くにさくロゴ
1985/04/01 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 本会議 第16号
姉妹サイト
 
1985/04/01 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 本会議 第16号

#1
第104回国会 本会議 第16号
昭和六十一年四月一日(火曜日)
    ─────────────
 議事日程 第十三号
  昭和六十一年四月一日
    正午開議
 第一 東北開発株式会社法を廃止する法律案(内閣提出)
 第二 日本下水道事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 特定都市鉄道整備促進特別措置法案(内閣提出)
    ─────────────
○本日の会議に付した案件
 日程第一 東北開発株式会社法を廃止する法律案(内閣提出)
 日程第二 日本下水道事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 特定都市鉄道整備促進特別措置法案(内閣提出)
 国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 議院に出頭する証人等の旅費及び日当に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案(議院運営委員長提出)
 日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和六十一年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後零時三分開議
#2
○議長(坂田道太君) これより会議を開きます。
     ────◇─────
 日程第一 東北開発株式会社法を廃止する法律案(内閣提出)
 日程第二 日本下水道事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#3
○議長(坂田道太君) 日程第一、東北開発株式会社法を廃止する法律案、日程第二、日本下水道事業団法の一部を改正する法律案、日程第三、下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。建設委員長瓦力君。
    ─────────────
 東北開発株式会社法を廃止する法律案及び同報告書
 日本下水道事業団法の一部を改正する法律案及び同報告書
 下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔瓦力君登壇〕
#4
○瓦力君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 最初に、東北開発株式会社法を廃止する法律案について申し上げます。
 東北開発株式会社は、存立期間を五十年として昭和十一年に設立された東北興業株式会社を昭和三十二年に改組したもので、東北開発株式会社法に基づく特殊法人であります。
 この会社は、これまで東北地方における天然資源を開発し、また、これを活用するための直営事業を経営するほか、同地域において企業が設立される際には出融資を行うなど、各般の事業を推進してきたのでありますが、昭和五十五年行政改革計画において、東北開発株式会社は法定存立期限である昭和六十一年度までに民営移行する旨の決定がなされており、このための準備が進められてきたところであります。
 本案は、東北開発株式会社の特殊法人としての根拠法である東北開発株式会社法を廃止し、必要な定款変更を行って商法に基づく株式会社として経営を継続させていく措置を講じようとするほか、東北開発株式会社が現在まで発行してきた東北開発債券について、この法律が施行された後も政府保証はなお有効とする旨の経過措置を設けようとするものであります。
 なお、本案は、東北開発株式会社の法定存立期限である本年十月八日までの間において政令で定める日から施行することといたしております。
 本案は、去る二月二十二日本委員会に付託され、三月二十八日山崎国土庁長官から提案理由の説明を聴取し、同日質疑を終了、採決の結果、全会一致をもって可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対しては附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 次に、日本下水道事業団法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 近年、特に大都市地域においては、下水道の整備の進捗に伴い、下水汚泥等の発生量の増加が著しいため処理費用が増加するとともに、処分地の確保が困難となりつつあります。
 本案は、このような状況に対処するため、日本下水道事業団法について所要の改正を行おうとするもので、その主な内容は、次のとおりであります。
 第一に、事業団の業務の範囲に、二以上の地方公共団体の要請をまって下水汚泥等の処理を行うことを加えることといたしております。
 第二に、事業団は、建設大臣の認可を受けて、下水道債券を発行することができることといたしております。
 第三に、政府は、事業団に対し、同事業に要する費用の一部を補助することができることといたしております。
 次に、下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、下水道の整備を積極的に促進することにより良好な生活環境の確保を図り、あわせて公共用水域の水質の保全に資するため、現行の下水道整備五カ年計画に引き続き、新たに昭和六十一年度を初年度とする下水道整備五カ年計画を策定して、下水道の緊急かつ計画的な整備を図ろうとするものであります。
 以上の二法律案は、去る二月二十二日本委員会に付託され、三月五日江藤建設大臣から提案理由の説明を聴取し、同月二十八日質疑を終了、採決いたしましたところ、日本下水道事業団法の一部を改正する法律案は、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決し、下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案は、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、二法律案に対しましては、それぞれ附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(坂田道太君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一及び第三の両案を一括して採決いたします。
 両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、日程第二につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#7
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
 日程第四 情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
#8
○議長(坂田道太君) 日程第四、情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。商工委員長野田毅君。
    ─────────────
 情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔野田毅君登壇〕
#9
○野田毅君 ただいま議題となりました情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 御承知のとおり、最近における我が国の情報化は、経済社会活動のあらゆる分野で急速に進展しつつあります。これに伴い、ソフトウエアに対する需要も著しく増大いたしておりますが、その供給体制はいまだ脆弱なこともあり、ソフトウエアの需給ギャップは深刻化してきております。
 本案は、このような状況にかんがみ、情報処理振興事業協会が行っている汎用プログラムの開発等を今後一層積極的に展開していくため、同協会が行う汎用プログラムの開発等の業務に必要な資金について出資を受けることができることとするとともに、同協会の資本金、利益及び損失の処理、出資者原簿、解散等に関する規定を整備するものであります。
 本案は、二月二十日当委員会に付託され、三月二十五日渡辺通商産業大臣から提案理由の説明を聴取し、同月二十八日審査を行い、質疑を終了し、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#11
○議長(坂田道太君) 起立多数。よつて、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
 日程第五 特定都市鉄道整備促進特別措置法案(内閣提出)
#12
○議長(坂田道太君) 日程第五、特定都市鉄道整備促進特別措置法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。運輸委員長山下徳夫君。
    ─────────────
 特定都市鉄道整備促進特別措置法案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔山下徳夫君登壇〕
#13
○山下徳夫君 ただいま議題となりました特定都市鉄道整備促進特別措置法案につきまして、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、大都市圏における鉄道の通勤通学時の著しい混雑状況を抜本的に解決するため、都市鉄道の複々線化工事等の工事費の支出に充てる資金の一部をあらかじめ運賃に上乗せして確保することとする、特定都市鉄道整備積立金制度の創設等、特別の措置を講じることにより、工事の実施に伴う鉄道事業者及び鉄道利用者の負担の平準化を図りつつ、必要な輸送力増強工事を促進し、鉄道利用者の利便の向上を図ろうとするものであります。
 本案は、二月十八日本委員会に付託となり、三月五日三塚運輸大臣から提案理由の説明を聴取した後、同月二十五日及び二十八日にわたり質疑を行いました。
 その質疑の主な事項を申し上げますと、大都市圏における鉄道整備の進め方、輸送力増強工事の実施に伴う鉄道利用者の上乗せ運賃負担のあり方等についてでありますが、その詳細は委員会議録によって御承知願いたいと存じます。
 かくて、同日質疑を終了し、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し、四項目よりなる附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#14
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#15
○議長(坂田道太君) 起立多数。よつて、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
#16
○桜井新君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、議院運営委員長提出、国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律の一部を改正する法律案、議院に出頭する証人等の旅費及び日当に関する法律の一部を改正する法律案、国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案及び衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案の四案は、委員会の審査を省略して、この際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#17
○議長(坂田道太君) 桜井新君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ─────────────
 国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 議院に出頭する証人等の旅費及び日当に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案(議院運営委員長提出)
#19
○議長(坂田道太君) 国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律の一部を改正する法律案、議院に出頭する証人等の旅費及び日当に関する法律の一部を改正する法律案、国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案、衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案、右四案を一括して議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。議院運営委員会理事越智伊平君。
    ─────────────
 国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律の一部を改正する法律案
 議院に出頭する証人等の旅費及び日当に関する法律の一部を改正する法律案
