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1985/05/09 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 本会議 第27号
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1985/05/09 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 本会議 第27号

#1
第104回国会 本会議 第27号
昭和六十一年五月九日(金曜日)
    ─────────────
 議事日程 第二十四号
  昭和六十一年五月九日
    午後一時開議
 第一 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 安全保障会議設置法案(内閣提出)
    ─────────────
○本日の会議に付した案件
 日程第一 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 安全保障会議設置法案(内閣提出)
 日本国有鉄道改革法案(内閣提出)、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案(内閣提出)、新幹線鉄道保有機構法案(内閣提出)、日本国有鉄道清算事業団法案(内閣提出)、日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法案(内閣提出)、鉄道事業法案(内閣提出)及び日本国有鉄道改革法等施行法案(内閣提出)並びに日本鉄道株式会社法案(嶋崎譲君外八名提出)、日本国有鉄道の解散及び特定長期債務の処理に関する法律案(嶋崎譲君外八名提出)及び日本鉄道株式会社希望退職者等雇用対策特別措置法案(嶋崎譲君外八名提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時三分開議
#2
○議長(坂田道太君) これより会議を開きます。
     ────◇─────
 日程第一 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
#3
○議長(坂田道太君) 日程第一、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。科学技術委員長大久保直彦君。
    ─────────────
 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔大久保直彦君登壇〕
#4
○大久保直彦君 ただいま議題となりました核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、科学技術委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、原子力開発利用の進展に対応して、放射性廃棄物の処理処分に対する安全規制に万全を期すため、放射性廃棄物の廃棄の事業に関する規制を新たに設けるとともに、原子力施設の検査体制等の充実を図ろうとするものであります。
 その主な内容は、
 まず、放射性廃棄物の廃棄の事業に関する規制の創設につきましては、
 第一に、放射性廃棄物を埋設の方法により最終的に処分する廃棄物埋設の事業または放射性廃棄物を最終的な処分がされるまでの間管理する等の廃棄物管理の事業を行おうとする者は、内閣総理大臣の許可を受けなければならないこと、
 第二に、内閣総理大臣は、許可を行うに際しましては、慎重な安全審査を行うとともに、あらかじめ原子力委員会及び原子力安全委員会の意見を聞き、これを十分に尊重して許可を行わなければならないこと、
 第三に、廃棄物埋設の事業者は、埋設しようとする廃棄物及び廃棄物埋設施設が技術上の基準に適合することにつき内閣総理大臣の確認を受けなければならないこと、
 第四に、廃棄物管理の事業者は、その施設の建設に先立って設計及び工事の方法につき内閣総理大臣の認可を受け、かつ、使用前に内閣総理大臣の検査を受け、これに合格しなければならないこと、
 第五に、廃棄事業者を原子力損害の賠償に関する法律上の原子力事業者と位置づけ、廃棄の事業に係る原子力損害賠償責任を一元的に負わせること
であります。
 また、原子力施設の検査体制等の充実につきましては、
 第一に、原子力施設の検査業務のうち、その基準が明確で、手法も確立されている溶接検査については、国の指定する中立公正な検査機関が行うことができること、
 第二に、核燃料物質等の運搬の際の確認、放射性廃棄物に関する確認の業務のうち定型的な業務については、国の指定する中立公正な確認機関が行うことができること、
 第三に、指定機関の指定基準、指定機関に対する監督等について所要の規定を整備すること
であります。
 本案は、去る三月七日に提出され、四月十七日本会議において趣旨説明並びに質疑が行われた後、同日本委員会に付託されました。
 委員会におきましては、四月二十二日河野国務大臣から提案理由の説明を聴取した後、直ちに質疑に入り、その後、参考人から意見を聴取するなど慎重に審査を行い、五月八日質疑を終了いたしました。
 続いて同日、日本社会党・護憲共同から、放射性廃棄物の発生者の責務に関する規定を設ける趣旨の修正案が提出され、討論、採決の結果、修正案は否決され、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(坂田道太君) 討論の通告があります。これを許します。小澤克介君。
    〔小澤克介君登壇〕
#6
○小澤克介君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま御報告のありました核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。(拍手)
 反対する理由の第一は、本法案が放射性廃棄物について発生者責任の原則を放棄していることにあります。
 すなわち、現行法が放射性廃棄物については、これを発生させた者がその責任において処分することを当然の前提としているのに対し、改正案は、新たに廃棄の事業の制度を認め、この廃棄事業者に放射性廃棄物の安全管理及び原子力損害賠償法上の責任を集中させることとし、その反面において、発生者である電気事業者などの責任を免除しているのであります。
 通常の産業廃棄物について、発生者責任の原則は、国際的にも確立しているところであります。それは、みずからの事業活動によって廃棄物を発生させた以上、みずから責任を持って処分するという当然のことわりによるだけでなく、有害廃棄物による環境汚染や健康被害が深刻な社会問題となっている現代社会において、発生者に安全確保や損害賠償上の全責任を負わせることが、処分困難な有害物の発生そのものや被害発生の抑制に最も効果的だからであります。だからこそ、かの公害国会において成立いたしました廃棄物の処理及び清掃に関する法律には、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」と明記されているのであります。しかるに、本法案は、この原則を放棄し、放射性廃棄物の発生者である電力会社等の責任を免除してしまいました。
 この結果、電力会社等は、一定の費用を支出しさえすれば、発生者が負担すべき不確定な費用負担を免れ、被害を予測して廃棄物の発生を事前に抑制する効果が甚だしく損なわれることになります。他方、廃棄事業に携わる事業者が、規定の委託料だけで長期間にわたり継続的に完全な廃棄物の安全管理を実行できるかは、極めて疑わしいものがあります。要するに、本法案は、電気事業者などの利益において国民へ放射能の危険を押しつけるものと言わなければなりません。
 反対するその次の理由は、本法案が放射性廃棄物の埋め捨てを公認したことにあります。
 安易に埋設した有害物が短期間に漏れ出した事例は少なくありません。放射性廃棄物は、たとえ低レベルのものといえども永年にわたって消滅しない、極めて有害かつ処理困難な物質であることは言うまでもなく、地下水の放射能汚染などが一たび生ずれば、取り返しがつきません。しかも、本法案が、埋め捨ての対象となる廃棄物の種類等につき、すべて政令に白紙委任していることも到底容認できませんし、そもそも、そこに含まれる核種等を判定することすら技術的に困難な状況にあります。
 また、最終的処分のめどもないままに廃棄事業者により中長期間保管管理されることになる高レベル廃棄物やTRU廃棄物についても、その固化体それ自体や容器の健全性について現在、全く実証を欠いております。特に高レベル廃棄物の容器であるキャニスターについては、廃棄物封入後の溶接部分の表面下について完全性の検査が不可能であることも、本法案審議の過程で明らかとなっております。このような状況下で、猛毒を有するこれら廃棄物の管理を民間事業として公認することが、いかに無謀であるかは言うまでもありません。
 なお、本法案が、本来国の責任である原子力施設の検査業務や安全性確認業務の一部を民間の公益法人に代行させる道を開いたことも、見逃すことができません。
 本法案の本質は、重大事故の危険性や発生する放射性廃棄物についての処理処分の問題を、殊さら無視したまま原子力発電を推し進めてきた政府の無責任、無定見で危険な原子力政策のツケを、青森県六ケ所村や北海道幌延町に押しつけようとするところにあります。
 なお、かかる重大な法案につき、まだ幾多の重大な論点について審議を残したままに委員会の採決に至ったことは、極めて残念であったことを付言させていただきます。
 先月下旬に突発したソ連邦チェルノブイル原子力発電所の重大事故は、かつてのアメリカのスリーマイル原発事故をも大幅に上回る史上最悪の事故であったことが明らかになりつつあり、原子力発電の本質的な危険性がいつでも、どこでも容易に顕在化するものであることを改めて実証いたしました。私は、人類の一員として、日本人の一人として、そしてまた、子を持つ一人の親として、我々の世代がその子々孫々に負の遺産としての放射性廃棄物を押しつけることの重大な犯罪性を強く告発するものであります。
 我が国の政府が、その無責任で危険な原子力開発政策を一刻も早く改め、スウェーデンなど先行諸国に倣って原子力発電に頼らない社会を目指すこと、そしてそのために、近時進展著しい燃料電池や太陽光発電など新エネルギーシステムの開発と導入に鋭意努力すべきことを強く指摘して、私の反対討論を終わります。(拍手)
#7
○議長(坂田道太君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#8
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#9
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
 日程第二 安全保障会議設置法案(内閣提出)
#10
○議長(坂田道太君) 日程第二、安全保障会議設
 置法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長志賀節君。    ─────────────
 安全保障会議設置法案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔志賀節君登壇〕
#11
○志賀節君 ただいま議題となりました安全保障会議設置法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を報告させていただきます。
 本案は、内閣における重大緊急事態対処体制の整備を図るため、安全保障会議を設置しようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 まず第一に、安全保障会議は、現在の国防会議で審議することとされている国防に関する重要事項のほか、重大緊急事態が発生した場合において、内閣総理大臣の諮問を受け、当該重大緊急事態への対処措置について審議するとともに、国防に関する重要事項及び重大緊急事態への対処に関する重要事項につき、必要に応じ、内閣総理大臣に対し意見を述べることができること、
 第二に、安全保障会議は、議長及び議員で組織するものとし、議長は内閣総理大臣をもって充て、議員は、現在の国防会議の議員である内閣法第九条の規定によりあらかじめ指定された国務大臣、外務大臣、大蔵大臣、防衛庁長官、経済企画庁長官に加え、新たに内閣官房長官及び国家公安委員会委員長をもって充てること、
 第三に、議長は、必要があると認めるときは、関係国務大臣、統合幕僚会議議長その他の関係者を会議に出席させ、意見を述べさせることができること、
 第四に、安全保障会議に関する事務は、内閣官房において処理し、命を受けて内閣審議官がつかさどることとし、現行の国防会議及び国防会議事務局は廃止すること等であります。
 本案は、二月四日政府から提出され、三月二十五日本会議において趣旨説明及びこれに対する質疑が行われた後、同日本委員会に付託されました。
 委員会におきましては、四月十七日後藤田内閣官房長官より提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、自来五回にわたり熱心な質疑が行われました。特に五月八日には、中曽根内閣総理大臣の出席を求め、質疑は深夜に及びました。
 質疑は、安全保障会議の性格、重大緊急事態の定義及びその具体的な態様、重大緊急事態対処措置と国会との関係、シビリアンコントロールの充実強化など、広範多岐にわたって行われましたが、その詳細につきましては、会議録によって御承知願いたいと存じます。
 かくて、五月八日質疑を終了し、討論に入りましたところ、自由民主党・新自由国民連合の深谷隆司君が賛成、日本社会党・護憲共同の元信堯君、公明党・国民会議の日笠勝之君、民社党・国民連合の和田一仁君及び日本共産党・革新共同の柴田睦夫君がそれぞれ反対の意見を述べられました。
 次いで、採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、報告とさせていただきます。(拍手)
    ─────────────
#12
○議長(坂田道太君) 討論の通告があります。順次これを許します。元信堯君。
    〔元信堯君登壇〕
#13
○元信堯君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました安全保障会議設置法案について、次の観点から断固反対の討論をいたします。
 第一に、本法案により設置される安全保障会議は、国防に関する重要事項のみならず、定義の不明確な重大緊急事態への対処に関する重要事項にまでその対象事項を拡大し、内閣の、しかもごく限られた閣僚のみで対処措置を審議し、決定しようとするものであります。これはまさに、内閣の中の内閣づくりであり、本法案とともに政令によって行われようとしている内閣官房の再編や情報ネットワークの整備、首相官邸の近代化などの他の内閣の総合調整機能の強化策と相まって、とりわけ、平時における総理大臣への権限の過度の集中をもたらすことは、火を見るよりも明らかであります。このようないわゆる大統領的首相への国家中枢機能の集中は、国会審議を空洞化させ、議会制民主主義を形骸化し、行政運営の独善と秘密主義を招き、ひいては、安全保障問題に関する国民的合意の形成を妨げ、我が国を重大な危機に陥れるものであると断ぜざるを得ません。
 第二に、安全保障会議は、重大緊急事態に対して、その態様によっては、既存の法制度を超えた対処措置等を審議、決定するものとなることは明白であります。その上、いかなる事態を安全保障会議の審議の対象である重大緊急事態とするかの定義や基準が全く不明確であり、その最終判断は会議の議長である総理にゆだねられており、さらに、議長及び議員には守秘義務が課せられていることから、本案の恣意的な運用によって、国民と国会の全く目の届かない密室において、ひそかに各種のいわゆる超法規的措置が準備される危険性をはらんでいると言わなければなりません。それはまた、旧憲法が有していたところの、平常時の法制のもとではとることを許されない例外的措置を正当化する国家の非常権力である国家緊急権に通底するものであり、まさに憲法の実体的改悪への道を開くことになるのではないかとの危惧の念を抱かざるを得ないのであります。
 第三に、この安全保障会議の構想が、八〇年代の米ソの戦略的対決の激化を背景に、日米共同作戦態勢構築の一環として改めて打ち出されてきたことを指摘しなければなりません。
 周知のごとく、レーガン政権の登場以来、アメリカは、戦略核戦力の近代化とSDIによる戦略的防衛戦力の飛躍的強化に乗り出すことによって、核戦争遂行戦略への危険な転換を図っているのであります。一方、これに対するソ連も、戦略核戦力を増強するとともに、衛星迎撃システムの展開や対弾道弾迎撃ミサイル近代化を進めています。このような核軍拡の現状は、軍事技術革新をてことした新たな米ソの戦略的対決激化の予兆と言っても過言ではありません。事実、アメリカは、世界的規模での対ソ同時多発戦争戦略に基づいて、北西太平洋においても、通常戦争レベルからソ連の核ミサイル搭載原潜を撃滅する危険な新海洋戦略構想を打ち出し、また、ソ連は、太平洋艦隊の遠洋型艦隊への増強を進めるとともに、オホーツク海域を戦略原潜の聖域として要塞化しようとしているのであります。
 このような米ソ対決激化の中にあって、日米共同作戦計画を策定し、リムパック86へ八八艦隊を参加させるなど、政府は、この明らかに核戦争をも組み込んだ危険きわまりない米国の対ソ戦略の一翼を積極的に担おうとしているのであります。米国は八七国防報告において、日本がその戦略的地政、その改善された対潜、対機雷戦能力や千マイルまでの遠隔地に及ぶ海上交通線の保護などの新しいミッションを引き受けたことにより、この地域の西側防衛を強化する上で顕著な役割を果たしていると、政府のシーレーン防衛公約を高く評価し、また、戦略原潜を自国近辺の海洋要塞に配備することにしたソ連の決定が、日本海及びオホーツク海の出入り口を支配する日本列島の戦略的重要性を倍加していると指摘して、米国の対ソ戦略における日本の重要性を改めて強調しているのであります。
 昨年度決定された中期防衛力整備計画は、このような日本の対ソ戦争を支える戦力増強計画であり、また今、政府が設置をたくらんでいる国家安全保障会議は、我が国を米ソ核対決の真っただ中にたたき込む日米共同作戦を遂行する国家態勢づくりの中枢であることは、今や疑う余地はなく、断じて容認できません。
 第四に明らかにしなければならないのは、この安全保障会議が、内にあっては、国民を対象とした治安弾圧と国内動員を強行し、外に向かっては、非武力行使から武力行使、そして戦争終結に至る国家間の闘争に対処する戦争指導中枢を形成しようとしているものであるということであります。政府答弁にも一部明らかなとおり、有事に至らない段階における内乱、騒擾などの間接侵略あるいは直接侵略に発展しかねない事態への対処が、まさに重大緊急事態の対処措置として想定されております。それは、非軍事的手段を含む武力不行使の闘争から軍事的手段を使用する戦争に至る、すなわち非戦時から戦時に至る全局面において、国家の政治的、経済的、軍事的総力を統一的に政治目的達成の手段として駆使するための一元的な国家の指導体制を構築するものであることは明らかであり、平和憲法を掲げる我が国において決して許されるものではありません。
 最後に、本法案の成立は、自衛隊に対するシビリアンコントロールの一層の空洞化を招き、我が国の民主主義体制の危険なターニングポイントとなると言わざるを得ません。すなわち、既に防衛庁、自衛隊は、統合長期業務見積もりや日米共同作戦計画案など、軍事情勢、戦略環境、自衛隊の軍事戦略、作戦などの運用にかかわる事項を一切秘匿したまま、防衛行革に名をかりた統合指揮運用体制の整備による危険な対ソ戦争遂行態勢の構築に着手しつつあることは言うまでもありません。他方では、防衛力の整備の観点からのみ専ら運用されてきた国防会議を改め、安全保障会議の設置によって、政治戦略と軍事戦略の統一の名のもとに、産業等の調整計画や民間防衛、運輸、通信部門の統制や情報管理など、軍事と非軍事にまたがる広範な領域の戦争遂行態勢の整備を、国防上の観点に立った国家の再編によって行おうとしていると断ぜざるを得ないのであります。これは、シビリアンコントロールではなくて、文官と制服による政治のコントロールであり、断じて認めることはできません。
 私は、以上のように、我が国の議会制民主主義を脅かし、その重大な支柱であるシビリアンコントロールを形骸化して国民を戦争へと駆り立てる安全保障会議設置法案に強く反対して、討論を終わります。(拍手)
#14
○議長(坂田道太君) 石川要三君。
    〔石川要三君登壇〕
#15
○石川要三君 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表して、ただいま議題となっております安全保障会議設置法案に対し、賛成の討論を行います。(拍手)
 御承知のとおり、この法律案は、現行の国防会議の任務を継承するとともに、重大緊急事態への対処措置を審議する機関として、内閣に安全保障会議を設置しようとするものであります。
 本案は、今国会における最重要法案の一つでありますために、さきに本会議において趣旨説明があり、質疑が行われましたが、内閣委員会におきましても、先ほど委員長の報告のとおり、慎重に審査が行われました。すなわち、審査日数は五日間にわたり、その時間数は総理に対する質疑を含め、約二十六時間二十分にも及び、徹底して審査が尽くされたのであります。
 この間、私は、野党の委員の皆さんの質疑に対し謙虚に耳を傾けました。理解できるような点もありましたが、反面、どうしても納得しかねる御意見もございました。しかし、たくさんの質疑を整理分類してみると、おおむね二つの角度からの議論に集約できるのではないかと思います。
 一つは、何も改めて安全保障会議を設ける必要はないのではないか、総理のリーダーシップを発揮するとか、閣議に諮るとか、内閣官房の事務局を拡充強化するなど、運用によろしきを得れば現行制度で十分対応できるのではないかという御意見でございました。
 まず、現行制度で足りるのではないかという御意見でございますが、今回の措置は、例えば、ダッカ事件、大韓航空機の事件あるいはミグ25の飛来事件など、通常の官庁的な対応によっては間に合わない重大緊急事態が生じた場合に、これに対して適宜適切な対応をするために、内閣を中心とする総合調整機能を強化しようとするものでありまして、こういう事態の処理というものは、関連する行政分野が多方面にわたり、その総合調整は容易ではございません。従来のルール、通常のやり方では、事態に対する迅速にして的確な対処が極めて困難なのであります。したがいまして、このような場合には、トップダウン方式によって政府の意思を決定することにしようとするものでありまして、もしこのような制度を設けなければ、かえって我が国の存立と国民の生活の安全が脅かされる結果となるのであります。ましてや、御案内のとおり、近年我が国は、国際的にも諸外国との関係が緊密化いたしておりますので、国の安全に重大な影響を及ぼすおそれのある事態が発生する危険性は、潜在的に高まっているのであります。このような観点から、私は、この法律案が一日も早く成立することを心から期待しているのであります。
 次に、後者の、この制度を設けることによって、人権の侵害、国会の無視等が行われるのではないかという点でありますが、まず基本的に、我が国の政治は議院内閣制を採用しておるのでございまして、あらゆる行政は国会の監督のもとに運営されており、国会というものを基盤として政治が成立しておるのでございます。国民の心を心として、国民各位の要望を先取り的に政治を運用していくという議院内閣制度は、いささかも変わっておりません。また、今後とも厳然として存続するのであります。また、安全保障会議の設置は、重大緊急事態に迅速適切に対処して、事態がさらに悪化するのを未然に防止しようとするものでありまして、先ほども申し上げました国家と国民の安全を今よりも一層確保していこうというものでありまして、不安がこれによって増大するなどという御指摘は、私には全く理解に苦しむ議論と言わざるを得ません。(拍手)
 戦後四十年余、今や我が国は、我が党の政策のよろしきと国民各位の御努力により、平和と繁栄をうたっておりますが、今回この法律が成立することにより、国家と国民の安全が一段と確かなものとなり、永く平和と独立が貫かれるものと信じ、私は、本案に心から賛意を表し、討論を終わります。(拍手)
#16
○議長(坂田道太君) 鈴切康雄君。
    〔鈴切康雄君登壇〕
#17
○鈴切康雄君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました安全保障会議設置法案に対し、反対の討論を行うものであります。(拍手)
 一国の安全保障政策は、単なる軍事面の問題だけでなく、平和への外交努力や経済、文化、資源、エネルギー、食糧等、幅広い視野と長期的展望に立った総合的なものでなければなりません。そのためには、総合安全保障政策の中で、軍事面の役割と対応についての位置づけを図るとともに、経済協力等の分野で、日本の世界平和に対する国際的責任をどう果たすべきかを明確にしていく必要があります。我が国が世界第二位の経済大国として、国際的責任を果たすことは当然であり、軍事力ではなく、その他の分野での積極的貢献は極めて重要であります。我が党は、このような考え方に基づき、かねてより、現在の国防会議を改組し、総合安全保障会議を設置すべきであると強く主張してきたところであります。
 その理由は、現在の国防会議は、軍事面の問題だけに限られており、総合安全保障政策を十分検討するような機関となっていないばかりか、安全保障にとって重要なシビリアンコントロールの面でも十分な効果を上げていない現状であります。そこで、我が党は、自衛隊に対するシビリアンコントロールを充実させるとともに、総合的安全保障政策の具体的推進のために、一日も早く総合的安全保障会議を設置することが必要であると考えております。このような立場から、今回の政府提出の安全保障会議設置法案の内容を検討してみますと、我が党の総合安全保障会議構想とは全く異なるものと言わざるを得ないのであります。
 以下、具体的に反対理由を明らかにいたしますと、第一は、重大緊急事態の定義が極めてあいまいなため、安全保障会議の設置目的さえ不明確となっている点であります。我が党は、委員会審議の過程において、重大緊急事態の具体像の明確化を強く求めたのでありますが、政府は、ダッカ事件等過去の事例を引き合いに出して説明するのみで、具体的かつ説得力のある説明をただの一度もしていないのであります。
 第二は、政府は、本法案で、重大緊急事態という何か特別な事態を想定し、そのことへの対処措置の必要性を考えているようであります。そして、ダッカ事件、ミグ25事件、大韓航空機撃墜事件等が例証として挙げられております。しかし、このような事件への対応にしても、過去において大きな不都合を来したほどのことではなかったのであります。すなわち、通常の閣議あるいは関係閣僚会議で十分対処が可能であり、事新しく安全保障会議を設ける必要はないと思うのであります。
 第三は、安全保障会議を設置することにより、現在の国防会議の欠陥が改められるのであるならば、それはそれなりに意義がございます。我が党が従来から指摘してきたように、シビリアンコントロールの充実強化を図るため、具体的には事務部門の権限の強化とスタッフの充実を図るのであれば、何も反対する必要はありません。ところが、新たに内閣官房に設けられる安全保障室は、内閣官房に置かれることにより、総合調整機能の強化のみが図られることとなり、シビリアンコントロールを低下させるおそれさえあるのであります。
 第四は、内閣機能の強化という大義名分に隠れ、屋上屋の機構いじりの感が強く、外交については、二元外交を生むおそれも存在しているところであります。
 以上、種々の問題点を指摘してきましたが、要するに、今回提出されました安全保障会議設置法案は、一口で言うならば、総合的な安全保障というよりも、中曽根内閣自身の権限強化に視点が置かれたために、内容が不明確かつ問題点が多いと言わざるを得ません。
 最後に申し上げたいことは、東京サミットにおける先進主要国の首脳会談での主要テーマである国際テロに関して、一致して断固たる決意を示したことは当然であるとしても、リビアを名指しで批判した国際テロ声明については、我が国の中東外交の変質を意味するものではないかとの疑念を持たざるを得ません。このことは、中曽根内閣の重大な政治責任であるということを強く指摘し、本法案に対する反対の討論を終わります。(拍手)
#18
○議長(坂田道太君) 和田一仁君。
    〔和田一仁君登壇〕
#19
○和田一仁君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました安全保障会議設置法案に対し、我が党の立場を明らかにしつつ、反対の討論を行うものであります。(拍手)
 我が党は、昭和四十三年以来、現在の国防会議を国家安全保障会議に改組、強化すべきであると提唱し、以来今日まで、再三再四党首会談などの場を通してこの政策を主張し続けてまいりました。
 我々は、本来国防会議は、政府におけるシビリアンコントロールのかなめとして、国防に関する重要問題について調査審議し、防衛庁、自衛隊を適切にコントロールすべきものと考えております。また同時に、単に狭義の国防問題だけでなく、国際紛争を契機として発生したエネルギー危機や政治目的を持ったハイジャック事件など、国の安全を脅かす重大緊急事態への対処方針の決定や、我が国の安全保障に関する基本政策の確立を図る必要があると考えておるのであります。
 しかるに、現在の国防会議は、実質上は防衛庁の政策追認機関的な役割にすぎないのであります。また例えば、我が国の領海が十二海里となり、防衛の条件が大きく変化をしたときにも、これに対処するための国防会議は開かれていないなど、その開催は全般的に極めて低調であり、年間の開催回数は平均して二、三回にすぎない。このように、政府におけるシビリアンコントロールは、実質的には、大蔵省が予算を通じて防衛庁、自衛隊をコントロールしているだけという状態であります。しかも、現在の国防会議の所管は、あくまでも狭義の国防問題に限定されており、重大緊急事態への対処方針の決定や、我が国の安全保障に関する基本政策の確立などは対象外とされておるのであります。しかし、現在、我が国には、これらの問題に対処し、必要な方針を確立するためにふさわしい機関がなく、シビリアンコントロールの問題とともに、国政上の一種の空白となっておるのであります。
 我が党は、こうした状態を是正するため、昨年の十二月には党としての設置法案の骨子を発表いたしまして、その趣旨を本法案に盛り込むよう政府に具体的に申し入れも行ったのであります。しかるに、政府が提案しておりますこの法案は、会議の設置を単独法で位置づけてはいるものの、その基本思想は、行革審の答申に基づく内閣の総合調整機能の強化のみにすぎなかったのであります。
 私は、内閣の総合調整機能を強化することに異を唱えるものではありません。しかし、本法案は、現在の国防会議の所管事項に重大緊急事態への対処を加えただけであり、最も肝要であるシビリアンコントロールの強化や、会議の機能の拡充あるいは権威の向上などにつながる改善は何もないではありませんか。まことに安易な改正と言わざるを得ません。のみならず、専属の事務局をなくして、内閣官房につくる安全保障室が会議の事務を処理することとするなど、シビリアンコントロールの強化に逆行する内容さえ見られるのであります。
 そもそも、会議の名称から「国家」という文字を外し、単に「安全保障会議」としたことは、政府みずからが国家という言葉を正当に評価していないものと断ぜざるを得ないのであります。この点について、総理が「国家という名前をつけると、ややもするといかめしい感じがして狭くなる、」などと答弁しておられるのは、まことに不可解かつ不見識であると思うのであります。
 我が党は、かかる観点を踏まえ、本法案をできる限り改善すべく、以下のような修正を要求したのであります。
 すなわち、第一に、会議の名称を「国家安全保障会議」とすること、第二に、会議には専属の事務局を置くこととし、事務局に関する規定は少なくとも現在より後退させないようにすること、第三に、他の議員に比べ、国防問題や重大緊急事態への対処についての必要性が薄い経済企画庁長官にかえて、海上保安庁を所管するのみならず、陸海空交通全般の管理の任にある運輸大臣、あるいは電波や通信を所管する郵政大臣を議員とすること、これが第三であります。そして第四に、戦時経済体制をつくるものという無用の誤解を招き、かつ実際上は全く有名無実となっている産業等に関する調整計画を総理の諮問項目から削除すること、この以上四点を修正として要求したのであります。
 我が党は、これらを強く要求したにもかかわらず、まことに遺憾ながら、一切これは認められなかったのであります。本法案がこのままの形で成立をいたしまして、安全保障会議が設置されることは、これは決して一歩前進ではなくて、むしろ会議の形式化、空洞化を今後長期にわたって固定化することになると言わざるを得ません。すなわち、内閣の総合調整機能の強化の名のもとに、政府のシビリアンコントロールの中心的機関を形骸化するものと言っても過言ではございません。よって、我が党は、本法案に反対するものであります。
 しかし、民社党は、今後とも国政の根幹にかかわる安全保障問題と真剣に取り組み、特に、シビリアンコントロールが十分に機能するよう安全保障会議の強化充実に全力を尽くすことを付言して、私の討論を終わります。(拍手)
#20
○議長(坂田道太君) 三浦久君。
    〔三浦久君登壇〕
#21
○三浦久君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となっております安全保障会議設置法案に対し、反対の討論を行うものであります。(拍手)
 本法案に反対する理由の第一は、その基本的性格が、アメリカ有事への自衛隊の参戦態勢づくり、すなわち国家機構の戦時体制化を平時から築いていくところに真のねらいがあるからであります。
 安全保障会議設置の目的について、政府は、重大緊急事態に対処するためと説明しております。しかし、その重大緊急事態なるものは、委員会審議などを通じ我が党が繰り返し説明を求めてきたのにもかかわらず、政府の説明は依然としてあいまいであります。むしろ重大緊急事態への対処を口実に、アメリカが海洋戦略に沿って引き起こす戦争に自衛隊を参戦させていく、その引き金に安全保障会議がなる危険性のあることが明らかになったのであります。しかもそれは、防衛出動命令などが下令される以前の日米共同作戦の作戦準備行動などを、この会議の結論だとして超法規的に実行することさえ含まれているのであります。政府はそのため、有事立法や政党法などのファッショ的な立法を具体的に推進する機関として、この会議を利用しようとしているのであります。
 反対する理由の第二は、安全保障会議の設置が、自民党政治に反対する国民的な運動を重大緊急事態と一方的に決めつけて、事前の予防措置を含む機動的な国民弾圧体制をつくろうとするものであることであります。
 本法案は、重大緊急事態に対処する最強の実行部隊となる自衛隊を統括する防衛庁長官に加えて、国家公安委員長を正規のメンバーに加えており、自衛隊の治安出動の可否もこの会議で検討するなど、国民の正当な大規模な集会やデモ等の要求運動を警察力と軍事力で弾圧する体制を固めようとしているのであります。
 しかも、安全保障会議の設置とあわせ、政府は、内閣調査室の改組強化や合同情報会議の設置による情報体制の整備等を図るとしていることは、国民の知る権利を奪うおそれがあるなど、重大な問題をはらんでいるのであります。情報体制の整備等によって、総理が一手に軍事、外交情報を総合的に把握する体制を確立するとともに、現在警察庁警備局を中心に行っている、すべての団体と国民を日常的、系統的な監視下に置く体制、これを一段と強化しようとしているのであります。しかも、国家機密法制定の策動と一体となって進めようとしている、このことはまことに言語道断であると言わなければなりません。(拍手)こういう情報の集中、秘密の活用重視の態度は、ニクソンが失脚したウオーターゲート事件のような陰謀と腐敗の温床になるものでもあります。
 反対する理由の第三は、首相に権限行使機能を集中して、政府の中の政府をつくろうとしていることであります。
 安全保障会議の設置は、現行政府の中に、首相を中心とする特定の閣僚による機関を内閣の中につくり、ここに行政権の重要な部分を担わせようとするものであります。これは、行政権が合議体である内閣に属するとの憲法の規定や内閣法などに明らかに違反したものであり、到底容認することはできません。安全保障会議は、内閣法に基づく合議体たる内閣の補助機関であって、総理大臣の補助機関にはなり得ないのであります。ところが、安全保障会議は、総理の審議諮問機関となっているのであり、明らかに現行内閣法に違反するものであります。これは、大統領的首相を願望する中曽根総理の反国民的な姿勢を露骨に示すものにほかなりません。(拍手)
 最後に、国の安全や平和など国民に重大な影響を及ぼす本法案の重要性に照らし、我が党は、参考人質疑、公聴会等十分な審議を求めたにもかかわらず、我が党の質問時間を削るなど、審議を十分尽くさないまま採決に付したことに私は強く抗議をするものであります。
 憲法の平和的、民主的な諸条項を真っ向からじゅうりんする本法案の廃案を目指して、我が党は今後も断固闘うことを表明して、私の反対討論を終わります。(拍手)
#22
○議長(坂田道太君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#23
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#24
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
 日本国有鉄道改革法案(内閣提出)、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案(内閣提出)、新幹線鉄道保有機構法案(内閣提出)、日本国有鉄道清算事業団法案(内閣提出)、日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法案(内閣提出)、鉄道事業法案(内閣提出)及び日本国有鉄道改革法等施行法案(内閣提出)並びに日本鉄道株式会社法案(嶋崎譲君外八名提出)、日本国有鉄道の解散及び特定長期債務の処理に関する法律案(嶋崎譲君外八名提出)及び日本鉄道株式会社希望退職者等雇用対策特別措置法案(嶋崎譲君外八名提出)の趣旨説明
#25
○議長(坂田道太君) この際、内閣提出、日本国有鉄道改革法案、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案、新幹線鉄道保有機構法案、日本国有鉄道清算事業団法案、日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法案、鉄道事業法案及び日本国有鉄道改革法等施行法案並びに嶋崎譲君外八名提出、日本鉄道株式会社法案、日本国有鉄道の解散及び特定長期債務の処理に関する法律案及び日本鉄道株式会社希望退職者等雇用対策特別措置法案について、趣旨の説明を順次求めます。運輸大臣三塚博君。
    〔国務大臣三塚博君登壇〕
#26
○国務大臣(三塚博君) 日本国有鉄道改革法案、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案、新幹線鉄道保有機構法案、日本国有鉄道清算事業団法案、日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法案、鉄道事業法案及び日本国有鉄道改革法等施行法案、以上七件につきましてその趣旨を御説明申し上げます。
 初めに、日本国有鉄道改革法案につきまして御説明申し上げます。
 日本国有鉄道は、昭和二十四年、日本国有鉄道法の施行によりいわゆる公社として発足し、自来我が国の輸送の大宗を担い、国民生活の向上と国民経済の発展に大きな役割を果たしてまいりました。
 しかしながら、昭和四十年代のモータリゼーションの急速な進展、航空輸送網の飛躍的な発達の中で、国鉄の担う鉄道輸送は我が国交通体系の中で次第に独占的地位を失い、これとともにその経営も極めて厳しい環境に置かれるに至ったのであります。すなわち、昭和四十年代から国鉄経営は年々悪化を続け、これに歯どめをかけるべく四次にわたり策定された再建計画も十分な効果を上げることができず、その結果、昭和六十年度末における累積欠損額は十三兆九千億円もの巨額に達する見込みである等、その事業の経営が破綻するに至っております。このため、国鉄の事業の体制を国民の期待にこたえ得る体制に再生することが喫緊の課題となっておるのであります。
 このような状況を踏まえ、昨年七月国鉄再建監理委員会から国鉄改革に関する意見が提出されました。この意見では、現行の公共企業体による全国一元的経営体制のもとにおいては事業の適切かつ健全な運営を確保することが困難であるとの認識のもとに、いわゆる分割・民営化を基本として国鉄の改革を実現することとし、そのための具体的な方策を提言いたしておるのであります。
 政府といたしましては、この意見に示された方向こそ今日の国鉄事業の危機に対処し、国民の期待にこたえる最善の道であると信ずるものであります。
 本法律案は、以上のような認識のもとに、国鉄の経営している鉄道事業等に関し輸送需要の動向に的確に対処し得る適切かつ健全な運営の体制を実現するべく、これら事業の経営形態について分割・民営化を基本とした抜本的な改革を実施するため、その基本的な事項を定めるものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、日本国有鉄道による鉄道事業等に関し効率的な経営体制を確立するため、その経営形態の抜本的な改革についての基本的な方針に関し、まず、六つの旅客鉄道株式会社による旅客鉄道事業の引き継ぎ、新幹線鉄道保有機構による新幹線鉄道の一括保有及び貸し付け、日本貨物鉄道株式会社による貨物鉄道事業の引き継ぎなど日本国有鉄道の事業等をそれぞれ適切な法人に引き継がせること、次に、北海道、四国及び九州の各旅客鉄道株式会社に、経営の安定を図るための基金を置くものとすること、また、日本国有鉄道を日本国有鉄道清算事業団に移行させ、資産、債務等の処理及び職員の再就職促進のための業務を行わせること、さらに、国は、日本国有鉄道清算事業団の債務の償還等の円滑な実施に関する基本的な方針を策定するとともに、これに従って必要な助成等の措置を講ずるものとすること、及び、国は、日本国有鉄道の改革の実施に伴い、一時に多数の職員が再就職を必要とすることとなることにかんがみまして、再就職の機会の確保及び再就職の援助等のための特別の措置を講ずるものとすることなどについて定めることといたしております。
 第二に、日本国有鉄道の改革の実施のため、運輸大臣による日本国有鉄道の事業等の引き継ぎ等に関する基本計画の策定、日本国有鉄道による実施計画の作成、承継法人の職員の採用、日本鉄道建設公団からの資産、債務の日本国有鉄道への承継等について所要の規定を設けることといたしております。
 第三に、日本国有鉄道の改革は昭和六十二年四月一日に実施するものとし、同日において日本国有鉄道法及び日本国有鉄道法施行法を廃止することといたしております。
 次に、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、日本国有鉄道改革法に定める方針に従い、六つの旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社を設立し、鉄道事業に関し、輸送需要の動向に的確に対応し得る適切かつ健全な運営の体制を実現しようとするものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、北海道旅客鉄道株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び九州旅客鉄道株式会社は、旅客鉄道事業及びこれに附帯する事業を経営することを目的とする株式会社とし、日本貨物鉄道株式会社は、貨物鉄道事業及びこれに附帯する事業を経営することを目的とする株式会社といたしました。
 また会社は、運輸大臣の認可を受けて自動車運送事業その他の事業を営むことができることといたしております。
 第二に、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社について社債発行限度の特例を設けるとともに、会社の社債権者に会社の財産に対する先取特権を認めることといたしております。また、会社の監督等に関し、新株の発行、社債の募集、長期借入金、代表取締役及び監査役の選定等の決議、事業計画、重要な財産の譲渡、定款の変更等の決議等について運輸大臣の認可を受けなければならないことといたしております。
 第三に、北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び九州旅客鉄道株式会社に経営安定基金を置くこととし、その管理及び取り崩しの制限等について定めることといたしております。
 第四に、会社の設立に際し発行する株式の総数は日本国有鉄道が引き受けるものとし、会社の成立は日本国有鉄道法の廃止のときといたしております。
 また政府は、会社の設立後五年間を限り、国会の議決を経た金額の範囲内において会社の社債について保証契約をすることができることとし、当該保証契約をした社債に資金運用部資金等を運用することができることといたしておるのであります。
 次に、新幹線鉄道保有機構法案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、日本国有鉄道改革法に定める方針に従い、新幹線鉄道保有機構を設立し、旅客鉄道株式会社の経営基盤の均衡化及びこれらの施設に係る利用者の負担の適正化を図るため、新幹線鉄道に係る鉄道施設を一括して保有し、これを旅客鉄道株式会社に貸し付けることとするものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、新幹線鉄道保有機構は、新幹線鉄道が我が国の基幹的輸送機関として国土の均衡ある発展に果たしている役割にかんがみ、新幹線鉄道を経営する旅客鉄道株式会社の経営基盤の均衡化と利用者の負担の適正化を図るため、当該新幹線鉄道を一括して保有し、貸し付けることを目的とする法人とし、新幹線鉄道に係る鉄道施設の旅客鉄道会社への貸し付け、大規模災害復旧工事の実施及びこれらに附帯する業務を行うことといたしております。
 第二に、機構はその保有する新幹線鉄道施設を旅客鉄道会社に有償で貸し付けることとし、会社はこれを借り受けるものといたしております。また貸付料の年額及び貸付期間につきましては、この法律及び運輸省令で定める基準、方法によることといたしております。
 第三に、旅客鉄道株式会社は、借り受けている新幹線鉄道施設について大規模災害復旧工事を行うことについて機構に申し出ることができることといたしております。
 第四に、政府は、国会の議決を経た金額の範囲内において機構の長期借入金または債券に係る債務について保証契約をすることができることといたしております。
 第五に、機構の監督等に関し、事業計画、借入金、業務方法書の作成、利益及び損失の処理、償還計画、重要な財産の処分等について運輸大臣の認可を要することといたしております。
 第六に、機構は、東日本旅客鉄道株式会社の意見を聞いて、東北新幹線の建設中の区間の建設を行うことといたしております。
 次に、日本国有鉄道清算事業団法案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、日本国有鉄道改革法に定める方針に従い、日本国有鉄道を日本国有鉄道清算事業団に移行させ、その資産、債務等を処理するための業務等を行わせるとともに、臨時に、その職員の再就職の促進を図るための業務を行わせることとするものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、日本国有鉄道清算事業団は、旅客鉄道株式会社等による日本国有鉄道からの事業等の引き継ぎ並びに権利及び義務の承継等の後において、国鉄長期債務等の償還、日本国有鉄道資産の処分等を適切に行い、もって改革法に基づく施策の円滑な遂行に資するとともに、臨時に、その職員のうち再就職を必要とする者についてその促進のための業務を行うことを目的とする法人といたしております。
 第二に、事業団に資産処分審議会を置き、資産処分業務に関する基本的な方針、重要な資産処分等についてその意見を聞かなければならないことといたしております。
 第三に、事業団は、その目的を達成するため、国鉄長期債務等の償還、資産の処分、その所有する土地に係る宅地の造成等の業務及び臨時に職員の再就職促進のための業務等を行うこととしております。また事業団は、主務大臣の認可を受けてその業務の円滑な遂行に資するために投資することができることとし、さらに、その土地の処分について公正かつ適切な実施を確保するため、一般競争入札の方法に準じた方法等によらなければならないことといたしております。
 第四に、政府は事業団の債務の償還等の確実かつ円滑な実施を図るものとし、このため、事業団の債務の償還等に関する基本的な方針を定め、これに従い予算の範囲内において補助金等を交付し、またはその他の援助をするものといたしております。また、事業団は債務の償還等を確実かつ円滑に実施するための償還実施方針を定め、運輸大臣の承認を受けなければならないこととし、また資産の効果的処分その他の措置により必要な資金の確保に努めなければならないことといたしております。
 第五に、政府は国会の議決を経た金額の範囲内において事業団の債務について保証契約をすることができることとし、また、事業団の監督に関し、事業計画、借入金等について運輸大臣の認可を要することといたしております。
 第六に、日本国有鉄道は日本国有鉄道法の廃止のときにおいて事業団になるものとするとともに、この法律の施行に伴う経過措置に関し必要な事項について定めることといたしております。
 次に、日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法案について御説明申し上げます。
 本法律案は、日本国有鉄道改革法の規定による日本国有鉄道の改革を確実かつ円滑に遂行するための施策の実施に伴い、一時に多数の再就職を必要とする職員が発生することにかんがみ、これらの者の早期かつ円滑な再就職の促進を図り、その職業の安定に資するため、当該改革前においても日本国有鉄道の職員のうち再就職を希望する者について再就職の機会の確保等に関する特別の措置を緊急に講ずるとともに、当該改革後において日本国有鉄道清算事業団の職員になった者のうち再就職を必要とする者について再就職の機会の確保及び再就職の援助等に関する特別の措置を総合的かつ計画的に講ずることといたしたものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、国鉄退職希望職員に関する措置として、まず国は、再就職促進方針を定めるとともに、国、特殊法人等及び地方公共団体による職員の採用、国による事業主団体に対する協力要請、日本国有鉄道による関連事業主に対する雇い入れの要請等の再就職の機会の確保に関する措置を講ずること、また、公共職業安定所による職業紹介等及び国による日本国有鉄道に対する助言、指導等国鉄退職希望職員の再就職の援助等に関する措置を講ずることを定めることといたしております。
 第二に、清算事業団職員に関する措置として、まず国は、再就職促進基本計画を、三年内にすべての職員の再就職が達成されるような内容のものとして策定するとともに、清算事業団において、毎事業年度、再就職促進基本計画の内容に即して実施計画を策定すること、次に、国、特殊法人等及び地方公共団体による職員の採用、国による事業主団体に対する協力要請、清算事業団による関連事業主に対する雇い入れの要請等の清算事業団職員の再就職の機会の確保に関する措置を講ずること、さらに、清算事業団による教育訓練、職業紹介等の業務の実施、国等による職業訓練、職業紹介等に関する措置及び清算事業団に対する援助並びに雇用促進事業団による援護業務の実施等清算事業団職員の再就職の援助等に関する措置を講ずることを定めたものであります。
 第三に、本法律案は、昭和六十五年四月一日限り、その効力を失うことといたしております。
 次に、鉄道事業法案について御説明を申し上げます。
 本法律案は、国鉄改革関連法案の一環として、日本国有鉄道が分割・民営化されることに伴いまして、現在日本国有鉄道の行っておる鉄道事業が民営鉄道事業となることから、地方鉄道法を廃止をいたし、新たに鉄道事業に関する一元的な法制度を整備することにより、鉄道等の利用者の利益を保護するとともに、鉄道事業等の健全な発達を図ろうとするものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、日本国有鉄道の改革後の新体制に対応するとともに、鉄道に対する投資を円滑にし、鉄道事業の今後の発展を期するため、鉄道の経営と所有の分離を認め、免許の種別を第一種鉄道事業、第二種鉄道事業及び第三種鉄道事業に区分して定めること等鉄道事業の免許について所要の規定を設けることといたしております。
 第二に、安全面に十分配慮しつつ、現行地方鉄道法と比較して大幅に規制の緩和、手続の簡素化を図った上で、工事の施行の認可、列車の運行計画の届け出等について所要の規定を設けることといたしております。
 特に、技術上の規制については、鉄道事業者が一定の要件を満たす設計管理者を選任した場合には、工事の施行の認可及び車両の確認について、認可制を届け出制にする等大幅に簡略化された手続によることといたしております。
 第三に、運賃及び料金について認可を受けること、一定の範囲の割引については届け出をもって足りるものとすること等について、所要の規定を設けることといたしております。
 第四に、運輸に関する協定の届け出、運行管理業務等の管理の受委託、事業の譲渡譲り受け、事業の休廃止等の許可または認可、事業改善命令、免許の取り消しまたは失効等について、所要の規定を設けることといたしております。
 第五に、索道事業の経営の許可、専用鉄道等の設置の届け出等について、所要の規定を設けることといたしております。
 第六に、運輸大臣が行う鉄道施設または索道施設の検査の全部または一部を、指定検査機関にも行わせることができるものとすること等について、所要の規定を設けることといたしております。
 最後に、日本国有鉄道改革法等施行法案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、日本国有鉄道改革法等六本の法律の施行に関し必要な事項を定めるとともに、これらの法律の施行に伴う関係法律の整備等を行い、国鉄改革の円滑な実施と改革後の新たな法体系の整備を図ることとするものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、日本国有鉄道改革法等の施行のための措置として、旅客会社及び貨物会社が日本国有鉄道から引き継いだ鉄道事業その他の事業について関係事業法に基づく免許等を受けたものとみなすこと等、会社の日本国有鉄道からの権利及び義務の承継に伴う所要の経過措置を設けることといたしております。
 第二に、日本国有鉄道法の廃止に伴い、日本国有鉄道の昭和六十一年度の決算の処理に関する事項その他の事項について、所要の経過措置を設けることといたしております。
 第三に、日本国有鉄道改革法等の施行に伴い、会計検査院法等計百五十一件の関係法律について廃止または規定の整備等を行うとともに、これに伴い所要の経過措置を設けることといたしたのであります。
 以上が日本国有鉄道改革法案、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案、新幹線鉄道保有機構法案、日本国有鉄道清算事業団法案、日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法案、鉄道事業法案及び日本国有鉄道改革法等施行法案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#27
○議長(坂田道太君) 提出者嶋崎譲君。
    〔嶋崎譲君登壇〕
#28
○嶋崎譲君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました日本鉄道株式会社法案、日本国有鉄道の解散及び特定長期債務の処理に関する法律案及び日本鉄道株式会社希望退職者等雇用対策特別措置法案について、その提案理由と概要について御説明申し上げます。
 今や、国鉄の経営はまさに破綻状態にあります。それは、毎年政府助成を受け入れても一兆円をはるかに超える赤字、二十数兆円に上る膨大な累積債務などに象徴的に見られます。また、赤字を解消するためにと称し、地方交通線の切り捨て、利用者サービスの低下、安全確保の手抜きが推し進められております。その結果、我が国における基幹的公共輸送機関としての国鉄の機能も危機に瀕し、つくられたいわゆる余剰人員状態のもとで、国鉄職員は雇用不安に陥れられています。これらの国鉄をめぐる危機は、すべて政府・自民党によってつくられたものであります。(拍手)
 それにもかかわらず、国鉄再建監理委員会の答申は、このような国鉄経営の危機的状況を招いた最大の原因が公社制度と全国的に一元化の巨大組織にあるとして、国鉄事業を再生するには速やかに分割・民営化を断行する道を選ぶしかないと強弁をいたしております。しかし、NTTの例にもあるように、巨大だからと決めつけるのには論理の飛躍がありますし、公社問題にしても、国鉄が独立した企業体として扱われず、歴代政府・自民党によりさまざまな制約や干渉を受け、経営を度外視した事業計画や負担の押しつけなどが行われてきたことが問題なのであります。まさにこれらにこそ、国鉄経営の危機的状況を招いた真の原因があると言わなければなりません。(拍手)
 政府・自民党は、こうした国鉄の危機の真の原因やその責任をすりかえ、臨調行革路線に基づいて強引に国鉄の解体を図る国鉄再建監理委員会の答申をそのまま政府方針として決定し、先ほど提案理由説明のありました諸法案を提出し、その成立を強行しようとしているのであります。
 我が党は、国鉄を解体し、国民と国鉄の職員に過酷な犠牲を強いる諸法案には強く反対をいたします。同時に、国民の共有財産を守り、国鉄が真に国民の国鉄としてその機能を発揮し得るようにするためには、現在の国鉄の抜本的改革を実施する必要があると判断し、ここに必要な法律案を政府案への対案として提出した次第であります。
 そこで、まず、我が党の対案の基本的考え方について御説明申し上げます。
 第一に、国鉄が担ってきた公共的機能を維持発展させるため、国鉄にかわってその機能を担うべき新たな事業体を国の責任で設立すること、第二に、新事業体には国鉄の資産及び事業のすべてを引き継がせ、地方交通線を含む全国ネットワークを維持発展させること、第三には、新事業体は、今日までの国鉄に見られるような不当な制約や政治介入、経営を度外視した負担の押しつけなどを排除し、経営の自主性と健全な経営を確保するため、株式会社の形態をとるとともに、事業分野の拡大を図ること、第四に、新事業体の内部組織として、国民の需要に応じた事業運営を確保するため、国民各階層の代表で構成する経営委員会を設置すること、第五に、公共性を担保するために必要な費用は、基本的には国が負担あるいは補助すること、第六には、膨大な累積債務のうち、国の政策の失敗によって生じた債務については、新事業体とは切り離し、国の責任で処理すること、(発言する者あり)
#29
○議長(坂田道太君) 静粛に願います。
#30
○嶋崎譲君(続) 第七に、国鉄職員については、すべて新事業体が引き継ぎ、労使協議に基づいて適正人員を定め、希望退職者の生活の安定と確保を図るため、新事業体と国はその責任において処置すべきことなどであります。(発言する者あり)静かにしなさい。
 次に、各法案の概要について御説明申し上げます。
 まず、日本鉄道株式会社法案について御説明いたします。
 第一に、日本鉄道株式会社は、国鉄の事業を承継し、全国的な鉄道事業並びにこれに関連する自動車運送事業及び連絡船事業を経営することを目的として設立する株式会社とし、会社はこれらのほか、本来の業務のほかに必要な事業を営むことができることといたしております。なお、会社が関連事業を行うに当たっては、同種の事業を営む中小企業者を圧迫することのないよう特に配慮しなければならないことといたしております。
 第二に、会社は、我が国における旅客及び貨物の基幹的輸送機関である鉄道の全国ネットワークによる輸送その他の公共的輸送を担う企業体として、国及び地方公共団体が中心となって進める総合交通体系の整備確立に寄与し、もって公共の福祉の増進と国民経済の発展に寄与する責務を有することといたしております。
 第三に、会社には、本社のほか、全国七ブロックにそれぞれ支社を置き、各支社ごとに地域の輸送需要に適切に対応した効率的な事業運営が行われるようにするため、支社に対し大幅に権限を委譲する分権化を図ることといたしております。
 第四に、政府は、会社の発行済み株式総数の十分の七以上を保有していなければならないものといたしております。
 第五に、本社に経営委員会を置き、会社の経営の基本方針及び事業計画等の業務執行に関する重要事項は、経営委員会の議決を経なければならないこととするとともに、支社にもそれぞれ地方経営委員会を置き、業務区域内の営業線に関する重要事項は、そこでも議決を経なければならないことといたしております。
 第六に、政府は、会社の債務に関する保証契約及び事業資金の無利子貸し付けをすることができることとするとともに、鉄道新線の建設費、災害復旧費について補助することができることといたしております。また政府は、当分の間、国民生活にとって必要である地方鉄道営業線であって、収支均衡を確保することが困難であると認められるものについては、その運営費の一部を補助することができることともいたしております。
 第七に、運輸大臣に対する事業計画の届け出等及び新株発行の認可等、必要最小限度の運輸大臣の監督について所要の規定を設けることといたしております。
 そして第八に、施行期日及び経過措置等について所要の規定を設けることといたしております。
 次に、日本国有鉄道の解散及び特定長期債務の処理に関する法律案について御説明申し上げます。
 第一に日本国有鉄道は、日本鉄道株式会社の成立のときにおいて解散することとし、解散のときに有するその一切の権利及び義務のうち、長期の資金に係る債務で政令で定める特定長期債務以外のものは、国鉄の解散のときにおいて会社が承継することといたしております。
 第二には、会社の成立の際現に国鉄の職員である者は、会社の成立のときに会社の職員となるものといたしております。
 第三には、国鉄は、解散した後も清算の目的の範囲内においてなお存続することとし、政府は、この清算中の国鉄に対し、特定長期債務の返済が完了するまでの期間中に、債務の償還計画を定めて資金の交付等を行うことといたしております。
 なお、会社は、土地等の処分をした場合には、その対価の一部を清算中の国鉄に対し納付することができることといたしております。
 さて最後に、日本鉄道株式会社希望退職者等雇用対策特別措置法案について御説明申し上げます。
 第一に、この法律は、日本国有鉄道から移行した日本鉄道株式会社の希望退職者及び希望退職予定職員について特別給付金の支給及び再就職の促進に関する特別の措置を講じ、もって希望退職者等の職業及び生活の安定を図ることを目的といたしております。
 第二に、希望退職者等の再就職促進に関する国及び会社の責務を定めるとともに、特に、会社は、この法律に定める措置を実施するに当たっては、退職を希望する職員の募集に応ずること等を強要し、または差別的取り扱いをしてはならないということにしております。
 第三に、希望退職者等の再就職促進について、国は再就職促進基本計画及び採用促進計画を、会社は再就職促進実施計画を、それぞれ定めるものといたしております。なお、これらの計画の作成に当たっては、会社は、労働組合と協議しなければならないことといたしております。
 第四に、希望退職者等の再就職先の確保についてでありますが、国は率先して希望退職者を採用するとともに、特殊法人等及び地方公共団体に対し、希望退職者を採用するよう要請するものといたしております。また、国は、希望退職者を雇い入れる一般事業主に対し、希望退職者雇用助成金を支給することができることといたしております。
 第五に、希望退職者に支給する特別給付金に関する規定を設けておりますが、その額は、俸給、扶養手当及び調整手当に相当するものの月額の合計額に十二を乗じて得た金額とするものといたしております。
 第六に、関連企業労働者への配慮に関する規定も設けております。
 以上のほか、国の体制の整備、雇用促進事業団の援護業務等、希望退職者等の再就職の促進、援助に関して必要な諸規定を設けることといたしております。
 なお、この法律は、公布の日から起算して一カ月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとし、施行日から起算して五年を経過する日までに廃止することといたしております。
 以上、各法律案の提案理由及びその内容の概要について御説明申し上げました。これらの法律案は、政府が推進する国鉄の分割・民営化に反対する三千五百万の署名者の賛同によって作成されたものであります。広範な国民の期待に十分こたえ得る現実的な対案であると確信をいたしております。何とぞ、慎重御審議の上、速やかに可決されるよう心からお願いをいたします。(拍手)
     ────◇─────
 日本国有鉄道改革法案(内閣提出)、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案(内閣提出)、新幹線鉄道保有機構法案(内閣提出)、日本国有鉄道清算事業団法案(内閣提出)、日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法案(内閣提出)、鉄道事業法案(内閣提出)及び日本国有鉄道改革法等施行法案(内閣提出)並びに日本鉄道株式会社法案(嶋崎譲君外八名提出)、日本国有鉄道の解散及び特定長期債務の処理に関する法律案(嶋崎譲君外八名提出)及び日本鉄道株式会社希望退職者等雇用対策特別措置法案(嶋崎譲君外八名提出)の趣旨説明に対する質疑
#31
○議長(坂田道太君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。吉原米治君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔吉原米治君登壇〕
#32
○吉原米治君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました日本国有鉄道改革法並びに国鉄改革に関する諸法案について、広く国民の立場、利用者の立場から質問を行います。
 まず、中曽根総理にお尋ねをしたい。
 その第一は、国鉄改革に対する政府の基本認識と国鉄を今日の危機的状態に追いやった政府の責任を明確にし、謙虚に反省すべきだと思いますが、いかがですか。
 政府は、昭和四十五年の第一次再建計画以来、数次にわたる再建計画を策定してきましたが、いずれも計画半ばにして挫折してしまったことは周知のところであります。今日の国鉄経営の危機が、輸送構造の変化による旅客、貨物輸送の低下が大きく影響してきたことは認めますが、これらの変化に適切に対応し切れなかった政府、国鉄当局の施策の失敗、なかんずく政治による不当介入が、独立採算制を基本とする国鉄に借金による膨大な設備投資を強要してきたことがその大きな原因となっていることは明白であります。とりわけ、新線建設、新幹線建設の決定は、当事者である国鉄を飛び越え、与党主導の鉄道建設審議会において実質的な決定がなされ、その多くが借入金によってなされてきました。これが今日の国鉄の財政危機の基本的要因ではなかったのですか。総理、あなたもその当事者ではありませんか。
 法案並びに政府提案を聞く限り、過去における政治責任はすべて不問にされ、責任の所在は全く不明確であります。政府案によれば、国鉄のネットワークを分断し、最終的に国民が負担すべき債務は十六兆七千億円にも上るとされております。また、国鉄職員の三分の一はその職を奪われるという重大な内容を持つものであります。このような大改革を行おうとする以上、今日の国鉄経営の危機が何によってもたらされ、なぜ国民にその負担を求めるかについて、まず政府みずからが政治責任を明確にすべきは当然ではありませんか。この点について、総理の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 第二は、現在、政府並びに国鉄において、来年四月一日を目標に分割・民営化するための準備作業として、労務対策はもちろんのこと、国民に向けてもさまざまな宣伝活動を行っていますが、立法措置を要する事項について、国会の審議も経ず、このような分割・民営化のための準備作業を独断で行うことができる法的根拠は何かということであります。法治国家たる我が国の議会制民主主義のルールを無視し、国民を愚弄するとも言えるこのような行為は、即刻中止すべきであると思いますが、いかがですか。
 質問の第三は、分割・民営化によるデメリットについてであります。
 その一つは、相互に競争させ、営利主義を徹底させることによりその採算を図ろうとする政府の分割・民営化案では、国鉄の持っていた公共性は一体どうなるのか、どうやって公共性を担保するのか、明らかにしてほしいのであります。
 その二は、国土の均衡ある発展を目指して、その基幹的交通機関としての機能を有していた国鉄の全国ネットワークは、政府案による分割・民営化によって、なるほどレールはつながっていても、機能的にはそれぞれの会社中心的なものになってしまうと思われるが、どのような手法をもって全国ネットワークの機能を発揮させようとしておるのか、明確にお答え願いたいのであります。
 その三は、今後の総合交通体系上の鉄道政策はどうあるべきだと考えているのか、地域主義的観点ばかりでなく、全国的視点に立った基幹的交通機関としての鉄道政策を明示していただきたいのであります。
 その四は、政府案によると、国鉄を六つの旅客会社と一つの貨物会社に分割すると言っておりますが、各社とも独自に利潤追求することとなり、自社の有利なことを互いに主張し合い、各社間の利害が複雑に対立する場面が容易に想定されるのでございます。とても会社間において自主的に調整することは困難と考えられるのでございます。結局利害が対立し、調整に時間がかかったり、調整ができなかったら、利用者が迷惑を受けることになってしまうのであります。例えば、運賃の遠距離逓減制、修学旅行等の団体列車の編成あるいは車両繰り、フルムーンなどの全国的企画等による増収対策、社際間、会社間列車のダイヤ設定、車両基地等の使用、車両や乗務員の運用等々は具体的にどのように調整するのか、会社間の自主的な調整ではまとまらないとき、調整機関を設置する必要がありはしないのか、または政府が調整するのかどうか、明らかにしてほしいのであります。
 その五は、分割された各会社の経営収支の問題であります。各事業体は、それぞれ一%程度の黒字を計上することとなっておりますが、特に三島旅客会社は、三島基金の運用益によってようやく黒字が見込まれるのであり、貨物会社に至っては、その概要が示されたにすぎないのであります。これまでの公表されたデータによると、三島旅客会社の経営収支が将来的にも可能かどうかは極めて疑わしいものであります。とりわけ、旅客会社のレールを使用料を支払って利用する貨物会社が、旅客会社との対抗関係において、あるいはまたトラック輸送との競争において、企業として存立し得るのか、甚だ疑問であります。これら新事業体の経営収支見通しについてどう考えているのか、国民の負担はさらに増大することになりはしないのか、経営が行き詰まったらその責任はだれがどのようにとるのか、はっきりとお答え願いたいのであります。
 その第六は、地方交通線対策であります。政府提案によれば、五十五年の特別措置法に係る特定地交線については、一定の猶予期間をまって、その廃止が前提となっております。第二次、また第三次線については、百キロを超える長大線区も含まれております。これらの路線廃止は、地域経済あるいは利用者にはかり知れない影響を与えることは必至であります。特に、過疎地域に居住する利用者にとっては死活問題でもあります。こうした地域の路線の維持は、公的な関与なしには維持することは不可能であります。分割・民営化後において、地方交通線の維持存続は可能なのか、可能だとすればその根拠は何かを明確に答えていただきたいのであります。(拍手)
 そのほか、労使問題、長期債務の処理、雇用対策などについては、同僚議員の質問にゆだねることにいたしまして、総論的質問を終わり、続いて各論部分に入ります。
 その一つは、改革法の趣旨では、国鉄経営は破綻しているとしておりますが、国鉄業務は毎日正常に運行されているのであります。したがって、財政的に破綻をしていることをもってすべてを否定し、その改善の手法は分割・民営化しかないという結論を出すことは、余りにも短絡的ではありませんか、運輸大臣、しかとお答えください。
 また、全国一元的体制では再建ができないと決めつけておることは、理解できません。すなわち、その論理は、企業規模の巨大さと管理能力論であります。GM、IBMはどうですか、また、NTTはよくて国鉄はなぜだめなのか、その理由を明快に示していただきたい。鉄道百有余年の歴史は、鉄道の合併統合の歴史でもありました。EC諸国がそれであったように、また、最近のアメリカ鉄道も合併が続いております。(発言する者あり)
#33
○副議長(勝間田清一君) 静粛に願います。
#34
○吉原米治君(続) それは鉄道業の連続性、接続性、公共性という特殊性からきているのであります。この歴史を否定し、鉄道の特殊性をも否定するのですか、大臣、しっかりと答弁をしてください。
 第三は、電気通信、情報処理等については、全国ネット部分と新会社部分に分離することになっておりますが、この場合、資産配分の具体的内容を明らかにしていただきたい。
 第四は、新会社が国鉄から承継する財産の価格は、省令で定める評価審議会で決めることになっておりますが、承継財産は国民的財産でありますから、法律による権威ある民主的機関を設置し、国民の疑惑の残らないよう対処すべきだと考えますが、いかがですか。
 第五は、旅客、貨物会社の収支試算についてでございます。既に述べておりまして、重複して申し上げませんが、多くの問題を内蔵しております。したがいまして、次の諸資料を委員会審議が始まるまでに提出を求めるものであります。
 その一つは、各社別の国鉄から引き継ぐ資産明細書(土地、建物、機械、電気通信、線路施設及び車両等)。その二つ、収入試算の基礎データ、輸送人キロの算定についてのデータ、旅客運賃の六十二年度以降六十五年度までの年度別、線区別運賃、旅客収入の内訳(普通、定期(一般、通学)及び売上手数料。また、経費について、各社別の人件費、修繕費、業務費、減価償却費等の算出根拠を提示を願いたい。大臣、以上の資料提出の約束ができますか。
 第六に、貨物会社法について一点だけただしておきます。それは、収支問題について、貨物会社が負担すべき経費は、回避可能費用(アボイダブルコスト)としておりますが、そのアボイダブルコストの明確な概念規定を示していただきたいのであります。
 第七は、新幹線鉄道保有機構について、時間の制約がありますから一点だけ質問をいたします。リース料は、東海会社は収入の五〇%以上、東日本、西日本会社についても一〇%を超えるものを支払うことになっておりますが、基準のとり方いかんによっては、各鉄道会社の収支は大きく変化することになります。したがって、各旅客会社の自主的経営、経営努力は全く空論となる心配が生じますが、どうですか。
 第八に、その他に鉄道事業法等がございますが、今後の委員会審議の中で十分審議を尽くしてまいりたいと存じます。
 以上、今次政府提案に係る国鉄改革法を重点的に、また、関連する諸法案については幾つかの質問にとどめましたが、世界の鉄道の歴史にも前例のない全国ネットワークの分断が国民的合意もなく政府の手によって一方的に進められ、さらに、国民共有の財産が一部の財界や企業にただ同然に譲り渡されるとするならば、決して国民は承服しないでありましょう。また、このことは、日本の将来の交通政策にとって取り返しのつかない重大な瑕疵を残すことは間違いございません。したがって、我が党は、真の国鉄再建を願う三千五百万人の声を背景に、広く国民的規模でつくり上げた我が党の国鉄再建策を政府案と対峙させ、慎重審議し、国民的審判を求める決意を申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#35
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 吉原議員にお答えいたします。
 まず、国鉄改革に関する基本認識でございますが、今次国鉄改革は、行政改革に残された最も重要かつ緊急の課題であると認識して、政府は、与党及び野党の皆様方の御協力もいただきまして、全力を奮ってこの法案を成立させようと強い決心をしておるものであります。(拍手)
 国鉄の経営は極めて厳しい状況にございまして、破産寸前あるいは破産状態に近いとすら言われておるのであります。従来のような対策の延長線では抜本的改革はあり得ないと認識されておるのであります。分割・民営化によりまして国鉄をむだのない、効率的な経営形態に改革して、真に利用者の利便にこたえられる鉄道として再生することが、国民の利益にかなう最善の道であると確信しておるのであります。
 今、嶋崎議員の御提案をお聞きいたしましたが、今の御提案では、これは公社制度と何ら変わらない、親方日の丸、赤字垂れ流しあるいは自助的努力の不足、こういうことが指摘されておりますが、私も全く同感であるのであります。やはりこのように膨大な、いわばマンモス巨体となっておる国鉄を改革していくためには、一つには、経営について民間的手法を入れて思い切った刷新をやらなければだめです。それには、自助的努力を中心にして、汗を流して自分たちの鉄道を愛し合うという精神が必要なのであります。もう一つは、労使双方ともに責任体制を確立して、自分たちがおのおの責任を持って団交を行えるような体制をつくることが必要なのであります。そういうような意味におきまして、政府が提案した案は最善であると確信しておるものであります。
 次に、経営破綻の責任の問題でございますが、一部分は、設備投資に伴う資本費負担の増加などという面もございますが、基本的には、輸送構造の変化、すなわちモータリゼーション等に対応した業務運営の効率化が適切に行われなかったということ、公社制度及び全国一元化の巨大組織による運営という現行経営形態そのものに内在すると考えておるのであります。このような見地から、国鉄をむだのない効率的な経営形態に変革して、真に国民にサービスする国鉄として再生する、これは分割・民営以外にはないと我々は考えておるのであります。
 次に、分割・民営の準備でございますが、この関係法律案を国会で御審議を願い、その成立を待って改革の実現を図ってまいります。その過程において、政府及び国鉄が関係法律案の速やかな成立を期待しつつ、法令に基づく業務の範囲内において、改革への取り組み姿勢を示し、国民の理解と協力を求めるとともに、必要な準備を行うことは、当然であると理解しております。
 次に、国鉄の分割・民営化に関する批判についてでありますが、国鉄を効率的な、真に国民の期待にこたえる鉄道として再生させるためには、民営化とともに、経営の分割を行うことが必要であると判断しておる次第です。この改革によりまして、新事業体の経営が活性化され、鉄道特性が生かされ、地域と密着し、公共輸送の担い手としてもその役割を果たすことができると思うのであります。長距離列車であるとか、あるいは乗り継ぎであるとか、いろいろ技術的な問題がございますが、これは現在においても、私鉄相互間、あるいは国鉄と私鉄の間においても既に調整され、技術的に十分今対応が行われておるとおりでございます。さらに、新会社の経営につきましても、その基盤の安定に十分配慮いたしております。経営努力を尽くすことによりまして、健全経営を確保し、必要な路線を維持していくことができるものと理解しております。
 詳細は運輸大臣から申し上げます。
    〔国務大臣三塚博君登壇〕
#36
○国務大臣(三塚博君) お答えを申し上げます。
 国鉄事業の公共性についての御質問でございますが、公共性ということを残しますためには、地域と密着した信頼される鉄道に生まれ変わっていかなければならないことは、吉原議員も御案内のとおりであります。したがって、鉄道、バス、航空機等の交通手段がそれぞれ特性を十分に発揮し得るようにして、効率的な公共輸送を目指しておりますことも当然なことであります。今回の改革では、国鉄の事業を輸送需要の動向に的確に対応せしめ、効率的な輸送を提供し得る経営形態に変革することを第一のねらいといたしております。これにより経営が活性化され、鉄道としての特性が生かされることによりまして、公共輸送機関として真の国民の期待に沿い得る姿になると信じております。
 次に、鉄道の全国ネットワークの機能についての御質問でありますが、全国ネットワークは、原則として利用者の自由な選択により鉄道、道路あるいは航空等がおのおのその特性に応じて分担をいたし、国民もそれを活用いたしておるわけであります。したがって、鉄道のみが全国交通ネットワークを考えるということの時代ではなくなりました。政府として、基本的に鉄道は、その特性を発揮し得る分野を中心として効率的な運営を行うべきであり、これにより各種の交通機関の適切な役割分担が図られまして、効果的な交通体系が形成をされるものと考えておるところであります。
 さらに、今後の交通体系上の鉄道政策についてでありますが、各種交通機関が発達をいたしております今日、交通体系は、各交通機関がその特性を発揮しつつ、相互補完的に形成されてまいりますことが望ましいことは、おわかりのとおりであろうと思います。国鉄事業については、中距離都市間旅客輸送、さらに都市圏旅客輸送、大都市交通であります。あるいは大量定型貨物輸送などの鉄道特性を有する分野で今後も重要な役割を果たしてまいると期待をされておるわけでございまして、これらの分野における輸送を効率的に実施できますように、分割・民営を基本とする抜本的改正を実施することが、我が国交通体系の形成の上から重要であると考えております。
 次に、長距離列車の設定の問題でありますが、総理からもその調整について触れられました。今回の改革に際しましては、旅客利便の確保を図るために、できるだけ旅客流動を分断しないように配慮して分割することといたしたのであります。さらに、会社間にまたがって利用する旅客の利便を確保するため、あらかじめ各社間で基本的な調整ルールを定めさせることといたしました。さらに、運賃の通算、長距離列車等の設定、相互の乗り入れ、企画商品の販売等を行わせ、国民の利便にこたえようといたしております。
 次に、新会社の経営見通しについてでございますが、今回の改革については、最大限の効率的経営を前提として、各会社ともその経営が行き詰まることのないよう経営基盤の確保について配慮いたしたのであります。すなわち、本州会社につきましては、健全経営を阻害しないよう、会社発足に当たって、収支均衡する範囲において国鉄の債務を負担させることといたしました。また、経営環境の厳しい三島の、いわゆる北海道、四国、九州につきましては、国鉄の長期債務を一切負担させない、なおかつ欠損を生ずるものについての補てん策として、所要の基金一兆円余を計上することといたしました。世に言う借金棒引き、持参金つきというのがこのことでありまして、これらの措置により、今後経営努力を尽くすことによって、将来とも地域鉄道として地域の皆様の御要望に十二分にこたえることができ得ると信じております。
 次に、地方交通線の維持についてでございますが、地方交通線も、安易に公的関与に依存することなく、その経営の効率化を図るために、鉄道特性を最大限発揮し得る体制を確立することにより維持を図ることが大事であると考えております。今回の改革では、このような基本理念に基づきまして、各会社ごとに健全経営の基盤を確保した上で、特定地方交通線以外の地方交通線は新会社に引き継ぎをいたさせまして、その営業努力のもとでこれらの線区の再生を図るといたしたところでございます。世に言う地方交通線が切られていくのではないかということに対して、新経営形態は、地方交通線をのみ込み、地域交通を確立をしていくというのが基本的な考え方であります。
 次に、国鉄の財政的破綻と分割・民営化の問題についてでございますが、国鉄の経営は、国から多額の助成と財政投融資資金を得まして辛うじて今日まで維持してまいりました。これ以上の事態が進んでまいるということになりますと、破産、破局的状態にありますことにかんがみますと、職員に対する給与の支払いや列車の運行にも支障を生じかねない状態に相なっておりますことは、御理解をいただいておるところであります。
 このような危機的状況に立ち至ったことにつきましては、国鉄が事業経営を特性ある分野に特化することができず、その経営改善が適切に行われませんでしたこと、運賃改定のおくれなどもございまして、期待どおりの収入が得られなかった、また、業務運営の効率化が適切に行われませんでしたこと、設備投資に伴う資本費負担が増加いたしたなど幾つかの理由が考えられるのでありますが、総理も指摘されましたように、基本的には、公社制度と全国一元の巨大組織による運営という体制のもとで、モータリゼーション等の進展などのいわゆる経済社会構造の急速な変化に十二分の対応ができなかったというところに問題が存しております。このような見地から、分割・民営化により、むだのない効率的な経営形態に国鉄をして変革をせしめ、真に利用者の利便に応ぜられるような鉄道に再生をせしめることが最善の道だと考えたわけでございます。
 全国一元的体制ではなぜ悪いのかという、NTTその他の例を引かれての御質問でありますけれども、鉄道はNTTなどと比べまして労働集約型産業でございまして、また、製造業と比較いたしましても地域密着性が極めて強いという観点から、極力効率的な経営が行えるようにいたしてまいりますことが大事であります。さような意味におきまして、分割・民営体といたしたところであります。また、連続性、接続性につきましては、旅客流動を極力分断しない形での分割を行うよう配慮いたしたところでございます。
 電気通信、情報処理関係の資産についてでございますが、マイクロ回線などの全国的、基幹的通信施設については基幹的通信会社に、マルスなどの全国的情報システムにつきましては情報システム会社に、その他のローカル系の情報通信設備につきましては旅客会社等に承継させることが適当と考えております。
 承継財産の価格を評価する機関は法律で定めるべしという、御意見を交えた御質問でございますが、承継財産の評価につきましては国民の疑惑を招くべきではないという点については、全く御指摘のとおりでございます。このため、今回の日本国有鉄道改革法案におきましては、細目は運輸省令にゆだねておりますけれども、法律の規定に基づく評価審査会を設置いたすということにいたしておるところであります。
 さらに、旅客、貨物会社の収支試算にかかわる資料の提出について詳細な御提示がございました。これらの資料については、国鉄改革関連法案の関係委員会における御審議が行われますまでに、その審議に支障のございませんように、御要求に応じ逐次提出するようにいたしたいと思っております。
 次に、貨物会社が負担する回避可能費用、いわゆるアボイダブルコストとは何かということでございますが、アボイダブルコストは、旅客会社所属駅の貨物部門の人件費や資本費などのように、貨物輸送がなければ発生しないと認められる旅客会社の経費という概念でございます。
 さらに、新幹線の貸付料の基準の考え方についてでございますが、新幹線鉄道保有機構の新幹線の貸付料は、御承知のように旅客会社の経営に与える影響が大きいことから、法令で定める基準に従いまして、輸送量、鉄道施設の価額等を勘案いたしまして客観的に定めることといたしました。
 以上、答弁を申し上げました。(拍手)
    ─────────────
#37
○副議長(勝間田清一君) 富塚三夫君。
    〔富塚三夫君登壇〕
#38
○富塚三夫君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました国鉄改革諸法案についての基本問題、また、清算事業団法等にかかわる問題点について、吉原議員に続きまして総理及び関係大臣に質問をいたします。
 まず第一は、中曽根内閣はなぜ短兵急に国鉄改革を急ごうとするのか、なぜ一挙に分割・民営化に移行し、国鉄を解体しようとするのか、理解に苦しむのであります。アメリカでも西ヨーロッパ諸国でも、モータリゼーションの波に押され、鉄道経営が危機に直面しておりますが、我が国においても、多額の累積債務を抱え、経営改革の必要性は十分認めるにしても、国鉄再建監理委員会の答申を金科玉条のように受けとめ、一挙に短時間のうちに分割・民営化に踏み切ろうとするやり方は、全く無謀であり、将来に禍根を残すことになるのではないかと思いますが、総理、いかがでしょうか。
 「汽笛一声新橋」から百十余年、あの荒廃と化した戦後の日本を復興させたのも国鉄の力があったし、今日ある我が国経済の繁栄に貢献したのも国鉄の役割が大きかったことは、国民のだれしもが認めるところであります。そして、我が国の歴代為政者たちは、安全、正確、迅速をモットーに世界に誇れる鉄道として内外にみずから評価をしてきたし、都市間の大量旅客輸送は通勤通学を初め国民生活に大きな利便を与え、貨物では石炭、石灰石、鉄鋼材など大量に輸送して我が国産業の発展に貢献してきました。北海道や四国、九州などの地域は、黒字を見越して鉄道を走らせたのではなく、過疎地帯の開発、地域住民の生活を守るために線路を敷いてきたと思うのです。だから地域社会に密着した国鉄として国民の間に評価されてきているのであります。
 今、中曽根さんの私的諮問機関の多用化にあなたの党内からも批判が出ていますが、国鉄再建監理委員会の設置は国会で決められたものの、数人の委員が密室審議の中で取りまとめたもので、その答申を受け、そのまま政府の改革法案として提出するやり方は、余りにも拙速主義であり、無謀と言わなければなりません。今回の改革に失敗したら国民の鉄道としての機能が果たせなくなり、国家百年の大計に大きな汚点を残します。総理、運輸大臣、ぜひこの法案を撤回して、再考する余地はないのでしょうか。
 私は、田中角榮氏の政治姿勢に多くの批判はあるものの、もしこの方が元気でいらっしゃったら、こんな分割・民営化の改革案などは出さず、国民の国鉄を大事にした改革を考えたのではないかと思いますし、三木さん、福田さんあるいは鈴木さんが総理大臣だったら、こんなめちゃくちゃな法案を出さなかったと思うのです。竹下大蔵大臣は中曽根さんの後継者の一人と言われていますが、竹下さんの国家ふるさと論の国づくりキャンペーンは、地方交通線などを大切にした国づくりを目指しているように思いますが、大蔵大臣いかがでしょうか。あなたの所論とこの改革法案は矛盾すると見ますが、お考えをお聞かせをいただきたい。
 総理、まず明年四月一日の実施期日を延ばしてじっくりと、少なくとも二、三年かけて国民とともに再検討されたらいかがでしょうか。
 第二は、国鉄大改革の成否は、長期債務の処理と余剰人員対策にあるとともに、改革後の鉄道事業が本当にうまくいくかどうか、その可能性の判断にあると思います。(発言する者あり)
#39
○副議長(勝間田清一君) 静粛に願います。
#40
○富塚三夫君(続) 三十七兆三千億とはじき出した長期債務を区分をいたしまして、十六兆七千億は国民負担とすると言っていますが、厳しい国家財政の中でどのようにして財源を生み出すのでしょうか。長期債務の処理について、国民負担分をどう処理するかについて政府自体が明確な方針を打ち出すこと、また、余剰人員問題の解決も、大枠の数字がひとり歩きいたしまして、本当に一人一人の労働者の希望に沿って解決できるのですか。そのきめ細かい対策を示すことが先決だと思います。
 さらにまた、昭和四十年代から数次にわたって政府の再建計画が破綻してまいりました。その中には、中曽根さんが所管運輸大臣をなされて挫折した苦い経験もお持ちだと思いますが、法律であらゆる縛りをかけられ、民営的な手法を追求できなかったのが大きな原因ですが、政府は、その鉄道再生のための民営的な手法には具体的には何があり、その実効性を示す各論を出発点にするのが筋ではないかと思います。運輸大臣の答弁でも、必ずしもそのことは明確にされていません。財源がないのに法律だけを先行させる、国民負担のあり方も示さない。働く人たちの生活がかかっている雇用のきめ細かい方針も示さない、すなわち、大ざっぱな改革法案を国会で可決しても、その具体的改革の中身はほとんど先送りとなっています。それで総理、うまくいくとお考えでしょうか。運輸大臣、どう思いますか。
 伝え聞くところによりますと、この秋、政府は建設国債を発行いたしまして、その中に一兆円程度の国鉄債務の処理費を含ませるということを検討していると聞きますが、そんなことをおやりになるのでしょうか。大蔵大臣、どのように具体的な財源を捻出しようとしているのですか。また、国民負担の方法をどのようにお考えになっていらっしゃるのですか。結局は増税負担となるのですか、お聞かせをいただきたいと思います。
 第三は、この改革案でいくと、北海道、四国、九州の三島は、九千億円余の経営安定基金を使って初年度一%の黒字経営を見込んでおられますが、本当に政府案で改善できるのでしょうか。九州経済連は、政府の改革案に従って地方交通線を廃止し、改善を進めても、なお三百数十億の赤字が出ると算定しています。
 総理、政府は、国鉄の分割・民営化とは別に整備新幹線の着工に乗り出すと言っていますが、将来は北海道にも新幹線建設を行おうとお考えなのでしょうか。北海道は、新幹線を建設するかしないかによって経営改善の目標が違ってきますし、四国は、本四架橋がどのような交通の役割を果たすかによって鉄道への影響が出てくるし、九州は、本州との接続のやり方によって収支結果が変わってくると思うのであります。政府は、この法律によって北海道、四国、九州の三島が黒字経営に転換できると確信を本当にお持ちなのでしょうか。私は、現行一社制のもとで、この三島の収支改善の経営目標を自治体や地域住民の協力を得て策定をいたし、うまくいけるかどうか、その結果から全体の改革に乗り出してもよいと思うのですが、総理、いかがでしょうか。
 第四は、貨物問題です。現在二千億の赤字が出ている貨物を、一社制のもと、本当に初年度十六億の黒字経営に転換できるのですか。さらに、旅客六分割、貨物一社制のもと、貨物ダイヤをどのように組んだらよいか、国鉄は頭を抱えているように思われます。御存じなのでしょうか。
 第五は、清算事業団の性格とその業務内容についてお尋ねをいたします。清算事業団はいわば管財人的役割を果たすことだと思いますが、先ほど述べたとおり、政府自体が長期債務の処理方針、土地、資産の売却見込みなど具体的に示さなければ、清算事業団は機能しないと思います。土地売却について既に国民の目から疑惑を持って見られているように、二千六百ヘクタール、五兆八千億の土地売却見込みはどういう方法で算定されたのでしょうか。私たちは、首都圏周辺の四百ヘクタール相当分の売却でも五兆円余で売れるということを聞いています。大きな財閥系不動産会社や山手開発会社など、環状線周辺の土地をねらって買い取ろうと、大物政治家を動かしているようなうわさを聞きますが、政財界の癒着構造などは絶対につくるべきではありません。土地、資産の売却を公正に行うために、どんな具体的な手順を考えているのでしょうか、また、土地売却は五兆八千億の数字にこだわるのでしょうか、運輸大臣、お聞かせをいただきたいと思います。
 さらに大事なことは、余剰人員は全員新会社にそのまま移し、清算事業団が抱きかかえるべきではないと思います。清算事業団に残される四万一千人は再就職のために訓練など行うと言うが、国鉄からほうり出されるような差別は、深刻であるだけでなく、大きな社会問題になると思います。政府の余剰人員対策は、数字のひとり歩きが目立ちまして、本来の所管である労働省は及び腰、本当にうまくいくのでしょうか。自治体や関係企業などは、短期的には協力しても、中長期には清算事業団からの再就職への協力は安易に見込めないのではないでしょうか。ましてや、円高問題の推移によって、民間企業の吸収などは極めて困難と見るのが常識ではないでしょうか。また、運輸大臣、この人たちの労働条件、採用基準などは設立委員会が当たり、運輸省令で職員の意思確認をするという行為は、労使協議に基づく雇用、労働条件の決定という労働法の精神から逸脱すると思いますが、一体そのねらいは那辺にあるのでしょうか。
 次に、国鉄に働いた人たちは、年金問題の行方を心配しています。政府は、将来とも絶対に責任を持って対処するということを大蔵大臣、明言していただきたいと思います。
 最後に、総理、絶対に全国ネットワークを維持して、分割だけはやめるべきだと思います。国鉄の公共性は永遠に失ってはならないし、今大事なことは、地域社会と結びついた分権的、民営的な手法を取り入れた改革をすべきです。さきに提案をいたしました我が党案をじっくり検討していただきたいと存じます。
 私は、また、分割された旅客会社は、自分の会社だけもうかればよい、他の会社のことなど顧みず、営利追求のため、他会社と競争が過熱化し、ダイヤは接続駅で乗客が不便をこうむり、運賃負担の増大と格差を生み、事故処理も責任のなすり合い、そしてサービス低下につながることは必至だと思います。加えて、私鉄等の規制緩和が拍車をかけ、鉄道分野の公共的コントロールがなくなることを心配するのです。政府の分割・民営化による国鉄解体策は、将来への夢もロマンもなくなり、鉄道の切り捨て策にほかなりません。
 政府は、赤字国鉄を大手術すると言う一方で、約二十兆円も見込んで整備新幹線の着工にかかると言いますが、その財源はどこからつくるのでしょうか。また、政府は、騒音も少なく乗り心地のよいリニアモーターカーの開発促進を図り、飛行機と競合させ、将来総合交通政策も準備すると言っておられます。この改革案とこうした将来像について、どのような整合性を持たせるのでしょうか。総理、いかがでしょうか。
 総理及び関係大臣だけでなく、国会議員の諸先生方、テレビのドキュメンタリー番組でも紹介された、北海道や九州の過疎地に住む老人たちが、この鉄道を廃止させまいとして、一日の目標乗降客基準を達成しようと必死になってディーゼルカーに乗り協力する姿を見て、感ずるところがないでしょうか。
 総理、国会で法案審議をしていない段階で分割・民営化の既成事実をつくることは直ちにやめ、この改革案を棚上げして、もう少し時間をかけ、国民合意の改革を考えてみようではありませんか。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#41
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 富塚議員にお答えをいたします。
 まず、分割・民営化を急ぐ理由でございますが、これは、二年余にわたりまして再建監理委員会が関係方面の意見を徴して、広い角度から十分検討を重ねた結果でございます。改革の実施のためには、民営化とともに経営の分割を行って、効率的な、真に国民に密着した、地域の期待にもこたえられる鉄道として再出発させる必要がある、そういう意味でございます。国鉄の経営の現状は極めて厳しいものがありまして、一日も早くこの改革を実施することが、最終的な国民の負担を軽減して、国民へのサービスをよくして、国民の利益にかなうものと認識したからでございます。
 次に、リニアモーターカー等の御質問でございますが、新幹線の取り扱いについては、現在、政府・与党間に設けられている整備新幹線財源問題等検討委員会で検討しておるところでございまして、その検討に当たっては、今回の分割・民営化を中心とする国鉄改革の趣旨を踏まえて行われるものと考えております。リニアモーターカーについては、将来有効な交通手段となり得るものであるから、研究開発は必要であると認識いたしております。今回の国鉄改革は、交通機関がそのおのおのの特性を発揮して、これに応じた効率的な、現代にふさわしい輸送体系が確立さるべきであるという、総合交通政策の考えに沿っておるゆえんでもあると考えております。
 次に、社会党案の検討と分割案の撤回の御質問でございますが、国鉄改革については、社会党案の御説明をいただきましたが、先ほど申し上げましたように、現在の公社制度と実際は大差ないものになる、国家に余りにも依存して、いわゆる親方日の丸、赤字垂れ流し、そういう欠陥が是正されないであろうというのが大方の考え方であり、私もそのように考えておるところであり、やはり政府案の方が効率的なものではないかと考えておるのであります。改革の実施に当たっては、民営化とともに経営の分割を行うことが必要なのであります。分割に伴う諸問題については、必要な措置を講ずることによって十分対応が可能なのであります。
 次に、今回の国鉄改革は、経営危機に瀕している国鉄の事業を健全かつ効率的な、真に国民の期待にこたえる鉄道に再生しようというものであり、行政改革の最大限目の一つであるわけです。一日も早く本法案の御審議を願い、六十二年四月一日に改革が実施できるよう努めることが、最終的な国民負担を軽減して、国民の利益にかなうものと認識しております。二、三年かけて検討したらどうかと申されましたが、そんなことをやっている余裕はもうないはずであります。このままほっておいたらつぶれてしまって、今の給料ですら払えなくなる、年金も払えなくなる、そういう厳しい状況にあるということを御認識願いたい。したがって、撤回する考えはございません。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#42
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問は三点でございます。
 まず第一の、国鉄の長期債務の処理方針いかん、こういうことであります。
 これは一月二十八日に、国鉄長期債務等の処理についての基本方針を閣議決定をいたしております。したがって、いわゆる国鉄再建監理委員会の意見によりますところの十六・七兆円、用地売却の上乗せ、そういうことによってその額を極力圧縮することによって、最終的な要処理額の見通しが得られるまでの間、当面、清算事業団において用地売却、借り入れ、これらを行いまして、債務の償還、雇用対策等を実施するものとしておるところであります。最終的には、国において処理することとなりますが、本格的な処理のために必要な「新たな財源・措置」、これは雇用対策、用地売却等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入歳出の全般的見直しとあわせて検討、決定することといたしておるわけであります。
 二番目の問題は、国鉄の年金問題についてでございます。
 これは現在、国鉄共済に対しましては、財政調整五カ年計画によりまして、国家公務員、電信電話、たばこ産業、この三共済によりまして、昭和六十年度から六十四年度まで年平均四百五十億円、このことができましたことは、まさに私は労働者連帯のあらわれであったと、その時点で深く感謝をいたしました。しかしながら、今後の計画が具体化されてまいりますと、さらに年平均相当額の不足を生ずる、こういうことに相なるわけであります。この問題につきましては、これは六十四年度までは、国鉄の経営形態等の動向等を踏まえながら、国鉄の自助努力と国の負担を含め、諸般の検討を加えて、支払いに支障のないようにする。そして六十五年度以降分については、その後速やかに対策を講じて、支払いの維持ができるように措置するというのは、まさに官房長官から発表いたしております国鉄共済年金についての政府統一見解でありますので、このことは十分御承知のことでありますが、御理解をいただきたいと思います。
 それからいま一つは、いわゆる私が申しております日本列島ふるさと論との問題についての御言及がございました。
 現在の国鉄をそのまま放置しておきますならば、経営は一層深刻化して、事業運営を効率化することによって生かせる路線までも廃止に追い込まれることになりかねない。そうなれば、まさにノスタルジアもロマンもおよそかけ離れたものになってしまうわけであります。今回の改革により、鉄道事業の運営は、より地域経済の実態に即したものとなって、真に地域の利用者のニーズに応じたきめ細かいサービスの提供が可能になることによって、新しいロマンがまた浮かび上がってくるであろう、このように考えております。(拍手)
    〔国務大臣三塚博君登壇〕
#43
○国務大臣(三塚博君) 残余の答弁は関係閣僚からということでありますから、申し上げます。
 まず、余剰人員の雇用対策でございますが、当事者である国鉄における関連企業に対する雇用の場の確保、これはやはり最大限御努力をいただくことを前提といたしまして、政府は、公的部門に三万、さらに一般産業界に一万以上、こういうことで御要請を申し上げ、雇用の確保に努めておるわけであります。同時に、総理が言われますとおり、一人といえども路頭に迷わせることはございません。こういうことの精神を基本といたしまして行っておるところであり、特に清算事業団におきましては、職員の教育訓練の実施、公共職業安定所による職業紹介、雇用促進事業団の活用によりまして、完全を期してまいりたいと考えております。
 次に、民営的手法についての方針についてでございますが、今回の国鉄改革におきましては、事業運営にできる限り経営の自主性を与えるということが第一点、第二点は私鉄並みの経営合理性、さらに効率性の導入、第三点、経営責任の明確化、第四点、正常な労使関係の確立などを図り、真に需要の動向に即応し、地域に密着をいたしたきめ細かいサービスが提供できる交通機関、いわゆる地域鉄道の再生を目指しておるところであります。
 次に、三島会社についてでございますが、今回の改革につきましては、三島、赤字が出るのではないかという御批判もあるのでありますが、三島の置かれております状況を勘案をし、国鉄時代の長期債務を一切負担をさせない、さらに、効率的な経営を前提として、なお生ずる赤字につきましては、補てんするため所要の基金を設けることといたしたのであります。このような措置により、三島の会社につきましては、経営努力を尽くすことによって、将来にわたって健全経営を維持できるものと考えております。また、地元との関係におきましても、それぞれの地域において、自立した経営責任を有する会社が発足することにより、地域に密着した経営が可能となりまして、地元との円滑な協調体制ができ上がることと考えております。これにより、利用者サービスが徹底をし、鉄道として再生、新生ができ得ると信じております。
 さらに、北海道にも新幹線をつくるのか、こういうことでありますが、整備新幹線の扱いは、総理から言われたように、検討委員会においてただいま検討中であります。いずれにいたしましても、整備新幹線の建設が新会社の収支を悪化させることのございませんように考えてまいりたいと存じます。
 さらに、土地の売却見込み額についてでございますが、監理委員会は、二千六百ヘクタール、五兆八千億円余、このように言っておるのでありますが、政府といたしましては、売却対象用地の生み出しを図り、できる限り上乗せをいたしてまいりたいと考えております。
 次に、国鉄資産の処分でございますが、いやしくも疑惑を生じ後ろ指を指されることのないよう、公正かつ適切に行われるべきことは当然でございます。このため、提出いたしました法律案では、用地の処分に当たりましては、公開入札を原則とし、また資産処分審議会の意見を聞くこととし、公正かつ適正な時価で行われるよう配慮いたしたところでございます。
 次に、余剰人員を全員新会社が抱えるべきではないかという御意見についてでございますが、新会社は、厳しい交通市場の中で企業性を発揮し、活力ある経営を行っていかなければなりません。待ったなしの改革で、失敗が許されないわけであります。したがって、余剰人員対策は、清算事業団において行わしめることが適切であると考えております。
 次に、職員の引き継ぎの際の選定及び労使協議の問題でございますけれども、企業がどのような職員によって構成されるか、また、その労働条件がどのようなものであるかは、その企業みずから判断すべき重要な案件であろうと思います。したがって、当初からこれらの事項について新会社の経営判断を反映することができるようにしておりますことが不可欠でございまして、このため、設立委員等による採用方式をとることといたしたのであります。また、具体的な選定は、設立委員等の示す採用の基準に基づいて、国鉄当局がその責任において公正に実施することといたしたのであります。なお、清算事業団の職員は、国鉄からそのまま移ることと相なりますが、その労働条件につきましては、移行後の業務が国鉄とは異なることになりますので、それにふさわしい労働条件が設定されるべきものであると考えております。
 さらに、長期債務についてでございますが、大蔵大臣が詳細に答弁をいたしましたので、同じでございます。
 さらに、政府案を撤回し社会党案ということでありますが、総理大臣の考えと全く同じであります。(拍手)
    ─────────────
#44
○副議長(勝間田清一君) 西中清君。
    〔西中清君登壇〕
#45
○西中清君 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま議題となりました日本国有鉄道改革法案及び国鉄改革関連六法案について、総理並びに関係各大臣に対し質問を行うものであります。
 今日、国鉄は、約二十四兆円の巨額な債務を抱え、毎年一兆円を超える赤字を生んでおります。国民の大多数は、国鉄をこのまま放置すれば、やがてその赤字と債務が国民の過大な負担となり、事業運営にも支障を来すことになると考え、国鉄の抜本的改革が必要と認めております。
 私は、国鉄の経営破綻の原因は、経営の自主性を欠いた公社制度のもと、巨大な組織で運営されている経営形態にあると考えます。しかし、より根本的には、この欠陥を長い間放置し、赤字体質を温存してきた政府の責任を厳しく指摘しなければなりません。加えて、当局の無責任な経営姿勢、組合側の親方日の丸的体質も決して見落とすことのできない原因と考えるものであります。現在の経営形態を、政治や行政の介入を排除し、社会経済の変化に柔軟に対応できる自主的、効率的な経営のできる企業体に、また、鉄道事業を主体とし、しかも多角経営が可能な企業体、すなわち民営化へと改める必要があると考えます。さらに、企業体としての効率化、機能的な組織運営を行うためには、その事業規模も適正なものとする必要があると考えております。こうした考えは、多くの国民に共通する考えであろうとも思うのでございます。
 特に留意すべき点は、国鉄の経営破綻の原因が、第一義的には、経営責任が不明確であり、また、政治や行政の介入によって、経営の自主性を阻害されてきた公社制という経営形態にあった点であります。したがって、国鉄の改革は、基本的には、公社制の弊害を除去し、経営形態を民営化することにあるのであります。すなわち、改革の主眼は民営化にあり、分割は民営化のための必要な措置と考えるべきであると思います。国鉄を民営・分割するか、分割・民営とするかは、一見、ただ単に語句を置きかえたにすぎないようでありますが、初めに民営ありきと、初めにまず分割ありきとでは、国鉄改革のスタンスは大きく変わってくるのであります。このことは、国鉄改革の基本認識として極めて重要な問題でありますので、総理はどのような視点に立たれるのか、まず御見解を賜りたいのであります。
 我が党は、国鉄改革問題を検討するため、党内に特別委員会を設置し、国鉄の抱える多くの課題を調査し、関係各界の意見を聞き、国鉄改革のあり方を真剣に検討してまいりました。その結論として、国鉄改革の基本を、まず民営企業に改めることとし、その視点に立って、鉄道事業の公共的役割を維持し、また、効率性、利便性が損なわれることがないように、鉄道のネットワークを極力維持することなど、改革に伴うデメリットをできる限り少なくすることが必要と考え、民営・五分割の改革案及び改革を進めるに当たって措置すべき課題等をまとめ、国鉄改革についての提言として発表したところであります。
 経営形態については、新しい会社が明確な経営責任のもとにおいて自主的かつ効率的運営がなされるよう、民営化することとしております。民営化するに当たっては、適正な規模のもと、輸送需要の動向に的確に対応した効率輸送が提供できるよう、旅客流動の実態、経営の安定のための公的措置を考えて、北海道、四国、九州を分離するとともに、本州については、同じく旅客流動の実態と会社間の輸送の円滑性、さらには経営基盤の均衡などを考慮して、二分割とする考えをとったのであります。
 国鉄再建監理委員会において、国鉄改革の答申をまとめられたことについては、その労を多とするのでございますが、しかし、その意見は必ずしもベストとは言い切れないのでございます。国鉄改革は、緊急かつ重要な課題ではありますが、また、全国民的課題でもあります。その理由は、言うまでもなく、国民生活、国民経済に極めて密接にかかわり、将来の交通体系をも決めることに相なるからでございます。それだけに、国民の理解と協力が得られるよう、でき得る限りベストに近い改革内容とするべきであります。そのためにも、国鉄改革のあり方、また改革法案についてはよく検討し、十分に審議を尽くした上で、政府提出の改革関連法案に正すべき点があれば正すという姿勢が必要と考えます。また、我が党の提言を国鉄改革に生かすように強く求めるものであります。総理大臣並びに運輸大臣の答弁をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、法案内容と関連する諸問題について何点か伺います。
 まず、長期債務の処理についてであります。
 政府は、再建監理委員会の意見として、国鉄の長期債務のうち約十六兆七千億円は、国民に負担を求めざるを得ないとしております。この債務額は、政府の言うとおり、監理委員会の試算であって、確定された数値ではございません。国民は正確に、どの程度の負担を負わされることになるのか、またその償還期間は何年にわたるのか、国民にとって最も関心のある債務負担額と償還期間は、いまだ明らかにされていないのは極めて遺憾であります。監理委員会の試算の数値は、その後、政府みずからが貨物会社の要員規模を一万五千人から一万二千人に変更したこと、また旧国鉄に残る職員の給与ベースも変更したことで、かなり変わってきているのでございます。このことが運輸委員会で問題になり、運輸大臣は、改革関連法案が審議されるとき、変更後の政府としての試算を提出することを約束しております。長期債務の基本的数字を明らかにする責任は政府みずからにあります。この点について、総理並びに大蔵大臣の答弁を伺いたいと思います。
 次は、国鉄職員の雇用の問題についてであります。
 輸送構造の変化によって、過員、いわゆる余剰人員と呼ばれる約六万一千人の職員が国鉄から職を離れることになっております。その再就職のため、政府は、雇用に関する基本方針を定め、国及び地方公共団体などの公的部門に三万人、国鉄関連事業に二万一千人、民間企業に一万人の雇用を確保することを明らかにいたしております。なお、この六万一千人の離職者のほかに、来年三月末までに約二万人の希望退職者も存在するわけであります。したがって、約八万一千人の職員が再就職先を求めることになる、このことを十分に御認識をいただきたいと存じます。
 ところが、公的部門に三万人の雇用を確保するとの官房長官の談話があったにもかかわらず、これまでに明らかとなった公的部門への受け入れ状況を見ると、現時点においては、特殊法人へ約九百六十人、地方公共団体に約四千四百人となっているにすぎません。昭和六十二年度以降、国として各省庁が受け入れる人数は明らかにされておらないのであります。民間企業が六十一年から六十五年にかけて、既に約一万人の目標に達する受け入れを表明しているにかかわらず、公的部門、中でも国の受け入れ態勢が余りにも立ちおくれているのは一体いかなるわけでありましょうか。国が率先して雇用規模を明らかにしなければ、また、約束を守らないで、どうして地方公共団体や民間企業に雇用を依願できるのでありましょうか。政府の公約である以上、速やかに雇用数を明らかにし、受け入れを促進することを強く求めます。
 さらに、職員は、今後の人生や生活設計をこの一年以内に決めざるを得ない状況にあります。しかるに政府は、雇用計画の具体化をこの秋としておりますが、余りにも遅過ぎる。雇用計画を委員会審議に入るまでに明らかにするとともに、雇用の段階的実施を進めるべきであると私は要求したいのでございます。この問題は、職員一人の問題ではなく、職員の家族、その一家にかかわることに思いをいたし、総理及び運輸大臣の誠意ある対応を求めるものであります。御答弁を願います。
 次に、貨物輸送のあり方について伺います。
 再建監理委員会の意見に基づき、本法案は、貨物輸送を旅客と分離し、全国一体の独立した会社としております。その理由として、旅客輸送とは輸送形態が異なること、旅客会社が六つの事業体となるため輸送の円滑化が図れないことなどを挙げております。しかし、この程度の理由では、貨物会社を分離する十分な説明にはなっておりません。貨物会社を切り離した理由は、単に旅客会社の収支試算を黒字にするための措置としか思われないのであります。さらに、旅客会社が六つの事業体となるため輸送の円滑化が図れないなどとの説明は、分割の数が多過ぎることをみずから認めたことになります。レールを使用しての輸送形態は、貨物も旅客もほぼ似たようなものでございます。もし旅客会社が貨物部門をあわせて経営するとするならば、民間の物流事業、トラック事業との結びつきをより密接にすることができ、それにより、貨物の輸送需要をさらに高めることは十分考えられるわけでございます。
 なお、運輸省は、貨物部門を分離するに当たり、回避可能経費というコスト論を持ち出しています。これは、貨物列車が旅客会社のレールを使うことから生じる赤字分を使用料とする経費と説明されております。しかし、本来、こうした使用料は、それぞれの望む時間帯や列車ダイヤの価値も絡んで、商業ベースで決めるべき性格のものでございます。回避可能経費というのは、一種の固定的な法定料金であり、設定根拠も極めて薄弱なコスト論であり、自由競争経済の原則や民営化の本旨とは大きな隔たりがあると指摘せざるを得ません。
 加えて、貨物会社と旅客会社のダイヤの調整などから生ずる問題もあり、さらに、政府が、鉄道貨物は限られた貨物しか運ばないとの前提に立っておりますが、鉄道貨物を縮小均衡の立場からとらえているものとも言えます。鉄道の貨物輸送は、エネルギー資源や道路事情から、将来、需要を拡大できる可能性があるとの視点も考慮すべきではないのでしょうか。全国一体の貨物輸送が果たして正しい選択であるのか、問い直す必要があり、慎重を期すべきと考えます。総理並びに運輸大臣の見解を伺うものであります。
 続いて、国鉄用地の活用についてお尋ねいたします。
 国鉄の用地は、本来、国民共有の財産であり、長期債務の処理財源ともかかわるものだけに、その売却価格や売却方法は公正、公平でなければならないのは当然であります。なお、売却とともに、あわせて、国民の共有財産として活用することも重要と考えます。
 最近、国鉄用地に関して、汐留、梅田、新宿の貨物駅、東京駅周辺などの都心の大規模用地の開発計画や利用構想が、政官民の各機関等において検討され、発表もされております。しかし、それらはほとんど相互の意見の調整もないままに打ち出された構想にすぎません。私は、大規模な国鉄用地は、将来どのように活用し利用するのか、都市計画との調整をどうするのかなど、利用計画を明確にする必要があると考えます。そこで、一定規模の国鉄用地については、売却のための審議会と同時に、その利用方法を検討する第三者機関を設置すべきであると主張します。我が党としても、機関設置に関する検討を進めているところでありますが、総理、運輸大臣は、国鉄の大規模用地の利用方法を検討する機関の設置について、その必要性をお認めになるかどうか、見解を賜りたいのでございます。
 最後に、再建監理委員会の意見と本法案に幾つか異なる内容があります。例えば、監理委員会の意見では、用地売却の公平を期すための第三者機関の設置については、何らうたわれておりませんでしたが、本法案には、その設置が規定されました。また、整備新幹線を各旅客会社が運営することになったのも、監理委員会の意見と異なる点であります。特に、整備新幹線を旅客会社が運営するとなると、再び過重な資本費負担が問題となり、その経営見通しは根本的に見直す必要が出てまいります。こうした幾つかの手直しは、監理委員会の意見が必ずしもベストでないことを政府みずからが認めているものと考えます。
 国鉄改革を進めるに当たって、解決すべき問題は山積しており、年金改革、地方交通線対策、安全投資や公害対策などについてもさらに検討をするべきであります。したがって、課題や問題を残して改革を強行に進めることは絶対にあってはならないのであります。総理に国鉄改革への慎重な対応を要求して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#46
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 西中議員にお答えをいたします。
 民営化の重視についてでございますが、国鉄が今日の経営破綻に陥ったのは、基本的には、公社制度と全国一元の巨大組織による運営によってもたらされた結果ではないかと考えております。つまり、公社の体質というものは官僚体質であって、硬直性を持っていて、変化に対する対応力がなかった。特に、民間経営力とか能率性という面が非常に欠如していた。そしてさらに、労使関係における責任体制が、労においても使においても欠如していた。そういうような問題が理解されるのであります。したがって、民営化と分割は、いずれも今次改革の基本として位置づけらるべきものであります。
 次に、公明党からの御提言がなされたところでございますが、やはり政府としては、今般の改革関連法案に示された方向こそが最善の方法である、特に分割については、旅客流動の実態を勘案した今回の政府案が適当であると考えている次第です。
 長期債務の問題については、去る一月二十八日の閣議決定において明らかにしたとおり、最終的に国民負担を求めざるを得ない長期債務等については、用地売却の上乗せ等により、その額を極力圧縮するようにしております。国鉄清算事業団において自主財源を充ててもなお残る長期債務等については、最終的には国において処理することといたしておりますが、本格的な処理のために必要な「新たな財源・措置」につきましては、雇用対策、用地売却等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入歳出の全般的見直しとあわせて検討、決定するといたしております。したがって、最終的に国民負担となる額が幾らになるかということは、その段階において初めて明らかになると思います。
 いわゆる過剰人員の処理の問題については、昨年末の基本方針に基づきまして、本年秋までに策定する採用計画において明らかにするところであります。今後、関係者間で積極的に調整を進めて、少しでも早く計画を定めるため努力を続ける所存でございます。なお、計画の策定前にも、国鉄職員の受け入れは逐次、現実的には進めております。
 次に、貨物輸送の問題でありますが、国鉄の貨物輸送は、流動の実態、他の輸送機関との連携関係などにおいて、旅客輸送の実態と大きく異なっているものと認識しております。よって、旅客部門から分離独立した全国一社体制による経営責任の明確を図ることが必要であると考えた次第です。
 用地の処分につきましては、公正を確保するとともに、最終的に残る長期債務等の額を極力圧縮するため、公開競争入札等を基本とする適正な時価によるべきものと考えております。重要な用地の処分に当たりましては、国鉄清算事業団に設置される資産処分審議会において学識経験者等の意見を聞く予定でございます。
 監理委員会の意見との相違と改革への慎重な対応を御要望いただきましたが、再建監理委員会の意見については、最大限尊重する旨閣議決定し、その線に向かって対処してまいります。今回の法律案は、その大筋において、再建監理委員会の意見に従うものと理解しております。改革関連法案の施行実施により、国鉄改革を完結する所存でございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#47
○国務大臣(竹下登君) 私に対するお尋ねは、長期債務をより具体的に示せ、こういうことでございます。
 一月二十八日に閣議決定をいたしたわけでございますが、最終的に国民に負担を求めざるを得ない長期債務の額は、国鉄再建監理委員会の意見によれば十六・七兆円。しかし、この上に用地売却の上乗せ等によりまして、その額を極力圧縮することとして、最終要処理額の見通しが得られるまでの間は、清算事業団において用地売却等を行っていただくわけでございますが、そういうことで、自主財源を充ててもなお残る長期債務、これは最終的には国において負担するということになるわけであります。
 本格的な処理のために必要な「新たな財源・措置」につきましては、雇用対策、用地売却等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入歳出両面の全般的見直しとあわせて検討する。したがって、最終的に国民負担となる額、これにつきまして確定するためには、やはり清算事業団発足後ある程度の期間が必要であると考えておりますが、いずれにしても、まずは用地売却の上乗せにより、国民の負担となる額の圧縮に努める、これが第一義的に重要なことであろうと考えております。(拍手)
    〔国務大臣三塚博君登壇〕
#48
○国務大臣(三塚博君) お答えを申し上げます。
 国鉄の改革について、公明党の提言を含め御指摘をいただいたわけでございますが、国鉄の経営の現状は極めて厳しいものでありますことは、西中議員も御案内のとおりであります。一日も早い改革の実施をいたしまして、累積赤字を防ぎ、国民の負担の増大を食いとめるとともに、国鉄事業の健全な再生、新生を期して、利用者の利便に資してまいりたい。このことは、国民の利益にかなうことでありますという信念のもとに改革を進めておるところであります。しかし、公明党の改革案、貴重な御提言をいただいておるわけでございますし、ダイヤ調整機関の設置あるいは用地売却委員会等々、傾聴に値する意見はございますけれども、政府としては、今般提出をいたしました国鉄改革関連法案こそが、改革実施のための最善の方策と判断をいたしておりますもので、今後の御審議の中で、何とぞ深い御理解をちょうだいいたしたいと考えておるところでございます。
 さらに、余剰人員の受け入れ態勢でございますけれども、国鉄の余剰人員問題の解決に当たりましては、国を初めとする公的部門が進んでこれを引き受けることが必要であります。よって、雇用対策本部は、総理大臣を本部長といたしまして、本件について、具体的な採用数一〇%以上ということで、秋までにこのことの成案を得たいということにいたしておるわけでございますが、たびたびの委員会の御審議、本会議における御提言などを受けておるわけでございまして、雇用対策本部にできるだけ早い策定をお願いを申し上げておるところでございます。今後も努力を傾注してまいりたいと考えております。既に国家公務員グループに地方公務員グループを含めまして、一千五百人の本年度採用などが見込まれておりまして、ただいまのところ順調に進んでおるわけでございます。
 次に、貨物輸送の全国一社制でございますが、総理からもこのことの必要性についてお話がございました。すなわち、国鉄の貨物輸送は、輸送距離が長く、旅客会社の事業区域を超えて行われるものが極めて多いという現実、さらに、他の物流事業者等との連携が不可欠でありますことを考えて、一社制ということにさせていただきました。さらに、貨物部門独自の収支管理を徹底をいたし、経営責任を明確にする必要なども、貨物一社制の基本的な理由でございます。
 次に、国鉄用地の処分についてでございますが、本件につきましては、御指摘のように、国民共有の財産でございまして、その処分が公正、公平に行われるべきことは御指摘のとおりでございます。また、国民の負担となるべき債務を極力圧縮をいたすために、適正な時価で処分をする必要があると考えております。したがいまして、提案いたしました改革法におきましては、用地の処分は原則として公開競争入札によるものといたしたのでありますが、なお、地方公共団体との関係にも配慮すべきものであり、例外的に公開競争入札以外の処分方法をとる余地も残したところでございますが、その場合においても、処分は適正な時価によって行わるべきものと考えております。以上のような観点から、改革法におきましては、資産処分審議会を設けており、学識経験者の意見を聞くところといたしたわけでございまして、本件の活用が御党の御提案の用地売却委員会とその趣旨が同じではないのかなと、こんなふうにも理解をいたすところであります。
 以上、私に対する御質問に対する答弁にかえさせていただきます。(拍手)
    ─────────────
#49
○副議長(勝間田清一君) 河村勝君。
    〔副議長退席、議長着席〕
    〔河村勝君登壇〕
#50
○河村勝君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま上程された国鉄改革七法案に対して質問をいたします。
 今、国鉄は、民営・分割という未曾有の大変革に直面をしております。私などのように、かつて国鉄で働き、国鉄を愛する者にとっては身を切られるようなつらい思いです。しかしながら、国鉄の経営を破綻させるに至った今日までの経緯と、二十五兆円とも、また別な見方からいえば三十七兆円とも言われる長期債務を抱えて、再建のためにはその半ば近くを国民の負担において処理を仰がなければならない現状を考えれば、民営・分割は避けることのできない改革であると考えております。このような見地から、我が党は、今回の国鉄改革案を基本的に支持をして、国鉄改革を何としても成功させようと考えております。
 そこで、まず第一に総理にお尋ねをしたいことは、改革法案審議に当たっての弾力的な対応であります。
 この改革の目的は、民営・分割によって新しい企業をつくり、将来に向かってその企業を経営的に自立させることにあります。そのためには、安定した経営基盤をつくるとともに、これまで自主性を阻害してきた国の介入をなくして、労使が協力をして一生懸命働けば企業として成り立つようにすることであるはずです。この法案には、そういう角度から見ると、これから私が指摘するように幾つかの疑問点があります。今、国鉄は、百余年の栄光ある歴史を閉じて、新しい民営の企業としてスタートをしようとしております。企業としてのあり方は変わっても、国鉄が大切な国民の資産であることには変わりありません。後で悔いを残すようなことがあってはなりません。ですから、審議の過程で問題が解明されて、手直しを要する点が明らかになったときには、政府として、立場にとらわれず、積極的に修正に応ずべきだと考えます。
 先ほど総理は、政府案が最善の案だと大見えを切りましたけれども、それは思い上がりではないでしょうか。具体的な内容について修正を行うべき点が明らかになれば、積極的に政府は対応すべきだと考えますが、総理の率直な見解をお尋ねをいたします。
 問題点の指摘に入る前に、既に改革の前提になることについて二つ論及されておりますが、念のために確認を求めます。
 一つは、余剰人員の雇用問題です。この改革にとっての最大の課題は、何といっても、合理化によって生ずる余剰人員の再就職の場を確保して、いささかなりとも雇用不安を起こさないことであります。今日までの政府の努力を我々は評価をいたします。既に約束をされておりますように、公的部門で三万人の受け入れを実行することはもとより、一万人以上の民間産業の受け入れについても同時に万全の対策を講ずることについて、総理の決意のほどを伺いたいと思います。
 もう一つは、長期債務の処理であります。これまでに明らかにされたところでは、本州の三つの旅客鉄道会社が継承する長期債務は、新幹線リース料を含めて十二兆八千億になります。この金額そのものが、新しい事業体の経営にとっては容易な負担ではありません。そこで、少なくともそれ以外の残存する債務はすべて国の責任において処理するということを、この際、明確にしていただきたい。
 さて次に、問題点の幾つかについてお尋ねをいたします。
 第一は、新幹線リース方式のことです。
 本州を三分割して、三つの会社にそれぞれ資産に見合った債務を負担させると、東海道新幹線を持った東海会社だけが大きな黒字を出して、東日本も西日本も赤字になります。そこで、東海道、山陽、東北、上越の四新幹線を新幹線保有機構に持たせて、収益に見合ったリース料を徴収してアンバランスを調整しようというのが、この制度の目的です。一体、なぜこのような特殊法人を新しくつくって、収益調整をやらなければいけないのでしょうか。リース料といったって、八兆五千億という債務の年賦償還にすぎないのですから、初めから三つの会社に収益に見合った額をそれぞれ債務として負担させればそれで済む話であって、その間に特殊法人を介在させる必要は全くないのではないか。
 そう言いますと政府は、リース料の価格は、それぞれの新幹線の輸送量や施設の価格に応じて時々見直しをする必要があるから、債務の年賦償還では済まないのだ、こう言うわけです。現に法案の中には、二年ごとにリース料の見直しを行うと書いてあります。これこそ政府による新会社に対する経営介入ではないのですか。例えば、ある会社が新幹線の車両を増備して列車回数をふやして増収を図ると、輸送量と施設の価格に見合ったということでリース料の値上げをする、そういう努力をしない会社は、その分だけリース料が値下げをしてもらえる。これでも一体独立の企業と言えるのですか。
 新会社というものは、それぞれ将来の収支の見通しのもとに、それに見合った債務を背負ってスタートをする。もともとこのすべての収支は仮定の計算によって計算されているのですから、ある程度の狂いは生じるでしょう。しかし、一たん企業として独立したからには、そういうような条件を克服して会社を育てていくのが自立経営ではないのですか。努力して収入をふやせばリース料がふえるというようなばかげたやり方があるであろうか。百歩譲って、あなた方が、自分で計算をしてつくった会社の収支見通しに自信がない、こう言うのならば、できてから五年ぐらいたった後に一遍だけ収益の見直しをやったらよろしい。それで済む。二年ごとに収支を見直すなどということは、もってのほかであります。
 それだけではありません。旅客鉄道会社の申し出に基づいてということになってはいるけれども、新幹線保有機構は、大規模な災害工事を行うことになっている。その上に、東北新幹線の建設中の区間の建設の主体になるということになっている。これは上野―東京間の工事のことです。全く余計なことじゃないですか。災害工事はそれぞれの会社がやればよろしい。災害に遭遇するかどうかというのは、どんな企業にもある運、不運です。上野―東京間の残工事は、東日本鉄道会社がやればよろしい。四百億程度のコストは利用増によって十分に会社が回収できる。もう一遍リース方式に組み入れる必要は全くない。
 およそ特殊法人というものは、一たび設立されれば、必ず権限をふやし、仕事をふやして肥大化するものです。一体、二年ごとの収益調整ということが、これからの会社にどういう意味を持つのか。それから、この保有機構に工事の施行主体としての機能を持たせれば、やがて整備新幹線の工事を行わせて、でき上がったものはリース方式によって新旅客鉄道会社の負担で運営するというようにならないという保証は一体どこにあるのだろうか。今私がこの新幹線リース方式について指摘をした疑問点について、政府の明確なる答弁を求めます。
 次に、貨物鉄道会社のあり方についてお尋ねをいたします。
 まず伺いたいことは、あなた方は、鉄道貨物輸送というものを、将来にわたって我が国にとって必要欠くべからざるものだと考えておられるかどうかということです。近年の国鉄貨物部門は、二千億の収入を得て二千億の赤字を出しておる。支出のうち人件費が二千四百億円ですから、人件費をゼロにしても成り立たない勘定だ。新しい貨物会社は、取り扱い貨物を専用貨物とコンテナ輸送だけに限定をして、人件費を四分の一に切り詰めることにして成り立つと言っておるけれども、常識的にはそれでも収支均衡は無理です。もしあなた方が、我が国の道路事情やエネルギー問題、さらには長距離トラック輸送というものの過酷な労働条件などを考えて、鉄道貨物輸送というものを今後ともに生かしていこうという考えがあるならば、いま少し設立の条件に配慮があってしかるべきではないのか。北海道、四国、九州の三島旅客会社には、債務を免除し、別に赤字補てんのための基金を設けております。であれば、貨物鉄道会社についても債務を免除するか、少なくとも当分見通しのつくまでの間、利子、償還を猶予するぐらいの配慮が必要ではないのか。
 それからもう一つ、何といっても、これから貨物会社を成り立たせるためには、コンテナ輸送をふやすほかはありません。我が国の道路事情を考えれば、コンテナ貨物の潜在需要というものはかなり大きなものがあるはずです。それを生かすことができるかどうかが会社存立のかぎになります。そのためには、既存の通運会社だけに依存している今までの体制を打破しなければならない。
 通運業法というものは、かつて貨物がたくさんあって、輸送力が絶対的に不足する時代の産物であります。だから、通運業の免許というものは極めて制限的で、新規参入を抑えてきました。それが、事情が全く変わってしまった今日まで続いているのです。鉄道貨物輸送力をフルに活用するためには、この発想を百八十度転換をして、一般トラック事業者を初め、集配能力を持つものが自由に駅に出入りをして貨物を持ち込んで、貨物鉄道会社はそれを積み込んで、旅客列車並みの公表されたダイヤに従って輸送を行うという体制をつくらなければならない。運輸省ではこの際、貨物の取り扱い原則自由、制限を原則的になくしてしまって、そのための通運業法の抜本的な改正を行う意思があるかないか、それをお尋ねいたします。
 次にお尋ねしたいのは、国鉄用地の売却の問題です。
 国鉄再建監理委員会は、国鉄の非事業用地のうち二千六百ヘクタールを売却して、その代金五兆八千億を債務の償還に充てることにしております。政府は、先ほどのお話のように、それに対して、売却代金をさらにふやして国の長期債務負担を減らすことを求めています。事情の許す限り土地が高く売れて、国民負担がそれだけ軽減されるのは望ましいことです。しかし、売却代金をふやすために売却対象の土地を拡大して、非事業用地を根こそぎ売り飛ばすようなことをすれば、新事業体は成り立ちません。元来、鉄道というのは今日、もうからない事業です。都市の大手私鉄十四社の場合でも、鉄道部門だけの収支実績を見れば、昭和五十八年は赤字、昭和五十九年は、この年に運賃値上げをしたもので、かすかに一・五%の黒字という状態であります。地方民鉄に至っては、全体の七五%、四十七社が経常損失を計上しております。それを補って会社経営を成り立たせているのは関連事業収入、おおむね総収入の四〇%を関連事業によって賄っているのです。
 だから、新旅客鉄道会社の経営が軌道に乗ってからならば、いろいろな関連事業がやれるでしょうが、スタートしてしばらくの間は、少なくとも関連事業の種となる用地を奪ってしまったならば、新会社の前途は憂慮すべきものがあります。新旅客会社の株価は、いつまでたっても値上がりをしないことになります。政府としても、土地売却をふやせば、一時的に売却収入によって残存する長期債務を減らすことができるかもしれないけれども、しかし、政府出資の株式を有利に売却することができなくなってしまったら、大局的に見れば何にもならないことになるのじゃないでしょうか。政府の所見をお尋ねをいたします。
 最後に、地方交通線の取り扱いについてお尋ねをいたします。
 国鉄再建監理委員会は、答申に先立つ緊急提言の中で、バスへの転換を予定されている特定地方交通線以外の地方交通線については、分離独立を強く要求をしていました。その理由は、合理的な範囲を超える内部補助が経営意欲を阻害すること、それから、運賃、賃金水準が画一的になるということの弊害、そういうことでありました。ところが、最終答申では、この点には一言も触れておりません。政府の閣議決定もまた同様であります。しかしながら、分割後の新会社の体制にあっても、この指摘された欠陥は依然として残ります。政府は、このことをどう考えておられるか。例えば、現在の国鉄は、都市においては私鉄の倍近い運賃で、競争に負けています。一方、地方では私鉄の半分以下の運賃で赤字に悩んでおります。このような矛盾をどのように解決しようと考えているのか、それをお尋ねをいたします。
 以上、本改革法案の問題点の幾つかを指摘して質問をいたしました。冒頭に述べたとおり、今回の改革は、民営・分割という手段によって、新しい事業体の自立経営を達成することにあります。だから、この目的に沿わぬものは改めて、後になって悔いることのないものをつくり上げなければなりません。政府においても、事の本質を見間違うことのないよう万全の対応をされるように最後に要請をして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#51
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 河村議員にお答えをいたします。
 まず、法案についての弾力的対応の問題でございます。
 今回の法案は、国鉄再建監理委員会におきまして長い間慎重に討議した結果でございまして、十分検討がなされておると思い、政府といたしましては、今回提出した国鉄改革関連法案の方向こそ最善と思っております。しかし、適正な御意見につきましては、もちろん、傾聴するにやぶさかではないのでございます。
 余剰人員の受け入れの問題でございますが、昨年末に定めた基本方針に沿って全力を挙げて取り組んでいるところでありまして、現在までに約三万六千人の雇用の場を確保したところでございます。今後ともきめ細かい努力を積み重ねて、公的部門、一般産業界、国鉄関連企業を合わせて、雇用の場の確保に万全を期してまいる所存でございます。
 長期債務や新幹線リースの問題、あるいは旅客、貨物の問題等々につきましては、担当大臣から答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣三塚博君登壇〕
#52
○国務大臣(三塚博君) お答えを申し上げます。
 新幹線一括保有方式の必要性について、御私案を交え御質問をいただいたわけでございますが、新幹線は、我が国の基幹的な輸送機関として重要な役割を果たしております。同時に、二十一世紀はおろか、二十二世紀までも生き延びる有数な交通手段でありますことは、河村先生御理解のとおりでございます。このような新幹線を経営する新会社の経営基盤を均衡化してまいるということが大事であります。第二に、利用者の負担が東日本と東海あるいは西日本で違うのだということでありましては、改革の趣旨に反しますものでございますから、利用者の負担の適正化を図りますためには、現時点における収益性だけではなく、将来の輸送量の変動に対応し得るように措置していくことが適当であると考えたわけでございます。このような理由から、機構が新幹線を一括して保有し、各旅客会社に貸し付けるとともに、一定期間ごとに貸付料を見直すということにいたしたところでございます。
 さらに、二年ごとの貸付料の見直しの問題点についての御指摘でございますが、新幹線の貸付料は、法令で定めますところの客観的な基準によって算定することといたしておりまして、政府の会社への恣意的な経営介入でありますとか、さらに、経営努力を一生懸命やりましたところにプラスになるなどということのありませんように措置をしてまいるつもりでございます。
 次に、新幹線の大規模災害復旧工事を新幹線保有機構が行うことについての是非についてでございます。貸し付けをいたしました資産が大規模な災害を受けました場合に、所有者がその復旧を行いますことは、現在の国鉄と鉄建公団の例などから見ましても自然なことでございます。また、大規模災害復旧工事を機構が行うことにより、旅客会社の一時的な多額な負担を平準化することができます。以上のような見地から、機構が旅客会社の申し出に基づきまして、大規模災害復旧の工事を行うことができるといたしたところでございます。
 次に、上野―東京間の残工事についてでございますが、この区間については、既に開業いたしております東北新幹線の最後の一区間として取り扱うことが適当であると判断をいたし、新幹線鉄道保有機構が工事を行うところといたしたところでございます。なお、工事に当たりましては、機構は、新会社である東日本旅客鉄道株式会社の意見を聞くことといたしております。
 さらに、機構と整備新幹線との関係でございますが、今回の改革法案におきましては、機構が一括して保有をいたし、貸し付ける新幹線は、東北、上越、東海道及び山陽新幹線ということに相なっておるわけでございまして、これに限定をいたしたところでございます。整備新幹線のこれからの建設、貸し付けを機構が行うことを考えているわけではございません。なお、整備新幹線の取り扱いについては、先ほど来総理が答弁をされましたとおり、整備新幹線財源問題等検討委員会において検討をし、その結論を待って判断することといたしております。
 次に、鉄道貨物輸送の将来についてでございますが、鉄道貨物輸送は、長距離及び大量定型輸送の分野、拠点間輸送に特性を持っておりますことは、河村議員御案内のとおりであります。さらに、これの将来展望といたしまして、徹底いたしました輸送の効率化、コストの思い切った低減等、いわゆる民間的手法による事業運営を行うことにより、今後とも我が国の物流体系における相応の役割を十分果たしていけるものと考えておるところでございます。
 次に、新しい貨物会社の経営の見通しについてでございますが、国鉄貨物部門は現在、大変な赤字でございます。しかしながら、新しい貨物会社が、民間的手法を導入することにより、徹底した輸送の効率化、コストの思い切った低減、往復列車販売の導入等による収入の安定的確保などを図りますならば、債務免除などの措置を講じなくとも、将来にわたりまして安定的な事業運営が行っていけるのではないかと考えておるところでございます。
 次に、通運事業法の改正でございますけれども、貨物会社を成り立たせていくためには、御指摘のように、コンテナ輸送の増大が必要であります。そのためには、まず貨物会社が荷主などのニーズに十分適合した輸送サービスを提供していくことが不可欠であると考えております。通運業界は、貨物会社のそのようなサービスを前提に、一定のコンテナ収入を貨物会社に保証する意向を示しておるところでございます。よって、抜本的な改正をやれ、こういうことでございますが、今回、この法律に通運業法の改正を盛り込んだところでございますが、これは、貨物会社に対する通運事業者のこのような全面的な協力の意向を勘案した上で、新しい販売方式の導入に対応しつつ、荷主や意欲のある通運事業者にとって鉄道貨物輸送がより利用しやすくなりますように措置する観点から行ったところでございます。
 次に、売却対象用地についての御指摘でございます。国民負担をできるだけ軽くいたしますためには、売却対象用地の生み出しに努めていくことといたしたところでございますが、このため、旅客会社の新事業体に対しましては、将来の事業遂行上必要最小限度の事業用用地と、駅ビルなどの関連事業用用地などのうち一定のもののみを引き継がせることといたしたところであります。新事業体は、その健全な経営を図りますために関連事業を積極的に展開していくべきでありますが、その展開は、引き継いだ事業用資産などの範囲内で十分に行っていけるものではないかと考えておるところでございます。言うなれば、公企体から民間会社としての自由行動、行為能力を与えることによりまして、自由濶達な事業活動を展開することによりまして、総合的な収支においてその所期の目的を達することができ得ると考えております。
 次に、地方交通線についての御指摘でございます。再建監理委員会が地方交通線の分離が必要であるといたしましたのは、抜本的改革に関する意見以前の状況を踏まえたものでございまして、その後の最終意見におきましては、分割・民営化を基本とした効率的な経営体制の確立を図りますならば、これらの地方交通線も含めて新会社が経営していくことができると判断いたしたと承知をいたしております。政府といたしましては、この分割・民営会社が民営的手法と新しい発想の中で、新しい地域鉄道を目指し全力を集中して頑張り抜いてまいりますならば、地方交通線は地方交通線として、地域の足として機能していくものと思っておるところでございます。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#53
○国務大臣(竹下登君) 私に対するお尋ねは、長期債務の処理について、少なくとも残存する債務はすべて国の責任において処理することを明確にすべきである、このような御意見を交えての御質問でございました。
 一月二十八日の閣議決定におきまして、基本方針を決めたところでございます。国鉄改革に伴います最終的に国民負担を求めざるを得ない長期債務等の額は、言われておりますように、国鉄再建監理委員会の意見によれば十六・七兆円。したがって、まず用地売却の上乗せ、それらによりましてその額を極力圧縮してまいりたい。最終的に要処理額の見通しが得られるまでの間、当面、清算事業団において用地売却、借り入れ等を行って、債務の償還、雇用対策等を実施するというふうなことになっております。
 そこで、清算事業団において自主財源を充ててもなお残る長期債務等につきましては、最終的には国において処理することとしておりますが、本格的な処理のために必要な「新たな財源・措置」、これは、雇用対策、用地売却等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入歳出両面にわたっての見直しとあわせて検討、決定するという基本方針の上に立って対応してまいりたい、このように考えております。(拍手)
    ─────────────
#54
○議長(坂田道太君) 梅田勝君。
    〔梅田勝君登壇〕
#55
○梅田勝君 私は、日本共産党・革新共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました国鉄改革法等いわゆる国鉄分割・民営化七法案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 我が国の国鉄は、一八七二年開業以来、百十四年の長い歴史と伝統を持ち、国鉄が動脈として、我が国の産業、経済、国民生活と文化の向上発展に果たした役割ははかり知れません。その国鉄を分割・民営の名によってずたずたに分断、解体し、財界、大企業のもうけのための具に供して悔いを千載に残すのか、それとも、歴代自民党政府がつくり出した膨大な赤字の責任を明確にし、その危機を正しく克服する方向を示し、真に国鉄を国民の足として再生させるのか、これが今日問われている根本問題であります。日本共産党・革新共同は、国民生活を断固として防衛し、我が国の未来を切り開く党として、無謀きわまる国鉄の分割・民営は断じて許さないことをまず最初に強調するものであります。(拍手)
 まず第一に問題にしなければならないのは、政府が分割・民営化をしゃにむに強行するという結論を生み出し、それに合わせて危機の原因をすりかえていることであります。
 改革法案第一条は、「公共企業体による全国一元的経営体制」にその原因と責任があると言い、全国一本の公社制度になすりつけています。果たしてそうでしょうか。国鉄が百年以上の歴史を通じて、今日のような赤字による経営危機になったのは、ここ十数年ばかりのことにすぎないではありませんか。この一事を見ても、経営形態に原因を求むべきでないことは明らかではありませんか。国鉄危機の真の原因は、我が党が繰り返し明らかにしたように、政府・自民党、財界が、借金依存の過大投資と無責任な交通政策をとって、大企業の急速な資本蓄積に奉仕したことにあることは明白であります。我が党は、早くからこのことを警告し、国民が必要とする鉄道の基礎建設と改良、政策割引、地方線維持に必要な公共負担を国が見るべきであると主張してまいりました。総理、この我が党の提言を取り入れていたならば、今日の危機を回避できたのではありませんか。
 ところが、政府は、第一次輸送力増強計画以来、一連の再建計画の中で鉄建公団や新幹線をつくりながら、借金依存で危機を深刻にしたのであります。総理、ところが、あなたは、一九六九年九月、あなた自身が主宰した国鉄財政再建推進会議の意見書に基づき、第二次佐藤内閣の運輸大臣として、国鉄の設備投資の枠は十年間に三兆七千億円に抑えると閣議決定されながら、一九七三年、今度は通産大臣として入閣していた田中内閣のとき、なぜこれを覆し、十兆五千億円へと一挙に三倍加するようなことをされたのでしょうか。総理、その結果、今日の膨大な借金となってはね返っていることを考えるならば、その責任は重大であります。
 ところが、政府も国鉄再建監理委員会も、この真の原因と責任については何ら触れず、専ら経営形態と巨大組織に責任を転嫁し、民営・分割に突っ走ろうとしているのは本末転倒ではありませんか。総理は、この明白な歴史的事実まで否定できないでありましょう。国鉄危機をもたらした責任について明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 第二にお尋ねしたいことは、決まってもいない分割・民営化を既定の事実化するために、ごり押しにごり押しを重ねるファッショ的手法についてであります。
 国鉄再建の管財人のようにあらわれた国鉄再建監理委員会が、国鉄に強要し、全国の駅や電車の中に「民営・分割で元気になります」などのふざけた広告を張り出させる権限をだれによって与えられていますか。国鉄労働者には、まだ決まってもいない新会社への移行を前提とした進路調査や広域配転、勤務評定による選別作業、いわゆる余剰人員対策などが既成事実として進められています。特に重大なことは、職場では、このような首切り雇用問題、広域配転という労働条件の重大な変化について団体交渉も認めないという、憲法も労働法規も無視した無法状態をつくり出していますが、国鉄がそのような超法規的権能を有しているとでも言われるのでありますか。
 もともと再建監理委員会の設置とその人選そのものが間違いです。五年間で千六百五億円も国鉄から受注した住友グループの代表者を委員長に据え、元運輸省幹部などを並べた構成では、国鉄危機の真の原因が探求できるはずもなく、また、国民本位の再建計画を立てられるはずもなかったのであります。政府は、この点においても根本的な誤りを認めるべきではありませんか。もともと一審議会にすぎない国鉄再建監理委員会が、今や国会の上に君臨し、審議の中身も公開せず、資料も提出を拒否して、しかも、国会で何ら分割・民営化の法律を決定していないにもかかわらず、国鉄に政府機関として実行させている暴挙は直ちにやめるべきであります。総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 第三の問題は、分割・民営化が一体だれに奉仕するものかという点であります。
 総理、国鉄改革法案では、現在の日本国有鉄道法第一条にある「公共の福祉を増進することを目的」とする条項が全く姿を消しております。総理、あなたは、公共の福祉を増進させ、国民に奉仕するという国鉄本来の設立目的は誤りだという前提に立っておられるのか、はっきりお答えください。国民への奉仕をやめた後は、一体だれに奉仕するのでありましょうか。それが都心の超一等地、もうかる路線、もうかる部門を格安で手に入れる不動産、私鉄、建設産業などの巨大企業となることは目に見えております。
 国鉄改革法案によれば、旅客は六分割、貨物は全国一社、その他合わせて二十四も新しい法人をつくることになっています。しかし、これらは、完全民営化にすると言いながら、鉄道の再生のためとして、現在抱えている国鉄の長期債務を大きく軽減し、または免除し、資産も簿価で引き継ぐことにしております。北海道、四国、九州の旅客鉄道会社は、借金なし、すべての資産はただでもらい、基金からの助成を受けます。本州の場合でも、すべての鉄道資産と名のつくものは、帳簿価額の約七割の借金を引き継ぐことで全財産をもらい受けます。これは例えば、一年間で五百億円の利益を上げている山手線がわずか四百億円で民間会社のものになるというものでありまして、こんな有利な条件で事業を始める民間会社があるでしょうか。総理、これがあなたの言う民間活力の導入ということでありますか。これでは、国がただ同然で国有財産、国有企業である国鉄を民間資本、財界に払い下げてやる財界奉仕そのものではありませんか。
 また、総理、貨物ヤード跡地など膨大な土地約二千六百ヘクタールが売却されようとしておりますが、坪当たり七十四万円では、財界にただでやるようなものではないかと厳しい国民批判が噴出しているではありませんか。我が党は、将来国鉄輸送のために必要とされるような、しかも国民共有財産である国鉄用地の安易な売却は避けるべきだと考えておりますが、なぜ政府は、五兆八千億円の売却予定の用地の試算根拠の国会提出を拒否するのですか。ここにも大企業本位の国鉄解体の姿が露骨にあらわれていると思いますが、(発言する者あり)
#56
○議長(坂田道太君) 静粛に願います。
#57
○梅田勝君 (続)総理の明確な答弁を求めるものであります。(拍手、発言する者あり)
#58
○議長(坂田道太君) 静粛に願います。――静粛に願います。
#59
○梅田勝君 (続)次は、(発言する者あり)
#60
○議長(坂田道太君) 静粛に願います。
#61
○梅田勝君 (続)私鉄並み経営がもたらす鉄道網の恐るべき破壊についてであります。
 既に第一次、第二次の特定地方交通線は廃止が進められてまいりました。最近、国鉄は第三次線、十二線区三百三十八・九キロの廃止申請を出しております。この中には、日本三景の一つ、天橋立を経由する宮津線まで含んでいます。このような暴挙には、地域住民はもちろんのこと、知事、市町村長、議会など関係地方自治体が挙げて反対しております。自治大臣は、この声をどうするおつもりでありますか。国鉄改革法等施行法案では、監理委員会意見に沿って特定地交線の廃止の手順を定め、新しい鉄道事業法案では、運輸大臣は、「公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除き、」許可としておりますが、このように猛烈な反対があり、国民の交通権を侵害するようなローカル線の廃止は、当然認められないものと思いますが、(発言する者あり)
#62
○議長(坂田道太君) 静粛に願います。
#63
○梅田勝君 (続)総理並びに運輸大臣の明確な答弁を求めます。
 しかも、民営・分割で切り捨てられるのはローカル線だけではありません。ここに運輸省審議官だった方の書いたものがあります。民営の意味を徹底して受けとめれば、利潤の生じない線は経営の対象としないことになるだろう、すると、地方交通線はもちろん、多くの幹線も廃止の対象となると危惧をしているのであります。もしそうなりますと、全国約二万一千キロのうも、約七千キロの地方交通線はなくなり、幹線でも輸送密度の低いところ、例えば、北海道の根室本線、東北の奥羽本線、関西では紀勢本線、中国の山陰本線、四国では予讃本線、九州では筑肥線などは、赤字路線を理由に廃止対象になりかねないのであります。(発言する者あり)
#64
○議長(坂田道太君) 静粛に願います。
#65
○梅田勝君 (続)そうならないという保証は一体どこにありますか。政府の手を汚さずに赤字幹線まで切り捨てられる、それが民営化の重要なメリットの一つだと考えておられるのではありませんか。素直にお答えいただきたい。(拍手)
 第四は、国民が負わされようとしている膨大な国鉄の借金についてであります。
 そもそも、分割・民営が赤字、借金対策の切り札だと言ってきたのは政府自身であります。国鉄再建監理委員会が当初言っていた国鉄の長期債務は二十兆円。ところが、答申では、「等」を入れて三十七兆三千億円。国鉄解体のどさくさに紛れて、国鉄とは全く別法人の鉄建公団や本四架橋公団の借金まで国鉄に押しつけ、一挙に倍近くの水増しではありませんか。乱脈経理、不正経理で工事費を当初予定の三倍にふくらませてきた上越新幹線の借金、使い道も決まらない青函トンネルの借金、永久に列車が通らない鳴門大橋の借金をなぜ国民が払わなければならないのか、納得のいく説明をぜひ伺いたいものであります。
 しかも、この長期債務の大半を国鉄清算事業団に引き継がせ、結局は国民に負担させようとしているのではありませんか。なぜ国鉄に寄生して利益を得、これからも得ようとしている大企業に負担させないのでありますか。事業団の財源は、土地と株の売却収入、新幹線のリース料だけで、年金や三島基金の負担、余剰人員対策費に使ってしまえば消えてしまい、とても膨大な借金返済はできないではありませんか。ところが、政府は、新たな財源措置は、用地売却等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入歳出の全般的見直しとあわせて検討、決定するとしているだけで、極めて無責任ではありませんか。もし土地売却の予定期間の十年間に、この財源対策が放置され、借金の借りかえで事態を糊塗するならば、借金は雪だるまのようになり、十年後には、十六兆七千億円とされる国民負担は、三十兆円を超えるではありませんか。それも国民に押しつけるつもりですか、総理並びは運輸大臣、そして大蔵大臣の明確な答弁を求めます。(拍手)
 第五の問題は、国鉄労働者の雇用と権利、国鉄の安全を守ることであります。
 日本の国鉄の正確さと労働生産性の高さは世界の定評であります。ところが、最近の労働者への攻撃と、つくられた余剰人員による合理化で、職場での人権侵害、乗客へのサービス低下は目に余る状態であります。動力車の一人乗務、列車係の廃止、無人駅や無人ホーム、線路見回りの間引きや保守の手抜き、車両検修周期の延伸、出改札、検修の部外委託、下請化、過密ダイヤの超勤労働などの押しつけによって、この五年間だけで十五万四千人の人減らしを行い、さらに、十八万人体制へ向けて約十万人の首切りが計画されております。これでは、昨年八月の日航事故があすの国鉄かと思わざるを得ません。直ちにやめるべきではありませんか。また、行革や円高不況で雇用情勢が厳しい今日、まず国が率先して雇用確保を図るため、国鉄での大量首切りをやめるべきではありませんか。さらに、かかる重大な首切り雇用問題について、団体交渉さえ拒否する国鉄の態度は、一九四九年、アメリカ軍占領下の悪名高い定員法首切り以上に労働者の権利を侵害し、憲法第二十八条、公労法第八条をじゅうりんするもので、断じて許せません。総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 第六は、国鉄再建の基本方向であります。
 分割・民営化は、国民の求める国鉄再建ではありません。新幹線保有機構や貨物会社、情報通信会社など多くの問題点がありますが、そのいずれもが、分割・民営化の論理の破綻を示すものであります。そして、監理委員会の意見どおりの助成を現在の国鉄にするなら、既に国鉄当局の試算では、償却前黒字となり、大きく健全経営に向かうことは明らかであります。ならば、国の責任で、国民の足、国鉄の再建を国鉄として図るべきではありませんか。民営、私鉄になれば金を出すが、国鉄であれば出さないという理由は何でありますか、総理の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 総理、以上述べたとおり、本法案は、国民にとって百害あって一利なく、国鉄労働者にとって耐えがたいものであり、また、公共鉄道を重視する世界の大勢に逆行するものであり、撤回すべきものではありませんか。
 最後に、日本共産党・革新共同は、真に国民と利用者本位の国鉄再建と国鉄労働者の生活と権利を守るために、全力を尽くして奮闘する決意を表明いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#66
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 梅田議員にお答えを申し上げます。
 まず、国鉄危機の原因と責任の問題でございますが、先ほど来しばしば申し上げましたように、公社制度による膨大な全国一元的体制という問題がやはり時代に適応しなくなった、そういう点が大きな点ではないかと思うのであります。
 次に、国鉄当局が関係法律案の速やかな成立を期待しつつ、法令に基づく業務の範囲内において必要な準備を進めることは、当然であると理解をしております。なお、労働関係については、法令に基づいてその処理に当たっておるものと認識しております。
 さらに、国鉄再建監理委員会の審議内容等につきましては、自由濶達なる意見を保障するために、これは非公開にしておるところでございますが、詳細な資料等は国会に対しても提出しておるところであります。
 次に、国鉄の設立目的というものは、公共の福祉の増進を果たすために行われているものと思います。しかし、公社制及び全国一元の経営形態では、輸送構造の変化に的確に対応できずに、真に利用者の利便に応ずることができなくなってきて、今回の改革になった次第でございます。
 資産の問題につきましては、事業に必要な資産を事業遂行できる範囲の債務とともに引き継がせるものであり、正当適正なものと理解しております。
 用地の試算の問題でございますが、二千六百ヘクタール、五・八兆円の監理委員会試算は、それなりに根拠があるものと理解しています。今後、政府、国鉄においてさらに検討を進め、これに極力上乗せを図ることとしておるところであります。
 特定地方交通線の問題については、代替輸送の確保を図ることとなっており、公衆の利便を著しく阻害するというおそれはないものと考えております。
 さらに、赤字線廃止の問題につきましては、新会社が健全な経営を行うことが可能となり、現状のまま維持する場合に比べ、より多くの鉄道路線が維持されていくものと認識しております。
 鉄建公団やあるいは本四公団の債務の問題でございますが、これは、鉄建公団、本四公団の建設する鉄道は、国鉄の負担で経営することを前提としたものでありまして、その経緯等から、他の債務とともに清算事業団等により適切に処理することとしておるところであります。
 長期債務の処理の問題につきましても、しばしばお答えいたしましたとおりでございまして、雇用や用地売却等の見通しのおおよそつくと考え得る段階で、歳入歳出の全般的な見直しとあわせて検討することになっております。
 余剰人員の問題につきましては、先ほど来申し上げたとおり、約三万六千人の雇用を既に内定しておるところであり、安全や必要なサービスまで低下させた結果生じたものではないのでございます。
 さらに、いわゆる首切りという御質問がございましたが、これは、効率的な経営形態を確立するためにやむを得ず行ったことであり、離職者対策については十分な配慮をしておるところであります。
 次に、公社制のままでの助成強化による再建についてでありますが、国鉄の巨額な負担について国民の理解を得るためには、やはり分割・民営化という抜本的な改革を実施して、国鉄の最大限の自助努力のもとに効率的な経営体制を実現することが必要不可欠であると思います。
 法案を撤回すべしという御議論でございますが、撤回する意思はございません。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣三塚博君登壇〕
#67
○国務大臣(三塚博君) それでは、特定地方交通線の廃止手順と鉄道事業法案の関係についてでございますが、今回提案をいたしておる法案では、各旅客会社において特定地方交通線対策を継続することといたしておりますが、各路線の廃止の正式な決定は、鉄道事業法案に定める許可処分により行われることと相なります。この場合に、特定地方交通線の廃止については、代替輸送が確保されることに相なりますので、公衆の利便が著しく阻害されるということには相ならぬわけでございます。
 清算事業団への財源措置についてでございますが、去る一月二十八日閣議決定で明らかにいたしましたとおり、清算事業団において自主財源を充てる、なお残るものについては、最終的には国において処理することといたしました。そのために必要な「新たな財源・措置」については、雇用対策、用地売却等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入歳出の全般的見直しをあわせて検討、決定することといたしております。
 長期債務につきましては、総理から詳細な答弁がございましたので、そのとおりでありますので、終わらさしていただきます。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
#68
○国務大臣(竹下登君) ただいまのいわゆる長期債務問題、今、運輸大臣からもお答えがあり、その前に総理から正確なお答えがありました。いずれにせよ、用地売却の上乗せ等によりましてその額をまずは極力圧縮する、そして最終的には、まさに歳入歳出の全般的見直しとあわせて検討すべき課題である、このように考えております。(拍手)
    〔国務大臣小沢一郎君登壇〕
#69
○国務大臣(小沢一郎君) 特定地方交通線の問題でございますが、これが住民生活や地域産業に与える影響につきまして、懸念を表明している関係地方公共団体もあることは承知いたしております。自治省といたしましても、基本的には、特定地方交通線対策の実施に当たりましては、地域の実情や関係地方公共団体の意見を尊重し、地元の理解と協力の上に立って進めていく必要があるとともに、住民生活や地域産業に支障を生じないよう、地域交通の確保について国として十分な配慮をすべきであると考えております。(拍手)
#70
○議長(坂田道太君) これにて質疑は終了いたしました。
     ────◇─────
#71
○議長(坂田道太君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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