くにさくロゴ
1984/03/20 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 エネルギー対策特別委員会 第3号
姉妹サイト
 
1984/03/20 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 エネルギー対策特別委員会 第3号

#1
第102回国会 エネルギー対策特別委員会 第3号
昭和六十年三月二十日(水曜日)
   午後二時一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田代由紀男君
    理 事
                沖  外夫君
                夏目 忠雄君
                菅野 久光君
                小西 博行君
    委 員
                井上  孝君
                岡野  裕君
                工藤万砂美君
                熊谷太三郎君
                宮島  滉君
                吉川 芳男君
                赤桐  操君
                梶原 敬義君
                小柳  勇君
                中野 鉄造君
                小笠原貞子君
                野末 陳平君
   事務局側
       常任委員会専門  野村 静二君
       員
   参考人
       日本エネルギー
       経済研究所理事  生田 豊朗君
       長
       一橋大学経済学  室田  武君
       部助教授
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○エネルギー対策樹立に関する調査
 (最近の国際エネルギー情勢と主要国並びに我
 が国の対応について)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田代由紀男君) ただいまからエネルギー対策特別委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 エネルギー対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本エネルギー経済研究所理事長生田豊朗君、一橋大学経済学部助教授室田武君の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(田代由紀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(田代由紀男君) エネルギー対策樹立に関する調査を議題といたします。
 本日は、本件につきまして参考人から意見を聴取いたします。
 まず、日本エネルギー経済研究所理事長生田豊朗君から意見を聴取いたします。
 この際、生田参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は御多用中のとこう本委員会に御出席いただきましてありがとうございました。
 本日は、最近の国際エネルギー情勢と主要国並びに我が国の対応について忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。
 また、議事の進め方といたしましては、まず、三十分程度御意見をお述べいただき、その後三十分程度委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
 それでは生田参考人にお願いいたします。
#5
○参考人(生田豊朗君) 日本エネルギー経済研究所の生田でございます。
 本日は、最近の国際エネルギー情勢、それからそれに対応いたします各国の政策につきまして御報告の機会を与えていただきましたことを厚く御礼申し上げます。早速御報告に入らせていただきたいと思います。
 最近の国際エネルギー情勢でございますけれども、私は第二次オイルショックの後、長々と続いてまいりました調整期が今終わりつつある段階だと考えております。いわば調整期の最終段階と申し上げてよろしいかと思います。
 御承知のように、一九七三年、昭和四十八年でございますが、第一次オイルショックが発生をいたしました。その後数年を経まして一九七九年、昭和五十四年に第二次オイルショックが起きた次第であります。この二回のオイルショックによりまして、石油価格がそれ以前と比べまして十倍以上に高騰をいたしました。これが世界経済、特にエネルギー資源を持たない我が国日本経済に対しまして非常に大きな影響を与えましたことはもう申し上げるまでもないことであります。特にその一九七三年の第一次オイルショックよりも、一九七九年それから八〇年にかけて起きました第二次オイルショックの影響の方がより深刻であったと思います。なぜより深刻であったかということでありますけれども、第一次オイルショックのときの石油価格の上昇率は、それ以前に比べて約四倍であったわけでありますし、一九七九年−八〇年の第二次オイルショックのときはさらに約三倍に上昇した次第ですので、その価格の上昇率だけを取り上げてみますと、第一次ショックのときの方が大きかったわけであります。
 しかし石油価格の絶対額を取り上げてみますと、第一次オイルショックの前には一バレル当たり二ドル台だった原油価格が第一次ショックの値上げによって十ドル以上、つまり二けたの石油価格に上昇いたしまして、その後しばらく中間的な安定の期間が続いたわけですが、七九年から八〇年の第二次オイルショックを通じてさらに三倍に上昇いたしました。その結果原油価格は一時的には一バレル四十ドル、それからそのころの平均をとりましても三十ドル以上に上昇いたしましたので、価格の絶対額の増加額、上昇額をとりますと、第一次ショックのときは一バレル当たり約八ドルでありますけれども、第二次ショックによりまして約二十ドルの上昇をしたわけであります。
 エネルギーの大宗を占める石油、しかもこれは経済活動にとって不可欠のものでありますけれども、その価格がそれほど大幅に上昇したことは当然経済の価格面に大きな影響を与えるわけでありまして、それ以後世界経済は長期的な同時不況に突入をいたしました。
 一九七三年の第一次オイルショックの直後も、例えば一九七四年は我が国を初め主要国におきまして成長率がマイナスになるマイナス成長が起きたわけでありますけれども、その後比較的早く回復をいたしまして、一九七五年から一九七八年まではいわゆる安定成長の時期、日本経済で申しますと五%程度の成長率が確保できる時期が続いたわけであります。
 しかし、その時期においては日本、ドイツ、アメリカ、これがいわゆる三台の機関車と言われた時期でありまして、この三カ国の経済が早く回復したことによってこの三台の機関車が世界経済を牽引する形で世界経済も回復に向かったわけでありますけれども、一九七九年−八〇年の第二次オイルショックの後はさらに影響が深刻でありまし
て、世界が先ほど申しましたような長期的な同時不況に突入をいたしました。
 これはもう明らかにOPECによって余りにも石油価格が高く引き上げられ過ぎた結果であったと申し上げてよろしいかと思います。したがって、余りにも高く引き上げられ過ぎた石油価格は、当然経済のメカニズム、いわゆるマーケットメカニズムによって調整されなければならないわけでありまして、その調整のプロセスが、初めに申しましたように、現在まで続いてきていて終わりに近づいているということであります。
 それでは、その高過ぎた石油価格の調整が具体的にどういう形で行われてきたかということについて申し上げたいと思います。
 まず第一は、石油の消費の減退であります。これは基本的には先ほど言いましたような世界景気の停滞、これが大きなファクターになっているわけでありますけれども、その中でも石油消費は特に著しい減退を示しました。この一九八〇年から最近に至りますまで世界のエネルギー消費はほぼ横ばいの状態で推移してまいったわけでありますけれども、その間におきまして石油消費は相当の落ち込み、毎年数%ずつの減少を示すという形で経過をしてきたわけであります。これはやはり石油がほかのエネルギーに対して価格競争力を喪失した結果需要を失っていったということのあらわれと申し上げてよろしいかと思います。これが第一であります。
 それから第二は、その石油の供給国、いわゆる産油国でありますが、その産油国のバランスが変わってきたということが挙げられると思います。第一次オイルショックの後第二次オイルショックにかけまして世界の石油市場を支配したのはOPEC――石油輸出国機構であります。しかしこのOPECの手によって石油価格が余りにも高く引き上げられた結果、OPECとしては予期しない構造変化が起きたわけであります。これは何かと申しますと、OPEC加盟国以外の地域における新しい油田の開発が急速に進んだということであります。これも一種のマーケットメカニズムの結果でありまして、オイルショックの前までの安い石油価格では採算に乗らなかった油田開発が、石油価格が引き上げられたことによって急速に進展をいたしました。
 例えば、現在OPECを脅かしております世界の巨大油田であります北海油田あるいはメキシコの海底油田、こういうものも第一次オイルショックの前の、つまり石油価格が一バレル二ドル台であったときには採算がほとんどとれないために非常に少量の生産しかしていなかったわけですけれども、これが石油価格が十ドル台になり、さらに三十ドルになるに及びまして急速に生産がふえてまいりました。これが代表的な例であります。そのような例は北海油田あるいはメキシコだけではありませんで、そのほかの国でも新しく油田の開発が着手され、それが商業生産に移行し、供給力として市場に参入してくるということが続いて起きてきたわけであります。
 例えば、日本に比較的近い地域で申しますと、インドでございますけれども、インドはオイルショックの前までは石油を一〇〇%輸入に依存しておりましたけれども、今申し上げたような理由によりまして油田開発の採算がとれるようになってまいりましたので、ボンベイ沖の海底油田の開発に着手をしてそれに成功いたしました。その結果、現在はインドは石油の自給率が五〇%まで上昇してきております。それに続きまして、その反対側のマドラスの沖の海底油田の開発を現在進めておりますけれども、これが成功いたしますと、インドは石油の輸入依存度をほとんどゼロにできる、つまり一〇〇%自給できる体制になるわけであります。これはインドは御承知のような発展途上国でございまして、エネルギー消費も人口の多い割には余り多くないわけでありますが、それにいたしましても、国内の油田の開発に成功することによって、一〇〇%輸入に依存していたものがゼロにまで変わるということになったのはやはり注目すべきことだと思います。
 そのほかの国、例えばアンゴラとかザイールとかいうようなアフリカの国でありますとか、ブラジルその他の中南米の国におきましても同じように従来採算がとれなかった石油開発に成功いたしまして供給力をふやしてきているわけであります。現在、北海とメキシコを除きましたそのほかのそういう数多くの国の産油量、これが大体一日当たり五百万バレルぐらいに達しております。これは現在のサウジアラビアの産油量とほぼ同じくらいでありますので、当然のことながら世界の石油需給に大きな影響を与えてきているわけであります。
 一方、石油消費国にとりましてはそういうOPEC以外の地域で産出されます石油はより供給の安定性においてすぐれているものでありますので、OPECの石油に比べましてそれだけ大きなプラスがございます。
 OPECと申しましても、十三カ国が世界に散在はしておりますけれどもその中心はペルシャ湾にあるわけであります。ペルシャ湾をめぐる地域は、これも申し上げるまでもなく、従来政治的にも軍事的にも極めて不安定でございまして、これまでの二度のオイルショックも第四次中東戦争あるいはイラン革命が契機となって発生をいたしましたし、その後もイラン・イラク戦争が起きました直後は一時オイルショックの小規模のものが発生をいたしました。そして現在そのイラン・イラク戦争がまだ継続しておりますし、最近では特にエスカレートする傾向が強いものですから、また不安が高まっているというような状態であります。
 今後とも政治的にも軍事的にもなかなか安定化の難しい地域でありますが、それに対しまして非OPEC地域はそういう政治的、軍事的な、つまり経済以外の要因によって供給が阻害されるおそれが少ない。それが一つと、それからもう一つは、経済的な面におきましても輸送距離が短い、したがって運賃が安くて済むという利点がございますので、当然消費国としては買えるものであれば非OPECの石油を先に優先的に買って、その後でOPECの石油を買うという優先順位をつけるわけであります。これがOPECの立場を従来のような非常にベーシックな、基本的な石油の供給国から、いわゆる限界的な供給国、いわゆるマージナルサプライヤーに変えてしまった最大の理由でありますし、それだけ世界の経済動向、それからエネルギー消費の動向、特に石油消費の動向にOPECが振り回される。従来と逆の立場になってしまった次第であります。これが第一です。
 それから第二は、やはりいわゆる脱石油の動きがこの二度のオイルショック、特に第二次オイルショックの後から非常に大きくなった点であります。これは石油がさっき申しましたように将来の供給量、つまり埋蔵量の賦存状況から見ましてペルシャ湾への依存が将来とも大きいわけでありますので、それを考えると基本的にエネルギーの供給のソースを石油から石油以外のエネルギーになるべく転換した方が供給の安定性、いわゆる経済安全保障の面から有利であるという考え方によりまして、我が国を初めとしまして各国とも石油から石油代替エネルギーへの転換が進められたわけです。
 これもかつて石油が安かった時代には仮に政策的にそれを推進し、政策的に何らかのインセンティブをつけるようなことをいたしましても、基本的に競争力のないものを消費するという点で問題があったわけでありますけれども、石油価格が上昇したことによって、石油以外のエネルギー、石油代替エネルギーが相対的に競争力を持つようになってきたわけであります。したがって、余り無理をしなくても石油から代替エネルギーへの転換が進められる。無理をしなくてもというだけにはとどまらなくて、むしろ石油から代替エネルギーへ転換した方がエネルギーコストの引き下げに有利になるという面が出てまいりました。
 例えば発電用燃料でありますけれども、従来は石油がその燃料の中心であったわけですが、一つは今申しましたような供給の安定性という側面、
それからもう一つは経済性の側面、この両方から代替エネルギーを発電用の燃料として導入する動きが急速に強まってまいりました。これは我が国だけではありませんで、世界の主要先進工業国全部同様であります。
 例えば石炭火力発電でありますけれども、これも石油価格の上昇によりまして、発電コストは石油火力発電よりもはるかに割安になったわけでありますし、また原子力発電につきましても第一次オイルショックの前までは石油火力発電に対して価格コスト面での競争力がなかったものが、オイルショックを経まして逆に原子力発電の方が経済性においてすぐれているというメリットが出てまいったわけであります。
 ただ、LNGだけは、当初は石油に対して割安でございましたけれども、その後LNGの供給国が売り手市場を利用いたしまして石油価格にリンクする、つまりカロリー当たりの価格を石油と等価にするというようなポリシーを打ち出しましたので現在ではLNGについては石油とほとんど格差がございません。例えばクリーンエネルギーであるというようなエネルギーとしての品質的な優位性はございますけれども、価格の優位性はLNGについてはほとんどございません。しかし、ほかのエネルギーにつきましてはそういう価格上の優位性が出てきたのがやはりこの代替エネルギーへの転換を促進した最大の原因だと思います。
 また、省エネルギーも著しく進展をしたわけであります。世界の主要国、例えばOECD諸国をとってみますと、一九七三年の第一次オイルショックから一九八二年までの十年間におきまして、国によって差はございますけれども、大体二〇%以上、日本の場合は三〇%以上、GNP一単位当たりのエネルギー消費量、いわゆる原単位でございますが、これが減少をしているわけであります。
 このような省エネルギーの進展が何によってもたらされたか。これは政策的な効果もございますし、あるいは国民が省エネルギーの重要性についての認識を深めて自発的に対応したということも当然ございます。しかし、やはり基本は、エネルギー価格の上昇によって省エネルギーの効果が経済的に大きくなってきたという点がかなり大きいと考えられます。例えば、産業あるいは企業におきまして省エネルギー関連の投資をいたします場合も、その投資の金利償却の支払い分と、それからその投資によってもたらされるエネルギー消費の減少とを、これを比較いたしまして、そのエネルギー消費の減少のメリットの方が大きい場合にはその投資が経済的に採算がとれるわけでありますので、そういう経済計算をいたしましても、エネルギー価格が高くなっていく場合にはその省エネルギー投資が進むわけであります。同様のことが家庭におきましてもあるいは自動車というような交通部門におきましても起きてきたわけでありまして、この省エネルギーの進展が経済成長とエネルギー消費の増加との関係をかなり変えてしまった。つまり、オイルショックの前までは経済成長の速度とエネルギー消費の増加の速度が同じか、あるいはエネルギー消費の増加の速度の方がやや大きかったのが、それが逆転をいたしまして、経済成長率よりもエネルギー消費の増加率の方が低くなってきた。これは専門用語で弾性値が一以下になったという形で表現されるわけでありますが、そういうことが出てきたわけであります。
 以上のようなことで一番影響を受けましたのが、先ほど申しましたようにOPECの石油価格、それから石油需要でございまして、これが限界的なポジションにありますためにその影響を強く受けまして、OPECの世界の石油供給におけるウエートが大幅に減少をしてまいりました。それと同時に、マーケットメカニズムの動きによりまして、国際石油市場における石油価格の動向が弱含み、下落の傾向を続けてきたわけであります。それが一九八一年から八二年にかけて国際市場で強く出てまいりまして、結局OPECは、そういう実態に合わせるために八三年の三月に基準原油価格の五ドルの引き下げというOPEC創立以来初めての公式価格の値下げを実施したわけでありますけれども、これも、やはりそういう全体の動向に対する歯どめにはなり得なかったわけでありまして、その後も依然として市況は弱含みのまま続いております。そして、OPECは生産制限によりましてこの市況の回復を図ろうとしておりますけれども、余り効果がない、その状況で最近に至っているということになります。
 先般、一月の末にジュネーブで開かれましたOPECの臨時総会におきまして、これまで基準原油でありましたアラビアン・ライト、これを基準原油でなくす、つまり、従来OPECの価格政策の中心でありました基準原油を廃止するという思い切った手段をとりましたし、それから、一方で生産制限の強化、監視機構の強化、また軽質原油から重質原油に至ります各種の原油の油種別の価格差、これを市況に合わせて調整するといういろいろの手を打った次第ですけれども、それにもかかわらず、現在でもまだ国際石油市況は依然として弱含み、価格が下がりぎみで推移をいたしております。最近は、イラン・イラク戦争の激化に伴いまして、ここ一両日スポット価格がやや反発をしておりますけれども、まだ余り目立った動きはいたしておりません。
 私は、今後とも石油価格はもう少し下がっていくだろうと思います。どの辺まで下がるかということにつきまして、各国の石油専門家の間でいろいろ見解が分かれておりますし、最近ではかなり弱気の、つまり大幅な値下がりを予想する専門家もふえてきておりますけれども、私は、現在平均して二十七ドル五十セントぐらいの原油価格が、二十五ドルから二十六ドルの間ぐらいまで比較的近い将来に下落して、その辺で多分底を打つのではないかという予測をしております。
 なぜかと申しますと、その辺まで下がりますと、石油がほかの代替エネルギーに対しまして価格競争力をかなり回復してくるという点が一点ございます。それからもう一点は、それよりもさらに石油価格が下落をいたしますと、エネルギー政策全般に相当大きな影響が及んでくるということが予想されますので、最近は石油価格の安定化を図ろうという動きがぼつぼつ出始めております。もちろんこれも国によってかなり差があるわけでありまして、例えばアメリカは、特に現在のレーガン大統領の政策は、徹底的にマーケットメカニズムで押していくというようなエネルギー政策でありますので、石油価格の安定を志向しててこ入れをするのはまだ時期尚早であるということを言っておりますが、ヨーロッパ諸国は、最近石油価格の安定、そのために産油国と消費国の対話なり協調を図るべきであるという考え方がかなり強く出てきております。
 一方で、産油国、特にOPECでありますけれども、OPECの中でもサウジアラビアは、まだ消費国との対話あるいは協調によって石油市場を安定させるのは時期尚早だという考え方をとっておりますが、サウジアラビア以外の国は、やはりこの際消費国と協調して石油価格を安定させないと、これは産油国の経済が、あるいは財政が基本的に非常に大きな影響を受ける、今後経済開発のための長期計画もなかなか立てにくいということで、安定策について消費国との協調に前向きの姿勢を見せておりますので、これからそういう動きが、ヨーロッパ、日本、それからOPECの中の一部の国などを中心にいたしまして徐々に強まってまいると思います。
 今後の展望でございますけれども、一つは、初めに第二次オイルショックの後の調整期の最後の段階と申しましたけれども、この最後の段階、なぜ最後の段階と言うかということでありますが、これはやはり第二次オイルショックの影響での世界景気の停滞が、これがアメリカ景気を牽引車にいたしまして、一昨年の後半あたりから上向きに転じている。日本も、御承知のように昨年五%以上の経済成長を記録したわけでありますし、ヨーロッパもおくればせながら経済回復が緩やかに進行をしております。それを背景にいたしまして、エ
ネルギー消費も従来の停滞ないし減少傾向から増加傾向に変わってきております。
 ただ、一九八三年は、アメリカ、日本で大幅なエネルギー消費の回復があったわけですけれども、これは夏が非常に暑く冬が非常に寒いというエネルギー多消費型の気候の変化、これに影響された面が多うございますので一時的な影響の面が強いわけですが、その後も、そういう一時的な要因を別にいたしましても、緩やかなエネルギー消費の増加傾向に転換しつつあるわけであります。特に電力消費は、我が国におきましても、一時は年率にして七%台、最近でも五%台の増加率で、比較的従来の予測よりも高目の状況になってきております。石油消費も、一昨年のような大幅な増加は一時的な要因によるものと考えられますが、その後も増加率は減少いたしましたけれども、やはり従来のような減少傾向は完全に底を打っているということで、これからは、この調整期が終わりますと同時に、世界及び我が国のエネルギー消費は緩やかな増加に変わってくると思います。
 その中で、石油価格はある程度下落して底を打って、石油とそのほかのエネルギーとの間のバランスが修正されていって次第に中間的な安定の形にしばらく入っていくのではないかと考えられます。
 そのような中でそれぞれのエネルギーの間の競合関係が次第に強まってきております。これは、従来のエネルギー消費がかなり増加するという前提で考えられておりました供給力の増加、これが第二次オイルショックの後のエネルギー消費の停滞、それからその後も緩やかな増加にとどまるというような環境の中で、そのエネルギー消費市場の中での競争関係がだんだん強くなってきているということを物語るものであります。
 例えば発電用の燃料にいたしましても、電力消費の停滞を背景といたしまして電源開発計画が従来よりもやや下方修正される傾向の中におきまして、石油を別にいたしましても石炭、原子力、LNGというような燃料の間の競合関係、それから家庭用の暖房の燃料にいたしましても、従来から主力を占めております灯油のほかに、最近ではガス、それから電気のヒートポンプなどが登場をしてきております。さらにもう少し大規模な、例えば新しい都市開発とかあるいは団地の開発、あるいは大型のビルの建設などに関連いたしましても、ガスを利用いたしますいわゆるコゼネレーション、つまり熱と電力とを同時に供給いたしましてそれで電力と冷暖房とをカバーするというコゼネレーションの方式が採用されておりますし、それに対応いたしまして電力のサイドにおきましても同じような方式で地域冷暖房を行うというようなことで、いい意味での競争関係が生まれてきていると思います。
 こういう形でのお互いにエネルギー間の競争が行われながらそれぞれのエネルギーの特性に対応した供給をしていく、これは私はかねがねそれぞれのエネルギーにはそれぞれの指定席があるんだということを言っているわけでございまして、一つのエネルギーに極端に傾斜するということよりも、そういう形で供給の安定性、それから経済性などを考えましてバランスのとれたエネルギー供給の構造をつくり上げていく、これがこれからの課題でございますし、そういうことによってこれからの安定成長の時代のエネルギー供給を確保していくことが可能だと思います。
 日本以外の各国におきましてもほとんど同じようなエネルギー政策がとられております。その中でやや色合いの違いますのは、さっき申しましたマーケットメカニズムを優先的に採用しておりますアメリカ、それからその反面でフランスは日本と比べましてもはるかに強い統制経済を実施しておりますので、これが自由世界におきましての両極端でございますが、そのほかの国はその間で、例えばドイツのように比較的マーケットメカニズムを重視するような行き方の国もございます。日本はちょうどその中間ぐらいに位していると考えられます。
 いずれにいたしましても大きな方向といたしましては、省エネルギーが今後途中で途絶えてしまわないようにそれを継続すること、それから石油代替エネルギーの開発と利用、これをさらに継続的に行うこと、さらに一番大事なことは石油の確保であります。石油は、現在我が国におきましては一次エネルギーの中の六〇%以上、世界全体をとりましても四七、八%を占めておりますので依然としてエネルギーの大宗であります。しかし、これまで二度のオイルショックを経験いたしまして石油の供給の不安定性が非常に明らかになりましたので、それ以後、各国は特にペルシャ湾依存度を引き下げるということに格段の努力をしてきているわけであります。
 例えばアメリカをとりますと、今や輸入石油の中でのペルシャ湾依存度は一〇%以下に下がってきているわけでありまして、ヨーロッパも大幅に減っております。しかし、我が国は石油依存度そのものほかっての八〇%近い水準から六〇%台まで低下をいたしましたけれども、輸入石油の中のペルシャ湾依存度は依然として七〇%近い状態でありますので、今後不幸にしてペルシャ湾で第三次石油危機が起きるようなことがありますと、従来とは違ってアメリカはほとんど無風状態、それからヨーロッパも従来よりははるかに改善された状態にあり、日本だけが直接的に大きな影響を受けるということで主要石油消費国間の格差が大きくなってきていることにやはり注目する必要があると思います。したがいまして、各国とも石油危機対策、例えば備蓄の確保増強でありますとか、あるいは緊急融通スキームの活用でありますとか、石油依存度の低下のための政策でありますとか、そういうものを続けているわけでありますけれども、私はそういうことを考えますと、日本の場合は、特にその石油の確保につきましてはかの国以上の努力を続けてまいりませんと、こういう供給の条件で格差がついたような状況から見て、万一の場合は非常に難しいことが起きるのではないかと考えております。
 大変駆け足で恐縮でございますが、とりあえず私の御報告を終わらせていただきます。
#6
○委員長(田代由紀男君) どうもありがとうございました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は委員長の許可を得て順次御発言をお願いします。
#7
○菅野久光君 大変詳しいいろんな現在の状況についてお話をいただきまして本当にありがとうございました。
 今、最後の方でお話しいただいた石油の確保の問題で、最近になって特にまたイラン・イラク戦争が激化して、ペルシャ湾航行のタンカー攻撃に加えて今度は都市部をねらった大規模な戦闘へと何かエスカレートするような様相になっているというふうに思うんです。今お話しのように、我が国は原油輸入の約七割を中束地域に依存して、中でもホルムズ海峡経由が六五%というふうに非常に高いわけですね。戦争激化によるこういう海峡封鎖などによって原油供給の障害が出るのではないかというふうに懸念されるわけでありますが、石油関係者の方のお話によれば、仮にそのホルムズ海峡が封鎖されても供給障害は起こらないんだというふうに言われておるというようなことも聞いております。その根拠として幾つかあるわけですけれども、一つはホルムズ経由の原油輸出量が自由世界供給の一六%程度だと、それから代替輸送ルート、つまり紅海側へのパイプ輸送が考えられること、さらに石油在庫の取り崩し等によって供給支障は生じないとの見方があるというふうに聞いているわけですけれども、世界情勢というものは非常に変化がある、いざというときに、緊急事態になったときに一体どうしたらいいのかと。ただ単なる机上でのスタディーどおりにはいかないのではないかというふうに思われますけれども、最近の中東情勢と原油の安定供給について参考人の見方をぜひお伺いしたいというふうに思います。
#8
○参考人(生田豊朗君) まずイラン・イラク戦争の状況は、先生今おっしゃったようなとおりでご
ざいますが、この戦争も起きまして四年半ほど続いております。八〇年の九月の末でございますのでちょうど四年半になるかと思いますが、開戦当初を別にいたしますと、その後はずっと膠着状態が続いておりまして、毎年今ごろの時期、大体三月ごろになりますと地上で大攻勢、お互いの大攻勢が起きる、それによって石油供給に不安が起きるようなこともあるかもしれないというのは毎年言われてきたわけでありますが、幸いなことにそうなりませんで、膠着状態がごく最近まで続いてきたわけです。
 ただ、今回は私はちょっと様相が違うのではないかと思いまして実は多少不安に感じておりますけれども、今回はお互いにバグダッド、テヘランの首都を爆撃するという従来なかったこともやっておりますし、それから両軍とも大兵力を南部に集結しまして相当の大きな戦闘を続けておりますし、従来の経緯からいきまして、もしもイラクがこの際イランを徹底的に壊滅させるまで戦争をする、そうでないともう打開の道がないというようなことで本格的にやるというようなことになりますと、あるいはイランが最後の手段として今お話がありましたように海峡封鎖、これは前からやると言ってやらなかったものでございますが、あるいはやるかもしれない。それから、タンカー攻撃、これまでも主としてイラクがカーグ島周辺のタンカーを攻撃しまして、イランも昨年あたり反対にサウジのタンカーを攻撃して炎上させるというようなことがございましたが散発的であったわけですが、これもあるいはかなり大規模にやるかもしれないということで、私はまだもうちょっと様子を見ないとわかりませんが、少なくとも過去二、三年間言われておりました状況よりは今回の方がかなり深刻ではないかと考えております。
 それから、石油に対する影響でございますけれども、現在ペルシャ湾の湾岸から積み出されましてホルムズ海峡経由のものが七、八百万バレル・バー・デーあるわけでありますが、これがどの程度減るかということが第一の問題であります。多少減りましても現在の石油需給からいきますと余り大きな影響はないと思いますし、それから先ほどお話しになりましたように一つは紅海にパイプラインで運べますが、これは大体百五、六十万バレルしか向こうに出せないわけであります。仮に極端な場合を想定しまして七、八百万バレルのペルシャ湾岸からの積み出しが全部とまるとしますと、紅海の方に百五、六十万バレル、ただ現在五十万バレルぐらい送っておりますからふえる分が百万ぐらいですから、それで百万。そうすると、あと六、七百万足りなくなります。これはペルシャ湾岸以外の産油国ですね、例えばアフリカとかインドネシアあるいは中南米、ベネズエラ、その他の増産によってある程度カバーできるわけですが、これが昨年イランがサウジアラビアのタンカーを攻撃しましたときに計算したものがございます。それを足しますと、大体三百万バレルぐらいは湾岸の外の増産で間に合いますので、それと紅海経由のものを足しますと、全部とまった場合でも半分ぐらいはカバーできる。したがって、残りの半分、つまり四百万バレル見当をこれを短期的には備蓄の取り崩し、それから消費の節約などで乗り切るというようなことで、現在の状況から見ると各国とも備蓄をたくさん持っておりますので、短期的には何とかなるのではないかというようなことでございます。
 ただ、問題はさっき申しましたように国別の格差がございまして、特に日本が一番不利な状況に置かれておりますので、昨年のときもそれが問題になったわけですけれども、万一の最悪の場合でペルシャ湾岸からの積み出しがゼロになりましても、アメリカはまずほとんど影響がありません。それから、ヨーロッパも当面大した影響がない。日本がすぐ影響を受けますので、これもすぐといってもきょうあすということではございませんけれども、数カ月のうちには日本に一番大きな影響が出てまいりますので、むしろ日本がそこであわてふためくのではないかというような懸念をほかの石油消費国、ヨーロッパ、アメリカが強く持っております。
 それから、もう一つはマクロの話としては、ペルシャ湾以外の産油国の増産で三百万バレルぐらいカバーできると申しましたけれども、問題は増産した分がペルシャ湾岸からそれまで積み出されていたものと同じ消費地に運ばれないといけないわけです。つまりベネズエラが増産をする、あるいはリビアが増産をするという場合には、ベネズエラの石油は従来アメリカが買っているわけでありますし、リビアの石油はヨーロッパにたくさん行っているわけでありますので、これがアメリカ、ヨーロッパに行ってしまっては日本には均てんしないことになりますから、そういう場合もこれはマクロではなくてミクロに考えまして、例えば日本とベネズエラ、アメリカとの協議でベネズエラの原油をアメリカに持っていかないで日本に回すとか、あるいはヨーロッパ諸国との協議でリビア、アルジェリアの原油を――これはかなり輸送距離は遠いのですが、ヨーロッパじゃなくて日本に持ってくるとか、そういうことができませんとマクロでつじつまが合うということは必ずしもミクロでつじつまが合うことに私はならないと思います。この点が割合従来から何といいますか、忘れられて見落とされている点でございますので、万一のことがありますとほかの国はよくても日本は割合早い目に影響が出るというふうに考えております。
#9
○小笠原貞子君 三つほどお伺いしたいんですけれども、一つは政府のエネルギー需給見通しというのがございます。これが当たらないのですね。当たらないところか大変な差が出てくるということがございますね。そういうのを私たちから見ると見通しの根拠というものが示されていないものですから、なぜこんなに見通しが高かったのか、そして修正しなければならぬようになったのかという点で、先生の立場からごらんになりまして、この政府の需給見通しというのが五十八年十一月にも大幅に下回って修正された、そういう点をどういうふうにごらんになっているかというのが一点です。
 それから二番目としては、確かに新エネルギー、代替エネルギーというのが必要になってきている、特に日本なんかの場合だったら資源がありませんから、そうすると太陽熱とか、太陽光とかいうのがあって、太陽熱は採算に合わないというので、今、太陽光の方に重点が置かれてきているというふうに伺ってますけれども、じゃこの無限のエネルギーである太陽による新エネルギーとしての見通しというのは一体どういうふうな見通しが立てられるのかということですね。
 それから石炭の液化とか、ガス化というのが、特に私は北海道なものですから、随分進んでいたのが、石油がどんどん日本に入るようになってこれがストップさせられました。そうすると今液化とか、ガス化とかというようなそういう研究というのはどの程度進んでいるんだろうかという点。
 今後、日本としてこのエネルギーを考えた場合に、今緊急に具体的に何を先生としては指摘なさるか、こうやるべきであると、この点を考えよというような御指摘があれば伺わせていただきたいと思います。
#10
○参考人(生田豊朗君) まず第一点でございますけれども、政府の見通しは確かに従来外れたといいますか、大き過ぎまして下方修正を続けてきたわけであります。これは日本の政府の見通しが外れたというだけではありませんで、世界各国とも大体同じようなことをやってきております。で、これがさっき私申しましたようにいろいろ経験なり勉強をいたしまして、それだけ何といいますか賢くなってきたわけですが、それ以前はOPEC自身もそうですし、それから石油消費国の方ももっとエネルギー消費がふえるのではないかという感じを持っておりまして、これは各国とも大き目のエネルギー計画なり、エネルギー見通しを持っておりまして、それが現実はそれよりもふえない。あるいは場合によっては減るということで下方修正するということを続けてきておりますので、まあ世界的にそういう傾向が一つあったと申
し上げてよろしいかと思います。
 それから日本の場合は、これは政府の見通しというのはなかなか難しいものでございまして、例えば長期経済計画でございますね、あれとの整合性がなければいけない。そうしますと、長期経済計画で、例えば経済七カ年計画で比較的高目の経済成長率をとっておりますと、それを前提にしてエネルギーの需要量を計算しますとどうしても大きくなってしまうというようなほかの計画との関係の点が一つあると思います。
 それからもう一つは、私どもが民間の立場でエネルギー見通しをつくるのと違いまして、政府の場合は予算でありますと、特にエネルギーの研究開発関係の予算でありますとか、それからそのほかのエネルギー関連の予算、計画、そういうものと政府の見通しが非常に関係が深いものですから、見通しと申しましても、どちらかというと計画なり目標というような性格がどうしても入ってしまうわけだと思います。それで、これが私どもがやりますように、純粋に客観的な見通しだけというわけにはどうもまいりませんので、そういうことでどうしても大きくなってしまった傾向があると思います。ただ、一昨年の十一月の一番新しい見通しは、私どもが別の立場から予測をしましても大体あれと似たような感じを持っておりますので、今度は余り大き過ぎて下方修正するということには多分ならないんじゃないかと思います。
 それからソーラーでございますけれども、これは資源的には一番豊かですのでソーラーエネルギーの重要性は大きいと思いますが、今先生のお話にもありましたように、太陽熱発電はこれはちょっとコスト的に競争力がありませんので当分見通しかないと思います。
 太陽光発電、これはこれから先発電の素子、シリコンですが、素子の価格、コストが相当大幅に下がりますと競争力を持ってくる可能性がありますので、私は、ソーラー関係では今の太陽熱温水器とか、ああいう現在使われているものを別にいたしますと、これから開発されて登場するものの中では太陽光発電が私は一番近いところにあると思います。ただ、それでほかの発電設備に置きかえていくということはなかなか難しいので、これはやはり分散型の電源として補完的な役割を持つに当分の間はとどまるだろうと思います。
 それから石炭の液化、ガス化でございますが、これはやはり石炭を長期的に有効に、しかもクリーンエネルギーという形で使おうと思いますと液化、ガス化をした方がいいわけでありますが、我が国でもサンシャイン計画で石炭の液化、ガス化を進めておりまして、特に直接液化につきましては今度新会社ができまして、これは大部分政府の予算でありますが、それでデモンストレーションプラントをつくることにしておりますし、オーストラリアで褐炭の液化の開発も進んでおります。
 ただこれも、ソーラーもある程度関連いたしますが、問題は、やはりこれから先の石油価格との関係が非常に大きくて、かつてOPECが全盛時代に考えていましたように、近い将来に石油価格が百ドルぐらいになるとかということになりますとこういうものは全部採算がとれてくるわけですが、最近のような状況でこれからも余り大幅な値上がりがないとしますと、近い将来にこれが価格競争力を持ってくるのはなかなか難しいと思います。したがって、少し長い目で見まして、私はこの際じっくり腰を落ちつけて開発を進めていく、それでやはり、将来は必ず必要になる時期がありますので、その間開発の根を断ち切ってしまわないようにするのが一番大事だと思います。
 それで、当面の政策でございますけれども、これは、これをやればどうこうというものはございませんけれども、結局先ほど御報告をしたようなことでありますので、これからの時代はいろいろのエネルギーの有効な組み合わせをしていく、そういう時代で、私は複合エネルギー時代にこれからなるということを言っているわけですが、かつて石炭がエネルギーの大部分を占めた時代とか、その後石油が大部分を占めた時代、こういう時代はもう多分来ないで、それぞれのエネルギーがさっき申しましたように、それの特性に応じて使われていく。それで供給の安定性と経済性が一番ベストになるようにしていくというのがこれからのエネルギー政策の基本だと考えております。
#11
○夏目忠雄君 愚問かもしれぬけれども、一つ聞きたいのは、ペルシャ湾岸への依存度が高くて何とか工夫しなきゃいかぬということは随分政府側から長い間聞かされておるんだが、実際にはなかなか改善されない。というのは、私は素人目で横から見ていて、日本の通産があれだけ熱心に言うとるのがなかなかいかないのは、業界のサイドにいろんなそろばんとってみるとこうだああだという、政府と業界とのあれがぴったりいってないんじゃないかという邪推をしているんですが、業界側からいうと、ペルシャ湾に依存しない、他の地域から持ってくるのにどんなような障害――実際には障害があるんでしょうか、ないんでしょうか。
 例えば、アラスカの石油一つをとってみましても、油の性質が重いとかなんとかいろんなことを言って、なかなか乗ってこないように見える。政府が熱心なんだけれども、業界の方はどうもそれほど熱心でないように見えるんですが、それはうそなんですか、どうなんです。もしそうだとすれば理由は何でしょう。
#12
○参考人(生田豊朗君) 実際にペルシャ湾岸以外のところから石油を持ってこられるけれども、採算が悪いので持ってこないということは私はほとんどないと思います。実際に日本は持ってこられないわけでして、わずかの量では日本の石油会社でも北海油田の石油を買い付けたりしておりますけれども、さっきも申しましたように、供給の安全保障という点を考えまして、ペルシャ湾岸以外の、特にOPEC以外の石油の方を各国が優先的に買っておりますのでなかなか日本に回ってこないという状況だと思います。
 日本の場合はアラスカの原油が買えればこれが一つOPEC以外の特にペルシャ湾以外の供給源になり得たわけですが、これは御承知のようにアメリカの輸出管理法の改正ができませんでしたのでまだ買えない状況にあります。
 あと、日本に近いところですとインドネシアがありますけれども、インドネシアはこれも資源的にももう生産が限界に達しておりまして、これは日本よりもアメリカの西海岸にたくさん行っているわけですから、私はアメリカの西海岸に行っている分を日本になるべく回してもらうというような話はした方がいいんじゃないかと思っておりますが、アメリカはなかなかああいう国でありまして、特にエネルギーにつきまして、自国の経済安全保障について強い態度をとっておりますので難しいかと思いますが、やはり最終の場合はそれが一つの手段だと思います。
 あとは中国でございますが、中国は現在までの陸上油田では余り供給力の増加ができませんので、現在開発中の渤海湾とそれから広東の沖合の南海油田、特に南海油田の方が埋蔵量が大きいと考えられますので、あれが成功いたしますと日本にとっては供給源の転換の一つの有力なベースになると思います。ただ、現在までまだ油田が当たっておりませんので、早くいっても、当たりましてもこれから七、八年はかかるというような状況ですので、私は、ペルシャ湾依存度を減らすのは日本の場合は非常に難しい、現実的に難しい。仮に政府と石油産業とが完全に協力してペルシャ湾以外からの買い付けに努力をいたしましてもこれはもう供給の構造からいって難しいというように思いますので、残念ながら日本のペルシャ湾依存度が高くて、あそこの政治的、軍事的な変動にいつもさらされているというさっき言いましたような状況は当分の間変わらないのではないかと思います。したがって、それを前提にしてやはり政策を考えませんと、万一の場合は日本が一番大きな影響を受けると考えております。
#13
○夏目忠雄君 当分の間ペルシャ湾に対する依存度はそう低くはならぬ、こういうようなお見通しということですか。
#14
○参考人(生田豊朗君) そう思います。
#15
○工藤万砂美君 時間がないので簡単に御質問しますから端的にお聞かせをいただきたいと思うんですが、国際情勢の中でのいわゆるエネルギーの供給ということについては不安が残っているということは事実ですけれども、そういう世界経済の中において、言うなれば経済性と安全性を確保しながらのエネルギーの供給ということが一番大事なことで、先生がおっしゃったようにバランスのとれたエネルギーの供給ということが今後大きな課題だし、現在もまた大切なことだと思うんですけれども、日本の国の場合、そういうバランスのとれたエネルギーの供給ということになりますと、今の石油の問題、それから石炭の問題、原子力の問題、あるいはまた太陽光発電の問題やらあるいは地熱の問題、たくさんございますけれども、バランスのとれたエネルギーの供給ということについて、大体、石油とか、石炭とか、原子力とか、そういうふうに分類をしてみまして、どういうパーセンテージが一番日本として安全なエネルギーを確保できるような基礎になるだろうということについて、御意見がございましたらお聞かせ願いたいと思いますが。
#16
○参考人(生田豊朗君) これも大変難しい御質問でございますけれども、例えば供給の安定性だけをとりますと、石油がゼロが一番安定すると思います。しかし、実際に石油をゼロにするということは不可能でございますし、私は、石油依存度を減らすのはこれから先なかなか難しいと思います。現在六二%ぐらいでございますが、多分紀元二〇〇〇年になっても四五%から五〇%は石油が残るだろうと思います。したがって、しかもさっき御質問がありましたように、ペルシャ湾依存度が余り下がらないとすると、石油については、やはり供給中断とか供給制約が起きた場合の対応策を、これを十分ほかの国以上にやっておくことが必要だと思います。
 あとはそれぞれのエネルギーのバランスでございますけれども、例えば原子力は、供給の安定性では最もすぐれていると思います。価格競争力も現在では一番強い。それから将来にわたっても原子力の経済性は十分あるわけでありますが、ただ、これは全部原子力というわけにはまいりませんので、発電用の燃料としてしか使えませんし、しかも当分の間はベースロード用の電源としてしか使えませんので、例えば将来、エネルギー消費の中の電力の比率が今三七、八%ですが、仮に四〇%になるといたしまして、その四〇%の中で原子力は最大限恐らく五〇%ぐらいだろうと思いますから、全体の一次エネルギーの中の二〇%ぐらいが私は原子力の上限ではないかと思います。そうしますと、石油で四五%ぐらい、それから原子力で二〇%ぐらい、残りの三五%ぐらいを石炭、LNG、水力、それからその他の新エネルギーでカバーしていくということになってくると思います。ごく大ざっぱに申し上げますと、そういうことだと思います。
#17
○委員長(田代由紀男君) 以上で生田参考人に対する質疑は終わりました。
 生田参考人には、お忙しい中を本委員会に御出席をいただきましてありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見等につきましては、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。どうもありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○委員長(田代由紀男君) 次に、一橋大学経済学部助教授の室田武君から意見を聴取いたします。
 この際、室田参考人に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は御多用中のところ本委員会に御出席いただきましてまことにありがとうございます。
 本日は、最近の国際エネルギー情勢と主要国並びに我が国の対応につきまして忌揮のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。
 また、議事の進め方といたしましては、まず、三十分程度御意見をお述べいただきまして、その後委員の質問にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じます。よろしくお願いします。
 それでは、室田参考人お願いします。
#19
○参考人(室田武君) 室田でございます。よろしくお願いします。
 大体四項目にわたってお話ししたいと思うんですけれども、参考資料がお手元に既に配付されていることと思いますのでそれも見ながらということでお願いします。
 日本のエネルギー供給全体を見ると、言うまでもなく、依然として中近東の原油に依存している度合いが強いわけです。これに関して、言うまでもなく、イラン、イラクの間での戦争がずっと続いているというようなことで、中近東の政情不安、そのことに関連して原油の供給見通しということについても、安定しているとはちょっと言いがたいような状況というのがあるんじゃないかということが一つと、それともう一つは、中近東に限らないわけですけれども、原油の産出に関して、二十年ぐらい前と現在ということの比較で考えてみると、やはり海底油田への依存度が高まってきているという問題があるんではないかというふうに思うわけです。
 従来ですと、陸上の大油田からほとんど自噴状態で大量の原油が噴出してくる、そういった部分がかなり多かったわけですけれども、そういう自噴してくるような陸上の非常に大規模な油田の新規発見といったものが少なくなって、アメリカにせよ、それから中近東諸国の中でも海底油田に手をつけ始めている、そういった新しい状況が生まれてきているわけで、陸上の油田と海底油田を比べた場合、直観的にもわかることですし、またデータの面でも幾つか試算がありますけれども、どれだけの原油を掘り出すためにどれだけのエネルギーを使うか、エネルギーの投入と産出の比率ですけれども、それが海底になるとぐっとその収支が悪くなってくる、そういったこともあるわけです。
 それから、海底油田の場合は、陸上に比べて、同じ量の原油を手に入れるために発生する環境汚染の量がやはり比べものにならないということがあると思います。陸上油田で事故が起きても、例えばパイプが破断した、それをつなぐのは比較的、目に見えてやりやすいわけですけれども、海底で事故が起こると、大体その破断箇所を見つけるまでに時間がかかる。見つかっても海底のことですからなかなかそれがつなげない、あるいは穴があいた場合にそれをふさぐのが難しいというようなことで、海の汚染もきつくなってくる。そういった新しい問題、中近東の政情不安が続いているということと、海底油田開発に世界各国が向かっている、そういった状況を考えますと、日本に入ってくる原油について、それほど大量なものが安定して次から次へと長期にわたって入ってくるかどうかということに関しては、やはり必ずしもそうでない。原油そしてそれから精製されてつくられる石油製品にどっぷりとつかった経済のあり方ということに関して、やはりそこから少しずつ脱却していくような方向が今求められているんではないか、そういった基本認識を持っております。
 一つには、石油大量消費社会そのものが生み出しているさまざまな問題、その中に特に環境問題、これはやはり、石炭中心の時代とは比べものにならない環境汚染が、石油文明と言われるような石油中心の社会になってきてからいろいろな形で顕在化してきているわけで、エネルギー大量消費社会というのは必然的に環境汚染も激化するような内容を持たざるを得ない。そういったこともあって、これまでの原油を中心としたあるいは石油製品を中心としたエネルギー大量消費社会そのものがこれでいいのかどうかということがやはり問われているんではないかというふうに思います。一九七三年、昭和四十八年にオイルショック、第一次石油危機があって、それ以降日本の省石油政策というのが官庁のレベルでも、また民間のレベルでも徹底的に追求されて非常に大きな効果を奏した。それは事実としてそうなわけですけれども、先ほどのようにエネルギー多消費社会がこのまま継続し得るかどうか、あるいはそのままでい
いのかどうかというような凝固に照らして考えるときに、今日の日本のいろいろな石油製品間の需給状態にかなり大きなアンバランスがあるんじゃないかというふうに考えております。
 それは具体的にどういうことかということなんですけれども、資料の@というのがお手元にあると思いますけれども、それをさっと見ていただきますと、ここではアンバランスを特に強調する意味で、ガソリンと、軽油と、C重油という三つの種類の石油製品を取り上げて、その需要量、具体的には消費量にこれはなるわけですけれども、それを数字を千キロリットル単位で見たわけです。そうしますと、省石油政策は確かに功は奏してはいるわけですけれども、その一方で全くそのことと無関係に消費量が伸び続けているものがあるわけです。それがガソリンと軽油ということになるわけで、消費量の各年度内の数字、それに関してここでは一九七三年から八二年までの十年間をとっているわけですけれども、その十年の中で消費量がそれぞれの油に関してピークを示した年を一〇〇としたときの指数を括弧内に何カ所か書いておきましたけれども、省石油、省エネ政策というのは全国的に展開されたにもかかわらずガソリンと軽油について見ると消費量のピークというのはここにある数字で見る限り、一九八二年が最高で一〇〇ということで、むしろオイルショックが年度の終わりの方にあった七三年の数字の方が、例えばガソリンの場合七七、軽油で七五・八、大体八二年をというか比較的最近を一〇〇とするとむしろそれよりもっと消費が多かったのではないかと思われる十年前の方がピークの一〇〇に対してその七割五分程度ということで、言いかえれば省石油政策は徹底的に遂行されたにもかかわらずガソリンと軽油の消費量はどんどんむしろ伸びているということがあると思います。
 それに対して、それと好対象をなすのがC重油の場合でして、この場合オイルショックの年がC重油の消費が最高の年で一〇〇と、これに対してその十年後に指数は五八・八まで落ちているということで、ピークの年に比べてその六割ぐらいまでC重油の消費量が落ち込んでいるということがあって、その一方でガソリン、軽油の消費はどんどん伸びる、他方でC重油の消費は極めて大幅に低落している、そういう状況があるわけです。このことは原油の精製ということを考えてみると、石油業界としてはかなり以前から既に議論されていることですけれども、かなり大きな問題ということになるわけで、原油の種類が決まってしまうとその原油から出てくる油、各種の石油製品がどれだけ得られるかという得率は決まってくるわけで、ある原油からガソリンだけをたくさん取り出して重油は全然手に入れないとか、あるいは潤滑油はそこから発生しないとかいうことはないわけで、原油を精製すれば石油ガスから始まって揮発油、灯油、軽油、重油、アスファルトと、そういった順序で比例的に各種の油がそこからとれるわけです。したがって、省エネとは言うものの結局自動車交通というのはその後もどんどん発展しているということがあって、乗用車だとか大型のトラックが使うガソリンないし軽油、その消費がどんどん伸びる傾向を示しているわけで、その伸びるガソリン、軽油の消費に合わせて石油業界としては原油の精製量をふやさなければいけないわけですけれども、ふやすと重油もそれに伴って発生してくる。ところが、重油に対する需要量は大幅に低落しているわけですから、重油の過剰問題ということが起こってきて、この状態というのはずっと前から指摘されていることですけれども、依然としてそのアンバランスの問題というのが現状においても解決されていないということがあると思います。
 したがって、現状ないしごく近い将来の日本のエネルギー問題というのを考える場合に、ガソリンとか軽油の消費量を抑制するような方向に持っていくのか、あるいはその消費をそのままほっておくとしたら余ってくる重油をどうするのかという、一つの問題の二つの側面ということになると思うんですけれども、そういう大きな問題があるということが最初に指摘できるように思います。
 C重油が余ってくるというのは、御承知のとおりセメント産業なんかで石炭転換を図ったということがありますし、それから資料@の二番目の「発電用燃料実績」という表がありますけれども、それを見ても日本全体としてやはり発電用の重油の消費量がオイルショックの前に比べてやはりかなり減っている、その反面原子力がふえている、あるいは石炭が一時期よりもふえてきているということがあると思うんです。そういった形で発電部門での重油消費量が減少傾向を示して、それから鉄鋼、セメント、電力が重油消費の三つの大口消費者ということになるわけですけれども、その三つの大口消費者全体として重油消費を減らしてきているということですね。その一方で自動車交通は減らないということがあって大きなアンバランスが生まれてきている。これがこれからどうなっていくのか、あるいはそれに対してどういう対応をとるのかということが依然として解決策のないままずっと残り続けているということになるんではないかというふうに思います。
 一つそれに関して言えることは、重油はどっちみち余りぎみなわけですから、それをある程度消費していかないと今度は重油の貯蔵ということが難しくなってくるわけで、それを使うということを考えると、そのこととの関係でやはり電力産業のこれからの問題ということに話がつながっていかざるを得ないということになるんじゃないかと思います。
 今日の日本の電力の供給というのは、水力、火力、原子力、大別してその三つに分かれて電力の供給がなされていると思うんですけれども、その中で原子力の比重がこの間がない大きくなってきているということがあって、そのことの持っている意味に関して若干の意見を述べさせていただきたいんです。
 原子力の利用というのは、かつては非常に多様な分野に応用可能だと、例えばいろんな交通機関だとか製鉄であるとか、さまざまな人間生活のあらゆる分野、人間生活の中で必要になってくるエネルギー需要のほとんどすべてに原子力がこたえ得るんではないかということが四十年ぐらい前には言われていた、そういう時期があったと思うんですけれども、その後の開発の歴史の中で、結局平和利用ということを考えた場合に、核兵器をつくるというんでしたらまた話は別ですけれども、核兵器以外の原子力の利用として大きな意味を持つというと結局発電しかないということが、過去四、五十年の歴史の中ではっきりしたんではないかというふうに思うんです。発電ということになると、結局原子力は何の置きかえになるのかというと、一般に言われているように石油製品全体の代替品として意味を持つんではなくて、火力発電の燃料の中心である重油、その重油の代替品として原子力発電は意味を持つ。その意味は持つわけですけれども、逆に言えば原子力発電というのは重油の代替にしかならないということですね。具体的には、先ほどガソリンとか軽油の消費がどんどん伸びているということをデータを含めて申し上げたわけですけれども、原子力がガソリンとか軽油に取ってかわって、そのことによって石油製品全体の置きかえになるかというと、そういうふうに技術的にならないということが非常に大きな問題ではないかと思うわけです。自動車にしろ何にしろ電気自動車にしてしまったらいいじゃないかという、そういう話は恐らく一世紀ぐらい前からあるわけですけれども、電気自動車というのは部分的な利用というのはできるわけですけれども、実際、日本全体の自動車交通を電気で賄おうというようなことをしますと非常に無理があるわけです。電力のそれは特性ということがあると思うんですけれども、いろいろなバッテリーの問題その他あって、電気自動車というのは百年も前から言われているけれども、日常生活全体をカバーするものとしては結局実現しなかったということがあると思います。
 特に、出力の大きな原子力発電所の場合、夜間の余剰電力というのがあるわけで、もしガソリ
ン、軽油のかわりに電力が意味を持ち、またその電力は原子力が供給するんだということであれば、原子力発電所の夜間の余剰電力を使ってかなりの数の乗用車とかトラックが既に日本じゅうを走り回っていないとおかしいわけですけれども、そういうことはなされていない。じゃ、夜間の余剰電力はどうなっているのかというと、例えば山間部にダムをつくっている。それもダムを二つつくって、二つのダムに対して一つの発電所といういわゆる揚水発電所を建設して、それで夜間の余剰電力を使って下のダムの水を上にくみ上げて、昼間になって需要がふえたときに上の水を下に落とす過程で水力発電を行う、そういう揚水発電所ですけれども、その揚水発電所のような形で使われるだけで、決して自動車を走らせるような力として原子力発電所からの電気が利用されていない。あるいは将来もそういうふうにはどうもなりそうもない。そういった見通しを考えますと、結局従来言われてきた石油代替エネルギーとしての原子力という位置づけ、これは非常に誤解を生みやすい表現の仕方であって、原子力でできることは火力発電用の重油を幾分か置きかえることができる、そういう程度のものだというふうな理解が必要なんではないかというふうに考えております。
 そういう非常に限定的な意味しか持たない原子力に関して、私の考えからすると、そこに余りにも大きなお金が使われ過ぎている。実際問題として原子力が安いというふうに言われるわけですけれども、必ずしも安くはないわけであります。その辺が資料Aのところに幾つかありますけれども、よく昭和何年度運開ベースの発電単価という数字が公表されるわけですけれども、そういう数字を見ますと、水力が一番高くて、次が石油火力、その次石炭火力で、原子力が一番安いということになるわけですけれども、そういった運開ベースの発電コストの比較というのはあくまでも仮定に基づいた数字ですから実績とは必ずしも関係ないということで、例えばそこに実績値から見た東京電力と北海道電力の発電量一キロワット時当たりの電気事業営業費用というのを電源別に見た表がありますけれども、これは費用というのをごく狭く解釈して、有価証券報告書に出てくる電気事業営業費用、それだけに限ってみても、やはりキロワットアワー当たりの単価が一番安いのは原子力ではなくて、一番高いというふうに一般によく言われる水力が実は一番安い。その次に原子力で、火力が一番高い。電気事業営業費用で見るとそういうような順序になってくるわけです。
 ところが、電気事業営業費用というのは必ずしも消費者サイドから見た場合の電力のコストを反映するということにはならないわけで、今日の全国九ブロックプラス沖縄ということで全国十ブロックがあって、それぞれのブロック内で電力の供給が独占されている、そういう日本の現状の中で、電気料金の決定方式は総括原価法によっているわけですけれども、概念図が第1表に載っておりますけれども、そのやり方で結局レートベースを決めて、その八%を適正利潤ないし適正報酬として、その適正利潤が必ず回収できるだけの電気料金をつけることが許されているという今日の電気料金制度のもとで、改めてレートベースに相当するような数字を有価証券報告書の中から拾い上げて、それでもう一度例えば東京電力について電源別の発電コストの近似値を求めてみる。そういう計算をやってみますと、先ほどの図の場合に比べて原子力がずっと高くなってきて火力に接近してくるということがわかります。この場合、レートベースの中に入る具体的な数字の全部が公表されておりませんので、そういう特定投資だとか、運転資本だとか、繰り延べ資産だとか、レートベースに入ってくる数字を正確に知ってこの計算をやり直して、第二次近似、第三次近似ということをやっていくと、恐らく原子力と火力というのはほとんど同じようなことになってしまうんではないかというふうにも想像されるわけで、その辺で具体的なデータをできるだけ公開していくということも大事じゃないかと思います。
 いずれにしろ、現在の総括原価方式のもとで、実際は原子力にかかるコストというのはかなりのものになるわけですけれども、それは料金に転嫁するということが独占のもとで許されているために大事な問題が隠されてしまっているということがあるのではないかと思います。
 特に再処理のことで考えてみますと、再処理というのは、一九八一年ですか、通産省が再処理費用と燃料価値についてその見積もりを示しているわけですけれども、それを見ると、例えば資料Aの第3表というところにありますように、再処理をやってプルトニウムが得られるわけですけれども、そのプルトニウムの燃料価値というものは実は大したものではなかった。イギリスの場合だったと思うんですけれども、イギリスの場合は、プルトニウムが再処理で出てくるけれども、そのプルトニウムを実際に増殖炉その他で使うに至るまでにかなり長期間保管しておかなければならないということでプルトニウムを使うまでの保管の費用がかなりかかりますから、その保管費用が燃料価値とほぼ相殺するということでゼロ評価という立場をとっている。そうしますと、再処理をやっても何も得られるものはないというようなことになるわけですね。
 日本の動燃の場合はエネルギー等価というやり方で一定の燃料価値をそこに付与するというやり方をとっているわけですけれども、いずれにしてもプルトニウム価値額に減損ウランの価値額を足し算した燃料価値に比べて再処理にかかる費用の方がはるかに大きい。使用済み核燃料一トン当たり再処理費用というのは大変な額、二億一千百万円ですか、それに対して得られる燃料価値の方は、プルトニウムゼロ評価を使って三千四百万円、エネルギー等価というやり方を使っても六千百万円にしかならないということで、費用の方が三倍ないし四倍燃料価値よりも高いということで、再処理というのはやればやるほど損をするということになるわけです。普通の市場経済ということを考えると、やればやるほど損をするような事業は初めからやらないというのが原則だと思うんですけれども、日本の場合独占禁止法があるにもかかわらず、その独占禁止法の中の適用除外規定を受けている産業の一つとして電力があるわけで、独占的構造のもとでは、損をすることがわかっているようなものもそれをコストの中に組み入れて、最終的には料金値上げという形でその損失を回収するというような仕組みになってくるわけで、再処理の不経済性が非常に明確になっている今日、市場経済のメリットというのも一方であると思うんですけれども、それのデメリットもあると思うんです。それに完全に反するような電力の独占的な供給のあり方ということについて、今後さまざまな角度から再検討がなされてしかるべきではないかというふうに思うわけです。重油というのもいずれにしろ余りぎみなわけですから、無理に、今後再処理とか廃炉とかいろんなことでコスト高になっていくことが明らかなんですね。原子力ということをやらなくても余ってくる重油を使えば十分火力発電、それと水力発電を組み合わせることで日本の電力の供給というのは安定的にいけるんではないか、そんなふうに考えているわけです。
 アメリカの最近の状況なんかを見てみますと、御承知のとおり原子力開発というのはかなり低迷状態にあるわけで、発注された原発の契約がキャンセルされる、そういう事例が非常に多いのは御承知のとおりです。
 これに対して一つ注目していいと思われるのは、原子力発電に匹敵するほど最近のアメリカでは本質系エネルギーの利用が進んでいるということを一つ強調しておきたいと思うんです。これは資料Cに若干のデータがありますけれども、一九七〇年代ぐらいに入ってアメリカでは本質系のエネルギーの活用ということにかなり力を入れ始めているというふうな感じがするわけです。ここにありますように、「アメリカの産業用ボイラー売上げ総数に占める本質系燃料ボイラーの売上げ数のパーセンテージ」というのを見てみますと、そ
れは本質系の燃料、木材そのものと、それから廃材からアルコール発酵などをさせて得られる液体燃料を使う場合、その両方合わせて本質系燃料とした場合に、七〇年代に入って約一割ぐらいの産業用ボイラーというのは本質系燃料を使うボイラーであるというような非常に驚くべき状況になっているわけです。
 そういったことを反映して、これはアメリカの木材研究家のデービット・ティルマンという人の研究なんですけれども、アメリカでの西暦二〇〇〇年までの種々のエネルギーの生産力というか、生産可能性の評価、それを見ると、既に一九七六年の実績値で木材というのは原子力にほぼ近いところまできているということですね。八五年の予測でこれは十の十五乗BTUという単位ではかられていますけれども、八五年予測だと原子力二・三に対して木材四・〇、二〇〇〇年の予測では原子力がうんと伸びるとしても四・八、それに対して木材が四・五というような形で、大体木材というのは原子力とほぼ匹敵するようなものとして、実績値としてもそうだし、見通しとしてもそのぐらいの見通しを立てる人もいるという状況なわけです。
 これに対して日本の場合は原子力が一次エネルギー供給全体の既に数%を上回るところまでいっているわけですけれども、それに対して本質系燃料の利用というのは著しく低下しているということ、これは一九六〇年、昭和三十五年のころから始まるいわゆる燃料革命、エネルギー革命の過程でまきだとか木炭を中心としたような本質系エネルギーの利用というのを日本の場合古臭いというような形で切り捨ててきた、その結果として原子力は非常に多いわけですけれども本質系のエネルギーの利用が非常に低迷している。そのことが今度は転じて日本の林業問題にもつながってくるような大きな問題を引き起こしてきたということがあるわけです。
 そんな点から考えまして、日本の言葉で水土という言葉がありますけれども、水土の保全と両立するようなエネルギー供給のあり方というものを、このあたりで根本的に考えてみることが重要ではないのか。
 最後の表資料Dというのがありますけれども、それなんかを見ていただいても、いかに日本で本質系エネルギーの利用をないがしろにしてきたかということははっきりわかるわけで、例えば木炭の生産量ですね、大体日本の木炭生産というのは、こういった過去の数字を見る限り年産二百万トンぐらいはこれは十分できる、森林を荒らさない形で二百万トンぐらいはいけるということはあると思うんですけれども、ここに見るように例えば一九八〇年の日本の木炭生産量というのはわずか三万五千トンというようなところまで落ち込んでいるわけです。無理をすれば三百万トン台、あるいは普通無理をしなくても二百万トンぐらいできるはずの木炭がわずか三万五千トンのところまで低下している。それと並んでまきの利用量も大幅に低下しているというようなことで、日本の場合木材系のエネルギーと、原子力の比較なんというのは、比較すること自身余り差があり過ぎて意味がないというわけですけれども、他方で、アメリカのように農地の砂漠化というようなことが問題にされながら、他方でそのことへの対応も含めて林業を非常に活発に展開して、木材系のエネルギーをいかにうまく使うかということで、家庭用の暖炉の改良だとか、あるいはまきストーブの改良というような非常に小さな面での努力の積み重ね、そして他方で産業用の大型ボイラーなんかに関しても廃材も含めて本質系のエネルギーを大いに活用する、そのことによって木材に対する需要が喚起されることによってまた林業も盛んになっていく、そういった展開が最近見られるように思うわけですけれども、日本の場合エネルギーの問題と森林の問題というものが何か別個のもののように従来考えられてきているのではないか。実はそういった点を考えますと、エネルギー問題というのは実は水の問題と表裏一体なわけで、例えば森林が保全されればそこから大量のエネルギーも――大量というと語弊があるかもしれませんけれども、かなりのエネルギー源もそこから供給される、同時に森林の保全を通じて水源の保全もなされる、そういうような関係というものがあって、そのあたりを今後見ていくことが重要じゃないか。そんな場合に大規模なダムをつくるというような形での山林の破壊ではなくて、非常に小規模な、水車のような小規模な水力利用も含めて薪炭の新しい形での再活用、そういったものも視野に入れたそれぞれの地域の特性に合わせたようなエネルギー対策ということが重要になってきているんではないか、そんなふうに思います。
 時間が若干超過したようで失礼いたしました。以上です。
#20
○委員長(田代由紀男君) どうもありがとうございました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は委員長の許可を得て順次発言を願います。
#21
○小笠原貞子君 三番目の「アメリカ新エネルギー事情」というところからちょっと私も初めてなのでお伺いしたいんですけれども、このアメリカの新エネルギー事情をきょうの問題提起となさったのは、日本にもこういうことを適用すべきであるという御意思なんだろうなと、そう思って伺っていたわけです。そういたしますと二番目に「原発に匹敵する」と、こう書いてあります。それは先ほどの表で見ますと生産力としては匹敵するというふうにこの数字で、きょうの資料でわかったんですけれども、本質系エネルギーというのは、例えばここで見ますとボイラーの売り上げのパーセンテージ出ているけれども、ボイラーの売り上げじゃなくて実際問題で本質がどれだけ使われたか、そういう中身の比較がないとちょっと比較しにくいんじゃないかなと、そう思ったんです。それで、アメリカでは、廃材というのはわかるけれども、木材というのはチップみたいな形式にしていろんな木をまぜ合わして燃料にするのか。そうすると森林資源との関係ではどういうふうになるのか。アメリカもランドサットなんか見るとどんどんどんどん森林がなくなっちゃってというようなことが出てくるから、世界的に見てももし本質系エネルギーをもっと発展させるとすると一森林資源との関係では一体どうなんだろうかということですね。それがもし日本でということになりますと、後の薪炭なんかとも関係してくるんだけれども、今度労働力の問題とも関係しできますね。まずアメリカにおけるその事情というもの、それを伺わせていただきたいと思います。
 それから最後の「ミニ水力や薪炭も視野に入れたエネルギー対策」というのをどんな規模なのかなと思ったら水車とおっしゃったから、なかなか情緒的でいいなと思ったけれども、その水車というのがそれぞれの家に建てられるわけでもなし、谷川に一つ水車をつくってどの程度の家に配電できるのかというようなことを考えたら、水車の施設、それから発電力、その地形というものを考えたとき、どれくらいエネルギーとしての可能性があるのかというのが一つ伺いたいことです。
 それから薪炭。薪炭というのも、私のイメージでは、炭というと私も昔一酸化炭素中毒で倒れたことあるんですよ。だから炭の怖さというのが何となくあって、煙突のついたストーブでないと、特に北海道なんかにいたらとてもじゃないけれども考えられない。だから薪炭というのは、こたつだとかそれからこんろなんかというようなときには、その一酸化炭素なんかのことを考えると私は家庭では使いたくない、そう思うんです。そうすると、どういうふうにこれが利用されるかという展望ですね。
 それから、この薪炭をつくるにしたって木が要るわけでしょう。そうすると、日本の林業との関係で発展というようなことをおっしゃったけれども、炭でやっぱり私たち使うといえば、今までお茶の炭を使った。そうすると佐倉炭を使ったとか、それから火もちのいいのでというとかたい炭を使ったというと、やっぱり材木を選ぶと思うんです。だから、今余っている材木といったら、間
伐で、どんどんカラマツなんかでも間伐でしちゃえばいい、そういう材料を持っていってエネルギーに使えばいいとなるけれども、その間伐ができないというのは、非常にコストが、人件費がかかる。ということになると、この薪炭にしろ本質エネルギーにしろ、日本の場合、そういう役に立たないものを使うということにした場合に、その労働力、コストというものをどういうふうに見ていらっしゃるんだろうか。
 それから今度、まきストーブなんというのはとてもいいと思うんですよ。だけれども、私たち一番困ったのは場所です。もうまきストーブを北海道で使うなんといったら、昔は大体五十坪から百坪の家庭でなかったら置き場がなかったですね。今大体三十坪ぐらいで住宅が建っていると、まきストーブにするとその置き場がなくなるんじゃないか、置き場の問題が困難になるんじゃないかということですね。
 急に聞いたものだから、わあ、こういうふうにと言っていろいろと申し上げましたけれども、具体的にどういう発展性、エネルギーの力になるかというようなところをちょっと教えていただきたいなと思うわけです。
#22
○参考人(室田武君) まずアメリカの状況なんですけれども、この辺非常にデータが少ないというか、いろんな形でこれはみんなで勉強していく必要がある問題じゃないかというふうに思っているわけです。
 御指摘のとおり、ボイラーの売り上げ総数で見ていますから、これをカロリーベースで見た場合に一割ぐらいもいっているのかどうかということはちょっと今の段階ではわからないわけです。ただ、オハイオ州なんかには木材専焼の火力発電所までできているというような状況で、非常に力を入れていることは間違いないと思います。カロリーで見ても、七六年実績で相当ここにあるように無視できないような値が出ているわけで、そういう意味で重要だと。
 特に最近の動きとして注目されるのは、日本だとアメリカの林業というと大体オレゴン州を中心にした太平洋岸の大規模な林業だけ見るわけですけれども、実際は南部の方なんかで土壌浸食が非常に進んでいる。その理由の一つに、やっぱり屋敷林のようなものをみんな農家が切ってしまったということに対する反省で、大分前から土壌保全ということと絡めてやっぱり屋敷林というようなものは重要なんだというようなことが言われて……
#23
○小笠原貞子君 何ですって、ヤシキ……。
#24
○参考人(室田武君) 屋敷林ですね、屋敷森と言った方がわかりやすいかもしれませんけれども、農家の家の周りにある……
#25
○小笠原貞子君 ああ、わかる。木の名前かと思って、済みません。
#26
○参考人(室田武君) それで、アメリカの場合、農家といっても大きな農家もありますから、屋敷林自身の規模が大きいということももちろんあるんでしょうけれども、屋敷林を再び植えるというようなことで、それがかなり伸びてきているものもあって、かなりの本質系燃料というのがそういった屋敷林の切り出しによって賄われているというような新しい状況が生まれてきているということらしいですね。その辺、私自身も勉強したいと思いますけれども、ぜひここの委員会にいらっしゃるような皆さんにも注目していただきたいところだというふうに、僣越ですけれども考えているわけです。そういうことがあります。
 日本の場合ですけれども、確かに木炭というと一酸化炭素ということなんですけれども、これも最近のやっぱり技術というのを考えておかないといけないと思うんで、大体、一酸化炭素というのは、木炭に着火して最初の方にたくさん出てきて、ある程度燃え出すと余り出てこないんですね。そういうこともあって対策が必要なんですけれども、具体的には一酸化炭素を吸着する触媒つきのこんろなんというのも既に開発されて売り出されておりまして、何というか今までどおりの木炭の使い方というのと少し違った展開があると思うんです。これは特に農林水産省の林業試験場の中で木材炭火研究室というのが筑波にありますけれども、そこで非常に熱心にこの間研究が進んで、いろんな新しいタイプの木炭こんろだとかいうものの開発、それがある程度試験が済むとそれを業者に話してこういうのをやってみないかということで売り出してみるというような動きがあるわけです。
 まきストーブについても、アメリカなんかの場合、非常に使いやすいようになっていて、例えば自動フィーダーがついたりして、まきをある程度の大きさに切っておいてスイッチを合わせておくと、大体一定量のまきがストーブの中に落ちていって、大体自分が室温をこのくらいに保ちたいと思うと一晩じゅう一々まきをくべなくてもまきが落ちていくような仕組みがついたりするようなストーブもあったりして、アメリカのいろんな雑誌とか見ると、こういうタイプのまきストーブをどこどこの会社が幾らで売り出しているという、そういうカタログのようなものが非常にたくさん出回って、使いやすいような技術開発に非常に力が注がれているということがあると思うんです。
 日本の場合ですと、確かに木炭というのは木の種類によってそれに向いた炭ができる、御指摘にあった佐倉炭というのはクヌギの炭ですね、というようなことでありまして、結局そのことは雑木林の問題ということでつながってくるわけですね。日本の林業の問題として、一つは拡大造林ということで針葉樹中心の造林が展開されて、確かに緑は日本の場合減ってないし、見かけ上緑豊かな国なんですけれども、中身を考えてみると、広葉樹林が、特に人間の生活圏に近いところにおいて雑木林が減っているということがあって、そのことが適切な種類の炭が焼きにくくなっているというような状況もあるわけで、そのあたりのいろんな、治水問題なんかとも関係して、広葉樹林の見直しということが言われておりますけれども、そういう見直し政策の中なんかにもっとまきとか木炭が新しい形で活用できるような方法というのを取り入れていってもいいんではないかというふうに思っております。
 このあたりは話し始めますといろんな新しいことがあって切りがなくなりますので、この辺でと思うんですけれども。
#27
○夏目忠雄君 これ大変奇異な話のように私も聞いておったんですけれども、この前の大東亜戦争のとき、例のスマトラヘ一番乗りした石油関係専門の海軍の技術将校がいるんだけれども、これが終戦後、エネルギーショックのときやっぱり木材に目をつけまして、私どもの長野県の梓村というところへ入り込みまして実験を始めたんですよ。ところが、さっき言いました結局こっぱを集める労働力の賃金が高いのでどうにもならぬで、理屈はいいんだけれども、そこのところで引っかかっちゃってどうにもならぬ。ですから、私は、炭でやったときのコスト計算がこの表の中に全然ないんで、何か試算したようなものはありますか。
#28
○参考人(室田武君) そうですね、ちょっとそこまであれなんですけれども、問題はその地域社会の問題というふうに考えていくと、それぞれの村とか印とかに森林組合なんていうのは必ずあるわけですけれども、そこでみんな困っているわけですね。間伐をするにも賃金が高い、一方で切り出した間伐材に対する需要が火してないというようなことなんですね。
   〔委員長退席、理事沖外夫君着席〕
その場合に、日本全体というふうに考えると、確かにそういう図式の中に入り込んで何もできないということになるわけですけれども、一つの村とか町の振興政策なんかを考えていくと、結局そこでいろんな新しい働き口ができてこないと過疎問題がますますひどくなるというような問題も含めて、例えば地域の中の新しく学校を建てる場合とか、あるいは公共施設をつくるような場合には、自分の村で切り出した材木を使おうじゃないか、その場合に間伐材でもできる部分が随分ある、あるいは最近だと集成材の技術なんかも進んでいますから、日本でもかなりアメリカとか北ヨーロッ
パなんかからそういう集成材技術を取り入れたりして、間伐材であってもかなり大きな構造物がつくれるというようなこともあって、地域社会の振興ということを考えた場合に、間伐材を切り出すことが必ずしも不経済で意味がないということではないという状況ですね。そういうことがあるわけで、その中で薪炭の利用なんていうのも新しい意味を持ってくるんじゃないかと思います。
 極端な例ですけれども、最近和歌山県の方に旅行したときに、和歌山県の相当南の方の村でシイタケ栽培をやっているんですけれども、そのシイタケのほだ木がどこから来るのかと聞いたら、福島県から一本二百円で買っているということなんですね。ですから、ほだ木一本二百円で和歌山県の南の方で、福島から運んでくるものが買えるという状況が非常にある意味で奇異なわけで、紀州の場合、周りに木はいっぱいあるわけですけれども、ほとんどが針葉樹でシイタケのほだ木に向いているクヌギとかナラというのはほとんど手に入らない。しょうがないから福島の方から買うというような形になっているわけです。それはやっぱりガソリンとか軽油が何といってもまだ安いから、それだけの輸送を行っても、福島からほだ木を買って、和歌山県の南の方でシイタケ栽培が経営として成り立つというわけですけれども、果たしてそういうことが長く続くかということですね。石油依存の経済というのが当面ここの五年、十年今のような形で続くでしょうけれども、ずっと五十年、百年という展望を考えた場合に、多分そういうやり方というのは破綻するだろうというふうに思うわけです。
 一方で宮崎県の高千穂というところがありますけれども、そこにこの間行ったときなんかは、シイタケ栽培をその村の中心の産業として位置づけているということもあって、クヌギの植林をしているわけです。形とかヒノキの植林じゃなくてクヌギの植林をしている。そういうようなところも他方であるわけです。
 そんなふうに地域社会の振興ということを中心に見ていくと、日本の今林業労働者の賃金水準が平均してこれだけだから、これは経済的に合わないと思えるようなことが、その地域社会の中で考えてみると意外と大きな意味を持つということがいろいろありまして、原油の供給というのは依然として不安定だというふうに私自身は思っているわけで、そういう中でコスト計算は確かにないわけですけれども、そういう新しい問題であるためにそういうデータもない、これからいろいろ出てくるんじゃないかというふうに考えているわけです。
#29
○菅野久光君 予定の時刻が来ましたので簡単にお答えをいただきたいと思うんですけれども、何といってもエネルギーの場合には安定供給と経済性、原発の場合には安全性も伴うわけでありますけれども、そういった点で多様なエネルギー、そういうものを特定のエネルギーに頼らないということが非常に大事な点になっていくんじゃないかというふうに思うんです。そういう点で先ほどの生田参考人のお話の中でも、理想とすれば原発によるものが二〇%ぐらい、それから石油によるものが四五%ぐらい、あとの三五%は石炭とか水力その他のものによるエネルギー、その辺のところが理想じゃないかというお話があったんですが、先生はそういったような点についてどのようにお考えになっておられるか、その点だけちょっとお聞きしたい。
#30
○参考人(室田武君) 簡単にお答えしたいと思うんですが、基本的にはそのパーセントで幾らかというところまで試算したことはないんですけども、やはり石油と石炭が中心になるだろうというふうに思っております。
 それで、水力というのもずっとこれは使われ続けるし、ただいろんなダムをめぐるさまざまな環境破壊の問題といったことを考えた場合に、新規に大きなダムをつくるようなことは難しくなってくるし、またやらない方がいいんじゃないか。だから中心はやはり石油、石炭、水力ということで、そのほかにもっと本質系のエネルギーの利用、開発ということに力が注がれてもいいんではないか。原子力については今のところ安定しているように見えるわけですけども、やはり潜在的には非常に大きな危険性を持つわけで、それと今後のいろんな廃炉問題、それから放射性のさまざまな毒物の非常に長期にわたる保管の問題というようなことを考えた場合にこれはゼロで構わないではないか。それで、特に先ほどの重油問題というのがあるわけで、ある程度は石油製品を使い続ける限り、その石油製品の中には必ず一定量の重油が含まれてくるわけで、いろんな石油製品のバランスのいい消費のあり方という観点からしても原子力は不要だというふうに考えております。
#31
○理事(沖外夫君) 以上で室田参考人に対する質疑は終わりました。
 室田参考人には、お忙しい中を本委員会に御出席いただきましてありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見等につきましては、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
#32
○理事(沖外夫君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 エネルギー対策樹立に関する調査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○理事(沖外夫君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○理事(沖外夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト