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1985/01/30 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 本会議 第4号
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1985/01/30 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 本会議 第4号

#1
第104回国会 本会議 第4号
昭和六十一年一月三十日(木曜日)
    ─────────────
 議事日程 第四号
  昭和六十一年一月三十日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)
    ─────────────
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑   (前会の続)
 議員請暇の件
 裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員辞職の件
 裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員の選挙
 裁判官訴追委員及び同予備員辞職の件
 裁判官訴追委員及び同予備員の選挙
 検察官適格審査会委員及び同予備委員の選挙
 国土開発幹線自動車道建設審議会委員の選挙
 北海道開発審議会委員の選挙
 国土審議会委員の選挙
 日本ユネスコ国内委員会委員の選挙
    午後二時三分開議
#2
○議長(坂田道太君) これより会議を開きます。
     ────◇─────
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
#3
○議長(坂田道太君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。竹入義勝君。
    〔竹入義勝君登壇〕
#4
○竹入義勝君 私は、公明党・国民会議を代表して、総理の施政方針に対し、重点項目に絞って質問を行うものであります。
 質問に先立ち、新潟県能生町の雪崩災害で亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りし、被災者の救済に政府が全力を尽くすよう求めるものであります。
 さらに、米国スペースシャトルの不慮の事故の犠牲者に対し、心から哀悼の意を表します。宇宙開発に人類の夢を乗せた英雄的な七飛行士の功績は、全人類の心の中に長く生き続けることと信じます。(拍手)
 さて、最近の国際情勢は、米ソ関係を中心に緊張からデタントへ、軍拡から軍縮への曙光がほのかに見え始めました。それだけに、我が国の取り組みとその選択は重要であり、これまでの延長では済まされません。そこで、初めに総理の基本的姿勢を確認したいと思います。
 総理は、昨年十月、国連総会の演説で、「平和と自由、民主主義と人道主義を至高の価値とする国是を定め、憲法を制定し、平和国家を目指して専守防衛に徹し、二度と軍事大国にはならないことを内外に宣明した。軍国主義の復活は、永遠にあり得ない」とし、「米ソ両国の指導者は、核兵器を廃絶せしむべき進路を全人類に明示すべきである」と訴えて、我が国が、核実験の全面禁止と宇宙軍拡競争の防止、武器輸出禁止の姿勢にあることを内外に宣言をいたしました。この演説が最近の総理の心境であるとするならば、総理は、すなわち平和論者であり、平和論者であるならば、世界希有の恒久平和を願う現憲法の精神を擁護する立場に立つべきで、基本姿勢は、憲法を擁護し、軍縮への努力を尽くすことであらねばならないと思うのであります。しかし、これまでの総理が国内で受けてきたイメージとの落差をどう説明されるのか。また、施政方針では、再び「戦後政治の総決算」を力説されました。しかし、総理、この四十年間の平和と未曾有の繁栄は、現行憲法の存在と、国民の英知と努力の二つを抜きにしては、何も語れないはずであります。現憲法を基軸にした総決算でなければならないと考えますが、率直な見解をお示しをいただきたいのであります。(拍手)
 さて、国際政治の変化と同様に、我が国は今、明治期、そして高度成長期に次ぐ近代日本における第三の社会変動期にあり、国政は大きな転機に立たされております。すなわち、人生八十年時代の到来に加え、これから二十一世紀の初頭までの約二十年間の間に、高齢化、国民の価値観の転換、情報化、ハイテク化、国際化という幾つかの要因によって、国民生活を支える基本的条件が大きく変化し、我が国の社会と生活構造を、これまでとは異なった方向へと変えていくことが確実に予想されるのであります。
 社会変動の時代とは、これまでの経済社会のシステムが、時代の変化に適合しなくなる時代であります。例えば、情報化社会やハイテク化が中高年の雇用不安を引き起こし、また、大きな社会問題と化している教育の荒廃なども、既存の社会システムの不整合によって生じている問題にほかなりません。高齢化問題の重大さは、単に高齢者の数が増大するということではなく、世代の構成が大きく変化し、これまでの若年、中年層を中心に営まれてきた社会の仕組みが変革を迫られていることで、これまでの追いつき追い越せの目標到達型の社会から、世界の先頭に立つ新たな目標創造型社会への転換であります。したがって、二十一世紀に向けて、あらゆる分野の社会システムを見直し、改革がなされなければなりません。
 政治の課題は、そうした時代の要求に適合するために、まず自己改革することからスタートすべきであると思います。総理、歴史的な転換を迫られている中で、政府の対応は余りにも目先の対応に終わり、国民経済、国民生活の将来展望、その未来像を国民の前にお示しにならないのは、いかなる理由によるものでしょうか。例えば、財政再建などは、その典型であると言わなければなりません。予算案を見ても、六十五年度赤字国債脱却は既に破綻し、「増税なき財政再建」の公約もまた同様であります。日本経済の縮小再生産につながる財政のつじつま合わせが消極的政策となり、それがさらに深刻な財政窮状を招くという悪循環を生みました。それを断ち切るためにも、この六十一年度予算で、拡大均衡へと大胆な政策転換が必要でありました。総理は、就任後この三カ年で、どこまで財政再建を進められたと考えられるのでありますか。さらに、六十五年度赤字国債脱却を依然として掲げるのであれば、その具体的方途をお示しをいただきたいのであります。
 一方、国民生活の面でも、人生八十年時代の言葉を随所で掲げるものの、将来の具体的展望はやはり描かれておりません。数字の上では、世界の一流水準に達し、経済大国とされながらも、社会的資本というハード面でも、ソフト面の国民生活の質的水準も、わずかしか改善されない生活小国であります。後ほど詳しく触れますが、公共事業も社会保障関連の予算も、財政の帳じり合わせであり、社会保障システムの政策体系から展望した施策とは言えません。総理が抱かれる時代認識を、ぜひともお聞かせをいただきたい。
 具体的に六十一年度予算案に関して伺うものであります。
 円高デフレが懸念され、景気の転換点にある日本経済にあって、財政が果たすべき役割は極めて大きなものであります。しかしながら、予算案は、我が国最大の課題である内需拡大と国民生活防衛には、背を向けたままにあると言わざるを得ません。それは、内需拡大を図る政策準備が消極的かつ欠落していることであります。民間機関が実質成長三%台の低い経済見通しを立てた中で、政府は、高目の見通しを立て、内需主導の経済運営を掲げました。しかし、私どもが内需拡大、景気刺激を図る二本柱として要求いたしました施策である大型所得税減税を見送り、もう一つの公共事業も横ばいという状態で、果たして四%の成長が実現できるのでありましょうか。私には極めて疑問であります。
 総理は、今回で都合、四回の予算編成を手がけられました。しかし、過去三回の予算編成は、幸運にも日本経済が、円安・ドル高の輸出増大、石油価格の低落など、いわば追い風のもとで行われたのであります。日本経済は、緊縮財政というそこそこの景気対策でありましたが、追い風の恩恵を受け、その場その場をどうにかしのぐことができたのではなかったでしょうか。ところが、日本経済をめぐる状況は、貿易摩擦の激化を初め、厳しい向かい風へと一転をいたしました。したがって、予算の編成に際しては、従来の方針を転換する政治決断が必要であったと思います。どのような認識で予算編成に当たられたのか、所信を伺うものであります。
 国民総生産、すなわちGNPの六割を占める個人消費を喚起できるかどうかは、内需拡大を決定づけるものであります。しかし、税金、社会保険料などの増大により、いわゆる可処分所得の低迷が依然として続き、ここ数年の個人消費は、伸び悩みの状態から動いておりません。個人消費の喚起策としての所得税減税をあえて盛り込まなかった総理は、これにかわるべきいかような政策を用意されるのか。所得税減税が五十九年度に実施されたとはいえ、課税最低限が据え置かれてきた五十二年度以後の消費者物価の上昇から見て、今日までの物価上昇分をカバーする一兆二千億程度の所得税減税はどうしても必要であります。また、住民税減税、政策あるいは福祉減税、税率構造の見直しなど、不公平税制の是正も含めて、少なくとも二兆円規模の大幅減税を行うよう改めて要求をいたします。総理の御決断を伺いたいのであります。(拍手)
 昨年来、総理は、減税については、政府税調の六十二年度以降の税制改革答申に任せたと言われております。大型増税と抱き合わせが予想される税制改革は、国民の望むところではありません。これまでの総理は、私どもの減税要求を、必ず財源難を理由に挙げて拒否されてきました。しかし、有価証券取引税の適正化、利子配当所得に対する課税の適正化など不公平税制の是正や、納税環境の整備による税収確保などから、二兆円規模の減税は十分可能なはずであります。したがって、大型間接税の導入などは考えるべきではありません。総理御自身の減税に対する所見と決意を、ここでぜひお聞かせをいただきたいのであります。
 総理、予算案には、減税の見送りどころか、逆に、国鉄運賃、消費者米価、たばこの値上げ等に見られる公共料金の値上げが加えられております。この値上げは、必ず諸物価に波及し、家計をさらに圧迫することは明らかで、撤回されるべきであると思いますけれども、お答えをいただきたいのであります。
 さて、減税とともに内需拡大への政策的柱である公共事業は、ここ数年、緊縮財政のもとで横ばいもしくはマイナスであります。公共投資の景気刺激、税収効果の有効性は、政府自身が認めるところであり、本格的な高齢化社会に対応するためにも、長期的視点に立った社会資本の整備拡充は重要であります。私は、この視点から、波及効果の大きい住宅都市基盤、下水道整備等に重点を置き、公共事業費の伸びを、名目成長率である五・一%程度は確保すべきであると主張いたします。私は、ただでさえ不十分な社会資本を整備するための公共投資が、財政再建に背反するとは考えません。公共投資の景気刺激効果は、投資後三年間で、投資額のおよそ半分が税収として回収されると、経済企画庁の資料でも明らかであります。
 今、我が国が選択すべき道は、緊縮財政によってじり貧に陥ることではなくて、二十一世紀に向けて、本格的な高齢化社会に十分対処するための効果的な公共投資の拡大を通じて、税収基盤の確立を図り、経済を拡大均衡へと導き、適度の経済成長を果たして、この面から財政構造の健全化をなし遂げることが、よりよき選択であると考えます。それぞれ御所見を承りたいと思います。
 総理は、民間活力の活用を強調されますが、第三セクターをつくって民間に資金を出させるだけでは、だめだと思うのであります。民間活力を真に開花させるためには、規制の変革と分権化、すなわち各種規制と許認可の緩和が不可欠であります。また、昨年来の円高によって、輸出型中小企業とその産地では、新規契約がストップするなど、円高ダメージは極めて大であります。中小企業対策費をマイナスとしながら、これらをどう救済されていくのか、それぞれ具体策を明らかにしていただきたいのであります。
 さて、日米間を中心にした貿易摩擦の問題は、依然として再燃の動きが続いております。この面からも、内需拡大のいかんは、再び外交問題へ転嫁する懸念を私は強く抱くものであります。当然、本年五月の東京サミットにおいても、答えを求められるでありましょうし、こうした点からも、減税と公共事業の拡大は避けるべきではないと思います。日米経済摩擦解決の手段の一つであるドル安・円高が実現をしても、内需拡大の対外公約を実行しなければ、米国の保護主義の動きは衰えようとはしません。この点をどう見ておられるのか、御所見を承りたいのであります。
 総理、行政改革は、仕上げの段階と言われますが、改革は本当に進んだのでありましょうか。歳出削減による制度、施策の改正により、老人医療の有料化、健康保険の本人負担の強化など、国民はひとしく痛みを分かち合いました。しかし、本来最も痛みを受けるべき政府自身は、痛みを避けておられませんか。行革の焦点と言われた中央省庁機構の統廃合は、いずれも予算、人員の削減に直接結びついてはおりません。地方出先機関の統廃合に至っては、看板のかけかえにすぎないのではないでしょうか。行政改革の原点は、機構、仕事、人員、金の削減にあります。私は、ここに改めて、政府自身がみずからの肉と骨を切り、血を流す覚悟を強く促すものであります。(拍手)そして、この見地からも、地方自治体向けの補助金の補助率を引き下げて、地方に負担を転嫁することは納得できません。あわせて御決意と見解を承りたい。
 次に、福祉関連予算について、若干具体的に伺いたいと思います。
 高齢化の進む中で、老人福祉保健対策の強化は、切実な国民的課題であります。例えば、特別養護老人ホームは絶対数が不足し、在宅介護体制も不十分なことから、お年寄りとその家族に健康と医療費不安を高めております。このようなときに政府は、老人保健法を改悪し、初診時における負担を千円に、入院は無期限に一日五百円に引き上げるとしております。総理、老人医療の自己負担導入の目的は、既に達せられたではありませんか。これ以上の負担強化は、財政対策に名をかりた改悪であり、福祉逆行以外の何物でもないと思うのであります。(拍手)この一部負担の強化が、真に必要な受診までも抑制することにならないのか。負担増を求めるより、老人医療の質的向上のための診療報酬の見直しこそが重要ではありませんか、御見解をお示しをいただきたい。
 また、六十年度限りとされた地方への補助金の一割削減が継続され、さらに、生活保護、老人ホームと保育所、障害者施設などの措置費が大幅に引き下げられようとしております。社会保障予算は、その構造上、当然経費増のウエートが極めて大であり、ここに配慮せずに一律に削減するとなれば、最も影響を受けるのは、最も弱い立場にある福祉関係者であります。改めて所信を伺いたいと思います。
 なお、寝たきり老人や痴呆性老人の在宅介護対策について、政府は、試行的に中間施設の整備を図るとしております。常時一万五千人を超える特養ホーム入所待機者が存在する現状に照らすとき、十分な対応とは言えません。財政事情が厳しいのであれば、なおさら、現存の特養ホームに在宅援護事業の中核を担わせるような予算措置を講ずべきと考えるのでありますけれども、どのような見解をお持ちか、お聞かせをいただきたいのであります。
 福祉問題の最後に、医療保険制度の統合一本化の時期とその内容について、また、国民健康保険制度を政管健保に移行する構想があるやに伝え聞いておりますけれども、その真意はいかなるものでありましょうか、あわせてお答えをいただきたいのであります。
 次に、防衛問題について質問をいたします。
 中期防衛力整備計画の初年度に当たる六十一年度の防衛関係費は、対前年度比六・五八%の伸び率、昨年度の六・九%より低いとはいえ、今回はベア一%が計上されておらず、これを加えると実に七・〇四%、これは、実質的に概算要求を上回る突出予算で、内容的にも極めて問題の多い防衛費であります。昨年来、防衛費のGNP比一%枠突破の問題が、国会論争の大きな焦点となってまいりました。本年は、現実問題として一%枠突破が必至の状況にあります。一%枠論議には、防衛費の歯どめの問題と防衛力の中身の問題との二つの側面があり、その二つの問題は、密接不可分の関係にあると言わざるを得ません。公明党は、領土、領海、領空、すなわち領域保全に任務限定した自衛隊は、合憲であるという立場をとっておりますが、際限なき防衛力の歯どめとしてのGNP比一%枠は、守るべきであると強く主張をいたします。
 同時に、一%枠以内であれば日本の防衛は、何をやっても構わないのかというと、決してそうではありません。政府は、これまで、防衛の中身の論議を避けてきたと思います。しかし、国会で積極的な論議を交わし、この次元での国民的コンセンサスを形成し、専守防衛に徹する防衛の基本を固めることが、大きな課題であると考えます。それぞれ所信を伺いたいのであります。
 また、経済大国日本が軍事大国に移行することに対し、東南アジア諸国は、神経質なほど懸念を抱いております。こうした現状を総理は、どのように受けとめ、今後の防衛政策にどう反映させようと考えておられるのか、あわせてお答えをいただきたいのであります。
 次に、現下の重要課題である国鉄改革について伺いたいのであります。
 国民は、国鉄改革の必要性を認めつつも、国鉄監理委員会の答申によって国鉄が民営化された場合に、経営至上主義に走り、料金負担の増加や不採算路線の容赦なき切り捨てなど、国鉄の持つ公共的役割が失われるのではとの懸念を抱いております。私どもは、国鉄の民営・分割という改革の方向を目指しながらも、国民に過大な負担や不便さを与えてはならないとの立場から、今日まで国鉄改革のあり方を検討してまいりました。しかし、新会社の収支の見通し、分割に伴う効率、技術上の課題、安全投資などに関しては、企業原理で解決できるという監理委員会や国鉄当局の説明だけでは不十分であります。
 さらに、分割の規模とともに、新幹線や貨物部門の分割が将来にわたって正しい選択と言えるのかどうか。この国鉄改革は、やり直しのできない選択であるだけに、慎重な対応が必要であると私は考えます。また、国鉄改革は、国民が納得し、合意の上で行われるべきであります。国民合意の形成に総理はどう対処されるのか、あわせてお答えをいただきたいのであります。
 さらに、改革を進める課題に、長期債務の処理と余剰人員問題があります。
 長期債務の償還に当たっては、償還の財源として、新税は設けないと確約をしていただきたい。余剰人員対策では、職員とその家族の生活を守る必要があり、旧国鉄に残る職員の給与水準と、関連事業に転職する職員の給与水準はどうなるのか。生活不安を来さない額を確保できるのか。雇用の場の少ない地域における雇用対策、再就職のため移転せざるを得ない職員の住宅確保、学生の転入学の円滑化などの措置が必要であると考えますけれども、どのように対処されるのか、それぞれお聞かせをいただきたいのであります。
 国鉄改革と並んで重要な問題が、教育改革であります。
 先日、臨時教育審議会から審議経過の概要が報告されましたが、臨教審が今後、どのように国民合意の形成に努力しつつ基本答申をまとめるのか、国民は強い関心を持ちつつも、その論議の中から、国家主義回帰の方向をたどりはしないかと一抹の不安を抱いております。
 また、総理の教育改革に対する熱意を教育費の伸びで見たときに、六十一年度予算案では、昨年度に比べてマイナスであります。教育費の伸びでよしあしをはかれないといたしましても、この四月に臨教審が二次答申を出し、六十一年度にその成果を期待するのであれば、この予算では、口先だけの改革としか言いようがありません。教育改革には多額の予算が必要であります。必要な予算額を既に試算されておられるのか、また、その予算の優先確保をどうされるのか、見解をそれぞれ伺いたいのであります。(拍手)
 一方、大きな社会問題でありますいじめ、校内暴力など、教育の荒廃を解消する一つのかぎとして、学校や教師の役割が重要であることを指摘されております。父母が子供の教育に寄せる熱意が強いがゆえに、教師に寄せる期待も大きくなるのは当然であります。したがって、教師の高い使命感、教育的力量等資質の向上は、今や重大関心の的であり、教師養成の再検討、採用方法の改善、あるいは研修等により向上を図れと指摘されておりますが、この点について総理の見解を伺いたいのであります。
 また、学校教育の制度や運用の画一性を改善するためにも、教育委員会の機能を再検討し、その活性化を図るべきであると思いますが、お答えをいただきたいのであります。
 次に、外交問題について伺いたいのであります。
 ことしは、第二回目の米ソ首脳会談も予定され、本格的なデタントへ進展するのかどうかという、極めて重要な年となりました。国際緊張が緩和するかどうかは、これまでの経緯からも明らかなように、米ソ間の核軍縮が合意されるか否かにあり、本年は、今世紀中に核兵器を廃絶し、真の国際平和を構築していく正念場の年であると私は思います。特に、米ソ間で最大の問題となっているSDIに対しては、我が国政府として、慎重にして慎重な対応をすべきであります。
 総理は、ことしを平和、軍縮の年にしたいと申されましたが、我が国政府として、これらの懸案にどのように取り組まれるのか、その方策を明らかにしていただきたいのであります。また、ソ連のゴルバチョフ提案をどのように評価しておるかも重ねて、あわせて伺いたいのであります。
 さて、実に十年ぶりのソ連外相の来日、八年ぶりの日ソ外相定期会議が開かれ、共同声明も出されました。北方領土問題でも、七三年の共同声明路線が確認され、また、多くの分野でも対話と交渉が続けられることになったのは、まことに喜ばしいものがあります。日ソ関係は、我が国の安全保障政策や、アジアの緊張緩和の面からも極めて重要でありますが、総理は、この日ソ関係をどのように認識し、今回の会談を踏まえて、今後どのように対処する方針であるか、この点をぜひもう一歩明らかにしていただきたいのであります。また、北方領土問題では、五六年の日ソ共同宣言があり、そして、七三年と今回の共同声明があるのでありますが、政府の基本的な考え方を、ここで改めて確認したいと思います。ぜひ御説明をいただきたいのであります。
 この五月には、東京サミットが開かれるわけでありますが、主催国の総理として、今回のサミットにどのように取り組まれるのか。総理は、政治問題の討議が比重を占めると見通されておられるようでありますけれども、それぞれ率直な見解を伺いたいのであります。
 最後に、衆議院の定数是正問題について伺います。
 今国会では、議長見解に沿って、速報値に基づく是正を、早急に実現をしなければなりません。定数是正が進展しない大きなネックは、二人区問題にあり、議長見解は、意見の一致を見るよう努力をと記しております。しかし、現行の中選挙区制は、六十年前の大正十四年から、奄美群島を除いて、一つの例外もなく三人から五人区配分をもって国民に支持され、定着してまいりました、我が国独自の選挙区制であり、したがって、二人区は初めからこの是正に含めてはならない問題であります。総理・総裁として、二人区問題について何ら調整の努力なくして、議長のもとに第三者機関の設置を提案しただけで、責任ある対応と言えるのでありましょうか。昨年の六・六案でも、ただ暫定措置であるとのみ称して、二人区が生ずる過程は判然としないまま、今日まで推移してまいりました。抜本改正を求める声も高まっており、総理が速やかに中選挙区制の原則に従って是正案を、政治の重要課題として掲げるべきであると思いますけれども、どうでありましょうか。
 なお、本年初頭の司法のオーバーラン云々という発言は、最高裁判決で解散権を制約されたことからするものなのかどうか、その真意をもう一度明らかにしていただきたいのであります。
 以上、定数是正に対する総理の見解を求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 竹入議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、冒頭に当たりまして、新潟県の雪崩により御遭難なさいました皆様方、御家族の皆様方にも、心から哀悼の意を表します。政府といたしましては、山崎国土庁長官を団長とする調査団を早速派遣いたしまして、お見舞い申し上げると同時に、被災者に対する諸般の対策あるいは将来の警戒監視の実施等についても、万全の措置を講じておるところでございます。
 次に、私の国連演説にかんがみまして御質問をいただきました。
 私は、国連演説で申し上げましたように、元来平和主義者であります。それから民主主義者であり、さらに国際主義者であると同時に、健全な民族主義者でもある、そう私は思っております。特に、政治は文化に奉仕すべきものである、政治は政治権力のためにあるべきでない、そう信じておるものでございまして、ぜひとも御理解をいただきたいと思うのであります。
 私の「戦後政治の総決算」ということも、この席上で申し上げましたけれども、やはり戦後四十年の平和の持続、民主主義や人権の充実、あるいは国際主義の普遍化等を高く評価をし、かつまた、二十一世紀を迎えまして、長寿社会や情報社会というものを見詰めつつ、ここで二十一世紀に向かう諸般の改革を断行しよう、そういう意味で総決算ということを申し上げているので、竹入委員長のお考えとそう変わってはいないと私は考えておるものであります。
 特に、二十一世紀の国民生活の展望につきましては、やはり人生八十年時代にふさわしいような満足感を国民のすべての皆様方に保障することが、政治の責任であると考えております。そのためには、今極めて厳しい財政の中で、長期にわたって国民の皆様方が年金や医療について安心のいけるような、安定性のある制度を今から構築しておかなければならない、そういう考えに立ちまして諸般の改革をやっておるわけであります。中には、きつい面もありますけれども、これはしかし、長期的に安定して、安心していける体制を築くためには、やむを得ずやっているというのが実情なのでございます。(拍手)
 次に、赤字公債脱却の問題でございますが、委員長御存じのように、既に国債が百三十三兆累積もし、来年は百四十三兆にもなんなんとしておる。ことしの予算を見ましても、五十四兆の予算でございますけれども、そのうち、税収で得る分というものは約四十兆五千億です。あと二兆五千億というものが税外収入でありまして、そして、実に国債に依存する分が、十兆九千億円という分でございます。これを毎年減らしつつあります。しかし、六十一年度予算におきましても、この国債の累積のために、国債費だけで十一兆三千億円払わなければならない。つまり、それだけ今日本の財政というものは、景気維持のために国債を前にいろいろ出しまして、そして、景気を維持し、失業を生ませないために努力したその結果、今我々はこういう努力を継続しなければならぬ実情にあるわけでございます。
 したがいまして、できるだけ国債の累増を防ぎ、これを減少していくというのが、子孫に対する我々の責任でございまして、今懸命の努力をしているわけです。昨年、予算における国債依存率というものは二二%でございました。ことしは、それを二〇%に下げたのであります。来年は、もっとまたこれを下げていく。このようにして、予算における国債依存率を下げていくということが、財政改革の我々の一つのめどなのでございます。我々は、このような考えに立ちまして、六十五年赤字公債依存体質脱却という、その線に向かって邁進してまいるつもりであります。
 国民生活の水準の現状認識の問題でございますが、我が国が世界一の長寿国になりまして、そうして平等な豊かさの中で、安心して暮らせる社会、犯罪の少ない社会、そういう社会を築こうと思って、今懸命の努力を皆様方としておるわけでございます。社会資本の充実や居住環境の整備や労働時間の短縮とか、こういうような面につきましても、一歩一歩着実に前進させていきたいと思います。これらの諸施策については、欧米諸国に比べて、まだ改善すべき余地があるということはよく認識しております。しかし、一歩一歩これを実現していく努力は、我々は今後とも続けてまいるつもりなのでございます。
 内需拡大の問題でございますが、この点につきましても、財政の出動が極めて厳しい折から、できるだけの努力をして、財投であるとか民活であるとか、あらゆる方面の総合的な努力をしておるところでございます。六十一年度予算につきましても、例えば公共事業の事業費につきましては、前年度三・七%に対して四・三%増を実質的に図っております。あるいは住宅減税の実施であるとか、あるいは住宅金融公庫の貸付戸数の増加であるとか、あるいは民間活力の導入による東京湾の横断架橋や明石大橋の建設であるとか、そういう面におきましても一つ一つ着実に努力しておりまして、昨年十月の内需増進の政策、また今回の予算における内需拡大の政策、これらを着実にやっていけば、四%の成長が可能である、このように確信しておるところでございます。
 所得税の減税の問題につきましては、前からこの席上で申し上げておりますように、この春に大減税、所得税、法人税等も含めた大きな減税の案を税調から出していただき、秋にはその財源措置も含めた一体的な案をつくりまして、そして、六十二年度からこれを実施するように法案の整備等も心がけたい、そのように考えております。六十一年度は、今このような大きな抜本的改革の中途の時期でございまして、今行うことはできないのでございます。委員長は、有価証券取引税とか、あるいは不公平税制の御指摘をなさいましたが、この程度だけではとても二兆三千億円の減税には達しないのであります。我々といたしましては、ともかく来年の大きな減税を目指しまして、一歩一歩着実に前進してまいるつもりであります。
 国鉄の運賃の値上げにつきましては、できるだけ避けたいと思っておるのでございますけれども、現在の経営の状態におきましては、最小限の改定はやむを得ない。今の予定では、六十一年九月一日から、約四・五%の増収率を期待しておるところであります。米価につきましても、家計に及ぼす影響も十分考慮して、米審に諮りまして決定したわけであります。たばこにつきましても、これも物価に及ぼす影響等も考えた次第でございますが、今回、地方財政に対する配慮等もございまして、臨時異例の措置として実行したものと御理解願いたいのであります。
 公共事業の伸びにつきましては、先ほど申し上げたとおりでございますが、昨年の三・七に対して、ことしは四・三%を確保して努力したところでございます。今後とも、さらに努力してまいるつもりでございます。
 公定歩合の引き下げというようなものも、金融政策の弾力的運用の一環であり、今後とも、財政や金融に関する弾力的運用を心がけてまいるつもりでおります。
 委員長が申されました規制緩和については、私も大賛成でございます。今までも努力してまいりました。しかし、今のような財政状況を考えてみますと、財政が公共事業に向かって大きく前進するということは、極めて難しい状況です。そういうことを考えますと、財投であるとか、あるいは民活であるとか、規制緩和による思い切った民間資本の動員ということを、今さらに大きく考えるときになっていると思います。そういう意味におきまして、江崎担当国務大臣に対しまして、その検討をお願いしたところなのでございます。
 日米の経済摩擦の問題も、大きな課題でございます。我々は、アクションプログラムを一つ一つ誠実に履行しておりますし、先般の国会におきましても、御審議をいただきまして、基準・認証制やあるいは関税の引き下げについて、思い切った措置をやらしていただきました。また、今回の公定歩合の引き下げという問題も、内需の大きな一つの要素でございます。今後も、このような努力をし、さらに、日本がこれから国際社会に生きていくためには、国際社会に調和した経済構造、貿易政策というものを持たなければならない。そういう意味におきまして、日本としては、ある程度の外貨は必要でございます。
 例えば、外国から資源を買うためのインベントリーのファイナンスであるとか、あるいは外国に投資するための資金であるとか、あるいはさらに、外国に経済協力をするための資金であるとか、そのような一定の外貨収入はどうしても必要です。しかし、それ以上の大きなものが外国に対していろいろ支障を来すということは、避けなければなりません。そういう意味におきまして、我が国の社会経済体質を点検しまして、直すべきところは直す、そういう考えに立って、今研究会をやっていただきまして、その答申を得て検討の上、実行していきたいと考えておるところであります。
 中小企業に対する円高対策につきましても、同感でございます。本年一月、特別融資の金利を引き下げたところでございます。六・八%から五・五%に下げたところでございます。なお、中小企業者の事業転換等の促進のために、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法を提案をいたしまして、御審議願うつもりでおります。
 さらに、貿易摩擦の問題につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、ともかく、財政あるいは金融あるいはそのほかの民間の協力等々の総合的政策によって、この摩擦を解消するために努力していきたいと思います。昨年来やりましたMOSS協議は、アメリカ側も大体満足ということで落着をいたしました。このように、一つ一つ解決していくということが大事であると思っております。
 さらに、行革の問題でございますが、行革大綱の線に沿いまして、一つ一つこれも実行してまいりました。いろいろお世話になりまして、電電あるいは専売公社の民営化、医療保険制度の改革、厚生年金、共済年金等の公的年金制度の改革等、諸般の制度改革も進め、さらに、機構、人員の整理等も実行してきたところでございます。行政管理庁を総務庁に統合したというようなことや、ブロック機関や府県単位機関などの地方支分部局の整理合理化も実行いたしております。あるいは許認可事務の整理統合、あるいは事務事業の民間への委託、あるいは、地方公共団体の行政改革の推進等につきましてもいろいろお願いもし、さらに歳出の厳しい抑制を行って、臨調答申の線に沿って前進していることも御存じのとおりでございます。今後は、国鉄の改革、あるいは地方行革の一層の推進、あるいは臨行審の答申にありました内閣機能の強化等々の推進に向かって、実行してまいるつもりでございます。
 補助率の引き下げにつきましては、六十一年度予算におきましては、関係閣僚会議の決定に基づきまして、補助金問題検討会の報告の趣旨を踏まえて、特別に各分野について配慮しつつ、社会保障を中心にして全般的な見直しを行ったものでございました。これは、単に地方に負担を転嫁するというものではございません。地方に対しては、所要の地方財政対策を講じて行っておるところでございます。
 老人保健法の問題につきましては、長期的安定を図るために、また、老人医療の負担の公平等の観点から、必要やむを得ずこれを行いました。これは、やはり二十一世紀にわたっても安心して安定的に制度が持続できるようにという、そういう配慮から行ったものでございます。
 社会保障予算のあり方でございますが、六十一年度予算におきましては、社会保障の分野におきましても、事務事業の見直しを行った上で、国と地方の費用分担の割合の見直し等も行いました。老人ホームに入所している方々、あるいはその他援護を要する方々の対策につきましては、特段にいろいろ考えたところでございます。例えば、いわゆるデイサービスの問題にいたしましては、昨年は三億九千万の予算でございますが、ことしは十四億にふやしまして、場所も九十六カ所から二百十カ所にふやしております。補助率も三分の一から二分の一に上げておるわけです。あるいはショートステイにいたしましても、対象人員を約一万人ふやしまして、二万七千から三万七千にふやしました。予算額も一億九千万から三億八千万に上げ、補助率も三分の一から二分の一に上げる。こういうようにして、細かいいろいろな面倒を見させていただくことをやっておるわけであります。
 医療保険制度の一元化の時期について御質問をいただきましたが、六十年代後半のできるだけ早い時期に、給付と負担の公平化措置、いわゆる一元化を図る考えでおります。その具体的方策につきましては、関係方面にいろいろ御意見もあり、また、御意見を徴して厚生省で検討中でございます。現在、国民健康保険に加入している雰細企業の被用者について、政府管掌健康保険の適用を進めることとしておりますが、地域保険である国民健康保険を廃止し、政府管掌保険に移行するという考えはございません。
 防衛費の一%の問題につきましては、前から申し上げておるとおり、三木内閣の防衛関係費に係る閣議決定については、これを尊重し、守っていきたいと念願しておる次第でございます。防衛の中身についての御議論については、私も同感とするところが多いのでございます。やはり専守防衛に徹し、他国に脅威を与えないように、節度のある、しかも効率的なものにする必要があります。そういう意味におきまして、日本の地理的特性、あるいは節度ある有効な防衛のあり方、あるいは統合機能の促進、こういう問題について、我々はさらに検討をする必要があると考えております。東南アジアの国々の御心配について御言及がございましたが、最近におきましては、日本の防衛政策に対する御理解も大変進んでいただいておりまして、現在、日本に対する猜疑心というようなものは、表立って存在はしないと考えております。今後とも、我々は、御理解を深めるために努力してまいります。
 国鉄改革の問題につきましては、国鉄のサービスや輸送体系というものをあくまで維持して、住民の福祉に資するように私たちは考えて、実行しておるものでございます。今までややもすれば、この膨大な国鉄というものが、親方日の丸主義で惰性に流れまして、そして、管理能力を超えたような状態になってきているということを、監理委員会も指摘しておるところでございます。特にまた、今や年金の問題であるとか、あるいは雇用の問題であるとか、債務の問題であるとか、重大問題がここに山積してきておるわけで、解決を迫られておるわけでございます。こういう意味におきまして、やはりある程度経営を分割して、私鉄に対抗できるようなサービスと経営力を持つようにするということが、効率化の一歩でございます。そういう意味において、分割というものも考えておるわけでございまして、国民の皆様方の御納得をいただいて、ぜひともこの機能を充実させていきたいと考えておるものなのであります。
 長期債務の処理につきましては、最終的には国において処理する、そういうことを申し上げておるとおりでございます。具体的には、その必要な段階に、歳入歳出の全般的見直しとあわせながら検討していくということにいたしたいと思います。
 旧国鉄の給与水準等に関しましては、旧国鉄に従事し、在籍し、あるいは、関連事業に転職する方々の生活に不安が生じないように、給与水準や生活環境についてもきめ細かい配慮が必要であり、できるだけの努力はいたしたいと考えております。特にまた、雇用の少ない地域におきまする問題につきましては、できるだけこれも地方公共団体や経済界にもお願いもし、政府関係機関も動員いたしまして、努力もいたしたいと思います。やはりその地域にある方々は、その地域で就職して、子供の学校の問題とかいろいろな問題があるわけでございますから、その地域で御就職を願うというのが適当であると考えております。しかし、どうしてもその地域で消化し切れないという場合は、やはり全国的規模で解決せざるを得ない、そういうことも考えております。
 臨教審の審議と国家主義の問題でございますが、臨教審は、教育基本法の線に沿いまして、二十一世紀に向けての教育改革について、熱心に御論議をいただいていると考えております。第二次答申が春に提出されますので、我々は、これを受けまして、これを検討の上、最大限に尊重してまいりたい、そう思っております。
 六十一年度の文部省予算につきましては、各種施策の合理化、効率化を図りつつも、四十人学級の推進、あるいは私学助成の充実、科学研究費の充実、留学生政策等国際交流の推進などについて、必要な施策については十分配慮しておるところでございます。さらに、教育改革の予算につきましては、第二次答申にどういうようなものが出てくるか、その点もよく見詰めまして、我々は、合理化、効率化を考えつつも、必要な改革は実施しなければならないと考えております。
 教員の資質の向上の問題も、大きな問題でございます。教育ということは結局、人間を養うのでありますから、その養う仕事に当たっている先生の実力やらあるいは情熱というものが、これを支配する、死命を制すると考えざるを得ないのであります。そういう意味において、教員の養成、採用、研修などを総合的に見直して、改善を図りたいと考えております。これらも臨教審の答申をよく拝見いたしたいと思います。
 教育委員会の活性化についても、ややもすれば、教育委員会が惰性に流れて、硬直化しているという批判を受けます。十分国民の期待にこたえるように、そして、教育の諸問題を解決する中枢になれるように、我々は、その組織の一層の充実、活性化を図るために努力してまいりたいと思います。
 米ソの軍縮への取り組みにつきましては、先般のレーガン・ゴルバチョフ会談が、新たなスタートとして切られましたことを大いに評価して、それが実りあるものに決着するように努力してまいりたいと思います。アメリカもソ連も、今はもうやはりある潮どきに来ているように考えていると思います。できるだけ共通の点を見出して、そして両方とも、抑止と均衡に基づく基礎理論に基づいて、不安定を起こさないようにしつつ、漸次レベルダウンをしていく、そういう方向に向けたい気持ちを持っておると私は思うのであります。ゴルバチョフ提案を見ましても、今までソ連が割合に消極的でありました検証の問題であるとかINFの問題であるとか、あるいは化学兵器の問題であるとか、かなり積極的な兆しの出た面もございます。そういう面につきましても、共通の広場を持てるように両者がよく努力してもらうように、そして実を上げるように、私たちも応分の協力を、側面からしてまいりたいと思うわけでございます。
 SDIにつきましては、これが核を廃絶する非核兵器である、そういうレーガン大統領の説明を私は理解いたしましたが、SDIの全貌がまだはっきりわかりません。今後、どういうふうに発展していくかということも、よく見きわめる必要もございます。そういう意味において、今政府としては、慎重に検討を進めておるというところでございます。
 ゴルバチョフ提案については、先ほど申し上げたとおりでございますが、一つ気がかりなのは、アジアにおける措置について言及がないということであります。やはりヨーロッパにおいてSS20を削減するという場合には、それに比例して、アジアにおいても削減すべきであります。そのことは、この間シェワルナゼ外務大臣が来たときに、私から強く要望しておいた点でありまして、アジアが犠牲にならないように、我々は注目し、努力してまいりたいと思っております。
 日ソ関係につきましては、領土問題を解決して、そして平和条約を締結するという基本方針を堅持して、不退転の決意で、その線に向かってまいりたいと思っております。しかし、外相の定期協議が行われ、私とゴルバチョフ氏との間の相互訪問が約束されましたということは、これは歓迎すべきことでございまして、一歩前進しつつあると思うのであります。今までのような、ややもすれば氷が張り詰めているような関係から、少しずつ春風が吹いて解け合っていく、そういうことは、国際外交の面から見ましても、また対話を促進する面から見ましても、外交としては考うべきことであります。しかし、我が方の国益を損じてまでもやることは、慎まなければならないところであります。そういう点を十分考えまして、この定期協議あるいは首脳間の相互訪問というものを、実りあらしむるように双方で努力すべきものであると考えております。
 北方領土問題につきましては、先般来申し上げたとおりでございまして、四島返還ということが、我々の厳然たる主張であり、全国民の悲願であり、政府は、その線に沿って努力する決心でございます。
 それから、東京サミットへの取り組みの問題でございますが、世界情勢が微妙に今動きつつある折から、経済の情勢が世界的にどういうふうになるであろうか、特に南米そのほかの債務国も非常に心配しているところであり、また、一次産品を出しておる一般的な発展途上国や、今石油の価格が低落しているという状況のもとにおける産油国等も、世界経済の情勢について深刻に見詰めていると思うのでございます。そういうような面から考えまして、東京サミットにおいて、この先進民主主義国家がどういうような見解と政策を出すかということは、非常に注目していると思うのであります。
 また、ゴルバチョフ・レーガン第二次会談を控えまして、私が先ほど申し上げましたような諸般の線でどういう前進がなされるかということも、平和のために重大関心を持っておるところでございます。あるいはさらに、ガットのニューラウンドも、いよいよ九月には閣僚協を始めようという段階に至りまして、この中でも、サービスをどうするかとか、あるいはセーフガードをどうするとか、一つ繊維の問題を考えてみましても、みんな重大関心を持っている状況でもございます。そういう意味におきまして、東京サミットというものは、世界的関心を呼んでいるものであります。
 また、我々からすれば、太平洋において行われる二回目のサミットでありまして、太平洋と大西洋の協力関係を築いていくという、大事な機会でもあると思っています。いずれにせよ、全般にわたりまして、明るい展望を与えるようなサミットにして、これを世界の皆様方にお示ししたいと念願をして、努力するつもりでございます。
 定数の是正の問題につきましては、先般の国会におきまして、各党の御尽力、御協力もいただきましたが、各党の案とも成立を見ず、まことに残念でございました。議長さんのお出ましをいただき、各党もまた議長さんの前で約束もし、かつまた、国会決議も行われたわけでございますが、今度の国会におきまして、できるだけ早期にこれが解決するように念願しておるところでございます。その内容につきましては、自民党だけが突出するという性格のものではございません。各党ともよく協議いたしまして、そして話し合いがまとまるように、そういう考えに立ちまして各党の協議を進めてまいり、また、議長さんの御指示をいただきたい、このように考えておるわけでございます。
 立法、司法、行政の三権の関係につきましては、きのうも申し上げましたが、私、あのときは、立法、司法、行政みんなについて申し上げたので、行政の独善を排するとか、司法のオーバーランを慎むとか、そういうふうに申し上げたのでありまして、行政の独善ということがあれば、オーバーランになるに決まっております。司法がオーバーランすれば、それは独善にもなります。そういう意味において、同じ意味のことを、ある意味においては例示的に申し上げたのでございまして、司法の特定事件を目指して申し上げたものではございません。そういう意味におきまして、三権の適切な調和と運用を心がけているということであると御理解を願いたいと思います。
 以上で答弁を終わります。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(坂田道太君) 塚本三郎君。
    〔塚本三郎君登壇〕
#7
○塚本三郎君 私は、民社党・国民連合を代表して、さきに行われた総理並びに関係各大臣の施政方針演説に対し、民社党の考え方を述べつつ、質問をいたします。
 その前に、まず最初に、新潟雪崩の被災者の心からの御冥福を祈りまするとともに、この復旧に対しまして、政府の速やかなる出動を心から期待いたす次第でございます。
 質問の第一は、中曽根総理の政治姿勢であります。
 去る十二月二十八日、予算編成を終えた中曽根総理は、翌二十九日、新内閣を発足されました。内閣改造をあらかじめ予定されておられたのに、どうしてやめていかれる大臣の手で予算編成をされたのでありましょうか。必要な予算を手がけることができず、前任者のものをそのまま丸のみにせよという扱いは、新大臣にとっていかにも御無礼ではありませんか。また、国会と国民に対しても、これほど失礼なことはないとお気づきになりませんか。これから開かれる予算委員会で、答弁席に立たれる担当大臣は、まさか前大臣に聞いてくださいとは言えず、人様のつくった予算を、自分の政治信念であるがごとく、そらぞらしく答えなければならぬではありませんか。
 内閣制度百周年、この間、四十五名の総理大臣が生まれましたが、こんな扱いをなさった例は初めてであります。内閣法第四条には、「内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。」と合議制が規定されており、あなたの願う大統領制ではありません。まさか担当大臣は飾り物で、仕事は役人がするのだとはお考えにならないでしょう。それとも、大切な政策は、中曽根総理がお好みの私的審議会と個人のブレーンを重視する余り、このような形となってしまったのでしょうか。ひな壇にお並びの新大臣諸公、内心じくじたるものがあるのではありませんか。(拍手)
 スパイ防止法について。自民党は、さきの臨時国会にスパイ防止法案を提案いたしましたが、廃案となりました。私ども民社党は、この法案に反対いたしました。私どもは、一部の反対者の言われるがごとく、平和国家に秘密など存在しないというがごとき、無責任な論にくみするものでは全くありません。否、むしろどの党よりも、国家の安全と秘密保持には、熱心な党であると自負いたしております。
 その立場から政府に要望いたすことは、まず、国の安全と平和維持のために必要な法制の整備を急ぐべきであります。加うるに、最近の目覚ましい科学技術に対して、世界的規模で研究と協力が進んできているとき、それらの秘密を保持することは、ひとり我が国のためばかりではなく、相手方の信頼も守ることになります。スパイ天国日本の汚名は、決して放置すべき事態ではありません。それらの点を十分に御検討の上、何を秘密とし、何を公開とするかを、政府みずから責任を持って準備し、法制化すべきであります。国家秘密の最重要事項を、国家の責任者たる政府が素知らぬ態度で、一部の人や一部の思想目的にゆだねる問題ではないと信ずるものであります。総理の明確なる答弁を期待いたします。
 次に、衆議院議員定数の是正について。私ども民社党は、既に一昨年の秋以来、一刻も早く是正すべし、もしこれがおくれれば、最高裁で憲法違反の判決が出るであろう、司法から指摘される前に、衆議院の権威にかけて是正をすべきだと主張してまいりました。しかるに、政府も与党自民党も、この声に耳をかさず、ついに昨年、最高裁は違憲という衆議院にとって不名誉な判決を下しました。かくして、このままでは、国会の解散権さえ拘束されることを悟った与党自民党は、慌てて六・六案を、去る臨時国会で審議を求められましたが、法案は廃案となりました。
 今日、衆議院議員定数は、憲法違反のままであり、一刻も早く是正しなければならぬことは、論をまちません。私ども民社党は、定数是正に対し、一、その格差は二倍以内とすること、二、定数は現行の五百十一名以内であるが、できれば、まず行政府の人員削減を主張する我が党としては、第一次として五百名以下とし、やがて法定の四百七十一名とすること、三、現行の中選挙区制を堅持することの三点を、党議として一昨年既に決定し、公表しているところであります。昨年暮れ、衆議院議長の裁定を各党が受けた以上、各党の主張の基本点を一刻も早く持ち寄り、話し合いに入るべきであります。そして最終的には、自分たちで決めることはとかく公平を欠く嫌いがなしとしないという点では、総理御提案の第三者機関にゆだねることは、一つの見識と信じます。
 最近自民党が用意していると報道されている十・十案の中身には、また二名区が予定されておるようであります。二名区は、定数是正というよりも、制度の改正であります。それならば、参議院の定数不均衡も一緒に見直すべきであります。また、各県ごとによるアンバランス、例えば、奈良県などの衆議院の定数が五名であるのに、それより人口の少ない山形県や秋田県が八名という不公平の問題もまた、選挙制度審議会に図るべきではありませんか。かつて、昭和三十九年と五十年の改正には、政府提案として改正案が出されましたが、今回は、政府が手を染めず、総理は、それでいて、司法のオーバーランとの発言をされて物議を醸されましたが、これこそ、総理御自身のオーバーランではありませんか。(拍手)
 内需拡大について。我々は、昨年来、実質経済成長率五%程度を目標とする経済運営の必要を主張し、それがために、政府の政策の転換を求めてまいりました。昨秋の先進五カ国蔵相会議では、貿易摩擦打開のため、円高・ドル安への修正が合意され、わずか二カ月で二〇%を超える円高・ドル安となりました。この急激な日本の円高は、輸出関連産業を中心に、収益の低下、生産調整など、円高不況を招きつつあります。特に、輸出関連の地場産業を初め、中小雰細企業は手痛い影響を受け、深刻な状況に直面しておりまして、その救済が急がれます。
 また、政府は、貿易摩擦解消のため、アクションプログラムを宣伝しておられるが、中身に乏しく、貿易黒字解消の切り札にはなり得ません。市場を開放することは、国内の既得権益に鋭くメスを入れることで、政府は、その分野の犠牲を求める勇気をお持ちでありましょうか。また、特例赤字国債の増発を懸念する余り、建設国債の増発についても、極めて及び腰でありましたが、この際、財政再建の一時棚上げを行うほどの決意がない限り、効果のある内需拡大策は望めません。そして、特に思い切った住宅減税の実施と土地対策を講ずる必要があります。それとともに、内需拡大策及び対外黒字削減の効果は、どうしても公共投資の出動を待たなければなりません。
 この際、民間には十分に資金がある、そして仕事がなくて困っている、公共事業のおくれが目立っているという三点を取り上げるとき、それならば、公共事業を一括して民間企業に請け負わせ、完成するまで政府は金を出さなくて済む方策を考えたらいかがでしょうか。例えば、民間に一括して完成まで発注すれば、年八兆円の三年ないし五年分、すなわち四十兆円の公共工事が、一斉にスタートできるではありませんか。このような方式を導入すれば、仕事は着実にしかも合理的に、そして内需は一挙に進むと思うが、いかがでありましょう。単年度主義の大蔵省の抵抗に遭うことでございましょうが、この方式は、防衛庁が護衛艦や航空機の建造などに、後年度負担という方式で既に一部採用しております。検討に値すると思うが、いかがでありましょう。(拍手)
 次に、所得税の大幅減税を要求いたします。日本のサラリーマンは、世界一よく働き、ために、経済大国の原動力となり、累積黒字がついに五百億ドルを超え、働き過ぎ、稼ぎ過ぎと諸外国から非難を受けております。だが、サラリーマン自身は、それほどに豊かさの実感を持っておりません。それは、税金の不公平、教育費の高騰、加えて、気の遠くなるほどの地価の高騰は、他国に例を見ないからであります。したがって、この際、ぜひ所得税の大幅減税を要求いたします。(拍手)
 総理は、去る一月二十日、労働団体との懇談で、所得税減税の必要を述べられ、特に、三百万から六百万までの年収で子供を持つ世帯に対して、大幅減税の必要を語られました。幸い、これから予算案審議に入るところでありますから、その財源の捻出についても協力いたしますから、直ちに実行に移していただきたい。それとも、予算の成立するのを待って政府税制調査会に減税の答申を出させ、その財源として、大蔵省が従来ねらっていた大型間接税を導入する魂胆から、そんな心にもない発言をなさったのでしょうか。私ども民社党は、大型間接税の導入には断固反対することを表明しておきます。それとともに、中小企業者の投資減税及び設備、機械等の耐用年数の短縮を求めて、内需拡大の幅を広げるべきだと信じます。
 次に、労働時間の短縮についても、今や働き過ぎという諸外国の非難に対して、日本人の美徳と言って片づけ得ない問題となりました。各労働組合の週四十時間の要求に対して、総理も労働時間短縮に賛意を表されたが、基準法改正でどんな案をお考えか、伺いたい。ついでに、民社党はまた、年金生活者及び若者に夢とロマンを抱かせるために、年金客船の建造を提唱してまいり、総理は検討を約されました。その後いかがしておられますか。海洋国家日本として、旅客船の夢を実現していただきたいと念を押しておきます。
 次に、農業は、貿易摩擦のあらしの中で、攻撃の矢面に立たされています。国土と耕地面積の極端に狭い日本農業は、なし崩しに後退の一途をたどり、自然淘汰と整理を待つばかりの状況で、農村青年は希望を失い、田畑を捨てて都会へ流れていきつつあります。一体、国家にとって農業は、どんな使命を持ち、どんな価値を認めておられるのか、政府の立場からはっきりと位置づけ、この際、食糧基本法を制定すべきだと考えます。その上で、国民の食糧確保という観点と産業経済の観点をどのように仕分け、育成しようとするのか、成り行き任せではなく、見通しと計画を明示する必要があります。(拍手)
 次に、森林対策について。戦後の大造林時代に植林された人工林は、全森林面積の四〇%に上り、そのうち、間伐を必要とする樹齢十六年から三十五年のものが、その半分あります。これが、林業の不況で間伐が進まず、ために、木と木がせめぎ合い、細く長く伸びて枝は枯れ、葉は先端にあるだけで、水源涵養の能力に欠け、山崩れも防ぎ得ない状態で、これを放置することは、自然破壊と、用水の確保に致命的打撃を与えます。政府は、森林保護に全力を尽くすべきであります。
 日本の漁業は、二百海里問題で、窮地に立たされております。今日、日米の漁業交渉は、アメリカの強引かつ理不尽な要求を受け、一歩譲ればまた一歩と追い詰められ、ついに太平洋の漁業は、壊滅に瀕する状態にならんとしています。政府の毅然たる態度で臨むべきことを求めます。日ソ漁業交渉は、国内のコンセンサスを急ぐべきであり、一月六日以後出漁がとめられており、漁民の死活問題だけに、緊急に対応を急ぐことを求め、政府の決意を求めます。
 老人保健について。今回の政府改正案では、外来が四百円を千円となって二・五倍、入院は一日三百円を五百円に、そして負担の期限を二カ月の限度であったのを廃止と決められれば、支払う側は、入院六カ月で五倍の負担増となります。そもそも、今回の厚生省の予算は、高齢化社会のため、当然増が昨年度より一兆五千億円増に及びます。これを受け入れることは、長寿社会に先輩を温かく迎える政治の原点であります。それを、わずか四千億円しか増額を認めなかった結果、各部門の切り捨てや負担増を余儀なくせしめたものであります。国家予算の伸び率をゼロにしたからとて、どこに重点を置くかが政党の政策の力点の置きどころであるはずであります。政府・自民党が結局、老人福祉という弱者にしわを寄せたことに対し、強い憤りを持ち、民社党は、せめて老人負担の強化だけでも潔く撤回することを求めます。(拍手)
 昨年、全世界注視の中で米ソ首脳会談が開かれ、世界じゅうが軍縮に向かっての希望を抱き始め、日本は過日、シェワルナゼ外相が訪日して、八年ぶりに日ソ外相会談が行われました。報道機関はこれに対し、連日一面トップで、すばらしい外交の成果であるがごとく報道されました。国民は、やがて北方領土が返り、日ソが友好親善に方向を変えたと予想する空気となり、バラ色の幻想を抱きつつあります。もちろん、私ども民社党とて、北方領土返還に夢を託し、その運動はだれよりも熱心であります。だからこそ、着実な運動と交渉が必要であるのに、この浮かれ切った態度に疑問を呈するものであります。
 今回のソ連外相の訪日は、北朝鮮とセットでの来日でありました。また、ソ連は同時に、中国、マレーシア、インドネシアの三国にもそれぞれ副首相を派遣し、タイには商務大臣を、そしてフィリピンのマルコス大統領には勲章を贈り、加えて、イメルダ夫人をモスクワに招待するという、一連のアジア微笑外交の一環にすぎぬ点を忘れてはなりません。(拍手)つまり、今までのグロムイコ外相は、聞く耳を持たぬという外交であったのを、今度は、ほほ笑み外交に変わっただけではありませんか。あなたが国の主張を述べることは勝手ですよ。こちらは領土は一歩も譲歩したり変更はしませんと厳然と言っており、モスクワ放送もまた同様の趣旨を伝えております。相手方のほほ笑み外交に便乗して、日本の国内の政治的要請から、外務大臣周辺が殊さらにバラ色の幻想を振りまき、中曽根総理が永田町の論理で、国民が喜ぶならばともったいをつけて、モスクワへ今にも飛びたいと言わんばかりの言動は、相手方につけ入られる外交となりはしないか。
 ソ連は、シべリア開発に力をかりたいこと、経済協力の太いパイプが欲しいこと、先端技術の協力を求めることであります。日本は、領土問題という希望がいまだ入れられないのに、いたずらに相手方に言い寄ることは、かえって足元を見透かされると案ずるが、いかがでしょうか。政治家がこんな態度ならば、経済界が浮き足立つのは当然ではありませんか。他方、日本繁栄の基礎となっているアメリカ及び自由主義諸国との経済摩擦は解決をおくらせ、アメリカの求めるSDIの協力は慎重にを繰り返し、国際的テロに対する経済制裁の対応すら、請求されてなお返事に窮している事実と比較するとき、日本は東西いずれの側の国かとの疑いを仲間に与えかねません。隣国ソ連との真の友好と親善を求め、かつ、北方領土返還の実をかち得るためには、まず何よりも、日米の協力及び西側の団結をてことしなければ、とてもとても対ソ交渉がまともにできないことを忘れてはならぬと思うが、いかがでありましょう。
 最近ソ連は、南太平洋諸島九カ国に対しても同様に招待外交を展開し、これら新興国を動かしている労働組合幹部を大量にモスクワに招待して、歓心を買っております。その結果、ソ連の漁船の寄港を認めさせるに至りました。ソ連の漁船が漁業以外の目的と使命を持っていることは、世界の常識であります。加えて、フランスのムルロワ環礁の相次ぐ核実験が周辺国家に不安を与え、反核運動の広がりがソ連の食い入る機会を広げていると見なければなりません。ニュージーランドやオーストラリアにまでこのような不安の波が波及し、太平洋は今や、日米にとって楽園ではなくなりつつあります。民社党が、太平洋と南北問題に力を入れ、自由と民主主義を守るために努力を重ねているゆえんもここにあります。政府の対応を強く求めるものであります。(拍手)
 さて、今なお私の最も忘れがたいことは、日航機の墜落事故であります。この衝撃的大事故で、生存者の救出、遺体の捜査と搬出、身元確認という難事業に、地元の皆さん、消防団、警察、機動隊、自衛隊の一体の協力態勢が、勇敢にして献身的な活躍を発揮されました。高い山の急斜面で、酷暑の中、死臭漂う悪条件の中で、一カ月以上にわたって生存者を求め、遺体をかき分けての捜索。ばらばらの遺体を集め、ヘリ発着場への運び出し。防臭マスクでさえも死臭を防げず、作業服は汗でずぶぬれ、まして用便を足す満足な場所すらなく、食事はのどを通らず、やっと握り飯と梅干し、水筒の水で三日間交代。夜は斜めに寝る野営。それでいて、一刻も早く遺体を遺族に返してあげたいという願いから、作業終了と言っても、残ってもっとやりましょう、休憩と言っても、いやもっと続けようと言う若者たち。足をけがした隊員に休めと言っても、行かしてくださいと言ってくる。テレビで全国民を引きつけた慶子ちゃん救出のヘリのパイロットは、四十分間の作業を済ませても、緊張感で操縦桿から手が離れなかったと言われております。
 また、医師、歯科医師は、警察と一体となって、全国の遺族に連絡して診断のカルテ、レントゲン写真、歯型を集め、ばらばらの遺体の一部からでさえ身元確認の手がかりを求め、無料の奉仕活動を続けられました。非難の矢面に立たされた日本航空もまた、十七名の殉職者を出し、遺族のお世話に過労で二名の職員が命を失い、高木前社長は今もなお、遺族の家を一軒一軒訪問して、巡礼の涙の旅を続けておられます。私どもは、この悲惨な事故の教訓を今後に生かすとともに、その陰で、とうとく、美しく、勇気ある人たちに、日本人として拍手を送りたいと思います。(拍手)かくして、奇跡に近い、五百二十人中五百十八名の身元を確認することができました。
 そこで、もしあのジャンボ機の操縦士たちが三十分間、何の故障かの判断もできず、悪戦苦闘のダッチロールを繰り返しているとき、自衛隊のレーダーから機影の消えたのを追って戦闘機がスクランブルをかければ、五分後にはジャンボ機と並び、手信号ででも浜松基地なり海岸にエンジン操作で不時着させることができたかもしれないと思われます。現に、パイロットの仲間の機関紙にその点が指摘されております。しかし、自衛隊機は、他国機へのスクランブルは任務とされていても、旅客機にはそれは許されておりません。せいぜい、救難の要請がないのにいち早く捜索機が出動したことや、災害出動の要請前に陸上自衛隊は間髪を入れず飛び出し、ために、高速道路で通行料金を出せと言われ、作業服のままで所持金の持ち合わせがなく、全隊員がたばこ銭を持ち寄ってやっと料金所を通ったことでした。それでなお、出動のおくれを非難されても、言いわけをしない彼らにかわって、私は、このような緊急事態になお手が打てないように放置された法制のおくれを政治が問われていると思いますが、総理は何と答えられましょうか。(拍手)
 昨年のメキシコ地震、コロンビアの噴火の双方の大災害には、アメリカはもちろんのこと、イギリス、フランス、ドイツなどの救援活動は目覚ましく、それに引きかえ我が国は、金銭の援助は世界一であったが、救援隊や医療、建設活動は皆無に等しく、ために、在留同邦は、肩身の狭い思いをしたと嘆いておられます。日本は今や、世界の大国として、国際的責任を果たさなければならないことは当然であります。かつてイラン革命のときはトルコ航空に助けられ、一週間前の南イエメンの革命のときは、英国王室の船に三十数名の命は救助されました。したがって、この際、外国で大規模な災害が発生した場合、迅速に救助活動に協力できるよう、国際救援隊を創設することを提唱いたします。
 外務省も、これと似た構想を持って、関係省庁と協議を始めたいとしておられるが、なぜか自衛隊を抜いておられます。災害救助の中心が自衛隊であることを承知しつつ、海外派遣が即侵略という一部の批判を恐れてのことと思いますが、その点はきちっとけじめをつけることを条件として、実行力のある自衛隊を加えるべきだと思います。災害の現地に到着しても、重機や車両がなければ、医薬、食糧、器材、人員だけでは十分な活動はできません。幸い自衛隊は、C130という大型輸送機を持っており、八千キロを無着陸で運ぶ能力を有しております。災害救助という人道上の責任を果たす実行力のある体制をつくるべきだと思いますが、いかがでしょう。
 ここ数年、安全保障の最大の議論は、GNP対比一%の問題でありました。今年度より防衛力整備計画が、五カ年間の総額方式に改められました。その総額十八兆四千億については、いまだ是非を論ずる段階ではありませんが、我々はこのやり方を一応評価いたします。国会が毎年、一%の枠の議論に多くの時間を費やすことより、防衛の中身に踏み込み、具体的計画に対して国会が、より広く、より深く論じ得られる利点があるからであります。そこで、この際、真の文民統制を確立するために、国会に安全保障の常任委員会を設置して、防衛計画を常時、国会の監視下に置くことを提案いたします。また、同様な趣旨で、有名無実と化している国防会議を改組して、国家安全保障会議とすべきでありましょう。
 政府は、最近、海空重視を提唱されるのは、いかなる根拠でありましょうか。まさか一部の新聞が報道するがごとき、攻撃力を保有する海空軍こそ必要だとは考えていないと信じますが、今回の予算措置を見ますと、やはり海空重視が目立ちます。五十九年、六十年の二回にわたって、私は、陸上自衛隊の定員の充足率の低さを指摘し、兵器はあっても隊員が欠員で、せっかくの武器が動かし得ない点を指摘し、総理は、御指摘の点を踏まえ、できるだけ充足率を高めて、完全な機能を発揮するよう努力すると答えられました。ところが、本年度、七百二十名、十五億円の金を渋り、反対に海空は満配で定員増加の予算をつけ、法の改正を準備されております。
 去る一月十七日ハワイで開かれた第十六回日米安保事務レベル協議の場で、日本に対しアメリカは、「防衛計画の大綱」の大幅な変更を望んでいない、アメリカが陸上自衛隊の削減を望んでいるかのごとく伝えられるのは誤りだと、ケリー・アメリカ国防次官補代理は述べ、陸海空三自衛隊の統合した能力が必要だと強調しております。専守防衛を堅持するには、陸海空の調和を崩すべきではないと思うが、いかがでありましょう。
 中曽根内閣は、行政改革の断行を一大公約として発足し、我々は大いに期待し、協力してまいりました。以来三年有余、この間、たばこ、電電両公社の民営化、基礎年金制度の導入、そして本年は国鉄の民営・分割に着手するなど、一定の前進が見られます。しかし、今日の肥大化し、硬直し切った官僚機構にメスを入れ、簡素で効率的な政府をつくるという行革本来の課題は、いまだほとんど手がつけられていません。総理は、行革内閣として、本来の行革断行に蛮勇を振るうべきであります。
 その第一は、補助金の徹底合理化と第二交付税制度の創設であります。補助金獲得のために膨大な手続と陳情の費用を要し、施設に対する補助金が各省ばらばらで、申請にかかる手続と手間を省き、特に、公共事業関係補助金については、第二交付税として地方自治体に一括交付すれば、中央、地方の経費は、二、三兆円が節約できると言われます。
 第二は、政府の機構や組織、許認可などの事務や事業を、定期的に見直す制度を確立すべきであります。そのために、許認可など政府の事務事業について、それぞれ存続期限を定め、期限到来ごとに、国会がその存続の有無を評価する、すなわちサンセットの制度を確立すべきであります。
 第三は、特殊法人、公益法人の整理合理化であります。特殊法人に対しては、行革の対象として、相当に厳しく改革の手を入れておりますが、公益法人はむしろ、よりルーズに、より肥大化しつつあることを遺憾に思います。政府は、公益法人もまた行革の対象であることをこの席で言明し、直ちに改革に手をつけることを約束していただきたい。(拍手)
 第四は、国の出先機関の整理統合であります。全国を八つのブロックに分け、中央政府の出先機関として、多くの人員を抱えて、国と都道府県の間の中二階的存在となっております。この際、この出先機関のうち、現業を抱えている機関は、その効率からして必要であるが、管理を主とする局は、全廃を原則とすべきであると思います。
 最後に、国鉄の民営・分割について。私ども民社党は、ここ数年、国鉄の経営責任及び労使関係の乱れを指摘し、このままでは、国鉄自身が立ち行かなくなることを、政府に厳しく追及してまいりました。結果、私どもの指摘した以上に最悪の状態となり、政府もまた、民営・分割に踏み切りました。よって政府は、今国会に幾つかの法案を準備しておられますが、私どもは、基本的に賛成する立場から、次の諸点を要求し、総理の明確な御答弁を求めます。
 第一は、余剰人員対策に万全を期すること。幸い既に、一万人余の国鉄職員が一般産業界に派遣され、この人たちは、民間企業の厳しさに悲鳴を上げながらも頑張り続けて、今後に明るい見通しを抱かせております。第二は、新会社は、職員の今日まで受けた給与、待遇などの既得権は守るが、あくまで新規雇用という原則によるべきで、就業規則等は、新しく会社の労使の話し合いで決めること。第三は、政府の新会社役員の任命は、代表役員のみとして、各役員にまで干渉がましく権力を及ぼさないようにすること。そして最後に、新会社は、商法上の一般会社なのだから、資金計画、事業計画、営業計画等について、一々政府予算のごとく干渉しないこと。以上の諸点を、総理にしかとお約束願い、国鉄が文字どおり民間会社として、真に再建されることに、全力を挙げて支援することを表明いたします。(拍手)
 また、貨物駅など使用しなくなった土地の処分について、どのような構想をお持ちか。十数兆円に上るとされる土地の効果的処分と利用は、国鉄再建の貴重な財源であるとともに、総理がかねがね御指摘の民間活力導入の最も有力な核となるだけに、公正かつ効果的な方法についてのお考えを示していただきたい。その他、住宅・都市整備公団やあるいはまた道路公団などについても、今のうちに改革のメスを入れるべきだと申し上げておきます。
 また、教育について。昨年文部省は、都道府県教育委員会に対し、公立の小学、中学、高校の入学式、卒業式に、国旗の掲揚と国歌の斉唱を徹底させるよう通達をしました。これに対し日教組は、教育への不当介入とか、忠誠心の押しつけと非難し続け、徳目教育にもことごとく逆らっております。これに対し文部省は、はれものにさわるがごとくにして、そのまま放置しております。国旗を掲げ、国歌を歌うのは、世界の国民の常識でありましょう。それさえ実施させる自信がなければ、通達など出しなさるなと言いたい。出した通達が守られなくて、平気で放置する文部省こそ、教育荒廃の責任者であると総理は思われませんか。国を愛することのできない人が、世界の平和を論ずる資格がありましょうか。世界の国民から信頼と尊敬を受けるのは、国の伝統を守り、人間の美徳を育てる教育がその基本であります。(拍手)
 民社党は、福祉国家の建設を立党の旗印として出発いたしました。衣食足りて礼節を知ると信じたからでもあります。今日、経済大国と言われる日本社会を迎えて、なお足りないものの多きに憂えております。これからの政治は量から質へ、物から心へと叫ばれた総理の演説は、同感であります。たとえ、それが結びの飾り言葉であったとしても、今直ちに実行に移していただきたいと願って、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#8
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 塚本議員にお答えをいたします。
 まず、予算編成後の内閣の改造に関してでございますが、役員の任期終了に伴いまして内閣の改造も行ったところでございます。自由民主党は、これは一体となって運営をしておる政党であり、議院内閣制でございますから、この予算も自由民主党が編成したのでございまして、閣僚がかわっても心配するようなことは起こりません。今回任命いたしました閣僚はみんな、能力十分、仕事本位の内閣として、十分にたえられる実力者であると考えております。
 スパイ防止法につきましては、塚本議員と同感の点がございまして、日本は、スパイ天国と言われるぐらいに、スパイが横行しておる国であると言われております。しかし、この立法につきましては、やはり各方面の御意見もよく聞きまして、そして、慎重に行う必要があると考えております。これを議員立法にするかあるいは政府提出にするか、よく検討してまいりたいと思うのでございます。
 定数是正の問題につきましては、現行の衆議院の定数配分規定は、さきの最高裁の判決によりまして違憲とされたものでありまして、至急に是正を要し、先般の国会においていろいろ御審議願ったところでございます。今回の国会におきましても、先般の国会決議及び議長見解の線に沿いまして、各党で十分御協議を願って、至急成立させるように努力いたしたいと思っております。参議院の定数是正の問題についても、いろいろ問題があると思いますが、当面の是正という問題は、やはり衆議院の問題が喫緊でございまして、その上に立って、各党間で論議をしていただくのが適当ではないかと思います。
 アクションプログラムや市場開放の決意でございますが、市場開放につきましては、懸命に今までも努力してきたところでございます。アクションプログラムの策定、関税の引き下げ、基準・認証制の着実な実施、あるいはG5による通貨の調整、今般利子の引き下げ等も行いまして、これらの御期待に沿うように懸命に努力しているところでございます。
 住宅減税につきましては、内需拡大に資するためにも今回、特別に努力したところでございます。従来の住宅取得控除にかえて住宅取得促進税制を創設して、その対象となる住宅取得のための借入金等の範囲の拡大、足切り限度の廃止、所得要件の緩和、控除限度の引き上げ、あるいは、住宅取得資金に係る贈与税の特例を拡充するというような諸般の対策を行いました。これらの住宅減税は、厳しい財政事情のもとで、精いっぱいの努力をしたと御認識願いたいと思うのでございます。都市再開発のための規制、基準の緩和という点については、全く同感でございまして、さらに積極的に都市計画の適切な見直し、あるいは規制、基準の緩和に向かって努力してまいりたいと思います。
 公共事業の民間請負方式という新しいアイデアをお示しいただきましたが、非常に検討に値する内容もあると思いまして、検討させていただきたいと思います。ただ、これによりますと、後年度に一括して多大の負担が一挙にかかってくるという可能性もなきにしもあらずでございます。私は、やはり民間資金を動員して、民間が主になって、自分たちの資金と経営能力を活用して、それらの事業を完遂するというやり方が、やはり民活としてはいいやり方ではないかと思っておりますが、しかし、国家といえども、やはりできる限りの努力はすべきでありまして、お示しいただきました提案についても、よく検討させていただきたいと思う次第でございます。
 減税の問題につきましては、しばしば申し上げましたが、昭和六十一年度は、今抜本的改革の中途の時期でございまして、所得税の減税は行わない、できるだけ早期にまず減税案をまとめ、また秋には、財源措置等も講じて、来年これを行う準備を整えたい、そう考えておるところでございます。
 減税の財源として、大型間接税についての御指摘がございました。
 大型間接税に対する従来の考えは、私が申し上げたとおりでございますが、税制調査会におきましては、聖域を設けないで自由な御発言を願っておる次第でございます。したがいまして、こちらからとやかくいろいろな注文や文句はつけないというやり方でございますので、いかなる結論が出てくるか、税制調査会の結論について私たちは、注目してまいりたいと思うわけでございます。
 投資減税あるいは耐用年数の問題につきましては、六十一年度の改正におきましても、内需振興等のために、中小企業新技術体化投資促進税制、いわゆるメカトロ税制の対象設備の拡充を行った上、その適用期限を延長する、エネルギー基盤高度化設備投資促進税制を創設する等の措置を講ずることといたしております。減価償却資産の法定耐用年数は、資産の物理的寿命にさらに経済的陳腐化も加味して、客観的に定められておるものであります。他の諸般の税制とのバランスあるいは総合的視点に立って、検討してみたいと考えるものであると思います。なお、現在の法人税のあり方については、税制の抜本的見直し作業の中で税調において審議されておりますが、耐用年数の問題を含め、減価償却制度のあり方についても、広範なる議論がなされておるものと承知しております。
 労働時間の短縮は、消費の拡大や内需拡大の観点からも、我々は考うべき問題であります。労働基準法は、労働条件の最低基準を定めるとともに、罰則をもってその履行を確保しようとしているものでありまして、その改正には、やはり国民的コンセンサスが必要であると考えます。したがいまして、具体的な改正内容については、昨年十二月、労働基準法研究会より報告がなされたところでありますが、今後、中央労働基準審議会等における審議結果等を踏まえて検討いたしたいと思います。
 年金資金による客船構想でございますが、これは、昨年二月塚本委員長からも質問をいただきまして、私は検討を約した問題でございます。各省につきましていろいろ検討をさせましたところが、やはり年金資金が、将来膨大な規模となる年金給付の貴重な財源であって、それをそのような船に投入するということには、これらの資金をいよいよ運用し、返済に回すというようなときの場合も考えてみて、慎重であらねばならない、また、事業の採算性から見てももう少し研究を要するというのが、関係各省の考え方でございました。したがいまして、もう少し広い観点から自民党の方でさらに検討してもらおう、こう考えておる次第でございます。
 農業の現状につきましては、最近の情勢は、農産物需給の緩和、規模拡大の伸び悩み、市場開放要求等の厳しい問題に直面いたしております。このような情勢に対処するために、生産性の向上による農林水産業の体質強化と農山漁村の活性化を進め、農林水産業に携わる人々が意欲と生きがいが持てるように、各般の施策をやらなければならぬと思います。前から、農は国のもと、農業は生命産業であると私は申しておるのでありますが、食糧の安定供給あるいは地域社会の形成、自然環境の保全、そういうように農業は、非常に幅広い社会的意味を持っておるものであります。したがいまして、「農産物の需要と生産の長期見通し」と同時に、一方において、生産性の向上や、あるいは、国内で生産可能なものはできるだけ国内生産にして総合的自給力をふやす、そういうことも考える必要がありますが、先ほど申し上げましたような地域的意味あるいは環境的意味というものも考える必要があると思います。輸入については、一面、関係国との友好関係に留意し、国内農産物の需給動向等も踏まえて、我が国農業の健全な発展と調和のとれた形で行われることが大切であると思っております。
 森林の整備、これは、国際森林年もあり、極めて重視しておるところでございます。森林・林業、木材産業の活力を回復させるために、森林・林業、木材産業活力回復五カ年計画に基づきまして緊急対策を推進することといたしております。なお、水資源涵養のために、そのいろいろな税財源のあり方等については、今後とも検討してまいりたいと思います。
 日米、日ソの漁業交渉につきましては、最近、太平洋における日本の漁業の既得権がアメリカ及びソ連から次第次第に狭められてきているのは、極めて遺憾でございまして、政府としても、全力を傾注して漁民の御期待におこたえしなければならぬと思っております。日米間のサケ・マス問題については、まだ両方に主張の隔たりがございますが、伝統的な北洋サケ・マス漁業の実体について米国のさらなる理解を求めつつ、鋭意努力しているところです。対日漁獲割り当てについては、サケ・マス問題とは別個の問題として、年初の一万トンの割り当てに引き続く今後の割り当て実施を、米国に対して強く要請しているところであります。日ソの漁業委員会第二回会議については、ソ連が従来とは全く異なった新しい枠組みに基づく提案を行ったこと等から、日ソ間で合意を見るに至りません。日ソ双方の漁船は、一月六日以降操業を中断している状態でございます。現在、鋭意交渉中でありますが、極めて厳しい状態にございます。政府としては、関係漁民の切実な要望を踏まえまして、今後とも、我が国漁船の安定した操業確保のため、早期妥結に向けて最大限努力してまいります。
 老人保健制度の問題につきましては、高齢化社会の到来に備えまして、安定して、老後も安心できるような長期持続の保健制度を確立するという目的で行っておるものでございまして、ぜひ御理解をお願いいたしたいと思うのです。
 対ソ外交姿勢に対する御懸念は、心配は要らないと思います。私は、塚本委員長と同じような考えに立って、粘り強く交渉してまいる決意でございます。北方領土問題と西側の協力の問題でございますが、北方領土問題は、基本的には日ソの話し合いで行うべき問題であり、これが基幹的問題であると認識しております。諸国の御協力をいただくことも、これは大事なことではありますが、本質的には、日本とソ連がこれは話し合って解決すべき問題である、そう思っております。
 ソ連の南太平洋への漁業進出というものは、国際的にも注目を集めておるところでございます。最近は、キリバスにつきまして、二百海里の漁業水域についてキリバスと協定を行いまして、二百四十万豪州ドルを払って十六隻の船を入れさしておるようでございます。もっとも一年間の契約でやっておりますが、我々といたしましても、南太平洋の島嶼国の発展のために一層の協力を行うとともに、豪州やニュージーランドとの友好協力関係の強化も図ってまいりたいと思います。
 旅客機への自衛隊機の誘導等の問題でございますが、日航機のような緊急事態への対処については、操縦不能に陥った民間航空機への自衛隊機の派遣というような御指摘の点も踏まえて、今後とも、適切に対処できるような体制の充実に努めてまいりたいと思います。なお、過般の日航機事故に際して、自衛隊の皆様方が涙ぐましい献身的努力をしていただいたことについては、心から敬意と感謝を表明する次第でございます。特に、青年隊員が非常な苦難に耐えまして、もう人間としての限界に達するぐらいの苦悩の中にあの難作業をやっていただいて、原隊に復帰した後でも、もう一回やらしてくださいという隊員が非常に多かったということを指導官から聞きまして、私も非常に頼もしく、感銘した次第なのであります。
 次に、緊急時の無料通行の問題でございますが、これは、法令等により所定の手続を経た上で、無料通行は可能でございます。さらに緊急の場合には、所定の手続によらなくとも、隊員の身分証明書の提示により、無料通行は可能でございます。今後とも、これらの制度を着実に実施いたしまして、緊急活動に支障のないように周知徹底いたしたいと思います。
 国際救援隊につきましては、外務省におきまして、消防庁や警察庁やその他の各省と今相談をいたしておるところでございます。自衛隊の参加という問題は、これは一つの検討課題であると思っております。身分を外務省に移すとかあるいは総理府に移すとか、ほかの関係各省庁においても、そのように身分を移すというような場合もあり得るようであります。そういう諸般のことも検討いたしまして、この問題については、さらにこの問題の対処を取り上げさしていただくようにいたしたいと思います。
 安全保障の常任委員会の設置については、全く同感であります。国防会議の改組につきましては、内閣レベルにおけるシビリアンコントロールをさらに確保するための機関として、国防会議をさらに充実させようということであり、さらに、重大緊急事態に対応するための整備もあわせて行うように、安全保障会議を設置することといたした次第でございます。
 陸海空のバランスについては、全く同感でございます。しかし、従来ややもすれば、空海が薄いと指摘されてきておったのでございます。もとより陸も大事でございますが、日本のような列島という特殊の構造等を見ますというと、やはり空海に力を入れるというのは、当然の戦略的な発想であると思うのであります。であるからといって、陸を軽視していいという意味ではございません。やはり全般的統合力と、そして三自衛隊の協調、それによる総合的な防衛力の増強ということを考えていく必要があると思います。
 第二交付税制度の創設という問題につきましては、この御提案の内容は、国と地方の役割分担のあり方にもかかっていることであり、同時に、国庫補助負担制度の意義も大きく変更するという内容でもあります。しかし、塚本委員長が前から御主張になっておるメニュー化であるとか統合化であるとかサンセット方式という方針には、我々も賛成でございます。しかし、この第二交付税制度ということを制度としてこれを確立するという点については、もう少しいろいろ検討を要する点があると思います。さらに慎重に検討してまいりたいと思います。
 サンセット方式については、先ほど来申し上げたとおりでございます。なお、政府の行政機構の簡素合理化については、これまたさらに努力してまいるつもりでございます。特に、審議会や試験研究機関などのサンセット方式、あるいは地方支分部局の簡素合理化、能率化、こういう問題については、さらに力を入れる必要があるところでございます。特殊法人の整理合理化についても、電電公社や専売公社の民営化、そのほか、特殊法人の統廃合全般にわたって推進をいたしております。公益法人につきましても、同様でございます。真に公益の目的に合致して、そして健全なる活動をしているということが大事でございまして、休眠法人については、その整理に関する統一基準に基づいて、今各省で整理を実施しておるところであります。国の出先機関、地方支分部局の整理につきましても、陸運局と海運局の統合であるとか、府県単位機関の縮小改組、支所、出張所の大幅整理等も実行しておるところでございます。今後も、地方支分部局の簡素合理化については努力してまいるつもりでございます。
 国鉄につきましていろいろ御質問をしていただきましたが、まず余剰人員対策に万全を期して、内閣を挙げてこれは努力してまいるつもりでございます。なお、新会社の就業規則については、新会社は民間の手法により経営されるものでありますので、労働条件のあり方は通常の労使関係によることと思います。それから役員の任命等については、できるだけ民間企業同様の経営の自由、自主性を発揮し得るように、必要最小限のものにいたしたいと思います。役員の選任についても、このような基本的考えに立ちまして、会社の性格に沿った最小限の規制にすべきであると考えております。事業規制につきましても、同じように、ある程度の規制は必要ではあると思いますが、電電やたばこ産業株式会社の場合等も参考にしつつ、これも必要最小限の規制にとどむべきであると考えます。
 国鉄所有地の処分につきましても、債務償還の貴重な財源でもあり、また、これが地方の民活等の大きな材料でもございます。そういう点におきまして、有効に活用されるように積極的に推進してまいりたいと思います。
 教育の改革につきましては、臨教審において、世界的日本人、礼節があり、思いやりがあり、強健で創造力のある子供たちをつくるために、今懸命の努力をしていただいております。国旗や国歌という問題については、日本人として、当然国旗や国歌を大切にしなければならないと私たちは考えております。学校におきましても、社会におきましても、今後とも、さらに一層の国民の皆様方の理解と協力を求めまして、国旗、国歌に対する尊敬、扱いの丁重さ等について、指導を徹底するように努力いたしたいと思います。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#9
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問は、これは所得税減税、それの財源、あるいは大型間接税の導入に対する塚本委員長の御意見を交えての御質疑等々でございます。
 税制につきましては、先ほど総理からもお答え申し上げておりますように、税制調査会において、いわば抜本的な見直し、その検討を精力的に進めておる今やさなかにある。したがって、この取りまとめに当たっては、重税感の軽減、ひずみの是正、この適正化に沿うものからお願いをして、そして秋ごろまでには、財源措置等を含めた一体としての包括的な指針をちょうだいしよう、こういう諮問文にもなっておるわけであります。そこで、あらかじめ一つの範囲でございますとか、あるいは領域でございますとかいうものを、こちらからお示ししてという立場には立っておりません。したがって、最終的には、税制調査会の結論を得て対処するということになるわけでありますが、いろいろな御意見がございましたが、そもそも税制というものは、安定的歳入を図る、そしてまた、歳入というものの根幹は、あくまでも税に求めるべきだ、そして、その税を負担するのも国民であるし、受益者もまた国民である、そういうところから、一時的な、いわば国有地の売却等をもって恒久税制の財源とするということには、なかなか問題もあろうかと思うわけであります。
 いずれにせよ、最終的には、税調の結論を待って、そして、その税調に対しては、国会等で行われた議論を正確に伝えることによって、それが促進を図ってまいりたい、このように考えております。(拍手)
    〔国務大臣安倍晋太郎君登壇〕
#10
○国務大臣(安倍晋太郎君) 塚本委員長の御質問にお答えをいたします。
 まず、日ソ関係につきましては、今般の日ソ定期外相協議におきまして、外務大臣間で三時間にわたりまして領土問題につき交渉をいたしました。領土問題を含む平和条約交渉を再開し、その継続につきまして合意を見たところであります。しかし、領土問題の中身についてのソ連の立場の厳しさは、交渉当事者でありました私自身最もよく承知しておるところでありまして、バラ色の幻想を初めから持っておりませんでしたし、現在も有しておりません。
 政府としましては、ソ連との安定した関係を築くためには、何といいましても、北方領土問題を解決して平和条約を締結することが不可欠である、この認識は不変でありまして、今回行われた平和条約交渉を新たな出発点といたしまして、引き続き粘り強く交渉を継続していく決意でございます。また、ソ連に対するに当たりましては、友好諸国の協力あるいは団結が必要なことは、御指摘のとおりでありますが、政府としては、先ほど総理からも答弁がございましたように、北方領土問題は、基本的には日ソ間の話し合いで解決すべきである、こういう基本的な考え方のもとで対処してまいる考えであります。
 次に、南太平洋におけるソ連の動きにつきまして、これも総理から既に答弁がございましたが、いろいろと動きがあることは事実でございます。国際的にも非常な注目を集めておるところでございますが、我が国としましても、南太平洋島嶼国の発展のために今後一層の協力を行っていきたいと思いますし、同時に、豪州あるいはニュージーランドとの友好関係、協力関係の強化も図ってまいらなければならないと考えておるわけでございます。
 最後に、国際緊急援助隊構想につきましてお答えを申し上げます。
 海外で大規模な災害が発生した場合に、従来、資金協力に加えまして、国際緊急医療チームの派遣によりまして対応してまいったわけです。この国際緊急医療チームは、現在、医師あるいは看護婦等約二百七十名を登録しておるわけでありますが、エチオピア干ばつ被災であるとか、あるいはメキシコ地震及びコロンビア火山噴火の際には派遣をされまして、大変高い評価を得たわけでございます。今般、救助隊の派遣等も含む、より総合的な形で国際緊急援助体制を整備し、我が国の国力に相応した国際的責任を果たしていくことが望ましいと考えまして、外務省が中心となって、政府の関係省庁の幅広い協力を得まして、新たに国際緊急援助隊の派遣体制を整備することといたしました。昭和六十一年度予算政府原案におきまして、十億円を計上した次第でございます。
 自衛隊の参加につきましては、今般の国際緊急援助体制との関係では検討しておりませんが、将来の研究課題としてまいりたい。先ほど総理からも答弁がございましたようないろいろな点を含めまして、今後研究しなければならない課題ではないかと考えております。なお、必要な資機材の運搬につきましては、必要に応じまして、チャーター機の利用を含む民間機の使用により対処していく考えでございます。(拍手)
#11
○議長(坂田道太君) 内閣総理大臣から答弁を補足したいとのことであります。これを許します。内閣総理大臣中曽根康弘君。
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#12
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 先ほどの予算編成に関する点について、補足して申し上げます。
 予算編成権は、もちろん憲法上、内閣に所属しており、内閣の責任と権限において行うものであります。しかし、現在は議院内閣制をとっておりますから、予算編成に際しましては、与党と協議してこれを内閣は編成するという規定に従っております。今回も、このようにして与党と十分協議をして行ったものでありまして、新閣僚は皆、党員としてこの協議に参加しておる練達有能の士でありますので、御心配は要りません、そういう意味でございます。(拍手)
    ─────────────
#13
○議長(坂田道太君) 不破哲三君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔不破哲三君登壇〕
#14
○不破哲三君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、中曽根総理に質問いたします。
 まず最初に伺いたいのは、核戦争阻止、核兵器廃絶の問題であります。
 総理は、施政方針演説の中で、「このかけがえのない地球を死の天体と化し得る」核兵器の危険性について言及し、「新しい地球倫理」なるものの柱の一つにも、核兵器廃絶の課題を挙げました。これが演説を飾らんがための美辞麗句のたぐいではなく、核戦争の危険をはらんだ核軍拡の現状を真剣に心配しての言明であるならば、求められるのは、この課題の達成を目指す被爆国日本の政府にふさわしい行動であります。
 昨年来の米ソ交渉は、一月の外相会談で、あらゆる領域からの核兵器の完全廃絶を交渉の目標とする画期的な合意を行いながら、この一年間、宇宙軍拡などをめぐって難航してきました。この中で、ことしの一月十五日、ソ連のゴルバチョフ書記長が核兵器廃絶を具体的な目標とする提案を発表し、これにこたえて、アメリカのレーガン大統領が核兵器廃絶には異論がない旨声明したことによって、米ソ交渉の前途には大きな意義を持つ新しい局面が開かれました。ゴルバチョフ提案が廃絶の期限を十五年以内としていることや、それに至る段階的プログラムの内容などは、検討すべき問題をもちろん含んでいますが、何よりも重視すべきことは、日本国民と人類の悲願である核兵器廃絶の課題が、単なる究極の理想としてではなく、諸国国民の努力によって実現し得る具体課題として、世界政治の日程に上ってきたことであります。
 この情勢を前向きに実らせるために、今決定的に重要なことは、核保有国、なかんずく米ソ両国が核兵器廃絶の政治的合意を実現することであります。米ソ交渉では、宇宙軍拡の問題、戦略核や中距離核の問題などさまざまな問題が議題とされていますが、核兵器廃絶の政治的合意がまず達成されるならば、どの問題についても、その具体的展望と結びついた新しい取り組み、接近が可能となるはずであります。総理は演説で、核を含む力の均衡の重要性を力説されましたが、核戦力の均衡を自己目的とし、それを最大の基準としてあれこれの部分措置を交渉し合うことは、軍備管理交渉の名のもとに果てしない核軍拡が続いてきた、過去の実り少ない不毛な歴史を繰り返すものであります。
 我が党は、この問題について一昨日、核兵器廃絶の政治的合意の緊急性を呼びかけた宮本議長の書簡を、レーガン大統領に送りました。私は、世界政治の上に生まれた絶好の機会を失わせないために、核戦争の脅威に反対する世界のすべての勢力が、今こそ力を尽くすべきときだと考えますが、被爆国日本の総理として、米ソ両国の核兵器廃絶に関する政治的合意の実現のために、努力を尽くす考えをお持ちかどうか、総理の決意と今後の具体的取り組みについて明確に伺いたいと思います。(拍手)
 次に、私が問題にしたいのは、中曽根内閣が現実にとっている核政策の問題であります。
 世界の舞台で核兵器廃絶を目指す新たな動きが進行しつつあるとき、そのさなかに開かれた自民党大会が、その運動方針から、従来確認してきた核軍縮の文言さえ削除したことは、その余りの逆行ぶりで世間を驚かせました。私は、残念ながら、これが偶然のことではなく、中曽根内閣の実際の行動と符節を合わせていることを、指摘せざるを得ないのであります。
 第一に、日本は依然として国連で、核軍縮の諸提案に対して、反対、棄権の態度を最も頻繁にとる国の一つという、不名誉きわまる地位を占めています。核兵器使用禁止条約の検討を求める決議案にも、昨年十二月の総会で、また棄権しました。政府は、その理由として、検証問題をよく云々しますが、核兵器を使用しないという国際的取り決めが問題になっているときに、検証問題を持ち出すというのは、全く場違いの話であります。核兵器の使用禁止問題に対して、これにさえブレーキをかけるこうした態度は、地球上に広島、長崎の惨禍を絶対に繰り返させまいとする日本国民大多数の意思とは、全く両立しがたいものであります。私は、核兵器廃絶、核兵器使用禁止を最優先の課題とする方向で、政府が国連その他における外交態度を根本的に考え直すことを重ねて強く求め、総理の見解をただすものであります。(拍手)
 第二に、核持ち込みの問題ですが、政府の発表でも、アメリカの攻撃型原潜の日本寄港は、昨年一年間で三十五回、過去最高の記録を示しました。しかも、二十四回までがロサンゼルス級、スタージョン級など、核トマホークの積載艦種に属する原潜であります。アメリカの核戦略に照らしても、核持ち込みへの疑惑はまさに覆いがたいものがあります。実際、昨年七月の朝日新聞の調査では、回答者の七三%が、核兵器を持ち込ませずの方針が守られているとは思わないと答えました。政府は、国民のこの疑惑にこたえる最小限の義務として、日本に寄港する米艦船に対して、非核の確認を求めることを直ちに実施すべきであります。ニュージーランドの政府は、ほかならぬ日本の神戸方式に学んで、既にその措置をとりました。非核三原則を国是としている日本の政府が、この原則が守られているかどうかを確認することは余りにも当然のことであり、ニュージーランドにできて日本にできないはずはないではありませんか。総理の見解を求めるものであります。(拍手)
 第三は、政府が国際問題として軍縮について一応語りながら、日本自身の政策としては、軍拡路線にあくまでも固執し、しかも、その突出ぶりが年ごとにエスカレートしていることであります。総理は、自衛のために必要な限度内のものだとして、突出軍拡を正当化しようとしていますが、日米間で今進行しているのは、日本有事だけでなく、米軍有事も含めた共同作戦と軍事分担の体制であります。軍拡を進めれば進めるほど、日本は、日本への攻撃のあるなしとはかかわりなく、アメリカの戦争にいや応なしに巻き込まれる仕組みが拡大していくのであります。
 一例を挙げましょう。政府は、新防衛計画で、P3Cを百機整備することを決めましたが、この部隊は米軍と連動して、日本周辺の広大な海域の対潜水艦哨戒作戦を分担しています。そこで得られた情報は、刻々米軍に提供される仕組みになっています。もし米軍が戦争行動に入ったときに、こうした連携行動が続けられるならば、日本は自動的に戦争の当事国となり、極めて危険な立場に立たされることは、火を見るよりも明らかであります。四年前、私がこの問題について質問したとき、政府は軍事機密だとして答弁を拒否しました。しかし、日本の安全の根本にかかわるこの問題について、国民の前に真実を隠すことは許されないのであります。P3Cによる対潜水艦情報にせよ、今度計画されているOTHレーダーの探知情報にせよ、アメリカ有事の際に米軍には情報を提供しないことを明言できるかどうか、しかと答弁を承りたいのであります。(拍手)
 さらに重大なことは、日米共同作戦と核戦争とのかかわり、関連であります。政府は、自衛隊とアメリカの核攻撃部隊との共同作戦もあり得ること、その際、共同作戦中の米軍が相手側に先制核攻撃を加えることも排除しない旨を、国会で政府の態度として明らかにしています。これはまさに、今日の自衛隊増強が、アメリカの核戦略に協力し、日本の国土自体をも核戦争の惨禍にさらす危険な道であることを示すものではありませんか。総理は、アメリカの核攻撃部隊とのこのような共同作戦が、被爆日本国民の意思に背く行動になるとは考えないのか、また、それが日本を核戦争の戦場と化す危険に導くことを心配しないのか、明確な見解を承りたいのであります。私は、アジアと世界の平和のためにも、日本自身の安全のためにも、日米軍事同盟下の軍拡政策を大きく転換させること、軍事費の大幅削減、中期防衛力整備計画の撤回、日米共同作戦計画の打ち切り、さらに、日本の核戦場化を招くすべての措置を排除することを強く要求するものであります。(拍手)
 次に、予算案と経済政策の問題に進みます。
 総理は、国内的には経済の拡大均衡、対外的には経済摩擦の解消を目指して、その中心に内需の拡大を据えるとしていますが、内需といえば、国内総支出の六割近くを占める個人消費、つまり国民生活こそが紛れもないその主役であります。ところが、軍拡優先と大企業中心主義の政策のもとで、この国民生活に連続的な重い圧迫を加えてきたのが、中曽根内閣三年間の実績でした。財政再建を最大の目的としたはずの臨調行革が、国民に犠牲を負わせただけで、肝心の財政再建には何のめどもつけられないまま今日を迎えているのも、そこに根本の原因があります。また、政府の貿易摩擦解消対策が、果てしない対米譲歩を続け、中小企業や農業、さらには国民の健康面にまで大きな脅威を与えながら、貿易バランスの回復という点ではさっぱり効果を上げ得ないでいるのも、逆立ちした姿勢の反省を迫るものであります。今こそ、経済政策の面でも、国民生活の向上を中心に据えた真の内需拡大政策への転換が求められていることを、強調したいと思います。(拍手)
 私は、昨年末の党首会談で、予算編成の大綱とともに、この問題で幾つかの提言を行いました。
 第一は、二兆五千億円の所得減税の実施であります。政府が長期にわたって本格的減税を見送ってきた結果、国民の所得税、住民税の負担が国民所得に占める比重は、一九七七年度の五・七四%から、一九八四年度の八・五二%へと大幅に上昇し、国民生活を圧迫する大きな要因となっています。もしこれを七年前の水準に戻そうとするならば、六兆五千億円の減税が必要だという勘定になります。我が党の二兆五千億円の減税要求は、とりあえずの大変控え目なものであります。
 第二は、社会保障の圧縮政策から拡充政策への切りかえであります。中曽根内閣のもとでの老人医療費の有料化、健保、年金改悪などの切り捨て政策は、ヨーロッパ諸国の水準とはまだかなり隔たりのあった社会保障制度を、一段と劣悪なものにしました。それは、高齢者を初め多くの人々の間に不安と困難を広げるとともに、国民の購買力低下の一つの大きな原因となったのであります。中曽根内閣のもとで行われた厚生省の当然増経費の削減分だけでも、今日では既に三兆円を超えています。我が党は、国民経済の見地からも、社会保障の拡充を基本とすること、当面、社会保障、福祉の切り捨て政策を中止し、老人医療費無料制や健保本人十割給付の復活を断行することを、強く主張するものであります。
 第三は、国民諸階層の生活を防衛する諸政策であります。労働者の実質賃金の大幅引き上げとともに、時間外手当の割り増し率の引き上げを含む労働時間の短縮を強力に推進することは、内需の低迷を打破する積極的な措置となると同時に、大企業の輸出ラッシュを是正して、諸外国との経済摩擦を緩和する上でも、大きな力を発揮することは間違いないのであります。国民経済の有力な部分を担う中小企業、農業に対しても、現在のように、専ら予算切り詰めの対象とするといったやり方を改め、本格的な振興策に乗り出すべきであります。特に、政府自身が当事者となってつくり出した今回の円高の打撃から関連中小企業を守るために、従来型の延長にとどまらない抜本的な措置をとること、市場開放の名のもとに日本農業を犠牲にする政策を中止することは、日本経済を健全に発展させる大局的な展望からいっても、急務であります。これらの諸点について、改めて政府の考えを承りたいのであります。
 これに対して、政府が推進しようとしている内需拡大策は、肝心の国民生活の問題から目を背け、民間活力の名のもとに、大企業中心主義の方針をあからさまに打ち出しているところに、最大の特質があります。六〇年代から七〇年代にかけて、高度成長政策とか日本列島改造論などの形で大企業中心主義が横行し、公害、環境破壊、地価高騰など、国民に多大の被害をもたらしたことは、まだ記憶に新たなところであります。今政府の唱えている民間活力論とは、新しい情勢のもとで、かつての失敗を一層大規模に繰り返そうとするものにほかなりません。政府は、民間活力、つまり大企業が活動しやすいように、規制緩和など環境条件の整備を図るとしています。しかし、大企業の経済活動のために、国民の環境条件を犠牲にする規制緩和などは、絶対に許されてはならないことと考えます。この点、総理はどのような見解をお持ちでしょうか。
 なお、この一年間をとってみても、さきの新潟県の雪害、長野県の地すべり災害、日航機墜落事故など、多くの犠牲者を出した事故、災害が少なからず起きました。私はここで、犠牲者と遺族の皆さんに心からの弔意を表するとともに、行政のあらゆる分野で、公害、災害の絶滅、人命と安全優先を国政の指針とすべきことを、強く主張するものであります。(拍手)
 また、内需拡大の目玉とされている一兆円プロジェクト、東京湾横断道路などは、東京湾を死の海にする危険が警告されている上、採算性にも経済効果にも大きな疑問があり、確実に保証されているのは、この建設に携わる巨大企業、そしてまた、土地を買い占めている大企業の利潤だけだというのが、偽らざる実態であります。日本経済はこれまでにも、政府・自民党の無責任な計画決定によって、使い道がいまだに決まらない青函トンネル、来世紀まで赤字必至とされる一連の新幹線などの誤った遺産を抱え込まされていることは、よく知られている事実であります。その繰り返しは二度と許されませんが、東京湾横断道路や明石架橋などについて、環境問題や採算性などどのような根拠をもって発進を決めたのか、責任ある答弁を求めるものであります。(拍手)
 このことに関連して問題にしなければならないのは、国鉄の現状に対する政府の責任であります。
 政府は、国鉄の財政破綻を分割・民営化の最大の理由にしていますが、一九七〇年代初めに二兆六千億円程度だった国鉄の長期債務を、今日二十兆円を大きく超えるところまで拡大した主要な責任者は、無謀な投資計画を国鉄に押しつけてきた自民党政府自身ではありませんか。過大な設備投資による国鉄財政の悪化は、既に一九六〇年代から問題になり、当時、国鉄財政再建推進会議は、十年間の設備投資枠を三兆七千億円に抑える方針を決めていました。この引き締め方針を日本列島改造論という大ぶろしきを広げて御破算にし、設備投資の規模を十兆五千億円へと一挙に三倍化したのは、一九七三年の田中内閣の決定でした。それ以来、国鉄は、上越、東北の新幹線や貨物近代化計画など、採算無視の投資計画を次々と押しつけられて、今日の財政破綻にまで突き進んできたのであります。我が党は、この責任を棚上げにして、国鉄の事実上の解体を図る分割・民営化計画には強く反対するものですが、この問題をめぐる論議の重要な前提として、不当な押しつけによって国鉄財政を破綻させた政府自身の責任をどう認識しているのか、伺いたいのであります。(拍手)
 外交問題に移りますが、先日の日ソ外相定期協議で、両国間の平和条約交渉が確認されたことは、我が党も歓迎するところであります。領土問題のいわゆる解決済み論に根拠がないことは、国家間の戦後の国境画定は平和条約によること、その平和条約が締結されていない以上、国際的な拘束力を持った領土問題の解決はあり得ないことを原理的に踏まえれば、疑問の余地のないところであります。我が党自身、ソ連共産党との一九七九年の首脳会談で、この見地から議論を尽くし、両党間で平和条約締結問題について協議を続けることで合意しました。
 開始される平和条約交渉で言えば、最大の問題となるのは、日本側が国際法上、どのような立場から領土返還を要求するかという点であります。千島問題の根源は、周知のように、一九四五年二月のヤルタ協定で、米英ソ三国が、ソ連の対日参戦の条件として、千島列島のソ連引き渡しを取り決めたこと、さらに、その取り決めを背景に、一九五一年のサンフランシスコ平和条約にアメリカが千島放棄条項を書き込み、日本がこれに調印したところにあります。しかし、千島列島は、幕末と明治初年の二つの条約で、南北含めて日本に帰属が平和的に確定した日本の歴史的領土であり、日本が暴力で他国から奪取した領土では絶対にないのであります。これをソ連に引き渡すというヤルタでの取り決めは、歴史的な道理にも、領土不拡大という国際的原則にも反することで、サンフランシスコ条約での千島放棄条項を含めて、第二次世界大戦における戦後処理の不公正な誤りに属する問題であります。
 我が党は、戦後処理の不公正を正すという見地から、千島列島全体の返還を主張し、ソ連側と独自の交渉を行うと同時に、日本側の問題として、千島放棄条項を廃棄して国際法上のこの誤った拘束から離れるべきことを主張してまいりました。ところが、自民党政府は、千島放棄条項の厳守という立場に今なお固執し、交渉のよりどころを専ら、南千島は千島にあらずという命題に求めております。しかし、択捉、国後が千島列島の一部であることは、一九五一年のサンフランシスコ会議で吉田全権自身が認め、その年の批准国会でも政府が繰り返し答弁したところであります。南千島は千島にあらずというのは、その四年後に、アメリカの助言で政府がにわかに唱え始めた主張であって、こういう経過からいっても、他国を納得させ得る道理と説得力を持たないことは明白であります。実際、日本政府がこの新解釈について、一九五五年十月に関係各国に問い合わせを行ったとき、イギリスやフランスからさえ新解釈への支持を得られなかったことは、当時、対ソ交渉の任に当たった松本全権が公表しているところであります。
 私は、領土問題の成功的解決のために、二つの問題を提起したいと思います。
 第一は、サンフランシスコ条約の千島放棄条項を再検討し、その拘束から脱することによって、千島返還を要求する国際法上の堂々たる立場を確立するという問題であります。第二は、歯舞、色丹の問題であります。この島々は、もともと北海道の一部であって、ヤルタ協定の対象外の領土であります。我が党は、一九七九年の日ソ両党首脳会談の際、歯舞、色丹の問題は、平和条約による国境の最終画定以前に解決すべき性質の問題であることを指摘し、ソ連側の安全保障上の懸念に対しては、ここに軍事基地を置かないことを条件として返還することを提案しました。この二点について、政府の積極的な検討を求めたいと思いますが、総理の率直な見解を伺いたいのであります。(拍手)
 最後に、民主主義の基本にかかわる一連の問題について質問いたします。
 まず、衆議院の定数是正の問題でありますが、これへの取り組みに当たって、法のもとでの国民の平等を最優先の原則とすべきことは、論をまたないところであります。我が党は、この見地から、現行の中選挙区制を維持するとともに、格差を一対二未満に抑えた是正案を一昨日国会に提出しました。政府・自民党の動向を見ると、小選挙区制に道を開く二人区制の導入とともに、格差一対三という不平等を、議長の権威をかりて国会と国民に押しつけようとする方向が顕著であります。しかし、もともと現憲法下の選挙制度の出発点での格差は、一対一・五一であります。是正という以上、少なくとも一対二未満とすべきだというのは、公法学者を含めて世論の大勢であります。国会は、当然、格差一対三などを既定の事実として固定化することなく、この問題についても論議を尽くすべきだと考えますが、自民党総裁である中曽根総理の見解を伺いたいのであります。(拍手)
 また、今回の国勢調査によって、参議院の選挙区では格差はついに一対六を突破するに至りました。これも国会として放置することが許されない課題だと考えますが、参議院の定数是正問題についての見解もあわせてただすものであります。
 総理は、国際青年年の意義に言及しましたが、青年の選挙権と政治参加という問題で、日本が今日、制度上の後進国となっていることは重大であります。我々の調査によれば、選挙制度を持っている国で、選挙権の資格を十八歳あるいはそれ以下としているのは百八カ国、まさに世界の圧倒的多数であります。二十歳あるいはそれ以上に限定している国は、日本を含めて二十三カ国を数えるだけであります。あなたが熱心なサミット諸国の間でも、十八歳選挙権を実現していないのは日本だけであります。我が党は、戦前の党創立以来、十八歳選挙権を主張してきましたが、この問題を我が国の政治の日程に上せることをどう考えるか、見解を伺いたいと思います。(拍手)
 総理は、施政方針演説で、戦後政治総決算路線についていろいろ述べましたが、多くの国民がこのことで深い危惧を抱いている焦点の一つが、まさに民主主義の問題でした。戦後政治の見直しということで、戦後否定された反動と戦争、軍国主義の傾向が、新しい形で再現することを恐れるからであります。実際、自民党が昨年の国会に提出した国家機密法案は、その心配をあからさまな形で裏づけました。スパイ防止の名のもとに、侵略戦争とその拡大の真相を国民の目から隠し、一切の批判を封殺した諸立法、なかんずく真珠湾攻撃のその年に成立した国防保安法は、戦時中の暗黒政治の柱の一つをなしたものでした。国家機密法案が示したものは、このファッショ立法の極めて忠実な復活そのものだったのであります。
 これに対して、反対の世論と運動が広がる中で、国会は昨年十二月、廃案という形でこの問題に決着をつけました。多くの国民は、この結論を歓迎すると同時に、自民党が再提出の意図を捨てていない状況に、引き続き深い懸念を持っています。私は、国民の民主主義と自由を不可侵の権利として擁護する見地から、国家機密法案を再提出しないよう、自民党総裁として、また、政府の総理としての決断を強く要求するものであります。(拍手)
 戦後政治の復活という意味で見過ごすわけにいかないのは、今政府が、天皇在位六十年の祝賀行事を計画していることであります。
 総理は、自民党大会での総裁あいさつで、昭和の激動の時代を国民とともに歩んできた天皇在位六十年を、国を挙げて祝うのだと述べました。しかし、あなたが一括して祝おうとしている昭和の六十年間とは、平和と民主主義にとっても、天皇の地位に関しても、絶対に混同するわけにいかない二つの時代を含んでいるのであります。最初の二十年間は、天皇が明治憲法によって、大日本帝国の統治者として即位し、国民がいつでもその権利を奪い取れる臣民とされた二十年間でした。三百万を超える日本国民と、二千万を数えるアジア諸国民の生命を犠牲にした十五年戦争も、「神聖ニシテ侵スヘカラス」と規定された天皇の名によって行われたものでした。国民から自由と民主主義を奪い去った軍国主義の体制も、すべて天皇の名で正当化されたのが、戦前の日本の専制支配の最大の特徴でした。
 今日の日本の憲法は、まさにこのことの反省に立って、主権在民を政治のよって立つ原理として確立し、「これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」ことを宣言したのであります。ここに、あなたが総決算しようとしている戦後政治の原点があります。憲法に象徴としての天皇の地位を定めた条項があるからといって、現憲法が排除した戦前の天皇制支配、主権在君の時代と、その原理的な否定の上に開かれた戦後の国民主権の時代とを一まとめにし、天皇在位六十年を国を挙げて祝おうとすることは、結局のところ、戦前の侵略戦争と暗黒政治の時代を、祝賀の対象として肯定することにほかなりません。これは、戦前の歴史からの痛切な教訓を無視し、今日の憲法の平和的、民主的条項に正面から挑戦することであります。ましてや、これを参議院選挙前に計画して選挙戦を有利にしようなどという、天皇の党略的な政治利用が許されるべきでないことは、明白であります。(拍手)
 私は、ここに、中曽根内閣の戦後政治総決算路線の危険な本性があらわれていることを厳しく指摘し、天皇在位六十年の祝賀行事の中止を求めるとともに、今指摘した問題点について、総理の見解をただすものであります。(拍手)
 以上、国際、国内の重要問題を取り上げてまいりましたが、私は、核兵器の廃絶と日本における非核の政策の確立、国民生活の向上と真に独立した非同盟・中立、革新及び民主主義の日本のために努力を尽くす日本共産党の決意を表明して、質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 不破議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、核兵器廃絶に関する米ソの政治合意、これについては、私も歓迎する旨しばしば申し述べました。広島、長崎の悲劇を受けた全日本国民の悲願であると思います。問題は、これをいかに現実的に実現していくかということでありまして、ゴルバチョフ書記長が三段階にわたる、二〇〇〇年に至るああいう提案をしたのも、一挙にはやめられない、均衡と抑止を維持しつつ、安定的に縮小していこうという考えでやったので、ソ連でも抑止と均衡、それに頼ってやっているわけです。この点は、共産党もよく御勉強願いたいと思う次第であります。
 次に、軍縮決議案の問題でございますが、やはり決議案というものについては、よく内容を検討する必要があるので、実現可能な具体的措置を一つ一つ進めることが大事です。ややもすると、国連の場においては、プロパガンダであるとか政治的意図という要素も、なきにしもあらずであります。我々としては、実際的に核廃絶が進むような、我々が安心できる具体的検証措置とか、そういう安心できる措置を含めて、それが我々の研究の対象でなければならぬ、そう思って、我々の熱意は共産党に劣るものではありません。しかし、安心のできる具体的措置という点において、共産党と意見の違うところがあるのであります。我々は、そういう意味において、現実的、科学的廃止論であり、あなた方は、幻想的廃止論であると申し上げておるとおりであります。(拍手)
 原潜の寄港の問題でありますが、安保条約によりましても、原子力推進による艦船の入港は、我々は認めているわけであります。問題は、核兵器保有艦船について事前協議等があるのでございます。日米間におきましては、安保条約が現存しておりまして、これは友好と信頼の上に運用されておるわけでございますから、一々核兵器の存在を確認する必要はないと我々は考えておるわけであります。
 次に、安保条約の問題でございますが、日本の防衛ということを目的にして、日本とアメリカが共同して諸般の研究や訓練を行っておる、またその中には、日本防衛を目的といたしまして軍事情報の交換、そういうことも含まれているということは、当然のことであります。
 次に、侵略が行われている場合、日本防衛のために米国の核保有艦船との共同作戦の問題については、これは、武力攻撃が日本に対して発生しているという五条事態のもとで、米国が、国連憲章の認める自衛権の行使として我が国を防衛するために行動している、そういう基本的前提のもとに私は御答弁を申し上げたものでございまして、その点は、前から申し上げているとおりである。いずれにせよ、核兵器が安易に使用されてはならないのであり、核兵器というものは、私たちは、理念的に見ても使用されてはならない武器である、そのように考えておるわけであります。
 防衛費の削減については、前から申し上げているとおり、我々は、非核三原則のもとに、専守防衛に徹して節度のある防衛力を築いている、そういう、申し上げたとおりであります。
 減税につきましても、シャウプ税制以来の大減税を実はやりたいと思って、税調に諮問して、それをお待ちしているということであります。
 社会保障につきましても、これは世代間の公平が維持されるように、今の若い方々が我々の年になっても、安定的にいろいろ社会保障を受けられるようにするために今から準備してあげなければ、高齢化社会を経過するその過程において、不安があるわけであります。そういう意味において、現在多少我々にとってはきついことになるかもしれませんが、若い世代の人たちのために我々は、今なすべきことをなしておかなければならない、それが高齢化社会に対する我々の良心である、そのように考えておるものなのであります。
 次に、賃金の問題と時短の問題でありますが、労働時間短縮などに適切に配分することは、内需拡大の面からも好ましいと思います。しかし、これは具体的には、労使間で話し合うべき問題である、そう思っております。割り増し賃金率の問題も含め、労働基準法改正については、昨年十二月に労働基準法研究会より報告がなされまして、今後、関係審議会において審議していただくことであります。
 中小企業の振興については、円高に対して厳しい環境も生まれつつあるやに思いますので、昨年の年末について一連の政策を行い、本年一月から六・八%の金利を五・五%に下げ、さらに、これらに関する必要なる立法措置も行わんとしておるところであります。
 農業については、農は国のもと、農業は生命産業と申し上げているとおり、食糧自給の安定的な、しかも生産力を中心にした農村の建設、活性化に向かって、努力してまいるつもりであります。
 規制緩和につきましては、これは行政改革の一つの要請としても行い、さらに経済を活性化するという意味からも、我々は今後、どんどん進めてまいりたいと思っております。しかし、人命の安全あるいは環境の保全、こういう問題は、あくまで重視していくつもりであります。
 青函トンネルや新幹線については、反対の御意見のようでございましたが、私は、北海道の道民や新幹線の沿線住民が、どれぐらい喜んでいるかわからないと思うのであります。東京湾の横断道路や、あるいは明石架橋等につきましては、これも我々は、民活の大きな仕事としてこれらを今検討して、実施したいと思っております。十分採算可能であるという見通しがありまして、これを行わんとしておるものであります。
 国鉄の改革につきましては、これはやはりモータリゼーションというものについて、国鉄の経営が追いつかなかったという面もございます。今のような膨大な国鉄の状態では、管理能力に限界がある。したがって、民間の自動車輸送とか私鉄に競争できないという状態もできておるわけです。これらを活性化して、そして民間に負けないだけの力を培養するには、やはり競争原理を採用して分割・民営化する以外にない、親方日の丸主義は排さなければならない、こういう考えに立って行われておるものであります。
 北方領土の問題については、まず、ヤルタ協定について我々は拘束はされません。第二に、千島は、南千島は、歴史的に日本領であったということは、あなたが御指摘のとおりであります。特に、吉田全権がサンフランシスコ会議におきましても、南千島については注意を喚起したところであり、アメリカも中国も、今非常に強く我々を支持してくれておる状態であります。第一、ソ連は、サンフランシスコ条約には加入していないということも、ぜひ御認識願いたいと思うのでございます。
 定数問題につきましては、今国会におきまして、議長の御見解や、あるいは先般の我々の決議を踏まえまして、可及的速やかに成立を期してまいりたいと思う次第でございます。参議院の定数是正につきましては、参議院の特殊性、つまり半数改選とか、各選挙区の有する地域的意味とか、そういうような選挙制度の根本にかかわる重要な問題がありまして、これも、各党で十分お話し合いを願いたいことであります。
 年齢の引き下げの問題は、これは単に選挙法だけの問題ではなくして、民法上の成人年齢、あるいは刑事事件との関係、そのほか、法律全般との関連においても我々は考えなければならぬ問題で、慎重に検討すべきものであります。
 国の秘密保持に関して、スパイを防止するということは、大切なことであると思います。日本ぐらいスパイ天国と言われておるところはないのであります。問題は、いかに日本の国民の基本的人権とか、あるいは知る権利とか、あるいは情報公開と調和させつつ、適切に行うかということでありまして、今、国民の納得する案を提出するように自民党において検討中であり、ぜひ御賛成願いたいと思うのでございます。
 天皇陛下の御在位六十年ということ、あわせて、昨年七月十三日には、歴代天皇中最長寿をお迎えなさったということは、まことに慶賀にたえない次第であります。(拍手)この天皇陛下の御在位六十年、御長寿をお祝いするというものは、これは自然な感情でありまして、天皇は元来、平和主義者であられたということは、皆さんも御存じのとおりでございます。別に政治的意図などは毛頭ないので、この自然の喜びの発露をそのまま行おうというので、疑う方が不自然ではないかと思うのであります。
 以上で答弁を終わります。(拍手)
#16
○副議長(勝間田清一君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ────◇─────
 議員請暇の件
#17
○副議長(勝間田清一君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 P長亀次郎君から、海外旅行のため、二月一日から十二日まで十二日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○副議長(勝間田清一君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ────◇─────
 裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員辞職の件
#19
○副議長(勝間田清一君) お諮りいたします。
 裁判官弾劾裁判所裁判員青木正久君から裁判員を、また、裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員熊川次男君から予備員を、辞職いたしたいとの申し出があります。右申し出をそれぞれ許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○副議長(勝間田清一君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ────◇─────
 裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員の選挙
#21
○副議長(勝間田清一君) つきましては、裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員の選挙を行います。
#22
○桜井新君 裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名せられ、予備員の職務を行う順序については、議長において定められんことを望みます。
#23
○副議長(勝間田清一君) 桜井新君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○副議長(勝間田清一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員に片岡清一君を指名いたします。
 また、裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員に島村宜伸君を指名いたします。
 なお、予備員の職務を行う順序は第二順位といたします。
     ────◇─────
 裁判官訴追委員及び同予備員辞職の件
#25
○副議長(勝間田清一君) お諮りいたします。
 裁判官訴追委員小沢貞孝君から訴追委員を、また、裁判官訴追委員の予備員白川勝彦君、亀井静香君及び森清君から予備員を、辞職いたしたいとの申し出があります。右申し出をそれぞれ許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○副議長(勝間田清一君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ────◇─────
 裁判官訴追委員及び同予備員の選挙
#27
○副議長(勝間田清一君) つきましては、裁判官訴追委員及び同予備員の選挙を行います。
#28
○桜井新君 裁判官訴追委員及び同予備員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名せられ、予備員の職務を行う順序については、議長において定められんことを望みます。
#29
○副議長(勝間田清一君) 桜井新君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○副議長(勝間田清一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 議長は、裁判官訴追委員に吉田之久君を指名いたします。
 また、裁判官訴追委員の予備員に
      小里 貞利君    中村正三郎君及び 村上 茂利君
を指名いたします。
 なお、予備員の職務を行う順序は、小里貞利君を第一順位とし、中村正三郎君を第二順位とし、村上茂利君を第四順位といたします。
     ────◇─────
 検察官適格審査会委員及び同予備委員の選挙
 国土開発幹線自動車道建設審議会委員の選挙
 北海道開発審議会委員の選挙
 国土審議会委員の選挙
 日本ユネスコ国内委員会委員の選挙
#31
○副議長(勝間田清一君) 検察官適格審査会委員及び同予備委員、国土開発幹線自動車道建設審議会委員、北海道開発審議会委員、国土審議会委員及び日本ユネスコ国内委員会委員の選挙を行います。
#32
○桜井新君 各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
#33
○副議長(勝間田清一君) 桜井新君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○副議長(勝間田清一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 議長は、検察官適格審査会委員に
      天野 光晴君 及び 愛野興一郎君
を指名いたします。
 また、長野祐也君を天野光晴君の予備委員に指名いたします。
 なお、予備委員太田誠一君は愛野興一郎君の予備委員といたします。
 次に、国土開発幹線自動車道建設審議会委員に
      稲村 利幸君 及び 小沢 貞孝君
を指名いたします。
 次に、北海道開発審議会委員に上草義輝君を指名いたします。
 次に、国土審議会委員に西田八郎君を指名いたします。
 次に、日本ユネスコ国内委員会委員に臼井日出男君を指名いたします。
     ────◇─────
#35
○副議長(勝間田清一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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