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1985/04/15 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 法務委員会 第6号
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1985/04/15 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 法務委員会 第6号

#1
第104回国会 法務委員会 第6号
昭和六十一年四月十五日(火曜日)
    午前十時十二分開議
出席委員
  委員長 福家 俊一君
   理事 上村千一郎君 理事 太田 誠一君
   理事 村上 茂利君 理事 天野  等君
   理事 松浦 利尚君 理事 岡本 富夫君
   理事 横手 文雄君
      井出一太郎君    衛藤征士郎君
      木部 佳昭君    高村 正彦君
      小澤 克介君    中村  巖君
      橋本 文彦君    柴田 睦夫君
出席国務大臣
        法 務 大 臣 鈴木 省吾君
 出席政府委員
        法務大臣官房長 根來 泰周君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 井嶋 一友君
 委員外の出席者
        法務大臣官房司
        法法制調査部参 但木 敬一君
        事官
        通商産業省産業
        政策局国際企業 川口 順子君
        課長
        特許庁総務部工
        業所有権制度改 山本 庸幸君
        正審議室長
        最高裁判所事務
        総局総務局長  山口  繁君
        法務委員会調査
        室長      末永 秀夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十四日
 辞任         補欠選任
  安倍 基雄君     伊藤 英成君
同日
 辞任         補欠選任
  伊藤 英成君     安倍 基雄君
    ―――――――――――――
四月十四日
 法務局、更生保護官署及び入国管理官署の増員
 に関する請願(日野市朗君紹介)(第三一八五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特
 別措置法案(内閣提出第八一号)
     ――――◇―――――
#2
○福家委員長 これより会議を開きます。
 お諮りいたします。
 本日、最高裁判所山口総務局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○福家委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
#4
○福家委員長 内閣提出、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本文彦君。
#5
○橋本(文)委員 最初に大臣にお尋ねいたしますが、この法案の提案理由の中では、いわゆる非関税障壁とかあるいは海外の貿易摩擦という問題が一言もないわけなんですよ。それで、国際的な需要が高まったというような感覚でもってこの法案を提出されたのですが、大臣、率直に言って、貿易摩擦といわゆる国際化時代、この外国弁護士受け入れ体制の問題をまずどのようにとらえておりますか。
#6
○鈴木国務大臣 法案提出に至るまでの過程におきまして、動機としては貿易摩擦から、アメリカ等からの要請がありましたけれども、実はそれ以前からアメリカの弁護士なりあるいはECからも要望がございました。こういった国際環境の中において確かに諸外国との交流も多くなってまいりまして、また外国法の法律面の活動も要請されておりましたので、そういう点から実は貿易摩擦という点だけでなくて、全般のそういう趨勢を眺めまして、日本の法律、司法全体の問題の一環といたしましてこの問題をとらえて、しかし御案内のように弁護士として受け入れる場合には日本の弁護士の行動の自治権を持っておるわけでございますから、日弁連等と十分連絡をとりまして、本法案を取りまとめ提案をいたしたような次第でございますので、貿易摩擦、貿易面だけの観点でないというようなことで、実は提案の中でもそれがあるいは希薄になっていたかとも考えます。
#7
○橋本(文)委員 これは昭和四十七年に、まずフランスの方からいわゆるコンセイユ・ジュリディリクという、アボカという弁護士がありますけれども、それに対していわゆる法律補助職という形で外国の弁護士を受け入れた、今まで放任だったものが枠を決めた。これによってアメリカのニューヨーク州でもいわゆるニューヨーク・ルールというものもつくられた。同時に、直ちに日本にもこういうような外国弁護士を受け入れる制度をつくるべきだという案がありまして、その後入国査証問題やらあるいは弁護士法七十二条をめぐっての論議がありまして、いろいろとその問題がありましたけれども、今大臣お話しされたように、いわゆる貿易摩擦の問題から急速にこの問題が法案という形になってきたわけなんですが、問題は、ただ外国法弁護士を受け入れるという問題以前に、日本の法曹全般の問題、もっと細かく言えば現在の弁護士像は一体何なのか、将来弁護士は一体どうなるのか、日本の社会において弁護士というのはどういうふうに受けとめられているのか、そういうようなことを十分認識した上で、海外の弁護士が入ってきた場合に日本のいわゆる法的サービスというものがどのように変容するのか、ひいては日本の社会情勢がどのような影響を受けてくるのかとか、そういう問題が余り論議されないままにただ単に受け入れていってしまうというような感じで、ちょっと論議が少ないのじゃないかと思うのです。特に今回の問題では、いわゆる渉外弁護士の問題が一番影響を受けると思われるのですけれども、この辺に関しては企業を抱えている通産省はどういうような見解をお持ちなのか。大臣、通産省とは協議したことがございますか。
#8
○井嶋政府委員 ただいま委員御指摘のように、昭和四十七年あるいは四十九年、そのころからこの問題が国際的な弁護士の交流の問題というような形で取り上げられたということは御指摘のとおりでございまして、委員も御承知だと思いますけれども、その当時からこの問題は弁護士同士の問題であるということで、具体的にはニューヨークの弁護士会あるいはアメリカの法曹協会、ABAと申しますが、ABAと日弁運との話し合いといったものが基本になって物事が進展してまいったわけでございまして、その間に御承知のとおり昭和五十七年から貿易摩擦の問題ということで政府間レベルの話に持ち上がってきたという経過があるわけでございます。
 先ほど我が国の弁護士の現在のあり方あるいは将来の見通しといったようなものについての議論が必ずしも十分でないというような御指摘がございましたけれども、実はそういったことで昭和四十九年以降十年以上たっておるわけでありますけれども、その間に弁護士会内におきますさまざまな議論、さまざまなレベルにおける協議が行われまして今日を迎えておるわけでございます。その間私どもは、昭和五十七年以来政府間レベルの話になりましたけれども、大臣も先ほど御答弁申し上げましたとおり、日弁連の自主的な意見の形成といったものを尊重するという態度を終始一貫とりまして、これに対応してまいったわけでございます。
 そういった意味で、今通産省との協議というようなことを御指摘ございましたけれども、私どもは、貿易摩擦の観点から提起された問題ではあるけれども、司法制度の問題として受けとめ、弁護士制度の枠内における処理が必要であるという観点から日弁連の自主性を尊重する立場をとってきたわけでございますので、そういった意味では全く日弁連が中心になって、日弁連自体の意思の形成といったものを尊重するということでやってまいったわけでございます。
#9
○橋本(文)委員 そうすると、官房の司法法制調査部としては通産省とは協議はしていないということでございますか。
#10
○井嶋政府委員 そういうわけで非常に長い間の経過がございますので、あるどこかの時点であるいはそういう話し合いがあったかどうかわかりませんが、私自身少なくともそういった協議があったということは承知いたしておりません。先ほど申しましたように、日弁連の意思の形成といったものを中心に据えてまいったわけでございます。
#11
○橋本(文)委員 通産省が見えておりますのでお尋ねしたいのですが、昭和五十八年六月十五日の日本経済新聞に、海外に進出している日本企業がいろいろな法制の違いからトラブルを起こします、そのために海外で訴訟を提起されて大変な苦況に陥る場合が多いということがございました。IBMの関係でありましたですね。そこで、海外に進出している我が国の企業を守るという意向で海外企業法務情報センター、こういうものを設けることになったという新聞報道がなされたのですが、この辺の経緯それから現状を述べてください。
#12
○川口説明員 昭和五十八年に新聞で海外企業法務情報センター構想が報道されたということは承知いたしておりますが、その後の進捗につきましては何ら情報を持っておりません。
#13
○橋本(文)委員 重ねてお尋ねいたしますけれども、こういう海外に進出している企業がいわゆる法律問題で大変苦慮しているという現実をまず踏まえて、我が国の企業がいわゆる外国法に関する法的なサービスがどの程度欠如しているか、そういう実態を調べたことはあるのですか。
#14
○川口説明員 以前のことは存じませんが、最近二年間のことで申し上げますと、数字あるいはクエスチョネア、アンケート調査等のやり方で海外の企業がどのようなあるいはどの程度の訴訟事件に巻き込まれているかということを調査いたしたことはございません。ただ、一般論として申しますと、日本の企業の海外直接投資も近年大変にふえてきておりまして、例えば大蔵省の届け出の統計によりますと、昭和五十九年度末で累計ベースで七百十四億ドルということになっております。進出をしている企業も必ずしも大企業ばかりではございませんで、中小企業も多々ございます。また、進出の形態も業種からいきましてもさまざまでございます。したがいまして、一般論からいえば、日本の企業が海外に進出するに当たりまして必ずしも法律関係の情報を十分に持たないままに進出をするケースもあろうかと存じます。
#15
○橋本(文)委員 通産省にはちょっと酷かもしれませんけれども、今回の法律は、いわゆる海外の弁護士が日本に来て日本で事務所を開設して、強いて言えば日本に進出している海外企業のための法的サービスを行うという点に主眼があるわけなんですけれども、逆に通産省の政策局として、我が国の企業が海外に進出しているその企業側の方で、日本の弁護士が海外に来て、そしてアメリカならアメリカ、フランスならフランスでもって法律事務所を開設してその企業の権利擁護、利益擁護のために働いてもらいたいというような声はありましたか。
#16
○川口説明員 先ほど御説明申し上げましたように、はっきりしたアンケート調査等の形で企業の情報を入手するということはやっていないわけでございますけれども、一般論として申し上げますと、投資の交流は、日本の企業が外国に直接投資をするという方からいきましても、また逆の外国の企業が日本に進出をしてくるという側面から申しましても非常に盛んになってきております。投資交流を一層促進するためには広い意味での情報の交流あるいは情報を把握しているということが非常に重要かと存じます。したがいまして、そのようなことが可能になるということは今後の投資交流の促進のためには非常に役立つのではなかろうかというふうに思います。
#17
○橋本(文)委員 質問は、具体的に企業から日本の弁護士が海外に事務所を開いてもらいたいという声があるかどうか、現在あるのかという質問なんですが、現在ではそういう声は現実にないのですね。
#18
○川口説明員 具体的な形で私どもが、日本の企業のうちどれぐらいの比率の企業がそういうことを望んでいるかというようなことを調査いたしたことはございませんけれども、いろいろな情報の入手をしたいということは特に中小企業を中心に聞いております。
#19
○橋本(文)委員 私どもが知っている日本の渉外弁護士と言われる方々、彼らに聞いてみましても、まず海外に進出して事務所を開設する気は毛頭ないという声が非常に多いのです。この法律でも相互主義という問題でお互いに交流ということを考えておりますけれども、現実的には現段階ではそういう声はまずない。だから、これは一方的に、海外から日本に来る、日本に進出している企業のための擁護、この色彩が非常に強いように思われるのです。この五十八年六月十五日の日経新聞によりますと、とにかく海外の企業、特にアメリカの場合には何しろ大変訴訟攻勢をしてくる、何でもかんでも裁判に持ち込んでくるということをやっておる。それに対して日本企業はただただおろおろしているだけであるというのが実情のようだという内容を踏まえております。
 そういうわけで今質問したわけなんですけれども、そういう状況を踏まえて少なくとも通産省の政策局が海外企業法務情報センターをつくろうという動きがあったというのは間違いない。しかし、それがなぜ急に立ち消えてしまったのかという問題と、それから現在この外国弁護士法の制定、それで相互主義がとられて日本でもニューヨークなんかには行けるわけですから、その辺の関連で通産省はどのようにお考えですか、最後にこれはお尋ねいたします。
#20
○川口説明員 構想について新聞に報道されたということは承知いたしておりますけれども、その後の動きについては全く何も情報を持っておりませんので、どういう意図でその検討がなされたか、あるいはそれがどういう理由で検討がなされなくなったかということについても情報は持っておりません。
 それから、投資交流というのは非常に重要なことだというふうに存じますけれども、投資交流の促進には法務情報も含めた情報の交流というのは非常に重要な要素であると思いますので、そういったことが可能になるようなことというのは非常に結構なことだというふうに存じます。
#21
○橋本(文)委員 通産省にお願いしたいのですけれども、仮にこういう海外企業法務情報センターをつくるにしても、これはあくまでも専門家が関与するような構想ではないようなんですね、ただ単に一般論で情報センターというものをつくろうと。弁護士の場合には、必ず責任をとらざるを得ない。失敗すれば損害賠償という大きな責務も生じてくる。そういう意味で真剣に対処しなければならぬわけですけれども、その辺のことを踏まえて、ただ単にリップサービス的な法務情報センターだけでは意味がない、このように思います。
 それから、とにかくこの問題は、通産省としては、企業の意見が十分反映しなければ、この法律そのものも機能しないし、ひいては一方的に我が国だけが外国の弁護士を受け入れることになりかねない。そういう点で、その辺のことをよくお考えいただきたいと思います。
 それから、今度は技術的な問題なんですけれども、従来も我が国で外国弁護士を受け入れる制度がございました。大臣も御承知と思いますけれども、昭和八年の弁護士法改正で非弁活動が禁止されたわけなんですが、そのときに、相互保証があるときには司法大臣の認可で外国弁護士が日本で弁護活動ができると、これは司法大臣という表現があるのです。それから、昭和二十四年の現行弁護士法がありまして、このときも第七条で、今度は最高裁判所の承認があるとやはり弁護活動ができるというなにかあるのですね。前は司法大臣、今度は最高裁判所。昭和四十六年に沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律ができまして、ここでもその六十五条では、沖縄の外国弁護士は最高裁の承認によってやはり弁護活動ができるという。今回の本法案では法務大臣の認可を受けてというように、司法大臣、最高裁判所、最高裁判所、それから法務大臣と承認の流れが変わってきたわけですが、これはどういう意味があるのか、それぞれお答え願いたいと思います。
#22
○井嶋政府委員 委員ただいま御指摘のような経過が過去にあったわけでございますが、まず、昭和八年、いわゆる旧弁護士法と申しております時代には、ただいま御指摘のように、外国の弁護士資格を有している者は司法大臣の認可を受けて外国人または外国法に関し弁護士と同様の事務ができるという規定があったわけでございますが、これはまさしく規定上司法大臣の認可に係らしめておるわけでございます。
 この当時の弁護士法は、旧弁護士法でございますが、御案内のとおり我が国の弁護士自体の監督も司法大臣が所管をしておったわけでございまして、そういった意味で、当時、我が国の弁護士と同様、外国の弁護士に対する認可あるいは監督といったものも司法大臣が行うという制度になっておったものであろうというふうに考えます。
 ところで、昭和二十四年に新法になりまして、ただいま御指摘のように外国弁護士制度がやはりその七条におきまして設けられたわけでございますけれども、これは、ただいま委員御指摘のとおり、最高裁判所がその承認あるいは取り消しをする、監督も最高裁判所が行うという形になっておるわけでございます。
 この規定を子細に見ますと、このときには最高裁判所の権限に属さしめておりますけれども、やはりその承認をするにつきましては日弁連の意見を聴くという制度が既にそこにございます。それから、御案内のようにこのときの外国弁護士の資格の承認は、最高裁判所が行います試験あるいは選考によって行うという規定もあるわけでございます。そしてまた、当時それによって認められました外国の弁護士の職務と申しますのは、これは一項と二項というふうに細かく申し上げれば分かれるわけでございますけれども、総じて申し上げれば、日本の弁護士とほとんど同様法廷活動もできるというようなところがあったわけでございます。
 そういった状況を総合して考えますと、当時確かに新法によりまして弁護士自治というものが確立したわけでございますけれども、外国弁護士の資格者を受け入れるかどうかという判断は、やはり試験、選考を行うというような観点あるいは法廷活動が行えるというような観点、そういったものから最高裁判所の承認に係らしめたものではないだろうかというふうに考えるわけでございます。
 さらに、沖縄の復帰に伴いまして、当時沖縄で資格を持っておりました外国弁護士を沖縄外国弁護士資格者として受け入れたわけでございますが、これもただいまの昭和二十四年の法律と同じメカニズムで承認をすることになっておるわけでございまして、この理由も先ほど申したと同じではないだろうかというふうに思うわけでございます。
 ところで、今回提案いたしております外国法事務弁護士の受け入れの制度は、御指摘のとおり法務大臣がその資格を承認し、あるいは取り消しをするという制度になっておりますが、その承認あるいは取り消しをするにつきましては日弁連の意見を聴くというところは、今の弁護士法の七条と同じ考え方でできております。ただ、最も根本的に違いますところは、今回の外国法事務弁護士は法廷活動ができません。法廷活動ができないということは、すなわち裁判所とのかかわり合いは一切出てこないという意味合いになろうかと思いますけれども、さらに、試験、選考を行いません。そういった意味で、昭和二十四年にできました七条、これは廃止されておりますけれども、旧七条の考え方とは根本的に違っておるわけでございます。
 では今回なぜ法務大臣の承認に係らしめたかということでございますけれども、結局この外国法事務弁護士は我が国の弁護士と同質性を持ち、弁護士と同様の法律サービスを行うということが基本にあるわけでございますから、そういった意味でこの特別措置法におきましては弁護士と同様の規律をするということを目的として掲げておるわけでございます。
 そこで、我が国の弁護士は、御案内のとおり弁護士法の四条によりまして、法務省が行っております司法試験管理委員会の司法試験に合格し、さらに最高裁が行っております司法修習を終了した者が資格者となっておるわけでございまして、この部分につきましては日弁連所管ではなくて政府あるいは裁判所が所管をしてこの資格の公認と申しますか、そういうことをやっておるわけでございます。この外国法事務弁護士も弁護士に準じた規律をいたします上におきまして、やはり同じようにその資格を公認すると申しますか、これは試験を行いませんけれども、それを公認するシステムというのは、この弁護士法四条とパラレルに考えて、やはり公的な役所が行うべきではないだろうかということが一つ。それから主として外国人に関する仕事でございますから、いろいろな外交上の問題その他のことも考えますと、日弁連がおやりになるよりも政府がやる方がベターではないだろうかというようなことから、まず公的な機関がやるべきであるという結論に達し、さらに先ほど申しましたように、裁判事務を一切行わないという観点から、最高裁よりも法務省、法務大臣の承認に係らしめる方がより適切、的確ではなかろうか、こういう観点から今回法務大臣の所管ということになったわけでございまして、経緯は以上御説明したとおりだと思います。
#23
○橋本(文)委員 今、司法試験とかあるいは司法修習生という言葉が出たのですけれども、確かに日本の現在の弁護士法では、外国人も司法試験は受けられる。しかし司法修習生になるには、日本の国籍が必要だという規定があるわけですね。これは大分例外規定が多いようですけれども、部長、どの程度の例外があるのか今お答えできますか。
#24
○井嶋政府委員 委員御承知のとおり、既に最高裁判所は外国国籍の者の司法研修所への入所を認めておりまして、正確な数はちょっと把握いたしておりませんが、数名の修習終了者がいるというふうに承知いたしております。
#25
○橋本(文)委員 そうじゃないのです。司法試験を受験する資格には日本の国籍は必要ないけれども、司法修習生に採用されるには日本の国籍が必要であるというようになっておりますね。しかし例外が多く認められておるというのですが、どういう基準でその例外を設けておるのかという質問なんです。
#26
○但木説明員 最高裁判所が定めております要領によりますと、最高裁判所が特に認めた者についてはこの限りでないということで、入所を認めるということになっております。そして現実にはその後司法試験に合格した者で、外国国籍であることを理由に入所を拒絶された者はないと承知しております。
#27
○橋本(文)委員 ちょっと細かい点になって恐縮なんですが、日本の司法試験というものは非常に難し過ぎるということで、海外に行きまして外国弁護士の資格を持ってくる。そして今回の法律によっていわゆる外国法事務弁護士という形で日本で事務所が開けるのかどうか。まず開けるのかどうかを聞きましょう。日本の国籍を持っている人が、アメリカならアメリカ、ニューヨークに行きましていわゆるローヤーとなってくる。そして日本に帰ってきて外国法事務弁護士として事務所を開設できるかどうか。
#28
○井嶋政府委員 今回の法案におきましては、資格の承認はあくまで弁護士となる資格のみでございまして、国籍条件はつけておりません。したがいまして、今御指摘のようなケース、つまり日本人が例えばニューヨークの州の司法試験に合格し、ニューヨークの弁護士資格を持っている、そしてこの法案にございますように、五年間の弁護士の実務経験を経てきたという要件がございますれば、今回の法案によります外国法事務弁護士として承認される道はございます。
#29
○橋本(文)委員 そうしますと、日本の国籍を持っている日本人でございますから、当然常識的に日本の法律もよくわかるし、いろいろな意味でこの法律が禁止している日本法についても、あるいはその法律相談だとか鑑定、そういう何といいますか禁止していることが、実際にはもうそこで逸脱していくのじゃないか、そういう懸念を持つのですが、これはいかがですか。
#30
○井嶋政府委員 そういった懸念を指摘される向きがないわけではございませんけれども、外国法事務弁護士の業務の規律、指導監督は、この法案におきましては日弁連あるいは単位弁護士会が行うシステムになっておるわけでございます。その指導監督の実が上がれば、そのようなことは起こらないというふうに考えております。
#31
○橋本(文)委員 それから、この法案によると法務大臣の認可それから日弁連の登録という問題がありますけれども、西ドイツなんかを見ますと、とにかくまず需給関係を考慮して資格を付与していくのだ、したがってもう海外弁護士は要らないよというようになれば認めないという方向のようなんですけれども、我が国ではどういう取り扱いをなさいますか。黙っておればもう野方図にというか、とてつもなくふくれ上がるわけですけれども、それはもう認可と登録という点でチェックするわけですか。
#32
○但木説明員 欧米諸国におきましては国民の失業率が我が国に比べてかなり高率であるというようなことがございまして、労働需要の問題が非常に深刻な問題として受け取られております。そのために弁護士活動についても入管あるいは中小企業貿易局というようなところの労働需要に対する評価というようなものが非常に重要視されております。我が国におきましては、そういう観点よりもむしろ法律事務を取り扱う、そういう外国法事務弁護士が適正かつ確実に職務を遂行し、国民あるいは居住者の法律生活の安定に資することができるかどうかというような観点から、そのような問題を考えるということになろうかと思います。
#33
○橋本(文)委員 時間がなくなりましたが、罰則の関係でちょっと質問します。今回、附則で弁護士法が一部改正されます。従来五万円であった七十五条の虚偽登録が百万円、それから七十七条の非弁活動禁止の五万円が百万円、それから七十九条の虚偽標示、これが五万円が二十万円、それからいわゆる刑法に規定しております秘密漏洩、この外国弁護士法では二十三条ですけれども、刑法百三十四条では「六月以下ノ懲役又八百円」、これは臨時措置法によりまして二万円になりますけれども、この罰金が外国人の場合には「六月以下の懲役又は十万円」こういうことになるのですが、いろいろなところで細かい点でアンバランスが目立つのですが、これはどういうふうに理解すればいいのですか。
 まず五万が百万になったケースと五万が二十万になったケース、それから二万円の罰金が外国人の場合には十万円、まあ違いますけれども……。
#34
○但木説明員 まず、第六十三条それから第六十四条で五万円を百万円とした理由について申します。
 この罰金額は昭和二十四年に定められて以来今回まで何ら改正されていないものでございます。当時の五万円と申しますと罰金額としては相当多額の罰金額であったと考えられます。近時の立法例からいたしますと、いわゆる無許可営業につきましては、例えば、貸金業においては懲役三年以下罰金三百万円以下というような非常に高額のものもございますし、また証券業あるいは銀行業などでもかなり高こうございます。これらの無許可営業の各種の罰金額等を参照いたしまして、現在の物価では百万円程度が最も適当ではないかというふうにして定めたわけでございます。
 これに対しまして、いわゆる不正な名称の使用につきましては罰金額を五万円から二十万円に上げたにとどまっておるわけでございますが、これは委員御承知のとおり、この罪につきましては懲役刑が定められておりません。したがいまして、その違法性の程度もその程度のものとして評価されているものであるわけです。また、いわゆる近隣職種を見ましても、税理士、司法書士などについては罰金二十万円、それから弁理士については罰金一万円、公認会計士につきましては罰金三万円というような額になっておりますので、これらのいわゆる名称の不正使用の罪と均衡を保つために二十万円というような定め方をいたしたわけでございます。
 また、委員御指摘のいわゆる秘密漏洩罪につきましては、現在刑法上罰金ニ万円となっておりますが、現行の貨幣価値から申しますと、二万円というのは罰金額として新しく立法するについてはいかにも低過ぎるというふうに考えられるわけであります。しかしながら他方、弁護士が秘密を漏泄した場合には現在の刑法百三十四条一項では罰金ニ万円以下ということでございますので、これとのバランスをとり、かつ、現行の貨幣価値を勘案して最大限の罰金の引き上げをした結果十万円というようなところに落ちついたということでございます。
#35
○橋本(文)委員 済みません、時間を超過したのですが、一点だけ。
 秘密漏洩に関して六十七条で規定しているわけなんですけれども、これを刑法百三十四条、そこに弁護士として、その下にいわゆる外国法事務弁護士を含むとしなかったのはなぜなんですか。
#36
○但木説明員 委員御承知のように、本法の附則では、刑訴法及び民訴法を改正して「「弁護士」の下に「(外国法事務弁護士を含む。)」という改正をいたしております。したがいまして、刑法にも同じ改正をすべきではなかったか、こういう御指摘であろうと思われます。
 これにつきましては、民訴法、刑訴法というような手続法につきましては、実は他の法令で非情に多く準用しておるわけでございます。したがいまして、もし外国法事務弁護士につきまして、民訴法、刑訴法の改正でなく本法で規定いたしますと、それらの準用法令の適用につきまして非常に錯綜した関係が生じてしまうということで、これを思い切って刑訴法の改正という形にしたわけでございます。これに対しまして、実体法規につきましては準用法令というものがほとんどございません。全くないと言ってよろしいかと思います。かつ、実体法規につきましては、現在でも行政法で同じような罪をたくさん規律しているものがございます。
 これらのことを勘案し、かつ、現在刑法改正作業が進行しておりまして、これら各種の行政法に分かれております秘密漏洩罪について何らか統一的な扱いをすべきであるというようなことがございまして、今の時点で外国法事務弁護士だけ刑法上に入れるということは余り適当ではないという判断で本法で新規の立法をしたということでございます。
#37
○橋本(文)委員 わかりました。
 終わります。
#38
○福家委員長 中村巖君。
#39
○中村(巖)委員 今回の法案、すなわち、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法、これは内閣提出ということで出されておるわけでありますけれども、この法案の内容というものは、言ってみれば、実質的に従来の弁護士法に対する修正であるということになるわけでございまして、弁護士法というものは、御案内のように、これが立案をされ、そして国会の御審議を経るという際に議員立法という形でなされてきたわけでございます。それが、今回実質的な意味の弁護士法を修正するような法案、これが内閣提出という形で出されてきたということは、もとの法であるところの弁護士法との関係で考えると何か整合性がないような、こんな感じがいたすわけでありますけれども、そのことを法務省としてはどうお考えになられているのか、なぜ内閣が御提出になるのか、それをまずお聞かせをいただきたいと思います。
#40
○井嶋政府委員 ただいま御指摘のとおり、本法案は現行弁護士法に対する特別措置を定めるものでございますから、そういった意味で弁護士法の実質的な変更であるというふうにとらえることができようかと思います。
 ところで、弁護士法は、今御指摘のとおり昭和二十四年に議員立法によって成立した法案でございます。そしてその後、例えば昭和二十六年に現行法の三十条の兼職禁止規定の改正をしたとき、さらに、昭和三十年に先ほど来問題になりました七条を削除した改正の際、こういった実質改正を行いました際にはいずれも議員立法によって行われておるわけでございます。しかしそれ以外に、いわゆる他の法律の作成あるいは改正の際に弁護士法にかかわる事務的と申しますか整理的な改正が必要であったというようなものが十数回にわたってあるわけでございますが、そういったものはいずれも政府提案で行われているわけでございます。それからさらに、若干実質的ではございますけれども、沖縄の復帰の際にやはり沖縄の弁護士資格者に対して本邦の弁護士資格を与えるための特別措置法ができましたとき、四十五年でございますけれども、これは政府提案として行われたわけでございます。
 そういった経緯を考えますと、本法案は、委員御指摘のとおり議員提案と申しますか議員立法とする選択もあり得たわけでございますし、また、沖縄のときの例にかんがみれば政府提案という方向もあり得たということで、いずれも選択が可能であったのではないだろうかというふうに思うわけでございます。
 ところで、政府提案にいたしました大きな理由と申しますのは、実は日弁連の意思によるわけでございます。すなわち、日弁連が本年二月六日の理事会におきまして、この法案のもとになりました制度要綱を確定いたしました機会に、日弁連として本法案の法律化については議員立法の要請はしない、断念する、こういう御決定をされたわけでございまして、それを受けまして日弁連の会長から法務大臣に対し、制度要綱に基づいて法案を作成提出願いたい、こういう要望が参ったわけでございます。
 そこで、私どもはこの制度要綱につきまして、従来検討会を通じて共同的にやってまいったという経緯もございますし、また、制度要綱自体国際的にも国内的にも妥当なものであるというふうに判断をいたしましたために、政府提案として今回御提出した、こういう経緯になるわけでございます。
#41
○中村(巖)委員 そうしますと、念のため伺いますけれども、日本弁護士連合会としては、今回この種の外国弁護士に法律事務を取り扱わせる問題、これについてみずから動いて議員立法をやらせるというか、そういう働きかけはしないということで、内閣の方にお願いをしたい、こういう主体的な選択というか御意向であった、こういうふうに伺っていいわけですか。
#42
○井嶋政府委員 政府は、従来この問題の解決につきましては日弁連の自主的意見を尊重するという立場を貫いてまいったわけでございまして、そういった意味で、日弁連の自主的な御意見がそういうことであれば、それを受けて政府が提案をするという態度を決めたわけでございます。
#43
○中村(巖)委員 今回こういうような法案が出てくるについては、いろいろな背景と申しますか、そういうものがあるわけでございますけれども、ある時期から外国の日本に対する、この問題に対する要求、要請というものが非常に強くなってきた、それがいわば貿易摩擦というか、そういうものとの関連においてもいろいろ言われるようになってきた。こういう経過から今日こういう立法がなされるに至ったということであろうかと思いますけれども、念のために、どうしてこういうふうな立法が必要になってきたかというその経過というか、そういうようなものをお聞かせをいただきたいと思います。
#44
○井嶋政府委員 経過を申し上げると若干長くなるわけでございますけれども、何度か委員にも御説明申し上げた機会がございますが、要するに、当初、これは四十九年から始まるわけでございますけれども、ニューヨーク弁護士会の申し入れというものに端を発しました弁護士会同士の話し合いといったものが先行いたしまして、これは理の当然でございますけれども、それが先行をし、会内においていろいろさまざまな議論が行われつつ経過をしたということでございますが、やはり弁護士会同士の話し合いは結果的にはまとまらなかったというような経過の中で、昭和五十七年にこの問題がいわゆる貿易摩擦の一環として米国政府から貿易委員会において取り上げられたというのが、政府間レベルの問題になった発端になるわけでございます。さらに、EC諸国はそれから二年おくれて五十九年に、同じような対日要求というような形で、やはり貿易摩擦の一環としてこの問題を適切に解決されたいという申し入れがあったわけでございます。
 そういった形で政府がこの問題に関与せざるを得なくなった事情があるわけでございますけれども、それから後は、もう既に委員御案内のとおり、昭和五十七年の市場開放対策あるいは五十九年、六十年の対外経済対策といったそれぞれ経済対策閣僚会議の決定等におきまして、この問題につきまして政府の態度を鮮明にしてきたわけでございます。それは一口に申し上げれば、要は、この問題は弁護士の制度の問題であるから、弁護士会同士の話し合いといったものが重要であるし、それが先行すべきであるし、またそれを尊重すべきであるということをそれぞれの時期時期に応じまして鮮明にしてまいっておるわけでございますので、それぞれの経済対策閣僚会議の決定そのものをごらんいただければ、その辺の経緯はよくおわかりいただけると思います。
 そういったことで、政府としてはこの問題を、貿易摩擦から端を発しましたけれども、やはりこの問題は増大する国際的法律事務に対処していかに適正にこれに対応していくかという問題、つまり弁護士の国際交流といったような観点からこれを取り上げて判断すべきであるというふうに終始考えてまいりましたし、さらに、そのためには我が国において独特の制度を持っております日弁連の自主的な意見の形成といったものがまず大事であるという観点から、これも重要な柱といたしまして対処をしてまいったわけでございます。
 そういった中で、昨年の三月十五日に日弁連が相互主義の原則と日弁連の自治のもとに入るという基本的な方針をお定めになりまして、これに基づいて内外の意見を参考としつつ、国内的にも国際的にも妥当な解決を図るということを宣明しましたので、私どもは内外の意見の参考というものの代表格といたしまして、法務省と日弁連との協議という場をつくりまして、それ以後三十回に及ぶ協議を継続しながらこの問題に日弁連ともども対処をしてまいったというわけでございます。
 そして、御案内のとおり昨年九月三日に制度要綱第一次案というものが策定され、さらにこれをたたき台として日弁連会内の議論が徐々に集約されまして、昨年の十二月九日の臨時総会におきまして、この第一次案に盛られた基本的なフレームについて圧倒的な多数で日弁連がこれを承認をしたということがあったわけでございますが、その際、制度の詳細については理事会にゆだねるということでございましたので、それ以後臨時理事会も含めまして多数回の理事会を日弁連が開催をされまして、制度要綱のもととなるべき第二次案をいろいろ検討されました結果、二月六日に制度要綱を確定されたということでございます。それを受けまして先ほど申しましたように法務省にその制度要綱に基づく立案を依頼してこられたということで、私どもがこれを受け取り、本法案として提出をしたという経緯になるわけでございます。
 要するに、終始一貫流れておりますことは、この問題は増大する国際的法律事務の需要と申しますか、現状にいかに対処していくかという観点から出発し、結局これに適切に対処するためには弁護士の国際交流の促進以外には道がないということから、私どももあるいは日弁連会内も徐々にその意見が集約されてまいって今日の法案に結実をした。こういう経緯になるわけでございますので、私どもは終始一貫日弁連の立場を尊重するという態度を貫いてまいったということが言えようかと思います。言いかえれば、本法案は日弁連との協力関係と申しますか、そういった、共同作業とまでは申しませんけれども協力した結果であると申し上げることができるかと思います。
#45
○中村(巖)委員 弁護士の国際交流といえばそれも一つの考え方であるわけですけれども、何かその経過というものを眺めてみますと、主としてアメリカの弁護士の側の、日本において業務を行いたい、日本への市場を拡大をしたいという、弁護士の職業的な要求というかそういうようなものが非常に強い感じがするわけでございまして、そういう圧力というものが実は立法の本当の契機ではなかったのかという感じをぬぐえないわけでありますけれども、その辺については法務省としてはどうお考えでしょうか。
#46
○井嶋政府委員 御指摘のようにアメリカあるいはECが貿易摩擦の問題として取り上げた背景というのは二つあるだろうと思います。
 一つは、外国の企業が日本に進出をしまして例えば投資をする、あるいはもっと日本に輸出をしたい、あるいはもっと技術を導入させたいといったような日本市場へのアクセスをもっと促進するためには、企業のコンサルタントといいますか企業の法律面を担当する弁護士の進出が不可避であるというような観点が一つあったと思います。
 もう一つは、弁護士業務自体が銀行業、保険業といったようないわゆるサービス業務それ自体であるというような観点から、サービス業務の自由化ということで日本が現行弁護士法で外国の弁護士の事務所を開設して活動することを認めていないということは一種の非関税障壁である、こういう観点からサービスの自由化という点で弁護士業務自体の進出を考えてきたというこの二面があると私どもは考えておるわけでございまして、まさに今委員が御指摘のとおりだと思います。しかし、それを私どもがどう受けとめたかと申しますのは、先ほどるる申し上げたわけでございまして、もし仮に貿易摩擦の観点ということだけから考えますならば、現在のような法案の選択以外にまだあり得たのではないかと思います。例えば国際取引のコンサルタントと申しますかあるいは企業コンサルタントと申しますか、別の資格をつくり政府が所管をして業務をさせる、弁護士業務とは全く切り離したものだという格好でそれは処理ができるということ、貿易摩擦そのものを解消しようと思えばそういう方向が一つあり得たのだろうと思います。また、現に諸外国はそういった観点から、例えば日弁連の所管に入ることについて懸念を表明しておったという事実があるわけでございますから、そういった方向性があり得たのだろうと思いますけれども、先ほど申しましたように弁護士自体の活動の問題である、弁護士自体の業務の問題であるということから日本側は弁護士制度の枠内であくまで受けとめて、司法制度の問題として対処しなければならない。それはなぜかというと、結局国際的法律事務の増大、これは我が国内だけではございませんで、外国における日本法の充実という意味も含めました国際的な法律事務の充実という観点から、やはり司法制度の問題として対処すべきだという基本方針をもって対処したわけでございまして、私どもの選択、あるいは日弁連の選択はそういった意味で正しい選択であったというふうに考えておるわけでございます。
#47
○中村(巖)委員 端的に言えば、アメリカあたりでは法曹人口は非常に多い、こういうことで、いうところの弁護士有資格者の競争の激化というようなものが海外進出という形になってきているという側面が非常にあるんじゃないかという感じがいたすわけでありますけれども、それはともかくといたしまして、実際問題としてこの法律事務と申しますかリーガルサービスと申しますか、そういうものが外国人によって受けられないことによって日本における外国企業なりそういったものが非常に困難な局面に立ち至っているとか、あるいはまた外国が日本に進出するに当たってその種のリーガルサービスを得られないことによって、それがいうところの一つの障壁になっているということが実際あるのかどうかということは、本案が必要かどうかということの背景にとってやはり非常に大事なことだろうと思うわけです。実際その面では法務省としてはバックグラウンドについての実態的な調査はやっておられるのかどうか、どういうふうに考えておられるのか。ただ観念的に考えれば、そう言ってしまえばそうですけれども、実際問題としてそういうことがあってどうしてもそういう必要性というものが今具体的に存在したのかどうかということを考えなければならぬと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
#48
○井嶋政府委員 ただいま御指摘のように国際的法律事務の増大と一口に申しましても、では資料的に統計的にあるかということになりますと、そういったものを明確に端的にお示しすることは不可能でございます。しかし、国際的な法律事務と申しますのは結局人の動きあるいは物の動きの増大に付随しまして、やはり人の動きが増大し物の動きが増大すればそれを中心とした法律関係といったものが拡大するであろう。法律関係というものが拡大をすればそれを解決するために時と場合によっては弁護士の助けが要るということは当然であろうといった推論が成り立つわけでございまして、そういう意味で私どもは、むしろ人的物的な国際交流の増大あるいは貿易量、輸出量の増大あるいは海外進出企業の数の増大といったようなデータをある程度持ちましてそういった推論をするわけでございます。要するに、国内における外国法に関する法律サービスの点で申し上げれば、やはり日本に進出する企業が多くなってくる、あるいは日本に来る外国人が多くなる、それに従いましてその外国企業あるいは外国人と接触する日本の企業あるいは日本国民との間でいろいろな法律関係が多くなるといってとになりましょうし、あるいは海外で見ますれば、日本から進出する企業あるいは日本から行く法人の数が増大しますれば、やはり外国において日本の弁護士、日本のマインドを持っている弁護士からそういった法律サービスを受けたいという需要は増大するでありましょうし、さらに、日本に進出してきたいという当該国の企業に対しましても、日本の知識を持ち日本の風俗習慣を知っておる日本の弁護士からいろいろな法的アドバイスを受けたいというような需要もやはり増大しているんじゃないだろうかというふうに考えられるわけでございます。そういった数は恐らく今後国際化がますます進展するということになりますれば増大するのではないかというふうに考えますと、結局やはり総体的に申し上げれば、国際的法律事務の増大及び今後まずまずの増大といったものを前提として政策を判断していかなければならないということになるのではないだろうかと考えておるわけでございます。
#49
○中村(巖)委員 ここでちょっと通産省の方から伺っておきたいと思うのですけれども、まず概括的に、最近における外国企業の日本への進出の状況というか、そういうものはどうなっているかということでございます。確かに私ども目にする限りにおいても、最近では外国企業というものが大変に日本に進出してきているということがあるわけで、と同時に、あるいは合弁会社というか、外資系の企業というようなものも非常にふえている、こういうことのようでありますけれども、その実態について何か通産省として把握をされているところがあれば、お答えをいただきたいと思います。
#50
○川口説明員 先生御指摘のように、最近五年間における我が国への直接投資の動向というのは非常にふえておりまして、大蔵省に届け出がございました数字で見ますと、昭和五十四年度末累計は実は約二十七億ドルでございましたが、昭和五十九年度末の累計で見ますと約五十五億ドルということになっておりまして、五年間で約二倍という増加を示しておりまして、大変堅調に増加をしているということが言えると思います。
 それから、合弁企業についてお話がございましたけれども、通産省では昭和四十二年度以降、毎年、外資系企業の動向調査というものを実施いたしておりまして、この調査に回答した企業で考えますと、昭和五十九年三月の時点で外資比率が五〇%以上の外資系企業、これは一〇〇%で出ているものも含みますが、企業の数は約一千社ございまして、業種別に見ますと、内訳は製造業が約五百、商業が三百八十四、サービス業が九十六というふうになっております。
#51
○中村(巖)委員 通産省の把握されておる限りで、日本における外国企業の進出それ自体について外国企業サイドから、この弁護士の問題も含めて非関税的な障壁があるという、その意味で進出が必ずしも十分でないというような声があるのかどうか、その辺のところはいかがでしょう。
#52
○川口説明員 私ども通産省では産業政策局を中心といたしまして、外資系企業の既に日本に進出をしたものについての円滑な活動の促進、それからまだ進出をいたしておりません外国の企業の日本への進出を促進するという観点から、現在日本に進出をしている外資系企業の幹部の方々と時折会合を、非常に懇談的な会合でございますけれども持っておりまして、外資系企業の日本における活動に関する問題について時々お話を伺っております。その中で、例えばアメリカで活動している弁護士が日本で活動することができるようになればいいというような要望は伺ったことがございます。
#53
○中村(巖)委員 もう一点だけ、通産省の方に。やはり今後一つの趨勢として、外国企業の日本に対する進出というものが今日以上により拡大をするということになるのかどうか。現状に立って御判断になった場合に、いかがでございましょう。
#54
○川口説明員 近年の外資系企業の進出の動向を見ますと、コンピューター関係ですとかエレクトロニクス関係ですとか、いわゆるハイテク分野を中心に大変に進出が進んでおりまして、今後とも非常に堅調に進出が進むのではないかというふうに考えております。
#55
○中村(巖)委員 また法務省の方に戻るわけですけれども、この外国弁護士の問題の一番大きな問題というのは、やはり何といっても、例えばアメリカを一つの典型としてとらえた場合において、弁護士業務に対する考え方というものが日本の場合と相当に相違をしているところがあるのではないかということでございます。アメリカで申しますれば、恐らくは弁護士はリーガルサービスというものを提供する一つのサービス業であるというような一般的なとらえ方がされる部分が多いというのに対して、日本でいうならば、一つのサービス業という観点よりも人権擁護という、これは現行弁護士法の理念にもよるわけですけれども、人権擁護というものを中心としたいわば一つの聖職である、そんな観念というものが非常に強い。
 そういうことになりますと、アメリカあたりから大量にサービス業としての弁護士というものが進出をしてくると、日本における弁護士制度そのものが変質をしてくる、そんなような感じになるのではないか。その辺のところを外国法事務弁護士というような観念で、そこで調整をしているという感じもしますけれども、そういう弁護士制度自体の相違というものについて、これがために日本弁護士連合会あたりの内部においてもいろいろな議論が起こってくるということだろうと思うので、その辺のことを今回の立法に当たってはどういうふうにお考えになって対処をされたのか、お話しをいただきたいと思います。
    〔委員長退席、太田委員長代理着席〕
#56
○井嶋政府委員 委員冒頭に、各国の弁護士制度と申しますか、弁護士のあり方についての考え方に相違があるという御指摘がございましたが、確かにそういう指摘はある面においては当たっているだろうと思います。
 しかし、例えばアメリカと日本という比較をいたします場合に、アメリカの弁護士について象徴的に言われておりますことが、今御指摘のような法律サービスと申しますか、いわゆる企業のサイドからの弁護士業務に重点があるというような面、これがアメリカの制度の一つの特徴として言われておりますし、現にその数も相当あると承知をしておるわけでございます。他方、やはりアメリカにおきましても日本の弁護士と同じような法廷を中心とした、いわゆる人権擁護派と申しますかそういった伝統的な意味での弁護士像といったものを持って仕事をやっておられる方も多数おられるということでございます。私は、そういった象徴的に言われておりますアメリカ弁護士の像と申しますのは、アメリカ弁護士の活動エリアが日本と比べて非常に広いというようなことが根っこにあるのだろうと思うわけでございます。しかし、本質はアメリカの弁護士も我が国の弁護士と同様、法律を扱う、高度の法律知識を持ち社会的にも相当の評価を受けている高い位の自由業をやっておる方々でございまして、本質的には人権あるいは正義の実現といった基本的な倫理というものがそこに支配をしているのではないだろうかと思うわけでございます。
 他方、日本の弁護士について申し上げれば、委員御指摘のとおり従来やはり紛争が発生してから仕事がくるというのがティピカルな形であろうと思うわけでございまして、そういった意味で法廷中心の紛争解決といったところに重点がある。勢い弁護士法一条、二条に書いてございますような高度の公的使命を持った活動分野が日本の弁護士の主たる分野であったというふうに言えるかと思います。
 これは今後もそういうものであるべきであろうと思うわけでございますが、他方、委員御承知のとおり国際的な法律事務の増大に対処いたしまして日本の弁護士の中にもいわゆる渉外弁護士と称します、アメリカ型と申しますかそういった需要に対処する活動エリアが徐々に広まってまいっておるわけでございまして、現在三百とも五百とも言われておるわけでございますけれども、数が増大をしておるわけでございます。そういった意味で、日本の弁護士の活動のあり方も徐々に変質してまいっておるということが言えるかと思います。しかしその中に、そういった分野で活動しておられる弁護士の方々も、やはり本質は一条、二条に書いてあるような使命といったものを持ってやっておられるのではないだろうかと思うわけでございまして、私は今、日本とアメリカだけを比較いたしましたけれども、イギリスのバリスターあるいはフランスのアボカといったものも考えますと、それぞれの国において聖職という形でやっておられるという点においては本質的に変わりはないのじゃないだろうかと考えておるわけでございます。
 ところで、今回外国法事務弁護士制度を設けますとその辺のところがどうなっていくだろうかという御心配でございますが、私はこれはやはりあくまでも、活動分野が広がっていくと申しますかより充実されていくという面はあろうかと思いますけれども、それぞれの国の弁護士という職業に従事しておられる万々が簡単にその本質を見失う、制度がおかしくなっていくというふうなことは起こり得ないだろうと思っておるわけでございまして、むしろ活動分野が広がり、その広がった分野でそれぞれが競争されることによってさらに弁護士のあり方といったものが広まっていきこそいたしましょうが、本質的に変質することはないと考えて対処してまいったわけでございます。
#57
○中村(巖)委員 そこで今の問題に関連して、私どもが仄聞する限りでは、日本弁護士連合会の中でもやはり名称の問題というものについて非常に議論があったようでございまして、弁護士というものが、従来の日本の弁護士の観念でとらえられたところの弁護士というものと、今アメリカから進出してこようとしているところのサービス業としてのリーガルプロフェッションというか、そういうものとの間には違いがあるんだから、弁護士という名のもとにそういうものを包摂すべきではないんじゃないか、むしろそういうものの進出がこれからやむを得ないものだとするならば、弁護士という名称を使わせずに何らかの形でその進出を許すという形にならないのかということを言う向きも非常に強いわけでございます。あえてここで弁護士という名称、外国法事務弁護士でありますけれども、最後のところに弁護士という三文字がつくという名称を選択した理由というものを、法務省の考え方としてお聞かせをいただきたいと思います。
#58
○井嶋政府委員 弁護士会内の議論の中に今委員御指摘のような議論があって、弁護士という我が国独特の歴史を持った名称を使わせるべきではないという御議論がございました。しかし、先ほど来申しますように、今度の外国法事務弁護士制度と申しますのは、国際的な法律事務に適正に対処するためにどうすべきかという点から出発をいたしまして、結局は弁護士同士の国際交流が必要なのではないか、それで対処すべきではないかという結論に達したわけでございます。
 そういった意味で、外国の弁護士資格を試験を経ることなく我が国に受け入れて弁護士としての活動を認める、ただ職務の範囲はその性質に応じて制限されるのは当然であるという基本のもとに、あくまで弁護士と同質のものを我が国の弁護士の仲間として受け入れるんだということがこの問題の解決の基本であるということになったわけでございます。したがいまして理の当然といたしまして、やはり弁護士の同質性といったものをあらわすものでなければ、同質性といったものあるいは弁護士の交流といったような目的から考えましておかしいのではないだろうかという議論が他方にあったわけでございます。
 確かに諸外国では、外国の弁護士を受け入れた場合に、当該国の名称、つまり弁護士に該当する名称を使用することは認めておりません。それはそれぞれの国の事情があろうかと思います。しかし我が国におきましては、委員御承知のとおり受け入れる外国の弁護士は日本弁護士連合会の自治のもとに置くということも他方で決定をされたわけでございますし、またこの選択が日本の司法制度のあり方から考えてこれ以外の選択はないということもまた確かなことであったろうと思うわけでございます。そういたしますと、我が国の弁護士自治といったことを考えます場合には、やはり自治に組み入れられる仲間であるということを名実ともに表示するものでなければならないという議論も他方にあったわけでございます。そういった会内の議論が、委員御承知のとおり最後の最後までその決着には時間を要したわけでございますけれども、結局本年二月下旬の定例理事会におきまして圧倒的多数で外国法事務弁護士という選択を日本弁護士連合会がされたわけでございます。これは昨年十二月九日の臨時総会におきまして、この弁護士の名称は職務の性質にふさわしい名称とする、我が国の弁護士と混同を来さないようにするという決議があるわけでございますが、その決議を十分踏まえた上でこういう決定がされたわけでございます。
 その意味合いというのは、「弁護士」という表現がございます。さらに、我が国の弁護士との混同を来さないという意味におきましては「外国法事務」というものがつくわけでございまして、この名前は私どもといたしましても最善の選択であったと考えております。すなわち、外国法事務弁護士は法廷活動ができません。外国法をもっぱら取り扱う弁護士でございます。我が国において法廷活動を行えない弁護士のことを事務弁護士というふうに訳すことは定着したものでございますが、そういった意味で、外国法を扱い、法廷活動を行わないという意味で、外国法事務弁護士といった名称はそれなりに妥当控があると考えているわけでございまして、総じて申し上げれば妥当な選択であった、私たちはその選択を尊重申し上げている、こういうことでございます。
#59
○中村(巖)委員 そういった制度の違いというか、弁護士というものに対する観念の違いがあることは事実だろう。そういうものの違いの一つのよって来るゆえんのものは、やはり各国において法曹資格というか弁護士資格の取得の制度が違うということで、日本の弁護士は司法試験制度があって、育ってみれば大変厳しい制度の中で資格を付与されておる。それに対して諸外国においては、いろいろな国があるわけですけれども、言ってみれば、また例えばですけれども、例えばアメリカの場合には大変法曹人口が多い。今現在で五十万も六十万も弁護士有資格者がいる。こういうことは、つまり法曹資格の取得制度が緩やかである、こういうことになってくるわけで、その結果であろうというふうに思われるわけです。
 そういう意味で、どこの国の資格の取得制度がどうなっているか、そこまではお聞きするつもりはないのですけれども、資格取得制度それ自体がかなり緩やかな国も多くあるのじゃないかと考えられますが、その辺を一括して、外国における弁護士資格を有する者ならばそれはいいんだ、外国法事務弁護士たり得るんだ、こういうことに一律にしてしまうということはどうかと思われるわけですが、その辺はいかがでしょうか。
#60
○井嶋政府委員 各国別の資格付与制度をお尋ねではないということでございますからまとめて申し上げますけれども、確かに、それぞれの国がそれぞれの歴史の中で弁護士制度、資格制度といったものをつくり上げておるわけでございますから、それぞれ千差万別であるということは言えるかと思います。しかし、基本はやはりそのそれぞれの国において高度の法律専門職あるいは高度の倫理基準を保持した、先ほど委員は聖職とおっしゃいましたけれども、そうしたものとして資格を付与するための制度でございますから、私は、各国の資格付与制度というものはそれなりにそれぞれの国で最善の制度がつくられておるんだというふうに考えるわけでございまして、どこの国の制度が緩やかであるとか我が国が非常に厳しいとかというような比較それ自体はできることではないと考えておるわけでございます。
 そういった諸外国における弁護士の資格付与制度には違いはございますけれども、今回外国法事務弁護士制度として創設をいたしますにつきましては、やはりそれぞれの国の弁護士資格者といったものを対象にするというのが基本でございまして、どこの国の弁護士資格者は資格付与制度が緩やかだからだめだというような選択ができるという問題ではないだろうと思うわけでございまして、要するに、それぞれの国の制度として確立されておる資格付与に合格をして弁護士としての経験のある人たち、これを我が国の外国法事務弁護士として受け入れるという基本には誤りはないと考えておるわけでございます。
#61
○中村(巖)委員 時間がなくなってきましたので、あと簡単にお尋ねしておきます。
 一つは、今回の法案は相互主義という上に立っているわけでございまして、外国の弁護士の進出を許すとすれば日本の弁護士の外国への進出も同時にできるようにならなければならない、こういうことでありますけれども、この法案が施行に至るまでの間で、結局、具体的に日本人が弁護士として活動ができる国、それはどういうものが想定をされるか、実際にあり得るかということをお尋ねします。
#62
○井嶋政府委員 現在、諸外国におきまして、外国の弁護士を受け入れることを制度的につくり上げている国とそうでない国とがございます。
 制度的につくり上げている国といたしましては、アメリカでは現在、ニューヨーク州のほかにミシガン州とワシントンDCがございます。さらに、アメリカにおきましては現在、カリフォルニア州及びハワイ州におきまして弁護士会あるいは州裁判所においてドラフトが検討されているという段階でございまして、これは間もなく本年中には開放するだろうというふうに予測をされております。
 さらに、ヨーロッパにおきましてそういった意味で制度をつくっております国は、西ドイツとフランスでございます。西ドイツでは御承知のとおりレヒツバイシュタントということで、外国の弁護士資格者にそのレヒツバイシュタントの資格を与えて、本国法に関する事務を取り扱わせるという制度がございます。さらにフランスにおきましては、やはり外国弁護士資格者に対しましてコンセイユ・ジュリディックという名称で外国法一般につきまして事務を行わせるという制度を既に持っております。
 そういった制度的につくり上げております国以外で、イギリスあるいはベルギーといったところ、あるいは香港といったところがアジアにもございますけれども、そういったところは、これは制度としては持っておりません。しかし、そもそもこういった国はそれぞれの国の弁護士、英国で申し上げればバリスター、ソリシター、あるいはベルギーで言えばアボカでございますが、こういった人たちに独占させております事務、つまり法廷事務あるいは特に重要な文書の作成といったような事務でございますが、そういった独占させております事務以外の一般の法律事務につきましては、だれでもできる、資格者でなくてもできる、国民一般ができる、こういう制度になっておるわけでございます。国民一般ができるということは、すなわち外国の弁護士が、これは弁護士でなくてもいいのかもしれませんけれども、外国の弁護士が入っていってそのサービスを行うということも制度的には禁止されていないという国柄でございます。そういったところが今申したイギリス、ベルギー、香港等でございます。
 したがいまして、現在の時点でこの法案の十条にございますような相互主義の要件、つまり資格要件としての相互主義を満たす国というのは、今申したような国が一応当たるのではないかというふうに考えられます。
 ただ、これはあくまで私ども制度として承知をしておるだけでございますので、実際にこの資格付与についての相互主義の要件の判断につきましては、さらにそれらの国々の実際の制度あるいはその運用といったようなものを実地によく調査をいたしまして、そしてこの判断をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございまして、現在申し上げておりますそれらの国は、この国は確実に受け入れられるということを申し上げておるわけじゃございません。十分調査をいたしまして、今度の法案の要件に当たると考えられる国につきましては受け入れが可能であるということになろうかと思います。
#63
○中村(巖)委員 最後に一点だけ伺っておきますけれども、今回の法案の施行日が不確定というか、そういうふうになっているわけでございまして、これはアメリカの州の開放体制というか、あくかどうかというこういう問題とのかかわりの中でもそうなっているのではないかというふうに思われるわけで、連邦制の国については、幾つかの重要な州で日本に対する開放が行われない限り相互主義の要件を満たさない、こういうことになるのだろうと思うのです。現実問題として今ちょっとお話がありましたけれども、アメリカのどの州がどうなった場合に法を現実に施行日を決めて発足させることができるのかという点について、いかがでございましょうか。
#64
○井嶋政府委員 この法案におきましては、アメリカのような連邦国家、つまり州単位の資格付与制度を持っております連邦につきましては、これは連邦自体が弁護士資格を付与する権限を全く持ちませんという意味におきまして、日本国対アメリカ連邦という相互主義は法律上とり得ないということでございますので、そういった国につきましては州単位の相互主義をとらざるを得ないということから、この法案におきましてはそういう考え方を示しております。
 そこで、アメリカにつきましては、法律論としては州単位の問題ということになるわけでございます。しかし、委員既に御案内のとおり、弁護士会内の議論におきまして、日本は全国をあけるのにアメリカが三州あるいは五州といったものでは不公平ではないかというような議論があって、いわゆる実質的な相互主義と申しますか均衡論と申しますか、そういったものが議論として行われており、総会決議におきましてもそういった趣旨の提案理由が書かれておるわけでございます。私どもは法律論は法律論といたしまして、いわゆる政策的な均衡論と申しますか、実質的均衡論という考え方は私どももよく理解できるということから、従来アメリカ政府に対しましても、我が国の関心のある州について開放をするということを強く迫っておるわけでございます。そういった結果がどうかわかりませんけれども、昨年十一月にミシガンがあき、本年三月にワシントンDCがあいたということもあるわけでございます。私どもはこの要求は引き続きやってまいる所存でございますけれども、これができ上がるかでき上がらないかは、最終的には相手のことでございます。
 そういった状況下で、先ほど施行の話と関連して御指摘がございましたけれども、私どもはそういったことで、現時点で何州ならいいというようなことを申し上げる立場にもございませんし、また何州でなければ施行できないということは、すなわち法律論的に州単位の相互主義をとったことと矛盾する話にもなるわけでございまして、やはりこれは一つの政策的な均衡論だと思いますから、政策論と申しますか政治論と申しますか、そういった観点からの判断をしなければならない問題だというふうに考えておるわけでございまして、施行までに、我々は先ほど申したような外国の調査も行いますし、さらに施行の細則を定める政令あるいは省令の策定作業も行わなければなりませんし、さらに日弁連の会規、会則の作成といったものも必要であるわけでございますから、そういった風内的な整備といったものをこれから精力的に行います。さらに、施行をスムーズにするためには、諸外国に対する説明なり話し合いなりといったものもさらに必要だというふうに考えております。そういった意味での国際的な調整もこれからの作業でございます。
 そういったもろもろの作業が済みました段階において、アメリカ連邦について見れば、どういう開放状態であるかということがその段階で判断されることだろうと思いますけれども、日弁連も主張され、私どもも考えております実質的な均衡といったものがその段階でどの程度図られているかということを十分政策的に判断をし、さらに日弁連とも話し合いをした上で施行の期日を定めていくということになろうかというふうに考えておりまして、現時点ではそれ以上のことは御答弁できないという事情でございます。
#65
○中村(巖)委員 時間ですので、終わります。
#66
○太田委員長代理 岡本富夫君。
#67
○岡本委員 先ほどから同僚の諸君が質問しておりましたから、明らかになった点を含めて御質問をいたします。
 もうちょっとお聞きしておきたいのは、相互主義の立場でありますから、しかもアメリカは、ニューヨーク州、ミシガン州、ワシントンDC、この三州のみに外国弁護士法の適用を現在はするつもりか。テキサスは抜けておりましたけれども、カリフォルニアあるいはハワイ、こういうところが大体ことしじゅうというようなお話がございましたが、もう一遍ちょっとお聞きしておきたい。
#68
○井嶋政府委員 先ほど御答弁申し上げましたとおり、この法案では、アメリカ連邦につきましては法律論として州単位の相互主義をとらざるを得ないのでございます。しかし、実質的な均衡論といったところから日弁連内にいろいろ議論があったということは私どもも承知をしておりますし、私もそれは当然だということでアメリカとの交渉に当たっていったわけでございます。現在あいておりますのは、もう一度申し上げますと、ニューヨーク州以外にミシガン州とワシントンDCでございます。さらに現在、当該州の弁護士会あるいは裁判所において受け入れの制度、これは裁判所のルールの改正になるわけでございますが、そのルールの改正案が検討されておりますのがカリフォルニア州とハワイ州でございます。
#69
○岡本委員 そうしますと、必ず二年以内に今言ったところの追加の二つの州は解決できるという確信があるのですか、どうですか。
#70
○井嶋政府委員 先ほど申しましたように、このアメリカの州における受け入れ制度と申しますのは、州の裁判所の規則の改正でございます。したがいまして、これは最終的に相手国の裁判所の判断によるわけでございまして、御案内のとおり、アメリカにおきまして連邦政府が州の裁判所に連邦としての権限を持っておるということにはならぬわけでございますので、そういった意味で相手のあることであるということは基本的には言えるわけでございますが、私どもが先ほど申しましたような実質的な均衡論の立場からアメリカ政府に要求をしておりますことを受けて、アメリカ政府もこのカリフォルニア、ハワイにつきましては本年中にあくだろうというような見通しを述べておるわけでございまして、私どももそれを信じ、さらにアメリカ政府の努力、そして当該州における弁護士会あるいは裁判所の作業を見守りたいと思っておるわけでございますが、いろいろな機会にできるだけ早くあけるようにということの要求は続けてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
#71
○岡本委員 法務省としては、まずアメリカならアメリカを例にとりますと、どれだけの州が向こうは受け入れるということを決定すればこの法律を運用するのか、この点を一つお聞きしておきます。
#72
