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1985/02/13 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 本会議 第6号
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1985/02/13 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 本会議 第6号

#1
第104回国会 本会議 第6号
昭和六十一年二月十三日(木曜日)
    ─────────────
 議事日程 第六号
  昭和六十一年二月十三日
    午後二時開議
 第一 昭和六十年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律案(内閣提出)
 第二 昭和五十九年度における道路整備費の財源の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 昭和五十九年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案(内閣提出)
 第四 特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法案(内閣提出)
    ─────────────
○本日の会議に付した案件
 渡部行雄君の故議員澁谷直藏君に対する追悼演説
 議員請暇の件
 検察官適格審査会委員及び同予備委員の選挙
 鉄道建設審議会委員の選挙
 昭和六十年度一般会計補正予算(第1号)
 昭和六十年度特別会計補正予算(特第1号)
 日程第一 昭和六十年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律案(内閣提出)
 日程第二 昭和五十九年度における道路整備費の財源の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 昭和五十九年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案(内閣提出)
 日程第四 特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法案(内閣提出)
    午後三時五十三分開議
#2
○議長(坂田道太君) これより会議を開きます。
     ────◇─────
#3
○議長(坂田道太君) 御報告いたすことがあります。
 議員澁谷直藏君は、昨年十二月十六日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 同君に対する弔詞は、議長において去る一月二十八日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに文教委員長農林水産委員長の要職につき また国務大臣の重任にあたられた議員正三位勲一等澁谷直藏君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
    ─────────────
 故議員澁谷直藏君に対する追悼演説
#4
○議長(坂田道太君) この際、弔意を表するため、渡部行雄君から発言を求められております。これを許します。渡部行雄君。
    〔渡部行雄君登壇〕
#5
○渡部行雄君 ただいま議長から御報告のとおり、本院議員澁谷直藏先生は、昨年十二月十六日逝去されました。
 私は、議員各位の御同意を得て、議員一同を代表し、謹んで哀悼の誠をささげたいと存じます。
 澁谷先生は、昨年一月から脳腫瘍手術のため、入院治療に当たっておられましたが、術後、健康を回復され、四月になって元気に登院されたのであります。そして、六月二十二日、郷里石川町の町村合併三十周年記念式典には、来賓として祝辞を述べられ、その中で「私は、皆様に大変御心配をおかけいたしましたが、このとおり健康そのものになりました。今後は、福島空港問題を初め、地域住民の抱える諸課題解決のため、はたまた国家国民のために、全力を傾けて頑張りたいと存じます。」と、力強く復帰宣言をなされたのであります。その声は朗々として満堂に響き、先生の今後の御活躍を期待するに十分でありました。
 しかるに、それからわずか半年も経ずして、御家族の懸命な御看護もむなしくついに不帰の客となられましたことは、まことに痛恨哀惜の情を禁じ得ないのであります。
 澁谷先生は、大正五年八月、福島県石川郡石川町にお生まれになり、「栴檀は双葉より芳し」のたとえどおり、幼少のころより俊秀の誉れ高く、石川中学時代は開校以来の秀才とうたわれて、その才能を惜しむ恩師の強い勧めによって、仙台の第二高等学校に進学されたのであります。そして二高時代は、青春を剣道に打ち込み、剣道部の主将として大活躍され、「二高に澁谷あり」と勇名をとどろかせたことは、今なお語り継がれているのであります。
 先生は、二高を卒業後、東京帝国大学法学部に進まれ、在学中に高等文官試験の司法、行政の両科に合格し、昭和十五年、大学を御卒業されるとともに内務省に入省されたのであります。ところが、入省わずか四カ月で兵役に服され、四年間の軍務を経て、海軍主計大尉で予備役となり、再び内務省に戻られたのであります。
 やがて終戦を迎え、新たに民主国家として出発した我が国は、労働者の地位と福利の向上を図るため、昭和二十二年、労働省を発足させたのであります。その発足と同時に先生は、労働省に入られ、働くに職もなく、極度の荒廃状態にあった窮状を救わんとして、若き情熱を失業者救済と雇用の確保等に傾けられて、緊急失業対策法や労働組合法、労働基準法など幾多の法律制定に御尽力され、草創期の我が国労働行政の基礎を築かれたのであります。(拍手)
 そして昭和三十二年、初めて労働省に官房長制がしかれた際には、四十一歳の若さで初代官房長に就任され、当時の石田労働大臣の女房役として、画期的な労働行政を推進、その才腕を遺憾なく発揮されたことは、今なお語り草となっているところであります。(拍手)また、先生は、激務の傍ら「戦後日本の雇用失業とその対策」、「労働基本法の詳解」等、その他多数の専門書を著されるなど、多くの輝かしい業績を残されたのであります。
 昭和三十五年、時あたかも我が国は、日米安全保障条約をめぐって世情騒然たる中で衆議院が解散され、第二十九回総選挙が行われたのであります。そのとき先生は、労働基準局長を辞されて福島県第二区から勇躍立候補され、見事初当選の栄冠を獲得されたのであります。(拍手)以来、連続九回当選、在職二十五年四カ月に及び、この間、国政に尽くされた功績はまことに大なるものがあるのであります。
 とりわけ、先生は最近、「二十一世紀にむかっての雇用政策」や「産業の高度機械化と高齢化社会に対応する指針」等を明らかにされ、労政問題の専門家として、理論面でも実践面でも我が国屈指の政治家でありました。
 また、先生は、労政の分野のみならず、国政全般にわたって幅広い御活躍をなされ、殊に、昭和四十七年に文教委員長、同四十九年には農林水産委員長を歴任、同五十三年十二月、大平内閣の自治大臣、国家公安委員長、北海道開発庁長官等の重職につかれたのであります。そして、就任早々の第八十七回国会冒頭の閣議において、先生は、施政方針演説の草案中「財政再建は国民的課題」という箇所に異議を唱えて、その部分に政府の決意を示すように提議し、これを追加させたことは有名な話であります。
 また、国家公安委員長としても、昭和五十四年に開催された東京サミットの際、その期間中、斎戒沐浴してみずからを引き締め、不眠不休で警備の総指揮に当たられ、見事サミットを成功に導かれたことも、先生の業績を語る上で忘れることのできないところであります。(拍手)
 また、先生は、自由民主党内においても、労働部会長、全国組織委員会副会長、広報委員長、衆議院議員総会長、タバコ産業等に関する特別委員長等の要職を歴任され、党務の処理や政策立案等に大活躍され、その功績は不滅であります。
 先生は、日ごろ「敬天愛人」、「即天去私」を座右銘として、天を敬い、人を愛し、私心を捨てて国家国民のために献身されてまいりました。一見、小柄で温和な風貌の持ち主でありましたが、一たび行動を開始するや、おのれの信ずるところに向かって驀進するたくましい実行力の持ち主でありました。
 また、その反面、非常に繊細な神経と愛情を持ち合わせられた方でもありました。それは、先生がお亡くなりになられる五年前、最愛の妻に先立たれた際の「亡き妻を偲ぶ」という追憶文の中にうかがえるのであります。
  しんとしてものみな眠る病室に妻によりそい
  夜は明けにけり
  死に近き妻のベットの側にいてあふれる涙
  こらえかねつも
とうたわれ、亡き妻に向かって、「妻として、母としてベストをつくした。とくに、政治家の妻として、夫の大成のために、弱い肉体に鞭打って最後まで頑張ってくれた。生命のかぎり燃やしつくして、ついに倒れた。壮烈な戦死といってもよい、おごそかな死であった。妻よ、おまえは人間としてなすべきことを立派にやりとげて倒れた。安らかに眠ってほしい。最愛の妻、かけがえのない伴侶をうしなった私の悲しみは、かぎりなく深い。」とつづられたのであります。
 そして先生は、この悲しみを乗り越えて、政治家としての悲壮な決意を詩に託され、
  今日よりはかえりみなくて国のため地元のために生きんとぞ思う
と詠まれて、生命ある限り国家国民のために捧げようと決意されたのであります。政治家の共通する心情として、強烈な感動を覚えずにはおられません。(拍手)
 先生と私とは、政党政派も違い、ともに選挙戦を戦ったいわば政敵同士でありましたが、なぜか先生のけいがいに接するとき、尊敬の念と親近感を深くするのであります。これこそ、まさに先生の人間性であり、お人柄の偉大さによるものと思うのであります。
 先生は、「これからは地方の時代である」と口癖のように言われ、福島空港建設のためには、異常なほどの情熱を燃やされていたのであります。福島県民のだれしもが願っていたことは、先生にその一番機に乗っていただきたかったことでありましょう。その願いも期待も、今や黄泉のかなたに消え去ってしまったのであります。今ごろは、最愛の奥さんと二人で、限りない談笑にふけっておられることでありましょう。
 今や我が国は、内外ともに多事多難であります。特に、欧米との経済摩擦を初め、高齢化社会の進行、福祉、教育費と軍備増強との矛盾、高度情報化への対応など難問は山積し、米ソ関係の変化にも大きな期待と不安が交錯する中で、世界の人々はかたずをのんで見守っているところであります。このようなときに、すぐれた識見と実行力を兼ね備えた先生を失いましたことは、ひとり自由民主党のみならず、本院にとりましても、また、国家国民にとりましても、まことに大きな損失と言わなければなりません。(拍手)
 政治に対する真摯な姿勢と大きな展望を抱きながら、六十九歳の生涯を閉じられた先生の胸中を思うとき、哀惜の情ひとしお切なるものを覚えるのであります。
 ここに、澁谷先生の御功績をたたえ、その風格をしのび、心から御冥福をお祈り申し上げて、追悼の言葉といたします。(拍手)
     ────◇─────
#6
○議長(坂田道太君) 御報告いたすことがあります。
 永年在職議員として表彰された元議員搏c甲子七君は、昨年十二月二十一日逝去せられました。
 永年在職議員として表彰された元議員佐々木更三君は、昨年十二月二十四日逝去せられました。
 まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 搏c甲子七君及び佐々木更三君に対する弔詞は、議長において去る一月二十三日、それぞれ贈呈いたしました。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議
 をもつてその功労を表彰され しばしば国務大
 臣の重任にあたられた正三位勲一等搏c甲子七
 君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげま
 す
    …………………………………
 元日本社会党中央執行委員長前衆議院議員佐々
 木更三君は 多年憲政のために尽力し 特に院
 議をもつてその功労を表彰されました 君は終
 始政党政治の推進に力をいたし 民主政治の発
 展に貢献されました その功績はまことに偉大
 であります 衆議院は 君の長逝を哀悼し つ
 つしんで弔詞をささげます
     ────◇─────
 議員請暇の件
#7
○議長(坂田道太君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 椎名素夫君から、海外旅行のため、二月十七日から二十七日まで十一日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ────◇─────
 検察官適格審査会委員及び同予備委員の選挙
 鉄道建設審議会委員の選挙
#9
○議長(坂田道太君) 検察官適格審査会委員及び同予備委員並びに鉄道建設審議会委員の選挙を行います。
#10
○桜井新君 検察官適格審査会委員及び同予備委員並びに鉄道建設審議会委員の選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
#11
○議長(坂田道太君) 桜井新君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 議長は、検察官適格審査会委員に
      小林  進君 及び 中村  巖君を指名いたします。
 また、
 太田誠一君を愛野興一郎君の予備委員に、
 清水勇君を小林進君の予備委員に、
 橋本文彦君を中村巖君の予備委員に
指名いたします。
 次に、鉄道建設審議会委員に
      金丸  信君    藤尾 正行君
      山口 鶴男君    浅井 美幸君
   及び 河村  勝君
を指名いたします。
     ────◇─────
#13
○桜井新君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、昭和六十年度一般会計補正予算(第1号)、昭和六十年度特別会計補正予算(特第1号)、右両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#14
○議長(坂田道太君) 桜井新君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ─────────────
 昭和六十年度一般会計補正予算(第1号)
 昭和六十年度特別会計補正予算(特第1号)
#16
○議長(坂田道太君) 昭和六十年度一般会計補正予算(第1号)、昭和六十年度特別会計補正予算(特第1号)、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。予算委員長小渕恵三君。
    ─────────────
 昭和六十年度一般会計補正予算(第1号)及び同報告書
 昭和六十年度特別会計補正予算(特第1号)及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔小渕恵三君登壇〕
#17
○小渕恵三君 ただいま議題となりました昭和六十年度一般会計補正予算(第1号)及び同特別会計補正予算(特第1号)につきまして、予算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この補正予算両案は、去る一月二十四日本委員会に付託され、同月三十一日に竹下大蔵大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二月十二日及び本十三日の両日質疑を行い、本日質疑終了後、討論、採決をいたしたものであります。
 まず、補正予算の概要について申し上げます。
 一般会計につきましては、歳出において、災害復旧費の追加、給与改善費及び義務的経費の追加など合計一兆五百四十五億円を計上いたしておりますが、他方、既定経費の節減及び予備費の減額により、合計三千三百十三億円の修正減少を行うことといたしております。
 歳入においては、租税及び印紙収入に四千五十億円の減収を見込む一方、税外収入の増加、前年度剰余金受け入れなどで合計三千七百二億円を計上するほか、建設公債三千五百三十億円、特例公債四千五十億円を追加発行することといたしております。
 この結果、昭和六十年度補正後の予算総額は、歳入歳出とも、当初予算に対し七千二百三十二億円増加して、五十三兆二千二百二十九億円となります。
 特別会計につきましては、一般会計の補正等に関連して、厚生保険特別会計、道路整備特別会計など十三特別会計について所要の補正を行うことといたしております。
 なお、一般会計及び特別会計において、内需拡大に関する対策の一環として、一般公共事業に係る国庫債務負担行為三千九百八十七億円を追加計上することといたしております。
 次に、質疑のうち、主なものについてその概要を申し上げます。
 まず、「昭和六十年度補正予算において、租税及び印紙収入を四千五十億円減額修正いたしておりますが、その理由は何か。財政状態が非常に厳しい今日でありますから、税収見込みを誤るべきではない。経済成長率の見込みが狂ったため、税収が落ち込んだのではないか」との趣旨の質疑があり、これに対し政府から、「給与に係る源泉所得税が伸び悩み、法人税が企業収益の低迷により減収となり、また、石油税が円高、原油価格の低下等により伸び悩んだためである。経済成長率は、基準の改定により若干の数字の変更はあったが、実態的には変化はない。ただ、名目成長率については、〇・二ないし〇・三%当初見通しを下回っている」旨の答弁がありました。
 次に、「本年度補正予算の歳出面について、国民健康保険特別交付金千三百六十七億円というのが初めて計上されている。これを出さなければならなくなった理由は何か」との趣旨の質疑があり、これに対し政府から、「昭和五十九年十月から実施した退職者医療制度については、できる限り正確を期したのであるが、統計上の制約などから、対象者数の把握等に当初見込みと実績の乖離が生じ、市町村国民健康保険の財政圧迫の要因となったので、厳しい国の財政事情のもとにおいても特別に措置しようと判断したものである」旨の答弁がありました。
 以上のほか、衆議院議員定数配分規定の是正と解散権との関係、天皇陛下御在位六十年に関連する恩赦の有無などの政治問題、東京サミットの課題、北方領土返還などの外交問題、財政再建と税制改革、財政投融資制度の見直しなどの財政問題、円高差益と内需拡大、発展途上国の累積債務の処理などの経済問題、国鉄改革に関する諸問題、男女雇用機会均等法の施行、母子保健法などの女性に関する諸問題、その他国政の各般にわたって熱心な質疑応答が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。
 かくて、本日質疑終了後、両案を一括して討論に付しましたところ、政府原案に対し、自由民主党・新自由国民連合を代表して渡辺秀央君から賛成、日本社会党・護憲共同を代表して井上一成君から反対、公明党・国民会議を代表して二見伸明君から反対、民社党・国民連合を代表して木下敬之助君から反対、日本共産党・革新共同を代表して瀬崎博義君から反対の意見が、それぞれ述べられました。
 討論終局後、引き続き採決いたしました結果、昭和六十年度補正予算二案は、いずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#18
○議長(坂田道太君) 両案につき討論の通告があります。順次これを許します。井上一成君。
    〔井上一成君登壇〕
#19
○井上一成君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となっております昭和六十年度補正予算二案について、反対の討論を行います。
 私どもは、昭和六十年度の政府予算について、防衛費のみが突出し、そのしわ寄せが社会保障費、教育関係費、地方財政に集中した著しく均衡を失ったものとなっていること、さらに、政府の言う「増税なき財政再建」が決定的な破綻を示した内容となっていることなどの点を指摘し、反対をいたしました。
 我が国の経済は、昨年秋以降の急激な円高の進展により、政府が当初見込んだ六・一%の成長率の達成が不可能になったばかりではなく、多くの輸出関連産業及び競争力の弱い国内産業、とりわけ、これらの産業の底辺を支えている中小零細企業にとっては、円高不況ともいうべき厳しい局面に陥っております。
 私どもは、このような状況にかんがみ、かねてから、不公平税制の是正による大幅減税、円高や原油安による差益の還元、中小零細企業対策の充実、住宅を中心にした内需拡大策の早急な実施などを強く要求いたしてまいりましたが、政府は、これらの既に国民的合意が形成されていると言っても過言ではない諸要求に対して、かたくなに耳を傾けようとはせず、あまつさえ、民営化に名をかりて国民の財産である国鉄の分割解体を図り、さらに、内需拡大の一つの要因にもなる公務員給与の取り扱いについても実施時期をおくらせるなど、国民に背を向けた政治姿勢をとり続けていることは、必ずや国民全体の強い批判を受けることになると考えるものであります。(拍手)
 以下、今回の補正予算案に反対する理由を申し上げます。
 反対する理由の第一は、本補正予算が財政法第六条の規定を踏みにじる形で編成されていることであります。
 財政法第六条は、御存じのとおり、剰余金を生じた場合、その二分の一以上の金額を公債等の償還財源に充当することを規定いたしております。そればかりではなく、政府は、これまでのいわゆる赤字特例公債の発行に際し、昭和五十年十月の衆議院予算委員会において、当時の大平大蔵大臣が、財政法第六条の剰余金の繰り入れに関しては、「従来は、原則として剰余金の二分の一に相当する金額を充ててきましたが、特例公債償還までの間は、その全額を充てる予定であります。」との説明を行っております。しかしながら、政府は、その後、この説明をみずから放棄したばかりでなく、その都度、臨時異例の措置と称し、財政法の規定そのものまで再三にわたり踏みにじってきたのであります。
 今回の補正予算の編成に際しても、財源不足を理由に、昭和五十九年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案を補正予算案にあわせて提出し、五十九年度の決算上の剰余金一千七百五十億円を全額一般財源に充当しております。財政法は、国の予算その他財政の基本を定めた財政基本法とも言うべき極めて重要な法律であります。大幅減税のための財源確保というならばともかく、ただ単に財源不足を生じたからといって、その都度、臨時異例の措置として安易にこの財政法の規定を変更し、そのときの都合で自由に予算の編成を行うことができるということになれば、国の財政の基本を定めた財政法は、空文に等しいものとなってしまうのではないでしょうか。(拍手)財政運営の明らかな破綻によって生じた財源不足を、法律の規定を勝手に変更してつじつまを合わせるような補正予算の編成を続けることは、我が国財政の将来に大きな悪例を残すものであります。
 反対する理由の第二は、税収見込みのずさんさと、これを補てんするためのいわゆる赤字特例公債の追加発行であります。
 我が国経済は、既に低成長時代に直面しております。しかし、政府は、みずからの財政再建の破綻を糊塗するため、常に高目の成長率を想定した経済見通しをつくり、それに基づく予算編成を行っているのが実態であります。このことは、この十年間を振り返ってみても、政府の経済見通しを上回る成長が達成されたのは昭和五十九年度のみであり、その他はすべて実際の成長率が政府見通しを下回っている事実からも明らかであります。昭和六十年度についても、当初六・一%の成長を見込みながら、補正の段階ではこれを五・七%に変更し、これに基づいて税収の見積もりを修正するという、極めて場当たり的な財政運営を行っていることは問題であると考えます。
 予算編成で最も大切なことは、ありのままの財政の姿、景気予測を国民に知らせることであるはずであります。その実態が窮状を告げるものであるにもかかわらず、それを直視せず、意図的に税収を高目に見積もることは許されないと思うのであります。(拍手)さらにその上、税収見直しによる減収分を赤字特例公債の追加発行によって補てんすることは、単に昭和六十五年に特例公債の発行をゼロにするという財政再建の破綻を内外に明らかにするだけではなく、その負担を我々の子孫に転嫁し、将来にわたって禍根を残すことになると言わざるを得ないのであります。
 反対する理由の第三は、この補正予算には、国民の要求する減税等の措置が全く盛り込まれていないことであります。
 円高不況の中で、減税を求める国民の声には切実なものがあります。私どもは、不公平税制を是正することによって、大幅な減税が可能であることを明らかにしてきましたが、政府は、これらの問題を先送りするとともに、増税との抱き合わせで減税を実施するという、国民の期待を裏切る姿勢を示しているのは極めて遺憾であります。
 反対する第四の理由は、国民の生活を改善する内容が極めて不十分なことであります。
 例えば、人事院勧告は、単に国家公務員の給与の改善を図るにとどまらず、多くの民間企業の賃金決定にも大きな影響を及ぼし、勤労者世帯の可処分所得の増加を通じて、内需拡大にも結びつくものであります。しかも、この人事院勧告は、国家公務員の労働基本権を制約する代償措置であり、財政上の都合だけでその完全な実施を行わないというのは、人事院勧告制度の形骸化を招くものであります。今回の補正予算では、四月実施の人事院勧告を七月実施としておりますが、このような人事院勧告の不完全な形での実施が、国家公務員の給与の抑制にとどまらず、地方公務員、年金、恩給生活者などにも悪影響を及ぼしている事実も、見過ごすわけにはいかないのであります。
 以上、補正予算二案に反対する主な理由を申し上げました。
 最後になりましたが、今回の補正予算の提出で明らかになったように、今こそ「増税なき財政再建」の路線が既に完全に破綻した事実を、政府はありのままの姿で国民に知らせ、国民の批判を求めるべきであるということをつけ加えまして、反対討論を終わります。(拍手)
#20
○議長(坂田道太君) 相沢英之君。
    〔相沢英之君登壇〕
#21
○相沢英之君 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表して、ただいま議題となっております昭和六十年度補正予算両案に対し、賛成の討論を行います。(拍手)
 我が国経済は、二度にわたる石油危機を初めとする幾多の試練により、経済活動が低迷いたしましたが、国民生活の安定と経済の持続的成長を確保するため、政府は、毎年、多額の公債を発行するなど、機動的な財政施策を展開してこの試練を乗り越え、今や我が国経済は、世界経済のほぼ一割を占めるまでの発展を遂げたのであります。しかし、その反面、我が国の財政は、公債残高の累増等によって、社会経済構造の変化に対応する新たな施策を講ずる余力を徐々に失ってまいりましたので、早期に財政の対応力を回復することが緊急の課題となり、昭和六十年度当初予算も、経費の徹底した節減合理化を図りながら、特例公債依存体質の改善に努めるよう編成されたのであります。
 しかるに、当初予算成立後に、我が国を取り巻く世界の情勢は大きく変化いたしました。すなわち、アメリカ経済の拡大速度の鈍化、我が国の五百億ドルにも及ぶ輸出黒字の発生、貿易摩擦の激化、内需拡大圧力の増大など、種々困難な問題が発生し、これら諸問題解決の一環として、為替レートについては、昨年九月に五カ国蔵相・中央銀行総裁会議、いわゆるG5が開かれ、その合意を契機として、円高が急速に進んだのであります。一方、国内においては、円高基調の影響をまともに受けた経済の陰りに対し、内需の振興等を促進するための経済運営が強く望まれ、また、災害による被災地の復旧事業も急がれているところであります。
 今回の補正予算は、このような内外経済の動向を勘案し、当初予算成立後に生じたやむを得ざる事由に基づいて、特に緊要となった事項等について、所要の措置を講じようとするもので、その規模は、一般会計で七千二百三十二億円の増額となっております。
 以下、本補正予算に賛成する理由を申し上げます。
 その第一は、災害復旧費の追加であります。
 昨年は、自然災害が多く発生し、このため、幾多のとうとい人命が失われたことは、まことに痛ましい限りでありますと同時に、被災地の方々は、日常生活にはかり知れない不便を感じておられることと存じます。今回の補正予算では、災害復旧に特段の意を注ぎ、初年度復旧進度を従来よりもさらに速めるなど、万全を期することとし、三千五百三十四億円を計上しております。これにより、被災地の方々が明るい希望を持って、生活の再建に取り組むことができるものと高く評価するものであります。
 賛成の理由の第二は、公務員給与の改善であります。
 公務員給与については、これまでも厳しい財政事情の中で、適宜、相当程度の改善を行ってきたところでありますが、昭和六十年度は、人事院勧告制度の本旨にのっとり、かつ、公務員が生活の安定を通じて職務に専念することを期待して、七月からではありますが、勧告どおりに五・七四%引き上げ、率においては完全実施を行ったのであります。今回の措置により、公務員給与についてのいわゆる積み残しは解消されたことになります。公務員各位も、政府の意図するところに沿って、綱紀の粛正に努めるとともに、国民への奉仕に一層努力されんことを望むものであります。
 賛成の理由の第三は、内需振興のためのてこ入れであります。
 近年、輸出入のアンバランスが拡大し、アメリカを初め欧州諸国等が我が国に対し、貿易収支の不均衡是正を強く求めていることは、御承知のとおりであります。貿易立国である我が国としては、自由貿易体制の維持強化を図るため、経済摩擦の解消に真剣に取り組んでいかなければならないのは当然のことであります。これにこたえて、政府・自由民主党は、率先して各種の対策を決定し、その推進に努めてまいりました。すなわち、昨年四月の「対外経済対策」の決定、七月の市場開放のための「アクション・プログラムの骨格」の策定、十月及び十二月末の「内需拡大に関する対策」の決定と、切れ目なくあらゆる努力を傾注してまいったのであります。
 今回の補正予算においても、一般会計及び特別会計に、内需拡大に関する対策の一環として、一般公共事業に係る国庫債務負担行為約四千億円を追加計上し、これにより、事業費として六千億円を確保いたしております。この措置は、経済の拡大均衡を通じて経済摩擦の解消を図るため内需の拡大等に努めるという、従来の基本方針に沿うものでありますから、貿易収支不均衡是正への積極的取り組みとして、補正予算の一日も早い成立を切望するものであります。
 以上、私は、本補正予算に賛成する主な理由を申し述べてまいりましたが、我が国は、これから急速に高齢者社会を迎えることになり、また、対外経済摩擦も我が国の経済構造から、まだまだ続くものと見なければなりません。このようなときに当たり、政府におかれては、引き続き行財政改革を推進するとともに、財政の根本的健全化を図るよう十分留意し、また一方、拡大均衡のもとでの新しい成長を促進するためには、規制緩和を初め、民間活力を最大限発揮させるための環境を整備するとともに、基礎的、先端的分野における創造的技術開発を推進して、付加価値の高い産業への転換を図るなど、将来の我が国産業のあり方に万全を期せられんことを特に要望し、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#22
○議長(坂田道太君) 駒谷明君。
    〔駒谷明君登壇〕
#23
○駒谷明君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっております昭和六十年度補正予算二案に対し、反対の討論を行うものであります。(拍手)
 我が国経済は、国内需要が伸び悩み、依然として外需依存の経済から脱却し切れない状態が続いております。米国を初め諸外国から非難を浴びている著しい対外経済不均衡を解消するためにも、内需の拡大が急務であります。一方、財政の再建は一向に進まず、昭和六十一年度予算案では、昭和六十五年度に赤字国債発行から脱却するとした財政再建の目標が、事実上、放棄されてしまったのであります。
 私どもは、今日のような状況を招かないようにするため、六十年度当初予算の審議あるいは予算修正要求で、内需拡大と国民生活防衛の点から不可欠である所得税、住民税減税の実施を迫り、財政再建の名のもとに国民生活に負担と犠牲を押しつける経済財政運営を厳しく追及し、その転換を強く求めたのであります。政府の続けている縮小均衡型の予算では、内需拡大の実現が不可能であり、また、財政再建を進めることができないことは明白であるからであります。しかしながら、中曽根内閣は、私どもの要求に耳を傾けようとしなかったのであります。今回の補正予算案で、税収の減額、赤字国債の追加発行という事態に追い込まれ、事態をますます悪化させた責任は重大であると言わなければなりません。
 以下、本補正予算案に反対する主な理由を申し述べます。
 第一は、積極的な内需拡大策の実施を怠り、税収の減額修正を余儀なくされたことであります。 今回の補正予算案では、法人税を中心に四千五十億円に上る税収の減額修正を行っておりますが、この原因は、景気の後退による企業の収益の落ち込みと給与所得の伸び率の低下によるものであります。このことは、とりもなおさず、政府が積極的な内需拡大を怠ったことによってもたらされているものであり、中曽根内閣の経済財政運営は厳しく追及されなければならないのであります。
 私どもが内需拡大のために特に強く要求した所得税減税が、四野党と自民党の間で前向きに合意がなされ、政府もその合意の尊重を約束しながら、寝たきり老人減税等にとどめられたことは、国民生活防衛の点からもまことに遺憾であります。また、私どもは、当初から公共事業費の追加を要求してきたのでありますが、これも見送られた上、本補正予算案における公共事業費の追加も国庫債務負担行為によるもので、これは六十一年度予算の先食いであります。内需拡大のための減税を実施せず、公共事業の追加もしなかったことが、内需の伸び悩みをもたらし、一方では、内外不均衡の拡大を生じさせているのであります。現在の我が国経済の課題は、積極的な内需拡大策を講じ、内需主導の安定成長を図ることであります。その意味で、政府は、これまでの財政経済運営を厳しく反省し、本補正予算案に積極的な内需拡大のための具体策を盛り込むべきであると考えるものであります。
 反対する理由の第二は、財政再建計画を破綻させる四千五十億円もの赤字国債を追加発行したことであります。
 政府は、六十五年度赤字国債脱却を目指し、不十分ながらも六十年度当初予算では、赤字国債発行額を七千二百五十億円減額いたしました。しかし、本補正予算案で、税収の減額と同額の四千五十億円の赤字国債を追加発行せざるを得なくなった結果、六十年度の赤字国債発行額の減額は、五十九年度に比べてわずか三千二百億円、五十七年度実績七兆円に比べても、わずかに八千六百五十億円の減額にとどまってしまったのであります。六兆円の税収不足を生じた五十七年度補正予算以来の赤字国債追加発行は、財政再建をさらにおくらせることになったのであります。
 また、赤字国債の発行によって、財政法上、半分は国債償還のための国債整理基金に繰り入れることが義務づけられている五十九年度の決算余剰金一千七百五十五億円を、全額歳入に繰り入れる特例措置を講ぜざるを得なくなったことは、公債の償還財源の窮状にさらに追い打ちをかけているものであります。政府の六十五年度赤字国債脱却を目指す財政再建計画は、もはや事実上、破綻したと言わざるを得ないのであります。中曽根内閣があくまでも六十五年度に赤字国債発行から脱却するというのであれば、それをどのように実現するのか、具体的に示すべきであります。
 反対する第三の理由は、退職者医療制度への移行人数の見込み違いによって生じた国民健康保険の赤字に対する補てんが、極めて不十分であるということであります。
 一昨年十月に発足した退職者医療制度の加入者、つまり国民健康保険からの移行者は、政府が当初見込んだ四百六万人を大きく下回り、五十九年度実績で二百五十九万人にすぎなかったのであります。四百六万人の移行を前提に国民健康保険への補助率を引き下げた結果、見込み違いによる地方財政への影響額は、五十九、六十年度で二千八百億円に上り、多くの地方自治体では保険料の引き上げを余儀なくされたのであります。本補正予算案において、千三百六十七億円の特別交付金が追加されるとはいえ、それは不足分の六六%にすぎないのであります。当分の間、移行人数の見込み違いが解消されない以上、政府は引き下げた補助率を適正水準に引き上げるべきであります。
 反対する第四の理由は、人事院勧告に基づいて五・七四%の国家公務員の給与改善が図られたとはいえ、その実施は七月一日からという不完全なものであることであります。
 本年度は、五十七年度以来続けてきた勧告の凍結あるいは勧告率自体の引き下げを避けたことについては評価するものの、実施時期を七月としたことは、人事院勧告の完全実施とは到底言えるものではありません。政府は、今日まで、財政難を理由に人事院勧告の完全実施を怠っておりますが、このような態度は、公務員の労働基本権を制約する見返りとして設けられている人事院勧告制度を形骸化するものであります。人事院勧告の抑制による波及効果は、地方公務員、年金、恩給生活者から民間労働者の生活まで幅広い範囲に及び、ひいては、個人消費の伸び悩み、景気低迷の要因となっているのであります。我が党は、かねてから、国家公務員の純減数の拡大を図る一方で、人事院勧告の完全実施を要求してきましたが、人事院勧告を踏みにじる本補正予算案を認めることはできないのであります。
 以上、補正予算二案に反対する主な理由を申し上げ、討論を終わります。(拍手)
#24
○議長(坂田道太君) 田中慶秋君。
    〔田中慶秋君登壇〕
#25
○田中慶秋君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております昭和六十年度補正予算二案に対し、反対の討論を行うものであります。
 今日の日本経済は、昨年の五カ国蔵相会談を受けて、ドル安・円高の政策がとられ、今や百八十円台を維持しようとしているわけであります。こうした影響は、輸出関連企業を中心に中小企業にまで及び、日本経済を根底から崩壊しかねない状況にあるのであります。
 我が国は、三つの重要な課題を抱えているわけであります。その一つは、対外貿易摩擦の解消であり、二つ目には、円高による景気減速への対応だと思います。そして三つ目は、何といっても「増税なき財政再建」の達成ということであります。そのいずれもが、お互いに関連し合い、政策の運営いかんによっては、一つの政策目標の改善が他の政策目標の改善を妨げるおそれがあるわけであります。こうした困難な課題を克服するためには、我が党が主張しているとおり、行政改革の断行により経費の節減をすること、内需依存型の経済の実現のために公共投資を拡充し、一方では、大幅な所得減税を実施することにより、個人の消費の拡大を図り、景気を刺激をさせ、税の自然増収を図るといった総合的な施策を講ずることが、最も重要であろうと思います。
 しかるに、中曽根総理を初め関係大臣は、東京サミットを前に、アメリカ、カナダ、英国などを訪問し、貿易摩擦の解消や内需拡大の約束をしながらも、実は縮小均衡型の経済運営から脱却することができず、内容の乏しい民活のみに依存し、何ら積極的な施策を推進しようとしないのであります。私たち民社党は、中曽根総理に対し、対外経済摩擦の解消、行財政改革の達成といった重要な課題を克服するために、拡大均衡型経済財政政策への転換を改めて強く求めるものであります。
 私は、以上申し上げました見地から、本補正予算に反対する理由として、第一に、行財政改革への取り組みが極めて不十分であるということであります。
 我が党が補助金の整理統廃合を強く求めたのに対し、中曽根内閣は、高率国庫補助金の一律一割カットという、単に地方へ赤字のツケ回しを行ったにすぎないのであります。補助金の整理合理化に当たっては、存続する意義の失われたものを廃止し、地方に同化定着した補助金の地方一般財源化、人件費補助の廃止、箱物の補助金の統合など、行革の趣旨に沿うた措置を講ずるべきであろうと思います。さらに、赤字国債発行の減額については、政府は、昭和六十年度予算において一兆一千五百億の減額を図るとしたにもかかわらず、本補正予算で新たに四千五十億の赤字国債を発行するに至った責任は、行財政改革を推進する観点から極めて重大だと言わざるを得ません。
 第二に、公共投資の拡充が盛り込まれていない点であります。
 我が党は、建設国債を財源に社会資本の整備と景気拡大を図るために、本補正予算において、事業費ベース約一兆円の公共投資追加を組むように強く求めてまいりました。しかるに、本案においては、建設国債の追加発行が災害復旧のみにとどまったのは、極めて遺憾であります。
 第三に、税制改革についてであります。
 我が党は、昭和六十年度予算に当たり、国民の負担軽減と個人消費拡大のために、約一兆円程度の所得税減税と、さらに、産業基盤強化のための約三千億程度の投資減税の実施を求めてまいりました。しかし、中曽根総理は、こうした景気回復に不可欠な減税など諸般の施策を見送ったばかりではなく、法人税の貸倒引当金の法定繰り入れ率の引き下げや、公益法人、協同組合等の軽減税率の引き上げ、法人税における所得税額控除の控除不足額の還付に関する特例措置等により、三千億もの増税を強行したのでありました。このように、依然として勤労者の税負担が高いままに放置され、赤字財政のツケが中小企業に及ぶような政策を続けていくことは、断じて容認することはできないのであります。
 第四に、我が党は、退職者医療制度の創設に伴う国庫補助率の引き下げ措置が、政府の同制度への加入者数の見込み違いにより、国保財政に多大な負担増を強いている点でありますが、補正予算においても、五十九年度、六十年度分の不足額二千八十億の全額を国が措置するように求めてまいりましたが、これに対し、千三百六十七億の特別交付金を支出するにとどまったことは、国民の生活を圧迫するものであり、到底容認することはできません。
 さらに、国家公務員の給与改定に当たっては、人事院勧告の完全実施を見送り、実施時期を三カ月おくらせました。財政事情を理由に公務員の給与を抑制するということは、政府の施策の失敗のツケを公務員に押しつけるものであります。筋違いも甚だしいものであります。政府の責任はまことに重大であると言わざるを得ません。
 以上の理由により、本補正予算二案に対し、我が党は反対するものであります。
 さらに、内外ともに非常に厳しい環境の中で、今日ほど我が国の世界におけるGNPの一割国家としての責任、さらには自覚、指導的役割を果たすことを求められているときは、かつてなかったのであります。諸外国に見られる保護貿易主義の台頭を回避し、世界経済の安定と発展に資するために、政策の大転換を強く求めまして、補正予算二案に対する私の反対討論を終わらせていただきます。(拍手)
#26
○議長(坂田道太君) 経塚幸夫君。
    〔経塚幸夫君登壇〕
#27
○経塚幸夫君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、昭和六十年度補正予算二案に対する反対討論を行うものであります。
 反対の第一の理由は、本案が国民の願いをことごとく踏みにじっているからであります。
 今国民が本補正予算案に求めているものは、軍拡と財界奉仕をやめて、国民生活を最優先する真の内需拡大策へ転換を図ることであります。特に政府主導の円高不況で、企業倒産が一万八千八百十二件に達し、失業率も最高を記録し、国民消費も五カ年で伸び率わずか〇・二%という消費不況の中で、賃上げと大幅減税、社会保障の拡充、生活直結の公共投資、実効ある円高不況対策を求める声は一段と高まっておるのであります。世論調査によっても、増税、福祉切り詰めで暮らしへの配慮が足りないとの回答が六二・五%を占め、軍事費を削れが六六・七%に達しているのであります。
 ところが、補正予算案では、保健所助成、社会保険国庫負担金など福祉予算六百五十九億円、私学助成など教育予算百十九億円、中小企業対策費四十三億円がばっさりと削り取られているのであります。しかも、他方では、防衛庁予算は新たに三百二十五億円が追加されているのであります。国民が削ってはならぬという予算は削り、削れという予算は逆に増額。これこそまさに、レーガン政権の核軍拡と財界の要求にこたえるためには、国民の声を踏みにじって何ら省みようとしない中曽根内閣の姿勢をあらわに示すものであり、断じて容認できないものであります。(拍手)
 反対の理由の第二は、財政破綻であります。
 総理は、赤字国債を毎年一兆円ずつ縮減、六十五年度ゼロにすると大見えを切ったのであります。ところが、今回の増発によって、縮減額はわずかに三千億円にすぎなくなったのであります。六十五年度ゼロが完全に破綻したことは、自民党の宮澤総務会長でさえ公然と認めているではありませんか。しかも政府は、税制改革の名のもとに、大型間接税を導入しようと企図していますが、これこそ、大企業とともに赤字国債の乱発によって財政を破綻に追い込んだみずからの責任を国民に転嫁するものであり、このような暴挙を国民は断じて許さないことを強く申し上げておく次第でございます。(拍手)
 第三の反対の理由は、連続四年にわたる人事院勧告無視と不完全実施の問題であります。
 これは、公務員労働者の生活を破壊するにとどまりません。政府が労働基本権を奪った代償措置としてつくった人事院勧告制度を、みずからの手で踏みにじるものであり、まさに二重の憲法違反と言わなければなりません。
 第四には、命と健康を省みない反国民的態度であります。
 政府は、一昨年の健保改悪で国民健康保険への国庫負担金四五%を三八・五%に引き下げる際、退職者医療制度をつくるから国保財政には問題はないと言ったはずであります。ところが、問題がないどころか、五十九年度決算では、五十五年度に比べて赤字団体が三・四倍に急増、六十年度保険料を値上げした団体は何と九一%にも上っているのであります。しかも、政府の責任で補てんするのが当然であるにもかかわらず、三千億円を超す欠損金を二千八十億円に抑え、その上、三分の二しか補てんしないというのであります。
 さらに重大なことは、赤字対策を理由に、保険料が払えない人には保険証の交付も停止し、老人には、一年間の入院費負担を十倍に引き上げる老人保健法の改悪を準備していることであります。これは、国が負うべき責任を負わないばかりか、国民に転嫁するとともに、悪政によってつくり出された矛盾をより大きな悪政強行の手段にすりかえるという、中曽根内閣の本質を示すものであり、私は、改めて厳しく糾弾するものであります。(拍手)
 以上、反対の理由を明らかにしてまいりましたが、どれ一つをとってみても、政府の政治責任が問われる重大な問題ばかりであります。
 我が党は、六十一年度予算編成に際して、平和、軍縮、生活優先へ抜本的に転換を求める見解を示しましたが、国民の願いに沿う道は、この方向以外にないことを改めて強調して、討論を終わります。(拍手)
#28
○議長(坂田道太君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#29
○議長(坂田道太君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#30
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
 日程第一 昭和六十年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律案(内閣提出)
#31
○議長(坂田道太君) 日程第一、昭和六十年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。地方行政委員長福島譲二君。
    ─────────────
 昭和六十年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔福島譲二君登壇〕
#32
○福島譲二君 ただいま議題となりました昭和六十年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。
 本案は、ただいま可決されました補正予算において、所得税及び法人税が減少することに伴い生ずる地方交付税の落ち込み分について、地方財政の状況にかんがみ、これを減額しないこととする特例を設けようとする等のものであります。
 その内容は、昭和六十年度分として交付すべき地方交付税の総額及び同年度分の一般会計から交付税及び譲与税配付金持別会計への繰入金の額の算定について特例を設けることにより、当初予算に計上された地方交付税の総額九兆四千四百九十九億円を確保することとし、また、この特例により昭和六十年度において減額されないこととなる額千四百四億八千万円については、後年度の精算対象から除外することとするとともに、別に法律の定めるところにより、この額以内の額を、昭和六十二年度以降の地方交付税の総額から減額する措置を講ずることとしております。
 本案は、一月三十一日本委員会に付託され、昨十二日小沢自治大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、本年度の地方交付税の落ち込み分に対する国の責任のあり方、昭和六十二年度以降の地方交付税の減額時期等に関する政府の方針等について質疑応答が行われましたが、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し、昭和六十二年度以降の地方交付税の総額からの減額時期等についての附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#33
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#34
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
 日程第二 昭和五十九年度における道路整備費の財源の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
#35
○議長(坂田道太君) 日程第二、昭和五十九年度における道路整備費の財源の特例等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。建設委員長瓦力君。
    ─────────────
 昭和五十九年度における道路整備費の財源の特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔瓦力君登壇〕
#36
○瓦力君 ただいま議題となりました昭和五十九年度における道路整備費の財源の特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近の経済情勢等にかんがみ、道路整備事業の実施の一層の促進を図るため、昭和六十一年度の道路整備費の財源に充てることとされている昭和五十九年度の揮発油税等の決算調整額約二百九十九億円を、昭和六十年度の道路整備費の財源に充てることとし、そのため、道路整備緊急措置法第三条第一項の特例を設けようとするものであります。
 本案は、去る一月二十九日本委員会に付託され、昨十二日江藤建設大臣から提案理由の説明を聴取し、同日質疑を終了、討論、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#37
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#38
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
 日程第三 昭和五十九年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案(内閣提出)
#39
○議長(坂田道太君) 日程第三、昭和五十九年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長小泉純一郎君。
    ─────────────
 昭和五十九年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔小泉純一郎君登壇〕
#40
○小泉純一郎君 ただいま議題となりました昭和五十九年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、昭和六十年度補正予算における特例公債の追加発行を極力抑制するため、昭和五十九年度歳入歳出の決算上の剰余金の全額を一般財源に充当することができるよう、財政法の特例を定めようとするものであります。すなわち、歳入歳出の決算上の剰余金のうち二分の一を下らない金額は、公債または借入金の償還財源に充てなければならないと定めている財政法第六条第一項の規定は、昭和五十九年度の剰余金については適用しないこととするものであります。
 本案につきましては、昨十二日竹下大蔵大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、同日質疑を終了し、直ちに採決いたしました結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#41
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#42
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
 日程第四 特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法案(内閣提出)
#43
○議長(坂田道太君) 日程第四、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。商工委員長野田毅君。
    ─────────────
 特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔野田毅君登壇〕
#44
○野田毅君 ただいま議題となりました特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 御承知のとおり、近年における中小企業をめぐる経済環境は、国際的には、近隣諸国の追い上げ、先進諸国における保護貿易主義の高まり、また、国内的には、技術革新の進展、経済のソフト化、サービス化等大きく変化してきておりますが、加えて、昨年秋以降の円相場の高騰は、輸出型産地の中小企業を中心に大きな打撃を与えており、さらに、対外経済関係の改善のためにとられた市場開放政策に伴い、中小企業性製品の輸入の増加が予想されるなど、中小企業をめぐる環境は一層厳しさを増しております。
 本案は、このような状況にかんがみ、本年十二月に廃止期限の到来する中小企業事業転換対策臨時措置法を吸収し、中小企業者の事業転換対策の拡充強化を図るとともに、緊急経営安定対策等の措置を講じようとするものであります。
 その内容は、
 第一に、貿易構造その他の経済的事情の著しい変化によって影響を受けている中小企業者を、「特定中小企業者」として定義すること、
 第二に、特定中小企業者が事業の転換を行おうとする場合、または特定商工組合等が構成員である特定中小企業者の事業転換を円滑化するための事業を行う場合には、それぞれ事業転換計画、事業転換円滑化計画を作成し、都道府県知事の承認を受けることができることとし、承認を受けた特定中小企業者及び特定商工組合等に対して金融、税制上の特例措置を講ずること、
 第三に、特定中小企業者が円相場の高騰等国際経済事情の急激な変化によって影響を受けている場合には、都道府県知事の認定を受けることができることとし、認定を受けた特定中小企業者に対して、経営を緊急に安定させるため、金融、税制上の特例措置を講ずること、
 第四に、特定中小企業者が国際経済環境等の変化に円滑に適応できるよう、近代化施策の推進、資金の確保、雇用の安定、指導助言、産地への配慮、国際経済環境等の考慮等について規定すること、
 第五に、この法律は、施行の日から七年を経過した日に効力を失うこととし、緊急経営安定に係る措置については、昭和六十三年三月三十一日限り、その効力を失うこと
等であります。
 本案は、二月五日当委員会に付託され、昨十二日渡辺通商産業大臣から提案理由の説明を聴取した後、審査を行い、同日質疑を終了いたしましたところ、日本共産党・革新共同から修正案が提出され、採決の結果、同修正案は賛成少数をもって否決され、本案は、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。
 なお、本案に対し、事業転換対策の弾力的運用等に関する附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#45
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
#47
○議長(坂田道太君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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