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1985/03/06 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 地方行政委員会 第5号
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1985/03/06 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 地方行政委員会 第5号

#1
第104回国会 地方行政委員会 第5号
昭和六十一年三月六日(木曜日)
    午前十時開議
 出席委員
 委員長 福島 譲二君
   理事 糸山英太郎君 理事 小澤  潔君
   理事 西田  司君 理事 平林 鴻三君
   理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君
   理事 宮地 正介君 理事 岡田 正勝君
      臼井日出男君    左藤  恵君
      中川 昭一君    細田 吉藏君
      松田 九郎君    小川 省吾君
      佐藤 敬治君    細谷 治嘉君
      山下八洲夫君    小谷 輝二君
      宮崎 角治君    吉井 光照君
      藤原哲太郎君    経塚 幸夫君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 小沢 一郎君
 出席政府委員
        自治大臣官房長 津田  正君
        自治大臣官房審
        議官      石山  努君
        自治大臣官房審
        議官      持永 堯民君
        自治大臣官房審
        議官      小林  実君
        自治大臣官房審
        議官      渡辺  功君
        自治省行政局長 大林 勝臣君
        自治省行政局選
        挙部長     小笠原臣也君
        自治省財政局長 花岡 圭三君
        自治省税務局長 矢野浩一郎君
 委員外の出席者
        科学技術庁計画
        局計画課長   須田 忠義君
        大蔵大臣官房参
        事官      塩田 薫範君
        大蔵省主税局税
        制第二課長   日高 壮平君
        厚生省健康政策
        局総務課長   多田  宏君
        地方行政委員会
        調査室長    島村 幸雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月六日
 辞任         補欠選任
  山下八洲夫君     上田  哲君
同日
 辞任         補欠選任
  上田  哲君     山下八洲夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び
 納付金に関する法律の一部を改正する法律案
 (内閣提出第八号)
     ――――◇―――――
#2
○福島委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川昭一君。
#3
○中川(昭)委員 それでは、今議題となりました地方税法等に関しまして、自治省並びに関係の皆様方に質問をさせていただきます。
 まず、昨年の九月に総理大臣が公平、公正、簡素、活力及び選択という観点に立脚いたしまして税制の抜本改正を行うように税制調査会に諮問をいたしました。現在検討が行われていると伺っておりますけれども、六十一年度の地方税制改正はこのような中での改正ということでありまして、現行税制の骨格に変更を加えるような改正は行わないと聞いております。
 まず、こういう視点に立ちまして、税制の抜本改正に当たりまして、地方税源を充実するという視点から、どのような抜本改正に今自治省は臨んでいらっしゃるかということにつきまして、自治大臣にお伺いいたしたいと思います。
#4
○小沢国務大臣 基本的な考え方といたしましては、いわゆる社会の高度化あるいは高齢化とかそういったいろいろな環境の変化、複雑な社会状況に対応していかなければならない、あるいはそういう状況に対応していくためには地方公共団体が果たしていく役割というのは今まで以上に住民と密接な関連の中でやっていかなければならない、そのように考えております。
 したがいまして、基本的にはこういった考えのもとに立ちまして地域の住民の税負担の公平適正化ということをまず第一に配慮しながら、また同時に今日地方財政が大変厳しい状況にあるということで、そういう点に十分配慮して地方税源の充実を図っていかなければならない、そういう観点に立ちまして、現在御指摘のように税制調査会にその抜本的な見直しを諮問して審議していただいておる現状であります。その答申を踏まえながら、今後地方行政の健全な運営を確保することができるように対処してまいりたいと考えております。
#5
○中川(昭)委員 竹下大蔵大臣が二月十七日の予算委員会で質問にお答えしまして、地方交付税三二%について検討を加えたという御発言をなさいました。新聞の見出しは「地方交付税率引き下げも」という見出しになっておりまして、今大臣のおっしゃられたように、地方財政も国と同じようにあるいはそれ以上に厳しい財政の中で三二%を引き下げるというニュアンスの新聞見出しが出て知るということは、地方関係者の皆さんは今大変重大に思っているわけでありますけれども、この件に関しまして大臣はどのようにお考えになっているでしょう。
#6
○小沢国務大臣 大蔵大臣の予算委員会の答弁のときに私もおりました。そのときに交付税卒についてのお話があったことは小実でございます。私といたしましては、もちろん、今日の現状の中で地方財政を考えてみます場合に、交付税率を引き下げるというような議論が出てくる余地はないものと考えておりますし、あのときに大蔵大臣がお話ししたのは、例えば大幅な減税措置なんかがあった場合は地方交価税の額が減るじゃないか、そうすると困る、そのときには率の引き上げ等、地方財源の確保のためのいろいろな措置をするという意味に私は解釈しておるものでありまして、単純に今の状況の中で引き下げるというようなことを発言したものとは考えておりませんし、そんな状況ではないと私は思っております。
#7
○中川(昭)委員 今、補助金カットの問題とかあるいは国と地方の事務の見直しがいろいろ言われている中で、地方団体の方から見れば、基準財政需要額をもう少ししっかり検討したり何かすれば三二%をむしろ引き上げてもいいじゃないかという議論さえあると私は聞いておりまして、今の大臣の御答弁を伺っておりまして、弾力的にということであれば、むしろ引き上げも含めてというふうに理解してよろしいのでしょうか。
#8
○小沢国務大臣 税制改正全般につきましては今抜本的な改正を審議していただいている最中でございますから、具体的にどうこうという話ではございませんけれども、私は今例えて申し上げましたけれども、今よりも足りなくなるような場合にはもちろん引き上げも含めて考えていくべきものと思っております。
#9
○中川(昭)委員 今の大臣のお言葉を聞いて安心をいたしました。
 次に、ことしの地方税制の改正について質問をいたします。
 ことしはたばこ消費税の従量割の税率の引き上けという問題が出てまいりまして、これが突然出てきたような感じがいたします。きのう大蔵委員会でも大蔵大臣が若干乱暴なというような表現もお使いになっておりましたけれども、このたばこ消費税引き上げに至る経緯についてお伺いをいたしたいと思います。そしてまた同時に、税制調査会の答申の後にこのような決定が突然出てきたと聞いておりますけれども、税調の審議状況はどのようなものであったのか、なぜ答申後にこのような引き上げが出たのかということをお伺いしたいと思うのです。
#10
○矢野政府委員 今回のたばこ消費税の税率の引き上げは、国のたばこ消費税、地方のたばこ消費税の従量割の税率をそれぞれ千本につき四百五十円引き上げるというものでございまして、道府県たばこ消費税にあっては二百円を三百六十円、百六十円の引き上げでございます。また市町村たばこ消費税にあっては三百五十円を六百四十円、二百九十円の引き上げという内容でございます。なお、従量割の税率引き上げが実施されていることに伴いましてたばこの小売定価の改定が行われた場合には、従価割の税額が自動的。にふえますので、これが反映されないように所要の特例措置を設けることにいたしております。
 御質問の、今回の措置がいかにも突如として行われたではないか、そのいきさつは一体どうであったのかということでございますが、今回の措置は端的に申しまして、昭和六十一年度の予算編成における地方財政対策の一環として臨時、異例にとられた措置でございます。国庫補助負担率の引き下げや地方財政対策の内容がかたまるまでに御承知のように相当の論議がございまして、また、そのための時間も要したわけでございます。一方、税制調査会の方の答申は昨年の十二月十七日に出されたわけでございまして、その時点におきましては、そういった地方財政対策をめぐる問題がまだ煮詰まっていなかったわけでございます。その後、この答申後におきまして急速決定をされるということになったところでございます。そういう意味では、税制調査会の答申までの間に御審議をいただくゆとりがなかったということになるわけでございます。
 しかしながら、今回の措置は昭和六十一年度の予算編成上必要やむを得ないというものであったところから、これにつきましては、その答申後、十二月二十一日改めて税制調査会総会を開いてこの点についてお諮りをいたしました。最終的に答申という形の中には盛り込まれなかったのでございますが、そういった真にやむを得ない事情であったということにつきましては、税制調査会の御理解をいただいておるというところでございます。
#11
○中川(昭)委員 財政が非常に厳しいということで臨時、異例、それから必要やむを得ないという表現でございますが、そうであれば、二千四百億円という税収を上げる措置、これがやむを得ないのか。特に「増税なき財政再建」という政府の基本方針があるわけでございますけれども、これとの、公約との関係でいえば、今回の措置は、大臣、どのようにお考えになっているでしょうか。
#12
○小沢国務大臣 「増税なき財政再建」とは、「全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらない」、こういうふうになっておるわけでありますけれども、今胸長からも答弁がありましたように、本当に厳しい真剣な、特に地方財政の問題を中心にして議論があったことは御承知のとおりであります。しかし、何としても地方財政の税源を確保しなければいかぬ、そういう中でいわゆる異例の措置として、一年間としてたばこの消費税の問題が出てきたわけでございます。
 これは、一つは地方財政対策の一環としてとられたものである、また、臨時、異例の措置であり、しかもその増収の規模から見ても、今お話しの臨調の「増税なき財政再建」の趣旨には反しないであろう、そのように考えておる次第であります。
#13
○中川(昭)委員 現行のたばこ消費税は、一つのものに対して従量税と従価税がかけられているという非常に珍しい税制をとっておるわけでありますが、今回はその従量税のみを引き上げまして、従価税の税率は据え置く、しかも実質金額を据え置くということで、特例措置を設けておるわけでありますが、その理由についてお伺いしたいと思います。
#14
○矢野政府委員 今回のたばこ消費税の税率の引き上げを従量割に限っておりますのは、現在の国と地方のたばこ消費税の配分割合、これは半々でございます。この半々の配分割合を変更しないように、国も地方もそれぞれ同額を引き上げるということと同時に、国庫補助負担率の引き下げに関連をしてとられる措置でございます。そのための地方財政対策として、国の増収分につきましても、これは地方交付税を通じて地方に配分されるということから、一本当たりのたばこの税額の引き上げ分をわかりやすくする、両者合わせまして一本につき九十銭ということになるわけでございますが、これはできるだけわかりやすくするということが適当であるということ。それから従価割と従量割の二本立ての税制でございますが、従価割の割合が現行制度では八割ということになっておるわけでございます。この従価分の割合が高過ぎるのではないかというような批判にもある程度こたえることが望ましい、こういうことを考慮したわけでございます。
 なお、御指摘のように従価割は定価の引き上げが行われますと自動的に税額の増加にはね返ってまいりますので、従量割のみを上げるという今回の措置の性格上、従価割につきましては課税標準から千本につき千円を控除するということによりまして、その定価の引き上げ分がはね返らないように措置をしたということになるわけでございます。
 なお、この結果、従価割と従量割の割合でございますが、現行の八対二から七対三、つまり従量割の割合が三割ということになるわけでございます。
#15
○中川(昭)委員 今回のたばこ消費税の引き上げは六十一年度の国庫補助金の削減との関係で出てきたものと理解しております。この削減措置は三年間の措置というふうになっておりますが、たばこ消費税の引き上げは六十一年度限りとなっておるわけでありまして、三年間の措置に対する財源対策でありながら、これを今年度一年間にした理由。また、六十二年、六十三年はどうするのかということ。そしてまた、これは四月一日から始まる六十一年度でございますが、引き上げ措置は五月一日からというふうになっておりまして、この辺がちょっと整合性がないような感じがいたします。この二点についてお伺いしたいと思います。
#16
○小沢国務大臣 ただいま御指摘の、三年なのに一年間はどうしてかというお話でございます。
 御承知のとおり、今、税調におきまして税制の抜本改正について検討がなされております。したがいまして、このたばこ消費税につきましては、その妨げとならないようにという考えのもとに一年間ということにいたしたものと考えております。抜本的な税制改正がどういう形で出てくるか、それはまだ審議の最中ですからわかりません。したがって、具体的に六十二年以降の措置をどうするかということは言える段階ではございませんけれども、私どもといたしましては、どのような形で抜本税制改正がなされるにしても、地方の財源の確保ということは絶対図っていかなければならない、そのように考えております。
 なお、四月一日、五月一日という点につきましては局長から答弁いたさせますが、単純な事務的な問題であるというふうに聞いております。
#17
○矢野政府委員 後段のお尋ね、四月とせずなぜ五月としたかという点でございます。
 今回の措置は一年限りの措置ということでございまして、そういう意味では五月一日から明年三月三十一日までの十一カ月間ということでございますが、この実施時期につきましては、一つは、これに伴いまして小売定価の改定が当然前提にされるわけでございます。したがって、この小売定価の改定の認可の時期を見定める必要があるということ。それから、こういった改定の場合に、通常、消費課税につきましては課税の公平を期するために手持ち品課税を行います。新しい税率がかけられてないものにつきまして、負担の公平を期する意味で手持ち品に課税をするということが行われるわけでございますが、この手持ち品課税につきまして、納税義務者である小売販売業者等に対する周知徹底ということも図る必要がございまして、そういった準備期間がどうしても必要であるということを考慮いたしまして、年度が始まりましてから一カ月後の五月一日より改定を実施したい、このようにしておるところでございます。
#18
○中川(昭)委員 それでは地方財政計画についてお伺いをいたしたいと思います。
 地方財政計画上は地方自治体の財政というのは収支がバランスしておりますので、地方財政、地方団体の財政運営に支障はないというふうに言われますけれども、個別の団体は必ずしもそうでないようで、現在、地方団体は予算編成に四苦八苦しているというのが現状だと思います。そういう中で経済企画庁の最新の地域経済動向を見ますと、各地域の景気動向は今明確に二つに極端に分かれてしまっておるというのが実情だと思います。全国十地域のうち北海道、東北、北陸、中国、九州、四国、沖縄の七地域は景気回復は「足踏み状態」という同じ表現が使われております。一方、関東、中部、近畿の三地域は「緩やかに拡大」という表現が使われておりまして、十地域が見事に二つに分かれた表現になっておるわけでありますが、この三地域がいいのは当然であります。中曽根総理大臣が現在の日本の経済は緩やかな拡大基調にあるというふうに言われておりますけれども、これが当てはまるのは日本のごく一部の地域、面積からいってもそこから出ておる国会議員の数からいっても非常にごく少ない地域だ、決して日本が緩やかな拡大基調という表現に当てはまらないというのが実情だと思います。そしてまた、その影響で地方税収入についても非常に伸びが予想よりも悪いというのが実情でありまして、その一番典型的な例が残念ながら我が北海道でございますけれども、五十九年度地財計画によれば六・八%の伸びであるのに北海道は実際にはわずかに三%であったというふうになっておるわけでございます。
 そこで自治省にお伺いしますが、六十年度地財計画によりますと、一〇・六%の地方税の伸びを予定しておりますけれども、今のところの全国ベースで結構ですから、地方税の伸びについてお伺いしたいと思います。
#19
○矢野政府委員 昭和六十年度の税収の動向についてのお尋ねでございますが、御指摘のように地方財政計画に計上いたしました税収、対前年度で一〇・六%ということになっておるわけでございます。ただ、これは計画同士の比較でございますので、昭和五十九年度の実績と比較いたしますと、これよりも低くなります。私どもの方では、市町村税につきましては多数の団体にわたりますのでその実績の速報をとっておりませんが、道府県税については実績をとっております。一番新しいものが十二月の末現在の状況でございますが、これによりますと対前年同月比で道府県税は七・七%の増加でございます。一方、先ほど申し上げましたように、五十九年度決算と六十年度の地財計画に計上した道府県税の比率は七・五%になります。五十九年度に自然増収がございましたので、道府県税の割合は七・五%の伸びということになるわけでございます。したがいまして、七・五%の伸びとなれば計画上の収入が達成できる、こういうことになるわけでございますが、現在七・七%でございます。ただ、内容を見ますとやはり法人関係税につきましては計画で見込んだものをどうしても下回るのではなかろうか、やはり景気の動向等を反映いたしまして計画額の確保はちょっと難しい状態でございます。その他の税目におきまして計画をある程度上回る収入が出てきておりますので、ただいまお示し申し上げたような状況になっておるわけでございます。今後のなお残された期間の状況にもよりますが、道府県税にっきましてはぎりぎり計画額をトータルとしては確保できるのではなかろうか、また市町村税は速報をとっておりませんけれども、各種の状況から判断をいたしますと、計画額の確保は可能である、このように考えております。
#20
○中川(昭)委員 十二月末で七・七%で最終的には計画どおりというお話でございますけれども、北海道は十二月末で二・二%というふうに伺っておりまして、とても一〇・六にいくような――これは平均ですけれども、北海道として二・二という数字であればとても地方税で地方財政を計画どおりに貯えないというのが実情だと思います。
 そこで伺いますが、現在までのところ計画よりも極端に地方税が落ち込んでおるところ、都道府県で結構です。それからその結果として財源として減収補てん債の発行を予定しておる都道府県、これはどこがあるかお伺いをしたいと思います。
#21
○花岡政府委員 都道府県の場合に十二月末の税収状況を見ましたところ、これは平均以上か以下かという分析は税務局長の方で詳しく調べておるものと思いますが、私どもも財政運営の状況をお聞きしておる中で税収の状況を聞いておるわけでございますが、現在非常に低い伸び率、例えば二%台以下の伸びが八県あるというふうに見ております。また、一〇%以上伸びている県というのも十県ある、そういうふうなことで地方団体ごとに非常にばらつきがあるわけでございまして、この税収につきまして十分確保できない団体につきましては減収補てん債の要望が来ております。
 この減収補てん債の現在の発行見込みでございますが、団体数では都道府県で三十四団体、指定都市で四団体、市町村部が、これは県の数で申しますと二十八道府県でございまして、金額は合わせて千六百億円程度予定されておるようでございます。
#22
○中川(昭)委員 このような状況の中で、先ほど申しましたように、今四苦八苦しながら六十一年度予算編成をしておるわけでありますけれども、六十一年度の計画では六・九%の地方税の伸びということでありますが、北海道は半分以下の三%ぐらいしか税収の伸びの見込みがない、こういう中で果たして予算が組めるのかということでございまして、北海道においても三百億円の財政調整基金を全部吐き出してしまって、それでもまだ足りないというのが実情のようであります。そもそも計画と同じ前提で地方の予算が組めるのかどうかという議論さえ出てまいりまして、例えば今の税収の見通し、あるいはまた人員削減計画にいたしましても、国と同じようにやれといっても過疎あるいは農村地帯ではそう簡単にはいかないとか、あるいはまた昨年秋からの急激な円高で中小の輸出業者が大変に困っておりまして、これが地域問題になっておるとか、あるいはことし初めから日ソ漁業交渉の影響で船が全然出漁できない地域とか、地域の重大な特殊事情によって地方財政あるいは予算編成が組めないような地域に対して自治省としてきめの細かい財源手当をすべきではないかというふうに考えておりますけれども、この点に関しまして自治大臣にひとつお伺いをいたしたいと思います。
#23
○小沢国務大臣 その点につきましては、私も東北の田舎の出身でございましてその地方の財政の状況については十分身にしみてわかっております。したがいまして、今後の交付税あるいは地方債、そういう観点からそれにつきましては先生御指摘のようにより一層きめの細かい措置をしていかなければならない、そのように考えております。
#24
○中川(昭)委員 そういう地域にとって非常に景気浮揚のために効果が大きいのは例の公共事業の積極的な前倒したと思いますが、積極的な前倒し、あるいは地域によって傾斜配分をするということも地方の方から見れば当たり前というか、やってもらわなければ困りますけれども、例年のことでありまして、それはもう既に織り込み済み、むしろそれによっても刺激がなくなってきておるというのが実情じゃないかと思います。民活が利用できる地域であればそれで景気刺激策というのが十分効果があると思いますが、そういう景気のおくれている地域は特に民活をしようにもできない地域ということで、公共事業による刺激策も刺激効果が余りなくなっておるという状況の中で、何とかして最気刺激のためにひとつ自治省として対策を考えていただきたい。これは、先ほど申し上げました全国の大部分の地域の切実な要望であると思います。何か自治省、ひとつ決意なり対策なりをお示しいただきたいと思います。
#25
○花岡政府委員 自治省におきましては、かねてから地域の地場産業の活性化を図りますために地域活性化対策ということに取り組んでおります。
 これは、各地域におきます事業を自主的におやりになる団体につきまして財政につきましての御援助を申し上げておるわけでございますけれども、特に今年度におきましては、まちづくり特別対策事業につきまして起債の充当率を従前の七〇%から七五%に引き上げる、あるいはその元利償還金について交付税に算入する率でございますが、従前の二五%から財政力に応じて五〇%までという考えであったわけでございますが、これを今後は三〇%から五〇%にいたしたいというふうに明年度は考えておるところでございます。その他いろいろ地方債等を通じまして、地域におきます活力と申しますか、地場産業の活性化のためあるいは単独事業の施行のために必要な財源の面倒を見てまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#26
○中川(昭)委員 昭和六十年度、六十一年度と、それまで認められておりました財源対策債による措置がなくなったことによりまして、地方債の充当率が引き下げられたわけであります。特に農業基盤整備は、原則として地方債の充当なしということになったわけでありますけれども、昨年本委員会で私、質問をさしていただきまして、激変緩和ということで調整債の配分が行われることになりました。ことしはどういうふうになるでしょうか。
#27
○花岡政府委員 御指摘のように、六十年度と六十一年度の地方財政は国庫補助負担率の引き下げがない前提では収支が均衡することになったわけでございまして、そのことのために従来のいわゆる財源対策債による措置というものを講じないこととして、その相当部分は交付税の基準財政需要頼に算入することにいたしたわけでございます。
 ただ、農業基盤整備事業等に係る地方債も財源対策債であったために、この措置がなくなるということは非常に各団体の財政運営に支障を生ずるということから激変緩和の措置を講じたわけでございますが、六十一年度におきましても事業の執行やあるいは個々の団体の実情をよくお伺いをいたしまして、その運営に支障のないようにこの調整債の配分に当たりましては適切な措概を講じてまいりたいと存じております。
#28
○中川(昭)委員 ぜひ個々の実情をよく検討していただいて、地方が昨年に比べて困らないようにひとつ御配慮をお願いしたいと思います。
 ここでちょっと個別のことについてお伺いしたいのですが、特定環境保全公共下水道という制度があるわけでございますが、これがことしの三月から実際にスタートをするところがあるのであります。これは下水道が生活環境のナショナルミニマムとして必要であるということでこの制度がスタートしたわけでありますが、例えば十和田湖とか阿寒湖とか観光地帯を抱えたところというのは、どうしても町の人口、例えば阿寒町の場合二千二百人しかいないわけでありますけれども、観光客が夏の一時期集中して来る。二万人から二万二千人くらいの人が一時に集中して来るということになりますと、下水道設備をつくる場合でも、定住人口の二千人分だけをつくるのではなくて、どうしても二万人分、お客さんの分までつくっていかなければならない。そしてまたその分をなかなか観光料金に転嫁できないとか、あるいはまた日帰りで素通りしてしまう人がそれを利用する場合には全く有料にでもしなければ転嫁できないということで、当然のことながら町の財政負担あるいはいろいろな形でそこに住んでいる人たちに下水道料金が高額な、十倍という形ではね返ってくるというのが実情だと思います。そういう中で完成して、町のためにはよくなったことは間違いないのですが、いざスタートしてみると財政負担あるいはまた町民の負担がとても大変だということで、何とか対策を考えてほしいというのがこの施設を持っておる地域の切実な声であるわけでありますけれども、このことにつきまして何か対策がございましたらお示しいただきたいと思います。
#29
○小林(実)政府委員 御質問の阿寒町のような場合は、例えば阿寒湖の汚染防止のために処理水を遠くに持っていかなくてはならぬということで、連絡のためのパイプ等にお金がかかっております。また、夏に観光客が集中いたしまして、ピーク時の処理人口に合わせまして処理施設をつくった、こういう特別な要因によりまして処理原価が高くなっておると考えられるわけであります。自治省といたしましては、このような地理的条件によりましてどうしても処理原価が高くなる団体に対しましてその対策を検討してまいったところでございますが、六十一年度から二つの対策を講じたいということで、予算の方でもお願いをいたしておるわけでございます。
 一つは、供用開始当初どうしても資本費が高くなるわけでございますが、その負担を後年度に繰り延べるというために地方債措置を講ずる、我々の言葉で言いますと資本費平準化債ということを考えておるわけであります。これも大きく拡充いたしたわけであります。
 それからもう一つは、この最初の五年間は起債措置で対応いたしますけれども、供用開始後五年を経過してもなお処理原価の高い団体につきましてはまた別途対策を講ずる、一定の要件のもとに一般会計からの繰り出しを認めますとともに、その繰り出し額につきまして交付税措置を行うということを考えておるところでございます。町自身におきましても使用料徴収のための努力は必要というふうに考えておりますが、阿寒町のように地理的条件等によりまして処理原価がどうしても高くなる団体につきましては、今申し上げました二つの措置によりまして経営の健全化を図ってまいりたいというふうに考えております。
#30
○中川(昭)委員 ありがとうございました。
 それでは最後になりますが、昨年の補助金一括法案が成立するのが大変遅くなりまして、その結果地方に大きな影響を及ぼしたということについてちょっとお伺いいたしたいと思います。
 昨年の補助金一括法案が成立したのは五月十八日であったというふうに承知しておりますが、その間、先ほど出ましたような景気回復がおくれておる地域、公共事業を一日も早く執行してほしい地域では、国がやるべき財政措置を一時立てかえ払いをして地方団体がやったということがございました。概算払いとかいろんな細かい点があるので必ずしも正確ではございませんけれども、北海道の例を挙げますと、法案が成立するまでの公共事業が七百二十億ございまして、そのうち前払い分が四〇%で二百九十億、そのうち国が見るべきもの、平均で大体六七%と計算をいたしますと、百九十億円を北海道が立てかえ払いをいたしまして、その間銀行から借り入れということで当然利子を払わなければいけない。これを一カ月分と計算をいたしますと五・五%で、大体九千万円、約一億円を地方団体が立てかえ払いをしたという計算になります。北海道の場合、一兆八千億くらいの予算の中で大体二億円くらいしか予備費がないわけでございまして、二億の予備費に対して一億円を、金利分を立てかえ払いをした、これは非常に大きな数字だと思います。これもひとえに国会での法案の成立がおくれたからということになるかと思います。そこで、ことしも同じような法案が出てくるわけでございますが、これは審議を尽くした上で地方行政委員会あるいは関係委員会が年度内にぜひ成立をしなければいけないということで、これは与野党含めて我々の責任でもあるのではないかというふうに考えておりますが、ひとつその辺の地方に与える影響、ことしも出るかもしれませんが、それに対して自治大臣、どのようにお考えになっておるでしょうか。
#31
○小沢国務大臣 法案の御審議につきましては、ただいま国会に御審議をお願いいたしておるわけでございます。そういう地域の状況、特に公共事業にかなり大きく頼っておる地域におきましては、一日も早くという声が多いことは承知いたしております。したがいまして、いわゆる補助率のカット、そしてそれに伴う地方負担、そういうその経過についてのいろいろの御議論はもちろんあるとは思いますけれども、できるだけその地域の実情をお考えいただきまして速やかに御審議をいただきたい、そのように願っておるものであります。
#32
○中川(昭)委員 終わります。ありがとうございました。
#33
○福島委員長 細谷治嘉君。
#34
○細谷(治)委員 質問に入ります前に、今度の国会でこの委員会で審議している地方税法の改正のほかに、他の法律によって、言ってみますとこの委員会にかからないまま地方税法の改正が行われております。それは今度の場合何件ぐらいあるのか、そして減収分はどのくらいになるのか、教えていただきたい。
#35
○矢野政府委員 今国会における地法による地方税法の改正法が何件あるのかというお尋ねでございますが、本日までに提出済みのものは五本でございます。特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法案、日本下水道事業団法の一部を改正する法律案、年金福祉事業団法及び国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、生物系特定産業技術研究推進機構法案、老人保健法等の一部を改正する法律案、以上の五件でございます。
 なお、この他法改正によりまして税収がどうなるのかというお尋ねでございますが、ほとんどは増減収はゼロに近いものでございます。あるいは物によりまして中身が必ずしもはっきりしないものもございますけれども、それらにつきましても、ほとんど微細なものにとどまるかと思います。なお、物によりましては、非課税特例措置等の廃止によりまして若干増収になるものもございます。
#36
○細谷(治)委員 見ますと、地法によって変わるものは、例えば特別土地保有税とか事業所税とか不動産取得税とかこういうものが多いようですね。今回の場合もそういうことのようであります。それで、常にその税収というのは今のところ幾らかわからぬ、このほかにまた出てくるかもしらぬというのが局長のお答えですが、確かにあなたの方で、「地方税」という財務協会から出ている雑誌がありまして、七月ごろになってまいりますとその詳細が出てまいりますが、私が聞きたいことは、なぜ地方税法−今審議に入っているわけですが、大体においてよほどのことがない限りは日切れ法案として三月中に衆参で可決されておるわけです。他の方もやはり恐らく何かの法律で、下水道なら建設省の何かの法律の附則のところでちょこっとやられると思うのです。
 なぜこういうものをこの地方税法の中に、今出ている五件については入れることができないのか、入れられない何かの理由があるのか、物差しがあるのか、基準があるのか、これをお聞かせいただきたい。
 そして、金額は場合によってはふえるものがあると言ってちょっと喜ばしているようなことを言っていますけれども、大体わからぬはずはないですよ。今度は出ておりませんけれども、いつの日かは――大体十億ということにはならぬようでありますけれども、かなりのものがあるわけです。私が言いたいことは、普通はそうでありますけれども、かつて三十何年ですか、五、六年ごろでしょう、現在の府県民税、今、二段階比例税率ですね、百五十万を境にして二%と四%。これは地方行政委員会で可決した法律ではないですよ。地方行政委員会ではれっきとして府県民税というのは七段階か八段階が、所得に応じて今の住民税と市町村民税と同じようなタイプで法律ができておって、実施しないまま突如として大蔵委員会で所得税の改正という形でやられておるわけです。地方行政委員会はつんぼ桟敷ですよ。そんなことがあってはなりませんし、せっかく一生懸命地方税法を審議しているわけですが、その外の方で別に法律の改正が動いているということでは、何のためにやっているのか、次第によっては意味がない、こういうふうになると思うのでしつこく私は聞いているわけですよ。
 大臣、そういうことがありますからね、今は不完全な答弁で我慢しますけれども、少しきちんとした見積もりを、そしてできるだけやはり本法の中で、附則などで片づけぬで、本法の中できちんとやっていただきたい、こう思いますが、いかがでしょう。
#37
○矢野政府委員 御指摘のように、いやしくも地方税制の改正に係るものはできるだけ地方税法の一部改正法案の中に盛り込み、当委員会の御審議をいただくべきものと考えております。まして地方税制の基本にかかわるような重要な問題、これはもう当然のことでございます。先ほどの御指摘の府県民税、昭和三十七年であったかと思いますが、市町村民税と同じような累進構造を持った税率に改正する案が結局は実施されないで現在の形になったわけでございますけれども、そういった基本にかかわるようなものが地方税法の一部改正案として御審議をいただけないというようなことがあってはならないと思います。
 なお、他法改正でございますが、これも私らもできるだけ地方税法に入れたいということで、常日ごろ努力をいたしております。ただ、率直に申しまして地方税法提案の時期までに関連をいたします、そのもとになります法律案の中身等が必ずしも固まってない場合があるわけでございます。その固まり状況を見定め、現在の地方税制の体系上バランスのとれた形での措置を講ずる必要があるということで、もとになる法律案の中身が固まるのを得たざるを得ないような状況にあるわけでございまして、そういったものが他法改正という格好で行われてくるわけでございますが、御指摘のようにできるだけ地方税法の一部改正に盛り込む努力を今後ともしてまいりたいと存じます。
#38
○小沢国務大臣 ただいま局長も答弁ありましたけれども、基本的に本当に地方税の基本にかかわる問題は当然この地行の委員会において審議されるべきものと思います。ただ、いろいろな法律案に関連いたしまして、その法の主たるあるいは大きな目的性に照らし合わせて所管の審議の委員会が決められるということも間々御指摘のようにあるかとも思います。そういう実際上のケースはあるかもしれませんけれども、国会審議の中において、あるいはそういう場合には連合で審査するとか、これは先生方の御意思次第だと思いますけれども、そういう道も講ぜられております。ただ、基本的には、地方の税の問題につきましては地方行政の委員会で検討していくということが当然のことであると考えております。
#39
○細谷(治)委員 大臣、年々やはり十件近く、七、八件から十件ぐらいあるわけです。こういうのは、地方税法という基本が決まって、これは極めて個別的な、ある意味では税額も小さいし、簡単でささいなことということはちょっと適切じゃありませんけれども、連合審査をやるまでもないわけですから、恐らく省と省との間の話がつかぬでおくれた、こういうこともあるでしょうけれども、この法律が、基本が決まって、地方税法の改正に織り込めないようなものはことしは受け付けぬぞ、来年に回せというぐらいの決意でやりませんといけませんよ。そういうことを許しておきますと、今言ったように基本にかかわるような府県民税を所得税の附則でやっちゃうなんという例が起こりかねないわけですから、特にひとつそういうものは基本的には拒否する、もちろん例外も私は認めないわけではありませんけれども、基本的には拒否する、こういう態度でやっていただきたい。税は基本ですからね。いかがですか。
#40
○小沢国務大臣 御指摘のように、地方税の基本にかかわるような問題につきましては、まず第一に国会においては地行の委員会、そしてまた政府部内においては自治省が当然お互いに協議しながらやることでありまして、基本が定まったものについて、後からまたそれを変更するようなたぐいのものが出てくるというようなことは本来あってはいけないものでございますし、先生の御指摘のようなきちんとしたけじめをつけていくという態度を堅持していかなければならない、そのように考えております。
#41
○細谷(治)委員 本論に入りまして、今中川委員から質問がありました点、ちょうど私も日高税制二課長に来ていただいておりますから、少しこの問題に触れておきたいと思います。
 今お答えがあったように、税制調査会の答申は十七日、そうして突如として出てきたものがたばこ消費税で、国税として千二百億円、そしてその千二百億円は全部特例で交付税に加算する、それが二十一日に決まったというわけですね。二十三日に大蔵原案が出ておる。十八、十九、二十、二十一、二十二、二十三、大体五日ですよ、五日の間に、税制調査会が答申したものには全く触れられておらぬ一字一旬もないものが突如として出る。しかも今度は専売じゃないんですよ、政府の機関じゃないんてすよ、民間の機関になった日本たばこ株式会社から税を突如として取り上げるというのは余りに理不尽、官尊民卑、無計画も甚しい、こう言わざるを得ないのですけれども、どうですか。みんな新聞にもそう書いてあります。いかがですか。
#42
○日高説明員 既に御答弁があったかとは思いますけれども、御承知のように六十一年度予算編成の大詰めにおきまして、補助金等の整理合理化の問題が大きな問題になってまいりました。
 私ども国の立場から見ましても、その補助金等の整理合理化を実現することが六十一年度予算の大きなかなめでございますし、反面それに伴います地方財政への影響をできる限り少なくしあるいは排除し、地方行財政の運営が円滑になるように措置しなければいかぬ。そのようなことから、急速たばこ消費税の引き上げの問題が出てまいったわけでございます。御指摘になられましたように、昨年十二月十七日の税制調査会における答申にはこの問題は入っておりませんが、その後こういった今申し上げたような経緯から、この消費税の増税の問題が出てまいりましたものですから、事後にはなりましたけれども、二十一日に税制調査会の総会にお諮りをし、御理解をいただいたということでございます。したがいまして、このような経緯に基づきます今回の消費税の引き上げは、大蔵大臣もたびたび予算委員会で御答弁しておりますように、いわば臨時、異例のものであるということでございますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
#43
○細谷(治)委員 私も、この問題は予算委員会でも大蔵大臣とやりとりしておりますからこれ以上触れません。
 中川委員が言うように、この税は一年間ですよ、一年も満足じゃない。暫定措置は三カ年とする、三年と一年でバランスをとれと言ったらおかしいわけです。そうしますと、六十二年度にはたばこ消費税は要らぬ、これは六十一年度に限っての財政按衡である、地方財政対策としての措置であって、六十二年度、六十三年度の続く三カ年間のうちの二年間は何らかの財源対策をするつもりなのか、しないつもりなのか、そのときになってみて考えるということなのか、それをお答えいただきたい。
#44
○日高説明員 まずたばこ消費税の今回の引き上げにつきましては、国税につきましては租税特別措置法、それから地方税につきましては地方税法の改正という形で御提案いたしておるわけでございますが、その期限は御指摘のように一年ということになっております。
 まず税の立場から申し上げますと、御承知のように現在税制調査会におきましては、税制の抜本的な改革の検討作業に入っていただいておるわけでございまして、いわばこの税制調査会における抜本改革の答申を、ことしの秋あるいは遅くとも年末までには出していただく、そういうことで御審議をいただいておるわけでございます。したがいまして、いわば税制の抜本改革におきましては、当然現在あるすべての税目について検討の対象になり得る。したがいまして、このたばこ消費税の問題につきましても、現在まだ税制調査会における審議が行われておりませんが、今後審議が行われるというふうに私ども考えておりますし、それによれば、その審議の結果税制調査会における結論が、例えば六十二年度以降たばこ消費税についての税負担のあり方をどのようにするか、その問題についての結論が出ました場合には、私どもとしてもその税制調査会における結論に従って対処したい。今回の消費税の引き上げの問題は、現在行われております税制調査会における結論を、いわば先取りすることがないように、一年という形で切らしていただいたというわけでございます。
#45
○細谷(治)委員 私の質問に答えていないのですよ。税目全体について国税、地方税を通じて検討することは、税制調査会が抜本的に改正をやるのは当たり前でしょう。私が言っていることは、一兆一千七百億円の補助金、負担金をカットした、その対策として両大臣の覚書によって二千四百億円の交付税増額と税の増額ということで対応したわけですよ。そういう自主税源を二千四百億円与えたわけですから、来年度は税制改正が行われることははっきりしているけれども、一兆一千七百億円のうちの二千四百億円というのはわずかでありますけれども、そういう地方税源対策というのをおやりになるのかやらないのか、これはあなたの方の考えでしょう、税調に任せますというわけじゃないでしょう、それを聞いているんですよ。
#46
○日高説明員 たばこ消費税に伴うこの二千四百億円の問題でございますが、私どもとしては、私も主税局でございますから、税の立場から見れば先ほど御答弁したとおりでございます。今回の例えば六十一年度予算におきますいわば地方財政対策全体を考えれば、ことし六十一年度におきますいろいろな総合的な地方財政の全体の収支見込み、その中で各種の地方財政対策を講じた、こういうことになっていると承知しております。したがいまして、六十二年度以降の地方財政対策をどうするかにつきましては、正直申し上げれば主計局が全体の取りまとめ役でございますから主計局の方から答弁した方がいいのかもしれませんですけれども、こうした六十二年度以降におけるそれぞれの年の地方財政収支全体を見ながら基本的には地方の行財政が支障なく運営できるようにそのときどきに対処されるべき問題ではないかというふうに考えております。
#47
○細谷(治)委員 税金を減らしても補助金、負担金を減らしても、借金の道をあけてやるから地方財政の運営に支障がないようにいたしますと、いつも決まり文句ですよ。そんな答弁な一ら、あなた、大蔵省の課長でなくたってだれでもできるですよ、これは。私が聞いていることは、地方の今日の税源構造、財政構造、こういうものからいって、一兆一千七百億円の補助金、負担金を減らした以上は自主税源を一部与えてやらなければいかぬだろう、その他はひとつ借金でやってくれ、これが大蔵省の考えでしょう。そしてたばこ消費税を突如として税制調査会を無視してやったわけでしょう。そうだとするならば、全部借金でやれという基本じゃなくて、税源を与えますよ、残りは借金でやってくれ、こういうことなんだから、そういう基本的考えは貫いてもらわなければいかぬ、三年間の暫定措置の間は。一年間だということはわかりますよ、来年あるから。しかしその考えは貫く、これを約束してもらわなければいかぬですよ。私は下がれない。
#48
○日高説明員 先生御指摘になられました地方の税財源をどうするか、あるいは国と地方の財源配分をどうするかという問題につきましても、税制調査会における抜本的改革の中では、これも一つの大きなテーマになろうかと思います。したがいまして、今税制調査会で御審議が行われている最中でございますので、この問題に伴います地方税財源の配分をどうするかという点につきましてもまだ私どもとしても申し上げる段階にない。その点御理解いただきたいと思います。
#49
○細谷(治)委員 理解するもへったくれもないのですよ。両大臣の覚書は、第一項目には、補助金カット等の財政措置は三カ年とする、暫定期間とすると書いてある。二項目には、この暫定期間中三年のうちには国と地方との間の財政問題についての基本的な形は変えないとこうやっている。そうでしょう。
 財政局長に聞きますが、たばこ消費税を入れて、一年間ですが、二年目にはたばこ消費税は取っても基本的な財政構造は変わらないという範疇に入るのですか、入らないのですか。どう理解しているのですか。
#50
○花岡政府委員 先生御承知のように、あの覚書は補助負担率の引き下げに関して結ばれた覚書でございますので、補助負担率に関しての内容でございます。そういう意味では、財源対策というものは一応その外になってはおると思います。しかし私どもも、ああいうふうな大きなカットが行われている、これが三年間続けられるということでありますならば、これは二年度目以降も何らかの財源措置が必要である、特にこれは自主財源で今回措置をしていただいたわけでございますから、そのような措置が望ましいというふうに考えております。
#51
○細谷(治)委員 少しくどくなりますけれども、財政局長が言うならば、大蔵省はいつでもそう言っているんですよ、あれは補助金、負担金のカットのことだけはこれから三年間やりませんぞということであって、そのことは触れておりません。国と地方との間の財政の基本的な関係は変えないというのならぱ、補助金、負担金はこの暫定期間中はいじりませんと明確に書いておけばいいわけですよ。国と地方との財政関係を基本的には変えないとこう言っているのは、意味があるわけでしょう。それを私は随分詳しく予算委員会でやったけれども、さっきもちょっと交付税率の関係が出てきた。それならそれでいいんですよ、補助金、負担金は。来年は交付税をいじりますよとか交付税三二%はいじりませんけれども実質的に交付税を減らすような措置をしますよと、所得税が減れば交付税の総額は減るのですから。そこで聞いているわけです。私は、基本的に国と地方との関係で見た場合には、一兆一千億も削ったらば自主税源というのを一部つけてやらなければいかぬ。そのためには、既に税制調査会の答申が済んでいるけれども、思い切ってこれだけはやらなければいかぬ、こういう決意で踏み切ったわけでしょう、臨時の税調総会を開いて。そうだとするならばその基本的考えは六十二年度も続けられなければいかぬ。そしてたばこ消費税が出ないとすれば、一兆一千七百億でありますから、それについての二割なら二割相当分というものを必ず自主財源を何らかの形でつける、こういうことが約束されなければいかぬと思うのですよ。どうですか。
#52
○日高説明員 国と地方の財源配分の問題につきましては、先生御承知のように歳出面における問題、同時に歳入面における問題、両面から地方財政全体がどういう姿になるか、そういった問題をそういった観点から、毎年度の予算編成の際に自治省及び大蔵省の間で詰めているということだろうと思います。私が所管しております税制の立場から申し上げれば、確かに今回補助金等の整理合理化に伴う自主税源の拡充ということでたばこ消費税の引き上げを臨時異例のものとしてお願いしたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、六十二年度以降の税制の問題につきましては税制調査会で今まだ検討が行われている最中でございますから、理段階においてそれをどういう形で処理をしていくかという点については申し上げる段階にないということでございます。
#53
○細谷(治)委員 まだ納得できないのです。これは、主計局の方からひとつ二千四百億円ひねり出してくれやということで、あなたの方でたばこ消費税に日をつけたのでしょう。地方のたばこ消費税と国のたばこ消費税と千二百億つけたのでしょう。理屈は問わぬ、質は問わぬ、とにかく税として何とかひねり出してくれや、主計局の言うことだから御無理ごもっともと税の方では応じだんだ、来年のことにしますよと、そうは言わせませんよ。あなたの方は、主計局の方で二千四百億は自主税源で、そしてその他は借金でと、八千何億ですね、そういうことを決めて、それならそうしようと、それなら税の方をひねり出そうと無理してやったのでしょう。あんな無理をする以上は、重大な決意でやったはずですよ。ですから、それは主計局の問題でこっちは知りませんと、そしてそれをどうするかということは税調の問題ですなんということで逃げては困るわけですよ。少なくとも税でやった以上は、三年間の暫定措置の期間は、その割合の金額というのは税で何とかしてやるというのが基本なんだなと、こういうことを、またそうしてやるということであなたはのんだわけですから、大体そういうつもりです、そういう決意でやりますと、こうお答えがあれば私はそれで済んでしまうわけです。どうですか。
#54
○日高説明員 現在税制調査会で検討が行われております税制の抜本改革におきましては、所得税、法人税から始まりまして、間接税も含め現在あるすべての税目について、それは国税、地方税を問わず検討の対象になり得るということでございます。したがいまして、その抜本改革における税制調査会の検討が出る段階におきまして、一体国と地方の税源配分がどうなるか、あるいは財源配分がどうなるかという問題につきましては、いわばその結論によって大きく異なってくる。いわば国と地方の配分の問題につきましては今回の抜本改革における一つの大きなテーマになるだろうという状況でございますから、今の段階で私どもの方から確たることを申し上げられないということでございます。
#55
○細谷(治)委員 話がひとつも進んでいない。私は財政局長の、少し言葉が煮え切りませんけれども、大体においてあれだけ切り込んできた、それに対する自主税源を与えなければ地方は困るだろう、こういう形であの措置はしたんだ、したがって来年度はどうなるかわからぬ、税制調査会次第だ、こんなことじゃなくて、間違いなく一兆一千七百億円の中の二千四百億円相当分というのは一般財源である交付税があるいは税で確保する、こういうのが財政局長の理解だろうと思うのです。そういうふうにさっき答弁をいただいた、これを支持しますよ。大蔵省は、いやそれは税調次第です、主計局が言ってくれば主計局次第です、私の方は自主性ありません。大体、税調税調というけれども、税調をなめておるんでしょうが。答申も守らないで突如として新しいことをやっている大蔵省の主税でしょう。それが最後に、重要なときになりますと税調税調と逃げるのはおかしいんじゃないですか。私の言葉が過ぎましょうか。どうですか。
#56
○日高説明員 確かに、今回のたばこ消費税の引き上げの問題につきましては税制調査会の答申の後急遽出てきた問題である。したがいまして、その意味におきまして、私どもとしても事後的にはなりましたが、税制調査会にも御報告し御理解をいただいているというところでございます。
 今まで税制の改正、毎年行われておりますけれども、国税に限らず地方税におきましても、政府としては税制調査会の答申を尊重して毎年改正を行っているという状況にございます。したがいまして、そういう経緯から考えますと、今度のたばこ消費税の引き上げの問題は、いわば地方財政のために、地方財政を何とかしなければいかぬということから急遽出てきた臨時異例のものである、その点を御理解いただきたいと思います。
#57
○細谷(治)委員 私が言い過ぎかというと、一橋大学の大川教授がこう言っているんですよ。これは「地方税」という雑誌だから、あるいは自治省びいきの雑誌かもしらぬというけれども、大川さんはこう言っている。政府税調は、「わずかにその行き過ぎを制御する従属的機能しか果たしていないようにみえる。」自民党税調にすべてを握られている。後で時間があったら質問しますが、社会保険診療報酬、真っ向から対決する中身の答申が出ているんですよ。政府税調はやりなさい、やりなさい、これはおかしい、ですから社会保険診療報酬は非課税から除きなさい。ところが自民党税調はそうじゃないんですよ。だから大川さんがこう書くのは当たり前ですよ。さらに大川さんはこの論文で「政府税調は、税制の決定権まで欲ばるべきではない。」そうでしょう。それならそれで税制の大綱くらい決めたらいいと大川さんは言っているんですよ。そして具体的なものについては政党の税調で翌年度の税制について考えればいいと大川さんは言っているんです。それほど大蔵省もなめられて、そして政府税調なんてもはや、小倉さんが何と頑張ろうと、おれに自主性がない、だからやめたなんて幾ら新聞に書いたってだめなんですよ、中身が。そんなところにあなたが逃げ場を求めるなんておかしいじゃないですか。――しかしもうやめます。
 財政局長、私は心配しているんですよ。一兆一千七百億は完全に財政措置はしました、地方の方は困らないようにいたしましたと、これで事は済む。質の問題なんです。量の問題ばかりじゃない、そう私は思います。財政局長、職を賭して頑張るぐらいの決意で、この税のシェアは守るんだということを税制改正の中で頑張るというくらいの決意をひとつ、これは大臣でしょうけれども、はっきりしていただきたい。
#58
○小沢国務大臣 秋に予定されております抜本改正におきまして、いわゆる地方の自主税源、財源、それが十分に確保されて今の財政状況とさま変わりになるというような状況にでもなれば別でございますけれども、そうでない限り今日、この経過は先生の方がよく御存じでございますが、自主財源として与えられたたばこ消費税、一年限りでございますが、六十二年度以降たばこ消費税となるかどうなるかは別といたしまして、当然財政措置がされるべきものと考えております。
#59
○細谷(治)委員 大臣の明確な答弁がありましたのでぜひそれをひとつ守っていただきたい、これをお願いしておきます。
 もう一つ大蔵省に、大体二十分か三十分でこの質問は終わると思っておったらもう三十分超しちゃった。まだ予算委員会は済んでないのですよ。今週の土曜日ぐらいに予算が上がるかもしらぬ、こう言われているのです。ところが、今新聞に、大蔵省が円高で法人税が伸び悩んで予算に見込んでおる税収は一兆円か二兆円ぐらい穴があく、こんな例はないと思うのですよ。予算審議の真っただ中で既に税が穴があくんだ、こういうことを新聞に書いてあるんですよ。これもおかしなこと。みずから自分でやった数字について、まだ審議中に責任を持ってやれないで、もう予防線を張って足らなくなるかもしらぬということでやるようじゃ大蔵省の権威も今やどこにある、こういうふうに言われている。私は時々地方に帰りますと、大蔵省の主計局も弱くなったもんだな、無計画になったもんだ、大蔵省の主税局もどうも無計画になって行き当たりばったりになっているんじゃないか、こういう評判がちらりほらりとあるんですよ。どうですか。これが一つ。
 これについて、そんなことはない。しかし、確かに景気は実質四%、厳しい。アメリカの方も経済の成長率の下方修正をしておる。日本も大体四%なんてどこもなくて、大体において二%の上の方から三%の下の方だろう、この辺にいっていますね。これが一つ。
 それからもう一つお尋ねしたいことは、所得税がいろいろこれから――ようやく予算委員会がきのうから動き出したのですけれども、所得税の減税という場合にどういう対応をするのか。減税をするんだけれども、最近の新聞ではサラリーマンの所作、トーゴーサン、クロヨン、いろいろ言われておりますけれども、実額控除をした方がいいじゃないかという意見もあるようですし、それから「増税なき財政再建」というのを守らなければいかぬから、今租税負担率が大体二五%ちょっと、が、社会保険関係の負担率は大体一〇%から一一%、大体において四五ぐらいにしたい。それが「増税なき財政再建」というのが絡んでおるから、社会保険関係のものは一〇を二〇にして、合計して二〇と二五で大体四五か四六ぐらいに国民負担率をおさめよう、そういうようなことがしきりに今言われている。私は煙幕だと思うのですよ。煙幕だと思うのですが、そういうことが言われておる。心配です。これも恐らくまああなたの答えは、税調がやることでありますから私には答えられませんとおっしゃるのですが、貴重な時間でありますから、一分ぐらいちょっと答えてください。
#60
○日高説明員 第一点の税収見積もりの関係でございますが、円高の影響というものは、税収面で見ればプラスの面もあればマイナスの面もあるということは御承知のことかと思います。したがいまして、御指摘になられましたその新聞報道を私どもよく承知しておりませんけれども、私どもとしては、理段階における今御提案しております税収見積もりというものが適正なものであるという考えに何らか変わりはございません。
 それから、第二点の国民負担率の問題でございますが、御承知のように臨調の答申におきましては、長期的には上がっていかざるを得ないという御答申をいただいておりますけれども、今般予算委員会に提出させていただきました中期展望の際の今後の「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」、これにおきましては、この国民負担率の問題にっきましては、「徹底的な制度改革の推進により、ヨーロッパ諸国の水準よりはかなり低い水準にとどめるよう努める。」ということを国会にお出ししておるわけでございまして、私どもとしては現在このような考え方で臨んでいるということでございます。
#61
○細谷(治)委員 これをやっても、それは先のことですということを言われますから、時間が貴重ですからもう申し上げません。
 そこで、次にちょっと進みますが、財政局長の「地方財政」という一月号の巻頭言に、今やはり地域開発、自治省では地域における特性を生かすような総合的な開発債というものをかなり重点的に地方債計画で考えておるわけですね。このあなたの論文を見ますと、巻頭言ですからこの雑誌の一年間の柱になっておるのですから、「地方団体間の財政力格差が改めて注目される」、言ってみますと五十八年から六十年、「改めて注目される」、そして例として東京都の一人当たり、それから沖縄なり青森なり鹿児島等の割合に税源のないところを、法人事業税を書いております。そして、その後は今度は留保財源についての検討は必要だという形で、かなり重要な問題を投げかけております。この重要な問題を投げかけていることについては、私は異存がないのです。私も税務局が出している「地方税に関する参考計数資料」、財政局長の言葉が確かだろうかということで、五十八年以降急に地域間格差が拡大したのかということをずっとトレースしてみたのですよ。三十八年ぐらいからずっとトレースしていきますと、国税がずっと大体においてほぼフラットに年度が動いております。それから、その次に府県税があります。市町村税とかあります。その中でも法人税とか法人税割とかなんとかは、それは特例でありますからおっしゃるようにありますが、言ってみますと東京はちょっと群を抜いているのですよ。それをあなたは注目したのだろうと思うのですが、東京とそれから鹿児島なり沖縄なり青森等の三十年の終わりぐらいから六十年までずっとトレースしますと、東京はなんですけれども、下の方は少し上がってきている。ですから、格差は拡大していないのです。ただ東京都は別ですよ。東京都は上がり方がひどいし、一人当たりのあれも全国平均を一〇〇といたしますと大体東京都というのは百六、七十ぐらいになっているのでしょう。そういうことになりますと、あなたのこの論旨は、地域間格差を少し誇大にとらえているのじゃないか、こう思います。これはあなたの方としては交付税をどういうふうに税源の分布とマッチするように配るかということに着目して言っているのじゃないかと思うのですけれども、この論文で言いたいところは何ですか、ちょっとお聞きしたい。
#62
○花岡政府委員 大まかにこれまでの交付税の状況といいますか、配分の状況を私ども見ておりますと、例えば四十年代には需要と収入のどちらが大きいかというのを見てみますと、基準財政需要の方が大きいわけでございますが、四十九年ごろから収入の方が、基準財政収入の方が需要よりも大きくなってきております。地方団体の財政運営を見ておりますと、収入が需要よりも大きくなってくるときには、やはり税収の少ない団体というのは財政運営は苦しくなってくる。そういうときに何をやったかといいますと財対債がございました。小さな団体もこの財対債によっていわゆる単独事業も実行することができたということがございます。ただ、五十八年から六十年度にかけまして、単独事業の伸びが計画上ほとんどございません。しかも五十八年度、五十九年度は交付税が減ったということもあります。それから東京都の税収を見ていますと、五十五年ごろから徐々に全国平均を上回る形になってきておる。それで地域間の税収もだんだんとばらつきが出てきた。
 こういう背景のもとに歳出の抑制基調が続きました場合に、地方団体の財政運営はどのようになっていくのかということが私どものポイントでございまして、こういうふうに単独事業が抑制されてまいりますと、特に財政力の弱い団体というものは、現在のような考え方で計画が組まれておりますと単独事業を減らさなければならなくなる可能性がある。ここが一番心配でございまして、交付税の本質からいきますならば、財政力の弱い団体に財源を配分するということが財政調整の原則でもございますから、そういったことから見た場合にこの弱小団体をどうするのかということに着目したわけでございます。その場合に、それでは留保財源との関係を見てまいりますと、弱小団体がなぜ苦しいかと申しますと、やはり一つには留保財源の伸びた分と弱小団体の伸びた分との差、これを交付税の基準財政需要にプラスできるのかということ、これが非常に難しい問題になってまいります。しかもこれはやりますと、留保財源をつつきますと、激変が起こることは御承知のとおりでございまして、昨年度ある程度試算をしてまいりましたけれども、相当な地方団体間の激変を生ずる。これでは安定的な財政運営が非常に難しい問題も出てまいります。
 こういったことから見まして、私どもは一つには交付団体と不交付団体との問題、それから一つには交付団体間の財政力格差、特に弱小団体についての事業を確保するという問題、これをどのように解決するのか。これは基本的には地方交付税を確保していく、これがやはり基本になるのじゃないか。同時に交付税の算定方法というものも十分検討してまいらなければなりません。この格差の増大というものが構造的なものかどうか、これも十分に検討しなければならない問題ではございます。特にあらゆる角度から検討しなければならぬというのは、いわゆる後進地域の補助率のかさ上げ等もございます。こういった点なども全部ひっくるめまして十分な検討を進めてまいる必要がある、こういうふうに考えた次第でございます。
#63
○細谷(治)委員 これはまた財政局長には交付税の際に十分な時間があるかと思いますから……。
 そこで、これの責任者である税務局長、税の地域間格差は、税収で見る限りにおいては、だんだん接近してきているんじゃなくて、むしろ収れんしつつあるんですよ。そう私は見ているんです。そうだとするならば、一人当たりの税収がどうのこうのと言っても、これはこの柴田さんなり東大の金子先生がやった税収を見ましても、大体税収というのは人口の多いところに一人当たり多くなっているんですよ、奇妙に。例えば都市を見ますと、三万から五万ぐらいのところでは一〇%から二〇%ぐらいしか税のシェアがないんですが、大体三十万以上になりますと、一番最高というのは五〇から六〇%ぐらいの自主税源があるわけですよ。これは町村においても同じなんですよ。ですから必ずしも一人当たりの税収ですべてを支配しているわけじゃないわけですね。そういう点を見てこれをどう財政調整をしていくかということは、財政局の大変重要な課題で、これは本当に精緻巧緻、世界に冠たるものだと自慢しておっても、そう簡単にできるものじゃない畑しかも、最近は交付税の三二%というのは動いておりませんけれども、総額というのはどんどん減ってきている。実質的にはことしは三税の三二・二%しかない。こういうところに財政局の苦しさがあるんだと思うのですが、私の見方について、主管の局長としてはどういうふうに見ておりますか。
 税制を考えていく場合に、地域間格差を是正するように努力することは間違いありませんけれども、今日の状況で地域間格差を税制だけで解決するなんということはできないわけですから、どう対応しようとしているのか、ちょっと。
#64
○矢野政府委員 大変難しい御質問だと思いますが、税収の面で見た場合の地域間格差が長期的に見てどのような傾向をたどってきたかということは、ただいま御指摘のとおりで、格差というものは一人当たり税収の面から見る場合にはむしろ縮まりつつあるというのが今日までの現象だと思います。ただ、一人当たりといいます場合には、いろいろ一人当たり税収の動きを見ます場合には、人口そのものの動きというものもやはり見なければならぬものでございますから、総量がふえても人口がそれ以上にふえればむしろ一人当たりの税収は余り伸びないというふうな現象も、その中には実は含まれると思います。ただ、マクロ的に見る限り御指摘のとおりだと思います。
 ただ、私どもは、こういった今日までの現象が今後どういうことに一体なるだろうか、その場合にはやはり日本全体の経済の動き、特に地域間の経済の違い、特質、そういったものもあわせて考えなければならぬと思います。これからの日本の経済が、いわゆる高度情報化社会、情報化時代に入ってくる。一方では、いわゆるハイテク産業の比率が増大をしてまいる。そういったものがこれから地域間の税収の基盤をなしますところの経済にどう反映するかということは、私はやはり考える必要があろうかと思います。
 人口の多い地域において、あるいは消費の多い地域において、むしろそういった新しい面の経済がやはり増大するのではないかという懸念もございますし、また一方では、ハイテク産業などのかなりの部分がむしろ大都市圏以外のところに立地をしつつあるというような傾向、これもまた、経済の地方分権と申しますか、そういう観点から一つの好ましい傾向だと思っております。いずれにいたしましても、ごく最近の税収を見る限り、ややそういった、東京初め特定の地域において税収が伸び、それ以外の地域において税収が伸びないという傾向はあるわけでございますが、これが本当に構造的なものであるかどうか、まだこれはもう少し模様を見きわめる必要があると考えております。
 また、税制の面につきましては、申すまでもないところでございますが、税制全般を通じて、できるだけ普遍性ということを地方税の場合には念頭に置きながら考えていくことはもとよりのことと存じます。
#65
○細谷(治)委員 普遍性を考えると一番いいのはたばこですよ。どこへ行ったって余り変わらないんだ、これは。それはもう青森とか鹿児島と言い出すと、そうすると大臣が私もその近くだと言いたくなるでしょうけれども、やはり一人当たり少ないんですよ。しかし、一人当たりの税収と考えてみますと、東京とその辺も余り変わらないですよ、たばこは。ほとんどフラットです。差はない。ですからいいわけだけれども、そうばかりもいかぬわけです。そこにも問題、難しさがあるわけです。
 そこで私は、具体の問題として一、二ちょっとお尋ねしたい。税務局長、あなたもまたこの雑誌に、違った雑誌ですが、巻頭言を書いているわけです。その巻頭言に、不公平中の不公平の一つは利子配当についての課税だ、利子課税だ、とこう言っておる。ところが利子課税というのは思うに任せない。そこで、この間二月二十六日に大阪大学の本間教授が、勤労所得の税負担軽減のためには利子課税の強化が必要だという論説を新聞に展開いたしております。それから、この問題につきましては、金子東大教授が「利子所得課税のあり方」ということで「ジュリスト」にかなり詳しい論文を二回にわたって掲げております。少し古いのですけれども。
 そして、このあなたの論文を引き合いに出しますと、
 個人貯蓄の総額は昭和五十九年に四六〇兆円に達している。これは昭和四十年の一八倍強であり、同期間の国民所得の伸びが一〇倍強であるのに比してはるかに増加率が高い。しかもその六割弱に当たる二四五兆円が非課税となっていることは周知の如くである。
非常に新しい一月号に書いてある。
 私はこの財政局長の裏づけの資料を欲しいとあなたの方に申し入れたら、持ってきてくれました。あなたの書いておるこの五十九年度の四百六十兆円というのはもう古いのです。持ってきていただいた翌日、二、三日前の新聞に個人貯蓄は四百九十六兆円だと言っているのですよ。五百兆円です。話は同じ筋ですね。そうなってまいりますと、その中身六割というのが非課税なんです。非課税でありますから、これは大変ですよね。これを利子課税を適正にやったら大体どのくらい税金が取れるのか、数字でお示しいただきたい。利子についての所得税がどのくらい、それから分離課税をしたために、よって所得税をかけられますけれども住民税はかけられませんから、そのためによる地方の税収減は幾らになっているかお答えいただきたいと思います。
#66
○矢野政府委員 ただいまのお尋ねは、利予課税について特例によってどれだけの減収になっておるかということでございますが、国税におきましては、少額貯蓄の利子等の非課税によりまして約五千億の減収という計算がなされております。
 それから地方税でございますが、地方税におきましてはいわゆる源泉徴収が選択されたところの所得税について住民税の課税が行われていない分といたしましては、昭和六十一年度ベースで千九百八十二億円というぐあいに推計をいたしております。一また、非課税貯蓄に関する特例の結果、これは所得税においてもちろん課税が行われていないわけでございますが、それに伴うところの住民税の減収額は二千二百億円程度と計算をいたしております。
#67
○細谷(治)委員 今お答えありましたようにマル優少額貯蓄の利子等の非課税、国税において五千七十億円、それから県民税、市町村民税で二千二百億円、厳密に言っても二千百九十一億円であります。利子所得等の課税の特例、配当所得の課税の特例、これを合わせますと源泉分離選択による非課税分というのが、これは国税はかけておりますけれども、税金は取っておりますけれども、地方税では取ろうとしても取れないわけですね。それが驚くなかれ千九百八十二億、こうなっておるのですね。これは不公平もひどいものじゃないですか。ですから、この論文に大阪大学の先生が、勤労者の貯金というのは大体日本国民は一家平均して七百万円か七百五十万円でしょう。ところがそれが五百兆円あるわけですから。これは税がかかってないわけです、六割は。貯金の六割は。これは大変なものだと思うのです。来年度の税制改正ではぜひこの不公平のトップのもの、利予配当についてのものをきちんと公平化しなければいけない。所得税の減税はもちろんしなければなりませんけれども、それ以上に、今まで源泉分離課税についての幾らだということは問題になっておりました。本来ならば少額マル優ですよ。郵便貯金を持っている人が零細な人の郵便貯金に税金をかけてけしからぬとおっしゃいますけれども、そう言っている人は大体百万円ぐらいの貯金しか持っていない人ですよ。みんなマル優になってしまうのですよ、少額で。一番持っている人が名寄せ、名寄せと言われますけれども莫大な貯金を持っておって、それがみんな非課税になっているところに問題がある。五百兆円のうちの六割、三百兆円が非課税なんですから。これはぜひやらなければいかぬですが、これをやりませんと、所得税を減税いたしますと、交付税はまともに減るのですよ。すると所得税をふやすにはこういうことを――これはやはり不公平の最たるものです。進んでやらなければならぬ、こう私は思います。それは非課税ばかりではなくてマル優のものもやはりやってもらわなければいかぬ。二つあるのですから。合わせてこれを取りますと国税でも五千七十億円程度の増収になるのですよ、ちょっと調べただけで。それから地方税ではマル優で二千二百億、それから非課税の源泉分離でこれも約二千億、四千億が入るのですね。大臣、これをどうするのかということが一つの目玉だろうと思うのですよ。地方にとっては地方税の減というのをそういう形で埋めていかなければいかぬ、努力をするということが大切だと思うのですが、これについてどうお考えになっているか。
#68
○小沢国務大臣 先生御指摘のように今日の貯蓄の状況、そして不公平な税として指摘されておるところでございます。その点につきましては、利子配当所得含めまして税制調査会においても検討していかなければならない。特にいわゆる地方税につきましてもその税源をきちんとした形でやっていってもらわなければいけないと私どもも同様に考えておるわけでございまして、結論といたしましてはもちろん税制調査会の答申を待って具体的に検討する問題だろうと思いますけれども、そのような中におきましても、地方の税源、財源を確保するような先生の御趣旨に基づいて努力しなければいけない、そのように思っております。
#69
○細谷(治)委員 税務局長、あなたの論文の中に住民税の今の問題で「抜本的税制改革の中でも重要な項目の一つであり、」この利子配当についての課税の問題についてはぜひとも実現を図らなければならないというあなたの決意を述べている。この決意について、今大臣もおっしゃったとおりですから、税制調査会――余り頼りにならぬ税制調査会ですからこれをひとつ一生懸命やれば頼りになるようになるかもしれぬから。悪口ばっかり言っているんではなくて私は励ます意味で言っているわけですから、ひとつ頑張っていただきたい、こう思います。
 そこで、税務局長にいきますが、後でまた財政のときに出てきますけれども、この源泉分離の非課税分相当額として今まで何かやっておりましたね、交付税に加算で。あれはどうなったんでしょうか。
#70
○矢野政府委員 源泉分離選択課税にかかる住民税が課税されていないものにつきましては、昭和五十年代の初めにこのことが極めて大きな問題になり、種々検討を重ねたわけでございますが、最終的な結論が得られない過程におきましてこれに相当する分について何らかの措置を講ずべきであるということで御承知の交付税特別会計に対する臨時地方特例交付金という形で繰り入れられてきたわけでございます。
 ただ、この臨時地方特例交付金は厳密に申しますとこの住民税における利子課税相当分というものを考慮しながら、同時に地方財政全体の状況を考えてその額を決めるということになっておるわけでございます。そういう意味で俗に財対臨時と呼ばれます。この臨時につきましてはたしか最高は千八百億くらいまで膨らんだことがあったかと思いますが、ここ数年はそういった状況を考慮して五百億円、しかもこの五百億円について将来現実に交付税の上には加算をするという形での措置がなされてきておるところでございます。
#71
○細谷(治)委員 言葉はそのとおりなんですが、調べてみますと、六十一年度には今言ったように財対臨時というのは所得税はかけられておるけれども非課税の選択分離のものについてはかけないという趣旨から、その税額相当分ということでありますから大体六十一年度は二千億円くらいになっているはずですね。そうじゃないですか。二千百億円くらいになっているはずです。今までどうなっているかというと、六十一年度は大体において利子が上がっておって二千百億円くらいになるだろう。そして六十年度が今言ったような千九百八十二億、そのほかにあるから二千億円くらい。それから五十九年度は千四百二十八億くらいだ、こう言われているのです。その前の五十八年度が千二百億。五十八年度が千二百億くらいと見積もったのが財対臨時として交付税に千百億円上積みしているわけですね。ところが五十九年度からは、どういう計算か私はわからないのですが、これに見合うものとして千百億円組んでおったものが突然五十九年度は五百億になってしまった。その前の年は一千億でしょう。恐らく国は銭がないから堪忍してくれということになったのでしょう。堪忍してくれるとかやるとかじゃなくて、所得のあるところには国税もかけるし住民税もかけるというのが原則でしょう。それをやってないところに問題があるわけですからね。それを、今までその税相当分を見ておった、国の財政が苦しくなったからやめた、五百億円とかは返上すべきですよ。本来取れるものを取るというくらいの筋でいかなければだめだと私は思うのです。しかも六十年、六十一年は五百億に削られた上に、六十五年度以降に特例として加算するかもしれませんという程度でしょう。もらったかもらわぬかわからぬですよ。六十五年度以降は、五兆七千億という特別会計の借金を背負っておりますから大変なのです。そういう理用の通らないところに追い込まれているというのが今の交付税の問題だろうと思うのですね。ですから、税務局長がそんな理不尽な、約束は源泉分離非課税についての相当額という形でやっているのを五百億にするなんてもってのほかです。どうせ六十五年度で――ことし金を出さぬでいいというのならば五百億を鉛筆なめで一千九百億になるわけでしょう、今のところは書くだけですから。後で出さなければいかぬということになるかもしれませんけれども、筋の通った金を出すべきだと思うのです。五百億なんて筋がないですよ。困ったらこれを五十億にしましょうといったってそれで下がりますか。これはすぐれて財政局長の問題だろうと思うのですが、大体において、税の計算はどうなるということを計算して資料を出すのは税務局の仕事だ。これはどっちの仕事ですか。
#72
○矢野政府委員 所得税において課税がされながら住民税において課税をされていない利子配当所得にかかる税相当額は、昭和六十一年度の場合千九百八十二億円と推計をいたしておりまして、この金額は我々としてはあくまでもそれだけが現実に課税されてないということを強く認識し、また公にもしておるところでございます。一方におきまして、従来の財対臨時、その後交付税の特例加算ということで、財対臨時という名前が制度的にはなくなったわけでございますけれども、これについては先ほど申し上げましたように、そういった利子課税分のほかに地方財政全体の状況をあわせて考えるということでございますので、必ずしも利子課税の相当額そのものをこの臨時で見るということには従来なっていないといういきさつはあるわけでございます。しかしながら、確かに金額は五百億円でございますけれども、それが、そういった利子課税というものが住民税において課税されてないという事実をはっきりといわば認証すると申しましょうか、そのこと自身は認めた上で、金額は御指摘のように利子課税相当額とはかなりかけ離れておりますけれども、やはりその財源を地方として確保すべきである、しかもそれは最終的には税制によって解決をされなければならないものである、それまでの間の一つの証拠と申しますか、そういったような形で出されているものではないかというぐあいに私の立場からは考えるところでございます。
#73
○細谷(治)委員 この非課税の問題について、これが最初一千億つけられたときにこの委員会でもすべての人が議論したのです。それはまさしく財対臨時というのは課税すべきものをしてないところに問題があるから補ってやるんだ、それからその他とあっていますから、それは一〇〇%だと言ってないのです。その議事録を読んでいただきたい。しかし、間違いなく九〇%以上はその対応分として出たことは間違いないわけです。それがいつの間にか困る、困るということで一千九百億とか二千億になるものが五百億になっている。しかも、その五百億は去年もことしも同じだ。そしてそれは六十五年度以降までやってしまうんだ。これは出世払いか何かわかりませんよ。六十五年度になったら忘れてしまう、覚書はありますけれども、そういうふうに私は心配をいたしております。
 大臣、そういう大変な問題があるのですよ。課税するようにしさえすれば、所得のあるところに必ず税がある、税はきついものだ、こういうことなんですから、税をやればそんなものは大蔵省に貸した借りたということはなくなってしまうのですから、これについてはぜひ基本的な線で解決していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#74
○小沢国務大臣 今までのことについてはいろいろな事情があったりしたのだと思いますし、また非常に厳しい財政状況にあったことも十分承知いたしてはおりますけれども、いずれにいたしましても、先生御指摘のように、どんな問題でもきちんとした正面から筋道をつけてやった方が――その場限りの処置で過ごしていくというやり方はとるべきではないと私は考えております。したがいまして、ただいまちょうど抜本改正の審議が進められておるわけでございまして、その中におきましてきちんと住民税、地方税の制度として確立していく、そういう努力を全力を挙げてやっていくべきであると考えております。
#75
○細谷(治)委員 ぜひそれを筋道を通してやっていただきたいということを重ねて要望しておきたいと思います。
 この税務局長論文の中にも、去年も私は申し上げたのです。社会保険診療報酬です。去年は自治省の努力によって、事業税の中で社会保険診療報酬とマスコミ関係があって、マスコミ関係はこれに落ちたわけです。その際に、地方制度調査会でマスコミ関係の人はどう言ったかというと、マスコミは泣きました、しかし税をかけることに応じました、間違いなく来年は社会保険診療報酬はやってもらうだろうなと私ども念を押されました、地方制度調査会で。ところが、残念なことには、参考にちょっと読んでおきます。政府税調の方は「社会保険診療報酬に対しては現在事業税は課税されていないが、」「税負担の公平を図り、税に対する国民の信頼を確保する見地から、この特例措置については、直ちにこれを撤廃することを強く要請する。」取りなさい、これは助産婦さんでも取っているのだからお医者さんが納めないのはおかしいじゃないか、これは診療報酬とは別ですよ、そう言っております。ところが、二つのうちマスコミはやって、今度はこれが実現するだろうと思ったら実現しない。これも問題で、大きな課題が来年に残されたわけです。自治大臣の双肩にかかってきたと言ってよろしいと思うのですが、あらゆる努力を払って、これだけは懸案ですから、実現していただきたいということが一つ。
 もう一つは、この事業税について、長年の懸案であります、去年も問題になりましたけれども、外形課税、今のような課税の方式じゃなくて外形課税をとったらどうか、現に地方税法の中の一条としてこれがきちんと起こっておるわけです。そっちをとってもいいというのです。全国知事会は五十四年に決議して、もし政府がやってくれないならば自分たちはあの地方税法の中の一条に基づいて条例をつくってやると言っておりましたけれども、とうとう踏み切れなかった。踏み切れなかったのには何かの背景があるかもしれません。自治省が抑えたのかもしれません。法律があるのですから。この外形課税をやはり税の安定のためにも、現行を例えば半分、それから外形課税を半分、こういう手もあるわけですから、そういう線でぜひ実現するための努力をしていただきたい、こう思いますがいかがですか。
#76
○矢野政府委員 社会保険診療報酬に対する実質非課税措置の撤廃につきまして、政府税制調査会からは大変厳しい御答申をいただきました。しかし、残念ながらこの問題につきまして、我々懸命の努力を重ねたところでございますが力至らず、今回におきましてはその撤廃の実現を見るわけにはいかなかったわけでございます。保健医療政策等の問題との関連、そういった点についてなお検討する必要がある、したがって、その撤廃措置については引き続き検討課題とする、このようなことになったわけでございますが、この点につきましては、もちろん現在、地方税制に残されている最大の懸案の一つでございますので、税務当局といたしましても全力を挙げて今後努力をしてまいりたいと存じます。
 それから、外形課税の問題でございますが、御指摘のようにこれも古くからの懸案でございます。税収の安定を図るという見地から外形課税を入れるということは望ましい方向だと存じます。これを御指摘のように、現在の事業税に関する制度を用いて地方税単独で実施すべきであるという御意見、これもございます。ただ、これも委員、経緯を御承知のように、昭和五十年代半ばにおきまして、いわゆる一般消費税の問題が出てまいりましたときに、片や企業課税、片や消費課税でございますが、そのやり方がほとんど同じであるということから、税制調査会におきましても両者を関連づけて議論をするということになったわけでございます。一般消費税の問題は消えましたけれども、その後におきましても、いわゆる課税べースの広い間接税との関係で検討しなければならない、こういういきさつがございます。我々としては、抜本税制改正に当たってこの問題がどのような形で議論されるか、十分我々も念頭にあるわけでございまして、地方税上の懸案の一つとして今後とも税制改正の中でこの問題に関する努力を続けてまいりたいと考えております。
#77
○細谷(治)委員 時間が余りありませんので、あと大臣に。
 私は九段宿舎に住んでいるのです。バスで朝晩あそこを通ります。通りますと、感ずることは、とにかくここは中央区、港区、千代田区というのが大変な地価の上がりですね。群を抜いて地価が上がっていっているわけです。そういうところには何が建っているか。半蔵門あたりを見ましても、例えばFM東京とか、こういうのができました。それを見ますと、新しい事業をやるためには金に糸目をつけないせいかどうか知りませんけれども、ビルが建っていっている。ところが、その近くにある民家、民家はいろいろ商売とかなんとかやっているのですよ。だんだん囲まれてしまって、これで健康的な生活ができるのだろうかというところを随所に見受けます。
 最近の税制の中において、どういうことかいいますと、居住用不動産の固定資産税の問題が大変大きな問題になっている。固定資産税の税率は、一・四は高過ぎる。そして、自治省が勝手に三年目ごとの見直しという形で評価額は上がっていく。調整措置をやっておりますけれども、固定資産税が上がっていくことは間違いない。そこで怨嗟の声が上がっております。
 私は、固定資産税が一・六から一・四になったということについては、固定資産税は一・六でもいいのではないか。一・四にしてしばらくしてから今度は別に目的税として都市計画税ができて、最初は〇・二でありまして、同じなんですよ。下げたけれどもまた同じ分だけ目的税としてできてきた。それが今〇・三になっておりますけれども、これは東京都下でもいろいろな問題ができてきております。一般の生活にはもはやそういうところに住んでいられない。生活用の居住財産としてはもうもはやそういうところはやれない。言ってみますと、固定資産税というのは収益的な資産に対する税だ。
 したがって、そういう不動産を持っているところは担税能力はあるという確認、前提の上に立って税制というのを設けられているのですけれども、もはやそういうところにおる人が居住しているだけでは――商売するなら別です。商売もマスコミか何かでなければだめですから。そういう事態が起こっておりまして、実際にはそういうところから固定資産税がけしからぬ、こういうことになっております。これに対してどう対応していくのか。固定資産を持っているやつは担税能力あるんだ、一億円の土地に住んでいるやつは能力を持っているんだと言われたって、サラリーマンじゃとてもできないことです。これをどうするのかというのは重要な課題だと思うのですが、これについてどう取り組もうとしているのか、お聞かせいただきたい。
#78
○矢野政府委員 固定資産税という税の性格については、ただいま御指摘のとおりでございます。しかも、同時にそれは地方団体にとって、市町村にとってはまことに基幹となる大事な税源だと私は思っております。
 ただ、御指摘のように特に大都市、その中でも特に東京における地価の値上がりというもの、これが固定資産税の評価の上に反映をする結果、数々のビルが建つわけでございますが、その間に挟まれたいわゆる居住用の資産も地価の評価の上ではやはりどうしてもこれは上がっていく、それだけの税負担がふえる、この辺をどうするかという問題は、実は私どもは固定資産税制の基本にかかわる問題である、このように考えております。私どもとしては、やはり固定資産税の基本的な性格、すなわち同じような土地は同じように評価していかなければならないというその基本は維持しながらも、そういった固定資産税の税負担の面で何らかの方法を考える必要があるのじゃないかということで、これは一つの中長期的課題として私どもも目下検討を重ねておるところでございます。基本的には固定資産税の性格を維持しつつ、今後の社会経済情勢の変化に応じた何らかの方法を必要とするのではないかという観点からの研究を進めておるというところでございます。
#79
○細谷(治)委員 あと二、三分ありますから、もう一つ、私は問題提起です。
 今度の地方税法の改正の中で、住民税が生活保護より低くなってはおもしろくないというわけで、非課税限度額というのを設けるわけです。十億円ぐらい減収です。これもまたおかしな話なんですよ。これはどうして例えば課税最低限の引き上げとかなんとかできないかというと、恐らく大臣も財政局長もそんなことやっておったら、とにかく十万円課税最低限を上げるんなら一千億円以上の減収が起こってくるよ、そんな財政力の余裕がない、こういうことだと思うのです。私もそうだと思うのです。けれども、非課税限度額を過去にやって今度もやろうというわけです。これはおもしろくないですよ。筋じゃないですよ。問題は銭がないからということになっている。これはあるいは局長が言う地域的な偏在で、東京都内ではやろうとしてできるかもしらぬけれども、地方じゃとてもじゃないがそんなことはできない。
 所得税と課税最低限を一緒にする、あるいは自治省が八割だ、こう言っておりますけれども、その八割すらもやれない。そのやれないのはやはり財政的なデッドロックだと思うのですよ。これが大きな課題で、これをどう解決するかというのは、恐らく来年度の税制の抜本的改正の中の課題の一つだろうと私は思います。できるのなら所得税の課税最低限と住民税の課税最低限は一緒にしちゃえばいいんですよ。すると、所得税の一部を地方税の方へ植えかえる、税を一つやるというと一つ簡単になるわけですから。そういうこともかつてはあったんですね。地方税の住民税の本文方式、これがあったわけです。そういう問題がありますから、その辺をひとつどうするのか十分検討して税制調査会で対応していただきたい、こういうことをお願いしたいのですが、大臣、いかがですか。
#80
○小沢国務大臣 先生の御指摘を十分踏まえまして抜本改正の中で対処してまいりたいと考えております。
#81
○細谷(治)委員 終わります。
#82
○福島委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十分開議
#83
○福島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。宮崎角治君。
#84
○宮崎(角)委員 公明党の宮崎でございます。
 小沢自治大臣を初めとして、関係省庁に地方自治に関する質問を申し上げます。具体的な例もございますので、どうかひとつ誠意ある答弁をお願いするものでございます。
 初めに、減税問題についてお伺いいたします。
 政府は、六十一年度の所得税、住民税減税を見送っているのでありますが、各種の調査はいずれも、ここ数年、手取り収入よりも税金や社会保険料などの非消費支出の伸びが大きいことを示しておりまして、その結果、総務庁の五十九年家計調査でも、非消費支出の実収入に対する割合が五十年の八・七%から一五・三%に上昇して、また、六年ぶりの可処分所得の減少という事態を招いているのであります。そして、そのほか、住宅ローン返済や子供の教育費の増加を考えますと、家計は全くゆとりを失っているのであります。
 例えば、年収五百万から六百万円の平均世帯で、仮に六十一年度に賃金が五%アップするとしましても、税金や保険料の増加や物価上昇で、その六割から七割が飛んでしまうのでございます。減税がなくても、賃金が上がればまだよいのでありますけれども、今年の賃上げは円高不況を見越しまして、アップ率は昨年以下と言われております。既に公務員の給与改定所要財源一%先組みは計上されていないのであります。このようなゆとりを欠く家計では、生活水準の向上は望めないし、また消費を低迷させて、政府見通しのGNP四%の伸びを支える内需拡大の柱とは到底なり得ないと考えます。さきの与野党合意で、減税問題は「六十一年中に成案を得る。」となったのでありますが、参院選を前に税調答申を得て政府の減税案がまとめられるのなら、どうして早期減税ができないのか、不思議でならないのであります。
 そこでお伺いしたいのは、所得税が一部でも六十一年度内に減税に踏み切った場合、住民税はいつ減税することになるのか、大臣の決意を伺いたいのであります。
#85
○小沢国務大臣 与野党書記長・幹事長会談におきまして、所得減税は「六十一年中に成案を得る。」ということになっておりますが、公党間の合意の問題でございますし、そのことにつきましては、もちろんこれを尊重していかなければならないと考えております。
 所得税について減税が行われる場合には、当然住民税の減税も行われることになろうと思いますけれども、所得税の、今御指摘の年度中に行われた場合でございますが、先生既に御案内のとおり、住民税の仕組みからいいまして、その翌年度に住民税の減税というものが実際として行われるものと思います。
#86
○宮崎(角)委員 その減税見送りで打撃が大きいのは、いわゆる社会的な弱者と言われる者であります。例えば老人については、年金がこの四月一日からその水準が大幅に引き下げられる。また医療費の一部負担金の引き上げが予定されている。
 さらに共働き世帯は夫婦世帯の半数に達している。特にパートタイムの女子労働者は、年々増加をいたしまして、全女子労働者の二割を超えるまでに至っているのではないかと思うのです。そして、その就業動機は過半数が家計の補助となっていまして、現状は非常に細々たるものであります。
 パートタイム労働者の非課税限度については、五十九年度に九十万円に引き上げられたのでありますけれども、最近のパートタイム労働者の生活実態を考えますと、早急にその引き上げが必要であろうかと思います。
 さらに、家計補助を目的としまして、その九割までが女子である内職者については、それが事業所得ないし雑所得とされているために、パートでは非課税となる収入九十万円でも、所得税だけで十万円近い税金が課せられる。パートタイム労働者と比較して著しく不利でありまして、その不均衡是正は急務であると考えます、
 このような問題は、本年度末までにぜひ是正の措置が講じられるべきであると考えるのでありますが、大蔵省に答弁を求めてみたいと思うわけでございます。
#87
○塩田説明員 今先生御指摘のいわゆるパートタイムの主婦に対する所得税の課税の問題、それから内職者に対する課税の問題、この二つがあったかと思います。
 パート労働者と言われる方の場合につきましては、給与収入が九十万円以下の場合、給与所得の最低控除額が現在五十七万円ということでございまして、これと基礎控除の三十三万円を合わせまして九十万円までの給与であれば、労働者本人といいますかパート所得者には課税にならないということでございます。
 他方、そういったパートの主婦の場合には、だんなさんの方の配偶者控除として奥さんの分が三十三万円控除できる、こういうことでございます。パート収入が九十万円を超えますとこういった恩典が一部飛んでしまうということで、奥さんの稼ぎがふえたにもかかわらず家計全体として見れば税引き後の手取り額が減ってしまう、こういう問題がある。これがいわゆるパート問題と言われているものの一番大きなところだと思います。
 おっしゃるような問題につきまして、いろいろ言われておりますけれども、例えば基礎控除額だとかそういったものを引き上げれば問題が解決をするのではないかという御指摘もございますが、これを引き上げるといいますか、現在の制度をそのままにして、三十三万円であるとか五十七万円というのを単に引き上げただけでは、その一部的には解決する層が出てくるだろうと思いますが、基本的な問題の解決にはならないのではないかというふうに考えて、むしろ問題が大きくなることだと思っております。
 それから、内職者につきましてもパートタイマーと同様に考えてはどうか、こういう御指摘でございます。
 先生おっしゃいましたように、内職者の場合には雑所得なり事業所得ということで所得税が適用されるわけでございますが、この問題につきましては、六十年度の税調の答申におきまして、「基本的には、まず、主婦のパートや主婦の内職を雇用政策上あるいは労働法制上どう位置づけるかという視点から取り上げて議論すべき事柄であり、更に税制上の問題としても、例えば配偶者控除のあり方や課税単位といった所得税制の基本的枠組みのあり方との関連において慎重に検討を行う必要がある」というふうにされているわけでございます。御承知のように、現在、税制調査会におきまして、所得税を含め抜本的な改正の議論がなされております。そういった中におきまして、御指摘の内職の問題あるいはパートの問題につきましても議論がなされるのだろうと考えております。税制調査会の答申をいただきました段階で、適切に対処してまいりたいと考えております。
#88
○宮崎(角)委員 大臣、中曽根内閣は、今も答弁がありましたが、六十二年度に税制の抜本的改正を予定している。その際に、減税、増税、これは同額としているのです。国の財政再建に寄与するために同額の範囲内で、国税と地方税の配分比率あるいは地方交付税、地方譲与税等を含めました実質的な地方税の配分比率を変更しまして地方に対する配分比率を下げるという考え方があると聞いているのでありますが、この点はどうなのか。大臣も本会議答弁等でるる申されておりましたが、二十一世紀はあと十五年、二十一世紀を目前にしまして地方の役割は今後ますます重要になるのである。税制改革において現在の地方税の比率三七%、実質的な比率五三%を上げることはあっても絶対に下げてはならないと考える、下げることはないとの大臣の決意をひとつお伺いしたいのでありますが、小沢自治大臣の答弁を求めたいのであります。
#89
○小沢国務大臣 ただいま先生御指摘のように地方自治体の果たす役割が今後ますます強まってくるものと思っております。そして、現実に地方財政の状況を振り返って考えてみますと大変厳しい状況にございます。したがいまして、今日の状況のもとで地方の配分税率を引き下げるというような状況には毛頭ない、むしろ地方の自主的な税源、財源を充実させる方向で検討すべきものと考えております。
#90
○宮崎(角)委員 地方財源の適正な配分並びにまた充実をこれからという御決意があったわけでありますが、総理の文言から、また総理のお考えから、非常に私どもは危惧をし、将来の方向に対する憂慮をするわけでありますけれども、いつも総理は本会議等の答弁を通して税制の五原則といいますか、公平、公正、簡素、活力、選択、こういった五原則に基づいて税調に諮問している、その五原則ということははっきりしているのでありますが、その中身は国民にさっぱりわからない。大型間接税の導入ということだけに焦点が当たっている。いわゆる税制改正というのは、国民生活はもちろん社会経済情勢に直接にかかわる重大な影響を及ぼす問題であろうかと思うわけであります。また、諮問に当たって自治大臣は、当然総理から協議を受けているのであろうと思うのでありますが、この点どうなのか。
 さらに、諮問に当たっての政府の基本的考え方がどこにあるのかを、この際伺っておきたいのであります。
#91
○小沢国務大臣 先生の御指摘のように、総理も何度も答弁いたしておりますが、いわゆる公平、公正、簡素、活力並びに選択の観点に立脚してということでございますけれども、これは国税、地方税を問わず社会のいろいろな状況の変遷の中でいろんな不公平な面とかあるいはその他たくさんのひずみの問題等が出てきておると思います。そういうようなことを抜本的にここで見直していかなければならない、その意味におきまして今、税調の審議をお願いいたしているところであろうと思います。
 私ども自治省の立場といたしましては、そういう中で特に地方自治体の税源、財源を十分に確保、充実していくという観点に立って御審議をいただき、また私どもとしてもそのような方針で今後対処していかなければならない、そのように考えております。
#92
○宮崎(角)委員 もう一つ、疑問点を二つ続けてお尋ねしたいと思うわけであります。
 その一つは、戦後四十年、我が国の税制は直接税中心、自主申告、総合課税、地方の独立税主義というシャウプ税制が今日まで続いているわけであります。このシャウプ税制の原則も変えるというのでしょうか。またその場合、地方自治の大きな柱である独立税主義というものについても見直しの対象となると考えていらっしゃるのか、この辺が一つ。
 二つ目は、減税と財政対策は一つのものであるのに、なぜ春に減税、秋に増税と分けて答申を依頼しているのか。これは私としては非常に不可解でありますし、また一面、あえて言えば選挙を意識したものではないのか、この辺のところを危惧をするのでありますので、ひとつ明快な答弁を自治大臣に求めたいのであります。
#93
○小沢国務大臣 税制の理論につきましては、先生の方が十分熟知しておられるわけでございますので私から申し上げるまでもないことと思いますけれども、今日の憲法下における我が国の体制は、その一つの大きな柱として地方税制、地方自治の確立ということがうたわれておるものであろうと思います。その地方自治を財政の面からも確立していくためにはということで、いわゆる地方税の独立の原則というものがとられておるものであろうと思います。したがいまして、私どもといたしましてはこの基本的な考え方は堅持していかなければならない、そのように考えておる次第であります。
 それから第二点の、減税を先に中間的答申ですかいただいて、その後で財源対策という、これは総理もたびたび御答弁なさっておりますけれども、これは別に選挙対策とかそういういわゆる政治的な意味の配慮からなされるべきものではないであろうと私は思っておりますし、総理もそういう意味で答えておるわけではないであろうと思います。ただ、減税はできるだけしなければならない、しかし財源対策もこれあるよというような意味におきまして、秋をめどとして包括的な答申をもらう、そういう趣旨であろうと考えております。
#94
○宮崎(角)委員 先ほども、五原則について国民は非常に理解に苦しむような問題を総理が出されたわけでありますが、私はここで具体的にその五原則につきまして大臣の答弁を求めるわけでありますけれども、現行地方税の制度につきまして不公平税制という。では不公平とはどういうものを指しているのか。では累進制度というのは不公平と考えるのか、あるいは各種の政策減税などはこの範疇に入るのかどうか、入るとするならば公平の原則から見てどのようにすれば適当と考えるのか、クロヨンと言われる問題もその範疇に入るのかどうなのか、この辺をひとつ解明していただきたいと思うわけであります。その答弁が終わりましてまた次にいろいろと四原則につきましてるる答弁を求めるわけでありますけれども、ひとまずその辺から答弁を求めたいのであります。
#95
○矢野政府委員 税制における公平の問題に関してのお尋ねでございますが、先ほど来お挙げになりました五原則の中で公平、公正ということが言われておるわけでございますが、その際、公平は、税を負担する側から見ましていかにバランスのとれた税負担とするかということでございます。現行税制はシャウプ勧告以来さまざまな改正を経てきたわけでございますが、社会経済情勢の方が大きく変わりましたので、現行の税制の枠内におきましてはそういった面からいろいろな点が指摘されておるところでございます。
 従来、税制調査会におきまして公平の観点から少なくとも検討課題とされていることは、例えば所得の平準化ということに伴って累進構造がこれでいいのかというような問題、あるいはよく言われます所得の捕捉の問題などが一般的にございます。また、特に地方税の立場から申しますと、従来から懸案とされておりますような住民税における利子配当課税の問題、あるいは事業税における社会保険診療報酬課税の特例といったような問題、こういうものを含めました非課税等の特別措置がさまざまに設けられておりまして、それが結果的に課税ベースを狭めてきている、その辺を時代の変化と合わせて見直し、検討を図るべきではないか、そういう観点からの問題があるわけでございます。こういった点について今後どのように対応していくべきかということについては、現在税制調査会におきまして専門的な立場からの御検討が進められつつあるという段階でございます。
#96
○宮崎(角)委員 続けて公正の問題でございますが、公正との関係で、脱税問題はどうなのか。どのような改正をすれば地方税で公正な税制度が維持できるのでしょうか。これが一つ。
 それから簡素。簡素ということについて、地方税についてどういう点が簡素でないのか。
 また、活力という原則に照らしまして、現行の地方税制で活力を阻害しているのはどのようなものがあるのか、累進税率もこの範囲の問題と思いますが、ほかにどのようなものが考えられるのでしょうか。
 選択の原則を地方税に取り入れるということはどういうことなんでしょうか。選択の原則を導入することにはどのようなメリットがあるのか。
 この辺でひとつ定かにしておきたいのであります。
#97
○矢野政府委員 五原則のうちの公平以外の残りの四つについてのお尋ねでございます。
 公正ということでございますが、公正と公平はどう違うのかということがしばしば言われるわけでございます。公正は公平を含むより広い概念だというぐあいに説明されておるわけでございますが、まさにそういう意味で税負担の公平を初め、税制が財政民主主義の観点から社会経済全般に対し適正な役割を果たすべきであるという意味での税制の望ましいあり方に関する理念でございます。国民の社会正義観念に合致する税体系やその執行を意味するもの、このように理解しておるところでございます。
 今お挙げになりました脱税、租税適脱の問題もまさに執行面における公正の観点から指摘されておる問題点の一つであろうかと考えるわけでございます。この点はもとより国税、地方税を通じて言えるところでございます。
 次に、簡素の問題でございますが、簡素ということはいろいろな面からの意味があろうかと思います。一番基本的なことは、税制の内容が納税者である住民にとってわかりやすいもの、明瞭なものであるということを意味するものと理解しております。現在の税制におきまして簡素化の観点から地方税について指摘されるものとしては、国税にも共通かと思いますけれども、例えば個人所得課税における税率構造が、我が国の場合は非常に数が多く刻みが多いというような問題、あるいは各種の非課税等の特例措置が極めて数が多くて税制の中身が大変わかりにくいというような点、こういった点が問題点として指摘されるであろうと考えます。
 それから次に、活力の問題でございますが、活力は、やはり国民経済、個人、企業を通じて経済に与える影響という側面から税制を見た場合に、この税制が個人の勤労意欲とか企業の活力、適正な資源配分を阻害しないということによって経済全体の健全な発展に資するということを意味しているもの、このように理解をしております。現行税制において活力の観点から指摘されているものは、何回も挙げますが、例えば個人所得課税における累進構造の問題もございましょうし、また企業側からしばしば言われますが、法人関係税の負担水準がどうあるのが活力の面から一番いいのかという問題があろうかと思います。
 最後に、選択の問題でございます。選択は、財政のあり方を究極的には国民あるいは住民の合意と選択によって決められるべきであるという、いわば財政民主主義の理念を意味するものと理解をしております。
 地方税につきましては、特に地方公共団体の自主性を確保する見地から、地方税の基本的な枠組みは地方税法において定めることとしながらも、例えば法定外普通税の制度であるとか超過課税の仕組みなどを通じて、各地域の財政需要に応じて地方公共団体が、すなわちその基礎にありますところのこれを支える地域住民の自主的な選択によって地方税を課税し得る道を開いておるところでございます。こういった自主的選択の問題についてどのように考えるかということが特に地方税の場合の選択の意味であろうかと考えます。
#98
○宮崎(角)委員 概要をるる御答弁いただきましたが、今度はテーマを変えまして、具体的にたばこ消費税について三点お伺いいたします。
 本年五月一日より地方たばこ消費税の従量割の税率が引き上げられることになっており、千二百億円の増税、また国たばこ消費税も同額が引き上げられて、地方交付税に特例加算されることになっております。これは六十一年度の補助率引き下げに伴う地方負担の補てんとされているわけでありまして、昭和六十一年度の地方財政対策に資することとしているが、昭和六十一年度の税調答申は、「基本的には現行税制の枠組みは動かさないとの態度で臨むべきである。」としている、これに反しているのじゃないか。減税が叫ばれているさなかに大衆負担の増加を安易に求めることについて、自治大臣はどうお考えなのかが一点。
 もう一点は、たばこ消費税の税率引き上げは補助率引き下げに対する補てんとされているわけであります。補助率引き下げは国の財政再建のために行われたものであります。そうしますと、このたばこ消費税の増税は明きらかに国の財政再建のために行われるものであり、文字どおり「増税なき財政再建」に反するのではないかと私は思うのであります。
 今回のたばこ消費税の引き上げにおいては、事前に税調の審議を経ないという異例の措置で、手続上の問題があった。予算編成に当たってはあらかじめ税調答申を得るということになっているのでありますが、今回のような事態を見ると、むしろ先に予算編成を行って不足財源を出してから、それについて税調で増税策を考えるという手続の方がよいのかとも考えるのでありますが、この辺についての自治大臣並びに大蔵省の所見を承っておきたいのであります。
#99
○小沢国務大臣 先生もう既に経過等についても御案内のとおりでありますが、これが決められた経過等につきましては必ずしも適切でなかった点があったということについては、そのとおり事実であろうかと思います。ただ、このたばこの問題につきましては、御承知のとおりいわゆる地方財政の対策をどうするか、予算編成に当たりまして非常に厳しい真剣な議論の中からこれが出てきたものと思われます。したがいまして、私どもといたしましては、そういった地方財政の対策として自主財源を少しでも地方にやろうではないか、そういう観点の中から一年間の異例の措置としてなされたということ、そしてまたそういったいわゆる地方と国会わせて二千四百億でございますけれども、その税収の規模の面からいいましても必ずしも「増税なき財政再建」という趣旨に反するものではないであろう、そのように考えておるわけであります。もちろん、先生御指摘のようにみだりに大衆課税をすべきでない、その点につきましては私もそのように考えております。
#100
○日高説明員 たばこ消費税の引き上げの経緯あるいはその考え方につきましては、今自治大臣が御答弁されたものでございますから、私の方から特段つけ加えるものはない、全く同じ考えでございます。
#101
○宮崎(角)委員 次の項目に移ります。電気税についてお伺いします。
 昭和六十年度の非課税等によります電気税の減収額は一千五十二億円とされているのでありますが、一方、同年度の同税の収入見込み額が五千二百五十三億円であります。同税の場合に、非課税等がなかったならば収入となる額の約二〇%が、非課税で収入できないことになっている。このような税目のあり方について、非常に不可解でありますのでこの点をひとつ自治大臣にお伺いします。
 もう一点は、この電気税は極めて普遍的な税目として市長会あるいは町村会などから充実の要望がありまして、また、非課税措置の見直しの要望が強いのでありますが、その非課税措置の整理は必ずしも進んでいない。六十年度末では七十八品目もあるのであります。今回の改正案ではアセチレンが整理されることになっているのでありますけれども、アセチレンを整理することになったその理由、これをひとつ伺っておきたいのであります。
 以上二点からお願いします。
#102
○小沢国務大臣 御指摘の電気税につきましては、税負担の公平を害することになるからもう整理合理化すべきだ、そういう御意見もある一方におきまして、やはり消費課税の性格から物価の…題など、そういった点の影響も大きい、したがってそういう点も踏まえながらこの問題については取り組んでいかなければならない、そういうふうな考え方もあるわけでございます。私どもといたしましては、もちろんその政策的目的を既に達成したというものにつきましては当然今後も引き輝きその合理化に努力していかなければならない、そのように考えております。
 あとの点については局長から……。
#103
○矢野政府委員 電気税特に産業用電気に係る電気税の非課税措置につきましては、従来より重要基幹産業または新規重要産業に係るものの中で製品コストの中に占める電気料金の割合がおおむね五%以上のものを非課税の扱いとしておるところでございまして、これに該当しないものにつきまして非課税措置の整理をするという方針で従来から臨んできておるところでございます。今回の税制改正に当たりましても、現在非課税とされている全品目につきましてその生産の数量とかあるいは使用電力の実態いろいろ調べて、幾つかの品目を挙げて見直しを行い、また関係省庁ともその点について協議を重ねてきたわけでございます。
 今回はただいま御指摘のようにアセチレンについて非課税措置を廃止するということになったわけでございますが、アセチレンにつきましてはごく最近まで生産が行われておりましたけれども、その国内生産が中止をされたという状況がございます。したがいまして、アセチレンについては少なくとも制度上は必要がなくなったということでこれの整理を行うことにしたものでございます。
#104
○宮崎(角)委員 今局長がおっしゃったようにアセチレンというのは生産がストップだというけれども、これは園内でこういったアセチレンをほとんど生産しなくなったのはもう何年も前じゃないかと思うわけであります。急にこの生産がストップしたんじゃない、数年前からと聞いているのでありますが、どうしてその時点で見直しができなかったのか。私の率直な意見としては、ちょっとこそくな手段であり、また廃止したけれども税金はふえぬという何かまやかしみたいな感じがしてならないのでありますが、この点についてどうしてその時点で見直しができなかったのかが一つ。
 それから、産業用の電気につきましては、重要基礎資材あるいは新技術により開発された原材料を生産する産業で、製品コストに占める電気料金の割合が五%以上の品について非課税とされておりますのは今答弁があったとおりであります。しかし、この基準がつくられたのは今を去る二十年以上前の昭和三十七年であります。当時と現在の産業構造は全く違っている。何が重要基礎資材が、また何が新技術により開発された原材料かは、当時と現在では全く違っているはずであります。しかも、税率は当時は一〇%、現在は五%なんです。この際、非課税基準については全画的に見直すべきではないかと思いますけれども、これは小沢自治大臣のコメントをひとつ求めたいのであります。
#105
○矢野政府委員 アセチレンにつきましては、ただいま御指摘のように国内生産が行われておりましたのは昭和五十八年度まででございます。私どもが非課税品目の整理に当たりまして関係省庁を通じましてその実態を調べるわけでございますが、その実態につきましては昭和五十九年度の生産数量の調査の結果が昭和六十年後半でないと判明しないということで、五十八年度まで生産が行われ五十九年度からそれが申上されたという実態が比較的最近までまだ把握ができていなかったということでございまして、そういう意味でこの整理がおくれたわけでございます。できるだけ早い時点に把握するように今後努めたいと考えております。
 それからなお、先ほど申し上げましたこの基準、確かにこれは税制調査会におきましてかなり以前に決められたものでございます。五%ということにつきましては、これはもちろん引き続きそれを基準として見直しを行っておるところでございますが、何が重要産業であり基幹産業であるかあるいは新規産業であるかという点につきましては、これはおっしゃるとおり時代の推移によってやはり変。わってくるものであろうかと存じます。その辺も非課税品目の見直しに際しましてはそういう実態に用応して考えていく必要があろうかと思います。
    〔委員長退席、小澤(潔)委員長代理着席〕
