一点。
 それから、たまたまバンクディーリングというようなお話も出たわけでございますけれども、金融自由化の中で、銀行は金融市場の中でいろいろの金利裁定、CDの裁定でも金利裁定市場に参加しているわけでございまして、その中で短期金利の裁定を全体としてよく見ながら、TBのディーリングを行ってみたりCDを発行してみたりいろいろやっているわけでございます。そういう点は官業はなかなかやっていない。金融市場全般には参加していない。長短の市場でございますね、そういうところの裁定に参加していないという意味では運用がなかなか難しいのではないか。やはり官業の立場、あるいは日本全体として官業、民業というものはどうあるべきかということを整理してから考えていくべき問題ではないかというふうに考える次第でございます。
#29
○堀委員 私は郵貯特会にバンクディーリングをやれという話をしているのじゃないのですよ。民間金融機関が変わりつつある。預金業務、貸付業務だけではだんだん成り立たなくなって、証券業務の方にシフトしてどんどんやってくる。これは将来的な展望としてはもっと進んでいく時代がやがてやってくるのだろうと私は見ているわけです。だから、本来の預金、貸付業務だけでは成り立たないという民間金融機関があるときに、郵便貯金はともかく別だ、自主運用というようなことはするな、こういう話はおかしいのではないか。
 自主運用のあり方については、私は今簡易保険の例を出して言っているわけです。簡易保険は少なくとも社債、金融債で六十年度に三兆八千四百九十五億円、一三・三%運用がされておる、こうなっておるわけですね。それならば郵便貯金も新しいそういう方向をやってもいいのではないか。官業、民業の話ではないのです。バンクディーリングをやれという話ではないのです。金融機関の変質という問題ならば、郵便貯金もある意味では広義の金融機関ですからそれが変質してくるのは当然ではないか。
 要するに自主運用はあくまでだめだというのはだめですよ。ただし、これを今の郵便貯金特会がやるかというと、やったことのない人がやるのは適切でないから、郵政省内の簡保の特会で今現実にこうやって運用しているわけですから、この簡保の特会で社債や金融債の運用ができるように郵便貯金もやるということが時代の流れではないか、銀行局長はどう思いますかと私は言っているのです。時代の変遷に合わせて物は変わるべきだというのが私の考えですから、その方向はどうですかと聞いているので、そういう角度からもう一遍答弁してください。
#30
○吉田(正)政府委員 郵便貯金の役割として、少額で簡易な貯蓄手段を提供するという意味で貯金者から貯金を集めておられます。これにつきましては、先生がおっしゃる金利自由化という歴史の流れの中で、民間と整合性を保ちながら郵便貯金についても金利自由化を進めていかなければならないのではないかという点では郵政省とも共通の認識でいろいろ御相談しているところでもあるわけでございます。
 ただ、この、運用の問題について申しますと、私あるいは先生の御質問をまた間違えているのかもしれませんけれども、今のところ郵便貯金という官業のシステムの中にはまだ入っていないということが第一点でございますので、それは郵便貯金の今後のあり方の問題にかかわるということで国民全体で御議論いただく問題であると考えているという意味でございます。
#31
○堀委員 ちょっと証券局長に伺います。
 社債、金融債というものを簡易保険が運用しているわけですが、これは占領軍が来たらいきなり国債、地方債に限定するということで、その前はかなり幅のある運用をされていたのだと思うのですよ。それが、がしんと来て、まだ残っている。しかし私は、今日、国債、地方債は安全だけれどもその他の債券類は危険だなんという時代ではないと思うのです。債券発行については格付機関もあるし、金融債なんかについてはそれなりの免許を与えているところが発行したりいろいろしているわけですから、そういう意味で、今簡保がやっているような社債、金融債というようなものの運用そのものはリスクはないと私は思っておるのですが、その一点についてだけ答えてください。
#32
○岸田政府委員 お答えいたします。
 社債、金融債のリスクの問題でございますが、このリスクの認識の仕方だろうと思います。従来におきますように、本当に全くパアになってしまうようなリスクというのは現在の社会情勢では考えられない。ただ、それぞれの金融情勢その他の動きによって個々のリスクというものは必ずあるというふうに考えております。
#33
○堀委員 そのことは、例えば厚生年金基金が生命保険や信託に運用を依頼しているわけですが、ここが貸し付けしているのですよ。信託も貸し付け、生命保険も貸し付け。だから、貸し付けと社債というものは、あるいは株券もそうなるかもしれませんけれども、これは一体なものだと思うのですね。安全な、例えば新日鉄ならつぶれない、日立ならつぶれない、こういう認識の問題だろうと思うので、私は、これの結論は大臣が入られてから締めくくって処理をいたしますけれども、ともかくも私の今の考えではデレギュレーションの時代に入ってきて、預託金利を法定化して、法定化していてもしょっちゅう動いているわけですから、別に法定化でも結構ですよという話になるのかもしれない。しかし、こんなにしょっちゅう動かすというのは、どうも法律を見るとそんな細かいこと書いてないんだけれども、これは何で動かしているのですか。法律の条文をちょっと言ってください。
#34
○窪田政府委員 これは、資金運用審議会の議を経て大蔵大臣が決めるということになっておりますが、大蔵大臣が勝手に決めるわけじゃございませんで、預託者側と相談をして、事実上の問題として決めさせていただいております。
#35
○堀委員 それは今の仕組みとしてはわかりますが、これからは今の全体像の中で、デレギュレーションですね、預託金利のあり方、同時に今の資金運用のあり方。それは単に厚生年金という枠だけで皆さんは物を見ているかもしれませんけれども、要するに年金が上手に運用されて、今厚生年金やその他の年金が考えておる数理計算上のプラスがどんどんふえてくるならば、国の負担はそれだけ減るわけでして、それがふえたら今厚生年金のあれを受け取るのがどんどんふえるか、そんな話じゃないと思っているのですよ。そうすれば、この効率的運用というものが生かされることによって財政負担も将来的に減る方向に可能な道が開かれるのじゃないか。
 だから、こういう問題をただ部分的にだけ物を見ないで、ひとつ広い財政全体の視野から見ながらこういうものが効率的に運用されるということが望ましいのであって、どうかひとつそういう意味で――本来、これはどうしても縦割り行政が避けられない、これはある程度歴史的な問題がありますけれども、この問題についてきょうは問題提起をしているだけで、あと大臣の見解を聞きます。ひとつこれらの問題を前向きに――郵便貯金の運用の問題、簡易保険は例外だから仕方がないというようになっている問題、厚生年金はこれまた別だとか、いろいろと歴史を負ってきていますから、それを全部一遍ここで御破算にしてやれというわけにはいかないけれども、しかしそれはそれとしながらも、段階的にそういう方向へいくような検討をぜひ大蔵省としても、厚生省、郵政省とよく相談しながらやってもらいたい、こういうことでございます。
 ここでこの部分の質問を終わります。あとは引き続き……。
#36
○小泉委員長 午前十一時二十分再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十時五十四分休憩
     ――――◇―――――
    午前十一時三十九分開議
#37
○小泉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。堀昌雄君。
#38
○堀委員 大蔵大臣、サミット御出席で大変御苦労さまでございます。
 実は、大臣が参議院に御出席でありましたために、大臣抜きで預託金利の問題について四十分ばかり論議をいたしました。最終的な締めくくりはやはり大臣の御答弁をいただいておきたい、こういうことでありますが、実は金利が現在、過去五十三年にあったと同じぐらいの低い水準になっておるわけですが、これで下げどまりということではなくてまだ下げなければならない情勢はあり得るだろうとなりますと、この預託金利の問題というのは、現状は今の公定歩合の動きにつれて実は動いてきておるものですから、大変な低い金利になります。ですから、そういう問題を考えながら、片方では、厚生年金の預託利率が下がることは厚生年金の関係者にとっては大変なマイナスでありますので、それらの問題について、今の資金運用部の預託金利の法定化をデレギュレーションの一環としてやめたらどうか。ただ、これをやめるためには、厚生年金なりあるいは郵便貯金なりの運用の問題というものが関連をしておる。ですから、これら全体を含めて考えなければならない。
 ただ、郵便貯金の自主運用というのは、自主運用したからそんなに簡単にうまくいくかというと、そこは多少私も疑問があるものですから、もしそういう方向に行くとするならば、今簡易保険が行っておるような、郵政省内部で既にやっている物の考え方を援用しながら何らかの方法を模索するということが必要だと思うのであります。一番大きな問題はどうしても厚生年金の問題でありますので、この問題についてはひとつ厚生大臣にも出席を求めて、これは単に厚生年金の会計上の問題だけではなくて財確法で問題になるわけでありますが、財政全体としての問題を含んでおるわけでありますので、そういう意味で厚生年金のできるだけ高利運用への道を速やかに開く必要があるということで……。
 ただ、こういう制度を変えるときには、一遍にやるということについては私は問題があると考えておりまして、段階的にやっていった方がいい、こういう考えでありますけれども、しかし、少なくともその段階の最初のステップを少しでも早く踏み出すことが極めて重要だ、こう考えております。これは長い歴史的な沿革のある問題でありますが、ひとつこの際、大蔵大臣としてこの問題について、来年度の課題になるわけでありますけれども、前向きにひとつ検討を進めてもらいたいということで、あなたの答弁を求めたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
#39
○竹下国務大臣 特に郵便貯金等の問題につきましては、まさに古くて新しい問題とでも申しましょうか、時には郵貯戦争という言葉もつきましたり、大変な長い年月を要しておるわけであります。その中でも簡保資金は、桧垣さんが郵政大臣のときでございましたが、いわゆる自主運用の範囲を申し合わせで一応は決めたことがございます。その後は毎年毎年の要求の中で引き続いて検討しよう、こういうことになっておりますが、特に、金融の自由化、国際化の時代でございますから、郵便貯金そのもののあり方とこれは総合的に検討を進めて、そう長い間腕をこまねいている問題ではないと思っております。
 それから、厚生年金の問題は、御案内のとおり今ああしてお借りしておるということで、いつ返すか、はい財政再建ができました後から確実に返します、こういうような答弁を繰り返しておる問題でありますし、幾らか性格の違いもございますので、ことしの場合も理財局と郵政省との間でいろいろな議論をしてきたところでございます。いずれにせよ大きな範囲に広がる問題でございますけれども、これは検討をしなければならぬ課題だという問題意識は十分に持っております。
 そうなると、預託金利の問題も当然出まして、実際、私もここのところ大蔵大臣会議をやっておりましても、公定歩合が下がった、さあ本当の実効が出るのは五月十九日ですという説明が向こうにはわかりません。何でそんなに、公定歩合が下がってから小一カ月もかかるのか、いや日本の金利の決定の方法はこういうふうになっておってというのが実際説明してもわからぬくらいな状態でございますが、問題となりますのは、仮にフル連動すればだんだん預貯金は手数料を払わなければいけぬような状態にもなるのではないかというようなところで、いろいろな苦心をしながら現状は対応をしてきております。例えば法律の問題につきましても、ある人はもう今国会ででも考えなければいかぬじゃないか、こう言う人があるくらいなことでございますので、十分それらの問題を念頭に置いて、国際化、自由化等が進められる今日、これはきちんとした対応が国際的にも説明のつくような形でなされなければならぬだろうという考え方は私も持っております。
#40
○堀委員 そこで、実はきょうはこれからあと二つの問題をやりたいと思っております。
 一つは、四月七日に国際協調のための経済構造調整研究会の報告書が出されております。いわゆる前川報告と言われておるものでありますけれども、この中で実は二つ問題がございます。
 一つは、「金融・資本市場の自由化と円の国際化」、こういうことでありまして、時間を節約するために私の方から読みますが、
  従来から、資金調達面に比し運用面の国際化が立遅れており、今後、資金運用市場機能の整備を進め、調達・運用両面のバランスが確保されることが不可欠である。
 資金運用市場強化のためには、@投資資産の多様化。特に短期金融市場の整備が喫緊の課題である。A流通市場の拡大・強化。取引の国際化に伴う制度及び取引面の国際的な斉合化、なかんずく、税
 制面での国際化が必要である。こういうふうに実は報告がなされておるのであります。この報告は私的な諮問機関と言われておるのでありますが、先般、内閣はこの報告をどういうふうに取り扱うことを決められたのか、ちょっと大臣からお答えをいただきたい。
#41
○竹下国務大臣 いろいろ議論がございまして、結局、いわば中曽根総理の私的諮問機関の域を出ていないというような議論もありました、八条機関でもございませんし。したがって、その方向を参考にして、かけるべきものは諸般の審議会へかけたりしながら、その方向はいいということになっているわけでございますから今後着実に実行していこうというので、先般、政府・与党一体になった、正確な名前はちょっと忘れましたが、会議体が設けられたという段階でございます。
#42
○堀委員 この中で今私が読んだことは、私は賛成なんです。三月二十五日の当委員会で既に大臣との間で論議をさせていただいておりますけれども、要するに、これからの日本経済というのは、貿易収支の黒字が円高になったから減る、減るのはごくウエートの小さい部分が減るのであって、力のある産業部分は簡単に減らない。それはなぜ減らないかというと、今日日本商品がアメリカで売れておるのは価格競争力で売れているのではなくて、非価格競争力で、アメリカ国民が日本の製品についての信頼性を持って買っているということがありますから、為替の問題だけでなかなか急激に減らない。そこへもってきて油がこう下がっていますから、経常収支はまさに膨らむということで、これは私どもはそういう前提で物を考えていくとするならば、我々日本の側として、アメリカなり欧州に対してできることは勇気を持ってやるということにしなければ、私は日本が国際的な孤児になることは避けられない、こう認識をしておるわけであります。
 その際に、今非常に重要なのはやはり金融の国際化の問題で、大変ピッチが速く来ているわけであります。少なくともそういう国際的な金融関係の問題については、この前、私は国際均衡で行きましょうということを申し上げた。国内均衡はもちろん日本の税制としてありますけれども、ともかくもこの際は、国内均衡もさることながら国際均衡重視の対応ということが非常に重要だと思っているのですが、この報告もおおむねそういう方向で問題が提起をされていて「なかんずく、税制面での国際化が必要である。」ここの部分については、私も賛成なんです。まあ前回、時間は十分ではありませんでしたが問題提起をさせていただいた、こういうことなんでありますが、この部分についての大臣の受けとめ方はいかがでしょうか。
#43
○竹下国務大臣 今御指摘のありましたように、大体日本の国際競争力というよりも、ある意味においてはクォリティー、質がいいから、向こうから吸引された格好で伸びていくから、場合によっては値上げしたって売れるのだという状態は確かに存在しておると思っております。金融市場というものはまさにおっしゃるとおりいわゆる国際化の時代で、今、堀先生もやや急ピッチと言っていただきましたが、けさもECのドクレルクさんと会うともう少しスピードをかけてくれ、こういう状態でございますから、世界的にはかなり急ピッチだと私は思っていますが、関係者は理解しても全員が必ずしも理解していないかもしらぬというふうな考え方もないわけではございません。確かに孤児にならぬために、私も勇気を起こしてサーべーランスというのはやるべきだという主張をかねてしておったわけでございます。したがって、例えばやがて御審議いただきますオフショア市場に関する税制の問題等も、日本の今日の税制からいうとあれはぎりぎりのところで部内調整をして御審議いただいておる。しかし、諸外国においてはまだ若干首をかしげている傾向もないわけではございませんので、とりあえずは出発して、小さく産んで大きく育てようという過程でいろいろな変化があろうかと思っておりますが、税制の問題がなかんずく国際化の中で大きな問題として浮かび上がってくる、また避けて通れない問題であろうという問題意識は、これは部内を含めて議論をしながらも持っておるところでございます。
#44
○堀委員 そこで、実は五十六年二月、渡辺大蔵大臣のときに、国債特別会計論という国債発行をより自由、円滑にやりたいという問題でボールを投げさせてもらったのですが、財政法の関係の方はちょっと後回しにしまして、今秋の話が出ておりますからこの問題の中で、昨年の大蔵委員会で短期の国債の発行が法律として認められて、この二月、三月、五千億円ずつ一兆円、短期の六カ月、ロット一億円という国債が発行されることになりました。その経過をずっと見ておりますと、すべての取引をする者は日本銀行の国債振替制度、ブックエントリーと言われておりますが、これにちゃんと登録をされた者、また、証券会社や銀行、要するにバンクディーリングをやれる者、その他の特定の者が顧客との間にまたそういう口座を設けて処理をする、無券面の、要するに債券が発行されていない振替制度ということでスタートしたようであります。
 私が先般アメリカへ出張いたしましたときも、源泉徴収というのはおかしいというのがアメリカの財務当局の意見でございました。私の出かける前に、既に国際均衡問題、特に一九八四年のアメリカ及びドイツの債券、証券類に対する源泉徴収の撤廃問題等があって、その議論をして行ったわけてありますので、原則的には我々は非居住者の問題については考えるべきだと思っているということを私も率直に言ったのであります。同時に向こうは、ロットが大き過ぎる、期間も長過ぎる、個人もやらせたらどうか、こういう話でありましたから、これは制度の沿革から見て、銀行との関係もあってスタートはここでやらざるを得ないと思うが、やがてロットも変わるであろうし期間も変わるであろう。それはいいけれども、個人は日本の場合には国内の税制との関係等もあってちょっと難しい、だからこれは余り期待しないでもらいたい、こういう話をしてきたわけですが、いろいろ調べておりますと中央銀行も実は源泉徴収を取られておる、こういう問題があるようですね。
 きょうは日本銀行の三重野副総裁に御出席をいただいておりますが、大体、中央銀行というのは主権免税という制度になっておるわけでありますから、当然、中央銀行に対する対応は他の非居住者とは別個であってしかるべきではないか、こういうふうに私なりに考えておるのであります。日本の中央銀行の立場から、この私の考えについてのお答えをいただきたいと思います。
#45
○三重野参考人 今の先生の御質問は税に関するものでありますので、私からお答えするのはあれでございますが、私どもの立場といたしましては、短期の金融市場をつくるという意味からしますと、中央銀行に限らず国内の金融取引、金融制度というものが国際的に整合された方がいいという立場ではございます。ただし、もちろんこれは税の問題でございますので、税は税プロパーのいろいろな体系がございます。それとの関係を兼ね合わしてやらなければならないことはもちろんでございますが、先生のおっしゃる意味はよく理解できるところでございます。
#46
○堀委員 確かに源泉徴収という制度は、主税局が世界で一番完備した制度だと言うけれども、考えてみますと大臣、これぐらい財政費用を節約しているシステムというのは少ないと私は思うのですよ。ともかく、今の金融取引の問題というのは一部でありますけれども、要するに給与所得者の源泉課税というものは企業のそういう関係者をただで使って税金を集めているわけですからね。主税局はただでやっているものをもし金を払ってやらしたらどのくらい金がかかるか計算したことがありますか。
#47
○水野政府委員 源泉徴収制度につきましては、納税者のサイド、源泉徴収をされる関係者の方々全体を含めて、これが公共の福祉に適合するものであるというふうな最高裁の判決も出ておりますので、その点につきまして私どもこれが極めて適正なものであるということから、これについての費用云々ということにつきましては試算をしたことは今まではございません。
#48
○堀委員 今の話は木で鼻をくくったという話の見本だと思いますね。私、そんなことを聞いてないのですね。要するに本来支払うべき対価も払わないで、税という名のもとに企業や何かの人たちを徴収義務者として位置づけて、それが翌月の何日までに納めなかったら懲罰システムまで導入している。私は、セルフアセスメントという話を竹下さんとも随分やりましたね、申告納税制度。申告納税制度どころか強制徴収制度なんだな、今の日本の源泉徴収システムというのは。ですから、便利に集まる点でこの制度が悪いと私は言っているんじゃないのです。ただ、この制度がこういうふうにあるから一つも漏らさずにやりますよという話が国際化との関係で検討が迫られるということになっているんじゃないかな、こう思うのですよ。だから、私はこの前申し上げたように、これは検討課題として考えていかなければいけないけれども、国際均衡という問題を無視して今後日本の先行く道はない。要するに、そこでもし失う金、税の収入というものがそんな巨大なものだとは思わないのであって、どこが大事か、日本の将来にとって何が大事かというと、国際的に日本は少なくとも皆さんと同じシステムでやりますよということの方が非常に大事だ、こう私は思っているわけです。ただ、この問題はきょう初めて取り上げるわけですから何もかも一緒に全部やれというわけではありませんが、少なくとも中央銀行というのは主権免税でございますから、中央銀行の会計システムの中には税金を払う項目というのはないんだと私は思うのですね。三重野副総裁、日本銀行には税金を払うための引き当ての予算というか経理上のそういうシステムはありますか。
#49
○三重野参考人 先生御案内のとおり、納付金のほかに地方税を納める制度がございます。
#50
○堀委員 納付金は納付金でありますし、地方税というのはやや性格が違いまして、今のそういう金融取引その他の関係はありませんでしょう。ちょっとお答えいただけますか。
#51
○三重野参考人 先生の今おっしゃった点は、ございません。
#52
○堀委員 ですから、外国の中央銀行が今の短期国債を買えないのですよ。なぜかと言ったら、ここに源泉のあれがついていますから。金を支払う会計上の仕組みはないのです、主権免税なんですから。そこまでも含めて全部こういうことをやっているということは、短期国債というのは、少なくとも前川報告の中で「投資資産の多様化。特に短期金融市場の整備が喫緊の課題である。」と大変強調して書いてあるわけです。その短期金融市場の玉として取り扱われる性格の問題として五十六年二月の本委員会で提案し、その形はその形で発行されるところへ実は来ているけれども、そういう海外主要国の中央銀行が短期金融市場に参加できないような仕組みをそのままにしておくことは、昨日までのサミットで、G7でありますか、主要各国の財政当局と御相談になった経過から見ても、まず順序として中央銀行の主権免税という点から源泉徴収の問題の処理は外したらどうか、こう考えるのですが、大蔵大臣いかがでございましょうか。
#53
○竹下国務大臣 確かに、短期金融市場というのは最近顕著に拡大してきた、このことは言えると思います。私どもがいつも言いますのは、源泉徴収制度というのは私の方から言えば大変ありがたい制度ですよ、外国の税制の関係者には、むしろこっちをまねしたらどうだ、こんなこともときには主張するわけでございまして、これからの市場の展開を見守って、関係者の意見も十分聞かなければならぬことでございますが、流通上、課税上の支障、アンバランスがどういう場合に出ていくのか、そういう問題を見きわめながら検討する課題であろう。税制調査会の会長さんもお見えになっておりますが、「公平、公正、簡素、活力、選択」というものにプラス国際化ということを書いて本当は諮問すべき性格のものだったなという感じが、率直に言ってしないわけでもございません。
#54
○堀委員 これからいろいろな詰めを必要とするでありましょうが、ブックエントリーという制度の基本にあるものは、日本銀行のブックエントリーを信頼するかしないか、これが重要な問題だと思うのです。それから、皆さんが免許を与えておる銀行その他の金融機関、証券会社を信用するかしないか。同時に今のこういうディーリングに参加できるためにもう一つ皆さんの方は枠をかけているのですから、銀行や証券会社ならどこでもいいのじゃなくて、まずこの参加者は枠がある。この問題の背景にあるのは、大蔵省がそうやって厳選したものをどこまで信用するかしないかということなのです。大蔵省が中央銀行を信頼しないようでは国の経済の基本は成り立たないわけです。そういう意味で、日本銀行がやっておるブックエントリー、同時に参加しているもののブックエントリーを信頼するという前提に立って、まず中央銀行の取り扱いを第一義的に考えてほしい。第二義的には、非居住者の取り扱いについてはやりようがあるわけでありますから、ここは国際均衡の面で考えてほしい。国内的な問題は、これは私は別個の問題と思うのですが、こうなってくるとちょっと難しいのは、市場において一物二価みたいなことになってくるわけです。ですから、そういう意味では、方向としてはこういう短期金融市場の育成のために必要なものについては最終的には源泉徴収はやめる、こういう方向で対処する以外に短期金融市場の喫緊の整備と言われている問題に対応できないのではないか、私はそう思っているわけです。
 そこで、これは税の問題ですから小倉税制調査会長に、これは皆さんが検討していらっしゃる問題じゃないので学識経験者の立場で結構でございますが、今私が申し上げておる短期国債の源泉徴収について私は三段階論、要するに第一段階、中央銀行を外しましょう、第二段階、非居住者を外しましょう、第三段階、これに関する源泉を外しましょう、こういうのが私の立論構成ですが、小倉税制調査会長はどういうふうにこれをお考えになるか、伺いたい。
#55
○小倉参考人 ただいま先生の御質問でいろいろ御教示賜ったようなもので、私、もともとそちらの方の学識は余りございませんので、大変ありがとう存じました。
 税制調査会では恐らくやがてはそういうような問題も討議する場面が生じてくるかと思います。殊に、前川リポートに今のような趣旨がうたわれているようでございます。しかし、残念ながらまだ前川リポートが出てその後あそこにうたわれている税制上の問題について検討したことがございませんのでお答えがしにくいので、なお今後そういう機会がございましたら、お話しの点もよく念頭に置きまして審議を進めるようにいたしたい、かように存じます。
#56
○堀委員 さっき大臣も、今の「公平、公正、簡素、活力、選択」というのに国際化を入れた方がよかったなという感想を述べられておりますから、税制調査会においても、この国際化の問題というのが、貿易収支、経常収支という非常に大きな問題の裏側として、私どもが向こうからフェアだと言われるための欠くべからざる手段の一つではないか、こういう認識でございますので、前向きな御検討をぜひいただきたいと思います。
 そこで、具体的な問題ですから主税局長の方に伺ってこの問題を終わりたいのですが、今私がこういう話をしておりますこれは、少なくとも今の中央銀行については前向きな検討がされると期待しておるのですが、主税局長、この問題についてどうでしょうか。
#57
○水野政府委員 御指摘の主権免税機関でございます中央銀行につきましては、本来は租税上の負担は求めないのが原則でございます。今回の短国等につきましても、償還時まで保有され、それは還付手続をとっていただくということであれば、最終的に負担の生ずることはないわけでございますが、委員御指摘の点は、中途でお買いになった場合等におきまして、それが税込みで保有される、あるいは売却される場合にもその部分が取り戻されるということは申し上げられるにしてもその間の保有につきまして負担分が入っている、そういう御指摘ではないかと思うわけでございます。
 主権免税という趣旨を徹底するためには、最終的に清算されればいいということから委員御指摘のような点までさらに整備すべきではないかということでございますれば、そうした場合に、先ほど大臣から御答弁がございましたこの点につきましては、市場の今後の展開を見守りながら、流通上、課税上支障をもたらさないで講じ得る手だてを見出し得るかどうか、今後私どもとしても勉強してまいりたい、このように考えるわけでございます。
#58
○堀委員 これは大蔵大臣、私は政治の問題だと思っているんですよね。それは、事務当局とすれば横との均衡だとかいろいろあるでしょう。しかし、ともかく一国の中央銀行が、今の日本のような非常に大きくなった金融市場でそこの短期国債を買えないような制度をそのままに置いておくなんていうことは、今の答弁はそれでいいんですが、サミットが終わったきょう、この問題を提起しておるわけでありますから、ひとつ大蔵大臣の政治的な指導をぜひお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。
#59
○竹下国務大臣 先般堀さんがベーカーさんにお会いになったときも、恐らくベーカーさんの方が全く同意見じゃなかったかと思っております。ベーカーさんも必ずしも専門家でございませんので、いわばサブの方がそういう主張で、まだ継続的に議論をしようということで、私どもの方も継続的に議論することを妨げない、積極的に参加しましょうということであります。
 今、水野主税局長からお話がありましたように、最終的に実際どういうふうな仕分けができるだろうかという技術的な問題もございますので、十分今の意見を念頭に置きながら、私どももこれからこれに本気な勉強をしていかなければならぬ問題だと思っております。
#60
○堀委員 この問題はここまでにいたしまして、時間が余りありませんから少し急ぎますが、この前川報告には、実はもう一つ重要なことが提起されております。
 「税制については、公平・公正・簡素・活力・選択に加え、国際的見地から見直すべきである。」これは今お済みになったわけで、「上記の原則に照らし、貯蓄優遇税制については、非課税貯蓄制度の廃止を含め、これを抜本的に見直す必要がある。」こういうふうに書かれておるわけですね。私は、これを拝見して、「廃止を含め、」というのは、随分はっきりここに書かれたな、こういう感じがしてなりません。なぜかといいますと、この貯蓄優遇税制というのは、日本の場合には税制だけの問題じゃないんですね。郵便貯金という非常に歴史的に古い制度があって、それと民間の金融機関の問題があるのであって、要するに郵便貯金をそのままにしておいて優遇税制をやめろなんということになったら、これは民間金融機関がおさまるはずのないことでありますから、当然これは郵便貯金を含めての問題の処理がなければならない。言うなれば、さっき大臣の今の資金運用部の預託の話の中でおっしゃっているように、郵便貯金の今後のあり方というものは、金融自由化との関係で当然見直しがされなければならぬところに来ておる。そういう郵便貯金制度の根幹に触れるものを、安易に「非課税貯蓄制度の廃止を含め、これを抜本的に見直す必要がある。」というのは、私は少しオーバーコミットメントじゃないかな、こういう感じがしてならないわけです。
 そこで郵政省、あなたの方に少し勉強してもらっているので、諸外国の貯蓄優遇というか非課税制度を簡単にひとつ説明してください。
#61
○塩谷政府委員 問題が税制でございますのであるいは税務当局でもお調べになっていることとは思いますが、私ども日本の郵便貯金が税制絡みで非常にいろいろ問題になっているということで、外国の例を調べたわけでございます。
 簡単に申し上げますと、欧米主要国の一つの例として、まずフランスでございますが、最高五十万八千フラン、これは邦貨に換算しまして一千三百五十万円までの貯蓄元本の利子が非課税とされている例がございます。イギリスですが、これもやはり利子非課税方式でございまして、最高七万四千三百ポンド、邦貨換算約二千万円までの貯蓄元本の利子が非課税とされている。これはいずれも、日本で九百五十万円、勤労者の場合財形を入れまして一千四百五十万円、これを大幅に上回る額になっております。アメリカの場合は、所得控除方式と利子非課税方式が併存しているということで、IRAというような老後の生活資金の積み立て、これについて三十六万円までの積立額が所得控除という例がございます。西ドイツの場合も、これは所得控除方式でございまして、約三万三千円までの利子について所得控除が行われるという例がございまして、ひとり日本だけがこの少額貯蓄非課税制度があり、それが過剰な貯蓄の原因になっているという議論を招いていることでは決してないということを申し上げたいわけでございます。
#62
○堀委員 三重野副総裁にお伺いしたいのですけれども、この問題は税の面ももちろんありますが、郵便貯金の今後のあり方というものが金融全体の動きに合わせてやはり大きく変わっていかなければこれは存立できなくなる、私はこういうふうに思っておるのです。そういう観点から見て、今の非課税問題とこれは不可分でありまして、今の郵便貯金制度の沿革の中でしか物を考えることはできない、こう思うのですが、これについてお考えがあればひとつお伺いしたいと思います。
#63
○三重野参考人 いわゆるマル優制度については政府税調その他でこれから議論される問題だと思いますが、まず、貯蓄は今後とも大変大事なものであるというふうに中央銀行としては考えております。しかしながら、税全般の見直しが行われますときに公平あるいは公正という見地からマル優制度を見直すというのはこれまた当然だろうと思いますが、その場合に、私どもとしてぜひ考慮していただきたい点が二つございます。
 一つは、その制度を変えることによって大幅、急激な資金シフトが起こらないようにしていただきたい。もう一つは、これまた先生がおっしゃったように、民間の金融機関と郵便貯金との均衡が図られる、この二つが大変重要な問題である、こういうふうに考えております。
#64
○堀委員 私は、これも将来このままでずっといいというふうには思っていないのでありまして、かつて銀行法の改正問題のときに本会議で問題を提起しておりますけれども、郵便貯金を、現在三百万円ということになっておるけれども、百万円までを甲種定額貯金、あとを乙種定額貯金にして、甲種定額貯金というのはこれまでどおりでいいのじゃないか、乙種定額貯金は、金利の変動によって金利調整審議会で決まった金利で動くというようなことで、二つに考えた方がいいのじゃないかという問題提起をしたことがあるのです。今の金利の自由化問題等を考えるときには、今言った甲種定額貯金百万円というのはやはり今後とも現状どおり、そのときもそう言っていますが、金利は郵政審議会が決めるという形で、現状どおり百万円を置いて、乙種は、いろいろな意見がありますが、低率分離課税とかいろいろなことがあるでしょうが、ここはその他の金融機関と同じような税を払ってもらうことにして、金利も同じように動くようにしてもらって、そのかわり限度を取っ払ったらどうだ。もう民間と同じですから、三百万円という枠は必要ないので、百万円の方はきっちり枠をするが、あとの方はどうぞひとつ御自由にやってください。
 そして民間の方も、これと均衡をとるために――少額貯蓄非課税制度というのは、最初私どもここでやったときには実は一金融機関一店舗でスタートしておるのです。それが貯蓄納税組合のむちゃくちゃなものを正したのですが、自民党の皆さんの圧力でこれは多店舗になって、それで名寄せができなくなって今日の混乱がある。識者がいろいう言っておられる点でも、実務上の問題を考えないと、今銀行協会は非課税撤廃反対ですが、中小金融機関は事務的な煩雑な処理でかなわぬ、こういう問題がありますね。だから民間の方も、一金融機関一店舗、百万円、これにひとつ統一して、この制度は依然として残しましょう、その後は低率分離課税にするかどうか、それはまた皆税制調査会でお考えいただいたらいいのじゃないかと思うのです。
 今の三百万という郵便貯金というのは百兆に達していますから、これが今の形のままでいいかどうかというのは、今後の問題を含めて検討の余地があるだろう、私はこう考えていますので、これは今後の税制調査会の検討課題でございましょうから、小倉税制調査会長から一言お願いをしたい。
#65
○小倉参考人 マル優、郵貯両方含めまして、随分長年税制調査会では検討を重ねておりまして一、二度いろいろ案を出したこともございますが、なかなか一般に向けられませんで、現在のところは限度管理を若干適正にしようということで推移を見ているということでございます。
 今後どうするかということにつきましてはこれからの話で、今からこうだああだというふうに憶測するわけにもまいりませんけれども、これを廃止するという前川リポート、廃止を含めてというリポートでございますが、いきなり廃止というのは非常に困難である、恐らく税制調査会ではそういうことでは意見の一致は見ることはないであろう。ただし限度管理といいましても、これはまた甚だ難しいことで、本当に限度管理ができるのだろうかということについて、だれしも必ずやってみせるという方は恐らくないのじゃないか。
 ことしから始まった限度管理がどうなるかということを見てゆっくりやるというわけにもまいらぬかもしれませんが、そういうことをとにかく始めたものですから、そういう推移はある程度踏まえまして、限度管理が適正にいくかいかぬかというようなこともやはり参考にすべきじゃないかと思います。
 したがいまして、いきなりここで廃止をするということに持っていくことは、そういう意見の方も大勢おられるかもしれませんが、税調としてそういう意見を主にしまして審議を進めていくということは難しいのじゃないか。これはちょっと前川リポートに反するかもしれませんけれども、そういう趣旨でいきなり進めていくというのは、これまでの経緯もありまして税調としてはちょっと難しいのじゃないかと思います。
#66
○堀委員 今の小倉調査会長の意見に私も全く同感でありまして、これは個人的な諮問機関で責任がないからこういうことが書かれたのかもしれませんが、私は国民の今の気持ちを全然無視したようなことが民主主義の世の中で行われるはずはないと考えています。ただしかし、そうだからといって今のままでずっと永久にいいとは思ってないわけですから、そういう全体の状況を勘案しながらいい方向に問題を進めていくということが大変必要じゃないかと思います。
 これでこの問題を終わりまして、最後に、時間がちょっとないのでありますけれども、実は、私は国債特別会計という問題を提起いたしましたが、そこで実現したのは短期国債ぐらいのことなんですね。しかし私は、これから国債の発行というものを考えるときには、基本になっておる財政法の問題ということは一遍検討を要する課題ではないかと思っているのです。
 どういうことかといいますと、私は現在の財政法はこれで大変結構だと思っているのです、財政法としては。今財政法について法律案を出されておるわけです。ところが、この財政法が考えたような日本の財政、これはまず特例債というものはこの財政法は考えてないのですね、大臣、全然考えてない。それで特例債が最初に出たときには、まさに当分の間というので、そのうちにはうまく処理ができるかと思っていたら、当分の間どころか十年したら必ず償還しますと言っていたのもだめになって、そして現在残高が六十兆ぐらいですか。
#67
○窪田政府委員 ことしの三月末で五十九兆三千億ということになっております。
#68
○堀委員 実は大変な残高があって、なおかつ、私はいつまでどうこうの話はしませんが、まだしばらくこの特例債の発行は続くのだろうと思うのですね。この財政法の中にはこういうことを予期しなかった。四条債にしましても、片一方が六十兆ですから、八十兆を超えているわけでしょうね、残高が。これも現在の財政法が考えたものとはほど遠いんじゃないかと思うのですね。
 だから、今のこの財政法は、私は均衡財政を将来はとるべきだと思っていますからいいのでありますが、現状に即応した財政法でなければ国民の利益は守られない、こういう感じがするわけです。
 そこで、国債特別会計といいますか、国債資金特別会計というか、新しいシステムにして、国債の発行、償還その他、ここにフリーハンドを与えて、ここはファイナンスが自由に行えるようにしよう。しかしそれを行うからといって、これは要するに資金の調達、それを一般会計に貸し付けるというか、どういう格好で処理するかは別ですが、一般会計に供給をしてそこで一般会計が処理できるということで、財政の単年度主義を崩す気も毛頭ないのでありまして、私は、償還計画などというのは、果たして現実の問題として百四十兆のものをどうやって償還するかなんということは、この財政法ができたときに考えなかった問題になっているのじゃないか、こういう気がいたします。
 そこで、私が言っておる、財政法としてどうしても最小限度さわらなければいかぬ部分というのはどういう部分があるか、ひとつ次長の方から答弁をしていただきたい。
#69
○保田政府委員 かねてより先生の御提案になります堀構想につきましては、財政当局もこれは真剣に受けとめまして勉強させていただいておるわけであります。
 先ほど来御議論のありますような金融の国際化、自由化といったような状況、それに応じまして金融情勢も非常に流動的になる、金利も変動するといったようなことでございますから、大きな金融商品である国債も金融市場の情勢に応じて弾力的に行われることが望ましいということはもちろんでございますし、また、財政負担という面からいたしましても、そういうふうに制度が弾力化され、しかも、その発行とか償還が機動的に上手に行われれば、将来にわたりまする国債の利子負担も軽減されるというようなメリットもあるわけでございます。
 先ほど来御指摘のように、六十年度では短期の借換国債を新たに発行する、あるいはまた、年度越えの前倒し債を発行するといったようなことはさせていただいたわけでございますが、先生の御指摘は、さらに法制度面で前進せよ、こういう非常に貴重な、我々としてもまたありがたい御指摘だと思うのでございます。
 ただ、現在のいろんな国債の発行、償還に関する基本的な制度、具体的にいいますと国債整理基金特別会計法がございます。あるいは、先ほど来御指摘のございました財政の基本法とも言うべき財政法の基本的な部分にもまたかかわる問題でもあるわけでございます。
 一方では、先ほど来御指摘のございました日本の財政の現状が財政法の予想していなかったような事態を迎えているというような非常に大きな問題も抱えておるわけでございますが、しかしまた、現在の我が財政法は、英米法にないような財政節度維持という面ではすぐれた制度をも持っておるわけであります。場合によりましては、多少厳格に過ぎる、弾力的運用に欠けるといったような面もございますけれども、基本的には私はすぐれた制度であろうと思っているわけでございます。
 したがって、御提案の堀構想、国債発行の一元化、弾力化という構想と、現在の我が財政法の現実との乖離の問題を含めまして、しかし一方では、現在持っております財政法のすぐれた部分との両立を図る必要があると思うのでございます。したがいまして、この堀構想の具体化に当たりましては、それらの基本的な部分につきまして、提案の御趣旨を体しまして部内で慎重な検討を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#70
○堀委員 大臣、今お聞きになったとおりでして、私も今の財政法がよくないと言っているんじゃないのです。これにフィットするような財政にこれから日本の財政を持っていかなければいかぬと思うのですね。一遍、大分横道に行きましたから、これは簡単にすぐもとの道に戻れないわけですね。だから横道に行って戻れない間は、ともかく今の財政法としては、今、保田次長が言いましたような国民のためにできるだけ負担を軽減するような国債の発行の仕方――もう新しい時代に来ていますから、この財政法ができたときには全然予測しなかったようないろいろな客観的な事実がある。私は、預託金利の問題についてもそう言っているのですけれども、要するに、日本経済というのはいろいろな法律がつくられたときから大きく今変わっておるのですから、この変わっておるときに旧法をかたく守って、そしてそれが国民にとってプラスにならなくても旧法を守るということが国政として適当かどうかという点については、大きに疑問があります。
 一遍曲がったものを戻るようにするためにはいろいろ努力が要ります。率直に言って、民主主義の最大の欠陥は、国民が増税を嫌がるということですね。しかし、考えてみると、こんなたくさんの国債を発行しているときに、それを税金で取って処理するというのは大事なことだと思うのです。今六十兆の特例債がある。今が日本では一番いい時代だと私は思うのです。これからはだんだん労働力の状態が変わり、高齢化が進み、国際的には、今のようなことをやっていれば日本はおかしいという形で締めつけがだんだんやってくる。その将来に、一番よかった時期の人間が六十兆も特例債を借りたものをそのまま引き継ぐなんということは、私は当代の政治家として大変大きな責任があると思いますね。少なくとも、二十一世紀になるまでにこの六十兆というのは今の国民の税金で返して、そして今の財政法で運営できるような日本の財政にして後代に譲っていくのが当代の政治家の最大の任務じゃないか、こういう認識なんですね。民主主義の国はどこでも増税というのは嫌がるでしょうが、しかし、国民に借金をして、そしてその借金払いの利子が十兆を超えるような予算を組んでいるなんということは、これは今の財政法はもう頭から考えていないことなんですね。だから、これを解消していく過程で必要な対応をするというのは、今の当代の政治家の当然の責務ではないか、こう思っておりますので、もう時間が来ましたのでこれでやめますけれども、今の私の問題提起に対する大蔵大臣の答弁をひとつ伺って、質問を終わりたいと思います。
#71
○竹下国務大臣 財政法、昭和二十二年でございましたか、できるときには現行を予測していない。私はよく言うのですが、いわゆる暫定予算制度というのは、あれは憲法をつくるときに予算の空白というのは予測していなかったのじゃないかというような感じがしますが、今の財政法、まさに財政憲法において今のようなことは予測していなかった。したがって、昭和三十九年までは国債はないとして、四十年の、あれは建設国債か赤字国債かちょっと区別のつかぬようなことでございましたけれども、あのときの議論を今でも思い出しておりますが、財政法そのものを否定するというような議論から、結局お許しいただいて、アバウト十年やって、五十年にいわゆる現行の赤字国債を出すに至った。しかも最初、当分の間とお願いするか、こう言ったが、やはり財政節度を設けるために一年限りで、毎年毎年国会で汗をかくことによってみずからを縛ることにもなるからというので、毎年毎年お願いをしてきたわけであります。それの残高が今おっしゃったように、赤字国債の方だけで見ましても六十兆、そういう時代になった場合に、建設国債と赤字国債と、残高になった場合は同じ性格のものになってしまいますけれども、精神的にはある種の区分というのはやはり私もなお感じておる。これは現世代の者が、政治の責任であると同時に、生きとし生ける我々が後世代にそれだけのツケを回すのはやはり基本的に間違いじゃないか。大平さんがアーウーと言いながら私はとんでもないことをしたというのは、大蔵大臣のときに赤字公債を発行されたことをおっしゃっておりましたが、それは政治家としても財政を扱う者としても、あるいは財政に関与する者として、あるいは生きとし生ける者として、これだけは、電電株の売却収入という大変魅力的なものも一方に浮かんでまいりましたものの、やはり現世代の者の責任においてそれだけはいつの日かになくさなければいかぬ課題だ、だから少なくとも発行することだけでも六十五年までにやめておきましょうという旗がおろせないのも、基本的にはそういう考え方の中にあると思います。
 したがって、今度財政法の中で、例えば減債制度の問題とか、今日、議論すればするほどいろいろ矛盾を感ずるものもございますけれども、本当に重要な御提言として対応すべき問題点であるというふうに考えております。
#72
○堀委員 終わります。
#73
○小泉委員長 伊藤茂君。
#74
○伊藤(茂)委員 大蔵大臣、忙しいサミットの日程を無事消化されまして、御苦労さまでございました。拝見するところお疲れも見えないようでありまして、まことに結構だと思いますが、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 サミットに対する国内経済のいろいろな期待がございまして、まあ正直申しましてさまざまの困惑と失望感ということが言われているわけであります。サミットが終わろうとするときに一段と円高になりまして、百七十円程度でしばらくとまっていたものが百六十五円というふうなレベルになっている、今後どうなるのかというふうなわけでありまして、経済宣言との関連で大臣の御見解を伺いたいのでございます。
 一つは、G5からG7という新しい構成も考える。しかし、サミットの前にできれば協調介入で急激な円高をとめるようにできないかというふうな御努力もあったようでありますが、それはできないということで終わったわけでありまして、そういうことでまいりますと、今の円高のレベルというものは当分厳しい状態が続いて、言うならば当分円高固定時代というふうに見なければならないのではないだろうか。
 それから、経済宣言を見てまいりますと、それに関連する新しい構想がベーカー提案という経過のようでございましたが、出ているわけであります。その中で九つか十かの新しい指標を総合判断をしながらということが書かれてあります。「これら諸国の経済見通しの見直しは、国民総生産成長率、インフレ率、金利、失業率、財政赤字比率、経常収支及び貿易収支、貨幣供給量の伸び、外貨準備、為替レート等の指標を勘案しつつ行うよう要請する。」また、「当初意図した進路から相当な乖離が生じるときは、常に適切な是正措置につき了解に達するよう最善の努力を行うことを慫慂する。」そしてその後の方に「有益であれば為替市場に介入するとの一九八三年のウィリアムズバーグ・サミットにおける約束を再認識しつつ、是正努力は、」云々と書いてあります。この内容を読みますと、幾つかの指標というものを判断の基準にしながらということになるわけでありますが、日本の場合には、貿易黒字以外のところは、国際的に見ましてもやや良好なパフォーマンスを形成しているというふうなことになっているわけでありまして、この内容から申しますと、さらに一層の円高に修正される可能性があるのではないか。けさのさまざまの新聞を読んでみますと、国際的には、今のレベルからもう一段の円高、百五十円台もとかというふうな内外各界のさまざまの声も出されているという状態になっておりますが、そういう点で、サミットを終わり、経済宣言に基づいて今後を考えるときに、今後の円高ペースをどう考えるのかということをまずお伺いしたい。
#75
○竹下国務大臣 まず各国の大蔵大臣会議へ出ますと、これは私もその一人でございますけれども――一九七一年、昭和四十六年、円がいわゆるフロートしかけた当時、私は内閣官房長官でございましたので直接の担当ではないが、横目で見ておりました。その当時、アメリカは今の国務長官のシュルツさんが財務長官でありまして、日本は水田大蔵大臣の時代であったわけでありますが、そのときに、いろいろな議論を毎日報告を受けながら、結局変動相場制しかないんだなという感じがいたしました。だから、介入するというのは悪だという感じすら当時は持ったわけでございます。
 しかしながら、著しく各国のファンダメンタルズを正常に反映してない場合は、緊急措置とでも申しますか、緊急避難とでも申しますか、そういうこともあり得ていいというのが去年の九月二十二日のいわば行動になって出た。実際それが一つの勢いとなりまして、ファンダメンタルズはある意味においては改善された。しかし、基本的に考えてみますと、本当は政策調整の中でやらぬことには、おれの方が今ちょっと困るとか今はあなたが困るとかいう感じで操作すること自体は市場に対するむしろ挑戦みたいなものだという感じが私にはもともとないわけじゃございませんが、今の段階でいわば余りにも急激であった円高志向。ヨーロッパの場合は二月からそういう志向をしておりますから、ドイツマルクは結果として日本と同じように動いたことになっても少しなだらかで、こっちはそれよりも半年もおくれてやっておるわけですから急激であったという感じを持っております。
 そこで、かねてからサーべーランスと言っておりますが、これをやるべきだというのは私の主張でございました。そうすると、なるほど貿易黒字を解消するのは通貨調整によってやるべきものじゃなく、もっと基本的な問題でやるべきだというのが初めてほかの国にもわかるであろうというようなことから議論を進めてまいりましたけれども、残念なことに、御案内のように今までG5はないしょでやるという話になっておりましたから、結局これを正当化するためとしたらやはりサミット参加国ということになりはしないか。そうすると今度は、ECは中央銀行がございませんので、この方をどうするかという問題もございますが、もう一つ正当化されたものでG10というのが残っておりますから、G10とも時々相談するという形にすれば、ECもその中へ入っておられますから。ですが、本来サーべーランスは中央銀行を持っておる独立主権の国同士でやった方がいいという気持ちは持っておりました。
 そこで、今まで内々でサーべーランスをやってきたときにも、結局指標というのはどこかへ客観的にお願いしなければならぬということになりますと、IMFがそれを担当してもらっておったわけでありますが、それをよりオーソライズされた形の指標がそれぞれあって、今おっしゃいましたとおり十とも九とも読めるわけでございますが、経常収支及び貿易収支というのがございますから、経常収支及び貿易収支を一つに数えればこれは九つになりますし、あるいは分ければ十になりますが、やはりそういうものを念頭においてやった方がいい。ただ、これが余り強制力みたいなものになりますと、それぞれの国々の政策主権の問題がございますので、あくまでもこれに対する是正措置につき了解に達するようにお互いが努力しようというところまでがやはり限界ではないかということで、このようなことを決めてきたわけであります。
 だから、経済指標に従って経済運営を行うべきだというわけではないわけでございます。また、経済指標も、あるいは議論しているうちにもっとこういうものもつくってみろというのも出るかもしれません。だから、具体的な政策措置の引き金とはしないという、いわゆる政策主権までは侵されないということを従来から言っておりましたが、気持ちの中では、いわゆる指標は可能な限り余計あった方がいいという気持ちが私には今でもあるわけでございます。そういうもので可能な限り早い機会からやはりサーべーランスをやれば、これは今度は正々堂々と集まって話をするわけでございますから、そこで議論も深まっていくのではないかと思っております。それが為替の安定につながる最大の道だと思っておるところであります。
 そこで、円の見通しということにつきましては申し上げるわけにはまいらない性格のものでございます。七カ国集まりますと、ドルの全面安でございますから、円高という言葉ではなくドル安という言葉になってしまうわけでございますが、ドルの下落はもうこれで十分だというニュアンスと、ドルはもっと弱いかな、しかし余り弱くなって今度はドルの暴落になるとますますおかしいことになるなという意見がそれぞれ複数の国々に存在しておるという感じでございます。
 きのう百六十五円台をつけたときに私もあらっと思いました。そうしたら、今度はヨーロッパへ行ってまた百六十七円に返って、終わりがまた百六十五円になって、今度ニューヨークへ行きましたら百六十八円まで返って、また終わりは百六十五円。ここのところちょっと乱高下みたいな、今までの高下というのは、ドルが安くなって、ドル以外の通貨が高くなるという意味において高下があったわけですが、同じ通貨が一日の間に高下するわけですから。私の考え方では、日本の場合で言えばわかりやすいのは、連休でずっと市場が閉まっておりましたからまとめて量が出ていくということもございますけれども、きょう見たところで、たった一日の間で三円方の乱高下みたいなものがある状態というのは、これは恐らく適切にポジション調整がなされていくのじゃないか。何かサミットで鬼が出るか蛇が出るかというようなのが少しオーバーだったような気がいたしますので、なお注視しておろうと思っておりますが、世界各国も、為替レートだけで経常収支は解消するものじゃないんだ、やはり基本的なお互いの経済のファンダメンタルズをきちんとしなければならぬのだというところまでは完全な共通認識になった。それをさらに深めるために、サーベーランスには少し踏み込み過ぎた感もあると言う方もいらっしゃいますが、私はやはり勇気を鼓してサーベーランスには大いに積極的に参加した方がいい。ただ、いろいろな指標につきまして大蔵省の出す指標でないものまで入っておったので、ほかの省に対してちょっと済まぬなという気はございますので、その辺は、サーベーランスに行く前のいろいろな資料調整なんかは各省との連絡は十分とっていかなければならぬ。ただ、通貨安定のためのサーベーランスですから、大蔵大臣が行っても結構ですが、諸指標は経済企画庁のものもあれば通産省のものもございますので、その辺は調整して対応していかなければならぬ。
 ちょっととりとめのないことを申しましたが、素直な感想を申し述べた次第であります。
#76
○伊藤(茂)委員 大蔵大臣としては、言えるところも、言いにくい表現のところもあるだろうと思いますが、ただ私は、サミットを終わって、経済宣言を読ませていただいて昨年のG5以降の経過をいろいろと振り返ってみまして、一面では政府もそうですし、全体もそうかもしれませんが、円高によって起こるさまざまの現象に対する対応措置の議論が割合多うございました。もう一方で今日の国際経済、日本のウエートはますます大きくなるわけでありまして、そういう国際経済全体の日本の責任と対応の構想という面では、やはりいろいろな面で貧困だったのじゃないだろうかという気持ちがいたします。
 そしてまた、そういう意味で考えてみますと、率直に申しまして竹下さん御自身も、中央銀行の方も同じようなことだと思いますが、言えるのではないだろうか。例えば、昨年G5のときに二百四十円くらいから二百円レベルに急激に変わりました。あのころには、日銀総裁も、竹下大蔵大臣も、動きについてさまざまのコメントをされていた内容は、振り返ってみれば大体二百円くらいという意味合いにとられる表現をなさっていたわけであります。それから、大臣がこの四月に訪米をされまして、ベーカー財務長官との会見を私ども新聞報道で読みましたが、百八十円で安定であるという報道でございました。また、ちょっとおせっかいな新聞記事の方では、竹下さんに安定とは何かと聞きましたら、読んで字のごとく安んじて定まるだと言ってお帰りになった。ところが、お帰りになったすぐ後でそのレベルがまた変更をされた。このレートの動きが直接に輸出関連だけではなくて日本の産業全体に大変大きな影響を持つものですから、みんなそこを当面注目をする。もっとバックグラウンドを含めた構想を持たなければならぬわけでありますけれども、当面そこに注目をするということになるわけであります。
 現在もさまざまの報道がされているということになるわけであります。サミットを終わってこういう現象が起こっている時点だけに、従来のG5以降の二百円レベルか、百八十円レベルか云々という議論がなされているレベルからもう一つ、こういうレベルが国際的にはあるのだけれども、先ほど御議論ございました経構研の答申とか、これも私はいろいろ問題があると思いますが、いろいろなレベルでの努力をしなければならぬ。九項目か十項目かのそういう指標全体を含めた対応を考えなければならぬという意味なんでしょうか、まだ変動の余地は非常にあるという意味なんでしょうか。そういう今言える範囲内でのきちんとした対応姿勢というものを国民の前に明確にされる必要があるのじゃないだろうかという感じがいたしますが、御所見いかがでございますか。
#77
○竹下国務大臣 結局、大蔵大臣だけで会ったときの共通認識は、例えば日本の市場を見ましても、一日に三十億ドルくらいの出来高がありますと、恐らく二百日くらいあいているとしましても百四十兆円、百数十兆円の金が動いておる。そういうことを考えますと、いわば投機筋というものを――百四十兆は正確ではございませんが、非常にアバウトな数字を申し上げたのですが、そういうことになってくると、それこそ思惑が生ずるような発言を一番注意しなければならぬ。産業関係に携わっている方は、やはり自分の製品の基礎に立つものでございますから、好ましい為替レートとかいうものをそれぞれ業種別に違ってもお持ちでございましょうが、やはり市場が決めるものでございますから、念頭に幾らかの数値があっても、それはむしろいろいろな意味においてプラスの方向にもマイナスの方向にも思惑に影響を与えてはいかぬ。だから安定が望ましいと言うこともやめようじゃないか。今が安定と言えばそれが一つの相場になる。だから安定くらいはいいじゃないか、あとは何にも言わないのが本当は一番いいのじゃなかろうか。したがって神様だけが知っていますと言った方が本当は一番いいではないかという感じも持たないわけではございませんけれども、そうも言っておられませんのでいろいろな指標で議論していけば、今前向きの姿勢がなかったんじゃないかという御指摘もありましたが、日本はこのような国際社会に対する役割を果たしますということを正々堂々とうたって出るというのも私は一つの見識だと思います。仮にそういう姿勢が全くなかったとしたら、では、ある国は貿易収支の黒字が多いからあそこからの不買同盟を起こそうじゃないかとかいうことになったら大変でございますから、完全な国際国家だという問題意識は持った上でこの会合に臨んでおるということは事実でございます。
 さて今度は、その指標がいろいろ出てまいりましたときに、為替レートの問題等がまたターゲットゾーンになったら、現在どこの国の政策もそれぞれ欠点を抱えておるわけでございますからまた問題が出るでございましょうから、やはりエクスチェンジレートの基準というものだけはだれも言わないというのが本来のあるべき姿ではないかな。
 ただ、そういうものを念頭に置いて、産業界の自主的努力をなさるところに対して産業官庁等でいろいろな助言指導をなされることはあり得ることではあろうなというふうには思うわけでございますので、やはり通貨当局者が一つのターゲットを持つということはいかがか。いろいろな指標で議論をしながらおのずからそこに出てくるものが何となく主要国の通貨当局者の頭の中で整理されるような状態になるのが一番好ましい。そのためにはやはり相互監視をやるしかない。こういう結論に立っておるということでございます。
#78
○伊藤(茂)委員 大臣、お立場かもしれませんが随分持って回ったお話なんですけれども、簡潔に言って私はこう思うのです。
 昨年G5以降二百円だ、百八十円だ、何とかだ、こう来ました。確かにそのバックグラウンドには、経構研の答申もございますけれども、日本が国際経済国家として大きな責任をどうするのかということでもっと努力をしなければならぬという面もあります。そこにみんな注目をしていることも事実であります。そういうG5以降のさまざまな経過。また、サミットの前には、急激な円高にならぬように協調介入してくれないかという動きがあったことも事実のようであります。そしてサミットがありました。こういう結果になりました。そういう経過からしたら、大変失礼ですけれども、私どもの方はサミットは失敗であるという談話を発表しているわけであります。そう言ってもおかしくない経過だろうと私は思うのです。政策としてはもっと突っ込んだ議論を我々もしなければならないと思いますね。
 だから、大臣としては、この時点からどういうレベルで、またどういう努力をどうしていくのかということのわかりやすい説明をしてもらわないと、九つか十かの指標をいろいろ考えてサーべーランスをやって何がどうとか、これは当たり前のことですね、経済宣言に書いてあるんだから。その辺の大筋の財政運営なり、あるいは為替レートの関係を出しますが、そういう経済運営の基本的な姿勢をわかりやすくクリアに端的に示されるというのが大蔵大臣としての現時点における責任じゃないだろうかという気持ちがするんですけれどもね。
#79
○竹下国務大臣 それはそのとおりだと思います。
 今求められている非常に大ざっぱなものは、アメリカに対しては財政赤字の削減、日本に対しては市場開放と内需拡大、ヨーロッパ諸国に対しては失業率をもっと落とせ、端的に言えばそういうことでございましょう。労働問題におけるデレギュレーションとでも申しますか、そういうことでございましょう。それは我が国としてやらなければならぬ。
 一方、基本的にサーべーランスはやるが、我が方で言えばより一層の内需拡大をやらなければならぬ。幸いに、今補助金法案を参議院を通してもらいまして、そうするときょうからいわゆる前倒しが完全にできる環境が先ほどの瞬間から整った。それで、あさって閣議がございますから、そこで施行方法を具体的に勉強をしておるものを発表する。こういうことが内需拡大の一つの方途であります。
 それからいま一つは、三回にわたる公定歩合の引き下げというものが十九日に出そろうわけでございますけれども、日本の場合いろんな手続が要りますから。いわば金利が安くなってくる。そして原油価格の見通しもまだ三月の終わりの二十二ドルぐらいまでしかついておりませんが、これは円高だけじゃございませんけれども、これによって国民の皆様方に還元する。いわば減税と同じ効果があるわけですが、それの問題もおよそ確定するであろうというようなことで、内需拡大を徹底的に進めていかなければならぬということであります。
 ただ、税の問題についてだけは税制調査会で御議論いただいておりますので、いわば今日の政府の段階で申しますならば、来年度の問題になってくるということで諸般の問題を進めていこう。
 きょう総理も参議院の本会議で答弁しておられましたが、公共事業とか中小企業対策とかについては下期において財政措置をも考慮しなければならぬ。今補助金の法案が通ったときに今すぐ補正予算をつくりますなんということは言える問題ではないにしましても、大筋財政措置に対する検討も加えなければならぬ。これを経済企画庁と通産省と大蔵省に自分は指示した、こういう御答弁をしていらっしゃいました。したがって、内需拡大のそれぞれの手だてはそろってきたな。
 民活にしましても、東京湾は法律を通していただいただけでございますけれども、明石はトンカチ――トンカチじゃありません、起工式をやりましたとか、そういう問題が下半期にどういう傾向に出てくるか。それと、いわゆる円高のメリットの分と原油価格の下落のメリットの分が下期にどう出てくるかということ。今の我が国経済が国際的に果たさなければならぬ役割をも踏まえながら当面国内的にやらなければならぬのはそれらの問題だろう。市場開放、デレギュレーション、そして内需拡大、こういうことではないかというふうに考えております。
#80
○伊藤(茂)委員 もう一つサミットが終わって懸念の声が起こっているのは、九つか十の経済指標がいわゆるトリガー条項的な性格をもって扱われることはないのだろうか。前後の表現は気をつけて書いてあるようでございますけれども、そういう心配があるようであります。それから、そうでないのだという場合でも、事実上G5かG7かというような中で包囲網の形成ということになれば、ちょっと言葉があれかもしれませんが、事実上非常に大きな圧力が生まれるということではないかというふうな懸念も出ております。そういう懸念について、大臣、経済宣言についてどういうふうなお考えでございましょうか。それから、そういう懸念を消す意味でも、今まで言われましたようなさまざまな努力を通じて、言うならば現レベルでの安定ですね、そういう方向で努力をしていきたいというふうなお気持ちでございましょうか。
#81
○竹下国務大臣 二つ問題でございますが、現時点での安定。現時点でのというのはまたひっかかりが出ますので、安定は好ましい、こう思っておりますが、円高という表現ではなくてドル安という問題から見て、おおむね既に効果は達成したではないかという見方をしておる国も複数でございます。これらとも個別に意見交換もしなければならぬ問題が残っておりますので、このサミット直後における急激な乱高下と申しますか、それは、いずれ反転するであろうというふうに私は今期待をしておるところでございます。
 それから、最初の、包囲網にならないかという問題。OECDなんかで、比較的経済状態のいいところは、人はすぐ日本と西ドイツのことを言われているのではないかと言うのでありますが、機関車とは絶対言わないけれども、もう少し財政出動の余地はないか、こういうことがよく議論されますが、若干誤解があって、その誤解はおおむねなくなったと私は思いますけれども、例の厚生年金の五十三兆円は外国の人のとり方によってはまるっきり財政の黒字の方へカウントする傾向がございますが、あれは国民から預かっているものだ、こういうことが大体理解できたのではないかと思っております。財政赤字には日本も苦心をしておるということは十分理解されてきたのではないかなと私は思っておるわけであります。したがって、自分らの国が努力を怠って、ドイツと日本はインフレ率がすばらしく低くて優等生ですから、努力したところに余計過重な負担を負わすというような論理は、私は、今度は努力した方が組んでやればこれには対抗できるものだ。あなた方の努力すべきこれらの指標、努力不足の指標が出ているのではないかということは十分議論できるものであると思っております。
#82
○伊藤(茂)委員 あと一、二問、通貨関係でお伺いしたいのですが、こういうことも言われているわけであります。
 今まで国際通貨の安定についてさまざまの会議でさまざまの議論がなされてまいりました。歴年のサミットでもさまざまの議論がずっとあったわけであります。それからG5以降の経過もございますし、昨年は民間レベルでの通貨サミットなどを含めてきたわけでありまして、そういう問題についてこれから新しい段階に入っていくのではないかという評論がいろいろなされているわけであります。ある評論では、従来の通貨調整、ターゲットゾーンとかあるいは固定相場とか、いろいろな議論がございましたが、どちらかというと神学的といってはオーバーですが、そういう議論があって、いよいよこれから具体的にどうするのかという段階に入っていく。あるいはベーカー提案と言われるものも、バックグラウンドを探ると、この二年間ぐらいのうちに何か総合的な新たなシステムを構想しているのではないかという評論も出されているわけであります。
 その中の一つの心配でありますが、例えばことし二月のレーガン大統領の年頭教書を見ましても、ベーカー財務長官に、通貨の役割、関係について世界各国が討議するような場をつくることを検討するように指示をした云々ということが一般教書にございまして注目をされたわけであります。それからさまざまの動きも続いているわけでありますが、一つの心配として、そういう戦略的な展望を持ちながら、ベーカー提案の中身などを見てみますと、また発言を見てみますと、年末までに通貨制度改革の会議開催の可能性を検討するよう大統領から指示を受けている、これは一般教書に言われているとおりですね。それから、円との関係について我々は目標値を持っていないと言われております。それから、さまざまな協調の枠組み、G7も含めてやっていくんだ。そういう動きの中で一層の円高と申しましょうか、円相場をかなり高いレベルに押し上げておいて、そしてそれを目標相場圏として固定させた一つのシステムを考えるという戦略があるのではないだろうかということを懸念も含めて言われているわけでありまして、こういう懸念も実は根のない話ではないだろうと思います。
 やはり、戦後といってはなにですが、通貨問題についての経過を見ましても、ドル本位制の崩壊から現在までずっと含めまして、アメリカの出方で非常に左右されてきたという面が多いと思います。そういう懸念に対しても、日本の主張すべき点はきちんと主張するということが非常に大事ではないだろうか。
 日本版のニューズウィークが出るようになりまして、読むのですが、今週号にシュミットさんのサミットに向けての評論が載っております。その中に、アメリカにも責任の一端があるという意味で、
 アメリカは現在、自ら空前の規模の経常赤字を抱えており、他国を批判できる立場にはありません。アメリカは、その赤字の原因がもっぱら日本の黒字にあると主張することはできないでしょう。日本の対米黒字はずっと小さいわけですから。アメリカの経常赤字の真の原因は、国内の赤字、つまり財政赤字にあるわけです。
 その責任の優に半分以上はアメリカにあります。しかし日本もその責任の一端を担わなければ
 なりません。というふうなことが出ております。そういう意味で申しますと、アメリカの考え、あるいはベーカー戦略と言っては何ですが、そういうものを見通しながら主張すべきものはきちんと主張する対応というものも必要なのではないだろうか。
 サミットではいかがでございましたか。
#83
○竹下国務大臣 レーガン大統領の年頭教書の問題は、四月に行ったときも話し合いをいたしまして、いや、これは今年じゅうに大統領がおれに宿題を与えたわけであって、今自分もまだ確たる構想というようなものもない、さはさりながら、G10報告というのでまとめて今IMFの暫定委員会の方で通貨制度は議論しているんだから、それを横目で眺めながらやっていこうや、こういうことになっておりますので、これから年末までに、私であるかどうかは別として、日米間の問題は恐らくたびたび議論されると思いますし、この問題につきましては私は年末までにどういう仕組みでやるかという――一方に、やはりIMFの暫定委員会で議論しておりますから、それとの組み合わせをどういうふうにしてやるかという問題点が残っておるなと思っております。
 アメリカもいわゆるターゲットゾーンは持っていない、それは事実でございますが、シュミットさんは、私もお会いしましたら、首脳をやめると気楽に物が言えるようになりましてということでございましたので、なるほどそうかなとも思っておりました。
 確かにグローバルな世界経済全体、国際経済全体を見た場合に、やはり基軸通貨のドルというものがいわば力を失うというのは本当は好ましくないというふうに私も思います。いつも思いますのは、一ドル何ぼだと言うとすぐ百六十円ですとか、ドイツですと二・二でございますとか言いますが、基軸通貨であったものはいいんだなと思いますのは、ポンドだけは一ポンド何ぼだ、こうまだ言っております、基軸通貨でないようになってしまっておりましても。やがて一円は何ぼだ、こういうふうな時代にでもなれば大変いいことだと思いますけれども、今日いわば補完しておる通貨でございますが、円というものの占める比率というものは随分高まっておりますので、対ドルの問題については、やはり基軸通貨であることは間違いございませんので、十分注目していかなければならぬ課題だ。
 しかし、シュミットさんの指摘あるいはそれを敷衍しての伊藤さんの指摘というのは私も十分いただける議論だ。決してアメリカの一部の産業界の方あるいは国会の方がおっしゃるように――みずからの責任というものをやはり自覚していただきながら対応していってもらいたいということは十分考えております。例えば今度のグラム・ラドマン法の問題でも、一方で裁判所で違憲訴訟が起きたり、しかしあれができたというのは私も驚きましたけれども、まだ必ずしも実効が上がっておるとは言えない。グラム・ラドマン法の実効がどうして上がるかというのに気合いがかかったことは認めますけれども、やはりこれからも引き続いて主張を続けていかなければならぬ問題だというふうに思っておるところであります。
#84
○伊藤(茂)委員 関連してもう一問だけ伺いたいのでありますけれども、国際通貨調整、通貨改革の方向というものをどう考えたらいいのか、どうお考えになっているのかという問題であります。
 特に、変動相場制に今日さまざまの大きな矛盾点が出ているということは前々から指摘をされているとおりでありまして、相場の変動が非常に激しいという実態。また、金の流れの非常な大規模、短期化、スピード化、投機化ということが言われております。それから、それぞれの国の経済条件、ファンダメンタルズを反映するレベルから大きくかつ長期的にかけ離れる。また、一兆ドル以上というのですか、非常に大きなレベルでのお金のパワーが生産、実需、貿易と関係なしに動く、こういう状態の矛盾点が随分強調されているわけです。
 それに対応いたしまして、今日までさまざまの通貨改革の方向が出されていたわけであります。ミッテランさんなんかを中心にして固定相場制という話が従来のサミットではあったようでありますし、ターゲットゾーンの話もございました。それから昨年秋以来、いわゆるロバート・ローザ案とかネガティブターゲットゾーンとかレファレンスゾーンとか、いろいろな意味での議論がなされてきたわけであります。これは言うならば神学的論争の段階から具体的論議の段階へということにも立ち至っていることかと思うのですね。そういうものの方向づけの今までの経過と今度のサミットの経済宣言、その論議の経過等々で考えますと、特に通貨改革というところに大きく照準を当てて解決していく、物を考えていくという方向なのか、それとも、今度のサーべーランスの話に見られるように、各経済指標を総合して、総合的な視点からポイントとしての通貨制度の改革、安定というものを考えていくというふうに移行したということなのでしょうか。
 それならそれとして、ベーカー提案でも二年ぐらいのターゲットで一つの安定した国際システムを構想しているのではないか。例えばことしの年末までに何をするかというふうなスケジュールもあるというふうに言われているわけであります。そういたしますと、特に大きな変動の影響を厳しく受ける我が日本といたしましては、対応するか、あるいはアメリカの動きその他全体を見渡した一つの方向づけか展望かプランか、そういうものが、腹の中か口に出してか、あるということも当然必要だろうというふうな気がいたしますが、そういう国際通貨改革の基本的な方向、展望というものはどうお考えになりますか。
#85
○竹下国務大臣 今度のサミットでは、通貨を安定するためにはどうするのがいいかということで徹底的なサーべーランスをやろうではないかということと、安定さすためにはどういう制度がいいか、通貨制度のあり方ということが存在しておると思います。それで、どちらかと言えば安定さす方法としてサーべーランスの方が表面に出て、安定するための制度というのが表面へ出ていない。これはなぜかといいますと、一応ウィリアムズバーグ・サミットのときに、そういう制度について勉強してくれということが我々大蔵大臣にありまして、それでIMFと相談したら、それはやはりG10でやりなさいということになって、G10で議論をしまして、そこで言ったのは、伊藤さんおっしゃったように、変動相場制にかわるべき制度は直ちには見出せないが欠点もあることは皆知っておる、引き続きやろうということで、開発途上国も入れなければいかぬからというのでIMFの暫定委員会に持ち込んだ、そういう流れが一つあるわけです。
 そういう流れのあるところで、七つでみんながちっと決めてしまうわけにはまいりませんけれども、しかし影響力のある国でございますから、当然その制度問題というものにも我々は会うたびごとに――サーベーランスはもとよりでありますが、そのサーベーランスなんかをやることによって制度問題が浮かび上がってくるかもしれませんけれども、会うたびごとにやはり議論をしていかなければならぬ問題だ。
 何遍も考えました。ブレトンウッズ体制なんというのが昔あったから、何かそういうものでもないかとかいうようなこともいろいろ考えてみました。制度の問題になりますと、確かにミッテランさんもさることながら、前のジスカールデスタンさんも、どちらかといえばフランスはターゲットゾーン、ある種の幅があってその中で議論すればいいじゃないかというような傾向もございますが、今のところターゲットゾーンを設けるというのは少数意見になってしまっておる。しかし、これはやはり不断の論議、たゆまざる論議をしていかなくてはならぬ問題だ。ただ、おおよそ、例えば金本位制がいいとかそういうものを志向するだけの判断材料がまだ完全に整ったとは言えないのが現状ではないかなと思っておるところであります。
 したがって、恐らくこれからもまだ、この秋にもIMFの会合等がございますし、その間にいろいろな会合が、G7もせっかくっくったわけですからなかなかほっておくわけにもいきませんし、G5もこそこそではなくしてやってもいいということになっているわけですから、そういうようなものの組み合わせの中で逐次議論が進んでいくことではないかいなというふうに考えております。
#86
○伊藤(茂)委員 大臣がいらっしゃらない間、幾つか具体問題をお伺いしたいと思います。
 今までの話にも関連いたしますが、一つは金利政策に対する考え方。銀行局長に伺いたいのですが、今まで一次、二次、三次とやってまいりまして、特に二次から三次というのは何か慌てふためいてというのか、言葉は悪いかもしれませんが、急激な円高、景気、さまざまの論争というような中で生まれてきているという気がするわけであります。これからもそういう状態が続くかもしれません。発生するかもしれません。そうでないかもしれません。
 ただ、考えてみますと、このサミットが終わって考えてみましても、目の前の対応措置あるいは対症療法をさまざま考えながら騒いでいるということでは困るのだろうと思うのですね。第三次の引き下げをお決めになったときの日銀の文章などを読ませていただきましたが、いろいろな意味で心配があるだろうと思うのですね。この世界的な低金利時代になって、そしてまた日本の金利についてもそろそろもう限界に来たのではないかというふうなお気持ちは当然あると思いますし、一面ではやはり景気、それから対外の関係というのは当然あるだろうと思います。また一面では株の動き、それから都心部の地価の上昇とか、そういう過剰流動性についての心配、それからこの預金金利ですね。この前、第三次のときにもちょっと特別措置がございましたけれども、預金者の不満というものも非常に大きくなってくる。普通預金金利ゼロみたいな時代になってくる。さまざまそういう要因があるわけでありまして、やはり対症療法的か、慌てふためいてか、さまざまな話題が出てきて、やれやれとかいやどうとかという議論ではないベースというものを持っていないと、また別の意味での混乱が発生しかねないという、ある意味では極どい状況になっているのではないかというふうに思うわけであります。実際問題、第四次利下げというものがあるのかないのか、どうなるのかということは、当然日本銀行の方を中心に考えるというようなことだと思いますが、その状況判断はやはりきちんと持っておく必要があるのではないだろうかと思います。銀行局長どうお考えになっていますか。
#87
○吉田(正)政府委員 まず、公定歩合を含めまして金融政策の基本的な姿勢といいますものは、何度もこの席でもあるいは大臣なども申し上げている場合があるかと存じますけれども、今先生も御指摘のとおり、景気、物価それから為替動向、内外の経済情勢ということを見ながら機動的運営ということであろうと思います。したがいまして、四月に打ち出されました経済対策においてもその姿勢を打ち出しているわけで、この意味では、三回にわたる公定歩合引き下げも、急遽行われた面もございますけれども、基本的にはただいま申し上げた各種の内外の経済要因を考えた上で行っているという点では、これは日本銀行ではございますけれども、私どもも自信を持ってそういう意味での大蔵大臣談話を出しているわけでございます。
