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1985/03/25 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 内閣委員会 第5号
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1985/03/25 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 内閣委員会 第5号

#1
第104回国会 内閣委員会 第5号
昭和六十一年三月二十五日(火曜日)
   午後三時十四分開議
出席委員
  委員長 志賀  節君
   理事 石川 要三君 理事 戸塚 進也君
   理事 深谷 隆司君 理事 宮下 創平君
   理事 小川 仁一君 理事 元信  堯君
   理事 市川 雄一君 理事 和田 一仁君
      池田 行彦君    石原健太郎君
      内海 英男君    菊池福治郎君
      塩川正十郎君    田澤 吉郎君
      月原 茂皓君    中島源太郎君
      中村喜四郎君    二階 俊博君
      堀内 光雄君    井上 一成君
      上原 康助君    新村 勝雄君
      辻  一彦君    矢山 有作君
      鈴切 康雄君    日笠 勝之君
      滝沢 幸助君    柴田 睦夫君
      三浦  久君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 江崎 真澄君
 出席政府委員
        内閣審議官   中島 眞二君
        人事院総裁   内海  倫君
        人事院事務総局
        任用局長    仙田 明雄君
        人事院事務総局
        給与局長    鹿兒島重治君
        内閣総理大臣官
        房審議官    田中 宏樹君
        内閣総理大臣官
        房管理室長   橋本 哲曙君
        総務庁長官官房
        審議官     本多 秀司君
        総務庁人事局長 手塚 康夫君
        総務庁恩給局長 佐々木晴夫君
 委員外の出席者
        大蔵省主計局共 坂本 導聰君
        済課長
        文部省教育助成
        局地方課長   井上 孝美君
        厚生省社会局生
        活課長     矢野 朝水君
        農林水産省構造
        改善局構造改善
        事業課長    太田 道士君
        水産庁振興部振
        興課長     菊地 徳弥君
        自治大臣官房参
        事官      奥田 義雄君
        日本国有鉄道常
        務理事     澄田 信義君
        内閣委員会調査
        室長      石川 健一君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十五日
 辞任         補欠選任
  嶋崎  譲君     辻  一彦君
同日
 辞任         補欠選任
  辻  一彦君     嶋崎  譲君
    ―――――――――――――
三月二十五日
 安全保障会議設置法案(内閣提出第九号)
同月二十日
 シベリア抑留者の恩給加算改定に関する請願
 (田名部匡省君紹介)(第一五六二号)
 同(阿部昭吾君紹介)(第一六六七号)
 同外一件(川俣健二郎君紹介)(第一六六八
 号)
 国家機密法制定反対に関する請願(上野建一君
 紹介)(第一五六三号)
 同(松本善明君紹介)(第一五六四号)
 同(上野建一君紹介)(第一六六九号)
 スパイ防止法制定に関する請願(倉成正君紹
 介)(第一五六五号)
 同(國場幸昌君紹介)(第一五六六号)
 同(谷洋一君紹介)(第一五六七号)
 同(福島譲二君紹介)(第一五六八号)
 同(愛野興一郎君紹介)(第一六七〇号)
 同(倉成正君紹介)(第一六七一号)
 同(國場幸昌君紹介)(第一六七二号)
 同(福島譲二君紹介)(第一六七三号)
 同(山下徳夫君紹介)(第一六七四号)
 同(若林正俊君紹介)(第一六七五号)
 旧軍人の恩給欠格者に対する特別法制定に関す
 る請願(石田幸四郎君紹介)(第一六七六号)
 同(草野威君紹介)(第一六七七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
 一八号)
     ――――◇―――――
#2
○志賀委員長 これより会議を開きます。
 内閣提山、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川仁一君。
#3
○小川(仁)委員 恩給法問題について質問をいたします。
 今回、五・三%の増額になりました。恩給受給の皆さんは高齢化をしておりますし、またそれだけに対象になった方々にとっては大変喜ばしいことであり、私たちもこれに賛成するものであります。
 ここで大臣にお伺いいたしますが、恩給法についていろいろうわさがございますが、これは今後とも、共済年金などに準じて改悪するなどというふうな動きはございませんでしょうな。
#4
○江崎国務大臣 これは国家がその労苦に報いるという補償的な意味を持っておりますので、そういうことはございません。
#5
○小川(仁)委員 いろいろうわさが出ておりまして、共済年金が改悪されましたものですから、恩給をもらっている人たちも非常に心配をしているようでございますので、今の大臣の御答弁で安心できると思います。
 そこで、今度は、この改正の時期なんですが、これは毎年、一年おくれなんです。私は、やりようによってその年にできるのじゃないか。例えば人事院勧告が八月に出されます。政府がこれによって実施時期をいろいろお考えになると思いますが、総務庁として、直ちにそれに基づく改正案をつくって、そして人事院勧告直後なり、あるいは極めて近い時期に改正案をお出しできないものでしょうか。と申しますのは、やはり賃金に連動するといっても、一年おくれの連動では実質効果はかなり下がってまいります。したがって、同時期とはあえて申しませんが、同じような年、その年度のうちに実施するということについての御工夫をお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。
#6
○佐々木政府委員 今のいわゆる一年おくれという御批判につきましては、国会の附帯決議にもございますし、私どももそういう御批判は承知をいたしておるわけであります。
 ただ、この問題につきましては、いわば一つの理屈の問題があるわけでございます。と申しますのは、公務員給与の場合でありますと、御承知のとおり官民の較差を解消するということでもって人事院勧告が出されるということでございますけれども、恩給の場合には、年金の実質価値を維持するための指標を何に求めるか、その指標を例えば厚生年金、共済年金は物価に求め、それから私ども恩給の方では賃金の比率に求めておる、公務員給与の改善率というのはいわば比率である、このように考えておるわけであります。したがいまして、例えば六十年度の物価指数によって六十一年度から厚生年金を改定する、同じように六十年度の公務員給与の政府決定の改定率によりまして六十一年度の、今の年金の額を改定する、こうしたような一つの指標として私どもは公務員給与の改善率を用いているわけでございまして、その意味で、これはいわば年金の実質価値維持のための指標ということでありますから、私どもは一年おくれとは実は考えていないわけでございます。
#7
○小川(仁)委員 それも一理と思いますが、公務員給与というのはことしの四月の官民較差によってつくられますが、去年の四月からことしの四月までの間において何%官民の較差ができたかというのですから、公務員給与自体もある意味では、官民較差の関係から言えば一年おくれているわけですよ。それがまたもう一年おくれて比率で上がる、こういうことになりますと、今のお話を反駁して申し上げますと、実質は二年おくれになる。しかもその実施時期がことしは七月からでしょう。こう考えますと、今のお話の比率という面だけでいいますと理屈が通るかもしれませんが、実際恩給をもらって生活している人にとっては実は二年以上もおくれてしまう、こういう実感があるわけです。そこにまた一つの不満があるわけでございますから、私が申し上げた点、これは後で附帯決議でも出ると思いますけれども、ぜひ政府の方でもお考えおき願いたいと思います。
 それで、さらに共済年金が変更になりまして、本年度恩給と共済年金の比較をいたしますとオール恩給の人が五・三%上がります。それから恩給と共済年金がまじっている人、例えば数の中には、四十年勤続の中に恩給が三十九年で共済年金が一年という人もあるわけでございます。こういう人たちは通年方式に切りかわりますから今回は一銭も上がりません。通年方式の人はことしだけは上がります。ことしは通年方式の人が上がりますからちょっとバランスがとれた感じがしますが、一般方式で計算された人たち、しかも恩給年限をかなり持っておる人たちにとっては、非常に矛盾を感じておる状況があるわけであります。違った言い方をすれば、一年早くやめておけば上がっていたのに、なまじ役所の都合で一年延びたために、おれは共済年金が一年加わって今回恩給が増額にならない、こういった矛盾が出てきています。
 それからもう一つの矛盾は、六十二年度以降になりますと今度は年金は物価上昇率に変わります。したがって、恩給年限を幾ら持っておっても共済年金計算ですからこれはもう物価だけ、片や恩給全部の人は賃金比率で上がっていく、矛盾がますます拡大しているわけであります。特に、その矛盾の拡大する部分が一般方式で決定した方々にとってはもう耐えられないほどきつい矛盾が出てきておりまして、非常に大きな不満が出てきているわけであります。政府で使った公務員でございます。仕事をさせ、働かせ、一定の年になったからおやめなさいということで肩たたきをしてやめさせておいて、やめた後こんなに大きく違うということは、やはり使用しておられる政府としても矛盾を感じておられると思いますが、こういう課題について御配慮をいただける要素がございますか。
#8
○坂本説明員 お答えいたします。
 ただいま委員御指摘のように、昨年十二月に成立いたしました共済年金改正法におきまして、いわゆる一般方式の方々については通年方式に裁定がえする、そして通年方式がスライドしていって一般方式に追いつくまで一般方式の方々にはスライドを御遠慮いただく、これは昭和三十四年に共済年金ができましたとき以来の社会保険方式というものを採用した結果でございまして、共済枠内のバランスというものからそういう措置が必要でございます。
 今、委員御指摘の恩給との関係でございますけれども、私どもといたしましては、共済年金は恩給制度にはない通年方式、過半の方々がこの通年方式をとっているわけでございます、こういった恩給にはない通年方式があるということ、あるいは恩給期間も共済期間も一体として取り扱っていること、あるいは恩給制度から共済年金制度にかわります際に、社会保険方式たる共済年金制度にかわったのだからという理由で、退職手当を割り増ししてバランスを図ろうというような措置もとられております。そうした点を考慮いたしまして、今後高齢化社会を踏まえて年金制度を適正化していかなければいけないという中で、どうしてもいわゆる所得の高い方々の利用していただく一般方式の方々については、しばらくスライドを御遠慮いただきたいというふうに考えているわけでございます。
#9
○小川(仁)委員 恩給というのは、先ほど大臣もお話しになったように国家補償的性格を持つものでございます。そしてその裏側に、例えば公務員なるがゆえに、やめた後もあるいは在職中も、民間の方々と違った守秘義務とかあるいは兼業禁止といったような一つの制限が加えられているわけでございます。こういう制限が加えられているという公務員の特性というものに、やはり給与でも年金でもそこに着目してお考えにならなければならない要素があると思うのです。賃金問題は後で質問するとしても、公務員をやめましても依然として死ぬまでは守秘義務があるわけでございます。こういう点というものはやはり何らかの配慮をしてまいらなければ、だんだん公務員になる者がなくなってまいります。私は、公務員の肩を持つだけではなくて、いろんな条件が違うとすれば、当然それに対応する何かを考えなければやはり矛盾だと思いますので、大臣、この辺何かお考えがありましたらひとつお話しを願いたいと思います。
#10
○坂本説明員 ただいまの御指摘の点でございますが、私どもも、公務員制度は通常の民間の方々と異なりまして、守秘義務あるいは退職後の再就職先の制限等種々の義務がございます。したがって、一般民間の方々に適用される年金と全く同一の水準というものである必要はない、むしろ公務員制度の一環としての側面を上積みして考えるべきだという御指摘でございますが、まさしくそのとおりでございまして、共済年金制度の設計に当たりましてもいわゆる公務員としての職域部分を上積みして加算する、そういう制度設計を行ったところでございます。
#11
○小川(仁)委員 職域部分はそういう御説明になりますけれども、企業年金部分にも相当するわけなんでして、職域年金部分が、あれで何か公務員の特質を配慮して優遇したというふうな、あるいは考えたという結果には必ずしもなっていない、実際問題として。民間には企業年金がありますから。そう考えますと、一・五くらいで、さっき言ったような公務員のいろんな身分を縛ったり行動を縛ったり再就職先を縛ったりする補償にはなっていかないと思うのです。
 共済年金法が決まってしまいました後でこういうことを申し上げるのも、去年決まった今年に、こういう面もあると思いますけれども、しかし、この問題は長い時間をかけないで、ここ何年間かの間で再度御検討なさっていい課題じゃないかと率直に思います。そうでなければ将来、公務員で今四十歳前後の方々というのは非常に掛金は上がるし年金は安いし、とてもじゃないけれども、公務員をやっているよりは民間へ行って、週休二日制にもなるからアルバイトでもして幾らかでも収入をと、こういう格好にならざるを得ない。あるいは奥さんが内職、アルバイトをやらなければ生活もできない、こういう格好になる。公務員に対して無定限な勤務を要求する状況はないと私は思いますけれども、働いておられるのを見るというとやはりかなり厳しい状況があるだけに、この面はぜひ、検討の結果を問いません、今すぐではありませんが、検討の対象にしていただきたい。そういう考え方を申し上げているところでございますから、大蔵省の説明は考え方としてもうわかりました。大臣、何かこういうことについてのお考えがあったらひとつお聞かせ願いたいと思います。
#12
○江崎国務大臣 公務員に対する非常に深い理解の上に立ってのお話は、傾聴いたしました。ただ、昨年年金制度を改めたばかりでございまして、この共済制度について今私が、さてこうします、ああしますと言うことは、ちょっとまだ時期尚早である、率直に言ってそう思います。
 今の御意見は、非常に公務員に理解深いお話ということでよく承っておきます。
#13
○小川(仁)委員 では大臣、ぜひ今の点を頭に入れていただきたいし、それから、大蔵省の方も恩給局の方もぜひ今の点を頭にとめておいていただきたいと思います。また機会がありましたら、そういう問題を再三お願いする時期があると思います。
 さて、公務員関係は終わりまして、ちょっと軍人恩給関係に入ります。
 恩給欠格者、こういう人たちが今まで非常に苦労して運動してまいったところでございます。それを戦後処理問題懇談会というのが受けとめまして、政府がこの答申によって一つの結論を出しました。よく読ましていただきますと、非常に精神的な面だけ同情、同情というお話をしています。例えば恩人問題についてのこの懇談会の報告を読みますと、軍歴期間が異なるために受給できない、同情の念なきを得ないとか、あるいは戦争被害は筆舌に尽くしがたい、こういったようなことを言いながらも、「社会衡平の観点から」あるいは「権衡を失する」からということで、個人補償については一応終わりにしているような印象を受けるのです。心の痛み、これを償うというのはそう簡単なことではないわけであります。むしろ、心の痛みを感ずるならばこの人たちに対して国家として一定の補償をしてもいいのではないかという感じを強く持っております。これはかなり大きな意見として存在するようでございます。
 確かに一時恩給はありました。兵でいえば五十二年ですか、約一万五千円ばかりの一時恩給を出されました。しかし、一万五千円もらった人も、恩給期限の十二年に到達するのに一カ月足りない人などというのも大変いるわけでございます。こういう問題がございます。
 そして御承知のように、兵隊というのは自分がなりたくてなったものではありません。いや応なしに一銭五厘の赤紙で軍隊に引き出された人たちです。途中でやめたいと思ってもやめるわけにもいきません。さりとて、あと一カ月頑張れば年金がつくからといったって、除隊になれば終わり、敗戦になれば終わり。全然、自分の意思でそういう兵隊なり何かの役職を左右できない状態に置かれている中で、ある人は十二年になり、ある人は十一年十一カ月になり、ある人は八年、こういう状態に置かれているわけであります。一つもその人たちの意思が働かない状況の中で考えられておりますだけに、こういう人たちに対して懇談会のこういう報告で終わりにする。これはやはりどうしても、私らのように戦争時代をくぐってきた者にとっては同情を禁じ得ないわけでございます。
 そこで、こういう課題について政府はどのように今お考えになっているか、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
#14
○田中(宏樹)政府委員 先生、先刻御承知のとおりでございますが、これまでも非常な長い経過をたどりまして、この問題は何度か俎上に上げられまして、それで五十六年のときにまた、そういう関係者の方々の強い要望というのもございまして、政府としてはこれ以上、戦後問題というのは一応終結したものという態度でまいったわけでございますが、そういう関係者の方々の強い要望も踏まえまして、それでは政府自身もさることながらひとつ民間の有識者の御判断を仰ごう、御意見を仰ごうじゃないか、こういうことで二年半かけまして、今先生がごらんになっている報告書という形でまとまったものでございますから、私どもとしましては、今の段階で、これがそれなりの重さと経緯をたどってきた結論だというふうに受けとめざるを得ませんので、できましたらそれぞれ御理解をいただきまして、特別基金の中身でいろいろなことの御意向が活用されるといいましょうか生かされるような方向で検討してまいりたい、こう思っております。
#15
○小川(仁)委員 これは懇談会のメンバーを見ましたけれども、総理お得意の機関でございまして、みんな初めに結論ありきみたいな方々を集めての審議会でありますから、ほかの審議会も含めて本当に民意を代表しているかどうかについては、私は疑問を持ちます。というのは、これで納得している恩欠者は一人もいないのです。五十万もいる人が一人も納得しないような結論をお出しになって、政府としてはこれで終わりでございますと、これではこの問題はおさまらないわけです。
 戦後ちょうど四十年でございます。確かにそこを区切りにして終戦処理、一応戦後処理終わり、こういうお考えかもしれませんが、しかし違った課題、例えばシベリア抑留者の方は訴訟しております。それに加えて、私たちの仄聞するところによると、議員立法でこれを解決しようかというようなお話もあり、某有力議員は、そういう恩欠者の大集会で、ずっと南アジアの方でありますが、中曽根内閣のうちに議員立法で解決するなどとお話しになったというようなうわさも聞こえてくるわけでございます。ということは逆に、非常にすぐれた政治的な課題として、我々政治に携わっている者が取り組まなければならない課題だと思います。それだけに、総理府審議官としてはそれ以上の答弁はできないと思いますが、同じ政治をやっておられる大臣、これは所管外かもしれませんけれども、こういうものに対する一つのお考えがございましたら承りたいと思います。
#16
○江崎国務大臣 御意見は、全く私どもも同時代の者として同情にたえませんし、いかにも紙一重の差で大きな開きが起きておるということを痛切に感じますし、また、シベリアに抑留された人の心情に思いをいたすときに、例えば今の中国の残留孤児の問題など引き起こしたことなど一つを考えてみても、同情を禁じ得ない数々がございます。
 しかし、これは戦後四十年たちまして、今恩給という形でもう一遍やるということに制度上なずむということはちょっと考えられません。そこで、今政府委員の方から答弁がありましたように、この特別基金検討調査室というものを内閣総理大臣官房に設けて今後の方策、対策を検討しよう。この動向を十分注視していきたい、かように考えております。
#17
○小川(仁)委員 確かに、特別基金検討調査室で「戦後処理問題に関する実情調査」なるものをお出しになっておることも知っております。ところが、この調査票を見ますと、確かに基金の使い方だ、こういうふうにおっしゃってはいるのですけれども、中身を見るというと、「現在の生活状況等についてお伺いします。」こう書いてある。「あなたは、現在、収入のある仕事をしていますか。」、恩欠対象者になる人に収入のある仕事をしているかと聞くことの問題は別として、「配偶者がいらっしゃいますか。」、ほとんど配偶者もいない人たちが多いと思います。そして賃金、給料、いろいろなことを書いています。これで恩欠の皆さんは非常に迷っているのですよ。基金というのは何か施設なりそういうものをつくると思ったのに、また生活問題を御調査なさる、これじゃ政府は我我の恩久問題を考えてくださるのだろうな、これは全員じゃありませんけれども、仮にこういう認識ができてきても無理がないような調査なのです。だから、総理府としてはわざと誤解を与えるようにこういう調査をしたのか、それとも恩欠者をあおってまた要求しろというふうに、心理的に出したのかという疑問を感ずるのです。そういう意図であれば私の意図するところとややイコールでございますから結構ではございますけれども、やはり終わりだという印象で受けとめている人がいないだけに――何も恩給と私、申し上げません。いろいろな方法があります。例えば国債三十万くださるという話も、この恩欠者とは関係なしにございますね。あるいは従軍看護婦や日赤の方には慰労金という名目もございました。一万五千円の一時金で終わりだということではなり得ないような同情すべき面、本当にあると思いますので、名目を私は問いません、何らかの配慮をお考え願いたいと思うのです。
 附帯決議にも私の方は各党の同意を得て出しておりますが、もう終わりだということにしてもらいたくないという気持ちと、方法はさまざまありはしないかということを含めて、再度大臣からお答えをいただきたいと思います。
#18
○江崎国務大臣 検討委員会の経過なども十分参照して、そしてまた、御要請の点等についてもしかと承っておきます。
#19
○小川(仁)委員 もう副総理格の総務長官にしかと承っていただけば、これはそうやみくもに、完璧ゼロなんということにはならないだろうというふうに認識をいたしまして、その後、附帯決議等で出た場合にはぜひ御配慮、御考慮、そして御進行をお願いしたいと思います。
 以上で恩給問題は終わります。
 次は、人事院の方に伺います。大蔵省さん、結構です。
 まず、今まで再三言っておりますことですけれども、基本的な問題ですから。ことしも勧告をなさいますね。
#20
○内海政府委員 御存じのように、勧告は官民給与を調査いたしましてその結果に基づいて判断をすることになるわけでございますが、私どもとしましては、この問題につきましては積極的な考え方で対処するように腹づもりをいたしております。
 ただ、問題は、まだ官民の給与調査が終了してない、またその結果の明らかでない段階でございますので、その点についての判断結果を申し上げるということは適当でないと思います。先ほど申しましたように、この問題については私どもは積極的な考え方で対処する所存でございます。
#21
○小川(仁)委員 積極的ということに非常に力を入れてお話しいただきましたので、勧告はあるものと考えながら続いて質問いたします。
 去年、六十年八月七日に出されました人事院の勧告をずっと読ませていただきながら、ことし考えていただきたいということをお聞きしてみたいと思います。
 去年の「公務員給与改定の勧告にあたって」あるいは「給与勧告についての説明」をずっと詳しく読ませていただきました。そして、総理並びに国会にお出しになった「給与に関する報告と勧告」も全文読ませていただきました。そこの中で私が感じたことを申し上げてみます。
 と申しますのは、公務員の給料表の問題でございますが、これは国家公務員法の第四節第一款第六十四条の二項、六十四条というのは給料表でございます。「俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ、」と書いてあります。そこで「生計費」という一番先に書いている言葉をさっき申し上げた三つの中から探し出してみたのですが、総裁談話には一言もありません。「給与勧告についての説明」の中にも私が見た範囲ではない。「報告と勧告」に関するところでは、「物価及び生計費」という五の項の(二)で「標準生計費」ということがちょっと触れられているのですが、この給料表を決定する際に、生計費というのは一体どういう位置づけを持っているか、お伺いしたいのです。
#22
○鹿兒島政府委員 お答えいたします。
 私どもが勧告に当たりまして基本にいたしておりますことは、御承知のとおり官民の賃金の較差を埋めるということでございます。御承知のように四月の民間の給与の実態を調査するわけでございますが、四月におきましては多くの民間企業におきまして給与改定が行われる、そしてその給与改定に当たりまして、民間企業におきましては当然に生計費なり物価なりあるいは地域の賃金というものが念頭に置かれるわけでございまして、民間企業の調査の内容としましては当然に生計費の部分が反映していると私どもは考えております。
 また、今お話がございました報告の中に書いてございますように、私どもといたしましては、標準生計費を計算いたしまして、それを、勧告に当たりまして重要な参考事項といたしております。
#23
○小川(仁)委員 重要な参考事項なら、説明や何かに触れているはずですよ。一言も触れていないから私は質問しているのです。官民較差がどうこうと言っているのじゃない。生計費というのは法律によっても一番先に書かれているのだ。極端な言い方をすれば、俸給表は生計費が第一で、民間における賃金の比較が第二で、人事院の決定する事情というのが第三になるのが法律の順序からいけば当然だと思っているのです。ところが、この生計費がこの報告に全然反映されていないから、隅っこの方に追いやられているから、生計費というものは俸給表、賃金を決定する際にどの程度の重要な度合いを持っているかとお聞きしているのです。これは総裁です。
#24
○鹿兒島政府委員 事務的な話をまず先にさせていただきたいと思います。(小川(仁)委員「事務的なことはわかっている上で聞いているのだから、要らない」と呼ぶ)
 お話がありました標準生計費につきましては、十八歳の東京におきます独身の男子の生計費をマーケットバスケット方式に基づいて計算をいたしまして、これを一人世帯、二人世帯、三人世帯というぐあいに、生活費の換算乗数を用いまして生計費を計算しております。
#25
○小川(仁)委員 あなたほど玄人でもないけれども、素人でもないから、わかった上で、生計費が賃金決定の中でどういう役割を占めるのだということを総裁にお聞きしているのです。
#26
○内海政府委員 給与決定の上における生計費というものは非常に重要な要素であることは全くお説のとおりでございます。
 ただ、今所管局長からも御答弁申し上げましたように、人事院といたしましては、一方において、標準生計費を調査してそれを導き出してこれを給与表作成の場合に十分に参考にするとともに、また一方において、民間との給与比較という面で、その民間の給与が形成されていく中で、例えば本年四月の民間の給与を調査いたしますが、生計費というものがかなり重要な形で反映しておる。したがって、そういうものも民間と公務員の給与比較という中に入り込んでくると私どもは理解いたしておるわけです。
#27
○小川(仁)委員 そうすると、民間の調査のときに、民間がつくった生計費を見ているということですね。私は民間の賃金なんかにも関係しているが、民間の会社が生計費を調査して賃金を決定したなんという話は余り聞かないが、今の話は間違いないですね。
#28
○鹿兒島政府委員 民間の生計費の調査ではございませんで、先ほど申しましたように、マーケットバスケットによりまして、十八歳程度の男子の生計費を人事院が調査をいたしております。
#29
○小川(仁)委員 だから話がややこしくなってくる。あなた方自身、言っていることが違うでしょう。人事院が独自に調査した生計費がどれだけ大きなウエートを持って俸給表決定の際に役割を持っているのかという私の質問に対して、あなた方が答えたのは、民間給与の決定でも生計費が当然反映しているものと思うからという言い方をしたでしょう。民間で生計費なんかで賃金決定しているという例があったら教えてください、さっきからの話の中はそういうふうに聞こえたから。どこの民間会社が生計費を調査して賃金を決定しましたか。
#30
○鹿兒島政府委員 民間の賃金決定の仕方はお話のとおりだろうと思います。ただ、私どもが申し上げておりますことは、春闘において諸般の情勢をかんがみまして賃金が決定される、その中にはそういう要素も配慮されているだろうということを申し上げているわけでございます。
#31
○小川(仁)委員 そういう想像で物を決めてはいけませんよ。追及されたらそういうものはないと言った。余りなめた話をされると困ります。私はあと五分ぐらいで終わろうと思ったのに、そういう話をされるとちょっと。
 それじゃ少し聞きますけれども、東京における独身男子十八歳の標準生計費、一人一日当たり千二十九円四十六銭、一食当たりにすると三百四十三円、これで食えますか。
#32
○鹿兒島政府委員 その根拠は、総理府の家計調査に基づきまして、一カ月間の食料費というものを標準カロリー、二千七百カロリーで計算いたしましたものを、一日に割り当てますとそういう金額になるわけでございます。
#33
○小川(仁)委員 マーケットバスケット方式でお出しになっておりますが、間違いなく人事院はこれを自分の手で、マーケットバスケット方式で去年の四月に調査したのですか。
#34
○鹿兒島政府委員 マーケットバスケット自体は人事院は調査しておりません。家計調査に基づくそれぞれの金額でございます。
#35
○小川(仁)委員 それじゃ、ここへ出しているマーケットバスケット方式というのは人事院が調査したものじゃないのですね。インチキじゃないですか、麗々しくここに並べて。大体、カレイが百グラム百六十二円で買えませんよ。今カレイは一切れ千円しますよ。そう言ってしまうと、おまえ毎日買っているのかと言われては困るからやめますけれども、これはあなた方が実際に調査しない。
 それでは、今度の人事院勧告の中では、人事院はこのマーケットバスケット方式による標準生計費をお出しになる予定がございますか。
#36
○鹿兒島政府委員 統計結果によります物価によって割り当てておるわけでございますが、標準生計費は今申し上げたような計算でいたしまして、初任給の決定については去年の場合は東京ですと九万三千三百五十円という数字を出しておりますけれども、こういう標準生計費は本年も調査いたしたいと思っております。
#37
○小川(仁)委員 私が聞いているのは、マーケットバスケット方式をことしやるかどうかということを聞いている。
#38
○鹿兒島政府委員 マーケットバスケットの意味でございますが、先生がおっしゃるのは恐らく、実際に市場に出かけて現物を買ってその金額をというお話だろうと思います。私どもは調査に際しまして、物価調査に基づく調査、これも現物に基づく調査でございますから、それを借用いたして調査するということでございます。
#39
○小川(仁)委員 それじゃ、ここに書いてある品目はみんな家計調査に出てきますか。
#40
○鹿兒島政府委員 一応全部出ているはずでございます。
#41
○小川(仁)委員 そういう家計調査の品目だけで平均的に計算したって、マーケットバスケット方式と称する本来の方式とはかなり大きな食い違いがある。統計というのはいろいろなとり方によって非常に大きな違いがあるわけですが、初任給九万五千五百円、東京の生計費関係は九万三千三百五十円、その中身を見てみますと、雑費Uが一万九千五百二十円。雑費Uは「諸雑費、こづかい、交際費、仕送り金」と書いてある。仕送り金を出せるほど余裕があればいいが、コーヒーを一日一杯飲んで、床屋へ一カ月に一回行って、たばこも好きな人は一日一箱くらいのんで、たまに帰りに一杯飲んだら、一万九千五百二十円で諸雑費、小遣い、交際費がおさまりますか。これは統計上おさまるようになっているのですか。
#42
○鹿兒島政府委員 雑費Uは、今お話がありましたように「諸雑費、こづかい、交際費、仕送り金」ということになっておるわけでございまして、私どもの計算では一応一万九千五百二十円ということに相なっております。
#43
○小川(仁)委員 なっておりますと言うけれども、私が数え上げたものをやってみますと、一万九千五百二十円におさまらないでしょうというのです。帰りに一杯やるのも一切禁止するだろうし、あるいは友達とのつき合いもできない。それが「交際費」として麗々しく入っている。このほかに、十八歳独身男子でもたまに結婚式に呼ばれることもあれば葬式に呼ばれることもあるのですよ。こんなに事細かく諦雑費や何かを数字を挙げて決定していくからには、実態というものを反映させてもらわなければならないと思います。
 総裁、この際お願いしておきますが、マーケットバスケット方式並びに諸雑費その他について、実態を反映するような方式をとっていただけますか。どうですか。
#44
○内海政府委員 ただいま御質問の中の御意見というのは私も十分傾聴いたしておりますし、できるだけ実態というものを考えながら調査を深めていきたい、こういうふうに考えております。
#45
○小川(仁)委員 できるだけじゃないのですよ。一杯のコーヒーといったって二百五十円もあれば三百円、五百円もあれば千円もあります。まさか千円のコーヒーで計算しようとは思いませんけれども、ここまで詳しくマーケットバスケット方式や諸雑費の項目を挙げて物をおやりになるのでしたら、実態に合わせてもらいたい、人事院だってことし就職した人があるでしょう。その生活を見ればわかるでしょう。どうですか。
 給与局長、ことしはマーケットバスケット方式を市場で実勢価格で調査してください。季節性は問いませんけれども、そうすれはあなた方の統計数字というのはどんなに低いものかということがおわかりになるでしょう。とてもじゃないけれどもこんなものじゃないですよ。
 それと生計費の比重というものは、給料表を決定する上で、法律の趣旨からいけば少なくとも半分ぐらいの比重を持たなければ意味がないと思いますから、今言った方式を含めて生計費の比重というのを非常に大事に考えてください。そうしなければ給与というものは机上の計算だけで、今公務員になっている人たちの生活実態からかけ離れたものになります。やりくりはできます、間に合わせはできますよ。しかしそういう形で公務員を使っちゃいけませんよ。
 もう一つ言っておきますけれども、これは公務員の労働基本権の代償措置ですよ。したがってそういう意味がもう一つ加わりますし、それから先ほど申し上げた公務員の特性から来るいろいろな制限事項があるのです。民間の場合は勤務時間外にアルバイトしても処罰対象にも何にもなりませんが、公務員だったら必ずなります。それから、その基本給が基礎になった年金にしても、あるいは将来守秘義務があったり、再就職先が非常に困ったりして、やはり生活上の制限を受ける。これはやはり基本給がそういうものの決定の軸になりますから、生計費というものを大事に考えていただきたいし大事に調査していただきたい、こういうことを申し上げて終わります。
 ちょっと予定時間をオーバーして済みません。
#46
○志賀委員長 三浦久君。
#47
○三浦(久)委員 地域改善対策特別措置法、いわゆる地対法、この期限切れまであと一年に迫ってまいりましたので、これに関連する同和対策について若干お伺いをいたしたいと思います。
 まず総務庁長官にお伺いいたしますが、一九六九年、昭和四十四年の七月に施行されました同和対策事業特別措置法、いわゆる同対法と言っておりますが、これで今まで十七年近く同和対策が行われてまいりました。その結果、部落差別の解消と部落住民の生活諸条件の改善、これらの同和対策がどのように役立ってきたのか、まず基本的な認識をお尋ねいたしたいと思います。
#48
○江崎国務大臣 やはり十七年の成果というものは、環境の整備、それから職能教育、教育への差別待遇の廃止、いろんな面で、特に環境面の整備という点では非常に整備されてきた、相当な成果が上がったというふうに私ども見ております。
 ただ、残念なことに、心の問題といいますか、就職のときの差別待遇とか結婚とか、いろいろな面でまだまだ十分理解をされない面がある。これは本当に残念なことだ。先ごろの委員会でも、井上議員と長時間にわたってこの問題について答弁を申し上げたところでありますが、よくソフトの面と言われる精神的面における部門では、確かにいまだしという感があります。これについては今後も粘り強く啓蒙活動を大いに徹底し、教育を徹底し、そして、差別待遇などということが民主政治四十年いまだにあるなどということも日本の恥だというくらいに思って、私は徹底して解決努力をしていくべきだというふうに認識しております。
#49
○三浦(久)委員 私も、今までの同和対策が住環境の整備、また差別の解消に対しても一定の役割を果たしてきた、決して差別は一路拡大再生産されているというふうには思っておりません。これはかなりの成果を上げてきておると思います。しかし一方で、同和行政に各自治体ごとにもばらつきがありますし、また事業費目ごとによってもばらつきがあります。また一つの自治体の中でも、部落と部落との間にもいろいろとばらつき、アンバランスが出てきているというのも事実であります。
 例えば、今長官がおっしゃいました住宅環境整備の事業、これはかなり進んでおります。進んではおりますけれども、しかし完了または完了に近づいた自治体があるかと思えば、ほとんどなされていないという自治体もあるわけであります。それからまた、申し上げましたように、同じ自治体の中にあっても、部落によって進捗状況に非常に大きな差があるというところも出てきております。
 これが一体何でこういうことになるのかということなんですが、これはやはり同和行政に対する国の責任、第一義的な責任というものを事実上国が放棄している、そして自治体にそのしわ寄せがいっているというところに、こういうばらつきが出てきている大きな原因があるのではないかと私は思っているわけです。ですから、同和対策事業に自治体が取り組めば取り組むほど超過負担がふえますね。それでまた起債もしなければならぬ。これがまた財政面で大変大きな圧迫要因になってくるというようなことなんですね。
 ですから、こういう起債に対しては何らかの措置をしてやらなければならないのじゃないか。起債だけではなくて、例えば単費事業なんかもやらなければいけませんですね。何らかの措置をやってやりませんと、財政力のある自治体とそうでない自治体との間に、ますます同和行政についての格差、アンバランスが出てきてしまうのではないかというふうに思っているわけであります。
 それで、そのことは例えば、「地域改善対策事業財政対策全国協議会」というのがございます。これは同和地区の人口比率が二〇%を超える全国の三十三の自治体、これで構成されているわけですが、ここが「市町村別地域改善対策事業費一覧」というのを出しているのですね。これによりますと、国庫補助金の比率というのは三二・六%にとどまっている、こういう結果になっているのですね。事業によっては三分の二補助する、二分の一補助する、こういうふうになっていますね。それからまた、起債についても大臣が指定したものに限定をされますけれども、基準財政需要額に算定をするとかいろいろな手を打っておりますけれども、しかし実際に事業全体の国庫負担の率を見ますと三二・六%にとどまっている、こういう結論が出ているわけですね。これは大変な事態だろうと私は思っておるわけです。
 したがいまして、ちょっとお尋ねしたいのですが、この十七年間、同和対策事業でもって自治体全体でどのくらいの起債が生じているのか、お尋ねしたいというふうに思います。
#50
○奥田説明員 お答え申し上げます。
 同和対策事業債及び地域改善対策事業債の昭和五十九年度までの許可累計額でございますが、これは九千三百五十五億円という金額になっております。また、これら地方債の償還残高、現在高につきましては六千八百五十二億円という金額になっておるところでございます。
#51
○三浦(久)委員 まだかなりの起債残額があるわけでありまして、地方自治体はこれをずっと今後も償還をしていかなければならないということになるわけであります。今私が言いましたように、この負担の軽減を図る特別な措置というようなものを政府としては検討されているのかどうか、お尋ねをいたしたいというふうに思います。
#52
○奥田説明員 御承知のとおり、先生先ほど御指摘のとおり、地域改善対策事業につきましては三分の二の補助がつく、残り三分の一につきまして起債を入れまして、その起債の約八割を交付税で措置する、こういうルールになっているわけでございますが、実態といたしましては単独事業でやらなくちゃいけない部分が相当あるということから、それが地方団体の負担増につながってきているわけでございまして、自治省といたしましては、これら単独事業につきましてできるだけ補助でやってもらえないかということを関係省庁にも働きかけております。また、地方公共団体につきましても、財政状況の悪い団体につきましては、県からいろいろ意見を聞きまして、私どもの方として対応できるものについてはできるだけの対応をするというふうなことでやってきているわけでございます。
#53
○三浦(久)委員 同和対策事業についてはまだ残事業がございますね。私は、残事業を一日も早く遂行してしまうということが大変大事なことだと思いますが、しかし、あと一年ですべての残事業を完了するということは不可能だろうと思います。政府もそういうふうに御認識をされているだろうと思うのですね。そういう残事業がある中で、一年後に地対法が期限切れでなくなってしまうということになりますと、同和対策事業の遂行に重大な支障を来すことになると思います。
 お尋ねしたいのは、政府として残事業達成の見通し、さらに地対法後どのような対策をお考えになっていらっしゃるのか、お尋ねをいたしたいというふうに思います。
#54
○江崎国務大臣 これは当然、まだ一年あるわけですから、できるだけ旺盛に事業を遂行する。それから、その後どうするんだという問題等にっきましては、まだ時間もあることですから、基本問題検討部会に諮問もしております。それからまた、総務庁においても十分検討して、その検討部会の答申を待ちながら考えても十分間に合う問題だというふうに認識しております。
#55
○三浦(久)委員 同和の三団体というと、解同とか同和会とか全解連というのがございます。これはそれぞれ独自の対策、地対法後の対策を発表しておりますね。私は、重要なことは、こういう運動団体の要求というものは十分に耳を傾ける必要があると思います。しかし、また同時に、それをそのままうのみにして行政の主体性を失うようなやり方というものは絶対にやってはならぬというふうに思っているわけですね。
 今までも、私たちも大分苦労しましたけれども、運動団体の言いなりになって行政が主体性を放棄してやる、いわゆる公正で民主的なそういう同和行政をやらない、非常に不公正で乱脈な同和行政が行われてきましたね。そのために、数え上げたら切りがないほど例がありますけれども、部落の中で新しい差別が発生をするとか、また一般地区との間にこれは逆の差別現象を生み出すとか、そうしてそれが民主主義の破壊にまでつながっていっているんですね。
 私なんかも何回も経験がありますけれども、そういう例えば自治体の不公正、乱脈な同和行政を批判する演説会を開きますね。そうすると演説会場を貸さない。それは自治体当局がですよ、貸さないということがよく起きました。私ら、仮処分でもって会場を使ったこともあります。そうすると今度は、例えば六時から演説会やるのに、五時ごろ公民館の館長とかその体育館の館長さんが、同和問題に触れますか触れませんか、いや、そんなことおれの勝手じゃないかと言うと、触れないと約束しないと貸せませんと言って使用許可を直前に取り消してしまうとか、そういうような全く言論の自由を踏みにじるようなそういうことまで行われてきたわけですね。
 ですから、私は、同和行政というのは、本当に行政がやはり憲法や地方自治法その他の法律、法令、それに基づいて公正で民主的にやらなきゃならぬというふうに思っておるのですが、これは異論はないと思うのですけれども、ちょっと確認をさしていただきたいというふうに思います。
#56
○本多政府委員 お答えいたします。
 先ほど大臣が御答弁されましたとおり、ことしの一月に、地域改善対策協議会の中に基本問題検討部会という部会を設置いたしまして、実はその部会で鋭意検討されているテーマが、先生が御指摘の行政の主体性あるいはえせ同和行為の排除等等がございます。昭和五十九年の六月に協議会が意見具申をされまして、その意見具申の中でも、今申し上げましたようなえせ同和行為の排除あるいは行政の主体性の確立、こういう問題につきましては今後の課題として意見をいただいているわけでございますが、将来の課題といたしまして、私ども、この都会において鋭意現在議論が進められつつあるということを申し上げたいと思います。
#57
○三浦(久)委員 いろいろ意見具申やら通達やらでそういうことが強調されておるのですが、しかし実際に末端の市町村に行ってみますと、まだまだ不公正な、また乱脈な同和行為が続いているということがあると思うのですね。
 若干の例を出しながらお話をしてみたいと思いますが、私の選挙区になりますが、豊前市、築上群の一市三町二村、これは豊前市、筑城町、椎田町、吉富町、新吉富村、大平村というのがあるわけです。これは運動団体の豊筑支部というものに対応するものですが、大変ひどい同和行政が行われているというふうに思います。
 例えば、運動団体に対する団体の助成金の問題ですが、築城町では各運動団体の運営費、活動費、これは年間三千万円支払われています。この町は人口が一万ちょっとですね。そして同和人口は千五百人ぐらいです。この運動団体に年間三千万円の、これは団体助成金ですから、例えば人件費であるとか運営費であるとか、それからいろんな活動費であるとか、そういうものですね。ですから、丸抱えで運動が行われているという状況ですね。椎田町でも運動団体に三千二百七十万円の団体助成金が支出されています。ここは一万六千名の人口、同和人口はわずか五百五十人。ですから三・四%にしかなりません。これにやはり三千万円、ぼっと投げ渡しでお金が支給されている、そういう状況があるわけであります。
 例えば子供会ですね。子供会に対する助成について見ましても、築城の例をとってみますと、例えば同和地区子供会というのがあるのです。この同和地区子供会に対しては六百万円の団体助成が行われております。ところが圧倒的に多い築城町子供会、こういうのがあるのですが、ここの助成金はわずか六十六万円ですね。まあ十倍近くいる一般地区の子供さんに対しては六十六万円で、わずか一割ちょっと、一二、三%でしょうかの子供さんに対してはその十倍の助成金が行われているわけですね。私は一般の町子供会、この六十六万円の助成金が高いとは思いません。安過ぎると思いますね。しかし、やはり何といってもこのアンバランスというのは厳然たる事実なんですね。ですから、やはり同じ町民なんですから、こういう極端なアンバランスというものは同和行政を行う上で適切ではないのではないかというふうに私は考えているのですね。
 総務庁長官のお考えを承りたいというふうに思います。
#58
○江崎国務大臣 今御指摘のようなことが行われておるとすれば、これはやはり不公正と言われてもやむを得ぬでしょうね。
 こういう問題というのはやはりケース・バイ・ケースで判断をしませんと、その場の実情を確かめ、なぜそうなのかというところまで突っ込んで検討しないと本当の御答弁にならないというふうに思います。今のお話はよく承っておきます。
#59
○三浦(久)委員 例えば個人給付の問題なんかもひどいものがあるんですね。これは多いところでは三十から四十ぐらいの個人給付がありますけれども、例えば椎田町の例ですけれども、お葬式があればちゃんと補助金が出る、結婚をすれば出る、年をとって六十五歳以上になればお金が出る、同和関係ですね。それからまた、自動車の運転免許を取るのにお金が出る、いっぱいありますね。
 しかし、私がひどいと思ったのは教育の問題ですが、保育園に入園をすると準備金が出ます。それから奨励金が出ます。そして服装費というものまで出るんですね、保育園に行くのに。それから、その子供が今度は幼稚園に行くようになります。そうすると幼稚園入園支度金というのが出ます。それから入園奨励金というのが出るのですね。それから、今度小学校に上がるようになります。小学校に上がると入学支度金というのが出ます。それから、一年生から二年生、二年生から三年生、三年生から四年生、進級するたびに進級支度金というのが出るのですね。そしてまた中学に行くと、同じように入学支度金、それから進級支度金。そして小学校、中学校に行っている間は、やめないでよくやっているという意味かどうかよく知りませんけれども、就学奨励金というのが出るのですね。これはもう高等学校、大学にも出ます。そのほかに学用品費援助費とか学用品の援助とか給食の援助とか、まあ何でもお金になるようになっているわけですが、こういう個人給付、これが本当に困っている人のために支給されるなら結構でしょう。しかし、これは同和地区に住んでいる、そして同和地区の人だというだけで所得に関係なく支給をされておるというところに問題があると思うのですね。やはりこういう個人給付というのは憲法二十五条に基づく社会保障的な観点で出されるわけでしょう。そうすれば、その生活の困窮という度合いに応じて、本当にそれが必要なのかどうか、それを見きわめて支出をすべきですね。
 これは同対協の意見具申を見てみましても、個人給付は経済的理由その他真に必要な場合に限って行うべきだ、こういうふうに言われておりますね。私どももそのことをずっと主張してきているわけですが、こういう至れり尽くせりの個人給付というものが所得に関係なく支出される、支給されるというようなことについて、私は適切な同和行政の範囲を超えているというふうに感ぜざるを得ないのですが、長官の御見解をお尋ねをいたしたいと思います。
#60
○本多政府委員 お答えいたします。
 地域改善対策事業におきます個人給付事業でございますが、この趣旨は、同和地区関係住民のいわば自立自助精神の涵養に役立てる、こういうのが趣旨だと理解いたしておりまして、その趣旨に沿いまして今日まで同和行政を進めてきたわけでございます。
 しかし、先生御指摘のとおり、昭和四十四年のいわゆる同対法に基づく同和行政後十七年間を経過いたしておりまして、その間、社会あるいは経済情勢が大きく変化しておりますので、そうした変化等を踏まえまして、個人的給付事業の今後のあり方につきまして再検討すべき時期に来ているのではないかというふうに考えております。先ほど申し上げました基本問題検討部会におきましても、こうした個人給付のあり方についても御議論いただきまして、その結果等を踏まえまして政府として適正に結論を出していきたい、このように考えているところでございます。
#61
○三浦(久)委員 自治体によってはもう既にいろいろ見直しの検討に入っておるところはたくさんありますね。ですから、ぜひ同和行政の実効を上げるためにも、私はこういう不公正なものは是正していただくように要求をいたしたいと思います。
 それからまた、個人給付の支給の方法の問題なんですけれども、これはやはり築城町のことなんですが、例えば老人給付金というのが六十五歳以上の人に一年間に二万円出るのですよ。これを運動団体が、はっきり言えば同和会ですが、各お年寄りから委任状をとりまして、団体が一括して支給してもらっているわけなんですね。こういうことが起きているわけなんです。このことの結果どういうことになっているかといいますと、おれ、もらっていないというのがたくさん出てきているのです。じゃどうしてもらっていないんだということを聞きましたら、その同和会の会長さんが現職の町長さんを推しているわけですね。それで、もらっていない人たちは七、八人いるのです、その人たちは別の立候補した町長さんを推した。そうすると同和会の会長は、おれの推した町長の運動をしないやつにこんな金が渡せるかと言って、渡していないというのです。それは現実なんです。それで、書類で今の町議会の議長さんあてに、その八名か七名の人たちが連名で、私たちは二年間二万円のお金をもらっておりませんから何とかしてください、こういう要望を上げているのです。要望書、ここにありますけれどもね。
 ですから、これも私は、こういう個人給付を、まあ委任状があるとはいえ、運動団体に一括して支払うというようなやり方は、これは行政というものは地方自治体の主体性を持って、責任を持ってやるということに違反していると思うのですよ。ですから、こういうことについても私は改善、指導方をぜひお願いをしたいと思うのですが、いかがでしょう。
#62
○本多政府委員 御指摘のとおりでございまして、個人給付的事業にかかわる支給に関しましては、当然本人が直接受領すべきものというふうに考えておりますので、私ども機会があることに、地方自治体の同和関係担当者から実情等について伺っておるわけでございますが、現在のところ今先生が御説明になりましたような実態について把握いたしておりませんが、今後とも、そうしたいわば不適正な個人給付の受領につきましては改めていくべく一層の指導等を自治体に対しては行って行きたい、このように考えます。
#63
○三浦(久)委員 それから文部省にお尋ねいたしますが、運動団体がいろんな集会をやりますね。例えば今までずっと、狭山裁判に反対する集会とか、現在ですと部落基本法制定のいろんな集会、こういうのが行われておりますが、こういう集会に教職員を出張扱いで参加をさせるということが行われているわけですが、これについてどういう御見解をお持ちなのか、お尋ねをいたしたいと思います。
#64
○井上説明員 お答え申し上げます。
 同和加配教員をどのように活用するかなどにっきましては、各都道府県教育委員会が地域の実情や教育上の必要性等を勘案いたしまして主体的に決めることとされているところでございます。したがいまして、同和加配教員の勤務の仕方も各都道府県教育委員会がみずから決めているところでございまして、それに応じて服務上の取り扱いも各都道府県教育委員会によって主体的に決められるものであるところから、文部省といたしましては、個々具体の服務上の取り扱いについては各都道府県教育委員会の適正な措置を指導しているところでございます。
 いずれにいたしましても、基本的には任命権者でございます各都道府県教育委員会が主体的に決めることとされているわけでございまして、同和加配教員の勤務のあり方等についてはそれぞれの教育委員会に適正な取り扱いをするよう指導しているところでございます。
#65
○三浦(久)委員 そうすると、私が今言ったようなことは適正なんですか。
#66
○井上説明員 お答え申し上げます。
 実際には、具体的には市町村立小中学校の場合等につきましては、先生御案内のとおり服務監督権者は市町村の教育委員会でございまして、そういう市町村教育委員会の服務の取り扱いについても、都道府県教育委員会を通じて私どもは適正な取り扱いをするように指導しておりまして、今お尋ねの点については、それぞれ学校教育における必要性等という観点が出張の目的ということであろうかと思うわけで、それらの個々具体的な問題については、やはり服務監督権者の適正な判断を私どもは期待しておるところでございます。

#67
○三浦(久)委員 しかし、文部省というのは指導する責任があるわけだから、あなた自身もはっきりしたことをおっしゃらないのですけれども、例えばきょうも行われているのですよ。福岡県同和教育研究協議会というのがあるのですね。これは県が補助金をたくさん出して運営しておりますが、ここが各学校長あてに文書を出しております。きょうの十三時から十六時半まで、田川市の文化センターで「狭山の教育課題」という学習をやることになっているのですね。この同和教育研究協議会というのは民間の団体ですよ。その団体が各学校長に、狭山の研究課題についての公開学習会をやるからぜひ先生をよこしてくれ、こう言っておるわけです。そして、出張でお願いしますということまで書いてあるわけですね。この県同研がこういうお願いをすると、まず全部出張扱いになっておるそうですね。こういうことも結局いいわけですか。出張扱いで構わないのですか、公費でこういうことをやって。例えば狭山裁判問題なんというのは小学校、中学校の教育内容としては適切じゃないというのはあなたたちもしょっちゅう言っておるわけでしょう。こういう集会に学校の先生が出張でもって参加するということは結構なんですか、どうなんですか。
#68
○井上説明員 お答えを申し上げます。
 私どもといたしましては、従来から、服務の厳正については各都道府県教育委員会に指導をしてきておるところでございまして、その服務の適正な措置等についても、個々具体的な実情等踏まえて、各都道府県教育委員会におきましてそういうものの取り扱いを適正に行うよう指導してまいっておりますので、今後ともそのような指導をしてまいりたいと考えております。
#69
○三浦(久)委員 時間がありませんので、その点きょうはちょっと論争を避けておきます。
 それでは、次に行きます。
 同和事業が特定の団体の利権と結びついてはならないと私は思うのですが、そういう疑いが極めて強い事業が今行われようといたしております。これは福岡県の椎田町で起きている問題ですが、厚生省の所管の大型共同作業場の建設ということで、コンピューター入りの大きな畳製造工場がつくられようとしているわけであります。大体十九人の企業組合で畳の製造が行われることになるわけでありますけれども、この事業の概要をちょっと最初に説明していただけませんか。
#70
○矢野説明員 この共同作業場といいますものは、同和地区の住民に働く場を提供する、あるいはその住まいと仕事場を分離いたしまして環境を整備する、こういう目的で従来から実施しておるところでございます。
 今御指摘のありましたように、こういう事業を今回椎田町で実施しようとしておりますのは、畳の製造工場ということでございます。
 それで、こういった事業の実施に当たりましては、関係者の理解と協力を得る、これが前提でございまして、このため町当局も大変配慮しておるところでございまして、そのために、畳工場をつくります場合に組合を設立いたしまして、施設そのものは町の財産でございますからそれを使用許可する、こういうことになっておるわけです。その場合の許可の条件といたしまして、地元同業者の事業を圧迫しない、そのように十分配慮する、こういうことが許可の条件になっておると伺っております。それからまた、特に地元の畳業者に圧迫を与えないために、この条件を踏まえまして実際上は他県、これは山口、大分でございますけれども、こちらからの受注を主体に事業を実施する、つまり他県の大手企業の下請が事業の主体ということで、地元業者には被害を与えないように、こういう配慮は十分にやっておるところでございます。
 本件につきましては、町議会におきましても議決されましたし、所要の予算も計上されておるわけでございまして、福岡県を通じて具体的な話がございまして、中身を厳正に審査したところ、今申したようなことで特に大きな問題はないということでございまして、内示をし、補助金を決定した、こういうことでございます。
#71
○三浦(久)委員 これは一億二千万円の予算で、事業費でやるのですね。これは畳工場をつくるのです。国庫補助金が三分の二ですよ。ですから、国庫補助金を使うんだから、国の金がむだに捨てられてはいけないでしょう。ですから、今あなたは地元業者を圧迫しないようにいろいろ配慮されていると言うが、何も配慮なんかしていないのです、後でそれもまた言いますけれども。
 その前に、この畳工場が企業として成り立つのかどうかということが前提でなければならないでしょう。その点はどういうふうに判断されておりますか。
#72
○矢野説明員 こういった事業は、経営的に成り立つということが前提になっておるわけでございまして、特にこの場合には、福岡県の中小企業総合指導所というところがございまして、そこの企業診断によりまして、安定的な運営が確保される、こういう見通しが出ておるわけでございます。こういった点も私どもは十分配慮したわけでございます。
#73
○三浦(久)委員 それでは、今あなたがおっしゃいました福岡県中小企業総合指導所、この意見書が出ておりますね。その意見書では、どういうふうにしたら経営が成り立ちますというふうに書かれてありますか。
#74
○矢野説明員 これは非常に何ページにもわたるものでございまして、ここですべて御説明するということはなかなかできかねるわけですけれども、いろいろな観点から調査をいたしまして、それから他県の大手の下請になるわけですから、そういったところ、どういうところが畳製造を発注するか、そういった点も十分配慮いたしまして、結論としては十分見通しがある、こういうことになっておるわけでございます。
#75
○三浦(久)委員 そうすると、厚生省はこの指導所の意見書をうのみにしたということだね。
 私もこれは全部読んでみました。あなたも持っていらっしゃるから言いますと、これは結論は、この建設は妥当であるというふうにはなっておりますよ。しかし、こういう点は改善しなければだめだ、一番大事な点が改善項目になっている。というのは、これは年間に四万二千枚の畳を製造しなければ採算が合わぬというふうになっています。ところが、今あなたが言った受注先の十一社、この十一社からでは三万二千しか受注ができないということになる。ですから、最低一万枚は新たに受注先を開拓しなければだめだ。だけれども、一万枚を獲得するためには目標としては二万五千枚程度の新たな受注先を開拓し、利用見込み数量を増加しなければならぬと、ここにそう書いてあるでしょう。四万二千のうち二万五千枚の新たな受注先を獲得しろというのですから、現在はまだ半分しか受注先を押さえてないということなんですよ。まだ現在もそういう受注先は何も確保されていないでしょう。
 そして、この受注先の十一社についてこの指導所の意見書はこう書いています。「受注予定先十一社の年間畳加工枚数の合計は三万八千三百六十枚で、その内わら床は八五%である。」と書いてあるのです。そうすると、八五%だったらわら床は三万二千枚です。化学的な材料でなくてわらでつくった畳ということです。この大型畳工場は化学繊維を扱いませんからね、わら床なんです。そうすると、三万八千枚の八五%というと三万二千枚なんです。四万二千やらなければ合わない、それを三万しかこの十一社からは受注できないということです。それも全部受注してですよ。全部そこが発注するとしてです。
 ところが、その後にはどう書いてありますか。これら十一社は「自社で加工しているものは七三%で、その他は外注で処理している。」そうすると、今まで自分たちでもって五千枚、六千枚というのをつくっているわけだ。それで一部外注に出しておる。それを、今まで外注に出しておったものも全部こっちの豊和畳企業組合に出す、今まで自分たちでつくっていたものまで全部出すということを前提にしているのですよ。こんなことがあり得ますか。そんなことは考えられないことですよ。
#76
○矢野説明員 共同作業場一般について言えることなんですけれども、非常に運営に苦慮しているところが少なくないわけでございまして、そういった場合、この実施主体が市町村ということになっておりまして、市町村、それから都道府県、こういったところが協力いたしまして必要な指導を行っておるわけでございます。
 本件につきましても、ただいま御指摘のあったようにまだまだ至らぬ点があるかと思うのですけれども、こういった点は、これからも十分関係方面と相談いたしまして、経営的にも安定したものとしてできるように指導していきたい、こう思っております。
#77
○三浦(久)委員 そんな抽象的な問題じゃだめでしょう。私は、きょうは農林省にも来ていただきまして、もう時間がないから農林省大変失礼いたしますが、この椎田町では、やはり同和対策事業として、今までも養鰻企業組合をつくりまして、つくったんですよ、五千万円かけて。それが今は何も稼働していないでしょう。難しいんですよ、養鰻というのは。それを、国や地方の金を五千万もつぎ込んで、私も行ってみたけれども何も使われていない。野ざらしです。これも同和会がやったことです。
 それから、現在は周防肥育牛組合というのをつくって、そこでも一億三千八百万円もかけまして大きな施設をつくっております。百六十頭も牛を肥育するという施設です。ところが、現在何ぼいると思うか、十六頭ぐらいしかいない。五人でやるというふうになっていたけれども、だれもやらないから一人でやっているのですよ。立派なトラクターを買ってみたり、私も行ってみましたけれども、サイロもありますよ、立派なのが。それから、牛のいつもおるところ、牛舎と言うんですか、いっぱいあります、大きなものですよ。ところが、そのほんの隅っこにちょろちょろと牛がいるだけです。ですからもうサイロも使えないのです。トラクターも使えないのです。それから電気もづけられない、費用がかかってしょうがないから。たったわずか十数頭しか、十六頭ぐらいしかいないのだから。こういうことをやって平気でいるのです。
 だから私は、国の金とか県の金とか市の金を膨大なものをつぎ込んでやっても、きちっとした経営計画が立っていなければ、また養鰻とか肥育中等の施設と同じような二の舞を踏むのじゃないかということを心配しているのです。そのことは差別をなくすことにならないですよ。そんなこと繰り返していれば、何だ、あいつらはと、あいつら、自分たちの利権のためにやっているだけじゃないか、こうなるのですよ。だから、補助金を効果的に使わなければならぬというのが補助金適正化法に書いてあるわけだし、また同和行政だって適正にゃらなければならぬ、効率的にゃらなければならぬということになっているわけでしょう。そういうことを放棄してしまって、ただ同和が要求したからやるんだということでは、これは差別の解消どころか、ますます差別を拡大再生産するだけになってしまうのですね。ですから税金のむだ遭いであるし、そして行政効果は何も上がらない、こういうことだから私は言っているのです。
 あなた、この県の中小企業総合指導所のこれを見たでしょう。今まで十一社が五千も六千も一軒でつくっているわけだ、それを何で全部出しますか。全部出したら自分の工賃はなくなってしまうのだから。後はマージンだけで稼ぐということになるのですよ。ですから地元の畳組合が反対していますよ。その人たちがこの十一社に全部当たっているのです。そうしたら、この人たちは、おれのところが仕事がないのに何で全部あの豊和畳企業組合に出すか、ばかも休み休みに言えと言っているのですよ。ですから、町自身も非常に受注先の確保に困っておる。それで今地元の畳業者に対しても、あんたたちが全部これを利用してくれたらいいんじゃないかと言っている。それは仕事がうんとあれば利用しますよ。しかし、この十年間見てください、住宅建設がずっと落ち込んでおるでしょう。ですから、この指導所の意見書の申にもありますが、十年前と比べて現在は畳床で六〇%に落ちて、四〇%も仕事が減少しているのです。表がえの仕事でも二〇%も少なくなっている。これは全国的な傾向と同じなんです。そうすると、その共同加工所を自分たちが使えば、今まで自分でつくっておるから工賃が出ますよ、しかし工賃がなくなってしまうわけですから生活に困るでしょう。こんなことをやってどうして、地元業者に対して温かい配慮をしているとか、困ったことにはならないとかということが言えるのですか。それよりも何よりも、まず受注先を確保しなければできないじゃないですか。
 あなたに具体的に聞きますが、十一社の畳屋さんが今まで外注に出した、また自分のところでつくっておった、それをこの豊和畳企業組合ができたからといって全部この企業組合に仕事を回すのですか。そんなこと考えられますか。ちょっとお尋ねしたい。
#78
○矢野説明員 今御指摘のありました受注先の確保、この問題につきましては、県とそれから椎田町と十分詰めまして、事業が安定的に運営できるように最大限の努力をしてまいりたいと思います。
#79
○三浦(久)委員 そんなことは今不可能なんですよ。ですから、私は再検討すべきだと思うのだな。こんなでたらめな事業計画ないですよ。
 また、この事業をやって、この久保という人が組合長、理事長になるんだけれども、この人が今何をやっているのか御存じですか。この人は今畳屋なんですよ。この人は町会議員でもあります。久保順一さんです。町会議員でそして同和会の幹部でもありますし、また久保産業有限会社の社長さんなんです。
 この人は畳を製造しておったのです。ところが最近どうも畳の受注が減ってきた、それで三千万ないし五千万ぐらいの借金をしただろうと言われているのですね。それで、今その久保産業有限会社は事実上もう金が回らなくなって畳の製造を中止しておるのです。しかしこの会社はあるのですよ。従業員にも金を払ってないというので私らのところにも苦情が来ています、そういう人なんですよ。
 こういう人が組合長になって、一億何千万のお金で畳工場をつくってもらって、そして、はい、就労対策だとかなんとかいってそんなところで仕事をするとか、そんなことが同和対策事業として許されるのですか。私は、大体こういう人は同和対策事業の対象にならない人だと思うのです。あなたはこういう人が、こういう就労の機会を与えるというようなこの大型共同作業所の建設に携わる適任者だというふうに思うのですか、どうですか。
#80
○矢野説明員 先ほど来申し上げましたように、この畳製造の組合をつくって、そこに対しまして町がつくりました施設・設備をお貸しする、こういうことになっておるわけです。これによりまして、これは十九名の方がここで採用されるということで、同和地区の方々の働く場の確保ということで意義がある、こう思っております。
 それで、今久保さんという方が適任者かというようなお話、いろいろあったわけでございますけれども、町が組合に委託する、これはわかっておるわけでございますけれども、その中のどういった方かは、こういう点につきましては、これは町としても事業運営にふさわしい適任者を選定する、私どもはそう理解しておるわけでございます。
#81
○三浦(久)委員 ちょっともう一問だけ。
 あなた、さっき地元業者の皆さんには温かい配慮、圧迫しないようにいろいろ配慮していると言われましたね。それで主に県外から受注するということにしているのだと言われましたが、それはどこに規定されているのですか。どこに規定しようとしているのですか。
#82
○矢野説明員 これは契約を結ぶわけでございます。これは町と組合との契約の中でちゃんとそういう条項を設けまして、地元の同業者に圧迫を与えないように十分配慮する、こういうことになっておるわけでございます。
#83
○三浦(久)委員 私が言ったのは、そんな抽象的なことじゃないでしょう、あなたが言ったのは。主に県外からの受注の分について製造する、こう言っているわけでしょう。県外の人々に販売する、あなたはさっきそう言ったでしょう。それはどこに書いてあるかと聞いているのです。そんなものはどこにも書いてないでしょう。
#84
○矢野説明員 それは、直接的には書いてありません。ただ、事業運営委託契約の中に、地元関係業者に対して経営圧迫をすることのないように十分配慮する、こういう条項を入れるということにしております。
#85
○三浦(久)委員 だから、そんなものはお念仏であって、何の実効性もないじゃないですか。では、どういうふうに地元の業者を圧迫しないように留意するのですか。同和行政なんだから、地域住民の理解と協力を得なければならないでしょう。ますます差別が拡大するような、そういう同和行政はやってはいけないのです。では、どういうふうに具体的に、地元業者を圧迫しないような手だてをとっているから大丈夫だと厚生省は御判断になっていらっしゃるのですか。
#86
○矢野説明員 それは先ほども申し上げましたように、県外の業者からの下請を中心に事業運営をする、こういうことを言ってきておるわけでございまして、私どもは、本件の問題にっきましては、椎田町それから福岡県、こういったところを通じまして、それぞれの自治体におきまして、これは適正である、こういうことで御相談があったわけでございますし、私どももいろいろな観点から、ただいま申し上げたような点をいろいろ検討いたしまして、特に問題はないということで決定したわけでございます。
#87
○三浦(久)委員 後の議員に迷惑をかけますからやめますけれども、答弁が余りにもひどいですよ。全然具体的じゃないでしょう。これは専決処分で決められて、昨年の九月の町議会で確かに予算は承認されていますよ、たった一票差ですよ。ですから、町の議論が二分している問題なんですよ。そういうことを強行して、何で国民の理解と協力が得られますか。もっとまじめに、慎重に同和行政というものを私は考えてもらいたい。
 例えば、あなたがさっき県外からと言ったことについて、私がそんなものはどこにも書いてないでしょうと言ったら、今そのとおりだと言ったでしょう。どこにもそんなことは書いてないでしょう。それで県外からと言うけれども、この十一社の中には北九州の人々が入っているでしょう。三件も入っているじゃないですか。北九州は県内ですよ、福岡県内ですよ。十一のうちの三つも入っていれば、大概これは、あなた、ほとんど県外だなんて言えないでしょう。そして、その十一社というのはどういうところかわかりますか。その十一社というのは、この久保順一という人がやっている久保産業有限会社の、今までやっていたところの取引先なんです。ただそれだけの話なんです。地元業者の圧迫を避けるために十一社を県外から選んだなんて、そんなきれいごとじゃないのです。だから、県外から選ぼうとどこから選ぼうと、地元業者への圧迫云々には余り関係はないのです。むしろ圧迫することになるのです。
 例えばこの賃貸借契約書とか、また町と畳組合と企業組合の三者の合意書ですね。案ができていますけれども、これはまだ調印されていないんですが、その中では、直接消費者とは取引しないという一項目が入っている。しかし、そういうものが入っていても地元の業者の不安は解消できません。なぜならば、このように受注先が全然確保されていないのでしょう。そうすると、地元の北九州の人でもまた椎田町の人でも、そこには大工さん、建築業者がいますね。そういう人たちが、じゃここが安いからといって注文をしたとしますよ。それをこの企業組合が断れますか。それじゃなくたって仕事が足りないと言っているのに、地元の大工さんとか建築業者から畳の新床の注文があって断れますか。そんなこと不可能に近いことですよ、仕事があり余っているんじゃないのだから。そうすれば、直接消費者と取引しないという一項目が仮に入ったとしても、それは地元業者に対しては経営圧迫にならないなんということにはならないのですね。ですから私は――もうやめます。
 総務庁長官、こういう地元の業者に甚大な影響を与える、そしてまた、経営計画もしっかりしてないようなこういうような同和対策事業は、私はやるべきじゃない。今からでも遅くないから私は見直すべきだ、再検討すべきだというふうに思うのですが、総務長官のお考えをお尋ねして、質問を終わりたいと思います。
#88
○江崎国務大臣 今の話を聞いております限りでは、非常に不当な部面、部門があるというふうに思います。これはやっぱり責任者として、関係省庁において、そういうケースは繰り返しのないように、あなたのおっしゃることが本当であるならやはり十分調査すべきだと思いますね。
 これはやっぱり、私も過去に、昭和四十七年ですか、自治大臣をやり、それから国家公安委員長をやっておったころに、ちょうどこういう問題が、四十四年から対策が始まったんですからね、いろいろ議論を聞いたことがありますが、今まだそんなになっておるのかな、そんなことがあっていいはずはないなというふうに承っておりました。これらについてはよく公正を期して、責任者、責任省庁において監督をするようにいたしたいと思います。
#89
○三浦(久)委員 終わります。
#90
○志賀委員長 元信堯君。
#91
○元信委員 私は、きょうは調整手当の問題について、総務庁長官並びに人事院においでをいただきまして、お考えを聞きたいというふうに思います。
 国家公務員の地域調整手当については矛盾が存在をする、そしてその矛盾が年々拡大をしているということが各地域、とりわけ未支給地ですね、叫ばれて久しいわけでありますけれども、総務庁長官にまず伺いたいと思いますが、この地域調整手当なるものがどういう役割を人事管理の上で果たしているか、どういう御認識であるか、まず伺いたいと思います。
#92
○江崎国務大臣 これはもう昭和二十五年以来の法律でございまして、調整手当は、民間における賃金、物価、そして生計費、そういったものが特に高い地域に所在する官公署に勤務する職員に支給される手当、そういうことに決められておりますね。そうして、当該地域における民間の賃金水準との均衡を図ることによって、地域による実質的な給与の不均衡を調整する意義を持っておる、これが昭和二十五年法制定以来の根本的な理由であります。
#93
○元信委員 手当の性格はもちろんそのとおりでありますけれども、実質上の手当の存在の意味、私はこういうことじゃないかと思うのですけれども。
 国家公務員を広域的に人事異動で異動をする。そうすると、物価の低い地域あるいは生計費の低い地域、こういうところに勤務している人を、生計費の高い例えば大都市などに異動をするとしても異動に非常に困難を生ずる、こういうことがこの手当の実効的な存在理由じゃないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
#94
○鹿兒島政府委員 御承知のように現在の調整手当は昭和四十二年以来の制度でございます。四十二年に、人事院が、この手当につきまして都市手当という形で勧告いたしましたことは御承知のとおりだろうと思います。それが調整手当という形になったわけでございますが、先ほど来お話がございますとおり、やはり主として大都市におきましては、民間賃金、物価、生計費、こういうものが比較的高いということを考慮したことが一つ。それからいま一つは、四十二年当時、初級職の採用につきまして採用が比較的困難だという事情もございまして、そういった点も配慮いたしまして、現在の調整手当ができたというぐあいに承知いたしております。
#95
○元信委員 総務庁長官に伺ったので、人事院に聞いたわけじゃないわけだから、もう一遍総務庁長官、あなたは直接雇用者としての責任ある立場においでるわけですから、今人事院から御答弁あったとおりだろうとは思うけれども、あなた方は第三者機関なんだから、そういう雇用者としてのお立場の人に質問したときに、余り出しゃばって答弁をせぬようにひとつしてもらいたいと思うのだが、その責任者としての総務庁長官の御意見をもう一遍伺いたいと思います。
#96
○江崎国務大臣 この地域の各実態について専門的に調査研究を行わなければ、改正手続ができませんね。これは人事院がこうした調査研究を行う、その結果、改正をする必要があるという旨の勧告がなされるというふうに思われます。勧告が出された場合には政府としてこれを尊重し、適切に対処していく。やはり人事院に主体性があるわけであります。
#97
○元信委員 この制度について、各地の公務員の皆さんから、先ほど申しましたように大都市であって支給されてない、こういう地域の皆さんから、随分改善方の要求が上がっていると思いますが、総務庁長官としてはそのことについてどういうふうに把握をされておるか、あるいはどういう御認識であられるか、改善方について認識があるかどうか、承りたいと思います。
#98
○手塚政府委員 今の点、私どもの方には残念ながらそれほど陳情が参っておりません。したがって大臣にも上げておりません。
#99
○元信委員 実際上、異動を行ったりする場合に調整手当の問題が、これでは調整手当低過ぎてとても大都市では生活できないよと、採用あるいは異動等人事の管理上、問題になっているというような認識をお持ちですか。
#100
○手塚政府委員 確かに人事異動に際して、地域の差による物価、生計費等の問題、こういったために人事異動がなかなかやりにくいというような話は、いろんな方面で聞いたことがございます。それはやはり人事管理上、当然配意していかなければいけないことだというふうに認識しております。
#101
○元信委員 人事管理上、実際問題としていろいろそごを来しておる、こういう認識だというふうに理解してよろしゅうございますね。
 そこで人事院に伺いますが、当委員会でもこの問題はたびたび議論になっているわけでございます。私も昨年八月二十日に開催されました閉会中審査、当委員会で質問したわけですが、人事院の御答弁は、制度そのものに矛盾を生じている、拡大しつつあるということはお認めになって、その是正のために今データの集積に努めている、こういうことだったと思いますが、このデータ集積という仕事の進捗ぶりについて具体的に伺いたいと思います。どういう仕事をされていますか。
#102
○鹿兒島政府委員 まず、私どもにおきましては、各地域におきます賃金の状況というものをここ数年来調査をしておるわけでございます。ただ、遺憾ながら、各地域の賃金の状況を民調規模で調べますと、一つの都市当たりの企業数というものが少ないし、サンプルに移動があるということもございまして、ここ数年来の調査におきましてはまだ安定的な結果を得るに至っていないわけでございます。
 そのほか、私どもではございませんが、他の省庁におきます賃金状況の調査でございますとか生計費の調査等を拝見しているわけでありますけれども、御承知のようにこれらは主として県単位の調査でございまして、都市別の調査には必ずしもなっていないということがございまして、なかなか自信を持ってお示しできるだけの調査の集積にはまだ至っていないという状況でございます。
#103
○元信委員 数年来というお話でございますが、具体的にはいつから始めていつまでのめどでこの調査をなさるのか。数年やってみたけれども民調ではよくわからぬ、安定的な数字がつかめない、お示しできないということだけでは、矛盾の存在している地域に勤務する公務員の皆さんは、一体どういうふうに考えておったらいいのか甚だ心もとないと思うのですよ。あなた方が調査をしているというのであれば、どういう調査をしているかということを具体的に示し、いつごろこういうような案が示せる、あるいは今おっしゃったように安定的につかめないというのであれば安定的につかむための努力をしなきゃならぬわけですね。どういう努力をこれからしようとしているのか、そこのところをもう少し具体的に見えるようにおっしゃってください。
#104
○鹿兒島政府委員 民間給与の支給状況につきまして、民調の補充調査という形で昭和五十七年以降調査をしているわけでございます。そして、約四千の事業所を抽出いたしまして調査を行っているわけでございますが、結果につきましては、都市の地域というものが非常に細分化されておりますために安定的な結果を得るには至っていないということでございます。
#105
○元信委員 それでは、五十七年と言うから、五十七、五十八、五十九、六十、六十一と、来年度で五年目になるわけですね。今まで四年やっていて安定的な結果が得られないということになりますと、あと何年やってもこれが安定するかどうかわからぬでしょう。その間にこういうものは経時的にどんどん変化するものですね。四年やっても安定しない性質のものを、あと二年やって、三年やって安定するとはとても思えないので、その辺はどういう見通しをお持ちなんですか。いつまでやっても安定しない、安定しないではちょっと納得できないと思いますよ。
#106
○鹿兒島政府委員 御指摘のように、確かに調査の方法にも問題があろうかと思います。調査のやり方につきましてもまた検討を続けたいと思っておりますが、これはもう十分御承知のように、各地域の事情というものは非常に変動の要素が多うございまして、それを直ちに給与に反映させるということになりますと、これまた配慮の内容というものも非常に多岐にわたるわけでございます。
 御承知のように、現在支給されております地域につきましては私どもは大別した調査というものができるわけでございまして、その結果につきましては、昨年勧告いたしましたようにいわゆる九%地域を一〇%にするという程度のことはできますが、各都市ごとにそれぞれ、どの程度の数値を出すかということにつきましてはいま少しく検討の時間をいただきたいと思います。
#107
○元信委員 いま少しく検討の時間とおっしゃいますけれども、それではマキシマム、どれぐらい検討の時間があればいいと思っておるのですか。それぐらいのことははっきりさせておいてくれないと、もう少しもう少しと言って先へ先へ延ばされたのでは、とても全国の公務員の皆さんは我慢できないと思いますよ。
#108
○鹿兒島政府委員 今ここでいつまでということを申し上げるほどのデータを実は持っておりませんけれども、御案内のように大都市近郊につきましては、若干のデータなり既存の考え方に基づきまして官署指定という方法で補充を行っております。ただ、お話がございますように、全国を一律に見ました場合に非常に問題がある、四十二年以来の経済的、社会的発展によって、問題が出ているということは重々承知をいたしております。
#109
○元信委員 今まで四千経営体の抽出調査で補充をしておるというお話でしたが、それでは安定しないというのでしたら、六十一年以降安定させるためにどういう具体的方策を考えていますか。
#110
○鹿兒島政府委員 初めに申し上げましたように、私どもは、この民間給与の支給状況の補充調査のほかに、他の省庁が用いております生計費でございますとか物価の状況でございますとか、そういうものもあわせて調査を続けてまいりたいと思っております
#111
○元信委員 だから、来年度はどういうふうに具体的にやるのですか。今までのやり方ではだめだったとあなたはおっしゃっているのだから、来年度飛躍的な改善がなされるはずだと思うのですよ。どういう改善を具体的に準備しているのか、それをおっしゃってください。
#112
○鹿兒島政府委員 まことに申しわけございませんが、まだ具体的な案というものは持ち合わせておりませんけれども、現在行っております民間給与の支給状況の補充調査というものの精度を高めるような工夫をしてみたいと思います。
#113
○元信委員 来年度からやるとおっしゃっておきながら、具体的な方法がない。来年度まであと何日ありますか。
#114
○鹿兒島政府委員 間もなく今年度も終わるわけでございますけれども、現在、ことしの民間企業の実態調査の方法につきまして、いずれ五月以降実施しなければいけないわけでございますので、目下内部で検討中でございます。
#115
○元信委員 実際、誠意を疑うわけですよ。ずっと陳情なり要望なりあるいはこの委員会で意見なりあって、そうしてあなたたちは、今までの調査では精度がない、大体自分たちがやった調査が精度がないと威張っているのもまことに不思議なような気がするわけでありますが、その精度を上げるための努力をそれでは何かするのかと言えば、あなたの表現によれば、間もなく始まる六十一年度にも何にも具体的な方策がない、こうなんでしょう。とてもまじめな態度とは言えないと思うのですね。そうすると、一体この問題をどう考えているのか。ずるずるずるずる引き延ばしていって、そのうちあきらめるだろうと思っているのか。どうなんですか、本当にまじめに解決するつもりがあるのですか。
 後から私はまとめて意見を申し上げますが、こういうやり方だと永遠に信頼するに足るデータなどというのは出てこないのじゃないか。やり方、考え方自身に問題があると思うのですが、人事院総裁、どうですか。
#116
○内海政府委員 おっしゃいますように、調整手当をどういうふうな調査で、そしてどういうふうに定めていくかということは、今局長からも答弁しましたように大変難しいということは御認識いただけると思うのですが、私もこの仕事に当たりまして、この調整手当の問題というものの深さというものを非常に痛切に感じているわけです。殊に都市の状況あるいはその地域における経済諸条件というものが大きく変化をしております。そういうふうなものをどういうふうな調査によって、どういうふうにとらえて、そしてその答えをどういうふうに出していくかということは、やはりしなければらならないと私は思っております。だから、難しい問題でありますけれども、意を決して、できるならばそういうふうな精度の高い調査というものをぜひ試みたい、こういうふうに思っております。
#117
○元信委員 人事院は第三者機関として責任があるわけなんですよね。あなたたちが、自分たちがやっている調査はさっぱりだめです、そう言っていつまでもお茶を濁していられると思ったら大間違いだと思うのですよ。
 今までやった調査のデータというのをひとつ公表してみんなで議論してみる必要があると思いますが、公表の用意はありますか。
#118
○鹿兒島政府委員 まことに申しわけございませんが、サンプルそのものが不安定だということを先ほど申し上げました。したがいまして、不安定な数値を公表するということになりますと、数値自体がひとり歩きするおそれもあるわけでございまして、私どもも鋭意調査、検討いたしますので、いましばらく公表ということも御容赦いただきたいと思います。
#119
○元信委員 あなたたちは、自分たちで調査をして、そのデータが不安定で精度が低くてだめだと言って、必要な勧告をせずにいるわけです。そしたら、それが不安定なのか精度が低いのか、そのことはあなたたちだけが今判断している状態でしょう。それじゃぐあいが悪いと思うのです。当事者が早くせよ、これじゃ困るとやいやい言っているのですから、そういうものは公表して、みんなで一体どういうものなのかということを考えてみる必要があると思うのですね。あなたたちが、ただ不安定なだけだということでデータを抱え込んで秘密にしておく理由は何にもないと思いますよ。秘密にしなければなりませんか。考え直してください。これは国家秘密かね。
#120
○鹿兒島政府委員 従来のサンプルにつきましては、必要に応じましてお示しすることもできようかと思います。
#121
○元信委員 「サンプルにつきましては」どうのと、ややこしいことを言わぬで、はっきり言ってください。今まで集めたデータについては公表しますね。
#122
○鹿兒島政府委員 若干のケースをとらえまして、お示しすることはできると思います。
#123
○元信委員 ケースじゃなくて、何でその生データをちゃんと公表できないのですか。あなたたちが調査をしてこれじゃだめだと言っているのですけれども、だめかどうかをみんなで考えようというのですから、我々のところへ示すべきじゃないですか。
 人事院総裁、いかがですか。これくらいのことはできるでしょう、別にそんな天下の大秘密をあれしようというのじゃないのですから。
#124
○内海政府委員 できるだけのことは私も考えてみたいとは思いますけれども、今局長が申しますように、やはりそういうものはひとり歩きをするおそれもありますし、また、ひとり歩きをしたことの影響というものも非常に軽視できないと私は思います。これは先生方も十分御了解いただけますように、調整手当というもののバックグラウンドと、そして今日までの経緯というものを見ております場合、反面ではより正確なデータによって修正するということも必要でございますが、同時に、これをどういうふうに変えていくかということになりますと、あだやおろそかになかなかできない問題がある。
 大変僭越な言い方だったらお許しをいただきたいのでございますけれども、随分古くなりますが、昭和四十二年に一遍この問題について、これは凍結でもございませんが、余りいじくらないでひとつよく見てみろというふうなお示しをいただいたこともございます。そのことは、この調整手当の決定の条件というものがいろいろな意味で非常に難しいものがある、こういうふうに考えられるゆえだと私は理解いたしております。
 しかし、今るる御意見をいただいておりますように、この問題は決して放置してしかるべきものではございませんし、また公務員にとっては重大な関心を持っておる問題でございますから、私どもとしてはこれからも極力努力はしていきたいと思いますが、今持っておるそのデータをすぐここへさらけ出せとおっしゃることについては、先ほど言いましたように、そしてまた局長も言っておりますように御勘弁を願って、またいろいろな形でお知恵を拝借いたしたい、こういうふうに思います。
#125
○元信委員 資料を示さずにお知恵を拝借したいもないものだと思いますけれども、データのひとり歩きが怖いというのですが、どこへどうひとり歩きで行くと思っているのか、何を想定して怖いと言っているのですか、はっきりしてくださいよ。
#126
○鹿兒島政府委員 例えばある年について申し上げますと、五十七年以降、私どもが民間企業の調査を役職五段階でやってみますと、ある年におきましては九八・六という数字が出ますが、その翌翌年は一〇七、それからその翌年が九六・七というようなぐあいに実はなっておるわけでございます。これはやはり各年ごとのサンプルの移動によってこういうばらつきが出てくるということでございまして、そういう意味で、例えばこの一〇七の数字だけがひとり歩きしますとそれがまた一つの大きな影響を与えるということになるのではなかろうか、このように思うわけでございます。
#127
○元信委員 今のような数字だったら、別にひとり歩きするようなことはないと思うのですよ、年によって随分違うなということがそのことによって承知されて――それとも何ですか、それを私どもに見せると、どこか高いところだけをとらえて、こういう高いところがあるんじゃないか、これにそろえよ、そう言われるのじゃないかと心配して、それをそういうひとり歩きなんて言っているのですか。
#128
○鹿兒島政府委員 そういうつもりで申し上げているわけではございませんで、特定の一部分のデータだけが抽出されると、またいろいろと誤解を受けるおそれもあるということでございます。
#129
○元信委員 だから、全部を公表しなさいと言っているのですよ。あなたの方で特定の一部分のデータだけを抽出しようと言うから、あなたたちが特定の意図を持って、この問題のいたずらな遅延を目的にそういう自分たちの調査の精度を落としめるようなことを言っているのじゃないか、こういう疑いがあるから、全部のデータを公表した方がいいんじゃないですか。あなたたちだけが正しい判断ができて、それ以外の我々を含めての人間は正しく判断できないというならば、それはそういうことをあなたが言うのももっともだと思うが、そういうことですか。
#130
○鹿兒島政府委員 決してそういうつもりで申し上げているわけではございませんで、その数字の問題として、一部分のデータだけが援用されますとそれがまた大変問題を起こすということを申し上げているわけでございます。したがいまして、特定の年につきまして、その年の従来のサンプルというものをお示しすることはできようかと思います。
#131
○元信委員 特定の年についてというのはどういう意味です。あなたたちが調査したところを全部示すべきじゃありませんか。我々が要求したところだけを示すという意味なんですか。どういうことを考えて言っているのか。僕は本当に、あなたが言うように特定のサンプルだけを示すことの方が余計に混乱をもたらすと思いますよ。全都さらけ出して、このとおりでございますからどうしましょうかと言えば、我々も知恵の出しようがあるが、あなた方が目隠しをして、これこれと小出しにして見せて、これで知恵を出せなんて言ったって無理でしょうが。
#132
○鹿兒島政府委員 私が申し上げておりますのは、データが不安定であるということを申し上げているわけでございまして、不安定なデータが何か一つの大きな証拠であるかのように扱われるということを大変懸念いたしているわけでございます。
#133
○元信委員 だれがそんなことを、証拠のように扱うと言っているのですかね。あなたたちだけが数字がわかって、我々に示すとその数字そのものを理解できぬ者がそういうことを言うのだと、まさにそう言わんばかりじゃありませんか。随分国会を軽べつした言い方じゃないかなと思いますが、少なくとも我々はそんなふうには考えていないのですよ。それならきちんと示すべきじゃないですか。これだけの年についてこれだけ調査をしてみた、結果はこうでございますと、これがどうして言えないのです。こんなことで時間をとりたくないから、ちゃんとやりますと返事しなさいよ。
#134
○鹿兒島政府委員 お示しできるような工夫を早速してみたいと思います。
#135
○元信委員 ところで、そんなことばかりにかかずり合っているわけにいかないから先に行きますが、調整手当を決定する要素として、先ほども総務庁長官でしたか、民間賃金、物価、生計費等、こういうふにおっしゃいましたけれども、それは間違いございませんね。
#136
○鹿兒島政府委員 生計費、民間賃金、物価、それから先ほど申し上げましたように、四十二年の際には職員の採用状況というものも頭にあったということを申し上げたつもりでございます。
#137
○元信委員 それらの三つあるいは四つの条件というのは、全部具備していなければならぬわけですか。
#138
○鹿兒島政府委員 そのウェートの置き方でございますけれども、私どもは基本的には、これまで民間の賃金調整、民調によって調整手当についていろいろ勧告を申し上げてきたわけでございます。現在、総体的には、御承知のとおり生計費につきましては全国的に平準化する傾向にございます。物価にっきましてもほぼ同様でございまして、やはり現在ウエートをかけるとすれば民間賃金ということになろうかと思います。
#139
○元信委員 先ほど私が質問したことに答えておっしゃったのは、要するに調整手当の実効上の値打ちは、人事異動あるいは採用をスムーズにすることだ、こういうお話でしたね。そうすると、民間賃金が主要だと言うけれども、例えば国家公務員が転勤を命ぜられたとする、転勤した国家公務員は何の賃金をもらうかというと、民間賃金をもらうわけじゃないですね。そこで、異動についてあるいは採用について一番実効的な要素というのは、僕は物価あるいは生計費じゃないかと思うのです。生活できないから困るというのです。
 今のお考え方によると、民間賃金が一番主である。しかも、その前の答弁によると、民間賃金は乱高下が非常に激しくて不安定である。確かにそうだと思うのです。民間賃金というのは、その産業の地場、地場の特性によって非常に不安定になりがちですね。それは、例えば今のような猛烈な円高のもとでは特定の産業が極端に不振に陥るというようなことはある。この速度は非常に速い。こういうものに依拠している限り、何年やっても何十年やっても、調査精度が上がるとかデータが安定するというようなことはあり得ぬと思うのですよ。そうだとすると、異動等の便を考えるのであれば、むしろその要素は軽く見て、生計費とか物価、これらは非常に安定していますね。そんなに乱高下ないですね。そっちの方へウエートを置かなければ安定した結果なんか出ませんよ。どうですか。
#140
○鹿兒島政府委員 調査内容の安定度ということから申しますと、お話しのとおりだろうと思います。
 ただ、これも先ほど申し上げましたとおり、現在のところ生計費とか物価というものにつきましては都市別のデータが十分手に入らないという状況でございます。したがいまして、現在のように都市別のいわゆる調整手当を出しているという場合には、なお十分説得力あるデータが入手できないということがございます。
 異動につきましては、今お話しのとおりでございまして、かつて採用が非常に困難でありましたときに調整手当を配慮したこともございますし、また御承知のとおり、異動の支障にならないように、現在三年間の異動保障というものをつけている状態でございます。
#141
○元信委員 物価、生計費について都市ごとのデータがないなどとおっしゃいますが、例えば全国物価統計調査報告というのを総理府統計局が主な都市について出していないですか。どうですか。
#142
○鹿兒島政府委員 総務庁の統計局で消費者物価地域差指数というものを出しておりますけれども、これは市町村別のデータとしては県庁所在都市のみということになっております。
#143
○元信委員 ここに五十七年の分がありますけれども、それは例えば北海道で言うと、札幌市、函館市、小樽市、旭川市、室蘭市、こういうふうに各市ごとに出ていますよ。どうして県庁所在地だけなんですか。
#144
○鹿兒島政府委員 失礼いたしました。おっしゃるのは全国物価統計調査、総務庁の統計局だろうと思います。これは都道府県別に人口十五万人以上の市、百二十八市町村だけが調査をされているという状態でございます。
#145
○元信委員 問題になっているのは大体そこらで包摂されていませんか。されていると思いますね。それより小さいところで問題になるところというのは比較的少ないと思うのですね。こういうデータがあるのですから、調査ができないなどというようなことは僕はないと思いますよ。
 それで、先ほど人事院総裁は非常に奥歯に物の挟まったような言い方をなさいましたが、この問題でどこが難しいかというと、見直しをすると、現在支給地であってその条件から外れるところがあって、これを外すとなるとそこらから猛烈な抵抗があって外せない。一方において外せなくて、他方において新しい支給地をふやさなければならぬ。これはつらい。こういうことなんですか。
#146
○鹿兒島政府委員 新しい地域の指定につきましても種々問題がございますが、お話のように、現在支給されております地域、主として三%地域でありますが、三%地域につきましても、現在の状況から見ますと、物価にいたしましても生計費にいたしましても必ずしも平均値よりも高くないという都市がございまして、そういう地域の扱いをどうするかということも大変重要な問題だと思っております。
#147
○元信委員 どうするかが重要だというのではなくて、どうするおつもりなんですか。あなた方は今調査をやっているのでしょう。調査の結果そういうものが出たときは、そういうのはどうするつもりなんですか。
#148
○鹿兒島政府委員 これはまだ全く仮定の話でございますが、かつて暫定手当を支給しておりまして、これを徐々に地域を解消しました際に、暫定手当を年次を定めまして本俸に繰り入れるという措置をとったことがございます。
#149
○元信委員 この地域調整手当の問題は、お話がありましたように昭和四十二年に制度ができたときに、たしか国会の附帯決議があって、やたら広げるな、こういうことがあったのでということをあなた方は盛んに盾にしておっしゃるようですけれども、しかしその後も矛盾の拡大にはたえられなくて、実際には官署指定というやり方でやってきましたね。官署指定というやり方は現在支給地に指定されているところの周り、隣接しているところだけ、この役所、この役所、この役所というような考え方によってなし崩し的に広げてきたわけですね。
 ところが、そういうやり方をやると、もう二十年近くたっているわけでありますから、大都市の近郊だけ、指定地の隣接区だけがそういう問題が起きるというわけじゃないと思うのです。産業構造がどんどん変化してきまして、今までそんなこともなかろうと思ってきた地方都市が一挙に急成長して、県庁所在地よりも都市規模も膨らんだ、あるいは雇用でありますとか物価、生計費、そういうものも急速に大都市型に変わってきた、こうようなケースはありませんか。
#150
○鹿兒島政府委員 まず官署指定でございますが、お話のとおり、官署指定につきましては、確かに、大都市周辺の地域で極めて矛盾が生じてきたという場合に、これを解消いたしますいわば便法としてこれまで官署指定をしてきたわけでございます。したがいまして、大都市の隣接地域に限られてこういう指定を行ってきたわけでございますが、何分、昭和四十二年に基本的な地域区分が決まった制度でございますから、御指摘がございましたとおり、その後の社会経済の変動によりまして、都市のあり方というものも大いに変わってきている部分がございます。したがって、大都市の周辺でない地域につきましても問題になる地域があるということは認識をいたしております。
#151
○元信委員 そういう例として、私の選挙区の浜松という町があるのですが、今では東海地方で名古屋を除いて二番目の大都市になっているけれども、そういう歴史的沿革からいって、静岡県でいうと静岡とか温泉地の熱海、伊東、こういうところは支給地になっているわけですけれども、浜松は孤立しているばかりにそういうことにならない。そうですね。そうだとすると、一体この問題をどう処理するかということについて、浜松で今生活している、勤務をしている公務員の皆さんの立場から考えてみると、私は今のような答弁じゃ困ると思うのです。実際、浜松市調整手当指定促進会議という組織がありまして、これは労働組合じゃありませんよ、浜松にある国の官公署の各出先機関の長が集まって、今は静大の工学部長がその議長になって、会費まで取っているのです、管理職が千円、一般が五百円。会費を取って、何とかしろといって、やいやい運動しているわけです。
 それでは、その浜松市がどういう状態にあるかということを先ほどお話があった三要素に即して言うと、民間賃金は乱高下がひどくてわからぬということから、これは抜いて、例えば物価について言うと、東京を一〇〇として、浜松は九四・三、これは大阪の九四・三と一緒で、名古屋の九三・幾つより上だ。生計費については、これはちょっとデータが古いですが、昭和五十六年の資料によると、東京が消費支出が三十五万六千七百七十五円、静岡が二十五万五千七十七円、浜松が二十八万三千百五円、名古屋は二十四万三千七百十一円。名古屋、静岡より浜松の方が高いわけですよ。こんなものをいつまでも放置していていいものですか。どうですか。
#152
○鹿兒島政府委員 現況におきましては、国家公務員の場合には静岡市に三%支給されておる、浜松はゼロということになっております。
 御指摘のような、例えば物価につきましては、五十七年に総務庁が実施しました統計結果の調査ということがございます。これは五年ごとの調査でございますので、最新の調査が五十七年かと思いますが。そして、賃金その他の指数、私どもなりに今見ておりましても、例えば今お話がありました賃金指数で見ますと、浜松の場合には民間賃金、これは五十七年から五十六年の先ほども申し上げました補充調査でありますが、これが浜松市の場合には一〇三・三ということで、物価が一〇四・四、これはいずれも非支給地を一〇〇とした場合の数値であります。これに対しまして、静岡の場合の民間賃金の指数が一〇四・五、それから物価が一〇五というような数字が出ておるというぐあいに理解しておりますが、おっしゃるように両者の地域の格差というものは大きなものはないということは事実であろうかと思います。
#153
○元信委員 数字のとり方によっていろいろ細かいところは違うと思いますが、おおよその認識では一致しているわけですね。しかし、そうであるにもかかわらず、今人事院から繰り返し御答弁があったところによると、まだまだ精度の低い調査を続けるつもりであって、いつになったらちゃんとした勧告ができるかどうかさっぱりめどもつかない、こういうことなんですね。そうだとすると、私は今までのやりとりを聞いていて思うわけでありますけれども、一体あなた方がやっているようなことをずっと続けていって実りがあるかどうかということについて大変疑問を感じるわけです、こう言っては申しわけないが。ですから、そうだとすると、この指定方式そのものを考え直す必要というのはあるんじゃないかと思うのですね。
 時代の変化とともにいろんなことが変わっています。例えば調整手当の矛盾として言われるのは、例えば東京に勤めているとこれは東京の一〇%の手当、こういうことになりますね。ところが、実際には埼玉県で生活をしている、千葉県で生活をしている人が少なからぬ部分はあると思うのです。それはいいですけれども、今度は逆になったらどうしますか。生活は指定地でやっておって、勤務先はその反対だ。具体的に言うと、静岡に住んでおって浜松へ勤めるようになったらこれが支給をされないということになると、生計費などというものは大部分が自分の住居の方で支払うわけです。そういうことを考えるといろいろ矛盾は多いというふうに思います。土地の線引きの問題というのもどこまでもついて回る問題です。そうだとすると、一体このような矛盾がついて回る制度、しかも経時的にどんどん変わる性質のものを相手にしているわけですから、どんなに行っても後追い的、みんなが満足する形というのにはならないということになりますと、抜本検討ということをしなきゃならぬのじゃないかなというふうに思うのです。あるいはかつてやったように一遍本俸への繰り込みを考えて、その上で解消をしてから、新たな指定といいますか支給方式を考えるとか、そこらはいろいろあろうかというふうに思いますけれども、客観的に見てだれでもが納得ができ、しかもそれが変化に即応できるような制度に改めるということを、この際人事院として考えるべきじゃないか。今のような実りのない調査をいつまででもだらだら、だらだら続けて、ちょっと待て、ちょっと待てと言っているよりは、そういう方へ、労働組合等を含めて意見を徴していくべきではないか、こう考えます。いかがですか。
#154
○鹿兒島政府委員 これまでもたびたび申し上げておりますとおり、現在の調整手当にはいろいろと問題点がございます。先ほど来お話がございます地域の問題もございますし、また、今お話の中でございました、在勤地で調整手当を決めるのかあるいは居住地で決めるのかというような問題もございます。そういうことで非常に多々問題がございまして、これも先ほどお話がございましたように、四十二年に現在の調整手当制度ができましたときにいろいろと附帯決議もいただいておりまして、暫定的な凍結ということにも実はなっておるわけでございまして、今非常に難しさがあるということをひとつよく御理解いただきたいと思いますが、私どもこれから鋭意勉強いたしまして、何らかの安定したこういった地域的な給与制度のあり方というものを早急に検討してまいりたいと思っております。
#155
○元信委員 今の御答弁だと、抜本的な制度の変更もあわせ考える、こういうふうに受け取れたわけですが、人事院総裁、そういうことでよろしゅうございますね。
#156
○内海政府委員 今の局長が申しましたが、私も、この問題については、現在の考え方に基づいていろいろ精度を深めていくということのほかに、この制度自体が一体どうなのかということを考える時期に来ていることは間違いないと思います。したがって、いつどういうふうにしてやるか、こう問われると、私、今その答えを出すことはできませんけれども、今おっしゃるような意味合いも含んで、やはり半面において、根本的にこの制度自体を考えてみなければならぬということの必要は痛感いたします。
#157
○元信委員 矛盾を早期に解消されますようにお願いをしまして、この問題については終わりたいと思います。
 次に、国鉄の余剰人員の解消問題について、特に公務員とのかかわり、これについて承りたいと思います。
 政府は、昨年十二月十三日付で国鉄余剰人員雇用対策の基本方針を発表されたわけですが、そのうち国あるいは地方団体、特殊法人、これで引き受けるという部分について質問したいと思いますが、政府は公的部門で三万人、こういうふうに示されたわけですが、これを六十一年から六十五年の間に引き受ける、こういうことですね。その年次計画、それから六十一年には何人採用する予定になっているか、ここのところから承りたいと思います。
#158
○中島(眞)政府委員 ただいま御指摘のとおり、公的部門につきましては六十一年度から六十五年度初めまでの間に三万人を目標とするということにいたしております。
 そして、六十一年度につきましては国、特殊法人等、それから地方公共団体を通じまして約二千六百名を目標といたしております。
 六十二年度以降の採用につきましては、この閣議決定の際に、六十一年秋を目途に国鉄余剰人員採用計画、分野別等の採用計画でございますが、これを策定することにいたしておりまして、その中で明らかにするということにいたしております。
#159
○元信委員 二千六百名というお話でしたが、国、地方公共団体、それから特殊法人、この三つ合わせてということだと思いますが、その内訳はわかりますか。
#160
○中島(眞)政府委員 国の関係につきましては国と特殊法人を合わせまして約千六百名、それから地方公共団体約一千名でございます。
#161
○元信委員 先ほどの話じゃないが、昭和六十一年度は間もなくやってくるわけでございますが、四月一日採用についてはこの二千六百名のうちどのぐらいのめどがついていますか。
#162
○手塚政府委員 これは四月一日というふうにおっしゃられても、そこら辺はまだはっきりいたしておりません。現在内定しておりますのが、国関係ですが、もう既に五百名以上ございます。それらにつきましては当然四月一日に採用はできるかと思います。
 ただ、今度の場合には、いわゆる新卒者を採用する場合と違いまして、送り出し側の国鉄の状況もございますし、受け入れ側の状況もあります。したがって、四月一日にこだわらず、準備ができ次第逐次面接等も行い、適当な人を選んで採用していく、そういう方式をとっております。
#163
○元信委員 しかし、役所の方は大体四月一日に人を採用するのが通例でありますから、ここで採用できないとなると、後の人の需要というものの発生は、見通しは極めて難しいと思うのですね。年度終わりまでに千六百人必ず達成できるという自信はありますか。
#164
○手塚政府委員 先ほど、一応目標値として国関係、特殊法人も含めて千六百名というふうに雇用対策本部事務局長からお話がございましたが、内訳を申しますと、国家公務員については約千二百名、特殊法人は四百名と積算しておりました。実はこの積算の根拠は、五十九年度の採用実績値を一応の基準にして、もとにしているわけです。したがって、五十九年度と六十一年度、実情は大分違います。むしろ六十一年度の方が落ち込むと思われているわけなんです。ただ、現実には、各省庁の協力を得まして、国関係で申せば約千二百名の目標値で考えていましたところ、我が人事局の方に各省から、六十一年度中に千四百名採用したいという登録が既に参っているわけです。
#165
○元信委員 それでは公共団体の方の反応を伺いたいと思いますが、公共団体の方で千人というのはどういう根拠に基づいて決まった数字なのか、それから消化の見通しはどんなふうにお持ちなのか、承りたいと思います。
#166
○中島(眞)政府委員 地方公共団体につきましては、先ほど先生御指摘の昨年十二月十三日の閣議決定におきまして、国が講じる措置に準じまして、地方公共団体においても積極的に国鉄職員の採用を行うということを示したわけでございます。そういうことで、自治省の方から地方公共団体に対する通知等も出されまして、その徹底が図られているところであります。
 基本的には国と同じように、これまでの採用の実績をもとにいたしまして、それから特別の資格を必要とする職種などにかかわりますものを除いた数を基礎といたしまして、それに対して国に準じた場合ということと、それから、地方におきましても六十一年度については既に採用手続が進んでおりますので、そういう要素を勘案いたしまして一千名という目標を示したわけでございます。そして、地方公共団体の方からは続々と採用の申し込みがございます。
 ただ、これにつきましては六十一年度から六十五年度初めまでという採用の数を一括してお示しのところが多うございます、もちろん六十一年度何名というところもございますけれども。そういうことで、六十一年度から六十五年度初めまでの全体で、今集計いたしますと約四千四百五十名という数字になっております。六十一年度につきましては、国鉄の方に明確に六十一年度の数字として示されておりますものは今日までのところ約三百名でございますけれども、先ほど申し上げた六十五年度までの採用数を既に示された都道府県の中で、六十一年度の数字がまだ示されてないところもございますので、そういう要素を勘案いたしますと、約一千名という六十一年度の目標については達成が可能であると考えております。
#167
○元信委員 達成可能と考えておるというのですが、例えば一例を挙げると、静岡県の天竜市長は、市議会でこういうことを言っています。市の事務職員の年間採用は四、五人にすぎぬ、国鉄職員を余計受け入れる余地はない、国鉄職員のサービスの悪さとストライキに日ごろから悩まされているだけに市民の中にはアレルギーがあるので、国鉄職員に同じ調子で市役所の窓口で仕事をやられては、市民にも市職員にも悪影響を及ぼすなどと言っている人があるわけなんです。
 そうすると、今三百人あるから大体年度末までに千人というあなたのお考えはちょっと甘いような気もしますが、総務庁長官、最終的に二千六百人という数字については政府がそういうふうにおっしゃったわけで、自治体には要請はするとしても強制はできぬわけですね。そうすると、この数字の達成については政府が責任を持つ、こういうふうに考えてよろしいですか。
#168
○江崎国務大臣 この再就職の問題は、少なくとも分割・民営の試金石というか、取っかかりの一番大事な問題なんですね。ですから、これは政府が責任を持った以上は当然全責任を持って不安なきを期したい、これはもうお約束できます。
#169
○元信委員 ところで、採用の方法について昨年十一月十九日の当委員会において、当時の後藤田総務庁長官は、特別任用という人事院の規則もある、こういう御答弁でございました。特別任用でいく、こういうお話ですが、人事院は特別任用という制度を御存じですか。
#170
○仙田政府委員 国公法上の用語として特別任用という言葉はございませんが……
#171
○元信委員 なければないでいいです。
 それでは総務庁長官、特別任用というものは知らぬと人事院はおっしゃっているわけですが、この後藤田長官の特別任用というのは一体何を指しているとお考えですか。
#172
○手塚政府委員 後藤田長官もなかなか大変な方ですが、すべてのことについて詳しい方ではございません。特別任用というのは法令用語として使ったのではなくて、特別に任用していただきたいということで使ったのだと私ども理解しております。したがって、私どもの方は国公法三十六条、それから人事院規則八―一二にございます選考採用、これを指して後藤田長官は特別任用とおっしゃったものと理解しております。
#173
○元信委員 大臣が言っていることを役人が後になってこう言ったと思うだなんて解釈をするのはおかしいと思うのだけれども、まあいいでしょう。
 特別任用は選考採用の言い間違いだ、こういうことにいたしまして、選考採用というのは本来制度としては非常に狭い制度なんですね。行政(二)表の適用あるいは医師、教員、そういう特別の免許を要する者、これが選考採用の対象ということに、なっているわけですが、これが今言うところの特別任用的な理解で乱用されるのは任用の原則からいっていかがかと思うのですが、この問題について、人事院に政府から特別任用でいきたいというような御相談がございましたか。
#174
○仙田政府委員 国家公務員の採用は原則として競争試験によるというのは先生のお話のとおりでございますが、国家公務員法上の規定といたしまして、採用試験と並んで、採用試験を実施していない官職や、採用試験を実施している官職であっても一定の場合には選考で採用することができるという仕組みがございます。そういう仕組みを具体的に書いておりますのが、先ほど総務庁の方から御説明をいたしました職員の任免について定めてあります人事院規則八―一二でございます。この八―一二による選考採用につきましては、私どももそれから総務庁もいずれも中央人事行政機関でございまして、お互いにこの辺のことは相談するまでもなく了知しているということでございますので、改めてこのことについて御相談があったということではございません。
#175
○元信委員 ちょっとひっかかるお話があったのですが、採用試験と選考というようなお話だったと思いますが、私どもは選考も採用試験の一種じゃないかと思っているのですが、どうですか。
#176
○仙田政府委員 職員の採用の方法につきまして、競争試験とそれから、国公法上の言葉で申し上げますと「競争試験以外の能力の実証に基く試験(以下選考という。)」と、こういうふうに書いてございますが、競争試験と選考という二つがございます。競争試験ではございませんけれども、選考も国公法上の一つの試験であるということは御指摘のとおりでございます。
#177
○元信委員 こんな細かいことにこだわったことを言うのは、どうも政府の方の考え方に甘いところがあるのではないかと思うのです。特別任用というようなことを言ってみたり、あるいは本来非常に狭いところの選考採用についてどんどん押し込むというような考え方があって、私は国家公務員の任用の原則を乱してはならぬと思うわけでありますが、そういう点から考えると非常に御都合主義的な考え方が政府の中にあるのではないか、こう思われて仕方がない。したがって、選考についてもこれは試験だということをこの際はっきり申し上げておかねばならぬと思って、今指摘をしたわけであります。
 そうしますと、選考も試験だということになりますと、既に人事院はどういうような試験をするかということについてガイドラインのような通達をお出しになったようでございますが、この中では総合評価をすべきであるというようなお考えもあったと思いますが、そうなると国鉄の方からこれでどうかと言ってきてもはねられるケースがあって当然であると考えますが、いかがですか。
#178
○仙田政府委員 採用する各省庁におきましては、国鉄からの推薦者につきまして所要の選考を行った結果、はねられると申しますか採用に至らないという者ももちろん出てくるわけでございます。そうした選考の過程を含めまして、試験対象官職につきましては人事院の方に選考採用の承認申請を出していただきまして、人事院におきましても適正な選考が行われているか否かをチェックいたしまして、その上でこれを承認するということになっておりまして、現在その関係の作業を進めているところでございます。
#179
○元信委員 人事院が事務総長名で二月二十五日付でお出しなった「国鉄職員を採用する場合の任用、給与等の取扱いについて」というのを見ますと、今お話がありましたように、適切な数の国鉄職員を対象に選考を行い、総合評価は、五段階評価においては上位三段階以内でなくてはならぬ、あるいはまた三段階評価では最下位の評価は困るというようなガイドラインを出しておられるわけですから、政府の方も余り容易に考えないようにこの際申し上げておかねばならぬだろうと思います。
 同時に、人事院におかれましても、このことが任用の原則を大きく乱して後々に大きな災いの種にならぬように要望申し上げまして、まだまだいろいろ聞かねばならぬことはありますが、時間が参りましたので、また機会を改めてということにして終わりたいと思います。
#180
○志賀委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#181
○志賀委員長 この際、本案に対し、柴田睦夫君外一名から、日本共産党・革新共同提案に係る修正案が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。柴田睦夫君。
    ―――――――――――――
 恩給法等の一部を改正する法律案に対する修正
  案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#182
○柴田(睦)委員 日本共産党・革新共同を代表して、恩給法等の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨を説明いたします。
 政府原案は、恩給年額等の改定を、人事院勧告の給与改善の四月実施を七月実施に値切った公務員給与に連動させるという不当なもので、恩給受給者に一方的犠牲を強いるものであります。
 そもそも恩給の改定は、公務員給与の水準だけでなく、国民の生活水準や物価その他の諸事情に対応して改定するというのが、恩給法第二条ノ二の趣旨であります。この趣旨によれば、恩給の給付改善は人事院勧告を基礎にするのが当然であります。
 これが本修正案を提出する理由であります。
 次に、修正案の概要を説明いたします。
 一般文官及び旧軍人のすべての仮定俸給額、普通恩給等の最低保障額、公務関係扶助料の最低保障額、傷病恩給の基本年額、傷病者遺族特別年金の増額を昭和六十一年四月から実施します。扶養加給の増額及び恩給外所得による普通恩給の停止基準額の引き上げ額も同様の措置とします。
 それぞれの増額、引き上げ幅は政府提出法案どおりであります。
 本修正に伴う必要経費は二百十億円と見込んでおります。
 委員各位の御賛同をいただき、恩給、年金生活者の切実な願いにこたえるため、本修正案を可決されることをお願いして、趣旨の説明を終わります。
#183
○志賀委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。
 この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。江崎総務庁長官。
#184
○江崎国務大臣 本修正案につきましては、政府としては反対であります。
    ―――――――――――――
#185
○志賀委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。日笠勝之君。
#186
○日笠委員 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、恩給法等の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。
 恩給法は、昭和四十八年に給与スライド方式が採用され、昭和五十二年からは現在の給与回帰方式が定着して、毎年の国家公務員給与の改定に基づいて恩給年額を増額するとともに、戦没者の遺族や傷病者の処遇改善、さらには扶養加給の増額等、恩給受給者に対する処遇の充実が図られてまいりました。
 我が党は、平均年齢が七十歳以上にもなる約二百十八万人の経済的基盤の弱いこれらの恩給受給者に対し、何はさておき国家補償としての恩給を一日も早く支給してあげることが、受給者に対しての報いる道であると考えるとともに、さらなる恩給、年金の充実を図っていくべきであると考えるものであります。
 しかるに、近年の厳しい財政事情を理由に、政府は、給与改定の凍結や不完全実施を繰り返してきたために、恩給の改定もその影響を受けてきたことはまことに遺憾とするものであります。
 もとより、人事院勧告制度は労働基本権の代償措置としてあくまでも維持尊重されるべきものであります。しかしながら、今回の恩給改善は、実施時期のおくれは遺憾ではありますが、年金、恩給の実質価値を維持するため、昭和六十年度の公務員給与の改善を基礎として恩給年額を増額させるほか、普通扶助料の最低保障額を他の公的年金の給付水準との均衡を図るために昭和六十年度に引き続き引き上げており、傷病者遺族特別年金についても普通扶助料の最低保障額との均衡を勘案して基本額を引き上げる等の特別改善を加えて処遇の改善を図ろうとする等、政府の恩給改善に対する努力を評価することはやぶさかではありません。
 最後に、公務員給与の改定が恩給受給者に直接影響を与えることにかんがみ、昭和六十一年度の人事院勧告の完全実施と、それに伴う恩給の改善が図られますよう特段の努力を政府に要請いたしまして、賛成の討論を終わります。(拍手)
#187
○志賀委員長 三浦久君。
#188
○三浦(久)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、恩給法等の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
 本法案に反対する第一の理由は、人事院勧告の実施時期を三カ月値切った公務員給与改定に恩給改定を連動させたことであります。
 恩給法第二条ノ二では「国民ノ生活水準、国家公務員ノ給与、物価其ノ他ノ諸事情ニ著シキ変動ガ生ジタル場合ニ於テハ」恩給額を改定し、変動後の諸事情を総合勘案して措置を講ずることとなっております。恩給額の改定指標を公務員給与の改定だけに限定してはいないのであります。実際、政府は、これまでの恩給改定指標を消費者物価指数に求めてきたことがあるのであります。人勧値切りの公務員給与に恩給の改定を連動させた政府の措置は、明らかに法の趣旨に反するものであり、人事院勧告どおり増額すべきであります。
 第二の理由は、今回の措置が大軍拡と財界奉仕のツケを、行財政のあらゆる分野で国民にしわ寄せをする、いわゆる臨調行革路線にあるからであります。
 自民党政府は、行革の痛みを分かち合うと言いながら、実際には国民生活分野、とりわけ福祉、文教予算などを大幅に削減をし、犠牲を国民にのみ強いているのであります。
 恩給にしてもそうです。昭和五十七年以来、恩給は、公務員給与を基礎にするということで改定増額を抑えられています。人勧べースと実施ベースの差額は五十七年度から六十年度まで実に一千五百三十七億円に上ります。いわばこの分が値切られたわけであります。
 防衛費はこの間とうだったでしょう。昭和五十七年度で対前年度比一千八百八十一億円の増額でした。その後もそれに近い増額であり、六十一年度は二千億円を超える大増額であります。この期間、せめて一年間だけでも防衛予算の増額を抑えたら、恩給額の四年間の値切りを無理にやることもなかったのであります。
 恩給は、受給者の老後の生活を支える貴重な施策の一つとなっております。このベースアップを値切ることは、二百二十万人を超える恩給受給者の切実な願いを真っ向から踏みにじる許しがたい措置であり、到底容認できるものではありません。
 本法案に対する反対の理由を述べて、私の討論を終わります。(拍手)
#189
○志賀委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#190
○志賀委員長 これより採決に入ります。
 まず、柴田睦夫君外一名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#191
○志賀委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 恩給法等の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#192
○志賀委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#193
○志賀委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、戸塚進也君外四名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。戸塚進也君。
#194
○戸塚委員 ただいま議題となりました自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の各派共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について速やかに善処すべきである。
 一 恩給の実施時期については、現職公務員の給与との遅れをなくすよう特段の配慮をするとともに各種改善を同時期に一体化して実施するよう努めること。
 一 恩給の最低保障額については、引き続きその引上げ等を図るとともに扶助料については、さらに給付水準の実質的向上を図ること。
 一 恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃すること。
 一 外国特殊法人及び外国特殊機関の未指定分の件について、速やかに再検討を加え適切な措置を講ずること。
 一 恩給欠格者等の処遇について検討すること。
 一 現在問題となっているかつて日本国籍を持っていた旧軍人軍属等に関する諸案件(解決済みのものを除く。)について検討を行うこと。
 一 旧満洲国軍内の日本人軍官の処遇問題について検討すること。
  右決議する。
 本案の趣旨につきましては、先般来の当委員会における質疑を通じて既に明らかになっておることと存じます。
 以上、御説明申し上げます。
#195
○志賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#196
○志賀委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、総務庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。江崎総務庁長官。
#197
○江崎国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、今後慎重に検討してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
#198
○志賀委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#199
○志賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#200
○志賀委員長 次回は、来る二十七日木曜日午後三時三十分理事会、午後三時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時十七分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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