 国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案
 衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔越智伊平君登壇〕
#20
○越智伊平君 ただいま議題となりました国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律の一部を改正する法律案外三件につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律の一部を改正する法律案でありますが、これは、本年四月から、立法事務費の月額六十万円を六十五万円に引き上げようとするものであります。
 次に、議院に出頭する証人等の旅費及び日当に関する法律の一部を改正する法律案でありますが、これは、政治倫理審査会に出頭した参考人に対し、委員会に出頭した参考人と同様に、旅費及び日当を支給しようとするものであります。
 次に、国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案でありますが、これは、勤続特別手当の支給率について、現行では、勤続五年以上十年未満については五%、以後五年ごとに五%を加算し、上限二五%とされているものを、本年四月から、勤続五年以上八年未満について五%、以後三年ごとに三%ずつ二三%に至るまで加算することに改めるとともに、この改正に伴う経過措置を定め、また、在職期間二十五年以上の秘書については、新たに、永年勤続特別手当としてその者が受ける給料月額の七%に相当する額を支給することとし、勤続特別手当と同様に期末・勤勉手当の算定の基礎とするものであります。
 次に、衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案でありますが、これは、昭和六十一年度の衆議院予算定員が一名減となりましたことに伴いまして、本年四月から事務局職員の定員千七百十六人を千七百十五人とするものであります。
 以上各案は、いずれも議院運営委員会において起草提出したものであります。
 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#21
○議長(坂田道太君) これより採決に入ります。
 まず、国会における各会派に対する立法事務費の交付に関する法律の一部を改正する法律案、議院に出頭する証人等の旅費及び日当に関する法律の一部を改正する法律案及び国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して採決いたします。
 三案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、三案とも可決いたしました。
 次に、衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案につき採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#23
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。
     ────◇─────
 日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和六十一年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#24
○議長(坂田道太君) この際、内閣提出、日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和六十一年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。運輸大臣三塚博君。
    〔国務大臣三塚博君登壇〕
#25
○国務大臣(三塚博君) 日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和六十一年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 国鉄の経営は、昭和五十九年度末において繰越欠損金が十二兆円を超えたほか、長期債務残高も二十一兆八千億円に達するなど、まさに危機的状況にあります。
 このため、政府におきましては、昨年七月に提出された日本国有鉄道再建監理委員会の意見を最大限に尊重し、昭和六十二年四月一日から新経営形態へ移行することにより国鉄の経営する事業の抜本的改革を図ることといたしているところでありますが、これと並行して、日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法第三条の規定に基づき、国鉄の経営する事業の運営の改善のために緊急に講ずる必要があると認められる事項について所要の措置を講じ、国鉄の経営する事業の適切かつ健全な運営を実現するための体制整備に資するよう努めているところであります。
 本法律案は、昭和六十一年度において、このような緊急に講ずべき措置として、国鉄の長期債務に係る負担の軽減及び職員の退職の促進を図るための特別措置を定めることとしたものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、国鉄の長期債務に係る負担の軽減を図るため、政府は、資金運用部が国鉄に貸し付けている資金に係る債務のうち、既に棚上げ措置を講じている特定債務五兆円余を一般会計に承継させることとし、一般会計は同額の資金を国鉄に対し無利子で貸し付けたものとすることといたしております。また、現在一般会計が国鉄に貸し付けている一定の無利子貸付金に係る債務の償還期限等の延長についても、必要な措置を講ずることといたしております。
 第二に、国鉄の職員が著しく過剰である状態を緊急に解消するため、国鉄の行う退職希望職員の募集に応じて退職を申し出、認定を受けた職員が昭和六十一年度中に退職したときは、その者に対し俸給、扶養手当及び調整手当の合計額の十カ月分の額に相当する特別給付金を支給するなど、所要の措置を講ずることといたしております。
 以上が、日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和六十一年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ────◇─────
 日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和六十一年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#26
○議長(坂田道太君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。小林恒人君。
    〔小林恒人君登壇〕
#27
○小林恒人君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和六十一年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案について、中曽根総理並びに関係各大臣に対し質問を行うものであります。
 まず第一に、国鉄改革に対する政府の基本姿勢についてであります。
 国鉄は今、長い歴史の中で解体かあるいは存続かの最大の試練と危機を迎えております。国鉄改革問題は、今や国政の緊急課題であることは申すまでもありません。しかし、この問題を解決するには、国民の圧倒的多数の合意形成があって初めて改革が行われるのであり、一部分の人たちだけの合意だけでは到底できるものではありません。しかるに、政府は、昨年七月、国民不在の密室審議の中でまとめられた国鉄再建監理委員会の答申をそのまま政府方針として決定し、それに基づいた一連の国鉄改革のための関連法案を今国会に提出しました。問題は、この政府の再建監理委員会の答申に基づく国鉄改革案が、果たして真の国民の求める内容のものと言えるのかどうかということであります。
 第一、再建監理委員会の審議自体が、事前に国民の多くの声も聞かず、また、我々の再三の要求にもかかわらず、その審議の内容すらも一切明らかにされないということに、大きな疑問を抱かざるを得ません。また、この答申で示された内容も多くの疑問を抱え、現在もそのほとんどが全く解明されていない状況にあります。また、このような状況にあるにもかかわらず、政府は、この答申は絶対であるかのように宣伝し、一方的に分割・民営化に向け準備作業をどんどん進めていることは、国民不在の、国会を無視した越権行為ではありませんか。(拍手)政府は、多くの国民の声も聞かず、再建監理委員会にこうした結論を出すことに事前に了解を与えていたのではありませんか。多くの国民は不信感でいっぱいです。
 こうした政府の今日までのやり方に国民は、多くの不安と動揺を抱いております。また、既に三千五百万もの多くの人々が、分割・民営化に反対し、署名しております。これからますます反対に署名する人が多くなることは、必至の状況であります。こうした国民の声になお背を向け、「戦後政治の総決算」と称し、総理は、この一連の改革を断行する姿勢を示しているが、余りにも強権的ではないかと思いますが、いかがですか。提出された国鉄改革法案全部を取り下げ、もう一度全国民の最も望む国鉄改革案を、相互信頼の上に立った協議の場で議論を尽くす、それが、多くの国民の負託にこたえる政府の責任ある態度ではないかと思うのであります。総理の誠意ある明快なお答えを求めるものであります。
 次に、政府も国鉄当局も、分割・民営化はあたかも既成事実かのように、次々に施策を強行している点についてお伺いいたします。
 総理、あなたは、現在国鉄の現場を中心に全国的に広がっていろいろいろな混乱を御存じでしょうか。まだ決まっていないものをなぜ次々に強行するのですか。立法府の意向を全く無視したやり方は、憲法の定めた民主主義のルールにも反していませんか。このような政府の施策の強行は、我が国の将来に大きな悔いを残すことにはなりませんか。
 既に今国会の予算委員会などで議論され、明らかになっているように、長期債務の処理方針の土地売却問題にしても、北海道、四国、九州などの三島における経営見通しにしても、貨物問題等々にしても、また要員問題にしても、その他分割・民営に伴う多くの重要課題の積算においても多くの疑問があることは、既に証明されているではありませんか。政府は、これらの審議の中で明らかになった諸問題について、もっと真剣に受けとめて、反省するものは反省し、解答を出すべきではないのですか。今申しましたようなあやふやな状況下で、もう既に決まったかのようにどんどん施策を実行することは、国会軽視も甚だしく、許されるものではありません。今すぐこうした一連の行動を中止することを強く要請します。総理の明確な答えを求めるものであります。
 次に、総理、今国鉄改革のための施策が一方的に進む中で、国鉄職員の自殺者が多く出ている現状を知っていますか。また、そこまでいかなくても、国鉄の現場で起きているいろいろな混乱をどこまで御存じでしょうか。政府の一方的な施策の実施で、国鉄職員の不安と危機感は、極限状態に至っているのであります。私が最も心配いたすのは、こうした状況を放置していることは、日常的な安全やサービス面で何か事故が起きるのではと心配するからであります。どうか、国鉄職員が安心して職務に専念できるよう、早急にその実態を把握され、政府及び国鉄当局は、このような混乱をなくす措置を講ずべきと考えますが、それについてはどのように対応されようとするのか、お答えいただきたいと思います。
 次に、以上述べましたように、今回提出されている再建監理委員会の答申を基礎にした一連の分割・民営化の改革法案には、多くの問題があり、到底賛成できる内容ではありません。
 顧みますると、これまでの幾たびかの国鉄再建のための改革は、いずれも途中で挫折しました。我々は、その都度真剣な議論もし、具体的な提案もいろいろしてきましたが、しかし政府は、みずからまとめたもののみをベストとして、我々の意見を全く無視し、今日に至った政治責任は、極めて重大であると指摘せざるを得ません。
 現在、我が党としては、真に国民の期待にこたえられる国鉄改革案づくりに全力を挙げて取り組んでいるところでありますが、今、大多数の国民が望んでいる国鉄改革の基本は、分割はしない、地方交通線を廃止しない、国鉄職員の雇用は確保することであります。これら基本認識のもとで初めて改革の第一歩が踏み出せるのではないでしょうか。そうであるとすれば、我々も懸命になって全国民的合意の形成のため協力し、努力を惜しむものではありません。
 既に我が党は、極めて現実的な国鉄改革案を発表したところでありますが、御存じでしょうか。このことについて総理は、真剣に受けとめ、誠意を持って検討されるよう強く要請いたします。このことについての総理のお考えを求めます。
 次に、ただいま議題になりました六十一年度緊急措置法案に関する幾つかの問題点についてお伺いいたします。
 さきにも述べましたとおり、政府案には基本的かつ重大な問題点があり、特に国鉄改革問題の帰趨がはっきりしない今日の時点で、他の政府提出法案を前提として、国鉄職員に希望退職を迫るような事態は、到底容認できないのであります。そうした考え方のもとに、幾つかの疑問点をお伺いいたします。
 まず、国鉄当局または政府の経営者としての雇用責任についてでありますが、現在、公務員については、六十歳定年制のもとで六十歳までの継続雇用が保障され、また、民間企業についても、今回、中高年法改正案により、六十歳までの定年の引き上げを企業の努力義務とする措置が講じられています。今日の我が国の雇用の実情は、六十歳定年制が一般的です。国鉄の場合は、六十歳までの継続雇用を保障できなかったということは、使用者並びに経営者としてどのように反省しているのか、また、その雇用責任を明確にすべきだと考えますが、政府のお考えを聞かせていただきたいと思います。
