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1985/03/06 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 内閣委員会 第3号
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1985/03/06 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 内閣委員会 第3号

#1
第104回国会 内閣委員会 第3号
昭和六十一年三月六日(木曜日)
   午前十時開議
出席委員
  委員長 志賀  節君
   理事 石川 要三君 理事 戸塚 進也君
   理事 深谷 隆司君 理事 宮下 創平君
   理事 小川 仁一君 理事 元信  堯君
   理事 市川 雄一君 理事 和田 一仁君
      池田 行彦君    石原健太郎君
      内海 英男君    菊池福治郎君
      塩川正十郎君    月原 茂皓君
      二階 俊博君    堀内 光雄君
      井上 一成君    上原 康助君
      新村 勝雄君    矢山 有作君
      鈴切 康雄君    日笠 勝之君
      滝沢 幸助君    柴田 睦夫君
      三浦  久君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 江崎 真澄君
 出席政府委員
        内閣審議官   海野 恒男君
        人事院総裁   内海  倫君
        人事院総務局
        給与局長    鹿兒島重治君
        人事院事務総局
        職員局長    中島 忠能君
        内閣総理大臣官
        房管理室長   橋本 哲曙君
        臨時行政改革推
        進審議会事務局
        次長      山本 貞雄君
        総務庁長官官房
        長       藤江 弘一君
        総務庁長官官房
        審議官     本多 秀司君
        総務庁人事局長 手塚 康夫君
        総務庁行政管理
        局長      古橋源六郎君
        総務庁行政監察
        局長      竹村  晟君
        総務庁恩給局長 佐々木晴夫君
        総務庁統計局長 北山 直樹君
        北方対策本部審
        議官      稲橋 一正君
        外務大臣官房審
        議官      都甲 岳洋君
        通商産業省生活
        産業局長    浜岡 平一君
 委員外の出席者
        内閣総理大臣官
        房参事官    木本 忠男君
        内閣総理大臣官
        房特別基金検討
        調査室長    杉浦  力君
        防衛庁経理局工
        務課長     中川 虎三君
        防衛施設庁施設
        部連絡調整官  芥川 哲士君
        法務省刑事局刑
        事課長     原田 明夫君
        大蔵省主計局給
        与課長     竹島 一彦君
        大蔵省理財局国
        有財産審査課長 藤村 英樹君
        文部省初等中等
        教育局教科書検
        定課長     小埜寺直巳君
        会計検査院事務
        総局第五局上席
        調査官     深田 烝治君
        内閣委員会調査
        室長      石川 健一君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月六日
 辞任         補欠選任
  山口 敏夫君     石原健太郎君
  日笠 勝之君     二見 伸明君
同日
 辞任         補欠選任
  石原健太郎君     山口 敏夫君
  二見 仲明君     日笠 勝之君
    ―――――――――――――
二月二十七日
 シベリア抑留者の恩給加算改定に関する請願外
 一件(川俣健二郎君紹介)(第八〇三号)
 同外五件(戸塚進也君紹介)(第八〇四号)
 同(中川嘉美君紹介)(第八〇五号)
 同(村上茂利君紹介)(第八〇六号)
 同(阿部昭吾君紹介)(第八三八号)
 同(小渕恵三君紹介)(第八三九号)
 同(西田司君紹介)(第八四〇号)
 同(阿部昭吾君紹介)(第八八一号)
 同外一件(川俣健二郎君紹介)(第八八二号)
 同(北川正恭君紹介)(第八八三号)
 同(若林正俊君紹介)(第八八四号)
 同(阿部昭吾君紹介)(第九〇九号)
 同外一件(川俣健二郎君紹介)(第九一〇号)
 同(上坂昇君紹介)(第九一一号)
 同(関谷勝嗣君紹介)(第九一二号)
 同(関山信之君紹介)(第九一三号)
 同外二件(山村新治郎君紹介)(第九一四号)
 同外一件(川俣健二郎君紹介)(第九三二号)
 旧台湾出身元日本軍人軍属補償に関する請願
 (福田一君紹介)(第八〇七号)
 国家機密法制定反対に関する請願(伊藤昌弘君
  紹介)(第八〇八号)
 同(中川嘉美君紹介)(第八〇九号)
 同(経塚幸夫君紹介)(第八四一号)
 同(野間友一君紹介)(第八四二号)
 同(東中光雄君紹介)(第八四三号)
 同(正森成二君紹介)(第八四四号)
 同外一件(柴田睦夫君紹介)(第九一五号)
 同(正森成二君紹介)(第九一六号)
 スパイ防止法制定に関する請願(衛藤征士郎君
 紹介)(第八四五号)
 同(大塚雄司君紹介)(第八四六号)
 同(田原隆君紹介)(第八四七号)
 同(中川昭一君紹介)(第八四八号)
 同(町村信孝君紹介)(第八四九号)
 同(箕輪登君紹介)(第八五〇号)
 同(村田敬次郎君紹介)(第八五一号)
 同外七件(森山欽司君紹介)(第八五二号)
 同(伊藤宗一郎君紹介)(第八八五号)
 同(自見庄三郎君紹介)(第八八六号)
 同(原田昇左右君紹介)(第八八七号)
 同(村田敬次郎君紹介)(第八八八号)
 同(渡辺省一君紹介)(第八八九号)
 同(中西啓介君紹介)(第九一七号)
 同(平林鴻三君紹介)(第九一八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
 一八号)
     ――――◇―――――
#2
○志賀委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新村勝雄君。
#3
○新村(勝)委員 まず、恩給法の一部を改正する法律案に関連をしてお伺いいたします。
 恩給法の一部改正、もちろんこれは毎年あるわけでありますけれども、そこに毎年附帯事項がつけられるわけです。ところが、この各項目がいずれも毎年同じ趣旨のものが繰り返されておるわけであります。
 例えば百一国会と百二国会の附帯決議の事項を比べてみますと、ほとんど同じということであります。この附帯決議に対する政府の対応の仕方に疑問を持たざるを得ないのでありますが、どういう対応をなさっているのか、伺いたいと思います。
#4
○江崎国務大臣 附帯決議につきましては、国会は国権の最高機関でもありますし、尊重するのは当たり前のことです。また、それを尊重して次に資するという態度で臨んでおるわけでございます。
 前回、前々回等の御指摘もございましたので、そのあたりについての変化といいますか、尊重に変わりはありませんが、経緯については関係者から答弁をさせます。
#5
○新村(勝)委員 この各項目について二年、三年にわたって同じことを決議をし、政府に要請をしておるということでありますけれども、どの程度改善され、この趣旨が生かされているか、できれば具体的にお願いしたい。
#6
○佐々木政府委員 大臣からお話し申しましたように、国会の附帯決議につきましては私ども最大限これを尊重すべく努力を続けておるわけでございます。
 昨年、六十年四月の当内閣委員会における附帯決議は七項目ございましたけれども、この七項目につきまして若干個別に御説明を申し上げたいと存じます。
 三つが今の恩給の水準を改善するという事項でございます。
 第一に、「恩給の実施時期については、現職公務員の給与との遅れをなくすよう特段の配慮をするとともに各種改善を同時期に一体化して実施するよう努めること。」というのは、恩給の実施時期の問題としまして、これは年金でございますので、いわば年金の実質価値を維持するということがその基本の考え方である。そういたしますと、例えばほかの年金の場合は当該年度の物価でもって翌年四月からこれを改善する。恩給の場合にはその物価と同様指数を公務員給与に求めているわけでございますので、そういう趣旨から、公務員給与の改善率を翌年四月から実施するということを基本としてやってまいったわけでございまして、現職公務員との給与のおくれをなくするということではなくて、実質価値の維持ということに着目して私ども進めておるわけでございます。本年四月から実施すべきところを、たまたま財政難の折から七月になりまして大変申しわけございませんけれども、そういうことで、私どもこの実質価値の維持には最大限努めております。
 それから各種改善、つまり特別改善を同時期に一体化して実施するように努めることというのは、この財政難の中でございますけれども、八月に実施するという従来の方式を六十一年度もそのままこれを適用するということでもって、改善を進めてまいるというふうな考え方をいたしております。
 それから恩給の最低保障額についてその引き上げを図る、あるいは扶助料についてさらに給付水準の実質的向上を図る、このいずれもが六十一年度予算におきまして五・三%アップというふうなこと、あるいは扶助料につきましても給付水準の一段の拡充を図ってまいっておるわけであります。
 四番目の項目としまして、「恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃すること。」というのがございますが、これは厚生省の御所管の問題でありますけれども、これにっきましても、特に公務傷病等によって諸般のハンディを負っておられる方については、この支給制限は撤廃されておるというふうなことでございます。また、その他の種々の調整策が講ぜられておるところでございます。
 それから、あと三つがいわば戦後処理問題の関連でございますけれども、「外国特殊法人及び外国特殊機関の未指定分の件について、速やかに再検討を加え適切な措置を講ずること。」とありますが、この点につきましては、昭和四十七年に種々の法人の性格を検討いたしました結果として、一応七法人についてこの通算をいたしました。それから五十一年にも一法人の指定をいたしました。これでもって私どもとしてはほぼこうしたような適切な措置の実施は一応終了した、このように思っておるわけであります。
 六番目の「現在問題となっているかつて日本国籍を持っていた旧軍人軍属等に関する諸案件について検討を行うこと。」これは例の台湾出身の旧日本兵の問題が中心であろうと思いますけれども、これにつきましては、御承知のように現在総理府で関係省庁相集まりまして検討を進めておる段階であります。
 それから「旧満州国軍内の日本人軍官の処遇問題について検討すること。」この件につきましても種々調整を加えてまいりまして、いわゆる日満日のケース、それから日満のケース並びに満日のいわば通算の問題につきまして、それぞれ恩給法上措置をいたしてまいったところでありまして、私どもとしてはおおむねこれでもってこの問題の決着をつけたもの、このように考えておるわけであります。
 今申しましたように、この御趣旨に沿いまして私どもとしては種々対策を講じてまいったということは申し上げられるかと思っておるわけであります。
#7
○新村(勝)委員 今後ともひとつこの決議の趣旨を生かすように御努力をいただきたいと思います。
 それから、恩給の制度はいわば過去の制度であります。もちろん過去であるから軽視をしていいというわけではありませんけれども、これにかわる他の制度が次第に整備されつつある段階で、恩給制度の再検討、もちろん受給者の不利にならないように、しかも他に整備されておる諸制度と整合性を持ちながら再検討する時期ではないかということであります。
 それから、何の制度でも、例えば年金等でもそうでありますけれども、資格がありながらこの制度から漏れておる、いわゆる未請求者の問題があると思うのです。この未請求者の救済について、過去においてもちろんおやりになっていると思いますけれども、今後どのような配慮がなされるのか、その二点を伺います。
#8
○佐々木政府委員 第一点の恩給制度の再検討の問題につきましては、昨年共済年金の改正が行われた段階でもって、衆議院大蔵委員会あるいは地方行政委員会においても、恩給制度のいわば公的年金制度整備との関連におけるところの再検討ということにつきましての附帯決議が一応出されておるところであります。
 私どもとしまして、この恩給制度につきまして種々そうしたような年金制度との関連における再検討を進めなければならぬな、このように考えておるわけでありますけれども、何分にも共済年金とは異なりまして、恩給制度は、かつて例えば軍人さんであったという方々が大多数であり、したがいまして新規参入がない、かつまた、大変高齢化しておる、いわば国家補償である、こうしたようなことから、この検討はなかなか難しゅうございまして、現在二百二十万の恩給受給者があるわけでありますけれども、そうした方々にやはり御満足がいける、かつまた、他の年金との関連におけるところのある程度整合性が持たせられた制度の見直し、なかなか難しい課題であります。
 ただ、私どもとしまして、例えばこの恩給の場合には公務員給与にスライドして改善をいたしておりますけれども、これにつきまして他の公的年金と同じように物価によってスライドをするというやり方、あるいは多額所得者につきましてのいわば恩給におけるところの支給調整の問題、こうしたものにつきましては、今後さらに関係方面と十分に論議を進めましてその考え方の整理をいたしてまいりたい、このように思っておるわけであります。
 それから第二点の、恩給のいわば未救済者の問題といいますか、今先生のお言葉によりますとまだ救済されていない者がいるではないか、このような御指摘であります。
 例えば現在、恩給欠格者と言われます方々が種種の運動をしておられるということも私ども承知をいたしております。ただ、この件につきましては、いわば年金たる恩給の受給資格といいますのは、昭和八年以来これは十二年ということで実は定まっておるわけであります。その他加算年、戦場その他におけるところの加算年がついておりますけれども、この十二年という基準はこれを今さら改めるわけにはまいらないわけであります。
 現在、総理府でもって、いわば戦後処理問題につきまして、例えば恩給欠格者の問題、シベリア抑留者の問題、在外財産の問題につきましてさらに実態調査をいたしておりますけれども、そのような総理府におけるところの検討の状況につきまして、私どもこれからさらに見守りつつ種々考えてまいりたい、このように思っておるところでございます。
#9
○新村(勝)委員 特に未請求者の救済ですね、この点については十分の御配慮、それから万全の措置をお願いしたいと思います。
 人事院はいらっしゃっていますか……。
 それじゃ次の問題ですが、いわゆる同和問題でありますけれども、これについては政府も相当の御努力をなさっております。これまで同和対策を十七年間行われてきたわけでありますが、同対審答申が指摘をしている実態的差別のハード面では一定の成果がありました。しかし、同じ実態的差別でもいわゆるソフトの面と言われる問題はかなりの課題があるわけでありまして、まだ未解決の問題がたくさんございます。そして、心理的な差別の問題に至っては極めて憂慮すべき状態にあるわけでありまして、現在でも依然として差別用語あるいは差別の実態が根絶されていないという状況であります。
 総務庁長官も既にごらんの「いのち 愛 人権」という冊子もありますけれども、この差別の実態はかなりひどい面があるわけであります。
 例えば福岡での大蔵住宅にかかわる差別ビラを大量に配布をした事件、大阪でのサイノモト結婚差別事件のようなものが出ております。今まで法務局や自治体の再三の啓発、説得にもかかわらず差別の事件が絶えない。また差別者が開き直るといった大変残念な事態もあるということであります。こうしたソフトの面の実態の改善のおくれ、また心理面の問題解決に対して、現在の地対法では十分な対応ができないのではないかと考えるわけであります。
 この際、地対法あと一年という時期に当たって、今までの法を見直し、同対審答申の精神をさらに尊重して、差別の現実に抜本的な対応のできるような対策を講ずべきではないかと考えるわけでありますけれども、長官のお考えを伺いたいと思います。
#10
○江崎国務大臣 本問題は私も非常に重要な問題だと考え、私自身もこの問題には力を入れてまいったつもりでございます。
 お認めいただいたように、ハードの面では過去十七年間の間に相当な成果を得てきたことはよかったと思いますが、ソフト面、いわゆる精神的な面、特に心の面、これにおいていろんな問題があるということは本当に残念なことであります。
 仰せのようにソフトの面における啓蒙、こういったことをもっとしっかりする必要がある。これはもうもともと同じ日本人同士ですから、お互いがやはり心の問題で十分配慮をする、気をつける、これは当然なことで、おくれをとっておることを私自身も今担当大臣として憂慮しておるものであります。
 したがって、今後、まだ今の法律の期間もありますので、その間に十分問題の所在、また皆様方の御意見についても配慮をしながら、御承知のように地対協に今諮問しておるところでございまするので、その結果などを待ちまして適切な措置をとりたい。特にソフトの面というのは、これは言うに言えぬ悩みを御本人にしてみれば伴うものでありまして、口にすることすら本当にお気の毒なことだというふうに思います。これなどについては十分今後とも配慮をしたいと考えております。
#11
○新村(勝)委員 物質的な条件が精神面を支配するということもありますけれども、むしろ問題はいわゆるソフト、精神の面での解決ができなければ、いかに投資をしてもあるいは物的な改善をしても根本的な解決にはならないわけであります。この問題は既に百年以上を経ておりまして、しかも全く同じ民族でありまして、そういう事態が存在すること自体がおかしい、不思議なわけでありますけれども、残念ながら依然としてそれが存在する。こういう事態をもう少し深刻に受けとめていただいて、ぜひ抜本的な対策、それから単なる事業を進めるということだけではなくて教育の面、あらゆる面での御努力をいただきたいと思いますが、もう一回長官の御決意を承りたいと思います。
#12
○江崎国務大臣 全く仰せのとおりだと思います。私ども精神面の苦しみぐらい嫌なことはありませんね、そして御本人にとって避けがたいこともないではありませんしね、今申し上げましたように口にしたくないような悩みがあるということは、本当に同族でありながらどういうことであろうか。もっともっと啓蒙されていいし、これは仰せのように教育の面、それから特に啓蒙の面、こういう点に重点を置きまして、そしてまた、御本人たちに何となく嫌な感じを与えないように啓蒙をしたり教育をしたりしていくことも配慮しなければならぬ、非常に慎重に対策する問題だと思っております。
 そのあたりについては、今後とも極めて重要な問題だというふうに受けとめておりますので、十分努力をいたしてまいりたいと考えます。
#13
○新村(勝)委員 今の長官が言われた嫌な感じを与えないということが、結局最初にして最後の問題だと思います。どんなに立派な建物ができても嫌な感じを与えたのではこれは何にもならないわけでありますから、そういう点でひとつせっかくの御努力をいただきたいと思います。
 次は、通産省が行っております設備廃棄事業、総括的に申し上げますと、設備廃棄事業のこの問題の運用についていろいろ問題が起こっております。先般来撚糸工連事件なるものが起こっております。この問題について政府はどうお考えであるのか。
 この問題については、既に五十三年、五十四年の検査院の指摘でも、その不適当な運用が指摘をされ、融資金の返還を命ぜられたという事件があるわけであります。検査院はいらっしゃっていますね。この問題について検査院のお考えをまず伺いたいと思います。
#14
○深田会計検査院説明員 お答え申し上げます。
 中小企業事業団が撚糸工連に対しまして行った設備共同廃棄事業資金の貸し付けにつきまして、不当事項として検査報告に掲記しましたものは、五十三年度の二事例、約千三百万円、五十四年度の四事例、約八千九百万円、計六件、一億三百万円でありまして、その態様は、無登録設備や他からの借入設備を買い入れ対象としましたり、事業の対象とならない業者の設備を買い入れ対象としていた、そういう事態でございます。
 また、今回の事態につきましては会計検査院といたしましても関心を持っているところでございますので、今後十分検査を実施したい、そのように考えている所存でございます。
#15
○新村(勝)委員 この問題については、今検査院のお話のように五十三年度、五十四年度において不当が指摘されたわけでありますが、こういう指摘事項があったにもかかわらず今回のような不祥事件を起こしておる、それからまた、この廃棄事業に関連をしてこのほかにもいろいろの疑惑なり不当な運用があるようであります。こういう点について通産はどういう指導をしてこられたのか、また検査院の指摘に対してどう対応されたのか、伺います。
#16
○浜岡政府委員 基本的には、五十三、四年度に会計検査院からの御指摘をいただきながら、五十七年度の事業につきまして御指摘のような不祥事が起きておりますことは、本当に私どもとしましてもお恥ずかしい限りでございまして、監督責任の重大さを痛感いたしておるところでございます。
 基本的に申し上げますと、全国に一万を超える企業が存在をしておるわけでありまして、こういう企業を対象に設備廃棄あるいは設備の登録というような業務を行いますためには、中小企業団体を活用し、またこれを信頼していくという体制はある程度不可欠のところでございます。しかし、それだけにこの仕事に携わります関係団体の幹部の責任感、それから姿勢というものが極めて重要でございますけれども、そういった点についての私どもの監督の行き届かない点というようなところがあったというぐあいに、率直に認めざるを得ないと思っております。
 五十三、四年度の問題につきましては、一部注意不十分、ケアレスミステークというようなところもなきにしもあらずかと思うわけでございますけれども、当時厳重に関係団体に注意をいたしまして、また問題の金額につきましては繰り上げ償還を行わせたところでございます。
 五十七年度の事業につきましては、非常に遺憾でございますが、幹部がまさに意図的に不適格設備を対象設備の中に繰り入れていたというような事実があるわけでございまして、これはまことに遺憾と言わざるを得ないというぐあいに思っております。問題の背景を司直の方でも御解明いただいておるわけでありますが、私どもといたしましても、事態の解明が進む状況を見ながら、こういう問題が起きないような業務のチェック体制の再点検、総点検等を行いまして、厳しい姿勢で問題に取り組んでいかなければならないというぐあいに思っておるわけでございます。
#17
○新村(勝)委員 これは撚工連の段階で御承知のような問題が起こったわけでありますけれども、撚糸だけではなくて、設備廃棄事業というこの事業は現在三十業種にわたって行われているようでありますけれども、他の部門においても遺憾な点あるいはそういう極めて不明朗な疑惑に包まれておるのが実態だと思います。
 そこで、監督の立場にある通産としては、撚工連だけではなくて、この設備廃棄事業全体を通ずるいわば構造的とも言える疑惑、これについてどの程度に把握をしておられるか、これを伺います。
#18
○浜岡政府委員 御指摘のとおり、設備廃棄事業は、昭和四十九年度以降中小企業事業団の融資制度が適用されておるわけでございますけれども、そのとき以来、累計をいたしますと三十一業種に対して適用をされておるわけでございます。中小企業全般にまたがりまして、需要構造の変動でございますとか国際競争の激化とか、そういった非常に大きな状況変化が起きておりまして、事業の転換あるいは多様化といったようなことが非常に迫られておりまして、そのためには設備の廃棄というようなことも一つの重要なてこであるというぐあいには考えておるわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、この事業につきましては本当に厳正な姿勢での取り組みが必要であるというぐあいに思っておりますし、その点につきましては常々注意を喚起をいたしてきておるつもりでございます。
 私どもといたしましては、撚糸工連のケースのような意図的なルール違反というようなものが他の分野にも存在をしておるというぐあいには現在のところ承知いたしておりませんし、また存在していないと信じておる次第でございます。ただ、今後とも、事業の厳正な運営ということにつきましては一段と強く取り組んでいかなければならないと考えておりますことは、先ほど撚糸工連について申し上げましたとおりでございます。
#19
○新村(勝)委員 日本の経済はもちろん自由主義経済であります。しかし、不況業種等の特別な状況、条件のもとにある業種に対しては、政治が手厚く保護するということが行われております。これは大変結構な制度だと思いますけれども、同時にそれは一種の特権、あるいは一種の特典を伴う、そしてそれがよほど注意をしないと利権に結びつく、あるいは政治と癒着をして疑惑を生ずる、こういうことがいろいろなそういう制度からは派生しやすい、そういうことが言えると思います。
 例えば不況業種に対する設備廃棄事業につきましても、機械の登録を通じて、あるいはその買い上げを通じてそういった疑惑がつきまとっておるということであります。例えば撚糸あるいは織機、そういったものの登録をするかしないか、無籍であるか有籍であるかということによってその所有者には大きな経済的な差別がついてくるわけですね。原則として無籍はないんでしょうけれども実際にはあるわけで、無籍については仕事もできない、また買い上げの対象にもならない。そこで、無籍のものを有籍にしてもらうためにいろいろ手を打つということが出てくる。それからまた、買い上げをしてもらうことについて、それに伴ういろいろな工作なりというものが当然生まれてくるということです。そういうところからいろいろな疑惑が出てくるんだと思います。
 そこで、撚工連については連合会の資金を流用したということでありますけれども、私はこういうことを申し上げたいのですが、織機の業界というのは、昭和十七年に大不況になりまして、一度三〇%程度整理をされた。その後、日本絹人絹工業協同組合を中心にして運営をされておるようでありますけれども、昭和二十六年に登録制がとられ、その当時、大変景気のいい、いわゆるガチャマン景気という時代があったと言われております。そして、この時代に登録のされておらない無籍の機械が大変出回ったというか増加をしたということですね。そして、五十年には絹人絹織機の登録と再整備がなされて、ここで無籍の機械が大量に有籍になった、こういう経過があるようであります。そして、原則として登録をされた機械でなければ生産ができない、したがって仕事をもらうこともできないということ、それからまた罰則もあるようであります。
 そこで、そういう状況の中で無籍の機械を有籍にする、未登録のものを登録するための、もちろんこれは個人ではできませんから、それを登録してもらうためにいろいろの工作が行われ、その間において政治資金が流れた、こういう疑惑が持たれておるわけであります。
 これは綿スフ絹織物あるいは化合繊の織機でありますが、未登録が登録されますと、未登録の場合には全くスクラップ同様のものが、登録をされますと二十万ないし四十万の値打ちがその瞬間に出る、こういうことであります。そして、登録の機械であればその権利を売り買いをすることもできるということでありますから、登録をすることによって所有者は一躍大変な経済的な利益を得るということですね。そこで、そのときに地元の有力政治家が、無籍を有籍にしてやるからということで一台五万円の政治献金を受けた、こういうことが伝えられております。
 その状況については後でも詳しく申し上げますが、そういう形で未登録から登録に変わった織機が数千台あるということが伝えられております。この絹人絹織機については五十年の前半にそういうことが行われたようであります。そして、この織機については六十年、六十一年、六十二年にも三年計画で約八千六百台程度を廃棄しろ、こういう計画があるようであります。こういう経過のもとにこれから八千六百台の廃棄がなされるわけでありますけれども、そういう経過を通産は御存じであるのか、それからまたこの三年間の計画についてはどうなっているのか、まず伺いたいと思います。
#20
○浜岡政府委員 まず登録制の運用の問題でございますが、先生御高承のとおり、繊維関係の設備の登録制といいますのは、まず関係の組合におきまして、自主調整事業という形で、中小企業団体組織法によりまして登録制をしくというのが基本になっております。しかし、アウトサイダーの存在等によりまして、インサイダーだけの調整では効果がないという際に、設備の登録制をしくように通産大臣が命令を出すことができるということになっておりまして、命令がございますと、従来インサイダーが受けておりました登録は通産大臣命令による登録とみなしまして、また、アウトサイダーにつきましては新たに登録を行うことになるわけでございます。そして、その登録関係の業務は関係団体に委託をするというのが一般でございます。したがいまして、新たに登録制がしかれた場合、あるいは登録制の対象設備がふえた場合、しかもそれに大臣命令がかかったという場合には、アウトサイダーが新たに登録を行うというような事態は発生し得るわけでございます。
 しかし、それ以外のケースにつきまして、本来登録を受けていなかったものが何らかの方法で新たに登録を受けるということは、原則的には不可能でございます。既に登録を受けております設備を他から譲り受けまして、それをスクラップ・アンド・ビルドの格好で登録するという道はあるわけでございますけれども、全く無籍のものを有籍にするというような道はないわけでございまして、そういうバイパスあるいは裏道が存在しているというようなことはあってはならないと思いますし、また存在しているはずがないと私どもは考えておるわけでございます。
 それから、御指摘の絹織物あるいは化合繊織物につきましての六十年度から六十二年度にまたがります設備廃棄事業につきましては、大筋におきまして先生御指摘のような計画が存在をいたしております。
#21
○新村(勝)委員 あってはならない、無登録が登録されるようなことは原則としてはないということでありますけれども、これは実際にはあるのですね。間違いなくあるのです。これについては確実な情報としてその情報を入手をしておるわけでありますが、その情報の中にはこういうやりとりがあるわけですよ。登録されれば自分の持っている権利を売ります。絹人絹一号登録というのですが、権利は一台四十万ぐらいで売ります。これは今権利ということをおっしゃいましたけれども、それを売りますと。四十万で売り買いしたのはいつごろですかということに対して、五十五年ごろとこの人は答えている。無籍を有無にしたのはどのくらい数がありますか、百か二百ぐらいですか。いや、そんなものではありません。この地区、これは狭い地区ですけれども、この地区だけで二百は下らない、全部では数千に達するでしょうということですね。無を有にするということは通産省ではあり得ないと言っていますが。いや、そんなばかなことはありませんよ。それはよく知っているはずです。台数は千台なんてものではありません、数千台になります。当局が調べればすぐわかります。調べられれば組合は本当のことを言わざるを得ないでしょうな、こう言っているわけですね。
 一台五万円云々という話がありますが、一台五万円の割で地元有力政治家に献金をされておるという話がありますがと言いますと、そうです、これは絶対間違いがありません。こういうようなやりとりがあるわけです。
 これは内部の人の証言であります。これはほぼ間違いないという内容と思いますけれども、これについて通産はどうお考えですか。
#22
○浜岡政府委員 今先生御指摘のようなやりとりの背景として私どもが若干思い当たる事実と申しますのは、昭和四十九年から五十年にかけましていわゆる無登録織機というものがかなり多数存在するようになりまして、これの取り扱いをどうするかということが大変問題になったことがあるわけでございます。その際、もちろん中小企業団体法に基づく命令によってしかれておる制度でございますので、行政排置によって対応することは不可能でございまして、四十九年から五十年にかけまして国会で御立法をいただきまして、いわゆる無登録設備の大半をスクラップすることを条件に一部を登録設備として扱うというような立法措置を講じていただいたことがございます。その際に、かなりの台数の従来は無登録でございました設備が登録されたということはあるわけでございますけれども、これは今申し上げましたように立法措置に基づいて行われたものでございまして、そういう立法措置を背景とするもの以外には今先生御指摘のような事実があるはずがないと思いますし、あるとすれば、これは違法の事態だと考えるわけでございます。
#23
○新村(勝)委員 いや、ところがあるのですよ。あるとこれは確信をしています。それだけの確実な情報もあるわけですけれども。
 それと、法に基づいて登録をされた時期があるわけですね、それをも含めて、これは所有者は大変な特権を取得するわけですから、その段階で不明朗なうわさが出るということは十分理解できると思います。そこで、その段階で、有力政治家に一台五万円の割で政治資金が渡ったということはもう地元では周知の事実のようですね。
 ですから、そういう事態に対して通産はどう考えるか。そういうことはないとおっしゃるでしょうけれども、登録というのは、通産が現地へ行って実際に機械を現認をして、それで登録するんじゃないでしょう。それは中間にそれをやる組合があって、その組合で実際の仕事をやって、通産はいわば盲判を押す。盲判というと失礼ですけれども、それを最終的に認めるということですね。そういう仕組みでしょう。ですから、その連合会あるいは協同組合までの段階、その下の段階について通産が詳しく知らないというのはやむを得ないと思います。思いますけれども監督責任は十分あるわけです。ですから、そういう監督をどうしているのか、十分であったのかなかったのか、これが今問われているわけですね。
 それから、こういう事態に対して法務省としては捜査をされるお考えがあるかどうか。
#24
○原田説明員 お答え申し上げます。
 ただいま検察当局におきましては、日本撚糸工業組合述合会の事件について捜査中でございますが、ただいま先生御指摘の事実につきましては私どももつまびらかにしておりませんので、現在の段階で捜査する、あるいはしないということについて申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
#25
○新村(勝)委員 する、しないは言明できない。それは考慮の中に入るということですか、全く考慮の外だということですか。
#26
○原田説明員 私どもの立場で申し上げられますことは、検察当局におきましては、いろいろな事態につきまして犯罪が成立するという状況がございますれば、それに従って適正な捜査をするものと考えておりますし、また、そのような事実が検察当局に認知されるという事態になりますればそれに従った措置をとるものと考えております。
#27
○新村(勝)委員 こういうほぼ確実な事態があるわけですので、ひとつ十分御留意をいただきたいと思います。
 それからもう一つ。やはり同じような類のものでありますけれども、ニット編み機というのがございますね。これは現在は事業の対象にはなっていないと思いますけれども、かつて対象になったことがございます。この件についてです。
 これはこういうことなんです。五十八年暮れ、ですからこの前の総選挙の直前の時期でありますが、金沢のホテルに地元の有力政治家がニット業者を集めて、私に頼めば設備廃棄業種にしてやる、それでそうなった場合には手数料を五%出してくれ、こういうことを言った。その作について、このときには二十五名の業者が集まっていたわけですが、それと業界の理事長もいた。これは名前を伏せますけれども、業界の理事長もそこにいた。この席でその話が出まして、ぜひ先生のお力で廃棄業種にしてもらいたい、そうなった場合にはお約束の献金をいたしましょう、その献金は約一億と見込まれるわけですが、こういうことがあったわけです。
 それで、これについてはそれを裏書きするような書簡があるわけでありまして、これはその内部の人から在京の自民党の有力者にあてた書簡でありますけれども、前の方は略しますが、「繊維関係に代議士が関与した疑惑として数年前、無籍、すなわち通産省の登録のない織機を有籍にした後、過剰織機を政府に買い上げさせた経緯があり、次に前回の総選挙直前に」、これは今申し上げたことを言っているのですが、「前回の総選挙直前に代議士みずから理事長を集合させ、過剰ニット機の政府買い上げを頼むなら私に頼め、その価格の五%を手数料として出せという極端な発言の事実がありました。またこれは実現をしていないようです。ただし、再び問題になるものと思われます。次に、現在進行中の織機買い上げにも影響しそうです。(これは六十、六十一、六十二年の三年間のみで織機全廃者のみ買い上げをする、そして価格は一台六十万、全廃者には二十二万二千八百円を支出する。そして残金は長期預金)」これは制度のことですけれども。「いずれにしても今回の事件の取り調べいかんでは大物にも波及するものと思われます。――後略」ということなんですけれども、内部の者が在京の自民党の大物に出した書簡でありますから、これも一つの有力な裏づけの参考にはなると思いますけれども、こういうことがあったわけであります。これについて通産はどういうお考えですか。
#28
○浜岡政府委員 ニット編み物機械につきまして、昭和五十八年ごろに、ニット工連で設備共同廃棄事業を行いたいということで、鋭意検討が行われたことは事実でございます。しかし、私どもの設備廃棄事業につきましては、その有効性という観点から、設備の廃棄率等一定の基準を設けておるわけでございまして、そうした基準に合致するかどうか検討いたしております過程で、結果的にはニット工連の方で設備廃棄事業計画を取り下げだというような経過をたどっておるわけでございます。
 なお、現在ニット工連におきまして、最近の諸情勢にかんがみまして、設備共同廃棄事業を行うべく検討をしておるということは承知をいたしておるわけでございます。現在ニット工連サイドで、メンバーの中にどういう希望があるか、どれくらいの設備廃棄希望が出てくるかというような調査検討を進めておる段階でございまして、私どもといたしましては、その結果を待って、いかに対処するかを決めてまいりたいと考えておるわけでございます。
#29
○新村(勝)委員 地元有力政治家が介入をしているということも御存じですか。
#30
○浜岡政府委員 先生御指摘のように繊維産業は大変歴史の長い産業でございますし、また大変広範な地域に存在をしておる産業でございます。そういう意味で、その盛衰が地域経済の動向に非常に大きな影響を与えるということは事実でございまして、そういう意味で、各地域、地域におきまして、政治家の諸先生が繊維産業の盛衰に関心をお持ちになるということはあり得ることだと思いますし、また一般的にいろいろと御意見をいただくことはあるわけでございます。
 しかし、一つずつの設備の登録あるいは設備の廃棄ということにつきまして、今先生御指摘のような事態が起きているとは私ども承知しておりませんし、またそんなことがあるはずがないというぐあいに私どもとしては思っておるわけでございます。
#31
○新村(勝)委員 これは確実な情報ですので、十分御留意をいただきたいと思います。
 次に移ります。次に、いわゆる民活ということで国有地あるいは国鉄の土地、これを大量に売り払おうという政府の一つの方針が出されておるようであります。それに関連してですけれども、六十一年度の予算には土地売り払いということで千二百二十三億の計上がされておりますね。その千二百二十三億というのはどこにあるのか、その詳しい資料を当然出すべきだと思いますけれども、予算委員会にも提出されていないようでありますし、この資料について早急に出していただけるかどうか、まず伺います。
#32
○藤村説明員 お答えいたします。
 先生、予算委員会の方でも同じようなお話があったわけでございますが、六十一年度の予算額につきまして、御指摘のように一千二百億近くの見積もり額があるわけでございますが、これの内訳につきましては、いろいろと過去の予算、土地処分の収入の枠の推移等マクロ的な計算を行っておりまして、一件一件につきまして積み上げ積算をしているという状況にないわけでございまして、そういう状況を御理解いただきたいと思います。
#33
○新村(勝)委員 そうすると、千二百二十三億という積算の基礎はあるわけでしょうね。積算の基礎はあるのでしょう、なければこれは数字が出ないわけですから。その辺の過程はどうなんですか。
#34
○藤村説明員 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、基本的には大きなところはマクロ推計でやっておりまして、六十一年度において処分が見込まれるものにつきましては、個別に一定の計算をいたしまして、それに上乗せするという形の計算を行っているところでございます。
#35
○新村(勝)委員 ですから、この千二百二十三億の積算の基礎、これはどういう手続、どういう過程を経てこの数字が出てきたのかですね。
#36
○藤村説明員 お答えいたします。
 一応、ただいま申しましたような形で、大まかなマクロ推計の上に、個別の個々見込まれる事案を積算して加算するという形が一般的な方法でございます。例えば、先生ただいま御質問にございましたような、民活事案として個々に予定されるものもあるわけでございます。そういったものにつきましては、一応の前提を置いて計算をしているということは事実でございますが、ただ、私、直接予算の担当者ではございませんで、現在個別にその内訳を持っているわけではございませんので、御了承いただきたいと思います。
#37
○新村(勝)委員 そうすると、予算には数字は出てくるけれども、その内容は発表できない、わからない。わかっているんでしょうが、発表しない。それで、これは予算の段階ではお知らせできない。それから、決算の段階でもこれはやはりだめなんですよ。私は決算の委員でもあるんですけれども、決算の際の資料要求にも政府は応じない。ということにたりますと、予算、決算を通じて、これは土地の売り払いについて国会は関与できない、こういうことになりますね。
 土地というのは、これは個人でも同じですけれども、国でも地方公共団体でも、これは公共的財産の最も基本的なもの、非常に重要なものですよね。この基本的な国の資産の処分あるいは運用について国会が関与できないということでいいかどうか、これは大変疑問だと思います。ですから、この点はいわゆる財政民主主義の上からいっても、これは基本的な問題だと思うのです。
 長官はこの問題についていかがですか。
#38
○江崎国務大臣 国有地は国民全体のものですから、その積算基礎などについて関与できない、そんなばかな話は私はあるはずがないと思います。御質問に同感です。
 それからまた、譲渡に当たっては適正な対価による譲渡、これが原則でございます。それから、評価地の周辺の取引事例、そういった価格をもとに客観的に行う、これも原則的な問題であります。
 随契を行う場合というのは、最も公共性の高いもの、そしてまた公益性が認められるもの、これは例外措置としてはあるわけですね。しかし、そうでないものはやはり適正に行う、これは競争入札によって行っておることは御存じのとおりであります。したがいまして、これらについては私どもは今すぐ監察するとかいう問題の前に、御質問の趣旨はその根拠を資料として出しなさい、こういうお話であったと承っております。これは私からも大蔵大臣によく伝えておきたいと思います。
#39
○新村(勝)委員 今長官が至極当然だと言われた。国会が処分については関与をするということ、それから払い下げについては国民の財産ですから公平なチャンスを与える、また価格についても国民に損害を与えないような価格にしなければいけないということをおっしゃったわけですけれども、そのいずれをも政府は実行していらっしゃらないというのが実態ですよ。
 先ほどから申し上げているように、千二百二十三億の内容が何であるかということが我々には全く知るすべがない。そういう点でこれは全く財政民主主義に反するということ。それからもう一つは、その払い下げについても必ずしも明瞭な形にはいっていないということです。というのは、公共団体に払い下げる場合には随意契約でもいいのですけれども、そうでない場合でも原則として随意契約、例外的に入札、こういうことに実際はなっていますよ。公共団体以外の団体についてもむしろ随契の方が多いという実態があるわけです。
 そういう点について、これは大蔵に伺いますけれども、他方自治体でない、公共団体でない一般法人に対する払い下げについても実際には随契の方が多いという実態があるわけですが、これについてはどうお考えですか。
#40
○藤村説明員 お答えいたします。
 先生今お尋ねの件は、民間サイドにおいても随契の方が競争入札より多いという点でございますけれども、先生ただいま御指摘ございましたように、国有地は国民共有の財産でございますので、その処分に当たりましては公平かつ適正でなければいけない、こういう観点から競争入札を原則にいたしております。民間の場合には圧倒的に競争入札が多いという実態でございます。年間二万件近い処分事案がございますので、一件一作数えるのは大変でございますが、民間への処分につきましてはそういう実態がございまして、ただ都市計画事業のように公共性、公益性の高いもの随契の要件の整ったものにつきましては、会計法令の規定上随意契約によることが認められている、こういうことでございます。
#41
○新村(勝)委員 そこで、具体的な例についてお伺いするのですが、西戸山開発株式会社というのがあります。ここに対して国が普通財産を、行政財産であったものを普通財産にして、それを払い下げたという事例がありますけれども、この経過についても大変疑惑、疑問が多いわけであります。
 そこでお伺いしますが、西戸山開発株式会社に対して六十一年一月十三日に国が売却をしているわけですけれども、これはだれに、いつ、どういうふうにして売るということを、いつ決めたかですね。いつ、だれに売ると決定したのか。極めて具体的なお伺いですけれども、それを伺います。
#42
○藤村説明員 お答えいたします。
 ただいまの御質問は、いつ、だれに、どういう過程で決めたかということでございます。
 実は、御承知のように新宿西戸山開発株式会社から、十一月二十九日でございますが、本件の国有地新宿住宅跡地一万八千七百十五平米につきまして売り払い申請書が提出されました。この提出を受けまして、私どもいろいろ部内の審査手続を開始したわけでございます。
 その内容といたしましては、あそこの土地の本地の土地につきまして、十一月三十日を価格の基準時点として価格の実態的な調査、鑑定評価というような作業も開始いたしました。これが十二月の末に入りまして、十二月の二十七日であったかと思いますが、東京都知事から、この新宿西戸山開発株式会社が本都市計画事業の施行者として認可を受けたわけでございまして、この認可を踏まえて翌年明け、一月の上旬でございますけれども、私ども、総合審査の結果といたしまして売り払いが適当であると、随契適格という観点から、あるいは都市計画事業の施行者として認可を受けたその認可の内容に即して、公共的、公益的な都市計画事業を行うというこの内容を踏まえまして、ただいま先生からお話のございましたように十一月十三日付で契約を締結いたしたものでございます。
#43
○新村(勝)委員 そうしますと十一月十三日に売り払いをした、契約をした……(藤村説明員「一月でございます」と呼ぶ)一月十三日ですか。そうすると、この売り払いの決定をしたのは、この日に意思決定がなされたということですか。
#44
○藤村説明員 お答えいたします。
 対外的な形での契約行為と申しますのはただいま申し上げました一月十三日付でございますが、もちろんその過程におきまして、私ども国有財産の処分担当者といたしましては部内的な手続がございますので、部内の決裁手続その他という意味では、意思決定過程におきましては一月上旬の段階で意思決定をしたということになろうかと思います。
#45
○新村(勝)委員 一月上旬と言われますけれども、もう少し正確にはお答えできませんか。
#46
○藤村説明員 お答えいたします。
 一月上旬、これは、正確に内部的な意思決定ということになりますと決議書の日付ということになるわけでございますが、ちょっと今定かに手元には持っておりませんが、たしか一月の十日近くだったのではないかと思います。これは後で確認いたしまして先生に御報告させていただければと思います。
#47
○新村(勝)委員 そうしますと、今はっきりしたお答えがなかったのですけれども、その意思決定の過程、手続、これについては正確なものを後でいただけますか。
#48
○藤村説明員 ただいま先生のお話の件は、恐らく部内の稟議書等のことを御指摘じゃないかと思いますが、これにつきましては、一応部内の意思決定過程の手続書類ということでございまして、中にはいろいろな過程の決定に至るような背景も入っております。これは別にやましいことは何もないわけでございますが、ただ、これにつきましては、国民全体という観点からの中身がいろいろございますので、意思決定過程の書類につきまして対外的に開示するということは従来から御了承いただいているところでございまして、差し控えさしていただければと思います。
#49
○新村(勝)委員 財政民主主義という点からいって、それが大変残念だということなんですよ。
 先ほどの話に戻りますけれども、予算に計上する過程でもその内容についてはわからない、それから、実際に払い下げをする段階でもその手続あるいは国としての意思決定をする過程についてはわからない、発表できない、もちろんわかってはいるけれども発表しないということですから、これは全く財政民主主義に反するし、国会がそういう点について関与できない。長官は当然関与できなければおかしいというふうにおっしゃっているのですけれども、実際にはそういうことで関与できないのですよ。例えばこの一つの事例に即して考えても関与できない。こういうあり方がいいか悪いかということですよ。
 長官いかがですか。こういうあり方についていかがですか。これは別にマル秘事項ではないし、防衛庁のマル秘あるいは外務省のマル秘とは違うでしょう。国民に知らしても何ら差し支えないことを知らせないということについては、長官はいかがお考えですか。
#50
○江崎国務大臣 決算委員会の委員でもあるとおっしゃいましたが、これはやはり決算などで当然明らかにすべきものはする。それは件数が多岐にわたりますから全部というと大変な量になるでしょうが、その代表的なものを挙げて今御質問のようでございますから、それについてこういう事情であるというふうなことは、これは国会の質問に答えていくことは、私は所管外でありますが、あっていいことだと考えております。
#51
○新村(勝)委員 長官からの激励をいただいたわけで、決算委でやれというふうに長官はおっしゃっておりますが、決算委からその要請を出せば出してくれますか。――それはおかしいでしょう。内閣委でだめで、決算委ではいいということはないわけですからね。だから、そういう基本的な姿勢について大蔵省はどうなのかということですよ。
#52
○藤村説明員 ただいま先生のお話は、直接に意思決定過程の稟議書そのもの、あるいは決議書そのものということではないかと思いますが、これにつきましては、これまでの意思決定過程のそれぞれの手続手続の項目につきましてはお出しできるのではないかと思いますが、決議書の中身につきましては、国会審議の御参考ということで、内容につきましてはできる限りの御説明はさせていただきたいということはこれはもちろんでございますが、文書そのものにつきましてはひとつ御了解をいただければということでございまして、内客の御説明にっきましては私どもできる限りの御回答を申し上げたいと思います。
#53
○新村(勝)委員 そうすると、文書は出せないということであれば、文書そのものの内容そのままそっくりを委員会で説明することはできるわけですね。できますね。文書に記載されていることそのとおりを委員会で発表するということはできますね。
#54
○藤村説明員 お答えいたします。
 内容につきましては極力御回答申し上げたいと思います。
#55
○新村(勝)委員 大臣のお言葉もありましたし、また今の御答弁で「極力」ということでありますから、それを信じて一応はそれで了解しますけれども、財政民主主義というのは、国民の財産を処分運用する場合には国民に語る、国民に語るということは国会に語るということです。国会の関与を当然必要とするというのが原則ですから、それをひとつお忘れなくお願いをしたいと思います。
 それで、やはり同じことですけれども、実は西戸山開発というのは、なぜそういうことを伺ったかといいますと、西戸山開発が国から払い下げを受けたこの事件については、多くの疑問があるわけですよ、全体の過程の中で。ですからそのうちの何点かを伺うわけですけれども、これは全貌についてはまだ後でゆっくり伺いますが、きょうは時間がありませんから。
 そこで、この西戸山の払い下げについて、六十年十二月十九日に東京都から関東地方財務局長あてに、該当地の売り払い見込みについて照会をしております。これは公文書で照会をしております。これに対してどう答えたのか、その答えの内容を伺いたい。
#56
○藤村説明員 お答えいたします。
 先生今お尋ねの照会文書の件でございますが、東京都の方から御指摘のように文書による照会がございました。それに対しまして私ども、これは関東財務局長でございますが、都市計画事業施行者としての認可を受ければ本地を売り払うことができる見込みであるという趣旨の、文書による回答をしたことは事実でございます。
#57
○新村(勝)委員 都市計画事業を行うための条件を具備すれば払い下げをすることができるだろうと言うのですか。そうすると、これは見込みですね。もう一回言ってください。
#58
○藤村説明員 先生御承知のように、私ども、国有地を随意契約で処分する場合には、先ほど申し上げましたが、都市計画事業の施行者としての認可を受けることが最低の条件でございますので、そういう認可手続の終わっていないものについては最終的な形での意思表示はできないわけでございます。したがいまして、都知事の認可を受けた場合には売り払いすることができる見込みであるという形での回答になったわけでございます。
#59
○新村(勝)委員 わかりました。趣旨はわかりました。後でその回答の全文をいただけますか。
#60
○藤村説明員 照会文書と財務局長からの回答文書でございますが、これは相手が東京都知事でございますので、東京都の方に意向を確認した上で検討させていただきたいと思います。東京都の関係もございますので、一応文書につきまして相手の意向を確認した上で対処させていただきたいと思います。
#61
○新村(勝)委員 ぜひ出してもらうように、これは東京都に一応連絡することが必要であれば連絡しても結構ですけれども、東京都がそれを拒否する理由はないはずですからね。拒否する理由はないし、恐らく拒否しないでしょう。ですからこれはぜひ出していただきたい。お願いをいたします。
 次に、防衛庁はいらっしゃっていますか。――実はこれは千葉県に関することでございまして、ちょっとローカルな問題ではありますけれども、極めて重要な問題でありますのでお伺いしたいと思います。
 というのは、今、日米安保条約に基づくアメリカからの要請として、NLP、いわゆるナイト・ランディング・プラクティスですね、米空母の夜間訓練の場所を提供しろということで強く要請をされておるわけであります。このために、今まで具体的には千葉県の下総基地が有力候補として検討されてきたようであります。この問題について、現在厚木でやっておりますけれども、厚木の方が、これは御承知のように人口稠密地帯の真ん中で大変困るということで、その代替基地としてどこかを提供しろということのようでありますが、その代替基地として下総基地が有力候補として今まで検討されてきたということです。そこで周辺住民がこの問題について非常に不安を抱きまして、使わないでくれという強い運動があるわけでありますけれども、その後の状況はいかがになっておりますか。
#62
○芥川説明員 お答えいたします。
 関東地方並びにその周辺地域には、先生ただいま御指摘のような下総の基地あるいはその他若干の飛行場がございますが、これらの既存の飛行場の周辺地域というものは、人家が多いその他の理由がございますので、私どもとしては、NLPすなわち艦載機の夜間離着陸訓練場としては適当ではないというふうに考えております。
 したがいまして、防衛施設庁といたしましては、飛行機の訓練による騒音の影響を最小限に抑えることができる、その他の立地条件の適しておると考えております三宅島、ここに飛行場を新設して、そこでNLPの訓練をやらせたいというふうに考えております。
#63
○新村(勝)委員 安保条約の問題、あるいはそれをつくるかどうかということについての可否についてはしばらく論外としまして、もちろんこれはつくることに賛成ということではありませんよ。これはしばらく論外として、そうしますと、今のお話ですと下総基地については使うお考えはない、こう承知してよろしいですか。
#64
○芥川説明員 先ほど申し上げましたとおり、下総基地を含めての関東地方及びその周辺地域にございます幾つかの既存の飛行場というものは、NLPの飛行場としては適当ではないというふうに考えておりまして、したがいまして、三宅島に何とか飛行場を新設したいということで現在努力しているところでございます。
#65
○新村(勝)委員 使う考えはないということですね。下総基地を含めて首都圏の周辺の飛行場は使う考えはない、こう理解していいですね。
#66
○芥川説明員 繰り返しになりますけれども、下総基地その他の関東地方及びその周辺地域にございますところの既存の飛行場というのは適当でないということで、新しい飛行場を三宅島につくりたいということで現在進んでいるわけでございます。
#67
○新村(勝)委員 下総基地を含めて首都圏の周辺の飛行場、浜松も含めて使う考えはない、そういうふうに理解します。
 ところが、最近P3Cの配備、これは新しい戦略配備の考えが出てまいりまして、これはほかの地域はよく知りませんけれども、下総基地については、下総基地の滑走路を強化して、新しくP3Cが配備をされたときに十分使えるような補強工事をする、こういう問題が出てまいりまして、六十一年度の予算案の中にそれが入っておるようであります。
 この問題について、実は千葉県知事初め地元の市長、町長がこぞって、NLPの問題がまだ解決をしない段階で滑走路をつくることは非常に困る、これは住民に不安を与えることで非常に困るということでもって、千葉県知事、これは自民党の知事さんですよ、千葉県知事初め地元の市長、町長がこぞって、政府に強い工事中止の要請をしておるわけであります。これは御存じだと思いますけれども、それを踏まえて、少なくともNLPの問題が解決をするまではこの滑走路の工事をぜひ延期してもらいたい。永久に延期してもらえれば一番いいですけれども、少なくともNLPの問題が解決するまでは工事をやってもらっては困りますよということを知事を初め言っているんです。この問題についてはどうお考えですか。
#68
○中川説明員 お答えいたします。
 ただいま先生申されました地元の皆様方からの要請書はいただいております。
 先生も御承知のごとく、防衛庁といたしましては、海上自衛隊の下総基地の滑走路の改修工事等を六十一年度から実施することを計画しております。これは御承知と思いますけれども、六十二年度から下総基地にP3Cを配備いたしまして、パイロットを初め搭乗員の教育訓練を実施するために必要な工事でございまして、米空母艦載機の夜間離着陸訓練基地として利用することを目的とするものではございませんので、御理解いただきたいと思います。
#69
○新村(勝)委員 これはNLPのためではないというふうにおっしゃいますけれども、実際におやりになる工事についてはNLPもやれるような設備、強度、それから周囲の状況になるわけです。ですから、住民にしても知事にしても市長にしても町長にしても、これは心配せざるを得ないわけです。すぐにNLPに転用することができる設備になる、そういう条件を具備するに至るわけですから、その心配は当然なんですよ。そこで、少なくとも地元にそういう心配をかけないようにはできないかということなのです。
#70
○中川説明員 お答えいたします。
 ただいま申し上げましたとおり、この下総基地の改修工事というものは六十二年度からP3Cが配備されるということで、パイロットを初め搭乗員の教育訓練を実施するということでございます。
 ただ、現在も下総航空基地は、P2Jのいわゆる教育訓練基地として、パイロットを初め搭乗員の教育訓練をやっておるわけでございまして、機種が変更ということになりましてP2Jが逐次P3Cに取りかわっていくということになりまして、教育訓練を実施するためには、下総基地をP3Cの教育訓練を可能なように施設の整備をやっていかなければならぬという観点から整備を実施するものでございまして、先ほど申し上げましたように、米空母艦載機の夜間訓練基地として利用することを目的としているものではございませんので、御理解をいただきたいというふうに思っております。
#71
○新村(勝)委員 いや、それはわかるのですよ。わかるというか、そういうふうにおっしゃっていることはわかりますよ。ずっとそれを繰り返していらっしゃるわけですから、そういうふうにおっしゃることはわかるのですけれども、住民の不安はそれではぬぐえないということなのです。だから、住民に対して不安を与えないようにするということは、NLPに使われることは絶対ないという保証といいますか、そういう状況になるまではこれはやるべきではないと思うのですけれども、それについて再考する考えはないかということです。
#72
○中川説明員 お答えいたします。
 先ほど来申し上げておりますように、下総基地はいわゆる対潜哨戒機の教育訓練基地として必要な施設でございます。したがいまして、P3Cのために改修するということでございますけれども、これは現在使用しておりますP2Jにかわるというようなことで、P3Cになっても教育訓練の内容が現在とは変わらないというようなことでございますので、この下総基地の施設の整備について御理解をいただきたいというふうに思っております。
#73
○新村(勝)委員 さっぱり議論がはかどりませんので、地元としては知事以下市長、町長、住民すべてがこの工事については延期をしてもらいたいという強い要請がありますので、その要請があることをひとつ心に強く銘記をしてもらいたいということを要望しておきます。