○井嶋政府委員 先ほど中村委員の御質問にもお答えをしたところでございますけれども、実質的な均衡論と申しますのは、法律論ではなくて一つの政策論だというふうに思うわけでございますが、昨年十二月九日の日弁連の臨時総会におきまして、その提案理由の中にこのように書いてございますのでちょっと参考に申し上げますと、「実質的な相互主義を確保するため、ニューヨーク、カリフォルニア、ハワイ、ミシガン、ワシントンDCなどを含む相当数の主要な州がわが国の弁護士を受け入れる制度を有していることを要する。」というふうに書いておるわけでございます。
 そこに書いてございます「実質的な相互主義を確保する」という意味合いでございますが、これを先ほどから実質的な均衡論というふうに申し上げているわけでございますけれども、その意味合いを子細に検討いたしますと、確かに我が国は形としては全土を開放するというふうになっておるわけではございますけれども、現実にアメリカの弁護士が我が国に入ってまいりました場合に、全国津々浦々に参るということではなくて、東京とか大阪とか横浜とかいったような大都市に来るであろうということが予想されるわけでございます。さらに、今度は我が国の弁護士がアメリカに進出する場合はどうかというふうに考えました場合、アメリカ五十州、属地を入れましても五十二、三になるわけでございますけれども、そういったところ津々浦々に日本の弁護士が行かれるということではないわけでございまして、やはり日本の弁護士としては関心のある州であろうと思うわけでございます。
 そういった意味で、アメリカの弁護士がやってくる都市あるいは日本の弁護士がやっていく州といったようなものがアメリカと日本との間において実質的に均衡がとれておるというようなこと、これを実質的な相互主義は確保されているという意味合いとしてとらえておられるのではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
 そうだといたしますと、ちなみに先ほど申しました日弁連の臨時総会の提案理由で指摘されております州、つまりニューヨーク、カリフォルニア、ハワイ、ミシガン、ワシントン、この五州が開いた場合のことを考えますと、これは我が国と経済的あるいは社会的、文化的に非常に関係の深い州でございます。さらに私どもが持っております我が国の企業の進出数ということから見ますと、現在約千五百社各州に進出していると言われておりますけれども、この五州には約千余り、つまりパーセントにしますと約六六%の企業がこの五州に出ておるということになるわけでございます。さらに米国に進出しております銀行の支店あるいは事務所の数は全部で八十くらいあるというふうに私どもの持っております統計ではわかるのでございますが、その中で今の五州に進出しておりますのは約五十店、五六%ということになるわけでございます。
 つまり我が国の進出企業あるいは我が国の進出している銀行等のことを一つの象徴的なデータとして考えますれば、これらの五州が我が国の弁護士の進出する需要と申しますか、法律サービスのニーズと申しますか、そういったものがやはり集中している地域ではないだろうかというふうに考えるわけでございます。そして、これらの五州の弁護士数全体を見ますと、アメリカの全弁護士数の約三割がこの五州に集中をしておるわけでございます。そういう意味では、やはり米国内における渉外的な法律事務といったものが葉申していることが予想される地域でもあるわけでございます。したがいまして、このような五州が我が国の弁護士を受け入れるならば、実質的にはかなりの程度日米間の均衡が図られることになるのではないだろうかというふうに私は考えておるわけでございまして、私どもとしましては、先ほど来申しますように当面この五州の開放、つまりあと二州の開放に向けて最大限の努力をしておるというところでございます。
 ただ、もちろん弁護士会内の意見としては、これ以外の州につきましても関心があるというふうに言っておるわけでございまして、私どもは、そういった他の州も含めましてできるだけ多くの州が開放するようにということをアメリカ政府に要求をしておりますし、その努力は今後も継続してまいるつもりでございますが、いかにいたしましても相手の裁判所が決定をしなければならない問題でございますから、今ここで何州があかなければどうだとか、何州があいたらやるとかというふうなことを申し上げることはできないということは、先ほど中村委員に申し上げたとおりでございます。
#73
○岡本委員 相互主義ですから、そこで省令なんかで具体的にどこの州、どこの州、どこの州が開放しないと我が国も受け入れないというようなことをちゃんと明記をしておかなければならぬと思うのです。というのは、この法案の附則の第一項に、この法律は公布の日から起算して二年以内の政令で定める日、こういうことになっていますね。二年間でできないということになりますれば、結局この法律は動かぬことになるのです。大体二年たったらできるだろうということですけれども、今あなたのお話もあったように、裁判所あるいはまた向こうの受け入れがどういう状態によってできないかもわからない。したがって、この二年以内というのを、この法律は政令の定める日から施行するというようにしておけば、向こうが開放したときにこれを入れればいいわけですから、この点いかがですか。
#74
○井嶋政府委員 まず、どこの州が開かなければ施行しないということを省令に明記すべしというような御意見でございましたけれども、これは先ほど来申しておりますように、法律的にはアメリカ連邦の場合には州単位の相互主義をとらざるを得ないわけでございまして、そういった意味で具体的に州名を挙げて何州がなければだめだというようなことを法律論として省令に書き上げることは不可能でございます。むしろ書き上げるといたしますれば、例えば五州と日本との相互主義という話になるわけでございまして、それはもう不可能なことでございます。
 それから、アメリカの残りの二州の予測、さらにそれに続く状況がどうなっているかというようなこともあるわけでございますけれども、先ほども申し上げましたようにカリフォルニアとハワイにつきましてはもう近い将来、私は恐らく本年中あるいは夏までにと言っていいのかもしれませんが、あくのではないかという感触を得ておりますので、そう長い、二年もかかるという問題ではないというふうに現時点では考えております。ただ、あくまで私はここで確定的に申し上げることができないということは先ほど申し上げたとおりでございます。
#75
○岡本委員 ということは、新しく開放するところ、そういう感触は得ておるけれども、向こうの州に確かめてどうだあるいはまた裁判所のはっきりした答えも出ていない。今は、二年以内に必ず出るという確信のような状態であります。そうすると、二年までにできないということになりましたら、この法律は三州だけであって、あとの二州は実際的に開放しない、こういうふうに考えていいのですか。
#76
○井嶋政府委員 先ほど来申し上げておりますことは、できるだけ多くの州をあけるために努力を継続すると言っておるわけでございまして、現在の三州で結構だという立場ではないわけでございます。したがいまして、近い将来において五州、さらにそれがもっとふえていく、特にこの法案ができました場合にこれがインパクトになってアメリカ各州が開くのではないかということも予想されるわけでございますので、そういったもろもろの事情を今後見ながら、私たちは三州以上にもっと多くの州が開くように努力をしていきたいということを申し上げておるわけでございます。
 ただ、一つつけ加えさせていただきますが、この法律の施行というのはアメリカ連邦のみを対象とするわけではございませんで、全世界を対象としておるわけであります。今、先ほど来申し上げておりますようにECの諸国もこの受け入れ制度を見守っておるわけでございます。したがいまして、私どもは先ほど申しましたような国内的な整備がすべて整った段階において、アメリカの開放状況それからその他各外国の要望状況、そういったものを十分に把握をして、その上で日弁連とも協議をした上で正式に施行日を定める政令を定めたいというふうに考えておるわけでございまして、アメリカのみを対象として施行云々を議論するということは、この場合には不十分と申しますか不適切ではないだろうかというふうに思っておるわけでございます。
#77
○岡本委員 そうすれば、この二年以内に政令で定める日というのはますます非常に難しくなってくるのではないですか。今だけでも、アメリカのあとの二州だけでもこうだし、今度ECからヨーロッパ、これは後でもう少し論議しますけれども西ドイツ、ますます期日を二年以内と限定しておきますとできない場合もあるのじゃないでしょうか。したがって、私が提案したように、この期日は制令の定める日から施行するということにしておけば、向こうの実情に合わせてちゃんとできるわけでしょう。その方が法務省はやりやすいのじゃないでしょうか。そうでなければわずかなところで相互主義と言われましても、これは最初の弁護士会の話があったと思うのですけれども、本当のわずかであればこれは本当の相互主義ではないということですから、今そういうことでヨーロッパの方のお話もなさったと思いますけれども、そうであればこの期日についてもう一度再考されたらいかがでしょうか。
#78
○井嶋政府委員 施行期日の定め方につきましては、御指摘のような立法例が昔あったということは承知いたしておりますけれども、やはり国会という立法府で御審議される法案がその施行がいつになるかということを全く政府のフリーハンドにゆだねておくということは立法府の意思を考えました場合相当でない、こういうことから、最近の立法例ではほとんどの場合政令で定める日から施行するという裸の形ではなくて、必ずその限度年を書き入れるというのが通例でございます。今回私どもが採用いたしましたこの附則の考え方もそういうことでございます。
 ただこれを二年といたしましたのは、先ほど来申しましたような国内的な整備の状況、国際的調整の状況あるいは先ほど来議論になっておるような外国の事情といったようなものを総合判断して政府として政府の責任において政令で定めたいということを考えておるわけでございますが、その限度として最大限を二年としたわけでございます。しかし現時点ではこの制度は、従来の経緯もございます、また今日の国際経済の状況、国際的法律事務の需要の問題あるいはその適正化を一刻も早く進めたいというような事情、そういったものを総合して考えますと、私はこの制度はできるだけ早く開くべきであるというふうに考えておるわけでございまして、国内の整備もそれなりに急いでやらなければならないというふうに考えております。そういう意味で、私どもといたしましてはできるだけそういった整備を進めまして、可能であれば例えば来年の四月一日に施行できるということになればいいなというふうに、それを一応の目途として今後作業を進めたいというふうに政府としては考えておるわけでございます。
#79
○岡本委員 日弁連の意見はどうであったか。要するにこの外国弁護士法に関する会則を日弁連では制定しなければならぬだろうと思うのです。これはまた各単位会の検討が必要であるということになりますと、今まで見ていると弁護士会というのは何でもなかなかまとまらぬところです。少なくともこれに二年ぐらいかかるのではないだろうか。来年の四月一日といったらもう一年しかないわけですよ。法務省の方はそういう考えかもしれませんが、現実に今度これを受け入れてやろうという日弁連の会則、特に懲戒の問題、いろいろなものがあるわけですからね。この点は今ここで言ってもあれですからもう一遍検討しておいていただく、まだ何遍か委員会をやりますから、そのときに参考人の意見も聞いて進めたいと思います。
 次に、今度の法律は法務大臣が資格を与える、すなわち承認をするについての基準、これは法律上の資格であって、数の制限ないし需要考慮はしていないというようなお話でございましたね。ところが、私の方の調べによりますと、西ドイツは法律相談法において需要充足の可能性によって許可をしている。また、イギリスは入国審査によって自国民の雇用関係に支障がないかを慎重に考える。香港は法曹協会の勧告ですね。シンガポールは外国人弁護士が取り扱っている事件に対して法務長官に定期的に報告しなければならぬ。特に、私も行きましたけれども、オーストラリアは入国管理法で厳しく運用されている。そういうことになりますと、向こうは雇用のあれで制限する、日本は野放し、これは本当の相互主義じゃないでしょう。いかがですか。
#80
○但木説明員 法務大臣が外国法事務弁護士となる資格を承認する基準については、本法案の第十条第二項において、「法務大臣は、承認申請者が前項各号に掲げる基準に適合するものである場合においても、弁護士となる資格を有する者に対し同項第一号の外国においてこの法律による取扱いと実質的に同等な取扱いが行われているときでなければ、承認をすることができない。」と定められております。したがいまして、仮に我が国の弁護士が特定の外国にその国の外国弁護士として受け入れを申請し、それが労働需要等の理由によって拒絶された場合には、むしろ「この法律による取扱いと実質的に同等な取扱い」が行われていないという判断をする場合もあるのではないかと思っております。したがいまして、ここで言う相互主義は、単に制度的な問題だけを意味しているわけではなくて、むしろ運用面を含めて実質的に同等な取り扱いがなされているかどうかを勘案した上で運用すべきものと考えております。
#81
○岡本委員 そうしますと、先ほどあなたが中村委員に答弁したように、需要考慮は入れていなくてただ資格だけを審査するのだというのではなくして、相手の国が需要考慮をすれば日本も需要考慮をする、こう解していいわけですか。
#82
○但木説明員 私が申しましたのは、諸外国において需要を理由にいたしまして我が国の弁護士の受け入れを拒絶した場合には、本法案の十条二項の規定による「実質的に同等な取扱い」が行われているとは認められないということで相互主義の要件を満たさないという認定をする場合があるということを申し上げたわけでありまして、我が国において、個々の承認において我が国の需要という面からその申請を拒否したりすることは本法上は定められていないということを申し上げたわけでございます。
#83
○岡本委員 その点がおかしいのですよ。向こうの方はちゃんと需要を考慮して受け入れる、いや拒否する、我が国は需要考慮はしないと言う。向こうは需要考慮をしておる、日本は需要考慮をしない。しかし、それをやったからこっちもやろうというのは話がちょっとおかしいと思うのですが、向こうが需要考慮をして受け入れを断った場合は、日本も同じように需要を考慮して断ることができる、この二項はこういうことですか。
#84
○但木説明員 そこで考慮されるべきは、相手方が我が国の弁護士を受け入れないという実際面に着目いたしまして、相手国が我が国の弁護士を実際には受け入れないということであれば、「この法律による取扱いと実質的に同等な取扱い」が行われていないということで、当該外国の弁護士を我が国で受け入れないことがありますということを申し上げたわけでございます。
#85
○岡本委員 そうすると、その理由は、ただ相手国が受け入れないから日本も受け入れませんよ、開放しませんよ、理由は何ですかと言われたときは、理由はありません、こうなるのですか。そうでなくして、あなたの方が需要考慮しているのだから日本も同じようにするのですということなのか。この点をはっきりしてください。
#86
○但木説明員 仮に委員御指摘のような考え方をとった場合には、相手方において需要を理由にして拒否した場合、今度は我が国において我が国の需要を考慮いたしまして、我が国の需要が仮にあった場合にはこの申請を我が国では承認しなければならないということになろうかと思います。
 しかし、私が申し上げたのはそうではありませんでして、相手国が我が国の弁護士を実質的に受け入れないという挙に出た場合には、我が国もこの十条二項によりまして「実質的に同等な取扱い」が行われていないという認定に立って、その理由だけで拒絶いたしますと言うことがあるということを申し上げているわけでございます。
#87
○岡本委員 どうもその点、あなたの話はくるっと変わってしまうのです。今、私が西ドイツ、イギリスあるいはベルギーの例を引きまして、特にイギリスの入国審査に当たっては自国民の雇用関係に支障がないかを慎重に考慮している、そして受け入れないということになれば、我が国も同じように雇用関係というような理由で法務大臣は許可を与え狂いのか、この点を言っているのですが、どうもあなたは、向こうが受け入れぬからこっちも受け入れられません、理由は何ですかと言われたときには理由はございません、こうなるのですか。この点はいかがですか。
#88
○但木説明員 理由は明確でありまして、相手国において我が国の弁護士を受け入れないということがこの法案の十条二項に定めます「この法律による取扱いと実質的に同等な取扱い」が行われていないということになる、つまり理由はそこにあるわけでございます。
 ただし、諸外国が労働需要というような観点で外国弁護士の受け入れの基準にしているのに対しまして、我が国におきましては、弁護士の職務内容というようなことを勘案し、外国法事務弁護士が弁護士と同質性を有するということから、「適正かつ確実に職務を遂行するための計画、住居及び財産的基礎を有する」ことというのを承認の基準に掲げておるわけでありまして、諸外国の観点と我が国の観点とは異なる。すなわち、諸外国においては経済問題として需要というのを考慮しているのかと思いますが、我が国においては、むしろ外国法事務弁護士の職務ということから考えれば適正かつ確実に職務を遂行できるような諸条件がきちっとそろっている必要があるというような観点から承認の基準にいたしておるわけでございます。
#89
○岡本委員 恐らく西ドイツにしたってイギリスにしたってベルギーにしたって、日本と同じように、「誠実に職務を遂行する意思」、いろいろ書いてありますね、「住居及び財産的基礎」「依頼者に与えた損害を賠償する能力」こういうのはあっても、雇用的に向こうがあなたはだめだ、こういうことになれば、日本も同じようにそういう受け入れないところに対して、雇用という面ではその点平等じゃないでしょう。もう一遍お聞きしておきます。
#90
○井嶋政府委員 先ほど来御説明申し上げておりますように、例えば今御指摘のような取り扱いが西ドイツで行われたといたしますれば、それは十条二項の要件、つまり相互主義の要件に欠けるという判断に立って拒否をするわけでございます。相互主義の考え方というのは、資格をお互いに認め合うかどうかという点に求めておる、つまり我が国の制度と同様の法律サービスを提供することを当該国が認めるかどうかという観点に相互主義の実質があるわけでございます。言いかえますれば、西ドイツでどういう理由によるにせよ拒否をしたということであれば、我が国のこの法案に言う相互主義の要件に欠けるという理由で拒否をするということを申し上げておるわけでございます。
#91
○岡本委員 これはまた次の機会にもう一遍詰めましょう。
 次は、先ほどから我が国の弁護士と諸外国の弁護士が同質のものである、同質と盛んにおっしゃっているのですけれども、一つ例をとりますと、イギリスのバリスター、法廷弁護士と、それからソリシター、事務弁護士、こういうように資格が分けられておるわけです。日本はもう全部兼ね備えておるわけですね。これが同格なんでしょうか。いかがですか。
#92
○井嶋政府委員 今イギリスのバリスターとソリシターという御指摘がございましたけれども、一応バリスターは法廷弁護士、ソリシターは事務弁護士というような訳になっておるわけでございますが、これは弁護士としては同根でございまして、ソリシターは一定の範囲で法廷事務を取り扱えるわけでございまして、そういった意味で、二元主義をとっておりますけれども、実質的には我が国の弁護士と同質であるというふうに考えております。
#93
○岡本委員 法務省がそう言って頑張るのなら仕方がないから、次に行きましょう。
 そこで、先ほども中村委員からも話がありましたように、弁護士の資格試験、そして人数ですね。今、今度のこの外国弁護士の資格を取れるといいますか、アメリカの弁護士の数を見ますと、これはあなたの方がよく知っているかわからぬけれども、昭和三十五年には二十五万人にすぎなかったが、五十五年には五十三万五千人、五十八年には六十二万二千人、来年には七十五万人に達する見込みであろう、こんなにたくさんの弁護士がいるわけですね。そうして、外国人弁護士として受け入れを決めたときにどんどん申し込んできた、こういうことになったら、資格はもうアメリカの法律によって決まっているんだからということによって認定をし、受け入れるということになったら、これはもう大変なことになるのではないか。司法試験の合格率、これも資料がありますけれどもこれはさておきまして、日本の法曹界に大きな混乱が起こるのではないか、こう思うのですが、この点については法務省はどう見ておりますか。
#94
○井嶋政府委員 御指摘のように現在アメリカの弁護士は約六十五万人いるというふうに言われておるわけでございますけれども、アメリカの弁護士は日本の弁護士と違いまして非常に活動範囲が広うございます。日本におけるいわゆる弁護士の周辺職種、税理士とか弁理士といったような周辺職種の業務も含めまして弁護士の業務にされておりますし、さらに政府関係あるいは州の公的な職務につく者も弁護士資格者であるというようなことで、そのすべての者がいわゆる日本の弁護士と同じような法律事務を取り扱っているわけではないわけでございまして、登録されている総数は多うございますけれども、実質はそれほど、そんな数には至らないというふうに言われております。しかし、いずれにいたしましても、我が国の弁護士と比較いたしまして非常に数が多いということは御指摘のとおりでございます。
 しかし、そういった数の比較だけでもってそれが我が国に一斉にどっと押し寄せてくるかと申しますと、我が国に外国法事務弁護士として進出いたしますには、それなりの要件もございます。法務大臣の承認を得なければなりませんという要件もございますし、さらに日弁連の登録をクリアしなければならないという要件もございます。さらに、そういった法律的な要件以外に、実質に着目いたしますれば、やはり日本における住居の設定、事務所の開設あるいは事務所職員の採用さらには若い弁護士の雇用といったようなことなどを考えますと相当なコストを要する話でございまして、私どもはとても予測がつきませんけれども、相当の資金、資本を持たなければ進出してこれないという実情にあるというふうに考えられます。そういったことで、現在的確に何人くらい来るだろうかという予測はできませんけれども、やはりそれぞれそういった条件を満たす人たちのみが参入できるということで、それなりの数におさまるのではないかというふうに考えております。現にアメリカの弁護士がヨーロッパあたりへ進出しております数を見ましても、国によっては違いますけれども、せいぜい百名内外というようなことでございます。したがいまして、御指摘のような数の比較だけでもって危機感を持つというようなことは今のところ考えておりません。
#95