税率等もその間において引き下げられたわけでございますが、ただ電気税につきましては、基本的に税制調査会におきましてもこういった非課税品目全体を廃止すべきであるという観点と、それから原料課税にかかるものについては物価等への影響も慎重にやはり考える必要があるという議論と両方実はあるわけでございます。その辺を踏まえながら対応していきたいということでございまして、今後とも社会経済の推移等を十分に見きわめながら電気税の非課税品目の整理について対応をしてまいりたい、こう考えるところでございます。
#106
○宮崎(角)委員 外してもよいのは、外しても影響がないというのは、この辺で取捨選択をして今の局長の方向でひとつ進めていただきたいと思います。
 同じようなことでありますけれども、減収額の一千五十二億円というのは基礎あるいはまた配偶者あるいは扶養控除、こういった三控除を一万円ずつ引き上げて、いわゆる住民税の課税最低限を引き上げてもおつりがくる額でありますので、今回の地方たばこ消費税引き上げをほぼ不要にする額に等しいわけです。この際、残りの非課税の七十七品目について非課税としておく必要があるのかどうなのか、廃止する場合に国民経済に対する影響があるのかなどを一つ一つ検討していただいて、必要ならば経過措置を設けてでもできる限り廃止すべきではないか。地方に非常にしわ寄せが来ているという事実あるいはまた国の政策なのに、どうしてもこれが外されない。特にいわゆるそういった重工業重視の時代のときには、経済成長のパターンとして三十七、八年ごろは意味があったでありましょうけれども、それから経過をして、今この辺できちっとチェックしあるいはまた選択し廃止していくべきではないか、このように私は提言するのでありますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#107
○小沢国務大臣 御指摘のように、日本の経済社会の発展は非常にそのテンポも速く、そしてまた現実に今日産業構造の転換がもたらされておるのが実態であろうと思います。したがいまして、先ほどの御意見の中にもございましたように、私どもとしてはそれをできるだけ素早く的確に把握して現実に対処していかなければならない。政策的な運用を失ってきたものあるいは産業構造の中からこれはもういいではないかと不必要なもの、そういったものにつぎまして、御指摘のように今後この整理合理化につきましては積極的に検討し努力していかなければならない、そのように考えております。
#108
○宮崎(角)委員 問題を変えまして、今回の第百四国会の自治省の関係資料等々から推察いたしまして、ここでしっかりと定かにしておかなければならない問題が幾つかあります中で、法律案の十三ページ、二十六番でございますけれども、遺伝子の組みかえ技術及びその成果を応用したこういったいわゆる遺伝子組みかえ成術等の機械その他の設備の課税標準の特例についてであります。これは固定資産税なんでありますが、今回の改正案では、遺伝子の組みかえ技術等の試験研究に関する機械設備で、その試験研究の実施に当たりまして生じるおそれのある公共への危険、これを防止するために必要なものについて新たに課税標準の特例措置を講ずることとされております。今回、このような措置を講ずることにした理由をひとつお願いするわけであります。
#109
○渡辺(功)政府委員 バイオテクノロジーの問題につきまして、固定資産税の特例につきましてお答えを申し上げます。
 バイオテクノロジーの研究につきましては、がんその他の疾病の治療あるいは新しい医薬品の開発あるいは品種改良等広範な成果が期待されている、そういう分野であるというふうに承知しております。しかし、同時に遺伝子組みかえの研究におきましては、ただいまも御指摘がありましたが、この自然界に存在しなかった新しい遺伝子の組み合わせを持つ細胞がつくられるということもございます。したがいまして、その研究に当たりましては従来の病原菌以上に慎重にこれに対応することが必要であるということが要求されているわけでございます。このために、これらの研究を行う場合に内閣総理大臣が定めた「組換えDNA実験指針」というものに従うということにされております。
 そこで、この指針に従いまして設置が必要とされます設備で当該試験研究を行う際に生ずるおそれがある公共の危害を防止するためのものにつきまして、これは公共の危害が生じないかもしれないがまた生ずるかもしれない、そういう状態のものでございます。したがいまして、万全を期する必要がありまして、そういう指針に示されたところによりましてそういった設備が行われるわけであります。
 したがいまして、この通常の微生物の試験研究では必要とされないそういう設備につきまして、この研究については特にそういうものが設置されることが要求されるということにかんがみまして、今回昭和六十年四月一日から昭和六十二年三月三十一日までに新たに取得したものについては、固定資産税の課税標準を最初の三年度分、その三分の二の額とするということにしているところでございます。
#110
○宮崎(角)委員 遺伝子組みかえ技術については、安全性の確保のために昭和五十四年八月二十七日に内閣総理大臣が「組換えDNA実験指針」、これを定めているのです。これによりますと、実験そのものを実験の安全度評価に応じて物理的に封じ込めるとされている。二十リットル以下の規模ではP1レベルからP4レベルまでの四段階、大量培養実験ではLS−1からS−2の二段階を定めて、おのおのについて封じ込めの設備が定められているわけです。今回の特例措置では、この指針のどのようなレベルのものを対象にするのか、その具体的なものが全然わからない。自治省にお尋ねしておきたいと思います。
#111
○渡辺(功)政府委員 この特例措置を講じました理由と申しますのは、先ほども申し上げましたように、通常の病原菌の実験設備というようなものよりも、さらに付加的な設備が必要である、こういうことであります。
 先生御指摘のように、この実験に当たりましては「組換えDNA実験指針」、この内閣総理大臣の定めました指針に従いまして設置が必要とされるという設備のうち、一定のもので自治省令で定めるということになっております。そこで、この内容が明らかでないではないかというお話でございます。そこで、御指摘のように、この指針を見ますと、P1からP4まで、それから御指摘のようなLS−1、2の二段階というような各クラスに応じたそういう設備が要求されておるわけでございます。ただ、税制の側からこうしたものに対して措置をいたします理由は、この付加的な設備についてその税負担を軽減することによってそういった設備がしやすくなる、あるいは誘導する、そういう性質のものでございますから、必ずしも指針の一定のレベルとぴたっと合うということではないと考えております。具体的な対象につきましては、これらの要素を勘案いたしまして、関係省庁とよく調整をいたしまして省令で定めることといたしておりますけれども、この物理的あるいは生物学的封じ込め等のために設置が必要とされますもので、したがいまして比較的高額な設備というものが税制上は選択されて対象として省令で定めるということになると思います。例えば一定レベル以上の研究用安全キャビネットであるとか、あるいは研究用の高圧滅菌器であるとか、あるいは細胞組織培養試験装置等が対象となるものというふうに現在考えております。
    〔小澤(潔)委員長代理退席、委員長着席〕
#112
○宮崎(角)委員 では、科学技術庁お見えでしょうか。今度は「組換えDNA実験指針」の所轄官庁であります科技庁にお聞きいたしますけれども、この物理的封じ込めのレベルについて、指針ではP1からP4、LS−1から2の六レベルを定めているのでありますが、全国で行われている実験数は一体幾つあるのか、各レベルごとにお知らせをいただきたいのでありますが、最近アメリカでこういった病原菌が流出しまして大変な病気が発生したという事例もあるということを仄聞いたしますときに、私は国内におけるこういった実情について、ひとつ定かに答弁を求めたいのであります。
#113
○須田説明員 昭和五十九年度の科学技術庁の調査の結果でございますけれども、我が国で実施された組みかえDNA実験の件数としては、P1レベルが千四百十八件、P2レベル千二百九件、P3百四件、LS−1二十一件、LS−2一件となっております。なお、P4レベルは今施設建設中でございますので、実験はなされてございません。
#114
○宮崎(角)委員 わかりました。それでは、その遺伝子組みかえ実験を初めとしまして、今後の新しい科学物質、科学技術、生産工程等の開発、応用が人間や環境に予知できない影響を与えることになるおそれが先ほど申し上げましたように増加しているわけであります。したがって、住民の生活と環境を守ることを第一義とする地方自治体の役割はこれから一層増大することになるわけでありますが、自治省はこのような新しい危険に有効に対処するために地方自治体をどのように行政指導していかれるのか、ひとつ大臣の所見を伺いたいのであります。
#115
○小沢国務大臣 遺伝子組みかえの実験ということになりますと、具体的な中身はよくわかりませんけれども、この自然界にないものをつくり出したり、そういうようなこともありまして、その地域社会あるいは住民に与える影響も非常に大きいものと思われます。これはいわば文明論の観点からもいろいろと議論のあるところであると思いますけれども、いずれにいたしましても、本来のその目的、目標というものは、我々人類、国民のよりよい生活、そのための手段としてこういった科学技術研究が行われておるものであると思います。そのような研究の段階におきまして、絶対、地域の住民あるいは国民の安全を確保しながらそれに対処していかなければならないと考えております。いずれにいたしましても、こういった新しい技術には、安全を十分考えながらも、やはり未来に向かって、将来に向かってこういった課題に取り組んでいかなければならない、そのように考えておるわけでございまして、各地方公共団体に対しましても、こういった点を十分注意しながら新しい時代の要請、課題に対処していくように自治省といたしましても支援してまいらなければならない、そのように考えております。
#116
○宮崎(角)委員 最後に非課税の特別措置の整理につきましてお尋ねしたいのですが、地方税の非課税等の特別措置による減収額は、交際費課税による増収を除いて六十年度で一兆円を超す巨額に達しているのですね。もちろん、そのすべてが不合理なものとは言えませんけれども、それにしても大変大きい。六十一年度の税制改正においては整理合理化も図られるとはいえ、新設、拡充、単純延長等は六十年度よりも非常に増加している。例えば新設は六十年度四件が六十一年度は十一件になって二億六百万、拡充の場合が九件から十一件で二十億七千万、こうなっているわけですね、私の持っている表からいたしますと。近年の国の歳出予算の補助金抑制で租税特別措置の要望が多くなっていると言われておりますけれども、国の予算の問題を地方税で処理するということがあるとすれば、これは全く筋違い、言語道断だ。特別措置は一たんつくられるとその整理はなかなか難しいのは電気税で明らかになったのです。まず新設しないことが必要なのだが、総理がもくろんでいる大型間接税等による増税というのはまずこのような不合理な特別措置の整理が前提になると思うのでありますけれども、大臣の所見を伺っておきたいと思います。
#117
○小沢国務大臣 御意見のとおり、いわゆる不公平なものあるいは政策的な目的を既に達したもの、そういったものにつきましては当然その整理あるいは見直しを考えていかなければならないことは御意見のとおりでありまして、それとその他の抜本的な税制云々という問題とは別の問題といたしまして、これはこれで積極的に進めていかなければならない、そのように考えております。
#118
○宮崎(角)委員 大臣はまたいろいろと選挙関係の担当もされておりますのでお伺いするわけでありますが、定数是正問題について最後にお伺いしておきたいと思います。
 東京都議会の議員選挙に対しまして二月二十六日でしたか、東京高裁の判決は極めて注目すべき判断を下しておるわけですね。すなわち、同高裁判決は、地方議会選挙に許される定数格差は原則として一対二以内としているのであります。これは地方議会に関する判断だが、趣旨は衆議院選挙にも当てはまるようにも考えるのでありまして、そうだとしますと、一対三以内とする本院の定数是正も、暫定改正ではともかく、少なくとも抜本改正については一対二よりも少なくすべきではないかと考えるのでありますが、この点に対する大臣の所見。
 また、同判決は、裁判所は議会で定数是正ができなかった場合、当事者の申し立てに基づき、適法な配分規定を示す権限と責任を有する、こういうことになっているのであります。これも出ているわけでありますが、大臣は、裁判所がこのような権限を有すると思うかどうか、ひとつ自治大臣の所見を最後に承っておきたいのであります。
#119
○小沢国務大臣 先般の高裁の判決につきましては、ただいまの御指摘のとおり一対二という明確な数字を出しての判決でありましたし、また、今後改正をしないで選挙をやればそれは無効だよというところまで踏み込んだ判決でございました。これはもちろん都会議員についてのことでございますし、また最終の最高裁の判決ではございませんけれども、その判決の内容については大変厳しいものと受けとめておるわけでございます。
 ただ、衆議院あるいは参議院もでございますが、それぞれのよって立つ基本的な性格の違い、それは当然あるものと思います。衆議院の定数につきましては最高裁の判決、五十八年、六十年両判決におきましても二・九二についてはこれは違憲とは言えない、また三・九四については違憲であると明確に出ておるわけであります。そういうような状況、裁判所のことも踏まえまして議長見解としては一対三、緊急措置としての原則が示されたものと思います。したがいまして、前国会から今国会に引き継がれてその議長見解に示された原則に従って少しでも早く違憲の状態から脱しなければいけない、それを是正しなければいけない、そういうことで今国会に今協議されておることであろうと思います。もちろん、その議長見解の中にも、確定値が発表された後には抜本改正をやろう、こういうことも示されておるわけであります。そのときの状況がどうなっておるか、私の方から司法の判断につきまして云々ということは言えませんけれども、当然そういった全般的な状況のことも判断に加味されながら抜本改正が各党において取り組まれるのではないか、そのように考えておる次第であります。
#120
○宮崎(角)委員 大変どうもありがとうございました。
#121
○福島委員長 岡田正勝君。
#122
○岡田(正)委員 昨日質問通告をしておりました内容とはがらっと変わりまして、きょう午前中に、午前中にといっても昼飯前でありますが、急速質問の内容を変えましたので大変御迷惑をかけておると思いますが、ひとつまじめに取り組んでいただきたいと思います。
 まず第一の質問は、住民の直接請求、このごろはこれはもう三宅島あるいは逗子、最近の例で言うといろいろそういう問題があらわれておりますが、この住民の直接請求というものは何でもできるのでありましょうか。どんなケースにでも直接請求はできるのかどうか、お答えいただきます。
#123
○大林政府委員 住民の直接請求、現行法でいろんな種類のものが決められておりますが、恐らく御覧間の趣旨は議会の解散とかあるいはリコールとかいうものを中心としてのお話であると思います。
 これは、制度が設けられました趣旨が、一応選挙で選ぶわけでありますけれども、特に国の場合には憲法が間接民主制というもので割り切っておりますけれども、地方自治というものを戦後新しくどういう考え方で組み立てるかという問題が議題になりました際に、地方は最も地方の住民に身近な団体だから、要するに一度選挙をして四年間任せっきりにするということではなしに、その都度住民からの目も光らせるべきであるという意味で、議会の解散請求と議員の解職請求、もちろん首長の場合もありますけれども、その場合に、しからば一体どういうケースでそういった制度が運用さるべきかということがまた議論がされました。その際に代表的に挙げられておりましたのが、一つは、選挙後住民の大変なひんしゅくを買うような行動というものが一つの原因になるだろう、もう一つは選挙の公約に反するような行為をしておるということも有力な原因になるであろう、この二つが主なものだというふうに従来説明されております。
#124
○岡田(正)委員 住民の直接請求の中から除外をされておるもので、主なものは何がありますか。
#125
○大林政府委員 住民の直接請求の対象になりますものが、条例の制定、改廃、それから監査の請求、議会の解散なり首長あるいは議員のリコールということでありますけれども、特にそれぞれの制度の中でこういうものは除外をされておるというのは、例えば条例について申しますと、使用料、税でありますとか手数料、負担金でありますとか、そういう住民の負担に関する条例については条例の制定、改廃が除外されておるということであります。
#126
○岡田(正)委員 そこで、昨年末三宅島におきまして今話題の空港設置の問題、これをめぐりましてリコール騒ぎがあったということを承っておりますが、その内容につきまして御報告を受けておられればひとつこの際披露していただきたいと思います。
#127
○大林政府委員 昨年来、三宅島の空港拡張問題につきまして議員のリコール運動というものが発生をいたしました。その際に二名の議員がリコールの対象となっておったようであります。その手続が進行中に、請求代表者の中で公務員がまじっておるということが判明をいたしましたためにその請求手続が却下をされまして今日に至っております。
#128
○岡田(正)委員 そこで、今お答えがありました中で、リコール等に訴える直接請求の場合のケースとして、住民から著しくひんしゅくを買うような行動あるいは公約に反するような行為等があった場合ではないかなということで大体運用されておりますということでございますが、三宅島におきますこのリコール騒ぎというのは、私の聞いておりますところでは、昨年の十二月の十二日に二人の議員さんが空港設置に賛成をしておる、胸くそ悪い、この議員をひとつやめさせようじゃないかというので直接請求の要求をした。そこで代表者の証明をしなければならぬわけでありますが、一人の議員について一枚ずつの証明が要るわけでございますから、六人の請求代表者が署名、捺印をして選管にお出しになった。それが十二月の十四日。そこでリコールの署名はずっと進んだ。ところが、どこからどういうことでどうなったのかわかりませんが、結果的にはその六名の代表者の中に農業委員をやっておる人が一人入っておった。それが両方とも入っておりますので、六名のうち一名ずつ入っておりますので、それは特別公務員である、したがって代表者になることはできない。したがって、この代表者の証明というのは無効であるということが出たので、とりあえず十二月二十六日リコールは取り下げた、直接請求は取り下げた、こういうことになって今日ずっとそのまま不気味に鳴りを静めているということでございますが、ここで私がなぜこんなことを聞くのかといいますと、これは一部の全くうわさですから事の真否はわかりませんけれども、空港設置に賛成をする二人の議員憎しとしてその二人の議員を議会から排除するためにリコールをやるというのなら、よし、それじゃ今度は反対する者もやってやろうじゃないかということになってきますね。これは泥仕合いに発展して、その地方自治体のためには決してならない問題であります。空港設置に賛成したからといって、ひんしゅくを買うような行動ではありませんし、それから公約に違反する行為でもございません。ただ島民の反感を買っておるというだけのことでありまして、言うならば主義主張の差ですよね。こんなことは国会ではしょっちゅうありますね。特に共産党さんなんかになると人事なんかの問題はオール一〇〇%反対という態度をおとりになることがたびたびありますね。そういうことがありますが、その都度、おのれ、共産党のやつ、けしからぬやつだと言って国会議員はできないことになっています。ところが、都道府県会議員、市町村会議員はこれ、できるんですね。そうすると、大都会なんかじゃ考えてみたところで物語ですからおよそできるわけもございませんが、ごくごくいわゆる過疎な地域につきまして考えてみますと、そういう村議会なんかではまあ一名ぐらいしか出ていらっしゃらないでしょう。大体一、二名ですね。そういう人たちに対して、あいつ会議のたんびにうるさいことを言いやがる、よし、それならあいつやめさせてやれということで、住民をちょっとおだてればいつでもリコール騒ぎができるわけですね。これは大変なことだと私は思うのですよ。
 政治の場ですから、いろいろな考えがあるのは当たり前ですよ。その主義主張の差、政策の差があることによって、それが気に入らぬから直接請求だと言ってそんなものが一々取り上げられておったのでは、日本の国の中ではもういつもかつも大騒ぎをしておるというようなことになりかねないという心配を実は和しておるのです。これは経塚先生に頼まれて言っておるのじゃないのです。頼まれて言っておるのではありませんが、いわゆる少数政党なんていうものはいつ、そういうわなにかかるかわかりません。あり得ることです。三宅島でもしこれが成功しましたらとんでもない前例を残すことになりかねないと私は思います。幸いにしてといいますか、とにかくこの直接請求は一応やめたわけですから、不発弾で終わったわけですから事なきを得ておるのでございますが、ええい、畜生、ちゃんとメンバーをそる文で、代表者の中に公務員を入れぬようにしてもう一遍おれはやったるぞということで本当にやってごらんなさい。今の三宅島の空気からいったら、三分の一以上の署名をとるぐらいのことはわけはないですよ。それでリコール成立。成立したら今度は選挙になりますね。選挙になったらああいう勢いじゃ当選することは恐らく不可能です。ああいう空気のところでは不可能です。言葉は悪いかもしれませんが、一種の村八分、合法的な村八分ということに通じやしないか、これは議会制民主主義というものの根底を破壊することになるのではないかと、私は非常に大げさに受け取っておるのですよ。
 我が党のけさの国対委員会の中におきましてそのことが実は問題となりました。これは決して共産党さんから頼まれたのでも何でもありません。これは繰り返し念を押して申し上げておきますが、とにかく議会制民主主義を守る上でこんなこと許されていいのかいな、しかも、住民の直接請求というのは何でもできるんだよということになっておるのなら、これだけは除外というのはおかしいと思います。だが、地方税の問題にしても、負担金の問題、手数料の問題、使用料の問題、すべて住民の直接請求は相ならぬと決めてあるじゃありませんか。例外規定はあるじゃありませんか。ということになれば、議会制民主主義の根幹を揺るがすような大問題が今芽生えかけて火がおさまっているこの段階で何かの対策を講じなければならぬと私は考えておるのでありますが、いかがでございましょうか。
#129
○大林政府委員 戦後四十年間、いろいろなリコールの経験を経てまいっておるわけでありますが、三宅島の問題について大変混乱が起こっておるということを前提にしてのお尋ねであります。
 確かに、リコール制度というものを戦後導入しましたときには、まさに御指摘のような心配が実はあったわけでありまして、当時の政府といたしましては、そういう足の引っ張り合い、泥仕合いというようなことになっては困るから、有権者の署名要件はさることながらこれを一般投票にかけるのはいかがなものか、やはり公正な審査機関をつくってその癖査機関で判断をさすべきではないかというのが原案であったわけでありますが、どうしてもやはりGHQは、それは非民主的である、地方自治の実権はリコール、議会の解散というものを含めて行うべしということで、ただ乱用防止策として、選挙後一年間はリコールはだめ、あるいは三分の一の署名が必要であるとか、過半数の同意が必要であるとか、そういったことをチェックにして制度を前進させてみようということになったのが一つの経過であります。そこで、それぞれの地域におきまして事柄の種類は問いませんけれども、そういった乱用ということが起こるか起こらぬかというのは結局はその地域の住民の良識ある判断に任せざるを得ないというのが現行制度の背景になっておるわけでありまして、いきさつを申し上げるだけでお答えにはならないかと存じますけれども、やはり制度の運用については結局有権者の良識ある判断というものが前提になろうかと思います。
#130
○岡田(正)委員 それでは、くどいのでございますがもう一度お尋ねをしておきますけれども、地方自治法の第八十条に言っておるいわゆる住民直接請求というのは、首長、議会それから議員、もちろんこれすべてに適用されるのでありますけれども、議員という場合であっても、いわゆる考え方が違う、例えば空港設置に賛成、何をぬかす、生意気な、あんなもの首切っちまえ、そういうようなことになるともう明らかに乱用だと思うのですが、この八十条をつくったときの精神そのものは一体どこでだれがどう生かしていくのでありますか。だれがどう指導するのでありますか。この八十条を文言どおり読んだら全くもう味もそっけもありませんね。もうそのとおりできるわけでございますが、そんなことをやったらもう議会制民主主義を根本から破壊することになるのじゃないか。例えば公金を横領したとかあるいは議員のくせにどこかの奥さんをつまみ食いしたとか、そんな問題があるのに、議会の方じゃ百三十四条第一項のいわゆる懲罰委員会にもかけずに議長以下みんなにこにこしているというような状態で、これは我慢ならぬ、それだからやっつけてやれというので住民の直接請求が、いわゆるリコールが起こったというのならまだ話はわかるのですよ。だけど、そんなこととは違うのですね。だから考え方が違う。一つの法案が出てきたって、例えば公務員のベースを一〇%上げるべきだというのと、いや中曽根内閣はベアはゼロである、予算案には一銭も上げない、こういう予算案の上げ方をしておる、けしからぬ、けしかると大いにお互いが頑張る、それと似たようなケースは地方自治体でいっぱいありますわな。そういうことが問題で、あいつは公務員のことを考えておらぬ、だからあれ首切ったれというようなことを言って住民をあぶり立てるというようなことなんかで直接請求もできるわけでありますが、これは少数派の議員がその命脈を絶たれる非常に恐ろしい制度であると思います。それに対して自治大臣は、この法の八十条の精神をもっとよく玩味して、そしてその指導をするべきではないのかな、無用な争いを起こさせるべきではないのではないかと私は考えるのでありますが、どう思われますか。
#131
○小沢国務大臣 この問題は、憲法、そしてそれを受ける地方自治法、その中にありましては、中央の政治の機構は代議制、間接民主主義、議院内閣制、しかし地方においては、本当に地方の住民の意思を反映できるようにという理想に向かってそういう直接民主主義的な考え方を取り入れて、それが本当に有効に運用されるようにということでつくられたものではないかと私は考えております。
 ところが、直接民主主義ですから、その運用の主体はあくまでも国民、地域住民ということになります。したがって、その地域住民が本当にこの制度の意味を理解して、そして正しく有効に運用するという意識をお互いが持つことが大事であろうと思っております。しかし、今日、必ずしもそうでないような、御指摘のような運用がなされておるということでございますから、その点については、もちろん公約違反とかひんしゅくを買うようなとか議員としてあるまじき行為をした場合に本来適用されるのだよという意味の理解を求めるために、自治省がそれを皆さんに啓蒙することは必要であろうと思います。
 また、それでもどうしても制度そのものがまだそこまで完全に理解されない現段階においてどうしたらいいかということになれば、それは立法政策上の問題として検討されることはあり得ると思いますが、いずれにしても、本当に適正に有効に本来の制度の趣旨が生かされるように、私どもとしても指導をし、理解を求めなければいけないと思っております。
#132
○岡田(正)委員 それでは、質問の角度を変えてお尋ねいたします。
 地方自治法第百三十四条一項にあります懲罰の規定、それから続いて第百三十五条にその内容が書いてありますが、その関係について、議員の議席を奪う、これを除名と言っておりますけれども、その除名をするときにはどういう手続を経なければならぬと規定されてあるか、お答えいただきたいと思います。
#133
○大林政府委員 地方自治法の議員の懲罰の中で除名が一番重い懲罰でありますけれども、まず、懲罰動議を出すに当たりましては議員定数の八分の一以上の発議によること、第二に、その除名については議会の議員の三分の二以上の者が出席し四分の三以上の同意がなければいけない、つまり特別多数議決が必要である、こう規定しております。
#134
○岡田(正)委員 後段は全くおっしゃるとおりでございますが、懲罰委員会に懲罰を付するのにはこれこれの理由がなければいけませんよということが規定されておりますね。それは何でありますか。
#135
○大林政府委員 懲罰事由としては、「この法律」、つまり地方自治法でありますが、「並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した議員」が懲罰の対象となると書いてあります。
#136
○岡田(正)委員 今お聞きのとおりであります。地方の議会におきまして懲罰委員会にかけるぞという場合は、単なるおどしじゃだめなのでありまして、地方議会は「この法律」、地方自治法ですね、「この法律並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した議員に対し、議決により懲罰を科することができる。」のです。しかも、その議決は議員定数の八分の一以上が発議しなければだめですよ、それで懲罰に付するとなったら今度は本会議を開いて、本会議においては三分の二以上の議員が出席してその中の四分の三以上が賛成しなければ除名はできませんよと、ここまで厳しく、議員は住民から直接選ばれて出た人でありますからここまで守られているのです。だから、いかに少数派の人といえどもめったなことで議会で除名になってバッジがはげることはないというように厳重にその議員の身分を保護してあるのです。
 そのことから考えますと、今の地方自治法第八十条の簡単に言ったらリコール請求、このリコール請求というのはわずか六名ほどの人が、おい、あんちくしょうやってやろうじゃないかということで選管に行って、あの議員気に入らぬからリコールするのだと言って村役場に持っていけば、今の地方自治法八十条の規定を読む限りは、何が理由であろうと議員の解職に関するリコールでありますから、はいと言って六人が氏名、住所、捺印をちゃんとしておって公務員でなければ、資格要件が整えば、はい締構でございます、どうぞおやりください、こうなるわけでしょう。
 たった六人の人ですよ。何万人おろうとも六人でいけるわけです。そして、その人たちが運動の主体者になって有権者の三分の一以上の有効署名を集めたら、その議員は今度は再び選挙戦を戦わなければならないのです。そんなもの、少数派の者が、例えば三十名の定員の中で一人しか出ていないというのに、それがリコールなんかで改めて選挙に訴えられてごらんなさい。このリコールが成立した場合は、全住民の三%もようとっておらぬ者が二度と再び勝てるはずがありません。勝てるはずがない。私はもう大変な問題であると思うのです。
 ですから、この問題については、どこの町役場、村役場に行っても、このとおりの法律で読む限りは、はいはいと言って受け付けざるを得ぬでしょう。三宅島のときには、幸か不幸か六人の代表者の中に特別公務員である農業委員の人が署名、捺印しておったから、これはだめです、これは失格ですと言われて、そのまま取り下げてそれっきりとなっていますから騒ぎになっておりませんけれども、これが全部有効な六人が署名しておったら、リコールはとうの昔に済んでおります。私は三分の一を十分超えて今また大きな騒ぎになっておると思うので、これは幸か不幸かわかりませんけれども、しかし、人のことではございません。ほかの方にも飛び火するおそれもございますので、この八十条の解釈について各選管に特段の行政指導がない限り、三宅島と同じような問題があっちこっちに起きてくる。そして、それは起こらぬまでも、多数派の議員が、こうるさい、かばちの立つ人間をとっつかまえて、うるせえな、あいつ、おどかしてやれというので、おい、おまえのリコールやるぞ、こう言っておどかせば、しゅんとチュンクロウになりますよね。そんなことで議会の活性化ができるでしょうか。私は、議会制民主主義の大変な危機である。
 幸いに三宅島であらわれた。こんなことはめったにない。こんなことが幸か不幸があらわれたのでありますから、この際、小沢自治大臣は特段の指示を各地方団体の選挙管理委員会に与えるべきであるというふうに思うのでありますが、いかがでございましょうか。
#137
○小沢国務大臣 解釈につきましては、先ほど行政局長からお話がありました。そしてまた、私、制度の趣旨については先ほど答弁いたしましたけれども、やはりこの制度が設けられた本来の趣旨そのものを正当に理解していただく、ただ単に政争の具になったりあるいは個人個人の感情の対象になったりということであってはその趣旨が合うされないわけでございますので、その意味につきましては私どもといたしましては正当に理解していただくようなことは、啓蒙するということは必要であろうと思います。解釈諭以上の問題につきましては、先ほど申し上げましたように立法政策上の問題として取り扱われるべきことであろうと思います。
#138
○岡田(正)委員 くどく申し上げましてまことに恐縮でございましたが、議会制民主主義を守るという点から非常に重要な問題、看過すべからざる問題というふうに私は思っておりますので、小沢自治大臣の就任第一号のお仕事として――やはりこれはGHQがあるときにつくられた、そのいきさつもございます。その当時の我が日本の国民の、いわゆる政府の考え方というものは、これはもうひんしゅくを買うような行動あるいは公約に違反するような行為、そういう見逃せないようなことがあったときにこそこういう制度は生かすべきである、これはまさに正宗の名刀ですからね、こういうように考えていらっしゃる、そのことをそっくりそのまま各選管へ、これは独立機関ですから、各選管へ懇切丁寧な行政指導をしておいていただかぬと大変なことになると心配をしておる。なぜならば、なぜ行政指導してほしいかというと、地方自治法そのものは政府が提案をして国会が決めているのです。国が、国会が議決をしているのですから、だからこの問題の解釈、この問題、法律がいわゆるひとり歩きをしてはいかぬのですから、その法律の趣旨はこうだよ、間違うなよということだけは末端に至るまではっきり徹底していただかなければ困りますので、その点をいま一度、行政指導をぴしっとやりますというふうにお思いであるかどうか。その思想はわかりました。先ほどのお答えで思想はよくわかりました。ああ、小沢さんらしいな、本当に正直だなと思って、私本当に感激しておるのですが、いかがですか、行政指導する、しない、これをおっしゃってください。
#139
○大林政府委員 選挙管理委員会自身としましては、このリコールの運用がいかなる場合に行われるべきかということは十分もう承知しておるわけであります。したがいまして、代表者証明書の交付申請に参りました場合に、わけのわからないことが書いてあればそれは適当に補正をしてもらうことになります。したがって、大体どこのリコールの請求におきましても、請求自身にはやはり公約違反でありますとかあるいはひんしゅくある行動を動機としたというようなことが書いてあるわけてあります。ところが、それがうそか本当かということはわからぬわけであります。また、選挙管理委員会としても、それはうそであるとか本当であるとかいう実質的な判断権はございません。そういったものをどう信用するか、判断するかというのは、結局は有権者になってくるわけであります。つまり有権者自身がこの制度を乱用しないように戒めるということこそ一番大切でありまして、もう選挙管理委員会の方は十分わかっておるわけであります。ただ、御趣旨は私どもも十分わかっておりますので、今後の選挙の啓発の一環としても御趣旨、徹底するように努力はしたいと思います。
#140
○岡田(正)委員 ああいう助太刀が出ますと、理路整然とおっしゃいますので、正直言ってちょっと小面憎いのですよ。まあ、要らぬことを言わぬでもいいのになと私は思うのでありますが、とにかく選管の専管事項でありますから、選管が法の趣旨にのっとっておかしいものは排除する、そして補正するものは補正してやっている。その結果は、そうなんです、これはもう公約違反の行為があったからです、いやひんしゅくを買うような行為があったからですといって諦求書の請求理由に書いたら、それがほんまかうそかは選管にわからぬから、それは許可する以外にはないでありましょうと、この前段が気に入らぬのね。これが気に入らぬの。なぜ気に入らぬかといったら、うそかほんまかわからぬからということは、言葉を返して言ったら、この議員は法の趣旨であるひんしゅくを買う行為があったのでと書くかあるいは公約に違反する行為があったのでという文字が書いてあったら、選管はめくら判を抑さざるを得ません、うそか本出かわかりませんからああさよかと言うて判を押す以外にはありませんということでしょう。ということは何でもできるということですよ。名目だけ、選管が、あきまへんで、そんな個人的なことを書いたらいけません、それはもう、ひんしゅくを買う、いい言葉でしょう、これ書きなさい、これ書いておけば大文夫ですと言うてあるいは逆に教えるかもしれぬね。そういうことになったら、選管がこれを受理するのは全くもうめくら判で受け付けるのですよ。これが許されたのではもう大変なことになる。だから、この八十条の法の運用については、かくあらねばならぬというもっと丁寧な親切な行政指導を大臣名をもって行うべきである、私はこういって言っておる。
 その理由は何か。岡川君の利益を守るためじゃないのです。日本の地方山治の議会制民主主義を守るために言っているのです。懲罰委員会ですら全定数の八分の一以上の賛成がなければ懲罰にかけることもできないのですよ。それで、かけて今度はそれを本会議に移した場合、総定員の三分の二以上が出て四分の三以上が賛成しなければ議員の首はちょん切れないのですよ。それほど選挙というものを重視してあるのにかかわらず、住民請求だったら三分の一の請求でぼんとその人には大致命傷を与えることができる。そこで選挙を争ったって、一・%か二%の票しか持っておらぬものが、どんなに狂ったところで、総投票数が二〇%か三〇%しかなかったとしても、一%や二%の支持省では、どんなに狂ったって勝てるわけはないじゃないですか。こんな恐ろしいことを唯々諾々と許してはならない。何のための選管かと私は言いたいのであります。
 だから、その点は、言うてこられればしようがないんですわい、書面が整っていればしゃあないんですわいということだけでは困る。だから、もっと親切な行政指導を議会制民主主義を守るためにやってもらいたいということを訴えておるのですが、小沢さんにはわかってもらえると思うのですがね。お答えください。
#141
○小沢国務大臣 本来のリコールの制度の趣旨をより有効に機能していくために、各選管においてもそしてまた各住民においても理解をしていただくために、それを啓蒙啓発を、私どもとしてもそれは、個々の問題は別といたしまして、当然やっていかなければならないと思っております。
 ただ、今先生のおっしゃいました個人の議員に対するリコール、これは単に解釈諭だけではなくてかなり制度諭にわたる問題も含んでおるだろうと思います。そういう面につきましては、政府はもちろんでございますが、国会の場におきまして検討されるべき問題であろうと考えております。
#142
○岡田(正)委員 この問題はこれをもってやめさせていただきますが、大臣も局長さんも腹の中は私と同じだと思います。お立場があるから多少変形した言い方をしないとまずいので、おっしゃっておられるのだろうとお気持ちを察するのでありますが、何とぞひとつ私どもの言っております、これは岡田個人ではございません、民社党として申し上げておるのでありまして、民社党はこれからもただいま本日のこの御答弁を主体といたしまして、さらに研究、検討を進めて、いやしくも議会制民主主義に傷が入るようなことだけは許してはならぬ、そのためにはどうあればいいのか、どうすればいいのかということも十分これから検討してまいりたいと思いますので、ひとつ今後もよろしく御協力のほどをお願いしておきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、次に入らせていただきます。どうもリコールづいてしまって恐縮なんですけれども、逗子の市議会解散のリコール問題であります。これはあらかじめ通告をさせていただいておりますが、大臣は今回の逗子市における市議会解散のリコールが成立したことをどのように受けとめていらっしゃいますか。
#143
○小沢国務大臣 今までのこの問題をめぐる経過等について、逗子市地域の方からも国の方からも、それはそれぞれの御議論はあると思いますけれども、今回リコールの制度の中でこういう事実として成立したということでございまして、それはそれとして住民の意思の表示ではあると考えております。
#144
○岡田(正)委員 これも大変答えにくいことですから、あとはひとつ局長さんにお答えをいただいたらいいと思いますが、国家利益と地方公共団体の利益とが今回のように衝突した場合、現行制度ではどのような調整方法があるのでございましょうか。
#145
○大林政府委員 国の利益と地方の利益が衝突する場合、いろいろございます。今回の例も一つの例であろうと思いますけれども、その際に例度的にこれを調整するものはございません。結局民主主義のルールに基づいて、話し合い、妥協、譲歩点を求める以外にはないと思います。
#146
○岡田(正)委員 ときに今回のこの問題は、池子弾薬庫跡地に、これは国有地でございますが、この国有地に米軍家族用の住宅を建設するという、国の事務そのものではないのですか。
#147
○大林政府委員 事務としましては、国の事務そのものの問題であります。
#148
○岡田(正)委員 このような国の事務につきまして、地域の住民の意向はどの程度まで反映されるべきであると思われますか。
#149
○大林政府委員 この件は、国の事務、地方の事務という側面よりも、国の仕事に対する地域住民の意思という問題になろうかと思います。要するに、それが例えば地方団体の土地であればまたこれは地方の事務という話にもなってまいりましょうけれども、国有財産の上に国の建物を建てるという話でありますから、それに周囲あるいはその地域の住民がなかなか同意をしない、これは民間におきましても同じような問題があちこちにあるわけであります。ただ、そういった中で住民がそういう態度に出ておるということは、やはり地方団体としてもこれを見逃すわけにはいけない、だから地方団体としても住民の意向を反映して国と折衝をするという立場に立つであろうと思います。
#150
○岡田(正)委員 逗子市の場合、今度は首長さんのリコール投票、リコール合戦が繰り返されていく状況にあります。このような繰り返しは地方行政にいたずらな政治的対立を持ち込むことにはならないでありましょうか。
#151
○大林政府委員 こういったケースを契機としまして、国と地元がいろいろあつれきを生じまして今後いろいろな障害を後々に残す、あるいは当面市政が混乱するということは大変残念であります。私どもとしましても、一日も早く調整が片づくことを願っておるところであります。
#152
○岡田(正)委員 さて、非常に困ったことになったなというところまではわかったのでありますが、これをどのように考えて、どのように検討をされていく御方針であるか、お聞かせをいただきます。
#153
○大林政府委員 できるだけ早い解決が望ましいことは申し上げるまでもございませんが、自治省としましてこの問題に直接タッチをする立場にもないわけであります。現在いろいろ県の段階におきましても問題を検討されておるところであろうと思いますけれども、当面まず第一番には、国側と地元側で話し合いが進まなければならないではないだろうか、こういう感じを持っております。
#154
○岡田(正)委員 これは防衛庁が専らその関係するところでございますけれども、自治省が今たちまち具体的に中に入るというような問題ではないと思います。そういう時期ではないと思います。そういたしますと、地元との話し合いがつくまでは自治省といたしましては静観する以外にありませんなというのが結論と受け取っていいですか。
#155
○大林政府委員 当面はそう考えております。
#156
○岡田(正)委員 時間が参りましたので、これをもって終わらしていただきます。
#157
○福島委員長 経塚幸夫君。
#158
○経塚委員 最初に、住民税減税、とりわけ個人住民税の減税問題についてお尋ねをしたいと思いますが、これは六十一年度につきましてはどういう理由で減税をやられなかったわけですか。
#159
○矢野政府委員 昭和六十一年度の税制改正におきましては、現在御提案、御審議をいただいております地方税法改正案におきましては、住民税の減税については非課税限度額の引き上げ等を除いて一般的には内容に含んでいないところでございます。これは税制調査会の六十一年度の改正答申におきまして、「昭和六十一年度において住民税減税を打ってはどうかとの指摘もあるが、現下の厳しい地方財政の状況をも考慮すれば、これをとり上げることは適当でない」とされているところでございます。また、現在税制調査会において税制の抜本的な見直しについて検討が行われるところでございますので、この見直しに先立ちまして昭和六十一年度に減税を行うことは適当でないと考え、この法案をそのような考え方に基づいて御提出申し上げた次第でございます。
#160
○経塚委員 抜本改正が控えておるからというのが主たる理由だと思いますが、自治省の方としては個人住民税の減税の必要は感じておられるのですか。必要は感じておるが抜本改正が前提にあるから今国会には提案をしておらないということなのか、必要は感じておらないということで改正案を提案しておらない、いずれですか。
#161
○矢野政府委員 一つは地方財政が大変厳しいという状況、財政上の理由もございますが、抜本改正につきましては、昨年九月の諮問以来、特にまず負担の軽減合理化に関する御審議が税制調査会で行われておるところでございます。これはいわば抜本見直しでございますので、そういった負担の軽減合理化というのを行う場合にもどのような角度から行うのかいろいろな御議論が進められておるところでございます。そういう観点を踏まえまして、今回の減税は法律案の中には盛り込んでいないところでございます。
#162
○経塚委員 いや、私が尋ねておりますのは、その減税の必要を感じておられるのかおられないのか、その点はどうなんですか。
#163
○矢野政府委員 特に中堅所得層を中心といたしまして負担の軽減を求める声が強いことは事実でございます。もとより個人所得課税について適宜適切にそういった見直しを行っていくという必要性は、一般的にはこれは私どもの方としてももちろん理解をしておるところでございますが、少なくとも昭和六十一年度において自治省として個人住民税についての減税は行うべきでないという考え方を先ほど申し上げたような経緯に基づきましてとった次第でございます。
#164
○経塚委員 端的に言えば、減税の必要は認めておられる、そういうように解釈できるわけです。そうすると、現時点において、特に個人住民税に限ってお尋ねをいたしますが、改正をする、減税をする、こういうことになればどこをどういうふうにいらうべきだと考えておられるのですか。
#165
○矢野政府委員 その点につきましては、先ほど申し上げましたような、要するに抜本改正の中でどのような形でどのような階層に重点を置くのか、こういった点についてまさに御審議をいただいておるところでございます。そういった御審議の結果を踏まえて対応をしてまいりたいということでございます。
#166
○経塚委員 審議の結果を踏まえて対応する、それはそれで結構だと思いますが、審議は審議として、現行の個人住民税の税制を見た場合に税務局長としてどこをどう改正すべきかという見解は当然お持ちになってしかるべきだと思いますしまた持つべきだと考えるわけであります。
 少し数字に関連をしてお尋ねをしたいと思うのですが、国民所得に占める地方税の負担率でありますが、五十二年度、六十一年度それぞれ何%になりますか。
#167
○矢野政府委員 昭和五十二年度における国民所得に対する地方税の租税負担率は七・一%、六十一年度におきましては九・四%と見込んでおります。
#168
○経塚委員 国民所得に対する個人住民税の額と比率でありますが、これも五十二年度、六十一年度それぞれどういうことになっておりますか。
#169
○矢野政府委員 昭和五十二年度における個人住民税の総額は二兆七千九百八十二億円、対国民所得比一・八〇%でございます。また昭和六十一年度における計画計上額は六兆九千八百八十五億円、国民所得に対する比率は二・六五%と見込んでおります。
#170
○経塚委員 今のお答えの数字ですと、国民所得は五十二年から六十一年、比べてみると九年間で約七割近くふえておるわけでありますが、これに対しまして個人住民税は約二・五倍近くということになるわけですね。そこで住民税の課税披低限でありますが、これを今回提案のいわゆる非課税限度額まで引き上げた場合に減収額は平年度でどれくらいになりますか。
#171
○矢野政府委員 住民税の課税最低限を夫婦子二人の給与所得者の場合につきまして現行の百九十一万二千円から今回引き上げを予定しております非課税限度額二百十三万五千円まで引き上げた場合の減収額は、平年度におきましては約三千十億円と見込んでおります。
#172
○経塚委員 個人住民税の国民所得比は五十二年。度一・八%ということでしたが、この比率で六十一年度換算をした場合にその総額は幾らになりますか。
#173
○矢野政府委員 昭和六十一年度に見込まれる国民所得の総額は二百六十四兆二千億円でございます。御覧間の趣旨でございますと、これを五十二年度と同じ負担率すなわち一・八%で計算をすればどうなるかということと存じますが、その場合には四兆七千五百五十六億円という数字に相なります。
#174
○経塚委員 そうしますと、六十一年度の見込み額との差額は幾らになりますか。
#175
○矢野政府委員 先ほど申し上げました六兆九千八百八十五億円からただいまの四兆七千五百五十六億円を差し引きますと、差額は二兆二千三百二十九億円でございます。
#176
○経塚委員 さらにお尋ねをいたしますが、個人住民税の地方税収に占める比率でございますが、これは五十二年それから六十一年それぞれ何%になっておりますか。
#177
○矢野政府委員 昭和五十二年度における個人住民税の地方税総額に占める比率は二五・四%でございます。六十一年度におきましては二八・三%と相なります。
#178
○経塚委員 そうしますと、五十二年並みの二五・四%で換算をした場合に六十一年度の見込み額との差は幾らになりますか。
#179
○矢野政府委員 二五・四%で計算いたしますと六兆二千八百三十三億円でございますので、差は七千五十二億円と相なります。
#180
○経塚委員 いろいろと数字をお尋ねしてまいりましたが、振り返ってみますと、今の答弁ですと、国民所得に占める地方税の負担率がこの九年間で七・一%から九・四%に上がったわけです。それから、地方税負担率の中でも、個人住民税を振り返ってみますと、この九年間で個人住民税の負担比率が一・九から二・七八、国民所得の伸びで見ますと、国民所得の伸びは約七割でありますが、個人住民税は二・四九倍、そこで、仮に課税最低限を非課税の限度額並みにするだけでも平年度三千億円の減税が必要になってくるということですね、今さら改めて申し上げるまでもなく、非課税限度額は生活費に食い込ませない、生活保護を基準にして定められた最低ぎりぎりの線でありますから、この水準に課税最低限を引き上げるだけでも三千億の減税は必要になる。これは非常に明白であります。
 さらに、個人住民税の負担率を一・八%、つまり五十二年並みにしようと思えば、約二兆二千三百二十九億円減税が必要になってくるという計算になるわけです。そこまでいかなくても、地方税収の比率を、これは五十二年前後までは大体二五%ということで、この二五・四二%に抑えるとした場合には、これで約七千五十二億円減税が必要になるという試算が成り立つと思います。そこまで減税するかしないかということは別問題として、本当を言えば、国民総所得に占める個人住民税の負担比率を従来の経緯からたどってみて平常のとき並みに戻すのが当然だろうと思いますが、これでいきますと数字は二兆円台ということになるわけでありますから、そこまで戻さないとしても、地方税の比率を従来の経緯から振り返ってみて二五%台へ戻すとすれば最低七千億の減税は必要になると思うのです。
 だから、抜本改正とは別といたしましても、三千億から七千億という減税は、政策的に見て六十一年度は当然手をつけなければならぬ範囲の数字になってくると思います。我が党が七千億の住民税減税を主張しておる根拠もここにあるわけであります。
 大臣にお尋ねしたいわけでありますが、今私が申し上げました減税の数字については、それはむちゃくちゃでございますよということなのか、極めて妥当な数字でございますというお考えなのか、その点はいかがでございますか。
#181
○小沢国務大臣 今の数字につきましては、もとのあれの数字に合わせて考えればそれまでにやらなければならない、こういうお話だと思いますけれども、もちろん事情が許せば地域の住民の負担は軽いにこしたことはありません。したがいまして、そういう意味におきましては財政上もそのような状況になることが望ましいとは思っておりますけれども、今日の財政事情の中でそれだけできるような状況にはないというのが現状ではないでしょうか。
#182
○経塚委員 財政状況ではそういう大幅な減税はできる状況にはないとおっしゃいますけれども、納税者の側には納税者の側の家計の事情があるわけですから、国の財政あるいは地方の財政ということだけを基準にしていわゆる税制の政策が決められるわけではございません。当然これは納税者の置かれておる実態を考慮の上に検討されなければならぬものだと思いますので、私は一連の数字をそちらから御答弁いただいたわけであります。そういう経緯を御認識の上に立って税制の抜本改正に臨まれるのかそうでないのかということを――もうそんな過去の数字は数字で横っちょへ置いておいて今の財政の必要上のみからだけ税制の改正に臨んでおられるのではなかろうかなと最初に思いましたので、六十一年度なぜ減税を実施されなかったのかとお尋ねしたのであります。
 引き続きお尋ねいたしますが、総理の御答弁ではいわゆる抜本改正ということについて触れておられますけれども、この地方税の問題については総理の言っておられる抜本改正の中に含まれておるのかどうなのか、この点は地方税の思い切った減税もやるという文言が明確にございませんので、その点はどういうふうに解釈したらいいのでしょうか。
#183
○矢野政府委員 もちろん、地方税についても含まれておるところでございます。
#184
○経塚委員 総理の答弁はかなり思い切った減税をやりたい、それで税目は所得税、法人税等となっておるわけです。あえて地方税という文言が入っておらないのは、今の局長の答弁では、もちろんこの思い切った減税の中には地方税も入っておる、こういうことですが、それを改めてそう確認させていただいてよろしいのでしょうか。
#185
○矢野政府委員 総理の国会における御答弁の中に必ずしも地方税を名指しでないということでございますが、昨年九月の総理大臣から税制調査会に対する諮問に際しましては、国税のみならず地方税についても負担感の重さを訴える声が強いということをわざわざ指摘して諮問をいたしております。したがいまして、所得税という場合に一般に国税である所得税、あわせて住民税についてもその考え方の中には含まれておるものと考えております。
#186
○経塚委員 それであれば、この抜本改正に臨む自治省の態度としてお尋ねしたいわけでありますが、私は先ほど税制の改正に当たっては納税者の立場もということを申し上げたわけでありますけれども、総理府の世論調査によりましても、減税の要望が五十六年二四・五%だったわけです。これが六十年、昨年五月の調査では三七・七%になっております。そこで重税感というのが、とりわけ個人住民税についての重税感が国民の中では強まっているというのがいろいろな調査によって明らかになってきております。これは生活協同組合のかなり大がかりな調査でありますが、昨年五月までの住民税は六千九百円、それが六月以降一万三百九十円、今年六月以後は一万二千九百四十円、この住民税の上がり方にはためいきが出てきます、このように訴えておられます。
 こういう点で先ほどの数字と関連をさせて考えてみますと、いわゆる租税負担率は全体としては高まってきておりますが、その中で地方税の負担率が高まり、その中でなお個人住民税の負担率の上昇が際立ってきておる、こういう状況にあるわけですね。したがいまして、いわゆる地方税の減税対策の中でもとりわけ個人住民税の減税については、総理は、思い切った減税をやる、こう言っているわけでありますから、思い切った中でもなお思い切った減税が必要になってくる、こういうように考えておるわけでありますが、抜本改正に臨む姿勢として、今私が申し上げましたような姿勢に立って臨まれるのかどうなのか、この点、大臣の所見を承っておきたいと思います。
#187
○矢野政府委員 先ほど来私がお答え申し上げ、経塚委員が指摘されました、地方税の負担率が全体として上がっている、これは地方税源の充実という観点から見る見方もあろうかと思いますけれども、負担率そのものは上がっている、その中で特に住民税の構成比が上がっているということは、すなわち現在の税制の中では時間の推移とともにそういった直接税の面の比率が上がってきておる、それが一方では中堅所得者層等の負担の重圧感というものにつながってきておる、こういうような類推は成り立とうかと思います。
 したがいまして、まさにそういった点が抜本的税制改正の中における特に個人所得課税の負担の軽減、合理化ということの一つのポイントになっておるところでございまして、税制調査会で今議論をされておる主要な論点といたしまして、特に給与所得者についての負担の重圧感が強いということを踏まえまして、課税単位の問題であるとか給与所得控除の問題であるとか、さらに現在の累進構造を持つところの税率のあり方、こういった点についての総合的な御議論がなされておるところでございます。私どもとしては、そういった御議論を踏まえてその住民税の改革というものに当たってまいりたい、こういう考え方でございます。
#188
○経塚委員 次に、社会保険診療報酬に対する事業税の非課税措置の問題についてお尋ねをしたいのですが、厚生省いらっしゃっていますね。この非課税措置の存続を厚生省は要望されておるようでありますが、その理由についてどういうふうなお考えですか。
#189
○多田説明員 私ども、社会保険の診療報酬につきましては、医療そのものが人間の生命や健康にかかわる非常に公共性の高いものである、とりわけ社会保険医療というのは、由民皆保険という国の施策に協力していただきまして、社会保険診療報酬という公的な価格のもとで国民に必要な医療を提供するという性格を持っているものでございまして、極めて高度の公益性を有しているというふうに理解をいたしております。このような社会保険医療の性格を踏まえますと、今先生御指摘のように、従来の社会保険診療報酬に係る税制上の取り扱いをいただいておりますことには合理的な理由があるというふうに考えておりまして、その存続をお願いをしておるわけでございます。
#190
○経塚委員 税務局長の御答弁では、六十一年度これを廃止しなかった理由として、保健医療政策との関連でなお調整がつかなかった、こういうことを理由に挙げておられますが、この保健医療政策との関連ということの中身はどういうふうに解釈をされておられるのか。それからなお、今の厚生省の要望についてはどういうふうな見解なんですか。
#191
○矢野政府委員 六十一年度税制改正におきましては、政府の税制調査会の御答申では、既にもう二年、三年にわたって言い続けてきておるところであり、いまだに実現されないのはまことに遺憾である、即時撤廃をすべきである、それはあくまでも税の負担公平の見地から行うべきであるということでございます。私どもはそういった税制調査会のことしのみならず従来からの答申を踏まえてこの特例の撤廃を検討したわけでございますが、その際にありました議論としては公共性等の議論もございます。さらに一方では、保健医療に関するさまざまな政策、例えば一部負担の導入の問題であるとかあるいは老人保健制度の問題であるとか、そういった点の動向も見きわめる必要があるのではないか、こういうような御意見が出たわけでございます。そういったことがあって、結論として私どもの方の非課税措置の撤廃ということについての考え方は実現をしなかったわけでございます。
 ただいま厚生省の方からも御答弁がありましたし、私どももこの撤廃に当たって関係方面からいろいろな御意見を承っております。高度に公共性を持つというような御議論も承っております。ただ、そういう点は仮にあるとしても、他の公共性のある事業等について同じように税を負担している例は幾らもあるわけでございます。したがって、そういう観点からはこの社会保険診療報酬の特例についても全くこれを非課税としておるという措置は見直すべきである、現在所得税、法人税について適用されておる特例並みの措置はやはり講じなければならないと私どもとしては考えておるところでございます。
#192
○経塚委員 局長の方は、他の事例でも、公共性の事業の場合でも特例は廃止しておる例がある。それから厚生省の方は、先ほどの御答弁では高度の公共性ということを強調されておるのですね。ここが、私はその判断の分かれ道になっておるのではないかと思われるのですね。医療関係者のこの存続を求める理由としては、一つは社会保険医療は医療内容そしてその診療報酬、これは自分らが決めるんじゃなしに国が決めておる。それから二つ目には、医療法人の場合でも剰余金の配当は原則禁止をされておる。それから三つ目には、学校医が五九%、産業医が二六%、保健所のいわゆる健診などを含めまして、こういう公共活動への参加が七一・二%、これを挙げておるわけですね。
 そこで、いわゆる事業税は事業の収益に課するものだという性格を持っております。そうすると、この特例を廃止した場合に一つの疑問として出てくるのは、特例を廃止することによって医業の高度な公共性、公益性そのものを排除することにならないのかどうなのか、ここが極めて疑問の生ずるところであります。一般的な公共性、公益性というものと同等に扱えないというのが恐らく厚生省の見解だろうと思うのです、高度ということをあえてつけております理由は。ここへ、事業の収益性を目途ととしてこういうものに課する性格の事業税というものを課するということになれば、本来の公共性、高度の公益性というものを排除することにならないのかどうなのか、ここが大変意見の分かれるところでもありますし、私もその点については一定の疑問を感じておるものであります。
 そこで、この論議はさておくとしまして、局長の御答弁では保健医療政策との関連での調撃これが残っておるので六十一年度踏み切らなかったということでありますが、この問題の解決がつかなくても廃止に踏み切られるのか、それともあくまでも調整を前提にされるのか、その点はいかがなものですか。
#193
○矢野政府委員 自治省の考え方といたしましては、かねての懸案でございますこの特例は撤廃をいたしたいと考えておるところでございます。ただ、数十年続いた特例措置の廃止でございます。政府部内におぎましても関係方面ともいろいろ議論がございます。そういった議論を踏まえての一定のコンセンサスというものがもちろん成り立たなければならないと思います。そういうものの一つとして保健医療政策との関連という御議論があるわけでございます。したがって、最終的にこの特例の撤廃ということは私の方としてはぜひ実現をいたしたいと思いますが、その辺につきましてはなお十分に関係方面と議論を重ねてこの問題を進めていきたい、このように考えております。
#194
○経塚委員 事は公共性、公益性を否定するかしないかということにもかかわりかねない重大な問題でありますから、関係者との協議をよく煮詰めていただきたい、かように考えております。
 そこで、今回提案をされております問題との関連でお尋ねいたしますが、農林漁業団体が発電所等の用に供す家屋及び償却資産に係る課税標準の特例措置の縮減問題でありますが、営利のため売電を行う者が所有する家屋は除外するということでありますが、この対象物件は現にあるのですか。
#195
○矢野政府委員 この措置は、従来農林漁業団体が行っております発電施設は自家発電用のものということでこういう特例が設けられたわけでございますが、現在におきましてはこれを売電に使っておる例がほとんどでございます。自家発電に使うものにつきましては従来のように非課税措置ということにいたしたいと思いますが、売電に使いますものについてはそのような措置を講じたい。具体に売電の事例をお尋ねだと思いますが、そういう事例がございます。
#196
○経塚委員 現にそういう物件があるのですか、こうお尋ねしているのですよ。売電をやっていて特例を排除しなければならぬ、そういう物件は現にあるのですかと聞いている。
#197
○矢野政府委員 該当事例は数多くございます。
#198
○経塚委員 仮に売電を目的としてやっておる対象物件があったとしても、これは過疎だとかあるいは農山漁村だとか、そういう従来の送電設備がないところでそういう自力的な発電をやらざるを得ぬということでやっておるわけでありますから、そういう小さいものにまでこの特例を排除するというようなことについてはどうかと考えられるわけであります。
 私は、今手をつけなければならぬ問題は、これは前にもお尋ねをいたしましたが、東京電力だとか関西電力など、電気事業に係る、いわゆる送変電施設に係る固定資産税の課税標準の特例措置ですね。五十七年三月の当委員会で関根さんが、我が党がこの問題についてお尋ねをしましたところ、「全般的な非課税措置等の見直しの対象には加えて検討していきたい」、こう御答弁になっておるわけであります。けさの報道によりますと、円高差益で九電力の差益が約一兆円、このうち五千億円は六月以降料金軽減で還元をする、こういう報道がされておりますが、しかしあと五千億残っておる。さらに。私どもの試算では、内部留保の積み増しなどを含めますと約二兆二千七百億円に達する、円高差益を含めまして。こういういわゆる莫大な円高差益が九電力に転がり込んでおるわけでありますから、送変電施設に係る特例措置を廃止したとしても十分円高差益で上げた利益の申へ包み込むゆとりはあると考えておるのです。
 そこで、二つお尋ねいたします。一点は、この送変電施設に係る特例額は一体総額幾らになるのか。それから二点目は、五十七年にそういう御答弁をいただいておるわけでありますが、その検討はされたのかどうなのか、見直しについてはどういうお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。
#199
○矢野政府委員 発電所の変送電施設に係る部分の特例額は、現在手元に持っておりませんが、課税標準の特例で電気閥係の固定資産税の課税標準の特例につきましては、減収額で三百四十七億円、この中に含まれておるところでございます。この特例は、経塚委員御承知のように、従来から逐次その内容を縮減してきたところでございます。四十九年に発電所そのものの特例を廃止し、五十二年に変送電用の家屋に係る特例を廃止し、現在その償却資産について残っておるところでございます。この償却資産についてもさらに廃止を図るべきではないかということでございます。非課税措置の撤廃につきましては、社会経済情勢の推移に応じまして、私どもといたしましても、その目的等から見てもはや必要がないというものについては可及的に整理を図っていくという方針でございます。
 確かに円高差益の問題等がございますが、こういったここまで縮めてまいりました措置、さらにもう一歩進めるかどうか、これはさらに税制調査会等の御審議をこれから抜本改正の中でいただくところでございますが、その際における非課税措置の整理、全体の方針というようなもの等の中でもさらによく検討してまいりたいと思う次第でございます。
#200
○経塚委員 時間が参りましたので大臣に。お尋ねしますが、いわゆるこの特例措置による総額は、送変電施設は三百四十七億という今御答弁だったのですね。しかし、三百四十七億というのは九電力以外も含めてでしょう。だから、恐らく三百億円前後じゃないかと思うのです、五十九年度でしたか、三百億とおっしゃっていましたから。九電力側から見ればわずか三百億ですよ。取る方の側から見れば三百億は大きな額でありますが、取られる方の側から見ればわずかでありますよ。といいますのは、五十五年は内部留保が一兆三百八十九億ですよ。五十九年は一兆九千三百五十六億ですよ。これは四年間で内部留保が約九千億ふえているのですよ。そこへ今度の円高差益でしょう。今の料金計算は二百四十円で認可になったわけですよね。もう百八十円を超えていっているわけでしょう。だから、じっとしておって、いやあもうかった、またもうかった、それもうかったということで、これはほんまに笑いがとまらぬですね。こんなうまいことで鐘もうけできる方法はないかいなと思うくらいでありますが、それですから三百億くらい、それは地方にとったらありがたい財源ですよ、これこそ手をつけるべきじゃないですか。一方で農山村の自家発電でごとごと――まあそれも充電といったってもうかっているかもうかっていないかわからしませんわ、農協だとかこういう団体。こういうものに毛のはえたものがやっておるような程度のものまで今度は法律を改正して、充電はそれはもう特例の対象外ですよ、こう言って締め出すんでしょう。そんな細かいところまでやるんだったら、何でこんな大きなところやらぬのですか。これじゃ巨魚を逃して小魚ばっかりねらっている漁師みたいなことになりますよ。ぜひこれはひとつ大臣の決断ある御見解を承りたいと思うのですが、抜本改正の中で、どうですか。
#201
○小沢国務大臣 円高メリットのお話も出ましたけれども、円高のときもあれば円安になるときもありますし、一概にはそれと直接に関連して言えるものではないと思いますけれども、いずれにいたしましてもこういった特例措置につぎましては、その本来の目的を達したものあるいはそういう公平の観点から見て適切でないもの、そういったものにつきましては見直しを進めてきたところであります。この点につきましても、この特例措置につきましては、なお税調の審議も踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
#202
○経塚委員 ぜひひとつ見直しをお願いいたしまして、終わります。
#203
○福島委員長 次回は、来る十八日理事会、委員会を開会することとし、理事会、委員会の開会時刻につきましては公報をもってお知らせすることといたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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