 それから、もう一つこの問題については重要な点があるのですけれども、P3Cが配備をされますと基地の性格が変わるということが当然考えられますね。P2Jは偵察の教育訓練、偵察もするでしょうけれども主として教育訓練の基地だというふうに言われておりますけれども、P3Cが配備をされますとこれは完全に戦略基地になるということですね。これは事実ですか。
#74
○中川説明員 お答えいたします。
 ただいまの御質問は、P3Cが入りますれば現在の下総基地が戦略基地になるんじゃないかというような御質問でございますが、先ほど来申し上げておりますとおり、P3Cが下総に配備されたといたしましても、現在P2Jを使用して訓練をやっておる基地、いわゆる訓練基地ということと何ら変わりはないということで御理解いただきたいと思います。
#75
○新村(勝)委員 いや、そうじゃないのですよ。そうじゃなくて、P3Cという飛行機の性能、機能、それから言いましても、あそこを基地にして対潜哨戒あるいは対潜行動をするわけですから、これはP2Jとは、それから今までの下総基地の機能、役割とは全然違ってくるのですよ。これは常識なんですよ。そういうことについて当然お考えであろうと思いますし、そういうふうに基地の性格が基本的に違ってくる、変更されるという場合に、地元に対してそれなりの理解を得る説明なり了解なりは必要だと思いますけれども、いかがですか。
#76
○中川説明員 お答え申し上げます。
 先ほど来御説明申し上げておりますように、住民の皆様方からの要請書ということを私の方にいただいておりますし、その内容については承知しております。
 それで、その工事につきましては、先ほど来申し上げておりますように、あくまでも教育訓練基地ということで、機種が変更になってもやはりそれに対応するような教育訓練をやらないといけないということでございますので、いわゆるP3Cが使用できるような施設の整備をやっていきたいというふうに考えておりますので、御理解をいただきたいと思う次第でございます。
#77
○新村(勝)委員 これは改めて防衛庁長官あるいは防衛局長から伺うことにいたしますけれども、そういう心配が地元にあるということをひとつ伝えてくれませんか。
 それから、もう一点だけ今の問題について。防衛施設庁では、新たに周辺の三市町に騒音区域を設置しますね。騒音区域の指定のし直しをするわけですね。これはP3Cの配備に伴ってやるものですか。
#78
○芥川説明員 実はその件についての担当者が参っておりませんので、帰りまして担当者を先生のところに派遣させたいというふうに思っております。
#79
○新村(勝)委員 以上で基地の問題は終わりまして、次の問題に移りますが、次は長官にお伺いいたします。
 靖国神社の問題でありますが、まず最初にお断わりしておきますけれども、私は、戦争のために戦没をされた方々に対しては深甚なる敬意と感謝を持っております、ということを前置きにしましてお尋ねするのですが、靖国神社についてはいろいろ論議がありまして、政府もそれに対する対応については苦慮をされておるということはよくわかります。その中で、これは外国から言われた、言われないということではないのですけれども、A級戦犯が合祀をされておるということについて、これは率直に言っていろいろの論議があると思います。この問題について神社の当局では、戦争犯罪としての過去は消えた、いわゆる戦犯は法的に復権をしたのだということを解釈をされておる、その考え方に基づいて合祀をされておるといいうことが言われております。ところが一方、各方面からの深刻な疑問がこの問題についてはあるわけでありますが、長官としてはこの問題についてどうお考えですか。
#80
○江崎国務大臣 御指摘のように、この靖国問題については懇談会が設けられて、そして戦没者に対する追悼の意を表しこれに参拝をするという結論に、基づいて参拝が行われたわけでありますが、A級戦犯の問題につきましては、やはりこれは神社側においてそういう手続がとられたというふうに私どもも承知をいたしております。したがいまして、今この問題について私が、それが妥当であるとか妥当でないとかということを言う立場にはない、要するに靖国神社側がこれを合祀したという、靖国神社の立場での判断に基づいて合祀された、こういうふうに聞いております。
#81
○新村(勝)委員 そうしますと、政府としては合祀あるいはあそこにお祭りをするということについては、その方針、だれを祭る、祭らないというような合祀の方針、こういったことについては全く国は関知しない、関与しないということですか。
#82
○江崎国務大臣 これは国民とか遺族の方々が、靖国神社を我が国における戦没者追悼の場、それは中心的な施設である、こういう認識を持っておられますね。したがって我々はそこに追悼の意を表する。これはちょうど、八月十五日に戦没者の霊に追悼の誠をささげるというあの方法、ああいうやり方で、参拝においても本殿においてあるいは社頭において一礼をするという方法をとって追悼の意を表しておるということで、御理解をいただきたいと思います。
#83
○新村(勝)委員 それは宗教であるし宗教団体でありますから、崇拝する、参拝することは自由でありますけれども、国は公的に祭祀あるいは神社の方針については全く関与しないわけですね。関与しないわけでしょう。そうしますと、国として公式に神社に対して、運用とか合祀について関与をしないわけでありますから、憲法からいっても公的にかかわるということは適当ではないと思います。そういう点でいかがなんでしょうか、一貫しないのじゃないでしょうか。
#84
○江崎国務大臣 ごもっともな質問だと思います。要するに靖国神社の判断においてA級戦犯を合祀した、そのことについてまた政府がとかくの関与をすれば、これは宗教法人に対する必ずしも妥当な関与であるという域を脱しますね。そういう方面からいいまして、靖国神社の判断によって行われたことであり、それをまた政府が今直接関与をするという立場にはございません。
#85
○新村(勝)委員 それは神社がお祭りになるということは、宗教法人としてこれは自由です。しかし、国は公的に関与できないわけですから、これに対して公式に参拝するということも、そういう理論からすると適当ではない。大臣や総理が個人的に宗教の立場から参拝するのはどう考えても自由でしょう。ですけれども、公的な立場で、公的な形で、公式に参拝することについては疑義があると思うのですけれども、それはいかがですか。
#86
○江崎国務大臣 懇談会の結論に従って、追悼の意を表する、あくまでこれは国民的な追悼の情をおもんばかり、そこが事実追悼の場である、先ほども申し上げたとおりでございまして、追悼の意を表することについては、これは国民的感情からいいましてもそんなに批判、非難されることではないというふうに考えております。
#87
○新村(勝)委員 国民感情とおっしゃいましたけれども、靖国神社の神聖さあるいは権威、これについて我々は云々はしておりません。靖国神社はありがたいという方はそれで結構だと思うのです。ただ、国家権力という立場からして、あるいは憲法の条章からして疑義があるのではないかということを言っておるわけなんです。どこの国でも確かに、国家の命令ですか、国家の公的な行動によって命を落とした者に対して一定の敬意を表する、一定の形式でこれを全国民が尊敬と感謝の対象にするということはあると思います。あると思いますし、そのことについては我々は否定をしていないわけです。ただ、靖国神社の基本的な性格あるいは政府と靖国神社との関係、かかわり合い――これはかかわり合いはないと言うのですから、そういう点からして、その理論の脈絡からして、公的な立場で総理あるいは長官なり大臣なりが公的に参拝することについては疑義があるということを言っておるわけなんです。
 靖国懇の答申の中でも、諸外国がやっているような無宗教による、宗教なり信条なりの違いを超えて全国民が尊敬のできる、そういう形での霊場といいますか廟といいますか、そういうものをつくることを十分考えるべきだということも言っておるわけですよ。ところが政府は、そのことについては全く一顧だも与えないということのようですね。ですから長期的にはそういう方向に行くべきだ。長期的というのは言い方がよくないかもしれませんが、基本的にはそういう方向に行くべきだというふうにお考えになりますか、どうですか。
#88
○江崎国務大臣 この問題については、私も、随分以前ですが、内閣委員として関与したこともございます。いろいろな経緯もございましたが、現在ちょうど全国戦没者の霊に天皇皇后両陛下も追悼の意を表せられる、たまたま靖国神社は国のために亡くなった戦没者の追悼の場所であり、これがお祭りしてあるということで、そこにお参りをするというか追悼の意を表する、その参り方については、神式にはよらないで、一拝をするという方法によって追悼の誠をささげるということは、国民感情からいいましても、また国のために亡くなった人に対する哀悼、いたわりの心からいいましても許されることではないかというのが靖国懇の結論でありまして、それに従ったわけであります。
#89
○新村(勝)委員 国民感情とおっしゃいますが、我々は国民感情を無視することはすべきではないと思います。ただ、一〇〇%国民感情に流されると言っていいかどうか知りませんけれども、国民感情だけによって事態を判断するということではいけないと思うのですよね。国民感情は尊重しながらも、やはり理論的に正しい方向にこれを向けていくということが必要だと思うのですが、長官にはひとつもう一歩踏み込んでこの問題についてお考えをいただきたいわけです。
 もう一問お願いしますけれども、そうしますと、神社の今の方針を再考していただきたいというような要請といいますか申し入れといいますか、そういうことをするお考えはありますか。
#90
○江崎国務大臣 今の内閣が、御承知のような靖国懇の方針に従って追悼の意を表する、こういう形式を踏んでおります以上、私は今ここで新たな意見を述べるということは差し控えたい、そういうふうに思います。しかし、追悼の意を自然な形で表するということは、おっしゃる御意見、よく承っておきます。
#91
○新村(勝)委員 次の問題に移りますが、行政監察ということがやられております。これは行政の各般にわたって監督、監査、指導をされるわけでありますけれども、それが行政の各分野にわたって一様にやられていないということが言われておるわけです。特に防衛、それから海外協力、それから医療費等の分野については行政監察がやられていない、こういうようなことが言われております。防衛についてはこれは秘密事項が多いからではないか。また海外協力については、これは最近のいろいろな問題もありますけれども、海外協力についてはその方法がいろいろ難しいということがあると思います。しかし多額の税金が使われておるわけですから、海外協力についても十分監察が行われなければいけないと思います。この防衛、海外協力については監察がされていないようでありますけれども、その理由と、これからもやらないのかどうか、それをお伺いします。
#92
○江崎国務大臣 そういう特段の聖域というものは設けておりません。
 あとは政府委員から御答弁します。
#93
○竹村政府委員 ただいま防衛関係と海外経済協力の関係でお尋ねがございましたが、これらにつきましての従来の対応でございますが、例えば経済協力でございますと、全分野ではございませんが、技術協力を中心といたしまして四十九年に勧告をしております。
 それから防衛関係につきましても、これは各省横並びの関係でございますけれども、業務の効率化というふうなことで、その範囲内での監察は実施しております。
 一応、従来の経緯はそういうことでございます。
#94
○新村(勝)委員 時間がありませんので、次の問題に移ります。質問をずっと続けて申しますので、お願いします。
 自治医大というのがございますよね。この自治医大の運用について、これは全国の都道府県が出資をしておりますが、出資者の知事のうちで九〇%が、自治医大の存続に疑問を持っておるということが言われております。もう使命は終わった、あるいは使命が当初の考えのように行われていないということだと思います。自治医大のあり方について問い直すべき時期に来ているのではないかというのが一つ。
 それから、その自治医大が栃木県に広大な附属病院があるにもかかわらず、第二病院を今つくろうとしておるわけです。そういういろいろな疑問がある中で第二病院をつくることが果たして適当であるかどうかということ、これが第二ですね。
 それから、この第二病院について自治医大は現在、大宮市の土地開発公社で買った土地、これは目的は消防防災センター用地として買ったわけでありますが、このうち約一万坪を大宮市より提供させる動きがあるわけです。これについては市内にも、使用目的が違うというようなことで進出を認めるべきではないという強い世論があるようでありますが、その問題についてどう考えるか。
 それから第四に、地元の埼玉県知事もこの問題については態度を保留しておるわけです。そしてまた、地元の医師会を初め地元との話し合いも全くされていない。こういう中で強行することについては大変疑問があるということが言われておるわけでありますけれども、どうお考えであるか。
 この四点をお伺いします。
#95
○江崎国務大臣 私、ちょっと管轄外だと思ってよそ見をしておりまして失礼をいたしました。政府委員がいないようでございますから、私からお答えをいたします。
 医師の数が多過ぎる。自治医大は必要に迫られて、本当はあれは僻地対策ということが中心だったんですが、それがだんだん一般医というような形に性格が変わってきた傾向も否定できないと思います、これは各県からの出資ということなどもありましてね。ですから、今御質問にありましたような点については、これはやはり国務大臣として配慮すべきことというふうに承っておきます。
#96
○新村(勝)委員 終わります。
#97
○志賀委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時五十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十分開議
#98
○志賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。鈴切康雄君。
#99
○鈴切委員 総務庁は内閣委員会の所管でございまして、きょう初めて総務庁長官に御質問をする機会があったわけでございますが、ほかの委員会は大体その所管の大臣が所信表明をされてその所信表明に対しての質疑が行われるというようなことが通例になっているようでございますけれども、内閣委員会は前からの慣例もございまして、一般質問的な要素も含めて法案の審議のときに質疑をするということになっております。
 そこで、総務庁長官であると同時にまた特命事項担当大臣として、大変にお忙しいお立場でおられるわけですけれども、きょうはそういう意味も含めて若干質問をしたいと思っております。
 恩給法の問題につきましては、恩給としては制度の改革等について若干論議されておりますし、中身については通例の恩給のアップということでございますからさほど論議を重ねるというようなことにもならぬだろうと思いますので、まず江崎総務庁長官に、江崎総務庁長官は、恩給とか行革とか公務員給与等を所管する総務庁の長官という側面と、今申し上げましたようにいわゆる対外経済対策の円滑推進、または民間活力の導入推進という特命事項担当大臣としての両面を持っておられるわけです。そこで、経済財政政策に関する特命大臣としての基本的な考え方からお伺いをしたいと思っております。
 まず初めに、二月二十一日の月例経済報告閣僚会議では、最近の急激な円高が国内経済などに及ぼす影響を懸念する声が相次いだと報道されております。来年度の経済成長を公約どおり四%に保ちつつ、対外経済対策を円滑に運営していくということは相当困難なことだと私は考えております。特に円高によるデフレ傾向が出ている一方で、内需拡大にもいま一つ決定打が欠けているように思われ、サミット議長国として苦しい立場に置かれていると思いますけれども、特命事項担当大臣としてはサミットにどのような姿勢で臨まれるおつもりであるか、その点をまずお聞かせ願いたいと思います。
#100
○江崎国務大臣 ごもっともな御質問でございまして、にわかの円高、円高ということは結論的に言えばそれだけ円の評価が高くなったことでいいことですが、何でもにわかということは高くなるにしろ安くなるにしろそれなりの犠牲者が出るわけで、特にデフレ現象が今顕著であることは御心配のとおりであります。
 私も月例経済報告のときには、ソフトランディングすることはいいけれども、こういうあり方は困る、せっかくグループ5というものがある以上は、そのグループ5とは絶えず連絡をとっておるだろうから、大蔵省なり日銀からそれなりの対応策、特に百七十円台などということは日本の経済に悪影響こそ及ぼせ決して好影響はもたらさない、そういうことを緊密に連絡すべきだということを強く発言した一人でもあるわけでございます。
 そこで、サミットをどう迎えるのか、これは大変難しい場面に日本は立たされておるわけでありますが、あのアクションプログラムというのは、あれは私は党の責任者として副委員長をいたしましたが、総理・総裁である中曽根総理みずからが本部長を買う、それからその当時は特命大臣が河本さんでありましたが、これは副本部長、党は私というようなことで、皆さんの御協力を得て法律案も早く通していただいて、千八百四十九品目、四月からあと四品目ぐらいが加わるわけでありますが、相当思い切った税制改革もやって、税の平均率から言うならば世界で一番低いのが日本の関税、そこへ円高というようなことですから、これは関税の問題で問題はもう一切ないと言ってもいいくらいで、それくらい私は評価されていいものだと思います。
 ただ、規格・基準・認証などという問題がいまだに米国あるいはECあるいはASEAN諸国からも声が上がっておりまするので、このフォローアップを三月末までに確実にしたいということを強く求めておるところであります。
 それからいろんな規制ですね、デレギュレーションの問題、これはやはり見直しを常にしていくことが必要である。
 それから特定品目にかかわる節度ある輸出、これはやはり協調体制のもとに経済サミットも行われておるわけでありますから、日本だけが突出して、日本だけがひとり貿易立国とはいいながら輸出が過大である、貿易インバランスが日本だけがいかにも目立ち過ぎるというようなことは、これは各国から非難の対象にもなりましょうし、議論の対象にもなりましょう。そういった面で、象徴品目とされる自動車などについては既に自粛を発表したことは御承知のとおりであります。そして、今円高であるからこそ、多角的な貿易交渉の開始に向けてリーダーシップをとることもできるのではないか、こういうふうに思います。
 なおまた、今度のサミットでは、円の国際化についても、金融市場の自由化ということに伴って、もっともっと強く日本側としても発言をしていくことが必要ではないか。国際通貨の問題といいましても、なかなか今のフロート制をすぐ改める名案がだれが考えてもあるとは思いませんが、しかし理想的な手段があるのかないのか、次の視点に向けてお互いが研究を重ね合う、これはもちろん必要ですね。しかし日本が輸入をする、いわゆる輸出じゃなくて物を買うときに、円がわずか三%足らずであるなんというようなことは、世界の経済大国などとかりそめにも言われながら、いかにも少なきに過ぎる。輸出については近隣諸国との貿易でどうやら四〇%弱、これも三〇%台です。しかし買い手市場で、いかに石油と銅がドル決めでありしかも長期契約であるとはいいながら、もっと円の国際化を進めるというようなことをサミットで強く強調してもらいたいということを、大蔵大臣あるいは総理大臣などにも要請をしておる次第でございます。
 長くなりますから、また御質問によって答えることにいたします。
#101
○鈴切委員 莫大な対米黒字を初めとする対外経済問題の解決のために、政府は、先ほど申し上げましたように、アクションプログラムの実施により貿易摩擦の解消を図り、他方では、民活の一括法案を大規模な内需拡大政策の実施という形でやろうとされております。
 当初、民活問題については、各省庁でいろいろと検討をされておったところが、やはり結論的には同じような形になったということで、これが一括法案という形で出されるということを聞いておりますけれども、民活法案が一本化された意義について、大臣はどのようにお考えになっておるでしょうか。
#102
○江崎国務大臣 ちょうど私もここに一表を持っておりますが、最初は通算省、それから運輸省は港湾利用の高度化促進法、それから通産省は新産業基盤施設整備促進臨時措置法、それから郵政省は民間活力の活用による電気通信の高度化基盤の整備に関する法律、それから建設省は特定都市開発基盤整備促進に関する法律、こういうふうに名称もやや似通ったような原案が出されたわけでございます。そこで官房の方から、特命室でこれを何とかまとめてみたらどうかという要請を受けまして、全くそのとおりだ、四省庁においてはそれぞれ今申し上げたように独自の法案を進めるということでありましたが、これは共通点がありますね。オーバーラップする点が非常に多いのですね。そこで四省庁間の意見を十分聞きまして、特命室がその調整に当たったわけであります。
 そこで、法律の運用に際しては地元、民間の混乱がまず回避されますね。これは通産省に行け、これは運輸省に行ったらいい、いや、これは郵政省に行ってくれ、こういうことにならないように、そういうメリットがあると思います。それから上物の施設の整備が、都市基盤整備、公共施設の整備等と連携をとりながら一体的に推進されることになる、そういうメリットもございます。
 そういうわけで、これは国民のためにも、それから簡素にして能率的な政府を今つくろう、こういう総務庁の立場からいいましても、それぞれの言い分も聞いて、共管になる施設もございますが、どうやら一本化に向けて今話が煮詰まりつつあるところで、間もなくごらんに供することができると思います。
#103
○鈴切委員 昨年の対米貿易黒字は約四百九十億ドルだというふうに聞いておりますけれども、政府としては、G5による円高の操作あるいはアクションプログラム、さらには関税引き下げ等あらゆる手段を講じて、対米貿易の改善を図っておられるわけでございますけれども、それでもことしはやはり五百五十億ドルというような対米黒字が出るのではないかというふうに言われております。となると、今は比較的保護貿易主義については鎮静化しておりますけれども、これが五百五十億ドルという黒字ということになりますと、貿易摩擦がますます深刻化することが懸念されております。対米あるいは対EC貿易で、これからどういう方策をとろうとされているのか、政府の考え方をお聞きいたします。
#104
○江崎国務大臣 まことにごもっともな御質問でございまして、私もその点では特命相として本当に苦労をしておるところでございます。
 したがって、先ほど申し上げましたから繰り返しませんが、アクションプログラムの徹底とかそれから輸出の自粛とか、いろいろな方法もありますし、何といっても民需を引き出さなければなりませんね。「増税なき財政再建」ということで悪戦苦闘して、皆様にも御苦労をかけ、御協力をいただいておるわけてありますが、財政事情からいいますと、地方財政まで含めますとGNPの四九%、国費で四三%というのが日本の赤字の実情でございます。それからアメリカが約四〇%、アメリカの財政事情は悪い悪いというが、むしろアメリカの方がまだ救いがあるようなんですね。
 そういうことで努力をしておるわけでありますが、今おっしゃるように、五百五十億ドルというのはまだ穏当な数字で、先ごろスミスというUSTRの大使が参りまして、二、三日前にも私は会いましたが、今度は七百億ドルになるでしょうと、あの人は非常に強気の人ですが、思いもかけない数字を言うのですね。それはアメリカ側ももっと輸出努力をしてくれなければいかぬ。特に今円高のときこそ輸出がしやすいではないかということも強く申し上げ、要望をしたわけであります。
 私は、これをどう切り抜けるかとおっしゃると、話が長くなりますから結論から申し上げますと、アメリカと日本の経済というものはナンバーワンとナンバーツーということになっておりますが、向こうはGNPの二〇%、こっちは一〇%強ということで、世界の三〇%国ともなれば、相当競合しているんですよね。競合というより何といいますか、水平分業があったり協調体制がとられておるわけです。まだ昨年度の数字が出ておりませんが、私、スミスにもまた国務次官ウォーレスさんにも申し上げたことですが、案外アメリカ側で気がついていないものに、日本との間には随分深いつながりがありますよ。そして、日本のインバランスを言われるけれども、そのほとんど三〇%というものはあなたの方のために貢献しておりますよ。その数字、これはジェトロ、通産省が合同で一九八四年の統計でありますが、日本の勤勉意欲、それから日本の技術力、こういったものを評価して、アメリカが単独で進出しておる企業が随分あります。これらがアメリカに二十億ドルの逆輸出をしているわけですね。それからOEM、これはアメリカのブランドを日本と合弁でつくっておる商品、このOEM商品が五十億ドル、アメリカに出ていっております。それから、どうしてもアメリカが製品化するために欠かすことのできない部品が約八十億ドル、それから、アメリカでは全く生産をされていないが必要とする商品、例えばVTRのようなもの、こういったようなものが四十億ドル、合わせて百九十億ドル、これは一九八四年の六百十三億ドルに対照しますと全く三〇%ですね。三〇%がアメリカ経済に貢献をしておる。水平分業体制になっておる。
 これは今のスミスも、初めてその数字は聞きました、こう言っておりましたし、ウォーレス国務次官、七十四歳のベテランでございますね、この人も、そういう数字をもっと日本は積極的にPRしてくれ、いや、PRしているつもりなんだが、なかなかそういうのをそちらのニュースペーパーが取り上げてくれないのだという話をしました。これは昨年の数字も間もなくお答えすることができると思いまするので、サミットなどでも、こういった密接不離の関係にあることを言って、だから日本商品は悪であるというようなことは言ってもらいたくない。
 ウォーレス次官は、これはベテラン、大学の学長をやったり実業家でもあった、コダックの社長なんかも経験された方で、特にシュルツ長官に請われてなった次官ですが、いや、日本の商品はいいから売れるのですよ、そうあなたまでがアメリカの議員病のようにまゆをひそめてばかりおらなくとも結構ですよ。いや、そんな話はアメリカの代表から初めて聞きますねと言って、私はむしろ感謝しながら対応したことでありますが、だんだんこういう水平分業をもっと広げ、密接不離であるということを向こう側にも宣伝する必要があるんですね。これは大事なことだと思います。
 それからまた、これは各党の皆さんにもぜひ御協力を願いたいと思いますが、各州の知事などになりますと、日本に対する企業誘致が非常に熱心なんですね。そしてまた、雇用に貢献してくれるということについて大きく評価しておってくれます。それで、日本の企業の生産性、合理化、こういったものにも学ばなければならぬということを常々口にする州知事さんもたくさんおります。ですから各州との間で姉妹提携を結んでおる県あるいは都市村郁市、こういったものを深め、また議員連盟もつくりまして、そして本当に日本の経済とアメリカ経済というものは水平分業で深くつながり合って補完し合っておる、これをサミットで徹底することが必要である。
 私は、貿易摩擦の面だけについてお答えすれば、以上でございます。
#105
○鈴切委員 中曽根総理大臣が、東京サミットの重要課題を、世界経済活性化のための政策調整ともう一つ平和軍縮に置く方針を固められたという報道がなされておりますけれども、かなりデフレ色を強めておりますところの世界経済の景気浮揚のために、我が国が打ち出すべき役割とか分担とかそういう具体的な施策をどのように考えておられますか。その点大臣の御所見をお伺いします。
#106
○江崎国務大臣 仰せのように世界的な軍縮、これは大国の代表が集まるわけでございまして、サミットはもともと経済が中心の集まりでありますが、軍縮問題について議論をすることは当然あっていいことだ。特にアメリカ、ソ連がテーブルに着き、また第二回の会談が行われるということも期待されております。また日本にも八年ぶりにソ連の外相が訪日する、今度は安倍外相が訪ソするというような段取りなどから考えましても、当然話題になることはあると私は思います。
 その他の内容等につきましては、今それぞれ積み上げ中でありまして、この場面でまだ具体的に私がどうなる、こうなる「国際経済摩擦等については先ほどお答えを申し上げましたが、全般の議題、全般の問題についてはそれぞれ各国の代表が今詳細に打ち合わせを進めておる段階でございまして、いずれ近い機会に明らかにされてくると思います。また、その機会に御答弁を確実なものとして申し上げたいと思います。
#107
○鈴切委員 次に、行政改革に対する総務庁長官の所見をお伺いをしたいと思います。
 臨調答申及び行革審では「増税なき財政再建」を基本方針に思い切った改革ということがうたわれておりますけれども、政府が今までやってきた行革は、実際には骨にまで達する行革ではなくして、むしろ簡素合理化、効率化ということが主たる目的になった行革であるように私どもは見ているわけです。だから、例えて言うなら、金減らしの効果がほとんどあらわれずに、百四十兆円の国債発行額が実際にはふえる傾向にあり、「増税なき財政再建」はかけ声だけで、実際には不可能なような状態になっております。
 行革推進の立場の大臣として、確かに簡素合理化、効率化ということについては必要な部分でありましょうけれども、少なくとも行革をやったことによってこれだけの倹約ができたとか、あるいは国民の皆さん方が、なるほどやっているなというふうなことになりませんと、私はなかなか国民的な合意が得られないだろうというふうに思うのですけれども、今後どのように行革を推進されていこうとしているのか、総務庁長官のお立場としてお伺いいたします。
#108
○江崎国務大臣 仰せのように、「増税なき財政再建」というのは本当に困難な道のりだったというふうに思います。私は、予算委員会でも正直に、大臣でないときは党内でも、建設公債はいいじゃないか、建設公債出せ、こう言って大いに、大きな声で主張をした一人でございます。しかし、総務庁を直接担当してみまして、「増税なき財政再建」というものにもし中曽根総理が妥協をしたりしておったとしたら、今までの行政改革というものはできなかった、これは自分の考えが間違っておったな。これは党ではいろいろな議論をいたしますが、最終的には予算編成段階で一本にまとめるわけですが、私は、よくぞ「増税なき財政再建」をここまでこたえてきたなという評価を合しておる一人でございます。
 また、それは閣僚としてばかりではなくて、もしあれを妥協しておったら、年金の改革も健保の改革もできなかったでありましょうし、電電にしても果たしてどうなっておったのか、専売公社の民営化ということも果たしてどうなったのか。特に国鉄のこれから議論がかまびすしい民営・分割化という問題も到底不可能で、恐らくこれは話だけに終わってしまったんではないか。やはり「増税なき財政再建」という合い言葉のもとに、本当に政府が苦しい立場を貫いたことがてこになって、それなりの成果が上がったというふうに評価をしておるものであります。
 今後につきましても、まだ地方の簡素にして能率的な地方行革も進めなければなりません。そして、人員の自粛等についてもそれぞれ予定どおり各省庁とも協調を得ておる、そしてまたその中で、国鉄の余剰人員を逆に親切に相互扶助の立場で吸収していこう、これも当然の責任ですね。そういうことでやり合っていくわけでありますから、派手な御答弁はできませんが、着実に、粘り強く、そして今おっしゃったように、補助金の合理化とかあるいはまた政府の余剰土地の国有財産を、国民の財産を有効適切に手放すとか、これも一遍きりのものでありまするから、批判を受けないようにしながら、例えば電電の株式にしましても日航の株式にしましても、御納得のいく形でやはり財政再建に貢献させると同時に、行革は絶えず進めていかなければならない。
 これは、ちょっと手を緩めますと、やはり民主政治というものはどうしてもサービスの面に重点が置かれまして、中央地方にかかわらず肥大化するのが常であります。そういった面で、サービスがよくなることはいいことですが、極端な肥大化、これは調整しなければなりません。そういった意味で、今後とも厳しく臨んでまいるつもりでございます。
#109
○鈴切委員 中央省庁の統廃合におきましては、行政管理庁と総理府の一部を統合して総務庁がつくられました。総務庁がつくられたといっても、そのことがどれだけ財政再建に寄与できたかということは、私は大変に未知数な問題だろうというふうに思います。臨調答申を最大限尊重して実行してきた政府の行革で、今までにどれだけ財政再建に寄与したというふうにお考えになっているのか、その点はどういうふうにお考えでしょうか。
#110
○江崎国務大臣 これは国、地方を通ずる行政の全般を幅広く見通しまして、中長期的な展望に立って行政のあるべき姿を実現していく、こういう目的でやってきたわけですね。そして、時流に合った簡素にして能率的な役所づくり、これはある程度御了承いただけるような成果を上げておると私は思うのです。
 規格・基準・認証の問題はもとよりのことでありますが、民間活力を引き出す上におきましても、同様に、いろいろな基準の見直し、これは絶えず今も進めておるところでありまして、予算審議のさなかにも、例えば今朝も党側のそういう関係者と朝飯会をやりまして大いに激励をし、また要請、お願いをした次第でございます。
 そういうわけで、将来にかけても相当な効果があらわれるわけでありまして、四年連続前年度比マイナスという公的年金、医療保険の制度改革の実施、補助金等の総額の三年連続の減額、こういったことを達成しておることはお認めいただけるものと思います。
#111
○鈴切委員 臨調の第三次基本答申では、国土の開発利用等に関する企画調整機能の一元化の観点から、国土庁、北海道開発庁、沖縄開発庁の三庁統合が指摘されておりますけれども、実は全く手つかずの状態でありますが、国土三庁の統合については政府の検討はどのくらい進んでいるでしょうか。
#112
○江崎国務大臣 これは御承知のように、五十八年五月二十四日の閣議決定を受けまして、そして三庁連絡会議というものを設置し、そして、関係施設及び計画の円滑な調整を図るために協議を実施しておるところであります。したがって、結論的に申しますと、この連絡会議は五十八年の七月以降もう八回も開催されておるわけであります。
 国土三庁の統合というものは、沖縄の特殊事情、これは配慮しなければなりませんね。行革審の答申でもその点に触れております。それからまた、当面、国土庁、北海道開発庁及び沖縄開発庁の長官は、場合によれば一国務大臣であることが望ましい。今たまたま北海道と沖縄は一人ですが、国土庁は別途ということになっております。こういう面についても、当該機関の担当しておる行政を配慮しながら、答申の線にこたえるような方向に結諭づけていきたい。それには、三庁の無理のない形の合意を得ることが必要だ。だから八回に及ぶわけでありますが、今後も旺盛に進めたいと思います。
#113
○鈴切委員 五十八年に連絡会議が持たれて、三庁のことについては八回いろいろと検討されているというふうに言われましたけれども、政府は確かに臨調答申に対しての尊重義務があるわけでございまして、そういう意味において、政府としてすぐ取り上げやすいものはどんどんと取り上げていくわけでございますけれども、この種のような問題になってきますと、どちらかというと、連絡会議という機関だけが設けられて、実際にそれでは三庁統合ということになりますと、なかなかその結論が出ないということになるわけです。連絡会議を何回開いても、先ほどおっしゃるようなことも申された以上は、三庁統合というものはなかなか進んでいかないと思うのですけれども、これは大体いつごろまでにめどをつけようというお考えなんでしょうか。
#114
○古橋政府委員 三庁統合という問題でございますけれども、これはその三庁おのおのその地域におきます特殊事情がございます。沖縄の場合もございます。あるいは北海道におきましても、北海道の我が国における食糧資源であるとか資源問題であるとか、そういうようなものの特殊事情がございます。したがいまして、もしそれをスムーズに臨調答申の方向にやっていくためには、それぞれの地域の方々の御納得をいただいてやっていく、今大臣が申し上げたとおりでございます。
 私どもといたしましては、現在その三庁の連絡会議を開いておりますけれども、臨調答申の実質的な趣旨、三庁統合を言われた趣旨というものは、当該計画において整合性を持たせるために三庁を統合するのである、こういうことでございますので、当面はおのおのの三庁の計画を実施してまいります場合によく意思の疎通を図るというようなことで、実際の三庁の行政事務について連絡調整をする、そういうことで連絡会議を開いているわけでございます。こういうことによりまして自主的に臨調の御答申の趣旨が全うできるようにする、そういうことで現在やっておるわけでございまして、当面この推移を見守りたいというふうに考えておるところでございます。
#115
○鈴切委員 確かに沖縄あるいは北海道、それぞれ特殊事情があるということはよくわかるわけでございます。また地元の御理解等も求めなくちゃならないわけでございますが、特殊事情があるということについては臨調の方も言っているわけでございますけれども、それじゃ果たして、今現在地元の御理解を得るためにどのように具体的に作業に入っておられるのか。その点はどうなっていましょうか。
#116
○古橋政府委員 私ども常に臨調答申の実施状況というものを検討いたしておりますけれども、その際に、沖縄開発庁あるいは北海道開発庁あるいは国土庁にこの面についてどうかといろいろお願いをいたしますけれども、まだまだ現在の地域の御要望では、統合していいという段階に至っていない。しかし、私どもは常に、最大限尊重をするという態度をとっておりますので、あらゆる機会をつかまえましてこの方向で努力してまいりたい。しかし、その場合におきましても、無理やりにこういうものは統合できませんので、各地元の御要望等も十分承って、円滑なその推進を図ってまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#117
○鈴切委員 中央省庁における統廃合の問題については、これは総務庁という形で行管庁と総理府が一つになったことは中央省庁の中の目玉だとも言われておったわけですけれども、少なくとも政府自体がもっと真剣に行政改革に取り組むには、ただ単に機構をくっつけたというような状況であってはならない。もっともっと真剣に、簡素にして合理化できるような、そして、言うならば政府みずからが本当の行革について汗を流しているということにならないと、ただ単に連絡会議を設けただけで、特殊事情もございます、あるいは理解を得なければなりませんということであるならば、これはかけ声で終わってしまうわけでございます。
 私が先ほど申し上げたように、臨調の答申を最大限尊重して実行するということを常に表看板にしてきた政府としてみれば、この問題は先送りしてしまって結局はうやむやになってしまうおそれがあるのじゃないだろうかと思うのですが、大臣どうでしょうか。
#118
○江崎国務大臣 御激励、大変感謝にたえません。仰せのとおりでございまして、行政管理庁と総理府の大部分が一体になって行革推進のために総務庁ができたわけですから、答申を着実に前進させることは全く仰せのとおりだと、私も同感でございます。
 ただ、残念なことにといいますか、これは国会の場合でもそうでありますが、総論は賛成であっても各論になりますと、地域の利害が錯綜いたしまして、北東公庫一つをどうするかという問題でも、まだまだ決めておらないうちからいろいろな陳情やお話があるというようなことでありまして、事務当局が本当に苦労している意味が私も政治家であるだけによくわかります。
 そうかといって、これは今仰せのようにじんぜん日を過ごしたのではいけませんね。ですから、各地域が満足をし本当に整合性のある形で、なるほどという環境づくりに我々総務庁は全力を挙げなければならぬと思います。そういう点では、どうかひとつ議員各位におかれても御協力を願いまして、自然な形で、なるほど統合されても不自由はない、万行き届いた形で三庁統合がなされた、こういう結論が得られるような御協力を改めてお願いも申し上げておきたいと思います。
#119
○鈴切委員 次に、公務員給与の担当である総務庁長官に人事院勧告の取り扱い問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 人事院勧告の取り扱いについては、ここ数年来、凍結や政府の手による勧告率を抑制した俸給表の作成、実施時期のおくれ等の、言うならば不完全実施が続いておりますけれども、江崎総務庁長官の前任者でありますところの後藤田総務庁長官は、昨年の十二月十日の衆議院内閣委員会で私の質問に対しまして、「余り御心配なさらないで、私はしばしばお答えしておりますように、三年間で完全実施をする方針であるということでひとつ信頼をしていただきたい、」という答弁をされております。その答弁からすると、ことしは四月から人勧を完全実施するという年になりますけれども、人勧の完全実施について後藤田前総務庁長官からどのような受け継ぎをされているのか伺いたい。また、この問題をどのように取り扱いをされるお考えなのでしょうか。
#120
○江崎国務大臣 財政事情の苦しいことは先ほど来申し上げたとおりでございますが、人事院総裁も来ておられますけれども、人事院勧告があれば、やはり俸給というのは勤労の基礎条件に関する重要な問題である、自分も、今までは三年間いろいろな事情によって一〇〇%実施ということはできなかったが、できるだけ人事院勧告の線に沿って期待にこたえられるような最善の努力をしたい、そういう答弁をしてきておる、これはお含みを願いたい、こういう受け継ぎを受けております。
#121
○鈴切委員 そこで、人事院総裁にお伺いいたします。
 民間企業のベースアップについては春闘がこれからですので具体的な話はできませんけれども、春闘が終わったら人事院としても従来どおり民間企業の給与実態調査に入ると私は思います。
 そこで人事院総裁、民間企業に勤めている方々は可処分所得の目減りで春闘にはかなり高い要求額を掲げて闘っております。ちょっと聞くところによりますと、賃金闘争連絡会におきましては大体七%からプラスアルファ、鉄鋼労連においては五・七七%、あるいは私鉄は一〇・三%、電機労連は七%程度というようなことになって、春闘のアップ率についてはかなり高い目標を掲げて闘っております。この交渉は労使の話し合いにまたなければなりませんけれども、結果は結果として、ことしは政府は人勧の完全実施を約束している年だけに、調査結果が官民の給与の較差として、たとえそれが五%を超える数値に達しなくとも人事院としては勧告をすべきであると考えますけれども、人事院総裁のお考え方を聞かしていただきたい。
#122
○内海政府委員 人事院におきましては、過去におきましても五%を切った場合にも勧告をいたしております。それはどういう事情かといえば、やはり国家公務員の給与というものは民間との比較の上で、要するに均衡を維持していくということが極めて大事でございます。あわせて労働基本権の制約という厳しい条件下にあるわけでございますから、そういうふうないわば公務員給与の決定の理念というものを基礎に置き、さらにいわゆる現業公務員の給与の決まり方、あるいは公務員といいますよりも、そのときにおける生活の諸条件その他、いろいろな条件を勘案して、在来五%を切った場合にも勧告をいたしてきた、こういうふうに考えております。
 さて本年の問題ですけれども、我々はこれから具体的に調査に入って、その後どういうふうな官民間の給与の条件が出てくるかということは、これを今考えることは適当ではございませんし、また困難でございます。しかしながら、今申しましたようないろんな考え方というものに立脚して、私どもとしては、今年も慎重に、しかしながら積極的な考え方を持って検討をしていきたい。そしてその結果によっていろいろな措置が出てくる、こういうふうに思っております。
#123
○鈴切委員 今あなたがおっしゃったのは、たしか五十三年の八月十五日衆議院内閣委員会で、私が藤井前総裁に質問をしたときに、前総裁は、五%未満であっても勧告をした理由を、「人事院といたしましては、やはりこれの較差が厳然とある限りは、この較差を埋めるために勧告を行うべきであるという結論に達しまして、」と答弁されておられます。それから、さらに私が申し上げましたときに、「諸般の情勢から言いましてやはり民間のしかるべき数、パーセンテージの従業員について何らかの措置が講ぜられた場合におきましては、金額全体としては仮に少ないものであってもそれに見合う措置をやっていくということが、官民給与の均衡の問題からいってむしろ適当なのではないだろうか、公務員なるがゆえにそれを見送る、来年回しにするとかいうことはむしろ適当ではない、私はこういうふうに基本的に考えております。」こういう御答弁があったわけでございます。
 そうなりますと、今人事院総裁は、この問題については慎重に、積極的にとこうおっしゃったわけであって、何を言っているのだかわからないわけです。慎重にということは、これは慎重ということなんですから、片一方で積極的にということなんで、これは両方考えると全く何もやらないということになっちゃうので、慎重にというよりもむしろ、こういう問題については今の答弁等もあるから、人事院としては、これからの問題であるけれども積極的に取り組んでいきたいというふうな御答弁にならないと、公務員は、人事院総裁は何を言っているんでしょうか、こういうふうになりますけれども、その点についてもう一度御答弁願いたい。
#124
○内海政府委員 前藤井総裁が鈴切委員に御答弁申し上げております考え方、これはいわば大変基本的な考え方であって、私どもも今それを変更するとかあるいはそういう考え方をとらないということは考えておりません。したがって、私どももそういうふうな考え方で対応をしていきたい。
 それから、今の私の言葉ですけれども、慎重に考える、慎重に検討するということは大事なことでございまして、おろそかにしてはいけないのでございます。官民の較差の検討というものは、どこまでも精密に、科学的に、厳しく検討していかなければならぬ。その出てきたものと、さらにいろいろな先ほど申しましたような他の現業公務員等の給与の実態、決まり方というふうなもの、そういうものをあわせて慎重に検討しなければいけない。しかし、その場合において、私どもは積極的に考えていきます、こういうふうに言っているわけです。
#125
○鈴切委員 人事院総裁、ちょっとお言葉が少なかったものですから、一緒に慎重に積極的にとおっしゃるから、何を言っているのだかわからないのですけれども、今お話があったように、言うならば公務員給与については、官民較差の検討は人事院としてはやはり第三者機関としてこれは当然慎重にいろいろ検討もしながら取り組むにしても、しかしその結果出たものについては積極的にとにかく勧告をしていくつもりであるというふうに、私の方としてはそのように伺ったわけでございますから、それはそれとして結構なことだと思います。
 しかし、そうなってまいりました場合に、総務庁長官、今まで後藤田さんが、私が執拗に言うものですから、それは余り心配しないでくださいよ、そのときのやりとりが議事録にありますから、よくごらんになっていただければわかるわけでございますけれども、そうなってきますと、やはり何といっても、三年たって政府としてそう取り組んできたということですが、財政事情はそれは厳しいことはよくわかりますけれども、しかし公務員の皆さん方だってそれぞれ生活をしているわけですよ。官民給与の較差で人勧が出されても、言うならばそれが削られたり凍結されたりとということで随分目減りをしているような状況でありますし、これは公務員の士気にも影響する問題であると同時に、やはり公務員にすばらしい人たちがなかなか集まらないという問題も考えなくてはいけないと思うのですね。そうなったときにことしはどうですか、一〇〇%の完全実施はこれはもうできるのでしょうね。
#126
○江崎国務大臣 先ほど来お話の点、よく承っております。人事院総裁も、慎重に考慮をし、配慮をして、そして積極的に答申をしてくるという事態になれば、これは財政事情の困難なことはもう十分鈴切委員もおわかりのとおりでございますが、やはり俸給というものが勤労の基本的な条件に関するものである、非常に重要だという昨年十一月八日の官房長官談話というものがありますし、そして後藤田官房長官から私に対する引き継ぎもありまするので、人事院勧告がなされれば、財政事情が非常に苦しいことは変わりはありませんが、できるだけその線に沿って実行に移すよう努力をしたいという決意であります。
#127
○鈴切委員 春闘はこれから始まるわけでございますから、といってやはり、公務員の給与の担当大臣として、これからの人勧が出された場合の心構えとしてお聞きをしたようなわけでございます。
 さて、恩給の問題にこれから若干移るわけでございますが、人事院総裁、大変に御苦労さまでございました。本当にひとつ積極的にやっていただきたいということで、どうぞお戻りになって結構でございます。
 恩給の改定につきましては、前年度の公務員の給与改定をベースとして増額されていく方式が今日までとられてきておりますけれども、今回提案された六十一年度恩給改善について政府の基本的な考え方をまずお伺いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#128
○江崎国務大臣 基本的には、各年度における恩給改善の考え方は、経済変動に伴い年金、恩給の実質的な価値を維持していくとともに、他の年金との関連等において恩給給付の適正な水準を確保する。
 そして本年度においても、第一に、公務員給与の改善を基礎として恩給年額を増額する。第二には、普通扶助料の最低保障額を厚生年金保険における遺族年金の最低保障額との均衡を図るための増額を行う。第三には、傷病者遺族特別年金について普通扶助料の最低保障額との均衡等を勘案してその基本額及び遺族加算額を引き上げる。
 これが基本的な方針であります。
#129
○鈴切委員 六十一年度の恩給予算における恩給種別の受給者数、金額、人員の割合はどうなっておりますか。これは大臣にお聞きしなくとも、事務的なことでございますので、御答弁願いたいと思います。
#130
○佐々木政府委員 お答え申し上げます。
 昭和六十一年度の年金恩給受給者の総数は二百十六万六千人でございます。総額は一兆六千八百十三億円でございます。
 これを種類別に申しますと、まず普通恩給、これが受給者の五〇%を占めますけれども、百八万三千人、それからその金額は五千五百十一億円、金額の割合は三三%であります。それから傷病恩給につきましては、受給者数十一万三千人、それから金額におきましては千八百五十六億円。それから普通扶助料、これが人員が四十八万七千人、それから金額が二千五百十五億円。それから公務関係扶助料、これが人員が四十七万人、それから金額が六千八百八十七億円。傷病者遺族特別年金は一万三千人で、金額が四十四億円という状況になっております。
#131
○鈴切委員 六十年度の恩給費は一兆七千三十億円、六十一年度の恩給費は一兆六千八百三十五億円で、百九十六億円減少しておりますけれども、減少した内訳はどういうふうになっていましょうか。
#132
○佐々木政府委員 御指摘のとおり、前年度に比べまして恩給費は百九十六億円減っておるわけであります。その内訳を申しますと、まず増分は二つございまして、昭和六十年度における恩給改善措置の平年度化に伴う増、これが二百三十九億円、それから昭和六十一年度における恩給改善措置による増、これが四百二十九億円、本年度の増であります。両者合わせまして六百六十八億円の増を必要とするわけでありますけれども、一方で恩給受給者の減少、これが五万六千人ございまして、こうしたような自然減によりまして八百六十四億円の減、差し引き百九十六億円の減ということになっておるわけでございます。
#133
○鈴切委員 恩給予算も受給者の減少とともに下降線をたどっているというふうに思いますけれども、一般会計に占める恩給費の割合は五年間でどういうふうに変わってきているのでしょうか。
#134
○佐々木政府委員 おっしゃるとおり、過去五年間の恩給費の一般会計に占める割合は順次下がっております。昭和五十七年度が三・五%、それから五十八年度が三・四%、五十九年度も三・四%、六十年度が三・二%、それから来年、昭和六十一年度が三・一%ということで、残念ながら漸減をいたしておるわけであります。
#135
○鈴切委員 恩給受給者の減少については、昨年度は五万九千人、ことしは五万六千人減少しておりますけれども、恩給の種別で言うとどの恩給受給者が一番減っていることになるのでしょうか。また、その理由についてはどういうふうにお考えでしょうか。
#136
○佐々木政府委員 六十一年度の五万六千人について申し上げますと、六十一年度は先ほど申しましたように二百十六万六千人の受給者があるという予想をいたしておりますけれども、前年度に比べましてこれは五万六千人の減であります。恩給種類別で一番減っておりますのは普通恩給でありまして、普通恩給が四万三千人の減、それからこのほかに大きいものとしまして、公務扶助料の二万五千人の減があるわけであります。この両者とも実は大変御高齢でございまして、年齢的な点からやはり減が一番多いということであろうかと思います。
#137
○鈴切委員 恩給受給者減少の最大の理由は、何といっても今お話がありましたように高齢化しているということでございます。昨年はたしか総平均年齢というのは六十九・六歳ぐらいだったというふうに記憶しておりますけれども、ことしの総平均年齢というのはどのくらいまで進んできているのでしょうか。
#138
○佐々木政府委員 おっしゃるとおり、昨年は六十九・六歳という数字を申し上げました。これは五十九年三月末の平均年齢であります。六十年三月末から一年たった後の今の平均年齢、これは七十・二歳という平均年齢になっております。ただし、今申しますように六十年三月末の恩給統計による数字でありますので、それからもうほぼ一年たっておりますから、今や大体七十一歳程度にまでおなりになっているか、このように推察いたしております。
 なお、その内訳は、人数は少のうございますけれども、文官が七七・九歳、それから旧軍人が六十九・八歳、ほぼ七十歳、こんな状況になっております。
#139
○鈴切委員 恩給費も恩給受給者も、さらには一般会計に占める恩給費の割合も下降線をたどっているわけでございます。総平均年齢が七十歳を超えたことから考えても、下降線の角度が急激に大きくなるというところがあるのではないかと私どもは予測をしております。そのターニングポイントは将来推計から見ていつごろというふうにお考えになっていましょうか。
#140
○佐々木政府委員 厚生省の人口問題研究所作成の簡速静止人口表、これを用いて推計をいたしたものがございます。六十一年度の二百十六万人、これを一〇〇といたしまして、六十五年度、今から四年後には九一・一%、百九十七万人になる。それから七十年度、これから九年後ですね、十年後と見ていいかと思いますけれども、これで七六・九%、それから十四年後の七十五年には六〇・一%、大体このあたりまで順次下がっていく。その後やはり相当急速に減っていく、こんな状況になるのではないか。今の年齢構成から見てそういうふうに私ども考えておるところであります。
#141
○鈴切委員 恩給の制度改正の問題と他の公的年金の関係について若干お伺いします。
 既に厚生年金や国民年金は物価スライド制になっており、さらには昨年共済年金も物価スライドが導入されました。公的年金のうち恩給だけが給与スライド方式をとっていることに対して種々の論議がありますけれども、これについては恩給局としてもいろいろ検討されていることであると聞いております。今までの制度改正の論議の過程の中でどういうものが検討課題になっておるのか、またはどのように検討されているのか、その点についてお伺いいたします。
#142
○佐々木政府委員 御指摘のとおり、昨年来、特に共済制度改革との関連で、恩給制度改正の議論が国会方面からもいろいろ寄せられたところであります。
 私どもとしては、例えば厚生年金、それから恩給の後身の制度であります共済年金制度がいずれも物価スライドをとっておるというふうなことから考えまして、このあたりにつきましては十分な検討を要するものというふうに思っておるわけであります。私どもも、部内で種々研究会を開催いたしまして検討をいたしておりますのですけれども、難しい問題は多々ございます。
 四十八年以来恩給は公務員給与に一応倣ってまいったわけで、かつまた、物価とそれから公務員給与のいわばお互いのそれぞれのアップ率を計算してみました場合には、実は必ずしも公務員給与のアップ率が高いとは言えない部分もあるわけなのであります。特に、御承知のとおり、五十七年度の公務員給与の抑制以降公務員給与が抑制されております関係で、むしろ物価の方が実は高いという側面もあるわけなのであります。
 したがいまして、そうしたような、なるほど他の年金で制度改正をやって物価スライドにしたという経緯はあるにしても、果たして物価スライドといういわば合理的な説明づけができるのかという話の理屈の問題が一つあります。あるいは、恩給受給者の関係者は先ほど申しましたように二百二十万の方がいらっしゃるわけですけれども、年金恩給の対象としては、年功によって恩給を支給される者と、公務障害あるいは公務による死傷、こうしたことによって恩給が支給されるものが一応ございます。そうした方々の区分がございまして、一本で一つの方向に定めることが果たしていいのかどうか、このあたり種々難しい問題がありますものですから、今なお私ども結論を得られていない。これから関係者、さらに学識経験者等ともまた御相談をしながら結論を導き出してまいりたい、このように考えている次第でございます。
#143
○鈴切委員 やはり制度改正の問題の中に、今あなたがおっしゃったように物価スライドの導入の問題と、もう一つやはり多額所得による恩給の停止問題というのがあるのじゃないかと思うのですが、その点御答弁はなかったのですが、どうでしょうか。
#144
○佐々木政府委員 おっしゃるとおりであります。
 私ども恩給制度の改革の大きな課題として今二つ考えておりまして、一つは先ほどのスライドの問題、これについての議論をしていく必要がある。もう一つはおっしゃるとおり多額所得者に対するいわば停止の問題がございます。
 これにつきまして、厚生年金あるいは共済年金を通じまして、大変強烈な抑制措置を行ったわけであります。これはいわば年金一元化だから、例えば共済から厚生年金に移りましても、その間の所得に応じて所得制限を相当強力に課する、こういうことでやったものと考えております。
 しかしながら、恩給は御承知のように国家補償として行われる制度でありますだけに、つまり他の年金との通算関係はないわけでありますから、同じような所得制限はまずはできない、このように思うわけであります。しかしながら、恩給は昭和五十九年以来、それまで二割だったいわば多額所得者、七百万以上の所得者に対する所得停止を現在、五十九年から三割五分にまで引き上げておるわけであります。その三割五分という水準が甘いのではないか、こういう御指摘もいろいろあります。
 こうしたような、いわば高額所得者に対する恩給の支給制限の問題につきましては、さらに十分検討いたしまして国会あるいは関係者の御理解を得るような制度にいたしたい、このように考えておるわけであります。
#145
○鈴切委員 先ほどのあれに戻るのですけれども、恩給に物価スライド制を導入した場合、すべての受給者が一律の改定というようになりますけれども、一番大きな影響を受けるのはどのような人なんでしょうか。
#146
○佐々木政府委員 これは皆さん同じような比率でもって受けられることになりますから、その意味ではどなたが一番影響を受けるということではないと思います。
 ただ、考えなければなりませんのは、恩給受給者の方が先ほど申しましたように大変もう高齢になっていらしゃる、七十歳以上であるといったようなことで、他の共済制度その他でもって考えておりますように、例の五%以下についてはこれは場合によればもう改定をしないといったようなことはあってはならないのであろう。
 いろいろとそうしたような制度的な問題について、他の共済制度あるいは厚生年金を参考にしながら、不安の起こらないような制度改正を私どもは心がけていかなければならぬ、このように思っておるわけであります。
#147
○鈴切委員 私が申し上げたいのは、低額の恩給受給者ですよね。この方について、賃金のいわゆる改定に伴うスライドといいますか、それをやる場合においては、賃金の場合には人事院勧告に基づいていろいろと上薄下厚で手厚い率がなされているわけですね。それに準ずるということになれば、私はむしろ低額の恩給受給者に対してはそれだけのやはり配慮がなされるんじゃないかというふうに思うのですけれども、その点はどうなんでしょうか。
#148
○佐々木政府委員 どうも大変失礼いたしました。おっしゃるとおりであります。恩給の場合に公務員給与の率をとったのが昭和四十八年でありますけれども、公務員給与の改善率まで一応とりましたいわば回帰分析方式というのをとりましたのが昭和五十一年であります。この趣旨は、おっしゃるように特に低い方々については厚くし、それから高い方については抑える、いわゆる上薄下厚ということでもって今までやってまいったわけであります。
 おっしゃるとおり、一律に物価スライドという話になりますとそういう方式はまずとれないということになります。例えば六十一年度の場合でありましても、上の方は五・一%、それから下の方は五・三%ということで一応上げておりますが、そうしたようなことはなかなか難しくなってまいるということは御説のとおりであります。そのあたりも一つの問題として私ども考えてまいりたいと存じます。
#149
○鈴切委員 恩給の制度改正の話として物価スライドの導入等の話もありますけれども、恩給は本来、政府がいろいろと答弁をしてきた中には、国家補償的な性格のものであり、共済等とは制度、趣旨が全く異なっているというようなことは答弁されているわけですね。そういう意味からしても、現行の給与スライド制をやはり維持をしていくべきではないかというふうに私は思うのですけれども、その点の御意見をちょっと聞かしていただきたいと思います。
#150
○佐々木政府委員 鈴切先生のおっしゃるような御意見、確かにございます。私どもも、おっしゃるように、恩給の場合には従来からの物の考え方としまして国家補償的性格の制度である、その点で他のいわば年金制度とは違うんだということを基本にして物を考えておりますけれども、先ほども申しましたように、実は物価と賃金とそんなに大きな開きがない、でありながら、なおかつ恩給だけは賃金スライドだというあたりは、やっぱり物の考え方として整理をしなければならぬところがありまして、鈴切先生の御意見、それからその他関係者の御意見いろいろと承りながら、そのあたりの考え方の整理をしてまいりたい、このように思っておるわけであります。
#151
