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1985/02/25 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 本会議 第9号
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1985/02/25 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 本会議 第9号

#1
第104回国会 本会議 第9号
昭和六十一年二月二十五日(火曜日)
    ─────────────
 議事日程 第七号
  昭和六十一年二月二十五日
    午後一時開議
 第一 国民年金特別会計法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 昭和五十七年度一般会計歳入歳出決算
    昭和五十七年度特別会計歳入歳出決算
    昭和五十七年度国税収納金整理資金受払計算書
    昭和五十七年度政府関係機関決算書
 第三 昭和五十七年度国有財産増減及び現在額総計算書
 第四 昭和五十七年度国有財産無償貸付状況総計算書
    ─────────────
○本日の会議に付した案件
 日程第一 国民年金特別会計法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 昭和五十七年度一般会計歳入歳出決算
      昭和五十七年度特別会計歳入歳出決算
      昭和五十七年度国税収納金整理資金受払計算書
      昭和五十七年度政府関係機関決算書
 日程第三 昭和五十七年度国有財産増減及び現在額総計算書
 日程第四 昭和五十七年度国有財産無償貸付状況総計算書
 東京湾横断道路の建設に関する特別措置法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時三分開議
#2
○議長(坂田道太君) これより会議を開きます。
     ────◇─────
 日程第一 国民年金特別会計法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
#3
○議長(坂田道太君) 日程第一、国民年金特別会計法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長小泉純一郎君。
    ─────────────
 国民年金特別会計法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔小泉純一郎君登壇〕
#4
○小泉純一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、公的年金制度の長期的な安定と整合性ある発展を図るため、六十一年四月から国民共通の基礎年金制度を柱とする新たな年金制度が実施されることにかんがみ、国民年金特別会計に基礎年金勘定を設ける等、所要の規定の整備を行うものであります。
 その主な内容を申し上げますと、国民年金特別会計法の一部を改正し、国民年金特別会計に基礎年金勘定を設けるとともに、同勘定においては、国民年金勘定及び厚生保険特別会計年金勘定からの受入金、共済組合からの拠出金その他の収入をもってその歳入とし、基礎年金給付費その他の諸費をもってその歳出とすることとしております。
 また、厚生保険特別会計法その他の関係法律について、所要の規定の整備を行うこととしております。
 本案につきましては、二月十九日竹下大蔵大臣から提案理由の説明を聴取し、二十一日質疑に入り、質疑終了後、討論の申し出もなく、直ちに採決した結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
 日程第二 昭和五十七年度一般会計歳入歳出決算
      昭和五十七年度特別会計歳入歳出決算
      昭和五十七年度国税収納金整理資金受払計算書
      昭和五十七年度政府関係機関決算書
 日程第三 昭和五十七年度国有財産増減及び現在額総計算書
 日程第四 昭和五十七年度国有財産無償貸付状況総計算書
#7
○議長(坂田道太君) 日程第二、昭和五十七年度一般会計歳入歳出決算、昭和五十七年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十七年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和五十七年度政府関係機関決算書、日程第三、昭和五十七年度国有財産増減及び現在額総計算書、日程第四、昭和五十七年度国有財産無償貸付状況総計算書、右各件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。決算委員長角屋堅次郎君。