○岡本委員 あなたが考えてないだけでしてね。だから私は、これだけたくさんの人数もおるし、また向こうもいろいろと条件を整えてきた場合、やはり法務大臣が許可する、承認をする資格については厳しく法律で規制しておかなければならないと思うのです。ちょうどアメリカの貿易摩擦もそうでしょう。この間中曽根さんが行って、日本はもっと五百億ドルの黒字をなくすようにしますなどと言ったけれども、そんなことはできるわけないのです。レーガンも余り期待はしていないようでしたけれども。だから、どういう事態が起こるかわからない。また訴訟が起こるということもある。あるいはまた貿易摩擦のようにアメリカの圧力が出てくるかもしれぬ。このときに制限するというところのきちっとしたもの、例えば需要考慮も入れるというようなこともきちっとしておかないと私は混乱が起こるのではないか、このように思うわけです。今、法務省の考え方では、そんなに来ませんよ、百名か二百名ぐらいでしょうというような簡単な考え方でありますけれども、その点はひとつもう一遍、法改正も含めて検討していただきたい。そうしないと、仮に圧倒的な外国法事務弁護士が弁護士会、日弁連に入会してきた場合、会則を改廃する権利を外国法事務弁護士が持つということになった場合には根本的に日本の弁護士の規則がもう改廃されてしまう、そして運営に大きな支障が出る可能性もあるわけですね。したがって、今あなたの答弁のように、まあ今までのを見ますと百名そこそこでしょうというような簡単な考え方では困ると思います。これについての歯どめといいますか、これはどうしても需要考慮となると数の制限になるだろうと思うのですが、この問題をどこで練るか、入管でやるかあるいはまたどこでするかということについて再考をしていただきたい。きょうは時間がありませんから、これもひとつ後で御返事をいただきます。
 次に、聞くところによると、アメリカの州の弁護士が、例えばニューヨーク州、ミシガン州の弁護士がアメリカ全州の法律を取り扱うことができるように今要求をしているらしいんですね。こういうことが起こった場合、開放した州が、今度は米国の他州の法律も扱うことができるということは、実質的な相互主義になるのではないか、この点もひとつ考えていただきたいと思うのですが、いかがですか。
#96
○但木説明員 本法案におきましては、その第二条の第二号で「外国(法務省令で定める連邦国家にあっては、その連邦国家の州、属地その他の構成単位で法務省令で定めるものをいう。)」となっております。アメリカ合衆国連邦のように弁護士制度が各州の権限に属されているような連邦国家につきましては、各州が独立の外国として本法上は取り扱われるわけでございます。したがいまして、アメリカ合衆国の一つの州が一つの外国となるわけでございますので、他州法は原則として外国法に該当するということになろうかと思います。外国法でございますので、無条件にこれを取り扱わせるということは本法上できないわけでございまして、仮に他州法を取り扱うことができるといたしますれば、それは本法案の第十六条による法務大臣による特定外国法の指定を受けたときのみでございます。それが例えばニューヨーク州の弁護士がネバダ州の州法につきまして指定を受けましてこれを取り扱うことができるようになったといたしましても、これと相互主義、いわゆる資格を互いに承認し合うというような制度とは別問題であると考えます。
#97
○岡本委員 相互主義をとっている、開放した州以外の州から、アメリカ全部できるようになったということで申し込んで日本でもできるだろうということになることはないということですね、あなたの話では。日本に開放している州以外は日本は受け入れないのだ、アメリカ全部できても。これははっきりしているわけですね。
#98
○但木説明員 そのとおりでございます。
#99
○岡本委員 それから、外国の弁護士の組織に登録せずに企業の法務関係の社員として五年以上経過した、実務をやっていた、こういう人もこの外国法事務弁護士の基準の中に入るのかどうか、これをひとつ確かめておきたい。
#100
○但木説明員 各国は、それぞれ独自の歴史的背景に基づきまして独自の弁護士制度を形成しております。我が国におきましては、企業に雇用されて、そこで弁護士として活動するというのは原則としてございません。わずかの例外で、弁護士会の許可を受けて企業に雇用されている弁護士もおりますけれども、それはいわゆる弁護士活動というようなことで見るわけにはまいらぬものであると考えます。しかしながら、諸外国におきましては必ずしも日本と同じような制度をとっているわけではございません。まさにローファームと同じような活動を企業内のリーガルセクションでやっている国もあるわけでございます。それが弁護士としての実務経験として算定すべきものであるかどうかというのは、その国における弁護士実務としてその国において認められているかどうかというようなことから定まるべき問題であろうかと思っております。
#101
○岡本委員 そうしますと、その国で認められておれば、もう今度の外弁法は適用する、こういうわけですね。
#102
○但木説明員 その国における実務経験と言えるかという点については、御指摘のとおり、その国において弁護士の実務経験として見られるかどうかということで決まろうかと思います。
#103
○岡本委員 そうすると、その国で弁護士として認められておればこの外弁法の対象にはなる、こういうことですね。
 次に、先ほどから部長が、日弁連と協議した、日弁連の意見を尊重したと盛んにおっしゃっておりましたので、第十条の三項、第十六条の二項、ここに日弁連の意見を聴かなければならない、こう規定していますね。この「意見を聴かなければならない。」というのは、意見を尊重する、こういうことなんですか。これはいかがですか。
#104
○井嶋政府委員 この法案の制度におきましては、御案内のとおり日弁連がこの外国法事務弁護士の指導、連絡及び監督を行うわけでございます。そして、外国法事務弁護士の資格の得喪あるいはその取り扱える職務の範囲等に関する指定、これは法務大臣が行うわけでございますけれども、そういった中身と日弁連が行います指導、連絡、監督とは密接な関係を有しておるわけでございます。そして、日弁連は法務大臣によって資格を付与された者の登録事務を行いますし、さらに法務大臣によって指定法の指定を受けますと、その登録名簿に指定法の付記を行うという機関とされておるわけでございます。したがいまして、法務省、法務大臣の行います事務と日弁連の行います事務とが相互に有機的に関連し合うわけでございますので、それを円滑かつ適正に運用する必要がございます。それから、法務大臣が行うこととされております資格の承認、あるいはこの指定法の指定といった制度の運用につきましても、また日弁連は日弁連として独自の調査と申しますか、独自の立場で情報を収集し、それを把握しておられる面もあるわけでございます。
 したがいまして、こういった二つに分けられております事務を有機的かつ円滑に運用するためにここに日弁連の意見を聴くという制度を持ち込んだわけでございまして、これは現在の準会員の制度、つまり旧七条の制度におきましても同じように最高裁の承認について日弁連の意見を聴くという制度が定められておったのと同じ趣旨でございます。したがいまして、私どもは、これは有機的かつ円滑に行うことを目的とするという意味におきまして、日弁連の意見はそれなりに十分尊重するという考えでございます。
#105
○岡本委員 そうしますと、この十条の三項は、日本弁護士連合会の意見を聴かなければならないし、意見を尊重しなければならない、こういうようにならなければならないのではないでしょうか。先ほどからたびたび日弁連の意見を尊重するということをおっしゃっていたわけですから、ここに明記するのが普通じゃないでしょうか。
#106
○井嶋政府委員 意見を尊重するというような形の立法があるのかどうか私は必ずしも詳細に存じませんけれども、先ほど申しましたように旧七条の規定の際に最高裁判所が日弁連の意見を聴くという規定を設けておったと同じ内容の規定でございまして、その趣旨といたしますところは先ほど申したような趣旨でございます。あえて法文上、尊重という言葉を明記しなくても、その趣旨は十分わかるはずでございます。
#107
○岡本委員 いろいろな法律の中にはちゃんと尊重というのが入っていますよ。これもペンディングにしておきます。
 時間が余りありませんから、最後に、外国法事務弁護士は、弁護士を雇用してはならぬ、また共同経営をしてはならぬ、こういうのが四十九条にありますけれども、どういうことを想定をしておるのか。例えば同じ事務所で共同事務所が禁止されておるのか、また経費も共同で持つということになるとこれは共同経営になるとか、中のことはなかなかわからない。ただ、雇用するところのタイピストあるいは受付、あるいは電気代、家賃、こういうものをどうするか。この共同経営の禁止と雇用について一遍詳しくお聞かせを願いたい。
#108
○但木説明員 外国法事務弁護士と我が国の弁護士との関係につきましては、委員御指摘のとおり本法案の第四十九条で定めております。
 まず、その第一項におきましては「外国法事務弁護士は、弁護士を雇用してはならない。」と規定されております。したがいまして、外国法事務弁護士は、弁護士を雇用して日本法に関する法律事務を行うことを禁止されるわけでございます。第二項におきましては、外国法事務弁護士は、組合契約あるいはこれに準じた契約によりまして特定の弁護士と法律事務を行うことを目的とする共同の事業を営み、互いの収益を共通にして分配し合うような形での事務所の運営というようなものは禁止されるわけでございます。また、同項後段では、商法上の匿名組合契約に類似した契約によりまして外国法事務弁護士が資金を提供し、我が国の弁護士が法律事務を行って得た報酬をその投資者である外国法事務弁護士に対して支払うというような形での外国法事務弁護士と我が国の弁護士との関係を禁止しているところであります。
#109
○岡本委員 時間がありませんから。それで、こういった一つ一つの事務所の問題あるいはまた事業活動については日弁連が懲戒権限を持っているようでありますけれども、日弁連ではそんな細かいことはわからぬわけです。わかるのは各単位会ですね。ところが、懲戒権限は単位会に与えずに日弁連だけに与えている、この点はどうもちょっと附に落ちないのですが、この点についてひとつお聞きしたい。
#110
○但木説明員 委員御指摘のように、今回の外国法事務弁護士に対する懲戒手続につきましては、本法案の第五十三条で定めているところであります。この法案の中身は、日弁連が二月六日に決定いたしました制度要綱に基づいて作成したものでございます。
 外国法事務弁護士に対する監督権をどのように行使するかというのは極めて弁護士自治に深いかかわり合いがあるところでありまして、この点につきましては日弁連の意見を最大限尊重すべき分野であろうと我々は考えておったわけでございます。この点につきましては日弁連内において十分な討議がなされ、民主的な手続によって日弁運に懲戒権を帰属させるという決定があったと私たちは承知しております。その日弁連の御決定に基づいて本法案は作成されているものであり、当然日弁連あるいは弁護士会においてはこのような制度をとることを前提に十分な監督権の行使ができるという御判断であったと我々は考えておりますし、日弁連がそのような決定をしたことにつきましての理由も妥当性があるものと考えております。
#111
○岡本委員 これももう一つペンディングにしておきますけれども、日本の弁護士会の場合は皆各単位で懲戒をやっていますね。ところが、この外弁法によると、日弁連に全部帰属している、しかも、そんな遠い東京でやるというのはとても、個々の小さな問題についてあるいはまた実態についてはなかなかわかりにくいだろうと思うのですね。これもまた二十二日に再質問をしてもう一遍お聞きいたしますけれども、きょうはこれで、時間が参りましたので終わります。大変どうもありがとうございました。
#112
○太田委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
    午後一時三分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十四分開議
#113
○福家委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。横手文雄君。
#114
○横手委員 私は弁護士問題につきましてはいわば素人でございますので、質問の中であるいは的外れの点があるかもわかりませんが、お許しをいただきたいと存じます。なお、私の質問の中身については、法務委員会の調査室でまとめていただきました外国弁護士制度に関する資料等を参考にさせてもらったわけでございまして、以下順次御質問を申し上げます。
 まずは我が国における外国弁護士制度の経緯と内容についてであります。
 旧弁護士法、昭和八年制定の中にも外国弁護士制度は規定をされていたと聞いておりますけれども、その概略と実態はどんなものであったのでございましょうか。
#115
○井嶋政府委員 ただいま御指摘のように、旧弁護士法は昭和八年制定でございますが、この中に六条という規定がございまして外国弁護士制度を設けておりました。これはその前にございました旧々弁護士法、これは明治二十六年に制定されたものでございますけれども、そこでは外国弁護士制度というものはなかったわけでございます。
 まず、この旧々弁護士法時代は、弁護士の職務は裁判所における職務に限定をされておりまして、裁判所事務以外の法律事務につきましては必ずしも弁護士独占ということにはなっておらなかったという経緯がございます。ところが、昭和八年、旧弁護士法を制定いたします際に弁護士の職務を拡大いたしまして、法廷活動のみならずその他の法律事務一般を弁護士の独占ということにしたということ。それから旧弁護士法では一般人に開放されておりました、言うなれば非弁活動と申しますか、弁護士でない者たちの活動といったものの取り締まり規定を設けまして、弁護士に独占させることとなった法廷事務あるいはそれ以外の法律事務を弁護士資格のない者が取り扱ってはいけないという制度を設けたわけでございます。
 ところで、旧々弁護士法時代にはそういう法制でございましたので、東京とか大阪あるいは横浜というところに古くからおりました外国弁護士が旧々弁護士法のもとでは活動していたわけでありますけれども、昭和八年の旧弁護士法をつくります際にこれを除外するわけにはいかないということから、昭和八年の旧弁護士法ではこの規定を六条に設けたと言われておるわけでございます。
 この六条の規定によりますと、相互の保証があるときに限り、司法大臣が認可をいたしますと、この外国の弁護士資格を持っている人たちが外国人または外国法に関して法律事務を取り扱うことができるという規定になったわけでございまして、これに基づきまして外国人に関する法律サービスあるいは外国人に限らず日本人も含めた依頼者に対する外国法に関するサービスといったものが外国弁護士によって行われるというような実態があったわけでございます。ただ、古いことでございますので、その当時何人司法大臣の認可を受けたかというような統計まではよくわかりませんけれども、それほど多数の人がいたということではないというふうに聞いております。
    〔委員長退席、村上委員長代理着席〕
#116
○横手委員 それでは、そういった歴史的な背景を受けながら昭和二十四年に現行の弁護士法が制定をされ、旧法は全面的に見直しをされたと承知をいたしておりますが、このとき現行法の中にもやはり第七条に外国弁護士に関する規定があったと聞いておりますが、その概略と今回の法案との違いについて御説明いただきたいと思います。
#117
○井嶋政府委員 旧弁護士法が昭和二十四年に全面改正をされたわけでございますが、これは新憲法の秩序のもとで司法制度が全般に変わりましたことを受けました改正でございまして、一番大きな要素としていわゆる弁護士自治というものが確立されたのがこのときからでございます。この現行弁護士法の七条に、御指摘のように外国弁護士が日本において法律事務を取り扱うことができるという規定が引き続き盛られたわけでございますが、これは旧弁護士法時代のそういった名残もございますけれども、やはりこの当時は占領下でございまして、駐留軍関係のいろいろな法律事務といったようなものを処理する、あるいは極東裁判といったような事務を処理するというような形で外国の弁護士がこの戦後に日本に多数入ってきたという事情がございます。そういった占領下の中でこの新法を制定するに際しまして、やはりそういった外国弁護士の制度が従来あったということ、そしてその戦後の特殊な事情下で外国弁護士の必要性があったというようなことが踏まえられまして七条の規定が設けられたわけでございますが、この七条は、旧弁護士法の六条と違いまして二つの類型の外国弁護士の制度をつくったわけでございます。一つの類型は、外国法のみならず日本法についても知識のある外国弁護士につきましては、選考を経て、最高裁判所の承認によりまして日本の弁護士と変わらない職務行為ができるということでございます。それから、第二項の外国弁護士資格者というのは、これは外国法に関する知識があるということで、外国人または外国法に関する法律事務を取り扱うことができる。そして、それもやはり試験、選考によって最高裁判所が承認をするという形でございまして、旧弁護士法六条と同じ形が現行弁護士法の二項の形に受け継がれたと承知をいたしております。
 当時、この規定に基づきまして最高裁判所の承認を得た外国弁護士資格者は、昭和三十年までに一項の資格者が二名、二項の資格者が七十五名ということでございまして、これらの人たちが日弁連あるいは弁護士会の準会員という形で弁護士会に参加いたしまして弁護士活動をしておったということでございます。ところが、三十年にこの七条が改正をされまして、廃止になっております。
 今回の法案との違いという御質問でございますが、今回の法案は、昭和二十四年当時と制度の必要性と申しますか目的と申しますか、その辺は全く変わっておりまして、当時の占領下の事情といったようなことではなくて、むしろ今日的な必要性、つまり現在のような社会経済情勢の進展、国際化といったものに対応いたしまして国際的な法律事務が増大をする、それに適切に対処するために弁護士の国際交流を図るというような新しい視野、将来に向かっての観点からこの制度が設けられるに至ったわけでございます。
 職務の中身といたしましては、今回の法案では原則として外国弁護士の資格者の原資格国法、つまり自分が資格を取得した国の法律に限って法律業務が行える、裁判所での法廷活動などは一切認めないというような意味で、職務活動の中身は旧七条とは大きく異なっております。
 それから、旧七条の準会員は、先ほど申しましたように最高裁判所の承認を受け最高裁判所の監督に服しておるわけでございますけれども、今回の法案によります外国法事務弁護士は日弁連の指導監督のもとに入るということで、日弁連のメンバーといたしまして日本の弁護士と相携えて将来の国際化に向けて共同してサービスの向上を図っていくという制度が構築されたということでございます。
#118
○横手委員 その現行法の七条が昭和三十年に削除されたというお話でございますが、これはなぜ削除されたのですか。
#119
○井嶋政府委員 この七条は、先ほど申しましたように戦後の特殊な事情下においてでき上がったものでございます。ですから、そういった意味で、二十七年に独立をいたしました日本国といたしましては独立国にふさわしい改正をする必要があるということが一つ大きなファクターになったというふうに言われております。
 それからもう一つは、旧弁護士法、つまり先ほど御説明しました昭和八年の旧弁護士法では、弁護士となる資格は日本国籍の者に限ると定められていたわけでございます。そういったこともございまして、外国弁護士制度というものが六条であったわけでございますけれども、この昭和二十四年の現行法におきましては、弁護士資格に国籍要件をかけないということになりまして、外国人であっても日本の司法試験に合格をするといったような資格を取得いたしますと弁護士になれるという制度になったわけでございます。そういった意味で、旧弁護士法の六条とは違いまして、そういう規定を設けなくても、本当に外国の弁護士が日本で活動したいと思えば日本の資格を取ればよいというような考え方が一つございました。
 それからもう一つは、当時、外国の弁護士を自国の弁護士制度の中に取り入れて活動させるというようなことを積極的に制度として規定しておりました外国の例というものがなかったというような事情、こういった三つの事情から、昭和三十年になりまして七条を削除するという改正が行われた、これは議員立法で行われたものでございます。
#120
○横手委員 その七条の削除の理由ということ、日本国籍のない者には弁護士の資格を与えないという世界の例もあった、こういうことでございますが、そうしますと、当時、三十年以前にこの法律に基づいて資格を取っておられた方、先ほど一種が二人、二種が何人かということでございましたけれども、現在、外国籍を持って日本で弁護士として活躍しておられる方は何人ぐらいおられますか。国別にわかりましたら、ひとつお願いをいたしたいと思います。
#121
○井嶋政府委員 先ほどちょっと申し落としましたけれども、昭和三十年にこの七条の規定を削除いたしました際に、当時、最高裁判所の承認を得て準会員として活動していた人たち、累計者七十七名になるわけですけれども、この方々の中で三十年に削除いたしました際に、引き続き経過措置といたしましてこの人たちは引き続き活動ができるという規定が設けられましたので、準会員として登録しておりました人たちは現在まで引き続き準会員として旧七条の規定による職務活動、業務活動が行えるということになっておるわけでございます。
 現在残っております。その準会員の数をちょっと参考に申し上げますと、いわゆる一項準会員と申しまして日本法についてもできるというこの準会員は、現在一人残っております。それから二項の準会員は現在十六名残っておるということでございますが、いずれにいたしましても、これは経過的な措置でございまして、いずれ将来に向かって消滅していくものだというふうに考えられておるわけでございます。
 ところで、御質問の点でございますが、現行法で日本国籍を要件としないということから、外国人も司法試験を受け、司法修習生になる道が開かれておるわけでございますけれども、昭和五十二年以来今日まで司法試験に通りまして司法修習生として採用されました方は累計九名に上っております。その国籍はすべて韓国の人たちでございます。これらの人たちは日本に帰化をしておられる方もありますし、韓国籍のまま活動しておられる方もございますが、ほとんどの方が弁護士になっておられるというふうに承知をいたしております。
#122
○横手委員 そもそも外国弁護士がその国の法律事務、日本の法律ではない法律事務を行うことを我が国の法律が禁じているのか。その根拠となる規定と理由というようなものはどういうことになっておりますか。
#123
○井嶋政府委員 現行弁護士法の七十二条に非弁活動の禁止という規定がございまして、弁護士資格のない者は法律事務を取り扱ってはならないという規定があるわけでございます。この規定の「法律事務」と申しますのは、日本法に関する法律事務のみならず外国法に関する法律事務も含むというふうに解釈をされております。したがいまして、資格のない外国の人たちが外国法に関して日本で弁護士業務を行うということは、この規定によって現行法上は禁止をされておるということでございます。
 ただ、先ほど申しましたように、準会員とかあるいは日本の資格を取った外国籍の方は別でございますが、それ以外の一般的な日本で資格のない外国の弁護士は、現行法の七十二条によって現在は日本で事務所を開設し業務を行うことはできないというふうになっておるわけでございます。
#124
○横手委員 先ほど述べられました昭和三十年以前に、現行法の七条が生きておるときに資格を持った者が今でもおられるということですが、その人はこの法律が制定されると何か身分的に変化が起こってくるのかということはどうなのですか。
#125
○井嶋政府委員 先ほど申しましたように、七条を三十年に廃止いたしまして以来、経過的な措置として準会員が現在十数名残っておるわけでございますけれども、先ほど御説明いたしましたように、この準会員の職務範囲というものは今度の外国法事務弁護士よりも広うございます、法廷活動も含めてできるわけでございますから。そういう意味で、この準会員は今度の新しい外国法事務弁護士制度には乗ってこない、つまり引き続き経過措置として認められている職務を行っていくということでございます。
#126
○横手委員 次に、外国における弁護士制度と実情について若干お伺いを申し上げたいと思います。
 先ほど来いろいろアメリカ等の例が出されて、我が国の弁護士制度との関連等について繰り返し質問がなされておるわけでございまして、特に今回の弁護士法の改正については、アクションプログラムというような中に総理がこの問題をうたわれて、以前から問題は出ておりましたけれども、急にその速度が速まったというふうに理解をしておるわけでございますが、アメリカは連邦国家でございまして、弁護士の制度は州ごとに異なっておるということをお聞きいたしております。たとえそれは建前は違っていてもというのでしょうか、合衆国でございますから州ごとに弁護士の認定基準等があるということは聞いております。しかし、一つの国でございますから、それぞれの州に共通性というものが当然あるんだろうと思いますし、そうなりますと他州における弁護士業務等について一体どうなっておるのだろうかということがちょっとわからないのですが、どういう形で運営されておるのでございましょうか。
#127
○井嶋政府委員 アメリカ合衆国におきます弁護士資格の付与の制度は、委員御指摘のとおり各州単位になっておりまして、連邦政府は一切その権限がないという定めになっております。それぞれの州の最高裁判所の規則等によりまして弁護士の資格付与の制度等ができ上がっておるわけでございます。しかし、御指摘のようにアメリカはそういった観点から各州単位に定めておりますけれども、連邦国家としての法律の共通性と申しますか類似性と申しますか、そういったものは当然あるわけでございまして、資格付与要件につきましても、若干の違いはございますけれども、押しなべて申し上げますと、ABAと申しまして、日弁連と同じようなものでございますけれども、ABAの認可しましたロースクールを卒業するということが受験資格となりまして、各州の司法試験委員会が行います司法試験に合格をする、そして各その試験委員会が行います適性検査と申しますか、要するに弁護士としての適性を持つかどうかというような面からのチェックといったものをクリアいたしますと、当該州の裁判所の認可を受けまして弁護士業務ができるということになっておるわけでございまして、そういった基本的な構造は各州共通でございます。
 それから、職務の関係でございますけれども、もちろんアメリカにおきましては法律は大きく分けますと連邦の法律と州の法律というふうに分かれるわけでございまして、連邦憲法を初めといたしました連邦法はもちろん各州に全部及ぶということになっておるわけでございます。それ以外に各州の特殊性と申しますか独自性と申しますか地域性と申しますか、そういったものを背景とした各州ごとの州法の立法もございますけれども、基本的には連邦の法律あるいはアメリカのほとんどの州をカバーしております判例法といったようなものが基本になって組み立てられておる法制度でございますから、そういった意味でアメリカの法制、特に法体系につきましても資格制度と同様の共通性がある程度あるということが言えようかと思います。
 そこで、他州の法律についてどうしているのかというようなお尋ねでございますけれども、アメリカの弁護士は他州の資格を持っておりませんと法廷に出られないとかいったような一定の制限はございますけれども、共通しております法律全体を取り扱って法律業務を日常行うということについては特段の制限はないというふうに承知をしております。
 それから、資格制度との関係で申し上げますと、ある特定の州の司法試験に合格をし、その州の弁護士資格を取得して、例えば五年間その州の弁護士として実務の経験をするといったような場合には、その資格をもって他の州での試験を免除して他の州の弁護士となる資格を与えるというような、便宜的な措置と申しますか、相互性と申しますか、そういったものを制度として多くの州で採用されておるということでございまして、言うなれば州単位に資格というものが成り立ってはおりますけれども、州が各一つの国だというふうな非常に明確な形では峻別はされていないというような実態の国であるというふうに承知をいたしております。
#128
○横手委員 よくわからぬのですけれども、最初に私はこれらの問題については素人でございますということをお断りしましたので……。
 おっしゃるように、連邦法等に対する争いというものはたくさんあると思うのですね。ところが、その争う事実については各州にいろいろなことが起こってきておるのじゃないか、こういう気がするわけですけれども、連邦法なんかを争う場合には、特によその州の問題等も含んでいた場合には、弁護士が何人か出てきて法廷に立つ、こんなことになるのですか。
#129
○但木説明員 連邦法が争いになっております場合には連邦の裁判所ということになろうと思います。これは州の裁判所と違いまして、必ずしも他州の資格であれば出られないというようなものではなくて、一定の要件のもとにこれに参加するというようなことができるわけですが、法廷活動はむしろそれぞれの州で資格を持っている人が法廷に出るというのが原則になっております。
#130
○横手委員 先ほどの説明の中で、アメリカもしかし共通性を持たせるようないろいろな工夫がなされておるようだというような話があったわけですが、そういう方向というものはさらに進んでいくということになるのか。今の各州ごとの弁護士の制度というものがこれからもずっと守られていくような形になるのか。あるいは、いろいろなところで、社会が進んでくれば州ごとの問題に限らない、各州にまたがる、したがってそれらの共通性を持たせるような一定の要件があるという説明でございますが、そういった方向というものはやはりアメリカの中でもどんどん進んでいくのじゃないかという気がしますが、どういう動きになっておるのでしょうか。
#131
○但木説明員 委員御指摘のように、アメリカ合衆国連邦の中では次第に統一的な傾向が明らかになってきております。例えばユニホームローというようなものがございまして、これはほぼ全国統一的な法典を各州で成文化するというような形でございまして、形式上は各州の法律なのでございますが、ほとんど連邦全州において内容が同じであるというような法律もございます。この傾向は非常に顕著でございまして、各種の法領域で統一化の動きがあると聞いております。
 それから、弁護士資格の点でございますが、最近ではマルチステート・バー・エグザミネーション、いわゆる多川間における司法試験というようなものがかなりたくさんの州で行われるようになっておりまして、この多川間における司法試験と各州で行う試験との組み合わせというようなことで実際には司法試験が行われている州がむしろ多数になってきております。したがいまして、各州間の弁護士同士の相互乗り入れといいますか、それも恐らくさらに進んでいく傾向にあるというふうに考えております。
#132
○横手委員 そういうことで非常に速いスピードで進んでおるということになりますれば、やがてアメリカにおいて、日本のように、アメリカの連邦政府が認知をした弁護士というような、それに近いような弁護士制度というのも早晩生まれてくるんじゃないかという感じはどうなんでしょうね。
#133
○但木説明員 これはアメリカの司法制度の問題でございますので、私たちが何か将来を予測するということは非常に難しいかと思います。憲法上各州の権限に属せられている事項でございますので、憲法上の問題もあるということで、そう一朝一夕に連邦政府が認定する弁護士というようなものができ上がるとは思われませんが、例えばアメリカの中では、日本の弁理士に相当いたしますパテントアトーニーについては既に連邦単位になっておりますし、将来弁護士は絶対にその方向をとらないとまでは断言できないというふうに思います。
#134
○横手委員 この法律は、相互主義をとるということで、アメリカは各州ごとに弁護士の制度があるから、アメリカで開いた州については日本も開きましょう、アメリカが閉めておる州については相互ありません、こういう形になっておるわけであります。そうしますと、今おっしゃるように弁理士のような弁護士、憲法問題までいけばそれは大変なことでしょうから、とりあえずそういうものを認めたような形で、この試験に受かれば大体アメリカの合衆国の全部の州で、法律も同じようなことになってきておるという御説明でございますから、そういう扱いをされる弁護士が生まれてきたときに、相互主義ということになってくると、アメリカからはみんな入ってくるけれども、日本からは閉めておる州には入れない、こんな妙なことになりませんか。
#135
○但木説明員 本法案におきましては、二条で、法務省令で定める連邦国家については、法務省令で定めるその連邦国家の構成単位との間で相互主義を適用することになっております。アメリカが仮に委員御指摘のように連邦単位で弁護士制度をつくるというような事態になりました場合には、当然、州単位をとっております法務省令をその段階で再検討して修正すべきことになろうかと思います。
#136
○横手委員 連邦国で統一の弁護士資格というのまでにはちょっと時間があるかもわからないということなんですね。しかし、各州ごとに共通性を持たせよう、そして法律も連邦法を各州ごとに強化していこう、これはかなりのスピードで進んでいますよという説明があったものですから、そうなってくると弁護士の資格というのも、連邦国家の統一した資格ということよりも、それに準じたようなものがやはり生まれてくるんじゃないか。そういう資格を持った人ということになってくると、相互主義の中で何か日本だけが割を食うようなことになりませんか、こういう気がするのです。そのときにはまた見直しますということですが、そこら辺のところは、これは日米間でかなり交渉が行われて日本の国会に提出をされた法律でございますから、アメリカとの間にいろいろなやりとりが行われて成案を見たことだと思いますが、そこら辺に対する日米間のこの法律が成案するまでのやりとりみたいなものはどんなものでございましたか。
#137
○但木説明員 外国弁護士受け入れ制度につきまして、相互主義をとるかどうかということは早くから日米間で問題とされてきたところであります。日本側は、特に日弁連の御意見では相互主義は当然であるという御主張であります。アメリカ側の主張は、相互主義というようなものを受け入れ制度の中で設けるべきではないという主張が第一段階であったわけでございます。しかしながら、本法案におきましては、外国弁護士を我が国に受け入れるということと同時に、我が国の弁護士が国際的な場にできるだけ広く立てるようにするという趣旨のもとに、相互主義を採用するということにいたしたわけでございます。
 本法案がまだ成立していないわけですけれども、日本側でそういう方向をとるということが明らかになった後で、アメリカ合衆国内ではニューヨーク州一州であったものがミシガン州が開き、またワシントンDCが開いたというようなところから見ると、やはりその相互主義をとった効果はそれなりに期待できるものであるというふうに考えております。
 また、先ほど御指摘のようにアメリカ国内で法典の統一化が進んでいる、あるいはその資格の相互承認というか共通性というものが次第に生まれてきているということを申し上げたわけですが、ただこの法案におきましては、あくまでも当該州において五年間の実務経験をした者だけを受け入れる、それは相互主義の要件を満たした州の弁護士だけを受け入れるという制度になっておりますので、その法律の統一性とかいうことが直接に影響するとは思っておりません。
#138
○横手委員 そうなりますと、先の話だろうとはおっしゃるのですが、アメリカが連邦国家として一つの制度をつくって、各州の法律にかなり精通しておる、だからこの人はアメリカの弁護士だという制度が仮にできたら、その人は日本には来れないのですね。
#139
○但木説明員 大変難しい仮定でございますので、そういう制度ができるかどうかわかりませんけれども、仮に法務省令でアメリカ合衆国連邦を指定しておりまして、それの構成単位は州であるというふうに法務省令で定めている限りにおいては、連邦全体の弁護士というようなものについてはこれを受け入れる基盤がないということになろうかと思います。
#140
○横手委員 余り仮定の話ばかりしておってもいけませんが、私は皆さんの説明を聞いておってそういう気がしてくるわけですね。もう弁理士は連邦で一定の資格要件をつくりましたよということだし、もう法律は各州ごとにできるだけ同じような法律にせよということがかなりのスピードで進んでおります、あるいは弁護士の共通性といいましょうか、相互性といったようなものもかなりのスピードで進んでいます、こういう説明があったものですから、そうなってくると、州を超えた形の弁護士が生まれた場合にはこれは厄介なことになるなという気がしたものですから、ちょっと念押しをさせていただいたということでございました。まあそうなったらそのときに法律を十分見直しをしなければならない時期もあるいは来るかもわかりませんね。
 次に、アメリカには六十万人以上の弁護士がおられる。ところが日本の弁護士数は約一万二千人ということでございますが、アメリカの人口が日本の約倍として、これは人口比にいたしましてもけた違いということなんです。ちょっと失礼な聞き方かもわかりませんが、日本の司法試験は大変難しい、たくさんな人が受けられてなかなか通らない。そしてこれだけ。ところがアメリカは六十何万人おるということで、その門戸がかなり広いということになると、質も落ちるのかなという気がするわけですし、それでまた、アメリカでかなり過剰になってきたので、一遍日本で稼いでこい、こんなことで特にやかましくアメリカからこういう要請があったのかなというような気がするのですけれども、そこら辺について法務省はどういう見解でございますか。
#141
○井嶋政府委員 御指摘のとおり、現在アメリカの弁護士として登録をされております数は約六十五万人だというふうに言われておるわけでございますが、従来も御説明してまいりましたように、アメリカの弁護士の職務の範囲というものは日本の弁護士の職務の範囲とは相当違っておりまして、相当広範囲な分野において活動をするということでございます。単に弁護士として開業しているという人たちだけではなくて、政府の関係機関あるいは自治体の関係機関といったようなところで活動している人もこの中に含まれるというような形でございまして、これは日本の制度とアメリカの制度との違いに根差す問題でございます。
 しかし、いずれにいたしましても、今御指摘のように、日本の弁護士と比べますと人口比で考えましても相当大勢であるということは言えると思います。まあこれはアメリカ社会と日本社会の本質的な違いといったものにも根差すのだろうと思います。アメリカ社会は、御案内のように法律を道具として、とにかくすべて訴訟で解決をするというような国柄、日本はどちらかと言えばそういった面で処理をせずに、日本独特の呼吸でもって処理をするというようなお国柄だということから、弁護士のそういった活動の分野といったものもそれぞれ違いが出てきているということは言えるかと思います。
 しかし、委員のお言葉ではございませんが、数が多いから資質が落ちる、あるいは試験がやさしいから資質が落ちるのではないかというような御指摘でございますけれども、これは私どもは、単に合格率の比較でございますとかいったようなことだけで物事を論じることはできないのではないだろうかというふうに思うわけでございまして、アメリカの制度はアメリカの制度として、相当期間のロースクールの勉強といったようなものを踏まえた司法試験制度といったものがあるわけでございます。そのアメリカにおいてそれに合格した者に弁護士としての高度な法律専門職としての資格を与えておるわけでございますから、それはそれぞれの国によって違いはございますけれども、そういった制度の中で生まれてくる各国の弁護士といったものは、今度の法案で考える場合、やはり各国の弁護士であるというふうにしてこれを前提とし、尊重していかざるを得ないというふうに考えておるわけでございまして、必ずしもアメリカの弁護士が過剰だからそのはけ口に海外へ出ることを求めているというようなことではなくて、現在の国際的な法律業務のニーズと申しますか、そういったものに対応してそういった必要性が生まれてきているという前提でアメリカの弁護士を見る必要があるだろうというふうに考えておるわけでございます。
#142
○横手委員 今御説明ございましたように、アメリカの弁護士活動は日本とは違う活動をしておるというようなことでございます。その特徴の一つとしてローファーム、大法律事務所の活動が挙げられて、この法律が出されたときに、日弁連の皆さん方もこのような問題があるということで取り上げられたと承知をいたしております。
 それは一つの法律事務所で六百人ぐらいおられるというようなところですから、六百人ということになると日本では大企業の部類に入りますし、そういったシステム、組織が日本に入ってきて、そしてありとあらゆる法律活動をやれるようになってくるということになれば、これは日本の弁護士の皆さん方にとっても、何か金魚鉢の中にナマズが入ってきたというようなことで大騒ぎになるのではないかという気がするわけでございます。こういったことと、特にアメリカはヨーロッパあたりと深いつながりがあっていろいろな行き来があると思うのですけれども、ヨーロッパのロンドンだとかパリなんかにおけるローファームの状況あるいはヨーロッパの弁護士の方がアメリカで活躍をしておられるその数だとか状況だとかいうのがわかりましたら、ひとつお示しをいただきたいと思います。
#143
○井嶋政府委員 まず、前段に仰せになりましたローファームの流入という問題でございますが、確かにアメリカにはローファームという独特の弁護士の業務形態がございまして、御指摘のように一番大手のローファームは六百人を超す弁護士を抱えていると聞いておりますが、それは極めて例外的でございまして、通常は百から二百というようなところだと聞いております。いずれにいたしましてもアメリカにおきましては、専門化した弁護士が一つのファームに所属をいたしまして、それぞれ専門分野につきまして法律サービスを行う、法律事務を行うというのが定着しておるようでございます。
 しかし他方、そういった活動以外に、日本の弁護士と同じような法廷を中心とした伝統的な形の弁護士の方々も相当数あると聞いておりまして、アメリカの弁護士はイコール、ローファーム形式のビジネスだというような割り切り方では必ずしも正確ではないのではないかというふうには考えておりますけれども、確かに特徴としてそういう形態がございます。
 これが日本に流入してくるのではないかというお話でございますけれども、法案の中身を若干御説明させていただきますと、今度の外国法事務弁護士の受け入れ制度は、そういったファームの支店の活動として日本で認めるという制度を考えておるわけではございませんで、それぞれ外国の弁護士の資格者を個人として資格の承認をいたしまして日本に受け入れ、個人の資格において日本で業務をしていただくということが今度の制度の根幹になっておるわけでございます。御案内のように日本の弁護士はそういった大きなファーム形式といったものはまだ定着をいたしておりませんで、原則的、基本的には個人主体の業務活動を行うというのが日本の弁護士活動でございますから、そういった日本の制度に整合性を持たせる意味で、外国から受け入れる弁護士にはすべて個人の資格における活動を認めるという形でいろいろなことを考えておるわけでございます。
 それから後段で御質問の、アメリカの弁護士あるいはローファームが外国でどのように活動しているかというお話でございます。これは私ども必ずしも正確な数字を持っておりませんで、むしろ日弁連が一九八三年に欧州におきましてこの問題に関連して調査をされました際に得られた数値を御紹介申し上げますと、一九八三年現在で、ロンドンにはアメリカの弁護士が約百五十名進出をしているということでございます。さらにパリには、一九八二年末段階の数では八十八名行っておるというようなことでございます。もっともフランスでは、一九七一年に制度を改正いたします以前にアメリカのファームが進出をしておりました時期がございます。その時期におりました弁護士が一九七一年の法改正の際に経過的に資格が認められたというものがございます。そういった類型で、残っております弁護士数は必ずしも正確に把握をされておりませんけれども、そういったものを足しましても百名内外というふうなことだと言われておるわけでございます。
 それから、同じく日弁連の欧州調査報告でございますが、西ドイツにおきましてはアメリカの弁護士が約十五名活動をしておる。それからベルギーにおきましては、一九八三年の視察の際のデータでございますが、二十六名が活動をしているというような報告がございます。それから他方、ヨーロッパの弁護士がニューヨークにおきましてニューヨークの受け入れ制度でありますリーガルコンサルタントという資格で活動している人の数でございますが、これは一九八四年現在の調査でございますので若干古いのでございますが、合計約八十名、三十カ国に及ぶ、主なものはイギリス十五、西ドイツ、フランス数名というふうに言われております。
 なお、参考までに、日本人がこのリーガルコンサルタントになりましたのは過去に一人いたということでございますが、現在は活動していないと聞いております。
#144
○横手委員 そういった話を聞いてみますと、そう急に外国人弁護士がふえて大変なことになるなというようなことは、現状からいくとそう大きな問題にならないのじゃないかという理解をするわけです。
 それでは次に、我が国における渉外法律業務と制度導入の影響ということで二、三御質問申し上げます。
 これから外国人弁護士の皆さん方に門戸を開こうということについては、現在我が国においては渉外法律専門の弁護士の方がこの分野を担っておられるし、こういった方面でも我が国の国際交流の活発化に伴ってだんだん質、量ともに高まってきたということであろうと思いますけれども、現在これらの法律を実際に担っておられる人たちについての現状はどういうことになっておりますか。
#145
○井嶋政府委員 御指摘のような渉外法律事務と申しますか、国際的法律事務を取り扱っております人たちは、現行の制度上は次の三つの類型に分かれるかと思います。
 一つは、先ほど御説明申し上げましたいわゆる準会員でございまして、昭和三十年に七条が削除されますまでに資格を取得した外国弁護士資格者、この方々はアメリカ人、イギリス人といった人たちでありますが、こういった人たちが、今日のような渉外的法律事務のはしりと申しますか、その最初のころに日本における渉外的法律事務の先駆となってやっておられたということでございます。この人たちは数が少なくなっておりますけれども、現在も引き続きその分野で活動をしておられる。日本の若い弁護士もそういった準会員の事務所でいろいろ勉強をして、そこから渉外的な事務へ進んでいった方もあるというふうに承知をしておるわけでございます。まず一つの類型がそういった人たちでございます。
 そういった人たちがやっておりましたのがだんだん広がってまいりまして、日本の弁護士自体が渉外的な法律事務の分野を中心として活動するようになってきた。これをいわゆる渉外弁護士というふうに言っているわけでございますが、これは若い弁護士を中心といたしまして数がふえてまいっておりまして、現在約五百人くらい東京、大阪、名古屋といったような大都市において渉外事務を取り扱っておられるというふうに聞いております。