○鈴切委員 法案の要綱には「恩給外所得による普通恩給の停止基準額の改善」として、「恩給年額の増額措置に伴い、恩給外所得による普通恩給の停止に係る基準について、所要の措置を講ずる」とありますけれども、具体的にはどうような処置がとられるのでしょうか。
#152
○佐々木政府委員 恩給の所得制限につきましては、ここ三年来おおむね恩給外所得七百万、それから恩給額が例えば六十年度の場合には百六十一万円の水準に達した場合にあって、その両者を合わせました八百六十一万円以上の所得につきまして恩給額の三割五分を調整をする、こういうふうな仕組みになっておるわけであります。
 ところで、今の百六十一万円という六十年度の恩給年額の制限につきましても、これは逐次スライドでもって上げてまいったわけであります。同様に、恩給外所得の七百万は今年度も上げるつもりはありませんけれども、百六十一万円というのは、今回五・三%のアップを平均的にいたします関係で、これを五・三%のアップをいたしますと百七十万円になるわけであります。したがいまして七百万プラス百七十万の八百七十万以上についてこれからは三割五分の併給調整を行う、このようにいたしたいと思っておるわけであります。ただし、それは今回限りの措置でありまして、今申しましたように、恩給外所得によるところのいわば所得制限についてはこれからさらにいろいろと強勉してまいりたい、このように考えているわけであります。
#153
○鈴切委員 共済年金にも支給停止の厳しい制限が設けられているわけでございますから、それに比べますと恩給の停止基準は緩やかだというふうに思います。恩給局の検討課題の一つでありますけれども、将来的に所得制限も共済年金並みに見直そうというふうな考え方があるのかどうか、その点はどうお考えでしょうか。
#154
○佐々木政府委員 先ほどもお答えを申し上げましたけれども、先般の共済年金の改正にありましては、将来の年金制度の一本化を、一元化を展望いたしまして、退職共済年金の受給権者が再就職した場合にあって、他の公的年金の被保険者となった場合において、退職共済年金の報酬比例部分を大幅に制限をするというふうな制度であります。
 しかしながら、恩給制度は、国家補償を基本とする年金制度といたしまして、国と公務員との特殊な関係に基づいて給付を行うものでありますから、これら社会保険制度とは通算関係を有しない、あるいは直接の関係を実は有しないわけであります。その趣旨から、他の何といいますか両者の、例えば厚生年金を受けておるから恩給を制限するといったようなのは、なかなかまた難しいところが一応出てまいります。
 ただ、先ほど申しましたように、既に、恩給制度におきましても従来から、一定額の所得がある場合には恩給の一部を停止するような措置を講じております。これをさらに強化することについていろいろと考えたい、いわば社会保険との関係において恩給を調整するのではなくて、他の一般の所得の額によって恩給についてさらに調整する手段をいろいろと考えてみたい、このように考えているわけであります。
#155
○鈴切委員 恩給問題に関連して、戦後処理問題について若干お伺いいたします。
 戦後処理問題懇談会が五十九年十二月二十一日に出した報告書を受けて、昨年総理府の中に特別基金検討調査室が設置され、実情調査費が一億五千七百万円計上されましたけれども、今日までどのような検討がなされてきたのか、検討テーマと検討状況について御報告願いたい。
#156
○杉浦説明員 お答え申し上げます。
 先生御存じのように、昨年の四月十日に私どもの部屋ができまして、そちらにおきまして、さきの戦後処理問題懇談会報告の趣旨に基づきまして、特別の基金をつくりますという前提に基づきました検討を進めさせていただいております。そのためにいただいております予算が一億五千七百万ということになっておりますが、その中で一億円が実情及び検討のために従う調査費でございます。あと五千七百万円と申しますのは、私どもの事務費、検討費あるいは人件費、こういったものでございます。
 そして、四月以後、私ども五省庁で関係省庁連絡会議を設けまして今後の進め方等について検討さしていただいたわけでございます。そして、現在、一億円の予算をもちまして、関係者につきまして、特別基金を創設するのに関連いたしました関係者の実情及び特別基金の事業につきましての希望、意向等を調査いたしております。
 調査は、一応問題といたしましては恩給欠格者、それから戦後強制抑留者、いわゆるシベリアからお帰りの方でございます。それと在外財産問題の関係者、この三つの問題の方々、各一万人の方を選びまして、その方々に直接調査票を送らせていただいております。現在回収させていただいておるところてございます。
 今後の措置といたしまして、この調査結果を早急に勉強させていただきまして、具体的な基金の勉強に入らせていただきたいと思っております。
 以上でございます。
#157
○鈴切委員 まだ予算は通っていないわけでございますけれども、六十一年度はどういうふうな計画で、どういうことをされるおつもりなんでしょうか。
#158
○杉浦説明員 お答え申し上げます。
 来年度も、私どもの予算といたしまして調査費が一億円、現在予算委員会で検討いただいておるわけでございますが、この調査費の使い道につきましては、細かいところまでは私ども検討が進んでおりませんが、現在やっております調査の中身等を勘案しながら、さらに細かい事項等の調査が必要であればしてみたいということが一つ。それからもう一つ、ことしの調査の詳細分析もして、勉強のために十分活用させていただきたいと思っております。
#159
○鈴切委員 台湾人元日本兵の問題について若干お伺いいたします。
 昭和二十七年のサンフランシスコ平和条約で日本の国籍を失ったため、日本軍人として戦った人であるにもかかわらず、恩給法からも援護法からも何も処遇してあげられない大変お気の毒な人たちがおります。国として何らかの処遇をしてあげなければならないものと考えます。
 昨年度は五百万、今年度は二千万の検討経費が総理府に計上されておりますが、どのような検討がなされてきたのか、そしてまたどういう結論を考えて作業に入っておられるのか、その点についてお伺いいたします。
#160
○木本説明員 お答えいたします。
 いわゆる台湾人元日本兵問題につきましては、昭和六十年五月二十四日でございますが、総理府に台湾人元日本兵問題関係省庁連絡会議というものを設けました。以後、この連絡会議及びその幹事会で、この問題をどう考えるかということにつきまして鋭意検討しているところでございます。
 この問題には非常に難しい問題がございまして、例えば日台間の全般的な請求権問題が未解決であること、他の分離地域等との公平及び波及あるいは我が国の財政事情といったような種々困難な問題が多うございますので、引き続き来年度も誠意を持って関係省庁間での協議、あるいは来年度予算でございますが、その二千万の中に、台湾側の事情が許せば民間団体等による台湾での調査等も行いたいと考えております。引き続き検討を進めてまいりたいと思っております。
#161
○鈴切委員 台湾人の元日本兵の問題については国会でもかなり問題になっているわけですから、そういう点で、少なくとも御年配であることでもありますし、早く結論を出すように努力してもらいたいことを要求いたしておきます。
 最後になりましたが、恩給の裁定事務についてお伺いをいたします。
 傷病恩給の請求については、戦後四十年たった今日も後を絶たない状況にあります。その請求書類は大変な時間と労力を費やし、必死の思いで書類を捜し、そしてその該当するところの事項について書き、集めて、作成し、提出するに至るのでありますけれども、恩給局における審査の事務処理に、早くて半年、遅いものは一年も二年もかかるケースがあります。
 確かに、戦後四十年だったものを現時点で審査するのであるから、大変な審査になることはよくわかりますけれども、傷病恩給請求者にしてみれば一日千秋の思いで回答が出ることを期待いたしておりますから、今、事務のスピード化ということから考えまして、裁定のスピード化というものについてもっと前向きに検討すべきではないかと私は思うのですが、その点の質問をいたしまして、ちょうど時間になったわけでございます。
#162
○佐々木政府委員 傷病恩給の審査の件につきまして種々御批判を聞くのはまことに申しわけない、このように思っておるわけであります。
 今おっしゃいましたようにもう戦後四十年ということであり、その結果として、いわば公務関係の立証資料が不十分というふうな場合があります、あるいは現症、これは大分御高齢化しておられまして、その結果として、現症と公務との因果関係がよくわからないといったようなものもあります。いずれにしましても、そうした場合には、御本人の書類のみならず、場合によれば国立病院等におきまして再度検診をお願いするという場合も実はあるわけであります。
 その他、もろもろの事情はあるにしましても、私どもとしては、さきの大戦で大変厳しい環境の中で不幸にして戦傷にかかられ、あるいは傷病、病を得られた方々に対しまして、できるだけ速やかにその裁定事務を行うということを基本といたしまして、御承知のように一つの課が全体でこの問題に当たるという姿勢でもっていたしているわけでありまして、かつまた、このところ実は月二回進行管理をやるというふうなこともやりまして、いろいろと促進に努めてまいったわけであります。
 おかげさまで、まだ私ども誇れる段階ではありませんですけれども、公務傷病恩給につきまして大体一月末でもって、これは例の五年ごとの有期の傷病恩給というのがありまして、五年ごとに書類が出てくる、これについては時期が一応過ぎたということもありますけれども、大体もう一・五カ月分の手持ちになっております。それから爾後重症の関係あるいは初度請求といったような関係につきましては、まだ残念ながら、再審査の関係に時間をとられましたものですから、六・八カ月分の手持ちを持っておるということではあるわけでありますけれども、なおこれ以上、私どもとしてはできるだけ迅速かつ的確な、また親切な行政事務を進めてまいりたい、このように思っておりますので、これからもひとつよろしく御支援あるいは御協力をお願い申し上げなければならぬ、そのように思うわけであります。
#163
○鈴切委員 以上をもって質問を終わります。ありがとうございました。
#164
○志賀委員長 滝沢幸助君。
#165
○滝沢委員 委員長御苦労さま。大臣御苦労さまです。
 このたびの恩給改定をめぐっての論議は、私はしかし、大方、各党からおっしゃることが相一致しているのじゃなかろうかと思いまして、したがって似たような質問になろうかと思いますが、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 初めに、このたびの恩給の改定でございますが、議会の附帯決議の経緯もあり、四月から実施してちょうだいできればありがたかったのではないか。これがこのたびの提案のごとき姿になりましたことにつきまして、一言承りたいと思います。
#166
○江崎国務大臣 恩給のベースアップにつきましては、従来から公務員給与の改善を指標として四月からやる、これは仰せのとおりでございます。
 六十一年度におきましては、前年度の公務員給与アップが七月からということで、それに合わせた。それは困るではないか。仰せごもっともでございますが、財政事情の関係もありまして三年間御辛抱をいただこう、そのかわり何とか六十一年度からは全額実施の方向で進めていきたいという官房長官談話にもなっておるわけでありまして、人事院勧告がなされる、財政事情は悪い、そういう中でも、また勧告どおり実施できるような努力を十分図っていきたいと考えます。
#167
○滝沢委員 努力のほどを多としまするが、どうぞひとつ今後の課題として御検討をちょうだいしたいと思います。
 ところで、この恩給の受給者というのは御存じのごとく相当の年齢の進んだ方でございますが、数も今後いわば少しずつ減っていくでありましょう。そこで、予算的措置をも含めて今後の見通しといいますか、そういうものを承りたい。
 と同時に、物価スライド制に移行される用意はどうなのか、承りたいと思います。
#168
○佐々木政府委員 おっしゃるとおり、恩給受給者は、恩給の特殊性がありまして、昭和三十四年以前に退職された方、それからまた軍人恩給の受給の方、こうした方々であります関係で、新規参入がございません。その結果として御高齢化なさっておる。そこでやはりだんだん失権の方が多くなっていく。こういう傾向にあるわけでありまして、順次減少しつつあるというのが今の傾向値であります。
 ただ、その受給者数がどういうふうになっていくか、あるいは恩給総額の予算上の見通しは一体どうなっていくのかということにつきましては、私ども厚生省の人口問題研究所のデータ等によって推計はいたしますものの、確たることは言えない。かつまた、社会経済情勢、物価変動等につきましてもまだよくわからない要素がありますものですから、その推計はなかなか困難なところがあるわけでありますけれども、仮に六十一年度予算において見込みました人数をもとにしまして、その厚生省の統計値をデータといたしまして、また六十一年度における恩給制度のまま恩給改善がないというふうなことを想定しまして進めた場合に、六十五年度には人数において九一・一%百九十七万人、それから予算においては一兆五千二百億円、これは九〇・五%。それからほぼ十年後といいますか九年後の七十年度には百六十七万人、これは人数にして七六・九%、それから予算にして一兆二千億円、これが七一・一%。なお、七十五年度についても申し上げますと百三十万人、これが人数において六〇・一%、それから予算において一兆を切りまして八千七百億円、これが五一・六%。そこでほぼ半減をする、このような推計値が出てこようかと思っております。
#169
○滝沢委員 ありがとうございました。
 少し話が飛躍、拡大しまして、旧軍人の恩給についてお伺いさしていただきますが、この軍人の恩給につきまして、私はつらつら考えまするに、上に厚く下に薄いのではないか、こういうふうに思います。まずこのことについて一言、端的に感想をちょうだいしたいと思います。
#170
○佐々木政府委員 ある意味ではおっしゃるとおりだと思います。といいますのは、恩給の年額は御承知のとおり、原則として公務員の退職当時の俸給と在職年数によって積算されるものであります。特に軍人さんの場合あるいは戦前の官吏の場合もそうでありますけれども、給与の官民較差というのが非常に大きかったということが言えるわけでありまして、それが恩給にも反映しておったわけでありますけれども、実は恩給の場合には種種の工夫をいたしまして大分間を縮めてまいった、上薄下厚の手続を今までとってまいったということが申せようかと思います。
#171
○滝沢委員 いみじくも、その当時は上下の格差が大きかったとおっしゃっていただきました。よく、人の嫌がる軍隊に志願で出てくるばかもあるということを言ったものであります。そこでいわゆる職業軍人、志願で出ていかれた方々、生涯軍人で生きようとなさった方々が、文民文官と相対しまして、それぞれの法規によるそれぞれの計算による恩給、これは私は肯定されてよろしいであろうと思うのであります。しかし、いわば一銭五厘で召集をされて、その日まで勤めていた今の仕事を打ち捨てて、家族と別れ軍隊に入っていく、そして命を賭して祖国を守ったこの兵隊さんが、いわゆる当時の給料が計算されて恩給が裁定される。もちろん今おっしゃったようにいろいろと工夫はしていただきました。しかし、十分とは決して申せないのではないかと思うのですよ。そのときのいわゆる職業軍人と、申し上げましたような徴兵または応召という形で、いろいろの計算の上でついに十二年に達したという者とを同じ次元でとらえる発想は、私はいけないのではないかと思うのですよ。大臣、いかがなものでございましょう。
#172
○江崎国務大臣 これは先ほど局長からお答え申し上げましたとおり、仰せの趣旨は私もよく理解できます。そうかといって、それじゃどういうところに標準を置くかということになりますと、甚だ標準があいまいになるというようなことで、御承知のように最低保障制度を導入したり、ベースアップにおきましても上落下厚のアップというようなことで、上下の格差をだんだん縮小してきた努力はお認め願えると思うのです。
 やはり応召軍人に対する処遇改善については、恩給制度の基本と、そして全体バランスを崩さない、これはやはり問題が控えておりますが、そういう面に十分意を体しまして努力をしてまいりたいと思います。
#173
○滝沢委員 局長、これは知識の足らざる点を告白することになりますが、大将さん、これは現存されるかどうか私はつまびらかにしません。しかし、仮に大将さんの恩給といわゆる二等兵の恩給、二等兵で恩給になる人があるかどうかはわかりませんが、いわゆる将と兵との格差は今数字的にどのようになっておりますか。
#174
○佐々木政府委員 今大臣から申し上げましたように、旧軍人の恩給につきまして、実は上落下厚というかそうしたことでいろいろな措置を講じてきたわけでございます。
 格差を申し上げます前にそのあたりをちょっと申し上げたいのですけれども、今二等兵とおっしゃいましたが、兵の仮定俸給というのを兵長に一本化したのです。したがいまして、兵長以下は二等兵を含めまして全部一本にした。それから、傷病恩給につきましては階級差をなくしたのです。それから仮定俸給の格付につきましては、下位階級に有利にある程度引き上げた。それから大臣が言いました最低保障制度を導入をした。
 こういうふうなことを種々やってまいりました結果といたしまして、終戦時に大将と兵の格差は、実は大将が七千五百円、兵が四百五十円といったことで十六・七倍の格差があったのです。ところが、現在もう大将はいらっしゃらなくなったわけでありますが、例えば今中将の方々の普通恩給平均年額をとりますと、これは六十年度ベースでありますけれども、三百四十三万円という年金額になります。それに対しまして長期在職老齢者につきましての最低保障額、普通恩給の最低保障額が同じ六十年度ベースで八十三万五千円ということになりますから、この間の格差は四・一倍といったようなところまで縮小いたしておるということを申し上げておきたいと思います。
#175
○滝沢委員 わかりました。
 そこで、さらに拡大させてお話をさせていただくならば、先ほども議論がありましたが、いわゆる恩給に至らざる兵隊さん、これを恩給欠格者というのだそうであります。余りいいお名前ではありませんね。しかし、いずれにいたしましても、この方々がいまだ十二年に達せざる者ということで、我々に対してもいかほどかの恩給ないしそれに準ずるものがあってしかるべきであろうという要求、要望が、これはほうはいとしてと言ってもよいと思いますが全国に起こりました。御存じのとおりいろいろと政府においては御苦労をされておりまして、戦後処理問題懇談会というような、いわば当時の総務長官、今の官房長官でありましょうか、諮問機関というようなものをつくられまして、そして五十九年十二月には一応の結論めいた答申をちょうだいしたと聞いております。
 これによりますと、もはやこれ以上国において措置すべきものはないという結論を出されていると聞いているわけであります。しかし、そのようなことで結論が出ようはずはないわけでありますから、今日もなお、これは調査のための機関、何かつくっておいでだと思うのであります。特別基金検討調査室といいますか、随分難しいお名前でございますが、そのようなことでいろいろと作業を御苦労されていると聞きますが、この間の事情、今日の状況ないしは今日までの経緯、今後どのようなことでこれを始末されようとしているか承りたいと思います。
#176
○杉浦説明員 お答え申し上げます。
 先ほどもちょっと申し上げたのでございますが、先生御案内のような報告書が一昨年十二月に出されました。この報告書の中にも明記してございますが、二年半、三十五回にわたりまして、いわゆる議論するのに必要な資料はすべて検討し、すべてというと言葉が悪いかもわかりませんが、あらゆる資料を検討し、関係者の御意見も聴取した、その上で先生がおっしゃったような結論に到達しておるという経緯がございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、この報告の趣旨に沿いまして特別の基金を設置いたしまして、関係者の皆様方に慰藉の念を示したいと思っております。
 その特別の基金についての考え方でございますが、同じくその報告書の中に、こういう格好で一応論じておられるわけでございます。具体的には、そのとうとい戦争犠牲が風化することを防ぎ、さらに後世の国民に語り継がれ、国民が戦争により損害を受けた関係者に衷心より慰藉の念を示すための何らかの事業ということで、現実には、個別の補償をそこで議論をするとかというような考え方は実はここではとっておられなかったわけでございます。
 私どもは、こういった考え方に基づきまして、関係者の方々の実情及びこの基金で行うべき事業につきまして、どういう中身のものをするかという点について現在調査をさせていただいておるという実態でございます。
 それで、この調査の結果を私ども十分勉強させていただきまして、基金の具体的な事業あるいは基金の形態、どういう形態の基金をつくるかとか、あるいはいわゆる基金の量、こういったものを今後検討させていただきたいと思っております。
#177
○滝沢委員 諮問懇談会は、個人に対してはもはや措置をすべきものはないという結論を答申している。政府としては、これに対して何らかの慰藉をしようとして苦労されておる。何らかの慰藉というものは例えばどのようなものでありましょう。ちょっと漏らしてちょうだいしたい。
#178
○杉浦説明員 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたような趣旨で基金をつくりたい、したがってその中身につきましては、現在関係者の方の御意見、御意思等も伺った上で検討させていただきたいと思っておりまして、現在この場で申し上げるテーマはまだ持ち合わせておりませんので、よろしくお願いいたします。
#179
○滝沢委員 大変つかぬことをお伺いしますが、大臣は軍隊におられました御経験をお持ちですか。
#180
○江崎国務大臣 私、軍隊に応召した経験はございます。しかし短期間でまた帰郷いたしまして、実戦の経験は、ございません。ただ、軍需工場の重役でありましたためにそういう措置がとられたかと思っております。
#181
○滝沢委員 重役というのはいいものだと聞いたわけでもありませんけれども……。
 そこで、私のところにこういうお手紙が参りました。これはいわゆる欠格者と言われる人であります。いろいろとこう述べてきまして、
 今日生あるだけでもありがたい次第ですが、例えば小生軍歴実役三年十カ月、加算年数六年八カ月、計十年六カ月にて恩給に達せず、昭和五十一年十月四日総理府恩給局長より陸軍軍人一時恩給一万七千百円なり〃恩給法により給する〃としてもらっておりますものの、比例をしない軍歴制限は不満です。
こう書いてあります。そこで私は、つくづくとこの欠格者問題について数々のことを考えさせられております。
 その一つは、仮に今公務員とおっしゃる方々、これは自衛隊の制服からそれこそ背広組まで数々あります。ところで、ここにいらっしゃる公務員の方々だけだっていい。今は文官は二十年ですか、恩給年限は。まあそれはいいですが……。
#182
○佐々木政府委員 共済では二十年ということになっております。
#183
○滝沢委員 今は共済。大体、恩給という言葉そのものがいかにも恩がましくて、ちょっとなじみませんな。――ところで、君、やめてくれないかと、あと三カ月で共済年限に達するとき言われましたならば、ありがとうございます、長々お世話になりましたと言えますか。それは君、やめてくれともよう言わないんじゃありませんか。私は戦後教育委員会におりまして、学校の先生方のお勤めのぐあいも拝見しております。ないしは県庁におりまして、県の役人さんのお勤めの状況も眺めさせていただいておりますけれども、大体今日の人事管理というものは、もはや共済年限に達するとか近づいたようなときは、例えば相当の御病気等をなさっても、例えばある程度の瑕疵がありましても、もうあと半年じゃないのかなということで、これは大変温かく措置していただいていると思います。
 先ほど、志願で出てくるばかもあるという古い歌を申し上げましたけれども、おのれの意思によらずして、急遽召集されて兵役につく。おのれの意思によらずして各地区の任務につく。しかもおのれの意思によらずして退役をしたじゃありませんか。仮にあの兵隊さん、あと三カ月で恩給になるんだけれども、君、復員するかと言われたら、あと三カ月、隊長、置いてくださいと言うんじゃありませんか。私は、ここに旧軍人、特に欠格者問題を取り扱う発想の原点があろうと思うのであります。ほかのお役人さんはおのれの意思によってその職につき、おのれの意思も含めて退職なさったじゃありませんか。しかし兵隊さんは違うんです。私もちょうど大臣がおやりになったぐらいの期間を兵隊さんで、しかもこれも内地で勤めさせていただいて、兄貴一人を戦死させて大変私は申しわけないなと思っておりまするけれども、そのように思いますときに、これをいわゆる恩給法の基準で物を考えることそのものが私は間違いではないのかな、このように考えるのでありますが、大臣いかがでしょう。
#184
○江崎国務大臣 御提起されるお心持ちは全く同感でございます。しかし、御承知のように水上委員会等で、大変お気の毒にたえない、しかし一線を画そうという先ほどの総理府からの答弁があったようなことで一線を画したわけで、まあ、あの、当時は私どもも家は焼夷弾で焼かれましたし、防空ごうにそれこそ爆撃を受けていわゆる窒息寸前に助けられたというような経験もありますし、それぞれ言えば、戦争というのは本当に繰り返したくない悲惨な場面に遭って、前線であろうとあるいは銃後であろうと相当な被害をお互いに受けた経験がございますね。そういう点で、不公正があるということは本当にお気の毒にたえぬと私も思いますが、どうも国家という立場から考えますとどこかで線を引かなければならぬ。仰せのように本当にもうあと三カ月、もう一年で有資格者になったのに一体どうしてくれるんだ、こういうふんまんとか、また、いかにも国のために尽くしながらなぜわずかなことで報われないかというふんまんというより残念さ、そういったものには同情を禁じ得ないのですが、まあこれはひとつ今後も検討されることですが、お互いに苦しみを分かち合った、二度と再び戦争はしてはならないというような戒めにして決着するよりいたし方がないのではないか。これは答弁になるかならぬかまことに恐縮ですが、そういう感慨がいたします。
#185
○滝沢委員 全くそういうことではありますが、ただ私は、この方々が不満を鳴らしておりますのは、国のためにささげたありし日を悔いているんじゃないと思うのです。この私の友人が言ってよこしましたとおり、生あって今日あることをもって感謝すると言っているわけです。思えば、つい自分の隣におりました戦友が死んでいく瞬間に立ち会った、兵隊ないしは自分の親しい者を失った我々にとりましても、生きて今日あることをもって感謝しております。ただ不満を鳴らされますのは、等しからざることを言っているんじゃありませんか。みんなが芋をかじりながらざんごうを掘った、その日のことは全然悔いてはいないのですよ。しかし、今申し上げました、おのれの意思によって就職し、おのれの意思をも同意をも得て退職をしました一般の公務員に対する考え方をもって、十二年ということで線を引いて、一カ月足りなくともだめだ、こういうことに対する不満を鳴らしていらっしゃるんだと思うのですよ。このようなことで、今後何らかの慰藉と言っているわけでありますから、恩給という思想に立ってのみ物を考えるのではなくて、もっと次元を一つ掘り下げた段階からひとつ御検討をちょうだいしたいと思います。
 ところで、今申し上げておりまするとおり、一年ないしは数カ月足りないことに対する、これは救済しがたいということもわかりますが、ただ、ここにもう一つの不満があるわけであります。
 それは、三月一日に読売新聞の「私書箱」という中に書いてあります。「軍人恩給だが、六十一年度予算で総額一兆五千六百億円。対象者が約二百四万人だから、一人平均で約七十六万円。」云々と、こう書いております。問題は、この「恩欠者のうち、国家、地方公務員は、軍歴期間が公務員共済年金の加入期間に加算されるのに、民間人の厚生年金、国民年金には全く反映されていない。」このことに対する不満なのであります。いわゆる官民の格差というこの取り扱いに対して大いなる不満を鳴らしていらっしゃるわけだけれども、この辺のことはいかが理解されておりますか。
#186
○佐々木政府委員 私ども恩給局からこの件について申し上げるべき課題であるか、あるいは厚生省ないし総理府から申し上げるべきことであるかはちょっとわからないのでありますけれども、実は今恩給欠格者と言われる方々から二通りの要求があるわけであります。
 その一つが、先ほど言われました個人補償という問題が一点であります。この個人補償につきましては、大臣が先ほど言われましたように、昭和八年以来十二年ということで線が引かれておる、かつまた、実在職年の上に加算年がつけられておるといったようなことで、これはもうしようがないというのが私どもの率直な感じであります。
 そこで、今軍歴の通算問題というのがもう一点あるわけであります。おっしゃるように、国家公務員の場合には今の恩給期間が通算される関係で短期軍歴でもその中に通算されておる。ところが厚生年金ではこれは通算されていない。それは官民格差ではないかという御議論であります。
 これにつきまして当時からいろいろな議論がございまして、昭和五十七年四月に、「軍歴通算問題に関する報告」というのが、これも総理府の総務長官に対する報告として、有識者六人の方から出されておるわけであります。この中での御意見は、この前の戦後処理懇の中でも引用されておるわけでありますけれども、基本的にはいわば制度の立て方の問題である。つまり当初、戦前なり戦争後すぐの時期には、年金というのは国家公務員に対する恩給、それから雇用者に対する旧令共済というもの、これはいずれも国家における職員に対するものでありますが、それと一般の民間企業におけるところの厚生年金、この二つしかなかったわけであります。ところで、その上に自営業者その他に対する国民年金ができましたのが昭和三十六年四月なのであります。そこで、その段階からいわば国民皆年金というふうなことに一応なってまいった関係で、例えば農業に従事される方もあるいは一般の私企業に従事される方もすべて年金ができた、その間で通算が行われるようになったわけであります。ただ、それは、昭和三十六年四月以降それぞれの年金が年金間で通算されるようになったわけでありまして、財政再計算上、それまでは、脱退しましたら脱退一時金というようなことで始末していたのを、それを財源にして通算しようということになったわけであります。
 要するにそうした経緯でありまして、国家公務員等の公務員の共済組合は、例えば昭和三十四年から恩給から共済に変わったということでありますけれども、これは長期のつまりもう既に恩給が完成しておられる方も、そこで一回解消して共済の方に引き継いだのであります。短期軍歴者の救済といったようなことは全然考えてないわけであります。
 ところで、昭和三十六年四月以降の、つまり昭和三十六年四月にかかっている時期の方々については今申しましたように通算関係ができるわけでありますけれども、それ以前に一回終わられた方については通算ができないという仕組みになっているわけなんですね。ですからこれは官民格差でも何でもないのであって、一つの年金の沿革というところからそうしたことになっておるのである。したがって、今この段階で改めて、例えば厚生年金あるいは国民年金にこれを通算することは適当ではないというのが、この「軍歴通算問題に関する報告」なのであります。基本的には一つの制度の仕組みの問題であるものですから、これは官民格差とは決して言えないというふうに、私どももこの報告から考えておるわけであります。