    ─────────────
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔角屋堅次郎君登壇〕
#8
○角屋堅次郎君 ただいま議題となりました昭和五十七年度決算外二件につきまして、決算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 初めに、各件の概要を申し上げます。
 まず、昭和五十七年度決算でありますが、一般会計の決算額は、歳入四十八兆十二億八千九十二万円余、歳出四十七兆二千四百五十億六千三百七十万円余、差し引き七千五百六十二億千七百二十二万円余の剰余金を生じております。
 特別会計の数は三十八で、その決算総額は、歳入百十一兆七千三百七十三億七千百十万円余、歳出九十七兆八千七百九十六億七千百三十六万円余となっております。
 国税収納金整理資金の収納済額は三十一兆二千四百五十九億五千万円余、支払命令済額及び歳入への組入額は三十一兆二千二百五億九千五百万円余となっております。
 政府関係機関の数は十五で、その決算総額は、収入三十三兆四千七百八十三億八千七百万円余、支出二十三兆二千五百八十二億二千七百万円余となっております。
 次に、昭和五十七年度国有財産増減及び現在額総計算書でありますが、増加額は二兆八千百十億七千七百万円余、減少額は六千五百八十四億八千九百万円余で、年度末現在額は三十七兆七千六百二十三億千二百万円余となっております。
 次に、昭和五十七年度国有財産無償貸付状況総計算書でありますが、年度末の現在額は六千二百四十一億三百万円余となっております。
 昭和五十七年度決算についての会計検査院の検査報告では、不当事項百八十一件、意見を表示しまたは処置を要求したもの九件、検査院の指摘に基づき改善の処置を講じたもの十四件、また、特に掲記を要すると認めたもの三件となっております。
 右各件のうち、決算は昭和五十九年七月三十一日、国有財産関係二件は五十九年一月三十一日に、それぞれ委員会に付託されました。
 委員会におきましては、六十年四月十一日各件について大蔵大臣から概要説明を、また、会計検査院長から検査報告の概要説明を聴取いたしました。その後、質疑に入り、各省庁別に十一回にわたり審査を進め、政府の予算執行と行政運営に関する重要な問題を中心に質疑が行われたのであります。その詳細につきましては会議録により御承知を願いたいと存じます。
 かくして、昨二十四日締めくくり総括質疑を終了し、決算については、委員会審査の内容をまとめて、委員長より議決案な提出いたしました。
 以下、その内容を申し上げます。
 すなわち、
  昭和五十七年度の一般会計歳入歳出決算、特
 別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払
 計算書及び政府関係機関決算書につき、左のご
 とく議決すべきものと議決する。
  本院は、毎年度決算の審議に際し、予算の効
 率的執行並びに不当事項の根絶について、繰り
 返し政府に注意を喚起してきたにもかかわら
 ず、依然として改善の実があがつていないの
 は、まことに遺憾である。
 一 昭和五十七年度決算審査の結果、予算の効
  率的使用が行われず、所期の成果が十分達成
  されていないと思われる事項が見受けられ
  る。
   左の事項がその主なものであるが、政府は
  これらについて特に留意して適切な措置をと
  り、次の常会に本院にその結果を報告すべき
  である。
  1 スパイクタイヤによる粉じんの低減対策
   を一層推進すべきである。
  2 国際性が高まり外交の比重が年々増加す
   るなか、情報収集、分析機能等の強化を図
   るため、在外公館の人員を今後とも拡充す
   る必要がある。
  3 国際社会に対応するためには、学生時代
   から国際感覚を会得させる必要がある。ま
   た、外国人留学生の取得資格が帰国後、各   国で受け入れられるよう努めるべきである。
  4 国公有地については、公用、公共用優先
   の原則を維持しつつ、その有効活用を図る
   べきである。
  5 無許可医療用具の流通、使用及び医療保
   険の不正請求の防止を図るため、厳正な監
   視、指導の強化等所要の措置を講ずべきで
   ある。
  6 後天性免疫不全症候群(エイズ)につい
   て、その対策を一層推進すべきである。
  7 郵政職員の不正行為により毎年多額の損
   害を生じている。本院の議決及び会計検査
   院の指摘もあるが、依然として後を絶たな
   いのでこの種犯罪の絶滅を期するため、内
   部監査等防犯管理体制の一層の強化を図る
   べきである。
 二 昭和五十七年度決算検査報告において、会
