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1984/04/10 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 エネルギー対策特別委員会 第5号
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1984/04/10 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 エネルギー対策特別委員会 第5号

#1
第102回国会 エネルギー対策特別委員会 第5号
昭和六十年四月十日(水曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月九日
    辞任         補欠選任
     小笠原貞子君     近藤 忠孝君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田代由紀男君
    理 事
                沖  外夫君
                夏目 忠雄君
                菅野 久光君
                太田 淳夫君
                小西 博行君
    委 員
                井上  孝君
                岡野  裕君
                工藤万砂美君
                熊谷太三郎君
                宮島  滉君
                吉川 芳男君
                赤桐  操君
                梶原 敬義君
                中野 鉄造君
                近藤 忠孝君
                野末 陳平君
   事務局側
       常任委員会専門  野村 静二君
       員
   参考人
       日本エネルギー
       経済研究所理   富舘 孝夫君
       事・総合研究部
       長
       株式会社住環境  中上 英俊君
       計画研究所所長
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○エネルギー対策樹立に関する調査
 (最近のエネルギー需要構造の変化と今後の見
 通しに関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田代由紀男君) ただいまからエネルギー対策特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨四月九日、小笠原貞子君が委員を辞任され、その補欠として近藤忠孝君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(田代由紀男君) エネルギー対策樹立に関する調査を議題といたします。
 本日は、最近のエネルギー需要構造の変化と今後の見通しに関する件の調査のため、日本エネルギー経済研究所理事富舘孝夫君及び株式会社住環境計画研究所所長中上英俊君の出席をいただいております。
 この際、参考人の方に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は御多忙のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。両参考人から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。
 また、議事の進め方といたしましては、まず、三十分程度それぞれ意見をお述べいただきまして、その後一時間程度委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 それではまず、産業部門等におけるエネルギー需要構造の変化と今後の見通しについて、富舘参考人からお願いいたします。富舘参考人。
#4
○参考人(富舘孝夫君) 日本エネルギー経済研究所の富舘でございます。本日は本委員会におきまして、日本のエネルギー事情について御報告する機会を与えられたことを大変光栄に存じます。
 それでは、早速産業部門等におけるエネルギー需要構造の変化と今後の見通しについて御報告いたしたいと思います。
 まず、最近における我が国のエネルギー需要の動向にどんな特徴が出ているかということについて、基本的な問題に触れてみたいと思います。
 最初に言えみことは、昭和五十八年の半ばごろより、それまで第二次石油危機以降減少を続けてきておりましたエネルギーの消費が増勢に転じたということであります。
 お手元にお配りいたしました資料の、追加的に小さな一枚紙の資料がございますが、これを見ていただきたいと思います。この表からも明らかなように、エネルギー需要は、一次エネルギー供給も最終エネルギー消費も昭和五十八年度の上期までマイナスでありましたが、下期からプラスに転じております。年度計で見ますと大体一次エネルギー供給が四・七%、最終エネルギー消費が四・三%という伸びを示しておりまして、これは同年度におきます経済成長、実質国民総生産三・七%を上回る伸びを示しました。ということは、久しぶりでGNPの伸びよりもエネルギー消費の伸びが上回る、弾性値で一を上回るという結果を示しているわけであります。
 次に、このエネルギーの伸びを部門別に分けまして見てみたいと思います。お手元の資料の一ページ目、表1をごらんいただきたいと思います。これは一番上の欄に最終エネルギー消費がありまして、産業別、民生、交通と部門に分かれております。
 これを見ますと、特に産業用のエネルギーが昭和五十五年、六年、七年と大変大きな落ち込みを続けてきております。それが昭和五十八年には、これは四半期別にブレークダウンされていますけれども、七月から九月の問は産業用はまだマイナスですけれども十月からはプラスに転じております。急速に回復しつつあるわけであります。
 これに対しまして民生用、交通用はいずれも五十七年に横ばい、一足早く回復の兆しを見せた後、五十八年に大きな伸びを見せています。特に民生用は一〇%ちょっと上回る伸びを見せているということであります。
 さらに産業用に目を向けますと、主要産業の伸びが出ておりますが、紙・パルプ以下のエネルギー多消費の五産業の合計を見ましても、五十八年度の十月から回復に向かっております。しかしながら、この景気回復をかなり引っ張っております。あるいは一番伸びの著しい機械産業を見ますと、回復は一歩早いわけでありまして、その上大きな伸びを見せているということであります。その結果といたしまして、下の表にありますように、製造業の業種別のエネルギー消費を見ますと、エネルギー多消費産業のシェアが五十四年度の八〇%から五十八年度には七四%にまでかなり低下してきておりまして、これに対しまして機械産業は五・一から五・九へシェアは上がってきているということが見られます。
 また、その下の表にありますように、産業部門のシェアが五十四年度の五五・三%から五十八年度には四九・八%と五〇%を切るところまで低下を続けてきております。これは御承知のように第一次石油危機以降の大きな特徴であります。民生部門のシェアの伸びが一番大きいということであります。
 次に、五十八年度を今中心にエネルギー消費が底を打って転換してきた、増勢に転じだということを申し上げたわけですが、その後五十九年度はどうかという問題でございますけれども、昭和五十九年度についてはまだデータがそろっておりま
せん。現在のところ九月までの状況でありまして、あともう少し一月ごろまで速報ベースでとれますけれども、なかなか難しい問題を持っておりますのでまずこの表で見ていただきたいと思いますが、五十九年度に入りますと一−二月は大変寒い冬でしたが、七−九月から鎮静化の方向に向かってきております。ただ産業別に見ますと若干エネルギー多消費産業はまだまだ増勢が強いという感じです。つまりエネルギー多消費産業につきましてはおくれて回復に向かって、五十九年度に入ってからかなり伸びを見せているということが言えるわけです。
 それから、ごく最近の動きを製造業についてもう少し見てみますと、昭和五十九年の一月とことしの一月を比べてみますと、製造業全体でエネルギーの伸びが五・六%とやや鎮静化してまいりましたけれども、かなりの伸びでございます。これに対しましてその内訳を見ますと、都市ガスが一六・四%と大きく伸びています。電力が一・七%、石油系燃料は若干減少を続けているという傾向になっております。
 一方、機械産業を取り出してみますと四・五%とかなり落ち着いた伸びを見せておりますが、ここでは都市ガスが大きな伸びを示すと同時に電力の伸びも七・四%と強い伸びを示しております。都市ガスがこの一年間製造業平均で一六%、化学工業では三三%、鉄鋼もやっぱり三三%、機械工業で一一%と相当伸びておりますのは産業用のLNGも契約がふえまして、その結果、都市ガスの消費がふえたということが最大の原因であります。今の数字につきましてはお手元に資料がありません、恐縮でございますが。
 今、御説明いたしましたことの大部分が資料の二ページ、図1、それから資料の三ページの図2にグラフ化して描かれているわけでございます。
 次に、もう少し産業部門の需要構造の変化に的を絞りまして幾つか問題点を拾ってみたいと思います。
 まず、産業部門のエネルギー消費の構造で一つの特徴は、石油から他のエネルギーへの転換が続いているということであります。
 昭和五十六年度と五十八年度を比較してみますと、石油は一〇%近く消費が減っております。それに対しまして都市ガスが一二%ふえている。これは産しの影響です。電力が一・五%程度ふえています。これは電力を多く使います機械産業等の成長が高かったということを反映しています。
 一方、先ほど主要業種別の御説明を若干いたしましたが、それをもう少し製造業の中の機械産業について見てみますと、先ほどお話し申し上げましたように、エネルギー多消費産業の比重が減ってエネルギー寡消費産業の比重がふえたわけでございますが、その中でも機械産業が注目されるわけであります。機械産業の中には御承知のように、電気機械、エレクトロニクス産業関係、自動車それから船とか精密機械とかというもので構成されているわけでございます。
 それを多少細かく御説明いたしますと、製造業の場合、エネルギー全体、総エネルギーの消費量は一九八〇年から八三年の期間に、途中で減少がありましたので約一〇%消費が減ってきております。八三年に若干回復しましたがまだ八〇年の水準に至っていないということであります。しかしながら、機械工業の方を見ますと二・二%そのピークを超えたということになります。その中でも電機産業だけが二六・四%とエネルギー消費を伸ばしておりまして、ほかの一般機械、輸送機械、精密機械はまだ五%から八%ぐらい――今の機械工業のお話は資料がありませんので、私の手持ち資料で御説明しています。申しわけないです。
 それで、そのように製造業の中でも機械産業だけがエネルギー消費がふえているわけでございますが、もう一つの特徴、これも直接資料をお配りしておりませんが、エネルギーの消費原単位がやはり製造業全体で見まして、同じ八〇年から八三年の間に約一五%ばかり消費原単位が減っております。その中でも電機産業の減り方が一番大きいという傾向が出てきております。
 その次に、省エネルギーの動向について御説明したいと思います。
 省エネルギーの動向につきましては、先ほど三ページまで御説明いたしましたが、資料の、一ページ飛ばしましで五ページを見ていただきたいと思います。
 この図4にありますのは、製造業平均とそのほかの主要な、鉄鋼、化学、機械等の各業種におきまして生産指数当たりのエネルギー消費がどう変化してきたかということでありまして、第一次石油危機直前の一九七三年を一〇〇とした場合に、特に第二次石油危機以降原単位の減少が著しく続いているということであります。例えば、化学はもう四〇%以上少ないエネルギーで一単位の生産をしておるということが見えます。
 また、図5は、国民総生産、GNP一単位当たりのエネルギー消費を見たものでありまして、縦軸がGNPの一万円、そして横軸が石油換算で一次エネルギーの投入量が示されています。七三、七八、八三と代表的な時期をそれぞれ選んで算出してみますと、一九七三年には、一万円のGNPをつくり出すのに、石油換算で二十八リットルの一次エネルギーを投入していましたが、八三年には十九リットルで済むようになりました。
 その下の6図は、エネルギー価格が上昇するに従って基礎素材産業のシェアがどんどん低下してきているということがよくわかる図でございます。
 このように、これらを組み合わせますと、GNP一単位当たりのエネルギー消費量も、また製造業における生産単位当たりのエネルギー投入量もこの期間がない減少してきているということが見えるわけでございます。
 その次に、一ページ戻っていただきまして、四ページの図3をごらんいただきたいと思います。この表は、ただいままで御説明いたしました製造業におけるエネルギーの消費構造の変化の要因を見たものでございます。
 一番左に製造業における最終エネルギーが対前年同期に対しまして減ったのかふえたのかということが白枠で書かれております。例えば昭和五十七年度というのを見ていただきたいと思いますが、左から四つ目でございますが、この場合には、昭和五十七年度は七・三%エネルギー消費が減ったということでございます。この減少に対してそれぞれの三つの要因がどういう寄与をしたか、どれほど貢献したかということを示しております。最初が省エネルギー効果による増減でありまして、この五十七年度は七・三%のうち五・五%が省エネによる効果であると。二番目が産業構造の変化による効果、これはエネルギー多消費の素材産業の比重が減ってきたということでありますが、これがマイナス一・三%。それから三つ目の要因は生産減による増減でありまして、この年は不況で生産が減ってきたと、それによってマイナス〇・六%エネルギー消費が減ったということであります。なお、その産業構造変化の効果の中には、先ほど申しました多消費産業の比重が小さくなるということに加えまして、製品のミックスが高度化してくると、付加価値の高い製品が、高級な製品がだんだんつくられてくるという効果も入っております。それが五十八年度の後半からエネルギー消費が増加に転じ、その増加の貢献が出ておりますが、やはり何といっても生産が回復してきたということの効果が一番大きいわけでございまして、省エネルギーは昭和五十八年度の一−三月、第四・四半期ですね、年度で言いまして、カレンダーイヤーで言いますと五十九年の一−三月、それから五十九年の四−六月、これが省エネが若干後退しています。これはこの時期に、先ほどもちょっと見ていただきましたが、素材産業の生産がかなりふえてまいりまして、その影響が一番大きいかと思います。しかしその後、全体としてまた省エネの効果が出てきていると、七月−九月から減り始めているということが見えるわけでございます。
 それからもう一つ、これまた資料をお配りしていないので恐縮でございますけれども、先ほど
来、特に五十八年度から五十九年度の初めにかけまして相当エネルギーの需要が伸びてきたというお話を申し上げたわけでありますが、その要因の中に製造業あるいは産業部門をとっておりますと、今言いましたような三つの要因に分解できますが、この中には気温の影響というものが明示的に出ておりません。御承知のように、この時期は夏が非常に暑くて冬が非常に寒かったものですから、その影響が非常に強いわけであります。
 私どもの研究所でいろいろ解析を行いました。必ずしも満足いくような式とデータで解析ができたというわけではございませんが、まあまあの結果が出たというところでちょっと御紹介いたしたいと思うんですが、昭和五十八年度のエネルギーの増加分のうち約五〇%は気温による影響だろうという結果が出ております。そのうち一〇%、つまり、そのうち一〇%ではなくて全体の一〇ですが、は産業部門におけるもので、残り四〇%は民生部門を中心とした気温の効果であると。そして、民生部門におきましては大体五十八年度のエネルギー消費の増加のほぼ九〇%以上が恐らく気温の変化によるものだろうと推定されます。
 エネルギー別には、灯油の場合はもう八〇から九〇、都市ガスの場合には七〇から八〇、電気の場合には六〇から七〇という程度が民生用の部分でございますけれども、五十八年度のエネルギー消費増加の気温による寄与度であるというふうに、我々のまだ暫定的な分析でございますが、結果が出てございます。
 それから、次に産業部門、以上のように幾つかの特徴のある動きをこの一年ないし二年、示してきているわけでございますが、それでは今後の見通しはどうかということに移りたいと思います。
 資料の六ページに表2というのがございます。これは昨年の十二月に発表いたしましたもので、六十三年度までの向こう四、五年の需要予測でございます。私たちは一応景気の回復が今年度も続くと、そして、しかしその後だんだん横ばいから調整期に入りまして、昭和六十二年度が次の調整期の底になるだろう。世界経済も大体そういう感じであります。その後、昭和六十三年度からまた新たな景気回復期に入るというふうに前提を立てております。
 先ほどから繰り返して申し上げておりますように、昭和五十八年度の半ばから底を打って潮流が変わったわけでございますが、これは基本的に第二次石油ショックの影響が吸収されつつある、あるいはショックに対する調整が終わりつつあるということを示しているというふうに基本的には見ているわけであります。したがいまして、今後五年ばかりの短中期の期間をとりますと、エネルギーの消費の水準は、主として景気循環とか、あるいは気温という短期的あるいは循環的な要因によって左右されるところが一番大きいというふうに考えております。
 その次の七ページ以下でございますが、これはもう少し長期的な、一九九五年度、昭和七十年度までの見通してございます。表3が総括表になっています。これは昨年の六月に発表した数字でございまして、MLというのはモーストライクリー・ケース、最もありそうなケース、Lが低成長ケース、Hが高成長ケースでございます。これが一次エネルギーのバランスでございまして、合計の伸び率が、一番下に書いてございますように、MLケースで八二年から九五年までをとりますと二・三%ということでございます。なお、このときの前提としておりますMLケースの経済成長は三・四%という見込みを立てております。また、一番右の欄に五十八年の十一月に発表されました総合エネルギー調査会の長期見通しを参考のために掲げております。
 八ページの表4は、この需給見通しのバックデータの一つでありまして、GNP単位当たりのエネルギーの投入量原単位が、実線で示されている部分が過去の傾向でございます。石油危機以降どんどん下がってまいりまして、特に第二次石油危機以降はその下がり方が大きいわけでございますが、今後は点線のように、やや下がる率が鈍化するというふうに見ております。
 右の端に掲げてあります表に、数字で実績から今後の見通しということで書いてございます。したがいまして、今後もそういう意味では省エネルギーが続いていきまして、エネルギーの付加価値生産性は今後も改善され続けていくだろうということでございます。
 九ページは部門別のエネルギー予測でございまして、産業部門の伸びは八二年から九五年の期間に一・七%と他の部門に比べて一番低い伸びを示しております。民生部門が二・七%ということでございます。そして構成比で見ますと、産業部門の構成がMLケースですと三二・八%まで下がってくるということになります。
 十ページは産業部門のエネルギー需要の今後の見通してございまして、それがどういうエネルギーの製品、種別によって構成されるかということを示しておりまして、やはり石油が減退していくということと、そして電化が進んで電力の需要が伸びていくという傾向、そして八〇年代の前半は産しの進出によって特に都市ガスが伸びるけれども、後半におきましてはそれは下がってくるということで全体として電化が進んでいくという見通しになっております。
 時間が参りましたので、最後に交通部門について簡単に触れますと、これもお手元に資料が配付されてありません。
 交通部門の需要見通しにつきましては、最近軽油の自動車が伸びておりまして、そのために軽油の消費量が相当ふえております。しかしながら、九五年までを見通した場合、この傾向が続きながらも若干ながら伸び方が減っていくという見通しを立てております。ガソリンで二・四%、軽油が三・二%増加するだろう。それから電力につきましては一・五%の伸びで続くだろうというふうに見ております。
 最後に今後の見通しをまとめますと、この一、二年にあらわれているような傾向から気温の影響を引いたもの、これが今後十年程度基本的に続くだろうということで、私どもは考えている次第であります。
 大変数字を並べましてお聞きづらいところもあったと思いますが、以上で御報告を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#5
○委員長(田代由紀男君) ありがとうございました。
 次に、民生部門における最近のエネルギー需要の実態と今後の見通しについて中上参考人にお願いいたします。中上参考人。
#6
○参考人(中上英俊君) 住環境計画研究所の中上でございます。
 僣越でございますが、ここで最近の民生用エネルギーの過年度の動向と将来の見通しにつきましてお話しさせていただくことをお許し願いたいと思います。
 早速、お手元にお配りしてあります資料にのっとりまして駆け足で御説明させていただきたいと思います。
 まず一ページでございますが、左上のグラフでございますけれども――その前に一つお断りしておかなきゃいけませんが、民生用と申しますのは、いわゆる家庭用とそれから業務用、業務用と申しますのは、こういった建物であるとか、商店であるとか、そういったサービス産業を含めた業務用を含めて民生用というふうに呼んでおるわけでございますけれども、私がきょう御説明さしていただきますのは主に家庭用についてでございます。と申しますのは、業務用を統括して追えるデータというのがいまだ我が国に存在していない。部分的には実態調査等が行われておりますけれども、これを過年度から追っかけてなおかつ将来に向けてというふうなデータはまだ全くそろっていない。ぜひこういった機会を利用しまして、そういったデータベースをしっかりと積み上げていただきたいということが一つのお願いではあるわけでございます。したがいまして、家庭用について特化してお話しするということをまず御承知おき
願いたいと思います。
 家庭用でございますが、私どもで用いましたデータの基本の資料は、総務庁がやっておられます家計調査という膨大なデータがございますが、その中に光熱費支出という細目がございまして、そこに家庭で使われる各種のエネルギーの支出動向、物によっては消費量まで経年的に追いかけてたどることができるわけです。その資料から持ってきたわけでございますが、まず一ページの左上の図が、それでは一世帯当たり家庭用のエネルギー代としてどの程度支払ってきたかということを、四十年から多少四十五年まで飛んでおりますが、四十五年以降五十八年まで示しておきました。段階的に四十八年、四十九年のいわゆる第一次オイルショック、それから五十四年、五十五年の第二次オイルショックといったところで支出がぐっと伸びてきておりますが、家庭にとっては第二次オイルショックの方がかなり大きく支出に響いておるということがうかがえようかと思います。名目ベ−スでいきますと、四十年−五十八年が約六・五倍ぐらい消費支出が伸びておるわけですが、実質でいえば約二倍ぐらいだというふうに見えるかと思います。それにしましても、四十年当時三万円弱であったものが、現在では十七万円弱のところまで一年間の支払いに及んできているということでございます。
 この内訳でございますが、ごらんになってわかりますように、電気がおよそ半分近くを占めております。
 一番左の白抜きの部分が電気になっております。御参考までに、五十八年の数字だけ申し上げておきますと、四七・五%が電気代。その次の二〇・一%が都市ガス代、右に追っていただきます。その次の一七・四%、これがLPGで、横線の灯油は一四・六%、あとはその他のものがごく少量含まれておるということです。
 これは全国の平均でございますが、御承知のとおり北から南までございますので、これも御参考までに申し上げておきますと、北海道ですと、この値が五十八年度で申しますと、年間大体二十万円をちょっと超えておる。一番支出が少ないのは四国、九州といったあたりでございまして、十五万円強といったところです。ですから、寒暖の差によってかなりエネルギー支出が左右されているというようなことがまずうかがえそうでございます。
 その下のグラフと、それから右上のグラフでございます。しからば、エネルギー支出が家計消費に占める割合はどの程度になっておるかということです。過去長い間おおむね三%台から四%をちょっと超えるあたりで推移してきたわけでございますけれども、まず右上の実線の一番上のグラフを見ていただきますと、第二次オイルショックを越えまして五十四年、五十五年以降は、いまだかつて経験したことがない五%を超えるような支出比率になっておる。これまでの推計ですと、おおむね支出割合は四%ぐらいで今後とも推移するだろうと言われておったんですが、エネルギー高価格時代を迎えて、五%を超えるといったあたりがかなり家計にとって負担になってくるのじゃないだろうか。それを示すために左下の五分位別の数字を示しておきました。
 これは、上からT分位、U分位、V分位、W分位、X分位とございますが、これは御承知のとおり年収を一万世帯を下から順番に二千世帯ずつ分けていきまして、五階級に分けたわけでございます。
 参考までに、五十八年ですと、平均年収が約五百万円ぐらいというあたりが平均でございます。これはT分位が二百二十万円ぐらい、U分位が三百五十万円ぐらい、V分位が四百五十万円ぐらい、W分位が五百七十万円ぐらい、X分位になりますと、九百二十万円ぐらい、こういうふうな分布になっております。後ほどまた同じようなX分位を使ったデータが出てまいりますので、ちょっと記憶にとどめておいていただきたいと思います。
 左下のグラフをごらんになってわかりますように、オイルショックのときに際立って違う傾向を示しておるのが第X分位でございまして、第一次オイルショックのときには、その後の第T分位から第W分位までは、いずれも支出割合を高めることによってオイルショック後のエネルギーの使用を乗り切っだということですが、第X分位については、そのときに、実際に支出比率が落ちておる。ということはどういうことかといいますと、恐らく第X分位の使い方と第W分位までのエネルギーの使い方が違うのではないか。特に一番高い第T分位を見ていただきますと、非常に支出比率が高うございまして、六%台、第一次オイルショック後は六%台を記録しております。したがいまして、必需的な使い方をしておるところに大きくエネルギーのショックがきいておる。
 第X分位になりますと、かなり豊かな使い方をしておるので、節約という行動で乗り切ったのじゃないだろうかと、こういうふうな見方を我々はしたわけですが、その後の第二次オイルショックになりますと、いずれの分位においてもやはりエネルギー支出比率を高めることによってエネルギーの使い方というのを処理してきておるということですから、一次と二次は大分家庭にとってはオイルショックの意味が違ったのだなということがうかがえると思います。
 右下の図でございますが、これは価格の推移を示したものでございます。価格高騰がこういった結果を招いたことは想像にかたくないわけでございますが、ごらんになってわかりますように、上がり方、ジャンプの仕方というのはやはり二次ショック後の方が大きいということがうかがえようかと思います。
 エネルギー価格の比率をちょっと申し上げておきますと、五十八年度でいきますと、灯油を一というふうにしますと、電気が約三・三倍、ガスが一・七倍、LPGが二倍といったふうなエネルギー価格の差になっております。もちろんエネルギー自体が持っている特性が違いますから、一概に比較することはできませんけれども、価格の差というのがそういうぐらいになっておるということを御参考までに申し上げておきます。
 では、次のページに参りまして、図の5でございます。左上でございますが、これは先ほどのエネルギーの支出と、それからエネルギーの価格というものを用いますと、割り返せば量が出てくる、こういうことになるわけでございますが、そういった手法を用いてエネルギー消費量に変換したわけでございます。先ほどの支出額ベースで見ますと、随分伸びておるという傾向がうかがえますが、支出量に直してみますと、さほど大きな伸びは見せてないということがまず直感的にうかがえようかと思います。
 ただ、細かく申しますと、四十年のグラフの中のハッチの違いを見ていただきますと、石炭、その他といったふうな固体燃料が四十年当時はやはりかなり多く残っておる様子が御理解いただけようかと思います。約半分近くまで石炭とか、その他、まき、炭といったふうな燃料が家庭で使われておった。それが近年急速にいわゆる流体化現象というのを伴いまして、五十年以降になりますと、ほとんど固体燃料というのは使われなくなったというふうな様子がうかがえようかと思います。これは当然でありまして、四十年当時の田舎の、都会は別にしまして、田舎のライフスタイル考えますと、ふろなんか、私も岡山の育ちなんですが、おふろのお湯を沸かすのはまきであったとか、あるいは廃材であったとか、紙を燃したというふうな経験がございますので、たかだか二十年で大きく燃料革命が進んでおるという様子がうかがえようかというふうに思います。
 参考までにこの間の伸び率をちょっと申し上げておきますと、四十年から五十八年まで通して、この十八年間、エネルギー消費量がどの程度まで伸びたか、四十年がちょうど五千九十、単位を御説明するのを忘れましたが、下にMカロリー・パー世帯・年というふうになっておりますが、これはメガカロリーというふうに読みまして、十の三乗キロカロリー、千キロカロリーというふうに読
みかえていただければいいんです。したがいまして、五千九十メガカロリーということは五百万キロカロリー強というふうな読み方にしていただければおわかりやすいかもしれません。それが五十八年には八百五十万キロカロリーぐらいに伸びたということですから、先ほど実質的なエネルギー支出は二倍になったと申しましたが、エネルギー消費量から見ると一・六倍に落ちついておる。したがいまして、伸び率を計算いたしますと、年率二・九%ぐらいで伸びてきたということになっているわけです。
 ただ、これが第一次オイルショックを境にして、四十八年を真ん中にとりまして分けてみますと、四十年と四十八年の八年間ですと、四・六%の成長をしておる。ところが、四十八年から五十八年に至る十年間はわずか一・六%ということで非常にエネルギー成長自体が家庭一軒当たりにとると落ついてきておるというふうな見方ができると思います。もちろんエネルギー種別には若干違う差があるわけでございまして、電気で申しますと、その最近での十年間、四十八年から五十八年で申しますと、年率四・一%、都市ガスが二%弱、LPGが三・六%、灯油に至っては〇・三%というふうな値です。ですから、第一次オイルショック以降のエネルギー消費の伸びというのはかなり電気といったところに偏っておる、あるいはLPGといったところに寄っておるというふうなことがうかがわれるんではないかと思います。
 次に、図の6に参りますが、これは御参考までに、九地域別に過年度の状況、推移を示したわけでございます。北海道が非常に特異なカーブで推移しております。そのほかの地域は、多少の差はあれ右上がりといった傾向がうかがわれるわけです。北海道の大きなこの違いと申しますのは、一つには、北海道の場合には先ほど少し申し上げましたが、エネルギー消費の大半は暖房用に特化しておる、当然でございます、寒冷地域でございますから。したがいまして、暖房の需要というのはその年の気候によってかなり左右されるというふうな影響がございます。これは最近年ですと、ほかの九地域でもそういった傾向がうかがわれてまいりましたが、北海道の場合には暖房が必須の生活条件でございますから、そういった気候に左右される要件が非常に多い。
 もう一つは、北海道の場合にはやはり石炭といった固体燃料の使われ方が非常に多かったわけなんですが、そういったものから灯油にかわるということによって、エネルギーの消費効率が高まったということが一つ言われております。これは御承知のように、だるまストーブを一気に燃やしてしまうよりは、灯油を燃やす方が燃焼制御は楽でございまして、マイルドな暖房ができる、そういったこともあろうかと思います。
 それからもう一つは、北海道は全国の地域に先駆けて、住宅の省エネルギー化ということに、寒地住宅研究所等が中心になりまして率先して住宅の保温構造化というのを進められた。その内訳が何%ずつかという計測はやっておりませんので本日御報告できませんけれども、そういった要素が絡まって、北海道の推移がやや右下がりぎみといったことになっているんじゃないか。
 以下、東北がその次に来まして、北陸がそれに続く。いわゆる寒冷地がエネルギー消費が高い。あとの六地域というのはほとんど一線と見てもいいんじゃないか。ただやはり、四国、九州といったところはエネルギーが寡消費、少なくて済んでおるという状況がうかがえるかと思います。
 図の7は、五十八年の月別の変化を示したわけでございますが、先ほど来言っておりますように、一番上の太い線が合計の推移でございますが、こうやってみますと、冬に高くて夏に低いというエネルギー消費構造をとっておる。ただ、よく中身を見ていただきますと、点線と四角でつづってあります電気の推移を見ていただきますと、これは近年では、ほとんど冬、夏ともに同じぐらいのピークが出てきておるということで、これは明らかに冷房の需要ということが近年高まってきておるという推移を示しているわけでございます。月別にはこういう変化をしておるということでございます。
 では次に、図の8に参りますけれども、先ほどのはエネルギー種別でございましたが、用途別に見るとどういうふうな推移になるか、合計はエネルギー種別と同じでございますけれども。白抜きのところが暖房用でございます。点線で打ってあるのが給湯でございますが、その間に最近少し出てまいりましたが、冷房という需要がごくわずかあります。一番右が照明、動力、その他、いわゆる厨房の煮炊きも含んだその他でございますが、これをごらんになっていただきますと、暖房用の需要というのはさほど大きく伸びてきてないということが非常に特徴的である。もう一つは、給湯用の需要が非常に進展してきておるというのが特徴的。あと、照明、動力、その他については伸び率は低いんですが、安定的に伸びてきておる。この今の三つがここ十数年間における家庭でのエネルギーの使われ方の最も特徴的な点でございます。
 これはいろんな理由が推測されますけれども、暖房で考えますと、いわゆる暖房と申しますのは部屋を暖めるということですから、そういったライフスタイルといいますか、住慣習が落ちついてきたのは、明らかに灯油ストーブが我が国に普及を始めたときと一致するわけで、それまではせいぜいこたつと火鉢といった生活であったわけです。石油ストーブが出てまいりまして、それに加えて、こたつといった日本独特の暖房習慣が続いてきたわけですが、我々から見ておりますと、当然その後に来るのはセントラルヒーティングであろうというふうな予測を十数年前にやっておったわけですが、案に反しまして、我が国においてはセントラルヒーティングというのはほとんど伸びてない、わずか数%のオーダーでほとんど頭打ち。それにかわりまして、御承知のように、いわゆる日本型の暖房機でありますが、FF型のヒーター、これは壁から煙突が突き出ているようなヒーターなんですが、これは燃焼用の空気も排気ガスも屋外からとり、屋外に出すということで、室内の空気は全然汚さないわけでございますから、性能的にはほとんどセントラルヒーティングと変わらないような性能を得られるんですが、そういった機器が出てまいりまして、それを各部屋につければ、実際セントラルヒーティングをつけたと同じような状況だということで、一時普及の兆しが見えたんですが、その後に、似て非なる機械と申しますか、ファンヒーターなるものが出てまいりました。これはいろいろ物議を醸しておると思いますが、これは灯油ストーブと全く原理的には同じでございまして、燃焼空気も排気ガスも室内に出しておる。ただ、ファンで熱気を送ってくれるというところが何となくセントラルヒーティングに似ておるということでございますが、室内の環境側から見れば、ほとんどこれは十数年前の暖房システムと変わっておらぬということでございます。こういったものが普及することが果たして是か非かというのはもう少し考えなやいけないことだと思いますが、そういったことでいきますと、日本の暖房システムというのはほとんど二十年間ぐらい変わってないんじゃないかというふうなことが言えそうだ。
 それともう一つは、恐らく五十四年以降出ました省エネ法案に伴う住宅の断熱化、保温構造化というものが進展したために、やはり省エネ化が進んだんじゃなかろうかというふうなことが類推されるわけでございます。こういった計測ももう少し詳しい実態調査あるいは他の研究をまって追跡しなければいけないわけでございますが、現状ではそういったところまでが類推できるということでございます。
 それに対しまして給湯用でございますが、給湯用がなぜ伸びたかというのは、きょういらっしゃる先生方ですと恐らくかなり高いレベルの生活をなさっていらっしゃると思いますが、四十年初めのころにお湯が出る生活というのは非常に主婦にとって夢でありまして、台所に湯沸かし器をつけるかどうかというのは四十年初めころでは、主婦
にとってはぜひつけてほしい設備の一つであったわけです。今や住宅公団のレベルでありましても、洗面所あるいは台所、もちろんおふろはしかりでございますが、すべてセントラル給湯ができるというライフスタイルというのは当たり前になってまいりました。この変化が最も大きく給湯用に響いておるということが言えそうです。ただし、既存の住宅に完全にどこにもお湯が出るというふうに改造することはかなり厄介な面もありまして、普通は瞬間湯沸かし器はガスでございますから、台所ですと必ずガスエネルギーが来ておりますので簡単に瞬間湯沸かし器ないしはそれに準ずる設備がつけられるわけですが、洗面台となりますとなかなかそこにすぐに瞬間湯沸かし器程度の簡略なものをつけるわけにいかないものですから、恐らくはこの伸びというのは台所にほとんど給湯が普及したことでかなり高まった、以後は洗面所にも古い住宅については設備改善が進むということで、またやや微増の傾向はあるんではないだろうかというふうにうかがえますが、過年度見せておったような急激な伸びというのは恐らくこの辺で頭打ちになるだろうというふうに考えております。
 照明、動力用でございますが、これも後ほどまた国際比較のデータもございますから御説明させていただきますが、我が国の家庭における家電製品の保有状況というのはもう世界一の水準と言っておかしくないという状況だと思いますので、さほどこれも大きな伸びはしないだろうと思いますけれども、さらにこれに加えて乾燥機であるとかあるいは映像機器、これはパソコン等含めてですが、そういったものがさらにふえてくるだろうということもあると思います。そういったことで、これも大きな伸びはしないだろうけれども、微増の状況で進んでいくだろうというふうに考えております。
 これが過年度の我が国の家庭用のエネルギーの消費の動向でございましたが、それでは将来どの程度の水準にいくだろうかということはこれはだれしも非常に興味があるところでございます。ただ、いろいろな推計がございますが、先ほど申しましたように、ベースデータを家計調査というエネルギー調査ではないデータに基づいておるものですから、こういったものを説明する変数、どういう要因によってエネルギー消費が推移してきたかというそういう変数をもって説明するというのは非常に難しゅうございます。そういった意味でも、家庭用についてもやはりある程度の傾向はうかがえるけれども、かなり正確な推計あるいは予測をしようと思うと、家庭用のエネルギーを一体的に説明する変数を含んだデータベースの構築というのはどうしても必要ではないだろうかというふうに考えます。
 横道にそれましたけれども、次の三ページに行っていただきまして、縦にして見ていただいた方がいいと思うんですが、図の9をごらんになっていただきたいと思います。
 これは横軸に世帯の収入が書いてございます。縦軸にエネルギー消費量が載っております。グラフの中に線が何本もございますが、これは先ほど申しました一分位から五分位までの線がプロットしてあるわけですが、中に細かく数字が書き込んであるのが昭和何年かということが示してあります。一見して右上がりではあるんですけれども、どうも包絡線上をたどっていくとちょうど一万メガカロリー、すなわち一千万キロカロリー、この近傍あたりでサチュレートすると申しますか、飽和してくるんではなかろうかというふうな傾向がややうかがえるわけです。四十二年から四十八年ごろまでというのは何分位によりましてもかなり急激な立ち上がりを示しておるわけですが、これはやはりエネルギーの流体革命あるいは高度成長といったことが大きく影響しているわけですが、それ以降、四十八年以降を見ますと、第五分位ですとさほど伸びていない。各分位とも伸びてない。先ほど来御説明しましたエネルギー消費のデータは現在の平均に基づくものですから、年収五百万円ぐらいを水準で話をしてきたわけですが、第五分位が先ほど言いましたように九百二十万ぐらいということになるわけですから、現在の断面でとって年収が九百万ぐらいのレベルに達したときにはどうかという見方をすれば、一千万キロカロリーちょっと超えるといったあたりがエネルギー消費の一つの限界点かなと、ですから九百二十万ぐらいの実質所得が何年ぐらいで達成できるか、先ほど富舘理事からお話がありました民生用が年率三%ぐらいで伸びるということでございましたが、その程度で伸びていけば達成できるかもしれませんが、もう少し高くないと二〇〇〇年には九百万ぐらいにいかないかもしれません。二〇〇〇年でこの値を達成しようとするともう少し伸び率が高くなければいけないかもしれませんけれども、おおむねそんなことが言えそうだというわけでございます。これが一つの目安になる。
 もう一つは、次にまた横にしていただきまして、右上の図の10。ややデータが古うございますが、一九七八年の例でイギリス、西ドイツ、フランス、イタリー、スウェーデン、カナダ――アメリカが入っておらないのは一緒に研究しておりました研究者がアメリカの学者でございまして、政府からの委託でやっておったわけで、アメリカのデータはなくてカナダが入っている。しかし、おおむねカナダとアメリカというのは同じような水準だと御理解いただいていいと思いますが、日本は今まで申してきました我々がやった家計調査に基づくデータです。
 これでまいりますと、日本と各国との差がどこにあるか。確かに絶対量見ていただきますと、イタリーに対してでさえ半分強ぐらいしか日本の水準はないわけですが、最も大きな差が出ているのは一番左側にあります白いところ、すなわち暖房用であるということです。これは当然お気づきだと思いますが、日本のように温帯地域にあるものと非常に緯度の高い地域とでは気候差がありますから、当然この差があってしかるべきでありますが、エネルギー経済研究所さんがおやりになっている同様のデータでいきますと、北海道をこの中に入れ込んでみますと大体イギリスないしイタリー並みのところまで暖房用がふえてまいりますので、ほとんど拮抗しておるというふうな状況だというふうに伺っておりますけれども、一にかかってこの暖房用が大きく差をあらわしておる。スウェーデンとかカナダといった例はやや少し大きいですが、イギリス、西ドイツ、フランス、イタリーなんかは顕著にその傾向が出ておると思います。
 これは先ほど申しました暖房設備の差を申し上げておきますと、家庭の暖房では一番望ましいと言われるセントラルヒーティングの普及率でいきますと、我が国がせいぜい数%、この時点の断面ですと四%ですが、それに対しまして一番低いイギリスでも五四%、暖かいと言われるイタリアでも五七%ぐらいある、スウェーデンとかカナダに至ってはもちろん九割以上の家がセントラルヒーティング化が進んでおるということがあります。これは理解の仕方でございまして、各室に暖房器具が入っておればセントラルヒーティングと同様のレベルでございますから、さほど気にすることはないかもしれませんが、そういった差があらわれてきている。ですから、まだ伸びてくるのではないだろうか。そうすると、やはり暖房用というのは今後の伸びを支える大きな一つの要因になりそうだということでございます。
 時間がございませんのでその下に参りますけれども、その下は科学技術庁の資源調査所でワークした結果でございますが、将来の家庭の生活像というのをある程度モデル化しまして、設備自体も将来の技術革新に伴って高度化するということを入れまして推計した値でございます。前提条件だけちょっと申し上げておきますと、住宅には百ミリの断熱材を入れる、北海道並みの断熱化を図ってやるということ。それから、居室に滞在しておるときは、寝ているときを除きましてはすべて暖房が行き届いておるという条件。それから、ヒートポンプという技術がありますが、これは最近エアコンに使われておりますけれども、そういった
ものを複合利用しまして、夏ですと中を冷やしていると外を暖めることになるわけですが、その熱を取り込んでお湯として給湯用に使ってやる。冬場でも暖房を使わないときには、部屋を暖めるかわりに水を温めて給湯用に使ってやる。そういった技術を利用したシステムを考えまして、しからば将来どの程度のエネルギー消費水準になるだろうかということを示したものです。そういったふうな条件でいきまして、断熱材がもしなかった場合には現状の約二倍ぐらいのエネルギー消費量になる、ですから千五、六百万キロカロリーぐらいに達してしまう。ところが、百ミリの断熱材を入れたことによって一千万キロカロリーぐらいで落ちつくと、一・四倍ぐらいで落ちつくだろうということになるわけです。それに対しましてさらに技術を加味した、高効率化を図った機器を入れてやると、そこにありますような一番右の五百三十八万キロカロリー、現状のエネルギー絶対消費水準より低い値でも今よりははるかに高い生活レベルが達成できるというふうな結果が出ております。この辺の考え方につきましては後ほどまた時間があれば御説明したいと思いますが、そういった結果が一つの目安となるんじゃないだろうか。
 最後に、今後の課題と申しますか、私どもがどうしても必要だなと思うことを二、三申し上げておきますと、やはりデータベースの整備ということを着実にやっておかないと今後あり得るかもしれない第三次、第四次といったふうな危機に対していかに家庭側で対応するかというデータを現実に示すことが難しいんではないか、さらに加えて、業務用というのはほとんど手つかずの状態でございますから、こういった業務用のエネルギーについてもあわせて整備しておかないと民生といったくくり方をした場合には非常に脆弱なデータのもとに物を言わなければいけないということはあるわけです。
 それから、エネルギー利用のガイドライン、これは建設省も今年度から住宅のテンモードといったふうなエネルギー消費のガイドラインをおつくりになるというふうに伺っておりますから、そういうものができればいいと思いますが、エネルギー利用のガイドラインというものをきちっと家庭の生活者に示すことができるといったふうな体制というものが整備されるべきではないだろうかというふうに考えます。
 以上でございます。
#7
○委員長(田代由紀男君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取を終わります。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は委員長の許可を得て順次御発言願います。
#8
○菅野久光君 富舘参考人にちょっとお伺いいたしますが、第二次オイルショック以降省エネ投資というものが積極的に行われたということでありますが、当時の省エネ投資というのはある意味で言えば何か応急処置的な、継ぎはぎといってもいいんじゃないかというような面があったというように思うんですが、いずれにしましてもエネルギー多消費産業だけでなくて全産業において今後とも一層の省エネ努力というものが必要だというふうに思うんですね。こうした観点に立てはこれからは大型な省エネ設備が大変大事だというふうに思うんですが、最近の主要産業における省エネの取り組み状況をどのように分析されているか、また研究者として産業界にどういったようなものを期待するか、その辺お聞かせいただければ大変ありがたいと思います。
#9
○参考人(富舘孝夫君) 御指摘のように、過去の省エネ投資を見ますと応急的なものも多かったわけですけれども、必ずしもそれだけではなくて、例えば鉄鋼産業における連続鋳造、一たん冷やしてから製鋼するんではなくてそのまま続けてやってしまうと相当省エネになるわけですね。また、全体のエネルギーの管理をきちんとやりまして、内部でいろんな熱が、エネルギーが発生しますのでそれを有効に使う、あるいは高炉の圧力を利用して発電をする炉頂圧発電とかいろいろ工夫されているわけです。こういうものは技術的な進歩による効率の向上だというふうに評価できると思うんですね。そのほかに単なるむだなくし的な省エネもありますし、それから国民経済から見ますと産業構造の変化とか製品の高度化ということによる省エネ、これも省エネの中に入れてとらえられるというのが一般的なんですね。
 最初の問題に対するお答えでございますけれども、これはやはり産業別にかなり違う問題だと思います。もう鉄鋼産業ではこれ以上の省エネというのは技術的にだんだん限界に近づいてきております。しかし、電機産業を中心とする機械産業とか、それから化学工業等々でもまだ何といいましょうか、設備投資、新しい製品をつくるための設備投資をして新しい製品をつくるための工場がふえていく。例えば先端産業が今一番そういうトップを走っているわけですけれども、そういうところの投資は省エネを主とした投資でなくても、結果的に日本国民経済にとって省エネ効果を伴ってくるという問題がございますので、そういう意味では、先ほども御説明しましたように、今後もある程度省エネは進んでいくだろうと思います。できたらそのときに省エネという観点をもう少し織り込んだ対策がとられることが望ましいと思います。
 それから鉄鋼に等しい産業はセメント等でございますが、そのセメント等も機械類の改善によってかなりの省エネが今進んでいますが、そのほかは産業部門で言いますと、やはりエネルギー価格が現在総体的に安くなっておりますし、今後もまだ実質価格では下がるだろうというふうに期待されますので、私どもは、自然の成り行きでいきますと省エネを主たる目的とする投資がどんどん減っていきまして、さっきのような副次的な効果による省エネということが主流になると思うんです。これはある程度やむを得ないと思いますので、そこを直していくためにはやはり民間企業の自主努力に期待することもさることながら、政府の誘導政策というものがいろんな手でこれから発揮されることが一番肝要かと思っております。
#10
○菅野久光君 それから、産業部門はもちろんですけれども、民生部門におきましても電力というのが非常に便利だということから今後とも大いに需要の伸びが想定されるわけでありますが、石油火力が現在大体三六%ぐらい、これは五十八年度の発電電力量のシェアですけれども、それを六十五年度には二二%まで落とす。それに代替して原子力が二八%とトップを占めるような長期見通しがあるわけですけれども、参考人は中長期的な電力需要を展望した場合に、その電源構成、石油だとか原子力だとか石炭だとか水力、いろいろありますが、その電源構成の理想像としてどのようなあれを描いておられるか、ちょっとお伺いしたいと思うんです。
#11
○参考人(富舘孝夫君) 大変難しい御質問だと思いますけれども、理想像を描くときの基準があると思うんですね。それはやはり長期的な電源別の発電コストの動向をどう見るか。それと安全性とかその他の環境への影響をどう見るか、二つあると思うんですね。例えば我々が需要見通しを立てるときには現実いろんな電力業界の設備計画等を一つ一つ検討しまして、十年後ぐらいですとリードタイムが長いですから、大体現実的な発電の増加、どういう発電所がどのくらい増加するかということがわかるわけでして、それでやっています。傾向としては、電力業界が計画している電源構成と、我々が理想的に近いと仮にそういうものを描いたとした場合の構成とは方向としてはそう変わらないと思います。やはり原子力は建設できるところでは建設した方がいいと。しかしながら、いろいろな問題がありますので、原子力発電の計画は計画どおりになかなか進まないんではないかと思います。
 その次に、やはりLNGにつきましては、環境対策上はいいんですが、非常に価格が高いわけでして、原油価格が仮にこのままどんどん下がって二十五ドルとか二十ドルぐらいになってしまいますと、LNGの供給そのものが危なくなるような
固定費部分が非常に高いんですね。契約自体も非常に硬直的ですから、需要の変動に対して柔軟な対応がLNGについては難しいわけですね。ですから、LNGと石炭は、LNGは契約をできるだけ需給の見通しに合わすような形で発電所として中間的に位置づけて石炭でバッファーをとるということになるんではないかと思います。そして、石油火力については、本当のピークシェービングといいますか、需要の一番の高いときに動かすという傾向をとる。これがやはり総合的に言って、発電総コストが一番安くなりますし、安全性その他も加味してもよろしいかと思っております。
 ただ、一番難しいのは将来のという話になりますと、分散型の光発電とか、あるいは燃料電池とかそういうものをどの用途でどの程度導入し、コストがどのくらい下がるかという見きわめを盛んにいろんなところで、もちろん政府も含めて検討しておりますけれども、我々も検討しておりますけれども、この辺が一番難しいので、これが現実的な経済性をもって入ってくるということであれば、既存の電力の電線との継続の問題も含めまして、いろんな解決すべきところは制度的にも解決して、大いに利用していくということ。つまり、二十一世紀に入るころには、そういう方向が一番重要になってくるのかなという気はいたしております。
#12
○菅野久光君 一点だけ、中上参考人は建築家と伺っておりますが、例えば太陽熱だとかあるいは太陽光の直接的な利用についてもう各国で実用化されておりますし、日本でもソーラーハウスなどというものが、私は北海道出身なんですが、大変北海道でもこの面が普及されてきております。現在の我が国の給湯とか冷暖房システムを備えた、そういうような高度なソーラハウスが将来どのような形で進展するのか。あるいはそれらを誘導するためにはどのような政策的な助成が必要と考えておられるのか、その点お伺いできればと思っております。
#13
○参考人(中上英俊君) 建築をやらなくなって随分長いものですから、的確なお返事ができるかよくわかりませんが、一つには現在の太陽熱の利用の仕方というのが、一番簡単なのはお湯だけとる。しかも、補助燃料なんか用いないで、温まったらそのまま夕方落として入れる。これが一番経済的でありまして、現状ですと、恐らくそれ以外の方式をとるとちょっと競争力がないかもしれない。一つには、あんな簡単な機器が非常に高いというのが私は非常に疑問でございまして、あれがどうして十数万もするのかなと、十数万も出せば相当複雑な電気機械が買えるわけでございます。それが一つあるということ。それから、将来の太陽熱の利用でございますが、現在、ではそういうものを組み合わせて暖房まで持っていこうというのはとても経済的に合ってないわけですが、もう少し太陽熱の利用ということを大きく考えますと、家のつくり方自体をもう一度見直す。これはよく言われておりますのは、パッシブソーラーというふうな言い方をします。先ほど言いましたコレクターを用いて、その熱を暖房に使ったり、給湯に使ったりというのを、これはアクティブと申しまして分けております。パッシブソーラーというのは、動力を使わないで太陽熱を利用しようではないかと。簡単に言ってしまえば、冬の日射は部屋の中に取り込んで、それで温室効果を十分に得よう、夏は暖まった空気はできるだけ煙突効果か、あるいは通風を通じて逃がしてやる、こういったあり方をもう一度再検討すべきであろう。今まではそういったことは余り検討対象になってこなかったわけでございますけれども、そういううちのつくり方というものを、翻って考えればかなりエネルギー消費を減らしながら、しかも大きな意味での太陽熱利用ということになるんではないだろうか。ですから、今は設備機器をつけて太陽熱利用という話がどうしても頭に来てしまうわけですが、その前に住宅構造自体で最大限利用してなおかつ補えるものを太陽熱だというふうな位置づけの方が正しいんじゃなかろうか。ただし、この技術につきましては、北海道とあるいは東京、長野、九州、すべて気候条件が違いますので、地域にそういった技術を持った技術者を育てるということが非常に重要だと思います。もちろん建設省も通産省もそういった住宅の開発には力を注がれておりますし、プロトタイプになるようなモデル住宅は建っておりますけれども、じゃそのまま北海道に適用できるか、九州に適用できるかとなりますと、これはやや厄介な計算なり、構造的に組みかえなきゃいけないという問題があるわけでございますから、せっかくそこまで現代技術が進んできておるならば、いかにしてそういった適正な技術を地域の技術者に移転させてあげるか、そういった努力がこれからますます重要になるんじゃないだろうかと思います。お答えになっていないかもしれませんが、私自身の感じとしてはそういう感触を持っております。
#14
○菅野久光君 どうも貴重な御意見ありがとうございました。
   〔委員長退席、理事沖外夫君着席〕
#15
○近藤忠孝君 富舘参考人にお伺いしたいんですが、産業構造変化効果によるエネルギー消費変化、図を示して御説明いただいたのですが、そういう中で、特に最近いわゆる先端技術産業、その成長が目覚ましいんですが、それがどう効果に響いているのかということがどうも通産などに聞きましても数量的、指標的にはっきりわからない面があるんです。そこで、おわかりになれば教えていただきたいんですが、これは実際税制面、金融面でも優遇措置を受けている分野ですが、この先端技術部門の製造業の中に占める比重がどうなっているか、それが一つ。
 それからそれが統計のとり方では制約がありまして、通産に資料求めても出てこないんですが、これは先端部門などが分離抽出できない、そういうことだと思うんですね。そこで、これまでの統計のとり方との継続性は維持しながら、先端部門などの成長の動向、それからエネルギー消費の実態などが明らかにできるような、そういう統計のとり方を別に検討してみる必要があるんじゃないかというのが第一点です。
 それからもう一つ、今後の需要の問題で、電化の方向、そして電力が伸びるということに関してですが、これは四月六日に、向こう十年間の電力需給見通し、それに基づいた電力九社の六十年度の施設計画が発表されたことに関してお伺いしたいんです。こういう盛んに大量に消費する素材型を転換しようということが言われてきて、その効果もあって、一定の省エネ対策も出てきたわけですが、そしてエネルギー消費もかつてとは随分変わってきているわけですね。その中で電力についてですが、これは最近学会で発表になった資料を見てみますと、これは九州大学の平井孝治教授の報告ですが、需要電力量の増加率はかつての高度成長時の一〇%台から二%台だと、大口電力がマイナスに転化、そしていわゆる業務用電力、これはデパート、官庁、レジャー部門などですね、その増加率で補って、九電力合計増加率では大体今二%、こういう状況のようですね。片や五十八年度の九電力の供給実績から見てみますと、設備利用率が四四・四六%、それからそういう九電力の設備能力と、それから卸、自家発電など、要するに八月ピーク時の対応、いわゆる最大受電電力量、それの八月の最大の三日間でもピーク時能力の利用率が七四・四六%。ですから要するにピーク時であっても三四・三%が遊んでいる、こういう状況で、エネルギー消費量も全体としてはかってのような状況はないとなりますと、それから見て、今度の計画を見てみますと、特に原子力発電が今よりも一四%から二三%に比重が高まる、全体としてもふえていく、こういう状況ですと、こういう膨大な現状から見て、ピーク時でもそういう状況だということから見まして、こういう膨大な量の原発設備が本当に必要なんだろうかという疑問を持つんですが、これについてお答えをいただければと思うんです。
#16
○参考人(富舘孝夫君) 初めに先端産業の問題でございますけれども、先端産業という場合に、どういう業種を集めてきて先端産業としてくくるの
かということが必ずしもはっきりしておりません。現在可能な統計ではやはりある程度御指摘のようにはっきりとした数字を先端産業としてとるということは難しいかなと思います。私の手元にある数字でいきますと、先端産業が多分大部分が入るだろうと思われるものが機械工業の中の電気機械業種だろうと思います。この中にいろいろな先端産業が大部分入っている。もし仮にそういうふうに仮定しますと、先ほどもちょっと触れましたように、製造業の中に占める電気機械業のエネルギー消費の伸びは一番大きいわけです。しかしながら、伸びは大きいんですけれども、製造業のエネルギー消費の合計の中に占める電気機械産業のエネルギー消費のパーセント、これは昭和五十五年度に三・八%、量はまだ非常に全体の中に小さな比重しか占めていません。
   〔理事沖外夫君退席、委員長着席〕
しかし五十八年度になりますとそれが六%、倍近く比重をふやしているということからわかりますように相当の伸びは示しているわけです。
 それからもう一つ、先端産業と言われている産業をいっぱい含んでいる電気機械産業のエネルギー消費の内容を見てみますと、電力が昭和五十五年で四八・五%を占めているわけです。それが五十八年では五六%も電力を使っている。つまり電力が半分以上であるということですね。
 そこで問題なんですが、比重がそういうことでありますけれども、統計のとり方としてはそれ以上細かくとろうとするとなかなか難しい問題があるというので、お話のように今後の日本経済の伸びがかなりこの先端産業と言われているところが引っ張っていきますので、エネルギー消費もそれがわかるような統計が入手可能になれば我々も非常に便利だし、分析もしやすいし、また政策的ないろいろな対策も講じやすかろうと私は思います。
 今後の問題でございますけれども、これが何といいましょうか、付加価値の高い産業でございますし、例えばコンピューター、パソコン等を見てもおわかりのように、もう日進月歩でどんどん小さくなって性能はどんどん上がってくるわけですね。そうするとある一定の目的の作業量をするために必要な電力消費量も非常に少ないし、また機械そのものをつくるために投入するエネルギーも少なくなってくるわけでございまして、そういう一定の仕事量に対する省エネ効果と、それからどんどん普及していくことによって発生する増エネ効果と両方がどういうふうに兼ね合うかということでなかなか難しいんですね。
 私どもが昨年の夏に、産業のソフト化によってエネルギー需要がどういう影響を与えるかという問題と取り組んでいろいろ分析してみたんですけれども、どうもソフト化とか先端産業とかというものの概念をきちっとつかまえるのが難しかったわけです。例えばサービス産業のどの部分をどういうふうにソフト化としてとらえるとかという問題もございます。先端産業の中にはサービス部門のある業種も入ってくると思うんですけれども、それ非常に難しいんです。それでコンピューターだけをとってやってみたんですが、現在大体大型から小型まで含めて、パソコンはこれは入っていないかもしれませんが、約十三万セットですね。非常に安いパソコンは入っていないと思いますけれども、十三万セットのコンピューターが一九八二年にあったわけです。そのときの電力消費量が全体の電力需要の中に占める比重を見ますと二・七%です。これは一九七六年は一・七%でありまして、わずか一・八万セットしかなかったんですが、そのときの電力使用量の中に占めるシェアは一・七%、これが将来五年後の一九八八年に二十四万セットまでコンピューターがふえたとしまして、いろいろ性能等の変化も考えて計算しますと、そのコンピューターが使う電力量というのは日本の全体の電力使用量の三・八%、つまり四%になるかならないかということになります。これはいろんな数字が出ていまして、横浜国立大学の太田先生の数字はもっと物すごくふえていくという数字を出されていますけれども、我々が今のような手順で計算すると大したことないということになって、むしろこの場合は技術革新による省エネ効果が相当きいている、しかし、こういう先端産業それぞれがいろんなものがいっぱいありまして、少なくともこの程度のものはそれぞれについて検討しないとなかなか将来の見込みというのが出てこないと思うんですね。私たちは仕方がないので電気機械ということで予測をしています。
#17
○近藤忠孝君 あと電力の需給の問題ですが。
#18
○参考人(富舘孝夫君) これはやはり非常に難しい問題でして、先ほどの設備利用率のパーセントはどこの数字ですか。
#19
○近藤忠孝君 それは先ほどお話しした平井教授が最近発表された数字で……。
#20
○参考人(富舘孝夫君) 計算がどういうふうにされているのかちょっとわからないんですけれども、私どもが聞いているところでは、去年の夏は相当暑かったわけですけれども、またおととしの夏も暑かったんですが、去年の夏の場合に大体東京あたりでそういう予備率が一〇%ちょっとだろうという話を聞いているわけです。その予備率の概念とその先生の出された計算の数字とがどういうふうに関係するのか、今ちょっとわかりませんけれども、一〇%前後であればそれほど高い予備率じゃなくて、むしろ適正かなという気がします。
 それで、しかしながら私は逆にここ二、三年から四、五年の中期的な見通していいますと、過去数年間電力消費が物すごく伸び悩んだわけですね、そのために十年ぐらい前に立てた施設計画を相当下方修正してきたわけです。しかしながらこの一、二年電力需要物すごくまた伸び始めまして、これはひょっとすると日本経済の成長の見方とかあるいはどういう産業がどういうふうに伸びるかという見方によっては電力需要が今非常に控え目に、むしろ低目に抑えていますけれども、逆に高くなることもあるんではないか。そういう意味ではこの次の景気の上昇期に夏が暑くて高校野球がなんかと重なったりしますと、この予備率が相当少なくなってくるという問題さえ発生しかねないと私たちは思っているわけですね。そういうところから見まして、必ずしも現在の、この間発表されました施設計画が過大であるということはちょっと言い切れないんではないか。去年、おととしあたりからことしはかなり景気対策的に前倒しで電力の設備投資をしてほしいという政策的な誘導もあったようですが、そういう問題も尾を引いでいるかとは思いますけれども、中長期的に見ますと施設計画そのものがそれほど大きいとは私どもは思っていないんです。
#21
○近藤忠孝君 今の適正予備率が八から一〇%が過大じゃないかということの実証としてこの数字が出ているんですが、以上です。
#22
○井上孝君 中上さんにちょっと伺いますが、エネルギー政策上非常に統計資料というのは大切だと思うんですが、あなたのこのデータは総理府家計調査ですか、こういうものから非常に興味あるデータをおつくり願っていただいて非常にありがたいと思うんですが、あなたは二度にわたって業務用のデータがないとおっしゃいました。一体どういうデータを今後整備していくべきかというお考えがあったらお聞かせください、それが一つでございます。
 それから、最後に御説明いただいた、ちょっと私が聞き漏らしたのかもしれないけれども、図の11、これは、将来電力特化型になればエネルギーの消費量は半分ぐらいで済む、こういうふうに見ていいんでしょうか。
 以上です。
#23
○参考人(中上英俊君) では、まず最初の業務用のデータでございますが、業務用と一口に言いましても非常に業種が多うございますので、企業種について同じ精度のデータというのは恐らく相当大変であろうと思われますから、まず中心的な、例えばビルであるとか、それから百貨店といいますか大規模の店舗であるとか、病院、ホテルといったふうに、かなり大型といいますか、つかまえやすいものからまずデータを整備していくと。こ
れは私ども、何回か実態調査をやった経験があるわけでございますが、少し規模を小さくして商店になってまいりますと、その商店の構成によって同じ商店であってももう大きく違ってまいるわけです。例えば飲食店をとりましても、ラーメン屋さんから一流のレストラン、しかも中華か和食がで全然違ってくるという話になりますので、そのレベルの話はひとまずおきまして、とりあえず、とらまえやすいビル用であるとか百貨店用、これはまた、逆に言えば政策的にも指導しやすいという分野にもなろうかと思いますから、そういった業種にわたるデータの年々のエネルギー消費の動向と、どのような建築形態あるいは設備形態であるかというものを追っかけるような実態調査がなされれば非常にありがたいなと。これはもう産業用ではかなり細かい統計が通産省によって整備されておりますので、できれば業務用についてもそういったあたりから手がけていただきたいということが一つでございます。
 それから二番目の、図の11でございますが、これは時間がないので説明を省略してしまったんですが、これは別に電力特化型だからというわけではなくて、ちょっと申し上げましたが、モデル住宅を想定しましたわけです。今まで申し上げてきた家計調査のデータはすべていろんな機器を持っていらっしゃる方がまじっているのを平均という概念で話してきたわけですが、モデル家庭を想定する場合には、どんな設備にしてやるかということは決めてやりませんとエネルギー消費がはじけないわけです。ここでは、私どもが科技庁でやりましたときには電力特化型とガス特化型というふうな――と申しますのは、冷暖房に、電気で冷暖房を行うか、あるいはガスで冷暖房を行うか、あるいは油でやるかということだけでございますが、そういった意味で電力特化型という呼び名をつけたと。したがいまして、これがすべて全家庭に普及するということはあり得ないわけでございますから、その辺はちょっとお取り違えないようにしていただきたいんですが。ただ、電気においてもガスにおいても灯油においても同じようなシステムが組めるわけでありますから、ほぼこれと同水準だというふうに御理解いただきたいと思います。ただ、エネルギーの算定の方法上、ガス特化型にしましても、当然動力のファンであるとかもろもろの、電気が入ってこないとガス特化型といってもガスだけでできるわけではございませんので、その辺は多少システムに違いがありますけれども、ここでは、例えば電力の冷暖房システムを入れたらこういう値になったと。
 これは少し詳しく説明させていただきますと、この図の11をごらんになっていただきますと、最も大きく減っているのが中ほどの給湯用でございますね。これは先ほど申しましたように廃熱を利用しておると。夏場は、冷房しておればその冷房で屋内は冷やせますけれども、外は暖めますから、その熱を全部回収してやると。そうすると冷房しているときにいわば給湯用は何もしなくてもエネルギーが回収できるわけですね。それからもう一つ、じゃ、暖房時はどうするかというと、暖房時は室内を暖めているわけですから、そのシステムを給湯用に直接使用できないんですが、これはあいている時間がありますので、必ず全室二十四時間フル暖房しておりませんから、あいている時間でお湯を沸かしてやろうと。ただ、これはヒートポンプという、これから多分普及が促進すると思いますけれども、電気製品の中でも格別効率が高い機器でございまして、これは一〇〇の入力に対して三〇〇%ぐらいの効率で回収できる。したがいまして、発電効率が低いといっても、現場で使うと三〇〇%取り返せれば、一次エネルギーから換算してもほとんど一〇〇に近いような値で回収できる。これがさらに将来的な技術効率の改善を望みますと四〇〇%から五〇〇%ということもあながち無理ではないというふうなメーカー側の推測資料もございますから、このヒートポンプ技術というのは一つ大きな目玉になるだろうと。当然、ガスの場合にも石油の場合にもこのヒートポンプ技術を用いております。それじゃ、ガスの場合どうするかと言うと、今ぼつぼつ出てまいりますが、エンジン、要するに自動車工ンジンと同じですね、エンジンで直接モーターのかわりに回してやると。電気ですと直接モーターを電気で回すわけですけれども、ガスや灯油の場合には、そのエンジンで直接コンプレッサーを回してヒートポンプというふうなシステムをつくり出すというその技術が一つ大きなみそでございます。
 そういったことでございますので、別に電力特化でなければいけないというわけではなくて、ほかのエネルギーでもほぼこの水準で将来技術的には現状の二倍ぐらいの生活水準がエネルギー消費水準からいけば七、八倍のエネルギー消費で達成できるんだということでございます。
#24
○工藤万砂美君 富舘先生と中上先生に一つずつお伺いをするんですけれども、先ほどの御説明の中で、富舘先生は、六十三年以降のエネルギーの需要が下がっていくだろうというふうな意味のお話がございましたんですが、それは、いわゆるGNPとそれからエネルギーの需要との関連というのは、恐らく私どもは正比例していくと思うんですけれども、正比例させないで、逆にエネルギーの需要だけが減っていくというふうな意味のお話があったと思うんですけれども、どういう意味でそういうふうにお考えなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
 それから中上先生にお伺いしますけれども、第一次のオイルショックのときよりもむしろ第二次のオイルショックのときの方がいわゆる家庭生活に及ぼす影響が大きかったという意味のお話がございました。
 これは、所得の面で漸増しなかったのか、その格差に追いついていけなかったのか、あるいはまた、その他の要因があって第二次の方の影響度合いの方が大きかったのか、それから、これから第四次、第五次ということは実際にあり得るのかというような見通しも含めて、それに対する準備もしなければならぬと思うんですが、そういう意味を含めてのお答えをいただければと思っております。
#25
○参考人(富舘孝夫君) 私の御説明の仕方が大変悪かったのかと思いますけれども、六十三年度以降エネルギーの需要が下がっていくということではないのでありまして、例えば、資料の六ページの表2を見ていただきたいんですけれども、この資料の六ページの表2は短中期的な見通しです。御説明申し上げましたように、もし、気温が平年であるとすれば、景気の変動によって一番需要が左右されるだろうという考えで六十二年度が景気の底、六十三年から次の景気の回復に入るということでございます。したがって、対前年比の伸び率が、一番上に「国内一次エネルギー供給合計」で書いてございますけれども、今年度が一・八%、来年度が二・〇%、そして、六十二年に景気が不況になりまして一・五%まで下がって、それから三%へともう一遍回復していくというように今後向こう四、五年は見ているわけです。その先のことになりますと、これは、その次のページの七ページの表3にありますように、モースト・ライクリー・ケースで、九〇年から九五年、昭和六十五年から五年以降ですけれども、二%程度というふうに見ているわけです。ただ、これは、先ほど御説明を落としましたが、つくった時点が去年の六月の初めでございまして、データとしてはもっと前のしかなかったわけです。したがって、ベースの年度も、出発点の年度も、昭和五十七年度、一九八二年度から出発していますが、その後先ほど御説明しましたように、八三、八四と相当エネルギーの需要が伸びておりますのでベースのげたが上がっているわけですね。その影響が相当ありますので、ここに発表されている数字よりは現実は少し水準が上がる傾向を既に示しています。私どもは昨年の十二月の末にこの六ページの表2の数字、中期見通しを発表したんですが、この傾向をと久ますとこの七ページの表3のMLケース、最もありそうなケースと高成長ケースの中間ぐらいに入ってくる、そういう感じであります。ハイケースとMLケースの中間に入ってく
る。したがいまして、九〇年代は二%強の二・一とか二とかその程度の成長になるのかなという感じですね。お答えはそういうことでよろしいですか。
#26
○工藤万砂美君 はい、わかりました。
#27
○参考人(富舘孝夫君) 正比例の問題ありましたね。
 これも非常に日本経済とか産業構造とか、あるいは中上さんの御説明になった民生部門でのエネルギーの消費の構造が住環境その他器具との関係でどうなのかとか、いろいろな変化要因がありますので難しいんですが、変化が終わればGNP弾性値というのは一になるわけですね。一ということで正比例していくわけです。しかしながら、変化が続いていくということを仮定して、産業構造も変わるし製品の高度化も変わる、そして一単位当たりのエネルギーの付加価値生産性も高まっていくということを前提といたしますと、〇・五とか六とか、そういうことが十年ぐらい今後も続くだろうというふうに見ることは可能だと思います。私たちの予測も結果的には〇・五前後、修正したもので〇・六と、最近の土台を上げたもので〇・六ぐらいではないかというふうに見ています。
#28
○参考人(中上英俊君) 一次ショックと二次ショックの差でございますが、これはやはりエネルギー価格の上昇率、上昇率といいますか、上昇の絶対額が違ったということだろうと思います。それともう一つは、第一次オイルショック直後のときには、御承知のように灯油の価格というのは政策的にコントロールするといいますか、余り負担にならないようにということで緩やかに抑えておったということがございまして、第二次の場合にはそれが割と自由に任されておったということで、灯油もガスも電気も一度に第二次オイルショック後には高騰という状態になった。第一次の場合には、エネルギーの上昇につきましても一どきにみんなが上がったわけじゃなくて、割と何年かに分けてだらだらっと上がっていったというふうなことで、第二次の方が家計総体には急激にきいたんではないだろうか。所得自体がそんなに落ち込んだとかなんかということはないんじゃないかと思います。それが一次と二次の差だろうと私は思います。
 それから今後の対応でございますが、何と申しましても省エネの政府の指導といいますか、基準による効果といいますか、私は大変大きくきいているんじゃないだろうか。例えば冷蔵庫がよく例に挙げられますけれども、もうまさにドラスチックに省エネ化が進んでいるわけです。車もしかりでございますね。今後はやはり暖冷房といったふうなかなり付加価値の高いエネルギーへシフトしていくわけなんですが、この場合にいまひとつ物足りないなと思うのは、断熱の基準はできたわけでございますけれども、どのようにしてそれを実際に普及さしていくかということになるとまだもう少し御努力があってもいいんではないだろうか。多少一部に公庫の融資の割り増し等もございますけれども、まだまだ寒冷地を除きますと、温暖地ですと実施率が大分落ちるように聞いておりますので、断熱の基準ということにつきましてはもう少し普及促進に対する後押しが必要ではないだろうか。自発的にユーザーに何か啓蒙していくというよりは、やはりそういう政策誘導というのは非常にかなりきいているのじゃないかという気がしますので、できるところからどしどし手を緩めないでやっていただきたいという気がいたします。
#29
○工藤万砂美君 そこで、もう一点富舘先生にお伺いしておきたいのですが、言うなればエネルギー源の問題で、これを活用していく日本の将来について、先ほどバランスのとれたエネルギーの調整という問題にちょっと触れられましたけれども、石油関係の言うなれば埋蔵量からいいますと大体千二十億キロリットルぐらいですか、全世界でいいますと。これは石炭換算にしますと大体千三百億トンぐらいになりますけれども、現在確認されている世界の石炭の埋蔵量というのは六千三百七十億トンぐらいございまして、六倍から七倍ぐらいですね。まだまだ探査によってはこの量はふえる可能性はあるのですけれども、やはり省エネという問題についていろんな先ほど来話が出ているソーラーシステムだとか、地熱だとか、あるいは太陽光熱だとか、そういったようなものが論議の焦点になっておりますけれども、私どもやはり日本のエネルギーの性格からいって大いに石炭の消費に重点を置いてそしてエネルギー政策というものを進めるべきだと思うのですけれども、その辺はどうお考えになりますか。
#30
○参考人(富舘孝夫君) 確かに方向としては言えると思いますけれども、ただ石炭の利用につきましてはいろいろ問題点があると思うのですね。まず第一に、国産の石炭がやはり現在千七百万トンぐらい年間掘られていますけれども、かなり努力してももう百万トン新しい生産能力がつくれるかどうか、そしてそれがいつまで維持できるかという問題がかなりあると思うのですね。そうしますと、大部分は石炭を利用するということになりますと輸入炭を利用することになります。しかも今のお話で関連する輸入炭は一般炭になりますけれども。一般炭をどうやって使うかという問題で、これはそのまま生だきしますと公害規制等が非常に問題になってまいりまして、仮に公害防止設備をつけたとしても、ある一定の地域で発電も石炭でやり、工場も例えばセメントとか、セメントは余り出てきませんけれども、紙パとかいろんなところも石炭でやるということになりますと総量規制で非常に限界が出てきて、その総量規制をクリアするとなると相当また新しい技術の開発とか投資が必要になってくるということで、石炭の生だきそのものには限界があると思いますね。そうしますと、石炭をもっとクリーンな形で使うということになりますと、石炭を液化したり、ガス化したりあるいは石炭からメタノールをつくったりということになります。これは大変また経済性が問題になってまいりまして、外国から日本へ石炭を運んできて液化したりガス化したりメタノールをつくったりということは輸送費が高くてなかなか経済性が出てこないわけですね。したがってできる限り、本格的な商業化がどんどん進む場合の話ですけれども、産炭地で石炭をガス化するなり液化するなりあるいはメタノールをつくるなりして日本へ持ってくるわけです。そうしますと、石炭をガス化してそれをまたLNGにしないと日本へ持ってこられないものですから、これはもうとても高くつくということで恐らく不可能なことだと思うのですね。後は液化とかメタノールですが、これは技術進歩いかんによってはコストがかなり市場参入可能なところまで将来は下がってくるかもしれないと思います。特に二十一世紀になりますと全体として液体燃料が不足するという見通しもかなり出されていまして、それを担うものとして石炭の液化なりあるいは天然ガスも含めましたメタノールなり、そういうことが期待されると思います。
 ですから、九五年時点までは、なかなか、石炭の生たきが可能なところで環境をクリアしながら利用するということが精いっぱいでありまして、それを違った形でクリーンなものにして大量に使うという時代は、私は二十一世紀になるんじゃないか。しかし、二十一世紀にそういうことが実現可能なようにするためには、現在から技術開発等をやって市場の開発の研究とか、あるいは流通機構の対策の研究とか制度的な準備とか、そういうことをやっておく必要があると思います。もちろん、そのデモンストレーションプラントぐらいまでは日本の独自の技術で到達しておくというのも非常に重要な準備の一つだと思いますけれども。
#31
○工藤万砂美君 石炭資源に対する物の考え方というのは、国内の石炭というような狭隘な物の考え方ではなくて、世界の至るところに石炭資源というのはあって、いずれ石油が枯渇するだろうというような想定のもとからいえば、省エネということの意味からいっても石炭をもっと重視して使うべきだということを私は申し上げたいわけです。先生がおっしゃるように、例えば石炭の生だ
きの問題も触れられましたけれども、電力にいたしましてもセメントにいたしましても、パルプにいたしましても石炭を使った方がはるかにコストが安いんですね。だから、安い原価をさらに環境保全のために、公害防止のために資金を投入してやっていくというようなことでもなおかつ安いというような判断が出て、そして石炭重視という問題が出ていると思うんですよね。そういう意味からいうと、先ほど原子力発電のいろんな話も出ましたけれども、私はもっと石炭の用途について的確なお考え方をお持ちなのかということで実はお尋ねしたので、もっと石炭の有効利用といいますか、そういうことについての御意見はどうですかということをお伺いしたんです。ただ先生のように、原価が高い高いということだけでそれはクリーンじゃないというようなことをおっしゃられれば、国内の石炭にしても外国の石炭にしてもこれはなかなか活用できる道が狭められていきますけれども、私どもはそうは考えていないんですよね。これは意見の違うところですけれども、わかりました、御意見は結構です。
#32
○委員長(田代由紀男君) ほかにございませんか。
 以上で参考人に対する質疑は終わりました。
 参考人の方には、お忙しい中を本委員会に御出席いただきましてありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見等につきましては、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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