#187
○滝沢委員 今日の政治の手法としまして、大変賢いことではあるがいけないことだと思っておりますのは、臨教審などもその一つでありましょうけれども、すべて学者さんないしは各界の代表、有識者――有識者なんという言葉は知識のない人があるというのでしょうか。民主主義の原点を否定するものだと私は思うのであります。ところで、そういう諮問委員会のようなものをつくってこれに結論を出していただいて、それをにしきの御旗として政府の意見をその中に包み込んでくる。これは私はいけない手法だと思うわけであります。このことはそうではありませんでしょうが、時には議会バイパスということにもなるわけであります。
 そこで、報告書にそう書いてあるからそうだというのではなくて、政府の所信としてそうだとおっしゃった方がいいのじゃありませんか。これを官民格差でないとあなたはおっしゃっても、とにかく全国津々浦々なる欠格者の方々は、これを官民格差と受け取っていらっしゃるのです。もしもあなたのおっしゃることが正当なるものであったならば、政府の説明が足りぬということじゃありませんか。このことについてもっと親切な御説明をいただかなければ、この方々の不満は消えませんよ。どうかひとつその辺も……。
#188
○江崎国務大臣 これは多少政治問題だと思いますので、私から御答弁申し上げておきます。
 審議会もありますし懇談会方式のものもあります。この場合審議会なんですが、しかし、最終的に決めますのはやはり閣議で決めるわけですから、内閣が責任を持つわけです。したがって、広く国民の意見を聞く、それからまた国会は国民を代表する最高権者ですから、皆さん方の意見を尊重する、これは当たり前のことですね。しかし、またそれに漏れがあってはならないからというので、広く民意を聞く。まあ、学識経験者というのがそこで出てくるわけです。したがって、それ自体は決して手法として間違っていないと私は思うのです。したがって、妥当なところに線を引こうということになって、そこで国会の同意も得ながら一応決着をつけていく、それは政府が責任を持つ、閣議で決定をする、こういう仕組みになっておるわけでありまして、勝手なことが政府単独でできるものでもありませんし、審議会を隠れみのにしていくというような無責任なことは、今後といえどもやってはならないし、できることではない仕組みであると考えます。
#189
○滝沢委員 大臣とこのことで議論する気はありませんけれども、しかし私は、戦後に政府が任命されました各種委員会、調査会等が、政府として全く困った、全く政府の予期したものと相反する結論をお出しなさったという例を、寡聞にして聞かないのであります。ちょうど私たちがうちを建てようとしたときには、設計士に、僕はうちを建てるので設計してちょうだいとは言いません。大体このくらいの値段で、このくらいの面積で、このくらいのところにおさまるように設計してくれませんか、こう言います。ですから、大体施主の意に沿うような設計が出てきます。そして注文するとき、蔵づくりならあの設計士がいいじゃないか、和風ならばこの設計士がいいじゃないかということで、このごろは国語問題につきましても、国語審議会の委員の任命の仕方によって国語の状況が変わることはけしからぬ、こう申し上げてきたところだけれども、そういう意味では、都合のいい結論が出るような方を御指名なさって、そしてその意を体して御審議いただくというようなことが多いんじゃないでしょうか。このことで大臣と議論する気はありませんけれども、そういう点で、私はいささかこの手法に疑問ありと申し上げておるわけであります。思想の違いは仕方がありません。お答えは別に要りません。
 そこで、これはちょっと申し上げない方がいいのかもしれませんが、しかしこの投書、私にちょうだいしたお手紙にも書いてありますし、私もこうした団体のお集まり等に行きましてつぶさに拝見しているものでありますから、政府の責任ではございませんけれども、ひとつ注意を喚起する意味で申し上げさせていただきますが、実は先ほど申しましたお手紙にこういうことが書いてあります。
 途中はまた省略されておりまして、ところが「軍人軍属恩欠者全国連盟と称する団体は、下部に自民党への入党を強要し」と書いてあります。「強要」と、この人がこれは書いたのでございますから、強要なのか強制なのか、お願いなのか懇請なのか知りませんけれども、しかし現実には、私が来賓として出席した団体等におきましても、議案の中に「自民党入党何人、その党費はこの会が負担する」と書いてあるのにも出会いました。
 そこで、私は祝辞の中で、言わずもがなのことでありますが、自民党さんの政策はよしとしてお入りになるならば、一人残らず全部お入りになってもようございますよ、ないし一億国民みんなお入りになってもいいじゃないでしょうか。ただし、入党をすれば恩給がもらえる、入党しなければ恩給にならないよというこのくどき方にほだされて入党なさったというならば、これは政治を冒涜するものじゃありませんか。特に団体が党費を負担していくというがごときは、とにかく、あの戦場でともに国を憂え、国に捧げんとしたあの日の志とは違うんじゃありませんか。むしろこれは、恩給の金銭云々ということを主張なさる前に、かの日別れたあの戦友に泉下でまみえるときに、今の日本、君、あのざまは何だと言われないだけの、日本のいわば真の再建というものに我々が頑張ってこそ、皆さんの余生は全きを得たというものじゃありませんか。このようなことを申し上げて憎まれてきたんでありますけれども。
 自民党さんのためにも申し上げておきまするけれども、このようなことが言われたりないしは批判されたりするようなことは決して貴党のためでもない。どうかひとつお互いにフェアに、しかも正々堂々国を愛する、国民に奉仕するというところで相一致して頑張ろうじゃないかという気持ちで申し上げておるんだけれども、御感想があったならば、どうぞ。
#190
○江崎国務大臣 仰せのとおり、これは一種の利益誘導みたいな勧誘ですね。そして、結論が定かでないのにそういう勧誘の仕方というものはフェアでない、私も同感でございます。実情はよくわかりませんので、どういうふうな実情かは定かにしませんものの、もしおっしゃるとおりであるとすれば、当然戒めなければならないことだと思います。
#191
○滝沢委員 余計なことを申し上げたようでありますが、思って言わざるは腹膨るるとか言いますので申し上げたのでありますが、ところが大臣、これに相似た事例はちまたには満ちあふれておりまして、ひとり恩欠団体のみではありませんから、そこら辺をどうかひとつ賢明に対処してちょうだいしたいと思います。
 ところで、外務省から見えていただいているかと思いますが、北方領土問題、これはこの委員会のこの議案にどの程度ふさわしいかちょっと存じませんけれども、実は最近、北方領土問題に対していかにも希望的な感触が得られたかのごとき報告もあり、またそれを肯定する論調等も新聞等には見えていることであります。しかし、例えば両国の外相会議等が持たれまして、いわば雪解けか何か知りませんけれども、そのようなことを感触として感じた後に、これはソビエトの方に向けての答えは違うのですね。日本に向けては希望が、ソビエトに向けては依然として厳しいものがあるんじゃないかな、私はこう思うのであります。
 実はここに、朝日新聞の二月十九日の記事に「領土を締めないなら日米安保こだわらぬ 平和条約でソ連参事官」云々というようなこともございまして、これは北方領土に直接関係した記事ではありませんけれども、北方領土返還運動が総務庁におかれて大変御熱心になさっていただいておること、敬服の至りであります。しかし、このことについて、外相会議がほほ笑みのうちに行われたことによっていかにも希望があるがごとき見方は過ぎるのではないか、私はこう思うのでありますが、いかがなものでございましょう。
#192
○都甲政府委員 お答えを申し上げます。
 先生御承知のように、十年ぶりにソ連の外務大臣が訪日をいたしまして、外務大臣同士の会談が一月に行われたわけでございますけれども、その結果、私どもとしては二つの建設的な結果が得られたと思っております。
 一つは、政治対話のルールが再び定期協議という形でしかれたということ、もう一つは、平和条約交渉が領土問題も含めて継続されるという合意が成立したことでございます。この点が両方とも共同コミュニケに盛り込まれておりますけれども、私どもとしては、この建設的な結果というものがあったからといって、領土問題そのものについてソ連側の態度が軟化を示したということは全く考えておりません。外に対しましても私どもとしてはそのような御説明を申し上げてきているわけでございます。
 そういうことでございまして、ソ連側におきましては、領土問題について残念ながら現在のところその立場を変える兆しはございません。ただ、従来ソ連側が、一九七三年の合意にもかかわらず領土問題は存在しない、これは解決済みと言ってテーブルにも着こうとしなかった態度を改めまして、話し合いだけはするということになりまして、今後、政治協議の場及び平和条約交渉の場でこの問題が話し合われるということは少なくとも確立されたわけでございますので、私どもとしては、この際、領土問題は再び正念場に差しかかったという意識を持っております。
 そういう意味で、この合意を基礎にしながら、日本国民の総意を体して、今後粘り強く交渉して、打開を図っていくべきものと考えている次第でございます。
#193
○滝沢委員 大臣、大変御熱心に、しかも適切に北方領土運動を展開してちょうだいしておりますが、沖縄が返還されましたあの事実、これはアメリカさんが民主主義の国か人道の国か知りませんけれども、しかし、あの返還の一つの側面は、日本をして反米の子としたくはない、世界の経倫の立場に立つならば、日本を自己の陣営にとどめたいというような配慮もある程度あったのではないか。言うなれば左の――左とか右という言葉は気に入らぬのでありまますが、左の方々の反米運動というものが逆に作用して返還を早く実現さした一因でもあるな、こんなふうに私は見てきたのでありますが、しかし、少なくとも両国が五分五分に戦った戦いの後に占領された領土が、平和裏に返還されたということは世界の外交史上希有のことであったのではないかと存じまして、大変ありがたいことであった、こう思っております。
 しかし、翻って北方領土の方を見ますると、これは全く事情が異なっているように思うのであります。
 沖縄は、日米があそこに激突をして、これはいわば五分五分に戦ってかつ敗れたのでありますから、まあ戦いのならいとするならば、占領されて居座られて、もってやむを得ぬというのが戦いの世界の歴史でございましたね。それが、先ほど申し上げたような側面があったかどうかは知りませんけれども、あのようにして返還されました。
 しかし、他面、北方領土は、ソビエトのあの地区に対する侵略と侵入というのは全く不法なものでありまして、ここにおいて我々は決して戦ってはいないのであります。御存じのごとく、日本が降伏の意思を表明した後に侵入してこられたということでもあることを考えるならば、全く事情を異にしている。沖縄は戦いによって敗れて占領され、北方は戦わずして火事場泥棒式に乗っ取られたという経過であると思いまして、我々がこれに対して返還の要求をする叫びの大きさというのは、おのずから違ってもよろしいだろうと思うのであります。
 しかし、歴史を見ますると、沖縄に対しては大きい声で万人これを叫び、北に対しては小さい声で百人これを唱えるということになっているのではないか。私はこれは非常に残念なことだと思うのでありますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
#194
○江崎国務大臣 全く仰せのとおりだと思います。同感です。したがって私どもは、北方領土については粘り強く今後といえどもやはり強く要求をしていく。
 それから第一、平和条約のときにはソ連は参加していないんですね。しかもアメリカは、あの当時、沖縄を占領下に置いたとはいいながら信託統治しているんですよね。ですから、そういう点では戦後処理の仕方としてもフェアな行き方であった。
 私は思い返しますが、一八五五年、安政元年十二月十二日、これを新暦に直して二月七日を北方領土返還の日ということで毎年大会合をやっておるわけで、このごろも九段会館で開いたところでありますが、このときにはっきりと歯舞、色丹、国後、択捉、これは日本である、そして得撫島以北は当時の帝政ロシアの領土であるということに決まったわけでありまして、したがってそれ以来固有の領土であることはもう百三十年前に決まっておることなんですね。それが御承知のように一九五六年に、鳩山・フルシチョフ会談、これでは歯舞、色丹は北海道庁のもので、これくらいは返そうかということになって、そのときに話がまとまらなくて、こっちは四島を主張したということですね。それから一九七三年、御指摘のありましたその時点では、ブレジネフと田中総理との会談で戦後未処理の問題ということで話し合いが行われたわけでありますが、その後、それは解決した問題だとか、それは念頭にないとか、言を左右にして今日に至ったものが、先ごろのシェワルナゼ外相の訪問によって、とにかく領土も含む諸般の問題をひっくるめてテーブルに着くことができた、そういう点では一歩前進だと思います。
 しかし、ソ連の放送を絶えず聞いておる人からの書簡によりますと、領土を返還する意思はない、これはもう既に解決された問題だという従来の言い方をソ連放送は全然変えていないということを、この間ある人から、有志から、私もそこに持っていらっしゃるような手紙形式でいただいたことがございます。やはり、今後粘り強く国を挙げてこの返還を求めていくこと、これは国の主権に関する問題ですから、極めて重要にとらえております。
 なお、私が二月七日北方領土返還の日と申しましたのは、今メモが入りまして北方領土の日、これが正確だそうでございますので修正いたしておきます。
#195
○滝沢委員 どうぞその二月七日ですか、その日が返還の日となりますように、ひとつ頑張ってちょうだいしたいと思います。
 ところで、戦争中に中国におられた兵隊さん等の報告を聞きますと、時の蒋介石国民党は、排日、侮日あるいは抗日というようなものを、朝、目が覚めると洗面器の底に書いてある、そして廊下にも書いてあり、トイレにも書いてあるというふうに、私は先輩から聞きました。私は、今の日本の政治の中で一番欠けたるものは、国としての国是といいますか、国家的要求といいますか、民族的願いといいますか、それが一本ぴしっとないことだと思っておりますよ。戦争中は「欲しがりません 勝つまでは」と、あの戦争に対する評価はいろいろありましょうが、しかし、一億戦いを勝ち抜こうという合い言葉は、極端なる特別の立場の方々は別として、多くの国民のいわば合い言葉でありましたね。ところが、今日の日本には、いわゆる多くの国民の相一致した言葉がないのであります。そのような意味で、私は、この北方領土の返還の要求というものを、大変よろしくやってはいただいておりますが、もっと必要ならば予算等もふやして、それこそ洗面器の底からトイレに至るまで徹底して、特に小中学校の廊下にも壁にも教室にもこれを掲げるというようなものにならない限り、私はこのことは国民の切なる願いとはなかなかなってはこない、このように思うのであります。
 ところで、文部省から見えていただいておると思うのでありますが、私も文教委員会で二年お世話になりましたが、その間にもたびたび申し上げたことでありますが、大体この北方領土返還運動のごときは、二年、三年、十年で実りがあろうとも思えない。言うなれば子々孫々に伝えてこれを叫び実現しなくてはならぬというようなことにつきましては、いかにこれを児童生徒、学生に教えているかということにかかるわけであります。
 これは真田家の物語ではなくても、世にはさまざま二代、三代にわたって一つの願いを祈り続け、叫び続け、努力し続けて、これをお孫さんが実現したというようなことも数々あって、今日の日本ないしは世界の文化は築かれてきたのでありますが、この北方領土返還運動のごときも、私は徹底した子供に対する教育、ここからきちんとしていかないことにはだめだな、こう思うのであります。
 ところが、小中学校の教科書すべてをここで申し上げるわけにはいきませんけれども、この教科書の北方領土の記載はまことに不適切、不十分であり、かつまた、そういう教科書においても現場におられる、教壇に立っていらっしゃる先生方がきちんと教えていただいているならばいいんですが、これもなかなかそうはいかぬというのならば、どうして今の小さい子供さんが小さい胸の中に、北方領土は日本の領土、これは祖先、先輩がとうとい血を流して築いた領土、これを返してもらうことは日本の国家的、民族的叫び、お父さんの後を継いで僕がこれを実現しようというような魂が植えつけられようはずはないじゃありませんか。このことについて一言、教科書をつくっていらっしゃる立場でひとつ……。
#196
○小埜寺説明員 お答え申し上げます。
 ただいま、先生から大変適切な御指摘をいただいておるわけでございますけれども、文部省といたしましても、北方領土の学習というのは大変貴重である、大事であるというふうに考えておりまして、小学校、中学校、高等学校の特に社会科におきまして力を入れて指導をしているところでございます。
 私、教科書検定の立場に当たりましても、実際に申請されてきた図書が北方領土について記載されでないときは必ず意見をつけるという立場をとっております。例えば、昨年終わりました小学校の五年生の社会科の教科書でございますけれども、申請された図書の中には北方領土についての記載のない原稿もございました。これにつきましては、私どもの方で意見をつけまして全部記載をしてもらうということになっておりまして、ことしの四月から使われます小学校の教科書にはすべて北方領土についての記述ができる、記載されるというふうになってございます。
 私どもといたしましても、今後とも検定制度の枠の中で北方領土の学習が適切に行われるよう、教科書検定に当たりましても配慮してまいりたいと思っております。
#197
○滝沢委員 私はここに教科書を持ってきてはおりませんけれども、そのあなたのおっしゃる、書いてない教科書には書けというふうに指示をしたとおっしゃっておりますこと、ないしはもともと書いてある教科書が多いとは思うのでありますが、問題はそのボリュームですよね。どの程度のページ数を割いて、どの程度の言葉でこれを記載しているかということにあろうと思うのであります。
 そこで見ますると、ソビエトはヤルタ協定に基づいて日本に侵入をしてきた、こう書いてあるのがほとんど多いのであります。しかし、御存じのごとく、ヤルタ協定は米英ソ三国のいわば密約とも言われるべき約束事といいますか、一つの会談でありました。ヤルタ会談と言っておるわけですね。ヤルタの会談でありまして、条約ではないのであります。いわんや日本は、この約束に対し何らの批准もいたしてないわけでありますから、何らの責任がない。一方、日ソ不可侵条約があった。その条約を一方的に破棄して日本に通告なしに入ってきた。このことはきちんと書かなくてはならぬことであります。どうしてヤルタ協定が出てくるのですか。このようなことを書かせて、ソビエトのあの行為を正当化するがごとき教科書では、本当にソビエトに対していわば怒りを持ってこれを要求するという教育ができぬじゃありませんか。いかがですか。
#198
○小埜寺説明員 お答えを申し上げます。
 北方領土の学習につきましては、先生は文教のベテランでございますのでおわかりと思いますけれども、やはり児童生徒の発達段階に応じて教えなくてはならないというふうに考えております。したがいまして、小学校の段階では北方領土の位置、名称、それからソ連がそれを占領して、日本はソ連に返還を求めているという記述は必ずつけさせる、記載させるということにいたしております。
 それから、ただいまヤルタ協定のお話がございましたけれども、中学校の教科書には、今先生御指摘のとおりヤルタ協定の記述がございますけれども、これも実は検定の意見によりまして、ヤルタ協定は秘密協定であるという趣旨の意見をつけまして、中学校の教科書七冊、歴史の教科書ございますけれども、すべての教科書にその旨の記述がございます。
#199
○滝沢委員 あなたは検定課長だからそのことはわからぬとおっしゃるだろうけれども、二月七日の北方領土の日、この日に学校は何をしておりますか。
#200
○小埜寺説明員 私、教科書検定に関する仕事をしておりまして、残念ながらちょっと学校現場の実態は把握してございません。
#201
○滝沢委員 ですから、役所が職務分担のあるのはやむを得ぬことであります。しかし、あなたが教科書を愛し、その教科書によって学び育つであろう子弟を愛していらっしゃるならば、この教科書がいつ、いかに使われているか、教科書の何ページの何という文言を一々チェックするだけではなくて、使われ方についても御関心を持ってちょうだいしたいものだと私は思うのですよ。
 二月七日の北方領土の日、これは大臣おっしゃったようなこと、いわば国を挙げてとおっしゃりたいのでしょう。だとするならば、その日に学校は、それこそあなたのおっしゃる発達段階に応じて、この日の意義を子供に説明してあげるのが教育じゃありませんか。お節句になったら、お節句というのはどういうことかを教育するのじゃありませんか。年末になったら、年の暮れは何かということを教育するのじゃありませんか。その子供、その子供の誕生日を書いている教室なんかよくありますね。そのときには、そのだれだれ君を立たせて、そしてみんなして祝福してやっていますよ。これはまた後で分科会等で議論させていただきますが、例えば建国記念日。建国記念日が、B組の八郎君の誕生日ほどに意識して教育の場面で生きているのだろうかと思うと、これは大変私は疑問だと思うのであります。
 そのような意味で、どうぞひとつ北方領土の日、あなたの検定した北方領土の記載がその日に生きますように、これはだれ課長さんのお仕事か知りませんけれども、ひとつよく相談してちょうだいしたいと思います。
#202
○江崎国務大臣 大変御熱心な御質問で、感銘深く承りました。
 二月七日の北方領土の日には、自民党の代表はもちろんですし、社会党、公明党、民社党、それから共産党も代表が出てきていただいております。新自由クラブとか社民連も全部出てきておられるのです。ですから、そういう点では北方領土返還についてのコンセンサスは各党各派全部できておるわけでありますから、今委員がおっしゃいます点は文部省においてももっともっと深く追求していただくことが望ましいと思いますし、特に担当省庁として私どもも努力をしてまいりたい。特に戦後四十年もたちますと、四十歳というと子供に伝える年配の人たちがもう戦後生まれですから、そういうことを考えましても、御趣旨は重要なことを御発言になっておるというふうに傾聴いたしました。
#203
○滝沢委員 どうぞひとつ北方領土返還の叫びを民族の叫び、国家の叫びとして、しかも、今後の長い歴史に向かってこれを叫び、実現していくという原点を確認していただきまして、今日の運動をさらに強化していただくことを特に申し上げ、また、お答えもちょうだいしましたとおり教育の場面とも結びつけてひとつお願いしたいというふうに切望いたしておきます。検定課長さん、どうも御苦労さまでした。
 さてそこで、話をさらに恩給の問題に戻しまして、と申しましても、これは先ほどもるるお話がありました台湾御出身の元日本兵のことでございます。
 かつて日本の領土であったときに、あの台湾の方々が兵として従軍され、そしてあのような形で終戦となりまして、そして、日本国籍を持たないがゆえに恩給の恩典に浴せずにおられるという方方に対する課題であることは、もう御高承のとおりであります。しかし、先ほどの御説明の中でも、調査し検討しというふうにいろいろおっしゃっているわけでありますが、これがこのままそうしておるうちにも、もはやすべて六十歳ないしはそれ以上の御年配であるわけでありますから、日日にお亡くなりになっていくということは日本の兵隊さんの問題と全く同じだと思うのであります。でありますから、私はここで時を移さぬ決定というものがなされなくてはならないのではないか、こういうふうに思うわけであります。
 これはいろいろと理由がありましょう。まず国籍の問題がございましょう、ないしは日本といわば正規の外交関係を今持たない不幸な状態ということもございましょう。いろいろありましょうが、それらこれらを超えて勇気のある選択を日本がなすべきときである、私はこのように思うのでありますが、いかがなものでございましょう。
#204
○佐々木政府委員 おっしゃいますとおり、台湾人の元日本兵の問題というのは、恩給法並びに厚生省で所管しております戦傷病者戦没者遺族等援護法、個々のいずれの法律にありましても日本国籍ということが要件になっております関係で、現行法では法的には救済ができないことになってしまうわけであります。
 ただ、御承知のとおりこの問題につきましても裁判所でもって裁判が行われておるわけでありまして、第一審裁判でもって原告ケ盛さんほか十二名の方々の請求が棄却された後、第二審裁判、これは東京高裁の裁判で棄却されたわけでありますけれども、なおその判決は、これにつきまして特別の付言をいたしておるわけであります。
 内容としましては、これは先生のお気持ちのとおりでありまして、「現実には、控訴人らはほぼ同様の境遇にある日本人と比較して著しい不利益をうけていることは明らかであり、」「予測される外交上、財政上、法技術上の困難を超克して、早急にこの不利益を払拭し、国際信用を高めるよう尽力することが、国政関与者に対する期待であることを特に付言する。」ということを言っておられるわけであります。
 政府といたしましては、これは私、恩給局から申し上げるよりは総理府の方からおっしゃった方がいいわけでありますけれども、内閣総理大臣官房審議室長を議長とする台湾人元日本兵問題関係省庁連絡会議が設置されまして、現在検討が行われておるところであります。なお、これは国会議員の方々も超党派でこの問題に対する懇談会が開かれておりまして、種々御活動をなさっておられるということを承知いたしております。
 なお、おっしゃるように大変御高齢の方々ばかりでありまして、私どもも大変同情いたしておるわけでありますけれども、なお検討に時間がかかるということもまた事実でありまして、そのあたりにつきましては御了承いただきたい、このように存ずるわけであります。
#205
○江崎国務大臣 御趣旨は全く同感でございまして、今局長が申しましたように、総理大臣官房審議室長を議長としてこの問題の検討に入っているわけですが、仰せのように軍人軍属合わせて十七万六千八百七十七人、死亡は既に三万人を超えております。したがって、約二十万余の人が軍人軍属として、陸海にあるいは軍属として、それぞれ従軍したわけでございます。年数は極めて短いものでありますが、韓国の場合は特別取り決めによって一括処理をされたわけですが、この問題について何らかの結論が速やかになされることを期待いたしております。
#206
○滝沢委員 大臣、これは田中内閣のときにあのような経過で北京政府の承認、したがって台湾政府の切り捨てという選択をなされ、そして今日なお、民間の交流の名のもとに、経済的にも政治的にもないしは表現のよしあしは別として軍事的にも大変緊密な関係にある、日本としてはどうしてもかかわり合いを持たざるを得ないあの国であります。こういうことを思いますときに、数万の元兵隊さんの心情、要求ないしは生活のことのみではなくて、あの台湾全島の問題、いわゆるあの人たちがおっしゃっている中華民国の全体の国民に対する、それこそ先ほど慰藉という話も出てきましたけれども、信頼をかち得るためにも、一々の恩給の法令条項に照らし合わせての判断ではなくて、高度な政治判断でこれを一挙に一括処理するというようなことで、例えば必要ならば特別立法でもって恩給という取り扱いを超えてもこのことを速やかに処理された方が賢明なのではないか、また人道上からいっても国際信義の立場からいってもそうあるべきではないのか、私はこう思うのですが、大臣、いかがでございましょう。
#207
○江崎国務大臣 重要な御発言と受けとめて検討をいたします。
#208
○滝沢委員 大変理解あるお答えをいただきましたが、どうかひとつ、このような提唱に対しまして今後検討いただきまして、関係省庁連絡会議を持っていらっしゃるというのでありますから、そこらあたりで御研究いただきまして、恩給という次元、日本の国内法に照らしての選択というのではなくて、仮に国籍といっても、当時日本の国籍を有していらっしゃった方々がそれぞれの方々の意思によらずして別の国の国民となられたわけでありますから、そういう事情を配慮されて、今おっしゃったような御検討を速やかにしていただきますよう要望しておきます。
 なおまた、これはあしたの分科会等で申し上げることの一環ではありますが、せっかくの機会でありますから一言触れさせていただきますが、私は、先ほど北方領土の日のことについて申し上げるに当たりまして、建国記念日のことをちょっと触れました。
 そこで、建国記念日というものを政府はどのように理解していらっしゃるか。詳しくはあした申し上げさせていただきますが、建国記念日は日本民族が国家を形成したいわば国家創建の日という意味だと思うのであります。昔は紀元節と申しました。戦後「節」という言葉を――委員長どうも……(笑声)切におわびをしながら申し上げさせていただきますが、どうも戦後の政府は「節」という文字を大変敬遠していらっしゃいまして、何でもかんでも「何とかの日」と、こうおっしゃっておりますが、しかし中国等においても「節」という言葉が記念する日という意味に理解されておるわけでありますが、昔は紀元節と申しました。これを今、民間の団体が主催するものに対して政府の要路の方々が来賓として御出席をいただいておるということは、それこそ過ぎ去りました経過を考えれば一歩前進、二歩前進でございましたけれども、しかし翻ってよって来る意義を考えるならば、政府が主催され、国家が主催してこれをなさる、むしろそうして諸外国の代表等をお招きして、これをあまねく国民の参加を求めてなさることがよろしいのではないか、また諸外国もそのようになさっているのではなかろうかと思うのであります。
 ところが、一部これを云々する方々もいらっしゃいます。そういう方々のおっしゃり方をかりるならば、それは戦前の政治に返るとか、ないしは復古調とかおっしゃるんでありましょうけれども、しかし御存じのごとく共産主義の国においても、いや、その国々こそ国家の主催において厳粛盛大になさっているわけでありますから、私は何ら憶することなくこれをなさっていただいていいのではないか、こう思うのでありますが、いかがなものでありましょう。
#209
○江崎国務大臣 全く私は同感でございます。人に誕生日があるように、国に建国の記念日がある。諸外国においてもナショナルデー、一般的に行われております。日大でも、建国記念日にはそれぞれの関係者を、外国の大公使館においてもそれぞれお招きをしたりしてお祝いをしておるようであります。ですから、もっと素直な気持ちで、これは戦前につながるというようなことではなくて、やはりお互いの草創の時代の、国がその日に発足をしたんだ、それはいろいろ議論はありましょう、議論はありましょうが、国民的コンセンサスとしてその日が建国記念日と決まれば、みんなで祝い合えるような雰囲気づくりがいい。
 政府が主催しないという意味は、政府が何か押しつけるようなことにするのはいかがなものであろうかという配慮は多少あって、そして国民がだんだん、自分に誕生日がある、子供の誕生日を祝う、そういうような気持ちで国を挙げて、各党各派挙げて、イデオロギーを離れてみんなで喜び合おう、そういうような気持ちで現在のような形式がとられておる、私はそのように解釈しておるわけであります。
#210
○滝沢委員 私は大正十四年五月二十四日の生まれとなっておりますが、私の友人がさもないことで警察に呼ばれました。そして型のごとく、おまえ何というか、住所はどこか、生まれ日はいつだ、こうなった。そうしましたら、何年何月何日と聞いています、こう言ったというんです。そうしましたら、きさまふまじめなやっだ、自分の生まれ日を、何々と聞いておるとは何事か、こういうふうに怒ったというんです。そうしたら私の友人は、いや、私は生まれるとすぐカレンダーを見て確認をしたのでもありませんから、親から教わった日をそうだと信じているということで今のように申し上げました、こう言ったというのであります。しかし、私の生まれ日のごときも、日はそうなっておりますけれども、果たしてそうであったものかどうか、あるいはまた時間等は全然はっきりしておりません。
 ところが、今日お生まれになる赤ちゃんは、病院でそれこそ十分な手当てのもとにお生まれなさるものでありますから、何年何月何日何時何十何分ということになってございます。しかし一面、会社等を見ましても、去年創立をしました日本たばこ何とか会社のごときはこれはきちんとしておりますよね。しかし、慶長年間云々とか元禄年間の創立、創立二百三十年なんていうところは、二年や三年、五年や六年わかりませんよね。ところがはっきりしない、わからないほど古い、そういうのれんこそ誇るべきものであるということも言えるわけであります。
 お亡くなりになりましたけれども、百二十歳の何とか重千代さん、あの人の生まれ日についてもいろいろ週刊誌等に書いてございました。しかし、二年三年わからぬところに百二十歳を生き延びた権威があろうと私は思いまして、この建国の記念日のごときも、世界の歴史を見れば、古い歴史を持つ、誇るべき文化を持っておる国々こそはっきりしない。はっきりしないけれども、その日だと信じてこれを祝っていらっしゃるわけです。
 話は違いますが、キリストが生まれたと言われている十二月二十五日、あれもしかし神学者に言わせれば八月であったのではないかとか言われておるわけでありまして、そこら辺のところは私は、大臣がおっしゃるように、はっきりしなくともそうだというふうに決めて信じて、それを祝おうやという雰囲気こそあるべき姿、こう思うのでありまして、重ねてひとつ国家主催に踏み切られることをも御検討いただきますよう御決意のほどを承って、終わらせていただきたいと思います。
#211
○江崎国務大臣 御趣旨を十分体しまして努力いたします。
#212
○滝沢委員 ありがとうございました。大臣、どうも御苦労さまでした。
#213
○志賀委員長 三浦久君。
#214
○三浦(久)委員 まず最初に、恩給法の改正案自体についてお尋ねをいたしたいと思います。
 今度の恩給法の改定は、その実施時期が、通常は四月なんですが七月実施になっておりますね。これは公務員給与改定の実施が七月となったことから、それに準じてとられた措置だというふうに思われます。しかし、これは極めて不当なやり方だということを私はまず最初に申し上げておきたいのですね。
 恩給法の改定というのは、何も公務員給与が、それだけがこの指標になるわけではございません。例えば恩給法の二条ノ二でも明確なように、「同氏ノ生活水準、国家公務員ノ給与、物価其ノ他の諸事情ニ著シキ変動ガ生ジタル場合」「諸事情ヲ総合勘案シ速ニ改定」するとなっていますね。これはそのとおりでしょう。
#215
○佐々木政府委員 おっしゃるとおりであります。
#216
○三浦(久)委員 ですから、政府は過去におきましてもその指標を物価水準に求めたことがあるのですよね。また、皆さんは公務員給与とのバランスということも言われるわけですが、この恩給改定の実施時期というのは公務員の給与改定の実施時期よりも一年おくれになっておる。これはもう既定の事実ですね。ですから、この内閣委員会においてもたびたびその実施時期の一年おくれというものは是正すべきだ、そういう決議が何回もなされておるわけであります。これは与野党一致の見解なんですね。政府もそのことについては検討を約束しているわけです。ですから、公務員の給与の改定が七月実施だからといって、恩給の改定の実施時期も七月に合わせなければならぬという理由というのはどこにもないというふうに私は思うわけであります。
 それでちょっとお尋ねしたいのですが、これを七月実施ではなくて四月実施にするとした場合に、それは法律違反というようなことになるのでしょうか、どうでしょうか。
    〔委員長退席、石川委員長代理着席〕
#217
○佐々木政府委員 今おしかりでございますけれども、これは四月実施で全然問題はないわけであります。現に従来四月実施でやってまいったということでありますが、現職の公務員につきましていわば三カ月給与のアップをストップしなければならないほどの財源難の時代である、そうしたようなことから、恩給につきましても、アップの時期を三カ月ずらさざるを得ないようないわば財源難であった。そうしたことから今回七月実施ということにいたしたわけであります。
#218
○三浦(久)委員 そうですね、違法ではないのですよね。実施しようと思えばできる。これは政策選択の問題なんです。要するに政府がその気になればできることです。財源難と言うけれども、ではそういうことを言われれば立場の違いでいろいろなことが言えるわけですね。では大企業に対してはどうしてこんなにやるんだとか、またアメリカの支配下にあるようないわゆる発展途上国に対してはどうしてこんなに援助金を出すんだとか、軍事費を何でこんなに、どんどん増大するんだとか、いろんなことが言えるわけですよ。ですから、これはもう本当に、恩給法の精神にのっとって、ちゃんと四月に実施をするようにさせたらいいんです。私はそのことをまず最初に強く要求しておきたいと思うのです。
 それから、恩給についての見直しの作業が今行われておりますね。これも私は大変けしからぬ話だと思うのですが、臨調行革路線に基づいて行われているわけです。例えば第二臨調の第三次答申、これは五十七年七月三十日ですけれども、「年金制度とのバランスをとるために必要な見直しを行う。」というふうに言っています。それからまた行革審、これも五十九年の七月二十五日の「当面の行政改革推進方策に関する意見」の中で、「新規の個別改善は行わない。」ということを言っております。さらに、昭和六十年七月二十二日の行革審の「昭和六十一年度予算に向けた行財政改革に関する意見」、この中でも「年金とのバランスを考慮した恩給制度の見直し」ということを明記しているわけですね。
 これらに基づいて政府としては恩給の見向しの検討に入っていると思うのですが、では今どういうような見直しの方向で検討が進められているのか、そのことについてお尋ね申し上げたいと思います。
#219
○佐々木政府委員 御指摘のとおり、臨調並びに行革審から、年金とのバランスを考慮した恩給制度の見直しが何回かにわたって指摘をされておるわけであります。あわせまして昨年末の臨時国会で、衆議院大蔵委員会、衆議院地方行政委員会、参議院内閣委員会、参議院地方行政委員会から、国家公務員並びに地方公務員共済等の一部改正法案に対する附帯決議の中においても、「今回の改正が行われると、共済年金と恩給との間に大きな相違が生ずるので、恩給制度についても、公的年金制度の改正をふまえつつ、検討を加えること。」このような御指摘があるわけであります。このいずれも、私ども政府としては、これは守って真剣に検討していかなければならない課題であると考えておるわけであります。
 ただ、この制度の見直しにありましては、恩給制度は国家補償を基本とする制度でありまして、相互扶助の精神に基づき保険数理の原則によって運営される公的年金とはその基本的性格を異にするという点が一点。それから、その対象者がすべて既裁定であって新規参入者がない。三番目に、対象者の大部分が旧軍人という特殊な職務に服した者やその遺族であって極めて高齢である。この三つのことから、制度の抜本的なあるいは基本的な枠組みを変更するということはなかなか困難であると存じております。
 しかしながら、一方、恩給も年金として果たしている機能という面から見れば公的年金と類似する面もありますので、こうしたような御指摘に沿って種々検討を加える必要がある。こういう考えで、なかなか難しい問題はありますけれども、当面私どもが考えておりますのは、一つにはベースアップの指標をどうするか。恩給は従来から公務員給与の改善に準拠してまいったわけでありますけれども、この前の共済の改正によりまして公的年金はすべて物価スライドをとるということになった。恩給だけが同じ年金でありながら給与スライドでいいのかどうか、このあたりについては十分な検討を加えたいという点が一点。
 それから二つ目に、多額所得者に対する恩給の一部停止制度、これは既に恩給制度にありましても一定の恩給支給停止あるいは制限の制度があるわけでありますけれども、それをさらに強化すべきではないか、このようなことの検討をただいま行っているところであります。
#220
○三浦(久)委員 併給の調整なんかはどうなんですか。検討課題になっていますか。
#221
○佐々木政府委員 その併給調整という意味が、それぞれの方々の言い方によって異なりますのでなかなか難しいわけでありますけれども、例えば多額所得を種々の資産で持っておられる方に対して恩給の支給制限を行うことについては、私どもはこれは進めてまいらなければならない、このように思っておるわけであります。しかしながら、例えば恩給ももらい、それから他の公的年金ももらっておるという場合にあって、例えば恩給は軍務等でおって既に十二年を経過した、したがって恩給の支給期間を一応有しておる、さらに厚生年金で二十年の期間を経過をして厚生年金の支給資格を一応有しておる、この両方を持つのはどうかという話になりますと、これは今の制度でも当然に持てるわけであります。
 したがいまして、その併給調整の概念次第でありますけれども、恩給というのは国家補償ということを基本とする制度である、それから他の年金、公的年金は社会保険として相互扶助の精神に基づいて行われる制度である、この両者は併存してしかるべきであるというふうなことを一応基本の考え方として、私どもは現在なお検討を進めておるところであります。
#222
○三浦(久)委員 いずれにしてもよくなることはない。公的年金の改悪に合わせてやっていこうというわけなんですからね。ですから、これはいずれにしても、恩給額の水準低下に私はつながっていくだろうというふうに思うわけであります。これはまさに、福祉や教育予算を年々切り下げている臨調路線の一環なんですね。私はこういうことはやはりやるべきでないと思う。特に今は、経済摩擦の解消ということが非常に大きな問題になっている、そのための内需の拡大ということが叫ばれているわけですね。内需の拡大ということになれば、やはりそのうちの六〇%弱を個人支出が占めているわけでありますから、そういう意味では、大幅な減税という要求や大幅な賃上げという問題とか、また社会福祉の充実というようなことが今国の手によって実現が求められている問題なんですね。ですから、私は、国家的な要請とも相反するような傾向だと思うわけであります。そういう意味で、私は、恩給の改悪につながる作業を直ちに中止することを強く要求しておきたいと思います。
 次に公務員問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、大蔵省、来ていらっしゃいますね。――給与改善費を六十一年度の当初予算に計上しなかったのはなぜでございますか。
#223
○竹島説明員 給与改善費につきましては、従来から、人事院勧告の目安といいますか給与改定の目安というものではなくて、公務員の給与改定に備える財源措置という性格として扱われてまいりました。それで、具体的なその計上につきましては、毎年度の予算編成に当たりまして、その都度その財政事情等を考慮して計上割合を決めてきておったわけでございます。
 六十一年度につきましてこれを計上しなかった理由は、御案内のとおり大変厳しい状況のもとで編成された予算でございまして、計上できた方が望ましいことはもとよりでございますが、残念ながら今回は計上を見送らざるを得なかったということでございます。
 ただ、つけ加えさせていただきますが、このことと人事院勧告といいますか公務員の給与改定問題とは直には関係はないというふうに申し上げたいわけでございます。
 人事院勧告はこれからどうなるのか、人事院の方の御判断にかかっているわけでございますが、この問題についての政府としての方針は、既に昨年の人事院勧告の取り扱いの決定のときに官房長官談話でお示し申し上げているとおり、「完全実施に向けて誠意を持って対処する」ということになっておりまして、取り扱い問題とは別な問題として、財源難からまず計上を見送った、こういうことでございます。
#224
○三浦(久)委員 財源難だから当初予算への計上を見送った、こう言われるのですけれども、しかし、給与改善費というのは当然予想されるものであります。今あなたは人事院勧告の実施の問題とは関係ない、こういうふうにおっしゃられましたけれども、しかし給与改善費がゼロだ、これはもうここ十何年来なかったことですから、そうすると、それがことしゼロになったということは、これは人事院勧告が出ても実施しない腹じゃないかというふうに多くの人々が不安を持つのは当然なことだと私は思うのですよ。当然予想される給与改善費をなぜ計上しないか。財源難だから計上しない、そんなことは全く理由にならないというふうに私は思うわけなんですね。
 今までの大蔵省のやり方を見ておりますと、例えばこの給与改善費は昭和四十三年度に予備費に計上されたのですね。このときにも、当然予想される給与改善費を予備費でやるとは何だ、これは財政法上の精神にも反するというふうに批判をされまして、そして大蔵省は翌年度から当初予算に五%を計上したのです。それで四十四年度から五十三年度まで十年間、五%が当初予算に計上されておりますね。ところが、どういうことが五十四年度から始まったのかといいますと、五十四年度にこの給与改善費の当初予算計上は二・五%に減らしたのです。そして翌年の五十五年度には二%になりました。さらに五十六年度から昨年度まてはわずか一%ですね。そして六十一年度、来年度からはゼロなんですよね。そうすると、五%から二・五%になり、二%になり、一%になり、ゼロになるというこの過程を人事院勧告の実施状況と比較をしてみますと、その関連というのは極めて鮮やかに浮かび上ってくるわけであります。
 例えば、五%から二・五%に減らした五十四年度、ここで初めて人勧の値切りが出てきていますね。これは指定職の給与改善の実施を十月一日におくらせた年であります。これを皮切りに人勧の値切りが始まって、そして一般職の給与の抑制、凍結というところにずっと進んで今日に至っているというのが実情なんですね。ですから、今私が申しましたように、こういう給与改善費の削減、いわゆる当初予算への計上の削減というのは、歴史的に見ましても、明らかに公務員給与抑制の意図を持ったものであるというふうに言わざるを得ないわけであります。
 この点、大蔵省の見解を改めてお聞きいたしたい。そういう意図があるのかないのか、お聞きしたいと思います。
#225
○竹島説明員 そういう意図はございません。確かに過去は、今御指摘のとおりの経過ということが数字の上ではおっしゃるとおりだと思いますが、六十一年度に関しまして委員御指摘のような意図は、大蔵省を含め、ございません。
#226
○三浦(久)委員 そうしますと、じゃ六十一年度に人事院勧告が出されたと仮定いたしますと、財源がないからというようなことは言いませんね。どうですか。
#227
○竹島説明員 人事院勧告が出された場合の取り扱いにつきましては、これは毎年同じでございますが、給与関係閣僚会議において議論をされる、そして取り扱いが決められるわけでございますが、その場合に、これは財政事情を含めまして国政全般との関連で検討を加えるということになるわけでございまして、そういう意味で六十一年度、これはどうなるかわかりませんが、仮に人事院勧告が出された場合には、やはり同じようなスタンスで慎重に検討させていただく。ただ、その場合の基本的な考え方としましては、昨年の官房長官談話にございますように、「完全実施に向けて誠意を持って対処する」ということを十分踏まえまして検討をさせていただきたい、こういうふうに思っております。
#228
○三浦(久)委員 そうすると、給与改善費がゼロだから財源がない、そういうふうに結びつけはしないというふうに承っておきましょう。
 人事院総裁にお尋ねいたしますが、給与改善費の当初予算計上ゼロですね。仮にゼロであっても、いわゆる官民較差に基づいてちゃんと人事院勧告をするのかどうか、この点お尋ねいたしたいと思います。
#229
○鹿兒島政府委員 昭和六十一年の給与勧告につきましては、既に国家公務員の給与実態につきましては調査を開始いたしております。これに対する民間企業の賃金の状況でございますが、これは春闘が終わりましてから、おおむね五月の上旬から六月の中旬にかけまして調査をするということで、現在作業を進めておるわけでございます。従来からの同じペースで私どもは現在人事院勧告の作業を進めておりまして、較差が出ますれば勧告をするという形で現在作業を進めているところでございます。
#230
○三浦(久)委員 そうすると、給与改善費がゼロでも、それには影響されずに作業は進めておる、そういうことでございますね。
#231
○鹿兒島政府委員 先ほど財政当局から御答弁がございましたとおり、私どもは、この計上はあくまでも予算編成上の問題だというぐあいに理解いたしております。
#232
○三浦(久)委員 ここにこういう報道があるのです。これは、国家公務員の中に、改善費がゼロなので人勧を行わないのじゃないか、人事院勧告を出さないのじゃないかという不安があるということで、国会で人事院総裁に質問をしているのですが、この中で人事院総裁は、官民較差が五%以内であっても、較差があれば積極的な姿勢で対応したい、こういうふうに答弁をされているわけであります。
 人事院総裁にお尋ねしますが、今年度の人事院勧告を行うに当たっての基本的な立場を改めてお伺いいたしたいと思います。
#233
○内海政府委員 今までも私の見解はいろいろな機会を得まして申し上げておりますけれども、人事院の勧告というものは、くどいようですけれども、労働基本権を制約されておるもとにおける公務員給与の改善のほとんど唯一の機会であり、措置なわけでございますから、それゆえにこそ法律にもそういうふうな対応が規定されておるわけでございます。私どもも、その法律に定めてある、あるいは法律の規定されておる趣旨というものを厳しく受けとめて考えなければいけない、こういうふうに基本的に考えておるわけです。
 そこで、五%以下という問題ですけれども、この問題は、五%以上でなければ勧告してはいけないということではないと私は考える。したがって、仮に五%以内であっても、諸般の諸条件を十分検討した上で、勧告しなければならないという状況であれば勧告すべきものである、私はこういうふうに考えておりますし、そういう事柄につきましては積極的な考え方を持ってこれに対応していきたい、こういうふうに考えております。
#234
○三浦(久)委員 今までも官民較差が五%以内であっても、昭和五十三年、五十四年、五十七年と勧告をしてきているわけです。来年度もこれに準じたやり方でやられるという御答弁のように承りました。
 私は、公務員の不安というものを解消してやらなければいかぬと思うのです。総裁の前任者である藤井人事院総裁ですが、この方は、五%以内であっても公務員の生活上無視できない状況になっておるんだ、五%以下でも勧告することが適当だ、私はだからそういう信念で三年間やってきたんだ、これが正しい法律の規定の解釈である。ここが大事ですね。これが法律の規定の正しい解釈である、こういうことを、これは昭和五十八年三月二十三日の参議院の質疑の中でお答えになっていらっしゃるわけであります。私は、これは大変正しい考え方だと思うのですが、人事院総裁はこの藤井前総裁の見解に対してどうお考えでございましょうか。
#235
○鹿兒島政府委員 国家公務員法の二十八条の解釈の問題かと思いますが、御承知のように二十八条は、第一項におきまして、情勢に適応すべき原則を掲げております。そして第二項目におきまして、お話がございました五%という数字が出てくるわけでございますが、これはあくまでも、基本は第一項の情勢に適応すべきということが基本にあるわけでございまして、第二項の方は五%を超えましたときには勧告を義務づけているということでございまして、五%未満の場合に勧告ができないという解釈ではないということでございます。
#236
○三浦(久)委員 私は何でこんなことをしつこく聞くかといいますと、今まで政府は、この数年にわたって勧告を無視し続けてきたのですよ。今、総裁も、人事院勧告制度というのは労働基本権剥奪の代償、措置であるとおっしゃいましたね。私たちに言わせますと、労働基本権剥奪の代償措置なんていうものはないんだという考え方です。これは今の国鉄の職場を見ればよくわかります。労働基本権というのは何も賃上げだけの問題じゃないのですね。職場におけるさまざまな要求闘争というのがあるわけです。賃上げの問題だけじゃありません。それが現在は、賃上げ以外のさまざまな要求を改善することができていないのです。ですから、今の国鉄の労働者というのは、手足を縛られて殴る、けるの暴行を加えられていると全く同じようなひどい仕打ちを受けていますね。ですから、私は個人的に確信していますけれども、労働基本権にかわるべき代償措置などというものはあり得ない、そんなものはあっても、どんなに優秀なものをつくっても、それは不完全なものでしかあり得ないというふうに思っているわけですが、その人事院勧告制度ですら、政府はずっと値切り続けてきたわけであります。ところが三年間で段階的解消、こういうことを言っているわけですね。
 これは総務庁長官にお尋ねしたいのですが、六十一年度というのはもう三年間の段階的な解消が終わった年なんですね。そうすると、六十一年度の人事院勧告については完全実施するというふうに言わなければいけないと私は思うのです。いかがでしょう。
#237
○江崎国務大臣 これは今までの質問者の皆さんにもお答えしてまいりましたように、昨年十一月八日の官房長官談話もございます。したがって、人事院勧告があれば、我々総務庁としては、その方向を尊重してできるだけ実施できる方向を決めたいと考えております。
#238
○三浦(久)委員 段階的な実施を行っていたとき、また値切りを行っていたとき、その場合でもいつも政府は、最大限尊重いたしますとか実行のために全力を尽くしますということを言っておられたのですね。そうすると、そういう同じ答弁では六十一年度とうなるのかなという危惧を抱かざるを得ないのです。ですから、六十年度と六十一年度は人事院勧告の実施については違う意味を持った年なんだということは御確認できますでしょうか。
#239
○江崎国務大臣 これはもう何度も申し上げておりますが、俸給というのは勤務の基本的な条件にかかわる重要な問題です。人事院勧告があれば、財政が苦しくてもその方向に従って十分誠意を尽くす、そう申し上げておるわけです。
#240
○三浦(久)委員 次に、国家公務員の女子の健康、安全管理基準問題についてお尋ねいたしたいと思います。
 人事院は女子の健康、安全管理基準である人事院規則十の七について、多くの労働者の反対を押し切ってその改悪を強行しようといたしておるわけであります。昨日、要綱を労働者にお示しになっておりますが、その大要をまず最初にお伺いしておきたいと思います。
#241
○中島(忠)政府委員 今回の改正のきっかけは、先生御存じのように、女子差別撤廃条約を批准いたしまして、その国内法整備の一環として、人事院規則の十の七の改正を行おうということでございます。ただ、労働基準法及びその施行規則も同じ関係にあるわけでございますが、これが既に改正されておりますので、女子差別撤廃条約の考え方を実現すべく、そして労働基準法制を参考にしながら、我々は改正案を固めたわけでございます。
 その要点というのは、一つは深夜勤務及び時間外勤務、これにつきまして、原則として制限を存置しておきますけれども、その適用除外範囲を拡大していこうというのが一つございます。
 第二番目といたしまして、女子の生理を理由とする休暇につきまして特別休暇であったのを、病気休暇に改めていこうというのが第二点でございます。
 それから第三点といたしまして、危険有害業務についての就業制限でございますが、妊婦、産婦及び一般女子に分けまして、それぞれ労働基準法制で定まりましたと同じ危険有害業務の制限をしていこうということでございます。
 それから第四点といたしまして、妊産婦に係る措置でございますが、産後の就業制限期間を八週間に延長しようということ、そして、深夜勤務及び時間外勤務につきまして妊産婦につきまして制限措置を講じていこうということでございます。
 以上、大要を申し上げたわけでございます。
#242
○三浦(久)委員 今の改悪の内容、これは女子労働者の健康に非常に大きな影響を及ぼす問題はかりだと私は思っているわけであります。そういう意味では女子差別撤廃条約の理念にも反しておると思うのですね。
 例えば生理休暇の病休扱いの問題、また、今言われました深夜労働、時間外労働、その制限の適用除外の範囲をうんと拡大していくという問題、こういう問題は本当に大変な問題だと私は思います。人事院というのは、女子労働者の健康とか安全とかを守る立場、いわゆる使う人間の立場ではなくて労働者の立場に立ってこういう規則を制定すべきだというふうに思っているわけですが、今回の場合はそうではなくて、まさに働かせる側の立場に立ってこういう改悪を推し進めているとしか理解できないのですね。
 例えば看護婦さんの場合には、深夜勤の場合二人夜勤で一月には八日以内の勤務だ、こうなっていますね。ところが実際にこれは全然守られていません。二・八勤務というものを人事院が判定したということは、それ以上の労働をやらせればその看護婦さんの健康に回復しがたい大きな影響を与えるということから、ああいう判定が出されたと思うのです。ところが実際には全然行われていない。それで、私も去年質問しましたけれども、人事院もその是正措置について積極的な姿勢をとろうとしていませんね。そして今度は、深夜残業の制限を大幅に緩和していくというようなことをやろうとしているわけですね。
    〔石川委員長代理退席、委員長着席〕
 私、ここに看護婦さんの勤務表、一月と二月のを持ってきましたけれども、これはどこのかといいますと国立王子病院のものです。婦長さんが一人、看護婦さんが十二人、そして一人助手がおりますね。これで全体でローテーションを組んでやっている病棟なんですね。これを見てみますと、婦長さんは夜勤していませんよ。しかし、そのほかの人たちは少ない人で九日やっていますね。多い人で十一日です。ですから九日ないし十一日夜勤をしているのですよ。これは私は女子労働者にとって大変大きな負担だろうというふうに思うわけです。これは、例えば鉄鋼労働者の労働条件が非常に厳しいと言われていますけれども、この鉄鋼労働者の例えば四直三交代の人々をとってみましても、深夜勤務というのは一カ月で五日、多い人でせいぜい十日ですね、五日から十日におさまっている。ですから、看護婦さんの労働がいかに過酷なものであるかというのは、これを比べてみただけでもよくわかると私は思うわけなんです。
 それで、看護婦さんの問題について言えば、準夜勤して午前一時まで勤める。午前一時まで勤めて、今まではその深夜の残業というのは禁止されていましたね。一時以降にわたって残業を命じてはいけないわけです。ですから一時まで勤務したら帰れるわけでしょう。今度は一時以降でも残業することができるようにしましたね。人事院としては、こういうことは看護婦さんの健康にどういう影響を及ぼすというふうに判断をされているのか私は理解に苦しむので、ひとつ人事院のお考えをお聞きしたいと思うのです。
#243
○中島(忠)政府委員 私たちは、今先生がお話しになりましたように、看護婦につきましても深夜の時間外労働の道を開こうじゃないかという改正をしようということでございますけれども、これは、今回の改正措置によりましてその道を開いたことというのがその拡大につながるという考え方ではございませんで、既に労働基準法及びその法制で定められておりますように、看護婦さんにつきましても、いいことではございませんけれども、どうしても深夜の時間外というものが現実に起こっておる。その道をやはり制度としては開いておかなければならないだろうということでございます。労働基準法制におきましてもそういうふうにつくられておりますので、それに合わせていこうというふうな考え方でございます。
#244
○三浦(久)委員 現実に起こっているからそれに合わせようなんて、とんでもない話ですね。私に言わせれば、現実にそういうことが起こっておるのを解消していく、そのために人員をもっとふやしていくということを考えるべきじゃないかと思うのです。
 例えば、看護婦さんが四時半に出勤して準夜勤の場合午前一時まで勤めますね。この勤務形態を見ると、準夜勤の場合には次の日が日勤になる場合があるのですよ。そうしますと、日勤というのは次の日の午前八時半から出なければいけない。そうすると、午前一時まで勤めまして、そして例えば一時間、二時間残業したとします。家に帰らなければいけません。タクシーで帰ります。家に帰る、帰って寝る暇はないですよ。看護婦さんが子供を持っているでしょう。さあ、子供に飯を食わせて学校へ出さなければいけませんよ。そういうことをやって、また八時半に出勤してこなければならぬという勤務形態になっておるのですよ。ですから、今までは一時でもってやらせなかったのだ。しかし、人員が足りないためにやむを得ず残業しておったということがありますね。しかしそれは解消すべきなんであって、やっているから制度としてそういうふうに開放するんだなんということを言ったら、看護婦さんの健康とか命というものはどうなるのです。それはまた医療過誤にもつながっていく重大な問題なんですね。この点をどういうふうに皆さん考えておられるのか。そういうような勤務形態が出ても構わないと思っていらっしゃるのですか。それを制限するというのがあなたたちの役目じゃないのでしょうか。人事院、どうですか。
#245
○中島(忠)政府委員 制度の姿として、労働基準法制と同じようにしておこうということでございまして、先生が今お話しになりましたように、今までと同じような厳しい態度でこの制度を運用していただくように、関係省庁には要請していかなければならないというふうに考えております。
#246
○三浦(久)委員 そうすると、今までのように巌しい態度で関係省庁に要請していくというのは、具体的にはどういうことを言うのですか。人事院、お願いするだけですか。どういうことをされるのですか。私はこんなめちゃくちゃな話はないと思っておるのですよ。どういうふうに関係省庁に要請するのですか。
#247
○中島(忠)政府委員 深夜の時間外勤務というのが極めて重要なことであるというような認識を既に関係省庁でも十分持っていただいておりますけれども、今回の改正というものが、先ほど来御説明申し上げておりますように、制度の姿としては労働基準法制と同じような制度の姿にするわけでございますけれども、それによって深夜の時間外というものを今までと違ったような形で運用していただくということのないように要請しなければならないということでございます。
#248
○三浦(久)委員 もっと具体的に言ってくださいよ。もっと具体的に何か言えるのじゃないのですか。何をするの。ただあなたたちが要請するといったって、そんなものは何も効力ないですよ。ちょっと答弁してください。
#249
○中島(忠)政府委員 深夜の時間外勤務というのが行われておるというのは、私たちも病院の実態を調査して話を聞きますと、例えていいますと、深夜に救急患者が運び込まれてくる、特に深夜は民間の病院におきましては救急患者の受け入れというのが余り行われておりませんので、国立病院、公立病院へ運ばれてくるケースが多いようでございますけれども、そういう場合に、ちょうどそれが交代時に当たっておるような場合には、時間外勤務というのが行われておるようでございます。そういうような、非常に限られた場合といいますか緊急な場合に、そういう時間外というものを限るべきであるというような考え方を持っておりますが、具体的に病院の経営管理について責任を持っておられるそれぞれの省庁において、その病院の実態に応じて、この重要性を判断した上で運営していただかなければならないと考えております。
#250
○三浦(久)委員 そうしたら、何の歯どめもないじゃないですか。そうしたら、厚生省とか文部省とか看護婦さんを所管している省庁、それに自由に任せるということでしょう。あなた自身はそう考えておるけれども、文部省や厚生省がどう考えるかわからないみたいなそんなことで、何の歯どめになるのですか。
 大体、あなたの言っていることは矛盾がありますよ。国立病院には、民間がいわゆる救急患者をなかなかとらないから、国立病院にどんどん救急患者が来るというんでしょう。しょっちゅう来るんだったら、緊急事態でも何でもないのですよ。年じゅう来るんだから。年じゅう来る、そういうものに対処するような人員をちゃんと配置するというのが、あなたたちの仕事じゃなきゃならないのじゃないですか。ですから、こんな年じゅう来る救急患者、これが来るたびに深夜残業をやらされるなんてとんでもない話ですよ。
 それからまた、この緊急事態というものの中には、亡くなったとか容体の急変というようなこともあるでしょう。しかし、がん病棟だとか老人が多いとか重篤の患者が多いというような病棟というのはあるわけです。そういうところだったら、じゃ年がら年じゅう深夜の残業をしてなきゃならないということ。これでどうして女性保護とか母性保護というものが実現できるのですか。こんなでたらめな人事院規則の改正なんというのはやめるべきですよ。もっと看護婦さんたちを大事にしてやるべきじゃないですか。本当に身を粉にして働いていらっしゃるのですよ。この点人事院総裁、もうちょっと何か、深夜残業をやらせたいというならそういう歯どめをつくるべきだと私は思うのですよ。この点どういう御見解でしょうか。
#251
○中島(忠)政府委員 人事院といたしましては、私が先ほど申し上げましたように、関係省庁に対しまして今回の改正の趣旨というものをよく伝えまして、それぞれの省庁で責任を持って運用していただくように要請していくということを考えておりますが、先生がお話しになりましたような点はよく踏まえまして、関係省庁にぴしっと要請していくことを考えております。
#252
○三浦(久)委員 生理休暇を病休にしましたね。そうすると休むとこれは労働者に不利益になりますけれども、あなたたちは国公労連との交渉で、生理休暇をとったからといって不利益な扱いはしないということを人事院の事務総長通達で徹底をさせる、こういうふうに答えているようですね。これはそのとおりですか。
#253
○中島(忠)政府委員 その点につきましては、現在特別休暇として扱っておるわけでございますけれども、それを病気休暇にすることによりまして、定期昇給とか特別昇給、勤勉手当の関係におきまして急に変えるというのはやはり激変になるだろうというので、私たちの方では従来と同じような取り扱いをすることを考えております。
#254
○三浦(久)委員 それで、そのことを事務総長通達で徹底させるということですか。
#255
○中島(忠)政府委員 この規則を制定いたしましたら通達を出しますが、その通達の中で書いていきたいと考えております。
#256
○三浦(久)委員 そうであれば、看護婦さんの深夜残業の問題についても人事院が責任を持ったらどうですか。あなたたち、関係省庁に要請すると言っている。そういう要請というのは、恐らく文部省とか厚生省に通達を出してもらうようにしようということだろうと思うのです。それじゃ人任せじゃないですか。一〇―七はあなたたちがつくって改悪したんだから、それなら、緊急やむを得ない事態に限る、そういうふうに人事院が、あなたたち自身が通達を出すべきじゃないんですか。あなたたちが要請したって、文部省も厚生省もそういう通達を出すかどうかわからないんだから。出さなかった場合に、あなたたちとしては何らそれに対する対抗措置をとることができない。だから、あなたたちが少なくとも、この一〇―七のいわゆる看護婦さんの深夜残業の問題についてそういう解釈をとっているのなら、緊急やむを得ない事態に限ると考えていらっしゃるのなら、それをあなたたち自身の通達でぴしっと明確にすべきじゃないですか。それは法を適正に運用する者としては当然なことだと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
#257
○中島(忠)政府委員 深夜の時間外勤務ができるというのは、看護婦のほかにも、航空管制官とか刑務官とかいろいろございます。いろいろございますけれども、そういう方たちにっきましても、深夜の時間外勤務というのはやはり緊急の場合、臨時の場合に限られるべきでございます。
 その緊急の場合、臨時の場合というのがいかなる場合かというのは、それぞれの施設の実態に応じてそれを判断していかなければなりませんので、私たちの方では、看護婦の場合につきましても、刑務官の場合につきましても、あるいはまたその他少年院の場合につきましても、どういう場合にそれを行うべきかについては、それぞれの施設の管理経営の責任者が判断していただかなければならない。そして、我々の方では一般的な考え方といいますか、それを厳しい考え方で示して、責任を持っていただくようにしていかなければならないというふうに私たちは考えております。
#258
○三浦(久)委員 だから、それは人任せの考えですよ。だって、あなたたちがこの人事院規則の一○―七を改正しているわけだから。そうでしょう。改正するに当たって、それが適用されるおのおのの職場の実態を何も検討しないでこれを決めたのですか。職場の実態の把握は現場長ですとか施設の管理責任者ですとか、そんなことを言うのは無責任でしょう。こういうことをやったら女子労働者にどういう影響を及ぼすのかというのは、具体的な職場の実態というものはあなたたちが把握していなければいかぬでしょう。それでなければこんなものつくれないじゃないですか。私はそういう答弁はちょっと腕に落ちないですね。私は、もうあなたたちがそういう職場の実態は十分に把握をしていてこういうものを出してきているんだろうと思っておったのです。ところがそうじゃないとおっしゃる。それじゃもう、全然初めに一〇―七の改悪ありきじゃないですか。そして、後は各省庁が自由にやってくれ。こんなことじゃ女性保護も母性保護もできませんですよ。これは日本の民族の将来にとっても重大な問題なんですよ。
 もう時間がありませんけれども、また後の機会に追及することとして、私はこういう人事院規則の改悪はやめるべきだということを強く要求して、次の質問に移りたいと思います。
 いわゆる戦後処理の問題でございます。きょうは官房長官はお見えになっていらっしゃいませんので、具体的な問題はまた次の機会にお伺いすることといたしまして、きょうは戦後処理問題についての現状認識について、若干御質問をいたしたいというふうに思っております。
 一昨年の十二月に、戦後処理問題懇談会が報告書を出しました。ここで、特に重要な事項として、恩給欠格者の問題とか戦後強制抑留者問題とか在外財産問題等に限定して、結論を出しておられるわけであります。報告書ではこの三つの問題が特に重要だというふうにしているんですが、何でこの三つだけが特に重要なのか、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、総理府にお尋ねをいたしたいと思います。
#259
○杉浦説明員 お答え申し上げます。
 五十七年の夏にこの懇談会が発足いたしましたときに、大変多くの方からその問題についていろいろな御議論があったかと聞いております。その中で、先ほど先生がおっしゃいました三つの問題の方々につきましては、非常に強い希望あるいは大変大きな問題点という格好での御指摘がございました。したがって、その問題につきまして焦点を絞って、各政策あるいは資料あるいは関係者の例証言等をお聞きしたということを伺っております。

#260
○三浦(久)委員 そうすると、強い希望があったというものに限定したということなんですけれども、しかし、そうすると戦後処理という問題を非常に狭く解釈していると思うのですね。
 例えば、この三つの問題のほかに従軍看護婦の処理の問題、これはまだ片づいていませんですよ。それからまだ被爆者援護法制定の問題も片づいておりませんよ。それから一般の戦災者の問題、これだって強い要求がある問題ですよ。こういう問題はまだ解決をされていないわけですね。
 この戦後処理懇ですが、政府は今まで、一般戦災者問題にも留意しながら戦後処理懇はいろいろ検討してきた、こう言っていらっしゃるわけですね。そうすると、一般戦災者問題についてはどういうように留意して検討してきたのか、その点をちょっとお尋ねしたいと思うのです。
#261
○杉浦説明員 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、この三つの問題についてはいろいろな議論を個別にやったわけでございますが、先生のおっしゃいました一般戦災者の問題についても、大変大きな問題であるという認識は委員の先生方が十分お持ちであったということでございます。
#262
○三浦(久)委員 問題意識は持っておったけれども、何にもしていないということでしょう。そして、この報告書を見ますと、むしろ何か逆な使われ方をしている。例えば、恩欠者に対していろいろ処置するということは、一般の戦災者に対しては何もしないのだから不公平だとか、そういうことで結局この三つの問題についても解決はしないのだ、もうこれ以上のことは何にもしないんだということを正当化する口実に、この一般戦災者問題というのは使われているという気がするのです。
 これは、問題の立て方が全く逆だと私は思います。一般戦災者の救済というのは、国際的にも西ドイツ、イギリス、フランス、こういうところでも既に行われています。日本の地方公共団体の一部でも行われていますね、見舞金という名目で。岡崎市は昭和五十四年からやっていましょう。岐阜市は昭和五十七年度から、年間にわずかなお金ですが、戦傷者について見舞金を出しているのですね。ですから、懇談会のこの結論というのは、従来ずっと政府が言ってきたことをただ追認しているだけというようなことで、私は余り権威のないものだと思っているわけであります。ただ、この懇談会の報告で違うのは、今あなたが室長になってやっていらっしゃる特別基金を創設しろということなんですね。
 それで、私は改めてお聞きしたいのですが、この恩欠者問題とか抑留者問題とか在外財産問題、これについての政府の基本的な考え方を改めてお尋ねしたいと思うのです。
#263
○杉浦説明員 お答え申し上げます。
 この問題につきましての私どもの基本的な考え方は、今までにも申し上げておりますが、先ほどの戦後処理問題懇談会報告が提唱いたしております、いわゆる個別補償ではない、その基金でもって関係者の皆様方の御納得を得るような事業をするという点でございます。
#264
○三浦(久)委員 そうすると、個別補償はもう考えていないということでございますね。それでよろしいのですね。どうでしょう。
#265
○杉浦説明員 お答えいたします。
 この報告書にも書いてございますが、今までやりました各措置、これ以上に措置をする必要がないという御結論をまずいただいております。その上で基金という議論に入っておりますもので、私どもはその趣旨をそのまま生かしたいと思っております。
#266
○三浦(久)委員 今あなたが室長をされている特別基金調査室ではアンケート調査をやっておられますね。これは三万人を対象にしてやっておられるのですが、ここにありますが、生活状況について十一問、軍歴について五問、基金について六問、計二十二問質問していますが、このアンケート調査の目的は何でしょうか。また、個人補償の要求との関係、これをお尋ねしたいと思います。
#267
○杉浦説明員 お答え申し上げます。
 私どもが、ただいま調査票を郵送いたしまして追っております調査の主要目的は、先ほど申し上げました基金を設立するために関係いたしております関係者の方々の実情、または基金の事業を行う場合の中身につきましての希望、意向、こういったものを調査するということでございます。
#268
○三浦(久)委員 次に、恩給欠格者の問題についてお尋ねいたしますけれども、旧軍人の普通恩給、下士官以下の有資格在職年十二年というふうに決められておりますが、これの根拠は何でしょうか。
#269
○佐々木政府委員 昭和八年に改正されました恩給法に基づく兵・下士官の必要在職年であります。
#270
○三浦(久)委員 それだけですね。要するにそのときに決まったからということでしょう。そうすると、軍人が十二年に対して文官が十七年というふうに差がありますけれども、それはどうしてですか。
#271
○佐々木政府委員 恩給の必要在職年の年限の定め方につきましては、御承知のとおり種々沿革があるわけであります。例えば、恩給の一番最初は海軍で、明治八年に定められた海軍退隠令、それから明治九年に陸軍恩給令、文官が明治十七年、それから大正十二年に恩給法のそのあたりの全部の整備が行われております。その際に、文官につきましては十五年、それから兵・下士官につきましては十一年、准士官以上につきましては十一年、こう定まったわけであります。しかるところ、昭和八年に大変な財政難を背景といたしまして恩給法の改正が行われた。そこで文官につきましては二年延ばしまして十七年、それから軍人さんにつきましては、准士官以上につきましては十三年、兵・下士官につきましては、大体二年ずつ上げているわけでありますけれども、気の毒だというふうなことがありまして一年上げて十二年となったということでございます。当初の段階では、明治八年の段階でありますけれども、陸軍、海軍ともに、それぞれ諸外国の制度を一応考慮した、こういうふうなことを承っております。
 今なぜ文官が十七年で、大正十二年にはこれは十五年だったわけですけれども、それから兵・下士官が十一年、後で十二年になったわけでありますけれども、であるのかということにつきましては、当時の諸般の事情ないし、その説明を確かめましたところでは、経済的能力の減耗の補償というのが恩給法の基本的な考え方でありますけれども、兵・下士官の勤務あるいは文官の勤務の経済的能力の損耗度の違い、そのあたりが十七年あるいは十二年に対応するものであろう、このように言われておるわけであります。
#272
○三浦(久)委員 もう一つ聞きますが、加算年がありますね。この加算年の改正で一番最近の例はどういうもので、どういう内容でしょうか。
#273
○佐々木政府委員 御承知のように、加算年には戦務加算としての地域加算とそれから職務加算とがあるわけでございます。このあたりは戦前、戦中を通じてだんだん整備されてまいったわけでありますけれども、戦後新しく加算年を設けたのは実は抑留加算なんです。戦地において抑留された、シベリアそれから南方、そのあたりで抑留された者につきましての加算を認めたというのが、昭和四十年であります。なお、戦後しばらくこの加算年はそれぞれ何といいますか、二十八年に軍人恩給が復活しましたときに制限をされておったわけでありますけれども、そうしたような戦地加算が復活しましたのは昭和三十六年でありまして、それで、いわば南西諸島その他に対しまして、戦時中に手続だけ行われまして制定されておりませんでした加算年が設けられましたのが、昭和三十九年であります。その後、今申しました抑留加算、四十年というのがあるというところが新しい加算であります。
#274
○三浦(久)委員 今のお話を承っておりますと、在職年の問題、これも絶対的なものじゃないということですよね。財政事情によって伸びたり縮んだりしている、こういうことですから。また、加算の問題でもそうでしょう。加算年が違ってくると今までもらえなかった人がもらえるようになるということですから、これはそういう意味では在職年の変更と等しいようなものなんですね。だけれども政府は、この在職年というのは年金受給の基本的な要件だ、ですからこれを変えることは制度の根幹に触れるんだ、だからできないんだ、こう言っておるわけですけれども、それは今のあなたの答弁自体から見ても、何ら根拠がない、いつだって状況によっては変えているということですね。
 例えばシベリア抑留の加算年の改正の問題にしても、それじゃそれで混乱が起きたかというと起きてはいませんね。ちゃんと秩序正しくやられているわけですから。ですからやはり今強い要求があるわけですね。十二年で切っちゃうのはどうなんだ、さっきも質問がありましたけれども、十一年何カ月で受給できない、こんな不合理な話があるかというので、今運動団体が一生懸命運動していますね。ですから、ここを絶対的なものだというふうに受けとめないで、私はもっと柔軟に対処してほしい。この問題についてはまだ次の機会にやらせていただきたいと思っております。
 それでお尋ねいたしたいのは、三月一日付で公益法人、これは社団法人ですが、元軍人軍属短期在職者協力協会というものができましたね。これは総務庁か総理府の認可だと思いますが、この協会の目的は何でしょうか。
#275
○杉浦説明員 お答え申し上げます。
 この社団法人の目的といたしましては、戦後処理問題に関する政府施策に協力するとともに、戦争体験の後世への伝達等を行うことにより、国民の福祉の向上に寄与し、永遠の平和を希求する、こういうのが目的でございます。
#276
○三浦(久)委員 そうしますと、それは個人補償の実現を目的とした社団法人ではないということですか。
#277
○杉浦説明員 お答え申し上げます。
 この法人の目的がただいま申し上げました内容でございまして、それを具体的にいたします事業といたしまして幾つか特掲してございますが、その中にも個人補償をこの法人で行うというようなものは一つもございません。この法人が事業を行う、その事業が国益あるいは公益として十分認められるということから、総理府と厚生省で社団法人としての認可をしたわけでございます。
#278
○三浦(久)委員 そういうことだから認可になったんだろうと思うのですけれども、しかし、恩欠者の要求というのはあくまでも個人補償なんですね。ですから、政府の今とっている態度というのはそれと全く逆行する問題でありますが、その問題については私はまた次の機会に見解を述べさせていただくことにして、きょうはこれで質問を終わらせていただきまして、残余の時間を柴田議員の関連質問にさせていただきたいというふうに思います。
#279
○志賀委員長 関連して、柴田睦夫君。
#280
○柴田(睦)委員 関連させていただきまして、時間が余りありませんので、中曽根内閣の審議会政治、ブレーン政治の問題についてお尋ねしたいと思います。
 中曽根内閣の政治の重要な特徴の一つは、行革審や国鉄再建監理委員会、臨教審、こういったいわゆる臨調型審議会をたくさん用いるという点にあると思います。率直に言わせていただくならば、これらの臨調型審議会を国会の上に立つ事実上の国権の最高機関扱いにして、ここに財界代表や側近、ブレーンを大量に送り込んで、国の進路や各分野の政策の基本などを決めるとか、答申、意見が出される前からこれを尊重する、こういうことを言われますし、答申、意見が出ると直ちに最大限尊重し、実施することを閣議決定して、すべての省庁を拘束するという手法をとっておられると思います。
 この問題自体は重大問題ですが、審議会の運営にもやはり問題があると思います。例えば行革審は、この七月の二十六日に、今後における臨時行政改革推進審議会の運営方針というものを決めました。この中には、「臨時行政調査会答申に基づく行政改革を推進するため、行政改革に関連する各界各方面の団体との連携を強化するとともに、「一日行革審」を開催する等国民に対し行政改革のPRを行い、中央・地方を通ずる行政改革に関する国民的気運の高揚に資する。」こういうことを述べております。述べているだけではなくて、実際に、これをもう実践に踏み出しているわけです。
 この一月二十三日に、虎ノ門ホールで行革国民大会が行われました。主催者は行革国民会議、行革推進五人委員会、国民行革会議、まだありますが、これらに加えて総務庁や行革審、国鉄再建監理委員会も加わって、共催しております。その中では、瀬島竜三行革審小委員長あるいは加藤寛国鉄再建監理委員会の委員長代理が報告をいたしましたし、中曽根総理や土光行革審会長あるいは大槻文平行革審会長代理も発言をしているわけです。
 これらは、行革審としては行革審設置法に照らしてみると、特に行革審の目的及び設置、所掌事務、こうしたことから見ますと逸脱をした行為をしている。国鉄再建監理委員会の場合も、設置法の設置と所掌事務、こうしたものから見ました場合に、同様に逸脱した行為をやっているというふうに見なければならないと思いますが、所見をお伺いします。
#281
○江崎国務大臣 これはもう既に法律で決めたものでありまして、御承知のように、この臨時行政改革推進審議会設置法の第二条で、「審議会は、臨時行政調査会の行った行政改革に関する答申を受けて講ぜられる行政制度及び行政運営の改善に関する施策に係る重要事項について調査審議し、その結果に基づいて内閣総理大臣に意見を述べるほか、内閣総理大臣の諮問に応じて答申する。」これは非常な権威が認められておるわけですね。そして、それに対して、一月二十三日に行革国民大会というものを開いたわけです。そして、いよいよ行革の正念場といいますか国鉄問題と取り組もうというわけでありまして、民間の行革関係団体、地方六団体、それから総務庁、行革審、国鉄再建監理委員会、これが参加して行われたことは今御指摘のとおりであります。
 そこで、行革審としては従来から、答申や意見の取りまとめに当たって、その参考に資するため国民各界の意見を聴取する、そしてまた、このために審議の状況について国民に説明を行ってきた、こういう経緯があります。今回も同じ趣旨でそれをやったわけでありまして、しかも、この会合には内閣総理大臣も私も出ましたが、自由民主党の代表、それから日本社会党の代表、公明党の代表、民社党の代表、それぞれ書記長であるとか政審会長であるとかという方が来賓としてお出になって、激励のあいさつをなさっておられます。共産党だけがどういうものかお出ましにならなかったわけですが、どうぞこの次から出てくださった方がいいと思うのですね。
#282
○柴田(睦)委員 共産党は法律を守ります。
 私が今言いました臨時行政改革推進審議会設置法、この中に、その所掌事務の中にそうした関係団体と共催したPRを行う、そういうことが書かれておりますか。
#283
○山本(貞)政府委員 ただいま大臣から御答弁がございましたとおりでございまして、一月二十三日の行革国民大会は、正念場を迎えております行政改革につきまして幅広い意見を交換する、こういう趣旨目的で、民間の行革関係団体あるいは地方六団体、総務庁、行革審、再建監理委員会等が参加して行われてございまして、先ほど大臣から御答弁ございましたように、従来から、行革審といたしまして答申とか意見を取りまとめます場合は、あくまで各界の御意見等を聴取いたしましてそれを参考とする、あるいは答申や意見につきましてこれをそのために御説明する、こういったことを当然意見や答申をまとめるに当たっては審議会としてはやるわけでございます。同じような趣旨で今回も参加しておるわけでございまして、設置法上問題があるとは考えておらない次第でございます。
#284
○柴田(睦)委員 あくまでも強弁されますけれども、この場合は、要するに行革を推進するための機運づくりが目的であったということもはっきりしていると思うわけであります。
 次に、中曽根内閣の審議会政治のもう一つの重要な特徴は、私的諮問機関を多用するということにあります。私的諮問機関をあたかも法的根拠を持った公的な審議機関のように扱って、これをてこに重要な政策転換を図ったり、公的審議機関の審議の方向づけをするというやり方をいろいろ使ってこられました。靖国懇の報告をてこに、閣僚の靖国神社公式参拝を強行するということがありましたし、文化と教育懇の報告で臨教審の審議の方向づけをされました。また、平和問題研の報告でGNP一%枠撤廃を図ろう、そういうこともありました。そういう例があるわけです。
 これらの私的諮問機関の運営の仕方は、これはトップダウンというやり方ですから、民主政治に逆行するというだけでなくて、現行の国家行政組織法上にも重要な問題をはらんでおります。
 私的審議機関のあり方については、これまで国会でもたびたび取り上げられてきたいわば古くて新しい問題であるわけです。政府も国家行政組織法の違反の疑いを受けないようにすると答弁しておりますし、昭和三十六年には、「懇談会等行政運営上の会合の開催について」という行管庁局長通達などを発してきました。この昭和三十六年の行管庁局長通達はどういう内容であったか、要旨を言っていただきたいと思います。
#285
○古橋政府委員 昭和三十六年の四月十二日に行政管理局長名によります通達を出しておりますけれども、これは懇談会等のいわゆる行政運営上の会合というものが、国家行政組織法上の八条の審議会等ではないかというふうに疑いを受けることがございましたので、各省庁にこの点について留意を促すという点から発したものでございます。
 その内容は、大体大きく三つぐらいに分かれると思いますけれども、一つは、審議会等は法令上の根拠を持つ「合議制の行政機関として委員個々の意見とは別個独立な機関意思を決定する」性格のものであるのに対して、「いわゆる懇談会等は個々の個人の意見を聞くのみで行政機関としての意思の決定」を行うものではないということを明らかにしたことでございます。二番目に、「いわゆる懇談会等を府令、省令、訓令等で制度的に規定することは」適当でないということ。三番目に、いわゆる懇談会には審議会等の名称を付してはいけないということ、その他これを設置するというような表現を避けまして、開催をするというような形にしなければいけないということ、あるいは会合の参集者には委員であるとか参与等の呼称は避けるべきである。こういうような点につきまして各省庁に留意を求めたものでございます。
#286
○柴田(睦)委員 問題は、その通達の内容が今日守られていないということであります。現に、総理及び内閣官房長官のもとに置かれました各種の私的諮問機関について見ますと、そのすべてに報告書を作成させ、これを基礎にして重要な政策転換などを進めるという点から、通達の趣旨は守られていないわけです。
 この点につきまして、総理は、一昨年の四月十日の参議院予算委員会で、結論的には「皆さんの御意見を拝聴するという姿勢に完全に改革をいたした次第でございます。今後ともこのような趣旨を各省庁に徹底さしたいと思っております。」こう答弁しております。しかし、現実を見てみますと、公的な審議会でも、答申・意見に反対意見や特殊意見を付記する例は幾つもあるわけです。去る二月六日の老人保健審議会答申も反対意見を付記しております。反対意見や特殊意見を付記したということで法律違反を免れるということにはならないわけです。
 また、報告書は決議や合議でまとめたものではない、こう言われますが、昨年八月十五日の閣僚の靖国神社への公式参拝の際には、靖国懇の報告を参考にして判断したと官房長官談話が発表されておりますし、靖国懇報告をまるで公的審議機関の意思決定であるかのように扱っておられるわけです。
 後藤田長官が総務長官時代に、参議院の予算委員会で審議会等にありましては、審議会等を構成する個々の委員の意思とは別の合議機関そのものの意思が答申等としまして公の権威を持って表明されますが、懇談会等行政運営上の会合にありましては、合議機関としましての意思が公の権威を持って表明されるものではなく、単なる行政運営上の意見交換、懇談会等の場にとどめるべきものであります。したがいまして、懇談会等の運用に当たりましては、各省庁はこの点を今後とも十分に留意する必要があり、特に聴取しました意見を合議機関の意思決定と紛らわしい形で取りまとめることなどのないよう留意すべきものでございます。と、ちゃんと答弁しておられるわけです。これは公的な審議機関の意思決定と紛らわしい報告のまとめ方はしない、私的諮問機関の報告を公的な審議機関の答申であるかのように扱うのは妥当ではない、こういう意味だと思います。
 そうしますと、靖国懇報告の扱いというのは、この後藤田長官の答弁の趣旨に沿っていないと思うのですけれども、どのようにお考えですか。
#287
○古橋政府委員 靖国懇の問題につきましては、さきに官房長官もこの委員会でよく御説明があったと思いますけれども、あくまでも靖国懇の意見を参考にして、そして、その意思決定はあくまでも政府の責任においてやったということでございます。その場合において、靖国懇の報告でございますけれども、いろいろの意見が書いてございまして、靖国懇全体としての意思決定をしたというものではないというふうに私どもは考えておりまして、特に私どもの考えております方針に反するものではない、こういうふうに考えております。
#288
○江崎国務大臣 政治的な判断の問題もありますから、私からも念のためにお答えをしておきますが、靖国懇の場合は意見を聴取した、こういうことであります。決めたのは閣議、閣僚が決める、決定をするという、責任は所在を明確にしておるわけですから、それによって閣僚の意思決定が行われるというものではない。国会の物の考え方は、こういう委員会等を通じて皆さん方からの意見は十分尊重しておるわけでございます。また、国民の各界を代表する識者というか学識経験者と称する人たちのいろいろな意見を聞く。あの場合でも意見は分かれておりました。分かれておっていいと思うのです。それは参考に聞いたわけですから。決めたのは内閣として決めたということでございます。
#289
○柴田(睦)委員 あの靖国懇が意見を出すその前までは、政府見解は、内閣委員会でも法務委員会でもいろいろと討論がありましたけれども、違憲の疑いを否定できないという答弁が続いていたわけであります。それを靖国懇が意見を出した、そうしたら、政府が今まで言った政府見解がそこで変わってしまった。まさに公的審議会と同じような扱いをしている。私的諮問機関が公的審議会と同じように扱われるということが問題であるわけですから、いささかもそういうことがないように、これからもちゃんと改革をしていかなければならないということを私は強く主張したいと思いますが、大臣の所見をお伺いします。
#290
○江崎国務大臣 靖国神社は国のために亡くなった戦没者の追悼の場である、これがお祭りされたところである、これは国民的な素朴な感覚であります。その靖国神社に追悼の誠をささげる、これは国民感情に合致したことであり、国会でも多数の賛成を得ておるところであるということで、これは政府が判断をしたということで、国民感情にかなった方法である、しかもその参拝方式は神式にのっとらないであくまで追悼の誠をささげるという意味で追悼の拝礼をした、このあたりは微妙なところですから、どうぞよくまたお考え、判断をしていただきたいと思います。
#291
○柴田(睦)委員 時間がありませんので、ほかに呼んでいた役所もありますが、質問しないで終わったことをおわびしながら、終わります。
#292
○志賀委員長 次回は、来る十八日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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