  計検査院が指摘した不当事項については、本
  院もこれを不当と認める。
   政府は、これらの指摘事項について、それ
  ぞれ是正の措置を講ずるとともに、綱紀を粛
  正して、今後再びこのような不当事項が発生
  することのないよう万全を期すべきである。 三 決算のうち、前記以外の事項については異
  議がない。
  政府は、今後予算の作成並びに執行に当たつ ては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮 して、財政運営の健全化を図り、もつて国民の 信託にこたえるべきである。以上が議決案の内 容であります。
 次いで、決算外二件を一括して討論に付しましたところ、自由民主党・新自由国民連合は、決算について議決案のとおり議決するに賛成、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党・革新共同及び社会民主連合は、議決案のとおり議決するに反対の意見を表明されました。
 次いで、採決の結果、決算は多数をもって議地案のとおり議決すべきものと決し、国有財産関係、二件は、いずれも多数をもって是認すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(坂田道太君) これより採決に人ります。
 まず、日程第二の各件を一括して採決いたします。
 各件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#10
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、各件とも委員長報告のとおり決しました。
 次に、日程第三及び第四の両件を一括して採決いたします。
 両件の委員長の報告はいずれも是認すべきものと決したものであります。両件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#11
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、両件とも委員長報告のとおり決しました。
     ────◇─────
 東京湾横断道路の建設に関する特別措置法案
  (内閣提出)の趣旨説明
#12
○議長(坂田道太君) この際、内閣提出、東京湾横断道路の建設に関する特別措置法案について、趣旨の説明を求めます。建設大臣江藤隆美君。
    〔国務大臣江藤隆美君登壇〕
#13
○国務大臣(江藤隆美君) 東京湾横断道路の建設に関する特別措置法案について、その趣旨を御説明を申し上げます。
 東京湾横断道路は、東京湾岸道路、東京外郭環状道路、首都圏中央連絡道路、東関東自動車道等と一体となって首都圏における広域的幹線道路網を形成し、東京湾の周辺の地域における交通の円滑化に資するとともに、首都圏の諸機能の再編成、産業活力の向上等に寄与する道路としてその重要性、必要性は極めて大きいものがあります。また、東京湾横断道路の建設は、大規模かつ集中的な投資を行うプロジェクトであり、内需中心の持続的な経済成長を目指し、あわせて、調和ある国際経済関係の確立に資するためにも、その早期着工が望まれるところであることから、民間の熱意と資金を主軸とした新しい方式によりこれを行うことが適当であると考えられます。
 そこで、民間経営の長所を生かし、かつ、民間技術力の活用を図る見地から、道路の建設、管理は民間、地方公共団体及び日本道路公団の出資による株式会社が行うこととし、その資金は、会社の自主性及び民間の効率的経営に資するため、大部分を民間資金に期待するとともに、民間会社では対応が困難な対外調整等は公団が行うこととし、かつ、この方式により事業が円滑に実施されるよう会社に対して特別の措置を講ずることとするため、この法律案を提出することとした次第であります。
 次に、その要旨を御説明申し上げます。
 まず、日本道路公団は、東京湾横断道路の建設、管理について、建設工事は会社が行い、公団がその費用を長期間に分割して会社に支払うこと等を内容とする協定を東京湾横断道路の建設、管理を主たる目的とする会社と締結して、その業務を行わなければならないこととしております。
 そして、公団とこの協定を締結して事業を行う東京湾横断道路建設事業者に対して、政府の無利子貸し付け、公団、地方公共団体の出資及び政府の債務保証を行うことができるものとするとともに、社債発行限度の特例及び割引債の発行を認めることとし、これに伴い所要の監督措置を規定することとしております。
 以上が、東京湾横断道路の建設に関する特別措置法案の趣旨でございます。(拍手)
     ────◇─────
 東京湾横断道路の建設に関する特別措置法案
  (内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#14
○議長(坂田道太君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。上野建一君。
    〔上野建一君登壇〕
#15
○上野建一君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題になりました東京湾横断道路の建設に関する特別措置法案に対する質問を行いたいと存じます。
 現在の日本は、まさに対外的な経済摩擦のもとにおける貿易戦争とも言われるような情勢下にあるわけでありまして、この基礎になっております高度成長につきましては、その高度成長をもたらした多くの原因があるわけでありますけれども、その中でも大きな問題といたしましては、第一には、パート労働を初めとする日本の勤労者の低賃金労働によるところが極めて大きいわけであります。第二に、技術革新の名のもとに、徹底した人減らし合理化、減量が行われたわけであります。そして三つ目には、最も重要な問題でありますけれども、巨額の国家資金の投入による公共事業の推進、そして産業基盤の整備にあったことは、申し上げるまでもないわけでございます。
 しかも、その産業基盤の整備は、大企業に対する優遇策として行われました。その結果、鉄、セメント、機械、大手土建業などの大きな企業に対する雇用、そして大きな富をもたらしたことは、これまた事実であります。しかし、その結果、国家の借金は急激にふえまして、今は赤字国債を初めとするこの累積赤字は、百三十兆円を超える状態にあるところでございます。このような中において、今提案をされました横断道の建設ということは、いかなる意味を持つのか。まさに「増税なき財政再建」が破綻した中から、新たな財政投融資を含めた国家資金の投入による新たな産業基盤の整備を行うものではないのか、この点をまず質問をいたしたいところでございます。
 今日、この高度成長時代における異常なまでの首都圏における集中によって、ひずみ、ゆがみが存在をしておることは、たびたび指摘されるとおりであります。したがって、今何をやるべきかということになるならば、やはり国家資本を使って行うべき公共事業の順位というものを、間違えてはならないと思うわけであります。
 第一には、第二次関東大震災などが予想される今日の状態の中で、その被害を最小限にとどめるためにも、防災型都市建設が急がれなければならないわけであります。また、快適な生活空間をつくることにも努力をされなければならないわけであります。さらには、交通投資としては、混雑解消のために、例えば、この関東圏においては、朝夕のラッシュが三倍を超えておる幾つかの鉄道路線がございますけれども、特に常磐線においては、三倍を超える朝夕のラッシュの中に勤労大衆が苦しんでおるところでございます。したがって、新規にして大規模な鉄道投資が求められるわけでありまして、これが国鉄の分割・民営化のもとにおいてごまかされてはならない投資の問題であります。したがって、首都圏の今までと同じような大規模の地域開発という高度成長型の発想から大きく転換を求められておるのが、今日の状態であろうと存じます。その点では、この東京湾横断道はなぜ急がれなければならないのかについて、多くの疑問があるところでございます。
 特に、今日、内需の拡大としては、東京湾横断道を急ぐよりも、住宅建設が重要であり、あるいはまた、下水道や河川の改修、それらの問題について対処しなければならないはずでございます。例えば、下水道にいたしましても、諸外国においては九〇%を超えておるにもかかわらず、第五次の五カ年計画が終了いたしましても、わずかに三六%にすぎないのであります。これらの問題を含めて、総理は、今日の内需拡大の手法として、なぜこの大規模なプロジェクトを選ぶのか。今国民の求めておる住宅なり下水道なり、あるいは環境の改善なりになぜ力を注ごうとしないのか、この点に対する疑問を第一に申し上げておきたいところでございます。
 殊に、東京湾につきましては、まさに現在、死の海と化しておる状態にあります。昨年は、青潮の発生によりまして、アサリが全滅をいたしております。なぜこれが発生をしたのか。これは、今までの無計画な埋立計画、あるいは東京湾海底におけるいろいろな形での新たな公共投資によって、海の面が穴ぼこだらけであるというのが実態であります。その中には、酸素のない海水が流れ、それが潮の状態、風の状態によって表面にあらわれる、そのときに東京湾における漁業は、まさに壊滅の状態を迎えるわけでありまして、アサリの被害だけでも、三十六億円が漁民に対する被害としてあらわれておるところでございます。したがって、今東京湾に求められておるのは、管理と保全のための総合計画すら要求されるところであろうと存じます。
 まず、東京湾は今、港をばらばらにつくったり、あるいは埋め立てをばらばらにされてつくられておる現状から、今こそ、東京湾を総合的に開発をする総合管理を行わなければならないはずであります。そこで、そういう東京湾に対して、総合的な管理と保全の計画があるかどうか。実際はないのであります。各省庁がばらばらにこの東京湾の開発に取り組んでおるわけでありまして、まさに自民党の政治のあり方が東京湾の水の汚れにあらわれておると言っても言い過ぎではないと存じます。
 そこで、具体的な質問に入りますけれども、東京湾の中に人工島をつくる計画になっておりますけれども、この人工島によって生ずる、海の安全は確保されるのかどうか。
 現在、東京湾は、一日七百四十八隻の船が航海をいたしておるところでございます。この湾内の必要な錨泊数は、二百三十五隻分必要になっておりますけれども、これらの船が、災害のときにおいて、百二十六隻分しかこの東京湾には船をとめることができない。こういう状態の中で、さらに人工島を二つもつくるということ、あるいは千葉側の橋の問題がございます。この橋が五キロにわたってつくられるわけでありますけれども、この航海の問題、海上の安全については、極めて大きな不安が出されておるところでありまして、川崎側がトンネルによって一部是正はされましたけれども、船舶協会など六団体から、安全航行ができないという声明が出されておるところでありまして、これに対してどう対処されようとするのか。さらには、人工島が千葉県の山砂によってつくられるわけでありますけれども、この千葉県の山が、自然が破壊されることに対しては、どういう対策をとろうとするのかをお伺いいたしたいと存じます。
 さらに、この東京湾横断道の採算に疑問が生ずるところであります。
 この東京湾横断道は、十年間の工期の間にこれを完成をするわけでありますけれども、完成後は三万台の交通を予定をいたしております。ところが、この交通量の測定は、まさに過剰な希望的数字でございまして、例えば、九州と日本本土を結ぶ関門橋については、一 日現在一万六千台。あの九州と本州を結ぶ関門の幹線道路が一万六千台にすぎないのに、東京湾という川崎と木更津を結ぶその内容が、東京湾横断道が一日三万台という根拠をお示しをいただきたいのでございます。
 しかも、この台数の計算につきましては、当初、五十年には、七万台を予想しておったのであります。この計画はまことにお粗末であります。しかも、五十五年には、六万台に下げております。さらに、五十九年度には、千葉県は四万六千台と予想をいたしておりました。だんだんバナナのたたき売りのように台数を減らしてきたのが、今日までの計算のやり方でありますけれども、建設省は、この一日三万台について、いかなる根拠を持って計算をされたのか、具体的にお示しをいただきたい。
 さらに、新しい会社をつくるということになっておりますが、この会社に対する出資金、六百億という出資金になっております。ところが、民間活力の活用というなら、この横断道を建設する会社に、なぜ出資金においてもわずか三分の一しか民間会社は出そうとしないのか。三分の二は国と、そして地方自治体であります。今日、地方自治体に対して、この民活になぜ出資金を出させなければならぬのか、この点は多くの疑問を出されておるところであります。
 そこで、自治大臣にお伺いいたしたいのは、今日、地方自治体は、財政上極めて困難な状態にあります。しかも、国は高額補助金の一括カット、あるいはそれぞれの県において、第三セクターを進められ、それに対しても多くの出資を迫られておるのが、地方自治体の現状であります。そこでなお、この東京湾横断道に対して、なぜ二百億もの金を地方自治体に出資を求めようとするのか、それだけの余裕があるのかどうかをお伺いをいたしたいわけであります。しかも自治省は、本来、地方自治体を守る立場にあるわけでございまして、この地方自治体に対して出資を求めることは、極めて遺憾なことであろうと存じますが、その点についての説明をいただきたいと存じます。
 さらに、この大工事は、一兆一千五百億の大工事でございますけれども、この中において、あたかも今宣伝をされておりますのは、中小企業がこの仕事に、雇用にありつくという宣伝がなされておりますけれども、本四橋との関係を見ますならば、中小企業においては一対九の割合で、その仕事の大部分が大企業によって進められておる今日、この横断道だけが中小企業が大きな仕事に取り組むという保証がどこにあるのかを、お伺いをいたしたいわけでございます。
 以上申し上げた中から、東京湾横断道については、その必要性が極めて少ないと言わざるを得ないわけでございます。そして少なくとも、この東京湾横断道については、当面工事を進める必要はないのではないか、少なくとも二十年は早過ぎるというのが、専門家を含めての意見でございます。これは中曽根内閣が無理して民活ということをつくり出したその結果であろう。この会社の設立の内容それ自体が問題でございます。
 この東京湾横断道の建設を担当する新しい会社が、世間のうわさでは、トンネル会社だと言われておるのでございます。それは、なるほど東京湾横断道については、三分の二トンネルを掘るわけでございます。したがって、トンネル会社というのは当を得ておるわけでございます。二つ目は、この事業が出資会社によって、事実上その仕事が出資をした会社にトンネル的に持っていかれてしまう、そういう意味でトンネル会社と言われておるわけであります。しかも、財界と官僚の天下りの心配はないかどうか。その出資の会社の内容によっては、仕事が、入札ではなくて、談合の形で行われる可能性があるわけでありまして、まさにトンネル会社になりかねないわけであります。三つ目は、政治資金についての問題が指摘をされております。この会社は、政治資金を集めるトンネル会社ではないのか、こう疑問が出されておるところでありまして、この点については、この会社のあり方について明確な答弁をいただきたいところでございます。
#16
○議長(坂田道太君) 上野君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#17
○上野建一君(続) 現に青函トンネルにつきましては、失敗をいたしておるわけでありまして、青函トンネルの二の舞になることを私どもは恐れるわけでございます。
 さらには、地震、災害その他については一切責任がない、赤字になっても責任を持たないというのがこの会社でありまして、この会社のあり方については、極めて多くの疑問点を持つわけでありまして、明確な答弁をいただきたいと思うのであります。(発言する者あり)少しは静かに聞いたらどうですか。
 以上をもちまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#18
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 上野議員にお答えをいたします。
 本計画は、内需を喚起して、成長促進のための新しい事業でありまして、民間の経営力と民間の資金を活用しようとする、雄大かつ適切な事業であります。この民間活力の利用につきましては、経済の運営、あるいは公的規制の見直し、あるいは公共的事業分野における新しい事業、例えば、関西空港であるとか、あるいは今回の東京湾横断道路であるとか、あるいは明石海峡大橋等々、いずれも一連の発想に基づきまして、新しい成長を目指して行っておるプロジェクトでありまして、まさに時代に合う適切な事業であると考えております。(拍手)
 なお、現在の財政の赤字の問題の御質問でございますが、今日の財政体質悪化の原因は、二度にわたる石油危機によりまして成長率が低下して、税収の伸びが思う存分いかなかったということ、あるいは福祉元年に象徴される社会保障等の公共サービスの拡充の問題、あるいは第三に、景気回復を図るために公債政策に頼りまして、今その公債の利払い等の急増によって苦しんでいる、こういう状況が原因であると思っております。今これらを直すために、財政改革を懸命に行っているところでございます。
 住宅や下水道等の生活関連資本の整備については、政府も着々と実施しているところでございます。東京湾の横断道路は、この地域の交通緩和、あるいは首都圏各地域の適正な発展、国民生活の向上を念願して行わんとしているものであります。一兆一千五百億円の資金のうち、約八〇%は会社がみずから集める、そういう民間資金活用の方策をとっておるものなのでございます。なお、横断道路の貿易摩擦への影響等につきましては、これによりまして産業活動が活発化して、それにより内需が拡大され、貿易摩擦解消にも貢献するものと考えております。
 なお、政治資金の問題についてお話がございましたが、政治資金規正法や政治倫理に違反するようなことは絶対起こさないように、監督を厳重にしていくつもりでおります。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣江藤隆美君登壇〕
#19
○国務大臣(江藤隆美君) ただいまの御質問にお答えをさせていただきたいと思います。
 人工島をつくるので、それは安全かという御意向であります。
 よく御承知のように、この東京湾横断道路というのは、きのう、きょうに構想が始まったわけではございませんで、建設省が調査にかかったのが昭和四十一年の四月であります。そして、いよいよ研究が本格的になったのが四十七年です。いよいよやろうと決まったのが昭和五十年であって、道路公団に引き継いだのがその年です。それから、国道四百九号線に認定したのが昭和五十六年であります。ですから、この約二十年間にわたっていろいろな環境調査、経済調査、住民に及ぼすいろいろな影響等を検討しながら、今日までやってきた計画でございまして、今こそ、こういう時代にやるべき大きな民族的プロジェクトであると私は考えております。(拍手)
 人工島の問題につきましては、東京湾は、いわゆる船舶の交通量の多いところでございますから、航行の安全について留意すべきことは、これは当然のことでございまして、いわゆる川崎側の十キロをトンネルにしたということは、そのことをもって御理解がいただけると思います。船舶協会その他からは、航行の安全について細心の注意を払っていただきたい旨の要望はございますけれども、私のところに、ただいま反対の意見は参っておりません。
 それから、この採算の面につきまして、こうした資金調達等は総理からお答えがございましたが、関門橋は既にトンネルを含めてこれはだめではないか、失敗ではないかという御意向でございますけれども、私はそのようには思っておりません。私は九州でありますが、九州は、関門橋とはそれほど密接な経済関係はありません。あるいはカーフェリーを使ったり、その他の交通網を使って、余り使わないようでありますが、それでも一日、関門橋の通行量は一万六千台であります。関門トンネルが二万四千台、締めて一日四万台のものがあそこの関門橋もしくはトンネルを通っておるわけです。ですから、トンネルは既に、これはもう全部建設費を賄いまして、今やその償却も終わって、後は補修管理費を徴収しておる、それに経費を充てておるという状態であることを御理解をいただきたいと思います。
 地方自治団体に対して出資を求めることについてはどうだということでありますが、公団と、そして地方自治団体と民間と共同の責任を分け合って、この大事業をなし遂げると同時に、将来の地域開発に結びつけようという考え方から、地方自治団体にも出資をお願い申し上げようとするものでございます。
 それから、中小企業に対しては全く影響がないではないかという御意向であります。
 これは、これほどの高度な技術を要し、大事業でありますから、例えば、鉄鋼とかいうようなものを中小企業にやれと言っても、それはできることではありません。しかし、大鳴門橋の例を見ますと、参加した企業がおおよそ大きい、中、上の位で大体百六十社、下請零細企業の参加が約五百社であります。合わせますと、約七百社のものが大鳴門橋の建設に参加をしておるものでありまして、従事した人々が百六十六万人でありまして、これらは大企業の経営者ではありません。みんなそれぞれ働く場所を得て、百六十六万人の人々がこの九カ年間に働いたものでありまして、ましてや、一兆一千五百億を要するこの巨大なプロジェクトにおいて、地域開発を含めて、中小企業、また地域の産業に及ぼす影響は極めて大きいものがあると私どもは考えておるところでございます。
 また、この会社の性格について、金を集めたり、あるいは政治資金を集めたり、あるいは事業の分け取りをしたりするトンネル会社ではないかという御意向でありますが、それはまことに、そのような批判を受けることは私どもにとっては心外千万であります。いやしくも、民活元年と言い、これからこのような民間活力を生かした大プロジェクトをやろうという第一番目の工事において、いやしくも、人々の批判を受けたり、国民の批判を受けるようなことは断じてやらないというのが、私どもの考え方であることも御理解をいただきたいと思います。まして、この会社は、商法上の法人でありますから、官僚の天下りのためにつくる会社ではないことを申し上げて、御答弁といたします。(拍手)
    〔国務大臣小沢一郎君登壇〕
#20
○国務大臣(小沢一郎君) 上野先生にお答えいたします。
 地方公共団体の出資の件でございますけれども、建設大臣からも詳しくお答えがございましたので、補足的に申し上げます。
 この事業は、東京湾周辺の地方公共団体の地域経済に大きな影響と、また受益を及ぼすものであると考えております。したがいまして、そういう考え方に立ちまして、出資という形で、地方公共団体が参加し得る道を開いたものであります。また、出資を行う場合の財源等につきましては、その必要に応じまして、地方債等の措置を講ずるよう検討してまいる考えでございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣三塚博君登壇〕
#21
○国務大臣(三塚博君) もう建設大臣から答弁いたしたとおりであります。
 海上交通安全につきましては、万全を期してまいりますし、人工島等々の設備がさようなことに相なりませんように、また十二分に建設省と協議をし、完璧を期してまいるつもりであります。(拍手)
#22
○議長(坂田道太君) これにて質疑は終了いたしました。
     ────◇─────
#23
○議長(坂田道太君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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