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1985/05/08 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 本会議 第26号
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1985/05/08 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 本会議 第26号

#1
第104回国会 本会議 第26号
昭和六十一年五月八日(木曜日)
    ─────────────
 議事日程 第二十三号
  昭和六十一年五月八日
    午後一時開議
 第一 雇用政策に関する条約(第百二十二号)の締結について承認を求めるの件
 第二 人的資源の開発における職業指導及び職業訓練に関する条約(第百四十二号)の締結について承認を求めるの件
 第三 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 農林中央金庫法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 特定商品等の預託等取引契約に関する法律案(内閣提出)
 第六 昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案(内閣提出)
    ─────────────
○本日の会議に付した案件
 科学技術会議議員任命につき同意を求めるの件
 公害等調整委員会委員任命につき同意を求めるの件
 社会保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
 漁港審議会委員任命につき同意を求めるの件
 日本放送協会経営委員会委員任命につき同意を求めるの件
 ソ連チェルノブイル原子力発電所の事故に関する決議案(大久保直彦君外九名提出)
 日程第一 雇用政策に関する条約(第百二十二号)の締結について承認を求めるの件
 日程第二 人的資源の開発における職業指導及び職業訓練に関する条約(第百四十二号)の締結について承認を求めるの件
 日程第三 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 農林中央金庫法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 特定商品等の預託等取引契約に関する法律案(内閣提出)
 日程第六 昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案(内閣提出)
    午後一時五分開議
#2
○議長(坂田道太君) これより会議を開きます。
     ────◇─────
 科学技術会議議員任命につき同意を求めるの件
 公害等調整委員会委員任命につき同意を求めるの件
 社会保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
 漁港審議会委員任命につき同意を求めるの件
 日本放送協会経営委員会委員任命につき同意を求めるの件
#3
○議長(坂田道太君) お諮りいたします。
 内閣から、
 科学技術会議議員に岡本道雄君及び山下勇君を、
 公害等調整委員会委員に小玉正任君、綿貫芳源君及び和田善一君を、
 社会保険審査会委員に岡田達雄君を、
 漁港審議会委員に佐々木隆人君、鮫島泰佑君、柴田章君、吹田安兵衛君、田代清英君、宮原九一君、矢野照重君、矢野辨介君及び横山信立君を、
 日本放送協会経営委員会委員に浅尾宏君、磯田一郎君、岩村精一洋君、熊平肇君及び冨谷晴一君を
任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。
 まず、科学技術会議議員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#4
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。
 次に、公害等調整委員会委員、社会保険審査会委員及び漁港審議会委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えるに決しました。
 次に、日本放送協会経営委員会委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。
     ────◇─────
#7
○桜井新君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、大久保直彦君外九名提出、ソ連チェルノブイル原子力発電所の事故に関する決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略して、この際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#8
○議長(坂田道太君) 桜井新君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ─────────────
 ソ連チェルノブイル原子力発電所の事故に関する決議案(大久保直彦君外九名提出)
#10
○議長(坂田道太君) ソ連チェルノブイル原子力発電所の事故に関する決議案を議題といたします。
 提出者の趣旨弁明を許します。平沼赳夫君。
    ─────────────
 ソ連チェルノブイル原子力発電所の事故に関する決議案
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔平沼赳夫君登壇〕
#11
○平沼赳夫君 ただいま議題となりましたソ連チェルノブイル原子力発電所の事故に関する決議案につきまして、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同を代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    ソ連チェルノブイル原子力発電所の事故に関する決議案
  去る四月下旬、ソ連チェルノブイル原子力発電所で発生した事故は、我が国を含め、世界各国に強い衝撃を与えている。
  よつて、政府は速やかに関係諸国とも協力しつつ、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 事故の状況、原因等に関する情報の速やかな公開をソ連に働きかけること。
 二 国際原子力機関を中心とした国際協力のもとに、事故の原因究明、情報分析等に努め、国内における安全の確保と安全規制に十分反映させること。
 三 本件事故に関し、放射能対策に万全を期すること。
  右決議する。
以上であります。
 今回ソ連チェルノブイル原子力発電所において発生した事故は、原子力の平和利用に関心を持つ世界各国に強い衝撃を与えているところであります。遺憾ながら、ソ連当局からはまだ十分な情報が公表されていないのが実情でありまして、このため、事故の真相、原因、さらには放射能汚染の影響等について大きな不安と懸念を持たざるを得ないのであります。
 かかる観点から、政府は、ソ連当局に対し、事故の状況、原因等に関する情報の速やかな公開を求めることを初めとする本決議案の意を十分に体し、これらの諸対策に万遺漏なきを期すべきであります。
 以上が本件事故に関する国民の不安の解消を念願して提出いたしました本決議案の趣旨であります。(拍手)
    ─────────────
#12
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
 この際、河野国務大臣から発言を求められております。これを許します。国務大臣河野洋平君。
    〔国務大臣河野洋平君登壇〕
#14
○国務大臣(河野洋平君) ただいまソ連における原子力発電所の事故に関連し御決議がなされましたが、政府といたしましては、御決議並びに先般のサミットにおける声明の趣旨を十分に体し、原子力安全行政に遺憾なきを期する所存であります。
 本件は、事故の生じたチェルノブイルより八千キロメートルも離れた我が国におきましても重大な関心事項となっておりますので、この機会に、政府としての考え方を申し述べたいと存じます。
 まず、本件事故に起因する放射能の問題についてであります。
 科学技術庁といたしましては、この事故の報道に接し、直ちに原子力発電所等の周辺の環境放射線モニタリング及び全国三十二都道府県から成る放射能監視網による観測を強化し、放射能の監視に努めてまいりました。また、五月四日には、放射能対策本部におきまして、沃素131等の核種分析に重点を置いた放射能調査の一層の充実強化を図ることを決定したところであります。
 昨日までの放射能調査の結果を見ますと、各地で検出された放射能は、比較的短い時間の経過とともに減衰する沃素131を主体とするものであって、学識者の判断によっても国民の健康に影響を与えるようなものではありません。この旨につきましては、十分国民に周知方努めているところであります。なお、念のため、今後とも引き続き観測を継続することといたしております。
 次に、我が国の原子力発電所の安全性について申し上げます。
 今回ソ連において事故を起こした原子炉は、ソ連が独自に開発した黒鉛減速軽水冷却型炉であって、我が国に設置されている原子炉とは異なったタイプのものであります。また、我が国の原子力発電所については、アメリカ・スリーマイルアイランド原子力発電所事故をも含め、内外の原子力発電所の事故、故障の経験を十分踏まえて、格納容器、緊急炉心冷却装置などの安全対策に万全な措置が講ぜられております。さらに、入念に定期的な検査を実施するなど、その運転面においても安全性、信頼性が確保されておるわけであります。このようなことから、我が国の原子力発電所においては、その安全性は十分確保されていると考えております。
 申すまでもなく、我が国の原子力研究開発利用は、原子力基本法に基づいて、安全確保を大前提として進められております。仮に炉型が異なり、あるいは安全装置が異なろうとも、今回の事故を警鐘として受けとめ、我が国の原子力安全対策の参考とするという、謙虚な姿勢を忘れてはならないものと心得ております。特に、運転、保守等では不断の努力が必要であることを再認識し、これを機会に一層の安全確保に努めてまいる所存でございます。(拍手)
     ────◇─────
 日程第一 雇用政策に関する条約(第百二十二号)の締結について承認を求めるの件
 日程第二 人的資源の開発における職業指導及び職業訓練に関する条約(第百四十二号)の締結について承認を求めるの件
#15
○議長(坂田道太君) 日程第一、雇用政策に関する条約(第百二十二号)の締結について承認を求めるの件、日程第二、人的資源の開発における職業指導及び職業訓練に関する条約(第百四十二号)の締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長北川石松君。
    ─────────────
 雇用政策に関する条約(第百二十二号)の締結について承認を求めるの件及び同報告書
 人的資源の開発における職業指導及び職業訓練に関する条約(第百四十二号)の締結について承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔北川石松君登壇〕
#16
○北川石松君 ただいま議題となりました両件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、第百二十二号条約について申し上げます。
 本条約は、経済の成長及び発展の促進、生活水準の向上、失業等の克服を図ることを目的として作成され、昭和三十九年七月九日のILO第四十八回総会において採択されたものでありまして、加盟国は、この目的達成のため、完全雇用、生産的な雇用及び職業の自由な選択を促進するための政策を宣言し及び遂行すること、かかる雇用政策に関して労使団体の代表者と協議すること等について定めております。
 次に、第百四十二号条約について申し上げます。本条約は、人的資源の開発を目的として作成され、昭和五十年六月二十三日のILO第六十回総会において採択されたものでありまして、雇用と密接な関係を有する職業指導及び職業訓練に関する包括的な、かつ調整された政策及び計画を採用し発展させること、かかる政策及び計画の策定及び実施に関して労使団体と協力すること等を定めております。以上両件は、去る三月十七日外務委員会に付託され、同月二十四日安倍外務大臣から提案理由の説明を聴取し、四月二十五日質疑を行い、同日質疑を終了いたしました。
 次いで、昨五月七日採決を行いました結果、両件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#17
○議長(坂田道太君) 両件を一括して採決いたします。
 両件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、両件とも委員長報告のとおり承認するに決しました。
     ────◇─────
 日程第三 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 農林中央金庫法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#19
○議長(坂田道太君) 日程第三、農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案、日程第四、農林中央金庫法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。農林水産委員会理事衛藤征士郎君。
    ─────────────
 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案及び同報告書
 農林中央金庫法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔衛藤征士郎君登壇〕
#20
○衛藤征士郎君 ただいま議題となりました内閣提出の両法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 最初に、両法律案の内容について申し上げます。
 まず、農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案は、近年における金融自由化の進展に伴い、信用事業を営む農協、漁協等の経営環境が一段と厳しくなるものと予想されていることに対処して、貯金者保護と信用秩序維持に万全を期するため、経営困難な農水産業協同組合に係る資金援助の制度を設ける等、農水産業協同組合貯金保険機構の業務を拡充しようとするものであります。
 次に、農林中央金庫法の一部を改正する法律案は、農林中央金庫について、その経営の自立化及び活性化を図るため、出資資格者から政府を削除するほか、その業務の運営に対する規制の整理合理化等の措置を講ずるとともに、最近における金融環境の変化に対応してその機能を発揮し得るよう所属団体への貸し付けの条件等に関する制限を撤廃するほか、貸付業務、預金業務その他の業務の整備等を図ろうとするものであります。
 委員会におきましては、両法律案を一括議題に供し、四月二十二日羽田農林水産大臣から提案理由の説明を聴取した後、四月二十三日及び五月七日の両日にわたり質疑を行い、かくて、五月七日両案に対する質疑を終局し、まず、農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案について採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。次いで、農林中央金庫法の一部を改正する法律案に対し、日本共産党・革新共同から反対討論が行われ、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、右両法律案に対し、それぞれ附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#21
○議長(坂田道太君) これより採決に入ります。
 まず、日程第三につき採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、日程第四につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#23
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
 日程第五 特定商品等の預託等取引契約に関する法律案(内閣提出)
#24
○議長(坂田道太君) 日程第五、特定商品等の預託等取引契約に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。商工委員会理事佐藤信二君。
    ─────────────
 特定商品等の預託等取引契約に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔佐藤信二君登壇〕
#25
○佐藤信二君 ただいま議題となりました特定商品等の預託等取引契約に関する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、豊田商事に端を発したいわゆる現物まがい商法による消費者の被害が大きな社会問題となったことにかんがみ、この種の取引を公正にし、被害の再発防止を図ろうとするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、預託等取引契約等の定義について定めること、
 第二に、預託等取引業者は、契約締結前及び契約締結時に、所定の内容を記載した書面を預託者に交付しなければならないこと、
第三に、預託等取引業者の不当な勧誘行為その他の消費者保護に欠ける行為を禁止すること、
第四に、預託者に対し、契約締結後十四日以内のクーリングオフによる契約の解除を認めるとともに、同期間経過後いつでも契約を解除する権利を付与し、その場合の預託等取引業者の預託者に対する損害賠償等の請求額について制限すること、
 その他、これらの規制措置の実効性を担保するため、書類の閲覧、業務停止命令、罰則等について定めること等であります。
 本案は、去る四月十七日当委員会に付託され、同月二十二日渡辺通商産業大臣から提案理由の説明を聴取し、参考人から意見を聴取する等慎重な審査を重ね、五月七日質疑を終了いたしましたところ、本案に対し、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の四派共同により、事業者の交付書面の記載事項に、特定商品等の返還義務履行の担保措置の有無等を追加する等の修正案が提出され、討論を行い、採決の結果、本案は多数をもって修正案のとおり修正議決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し、本法の機動的運用等を内容とする附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#26
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#27
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ────◇─────
 日程第六 昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案(内閣提出)
#28
○議長(坂田道太君) 日程第六、昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長小泉純一郎君。
    ─────────────
 昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔小泉純一郎君登壇〕
#29
○小泉純一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、特例公債の発行等、昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置を定めようとするもので、その主な内容は、
 第一に、昭和六十一年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、特例公債を発行することができること、
 第二に、昭和六十一年度における国債の元金の償還に充てるべき資金の一般会計から国債整理基金特別会計への繰り入れについて、国債総額の百分の一・六に相当する金額の繰り入れ等は行わないこと、
 第三に、昭和六十一年度における一般会計から厚生保険特別会計健康勘定への繰り入れについて、健康保険法に規定する国庫補助額から千三百億円を控除して繰り入れる等の措置を講ずることであります。
 本案は、去る四月二十三日竹下大蔵大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、参考人より意見を聴取する等慎重に審査を行い、昨五月七日質疑を終了いたしましたところ、堀之内久男君外三名から自由民主党・新自由国民連合提案による施行期日を「公布の日」に改めることとする修正案が提出されました。
 次いで、討論を行い、採決いたしました結果、本案は多数をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#30
○議長(坂田道太君) 討論の通告があります。順次これを許します。沢田広君。
    〔沢田広君登壇〕
#31
○沢田広君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりましたいわゆる財確法でありますが、修正を含め反対の討論を行うものであります。すなわち、昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案であります。
 まず、昭和六十一年度中の範囲であり、それぞれ限度額も定められたものであります。財政法第四条は、国会の議決を経た金額の範囲内で公債の発行ができるとされております。今回の総理の参議院の本会議における補正予算あるいは建設国債の発言は、考えるとすれば、少なくとも建設国債の限度額は、この法律の中で限度額を定めてあるものでありますから、これを変更するということは重大な発言であり、また、その審議の内容を著しく変更するものでありまして、大変な矛盾を持っているものと言わなければなりません。(拍手)
 総理の円高不況の思わざる深刻化に動転した発言か、あえて国会の審議中を忘却し、あるいは無視をしたのか、まさに土足で他人の家に入るようなものであります。国会軽視、議会ルールを無視したものであることは明確であります。速やかに法案を撤回し、限度額を変更して再提出すべきものであります。さもなくば、さきの発言は早とちりでありました、取り消しをしますというように国会において釈明をする必要があると思います。
 また、公債依存体質からの脱却は、中曽根総理内閣の公約であったのでありますが、みずからこの公約を破る発言を行ったことは、サミットの失敗がいかに大きかったか、思惑と異なり、円相場安定どころか、さらに円高に進み、日本経済を大きく揺すぶっている実情を物語るものであります。今日まで頑固なまでに主張し続けた中曽根総理の戦後総決算の一部が大きく崩れたことは明らかであります。
 今回の法律案の内容は、特例公債を五兆二千四百六十億円発行できることとし、国債整理基金の定率繰り入れを四年間にわたって停止をし、現状まで置いたわけであります。わずかに今日まで二兆円余であります。百四十三兆円に及ぶ赤字に対し、スズメの涙にも及ばないのであります。さらに、厚生保険の借り入れ千三百億、これも金利の引き下げの影響を受けつつありますが、依然としてそのまま放置されていることは、全くけしからぬ話であります。
 赤字国債の残高も今や百四十三兆円、国民一世帯当たり負担五百二十万円にも達してきております。これからもさらに累積の一途をたどり、このままでは、十年後には二百兆円にも達し、いつの日か、この借金が弱者に対しあるいは国民に対し切り捨て、押しつけ、そのつけを国民の犠牲の上に求めることは明らかであります。まさにその責任は、今日までの自民党政府の責任であります。総理の反省を厚く求めるものであります。借換債も、借金の返済をしないで借金で賄うというのでありますから、赤字になれ、不感症となり、漫然と赤字のぬるま湯につかっているようなものが現状ではないでしょうか。
 今回のサミットにおいて、百八十円は維持できるだろう、間違っても百七十五円ぐらいは相互介入で維持したいと思ったに違いありません。すべて予想を裏切られ、急激な円高となったのであります。中小企業者、輸出関連企業は、泣くにも泣けない、泣いても涙も出ない実態に追い込まれております。その実態を御承知でありましょうか。一方、円高で輸入価格よりも十倍ももうけている各種の商品あるいは原油価格と円高の利益に目を覆っていることは許されることではありません。
 総理みずから大蔵委員会において諸行無常と言われましたが、今ほどしみじみ胸にこたえているときはないだろうと、同情するにやぶさかではありません。はしゃぎ過ぎたサミット、物々しい取り締まりの迷惑、捕まらないテロ犯人、国会、与党、閣内にすら相談しないでレーガン大統領と約束したかのような前川レポート、まさにおごれる姿か、あるいは焦りの姿と国民には映るものであります。四月に対外摩擦の緩和措置を講じてサミットを成功させ、花道にしたかったのか、あるいは強引な派利派略による同時解散を行いたかったのか、残念ながらついに薬石効なく、この円高を促進せざるを得なかったのであります。心情は察するに余りあります。「諸行無常 鐘の声 驕れる人も久しからず 風の前の塵に同じ」、平家物語の一節にあり、春とは言いながら秋風がひしひしと身にしみているものと存じます。(拍手)
 ロン・ヤスと言われるレーガン追随外交がいかに甘いものであったか。リビアまで敵に回す事態に追い込まれ、日本国民はいつどこでテロの犠牲に遭うか、不安の中に暮らさなければなりません。今までもこれらの事故に遭ってきたのであります。今後さらに深刻になると思わなければなりません。これまた平和外交の大きな失敗と言わざるを得ないのであります。
 以上、この法案は、総理の発言は汗のごとしであり、責任を持って撤回するか修正提出するか行うべきであります。これらも黙視し、多数で押し切ろうとすれば、議会に釈明すべきであります。強くこれは求めるものであります。今や、借金を返すに借金に頼らなければならないサラ金地獄に入っております。速やかにサラ金地獄を脱却し、不公平税制の是正、大幅減税の実現、内需の拡大などを図り、我が国の平和、福祉、景気の回復など国民生活の安定に全力を尽くすべきであります。なお、大型間接税の導入は絶対しないことをここに宣言されることを求めてやみません。
 以上で我が反対討論を終わりますが、最後に、我が党の大先輩でありました河上丈太郎先生は、「進んで名を求めず、退いて罰を避けず」と言われました。総理、出処進退はきれいに、生涯として悔いを残さないよう善処されることを期待して、私の反対の討論といたします。(拍手)
#32
○議長(坂田道太君) 東力君。
    〔東力君登壇〕
#33
○東力君 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表し、議題となっております昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案に賛成の意見を述べるものであります。(拍手、発言する者あり)
#34
○議長(坂田道太君) 静粛に願います。
#35
○東力君 (続) 本法律案は、先般成立いたしました六十一年度予算とまさに表裏一体をなす重要な財源確保に関する法律案でありまして、六十一年度予算の円滑な執行を期するために、その早期成立がぜひとも必要なものであります。(発言する者あり)
#36
○議長(坂田道太君) 静粛に願います。
#37
○東力君 (続)すなわち、第一に、特例公債の発行であります。
 六十一年度予算におきましては、既存の制度、施策の質的改革を一層推進するなど、徹底した歳出の節減合理化を行った結果、一般歳出の規模は、前年度に比べて十二億円の減と、五十八年度以降四年連続の対前年度減額を達成いたしております。(拍手)他方、税制については、その抜本的見直しとの関連に留意しつつも、税負担の公平化、適正化を推進するとともに、税外収入の確保を図るなど、歳出歳入両面にわたる厳しい見直し等の政府の努力にもかかわらず、(発言する者あり)
#38
○議長(坂田道太君) 静粛に願います。
#39
○東力君 (続)なお財源が不足するため、五兆二千四百六十億円の特例公債の発行を予定するに至っておりますが、財源確保のためには、必要かつやむを得ない措置と考えるのであります。
 第二に、国債費定率繰り入れ等の停止であります。
 基本的には、現行の減債制度の仕組みを維持するのが適当と考えますが、財政状況等によって、一時これを停止するとともに、あわせて、同基金の残高等を考慮し、別途予算繰り入れを行い、公債の償還に支障を来さないよう万全の措置を講じているところであります。これにより、さらに特例公債が増発されることを回避し、特例公債依存体質の早期脱却を目指す施策に寄与することとなるのであり、これまた適切なものと考えます。
 第三に、政府管掌健康保険事業に係る繰り入れの特例であります。
 この措置による減額相当分は、後日、健康勘定の収支状況によっては繰り戻す等、政管健保の適切な事業運営が確保されるよう配慮されているのであります。このことは、現下の極めて厳しい財政事情にかんがみれば、このような会計間の財源調整により一般会計の負担軽減を図ることもやむを得ないものであります。
 以上、本法律案に盛り込まれている各措置は、いずれも六十一年度の財政運営にとって必要な財源を確保するためのものでありまして、現在の財政事情のもとで、国民生活と国民経済の安定に資するための措置として、必要不可欠のものであると考える次第です。(拍手)
 最後に、私は、政府が引き続き行財政改革を一層推進し、我が国経済の着実な発展と国民生活の安定向上を図るため、財政の対応力を一日も早く回復されるよう努力されんことを切に希望いたしまして、本法律案に対する賛成討論を終わります。(拍手)
#40
○議長(坂田道太君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#41
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#42
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ────◇─────
#43
○議長(坂田道太君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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