 しかし、ただいま先生も御指摘になりましたとおり、かなり金利も低くなっているというような意味では預金者不満もあろうかということでございますけれども、基本的には、公定歩合三・五%というのは昭和五十三年のときの水準と同等でございますけれども、そのときに比べますと消費者物価もかなり安定しているわけでございますし、全体として日本の、緩やかながら拡大していると申しましても鈍化し出しております経済の拡大を維持するためには、預金者自身も、その点では結果的には国民としてこの内需が拡大すれば潤うわけでもございます。
 投機の点について申し上げるならば、その点は、土地などについても極めて都心の一部に限られているわけでございますが、徐々に拡大する傾向もございますので、今後、総合経済対策におきましては、金融政策も、先ほど申しました基本的な機動的運営以外に、投機的動きにならぬように金融政策の運営については配意していくというようなことなども含めまして、一方ではきめ細かな配慮を行っていく必要があると私ども認識しておるわけでございます。
#88
○伊藤(茂)委員 ぜひ慎重な、見通しのある対応をお願いしたいと思います。
 それから、大臣がいらっしゃらない間、本年度の成立しました予算運営に関連をして二つ伺いたいのですが、一つは主計局次長にお伺いしたいのです。
 この前、竹下大蔵大臣に当委員会で質問をいたしまして、昨年の暮れ予算編成の当時と、経済条件、さまざまエレメントが急激に変化しました、そういうものをどう勘案なさいますか、また、予算執行上勘案すべきではないかということを申し上げましたら、大臣は、そういう認識は私も同じでありますというふうな答弁でございました。念のために伺っておきたいのですが、昨年暮れ予算編成の時点、そして予算編成の前提となる数字ですね、円レート、原油の値段、金利などはどういうことでしたか、どうなっていますか。
#89
○保田政府委員 六十一年度予算編成の前提としまして、いろんな経済指標を使ったわけでございますが、御指摘のとおり為替レートにつきましては、昨年の十月並びに十一月の平均ということで二百九円という数字を使っております。
 それから、油の値段でございますけれども、油の値段は、我が国に到着する原油価格の値段が相当動いておるわけでございますが、予算上はこれを国内の油の会社から買うわけでございますので、必ずしもストレートに原油の到着値段がそのまま財政支出の減につながるということではないということであります。
 それから第三に、御質問にはございませんでしたけれども、金利が最近また非常に大きく動いておるといったようなことで、国債の金利といったものにもかなり大きな影響を与えようかと思います。
 ただ、まだ六十一年度予算は執行に入ったばかりでございますので、これらの為替レートあるいは油の値段あるいは金利といったようなものに関連する予算は、今後の執行の時点におきまするこれらの価格なり金利によって動くものでございますから、子算編成の前提となったこれらの数字と今後の執行との間にどれぐらいプラスがありマイナスがあるかといったような点は数字的には非常に把握しにくいといったような状況にあるわけであります。
 ただ、これだけではなかなか先生お許しいただけないと思いますので試算を申し上げますと、為替レートにつきましては先ほど二百九円で予算を組みましたと申し上げましたが、仮にこれが今後百八十円ぐらいでずっと推移するという仮定に立ちますと、一般会計で年間約三百億ちょっと節約が可能になるのではないかというふうに考えております。
 それから、油の値段、これは先ほど申し上げましたように、原油の我が国への到着価格にストレートに響かないで、国内の販売業者から買い入れるものでありますから、この値段が今後どうなるかというのはまた若干難しいわけでございますが、ちなみに申し上げますと、油の購入予算総額は約千五百億でございますから、この千五百億を基準にしてどれぐらい安くなるかなという計算は先生ひとつお願いをいたしたいと思います。
 それから、国債の金利でございます。予算編成では六・四%で見込んでおりましたが、五月の発行条件ではこれが五・一になっております。これらによりまして、今後ともその五・一の金利で国債を発行できれば約千億円ぐらいの利子負担の軽減になる、そんな状況にございます。
#90
○伊藤(茂)委員 円高差益論争が通産省を中心にして随分激しく国会でもございましたが、今の保田さんの話を聞いていると電力会社の説明に近いような感じもしないでもありません。金利の面でも、これはあなたはプロですから、そちらの方が正しいと思いますが、現レベルでいけば、第三次利下げのレベルで考えるならば大体二千億ぐらい借換国債が出るのじゃないかとか、それから防衛庁の油代のあれでもそう少なくはない。防衛庁関係でも大きいのは油の関係、それからライセンス料とか何かあるでしょうね。ある人が分析した数字を見ましたら、大体三百億ぐらいになるのじゃないかというふうな話が載っておりました。それから円レートの方は二百九円から百八十円で計算すれば三百六億とおっしゃいましたが、百八十円というのは淡い期待をかけながら竹下さんがベーカーさんと話をされた当時の、先月の話でありまして、サミットの経過でも百八十円に戻ることはないだろうと思いますね。その数字もございますし、予算が成立して一カ月ですから、これから残り十一カ月分をどうするのかという議論を今するのは早計だと思います。しかし、この間大臣も言っておられましたが、一定の時点でそれらを精査をして、歳出の面でおたくの方は円の額面でこうですからというだけではやはりまずいだろう。いろいろな意味で対応措置が必要ではないだろうか。竹下さんも今まで何回も何回も大蔵大臣をやったけれども、こんなに急激な基礎的経済エレメントの変化があるのは生まれて初めてだと言われておりましたが、そういう姿勢あるいはそういうアクションというものは当然考えられるべきではないかと思いますが、どうでしょう。
#91
○保田政府委員 まさにおっしゃるとおりでございまして、今後の予算執行に当たりましては各省庁がいわば他動的に予算に節約可能性が出てくるということでございますので、そういうことは当然念頭に置きながら執行に当たっての相談にあずかりたい、こういうことでございます。
#92
○伊藤(茂)委員 歳入の方で予算運営に関連をしてお伺いいたしますが、六十年度決算は七月になるわけでございますけれども、伺いますと六十年度決算は何か厳しい見通しということのようであります。三月の法人税その他全体の指標がどうなるのかというふうな動きの把握の途上にあるだろうと思いますし、そしてまた、今の話と関連しますが、例えば油の値段その他から石油税というものを考えますと、現レベルでいけば相当の減収ということも考えなくちゃならぬ。それから法人税収の見通しも、これはことしの九月と来年の三月の決算のことですからまだまだわかりません。よくなるように期待いたしますが、しかし、さまざまな厳しい見通しを持たなくちゃならぬということも事実であろうと思います。それから税制の面でいうならば、まさに予算年次のスタートそのものというわけでありますから、先のことはなかなか言いにくいと思いますが、こういう経済のさまざまの状況変化というものを含めながらこの見通しは考えていく必要があると思います。その辺、六十年度決算から六十一年度に対する構え、これをどうお考えになっておるのか。
 それから、これも歳入歳出両方と関連することでありますけれども、例えば歳入欠陥が一兆か二兆ございました、また赤字公債で穴埋めしなくちゃなりませんということでは困るだろうと思うのです。ですから、そういう歳入見通しと兼ね合わせながら予算執行では主計、主税含めてさまざまな対応措置をとるということも、こういう変動期にあるだけに、先ほどの国債問題の堀提案の機敏性ではありませんけれども、財政運営については従来に同じということではない、さまざまの工夫と機敏性が必要なときではないだろうかと思います。主税局長の御心境からお考えを聞いておきたい。
#93
○水野政府委員 基本的な考え方といたしましては委員御指摘のとおりではないかと思うわけでございます。ただ、各部分につきまして、税収につきまして申し上げますと、まず御指摘の出発点、土台となる六十年度税収でございますが、これは三月末までのところを見ますと、法人税は御指摘のように余り伸びはぱっとしませんというか、むしろマイナスの傾向が見られるわけでございます。法人税以外の税目について見ますとおおむね順調で、まだこれからの問題はたくさん残されてはおりますが、恐らく六十年度としてはどちらかといえばプラスになるような傾向が受け取られるわけでございますので、六十年度といたしましては専ら三月決算法人がどうなるかというその一点にかかっておるわけでございます。どのような決算を各企業がお組みになるのか、これによりましてすべて左右されるわけでございますので、法人税以外のものがある程度調子がよくまいりましても、六十年度全体としては予算達成はなかなか楽観を許されないというのが現状でございます。しかし、いずれにしましても、その三月決算が大きなロットが残されておりますので、ここで確定的な方向を見出して、それを土台に六十一年度云々という状況にはまだないわけでございます。
 それから、六十一年度はまさにそういうややまだ不確定要素を残しております六十年度を土台といたしますので、現時点でどうこう言える段階では全くないわけでございますが、例えば御指摘の石油税でございますと、確かに原油価格、これは予算見積もりでございますと、経済見通しのレートとしては二百四円、それから価格としては二十七ドル、こういった程度のものを基礎といたしております。これが現時点ではかなり変化してきていることは確かでございますが、そうした結果を織り込みますと、それでは全体としての数量がどうなるのかとかまだいろいろな要素がございますので、現時点でこの税だけを取り上げて、これがどの程度どう変化するかということはなかなか申し上げにくい、まだまだそういう段階でございます。しかし、いずれにしましても、そういったもろもろの、個々の税目なり全体の税収なりがある程度の規模のものに実績として積み重ねられ、それに基づきまして何らかの新しい判断を下す、新しい方向を読み取ることのできるような事態、段階になれば、委員御指摘のように、弾力的にそこらを見きわめて対処をすべきことになろうかと思うわけでございます。しかしながら、現時点はまだ今申し上げたような段階でございますので、ここでそこの具体的な方向について個別的に申し上げられる段階にはないことを御了解願いたいと思うわけでございます。
#94
○伊藤(茂)委員 大臣お帰りになられましたが、こういう議論をしていたのです。非常に経済条件の変動が大きい六十一年度予算の執行に入っております。それで、歳出の面でも幾つかのエレメントの変化があって、額はどの程度がよく精査しなければわかりませんが、わずかではないさまざまな変動が起きるでしょう。歳入の面でも、これは難しい方が多いわけでありますけれども、変化が予想されます。そういう中で、半期がいいのか四半期がいいのかいろいろ具体的にはあるでありましょうけれども、一定の区切りのときにそれらについての対応をしながら、また検討しながら予算執行に当たっていくということが、従来は余り節約例なんかはなかったわけでありますけれども、六十一年度予算を考えますと、非常に変動の多いときだけに大事なときではないだろうか。一定の区切りでそういう作業もやりながら予算執行をすべきではないかという議論をしていたのですが、大臣も肯定的にお考えになりますか。
#95
○竹下国務大臣 大体古くは公定歩合を予算審議中に操作してはいかぬという議論がありました。それは予算書の書き直しにつながるからだ。その前またもう一つありましたのは、固定相場が変動相場制になったときに、これは予算書を書き直さなければいかぬのじゃないか。それは四十七年度予算のときにスミソニアン・レートができて、三百八円で計算して僕も安心した記憶を覚えております。
 今度の場合は、私は、現時点でどの程度見込まれるかというとなかなか難しいのでしょうが、率直に言って歳入歳出両面で影響があると思います。歳入の問題で一番わかりやすいのは石油税、石油税は従価税でございますから、あれは半値になったからといって倍使うものではございませんし、あるだろうな。歳出の面についても、レート、それからやはり原油価格の低下等から、出てくるだろう。それを余りのんべんだらりと見詰めておるわけにもいきませんので、一つの考え方かなという感じがしないでもないのは、国民に対する還元で電気、ガス等を見直されるとき、ああいうときに一部でもそういう、何か総体的なものは出なくても、こういうことで歳出減になりますとか歳入減になりますとかというような、具体例として挙げられるものが何ぼかあるのじゃないかなという感じは私も持っておるところでございます。
#96
○伊藤(茂)委員 あとの時間、財確法に関連をしてひとつ話題とさせていただきたいと思います。
 先ほどの国際経済あるいは通貨制度の問題ではありませんが、いずれにいたしましても、それらの問題でも、従来のさまざまな議論や何かの政策形成の経過から、視野とレベルを違えて今後議論しなくてはならぬという時点に今ぶつかっているということに実はなるわけでありまして、自民党内にも、与党の内部でも、何か宮澤提言とかどうとか新聞によりますといろいろな議論もあるようであります。私は財政の将来についてもそういう時点にいよいよなったのではないかという気が実はいたします。六十五年赤字公債脱却という目標はさらに堅持をするんだ、大事だということを繰り返しこの国会でも言われておりますけれども、私は六十五年度は無理だというふうに思いますが、いずれにしても非常に長い将来でない期間にこれらの目標というものは近づくか達成されることとなるであろうと思います。しかし、それから先の財政構造がどうなるのかということも考えなくちゃならぬ時期に今ぶつかっているのではないだろうか。
 それでお伺いしたいのですが、この数年間、毎年「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」、「仮定計算」、「財政の中期展望」など出されてまいったわけであります。この今後の方法論ですね。例えばことしの一月に提出されました「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」、この中でも1の(2)のところに「今後とも、流動的な内外情勢の変化に適切に対処しつつ、我が国経済社会の活力を維持し、国民生活の安定と充実を図るため、速やかに財政の対応力を回復させることが必要不可欠であるという基本的認識の下に、毎年度、歳出・歳入構造の合理化、適正化に最大限の努力を重ね、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」の対象期間中に、特例公債依存体質からの脱却と公債依存度の引下げに努めることとする。」と書いてございます。何年か大体こうしてきたわけです。
 では、一体これで展望があるのかということで、これも改めてここで申し上げるまでもなく、仮定試算といいましても、例えば名目六・五など幾つかの条件を置いた上で六十四年までに六兆八千億の歳入不足が生まれるとか、マスコミでは増税か歳出削減しかないというキャンペーンになるようなものが出されております。この数字を現実の予算なりこれからの国民生活、日本経済に当てはめてみまして、増税コースで行っても、六十二年は、税収の抜本的改正に当たっても税収中立という立場ですから、これも成立しない。それから歳出削減をさらに重点にしていくということを申しましても、一般歳出伸び率ゼロをずっと続けなくちゃなりませんし、この間の補助金法案の審議を通じても、各委員会の皆さん合同でやっておられましたが、悲鳴に近いようなさまざまな声が出ているというような状態ですね。そういうことを考えますとこの財政展望について内外含めた何らかの新たな構想というものの作業をしなければならないという時点に今ぶつかってきているんじゃないか。これは為替とか国際経済への対応とか、経構研の報告書とかいうだけではない、財政についてもやはりそういう時点に来たのじゃないかというふうな気がしてならないわけです。
 この間たまたま野村総研が出している本を読みました。厚い本で、「十年後の世界経済と日本の金融・資本市場」という本が出ておりまして、その中に十年後の日本経済のさまざまな分析がございました。その中の一つに財政がどうなるのかというシミュレーションが三種類出ておりまして、一つはまあまあ考えられる標準型、一つはこれではたまらぬというのでいわゆる高度成長時代のようなパターンに戻った場合、それからもう一つは今日のように削減を重視した場合を述べておりまして、十年後にどうなるのかということをさまざまの指標を並べて一定のシナリオを書いております。それを議論する暇はございませんけれども、非常におもしろいなと思いました。
 やはりいろいろな意味で在来型といいますか、従来のこういう考え方、基本的考え方のペーパーとかいうものからもうステップを踏み出さなくちゃならぬ、またそういう意味での作業を、これは大蔵省だけじゃなくてほかにわたる部面も当然出てくるのでありましょうけれども、政府としてしなければならない時点に来ているのじゃないだろうかと思いますが、いかがでございましょうか。
#97
○竹下国務大臣 宮澤提言というのがありまして、財政改革の方向はきちんとしなさい、しかし例えば、ちょっと言葉は悪いのですが、暫時、永久国債みたいな感じのことにしてやったらどうだとか、そうすればこれだけの財源が浮くではないかとか……。あるいは全然乱暴な議論として、いろいろな特定財源を大体みんな一般財源化してそれを別途建設国債等で埋めれば、いわゆる赤字公債依存体質の目標の分だけはできるじゃないか、こう言う人もあります。しかし、もう一つ、今おっしゃったような予算に対する国債依存度を下げていくというのは、そうなるとちょっと旗を半分ぐらいおろさなければならぬようになる、こういうような現実的ないろいろな議論もなされておることも事実でございますけれども、今私ども、やはりあの「増税なき財政再建」というのは物すごいかんぬきだったと思います。その中でやらなければならぬから、こそくだと言われ帳じり合わせだと言われようとも、その中で四年間頑張ってきた。それで、これが一挙に歳出圧力になるとこれは元も子もなくなってしまうという危険性がございますので、今おっしゃっているような現実的議論等をもとにしながら、やはり毎年毎年の予算編成の中で、ことしも八月から始めなければいかぬわけですが、対応をしていくべきではないか。
 仮定計算や中期展望も若干変わるとすれば、やっと変わるべき要素の出たものは、電電株の売却とかいうようなものが変わるべき要素として出たのだな、こういう感じは持っておるところでございます。そういう少しでも変わった要素があれば、中展や仮定計算の中にそういうものもつぎ込んで、また予算審議のいわば手ぐさとしていただかなければならぬだろうというふうに思っております。
 それからもう一つ、税制改正の問題が出ましたら、六十二年度の税制がどうなるかということもそのとき考えなければならぬことでございますので、かれこれ勘案しながら、毎年毎年の積み上げの中で中期展望や仮定計算が少しずつ現実味を帯びてくるというようなことではないかな、なかなかガラガラポンにしてやることは難しいという気持ちがいたしております。
#98
○伊藤(茂)委員 もう時間ですからやめますけれども、私はこう思うのですね。さっき申し上げたように予算編成のたびにさまざまな仮定計算とか基本的考え方が出されております。正直言って大変だぞという内容になるわけでありまして、じゃ現実どうできるのかという、これはABCDでも何でもいいですよ、そういう何か確実な見通しが求められているという声がいつも出るわけてあります。
 六十五年赤字公債脱却の目標をおろさない、そして財政が放漫にならないように鋭意努力をするのだ。ある意味では私は一つの考え方だと思いますけれども、ある意味では精神論でございますね。そうおっしゃるならば、例えば赤字公債脱却の目標年度が五年延びたにしろ、三年刻みか五年刻みできちんとやって、こうします、必ずやるようにやりますという意味での具体的目標を掲げた方が精神論的な目標設定よりも具体性があるし、国民の信頼感があるだろうと私は思います。
 同時に、やはり中身、構造の問題を考えなければならぬ時代に入ったのではないだろうか。例えば、振り返ってみますと、大量国債発行、昭和五十年からですかね、西暦でいいますと七五年以降、大量国債が発行になって、それからそれが大変膨らんできて、大平さんのときに一般消費税構想が出されて、それがああいう選挙その他の結果を経て否定をされて、それから後第二臨調がスタートして、後は言ってみれば削減コースで今日までずっと来たわけであります。いろいろな意味でこれが限度に近づいているという声が上がっているのは事実だろうと私は思います。もう年々非常に無理になるし、また、それをやるためにも、国会で指摘をされておりますように、さまざまなやりくりとかそれからいろいろな苦労を予算編成でしなければならぬというふうなことが非常に顕著になっているというふうなわけでありまして、もう国内的にも国際的にもこの方法論は限度に来ているということだと思います。
 それから、再建と申しましても、例えばこれは税収をふやしていくということがなければ具体的な再建コースというものは描けないだろうと思います。ところがこの税制改革の方は、抜本的税制改革といううたい文句が出ておりますけれども、これは当面増税は意図しない、税収中立だけてあります。じゃ、税収中立の財政改革と財政の再建とは一体どうなるのか、これも回答なしの問題として残されているというようなことになるわけであります。
 幾つか申し上げましたが、やはりそういうさまざまな点を総合して、今までの方法論から一つ越えた次の展望を示さなければならない。そうでないとやはり税財政を含めまして国民の信頼が得られないという時点に立っているというふうに私、非常に思うわけでございます。一挙にそういうことが大蔵省がどこかのセクションでできるとは思いません。さまざまな努力をしなければならぬと思いますが、そういうことに着手をしていかなければならない時代にもういよいよぶつかっているという気持ちを非常に持つわけでございますけれども、さっきの大蔵大臣の御答弁は、昨年と大体同じ答弁なんですね。私は違ってきていると思うのですが、最後にそれを伺って終わりたいと思います。
#99
○竹下国務大臣 いわゆる「増税なき財政再建」、そして財政再建に対する基本的考え方の中の縛りの中に自分を今置いているわけですよね。縛られておってこそむちゃなことでもできたんだという反省と評価と、両方あるわけです。したがって、これからの問題をどうするか、可能な限り正確な指標を出した方がいいに決まっておると思うのですが、それがまた未達成になった場合の政治に対する不信というものも考えると、勢い慎重にならざるを得ない。しかし、おっしゃる意味は私どもにも十分理解できますので、これからもより具体性のものの土台でこういう問答ができることを私も期待をいたしております。
#100
○伊藤(茂)委員 終わります。
#101
○小泉委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後一時五十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時五十八分開議
#102
○小泉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として日本電信電話株式会社電話企画本部営業推進部長西脇達也君及び日本電信電話株式会社電話帳事業部企画部長恩田勝巳君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#103
○小泉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#104
○小泉委員長 質疑を続行いたします。矢追秀彦君。
#105
○矢追委員 最初に東京サミットについて少しお伺いをいたします。
 大蔵大臣、大変御苦労さまでございました。いろいろな問題点を指摘していきたいと思いますが、まず最初に、経済宣言の中に出ておりますサーべーランスの問題についてお伺いをしたいと思います。
 いろいろ今後詰められていくとは思うのですけれども、まず、この十項目の主要目標値、これをどういうふうに比較をしていくのか、その点が一つ。
 次に、この十項目を、アバウトで結構ですから、悪い点といい点とに分けて、日本は例えば失業率などはいいわけでして、そのかわり貿易収支は大変な黒字である、日本にとったはいいことかもしれませんが、他の国から見れば悪いという面、財政赤字もアメリカは大変大きな赤字、日本も劣らない赤字を抱えている、そういうような点を大体言っていただくとどういうようなことになるのか、その点、この二点についてまずお伺いしたいと思います。
#106
○竹下国務大臣 いわゆる多角的サーべーランスに対して指標を使う、こういうことでございますが、この指標について今までも五カ国でサーベーランス等をやったときにいろんなことが言われております。IMFが世話やきをしますのは、いわば国際的に認知された機関の専務さんがこの指標等をまとめるというのでやや権威のある指標、こういうことになるわけでございます。しかし、日本側から見ると、財政とか為替とかそういうものは大蔵省の所管でございますが、貿易とかあるいは成長率とかいうようなのは他省の所管でございますので、事前に十分念査して我々も対応しようというふうに思っております。
 一般的にいいと思われるということになりますと、今おっしゃいましたようにインフレ率、これは恐らくドイツにはちょっとかないません。ドイツは石油価格の下落で消費者物価もひょっとしたらマイナスになるかもしらぬ。だからドイツにはかなわないにいたしましても、これらは当然いい方へ行くわけであります。
 それから、財政赤字の問題は我々としては他の国以上の、いわば公債残高というようなことになりますと対GNP比で見れば相当なものだということ、あるいはもう一つの見方は、単年度の公債依存度、こういう見方もあるかもしれませんし、それから、注意していなければなりませんのは、例の今お借りしております厚生年金などを歳入に入れた計算をしますと、これは我々が今御説明申し上げているよりは赤字の比率が減るわけですが、これを除外したりしていけばやはり財政赤字というのは他の国に比して非常に苦しい状態ということが言えるであろうと思います。
 それから、経常及び貿易収支というのは、御案内のとおり他の国から見れば多きに過ぎる、我が国で見れば大変な黒字である。
 それから、マネーサプライの問題はそれぞれの国で若干違いますけれども、当然マネーサプライが多くなればインフレの懸念が起こる。しかし、それ以上に金利が安定しておるというような議論になりますので、国々によって恐らくマネーサプライの評価は違うだろうと思います。私どもは、平素考えておるより今はちょっと多いんじゃないかなと思いますが、国々によってこの点は恐らく評価が分かれるだろうというふうに思います。
 それから、為替相場ということになりますと、今のレート、そのときどきのサーべーランスをやる場合のレートと、もう一つは中長期の変化の比率というようなのが、これも見方によって議論は分かれるところではなかろうかなというふうに思っております。
 それから、成長率は恐らく実質成長で議論するようになると思うのでございます。これは総合的にどれくらいがいいかということですが、現時点で見れば悪い方へはもちろん入らぬというふうに思われるわけでございます。
 もう一つ、金利の問題は、例えばこの間公定歩合〇・五下げておりますと、イギリスなんかでおれのところは二%下げたといいましても一二%が一〇%に下がるのと全然違いますから、恐らく名目金利と実質金利がどうだとかいうような議論がありますが、これも議論の分かれるところ、評価はいろいろ分かれるところであろう。
 そういうことでございますから、勢いとの方が評価されてどの方が評価されないであろうと最初から断定してかかるのはなかなか難しかろうということでございましょう。
#107
○矢追委員 私が何でこういうことを聞くかといいますと、今回のサミットで何がまずかったかというと、いろいろありますけれども、結局円高の是正というか、それに対する期待感が裏切られたということであります。この目標値を見ておりますと、攻撃というと言葉は大変悪いですけれども、諸外国から見て日本はけしからぬというふうなことで来た場合、この項目の中でたたかれるのは何かというと貿易収支、そして為替相場、円高、まだいけるんじゃないか、ここへ集中してくることが非常に心配なわけです。スイスにある投資会社の百五円になるというような予測もちょっとある雑誌に出ておりましたが、ああいうことが書き立てられますと、ますますまだいけるんじゃないかというようなことになってまいりますので、今こういう質問をしたわけです。
 今の問題もお答えいただきたいと思いますけれども、今後この目標値に対していろいろ議論をやるのは、G5でやるのか、あるいはG7でやられるのか、大体年に一回ぐらいそういうような討議をされるのか、どの場で討議されるのか、その辺もお伺いしたいと思います。
#108
○竹下国務大臣 そこでひとつ、やはり言葉を気をつけなければいけませんので、目標値ということではなく、あくまでも参考の指標という形で扱わないと、各国の政策執行における主権の問題にまで内政干渉みたいなことになってもいけませんから、あくまでも指標ということにまずいたしたいと思っております。
 その場合、確かに一つのあるべき議論といたしましては、先般も申し上げましたようにサミットでも円高とは言わないですよね、ドル安と言う、ほかの国から見ればみんなドルが安くなっておりますから。これは大ざっぱに九月二十二日からいいますと、円が四〇%、マルクが三〇%、フランが二〇%、ポンドが一〇%、四、三、二、一ぐらいだな、こう見ておりますが、それをドルが一番高かった去年の二月ぐらいからやりますと、大体マルクと円は一緒ぐらい高くなっておる、こういうことが言えると思うわけでございます。したがって、我々は、むしろその経過的な指標の中で、いわば貿易収支の問題は為替だけで議論すべきものでないという主張もできるのじゃないかと思うわけでございます。
 ファンダメンタルズだけで見れば、油が半値になったのだから、円高の問題は別としまして、日本の通貨の購買力もまたふえておるわけです。したがって、その通貨価値が高くなるのは当たり前じゃないか。ところが、それも油だけで見るのも間違いだ、だから総合的に見るためには、それこそあらゆるファンダメンタルズを評価していかなければならぬというようなことで議論を展開していくならば、我が方に有利とは申しませんが、いわば正当な評価がなされるようになる。したがって、サーべーランスには、殊のほかという表現をするとおかしいのですが、前々から賛成でございました。
 さて、それではどういう場でやるか。今まではベルサイユ・サミットのときに、政策の調整はいいことだから、とりあえずSDRを構成しておる国でやってみたらどうや、こういうことで始まったわけですけれども、それで会合がある、国際会議がある前に寄って、ドラロジエール専務理事が中心になりまして、おまえのところはこうや、あなたのところはこうやというふうな話をしておりました。が、五カ国だけでやりまして、それが為替の話までするようになりましたから、やはりそれで注目され出して、そこへ去年の九月二十二日のG5があって、したがって、これをオーソライズする、今までは非公式にやってみようというのが、どこかでオーソライズしなければいかぬようになったということが一つございます。そうなると、サミットのほかの二カ国は、おれたち何で仲間外れや、こういうことになりますので、したがって、サーべーランスというのはやはり七カ国でやろうやということになったわけです。しかし、その前に五カ国で集まるのも結構だ。五カ国で集まって、より多くの協力者を得る必要があるときは当然七カ国でやろうということでございましたから、七カ国でやるということは、サーべーランスを七カ国でやろう、しかし五カ国というものは、なかんずく中央銀行総裁なんかと一緒に行われる会議としては十分これが残っておる、こういうことだと思います。
 それで、いつやるかということになりますと、IMFの総会のときは一回できるのじゃないかとかいろいろな議論がございますが、これはできたら代理の会、我々の方で言えば大場財務官ですが、代理の会でもう少し詰めてもらおう、それでできるだけ早目に始めようじゃないか。私はどちらかといえば早目にやったがいいという考え方でございます。
 さらにもう一つ、G10というのがありまして、これは正式に認められた先進十カ国です。これもサーべーランスをやろうということになっておりますから、これの協力も得よう。G10というのは、大体そういうIMFの委員会の前に必ずやることになっておりますから、それは、一つにはサーべーランスということになりまして、特に今度は通貨ということになりますと、ヨーロッパのECの場合は中央銀行を持っていないわけです。それから国ではないわけです。ところがG1には入っておりますから、そうすればその会合もできる。だから今度決まったのは、G7というのは本格的に決まった。G5はもちろん妨げない。しかし、時にG1〇の存在も認めながらやりなさい、こういうことですから、できるだけ早目にG7が開かれるようにG5を進めていかなければならぬということでございます。
#109
○矢追委員 東京サミット以降も円高基調が続いておるわけでございますが、大臣、会議に出られておって、これは感触というか予測ですが、やはりかなりまだまだ円高をやれという声はさらに強まるというお考えなのか、それとも今回東京サミットに来られた首脳が、日本も日本なりに努力をしておるという点もある程度は評価をしておるのか、その点はいかがですか。
#110
○竹下国務大臣 非常に画然とはしておりませんが、複数の国は、ドルが安くなって定着しつつあるという評価、ドル高是正はもう十分に行われたのでこれからは相場の安定が重要というのが複数国、それからもう一方の複数の国とでも申しますか、まだそこまでレート調整は進んでいないのかなというように、やや見解が分かれておるというのが現状でございます。ただ、みんながわかってきましたのは、非常に粗っぽい計算をしましたが、日本の貿易が出入りを入れて仮に年間三千億ドルといたしまして、それで何ぼになりますか、五十兆円ぐらいですか、そうしますと、為替相場は日本で恐らく百何十兆動いているわけですね、一日に三十億ドルぐらい動くわけですから。したがって、よほどお互い気をつけなければいかぬのは、貿易の実需と違って相場が存在しておる。したがって、計算ができぬそうでございますけれども、大変なものが毎日世界じゅうの市場で動いておるということがあるから、相場に影響を与えるようなことだけはお互い慎まなければいかぬぞというのが、いわば口に出す出さぬにかかわらず共通の認識である。だから、まあ雑談の中には、おれたちは貿易赤字で苦しんだんだから、少々の円高ぐらいならあなたのところはまだ体力があるんじゃないですかというような話はしますけれども、総じて見方は、ドル安は十分に進んだのじゃないかというのと、もうちょっとかなというのと二つに分かれておる、今日強いて分析いたしますならばこういうところまででございます。きょうの委員会でございますから、速記録に残るとはいえ、いささか私見が入っているということは申し上げておきますけれども……。
#111
○矢追委員 今言われたように、いわゆる為替相場の乱高下が結局問題になるわけです。日本の、例えば総理とか大蔵大臣あるいはまた大蔵当局の発言が相場に影響するということはめったにないのですが、外国の首脳なりあるいは財政当局の人がちょっとしゃべっただけでえらい影響が出るわけですね。そういう点はもっと慎しんでもらわなければいかぬわけですが、そういう点の話は、雑談の中も含めまして出なかったのですか。むしろ大蔵大臣の方から、そういった点は慎しむように言ってもらいたかったと私は思うのですが、絶えず何かちょっとした発言で動くわけですね。大変困るわけでして、そういう点はいかがですか。
#112
○竹下国務大臣 これは総理からも、高官たる者、為替レートを言の葉に上すべきものにあらず、終始そういうことを首脳会議でも御発言があっておりました。あれは日米首脳会議でございましたですか、私からも、おまえさんら勝手なことを言うな、おれみたいに、神様だけが知っておる、こう言うのが一番正しいじゃないか。そうすると、ミスター竹下の言うとおりなら、為替相場のことは聞かれてもじっと黙っていなければいかぬか、こんな冗談が出るくらい、このことは気をつけてくれと。ただ、よく調べてみますと、やはりこれだけマスコミが発達しておりますから、例えば安定と言いましても、今の数字そのもので安定かとかそういうことを世界じゅうのマスコミが言いますので非常に影響を与えやすい。きょうの新聞にも出ておりましたが、きのう百六十五円でウーンと思っておりましたら、ロンドンで百六十七円になった。そうしたら、それじゃと言ってイギリスの大蔵大臣が発言したからまた百六十五円に返った。今度はアメリカへ行ったら百六十八円になりました。そうしたら、また今度はドイツの大蔵大臣が、もうええやないかというようなことを言ったら百六十八円になって、また、あれはうそだったと言ったじゃないかということで百六十五円になった。一日に何十銭なら構いませんけれども、要するに三円とかいうふうなのがぶれるというのは、私は、一日のレンジを見ているだけでもちょっと乱高下だなという感じがしますので、これからは注意を与えよう。ただ産業界の人が自分の企業を中心として時々言わはりますのは、これはちょっと困るとはなかなか言いにくいというような感じでございますが、よく慎むようにと。あんなことで上げ下げしますと、私だって言って、やってみてやろうかということになる。いわゆる口介入というものですね。口介入は慎むべきだと思っております。
#113
○矢追委員 次に、このサミットを踏まえた上での今後の経済運営でございます。一つは、公共事業の前倒しはかなりやられておるわけですけれども、例年のごとくずっと前倒しは行われておりながら結果としてはそう効果が出てきていないように思います。そういう意味で、今回の前倒しもかなり思い切った前倒しをやられておる点はわかるのですけれども、効果という点については私はまだ非常に疑問視をしておるわけです。そういった点についてどういう見通しあるいはまた施策をお持ちなのか、これをまず伺いたいと思います。
#114
○竹下国務大臣 公共事業は、上半期における契約率が過去最高を上回ることを目指して可能な限り施行の促進を図る。きょう法律が通りましたから、作業を大分進めておりますが、恐らくあさって具体的な数値について閣議決定するんじゃなかろうかと思っております。したがって、公共事業等の施行促進の経済に与える影響は、それのみを取り上げておよそ何ぼ――経済企画庁で今度の総合経済対策はGNPを〇・七%押し上げるじゃないかとかといういろいろな仮定を前提としてよく計算していただきますが、どの程度のものというのは定量的にはなかなか難しいと思います。前倒しをしますと、実際に支出が行われます前でも受注先がおよそ見込んで資材の調達を開始したり、そういうことで、前倒しの声が上がるだけでも本当は幾らかそういう経済活動を刺激することになるわけであります。
 そこで、これは個人的な考え方ですけれども、それに、今度は原油価格の分は円高ばかりではございませんけれども、円高よりも実際の価格は下がるわけですが、恐らく円高によって資材がほとんど下がるのじゃないか。そうすると、ちょっといい例じゃございませんが、百メートルこれで道路がつくられるのが百十メートルということになると、そもそも四・三%ふやしておったものの前倒し効果が量においても出てくるのじゃないかということも計算してみればできぬことはないんじゃないかなと思いながら、それと、やはり金融が稼働してその金利が下がりますから、公共事業等は幾分か、もちろん前渡金をもらわれますけれども、金利が下がっていきますから、そういう効果もまた波及していくんじゃないかなと期待をしておるところでございます。あるいは、あさって閣議決定でもしましたならば、すぐできるかどうかは別として、経済企画庁あたりでこの分だけでおよそどれくらいGNPを引っ張り上げるかという仮定計算はしてもらいたいものだなとは思っております。
#115
○矢追委員 今金利の問題が出ましたのでちょっと金利の問題に触れますが、まだこれ以上下げるという話、あるいはまたこのままでもう少し静観をするという話がありますね。現実に金利引き下げの効果、今公共事業との絡みで期待をされておるようですが、過去を振り返りますと、財政が余り機動しない時代になっておりますだけに、この金利引き下げの効果はどこに行っているかというと、結局土地と株に行っておる、これが現状ではないか。特に株に対する投機は相当すさまじいものがありますし、また土地の高騰もいわゆる商業地を中心として大変な状況にあることは御承知と思います。そっちの方に行ったのでは結局何にもならないので、本当にそれが財政を機動させながら金利引き下げの効果が出るように、ただ予想ではなくて、きちんとそうなるような何か手だてをしていただかないと、私は困ると思うのですが、その点はいかがですか。
#116
○竹下国務大臣 我が国経済というのは、今西ドイツと同じようにやや優等生であるとすれば、物価の安定、こういうことでございましょう。そこで製造業でなくむしろ非製造業の方でございますけれども、設備投資は総じて着実に増加してきておる。さらに公定歩合の問題が出ておって、先ほど御心配なすったマネーサプライ等が若干思ったよりも高くてもインフレになるような懸念はないというようなことでございます。
 したがって、金利の問題でございますが、いわば土地、株式、株式の場合は証券局等と御連絡はございますが、東京証券取引所等で時に自主的に規制したり、いろいろなことをなさいます。それから企業が土地へ投機するということについては金融機関等もこれを戒めるといいますか、これに対して言ってみれば自粛的な方向で指導しておるということが事実でございます。したがって金利の問題というのは、きのうも議論がございましたが、私がよく日銀に、金利はまさに日本銀行の専権事項だと申しますのは、時に我々も注意しなければなりませんのは、これは申しわけない話ですけれども、要するに日本は政権がかわりませんですね。したがって、時に何か政府と同じように見られがちだが、ほかの国はよく政権がかわりますから、中央銀行の中立性ということに対しては、政治の恣意が働かないようにという意味において物すごくみんな気を使うわけでございます。したがって、今度もロンドンG5のときに、インフレが鎮静しているからさらに金利引き下げの環境は整っておるということはお互いのコンセンサスでありますけれども、したがって協調利下げをしようということになると、中央銀行の権限をまさに侵すことになるからそこまででとどめようということになって、いつどこの国からやるかというような相談にまでは至らなかった。しかし日本の場合は、ほかの国のようにさっと自由金利でいきません。いろいろな手続がありますから、この間の公定歩合下げが今月の十九日になってやっと全部出そろうわけでございます。それらの状況を見ながら、今のところは全く日本銀行としても、この間の公定歩合下げの効果があらわれる前に、次どうするというようなお考えはまだないだろうと思います。
 ただ、最近低金利時代になりまして私もしみじみと感じますのは、公定歩合を〇・五といいますと預金金利も〇・五ずつ下げてきまして、この間〇・五連動しないのです。なぜならば普通預金は〇・五%でございますから、連動すると金利がなくなりますので、昔何か預け賃というのがあった時代があるそうでございますけれども、これから預金するときにはいわゆる手数料を払って預金するようになってもいかがかというところで、いわゆる幅というものが従来とは非常に狭くなってきておるな。西ドイツ、日本を除く国のように七%も八%もあれば別でございますけれども、その辺は低金利国のこれからの狭まりというのは十分感じております。
    〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕
#117
○矢追委員 次に、先ほど来もマネーサプライの問題で心配ないと言われておりますが、六十年の十二月でM2プラスCDで九・三、一月、二月に九・〇、九・〇といっておりますし、M1の方は四・六、四・三、四・三、こういう推移をしておりまして、かなり高いのではないか。よく言われていることは、お金はだぶついている、しかしなかなか景気の方にはいかない、だから先ほど申し上げたように株とか土地とかにいってしまっておる、こういう状況でございますので、私はこのマネーサプライ、大きな危険とまではいかないにせよ、ちょっと高目ではないか、こう思いますが、大蔵大臣は大体どの辺が適正と思われますか。
#118
○竹下国務大臣 このマネーサプライの問題、だれか専門家がおると思いましたが、今おりませんので。
 私どもも指標を見ますときに八%台というのをよく念頭に置いておりますが、九になると何か少し多いかなという感じをいつも持ちます。ただ、それと一緒に月例報告で出てくる指標の方でインフレ率がうまくいっているわけですから、結果として大丈夫なんだな。もう少し専門的な知識のある人があればお答えした方が結構だと思いますが、私は勘でそんなことを感じております。
#119
○矢追委員 次に、税収の問題をお伺いしたいと思いますが、このままいきますと歳入欠陥ということになると私は思います。六十年度補正予算で結局四千億少々の税収見込み違いということで補正をされたわけです。ここでまた仮に二、三千億となりますと、当初予算からしますともう六、七千億の歳入欠陥、こういう状況です。この補正のときも法人税の伸びが非常に悪かったのが致命傷といいますか、見込み違いになったわけですが、この点については主税局長、どういうふうに見ておられますか。
#120
○水野政府委員 六十年度税収につきましては、現在三月末までが判明している数字でございます。この三月末の数字で見ますと、補正後予算額に対しましては七八・八%まで参ってございます。前年同月の数字が七九%でございますので、これに比べますと若干下回っていることに相なるわけでございますが、六十年度からたばこ消費税が新しく税金として入っておりまして、これが初年度特例といたしまして年に二回分けて入る。この後半部分は四月に入る。したがいまして、その分だけは足を引っ張っている計算になりますので、その点を調整いたしましてことしの進捗割合を見ますと七九・四という数字になるわけでございます。七九・四でございますと、去年よりは若干よくなっているということに相なろうかと思うわけでございます。
 今御指摘のございました法人税収以外の税目について見ますと、大体予算どおりかあるいは若干予算を上回るような数字でどうも推移してきているような感じでございます。ただ、何と申しましても非常にウエートの大きい三月決算法人が五月末、今月末に納付になるわけでございまして、御指摘のように補正予算で補正減を立ててございますけれども、この点がなお楽観を許さないわけでございます。三月決算法人の税収納付状況いかんによりましては今年度の予算の達成はなかなか楽観を許さない、こんな感じが現在の税収状況でございます。
#121
○矢追委員 円高不況というのが大きな原因なのか。その辺はいかがですか。
#122
○水野政府委員 三月の法人税収を見ましても前年の収入額を下回るという状況になっておりますので、法人税収が昨年中に比べまして少しずつ調子が下向きになっているということは確かでございます。ただ、ただいま申し上げました三月決算法人の決算状況、五月末に納付されてくるわけでございます。これがかなりウエートの大きい数字でございますので、すべてこの決算状況いかんでございまして、これを見ませんことには円高なり何なりの影響がどうあらわれたかということにつきましてはなおはっきりしたことは申し上げられない状況にございます。
#123
○矢追委員 そこで大蔵大臣、六十年度の結果はまだ先としても、大変予断を許さぬ状況であることは事実です。円高不況がこれからますます来るわけですから、六十一年度になりますとさらに厳しくなるのではないかと十分予想されるわけです。六十年度でも法人税の減収による補正をやり、特例公債をまた出さざるを得なくなった。六十一年度も、このままいきますと補正を組んで、その補正で法人税の減収を入れなければならぬ。それを補てんするためにまた特例公債。せっかく特例公債がだんだん減ってきたのがまたもとのもくあみになってしまう可能性を私は大変憂えるわけです。それだけに、先ほど来申し上げましたように円高に対する安定をさせることをまず第一番にして、さらに円高不況対策、また内需拡大による景気刺激、減税も含めまして相当しっかりした経済運営をしていかないと大変なことになると思いますが、その点に対する展望と指針をお伺いしたいと思います。
#124
○竹下国務大臣 これはちょっと展望と指針までいかぬかもしれませんけれども、先ほど来の議論を聞いておりまして、私は平素、税収の見積もりというのは年度当初に下から積み上げて一生懸命でやります、したがって五十六年、五十七年は九兆円も歳入欠陥がありましたけれども、その後は一%は誤差のうちということで入っております、こう言いながら、この間補正のときにその一%をもう使ってしまった。それでもなお、私いつも思いますが、補正後に比べて一%だったらまだ誤差のうちになるのかなということをみずからに言い聞かせながら、今少なくとも今年度で別途の手当てをしなくても済むような状態にだけはしておかなければいかぬなというふうに思っております。
 そこで、来年度という問題になりますが、ことしの場合、率直に言って、例えば原油価格の値下がりということで出ましたのが、三月末のが二十二ドル幾らでございます。二月末は二十七ドル幾らでございますが、やっと三月末のものから出てきておりますので、下期に至れば、メリットの方も原材料が下がったりするものが出てくるだろうということは考えられる。しかし、常識的に考えても、石油税が下がったり、輸入物価が下がりますからそれに伴う関税が下がったり、これは常識的に考えられる。したがって、歳入欠陥が大きく出ないような経済運営をやっていかなければならぬ。それには企業が安んじていろいろな計画が立てられるような為替相場の安定ということも図っていかなければならぬ、そういうような効果が下期には期待できてくるのではなかろうかというふうに今考えておるところであります。
 何はさておいて、今から予測することはなかなか難しゅうございますけれども、経済運営の弾力的な運営によって万遺漏なきを期したいというふうには考えておるところであります。
#125
○矢追委員 次に、特例公債の借りかえについて申し上げます。
 六十一年度の財確法二条四項、五項では、特例公債の借換債発行についての規定が置かれております。できる限り借換債の発行を行わぬように努めることと、発行した場合は速やかに減債に努める、こういうふうにしておるわけでありますが、この規定は、現在の国債管理政策の行き詰まりの状況から見まして、実行の見通しは余りないと思うのですよ。私も再々指摘してまいりましたように、この点ができなくなってきているのではないか。我が国の減債基金制度というものも、昭和五十七年度補正で定率繰り入れをやめましたですね。それ以降毎年繰り入れは停止してきた。償還資金というものは枯渇の状態になった。あとただ一つの希望がNTTの株式の売却。四千何百億円で何年がやる。これが仮に倍になったとしても一兆円足らずしかないわけでして、そういうことから考えますと、いわゆる国債償還を前提とした国債管理政策というもの、これは一大転換を迫られているのではないか、このように思うわけです。
 したがいまして、財確法に規定した条文というのは、これは精神規定だけしか残ってないのじゃないか。大蔵大臣も、守れと言ったら守るように努力しますとここで答弁されると思うのですが、現実問題としてこの条項というものは本当に守れないと思うのですよね。もし守れるとおっしゃるなら、どういう条件があるのか。この点をまずお伺いしたいと思います。
#126
○保田政府委員 御指摘の法案、第二条第四項並びに第五項でございますけれども、この規定は御承知おきのように、特例公債を発行をするに至りましてより五十八年度までは特例公債は全額現金償還をする、借換債の発行はしないということでまいりましたが、非常に苦しい財政事情のもとでこの方針を転換せざるを得ないということになりまして、五十九年度の財確法におきましてこの特例公債の借りかえ禁止規定を削除することになったわけでございます。でありますが、当然のことでございますけれども、特例公債というのはそもそも存在すべきものではないということでございますから、借換債をやむを得ず発行するにいたしましてもその額はできる限りこれを抑制すべきであるというのが第二条四項であり、そして、やむを得ず発行した借換債の残高についてもできる限りこれを早く償還すべきであるというのが第五項の趣旨でございます。これは、まさに先生御指摘のとおりでございますが、片や一般会計の財政事情はその後もますます厳しい状態が続いておりまして、この四項、五項の努力規定がそのままごく近い将来に実現するという事態にないこともまた事実ではございます。
 しかしながら、この努力規定は、やはり我々として後代に経常経費の足らざる部分を、我々が楽をして財政運営をするといいますか、そのツケを後世代に残すということは許されることではない。しかも、後世代といいますのは、御承知おきのように、高齢化社会で社会保障の負担もまたふえざるを得ない世代でございますから、これはできるだけ早く解消しておかなければならぬ問題でございます。したがいまして、我々の世代として後世代に対する負担の公平という観点からもなくしておかなければならぬ特例公債の減額のために我々は今こうやって財政改革を進めているということでございまして、当面いつからこの努力規定を動かせるかという点はなかなか言明しにくいわけでございますけれども、そのために一生懸命財政改革を進めているということで御理解をいただきたいと思います。
#127
○矢追委員 おっしゃることもよくわかるのですが、私は前々からずっとこの問題はやかましく言ってきておるわけです。大体私の言ったとおりに、悪い方の予言どおりになってきておるわけですけれども、最初、借換債はやらぬと言った。私は、やらざるを得ぬでしょうと言った。大平さんが大蔵大臣の当時からですが、絶対現金償還します、十年たったら返しますとその前の年まで言っておられて、結局その明くる年から借りかえ。今度借換債も今こういう精神規定ができておりますが、六十二年度を考えれば定率繰り入れはやらない。あと予算繰り入れしかない。予算繰り入れをやるといったってお金がないわけですね。NTTの株が、今申し上げたように四千億円を見込んでおられますけれども、それが仮にえらく高く売れて一兆円になったとしてもまだまだだめなわけでして、そうなりますと今度は、これはこの前大臣もある程度認めておられますが、要するに現金で償還しないで全額借換債で償還していくというふうなことにならざるを得ない、こういう状況にあるわけです。
 今精神規定として置いておかなければいかぬという気持ちはよくわかるのですよ。だが、超長期の財政運営、三十年とか五十年とかいうことになればいざ知らず、中長期に見ても、この条文を入れることにはやはり問題がある。当面はもちろんですよ。といって、私はこれを削ってしまえと言うのではない。削ったら歯どめがなくなる。だから、こういう守れないものをただ精神規定だけで入れるよりも、もう少し現実に即した歯どめもしながら何か手はないものか。私も予算委員会のときもやりましたし、大蔵委員会でもしばしば言ってきておりますが、実際六十二年度を展望したらちょっと背筋が寒くなる。先ほどの税収の方も伸びない。では、これは増税したらいいか。付加価値税を入れれば、それで来るか。確かにそれは最初のころは来るかもしれませんけれども、付加価値税はヨーロッパで御承知のように税率がどんどん上がってきますね。そうすると、これはなかなか大変なことになってきまして、そう伸びないのではないか。
 そうなりますと、この際思い切って新たな方式といいますか、財確法も何年か審議されてきているわけですが、これは減債制度そのものをどうしていくのか、転換を迫られておるのではないかと思うのです。その辺はいかがですか。
#128
○竹下国務大臣 これは矢追構想とでも申しますか、一つ確かに存在しておりますし、それから先般の宮澤提言というのもややそういうことを考えたような提言。いわば提言をちょうだいするのは大変ありがたいことでございますが、今年度発行のものは借りかえの対象にします、今までの分も全部一緒に借りかえにしますというときに、あれだけ国会でしかられながら、しかられるというか、御注意を受けながら今日までやってきた。それで財政審においてはやはり減債制度の根幹は維持しなさい、こう書いてあるわけです。その根幹がまさに訓示規定になっておるのではないか。それも私もわからないでもない、ちょうだいできる議論だと思うのであります。しかし、NTT株の問題も出ましたがあらゆる角度――今仮に矢追さんのその構想に乗りますと言った場合に、またすぐ関係方面から見れば新たなる財源が見つかったということになって歳出圧力の、分捕り合いの対象になるということだけは避けなければなりませんし、したがって、ぎりぎりの段階で結論を出す課題だなというふうに思っております。しかし、そうなればまた当然の議論として、永久国債じゃなんだからある種の期限をつけたらどうかとかいろいろな議論が出るでございましょう。しかし一つの御意見としては十分ちょうだいしておきます。
 といって、そういう意見があったからといって来年仮に、あなたがやれとおっしゃったからやりましたと言って私しれっとしておるような気持ちはございませんけれども、今のところいずれにせよ減債制度のその根幹は維持しなさいという枠内に自分を位置づけておりますが、来年度予算編成に当たってそれはかなりきついことになるでございましょうから十分配慮していかなければならぬ課題だというふうに考えております。
#129
○矢追委員 大蔵大臣もこれから将来ある方ですから、本気になってこれはやっていかないと、確かに財政審の減債制度の根幹というのは私もよく理解しておりますし絞っていかなければならぬことも事実ですけれども、やはり現実というものも直視して、今言った、では財源ができたからそれを使えというその辺はやはり歯どめをやりながら、これだけマイナスシーリング、ゼロシーリングで来ているわけですから、私は何らかのことはできるのではないかと思うわけです。ひとつこれは御検討いただきたいと思います。
 時間がちょっと超過する点は同僚議員のを削らしていただきますので、次の方におくらしていただきますのは申しわけないと思いますが、次に外国為替資金の特別会計について伺いたいと思います。
 六十一年度の一般会計予算の歳入不足を補うため、外為特会の六十年度の決算剰余金のうちから二千六百五十億円を一般会計に繰り入れされておるわけであります。六十年度の外為特会の決算剰余金の見込みはどれぐらいなのですか。また、一般会計に繰り入れられた残りの積立金にはどれくらい入れられたのですか。概数で結構ですから報告してください。
#130
○行天政府委員 お答え申し上げます。
 六十年度の決算上の剰余金は二千九百三十億円でございます。このうち御指摘のとおり二千六百五十億円を六十一年度の一般会計の歳入に繰り入れることとしたわけでございます。残額の約二百八十億円は積立金として積み立てられることになっております。
#131
○矢追委員 この外為特会の利益ないし決算剰余金というのはどういう仕組みで出てくるお金なのですか。
#132
○行天政府委員 外為会計の仕組みと申しますのは、御承知のとおり為券を発行いたしまして円貨を調達する、この円貨でもって外貨を調達して外貨準備として保有する。この外貨準備は外貨の形で運用されておるわけでございます。したがいまして、この年間の収支を見てみますと、一方では、この円資金調達のためにコストを要するわけでございますし、一方では、この外貨の運用による歳入が入ってくる、こういうことで収支が生まれてくるわけでございます。
#133
○矢追委員 外為特会の利益の計算といいますか仕組みはわかったわけですが、一般会計や特別会計に予備費が計上されておりますが、これはいずれも予見しがたい予算の不足に充てる、こういうふうにはっきり書かれておるわけですね。この外為特会の予備費も一般会計の予備費と同じと考えていいのですか、それとも違うのですか。
#134
○行天政府委員 外為会計の収支は先ほど御説明したとおりでございますが、まさにそのために、例えば日本における金利水準が動くということになりますと、これは調達円資金のコストに響いてくる。それからまた、例えば米国の金利が変動するということになりますと、これは外貨運用の収益に響いてくる。それからまた、外国為替が変動いたしますと、これは持っております外貨の資産の評価にすぐ響いてくる、こういうことでございます。
 そこで、こういった動きはなかなか予見しがたいものがあるわけでございますので、外為会計におきましては、従来からこういう収支の見込みの差額というものを予算上は予備費として計上させていただいておるということでございます。
#135
○矢追委員 財政法の第二十四条の予備費は、「予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は、予備費として相当と認める金額を、歳入歳出予算に計上することができる。」こうなっているわけですから、今の御答弁からいきますと、一般会計にあるような予備費とはちょっと性格が異なるのではないですか。
#136
○行天政府委員 金利とか為替相場というものがまさに予見しがたい動きをする可能性があるわけでございます。例えばこれは仮定の話でございますけれども、ドルの相場が非常に下落をしてそのためにドル買いの介入をしなければならない、そのために新しく外為証券を発行して円を調達しなければならないということになりますと、この分はまさに予期せざる歳出の増加ということになるわけでございますので、そういう意味では文字どおり予見しがたい歳出の不足ということを考えて予備費として計上させていただいておるというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。
#137
○矢追委員 ちょっと私もよくわからないのですけれども、毎年度特会では予備費の計上額と利益見込み額、これは同額になっておりますね。六十一年度では三千百八十七億円、同じく利益見込み額も三千百八十七億円。これは同額計上の理由は何ですか。
#138
○行天政府委員 その収支差額というものを予算上予備費という名目で計上させていただいておることは御指摘のとおりでございます。これはそもそもまさに予見しがたいような歳入不足があり得るという前提のもとにその手当てをさせていただくという趣旨でございまして、たまたまその金額といたしましてはただいま申しましたような収入見通し、支出見通しの差額でございます収支差額というものをもってこの予備費という形での計上をさせていただいておる、こういうことでございます。
#139
○矢追委員 ちょっと私、頭が悪いのか、勉強不足か、よくわかりませんが、それでは外為特会に計上された予備費というのは使われたことが過去にありますか。少なくも五十五年度以降はないわけですね。経験的に、まず使うことのない予備費の計上額が毎年度金額で差があり、その差も百万円単位ではありますが相当端数まで移動しております。その理由もひとつ教えていただきたいのですが、一般会計の予備費というのは五十五年度以降三千五百億円の定額になっておりますね。使われない外為特会の予備費の数字がどうして毎年違ってくるのか、その点も伺いたいと思います。
 それから、確かに外為会計そのものが予見しがたい変動によって動くことは私もわかっておりますが、私が今聞いているのは、予備費というのは要するに予算の執行に当たって予見しがたい不測の事態が起こるのに備えてお金を積んでおくことと私は理解しているわけですね、財政法第二十四条にはそう書いてあるわけですから。私は、これが悪いとかいいとか言っておるのではないのです。この予見しがたい予算の不足に充てる予備費と損益計算書や貸借対照表という企業的経営の結果から出てくる利益の数字がびた銭一文狂っていない、そういう予算計上になっておる。本来この二つは別次元のものであって、こういう数字が一致しておるのはおかしいのではないか、こう思うわけです。その点を御答弁いただきたいと思います。
#140
○行天政府委員 予備費が使用されました前例といたしましては御指摘のとおりでございますが、昭和五十四年、五十五年当時ドルが暴落をいたしまして、その買い介入を我が国としてかなり大規模に行った、そのために、外為証券の発行に伴いまして利子、つまり割引料でございますが、この支払いに充てたという前例がございます。
 御質問の点でございますが、先ほどから御答弁申し上げておりますとおり、確かに予備費として計上されております金額は収入と支出の差額の見込み額、収支差額の数字を予備費として計上させていただいておるわけでございますから、数字は一緒でございます。
#141
○矢追委員 私が言いたいのは、一つはこの予備費というのは一般会計で言われているような、また、ほかのところで言われているような予備費とは性格が少し違うのではないかということです。これは主計局の問題になるかと思いますが、予算書の中で「予備費」と書いて、「予見し難い予算の不足に充てるための予備費」、こうはっきり書いてありますけれども、この外為特会についてはこの文章は当たらないのではないか、したがって、ちょっと書き直す必要があると私は申し上げたいのですが、その点はいかがですか。
 それから、結局このお金というものはだんだん減ってきておるわけです。二千六百五十億円一般会計に繰り入れされておるわけですけれども、今の円高の状況の中で今後これはどうなっていくのか。去年よりは大分減っておりますね。六十一年度末になると果たして当初考えた以上に出てくるのか、出てこないのか、その点の見通しもこの際お伺いしておきたいと思います。
#142
○行天政府委員 予算計上の方法につきましては主計局の方から答弁をお願いしたいと思います。
 今後の見通しにつきましては、外為特会の場合、やはり一番大きな影響を及ぼしますのは金利動向でございます。したがって、今後特に日米の金利がどう動くか、そのことによって外為証券の発行のためのコストがどうなるか、それから外貨の運用益がどうなるかということでございます。もう一つは、ドルの相場、これが円高になってまいりますとそれだけ現在外為会計が持っております外貨資産の円の評価額が減ってくるということに相なりますので、そういったものを勘案しまして今後の外為会計の損益は影響を受けてくると思われます。
 現在のようなドル安・円高の傾向が続きますと、その意味では評価損というものがだんだん大きくなるという傾向にあることは否定できないと思います。
#143
○保田政府委員 予算書上におきまして予備費の説明として「予見し難い予算の不足に充てるための予備費」と書いてあるわけでございますけれども、これはまさに財政法等の規定を念頭に置きまして、一般会計あるいはほかの特別会計におきます予備費と同様の表現を使っておるわけでございます。
 その数字がたまたまこの特別会計の利益の見込み額と一致しているということでございまして、予備費の説明としてはこれを変えるのはいささかどうかな、この点はそういうふうに考えます。
#144
○矢追委員 たまたま一緒になったと言われますけれども、これは私のうがった見方かもわかりませんが、経験的に歳入歳出予算というものを黒字計上しなければいけない外為特会を歳入歳出を同額にしているために、本来黒字予算に計上すべき分を予備費という一般には非常にわかりにくい項目に押し込んでいる。これは予算書のつくり方としてはちょっと間違っているのではないか。黒字隠しと言えないこともないのではないか。もうちょっとわかりやすくしてほしい。こういう点も私は指摘しておきたい。
 それから、先ほどから言うように、一般会計の予備費とここの予備費とはちょっと性格が違うのではないか、厳密に言うと。この点はお認めになりますか。
#145
○保田政府委員 まず、黒字隠してはないかという御指摘でございますけれども、いずれにしましてもこの特別会計の収支の見込みというのは、為替変動あるいは金利の水準等によって非常に変動するものでありますから、幾ら利益があるだろうという見込みを立てること自体なかなか難しいわけでございますので、予算書を作成します段階で黒字を見込んでおるということではございません。結果として利益が出ますれば積立金に移るということでございますが、一方ではまた巨額の欠損もあるということでございまして、黒字を隠しておるということではございません。
 それから、予備費でございますから、当然ほかの特別会計ないし一般会計の予備費と同様の歳出権をそれだけ付与しておるということでございます。
#146
○矢追委員 最後に大蔵大臣、私も今の答弁を踏まえてまた勉強させていただきますが、予備費としての性格がちょっと違うということ、それからこういう形の予算書のつくり方にはやはり問題があるように私は思うのです。そういった点を御検討いただけますか。
#147
○竹下国務大臣 財政法の予備費というのは予見せざるということで、外為特会の場合は毎年金利の変動とかがございますから、予見ができないのではなく難しいというのかなということで、財政法の中の予備費の定義としてはそれを逸脱してはいない、こう思います。
 この問題は毎年議論のあるところでございますけれども、長い目で見れば、上がるときもあれば下がるときもあって、いろいろな意味で収支大体とんとんになるという性格の会計だという議論もいつもいたすわけでございます。時に一般会計へ調達していただいていることもございますが、いわば予見しがたい災害とかというのとは若干違うという印象も私もわからぬわけではございません。予見が非常に難しいと言うことはできるような気もいたしますが、その点については部内で十分勉強させてもらいます。
#148
○矢追委員 私の言っていることをよくわかっていただけないかと思うのですが、予備費というのは予見しがたい予算の不足に充てるために出すわけでしょう。これは違うのですよ。使っていないし、この金をそっちへ充てるというものではないでしょう。一般会計の予備費とは違うわけですから、それは重ねて言っておきます。
 最後に、これはきのうは質問通告しなかったのですが、きょうやらせていただいたことで、参議院の三月十四日の予算委員会で同僚議員の高桑委員が、例えば経済援助の場合など、特にUNFPAに対するドル建ての四千五百九十三万ドル、これが円高になった場合どうなるのかと聞いたことに対して、大蔵大臣は「勉強さしていただきます。」という答弁になっておるのですが、これは今、外務省予算でいろいろ問題がこれから出てくると思うのですね。
 それで、その余ったお金、例えばこのお金を計算しますと、当初予算が組まれたときは、たしか一ドル二百三十一円で計算されていますね。これは間違いだったら是正をしてください。この四千五百九十二万ドルが円にしますと百六億円なんです。それで、仮に百七十円にしますと七十八億円で、二十八億円の差益が出るのです。これは国庫の方へ取り上げてしまっていいのか。それとも、せっかく組まれた予算ですからそれをそっくり使うとなると、今度また逆の場合もありますからなかなか難しいとは思いますが、何かせっかく一つの目的のために組まれた、しかし円高差益によってお金は円としては余ってきた、それをどうしていくのか、これはいろいろ知恵を出していただきたいと思うのですが、重ねて御質問いたします。
#149
○竹下国務大臣 参議院で質問がございまして、先生はある一つの目的のところへ大変御執心と言うとちょっと表現がおかしいのですが、大変御熱心な意見を持っておられた。したがって、この円高差益が出たらそれを、移流用のうちに入るような話でも確かになかったわけでございますが、そういう同じような目的のところへ使ったらどうだ、ぜひ頼むぞ、こういう鞭撻を含めた御質問でございまして、それで結局いつ予算が執行されるかというのも、なかなか対外問題難しゅうございますのでにわかにその分をもう見込みましょうというお答えもできないと思いますが、趣旨は私も私なりに理解しておりますので、予算執行の時期とかいろいろな点等を考慮しながら、これは十分意向を体して対応していかなきゃならぬ課題だというふうに思っておるところでございます。
#150
○矢追委員 最後に、この問題、今のUNFPAは例として挙げたのであって、こういう問題がいっぱいあると思うのですよね。これは結局、本当に私もよくわからないのですけれども、非常に難しい問題だと思います。出す方が余ったからそれを出せ。今度逆に足りなくなる場合がありますね。逆の場合、円安になってドル高になった場合、足らなかったらどうするのか。何か建物を一つつくると言ったのがつくれなくなる、あるいは一つつくると言ったのが二つつくれることになる、いろいろな両方のケースも考えなきゃなりませんので慎重にしなきゃいかぬのですけれども、ただ、どういう仕組みでどうしていくのかという、ルールといいますか、大体そういうようなものもひとつ含めて御検討いただきたいと思います。これは要望にして終わります。
#151
○中西(啓)委員長代理 安倍基雄君。
#152
○安倍(基)委員 御承知のようにサミットが終わりまして、いささか当初は、サミットでうまいぐあいに円高が是正されるんじゃないかというような論調もあったわけでございますけれども、最終的にはどうも思ったとおりではなかった。
 そこで、私、実は質問の中には入れていなかったのでございますけれども、これは当然今までもいろいろ論議されたと思いますので、ぶっつけ本番でございますけれども、今度のサミットの結果を当局としてはどう評価されているか。これは特に質問に出してなかったのでちょっと申しわけないのでございますけれども、恐らく多くの方々が聞かれたことと思いますし、私自身も直接お聞きしたいということであります。
#153
○竹下国務大臣 サミットにおいての為替相場ということだけを一つ最初申し上げてみますと、プラザ合意、プラザ合意というのは九月二十二日のG5のことでございますが、プラザ合意以来、それまでの異常なドル高が急速に是正されてきたという認識は一緒で、そしてドル高是正はもう十分に行われたのではないかというのが複数ありまして、また、もう少し様子を見た方がいいのじゃないかというのが複数あったということでございます。したがって、いわゆる為替相場についての評価につきましては我々がきちんと一緒になった正確な評価はなかった。
 ただ、もう一つ言えますのは、為替相場の評価をしますときには、中央銀行が一緒におりませんと実際評価できませんよね。ところが、サミットというのは中央銀行さんはいらっしゃらないわけですから、したがってサミットの場は本当に為替相場そのものを議論する場ではないという一つの議論が存在しておるわけでございます。
 それから総体的な問題といたしましては、七年ぶりで開催された東京サミットで総体的に各国の首脳が合意されておったのは、政治サミット問題は別といたしまして、とにかく去年よりはどの国の成長率もあるいはインフレ率もいいではないか、ただ、石油の下落というのも大部分の国にはプラスだが、そうでない産油国の開発途上国とかいうような点には非常なデメリットになっておるが、総体的に見た場合に先進国がインフレのない持続的成長をしておるというのは評価できるではなかろうかというようなのが総評に当たるのかな、こういう感じがいたしておりました。
 ただ、通貨問題につきましては、もともとそれだけを取り上げて議論する場所ではない、中央銀行さんがいらっしゃいませんから。ではあるが、やはりこれからは何としてもいわゆる政策協調、それをするための各国の相互監視、サーべーランスが必要だ、それにはこれから五カ国、七カ国、時には十カ国やりなさいよ、こういうようなのが一つの結論であったのかな、こういうふうに考えております。
#154
○安倍(基)委員 きのうサミットの結果について方々の国の人々のコメントなどがテレビに出ておりましたけれども、中では、アメリカのだれでしたかな、そういったアナリストが、この結果百五十円くらいまでいくかもしれぬ、百五十円以上はいかないだろうが百五十円台までいくかもしれぬというような話まで出ていました。
 こうやって、もう本当に私ども選挙区を回りますと、特に私どものところは輸出産業が多いのでございまして、これではやっていけないよという声が非常に大きい声になっておりますが、これから円相場の高騰をどうやって防いでいこうと考えているのか。これは相場でございますからなかなかそう思いどおりにいくわけじゃないという面はありますけれども、いずれにいたしましても、このままではもう大変だ、ましてや百五十円台なんていったらまさに産業全体がぐらついちゃうという声が非常に強いので、この円相場の高騰を防止するためにどういうことを考えていらっしゃるかということをお聞きしたいと思います。
#155
○竹下国務大臣 まず私からサミットの中における議論についてだけ申し上げますと、もうとにかくこの為替相場の動きはかなり急速、急速に過ぎるというのが私どもの見解でございます。この為替相場の安定が重要であって、結局それをやるにはやはり各国の政策協調が何にも増して重要じゃないか。したがって、合意された政策協調の推進のためのとにかくサーべーランスを、今までのように五カ国がこそこそ集まるというようなことでなく、きちんと七カ国とか五カ国とか、時には十カ国も一緒に考慮の上に置いてやりなさい。だから、基本的には各国の政策協調ということに尽きるのじゃないか。ただ、相場の動きが急に過ぎ、乱高下と判断される場合には、適時適切な介入をするということももちろん再確認をいたしておるわけであります。
 ただ、いわゆる介入至上主義者じゃなく、どっちかといえばマーケット至上主義者の議論が中心的であった。ただ、みんなが介入の経験を持っておりますけれども、実際に各国によって違いますが、ドイツみたいに全く介入金利は中央銀行だというところになりますと一応発言の限界というのが初めから出てくるという状態にはございましたが、とにかく首脳の合意は、大蔵大臣ともが五カ国あるいは七カ国集まって、きちんとした相互監視をいろいろな指標に基づいてやってそれで政策調整をとりなさい、それが一番だ、こういうようなことでありました。非常に抽象的なお話になりますが、あるいは行天局長からもお答えすることになろうかと思います。
#156
○行天政府委員 委員御承知のとおり、為替相場は非常に多くの要因によって動いておりますけれども、やはりある程度期間を置いてみますと、基本的には、その通貨のそれぞれの国の基本的な経済条件を反映して動いておるということは言えるのであろうと思います。問題は、今大臣からもお話がございましたように、そういったマーケットの動きというのが基本的な経済条件を反映しないようなおかしなものになったときにどうするか。あるいは、毎日毎日の相場の動きが非常に乱高下というような状態になってしまったときにどうするか。こういうことになるだろうと思います。
 前者の問題につきましては、まさに昨年の九月にいわゆるG5におきまして、当時の為替相場の関係というのはどうも基礎的な経済条件を反映していないということで意見が一致した。そこでああいう共同行動がとられた。こういう一つの卑近なケースがございますし、あの場合はそれが非常に成功したわけでございます。それからまた、日々の乱高下につきましては、現在でもそうでございますけれども、それぞれの通貨当局が適時適切に、この乱高下をならすために市場介入ということも含めました対策をとっておるということであろうかと思います。
#157
○安倍(基)委員 今大臣あるいは行天君がおっしゃったように、確かに相場というのはそれぞれの基礎条件の反映である、その意味で政策をよく監視し合うというのは一つの前進であるのでございますけれども、ただ現在の例えば百六十円台の相場が本当に日本の経済力の反映であるのかというのは、なかなか難しい要素でございます。でございますので、日々の乱高下はあるいは今の政策介入で直せるにしても、私がこの高騰を防止するための方策を問うということを出したのは、これ以上、つまり経済の実力以上に上がっていってしまう、それも既に相当長期的に上がってきているし、これからもその感じがする。これにはいろいろな要素があるでございましょうけれども、そうすると、単なる貿易収支のみならず資金移動の問題が随分ありますから、これは我が国の体質改善というふうな話で相当時間がかかると思いますし、体質とは何ぞやというとやっぱり非常に難しい話でございます。日本の場合に、例えば百六十円台で定着するとしますと、一方において非常に苦しい、どんどん倒れていく産業も出てくる、非常に輸出力の強いものは残っていくかもしれませんが、非常に大きな経済調整というかそれを強いられることになるのでございまして、単にお互いの政策を見ていくというだけでは済まない話になってくるような気がします。
 それと関連しまして、むしろ企画庁の人に聞きたいと思うのですけれども、こういう現在の円の相場で考えたときに成長率はどう予測されるのか、それから一体どんな産業がちゃんと生き残っていけるのか。お互いの政策調整というと非常に聞こえはいいのですけれども、それぞれの国がそれぞれの経済構造を持っておるんです。日本の場合には非常に輸出力の強大な産業もあれば非常に弱いところもある。そのアンバランスを一挙に変えさせられるとなったら大問題になるわけでございます。円高の現在の状況が持続するとすれば一体成長率をどう見るのかあるいは産業別に一体どの辺が耐えられるのか、この点なかなか答えづらい話かもしれません、非常に難しい問題かもしれませんけれども、お聞きしたいと思います。
#158
○大塚説明員 まず成長率の見通しにつきまして御説明申し上げます。
 昨年末に政府見通しをつくりました時点から見まして円高が一層進みました。それからまた、原油価格につきましても値下がりをしているというような状況の変化がございます。円高につきましては、従来から申し上げておるのですが、まず貿易数量効果ということで、輸出数量が減少し輸入数量が増加するという形で、実質GNPを減少させる効果が一方においてございます。しかし、他方におきましては交易条件改善効果ということで、海外からのいわば所得の移転効果がございます。それによりまして、具体的には物価の安定ということを通じて実質所得が増大いたしまして、消費がよい影響を受ける。それから、物価の安定ということでございますので、政府部門の実質の寄与度も高まる。こういうようなことでございますし、原油価格の低下につきましては、これは一方的に所得移転というプラス効果が働いてくる、こういうようなことでございます。したがいまして、内外需というふうに分けて見た場合には、寄与度でございますが、内需がふえ外需が減るという形に働くわけでございます。しかしながら、この両方を考えた場合には、私どもといたしましては、現在持っております六十一年度の政府の経済見通し、実質成長率四%という基本線は崩す必要はないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、円高でありますとか原油価格低下の交易条件改善効果が出てまいりますのは、具体的には物価の低下ということを通じて出てくるわけでございますから、若干のラグを伴うわけでございます。私どもは、これが六十一年度の後半から本格的に出てくるのではないか、それまでは数量効果が強く働いてくるのではないかというふうに考えておるわけでございます。そういうようなこともありまして、現在急速な円高の進展を背景にいたしまして企業の景況感にも影響が出ているというようなことでございます。そこで、去る四月八日には総合経済対策ということで、内需を中心とした持続的な経済の拡大を図るために、公共事業の前倒してありますとか、円高や原油価格値下がりの差益還元というような措置をとったわけでございます。
    〔中西(啓)委員長代理退席、上田(卓)委員長代理着席〕
これを忠実に実行することによって、当面のマイナスの効果をいわばカバーしようということでございます。また、御承知のとおり、年初来三度にわたりまして公定歩合を引き下げてきているわけでございますが、この効果もこれから出てくるであろう、こういうふうに考えております。そういうことで、私どもといたしましては現在のところ、当初見通しの線で六十一年度は経済が拡大を続けるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
 なお、産業に与えます影響につきましては、私どもの方の産業経済課長から答弁申し上げます。
#159
○黒川説明員 産業にどういう影響があるかということでございますけれども、一般的には円高は産業に対して輸出数量の減少などの効果があり、他方で輸入価格の低下を通じて企業収益の改善ということがありまして、輸出産業と輸入産業と若干違うわけでございます。それで、特に今回の場合は原油の下落ということもありまして、輸入産業には非常に有利に働いたものがあると思われます。
 それで、円高の各産業に与える影響としましては、製品の競争力だけでなくて、やはり相手国の需要動向、世界の経済動向になりますけれども、それから原材料の輸入依存度等で影響の度合いが非常に違っておりまして、なかなか一概には言えませんが、一般的には原材料の輸入依存度の高い業種にあってはプラスが見込まれる、しかし輸出依存度の高い業種ではマイナスの効果があるということでございます。
 ちなみにことしの二月の日銀の短期観測でございますけれども、十一月調査とこの二月調査を見ますと、経常利益で見ますとかなりマイナスが大きくなっております。特にこれは電機とか自動車とか精密機械といったいわゆる輸出産業が収益のところでは非常に大きなダメージを受けておるというようなことがございます。そういうことで、輸出関連産業では輸出採算の悪化ということでございまして、企業として輸出価格の引き上げあるいは経営の合理化あるいは多角化といった努力を払っておるわけでございまして、政府としては先ほど言いましたようないろいろな対策を打っております。そして、こういう対策を通じまして企業経営の安定にも資するのではないかというふうに考えております。
#160
○安倍(基)委員 私が役人をしていたころに、ちょうど五十二、三年にえらい円高が襲ってきまして、そのときに、それぞれの業種が大体何円までやっていけるかという試算をした覚えがあるわけでございますが、今輸入産業はうまくいくし、輸出産業は損をする、それは一般論はもちろん当たり前の話ですけれども、例えば自動車とか電機とか、それぞれ採算ラインというか、この辺まで頑張れるというのがある程度あるはずでございまして、本当に百五十円台、百六十円台となるとみんな壊滅的な状況になると私は思うのです。その辺は大体企画庁として、それは難しい話かもしれぬ、通産かもしれませんけれども、もうちょっと、自動車だったらこの辺だ、電機だったらこの辺だというような一つのめどはあるのでしょうか。
#161
○黒川説明員 何分にも今回の円高は非常に急激でございまして、我々の一応調べたところでは、電機も自動車なんかも三月時点ぐらいでは大体二百円ぐらいということがありまして、非常に製品の競争力のあるものにつきましてはもう少し強目のものもありますが、これは調査する時点によって随分違っております。今のような状況ですと同じ会社の中でも部門ごとにいろいろ設定が違うとかありまして、そういう状況でございます。
#162
○安倍(基)委員 これは要するに、ちょっと何かで言っていましたね、苦しい苦しいと言っているうちはまだまだいいのであって、本当に苦しくなると声が出なくなっちゃう。今まさに声が出なくなっている状況になりつつある。でございますから、日本の経済力を反映するという本当の相場であるのかどうか。
 大臣御存じと思いますけれども、私も去年の大蔵委員会で、今にドルが下がったらどうするという話をしたと思います。そのときにそれと関連して、市場開放を余りし過ぎてもいかぬぞ、もう一つは海外に資金がどっと出ていったときに大損するかもしれないよ、そういう二つを指摘したと思います。ただ、私自身としても百五、六十円台になるとは思っていなかった。いわば日本の体力がどのくらいかという議論になるわけでございます。でございますから、さっき企画庁の方は四%は大丈夫とおっしゃるけれども、そう簡単なものじゃないなあ、恐らく四%は無理だと私は思いますし、本気になって四%達成と思っていらっしゃるのかどうか。まことに私は疑問なんでございますが、こういった状況で、これは本当に非常事態という気がいたします。
 さっき財政は前倒しをしますとか言っていましたけれども、前倒しといっても、もとは決まっているわけですから、前倒しというのはまさに小手先の解決にしかならない。その点からいいますと、国債でもどんどん出して思い切って内需拡大をするのか。私は以前から、税制体系が貯蓄奨励税制で投資あるいは消費促進じゃない、税制そのものを変えなければいかぬということを言っておりますけれども、ことしの分は決まっちゃったわけですけれども、これから次の年度にかけて公債発行をどうしていくのか。大臣、今は財確法でございますから、これは財政再建と矛盾する話かもしれませんけれども、私がここで一つのあれとして出したのは、内需拡大のためにこれからどうしていくんだ、それが最終的に財政再建計画とどう絡まっていくんだということが非常に大切な問題になってくると思うのでございます。第一に、内需拡大のための施策をどうするか。我が国の経済を外需依存から内需依存に切りかえるべきだということを私も思っておりましたし、党も言っておりました。それについてはこれから、特に次の年度の予算を考えるときにどういう方向で考えていらっしゃるのか、この点についてお聞きしたいと思います。
#163
○竹下国務大臣 四月八日でございますか、いわゆる経済対策の大筋が決められて、それできょう補助金の法律が参議院を通過いたしましたから、あさってくらいにはその前倒し執行のことを決めて、その後ですぐ連絡会議を開いて、それで各省別の比率もちゃんと決めて、それも努力目標というよりも達成可能目標としてやっていこうというのが一番当面の問題としてあります。それから金利の低下の問題が恐らくこの五月十九日で全部出そろうとしますと、これが一つの支えになるであろうというふうに考えられます。それから、先ほどお答えの中にもあっておりましたような、これは主として原油価格の下落に伴う要素の方が円高よりもはるかに大きいわけでありますが、電気、ガス等のいわば消費者還元、こういうようなものが出てくるであろう。そうして後半に至れば、まさに消費者物価そのものに可能な限り連動することによって、いわば金の価値は上がってきておるわけですから、そういう消費というものが刺激されていくであろうというようなのが、いろいろ言われておる内需振興対策の問題点であるということであります。したがって、下期どうするかという議論が当然出ますが、まだ法律が通ったばかりで、補正予算を出しますという議論ができるわけのものではございませんけれども、財政の弾力的対応というものが大筋としては必要であるということは私も承知いたしておるところであります。
 それで、ちょうどこの間のOECDなんかを見ますと、やはり四・二五ぐらいを内需で見て、ただ外需でマイナス一ぐらいを見て、OECDがたしか三・二五というような数字を出しておりました。我が方は四・二が内需で、外需で〇・二足引っ張って、したがって四・〇、こういうことを言っておりますが、そういう国際機関の見方というのも大体内需をその辺まで見ておるなという感じは、私も数字を見ながら意を強くしておるということであります。
 さて、来年度予算に対してこれからどう対応していくかという問題になりますと、いきなり建設公債を増発することによって景気刺激をしますと仮に言えば、言ってみれば公債依存度を減らすという約束はもうある程度短期間でも放棄しなければならぬというようなことにもなりますので、勢い慎重にならざるを得ない。
 それから、百六十円がどうとか百五十円がどうとか、いろいろなことがございますが、これは企業秘密に属する問題も確かに私はあろうと思っております。が、私どもが現地へ行ってみて本当に感じたのは、この間も岐阜の多治見に行ったら、これはNICSカントリーの方へ移行しただけで、アメリカとの経済摩擦の問題ではありませんけれども、完全な打撃を受けておるというのは、それはとてもじゃないが転廃業とかいろいろな指導をしていかなければならぬ問題もあるでございましょうし、そういうことをも踏まえながら、まずは今後の推移を見ていく。
 ただ、私も気になっておりますのは、八月、概算要求の基準を決めなければいかぬ。そのころにいわゆる今年度がどういうふうに見通せるようになるだろうかということは、非常に気になっておる一つの要因であります。本当は下期になって円高メリット等も初めて具体的なものとしてあらわれてくるのではなかろうかというふうに考えますだけに、概算要求のときがちょっと心配だな、どういう基礎の上に立つかということが今から懸念材料の一つであるというふうに思っております。
#164
○安倍(基)委員 今、確かに補正を組む組まないということを言うような時期じゃないと思いますけれども、新聞報道によると円高でまた税収も大分落ち込むというような話もございまして、当然そういった問題が俎上にのってくると思いますけれども、ただ、よく言うのですけれども、中曽根さんの政策というのは結局今までアメリカに支えられてきた。ところが、こうなってしまうとちょっと手のつけようがないと言っては悪いのですけれども、どうしたらいいだろうというような感じが非常にするのです。内需拡大と財政再建とのジレンマをどう解決していくか、これは確かにいまだかつてないような問題でございます。
 それからまた一つは、産業別に壊滅的打撃を受けるものに対して手を打っていくのかどうかですね。この前、補助金じゃないけれどもそういった業種について救済措置を講じようとした途端に、アメリカさんから何か変なことをやっているじゃないかというようなクレームがつけられまして、まさにけしからぬ話ではあるのですけれども、こういう内需拡大という面と、もう一つ、弱い産業に対してどう措置していくのか。特に弱い産業というのはまた中小企業が多いわけでございまして、これはあるいは通産に対する質問であるべきであったかと思いますけれども、ちょっと通産呼んでなかったものですから。
 一般的にこれからのいわば不況対策、それからそういった不況業種あるいは輸出産業、とにかくつぶれそうになるものに対してどういう考えでいらっしゃるか。それがまたやはり一つ財政として負担にもなってくるわけですね。悪循環になるわけでございますけれども、これは本当に、私がよく言うのですけれども、円高というのは個人個人の罪じゃない。いずれにせよ、企業が経営努力をしなかったとか、合理化努力をしなかったとか、そこで働いている連中がストライキをやって企業をストップさせたとかいうのとは全く次元の違う、大きな津波みたいなものです。そうなると、これをほっておくわけにはいかないというのが我々の考えでございまして、やはり政治の責任になってくる。こういった産業に対してどういう措置を今後講じていくのか、あるいは経済原則だから仕方がないよと放置してしまうのか、これは非常に難しい問題で、我々としては当然これは政治が乗り出してそれを救うべきだと思いますけれども、この辺についてのお考えをお聞きしたい。
 また、特にアメリカあたりは非常に自由放任でございまして、ちょっとしたことがあっても、それはおまえの罪だよと言ってほったらかしてしまうということが非常に多いわけでございますけれども、その辺は、日本の場合には特に中小企業が多い、二重構造になっている、しかも輸出関連が多い。これはアメリカのようにほっといて、おまえたちの罪だよと言っていられない問題が起こっている。その意味で、これから中小企業対策あるいは不況業種対策にどの程度乗り出していくか。乗り出すためには当然財源が要るだろうということでございまして、その辺を、特にこれからのスタンスをお聞きしたいと思います。
#165
○北村(恭)政府委員 円高に伴います我が国の経済に及ぼす影響に対応するために、マクロ的にはただいまもいろいろ御答弁申し上げましたような内需拡大というような点等に配意しているわけでございますけれども、特に円高の影響というのを厳しく受ける環境に中小企業あるいは不況業種といったようなところがあるわけでございまして、こういった業種あるいは産業に対しまして積極的な対応を図っていかなくちゃいけないということは考えているところでございます。
 具体的には、四月八日の総合経済対策におきまして、急激な円高の進展等により影響を受けております中小企業に対しまして金融面の諸措置を講じておりまして、いわゆる企業転換資金につきまして五%の金利、経営調整資金につきまして五・三%の金利を設定するといったようなこと、あるいは小企業等経営改善資金融資制度の貸付金利、いわゆるマル軽金利でございますが、これを六・三%に引き下げるというようなことを通じまして、金融的な面での負担の軽減ということを措置したところでございますが、そのほかにも、いわゆる下請等中小企業対策であるとか、あるいは産地の中小企業対策であるとか、いろいろときめ細かな対策を講じているところでございます。大蔵省といたしましても、こういった政府の基本方針が円滑に実施できるようにということで努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#166
○安倍(基)委員 いろいろ年末からとられている政策についてはいろいろ言われているのでございますけれども、金利水準そのものもどんどん下がってきているわけでございますから、特にそういった手当てがどの程度プラスになるかという問題もございます。それから、もうこれだけ下がってきますと、これだけ為替相場が変わってきますと、ちょっとやそっとの金利を安くしたという話を越えてくる。むしろやはり、補助金ではないけれどもいわば転換資金というようなことを考えていかなくちゃいかぬ。それも、もうまさにただ同然みたいな形、一般金利が下がってくるわけですから、それよりまた低くするというのはますますあれでございますから、そうなってくると、これは最終的に財政で面倒を見ていく話になるのか、あるいは金融だけで話が済むのか、これは私の一つの質問になるわけでございますけれども、円高デフレで財政再建計画はどうなるんだ。
 つまり、収入の方も減ってくる、あるいは内需のために公債を出すという議論も出てくる。また、今の転業資金とか、それぞれの産業を救うために単に金融面だけで済むのかどうか。これは非常に、当初話が出ましたけれども、体質改善、改善というべきなのかどうかということも問題なのでございまして、日本のように輸出で相当もってきている産業構造というものは、ちょっとやそっとで改善というか、体質変化と申しますか、それに耐えられるかという問題がございまして、そういったこれからのあるべき経済体質を踏まえたときに財政再建計画がどうなるんだろうということで、非常に難しい問題でございますけれども、これからどう対応していこうとお考えであるかということをちょっとお聞きしたいと思います。
#167
○竹下国務大臣 確かに、今の財政改革というにしきの御旗のもとで、財政が出動するところの選択の幅というのは大変に狭いものであるということは事実であります。
 中小企業対策にしましても、転廃業、それについて五%の金利ということを設定したわけでございますが、それはそれなりに機能すると思いますけれども、さてそれじゃどのような形の業種に転換できるか、いわば同じ業種であっても努力によって内需向けに転換していく可能性を持っておる業種も存在しますが、全く可能性のない業種も存在しております。したがって、よく考えられるのは、そうなれば第三次産業に雇用が吸収されていく自然の状態を刺激しながら、いわば設備廃棄みたいなことをやったらどうだ、こういう議論をなさる人も率直に言ってございます。ただ、撚糸工連の問題なんかございますために、ちょっと環境は余りよくないなという感じが私にないわけでもございませんけれども、そういうことを建言なさる方もございます。
 したがって、狭い財政出動の範囲内において、金融というのはある程度緩んでおりますから、これは割合幅があるということは言えると思います。ただ、その場合の金利ということになると、三・五%まで公定歩合が下がっているわけですから、さらに引き下げられた場合に、いわば普通預金に逆金利が到来して預け賃を出さなければいかぬような時代になるんじゃないかと言う人もあるくらいでございますが、その問題は別として、財政よりはまだ弾力的な対応としての金融の選択の幅というのは若干は広いんじゃないかということは言えるわけでございます。
 だから、確かに最終的には第三次産業等が吸収して、日本の場合今日までそうしてきたわけでございますけれども、自然の流れの中である意味における国際分業でございますとか、それこそ構造調整をしなければならぬと思いますが、それをソフトランディングさせながらやらなければいかぬ、今おっしゃったとおりですよ。アメリカの場合は、倒産すればおまえは能力がなかったから倒産したんだ、あるいはおまえは銀行の選択眼が間違っていたからその銀行がだめになったんだとか、いわゆるすべて自己責任主義。我が国の場合は昔からそういう点についての政治に対する期待感も大きいし、それが急速にあの敗戦の廃墟の中から今日立ち上がった、国民と政府がある意味において一体になっておったかもしらぬというようなことを考えますと、何もかも自由放任主義でいくわけにいかぬ。そのソフトランディングをさせながら、中長期に構造調整ができて、しかも今のホットな問題に対しての対応策というのには、狭い範囲ながら、利子補給にいたしましたところで補給金にしましたところでこれは財政の出動でございますから今の状態からいえば後世代の納税者にツケを回すことに結果としてはなるかもしれませんけれども、狭い狭い範囲でそういう対応策をやっていかなければならぬ。そして今の場合は、やはり円高等におけるメリットというものを可能な限り早く招来するような指導というものは、政府が決められる価格なら値下げすることができますが、自然のマーケット主義の中で還元されていくであろうものの環境をできるだけ早く整えるとか指導とか、そんなことをしていかなければならぬではなかろうかなというふうに考えて、毎日毎日苦心をしておるというのが現状でございます。
#168
○安倍(基)委員 円高メリットというのは難しいのでございまして、経済原則に任せておいてちゃんとその分が出てくるのか。例えばいろいろな価格にしても、輸入の分安くなったからおまえ安くしろというのが、どの辺までが経済原則で行けるのかですよ。では何円下げるのかという話になって、これは非常に難しい問題。だから、半ば政治と経済とが結びついてしまったような格好になるので、自然に任しておけばいつまでも下げないわけでございますし、そうすると、ではどのくらい下げろと言うと、これはまた本当の採算ベースがどうなるんだ、この辺は非常に難しい話でございまして、自然に円高メリットが生じるというのがなかなか自然に生じてこない可能性がございます。逆に、じゃ無理に政治でやったら、また経済とは無関係になっちゃう。非常に難しいので、私は、円高メリットがそう簡単にすぐ出てくるという話がそう簡単なものじゃないよという気がいたします。中曽根さんが円高メリットとしょっちゅうおっしゃいますけれども、どうもそう言っちゃ悪いけれども、中曽根さんは余り経済を御存じない。それが今度みたいな結果になったわけでございますけれどもね。
 そんなところで、これは本当に日本としてどうするんだろう、本当に心配せざるを得ない状況でございます。特にアメリカなんかの場合には、何とかかんとか言ってもほとんどのものは国内でやっているわけです。海外への依存度というのは非常に少ない。だから、為替相場が変わっても、ちょっと農家が困るとかある種の業者が困るとか、今度の木材なんかだって、私はよく言ったのですけれども、まさにローカルの問題だった。それが日本にとっては、何かもうアメリカの全体の要求みたいなことになってしまっている。
 私もアメリカにしばらくおりましたけれども、いわば非常に自己完結的な経済なので、為替相場で影響される部門というのはごく少数なわけですね。日本の場合にはそれが全く、為替相場の影響をこうむるものがほとんどの業種でございます。といって内需中心型ということにしても、基本的にはアメリカほどの内需中心にはなり得ないのですよね、貿易立国でございますから。
 そういう意味で、何といいますか、いわば為替の変動、それによって経済構造を変えていくということへの負担の一番大きな国、それは欧州もございましょうけれども、アメリカにとってはけがみたいな、傷みたいなものだけれども、日本にとってはこの為替変動というのはまさに致命的。この辺が、そう言っちゃあれですけれども、私は何も今度のサミットで政策協定というか、介入したからといってすぐ円高がとまると思いませんけれどもね、基本的な要素が変わらない限り。
 日本の基本的な体質が変え得るものかどうかということに非常に問題がある。アメリカほど自己完結的な経済になり得ない。となると、これから一番相場で苦労する国なわけでございますから、これはちょっと質問に入っていないのですけれども、ある種のターゲットゾーンみたいなものを設けて、これ以上のものについては基本的な政策調整とは別に、固定相場制を言う人もいますけれども、なかなか固定相場制と簡単にいかないが、少なくとも固定相場制と変動相場制とミックスしたような形ぐらいは考えられないか。これは当然の質問で、行天君、あらかじめ質問通告しなくても答えられると思いますので、ちょっとお伺いしたい。
#169
○行天政府委員 御指摘のとおり、変動相場制が持っておりますメリット、デメリットにつきまして最近国際的に非常に議論が活発になっておるわけでございます。その際デメリットといたしましては、まさに変動相場制のもとで相場が乱高下し過ぎたではないか、あるいは本来変動相場制が持っていると思われたメリットの部分が発揮されていないではないか。それはまさしく従来の貿易関連取引というものが国際的な資金の流れの中心であった時代がすっかり変わってしまっておって、経常と関係のないような資金の流れの比重が非常に大きくなっているという背景があるわけでございます。
    〔上田(卓)委員長代理退席、中西(啓)委員長代理着席〕
こういった変動相場制の持つデメリットをどうしたらいいかということが、まさしく一昨年来国際的にいろいろな場で議論をされてきておるわけでございます。
 率直に申しましてただいまの大方の意見というのは、いろいろと変動相場制についてのデメリットがあることは認めるけれども、それを制度のかなり大幅な変更ということで対処した方がいいのか、あるいはそれは非常に現実性がないから、変動相場制というものの一つの基本的な姿というのは続けていって、しかしその中で各国がいろいろと手だてを尽くして、実際の相場の動きなり通貨間の相場の全般的な関係というものを安定しようじゃないか、そちらの方に現在では大多数の意見があるように思います。今度のサミットで各国が合意をいたしました政策協調なりそのためのサーべーランスというものもまさしくそういう変動相場制の持つデメリットを少なくするということを目的の一つにした考え方であると思いますので、私どもといたしましては、こういった国際的な協力の中でこれだけ日本の役割も大きくなっておるわけでございますので、日本としても積極的にそういった努力に対応していく必要があろうかというふうに考えております。これが私ども現在考えております通貨制度についての対応の基本的な考え方ということになるのではないかと思っておるわけでございます。
#170
○安倍(基)委員 時間もあれでございますから、せっかく同僚議員が少し解散について聞けということですので……。
 これだけ円高が激しくなってきた。実際この数カ月のうちに、倒産というのも最初のうちはしばらく我慢できるけれども、ばたばたと倒産が起こってくる可能性もあります。私が地方の財務局長をしていたころにいわゆる中小造船が次々と倒れてしまった。これも最初のうちは我慢していたけれども、そのうちに一挙にがたっとなってしまった。しかも、これからこういった状況をもとにしてどうしていくのだというときに今度の解散論議というのが、みんなが走ってしまっているから仕方がないよと、こういうように最初のうちはだんだんあぶり出しておいて、それで駆けていってしまった。駆けていってしまったからもう帰れないよというようなのは非常にけしからぬ。
 私はこの前、たしか大蔵大臣もおられたときだと思いますけれども、中曽根さんに、一度ダブルねらいをすると、これは今まで例がないのだ、かつてのダブルは不信任案通過によって総辞職か解散かだ、ところが、今回考えているのはみずからねらってダブルをやるというような状況になる、そうなるとこれが一つの慣例になる可能性もある、まさに大義名分を無理につくっていく、憲政の常道に反すると、中曽根さんに払お聞きしたのを覚えていると思いますが、いかにいろいろなことをやっても憲政を乱したという汚名というものはずっと残るだろう。中曽根さんが幾らいろいろなことを言っても自分自身の墓穴を掘るというか、サミットの失敗、成功か失敗かというものはありますけれども、サミットがちょっと思いどおりにいかなかったというのとは全く次元の異なる話である。しかも、現在非常に円高、産業構造がどうなるかというような時期に、まさに自分の発言権を保持するという目的のために――よく新聞、雑誌などで今のままで解散しなかったら死に体になる。死に体になるならないというのは全く個人の問題でございまして、こんなことを新聞あたりが本気で書くことそのものがおかしな話で、まさに私利私欲としか言いようがない。こういうときに、我々は良識を持って行動するのが議会人であり、単に自分の長老的な発言権を維持しようとかいうような、あるいはダブルでやると勝ちやすいとか、勝つか負けるかはわかりませんけれども、そういう発想で物事を考えるというのはまことにけしからぬ。私は別に野党だから言っているわけではないので、これはむしろ自民党内の良識に私は期待する。
 そういうことでございまして、円高のこういった時期に、しかも国家国民がみんな非常に苦しんでおるという時期に、財界なんかは金を一回出すだけだからそれでダブルはいいなんてつまらぬことを言う。まさに商人根性もいいところで、そんなのに左右されるような政治であってはけしからぬ、そうであってはならない。私は率直に申しまして、今回のダブルねらいというものはまさに議会人として許すべからざることだと思うのですよ。
 この点、私はこの前いろいろ議論いたしました。憲法七条に本当に根拠があるのか。吉田さんが突然解散をやった。私はある意味から言うと、歴史のスパンで見たら吉田さんの一つの大きな失政であった。結局、常在戦場というのはいかにも格好はいいけれども、しょっちゅう選挙区のことにお金を使い、立法府そのものが行政府に対して非常に隷属と言っては変だけれども弱くなってきておる。そういった意味で、もし中曽根さんが今度ダブルねらいをやったらまさに汚名を残すと私は思います。
 だから、その意味で、その辺に一番影響力のある竹下大蔵大臣がこのダブルねらいをどうお考えになるのか。総理の専権でございますと言いますけれども、議会人として果たして総理の専権であるかどうかということもいささか憲法上疑問はあるのです。吉田内閣がああやった後、最高裁が司法判断を逃げたわけですから、完全にオーソライズされた意見じゃないのです。私は法務委員会で法制局長官とも大分やり合いましたけれども、国際的な目から見たら、国家構造論的に言っても首相の解散権がいかにも大統領が持っているような解散権じゃないのですね。そういったことを考えますと、今度の聖なる権利とおっしゃるのは問題である。また、もし聖なる権利であれば、それだけにもっともっと良識を持って行使しなければならない権利なわけでございます。私は前回も話したのでございますけれども、どれが勝つ勝たないじゃなくて、本当にダブルねらいというのはよくないんだ。しかも、状況はこうだ。サミットで大勢警官が警備する。実際、一種の広告宣伝みたいなものですね。そういったので全部広告宣伝しておいて、それで解散するというのは非常に邪道である。人気を高めておいて、今回のサミットが人気を高めたかどうかわかりませんけれども、今こそ、もっと良識に立ち返った議会人としての立場から竹下大蔵大臣が、中曽根さん、あなた、自分のためにやってはいけませんよという御忠告をしてしかるべきだと私は思うのです。首相の専権でございますから私は答えられませんとおっしゃるかもしれないけれども、それが専権がどうかも問題があるし、もしそう思うなら思うで、それだけそばにいる人が良識ある行使をさせるべきだと思いますので、いかがでございますか。
#171
○竹下国務大臣 総理の専権といういわゆる七条解散の議論は、一応オーソライズされたとして別途おきましょう。
 その次のダブル選挙の問題でありますが、前回、五十五年の選挙のときにも選択肢はあったと思います。と申しますのは、御案内のように、衆議院が解散された日から十日以内に辞職するか解散しなければならない。解散したら四十日以内に総選挙を行わなければならない。その場合、参議院が閉まってしまいますと国会の終了した日から三十一ないし三十五の間にやらなければならない。その間にたまたまダブル選挙の日が入ったのであって、あの前後の選択肢というのはあったと私は思います。
 私はあのときも大蔵大臣でしたが、あのときどういう論理づけがあったかといえば、本当は国民は選挙の数ができるだけ少ない方がいいと思っております。衆参のダブル選挙という問題でなく、一般論として選挙は統一した方がいい。三千三百二十五市町村がございますから、選挙の数は六千六百五十。それを四年で割り、三百六十五で割れば、一日に四・五カ町村やる。そして、日曜日にまとめれば一回に三十二カ町村。しかしながら、ダブル選挙で市会議員は四〇%残り、県会議員は九四%残り、首長は死んだりいろいろなことをしまして全部四分の一ずつになっております。これは私の選挙学の博士論文に書いたことをとうとうと述べたわけでありますが、地方統一選挙なども可能な限り年一回にまとめて、一回だけは一年近く延長するものが出ても、地方自治の日か何かを設けてやった方がいいという論理を展開する学者も確かにいらっしゃいます。
 この間の場合も、日にちとしては三つの選択肢があった。しかし、二度足を運んでいただくよりも、できるだけ主権者に一度で済むようにというので、あれはたまたまそのとき解散があったからではなく、そういうある種の理由づけであの日が設定されてたまたまダブルになった。四十日以内と三十一ないし三十五という公職選挙法の規定を変えれば、一週間前でも後でもできぬことはなかったのです。
 しかし、長くなって申しわけありませんが、もう一つ、憲法を制定するときにダブル選挙というのを一体想定しておっただろうかということになりますと、実は私もわかりません。あるいは、そのことを想定していなかったのかもしらぬ。ちょうど、今の予算空白期間というものを想定しないで憲法、財政法があるから暫定予算という問題があっていつも問題を惹起する、それと同じことではなかったかという勉強もしてみましたが、何分その当時の憲法に携わった人の意見を聞くにも既におおむねのお方がお墓の中にお入りになっておって、そのことはわかりません。したがって私は、そういう一つの先例というものができてくるとそれはそれなりにオーソライズされてくるから、権限を憲法上奪うということはいけないと考えております。だが、それならおまえさんはダブル選挙がいいか、こうおっしゃいますと、それはそれこそ私の選挙学者としての立場の議論はあったとしても、今の立場で私の議論を展開する環境にはない。
 ただ、この間ちょっと誤解を受けましたのは、マニラに行きましたら、シンガポールやマニラや東南アジアにいらっしゃる新聞記者さんがいらっしゃいまして、そのときに、解散というのは、総理が考えておらぬと言っておる限り閣僚が軽々に口にすべきものではない。これはよかったのです。その後、今度のサミットで大蔵大臣では私が一番年寄りです。既に、さようしからば老境に達した。老境に達した今日においては、可能な限り選挙はないほどいい。しかし、私も若くて、安倍さんと一緒に三十三年に出て一番前に座っておったころには、後ろの方には吉田茂さんやいろいろいらっしゃいまして、あの辺に座るまでには何十年かかるだろうか、気が遠くなるような気がして、あのころは、解散があれば当選回数が重ねられていいなという気持ちを持っておったことがある。すなわち、老年である私は解散には反対だが、熟年は案外賛成がもしらぬ、こんなことを本当に――大体私を取り巻いている新聞記者は普通そんなことを書きませんけれども、そんなことが伝わって実は意外に感じたわけでございます。
 いずれにせよ、一つの行政府の長たる者の権限がある種のバランスをとっておるということは言えると思いますけれども、軽々にそれを意図してやるということは、あるいは憲法草案をつくられるときには前提としてなかったのかなという気持ちが私にもないわけでもない。
 今、政治家というよりも、いささか選挙学の講義をいたしました。
#172
○安倍(基)委員 質疑時間が来たのですけれども、答弁が長かったものですから、私自身が最後に言っておかないといけない話でございますから済みませんけれども……。
 七条の権限が本当に絶対であるかどうかというのはまだ問題があるのですよ。吉田さん以来定着したと申しますけれども、国家構造論的に言っても法理的に言ってもこれは海外で通用するかどうか問題なわけです。でありますから、そういったことで解散権がそんなに自由に使えないという憲法の前提のもとであれば、まさに同時選挙なんというのは想定しなかったに違いないのですよ。
 もう一つ、同じ日がいいとおっしゃいますけれども、これは参議院と衆議院と別個の制度でございまして、市町村のあれで一緒にやったらいいというのと全く次元が違うのですから、その点は誤解があってはならないと私は思います。特に、財界がお金がかからないで済むなんということはまさにおかしな話でございまして、しょっちゅう選挙があるということはいいようですけれども、絶えずそちらの方に気を配って常在戦場でいいけれども、逆に本当に任期いっぱいよく考えて、例えばイギリスなんというのは、解散権はありますけれども、五年周期なのですね。ちょうど実質四年くらいでやっているわけですよ。だから、非常に弱い立法府、強い行政府になりやすいのです。その意味で、先例が積み重なっていると言いますけれども、今度つくると本当に悪い先例になる。悪い先例をつくってはならないというのが趣旨でございまして、しかも例えば日にちがぴたり一緒になるか――非常に接近しているのはダブルに近いのですね、率直に言えば。ただ、その日がちょっと違うというだけであって、接近しているのは、いわば運動期間は同じなのですから。そういう意味で、あのとき選択肢があったとおっしゃいますけれども、そのときの選択肢というのは非常に限られたもので、一日ずらすかずらさないかだけの話であって、実質ダブルには違いない。おっしゃるけれども、もともと自由自在に行使できるという考え方そのものに問題がある。だから、最後にもう一遍ですけれども、率直に、今度のダブルが本当にいい先例になるとお思いかどうか。
#173
○竹下国務大臣 我々の任期はまだ来年の暮れまであるわけでございますから、私は今、近い将来の解散を予測してダブらすかどうかという議論は、これは閣僚たる者がすべきものではない。学者としての議論、参考人としての議論ならば別といたしまして、我々は国民に四年間という信任を受けているわけですから、可能な限り目いっぱいやるのが本当だと思っておりますので、今世間で言う解散風というのは、解散は創政会の解散もございますけれども、国会の解散というものを今前提にして、それをダブらすかダブらさぬかという議論に閣僚の私が深入りするのは差し控えるべきであろうというふうに考えます。
#174
○安倍(基)委員 もう大分超過しましたので、これで終わりますけれども、いずれにせよ大臣も余りダブル選挙というのがいい先例ではないとお考えであると理解いたしまして、私の質問を終わります。
#175
○中西(啓)委員長代理 簑輪幸代君。
#176
○簑輪委員 きょうはNTTにお越しいただいておりますので、最初にお尋ねしたいと思います。
 株の問題ということではございませんで、関連して、NTTの電話番号案内一〇四について有料化の方向が出されているということで、これはなぜ有料化しなければならないのかという点について大変疑問があると考えております。有料化をするとすれば、その根拠というのは一体どういうことから有料化が正当化されるのか。NTTが公式に有料化の根拠としてお考えのことをお述べいただきたいと思います。
#177
○西脇参考人 お答えいたします。
 ただいま先生のお尋ねの番号案内の有料化のお話でございますが、番号案内サービスといいますのは、従来からそれに要する費用というものを電話料金全体の中で賄ってまいってきたわけでございますが、最近の電話番号案内の御利用の状況を見てまいりますと、非常に少数の方に御利用が偏っておる。最近調べてみました状況では二割ぐらいの方が番号案内の八割も御利用になっておる。これは私ども実際の御利用されましたものを抜き取り調査で調べたものでございますが、そういうような状態にございまして、これにかかります費用だけでも現在ざっと計算しまして三千億を超える費用がかかっておる、これがこういう偏った御利用になっておるということが一つ大きなポイントでございます。
 それから、外国の状況等を見てみましても、有料化というのが大体の傾向でございまして、そのようなことを考えまして私どもとしましても、そういう御利用の状況から見ますと、やはり負担の公平という面から見ましてもそれなりに御負担をいただくというのが一つの考え方ではないかと考えておる次第でございます。
 ただ、これは実際に考えます場合には、料金体系全体の中で考えなければならないものでございまして、単に電話番号案内だけを有料化するという観点ではなく、私ども電話料金全体いろいろな問題を抱えておりますので、そういう問題の中で検討をさせていただくということでございます。
 先生ただいま有料化と、いかにもスケジュールにのっているようなお話でございましたけれども、現在まだいろいろな方面から検討をいたしておるところでございますし、またこれには実際やります場合には工事が必要でございまして、工事の期間としても、大体これで一般に御理解をいただいたとしましても、それから一年なり一年半なり工事の期間がかかります。そういうような点もあわせて御認識をいただければ幸いだと思います。
#178
○簑輪委員 有料化の方向が出されているということで、私は電話番号案内というのは電話事業の中で一つの重要な中身と考えておりますから、有料化があってはならないという立場で質問をしているわけですね。今お話しいただいたことでは少数に偏っているとか外国で有料化の傾向にあるということですけれども、もともと電話番号案内が無料でやられてきたというのは一体なぜなのか。これは電話事業そのものの内容として考えられていたために、基本料金及び度数の中に電話番号を案内するということも含めて考えてきたからそうなっていたのではないかと思うのですね。無料にしてきたというのはもう最初からずっと無料であった、外国も無料であったのが有料化されたということがあるとすれば、それは例えば民営化と関連があるものなのかどうか、その点はいかがでしょうか。
#179
○西脇参考人 お答えいたします。
 歴史的に申しますと、先生のおっしゃいますとおり、番号案内は電話の利用に付随してサービスとして行われてきたということは事実でございますが、先ほども申し上げましたように番号案内の御利用が非常に偏っているということ、それからそれにかかる費用が莫大になってきておるということが私どもの有料化を考える一つのポイントでございまして、諸外国におきましても早くから有料化の行われたところもありますし、最近になりまして有料化になったところもございます。その辺区々でございまして、今先生がお尋ねの民営化とは直接関係のあるものではございません。
#180
○簑輪委員 しかし、諸外国でそういう関連があるかないかは別にいたしまして、我が国の場合は民営化されて間もなくこういう方向が出されてきたことを考えますときに、やはりNTTの経営上利潤を非常に重要視して、サービスとかあるいは公共的任務という点とのバランス上いささか問題がある提案ではなかろうかなと思うわけです。
 ことしの一月二十二日の日経新聞で「番号案内一〇四の有料化は適正か」という社説がございますが、ここで指摘していますように「番号案内は消費者へのサービスという性格のものなのだろうか。番号を利用者に教えるのは、電話会社の基本的事業であって、基本料金に含まれていると考えるべきではないだろうか。」という指摘とか「NTTのいうほど利用が偏っているとは思えない。」という指摘もあります。番号というのは電話をかけるときにやむなく回さなければならないシステムになっているわけで、私たちは何番にかけたいと思うわけではなくて、どこどこのだれだれにかけたいと思うわけですね。そのときにシステム上番号を回さなければならないので番号を知る必要が生じるということであるわけですから、その点からいえば、番号を知りたいと思ったときに教えるというのはまさに電話事業そのものの基本的事業と考えて基本料金に含まれている、こういう考え方が当然ではないか、だからそれを有料化するというのはおかしいのではないかと私は思います。NTTはこういう指摘についてはいかがお考えでしょうか。
#181
○西脇参考人 今先生の御指摘の、番号を回さなければ電話がかからないシステムになっているというのはそのとおりでございますし、またそのために電話番号を御案内するのが我々電気通信事業者の仕事ではないかというのもそのとおりでございます。しかしながら現在の状態では、かつての電話番号というものは電話局に聞くあるいは電話帳を繰るということしか方法がなかった時代と違いまして、いろいろな手段で電話番号というものを知り得る状態になっておる。また、例えばテレホンショッピングでありますとかいろいろな場面で電話番号を大いにPRされる方もいらっしゃいますし、またごあいさつ状あるいは名刺等につきましても電話番号をお書きになるのがもう常識と化しておるというようなことで、電話番号を知り得るチャンスというのが非常にふえております。また、いろいろな新しいメディアを使いましたり、あるいはそのほかいろいろな手段を使いまして電話番号を含めましていろいろな案内等がなされておる。こういう状況からしますと、従来に比べまして私どもの一〇四番で御案内をするウエートといいましょうか、そういうものが少し変わってきているんじゃないかというような気持ちも持っておるわけでございます。
 でございますから、電気通信をやっております業者としまして、御利用いただく電話番号を御案内をするというのは当然の責務ではないかというのはそのとおりでございますけれども、やはり現在の御利用の状況や実際のかかっております費用等から見まして、現在の御利用されておる方々の費用の負担の公平というような見地からやはり番号案内の有料化というものを検討せざるを得ない時期に至っておるということは御理解をぜひいただきたいと思うわけでございます。
#182
○簑輪委員 さまざまな情報によって電話番号を知り得る状態が多くなってきているということは、NTTにとって助かっているというだけのことであって、それを電話番号案内の有料化の根拠にするのはいささかおかしいのではないかというふうに思うのですね。
 それで私が思いますのには、もしNTTがおっしゃるように公平のためにこのかかった経費を有料化で賄うということになれば、一体一回の電話番号の問い合わせというのは幾らぐらいになるものでしょうか。
#183
○西脇参考人 先ほど電話番号にかかる経費として約三千億円ぐらいということを申し上げたわけでございますが、これは一定の前提を置きまして推定計算をしたものでございますが、現在番号案内の御利用が年間大体十二億前後あるというふうに私ども推定をいたしております。そういうところから見ますと、一つの坪当たり二百数十円ということになるかと思いますが、もちろんこれは推定計算でございますので、それがそのまま例えば有料化をする場合に幾らいただきたいというものになるものではございませんが、仮に計算をいたしますとそういうことになります。
#184
○簑輪委員 そういうふうな数字をいただきますと、これは大変な金額だなということを思うわけですね。そういう点からいうならば、仮にこういう高い金額だったら有料化されたらたまらない、そしてまた実際に有料化された場合、高ければ高いだけ問い合わせるという回数が減るとかいう問題も起こってきたりして、これを全部有料化で解消するということは不可能なものだろうというふうに思うのですね。
 それから、どんな状態に置かれようとも番号案内のサービスをなくしてしまうということは不可能だと思いますが、その点からいいますと、やはりこの番号案内をどうしても利用しないと生活上困るという人たちもたくさんいるわけですね。その点についての思いを十分いたしていただかなければならない。特に目の不自由な人の場合は電話帳を繰るということが大変、大変というか全く困難なことですから、点字の電話帳というようなこともあるようですけれども、実際問題として、すべての電話帳を自由に引けないということで生活上あるいは営業上あるいはその他のさまざまな分野で番号案内というのは欠かせないものになっているというふうに思います。その点から考えてみて、この一〇四の有料化というのは特に目の不自由な方あるいは障害者の方々には決定的な打撃になるのではないかというふうに思うのです。その点はNTTはどうお考えでしょうか。
#185
○西脇参考人 お答えいたします。
 今の先生の御質問は、ハンディキャップのある方々に対しての配慮というのをどういうふうに考えておるのかという御質問かと思いますが、先ほど申し上げました番号案内の利用の偏りあるいは経費のかかっておることというのは一つの事実としてあるわけでございますが、私どもとしましては、最初に申し上げましたように、これ自体だけを取り上げて論じておるのではなくて、現在の電話料金の体系にはいろいろ問題がございます。例えば市内と市外との格差が余りにもあり過ぎるとか、あるいは東京の場合にはこれだけ二十三区の中全部で十円だけれども、田舎へ行きますと非常に狭い範囲でしか十円でかけられないとか、いろいろな問題がございます。そういったような問題と一緒に議論をし、また私どもも必要な検討をしていこうということでございまして、その点はぜひ御了解をいただきたいと思います。
 それで、現在の視覚の障害のある方々の番号案内の問題でございますが、実は私どもにもいろいろ御要望が来ております。それで、この有料化をするに当たって現在まだ、どういうふうなやり方で、あるいはどういうふうな具体的な問題点があるのかというようなことをいろいろな角度から検討をしておる段階でございますので、この辺の御要望につきましてもその中で検討をしていくということで取り組んでまいるつもりでございます。
#186
○簑輪委員 目が不自由でありますと普通の電話帳は使えないわけで、点字の電話帳ということになるかと思いますが、現在、点字の電話帳の普及状況というのはどういうふうになっているのか、お知らせください。
#187
○恩田参考人 お答えします。
 いわゆる点字でつくられました電話帳に関しましては、六十一年一月末のデータでございますが、全都道府県、四十七でございますが、ここで百十の種類、百十版と我々申しておりますが、約五万九千部発行されております。発行に当たりましては視覚障害者の利便を図るという立場から、視覚障害者のいろいろな団体がございまして、例えば視力障害者福祉協会だとかそういった団体でございますが、そういうところの要請に基づきましてできるだけ御要望に沿うような形の電話帳づくりというものをしているところでございます。
    〔中西(啓)委員長代理退席、中村(正三郎)委員長代理着席〕
#188
○簑輪委員 視力障害者にとっては切実な要望であります。特にことしは国際障害者年中間年ということで、障害者の皆さん方は、政府の施策そのほか公共にかかわる部分についてどれだけ前進しているかということをさまざま点検したりする中、要望が大変切実なものとしてNTTにもお願いをしているところだろうと思うのです。「電話番号案内一〇四・一〇五番の有料化と市内通話料金値上げに反対する決議」というのがことしの四月二十日、東京視力障害者の生活と権利を守る会第二十回定期総会というところでされておりまして、特に、電話が発明されてから「百年余を経た現在、情報システムの高度に発達したわが国では、今や、生活必需品となっています。とりわけ、視覚障害者にとっては、くらしや仕事のあらゆる場面になくてはなりません。 居ながらにして用がたせ、会話ができ、テレホンサービスによって、各種の情報が得られるという点で、視覚障害者の「社会への全面参加と平等」を進める重要な機器の一つです。 もし、一〇四・一〇五番が、有料化されれば、電話帳を自由に引けない私たち視覚障害者は、二重に料金を支払わなければ、目的を達することができなくなります。 もし、市内通話料金が、二倍、三倍に値上げされれば、歩行や読み書きのハンディを、電話で補っている私たち視覚障害者の負担は、一層、大きくなります。 視覚障害者にも、いつでも、どこでも、差別なく利用できる電話サービスを強く要求します。」ということで、特にこの決議に述べられている切実な思いというのを深く受けとめていただかなければならないというふうに思います。
 先ほどこういった面もあわせ考えて料金体系を考える際に検討していくということだと御答弁いただきましたけれども、視覚障害者が特に切実であるということを申し上げますが、視覚障害者だけではなくていろいろな不自由な方というのはいらっしゃるわけで、電話帳を繰れない、例えば障害者で重度の障害の場合には自由に手が使えないとかいろいろな障害もございますし、視覚障害者が非常に端的にわかりやすいだけのことであって、あとさまざまな障害者、それから、そうでなくてもいろいろな意味で電話番号案内というのは生活に欠かせないものであるというふうに思います。それで、ぜひともこの有料化というのはやめていただきたいということで強くお願いをしておきたいというふうに思います。
 この点についての御回答をいただいて、NTTは終わりたいと思います。
#189
○西脇参考人 今先生のお話にございました障害を持たれた方々に対する配慮という点でございますが、福祉の問題はやはり第一義的には行政の問題であると思いますが、私どもとしましてもできる範囲での御協力はしていくつもりでございます。
 また、ただいま番号案内というものの有料化には反対であるというお話がございましたが、私どもとしましては、最初に申し上げましたように、料金の全体の検討の中でこの問題も議論をし、またいろいろ世間の皆様のお声も聞きながら検討を進めてまいるということにしてございますので、そういう検討の中で料金全体の問題として取り扱ってまいりたいということでございます。
#190
○簑輪委員 続いて、円高問題についてお尋ねをしたいと思います。
 昨年G5で竹下大蔵大臣が円高をお決めになって、それが今日どんどんと記録を更新する高値を続けているわけですけれども、今回東京サミットが開かれて、ここでは行き過ぎた円高の是正が行われるのではないかという期待も強かったし、関係者にしてみればこの東京サミットでどのような結論になるのかということは大変注目されていたところであろうというふうに思います。しかし結果は、既に御存じのようにますます円高が進んできている。そして、日本の主張にもかかわらず他の諸国はさらなる円高をも容認するという姿勢が示されている状況です。これでは国内の特に中小企業、輸出関連産業は一体どうなるのかという、危機を通り越した悲壮な事態になっているというふうに思います。
 私ども、地元岐阜の状況を再三訴えてお願いを申し上げておりますが、岐阜県当局の調査によりますと着実に困難な状況が増しております。六十一年一月末現在の調査だけを見ましても、輸出成約状況は前年に比して非常に危機的状況になっておりますし、受注残の状況を見ますと、前年同月に対して減少した企業の割合は徐々に増加して、中でも六〇%以上減少した企業の割合は、八月から十一月の二〇%前後から一月は三八%と急増している。受注残二カ月未満の企業は、六十年一月の十八社から六十一年一月は五十社、二五%から七〇%に増加しているということで、一月の段階での県の公式の調査でこれから先は一体どうなるのかという大変な不安が示されているところです。
 その後、岐阜県中小企業団体中央会というところで「円高影響調査 円高影響(特別)調査」というのをやっておりまして、これは四月の段階ですけれども、輸出の直接的影響として、輸出刃物業界では「今回の円高は、秋口(九月―十月)及び春先(三月―四月)の成約時期を直撃し、新規成約の大幅な減少と採算悪化を余儀なくされ、受注残一カ月(例年は四カ月)、納期の短縮、小口化、採算悪化、出荷の大幅な減少が続いている。」刃物に関しては「倒産は発生していないが、その恐れが強い。 円相場が二百円に回復するような行政指導を期待している。」というふうに影響状況が述べられております。そして「対前年同月比で見てみると、売上で三〇%、経常利益で五〇%の減少である。新規成約は三〇%減少し、短納期、小口化してきている。受注残は一カ月で例年の四カ月に比べて大きな不安感を持つ要因となっている。 販売価格は、ドル換算で二〇%値上げしているが、それでもカバーすることが出来ず一〇%の下降である。 原材料の仕入価格は円高差益の還元が届かず、変化なしである。
 今後の見通しについて、一ドル百八十円もしくはそれ以下の場合は」、それより円が強くなった場合ということだと思いますが、「全ての数字が悪化してくることになり、企業問格差が大きくなり倒産の発生が現実のものとなるおそれがある。」というふうに述べております。
 陶磁器業界は「新規成約が難しくなっている。 販売価格が下降し、採算割れの状況が続いている。 業界は、余剰人員の整理、生産の合理化および新製品開発等の実行により、現在の危機をのりこえる努力をしている。」そして「売上金額も多く主力商品であるディナーセット、食卓・台所用品について採算割れ等の打撃が大きい。すでに円高の影響とみられる負債総額十三億円の倒産もみられ、転業も三件を数え、今後百八十円より円高になれば、これらの件数が増加していくことになると思われる。」ということで、岐阜県内の輸出関連産業が百八十円で大変な危機を感じているわけですが、現在は百六十五円です。
 さらに、関市の経済部の調査によりますと、成約が本当にできない、バイヤーが例年だと一週間滞在していたんだけれども、今回は二、三日で見本だけ持って帰ってしまうと言うんですね。その見本を持って韓国や台湾へ行って、その見本でつくらせているのではないかと非常に不安が高まっているという状況です。
 融資の実績を見ますと、関市では四月二十日までに国が二十七件、四億一千八百五十万円、県が五十件、三億九千百八十万円、市が百二十九件、五億八千八百十万円。経営安定資金のみですけれども、こういう状況になっているわけです。中小地場産業はひいひい言っているわけですけれども、竹下大蔵大臣としてはこういう事態を一体どのように受けとめておられるのか、その心情をまずお聞かせいただきたいと思います。
#191
○竹下国務大臣 今メモを繰ってみましたら、ちょうど四月十八日でございます。私が多治見の業界の代表の皆さん、それから関の孫六の刃物でございますかの代表の皆さんとお会いをいたしましたときに、大体、当時百八十円見当でございましたから、二百円の行政指導とかいうようなことをおっしゃっておりました。
    〔中村(正三郎)委員長代理退席、堀之内委員長代理着席〕
 心情的に私も非常な深い感じを持ちましたのは、あの方々のお話を聞けば、要するに自分たちは日米経済摩擦を起こしたことはない、それはそのとおりです、アメリカではつくらないものをおつくりになっているわけでございますから。そしてちょうどNICSカントリー、追い上げておる中進国、韓国等でございますが、その通貨がドルリンクをしておるわけですね。したがって、大接戦をしておったところへ採算性の点でもう全然差がついた。だから、アメリカが輸入する量は変わりありませんね。ただ日本からNICSへシフトするだけである。しかも今日まで自分たちは、いわゆる油だけは稼がなければいかぬ、貿易立国だからというのでいろいろな通商産業省の指導を受けて構造改善をやったりいろいろなことをした。そういうことに対して一生懸命で政府の方針に適応してやってきたものが、他の要因で起きた貿易摩擦、それに伴う円高の中でなぜ犠牲を受けなければならぬのか、こういう趣旨の御発言も、私をぶん殴るわけにもいきませんので非常に優しくお話しなさっておりました。本当によくわかります。したがって、いきなり転廃業しろとおっしゃってもそれは竹下さんに歌うたいになりなさいということと同じことで、自分らがそうすぐ別の職業につけるわけでもない、こういうお話でございました。
 元来自由主義国でございますが、先ほど来もお話がありましたように、これは経済現象の中で仕方がないことだというようなことでは政治そのものが不在である。したがって政府として考えなければいかぬというので、通産省でいろいろな手だてを考えてくだすった。通産省には感謝をしております。私には感謝をしないという意味であえておっしゃったかもしれません。そういうことでございますので、やはりせっかく通していただいた法律、その後利下げ等も行いましたので、担当通産省、中小企業庁の方で県、市と連絡をとりながらこれが行政指導に遺漏なきように――輸出競争力をつけるための補助金を出すということは客観情勢が許さないと私は思います。したがって、場合によっては、国際構造調整の中で転廃業を余儀なくされるものは、それがいかにソフトランディングしていくかというようなことを政治の指針としては持っていかなければならぬのであろうというふうなことを私も現場で感じたことでございます。
 したがって、やはり政治ですから、こういう問題についての対応の仕方というのは、転換しやすいような環境をつくるとかあるいは別の意味において内需志向型へある程度の方向転換をなさるための環境をつくるとか、いろいろなことでお手伝いをしなければならぬ課題であるという問題意識だけは十分に感じてきたというのが私の事実認識でございます。
#192
○簑輪委員 通産省が事業転換法というのをつくって国会で成立し、実施されてきているわけですが、今日に至るまで、その事業転換のための融資というのは報道によりますとわずか三件しかない。通産省に調べてもらうように尋ねましたけれども、これまでの累計値しかなくて、新しい法律に基づく適用の数字をとってないというようなことであって、私は非常におかしいと思ってはいるのですけれども、結果的には三件しかないということを知りました。
 今申し上げましたように、岐阜県でいろいろな融資を受けている人たちも経営安定資金ということでありまして、事業転換資金ではないのですね。先ほど来転換をソフトランディングとおっしゃいましたけれども、転換を求めている人たちというのはほとんどなくて、やはり円高緊急融資、それを金利のさらなる引き下げを求めて要望しておられるわけですね。
 今、竹下大蔵大臣おっしゃいますと輸出競争力を高めるような措置はできない。例えばこういう緊急融資について私は前から金利を三%にはならないかということを再三お願いしているわけですけれども、そういうふうにもしするということになれば、それは輸出競争力を強めるということでできないというお考えでおられるのかどうか、それともそうではなくて、別の要因で三%というのは無理だとお考えなのか、その辺のところはいかがでしょうか。
#193
○竹下国務大臣 金利というのはおのずからの金利体系というものがございまして、そして他のいわゆる市場金利に比較した場合にこの辺が適当ではなかろうか、こういうことでやったわけであります。そういう特利をつくることによって補給金のような財政支出というものが仮にあったとしますと、これは補助金の一種という受けとめ方ができないわけでもないでしょうけれども、事柄の性格上五%でも特利でございますから、そういうことは、いわゆる事業転換というだけでなく内需志向型に変わっていただける環境整備に、あるいは当面様子見の資金かもしれませんが、それにお役に立てばというのでそういう制度を通産省でお考えになって、私どももそれに賛意を表しておるという立場でございます。
 よく問題になりますのは、きょうもECの副委員長さんがお見えになっておりましたが、今アメリカ、カナダとECとで農産物を輸出するための補助金を出す政策をお互いにやめよう、自由競争原理に置こうという意味でしょう、そういう議論をなすっておりました。したがって、今、いわば貿易構造、産業構造を転換するときに、他の国民からあかなった財政支出でもって特にある国の産業をターゲットに置いて輸出競争力をさらにつけるための財政措置というのに対しては、批判の声がガットでもOECDでも非常に強いわけでございます。したがって、この特利でもって、自由主義経済でございますからあなたはこの業種になりなさい、あなたはこの業種になりなさいと言えるものじゃございませんけれども、自然の環境の中で産業構造を再編成の中へソフトランディングして吸収されていくというような、多少時間はかかってもそういうような施策は政治が存在する限りにおいてはやらなきゃならぬことではないかなと思っておるところでございます。
#194
○簑輪委員 そういたしますと、サミット後、中曽根総理が中小企業に対する円高対策をやらなければいかぬということを言っておられるようですけれども、その中身というものは、まさにそういうような事業転換ということを中小企業が決定的なダメージを受けないように援助していくという考え方でおっしゃっておられることになるのでしょうか。それともまた全く別の中小企業円高対策というものが幾つかおありなのでしょうか。その辺は大蔵大臣としてどのようにお考えですか。
#195
○竹下国務大臣 政治家であって、所管が違うからというようなことを言うわけにもまいりませんけれども、私は余り詳しくございませんので、ここのところフィリピンへ行ったりしてずっと続いておったものですから、経済企画庁、大蔵省、通産省へそれぞれ指示があったということでございますので、通商産業省を中心に恐らく具体的な施策についてはお考えになっておるであろうというふうに私は今のところ思っております。
 ひょっと今思い出しましたが、これは責任を回避する考え方はありませんが、G5で私が円高を決めたということはよく言われます。政治の恣意が働いて円高にしたものは政治の恣意によってこれを返すべきだという論理もございますが、これはあくまでも市場が決めたある種の合意のきっかけに私というものが存在しておったという責任は逃れようとは思いませんけれども、市場で決まるべきものを五人で話をすれば何ぼにでも決まるという性格のものではないということだけは申し上げておきます。
#196
○簑輪委員 しかしそれは、G5があってそういう決定をして結果はそういうふうになっているわけですから、それは何とおっしゃったって、そういうふうにお決めになった結果今日の事態が来ているということは言えるだろうと思うのですね。
 私は、今るる申し上げましたのは、本当に輸出関連地場産業をさらに発展させて生き残っていくために、ぜひとも政府が対策をとってほしいという切実な声が一層強まっているという段階で改めて、この異常な円高を引き起こしている今日の段階で大蔵大臣に重ねて金利の引き下げ等を強く要求しておきたいというふうに思います。
 次に、政府税制調査会が先日、「第二特別部会中間報告」というのを出されました。これに関連して幾つかお尋ねしたいと思いますが、この中で、累進構造の緩和について、「税率構造全体として累進度を相当程度緩和し、簡素化を図るため、所得税と個人住民税を合計した最高税率を六割台に引き下げるとともに、税率の区分の幅を拡大し、刻み数を大幅に削減する。」というふうにしています。ここで述べられていないのは、最低税率の扱いで一体どうなるのかなというのが大変わからないわけですけれども、最低税率というのはどういうふうに考えておられるものか、教えていただきたいと思います。
#197
○水野政府委員 御指摘のように今回の中間報告では、全体としての税率構造をなだらかにする、その際には最高税率は六割台に下げる、それから普通のサラリーマンの方については、その現役期間中と申しますか、その間には余り頻繁に限界税率が変わらないようにする、そういう趣旨が述べられておるわけでございます。御指摘のように、したがいまして最低税率の議論は直接的には出ていないわけでございます。今回のこの税制調査会の中間報告は、今後の広範な税制論議の展開に資するために、諮問に示された手順に沿いまして負担の軽減、合理化に資する方策を中心に部分的に定性的な方向を示すということで、こうした方向の中間報告を出しておられるというふうに考えられるわけでございます。
 御承知のように、我が国の所得税、住民税を含めました限界税率、これは最高八八%にまで行っておるわけでございますが、これをほかの国に比べますと、日本を除きますと一番高いのはフランスが六五%、あとアメリカの五〇、ドイツの五六、イギリスの六〇、こういったところがあるわけでございまして、格段に日本の最高税率が高い。今回、負担の軽減、合理化、重圧感、不公平感を是正するという意味での中間報告でございますので、非常に際立って高い方の最高税率につきましてはこうした議論が出されているわけでございます。
 一方、最低税率は我が国は一〇・五%でございまして、これもまたフランスは五%でございますが、あとアメリカは一一、ドイツが二二とかイギリスが三〇とか、そういったところから比べますと一〇・五という最低税率は、どちらかといえばと申しますか、あるいは際立ってと申しますか、低い方の部類に属しているのではないかと思うわけでございます。したがいまして、今回の負担の軽減、合理化、ゆがみ、ひずみを直す、そちらの方の中間報告といたしましては、際立って高い方の最高税率の方につきましては、あるいは中間の刻みの進め方につきましては報告がなされておりますけれども、際立ってと申しますか、どちらかといえば低いと申しますか、そういう最低税率につきましては、したがいまして今回の中間報告に至る段階では正面からはまだ議論は必ずしもされなかったということではないかと思うわけでございます。
 残された問題につきましては、この中間報告を踏まえました広い世の中の御議論を踏まえながら、恐らく今後税制調査会で検討がなされるのではないかと考えておるわけでございます。
#198
○簑輪委員 税負担の軽減ということから考えるならば最低税率が上がるということになりようがないと思うのですが、今のお話を伺っていますと、最低税率については余り御議論がなかったようだ、だから今後どうなるか論議がされるであろうということになりますと、今後最低税率の引き上げということがあり得るというふうにも受けとめられるのですが、最低税率の引き上げがあるか否かということは、まさに最低税率適用の層にとってみれば、何の減税もなく増税だけになるのではないか。これは減税案だというふうに宣伝はされておりますけれども、そういう層にとってみたら、果たして減税になるのか据え置きなのか、それとも増税なのかということは非常に重大な関心事でもあるわけですね。それがぼやっとわかりませんではいささか問題があろうかと思います。お話をお聞きしている限りにおいては、何だか最低税率の引き上げがありそうな感じがするわけですね。最低税率が際立って低いところに位置しているというような答弁をお聞きしますと、では上げられるのかという懸念があるわけですけれども、どうなんでしょうか、今後その引き上げがあり得ると考えてよろしいのでしょうか。
#199
○水野政府委員 ただいまも申し上げましたように、今回の中間報告は重圧感と申しますか、税負担の不均衡感と申しますか、ゆがみ、ひずみ、そういったところを中心に重点的に取り上げて中間報告が取りまとめられたということでございまして、ねらいといたしましては、中堅サラリーマン層の負担感あるいは不公平感といったところに焦点を当てて取りまとめられたと言えるのではないかと思うわけでございます。したがいまして、中堅サラリーマン、さらには就職のときから普通の経路を経られて退職されるまでのライフサイクルを通じたサラリーマンの方々の給与所得についての税負担、そういった階層の人たちのライフステージとしての税負担、「負担の軽減、合理化」と銘打って中間報告が取りまとめられておりますので、恐らく全体として見ればこれは軽減、合理化されるということであろうかと思われます。
 そうした大きな前提の中で、それでは最初にどれくらいの税率で、最後にどれくらいの税率になって、全体としてどんなふうになる、階層別にどういう負担の割合になる、ほかの業種と比べてどういうふうな負担状況になる、これらは全くこれからの検討課題ではないかと思うわけでございます。とにかく中堅あるいは普通のサラリーマンの方々の一番中心となる中年あたりの負担水準に特に焦点が当てられて取りまとめがなされた、その中心点以外の点につきましては今後なお世の中の御議論をいただきながら検討される、こういうことではないかと思うわけでございます。
#200
○簑輪委員 中曽根総理は、年収四百万から八百万の収入のサラリーマンの層の税負担を緩和するというようなことを言っておられますけれども、それでは年収四百万を超える層というのは、サラリーマン全体の中で一体どの程度を占めるのか、お答えいただきたいと思います。
#201
○水野政府委員 税制調査会の中間報告といたしましては、特段何百万から何百万というふうな具体的な所得階層と申しますか、収入階層を挙げて議論をしているわけではございませんで、あくまで普通のサラリーマン、中堅のサラリーマンの負担あるいは負担感を問題にしているということのようでございます。
 なお、委員御質問の四百万円というところで切りますと、サラリーマンは、四百万円以下の方が七割、上の方が三割、大体こんな分布のようでございます。
#202
○簑輪委員 ですから、中曽根総理が言うところの四百万を超える層というのは全体の三割程度であるということになれば、税負担が緩和されるのはごく少ない部分であって、あとの七割は減税の恩恵を受けない部分に属するのではないかとさえ言えるわけだと思うのですね。
 もう一つ、現在六〇%以上の税率が適用されているのはどの程度の部分を占めるのか、お答えいただきたいと思います。
#203
○水野政府委員 厳密な適用税率階層ごとの統計といったものはなかなか難しいわけでございますが、例えば税務統計で申しまして、合計所得金額が三千万円のところで切ってみますと、大体七、八万人の方がこの中に入っておろうかと思われます。納税者全体を四千万人程度とすれば〇・二%ぐらいという数字になろうかと思います。
#204
○簑輪委員 私がいただいた国税庁の統計年報では、三千万を超える層という点では七万人前後ですけれども、全体が七百十二万ということで、構成比は一%ぐらいというふうに聞いたのですけれども、今おっしゃった数字の方が正しいのでしょうか。
#205
○水野政府委員 三千万で切りますと七万人ぐらいというのは合計所得金額で切った数字でございますが、御指摘の七百十二万人という数字は恐らく五十九年での確定申告で申告をされた方々の数字で、これを分母としてのお話ではないかと思います。年末調整で済まされますサラリーマンを中心とした所得税納税者はそのほかに三千万人ぐらいおるわけでございますので、どちらを分母にとるか、七百万人でとられれば一%ぐらいということになるわけでございます。
#206
○簑輪委員 いわゆる現在六〇%以上の税率がかかっている層ということでお尋ねしたわけですが、ごく少ない部分であるということが数字の上でも明らかになっていると思うのです。ですから、その点でさっきの四百万を超える層の減税ということとあわせ考えてみると、結局低所得者への減税ではなく、高額所得者への減税ということになって、これでは到底国民の求める本当の減税ではないということを申し上げたいと思います。それではいけないので、本当に低所得者の勤労者に増税になるような税制改正などはとんでもないことであるということを強く主張しておきたいと思います。
 それから、この中間報告で「配偶者に対する特別の控除」というのが述べられております。これは配偶者が家事労働を行うという点について「所得稼得への貢献にも配意しつつ、」云々、こういう特別控除の制度が書かれてありますけれども、配偶者が他方に対して貢献するのは何もサラリーマンだけではございませんで、自営業者の場合も当然貢献をしておるわけですし、片稼ぎだけではなくて、共働きも当然貢献しているわけです。そういう点で、特に片稼ぎの給与所得者世帯を取り出して特別控除を設けるのは一体いかなるねらいがあるのかということを非常に疑問に思うので、お答えいただきたいと思います。
#207
○水野政府委員 ただいまも申し上げましたように、今回の中間報告では中堅のサラリーマンの御負担の問題を特に中心として取り上げておられるわけでございます。したがいまして、その中堅のサラリーマン、典型的には恐らくまだ七割ぐらいの方は共働きではない、お一人が働いておられる片稼ぎという世帯であろうかと思うわけでございます。そうしたタイプのサラリーマンの層の方々の負担あるいは負担感を取り上げるという点が中心となったわけでございまして、そうした点での不公平感、不均衡感、重圧感といった問題に対処するために、御指摘のような配偶者の所得稼得への貢献といった事情をもしんしゃくして特別の控除を考えたらどうかという御提案がまとめられておるわけでございます。
 そこが中心点なわけでございまして、その具体的な仕組みはどうするのか、またこれを論点として取り上げたときは、片稼ぎの中堅のサラリーマンでございますけれども、そうしたものとして、では特別控除が具体的にできるときにそれがどのような範囲の納税者にまで適用されることになるのか。確かに青色の専従者につきましては給与支払いによって分与ができるという点をも考慮して、つくられるとすればそれに従った適用範囲といったものも考えられてはくるわけでございますが、そこらの具体的な仕組み、適用範囲、適用対象、こういったものはなお今後の周辺問題として検討がなされるのではないかと思うわけでございまして、提案は、あくまでその重点として取り上げた中心点での提案であろうかと思います。具体的な仕組みは恐らく今後検討されるものであろうと思い、それに従いまして私どもも対処をしてまいりたい、こんなふうに考えておるわけでございます。
#208
○簑輪委員 中堅サラリーマン、中堅サラリーマンと盛んにおっしゃいますけれども、中堅サラリーマンの負担感というものが分析されている中では、一つは税のあり方、それからもう一つは、いろいろと教育費とか住宅費とかで家計の支出が増加して生活が苦しい、家計の逼迫感という点と相互にあって、税の方への重税感というのも出てきているというふうな指摘があるわけですね。そうしてみると、やはり一つは当然のことながら、教育費あるいは住宅費等々の負担が中堅サラリーマンを直撃しているならばその教育費、住宅費等々の軽減というものを政策的にやるべきであって、それをも税の方でやるというのはおよそ税のあり方として筋道が違うのではないかということが言えると思います。
 それからもう一つ、おっしゃいましたいわゆる内助の功という点をどう評価するかという点についても、中堅サラリーマンの片稼ぎを軽減してやるということを最優先に考えて、そのためにあれもこれもといろいろ考えてやっていく。そうするとその一つとして内助の功も考えようじゃないかということになっているようですけれども、それは税のあり方として考えてみた場合に、内助の功そのものをどう評価するかという点については、片稼ぎの給与所得者だけに内助の功があって、それを税制上配慮するというのは税のあり方としておかしいとお思いになりませんか。私はそれはみんな評価されてしかるべきだろうと思うわけで、これは税の仕組みからいっても何か別の意図をこの税制上に盛り込んでくるというふうに言わざるを得ない。
 それで、この辺についてはもっともっと議論もしたいのですが、時間がないので残念ですけれども、こういうことでは、今回のこの中間報告がサラリーマンに限定して極端な一部の減税を考えておられるということで自営業者にとってはおよそ納得しがたいことであろうし、それから女性にとって受けとめてみた場合にも、なぜこういうふうにして内助の功がサラリーマンの奥さんだけ評価されてあとは無視されるということになるのか、税制のあり方としておかしいのではないかと思うのは当然だと思うのですね。主税局はその点についてどうお考えなのか、重ねてお尋ねしたいと思います。
#209
○水野政府委員 御承知のように所得税につきましては、所得税法五十六条で、事業を御夫婦なり一家で行っておられる場合には原則は累進課税が合算になっているわけでございます。ただ、それを全部御主人に合算するというのはいかがか、二人、三人で稼いでおられれば、それは給料の支払い等によりましてある程度分割課税、個人単位課税に近づけて課税をするというのが現在の青色申告制度のもとでの専従者給与制度あるいは白色専従者給与制度であろうかと思うわけでございます。そのように、一家で働いておられる方につきましては五十六条の合算課税を原則としつつ、ある程度稼得者単位について分けてきている、そういうのが実情なわけでございます。
 そうした典型的な事業所得者から、だんだんサラリーマンに近い例えば税理士さんとか公認会計士さんとかそういった方々につきましてもこういった制度が広がって適用される、そうした場合を考えてまいりますと、サラリーマンの方々につきましてもやはり一家で稼いでおられるという実態もないことはないんだろう、そういうところから、五十六条を基本としつつ分割、分与にだんだんなってまいります現実と、お一人で働いておられる、お一人で世帯を支えておられるサラリーマンの家庭、そういったところのバランスをどう考えるかという点が現時点での割合大きな問題になっているんだろうと思われます。
 そこらをどう考えるかというのは所得税の基本問題として極めて大きな問題でございまして、一応は中間報告としてこういう報告が出されておる、こうした方向が現時点では適正ではないかということで取りまとめられたのではないかと思うわけでございます。
#210
○簑輪委員 時間がないので終わりますが、とにかく所得の分割ということを専従者給与とか専従者控除というふうに考えるのはおかしいわけで、働いているから専従者給与をもらうわけですね。ですからその点のところを、所得の分割が事業所得者はできるけれどもサラリーマンはできないからというふうに言うのは筋違いではないかということを申し上げておきたいと思います。
 以上で終わります。
#211
○堀之内委員長代理 柴田弘君。
#212
○柴田(弘)委員 七時までに終わるということで、本来やるのは一時間半くらいあるのですが、議会運営に協力をいたしまして七時までに終わらせていただきます。
 そこで大臣、東京サミットと円高問題、先ほど来いろいろ議論が出ておりますが、正直に申しましていわゆる我が国政府がもくろんでおりました円急騰の是正と円安定ということについては、私は今回の東京サミットにおいてはその目的が達せられなかったんではないか、このように考えておりますが、いかがですか。
#213
○竹下国務大臣 まず申し上げますことは、サミットがいわばそういう政策決定の機関ではない、そして必ずしも為替レート問題そのものを議論するための場という位置づけはできないだろうというふうに思います。
 しかし評価として、日本の国会の御議論等に代表されるようにいわば円高基調が急速過ぎて、したがって可能な限り安定に向かうべきであるという御意見というものがいわばその後の状態から見ても為替相場に反映されていない、そのことをもって見ればサミットにおける為替論争というのは期待に反したではないかという評価があるとすれば、それはそれなりに受けとめなければならないというふうに考えております。
#214
○柴田(弘)委員 やはり我が国の輸出型中小零細企業は今回のサミットについての円高修正、円安定ということにつきましては相当な期待感を持っておった、こう僕は思うわけであります。それが完全に裏切られた。これは先ほど大臣の答弁で私は了といたすわけでありますが、しからばこうした円急騰の是正、円安定ということについて、これはもう、アメリカ、ヨーロッパ諸国は貿易不均衡の是正のためにはより一層の円高がまだまだ望ましいのだ、こういったことを発言をいたしておるわけでありますが、やはりそれをもろにかぶる我が国のそういった輸出産業、特に中小零細企業というもののやはり悲痛な叫びではないか、私はこういうふうに思うわけなんですが、いかがでしょうか。
#215
○竹下国務大臣 いわゆる円の急激な高騰によって輸出産業なかんずく中小零細企業のお方がそれぞれ影響を受けておられるということは、私も十分承知をいたしておるところでございます。
#216
○柴田(弘)委員 そこで、円高問題に関連をいたしまして、今後の財政運営と経済運営というものをどう行っていくかというのがやはり次の議論であります。当然、円高メリットというものを本当に国民生活と国民経済にどうスムーズに還元をしていくかという政策の立案とともに、この円高のデメリットというものをどう吸収をしていくか、これはやはり政策選択の一つの問題である、このように思います。黒字削減と国民生活の質の向上、輸出依存型から内需拡大型への構造転換をどう実現をしていくかというのがこれからの優先課題でなければならない、こういうことだと私は思います。
 そこで私は、こういった政策を進めるのに、今までかたくなにとってきましたいわゆる政府・大蔵省の緊縮財政路線、やはり今日の円高、つまり二百四十円から二百円になり、そして百八十円、ここで安定をしようとしておったが百六十円台になった、将来百五十円になるかもわからない、こうした百六十円台のいわゆる財政運営、経済政策というものを今ここで見直していかなければならない、そういったときに来ているのではないかなということを私は切実に感じるわけでありますが、大臣の認識はどうですか。
#217
○竹下国務大臣 特定の為替相場を念頭に置いてもろもろの産業を論ずるわけにはまいらないかと思いますが、今日の時点におきましてのこの円高等から生ずる大きな打撃というものは、ひっきょう我が国の経済構造の中に存在しておるということは承知していなければならぬ。したがって、最終的にはやはり構造改革というものに移行していくというのが避けて通れない道ではなかろうかという問題意識は持っております。ただ、自由経済だからといってこれを放置することは政治の社会で許されない、したがって、それらの問題がいわば可能な限りソフトランディングと申しましょうか、そういう形の中で行われていかなければならない課題であるというふうに考えておるところであります。
#218
○柴田(弘)委員 今、簔輪議員の議論の中で、中小企業対策、特に輸出産業対策、こういう議論があったわけでありますが、大臣はいわゆる内需型へのソフトランディングということをおしゃいましたね、事業転換。私もこういったいろいろな関係業者の方たちといろいろ話し合うわけでありますが、事業転換を図れといって幾ら低利な融資を受けても、おいそれと簡単に新しい職業に転換するわけにもいかぬ、また、幾ら低利な融資を受けても要するに仕事がなければそれはできないのだ、こういうお話があったわけなんです。でありますから私は、しょせんそういった方たちが、ソフトランディングという言葉はいいわけでありますが、やはり何らかのそういった政策の転換というものを行って内需主導型の我が国の経済、そして経済政策の転換、財政運営というものを志向していくべきときに今来た、こういうことをはっきり言えるのではないかと思いますが、さらにひとつ大臣の御答弁をいただきたいと思います。
#219
○竹下国務大臣 確かに輸出依存型、これはある程度我が国は貿易立国として立ちませんことには、原油なり原材料なりが全くないに等しい国でございますので、それらを購入するための輸出貿易立国というのはあるべき姿であったと思います。完全に自給自足で、もう一遍じいさん山へしば刈りに、ばあさん川へ洗濯にというようなことを志向してはなりませんので、それらのいわば貿易立国としての立場を維持しながらも、すべてがそれに集中することなく、内需志向型へいわばこれも構造的な転換をしていかなければならぬ、そのように私もそれは考えておるところでございます。
#220
○柴田(弘)委員 それは概括的な議論でありますが、当面の円の急騰というものを見て、六十一年度の対応ということについて私は具体的に今後お尋ねをしていきたいわけであります。
 第三次の公定歩合が引き下げられましたね。皮肉にも、それと同時進行という形で円高になりました。これは円の安定というのが第三次公定歩合引き下げの一つの目的であった。ところがそのもくろみと逆の方向へ行ったと思いますね。つまり私は、金融政策というものがそこで限界に来たのではないかな、こういうふうに一つ考えております。
 それからもう一つは、だからこそ協調利下げということが言われますが、これはやはりそういった中でまた協調利下げというものが――アメリカは本来第三次で一%引き下げたいという考え方だったが〇・五%、これはTB等の動きを見ればはっきりするわけでありますが、西ドイツは第三次は引き下げなかった。そうすれば、やはり協調利下げということが今後国際協調の中で行われていくわけでありますが、一方においては金融政策といいますか金利の引き下げというものは限界点だ、その点と、この協調利下げ、アメリカ側の方から要請があった場合あるいは西ドイツが下げてきた場合、第四次の公定歩合の引き下げがあるかどうか、こういった問題も私は今後の政策選択の一つとして慎重に考えていかなけばならぬ、こう思います。この二点について大臣、どうですか。
#221
○竹下国務大臣 私どもの合意というのは、今インフレが鎮静しておる、ドイツや日本みたいに鎮静しているわけではございませんけれども、去年あたりに比べれば先進国総じてインフレは鎮静している、そうなれば当然いわば利下げの環境は整っておるという問題意識は大体合意をしておるわけです。ただ、日本は大きな政変がございませんから日銀も何か政府の一部のような感じを時々私ども気をつけなければならぬぐらい持ちがちでございますけれども、特に政変のある国は、いわば通貨の番人たる中央銀行の権限というものを非常に気を使って対応しておられる。したがってその環境が熟しておる、そして今まで行われた政策の協調の中に結果として出た金利引き下げというのは評価しようというような表現の限界を一応つくっておるわけでございます。が、問題は、これはこの十九日に初めて公定歩合のそれぞれの金利がみんな出そろうわけでございますから、ほかの国と違って日本は仕組みの上でそれだけ時間がかかります。したがって、それらの成果を見る前に日銀が判断されるであろうということはちょっと私の口からは言うべきではないではないか。
 ただ、御指摘なさいましたように、何分日本と西ドイツは三・五%でございますから、ほかはまだ二けたのところもございますし、非常に幅というものはほかの国と違って狭くなっておるという問題意識は私も持っております。
#222
○柴田(弘)委員 ですから、これは財政再建の問題にも関連をしてくると思いますが、私が思いますには、結論として、今日までとってまいりましたいわゆる緊縮路線というものの転換というものは今図るべきである、そして金融政策というものもほぼ限界点に近づいてきた、だからいよいよ財政の出番ではないかということを私は言いたかったわけであります。
 きょう、くしくも中曽根総理が参議院の本会議におきまして、いわゆるこの円高のための中小企業対策あるいはまた内需拡大という観点から建設国債の発行もあり得るということを示唆しながら、補正予算の必要性というものも答弁されたというふうにきょうの夕刊にも載っておるわけですね。私は、これは一つの大きな財政運営あるいは経済政策の転換ではないか、こういうふうに見ておるわけでありますが、大蔵大臣としては、財政当局としてはやはり総理がそういった意向であれば当然従われるだろうと私は思うわけでありますが、いかがでありますか。
#223
○竹下国務大臣 きょう参議院本会議で私も聞いておりましたが、ちょっと定かには記憶しておりませんが、もろもろの手を尽くすように経済企画庁、通商産業省、それから大蔵省にも検討を指示したところだ、したがって、これらの対策はおろそかにできない、必要によっては補正予算等をも考えなければならないかもしれないというような表現ではなかったかなというふうに思っております。
 だから、財政の出動というのは、それもちょっと私も早いなと思ったのは、補助金の法律の通るその直前の答弁でございますから、これはもう決まっておるということであったかもしれませんけれども、やはり補正予算というものを口にするときには慎重であらなければならぬ。もちろん必要に応じて補正予算、毎度組んできているわけですから、が、今通った段階で補正予算が直ちに必要と言えば、何か今までせっかく御審議していただいたものが余り実りがなかったような感じを与えてもいけませんので、したがって、この問題は諸般の情勢を見ながら決定すべきことであろうというぐらいにきょうの段階はしておくべきではなかろうかと思います。
#224
○柴田(弘)委員 財政当局、財政担当の大蔵大臣としては、諸般の情勢を見ながらということで非常に含みのある答弁をされました。諸般の情勢というのは、やはり予想外の円高、私はこういうことが一つの大きなファクターになると思いますよ。そういった観点で私は御質問をいたしておるわけであります。重ねて御答弁をいただきたいと思います。
#225
○竹下国務大臣 円高による輸出関連産業、中小企業等への打撃、この問題についてもろもろの施策が行われておる。そして、前半の、内需振興の中からいわゆる公共事業の前倒し等の措置が行われる、さようしからば、後半は空っぽになるのじゃないか、極端に言えばそういう議論もあるわけであります。それらすべてを含めて、私は手法によっては空っぽにしないという手法もあろうかと思いますけれども、やはり諸般の情勢を見て対応をすべき問題だというお答えが、まだ政府の予算執行上の問題、あさっての閣議でやるとしましても、それが決まる前にどうも大蔵大臣が、いや、先生おっしゃるとおりでございます、大体そのようでございますから補正予算を今から考えようと思いますと言うのには、いささか時期としては適切でないと言わざるを得ません。
#226
○柴田(弘)委員 あと十五分ですからこの問題はこの程度にしまして、あと残り時間で税制改正の中間報告の問題についていろいろとお考えをお聞かせをいただきたい、こう思います。
 それで、時間がありませんから、私の方で私自身が考えておりますこの問題点を御指摘申し上げて、そしてこの意見を今後の抜本的な税制改正の中にぜひともひとつ取り入れていただきたい、こういった意を含めまして御指摘を申し上げたいと思います。
 まず一つは、これはやむを得ぬとおっしゃるかもしれませんが、減税の規模、具体的な減税金額は提示されていない。時期は六十二年とおっしゃるわけでありますが、これも示されていない。これはやむを得ぬことだ、中間報告ですからと、こういうことでありますが、しかし、この中間報告の中身というのは、既に総理や大蔵大臣が何回も示された方向であったわけで、国民はやはり具体的な金額、時期、方法を期待していたと私は思います。この四月に減税案、そして秋に財源措置の答申というのを受けて私どもの野党の要求、国民の減税の要求というものを抑え込んできただけに、やはりこういったものを明示されてもよかったのではないかなという気を私は持っております。そして一方において、秋だということでありますが、財源措置に関しては一言も触れられていない。財源の先送りが既定方針であったとはいいながら方向さえ示されていないのは、たとえそのことが政府にとってマイナス材料になるにせよ、無責任過ぎる、私はこのように考えるわけであります。減税がちょっぴりでその後増税がっちり、これでは目も当てられないわけでありまして、やはりそういったことで一つの整合性というものがないのではないか、これが一点であります。
 それから二点目は、中間報告は、所得税と個人住民税を合計した最高税率、これを六〇%台に引き下げるとともに税率区分の幅を拡大、刻み数の大幅な削減によって、入社してから退職するまでのサラリーマンの税率がなるべく変わらないようにする方向を打ち出している。つまり中堅サラリーマンに配慮した改革案と言える、この点では私は評価をいたします。しかし、その具体的な内容があいまいでありまして、この最高税率の引き下げが最低税率の引き上げにつながるとすれば、これは低所得者層に対する増税となり問題が残る、こう思います。ひとつこの辺についての御配慮をお願いをしたい、こんなふうに考えております。
 それから三点目は、いわゆる今の事業所得者とサラリーマンの不均衡是正措置としては、配偶者控除に加え、専業主婦に対する特別控除を創設するということになっておるわけであります。この特別控除を設けるかわりに、二分二乗方式のような合算分割制の導入は見送られたわけであります。しかし、やはり本当にクロヨンとか言われる業種間の実態的な徴税の不公平がこれによって完全に解消されたということは言いがたいのではないか、私はこのように思います。これが三点目であります。
 それから四点目は、また、サラリーマンに対する自己申告に基づく経費の実額控除選択制導入は一歩前進だと思います。しかし、その必要経費というものを十分に認めない限りやはりこれは空文に終わる、サラリーマンの重税感、公平感をかえって助長しかねない、こう思います。
 それから五点目は、物価調整の考え方が取り入れられていないということであります。今日までサラリーマンが自営業者などの申告所得税に比して源泉所得税で実質上の増税を強いられたということは、物価上昇に伴う名目賃金の伸びによってだ、こう思います。でありますから、こういった実質増税の構造が問題化して久しいわけでありまして、今回累進税率の刻みが緩和されたといたしましてもこの物価調整の仕組みを取り入れなければ何にもならないのじゃないか、この辺についてのお考えもお聞かせいただきたい。
 それから第六点目は、法人税であります。これは企業からの要求の強い実効税率の軽減、企業設備の法定耐用年数の短縮などを提言しております。しかし、赤字法人に対しては課税を強化するということには問題がある上に、実効税率を下げるといっても具体的な運用については今後の検討待ち、こうなっているわけです。赤字法人、この辺の対応というのは非常に重要だと僕は思います。
 それから第八点目は、先ほども申しましたが、減税に対する財源措置であります。これは政府税調会長も参考人でお見えになったときに、大幅減税をやれば大型間接税を導入しても国民の理解を得られる、このような示唆がありました。でありますから、減税の見返り財源措置というのは一体何だ、こういうことが今後非常に心配になってくるわけであります。この点を第八点目ということで御指摘を申し上げたい。
 第九点目には、しからば減税財源としては一体何を持ってくるか。これは、こういった広範な国会議論、あるいはまた私どもが要求をいたしました四野党の修正案、あるいはまたいろいろな国民的な議論を巻き起こしていく、そういった中で政府としても対応していただきたい、こういうふうに思うわけであります。
 それから第十点は、これは概括的なことでありますが、今回のこの税制改正が、戦後のシャウプ勧告以来の抜本的な税制改正と言っても、今政府が行っておる行政改革と同じように結局かけ声だけに終わってしまうのじゃないかという懸念が一つあるわけでございます。
 こういった十点、いろいろ羅列しましたが、この辺を大蔵大臣から、一つ一つはちょっと無理かもしれませんので結構でございますが、こういった税調答申を受けて政府としてはどのような姿勢で税制改正を行っていかれるのかといった点を基本にして御意見を伺っておきたいと思います。どうでしょうか。
#227
○竹下国務大臣 まず、政府税調の中間報告、この問題でございますが、たびたび御議論がございましたように、本来は増税案と同時に発表すべきじゃないか、こういうような御議論もございました。政府税調に対する諮問においていわば手続的な問題を申し上げたわけでございますので、したがって、数字の入っていないところのいわば負担の軽減、合理化に資する方策を中心に部分的に定性的な方向を示すにとどまったということになるわけでございます。したがって、具体的な今後の問題は税制調査会において包括的な税制改革の中で一体として行われるであろう。
 もう一つ書いてございますのは、これを契機として国民の税に対する議論がもっと、さらにまた活発になるのじゃないか、こういうこともおっしゃっておりました。したがって、きょうらのいわば問答というものがその税調の中で報告として持ち込まれ議論がさらに進められていくべきものであろう。だから、痛み、ひずみ、ゆがみはどこにあるか、まずそこからやってくださいという手続に対しての御答申、こういうことになろうかと思われるわけであります。
 それから大型間接税の問題でございますが、この問題につきましては、これはまさに今後の問題でございます。いわば、いわゆる課税ベースの広い間接税の問題について広範な検討領域の中に入っており、取りまとめの手順からすれば後半における審議課題となるであろうというふうに申し上げておるところでございます。
 それから、小倉さんが参考人としていらっしゃったときの話は聞いておりませんが、そういう意見の人もあるというようなことを今までも議論していただいておりますから、概括論の中でそういう意見の人もあるという趣旨ではなかったであろうかと思っております。
 それから、評価していただいた部分がございます。これらについては定性的な報告は評価するというところでございますから、これから具体的な中身につきましてはさらに御議論をいただきながら成案を得ていくという性格のものではなかろうかというふうに考える次第であります。
#228
○柴田(弘)委員 最後に、要望に御答弁をいただきたい。
 大型間接税は導入しないということ、そしてあくまで不公平税制の是正によって財源措置を講ずるということ、これは四野党修正案を参考にしていただければ十分できると私は思います。そしてまた、財政運営、経済政策の転換というものを図っていけば必ず自然増収が生まれる、こういうふうに考えております。
 それから二番目は、先ほど十点にわたってるる述べました、これは私の意見ということよりも私ども公明党の意見であります。この点も十分に参考にされまして今後の税制改正に取り組んでいただきたい。
 この二点を要望いたしたいと思いますが、大臣の御答弁をお聞きしまして、質問を終わります。
#229
○竹下国務大臣 野党四党の税制に対する基本的な考え方、一度成案をまとめていただいたものは承知をいたしております。そうしていま一つ存在しておるのは、今年中に所得税減税等について幹事長・書記長会談で成案を得るというお約束があることも承知をいたしております。恐らく税制調査会の推移等を見ながらそれぞれの御議論が進められていくではなかろうか。それに対して政府は最大限尊重するとともに、御勉強いただくお手伝い等については積極的に行わなければならないというふうに考えておるところであります。
#230
○柴田(弘)委員 では、時間が参りましたのでこれで終わります。ありがとうございました。
#231
○堀之内委員長代理 沢田広君。
#232
○沢田委員 総理大臣がきょう参議院で補正予算を組む用意があると言ったことは、まさにこの法案審議中の失言であると私は思いますし、第一この国会に対する侮辱ですよ。一方では法案を提案しておって、そしてその法案を修正するということを参議院で述べるなんということは、もう本当はこれ以上審議には応じられない言動と言わざるを得ない。だから少なくとも総理大臣は参議院からここに来て、その点は申しわけなかったとちゃんと釈明をするのが本来のあり方だと思うので、これは大蔵大臣の答弁をもって足りるものではないのでありますから、委員長、善処をしていただきたいと思います。それで一番最初に私は申し上げたわけです。私の質問時間はおおむね一時間でありますから、その範囲内において委員長は善処してもらいたいと思います。それじゃないとこの法案の審議に入る意味はないですよ。国会議員を侮辱するのも甚だしい。一方で審議をしている最中に、それは変わるかもしれないのだよ、そんなことをのうのうと本会議場で述べるなんというのは、政治家にも値しないと私は断ぜざるを得ない。そういうことで第一点はひとつ委員長に冒頭申し上げておきますから、今の質問で柴田さんは非常に紳士的に物を言われましたけれども、これは国会の機能の権威の問題ですからね、そういう言葉のあやで問題を解決すべきものではない、こういうふうに思います。それが第一点であります。これは委員長、よろしいですか。
#233
○堀之内委員長代理 よくわかりました。
#234
○沢田委員 続いて、大臣もこれまで多数の野党を相手にしながらばったばったと切り倒したような気持ちで爽快だと思っておられるのだろうと思いますが、若干休憩時間も与えなければいけないのかなということも考えまして、違ったところから質問をして、大臣の方は、今ちゃんと総理大臣をしかりつけた後でありますから、少し時間を置きたいと思います。
 行政管理庁は、行政関連の中で今回の特殊法人それから財投、この関係について管理の方で、現在も予算は逼迫をして厳しい状況の中で、これは各野党もそれぞれ述べてきたわけでありますが、財投の見直し、特にもし総理の言う前川レポートが認知をされたものであるとすれば、少なくとも行政改革推進審議会としてはそれに対応した措置を講ずることは当然のことだ、こういうふうに思いますけれども、その点はいかがでしょう。
#235
○窪田政府委員 財政投融資につきましては、確かに環境の変化に伴いましていろいろ見直すべき点が出てきていると思います。財投機関、運用先の対象につきましては今御指摘の行革審で御検討いただいて、そのあり方を再検討をしていただいております。また、預託を受ける、預託先である郵便貯金等につきましても、行革推進審議会の方でその郵貯のあり方にまでさかのぼって今後検討すべきであるというふうな小委員会の御報告もあるやに承っております。
 そういうものを受けまして今後財投そのもののシステムについても見直していく必要があろうかと思いますが、ただ公的金融のシステムそのものにつきましては、今後社会資本の充実、先端技術の振興、その他もろもろの役割がございまして、財政投融資システムの基本についてはなお大きな役割があるものと理解しております。
#236
○沢田委員 だれも答弁者がいないので理財局長仕方なしに出てきたような答弁なんでありますが、これとても、揚げ足を取るようでありますけれども、ちょっとやっぱり言葉はオーバーランしているなどいう気はいたしました。財投も提案して承認されたものなんだから、今すぐ見直しをするなんということはなかなな言えないことなんでありますが、やすやすと理財局長、まあそういう原点を言い原則を言ったんだろうと思いまして、その原則を言った趣旨については敬意は表しますが、しかし本当に実行されるかどうかが問題なのであって、それはえてして流されてそのままになる、こういう心配がありますから、これは実行してもらいたい、こういうふうに思いますが、それはよろしゅうございますか。
#237
○窪田政府委員 行革審でそれぞれ指摘された問題でございますので、鋭意努力をしてまいりたいと思っています。
#238
○沢田委員 特殊法人についてはどういうふうに考えておりますか。
#239
○加藤説明員 先生御指摘のように、特殊法人の半数近くがいわゆる財投機関でございまして、したがいまして特殊法人のあり方を見直しましてその活性化を図っていくということは、財投そのものの適切かつ有効な運用につなが谷わけでございます。
 特殊法人は、先生御承知のように社会資本の整備だとかまた民間の諸活動を補完いたしまして、我が国の社会経済の発展に重要な役割を果たしてきたわけでございます。しかしながら、最近における特殊法人を取り巻く経営環境の変化は厳しいものがあるわけでございます。このような社会経済の変化に即応しまして、国民のニーズに対応し適正かつ効率的に公共サービスを提供をしていくためには、その制度運用の根本にさかのぼった検討が必要であるということでございます。
 このため、臨調答申に引き続きまして特殊法人の活性化を一段と進めるために、政府の要請を受けまして行革審の特殊法人問題等小委員会におきましては、特殊法人の活性化方策につきまして検討を進めてきたところでございます。また、特殊法人問題等小委員会における報告の中身でございますが、一般的活性化方策と個別特殊法人の活性化方策とに分かれるわけでございますが、これらの活性化方策を進めることによりまして、公共性と効率性との調和が図られ、その相乗的効果によりまして今後とも国民生活及び経済社会の発展に一層寄与し得るようになるものと考えているわけでございます。また冒頭申しましたように、このような活性化方策を進めることによりまして財政投融資の適切かつ有効な運用につながるものと期待をいたしているわけでございます。
#240
○沢田委員 私が言ったのは、今度の答申の前提となっていた事柄の解釈、こういうことだったのでありますが、その点はあなたの誠意のあるというか、中身はあったとは思われないけれども、一応誠意のある回答で了としますが、言うならば現在の産業構造を変えていく、こういう一つの方向へ一歩踏み出そうかというときに当たっての次元でどうとらえるかということの意味であったということで、まだおられたら何かの機会にひとつ答えていただきたいと思います。
 それじゃ、少しもう休みましたから大蔵大臣、さっき述べたように、大臣は法案提出中に慎重にということで言われておりましたが、総理大臣の発言は少なくともこの国会を侮辱をした。要すれば法案を審議をしている中でその法案は変えるんだ、こういうことは断じて言ってはならない言葉なんだ。それをいかにも事があれば、円高不況でやむを得なければ補正予算も組む用意がある、こういうことを述べるということは、この法案審議に対するやはり権威を失墜するものであるし、これは失言なんであります。ですから、これは委員長に申していますが、普通ならこれでとまってしまう。本当はこれでもう法案審議に値しないのでありますからこれは流さなければしようがない。変えて出してもらう。補正予算を組んだもので出してもらう、こういうことにならないと筋が通らない。
 そういうことですが、大蔵大臣はそれまで、私もそうなんですが、生きているかどうかわかりませんけれども、財政再建の展望というものを考えたときに、果たしてこれからどの程度の距離でこの財政再建が果たされるのであろうか。特例公債は五年と言ってみたけれども、これもまあ難しい。しかし建設国債は、これはとてもではないけれども道遠しと言わざるを得ない。そうすると、いつの日かその重圧を、負担を国民にかけなければならない時期が来る。こういうことを考えますと、やはり再建の道というものを一応政府としてはこう考えているんだということを国民に示す義務があると思いますけれども、その展望についてお伺いをいたしたいと思います。
#241
○竹下国務大臣 最初に、これは出過ぎたことですが、補正予算問題について、後藤田官房長官記者会見。
  総理の答弁は、自分も読み、新聞の夕刊も読
 んだが、君らの記事は正確ではない。君とは沢田さんじゃございません。新聞記者の方です。
  総理は、公共事業の前倒しをした後で、必要があれば、補正予算による公共事業の追加等を検討する。と言ったのであって、今の時点で補正予算の検討に入ると言ったのではない。
 総理は、一方で、円高差益、物価安定、金利の低下等の諸条件から、ある一定の時間の経過後に
 おいては、経済状態は良くなると言っている。というようなことですので、これは免責されるという意味で言ったわけじゃございませんけれども、ちょうど今届いたものですから、読み上げただけでございます。
 次の問題でございますが、確かにおっしゃいましたように、今のところ国民の皆さん方にあるいは国会でお示ししておる基本的な考え方というものは、六十五年までに、かつては五十九年と言っておりましたのがギブアップいたしましたので、六十五年までには何とか赤字公債の依存体質からは脱却したい、大変な至難な道でございますが、その旗を掲げてまっしぐらに歩いております。もう一つは、そして毎年毎年、全体の予算に関する公債の依存度も下げていきます。そこが、六十五年までの一つの経過でございます。そうして、その次の段階においては、GNPに対してどのように残高そのものを減していくかということを行っていかなければならないというのが今の道筋であるわけでございます。
 したがって、今日の段階でそれをさらに定量的にまで申し上げるだけのいわば財政再建計画というようなものは、経済の一部である財政に定量性を持たせたものはつくりにくいというようなことを申し上げておるという段階でございます。
#242
○沢田委員 別にまた後でやりますが、前川レポートは、これは何という名前をつけたらいいのか、新聞の報道等で考えればいろいろの名称のつけ方はあると思うのでありますが、答申があった。しかし、閣議にも諮られなかった。それから、与党自民党とも相談がなかった。しかも、これに伴う通産なり大蔵なりの大臣との経済閣僚会議にも諮られなかった。これは事実ですか。
#243
○竹下国務大臣 前川さんが座長でありますところのあの研究会は総理の諮問機関であって、いわば八条機関等のものではない。そういう性格の中で、しかし、なかなか見事な作品であるから、これを参考にしてこれからは政府・与党の責任において検討をしていこう、中長期のものあるいは短期のものにつきましても審議会等で御審議をお願いしたいものもこれあり、ということで、政府の手に移したという手順になっておるわけでございます。
 前川レポートの報告会というものは、これはちょうど私は国会の都合で出席できませんでしたが、党三役のお方等に三階の総裁室で前川さん初め関係者の皆さんが来て説明をしておられたということは事実でございます。したがって、前川レポートそのものは私どもはしょっちゅう見ておりますけれども、参考にしてこれから具体的にやろうというときが正式にそのものが認知されたとでも申しましょうか、そういうことになる性格のものなのかなというふうに考えております。
#244
○沢田委員 それがレーガン大統領のもとに提出をされて、五百五十億ドルに上る貿易黒字というものを減らしていくためにはこういう方針で処理をしていきたいと思うので、このサミットについては協力を賜りたい、そう言ったかどうか、その言葉どおりには言ってないだろうと思いますが、要すればそういうニュアンスでアメリカへ持参をしたということは大蔵大臣も承知をしていると思うのですが、いかがですか。
#245
○竹下国務大臣 前川レポートというのは、私も驚いたと言うのは失礼に当たりますが、国際会議に行きますとミスターマイク、こう世界的に通用するお方さんでございます。私にはミスタータケとか言ってくれる人は一人もおりませんでしたが、ミスターマイク、こう言っている。したがって、ミスターマイクのレポートというのは、恐らくその筋では大変に関心があったものであろうと思っておりますから、それを各国の方々が入手して、興味を持って読んでいらっしゃることは事実であろうというふうに私も思っております。
 ただ、総理がアメリカへ行かれました場合に、いわゆるミスターマイクのレポートでもって我が国の今後の経済運営を説明されたとは、それをテキストブックとして説明されたとは私は思っておりません。
#246
○沢田委員 これは大蔵大臣としての想像も加わっての話でありますから、本人に聞いてみる以外には最終的にはわからないことであります。ただ、やることなすこと大統領気分で、総理大臣よりももっと偉くなっちゃったような気持ちで物事を処理しているという姿勢、言うならば独断専行という言葉が当てはまるのでしょうけれども、そういう形が果たして日本の民主主義の形態に合っているのかといえば、これは全然合ってないスタイルなんですね。党にも十分連絡したりしない、討議もしない、閣議でも議論を十分にしない。それを勝手に、日本の産業構造をこう変えていくんだというようなことを、大統領でもあるまいし、言える権限が果たしてあるのか。顧みて考えたときには、これは随分おごるところも甚だしい、こういうことを言わざるを得ないのですね。それを大臣は一生懸命弁護して言っているようでありますけれども、客観的に見るとどうしてもそうなるというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
#247
○竹下国務大臣 その後正確に整理された位置づけが、あくまでも参考にして、そして政府・与党一体となって――四月七日に総理に報告書が提出されて、八日に経済対策閣僚会議で「この報告を参考として、与党とも十分な連携を図りつつ、関係審議会等における調査審議も含め、早急に必要な検討を行う。」ということがその後決まって、八日、私はアメリカへ出発しましたのでちょうど出ていなかったわけですが、それでこの談話を発表されて、そして四月二十二日に経済構造調整推進会議、このものが決まった。ここで「経済構造調整推進のための諸施策について、今後、中長期的な努力を継続し、その実現を図る。」ということが決まったというような大筋の手順になってきておるわけでございます。
#248
○沢田委員 やはり疑問点は残るし、どうしても中曽根さんに来てもらってこの辺の点はたださないと、日本の経済の方向あるいは全体の産業構造、そういうことまで変えていこうという、言うならば革命に近い方向転換なんであります。今までは資源のない我が国は輸出によって支えられ、そして国民の生活を維持してきたものを、今度は輸出に依存しないで生活をしていこうという路線なんでありますから、言うならば経済革命であることには違いないのであります。ですから、そういう意味からいえば、これはどうしても御本人に来てもらって先ほどの発言と――大勢呼んでいるんですが、これは大変重要なことだから、時間がどんどんたっていってしまうんですが、ここであるいはどうにも審議ができなくなってしまうことになるかもしれない。まだいないから構いませんけれども、そういうことになる可能性もなきにしもあらず。
 これは、大臣の答弁、さっきのも、「新聞の夕刊も読んだが、君らの記事は正確ではない。」これも随分言葉が悪いですね。私も悪い方だけれども、とにかく悪いですね。それで、言っていることが違うように言っているけれども、実態は同じなんですね。「「公共事業などの繰り上げの結果、必要なら補正予算による公共事業や中小企業対策なども実行したい」と述べ、円高不況対策のために補正予算を組むこともありうるとの方針」、これはこれと同じですね。だから「総理は、公共事業の前倒しをした後で、必要があれば、補正予算による公共事業の追加等を検討する。」これだって問題ですよ。その「検討する。」という、前倒しで十分ならば何も検討する必要ないんですよ。前倒しては十分でないとみずからが決めたから、補正予算で公共事業の追加を検討するんですということを言ったわけです。これが十分であればこういう言葉は出てこないはずなんです。これだって現在審議しているこの法案に対する修正なんです。どんな期待であろうと希望であろうと、修正であることには変わりがない。これは総理大臣が来て、補正予算という言葉を述べるということは不謹慎であり、これは参議院で取り消すのが本当かここへ来て取り消すのが本当かわからぬけれども、国民に対してそれは行政府と国会という立場において取り消してもらわなければ先に進めるわけにはいかない。
 委員長がそこで善処をするということを言ったんだが、あと三十何分しかないんだけれども、この回答でもやはりその問題は残るということになります。本来ならば、もう時間も遅いからここであしたにして、こういうことになるんだろうと思うのですが、委員長どう取り扱いますか。
#249
○堀之内委員長代理 今整理中だそうですから、後でもう一回御答弁さしていただくそうですから、先に進んでいただきたいと思います。
#250
○沢田委員 素直に立ったでしょう、本当は立たないところなんですけれども。
 続いて、今補正予算の問題が出たから、三項目まで終わります。
 それから、当初、前倒しを政府がやれば輸入刺激は数億ドル、まあ黒字減らし焼け石に水となっていますけれども、対外経済政策の骨子というものが発表されましてそれぞれ対応を図りました。四月二十八日「摩擦でつかの間の休戦」という見出しがありましたが、サミットの結果、これはむだになったということはお認めになられますか。
#251
○北村(恭)政府委員 四月八日に政府として総合経済対策を決めさせていただきましたが、そこに書いてございます幾つかの項目につきましては、ある程度時間がかかって効果が出てくるものが幾つかございます。金融政策、公共事業の前倒しあるいは規制緩和、それから中でも一番中心になっておりますのが円高あるいは原油価格のメリットの国民への還元といった問題でございますので、こういった問題が現在生じております円高のデフレ的な効果を消し、さらにそのメリットを発現するようにということで、若干のタイムラグを置いてこういった効果が出てくるということだと考えております。
#252
○沢田委員 そんな言いわけを聞こうとは思っていないのです。言うならばこれでサミットまでに日本の黒字減らしをして、サミットの中においてはしゃんしゃんしゃんと終わらせたい、こういう期待を込めてこういう政策を決めたのではないのですか。サミットには当然間に合わない、大変な里字が出るのは当然だ、そういう予想であなた方は作成をしたわけですか。
#253
○北村(恭)政府委員 四月八日に決めました総合経済対策というのは、最近の我が国の経済動向から見まして、特に急速に進んでいる円高の進展による影響に対処するために作成したものでございまして、こういった財政金融政策を機動的に運営していく、その他の施策を実施していくということで全体として今後の日本経済が安定成長路線に乗って動いていく、やがてその結果貿易収支の黒字問題についても効果が出てくるということを期待しての政策だと考えておりまして、特に今サミットということだけを念頭に置いたということではないと思っております。
#254
○竹下国務大臣 これは実際問題からいいますと、サミットまでに参議院を例の補助率の関係の法律を通してもらいたかった。といいますのは、あの法律が通る前に何%やりますとかいう具体的な数字を出すわけにはいかぬということからいたしまして、私も随分お願いいたしましたが、委員会だけは議了していただいたが、ついに本会議はきょうにならざるを得なかったということでございますので、私がサミットに臨むに当たってもそういうもろもろの施策の大きな一つの要因である法律は通ってもらいたかったという願望のもとにお願いいたしましたが、参議院も土曜日ともなれば半数はいらっしゃいませんし、とうとう本会議を開くに至らなかった。しかし、本会議を通らなければ法律は成立しないわけですから、私も大蔵大臣会議で非公式に大体これくらいのことはできるという話はいたしましても、政府としてこのような比率でこういうふうにやるということを胸を張って述べるに至らなかったことは残念でしたが、しかし国会の子でございますので、国会の議了の前に言っていいことと言ってならないこととの節度で、そういうことで対応させていただいたということでございます。
#255
○沢田委員 あなたの立場としては、サミットは目当てではなかった。じゃ何を、いつを目当てにこれは出したのですか。その後また金利の引き下げもやりましたけれども、じゃこれは屋上屋の措置であったわけですか。これで十分達せられると思ったのは、いつごろを目途に達せられると思ったのですか。
#256
○北村(恭)政府委員 いわゆる総合対策というのは、実は政府といたしましては三回にわたって今まで実施してきているわけでございまして……(沢田委員「いや、そういうことを聞いているんじゃないんだよ。先ほどのことを言ってくれよ、時間がないんだから」と呼ぶ)第三次の対策ということで四月八日に総合経済対策も決めさせていただいているわけでございまして、若干繰り返すようでございますけれども、直ちに経済的に効果の出てくるものと若干時間のかかってくるものとか、いろいろ施策としてあろうかと思います。したがいまして、どの時点ということではございませんで、今後徐々にその効果が出てくる、下期には相当の効果が出てくるのじゃないかといったような考え方でこの対策をつくっているということでございます。
#257
○沢田委員 許されない答弁だよ。これだけの急激な円高によって中小企業その他はもうどうしようかと思い悩んでいるという今日、あなたは給料をもらっているからそれで安心しているのかもしらぬけれども、あしたの仕入れができない、あしたの契約ができないということで思い悩んでいる者がたくさんいるわけだよ。それのときに、いつになるかわからない話を――あなたもうやめた方がいいよ。とにかくそういうことで今の日本の円高に対応できるなんて思っておったなら、これは素直に見通しを誤りましたとあなたが謝る分には首が飛ぶわけじゃないんだから。大臣が謝るわけじゃないんだから。あなたとしては、これは見通しを間違えました、だから公定歩合も下げました、しかしそれでもなお急激な円高には今現在抗し切れない状況にあります、なぜそう素直に言えないのですか。もういい。あなたの答弁は要らないよ。大蔵大臣、聞いていて、こういう答弁をしていたんじゃ国会のむだな時間をつくるだけであるし、不謹慎だ。もう少し素直に答弁してもらうことを要望します。
 次にいきます。
 今日、円高不況というものが極めて深刻な状況になっているということは、大臣、認めますか。
#258
○竹下国務大臣 業種によって差はあるにいたしましても、深刻な状態になっているということは認めます。
#259
○沢田委員 これは時間うんと節約したから……。
 この間、これは別に私の選挙区ではないですよ、ある洋食器の、場所を言ったって構わないのですが、金属洋食器の場所といえば有名ですが、そこの商工会議所と市長さんがいろいろ資料を送ってくれました。とにかくもうどうにもならぬと言って、資金繰りが難しいし、契約解除も出てきているし、どうしようかということで苦労を重ねている。そういう実情を感じてない答弁をされると、全く怒り心頭に発するのですよね。大臣、これは本当に注意してくださいよ。そういうところへ少し派遣して、見習いに工場で働かせて、経理係でも担当させて出向させた方がいい。大臣、そういうことを考えてみてやってくれませんか。いかがですか。
#260
○竹下国務大臣 計画の性格性をお話ししただけで、いわばそういう業界自身の問題に対応すべき政治姿勢としては私からお答えするのが妥当であったと思います。
#261
○沢田委員 一応これは要望しておいて、そういう人がいましたら認識不足ですから、やはり現地へ行って働いて汗を流して、ああこれは大変なんだなということを感じてきてからここで答弁してもらうということをひとつ勧告しておきたいと思います。
 あっちこっちへいくようで申しわけないのですけれども、続いて林業関係で、問題は二つなんです。
 簡単に言いますと、民間で借りるお金と政府が出す借入金の金利が非常に違う。同じ林業にお金を貸す場合に、どこから出てくるかは別問題として、ともかく同じ民間の林業と競争をさせていこう、こういう趣旨に立つならば、一方は高い金利、一方は低い金利という政策金利を使ったのでは対抗できないわけであります。でありますから、財政再建ともつながるのでありますが、そういうことの一方では負担を重くして能率を上げろと言ってみても、なかなかそれは不可能なんです。少なくともこの金融財政の面においては平等の条件の中で競争させるということが基本原則だと思うのですが、この点は法律が必要なら立法措置を講じてもいいんだと思うのですが、なぜこういうものがずっと今日まで続いてきていて、おまえら赤字だからけしからぬ、こういうことを言うのは少し酷ではないかというふうに思いますが、その点はいかがでしょう。
#262
○窪田政府委員 御質問の点は国有林と民有林に対する金利の差の問題であろうと思いますが、資金運用部はごく粗っぽく申しますと卸売金融機関的な性格がございまして、財投機関にお貸しをして、そこから個々の対象にお貸しをするということでございます。したがいまして、財政投融資から農林漁業金融公庫にお貸しする金利も六・〇五%、国有林特別会計にお貸しする金利も六・〇五%、同じでございますが、それぞれそこから先におきましては、国有林特別会計の経営の現状にかんがみまして一般会計から財政措置を行う、農林漁業金融公庫に対しても財政負担を行いまして、農林漁業金融公庫が民有林に貸し出す場合は、物によりまして六・二%から三・五%というふうに、期間、金利に差をつけて貸し出しているわけでございます。
 したがいまして、そういう仕組みでございますが、国有林事業の経営の改善の方策について現在林野庁は林政審議会に御審議をお願いしているところでございまして、財源問題を含めてこれらについて林政審で十分御審議をいただき、それを踏まえて政府としても努力したいという与野党合意に基づいて今後努力をしてまいりたいと考えております。
    〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕
#263
○沢田委員 そういうことじゃなくて、過去からずっときた歴史の足跡を見て、そういう差をつけながら競争原理を導入するということがアンフェアである、こういうことを言っているわけですよ。ですから、競争させるならば同じ条件で競争させるという原則を置かなければならぬのではないか。その原則は了解してくれますか。大体同意しますか。
#264
○窪田政府委員 国有林にお貸しする金利、それから農林漁業金融公庫がお貸しする金利、それぞれその相手の業態の規模、経営内容によって差が出てくることはやむを得ないと思います。しかし、それぞれの業態が健全な経営ができるように配慮していくべきものであるという点については、そのように考えております。
#265
○沢田委員 では、念を押しますけれども、仮想金利というものを設定して、一方が三・五であるとすれば――これは一応農林漁業金融公庫の金としては最低の金利ですね。ですから三・五%として、片一方を六%とした場合には、一応三・五%として計算をしてその差額は当然赤字として計算をする。簿外赤字という言葉がいいかどうかは別として、同じにしてもいいですよ、片一方も六%で計算してみたならばというのもありましょうが、では三・五%としてみたらこれだけ利益が上がった、こういう計算をさせることは可能である、こういうふうに理解していいですか。
#266
○窪田政府委員 それは、それぞれの業態の経営を見ていかなる金利が妥当かということを決め、三・五%と財投金利の差というものは一般会計から補給金として農林漁業金融公庫に交付しているわけでございます。したがいまして、その辺は今度は財政の問題になろうかと思います。
#267
○沢田委員 では、そういう原則はよろしい、こういうことでよろしいのですね。
 続いて、時間の関係がありますが、この間ソ連の原子力発電の事故があったときの、言うなら国民に対する――ソ連もその秘密主義を守っておったことは極めて遺憾だと思います。世界に影響を与えるわけですから、もっと率直にその予防措置が講ぜられるような時間を与えなければならなかったということも、これも原点にはあると思います。しかし、日本の中での報告は、大東亜戦争じゃないけれども、当然偏西風に乗って日本の方へ来るであろう、あのときは北欧三国の方に流れていたようであったけれども、偏西風に乗ってやがて日本の方へ来るということは必至の状況にあったと思われるのですが、科学技術庁としては、気象庁との関係もあるでしょうが、そういう予想は立てられなかったのかどうか、まずその点をお伺いしたいと思います。
#268
○千々谷説明員 お答えいたします。
 先般のソ連の原子力発電所事故に係ります我が国の放射能調査体制につきましては、事故の報に接しました翌日四月三十日、放射能対策本部の拡大代表幹事会を開きまして、これは気象庁、防衛庁、科学技術庁、その他関係省庁の幹事から成る会合でございますが、とりあえず放射能調査を強化するという申し合わせを行ったところでございます。
 さらに、この強化いたしました放射能調査網の測定の結果、五月三日の夜にソ連の発電所の事故の影響とおぼしき影響が見られましたので、直ちに五月四日に放射能対策本部の本部会議を開きまして、この決定において、関係省庁において広範かつ精密な放射能調査を行うことを決定したところでございます。
#269
○沢田委員 厚生省はどういうふうに対応しましたか。
#270
○横尾説明員 お答えいたします。
 本件につきましては、科技庁の招集によります幹事会に参画いたしますとともに、省内にも、生活衛生関係、公衆衛生関係、科学技術関係の連絡を密にする組織をつくったところでございます。
#271
○沢田委員 環境庁はどういう対応をしましたか。
#272
○伊藤説明員 私どもは大気汚染防止法に基づく業務を行っているということで、今回の事件に関しまして特段の監視体制をしいたという形にはなっておりません。
#273
○沢田委員 大臣、とにかく環境庁も厚生省も科学技術庁お任せで、その中に入ってやりました、これは大本営発表と同じなんです。
 これはパニックが起きる心配もありますから、配慮することは当然配慮しなければならぬという必要性は認めます。しかしながら、結果的に見ますと三日ぐらいおくれてきてから、水は飲むなあるいは野菜は洗って食べろ、こう言う。しかし、これはもう抜けないのですからね。普通のものなら大体出ちゃいますけれども、これは出ないのですから、そういう意味において、今までの発表は若干矮小化した発表であった、もう少し厳しい発表をしなければ、その被害というものは後に子々孫々に伝わるものなんですから、もう少しシビアなものでなければならなかったと私は思うのであります。
 東京もそうでありますけれども、利根川の水から荒川の水を伝わって流れている水道の水なんですから天水と変わりはないわけですが、それがそのまま平然と飲まれるような条件に置いておく。あるいは野菜にしてもそのとおりであります。市場に入ったものを点検したかといえばそうではない。そういうことを考えると、今度の死の灰と言われているものへの対応は極めて不適切であったと言わざるを得ないのです。
 それから、一つの発表というのはよくない。科学技術庁だけの発表というのはよくないので、環境庁も発表する機能を持つ、それから、厚生省は厚生省で人命にかかわるのですから、それを発表する義務を持つ、こういうふうに、予算が足りなかったらそのぐらいの予算はどこを削ったってあるのですから、そこへ回せばできるわけです。金がなくてできなかったとは言わせない。だから、それはやる気がなかったとしか言えないので、大臣、今後はそれぞれの職務部分に応じてそういう問題の場合に対応する、こういうことだけは確約をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#274
○千々谷説明員 お答えいたします。
 この放射能調査は科学技術庁だけがやっているものではございませんで、内閣に設けられました放射能対策本部、これは科学技術庁長官が本部長をやっておりますが、関係省庁の局長、事務次官、官房副長官等がメンバーになっております。この放射能調査を科学技術庁単独で行うということではございませんで、全国の都道府県の衛生研究所、それから気象庁、防衛庁、農林水産省、その他日本原子力研究所、動力炉・核燃料開発事業団等の協力を得まして日本国全般にわたる広範な放射能調査を行うものでございまして、その取りまとめを科学技術庁で行っているところでございます。
#275
○沢田委員 そこが問題なんです。だから、その取りまとめた結果、そのままがそれぞれの分野で報告されるということでなくて、取りまとめた結果、それが最大公約数になるかあるいはそれをどういうふうに処理するかは別として、そこで一本化されるところに危険性があるということを言っているわけであって、それぞれの場所で報告をさせるようにすべきだ。必ずしもあなたのやっているところを信用しないというのじゃないけれども、まあ半分信用しないのだけれども、とにかくそういうふうになりがちだ。だから、国民に納得してもらうためには、一つではなくて、二つなり三つの情報を総合して国民がみずから判断できる材料を与える義務がある、こういうことを述べているわけで、これ以上時間がこの問題ではとれませんので、これはひとつ要望しておきます。
 こういうのはちょいちょいあったらかなわないですから、またあるとは思いませんけれども、しかし、こういう場合、これが政治家の使命の一つだと私は思うのです。そのときにどう対応したかというのは、これは歴史的に問われることです。あと何十年かたってあのときの障害が出たといった場合、政府は必ず責任を負うのでしょう。このことによって堆積した結果白血病の子供ができたということになれば、政府は責任を負うのでしょう。負わないのですか。それだけでも最後に聞いておきます。負うのですか、負わないのですか。
#276
○井田説明員 放射能汚染が万々が一生じた場合でございますけれども、その場合の原因が我が国でなくて外国だということが非常に難しい問題でございまして、賠償措置ということになりますとこれは国内法では対応できないというのが現状でございまして、外交ルートに今後ゆだねるという話になるかと思うわけでございます。
#277
○沢田委員 だから、請求したりそういうことの権利を保有することは認める、こういうことでしょう。
#278
○井田説明員 ただ、これは因果関係というのがございますので、その因果関係をはっきりさせた上で措置をとるということになろうかと思いますが、そこのところをまずきちっとしなければならぬ、こういうことかと思います。
#279
○沢田委員 もちろんほかの理由で物を言っているわけではなくて、これが理由でということを前提にして物を言っているわけだが、日本国として請求する権利を当然保有しているということは断言できるのですねと言ったわけですから、お答えください。
#280
○井田説明員 この問題は外交上の問題ということになるわけでございます。私どもといたしましては、そういうお話がありましたら、外務省とよく協議して対応してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#281
○沢田委員 そんな答弁がありますか。それで死ぬ人は勝手に死になさいというような突っ放した答弁がありますか。冗談じゃないですよ。これはやはり請求するように、政府の公務員でしょう、公務員なら国民の利益のために、それが理由でなったのだという前提で物を言っているのですから、当然国の責任において、日本の国でするかあるいは相手の国に請求するか、そのことの是非は別として、ともかくその権利を保有しているということだけは明言して差し支えないのじゃないですか。
#282
○井田説明員 先ほども申しましたように、因果関係がはっきりすればそういうことはしなければいかぬ、こういうことだと思っております。
#283
○沢田委員 わかった。なるべく消そう消そうと――もっと国民の立場で考えてやりなさいよ、前提を言っているのだから。もちろんこれが理由であることが明確である、それが原因であることも明確である、その場合においてのその補償の請求権というものは当然持つのですね、こう言っているのに、なるべくしないようにしないようにと。金でももらっているのかと思いたくなる。
 時間がないですから次に、法務省においでをいただいておりますが、今度地方行政の方に警察の罰金などの値上げの法案が出されておりますが、それと、ここには弁護士の皆さんがたくさんおられますから、今の社会経済の中での価値、いわゆる刑罰の量刑と、こういう言葉で重さ質、そういうものはやはりだんだんと変わってきているのだろうと思うのです。昔の善必ずしも今日の善ではない、昔の悪必ずしも今日の悪ではない、こういうふうに価値判断というものがやはり変わってきておる。
 例えば私文書の偽造などを例にとれば、そういうものの罰金は十円、二十円、今、金額を高くしている状況ですね。法律の金額は十円とか二十円とか、それの五十倍にしてみたってその程度で、車の罰金は途端に何万円かになってしまうという価値を考えたときに、片っ方は計画的で、しかもそれを偽造して、そして経済犯罪は皆そういう形態。豊田事件にしても全部そうなんだ。そして国民の弱い心のところをつきながら悪いことをし、悪商法をやっておる。それの罰則の方がうんと低くなっていて、そして無過失に、過失を起こそうと思わないで起こした例えば自動車事故なんかの罰金とかの刑の方が重いということは納得できないことだ。片っ方は計画的に、だまそうとし、だます行為もし、やってきた者が軽くなって、そして片っ方は全然そういう故意ではない者が重くなる。
 これは一つの例を挙げたわけでありますけれども、量刑という問題がそろそろ検討されるべき段階に来たのではないか。近代国家の日本という要件の今日的な段階において、現法を変えろと言っているのではありません。要すれば、その経済的な価値、社会的な価値、あるいは知性、良識、そういうものも含めながらその中での量刑というものを均衡をとるべき必要性があるのではないか、あるいはバランスをとる方向に向かうべきではないか、こういうことを提言をしておきたいと思うのです。
 裁判所はいろいろなそれぞれの分野のケース・バイ・ケースで判断をされておりますから、それは間違っていないと思います。間違っていないかもしれぬけれども、全体的に見ると無過失の方が何か罪が重くなり、罰金が重くなり、計画的に犯罪をやった方が軽くなるというような不公平は我々は容認できないのでありまして、その点だけ検討をしていただけるかといってみても、大臣が来ているわけじゃありませんから、一応そういうことの認識があるかどうか。ないのならないてしょうがないのですけれども、とにかくお答えをいただいて、先に進めていきたいと思います。
#284
○米澤説明員 お答えいたします。
 まず先生が今おっしゃいましたような社会情勢の変化とそれから法定刑の関係をどういうふうに調整をしていくかということは非常に重要な問題でございまして、一例を挙げますと、これは古いことでございますが、昭和四十七年に刑法の関係でございますが罰金等臨時措置法を改正いたしまして、罰金刑を引き上げるということもやっておりますし、それから新しい類型の犯罪、例えば公害罪とかハイジャックあるいは人質強要等々の反社会的行為につきまして、新しく処罰する必要があるというものにつきましてはその都度新しい法律をつくってきておりまして、当然のことながら刑法だけでございませんで、各省がつくります行政罰則につきましても、日ごろから私ども法定刑とそれからその社会情勢の変化というものをあわせていくべく資料を収集し、かつ各省庁がつくります刑罰法規につきましても法定刑につき指導をしておるところでございます。したがいまして、一気かせいにはできませんけれども、大いに検討すべき必要のあることであるという御示唆は非常に大切なことだと考えております。
#285
○沢田委員 もうあと五分の間に二つ言わなくちゃならないのですが、一つは、先ほど述べた中曽根総理の発言は、委員長、ここでこれから採決に入ると思うのでありますけれども、特にこれは採決してしまってからでは国対等でもうどうにもならないし、死んだ人にカンフル注射をやったってどうにもならないのでありますが、一応委員長の責任において善処してもらうように理事会等で検討していただきたい。こういうことで、総理大臣来そうもなさそうで、大蔵委員会なめられてしまったという格好なんですが、そういうことの中でひとつ善処していただきたいと思います。
 次に、エネルギー庁来ておられますからあと簡単に聞いておきますが、二百四十六円のときから今日になって、電力、石油、こういうものの利益についてはどの程度になったか、その点、数字的に一応お示しいただきたい。
#286
○林説明員 お答えいたします。
 円高差益についての御質問かと思いますが、私ども、石油価格の下落と円高のメリットと両方合わせて、電力、ガス合わせましておおよそ一兆四千億とか五千億というようなオーダーではなかろうかと思っております。
#287
○沢田委員 あと一つですが、いわゆる円高によって還元は二十七品目だ、報道機関の資料で見ますとこういうふうになっていますが、若干ここでは時間ですから急いで言いますが、乗用車は三十三万七千円で入るものが六十一年では五百十五万円、ウイスキーは百三十五円で入ってくるものが二千七百五十円からということになる、それから万年筆やゴルフクラブなどは千八百五十円であるものが九万八千円である、女性が喜んで買っているけれどもハンドバックは原価五百九十円、売り値が四万三千円、こういう値段である。だから結果的には、円高になったとしても庶民にはちっとも安く行き渡っていない。このことの現実はまずお認めになるかどうか、それから改善する用意があるかどうか、そのことだけ、これは大臣答えてください。
#288
○竹下国務大臣 近ごろデパートへ行ってみますと、洋酒なんかのいわゆる円高差益還元というので一五%から二〇%ということのようでございます。
 なお、流通機構の問題でいろいろな問題がありますので、円高メリットが消費者に還元されるように、我が方は特に酒類でございますが、他のいわゆるブランド物等につきましてもそれぞれ行政指導をするということが決められておるやに考えております。
#289
○沢田委員 二分ありますが、それ以外に来ていただいた方々、これ以上言うと過ぎますので一応これでやめます。しかし、文部省等の資料は追って提出をしてください。それから経済企画庁等には、その前川レポートなるものが認知された段階における変更要素を聞いたわけでありますが、これは時間の関係で省略をいたしますが、後でこれはまたお伺いをしたいと思います。
 それから最後になりますが、先ほど述べた点について委員長から明快にお答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
 以上です。
#290
○小泉委員長 沢田委員の発言の趣旨につきましては、後刻理事会で検討いたします。
 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#291
○小泉委員長 この際、本案に対し、堀之内久男君外三名から、自由民主党・新自由国民連合の提案による修正案が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。笹山登生君。
    ―――――――――――――
 昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保
  を図るための特別措置に関する法律案に対す
  る修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#292
○笹山委員 ただいま議題となりました昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案に対する修正案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、この法律の施行期日は、原案では「昭和六十一年四月一日」と定められておりますが、既にその期日を経過しておりますので、これを「公布の日」に改めることにするものであります。
 以上が本修正案の提案の趣旨及びその内容であります。
 何とぞ、御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#293
○小泉委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#294
○小泉委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。自見庄三郎君。
#295
○自見委員 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表し、昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案及び同法律案に対する修正案に賛成の意見を述べるものであります。
 本法律案は、先般成立いたしました六十一年度予算とまさに表裏一体をなす重要な財源確保に関する法律案でありまして、六十一年度予算の円滑な執行を期するためにその早期成立がぜひとも必要なものであります。
 すなわち、第一に特例公債の発行であります。
 六十一年度予算におきましては、既存の制度、施策の質的改革を一層推進するなど徹底した歳出の節減、合理化を行った結果、一般歳出の規模は前年度に比べ十二億円の減と、五十八年度以降四年連続の対前年度減額を達成いたしております。
 他方、税制については、その抜本的な見直しとの関連に留意しつつも、税負担の公平化、適正化を推進するとともに税外収入の確保を図るなど、歳出歳入両面にわたる厳しい見直し等の政府の努力にもかかわらずなお財源が不足するため、五兆二千四百六十億円の特例公債の発行を予定するに至っておりますが、財源確保のためには必要かつやむを得ない措置と考えるものであります。
 第二に、国債費定率繰り入れ等の停止であります。
 基本的には現行の減債制度の仕組みを維持することが適当と考えますが、財政状況等によって一時これを停止するなどの措置をとることもいたし方のないところであります。これにより、さらに特例公債が増発されることを回避し、特例公債依存体質の早期脱却を目指す施策に寄与することとなるのであり、これもまた適正なものと考えます。
 なお、別途、六十一年度予算においては、国債整理基金の残高等を考慮して四千百億円の予算繰り入れを行うこととし、公債の償還に支障を来すことのないよう万全の措置を講じているところであります。
 第三に、政府管掌健康保険事業に係る繰り入れの特例であります。
 現下の極めて厳しい財政事情にかんがみれば、このような会計間の財源調整により一般会計の負担軽減を図ることもやむを得ないものであります。
 なお、本特例措置につきましては、後日、健康勘定の収支状況によっては減額分に相当する金額を繰り戻す等の適切な措置を講ずることとしており、政管健保の適切な事業運営が確保されるよう配慮されているのであります。
 以上、本法律案に盛り込まれている各措置は、いずれも六十一年度の財政運営にとって必要な財源を確保するためのものでありまして、現在の財政事情のもとで、国民生活と国民経済の安定に資するための措置として必要不可欠なものであると考える次第であります。
 また修正案は、事の性質上当然の措置であります。
 最後に、私は、政府が引き続き行財政改革を一層推進し、我が国経済の着実な発展と国民生活の安定、向上を図るため、財政の対応力を一日も早く回復されるよう努力されんことを切に希望いたしまして、本法律案及び修正案に対する賛成討論を終わります。(拍手)
#296
○小泉委員長 沢田広君。
#297
○沢田委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となっておりますいわゆる財確法に対し、反対の立場から討論を行います。
 今や赤字国債も百四十三兆、国民一世帯当たり五百三十万にもなり、国民個人の預金額を上回るまでに至っており、これからもさらに累増の一途をたどり、十年後は二百兆円にも達する状況であります。いつの日かこの借金は国民に押しつけられることとなり、その責任はまさに今日までの自民党政権にあることは論をまたないところであります。
 特例公債は何ら耐久資産を残すものではなく、財政法でかたく束縛されている趣旨にも反するわけであり、本来あるべきものではないことを明らかにされております。借換債、定率繰り入れ等の空文化もしかりであります。赤字の不感症になり、漫然と赤字が続けられていることは許されることではありません。特にこれらの法案審議の最中、建設国債であっても補正を考えているかのごとき発言は、国会軽視であり、法案を撤去すべきものであります。断じて許せる発言ではありません。不謹慎と言わざるを得ないものであります。
 諸行無常との感想も述べられましたが、今回のサミットにおける諸行動、いわゆる前川レポートなど、与党にすら相談もなく、野党にはもちろんのこと、レーガンに約束してくるということは、まさにおごれる者以外の何物でもありません。おごれる者久しからずと言われております。強く注意を喚起するものであります。
 今回のサミットにおいても、円高問題には何らの前進も見られず、みずから従来の公約に反する国債発行を口にするに至ったのであります。中曽根政治の公約が崩れたことにもなるわけであります。
 一方、急激な円高によって輸出関連業者は泣いても涙も出ない窮状に追い込まれているとも言えます。あなたは四月に対外経済摩擦策を講じましたが、薬石効なく今日に至ったのはまさに失政の最たるものであります。
 金利の引き下げもアメリカのドル対策のみであり、結果的には何らの効果も示さず、今後国債発行にも大きな影響を与えるものと言わざるを得ません。西ドイツは金利の引き下げも行わず、みずから独自の道を歩んでおります。ロン・ヤスと言われるレーガン追随外交がいかに甘いものであったかを証明するものであります。
 惜換債を行うのも一つの節目であり、何としても排除し、安易に流れる結果を食いとめるべきではなかったのか。恐らく反省もしているものと思います。
 変動的要素の多い今日の世界情勢であり、多数国民の利益を配慮しつつ、この法の示すように借金の支払いに借金を行うという愚を速やかに脱することが求められているものと存じます。
 平家物語の一節を述べ、討論といたします。おごれる者久しからず、風の前のちりに同じ。速やかなる政治の流れを変じるものと信じ、その力が大きくなることを信じながら、この討論とかえる次第であります。
 終わります。(拍手)
#298
○小泉委員長 古川雅司君。
#299
○古川委員 私は公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっております昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案及びただいま提案された修正案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。
 本法律案に反対する理由の第一は、昨年度までと同様に、本法律案の特別措置によって政府の掲げる財政再建の展望に何ら好転する材料を与え得ないからであります。
 すなわち、既に指摘されているとおり「増税なき財政再建」及び昭和六十五年度赤字国債脱却の政府公約は、事実上完全に破綻いたしております。しかし、政府はこの失政をかたくなに認めようとせず、いたずらに財政のつじつま合わせに終始しているのみであり、我が国の最重要課題の一つである財政再建を一層困難にしていると言わざるを得ないのであります。
 本法律案の問題点については、昭和六十年度における本特別措置から大きな進展はなく、一つには、一昨年赤字国債の借りかえのための立法措置を強行して以来、政府に赤字国債の借りかえを抑制するための努力は依然として極めて少ないことであり、我が党が主張してきた新しい財政再建の目標、政府短期証券市場の創設など、国債管理政策の整備、国債残高減少への取り組みなどについて政府の努力の結果が見られないことであり、二つには、五十七年度より五年連続して国債費定率繰り入れ等の停止措置を講ずることは、いよいよ国債償還財源が底をつき、赤字国債の借りかえを繰り返すという異常事態を招くことになっております。政府は、最近四年間の予算編成では、最初は定率繰り入れを行うことを前提とし、歳入不足による財政難を強調することにより、国民に対しては減税の見送りや福祉、文教予算への切り込み削減を余儀なきものとし、編成途中で定率繰り入れを停止するつじつま合わせを繰り返しております。政府のこうした対応は、国民の不安と不満を助長するものであり、認めがたいものであります。
 反対する理由の第二は、世界的経済不況と不安定の中で、我が国の円高差損に伴う深刻な不況に対し苦境にあえぐ中小企業等に対して、本法律案の審議の過程でその対策について的確な方途が示されていないことであります。
 殊に、今回の東京サミットにおいて先進諸国の十分な理解と協力が得られなかったことは、今後の円高不安をさらに深刻なものとし、我が国の産業に決定的な打撃を与えることになることは明らかであります。これは関連企業にとどまらず、市民生活全般にわたって厳しい生活苦を強いることになり、これは減税見送りや税外負担の過重などにより国民の負担が急増し、大型間接税の導入の不安が見え隠れする中で、国民生活は危機的様相に転じつつあることを強く訴えるものであります。
 政府が財政再建に対し直ちにその失政を認め、新しい「増税なき財政再建」の目標を示し、速やかな所得税減税等の実施によって国民生活の安定を図るよう要求して、私の討論を終わります。(拍手)
#300
○小泉委員長 玉置一弥君。
#301
○玉置(一)委員 私は、民社党・国民連合を代表し、ただいま議題となっております昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案及び同修正案に対し、反対の討論を行います。
 現在、我が国経済は、円高による景気減速への対応、対外経済摩擦の解消、「増税なき財政再建」の達成という三つの大きな課題を抱えています。これら三つの課題のすべての解決のためには、内容の乏しい民活にのみ依存した従来の経済運営を転換しなければなりません。すなわち、政府によるこれまでの縮小均衡型経済運営を速やかに拡大均衡型へと転換し、所得減税の実施、公共事業の拡充、赤字国債脱却に対する弾力的対応などの積極財政政策を推進することが必要です。
 政府がこれまで行ってきた財政の果たすべき景気調整機能を無視した財政運営、すなわち、単純、一律的な歳出削減、機械的かつ硬直的な国債減額、政府公約に反する増税の連続などは、我が国経済の適正成長を妨げ、税収伸び率の鈍化による財政の一層の悪化を招いてきました。
 今日の経済情勢のもとにおいては、行財政改革を推進しつつ、赤字国債脱却の期間を延長し、財政の景気調整機能を生かした積極財政政策を推進することによって適正成長を実現し、もって大幅な税の自然増収の確保を図っていくことが中期的には財政再建への早道なのであります。
 しかるに、政府が六十一年度においても大幅な所得減税、投資減税の見送り、法人課税の強化、一般会計公共事業費の抑制など、円高不況の克服と内需の拡大を阻害する対応をとり、縮小均衡型経済運営をなおも踏襲していることは極めて遺憾であります。
 本法案は、政府のこのような誤れる経済運営、財政政策の裏づけとなるものであり、我が党の到底容認できるところではありません。
 また、政府が、本法案において臨調答申の指摘に反する厚生年金等の国庫負担の一部繰り延べ、国債費の定率繰り入れ等の停止などの財政技術的操作による表面的な歳出抑制を行っていることも看過することができません。このような一時的な、いわば緊急避難的な措置は、財政体質改善の見地からは何の意味もないばかりか、むしろ財政の実態を国民の目から覆い隠すという意味で極めて問題であり、到底容認できません。制度の根本的改革につながらない実質的な赤字国債の発行は今後行わず、既往の措置は早急に解消するよう政府に強く求めます。
 以上をもちまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
#302
○小泉委員長 正森成二君。
#303
○正森委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案及び同修正案に対し、反対の討論を行います。
 反対する第一の理由は、政府みずからが引き起こした深刻な財政破綻について反省せず、国民にそのツケを回そうとしているからであります。
 今日の深刻な財政危機は、石油ショック後の内需拡大を旗印に、大量国債発行による膨大な大企業本位の公共投資などを強行し続けてきた政府・自民党と財界にこそ、まずその責任が帰さるべきでありました。ところが、この数年間、政府・自民党が財政再建を図るとして進めてきた諸施策は、国民犠牲の臨調路線の実行であり、その結果、我が国財政は国債費が一般会計予算の二割台を初めて突破し、新規財源債よりも国債費が上回るというサラ金財政の新たな段階に突入し、再建どころかまさに破綻のきわみに達しております。六十五年度赤字国債脱却との再建目標も、自民党の宮澤総務会長でさえ、実体がないに等しいと言わしめるほどではありませんか。
 本法案は、このような破綻を招いたみずからの責任は棚上げし、そのしわ寄せを、国民の財産の食いつぶしやいずれ国民負担になる赤字国債の引き続く大量発行や借りかえなど、専ら国民に肩がわりさせ乗り切ろうとするもので、到底容認できません。
 第二の理由は、本法案が、軍拡と大企業奉仕を貫く国民犠牲の反国民的な六十一年度予算の財源対策であるからです。
 六十一年度政府予算は、老人医療再改悪を皮切りとする福祉破壊の第二ラウンドへの突入、一年限りの約束をほごにした国庫補助金カットの拡大、延長など、国民生活関連予算がかつてなく冷遇された反面、歯どめなき大軍拡の推進、内需拡大、民活の名による新たな大企業関連支出の優遇など、これらの予算は大幅に伸ばされております。かかる反国民的な予算、施策のための財源確保策には賛成できないのであります。
 反対の第三の理由は、国民本位の財政再建の方途に背を向け、当面を糊塗する安易な財源確保策であり、今後の財政危機を一層深めるからであります。
 まず、五兆二千四百六十億円もの赤字国債の増発は、財政危機を深刻化させる根本原因であります。さらに赤字国債の借りかえは、元金償還を先送りして当面の負担を軽減するものの、国債残高の累増と利払い費の急増をもたらし、財政危機を孫子の代まで永続化させるものにほかなりません。こうして、膨大な国債費が予算を先取りし、財政硬直化を強め、これが福祉切り捨てと大型間接税導入など、国民大増税へのてことなることは必至であります。
 五年連続の国債費定率繰り入れの停止は、国債整理基金の枯渇を早め、基金本来の役割を果たせないばかりか、減債制度の存在を掘り崩すに等しいものです。今回の四千百億円の予算繰り入れに見られるように、基金の資金繰りは今後まさに綱渡り状況を迫られるでありましょう。
 また、昨年度一年限りの特例との約束をほごにし、昨年を上回る政管健保への国庫補助千三百億円もの削減を行う措置は余りにも不当であります。健保財政の黒字は、本人一割負担の導入など健保大改悪による受診率激減と患者負担増によってもたらされた財政効果にほかなりません。直ちに本人十割給付を復活すべきです。健保改悪の責任を棚に上げ、黒字が出たからといってそれを安易に国庫に召し上げるやり方は、改悪の屋上屋を重ねるもので、国民を納得させるにはほど遠いものであり、断じて認めることはできません。
 以上で私の反対討論を終わります。(拍手)
#304
○小泉委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#305
○小泉委員長 これより昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案について採決に入ります。
 まず、堀之内久男君外三名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#306
○小泉委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決された修正部分を除く原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#307
○小泉委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#308
○小泉委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、中村正三郎君外三名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。野口幸一君。
#309
○野口委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、案文を朗読いたします。
    昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、次の事項について十分配慮すべきである。
 一 今回のサミットでの議論等を踏まえ、為替相場の我が国経済に与える影響等が極めて大きいことに配慮し、今後、為替相場の安定等に一層努め、国内産業、国民生活の充実を図ること。
 一 特例公債が累増する財政構造の現実を直視し、徹底した歳入歳出構造の見直しを行い、特例公債発行額についてできる限り縮減を図るとともに、借換債を含めた総公債発行額をできるだけ抑制すること。
 一 急速な円高に伴い苦境にある中小企業等に対し、適確な指導を早急に行うこと。
 一 現下の内外経済情勢にかんがみ、均衡と調和のあるインフレなき経済発展を図るため、引き続き、適切かつ機動的な財政・金融政策の運営を行うこと。
 一 財政再建の基本的考え方と税制改革の全体的方向を明確にし、もって国民の理解と協力を確保できるよう努めること。
 一 財投資金については、今日的経済情勢に対応した運用を図ること。
 一 税外の臨時的な財源に安易に依存することなく、財政構造の在り方についても抜本的な検討を行うこと。
 一 内部監査機能を充実し、効果的、能率的かつ無駄のない行政の実現に努めること。
以上であります。
 よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#310
○小泉委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#311
○小泉委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。竹下大蔵大臣。
#312
○竹下国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#313
○小泉委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#314
○小泉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#315
○小泉委員長 次に、内閣提出、有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律案及び預金保険法及び準備預金制度に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 順次趣旨の説明を求めます。竹下大蔵大臣。
    ―――――――――――――
 有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法
  律案
 預金保険法及び準備預金制度に関する法律の一
  部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#316
○竹下国務大臣 ただいま議題となりました有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律案及び預金保険法及び準備預金制度に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 まず、有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
 近年、我が国におきましては、金融資産の増大、金融の自由化・国際化の進展等の状況のもとで効率的な資産運用を図る観点から、国民の有価証券に係る投資顧問業へのニーズが急速に高まってきております。しかしながら、他方では、悪質な投資顧問業者による投資者被害の問題も生じてきているのが実情であります。
 このような状況を踏まえ、有価証券に係る投資顧問業に関し投資者の保護を図るため、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、投資顧問業を営もうとする者に対して大蔵大臣への登録を義務づけるとともに、営業保証金の供託、帳簿の作成、記録の保存等の義務に関する規定及び立入検査、登録取り消し等の監督に関する規定を設けることとしております。
 第二に、顧客に対する融資、顧客にかわっての有価証券の売買や金銭等の預かりといった行為を通じて投資者被害が生じている実情にかんがみ、投資顧問業に関し、これらの行為を禁止するための規定を設けるとともに、広告規制、契約締結に際しての一定の事項の開示義務、いわゆるクーリングオフ制度の導入等に関する規定を設けることとしております。
 第三に、投資一任契約に係る業務につきましては、顧客の財産に直接関与する業務である点等にかんがみ、登録を受けた投資顧問業者のうち一定の要件を満たすものに対して認可を行う旨の規定等を設けることとしております。
 第四に、証券投資顧問業協会についての規定を設けることとしております。
 次に、預金保険法及び準備預金制度に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 金融自由化は、我が国経済の効率化と発展に資するものであると同時に、我が国が世界経済の発展に貢献していく上で有意義なものであります。
 他方、このような金融自由化を進めるに際しては、信用秩序に混乱を来さないようにするための方策を整備する等、金融自由化の環境整備を図っていく必要があります。
 このような観点から、金融機関の経営危機に対応するための預金保険制度の拡充を図るとともに、金融政策を効果的に運営するために準備預金制度を整備することとし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、預金保険法の改正について申し上げます。
 第一に、経営が破綻した金融機関を対象とした合併等で大蔵大臣の適格性の認定またはあっせんを受けたものについて、預金保険機構が貸し付け、不良資産の買い取り等の資金援助を行うことができることとしております。
 第二に、預金の払い戻しの停止等の保険事故が発生した場合に、本格的な保険手続が開始されるまでの間に一定金額までを仮払いする制度を導入することとしております。
 第三に、労働金庫を預金保険制度の対象とすることとしております。
 以上のほか、所要の措置を講ずることとしております。
 次に、準備預金制度に関する法律の改正について申し上げます。
 準備預金制度につきましては、超過累進準備率を導入することとし、準備預金に係る指定勘定の残高に金額による区分を設け、その指定勘定区分額ごとに異なった準備率を定めることができることとしております。
 以上が、有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律案及び預金保険法及び準備預金制度に関する法律の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#317
○小泉委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#318
○小泉委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律案審査のため、来る九日、参考人として社団法人日本証券業協会会長千野宜時君、野村投資顧問株式会社代表取締役社長相田雪雄君及びフィディリティ・ジャパン株式会社代表取締役社長蔵元康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#319
○小泉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次回は、来る九日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後八時三十一分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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