 それから第三番目の類型といたしましては、これは企業法務と申しますか会社の法務部でございまして、弁護士ではございませんけれども、それぞれ会社の業務に付随して外国法に関する勉強をしまして外国との契約関係その他の法律事務を処理する専門家ということで、企業内にそういったセクションを設ける企業が多くなってまいっております。こういった人たちが日本の弁護士あるいは外国の弁護士と連携をとりながら渉外的な法律事務の処理に当たってきておるということでございまして、これも大きなファクターの一つになっておるというふうに承知をいたしております。
#146
○横手委員 そういうことで我が国の国際交流の広がりに伴っていろいろな形の渉外の方々がふえておるわけでございます。今御説明がございました三番目がこういう方だろうと思うのですが、これは新聞の切り抜きでございます。「外国法の専門家として 外人弁護士さん活躍中 渉外事務にフル回転」ということで新聞の「断面」という一つの特集としてやられておるわけですが、フル回転、大活躍中ということになってくると、これはそれだけ需要もふえてきたということだろう、中身を見るとそうびっくりするほどの人数ではございませんが、見出しだけはえらい派手になっておりますけれども、そういうことであろうと思います。特にこれらの人たちについて附則の二項の中で、ほかの国で法律事務を五年やったという一つの要件があるけれども、日本でこういった仕事を長くやっておる人については五つのうち三つは現地、あと二つはこっちの経験を二つに勘定しましょうというような形になっておるのですが、これは法務省としては今も公認だ、こういうことなんですか。
#147
○但木説明員 御指摘のような外国の弁護士は現在日本の弁護士に雇用されて、トレーニーとかクラークという身分で、みずから法律事務を処理するというのではなくて、その雇い主たる弁護士に対して自国法の知識に基づいて労務を提供しておる、こういうことであろうと思っております、附則の二項でこうした日本の弁護士に雇われているトレーニー、クラークを救済する規定を設けましたのは、これまで外国の弁護士を受け入れる制度を我が国が持っていなかったこと、そのために、外国の弁護士で日本にどうしても来たいという人たちが現在まではトレーニー、クラークという形でしか来られなかった、しかも日本の扉がいつあくのかわからないというような状況であったことなどを勘案して、本国で三年間の実務経験を既に経て来て日本で二年間トレーニー、クラークとして既に仕事をしておるということであれば、こうした要件を満たす者に限って現在の生活環境を清算することなくそのまま日本で外国法事務弁護士になれる道をつくりましょうという救済規定を設けたわけでございます。
#148
○横手委員 今我が国の渉外弁護士の方々が携わっておられる、ここに今度門戸を開いた。先ほどアメリカのローファームの制度でお聞きをいたしましたけれども、六百人というのは飛び抜けて大きいところでございましてあとは二、三百人でございますということですが、これは二、三百人と言われても日本の弁護士制度から見ると目をむくような組織になっておるわけでございます。しかしそういった大法律事務所のまま我が国に入ってくるような道はございませんという御答弁があったのですが、そういうことになってくると金魚鉢にナマズが入ってくるんだというようなことで、今やっておられる渉外弁護士の皆さんのところもそんなことはありません、こういうことで理解してよろしゅうございますね。
#149
○井嶋政府委員 先ほども申し上げましたように、本法案ではファームの活動を日本に導入するということではございませんので、そういった意味であくまで個人資格として個人の業務をしてもらおうと考えておるわけでございますから、直接的にファームの影響が国内に及んでくるということはなかろうかと思っております。しかし、やはり基本的にはそういったファームのメンバーから日本にやってくるというような人が多いのだろうと推測はされるわけでございますから、そういった意味でファームとのつながりがあるということは当然あり得ようと思います。それはむしろメリットとして、ファームが持っております専門性と申しますか、情報の量の多さと申しますか、そういったものが日本で個人として活動する人の背後にあるということ、これは我が国において国際的法律事務を処理する上におきましてより有用なことであろうとは思いますけれども、あくまで個人資格者を介した形での導入ということを考えておるわけでございます。
 そうは申しましても、やはり委員御指摘のように渉外弁護士と言っております人たちがやっております活動分野と外国法事務弁護士の活動分野というのは重なり合うわけでございますから、当然影響がないということにはならないだろうと思います。日弁連内におきましてもかねてからそういった問題について、ある論者は開放すべきだとおっしゃるし、ある論者は渉外弁護士に対する影響を考えて開放すべきでないという立論に立たれるということで、会内においても相当の議論が闘わされ、しかも長期間それが行われたということが本法案ができます背景としてあるわけでございます。
 そういったことでございますけれども、この制度が実現をし実施がされますと、やはり具体的には渉外弁護士が担当しておりますいろいろな国際的な契約の交渉代理あるいは契約書の作成といったような事務に何らかの影響が出てくるだろうと言われておりまして、それは否定し得ないだろうと思うわけでございますが、ある分野の業務、例えば金融とか証券とかいったような業務の分野では外国弁護士と日本の渉外弁護士との間である程度の分担が事実上でき上がっておるというような実態もあるということも聞いております。そういったものが崩れない限りはそういったものは引き続き共存していくということになろうかと思うわけでございます。むしろ日弁連内ではそういった消極面ばかりでなくてメリット面で、例えば外国法事務弁護士が入ってまいりましてそういった分野での活動が広まりますと、日本の国内における訴訟事件でありますとかあるいは日本の弁護士が必然的に関与しなければならない事務といったようなものもふえてまいるという意味におきまして、非常に言葉があれでございますが、言うなればパイが広がるというような形でそれなりのメリットがあるんだというような議論も会内にもあるというふうに聞いております。メリット、デメリットはございますが、いずれにしてもこれができ上がりましたら、政府と日弁連、日弁連が中心でございますが、弁護士と外国法事務弁護士との協力関係の構築といったものには一層の腐心をしなければならないというふうに考えておるわけでございます。
#150
○横手委員 この法律をおつくりになる段階で日弁運とも十分話をされたことでございましょうが、一方こういった人たちの依頼人といいましょうか、需要家といいましょうか、こういった人たちの意見も聞かれたことだろうと思います。つまり、外国に進出をしているあるいは貿易をしている日本の企業等については、これは現在渉外弁護士等を通じながらいろいろやっておられることだと思いますし、ここに門戸を開くということでございますから、それらの企業の皆さんとも話を当然されたことだろうと思いますが、この調査室の資料を見ますと、「日本の企業の中から、需要者の見地より日本弁護士による渉外法律事務のサービスについて、種々の指摘が提出されており、その一例として、」ということで載っておるのですが、ぼろくそに書いてあるのです、読むと差しさわりがあるくらいじゃないかしらと思うのです。これが一例だということになると、全例を出すとどういうことになるのだろうという気がせぬでもありませんけれども、ここらの企業からの御意見はどんなことでございましたか。
#151
○井嶋政府委員 御指摘のとおり、外国法事務弁護士が入ってまいりますと、一番関係を持ちますのはいわゆるユーザーでございます企業の関係者であろうと思います。もちろん個人もそれなりのメリットはございますけれども、主として企業が有力なユーザーであることには間違いないだろうと思います。
 この外国弁護士問題が起こりました経過の中で、昭和六十年の二月でございましたけれども、経団連がこの問題に対して意見を出しております。これは「自由貿易体制の再建・強化に関する基本的考え方」と題する書面でございまして、貿易摩擦一般についての御意見でございますけれども、その中に、外国弁護士問題につきまして次のような要望をされております。「外国人弁護士の日本における弁護士事務所の開設・活動については、相互主義に基づいて双方の納得のいく解決を早急にはかるべきである。」ということでございまして、基本的にはユーザーの立場に立たれる経団連はそういう方向性を持っておられるということがはっきりしておるわけでございます。
 それからさらに、私どもこの立案をすると申しますか、この問題について検討してまいります過程の昭和五十八年でございますが、先ほど申し上げましたいわゆる企業法務部、会社の法務部の人たちと意見の交換をするという機会を持ったわけでございまして、先ほど委員が資料にそういうものが載っておるというお話がございましたのはまさにそういったものの一つの紹介であろうと思うわけでございますが、そういった人たちとの懇談の中で出てまいりましたのは、多くの企業法務の関係者が、今日の国際的法律事務の増大を見るときにやはり日本の弁護士で外国法を専門とする人の数が少ない、それから、企業が国際的な活動をする場合にどうしても日本の弁護士だけでは賄い切れない需要がある、外国の弁護士が国外にいるために直接的に意見を聞けないということがある、あるいは外国の弁護士が日本におればそれが直接的に聞ける、もっとハンディーにいろいろ接触ができるというメリットがある。さらに組織面で、アメリカなどのような大きなファームの専門性と比較いたしますれば専門性が十分ではないといったようないろいろな面で、当時企業法務部からの意見として出てまいった点がございます。
 こういった点は恐らく今日も続いておると思うわけでございまして、さしあたりこういった面につきまして外国法事務弁護士制度ができ上がりますれば相当程度国際的法律事務の処理の充実に資することになるのではないだろうかというふうに思うわけでございます。
#152
○横手委員 この制度の導入については日本の貿易摩擦の関係等もこれあり、アメリカがその焦点になったという、対米対米ということが盛んに報道されていたわけでございますが、先般私の部屋に、これはもう皆さんのところに行かれたのだろうと思いますがECの代表部の方がお見えになりまして、この法案に反対でございます、提案理由のときに大臣からこの法律には五つの特徴がございますということで五項目お並べになりましたけれども、このことごとくをけしからぬ、こういうぐあいに言われるのです。これがこのまま通るなら日本はヨーロッパから嘲笑を浴びるであろう、我々から見たらこういう法律は通らぬ方がいい、こんなことをおっしゃるので、私もちょっと頭にきましたので、あなた日本の国会議員に何ということを言うのだ、こういうことを申し上げて、あなたの国は一体全体どうなっているのだと言ったら、私は自分のEC全体のことは余り知りません、こんな返事でございまして、それは御意見としては聞きますけれども、ここは日本の国でございまして、日本の国会議員にあんな法律はない方がいいと言うのはそれは失礼なことじゃありませんかといったようなこともあったのです。言い過ぎてごめんなさいというようなことで終わったのですけれども、特にEC関係についてこの法律をつくる上においての交渉事あるいは折衝というものはどんな面がございましたでしょうか。
#153
○井嶋政府委員 ECとの関係におきましてこの外国弁護士受け入れ問題が政府間のテーマとなりましたのは昭和五十九年四月からでございます。アメリカが問題提起いたしましたのが五十七年でございましたから、二年ほどおくれて同じような要求が出てまいりまして、貿易摩擦の解消といったような観点から他のサービス分野と同様に外国弁護士業務のサービスの自由化をすべきである、こういう視点から要求がありました。それを受けまして、アメリカと同様ECに対しましても政府といたしまして対処を余儀なくされたわけでございますけれども、ECとの間では非常にたくさんの機会を通じましていろいろ説明なり説得なりをしてまいりました。協議というような形でECの駐日の代表者あるいは本国から来た代表団との間で協議をしたような機会は四回ほどございましたが、それ以外に個別の会談という形で法務省においでになった機会にいろいろ話をし、要望も聞き、こちらの立場も説明するということで今日に推移しておるわけでございます。
 委員御指摘のとおり、この法案を立案いたします最終段階におきましては、ECの要望は四つの点に集約されておるわけでございます。もう既に御承知と思いますけれども御紹介申し上げますと、外国法事務弁護士を日弁連の監督のもとに、所管のもとに入れるのはおかしいというのが一点でございます。それから第二点といたしまして、資格の付与要件として五年間の自国における弁護士としての実務経験を要求することは厳格に過ぎるという主張でございます。さらに三番目の要望といたしましては、我が国の弁護士と外国法事務弁護士との雇用及び共同経営を禁止しておるのはやはり制限的過ぎる。それから四番目の主張といたしまして、外国法事務弁護士が取り扱える職務の範囲が狭い、この四つでございます。この四つの点は、アメリカの要求ももちろん重なり合っているわけでございまして、同じでございます。
 しかし、この四つの点につきましては、実は本法案におきまして、あるいはもっと正確に申し上げれば日弁連が決められました制度要綱におきまして、この四つの問題点はいずれも外国の要望には合致していない形で成案ができておるわけでございまして、私どももその制度要綱の考え方をそのまま法案に盛り込んでおるわけでございます。これはいずれもそれぞれ本制度の骨格をなすことでございます。言いかえますれば、我が国の司法制度との整合性といったような観点から、どうしても譲るべきでない点であるというふうに考えておるわけでございまして、そういった点につきまして、EC諸国の人たちにつきまして私どもは法案を提出した後も引き続き説得、説明をいたしておりまして、過般もEC加盟国八カ国の大使館の人たちにこの法案を説明するという機会を持ち、説得に努めておるところでございます。私たちは、司法制度との関係におきまして、それぞれ十分外国に説明し得る理屈と申しますか、それを構築し整理をしておるつもりでございますので、そういった観点から説明を繰り返し、説得をし、これからもまた実施に至るまでさらに説得を続けていきたいと考えておるわけでございます。
#154
○横手委員 特に、今我が国が貿易摩擦問題で何かにつけていろいろなことを外国から言われておる時期でございますから、お互いに誠意を持ってやるべきことであり、我が国の司法制度の根幹にかかわるようなことでございますから、その点については十分説明をして、やはり理解をしてもらうという努力はこれからもぜひ続けていただきたいと思う次第であります。
 時間が追ってまいりましたが、まだ若干残っておりますので、特に私は本委員会で確認をしなければならない点がございますから、やらせていただきたいと思います。
 それは弁理士の問題についてであります。以下十一点にわたりまして、これは確認ということでございますから、この法案の中にも、これらの問題については弁理士あるいは行政書士、税理士等についてもこれを適用する、基本的には同一であるということが書いてございますから、そのとおりだろうと思いますが、確認をさせていただきたいと思います。
 法案の第三条第一項第一号によれば、外国法事務弁護士は「国内の裁判所、検察庁その他の官公署における手続についての代理及びその手続についてこれらの機関に提出する文書の作成」は禁止されると規定されている。裁判所、検察庁はわかるが、「その他の官公署」にはどのようなものが含まれるのか、特許庁、税務署、法務局も当然に含まれますか、こういうことでございます。
#155
○但木説明員 第三条一項一号の「その他の官公署」には、その他の行政官庁並びに地方公共団体の役所がすべて入りますので、御指摘の法務局、特許庁等はすべてこの中に含まれているということでございます。
#156
○横手委員 それでは、特許庁、税務署、法務局への手続の代理やその文書の作成は、それぞれ弁理士、税理士、司法書士の業務とされているが、特別措置法によれば、外国法事務弁護士はこれらの弁理士、税理士や司法書士の業務を禁止されているということになりますか。
#157
○但木説明員 外国法事務弁護士は、日本法に関する法律事務を禁止されております。また、たとえ原資格国法に関する法律事務であっても本法案三条一項一号の行為を禁止されておりますので、御指摘のとおり弁理士等の業務は禁止されるということになっております。
#158
○横手委員 今お述べになりましたが、第三条第一項第六号で、外国法事務弁護士は「工業所有権の得喪又は変更を主な目的とする法律事件についての代理又は文書の作成」が禁止される旨規定されている。第一号と第六号の関連でどうなっているのか。また、「工業所有権の得喪又は変更を主な目的とする法律事件」とはどういう事件を指すのかということでございます。
#159
○但木説明員 本法案三条一項六号は、不動産あるいは工業所有権等に関します権利の得喪、変更を主な目的とする法律事件についての代理または文書の作成を禁止しているものでございます。したがいまして、例えば工業所有権の売買契約、あるいは工業所有権につきまして専用実施権あるいは通常実施権を設定します設定契約自体、こういうものは三条一項六号で禁止されることになるわけでございます。
 これと一号との関係を申しますと、六号におきましては売買契約というような契約自体の代理または文書の作成を禁止しているわけでございますが、これが進みまして、特許庁に対する申請手続というようなことになってまいりますと、一号でこれが禁止されるというような関係に立っております。
#160
○横手委員 その六号で、外国法事務弁護士のできない事務の中から鑑定が除かれているというのはどういうことですか。
#161
○但木説明員 本法案三条一項六号で「文書の作成」とありまして、その「文書」の中から「鑑定書」を除きました理由は、原資格国法に関する鑑定というのはいかなる場合でも外国法事務弁護士は行うことができるという趣旨であります。したがいまして、外国法事務弁護士が我が国の特許権についての鑑定ができるというような趣旨は全くございません。
#162
○横手委員 仮に、外国法事務弁護士が弁理士の業務を行ったときは、どのような措置、罰則がとられますか。
#163
○但木説明員 本法上で申しますと、例えば外国法事務弁護士が弁理士が行うところの行政庁に対する不服申し立て手続あるいは訴訟手続というようなものに関与して代理を行いますと、これは本法上の罰則ということになろうかと思います。その他の行為で弁理士業務を行いますと、懲戒の対象になろうかと思います。ただ、これはあくまでも本法上のことでございまして、弁理士法にはまた特別の規定がございますので、それに触れれば弁理士法違反ということになろうかと思います。
#164
○横手委員 次に、四十九条によれば、外国法事務弁護士は日本の弁護士を雇用したり、組合契約等により日本の弁護士と法律事務を行うことを目的とする共同事業を行ってはならないと規定をされておりますが、その条文の立法理由はどういうことでございますか。
#165
○但木説明員 端的に申しますと、日本法に関する法律事務に関与、介入させないということが立法の目的でございます。
#166
○横手委員 外国法事務弁護士が例えば日本の弁理士を雇ったり、日本の弁理士と共同経営をした場合には、日本の弁護士を雇ったりこれらの者と共同経営した場合と同じ問題が生じると思いますが、法務省の見解はいかがでございますか。
#167
○但木説明員 弁理士の業務も法律事務という側面があるわけでございまして。日本法に関する法律事務への介入という意味では、同じような問題が起こってくると考えられると思います。
#168
○横手委員 それでは、なぜこの特別措置法で外国法事務弁護士と日本の弁理士との雇用、共同経営について規定をしなかったかということですが、これはどういうことですか。
#169
○但木説明員 外国法事務弁護士と弁護士との関係について申しますと、外国法事務弁護士が取り扱ういわゆる原資格国法に関する法律事務あるいは指定法に関する法律事務というものは、弁護士の業務の一部でございます。したがいまして、その一部分において我が国の弁護士と外国法事務弁護士とはその業務範囲が重なり合っているわけでございます。したがいまして、その範囲ですと、形式的に申しますと共同経営をし、あるいは雇用関係をつくるということは許されることになろうかと思います。
 これに対しまして弁理士の場合には、その業務範囲が外国法事務弁護士と全く重なり合うところがないわけでございます。したがいまして、あえて共同経営の禁止であるとかあるいは弁理士の雇用の禁止であるとかそういうことを明文で書かなくても、当然業務範囲が違うわけですから、そういう関係は成り立たないのではないかということで弁護士と弁理士の扱いを変えているわけでございます。
#170
○横手委員 それでは改めて確認をいたしますが、外国法事務弁護士は、日本の弁理士を雇用したり日本の弁理士と共同経営をするということは、この特別措置法の精神に反するということになります。またその場合、外国法事務弁護士は何らかの懲戒、罰則を受けるのか、法務省の御見解はいかがですか。
#171
○但木説明員 ただいま御説明いたしましたように、外国法事務弁護士と日本の弁理士というのは業務範囲が重ならないわけですから、これを雇用しあるいはこれと共同経営してそして弁理士業務を行うということは本法が望まないところであるということはもちろんでございます。
 それから、仮にそのような関係に立った場合にどうなるかという御指摘でございますが、仮に外国法事務弁護士が日本の弁理士を雇用しあるいは日本の弁理士と共同経営をすることによって弁理士業務に介入するというか、弁理士業務を行うということになりますれば、当然本法上での先ほど申しましたような罰則あるいは懲戒の問題になることもあると思いますし、また弁護士法あるいは本法案とは別に、弁理士法で規定している制裁の対象になることもあり得るのではないかというふうに思っております。
#172
○横手委員 それでは特許庁にお伺いをいたしますが、弁護士法第七十二条の規定に相当する弁理士法規定は何条で、どのような規定になっておりますか。
#173
○山本説明員 ただいま御指摘の弁護士法第七十二条に相当する弁理士法の規定といたしましては、第二十二条ノ二でございます。そしてこの条文は、弁理士でない者が報酬を得る目的をもちまして特許、商標などの工業所有権に関しまして特許庁に対してなすべき事項の代理等を業として行うことを禁止する規定でございます。
#174
○横手委員 それでは弁理士法二十二条ノ二に該当した、その場合の外国法事務弁護士は、弁理士法の罰則規定である二十二条ノ四の適用を受けることになりますか。
#175
○山本説明員 非弁理士でございます外国法事務弁護士が日本の弁理士を雇用したりあるいはこれと共同経営をすることによりまして弁理士活動をすることは、弁理士法第二十二条ノ二で禁止されているものと考えられます。すなわち、非弁理士でございます外国法事務弁護士が日本の弁理士を雇用することは外国法事務弁護士がその名におきまして弁理士業を行うことになりますし、また日本の弁理士と組合契約その他の契約によりまして共同経営をすることによって実質的に弁理士活動を行うことは、いずれも弁理士法第二十二条ノ二で禁止されているものと考えられます。
 したがいまして、これらがこのような雇用、共同経営をした非弁理士でございます外国法事務弁護士は弁理士法上の罰則規定でございます第二十二条ノ四の規定に該当するものと考えられます。
#176
○横手委員 以上で終わります。ありがとうございました。
#177
○村上委員長代理 柴田睦夫君。
#178
○柴田(睦)委員 まず最初に、本法案に対する基本的な考え方についてお尋ねしておきます。
 昨年の十一月十八日に、我が党はいわゆる外国弁護士問題について、当時の嶋崎法務大臣に申し入れを行いました。そのときの趣旨は、この問題を貿易摩擦の解消策の一つとすることには反対である、対外経済対策の一環としての市場開放行動計画、いわゆるアクションプログラムから切り離して考えるようにということを要求すると同時に、この問題を単に職域の問題とするのではなくて、弁護士自治に関する問題として絶対に弁護士自治を侵害することがあってはならないということを指摘いたしました。戦後日本の弁護士は平和、民主主義、基本的人権、社会正義の実現の上で大きな役割を果たしてきておりますが、この土台になったのが弁護士自治であります。これは日本国民の基本的人権と民主主義擁護の要請に基づいて負託された日本国固有の制度であります。ですから、この弁護士自治をいささかでも揺るがすことがあってはならないと考えております。このことが本問題を考える上での最も重要な立脚点であると考えておりますが、まず最初に、大臣に、この点についての確固とした姿勢についての所見を確認したいと思います。
#179
○井嶋政府委員 長い経過がございますので、私からかわって御説明させていただきます。
 委員御指摘のとおり、この問題が貿易摩擦の一環として外国政府から取り上げられたということが政府が関与を余儀なくさせられた端緒であったということは御指摘のとおりでございますが、累次私ども御説明してまいりましたように、この問題は単なる経済的観点のみ、つまり貿易摩擦の解消を主目的として解決を図るということをいたしますれば、我が国の司法制度なかんずく弁護士制度に致命的な障害を与えるという認識のもとに、これをまさに司法制度の問題、弁護士制度の枠内での解決ということを基本方針としてまいったわけでございます。
 さらに、我が国の司法制度の中におきます弁護士制度のあり方の問題でございますから、御指摘のように我が国独特の制度となっております弁護士自治の制度を尊重し、日弁連の自主的な意見の形成を側面から援助するというような形で当初対応してまいったわけでございまして、そのことはもう委員御案内のとおり累次にわたる政府の閣議決定等におきまして鮮明にしてきているところでございます。
 そして、昨年の三月十五日に日弁連が基本的に、日弁連の自治のもとに入れる、相互主義の原則を守る、この二つの要件のもとに外国弁護士の受け入れを認めるという決定をいたしましてから後は、日弁連と私どもで具体的な協議の場を通じて緊密に協力し合いながら、日弁連の自主的意見の形成に私どもが共同して作業をしてまいったということでございます。
 そして、御案内のように日弁連が定めました制度要綱第一次案をもとといたしまして、昨年の暮れの臨時総会において会員の総意でもって受け入れが決められ、さらにその詳細が二月六日の理事会において圧倒的な多数をもって定められたということを受けまして私どもがこの法案を提出するに至ったということでございまして、終始一貫御懸念のございましたような点につきましては十分配慮を尽くしまして対処をしてまいったつもりでございます。
#180
○柴田(睦)委員 この点は非常に重大な問題であります。日本特有の司法制度の問題でありますので、ここはひとつ大臣からも一言医お願いしたいと思います。
#181
○鈴木国務大臣 ただいま政府委員から申し上げましたように、動機としては貿易摩擦の問題が出てまいりましたけれども、その以前からアメリカやヨーロッパからも、こういう国際環境の中で人事の交流も多い、経済の交流も多い、企業のお互いのいろいろな交流も多い、こういう中においてそれぞれの法律的ないろいろな需要が出ておるという環境のもとにおきまして、実は契機としては貿易摩擦でございましたけれども、必要であろうというふうに考えました。とりわけ、ただいま申し上げましたように、日本の司法制度の重要な変更にも相なるわけでございます。とりわけ、日本の司法制度の、しかもまだ世界にも類例を見ないほどの自治権を持っております弁護士制度とのかかわり合いが一番重要な問題でございますので、政府単独でやるというふうなことはいたしません。専ら日弁連を通じまして弁護士の皆さんの御意見を聞き、日本の弁護士の自治権を尊重しながらやってまいろうという姿勢でまいります。幸い日弁連の方ではただいま政府委員が申し上げましたような状態で、こういう要綱でやったらよかろうというような御意見がありましたので、それに基づきまして検討いたしました結果、まことに適切な案であろうというふうに考えたので、それに基づいてアメリカなりECと交渉し、そしてまたアメリカとかECには若干の不満も残っておるようでございますけれども、これ以上の案は日本としてはあり得ないということで実は決定をいたし、法案を提出いたしたような次第でございます。
#182
○柴田(睦)委員 今大臣に確認していただきました弁護士自治を保持するということに関連する質問は後にいたしまして。本問題を考える上で重要な点、法案の趣旨にも入れられております相互主義の問題でなお若干伺いたいと思います。
 最も問題となるのは、みんな同僚委員も指摘しておりますが、アメリカとの関係であろうと思います。法務大臣官房司法法制調査部参事官室が訳しました「アメリカ法曹協会国際法部会・比較手続及び実務に関する委員会報告書」によりますと、調査対象となった九つの州のうち、本法案と同様の相互主義の対象となり得る外国人弁護士受け入れの規定を持った州はニューヨーク州ただ一つでありまして、コロンビア地区が検討中、それからカリフォルニア、イリノイ、ペンシルベニアの三州が検討を準備ないしは検討したことがある、あとのコネチカット、フロリダ、マサチューセッツ、テキサスなどの州はいずれも外国人等に法曹資格そのものを与える条件等についての規定は一部あるが、外国人弁護士受け入れの規定は全くない、こういうふうに書かれております。この委員会での政府答弁では、現在ニューヨーク、ミシガン、ワシントンDCの三州が受け入れ、カリフォルニア、ハワイが準備中、そしてイリノイ、デラウェアの二州が検討中ということですが、法律が国対国の関係であるということから考えてみますと、これは弁護士会の中でも要望が強かったと思いますが、少なくとも日本の弁護士の進出が必要であろう、そういう相当数の州に受け入れ体制が整わなければ相互主義が全うされたとは言えないのではないかと思います。これまでの答弁のあった五つの州以外に、さきの報告書に挙げられました諸州を初めそれ以外の州でどんな動きがあるのか、あるいは今後受け入れの可能性はあるのか。政府対政府の問題として申し入れがなされているということを伺いましたが、そのことについてのそのほかの州の動きがあるのかどうか、その可能性についてお知らせいただきたいと思います。
#183
○井嶋政府委員 現在のアメリカの各州における受け入れの状況については既に御説明をしておりますけれども、再度申し上げますと、ニューヨーク州、ミシガン州、ワシントンDCがあいておる、そしてカリフォルニアとハワイが現在ドラフトについて検討を加えている、近くあくのではないかと予測されているということでございます。
 この調査部の報告書にイリノイあるいはその他の州の動きが出ておるということでございました。私も事実そのような情報を得まして、そのような趣旨の御答弁を申し上げたこともございます。イリノイについては、そういう検討がされたのでございますけれども、昨年の六月であったかと思いますが、外国弁護士受け入れに関する裁判所規則の改正が拒絶されたと聞いております。これは日本の弁護士を締め出すというような趣旨ではなくて、外国弁護士を受け入れる制度と申しますのは全世界に向かって開く制度でございますから、アメリカにおいてもそれぞれの州においてそれぞれの観点から検討が加えられておるわけでございますが、イリノイ州の場合には、何かメキシコの方の弁護士の活動との関係でこの受け入れ制度が拒絶されたというようなことであるという情報を得ております。デラウェアについては、一時検討されたことがございましたけれども、最近の動きは現在承知しておりません。
 それから相互主義は、アメリカの場合、州単位の相互主義をとらざるを得ないということで本法案上は整理をいたしておりますけれども、実質的な国と国との均衡という観点から相当の州があけなければおかしいではないかという御指摘は当然だということから、従来、政府といたしましてもアメリカ政府に対してそういった要求を継続しておるわけでございます。現在検討中の二州を含めた五州以外にもできるだけ多くの州があくようにということを引き続き私どもとしても要望をしてまいりたいと思っておるわけでございますが、テキサス州では、テキサス州の弁護士会が受け入れ制度についての検討を始めたという情報も聞いておりますので、これも日本の本法案が成立するということがインパクトになってそれがさらに進むのではないかということを期待いたしております。いずれにいたしましても、それ以外の州においてもこれがインパクトになって国際化に対応して順次開いていくのではないだろうかと考えておるわけでございます。
#184
○柴田(睦)委員 相互主義の関係で将来問題となる可能性があると思われますのでお尋ねしますけれども、受け入れ条件の相違点についてですが、本法案とニューヨーク州のリーガルコンサルタントの認可に関する規則を比較した場合に、資格、職務内容、事務所の名称、形態、自国弁護士との関係などの主要な相違点を説明していただきたいと思います。
#185
○井嶋政府委員 アメリカにおきましては、現在、三州開いておるわけでございます。その三州のルールの相互間には際立った相違はございませんで、おおむね共通いたしております。そこで、本制度とアメリカの受け入れ制度との比較という意味で、ニューヨーク州を例にとりまして御説明申し上げます。
 まず資格の名称でございますが、本法案上は外国法事務弁護士という名称を用いることを義務づけることになっておりますけれども、ニューヨークにおいてはリーガルコンサルタントという名称を用いることが義務づけられております。それから資格付与の機関と申しますか監督機関の相違でございますが、本制度においては、法務大臣が外国法事務弁護士となる資格を承認する、日本弁護士会連合会がこの承認を受けた者の登録を受け付ける、そして日常の業務を指導監督し、懲戒事案が発生した場合には懲戒権を行使するということで、登録以降の諸手続及び日常活動の規制はすべて日弁連の自治にゆだねる制度になっておりますけれども、ニューヨーク・ルールにおいては、リーガルコンサルタントはアメリカの弁護士、つまりアトーニー・アット・ローの監督機関と同様でございまして、州の裁判所が認可をし監督をするという制度になっております。それから資格要件は、本法の場合には、外国において弁護士資格を取得している者ということでございます。そのほかに承認条件がございますが、その重要なものは、当該資格を取得した国において五年間以上弁護士として実務経験を有すること、相互主義の要件を満たすこと、適正に職務を遂行するための計画、住居及び財産的基礎といったいわゆる個人の資質、能力を有することを条件といたしております。ニューヨーク・ルールにおいては、資格要件は同じように外国において弁護士となる資格を有する者ということになるわけでございますが、その一つの要件といたしまして、申請の直前七年のうちの五年以上弁護士としての実務経験があること、年齢が二十六歳以上であること、ニューヨーク州の居住者であることということが定められております。
 それから職務の範囲でございますが、外国法事務弁護士は原則としてその資格を取得した国、つまり原資格国の法に関する法律事務を取り扱うことを職務といたしております。そして原資格国以外の外国の法について、例えばその国の弁護士となる資格を有している者というような、その知識が制度的に保証されている場合には、法務大臣が指定することによってその指定を受けました特定の外国の法に関する法律事務も原資格国法に関する法律事務と同じように取り扱えるということにいたしております。法廷活動その他行政官庁における手続の代理といった一定の行為が禁止されます以外に、我が国の公序良俗あるいは公益に関する観点から外国法事務弁護士に取り扱わせないとする職務の一定の事項が法律によって禁止されております。ニューヨーク・ルールによりますと、当然のこととしてニューヨークにおける法廷活動はリーガルコンサルタントはできません。それから、不動産の譲渡証書あるいは婚姻とか遺言とかいったような身分関係に関する重要な証書の作成といった一定の業務はリーガルコンサルタントには禁止をされております。取り扱えます法律は、自分の国の法律とその他外国法一般でございます。アメリカ法あるいは州法に関しましては、原則としてリーガルコンサルタントは取り扱いを禁じられておりますが、当該州の資格のある者、つまり当該州の弁護士の助言または共同によりまして、このアメリカ法あるいは州法に関する事務も取り扱うことができるという規定になっております。
 それから、それぞれの国の本来の弁護士との関係でございますが、外国法事務弁護士制度におきましては、我が国の弁護士との雇用及び共同経営を禁止いたしております。アメリカにおきましては明文でもってリーガルコンサルタントのルール上これを禁止する規定は置いてございません。しかし、ABAが策定いたしております倫理基準と申しますか倫理コードによりますと、非弁護士と共同経営することが禁止されております。ただ、このコードは強制的な効力のあるものだというふうには言われておりませんが、これを各州の弁護士会がそれぞれの形で取り入れて倫理基準としておるわけでございまして、そういった意味で、実態としてはアメリカの弁護士とリーガルコンサルタントが共同経営をすることは禁止されているというふうに理解をいたしております。
#186
○柴田(睦)委員 いろいろありますが、一つは、ニューヨーク州の最高裁判所の規則では実際の居住者という要件になっておりますが、この法案では百八十日間の居住要件ということになっております。これはどういう理由でしょうか。
#187
○井嶋政府委員 今回創設いたします外国法事務弁護士制度と申しますのは、我が国に外国の弁護士を受け入れまして、事務所を構えて、我が国におります我が国の企業あるいは国民、あるいは我が国におります外国企業に対する法律事務を取り扱ってもらうことを目的とするわけでございます。そういった意味におきまして、本法におきましては外国法事務弁護士に関し、我が国の弁護士に準じた規律をするということにしておるわけでございます。
 その一環といたしまして、外国法事務弁護士が事務所に常時いないというような形になりますれば、依頼者に対して迷惑をかける、不測の損害を与えるということもございます。さらに、不在中に、留守番と言ったら変でございますが、事務所の事務員あるいはトレーニー、クラークといった者たちがいわゆる非弁活動を行うおそれもございます。そういった意味で、ユーザーに対する不測の損害を与えないためにも、さらに本来我が国においてサービスをするために来てもらうという制度の目的からいっても、一年のうちの半年ぐらいは我が国に在留してもらう必要があるということから日弁連の制度要綱に盛り込まれたものでございまして、私どもは、これも国際的にも国内的にも合理性のある考え方だということからこれを取り入れたということでございます。
#188
○柴田(睦)委員 次に呼称の問題ですが、ニューヨークの規則では、リーガルコンサルタントまたは自国の資格及び事務所名に自国名を併記することとなっておりますが、この法案では、自国法名の入った事務弁護士の名称が基本であって、これに自国事務所名を付記できるとしております。これは、日本の国情からアメリカの法律事務所名を使ってもらいたくないという日本側の意向があるのに対して、アメリカの大法律事務所の強い要求あるいはニューヨーク規則からのアメリカ側の要請から日本側が譲歩したという形になってきたんだと思いますが、今後とも、相互主義の立場からするアメリカ側の要求、すなわち、このニューヨーク規則と同様に自国法律事務所名を使用させよという強い要求がなされるのではないだろうか、こう考えますが、この法案で確立している日本の立場、これは今後ともずっと堅持していく構えであるかどうか、お伺いします。
#189
○但木説明員 委員御指摘のように、この問題におきましてローファーム名を日本における外国法事務弁護士の事務所名とすることができるかどうかという点につきましては、日本と諸外国との間で論議がなされたところでございます。しかしながら、我が国といたしましてはローファームの支店の進出を我が国に認めるというような制度はとらないということで、本法案の四十四条では、「外国法事務弁護士は、業務を行うに際しては、外国法事務弁護士の名称を用い、かつ、その名称に原資格国の国名を付加しなければならない。」という義務を定め、日本の資格で活動しなさいという原則を定めたわけであります。また、四十五条におきましては、「外国法事務弁護士の事務所は、外国法事務弁護士事務所と称さなければならない。」という義務づけを行いまして、さらに、その名称につきましては当該外国法事務弁護士事務所に所属する者の一部または全部の氏名を用いなければならず、かつ、他の個人または団体の名称を用いてはならないといたしまして、いかなる意味においてもローファーム名を我が国の事務所名としては使えないという制度をとったわけでございます。
 ただ、事実上の問題といたしまして、アメリカの場合、ローファームに所属してない弁護士の信用力というものは極めて低い。特に、日本において、例えばアメリカ人の顧客がどの外国法事務弁護士に相談に行くかというようなことを選択する場合には、どのローファームと関係がある外国法事務弁護士であるかということを表示させませんと、その選択に非常に迷ってしまうというようなことがございまして、本法案の四十七条の二項で「自己の氏名及び事務所の名称に付加するときに限り、」ローファームの名前を使用してよろしいという規定にしたわけでございます。ここに書いてございます意味は、まず、我が国において法律事務を処理する主体は自己ですということをはっきりしているわけです。それからもう一つは、日本の事務所名を必ず書きなさい。これによって、日本における仕事をしている者の主体とそれからその事務所が明らかになる。そのときに限って、これに付加するという対応でローファームの名前を表示させることといたしたわけでございます。
 これは、今申しましたように、現段階においては日本の弁護士制度の整合性を保つためにはこうした規定がぜひ必要であると言わざるを得ないわけですが、現在の弁護士制度がそのまま維持される限り、この規定は当面変わるようなことではないだろうと思っております。ただ、日本の弁護士の中にも法人化の動きがあるとも聞いておりますし、遠い将来におきまして日本でも法人組織ができて、ローファームのようなものができて外国にローファームとして進出したいんだというような時点がもし参りました場合に、日本の弁護士の自主的な意見としてそうしてほしいということがあれば変えないのかと言われれば、それまでは私どもは申し上げるつもりはないということでございます。
#190
○柴田(睦)委員 そういう点の問題で、さきに引用しました参事官室が訳したABA報告書の中で、ニューヨーク州のリーガルコンサルタントは独立して実務を行うことも米国弁護士と共同して実務を行うこともいずれも自由である、こう訳されていますが、原文に当たってみますと、報告書あるいは訳のどっちかが間違っているのじゃないかと思います。もし間違ってないとすれば重大な点なので確認したいのですが、ニューヨーク州の場合ではリーガルコンサルタントはニューヨーク州の弁護士とも共同して実務ができるということになっているのかどうか、お伺いしたいと思います。
#191
○但木説明員 御指摘の論述部分は実はABAのレポートを訳した部分でございます。そして、そのABAのレポートでは、米国弁護士と共同して実務を行うこともいずれも自由であるという書き方になっているのは確かでございます。ただ、この共同の意味が先ほど言ったような共同経営ということまで指しているかどうかという点は非常に疑問でございまして、これは本法案でも、個別的な事件の処理は共同して行うことができるとしておりますが、その限りにおいて同じようなことを言っておるのか、それを超えて言っておるのかは不明と言わざるを得ないと思います。
#192
○柴田(睦)委員 時間が辿ってまいりましたので、ちょっと弁護士自治に関係する問題でお聞きしたいと思います。
 まず、弁護士法の旧七条の廃止に伴う経過措置で残りました準会員となっております二十二名の外国弁護士に対する監督は行われているのかどうか、お伺いしたいと思います。
#193
○山口最高裁判所長官代理者 外国人弁護士につきましては、最高裁判所で承認をする権限と承認の取り消しの権限がございまして、それを基礎にいたしまして現在も監督権は行使しているわけでございます。
#194
○柴田(睦)委員 これらの既存の外国弁護士、旧七条の一項該当者は除いてでいいのですが、これまでいわゆる非弁活動などで問題になったケースがあったのかどうか、あればその事例を教えていただきたいと思います。
#195
○山口最高裁判所長官代理者 これまで承認取り消しになりましたのは、いずれも会費の不払いという状態が長く続いたので日弁連の方から最高裁に御連絡がございまして、それで取り消した案件あるいは御本人の承認取り消しの申し出に基づいて取り消した案件ばかりでございます。
 非弁活動があるかどうかは必ずしも詳細を把握しているわけではございませんが、昨年でございましたか一昨年でございましたか、これは沖縄の復帰に伴う外国人弁護士さんのケースでございましたけれども、東京の三弁護士会におかれまして非弁活動ということで調査をされましたけれども、結局は何か解決したようでございまして、承認取り消しというところまではいっておりません。
#196
○柴田(睦)委員 弁護士自治の問題から考えてみますと、これから外国弁護士が進出するという問題で考えてみました場合に、もちろん弁護士自治に行政が介入するということはあってはならないことですけれども、日弁連あるいは弁護士会が自治権を全うする上で弁護士会などの調査などがいろいろあるわけです。この外国法事務弁護士にかかわる問題で、日弁連あるいは単位弁護士会だけの調査権では十分ではない、そういう場合に国家機関としての法務省や最高裁、あるいは外務省なども入ると思いますけれども、こういうところが協力をして調べなければならないというような問題が起きてくると思います。日弁連などからそういう要請があった場合に、これに対しては協力する用意はあるのかどうか、お伺いします。
#197
○但木説明員 まず原則論でございますが、外国法事務弁護士に対する監督指導というのはすべて日弁連の自治権のもとにあるわけであります。したがいまして、政府といたしましてこの自治権に関与するというのは原則的には排除されているというふうに考えられるかと思います。ただし、弁護士会が例えば在留義務に違反しているかどうかというような点について入管当局の出国、入国記録について調査したいというようなことであるとか、あるいは懲戒事例で外国との関係が問題になっておって外国公館を通じないとその調査ができないというような場合に政府機関としてそれなりの対応をした方がよいこともあり得ようと思っております。
 ただ、原則といたしましては、政府あるいは裁判所がその自治権の行使に関与すべきではないということを考えております。
#198
○柴田(睦)委員 時間が参りましたので、次の機会にいたしまして、終わります。
#199
○村上委員長代理 次回は、明十六日水曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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