くにさくロゴ
1984/04/03 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 環境特別委員会 第5号
姉妹サイト
 
1984/04/03 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 環境特別委員会 第5号

#1
第102回国会 環境特別委員会 第5号
昭和六十年四月三日(水曜日)
   午後三時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         粕谷 照美君
    理 事
                山東 昭子君
                原 文兵衛君
                丸谷 金保君
                飯田 忠雄君
    委 員
                石井 道子君
                藤田  栄君
                星  長治君
                森下  泰君
                矢野俊比古君
                柳川 覺治君
                吉川  博君
                片山 甚市君
                高桑 栄松君
                近藤 忠孝君
                木本平八郎君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  石本  茂君
   政府委員
       公害等調整委員
       会委員長     大塚 正夫君
       公害等調整委員
       会事務局長    菊池 貞二君
       環境庁長官官房
       長        岡崎  洋君
       環境庁長官官房
       会計課長     八木 規夫君
       環境庁企画調整
       局長       山崎  圭君
       環境庁企画調整
       局環境保健部長  長谷川慧重君
       環境庁自然保護
       局長       加藤 陸美君
       環境庁大気保全
       局長       林部  弘君
       環境庁水質保全
       局長       佐竹 五六君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        桐澤  猛君
   説明員
       警察庁交通局交
       通企画課長    安藤 忠夫君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部環
       境整備課長    加藤 三郎君
       農林水産省農蚕
       園芸局植物防疫
       課長       岩本  毅君
       農林水産省食品
       流通局消費経済
       課長       松延 洋平君
       農林水産省食品
       流通局食品油脂
       課長       増田 正尚君
       通商産業省基礎
       産業局化学製品
       課長       松井  司君
       通商産業省機械
       情報産業局電気
       機器課長     広野 允士君
       運輸省地域交通
       局陸上技術安全
       部技術企画課長  福田 安孝君
       建設省道路局道
       路防災対策室長  寺田 章次君
       自治省財政局財
       政課長      小林  実君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○昭和六十年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、昭和六十年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、昭和六十年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (総理府所管(公害等調整委員会、環境庁))
    ─────────────
#2
○委員長(粕谷照美君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。
 去る三月二十九日、予算委員会から、四月三日の午後三時から四月四日の正午までの間、昭和六十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち、公害等調整委員会及び環境庁について審査の委嘱がございました。
 この際、本件を議題といたします。
 本件の予算説明につきましては、去る三月八日の委員会におきまして既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○片山甚市君 私は、再三にわたりまして委員会で、予算に関連することをやってまいりましたが、せんだっての委員会における質疑を引き続き行いたいと思います。
 公害健康被害補償法第二条一項に係る対象地域のあり方の中公審に対する諮問文についてでありますが、去る三月二十七日の本委員会における公健法審議の際、地域見直しの諮問文について、本文と「参考」の文言上の相違をただしましたが、その趣旨は、諮問の本文には「対象地域のあり方」とあるのに、これに附属した「参考」の「諮問の趣旨」の(4)には、「第一種地域の指定及び解除の要件のあり方等」と、「等」とありました。なぜ「等」をつけたりつけなかったり、書き方を分けるのかということであったのでありますが、そのことについて、再度諮問内容を明確にしておきたいのでお聞きします。そうでないと、諮問の範囲を逸脱した答申が行われるおそれが十分に考えられるからであります。そのことは、次のような事実もあるからであります。
 昭和五十三年のNO2の環境基準改定のとき、諮問文はNO2の健康影響に対するクライテリア、判定条件を求めていたのでありますが、環境基準そのものについては一言も触れていなかったにもかかわらず、最終段階で、答申の末尾に次のような文句が、字句が追加されました。「政府は、この報告を参考にして、現在のNO2に係る環境基準について、公害対策基本法第九条第三項の規定の趣旨にのっとり、適切な検討を加えられたい」、この字句を根拠に環境庁は環境基準の緩和を強行した前科があります。このことは、末尾三行問題として関係者の間ではつとに有名であり、長官も環境庁幹部も周知の事実であります。
 このように、諮問文の趣旨は明確であっても、答申の段階でその範囲を超えて書かせ、それをてこに制度の改悪を強行したという環境庁に対し、公害患者を初め不信感を持つのは無理はないと私は考えます。今回は、諮問文の文体そのものをあいまいにしておいて地域指定の解除を求めるような答申を引き出し、それを根拠に指定解除を強行するおそれがないとは言い切れない。そこで、次の諸点を明確にしておきたいと思います。
 まず第一に、諮問本文では、「対象地域のあり方に関して、」「貴会の意見を求める。」となっているのに、「諮問の趣旨」の方では、「第一種地域の指定及び解除の要件のあり方等である。」としている点について、二十七日の答弁では、関連する諸問題が出てきた場合を想定してのことであると言っているが、関連する諸問題とは具体的にどういうものか。中公審にげたを預けてあるから内容は答えられないというのは論弁であります。事務当局としてその辺よく熟知していることであるはずであります。
 そこで、諮問本文には「等」を入れず、「諮問の趣旨」には「等」を入れているような小細工については、意図は何であるか、まず答弁を願いたいと思います。
#4
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 中公審に対します諮問につきましては、先生からお話ございましたように、今後における第一種地域のあり方について諮問を行ったものでございます。この諮問事項にかかわります具体的な諮問の趣旨あるいは審議事項といたしましては、先生のお話ございましたように、「第一種地域の指定及び解除の要件のあり方等」という表現をいたしてございますが、この第一種地域の指定及び解除の要件のあり方ということが第一種地域のあり方ということに非常にイコールといいますか、非常に近い感じになるわけでございますが、第一種地域のあり方という言葉のイメージといいますものが、指定及び解除要件のあり方ということと必ずしも一致するものというぐあいには考えていないわけでございます。そういう面でいろんな観点からいろんな御意見が出ることもあり得るというようなことで、この中公審の審議の範囲を説明するに当たりまして、そのあり方という形で限定しているわけじゃなくて、「等」を付しまして説明いたしたものでございます。
 したがいまして、第一種地域のあり方が審議されるに当たりましては、当然指定及び解除要件のあり方が審議されるわけでございますが、それ以外にどのような事項が審議されるかは中公審における審議の進展いかんによるものというぐあいに考えておりまして、現段階におきまして、あるいは諮問の段階におきましても、環境庁といたしましてはあらかじめ予定しておる事項があるわけでないということを御説明さしていただきたいと思っております。
#5
○片山甚市君 あらかじめ予定しないで、中公審が勝手にやってもらって結構だという諮問だということでありますから、昭和五十八年によこした諮問と同じように、勝手に自分たちの都合のいい答申を求めていることだけは明らかになったと思います。納得できません。
 長官は、中公審答申は汚染物質と健康被害の評価並びにこの評価を踏まえた第一種地域の指定及び解除の要件のあり方についてのみ答申すべきものでありまして、仮に万一それ以外の指定解除など制度の改変を求めるような文言が入っていたとしても、解除を行わないことを明言してもらいたい。今解除を目標にして答申したような言い方になりますが、本文が生きるのか、説明書が生きるのかについて、大臣から明確に答弁願いたいです。
#6
○国務大臣(石本茂君) お答えが的確でございますかどうか、私考えておりますのは、この補償制度の運用にとりまして大切な第一種地域のあり方につきましては、現在中公審に諮問しているところでございますので、この諮問の審議の結果を見守って、審議の結果が出ることによって対策が講じられるわけでございますので、現在ただいまは審議のあり方を見守っているところでございます。
#7
○片山甚市君 そうすると、私に答えなかったのは、第一種地域の指定及び解除の要件のあり方についてのみ答申を求めるのじゃなくて、広範多岐にわたって何でも答申してもらったら、環境庁は自由自在に、孫悟空の如意棒みたいに、勝手にやるということですか。
#8
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 中公審の義務といいますか、権限と申しますか、それに関するお尋ねかと思うわけでございますが、公害対策基本法の第二十七条に環境庁長官等の諮問に応じ、公害対策に関する基本的事項、重要事項を調査審議するほか、これらの事項に関し環境庁長官等に意見を述べるというのが中公審の権限に書いてあるわけでございます。したがいまして、第一種地域のあり方に関します今回の諮問事項に対しまして、この公害対策基本法の規定及び諮問の趣旨を踏まえていただきまして、中公審として適切に御判断された上で答申がいただけるものというぐあいに考えているところでございます。
 なお、御存じと存じますが、今回の諮問は個別な地域につきまして指定なりあるいは解除なりということについて、中公審への諮問を義務づけをいたしております公健法第二条四項に基づいて行ったものではないわけでございまして、公害対策基本法第二十七条第二項に基づいて行ったものでございますから、中公審におきましてもこうした諮問の趣旨を踏まえまして答申がいただけるというぐあいに考えているところでございます。
