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1985/04/15 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 地方行政委員会 第12号
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1985/04/15 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 地方行政委員会 第12号

#1
第104回国会 地方行政委員会 第12号
昭和六十一年四月十五日(火曜日)
    午前十時三十五分開議
出席委員
  委員長 福島 譲二君
   理事 糸山英太郎君 理事 小澤  潔君
   理事 西田  司君 理事 平林 鴻三君
   理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君
   理事 宮地 正介君 理事 岡田 正勝君
      伊藤 公介君    臼井日出男君
      大村 襄治君    左藤  恵君
      細田 吉藏君    松田 九郎君
      五十嵐広三君    細谷 治嘉君
      山下八洲夫君    小谷 輝二君
      宮崎 角治君    吉井 光照君
      藤原哲太郎君    経塚 幸夫君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     小沢 一郎君
 出席政府委員
        警察庁刑事局長 仁平 圀雄君
        警察庁警備局長 三島健二郎君
        自治大臣官房長 津田  正君
        自治大臣官房審
        議官      石山  努君
        自治省行政局長 大林 勝臣君
        自治省行政局選
        挙部長     小笠原臣也君
        自治省財政局長 花岡 圭三君
        自治省税務局長 矢野浩一郎君
 委員外の出席者
        首席内閣参事官
        兼内閣総理大臣
        官房総務課長  森  幸男君
        国土庁長官官房
        参事官     塚本  弘君
        国土庁土地局地
        価調査課長   天本 俊正君
        大蔵省主計局主
        計企画官    岡田 康彦君
        文化庁文化財保
        護部建造物課長 工藤 圭章君
        厚生省社会局施
        設課長     荻生 和成君
        厚生省児童家庭
        局企画課長   市川  喬君
        運輸大臣官房国
        有鉄道部国有鉄
        道再建企画調整
        官       岩村  敬君
        建設省都市局都
        市計画課長   伴   襄君
        建設省都市局公
        園緑地課長   坂本新太郎君
        建設省都市局下
        水道部公共下水
        道課長     辻  栄一君
        自治省財政局交
        付税課長    遠藤 安彦君
        日本国有鉄道施
        設建築課長   後藤 寿之君
        日本国有鉄道事
        業局開発用地課
        長       西田  博君
        地方行政委員会
        調査室長    島村 幸雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十五日
 辞任         補欠選任
  宮崎 角治君     木内 良明君
同日
 辞任         補欠選任
  木内 良明君     宮崎 角治君
    ―――――――――――――
四月十四日
 地方自治の拡充に関する請願(田中美智子君紹
 介)(第三一八四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一七号)
     ――――◇―――――
#2
○福島委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。経塚幸夫君。
#3
○経塚委員 最初に警察庁の方へお尋ねをいたします。
 サミットあるいは天皇在位を前にいたしまして、いわゆるにせ左翼の暴力集団によるゲリラ事件が相次いておりますが、六十年それから六十一年は何件あったのか、そのうち検挙数はどうなっておるのか、お答えいただきたいと思います。
#4
○三島政府委員 お答えいたします。
 極左暴力集団によりますゲリラの発生件数は昭和六十年中は八十七件ございました。また、本年に入りましてから現在まで二十二件の発生でございます。
 これに対しまして検挙の状況でございますが、六十年中の検挙は三件、五十名ということでありまして、その中には、一昨年九月十九日に自民党放火事件がございましたが、その犯人を検挙いたしておるところでございます。また、昨年の十一月二十九日の国鉄一斉ゲリラの際、浅草橋駅が放火されましたけれども、その犯人の検挙もいたしておるところでございます。さらに、昨年十二月二十三日、成田用水工事関連企業に対しますゲリラを現場で三名検挙したという事例も含まれているわけでございます。
 それから本年中の検挙でございますが、二件二名ということでありまして、その中には過日、三月三十一日赤坂の御用地に向けまして車労協が金属弾を発射するという事件が発生いたしましたが、その犯人を現場で一名検挙している、こういう状況であります。
 それから検挙には至っておりませんが、昨年の四月十二日に成田と羽田に約千メートルも飛ぶ発射弾を発射した事件が発生いたしましたが、その後捜査を鋭意続けまして、十一カ月余たちまして本年の三月十九日に至りまして犯人二名を、これは中核派でございますが、割り出しました。ただ、残念ながらその所在が不明でございますので、現在全国に指名手配をしてその犯人を追及している、こういう状況でございます。
    〔委員長退席、西田(司)委員長代理着席〕
#5
○経塚委員 一月一日の米総領事館爆発物発射事件、それから十一日の科学警察研究所放火事件、それから四月十二日の成田、羽田空港爆発物発射事件、これは検挙しましたか。
#6
○三島政府委員 ただいま御指摘の中で四月十二日の羽田及び成田空港に対しますゲリラ事件の犯人を二名割り出して、現在逮捕すべく追及中でございます。
#7
○経塚委員 今回のアメリカ大使館それから皇居、この事件については警察庁は予測しておりましたか。
#8
○三島政府委員 極左暴力集団につきましては、今回のサミット会議及び天皇在位六十年記念式典を爆砕するという言葉でもって激しい反対行動を展開することを言明いたしておりまして、そのためにゲリラ活動をするというような言動をしていたわけでありますので、そのようなゲリラが発生するという可能性は考えておりました。したがいまして、三月の早い時点から既に警戒態勢をとっていたところでありますが、具体的なそのようなゲリラがどこで起きるか、どのようなゲリラが起きるかということにつきましては承知いたしておりません。
#9
○経塚委員 通常の放火事件だとかこういう暴力事件の検挙率がいずれも九〇%台で、世界にその捜査力、機動力を誇っております警察が、事、にせ左翼の暴力集団の事件になりますと、六十年八十七件のうち二件、六十一年二十二件のうち二件というふうに非常に検挙率が低い。なぜ低いのか、私はこれはもう疑問に思い続けておる一つであります。
 いずれも事を起こす前には大々的な宣伝が行われる。これは中核の「前進」という機関紙でありますが、「サミット・天皇式典を爆砕せよ」、もう事前に大々的に宣伝をしておるわけでしょう。これは三月十七日。それから続いて、これが三月二十四日ですね。それで、彼らの襲撃が終わりますと、これまた戦果と称して大々的に宣伝をする。通常の犯行ならば、犯行を行う前に大々的に宣伝をし、犯行が終わった後自分がやったというようなことを機関紙等々、ビラ等々で大々的に宣伝をするというような場合には、それはもう一〇〇%検挙でしょう。こんなことは無法も甚だしい。見過ごすはずはないと思うのですよ、警察は。にもかかわらず、この暴力集団の事件だけが、事前に予告をし、事後に成果と称して宣伝をされながらなぜ検挙率が低いのか。その点についてはどういうふうに考えておられますか。
#10
○三島政府委員 ゲリラを行います極左暴力集団のグループは、いわゆる非公然部門といいますか、一般から姿を隠している部門でございます。彼らは、大変厳格な規律のもとに、お互いに本名等もわからない、あるいは横の連絡も全くしないといったふうな特殊な組織になっておりまして、したがいまして、その実態の解明というものは大変難しいというのがまず第一にございます。
 それからまた、ゲリラそのものの行為は、なるほどゲリラをやるということは公言をするわけでありますが、いつどこでどういう形でやるということについてはなかなか情報をとるということは困難なわざであります。したがって、現在も大変厳しく都内警戒をしているところでありますが、ゲリラの本質からいいまして、警戒をしている場所あるいは危険な場所には彼らは近寄ってこない、それ以外の場所でやるという意味で、どうしてもゲリラの発生を防ぎにくいということが現状であることもこれまた事実であります。
 それからまた、最近の彼らの技術も大変高度になってきておりまして、例えばIC回路を使った時限式装置などというものも持っているわけであります。その結果、現に火を噴くといったふうな段階では犯人は既に遠くへ逃げているということでございまして、一般の犯罪とは全く性格が違うということが言えると思います。同時にまた、使います車両等も盗難車である。それからまた、犯行後すべてそれを時限発火装置によって焼くということで、その証拠を完全に隠滅するというのが彼らの常套手段であります。それからまた、使います材料も一般どこでも売っているものを使う。そういう点からいいますと、大変捜査は困難をきわめるのがゲリラ事件の特徴でございます。
 そういう中で血のにじむような努力をいたしまして、先ほど申し上げましたような検挙をしてきているわけであります。そして、先ほど御説明申し上げました去年の四月十二日の事件の中で二名手配をいたしたと言っておりますが、そのうちの一名は同時に自民党の放火事件の犯人でもあるわけであります。そういう点から見ますると、彼らは言ってみればごく少数のグループがそういう犯行を繰り返して行うといったふうな性格のものであろうと思います。そういう意味で、実は我々はそのような非公然の人間を何としても検挙しようということで努力を繰り返しているわけであります。例えば昨年の一月でありますけれども、四日市にあります極左暴力集団のアジトを急襲いたしまして二名の者を検挙いたしておりますし、またことしにも、三月四日でありますけれども、松本市内にありましたアジトを急襲いたしまして一名の者を検挙いたしております。全体といたしまして、昨年から本年にかけましてそのような非公然の活動家二十三名を検挙いたしておりますし、またアジト等につきましては十一カ所を摘発しておるわけです。
 そして、こういう非公然の活動家は現段階ではゲリラ事件と結びついておりませんが、いずれにいたしましてもこのような人物によってゲリラが敢行されておるという可能性は非常に強いわけでありますので、こういう人間を鋭意さらに捜査することによってゲリラ事件に結びつけていきたいと考えておりますし、またアジトの摘発によりまして、彼らのゲリラの準備活動につきまして我々は相当資料を得ているわけであります。それによって数多くのゲリラ事件を防止しているというのもこれまた事実でございます。
#11
○経塚委員 あれもやった、これもやったとおっしゃっていますけれども、結果的に見れば検挙率がうんと低いじゃないですか。それで一般の犯罪とは性格が違うとか高度化しているとか緻密な計画を立てているとか、その局長の釈明だけを聞いておりますと、お手上げかと言いたくなるわけですよ。こういうことは許されてはならぬことだと思うのですよ。
 公安委員長としての大臣にお尋ねをしたいと思うわけでありますが、一般紙の報道によりますと、これは読売、毎日、朝日でありますが、過去にこういうことが報道された例がございます。いずれもその新聞の報道は「なぜ検挙しない」、こういうことで、「最も不可解なのは、警察の態度がきわめて手ぬるいことだ。」「陰惨な内ゲバが起きることに”なぜ泳がせているのか”という疑惑が高まるばかりだ」、これは読売でございます。「相次ぐ内ゲバ事件がいっこうに解決しない現状から警察の“泳がせ論”もある」、これは毎日であります。「凶悪な殺人事件が繰り返され、それぞれの組織が、公然と犯行声明を出したりしている。それなのに、殺人犯人はなかなか検挙されない。一般市民が納得できない感情を抱いていることは否定できない。」これは朝日の社説でございます。過去の報道ではありますけれども、一般紙もこういう受けとめ方をせざるを得ないほど、このにせ左翼暴力集団の野蛮きわまりない犯行事件に対しては検挙率が低い。
 自民党の本部が襲撃をされました一昨年九月の直後に自民党の某幹部がテレビでこういう発言をされております。この責任はだれにあるかというと、泳がしていた我々にあると思いますよと。また、中曽根首相自身、これは朝日に報道されておりましたが、「彼らの暴走が、反射的に市民層を反対にまわし、自民党の支持につながる作用を果している」。もしこういうようなことが事実であったとすれば、これは私は許しがたいことだと思うのですね。あってはならぬことだと思うのですよ。しかし、警察の検挙率を見ると、低いんですね。髪の毛一本でも殺人犯を検挙すると言えるほどの高度な警察力を持っておるわけでしょう。これは大臣、国家公安委員長として、この点どのように受けとめられますか。
#12
○小沢国務大臣 ただいま先生の御質問になっておりましたこの極左暴力集団につきましては、これは全く今日の民主主義体制、また我が国国民そのものに対する否定であり、挑戦をいたしておるやからであります。したがいまして、断固としてこれを取り締まらなければならない、これは言うまでもないことでございますし、警察が、今先生御指摘のように故意に泳がせておるというような議論は、まさにためにする一方の議論でありまして、警察力全力を挙げてその取り締まり対策をいたしておるところでありますが、先ほど警備局長がお話しのように、彼らは全くこれ専門に取りかかっておる連中でございますので、あるいは市民社会の中にうまく埋没し、あるいはまた完全に表から姿を消している、そういう彼らの徹底したやり方でありますので、なかなか一人一人全部に四六時中警察官を張りつけるというわけにもいきませんし、そういうような点から結果として検挙率が上がっておらないということは事実かと思います。私も、この点につきましては、とにかくもう少し徹底してやれという指示を常にいたしております。
 先生、新聞等の記事を引用してお話をなさいましたが、そういうような報道をしたり、少し一生懸命になってどんどんやりますと今度は警察がどうだこうだとかいうような報道がなされたり、その意味においてはマスコミは責任のない立場でいろいろ書くわけでございますけれども、私どもといたしましては、本当に市民の生活を確保する、安全を守る、そういう立場でやらなければならない。しかし、あくまでも法治国家の警察として守るべきところは守っていかなければならない、そういう一方の要請もあるわけでありまして、あの連中だから人権もヘチマもなくどんどんやれというわけにはいかぬわけでありますし、そういう点で非常に苦労しながら彼らを何とかして取り締まろう、そういうところをひとつ正しく、素直に御理解いただきたいと思います。
#13
○経塚委員 何か私がひねくれているというような感じですが、新聞の報道を例に出したのです、中曽根総理の過去の発言を例に出したのです。私が泳がしておるじゃないかと言っているわけじゃない。しかし、火のないところには煙が立たぬわけでありまして、この検挙率が一般の犯罪と同じように八〇%、九〇%台に来ておれば、それは事実で、何を言ってますねん、やるべきところはやっておりますがな、こう胸を張れると思うのです。しかし、検挙率がこんな状況で、八十七件のうち三件でしょう、それでさっき言ったように戦果、戦果と称して胸を張ってこれ見よがしにやっているわけでしょう、これは疑問を抱くのがひねくれているのではなしに、言ってみれば疑問を抱く方がまともですよ。
 これは全く許しがたい蛮行であります。私どもも天皇在位六十年の祝賀行事につきましては、国民が主権者であるという立場から反対をいたしております。彼らは聞くにたえないような暴言を吐いて在位六十年に反対を言っておりますが、彼らのこういう蛮行というものは、国民主権の立場から反対をしておる者とは縁もゆかりもないことはもとよりでありますし、むしろ敵対するものですよ。私ども共産党は、国民みずからの判断において国民みずからが主人公となる政治の選択をするというのが正しい方向であって、少なくともこれに敵対するようなこういうにせ左翼の暴力集団の蛮行は、国民が主権者である以上は断じて許されてはならない、徹底的にやるべきものはやるという姿勢で臨むべきだと思うのです。
 そして一方では、これは憲法、警察法にも明記されておりますように、基本的人権は堂々と守らなければならぬと考えております。そこで、今度の取り締まりの問題についてちょっとお尋ねをしておきますが、これは過剰警備になって人権を侵すようなことがあってはならぬと思うのです。
 私はここに一つの事例を持っておりますが、五日の午後五時ごろ大学生が富士見坂を上り衆議院の九段宿舎前の道を通って飯田橋方面に行こうとした。そうすると、警官が来て、どこから来たのか、かばんの中を見せてもらいたい、そこでこの人は学生証を示した。それで、ちょっと急いでおるのだから、こう言ったところが、いやそれはだめだ、かばんを見せなさい、普通の人ならだれでも見せる、見せぬというのは見られたくないものがあるのだろう、こう言って警棒で体を押さえつけられたものですから、かばんの中から教科書やノート、免許証を見せた。それではあかぬ、全部ひっくり返して見せろ、こういうようなことで問答しておりましたところ、通行人が何人か集まってきた。そういう状況の中でもなお強制的にかばんの中を全部ひっくり返して見せろ、こういうことでとうとう最後は警棒で押さえつけられてかばんの中をみんな見せたところが、初めから見せておけばこんな目に遣わぬで済んだのに、こういうふうに言われたというので相談に来られたわけであります。これは、通行人の所持品、特にかばんなどのものを調べようと思えばこういう方法でやれるのですか。私の聞くところでは、これは捜索令状をとってきてやらないとここまでのことはやれぬのじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
#14
○小沢国務大臣 ただいまの事例については、そのときの具体的状況等、あるいは相手の学生さんがどういうあれだったかわかりませんから個別のことについて言えませんけれども、先生先ほど来御指摘のように、警備を厳重にしてそういう連中を徹底的に取り締まろうということでやっておるわけであります。したがって、交通規制や検問等についても、市民の皆さんの生活に御不便をかけたりする点、これもある程度出てくると思います。しかし、そこは国家的な行事を控えて、またそうした極左の連中、暴力集団、これらを徹底して取り締まるために御協力をいただきながらやっておるわけです。そういうような問題につきましてはできるだけ皆さんの協力を得てやるようにしてくださいと、私も現場の警察官の皆さんにもそのように指示いたしておるところであります。
 しかしながら、これはある程度協力もしていただかないと、実際の警備はできません。したがって、先ほどの御議論のように、徹底して取り締まろうと思って一生懸命やりますとまた個々のいろいろな問題で基本的人権はどうだ、警備のやり方はどうだという意見も出てくるということになりまして、これはどうすればいいのさという話になってしまいます。もちろん、そういうことはできるだけ国民の皆さんの理解を得ながら円満なうちにやっていきたい、常々こう心がけておりますけれども、その点につきましては皆さんにも理解をいただきながら、先ほどの議論に戻りますが、そういうやからは断じて許さないということで今後ともやっていきたい、そのように考えております。
    〔西田(司)委員長代理退席、委員長着席〕
#15
○経塚委員 一方ではこういう暴力集団が事実上野放しにされるような状況で、一方ではだからといって警備を強化して基本的人権まで侵すというようなこと、これは両方ともあってはならぬことであります。取り締まるべきものは、悪は許さないということで徹底的に取り締まる。そのこと自体がまた基本的人権を広く守っていくことにも通ずるわけであります。特にこういう不審尋問あるいは通行人の持ち物を調べるというような場合には、こんなことがどんどんまかり通りますともう国民総容疑者というようなことになりかねないわけでありまして、その点を懸念するわけでございますから、ひとつ十分慎重に配慮されたい。警察の方、結構でございます。
 続きまして、選挙事務の問題についてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、四月三日の東京新聞によりますと、各選挙管理委員会のアンケート調査の結果、長野、静岡、京都の三府県では選挙事務の混乱が予測される、こういう回答を寄せております。
 そこで、違憲だということで選挙事務を拒否するというような動きが出た場合にはどういうふうに対処されるわけですか。
#16
○小笠原政府委員 ただいま御指摘がありました東京新聞の記事でございますが、私どももそういう報道がなされておることは承知をいたしております。これは新聞社がそれぞれの選挙管理委員会の委員長に電話等でお尋ねになって、その感触で書かれたものでございますので、私どもがそれについてとやかく言う筋合いのものではないわけでございますが、私どもといたしましては、選挙管理機関というものは選挙の事務を公正中立に執行していく責務を持っておるわけでございますので、どういう事態においても選挙が円滑に行われるように努力をしていただけるものだというふうに思っております。
#17
○経塚委員 それは期待感ですけれども、現実にこの選挙はいわゆる憲法違反だ、したがって、公務員としては憲法を守る義務があるということで選挙事務を拒否するという事態が起きた場合、どう対処されるのか、これをお尋ねしておるわけですよ。公職選挙法五条では、自治大臣は都道府県選管を指揮監督する、こうなっておりますが、もしこれにも従わないという場合に罰則があるのですか。
#18
○小笠原政府委員 ただいま御指摘がありましたように、自治大臣は都道府県選挙管理委員会及び市町村の選挙管理委員会について、国政選挙についての事務について指揮監督をすることができることに法律上規定をされておるわけでございます。この指揮監督権に基づいていろいろな事務をお願いをする場合に、それは当然従っていただかなければならないわけでございます。従わないということになると違法という問題が出てくるわけでございます。しかしながら、従わないということを法律は想定をいたしておりませんので、そういう場合に罰則というようなことは特に規定をいたしておりません。
#19
○経塚委員 罰則がない。そうすると、従ってもらいたいけれども従わない、こういうことになった場合には強制力がない、こういうことになるのですね。その場合はどうされるのですか。打つ手があるのですか。
#20
○小笠原政府委員 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように選挙管理機関はあくまでも法律の規定に基づいて選挙が円滑に行われるように執行する義務あるいはそういう重大な役割を持っておるわけでございまして、選挙管理委員の方々は皆そういう政治選挙について高邁な識見を持っておられる方々が選任をされておるわけでございますし、そういう法律的な立場あるいは事態をよく御理解いただいて、民主主義を守るという立場で円滑に選挙を執行していただけるものだ、こういうふうに期待いたしております。
#21
○経塚委員 私の聞いていることに、あなた、答えなければあきまへんがな。もし拒否された場合に手があるのか、こう聞いているのです。選挙事務を拒否した場合に打つ手があるのかと聞いているのです。それを答えなはれ。スカタンな答弁ばかりしておったら時間がたつばかりじゃないですか。どうなんです、その点は。
#22
○小笠原政府委員 私どもといたしましては、あくまでも法律の規定に基づいて選挙が執行できるように各選挙管理委員会によく事態を説明し、法律的な立場を理解をいただいた上で執行できるように努めてまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、そういう場合を予想した法律上の措置、罰則というようなものは設けられていないわけでございます。
#23
○経塚委員 大臣、今御答弁のように、そういう場合を想定した法律の制定になっておらない、したがって、事務を拒否された場合は法律上は打つべき手がないということになるのですね。そうすると、仮に憲法違反だということで選管の事務を拒否するというような状況が生まれた場合には、これはもう全くお手上げですな。これを回避する手は、大臣としてはどうお考えになりますか。自治大臣の場合はほかの大臣とは違いまして、いわゆる公職選挙法五条によって指揮監督の権限を持つ立場に立つわけです。したがって、ほかの一般大臣とはまた別格の立場にあるわけですね。もちろん、地方自治体は自治法によって指揮監督を受けるということは法令上決められておりますけれども、これはもう拒否するということになれば打つ手がないわけであります。したがいまして、指揮監督の立場にある担当大臣として、これを避ける方法はどうあるべきかという御見解はいかがですか。
#24
○小沢国務大臣 先生のただいまの御質疑は全然前提論なしで即御質疑に入っておられますけれども、これは多分選挙法の改正、定数是正が行われないままに解散になった場合ということを想定しての御議論だと思いますけれども、私どもといたしましては、昨年の臨時国会の末におきまして、共産党の党首さんはおられませんでしたけれども、自社公民の各党党首、議長のもとに、今国会では必ず速やかに成立させるということをお互い確認し合って今日に及んでおるわけですので、私は必ず定数是正も実現するものと信じております。
 そういう前提に私は立っておりますが、仮に先生の仮説の上に立ちまして、そういう状況下でそのような問題が起こった場合というお話であろうと思いますけれども、私どもといたしましては、どういう状況で仮に解散というものがなされたといたしましても、これは解散の時点におきまして衆議院議員はすべてその身分を失う、すなわち衆議院はなくなってしまうわけでございます。その時点で仮に改正されなくても選挙法というものは厳然としてあるわけでございますので、我々としてはその選挙法の規定にのっとって選挙を円満に公正に行うということが基本であります。したがいまして、選挙法におきまして、今、都道府県の選管、市町村の選管、これを指揮監督することができるわけでございますが、この国政の選挙というのは、今言った観点とそれからそういう機会に国民が参政権を行使する唯一の国政に関する機会でありますから、これを阻害するようなあるいは妨害するような結果になるようなことを選管の委員会あるいはそのもとで事務に当たる人たちがとるとは私ども考えておりません。
 したがいまして、指揮監督できる私の立場としては、そのことの重要性をさらに理解していただきまして、それを通じて必ず選挙が平穏にしかも公正に行われるよう説得することができる、そのように考えております。
#25
○経塚委員 自信のほどは結構でございますが、こういうふうに裁判所のいわゆる違憲という判決も出され、まああの裁判所の判決というものは私どもは全面的に支持するわけじゃございませんが、これは違憲であり選挙も無効であるというところでとどまっておればそれなりの評価はできるわけでありますが、選挙無効の事態については事情を勘案して容認するということになっておりますから、これは我々としては一〇〇%評価できるものじゃございません。しかし、いずれにしてもそういう判決もあった後で行われる選挙ということになってくれば、違憲という状況の中で行われれば選挙事務の拒否ということも十分想定をされるわけです。
 それで、大臣おっしゃるとおり、一番公正に執行される状況というのは違憲の状態がなくなるということなんですね。違憲だと言われる状況がなくなれば、何もこの五条の指揮監督権を発動する必要もない。選管の自発的な意思に基づいて公正な選挙は執行される、これは言うまでもないわけです。大臣もそのことを希望されておると思うわけでありますが、そこで、大臣の御答弁で、定数是正がされるものだ、こう考えておられるという自信のほどを示されたわけでありますが、言葉を返して言いますと、それでは違憲の状況がなくならない限り解散はやるべきでないとお考えですか。
#26
○小沢国務大臣 解散につきましては、総理もたびたび解散は考えていないというふうにおっしゃっておりますし、私も閣僚の一人として言わせてもらえば、現時点で解散は考えていないと参議院の予算委員会でも答弁をいたしたところでございます。
 それはそれといたしまして、今の御質疑でございますけれども、この解散権というのは、言うまでもなく立法府と行政府の関係、その統治の機構の中にありまして内閣に憲法上付与された機能であります。したがいまして、どうしても国民の、主権者の判断を仰ぐ必要があると内閣が判断した場合においてはその機能をいつでも行使できるものと思っております。したがいまして、その憲法上の問題ではなくして、いわゆる今申し上げましたように、主権者の判断を問う必要性があるということを内閣がその時点時点においてどのように判断するかということの問題であると思います。先生の今の御趣旨は、仮に解散ということを――今とかなんとかということではなくて、一般論として解散の行使の妥当性についての御判断はそれぞれの立場でこれあるであろうと思います。しかし、それは憲法上の機能云々とはまた別の問題である、私はそのように考えております。
#27
○経塚委員 現時点では解散は考えておらないということを言いながら、一方では解散権は内閣の固有の機能である、こういうことでありますから、これはどっちをとるべきかという判断に迷うわけでありますが、しかし、それは確かにおっしゃるとおり内閣の固有の機能だとしても、総理大臣自身は憲法を守る義務を負わされておるわけでありますから、違憲の状況をそのままにしておいて、解散権は参れた特権だ、機能だといってこれを使うことはまさに憲法を犯すことになりますから、許されるべきではない。あくまでも違憲状況をなくした上に立って認められる機能であって、違憲状況をそのままにしておいて認められる機能ではないということを申し上げておきます。これをやっておりましても、中曽根総理ではございませんので……。
 次は、交付税などいわゆる地方行財政の問題に入りたいと思いますが、最初に大臣にお尋ねしておきますが、大臣に就任をされまして各種委員会、本会議等々でいろいろな論議を聞かれたことと思いますが、今の状況のもとでこの地方自治権が拡充の方向に向かいつつあると御判断されておるのか、いや、こういう状況では行財政両面にわたって地方自治権が侵されつつある、後退をしつつあると判断をされておるのか、その点の御感想はどうですか。
#28
○小沢国務大臣 地方自治の確立ということを考えました場合には、それは両面からの意味があると思います。
 一つは、財政等を含めました国、地方を通じての制度、仕組み、そういった問題、この点につきましては、私どもとしては、例えば国と地方の税財源の配分の仕組みとかそういう点につきましては、事務事業等の権限等の問題も含めまして、できるだけ地方に本来の自治の目的を達することができるようにということで鋭意努力をしているところでございますし、また、現時点におきましても、当面の財政状況の厳しい問題点はありますけれども、その方向に流れておると私は思っております。
 もう一つの側面は、やはり地方自治というもの、これは民主主義の原点をなすものであると思いますけれども、この考え方、国民自体あるいは地域民巨体のそういったお互いの理解と認識、国民意識、そういったものも必要であろうと私は思います。日本の歴史的な国家形成の中で、必ずしも欧米流の地方自治という意識が同じような形で国民の間にとらえられているということではやはりないであろう、日本は日本なりの認識、国民性、意識というものがあるのであろうと思いますけれども、それはそれなりにやはり国民自体のそういった理解、認識も高めていきませんと、単なる仕組みだけでは本当の自治は確立てきない。私は、やはりそういった両方の面が相まって本来の制度の目的を達することができるであろうと思います。
 その両面におきまして、財政状況も大変厳しい状況でありますし、なかなか一挙に本来のあるべき姿を実現できるとは考えておりませんが、その方向に向かって、両々相まって地方自治というものが国民に制度の面でも、意識の面でもだんだん定着しつつ、そして向上しつつあるように私は考えております。
#29
○経塚委員 それでは、以下、具体的にお尋ねをしていきたいと思います。
 今回の国庫負担金、補助金のカット問題でありますが、きのうも大蔵大臣にお尋ねをいたしましたが、きのうの大蔵大臣の御答弁では、単なる財政転嫁ではない、国と地方のいわゆる役割分担を明確にした上に立っての今回の改正だとこうおっしゃった。それで生活保護を除いて老人、児童、身体障害者、精神薄弱者、これらに関する二分の一というのは恒久化する、恒久化したい、これはもう根本的に解決はついたのだ、こうおっしゃったわけでありますが、これは、私はまことにけしからぬ話だと思います。こんなものを恒久化されたのでは、一年限りと言って、そして三年間の措置と言って、中身を聞いてみると、これは恒久化だ、こういうことでありますが、容認できないというふうに考えております。
 そこで、国と地方のこれらの社会福祉問題について、役割分担、機能を厳密に検討した上に立ってのいわゆる二分の一だ、こういうことでございますけれども、生活保護法関係とそれから老人福祉法、児童福祉法、先ほども申し上げましたこの四つの問題で、一方は二分の一であり、一方は、これは両論併記ということになっておりますから三年後に十分の八になるのかあるいは十分の七になるのかわかりませんが、いずれにしましてもこれは二分の一以上であることは間違いないわけでありますが、なぜこういう区別をされたのですか。
#30
○花岡政府委員 児童福祉あるいは老人福祉等につきましては、もう御承知と思いますが、補助金問題検討会の報告では、
  多様なニーズにきめ細かく対応できるよう、地方公共団体の自主性の尊重の観点から、入所の措置については、団体委任事務に改めることとし、入所対象者についての基本的要件に限って国が定め、具体的要件については、地方公共団体に委ねることとすることが適当である。また、福祉施設の最低基準及び費用徴収基準については、できる限り簡素・合理化する必要がある。
  このような見直しによって、地方公共団体の自主性に基づいた行政に改められるので、国の 負担割合は二分の一とすることが適当である。
というふうにされておるわけでございます。これを踏まえまして、政府といたしましても、この負担率は二分の一としたわけであります。
 一方、生活保護の補助負担率につきましては、生活保護行政というものは国の責任がより重い行政でございまして、また、補助金問題検討会の報告にもありますように、全国的に公平、平等に行われるべきものであることなどから保育所等に国の負担は重くあるべきであり、負担率に差異があってしかるべきであると考えられたわけでございますが、具体的には補助金問題検討会で意見の一致が見られないで、従来どおりの十分の八が適当であるという意見と三分の一とするのが適当であるという意見との二つに分かれたわけであります。もちろん、この点についても政府部内で意見が分かれたわけでありまして、最終的には今後三年間緊急避難的に十分の七として臨時、異例の財源措置を行うということで決着を見たわけであります。そういうふうに現在の検討会におきます結論によりましてこのような両者の差異を設けだというのが実情でございます。
#31
○経塚委員 どうもそれは合点がいきませんね。生活保護の方は国の責任がより重い、そして全国的に平等に扱われなければならぬ。そうすると、逆に言えば老人、児童、身体障害者、精神薄弱者は国の責任がより軽いのか、もう一つは全国的に同じような扱いを受けなくてもいいのか、こうなりますよ。おまえの質問はひねくれた質問だとおっしゃればそれはまた別ですけれども、素直に解釈すればそうなりますよ。老人福祉法、児童福祉法、身体障害者福祉法等々を見てごらんなさい。そんな差別、どこにありますか、ないはずでありますよ。その証拠に生活保護も老人、身体障害者、児童も地方財政法十条では国がその費用の一部または全部を進んで負担するということで、同じ十条に国庫負担金として位置づけられておったわけでしょう。そして戦後、生活保護につきましては十分の十だった時期も一時期ありますけれども、十分の八でずっと何十年も来ておったわけでしょう。だから、これは間違いだったのか、こうなりますがな。
 さらに例を挙げますと、施設の設備費用というのはいずれも同じく二分の一でしょう。それから措置費の事務費中、生活費は生活保護に準じて決められてきているわけでしょう。それから措置を必要とする者の基準は、生活保護の場合も老人福祉法、児童福祉法みんな同じじゃないですか。生活保護の場合は最低生活の維持に欠ける場合でしよう。これは保護しなければならぬ。それから、保育に欠ける場合、これは保護し措置しなければならない。老人の場合も保護に欠ける者――生活に欠ける、保育に欠ける、保護に欠ける、この場合は全部それぞれ法律に基づいて措置しなければならない、こういうことで国家責任はいずれも同じなんじゃないですか。違うのは、生活保護の場合は金で受けるわけでありますが、あとの場合は施設の収容で措置されるわけです。金か建物かの違いだけであります。それから、救済手続も全部福祉事務所で同じ窓口じゃございませんか。それを何で差をつけるのですか。何で片っ方は国の責任がより重くて片っ方は国の責任がより軽くて、そして片っ方は全国平等でなければ、同じような扱いでなければならぬ、しかし片っ方は年寄りや身体障害者や子供については地方地方によって扱いが違っても結構ですということにしなければならぬのですか。同じように憲法二十五条に基づいて扱われるべきじゃないですか。その点はいかがなんですか。これはどうも区別するのは合点がいかぬと思うのですが……。
#32
○花岡政府委員 児童福祉行政とか老人福祉行政等につきましては、近年におきます国民所得の向上とかそれに伴う福祉ニーズの変化あるいは国民意識の変化等を踏まえまして、できるだけ住民に身近なところで、住民に身近な地方団体の自主的な判断に基づいて実施されるということが適当であろうと思うわけでございます。このような観点から、今回の見直しでは、入所措置を団体委任事務に改めるとか最低施設基準あるいは費用徴収基準の簡素合理化が行われたわけでございます。
 御指摘のように、生活保護と他の方の児童福祉等がどのように違うのかということでございますけれども、法律の書き方を見ておりましても、生活保護では「国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障する」というようなことでうたっております。その他の例えば老人福祉等におきましては、結局老人の福祉を国と地方公共団体がともに促進するというふうな立て方になっておりまして、立法の趣旨がどうであるかははっきりわかりませんけれども、若干そこらのニュアンスも違うのではなかろうかと私ども受けとめております。特に、保育所等におきます入所の実態などを見ましても、全部が保育に欠けておる児童が入っておるかといえばそういう状況ではないというふうなこともございます。そういうことで、もちろん措置をしなければならないような児童につきましては国の責任も十分あるわけでございますが、それらの実態等踏まえまして、できるだけ住民の身近な行政は住民の身近なところの地方団体が行うという趣旨に基づいてこのような改正を行ったものでございます。
#33
○経塚委員 それなら生活保護は身近と違いますのか。それが身近な証拠に福祉事務所でやっているのでしょう。その点はいかがですか。
#34
○花岡政府委員 身近といえば全部が身近でございまして、地方団体のやっているのと国のやっているのは同じといえば同じでございますけれども、結局国の責任と申しますか、最低生活を保障するというのは、これは私どもから見まして、地方の責任というより国として、国民として最低生活を維持するという意味合いが非常に濃いものであるということでございまして、老人あるいは児童等このようないわゆる保育に欠けるあるいは介護しなければならないというふうな方々に対する措置、そこら辺のニュアンスの違いはあってしかるべきではなかろうかと考えております。
#35
○経塚委員 局長、それはさらに重大な御答弁ですよ。生活保護は最低を保障する。老人福祉法、児童福祉法等々を見たって、私が例を挙げたように、欠ける者を行政の責任において措置しなければならぬから措置事務、措置費、措置行政というものが生まれたんでしょう。昭和二十四年でしたか、身体障害者法、初めてここで措置という用語が使われたのです。世界各国を例にとりましても、恐らく法令上あるいは行政上、措置という言葉が使われておるのはそんなにないのじゃないかと思うのです。ここに日本の福祉の特徴があるのです。これは措置なんです、しかも行政なんですよ。民間の人が勝手に措置するのじゃないのです。行政が措置するのです。何で行政が措置しなければならぬのかといえば、憲法二十五条で、健康にして文化的な最低限度の生活を営む権利があり、国がこれを守る義務があるという前提に立って措置という用語が生まれてきたのでしょう。ここを行政の側として正確に受けとめてもらわないと困りますよ。
 したがいまして、老人ホームにいたしましても委託は拒否できないのですよ。行政の側から福祉事務所を通じてAさんならAさんを措置いたしますと言われれば、社会福祉法人の老人ホームであっても拒否できないのでしょう。受託の義務があるのですよ。行政の側には措置する義務があり、施設については受託の義務があるのです。任意契約じゃないのです。任意契約なら、有料のデラックスなマンション並みの老人ホームなら入りたいがいかがでしょうかと言うと、相手側で受け入れるか受け入れぬか、その施設が協議の上で決めて、これはあくまでも任意契約なんです。しかし、措置事務、措置行政は任意契約じゃないのです。
 これ一つとってみましても、日本の老人、児童、身体障害者等々に対する扱いがなぜ措置という扱いを受けてきたのか、ここを軽々に扱ってもらったら、措置事務、措置行政そのものを根底から覆すことになりますよ。生活保護については最低を保障しなければならない、他については若干ニュアンスの違いがあるかのように局長は答弁されましたけれども、それはそんな見解じゃだめです。ほかも皆同じなんです。欠ける者は措置しなければならぬのですよ。それが老人福祉法の精神であり、児童福祉法の精神なんです。そうじゃないのですか。差があってはならぬのです。措置というのは行政の義務、責任なんです。その点はいかがですか。
#36
○花岡政府委員 先ほども少し申しましたように、例えば保育所等についてかってよく議論があったわけでございますが、幼保の一元化の問題が起こるというようなこともございます。地域によっては、幼稚園の多いところまた保育所の多いところ、それぞれ行政のやり方が違っておるわけでございまして、現在保育所に入っておられる方々も契約入所の方々が非常に多いということで、措置される児童は当然措置されておるわけでございますが、現在の保育所の実態から見て、その施設も十分に行き渡っておるという状況でございます。
 それに従いまして、これまでも地方団体がそういった事務をやってきたわけでございますけれども、これを国と地方とでどの程度分け合うかということが今回の補助負担率の問題でございます。この際、権限の移譲が行われまして、この補助率の見直しが行われたわけでございますが、生活保護の場合には国の事務を地方に移譲すべき権限というものもございません。そういうことで、いわゆる補助金の簡明化論の立場の方々からすれば、生活保護は三分の二ではどうかということがありましたけれども、私どもとしては、これは従来どおり十分の八とする以外に引き下げる理由がないではないかということを主張しまして、結局両論併記となったわけでございます。もちろん地方団体に移譲されたから、地方団体の負担が二分の一になったからといいまして地方団体の措置が変わるわけでもございません。児童福祉あるいは老人福祉の水準が落ちないように十分やっていけると考えておるところでございます。
#37
○経塚委員 身近なということからいえば生活保護も他の四つも身近で、これは変わりない。そして、全国どこであろうとも、保護に欠ける老人、保育に欠ける子供は、老人福祉法、児童福祉法によって行政の責任において当然措置されなければならない、最低のものは守られなければならぬというのは生活保護も一致している問題なんです。だから、ここでは何ら区別する必要もないし、やらなければならぬ状況でもない。
 そうすると、残る問題は何かといえば、国の責任のかかわり合いの問題なんです。国の責任のかかわり合いの問題については、生活保護法の第一条で「憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が」必要最低限の生活を保障する、「国が」というのが入っておる。だから、これがあるから、他の老人とか児童と同じように簡単に今回も二分の一にすることはできない。それでバナナのたたき売りみたいに、十分の八か十分の七か、真ん中をとっていこうというような、そんなことでは憲法二十五条の崇高な理念に基づき国が保護すると言った生活保護法第一条の理念を、その意味をどこまで考えられて今回の結論を出されたのか、私は疑問に思うわけであります。
 あえて老人とか児童とか身体障害者などとの関連から見るならば、生活保護法の第一条に、これは真っ先にできたわけでありますから、憲法二十五条の理念を受けたわけでありますが、その後続いてつくられた四つの福祉法についても、生活保護法と同じようにその第一条でもって国の責任を明文化させるべきであったと思うのです。事実行為としては生活保護法と同じように十分の八の国庫負担を明文化してきたわけでありますから、それにふさわしいような、法令上も第一条において国家責任というものを明確にすべきであったと思うのです。これを明確にしないで財政措置だけ生活保護と同じ扱いの十分の八でずっときた。それで今回は、生活保護法には第一条で国家責任が明確にうたわれておるけれども、あとは明確にうたわれておらない。どっちかといえば、むしろ国と地方とで半々の責任みたいなように受け取れると勝手な解釈をして、どこにも半々とは書いてありません。書いてありませんけれども勝手にそういう解釈をして、そして二分の一にする。それも、そのまま置いておいたのでは国の機関委任事務というのは障害になるから団体委任事務化しようということでありますが、発想はどこから来ているかといえば、全部すべて、入り口も出口も銭金の話じゃおまへんか。銭金の話から来ておりまんねん。そして銭金のもとは何かといえば国庫負担金をどこまで減らせるか、ここから出発しております。だから、そろばん片手ということがありますけれども、これは両手にそろばんで始まっておるわけであります。何が国と地方の負担割合、機能の分担ということで決められたのですか。これは後からついた口実だけじゃないですか。そうとしか思われぬ。私が例を挙げました生活保護法と老人福祉法、児童福祉法は一体どこが本質的に違うのか。突き詰めていけば、本質的にはみんな共通しているのです。これをあえて違いがあるかのような差を、国庫負担金をカットするために後から理屈をつけた。何でも理屈は後からついてくるというやり方でやっているのじゃないかと疑わざるを得ないわけでありますが、そうじゃないのですか。
    〔委員長退席、平林委員長代理着席〕
#38
○花岡政府委員 生活保護法の第一条には「この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基きこというのが入っておるわけでございまして、その他の福祉法については国と地方公共団体はそれぞれ必要な保護の実施に努めなければならない、書き方が違っておるという御指摘もございます。しかし結局は、先ほど申し上げましたような実態について、いつまでも国のすべての監督のもとに地方団体が事務を実施しなければならないということを続ける必要もないのじゃないか、ここは地方団体の責任と申しますか、こういったところももう少し権限の移譲によって地方に移譲してもいいのではないかという議論が行われたわけでございます。
 もちろん、国の方の考え方と申しますか大蔵省の考え方は金の方からきたのかもしれません。ただ、所管省であります厚生省においても同じような考え方をとられたわけでございます。私どもは、この簡明化論というのは補助率を引き下げるだけの理屈に使っておるのではないかということを申し上げたわけでございます。したがいまして、これはまだ早い時期でございましたけれども、厚生省の方から、国と地方とで事務を分け合うようなものについては基本的に二分の一として、上のものは三分の二という考え方でどうであろうかというような話があったときに、私どもは、単に機関委任事務を団体委任事務にするだけではこれだけの補助負担率を引き下げる理由にはならない、もう少し譲れる事務はあるはずだ、地方団体の自主性を強化する観点から行われるならば相談に応じてもいいというふうなことで、これが検討会の中で議論されて結局先ほどのような結論に落ち着いたわけでございまして、それぞれのものにつきまして全部銭金で勘定したという結果になったわけではないわけでございまして、やはりそこは国と地方との事務分担のあり方を見直した上で生活保護とその他についての差異が今回見られたということでございます。
    〔平林委員長代理退席、委員長着席〕
#39
○経塚委員 大蔵省の方は銭金から出発してやったのだろうけれども自治省はそうじゃない、あくまでも国と地方のいわゆる機能分担ということを前提に了承したのだとおっしゃいますけれども、金はきっちり十分の八か十分の十つけて事務権限は地方に回す、こういうことであればそれは了解もできますよ。しかし、金を半分に削られて、事務権限は移譲すると言ってみたところで先立つものは金であります。金がついて回らないことには事務権限の発揮のしようがないじゃないですか。これはまた団体委任事務の連合審査のときにでもお尋ねしようとは思っておりましたけれども、そういうことになりますよ。
 そこで、交付税で国庫負担がカットされたものは万全の措置を講じていただいておる、こういうことでありますが、それでちょっと交付税でお尋ねしたいと思うの。であります。
 果たして今日の基準財政需要額は実際に地方が必要とする額あるいはそれに近い額を単位費用などでは十分計算の中に入れておるのかどうなのかという疑問があるわけであります。例えば清掃事業の特殊勤務手当は五十九年度の給与実態調査では幾らとなっておりましたか。
#40
○遠藤説明員 ただいまの給与実態調査の資料を持ってきておりませんので、ちょっと判明いたしかねます。
#41
○経塚委員 ごみ収集車二トン車は単位費用としては幾ら見ておるのですか。
#42
○遠藤説明員 二トン車につきましては、車両の価格二百八十万円ということで交付税の単位費用の積算基礎に計算をいたしております。
#43
○経塚委員 ごみ収集車二トン車二百八十万円、そんなもので買えますか。それで買えるんやったら自治省買うてきて市町村に配ってやったらいいわ。これは私、調べてきましたら、三百六十五万が低いところで、三百七十万、三百八十万というところが多いですね。それから、五十九年度の給与実態調査では特殊勤務手当、大体月一万五千円という結果が出ているでしょう。基準財政需要額でこれを幾らに見ているのですか。
#44
○遠藤説明員 まず最初の二トン車の価格でございますが、私ども起債の許可に当たりまして価格を調べておりますので、その中から数団体を選んでみたわけであります。二トン車の六十年度の起債の許可、いわゆる充当報告でありますが、その中で七団体くらいを抽出して調べましたところ、平均して二百七十八万という数字が出ておりまして、交付税の基礎で二百八十万を見ておりますのでこれは十分買えるというように考えております。
 それから特殊勤務手当でありますが、収集に当たります職員六十二人につきまして特殊勤務手当一人当たり七万円ということで計算をいたしております。
#45
○経塚委員 二トン車は、同じ選挙区の松原市が三百六十五万、東大阪市が三百八十万、こういうことですから、それは再調査しておいてください。
 それから特殊勤務手当ですが、年七万円ということになりますと月六千円欠けるわけですね。五十九年度の給与実態調査では月に一万五千円と出ておるでしょう。これはとてもじゃないですけれども需要額は追いつかぬじゃないですか。松原市の例を挙げましたけれども、五十九年度と六十年度のそれぞれ需要額と決算額を見ますと、五十九年度は需要額が決算額に対しまして七四・七%、六十年度は七二・三七%ですよ。
 東大阪市の場合でありますが、ごみ処理、五十九年度人件費、低いですね、算入率は五四・四%です。し尿処理物件費、これまたうんと低いですね、二二・二%ですよ。それでごみとし尿合わせますと、人件費合計でいきますと総体で六七%です。随分乖離があるじゃないですか。中身を見ると当然乖離が出てきます。ごみ収集の場合でありますが、車一台当たり五十九年度は二・八人見ておったわけでしょう。ところが実態は三人です。六十年度は二・八人をさらに減らして二・六人でしょう。実態からさらに乖離しておるわけですね。こういう状況ですよ。これは実態と随分離れておる。そしていわゆる特殊勤務手当も何年間にわたりまして据え置いているのでしょう。何でこれは是正しないのですか。何でこんなに実態との乖離が出てくるのですか。
#46
○遠藤説明員 特殊勤務手当につきましては、私ども国の同一種類の特殊勤務手当と歩調を合わせているといいますか、それを参考にして決めているわけでございまして、国の場合ですと社会福祉手当というのがあるわけですが、それが五十二年からずっと引き上げられていないということで上げていないということであります。以上であります。
#47
○経塚委員 ついでにもう一つお尋ねしておきますが、特別養護老人ホームのいわゆる交付税上の算定人員でありますが、五十八年度予算人員が十万五千八百六十三人、六十年度予算人員が十一万七千六百五十二人、予算人員はふえておるのです。ところが交付税上の算定人員は五十八年度が六百三人、六十年度が五百五十一人と減ってきております。予算人員がふえておるのに交付税上の算定人員、算入人員が減ってきている。これはどういう理由ですか。
    〔委員長退席、平林委員長代理着席〕
#48
○遠藤説明員 予算上の人員と交付税上の人員とのお話でございますが、一つは、交付税の単位費用に算入いたします人員を積算する場合には予算上の生の人員をそのまま使わないで、いわゆる老人保護施設の場合には費用徴収をいたしておりますので、費用徴収金を得る額、これを措置人員に換算いたしまして、予算措置人員から費用徴収人員を控除いたしまして残りを算入する、単位費用に落とす、そういう作業を行っておるわけであります。近年この費用徴収基準というものが改定されてきておりまして、全体の中に占める費用徴収の割合が大きくなってくるという傾向が出ております。したがいまして、生の予算措置人員の伸び率よりも費用徴収の伸び率の方が多くなりますと費用徴収人員を控除した後の人員が少なくなる、そういうようなことで単位費用上の措置人員は少なくなっているように見えます。ただ、老人保護費の場合につきましては密度補正も講じておるという関係で、基準財政需要額全体では十分に入っているというように私どもは考えております。
 それから、先ほどのごみ関係の問題でちょっと御答弁を落としましたけれども、私どもの方も、何もかも据え置いているというようなことではございませんで、例えば光熱水費でありますとか、焼却炉の修繕費でありますとか、これらも五十九年度に抜本的に実態調査をいたしまして、実態に合わせてかなり引き上げを行っているというような措置を講じております。いずれにいたしましても、交付税の積算内容についてはあるべき財政需要を算出するということで工夫が要るわけでございますけれども、なるべく実態に即して、実態の数字を調査して、そしてそれらを合理的に反映できるように毎年改正をし、単位費用の御審議をお願いいたしておるわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
#49
○経塚委員 実態と単位費用との間でかなりな乖離があることは、今のお尋ね、御答弁で明らかでありますし、これは抑制しているとしか考えられないですね。
 もう一つ交付税でちょっとお尋ねしておきますが、寒冷地級地区分の見直しであります。
 これは、私はこの前財政局長にお尋ねしたのです。これも実態に合っておらぬじゃないか、引き上げるように見直してもらいたい、こう言った。そうしたら局長の答弁は、見直します、こういう答弁だった。それで私は、いや局長はなかなか思い切ったことを言いよったなと思った。私は、実態と需要額とは合っておらぬじゃないか、だから引き上げて実態に近づけるように、こう言うたのですけれども、答えを見ますと、これは引き下げだ。こんなものだったら見直さぬ方がいいわけですよ。見直した団体の中で、ふえるのが六十三でしょう、減るのが二百八でしょう。しかも、ふえる額が五億で減る額が四十億で、自治省の方は三十五億得するわけだ。何でこんなにもうけなければいかぬの、もうけると言ったら語弊があるかもわかりませんけれども。これは引き下げられる方は大変です。
 北海道が最大の被害地になりますけれども、稚内市の場合は五級から四級地になって一億千五百万減るのですよ。交付税額の二・四八%です。しかも、ここは公債費負担比率二〇%でしょう。滝川市、八千九百万、交付税額の二・三八%、ここも公債費負担比率二〇・六%です。雨竜町、ここは千九百万、ここも交付税の二%。門別町、ここは二・四九%、公債費負担比率二八・三%です。今でも財政状況が大変ですよ。それでことしは、六十一年度は北海道は道としては基金は全額取り崩したと言っているような状況に見られるように、北海道はどこの市町村に行っても財政困難なんですね。ちょっとむごいじゃございませんか。
 それで、何でこんなことになったのか、滝川市などは観測所を調べに行こうと思ったわけでありますが、この観測所が無人観測所で、データが各市町村とも手に入らない。したがって、これは何でここまで見直しをされ級地が下げられたのか、理由がわからない。理由を明らかにしてもらいたい、納得のいく説明が欲しいということと同時に、ちょうどこれから三年間は国庫負担の減額時期にも入る、したがって級地の見直しについては延期をしてもらいたい、こういう要望が出ておるのですね。近く関係市町村から決議も自治省に上げられると思いますけれども、どういうようにお考えですか。
#50
○花岡政府委員 寒冷度の現行級地と申しますのは、全国の観測点におきます昭和六年から昭和三十五年までの三十年間の観測データを昭和四十六年に観測データの見直しを行って四十七年度から使用しておるという状況でございます。交付税の算定に当たりましては、財政需要をできるだけ的確に反映いたしますように、公信力のある最新の観測データによって算定することが要請されるわけでございまして、前回寒冷級地見直し後がなり期間が経過いたしております。また、地域的に気象条件も変化しておるわけでございますので、今回、昭和二十六年から昭和五十八年までの最新の観測データを使用して寒冷度の級地の見直しを行うことにしたわけでございます。今回の見直しによりまして、これまで寒冷度の級地が一級地以上に格付けされておりました千十町村のうち、級地が下がる市町村は百九十六団体、逆に級地が上がる市町村は七十二団体ということになるわけでございます。このように寒冷度級地の見直しによりまして現行の級地に異動を生じます。これを一挙に新しい級地に置きかえるということになれば、この寒冷補正に係る基準財政需要額が急激に減少するという団体が出てまいりますので、私どもはこの激変緩和措置を講じて適正な措置をしてまいりたい、そして交付税といたしましてはできるだけ新しい資料に基づいて公平な配分をするようにできるだけ近づけてまいりたいというふうに考えております。
#51
○経塚委員 激変緩和措置と言いますけれども、ちょっとやそっとの激変緩和措置では、今言いましたような財政状況のもとでは市町村は耐えられぬですよ。だから一番適切な方法は、実施を何年か延期する、そしてその間関係市町村ともよく話し合いをして見直す内容について理解もいただく、こういう措置をとりながら進めるべきだ、私はかように考えておりますが、これは要望として申し上げておきます。
 それから単独事業についてお尋ねをいたしますが、これは地財計画上は五十六年七兆八千八百三十五億に対して六十一年は八兆七千三百億、約一〇・七%伸びる、こうお考えのようですね。ところが、計画と決算を見ますと、五十九年度の場合は伸びないところかマイナス二五・五%でしょう。毎年のように単独事業が二〇%ないし三〇%減ってきているのですよ。この原因についてはどうお考えですか。
    〔平林委員長代理退席、委員長着席〕
#52
○花岡政府委員 単独事業につきましては、御指摘のように五十八年度が伸び率ゼロでございます。これは国と同様に歳出の抑制というのが行われた結果でございます。五十九年度が三・三%のマイナスになっております。このときは、臨調等でも議論になりましたけれども、地方財政計画と決算との乖離があるではないか、これを是正すべきであるという議論が起こりまして、結局単独事業を五千八百億円削るとともにまちづくり特別対策事業三千億円を増額して二千八百億円の減となったということでございます。六十年度におきましてはいわゆる道路特会の交付金の臨時道路何とかいう新しい交付金ができましたが、これとまちづくり特別対策事業の増額で辛うじて一・七%増額した。六十一年度におきましては三・七%増額したわけでございます。結局私どもとしましては六十一年度、もちろん決算との乖離があるわけではございますけれども、内需拡大という要請もあり、また一方、地方財政計画におきまして単独事業を伸ばさなければ、現在のようないわゆる低成長時代におきます交付税の配分あるいは地方団体の財政運営も実際に運営していくには難しい点が出てくるというふうなことも考え合わせまして、財政計画をつくりますときに三・七%伸ばした。これだけが今回伸ばし得る最大の額であったということが逆に言えるのかもしれません。その結果、収支均衡したわけでございます。私どももできるだけこの単独事業というものは増加させていきたい、同時に決算との乖離を指摘されないように、地方団体におきましてこれを消化していただくように指導し、お願いいたしておるところでございます。地方財政の状況、非常に厳しいわけでございますけれども、こういったものはできるだけ実行をしていただかなければますます計画の策定におきましていろいろの指摘があるというふうなことにもなりますので、私どもこの点特にお願いをしてまいりたいと考えております。
#53
○経塚委員 交付税の問題それから単独事業の落ち込みの問題をただしてまいりましたけれども、時間も参りつつありますので、大臣にもお尋ねをしたいと思っておるところでありますが、この地財計画を見ますと、五十六年、六十一年の比較でありますが、これは連合審査のときにも大臣に申し上げましたけれども、地方税はこの間に四〇・九%伸びておるわけですね。それから使用料、手数料が計画では三一・三%伸びておるわけですね。決算で見ますと、これは三一%どころの伸びじゃございません、五十九年度では使用料、手数料は計画よりも五五・二%も伸びておるのですよ。五割五分も伸びているのですよ。公債費が五八・八%の伸びなんです。地方税は四割伸びる、使用料、手数料は五割以上伸びる、それで公債費が六割近くも伸びる、にもかかわらず単独事業が二五%も落ち込んできておる、こういう状況なんですよ。
 それで、局長の方は計画と決算との乖離が指摘されないようにしたいと言いますけれども、幾ら自治省がそう思って計画を立てても、市町村は単独事業を計画どおり消化するだけの財源がありませんから回らないのですよ、そこへもってきて起債ももう限度いっぱいというところも随分出てきておりますから。それではその最大の原因は何かということになりますと、これはもう答えは明確なんです。申し上げましたように、国庫支出金は五年間でマイナス六・八%、七千二百億も削られておるわけですね。交付税も伸ばした、伸ばしたと言いますけれども、予算の伸びは一八・六%、交付税の伸びは一二・八%じゃないですか。だから予算の伸びに追いついておらぬでしょう。これが実態なんです。
 臨調行革が叫ばれて六十一年度まで地方にその負担が転嫁されましたものが、いわゆる補助金カット、これはいろいろ手当てをしたというものは除外しまして、六十年度二千八百億、六十一年度四千三百七十億でしょう。それから、特会の利子二分の一負担が五十八年から六十一年で一兆四千三百二十五億ですよ。それから、一般財源化、地域特例六分の一カット千五百十七億、合わせますと、ここ五年前後で負担転嫁が二兆六千二百二十八億円ですよ、純然たる地方へ転嫁されたものが。今後もこれが当分の間続くということになりますと、毎年九千億ないし一兆円前後が新たに地方へ負担が転嫁されてくる、こういうことになるわけでしょう。単独事業が十分消化されないということもこれの悲鳴ですよ。だから、交付税で手当てをした、手当てをしたとおっしゃっていますけれども、清掃事業は一例として申し上げましたけれども、引き上げなければならない特殊勤務手当等々においても五十三年度以降引き上げずにそのまま来ておる。そうして、実態が月一万五千円の支給であるにもかかわらず、いわゆる基準財政需要額では月に六千円以下しか認めておらない。ほかにもこういう事例がたくさんあるわけでありますけれども、地方財政の財源拡充調整機能としての役割を果たさなければならない交付税制度というものが、まず最初に国庫負担削減ありきでもって、その受け皿をどうつくるかということで三二%の枠内へはめ込むために基準財政需要額が引き上げられずにそのまま抑制をされ、抑えられて岩でおるのじゃないかという疑いを持たざるを得ないのですよ。地方財政計画というなら、まず地方の住民と地方ありきであって、ここを主人公として地方財政計画が組まれなければならぬ、そういう趣旨で決められたこの地方財政計画なるものが、わざわざ閣議で了解をされなければならぬ性格のものが、国庫負担の削減、国家財政の補てん機能としての役割しか果たさせられておらないように本質が変わってきつつあるのじゃないかと考えざるを得ないと思うのですね。
 したがって、私が申し上げたいのは、最初に自治大臣に、今、地方行財政をめぐる状況としては地方自治は拡充の方向をとりつつあるのか、それともその逆な方向なのかとお尋ねをいたしました趣旨は、ここにあるわけなんです。これは地方財政法で定められたとおり、国と地方の機能分担、役割分担が明確にされ、そして国が負うべき責任を明確に定められておるとおり実施される、そうして初めて地方自治のいわゆる自主財政権が守られる、独立機能が果たされる。財政の裏づけがあって初めて地方財政の、いや、地方行政の自治権というものが拡充の方向にあるといってもいいとは思います。自主財政権、自主行政権、自主立法権、この三権が保障されて初めて地方自治の拡充と言えるのであって、このうちどれが欠けても、私は地方自治の拡充ということの評価は出てこないと思うのです。
 こういう観点から見ますと、これは残念ながら、幾つかの点をお尋ねしてまいりましたけれども、やはり国家財政の補てん機能の役割として本質がゆがめられつつある、こういう状況では、地方自治は拡充どころか後退の一途をたどるしかないというふうに憂うるものでありますが、その点、最後に大臣の所見をお伺いしておきたいと思うのであります。
#54
○小沢国務大臣 今日の、特に最近の経済情勢、そしてそれに伴う財政事情がますます多様化し、あるいは増大していく、国民の今日のニーズに必ずしも十分こたえ切れない面も出てきておるということは、現時点において事実であろうと思います。そういう中にありまして、地方自治でございますけれども、最後に先生がおっしゃったとおり、行政にしろ、立法もそうでありますが、自主財源、健全な財政、その裏づけがあって初めて本来の機能を果たし得るということは、全くそのとおり同感であります。
 自治省といたしましても、今日の地方ももちろん厳しい状況にありますし、国もそうでありますが、そういう中にあって、単に国の財政の事情からのみその基準財政需要額の算定とか交付税そのものについて考えておるわけでは決してないと思います。やはり本来の地方自治の振興のために懸命に努力いたしておるわけであります。したがいまして、そうは言いながらも、現実の財政事情から来る強い議論もこれあるわけでございますので、そういう点は私ども心して、今後厳しい地方財政の実情をよく理解しながら、先生の御指摘のように、財政面において特に支障を来すことのないように、あらゆる角度からいろいろな基本的な仕組み、制度等の面からも含めて、それを十分確保していくように今後とも相努めなければならない、そのように考えております。
#55
○経塚委員 厚生省、建設省に来ていただいておりましたけれども、時間の都合でえらい申しわけないのですが、御理解をいただきたいと思います。
 それでは終わります。
#56
○福島委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時八分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十三分開議
#57
○福島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。五十嵐広三君。
#58
○五十嵐委員 最初に、きょういろいろ議運等でも議論になっております三月三十一日付の官報の問題でお伺いしておきたいというふうに思うのであります。
 官報というのは一体どういう性格なり権威というものを持っているものなのか、まずこれをどなたかちょっと。
#59
○森説明員 お答えいたします。
 官報というのは、国の法令の唯一の公布の手段であるということと、それから、法令その他の公示事項を通じまして国の施策の周知を図る日刊の広報紙である、私ども大体そのようなことで考えております。
#60
○五十嵐委員 我々が聞いているところでは、法律というのは制定されただけでは効力を持つわけではないわけでいこれが公布、つまり官報ですね、そこで初めて法律としての効力を持つ、こういうように聞いているのですが、そうですか。
#61
○森説明員 先生御指摘のとおりでございまして、国会でお決めいただきました法律につきましては、官報に公布をするということを通しましてそれが有効に施行されることになると思っております。
#62
○五十嵐委員 極めて重大な役割を官報というのは持っているわけですね。官報の発行の責任、責任者はどこになるのですか。
#63
○森説明員 官報は総理府の総務課の責任で発行しております。実際の官報の印刷は大蔵省印刷局にお願いをいたしてございます。
#64
○五十嵐委員 官報の発行の指揮監督に当たる者、これはだれになるのですか。
#65
○森説明員 形式的には官房長官かと思いますが、実際には私ども事務的にこれを処理いたしておりますものでございます。
#66
○五十嵐委員 珍しい話の仕方をしますな。形式的にはこうで実質的にはこうだ、それはどういう意味ですか。実質的には官房長官は責任がないという意味ですか。
#67
○森説明員 そういうことではございませんで、もちろん先生がお話しのように形式的にと申しましょうか、官報の発行というのは総理府の所掌事務になってございますので、したがってその意味では官房長官の所掌の事務であるというふうなことでございます。ただ、実際問題といたしまして、官報の発行につきましての事務処理は総理府の総務課というところで行っておる、こういうことを申し上げたわけでございます。
#68
○五十嵐委員 官報、法令全書、職員録等の発行に関する命令というのを見ると、官報報告主任というのがやっているようですね。そうなんですか。
#69
○森説明員 先生御指摘のように、大体各省の総務課長、文書課長に当たる方にそういう職掌をお願いいたしてございます。
#70
○五十嵐委員 三月三十一日付の官報で「あらまし」というところにまだ国会を通過していない法律が掲載されている、これは大変なことなのでありますが、国鉄の経営形態の改革に伴う納付金などに関する地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律、これが公布されたということが「あらまし」で書かれているわけですね。これはきのうから国対や議運等で各党とも議論がされていますように非常に国会軽視ではないか、まともに言えばそういうことになろうと思いますが、これはどういう経緯でこういうとんでもない間違いになったのか、その辺の説明をいただきたい。
#71
○森説明員 今先生御指摘のようなことがございましたが、これは去る三月二十八日に成立をさせていただきました地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律という法律でございますが、これを三月三十一日の官報に法律の条文を収載いたしました。先生御承知のとおりでございますが、現在、官報は法律の条文をそのまま載せると同時に、利用者あるいは読者と申しましょうか、その利便を図るということの観点から、その法律の条文とあわせまして、政令もそうでございますが、法律のあらましというものを載せてございます。それで、今回の問題は、法律の条文そのものはもちろん正しいものを載せておいたわけでございますけれども、そのあらましを載せる段階で異なったものの内容がそこに収載されてしまった、こういうことが事実関係でございます。
 どうしてそういう間違いが起きたのかという御指摘でございますが、これは、今国会に今申しました法律の名称が全く同じ名称のものが二つ出ております。それで「あらまし」の方はその二つの法律のうちの別の法律のあらましを載せてしまった、こういうことでございまして、これは私どもの不手際ということ以外の何ものでもないわけでございますが、そういう結果になってしまったというのが事実でございます。まことに申しわけなく思っております。
#72
○五十嵐委員 今御説明があったような経過であろうと思うのです。しかし、三十一日付ですね。訂正記事でこれを削るということが出ましたのが四月八日で、それが差しかわって正しい法律の内容が示されたのが十一日ということのようですね、見てみますとかなりの期間空白になっているのですね。どういうわけですか。
#73
○森説明員 先生御指摘のとおりの事実関係でございます。三月三十一日付の官報で、それで四月八日付の官報で削除の措置をとりあえずとりまして、四月十一日の官報で正しいあらましの方を収載いたした、これは先生御指摘のとおりでございます。
 それで、この期間が若干あいておるということも今御指摘のとおりでございます。ただ、これにつきましては、三月三十一日付の官報、これは、御承知のようにこの時期は年度末というようなことがございまして非常に多くの法律、政令等が官報に載るわけでございます。それで官報の本紙だけでは対応することがなかなかできないということで、号外というような措置をとってそれに事務的には対応させていただいておる。これは、印刷量のボリューム、それに対応する印刷局の印刷能力というようなことからやむを得ない措置としてそういうことをとっているわけでございます。そういうような経緯がございまして、実際に三月三十一日付の官報が出ましたのが若干おくれておったわけでございます。それが実際に出ました後直ちに今のような四月八日付の官報で正誤というようなことにいたしたわけでございまして、その間、確かに御指摘のような若干の時間的なすき間と申しましょうか、間隔があいたことは申しわけなく思っております。
#74
○五十嵐委員 御承知のように、正しい法律は同じ名前が冠されているということがある。しかし、それにしたってこういう重大なことを任務としている皆さん方が誤るというのは信じがたい事実なわけです。御案内のように、正しい方の法律は住民税の減税措置あるいは住宅などの不動産取得税の適用期限の延長などの措置等に関する内容になっているわけです。これはそれぞれの自治体にとっては非常に重大な関連のある法律であることは言うまでもないし、それはまた住民にとっても極めて関心の高い内容のものなわけですね。
 そこで、誤ったものが三十一日に出て十一日まで、それは一つの空白といいますか、正しいあらましが示されていないわけですから。これは各自治体にとっても非常に迷惑なことだし、驚くべき失態と言わなければならないのじゃないかと私は思うのです。地方自治体は全国に約三千三百ぐらいですか、いずれも大なり小なり御迷惑をかけたことになると思うのだが、これについての経緯の説明や釈明、おわび、こんなようなことについてお考えになっていますか。
#75
○森説明員 今先生お話しのようなことで、地方公共団体初め関係の方々に大変御迷惑をおかけしたわけでございまして、申しわけなく思っております。
 形式的には官報の訂正ということを行っているわけでございますけれども、しかし今のような経緯にかんがみましてどのような対応措置を講ずべきか、この辺は至急に内閣官房の中で検討いたしまして必要な措置をとるように考えてみたいと思っております。御了承いただきたいと思います。
#76
○五十嵐委員 さっき御説明ありましたように、官報発行の責任者といいますか、何といったってこういう重大な問題ですから、政府としての責任を明らかにすべきでないかなというふうに私は思うのですが、この点についてはどうですか。
#77
○森説明員 このような事態を生じましたことにつきましては、私ども非常に申しわけなく思っております。今御指摘の責任の問題につきましては、また私ども官房長官の御指示を受けて必要な措置を考えたいと思っておりますが、いずれにいたしましてもこのような重大な過ちが今後二度と起きないように十分対処してまいりたい、かように考えております。
#78
○五十嵐委員 野党の国対委員長会談等では、この法律案については撤回を要求する、まだ審議もしていないものが一たん公布されたというような経過を持ったわけでありますから、そういう強い要求が統一してなされると私も先ほど聞きました。問題が非常に重大化してきているように思うのですが、大臣いかがでしょうか。
#79
○小沢国務大臣 先ほど来官房の方からもお話がありましたように事務的なミスであったろうと思いますけれども、しかし、事は法律の公布、発効の要件とされている官報の掲載の問題でございます。したがいまして、それはただ単に事務的に間違っておったというだけではなくて、それなりに責任を感じながら対処しなければならないと思っております。自治省に関することでございますので、私自身も含めまして、こういうたぐいのことが今後ないように自戒いたしておるところでありますし、また内閣官房に対しましても、これは形式的なものであるとはいえ、法律発効の重要な官報掲載でございますので、その点はきちんとやってもらわなければ困るということを官房長官にもよくお話しして善処をお願いいたしたい、今後とも十分気をつけるようにお願いいたしたいと思っております。
#80
○五十嵐委員 先ほどのお答えから言うと、市町村に対する釈明等はどういう方法でやるか、伝達の方法等について検討しているということでありますし、内閣の責任等についてもいろいろお考えになっているということでありますから、いずれにしても、明らかになった時点でぜひそれらを御報告いただきたい。また、議運等でも今後も引き続いていろいろ議論なされるわけでありましょうから、この場はこの問題については留保しておきたいと思いますので、委員長、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 ついででありますから、この機会に官報について、今度の問題で私あわてて調べたのですが、どうも官報というのは明治四十年勅令第六号の旧公式令第十二条の規定によって、勅令、閣令、省令等の法令公布機関紙と定められていたようでございますね。しかし、昭和二十二年五月三日、新憲法の施行によって公式令が廃止され、公布機関紙としての法的根拠を失ったということのようです。しかし、公式令廃止後の「公文の方式等に関する件」、これは昭和二十二年五月一日佐藤内閣法制局次長説明ということのようですが、これによって法令その他の公文の公布は従前どおり官報をもってすることが了承された、現在もその役割を引き続いてやっている、こういうことなんです。
 こういう扱いでいいものなんでしょうか。私、これを見まして、先ほどのような重大な役割を持っている官報について法的根拠はないのです。いかがですか。
#81
○森説明員 その法的な関係は、今先生御指摘のとおりでございます。戦前の旧公式令が廃止されまして、法的な根拠は確かになくなったわけでございますが、その後、これも先ほどの先生のお話にございました内閣法制局次長の発言等によりまして、法令の公文の公布は官報をもって行うということが大体像例と申しましょうか、慣行としてずっと我が国の法令の公布の根拠になってきておるように考えております。
#82
○五十嵐委員 いや、それは今私が説明したとおりで、だからそれでいいのかと言っているのです。検討しなければならぬのじゃないですか。
#83
○森説明員 この問題は公式制度全般にわたる問題ともいろいろ絡むことかと思いますので、この辺につきましては、御指摘の御意見等も踏まえて法制局などとも相談してみたいと思っております。
#84
○五十嵐委員 そうすると、うちの局長さんは何でもよく知っておるから局長さんに聞いた方がいいのじゃないかと思うのですが、どうもこれでは適当じゃないような気もするのですけれども、この際、きちんと検討して閣議でしかるべき方法をとるべきじゃないかと思うのです。局長さんでも大臣でもいいですから、いかがでしょうか。
#85
○矢野政府委員 法令の公布は大変大事なことでございます。私も官報の由来と申しますかその根拠がどういう点にあるかということを、恥ずかしながら詳しくは承知しておりませんでした。ただいま先生の御指摘で委細を承知したわけでございます。先ほど首席参事官からもお答えがございましたように、政府全体としての法告示のあり方ということ全体に関する問題でございますので、内閣において十分御検討いただきたい、私ども、それぞれ法律を所管する省庁として重大な関心をその点については持ってまいりたい、このように存じております。
#86
○五十嵐委員 大臣、いかがですか。
#87
○小沢国務大臣 官報の根拠規定については、私も不勉強で、今先生からお話があって初めて知ったのでありますけれども、公式の法律公布、発効の要件となされているものでありますから、御指摘のように法律で根拠規定を置くのか、あるいは閣議等のあれでやるのか、どういう方法がいいのかは別といたしまして、そういう点は何かきちんとしておった方がいいように私も思います。今後の全体の検討課題かなと思っております。
#88
○五十嵐委員 それでは次の問題に入りたいと思いますので、この関係の方はお帰りいただいて結構でございます。
 きょうは交付税の審議でありながらどうも多彩な質問になりますので、御了承いただきたいというふうにも思うのですけれども、この機会だから当面する大事な問題を幾つかお伺いしたいと思います。
 先月の十七日に建設省と東京都で、東京の中心地区での土地の高度利用に関して合意がなされたということでありますが、まず、そこのところは簡単な概要で結構でございますがちょっと粗筋をお話しいただいて、特に今お聞きしたいと思うのは東京駅周辺地区の再開発問題でございますので、その辺を御配慮いただきながら御説明をいただけばありがたいと思うのです。
#89
○伴説明員 お答え申し上げます。
 先般行われました建設大臣と東京都知事との会談というのは、東京の特に都心部におきまして最近地価が非常に高騰しておる、さらには事務所床を中心として床が不足しておるということに対処いたしまして、加えて内需振興という目的もあって、建設大臣と都知事でいかに持っていくかというふうなことを相談いたしたわけでございます。
 その中でいろいろ用途地域の見直し、例えば環七の中の一種住専を極力減らしていく、これは東京都のマイタウン構想にもありますのでそういう方向のことだとか、あるいは当面緊急的な床不足対策としては、都心部のかなり低度利用されておるところ、あるいは大規模な空閑地というものを再開発いたしまして大量の床を供給するようなプロジェクトを進めていくべきであろうというようなことを相談したわけでございます。その中で、都心部の中で代表的なプロジェクトは十幾つ挙がりまして、その中に東京駅並びにその周辺の再開発を進めていくべきだろうということが都知事、大臣の間で合意され、そのようなことを記者にも御説明したことが新聞報道されたのではないかと思っております。
#90
○五十嵐委員 そのことは新聞などでも報道がなされているのでありまして、ここにありますのは四月五日付の日本経済新聞ですが、そういう合意がなされた。民活導入で十一地区だけ、全体では地区はもっとずっと多いわけですね。二百五十八地区ですか、再開発の対象にしているわけですが、このうち大規模な再開発対象として十一地区を選んでいる。この十一地区だけで約十兆円の投資でいこうという計画で、九月までに基本計画を出そうということのようであります。大変大きなプロジェクトということになろうと思うのであります。
 この十一地区内に東京駅周辺地域、あるいは汐留というような国鉄用地が含まれているわけであります。何か、ある雑誌であったと思いますが、報ぜられているところによると、これをめぐって三塚運輸大臣は、国鉄の債務償還の上から国鉄用地は公開入札でできるだけ高く売らないかぬと、当然のことでありますが、そう御主張なされた。一方天野自民党民間活力導入特別調査会長は、再開発の目的に沿った業者に優先的に払い下げるのが適当でないか、余り高く売ると地価全体が上がるから適当でないのじゃないかというようなお話があって、意見が対立したそうでありますが、結局政府、自民党双方に検討機関を設置してその具体化を図ろうということになったというようなことも報ぜられているところなわけであります。
 一方、自民党の藤尾政調会長は「高騰を続けている都心部の地価を鎮静化するため、国公有地の売却を当面の間、凍結、かわりに土地信託制度の導入を検討するよう大蔵、自治両省に指示した。」こういうような報道もされているのであります。何せ全体計画で三十兆円、このうち今言う十一地区ですか、それで約十兆円という膨大なプロジェクトでありますから、すごいことであろうと思うのです。土地にいたしましても坪一億とか一億五千万とか、全体で何千億とか一兆何千億とか言われるところでありますから、これをめぐる問題というのは非常に重要だということは言うまでもないわけであります。たまたま今国会には国有地及び公有地の信託制度の法案が提出されているわけであります。ただ、私は思うのですが、何といったって膨大な国鉄の債務の償還対策としてやむなく土地を売却していこう、こういうことなわけでありまして、今我々が審議しようとしている国鉄関連の法案等も、そういうようなことを基礎に置いてこの計画は立てられて示されている。国鉄の再建計画そのものはそういうものであろうと思うわけであります。したがいまして、これが売却でなくて信託ということになると、言うまでもなく用地代が入るというものではないわけであります。信託配当が、何%かのものが長期にわたって入ってくるということだけなわけですから、これは基本的な考え方とは全然異なるということになろうと思うわけなんであります。この辺について運輸省、どのようにお考えか、まずお伺いしたいと思います。
#91
○岩村説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のとおり、現在国会の方に政府といたしまして国鉄の改革の一連の法案を出しております。その中でうたっておりますのは、国鉄の改革に当たって一つの大きな柱になっております膨大な長期債務、現在三十七兆三千億という数字を言われておりますが、こういった膨大な債務をどう処理するかということが一つのかなめになっておるわけでございまして、現在御提出している法案の中では、清算事業団というものを設けまして、そこでそのうちの二十五兆九千億という債務を処理してまいるということにいたしておるわけでございます。この膨大な債務の一つの処理財源が、御指摘のとおり国鉄が有しております用地の処分によります収入を見込んでおるわけでございます。これがどうなるかということが長期債務の処理がうまくいくかどうか、またさらには、最終的に国民にお願いしなければならない負担がどれだけになるのか、そういったことに大きく関係をいたしてくるわけでございます。
 そういうことで、現在御提案申し上げております法案の中では、国鉄の用地は原則として公開競争入札で公正かつ適正な価格で処分をお願いするということにお願いをしておるわけでございます。
 一方、昨今出ております土地の信託制度でございますけれども、この制度につきましては、我々の方から考えますところによると、信託制度の一つの大きな意味というのは、土地を処分しないで実質的に所有権を保持しながらそこの土地の持つ価値というものを生み出していこう、先生おっしゃったように、配当を得ようという仕組みでございまして、そういう意味では現在我々が考えておる国鉄の改革におきます。地の処分とは必ずしも合わないと申しますか、信託制度自体もいろいろな方式がございますので、必ずしもそのすべてを検索し終えたわけではございませんが、巷間言われておる管理信託制度等では現在我々が考えようとしておる債務の償還にはなかなか難しい問題があるんじゃないだろうか、このように思っておるところでございます。
#92
○五十嵐委員 国鉄の御見解も同じですか。
#93
○西田説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生から御指摘のありました点、あるいは運輸省からも御答弁ありましたが、私どもも全く同感の感を深くしております。
 若干つけ加えさしていただきますと、今予定されております来年四月一日の改革までの問題と、それから改革後ということがあろうかと思いますが、現国鉄におきます改革前で考えますと、当然その信託期間あるいはいろんな手法で考えちれる手続を考えますと、残された日がわずかしかないこと等もありまして、まず現国鉄ではあり得ないだろうと考えております。六十二年四月一日予定されております以降を考えてみますと、一つはいわゆる新事業体として会社として生まれ出るもの、ここにおける判断があろうかと思いますが、これはいろんなノーハウの蓄積を現国鉄でもやってまいりましたし、それから今の法案の原案でいきますと、その経営者の判断としていろんなケースがとれるような御配慮をいただいておるようでありまして、したがって、あえて信託制度を採用していろんな開発行為等をその事業体が進めていくかどうか、これは経営者の判断にまつところだろうと思いますが、私どもの感じでは恐らく民営的な手法を目途とする新会社がそういうことの手段をとることは比較的少ないのではないかなと思っております。
 もう一つは、先ほどちょっと運輸省からも御紹介ございましたいわゆる清算的事業団というものが予定されておりますが、ここは先ほどお答えあったとおりでございまして、土地の処分つまり売却による債務償還が一つの目的でございまして、そういう観点からいたしますと、活用面によりウエートが置かれておる信託制度そのものの採用ということは、しかもその信託期間が極めて長くなろうと予想されます、通常十年ないし二十年と言われておりますが、そういった時間的余裕もないこともありまして、そういった面での検討は事業団での検討にまつこととなろうと思いますが、想定でございますけれども、そういったものの採用も比較的少ない、レアケースとしてあり得るかと思いますが、概してそういうことが申し上げられるだろうと思っております。
#94
○五十嵐委員 よくわかりました。
 それから、たしか国鉄の債務の償還もやや期限があったと思うのですが、あれは何年ぐらいにお考えですか。
#95
○岩村説明員 お答え申し上げます。
 国鉄の長期債務、先ほど申し上げたように清算事業団というところへ債務それから資産を残しまして処理をしてまいるわけでございますが、御承知のように国鉄の用地、債務の償還に充てるべき用地というものは、例えば貨物ヤードなどをごらんいただきますとおわかりのように非常に広大である、また線路が土地を囲んだような形になっておって道路もないというようなことで、その土地を処分するといいましても直ちにそのまま売りに出せるような状態ではないわけで、レールを例えば動かすといいますか移設するとか、それから例えば道路をつけるためのいろいろな準備をするとか、そういったいろいろな手続がございますので、なかなかその時間はかかるのではないだろうか。我々としては、先ほど来申し上げているように、国鉄の長期債務を償還するためにはなるべく速やかに、それから適正な価格でこの土地というものを処分していくことが重要なわけでございますが、今言ったような事情でどの土地もがすぐに売れるというわけでもない状況にございますので、そういったことを勘案すると、少なくとも十年とかそんな期間は用地の処分にはかかるのじゃないだろうか、そんなふうに考えておるところでございます。
#96
○五十嵐委員 御説明にもありましたように、なるたけこの売却を積極的に行って債務に充てながら国民負担を少なくしていくということは当然のことであろうというふうに思いますので、また、今回提案されている国鉄再建のもろもろの計画もそういう趣旨の上に立っているものと考えながら我々も検討することになろうと思いますが、ぜひ今のような趣旨を貫いていかれるようにお願いしたいと思います。
 そこで、同じ東京駅のことなんですが、少し変わった観点からお伺いしたいと思いますが、いろいろお聞きする再開発事業計画というようなものでは、何か今の東京駅をある意味では壊すなら壊して、あすこに四十階とか五十階とか、あるいはもっと高いような超高層ビルを建てる、それはあすこだけではなくて丸の内全体、全体といいますか、やや広域にあのゾーンに何層もそういうものを建てていこう、こういう構想が出てきているようであります。今考えておられる再開発構想では、そんなような考え方なんでしょうか。もちろん、九月までにまとめるということなんですからまだ時間があることですが、現状ではどんなようなデッサンになっておるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#97
○伴説明員 お答え申し上げます。
 先ほどから九月という話が出ておりますが、実はこの九月というのは東京都の方で再開発のマスタープランでございます都市再開発方針というのを出すわけでございます。再開発を計画的に進めていくということで東京都の二十三区でこことここは再開発を優先的に進めていくというのを都市計画で決めるわけでございますが、その案の中に東京駅周辺も取り組んでおりますので、東京駅周辺も再開発を優先的に進める地区ということで九月に決まるという段階でございます。したがいまして、あの中でどういう建物がどういう敷地を使ってどんな形でできるかというのは、いろいろな方がいろいろな絵をかいておられるかもしれませんけれども、オーソライズされたものとしてはないという状況でございます。
#98
○五十嵐委員 いずれにしてもこれから積極的にこの計画が進むことになろうと思いますが、そこで私はぜひ喚起を促したいと思いますのは、あの東京駅丸の内、訳本屋の保存の問題なんであります。
 これは御承知のように日本建築学会の会長からかつて昭和五十二年十月に国有鉄道高木総裁あてに要望書が出ている。ちょっと読みますと、
  東京駅丸の内口駅本屋は、わが国の近代建築を代表する貴重な遺産のひとつであり、また首都の表玄関として都市景観の上でも重要な役割を果してきた建造物であります。
  しかるに、仄聞するところによりますと、国鉄当局におかれましては、近くこの駅舎を取り壊し駅前一帯を含めた総合的な再開発の計画をご検討中とのことであります。
  本学会は、この建物のもつ歴史的価値と都市的意義とにかんがみ、その取扱いに関し特に慎重な配慮を要望いたします。
こう書かれていて、付記としてその駅舎の建築の経過なり意義なりというようなものを書かれているわけであります。俗にラブレター、こう言われていたもののようでありますが、これは御存じですね。
#99
○後藤説明員 承知しております。
#100
○五十嵐委員 伴課長さんはもちろん御存じでしょうね。
#101
○伴説明員 その原文を見たわけではございませんが、そういう趣旨の申し入れが総裁あてに来ているということは承知いたしております。
 それで、先ほど申し上げましたように再開発方針であの地区が再開発を進めていくというところで土地として、敷地として位置づけられているわけでございますが、その中の建物デザイン等はこれからの話でございます。今後関係権利者なり関係機関で協議を重ねながら東京駅周辺地区一帯の再開発の構想づくり、それのコンセンサスを得ていくという段階だろうと思っております。私ども一般論としては、建築学会でおっしゃるように東京駅丸の内口駅は日本の重要な近代建築だということでございますので、そのままの保存はあるいは難しいかもしれませんが、極力その再開発構想づくりの中で当該建築物の保存について重大な検討要素として考慮していく必要があるんだろうなというふうに私どもも考えております。
#102
○五十嵐委員 少し安心をしたような気持ちがいたします。実は今手元に東大の稲垣栄三先生の東京駅やあるいは周辺の、首都を代表するメーンスペースみたいなものでありますから、そこについての論文があって、それを御紹介しようかと思ったけれども、今ちょうど文化庁で私ども大変に敬意を表している工藤建造物課長さんがお見えになっているから、ちょっとその辺のところの経緯やあるいは意義だとか御説明なんかをしていただくとありがたいと思うのであります。
#103
○工藤説明員 お答えいたします。
 東京駅の保存問題については、昭和五十二年の三月に文教委員会で議題になったことがございます。その際、私ども文化庁といたしましては、それまでは余り大正建築というものについて特に指定はしておりませんでしたけれども、それを契機として大正時代につくられた建築についても指定を進めるようになりました。
 ところで、東京駅は大正三年にできた建造物でございまして、当時建築学会の泰斗であります辰野先生と葛西万司さんとの二人が経営しております辰野葛西建築事務所でつくったものでございます。我が国では三百メーターほどの幅のある極めて大きな鉄骨れんが造の建物でございます。できた当時は三階建てでございましたけれども、昭和二十年五月の空襲で屋根及び内部がかなり損傷を受けまして、戦後応急復旧といいますか上の三階部分を取って二階建てにして、それで三階部分の一部の飾りを二階に持ってくる。それからもともと、出口、入り口両端のところですが、丸いドームがかかっていたのを現在見られるような八角形の屋根に変える、そういう改装をしております。したがいまして、昔の面影はかなりよく残っておりますけれども、昔どおりではない、そういう格好になっております。そういうこともありまして、ただいまはすぐに重要文化財指定というような対象にはしておりませんけれども、何せ長く国民に親しまれた建物でございます、それから首都東京の玄関として国民の皆さんに認識されております建物ですから、やはり再開発にあってもその辺は考慮して保存すべきものというふうに考えております。現に京都の中京郵便局とかあるいは大阪の日銀の支店、兵庫県庁とか、別に重要文化財に指定されていないものでもその保存と活用を図っております。私ども、重要文化財については保存、活用のいろいろの手法を持っておりますので、そういう意味では東京駅の保存ということが再開発の場合でも起きましたらそれについては協力していきたいと思っております。
#104
○五十嵐委員 ありがとうございました。非常に駅舎が重要な存在で、どう再開発しようとぜひそれを十分に重視し、生かしながら行うべきだという感じを一層今のお話をお伺いして強くしたんであります。同時に、あの建物もそうでありますが、建物と宮城、お堀のところに至るあの空間というものは我が国において非常に風格のあるすぐれた空間ではないかというふうに思うわけです。したがいまして、再開発に当たってはぜひそういう点の配慮、重視というものもあっていいのではないだろうか、こういう感じがするんでありますが、都市計画課長さん、こんな点はどうでしょうか。
#105
○伴説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおりでございますが、皇居から東京駅に至る通り、首都東京にとって非常に重要な空間と考えております。それでこのため、当該地区一帯については、先生御案内と思いますが、市街地の美観を維持するために定める地区ということで、美観地区という形で都市計画決定されておりますし、それから屋外広告物に関しましては、都の屋外広告物条例によりまして一定基準内の自家用の看板を除いて設置できないというふうになされております。一般的には私どもとしましても、都市の景観の向上は今後の都市行政の重要な課題というふうに考えておりまして、五十九年の七片に都市局長の私的諮問機関でございますけれども、都市景観懇談会というのを設けておりまして、近々結論を得ることになっておりますが、その結論だとかそれから今年度から美観地区につきまして都市計画決定をするときの計画標準、それを決めようということで今検討を開始いたしております。御指摘の地域につきましても、こうした動きを踏まえまして今後適切な維持、保全ができるように、東京都あるいは千代田区と相談していきたいと思っております。
#106
○五十嵐委員 ちょうど国鉄が民営になっていくという大きな歴史的な転換期であって、なかなか民営になっていきますと、まあそれぞれ経営も大変になりますし、五カ年間は用地の売却等にはたしか制限がついておったように思うのでありますが、次第にしかしいろいろな意味で高度利用を考えていく。そうしますと、どちらかというと、民営でありますからどうしても企業の論理の方が先に進むというようなことも考えられるわけであります。もちろん、そういう経営の努力も必要なことでありますが、しかし、そういう歴史的な建造物等の保存についてはぜひ大事にしていってもらわなければならぬ、こんなふうに思うのです。
 そこで、今東京駅についてお伺いしましたが、全国的に見て駅舎等で、国鉄関連でこれはぜひ保存が望ましいというようなものが他にあるかどうか。我々ちょっと感じておるのでは、例えば京都二条駅であるとかあるいは門司港駅であるとか、こんなものが思い当たるのでありますが、これらについてぜひひとつ工藤課長さんあたりからお考えがあればちょっとお伺いしたいし、その後ででも国鉄側からまた何か見解があればお聞きしたい、こういうぐあいに思います。
#107
○工藤説明員 ただいま先生御指摘の二つの駅につきましては、これはどちらも木造の建物でございます。それで、京都の二条駅はいかにも京都風な和風の建物でございます。これに比べまして門司港の駅舎は二階建てでかなり洋風なものでございます。これにつきましてはどちらも地元で保存したいという声が聞こえております。私どもも、全般的に見ましていわゆる明治の末から大正にかけての建築、特に木造建築についてはどうやって残そうかというのを考えておりまして、先ほど申しました大正の建築、これは五つほど指定しておりますが、例えば北海道の函館にありますハリストス教会とか、そのほかには山形県庁舎とか山口県庁舎とかあるいは名古屋の高等裁判所とか、俗に公共建築といいますか、そういうものの建築が大正建築で保存されているものが多うございます。
 そういう観点から、二条駅も門司港駅もいわゆる公共建築でございますので、公共施設というのはなるべく残していけたらというふうに我々考えておりますし、またそれについての技術的な指導はいつでも私どもの方で引き受けますので、仰せどうしても用途上壊すということがあれば、その場合は極力、それを調査して記録でも保存できるように、そういうふうにやるべきじゃないか、文化庁は保存する方でございますからそういうふうに考えております。
#108
○後藤説明員 ただいまの御質問でございますが、国鉄の実務当事者といたしますと、国鉄で現に稼働している駅舎等は、例えば先ほど来の東京駅の丸の内本屋もそうでございますが、毎日の列車の運行あるいは何十万人というお客様の御利用いただくための安全等を考慮いたしますと、必ずしも、その場所で原形で保存するということが困難な事例が幾つかございます。あるいはもう一つ、これは鉄道の使命といたしまして、輸送計画上のいろいろの改良を必要といたします。
 そういう意味でも、丸の内本屋もそうでございますが、先ほどお話しの二条駅につきましては、京都市内での都市交通の改善という意味での高架化事業が計画されておりますので、その高架化事業で直接物理的に二条城の現駅舎が支障いたします。そうしますと現場でのそのままの保存というのは非常に難しゅうございますので、先ほど来文化庁の方からいろいろ御説明ございましたように、いろんな手段で総合的に考えまして、例えば明治村の方にかつての新橋工場とかいろいろ移して保存しておりますけれども、そういう方法とか、いろいろな総合的な手段を勘案しながら文化遺産を大切にしていきたいというふうに考えております。(「何で明治村なんだ」と呼ぶ者あり)
#109
○五十嵐委員 そうですね。いや、こういう意見がまるっきりないのも不思議なことになるわけですから、そんな意味ではこういう意見が出たのはある種のやっぱり本音のようなものがあるわけですね。議論の上では僕はかえっていいような気もするのですね。
 改めて言うまでもないのですが、例えば丸の内口の駅舎なんかの場合でも、僕らの感じではやっぱりむしろ復元して昔のような、戦災でやられてああいう先ほど工藤課長さんの御説明のとおりなったのですが、それはむしろ復元しながら、しかし内部は最も機能的に、これはもうヨーロッパなどの古い国々はいずれもそうしているわけですから、やはり景観と機能とをどう両立させていくかということを十分に考えながらやっていかなければいかぬのではないか。使いにくい状況にしてはかりおくというわけにもいかない面は確かにあろうと思いますが、しかし、今の建築技術ですから考えればそういうことは十分に可能なことだと思うので、ぜひ機能一本やりでなくて御配慮いただきたいというふうに思います。先ほどからそれぞれ建設省でも文化庁でもお話があったとおりでありますが、国鉄にしてみても、今まで百何年間の歴史を持ってきて、そういう中でそういう幾つかの、決して数多くないですね、歴史的な景観としてぜひ残したいと国民的に合意できるようなものがあるわけですから、これをやはり何としても残していきたいという愛着はこれは国鉄さんだってないわけがないというふうに思いますね。だからそんなものをやはりしっかり踏まえて、しかし機能的にどうするかということをもちろん配慮しつつ、それはもう国民全体からいうと、ほかの官公庁の建物なんかとはまた別に、毎日毎日使っているところですから非常に深い愛着がある。それから都市のシンボルとしての意味もあるわけですし、ぜひそれぞれの都市を我々がつくったり守ったりしていく上でも非常に大事なポイントだと思うので、国鉄側もそういう配慮で取り組んでほしい、こういうぐあいに思うのですが、もう一遍お答えをいただきたいと思います。
#110
○後藤説明員 先ほどお答えしました中で例えば門司港のお話、言い忘れたのでございますが、門司港につきましては、先生のおっしゃいますように現在でも旧駅舎でもってそのままの機能を果たしますので、地元の皆さんの御協力もいただきながら最近修復を加えまして、現在も昔のままの姿で活動しております。そういうふうに駅あるいはターミナル等の輸送上の機能あるいは都市的立地等々でそれぞれ事情が違いますので、先ほど来議論がございましたように、東京駅についても、丸の内あるいは東京都のランドマーク的な位置づけあるいは町の中でのアイストップの機能ということもよく言われておりますけれどもそういうこと、それから私どもの輸送上の必要性等々を総合的に考えながら、それぞれの場所でそれぞれにふさわしい形で私どもの歴史的遺産を継承してまいりたいと考えております。
#111
○五十嵐委員 ひとつそういうぐあいにしてもらって、何でも明治村に持っていくというのはだめですよ。ぜひそれを改めてほしいと思います。ここは地方行政委員会でありますが、それぞれの町づくりの上でも個性のある町を形成していく上では非常に大事おことで、また、その建物が町全体の風格をつくっていくものでありますから、そういう御配慮をぜひ願いたいと思います。そんな意味では、新幹線の駅舎はどこへ行っても全く画一で、あれもどうか、安い工費でやらなければいかぬのだから皆さんもなかなか大変だと思いますが、それらの点をぜひ強くお願い申し上げておきたいと思います。
 最後に、三十兆円も、これは内需拡大で大きく刺激していくという意味ではわからぬものでもないのでありますが、そういうことになるとまた東京への集中度が高まっていくわけで、本当にそれで一体いいのだろうかという疑問があるのです。今、国土開発計画なんかもそういう格差をできるだけ是正してそれぞれの地方における定住圏をしっかりつくっていこうということでしょう。だから、そういうところにばかり目がいかないで、地方のそれぞれの拠点都市なり地域にいろいろなプロジェクトを持って、そしてそこにそれぞれ相当な投資がなされていくというようなことも少なくともあわせ考えていかなければ適当じゃないのじゃないかという感じが私はするのです。大臣なんかも御出身が御出身だからきっとそういう思いがあるのじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。
#112
○小沢国務大臣 この問題については政府部内でも、私もその閣僚の一人として先ほど来の御議論の中に加わって、政府・与党の中で加わっておったものでございます。
 今回のことは、とにかく今日財政事情が厳しい、民間活力を導入して当面早急に内需拡大を図るという要素の方がどちらかというと強く背景にあるであろうと思います。したがいまして、今のお話の東京駅の問題もいろいろ議論のあるところで、まだ煮詰まったものではないと思います。ですから、そのことについて具体的に申し述べることはできませんが、今全国的な、東京だけではなくて地方にもそういった民活の構想を生かしていったらいいではないか、これは閣僚会議の中でもあるいは政府・与党の中でも強く出されまして、東京東京とばかり言っていたのではいかぬのではないかということで全国的なレベルで考えていこうという意見が強く出され、できるだけそのように配慮していこうということになっております。
 ただ、東京のいわゆる首都の都市改造というものも、全体としてこれだけ人口、産業が集中していて果たしてこのままでいいのかという議論も、この過疎過密の際には考えていかなければならない。東京圏にどれだけの産業立地をすべきか、人口集積をすべきか、そういう点も過疎の対策と同時に考えていかなければなりませんので、その点はネグるわけにいかないと思いますが、御指摘の点につきましては、今後私も十分配慮していかなければならないと思っております。
#113
○五十嵐委員 財政問題を少しお聞きしたいと思います。
 去年、補助金の一律カットがあって当時も大問題になった。約束では昭和六十年度限りということになっていたわけですが、しかし今年は、それどころでなくて、むしろその二倍に及ぶ補助金の地方への負担転嫁ということになった。私はこれは重大な政治公約違反といいますか、そういう感じがするのです。いろいろ財政的にどうだとかこうだとかいうことは別にして、私は政治責任はあると思います。国民だれが見たってそう感じます。自治大臣、これをどうお受けとめになっておられますか。
#114
○小沢国務大臣 六十年度そして今年度の経過については先生御承知と思いますので、繰り返し述べることはやめにいたしたいと思いますが、今回、事務事業の見直しを進めながら予算編成を行ったわけでございまして、しかしながら、地方債を活用せざるを得ない財政状況の中で、その地方に形として起債、借金になっておるということは事実であります。
 私どもは、そういった地方債の元利償還等につきましても、交付税措置等々によりましてこの財政運営に支障を来さないように配慮をいたしてきたわけでありますし、今後もしなければならない。ただ、さらに今後地方の公債費負担も高くなってまいりますような状況の中で、地方の財政運営に支障を来すということになってくれば、当然これは国の責任として対処しなければならない問題であると思います。今の現状を指摘して申されるわけでございますけれども、この点につきましては、私ども行政の責任にある音あるいは政治の責任にある者すべて、その意味においては責任を感じ、行政に対してその本来の目的を全うできるように努力しなければならないということは当然のことであろうと思っております。
#115
○五十嵐委員 衆議院の大蔵委員会などでも附帯意見がついておったと思うのですけれども、地方制度調査会ももちろんこれに対して強い答申があったのですけれども、こういうような趣旨を裏切るものだろうというぐあいに思うのです。――今の東京駅周辺開発の関係の皆さんにつきましてはこれで終わりましたので、どうぞお帰りになってお仕事なさってください。
 それで、どうもこのごろはそういうことを裏切ったり、言ったことがそのしりから崩れていくというようなことについてのやはり責任感といいますか、全然、一種の技術というようなことになっちゃって、国会なんかで見てみましても、これでいいのかなという感じがしますですね。
 補助金問題検討会が六十一年度の生活保護の補助率について、これは結局答申を見ると両論併記で結論は出てないわけですね。これはつまり結論を得てやったということにはならぬわけでしょうね。地方自治体を入れて、地方自治体とともに検討しながらということになっていたわけですが、なるほど何人か入ってはおったのでありますが、しかしこれについては両論併記であった。こういう場合は、後に関係閣僚会議で決めているようでありますが、余り問題にしないことになるわけですか。意見が地方側と対立してなかなかまとまらぬというような場合には、両論併記で出さしておいて、ばさっと上で決めていくというようなことなのでしょうかね。どうもちょっと、これでは余り意味がないような気がするのですが、どうですか。
#116
○花岡政府委員 補助金問題検討会におきましては、御承知のように国と地方との役割分担、費用負担のあり方とともに、六十一年度以降の見直しをやろうということで議論をされたわけでございます。いろいろ議論がありましたが、中心になりましたのは、やはり六十年度に問題になりました社会保障が中心でございました。その中で、いわゆる児童保護とかあるいは老人福祉、こういったものにつきましては事務の見直し等が行われまして、結論が出たわけでございますけれども、生活保護につきましては内部でどうしても意見がまとまらなかったわけでございます。やはりいわゆる補助率簡明化論という立場から三分の二としたらどうかという御意見もありましたし、しかし、こういったものは国の重要な責任であるから事務を見直すべき何物もないではないか、それならば十分の八を引き下げる理由がないということになりますと、結局意見が全く対立したまま結論を得るに至らなかったという状況になったわけでございます。
 一年間かけて検討いたしましたけれども、結論が出ない。そうなりますと、予算編成のぎりぎりの段階までもう来たわけでございますので、この検討会におきましてもやむを得ず両論併記という形になったわけでございまして、政府の方といたしましても、これを受けまして自治、大蔵両大臣間で議論をしてもまた煮詰まらず、最終的には政府・与党連絡会議に上げざるを得ないというふうなことになったわけでございまして、これはなかなか、生活保護の問題というのはいろいろな歴史もあり、いろいろな御意見もあるわけでございまして、これをどの辺でおさめるか、妥協をするということにつきましても、これは非常に大きな金額の問題でもございます。私どもから見ますと非常に重要な国の仕事だと思っておりますので、この辺、国の財政の問題もありましたけれども、最終的には御承知のような緊急避難的に十分の七とするというふうなこと、それから臨時、異例のたばこ消費税の税率の引き上げということで三年間の暫定措置とした。したがいまして、この問題につきましてはさらに関係大臣の間で協議を進めていくという結論にならざるを得なかったことを御了解いただきたいと思います。
#117
○五十嵐委員 緊急避難といったって、どうも去年もことしも緊急避難では、余り緊急というようなことではないですね、これは。しかし、関係閣僚会議はもちろん自治大臣が出ているわけですね。この問題がやはり自治体側あるいは自治省側から見て極めて重大な問題であるということは言うまでもないと思うのですが、どうしてああいうことになるのですか。どうも僕はやはりそこら辺が、まあいろいろなことがあるのでしょうけれども、もっと頑張れないのかなという感じは正直言ってするのでありますが、しかしまあ相当頑張ってはいただいているのだろうと思いますが、残念であったというふうに思います。しかし、後ろには結局三千三百の自治体の苦しみがあるわけですから、ここはひとつ、場合によっては自治体としっかりスクラムを組んで、自治大臣に頑張ってもらわなければいけないというふうに思うわけであります。
 それにしましても、大臣、引き続いてこういうことになった、しかも向こう三年間暫定措置が続く、こういうことになったのは、あるいは今の関係閣僚会議でも結局は大臣は押し切られざるを得なかったということなのだろうと思うのですが、そういうことにならざるを得ない理由というのは何ですか。
#118
○小沢国務大臣 この問題につきましては、今局長から答弁あったように、精いっぱい主張すべきところを主張し、自治体の側に立って頑張ったわけでありますけれども、結果は押し切られたではないかということはそのとおりではございますけれども、こういうような今日の財政状況の中にありましては、どうしても財政という面からの議論が強くなされる、予算編成時にありましてはなおさらでありますが、そういう点は否めない事実であろうと思います。私もまだなって、よくわかりませんけれども、一般論といたしまして、こういうような余り、何といいますか、予算編成のテクニックとか、そういうような観点からのあればかりやってはいけない、やはりもっとわかりやすいやり方をもはやすべきときではないかという感じは強くいたしておるところでございます。御指摘のように三千三百幾らの自治体を背後に控えておる自治省でありますので、今後、そういう点はもう少し筋道を通すことができるように努力せねばいかぬ、そう思っておるところであります。
#119
○五十嵐委員 つまり、何といったって国の財政が厳しい、そういう中から真っすぐなものも曲げて受けざるを得ないというようなことであろうと思うのですが、つまり国家財政の厳しさというようなものがこういう結果にならざるを得ないということと受け取ってよろしゅうございますか。
#120
○小沢国務大臣 そういう面からの要請が強く出て、結果的には生活保護につきましても結論が出なかった。ただし、私どもといたしましては、その地方負担増分についてはできる限り補てんをいたしまして、今後も地方に結果として支障を来すことのないように、その点だけは国の責任、自治省の責任として見ていかなければならない、そのように考えております。
#121
○五十嵐委員 国保財政も、地方自治体の皆さんと話をするとまずこれが出てくるようなもので、大変な赤字状況になっているわけであります。この赤字の状況はどんなことになっていますか、ちょっとお知らせいただけますか。
#122
○花岡政府委員 最近の決算の状況は五十九年度のものしかございませんけれども、歳入総額四兆三千四百四十二億円、歳出総額は四兆一千八百九十四億円で、実質収支は千五百三十七億円の黒字となっておりますが、全保険者のうち赤字団体は五百八十団体でございまして、前年度と比べて赤字団体は二百団体ふえているという状況でございます。
#123
○五十嵐委員 もちろんいろいろな団体はでこぼこがありますから、概括的にとらえては地方の問題は話はできないわけでありますから、これはそれぞれひどい実態になっているようであります。去年はそれぞれ国保料、税はどのくらいアップしている団体があるか、あるいは平均してどのくらいのアップ率になるか、そんな点、もしおわかりになれば。
#124
○花岡政府委員 国保税の五十九年度分につきまして現在その分析をやっておるさなかでございますので、この値上げの状況、あるいは繰り出しの状況、この辺について現在のところまだ明らかな資料を持っておりません。
#125
○五十嵐委員 厚生省が昭和六十年度国民健康保険料、税の決定状況をこの間まとめた。これによると全国三千二百七十市町村のうち、千六百五十四市町村、全体の五〇・六%で一〇%以上の保険料、税引き上げが行われている。二〇%から三〇%に達するのが四百七市町村、それから三〇%から四〇%に達するものが七十八市町村、特に二十二市町村では四〇%以上の引き上げが行われている。これらの結果、被保険者一人当たり保険料、税額は前年度の一人当たり額三万九千円を大きく上回って四万二千九百円となった。こういうような資料があるのですけれども、ややそういうことですか。
#126
○花岡政府委員 厚生省の方からそのような数字が出ていると聞いております。
#127
○五十嵐委員 いや、大体そんなことかというのです。
#128
○花岡政府委員 所管省でお調べになったものですから、そうじゃなかろうかと思います。
#129
○五十嵐委員 この報告から見ても大変な実態になっているというふうに思うわけであります。これは言うまでもなく退職者医療制度の加入者等の見込み違い、これによる市町村国保の赤字、五十九、六十で二千八十億ですか、これに対する国の補てんが千三百六十七億、三分の二にとどまる。補てん残七百十三億について財源措置が行われない。これが理由なわけでしょうね。そうですか。
#130
○花岡政府委員 保険料の値上げのいろいろな要素があると思いますが、御指摘のように退職者医療制度の創設に際して見込まれました適用者数の見込み違い、これは大きくこれに反映しておるのではないかと思われます。
#131
○五十嵐委員 そこで大臣、さっき大臣にお尋ねしましたように、国庫補助負担率を昨年に続いて今年大幅に引き下げた。しかも三年間ということになった。それは国の厳しい財政のいわば負担転嫁と言わざるを得ない。あるいは今の国保につきましても前年より二百団体も多い赤字団体が出て、しかも料金や税金はえらい上げていかなければいかぬということになってきている。今も局長さんからお話があったように、その大きな理由というのはやはり国の見込み違い、そしてそのうち三分の二しか持たないというような措置というものがそういう困難な国保財政の状況にしているという御説明もあった。これは去年も論議したのですが、今のような答弁から言うと、それは明らかに地財法の第二条の違反ではないか、私はこう思うのです。それは皆さんを責めるというのじゃなくて、こんなことがこうやって次から次に続けられてはかなわないわけですから、一遍きりっとしていかなければいけないのじゃないかと僕は思うのですよ。どうですか。
#132
○花岡政府委員 医療保険制度の見直しの一環として退職者医療制度の創設を行われたわけでございますが、この制度は国保の負担軽減にも資すると考えられておったわけでございましたけれども、結局はこの退職者の見込み違いということで大きな穴をあけたことになったわけでございます。
 これにつきましては、先ほど御指摘のように補正予算におきまして三分の二程度の穴埋めが行われました。この時点におきまして、この補正の行われる際に地方団体側といたしましては厚生大臣に対しまして、この財政影響は国の責任で解決すること、また、六十年度の国保の収支状況によって今回の補正措置によってもなお所要の財源措置を講ずる必要が生じた場合には国は誠意を持って措置することということを申し入れたわけでございまして、これに対しまして、厚生省といたしましては、国保財政の運営の安定化を図るため、今後とも誠意を持って最大限の努力を払う旨表明されたわけでございます。そういうふうなことから考えますと、必ずしも直接地方に負担転嫁をしたということではないと思いますけれども、やはり本来この国保というものが保険料と国庫補助金によって運営されるべきものでございますから、このいずれかが欠けますと非常に穴があくということになるわけでございまして、結果的に国の方の財政の補てんが少なくなった、この点につきましては、私どもも今後国保財政の推移を注視しながら、国の責任において所要の措置が講じられますよう所管省に対して要請をしてまいりたいと存じております。
#133
○小沢国務大臣 国保にいたしましてもあるいは補助率の引き下げにいたしましても、それが国の財政事情から来る単なる地方への転嫁じゃないか、したがって、地財法二条の違反じゃないかというふうに断定されますと、私どももいろいろ理屈を言力なければならないのでございますけれども、そういう点につきましては先ほど来申し上げておるとおりでございます。しかしながら、いずれにいたしましても、先ほどの繰り返しみたいな話になりますけれども、現在のような状況になりますと、やはり本当にお互いもっとわかりやすい形でこういった財政等々につきましてももっと議論していかなければならないのじゃないかという感じは強く持っております。
#134
○五十嵐委員 どうも納得できる答弁でないと思います。地財法では、今のような、国は「地方公共団体に負担を転嫁するような施策を打ってはならない。」そして大臣、やはりさっきの国のそういう財政難の施策が結局地方を困難な状況にしている、幾つかのことについて。これは私の方で言ったのではなくて、私は聞いて、大臣がやはりそうも言っているわけですからね。だから、これは大臣や局長がそれぞれ、何といったってこれは国のそういう厳しい財政難からこういうことにならざるを得なかったということであれば、これは僕はその答弁が悪いというのじゃないのです、そのとおりなんですから。しかし、それは地財法で定めるところから言うと許されるものではないわけですから、ここは少し地方側といいますか、自治省側としてもきりっと頑張ってもらわなければいかぬと私は思います。言ったってもう余りそれ以上の答弁もないのだろうから、強くひとつ指摘をしておきたいというふうに思います。
 そこで、政府税調がいろいろ議論なさっているようでありますし、いよいよ来年からでも税制の抜本改正が行われるということになるわけであろうと思うのですが、そこでは、消費税の導入なども含む直間比率の是正等のかつてない大がかりな改革がなされるであろう、こう言われているわけですね。
 そうなりますと、もちろん、この国と地方の税源配分について非常に重要な転機を我々は迎えることになろうと思うのですね。そこで、もういろいろな議論もしたり御努力もいただいているのだろうというふうに思うのですが、大事なのは実質配分が一体どうなるのかということであって、そんな意味からいうと、ここでまずここ三年ぐらいといいますか、ですから、五十九年の決算、六十年の予算、六十一年の予算見込みの実質配分率は、国と地方でどういうことになっているか、お知らせいただきたいと思います。
#135
○矢野政府委員 国、地方間の税の実質配分のお尋ねでございますが、まず税そのものから申しますと、昭和五十九年度におきましては、全体の租税総額のうちの国税が六三・一%、地方税が三六・九%、昭和六十年度におきましては国税六二・六%、地方税三七・四%でございます。それから、昭和六十一年度は国税六二・七%、地方税三七・三%となっているわけでございますが、これに地方交付税及び地方譲与税を考慮いたしました実質配分で見ますと、昭和五十九年度は国が四七・〇%、地方が五三・〇%、昭和六十年度におきましては国が四六・二%、地方が五三・八%、昭和六十一年度は国が四六・六%、地方が五三・四%という実質配分割合となっているところでございます。
#136
○五十嵐委員 やはりいろいろな入り組みがなされていくわけでしょうけれども、実質配分において、地方の配分がもちろんこれを下回ることのないように、最近の地方における非常な行政需要の増加等から考えて、できればむしろこれを少しでも高めていくというなことが非常に大事だ。ここら辺が今明年、自治省あるいは地方団体にとっては正念場のような感じがするのでありますが、当然皆さんとしてのいろいろな御議論や、決意や見通し、そういうことなどもあろうと思うのですが、簡単でなくて、少し長目に状況の報告あるいは展望、決意というようなものをお話をいただければ勉強になるのではないかというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
#137
○矢野政府委員 御承知のとおり、現在の我が国の現行税制につきましては、昭和二十五年のいわゆるシャウプ勧告に基づきまして構築をされました税制が基本となっておるわけでございますが、その後、三十数年間にわたりまして社会経済の情勢が著しく変動してまいりました。所得全体の上昇あるいはその平準化といったような現象もございます。それから、産業構造あるいは就業構造の変化というような点もございます。それから、国民の消費サービスに対する嗜好の大きな変化というようなところもございます。あるいは人口構成の高齢化といったようなさまざまな情勢の変化があるわけでございます。国税、地方税を通ずる税制はこういった変化に適切に対応したものでなければならないことは言うまでもないところでございますが、最近における税制の改正、いろいろ財政事情等もございまして、必ずしも税制の抜本に触れる改正ということではなくて、いわば既存の税制の枠組みの中での手直しにとどまってきておる。こういうことから、現在の社会経済情勢にそぐわないという意味で、特にその中でもそういった情勢の変化を踏まえまして、いろいろなひずみ、ゆがみ、あるいは税に対する重圧感、こういったものが指摘をされておるところを踏まえまして、そういった点についてのいわば抜本的な検討を行い、改正の手を加えようという作業が現在税制調査会において行われておるところでございます。昨年九月に内閣総理大臣から諮問が行われたのはまさにそういう趣旨でございますが、審議の手順といたしまして、まずそういった重税感が指摘されておるということにかんがみまして、まず負担の軽減、合理化に関する問題から先に御審議をお願いし、大体この春までに、この四月末ごろにそういった点についての中間的な御報告をいただき、最終的にはその財源確保策等も含めました一体としての税制改正案をこの秋までにいただきたい、こういうようなことで現在作業が進められておるところでございます。したがいまして、税制調査会の御審議はまだその途上にあるわけでございまして、現在は先ほど申し上げました負担の軽減、合理化の点を俎上に上せて審議が行われておるところでございます。個人所得課税としての所得税、それから地方税たる個人住民税、さらに法人課税、こういった点についての負担の軽減、合理化という観点からの検討が進められておるところでございます。
 まだこういったところでございますので、最終的な方向というものは財源確保策等も含めればこの秋ということでございまして、したがいまして、現段階におきましてどのような形になるのかということを私どもの立場からいわば予断を与えるような形で申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、この中におきまして地方税源あるいは地方税財源の問題を考える場合には、やはりこれからの社会の状況の変化に対応いたしまして地方の役割というのが非常に大きく増大をしていくことは確実だと思われるわけでございます。また、臨時行政調査会の答申等におきましても地方分権の強化、こういう方向が打ち出されておる。国民に身近な行政を地方自治体において行うということは我が国の活力ある発展のために本当に必要なことだと思います。そういうことになりますれば、必然的にそういう役割に応じた税財源の確保ということが申すまでもなく極めて大事なことでございます。そういった税財源の確保につきましては、これはもとより行政事務の配分とも密接に関連をすることでございますが、そういった基本的な考え方というものを我々は持ちながら、こういった改正の作業というものを税制調査会の御審議の結果というものを踏まえながらやってまいりたい、このような所存でございます。
#138
○五十嵐委員 大事な時期を迎えておりますので、一層の地方自治体の健全な発展のために、ここはひとつ力いっぱい御努力をお願い申し上げたいと思います。
 地域の問題を一つちょっとお願いしておきたいと思うのですが、御承知のように日ソ漁業交渉が厳しいことは予想はしておりましたものの、まことに結果としてはどうにもならぬという感じの結末になったということであります。殊に北海道の漁業基地等、稚内であるとか、あるいは江差であるとか、あるいは釧路であるとか、あるいは根室であるとか、こういうところは壊滅的な状況になってくる。殊にスケソウがもう激減ということになるものですから、したがって加工工業がどうにもならない。その地域で働いている方々がそのことのための雇用問題を初めとする大変重大な危機に直面している。私、きょう電話でちょっと話したのですが、稚内はきょう臨時議会を招集したようです。そして、市長が長になって、商工会議所の会頭さんや業界の人たちと対策本部を設けた。これはもちろん稚内だけでなくて、どこもそうだろうと思いますね。おとついですか、既に北海道庁も対策本部を設けた。十八日には、今度は羽田農水大臣がそれらの漁業基地まで直接出向いていかれるというような非常に切迫した空気になっているわけですね。もう五十二年の二百海里のときよりもはるかに上回った危機的状況になっているということなのであります。そういう点から考えて、ぜひひとつこれらの都市に対する地方財政措置について、対策について十分な御配慮を願いたいということが一つ。それから、産炭地振興特別措置法ですかが閉山なんかになるときはあるわけですが、それに類したといいますか準じたような措置が必要でないかというように非常に我々は感じるのです。いろいろ水産庁あたりでは、あるいは道もそうでありますが、御尽力いただいておりますけれども、ぜひひとつそれらを含めて十分な御検討と敏速な措置を願いたい、こういうぐあいに思います。
 同時にまた言えるのは、例のローカル線の問題だとか広域配転の問題がありまして、これも決定的に壊滅的な打撃を受けている町があるのですね。これらも一体どうなるのかという感じがするのでありますが、この辺も特段の措置を願わなければどうにもならぬと思うのですが、これにつきましてぜひ積極的なお取り組みのお答えを賜ればありがたいと思います。
#139
○小沢国務大臣 今回の北洋漁業の問題につきましては、本当に特に北海道の漁業者の皆さん、そしてまた漁業の方ばかりではなくて地域全体として非常に深刻であろうと思います。私も党で長く水産部会長をやっておりまして、稚内にも行ったこともございます。そういう時点のときからいろいろとこの北洋については問題も感ぜられておったところでありますが、今回、本当に残念なことでありますが、このような結果になりました。私どもといたしましては、もちろんそれが地域住民あるいは地方公共団体の財政運営に非常に大きな影響を及ぼすのではないかという感じは強く持っております。したがいまして、その点につきましては、先生御指摘のあったような、いわゆる農水省のいろいろなもろもろの政策とともに、自治省といたしましてもこの点につきましては積極的に取り組んでいかなければならない、そのように考えております。
 それから、国鉄のローカル線の廃止の問題につきましても、我が国の文明開化、地域開発は国鉄の敷設とともに歩んできたという歴史もございます。そういう点で、今大きな転換がなされようとしておるわけでありますが、それにかわるべきいろいろな地域の方策を考えていかなければならない、そのように思っております。自治省としても、地域の経済活性化対策とかというようなあらゆる我々で対処できる方策については、その点も十分含めて対処していかなければならない、そう思っております。
#140
○五十嵐委員 どうもありがとうございました。
#141
○福島委員長 吉井光照君。
#142
○吉井委員 最初に、国家公安委員長並びに警察当局にお尋ねをしておきたいと思います。
 けさ方の報道によりますと、私たちが以前から懸念しておったところのアメリカのリビアに対する報復軍事攻撃が行われたようですが、ベルリン事件のようにリビアというのはテロによるところの報復措置に出る、これが大きい特徴でございます。したがって、今回の東京サミットにもやはり何らかの影響を及ぼしかねないのではないか、このように危惧をいたすわけでございますが、まずこの点についての国家公安委員長の見解をお伺いしておきたいと思います。
#143
○小沢国務大臣 リビアとアメリカの紛争の中から、これが直接東京サミット等へ向けてのリビアのそういうゲリラ行為につながるかどうか、これは今の段階で私、断定的なことは申しかねますけれども、いずれにいたしましてもサミット自体が国際会議でございますし、そういった世界のいろいろな国際的な世界情勢から来る影響も十分考慮していかなければならない、そのように考えております。そしてまた、東京で、我が国で行われる国際会議でございますので、このときに何か重大な事件が起きたりするというようなことにもし万が一なれば、それは日本の国際間の信用にもかかわることでもございますし、その点につきましては、先生御指摘の点も含めまして警備の万全を期していくようにいたしたい、そのように考えております。
    〔委員長退席、小澤(潔)委員長代理着席〕
#144
○吉井委員 警察当局にお尋ねしますが、天皇在位六十年記念式典と東京サミットに対するところの過激派による迎賓館、それから皇居等の一連のロケット発射ゲリラ事件で、警察当局の警備態勢も一段と強化されたわけでございますが、これもきのうの報道によりますと、イカロス弾の性能が改良アップされて、そして今までとは比べものにならないほど小型、しかも軽量化されてスポーツバッグなんかに入れて持ち運びができる、これに加えて飛距離も四キロまで可能になる。こうなりますと、今までの警備態勢のままでは不十分ではないかというふうな気もいたすわけでございます。こうした傾向性を考えてみるときに、私はこの際やはり地域住民の何らかの協力を得られるようなそういった手だてはできないものかどうか、こういった点についてお尋ねをしておきたいと思います。
#145
○三島政府委員 お答えいたします。
 ただいま極左暴力集団のゲリラの手段といたしまして、ロケット弾のごときものが開発されて四キロも飛ぶというものがあった場合どうかというお話でございますが、現在までの極左暴力集団のゲリラの手段を見ますと、いずれも発射されましたものはロケット弾ではございませんで、これは発射弾ともいうべきものでございます。ロケットというのはみずから噴射をしてその勢いで前へ推進されるものでありますが、現在まで出ております各種のゲリラの事件に使われましたものは物が発射されるというものでございまして、その物の中には例えば火炎瓶のようなものもございますし、あるいは金属そのものの塊もございますし、あるいはまた砲弾のように中に火薬の入っているものもあるというふうなことであります。そして、その飛距離にいたしましても、過去で最高一番長く飛んだというもので大体千メートルくらいであります。しかし、いずれにいたしましても、彼らがいろいろな形でそのようなゲリラの手段、武器といいますかそういうものをますます高度なものにしていこうという傾向にあることは間違いないわけでありますので、その辺のところも踏まえまして、そのような厳しい情勢だということを前提といたしまして各種の対策をとっていくということが大変大事だと考えているところであります。
 そして、御指摘のように国民の方々にもいろいろな形でもって御協力をいただきながら、そのような極左暴力集団に対します捜査等にも御協力をいただく、あるいはまた警備の面でも御協力をいただくということが大変大切だと思いまして、いろいろな形でもってそれぞれ広報活動その他にも尽力をしているところでございます。
#146
○吉井委員 ついでにもう一点。警察庁の御調査によりますと、全国で昨年一年間の短銃の押収量は史上最高の千七百六十七丁に上る、このように言われておりますが、暴力団の武装化が進むにつれて年々これがふえておって、七年前の約二倍の押収量、このように言われております。これに伴って暴力団同士の対立抗争に絡む発砲事件も三百二十六件、これもやはり前年の二・四倍、このように激増しておるわけでございます。こうした中でこの三日間で山口それから福岡の二県で連続して三件の暴力団のピストル乱射事件が起きて犠牲者も出たわけでございますが、今回のように白昼の住宅密集地で、しかもピストルを使っての突発的な事件に住民は恐怖におののいたようでございます。これは当然だと思います。
 今回の一つ特徴的なことは、そういったいわゆる発砲事件というものが大衆の中に、住民の中に入ってきたということ、こういった点はもう連鎖反応を起こすとよく言われておりますけれども、やはりこういった傾向性、私は大変なことだと思うのですよ。こうした時、所、手段を選ばぬ、法秩序を無視した無法なことは、当然ながら絶対に許されるべきことではないと思うわけです。この山口の事件も、ある報道によりますと、現場近くに住むタクシーの運転手さんの話として、事件前日の夕方乗せた暴力団風の男が近いうちにドンパチがあるかもしれぬ、このようにほのめかしていた、こういうことも言われております。これは一つの例ですが、住民の生命、財産の安全を絶対に守らなければならないとの観点から、こうしたわずかな情報にもやはり敏感になって、早急な事後処理はもとより事前対策等の点からも十分な態勢をとるべきではないか、このように思うわけですが、この点についての御見解をお伺いしておきたいと思います。
#147
○仁平政府委員 暴力団のけん銃発砲事件は、先生御指摘のとおり付近住民にも危害を及ぼしかねないものでありますし、今日暴力団が相当数のけん銃等銃器を不法に所持しておるという事実は、治安上ゆるがせにできない大変重要な問題であると認識しております。こういうことから目下警察といたしましては、けん銃等銃器事犯の摘発は暴力団取り締まりの最重要課題として取り組んでおるところでございます。先生もおっしゃいましたように、昨年は史上最高の千七百六十七丁というけん銃を押収しておるわけでございますが、今後ともあらゆる警察活動を通じましてけん銃等銃器事犯の情報収集、検挙に努めますとともに、関係機関との連携も密にしまして、密輸入けん銃の水際検挙の強化を図るなど、暴力団から一丁でも多くけん銃等銃器を摘発するよう強力に取り締まりを推進していきたいと思います。また、当然でございますが、いろいろな情報を入手した場合には十分な捜査、場合によっては警戒を行うべきでありまして、山口県の事件につきましてもそういった情報を入手してから捜査を展開中に立てこもり事犯が発生したということであります。またへこういった事犯が発生した場合におきましては、付近住民に危害が及ぶことのないように避難誘導等住民の安全確保にも十分配慮して対処しておるところでございます。今後ともそういった方向で努力してまいりたいと思います。
#148
○吉井委員 警察は結構でございます。
 それでは本論に入りまして、自治大臣にお尋ねをしておきたいと思いますが、四十七都道府県の六十一年度の一般会計当初予算案を見ますと、昨年当初に対する伸び率は平均四・三%の増、骨格予算を組んだところの京都それから長崎の二府県を除いた実質的な伸び率では平均四・六%増で、地財計画の四・六%と同水準になっているわけです。一方、六十年度の場合は四・七%増で、地財計画の四・六%増をわずかではありますけれども上回っていたわけですから、六十一年度の当初予算は緊縮型の予算と言えるわけです。このように、六十一年度の地財計画の伸び率は同率であるのに、都道府県の当初予算の規模がやや縮小ぎみである。これは東京都は別といたしまして、ほとんどの道府県が慎重な予算編成をしたことを示しているのではないかと思いますが、自治大臣のお考えはいかがですか。
#149
○小沢国務大臣 ただいま先生御指摘のように、骨格予算を編成しました二府県を除いた予算規模の伸び率は四・六%、これは地財計画と同じ数字になっておるわけでございますけれども、それはそれといたしまして、地方公共団体の場合は地域間の財政力の違い等によりまして、いろいろな各団体の中におきましてはそれぞれの違いがあると思いますし、また、かなりいわゆる財政調整基金等の取り崩しを行ったりいたしまして、その財源の確保につきましては大変苦慮しておる団体もあると思います。そういう中におきまして、それぞれ財源のやりくり等につきましてそれぞれが知恵を出しながら予算が組まれておるのが現状である、そのように考えております。したがいまして、私どもといたしましてもその実情をよく把握し、また、今後の財政運営等を十分見守りながら、今後財政の運営に支障のないようにいろいろと適切な対処をしていかなければならない今日の現状である、そのように考えております。
#150
○吉井委員 ところで、その歳入を見ますと、景気減速を背景として地方税それから地方交付税の伸びが一けた台にとどまる一方で、国庫支出金の補助率の引き下げ等による減額で、どこの団体も財源確保に非常に苦労しておる。今も大臣から御答弁いただきましたように、多くの団体で使用料、手数料の引き上げや財政調整基金など各種基金の取り崩しをしておる。中でも地方税の伸び率は全体で四・五%増と、地財計画の伸び五・二%を大きく下回っているわけでございます。地財計画の伸びを超える団体は四十七団体のうち十五団体にしかすぎない。このような税収見積もりは各地域の経済の実態を反映したものと考えられるわけですが、六十一年度の地財計画の税収の見積もりは少し過大だったのではないかと思うわけですが、いかがですか。
#151
○矢野政府委員 昭和六十一年度の地方財政計画に計上いたしました地方税収入見込み額でございますが、これは昨年末の時点におきまして政府経済見通しにおけるさまざまな指標を基礎としながら、最近までの各税目の課税状況、それから特に法人税関係税につきましては国税の法人税の状況、こういったものを総合的に勘案して、最も適切と考えられる方法で見込んだものでございます。政府経済見通しで見込まれたような経済が推移いたします場合には、この地方財政計画の計上額は確保できるものと現段階では考えております。もとより、経済は極めて流動的でございます。いろいろな変化というものが出てまいりましょうし、また最近における円高傾向の問題、こういったような点もいろいろな影響が出てこようかと思います。今後私どもとしては、日本の経済の動きが地方税収にどのような影響を及ぼすかということにつきましては、経済動向を見きわめながら慎重に判断をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#152
○吉井委員 六十年度の補助金の補助率引き下げに伴うところの地方財源の不足については、その約八〇%が起債の増発によって補てんされて地方財政の運営に支障がないようにした、政府はこのように再三おっしゃっているわけですが、私たちの調査によりますと、とてもそんなことはないように思うわけでございます。起債の配分方法に問題があることは先日の連合審査でも私は指摘したわけでございますが、そのほか起債配分が年度末に決定されるために、それまでの間慢性的な資金不足、そして借入金の利子がかさむ、資金調達、管理のための事務がふえる等、こうした問題も出てきているわけでございます。また、起債を増発し、起債の充当率を通常の場合よりふやしても一〇〇%の充当率にはできないわけですから、やはり何がしかの一般財源が必要になるわけです。その一般財源が税収の伸びの鈍化で十分確保ができない、公共事業の執行がこれまた円滑にいかない、さらに起債を増加してもらっても起債残高がふえるだけで、将来の償還能力に不安があるから思い切って公共事業の執行もできない、こういう声も少なくないわけでございます。このような地方団体の現場の生の声といいますか、こうした点を自治省としてはどのようにとらえられているか、どのように判断をされていらっしゃるのか、この点についてお聞きをしておきたいと思います。
#153
○花岡政府委員 地方団体の財政運営におきまして非常に厳しいということでございます。確かに、六十年度におきまして各地方団体の状況を見ておりますと、二月末の道府県税のいわゆる調定状況と申しますか、これを見ておりましても、福井県のように一六%を超えて伸びているところもございますれば、大分県のように前年度よりも税収が減っているというふうな団体もあるわけでございます。税全体といたしましては、計画計上額は確保できる見通しにはございますけれども、平均的な税収を確保できないという団体がかなりございます。こういう団体におきましては、その年度の財政運営というのは実に大変であろうと私どもも考えておりますし、そういった意味で、各団体の財政事情をそれぞれ十分お聞きいたしながら、起債の配分におきまして各団体の財政が六十年度におきまして支障のないように措置をいたしたところでございます。
 この傾向といいますか、税収のばらつきというものは、六十一年度においてもやはり続くのではなかろうかというふうに私ども今見ておりまして、この点につきまして、今後とも交付税の配分なりあるいは地方債の許可に当たりまして、各団体の財政状況というものを十分に勘案しながら運営に支障のないように措置をしてまいりたいと考えております。
#154
○吉井委員 六十一年度の補助率引き下げに伴うところの財源不足の補てんのための起債増発分が九千三百億、これは六十年度の四千八百億に対して約二倍増ですね。果たしてこのような対策で地方財政は円滑に動いていくのか、疑問に思うわけでございます。六十年度に対する六十一年度の都道府県当初予算の投資的経費の伸び率、これが二・三%で、既に地財計画の二・五%を下回っているわけでございます。これは先ほどもちょっとお触れになったように、円高不況等で地方税の伸びが鈍化する点、また、公債費比率の上昇を懸念しているあらわれではないかと思うわけですが、地財計画の伸びは予定どおり達成できるでしょうか、この点いかがですか。
#155
○花岡政府委員 先ほど大臣からもお答えいたしましたように、骨格予算を編成をした二府県を除いて見ました場合の伸び率というものは、全体として四・六%に劣っておるわけでございます。公共事業あるいは単独事業等につきまして、これからいわゆる補正というものも考えられますし、また地方団体におきましても、当初見込みにおきましては公共事業の配分のいわゆる箇所づけがどうなるかというふうなこともございまして、後に送っておる団体もかなりございます。そういった点から見まして、私どもとしましてはこの計画に計上されております投資的経費、これは十分に執行されると見ておりますし、また、先ほど申し上げましたような税収の伸びの悪い団体、特に東北、九州方面でございますが、こういう団体におきまして今後公共事業の執行見込みがどうか、十分消化できるかというふうなことも個別に問い合わせをいたしております。その結果、各団体とも今年度におきまして公共事業の計上は確保するという返事が返ってきておりますので、この計画計上額は当然に各団体において予算化されるというふうに考えております。
#156
○吉井委員 そこで六十年度の地方財源対策では、経常経費の補助率引き下げによる交付団体の影響額二千億の二分の一の一千億については交付税の特例加算があり、一般財源で措置をされたわけでございます。ところが、六十一年度はたばこ消費税の引き上げによるところの交付団体分八百五十億、それから交付税の特例加算の千二百億、これを足しても二千五十億ですね。交付団体の影響額の二分の一の二千四百四十億には達しないわけでございます。そうして、その差の約四百億は六十六年度以降に加算するとして先送りされておる。そこで六十一年度は、その影響額は倍増しておるのに一般財源による補てん額の比率が六十年度よりも低下をしておるということは非常に不合理ではないか、このようにも思うわけですが、いかがでしょうか。
#157
○花岡政府委員 国庫補助負担率の引き下げによります地方財政の影響額一兆一千七百億円でございますが、このうち二千四百億円のたばこ消費税の税率の引き上げ及び交付税の特例措置を除きました九千三百億円について起債の増発をしたところでございます。
 私ども、この補てんに当たりましての考え方としましては、昨年度と同様交付団体につきましての半分の額、これにつきましてはいわゆる現金といいますか、起債でなく一般財源で措置をいたしたいということで折衝いたしたわけでございまして、その結果この二千四百四十億円というものは、いわゆる交付団体につきましては二千五十億円でございますが、これを除きましてさらに三百九十億円足らない、この分につきましては現在国の財源が手当てができないというならばこれは将来でもやむを得ない、将来において交付税に加算していただかなければならないということで、この四百億円というものを六十六年度以降に加算をするということで、結果といたしましては、昨年度交付団体の二千億円の半分の一千億円でございますが、この交付税の加算と同様の結果が得られますように、この四百億円を合わせて交付団体分の半分二千四百四十億円の措置をしたということでございます。また、残りの二千四百四十億円、これにつきましては、六十年度の場合と同じように、今後六十六年度以降において加算することを建前といたしまして、なおその取り扱いについてはこの暫定期間終了後、自治、大蔵両省で話し合いをするという措置を講じたところでございまして、結果的には昨年度と同じような比率に一般財源による財源措置が講じられるということでございます。
#158
○吉井委員 今回の補助金整理一括法案によりますと、補助率の引き下げ措置は少なくとも今後三年間は続くことになるわけですが、この間起債による補てんで不足財源の八割を占めるような財源対策が続くことにつきましては、我々の調査でも、地方団体が非常に大きな懸念を示しているわけでございます。去る八日には、政府は公共事業等の大幅な前倒しを決定されました。年度後半には公共事業等の追加も予想されるところですが、今後このような起債によるところの財源対策を続けると、地方団体による公共事業や単独事業の実施が非常に困難になるのではないか、このように懸念をするわけでございますが、いかがですか。
#159
○花岡政府委員 国庫補助負担率の引き下げに対する財源措置におきましても、一般財源で措置できれば望ましいわけでございますが、現在の財政環境が非常に厳しいために起債に頼らざるを得ない状況になっております。もちろん、後年度の起債の元利償還金につきましては、交付税等によりまして各団体の財政運営に支障のないようにしてまいるつもりでございます。
 御指摘のように、公共事業の前倒しあるいは内需拡大のために起債を使ってやることができるのかということでございますが、公共事業につきましては、地方財政計画におきまして、それに対する財源措置といたしましての一般財源並びに起債の措置、それから単独事業につきましては三・七%の増加ということで計画に計上いたしております。しかし、今後これらにつきまして、特に最近、地方債による内需の拡大というふうなこともいろいろ言われておるようでございます。起債だけでこういった地方単独事業ができるのかという点は、いろいろ難しい点があるのではなかろうかと私どもも思いますけれども、これは各地域におきます財政の運営といいますか、財政のねらいをどこへ持っていくかということもあろうかと思います。私どもといたしましては、公共事業にいたしましても各単独事業にいたしましても、地方財政計画にその財源措置を的確に計上いたしておりますので、これによって措置をしていただけるものと考えております。
 なお、その元利償還金につきましては、後年度におきまして、各年度の地方財政計画におきまして所要の交付税を確保して、財政運営に支障のないようにしてまいりたいと存じております。
#160
○吉井委員 この点につきまして、ちょっと大臣にお伺いしておきたいと思うのですが、昭和五十年代の地方財源の不足に対する補てんの方法は、起債が五〇%以下で他は一般財源という形が一般的な形であったと思います。
    〔小澤(潔)委員長代理退席、委員長着席〕
起債による補てんのウエートが八割というのをもっと下げて、一般財源のウエートをもっと高める方策を今後講じていかなければならないと思うわけですが、大臣の御見解はいかがでしょう。
#161
○小沢国務大臣 先生御指摘のように、地方の財源不足に対応いたしまして、地方税や地方交付税やそういう一般財源で本来補てんすべきものであるし、それが望ましいことであろうと思います。今日、どうしても起債に頼らざるを得ないという状況下にあるわけでございまして、そういう点につきましては先ほど来政府委員が述べておるように、我々は支障を来さないようにしなければいかぬのでありますが、それはそれといたしまして、先生御指摘のように、地方の税源等をその仕組みの中で我々も考えてつくっていきながら、地方税収が上がる、また交付税も確保できる、そういう地方税源の充実というところに力点を置いて今後取り組んでいかなければならないということは御指摘のとおりであろうと思います。
#162
○吉井委員 六十年度の補助率引き下げに伴う地方財源対策では、経常経費の交付団体の負担分のうち、一千億を昭和六十六年度以降の交付税に加算するわけですが、その取り扱いについては六十一年度以降の補助率のあり方を踏まえて大蔵、自治両省間で調整するという覚書が昭和五十九年の十二月二十二日にあったわけでございます。そこで、私は、昨年四月十六日の当委員会で、六十六年度以降に加算する旨を交付税法にきちんと明記すべきではないかということを主張したわけでございますが、自治省からは、大蔵省の要請を受け入れて、一年間の補助率の検討後にどうするか両省で改めて調整する、こうした旨の答弁があったわけでございます。しかし、今回の改正案の中には依然としてこのことが明記されておりません。したがって、一体どんな調整が行われたのか、この点についてお尋ねをしておきたいと思います。
#163
○花岡政府委員 御指摘の一千億円に相当する額につきましては、暫定的に昭和六十六年度以降に精算すべき地方交付税の額に加算するものとしたわけでございます。その取り扱いについては、国庫補助負担率のあり方についての検討の結果を待って調整するという約束をいたしておりました。これが六十一年度の地方財政対策に際して結ばれました自治、大蔵大臣の覚書におきまして、昭和六十一年度における補助負担率の引き下げ措置に伴う補てん措置の一環として、昭和六十六年度以降に暫定的に加算することとされている二千四百四十億円、これの取り扱いとあわせて、暫定期間の終了後に自治、大蔵大臣で調整するということになったわけでございます。
 結局のところ、一年間検討の結果ということであったわけでございますが、今回六十一年度の国庫補助負担率の引き下げ措置が三年間の暫定とされたわけでございますので、これとあわせて暫定期間の終了後に両省間で調整をするということに改められたものでございます。
#164
○吉井委員 六十一年度の地方財源対策を講ずるに当たって、昭和六十年十二月二十一日の自治、大蔵両省の覚書で、六十一年度の二千四百四十億円とともにその決着が三年後に延ばされてしまったわけでございますが、六十年度の補助率の引き下げは既に実施されたわけですから、六十年度の一千億については延ばす理由がないような気もするわけですが、いかがでしょう。
#165
○花岡政府委員 一千億円につきましてはもともと六十六年度以降に加算するという約束になっておるわけでございますので、一応六十年度は済んだわけではございますが、まだ両省間で調整する時間があるということと理解しております。
#166
○吉井委員 六十年度の一千億と六十一年度の二千四百四十億は六十六年度以降必ず交付税に加算すると、ここではっきり明言できませんか。
#167
○花岡政府委員 昨年度の一千億円というものでございますが、昨年度補助率のカットが行われました際、私どもとしてはこれは将来でもいいから全部補てんする措置を講ずべきであるというようなことを主張いたしました。しかし、結局、国の方でもそういう財源には非常に自信がないということもございます、また、今回、六十年度におきます補助率、これは一年かけて見直しをしよう、六十一年度以降の補助率については一年間政府部内において検討するということになったわけでございまして、その検討の結果どのような補助率が正しいという結論が出るかまだ不明である、そういったこともございまして、この一千億円につきましては六十六年度以降加算するという地方団体の要望と申しますか、そういった措置を講ずることを原則、建前としながらも、この一年間の検討の結果、両省間でその取り扱いについて調整をしようということになったわけでございます。そういった意味合いのものでございますので、今回の二千四百四十億円もまさしくそのような形でございまして、建前といたしましては当面加算の約束ということになっております。しかし、なお両省間で調整の余地があるということに今なっておるものでございまして、法律に明示するというところにまで至っておらないものでございます。
#168
○吉井委員 何とも後口の悪い気がするわけですが、それはそれとして、三年間の暫定期間の取り扱いについて、非常にしつこいようですけれどももう一遍大臣にお尋ねをしておきたいのです。
 去る十一日の連合審査で、大蔵大臣は私の質問に対して、生活保護費の補助率だけが決まらなかったために今回の補助率引き下げを全体として暫定措置とせざるを得なかった、このように答弁をされたと記憶しておるわけです。そうしますと、生活保護費の補助率さえ確定するならば今回の引き下げ措置はすべてそのまま恒久化されることになるわけですが、大臣はどのように理解していらっしゃいますか。
#169
○小沢国務大臣 特に、社会保障関係のいろいろな事務事業の見直しの中で生活保護が金額的にもあるいは問題的にも非常に重要なことであることは言うまでもないと思いますけれども、三年間の暫定措置にいたしましたのは、今後ともその他の分野においても事務事業等あるいは役割分担等のあり方を検討していかなければならないということからこの暫定措置ということになったのであろうと思います。いわゆる児童や老人等の問題につきましてはかなり事務事業の見直し、権限移譲等も行われましたから、この点につきましてはある程度の結論を得たということが言えるかもしれませんけれども、その他にもまだまだあると思います。そういう意味におきましては、今後この暫定期間内にさらに検討が加えられて、その結果によって補助負担率というものが決められていくべきものである、そのように解釈しておりますので、当然、暫定期間内に検討するという趣旨からして、これが全部恒久的なものとは私どもは考えておりません。
#170
○吉井委員 じゃ、念押しのためにもう一度繰り返しますけれども、さきの補助金問題検討会の報告は、国、地方間の役割分担、費用負担のあり方について検討した結果、個々の補助率について結論が出たものと考えていない、このように思うが、どうですか。
#171
○小沢国務大臣 基本的にはそのように私も考えております。ただ、今ちょっと申し上げましたように、児童、老人、障害者等の四つの点につきましてはある程度の見直しも行われ、結論も得たであろうというふうに考えておりまして、その他のことについては基本的に御指摘のように考えております。
#172
○吉井委員 次に、円高差益の還元の問題についてちょっとお尋ねしたいのです。
 過去における電気税の当初見込みとその実績を比較してみますと、昭和五十三年度の場合は当初見込みよりも実績が下回っておりますが、その前後の年は逆に実績の方が上回っていて、極めて対照的なわけでございます。この原因は一体何なのか、お尋ねしたいと思います。
#173
○矢野政府委員 お尋ねのように、昭和五十三年度の電気税収入は、計画額二千三百十五億円に対して最終的な決算が二千二百九十四億円でございますので、約一%ぐらい下回っておるわけでございます。昭和五十三年におきましてはやはり電気料金の引き下げが行われまして、御承知のように電気税は電気料金を課税標準にいたしておりますので、その影響が出たためにこのように下回ったものでございます。
#174
○吉井委員 私は、その原因は当時の円高差益の還元による暫定料金制で電気税収入が減少したことによるもの、このように考えておるわけです。ところで、政府が去る八日に決定した総合経済対策では、電気、ガスの円高差益の還元、暫定的な料金の引き下げで約一兆円が還元されることになっております。やはりこの程度では還元額が少ないように思うわけですよ。仮にこれによるとした場合、例えば電気税はどのくらいの減収になるのか。先日、我が党の小谷委員の質問に対しまして自治省は、まだ計算をしていない、このように答弁されたわけですが、五十三年度の還元のときも電気税収入は当初見込みを下回ることになった。今回の還元規模は政府試算を前提としても当時の二倍以上になるわけですね。常識的に見ても六十一年度の電気税減収は必至と言わざるを得ない。電気税に依存しておる団体も決して少なくないと私は思いますが、早期にその減収額を計算して必要な対策を講じなければならない、このように思うわけですが、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
#175
○矢野政府委員 御指摘のように、電気、ガス事業に係を円高及び原油価格の低下に伴う差益につきまして、去る四月八日の経済対策閣僚会議におきまして決定をされました総合経済対策の中で、電力九社、大手ガス三社に係る需要者の暫定的料金の引き下げという形で還元をすることに決められたわけでございます。ただ、その具体的な方策につきましては、早急に検討を進めるということで、現在の段階ではまだ具体的な還元額、還元方法等が決まっておりませんので、まことに恐縮でございますが、どの程度になるかというような点についてはまだお答えを申し上げかねるところでございます。
 一兆円というようなお示してございますが、家庭用電気につきましては、御承知のように免税点制度等もございますし、あるいはそういった料金引き下げによって免税点以下の料金になってくる方々の比率等、いろいろ複雑な計算の要素もございます。したがって、その点では、まだ現段階ではお答え申し上げかねるわけでございます。昭和五十三年度を例に引いてのお尋ねでございますが、昭和五十三年度におきましては、電気料金の引き下げに伴いまして、このときには、最終的に引き下げによる理論的な減収額を約百億円程度、このように計算をしたわけでございます。結果的に、電気税の計画に対する減収額と申しますか、計画を下回った額は約二十億程度にとどまったわけでございます。
 電気税の場合には、もとより料金の引き下げが行われますれば、それに従って理論的には電気税の収入が減るということはまさに御指摘のとおりでございますが、ただ、一方におきましては、電気料金の引き下げに伴う消費者の需要の動向あるいは特に家庭用電気等はその年の天候、気象などにかなり大きく左右をされるというような点などもございます。また、経済の動向にも関係があろうかと思います。最終的に電気税がどのような税収実績を示すかという点につきましては、現段階から予測することはなかなか困難でございますけれども、そういった点を全部含んで電気税の動向がどうなるかということは、我々としても慎重に見きわめていきたいと思います。
 また、一般的に電気税は比較的普遍的な税金でございますが、それによって財政的に非常に大きな影響を受けるというような団体が六十一年度の財政運営の後半の時点で出てくる、仮にそういうようなことになれば、またそれなりに必要な財政上の措置、配慮というようなものは必要になってこようかと思いますが、現時点におきましては、そういった点で我々としても十分この点は関心を持ち、慎重にやはり判断をし、対処をしてまいりたい、このように考えております。
#176
○吉井委員 それでは、地価の騰貴の件につきまして国土庁にちょっとお尋ねをするのですが、去る一日発表の国土庁の土地公示価格では、東京それから大阪、名古屋などの都心の商業地が四〇%から六〇%と異常な値上がりを見せているわけでございます。したがって、そのあおりで隣接の住宅地までも値上がりを始めた、このようにも言われておるわけですが、既に大蔵省は、金融機関に対して投機的な土地融資抑制を指導を行って、また、国土庁は、国土利用計画法によるところの土地取引の届け出対象の拡大について地方団体を指導する、このように言われておりますが、この程度の対策で土地価格の騰貴を抑えることができるのかどうか、国土庁のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#177
○天本説明員 去る四月一日に地価公示を発表いたしまして、全国では全用途平均で二・六%の上昇ということでございますので、安定的な地価動向かと思いますが、先生御指摘のように、東京の都心三区、商業地では五三・六%と申しますように、東京においては、商業地それから周辺の住宅地で非常に高い地価上昇が出ているわけでございます。現在、東京都との間で国土庁は連絡会議を持ちまして、総合対策を講ずるべくいろいろ検討いたしまして、最終の詰めに入っているわけでございます。
 先生御指摘のように、国土利用計画法につきましては市街化区域内で二千平米以上のものについて届け出対象になっておりますが、東京都心部におきましては非常に宅地が狭いということがありまして、なかなか対象が少ないわけでございます。このため、これを引き下げまして国土利用計画法の的確な運用を図りたいということで、この点についても、今、東京都と検討を進めでおります。これによりまして、投機的土地取引を防止することに対して有効な施策になるというふうに思っております。
#178
○吉井委員 都心部の土地急騰対策として土地の需給緩和に取り組むことは非常に結構なことだ、このように思うわけですが、これも、去る八日決定の総合経済対策での都市の再開発や高層化のための規制緩和では、かえって地価騰貴を促進するのではないか、このような見方もされているわけでございます。
 そこで、せっかくの民活による内需拡大も、土地価格の上昇をもたらして国民生活を混乱させることになったとするならば、これはもう全く矛盾でしかないわけですね。そして住宅地の値上がりは必然的に固定資産税にはね返るわけですから、次の評価がえの昭和六十三年度にはまた税額が一段と上がることになると思うのです。その結果、都心やその周辺には人が全く住めなくなってしまうような事態さえ想定をされるわけですが、このようないびつな都市構造がつくられることになる民活のあり方について、国土庁の御見解をお伺いしたいと思います。
#179
○天本説明員 今回の、東京都の都心部を中心にします地価高騰の基本的な原因は、この地域で事務所ビル用地の需要が極めて旺盛でございまして、これに対応する供給というのが都市構造上なかなか追いついていないというのが基本的な要因だというふうに考えております。したがいまして、規制緩和あるいは用途地域の変更等の都市再開発を促進する施策が進みますと、こういう地域におきましてオフィスの床供給の増加を図るとか、あるいは居住空間にも余裕ができる、そんなことで需給関係の緩和を期待することができると思っております。
 ただ、先生御指摘のように、個々の土地につきましては場合によりますと利用形態が変わるというようなことから、その場所につきましては地価が上がるということも考えられるわけでございます。これがいたずらに投機的な動きに結びつくというようなことは厳に戒めおければいけないといいますか、政策的にもいろいろ慎重な配慮が必要ではないかというふうに思っております。
#180
○吉井委員 そこで自治省にお尋ねするのですが、土地の固定資産税は昨年度の評価がえの結果、現在でも全国平均で年一〇%もの引き上げになっておるわけですが、都心やその周辺ではもっと高いものになってきているわけですね。その結果、収入が伸びない人々に大きな影響を与えているわけですが、特にお年寄りの皆さん方に与える影響は無視できないと思うのです。老人の年金は、この四月から物価上昇程度の伸びしか見込めない。にもかかわらず、米価、さらに運賃等の各種公共料金の値上げ、そして今度は、やがて老人保健法の改正によって医療費の大幅引き上げが予定をされておるわけです。また、二度にわたるところの公定歩合の引き下げで貯金も著しく目減りをしておる。その上、固定資産税は年々大幅に引き上げられる。加えて既に始まっている都心やその周辺の住宅地の値上がりはますます激しくなってくると思われるわけです。
 そこで、自治省は、固定資産税の性格上、地価が上がれば税金もふえるのが当然だ、このようにおっしゃるわけですが、収入がふえないで、また働きたくても肉体的に働けない、こうしたお年寄りの方々にはこれではたまったものではないわけです。固定資産税制度のあり方、こういったものについてこの際抜本的な検討をすべきだと思いますが、政治家としての大臣のお考えはいかがでしょうか。
#181
○小沢国務大臣 この固定資産税のそもそもの本質は、資産を保有する、その資産価値に対してかけられるものであろうと思います。したがいまして、その点につきましては、資産の価値が上がれば税も高くなるという理屈の上では仕方ない、そういうことになるであろうと思います。
    〔委員長退席、西田(司)委員長代理着席〕
 ただ、今日、例えば都心部に、資産価値として保有するのではなくて、居住用の不動産として家屋にしろ土地にしろ持っておる、そういうような方につきましては、都心にそのような居住をしている状況がどうかというまた別の議論もあるかもしれませんけれども、基本的には特に長年ずっと住みなれておる、そしてそこをずっと住まいとして一生使いたいというような方の場合には、今日の地価上昇による固定資産税の増加、その点につきましては行政としてもできる限り配慮していかなければならないであろうと思います。
 現実に居住用のものについては四分の一、二分の一の軽減措置が加えられておるわけでございますけれども、これはなかなか難しい議論ではあると思いますけれども、例えば年金生活者とかお年寄りのような方が純粋に居住用に供しているという場合は、これはやはりそれなりにもっと対応していい面もあるのではないか。また、資産価値の増加、その財産の継承という点では相続とかいろいろな面での課税もあるわけですから、その点についてはそう考えます。現実問題として、どの辺が本当の兼ね合いなのかなという点については明確に数字を示してお話はできませんけれども、何となくそういう感じは私も強く持っておるところでございます。
#182
○吉井委員 そこで、地方税制のあり方について、ちょっと大臣の御見解をお尋ねしておきたいと思うのですが、中曽根総理の言われるところの税制改革においては、所得税、それから住民税、法人税等の減税、増税だけではなくして、新税の創設まで検討する、このように言われているわけです。しかし、戦後税制の見直しによって、現在まで営々として築き上げられてきたこの地方税の諸原則までが否定されてはならない、このように思うわけでございます。例えば租税総額に占める地方税の比率は先人の苦労で徐々に高められてきたわけですが、六十一年度見込みでは三七・三%に達しているわけです。このような比率を税制改革の中で下げることが絶対にあってはならない、このように思うわけですが、大臣、いかがですか。
#183
○小沢国務大臣 今、抜本改正の議論をしているところですので、具体的にどうこう申し上げる立場でありませんが、今の地方税収、そして地方税源の充実という観点でとらえなければならないのではないかという御指摘ですが、その点につきましては全く私どもも同様に考えております。例えば所得税減税が今仮に行われるとすれば、固有の財源である交付税の三税の問題にも絡んでまいります。あるいはその他いろいろ議論されておるのでありましょうけれども、それらのいろいろな議論の中で地方の税収を図る地方税源の充実という観点で、この抜本改正の中でもぜひ私どもとしてはそういった仕組みを制度的にもつくってまいりたい。先生の御指摘を踏まえまして、今後もそのように取り組んでいきたいと思っております。
#184
○吉井委員 さらにもう一点は、戦後の地方税制で確立された原則に地方税独立税主義というのがあるわけですが、税務効率のみを追求するのはおかしなわけで、みずから額に汗することによって初めて住民の手による地方自治が成立するものと思うわけでございます。税制改革の中で地方税のこの独立税主義が後退するようなことが絶対にあってはならない、このように思うわけですが、もう一度ひとつ自治大臣の御決意をお聞かせ願いたいと思います。
#185
○小沢国務大臣 この独立税の制度は、先生御指摘のように、特に戦後地方自治の本旨に基づきまして地方自治体が自主的に身近な住民の行政を行っていくという考え方のもとにとられた制度であると思います。したがいまして、そういった地方自治の基本的なあり方、基本的な原則というものは税制の仕組みの上においても堅持されていかなければならないのではないか、そのように考えております。
#186
○吉井委員 それでは次に、新産・工特の件につきましてちょっとお尋ねをしておきたいのですが、現在、新産・工特地区の事業については、都道府県に対して地方債の充当率の引き上げと利子補給、それから市町村に対しては補助率のかさ上げが行われて、今回の改正案ではそれらの適用期限を延長するとともに特例措置の軽減が行われておるわけでございます。
 ところで、この財政上の特例措置の過去数年の実績を見ますと、市町村の補助率のかさ上げによる措置額が、新産では五十六年度百六十一億、五十七年度は九十八億、五十八年度は九十億、五十九年度は七十三億、このように急減をしております。それから、工特ではさらに三十八億、二十二億、十億、四億と、わずか三年足らずで十分の一に急減をしておるわけですが、この理由は何でしょうか。
    〔西田(司)委員長代理退席、委員長着席〕
#187
○花岡政府委員 新産・工特地区に対する国のかさ上げ措置額が下がってきておりますのは、このかさ上げ措置が標準負担額を超えて事業を行う団体に対して行われるものであるということになっておりまして、国の厳しい財政事情のもとで公共事業が抑制されたことによりまして、各団体におきますこの標準負担額を超える特定事業の実施額が減少してきているということがその主な原因でございます。
#188
○吉井委員 我々の工特地区の市の調査によりますと、補助率の引き上げが全くない市のほか、引き上げ率がだんだんと低下してきて六十年度には引き上げがなくなってしまう市あるいはその低下によって補助金額が減少している市などが目立っているわけです。そして、全国的にも新産・工特地区の市町村でありながら補助率の引き上げ率が出ない市町村が増加しておるようでございます。昭和五十六年度に新産・工特地区の市町村数は三百五十四団体であったのが、そのうち五十六年度から六十年度までの間、その引き上げ率が出ない市町村の数がおのおの幾らあるのか、お示しを願いたいと思います。
#189
○花岡政府委員 新産・工特地区内の対象市町村でかさ上げ措置が行われていない市町村は五十六年度で二百八市町村、五十七年度で二百三十七、五十八年度で二百四十五、五十九年度で二百七十市町村でございます。
#190
○吉井委員 我々の調査で補助率の引き上げ率が出ないあるいは小さい市の状況を調べてみますと、引き上げ率が出るほど多くの公共事業をやっていないわけですね。つまり国の公共事業の抑制とか、また地方団体自体が公債費負担比率が上昇しているとか、いわば財政の窮迫しているところに原因があるようです。そこで、自治省は、この引き上げ率の出ない市町村数が多い原因についてはどのようにお考えになっているのか。
#191
○花岡政府委員 先ほども申し上げましたように、このかさ上げ措置が各団体におきまして特定事業の標準負担額を超えて事業を行う場合に適用されるということでございますから、これらの団体につきまして特定事業の事業量がこの標準負担額を超えていないというのが原因でございます。そのさかのぼっての原因といたしましては、御指摘のように公共事業が伸びていない、総額が伸びていない。また、公共事業の配分におきましても、いわゆる後進地域の傾斜配分といったようなことも行われることも響いておるのではないかと考えます。
#192
○吉井委員 ところで、例の補助率の引き下げの一括整理法案は、市町村の補助率のかさ上げ対象となっている各種の事業についても適用されると思うのですが、いかがですか。
#193
○花岡政府委員 補助金一括法によります補助負担率の引き下げは、もちろんこの関係のいわゆる特定事業と申しますか、それらの事業についても適用されるわけでございます。
#194
○吉井委員 そこで、今回の改正案によりますと、市町村に対する補助率のかさ上げの算式が改正をされまして、財政力による調整が一段と強化をされているわけです。しかも一括法案によるところの補助率引き下げも適用になるということで、今後、市町村に対する国の財政措置額は今まで以上に減少することになるわけですが、市町村に対する国の財政援助の意味がそれでは失われることになるのではないか、このようにも懸念されるわけですが、いかがでしょう。
#195
○花岡政府委員 先ほど申し上げましたように、この補助金特例法によりまして、ベースとなる国庫補助負担率が引き下げられる場合には当然その引き下げられた国庫補助負担率に対してか省上げが行われることになるわけでございますから、この結果市町村に対するかさ上げ額も縮減されることになります。しかし、この縮減額につきましては臨時財政特例債で補てんすることといたしております。そういうことでございますので、財政力の調整を強化することがさらにダブって打撃になるというふうなことはないわけでございます。
 ただ、財政力調整の強化といいますのは、二十年以上にわたりまして財政上の特別措置を講じてきたところでもございますし、地域によって差異はございますけれども、各地域の経済力あるいは財政力というものも、この法の趣旨に従って制度創設当時に比べますと非常に高まってきておるというふうな背景があることを勘案いたしまして、このような措置を講じたものでございます。
#196
○吉井委員 そのかさ上げ措置ですが、補助率のかさ上げの算式でも、市町村の事業負担がその市町村ごとの標準財政規模の一〇%を超えるとかさ上げになるとしているわけですが、この一〇%という数字は二十年来変わってないわけですね。しかし、最近の市町村の財政状況を考えますと、標準財政規模の一〇%というのはちょっと大き過ぎるのではないか、このようにも思うわけですが、いかがでしょう。
#197
○花岡政府委員 この一〇%という数字は、昭和三十六年度から昭和三十八年度までの三年間におきまして大都市及び特別区を除きました全国の市町村が新産・工特等の財特対象事業に通常投入しております標準的な負担、これの全国平均をとった場合に、その市町村の標準財政規模の一〇%程度であったということから採用されたものでございます。これがずっと二十年間続きましたけれども、最近の実績を見ましても、例えば五十四年度から五十八年度の平均ではまだ一〇・八五という状況でございますので、この率をそのままにしたということでございます。
#198
○吉井委員 今回の改正案では、その事業量の方の制限を緩和するのではなくして、財政力による調整を強化しようとしているわけですが、このため、せっかく事業量で補助率が引き上げられることになっても、財政力によってはその引き上げの最高八割までがカットされることになっているわけです。これでは財政力による調整の方にウエートがかかり過ぎて、事業量の多さによって補助率を引き上げようという財政特例の本来の趣旨に反することになるのではないかと思うわけですが、いかがですか。
#199
○花岡政府委員 市町村に対する補助負担率のかさ上げにつきまして、財政力の調整を強化することにしたわけでございますけれども、このかさ上げというのは、字のとおり、元来通常の財源措置を超えるかさ上げ措置ということでございますし、また財政力調整というのは財政力の強い団体ほど影響が大きくなる。しかし、財政力の弱い団体については、改正はほとんど影響ないというふうに仕組んであるわけでございます。したがいまして、財政力の強い団体、しかも二十数年この適用を受けてきておるわけでございますから、こういう団体につきましては、特別さらにこれを今までどおり継続しなくても事業が遂行できると考えております。
#200
○吉井委員 じゃ、ちょっと国土庁にお尋ねしておきたいのですが、約二十年前の新産・工特の指定当時は、国の政策に従って臨海地帯の新産・工特地区にはいわゆる基礎素材型産業が張りついたわけです。しかし、今や基礎素材型から先端技術型へと産業構造の変化が進行して、先端技術型産業は臨海ではなくして臨空で、それで内陸にどんどん立地しているのが現状と思うのです。そして新産・工特の基礎素材型企業は業種転換で撤退するという動きさえ見られるわけです。現に山口県下におきましても最近実例が出てきているわけですね。
 昨年十一月十五日の国土審議会の答申は、新産・工特地区について「基礎素材産業の活性化、高付加価値産業の誘致、育成」、このように言っているわけですが、これはどの地域にも当てはまることを述べているにすぎないのではないかと思うわけです。また、去る九日の今後の建設整備基本計画の策定指針でも、高速道路や空港への道路整備とか試験研究施設の拡充とか、テクノポリスと同じことを述べているわけですが、新産・工特の地区指定以後にも、同じように大都市への人口や産業の過度集中の防止、それから地域格差の是正などの目的を持った地方の開発方式が、定住圏であるとかテクノポリスとかいろいろな形で打ち出されているわけです。しかし、国の財政援助措置があることから見ても、新産・工特は最も重要な開発方式だと国は判断をしておるんだ、このように見ていいのかどうか、この点お尋ねをしたいと思います。
#201
○塚本説明員 ただいま御指摘のとおり、新産・工特制度につきましては制度発足以来もう二十年を経過しております。その間、新産・工特制度を取り巻く環境というものは非常に大きく変化しております。私どもの方もそういった環境変化というものを十分踏まえる必要があるということで、先ほど御指摘のございました国土審議会の答申をいただく前に相当審議を重ねていただきました。その結果我々といたしましては、新産・工特地区というものは、これは一つの指標でございますけれども、東京、大阪、名古屋といった三大都市圏を除きます地方圏の中では相当産業集積といったものが積み重ねられておるということで、例えば専門的技術者の数を見ますと、そういった地方圏の中で大体三五・九%ぐらいが新産・工特地区である。あるいは試験研究施設というものを見ましても大体三二%ぐらいが新産・工特地区にあるということで、新産・工特地区には相当産業集積が重ねられているのではないか。そういった産業集積というもの踏まえまして――確かに先生から今御指摘がございましたように、基礎素材産業につきましては、二度の石油ショックの結果その経済環境は非常に厳しいものがございますが、基礎素材産業におきましても新しい開発の方向というものを目指しておりますし、それからまた各地区では高付加価値産業の導入といったことも考えておりまして、環境変化に対応した新しい開発の方向に沿って、これまでの産業集積あるいは都市集積といったものを活用して地区の活性化を図っていこうと考えているのではないかと思っております。
 私どもといたしましては、今後昭和六十一年度を初年度といたしまして新しい第四次の新産・工特地区の基本計画を検討しております。これは各地区ごとに各道県が策定されるということでございますが、その過程では、例えば高速道路あるいは空港といった高速輸送体系との連携、あるいは既存の産業基盤の活用等、近年の環境変化に十分配慮した基幹的施設の整備、あるいは先ほど御指摘のございました試験研究施設の拡充、こういったものを通じまして、環境変化を踏まえて地区の活性化を図ってまいりたいと考えております。
#202
○吉井委員 では、時間がありませんのでちょっと大蔵にお尋ねをしておきたいと思います。
 三年間の暫定期間のことですが、今回の補助率の引き下げ措置は、一年でなく今後三年間の暫定措置とされたわけですが、三年というのは補助金問題検討会の報告にも、またその上部機関である補助金問題関係閣僚会議でも決めていないわけですね。大蔵大臣は、この三年は税制改革との関連で決めた、このように昨日答弁をされているわけですが、どんな関連があるのですか。
#203
○岡田説明員 お答えいたします。
 先ほど先生の御質問を伺っておりまして、先般の連合審査のときに大蔵大臣の方から、生活保護の問題が両論併記になっておるためという答弁があった、また、今、税制改正との絡みがあるという答弁があったという御指摘でございますが、私どもがこれまで三年間といたした考え方としてとっておりますものは、補助金問題検討会では先生御指摘のように、暫定的な措置とすべきであるという指摘がなされております。それを受けまして、私ども、一方では事務事業の見直しを社会保障を中心にやりつつやっておるので、そういう意味からいけば長期的であっていいという議論があり得よう。また、国と地方の財政関係で、事情の許す限り極力安定的なものとすることが望ましいという考えもありますが、こういう観点からいっても、長い方が望ましいであろう。
 ただ、一方では報告にありますように、国及び地方の役割分担及び費用負担のあり方の見直し等については、それぞれの財政事情等を踏まえて今後ともさらに検討する必要がある、こういうことからいけば、長いというのについてむしろ短い方が望ましいということにもなりましょう。
 こういう状況の中におきまして、一方で六十年十二月二十一日に補助金問題関係閣僚会議におきまして、生活保護に係る補助率につきまして、三年間は十分の七とし、その後のあり方については改めて大蔵、厚生、自治の三大臣の協議で定めるということで、具体的な年数がそこに掲げられていたわけでございます。この辺を総合勘案いたしまして、私どもといたしましては法律の期間を三年間ということにさせていただいたわけでございます。
#204
○吉井委員 報道によれば、税制改革で中曽根総理は減増税差し引きゼロ、このようにおっしゃっているわけですが、参議院の選挙が終わった後にはどう変わるか不明ですが、差し引きゼロではなくして差し引き増税ということがあり得るのか、ひとつ大蔵当局の率直な見解をお伺いしておきたいと思うのです。差し引き増税なしということになりますと、総理の言われるところの税制改革が国の財政再建に何ら寄与しないことになる、このように思うわけですが、いかがでしょう。
#205
○岡田説明員 お答えいたします。
 私がちょうど主計局の方で予算の担当をしておりますので、的確なお答えができませんが、私が承知している限りではレベニューニュートラル、今先生がおっしゃいましたように、増税減税がとんとんの中での検討というふうに聞いております。
#206
○吉井委員 では、自治省に。
 仮に差し引き増税がないとすると、三年経過後によほど景気がよくなって国税の自然増収が大幅に出ない限り、今回の引き下げられる補助率の復元は困難ではないか、このようにも考えられるわけです。この点は。どうでしょう。
#207
○花岡政府委員 この補助負担率の六十四年度以降のあり方の問題につきましては、国、地方の財源配分及び役割分担のあり方等とともに、暫定期間中におきまして、十分検討していかなければならないというふうに考えております。既に一応結論を見ております児童福祉あるいは老人福祉、こういったものもございますが、まだ大きな生活保護等の問題が残っておるわけでございますから、私どもといたしましては地方の今後の補助負担率の見直しが行われる場合には、地方の自主性、自律性を強化する観点からこの主張をしてまいりたいと考えております。
#208
○吉井委員 最後に。こうして見ますと、三年後に補助率が復元するという見通し、これは非常に感触的にも暗いわけですね、今の我が国の財政状況から見ても。むしろこの四年間の既成事実の積み重ねによって、これが恒久化する可能性、これも強く感じるわけでございます。
 そこで、自治大臣は、三年後の補助率復元についてひとつどんな見通しを持っていらっしゃるか、三年後には必ず復元してみせる、このようにおっしゃるのかどうか、最後に御決意をお伺いしておきたいと思います。
#209
○小沢国務大臣 基本的には、私どもの考え方は、国と地方の役割分担、費用負担のあり方、事務事業の見直し、そういう議論の中から負担比率を考えるべきである、そのように主張しておったわけであります。今回の予算で、先ほど申し上げました社会保障の何点かにつきましては、これは、ある程度事務事業の見直し、権限の移譲も行われた結果、負担率というものが決められたわけでありますから、その点につきましては、これはかなり結論がほぼ得られてきた負担率ではないかというふうに考えております。しかし、生活保護初めそのほかの問題等につきましては、私は、あくまでも暫定措置ということになっておりますし、その期間内に議論を詰めなければならないということですので、これが一律にいわゆる恒久化されるべきものではない。また、投資的経費、公共事業の補助率につきましても、これは検討会の報告にも今日の国の財政状況の中で暫定措置としてはやむを得ないというような言い方もしております、経常経費と公共事業の方は若干意味、とらえ方が地域においても違うと思いますけれども。
 そのような観点に立っておりますので、三年の間検討した結果、やはりこれは国の負担がもっと多く求められるというものについては負担比率を上げるべし、またこれは地方が持つべきというものについてはそのような形になるでありましょうし、私はあくまでもそのような議論の中でこの補助負担率というものを六十四年以降考えていかれるべきものであると思っておりまして、負担率を下げるあるいは負担率を上げるということも一律に財政事情だけの観点で判断すべきものではない、そのように考えております。特に、生活保護等につきましては、従来からも申し上げておりましたようにこれはより国の責任が重く求められておる。したがいまして、この暫定期間中にそういう議論のもとに私どもとしてはぜひ適正な負担を国もしていくようにしたい、そのように考えております。
#210
○吉井委員 以上で終わります。
#211
○福島委員長 次回は、明十六日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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