 次に、国鉄当局が分割・民営を前提として行っている雇用調整についての疑問についてお伺いいたします。
 例えば、民間企業においては、通常その雇用する労働者を解雇する場合には、最大限の経営努力をしてもなお、雇用調整が必要という場合に限って行われるのが通例であります。これがいわば終身雇用制を支える一つの労働慣行であったわけであります。そして、それがまた我が国の経済成長を支えてきた大きな力であったとも言えるわけであります。雇用、労働条件に重大な影響を及ぼすような経営方針を決めようとする場合、つまり、経営合理化を実施し、特に解雇者を出すことになるような場合には、経営状態や経営努力についてその労働組合に十分説明し、交渉または協議を要請するというのが通例の労使関係です。しかしながら、政府が今一方的に進めている希望退職者等を募るやり方を見ると、国鉄労使を全く無視し、外部で雇用調整策が論じられ、それどころか、事実上方針が外部で決定され、それを国鉄労使に押しつけようとしているではありませんか。このような政府のやり方は、余りにも異常であり、到底容認できない行為であると思うのであります。
 その上、外部で決定された方針に基づいて今回政府が法律案を提出し、これから国会審議が行われるという段階であり、まだ国会としての意思も決定していないのに、さぞかし決定されたのと同様のものであるかのように事が運ばれている現状は、重大な問題であると言わざるを得ないのであります。(拍手)また、国鉄当局も、そういう政府の方針に沿って、労働組合、特に国鉄職員の七割を組織する国鉄労働組合を無視して事を強引に進めようとしていることは、ファッショとしか言いようがなく、また、国会や労働組合軽視も甚だしいものとしか言いようがありません。これは、憲法で保障した労働基本権等の規定にも触れる、極めて違法な行為と言わざるを得ません。
#28
○議長(坂田道太君) 小林君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#29
○小林恒人君(続) 政府としては、こうした状態をどのように理解し、考えているのか、その責任も含め、明確な回答を求めるものであります。
 これまでいろいろな問題点を指摘してきたわけでありますが、我が党としては、今多くの人々から多様な意見等を聞きつつ、精力的に検討しているところでありますが、基本的な部分について、政府の見解、そしてそこに働く労働者の見解、そういったものを正確に加味しながら、自動車や航空機などの交通手段の発展も、国鉄がその基本にあって初めて可能になるということを十二分に考慮しつつ、来る二十一世紀の交通の発展は、鉄道と他の輸送手段とをいかに結びつけるかという部分を……
#30
○議長(坂田道太君) 小林君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#31
○小林恒人君(続) 大切にすべきであることを強調し、私の質問にしたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#32
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 小林議員にお答えをいたします。
 まず、国鉄改革と国民の皆さんの御理解の問題でございます。
 国鉄改革は、二年余にわたりまして国鉄再建監理委員会が関係方面の意見を徴して出された結論であり、今後国会審議等を通じまして改革案についても、一層国民の合意を形成するように努力していきます。今の状態で見ましても、新聞等の世論調査を見ますと、大多数の国民は強く支持していただいているようであります。(拍手)
 なお、退職者に対しましては、いささかも不安をおかけしないように、政府も就職先についてきめ細かい努力をしておるところであり、かつまた、年金の維持確保につきましても懸命な努力をしておるところでございます。
 来年の四月一日を今回の民営・分割のスタートといたしますと、あと三百六十五日でありますので、全力を振るって努力をする決心でおります。
 次に、安全につきましては、鉄道にとって最も重要な課題でございまして、安全についていささかも不安がないように、国民の皆様方に対して我々は努力してまいるつもりでございます。
 社会党案に対する御質問でございますが、社会党案は社会党案なりのお考えでできておるものと考えて、検討させていただきます。しかし、我々が見ましたところ、また、国民の一部の中には強い御批判がございます。公社形態からの変化がほとんど変わってないじゃないか、人員の整理も進まないし、国に依存する体質も変わらないし、これでは赤字のたれ流しは直らないではないか、そういう厳しい批判があることを承知しております。さらに、地方交通線につきましては、分割・民営化により経営が活性化され、多くの路線が生かせるようになるものと認識しております。一日も早くこの改革を実現して、最終的には国民負担を軽減して、真に国民の利益にかなうようなものに改革してまいりたいと考えております。
 雇用問題につきましては、昭和六十一年度において希望退職を実施することといたしまして、法律をお願いしておるところでございます。新しい経営形態への移行前においても、新会社がみずからの経営方針のもとで出発するため、新会社が最小限必要な職員を採用するという方式をとったわけでございます。さらに、残る職員については、国鉄清算事業団において期限内に再就職を図るよう全力を尽くすことといたしております。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣三塚博君登壇〕
#33
○国務大臣(三塚博君) お答えを申し上げます。
 六十歳定年が一般化しておるのにどうして希望退職を募るのかという御指摘でございますが、基本的には、御案内のように、国鉄が合理化、軽量経営という命題に向かって過剰な人員を抱えておりますことは、今日の経営を圧迫してまいりました大きな問題点であることも御案内のとおりでございます。このようなことから、従前から五十五歳をめどに特別勧奨退職制度により職員の縮減を図ってきたところでございます。さらに、今回の法案では、特別給付金制度を設け、希望退職を実施することとし、できる限り経営の改善を図るということにいたしたわけでございます。このような措置は、職員数が業務量に比べまして非常に過剰な状態にありますものですから、緊急にこれを改善をしてまいる。六十二年四月、新会社に移行するに当たりまして、スムーズにこの移行が行われ、経営改善の実が上がるように祈念をいたした次第であります。