#9
○片山甚市君 万一それ以外の指定解除の制度の改変などが出た場合はどういう取り扱いをされますか。
#10
○政府委員(長谷川慧重君) 具体的に個々の地域の指定なりあるいは解除を行うことになりました場合におきましては、公健法第二条四項に基づいて改めて中公審に諮問するということになろうかというぐあいに考えております。
#11
○片山甚市君 わかりました。
 答申は四月にも出されるとのうわさでありますが、事実そういうことになるのかどうか。そうでなければいつごろ出される見込みでありますか。
#12
○政府委員(長谷川慧重君) 今回の諮問事項に対します答申につきましては現在も部会で審議が行われているわけでございますが、部会で審議を行うためには、まず部会に設けられました専門委員会の場におきまして御審議いただいておるところでございます。専門委員会におきましては幅広い分野の多くの科学的知見につきまして審議していただきまして、総合的な評価を行った上で報告が取りまとめられるというぐあいに考えておるところでございます。私どもといたしましては、この専門委員会あるいは部会におきまして十分審議を尽くしていただく必要があるというぐあいに考えておるところでございますが、一方におきましてなるべく速やかに御答申いただきたいというぐあいに考えているところでございます。この中公審の審議は、先ほど申し上げましたように、幅広い分野の多くの科学的知見などに基づきまして審議をいたしまして総合的な評価を行うものでありますことから十分に議論が尽くされる必要があるわけでございまして、そういう面ではいつごろまでに答申を出すというような具体的な計画を立てて進めるということにはなじみにくい性格のものというぐあいに考えているところでございます。したがいまして、先生お話ございましたけれども、いつごろまでに専門委員会の報告なりあるいは部会の答申というような時期を申し上げることができないということを御理解いただきたいと思っております。
#13
○片山甚市君 私は、四月ごろに答申がされるのではないかといううわさがありますから、そうでしょうか、どうでしょうかということを聞いた。それはうわさであってまだそういう日にちが言える段階でない。四月というのは今ですから。四月に答申があるというふうに聞いておるんだがどうでしょうかと言ったが、今四月ですからあり得ないことですね。今検討すると言ったんだから、もう答弁は要らぬです。もう言葉返さぬでよろしい。私が聞いたのは、四月に答申があるというふうに聞いておるんだがどうだろうか。
#14
○政府委員(長谷川慧重君) 先ほど御説明申し上げましたように、先行きの見通しを申し上げるのはなかなかできないわけでございますが、現在の審議状況から見まして先生お尋ねの時期に答申等が出ることはないというぐあいに考えております。
#15
○片山甚市君 いつごろかと聞いたけれども、今わからないということですからそれでよろしいです。この件は一件落着はしませんけれども、個別の指定解除などというものについては今の答申では出てこないはずだ、あり方だけだということですから、それはお聞きしました。
 次に、ナショナルトラストについてお聞きします。先日、本環境特別委員会所属委員によって和歌山県天神崎を視察し、我が国のナショナルトラスト運動の御苦労をつぶさに見せてもらいました。原理事からもその概要と問題点が報告されたところでありますが、過去に知床の百平方メートル運動の現地視察報告もありますが、環境庁としてこの運動の原点をどのように受けとめておられるのか、長官の方から御所見を賜りたいと思います。
#16
○国務大臣(石本茂君) 今お話のございましたナショナルラスト活動につきましては、自然保護の一層の充実を図りますために国民的な広がりにおいてこの問題に取り組んでまいりたい。これは極めて有意義なものであるというふうに考えております。
#17
○片山甚市君 お聞きして非常に残念に思うのは、開発への危機感がこの運動の中でたくさんあって、しかも大型のブルドーザー、パワーショベル等の開発の機器が巨大化したために、大きな資本がどんどん進出してきて自然公園というものが破壊されるのじゃないかという住民の素朴な気持ちから起こっておる。あくまでも純粋であって、代償を求めていないというように思われるのですが、大臣どうでしょうか。
#18
○政府委員(加藤陸美君) お尋ねの件でございますが、私の方からちょっとお答えさせていただきたいと存じます。
 先生の御趣旨は、原点といいますか、背景をどのように認識しておるかというところからだと存じますが、実は先生もちょっと御指摘になりましたが、この運動といいますか、この動きは、本来、県立の自然公園も含めましてでございますが、そういう現行の制度で一定の地域を指定してこういう規制を行ったり、あるいは所定の調整を行うような制度があるわけでございますが、なかなかそういう指定が行えないような地域、例えば規模の大きさ等の関係もございますし、また、土地所有権の制約を伴うことからなかなかその指定が困難だというようなこともあったわけでございます。他方、そういう中で、先生ただいまお話しになりましたように、その地域にとりまして非常に貴重なものがだんだんと失われていってしまうという危機感もあった、そういうところから起こったものでございまして、地域の住民が中心となられて土地そのものを買い取り、あるいはそれを保全活用しようということで発生してきたものと認識いたしておりまして、その発生の原点並びに現状につきましては、当委員会の御視察の御報告等はもとよりのこと、私どもも各現地の方々あるいは県市町村の方からの報告等を通じて十分認識しておるつもりでございます。
#19
○片山甚市君 環境庁長官が言われたことについては、反対しておるのじゃなくて、開発ということが引き金になったものであって、それもつるはしでやるとかスコップでやるのでなくて大きなパワーショベルみたいなものでやるので大変自然が害される、こういうようなことから住民から危惧が起こり、自然を守ろうじゃないかということになったということについて、今の御答弁は私の発言について否定されたものでないと思いますからこれでとめますが、私としては原点は四つある、そういうふうに申し上げたところです。
 そこで、天神崎の運動の困難性についてですが、環境庁はこの運動に対して精神的な支持にとどまっているが、既に十一年を経過したものでありまして、国民が直接参加する環境保護の貴重な運動であるだけに、環境庁としてその御苦労をどう受けとめ、積極的にどう対応していかれるのか、天神崎のナショナルトラスト運動についての対応についてお聞きしたいのです。
#20
○政府委員(加藤陸美君) お答えいたします。
 まず、天神崎の活動は純粋の市民団体が主体となって行われたものでございまして、それだけに活動の推進は非常に困難であったと承知いたしております。具体的に若干申し上げますと、当該土地の所有者の協力を得るためには、その資金繰りの関係もございまして早急な買い取りが必要であるという状況があったやに承っております。そのためには資金調達と申しますか、寄附の促進を図らねばならなかったということで非常に苦労されたと。ただ、途中段階でだんだん各地の応援もあり、また地元の市ないし県の御協力も得られるようになったということは皆様方からのお話で重々承知しておるわけでございますが、当初のスタート、それから途中の推進方については容易でなかったということは承知いたしております。
 また、これに対しまして環境庁としてどういうことができるか、いろいろして差し上げたいことはあるわけでございますが、しかしながら、何分にも特定の地域のある部分でございますので、なかなか制度上あるいは予算上どうこうというのがこの時期なかなか難しい状況であったことも御理解いただきたいと思うわけでございます。まず非常に困難であったことの一つの理由にもなっておりました税制上の対処、まあ恩典といいますか、これが不十分であったというようなこともございますので、一つはその辺の税制上の対応策をしていこうということでございまして、これはある程度の対応が可能にはなってまいりましたけれども、現在の天神崎の団体につきましてはいまだ法人化がされていないというようなこともありまして、直ちに作用するというわけにはまいらぬかとは思いますが、そういう体制が一つございます。
 それから、先生、ほかにいろいろと何か具体的な方法はないかということでございますが、私どももいろいろな勉強はいたしてまいっておりますけれども、直接国から予算上のという問題につきましてはなかなか難しい問題だと現時点では考えております。
#21
○片山甚市君 国からもらうならば公的になります。やっぱりボランタリーを中心としたお仕事ですからそういっていません。天神崎の保全について市民運動が体験した困難というのは、今おっしゃいましたけれども、知床の場合は自治体がやりましたけれども、ここは純粋の民間運動なので、信用がありませんから初めは非常に困難をきわめた。何をしておるんだということについては、自分で信用をつくる。二つ目は、募金と買い取りの間の期間が長いため先行取得する必要があるのですが、お金を借りて利子を払わなければならぬので大変苦労した。それに応じて行政が対応することができなかったので、大変苦労したということを言われていますから、これからの運動についての対策を心がけてもらいたい。お金をくれと言っておるんじゃなくて、今言われたようなことについて信用が置けるようにしてあげること。また銀行とか、そんなことについても皆さんの方で信用ができるような体制をとること。地方行政の場合は、地方財政が大変窮屈でありますから、お金は出せなくても協力するようにしてもらいたいと思うんです。
 そこで、天神崎の自然観察センターの設置でありますが、現地から、財団法人日本自然保護協会が計画中の天神崎自然観察センター建設への国の協力が強く求められておりました。自然保護憲章制定の年から地元では天神崎の自然環境の中で自然観察教室を開いておりますが、センター建設でこれがより充実されると期待されておるところです。環境庁として、施設整備費等の予算を活用して補助をするというか協力するということはできませんでしょうか。あわせて、現在の自然観察教室等に対し、環境ガイド事業等の予算、これは該当するかどうかわかりませんが、予算を見るとそういうふうに書いてありますから、活用して補助の検討をやってもらえないか。費目が会うかどうかわかりませんけれども、質問します。
#22
○政府委員(加藤陸美君) お答えいたします。
 まず、一番最初の方でおっしゃいました点につきましてはもう先生御自身御理解いただいておったようでございますのでそれは省略させていただきまして、今おっしゃいましたセンターの関係とそれから自然保護教育活動と申しますか、についてちょっとお答えさしていただきます。
 まず、観察センターの建設計画ということにつきましては承知いたしております。ただ、直接それを助成するということにつきましては、実はこの地域が国立公園ないし国定公園という地域ではございませんので、観察センターというのは、先生も御質問でおっしゃいましたとおりに、そういう直接の費目はなかなか難しいと存じます。と同時に、予算を何かそういう面で新しい分野を獲得してということも、私ども努力はいたしたいと存じますけれども、厳しい財政状況の中でございますのでなかなか困難だというお答えをせざるを得ないわけでございます。
 それから、自然保護教育等の活動でございますが、二点お答えいたしたいと思います。まず自然保護教育等の活動については、直接、助成という費目はございません。しかし、自然保護教育等の活動の助成策はいろいろな手段があるわけでございまして、そのノーハウ、こういうやり方というような指導もございますれば、御相談に応ずるとか、あるいはそういうリーダーのあっせんというようなことは、環境庁は中央にありまして環境庁だけでできることではありませんけれども、全般的に都道府県ないし市町村とも連携をしながら、ボランティア協力を含めて努力したいと思っておるところでございますので、そういう点で御援助できないかということを工夫いたしたいと思います。
 なお、先生例示に出されました環境利用ガイドでございますが、これはちょっと目的が違っておりまして、環境利用ガイドは予算に正式にございますけれども、これは地域での環境状況をあらかじめ調査しておきまして、各種事業を行われる場合にその環境利用上配慮することが望ましい事項を明らかにしておく、こういう調査予算でございまして、この費目は直接は自然保護教育には使えませんので、先ほど来申し上げましたようにボランティア活動とか市町村、県と連携をとりながらの御援助というような、これは例示でございますけれどもいろいろ工夫はいたしたいと思っております。
#23
○片山甚市君 環境庁としてはないない尽くしで、心ばかり贈り物をしますが、どうぞ頑張ってくださいという程度でありますから非常に寂しいものであります。各地方自治体とよく相談して自然観察の教室ぐらいはつくれるように環境庁が協力してもらいたい。大臣、いかがでしょうか。
#24
○国務大臣(石本茂君) ただいまのお言葉でございますが、このことはよく検討いたしまして前向きの対策といいますか、ものを出していきたいというふうに考えております。
#25
○片山甚市君 第一回のナショナルトラスト全国の会の大会宣言が行われまして、一昨年の十月でありますが、第一回ナショナル・トラストを進める全国の会には自然保護局長も御出席され、大会宣言、いわゆる天神崎アピールが決議されておりますが、その中で「わが国の風土に根ざした住民と自治体の運動であるナショナル・トラスト運動をさらに強化・拡大するために、われわれは国の行政および立法機関に対し基本法ともいうべきナショナル・トラスト法(仮称)の制定を要請する。」とありました。環境庁の委託したナショナル・トラスト研究会の報告では、イギリス型の統一型ナショナルトラスト法制については否定的であったが、我が国の実情に即した法制度をさらに検討するということを書いてあるのを見たんですが、このアピールもナショナル・トラスト研究会報告を承知した上で立法化を要請していると思うんです。環境庁としては法制定についてどのように考えておられるか。具体的内容は別としても、検討していただけるかどうか。さらに、議員立法をつくろうとする場合の可能性についても環境庁の御意見を聞きたいと思います。
#26
○政府委員(加藤陸美君) お答えいたします。
 まず、いわゆるナショナルトラスト法の制定というおっしゃり方をされておるわけでございますが、やっぱりこれはどういう内容で何を考えていくかということは大変難しい問題があると存じます。先生御質問の中でもおっしゃいましたとおり、諸外国の法律制度の先例あるいはこれらの国の国立公園的な制度のあり方との関連もありましていろいろな形が生まれてきておるわけでございますので、直ちにイギリスがこうであるからこうというわけにはいかないということで研究会の御報告もいただいておるわけでございます。したがいまして、我が国の現状から見ますと、この活動の発展ということも念頭に置きますと、まず中身でございますが、税による優遇措置、それから普及啓蒙活動と申しますか、PRといった基盤整備、これを進めていくことが肝要であると目下考えておりまして、法制化の問題につきましては今後のこの活動の進展を見守りながら検討させていただきたい。したがいまして、先生の御質問は検討するかしないかだけでも答えろということでございますが、これは検討していくつもりでおります。ただ、その前提となる現状をどう理解し分析し対応していくかにつきましては、今後お時間をかしていただきたいと思うわけでございます。
 なお、議員立法のお話がちょっと出ましたけれども、これは法形式はいろいろな形が今後ともあり得るかと存じますけれども、問題は実務的な基礎勉強、それから各地の活動の実態というものを十分把握し、かつ、先生自身もおっしゃいましたように、民間の活動のいい点を摘んでしまうといいますか、つぶしてしまうということがあってもいけませんので、その辺も勉強の対象としてまいりたいと思っております。
#27
○片山甚市君 この運動は発生する地域地域によって形態、内容も違っておりますから、一概に法律で縛れるかどうか別でありますが、困難な条件を克服するために国が是正するための法律、縛るのじゃなく、そういう意味で考えを聞いたのでありますが、それ以上聞きません。
 議員立法というもので対応できるかどうかについてお聞かせ願いたいのですが、議員立法というもので対応ができると環境庁は思っていますか。
#28
○政府委員(加藤陸美君) 大変難しい御質問と存じます。法律制度は国会の場ではいろいろな御議論はあらゆる可能性がもちろんあるものだと存じます。ただ、こういう実務的なものでございますので、そこで規定といいますか、規定されるべき事項がある程度具体化してまいりませんと、できないとかなんかじゃございませんが、ふさわしいものかどうかという点はちょっとお答えいたしかねる難しい問題かと存じますけれども、今後の研究問題かと存じます。
#29
○片山甚市君 そこで、先ほど御答弁もありましたが、税制に関することですが、天神崎アピールは「国および自治体に対して各種の税制、および運動団体の法人化への優遇措置等をふくむ積極的かつ具体的な対策を要求」しておりますが、昭和六十年度税制改正でナショナルトラスト関係の税制の改善が一部実現したようでありますが、一つとして税制改正の内容及び適用条件。二つ目に実現を見なかった税制改正の部分とその実現の見通しについて説明してもらい、また、現実に進められているナショナルトラスト運動への適用の可能性について、締めくくりとして説明してください。
#30
○政府委員(加藤陸美君) まず、第一点の税制改正の内容でございます。今般の改正はナショナルトラスト活動を行う公益法人について、いわゆる試験研究法人等と言われておりますが、試験研究法人等に追加いたしまして、この法人に対する寄附金について寄附金控除や損金算入といった所得税及び法人税の課税の特例を認めるということが一つございます。
 それから二つ目には、今の試験研究法人等というものに対する、それに認定された法人がそれを保全するために取得し、あるいは所有する土地等にかかる不動産取得税及び固定資産税については減免措置を行うことが適当であるという自治省通達を出していただくというこの二点でございます。後段の方は、具体的には地方における税の取り扱いの問題でございますので、自治省通達で指導するという形をとっておるわけでございます。
 それから、同時にお尋ねいただきました実現しなかったものはということでございます。これは今、一つお願いしておったものでございますが、具体的に言いますと、ナショナルトラスト活動を行う公益法人に対しまして相続財産を贈与した場合の相続税の非課税措置の問題でございます。これについてはなかなか難しい問題でありますということで、今回は実現いたしませんでしたが、今後ともその実現に向けて努力してまいりたいと思っております。
 それから三番目に、適用はどういう活動といいますか、どういう法人に対して適用されるかという御趣旨の御質問かと存じますが、これにつきましてはナショナルトラスト活動と呼ぶにふさわしい活動に対して適用されることになっておりますので、具体的に申し上げますと、保護するに値する良好な自然、これを買収しまたは管理するものであるという要件が一つ。それから二番目には、国あるいは地方公共団体が出資したり、もしくは事業を委託したり、あるいは助成をしているということ。それから三番目には、その管理しておる自然を一般に公開する、あるいは寄附金を限定的に使っていただかなければなりませんので、寄附金の使途の限定など適正な事業運営が確保されていることというような条件を満たす公益法人が対象となることと考えております。
 以上でございます。
#31
○片山甚市君 その法人化はどのような状態で全国で進んでおりますか。
#32
○政府委員(加藤陸美君) 対象となる内容を備えた各活動は全国に数カ所ございます。そのうち、例に出されましたように、市町村が既にやっておるもの等は実はこの税制上の必要はございませんので、残るところで現在その準備段階に入っているというところまでいっているものはいまだございませんが、法人化すれば対象となるというところは一、二ございます。ただし、法人化するかどうかは私どもからは直接どうこうと言うわけにはまいりませんので、その辺の動きは具体的に直接聞いたものはまだございません。
#33
○片山甚市君 天神崎ではそういうことで進めておりますから、きちんと早くできるようにしてあげることが環境庁の役目だと思いますから、促進方をお願いしておきたい。
 次の問題で、瀬戸内の環境保全のことですが、瀬戸内海の環境保全対策については特別立法が制定されて十年を経過しました。しかし、瀬戸内海の水質はなお依然として有機物による汚濁、富栄養化等多くの問題が残されたままでございますが、今後とも施策の徹底を図る必要からも次の諸点についてお聞きしたい。
 一つは、最近の水質汚濁の現況について。
 二つ目に、水質総量削減対策、燐及びその化合物にかかる削減指導について、それぞれ五十九年度を目標年度として関係府県が実施している効果等の推移と、昭和六十年度以降どのような進め方をしていくのか。
 三つ目に、瀬戸内海の埋め立て免許、承認については関係府県知事の配慮すべき基本方針が昭和四十九年に定められておりますが、瀬戸内法施行後の埋め立て件数、面積について施行前と比較はどうなっておるか。
 四つ目に、瀬戸内海の埋め立て等については立法政策上も瀬戸内海の特殊性を配慮し、特別の配慮を求めているところであります。昨年成立した関西国際空港株式会社法で、空港建設もこれから公有水面埋立法による免許申請等の手続が開始されると思いますが、環境庁として瀬戸内法の精神に沿って厳格に対処していくことと思いますが、その四つの点についてまずお答えを願いたいと思います。
#34
○政府委員(佐竹五六君) 私は前半の三点についての御質問についてお答えいたしたいと思います。
 まず、最近の水質状況でございますけれども、瀬戸内海の水質は同水域全体として見ますと、瀬戸内法による各種施策の実施等を通じて汚濁状況について漸次改善の傾向が見られるように判断しております。ちなみに、CODに係る環境基準の達成率で申し上げますと、十年前の昭和四十九年度は六七%でございましたが、六年前の昭和五十三年度にはこれが七五%まで改善を見、さらに五十八年度は八一%と向上しているわけでございまして、このような数字は、現地の漁業関係者の感覚的な判断と申しますか、最近は大分よくなってきつつあるという判断とも一致しているように私ども判断しております。ただし、大阪湾につきましては、その達成率は横ばい状態でございまして、必ずしも改善されているとは言えないのが現状でございます。
 次に、五十九年度を目標に実施されてまいりました総量規制と、燐及びその化合物の削減指導について御説明いたしたいと思います。
 まず、これらの施策の効果、評価でございますけれども、ただいま申し上げましたように、大阪湾を除きましては若干ずつでございますけれども、よくなりつつあるということは、これらの施策の効果がそれなりにあらわれてきた。まあ関係者の御努力のたまものであろうかと考えているわけでございます。この水質総量規制につきましては、人口の動向、汚水処理技術の水準、下水道整備の見通し等を勘案して、五年ごとに総量削減基本方針を見直すことといたしているわけでございます。現在の総量削減基本方針は、御指摘のように、五十九年度を目標年度としておるわけでございますが、先ほどは、若干改善の傾向を見ておるとは申しましたものの、なお赤潮等は年間に相当の発生を見ておるわけでございまして、引き続き六十年度以降もこの総量規制を実施する必要があるというふうに判断しております。ただいま、六十年度中に次期対策の目標を定めるべく鋭意検討しているところでございます。
 また、燐の削減指導につきましては、関係十三府県における指導の成果がまとまるまでにはなお若干の時間がかかるわけでございますけれども、主として洗剤の無燐化が過去五年間で大変進みましたことによりまして、瀬戸内への燐の負荷量は相当程度減少したのではないかというふうに判断しております。しかしながら、これにつきましても、先ほど総量規制につきましてと全く同様な理由で引き続き施策を実施する必要があると判断しておるところでございまして、水質保全局といたしましては、昨年三月、今後の瀬戸内海における富栄養化防止に関する基本的考え方について、瀬戸内海環境保全審議会に諮問したところでございまして、現在、同審議会の中に設けられました富栄養化防止部会で鋭意検討が行われているところでございまして、可及的速やかにその御報告をいただき、次期対策に織り込んでまいりたいと、かように考えているわけでございます。
 次に、埋め立てについて申し上げますと、昭和四十八年の瀬戸内海環境保全臨時措置法施行以降五十八年十一月までの間に二千百三十九件、総面積四千八百四十三ヘクタールの埋め立ての免許または承認がなされているわけでございます。これは同法施行前の四十六年一月一日、これは環境庁が発足した年でございますが、四十六年一月一日から四十八年十一月一日までの間の実績と比べますと、年平均の件数で六〇%、面積で二二%となり、埋め立ては大幅に減少を見ているわけでございまして、これは一つは経済的な環境の変化にもよることとも思われますが、この瀬戸内法の精神もまたこれらの数字に反映しているところがあることも否定できない事実ではないかと、かように考えているわけでございます。
 最後の点につきましては、企調局長からお答えいたします。
#35
○政府委員(山崎圭君) 先生お尋ねの第四点につきましてお答え申し上げます。
 関西国際空港計画につきましては、今後公有水面埋立法の規定に基づきまして主務大臣から環境庁長官の意見を求められる運びになるわけでございますので、その際に必要な審査を行ってまいりたいと思います。なお、この計画は、先生十分御案内のとおりでございますが、ただいまも水質保全局長が御答弁申し上げましたことと関連いたしまして、瀬戸内海に位置している、こういうことで、特に瀬戸内海環境保全特別措置法に基づきます埋め立ての基本方針に照らしまして慎重に審査してまいらなければならない、かように考えております。
#36
○片山甚市君 そこで、瀬戸内法には、長官が関係府県知事に対して必要な勧告または助言することができる旨の定めがございます。したがって、空港建設をめぐるアセスを適切に判断し、環境保全の立場から修正すべき点があれば積極的に当然勧告または助言すべきだと思うが、長官の心構えはどうでしょうか。
#37
○国務大臣(石本茂君) 関西国際空港の建設に関しましては、御指摘のとおり、現在大阪府の要綱に基づきまして環境影響評価が実施される予定と聞いております。
 環境庁は、本事業につきましては関係閣僚会議の場を通じまして関係省庁に対し環境保全上の配慮を要請してきたところでございますが、今後計画の具体化が進めば、公有水面埋立法の規定に基づきまして当庁の意見を求められることとなります。その際には所要の審査を行っていきたいというふうに考えておるところでございます。
#38
○片山甚市君 時間がもうあと二分ぐらいしかございませんから、この問題については十分に御審議いただいて、後日手抜かりがあったということのないようにしてもらいたい。
 国際空港は、御承知のように日本の国というか、国際的に珍しく二十四時間飛行機を飛ばすというんですから、夜中に飛ばしてないのを、アセスをして大丈夫だというようなことをしないで、大変厳しい条件の中で決めてもらって、住民の健康被害、環境破壊にならないように、しかと環境庁の責任をとってもらいたいと思います。
 最後に、使用済み乾電池のことについて先立っても聞きましたが、もう一度聞きます。日本電池・器具工業会は、使用済み乾電池対策の基本的な考え方を「必要となる費用とその効果に十分考慮し、合理的に実施できるものとすることが必要であり、消費者、市町村及び事業者に対して、その効果に比して、過度の負担を与えてまで、実施するものであってはならない」と言っていますが、この文の前段には「過去及び現在にわたり、使用済み乾電池の水銀による公害発生の事例があるわけではなく」と、わざわざみずからの正当性を断っていますが、このような業界の態度について非常に心配します。事件がまだ起こっていないんだから、過度な負担をすることはできない。それも、御自分だけ書いちゃかなわぬから、消費者、市町村、事業者。自分のことを書けばいいんで、何も人まで書かぬでもいいのに書いておるんです。そういうような考え方について、それぞれ関係当局として通産、厚生、環境等から意見があれば述べてください。これ以上時間をとれませんので、御答弁賜りたい。
#39
○政府委員(佐竹五六君) 環境庁の立場からいたしますれば、やはり環境への影響、これを第一義的に考えるのが私どもの役所の使命でございます。現在、この問題については厚生省、通産省でもそれぞれ具体的な御検討が進んでいるわけでございますが、私どもとしては環境保全の立場からそれぞれその検討の過程を見守り、必要があれば意見を申し述べてまいりたい、かように考えているわけでございます。
#40
○説明員(加藤三郎君) 厚生省といたしまして、現時点では確かに環境中の水銀濃度から見まして廃棄物処理に伴う水銀による環境汚染の問題はないというふうに私ども見ておりますが、しかし、将来におきます乾電池の使用量の増大等を考え、さらにまた環境汚染の未然防止といった観点から、先生御案内のとおり、昨年の一月に業界に対しまして水銀使用量の削減等につきまして要請を行っているわけでございます。私どもといたしましては、こういった要請が十分守られて、この乾電池の処理が適正に行われるようにしていただきたいというふうに考えております。
 なお、厚生省といたしましては、生活環境審議会におきましてこの問題についてまさに鋭意検討いたしているところでございます。
#41
○説明員(広野允士君) 通産省としての考え方を御説明さしていただきます。
 先生御承知のように、昨年一月に厚生省と通産省共同で業界に要請しまして、五項目の対策を業界としてはやっておるわけでございます。水銀電池の自主的な回収あるいはアルカリ電池の水銀減量化等の措置あるいは代替品の開発、研究等でございます。これによりまして乾電池業界が使います水銀使用量は大幅に削減されてくるのではなかろうか、それによって環境に与える影響は大幅に減少するというふうに私どもは期待いたしております。いずれにしましても、通産省としては当該業界がやっております措置を見守りながら、また指導もしてまいりたいというふうに考えております。
#42
○片山甚市君 最後に一点。地方自治体では相当乾電池を収集して公害の起こらないように対策をしているようでありますが、その処理の方法がまだどうしていいのかわかっていないので、環境庁としてはどのようなやり方をしたらいいか、関係省庁ともよく相談して、各地方自治体が困らないようにしてもらいたい、こういう要望を申し上げて質問を終わります。どうもありがとうございました。
#43
○丸谷金保君 最初に、予算に関連したことで御質問申し上げたいんですが、昨年、私は農薬の基準がないものがたくさんあるということで、マラソンとかスミチオン、これはどうなっているんだと厚生省の食品保健課に質問したんです。これに対して、基準がないから取り締まりができない。そしてその理由として、確かに基準がないのは、私はそれはおかしいと言いましたら、こう言っているんです。確かに基準がないのはおかしいんですが、全部の農薬についての基準があるのが理想であって、これはだれの疑いようもない正論なんです。ただ、それをやるには物すごい作業、業務量が要ります。正直言って、こんなことを言うと後で怒られるかもしれないけど、今農薬を担当しているのは、私ともう一人と二人でやっているんです、それで全部のことをやれと言っても、とてもじゃないけど、すいすいいくわけないんです、こういうことを言っているんです。
 農薬の問題というのは本当にそういう点では大問題だと思うんですが、私たちはそういう点で再三にわたって農薬の問題やっていたところが、今年度の農薬汚染対策関係予算というのが軒並み減額されているんです。もとが大して大きくないから、金額にしてみればそれは一千万にもならぬじゃないかといいましても、こういうようにこれはどんどんやってもらわなければならぬというのに、人もいないし、とてもじゃないけれども安全基準がつくれないんだというようなものが、汚染対策に関係する予算がとにかく軒並み削られるというこういう予算の査定のあり方について私は非常に遺憾であるし、こんなことでは大変だ。これは環境庁の土壌農薬課の方からもらった資料ですが、削られているんですが、大臣、こういう査定に対して大臣の方では、農薬なんというのは環境庁としては大したあれじゃないからというふうにお考えなんですか。具体的に言いましょうか、予算のあれを。おわかりですね、そちらからもらった資料ですから。
#44
○政府委員(岡崎洋君) まず、計数のことですので私の方から事実関係を述べさせていただきますと、先生御指摘のように私ども土壌汚染防止及び農薬対策費といたしまして所要の経費を予算策定時にお願いいたしまして、その査定を受けた結果として本年度予算として御審議いただいておるわけでございますが、例として申し上げますれば、農薬残留対策調査費、これは六十年度予算額として七千四百五十五万七千円、五十九年度の予算が七千八百十万五千円ということでございまして、さらに農薬登録保留基準設定費、これが六十年度予算額といたしまして千六百九十一万四千円、五十九年度が千六百九十四万三千円ということで、先生御指摘のように数字が減っております。
 私どもも厳しい予算の中で、またいろいろシーリングを費目によってかけられておりますので、大変苦しい中でいろいろ折衝した結果としてこういう形になっておるわけでございますが、こういう数字をもとにいたしまして、執行段階におきましては極力効率化を図りながら努力してまいる所存でございますが、これで先生おっしゃるように、十分に満ち足りたものかとおっしゃられれば、大変心苦しい状態であるということは御理解いただきたいと存じます。
#45
○丸谷金保君 十分に満ち足りていない、これはやむを得ないと思いますよ。しかし、地下水の汚染問題、そういうものの原因として農薬はどうかかわりを持つのか。これから一生懸命にやってもらわなければならぬと思って私たちは去年一年その問題を取り上げて、環境庁も相当前向きに、水質保全局の方から測定の結果などという報告も出してもらって、いよいよことしはそれに取り組む、そういうときに予算がとにかく軒並み下がっている。これはいわゆるマイナスシーリングのあれで単純計算的にさっと切ったのかもしれませんけれども、こういう予算というのは私は甚だけしからぬと思うんですよ。それはどこだって予算を削っていいということはありませんよ。ありませんけれども、このわずかな予算の中から削らないでもまだ削るところはあるじゃないか。個々に言えばありますよ、こんなところをやらぬでもいいじゃないかというものが。一々申し上げませんけれども、きょうは委員会の中で一つこれを取り上げました。
 ブドウの品種改良にこの五年間で二億三千六百万も使っているんです。昭和二十三年以来やっていて、まだ一本もできないんです、農水省。しかしこれだって実は要らないかということにならないんです。研究ってそういうものなんです。効果が上がるのは、私も品種改良を二十年、大体農水省が使っているのとそう違わないくらいの研究費をぶち込んでやってきていましてもやはりできないんですよ。だから、できないけれども、やらなければならぬというふうな、じゃあここがむだだとは言えない問題はあります。それはやはりやっていかなければならないんです。でも、そういうのでなくまだあるんですよね。そんな中で、私はこの予算の委嘱審査を受けて、こういう予算を審査しなければならぬかというとまことに遺憾なんです。これは大臣どう思います。数字でないんで、感想を聞きたいんです。
#46
○国務大臣(石本茂君) 御指摘いただきましたように、私も非常に残念だと思っております。また来年度に向かいまして、お力添えをいただきながら精いっぱい頑張ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
#47
○丸谷金保君 こういう予算には賛成したくても賛成できないという感を、検討してますます強くしていることだけはお伝えしておきます。
 それで、環境庁が先般「名水百選」というような発表をいたしました。非常に刺激になって、一面では私は大変勇気の要る結構なことだと思うんです、ただ問題は、これがどういうふうに動いていくかということについては十分留意して今後も対応してもらわなければならないと思いますので、そういう観点で言いますと、調査は何カ所ぐらいおやりになったんですか。
#48
○政府委員(佐竹五六君) およその趣旨をこちらから示しまして、各県から対象候補地を提出してもらったわけでございますが、八百をちょっと欠けたかと思いますが、大体八百程度のものが候補として私どもの方に提出されたわけでございます。
#49
○丸谷金保君 この中には従来いわゆる名水と言われていたようなところで、既にここの水はいいんだということで市場に出ている水がありますね。こういうもので入っていないものがあるんです。それは入っていなくても私は差し支えないと思うんですが、一応基準だけはお聞きしておかなければならない。
#50
○政府委員(佐竹五六君) 特定の商品が、結果としてでも商業活動に利用されることは好ましくないという判断から、そういうものは除いたわけでございます。
 この基準でございますが、私どもがこの問題を取り上げました趣旨は、最近農山漁村における生活様式の変化等によって、従来清浄な水環境が保全されていたところがどんどん悪化している状態にある、しかしながら、その中でも地域の住民が非常に積極的に水環境の維持に取り組んで残されているところがある、そういう活動を顕彰しよう、ここに私どものねらいがあったわけでございます。したがいまして、この判定条件といたしましては、まず第一に水質、水量、周辺環境、それから親水性の観点から見て保全状況が良好であること、これをもちろん第一に取り上げておりますが、同時に地域住民等による保全活動が存在すること、これを絶対的な基準にしているわけでございます。その他規模とか、あるいは故事来歴というようなものも参酌いたしまして、学識経験者の諸先生方にお集まりいただきまして、一つ一つについて御検討いただいた上で百を選んだ、かような経過がございます。
#51
○丸谷金保君 そうしますと、商業活動に利用されないということを一つの前提条件にして選ばれたということはわかりましたし、それから住民の保全活動ですね、これはもちろん大事なことだと思います。この点については後でも申し上げます。
 最近、最近というよりも去年の暮れ、各デパートで何々水というふうな瓶に入った水が非常に売れたんです。これはもう売っている方がびっくりするぐらい売れたんです。これはどうしてでしょうか。これはどなたかお答えいただきたいと思います。
#52
○政府委員(佐竹五六君) 農水省の方からもお答えいただけるかと思いますが、私どもの判断では、やはり清浄な水ということに対する関心の度合いが非常に深まっているということだろうと思います。逆に申しますと、しかしこれは手放しでは喜べないわけでございまして、昔はそのような水が井戸水等の形で比較的身近に、容易に得られたものが、最近、もちろん厚生省の水道法に基づく各種規制、対策等によって健康面での問題は全くないにしても、やや水道水の味覚等についていろいろ一般国民の方に御不満が残る。この点は厚生省でも問題として取り上げられているようでございますけれども、そのようなところからあのようなフィーバーが出てきたんだろうということで、国民が水に対して積極的な関心を示されるという点では望ましいことだと思いますが、手放しでは喜べない現象であろう、かように私ども判断しているわけでございます。
#53
○説明員(増田正尚君) 最近、水がよく売れるようになりましたことにつきましては先生御指摘のとおりでございまして、ただいま環境庁の方から御説明がございましたけれども、それに加えまして、私どもといたしましては最近の食生活の多様化といいますか、あるいは高級化、そういった中で水のおいしさ等に対する消費者の嗜好の高まり等にあるものというふうに考えております。
#54
○丸谷金保君 私の質問は、どうしてこんなに売れるようになったんだろうかと、突如としてですよ。今おっしゃったように、ずっとは、多少はふえてきていましたけれども、去年から猛烈に売れるようになったんですよ。これは今までの倍々ゲームなんていうものじゃない、十倍々ゲームなんです。私たちはそばに並んで、我々の商品も売っているからよくわかるんですよ。聞いてみると、売っているデパートの人たちがびっくりしているんです、どうしてでしょうと逆に我々に聞かれるくらいなんです。急にこんなに売れるようになった原因は何でしょう。そのことをお聞きしているんで、これは所管は農水省なんですが、農水省はそういうことに関係ないですね。所管事項は、どうして売れるかということじゃなくて、売れるという現実の中でその水に対する行政上の監督をしているということなんでしょうからね。どうなんでしょう。長官、どう思いますか。
#55
○国務大臣(石本茂君) 今、お二人からもお答えがあったようでございますが、私これは宣伝が非常に行き届いたといいますか、何年か前からそういうものが売り出されておりました。しかし、本当にびっくりするぐらいに、私どももいっぱいもらいますけれども、これは宣伝が行き届いたのか、飲んでみますと水道の水と余り変わりません。私はそう思っております。
#56
○丸谷金保君 まさにそのとおりだと思うんですが、これは長官、宣伝が行き届いたというのはうそなんです。それはもう認識不十分も甚だしいと思います。これは東京の水道水からトリクロロエチレンその他が出てきたという逆の宣伝が行き届いたんです、水の方の宣伝ではないんです。逆の宣伝なんです。それで都民の方は、あるいは都会の人たちが自分のところの水道はこれで大丈夫だろうかと、まあ生水くらいは多少ぜいたくでも飲もうと。私はもう東京へ来てからずっと瓶のものを飲んでいるんです、その当時から、そう思っていましたから。東京の水はとても危なくて飲めない、生で飲めないと思って飲んでいましたからね。たばこを飲まない分くらいぜいたくしてもいいだろうと思いまして。だからよくわかるんです。みんな笑っていたものです、私が飲んでいることを。今、だれも笑いません。会館の私の部屋に来てもいきなり冷蔵庫をあげて、ここに来ればあると言ってこの水を飲む連中がいるというくらい変わったんです。おととしくらいには、私が飲んでいたら随分神経質だなと笑っていた人たちが、今一番先に冷蔵庫をあけて自分でついで飲んでいるというように変わった。これは水道の水に対する消費者の不安感が爆発的な水の売れ行きにつながったんであって、水を売る業者の宣伝は昔からやっているんですから、宣伝が行き届いたなんというものではない。その認識をまず長官には改めていただかなければならぬと思うんですが、いかがですか。私の話そう思いませんか。
#57
○国務大臣(石本茂君) しっかり改めます。本当に先生のお言葉よくわかりました。ありがとうございます。
#58
○丸谷金保君 それで、今長官がいみじくも言われたように、これは農水省にお聞きするんですが、飲んでみたら余り変わらない、そういう面もあると思うんです。これの品質管理についてはどういう措置をとっていますか。
#59
○説明員(松延洋平君) これは、農林物資の品質の向上、消費者の適正な選択に資するというような見地からします表示及び品質管理制度といたしましてJAS制度が設けられておるわけでございますが、飲食料品たる水につきましてはこれは新しい商品形態でございまして、現在までのところJAS規格は制定されておらないわけでございます。しかし、農林水産省といたしましては飲食料品たる水の表示あるいは管理が不適切なものとならないよう関係業界に対して指導を行っているところでございますが、先ほどのいろいろの御指摘の問題も踏まえまして、飲食料品たる水の表示あるいは管理の問題につきまして、今後JAS規格の制定問題等も含めまして十分に検討してまいりたいと考えておるところでございます。
#60
○丸谷金保君 最近の問題とか言っているが、水を売っていたのはもう十年も二十年も前から、富士の伏流水だとかニセコの水だとか随分前から言っているんです。今に始まったことではないんですよ。おたくは最近の問題なんだと言うけれども、そんなことはありません。今言った答弁はひとつ訂正してください。
#61
○説明員(松延洋平君) おっしゃるとおり、随分前から商品形態となっていたかと思いますが、最近のように大変な大きな商品の概念と申しますか、一つの商品の群として最近大変多くの種類のものが出てまいっておりまして、私どもも現在検討を始めておるところでございます。
#62
○丸谷金保君 この問題で自然水とかいろんなことを言っておりますが、今日本で自然水をそのまま瓶詰にして売ることができるんですか。農水省、おたくの所管だから。
#63
○説明員(松延洋平君) ミネラルウォーターあるいは水等につきましていろんな定義があるということは私ども知っておるわけでございますが、自然のままで瓶に詰められるかどうか、これは多分に食品衛生法上の問題があるかというふうに考えておるわけでございますので、その関連の方からお答えいただきたいと思います。
#64
○丸谷金保君 所管している農水省としてはちょっと……。私たち素人でもわかることは、今食品衛生法ではジュースだとかそういうものと同じようなあれになっているんでしょう、農水省のカテゴリーの中でなっていますね。こういうものは全部例えば八十度の温度で三十分、雑菌というか滅菌の装置があり、そういうシステムを通って出てきたものでなければ売ってはいけないことになっているんですよ。いいですか。そうすると、水もその中に入ると思うのですがね。どうなんでしょう。入りますね。
#65
○説明員(増田正尚君) 水も清涼飲料水の中に入っております。
#66
○丸谷金保君 入りますね。そうすると、その枠には入るというふうに理解していいですね。そうしますと、八十度の温度に三十分、瓶詰めをしてから温めて殺菌する、これが自然水と言えるでしょうか、自然の水だというふうなことで。これは本当は公取を呼んで、表示法の問題もあるんですけれどもね。きょうはそのことよりも汚染の方の問題ですからまた別な機会にやります。
 例えば、ヨーロッパなんかではナチュラルウォーターと言ったら自然の水ですよ。例えば、発泡する水でもこれは自然に発泡するところからくんでそのまま詰めるんです、エビアンだとか、そういうものは。日本では水道水を蒸留し直して、それにガスをぶち込んでナチュラルウォーター、ミネラルウォーターだなんて言っているんです。これはひどいんです。しかし、少なくとも水道水よりは無機質が入っていないということだけは言えるということになるので、これは大臣ね、味が違わないということは、確かにそんなことをしてつくるんですから、特別に味がおいしいわけがないんですよ。煮沸こそしないけれども三十分やれば煮沸と同じような効果があるんで、実際には八十度以上ですから、それは九十度、九十五度なんていうのもあるんです。そうしますと味の問題じゃないんです。味がうまいまずいでなくて、ここでも安全性の問題だけで売れているというふうに御理解願いたいと思います。
 そういうことですから、この「百選」が出まして、今度はこれが商業ベースに乗る可能性があると私は思うのです。乗らないところから選んだと言っても、これに対する枠組みはどんなふうにこれから処置なさるおつもりなんでしょうか。
#67
○政府委員(佐竹五六君) 御指摘のように、現在はなくても今後そういうふうに利用されるところが出てくるのではないか、そういう御懸念があることはこれは否定できないことだろうと思います。現にある地域で、実は、当初三十一選んだ中で一つそういうところも出かけたわけでございますが、これにつきましては都道府県を通ずる行政指導で取りやめてもらったわけでございまして、今後ともこれは法令で強制するという性格の問題ではございませんので、多くの地域住民が保全活動に努力しているところが選ばれているという実態もあるわけでございますから、そういう人たちの意思を尊重するという意味でも特定の者の営利活動に結びつくことがないような指導をしてまいりたい。さらにまた、その点も含めて一般的な保全状況等について数年後に見直しをするというようなこともやっていきたい、かようなことを考えておるわけでございまして、法律でどうこういう問題ではございませんが、私どものやった意図がそのような形で妙なふうに利用されることのないように注意してまいりたいと、かように考えているわけでございます。
#68
○丸谷金保君 そこいら辺がお役人の発想なんですよね。いい水をどんどん国民に飲ませる方に、どうしたら飲ませるのにいいかという発想にどうしてならないんですか。
 私は講演である町へ行ってきたんです。過疎の町です。何とか過疎から立ち上がりたいというので私を呼んで話を聞きたいということでね。そこで町長以下張り切って、いよいよこの水が売り出せると。行ってみたら、それについてのノーハウを私にかせということが私に講演を頼んだ大きな原因だと言うんですよ。私は今の食品衛生法の話をしたんです。八十度で熱しなければ今は瓶詰にして出せないんだよと。それから、あなたのところは東京に遠い。あれは運搬費に余計かかるんだからそう簡単なものではないし、選ばれたからといって商売とすればそう右から左に過疎から転換する財政力をつける――これ役場がやろうといって張り切っているんで、町営事業なんてそんな簡単なものでないよと言って一応とめてきました。しかしとめながらも、ああいう過疎の町で持っている水資源、そしてみんなが守って、誇りを持っているんですよ、どうだうまいだろうということでね。こういうものをもっと積極的においしい、いい水として売り出せるような仕組みを法律的にあるいは行政指導の中で、抑えるんでなくてむしろ考えていくべきだろうと思うんですが、いかがなものでしょう。
#69
○政府委員(佐竹五六君) それはそれとして、先生の御意見は私ども決して否定するものではないわけでございますが、私どもが選びましたのは、むしろある程度人口が集積していて、どちらかといえば汚れやすい環境にあるところのものを清浄に保持しているようなところを主体に選んでいるわけでございます。したがいまして必ずしも飲用ということには限られておりませんで、例えば東では仙台の広瀬川とか、あるいは西では太田川というようなところも対象に選んでいるわけでございます。したがいまして、仮に飲用になっている場合でも地域住民の生活の中に溶け込んでいるという実態があるわけでございまして、それでも余っているなら売ったっていいではないかという御意見もあろうかと思うのでございますが、私どもが選びました趣旨からいって、ただいま先生のお考えのような、どちらかといえば過疎地帯で人口集積のない、ほとんど人手の触れられていない水を積極的に活用しようというようなところはまたこれ問題が別でございまして、そのような意味で言っているわけでございますので、この点ひとつ御理解いただきたいと思います。
#70
○丸谷金保君 どうも何か考え方のずれは、これは立場の違いでどうしようもないかとも思います。思いますけれども、それで問題は、こういうふうな時代になってきて、そういう環境をきちんとしていい水がもっとふえるように、あるいはきれいな水がどんどんできるようにしていく、このことをやらないと、随分うるさく水道の水が言われ出しても今のところなかなか直っていかないですね。水質保全の立場からいっても僕は大変だと思うんです。それを今の水道の技術屋さんや水道はけしからぬというのはかわいそうだと思うんです。いいものを与えないで水道の現場だけ、テレビなんか見ましてもいろいろと突っ込んでいますけれども、これはもう本当にかわいそうなんで、水道の責任じゃないんですよね。むしろほかの方の、水質がよくないことの方が責任があるんです。
 その点からいいますと、今度は農薬の問題なんですが、それでいい方は出ていますね。今度は悪い方、五十八年度の有害物質検出の上位三地点ということで、カドミウム、シアン、鉛、クロム、砒素といういろんなあれを、いい方のほかに今度は逆に悪い方も去年の十二月に環境庁は発表しておるんですね。これをよくしていくための対策についてはどういうふうにお考えなんですか。
#71
○政府委員(佐竹五六君) 私ども環境の指標としては環境基準を定めておりまして、この健康項目、それから生活環境項目それぞれについてその達成状況をチェックしているわけでございますが、幸い御指摘のございましたような重金属類というようないわゆる健康項目に聞達した項目につきましてはほとんどすべて一〇〇%に近い数字で環境基準は達成しているわけでございまして、その意味では私どもの仕事の第一段階は終わったと思うわけでございます。
 問題は、先生先ほど来御指摘のような、水道の原水の水質悪化にかかわる生活環境項目の問題でございまして、これにつきましては従来は湖沼についてはCOD、河川についてはBODで規制を進めてまいったわけでございますけれども、それでは原因となる閉鎖性水域における藻類の発生がコントロールできないというようなところから、特に閉鎖性水域についてのうち湖沼について原因物質である窒素、燐の規制をする必要がある、かような判断から五十七年の十二月に窒素、燐の湖沼についての環境基準を定め、昨年九月にその排水規制基準について中公審から御答申をいただき、現在これを行政に乗せるべく政府令その他必要な準備を進めている段階でございまして、この閉鎖性水域、特に湖沼の富栄養化の防止施策はこれを実行に移すことによって一段と進むのではないかというふうに期待しているわけでございます。このことによって水道の原水の水質浄化ということも期待できるのではないか、そのような観点からこの問題に取り組んでまいりたいというふうに現在考えているわけでございます。
#72
○丸谷金保君 一生懸命取り組んでいることはわかるんですけれども、私が今質問したのは湖沼ではないんですよね。おたくの発表した河川の方です。河川の有害物質検出上位同位といって、これらに対する対策をどう考えているのかということなんです。
#73
○政府委員(佐竹五六君) 先ほど申し上げましたように、河川につきましても健康項目の環境基準を上回っている地点というのは比較的限定されたところでございまして、各都道府県で場所がわかつているわけでございます。そういうところは大体上流部に特定の工場等があったり、あるいは鉱山があるとか、そういう原因が比較的はっきりしているものでございまして、鉱山の場合には休廃止鉱山等の問題もございましてなかなか難しい面もございますけれども、重点的に都道府県を通じて指導することによってその環境基準を上回っているような地点については対応していく、こういうふうなことで取り組んでいるところでございます。
#74
○丸谷金保君 CODが悪いというわけでは決してないんですが、特に水道なんかの場合ではCODによって起こるところの塩素でもって有機質を殺していくというふうなことをやっていますけれども、今むしろ問題なのは無機質の問題ですよね。これが現在の水道の技術の中でなかなか処理できない。ですから、富栄養の問題なんかもありますけれども、むしろそういう無機質の問題、特に私はそういう点で除草剤の問題は、環境庁としては地下水汚染との絡み、河川汚染との絡みでもっと積極的に取り組んでいただきたい。ただ、カドミウムとかいろいろ発表はしておりますけれども、無機質の問題についての対応の仕方がどうも弱いんじゃないか、化学製品ですから弱いんじゃないかという気がするんですが、いかがですか。
#75
○政府委員(佐竹五六君) 農薬につきましては、先生にもうるる申し上げる必要もないように、登録に際しては毒性検査あるいは残留性の検査をかなり厳しくやっているわけでございます。確かに除草剤は非常にふえてまいりまして、それに伴いまして各地の河川から田植え期前後等には特にCNP除草剤が検出されている、それが一部水道原水にも検出されたというふうな情報は私どもも持っております。現在の農薬の規制体系の中で一応水質汚濁性農薬という制度はございますが、これが必ずしも十分に機能していない点は御指摘のとおりでございます。大変予算事情の厳しい中でございますが、そのような生態系への影響を通じて、その農薬が人間の健康に影響を及ぼす点をどのようにチェックしていくか。
 具体的に申し上げますと、一つは、水質汚濁に係る農薬の登録保留基準ということについて現在検討を進めておるわけでございます。現在、環境基準が定められたものについてのみ、その十倍の値が一週間以上続く、そういう農薬についてはその登録保留ができることになっておりますけれども、遺憾ながら農薬にかかる項目で環境基準が決められておるものは、砒素とか燐等非常に限定されておりますので、そのような点について一つは検討する。さらにもう一つは、農薬の生態系への影響をチェックするという意味で、第一次生産者と申しますか、まず藻に影響が出て、それを動物プランクトン類が食うというメカニズムがございますので、それに対する影響をチェックするための標準試験方法を確立する。このような二点に現在勉強を進めておるわけでございまして、何らかの形でできるだけ早くこれを行政に反映できるようにしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#76
○丸谷金保君 局長、そう言いますけれども、冒頭申し上げましたように、予算でも削られてくるような状態の中で、しかも実際に担当する、基準をつくるのは農水省の方でしょう。環境庁がつくるわけじゃないんです。できないと言っているんですよ。とてもじゃないけれども、特定したもの以外にたくさんあるものをできないと。これらに対して、それじゃ困るというようなことを農水省なり大蔵省なりに局長の方の立場でも強く主張してもらわなければならないけれども、そういうことを言ったことがありますか。こんなことじゃ環境庁で何ぼ水質保全やろうと思ったって基準すらつくれないじゃないか。どうなんですか。そして今ここでとうとうと基準によってなんて言われたって、それはもうちょっと聞こえませんな。どうなんですか。
#77
○政府委員(佐竹五六君) 冒頭、官房長からも御説明いたしましたように、非常に財政事情は厳しく、さなきだに通常の業務執行にもいろいろ問題が出かねないところに、新しいことをやるというのは大変難しいのではないかという御指摘はまことにそのとおりでございますが、その中でもいろいろやりくりして新しい分野の検討も進めてまいりたいと思うわけでございます。もちろん、この種の部面についてもうちょっと力を入れる必要があるということは、私ども自身実際の行政をやって痛感しておるわけでございまして、いろんな機会をとらえて、今後農薬のさまざまなルートを通ずる人への健康影響についてはチェックしていく。そのために必要な予算を確保するように努力してまいりたいと考えております。
#78
○丸谷金保君 長官、今お聞きのとおりでして、これは基準づくりまでは農水省だから、農水省の予算がそういうことで少なくなったり、あるいは環境庁の全体の予算の中からわずかな農薬の予算がちょっちょっと削られてもいいということでなくて、やっぱり環境庁というのはそういう点で総合調整をやってもらわなければならない役所のはずなんです。ですから、やはり余計なことを言われるようでも、農水省の農薬基準とかそういうふうな問題も、こんなんじゃできないじゃないかと、そのツケは結局水質保全の方へ回ってくるんだ、我が方へ回ってくるんだという立場で、頼まれなくてもやってもらう。よその省庁の予算であろうと、そっちの予算がこんなことではうちの方の基準をつくるというのはできないじゃないかと、ここまで踏み込んだ環境行政をやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうかね。それでなければ解決しないんですよ。
#79
○国務大臣(石本茂君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、今後私どもはしっかり前を向きながら、他の省庁のことだから関係ないというのじゃございませんで、やはり役割というものをしっかりわきまえながら、精いっぱいに頑張っていかなければならないということを私肝に銘じました。ありがとうございます。
#80
○丸谷金保君 それで、農水省に農薬関係で一問だけ聞きます。
 最近、除虫菊だとか昔の自然の殺虫剤が非常に見直されてきているんです。今ほとんどそれは外国から、南の方から輸入されて使用されているんです。国内では北海道の北見が昔は除虫菊の本場だったけれども、もうほとんどつくっていません。これらが非常にいいというのは、要するにそのときに効くだけでなくて、土そのものに力がついてきて反復的な効力もあるというふうなことも言われて、特にこれは自然農法をやっている農家はこういうものに全部切りかえ出したんです。切りかえて大変効果を上げている。むしろ、やっぱりこれが一番効果が上がるなというふうな話も出ているんですが、そこいら辺のことはお聞きになっておりますか。
#81
○説明員(岩本毅君) 御説明申し上げます。
 先生御指摘の、言うならば生物由来の活性物質による農薬の利用ということだろうと思いますけれども、かつてはデリスとかあるいはピレトリンというようなものが使われたことがございました。御案内のようにこういった生物由来の活性物質と申しますものはいろいろな特性を持っておりまして、大変分解が遠いという利点がある反面、空気酸化とかあるいは日光によって分解されてしまうということから非常に効き目が持続しない、効果が持続しないというような難点もあって、現在では余り使われなくなってきております。ただ、従来のそういったデリスだとかあるいはピレトリンにかわるような生物由来の農薬といたしまして、例えば昆虫の分泌します物質、性フェロモンといっておりますけれども、そういったものを利用して害虫を集めて殺すというような新しい形の農薬が出てきております。現在、農薬登録の対象になっておりますものが広く解釈いたしまして約十種類ぐらいのものがあるというふうに承知しております。
#82
○丸谷金保君 実際に使っている人は効くと言うんですよ。だからそれを検討してもらわなければならぬのですが、何かやっぱり科学的な味をつけないとだめなような空気が全体的にあるんです。
 もう時間が参りましたんで、実は、スパイクタイヤについてはピンの構造規制だとか、ヨーロッパでやっているようなことをなぜ日本でやらないかというふうな問題や、メタノールガソリンで長官が御視察なすったことなどについての御質問もしたかったんですがこれは次回に譲ります。
 乾電池の問題で片山委員の方からもう質問がありましたんで、それに関連して、実はきょう北海道の池田町の助役が来まして、いや困ってるんだと、一年間でドラム缶に六本集まったそうですよ。北海道では、調査したところが二百四十トンくらいの電池が行き先がなくて困っているんです。私はイトムカへどうして送らないんだと言いましたら、助役はいやいやそれは先生そう言うけれども、あれは相当お金をつけてやらないとやってくれないんだ、こう言うんです。だから、とてもそれは大変なことなんで、まずどうしようということだと、こういう話で自治体は非常に困っているんですよ。調べてみますと、困っている自治体の中でも、特に今自治体でこの分別収集やっているのは市町村の七〇%でやっています。それからその九割はこれは保管しているんですよ。皆困っているんです。ただ集めたけれどもやりようがなくて非常に困っている。ところが、不思議なことに東京や大阪等の大都市を中心にして、大都市の中で政令指定都市では、札幌、川崎、横浜、広島しかやっていないんです。大きなところがやっていないから、やっている数は多いけれども、量からいうと非常に逆の現象が出ている。
 それから先ほどからもお話ございましたけれども、業界は水銀電池だけ回収するというけれども、実際には水銀の含有量では水銀電池とアルカリ電池と大体似たくらいの量だけれども、目方にしたらアルカリ電池の方がうんと大きいんですよ。ですから、業界が簡単な、ちょっと集められるようなものだけやるということではなくて、回収してやることについて、環境庁は積極的に自治体の立場も考えて処理していただきたいと思います。それを聞いて終わりにいたします。
#83
○説明員(加藤三郎君) 廃棄物は厚生省が直接所管いたしておりますので私の方からお答えさせていただきますが、私どもといたしましてもこの問題は清掃事業にとって大変重要な問題というふうに慎重に受けとめております。そこで昨年の六月から、生活環境審議会の中に専門委員会を設けまして八回ほど検討いたしておりまして、廃棄物についてのあり方、特に問題になっております乾電池を含みます適正処理の困難なものについて早く結論を出さなくてはいかぬということで現在鋭意検討いたしておりまして、私どもといたしましては今年の夏ぐらいまでにはある程度のめどをつけたいというふうに思っております。そのころまでには中間的に取りまとめを行いたいというふうに考えて鋭意作業いたしておるところでございます。
#84
○星長治君 スパイクタイヤの対策についてひとつお伺いいたしたいと思います。
 まずもってスパイクタイヤについて長官の姿勢からお伺いします。長官は今国会の所信表明の中でスパイクタイヤは一言も触れていない。この予算委嘱審査用の要求資料の中には、なるほどスパイクタイヤ問題が書かれておりました。しかし一体これでいいのかどうか。今社会問題化している問題でございます。特に六十年度の予算を見ますと、環境庁の予算は二千四百万と聞いておる。一体これで聞違いありませんか。
#85
○国務大臣(石本茂君) 私といたしましても、スパイクタイヤと縁のあるところが私のふるさとでございまして深い関心を持っております。しかし、今先生御指摘くださいましたように所信表明の中では明記はしておりません。しかし、交通公害などの対策という総合的な見地からこの問題をその中に含めておったわけでございまして、御指摘いただきますと、この問題こんなに大きくなっているのに一言やはり付言するべきであったなというふうに今後悔しております。恐れ入りました。
#86
○星長治君 今、ある市においては道路清掃費を四十五億円も出しているんですよ。仙台市なんかは十億円以上の金を出している。それに取り組んでいるんです。ところがスパイクタイヤのいわゆる予算というものは二千四百万円、私が承知しているところではですよ。それからあとまた通産省なりそれからまた運輸省なりには聞きますけれども、合わせて一億六百五十万ですか、そういうふうな状態で一体何をしようとしているのか、積極性がなさすぎる。これについてどう受けとめるか、長官の御答弁を願いたい。
#87
○国務大臣(石本茂君) 先生御指摘くださいますとおり、本当にさまにも格好にもならないような微小な予算でございますが、これは六十年度初めてスパイクタイヤの問題を検討するということで取りました予算でございまして、本当に御不満だと思っておりますが、申しわけございません。
#88
○星長治君 それでは事務的に、この二千四百万で間違いないかどうかということをお伺いするとともに、一部の自治体においては健康の影響調査を行っておる、これは環境庁として承知しておりますかどうか、まず聞きたい。
#89
○政府委員(林部弘君) 初めにスパイクタイヤ関係の予算につきましてお答えいたします。
 本年度の予算案に計上させていただいております予算は、先生御指摘のように二千三百六十二万円、約二千四百万円でございます。その内訳は環境の実態調査として五百十七万六千円、それから小動物を使っての生体影響調査といたしまして千八百四十四万四千円でございます。ちなみに五十九年度の予算を申し上げますと、五十九年度予算は総額が二千百九十四万六千円、その内訳は実態調査が七百万五千円、生体影響調査が千四百九十四万一千円ということでございまして、非常に微細な額にお感じになるかと思いますが、私どもはいろんな調査費ということで取っておりますので、昨年の約二千二百万円に比べまして本年が約二千四百万弱ということで、厳しい財政下ではございますが、若干の増額を認めてもらっておるということでございます。
 それから御指摘のございました自治体が独自の立場でいろいろな調査をしておられるということは存じております。
#90
○星長治君 私たち自由民主党の環境部会がスパイクタイヤ小委員会をつくりまして、仙台市、札幌市を調査してまいりました。仙台市におきましては市が東北大学医学部の先生方、また仙台市の医師会の方々にお願いいたしまして健康調査を依頼して、その報告書、まず東北大学の医学部からの報告書、それからまた仙台医師会からの第二回目の報告書というものをここに私は持っておりますけれども、この中身をいろいろ質問したいんでございますが、何せ与えられた時間が二十五分、到底聞くわけにいかないので、ここで私はかいつまんで御質問します。
 我々から見ますと、いわゆる健康影響というものはあるんじゃないだろうか、こう思うんです。それで環境庁としてはどう解釈しているか、ひとつお伺いいたしたい。
#91
○政府委員(林部弘君) いろいろな調査報告がございますが、一点はこういうことになろうかと理解いたしております。多量のスパイクタイヤによります粉じんが発生いたします地点あるいはその周辺におきましては目でありますとか鼻でありますとか、あるいは上気道の粘膜の刺激症状が認められるという御報告がございます。また、耳鼻咽喉科領域での御報告ではこういった症状がスパイクタイヤの装着率が下がることによってその発生率も減少したというような御報告もあったように記憶しております。
 それから慢性的な影響の問題につきましては、例えば、職域におけるじん肺のような問題が起こるかどうかということに関しまして東北大学の滝島教授が、いろいろ先生方が御視察においでになりました折に御説明になっておるようでございますけれども、職域等で見られますじん肺の問題はかなり高濃度であるほかに、かつ相当長期間暴露されて初めて発生してくるということでございますので、滝島教授の御発言の中でも相当長年月たってからでないとそういうものが起こってくるかどうかということの確認はなかなか難しいのではないか。ただ肺磁界装置という特殊な装置をお使いになりまして、肺内に吸入された物質につきましての体外への排出状況についていろいろな知見を報告されておるというように理解いたしております。
#92
○星長治君 そうすると、環境庁としては健康影響調査については今調査をしておると、結論が出るのはいつごろですか。
#93
○政府委員(林部弘君) 私が先ほど申し上げました二千四百万円のうちの小動物を用いての生体影響の調査についてのお尋ねかと存じますが、五十九年度から開始いたしておりまして、予定は三年計画ということになっておりますので、その結果がまとめられるのは恐らく六十一年度に入るのではないかというように思います。
#94
○星長治君 それでは次に、警察庁にお願いいたしたいのですけれども、警察庁の交通局から去る二月二十二日にスパイクタイヤ問題という資料をちょうだいいたしたんでございますが、この中身を見ますと、「運転者は、積雪又は凍結している道路において車を運転するときは、滑り止め装置を用いなければならないこととされている。スパイクタイヤは凍結路面において特に有効な滑り止め装置である。」こういうふうに指摘してある。さらにまた、「一方スパイクタイヤによる路面損傷、アスファルト粉じん等の問題が生じており、交通安全の確保と環境の保全をいかに整合させていくかが問題である。」ということを言っております。私はこの機会に仙台市、札幌市を調査いたしまして、まず警察庁が出しておりますところの、当面の問題というものを掲げております。これは詳細に言いますと時間かかりますから、これをさらに強化していく気持ちがあるかどうかが一つ。
 それからまた、今健康の影響調査が三年後に何かしら出るだろう、こう言われているときに、もしそういうときに影響があると指摘されたらどういう処置をされるか、この二つをお伺いしたい。
#95
○説明員(安藤忠夫君) 第一点のスパイクタイヤの自粛、規制の問題でございますが、五十八年の十月に交通局長通達をもちまして、不必要な期間におけるスパイクタイヤの使用自粛ということを街頭の指導取り締まり等を通じて呼びかけているところでございまして、その点は今後とも推進してまいる所在でございます。
 第二点目は、健康被害が出て法的規制に乗り出す場合はどうなのかというお尋ねでございますが、スパイクタイヤにつきましては交通の安全とそれから粉じんによる環境被害、そこの調和点をどこに求めるかということが問題になっておりますが、法的規制を考える場合、スパイクタイヤを装着しないでも安全に走れる道路であるとか、あるいは凍結防止装置、あるいはタイヤの改善とか、冬季の自動車利用のあり方などあらゆる問題を含めて総合的に検討して、コンセンサスの得られる状態でないと法的規制というのはなかなか難しいかというふうに考えております。
#96
○星長治君 六十年の二月二十二日の資料の中に、スリップ事故の実態調査の結果というものを出しております。この資料というものは秋田県、新潟県、山梨県、富山県、石川県の資料をとったものと私は承知しておりますが、大体仙台が装着率が四〇%以下になっております。さらに札幌も相当努力しておりますが、まず仙台市なり札幌なりの実態はどうか、これが一つ。
 それともう一つは、スタッドレスタイヤで、この県ではスタッドレスタイヤを全然使用していないのかどうか、これにおけるところの装着率、事故の発生というものはどうなっていますか、この点ひとつお伺いしたい。
#97
○説明員(安藤忠夫君) 仙台市あるいは札幌市等の冬季における事故実態調査は毎年行っておるわけでございまして、先生御指摘のようにやはりスパイクタイヤを装着している車両と、それから通常の車両との間ではスリップ事故等の間でかなり事故率の格差がございまして、安全面の点からいえばやはりスパイクタイヤが非常に制動距離等につきまして性能がいいという結果が出ているわけでございます。
 なお、スタッドレスタイヤでも十分に安全ではないかという問題もございますが、現時点、スタッドレスタイヤの方は装着台数も少ないようでございまして、実態面からの分析がまだ十分にできておりません。実験的には積雪路面においてはスタッドレスタイヤもスパイクタイヤも同様の性能を示しておりますが、凍結路面になりますとやはりスパイクタイヤには制動性能あるいは坂道の登坂能力等において若干劣るように言われておりますし、大型車両につきましてはまだスタッドレスタイヤが開発されていないというような問題もあるようでございます。しかし、スタッドレスタイヤについてはかなり雪道等について効果があるということは実験的にも承知しております。
#98
○星長治君 次は、通産省と運輸省にお伺いしたいんですが、先日札幌に参りました際に、スタッドレスタイヤ・モニターの代表、スタッドドレスタイヤの使用を推進する会の代表ですか、この方々の意見を聞いてまいりました。その結果がここであらわれているんですが、この資料を見ますと相当スタッドレスタイヤでもいいんじゃないだろうかというような意見が出ております。詳細にこれを読むと時間がかかりますので。
 それで私は通産省にまずお伺いしたいんですが、通産省がタイヤを御指導なさっていて一体どういうようなことになっておるか、またいわゆるスタッドレスタイヤの装着状況、生産状況などをお知らせ願いたいと思います。
#99
○説明員(松井司君) 一つの問題でございます通産省としてスパイクタイヤ問題に対してどういうふうな指導をしているかという点でございますが、通産省といたしましては自動車タイヤ業界が実施しておりますスタッドレスタイヤの技術的改良、あるいはスタッドレスタイヤあるいはスパイクタイヤ等の性能の把握、そういうものの改善等について、またシーズンオフにおきますスパイクタイヤを早く履きかえようというキャンペーン、こういうものに対する指導、支援をしてまいっておりまして、今後も必要に応じて指導を行っていきたいと考えております。
 それから、スノータイヤやスタッドレスタイヤ、こういうものがどういう普及状況であるかという御質問でございますが、社団法人日本自動車タイヤ協会の調査によりますと、スタッドレスタイヤだとかスパイクタイヤを含めましたいわゆる雪路用タイヤと申しますか、一般的にスノータイヤとも言っておりますが、そういうスノータイヤの全体の販売本数は五十九年で約一千百万本になっておりまして、そのうちスタッドレスタイヤは三十七万本で全体の三・四%、それからスパイクタイヤは六百七十万本で全体の六一%、こういう数字になっております。
 それから、東北や北海道の地域においてどういう普及率かということでございますが、東北地方ではスタッドレスタイヤが大体二・九%のウエートを占めています。それからスパイクタイヤが七一%、それから北海道ではスタッドレスタイヤが一・三%、スパイクタイヤが八八%、こういう状況になっております。
#100
○委員長(粕谷照美君) 運輸省いいですか。
#101
○星長治君 関連していますから、またこの次に……。
 それでは六十年度のスパイクタイヤ対策として運輸省が二千二百万ですか、それから通産省が六千五百二十八万、これはどういうふうに使われるのかひとつお伺いしたい。
#102
○説明員(福田安孝君) 御説明さしていただきます。
 ただいま御指摘ございましたが、二千二百万が運輸省でございます。運輸省といたしましてはやはり公害の防止、それから安全の確保という二つの要請を踏まえて対策を検討する必要がございます。したがいまして、そういうような調和点を見出すための基礎的調査ということで、本省分といいますか、運輸省本省自身の調査費といたしまして七百万円、それから、交通安全公害研究所がございます、こちらでの調査費といたしまして千五百万を計上いたしております。合計二千二百万を計上しておるところでございます。
 内容といたしましては、本省分の方は、実際の路上で、こちらにおける走行性能を調査するために使われる、それから、交通安全公害研究所の方にいたしましては、現在氷結した路面をつくる試験装置をつくっております。その上で、実際のそういう氷の面での性能試験、そういうものを実施いたしたい。また、タイヤの評価方法をさらに検討していきたいということに使われると考えております。
#103
○星長治君 それでは自治省お願い申し上げます。
 全国市長会、それから札幌市、仙台市、長野市、それから東北自治協議会、こういう各市、自治体から、スパイクタイヤ対策について相当金がかかっているから、いわゆるいろいろな要望があると思います。これに自治省としてどう対処するかひとつお伺いしたい。
#104
○説明員(小林実君) 積雪地域におきましてスパイクタイヤによる粉じん対策が問題になりまして、道路の維持補修等に要する財政負担が多大なものになっていることは私どもも承知いたしております。関係地方団体いろいろ知恵を絞っておるようでございますが、効果的な防止策というものがない、その対応に苦慮しておるようでございます。自治省といたしましては、この問題は地方団体だけでは解決できないので、国のレベルで具体的な防止策の検討をということで、スパイクタイヤ問題関係各省庁の連絡会議がございまして現在検討をされておるわけでございまして、その結果を見守っておるところでございます。地方団体に対する財源措置というものもその段階で検討させていただきたいというふうに考えております。
#105
○星長治君 次に、建設省ひとつお願い申し上げます。
 時間がございませんので一括してお願いしたいと存じます。まず、道路舗装の改良、滑りにくい舗装、耐摩耗性の向上、それから道路構造の改良、いわゆる勾配基準の見直し、除雪の徹底、融雪の推進、消雪パイプの普及、道路清掃の充実強化及び清掃方法の改良、粉じん低減のための道路清掃の効果の把握、こういういろいろな問題がありますけれども、建設省としての対策をひとつお伺いいたしたいと思います。
#106
○説明員(寺田章次君) お答えいたします。
 まず第一点目のスパイクタイヤ対策としての道路舗装の改良状況等でございますが、現在スパイクタイヤによります舗装の摩耗が問題となっておりますけれども、私どもの方におきましては従前よりタイヤチェーンによります舗装の摩耗問題が存在しておりまして、建設省及び北海道開発局におきまして耐摩耗性舗装の研究開発を行いまして積極的にその向上を図ってきているところでございます。舗装の耐摩耗性を向上させるためにはアスファルト混合物の配合、適切な骨材の選択など幾つかの方策があるわけでございますが、研究の面からは、舗装の耐摩耗性を大幅に向上させることは難しいというふうに考えております。
 このように耐摩耗性舗装の研究開発は限界に近づいているわけでございますが、今まで研究の面で得られました成果を現場に応用していく必要があるというふうに考えておりまして、このため昨年十一月、現地に応じた耐摩耗性舗装の活用を関係地方建設局長、知事等に指示したところでございます。なお、一般に、使用材料を考慮いたしまして十分な配合設計と入念な施工を行いますと、アスファルト舗装については滑りどめ対策を講ずる必要はないわけでございますが、曲線部、交通事故の多発箇所等につきましては滑りどめ対策を講ずることもございます。
 次に、二点目のスパイクタイヤ対策としての道路の勾配基準等を見直すべきではないかという御指摘でございますが、道路を新設または改築をいたします際には、道路の構造に関する一般的技術的基準は、道路法第三十条に基づきます道路構造令で定められております。この中に、積雪寒冷地におきます道路構造に関する基準が定められております。具体的に申し上げますと、種々の調査結果をもとに積雪寒冷の度が甚だしい地域におきましては、縦断勾配と片勾配等との合成されました勾配でございます合成勾配を八%以下とすること等が定められております。このため、積雪寒冷地域におきます道路につきましては、地形、地質の状況、気象条件等を勘案の上、これらの基準に沿いまして適切な構造となるような設計を行っているところでございます。
 次に、三点目のスパイクタイヤ対策として除雪等の道路管理を徹底すべきではなかろうかという御指摘でございますが、建設省におきましては、冬季の道路管理につきまして除雪等の雪寒事業の向上によりその充実を図ってきているところでございます。しかし、冬季の道路管理にはおのずから限界がございまして、特にスパイクタイヤの装着を必要としない冬季道路管理、すなわち、除雪を徹底し、さらには凍結防止対策を完全に実施するということにつきましては、気象条件の厳しい地域等におきましては不可能であるというふうに考えております。したがいまして、当面は、舗装被害等の軽減を図る関係から、関係区域のスパイクタイヤの使用実態等を勘案の上、スパイクタイヤ装着の不要な区域、期間におきます装着自粛等に資する施策を推進することといたしております。
 次に、四点目のスパイクタイヤ対策として融雪を推進すべきではないか、あるいは消雪パイプ等の普及を図るべきではないかという御指摘でございますが、建設省におきましては、消融雪施設としての消雪パイプにつきまして、一定規模以上の積雪深のある人家運担区域等で地下水の豊富な箇所においてその設置を図っておるところでございます。しかしながら、水源の確保、低気温下での凍結の問題、水はね等の問題もありますので、全面的に実施することは難しいというふうに考えております。今後とも地下水が豊富で、このような問題のない箇所で、消雪パイプの設置によりまして効果的な除雪が可能な箇所につきまして消雪パイプの整備を図っていくことといたしております。
 五点目のスパイクタイヤ対策として、道路清掃を充実強化し、清掃方法の改良を図るべきではないかという御指摘でございますが、道路の清掃につきましては、道路の保全の観点から常に留意してやっているところでございますが、特にスパイクタイヤ対策といたしまして、昨年十一月の道路局長通達で、融雪時期に越冬汚泥が乾燥飛散し、沿道環境に影響を及ぼす箇所につきましてその対策に努めるように指示したところでございます。なお、越冬汚泥の除去方法等につきまして、建設省及び北海道開発局におきましてその施工方法及び施工機械の開発研究を鋭意進めているところでございます。
 次に、第六点目のスパイクタイヤ粉じんに対する道路清掃の効果の問題と、道路清掃の効果を把握すべきではないかという御指摘でございますが、粉じんにつきましては、粒径によりまして路上堆積物、降下ばいじん、浮遊粉じん、浮遊粒子状物質等に分類されているわけでございますが、粒径の小さい粉じんの清掃による低減効果につきましては、現在のところ明確ではないわけでございます。したがいまして、今後この粉じんの粒径による違いによります清掃の効果につきまして調査し、効果的な清掃の実施方法について検討してまいりたいというふうに思っております。
 以上でございます。
#107
○委員長(粕谷照美君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト