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1985/05/21 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 本会議 第30号
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1985/05/21 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 本会議 第30号

#1
第104回国会 本会議 第30号
昭和六十一年五月二十一日(水曜日)
    ─────────────
 議事日程 第二十八号
  昭和六十一年五月二十一日
    午後二時開議
 第一 公職選挙法の一部を改正する法律案(公職選挙法改正に関する調査特別委員長提出)
 第二 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第三 扶養義務の準拠法に関する条約の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
 第四 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第五 扶養義務の準拠法に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
    ─────────────
○本日の会議に付した案件
 福家俊一君の故議員前川旦君に対する追悼演説
 運輸審議会委員任命につき同意を求めるの件
 日程第一 公職選挙法の一部を改正する法律案(公職選挙法改正に関する調査特別委員長提出)
 衆議院議員の定数是正に関する決議案(綿貫民輔君外十四名提出)
 日程第二 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第三 扶養義務の準拠法に関する条約の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
 日程第四 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第五 扶養義務の準拠法に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
    午後二時五分開議
#2
○議長(坂田道太君) これより会議を開きます。
     ────◇─────
#3
○議長(坂田道太君) 御報告いたすことがあります。
 議員前川旦君は、去る十一日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 同君に対する弔詞は、議長において去る十八日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力された議員正四位勲二等前川旦君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
    ─────────────
 故議員前川旦君に対する追悼演説
#4
○議長(坂田道太君) この際、弔意を表するため、福家俊一君から発言を求められております。これを許します。福家俊一君。
    〔福家俊一君登壇〕
#5
○福家俊一君 ただいま議長から御報告がありましたとおり、本院議員前川旦君は、去る五月十一日、五十六歳の若さで逝去されました。何たる悲運、まことに痛惜の念にたえません。
 君の御尊父、故前川正一先生と私は、戦時中より衆議院議員として、ともに手を携えて、同郷のよしみで特別じっこんの間柄で活躍した仲でありますが、今や私が、この壇上において、正一先生の御子息であり、いまだ春秋に富む君に対し、議員一同を代表して追悼の辞を申し述べることは、人の世のめぐり合わせとは申せ、痛恨のきわみであり、感慨無量なものがあります。(拍手)
 前川君は、昭和五年三月、香川県高松市に生をうけられ、長じて参議院議員の秘書として勤務する傍ら、中央大学法学部を優秀な成績で卒業されました。地下足袋の正一さんの愛称のもと、今なお県民に敬慕されている農民運動指導者の父君と、婦人運動の先駆者であり、戦後いち早く婦人議員として香川県議会で地方自治のために尽くされたトミヱ女史を母堂に持った君は、御両親の薫陶を受けた根っからの社会主義者でありました。(拍手)大学在学中に早くも日本社会党に入党された真の闘士でもあったと言えるでしょう。
 君は、その後、昭和三十年から約七年間、香川県労働金庫に勤務されたのでありますが、政治への情熱を燃やし続け、得意のアコーディオンやピアノをみずから演奏し、新しい「うたごえ運動」の先頭に立ちながら、社会党の組織強化に日夜を分かたず奮闘されたのであります。かくして、君の熱情たぎる人柄は多くの人々の敬慕するところとなり、将来を嘱望されて、昭和三十八年九月、日本社会党香川県本部専従となられました。君は、労働、教宣の各部長を歴任され、党勢の拡大に努めるとともに、労働運動の進展に力量を遺憾なく発揮し、その手腕は高く大きく評価されておるところであります。
 昭和四十年七月、第七回参議院議員通常選挙が行われるや、日本社会党公認候補者として勇躍出馬し、弱冠三十五歳、香川県が送る初の昭和生まれの参議院議員として光栄ある議席を獲得されたのであります。(拍手)そして、俊英なる君は、建設、決算、予算などの各委員会の委員あるいは理事として幅広く国政の審議に当たられ、八面六臂の精励ぶりには、与野党の別なく、同僚議員がひとしく敬服いたしているところであります。
 昭和四十九年には、さらに決算委員長の要職につかれ、持ち前の責任感と積極性とをもって公正円滑な委員会の運営に当たり、よくぞその重責を全うされました。
 君は、第十一回参議院議員通常選挙では一敗地にまみれ、無念の涙をのんだのでありますが、郷里の大先輩である成田知巳元社会党委員長の急逝により、昭和五十四年十月の第三十五回衆議院議員総選挙に立候補し、心機一転、父正一先生の地盤を継いだ成田元委員長の遺影を胸に選挙戦に臨み、見事最高点当選の栄冠に輝かれました。(拍手)
 本院議員としての君は、建設、農林水産、安全保障などの各委員会の委員あるいは理事として、卓越した識見と誠実をもって幾多の難問題の解決に挺身されました。国体の安全と世界の平和を願う君は、特に防衛、軍縮問題に全力投球し、与野党対決ではなく、高い国際的識見から対話の姿勢で質疑に臨まれました。(拍手)非核三原則を厳守しつつ、現実を踏まえた議論を展開されたその姿は、感動的でありました。一方、党にあっては、本州四国連絡橋対策特別副委員長、香川県本部委員長等の要職に就任され、政策の推進と党務の処理に臨み、郷土香川の発展にも取り組まれました。
 毀誉褒貶を顧みず、郷土愛あふるる君は、常に我々香川県選出国会議員の先頭に立ち、党派を超えて瀬戸大橋の建設、新高松空港の建設と香川県開発のための大プロジェクトを推進され、県民の期待にこたえてその実現を見ることとなったのであります。今、瀬戸大橋の架橋は、六十三年の開通を目指してつら音高く郷土に響き渡っています。架橋完成の暁には、君と二人そろってテープカットしようと約束していたのに、その完成を見ずして冥界へ旅立たざるを得なかったことは、君にとっても大きな心残りであったでありましょう。私にとってもまことに残念でありました。しかし、県民は必ずや君の業績をしのび、熱い涙を浮かべつつ後世に伝えることでありましょう。
 かくて前川旦君は、国会議員として在職すること十八年十カ月の長さに及び、その間、国政に尽力された功績はまことに偉大なものがあります。(拍手)
 君は、常に、「政治の第一歩は、国民の抱いている不安と心配を解決し、国民生活の向上に努めることである」と語っておられました。君の温顔に接し、だれとでも気さくに話し合う人柄に対し、県民は「旦ちゃん」と呼んで親しみ、君は誠実と正義をもってこれにこたえ、コップ酒を酌み交わしながら大衆の中に溶け込み、住民とともに歩んだ真の大衆政治家であり、草の根運動の先駆者でもありました。また、クラシック音楽や仏像など古美術にも造詣深く、美学の徒でもありました。
 私が君の政界引退の知らせを耳にしたのは、昨年秋のことでありました。君とは同じ選挙区であり、一票を相争う好敵手でありましたが、君ほどの人格者を国政の場から失うことは、イデオロギーを超え、党を超えて惜しまれてならないとの一念から、日本社会党の石橋委員長に対し、「成田元社会党委員長、父前川正一君及び旦ちゃんの三代にわたる伝統ある議席を失うことがあってはならない。ついては、社会党香川県連並びに旦ちゃんを説得されたい」と申し入れたのであります。石橋委員長は、党派を異にする私の申し入れに快く賛同され、社会党大会前の多忙中にもかかわらず、説得のためその日のうちに高松入りをしてくださいました。
 そのとき、私は、石橋委員長の党首としての思いやりに深い感銘を受けました。しかし、時既に遅く、病魔に冒されている旦君は、自分の運命を自覚していたのでありましょう。委員長の説得にも、旦君は翻意されず、また、社会党香川県連内の事情からか、これを認めてもらえなかったようであります。今にして思えば、旦君にとっては余りにも酷な私のお願いであったのでありましょうか。返す返すも残念で、私は泣くに泣けない心境であります。
 君の死の直前、私が見舞った際、「お互いに元気を出してないしょで酒でも一杯やろう」と励まし合いながら、街頭の屋台店でハイボールを口にしようとしたら、いきなり君は私の腕をとり、「君は大切な体ではないか。医者から飲むなととめられているのじゃないか」とグラスを取り上げて路上にその中の酒を投げ捨ててしまったのであります。そして君自身も、「おれも飲めないのだ」と言って、グラスの縁をなめるのみでありました。君が私の腕をつかんだその力強さと友情の温かさが、今もなお生々しく私のこの体内に生きております。(拍手)君の友情の深さを改めて思い知らされたというのに、このとき見舞いに行った機会が、私と君の永遠の別れになってしまったのであります。
 白菊会の会長であった君は、死してもなお義務を遂行すべく、医療の発展のために香川医科大学に、みずからしかばねを教材として献体第一号として取り計らわれました。銅のごとき君のその心根に、ただただ感銘するばかりであります。(拍手)
 私は、親友の一人として、率直に申し上げますが、君は死んではおりません。君の政治家としての魂は、この衆議院本会議場の中に脈々として生きております。私は、私に議席のある限り、君の遺影を胸に抱き、主義主張は異なっても、君と政治への情熱を燃やし続けたいと存じます。(拍手)
 社会党の同僚諸君、旦ちゃんの死をむだにせず、国民の選良として高い見識を持って、旦ちゃんのしかばねを乗り越えて日本国のため、国民のためのニュー社会党として、大きく寄与されんことを期待しております。
 旦君の長年にわたる政治生活を、内にあって支えてこられた奥様を初め御遺族に対しては、その胸中を察するとき、お慰め申し上げる言葉もございません。深くこうべを垂れるのみであります。
 最後に、もう一度繰り返して申し上げます。厳しい内外の試練の中にある今日、君のような有為な大衆政治家を失いましたことは、日本社会党のみならず、国家国民にとっても大きな損失であり、惜しみても余りあるものがあります。さらば前川君、また会う日もあるであろう。
 ここに、君の御功績をたたえ、人となりをしのびつつ、心から御冥福をお祈りして、哀悼の言葉といたします。(拍手)
     ────◇─────
 運輸審議会委員任命につき同意を求めるの件
#6
○議長(坂田道太君) お諮りいたします。
 内閣から、運輸審議会委員に渡辺芳男君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。
     ────◇─────
#8
○議長(坂田道太君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。
    ─────────────
 日程第一 公職選挙法の一部を改正する法律案(公職選挙法改正に関する調査特別委員長提出)
#10
○議長(坂田道太君) 日程第一、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。公職選挙法改正に関する調査特別委員長三原朝雄君。
    ─────────────
 公職選挙法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔三原朝雄君登壇〕
#11
○三原朝雄君 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及びその概要を御説明申し上げます。
 衆議院議員の定数是正につきましては、過去二回、昭和三十九年及び昭和五十年に、議員総定数を増員することによって行われたところでありますが、その後の大幅な人口の地域間移動により、議員定数の配分は、各選挙区間において著しい不均衡を生じ、昭和六十年国勢調査の速報値によりますと、議員一人当たり人口の格差は、一対五・一二倍にまで開いているのであります。
 さらに、昭和六十年七月の最高裁判所の判決において、現行の衆議院議員の選挙区別定数の配分規定については、憲法の選挙権の平等の要求に反し全体として違憲との判断が示され、その速やかな是正は、国会に課せられた緊急かつ重要な課題となっているところであります。
 もとより、我々は、衆議院議員の定数是正は、議会制民主主義の根幹にかかわる問題であることを深く認識し、数年来、その是正に向けて真剣に取り組んできたところでありまして、さきの国会においては、次期国会での定数是正の実現を期する旨決議いたしたところであります。
 今国会におきましても、各党会派において、極めて精力的に努力が重ねられてきたところでありますが、去る八日、その意見を踏まえての議長調停が提示された次第であります。
 公職選挙法改正に関する調査特別委員会におきましては、この議長調停に基づいて是正案の作成につき協議してまいりましたところ、去る十六日の委員会において成案を得、これを委員会提出法律案と決した次第であります。
 なお、その際、内閣の意見を聴取いたしました。
 本案は、当面の暫定措置として、議員一人当たり人口の格差が特に著しい選挙区について、定数の増員、減員及び選挙区の区域の変更により是正を行おうとするもので、その内容は次のとおりであります。
 第一に、定数を増員すべき選挙区についてでありますが、当分の間、北海道第一区、埼玉県第二区及び第四区、千葉県第一区及び第四区、東京都第十一区、神奈川県第三区、大阪府第三区の八選挙区において、議員定数をそれぞれ一人増員することといたしております。
 第二に、定数を減員すべき選挙区についてでありますが、当分の間、秋田県第二区、山形県第二区、新潟県第二区及び第四区、石川県第二区、兵庫県第五区、鹿児島県第三区の七選挙区において、議員定数をそれぞれ一人減員することといたしております。
 第三に、選挙区の区域について、隣接選挙区との境界を変更すべき選挙区についてでありますが、当分の間、和歌山県第一区に属する海草郡は、和歌山県第二区に属するものとし、愛媛県第一区に属する伊予市及び伊予郡は、愛媛県第三区に属するものとし、また、大分県第一区に属する大分郡挟間町は、大分県第二区に属するものといたしております。
 これにより、衆議院議員の総定数は、当分の間、一人増員して五百十二人となり、また、選挙区別議員一人当たり人口の最高と最低との格差は、三倍未満となるものであります。
 なお、この法律は、公布の日から起算して三十日に当たる日以後初めて公示される総選挙から施行するものといたしております。
 以上がこの法律案の提案の趣旨及び内容であります。
 何とぞ、議員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#12
○議長(坂田道太君) 本案に対しては、松本善明君外二名から、成規により修正案が提出されております。
 この際、修正案の趣旨弁明を許します。瀬崎博義君。
    ─────────────
 公職選挙法の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔瀬崎博義君登壇〕
#13
○瀬崎博義君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま上程されました公職選挙法の一部を改正する法律案に対する修正案について、その趣旨弁明を行います。
 今回、公職選挙法改正調査特別委員長から提出された公職選挙法の一部を改正する法律案は、提出に至る手順、手続が、議会制民主主義と国会運営のルールを踏みにじる異常かつ異例のやり方となっている点でも、さらに、法案の内容が定数是正の名に値しないその場逃れとなっている点でも、断じて容認できないものであります。(拍手)
 我が党は、選挙権の平等と民意の公正な反映を保障するという定数是正の原点、並びに昨年十二月二十日の全会一致の国会決議の趣旨に基づき、既に一月二十八日、抜本的な定数是正法案を本院に提出しているのであります。
 ところが、自、社、公、民各党は連合して、国会の正規の機関である公職選挙法改正調査特別委員会を、五月十六日に至るまでただの一回も開かず、さらに、自民、民社両党は、本会議での趣旨説明を口実として、我が党提出法案の審議を妨害し続けて、今日に至っているのであります。言語道断の暴挙と言うほかありません。(拍手)
 しかもその一方で、議長見解と国会決議を受けた国会対策委員長会談の確認に基づいて、各党の合意を得るための機関などと称して、定数是正問題協議会を設置、我が党を排除して、一般マスコミでさえ、極端な秘密主義が貫かれていると報道したほどの密室協議を重ねたのであります。──────────────────────しかも、自、社、公、民の各党は、法案を委員長提案とすることによって、法案の委員会審議の省略をも図ったのであります。
 こうした議会制民主主義の恐るべき形骸化、じゅうりんに対し、日本共産党・革新共同は、心からの怒りと抗議の意を込めて、修正案を提出しているのであります。
 国会のルール、議会制民主主義を無視して提出された公職選挙法一部改正案は、内容においても、定数是正の名に値しないごまかしに終始しているのであります。
 原案は、第一に、選挙区間の議員一人当たりの人口格差を三倍まで許容しています。
 格差三倍を認める理由として、合憲か違憲かの境界線を一対三とする見地を示した最高裁判決が援用されますが、明確な理論的根拠を欠き、絶対化すべき理由には到底なり得ません。それどころか、今年二月の東京高裁判決が格差二倍以上を違憲としたのを初め、是正に当たっての格差基準を示した高裁判決のうち、二倍以上を違憲としたものは四件にも上り、三倍以上とするものを上回ってさえいるのであります。格差三倍論は、国民の常識、学者の通説に反するばかりか、司法の中でも破綻しつつあり、格差二倍未満の是正こそ、天下の道理、違憲状態解消の最小限度の措置なのであります。
 原案は、第二に、現行中選挙区制に新たに四つの二人区を導入しています。
 二人区が、議席に結びつかない得票、いわゆる死票を大幅にふやし、民意の公正な反映に反することは、余りにも明白です。それはまた、将来、五人区を二人区と三人区に、四人区を二人区と二人区に分割することを可能にするなど、現行中選挙区制の崩壊に道を開くばかりか、一人一区の小選挙区制のステップとなり、日本型ファシズム推進の危険性すら内包していることを指摘せざるを得ません。現に、自民党の代表が先国会、抜本是正の際には小選挙区制を含めて検討すると言明しているのであります。かかるごまかしの定数是正法案をそのまま成立させることは、国会史上に重大な汚点を残すことになるのであります。
 そこで、我が党は、一九八五年国勢調査結果の速報値をもとに、憲法と国民の要請にこたえる公正、民主的な是正を実現するため、抜本的な修正案を提出しているのであります。
 その内容は、第一に、定数是正の原則について明確にし、これを公職選挙法に明記することとしております。その原則は、現行選挙区定数三ないし五人の中選挙区制を維持すること、定数是正に当たっては、各選挙区ごとの議員一人当たり人口比を少なくとも一対二未満とすること、国勢調査結果によって定数是正を行うよう義務づけることの三点であります。
 第二に、衆議院の総定数は、当面、現行の五百十一人とすることとしております。しかし、このことは、現行総定数を不動のものとして固定化することを意味するものではありません。選挙区制度の根本は、主権者の意思をより正しく反映させることにあり、そのために、現行総定数の変更が必要とされる場合も起こり得るとの立場に立つものであります。
 第三に、以上の基準に基づき、具体的な是正は次の方法で行っております。
 一九八五年国勢調査人口を基礎に、議員一人当たりの人口が最小である選挙区の定数から順次削減し、議員一人当たりの人口が最大である選挙区の定数を順次増員して、格差が一対二未満となるよう是正する。是正によって定数が二人以下となった場合には、同一都道府県内の適切な隣接選挙区と合区し、定数が六人以上となった場合は分区する。必要な場合には、適切な隣接選挙区との境界線変更により再編する。以上の分区、再編に当たっては、社会的、地理的条件を考慮し、また、現行の行政区画、すなわち市、区、町、村の範囲で行うという方法をとっているのであります。
 以上の原則並びに方法による是正の結果、増員対象区二十三選挙区で三十二人を増員し、減員対象区三十一選挙区から三十二人を減員することとしているのであります。また、定数格差は一対一・九九七となるのであります。
 自、社、公、民、社民連五党は、「速やかにその抜本改正の検討を行う」とする決議の提出を予定していますが、その抜本改正が真に格差二倍未満、二人区及び六人区解消を意味するものであるならば、まさにその原則に基づき、かつ、これまでの他党案とも共通する是正方法を採用した我が党修正案を受け入れるのが、道理ある態度であります。そうでないなら、将来抜本改正を行うとは、委員長提出の欠陥だらけの原案を暫定是正だからとして合理化し、世論をかわすための逃げ口上とするものにすぎず、実行の保証はないと言わざるを得ないのであります。(拍手)
 国権の最高機関としての国会の任務を果たすという大道に立って、我が党提出の修正案に賛成されるよう強く主張して、趣旨弁明を終わります。(拍手)
    ─────────────
#14
○議長(坂田道太君) これより採決に入ります。
 まず、松本善明君外二名提出の修正案につき採決いたします。
 松本善明君外二名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#15
○議長(坂田道太君) 起立少数。よって、修正案は否決されました。
 次に、日程第一につき採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#16
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。
     ────◇─────
#17
○桜井新君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、綿貫民輔君外十四名提出、衆議院議員の定数是正に関する決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略して、この際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#18
○議長(坂田道太君) 桜井新君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ─────────────
 衆議院議員の定数是正に関する決議案(綿貫民輔君外十四名提出)
#20
○議長(坂田道太君) 衆議院議員の定数是正に関する決議案を議題といたします。
 提出者の趣旨弁明を許します。越智伊平君。
    ─────────────
 衆議院議員の定数是正に関する決議案
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔越智伊平君登壇〕
#21
○越智伊平君 ただいま議題となりました衆議院議員の定数是正に関する決議案につきまして、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び社会国民連合を代表して、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    衆議院議員の定数是正に関する決議案
  選挙権の平等の確保は議会制民主政治の基本であり、選挙区別議員定数の適正な配分については、憲法の精神に則り常に配慮されなければならない。
  今回の衆議院議員の定数是正は、違憲とされた現行規定を早急に改正するための暫定措置であり、昭和六十年国勢調査の確定人口の公表をまって、速やかにその抜本改正の検討を行うものとする。
  抜本改正に際しては、二人区・六人区の解消並びに議員総定数及び選挙区画の見直しを行い、併せて、過疎・過密等地域の実情に配慮した定数の配分を期するものとする。
  右決議する。
以上であります。
 衆議院議員の定数是正問題については、さきの第百三回国会において議長見解が示され、それを踏まえて、速やかに選挙区別定数是正の実現を期する旨の決議を行いました。
 今国会に入りまして、各党間で精力的な話し合いが続けられ、去る五月八日、議長から調停が示されました。その後、公職選挙法改正に関する調査特別委員会の協議を経て、同委員会から公職選挙法の一部を改正する法律案が提出され、ただいま可決された次第であります。
 本決議案の提出に当たりましては、議院運営委員会の理事各位の間で鋭意協議を重ね、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党。国民連合及び社会民主連合の五党共同提案として提出いたすことになったものであります。
 何とぞ、議員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#22
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#23
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。
     ────◇─────
 日程第二 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
#24
○議長(坂田道太君) 日程第二、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。運輸委員長山下徳夫君。
    ─────────────
 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔山下徳夫君登壇〕
#25
○山下徳夫君 ただいま議題となりました海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 千九百七十三年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する千九百七十八年の議定書は、近年におけるタンカーの大型化等にかんがみ、従来からの油に関する規制を強化するとともに、油以外の有害物質の海上輸送の増大等に対応して海洋汚染の包括的な防止を図ることを目的として採択された条約であり、我が国は、昭和五十八年五月に制定いたしました海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律によって、その実施に関し必要な国内法制の整備を行い、同年六月に同議定書に加入したところであります。
 本案は、その後、同議定書の実施時期の一部変更があったこと及び国際海事機関において議定書の一部の改正が採択されたことに伴い、同議定書を実施するため、同法律について所要の改正を行うこととしようとするものであります。
 その内容は、
 第一に、ばら積みの有害液体物質の規制に関する附属書II関係の第五条の改正規定の内容を、第二条から第四条までの改正規定に先立って施行するため、第五条を第二条とする等の所要の改正を行うこと、
 第二に、有害液体物質記録簿の保存期間を、二年間から三年間に改めること、
 第三に、ばら積み以外の方法で貨物として輸送される有害な物質の排出等があった場合の通報に関する改正規定の施行期日を変更すること等であります。
 本案は、三月二十五日予備審査のため付託され、四月十一日本付託となり、五月九日三塚運輸大臣から提案理由の説明を聴取した後、十六日質疑を行いました。
 その質疑の主な事項を申し上げますと、本案提出に至る国際的な経緯、便宜置籍船問題、内航ケミカルタンカー業界の対応、海洋汚染防止対策の強化等でありますが、その詳細は委員会議録によって御承知願いたいと存じます。
 かくて、同日質疑を終了し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#26
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
 日程第三 扶養義務の準拠法に関する条約の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
#28
○議長(坂田道太君) 日程第三、扶養義務の準拠法に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長北川石松君。
    ─────────────
 扶養義務の準拠法に関する条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔北川石松君登壇〕
#29
○北川石松君 ただいま議題となりました扶養義務の準拠法に関する条約につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この条約は、ヘーグ国際私法会議における検討の結果、昭和四十八年十月に作成されたものであります。
 本条約は、扶養義務に関する国際私法規則を統一し、渉外的扶養事件について均一かつ妥当な解決を図ることを目的とし、国際的な扶養義務について、裁判等において争われた場合、扶養を請求する者が常居所を有する国の法律を適用することを原則とする統一的な準拠法規則を定めるものであります。
 本件は、参議院から送付されたものでありまして、四月二十三日外務委員会に付託され、五月十四日安倍外務大臣から提案理由の説明を聴取し、同月十六日質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#30
○議長(坂田道太君) 採択いたします。
 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
     ────◇─────
 日程第四 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
#32
○議長(坂田道太君) 日程第四、外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長小泉純一郎君。
    ─────────────
 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔小泉純一郎君登壇〕
#33
○小泉純一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 近年、我が国金融・資本市場が国際金融センターとして発展していくことへの内外の要請が高まっております。本案は、このような要請に対応し、外国為替公認銀行が海外から調達した資金を海外に貸し付けるいわゆるオフショア市場を創設するため、所要の措置を講じようとするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、外国為替公認銀行が行う非居住者との間の金銭の貸借は、現在、届け出を要することとされておりますが、これを特別国際金融取引勘定において経理する場合には、届け出を要しないこととしております。
 第二に、特別国際金融取引勘定とは、外国為替公認銀行が、非居住者との間で行う一定の預金、金銭の貸借を区分経理するため、大蔵大臣の承認を受けて設ける勘定をいうものとしております。
 以上のほか、所要の措置を講ずることとしております。
 本案は、参議院先議に係るもので、去る四月四日本委員会に付託され、五月十六日竹下大蔵大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、質疑終了後、直ちに採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#34
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#35
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
 日程第五 扶養義務の準拠法に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
#36
○議長(坂田道太君) 日程第五、扶養義務の準拠法に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員会理事村上茂利君。
    ─────────────
 扶養義務の準拠法に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔村上茂利君登壇〕
#37
○村上茂利君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、扶養義務の準拠法に関する条約の締結に伴う国内法上の所要の措置を講じようとするものであり、その目的は、夫婦、親子その他の親族関係から生ずる扶養義務の準拠法に関し必要な事項を定めようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、扶養義務は、扶養権利者の常居所地法によって定めるものとすること。ただし、扶養権利者の常居所地法によればその者が扶養義務者から扶養を受けることができないときは、扶養義務は、当事者の共通本国法によって定めるものとし、さらに、当事者の共通本国法によっても扶養を受けることができないときは、日本の法律によって定めるものとすること、
 第二に、傍系親族間及び姻族間の扶養義務については、扶養義務者は、一定の要件のもとに、扶養権利者の請求に対して異議を述べることができるものとすること、
 第三に、離婚をした当事者間の扶養義務は、その離婚について適用された法律によって定めるものとすること、
 第四に、公的機関の費用償還を受ける権利の準拠法及び扶養義務の準拠法の適用範囲等について若干の規定を設けるものとすること、
 第五に、この法律の施行前の期間に係る扶養義務については、なお従前の例によるものとし、また、この法律の制定に伴い、法例に所要の改正を加えるものとすること等であります。
 本案は、参議院先議に係るもので、去る四月二十五日同院において原案のとおり可決し、本院に送付されたものであります。
 委員会においては、五月十三日鈴木法務大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二十日質疑を行い、これを終了、直ちに採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#38
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#39
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
#40
○議長(坂田道太君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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