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1985/04/08 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 本会議 第18号
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1985/04/08 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 本会議 第18号

#1
第104回国会 本会議 第18号
昭和六十一年四月八日(火曜日)
    ─────────────
 議事日程 第十五号
  昭和六十一年四月八日
    午後一時開議
 第一 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ─────────────
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 日程第一 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時三分開議
#2
○議長(坂田道太君) これより会議を開きます。
     ────◇─────
 議員請暇の件
#3
○議長(坂田道太君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 石橋政嗣君及び渋沢利久君から、四月十五日より二十四日まで十日間、木間章君から、四月十六日より二十六日まで十一日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。
     ────◇─────
 日程第一 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#5
○議長(坂田道太君) 日程第一、電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。逓信委員長宮崎茂一君。
    ─────────────
 電波法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔宮崎茂一君登壇〕
#6
○宮崎茂一君 ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約附属書の一部改正の発効に備えて、郵政大臣の行う型式検定に合格したものでなければ施設してはならない無線設備の機器の範囲について所要の措置を定めるとともに、近年の我が国内外の国際化の進展に対応し、陸上に開設する無線局について、相互主義を前提として、外国人等にも免許を与えることができる範囲を拡大するものであります。
 なお、この法律は、昭和六十一年七月一日から施行することとしております。
 本案は、去る二月十八日当委員会に付託され、三月二十四日佐藤郵政大臣から提案理由の説明を聴取し、四月三日質疑を終了、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#7
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#9
○議長(坂田道太君) この際、内閣提出、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣加藤紘一君。
    〔国務大臣加藤紘一君登壇〕
#10
○国務大臣(加藤紘一君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部改正を内容としております。
 まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。
 これは、自衛官の定数を、海上自衛隊三百五十二人、航空自衛隊二百三十一人、統合幕僚会議二十三人、計六百六人増加するための改正であります。これらの増員は、海上自衛隊については、艦艇、航空機の就役等に伴うものであり、航空自衛隊については、航空機の就役等に伴うものであります。また、統合幕僚会議については、中央指揮所の二十四時間運用態勢を確保するためのものであります。
 次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。
 第一は、自衛隊の予備勢力を確保するため、陸上自衛隊の予備自衛官千人、航空自衛隊の予備自衛官三百人、計千三百人を増員するための改正であります。なお、航空自衛隊につきましては、新たに予備自衛官制度を設けるものであります。
 第二は、有線電気通信設備、無線設備及び船舶の防衛上の重要性及び防護の緊要度が高まったことに伴い、自衛官が武器を使用して防護することができる対象にこれらを加えるための改正であります。
 第三は、国の機関から依頼があった場合には、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、航空機による国賓等の輸送を行うことができることとし、また、自衛隊は、国賓等の輸送の用に主として供するための航空機を保有することができることとするために、新たに一条を加えるための改正であります。これは、主要国首脳会議の際に使用するヘリコプターを、同会議後は自衛隊が運用すること等に伴い、必要となるものであります。
 第四は、市町村の境界が変更されたことに伴い、自衛隊法別表第三に掲げられている中部航空方面隊司令部の所在地を入間市から狭山市に名称変更を行うための改正であります。
 この法律案の規定は、公布の日から施行することといたしておりますが、国賓等の輸送に関する自衛隊法第百条の五を加える改正規定については、本年六月一日から施行することといたしております。
 以上が防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。よろしくお願いいたします。(拍手)
     ────◇─────
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#11
○議長(坂田道太君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。元信堯君。
    〔元信堯君登壇〕
#12
○元信堯君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま上程されました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、この法改正が目指す方向に断固反対の立場から、中曽根総理大臣及び加藤防衛庁長官に質問を行うものであります。
 この法案に反対する理由の第一は、防衛二法の改正が自衛隊の拡張、増強を目指し、アメリカとの軍備一体化を推し進めようとするものであり、これが世界の緊張緩和に大きなマイナスをもたらすからであります。
 二十一世紀を目前に控えた今日、現代の政治が次代へ伝えなければならない最大の責務は全世界の平和であることは、だれ一人疑う者はいないでありましょう。そうしてこの平和は、今日のごとき冷戦下のもろい不安定な平和であってはなりません。対立する二つの軍事ブロックが一たび戦端を開くや、敵も味方もなく、すべての人類、いや地球上のすべての生命を奪い尽くす破壊力を蓄え、すきあらば相手を全滅させてやろう、あるいは攻撃されれば相手も全滅に引きずり込んでやろうと身構える中で、辛うじて互いの恐怖によって自制、維持されている不安定な平和ではなく、相互の理解と依存によって最小限の兵力にまで軍備を縮小し、かつ、縮小し続けつつある中での安定した平和でなくてはなりません。
 今や核兵器の恐怖を取り除き、軍備を縮小して安定的な平和を求める声は、世界的な世論に高まりつつあると考えます。かつてない盛り上がりを見せたヨーロッパの反核運動や太平洋諸国の非核化の動きはもちろん、ゴルバチョフ登場後のソ連を初めとする東側諸国からの軍縮への働きかけには、それらの国々の国民の反核、平和への熱望が込められているものと考えなければなりません。しかも、これらの世論は、とめどのない軍備拡張が戦争への危機を拡大するだけでなく、それぞれの国家の財政、経済、福祉を押しつぶし、さらに、発展途上の国々において、飢餓や病気によって年間数千万人もの人々が死んでいるにもかかわらず、人類がなお有効な救いの手を差し伸べることができないような、資源と生産力のむだ遣いの原因となっていることもその根拠としていることに、私どもは深く思いをいたさねばなりません。
 私は、昨年開催されましたレーガン・ゴルバチョフ両首脳の会談は、このような広範な諸国民の願いが反映してもたらしたものと認識していますが、中曽根総理、あなたは相も変わらず、この会談はサミットによる西側の団結の誇示とSDIによるおどしが東側をして譲歩せしめた結果との認識を国会で示されました。私は、総理のこの陳腐な冷戦的認識をつくづく情けなく思うのであります。
 あなたは常々、今日の平和は核兵器による抑止と軍備の均衡によって保たれている、軍縮は均衡を保ちつつ互いに安心できるやり方で行わなければならないとお考えのようですが、果たしてこのような方法で軍縮は可能でありましょうか。なぜなら、抑止なる考えは、もし一方が核攻撃された場合は、相手方も核攻撃によって全滅させるぞとの全面報復の考え方から出発したものであり、その後、軍事技術の発達、とりわけミサイル誘導技術の進歩の結果、先制攻撃によって核戦争においても相手に勝つことができるとの考えが生じ、核兵器による全滅のおどしによる脅迫すら今日既に抑止力を失いつつあるのであります。
 すなわち、抑止とは、双方が相手方と同等以上の破壊力を有すると信じるに足りる軍備を持つことによって初めて成り立ち得る考えであり、一方、相手方の軍備はもちろん、秘密に包まれていますから正確に知ることはできません。よって、軍事技術の進歩に伴って、双方は常に相手方を上回る能力を持つべく努力を払い続けざるを得ず、これでは軍備の拡大はあり得ても、軍備の縮小が抑止の思想の中から生まれるはずはありません。世界が米ソを盟主とする二大軍事ブロックに分かれ、その双方が抜け道のない軍備拡張の泥沼にもがく今日、我が日本は平和のためにどのようなイニシアチブをとることができるか、またとるべきかについて、真剣に考えてみるべきときに至っています。
 さきに申しましたように、対立する米ソ両国の間には、昨年のジュネーブにおけるレーガン・ゴルバチョフ会談にもかかわらず、相互不信と軍事対決の機運はさらに激化をしているのではないでしょうか。今重要なことは、我が国がアメリカにべったりと追従をして軍事対立の激化に手をかすのでなく、緊張緩和のために独自の考えと行動を示すべきことであると私は考えます。
 緊張緩和と軍縮の達成のためには相互の理解と依存が不可欠であることは、どなたも御異存はなかろうと思います。我が日本は、対立を激化させている米ソ両国の地理上でもまさにそのはざまに位置し、歴史的、文化的にも深い結びつきを有しています。経済的にも工業、農漁業を通じて不可分の関係にあり、特に近年、日本は両国から、我が経済力とすぐれた産業技術において高く評価され、協力を要請されているのであります。しかも、我が日本国憲法は、すべての国との善隣友好を国是として規定しているのであって、そのいずれをとっても今日、平和と軍縮へのイニシアチブを我が国がとり得る、またとらねばならぬ地理的、経済的、歴史的、政治的地位にあることを示しています。
 しかし、中曽根総理、あなたは政権発足以来、不沈空母発言、防衛費の対GNP比一%枠突破、シーレーン防衛、OTHレーダー導入など、どれをとっても、我が国の軍事大国化と日米軍事一体化を推進する政策ばかりが突出し、日本が緊張緩和と平和の実現のためにイニシアチブをとったことは、一度もないではありませんか。私は総理に、あなたが本気で軍縮は軍拡から生まれると信じていらっしゃるのか、もしそうであるとするならば、具体的にどのようなプロセスを経て軍拡から軍縮が結果されるものとお考えになっていられるのか、基本的なお考えについてまず伺いたく存じます。(拍手)
 次に、我が国のSDIへの参加について伺います。
 レーガン大統領は、SDIは防衛兵器体系であるとし、これが実現すれば、核兵器は廃絶されるなどと極めてのんきなことを考えているようでありますが、SDIこそは、人類を引き返すことのできない破滅への道を突き進ませるものと言わなければなりません。なぜなら、SDIは、核兵器の存在を前提とし、核戦争を勝ち抜く手段として構想されているからであります。私は、一九四七年に採択されたユネスコの憲章が「戦争は人の心の中に生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。」と宣言したことを思い起こし、我が国が今日なお、ユネスコの加盟国であることを改めて喜びたいものと考えます。レーザー光線とコンピューターシステム、それに軍事衛星を加えたシステムで戦争が防げるなどと考えるのは、全く幻想に等しいか、さもなくば、意図的に人類を破滅に導くものと言うほかはありません。
 中曽根総理、あなたは、あのスペースシャトル・チャレンジャーの痛ましい事故から一体何を学びましたか。私は、人間の巨大技術の限界と、これに頼り過ぎる恐ろしさをまざまざと思い知ったのであります。自他ともに世界最高を誇るアメリカの技術が結集されたスペースシャトルも、伝えられるところによると、当日の気温が低下したためにあの事故を招いたというではありませんか。SDIは、スペースシャトルよりも一けたも二けたも巨大で複雑なシステムとならざるを得ません。これに頼って核戦争を起こした場合、千本発射されたミサイルの一本を撃ち漏らしても地球は破滅することは、既に科学者たちが「核の冬」として警告をしているとおりであります。このようなシステムに人類の未来をかけるとは、余りに愚かな行為であると言わなければなりません。
 また、SDIは専ら防御のための兵器体系であるなどとする考えの誤りについても、指摘しておかねばなりません。昨年一月アメリカ政府が発行した「米国大統領の戦略防衛イニシアチブ」なるパンフレットの中にも、「SDIは抑止力を強化し安定性を増加する」と繰り返し述べられているように、SDIは、現存の戦略ミサイル並びにその迎撃システムの延長線上に位置するものであって、SDI自身は何ら核兵器の廃絶に貢献するものでないことはもちろん、SDI自身が宇宙空間での核爆発をエネルギー源とする核兵器であることもまた明らかであります。総理、あなたはこのSDIについて、三次にわたる研究視察団をアメリカに派遣するなど、全体として肯定的な方向で対応を模索されているように存じますが、SDIについては、軍縮に逆行するものとして、政府、民間を問わず、不参加の方向をとるべきものではありませんか、改めてお考えを承りたいと存じます。(拍手)
 さらに、防衛をめぐる基本問題のもう一つは、アメリカとの関係であります。
 既に指摘したとおり、我が国がアメリカの世界戦略の一翼を担っている限り、対立する東西の緊張緩和と真の平和の創出者としての名誉ある歴史的役割を担うことは不可能であります。そのような歴史的な名誉はこの際おくとしても、我が国がアメリカとの間に今日のごとき運命共同体的軍事一体化の方向をとればとるほど、我が国と国民の安全はより大きな脅威にさらされざるを得ないことは、また火を見るよりも明らかであります。
 あなたが盟主と頼むレーガン大統領の口吻とは裏腹の好戦性は、昨今ますます明らかになってまいりました。北アフリカの小国リビアの領海すれすれのシドラ湾内に第六艦隊を派遣して、これ見よがしの挑発的軍事演習を繰り広げ、三隻の艦船を沈没せしめたと発表しています。また、中米ニカラグアに合法的に成立したサンディニスタ政権を武力をもって転覆せんとする勢力に公然と武力援助を与えるなど、世界を危険にさらす弱い者いじめの好戦的政権の性格をあらわにしています。このようなレーガン政権下のアメリカと軍事一体化を推進することは、アメリカの軽挙妄動によって我が国と国民を思ってもみない大きな危険にさらすことになりかねません。
 最近、我が国の国民の間では、逗子や三宅島に見られるように、我が国の平和な存在が米軍の存在とは共存しがたいとの考えが支配的になってまいりました。
 私は、今日、NLPの殺人的騒音に夜の静けさと安眠を奪われている厚木基地周辺の住民の皆さんの毎夜の苦痛には、深く思いをいたすわけでありますが、この問題はそもそも、この狭い我が国にNLPを不可欠とするアメリカの航空母艦の基地を受け入れたことに、その根源を有するわけであります。世界じゅうを見渡してみても、アメリカの航空母艦の基地を受け入れているのは、たった一つ、我が日本だけであります。たとえアメリカと軍事条約を結んでいる国であっても、航空母艦の基地だけはお断りしているのが現状であって、その原因はNLP問題であることは明白であります。昨日開票された逗子市議会議員選挙において、米軍住宅受け入れ派が多数を制したことをもって、市民の意思が受け入れに傾いたなどとみだりに騒ぐ者もあるようでありますが、得票数を見るならば、受け入れ反対派が依然圧倒的多数であることは明らかであることも、この際申し添えておかねばなりません。
 防衛庁長官、逗子や三宅島で示されている国民の意向を尊重し、国民の意思を出発点にして基地問題あるいは防衛問題を考え直すべきときではありませんか。アメリカの意向によって国民を説得するのではなく、国民の代表としてアメリカを説得するこのお考えがあるか、率直なお答えを賜りたいと存じます。(拍手)
 さて、以上で防衛にかかわる基本的問題に関する質問を終わり、今般の防衛二法の改正にかかわる具体的問題について伺います。
 まず第一に、今回の定数増が海空自衛隊に限られている理由について伺います。これは伝えられるところの海空重視の考え方のあらわれであるのか、もしそうであるとするならば、具体的にどのような防衛戦略の転換を考えておられるのか、明らかにしていただきたいと存じます。
 第二に、武器をもってする防護対象の拡大でありますが、今日、この対象拡大をなすべきいかなる理由があるのか、さらに、過去にこの拡大を必要とすべきいかなる事例があったかについて、明らかにされるように望みます。
 さらに、国賓輸送用ヘリコプターの自衛隊における運用でありますが、このヘリコプターは、さきに総理が訪欧の際、フランスでこれを見て、即断で購入を決定されたものと伝えられています。現在、自衛隊の保有するヘリコプターは、国産及びアメリカ製であって、フランス製とは、例えばローターの回転方向が逆であるなど、操縦様式を異にしているものであります。サミット終了後、自衛隊において、このフランス製ヘリコプターを一体どのように活用される計画があるのか、あるいは計画のないままこれを死蔵して、総理大臣の思いつきが国民の税金のむだ遣いになってしまう、そういう結果となるのか、具体的にお示しを願いたいと思います。
 総理大臣並びに防衛庁長官の簡潔明瞭なる御答弁をお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#13
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 元信議員にお答えをいたします。
 まず、軍縮の具体的プロセスでございますが、国際世論の醸成のほかに、やはり核の使用を含め武力衝突を未然に防止するためには、力の均衡を通ずる有効な抑止力を維持しつつ、軍備の水準を可及的速やかに低下さしていくということが大事であると思います。軍縮は、結局は、双方の安心感から軍縮という方向に行くのであって、安心感を生むもとはどこであるかといえば、これは検証その他によって科学的に実証されるそういう手段が必要である、単なる演説によって軍縮は行われるものではない、このように考えております。
 次に、米ソ交渉の問題については、有効な軍備管理あるいは軍縮措置について合意が形成されるように強く望みます。したがいまして、レーガン・ゴルバチョフ氏第二回会談ができるだけ速やかに行われるように、今回の東京サミット等も、この機会を通じまして努力してみたいと考えております。
 次に、SDIの問題でございますが、これは非核の防御兵器であり、究極的には核兵器の廃絶を目的とするというレーガン大統領の言葉に対して、私は理解を示したのであります。言いかえれば、大陸間弾道弾のような攻撃的な大量破壊兵器にかえるに、防御兵器の体系にかえようという画期的な兵器体系の変換を目指しているという点について、私は注目しておるものでございます。しかし、SDIについては、目下調査団等を派遣して調査中でございまして、慎重に対処したいと考えております。
 その他の問題は関係大臣から答弁いたします。(拍手)
    〔国務大臣加藤紘一君登壇〕
#14
○国務大臣(加藤紘一君) 元信議員にお答えいたします。
 池子と三宅の問題に絡んで、防衛問題を考え直すべきではないかという御指摘でございますが、池子の米軍家族住宅の建設、それから三宅島におけるNLP、これは安全保障体制の円滑かつ効果的な運用にとりまして、ぜひ必要な施設設備だと思っております。
 私たちも、池子につきましては、緑が大切だということも十分承知いたしております。ですから、神奈川県の環境アセスメントの手続を正式に踏んで御判断をいただいているわけでございます。それから、三宅でございますけれども、私たちとしては、いろいろ場所を選定した上で、三宅島が最も御迷惑をかけることが少ないのではないか、そういうことで御理解をいただきたいと思っております。いずれにいたしましても、これらの問題解決のためには、地元の御理解と御協力を求めつつ、今後もその実現のために努力をしてまいりたいと考えております。
 自衛官の定数増の考え方についてでございますが、先ほど趣旨説明で御説明したとおり、海空の増員は、既に予算化された艦艇、航空機の就役等に伴う要員を確保するための必要最小限の増員でございます。陸上自衛官の定数につきましては、基本的な枠組みとして「防衛計画の大綱」において十八万人体制が定められているところであります。その充足率の向上のためには、今後とも努力をしてまいりたいと思っております。いずれにしても、我が国の防衛力整備につきましては、陸海空のバランスをとって整備をしていく考えであります。
 防護対象に通信設備と船舶を加える問題でございますが、自衛隊法が制定されたときに比べまして、近年、通信設備の作戦行動上の重要性が増大してきております。また、輸送艦等の船舶も我が国の防衛力を構成する重要な物件でございます。このようなことから、防衛庁としてはかねてより、これらの物件を自衛隊法第九十五条の防護対象に加える必要性を明らかにしてきたところであります。先般の世田谷の電話ケーブル火災や過激派による国鉄の通信ケーブル切断事件等にかんがみまして、改めて通信設備の防護の必要性を認識したところであります。このために今回、その防護対象に有線電気通信設備、無線設備及び船舶を含めることをお願いしているところであります。ぜひ御理解をいただぎたいと思います。
 サミット後のスーパーピューマの活用の問題でございますが、国賓等の輸送権限は従来防衛庁になかったところから、今回自衛隊法を改正し、防衛庁の責任において国賓等の輸送を実施しようとするものであります。また、国賓などの来日は、東京サミット後も恒常的に見込まれるものと予想いたしております。諸外国においても、国賓等の輸送のため、政府とかそれぞれの防衛当局が航空機を保有し、そのための輸送を実施している例は多いところでございますから、この点につきましてもぜひ御理解をいただければ幸いと存じます。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#15
○議長(坂田道太君) 山田英介君。
    〔山田英介君登壇〕
#16
○山田英介君 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま趣旨説明のありました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に関し、総理並びに関係大臣に対し質問を行うものであります。
 我が党は、平和憲法のもとにおいて、我が国の平和的存立を守るための自衛権は認められるとの立場をとっております。すなわち、我が国が一切の膨張政策を否定し、平和政策を堅持しているにもかかわらず、なおかつ不正な侵略をするものがあれば、平和的存立を守るための正当な自衛権の行使は許されるものと考えております。具体的に自衛権の裏づけとしての能力について、領土、領海、領空の領域保全に厳しく任務を限定した防衛力の保持を主張いたしております。
 このような立場から現状の自衛隊を見るとき、我が党の主張する領域保全能力と共通する要素が多く見られる反面、ふさわしくないと見られる要素も目につくのであります。特に、今回提案された本法律案は、昨年九月に決定された中期防衛力整備計画に基づく内容であり、それは新たな軍事力増強政策の一環ともいうべきものであります。率直に言って、大多数の国民は、今なぜ軍事力増強なのかとの疑問を抱いております。我が党は、防衛力の必要性を否定するものではありませんが、それにしても、最近の中曽根内閣の性急かつ憲法の専守防衛の枠を無視するような軍事力増強政策に対し、強い危惧を抱かざるを得ないところであります。
 そこで、まず第一に、防衛計画大綱の見直しについてお尋ねいたします。
 中期防衛力整備計画が大綱水準を達成し得る内容となったことから、最近、大綱見直しの発言が繰り返されております。加藤防衛庁長官は、いわゆる防衛行革の推進という観点、すなわち部隊の機能別再編成あるいは効率化などから大綱別表の見直しを言われております。一方、中曽根総理は、装備量の拡大という視点から見直しを言われており、いずれも、別表の見直しは大綱自体の見直しではないと強弁をされております。
 今さら指摘するまでもありませんが、大綱と別表の関係は一体不離のものであり、別表の変更は当然、大綱自体の変更につながることは明らかなのであります。すなわち大綱は、装備の質的改善の道を認めつつも、装備の量に関しては、大綱決定当時の規模で拡大を凍結することを明確にうたったものであります。総理の言われる別表の装備量の変更は、大綱自体の基盤的防衛力構想を否定することになり、これはもはや、別表の見直しなどというものではなく、大綱の事実上の形骸化と言わざるを得ないのであります。
 総理は、いかなる意図を持って大綱別表の見直しを言われたのですか。また、現在においても、別表の見直しは大綱自体の見直しではないと考えておられるのか。もし別表の見直しが大綱の見直しではないというのであれば、総理御自身が大綱の見直しとなると判断される要件をどのように考えておられるのか、この際、明らかにしていただきたいのであります。別表には、防衛力整備の定量的歯どめという役割も存在しております。総理は、装備の定量的歯どめは全く必要がないと考えておられるのか、あわせてお尋ねいたします。
 次に、一千海里シーレーン防衛について質問いたします。
 シーレーン防衛に関して、政府は、周辺数百海里、航路帯を設ける場合は一千海里との考え方を示されております。中期防衛力整備計画完成時においては、シーレーン防衛の面では、どの程度の能力を我が国が有することになると判断しておられるのですか。また、一千海里シーレーン防衛に関して、装備目標といったものを政府として考えておられるのかどうか、明らかにしていただきたいのであります。国民は、一千海里シーレーン防衛に名をかりて、政府が際限のない軍備拡大の道に進むのではないかと懸念いたしております。このような国民の不安を取り除くためにも、一体、一千海里シーレーン防衛のためにどの程度の装備が必要とされるのか、明らかにする責任があると考えますが、総理の御所見を賜りたいと存じます。
 一千海里シーレーン防衛とその洋上防空体制の一環として、政府は、OTHレーダーの導入を検討しておりますけれども、OTHレーダー導入の時期について、いつごろを予定されておられるのか。また、米国防総省筋の話として、OTHレーダーは、一基だけでも運用は可能であるが、二基以上で運用すれば死角が解消され、一層効果が上がるとも言われております。政府は、OTHレーダー導入に当たって、二基以上導入することも検討しておられるのか、また、その設置場所としてどこを考えているのか、お尋ねいたします。米国は、八八年中に本格的に配備し、八九年から運用を開始する予定と言われております。政府は、この米国の配備計画に合わせて、我が国のOTHレーダーの配備を計画をしておられるのではありませんか。
 また、将来の問題として、戦略防衛構想、SDIの一環としてOTHレーダーが組み込まれる可能性も十分あると考えますが、OTHレーダーとSDIの関係について、政府はどのような見解をお持ちか、この際、明らかにしていただきたいのであります。あわせて、OTHレーダーに関して、米国は、情報解析のためのソフト技術を日本側に提供する方針を示しましたが、この点について、政府はどのようにとらえておられるのか、お尋ねをいたします。
 同時に、一千海里シーレーン防衛強化の一環として、AEGIS艦の導入が検討されていますけれども、政府は、AEGIS艦の導入時期についていつごろを想定されておられるのか。また、中期防衛力整備計画で、海上自衛隊は、念願のいわゆる八・八艦隊を完成することになります。将来、この八・八艦隊にAEGIS艦を含めようという考えがあるのかどうか、答弁を求めるものであります。
 次に、防衛費一%枠問題についてお尋ねいたします。
 中期防衛力整備計画初年度の昭和六十一年度防衛予算は、GNP比〇・九九三%に達し、一%までの差額はわずか二百三十五億円であります。ことし夏の人事院勧告で一・七%以上のベースアップを実施することにより、GNP比一%枠は突破されることが明らかであります。六十一年度の人勧実施に関しましては、完全実施を行うとの政府公約もあり、なおかつ、最近の人勧実施状況あるいは経済状況などから考え、ベア率を一・七%以下に抑制することは到底不可能であると考えられます。必然的に、防衛費のGNP比一%枠厳守は極めて困難と言わざるを得ないところであります。
 政府は、一%枠は努力目標であると繰り返し発言されておりますが、六十一年度の人勧実施により、一%枠突破はほぼ確実との見通しを政府は立てておられるのかどうか。一%枠突破必至の状況の中で、一%枠におさめる努力を払うのか、あるいは成り行き任せのごとく突破を図るおつもりなのか。少なくとも、最大限の努力を一%枠以内におさめるため図るというのであれば、具体的にいかなる努力をなさるのか、明らかにしていただきたいのであります。
 次に、円高と中期防衛力整備計画の関係についてお尋ねをいたします。
 総額十八兆四千億円の中期防衛力整備計画は、計画策定当時の一ドル二百三十七円で計算されていると聞きます。現時点での円相場は百八十二円前後で推移をしておりますが、仮に百八十円として、兵器輸入やライセンス生産のために支払う金額は相当浮くことになるはずであります。一ドル百八十円で計算すると、一体どれほどの金額が浮くことになるのでしょうか。また、円高で浮く金額が膨大な額に上るということであれば、中期防衛力整備計画を練り直すべきではないのでしょうか。電気、ガス等の円高差益の還元とは異なる問題とはいえ、円高の事態に対して、防衛計画だけは別ものとする考え方には私は納得できないところであります。この点について、総理の明確なお考えを伺いたいのであります。
 円高の問題は、一方において、米国の在日駐留軍経費の大幅実質減をもたらしております。対米思いやり負担が年々増大しておる中での円高であります。一層の負担増を日本に求めてくることが予想されております。それでなくても米国側は、空母機動部隊の近代化に伴う宿舎の増設、通信施設等の近代化のための費用負担を日本側に強く要求してきているところです。政府は、このような米国側の思いやり負担増額要求に対して、どう対処なさる方針なのか、明らかにしていただきたい。特に、米国側の要求に対しどこまで応ずるのか。マスコミ報道によれば、米国側の上瀬谷通信基地の近代化に対する費用の肩がわり要求に対しまして、政府は、戦争能力強化につながるプロジェクトには協力できないと回答したと言われます。このような事実はあったのかどうか、お尋ねをいたします。
 次に、防衛庁長官にお聞きをいたしますが、長官は、いわゆる防衛行革に極めて熱意をお持ちであると伺っております。具体的な防衛行革の検討及びその実施につきまして、現時点でどのような方針及び考えで進めておられるのか、明らかにされたいのであります。よく指摘されることは、陸上自衛隊の装備の中心となっている戦車について、もっと数量を削減すべきであるとの声が強いのですが、この防衛行革の中に装備の量の検討なども含まれているのでしょうか、また、具体的に戦車の数量を削減することは考えておられるのかどうか、お尋ねいたします。
 最後に、昨年十一月の米ソ首脳会談によりまして、米ソ・デタントへの新たな光がほの見えてきた感があります。貿易に多くを依存する日本は、今や世界が平和でなければ生きていかれません。日本は、米ソ軍拡に加担するのではなく、米ソ軍縮に道を開くことにこそ最大の力を入れるべきであると私は思います。この点を強く申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#17
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 山田議員にお答えをいたします。
 まず、平和と軍縮の推進、米ソ首脳会談の促進等については、引き続いて努力をしてまいるつもりでおります。
 大綱の問題でございますが、大綱の問題について私が先般発言いたしましたのは、大綱の構成、すなわち本文や別表がどのように位置づけられているかという仕組みについて述べたものであります。大綱の本文に書いてありますとおり、諸外国の技術的水準の動向等に対応するため、装備体系等を変更する必要が生じた場合には、閣議及び国防会議の審議、決定を経て、別表の変更を行うことも可能であると考えておるわけであります。このような変更を行ったとしても、直ちに大綱の基本的な精神である基盤的防衛力構想や、限定小規模侵略独力対処などの大綱の基本的考え方を見直したことにはならないと思います。いずれにせよ、政府は、目下大綱の見直しはもちろん、その別表等の改正も考えておりません。
 次に、シーレーン防衛能力の問題でありますが、中期防衛力整備計画の完成時における自衛隊の能力については、一概には言えませんが、海上交通の安全確保に当たっての対潜能力については、我が国周辺数百海里、航路帯を設ける場合はおおむね千海里程度の海域において、相当程度の能力が発揮されることになると思います。ただし、海上交通の安全確保に当たって、その洋上防空能力の向上が当面の課題であるとともに、今後とも、目下飛躍的に上昇している諸外国の技術的水準の動向に対応した質的な充実向上に努めることが必要であると考えております。
 防衛費の一%の枠については、六十一年度予算におきましては、これを守ったわけでございますが、今後のGNP比につきましては、GNPの動向、人事院勧告の内容等不確定な要素が多く、現段階で明確な見通しを述べることは困難であります。いずれにしても政府は、GNP一%の閣議決定について、これを尊重し、守りたいと思っております。
 中期計画と為替レートの変動の関係でありますが、これが輸入装備品の価格に影響を及ぼすものと考えられておりますが、これは名目ベースの変化でありまして、かつ、今後五カ年間においてどのように推移するか、一概には言えません。中期防衛力整備計画における防衛関係費の限度額、すなわち、おおむね十八兆四千億円は、この計画に定める事業の実施に必要な経費を昭和六十年度の価格で実質表示したものであります。したがって、為替レートが変化したからといって、中期計画の性格からいいましても、中期的展望を踏まえてこれはできておるのでありまして、本計画を修正する必要はないと考えております。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣加藤紘一君登壇〕
#18
○国務大臣(加藤紘一君) 山田議員にお答えいたします。
 OTHレーダーの導入時期等についてでございますが、OTHレーダーにつきましては、中期防衛力整備計画に従いまして、これを整備するかどうかということを含めて、すべて今後検討される問題であります。このため、具体的な整備時期、それから場所等につきましても、今後検討される問題でございます。また、OTHレーダーの導入は、我が国の洋上防空、本土防空等、我が国防衛上の観点から有用ではないかという観点から検討しているものでありまして、いわゆるSDIとは何ら関係がございません。
 OTHレーダーのソフトウェアの問題でございますが、我が国がOTHレーダーを整備する場合、必要とするソフトウェアが提供されることは当然のことだと考えておりましたけれども、先般ワインバーガー長官がこの点を裏づけられたことは、大変結構なことだと思っております。いずれにいたしましても、我が国の自主的判断で運用するということを前提に検討を進めてまいりたい、こう思っております。
 AEGIS艦の導入時期等についてでございますけれども、AEGIS艦につきましては、導入の可否を含め、今後検討いたすものでございます。いずれにせよ、防衛計画大綱別表の枠内において、護衛隊群の艦艇の近代化を図るものとして考えていきたいと思っております。
 思いやり予算の増大の問題でありますが、アメリカからいろいろ要求があったのではないかというようなことでございますが、いわゆる思いやり予算の拡充につきましては、米側から一層の努力を期待する旨の一般的な要望はございますけれども、御指摘の上瀬谷につきまして、具体的な要請はされておりません。いずれにいたしましても、この点につきましては、我が国の自主的判断により決定されるべきものだと思っております。
 防衛行革に関する見解と戦車の必要性について、山田議員から御質問がございましたが、防衛庁としては、みずからの手で行政改革を推進する目的で、庁内に昨年業務・運営自主監査委員会を設置いたしました。そして、本年一月に改善検討事項を作成し、現在作業を進めておりまして、第一回目の具体的検討結果の取りまとめは、この四月の下旬に予定いたしております。作業に当たりましては、「防衛計画の大綱」の枠組みの中で、防衛庁、自衛隊の効率的かつ合理的な業務運営を図っていくことといたしております。なお、御指摘の戦車につきましては、陸上防衛力の中核となるものであり、中期防衛力整備計画に定める戦車の整備数量を削減することは考えておりません。
 以上でございます。(拍手)
#19
○議長(坂田道太君) これにて質疑は終了いたしました。
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#20
○議長(坂田道太君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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