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1984/04/19 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 科学技術特別委員会 第6号
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1984/04/19 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 科学技術特別委員会 第6号

#1
第102回国会 科学技術特別委員会 第6号
昭和六十年四月十九日(金曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月四日
    辞任         補欠選任
     対馬 孝且君     小野  明君
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     八百板 正君     菅野 久光君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         馬場  富君
    理 事
                古賀雷四郎君
                林  寛子君
                稲村 稔夫君
                塩出 啓典君
    委 員
                岡部 三郎君
                長田 裕二君
                後藤 正夫君
                志村 哲良君
                成相 善十君
                藤井 孝男君
                安田 隆明君
                小野  明君
                本岡 昭次君
                菅野 久光君
                伏見 康治君
                佐藤 昭夫君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       竹内 黎一君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      宇賀 道郎君
       科学技術庁長官
       官房会計課長   窪田  富君
       科学技術庁計画
       局長       堀内 昭雄君
       科学技術庁研究
       調整局長     内田 勇夫君
       科学技術庁振興
       局長       本郷 英一君
       科学技術庁原子
       力局長      中村 守孝君
       科学技術庁原子
       力安全局長    辻  栄一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        野村 静二君
   説明員
       北海道開発庁企
       画室長      大串 国弘君
       大蔵省主税局総
       務課長      伊藤 博行君
       文部省学術国際
       局研究協力室長  長谷川正明君
       通商産業省機械
       情報産業局宇宙
       産業室長     中島 一郎君
       資源エネルギー
       庁公益事業部電
       源立地企画官   藤島 安之君
       資源エネルギー
       庁公益事業部原
       子力発電安全審
       査課長      神戸 史雄君
       消防庁危険物規
       制課長      志村 哲也君
   参考人
       日本原子力研究
       所理事      宮永 一郎君
       動力炉・核燃料
       開発事業団理事  植松 邦彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (科学技術振興のための基本施策に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(馬場富君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る四日、対馬孝且君が委員を辞任され、その補欠として小野明君が、また昨十八日、八百板正君が委員を辞任され、その補欠として菅野久光君がそれぞれ選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(馬場富君) 科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、科学技術振興のための基本施策に関する件を議題といたします。
    ─────────────
#4
○委員長(馬場富君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に動力炉・核燃料開発事業団理事植松邦彦君及び日本原子力研究所理事宮永一郎君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(馬場富君) これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#7
○稲村稔夫君 先日、大臣から本委員会に所信の表明があったわけでございますが、この所信表明の中に、特に冒頭におきまして、「我が国が、二十一世紀にふさわしい新たな文化と文明とを求めつつ、平和と繁栄に向けて前進していくために」ということで、「産学官の連携を図りつつ、まさに国民の英知を結集することにより創造性豊かな科学技術を創出していくことが喫緊の課題」だということで、積極的な意欲をお持ちになると同時に、国民全体にそれをお求めになった、こんなふうに思うわけであります。
 そこでこうした御姿勢に敬意を表する次第でございますけれども、科学技術の発展といいますのは、また同時にそれなりにいろいろと国民生活あるいは経済等にとっても一面ではすばらしい半面を持つと同時に、一面では心配になったり問題があったりというようなことも多いわけであります。
 そこで、幾つかの点について私はきょうはお伺いをしたいというふうに思っております。よろしくお願いをしたいと思います。
 最初に、先日新聞等でも伝えられたわけでありますけれども、アメリカのスリーマイル島の原発事故の調査結果についてであります。これは新聞報道等によりますと、六年前の米国のスリーマイル島原発事故について、アメリカのエネルギー省が事故調査を委嘱をいたしましたEG&G社の報告書が公表され、そして日本の各紙ではそれを一斉に報道したわけでありますけれども、これによりますと事故発生二時間半後に炉心部の二〇%が、これまた極めて重大なことでありますけれども、その炉心部の金属がウラン燃料とともに溶融をしてしまったということであります。また炉心部の温度が燃料である二酸化ウランの融点の摂氏二千八百四度を超える二千八百十五度まで上がったというふうなことが述べられておりました。
 この点につきましては、さらにこの「科学朝日」
の五月号に「炉心にテレビカメラを挿入するとともに、燃料の破片を取り出して分析して確かめられたらしい。」というようなことが書かれておりまして、この「科学朝日」のこの欄の著者はまさにメルトダウン寸前だったことを示しているんではないか、こんなことを述べているわけであります。これまでのところ炉心部の溶融はなかったのではないかというふうに推定をされていたはずでございまして、これは極めて重大な問題だと思うわけであります。
 そこで、科学技術庁はこの報告を入手をしておられますかどうですか。そしてまたその報告がもし入手をしておられるといたしましたならば、ぜひ当委員会にも提出をしていただきたい、このように考えているわけでありますが、いかがでございますか。
#8
○政府委員(辻栄一君) 先生おっしゃいますとおり、アメリカのエネルギー省のアイダホ国立研究所の委託を受けておりますEG&G社という会社が、四月の十日に、TMI二号炉の事故に関する新たな情報といたしまして、最近の調査研究によりまして炉心構造材の恐らく一割ないし二割の重量が溶融して原子炉圧力容器の底部へ流動した、そういう仮説をアイダホ国立研究所の科学者が立てたということを発表いたしました。その点については、私どもも承知いたしているところでございます。
 この調査は米国エネルギー省が進めておりますTM1二号炉に関する研究計画の一環として行われたものでございます。しかしながら、今回の発表がこの問題につきましての最終の調査結果なのかあるいは検討途上のものなのか等の詳細については資料入手に努めているわけでございますが、具体的な情報を入手していないという現状でございます。私どもが入手しておりますのは、このEG&G社の発表文そのものだけでございます。この研究計画には日本からは電力会社あるいは日本原子力研究所等の機関が参加して非常に大規模な研究計画が進められているものでございます。今回の発表はその一環と考えられるわけでございます。
 そういったわけでございますので、この共同研究のルートを含めまして関係資料の照会、入手に努めているところでございまして、今後これらの資料が明らかになってまいりました段階でこれらのデータを利用して我が国原子力の安全確保の向上に資するように検討いたしてまいりたいと思っております。
 資料の点につきましてはそういったような状況で、報告書がうまく既にもうまとまっているものなのかどうかも今のところまだわからないわけでございますが、その資料について現在照会中でございます。この資料が手に入りました際には、先ほど申しましたような共同研究のものでございます。アメリカ側の了解が得られるものにつきましては、これを公開するという方向で考えてまいる所存でございます。
#9
○稲村稔夫君 そうすると、資料についてはまだ具体的なものは何にもないということなんですね。
#10
○政府委員(辻栄一君) はい。
#11
○稲村稔夫君 そこで、今の御答弁でまいりますと、このEG&G社の報告について今詳細を照会中ということでありますけれども、そしてしかもそれは何かアメリカ側の了解を得られればというようなことを言われたわけでありますが、私はアメリカで公表されたものが、我が国で改めてまた了解が得られるかどうかなどと言っていることがおかしいと思うんですけれどもその辺はいかがなんですか。
#12
○政府委員(辻栄一君) 報告書そのものがアメリカで公開されますれば問題はないわけでございまして、それは自動的に公開されるということでございます。
#13
○稲村稔夫君 いずれにいたしましても、その資料がまだそれぞれ入手されていないということでありますから、これはやむを得ないわけでありますが、しかし極めて重大な問題なのでありますから、早急に資料を入手をされまして対応をしていただきたい。そしてまた、その資料については我が国の手法に従って早急にデータも明らかにしていただきたい、このように思うわけでございます。それは要望として申し上げておきます。
 そこで、今推定と仮説で立てたんではないかというふうに言われましたけれども、いずれにいたしましても、それは事故が起こったすぐその場でだれかが目撃したということではないんですから、それは過去のことをさかのぼればどうしたっていろいろと推定部分も出てまいりましょう。ただ、その推定というのは、いろいろな面での科学的根拠に基づいて推定が行われる、こういうことなんでありますから、だから、推定だからという言い方というのはなかなか難しいと思うんです。その辺の御答弁にも私は何かちょっと抵抗を感じているところがあるわけであります。
 いずれにしても、先ほど申し上げましたように、科学朝日誌によればこれはテレビカメラを中へ挿入をして見たということ、それから燃料の破片の一部を取り出して分析をしたというようなことが述べられています。もしそうだとするならば、これは溶融ということの事実はかなりはっきりしてくるのではないだろうか、推定といっても科学的根拠がかなりはっきりした推定ということになるのではないかというふうに思います。
 そこでさらに、この二〇%程度が溶融していたのではないかという報道がされましたときに、この新聞記事を読んでいて私もちょっと意外に思ったわけでありますけれども、このときに同時に日本側の専門家のコメントなどというものが、それぞれ新聞によって人は違いますけれども、コメントが載せられたりしているわけであります。ここで原研の佐藤工学部長の談話が朝日新聞に載っております。これを見ますと、「もし二〇%という調査結果が正しいとしても、当時からの推定の範囲内だと思う。相当な事故といえるが、そうびっくりするような数字ではない。」というようなことを述べておられます。これは私は大変なことだと思うんです。
 そこで、私は一つ念を押しておきたいのでありますけれども、今までは一応溶融はなかったという推定がされていたのではないでしょうか。その辺はいかがなんですか。
#14
○政府委員(辻栄一君) 原子力安全委員会は、スリーマイルアイランド事故の発生以後事故調査特別委員会というのをつくりまして検討を進めてまいりました。アメリカにも調査団を、何回かにわたって調査をいたしておりまして、昭和五十五年に第三次報告書というのを出しておるわけでございます。これはその時点における情報をベースとしてつくりました報告書でございますが、その報告書の中では、炉心に相当の重大な損傷が発生しているということを想定しておりまして、炉心の一部が酸化ジルコニウム及び酸化ウランとの共晶体を使って液化したとの推定もなされているということも言っておるわけでありますが、先ほどの佐藤さんはこの特別委員会のメンバーでもございました方でございますが、そのことを触れておるのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
#15
○稲村稔夫君 しかし、いずれにしても、一般的には溶融は考えられなかったんだから、言ってみればそう心配するなというような印象の――当時いろいろと議論されました、溶融のことも心配されて。だが、そういう印象の結論に結局なっていたというふうに私は思うんですよね。それだけに、もしそういう重大なものがあれば、またさらにそれこそ大きな関心としてその辺のところは議論をしておられたのではないだろうか。もし議論をいろいろとしておられたならば、それに対する対応というのはどういうふうに立てておられたのかというようなことも問題になります。
 それからさらに、もしそういう二〇%――これはパーセントはいろいろとあるかもしれませんが、いずれにしても溶融事故が起こっていたということに、特に温度のことの推定がありますけれども、これがウランの溶融温度を超えるあれで上
がっていたというようなことになりますと、まさにそれはメルトダウン、これはもう事故が防ぎ得たのは、それこそ全く運がよかったというようなことにでもなっていくんではないでしょうか、こういうふうにも思うわけでありましてね。そういう重大な問題であるだけに、それはさらに我が国の今後の原子力政策の中でも十分な検討をされていかなければならないそういう問題だと思うんですけれども、この点はいかがでございましょうか。
#16
○政府委員(辻栄一君) 先ほど申し上げましたように、炉心の重大損傷、一体どの程度であるかというのは、やはり炉心をあげて中を現に調べてみなければわからない問題で、その当時では推定にしかすぎないわけでございますが、いずれにしても極めて高い温度に上がっていて、あるいは一部液化したというようなこともある程度の予想はしていたわけでございますが、いずれにしてもこの問題については先ほど申し上げましたように日米間で研究の協力協定がございまして、今後炉心をあげて中を取り出していろいろな研究が進められてまいることになりまして、先ほどの溶融化の状態も将来そういうものを引っ張り出しますとどの程度のものであったのかというのが具体的に明らかになってくると思います。そういったデータにつきましては、今後安全委員会といたしましても参考資料といたしまして今後の安全対策に役立てていきたい、かような姿勢でおるところで、その研究成果の結果を非常に関心をもって見守っているところでございます。
#17
○稲村稔夫君 辻局長のお話で、データが今それぞれ入手をされていないという中で、その入手に努力をしておられて、重大な問題になるということをやっぱり心配しておられるから今後のことについてもそうやって検討を進めておられると、こういうふうに受け取るわけですが、そういたしますと、やはりこれのことが新聞報道された、その新聞の中の一部に、今度は科学技術庁の原子力安全調査室の談話が出ております。この談話によりますと、何か日本では五十二項目の改良を、事故を一つの教訓として、それを追加していると、だから大丈夫だと、スリーマイルのような事故は起こらないと思うというようなことを言っておられる。科学的に根拠とするデータというものは入手してないんでしょう。入手していないのに、そういうことは起こらないと思うということは、なぜ言えるのでしょうか。
#18
○政府委員(辻栄一君) 先ほども申し上げましたが、原子力委員会は、スリーマイルアイランドの事故が起こりましてから、数度にわたりまして現地にも調査団を派遣いたしております。当時から、諸般の資料はアメリカのNRC、原子力規制委員会でございますが、これを通じていろいろな資料は入手してきているわけでございまして、そういったものをベースにいたしましてあらゆる角度から分析を行い、設計、安全審査、運転管理等、各般にわたりまして、五十二項目に及びます原子力安全確保対策を摘出いたしまして、我が国におきまして、TMIの事故のような事故の発生防止対策をとってきたわけでございます。
 これらの対策をもあわせまして、我が国の原子力発電所の安全審査におきましては、炉心の溶融に至るような事故が起こることのないように、各種安全対策が適切に講じられることを安全確保の基本的考え方として確認することといたしております。
 この事故に関連いたしましてその時点でわかりました所要の対策というものは、すべて先ほどの五十二項目の対策の中でとってきておるわけでございまして、そういうものを総合的に判断いたしまして、アメリカのスリーマイルアイランドのような事故が我が国においては起こらないということを確信しているというのが現在の原子力安全委員会の判断でございます。
#19
○稲村稔夫君 おかしいじゃないですか。今度の事故報告書についてその内容がまだ十分にわかっていない。重大な事故が起こった今までのデータの中で、今の五十二項目というものが追加をされたんでしょう。新たな問題がいろいろと含まれているかもしれないんですよ。そういうことをきちんと踏まえる科学的なデータ、基礎がなくて、そして何で大丈夫だというふうに断言できるんですか。
#20
○政府委員(辻栄一君) 要は、アメリカのスリーマイルアイランドで起こったような事故が日本で起こらないような、つまり炉心の冷却機能が喪失しないような対策をとろうということが現在の対応策でございまして、先ほども申し上げましたように幾つかの対策をとってきているわけでございます。
 それらの対策の結果、現在においては、日本ではこのスリーマイルアイランドのような事故は起こらないと考えても差し支えないというのが原子力安全委員会の判断でございまして、この判断をしている背景といたしましては、幾つかの技術的な根拠があるわけでございます。
 御指摘のように、スリーマイルアイランド事故の原子炉を開放しての中の視認調査というのは、これから進められるわけでございますが、これまでの調査、NRCを中心といたしますアメリカ側の調査によりまして、いろいろなデータは入ってきているわけでございまして、これでかなりの部分がわかってきているわけでございます。
 特にメルトダウンを起こすかもしれないような炉心の冷却性能がなくならないための対策を立てるということにつきましては、相当のデータが入ってきているわけでございます。現在、安全委員会が、アメリカでメルトが起こったからといって日本ではすぐにメルトを考える必要はないという判断の根拠としては、大まかに言えば四つのことが言えるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 第一点は、アメリカの加圧水型の設計でありますスリーマイルアイランドの設計はバブコック・アンド・ウイルコックス社という会社の設計でございますが、日本の軽水炉はウエスチングハウス社の設計でございまして幾つかの大きな点で設計の違いがあるわけでございます。例えば、一つは冷却水の水量、これが安全性には大きな影響を及ぼすわけでございますから、バブコック社の水に比べましてウエスチングハウス社は三ないし四倍の冷却水を保有しているわけでございます。これは事故の場合に、例えばやかんの底に非常に少ない水を入れまして、これを湯沸ししておくとすぐかれてしまう。しかし、たくさん水が入っておれば多少トラブルがあってもそれに至る溶融といいますか、事故に至る溶融が非常にゆっくりとなってくるというようなことで、基本的にバブコック社のものは経済的にはいいかもしれないけれども、安全面ではよくないというような点もございますし、さらにそのほか細かい点での幾つかの相違点がございます。
 そのほか、また実証試験をその後やっておりまして、ECCSの性能でありますとか、あるいはECCSが働かなかった場合の自然冷却性能であるとか、これは実物大の模型を使って実証したというようなことなどをベースといたしまして、さらに対策といたしましては、従来考えておられなかった小破断、小さいパイプの破断事故、こういったようなものの対策あるいは品質管理面、運転能力の向上といったような面でのいろいろな対策を考えておりますので、これらの対策を総合的に判断いたしますと、アメリカのスリーマイルアイランドで炉心の溶融事故が起こったからといって日本でそれが直ちに起こるということを考える必要はないというのが現在の委員会の判断でございます。
#21
○稲村稔夫君 私は、何も直ちにすぐストレートに結びついて起こるというふうに言っているのではないし、メルトダウンなどは起こってはならないことなんです。という立場に立って聞いているつもりです。いろいろな問題点、今言われたことは、それぞれいろいろなところでも論じられております部分は私もよく承知をしております。
 それだけに、ただ科学の面におきましては、私はやはり特に原子力などという大きな問題につい
ては、慎重の上に慎重というものがぜひ必要である、その態度が必要であるということで、私はいろいろなデータ、こういう事故が起こった、その後さらに新たな問題が幾つか出てくるのではないかというふうに想定をされるような、そういうようなものが起こったときには、慎重に対処するという姿勢が必要なんだというふうに思うわけなんでありまして、そのことを私は特に申し上げてきたわけであります。
 そこで長官に、私は、今のやりとりも含めまして、ぜひ御判断をお聞かせいただきたいというふうに思うわけであります。
 それは、昨年も本委員会でいろいろあったわけでありますけれども、松前委員の質問などがありまして、アメリカのRアンドD計画ですか、にも原研の職員を派遣をするというようなことも述べられておりましたし、事実そういうふうにいろいろと今進められているようでありますが、今もデータの話もございましたけれども、昨年の五十九年度はどういう成果があったのかというようなことも今後はお聞かせをいただきたいと思ってもおりますが、きょうのところはとりあえず、そういうデータ等も十分にしんしゃくをし検討をされて、そして安全には万全に万全を期するような、そういうことが私は基本的に必要だというふうに思うわけでありますけれども、今後の原子力行政、特に安全対策について長官としてはどのように臨まれますか。特に安全の問題は大きな問題でございますので、長官の御意見を聞きたいと思います。
#22
○国務大臣(竹内黎一君) 先生ただいま述べられました安全の問題は重大な問題であり、それだけに慎重の上にも慎重をというお示しは私も全く同感でございます。
 我が国はこれからも原子力の利用開発研究を、私は着実に進めてまいらなきゃならぬと思っておりますが、その大前提は何と申しましても安全確保の徹底を図ると、こういうことだと思っております。
 今の御論議を伺っておりましても私感じますことは、私どもはスリーマイルの事故からさまざまな教訓を得、その教訓のもとに幾つかの改善策も講じておるわけでございまして、一応工学的な安全性は確保されていると思いますけれども、しかしこれから先ほど来の新しいデータなど出てきた場合には、私どもはこれを十分に参考にして今後の安全規制の上に生かしていかなきゃならぬものだろうと、こう理解をしているわけでございます。
#23
○稲村稔夫君 ぜひそのような姿勢で慎重に対応をしていただきたいというふうに思います。
 そこで、これは商用炉の問題ということにもなるものですから、通産省、今度のこうした事故等でまた新たな問題がいろいろと出てくる可能性があるわけでありますけれども、そういうことを踏まえながら商用原発の安全性についても安全審査の面でいろいろと見直しをしていかなきゃならないということも起こり得ると思うのでありますけれども、その点についてはどのようにお考えになっていますか。
#24
○説明員(神戸史雄君) 今の御質問につきまして、まずTM1二号の事故についてのその事故後の対策、それから我が国の炉に関する安全性といったような判断につきましては最前辻局長が御答弁申し上げたとおりでございます。ただ通産省といたしましては、原子力発電所の建設、運転等に当たりまして、従来からやってまいりましたとおりに厳重な安全審査、それから使用前検査、定期検査等の各種の検査及び運転管理、監督を続けてまいる所存でありまして、それによりまして今後とも安全の確保に万全を講じてまいる所存でございます。
 それからなおTMI事故の評価に関する新しい調査結果等につきましては、今後とも十分に関心を持って見守って、その結果は十分な情報収集を行いまして、その中から得られました新しい知見を我が国の原子力発電安全行政に参考としてまいる所存でございます。
#25
○稲村稔夫君 私は今科学技術庁との問答の中でも、安全性についていろいろと慎重の上に慎重をということで申し上げましたが、これは実験炉という段階や動力炉という、言ってみればまだ商用炉ではない、いわゆる利益とのかかわりがそんなに重視をされた対応をしなければならぬというものではないものについても、そういうことでやっぱりいろいろと慎重な対応ということを求めざるを得ないというのが今の実態でありますから申し上げたわけでありますが、それがなお商用炉ということになりますと、やはりどうしてもそこには採算性ということが大事なポイントになります。採算性がなければこれは使えないということになるわけでありますけれども、その採算性ということが、私はむしろ安全面についてぎりぎりのところということで常に設計をするというような行き方になるのではないだろうか。それだけにまたそのぎりぎりの線というものの引き方がなかなか難しいと思いますし、そこを余裕を持って見ていかないと、まさに事故というのは商用炉から起こる可能性が一番強い、可能性の問題として。そう私は思うんです。それだけに商用炉を扱っていかれるエネルギー庁としてきちんとした対応を、特にそれこそ慎重の上に慎重な対応をしていただきたいと思いますけれども、その辺はいかがですか。
#26
○説明員(神戸史雄君) 先生御指摘の点よくわかりますが、実は安全確保にまさる採算性はないというふうに原子力発電は考えておりまして、安全確保が原子力発電の推進、電源確保の観点から最も重大な点というふうに考えております。先生御指摘のとおり、慎重の上にも慎重を期して安全の確保を図っていくつもりでございます。
#27
○稲村稔夫君 エネルギー庁に御答弁いただきましたので、その関係についてもう一点私の方で伺いたいことがありますので、そちらの方をお聞きをいたしたいと思います。
 実は私の地元は新潟県なんでありますが、ここで今東北電力の巻原発の建設計画があるわけであります。これは去年も私は本委員会で質問をしたわけでありますけれども、その後全く進展を見ていないわけであります。地元では最近はいろいろと、もう中止をするのであろうかなどという声も出始めております。あのとき話題にいたしましたお寺とのいろいろな交渉もどうも決裂をしたようでありますし、そうするともう立地要件というのは今のままならなかなかできないのじゃないだろうかなとも思われますけれども、その辺の経過について、もし中止の動向にあるならばそれはそれなりにまた地元の方も対応の仕方があろうと思いますし、中途半端なことにしておきますとまたいろいろと対立がいつまでも続くというようなことになって大変厳しいことになりますが、その辺のところはどのように掌握をしておられますか。
#28
○説明員(藤島安之君) お答え申し上げます。
 巻原子力開発計画につきましては、先生御承知のように昭和五十六年の十一月に電源開発調整審議会の議を経まして電源開発基本計画に組み入れられて、五十七年東北電力から原子炉設置の許可申請がなされたわけでございます。しかしながら用地取得につきまして地権者の一部の方の御了解が得られないなどの理由のために建設計画が繰り延べられて今日に至っていると、こういう状況にあるわけでございます。
 巻原子力は東北電力の七十年代の主要供給力電源として期待されているものでございまして、また国の原子力開発政策にも沿ったものでございまして、国としてはこうした計画のおくれは非常に残念であると、こういうふうに考えておるところでございます。巻原子力開発計画を進めるための最大の問題でございますのは用地取得でございます。この用地取得につきまして地権者の方々と東北電力の間の合意が早急に得られるよう我々は期待していると、こういう状況でございます。
#29
○稲村稔夫君 合意が得られることを期待していることはわかりましたけれども、その合意を得られるということについて、一応一部の方のごく少数のことが残るとかいろいろなケースがあると思いますけれども、そういう中で、ほぼ大方の合意
が得られたからということで実際の土地の取得がされないままにそういう予測でもって安全審査を提出をする、こういうようなこともあり得るのかどうかということもありますし、もしそういうことが起こったときは、これはどのように扱われますか。
#30
○説明員(神戸史雄君) 最前藤島企画官から御答弁申し上げましたとおり、巻原子力発電所につきましては、五十七年の一月に原子炉設置許可申請が行われまして、五十八年の九月に東北電力から土地利用計画を見直したいという申し出がございまして、それ以降実は審査を中断しておるところ、先生御案内のとおりでございます。ただ、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の第二十三条に基づく原子炉設置許可の許可基準、御案内のとおり二十四条の第一項でございますが、その許可基準の中には土地利用の取得というのは許可要件となっておりませんで、したがいまして東北電力株式会社から土地利用計画の見直しについて所要の手続を行ってまいりますれば、私どもとしては審査を再開することと相なることと思います。ただ、原子力発電所の立地に当たりましては、地元の十分な理解を得ながら進めていくことが肝要でございますし、当庁といたしましてもそのような観点を東北電力株式会社に十分に指導してまいる所存でございます。
#31
○稲村稔夫君 もう私も時間がありませんので、その点についてもさらにいろいろと詳しくお聞きしたい面がありますけれども、時間の関係で要望ということにさせていただきますが、いずれにいたしましても地元で少なくとも土地の取得が間違いがないということが確認をされませんと、一部の中でも反対があるということの中でやられますと、これは非常にまたさらに先困難にするというそういう問題を含んでいると思います。その辺のところは十分に配慮しながら対応をしていただきたい、このように思うわけであります。
 そこで、次に移らせていただきますが、私、核燃料サイクルの立地計画についても伺いたいと思いましたけれども、この点は後ほど同僚委員の方から触れられるということにもなっておりますので、時間の関係で省略をさせていただきまして、宇宙開発計画について若干お伺いをしたいというふうに思っております。
 これは四月九日に発表されました第七次対外経済政策の中で目立った買い物の一つということで、アメリカの通信衛星の、これは我が国の民間企業の購入への道を開くために輸銀融資を考えるとか、さらにはその電波帯の割り当てを検討してみるとかというようなことが方向性が出てきているわけであります。
 この点は、昨年の四月二十七日の本特別委員会でも、本岡委員から当時の岩動長官に、自主開発路線を堅持するという、その質問の中でそういう御答弁をいただいているところなんでなんであります。もし衛星を他国から丸ごと購入する、こういうことになりますと、国産技術の開発のテンポを狂わせるということになるんじゃないだろうか。こんなことも一面では心配をされます。
 それからまた、あの昨年の二十七日の当時の長官の御答弁でその辺のところがどうもいろいろな方にとれるような内容でもあるわけでありますが、NTTのそれの問題、NTTが購入をするということはどうなるのかということなんであります。これは宇宙開発政策大綱との整合性とかなんとかというふうに言っておられるわけでありますけれども、何か今度はNTTも購入衛星の共同利用というようなことにも食指を動かしているやにまた新聞報道などを見ますとあるわけであります。そうすると、これはCS3を打ち上げる計画もあるわけでありますが、それとの関連なども出てくるわけでありますけれども、その辺のところはどのようになっているんでしょうか。
#32
○政府委員(内田勇夫君) お答えいたします。
 本年四月一日に電気通信事業法が施行されまして、民間企業が通信衛星を購入し、電気通信事業に参画することが可能となったわけでございます。これに伴いまして、民間の三つの会社が設立されまして、外国通信衛星の購入について検討をいたしておるという状況でございます。一方、日本電信電話株式会社につきましては、ただいま先生お話ございましたように、昨年四月二十七日の対外経済対策において、我が国の宇宙開発政策との整合性を確保しつつ、同会社の独自の判断による衛星購入の道を開くという方針が打ち出されておりまして、日本電信電話株式会社はこの方針に従いまして御判断いただくというふうに考えております。具体的に通信衛星三号、CS3の問題でございますが、これにつきましては、宇宙開発委員会の定めました宇宙開発計画に従いまして、現在日本電信電話株式会社の協力のもとに宇宙開発事業団がその開発を実施しておりまして、昭和六十二年度及び六十三年度にその打ち上げを行うということになっております。
#33
○稲村稔夫君 アメリカの衛星は国産品よりもうんと安いということで、新聞などでもいろいろとその値段だとかなんか過去報道されたりしているのがあるわけであります。そしてまたヨーロッパでも非常に力を入れ始めておりまして、打ち上げロケットの関係なんかでも、アリアンロケットなどがアメリカの非常に強力な競争相手だというようなことが言われるようになってまいりました。そうすると、そういう中で非常に大きなキャパシティーの衛星を貿易摩擦解消の手段として買い入れる、仮にこういうふうになったときに、私は一つには今のCS3の計画というのは、一方で共同利用でかなりの道が開けてまいりますと、CS3の計画そのものに何か影響が出てくるということがあり得るんじゃないでしょうか。こういうことを一つは心配をいたします。それからまた同時に、こうした大きい衛星を打ち上げるということが続いてまいりますと、そうすると、今度はロケットも買いなさいよ、目立った買い物としては衛星とロケットとセットならばなお目立っていい、こんなふうにだんだんとエスカレートしていくということも心配をされるわけでありますけれども、この辺はどのようなものでしょうか。
#34
○政府委員(内田勇夫君) 私ども宇宙開発委員会のお示しになりました方針に従いまして宇宙の開発を進めておるわけでございますが、宇宙の開発の目標といたしましては、将来宇宙の利用というものが本格化いたしました時期に、私ども宇宙の利用というものを自在に自主技術においてこれを利用できるということを目標として開発を進めておるわけでございます。宇宙通信の問題につきましても、将来宇宙通信と申しますものが通信の中におきまして非常に大きなウエートを占めるであろう、そういう時代には、やはり日本のロケットにより日本の衛星が打ち上げられるということを目標として、現在の政策大綱というものを打ち出しておるわけでございます。
 具体的には、ロケットにつきましては、現在NIIロケットというもので打ち上げを行っておりますが、さらに明年度からは、それよりも容量の大きいHIというロケットを打ち上げるよう現在開発を進めております。さらにその次のものといたしましてHIIロケットというものを開発いたすことといたしておりまして、既にその研究に着手しておるわけでございます。これは約六十六年度ごろにその最初の試験機を打ち上げるということでございますが、これは二トンの静止衛星を打ち上げることができる、そしてその打ち上げコストというものは現在あるアリアンロケットあるいは開発中のアリアンロケットといったものと競合いたしまして十分に経済性のあるというものを目標として開発しております。また衛星につきましても、その時期におきまして二トン程度の通信衛星というものが自主技術で開発できるということを目標として開発を進めるということといたしておるところでございます。
#35
○稲村稔夫君 そこでこれ通産省お見えになっていますね。
 今のアメリカからの衛星を買えという要求がかなり強いようでありますし、我が国の方でも民間で三つのグループが何かつくられて衛星の買い入れについていろいろと動いているという話も伝
わっているわけでありますけれども、この民間の衛星に対する取り組み等について通産省は情報をいろいろと掌握をしておられると思いますけれども、動きについてお知らせをいただきたいと思います。
#36
○説明員(中島一郎君) 先ほどの内田局長の答弁にありましたとおりに、本年四月一日の電気通信事業法の施行によりまして民間企業が通信衛星を購入して電気通信事業を営むということが可能になっております。それによりまして、民間におきましては、その前より衛星通信の企業化のための会社が先生おっしゃったとおり設立されておりまして、企業化の可能性につきまして調査がるる進められておるというふうに聞いております。このうち米国の通信衛星メーカーと我が国の商社の合弁企業でございます日本通信衛星株式会社が四月九日付で郵政省に対しまして衛星を利用しました通信事業への新規参入の申請というものを行ったというふうに聞いております。
#37
○稲村稔夫君 そこでこの衛星購入問題については、長官に最後に締めくくりとしてひとつ御見解を伺いたいというふうに思うわけであります。
 それは今もいろいろとお話がありましたようにかなり外国からの衛星購入の圧力が強い。しかも今の段階で言えば、我が国が近く打ち上げようとしている衛星、こういうものと比較をしてまいりますと、かなりキャパシティーも大きいですね、そういうことになります。民間でありますから競争の原理もありますのでそれぞれ競うというようなこともあり得るわけでありますから、あるいはその一つとは限らぬということも場合によってはあるかもしれません。もちろん外貨の問題やいろいろなことを、政策的な、政治的なことも判断をしていろいろと許認可の問題等であれされるんでありましょうけれども、可能性としてはそういうこともゼロではないというふうにも思いますしね。そういたしますと、私は当面こういう能率のいいものが民間でもって入ってくるのであれば、それこそその自主技術の開発というのはもう少し絞ってもいいんではないかなどと財政的な側面からかなり圧力がかかってくる、そういう世論形成なども一方ではされてくるということもあり得ると思うわけでありまして、それだけに、そうすると、科学技術庁としては自主開発路線は堅持をしていかれるというふうに受け取りましたんでね、ぜひ強力に頑張っていただきたいと思うのでありますけれども、これはやはり長官の姿勢が大きく左右するとも思いますので、ひとつお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
#38
○国務大臣(竹内黎一君) 去る四月九日に政府が決めました対外経済政策の中で、先生御指摘のように、衛星の購入の問題に触れておりますが、私はこの政府の決定自体は私どものかねがね進めてまいりました宇宙政策大綱の延長上にあるものだと、まずこう理解をしております。しかしさまざま考慮すべき点があることは事実でございますけれども、私としましては、先ほど政府委員からも申し上げましたように、やはり日本の国産技術で、自主技術で日本のこの宇宙開発は進めてまいりたいということでございますから、具体的にはこの日本の自主技術開発、国産技術の開発というものを損なわないというこの基本の方針に立ちましてひとつ整合性を考えてまいりたいと思います。
#39
○稲村稔夫君 ぜひ長官には頑張っていただきたいというふうに思うわけであります。
 そこでこの衛星の問題につきましては、もう一つ最近重大な問題として自衛隊の衛星利用の問題がクローズアップされてきているわけであります。これはことしの二月六日の衆議院の予算委員会でも、それから以降の予算委員会等でも何回かそれぞれ触れられているところでありますが、こうした中で自衛隊の衛星利用についての見解というものが、これが新見解が政府から出されたということを私は非常に重大な問題だというふうに思っております。このことは今後もずっと議論をしていかなければならない重大な問題なんでありますけれども、この衛星の利用について、言ってみればその汎用化理論という立場に立つと、これは私は非常に危険だと思うのであります。といいますのは、だんだんだんだんこれがエスカレートしていくということ、もうそのエスカレートの一歩を踏み出したということになると思います。極端な物の言い方をして恐縮でありますけれども、例えばナチスでさえ、軍隊は平和を維持するためにあったので、侵略は平和のために侵略をやると、こういう理論を立てていったわけでありますが、私は汎用化理論というのは、そういう面で言えば非常に危険だというふうに思うわけであります。
 このことについては国会決議との関係等が議論になり、これは国会の方での判断ということになっているわけでありますけれども、これからさらに幾つかの衛星の打ち上げということが計画をされている。そういう中で例えば通信衛星のCS3を自衛隊が利用するなどということがもう報ぜられておるわけであります。これは長官は長官に就任をされてから記者会見で、自衛隊の宇宙利用については歯どめが必要であるという意味のことを新聞発表もしておられますし、また衆議院の予算委員会でも答えておられます。そういう面では私は長官の見識に敬意を表するわけでありますが、このCS3の利用というものを具体的に提起をしてこられた場合には、これはどういうふうにされますか。この自衛隊の宇宙利用について長官はどのように考えておられますか、この点をお伺いをしたいと思います。
#40
○国務大臣(竹内黎一君) 自衛隊の方でCS3を利用したいというお話は実は私まだ伺っておりません。しかし私これまでにも御答弁申し上げましたように、やはり私どもとしては国会決議あるいは宇宙開発事業団法、この法の趣旨にのっとって具体的に出てまいりました際に慎重に判断すべきものであろうと考えております。
#41
○稲村稔夫君 長官の御答弁もっともなわけであります。要するに事業団法、そして国会決議というものをやはりその精神をきちんと踏み外さないように踏まえていただいて、それで汎用化理論にどんどんどんどん拡大をしていくというようなことがないようにぜひともお願いをしたい。この点は私は特に最近のいろいろな動き等の中から大変危惧をしておりますので、ぜひその長官の毅然たる態度をお願いをしたいと思います。
 さらにもう一点お伺いをして私の質問を終わりたいというふうに思っておりますけれども、今後の衛星の場合に、国内の自衛隊ばかりではなくて、場合によっては静止衛星、例えば静止衛星は途上国の上空の方にありますと、せっかくあるものをいろいろと使わせてくれと。使わせてくれという中に、途上国の中には、さらに非常に軍事的にそれを重点にしている国もありますと。そういう中で軍事目的に我が国の衛星を使わせてくれというようなことが起こらぬとも限らぬわけであります。そういう意味では、平和利用については、国際条約の関係もありましょうけれども、なおかつさらにそういうことが起こらないように、私は国際的にもイニシアチブを持った行動とそういう体制づくりというものに努力をしていただく必要があると思うんですけれども、この点長官いかがでしょうか。
#42
○国務大臣(竹内黎一君) 先生のただいまの御質問は、地球観測衛星のデータに関してのことだと思いますけれども、現在のところはそのような御注文や要請もありませんし、また私のところは近々そんなことが起こるとまず想定もしていないわけであります。したがって、一般論としてのお答えになりますけれども、仮にそういうような協力がもしこれから起こるとしても、それは、我が国の立場はあくまでも平和利用の範囲内で行うべきものだと、こう思います。
#43
○菅野久光君 去る長官の所信表明の中で「科学技術は本来社会と人間の幸福のためにあるべきとの原点に絶えず立ち戻り、人間及び社会と調和のとれた科学技術の発展を目指していくことが肝要であります。」、私は、本当に当然のこととは言いながら非常に大事なことだというふうに思うんで
す。特に、昭和三十年代以降ということになりましょうか、非常に科学が発達してきた。そういう中で、本来人間の幸せのために発達すべき科学が、人類そのものの存在を危うくするような方向に行っているのではないかということを非常に心配をいたします。例えば、医薬品あるいは農薬あるいは食品添加物だとか、あるいは過去の放射能による汚染だとか、あるいは合成洗剤だとか、そういういろいろなものが、科学の発達によって人間の手でつくり出されてきたものが、人類そのものの生存を脅かすような、そういう方向にだんだん動いていっているんじゃないか、科学そのものがひとり歩きをしていってるんじゃないかということを非常に心配しておったわけでありますが、長官の所信表明の中に、本当にこの大事な――私は本当にここが原点だというふうに思うわけであります。そういう点からこれから幾つかのことについてお尋ねをしたいというふうに思います。
 私は、科学者でも何でもありませんから、一市民という立場で、本当に国民のだれもがわかるような言葉で、そして国民のだれもが納得できるようなそういう方向での行政というものが必要だというふうに思いますので、そういう点でまたお答えをいただきたいと思います。
 時間の関係がございますので、私は原子力の関係に絞っていろいろお尋ねをいたしたいというふうに思っております。
 原子力の研究開発は、政府の科学技術振興対策の最も大きな柱だということで推進をされてまいりまして、科学技術庁の予算を見ましても、約半分がこの原子力の研究開発費に使われている。しかしながら、我が国が唯一の被爆体験国としての立場から、原子力基本法によって原子力の開発、利用は平和の目的に限ると、そして安全の確保と自主、民主、公開の三原則を明確にしております。この趣旨に厳正にのっとって、この研究開発を行うべきだというふうに思いますが、原子力発電がエネルギー源として大きな比重を占めている現在、原子力研究開発の基本的なあり方について、ひとつ大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。
#44
○国務大臣(竹内黎一君) 我が国が将来にわたりまして低廉なエネルギーを安定的に確保していくためには、今後とも石油代替エネルギーの中核である原子力発電の規模の拡大に最大限の努力を傾けていく必要があろうかと思います。また、原子力発電の一層の安定的発展を図るためには、自主的な核燃料サイクルの早期確立、プルトニウムの有効利用を目指した新型動力炉の開発等を鋭意進めなきゃなりませんし、さらには核融合、原子力船、放射線利用等の研究開発につきましても、中長期的な視点に立って積極的に進めてまいらなきゃならぬと思いますが、いずれの仕事を進めるに当たりましても、その大前提になりますのは、私は一つは安全の徹底的な確保であり、いま一つは、具体的な施設の設置に当たっては地元の皆さんの理解と協力を得ること、この二つの前提を確保した上で事業を進めていくべきものだと、このように考えております。
#45
○菅野久光君 ちょうどオイルショック以降、何としても石油代替エネルギーを確保しなきゃならぬということで原子力発電について非常に力を入れてきたという経過があるわけですが、最近における原子力発電についての世界的な動きといいますか、世界の状況といいますか、そういうことについてどのようなことになっているのか、いろんなことが報ぜられているわけでありますが、その点をどのようにとらえているか、ひとつお聞かせをいただきたいというふうに思います。
#46
○政府委員(中村守孝君) 一九八四年十二月末、昨年末現在の数字でございますが、世界で運転中の原子力発電所は三百二十四基、出力にいたしまして二億二千三百六十一万キロワットということになっておりまして、原子力発電所を保有している国の数にしますと二十五カ国の多数になっております。
 これを一年前と比較してみますと、二十七基二千五百八十四万キロワット分の原子力発電所が新たに運転を開始しておりまして、世界的にも原子力発電の開発が鋭意進められているという状況にございます。
 国別に見ますと、第一位はアメリカでございますが、原子炉基数が八十五基、七千二百四十四万キロワットということで、我が国の約三・五倍ほどの原子力発電所が運転をしておるということでございます。第二位はフランスでございまして、四十一基三千五百二十八万キロワット。我が国はソ連に次いで第四位ということになっておるわけでございます。
 また、最近におきましては、今まで原子力発電所の建設が余り進んでおりませんでした中国におきましても、実際の国内のエネルギー確保のために原子力発電を大いに推進すべきであるということで、今世紀末までに一千万キロワットの原子力発電所を完成させるという意欲的な計画を持って、先進諸国との技術的な交流というものに積極的に取り組んでおられると承知しておりますし、開発途上国におきましても電子力発電への志向というものが強まりつつあるというぐあいに理解しております。
#47
○菅野久光君 世界的には、原子力発電はなお一層ふやしていくような方向にあるというふうに科技庁としては把握をしているということなんですね。今までもいろいろ国会の中で論議になりましたが、アメリカは御承知のようにここ十年以上ですか、原発の新規の建設は一切ないというようなことがありますね。
 それから、今中国の問題が出ましたが、中国についてつい最近、腸海群という方の書いたものでこのようなことがあります。
  原子力利用の領域に入ったばかりの中国は、特に注意深くしなければならない。なぜならば、それはアメリカの原子力利用の経験からも不経済な問題があると感じられるし、原子力発電所の建設に携わるどの国でも難問にぶつかったからである。もちろん、わりあい早く発展したフランスと日本もその中に含められる。一九七六年以後アメリカでは原子力発電所を注文する会社はない。注目すべきことは、今までの八年間に注文する会社がいなかったばかりか、これからもアメリカでは注文する会社はいないはずであるということである。それは環境専門家のえん恨によるわけではなく、政府が支持しないためでもなく、それは市場のためである。もしあなたがアメリカの電気専門家として、ウォール街で電話をかけて、人と原子力発電所建設問題について論議することを約束しても、おそらく討論会に参加する人さえもいないであろう。
 こういうことで、世界原子力産業の衰退を反映しているのではないかというような論文も出ています。
 それからこれは、「原発から九電力が撤退する日」という、「選択」という雑誌、一九八五年の三月号ですが、
  東京電力副社長から、国策発電会社の「電源開発」に転じた門田正三総裁。その門田総裁は最近こんなことを口にする。「原発の発電コストが一番安いのは確かだろうが、いつまでも原発一本槍で行くと危ない。精々、(全発電設備の)三〇%程度の規模に抑えておくべきだ」
というような発言をされているというようなことがあるわけです。
 そこで、電源に対するベストミックスというものをどのようにお考えか、ひとつお伺いをいたしたいと思います。
#48
○政府委員(中村守孝君) ただいま先生から御指摘がございましたが、アメリカにおきましても最近キャンセルが多いというお話でございますが、実はアメリカは、非常に初期におきまして大きな将来の電力需要を見込みました発注をいたしておりまして、そのために、電力需要の低減それからその後におきます工期が非常に長くかかるというようなことからキャンセルが出ておりますが、現在なお、アメリカで建設中の発電所は四十四基で五千百万キロワットに及ぶものの建設が進められ
ておるわけでございまして、中国の方の御見解というのはある一つの御見解かと思います。
 原子力発電所とほかの石炭、石油との配合の問題につきましては、確かに、原子力発電ですべてを賄っていこうということは、我々もそういうことを考えているわけではないわけでございまして、現在は、石油代替エネルギーとして石油への依存を低減しようということで進めておるわけでございまして、現在の段階ででは、まだ原子力の電力に占める比率が二〇%程度でございますので、今後、まだ三〇%ないし四〇%、そういった段階まではなお原子力発電を増強していく必要があろうかと考えております。
#49
○菅野久光君 三〇%ないし四〇%というのは、一〇%違えば相当違うわけですけれども、正直なところ、その辺どのあたりを目標に考えておられるのでしょうか、その辺をはっきりさせていただきたいというふうに思います。
#50
○政府委員(中村守孝君) 現在段階で、計画といたしましては六十八年度に原子力が三三%を占めるということになろうかと考えております。
#51
○菅野久光君 今の建設予定からいってそういうことになるというふうに理解してよろしいですか。
#52
○政府委員(中村守孝君) 現在の開発の計画の見通しからいってそういうことでございます。
#53
○菅野久光君 国民の間にはいろいろ原発の問題について疑問が投げかけられているわけであります。その中で、原発を推進していくためには、原発が安い、コストが安いということが推進する最大のやっぱり私は理由じゃなかったかというふうに思うんですけれども、原発の経済性の問題について、石炭とはもう本当にわずかになってきただとか、あるいは放射性廃棄物の処理の問題、あるいは廃炉費用の問題、こういったようなものがいつも言われているわけですが、そういうことからいけば、原発をつくり始めた最初のころに言われた原発のコストが安いということは、もはや優位性は失われたのではないかというふうに思われるわけでありますけれども、その辺はどのようにお考えでしょうか。
#54
○政府委員(中村守孝君) 原子力発電の経済性の問題でございますが、五十九年度に当庁が外部の民間機関に委託して試算をさせたわけでございますが、その結果といたしまして、五十九年度運開のプラントの初年度の発電コストでいきますと、原子力につきましてはキロワットアワー当たり約十三円でございます。これに比べまして、石炭火力がキロワットアワー当たり約十四円、石油火力がキロワットアワー当たり十七円、LNG火力がキロワットアワー当たり十七円ということでございますので、石油火力やLNGに比べれば格段と原子力の経済性は優位に立っておるわけでございます。
 このコストは、再処理費用とか放射性廃棄物の処理費用は含まれているわけでございますが、廃棄物の処分とか、あるいは原子炉を廃止した場合の費用、そういったものは含まれておりません。しかしながら、これらの費用は、一般的に一割程度増加すると見込まれているのが通常の考え方でございますので、こういう見方をいたしましても、初年度コストにおいて石炭火力と並ぶような状況ではないか。しかも、これは、建設費といいますか、コストの構成比を見ますと、原子力の場合は施設費に占める割合が非常に多うございます。それから石炭火力の場合でございますと、やはり、石炭の価格に占める割合が非常に高いということもございます。今後の石炭の値上がり等考えますと、経年的な面で見ますと、建設費の償却等が進んでまいりまして先行き安くなっていくわけでございますので、そういう見方をいたしますれば、いわゆる生涯コストといいましょうか、その発電所がある間のコスト等の点から見れば、原子力は石炭火力に次いで安いわけでございますし、しかも、また、石炭火力につきましても各種の公害問題もございます。そういったようないろいろなことからいいましても、原子力発電所というのは現在経済的にも優位にあるというぐあいに我々は考えておる次第でございます。
#55
○菅野久光君 原発の建設のコストがどんどんどんどん上がっていく。これはアメリカあたりも安全性の問題にかかわってコストがどんどん上がっていくために、もうこれ以上負担し切れないということでキャンセルが相次いだというようなことになっているわけですね。我が国でもやっぱり建設費のコストというものはどんどん上がっていっているわけでありますが、そういったようなものを含めてもなおかつ安いというふうに言えるのかどうか、その辺をお伺いいたしたいと思います。
#56
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。
 アメリカでの原子力発電のキャンセルの原因は、非常に建設期間が長くかかりまして、しかも、金利が非常にアメリカは高うございます。したがって、建設中の利子というものが極めて大きな額になりまして建設費の高騰を招いておるということと、それから先行きの電力需要が大きくは望めないということと、もう前々からの計画が非常に大きな電力需要を見込んでつくっておったということで施設的に過剰な状態になっておる。電力会社自身が日本の電力会社と異なりまして小さな電力会社が多うございまして経済的基盤が脆弱である。そういうようなことから原子力発電所の建設についてのキャンセルが出ておるという状況でございます。
 我が国の原子力発電所につきましては、五十九年度運開しました原子力発電所の平均的な建設単価というものはキロワット当たり約三十万円前後でございますが、過去に比べますと建設単価は確かに上がっておるわけでございます。この上がっている原因は何かということにつきましては、価格決定のメカニズムというのは非常に複雑でございますので一概に何が理由かということはなかなか難しいわけでございますが、いわゆる石油ショック以降の物価の高騰というものが引き続き尾を引いているということもございますし、原子力発電所の機器類というのがいわば一品製作、注文生産でございますので、大量生産による一般の機器類と異なりまして価格の上昇分という、いろんな直接の経費の上昇分というものを、例えば量産効果で消去していくというような方法もなかなか難しいということから結果的に値段が上がってくると。中にはもちろん信頼性の向上とかメンテナンスをやりやすくするためにいろいろ設備も改良してございますから、そういう意味での値上がり部分もあろうかと思います。一概にそのうちのどれかということはなかなかに価格の決定のメカニズムが複雑でございますので申し上げられませんが、今後のコスト、こういう建設費の問題につきましては、電気事業者、メーカト、そういった方々が一緒になりまして今後の建設費の上昇を防ぐということで機器につきましての標準化とかそういった方法で対策を進めていくことにいたしておる次第でございます。
#57
○菅野久光君 コストによるこの電力料金の問題は、またこれはエネルギー対策特別委員会の方でもいろいろ取り上げてまいりたいというふうに思っております。
 それにしましても、どんどんこの原子力発電にかかわる研究が大宗を占めていて原料のウランだとかあるいは石油、化石燃料、こういったようなものの埋蔵量といいますか、将来的な燃料としてどのくらいこれはもつのかという問題がありますが、そういったような問題とあわせてもっと別な、例えば燃料電池だかなんだか新しいエネルギーをいろいろとつくり出すということで、いろいろ電気会社なんかが今主体になってやっているわけでありますけれども、そういったような新しいエネルギーを開発する、そういう方向については科学技術庁としてはどのようにお考えか、その点をちょっとお伺いいたしたいと思います。
#58
○政府委員(中村守孝君) 科学技術庁におきましても、新しいエネルギーにつきましての研究開発なり調査というものをしておるわけでございますが、これにつきましては、主として実施は、通産省がこの新エネルギーの開発機構をつくりましてそちらの方で研究開発を進めておる。当庁の、当
庁といいますか、我が国のエネルギー等科学技術の研究開発費に対して、先ほど先生から科学技術庁の予算の半分が原子力ではないか、こういうお話ございましたが、科学技術庁の予算としてはそういうことでございますが、それはそのほかの、原子力以外の予算につきましては、通産省なり農水省なり、それぞれの各省がやっておることでもございまして、原子力は一元的に科学技術庁に研究開発予算を計上するという建前になっておりますので、そういうこともあって非常に科技庁の中では大きゅうございますが、全体的には新しいエネルギーについての研究開発も積極的に進めておるし、科学技術庁としても風力発電、太陽エネルギー発電、そういったものについて大いにやっていくべきであるという考え方に立っておるわけでございます。
#59
○菅野久光君 とにかく原発について一番の問題はやっぱり廃棄物の問題ですね。この問題はもう避けて通ることもまたこれできない問題でありますし、この廃棄物の処理の問題についてはまだ技術的にも私は確立していないというふうに思うわけでありますが、下北の核サイクル基地の問題もいよいよ何か決まっていくというような段階で、これについての、廃棄物問題についての法制的な整備というものがやっぱりきちっとしておかないと大変じゃないかと思うんです。このことについては昨年の当院のエネルギー対策特別委員会でも一応早急にするべきではないかということで意見が述べられておりますし、ことしの三月二十六日の衆議院の科学技術委員会でもこのことが問われているわけでありますが、その点について、これだけ大きな関心を持っていることでありますから、早急にこの廃棄物の処理にかかわる法制的な整備をしなければならないというふうに思うわけですけれども、その状況についてひとつお知らせいただきたいと思います。
#60
○政府委員(辻栄一君) 先生御指摘のように、原子力開発利用の推進に当たって放射性廃棄物の適正な処理処分及び安全の確保ということは極めて重要でございまして、そのための法規制を整備していく必要があります。
 安全そのものにつきましては現行法で一応所要の規制が行えると考えておりますけれども、事安全の問題に関しましては、その時点における最新の科学技術的知見を踏まえたよりよい安全規制のあり方、これにつきまして常に検討する姿勢が必要であると私ども考えておりまして、現在このような観点に立ちまして原子力委員会及び原子力安全委員会におきましても、放射性廃棄物処理処分対策の具体化に対応してより適切な安全規制のあり方ということで具体的な検討が進められている段階でございます。これらの検討の結果も踏まえまして、必要であれば法制上の整備を含め適切な措置をとっていくという考え方でございます。
#61
○菅野久光君 必要があればということでございますか。そこのところをはっきりさせてください。
#62
○政府委員(辻栄一君) この辺につきましても現在原子力委員会で検討中でございますので、その結果を踏まえて対応してまいりたい、かように考えております。
#63
○菅野久光君 検討中ということであれば、いつまでも検討中ということになる危険性もこれはあるわけで、おおよそのめど的なものをやはり持ってお進めになっているんじゃないかなというふうに思うんですが、その辺のところはいかがでしょうか。
#64
○国務大臣(竹内黎一君) 今政府委員が説明申し上げましたように、原子力委員会及び原子力安全委員会におきましての御検討をお願いしておるわけでございますが、私としましては六十年度中にひとつお示しを賜りたいとお願いしております。
#65
○菅野久光君 六十年度中ということでお願いをしているということでございますので、私どもも早くできるようにひとつ期待をいたしたいというふうに思います。
 それで次、やはり今申し上げましたように、この廃棄物の問題がどうも国民の間にすとんと落ちてこない、そういうような状況でありますから、この廃棄物、それぞれの世界各国で、原発を持っているところでこの廃棄物をどのように処理を、あるいは処分をしているのか、その状況についてひとつお知らせをいただきたいというふうに思います。
#66
○政府委員(中村守孝君) 諸外国における放射性廃棄物の処理処分に対する取り扱いがどうなっておるか、こういう御質問でございますが、この点につきましてお答えさせていただきます。
 まず、基本的な考え方といたしましては、低レベル放射性廃棄物につきましては、処分をするのに適した形に処理しましてから最終的には海洋処分または陸地処分を行う。
 高レベル放射性廃棄物については現在処理処分に関する試験研究を行っておりますが、数十年間、まだ放射性の廃棄物による発熱が多い段階は地上に人間の管理の行き届くところに保管いたしまして、その後地中深く埋設して処分をするというのが基本でございます。具体的に現在やっておることはどういうことかと申しますと、米国におきましては砂漠などに大きな素掘りの穴を掘りましてドラム缶に詰められた廃棄物をそのドラム缶ごと埋設して処分をしておるということでございます。
 西独におきましては、岩塩を掘り出した後の空洞がございまして、そこにやはり廃棄物をドラム缶におさめて埋設処分をしておるということでございます。現在は一時的にこの点は中止をしております。
 それからフランスでは、コンクリートピットをつくりまして、ここにドラム缶に入れた廃棄物等を積み込みましてすき間を全部セメントで充てんし、最終的にはその上に土を盛っていわば人工の低い丘でございますが、丘のような形にして埋設処分をしているという状況にございます。
 それから英国におきましては、トレンチに廃棄物の入ったドラム缶を埋設処分するということと並行いたしまして、大西洋において海洋処分、いわゆる海底に投棄しておるということを行っております。
 それから、ベルギー、オランダ、スイス等におきましても、大西洋において海洋処分を実施してまいったわけでございます。
 ただ、英国にしろ、今のベルギー、オランダ、スイスにいたしましても、この海洋処分は一九八二年まで実施しておりまして現在中止しております。これは海洋処分につきまして国際的にコンセンサスを得る必要があるということで、技術的な検討を進めるということから、現在ロンドン条約締約国協議会議、ここにおきまして検討が進められております。本年九月をめどに、その安全性について科学的検討が進められているという状況にございます。こういったこともございまして中止をしておるわけでございます。
 それから、高レベル放射性廃棄物の処理につきましては、フランス、英国、西独等におきましてガラスの固化処理技術の研究開発が進められておりまして、フランスにおきましては既に実証プラントが稼働しておるという状況にございます。処分につきましては、地下数百メートルより深い花崗岩とか岩塩層、そういった安定した地層中へ処分をすることになるわけでございますが、このガラス固化体から発注する熱の岩盤への影響とか、岩盤中におきます水の流れ等、その廃棄物の中にある成分がもし万一人工バリアを乗り越えて流出した場合にそれがどう周りへ移っていくかというようなことについての調査研究が進められておりまして、国際的な共同研究のような形で進められておるのもございますし、各国それぞれに研究が進められておるという状況にございます。一部の国におきましては処分地の選定作業も進んでおる、こういう状況にございます。
#67
○菅野久光君 そうしますと、まだ低レベル高レベル含めて、処理はある程度はなんですけれども、最終的な処分の問題については調査研究中というふうに総じて言ってもいいのか。そんな状況のようにとらえておいてよろしいですか。
#68
○政府委員(中村守孝君) 低レベルの廃棄物につきましては、処分はそれぞれの国で既にもう実施をしておるということでございまして、これはもう調査研究の段階を脱しておると思いますが、高レベルの処分につきましては研究開発を進めているという段階でございます。
#69
○菅野久光君 それでは我が国の低レベル廃棄物の処分をどのように進めていこうとされているのか、その辺をお伺いしたいと思います。
#70
○政府委員(中村守孝君) 低レベルの放射性廃棄物の処分につきましては、基本的には海洋処分と陸地処分とをあわせて行っていくということでございまして、海洋処分につきましては、既に各種の研究を終えまして試験的投棄をするばっかりになっておりまして、安全性とも全部確認をし終わったわけで、海洋投棄の試験投棄を実施する予定でございましたが、南太平洋諸国の方々の御意見もございまして、かつまた現在先ほど申しましたロンドン条約の締約国協議会議において進められている科学的検討等もございますので、その試験を現在見合わせておりまして、今後も慎重にこれには対処していきたいと思っておるわけでございます。
 陸地処分につきましては、現在原子力発電所に安全に保管されておりますわけでございますが、これはやはり敷地外において集中的に貯蔵するということが必要になってこようかということで、現在この施設といたしまして青森県の六カ所村にその立地をお願いしてまいったわけでございまして、ここに非常に長期間にわたりまして貯蔵をして、その貯蔵していく過程におきまして放射能はどんどん低下してまいります。そういうことで、放射能が十分自然環境と大差ないということでそのまま人の管理の手を離れても大丈夫であるという認定がなされた段階にはそれは処分に移行すると、そういうような形で今後の対応を考えておるところでございます。
#71
○菅野久光君 六カ所村に低レベルの廃棄物を、あそこにいわば集めてしまうといいますか、そういうようなことで計画をされているようでありますが、低レベルの放射性廃棄物が各発電所サイト内でたまる一方なわけですね。最近放射性廃棄物の基準を何か緩和をして、従来放射性廃棄物として処理されてきたもののうち相当な部分を、何か一般廃棄物として取り扱って放射性廃棄物の量を減らそうという方向が検討されているとか何とかというそういう話が伝わっているわけでありますが、それはどうなんでしょうか、お伺いいたします。
#72
○政府委員(中村守孝君) 低レベルの放射性廃棄物につきましては、従来簡単に申しますと管理区域の中から出てきたごみは全部放射性で汚染されているものとみなして、廃棄物にして一緒くたに扱っておったという事情があるわけでございます。で、そういう取り扱い方は本当に合理的なんだろうかということで十分検討すべきであるという原子力委員会の考え方に立って、昨年の放射性廃棄物対策専門部会においていろいろ考え方を議論いたしたわけでございまして、やはり低レベル放射性廃棄物につきましても、その汚染の程度あるいは汚染の有無ということによって何もかも一緒くたにやるんではなくて、取り扱いは区分してもしかるべきではないかということで三段階に分けまして、実際にもう実質的には汚染がしてないようなものを放射性廃棄物として取り扱う必要はないだろう。それから、かなり放射能が低くて一般の廃棄物とは別に取り扱いを簡便にしてもいいものもあるということでの三段階の区分をしてやるべきではないかという結論になりまして、その線で現在その境界値をそれではどのくらいのところに置くべきかということにつきまして、原子力安全委員会の方で御検討を煩わしておるという段階にございます。
#73
○菅野久光君 これは当初から低レベルの廃棄物の問題はやはり低レベル――量は別にいたしましてもやはり幾らか放射能汚染があるということで取り扱ってきたものだというふうに思うんですけれども、それが何かレベルによってどうのこうのということになれば、もう発電所サイト内にとにかくたまって処理に困るから便宜的にそういう措置を考えているのではないかというふうにこれは常識的に思わざるを得ないわけですよ。その辺はいかがなんですか。
#74
○政府委員(中村守孝君) お答えします。
 廃棄物がたまって処置がないからそういうことをしたということじゃございませんで、やっぱりこれは社会経済的な効率性というものを考え、合理的な処理体制を考えていこう、こういうことで始まったものでございまして、必要もないことにお金をかけたり人手を煩わすということはいかがかという観点から検討をされたものでございます。
#75
○菅野久光君 それでは、初めにそれを決めたときには全く経済とかなんとかということを考えないで、不必要なものをやったというふうに考えてよろしいんですか。
#76
○政府委員(中村守孝君) 当初の原子力発電といいますか原子炉の開発が進む初期におきましては、いわば低レベル廃棄物という形で一まとめにした考え方で、いろいろ実際には発電所等で廃棄物を選別するという手間暇を考えるよりもまとめてやった方が、逆に言えば初期においては効率的であったというような事情もあろうかと思いますが、そういったものが原子炉の開発が進むにつれて、やはり実態に合わせてそういう取り扱いについても考えていくということでございます。
#77
○菅野久光君 これは原発をつくった当時からずうっとたまってきているわけですね。そういうことからいって、何か途中でそういうふうに方向を変えるということはどうしても国民の側にまた疑惑を生じさせるということになっていくと私は思うんですよ。特に、廃棄物の処分地の問題が非常にあるということで今日まで決まらないで、いわばやっと六ケ所村が青森県で、きのうですか調印されたというような形になってきているわけですね。それだけに、そういったようなことで量を減らそう、合理的だとかなんとかとこうおっしゃるけれども、国民の側にしてみれば、やっぱり放射能で汚染された、低レベルであっても汚染されたものであったから今までそういうふうに始末してきたものを、量を減らすため、あるいは合理的だという言葉の中でそれを減らすようなことをやられるということについては、やっぱり国民としては疑惑を感ずる、原子力行政の安全性というそういうことからいっても問題ではないかというふうに思います。この問題については一応そういうことを考えているということで受けとめておきます。
 それでは、高レベルの廃棄物の処分の問題なんでありますが、北海道の幌延に立地を計画をされているということなんでありまして、この問題にかかわってお伺いをいたしたいというふうに思います。
 あの地域は天北地域ということで宗谷と留萌の北部、その一帯を言っているわけですが、そこの開発については第三期北海道総合開発計画、あるいは北海道発展計画、それから北海道発展計画点検報告等においても北海道の主要な開発プログラムが組まれております。開発庁は九カ町村にまたがるこの地域の五万ヘクタールについて草地開発を計画して既に第一期計画に着手をしております。また昭和三十年、国の石油及び可燃性天然ガス資源開発五カ年計画以来各種の調査がされておりまして、この天北地域にこれらの調査が集中をして有望な開発可能地と目されております。これには北海道開発庁とかあるいは通産省なんかも参加しているわけですが、北海道工業振興委員会の北海道の石油、天然ガス資源というところに記述をされております。また、石炭資源についても、日本の長期の石炭新開発炭田として天北地区、つまり宗谷、留萌管内が有望視されております。
 したがって、この高レベル廃棄物の処理施設などの設置がこの資源開発なんかとのかかわりでやっぱり問題になってくるのではないかというふうに思うわけであります。特に、石炭なんかについては予想埋蔵量が二億トンぐらいあるような報
告も出されているようであります。したがって、この処分予定地には将来の資源開発という面、あるいは北海道開発という面からもここに高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設、あるいは工学センターという名前になっておりますけれども、予定地の決定ということは私はするべきではないというふうに思うんですが、北海道開発庁としてはこの点についてどうお考えでしょうか。
#78
○説明員(大串国弘君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、天北地域といいますのは稚内市を中心としました一市八町村、北海道の北の端を指しているわけでございます。ここの天北地域の開発計画といいますか開発構想、これは農業とか水産が主体でございまして、農業計画を持っておりまして、一番北の宗谷地区の丘陵地区の方で肉牛の生産をやろうということで、五十九年から一部着工したところでございます。そのほかに天然ガス、石油、石炭等の開発構想もございます。御指摘のとおりでございます。
 工学センターにつきましては、放射性廃棄物から発生する熱や、放射線の利用につきましても研究をなされると、このように聞いております。そういう意味で地域開発にも深いかかわりがあるんじゃないか、このように考えております。
 工学センターの立地につきましては、現在いろいろと地元の方で論議をなされている状況でございますけれども、貯蔵工学センターの幌延立地が決定されれば、これらの天北地域の開発構想との調整を図りながら進めていかなきゃならぬ、このように考えているところでございます。
#79
○菅野久光君 特に資源の少ない日本として、そういったような資源の状況などもあるということから、私はやっぱり資源を大事にするというような方向で今後の問題にひとつ北海道開発庁としても対処してもらいたいということを要望しておきたいというふうに思います。開発庁どうもありがとうございました。
 次に、再処理の問題でありますけれども、再処理工場、世界各国といってもこれはフランスとイギリスぐらいしかやってないようなわけですけれども、そういった外国の再処理工場の状況についてちょっとお知らせいただきたいと思います。
#80
○政府委員(中村守孝君) 現在いわゆる民間の商業用の再処理工場というものにつきましては、フランス、英国、西ドイツにおいて行われておるわけでございますが、軍事用ということになりますれば当然アメリカとかソビエトとかでそれぞれやっておられるわけでございます。
 商業用の点について申しますれば、まずフランスでございますが、フランスの原子力庁がマルクールに設置しました工場、これUP―1と略称して呼んでおります。これは天然ウランの使用済み燃料を年間一千トン処理できるという能力でございまして、これは一九五八年以来運転をしておるもので長い歴史を持っておるものでございます。それからフランスの核燃料公社、COGEMAという会社でございますが、これがラ・アーグに再処理工場を持っております。これは略称してUP―2と申しておりますが、天然ウランの使用済み燃料にいたしますと年間八百トン、それから濃縮ウランの使用済み燃料でございますと年間四百トンの処理能力を持っておるものでございまして、天然ウランについては一九六七年以来、濃縮ウランにつきましては一九七六年以来運転をしておるわけでございます。さらに、現在ラ・アーグに、一九八九年に運転開始をすることをめどにいたしまして、濃縮ウランを用いました使用済み燃料を年間八百トン処理できる工場、UP―3と略称しておりますが、これを建設中でございます。また、さきに述べましたラ・アーグのUP―2、これについても増設計画がございまして、一九九〇年の運転開始をめどにいたしまして、濃縮ウランの使用済み燃料として四百トンから八百トンへ年間処理できるように増設するということの計画があって、準備が進められております。
 それからイギリスにおきましては、イギリスの核燃料公社、略称BNFLというものでございますが、セラフィールドというところに工場を持っておりまして、天然ウランの使用済み燃料を年間二千トン処理できる能力を持っている工場を建設してございまして、一九六四年以来運転をしておるところでございます。さらに英国では、濃縮ウランの使用済み燃料を処理できる工場といたしまして、同じくセラフィールドで、一九九〇年に運転開始をめどにいたしまして、年間千二百トンの使用済み燃料を処理できる能力を持ちます、ソープという名前で計画を呼んでおりますが、工場を建設中でございます。
 それから西ドイツにおきましては、カールスルーエ再処理工場、これは小規模なものでございますが、濃縮ウランの使用済み燃料で年間三十五トンの処理能力を持っておるものでございます。これは一九七一年以来運転をいたしております。それからドイツでは、濃縮ウランの使用済み燃料で三百五十ないし五百トン年間で処理できる能力を持つ工場の建設計画を持っておりまして、これはドイツのバイエルン州のバッカスドルフというところに既にサイトを確定して、一九九二年に運転開始をするということをめどにいたしまして工場の建設を進めております。この工場はWA350という略称で呼ばれております。本年二月にこの具体的な決定がなされたと承知しております。
#81
○菅野久光君 この再処理工場の操業の状況、それはそういう計画でなされたが、それはもう満度に、一〇〇%稼働しているというふうに見てよろしいですか。
#82
○政府委員(中村守孝君) フランスの再処理工場のUP―2につきましては、一九八四年の三月末現在で天然のウランを使用しました方では四千三百トン、濃縮ウランのものにつきましては七百三十トン既に処理済みでございまして、濃縮ウランにつきましては、一九八五年の新しいデータでは、一九八五年の一月現在で一千トンの使用済み燃料を既に処理してございます。
 イギリスにおきましては、先ほどのガス炉、天然ウランの使用済み燃料でございますが、処理実績として一九八四年三月末で二千五百トンございます。
 西ドイツのWAKという小さな工場におきましても、一九八四年三月末現在で百四十トン既に使用済み燃料を処理しておるという実績が出ております。
#83
○菅野久光君 では処理実績ということで、現在、今話されたところの工場はすべて稼働中というふうに私の方で把握してよろしいですか。
#84
○政府委員(中村守孝君) 今申しました工場はすべて稼働中でございます。
#85
○菅野久光君 東海村でやっております再処理の溶解槽、二月十八日でしたか、やっと新しいものができて動き出したようですが、その状況はいかがでしょうか。
#86
○政府委員(中村守孝君) 東海再処理工場につきましては、先生御指摘のように、本年の二月に新型の溶解槽を使用開始するということで試験運転を開始しまして、この新型溶解槽を使いまして約五トンの再処理を既に完了いたしております。これに引き続きまして四月十三日から溶解槽のR10、R11につきましても使用をするということで、現在検査運転を行っておるという状況にございまして、四月十六日現在で五・二トンを溶解し、作業を進めておるという段階にございます。
#87
○菅野久光君 いつまたピンホールが起きないとも限らない、そういうことで、あそこで働いている方は大変だなと、私もあそこへ見にいきまして本当にそう思います。
 きのう下北の問題が一応立地について調印がされたようでありますが、何か北村知事が、核燃料サイクル事業の安全性に関する専門家会議というのをつくって、そこでいろいろこの問題についての議論をいただいてそして何か決定をされたやに伺っております。この専門家会議には、動燃と日本原研の関係者が六人、それから学者が四人というようなことで、座長の小沢という北海道工大の先生も学者でありますが、この十一人の専門家会議の報告書の中で、「計画されている湿式再処理法(ピューレックス法)は、国内外で既に二十年
以上の実績を有する方式である。」「この技術は、ほぼ確立された段階に達しているが、」というようなことで報告書が出されているようでありますが、科技庁としてもこのとおりに承知をしておる――承知をしているということは、ほぼ確立されていると思っているというふうに私の方で受けとめてよろしいですか。
#88
○政府委員(中村守孝君) 今先生お述べになりましたように、イギリス及びフランスで既に二十年以上の再処理の実績がございまして、確かに幾つかのトラブルはあったわけでございますが、こういったものは逐次改良が続けられまして、現在、商業工場として安定した運転が行われておりますし、具体的に、こういったイギリス、フランス、西ドイツでも、積極的に次の商業用の工場が計画されておるというような状況にもあるわけでございます。我が国におきましても、東海村の再処理工場、これはある意味で技術開発の使命というものも一つ持っていたわけでございます。こういったことで、我が国におきましても、いろいろな経験を踏んで再処理の技術についての十分豊富な蓄積がなされたわけでございますので、私どもとしては、これが商業用の工場として十分安全に運転できる工場はできるものと確信している次第でございます。
#89
○菅野久光君 もう時間もございませんが、私はそこのところが問題だと思うんですよ。ほぼ確立されたということであって、全く確立されたわけじゃないわけですね。だから「ほぼ」という言葉がついていると思うんですが、例えば東海村の処理施設で見れば、能力二百十トンですね、年間処理が。それの、今まで七年半の間でわずか百七十四トン、故障があってやらなかった時代もありましたから、計画の一〇%しか処理されていない。あるいは国外の場合も、フランスのラ・アーグ再処理工場でも、当初計画のようやく何か一五%だというふうに私は聞いているわけであります。そういう状況の中で「ほぼ確立された」と言うことは、「ほぼ」という言葉が消えてしまって、確立されたかのように国民の耳には聞こえてくるわけですよ。ですから私は、ここのところが非常に危険――完全に大丈夫だという確信が持てるまではやっぱり試験研究というそういう段階を経ないのではないかというふうに思うんです。そういうところに廃棄物処理の問題や何かを含めて原発に対する危険性というものを国民がなかなかぬぐい去ることができないということがあると思うんですよ。これはどんどんたまってくる廃棄物の処理の問題でありますから、ほうっておくわけにはいかないから試験研究することは結構ですけれども、こういったようなある程度断定に近いような言葉で国民に示すということは私は非常に問題があるのではないか。これは科技庁直接ではございませんが、科技庁の方でもそういうふうに思っているということは問題だということを私はこの機会に指摘をしておきたいと思いますが、何かそのことについてお話があれば承って私の質問を終わりたいと思います。
#90
○政府委員(中村守孝君) 技術というものにつきましては、常に改良、進歩というものがなされることでございまして、そういう意味で完熟した、成熟したものであるか、もはや改善の余地がないかということになりますと、再処理技術については今後とも改善の余地は多々ある問題だと思います。ただ実用上支障のない商業用の工場として運転できる技術というものは確立しておる、そのように私ども理解いたしております。
#91
○委員長(馬場富君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後雰時一分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
#92
○委員長(馬場富君) ただいまから科学技術特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、科学技術振興のための基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#93
○林寛子君 去る三月の当委員会における竹内科学技術庁長官の所信表明に対して幾つかの点について質問させていただきたいと思いますけれども、まず冒頭に申し上げなければいけないのは、長官が衆議院本会議出席のためということで途中でお立ちになることを私了承しておりますので、冒頭に総論だけを伺って、時間になればお立ちいただいて結構でございます。
 ただ、きょうは六十分しか私の質問時間がございませんので、基本的には四つの部門に分けてみたいと思います。第一点は科学技術の現状と展望に対して伺い、そして二番目に先端科学技術の重点事項について伺い、そして第三点に国際協力の理念と現状及び展開について伺いたいと思います。そして最後に、科学技術と人間という大変難しいことなんですけれども、これも少し触れさせていただきたい。以上、四点について質問させていただきたいと思います。
 まず冒頭に、御存じのとおり我が国が戦後基本的な技術を欧米から導入しまして、これを基盤に我が国独自の技術を養い、今日ではテレビ、自動車あるいは電卓等々、言ってみれば、鉄鋼業あるいは自動車工業、半導体工業などにおいて高い国際競争力を有するまでになっておりますけれども、我が国は他方基礎的な段階における科学技術、創造的な自立科学技術の面においては欧米諸国におくれているのが現状であろうと思います。
 そして、私はいつも言うんですけれども、日本の科学技術というのは、生け花という論を展開しております。と申しますのも、御存じのとおり日本の生け花というのは、生けてあるのを見ますと大変美しゅうございますし、国際的にも日本の生け花は評価されております。けれども、それは花とか木を外から買ってまいりまして、それを技術によってどう生けて観賞するかということでございます。日本の科学技術そのものも、私はそうであろうと思います。今申しましたように、諸外国から物を入れてきて、そしてそれに加工、そして工夫をして出すという、そういう私は大変基盤のもろいといいますか、あるいは生け花で例えますと、最初はきれいですけれども生け花というものは永久ではございません。やがて枯れてしまう。また次の花を買ってこなきゃいけない、次の木を買ってこなきゃいけない。私は、日本の科学技術というのは、生け花論者でございますので、そういう意味では日本独自の花を植え、そして種をまいて育てて、独自の花で生け花ができるような、そういう科学技術にしていかなければいけないというのが私の科学技術に対する自論でございますので、私は冒頭、長官がこの間の所信表明でおっしゃいました「唯一の資源とも言うべき知的創造力にその生存基盤を求め、産学官の連携を図りつつ、まさに国民の英知を結集することにより創造性豊かな科学技術を創出していくことが喫緊の課題」である云々という表明をなさいましたけれども、私はこの科学技術の世界における日本の現状、科学技術水準は今いかにどの程度にあるのか、そういうことも含めて科学技術の現状とあるいは今後の展望等に、この所信表明で言われたような総論ではなく、少し細かく立ち入って所信を聞かしていただければありがたいと思います。
#94
○国務大臣(竹内黎一君) まずもって、林先生に本会議出席のための御配慮をちょうだいしたことを感謝申し上げます。
 さて、お尋ねの科学技術振興の現状でございますけれども、若干数字でまず御紹介申し上げますと、昭和五十八年度におきまして、研究者の数は三十七万人、研究開発投資総額は六兆五千億円であり、これは米国の二十兆八千億円、ソ連の八兆四千億円に次いで世界第三位となっております。さらにこれを国民所得に対する比率で見てみましても、西側先進国の中では西ドイツの三・二〇%、米国の二・九九%に次ぐ二・九五%と相なっております。このように我が国は世界の技術先進国の一つに数えられるまでに至ったわけでございますが、これまでの我が国の科学技術の発展が主として海外からの技術の導入及びその改良に負うとこ
ろが大きなものであったことは、先生ただいま御指摘のとおりと私も理解をいたします。
 さて、これからの科学技術振興の方針でございますが、これまた先生既に御案内のように、昨年十一月に科学技術会議の方から、これからの科学技術振興につきまして極めて貴重かつ重要な答申をちょうだいをしております。私どもはこの十一号答申に沿って、いわばこれをバイブルにしてこれからの科学技術行政を進めてまいりたいと思いますが、その十一号答申において特に強調されているのは、以下申し上げる三つの柱でございます。
 まず第一は、これまた今先生お触れになりました独創的な基礎研究の強化、研究開発基盤の充実ということでございまして、まさしく日本の土壌に根差したオリジナリティーのある科学技術というものをこれから生み出していかねばならぬということでございます。
 それから産学官の有機的連携の促進等により、そういう体制整備も図れということでございまして、あわせて国際責務の面からも、これからも科学技術の面でも一層国際協力を進めていくべきであると、こういうように指摘されておりますが、この指摘に基づきまして、私ども科学技術庁といたしましては、以下申し上げるようなことをこれから力を入れてまいりたいと思います。
 まず第一には、創造科学技術推進事業の強化でございます。二番目には基礎的・先導的科学技術の分野の推進を中心とする科学技術振興調整費の強化でございまして、これらにより産学官の有機的連携を図りつつ、独創的な基礎的研究の強化を図ってまいりたいと思います。
 第二番目に申し上げたいことは、研究開発基盤につきまして、科学技術情報、データベース、こういったものの流通事業、それから加えて遺伝子、細胞等生物資源の収集、保存、提供事業等の充実にこれからも力をいたさなければならぬと思うわけであります。そして以上申し上げたような施策を中心に、繰り返して申し上げますが、創造性豊かな科学技術の振興に私としては全力を尽くしてまいりたくまた先生方の御指導よろしくとお願い申し上げるところでございます。
#95
○林寛子君 今大臣のお言葉の中で、研究費の世界的レベルあるいは研究者数の発表あるいはGNPに対するもの、いろいろおっしゃいましたけれども、私はただ今大臣がおっしゃらなかった中で、一番気になる部分が一つございます。と申しますのは、これ科学技術庁の要覧から出てきたわけですけれども、問題は政府の負担割合でございます。これによりますと、五十八年度でございますけれども、日本の政府負担が二二・二%、そしてアメリカが政府負担は四六%、西ドイツは四二・三%、フランスが五七・七%、ソ連は推測ですけれども四七%と、どの国も大体約五〇%前後を占めております。にもかかわらず、日本の政府負担割合だけが二二・二%と、大変お寒い限りと言わざるを得ない。特に先ほど私が申しましたように、今後の基礎技術の開発というものに対して、私はこれこそ政府負担率が高くなければ将来に備えられないという、長官がお答えになった中から抜けている部分の、私は政府負担率というものが今後の将来の科学技術立国を目指す日本にとっては、基礎技術の開発、先ほど申しましたように、一番おくれている部分に対しての政府負担というものをこれから増大していかなきゃいけない、でなければ将来はあり得ないと、そこまで言わせていただくと言い過ぎかもしれませんけれども、それほど私は重要なことであると思っておりますので、ただ一点だけ、長官のお答えから抜けておりましたその政府負担率についてのお答えをちょっと御感想を聞かせてください。
#96
○国務大臣(竹内黎一君) お答え申し上げます。
 これからの科学技術振興を考える際の一つの大きな問題点が、先生ただいま御指摘になりました研究開発投資総額の中に占める政府負担の割合がいわば著しく低いということでございます。
 科学技術の中には、多額の資金を要し、あるいは多数の人材を必要とし、あるいは長い時間をかけなきゃならぬようなものもございます。例えばその代表的な例が核融合であろうかと思いますが、こういうものの研究は到底民間に期待するわけにもまいりません。等々考えてまいりますと、これからは何としても全体の中での政府の投資というものを極力引き上げてまいらなきゃならぬかと思うのであります。
 日本の財政の状況が厳しいことは既に先生御承知のとおりでございますが、その厳しい中にありましても、いわば二十一世紀科学技術立国を目指す日本としては、何としても今申し上げた政府の投資というものを極力ふやしていくということ、私もこれから精いっぱいに頑張るつもりでございます。
#97
○林寛子君 今長官のお言葉にありましたように、そのとおり努力していただきたいと思いますし、私たちもそれに協力を惜しまないつもりでございます。
 続きまして、今長官からのお言葉の中にもございましたけれども、先ほど私も申しましたように、今までの日本の科学技術政策の中で導入技術の改良あるいは加工から脱却して、独創的な科学技術をみずから創出して、科学技術立国の道を歩んでいくことは必要、それはもう当然のことでございます。毎回これは言われることでございます。また、去る十一月に出されました科学技術会議第十一号答申におきましても、独創性豊かな科学技術の積極的創造を重要な柱の一つに挙げております。このような意味で、昭和五十六年度に創設されました創造科学技術推進制度、これは極めてユニークな、かつ重要な制度でございますので、この制度の研究の状況及び今後の取り組み方についてお答えいただきたいと思います。
#98
○政府委員(本郷英一君) ただいまお尋ねの創造科学技術推進制度の状況でございますが、現在七つのテーマを手がけております。御承知のとおり、五十六年にスタートしましたときに、超微粒子、それから特殊構造物質、ファインポリマー、完全結晶という四つのプロジェクトをスタートさせましたが、その後バイオホロニクス、生物情報伝達、特殊環境微生物というものを追加いたしまして現在七つやっております。予算全体といたしましては、五十九年度で二十三億ばかりの費用をもちましてこの七つをやってまいりました。三年間ばかりの間に特許の申請を行いましたものが百ばかり、それから海外を含めまして論文発表しましたものは二百五十前後に上るという著しい成果を上げております。六十年度につきましては、二つのテーマを追加することにいたしました。微小な世界を扱うものといたしましてナノ機構というものと、固体表面のいろいろな物理化学的性格を調べるという二つのテーマを追加しております。この制度が持っております自由な組織の壁を超えた流動研究システムというものが研究を進める上で非常に効果的であるというふうに考えられますので、今後とも有望なテーマを発掘しながら本制度を一層充実してまいりたいと考えております。
#99
○林寛子君 それと同じく昭和五十六年度に創設されました科学技術振興調整費も、これも独創的な科学技術の推進のために大いに活用していくべきだろうと思っておりますけれども、その調整費の今後の活用方針についてお答え願いたいと思います。
#100
○政府委員(内田勇夫君) 昭和六十年度は、先ほど大臣から御答弁申し上げました中にもございましたが、長期的展望に立つ科学技術振興の総合的基本方策である科学技術会議の十一号答申、これが昨年十一月に発表されましてから最初の年でございます。したがいまして、私ども六十年度の科学技術振興調整費の運用に当たりましては、この十一号答申を踏まえまして、まず第一にライフサイエンス、物質・材料系科学技術を重点として基礎的・先導的科学技術の研究開発の推進を図る、第二に、基礎研究における国の果たすべき役割の重要性にかんがみ国立試験研究機関における重点基礎研究の推進を図る等、科学技術会議の方針に沿ってその積極的な活用を図ることといたしております。
 本調整費の制度が発足いたしましてから五年目を迎えまして、科学技術会議の方針に沿って国全体として調和のとれた科学技術政策を展開する上で従来まで有効に活用されており、またその成果も着実に上がっております。一例を申し上げますと、昨年の八月までの研究論文の発表が約千六百件、特許申請が約百件というようなことでございます。私どもといたしましては今後ともその一層の充実を図っていきたいというふうに考えております。
#101
○林寛子君 これは後でまた国際協力の部門でちょっと申し上げたいんですけれども、時間がございませんので先へ進ましていただきたいと思います。
 いわゆる先端科学技術の問題に入りたいと思うんですけれども、その中の幾つかの分野がございます。核融合であり、宇宙開発であり、そしてライフサイエンスであり等々ございますけれども、先ほど同僚議員から原子力に関しての御質問がございましたので、時間の関係上その部分は省かしていただいて、他の分野について質問していきたいと思います。
 その重要点の幾つかの中に核融合があるわけでございますけれども、全体の世界的水準にはどうにか達したと言えるのが日本の現状であろうかと思うんですけれども、いわゆる炉の工学技術、いわゆる耐久性だとか、あるいは経済性であるとか、そういうもの、いわゆるエネルギー等の取り出しに関する技術、そういう面については総合的には欧米先進国よりおくれていると見ざるを得ない。大変残念なことだと思いますけれども、その辺のことについて、全体的な核融合の世界的水準について、現状というものを教えていただきたいと思います。
#102
○政府委員(中村守孝君) 核融合につきましては、おかげさまで日本原子力研究所で建設を進めておりましたトカマク方式の核融合臨界プラズマ試験装置でございますJT60が四月八日にプラズマ実験を開始し、しかもその最初のショットでプラズマ点火に首尾よく成功したということでございまして、これによりましてこのJT60という装置が確実に、着実に実験に使えるということを示したものでございます。これによりまして、今国際的に最先端を走っておりますのが、アメリカのTFTRそれからECのJET、ソ連のT15といったものがトカマク方式の試験装置としては最前線を行くものでございますが、日本もこれらの装置の仲間に入ったということでございます。ただ、日本のJT60では実際にこれは核融合を起こしませんで、いわゆる核融合を起こす条件を達成すると、こういうことにしてございます。そのことは、逆に言いますと、かえってそのことによっていろいろな実験もまた可能になるという利点も有しておるわけでございます。
 今後、このJT60につきましては、ことしの六月末までさらにプラズマ実験を続けますが、究極の臨界条件を充足するためには温度を上げていかなければならないということもございます。このための加熱装置の据えつけを行いまして、六十二年度には臨界プラズマ条件の達成を目指し、この点では世界の、先ほど申し上げました装置においてもいろいろやっておりますが、必ずしも順調に進んでいるということではない条件でもございますので、日本が先駆けてこの条件を達成するということも可能ではないか、こういうことで、研究者は非常な熱意を持って今取り組んでおるところでございます。
 先生御指摘のように、これから実際のエネルギーを取り出すということはまだかなり先のことでございまして、この炉の臨界条件を達成しますと、その次には、工学的なもので実験炉的なものをつくり、その後、本当にエネルギーを取り出すかどうかという原型炉、実証炉と、こういうようなステップを踏んでまいります。そういうことで、今後は工学的な面についての技術開発、特に材料面の技術開発、これが非常に重要な問題でございまして、国際的にもこの面での協力を進めていく必要があろうかと考えております。
 そのほか、トリチウムの技術、これは確かにアメリカ、ソ連等では豊富な経験もございますので、我が国ではトリチウムの取扱技術についておくれている面もございます、こういうことで、施設につきましては原子力研究所の中にトリチウムの研究設備を整備中でございまして、こういったものを使って、今後鋭意研究を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
 核融合につきましては、トカマク方式以外にいろんな方式がございます。ミラー方式とかステラレーター方式、さらにレーザーを使いました慣性核融合方式、こういったものがございまして、これらは現在大学を中心に研究を進めております。国際的に見ましてもトカマク方式がいわば一番有望なものとして最先端を走っておりますが、国際的にもステラレーターとかレーザーの研究というものは鋭意進められております。
 我が国でもこれはまだ基礎的研究段階でございまして、どれか一つの方式に絞るというような段階にはございませんで、こういった大学での研究がさらに進展をいたしまして、これらの方式によりましても臨界プラズマ条件が達成できる、実際にエネルギーを取り出す炉としての構想ができ得るような状況になりました段階においては、トカマク方式との比較検討を行いましてその先の道というものを検討していかなければならないと思います。
 核融合には、何分にも非常に多額の資金も要する、人材も要することでございますので、プロジェクトの選定については非常に慎重にならなければならないし、また国際協力をもって積極的に進めていかなければならない、こう考えておる次第でございます。
#103
○林寛子君 今中村局長からお話ございましたように、私は、先端科学技術の中で核融合の占める位置というのは大変重要であろうと思われますので、今お話ございましたように、JT60の今度のことで先行き明るい見通しが少し出てきたというまだ程度であろうと思います。そういう意味で、今後の一段の努力を要望しておきたいと思います。
 時間がございませんのではしょって申し上げます。
 次に大事な宇宙開発に関してでございます。
 先ほど、同僚議員からも少し質問が出ておりましたけれども、我が国の宇宙開発は、御存じのとおり、通信衛星、放送衛星あるいは気象衛星等に見られるように私ども国民生活に大きく貢献するようになってきております。人工衛星の打ち上げ数だけ見ますとソ連、米国に次いで世界第三位ということですけれども、両国との差は大きく、また、ロケットの人工衛星打ち上げ能力を見ますと、これはもうアメリカ、ソ連には遠く及ばないところであるというのが現状であろうと思います。また、諸外国の宇宙開発の動向を見ていましても、宇宙での新材料やあるいは新製品の創製など宇宙環境を利用した活動が活発になっていくというのがこれからの見通しであろうと思います。
 そういう意味で、先ほどは同僚議員の宇宙開発に対する見通しの御意見の開陳がございましたので、それを飛ばしまして、今アメリカで宇宙基地計画を積極的に進めているところです。我が国もこの国際協力の観点からもこれに積極的に参加すべきであるという考え方に立っているところでございますけれども、この計画に対する我が国の対応をまず伺いたいと思います。
#104
○政府委員(内田勇夫君) 宇宙基地計画につきましては、昨年一月レーガン米国大統領が発表した宇宙基地計画と申しますものは、人類に新しい活動の領域をもたらす非常に有益な計画であるというふうに認識しております。
 我が国といたしましては、宇宙開発技術水準の向上及び宇宙利用の可能性の拡大のため意義深いものと考え、この観点から本計画に参加することといたしまして、昭和六十年度予算でその所要の経費を計上したところでございます。また、ただいま先生からのお話にもございましたように、これに参加することは、宇宙開発の国際協力を通じ
まして先進諸国との友好関係の増大に貢献するものであるというふうに考えております。
 我が国の宇宙基地計画への参加に関する基本構想は、宇宙開発委員会の検討、審議を踏まえまして日本の実験モジュールをもって参加するということを基本としております。一方、米国との予備設計段階における協力に関する取り決めにつきましては、今般米側と合意に達しまして、来月九日科学技術庁長官とベッグスNASA長官との間で東京において署名をするという運びになっております。
 今後は、科学技術庁及び宇宙開発事業団を中心に関係省庁等の協力を得て、昭和六十年度及び六十一年度の二年間にわたりまして日本モジュールの予備設計段階の作業を鋭意進めることといたしております。
#105
○林寛子君 宇宙基地構想・モジュール参加ということに加えて、現在言われておりますいわゆるスペースシャトルを用いた第一次材料実験計画についても積極的にこれも推進すべきであろうと私は思います。
 それについて、簡単に進捗状況を教えていただきたいと思います。
#106
○政府委員(内田勇夫君) スペースシャトルを用いた第一次材料実験計画、我々FMPTと呼んでおりますが、これは、スペースシャトルに我が国の科学技術者が搭乗し、宇宙空間を利用した材料実験等を行うことを目的といたしまして、昭和六十三年の初頭に実施することを目標に実験システムの開発を実施しております。
 スペースシャトルを使用することにつきましては米側と契約を結ぶことが必要でございますが、そのための日米両国政府間の書簡交換が本年三月に行われたところでございまして、これに基づきまして宇宙事業団と米国NASAとの間の契約も既に締結をいたしております。
 このスペースシャトルを用いた実験テーマにつきましては、宇宙開発委員会におきまして関係各界から広く公募したテーマの選定作業を進めまして、昨年八月に材料実験二十二テーマ、ライフサイエンス十二テーマ、合わせて三十四テーマを選定し、現在これらのテーマを実施するための必要な準備を進めております。また、スペースシャトルに搭乗する科学技術者につきましては宇宙事業団において選抜作業が進められておるところでございまして、本年の四月に第三次選抜を終了しまして、女性一名を含む七名が現在候補者として残っておりまして、さらに、本年九月ごろまでに米国NASAにおける医学的な検査を行いまして三名程度に絞りまして、決定をするという予定にいたしております。
 今後も、スペースシャトルに搭載する実験装置と実験システムの開発に一層努力をいたすこととしておりまして、本計画が我が国の有人宇宙活動による宇宙空間利用の第一歩であり、そして将来は宇宙基地計画につながるということでございまして、なお一層の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
#107
○林寛子君 今局長からお話ございましたように、現段階では女性一名を含めて七名いるという日本で初めてのスペースシャトル搭乗予定者があるそうでございます。ぜひ最終段階まで女性が一人残ってくれればという要望も持っておりますので、頑張っていただきたいと思います。
 世界におきます最近の十年間のライフサイエンスにおける進歩は驚くほど急速でございます。二十一世紀に向けて期待し得る技術革新は、マイクロエレクトロニクス等と並んでライフサイエンスの分野から生まれるあるいは育つ、そしてそれが社会あるいは経済に重要なインパクトを与えることになると思われますけれども、この分野ではアメリカはかなり先進しております。我が国と欧州がこれを追う形になっておりますけれども、我が国が世界最高水準の微生物利用技術を有しておりますし、今後この分野の研究開発における重要な基盤になると見られております。いわゆる資源・エネルギーに恵まれない科学技術立国を目指す我が国にとって、ライフサイエンスの進捗は不可欠であると思われますけれども、このライフサイエンスの基本的な取り組み方についてお答え願いたいと思います。
#108
○政府委員(堀内昭雄君) ただいま御指摘のとおり、ライフサイエンスは、生物学でありますとか、医学、農学、さらには化学、物理学、工学、非常に広い分野にかかわる知見を引用いたしまして生命現象を解明するとともに、それによりまして得られる成果というものは、保健医療でありますとか、食糧、資源・エネルギーと実に広い分野における人類福祉のための応用が可能なものでございます。
 我が国のライフサイエンスにつきましては科学技術会議が従来から非常に熱を入れてこの推進に努めてまいっております。早くも五十四年におきまして組みかえDNA実験指針、これはこの実験にかかわる安全性の問題を一つのガイドラインとして与えたものでございますけれども、こういった指針を決めておりまして、以後今日に至るまで五回の改定をやっております。それぞれの段階における技術の進歩といいますか、知見の広がりというものを織り込みましてこの実験指針の改定をしてきたわけでございます。
 それから、昭和五十五年におきましてはライフサイエンスの推進に関する意見というものを取りまとめ、さらには五十八年七月には特にその中でもがん研究推進の基本方策に関する意見というものをまとめております。昨年に至りましては、ライフサイエンスにおける先導的・基盤的技術の研究開発基本計画というものを定めております。
 これが最近における最も全体的なこの分野における基本計画でございます。十一号答申におきましてもこの問題を重視しておりまして、十一号答申に掲げます百一の研究目標のうちの三十九課題というものがこのライフサイエンス関係でございまして、中でも脳機能の解明でありますとか、あるいは人体の免疫のメカニズム、こういった非常に斬新なテーマもここに掲げておるところでございます。
 当庁といたしましては、今後とも関係省庁と協力いたしまして、先ほど申しました種々の提言でありますとか、あるいは基本計画に基づきまして、重要な研究目標の達成に向かいまして基礎研究の充実、産学官の有機的連携の強化、優秀な若手研究者等の人材の養成あるいは確保、遺伝子資源の確保、供給、こういった種々の問題の解決に努めてまいりたい、こう考えております。
#109
○林寛子君 今お話の中にありましたけれども、やはりライフサイエンスの推進に当たってその素材となります遺伝子資源の円滑な供給、それが絶対条件であろうと思われます。今お言葉の中に確保という言葉がございましたけれども、遺伝子資源の確保についての基本的な取り組み方はどのように対応しようとなさるのか、それについてお伺いしたいと思います。
#110
○政府委員(堀内昭雄君) 遺伝子資源につきましては、特に最近諸外国におきましてその確保方策を非常に強化している段階でございます。そういうこともありまして、資源ナショナリズムというものも強まっております。さらには、熱帯林、これは資源の非常に豊かな地域でございますが、アマゾンですとかアフリカの熱帯林というものの破壊ですとか、砂漠化が進んでおるということで、遺伝子資源の滅失という危機も叫ばれております。こういうことで、こういった遺伝子資源を早いうちに確保する必要があるんじゃないかということで強い世論となっておるところでございます。
 このようなことから、一昨年の四月でございますが、科学技術庁長官がその諮問機関である資源調査会に対しまして、遺伝子資源としての生物の確保方策というものを諮問いたしまして、昨年六月にこの答申が得られております。この答申におきましては、保健医療、農林水産業、鉱工業といったような分野別の保存センターの整備充実、それから野生生物を対象とした、あるいは細胞、DNAレベルでの保存センターの整備、さらには遺伝子資源の情報流通体制の整備、こういったものを
早急に進めるべきであるということを訴えております。そのために、各省庁間、産学官の連携、人材の養成、確保、資金の充実、国際協力、さらには国民の理解と協力が必要であるということを指摘しております。
 当庁におきましては、関係省庁に対しまして答申の方向に沿った施策の推進につきまして協力を求めておりますし、また当庁自身といたしましても、理化学研究所におきまして細胞材料及び遺伝子材料を収集、保存、提供するジーンバンク事業、そのための細胞、遺伝子保存施設の建設、あるいは野生植物の確保につきまして具体的な方策をいかにすべきかというような検討などを進めておるところでございます。
 今後とも関係省庁と密接に連携いたしまして、この関係の施策を合理的に進めたい、こう考えております。
#111
○林寛子君 今、六月の答申に基づいて理化学研究所において細胞材料あるいは遺伝子材料を収集あるいは保存、提供するためのジーンバンク棟の建設というお言葉が出てまいりましたけれども、この事業の意義とあるいは細かい計画についてございましたらお答えいただきたいと思います。
#112
○政府委員(本郷英一君) 理化学研究所の行いますジーンバンク事業の必要性につきましては、ただいま計画局長の方から御説明いたしましたように、ライフサイエンスの世界でこの研究材料が、しかも非常に品質のすぐれた研究材料が迅速に研究者の手に入るということが何よりも必要なわけですけれども、諸外国ではその体制が整備されてきておるのに比べまして、我が国においては立ちおくれていることが否めないということで、理研でこのジーンバンク事業を早急に始めようということを考えているわけでございます。
 六十年度の予算におきまして、そのジーンバンク事業を行うための施設を建設する計画が中に計上されております。六十年から六十二年までの三年間で六億一千百万円を投じまして、筑波のライフサイエンス研究センターの中に細胞及び遺伝子保存施設というものを建設しようということでございます。六十年度の予算といたしましては、その六億一千百万円のうち一億八千七百万円を計上してございます。これによりまして六十三年度から試験的な提供を開始してまいりたいというふうに考えております。
 その事業の内容でございますが、四つばかりに分かれます。第一は、細胞材料及び遺伝子材料といった生物材料の収集、保存、提供を行うというのが第一でございます。第二番目に、これに関連いたしました研究及び開発事業を行うこと。三番目は、これら材料に関する情報分野の収集、整理、提供という情報事業でございます。四番目は、これらに関連いたしました技術の普及を図るための研修事業でございます。これら四つをあわせてこの筑波のライフサイエンス研究センターの中で行いたいというふうに考えております。
#113
○林寛子君 私、今お話を伺っておりまして、これは大変重要なことでございますし、今後の二十一世紀に向けてのライフサイエンスの研究というものに、この収集、保存、そういうものをいかに大事にするか、また今お答えにありましたように、いわゆる提供するという言葉がございましたけれども、国際的にもいわゆる情報収集と提供という、この関連性大変大事なことでございますので、ぜひ私は頑張っていただきたいということを申し添えておきたいと思います。
 それから次に、大臣の所信表明の中に幾つかの言葉がございます。一つは、「世界のリーダーとして、国際社会発展のために積極的な貢献を行っていかなくてはなりません。」というくだり、あるいはまた「科学技術国際協力を通じた国際社会への積極的貢献であります。」云々等々に示されておりますように、科学技術の国際協力ということが大変大事なことであろうと思われます。今までたくさんのものを外国から供与され、そして逆に今度は、大臣の所信にございましたように、「世界のリーダーとして、国際社会発展のために」いかに貢献し得るかという、また「積極的」にという言葉があるわけですけれども、いわゆる国際協力の理念と現状及びその展開について伺いたいと思います。
#114
○政府委員(本郷英一君) 科学技術分野におきます国際協力につきましては、十一号答申においても三本柱の一つとして、今後の科学技術の振興は国際的な視点を踏まえた展開が必要であるというふうに述べられておりますが、まさに先生お話のように我が国の経済的なあるいは国際的な地位の向上に伴って、日本としてこの科学技術の分野で国際的な役割を果たすあるいは国際的な科学技術の発展に貢献していくということが必要な状態になっておると思います。
 現在の状況を私どもが見ておりますと、特に大きな貢献を要する観点としては二つばかりあるんではないかと思います。
 一つは、石油危機以降世界経済が大変停滞しておりますが、その世界経済の再活性化のためにこの科学技術の果たす役割が非常に大きいという認識が国際的に広がっているということ。
 第二番目は、そういった中で環境問題とかあるいは砂漠化の問題とか地球的な規模で取り組む課題というものが大変大きくなっておりまして、一国のレベルではなかなか対応できないという国際的な要請もございます。そうした中で国際的な地位の向上した日本がそれら問題に取り組んでいく必要があるというふうに考えておる次第でございます。
 実際そういった動きとしましては、五十七年のベルサイユにおいて開かれましたサミット以来、国際的な場で協調して、協力して科学技術の振興をやっていこうという話がたくさん出ているわけでございます。我が国といたしましてもそういった多国間の場あるいはバイラテラルの場を通じまして、科学技術分野の国際協力に積極的に取り組んでいこうということで活動を行っているわけでございます。
 欧米先進国との間では科学技術協力協定が結ばれているケースが多うございまして、先ほどの核融合初めあるいは非常に広い分野で人材交流あるいは共同研究というものが積極的に推進されております。
 他方、発展途上国との間では必ずしもまだ十分に共同研究等の何といいましょうか、平等な立場での共同研究というような形というのはまだまだこれから広げていかなければならないというような状況にございますが、中国、インドネシア、ブラジル等々との間では科学技術協力協定も既に締結されております。それから現にそういった協力協定を結ぼうということで話し合っているところもございます。そういった発展途上国との間では従来の技術の援助というようなものとは違った意味でのそういった対等の立場での研究協力というものが今後だんだん多く要請されるようになってくるというふうに考えられますので、私どもとしても十分発展途上国とのそういった要請にこたえられるよう予算、制度、そういったものをつくって対応していきたいというふうに考えております。
#115
○林寛子君 今お答えの中にございましたように、いわゆる国際協力というものに対しての重要性、また今まで日本の過去を振り返ってみましても、導入技術、そういうものを欧米からしてきた歴史を見ましても、今後日本が発展途上国を含めた国に対しての協力、そういうものを私は特に努力していただきたいと要望しておきたいと思います。
 そうして先ほどいわゆる創造科学技術推進制度の報告をいただきました。また、科学技術振興調整費の報告をいただきました。そのときにいわゆる外交文献ですね、そういうものが私今聞き間違いでなければ創造科学技術推進制度の中では二百五十云々という数字があったような気がします。また、科学技術振興調整費の中でもそういう論文が千六百あったという報告を今いただきましたけれども、それらのものを英文にして外国に出し、また、外国の科学技術者等々とのいわゆる交換とまでもいかないまでも、それはなぜかといいます
と外国の皆さん方とお会いしたときに必ず話題に出るのが日本の文献及び論文が我々の手元に来ることがほとんどないというぐらいな声を聞くのが多うございます。そういう意味において先ほど御報告になりました創造科学技術推進制度の中での海外文献、そういうものあるいは先ほど科学技術振興調整費の中で言われた論文の千六百の中でどれほど海外に英文にして出したことがあるか、ちょっとわかればそれをお答えいただきたいと思います。
#116
○政府委員(本郷英一君) お尋ねの科学技術情報について海外にどのように出しているか、実は手元にそのような数字を今持っておりませんので、数字でお答えすることができませんが、確かにおっしゃるとおり、従来は日本は海外の情報は取り入れるけれども、なかなか海外には提供していないというのがまさに事実でございます。私どもそういったことが先ほどの国際協力において今後国際的な科学技術の振興に貢献していくというその方針から見てまことに乏しい実績であるということで、今度六十年度から科学技術情報センターにおきまして従来つくっております科学技術情報の提供事業のデータベースを英文化して海外でぜひ使えるようにしたいという予算を計上しております。まだ第一歩でございますので、その内容はこれから十年がかりぐらいでやっていかなければなりませんので、まず第一歩の予算を計上したというところでございます。
 それから日本文で提供するというので、海外でも多少需要がございますので、現在、韓国それから西ドイツにおきまして、日本のJICST、科学技術情報センターで行っておりますコンピューターによるオンラインサービスの端末器をその両国に出しております。そこで、日本文であれば、そのまま日本のコンピューターから利用できるという体制をつくっております。
#117
○政府委員(内田勇夫君) ただいまお尋ねの点でございますが、科学技術振興調整費のうちで発表されました論文のうち何割が英文になっているかということにつきましては、ただいま数量的なものを持っておりません。ただ、非常に定性的でございますが、科学技術振興費によります研究というのは基礎的な分野が多うございますので、そういったものにつきましては、研究者が自分で英文にして海外等に発表しておるということがかなり多いということは事実でございます。
 また、先生御指摘の翻訳の問題というのは非常に重要な問題でございまして、科学技術振興調整費の中でも、文献の速報システムに関する研究というテーマを取り上げておりまして、これは学術文献の自動翻訳機でございまして、そういった面での努力もいたしておるところでございます。
#118
○林寛子君 今、お話伺いましたように、本当にこれは、多くの世界の科学技術あるいは世界的レベルの科学技術の研究者、あるいは国会議員のレベルにおきましても、絶えずこの話題が出るわけでございますので、どうかそういう意味で、科学技術情報センターも含めまして、日本の文献、あるいは今、局長が話しましたように、日本語のままでもいいという国もあるわけでございますので、大いにそういう意味で、国際協力の実を上げていただきたいことを要望しておきたいと思います。
 次に、昨年十一月、科学技術会議が行いました答申の中で述べられていることでございますけれども、科学技術は、本来、社会と人間の幸せのためにあるべきとの原点に絶えず立ち戻り、人間及び社会と調和のとれた科学技術の発展を目指していくことが肝要でありますと、昨年の答申に述べられているわけでございます。
 科学技術振興当たって、私は、留意しなければいけないこと、これはやっぱり科学技術と人間という大きな問題があろうと思います。もう時間がございませんので、これを申し上げていると日が暮れてしまいますので遠慮したいと思いますけれども、少なくとも今まで皆さん方にお答えいただいたように、先端分野を中心とする科学技術の急速な進歩が、産業構造のみならず、個人生活あるいは社会生活をも変化させ、ついには人間に弊害を与えることになりかねないというようなこともあるわけでございます。今後、科学技術の振興を図る上で、このようなマイナス面にいかに配慮していくのか、また、そのことについてどう考えているのか伺いたいと思います。
#119
○政府委員(堀内昭雄君) まさに、御指摘のとおり、科学技術は社会経済の発展に大きな貢献をしてきたんでありますけれども、その反面におきまして、社会生活にとりまして非常に大きな問題も生じてきたという面もございました。先ほど御指摘のとおりでございますが、情報処理技術でありますとか、あるいはライフサイエンス、こういったものの目覚ましい発展の裏に、個人の生活あるいは社会の生活、人間の生き方、考え方といったようなものに大きな影響を与えるというようなファクターも出てまいっております。
 この答申でも指摘しているところでございますけれども、こういった科学技術は、本来人間のためにあるべきであるという原点に立ち返りまして、研究の現場、それから技術を実際に応用する場、あるいは政策の立案、推進の場、いろんなところでこの問題は討議さるべきだ、こう考えております。
 科学技術会議自体におきましても、答申を出しまして、答申の中にも書いてございますが、みずから科学技術会議としまして、科学技術と人間及び社会の調和という問題を取り上げて検討していこうと言っているところでありまして、もう既にこの検討を開始しているところでございます。
 ただ、この問題自身非常に奥深く、また人間の多様な価値観を反映するものでございますので、議論自体が非常に難しいというファクターがございます。これは時間をかけまして、各方面の意見を聞きながら慎重に今検討すべきものと、こう考えております。
#120
○林寛子君 今、お話伺いましたけれども、余りにも先を急ぐために、本来の科学技術と人間という基本的な問題、今申しましたように科学技術の急速な進歩が、あるいは産業面あるいは社会面においてそういう変化をもたらして人間尊重ということが片方に追いやられないように配慮しながら、より一層の推進をしていただきたいことを要望申し上げたいと思います。
 それから、最後になりましたが、先月の十七日から筑波の研究学園都市におきまして行われております博覧会の状況でございますけれども、入場者人員も予想どおりのようでございます。ただ、いろんな小さなトラブルは個々にマスコミによって発表されておりますので、問題は多々あろうかと思いますけれども、総体的にはやはり「人間・居住・環境と科学技術」をテーマにしましたものが世界じゅうからのお客様に大変今は好評で、これから多くの国際的なお客様を受け入れる時期に入るであろうと思います。
 そういう意味で、さらに私どもは、二十一世紀を創造する科学技術のビジョンを明らかにしよう、そういう本来の目的が達成されるように、今日まで一カ月たちました現状において、科学万博の成功へ向けての、大臣がお戻りになりましたので、今後、万博の成功に向けて、一カ月を顧みて、反省する点なり、なお多くの国際的にこの博覧会の意義を高めるために、どの部分をなお一層努力していくのか、最後に一言お答えをいただいて終わりたいと思います。
#121
○国務大臣(竹内黎一君) 筑波の科学万博は、開会以来必ずしも天候に恵まれたとは申しかねる状況でございますけれども、今日まで約三百十万人の方にお越しをいただいておるわけでございまして、滑り出しは順調と一応判断をしております。
 このままで推移しますと、当初の目標である二千万人を達成し得るものと推定しておりますが、確かに先生御指摘のように、いろんな小さなトラブルや批判、苦情が私のところにも実はさまざまに届いております。
 例えば、飲食の料金が高いとか、あるいは人気パビリオンの待ち時間が長い等々、さまざまな批判なり、また御注文を承っておりますけれども、
私、近く現地へ参りまして、関係の皆さんを集めて、今日いろいろ各方面から御指摘をいただいておる問題点を検討し、また、それに対応してどう改善を図るかと、そういう会議もやりまして、一層サービスの向上に努めたいなと思っております。
 特にこれから夏場に向かいまして暑くなりますと、待ち時間の長いというのは大変これはお客様に苦痛にもなるのじゃなかろうかということで、一、二のパビリオンで実行しております予約券とか入場整理券の発行、こういう方式だとか、もう少し場内のあちらこちらに屋根のあるところを設けるとか、それからせっかく御家族そろっておいでで、弁当を広げるのに適当な場所がない、こういうお話もございまして、その辺のことも、また各方面の御意見を受けながら改善を図ってまいりたいと思っております。
#122
○林寛子君 担当大臣として大変重要な時期の大臣になられたわけでございます。ある言い方をすれば花形でもございます。ぜひ成功させていただきたいと思いますし、せっかく予算をとって幕を開きました科学万博でございますので、ぜひ今おっしゃったようなことを早急に手だてを打っていただいて、ぜひ成功していただきたいし、なおかつ一言。つけ加えさせていただければ、九月に終了しました後も、科学万博というものの意義とあるいは理念というものを、私たちの子供あるいは孫にまで伝え得るような有効な活用になおかつ努力していただきたいことを要望申し上げて、質問を終わりたいと思います。
#123
○国務大臣(竹内黎一君) 九月半ばで万博は幕を引きますが、その後の云々という先生のお話、実は私ども学園研究都市の中に設けております第二会場の筑波エキスポセンターに、そういった意義を伝えたり、あるいは貴重な展示をそちらに移したらと、いろいろなことを私どもの方で検討を始めております。
#124
○伏見康治君 私は、科学技術会議が昨年の暮れにお出しになりました「諮問第十一号「新たな清勢変化に対応し、長期的展望に立った科学技術振興の総合的基本方策について」に対する答申」というのが出ましたのですが、それについていろいろ御質問申し上げたいと思うんです。
 ですが、それの本論に入る前に、実は委員長の御意見も伺いたいんですが、この科学技術特別委員会というものは、この委員会の常識によると、大体お役所と対応しているもので、科学技術庁というお役所に対応しているものだというふうに教えられたんですが、例えばこの科学技術会議の報告ということになりますと、本来議長さんは中曽根総理ですから、本当は中曽根さんにおいでを願うということになりかねないんですが、この科学技術会議の問題をこの席でやってよろしいんでしょうな。そういうふうに理解してよろしいんですね。
#125
○委員長(馬場富君) 科学技術庁への質問でございますか。
#126
○伏見康治君 いや。科学技術会議は、科学技術庁、お役所とは意味が違うと思うわけです。
#127
○委員長(馬場富君) どうぞ。
#128
○伏見康治君 それでは委員長のお許しを得まして、この報告書を拝見いたしまして大変立派にできていると思うんでございますが、その中に三本の柱が、少なくとも序文とかあるいは第一章のような、第一部かな、第一部のようなところで三本の柱が書いてあるんでございますが、それは簡単に言ってしまえば、要するに科学技術と人間との調和という問題が一つの柱になる。それから二番目は創造性豊かな科学技術の進展、創造性の問題、三番目が国際社会の発展に寄与するという、つまり国際関係の問題。つまり、人間との調和と、創造性の問題と、それから国際関係の重視という三つの柱が立っていると思うんでございます。
   〔委員長退席、理事塩出啓典君着席〕
非常に珍しい一致だとは思うんでございますが、私が何年か前に日本学術会議の会長をしておりました七八年かな、に第十一期の学術会議の冒頭で会長に初めて推薦されました、選挙されまして、そのときに一種の施政方針をやりましたんですが、その施政方針をやりましたときの三本柱というのが、この人間との調和、創造性、国際関係というちょうど三つの柱になっておりましたので、ことによると、私の言ったことを科学技術会議が御採用願えたのかと思って快哉を叫んでいるところなんですが、あるいは偶然の一致であるかもしれません。その学術会議の方は、第十一期の終わりに作業をいたしまして一つの報告書を出しておるんでございます。それは多分一九八一年ごろには出ているはずだと思うんでございますが、それはそれでまた何かの折に長官がお読みくださることを期待しておきます。
 そこで、先ほど科学技術会議についてちょっとその性格を問題にいたしましたのですが、科学技術庁というお役所が一方では科学技術会議といったようなもののお世話をしている。科学技術会議というのは国全体に関することだと思って、各省庁全部にわたることをやっておられるわけです。一方において、原子力とか宇宙とかいう科学技術庁だけの現業的なこともやっておられる。その両方に矛盾がないのかどうかという点を伺いたいわけです。つまり予算獲得戦争というふうなことになりますというと、例えば原子力は金を取り過ぎるといったようなことで、ほかの省庁からいじめられるということがあり得るわけですね。そのために、科学技術会議を中心とする全政府を総合的に判断するという方が傷つけられるといったようなことがないかどうか、それについてのお考えをちょっと伺いたいんです。
#129
○政府委員(宇賀道郎君) ただいま御指摘のありました点でございますが、御案内のように、科学技術庁は我が国における科学技術を総合的に推進するという立場ではございますが、先生御承知のように、人文科学に関する部門と大学に関する部門と、これは科学技術庁の所掌範囲から抜けているわけでございます。したがいまして、これらを含めて全体的に推進するという観点から内閣総理大臣を長とする科学技術会議が設けられまして、こちらは大学、学術も含めてやるということで、その事務を当庁の計画局、それから大学、学術に関する部分は文部省で、共同して分担をするということで、大学を含めた全体は科学技術会議において計画をつけていただいているわけでございます。当庁の中におきまして、宇宙と原子力というお話がございまして、原子力委員会あるいは宇宙開発委員会というものもございますが、これらはすべていずれも大学を除いた大学以外の分野でございますから当庁の中に含まれているわけでございまして、大臣は当然原子力委員長、宇宙開発委員長を兼任されておるわけでございますから、そういった総合的な中に当庁の宇宙も原子力もある、調整が行われているというふうに考えておる次第でございます。
#130
○伏見康治君 事実は今おっしゃったとおりだと思うんですが、その事実の中で何か矛盾をお感じになるようなことはなかろうかという質問なんでございます。つまり政府全体の科学技術という面を見通すということになりますと、ある意味での公平性というものを持たないといけないわけですね。ところが、自分自身が原子力といったようなものを抱えてしまいますと、我が子がかわいいという観点も出てこないとは言えないわけで、それを他の省庁がそねむというようなことで話が難しくなることはないのかということを聞いているわけです。
#131
○政府委員(宇賀道郎君) 御指摘のように、事実ということになりますと、当庁の予算の中でも原子力と宇宙の分野が大変大きなウエートを持っているということでございまして、先般この委員会でも御指摘がありましたが、両方足しますと全体の八割ぐらいになるというようなことも御指摘があったところでございます。しかしながら、その他の以外の分野につきましても、当庁ももとは小さいわけでございますけれども、予算の伸びということでございますと、それなりの伸びの努力というものもやっておるわけでございますし、他省との関係でもいろいろ各省にも御努力いただきま
して、全体としての調和がとれた予算の獲得という点に努めているわけでございまして、いろいろ御指摘がございましたが、宇宙、原子力以外の分野についても今後ともできるだけ意を用いていきたいと考えているところでございます。
#132
○伏見康治君 必ずしも期待したお答えを得ているとは思えませんが、科学技術庁が我が子かわいいという、つまり原子力、宇宙ばかりかわいがって、国全体の科学技術行政の筋を通すということをお忘れにならないようにお願いしておきたいと思います。
 それで、先ほど申しました十一号に対する答申でございますが、この答申を拝見いたしますと、なかなかよくできていると思うんでございますが、この答申の大体の筋といいますか、重点といったようなものをちょっと説明していただければありがたいと思います。
#133
○政府委員(堀内昭雄君) 先ほど先生の方から三本柱というのを御説明ございました。その三本柱が全体を締めくくるフィロソフィーというようなものであろうかと思いますが、それをピークにいたしまして、科学技術振興に係る諸施策の推進という、これはいわば横断的といいますか、そういった施策についていろいろ論じております。科学技術政策の総合的、機動的展開からどうあるべきか、あるいは研究開発資金はどうあるべきか、人材、研究開発の推進体制等々各施策についての今後進むべきポイントを述べておるというものでございます。
 それからさらに、大きく今後十カ年間に及ぶ研究の目標、これを掲げるというのが一つの目的になっております。百一テーマにつきまして、それぞれどういう趣旨でどういう研究を進めるべきかということを書いておりまして、大きく分けましてその百一の目標を三つに分類しております。
 一つが新たな発展が期待される基礎的・先導的科学技術の推進の分野、それからもう一つが経済の活性化のための科学技術の推進の分野、さらに社会及び生活の質の向上のための科学技術の推進の分野、こういうことでございまして、さらに細かくいろいろ述べておるということでございます。
 全体としまして今後十カ年間のいろいろな施策のあり方、それから研究目標の課題といいますか、そういうものを掲げたものでございます。
#134
○伏見康治君 すべての政府の計画というものがそういうものであろうと思います。実際このとおりになるとは限らないわけで、一つの修身の教科書のような感じのものだとは思うんでございますが、この中にいろんないいことがたくさん書いてあるんですが、そのいいことがどの辺まで現実化するかという覚悟のほどですね、それをちょっと伺いたいんです。作文は作文でいいことを書いておいて実際は何もしないというのは甚だ困るわけですから、どの辺まで本腰を入れていただけるのか。
#135
○国務大臣(竹内黎一君) ただいま伏見先生から作文で終わらせるなというこういう御注意をいただいたわけでございまして、私どもとしても決してこれが単なる作文に終わらないように十分に意を用いてまいらなければならぬと思っております。
 具体的にはどうするかというと、各年度の予算の中にそれぞれそれを消化していくと、こういうのが実際的な方法だろうかと思っておりますが、先ほど林先生からも御指摘いただきましたように、私はこれからの予算獲得の一つの大きなポイントとしては、政府開発投資というものを極力大きくしていくということを何としても考えなければならぬだろうと、こう思っております。それから、いわゆる産学官の連携を進めなければなりませんので、そういう環境整備に役立つ予算というものもこれから重視しなきゃならぬでしょうし、最後に、先生からもお触れになりましたが、原子力や宇宙に偏ることなく、これからの海洋であるとか、ライフサイエンスであるとか、地震予知であるとか、こういった残りの分野のまた予算充実にも十分意を用いていかなければならぬだろうと思っております。
#136
○伏見康治君 できるだけ作文に終わらせないように御努力をお願いいたしたいと思いますが、この答申の中で拝見いたしまして、特に私が従来にないいい点だと思うことは、研究評価の制度というものを非常に重視しておられて、それに関連して幾つかの場所でそれに言及しておられる、研究評価というものを相当真剣にお考えになっているということが表明されていると思うんでございます。この研究評価の問題は、従来日本では必ずしもよく行われていなかった面でございまして、一つの欠陥であったかとも思います。ですから、そこへ重点を置いていただいて、何か新しいものをそこへ盛り込んでいただくということができれば大変いいことではないかと思うんでございますが、先ほどの質問を繰り返すことになりますが、この研究評価制度についていろいろ書いてあることの実現性の問題についてお伺いしたいわけでございます。
 何かことしになってからそういう担当官みたいなものができたんですか、何かそんなようなことを伺いましたんですが、どういうふうにこれから研究評価制度をつくり上げていくか、そのプログラムみたいなものを教えていただきたい。
#137
○政府委員(宇賀道郎君) 研究評価の問題は、御指摘のとおり大変重要でかつ難しい問題でございます。わけてもこれから厳しい財政事情の中で非常に乏しいいろんな資源を重点的に配分し、効率的に研究を進めるという意味におきまして大変重要な問題であるというふうに考えております。
 当庁におきましても、従来からいろいろな研究評価をやっておりましたし、また内部でもそのあり方について勉強しておったわけでございますが、昨年十一月この十一号答申をいただきまして以来、まず第一にそのフォローアップといたしまして科学技術会議の政策委員会においてこの点について御討議いただくということになり、新年早々からその中におきまして内外の研究開発機関における研究評価の実態等の調査分析というようなことも踏まえまして、いろいろな研究の性格あるいは研究の段階、テーマ、その実態に応じた研究評価のあり方について御検討を開始していただいたところでございます。
 これは全体の問題でございますが、もう一つ当庁自身の問題ということになりますと、今先生御指摘がございましたように、従来から当庁の中でもいろんな部門でいろんな観点から研究評価自体が行われておったわけでございますが、新たに予算の成立いたしました新年度、六十年度から長官官房の中に研究評価企画官というポストを新設をしたわけでございます。この研究評価企画官は今申し上げましたように、いろいろ従来から行われておりました庁内での研究開発、研究評価、これを今後はこの官房の研究評価企画官を中心といたしましていろいろな研究評価に関する調査、企画あるいは立案あるいは事務の連絡調整、こういうようなことをやりながら庁内における研究評価の体制の充実に努めていきたいということで新年度にこういうポストを新設した、これを中心に取り組んでまいりたい、かように考えている次第でございます。
#138
○伏見康治君 その研究評価をそういうふうにとにかく具体的な拠点を設けられてそこから仕事をお始めになるということでありますので今後大いに期待したいと思うんですが、今後に対して二、三の私の考えを申し上げて、それに対する御感想を伺いたいと思うんです。
 いわゆる基礎研究、自由なる研究というものと、それから計画的な研究というものとの間でその評価の考え方が非常に違うということは当然のことだと思うんです。それで、そのことは答申の中に書いてあると思うんでございますが、その計画研究の中でもいわゆるビッグサイエンスですね、私はそれを巨費科学と言うわけですが、巨費科学というものと零細科学というものとの差というものを考えなくちゃいけないと思うんです。特に先ほど林さんの方で議論の対象になりましたJT60といったようなのは一つの巨費科学だと思う
んですが、そういうものの評定といったようなこと、それからこれはつい最近極めて不愉快なというか、これも林さんに大いに関係があるけれども、「むつ」といったようなビッグプロジェクト、そういうものが途中で大分だらしがなくなったのも必ずしもその符節符節でちゃんと評価してこなかったのではないかといううらみが残っているわけですが、
   〔理事塩出啓典君退席、委員長着席〕
何といっても金額の小さな研究というものはそれなりに始末しやすいんですが、大きなプロジェクトというものは一たび動き出しますというと一種の惰性というものができまして、なかなかかじを取るのが非常に難しくなる、そういう意味でビッグプロジェクトに対しては特に初めから厳格な評価システムというのを備えつけておいて、いわば船にあらかじめかじをつけておくようにかじをつけておいて、絶えずそれをコントロールするというような考え方でないとうまくいかないと思うんですね。第三者である林先生が眺めていて、どうも「むつ」はおもしろくないと言い出してから改めて評定するのでは遅過ぎると思うんですね。もっとプロジェクトの中にはめ込められた評価システムというものが当然あって、そこまで話がずれてしまわない間に何とかもとによりを戻すような、そういう仕組みをお考えになるべきだと思うんですが、その点についての考察を伺いたい。
#139
○政府委員(堀内昭雄君) ただいま零細科学とそれからビッグサイエンスですか、その関係の評価のあり方は違うだろうという御指摘、これはここに書いてあるとおりで違うということでありますし、また零細でもないある程度進んだ、ビッグではないけれども零細でもないという中間段階の研究開発もいろいろあろうかと思います。こういうもの全体につきましてどういった評価のあり方がいいのかということにつきまして、先ほど官房長から説明がありましたように、科学技術会議の政策委員会というところに研究評価のための小委員会というのがございますので、そちらの方で今後そういう問題を取り上げて検討していきたい、こう考えております。
 先ほどお話しのように、原子力に関しての質疑でいろいろ御批判があったことは事実でございますが、原子力に関しましても、宇宙に関しましても、その他例えば振興調整費でやっておりますいろんなこれは小規模の研究でございますが、こういった研究に関しましてもそれぞれ従来とも、ある程度の評価システムは持っておりますが、そういったものでよいのかどうかということも含めまして今後検討していきたい、こう考えております。
#140
○伏見康治君 評価にもいろんな段階の評価があるんでございますが、事後評価ももちろん非常に大事なんですが、やっぱり済んでしまったことは批判をしてみても結局余りプラスにならないという面があるんですが、大きなプロジェクトに対しましては事前評価というものがやっぱり非常に物を言うはずだと思うんですね。事前に一体この計画はいかなることをやろうとしているのかという意味合いをはっきりさせておいて、それが年次的に進行している段階で、これは研究開発ですから物事が最初思っていたものとは途中で変わってくるということは当然起こり得ることですが、そういう途中での変化といったようなものが是認できるものであるかどうかということを絶えず見守っていくということのためには一番初めにちゃんとした見通しを立てておかないといけないと思うのです。そういう意味で私はやっぱり何といっても事前評価が一番念を入れてやっておくべき仕事だと思うのです。
 それで、こういうことを勉強するときには、先進国を勉強するのが一番いいわけだと私は思っておりまして、アメリカでいろんなビッグサイエンスがどういうふうな運命をたどって途中でやめるようになったかといったようなことの事例研究を今やっておる最中でございますが、私の専門でございました核融合の方の分野で申しますというと、アストロンという相当大きな計画が途中で取りやめになるお話があります。それの担当者であるギリシャ系のアメリカ人クリストフィーロスという人はやめられたために心臓発作か何かで亡くなってしまうという非常に悲劇的な結果になるわけですが、アストロン計画なんというのも、スタートしてしまってからそれを国会が、コングレスが問題にいたしまして、つまり売り込んだときの成果が一向に出てこないわけですね。何年待っても出てこないというわけで、コングレスの方からたびたび予算を打ち切るという意味の要求が出てきて、それをお役人が一生懸命にカバーするという闘いが相当長い間続いて、最後に時限を切ったやり方でアストロン計画をおしまいにするといったような例がございますのですが、そういう事例を私幾つか勉強している間に、アメリカでも話はそれほど円滑にはいっていないんだということが如実にわかったわけです。しかし同時にこの問題にやっぱりアメリカのお役人たちは真剣に取り組んでいるという感じを受けるわけです。中でも事前審査ということのためには相当のお金をまず投下しているわけです。
 私は、日本ではこういう評価に対して、特に事前評価に対してお金を投資していないという嫌いがあるのではないか。一般的に言って、ここに大蔵省の方がおられないので悪口を平気で言いますが、大蔵省の方は現実に見えるものに対しては予算をおつけになるけれども、見えないものに対しては捨て金だとお思いになる、むだ金だとお思いになるせいかめったにお出しくださらないわけですね。事前評価といったようなソフトの研究に対しましてはほとんどお金をお出しになっていないのじゃないかと思うのですが、これは科学技術庁長官としては事前評価のために相当の予算を請求すべきではないかと思うのです。例えば百億のプロジェクトがあったとすれば、その〇・一%の一千万円ぐらいのお金を事前評価に使ってもちっともおかしくないと私は思うのですが、その点いかがでしょう。
#141
○国務大臣(竹内黎一君) 先生のお話を伺って私も事前評価が極めて重要であるということは理解できたような気がいたしております。もっとこれに金を出すべきではないかということはまたこれ当然の御指摘だと思いますので、この次私どもが何か着手する大きなプロジェクトがありましたときには、当初から先生の御指摘のような厳格な評価のシステムを持ち、かつ適当な中間段階でそれぞれ中間の検討を行い、終わった後は終わった後のまた評価を行うという、そういうシステムの一貫したものもあわせてぜひやってみたいなというように思っております。
#142
○伏見康治君 それでビッグプロジェクトというものはやはり研究者、ことに若い研究者にとっては非常に魅力でございまして、自分のやっている研究の仕事がある進展の段階になって非常に大きな計画を構想するということは、青年を非常に魅惑するわけだと思うのですね。それで元気のいい研究者集団がおりますというと、そういうところからは必ずビッグプロジェクトが提案されてくるわけです。そういうものにお年寄りさんが動かされて、それをだんだん取り上げていってやがて予算がつくといったようなことになるというのが普通の物の動き方だと思うのです。この若いエネルギーを持った方々が、そういう構想を持ってそれに熱情を注いで一つのプロジェクトが持ち上がっていくというのは非常にいいことだと思うのですが、同時に若い人たちというのは多少世間知らずのところがあって、一徹なところがあって、一つの向きに向かっては猛烈に進みますけれども、脇のことがわからないという面が必ずあるわけであります。私は、しばしばそういう若い人たちの研究意欲で出てくるビッグプロジェクトを、戦争前の日本の青年将校になぞらえて考えることがあるわけです。日本の戦争前の青年将校も非常に大きな熱意を持ってああいう仕事にかかったのだと思うのですね。日本をおれたちで何とかしてやるといったような非常に高い気概を持ってああいう雰囲気をつくり出していったと思うのですが、これからのビッグサイエンスの中にも、それに従事し
ている科学技術者の若い方々の熱情だけが盛り上がっているといったようなものがあって、そのために十分考えないでそれを受け取ってしまうとどうにも手に負えないものになるということは私は十分あり得ると思うので、そういう意味での批判を、事前アセスメントをやりますためには、当事者――専門の近い人を集めてやるというと皆さん同調してしまってだめなので、私はそういう事前評価をするためには第三者的な人を動員してくるということがぜひとも必要だと思うのですが、その点についてのお考えはどうでしょうか。
#143
○政府委員(堀内昭雄君) 今御指摘のとおり、そういう評価につきましては、これまでも全くの当事者だけではなくして、第三者を入れまして広く意見を聞くというシステムがとられたことが多かったかと思いますけれども、御指摘の点、おっしゃるとおりの点ございまして、今後ともそういう点については配慮していくべきではないか、こう考えます。
#144
○伏見康治君 第三者を入れますと、第三者としては実は甚だ迷惑なわけです。つまり、それぞれの学者は皆御自分の専門の仕事にいそしんでおられるわけで、自分が直接関係のない分野のためにエネルギーと時間とを費やすということはある意味では非常に迷惑なお話なんですね。
 普通の、私が経験してまいりました文部省のいろいろな審議会というようなところで行われております審議の様子を過去において経験した体験から申し上げまして、一通りの批判的なことは言われますけれども、要するにごく表面的なことしかやっておられないわけで、つまり自分自身でその内容に立ち入って一週間なら一週間真剣に考えるということを審議会の委員がなさるとは到底思えないわけです。つまり、それをさせるためにはそれだけのお金を払わなければ私は成立しないと思うんですね。一週間なら一週間どっかへ缶詰にして考えさせるということをしない限り本当の事前審査にはならないと私は思うんですね。その辺のところに、先ほど申し上げました大蔵省のソフトウエアには金を出さないというところを何とか説得していただいて、そういう事前審査に思い切って相当のお金を注いでいただく、それで本当の審査をしていただくということが必要ではないかと思いますので、そういう希望を述べさせていただきたいと思います。そういうことは言うだけのことで不可能でしょうかね。どうでしょう、お考えは。
#145
○政府委員(堀内昭雄君) なかなか難しい御質問でございまして、御意見を体しまして今後いろいろ検討さしていただきたいと思います。
#146
○伏見康治君 次に、民間活力――中曽根さんの好きな言葉ですが、民間活力ということをちょっと議論してみたいのです。
 そもそも、よその国の科学研究費が国から出ているか、民間の金であるかという比率を見ますというと、日本は大変国の出し方が渋いようでございますね。つまり、初めから日本の科学技術研究というのは民間活力に依存していたとも言えないことはないんですが、それはそういうふうに長官お考えになりますでしょうか。
#147
○国務大臣(竹内黎一君) ただいま先生御指摘のとおりだと私も認識をしております。
#148
○伏見康治君 実際、例えばこれは新聞でも問題になりましたし、それから去年、科学技術庁長官賞かもらったのかな、日立中央研の外村さんの仕事なんというのは極めて基礎的な研究でございまして、とても一つの営利会社の研究とは思えない非常に基礎的な研究だと思いますね。量子論の波動関数の意義に関する研究でございますけれども、非常に基礎的な研究だと思うんです。ですから、つまり民間会社が大学以上の基礎研究をやっているということもないわけではないという事例を幾つか知っていることは知っているんですが、しかし同時に、会社は多分研究というのは大蔵省で税をまけてもらえるわけでしょう、損金の方へ入れてもらえるということがあって、本当は余り研究してないんだけれども、研究しているようなことを言っているというおそれはないんでしょうか。
#149
○政府委員(堀内昭雄君) 私、具体的なデータを持っておりませんのでちょっとお答えいたしかねますが、民間の研究機関は非常に熱心にやっておられますのでそういうことはなかろうかと思っております。
#150
○伏見康治君 そうであれば大変結構なことだと思います。
 それから、今後も民間の活力を大いに利用をしていただいてますます基礎研究が国全体として盛んになるように希望したいと思うんですが、それはこの答申全体の基調の中にもありますように、日本は、過去非常に大きな経済成長を遂げてくる間の技術的基礎というものはもっぱら外国から導入した技術でいわゆるイノベーションを図ったためにうまくいったと言われているわけでございまして、そのイノベーションが一通り済みますというと後は実はやることがなくなる、経済成長がとまってしまって大変だという意識が非常に濃厚でございます。そこで官民挙げて日本人の創造性を増さなければならないという一大合唱が行われているというふうに私は理解しているわけですが、その独創性というものを増すためのいろいろな工夫というものは科学技術庁でも考えられていると思うんですが、例えばどんな方法で日本の研究者の独創性を増すように考えておられるか伺いたいと思います。独創性の問題をひとつ。
#151
○政府委員(堀内昭雄君) これは、今後逐次この答申の線に沿いましてどう実現すべきかという問題は検討されるべき問題でございますけれども、一つ既に科学技術庁でやっておりまして、先ほども非常に評判のいい制度という評価を得ております創造科学技術推進事業ですか、こういう制度におきまして、非常に基礎的な研究でございますけれども、産業界それから学界、その第一線の研究の方を集めまして、そこでグループをつくりまして一諸に集まって研究をする、この制度先ほども話がありましたように非常に生産的といいますか成果を上げておりまして、こういう制度を大いに今後発展させていきたい、これが一つのポイントでございます。
 それから、一般論でございますが、各研究機関におきまして非常に創造力に富んだ人が何人かおられる。そういう人を早く見出しまして、英才教育というのはちょっと言い過ぎかもしれませんが、そういう人たちに対しましてよい機会を与えるということが非常に重要かと思います。これはどうせいと言うのはなかなか難しいんですけれども、研究所の所長とかリーダーの方がそういう能力のある人を見出しまして、早いうちにそういう人を育てるという心構えといいますか態度が必要である、こういうふうに考えます。より具体的なものにつきましては、今後さらに検討しまして逐次実現していきたい、こう思っております。
#152
○伏見康治君 今お答えの中に出てまいりました新技術開発事業団でやっておられます流動研究員の制度による創造科学の何とかという長い名前のプロジェクトは、私はあれはまさにおっしゃるとおりに成功している実験だと思うんですね。ただ私は、ああいう実験はやっぱり小規模にやる実験であるべきだと思っているんです。それを例えば国立研究所のあらゆるところに全部その制度を持っていくのがいいかどうかということになると、非常におかしいことになる。つまり、そういう行政的な意味の実験というものも私は絶えず行われるべきだと思うんですが、実験はあくまでも実験であって、小規模にあるところでトライアルするということでやっていくべきであって、いきなりそれを一つの制度として全国をカバーしてしまうような実験はおやりにならない方がいいだろうと思う。つまり新技術開発事業団の実験も、実験をやっている間にいい点悪い点がいろいろ出てくるわけでありまして、その経験に習ってよりよい制度というものをつくり上げる、その段階にあるものだというふうに私は理解したいと思っておるわけです。
 ところで、これは前の岩動長官にも質問したことなんですが、統計によりますというと、国立
究所の研究所員の平均年齢というのが、これは何年の数字だか忘れましたが、とにかくある数字を申し上げますと四十二歳であって、民間の研究機関の研究者の平均年齢が三十三歳である。十歳ぐらいの年齢差があるわけです。私の駆け出しの科学者であったころの気分から申しますというと、若さこそ創造性の宝だというふうに考えていたわけでして、殊に理論物理学なんていうのは、湯川、朝永先生の例を考えてもわかりますように、二十代に一仕事しておかなけりゃ後は到底ろくな仕事にならぬということが常識になっていたわけです。若さこそ創造性の僕は土壌だと思うんですが、ところが、平均年齢が四十二歳といったような研究所で本当に独創性が期待できるでしょうか。
#153
○政府委員(堀内昭雄君) 御指摘のとおりデータがございまして、五十九年の一月十五日現在四十三・一歳という平均年齢がございます。十年前に比べまして若干老齢化しております。公務員の、最近また六十歳の定年制度ということが実現いたしまして、まあそういう問題の解決はなかなか直ちに解決策を見出すことは困難であるという状況でございます。
 しかし、研究機関でも非常にいろんな、国際協力を通じてでもそうですし、それから最近では特に産業界からいろんな刺激を受けまして、非常に熱意のある研究態度というものが見られておりまして、研究機関によるでしょうけれども、非常にプロダクティブな研究機関もできつつあるということが言えるかと思います。一概に平均年齢がこうだから創造力がないというのはなかなか難しいんですが、全般的な傾向としましては、できるだけ若手の研究者を確保するというのが非常に重要なことでございまして、今後これは長期にわたって考えていかなければならないことでございますけれども、高齢の研究者をいかに他の職場なり活動の場に振り向けるかということを考えていく必要がある。もちろん研修とか訓練の充実ということも必要でございますが、まあ第一義的には今申しました職場の転換といいますかね、こういうことが一つの大きな要請かと思っております。
#154
○伏見康治君 研究所ではもはや窓際族であってもほかのところに持っていけば十分活躍できるという方は幾らでもおられると思うので、そういう意味合いで、研究所の年齢を絶えず若く保つような御努力を組織的にやっていただきたいと思います。
 次にシードとニードとの問題、科学技術会議などではこういう言葉がしきりに使われるわけでございますが、この報告全体を眺めますというと、シードとニードのうちのニードの方がどうも重きが多くて、シードの方がいささか軽いのではないかという感じを受けるわけです。殊に第三部ですか、具体的な研究テーマをたくさん挙げておりますが、それの実際の拾い方を見るというと、ニード主導型の選択であるように思えるわけですね。もう少し基礎研究ということを重視していただいて、本当の創造的な種を拾い出すという方に重点をお向けになった方が、科学技術会議全体としてはそちらに重点をお移しになった方が私はいいのではないかと思うわけです。
 よく申し上げることですが、ニードというものは実は素手ではニードが出てこないんですね。生まれたての赤ん坊は、これは林さんにしかられるかもしれないけれども、余りお母さんのおっぱいに吸いつかないという話があります。ところが、無理に乳房を口に入れてやってそれを二滴でも三滴でも口の中に入れると、そのうまさを知って、それから先飲み始めるというお話がありますが、つまり、少し飲ませていただかないと役に立つか立たないかもわからないわけですね。そういう意味で、既存のニードだけを並べていたんでは本当の創造性というものは出てこないわけでして、役に立つか立たないかというものをもっと培養していただかないと、本当の創造性というものは出てこない。ニード主導型も結構なんですが、その時代は私は日本では終わりを告げたと思っているわけですね。
 実は昨年、イギリスの科学技術関係の国会議員が六人ばかり見えまして、前の高木委員長を中心に会談したことがあるんですが、イギリスではお金がなくて大変お困りでございまして、そして日本のような応用技術を盛んにするのにはどうしたらいいかを習いに来たという大変謙虚なお話で、私はしかし、それを伺いながらある意味で涙がこぼれるわけなんです。つまりイギリスは純粋基礎科学の分野では創造的な活動が依然として続いているわけです。純粋な学問の方で申しますというと、ほんとにすばらしい人材が続々と出てきているわけですね。日本が習うべきものはそのイギリスの、もはやイギリス人自身はもうそれはたくさんだと思われているところを日本人は習わなくちゃやっていけないと思うんですが、そこのところを取り違えないように、イギリス人さえ日本を習おうとしているんだから、日本はもうこれで大丈夫なんだという錯覚にとらわれないようにしていただきたいと私は思います。本当の基礎研究でみずから新しいものを生み出していかなければ、今後の日本はやっていけないと思います。
 次に、いろんないいことが答申書には書いてあるんでございますが、二、三お伺いしたいのは、研究基盤、つまり研究者が一様に基礎的なことでやっておいてほしいと思われるものを、条件をそろえるということが大変大事だと思うんですが、例えばファクトデータに関する措置といったようなことが大事でしょうし、また実験動物といったようなものがたやすく手に入るように組織するということも必要だと思うんですが、そういう点に関しては具体的にはどんなことを考えられておられるか。
#155
○政府委員(本郷英一君) 科学技術情報につきましては、御承知のとおり日本科学技術情報センターにおきまして、従来は文献情報中心のデータベースをつくり、これをオンラインによってサービスするということをやってまいりましたが、御指摘のファクトデータにつきましては、現在着手した段階でございまして、既に持っておりますのはわずか二種類でございます。六十年度の予算におきましてさらに三種類のファクトデータベースをつくり、今後毎年毎年追加してまいりたいと考えております。
 現在持っておりますのは、質量スペクトルデータといったようなものでございます。そういったものを中心に今後拡充をしてまいりたいと考えております。
 それから、実験動物につきましては、現在理研がやっております。これは昭和四十九年に科学技術会議のライフサイエンス部会で中間報告が出ておりますが、その中で、この実験動物等の情報について今後大きな課題であるという御指摘がありまして、理化学研究所ではそれを受けまして、実験動物、微生物、あるいは藻類、細胞等々につきまして、こういった実験生物の特性とか所在に関する情報を収集、提供する、そういう情報システムを開発しようということで五十一年度から手がけてまいりまして、現在既に、ある部分につきましては情報の提供を開始しております。
 ただ、これを将来オンラインによって全体的にサービスできるようにしたいというのが私どもの考えでございまして、予算等の制約もございますが、もしもできるならば六十五年度から実験動物、微生物、植物、藻類、それから動物及び植物の細胞につきまして、そういう情報をオンラインサービスしたい、こういうふうに考えてやっている最中でございます。
#156
○伏見康治君 私の友人のお医者さん関係の研究者が、せっかく動物を使っているんな実験をなすったんですが、その動物がちゃんと検定された動物でないということで、その実験成果というものは結局国際的には認められないで終わっておるという話を聞かされたことがございます、二、三年前の話ですが。そういったことがないようにひとつ皆さんの実験がちゃんとした学問的水準に達するように立派な資料、資材を整えてあげるように御努力を続けていただきたいと思います。
 国際交流についてちょっと伺いたいんですが、
この二月の毎日新聞に、私の友人である東大の物理の教授である有馬朗人さんが国際交流について苦情を述べておられます。その記事を余りよく覚えておりませんが、今有馬さんのところには外国人が三人ばかり来ている。だけれども、その三人とも実は余りちゃんとしたルートで来ているわけじゃないというんですね。非常に苦心した全く個人的な努力によってその三人の外国人の人をいわば抱えている。その有馬さんがいろいろ苦情を述べておられるのは、外国の大学ですというとしかるべき研究者が、例えば数カ月間暇があるのであなたのところへ行って一緒に議論をしながら共同研究をやりたいというような申し入れをいたしますというと、それはいつもとは限りませんけれども、しかし相当の確率をもってではいらっしゃいと言って返答が来るわけですね。ところが、日本のプロフェッサーたちにはそういう意味の、つまりよそからそういうことを言ってこられたときに、ではおいでくださいという当事者能力が全然欠けているわけです。一年前に学術振興会かどこかに申し入れをして、一年待ってその結果でもって初めてとれるかとれないかが決まるといったような、全く他人任せのことでしか仕事ができない。これはもう非常に学術交流を妨げている制度だと思いますですね。外国のようにそれぞれのしかるべきところには当事者能力を与えて、その人の判断によって外国人を迎えることができるようなシステムにすべきだと私は考えるんですが、長官どうお考えになりますか。
#157
○政府委員(本郷英一君) 国際交流の中で外国研究者を招聘する問題でございますが、この招聘の予算につきましては、科学技術庁それから先生のお話にありました文部省の関係、それも本省の直接行いますものと、それから学術振興会が国の補助を受けてやっておるものと二つございます。それからあとよその役所で農水省、通商産業省がやっておるもの等幾つかに分かれております。
 ちょっと科学技術庁以外のところにつきましては私ども余り知識がございませんが、科学技術庁につきましてお話いたしますと、実は予算の額が非常に限定されております。六十年度で三千六百万しかございません。これを国立研究所、これは科学技術庁だけじゃなくて各省の持っておりますいろんな研究所の必要にこれでこたえるということでございます。人数的に言いますと年間三十三人というのが予算の積算でございます。そうなりますと、非常に数が少ないものですから全体を効率的に使用しなければいけないということで、各省国立研究所からの要望を集めて年度の初めにそういう調査をして、それでどれに使ったらよかろうかというふうなことをやっております。したがいまして、残念ながら先生御指摘のような非常に機動的な使い方というのが現在できておりません。ただ、そのような使い方というものが必要であるということは重々私どももわかっておりますので、この乏しい中からほんのわずかを予備としてとっておきまして、そういう特に必要なものが途中で出てきた場合そういうものに充てるというような使い方をして辛うじてそういう要求にこたえているというところでございます。
#158
○伏見康治君 国際交流についてもう少し別の面について御質問申し上げたいんですが、これは実は外務省の問題なのかもしれないんですけれども、ソビエトの学者を呼ぼうとしてビザが出なくて困っているという件で、私のところへ訴えがたくさんやってまいります。国際交流、特に基礎科学における国際交流というものは、私はあくまでも守るべきだと思うんですね。その応用研究、特にいわゆる先端技術に密接したような技術についてはいろいろ政治的な問題があって、そういうことにかかわり合いのある学問の分野の方は御遠慮願うということはそれはあり得ることだと思うんですが、この理論物理学、例えば湯川先生とか朝永先生がやっておられたような理論物理学の分野の先生にもビザが出ないといったような雰囲気は非常によろしくないと私は考えます。
 それで、ここで外務省の方がおられないところで言うのはお門違いでございますが、しかし長官にも基礎科学の国際交流というものは極めて大事なものであるということをひとつ認識していただいておいて、機会があるたびにひとつ外務大臣にお伝えを願いたいと思うんです。
 何か世間のうわさ、新聞の記事のようなものを見ていると、西側の科学技術が東側へ流れるということばかり気を使っておいでですが、実際は東側の科学技術が西側にも相当流れているわけです。例えば先ほど林さんが取り上げられたJT60というのは、トカマク型という装置でございますが、このトカマク型という装置はロシア人が考えたものでございまして、それをアメリカもヨーロッパ人も日本もまねているということです。
 それから核融合関係で私の知っている例をもう一つ申し上げますと、例えばジャイロトロンという、電子を磁石の中で振動させまして、それから短い非常に強力な電波を打ち出すという装置がございますが、これもロシア人が発明したものを我々プラズマ屋の仲間では全部世界的にその原理のものを使っているわけです。そういう例を数え上げますというと、東側から西側に流れている科学技術の知識というものは非常に実はたくさんあるわけです。
 ついでに申し上げますと、ソビエトというところはいろんな意味で社会体制が余り上手にできておりませんので、せっかくの創造性を発揮した発明がソビエト内部でなされましても、それが必ずしも実用品にはならないんですね。しばしばアメリカ人がソビエトに遊学に行きまして発明されたままの姿のやつにこれは将来性があるなということでそれを持って帰って、アメリカで製品に仕立てて上げるといったようなことで成功している例が非常に多いわけです。そういう意味で秘密が漏れるのをもし防ぐとすれば、ソビエト側がすべきじゃないかと思うくらいたくさんの事例を私は知っております。それは冗談でございまして、私は基礎科学の知識というものは相互交流であるべきだ、それによってお互いに稗益し合って物事がうまくいっているというふうに信じて疑いませんので、実際問題に近いところは別問題でございますが、基礎に関する限りはひとつ自由なる交流を保つように御努力願いたいと思いますので、それをお願いして、質問を終わります。
#159
○国務大臣(竹内黎一君) ただいま先生お取り上げのソ連の理論物理学者が我が国へのビザを拒否されたというのは、私具体的に何の理由によって拒否されたか存じませんけれども、私はこれは大変遺憾なことだと思います。基礎科学の面におきましては、各国とも日本は自由に広く交流してしかるべし、こう私は思いますし、実は昨日、駐日ソ連大使の来訪を受けまして、大使の方から従来以上に科学技術協力の枠を広げようじゃないかという大変熱心なお申し出も受けているわけでございまして、先生の今のお話は私から外務大臣にもよく伝達さしていただきます。
#160
○塩出啓典君 きょうは産学官連携の問題をまず最初にお尋ねしたいと思います。
 先ほど伏見先生の質問にもありましたこの十一号答申においても、そういう研究開発組織を越えた連携協力の促進が非常に大事である、このように書かれておるわけであります。私も余り直接タッチしたわけではありませんが、いろいろな友人とか接する人のお話からして、かなり産学官の連携というものは、日本とアメリカというのは非常に違う。これはどのように違うのか科学技術庁としてはどのように認識をされておるのか、これをお伺いしたいと思います。
#161
○政府委員(堀内昭雄君) 産学官の連携におきましては、日米とも政府による委託研究制度、これはアメリカでも非常に大きなウエートを占めておりますが、あるいは共同研究プロジェクト、それから各種の人材交流制度、こういうものは共通であろうかと思います。しかしながら、特にアメリカにおきましては、近時大学都内におきまして企業との共同研究センターをつくるというような動きが非常に活発でございます。そして、企業資金によって大学の講座をつくるというような動きもございます。それから特許法改正によりまして、
政府の委託研究における特許権の民間への帰属の促進措置というものも講じておるということでございまして、何といいますか、産と学が一体となってやっているものがだんだんアメリカにおいては増加しているというところが大きな差かと思います。
#162
○塩出啓典君 今日本の製品がどんどんアメリカへ行って非常に貿易がアンバランスである、そのような点だけを見ればアメリカは大したことはないじゃないか、そういう感じもするわけでありますが、しかしいろいろ専門家の話を聞きますと、やっぱりアメリカは基礎研究に力を入れているし、非常に底力はある。そういう意味で、今のような状況では五年、十年先にはどうなるかわからない、そういうことを非常に心配している人の話もよく聞くわけであります。こういう日米のいわゆる科学技術の力というかそういうものについて、科学技術庁としてはどのような認識を持っておられますかお伺いいたします。
#163
○政府委員(堀内昭雄君) 我が国の技術水準でございますけれども、最近では我が国といたしましては官学民挙げての努力によりまして、大きく技術水準が向上してきておるということでございます。応用開発の面ではアメリカと並ぶようになったのではないか、特に自動車でありますとか、鉄鋼業、それから半導体、こういったようなところの技術分野というのは非常に高い技術水準を持っておりまして、アメリカからも部分的には羨望を持って見られる分野もあるということでございます。
 当庁が昨年度実施いたしました民間企業の研究活動に関する調査というのがございます。これで見ますというと、回答企業の四分の三以上が欧米の企業に比べまして同等以上の技術水準であると認識しているという答えを出しております。
 それから、将来の新しい技術を生み出す技術開発力の方についてどうかということにつきましても、同じアンケートでは欧米に比べまして同等以上とするものが三分の二に達しております。そういう実情でございます。
#164
○塩出啓典君 それで、結局科学技術庁としてはどのようにお考えでございますか。いわゆる今のは民間企業のアンケート調査の結果はそういう感じだというお話ですが、それが本当に真実であるのか、その点はどうなんでしょうか。
#165
○政府委員(堀内昭雄君) 非常に特定な分野、国防の問題ですとかいわゆる宇宙開発、航空分野、航空技術と、こういった一部の分野を除きましては、日本の技術というのは非常に高まってきておるということでございまして、我々がどう考えるかというよりもいろんなシンクタンクに頼みました調査ですとか今までのアンケートを踏まえまして、我々もやはり同様に非常に高いレベルに達したのじゃないか、こう思っております。
 ただ、非常にこれは一般の技術水準あるいはいわゆる技術開発力でございますが、非常に先端的な分野のいわゆる基礎研究でございますね、学問的な意味も含めましての、こういった分野につきましてはこの前の科学技術白書にもありましたように、例えばライフサイエンスとか、それからエレクトロニクス、非常に限られた分野でございますけれども、その比較におきましてはどうもまだいわゆる学術的な業績としましては見劣りがするところがある、こういうことであろうかと思います。
#166
○塩出啓典君 最近、日本の企業がアメリカを初めとする海外の大学とか研究機関に研究投資を出すケースが非常に急増をしておる、これは雑誌の記事ではありますが、一九八二年の調査では国内向けが百五十七億円に対して三百三十億円である。日本の国内に出すよりも外国に出す方が非常に多いという、こういうことでありますが、もちろん日本の企業がいろいろな世界の大学に向かっていわゆる委託研究をしたり、そういうことは一概に悪いとは言えないとは思うんですけれどもね、だんだん外国の方が急速にふえていくということでは果たしてこれでいいのかなという、そういう気持ちもするわけでありますが、科学技術庁としてはこのようは流れを掌握されておるのかどうか、またそういうものがどういう原因によってそうなっておるのか、そしてそれは妥当であるとお考えであるのか、その点はどうでしょうか。
#167
○政府委員(堀内昭雄君) まず日本の企業から外国に流れる研究投資でございますが、これは総務庁の方で毎年統計をとっております。先ほどのようなお話で御指摘のとおり、外国への研究支出は例えば五十七年度でありますと三百十四億円、五十八年度ですと相当下がりまして二百十八億円と、それに対しまして国内大学に対する研究費の支出は五十七年が百五十億、五十八年が百七十七億と、こちらの方が増加しているというようなことでございまして、数字的には把握しておりますが、具体的にこの外国の中の一体どこに金が流れているんだというところはこれは総務庁の統計ではとっておりませんので、ミクロな流れまでは実は把握はしておりません。
 それからどういう理由でもって海外の大学の方に――大学が著明なんですけれども、大学の方に金が流れるかという御質問でございますが、これはなかなか各社の判断で一概には申し上げかねるんですけれども、いろいろ推察いたしますところ、一つは研究開発のノーハウあるいは知見の蓄積など自社の研究開発のポテンシャルの向上の糧にする、いわば情報を得るとかあるいは実際に研究者がそこに参りまして、研究者がそこで技術を身につける、あるいは研究の考え方を身につけるといったようなことがあろうかと思いますし、また各社が自分のところであるいは技術が足らないとか、あるいは人材が足らないとか、あるいは特殊な設備が足らないとか、そういった技術者の欠けた部分をここで補うということもあろうかと思います。
 そういうようなことが原因でこういう傾向になっておると思いますが、それがよいか悪いかという判断でございますが、今や科学技術は非常に国際化しておりますし、できるだけ海外に広くこういった情報を求め、また海外との技術協力も行う、研究協力も行うということでございますので、それはそれなりの大きな価値があるのじゃないかと、こう思っております。
#168
○塩出啓典君 海外の企業から日本の大学への研究投資というか、委託研究等の資金の流れというのはどの程度なんでしょうか。
#169
○政府委員(堀内昭雄君) 海外の企業から日本の大学に幾らどう流れたかというデータはございませんが、外国全体から日本の大学への研究開発投資が幾ら行われたかというデータはございまして、これは昭和五十七年度四千八百万、五十八年度一億八千九百万というのがこの総務庁統計でございます。
#170
○塩出啓典君 私も今局長言われたように、日本の企業がどんどん外国の大学やいろいろな研究所に委託するということはこれはもう決して悪いことではないと思うんですけれども、ただなぜそういうところへ頼むかといえば、この雑誌に書いている一つの意見は、これは通産省の意見として、結論的に言えばアメリカの大学の方が基礎研究の面での魅力が非常に大きいと。そういう意味で、こういう委託研究が起きればまたそこは研究のレベルも上がる、そういうことで、やっぱり日米のそういう基礎研究の分野の格差というものがますます私は増大していくのじゃないか。
 それで、例えばサントリー生物医学研究基金というものをサントリーはロックフェラー大学に設置をしてそこに三年間に約七千二百万円を寄附する。そういうことになると日本の企業からそういう海外への資金の流れはさらに膨らみつつある。あるいはもう一つは、アメリカのマサチューセッツ工科大学は日本に事務所を設置している。あるいはジョージア工科大学と日商岩井とが協定を結んで、そして窓口を日商岩井にして、そしてもう日本の委託研究をどんどんとろうと出張所まで設けてやっておる、こういうことが書いてあるわけですけれどもね。だから私たちは、やはり日本の大学ももっと産学官といいますか連携をとって、もちろんそういう連携が大学の自主性に反する方
向ではいけないと思うんですけれども、この答申も示すような方向での産学官の連携をもっとやはり強固にしていかなければいけないのじゃないかなと、私はそういう感じがするんですけれども、科学技術庁としてはどうお考えであるのか。
 それから文部省としてそういう民間企業との共同研究をよりスムーズにいくように今日までいろいろ努力をされていると思うのでありますが、文部省としてのお考えをお聞きしたいと思います。
#171
○政府委員(堀内昭雄君) 産学官の連携の問題につきましては、先ほどお話しのとおり答申に指摘しておりまして、大いにこれは進めなきゃならない、こう我々は思っております。最近産学官の連携に関する調査研究というものも行ったわけですけれども、民間サイドにおいてこういうものを非常に強く求めておるということでございまして、今後とも非常にその重要性が増すだろうという認識が非常に強うございますし、それからこれは学界、官界におきましても非常に高いパーセントでもってこれを推進すべきであるという、その必要性を認識しておるということでございます。当庁としましても大いにこの線に沿って進めていきたいと、こう考えております。
#172
○説明員(長谷川正明君) お答えいたします。
 ただいま先生から御指摘ございましたとおり、今日社会の各方面、これは先生御指摘の新しい技術を求められておる産業界、その他防災関係、あるいは地域開発とか、いろいろな方面から大学の学術研究に対して期待が高まってきております。大学がその本来の使命であります教育研究というものをこれはきちんと踏まえつつ、大学の主体性のもとにこれらの社会的な各方面からの要請に適切にこたえてまいりますことは、大学の研究に新たな刺激を与え、また活性化させるという意味もございまして大変大事なことであるというふうに考えておりまして、文部省では大学とそれから産業界その他社会の各方面との協力事業が適切に行われるよう各種の施策を展開しておるところでございます。
 先生今お話もございましたので、若干幾つかの最近の事柄について御報告させていただきますと、ただいまございました受託研究につきましても、いろいろ仕組みが、手続等が煩雑でなかなか大学に研究を委託してもスムーズに運ばないというような印象が強くて、ある場合には外国へも流れていった例があるかもしれませんけれども、そういう点がございましたので、受託研究の受け入れについて、これは大学がきちっと判断をしますけれども、その判断を迅速に行えるようにすることとか、あるいはその委託研究の経費によって使用する事柄につきましても、その委託の中身に適切であれば弾力的に使えるようにというようなことを大学の方に通知する。あるいは共同研究制度というものを五十八年度から発足させております。これは民間の研究機関、企業の研究所等におきます研究内容も非常に最近高度化してまいっておりますし、また新しい技術開発の観点から民間のベーシックな研究に対する関心も高まっております。
 また大学におきましてもそういう面での関心が高まっておりますので、大学の研究者が主体的に、自分は民間のこういう研究者の方と一緒に研究をやりたいというようなケースの場合、民間の研究者に大学に共同研究員という形で入ってもらいまして一緒に研究を進めていく、こういう制度を五十八年度から発足させております。五十八年度五十六件、それから五十九年度は一挙に三倍近い百六十件の共同研究が行われるということで、こういう面での協力も進めておる次第でございます。その他特許とか、あるいは民間からの寄附金を受けやすくするとか、そういう面での改善を図っておりまして、産学官の適切かつ円滑な事業が進められるよう努力をしているところでございます。
#173
○塩出啓典君 いろいろ、五十八年度から新しい産学の共同研究制度をつくるとか、今のお話ではかなりそういう共同研究の数もふえているようでありますが、ぜひ委託研究の受け入れがしやすくなるように手続をさらに簡素化をするように今後とも努力をしていただきたい。これは昨年の十二月二十二日にも通達を出していろいろ努力をされておるようでありますが、今後ともの努力を要望いたします。
 それと、これは十一号答申にもちょっと書いてあるわけでありますが、いわゆる共同研究の場合の特許をだれが持つかという、こういう点についても文部省としてかなり改善はしてきているようですけれども、十一号答申にはまだ不十分である、こういうようなことが書いてある。共同研究した場合に、特許権が全部国の方にあるというのではこれは共同研究する人たちも張り合いがないわけですからそういう点も改善をしていただきたい、この点はどうでしょうか。
#174
○説明員(長谷川正明君) 特許の問題でございますけれども、ただいま御説明いたしました共同研究の場合、民間からの研究者とそれから大学の研究者が一緒に同一の目的について研究を進めてまいる事柄でございます。したがいまして共同研究の結果生まれる特許、発明につきましては三つのケースが考えられると思うんですけれども、一緒に研究はしたけれども、その発明自体は例えば国立大学の研究者が発明した場合、あるいは逆の場合、それから全く二人が共同で生まれる特許、発明という三つのケースがあろうかと思いますけれども、国立大学の教官が単独で共同研究の結果発明するという場合になりますと、これは大学における発明委員会等の審査を経まして国の特許、国に帰属するケースがございます。この場合におきましては一緒に研究を進めた民間企業のコントリビューションといいますか、そういう面も配慮いたしまして、その研究が完了してから七年間はその当該企業に優先的に実施を認めることができるような契約も結べるという制度にしております。また二人が一緒に、二人といいますか、民間の研究者と国立大学の研究者が一緒に発明をいたしますと、これは共同発明ということで特許は共有という形になるわけです。したがって国とそれから企業、あるいはその企業以外、ほかの外部の機関の場合もありますけれども、国とそれ以外の者が共有して特許を持つという制度を新たに切り開いたということでございます。
#175
○政府委員(堀内昭雄君) 国立研究機関の場合でございますが、やはり共同研究の場合は両者の合意のもとでございますが、国が承継する場合もございますし、両者の共有とする特許、あるいは相手方に帰属するといういろんなケースが可能でございます。
#176
○塩出啓典君 先ほど伏見先生の質問で国際協力の問題がありましたけれども、先ほどの局長さんの答弁を聞いておりますと、科学技術庁の関係はわかるけれどもほかはわからない、科学技術庁というのはある意味ではやはり研究調整、全体の日本の科学技術をどうするかという立場から国際協力もいろんな問題も考えていかなければいけないんじゃないかと思うんですけれども、そういう意味で自分のところ、科学技術庁の範囲内だけを考えるんじゃなしに、もっと国全体のことにも思いをいたしてやっていただきたい。これは先ほどの伏見先生に対する答弁を聞いておりまして、私からもぜひお願いをしたい、このように思います。
 それから次に、余り時間はないわけですけれども、これは研究開発投資に対する日米の税制の違い、そういうものが非常に指摘をされておるわけでありますが、今年度は皆さんも御存じのように、基盤技術研究開発用資産に対する措置、さらには中小企業の試験研究費に対する措置、ことしは押しなべて増税基調の中でこういう研究費に対する減税が行われたことは私たちも一歩評価するわけでありますが、しかし全体的に見て、日米のそういう税制上の違いはどうなのか、アメリカの方が非常に研究開発投資を有利にするような税制であり日本がそうでないということになると、これは将来の大きな国際競争力の差になっていくんじゃないかという点を心配をしておるわけでありますが、科学技術庁としてはそういう点は余り差はないとお考えなのか、まだまだ差はあるとお考
えなのか、あるいはそういう点は余り関心がないお考えなのか、その点はどうでしょうか。
#177
○政府委員(堀内昭雄君) 関心は大いに持っていろいろ勉強はしておりますが、これは御指摘のように全く同じ制度があった場合につきましては、例えば増加試験研究費の税額控除制度につきましては控除率が日本が二〇%に対しまして、アメリカが二五%といったような差がございます。しかし、日本はそのほかいろんな特殊な税制上の優遇措置等もございますから、これはもちろん大蔵省の方からお答えになるべきでしょうけれども、全体のシステム、バランスを考えまして考慮すべき問題でございまして、部分だけとらえましてこちらが非常にいいとか悪いとかいうのはなかなか困難でございますので、私どもとしては今後とも検討はさしていただきますし、いろいろ新しい税制等につきましても考えていかなければならないと思っておりますが、当面大いに差があるということではないと思います。
#178
○塩出啓典君 これは大蔵省にお尋ねをいたしますが、この増加試験研究費の税額控除だけを見ますと日本は二〇%でアメリカが二五%、それと日本の場合は過去最高に比べてどれだけ伸びたか、アメリカの場合は過去三年平均に対してどれだけ伸びたか、日本の場合は法人税の一〇%以内、今回の減税では一五%まで三年間の措置として拡大されているわけですけれども、アメリカにおいてはそういう制限がない、そういう点。さらにこれは科学技術庁からいただきました資料では、いわゆる投資税額控除という、こういう面もアメリカにはあるが日本にはない。恐らく投資税額控除というのは新しいベンチャービジネスなどに投資した場合の控除の制度ではないかと思うんでありますが、そういう点を見ますとかなり差はあるんではないか、そういう点をひとつ大いに研究をして、何もまあアメリカがこうやっているんだから日本はこうしろというわけではないわけですけれども、余り差があると日米の技術開発上の差になるんじゃないか、こういう点を心配しているわけですが、それについてのお考えをお伺いしたいと思います。
#179
○説明員(伊藤博行君) お答え申し上げます。
 今先生おっしゃいましたように、増加試験研究費につきまして日米で若干の差がございます。ただ、先ほども先生御自身お話ございましたように、民間企業の試験研究活動を助成する税制上の措置といたしましては、増加試験研究費以外にもいろいろな措置がございます。
 例えば、開発研究用減価償却資産の耐用年数の特例とか、あるいは鉱工業技術研究組合等に対する支出金の特別償却等々がございますが、それにプラスいたしまして今年度、六十年度の税制改正におきまして基盤技術の開発研究用資産の特例、あるいは中小企業の技術基盤強化の特例といったような制度を新たに設けております。そういう意味で、税全体としてどうかというのは、国によりましてシステムが違っておりますので、なかなか比較は難しゅうございますが、先ほども科学技術庁の方から御答弁がございましたように、この分野に関してそんなに遜色はないというふうに考えております。
 それから、今御質問がございました増加試験研究費自身をとりましても、日本の方が甘い部分もございます。それから、アメリカの方が甘い部分もございます。例えば、本制度の対象になります経費の範囲等について見てまいりますと、我が国の場合には、償却資産の償却費等も経費の中で見た上で恩典を付与するというのに対しまして、アメリカの場合にはそういった経費は対象外になっておるというような点もございまして、一概に率だけで議論するというのはいかがかなという感じがしております。
 それから、御質問の中で投資税額控除の議論がございましたが、これは必ずしも試験研究の促進ということよりも、むしろ投資そのものに着目した制度であるということで、若干制度の趣旨が異なっておるんじゃないだろうかというふうに思います。設備投資そのものにつきましては、御案内のように、我が国の設備投資というのは非常に活発に行われております。GNPの中に占める民間設備投資の割合等も、アメリカに比べてはるかに高い水準で推移しておるというようなことから見て、税がすべてではございませんが、そういった結果を見ましても、我が国の税制はしかるべく対応しておるんじゃないだろうかというふうに考えております。
#180
○佐藤昭夫君 まず第一は、地震防災の関係の問題でありますが、科学技術庁の重要な任務の一つに防災に関する科学技術の振興の課題があります。特に、実際に経験した大きな地震に関する調査、研究を通して防災行政に生かすべき教訓を明らかにするということは極めて重要でありますが、こうした見地から、最近科学技術庁としても、昨年十二月に取りまとめられた「昭和五十八年日本海中部地震に関する緊急研究報告書」、これなどもそうした角度からの仕事の一つだと思うわけでありますが、そこで、きょうはその地震防災、特に長周期波地震動の防災問題、こうした点について若干質問をいたしたいと思います。
 この四月の五、六、七、三日間東京で開かれました地震学会の中で、長周期波による影響が予想外に大きくて、特に固有周期の長い大型の石油タンクあるいは本四架橋のような長い橋、あるいは超高層ビル、こうしたものが大きく揺れる、いわゆるがたがたという揺れ方よりはゆっさゆっさと揺れる、こういう危険が強調をされているわけであります。
 そこで、特にこの石油タンクの大型危険物施設について消防庁にまずお尋ねをいたしますが、この石油タンクの場合、長周期波による影響と思われるいわゆるスロッシング現象、油などがはね回る現象でありますが、これが問題になっています。
 地震学会では、茨城大学工学部の井上さんという方を初めとする研究グループの報告によりますと、抽出した二十三例のうちかなり多く、自治省告示の安全基準に極めて接近している、この基準を大きく超える例があったという報告になっているわけであります。
 さらに、日本海中部地震が発生をしました後の昭和五十八年秋の地震学会でも、同じく東大の地震研究所の工藤氏らのグループによる研究として、新潟で石油タンクがスロッシングによってあふれ出す、こういう現象があったということを研究発表しているわけであります。
 具体的には、当時浮き屋根式タンクで容量一万キロリットル以上のタンクが三十四基あって、全部油が入っていたのではないようですけれども、被害のあったタンクが十一基、そのうち十基から石油があふれ出たと。揺れの高さの最高は規制値の二倍以上の四・五メートルにも達していたということであります。これが事実であれば、当然規制基準を見直す必要があると思うんでありますが、まずこの点消防庁にお尋ねをします。
#181
○説明員(志村哲也君) お話にございましたように、地震動の周期の長い成分によりますところの石油タンクの液面揺動、いわゆるスロッシング現象というふうに言われているわけでございますけれども、これに対します溢流防止対策というのが極めて大事でございまして、消防法におきましては、現在タンクの上部に空間容積をとらせることによりまして対処をすることにいたしております。昭和五十八年の四月に、従前の基準にさらに強化を図ったところでありますけれども、この液面揺動によります最大波高の推定方法等に関しましては、いろいろな説といいますか、種々の考え方が提案をされているところでございます。
 現在消防法におきましては、昭和五十八年四月の規制基準に採用した方式は、先ほど先生のお話にもございましたように、茨城大学の井上先生も一員として参加をしていただいた委員会におきまして各界の専門の学者、先生に検討していただきました提案を採用をしたものでございます。
 そこで、お話にありますように、液面揺動によります被害形態というのは溢流が一番大きな問題になるわけでございます。
 私どもといたしましては、五十八年の四月に、一応現時点における研究の成果ということで規制基準を採用をしているわけでございます。現時点におきましては、先ほど申し上げましたように最大波高の合理的な推定方法がまだ研究の途上にあると、こういうようなこともございますし、また仮に溢流いたしたといたしましても、現在の防災対策といたしましては、タンクの周辺に防油堤をすべて設けさせるというか義務づけをしているわけでございまして、被害の拡大を最小限度に食いとめることが可能であるというようなことで、当面はこの基準でまいりたい、かように考えておりますけれども、先ほど先生のお話にもございましたように、先般地震学会で発表をされました井上先生の見解というものを、私どもとしては、一研究者の貴重な研究結果である、こういうふうに受けとめているところでございます。
#182
○佐藤昭夫君 この井上さんなどの研究結果は重要視していると、そして五十八年の四月ですか、規制基準の改定、見直しなんかもやってきているということですけれども、具体的には、今お話があった空間容積を幾らにとるか、何メートルぐらいのそういう余裕を基準としてつくっていくかという、この点については、その改定をされたという現行基準では二メートルということになっているんじゃありませんか、言葉を濁しておられますけれども。
#183
○説明員(志村哲也君) この基準につきましては現在消防法の施行規則に空間容積の高さについては定めてございまして、タンクの高さといいますか、大きさによりましてそれぞれの空間容積――空間というか最高の高さが異なってくるわけでございまして、一律に二メートルと、こういうことではなく、タンクの容量によってそれぞれ異なってくる、こういうようなことでございます。
#184
○佐藤昭夫君 容量によっていろいろあるけれども、おおよその目安として二メートルということでしょう。ところが、さっきも引用いたしましたように、四・五メートルという最大波高、そういうケースがいろいろあらわれておるということで、この点についてはあなた方の消防庁消防研究所、ここがおやりになった研究の報告書、これ自体にもそういう内容が出てくるわけですね。そうしますと、これはどう見たって、あなたたちの研究によっても、五十八年の四月に改定をしたというこの規制基準、これではまだ危険が完全に払拭をされるものではないと。危険な場合があらわれるということを物語っているんじゃないですか。
#185
○説明員(志村哲也君) 先ほども御説明を申し上げましたように、現在の消防法で採用しておりますところの規制基準におきましては、現在の学会といいますか、関係の専門家の方々に多数お集まりいただきました研究会で議論を重ねていただいた結果をもとにしてのものでございます。ただ、現在の地震の長周期波によりますところの伝播のメカニズムその他については、先ほども御説明申し上げましたように、いろいろな説もあり、研究の途上にもあるということで、私どももこれらの学会の動向とか研究の成果というものを現在十分にフォローをしているようなところでございます。
#186
○佐藤昭夫君 とにかく、専門家の御意見や学会での研究発表、こういうものも重視をしていろいろ取り入れているというふうに幾らおっしゃっても、規制基準の見直しをやったというのは昭和五十八年の四月でしょう。日本海中部地震が起こったのはその後でしょう。この中部地震の内容をいろいろ調査分析をして、あなた方の消防庁の研究所の報告でも、日付としては昭和五十九年の一月ですけれども、地震学会の報告も出ている。消防研究所のこの研究でも、とにかく最大波高四メートルを上回るそういうスロッシングが起こるということを現にこの中に書いていますね。一々引用をする必要がないわけですけれども、この研究報告の三十一ページの前書の部分でも、また結論の部分でもそういうふうに書いておる。そうして、しかもそこの結論部分では、「これらの被害を防止するために、タンクの余裕空間高さについては各地域でこれまで発生したスロッシングの最大波高を目安とすること、また、側板内側の付属物は最小限にとどめることが考えられる。」と。とにかく最大波高、ここを目安にして余裕空間をとっていかなくちゃいかぬ、こういうことを結論の第一項で、あなた方の研究報告、これ自体が書いているんじゃないですか。こうした点で、今の基準というのはこの地震が起こる前の四月のときに見直しをした基準。しかし、その後の実際の地震が起こったという、この経験を通してそういう結論が出てきた。当然五十八年の四月にやったあの改定自身についても、もう一遍現時点で見直しをしようというのが理の当然じゃないですか。どうです。
#187
○説明員(志村哲也君) 日本海中部地震におきますところのスロッシング現象による石油タンクからの溢流につきましては、先生のお話のとおりでございます。ただちょっと御説明をさせていただきますと、新潟県におきましては県下で千キロリットル以上のタンクが二百七十基あるわけでございますけれども、この中で溢流をしたタンクが十基と、こういうような状況、また日本海中部地震で新潟のタンクだけに溢流現象が見られ、その他の地域には見られないと、こういうこともございまして、私どもとしてもどうしてこのような状況になったのかということについては非常に深い関心を抱いておりまして、いろいろな専門家の方々から御意見をお伺いし、またいろいろな説について関心を寄せているわけでございます。何分にも現在のところはいろいろな考え方、説がございます。また、科学技術なりまた学問というものも日進月歩でございますので、これらの状況も十分踏まえながら、現在それらの状況を関心を持って見ていると、こういうふうなところでございます。
#188
○佐藤昭夫君 なぜ素直な答えが出てこないかどうしても理解できないんですけれども。
 なお、もう一つ聞きますけれども、五十八年四月に改定をしたというこの現行基準、この中にはさっき私がこの研究報告でも強調をしておる余裕空間についてはこれまで発生した最大波高を目安とするという、こういう内容は今の基準にはないですね。あるのかないのか、それだけでいいです。
#189
○説明員(志村哲也君) 現在のところの基準といいますのは、最大波高の計算方法は〇・四五掛ける……
#190
○佐藤昭夫君 いやいや、計算方法聞いてんじゃないですよ。そういう最大波高を目安とするというこの考え方が今の基準の中には明示されているんですかと聞いている。
#191
○説明員(志村哲也君) 現在の基準は、そのような考え方に基づきまして基準がつくられておるわけでございます。
#192
○佐藤昭夫君 うそ言ったらあかんですよ。書いてますか、そんなこと、きちんと明文で。書いてないでしょう。
#193
○説明員(志村哲也君) 明文で書いてありますのは、「容積は、次の式により求めた側板の最上端までの空間高さに応じた容積以上の容積とする。」ということで容積を出すわけでございますけれども、その計算の過程で高さが出てくる、こういうような計算過程になっているわけでございます。
#194
○佐藤昭夫君 そんな説明をされても、それで最大波高を目安とするという意味になるというふうにだれがとれるんですか。そんなごまかしをいつまでも続けるべきではないと思うんですよ。
 それで、もうこの問題だけで押し問答しておったら、それだけで終わりそうですからあれですけれども、とにかくあなたはこの席上で五十八年四月にやったこの改定をすぐもう一遍変えますと、こういうふうにはなかなか言えぬという立場からと思うんですけれども、少なくともその後の発生をした日本海地震の分析をして、あなた方の消防研究所自身の研究報告にもそういう最大波高を目安とすべきだという、こういう内容が出ているということも踏まえて、基準をいかにすべきかという問題については、少なくとも検討の俎上に上せるということは、それは当然言えるわけですね。
#195
○説明員(志村哲也君) 私どもといたしましては、先ほどもお答え申し上げましたように、いろいろな学問も進歩しております。したがいまして、それらについて十分にフォローをして、現在の基準が将来にわたって十分であるかどうかということについては十分にフォローしてまいりたいと、かように考えております。
#196
○佐藤昭夫君 随分これだけで時間かかりましたけれども、そこで地震の話のついでに、こういう形でスロッシングが起こるという具体的な危険として、今どうですか、全国であるいは首都圏でこういった大型石油タンクというのは幾つぐらいあるんですか。
#197
○説明員(志村哲也君) 現在昭和五十九年三月三十一日現在の私どもの調査によりますところの全国の危険物の屋外貯蔵タンクは、大小含めまして九万四千六百九十五基という状況になっております。これは小さなものから非常に大きなものも含めての数でございます。
#198
○佐藤昭夫君 今言われたような石油タンクを初めとする危険物が特に首都圏地域に密集をしておるという実情ですけれども、そこでこの東海大地震の危険ももうつとに指摘をされておるところでありますし、また先ほどのこの四月の地震学会でももう一つ出ております重要な報告、これは新聞にも報道されたので御存じの方も多いと思いますけれども、七ないし八クラスの大地震、これが七十年周期で分析の結果あるというようなことが最近はっきりしてきたというこの報告が出ているわけでありますけれども、そうしますとこれは小田原地域です。そうしますと、過去から七十年という計算でいきますと一九九〇年、あと五年後に発生をするという、こういう危険が迫っているということでありますから、したがって事は重大。この防災対策についても本当に万全さと入念さ、これが必要になるということでありますけれども、こうした点で特にこの都市防災の問題というのは、これは科学技術庁長官もこの構成員の一員として加わっておられます中央防災会議、ここが昭和六十年に決めました重点施策の三本柱の一つに都市防災の問題というものを掲げてきておることはよく御存じのところだと思いますけれども、こうした点で科学技術庁としては特に防災に関する科学技術の研究開発、こうした点での特別の任務を負っておる。こういう点でありますし、どうか科技庁長官としてこういう防災対策の遺憾なき前進のために一層のひとつ努力を傾注をしてもらいたいというふうに思うんですが、その所信のほどをお尋ねしたいと思います。
#199
○国務大臣(竹内黎一君) お答え申し上げます。
 国民の皆様がこれからの科学技術の進歩にいろいろな期待を寄せていると思うのでありますが、私は特に一つはがんの本態究明とその治療法の開発、いま一つはこの地震の関係の予知あるいはまた防災技術について大変強いニーズを持っていらっしゃると私は判断をしております。そういう立場から、決して今日までやってこなかったわけではありませんけれども、今後一層意を用いてまいりたいと思います。
#200
○佐藤昭夫君 次に、レーザー法ウラン濃縮、これをめぐる問題についてお尋ねをいたします。
 現在我が国では原子力研究所と理化学研究所でレーザー法ウラン濃縮についての研究中でありますが、過日の新聞報道によりますと科技庁はレーザーウラン濃縮懇談会、こういうものを設置をして、アメリカからの強い要求もあり、原子力に関する機微情報、デリケートな情報、これに対する管理体制を強めて、例えば研究データの学会等での発表の制限などを検討中であるというふうに報道をされておるわけですけれども、まずこの報道が事実かどうかお尋ねします。
#201
○政府委員(中村守孝君) レーザー法のウラン濃縮懇談会でございますが、これは原子力局の中でのいわば勉強会として設けたものでございますが、この懇談会はレーザー法のウラン濃縮に関する実務者レベルの方にお集まりいただいての情報交換の場でございまして、レーザー法ウラン濃縮の研究を円滑に進めることを目的とするものでございます。したがいまして、開催に当たってのどういうことを議論するかということにつきましては、一つは米国を中心とする海外の開発動向、それから原子法による工学試験六カ年計画の進め方、分子法による原理実証計画の進め方、レーザー法の実用化の進め方ということでチェック・アンド・レビューとか、官民の協力体制、国の支援措置、そういったものについてお互いに緊密に情報交換をし、連絡協議をしましょうと、こういう開催の趣旨にもあるものでございまして、新聞記事に伝えられるような性格のものではございません。
#202
○佐藤昭夫君 新聞報道は事実はないということでありますが、それは当然この我が国の原子力研究開発の基本方針が原子力基本法によって自主、民主、公開を原則としているということからいって当然のことであります。ただ、念のため聞くわけですけれども、今後ある時期にある機関でこの新聞報道されているようなそういう原子力情報管理の問題、特に私が危惧をしておりますのは基本法の公開原則、これを見直しをする、こういったような問題を検討俎上に上せるということはあり得ると、また検討俎上に上せる必要があると、こういうふうに科学技術庁はお考えなんでしょうか。
#203
○政府委員(中村守孝君) ウラン濃縮の技術に関しましては現在の遠心分離法による濃縮技術もそうでございますが、いわゆる核の拡散という面から国際的にもそういった面での機微な情報についてはお互いに十分注意をしていこうと、こういう状況の中でございまして現在の遠心分離法の濃縮につきましてもそういう考え方で対応してまいっておるわけでございますが、当然のことながら原子力基本法に基づく成果の公開の原則というのがあるわけでございますので、できるだけ情報はやはりその原則に従って公開すべきであるという立場と二つの相矛盾するといいますか、相入れない面があるわけでございます。その点につきましては国際的なそういう核不拡散という線に沿いつつ、できるだけ公開の原則に沿って情報を公開していくというそういう考え方でこれに対応しているところでございますし、今後もそういうことで対応してまいる所存でございます。
#204
○佐藤昭夫君 少しそれこそデリケートな表現がされておるわけですけれどももう一つ念を押します。この原子力委員会は昨年から原子力法制研究会なるものを設置をして、原子力法体系の見直しを行っているというふうに聞くわけでありますけれども、ここで今私が問題にしておる基本法の公開原則見直しを取り上げているというわけではないですね。
#205
○政府委員(中村守孝君) そのようなものを取り上げて、その法制研究会ではやっておりません。
#206
○佐藤昭夫君 この核拡散防止条約との関係の問題というのは、今も口にされましたようにここ最近起こったことではもちろんないと。それから、さらに遠心分離法によるウラン濃縮開発、これについても我が国の場合はもう相当以前からやっておる問題だと、周知のこと。しかし、そのときに我が国の側からいろいろな理由を挙げつつそういう原子力情報管理の問題について基本法の見直しもあり得るかのようなそういうことを口にしたということは今まで全くないと。そこで今の段階で、できるだけというまくら言葉がついて、しかし公開原則はこれは引き続き守っていきたいという、こういう表現になっておるわけですけれども、私はやっぱり今この対外経済開放問題、あの問題とも結びながらこうした我が国の原子力開発政策に対してのアメリカからの介入、そうしてまたそれに対しての日本側の我が国の実情を重視をしないままのアメリカに対する屈従と、こういうようなことが起こったらこれは事は重大だと思うんですね。すなわち我が国の場合には平和利用に徹すると、こういう立場で原子力研究開発というのを一貫して今まで進めてきたし、これからも進めていくということは、あらゆる機会に政府としても明言をされておる問題だと思うんです。それと軍事的な見地も含めてアメリカから出てきてい
ることとこれが同列に扱われた。これはもう大変なことになっていく。そうした点でこれはぜひ大臣の見解をはっきりお尋ねをしておきたいわけでありますけれども、そういう一つは原子力開発政策についてあくまで日本の自主性をアメリカから言われてどうだこうだということでなしに日本の自主性を堅持をするということと、それからあくまで平和利用に徹していくそのためにも公開原則はこれは今後とも堅持すると、こうした点での長官のひとつ基本的な態度を確認をしておきたいと思うんですけれども、どうでしょうか。
#207
○国務大臣(竹内黎一君) ただいま先生お述べになったこと、私この場で確認をいたします。
#208
○佐藤昭夫君 それではもう時間も迫って、原子力研究所に御出席を願いましてわざわざ来ていただきましたので最後にちょっとお尋ねをしておきたいと思いますけれども、ほかでもありませんが、二月十五日発生をした原研大洗の被曝事故の問題であります。もう時間もありませんから事件の細かい内容とか経緯とか、そういうことは一切省略をいたしますけれども、とにかく二人の作業員の方が約二分間二・九レムとか二・六レムとかいうそういう放射線を浴びた重大事故が起こった、人身被曝が起こったということで極めて遺憾なあれでありますけれども、重ねてこの重大なことは最初の原研側の二月十五日の報告発表、これが虚偽で翌日の十六日に科技庁に訂正をすると。しかしその他茨城県とか近隣市町村等とマスコミ、こういうところに対しての報道というのは、やっと三月七日に、約その間二十日間近くたっていますね。やっと三月七日に訂正をすると、こういう形になっておるというのは何かわけがあったのかということでまことに理解ができないという問題がこれが一つであります。
 それから二つ目は、この種事故が起こりますと、往々にして事故の原因を当事者の行為や意識にだけ求めて、当事者の懲罰だけで事を済ませるという、そういう傾向が多いわけでありますけれども、これが正しくないということは言うまでもありません。幸い原研の方から科技庁を通していただきましたこの四月十日付の、原因はこういうことだ、再発防止のためにこういう方策を講じていくんだというこの報告書、これを読みますと、そういう当事者の責任追及ということだけじゃなくて、そもそもそういうことが起こり得ないようないろんな施設、設備等々、そういったものの改良、改善をどうするかということについての一定の努力方向がこの中で明らかにされておるということは、当然のこととはいえ、私としてはそれはそれとして評価をしたいというふうに思うわけでありますけれども、しかしまさにこの原子力研究所が日本の原子力研究のメッカとして一層国民の期待と信頼にたえ得るような万全の体制をどうつくるか、こういった点で実際に仕事をしている人たちにも仕事を通して痛感をしておるようないろんな意見があろうかと思うんですけれども、今後ともそういう意見をぜひ十分組み入れて、対応策を万全を期していただきたいというようなこと。
 それから、科学技術庁にはこれを他山の石として、他の原子力関係語機関に対してもひとつそういう被曝事故を完全に防止をする方策の一層の改良、改善、これを機会にひとつ指導の徹底を図ってもらいたいということをお尋ねをして終わっておきます。
#209
○参考人(宮永一郎君) お答え申し上げます。
 今回の原研の被曝事故に関連いたしまして、多大の御迷惑をおかけいたしまして、まことに申しわけなく深くおわび申し上げます。今後はこういうことが二度と起こりませんように全力を挙げて努力いたすつもりでございますので、相変わらずの御指導をお願いいたしたいと思います。
 ただいま佐藤先生からおっしゃられましたことは、我々の検討の過程でもすべて重要な問題として上がってきたことでございまして、御意見を十分踏まえた上で今申し上げましたような今後の努力を払いたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
#210
○国務大臣(竹内黎一君) このたびの事故につきましては、事故そのものが起こったことはもちろん、その発表に当たって適切さを欠いたという意味では私は二重の意味で大変遺憾だと、こう思っておりまして、私、原研の理事長に対しても厳重に注意をしたところでございます。また、先生のお手元にも届いているようでございますけれども、今回の経験にかんがみて原研の方におきまして一つの対策を考えているわけでございまして、私たちとしてもそういう対策の中に現場の大事な意見は取り入れられて行うべきものだと、こう理解をいたします。
#211
○委員長(馬場富君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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