 第二の私に対する問いは、できる限り経営努力や国の法的措置、援助を行ってからなぜやらぬのか、こういうことでございますが、これはたび重なる経営改善、国鉄改革を国会の各党とともにやってまいりましたことは、御案内のとおりでございます。こういうことの中で、国鉄においてはこれまで経営再建のために努力をいたしたことを見つつ、私どもも数次にわたって改革案を提出いたしてきたところでありますが、業務量に比して先ほど申し上げましたように過剰な人員を抱えることが、鉄道自体を圧迫するということにかんがみまして、これの解決を図るという経営の基本的理念に立ち至ったということでございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣林ゆう君登壇〕
#34
○国務大臣(林ゆう君) お答えいたします。
 国鉄の改革につきましては、所要の法案の審議を進めていただき、その成立を待って改革の実現が図られることになりますが、現在、既に国鉄におきましては大量の余剰人員を抱えており、この問題は、法案の成立以前においても解決を図らねばならない重要な課題となっております。このため、既に余剰人員対策を初め必要な措置が進められておりますが、この場合、国鉄当局は、交渉に応ずべきものは応ずるとの姿勢をとってきたものと理解をいたしております。いずれにいたしましても、労使双方が、国鉄の置かれた厳しい現状を十分認識して、意思疎通を図りつつ、国鉄改革が円滑に実施されることを期待をいたしておるわけでございます。(拍手)
    ─────────────
#35
○議長(坂田道太君) 遠藤和良君。
    〔遠藤和良君登壇〕
#36
○遠藤和良君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま提案理由の説明がありました日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和六十一年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案について、総理並びに関係大臣に若干の質問をするものであります。
 今日、国鉄の経営状態は、膨大な債務を抱え、危機的状況に陥っております。したがって、その改革が必要であることは、衆目の一致するところであり、我が公明党も過日、国鉄の民営化を目指し、改革を進めることを基軸とした国鉄改革への提言を行うなど、国鉄改革に真剣に取り組んでまいる決意をしております。
 私は、経営破綻を招いた主な原因が、経営の自主性を欠いた公社制度のもと、巨大組織で運営されている経営形態にあると認識いたしております。しかしながら、国鉄の経営に介入し、経営状態を無視した工事を行わせ、いわゆる構造的赤字を拡大させ、その赤字体質の改善を怠り、対症療法的な国鉄再建策を進めてきた歴代政府の責任、政治的責任は極めて重く、決して免れることはできないと考えるものであります。この点について、総理並びに運輸大臣はどのように考えておられるのか、また、どのように対処されるおつもりか、率直な御見解を承りたいと思います。
 さて、この法案は、経営改善のための緊急措置にかかわる内容の法案でありますが、同時に、国鉄の抱える多額な債務の処理のあり方とも関連するわけであります。巨額な債務の処理は、そのいかんによっては国鉄改革の成否にもかかわり、さらに、直接国家財政や国民生活に影響することになります。そのため、債務の処理の内容、規模がどの程度か、その処理の方策はどうなのかは、国民が最も知りたく思い、また知るべきものであります。
 しかし、現在、処理すべき長期債務額は約二十五兆四千億円、潜在的債務は約十一兆九千億円などとされ、その処理に用地売却、株売却の収益を充て、また新事業体が負担するなどによって、最終的に残る約十六兆七千億円を国すなわち国民が負担するとの数字が出されております。ところが、この数字は、国鉄再建監理委員会の試算であり、あくまでも試みの計算値であります。長期債務の問題は、国鉄改革の重要課題であり、かつまた、先ほど申し上げましたとおり国家財政、国民生活に直接かかわる問題であるだけに、例えば、新事業体の引き継ぐ債務は妥当なものか、経営安定のため設けられる基金の規模はこれでよいかなど、処理すべき債務の内容、規模を明確にする必要があると考えます。監理委員会の試算としてではなく、政府として、債務の内容、規模など、処理される債務額について正しい数値を明らかにすべきと考えます。また、要求いたしたいと思います。総理並びに大蔵大臣の答弁を承りたいと思います。
 さらに、長期債務の処理の基本方向は示されてはいますが、国すなわち国民がどれだけ負担するのかは明確にされておりません。監理委員会の試算においては、約十六兆七千億円程度と見込まれ、今後、用地の売却益、新事業体の株の売却益などの収益の幅によって変化すると考えられております。この点は、今後の国鉄改革法案の審議の中でも当然問題となろうかと思います。しかし、基本的姿勢として、政府は、国民への負担が過大にならないように最大限の努力を払い、対処すべきであると考えますが、総理の決意を伺いたいと思います。
 また、これだけの巨額な借金を返済するには、三十年の長期返済によっても、毎年度約一兆二、三千億円の返済が必要とされております。巨額な赤字国債を抱える国家財政にとって、それが大きな負担であることは明白であります。しかし、少なくとも安易な措置、例えば、債務償還の財源に新税の創設などはとるべきではないと考えます。この点についても総理の、さらに大蔵大臣の見解を伺うものであります。
 次に、本法案の一つの柱である退職希望者の問題について伺います。
 国鉄が交通機関の最も重要な柱として我が国の経済活動を大きく支えていた時代、国鉄マンとしての人生に夢と希望を託して国鉄に入った多くの人たちがおりました。そのような一人の職員の奥さんの手紙が、今私の手元にございます。「十六年前、国鉄マンの主人にあこがれて結婚いたしました。」という書き出しで始まるこの手紙を読み、私は心が痛みました。要約して御紹介を申しますと、
 「御主人はどこへお勤めですか。」
 「国鉄です。」「ああ、あの国鉄ですか。」と皮肉たっぷりに言われるこのごろです。人々の私たちを見る目は、まるで「怠け者で高給をとる許せないやつら」とでも言いたげです。
  その主人に、民間会社へ派遣の話があり、二十数年間勤めた職場を離れることになりました。堅物の主人は、なれない職場で戸惑いもあったのでしょう。しばらくは無口になったり、体の不調を訴えたり、たまに愚痴をこぼしました。妻としてそんな主人の姿を見るのは、とてもつらくなります。しかし、主人には、三人の子供のお父さんとして、常に前向きの精いっぱいの背中を子供たちに見せてほしいと願って、せめて質素な生活の中でも笑いのある家庭をつくり、あすへの活力のある場にしたいと努力しています。
少し長くなりましたけれども、この手紙の主婦だけではなく、同じ思いの人たちが数多くいると私は思います。来年の三月末までに、長年勤めた職場から離れていく職員は約二万人とされております。国鉄経営の破綻と輸送構造の変化の影響を受け、職場を離れる人々です。その身の振り方について、政府にあらゆる対策、万全の措置を講ずるよう切望したいと思います。(拍手)
 そこで、具体的に幾つかの点について伺います。
 一つは、希望退職者に支給される特別給付金についてでありますが、その支給額は基本給与等の十カ月分とされており、その根拠となっているのは、昭和三十八年当時、旧電電公社の電話の自動化に伴い、電話交換手の退職促進を図るために設けられた特別給付金制度に準拠していると聞いております。しかし、時代の変化、また、国鉄職員の業務と電話交換手との業務の質や内容を考えると、電話交換手の特別給付金に準拠するのは妥当とは思えないのであります。支給額の見直しを行うべきと考えますが、総理並びに運輸大臣のお考えを承りたいと思います。
 次に、退職者の雇用の場の確保について伺います。
 政府は、希望退職者を含め、国鉄改革に伴う離職者の雇用対策として、公的部門への受け入れを約三万人としております。この数字は、政府の公約と思いますが、その点を確認したい。また、この数は必ず守ると確約していただきたい。なぜならば、公的部門への受け入れが明らかにならない場合に、民間企業への約一万人受け入れを望むことが困難になろうと懸念されるからであります。政府が約束を守らないで、どうして民間企業に雇用を依頼することができるのかと心配いたします。公的部門への完全雇用について、必ず実行すると約束をしていただきたい。総理と運輸大臣の明快なお答えをいただきたいと思います。
 また、政府は、この秋までに雇用計画を具体化する方針と承っておりますが、希望退職者の雇用の場を完全に確保するには遅過ぎます。当面の公的部門への約七、八千人とされる雇用先を確保するため、また雇用促進に万全を期すためにも、雇用計画の段階的実施を早期に具体化するよう要求します。総理並びに運輸大臣の見解をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、退職者の移動や移転に伴う種々の問題に関する政府の対応について伺いたいと思います。
 退職者の中には、現在住んでいる地域に就職先がなく、やむを得ず住みなれた土地を離れる人が出ます。それは、職員一人の問題ではなく、その家族を含めた一家全体の問題と言えます。私は、国鉄の離職者対策は、雇用の場、就職先を確保することは当然として、それとともに、住みなれた土地を離れるために生ずる問題などについても、政府は可能な限り対策を考え、対処すべきと考えます。
 現在、国鉄が募集中の広域異動の応募状況を見ても、就学中の子弟を持つ者がかなりいると聞いております。義務教育中はともかく、高校生の転校は極めて困難な実態にあります。未知の土地に生活の基盤を移すこと自体、相当の覚悟を必要とする上に、現状のままでは、雇用か子弟の就学かは深刻な悩みとなり、そのことが一家の将来をも決めることにもなるのであります。私は、高校生を中心として、学校の転入、編入についてその簡素化を、試験にかえて内申書などで判断するなどの措置がとれないかなど、具体的措置を文部省、都府県の教育委員会等にこれを機会に考えてほしいと要望いたしたいと思います。総理、また文部大臣の誠意ある答弁を承りたい。
 また、離職者の住宅確保も深刻であります。かつての炭鉱離職者問題と酷似していることから、炭鉱離職対策のときに、新たに設置された雇用促進事業団が住宅を確保したように、公的機関の手で積極的に住宅を確保すべきと考えます。総理と運輸大臣の答弁を伺いたいと思います。
 最後に、先ほど私、御紹介いたしました国鉄職員の主婦の手紙に、「余剰人員」と呼ばれてつらい思いをしていると書かれてありました。余り、残りという意味のこの言葉は、決して印象のよいものではありません。我が党は、できる限り、この言葉は用いないようにしております。対象となりた職員は、望んで余剰となったのではなく、輸送構造の変化によって事業量が減少したために生じた過員であります。熟語化している「余剰人員」を別の言葉に変えることも、職員への配慮であると思います。総理に他の呼び方を御検討願いたいと思います。
 ともかく、本法案の対象となる希望退職者の生活を安定したものにしなければ、後に続く職員にいたずらに不安を与えることになります。退職者の完全雇用とともに、退職に伴う諸問題の解決のため、政府に万全な対策の推進を要望し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#37
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 遠藤議員にお答えをいたします。
 まず、国鉄経営破綻の責任、原因はどこにあるかという御質問でございます。
 これはやはり公社制度というやり方で、全国一元の巨大組織による経営という点、それからモータリゼーション等の大きな変化に追いつくことができなかった、そういうようなさまざまの原因があると思い、政府といたしましても、その責任の一端を痛感しているところもございます。そこで、やはり民間の効率的な経営手法を入れるということ、労使の責任体制を築き上げるということ、そして民営・分割という方式によって今のような目的を達成しようというのが、この法案のねらっておるところでございます。
 処理すべき債務額といたしましては、昭和六十一年度予算案によりますと、約二十五兆八百億円となる見込みでございます。
 なお、国民負担の軽減につきましては、去る一月二十八日の閣議決定において明らかにしましたとおり、国鉄改革に伴い最終的に国民負担を求めざるを得ない長期債務等の額は、国鉄再建監理委員会の意見によれば十六兆七千億円程度とされております。国民負担をできるだけ軽減するために、第三者機関等の意見も聴取しながら、売却可能な国鉄用地の生み出しに努め、監理委員会試算の五兆八千億円にできるだけ上乗せを図るようにいたしたいと思っております。
 債務処理のための財源・措置でございますが、国鉄清算事業団において、自主財源を充ててもなお最終的に残る債務の処理のために必要な「新たな財源・措置」については、一月二十八日の閣議決定にあるように、雇用対策、用地売却等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入歳出の全般的見直しとあわせて検討、決定いたしたいと思います。
 次に、退職者の特別給付金の支給でございますが、既定の退職金に加えてこれは支給されるものでありまして、この支給の月数は、旧電電公社や民間企業の希望退職の例から見ても、十分配慮されているところでございます。
 なお、政府といたしましては、昨年末の基本方針決定の際の官房長官談話の趣旨に沿いまして、雇用の確保の問題については、目標達成のために全力を注ぐつもりであります。特に、政府及び地方公共団体、公的な責任を持っておる我々の責任は痛感して、努力してまいるつもりでございます。
 雇用計画の具体化の問題でございますが、国鉄過剰人員の採用計画については、昨年末に定めた基本方針において、本年秋までに策定することとしておるところでございます。
 なお、退職者子弟の高校転入の問題、あるいは住宅の確保の問題等につきましては、それぞれの官庁あるいは出先機関、地方公共団体とも連絡をとりまして、最善の努力をいたすつもりでございます。
 余剰人員という呼び方は悪いではないかというお話でございますが、私もそういうふうに実は感じておりました。これは全体としての過員、過剰員を意味するものでありまして、個々の人々を特定するものではないのであります。したがいまして、余剰人員という名前がもし適当でないとされるならば、過剰人員とか過員とか、そういうような適当な言葉を検討してまいりたいと考えておるところでございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#38
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問は二問でございます。
 まず最初は、長期債務問題でありますが、国鉄長期債務等の額につきましては、現在、運輸省において精査中となっております。今後、可能な範囲で試算が示されるというふうに私どもは承知しております。いずれにせよ、用地売却については、国民負担を極力軽減するとともに、公正を確保するため、公開競争入札を基本とする適正な時価によるものとされておりますので、最終的な国民負担の額を確定いたしますのには、旧国鉄発足後ある程度の期間が必要であると御理解をいただきたいと思います。
 次の問題につきましては、総理からもお答えがございましたが、去る一月二十八日、国鉄長期債務等の処理についての基本方針を閣議決定したところであります。
 国鉄改革に伴って最終的に国民負担を求めざるを得ない長期債務等の額は、国鉄再建監理委員会の意見によれば十六兆七千億程度とされておりますが、用地売却の上乗せ等によりましてその額を極力圧縮することとして、最終的な要処理額の見通しが得られるまでの間、当面、旧国鉄において、用地売却、借り入れ等を行って、債務の償還、雇用対策等を実施するものとしております。旧国鉄において実際自主財源を充ててもなお残る長期債務等につきましては、最終的には国において処理することとしておりますが、本格的な処理のために必要な「新たな財源・措置」、これにつきましては、雇用対策、用地売却等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、まさに歳入歳出の全般的見直しとあわせて検討、決定する、このようになっております。(拍手)
    〔国務大臣三塚博君登壇〕
#39
○国務大臣(三塚博君) 遠藤議員の御質問にお答えをいたしますが、既に、十項目にわたる御質問に対する基本的な考え方につきましては、総理大臣からその方針が明示されたところであります。運輸大臣、主管大臣としてどう考えるかという点について、五問ございます。お答えを申し上げます。
 国鉄の経営の破綻の責任の問題については、総理から、公社制度、一元的な経営にその原因があるということの指摘がございました。それはまさにその基本でございまして、具体的には、国鉄が特性分野に特化することができなかった、言うなれば、モータリゼーションの競争に対応することができなかったという点が一つあります。さらに、かねがね申し上げておりますとおり、運賃の改定が機動的にでき得ませんことが収支を悪化させましたことも事実でございます。第三点は、業務運営の効率化が適切に行われませんでしたということ等が挙げられるわけでございまして、まさに国鉄破綻の原因は、親方日の丸と言われる公社制度にありましたことは広く知られておるところでありまして、さらに、全国画一的な経営のために、地域鉄道を利用していただく国民の皆様のニーズに十二分にこたえることができなかったということだけは事実でございます。
 かような観点から、対処方針といたしまして、監理委員会の答申も受けたわけでございますが、同時に、政府といたしまして、真剣にその方策を検討する中で、民営・分割しかあり得ないということで、先般関係法を国会に提出をさせていただいたところでございます。
 さらに、希望退職者に支給する特別給付金、郵政、電話交換手の皆さんと同一なのはいかがかということでありますが、既に本件は、給与体系が違います。国鉄の基準内賃金は、それぞれの職種に応じました特別給というのがございまして、さような点が一つ。さらに、総理も言われましたとおり、民間会社を参考にする、旧電電公社等を参考にしつつ決めたものでございまして、適切なものと考えております。
 公的部門への余剰人員は、総理が明確に政治の責任でこれを行うということでありますから、これ以上触れません。
 第四問は、雇用計画の段階的実施、これを早期にやれという点も、できるだけ早期にこれを行うということで総理答弁がございましたが、御案内のとおり、要員計画の内容、公的部門、いわゆる国家公務員関係機関、さらに地方自治団体の受け入れの態勢が今後どう相なりますか、政府は一生懸命努力をいたしておるところでありますが、第三点として、退職者の動向等を勘案をしつつ最終的にこれを決定するという意味で、秋ごろになるということを申し上げてまいりましたところでありますが、できるだけ作業を急いで万全を期してまいりたいと考えます。
 最後に、転職者の住宅の確保でございますが、全くお説のとおりでありまして、関係省庁と相協議をしながら、万全を期してまいるつもりであります。(拍手)
    〔国務大臣海部俊樹君登壇〕
#40
○国務大臣(海部俊樹君) 保護者の転勤に伴う高校生の転入学問題についてでありますが、事情はよくわかりますので、文部省といたしましては、規則を改正して、転入学の回数をふやすこと、同時に、今までは欠員のある場合に限り入学を許可していいとしておりましたのを、教育に支障のない限り配慮してよろしいというふうに方針を既に変えておりまして、各都道府県にその趣旨の徹底を図っておりますが、先生ただいまここで御指摘の具体的な案件についてのみ考えますと、他の立場の方々との公平、公正の観点から、いささか研究を要する問題もあろうかと思います。これを受けとめまして、今後対応をしていきたい。同時に、成果が上がったら、教育委員会等にも指導を促して、円滑な転入学が図れるように努力をいたしたい、かように考えております。(拍手)
#41
○議長(坂田道太君) これにて質疑は終了いたしました。
     ────◇─────
#42
○議長(坂田道太君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト