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1984/06/21 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 科学技術特別委員会 第8号
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1984/06/21 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 科学技術特別委員会 第8号

#1
第102回国会 科学技術特別委員会 第8号
昭和六十年六月二十一日(金曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         馬場  富君
    理 事
                古賀雷四郎君
                志村 哲良君
                林  寛子君
                稲村 稔夫君
                塩出 啓典君
    委 員
                岡部 三郎君
                長田 裕二君
                藤井 孝男君
                安田 隆明君
                小野  明君
                本岡 昭次君
                八百板 正君
                伏見 康治君
                佐藤 昭夫君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       竹内 黎一君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      宇賀 道郎君
       科学技術庁計画
       局長       堀内 昭雄君
       科学技術庁研究
       調整局長     内田 勇夫君
       科学技術庁原子
       力局長      中村 守孝君
       科学技術庁原子
       力安全局長    辻  栄一君
       外務大臣官房審
       議官       渡辺  允君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        野村 静二君
   説明員
       国土庁大都市圏
       整備局総務課長  佐々木 徹君
       文部省学術国際
       局国際学術課長  長谷川善一君
       厚生省健康政策
       局医事課長    横尾 和子君
       資源エネルギー
       庁公益事業部原
       子力発電運転管
       理室長      倉重 有幸君
   参考人
       宇宙開発事業団
       理事       岩崎  隆君
       宇宙開発事業団
       理事       船川 謙司君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
○被曝(ばく)線量の規制緩和反対等に関する請願(第二〇六二号外一件)
○継続審査要求に関する件
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
○理事の辞任及び補欠選任の件
    ─────────────
#2
○委員長(馬場富君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。
    ─────────────
#3
○委員長(馬場富君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 本調査のため、本日の委員会に宇宙開発事業団理事岩崎隆君及び同理事船川謙司君を参考人として出席を求めたいと存じますが御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(馬場富君) これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○林寛子君 きょうは大臣が三時半ごろに御出席の御予定でございますので、私の持ち時間一時間のうち四十分御質問をさしていただいて、残りの二十分は大臣が御出席になってからということにさしていただきたいと思います。その点は御了承賜りたいと思います。
 まず第一にSTOLに関して質問さしていただきたいと思います。今、科技特の委員の皆さん方のお手元に回っているかもしれませんけれども、休会中も視察をしていこうという委員長のお話があるわけでございます。そのお手元の表をごらんいただいてもわかりますように、九月の終わりかもしくは十月の初めにかけてSTOLの視察をしようという話が出ております。
 そのことに関して、STOLというのは本来であればことしの科学博覧会のときまでに実験が間に合って、博覧会会場にSTOLでもってお客様を運べればという科技庁としても私どもとしても夢を持っていたわけでございますけれども、残念ながら研究がおくれましてことしの博覧会までにSTOLというものが完成を見なかったということで、その実験の成果が注目されているところでございます。
 御存じのとおり日本は島国でもございますし、短距離離発着のできるSTOLにかける国民の期待、また日本の地形からいってもぜひともSTOLというものが今後必要になるというこの必要性は既に皆さん御存じのとおりでございますけれども、その実験機の飛行試験が近づいているということで現在の進捗状態をまず御報告いただきたいと思います。
#7
○政府委員(内田勇夫君) お答え申し上げます。
 短距離離着陸機STOLは短距離離着陸性とそれから低騒音にすぐれた飛行機でございまして、必要な各種新技術の開発を目的として御案内のように航空宇宙技術研究所が昭和五十二年度からその実験機の開発を進めておるものでございます。
 現在の進捗状況でございますが、この実験機「飛鳥」と命名しておりますが、本年の四月にエンジンの搭載を最後に製作、組み立てを完了いたしまして、現在電気系統の試験、搭載エンジンの地上における運転試験等の試験を計画どおりに進めております。今後油圧系統の試験、それから地上走行試験等を順次に行うことといたしております。これらの試験を終わりました後、本年秋にはまずメーカーによる飛行試験を行いまして、その後航空宇宙技術研究所によります本格的な飛行実験に移るという計画にいたしております。
 ただいま先生方九月下旬、十月上旬ころに御視察をいただけるというお話でございますが、そのときには恐らく第一回の飛行試験を終了した段階でごらんいただけるであろうというふうに考えております。
#8
○林寛子君 大変成果の待たれるところでございます。
 STOLの実験飛行ができるということが確実になってきているわけですけれども、その結果このSTOLが航空技術の向上でどのような影響を今後与えていくのか、航空技術の面で社会に与える影響がどのようになっていくのか、また今後それによって日本の航空技術の展望というものがどう開かれていくのか、その辺について聞かしていただきたいと思います。
#9
○政府委員(内田勇夫君) STOL実験機「飛鳥」にはただいまのSTOL性を開発するためのUSB方式の高揚力技術というものを使っておりますが、単にこの技術だけでなく安全性及び効率向上を可能とするコンピューター飛行の制御技術、高精度の操縦のためのフライ・バイ・ワイヤ方式の技術、軽量化となる複合材の技術、あるいは低騒音化技術などの新しいいろいろな技術が組み込まれておりまして、これらは今後実施する飛行実験を通じて立証されるというふうに考えております。これらの新技術は今後開発される次世代の航空機にとって欠くことのできない先端技術でございまして、研究の成果は我が国の航空技術全般にわたってその向上に寄与するものというふうに考えております。
 また、これらの航空機の開発が国際共同開発というようなことを実施いたします場合におきましても、我が国が対等の立場で国際協力ができるというためのバーゲニングパワーとして非常に有効に活用されるであろうというふうに考えております。
#10
○林寛子君 そういう我が国の航空技術の面でこのSTOLの実験の成果というものが大変大きな影響を及ぼして、航空機技術というものはとかく日本は諸外国に、また特に先進国におくれていると言われておりますし、本来であればそれだけの技術能力というものは有する日本であると私も信じている一人でございますので、ぜひSTOLというものの技術開発とその成功を期することはもとよりでございますけれども、航空界において航空技術の向上のためにもぜひこのお金をかけたものを大きく生かしていただきたいと念じておきます。
 それから次に、宇宙開発について少し伺っていきたいと思います。このごろの新聞、テレビ、マスコミ関係におきましても宇宙開発の記事が多々出るようになっておりますし、世界じゅうが今宇宙開発について注目しているところでございます。宇宙開発が軍事的に利用されることはこのことはもう日本は論外でございますし、そういうことになってはならないということは日本の国民がみんな感じているところでございますので、戦略利用、軍事利用、そういうことに関しては全く日本は平和利用一点に絞って宇宙開発事業団も努力していることであろうと思います。私もそのために、宇宙開発というものは平和利用の点で、これからは日本の平和の安全も、そして資源のない日本の国が宇宙開発によって新しい展望を見るという大きな役割を、この宇宙開発によってできると思っております。ですけれども、宇宙開発の推進のためにいわゆる衛星だとかロケットの開発機会の増大が大変これから必要になってまいりますし、世界じゅうで競争しております。この間もフランスから多くの方が日本にいらっしゃいまして私どももお会いいたしました。どういうお話かなと思ってお会いいたしましたが、要するに売り込みでございました。大変そういう面ではアメリカもそうでございますけれども、フランスも一生懸命に自分たちの技術を商業化しております。そういうことに関して日本の宇宙開発推進のための今申しました衛星及びロケットの開発、そういうものが、やっぱり安全第一ではございますけれども、商業化している国に比べたら残念ながらまだ研究段階であるとしか言えないような状態でございますので、そういう点、宇宙開発の今申しました衛星とロケット開発の増大性というものをどのように見ていらっしゃいますか。また、今後の方策について意見を聞きたいと思います。
#11
○政府委員(内田勇夫君) 私ども宇宙開発、先生方の御支援をいただきまして積極的に進めておるわけでございますが、この宇宙開発と申しますのは開発期間が長期にわたり、また多額の資金、多くの優秀な人材の結集が必要であるというようなことでリスクも高いものでございます。したがいまして、こういうものは国が中心となってその推進を図っていくことが必要であるということでございまして、実利用分野につきましては宇宙開発事業団、科学観測の分野につきましては宇宙科学研究所がそれぞれ中心となって推進をしてまいったところでございます。
 実利用の衛星につきましては、開発を始めました時点におきましては米国はもちろんのこと、欧州等に比べましてもおくれてスタートしたわけでございまして、まず我が国の宇宙開発の基礎づくりということからスタートをいたしたわけでございますが、現在ようやくその基礎固めの終わりの段階から本当の自主技術開発を展開し得る段階に至ってきたというふうに考えております。
 我が国の宇宙開発は、通信衛星、放送衛星あるいは気象観測等の分野におきまして今や実利用の段階を迎えておりまして、ただいま先生から御指摘がございましたように、民間の利用も含めましてさらに宇宙開発の利用を推進していかなければならない。衛星ロケットの新規需要の開拓をいたしていかなければならない。そのためにも今後は信頼性のある技術の開発をするということはもちろんでございますが、単に技術的な面だけではなく経済的な面におきましても国際的に競合し得るような衛星、ロケットの開発を目標としてこれを進めていかなければいけないというふうに考えておるところでございます。
 そのためには宇宙開発事業団の技術を民間に効果的に移転するといった民間の活力を生かして我が国の宇宙開発産業が国際市場で活動できるようにすることが今後の大きな課題であると考えており、御指摘のような趣旨を踏まえて、私ども全く先生のおっしゃるような認識でございまして、今後ともそういった方向で宇宙開発の推進を図っていきたいというふうに考えております。
#12
○林寛子君 今局長の御答弁の中にありました宇宙開発を産業的にうまくというお言葉なんですけれども、きのうの新聞に既に発表されたと思いますけれども、アメリカのスペースシャトル・ディスカバリーがちょうどきのうアメリカの通信衛星テルスター3Dを切り離し静止軌道に打ち出した、これでディスカバリーは搭載した三個の通信衛星打ち出しをすべて成功したという報道がなされました。それと、私は今おっしゃったような宇宙産業の利用というもの、それが国際的に今アメリカでスペースシャトルによってたくさんの衛星が打ち上げられました。またフランスにおいてもそうでございます。この間も、今おっしゃったような日本の宇宙開発に民間の活力を生かそうという、またそうしなければならないという。ただ現実的に日本の場合は現段階では民間の衛星打ち上げの依頼を受け付けられない、またそれが上げられない。もしも日本の民間産業の皆さん方が独自の衛星を持ちたいといった場合には、それはアメリカへ注文をして、予約をして、そしてアメリカから打ち上げてもらうか、スペースシャトルによって打ち上げてもらうか、あるいはフランスに頼んで予約をとってお金を払って、フランスからアリアンロケットで打ち上げてもらうか、現段階では日本の民間人はそれによってしか衛星は上げられないわけでございますね。ですから、そういう意味で私は少なくとも民間活力を生かすためにとか、あるいは宇宙によって開発できるこれからの宇宙環境を利用した新素材の生産とか、そういう面は私は日本の民間、多くの夢を持ち、また現実的にはある報道機関では独自の衛星を打ち上げた会社もあるようでございます。けれども、残念ながらそれは日本のロケットによって打ち上げられたのではなく、日本の民間の会社は他国に頼んで、そしてお金を払って衛星を打ち上げた報告がされております。
 そのように現段階では民間の要望と日本の打ち上げの技術と、そういうものの需要と供給がまだバランスがとれてない、まだそこまで日本の開発がいってない。また日本のロケットの場合は多くの国民の皆さんの税金で打ち上げられているのであるから失敗は許されない。
 一つ例えますと、アメリカのスペースシャトルに一つ衛星を打ち上げてもらおうと思ったら、これは有人飛行でありますから、大変コストが高い。逆にフランスのアリアンロケットで打ち上げてもらいますと、これは無人ですから、コストが安い、同じものを打ち上げてもらうにしても。ただ、フランスの場合は無人ですけれども、もし何かあったときにはおたくが損するだけですよと。割合気軽にというと変な言い方でございますけれども、向こうは無人ですから、打ち上げるものの範囲がアメリカのスペースシャトルよりは拡大されている。そういう、私は今の世界の現状を見まして、日本の民間がもっと独自の衛星を上げたいというそういう希望の会社がたくさんあるわけでございます。
 過日、私が関係民間団体をお招きしてお話を聞いたところによりましてもかなりの皆さん方が打ち上げたい、また報道機関、新聞社のある会社も既に打ち上げてもいるし、これからも上げたい、個々にそういう衛星を打ち上げたい民間の多くの希望者に対して、今後少なくとも日本の宇宙開発においてこの宇宙の産業利用、特に宇宙環境を利用した新素材を生産するスペースファクトリーというものの重要性、しかもある民間人に私は意見を聞きましたら、材料を制する者が技術を制するとはっきりと断言されたわけでございます。その点において私は今後の宇宙開発、特にアメリカと協力しようとしている宇宙基地、そのために必要となるアクセスとしてのロケット技術の確立、そういうものに対して日本の必要性に対する対応の仕方あるいは展望も含めて聞かせていただきたいと思います。
#13
○政府委員(内田勇夫君) ただいま先生御指摘のございましたとおり、宇宙の利用の産業化ということを考えましたときにその宇宙へのアクセス手段、打ち上げロケットの開発というものが非常に重要である。自分の衛星を打ち上げたいときに自在に衛星が打ち上げられるようなそういう手段というものを持ちませんと、やはり本格的な産業化ということはなかなか難しいんではないかというふうに考えております。そういう観点から私ども打ち上げロケットの開発を進めておるわけでございますが、現在まで御承知のようにNI、NIIロケットを開発いたしまして、次にHIロケットが近く実用に移れる段階になっております。この段階で、例えばアマチュアの無線衛星といったような、民間のたくさんある打ち上げ希望のようなものの一部は吸収して打ち上げをすることができるわけでございますが、まだ、先ほどお話ございましたような、非常にたくさんのニーズに対応して、これですべてを打ち上げるというわけにはいかないわけでございます。したがいまして、私どもその次のステップとしてHIIロケット開発を進めておるわけでございまして、このロケット、昭和六十六年ごろに初めて試験打ち上げをするわけでございますが、これが開発できますと、約二トン程度の衛星を静止軌道に打ち上げることができるということでございまして、しかもこれは完全な国産技術でございます。自在な打ち上げができるということでございまして、このHIIロケットの開発に私ども今全力を尽くしておるところでございます。
 このHIIロケットは、第一段のロケット、第二段のロケットとも液体水素を燃料として使っております非常に進んだタイプのロケットでございまして、ただいま先生からお話ございましたヨーロッパのアリアンロケット、これも今HIIと並んで開発を進めておる現在のアリアンの次の世代のロケットと比肩し得るものでございますが、このロケットの技術と申しますものは、将来宇宙への、宇宙基地等へのアクセス手段へ発展できるような非常に優秀なエンジン技術でございまして、当面私どもはこのHIIロケットの開発に全力を尽くして進めて、推進を図っていきたいというふうに考えておるところでございます。
#14
○林寛子君 基本的な技術の向上ですね、それは当然のことでありますし、国産のロケット開発という夢ももちろんもう現実化しつつあるわけですから、それはそれでいいんですけれども、私は一番心配なのは、先ほどもちらっと申しましたように、他国は、特にフランスの場合を申し上げるといけないかもしれませんけれども、これ現実ですから申し上げたいと思います。例えばフランスがアリアンロケットで打ち上げるときには、ロケットができる前に、既に衛星のお客様を勧誘しているわけですね。ですから、今度打ち上げますから、この次は何月何日に打ち上げる予定ですから、どうぞあなたの衛星を上げてあげましょうと言って、これは世界じゅうにセールスして歩いているわけですね。ですから、私は少なくとも日本の、今おっしゃったような日本の国産技術によって、一〇〇%日本の技術でロケットを打ち上げる。また、これが確実に成功して、世界じゅうから日本へもどうぞ、商業用に、あるいは産業用にと、そういう衛星を打ち上げて差し上げましょうといったときには、私は既に世界じゅうのお客様は、オーバーな言い方かもしれませんけれども、既に他国にとられてしまっている。現実的に日本が一〇〇%国産技術を完成して打ち上げる能力を持ち、お客様を開拓するときには、顧客はすべて外国にとられて、いない。そういうような現実が今でもあるわけですね。ですからそういう意味で、私は実験も大変大事ですけれども、宇宙産業という面から見たら、少なくとも私は、もちろん安全を期すために時期が予測できないという日本の状態はわからないではありませんけれども、少なくとも宇宙の産業利用あるいは衛星を上げる、それは既に金額的にはペイしているわけですね、フランスにおいても、アメリカにおいても。ですから私は少なくともそういうことで、研究開発いちずに馬車馬のように目隠しをしてただ真ん前だけを見て研究しているのではなくて、少なくとも今後は他国に見られるような、研究する方は一生懸命研究するけれども、世界市場というものを横にらみに目を広げて、やはり私はそうしていかなければ、今申し上げましたように一〇〇%日本技術によって衛星を打ち上げる技術が完成したときには既に市場がない、日本が他国に入り込む市場は既にどこにもすき間がない、そういう状況になりかねないということが、私この間多くの方、外国の方、国内の方の民間人の御意見を聞いて、大変これはすごい競争市場だなと、既に他国によって制覇されつつあるという心配をしたわけでございます。ですから私は宇宙開発事業団に商売をしろというのではございませんけれども、物というのは、やっぱりロケットが完成して、衛星をまず運んで上げてみるというその回数がやっぱり世界じゅうの信用につながって、アリアンでも、あるいはアメリカのスペースシャトルでも顧客はふえているわけですね。ですから私は回数によって世界じゅうの信用と、またその成功度によって日本の宇宙開発というものでの信頼性が出てくるということであれば、私は少なくとも並行してそういうこともこれから日本としては考えなければ、宇宙産業としては成り立っていかないというふうに思うんですけれども、その点に関していかがですか。
#15
○政府委員(内田勇夫君) 私ども全く同感、先生のおっしゃるとおりであるというふうに考えております。
 まず開発する側から申しますと、先ほど申し上げましたように、まず技術的な信頼性はもちろんでございますが、やはり経済的に国際的な競争力のあるものを開発しなければならない。これがまず第一でございます。
 それから第二点といたしましては、産業化を図るにつきましては、先ほど申し上げましたように、国が中心となって開発しましたその技術というものをできるだけ早く、円滑に民間に渡しまして産業化が図れるようにするということが第二点だと思います。
 そして第三点は、ただいま先生からお話ございましたように、やはり技術が完成した時点において初めて商売のことを考える、産業化を考えるというようなことではやはり遅いわけでございまして、並行してただいま先生のお話のあったようなことを努力していかなければいけないというふうに考えております。
 ただ、そういうつもりでおりますけれども、HIIロケットにつきましてはまだコンセプトを今固めておる段階でございまして、今すぐそういうことを始めるのにはちょっと早い段階で、できるだけ早くそういうめどのつきました段階でそういった産業化を図るという努力をいたしたいというふうに考えております。
#16
○林寛子君 時間がありませんので、こればかりをしておれませんけれども、どうか日本の国の宇宙開発というものに対して、国産の技術の向上はもとよりのことではございますけれども、国際協力の推進をやはり基本方針としてこれを進めていっていただきたいし、その協調と、またこの宇宙開発の技術協力というものを、ぜひアジアに対しても向けていただきたいということ、これ時間がありませんので、要望だけしておきたいと思いますので、お願いいたしたいと思います。
 それから次に、これは今月の新聞でございます。テレビでも報道されました。御存じのとおり、アメリカのヘリントンエネルギー長官が発表されましたウラン濃縮の次世代技術についてでございます。これに関して報道されましたとおり、ヘリントン米エネルギー長官の「レーザー濃縮法の方が遠心分離法に比べ生産コストが安く、米国産濃縮ウランの国際競争力回復に役立つため」ということでレーザー濃縮法というものを取り入れると、それに切りかえるという発表がなされたわけでございます。少なくとも私どもはこれがなぜ急に出てきたんだろうと思っていたわけでございますけれども、アメリカのこの決定までにはエネルギー長官の諮問機関として技術評価審議会というものが約一年にわたって遠心分離法とレーザー濃縮法の二つの方式について技術評価を実施し、そしてその報告が五月にこのエネルギー長官に渡され、それによって決定したというこの私は結果を見まして、日本の現在行っております遠心分離法、そういうものとの兼ね合い、また日本が今後このウラン濃縮開発に対するアメリカと日本の方式の差、その辺のところがどうなるのか、あるいはまたこの発表をどういうふうに見ていらっしゃるのか、その辺のところを伺いたいと思います。
#17
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、六月五日に米国エネルギー省が将来のウラン濃縮技術としてレーザー法を選定し、今後は遠心分離法の開発をやめるということを発表されました。と同時に、現在のウラン濃縮事業につきまして現在あります三つの拡散工場、それからポーツマスに建設中の遠心分離工場と、こういうものがあるわけでございますが、これのうち拡散工場の一つを運転休止、それからポーツマスの遠心分離工場の建設計画は中止と、こういう決定をされたわけでございます。
 問題はこの背景でございますが、いろいろ推測される意見もあるわけでございますが、米国が公式に発表している範囲で申し上げますれば、まず米国の世界のウラン濃縮市場における位置でございますが、一九七四年ごろは一〇〇%市場を独占しておったのが、最近ではヨーロッパ勢の進出によりましてこれが侵食されまして五〇%以下に低下しておるという実情があるわけでございます。このため現在アメリカが持っております三つのガス拡散工場の能力が需要をオーバーしており、二〇〇〇年までの間はこの拡散工場で十分対応できると、三つのうち一つを休止させても対応できるというような状況になっておるわけでございまして、そういたしますと、トータル的に考えますと、遠心分離工場を追加的に施設して、遠心分離工場の方が拡散工場よりも経済性はよろしいわけでございますが、追加的な支出をするよりも、むしろ現在ある拡散工場を効率的に運転させる、一つの工場を休止して二つの工場で集中的に効率的に運転するということの方が経済的であるということで当面の遠心分離工場の建設計画を取りやめたものでございます。
 それからレーザー法と遠心分離法の比較につきましては、先生御指摘のように、一年余にわたりまして専門家の方々が検討いたしました結果の報告をもとにヘリントン長官が決断をされたわけでございます。この評価委員会での決定の報告の中では、遠心分離法につきましてアメリカの開発状況というものが文章上からだけ言いますと十分なものでなくて、まだ将来の経済性のいい遠心分離器というものについては、研究開発用の遠心分離器でさえまだ設計バロメーターが決まっていない段階だというような表現もございます。
 しかし、一方レーザー法につきましても、完全にこれが技術として成立するという見通しを立てているわけじゃございませんで、これがうまく実用まで持っていけるかどうかについては、さらに相当な規模で実証研究をしていかなければいけないという趣旨の報告もございます。
 ヘリントン長官の談話の中にもございますように、レーザー法は二十一世紀の技術であるということで、米国としては当面実用化の近い遠心分離法につきましては、ガス拡散工場で十分今世紀中は賄えるということもあるし、それよりもむしろ長期的に展望をして将来のアメリカのウラン市場における優位性を確保していくためには、レーザー法の方に若干の危険性はあるけれども取り組んでいった方がよいと、こういう判断をされたわけでございます。
 それからアメリカにつきましては、このレーザー法は既に十年以上の研究成果がございまして、かなり規模の大きい施設での研究成果も出ておりまして、そういったデータをもとに評価されておるわけでございます。
 ただ、このレーザー法の技術というものは遠心分離法以上に非常に機微な情報をたくさん持っておるわけでございますので、私どものそういったデータについてはアクセスできない状況にあるわけでございますが、日本の現状を申し上げますと、レーザー法につきましては、原子力研究所でようやくいわゆる原理実証が終わりまして工学的な規模での実験をするということで、昨年度から原研で原子法の研究を始めたと、これを五年ぐらいで一応のデータが得られるだろうということで、これを着実に進めるということでやっておるわけでございます。
 それともう一つレーザー法では分子法というのがございますが、これについては原理実証の実験をすべく本年から理研が始めたという状況にございます。
 そういう意味で、私どもが客観的に現段階でレーザー法と遠心分離法の比較をするということについての十分な資料は持ち合わせておりません。したがいまして、当面米国の判断というものを具体的なデータに基づいて批判するといいますか、評価するということができないわけでございます。しかし、いずれにいたしましてもヘリントン長官が言っておられますように、レーザー法というのは今もうすぐ実用に供せられるという技術ではもちろんございませんで、これを実用工場の技術として採用するということを米国として決定したわけではないと、二十一世紀の技術としてこのレーザー法に研究開発の努力を集中していくんだと、こういう決定をしたんだということでございます。
 我が国では先ほど申しましたようなレーザー法の研究開発の状況にあり、かつ遠心分離法の開発につきましては、先生御承知のように、現在人形峠で実証プラントを建設中でございまして、次に続く商業プラントの建設に必要な実証的なデータがもう取得できる段階になり、これをもって次の商業プラントができるわけでございますが、レーザー法というのはかなり先の方にこれから研究開発をして実現まで持っていくには極めて長期間を要すると思います。国内に濃縮工場を持たない我が国としては、この二十年来の研究の成果である遠心分離法、これによる工場を現在下北に進めております核燃料サイクル基地に建設するということでございます。
 ただ、米国同様長期的な展望といたしましては、レーザー法についての取り組みというものは必要かと思いますので、原子力研究所での研究なども促進してまいり、できるだけ早い機会に確実
なデータを、評価できるだけのデータを集めて長期的な展望をしてまいりたいと、さように考えておる次第でございます。
#18
○林寛子君 時間がございませんので、今言われましたように、専門家のアメリカの技術評価審議会が一年かかって研究した成果でもってレーザー方式を採用したと、決定したということが言われているわけでございますから、少なくとも二十一世紀にならないと成果もわからないし、これは二十一世紀の問題だという今の答弁がございましたけれども、私は少なくとも二十一世紀になったときに経済性というものがレーザー方式と遠心分離方式とどっちがといえば、二十一世紀に至るときにはレーザーの方が安いであろうということでレーザー方式に決定したと書かれておりますことだけは、少なくともできるだけ早く資料を集めて今後の日本のためにも、日本は、現在のウラン濃縮のための遠心分離法は世界で一番よくできたと私も信じておりますけれども、将来に向かって一刻も早く検討に入っていただきたいことを要望しておきます。
 核融合に関してもう少し聞きたかったんですけれども、時間がございませんので最後の質問にしたいと思います。
 ことしの四月でございましたか、原子力研究所の臨界プラズマ試験装置のJT60、実験開始されましたね。それに対して現在、プラズマ点火の確認後順調に実験が進んでいると私は聞いているんですけれども、現在までに得られた成果と今後の見通しについて伺って質問を終わりたいと思います。
#19
○政府委員(中村守孝君) 原子力研究所で進めております臨界プラズマ試験装置JT60につきましては、おかげさまで建設が終わりまして、既にファーストプラズマを点火し、その後着実に実験を進めておるわけでございまして、現在までに既に、目標値は二百七十万アンペアでございますが、短期間の間に百万アンペア、継続時間三秒というデータを得ておりまして、ヨーロッパのJETとかアメリカのTFTR等と比較しましても遜色のないようなデータが得られつつあるわけでございます。
 特に、原子力研究所のこのJT60の特徴は、プラズマ中の不純物除去を目的としたダイバータ装置を有しておるということでございまして、この装置も所期の効果を発揮して、きれいなプラズマができておるということが実証されております。さらに今後は、このプラズマ温度を高めるということが臨界条件を達成するためには必要でございます。その加熱装置の据えつけを行うことが必要でございまして、加熱装置は既に現地に運び込まれておりますので、これを据えつけを行い、六十一年の一月から加熱実験を開始いたしまして、六十二年度には臨界プラズマ条件の達成を目指したい、このようにやっておるところでございます。
#20
○林寛子君 あとは大臣が御出席後にしたいと思います。
 以上で終わります。
#21
○本岡昭次君 放送衛星問題について若干の質問をいたします。
 放送衛星BS2aは昨年一月二十三日、宇宙開発事業団のNIIロケットで種子島宇宙センターから打ち上げられました。当委員会も種子島へ打ち上げの視察を行いました。私も参加をしまして、初めて放送衛星BS2aの打ち上げを目の当たりに見て、ある意味では感動し、また別の意味では今後のニューメディア時代というものについていろんな意味で関心を持ったのであります。
 しかし、その打ち上げは成功したものの、その後、中継器等の故障が起こって、BS2aは、放送衛星が試験放送ということになってしまいまして、国民は国民なりに期待をしておったのが裏切られたということになったと思います。
 現在、その故障原因の究明を宇宙開発委員会でやっておられると思うんですが、その調査状況は一体どういうことになっているのか。昨年十月に下部組織の技術小委員会が中間報告を出していますが、当初予定していた取りまとめ時期が大幅におくれているようですが、その間の事情はどうだったのか、また結論はいつごろ出るのか、科学技術庁の方にお伺いをしたいと思います。
#22
○政府委員(内田勇夫君) お答え申し上げます。
 ただいま先生からお話ございましたように、昨年一月二十三日に打ち上げました放送衛星二号aに搭載いたしました三系統の中継器のうち二系統にふぐあいが生じまして、現在一チャンネルによる試験放送を実施しておるところでございます。
 宇宙開発委員会では、この事態を厳粛に受けとめまして、原因究明及び今後の対策について検討を行うため、昨年五月、宇宙開発委員会に放送衛星対策特別委員会を設置いたしまして、調査、審議を進めてきたところでございます。
 この特別委員会は、小委員会を含めまして二十回の審議を経まして、昨年の十月十九日、BS2a中継器に生じたふぐあいの原因の推定及びこれに対し必要と考えられる対策をお示しになったわけでございます。
 宇宙開発事業団におきましては、この報告に基づきまして、BS2aの次に打ち上げます2bの中継器の進行波管に熱を逃すための銅板の取りつけ等の対策をいたしまして、本年の一月十二日からこれらの対策についての有効性の確認をいたすために熱真空試験を開始いたしました。
 この試験の途中におきまして、進行波管の交換が必要となったことからこれを取りかえまして、さらに慎重な試験を続けまして、五月の二十三日にこの試験が終了いたしたわけでございます。この試験がやや当初の予定より長引きまして、全体のスケジュールのおくれとなったというふうに考えております。
 そして、放送衛星対策特別委員会におきましては、この試験状況の報告を受けまして五回にわたり慎重な審議を重ねまして、その分析、評価結果をとりまとめて、六月十九日、一昨日でございますが、放送衛星二号b中継器に講じた確認試験の評価報告を宇宙開発委員会に報告をされたわけでございます。
 この報告では、確認試験の結果は良好で、BS2b中継器に講じた対策は有効であり、軌道上のBS2a中継器と同様なふぐあい発生の可能性は少なく、「宇宙開発事業団において、打上げのための準備作業を進めることは妥当である」という結論でございます。これに基づきまして、宇宙開発事業団においては、今年度冬季にBS2bを打ち上げるべく所要の作業を進めておるところでございます。
#23
○本岡昭次君 来年の一月から二月に実用放送衛星のBS2b――ゆり二号b、それの打ち上げをやる予定で現在進めているということなんですが、今までの経緯をずっと見ていきますと、次々とおくれてきているんですね。再度確認というのもおかしいと思うんですが、今おっしゃったように、この委員会でBS2bの打ち上げ時期というものが、来年の一月から二月という時期を再度延期しなければならぬというふうな事態はもう絶対起こらないのかどうかという問題についてひとつ伺っておかなければならないほど何か次々次々とあれはおくれているんですね。その点再度ひとつ確認をしておきたいと思います。
#24
○政府委員(内田勇夫君) ただいまお答え申し上げましたように、BS2b中継器に講じた対策確認試験の評価につきましては、BS2aの中継器と同様なふぐあい発生の可能性は少ないと報告がされまして、宇宙開発委員会としてこれを了承いただいたところでございます。
 したがいまして、現在宇宙開発事業団において打ち上げ準備を慎重に進めておるところでございまして、ただいま先生おっしゃいましたように、絶対にと、こう言われますと、非常に何ともお答えしにくいわけでございますが、私ども現時点において打ち上げの再延期をもたらすようなことはないというふうに考えております。
#25
○本岡昭次君 同じことを宇宙開発事業団に伺っておきたいと思います。
#26
○参考人(船川謙司君) 現在軌道上にございますBS2aの二チャンネルのふぐあい、それから、
それに続きますBS2bの、今度は対策を施しました中継器に対しましてのいろんな試験におきまして、こちらの試験の方でもふぐあいが発生いたしまして、結果としまして大変打ち上げ時期がおくれることになりまして、開発を担当しました事業団としましては大変申しわけないと思っております。
 ただいま局長から御説明いただきましたように、BS2bに施しました進行波管内の異常な温度上昇を防ぐという対策は、長期にわたりまして宇宙空間を主にしました試験をしてみました結果、有効であるというふうに我々も判定しましたし、また、宇宙開発委員会特別委員会の方でもそういう御判定をいただいておりますので、我々としましては、同じようなふぐあいが起こる可能性はまずほとんどないというふうに考えております。
 今後、先ほど局長からお話がありましたように、衛星全体のシステム試験あるいは射場搬入後の準備作業を慎重に行いまして一月期の打ち上げを確保するよう作業を進めたいと考えておる次第でございます。
#27
○本岡昭次君 それでは、次のこれに関連する問題で、ロケットの打ち上げの保険料率等々の問題がいろいろあるようですので、その点についてお伺いします。
 各国の宇宙衛星のトラブルが非常に多くて、各国の保険会社が、人工衛星打ち上げの保険料率を従来の一一ないし一二%から二〇%前後まで引き上げてきているというふうに言われています。そこで、このBS2bの打ち上げ保険について現在、保険会社からそうした従来の保険料率を引き上げてほしいというふうな話が来ているのかどうか、また、本年度予算の打ち上げ保険料率は何%で何億円程度であったのか、さらに保険料率が、うわさされているように二〇%に引き上げられるというふうなことになった場合、宇宙開発事業団の保険料支払いの予算上の問題というようなものは起こってこないのかどうか、そうした点について科学技術庁及び宇宙開発事業団の見解を伺っておきたいと思います。
#28
○参考人(岩崎隆君) 打ち上げ保険につきましては、通例打ち上げの三カ月程度前から交渉を開始するということにいたしておりますので、まだ交渉はいたしておりません。ただいま御質問のような保険会社からの料率についての希望等も出ているわけではございません。ただ、最近世界的にかなり衛星打ち上げの事故が起きております関係上、かなり高い保険料率になっているという情報はあるわけでございます。
 なお、予算の金額及び保険料率につきましては、ただいま申し上げましたように保険会社との交渉をこれから控えておりますので、大変申しわけないのでございますけれども、具体的な数字につきましては御容赦をいただきたいというふうに存じます。
 本年度予算におきましては、申し上げましたような保険市場の動向をも考慮いたしまして従来よりは高い料率を見込んで措置はされておりますので、極力私どもはそれでもって保険会社と交渉いたしたいと思っておりますが、もし先生がおっしゃられましたような状況になりましたら、関係機関とよく御相談をいたしまして適切に対処したい、そのように考えております。
#29
○本岡昭次君 科学技術庁の方にお伺いしますが、その保険料をあらかじめ予算で決めてやればこれは大変なことになるというのは常識でわかります。しかし、国の費用でやっているものなんですから、保険料が高いからといって今度は逆に打ち上げをやめるというわけにもいかないだろうし、かなり保険料率のことは問題になると、こう思うんですね。だから、できるだけ安い保険料率でおさめることにこしたことはないわけですけれども、科学技術庁の方として、まさか、その保険料率が、いわゆる科学技術庁の予算上の問題と合わないからロケットの打ち上げをまた延期しなければならぬというふうな予算上の絡みから起こってくるようなことはないんでしょうね、という点を伺っておきたいと思います。
#30
○政府委員(内田勇夫君) 私ども、ただいま先生から御指摘ございましたように、最近の海外における打ち上げの失敗等に基づきまして高い保険料率が課せられるような国際的な傾向にあるということは承知しております。したがいまして、私ども、そういった動向を踏まえまして、国際的に見ましても、合理的な範囲内で従来より料率が高くなるというようなことがもしありましても、そういう場合にも対応できるように予算上の措置もしてございますし、また、その具体的な問題が起きまして先生御指摘のようなことがございましたときには適切に対処できるように指導していきたいというふうに考えております。
#31
○本岡昭次君 保険は、打ち上げ保険ともう一つ寿命保険というのがあるようです。現在、実用放送衛星BS2aには、宇宙開発事業団またNHKのいずれも寿命保険を掛けていなかった、何か十日間ほどの空白期間ということが問題になって掛けることができなかったというふうに新聞で私は知ったのです。
 原子力船「むつ」の場合も、事故が起こったという問題について、その修理することとその保険という問題がかなり問題になりました。言ってみれば、国の責任で進めていったその責任というものが問われるということで、原子力船「むつ」の場合もかなり問題にいたしましたが、現在のBS2aの場合もこの寿命保険の問題が抜けてしまったということになっております。
 そこで、なぜそうなったのかという問題、なぜできなかったという問題はここで問いません。しかし、これから打ち上げるBS2bに対しては、2aのときのように空白期間が生じない形で寿命保険と打ち上げ保険というものが掛けられるのかどうか、というよりも掛けるべきであると私は考えるんですが、その点について科学技術庁及び宇宙開発事業団にお伺いをしたいと思います。
#32
○参考人(岩崎隆君) 寿命保険は、建前といたしましては、ユーザーの方で保険を掛けられる、打ち上げ保険の方は私ども宇宙開発事業団において掛けるという体制になっているわけでございますが、申すまでもなく、私どもも、NHKがお掛けになる寿命保険につきましていろいろといわば御一緒にこれを支援を申し上げるという立場にあるわけでございます。ただいま先生が御指摘になりましたように、寿命保険と打ち上げ保険につきまして、その間に空白が生じないようにするということは、BS2aの経験によりましても非常に大切なことだというように私どもも認識をいたしているわけでございます。ただ、先ほどの保険料率についても申し上げましたようなことから、海外における保険市場の状況というのはかなり厳しいものがございまして、最近におきましては、寿命保険に関しましても、打ち上げた衛星の作動状況を実際にチェックをした後でないと寿命保険を掛けることが大変難しくなっているというのが現状であることは事実でございます。そういう意味で、難しい問題を抱えてはいるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、打ち上げ前三カ月程度のところから具体的な保険交渉を開始するわけでございますが、私どもはNHKにも十分に御協力を申し上げまして何とか空白期間が生じないような寿命保険の掛け方ができないものか、そういう交渉をまずぜひやりたいというように考えている次第でございます。
#33
○本岡昭次君 科学技術庁。
#34
○政府委員(内田勇夫君) ただいま宇宙開発事業団からお答え申し上げたとおりでございまして、実は私どもこの寿命保険につきましては、打ち上げ保険と一緒にして掛けられないかということを大分検討いたしたのでございますけれども、やはり国際的な保険の習慣といたしまして、寿命保険というのは生命保険と同じでございまして、子供が生まれてからでないと掛けられないということだそうでございまして、やはりそのルールは変えられないということのようでございます。したがいまして、前回ございましたような空白を生じないようにということが一番大事なことでございまして、そういったような保険の空白を生じないように寿命保険を掛けるということで、事業団、ユーザー、お話し合いをしてそのようにしていただきたいと思いますし、また必要あれば私どもまた郵政省とも協議いたしましてこれを支援していきたいというふうに思っております。
#35
○本岡昭次君 宇宙開発事業団とNHKが当事者ではありますけれども、今局長も言われたように、科学技術庁あるいは郵政省、そうしたところは国の事業としてこうした問題についても十分対応をしていただきたいということを強く要望をしておきます。
 そこで、今のことに関連して出てきているんだと思うんですが、六月十四日の日本経済新聞によると、宇宙開発事業団はBS2bの次に上げる本格的な大型の実用放送衛星BS3の受注に名のりを上げている東芝とかあるいは日本電気とかいった企業に対して、「打ち上げ後衛星が正常に機能しなければ契約額の一部を徴収し、」これは罰金を取るということですね、それで完全に働けば褒美を上げましょう、褒賞金を払いましょうということで、何か契約額調整条項というのですか、こういうものを契約に盛り込むことを提案したと報道されています。このことは、今言いましたように、生まれてみなければわからないものに対して保険を掛けるということについての難しさを製作する側に肩がわりをさせて、うまくいかなければ保険的な意味の罰金をもらう、うまくいけば保険料を払わなくてもいいんだからありがとうございましたという礼を渡そうということになって、これも一つの解決の方法かと思いますが、しかし、保険制度というものがある状況の中では、やはりこうしたものを企業との間において、うまくいけば褒美を、だめであれば罰金をというふうな形での契約じゃなくて、故障した場合、機能しなかった場合はそれは保険でというシステムの中でやる方が順当ではないかというふうに私は個人的に思います。どうですか、この新聞で言っているような契約額調整条項という問題を契約に盛り込んでそしてメーカー側と契約をしていけるという最初のスタートのところ、BS3aの場合うまくいくのですかどうですか。
#36
○参考人(岩崎隆君) 新聞に記事が載っておりました契約額調整条項につきまして、私どもこれについて検討をいたしておることは事実でございます。またそれに関しましてメーカー等の意向を打診をいたしましたり、また予算制度上の問題等をいろいろと検討をしているという段階でございます。そもそも契約額調整条項と大変難しい言葉を使っておりますが、アメリカやヨーロッパにおきましては、打ち上げ後の衛星の状況、いわば成績に応じまして主として利益の額の範囲内ではございますけれどもその額を調整をするといういわゆるインセンティブ契約というものはかなり広範に見られるわけでございます。私どもも、衛星の打ち上げ等によりまして生じました損害というものがあります場合に、その補てんの基本が保険である、それはもう先生御指摘のとおりであるというように思っております。
 ただ一方におきまして、もちろん限られた幅の範囲内でございますけれども、そういう成績がよい場合にはある程度のボーナスを差し上げるが、成績が悪い場合にはある初めから決められた額の範囲内では逆にお金を戻していただくというようなシステムというのがメーカーの成功への動機づけと申しますか、インセンティブというのはまさにその意味だと思いますけれども、そういう意味でもやはり意味がある制度ではないかというように思っているわけでございまして、そのようなことでこのBS3に関しましてはある程度のものを導入をいたしたいというように私どもも考えているわけでございます。
 そこで、その見込みはどうかというような御趣旨の御質問であったかと思うわけでございますが、メーカーの方におきましても、これを導入することにつきましては前向きに考えたいという意向を持っていただいております。ただ、新聞にも載っておりましたように、問題はやはりその幅でございまして、その幅につきまして新聞記事に載っておりましたような大きな幅というものを、特にユーザーの方からはそういう御要望もございましたので、そういうことでメーカーの方に御意向を打診をしたことも確かにあったわけでございますけれども、そういう大きな幅は困るというやはりメーカーの方の意向もございまして、現在はより現実的な線においてどの程度のことをやるかということを詰めておる。基本は、やる方向については、メーカーの方も了解をいただいておることでございます。
#37
○本岡昭次君 続いて同じ新聞の六月十八日の記事に、「宇宙開発事業団が六十四年初めに予定している実用放送衛星BS―3aの打ち上げを一年半延期する方針を固めた」こうありますね。ところが、こう出てくると、今言いましたややこしい契約額調整条項というんですか、その問題が新しい双方の論議になって、そこのところで折り合いがつかないからこのBS3aの打ち上げも一年半延期しなければならぬというふうになったとすれば、どうもこの宇宙開発計画という問題全体に対する影響が少しこれは大き過ぎるんではないかと、全体の流れの中からこう私は思ったんですね。
 それで、一体BS3aの打ち上げを一年半延期する方針を固めた理由、いやそうではないんだとおっしゃるならそうではないということでいいんです。こういう延期の方針ということが事実であれば、どのような理由なのか。そしてまた、そういうことになりますと、いろんな意味での全体の、宇宙開発計画よりも、そのことによって、一番初めに言いましたように、ニューメディア時代到来ということでいろんなことに関連してくるこの一年半だと思うんですね。そういうようなものについてどういうふうに考えておられるのか、最後にお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
#38
○参考人(船川謙司君) BS3のスケジュールにつきましては、現在宇宙開発計画で六十三年度に初号機を打ち上げるというふうに決められているわけでございまして、事業団といたしましては、それのスケジュールを守れるかどうかということをずっと長い時間をかけまして検討してきたわけでございますが、BS2aの故障ということが起きまして、非常に我々としましても技術的な問題で反省させられているわけでございます。やはり信頼性のより一層の確保ということがどうしても必要であろうと、そのためにはBS2の場合も故障後言われましたように、非常に長期の熱真空試験というようなものを含む開発の試験を節目節目に十分やっていかなきゃいかぬだろう、十分慎重な試験を積み重ねていく必要があるというふうに技術的な反省をしているわけでございまして、主としてこういう技術的な反省の上に立ちまして開発スケジュールを見直した次第でございます。
 それと、もちろんこういうBS2aの故障の問題が起きましたので、そういう技術的な検討のほかに、計画の進展が全般的におくれたというようなことがございまして、まだ開発の着手に至っておりません。これは、今申し上げたような技術的な問題のほかにいろんなユーザーとの話し合いその他が要りますので、そういう話し合いに時間をとってまだ開発着手に至ってないというようなことがございまして、BS3の打ち上げ時期を延期せざるを得ないだろうというふうに事業団内部で判断したわけでございますが、新聞では既に決定したように書いてございますけれども、決して事業団だけでそういうことを決めているわけではございませんで、こういう状況になっておりますというようなことで関係機関の方々に御説明して、それぞれ検討していただいているところでございます。
#39
○政府委員(内田勇夫君) お答え申し上げます。
 最終的な打ち上げの時期の決定等は宇宙開発委員会におきまして宇宙開発計画により決定するということになっております。
 ただいま、現在の宇宙開発計画よりBS3の打ち上げ時期がおくれるのではないかということで
ございますが、この宇宙開発計画というのは毎年七月から八月にかけまして関係機関の要望を聞いて見直すことになっておるわけでございます。したがいまして、本年もその作業をいたすわけでございますが、現在まだ宇宙開発事業団からスケジュールの見直しについての御要望は出ておりません。
 これは宇宙開発事業団といたしまして、BS2bの打ち上げ延期等の原因等を踏まえまして内部で御検討になり、そして関係機関といろいろ協議を事業団としてしておられるという段階であるというふうに了解しております。そしてその結論が得られましたらば、事業団の方から見直しの要望が提出されるであろうというふうに考えております。
 宇宙開発委員会におきましてこの要望を踏まえまして、ユーザー側、開発側の意見を踏まえまして、専門家の意見を伺いながら、その影響が最小限になるように十分慎重に検討をして決定をいたしたいというふうに考えております。
#40
○本岡昭次君 終わります。
#41
○稲村稔夫君 私はきょうは東京電力の原子力発電所柏崎・刈羽一号機の二次冷却水系の事故のことについてと、それから体外受精の問題について、二点についてお伺いをしたいというふうに思っておりますが、本日の長官の御出席していただける時間等の関係がありますので、とりあえず通産省のエネルギー庁とそれから厚生省の方にお伺いをして、科学技術庁の方は長官お見えになったところでまたいろいろと総合的にどうとらえるかということを伺っていきたい、このように思いますので、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
 そこで最初にエネルギー庁の方にお伺いをしたいんでありますけれども、去る五月三十一日に東京電力柏崎・刈羽原発一号機の二次冷却系の海水漏れの事故があったということで、大分地元の新聞等でも報ぜられ、関係者にいろいろと心配がもたらされているということになるわけでありますが、当然事故の報告を受けられて総合的に掌握をしておられると思いますので、まず事故の概要について明らかにしていただきたいと思います。
#42
○説明員(倉重有幸君) お答えいたします。
 東京電力柏崎・刈羽一号機の発電所の試運転中に復水器B系統の再循環水配管から約七トンの海水が漏れたというトラブルでございます。
 その事故の概要につきまして御説明いたします。
 五月三十一日午後二時ごろでございますが、東京電力から通産省に対しまして、柏崎・刈羽発電所一号機が一〇〇%出力で試運転中のところ、一時二十九分でございますけれども、海水リークという警報が出まして、循環水ポンプ三台のうち一台をとめたという旨の実は報告を受けております。
 その後、同じ日でございますけれども、漏水箇所は、先ほど言いましたように、復水器のB系統、この系統は三系統ございますが、そのうちのB系統の循環水配管の復水器の手前のところでございますけれども、約十ミリ程度の範囲に腐食と見られる微小な穴数カ所が認められるということ、それから当該箇所の応急復旧を行って、安全確認のうち、現状出力六〇%からまた一〇〇%に復帰したいという実は報告を受けております。
 その後、六月十一日にプラントを停止いたしまして、直ちに循環水配管の水抜き作業を行いまして、漏えい箇所の点検が行われたわけでございます。で、これらにつきましては、私ども発電所に常駐させております運転管理専門官からも報告を受けておりますが、復水器入り口側の循環水配管の配管の外側に実は取り付けておりますつりピースというのがございます。これは配管の据えつけ工事用に配管の外側に取りつけたつり金具でございますが、その取りつけの隅肉溶接の近傍に実は穴があいたということで、貫通しております。それから貫通した穴は直径約二センチメートルである。それで円錐状に広がっておりまして、内面での直径は約七・五センチメートル、それから管の内面の塗膜、これは海水が中を通るわけでございますので、腐食の観点から実は管の内面に塗膜をしております。そして当該部において欠損しているということを実は確認しております。
 以上でございます。
#43
○稲村稔夫君 当初の報告と十一日ですか、とめてからの報告と少々食い違っているところがありますね。例えば傷の状況というのが当初は微小な穴が数個、こういう話であったというのが、今度は大体二センチくらいの穴一つということですね、こういうことがありますし、それからまた、私は新聞報道だけを見ての話でありますけれども、その中では一番最初の報告を受けられたころだと思いますけれども、資源エネルギー庁が新聞記者の方に言われたことなんだと思いますけれども、そこでは亀裂という言葉もちょっと使われております。そうすると、穴と亀裂というのではこれはひとつ本質的な違いというのがありますし、それからもう一つは、この東電の現地住民の皆さんに対する説明を地元の所長がしておられる中ではピンホール状の穴という説明をしています。そして、これが新潟県に対する説明の中ではさらにもう少し微に入って霧状になって水が出ているという報告をしています。二センチのものが霧状に出ていたなどということは到底普通では考えられない、こういうことにもなるわけでありますし、それからさらに通産省の方でやはり記者に御説明をされたその記事の中では、タールエポキシの部分がはがれて一センチくらいの丸いものができて、そこに数個のピンホールというような説明をされている。そうすると、この場合は何か中から見ておられるような感じの説明にもなるわけでありますし、新聞記事で見る限りの中でも随分今のお話とまた違う部分があるわけでありますが、こうした食い違いというのはどのようにお考えになっておりますか。
#44
○説明員(倉重有幸君) 当時現場を東京電力のしかるべき者が確認しております。それから私どもの運転管理専門官も修理中でありますが現場を確認しております。
 当該部分は中に水が入っておりますので、傷の穴がどの程度のものか、形状というのは実はそこは詳細にはわかりません。水の出方で推定をしたということでございます。
 水の出方でございますけれども、海水がその当時の見た者の話では一応霧状に出ていたということでございまして、それから推定をするとピンホールではないかということでそのように報告を受けている、そういう経緯でございます。
#45
○稲村稔夫君 おかしいですよ。だってピンホール状って、私どもの方も全然計算わからないというわけじゃない、計算できる人も結構おりますので、一体ピンホール状の穴で、特別な圧力がここのあれはかかっているわけじゃありませんよね、圧力をかけて水を通しているというところではありますが。そういうところですけれども、そのピンホール状の穴でもって一体、七トン――初めこれ五トンと言っていたんですよ、それが後で七トンということに訂正になったわけですけれども、七トンの水が出るのにどのぐらい時間がかかるかという計算をしてもその状態だったら随分時間かかるんですよ。仮に穴が十個あいていたとしてもピンホールということでいけば。そうすると、穴はもっと大きくなきゃならないということはこのころ随分言われました。しかし、そのときにはピンホールだとずっと言っておられたわけですね。
 そこで、その辺のところにも随分私は不明朗なものを感ぜざるを得ま得ません。ということは、今お話がありましたけれども、現場を確認してというお話ですけれども、直径二センチの穴とピンホール状のものというものの区別が全然できないで、そしてその穴の上にゴムのふたをして、そしてあと鋼材を巻いて修理したと言うのです。穴の状況を全然見ないでそういうことをやるなどということも私は普通の常識としては考えられない。そう思うんでありますけれども、その辺のところは、あなたが東電で直接やっておられるわけじゃないから、報告の中で判断をしておられると、こういうことだろうと思うんでありますけれども、まずこういう東電の対応の不明確さというものはやっぱりこれは明らかにしていっていただかなきゃいけない、こういうふうに思うんです。
 そこでさらに、時間の関係がありますからそう詳しく聞いておれないんですけれども、この傷はなぜ起こったかということについて、これは何か中のエポキシ系の樹脂がはがれてそして腐食をしたんであろうと、こういうふうな想定が東電でもされているし、おたくの方でもしておられるようでありますが、そこは間違いありませんか。
#46
○説明員(倉重有幸君) 今回の循環水配管の損傷の原因でございますけれども、現在詳細につきましては調査中でございます。あくまでも推定でございますが、その傷が、その管の外側と内側とを比べてみますと、外側より内側に向かいまして円錐状に広がっている。ですから内側の方が広く損傷しておるわけでございます。それが一点。
 それからもう一つは、その配管の内面の塗膜、これは先ほど先生言われましたようにタールエポキシの樹脂のライニングがあるわけですが、その塗膜が当該部において欠損しているということからいたしますと、何らかの原因でその塗膜が破れて欠損しまして、管の内面が直接海水に触れる、いわゆるその結果腐食が進行したというふうに一応現在のところでは推定をしております。
#47
○稲村稔夫君 その点でちょっと私わからない点が何点かあります。
 その一つは、何らかの理由ではがれたということでありますけれども、その何らかの理由というのはそれでは何を想定しておられますか。どういうことを想定されますかということが一つあります。
 それからもう一つは、直径二センチの穴というとかなり大きなものですよね。これはその腐食によるといたしますと、その鋼管の厚みというのはどのくらいあったものでしょうか。それから鋼管の材質はどんなものだったんでしょうか。そういうことで、腐食ということを素直に計算できるかどうかということをちょっと判断として伺いたいんであります。
#48
○説明員(倉重有幸君) 配管の内面に塗膜があるわけでございますが、はがれた理由でございますけれども、その理由につきましては現在調査中でございますので今の段階では何とも申し上げられません。
 それから配管の厚さでございますが、たしか十三ミリの厚さでございます。
 以上であります。
#49
○稲村稔夫君 材質……。
#50
○説明員(倉重有幸君) 材質でございますが、材質は炭素鋼でございます。
#51
○稲村稔夫君 それは普通の炭素鋼ですか。
#52
○説明員(倉重有幸君) はい。
#53
○稲村稔夫君 そうすると、どの程度のものということをちょっと言っていただけませんか、普通のと言いましたけれども、炭素鋼といったって随分いろいろとあるでしょう。
#54
○説明員(倉重有幸君) これは発電所でよく使っておるわけでございますが、JIS規格にのっとりました規格で申し上げますと、SS41という炭素鋼でございます。
#55
○稲村稔夫君 そういたしますとね。特別に腐食に弱いという鋼でもないですね、特別にですよ。
 そこで、その前にもう一つ伺っておきましょう。その鋼管は海水を通してからどのくらい期間がたっていますか。
#56
○説明員(倉重有幸君) 当該配管はつくりまして、海水に触れましてから約一年二カ月と聞いております。
#57
○稲村稔夫君 そうしますとね。ちょっと復習しますよ。普通の鋼管で、それで特別に腐食に対して弱いということでもありません。普通の弱さということで評価をするとします。そして、十三ミリの厚さがあります。それが海水を通してから一年二カ月ですか。毎日海水を通していたのかどうかということもありますけれども、仮にずっとしょっちゅう海水を通していたと、こう仮定をいたしまして、ただ、そこで港湾関係の構造物に対する計算の指針というのが、当然これは港湾建設などにはあるわけでありますけれども、こういうものでいったときの普通鋼の鋼材の海水による浸食速度というものが常に問題になりますので、それを計算をしてきちっと設計される、こういうことになります。
 これは普通でいきますと、この場合は一番浸食速度sの速い場所であっても年間大体〇・三ミリ、こういう計算で設計されるようになっているんでしょう。そうすると、〇・三ミリの浸食、普通でいけば腐食だということになりますとね、今の、片一方の鋼管の厚さは十三ミリですよ。その十三ミリの鋼管が何で二センチもの穴が腐食でもってあくということになるんですか。これは、今の被膜がなかった鋼管として仮定をしてもそこのところは計算がどうしても合わないでしょう。それはどうお考えになりますか。
#58
○説明員(倉重有幸君) その点につきましても、現在原因調査中でございますので、わかった段階で必要があればまた御報告等したいと思っております。
#59
○稲村稔夫君 非常に大事な問題なんですよ。わかった段階でというお話ですけれども、これは早急にわかってもらわなきゃ困ると思うんですよね。
 といいますのは、これは場所としては今お話がありましたつり金具を溶接をした、その大体どの辺ですか、溶接をしたその溶接部分ですか、溶接の周辺部ですか。
#60
○説明員(倉重有幸君) 隅肉溶接の近傍でございます。そばでございます。
#61
○稲村稔夫君 そういたしますと、溶接をした場合には溶接をした接着部分は、これは溶融をした場所なんですからだからそれはもう当然かなり強いですけれども、でもそれはその周辺部というのは、分子構造までかなり高熱のために変わるということはこれ、溶接の常識になっているんですよ。だから、引っ張りなんかやりますと、その周辺部から破壊される、これはもう常識です。ステンレス鋼であっても溶接をしますと、その周辺部がさびる、接触部分ですね。ということになりますと、これは溶接という作業に何か大きな欠陥があったんではないか、こんなふうにも推定されるんですが、その点はいかがでしょう。
#62
○説明員(倉重有幸君) 先ほども申しましたように、今回の漏えいしました穴の形状とそれから当該溶接部分につきましても、自社検査をしております。それで問題を内部で確認しております。等々から考えまして、一応溶接部の欠陥によるものではないという想定をしております。
#63
○稲村稔夫君 自社検査というとどういう検査をしておられますか。
#64
○説明員(倉重有幸君) 当該つり金具の隅肉溶接部を取りつけた後、液体浸透探傷試験を自社でやっております。それで、問題はないことを確認しております。
#65
○稲村稔夫君 今言われた方法というのもよく行われている方法のようです。しかし、それではほんとに今の分子構造が変わった、脆弱化している部分とかそういう質的な変化等についての検査にはならないんですということが言えるんですよ。
 私は、その辺が非常に気になりますのは、これはたまたま今、二次冷却水の、しかも復水器に入る部分だったということでほっとしておられるんでしょうけれども、一つはその材質の問題がどういうところに、これはここだけではなくてどういうところに使われているかということも問題ですし、それから、もし溶接部の欠陥だとするならば、その溶接についての検討というのは全体にやっぱりやり直さなきゃならない問題です。
 私は、体験というものは非常に重要だと思うんですよ。その体験をもとにしていろいろな形での想定されるあらゆることに対して対応するという、そういう姿勢が少なくとも指導官庁には必要だというふうに思うんですけれども、その辺はいかがですか。
#66
○説明員(倉重有幸君) 今回の原因が溶接ということでありましたならば、その溶接方法等につきまして再度検討、見直しをするつもりでございますけれども、今のところ穴の形状等からしまして、一応溶接部の欠陥によるものではないというふうに考えております。
#67
○稲村稔夫君 おかしいでしょう。あなたの方はまだ何が原因だとわからないと言っている。それはわからないでしょう、まだいろいろな調査をしているから。しかし、溶接ということも疑ってみなさいよ、それだけの十分な意味がありますよと、こういうことを申し上げているんですよ。それに対して、今のところは溶接だと思いませんという返答というのはおかしいでしょう。どうですか、その点。
#68
○説明員(倉重有幸君) 今回の損傷に関しましていろいろその原因というものを考えておるわけでございますが、詳細な調査が終わるまでははっきり申すことはできませんけれども、ネガティブチェックをした場合に、まず溶接部の近傍であるということで、溶接がどうかということを実は中で検討しております。その結果、溶接部ではまずなかろうという、一つの暫定的なあれでございますけれども、そんな感じでございます。
 それからもう一つ、私どもまだこれははっきりしたことは言えませんが、先生おっしゃるように非常に短期間で腐食が進んでいる、穴があいているということでございますので、通常の腐食でないような形態の損傷といいますか、そういうこともあり得るのかもしれないということで考えております。
#69
○稲村稔夫君 このことで幾ら言い争っても今のところは平行線でしょうからあれですけれども、私は一番の問題は、あらゆることを想定して、そして検討すべきですと。そして、今私がたまたま一つ溶接という問題を取り上げました。そのことについて、私は金属の町の出身者なんですよ。溶接業者、溶接の経験者というのがいっぱいいるんです。そういう人たちが、自分の持っている経験からいろいろなことを僕らに教えてくれています。そういう中で提起している問題です。
 私は、その辺のところもやっぱりちゃんと真剣にとらえていただいて、疑いがあるものはすべて――原子力という大変なものを扱っているんですから、安全ということについて十分考えなきゃならない。そのことを十分に今後配慮してもらいたいと思うんですけれども、いかがですか。
#70
○説明員(倉重有幸君) トラブルが起きました際には、その原因につきまして、幅広く原因を考えていきたいと思っております。
#71
○稲村稔夫君 私、もう一点聞きたいと思っていたことがありますので、今の原子力発電所についてのことはいろいろと解けない疑問がまだ残っておりますがこれでやめますけれども、これからの対応を見ながら、また場合によってはいろいろと伺っていきたい、こんなふうに思っております。通産省、どうもありがとうございました。
 次に、短い時間で恐縮でありますけれども、体外受精の問題について伺いたいというふうに思っております。
 それは、先日の新聞で埼玉県の市立越谷病院で、体外受精の実験といいましょうか、体外受精の作業に医師以外の者が加わっていると、新聞によっては畜産の学者あるいは畜産の技術者というふうに言っておりますけれども、こうした事件が起こっているわけでありますが、その体外受精の問題については、既に徳島大学での問題などからいろいろと議論をされてまいりました。そして最近、ことしに入ってから一月三十一日の毎日新聞等を見ますと、東京大学で大学の倫理規定、倫理委員会をつくったということで、その倫理委員会は特に建議制度を取り入れたというようなことで内外の注目を集めているというような記事も載っておりますし、どうやら試験研究機関といいますか、研究者を中心にしました大学等ではこうした倫理委員会というのがそれぞれ設けられているように聞いておりますけれども、しかし公的施設にはこれがない。公立病院等にはそういったあれが今のところはない、こんなふうにも聞いているわけです。
 こうした事件が起こっていろいろと市民の重大な関心を呼び起こしているということがあるわけでありますけれども、この点について厚生省はどのようにお考えになっているのか。また倫理規定あるいは倫理の問題をどう今後扱おうとしておられるか、そのことをまずお聞きをしたいと思います。
#72
○説明員(横尾和子君) 越谷病院の関係でございますが、これは一部では医師法違反に当たるのではないかというような報道があったわけでございますが、医師法の立て方としましては、これは医師でなければ医業を行ってはならないということで、医業という点からまいりますと、人体に直接触れる部分をもって、そのことについては医師でなければいけないと言っているわけでございます。しかしながらこの越谷病院で行われた状況、私どもが承知する範囲でございますと、患者さん、これは不妊の問題を抱えておられる婦人の患者さんでいらっしゃいますが、患者さんからの卵子を取り出す作業、これ自身は医師が行っておられるということでございます。したがって実際医師以外の、これは衛生検査技師の有資格者であるようでございますが、この方が手を触れられたのは取り出された卵子及び精子というものでございます。このように取り出された卵子または精子というものを前提としたような現在の衛生法規になっておりませんものですから、これらがヒトに相当するかどうかというところは大いに議論のあるところでございまして、にわかに医師法に触れるというような判断は難しいんではないかというふうに思っております。
 しかしながらいずれにいたしましても、不妊の治療でございますからいずれにせよ患者さんの子宮内に戻されるようなものの扱いでございますから、全体についてきちんとした医学的な管理のもので行われるべきことは当然でございまして、その医学的な管理が十分な中でそういう検査技師の関与の仕方が適当であったかどうかということについてはもうちょっと状況を見なければならないというふうに思っておるわけでございます。
 御質問の二番目の倫理委員会というようなものでございますが、現在生殖医学に関するものについては各大学の倫理委員会というもののほかに学会としての倫理基準というようなものも設けられているわけでございまして、それぞれの御担当の医師というものは一応この学会の倫理基準に従っていただくというのが、目下のところ適切な方法なのではないかというふうに思っております。また、それぞれこういった新しい医療技術を行おうとされるところにおいては、病院内においてそうした組織を設けられるということは、しなければならないとまでは現段階で厚生省の立場では申し上げにくうございますけれども、当然そういうものが設けられてもよいものであるというふうに考えております。
#73
○稲村稔夫君 時間がありませんので、私の意見を交えてのことでちょっと申し上げて、もう一度伺って終わりにしたいと思いますけれども、そうすると厚生省としてはこういう倫理の問題に関しては統一的なそういう基準づくりなどというものは目下考えていない、こういうことでしょうか。
#74
○説明員(横尾和子君) 私どもは、こういったものについて倫理というものが非常に重要な役割を果たすということは十分認識をしております。それを厚生省という立場でつくり出すということについてはまだ判断をしておりませんで、もっぱら医学の先端技術ということであれば、学会等、あるいはそれぞれの研究をなさる、あるいは先駆的な医療をなさるところで、そういう倫理規定なり倫理委員会などが設けられていくということの方が実態に合っているのではないかというふうに判断をしております。
#75
○伏見康治君 先日、追浜で海洋科学技術センターがおつくりになった「かいよう」のお披露目式のようなことがあったんですが、それに関連して少し日本における海洋研究開発についての質問をいたしたいと思います。
 まず、科学技術庁さんに海洋の研究開発に関する全体の中で、この間の追浜で拝見したような「かいよう」とか「しんかい」とかいうようなものを中心にした現状というものと、それからそれを将来どういうふうに発展させていくかといった点についての御説明を伺いたいと思います。
#76
○政府委員(内田勇夫君) お答え申し上げます。
 私ども科学技術庁におきましては、海洋科学技術の研究開発というのは重要な柱の一つとしてこれを強力に推進しておるところでございますが、科学技術庁が我が国の海洋開発の中で行っております業務は、大きく分けまして三つになるかと思っております。
 そのまず第一は、関係省庁の海洋科学技術に関する総合調整でございまして、各省が行います海洋科学技術に関します業務の連絡調整等効率的な推進を図っておるわけでございます。
 第二が、ただいま先生お話しございました海洋科学技術センターが行います研究開発でございまして、深海の調査技術の開発あるいは潜水技術の開発等先導的基盤的な海洋科学技術の開発を行っておるわけでございます。
 それから第三が、多数の機関が参加する総合的な研究の推進でございまして、黒潮の開発利用の調査研究であるとか、科学技術振興調整費によります海洋構造物等の研究といったようなものを推進しておるところでございます。
 ただいま御質問のございました深海調査の問題でございますが、御案内のように二千メートル級の潜水調査船「しんかい」は、昭和五十八年の七月から本格的な潜航調査を行っておりまして、現在までに深海底生物の生態系、海底地形、地質等の研究を目的といたしまして、富山湾、駿河湾、相模湾、三陸沖、南西諸島におきまして潜航調査を行い、駿河湾におけるプレート潜り込みの確認、富山湾におけるべニズワイガニの生態解明等、多くの新しい知見を得ておるところでございます。
 このように「しんかい二〇〇〇」は二千メートルまでの深海調査に今後とも多角的に利用されるものでございますが、マンガン団塊等の海底鉱物資源や地震予知に関連した海底地形の調査等のためには六千メートル程度の深海底まで潜水することが必要でございまして、このため我が国二百海里水域の約九四%をカバーできる六千メートル級の潜水調査船システムの研究を進めておるところでございます。
 また、この潜水調査船の潜航海域及び周辺海域など広範囲にわたる潜航調査や、有人の「しんかい二〇〇〇」での調査が困難な峡谷や海山等の危険海域の調査を行うために、現在三千三百メートルまで潜水可能な無人の探査機の開発も進めておるところでございまして、今後六千メートルの潜水調査船、あるいはこれとシステムとして使います、さらに深いところまで潜水できる無人の調査船等の開発を進めていきたいというふうに考えております。
#77
○伏見康治君 「しんかい」ができてもう二年になる。方々探査なさって相当の成果を上げられているということは大変結構なお話だと思うんですが、「しんかい」をつくるまでは科学技術庁というかセンターですか、センターの方でお仕事をなさったんでしょうかしら、実際の運営上の場合には、実際の海底を探査なさるといったような場合にはいろんな方々がその中に乗り組む、つまり科技庁だけの方が入っているのか、もっと広くいろんな研究者を入れているのかといったようなその調査の仕方についてちょっと教えてください。
#78
○政府委員(内田勇夫君) 私ども科学技術庁は、海洋開発の推進に関する施策につきまして文部省を初め関係各省と密接な連絡を図り、総合的な施策の推進に資するために海洋開発関係省庁連絡会議というものを設置しておりまして、関係省庁との密接な連絡を図っておるところでございます。
 「しんかい二〇〇〇」を用いました深海調査研究につきましては、大学の研究者や各省の国立研究機関あるいは県の水産試験場の研究者といった各種の機関の研究者の方と協力して調査研究を実施しておるところでございます。
 また、現在フランスと文部省が共同して行っておられますKAIKO計画といったものにつきましても、これは大学が中心でなさる研究でございますが、私どもの海洋科学技術センターの研究員あるいは国立研究機関の研究員等も一緒に協力をして実施をいたしておるわけでございます。私どもといたしましては、今後ともこういった関係省庁との密接な連携を保ちながら、効率的な調査を進めていきたいというふうに考えております。
#79
○伏見康治君 今お話の中に出てまいりましたKAIKOについて少し伺いたいんですが、これは日仏共同の何か深海底の調査ということで国際的な仕事をしておられて大変結構で、新聞によると非常におもしろいことをいろいろと発見されているようですが、どういうことを目的にしてどういうふうにやっているか、どんな成果があったかというようなことについて文部省の方から伺いたいと思います。
#80
○説明員(長谷川善一君) 今お話のございました日仏共同のKAIKO計画と言っておりますけれども、この計画は、日本列島の東南方における海溝におきまして、プレートの沈み込みがどのような形で行われておるのか、海溝斜面の詳しい状況はどういうぐあいになっているのか、そういったことを調査するという目的を持ちまして昭和五十九年ー六十年の二カ年にわたって実施されておるものでございます。
 昭和五十九年度にはフランスの方から研究船のジャン・シャルコーが参りまして、日仏それぞれ研究者同数ずつ乗りましてシービームによる地形調査を中心に実施いたしました。海溝斜面の断層の発見などの多大の成果を上げております。
 本年度は、潜水調査船、六千メートル級のノーチール号を用いまして、昨年の調査結果に基づいて選ばれた地点十数地点におきまして海底への潜航調査を行いまして、断層や谷の壁を真近に観察いたしました。岩石等の採集を行うほか、地震計あるいは傾斜計の設置、そういったものを行うこととなっております。
 調査は六月一日から始まりまして、駿河沖で南海トラフの地形変動を調査いたしました。水深三千八百の地点で生物群落を発見するなどの成果を上げておったわけでございますけれども、十三日から十四日にかけまして低気圧の通過の際にノーチール号が若干損傷いたしましたために、現在清水港に引き返して、フランスの方から所要の代替物品を取り寄せまして修理を行っておるところでございます。
 幸いにも軽微でございましたので、予定を若干繰り下げまして七月十日過ぎには調査を再開いたしまして、八月中旬まで継続して実施できる見込みになっております。この調査は日仏双方、研究者の数の上でもまた経費の面でも対等な立場で行っているものでございまして、フランスでは国立海洋開発機構、日本では東京大学の海洋研究所がそれぞれ取りまとめを行っております。主席研究員を双方から出しまして、一航海ずつ双方六名の研究者が母船ナジールでございますが、母船に乗船いたしております。
 航海は三航海を予定しておりまして、最終航海におきましては、日本海溝の北端の襟裳海山の付近におきまして六千メートルまで潜航を予定いたしておるところでございます。
 日本側の乗船者につきましては、国内の各大学あるいは研究機関の研究者が海洋研究所に国内連絡会を設けまして連絡調整に当たっております。日仏間には研究者、行政官を含めた運営委員会を設けまして運営に当たっているという現状でございます。
#81
○伏見康治君 大変スムーズに動いているようで、故障がちょっと起こったのが残念ですが。
 私がここで特に伺いたいのは、国際協力でいろいろな事業をするというときには、国のそれぞれのいろいろなしきたり、特にお金の使い方のしきたりが違うために、科学者の観点から言うと、円滑に進むべきものがお役人が出てくると話が難しくなるといったようなことを実はしばしば聞かされておりますんですが、そういう点は何かあったんでしょうか、なかったんでしょうか。
#82
○説明員(長谷川善一君) これは日仏の両国の間で既に四、五年前から経費計算にも入っておりまして、それで双方の委員会で研究者、行政官それぞれ対等の立場で経費も詰めるという形をとってまいりまして、無理のない形で現在まで動いておるわけでございます。ただ、どういたしましてもやはり若干、何といいますか例えば潜水艇の減価償却費などございますけれども、こういったものについては計算できませんで、フランス側の方が持ち出しがそういう計算をいたせば多いということは言えるわけでございます。ただ直接かかる経費ということにつきましては双方研究者を含めて詳しく検討いたしましたので、この計画につきましては特にそういった問題が出ていることは考えておりません。
#83
○伏見康治君 償却費ということは、つまり船そのものはフランスのものなんで、それを使わせていただくんだから、要するに使用料みたいなものを出せばいいのじゃないですか。そういうことではないのですか。
#84
○説明員(長谷川善一君) 使用料ということではございませんで、本調査が始まりましてから終わるまでの間に直接にかかる経費、例えば船につきましては、船員をその間フランスの海洋開発機構の方が雇い上げるわけでございますけれども、そういう経費、あるいは石油代、あるいは潜水艇を動かすに当たっての種々の消耗品、技術的な観点から見まして必要だと思われる経費、そういうものをすべて計算いたしまして半分に割ったという形でございます。
#85
○伏見康治君 どうもありがとうございました。
 今後もまた国際協力を上手にやっていかれることを希望いたしますが、それでまた科学技術庁の方に返って御質問申し上げたいのですが、そのフランスのものは六千メートル級まで既に沈むことのできる機械のようでございますが、日本の六千メートル級というのはまだデザインの段階なんでしょうか。何か非常に海洋国日本としてはおくれているような感じがいたしますんですが、その辺のところをちょっと教えていただきたい。
#86
○政府委員(内田勇夫君) 実は私ども、潜水調査船の開発につきましては当初から六千メートル級の調査船が必要であるということでございまして、これを目標としております。
 しかしながら、いろいろ技術的な検討をいたしましたところ非常に技術的に高度な点も多く存在いたしまして、やはり中間段階として二千メートル級の潜水調査船を開発し経験を積むということが必要であるという御検討の結果をいただきまして、この「しんかい二〇〇〇」を建造することといたしたわけでございます。
 今日「しんかい二〇〇〇」は調査に大変活躍をいたしておりますと同時に、潜水調査船としてのいろいろな経験の蓄積もできまして、また並行して六千メートル級の研究開発を進めておりまして、本年度はその設計研究を実施しておるところでございます。
 「しんかい六〇〇〇」と申しますのは、先ほど申し上げましたように、海底鉱物資源の問題あるいは海底地形の調査の問題等非常に重要なものでございますので、このような観点から、私どもといたしましては、厳しい財政事情のもとではございますけれども、この「しんかい六〇〇〇」が昭和六十四年度には完成できるよう計画を進めていきたいというふうに考えております。
#87
○伏見康治君 話がいろいろ飛んで申しわけありませんが、先ほどの文部省の方に伺いたいのですが、いろいろなことを発見なされた中で、いわゆるプレートの何か手がかりみたいなものを得られて地震の発生メカニズムについての何か端緒が出てきたといったように伺いましたが、それはどういうことなんでしょうか。
#88
○説明員(長谷川善一君) 先生御存じのとおりでございまして、プレートが沈み込むということ、またそれに対しまして反発が起こるということが地震の原因として非常にクローズアップされてまいっておるわけでございます。ただこの日仏共同の海溝調査と申しますのは、それが実際現にどのような形で潜り込んでおって、そのためにどういうゆがみが海底谷の斜面に起こっておるのかというようなあたりを分析していこうというものでございまして、現場でその状況を眺める、それから非常に詳しいそういった地形図、地質関係のいろいろな資料も採用してまいるというような状況でございますので、現在の段階におきましてそれが地震の解明に、もちろん地震の解明に何らかの端緒を与えるということは我々信じて疑っていないわけでございますけれども、どういうような形でどうつながっていくかというあたりまでは分析がまだ行われておりません。本件につきましては、昨年度のもの、本年度の調査、両方の調査を合わせまして、さらに日仏双方の研究者が分析をいたしまして、恐らく昭和六十一年度になると思いますけれども、その成果の発表を日仏いずれかの地におきまして行っていきたいということを聞いております。
#89
○伏見康治君 そこで伺いたいのは、とかくお役所というのは縦割り行政になりがちなので、地震については地震予知推進本部とかいうのがあるはずでして、特にあの辺の地震については非常に広範なことをやっておられるはずだと思うのですが、今回のその日仏の共同の調査に関連したお話ももちろんそういう方面で十分把握しておられると考えてよろしいのでしょうか。
#90
○政府委員(内田勇夫君) 地震予知推進本部におきましてただいま先生お話しございましたように関係省庁の連絡をいたしておりまして、また実際の研究の成果の評価につきましては地震予知連絡会において専門家の方にいろいろ御検討いただいておるという状況でございます。
 それで、ただいまのKAIKO計画等につきましてのデータがそこに提出されるかどうかということでございますが、その点につきましては、私どもまだこの計画でそういった地震予知に直接関係のあるデータが出るかどうかということにつきましてただいま文部省からお話しございましたような状況でございますので、もしそういう成果が出ました場合にはやはり地震予知連絡会に御報告いただきましてその成果を利用していただくのがいいのではないか、またそういうふうに私どもも取り計らいたいしお願いをしたいというふうに思っております。
#91
○伏見康治君 文部省の方に伺うのを忘れたのですが、そのプレートに関するいろいろなデータというものは、それは初めから意識されて、つまりその方面の知識をお持ちになった方が研究に参加されてそして出てきたというふうに理解してよろしいのですね。
#92
○説明員(長谷川善一君) 本件につきましては日仏双方の第一線の研究者が参加いたしておりまして、東京大学は海洋研究所を中心に理学部、地震研究所等々の専門の先生方が入っておられます。そのほか工業技術院の地質調査所の方、あるいは海洋科学技術センターの方、そのほか富山、金沢、静岡、北海道、そういった大学の先生方が、それぞれ地球物理の専門の方々でございますけれども、参加しておられます。
#93
○伏見康治君 日仏共同で大変国際的な協力でいろいろないい成績を上げておられるというお話を伺って、少し古い記憶ですが思い出したことがあります。それは、グローマー・チャレンジャー号という船がございまして、その船で方々の海底に穴をあけて回るお話があるんですが、それに対しては文部省が昔関与していたと思うんです。あれは日米の共同作業だと思うんですが、あれはどういうことであったのかちょっと思い出さしていただきたいと思います。
#94
○説明員(長谷川善一君) 伏見先生お話しの件はIPODと申しておりまして、国際深海掘削計画ということで昭和四十三年から米国の国立科学財団の提唱によって開始された世界の海を掘っていくという計画でございまして、米国の十にわたります研究機関とその計画に参加いたします各国の代表、これは日本のほかにドイツ、フランス、イギリス、ソ連が参加いたしたわけでございますけれども、各国のそういった代表の海洋研究の機関が参加して行われたものでございます。
 地球の構造や成り立ち、あるいは現在の動きといったものを知るためには、どうしても深海底の物質に関する情報が不可欠だということで世界の研究者が一致いたしまして、研究船グローマー・チャレンジャーを用いまして世界の海の掘削を行ったわけでございます。日本がこれに参加いたしましたのは昭和五十年からでございまして、昭和五十九年までに延べ五十三名の研究者がグローマー・チャレンジャーに乗船いたしまして掘削現場に参加するとともに、資料を持ち帰りまして測定いたしたわけでございます。乗船しない研究者も採集資料の配分を受けて研究に参加するという場合が多くて、日本にも計五万個に近い資料が届いておりまして、現在数十カ所の大学や研究機関で研究が行われているところでございます。
 グローマー・チャレンジャー号は老朽化いたしまして、それと同時に掘削技術あるいは測定処理法の著しい進歩があった、そういった進歩にグローマー・チャレンジャーでは追いつけなくなったということで、米国は一回り大きい新しい掘削船、これはジョイデス・レゾリューションという名前でございますけれども、この新しい掘削船を用いましてこの計画を継続実施するということにいたしまして、本年の一月から十年間を予定いたしまして新計画がスタートいたしました。オーシャン・ドリリング・プログラム、ODPと呼んでおります。日本はこれにも測地学審議会の議を経まして、東京大学海洋研を中心といたしまして全国の関係者を組織いたしまして、本年十月から正式に参加するということにいたしまして、去る六月五日、ワシントンにおきまして覚書を交換いたしております。参加国は現在のところアメリカのほかにはドイツ、フランス、カナダ、それから日本が入っておりまして、計五カ国となっております。
 このオーシャン・ドリリング・プログラムの学術的な対象というのは多方面にわたっておるんでございますけれども、主には三つございまして、海洋底深部の岩石の採集研究、それから海洋底構造運動、変動様態の研究、それから古気候変動、海洋古環境の研究ということに相なっております。
 年六回程度の航海が予定されておりまして、日本からは、今回は船が大きくなりましたので毎回二人の研究者を乗せることができる。また日本近海にこの船が参りましたときにはそれ以上の研究者を乗船させまして、あらゆる関連データを入手できるということに相なっておるわけでございます。
#95
○伏見康治君 地球の地殻に穴をあけて地球を知りたいという話が相当昔からしきりに行われているわけですが、穴をあけるというお話は人間の足元のお話で非常に大事なことではあるのにもかかわらず、非常に難しいためにとかくおくれがちなんです。
 ソビエトがスプートニクを上げて、アメリカが先を越されたので、それが機縁になってアメリカが宇宙開発に非常に夢中になったということがあるんでございますが、足元に穴をあけるという方でもソビエトが非常に先をとっていて、現在世界最深の穴を掘っているのは、コラ半島に十二キロ・メートルというところまで行っていると伝えられております。昨年度はその穴を掘る機械のところに西側の方々を連れていって公開したために新聞、雑誌に非常にたくさんの記事が載っていたのを思い出すわけです。
 そういう今のODPのようなお話も聞きますというと、日本でもそういう自分の足元を知るために穴を掘るという計画が何かあってもいいように思うんですが、そういう方面に関しては科学技術庁としては何か計画があるんでしょうか、どうでしょうか。
#96
○政府委員(内田勇夫君) お答えするのに大変難しい問題なんでございますが、ただいま先生お話しございましたように、ソ連におきまして領内の大陸地殻を系統的に深堀削するために、深海及び超深層ボーリング計画の一環として何本かの非常に深いボーリングが行われ、特にコラ半島のボーリングは十二キロメートルを超える深さでございまして、大陸地殻の深部構造の解明に大きな成果を得たという話、私どもも伺っております。
 我が国におきます掘削技術と申しますのは、鉱山資源の探査、採取、あるいは地震予知等のために深さ四キロないし五キロメートル程度の深層ボーリングが行われておりまして、このレベルでの掘削技術は既に確立しておるというふうに考えております。我が国において、ソ連のような超深層掘削計画は考えないのかというお話でございますが、現在のところ具体的計画を私どもも持っておりませんし、国内でそういうものが具体的に考えられているということは承知しておりません。
 私どもといたしましてもこういった諸外国の動向というのを関心を持って見守っていきたいという段階だというふうに考えております。
#97
○伏見康治君 ソビエトばかりではございませんでして、ベルギーとかフランスとかドイツとかはそれぞれ国の中で穴を掘る計画を十キロ前後のところを目標にしたものを計画しているようでございます。アメリカももちろん計画がありまして、アパラチア山脈の南の方でそういう穴を掘り始めているというふうに伺っております。日本はそういういわゆる大陸ではございませんので非常に地層が複雑であって、余り勇気が出てこないのかという感じもいたしますが、複雑だからもっとおもしろいのではないか。これは非常に時間のかかる仕事でございまして、ソビエトが最深の穴を掘ったのに実に十四年間もかかっているわけです。空にロケットを打ち上げるのとは時間のかかるという点においてはまるで話が違う。ですから計画を相当早目に立てても実際の仕事のはかどりというものは極めて遅いわけですから、ある程度そういう計画を早目に練っておかないと非常に日本はおくれてしまうといったようなことになりかねないと私は思っていささか心配しているわけです。
 ただ、西側でおくれた一つの理由は、アメリカが昔モホール計画というのを立てまして、モホロビチッチというユーゴスラビアの学者が地震波の不連続性からそういうモホロビチッチ層という層があることを言っているわけですが、そこまで到達しようというわけで、それを短く縮めてモホール計画、こう言ったわけなんですが、ところがそれが計画がずさんであったということ、それからちょうどアメリカも大変お金が苦しくなって大きな計画が推進できなくなったといったような、そういう周辺の状況等が重なり合いまして、そのモホール計画というのがついにノーホール計画になったと言われているわけです。
 もちろん私たちは計画を慎重に、そういう錯誤がないように立てなくちゃいけないと思うんですけれども、この辺でそろそろ科学技術会議あたりが地球に穴をあげるという話の方に関心を持っていただいて、割合に早い時期に結論を出していただくべきではないかと私は考えるわけなんです。
 では、また長官が見えてからお話しいたします。
#98
○佐藤昭夫君 まず、先日来の慈恵医大病院の放射線源紛失事故の問題で少しお尋ねをいたします。
 既に報道をされていますように、アイソトープ病室の貯蔵箱に保管中の五十個のイリジウムのうち二十二個が紛失をした。二個が発見されたが、二十個はなお行方不明のままだということであります。この事故が判明した発端は、病院の一人の医師の被曝線量が異常に高いことがフィルムバッジの測定でわかり、この医師の身体測定を行ったところ、そのお医者さんが胸ポケットに入れている手帳のビニールカバーの中にイリジウムが一個入っていて、それが発見をされたということであります。そして、貯蔵庫を点検して二十二個のイリジウム紛失がわかったというわけであります。しかし、この医師の被曝線量が高いということは、実はことしの初めごろからわかっていたんではないですか。
#99
○政府委員(辻栄一君) これまで私どもの病院側から聞きました事情説明によりますれば、被曝線量が高いとされております医師のフィルムバッジの評価につきましては、二月分と三月分が測定、評価ができないという意味で、フィルムバッジの現像会社の方からエラーではないかという報告が出てきておったということでございます。そして、四月分につきまして四・三八レムという評価であったということで、あわてていろいろ調査をした、こういうふうに聞いておるところでございます。
#100
○佐藤昭夫君 そうしたことが今回初めてわかった。そういうことが科技庁に前もって報告が二、三月、四月の段階であったということでないということですね。
#101
○政府委員(辻栄一君) ただいまの私の御説明は、今回の四・三八レムとの評価が出た後で、病院側があわてて調査した結果の報告として全部取りまとめてそういう報告が科学技術庁にあったわけでございます。
#102
○佐藤昭夫君 今の説明で明らかなように、少しおかしいな、異常だなということが出たその時点できちっと科技庁にも報告もされて、その原因が調査をされる、こういうことになっていれば、とにかく五十個のうち二十二個紛失をするという、小さなものにせよ、事故としては余り例のないこういうことがもっと早期発見ができたということではないかというふうに思うわけでありますけれども、こうした点で、関係者はもっとこういう問題について敏感でなくちゃならぬ、関係者になれが起こっているんじゃないかというふうに思わざるを得ないわけであります。過去にもこの種幾多同様の事故、今も言いましたように、これほど大量の紛失は例を見ないものでありますけれども、なぜこういうことが今回起こってきたのか。全体として管理体制に不備があったことは明らかじゃないかと思うんでありますけれども、慈恵医大病院側はどういう管理体制をとっておったのか、今にして思えば、何かそこに不備、欠陥はなかったのか、こういう点どうでしょう。
#103
○政府委員(辻栄一君) これまでの病院側の説明によりますれば、先ほど申し上げましたようなことで、私どもも二月、三月のときにもうちょっと病院側で徹底的な調査をしておればこういうことにはならなかったんではないかという気はいたします。病院側の説明では、そのときのフィルムバッジの現像会社のエラーという評価をそのまま信じてしまったということだそうでございまして、この点については、私どももまことに遺憾なことであるというふうに感じておるところでございます。
 御指摘の今後の改善方針の問題でございますが、これにつきましては現在鋭意事実関係の調査に努めているところでございまして、調査の結果を待ちまして必要な措置を講じてまいりたい、かように存じておるところでございます。
#104
○佐藤昭夫君 その改善方針をいかにすべきかという、そのことに先立って、今回こういうことが慈恵医大側で起こった。その点についての管理システムに何かの不備、欠陥はなかったのか。どういうシステムになっていたんですか。大体聞いていると、貯蔵箱から取り出しをするときには、それをノートにちゃんと記入をしておくということになっておった模様ですけれども、ほかにも同様の施設いろいろありますね、そういうところについて科技庁として指導をしておる管理システムに合致をしておったんですか。
#105
○政府委員(辻栄一君) これは、指導というよりは法令で決まっているわけでございまして、こういった貯蔵施設に収納する際あるいは出庫する際には保管記録簿というのにきちっと記入をする、それから実際に使用した場合にはどういうぐあいに使用したかということを使用記録簿というのに記録する、こういうシステムになっておりまして、各病院、いずれもこれに従ってやっておるところでございます。
#106
○佐藤昭夫君 その法令に従っての指導をしているんだと、それは定めは、いろいろ取り出しをした場合には記録にきちっと残すと。しかし、その記録に残らないまま行方不明という形で二十個余りが紛失をしている、こういう事態になっているわけですね。だから、なぜそういうことが起こったのか。だから、記録にとどめるというこのことだけでは、やはりぬかりが出るということが一つの教訓として今回の問題に出ているということじゃありませんか。
#107
○政府委員(辻栄一君) これまでの調査をいたしましたところでは、これらの記録はちゃんとなっておるわけでございまして、帳面の上には少しもなくなったということになっていないわけでございます。そこで、実際は確認していないのに記録簿に記録がなされていたというようなことではなかろうかと思います。その辺のところが、一体どういう原因であったとかというような問題につきましては、目下鋭意調査を行っているところでございます。これについての対応については、当該病院の問題につきましては、これらの調査の結果が判明し次第所要の対策を講じていきたい、かように存じておるところでございます。
 先生御指摘の一般の病院についてどういうことをやっているかということでございますが、一般の病院についても全く同様の措置をとっておるところでございます。
 これらの状況につきましては、私ども定期的な立入検査等によって確認をやっているわけでございまして、実はここ五十年以降の記録があるわけでございますが、五十年以降、こういった紛失その他を含めまして科学技術庁に報告されました事故が、五十年の六回以降五十五年までの間に年四ないし三回という数字だったのが、最近になりまして、こういった調査、立入検査あるいは指導の成果もあったかと思います。五十六年以降五十九年までの間は四年間で五回と。五十九年は一件もなかったというようなことでございまして、漸減傾向にあるという状況であったわけでございますが、ここのところへ来て北大の事件、あるいは慈恵医大の事件と続いております。今後これについては、だんだん件数は比較的少なくなってきてはおりますが、当該、該当、こういったものをやっております事業所の数が約七百何病院と、何施設という数多いところでございますので、全体としての数は減ってはきておるものの、やはり毎年一ないし二回という紛失事故もあるようでございますので、できるだけこれを根絶するような方策ということで、関係省庁その他の関係機関と協議して対策を講じていきたいと、かように考えておるところでございます。
#108
○佐藤昭夫君 とにかく、記録にはとどめられないまま原因不明で二十個余りがなくなったと、こういう状況になっているわけですから、法令では記録にとどめるということを最低限定めているわけですけれども、それだけでは現に今数字で明らかなように、本当に根絶をする方策には不十分さがあるんじゃないか。こうした点で、この管理体制の問題というか、アイソトープの貯蔵システム、それから貯蔵庫からの出し入れの際のチェックシステム、記録にとどめられないままもし外へ出たという場合のチェックシステム、こういったこと全体について改善すべき点があるんじゃないかというふうに私は思うわけでありますけれども、こうした点で、今後この種事故再発を防止をするために、七百ケ所もあるということでありますから、科技庁としてそういう一つの基準となるマニュアルといいますかね、そういったようなものも検討をするということを含めて、ひとつぜひ鋭意改善策を検討してもらいたいと。
 そこで、いずれにしてもなお二十個行方不明ということになっているわけでありますから、一つはこれを早期発見しなくちゃいかぬ。国会は二十五日をもっておしまいになりますけれども、この二十個の発見努力の結果がどうなったか、その原因がどうだったか、今回の教訓の上に立ってこういう改善策を講ずるということを、ほかにもあるんですから、ゆっくりやったらいいということじゃない、急いでその改善策を立てるということで、それをぜひ私どもの方にも報告をしてもらいたい。お願いをしておきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
#109
○政府委員(辻栄一君) 御指摘のように、調査を進めまして、また関係機関とも協議して、その対応策について早急に検討してまいりたいと思います。
#110
○佐藤昭夫君 報告してもらえますね。
#111
○政府委員(辻栄一君) 具体的な対応策ができました段階では、御報告させていただきます。
#112
○佐藤昭夫君 終わります。
#113
○林寛子君 本日の委員会の冒頭に御質問申し上げましたが、大臣公用のために――当時間に御出席いただけるということで、少しずつ皆さん持ち時間を残して大臣をお待ち申し上げておりましたので、大臣に対しまして少し御質問を申し上げたいと思います。
 きょうも、大臣の御予定を伺いますと、筑波からお帰りであろうということでございました。御存じのとおり、ことしの三月の十七日、茨城県の筑波研究学園都市において開催されました国際科学技術博覧会の状況でございますけれども、ちょうどつい先日、六月十六日、半分の折り返し点を迎えたということで、各報道一斉に取り上げられまして、現時点においての科学博覧会の状況が折り返し点で見直され、また今後の後半に向けてのいろんな対応策もあろうかと思います。前半の賛否両論、これもあろうと思います。それに対して前半の成果を踏まえての後半に向けての御所見を伺いたいと思います。
#114
○国務大臣(竹内黎一君) まずもって私の委員会出席の件につきまして、委員長初め諸先生方いろいろ御配慮いただきましたことに厚くお礼を申し上げます。
 さて、ただいまのお尋ねでございますけれども、御指摘のとおり、六月十六日で筑波科学万博は会期の折り返し点を迎えたわけでございます。開会直後には飲食料金あるいは人気パビリオンの待ち時間等々について幾つかの問題点が指摘されましたが、これらにつきましては鋭意改善のための措置を講じてきたところでございます。
 入場者数につきましては、開会直後天候不順の日が多く、出足が悪かったものの、その後順調に増加し、昨日までに計九十六日間に相なりますが、九百四十七万人の方々の御来場を得ております。数日間には恐らく一千万人台に入ろうかと思うのでありますが、このまま推移をすれば当初予測の二千万人を達成できるものと考えております。
   〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕
 また、国民の間の科学万博に対する人気も次第に高まってきておりますが、御案内のように一部の民間館に人気が集中している傾向が依然としてございます。したがいまして、これらの民間館のほかにも、外国館や筑波エキスポセンター、あるいは催し事など興味深いものが多いわけなので、これらにつきましても多数の方々に見ていただくよう、積極的なPRに努めておる次第でございます。
 今後とも内外から多数の方々に御来場していただき、大いに楽しみながら科学技術とか我々の生活とのかかわり合いの理解を深めていただけるよう一層の努力をするつもりでございますので、諸先生方の格段の御支援をまたあわせお願いする次第でございます。
#115
○林寛子君 大変うれしい御報告もいただきましたし、人員も九百四十七万人、目標達成可能であろうという明るい見通しもありますし、また今お話も出ましたように、夏休みに入りますから、子供たちが大勢科学博を見てくれることを私どもも念じてやまない次第でございます。
 前の大阪の博覧会のときにもそうでございましたけれども、夏になりますと日射病にかかる患者が多く出たりいたしまして、また筑波も夏を迎えまして、夏休みで子供たちの入場者も急激にふえるであろうと私どもも期待もし、予測もされるところでありますから、その夏に対しての対応、整理券もお出しになっているようでございますけれども、その辺のところも、対策をどういう方向でいらっしゃるのかも聞かしていただきたいと思います。
#116
○政府委員(堀内昭雄君) 夏に向かいますと、非常に炎熱下で人が行列をつくるというような状況になりますし、また食事の際にもやはり日陰が欲しいということになるわけでございます。既にシェルターというものがあちらこちらに設けられております。簡単に言いまして覆いでございますけれども、現在大体五千平方メートルぐらいのシェルターが用意されておりますが、さらにこれを増強しようということで、会場内を中心にいたしまして大体五千平方メートルぐらいの、大体倍増でございますが、その増設の工事を今着工しようという段階でございます。
 それから、行列の問題でございますが、その後いろんなパビリオンに交渉いたしまして、現在は茨城パビリオンですとか、その他三つばかり非常に人気のあるパビリオンでございますけれども、そういうところでは整理券を出しております。整理券を出しましても、整理券を求めるためにはまた並ぶということも現実にはございますけれども、列の長さは大分緩和されたんではないかと、こういうふうに考えております。
#117
○林寛子君 ぜひ、せっかく心躍らせてきた子供たちが、中身はさることながら、もう待つだけで気分が悪くなったとか、あるいは着いた途端に列を見て、見たいものが見れないという、着いた途端に夢が破れるようなことがないように最大の御配慮と努力を今後に向けてしていただきたいと思います。
 それから、いろいろ申し上げたいこともあるんですけれども、この百二国会の冒頭の大臣の所信表明に対して幾つかの私御質問をいたしましたけれども、終盤国会を迎えました今日、私はやっぱりどの部分を見ましても、例えば先ほどから大臣お留守の間にこの委員会で議題になっておりました宇宙開発の問題、あるいは海洋開発の問題、あるいはその他もろもろのウラン濃縮の問題、核融合の問題、各課題がこの委員会で、百二国会でいろいろ話題になってきましたけれども、この委員会以外の民間の方たち、あるいはそれぞれの専門家の学者、いろんな方の声を聞きまして、
   〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕
日本の科学技術というもののあり方、あるいは今後の発展の仕方、そういうものもこの百二国会の委員会を通じましても、やはり振り返ってみますと私は今国会の冒頭に大臣が所信表明で言われました、「第一は、科学技術行政における総合的企画調整機能の強化であります。」とあるわけでございます。
 私は、少なくとも日本の科学技術というものの今後のあり方、あるいは研究の仕方、開発の仕方、そういうものはすべて日本のこの縦割り行政、その中にある各部門の横糸を何とかして科学技術庁が主導権を持って指導していけるというような立場になること、またそれを改革して長官が責任を持って総合的な企画調整をしていただくことが私は一番大事なことであり、またこれが基本だなということを今国会あるいはこの科学技術特別委員会、そして外部の皆さんの声を聞いて、やはりそこが一番大事だなという実感を持っておりますので、冒頭の所信表明で大臣がおっしゃったこの総合的な企画調整機能の強化ということに対して大臣が今、終盤国会に大臣経験の中でどうお考えかを聞かしていただきたいと思います。
#118
○国務大臣(竹内黎一君) まずもって本委員会が本国会の質疑を通じまして私どもにいろいろ有益な御示唆あるいは御指摘を賜りましたことに、この機会にまた厚く御礼を申し上げたいと思います。
 さて、ただいま林先生の御指摘の件でございますけれども、私も所信表明で申し上げましたようにこの点に一番意を用いてまいってきたつもりでございます。そしてまた、先生も御案内のように現在行革審におきまして科学技術庁あるいは科学技術会議、こういったものの強化策についていろいろ御検討願っておりまして、恐らく今月中には一つのまたお示しがあろうかと、こう思っておりますので、その辺の御提示の点もよく承りまして、私どもとしては科学技術庁の今申し上げた総合企画調整機能の強化のための次のひとつステップを真剣に考えてまいりたいと思っているところでございます。
#119
○林寛子君 今大臣が次のステップをとおっしゃいましたことに関して、私はぜひ大臣の御経験を生かして、しかも私は今国会の冒頭の大臣の所信表明のときにも申し上げましたけれども、科学博覧会開催時の大臣であるという一番の花道に幸運にも竹内大臣が御就任になったと、それだけに御活躍がテレビ及び外国のお客様を一番迎えてお知り合いがたくさんできるわけでございますので、科学技術庁長官として外務大臣兼任だと言いたいぐらいなお客様をお迎えになったであろうと思いますし、また後半そういう外国の賓客がメジロ押しであろうと思います。ですから、今までの科学技術庁長官と違って、竹内長官になられて、竹内長官の在任期間にそういう諸外国の科学技術に関心を持った国賓あるいは賓客とお会いになって、日本の科学技術行政というものを比較できるいいチャンスに恵まれた大臣であられると認識しておりますし、ぜひ長官にそれを持っていただきたい。と申しますのは、先ほど大臣がいらっしゃらない間に、ウラン濃縮の問題でアメリカのヘリントン長官のレーザー法の採用問題を申し上げたんですけれども、それも少なくとも日本の今の遠心分離法が私は世界の水準でトップをいっていると、自信を持って皆さんの今までの成果をたたえたいと思います。ですから、それはそれでいいとして、日本はこの方式でいってぜひ世界に成果を上げ得るような、むしろ言い方は悪いかもしれませんけれども、日本の遠心分離法にアメリカが追いつけなくて、これじゃまねをしていてもだめだからレーザー法に切りかえようと、これは表現が悪うございますかもしれませんけれども、あるいは一種の見方によればそういう方式をアメリカが採用したであろうと私は思っております。遠心分離法を日本がこのウラン濃縮について研究開発し、日本の将来のために大いに研究していただきたい、現状の姿をより一層強化していただきたいのですけれども、私は少なくともこのアメリカがレーザー法を採用したその裏にある技術評価審議会ですね、それが一年かかって研究した結果決定したということ。それから、私は前にもこれは原子力のときに申し上げたんですけれども、評価制度、物をもう一度評価する、政策を評価し直す、いわゆるその制度というものが日本にはないわけですね、再評価するという。何としても科学技術には研究がつきものですから失敗もあろう、研究過程には真っすぐ一直線に行けない横道にそれることもある。けれども、何としてもどの時点かにおいて必ず一次評価、二次評価、三次評価というこのレビューするという制度を日本の科学技術政策には入れたいということを、前にも私この当委員会で申し上げたことがあるんです。ですけれども、私はそれを再度ここで申し上げますことは、今申しましたようなほかの大臣と違って一番世界じゅうのお客様に会って科学技術博に関心のある人たちにお会いになった、またお会いになるであろう長官だからこそ、この再評価システムということを先ほどの冒頭に申し上げました科学技術行政における総合的な企画機能の強化あるいは立て直し、今後への展望の中に、大臣がぜひ判断していただきたい材料にあえて私が入れていただきたいという要望のために再度申し上げたわけでございます。今、申し上げましたような点について再度今後の科学技術政策の展望についてお伺いして終わりたいと思います。
#120
○国務大臣(竹内黎一君) ありがたいことにこの科学万博に実に数多くの外国からお客様がお見えでございまして、私も随分と各国の科学技術政策大臣の方と会談の機会を持ちました。きょうも実は豪州、そしてブラジルの科学技術担当大臣と会談ということで、大変また皆様に私の委員会出席について御配慮をいただいたと、こういう次第でございます。
 そういう外国の大臣あるいは要人とお話を承っておりまして、いろいろと私なりにまた感ずるところがあるのは確かでございます。そういうことで私のそういった非常に貴重な経験でございますので、そういった経験を生かす意味でも、これから気を改めまして科学技術行政の充実に取り組みたいと強く念じておるわけでございますが、先生ただいまウラン濃縮とそれから研究評価のことについて触れられましたが、特に研究評価の面については、私全く先生と同感でございます。やはり、もっともっとこの面を強化する必要を感じておるわけでございます。
 それから、ウラン濃縮につきましては、恐らく私どもの政府委員の方から一応の状態、今の見通しというものを御説明申し上げたと思いますが、私どもとしても、いわばこれは次世代技術として大変に有望な技術であろうかと、こう思いますので、理研なりあるいは原子力研究所で現に取り組んでおりますレーザー濃縮につきましても、端的に申し上げれば、私は六十一年度の予算においてできるだけそちらの予算もふやしたいなということも今念頭に置いております。
#121
○稲村稔夫君 大変お忙しい日程を差し繰って御出席をいただきました大臣でありますけれども、お見えになる前にいろいろ原子力発電、あるいは体外受精等について、私、通産省及び厚生省にいろいろと伺っておりました。長官お見えになったところで、科学技術庁の今度は見解をいろいろと伺いながら、また大臣の御見解をお伺いしたい、こんなふうに思います。
 そこで恐縮ですけれども、先に政府委員の方からいろいろと聞かしていただいて、大臣に最後そのことについての御感想、考え方を伺う、こういうふうにさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 そこで、議論に入ります前に、前の委員会で、私はスリーマイルアイランドの原発一号機の事故調査の問題について資料をまだその当時は入手をしておられない、こういうことでありました。その後いかがでございましょうか。それから今後の見通しはどうでございましょうか。その点ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
#122
○政府委員(辻栄一君) 先生から四月に御質問をいただきましたわけですが、その後も在米大使館等を通じまして資料の入手に努めたところでございます。結論といたしましては、現段階では米国においてまだ報告書として取りまとめていないというのが現状でございます。
 TMI事故に関する今回の米国の調査研究計画の報告書につきましては、今後ジェンドというレポートをつくっていくことになっております。これは、もう既に幾つかの部分についてはできたものがありまして、我が方にも参っておるわけでございますが、御質問のあった点についてのレポートはまだできていないわけでございます。この報告書は、発電会社のオーナーでありますゼネラル・パブリック・ユーティリティーズという電気会社、米国電力中央研究所、それに米国原子力規制委員会、それからエネルギー省、この四者が共同で取りまとめる報告書でございます。これのでき上がりを待ちまして、入手に努めたいというふうに考えております。さらに、そのレポートが入手できました暁には、安全委員会としても貴重な参考資料として必要に応じ今後の安全対策に役立てていく、かような考えでございます。
#123
○稲村稔夫君 まだ、言ってみれば公表できる資料は入手していない、こういうお話なわけですね。その資料を入手されたら、そこでまたいろいろと検討されて安全問題等についてもいろいろとそれを参照しながら検討されることと思いますけれども、ぜひ安全を確保していくという上でその辺は十分にひとつ御検討いただきたいというふうに思います。
 そこで、先ほど東京電力の柏崎・刈羽原発一号機の二次冷却系の海水漏れについて通産省の方にいろいろと伺っていたわけでありますけれども、これは商業電力でございますから、直接的には通産省の所管のものということになるんでありましょうが、しかしやはり、原発の安全とのかかわり
ということでいきますと、科学技術庁の方でも十分お考えをいただかなきゃならない問題がいろいろあるんではないだろうか、こんなふうに私は思っているわけであります。
 例えば、復水器に入る前の段階とはいえ、こうしたかなり大量の海水漏れというものが起こったということ、この事実というのはいろいろな教訓を示しているんじゃないかと思いますね。例えば材質なら、その管の材質一つにいたしましても、それは二次系だけのものであるのか、一次系にも似たようなものが使われていないのかどうかというような問題やら、あるいは溶接等による劣化などというものが仮にあるとすれば、それは今度は溶接ということにかかわって一次系もみんな検討しなければならない課題というものも出てくるんではなかろうか、こんなふうにも思いますし、いろいろと考えさせられる問題がいっぱいあるわけであります。そこで、担当局長の方では先ほどのやりとりについてどのような御感想をお持ちになりましたか、それをまずお伺いしたいと思います。
#124
○政府委員(辻栄一君) 先ほどのいろいろの議論がございまして、私どもも通産省におきまして現在運転を停止して原因を鋭意調査中ということを聞いておるわけでございます。私どもといたしましても、この通産省の調査の進展状況を見守りつつ、先生御指摘のように適当な教訓が出てくれば今後の原子炉関係の問題についても必要に応じまして適切な対策を講じていくということを考えてまいりたいと、かように思っておる次第でございます。
#125
○稲村稔夫君 そこで、科学技術庁の方で原子力連絡調整官という方を、これはそれぞれ原発のある地域なんでしょうか、これを配置しておられますね。その原子力連絡調整官という方はどういうところへ配置をされてどういう仕事をしておられるんでしょうか。そして今回のようなこういう事故などの場合にはかかわりを持つのでしょうか。あるいはかかわりを持つとすればどういうかかわりをお持ちになるんでしょうか。
#126
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。
 連絡調整官は原則として原子力発電所が設置されております都道府県に駐在しておりまして、できるだけ発電所のサイトに近いところに事務所を設けまして、地元の方々とのコミュニケーションというものを中心にしておるわけでございまして、例えば今事故とのかかわりはどうか、こういうお話でございましたが、一般的には原子力開発利用に関する情報の提供とか現地での情報収集、あるいは原子力防災対策とか環境モニタリング、こういったものについての指導、助言、こういうものが通常の仕事でございまして、事故時におきますかかわりといたしましては、発電所の中で生じておりますいろいろな現象については運転管理官というのが別途ございますので、これは通産省から派遣されておりますが、商業用の発電所についてはその運転管理官が担当いたしております。ただ、その事故について、例えば的確な情報、本庁の方で把握している情報等で地元の方々に知っておいてもらった方がいいような情報等があれば、本庁からの連絡を受けて地元の方に連絡する、あるいは地元の方から御質問等がございますれば、それを仲介して役所としての見解をお伝えするというようなことをいたしております。それから、発電所の外回りの環境モニタリングの上でのトラブルがあれば、そういったものには直接従事して調査等もいたします。
 本件柏崎発電所の漏水の問題につきましては、直接的にはかかわりはないわけでございますが、地元でも一つの問題となっておりますので、地元の方々とのそういうコミュニケーションが一つの役目でもございますので、連絡調整官は自発的に事実関係についての確認等を現場の事業者等から聴取したり、その状況を本庁の方に連絡したり、そういうことをいたしたと承知しております。
#127
○稲村稔夫君 時間がございませんので、その辺にまだいろいろと疑問も残るのでありますけれども、一つは、今回の事故のときには、実は地元の人たちがどういう事故が起こったのかということを知るために東電に行ったら、東電は皆さん出張していて留守、自治体に聞いたら、自治体は東電に聞いてくれ、そして聞く場所がわからないでうろうろというような期間が結構長かったわけですね。五時間もいろいろとあって、やっと宿直の責任者という人から、じゃ何日にその説明ができるかどうかというのを相談してから返事しましょうみたいなことでやっとだった。連絡調整官と言われる方は、地元とのコミュニケーションというようなことをも含めて随分幅広い、いろいろと任務を持っておられるようですけれども、こういうことが起こったときに地元では、そういう方がどこにおいでになるかとか、その方がそういう仕事をしておられるというようなことも全然知らないでいる、大方の人は知らないでいるんじゃないかという気もするんですよ。だから私は、事故とのかかわりということでは、直接的なことではその責任がないということなんでありましょうけれども、そういう任務の方であれば、それだけに積極的にいろいろとPRをしていただきたいというふうにも思うんです。例えば、「原子力ニュース」という、こういうのが出ていて、これにはちゃんとその方のお名前や文書が載っています。だけれども、どこにおいでになって、どういうことで本当にやってくださるのかというようなことの内容よくわかりませんというようなことでもあります。
 これは私の今の感想で申し上げましたが、先ほど申し上げたけれども、今度の海水漏れ事故というのが、実は詳しいやりとりまではやる時間がありませんでしたけれども、材質に問題はなかったのかどうかということもありますし、それから、運搬中に何らかの理由で、運搬か何かそういうことでもって内部に張ってある樹脂が剥離したんじゃないかという言い方なども東電の側にはありますし、それから溶接の専門家の方々の多くは、溶接による問題があるんじゃないかというような見方もあります。もしそういうあれですと、溶接に問題があるとすれば、またその一次系や何かでもやっぱり、溶接の劣化というのは先ほどもちょっと議論していたんですけれども、これは周囲の分子構造を変えていきますので、これは一次系でもいろいろと検討しなきゃならない問題ということにもなるんじゃないでしょうか。こういう安全ということにかかわっては非常に重大な問題なんでありますから、スリーマイルアイランドの問題は、これはもう現実に参考になる重要な問題がいっぱい出てくるでありましょうから、それでの御検討はもちろんしていただきたいと思いますけれども、同時にこういうことも一つの体験として、安全の問題として考えて、今後の原子力発電の安全のあり方というようなことについてぜひ御検討をいただきたい、こんなふうに思うんでありますけれども、その辺のところはひとつ長官の御判断をお伺いしたいというふうに思います。
#128
○国務大臣(竹内黎一君) 原子力関係の研究、利用あるいは開発、いずれであれ、私はやはり国民の広い理解と支持を得て進めていくということは肝心のことだろうとかねがね思っております。特に、今、先生東電の事故のことに触れたわけでありますが、そういった各発電所にしばしば生ずる小さな事故、トラブル、こういうものでも、私は、特に関係の地域住民の皆さんには十全な情報をそれに対して提供するということが、今申し上げた地域の方々の信頼を得る、こういうことにとって極めて重要なことではないか、こう思っております。
 そういう意味で、もちろん私どもとしては、規制の関係の法的な整備やあるいはまた実際の技術的な面の充実を図っていくのは当然でございますが、一方、そういう意味では、地元の方にできるだけの情報公開をしていくということに一層努める必要があるんじゃなかろうか、こう思います。先生今、何か、地元で出ております一つのPR誌をちょっと御紹介いただきましたが、先生のお話を伺って私もふっと感じましたのは、その文章の末に、せめて、何か御相談事があったらここへ電話してくださいと一言あれば随分違ったんじゃないかというような気もしたものですから、ひとつこれからもきめ細かく考えてまいりたいと思います。
#129
○稲村稔夫君 それともう一つ、私は、安全についても一つの経験として御検討の素材にしていただけるでしょうか、こういうことも申し上げましたけれども、その点についてはいかがですか。
#130
○国務大臣(竹内黎一君) 先生もお取り上げのこの事故につきましては、先ほど局長からお答え申し上げましたように、目下通産省の方が原因究明に一生懸命であろうかと思いますけれども、その通産省の方の究明の中から将来に私どもとして配慮すべき教訓というのがあれば、直ちにこれを私ども今後の行政に反映してまいりたい、こう思います。
#131
○稲村稔夫君 もう時間の方がなくなりましたので原発関係については以上で終わりまして、今度は体外受精の問題について伺いたいと思います。
 これは、もう時間ありませんから、長官のお考え方を伺いたいということになりますが、先ほど、越谷病院で体外受精をやりました際に、医師ではない畜産の学者が介入をしていたということが問題になっているということで、いろいろ特にその中で倫理の問題について伺いました。そうすると、厚生省としては、まだつくるということには倫理については特別なっていない、それは言ってみれば研究者の段階とでもいいましょうか、そういうところでやるべきことだと思っているというような判断の御返事でありました。しかし、非常に重大な問題が幾つも含まれていると思うんであります。私は、厚生省は厚生省といいましょうか、研究機関であるとしても、とにかく医療ということにかかわってのそういう倫理の問題、こういう範囲を一方ではやっぱり出ないんじゃないかと思うんですよ。それで、畜産の技師か学者がこれに参画をする、そこの部分については、何というんでしょうか、そういう畜産の技術者が何の歯どめもなしに参加をするということにも問題が一つあると思います。それはまた、農林水産省なら農林水産省の言ってみれば一つの範囲の中でいろいろな制約を受けてやる、こういう格好になるとしますと、それぞれのところがばらばらでそれぞれやっていましても、生命という極めて尊厳なものを扱っていく際に、私はどうしても穴ができてくると思うんです。そういうのでは、言ってみればピラミッドとしてやはり科学技術庁あたりで総合的にこうした倫理の問題というものはとらえていっていただいて、それのもとで医師は医師の倫理なら医師の倫理で、畜産の遺伝子工学の場合はこうとか、そういうものになっていかなければいかぬのではないか。ライフサイエンスという形で一生懸命取り組んでおられる側面がありますけれども、そういう総合的なやっぱり対応というものがどうしても必要なんではないだろうか、そのことを越谷病院の今度の事件はそれを示しているんではないだろうかと、そんなふうにも思うわけでありまして、そうした遺伝子工学、生命工学、それらのものを総括をする、そういう倫理問題というものを科技庁としては今後どのようにとらえていかれようとしておりますか。その辺のところを大臣の御見解を伺って私終わりたいと思います。
#132
○国務大臣(竹内黎一君) 先生ただいま御提起の問題はまことに深刻でありかつまた一面極めて難しい問題だと、こう私も考えております。いわばライフサイエンスと生命の尊厳、生命倫理の問題につきましては先生も御案内かと思いますが、科学技術会議のいわゆる第十一号答申におきましても科学技術と人間及び社会の調和というものを十分にこれから考えていかねばならぬという強い御指摘がありますが、またその科学技術会議自体でも同会議の中の政策委員会においてこの問題の検討を行っているところでございます。
 この問題は広く国民の持っておる価値観、多様な価値観にもかかわる問題でございまして、一刀両断的に私はすぐに答えが出せるかどうか多分にその点は疑問を感じますけれども、私どもとしても今後各方面、多方面の意見を承りながら先生の御趣旨の線に沿っての勉強をこれからも十分にしてまいりたいと思います。
#133
○伏見康治君 長官がおられない間にお聞きしたものですからちょっと重複しますが、ソ連がコラ半島で大陸に穴をあけまして、深さ十二キロという世界最深の深さまでいって、それが昨年度はジャーナリズムをにぎわしていたのですが、そういうものの影響なんでしょう、西側、フランスとかドイツとかベルギーとか、あるいはアメリカはもちろんですが、みんな穴を掘り出したのです。日本でも穴を掘り出したらいかがでしょうかというそういうお話でございますが、お考えおき願えればありがたいと思います。
 与えられた時間が少ないものですから、いろいろなところをはしょってお話を伺いたいと思うんです。
 ウラン濃縮については先ほど既に同僚の議員の方から御質問があったわけなので、余りいろいろなことをお聞きしても無意味になっているんですが、私といたしましては、理研のレーザーに関する予算とかあるいは原研のレーザーに関する予算とかというものができるときにお役所参りをいたしましてそのきっかけをつくったという覚えがあるものですから、我が子かわいさでもってレーザーを十分認識していただきたいというお願いをしたいような感じなんです。
 何を質問しようかと思っていたところが、きのう参りましたアメリカの科学雑誌サイエンス、今、日付を見たらきょうの日付です。きょう発行のサイエンスを見ますというと、なぜアメリカ政府がGCEP――ガス・セントリフュージ・エンリッチメント・プラント、略してGCEPという計画をやめて、そしてAVLISというレーザー分離法の方に切りかえたかというお話が書いてあって、それをさっきから読んでいたのですが、非常にわかりやすいお話で、これをぜひ皆さんがお読みくだすって、アメリカにおける経過がどういうことであったかということを理解しておいていただきたいと思うわけです。
 元来は一九八八年にレーザーにするかあるいは遠心分離にするか、そのどっちかを決めるということで審議しておられたのだそうですが、いろいろな財政事情の方からの圧迫でディシジョンメーキングを三年繰り上げてせざるを得なくなった。そういうことで、ついにレーザーの方に切りかえたというお話でございますが、ぜひひとつそれを読んで日本におけるディシジョンメーキングの参考にしていただきたいと思うわけです。
 私といたしましてはこの機会に一つお願いがございまして、それは例えば理研にレーザーの予算をつけていただいたときに、それがウラン濃縮ということでは認知されないわけです。それをやると科学技術庁としては今考えている遠心分離法の方の予算をとるのに非常に不都合であるとお考えになったんだろうと思うんですが、ウラン濃縮ということでレーザーのお金をとると困るからほかの名前にしてくれということで、認知されないままにその基礎研究のお金をつけていただいたのですが、そういう神経の使い方というものは結局大蔵省には隠してみたところでみんなわかってしまっている話だと思うんですね。そういうのはつまらないので、もっと堂々とひとつやっていただきたい。そして、現在進行中のお話というものと、次世代のための研究というものとの区別をちゃんとしていただいて、それぞれにちゃんとしたお金を出すということにしていただかないと、新しい技術の発展というものは非常に阻害されると思うんです。つまり、既に何かある考え方で仕事が始まってしまうと、その予算を確保するためにはそれと同じ目的のものは一切排除をするということでは新技術の発達は起こらぬと私は思いますので、そういうことがないようにひとつ長官お願いいたしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#134
○国務大臣(竹内黎一君) ただいま伏見先生御指摘の件はまことに私は重大な問題であろうと認識をいたしております。したがいまして、このレーザー濃縮につきましても、先ほど申し上げましたように、私は次世代の有望な技術であろうとこう思いまして、その予算の関係、六十一年度の概算要求、あるいは十二月に当たっての実際の予算決定に当たりましては、この方面の何とかしてひとつ積み上げもまた図ってまいりたいと、微力をいたすつもりでございます。
#135
○伏見康治君 この間から実はこの一月の間に長官といろんな宴会で御一緒になりまして、いろいろお話をありがとうございました。
 一番初めの質問は、追浜の「かいよう」のお祝いのときのことからお話を始めたのですが、今度はJT60、核融合の方のお話をちょっと聞かせていただきたいと思うんです。
 核融合の研究が始まりましたころには、実は皆さんこんなにお金がかかるものとは想像しておりませんでした。私のボスに当たります菊池正士先生がイギリスに行かれまして、イギリスで既に始まっていたのですが、コッククロフトというノーベル賞をもらわれた有名な先生のその監督下で始まっていたのですが、そのコッククロフトに菊池先生が会われたときに、日本でも核融合の研究をしたものであろうかどうであろうかという質問をなすったんだそうですが、そのときのコッククロフトの答えは、なにあれはわけのない話だ、コンデンサーバンク、つまり蓄電器の非常に大げさなものを研究者に与えておけばそれでいいんだよと、要するにコンデンサー放電と申しまして、それに針金をつないでパチンとやって強電流を瞬間的に流す、そこで核融合ができるかもしれないという、そういう単純な考え方でございます。そのころはコンデンサーバンクといってももちろん相当大きなものですからお金がかかるんですが、しかし、せいぜい何億円の程度であって、何百億とか何千億とかいうお話ではなかったのです。それで、菊池先生がそれほど手軽なものならやってもよかろうということで、日本で核融合の研究が始まったというふうに私は理解しております。ですから、そんなにお金がかからないつもりで、それから私自身お金を使うのが嫌いなものですから、名古屋大学プラズマ研究所をつくっていただきましたときも、少なくとも私が所長時代には極力大げさなことはしないという方針でやってきたわけです。ところが、その後どんどんどんどんスケールアップいたしまして、非常にたくさんのお金が要るようになって、JT60というのは相当のお金がかかったと思うんですが、あの土地を買うというところから始めて一体どのくらいかかったでしょうか。
#136
○政府委員(中村守孝君) JT60についての要した経費でございますが、現在まで二千二十三億円ということで、今後臨界条件を達成するためには加熱装置を整備する必要がございます。こういった経費が二百七十六億円程度と見積もられておりますので、合わせますと臨界条件達成までに要する施設関係の費用が、実験費とかそういったものは別でございますが、約二千三百億円かかる見込みでございます。
#137
○伏見康治君 私は、この額は絶対値として大きいとか、少ないとか言うつもりはないんですけれども、JT60というのはいわゆるまだ基礎研究の段階でございまして、つまり原子力発電所をつくる費用というのは同じ程度かかっても、絶対値としては大きくても、しかしそれをつくれば直ちに役に立つ電気が出てくるわけです。JT60はまだ基礎研究の段階でございまして、要するに原理が確証されるだけということでございますので、そういう意味合いのプロジェクトとしては随分お金がかかるという感じはどうしても払拭できない。
 しかし、私核融合の研究をやってまいりまして、核融合の悪口を言うつもりはないので少し弁解させていただきたいと思うんですが、核融合研究者は一つのジレンマに置かれているわけでございまして、つまりこれから研究しようと思うものが実はまだないわけです。つまり非常に高い温度の完全に電離したプラズマがあって、その中で核融合が起こることを期待するわけですが、そういうものが、これから研究しようとするものがまだ手元にないわけです。それをつくり出そうとするのには、実はその性質がわかってないとそのつくり出す機械もできてこないというわけで、少し当てずっぽうのことをやってはうまくいったときに、それを土台にしてまた一歩進むというやり方で今日までだんだん大きくなってきたんだと思うんですが、今このJT60が完成いたしました段階で、ようやくいわば核融合研究者は自分が欲しいと思ったプラズマを手に入れることができた。この手に入れたプラズマをこれから科学的に研究するんだというそういう段階であると私は思っております。
 それで、ところが、これもやはり予算をとるときのお話になるわけですが、とかくそういう巨額なお金をとるためには実はあすにでと電気が出ますよというようなことを言わないとなかなか出てこない。そのために、これは何も日本だけのことではございませんでして、アメリカのTFTRにいたしましても、あるいはヨーロッパ連合のJETにいたしましても、この予算をとるためには、その次につくる機械ではもうエネルギーが出るんだということを言ってここまで予算をふやしてきたんだと、思っております。そうなったという心情はよくわかるんでございますが、その心情は実は恐らく数年たつと裏切られるおそれがありますので、私は正直にこれは基礎研究の段階なのであるということをむしろはっきり言って、そしてちゃんとしたお金を出していただく、そしてしばらくは基礎研究をじっくりやるということが極めて大事な時期ではないかと思うのでございますが、JT60以後をどうなさるか、原子力委員会とかあるいはその中の核融合会議とかいうところでそれぞれ御議論であろうと思いますが、長官のその今後の見通しについてちょっと伺いたいのであります。
#138
○政府委員(中村守孝君) ちょっと技術的なお話を少し先にさせていただきたいと思いますが、先生から今核融合についてあすにでも電気がとれるようなことを言ってやったんじゃないか、こういう御指摘がございましたが、私どもとしては核融合に関しましては、JT60に関しましてはそういうことはございませんで、むしろJT60につきましてはトリチウムを入れて実際に燃やすというようなことはもちろんいたしませんで、放射能とかそういった問題が起こらない、きれいな状態でいろんなデータをとるということを目的にしてやっております。そういう意味で、世界的にもユニークなもので、非常に基礎的な豊富なデータが得られるということが期待されておるわけでございます。
 この次それではどうするのか。この次には、当初言っておりましたのは、この次にさらに工学的な実験的な炉をつくって、さらにそれを今度は実験炉という形にして、それから原型炉、さらに実証炉、それからようやく実用炉という形になるんですということを従来から御説明をしてまいっておるわけでございまして、核融合が実際にエネルギーを供給するということはかなり先になるということを申し上げてきておるわけでございますが、JT60の次をどうするかということにつきましては、先ほど申しましたように、このJT60では実際に核融合がこの中で起こるわけではございませんで、いわゆるプラズマの臨界条件を生み出す、それだけのことでございます。したがいまして、今度は実際にトリチウムを取り扱った、自己点火と称しておりますが、中で核融合を起こさせるという実験装置をつくらなければならない。そういうことで、次期装置をどうするかということ等いろいろ検討をいたしておるという段階でございまして、もちろんこれにつきましては国際的ないろいろな協力のもとに情報も集めて今後慎重に検討していかなければならない。それとあわせまして、今JT60はトカマク型でございますが、これのほかに大学関係でいろいろな方式の研究もしております。実際の実用化の段階に到達するまでにはこれらの他の方式との比較検討というようなこと、その途中段階における研究評価というものを着実に、次のステップに移る前には必ずそういう研究評価をした上で先へ進む、そういう態度で私ども関係者相談をしておるところでございます。
#139
○伏見康治君 一つだけ伺います。
 もう少し議論をしたいんですけれども、私がまだ現役のときにIAEA、ウィーンにあります国際原子力機関におきましてINTOR計画というのを各国が寄って、特に四つの国、日本とアメリカとヨーロッパと、西ヨーロッパと言うべきかな、西ヨーロッパとソビエトの四つの団体が参加してINTOR計画というのを練っておったわけですが、それがJT60の次の世代の機械であるというイメージで、そういうものを何とか国際的につくろうではないかという方向に仕事をしてきたつもりなんですが、これだけお金がかかるようになってまいりますと、各国ともそれぞれ予算をとるのに苦労していると思うんですが、そういう意味合いからいってそういう国際的協力をやるという一つのチャンスであると私は思うんですが、それがどうなっているか、ちょっと伺いたいわけです。
#140
○政府委員(中村守孝君) 国際原子力機関、IAEAの中で先生御指摘のINTOR計画についての研究が行われておるわけでございまして、これには原子力研究所の森理事がいわば取りまとめ役という形で参画いたしております。このINTORと申しますのは、現在JT60と同様アメリカのTFTR、それから欧州のJET、そういったものに次ぐ次世代のトカマク型実験炉、国際トカマク炉と称しておりますが、これを共同で設計研究するということでやっておるわけでございます。これには米国、EC及びソ連も参加しておるわけでございまして、現在まで概念設計から始めまして、設計の最適化ということでフェーズIIのA及びBというところまで終了しております。これまでの六年間にわたる共同設計研究によりまして技術的に見て妥当と思われる次世代トカマク実験炉のイメージが確立をしたという段階にございます。本年四月のIAEAの国際核融合研究評議会におきまして、INTORの使用を最新の成果を取り入れて妥当な範囲で革新的なものに修正し見直すことが決定されまして、現在INTORワークショップは今後二年半にわたってさらに作業を継続する、こういう状況になっております。
 INTORを実際に共同して建設することになるかということにつきましては、例えばヨーロッパにおきましてはNETという次の炉の構想を持っておりますし、アメリカでもまた別な構想も持っておるようでございまして、これは設計研究でいろいろな知見を得たということでございますが、実際にこれで直ちに共同の炉を国際的につくろうというところまで発展するかどうかにつきましては、現在のところ見通しが難しい状況にございます。
#141
○伏見康治君 少し時間がはみ出すおそれがありますが、御容赦願いたいと思います。
 長官にぜひ、国際的に協力して一つの国ではやりにくい仕事をやるということは大変いいことだ、特に現在のような国際的緊張が陰にあるという場合には非常にいいことだと私は思うんですが、その点についての長官のお考えを伺いたいわけです。
#142
○国務大臣(竹内黎一君) 私から申し上げるまでもなく、核融合の研究というのは多額の資金、多くの研究者そしてまた長時間を要するものでございます。そういう面からも私は国際協力というのは不可避だ、こう思っておりますし、実は先日ECの副委員長、科学技術担当の方が私のところに見えました際も、先方から核融合関係についてもっともっと日本と情報交換、それから若手研究者の交流等々をしたいという積極的な提案も受けているところでございます。どちらが早く臨界プラズマ状況を達成するかという、一面競争の面も確かにございますけれども、この種のプロジェクトは先生御指摘のようにやはり国際協力なくしてはかなわないものだと私は強く認識しております。
#143
○伏見康治君 あとSDI関係のことをお聞きしたかったんですが、余りに時間を超過しそうなのでここでやめます。わざわざいらした方は申しわけありません。
#144
○佐藤昭夫君 私はいわゆる関西学術研究都市構想の問題について質問をいたします。
 まず国土庁、この都市構想に昭和五十四年から毎年調査費がつきまして、既に七年を経過をしています。まず、この構想の現段階までの進行状況と今後の検討課題は一体何か。非常に限られた時間でありますので、要点をひとつ御説明願いたいと思います。
#145
○説明員(佐々木徹君) 今先生御指摘ございましたように、関西文化学術研究都市につきましては、昭和五十四年から私ども調査を開始いたしまして、その成果を昭和五十七年、本都市の建設の基本構想という形で取りまとめて発表いたしました。その後五十七年、五十八年の二カ年にわたりまして関係六省庁との間で共同でこの本都市に関連いたします道路とかあるいは鉄道といった交通施設あるいはその周辺の保全整備の問題等につきまして調査いたしまして、昨年の七月その結果についても公表いたしております。それを踏まえまして、地元府県でございます京都府、それから奈良県、大阪府におきまして、それぞれの区域におきます本都市の建設に関係いたします計画、構想というものを取りまとめまして、昨年からことしの春にかけましてそれぞれまとめて発表いたしております。
 今後の課題でございますけれども、そういう府県の取りまとめました構想等踏まえまして、私ども現在こういう本都市の建設を長期にわたりまして整合性をもって進めていくためには、その三府県にまたがります全体計画の素案がぜひ必要だというふうに考えておりまして、現在地元関係者の意見を聞きながら三府県と共同して素案の取りまとめを行っているところでございます。今後この素案をたたき台といたしまして、関係省庁と十分連絡調整を行いまして、全体計画の策定に向けて合意形成を図りたい、かように考えている次第でございます。
#146
○佐藤昭夫君 今もありましたように、この構想の内容として京都、大阪、奈良などのそういった府県や関西財界などがいろんな施設の建設を打ち出しているわけであります。もう一々挙げませんけれども、既に公表されているものでも十余り、いろんな施設を打ち出しているわけでありますけれども、これらが全部建設をされるということになりますと、膨大な財源が必要になるだろうと予想されます。
 そこで、道路や土地基盤整備も含めて関係市町村や住民の間には結局大きな財政負担が強いられるのではないかという不安も募っているわけでありますけれども、これに対してこの構想は国家的プロジェクトであって、財源は十分国が面倒見てくれるから心配ない、こういう説も流布をされております。しかし、片や行革が強調され、国の財政難が強調されるときに、果たしてお金は国が十分見てくれるというふうに安心をしていいのかどうか。この財源の問題については、国としての考え方はどういう考え方か、その点を……。
#147
○説明員(佐々木徹君) 先生も御案内のように、関西文化学術研究都市の建設は、産官学が協調いたしまして民間活力を活用しながらこれを進めていくというふうに私ども了解しております。したがいまして、実際の都市の建設に当たりましては国、府県、市町村並びに民間各界が緊密な連絡のもとにそれぞれの分担と協力によって推し進めていく必要があるんだろう、かように考えております。
#148
○佐藤昭夫君 産官学で進めていくということになるだろう、当然そういうことだ、そういう方向でいろいろ進行をしておるかと思いますけれども、今一番固まっている、もうほぼ建設確実ということで進行をしておりますのが国際高等研究所ですね、これについては文部省が昨年財団法人として認可をしたわけでありますが、文部省所管のそのもとで、国際高等研究所、こうなりますと大体これは相当国の金が出るんではないかというふうには一般論としては考えられる。しかし、実際は昨年財団法人として認可をして、国の出資はほとんどない、こういう方向で事が進んでいる模様であります。
 こうした点で私はもう一遍念を押して、この点はせっかくの御出席の機会でもありますので、閣僚の一員としていろいろ話題にも上っておるんじゃないかと思うんでありますけれども、十分国がこの資金を投入をしよう、こういう方向でいっているのか。例えばこのテクノポリスとかテレトピア、これの姿を見てみますと、いろいろ宣伝はされていますけれども、かつての新産都市構想の場合に比べますと、国の資金の投入というのは今の行革の時期の折、かなりぐっと抑えている。税制面での優遇、融資制度。だから、出資というのは極力抑える、こういう姿にもなってきておることでもあり、一体、この関西学術研究都市構想なるものに対しての国の資金出資の考え方はどうなんでしょうか。
#149
○国務大臣(竹内黎一君) 関西文化学術研究都市におきましては、私どもの役所としても科学技術の振興を図るという観点から本構想の検討には積極的に協力していくことにいたしまして、国土庁を中心にした会議にも参加しておるわけでありますが、現状は、先ほど国土庁の方からお話ありましたように、構想がまだ具体的に固まっていないのが現段階だろうと、私はこう認識しております。
 したがいまして、その際の財源確保がどうなるのか、国なりあるいは地方の分担がどうなるのか、こういう点につきましてはまだ私は答弁申し上げる段階にはないと今思っております。
#150
○佐藤昭夫君 国土庁にお聞きをしても、大臣にお尋ねをしても、積極的に応援はしていきたい、推進はしていきたいとおっしゃるんだけれども、さて金のことはどうなるかとなると産官学でという一般論ということで、今はそういうことしか言えぬということであれば、そういうことで本日はとどめておきましょう。
 私国会に出てまいりましてほぼ八年たとうとしておりますけれども、この間三、四回この関西学術研究都市構想の問題で質問をしてまいりました。そのたびごとに取り上げてきた問題として、軍事研究導入の危惧があるということをただしてきたわけでありますけれども、今回もその点について改めて竹内科学技術庁長官にお尋ねをしたいのであります。
 それというのも、特にこの構想の中に電気通信基礎技術研究所を盛り込もうという、こういう発言が最近とみに盛んでありますが、この土台になりますのは例の電電と絡みましての基盤技術研究促進センター、これを含むところの、先日国会でも通過をいたしました基盤技術研究円滑化法、あの法案審議の際、五月十五日でしたが、私は商工委員会、逓信委員会の連合審査でも指摘をしたわけでありますけれども、この円滑化法の中には平和目的の研究に限るというこの定めがないということを指摘をしました。原子力の研究開発、これは基本法に明確に定めています、自主、民主、公開、平和目的でいくと。一方、宇宙開発事業についてもこれは平和目的。ところがこの基盤技術研究、新しい用語ですけれども、いわゆる先端技術研究でありますが、この分野についてのこの法律に平和目的に限るというこの定めがない。しかし、この分野はアメリカの国防総省などが非常にうかがっておる分野だということはたびたび新聞でも報道されておるということでそうした危惧を持ちますだけに、とりわけことし、竹内科学技術庁長官にも本当に軍事研究導入をしない、こういうことでお約束をしてもらえるんでしょうか。
#151
○国務大臣(竹内黎一君) 速記録をさかのぼって調べてみますと、先生昭和五十五年十月二十四日に、当時の科技特におきましてただいまと同趣旨のことを当時の中川一郎国務大臣にお尋ねになっております。その際、中川大臣からは「軍事面の研究をやろうということは私聞いておりませんし、そういうことはないものと思っております。」と御答弁しておりますが、私自体もそういう経過があるということは聞いておりませんし、そのようなことはないものと今確信しております。
#152
○佐藤昭夫君 その御答弁しっかりとひとつ確認をしておきたいと思いますし、ぜひその立場を貫いていただきたいと思います。
 なお、御参考に申しておきますけれども、五十八年中川大臣の後を引き継がれました、ここにさっきおられた安田科学技術庁長官も中川長官の答弁のとおり、こう言われておりますので、念のために申し添えておきます。
 終わります。
#153
○委員長(馬場富君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#154
○委員長(馬場富君) これより請願の審査を行います。
 第二〇六二号被曝(ばく)制緩和反対等に関する請願外一件を議題といたします。
 先刻、理事会におきまして協議の結果、これら二件の請願は保留とすることになりました。
 理事会申し合わせのとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#155
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#156
○委員長(馬場富君) 継続審査要求に関する件についてお諮りいたします。
 海洋開発基本法案及び海洋開発委員会設置法案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、両案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#157
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#158
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#159
○委員長(馬場富君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#160
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#161
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#162
○委員長(馬場富君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査のため、閉会中に委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#163
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#164
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#165
○委員長(馬場富君) この際、理事の辞任についてお諮りいたします。
 林寛子君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#166
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 ただいま林君が理事を辞任されたため理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行
いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#167
○委員長(馬場富君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に志村哲良君を指名いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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