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1984/02/28 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会国際経済問題小委員会 第1号
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1984/02/28 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会国際経済問題小委員会 第1号

#1
第102回国会 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会国際経済問題小委員会 第1号
昭和六十年二月二十八日(木曜日)
   午後一時六分開会
    ─────────────
 昭和六十年一月二十五日外交・総合安全保障に
 関する調査特別委員長において本小委員を左の
 とおり指名した。
                岩動 道行君
                大坪健一郎君
                倉田 寛之君
                高平 公友君
                曽根田郁夫君
                大木 正吾君
                松前 達郎君
                中西 珠子君
                柳澤 錬造君
 同日外交・総合安全保障に関する調査特別委員
 長は左の者を小委員長に指名した。
                大木 正吾君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    小委員長        大木 正吾君
    小委員
                大坪健一郎君
                倉田 寛之君
                高平 公友君
                曽根田郁夫君
                中西 珠子君
                柳澤 錬造君
    外交・総合安全保障に
    関する調査特別委員長  植木 光教君
    小委員外委員
                久保田真苗君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山本 義彰君
   参考人
       株式会社野村総
       合研究所取締役  青山浩一郎君
       通信機械工業会
       専務理事     小澤 春雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○国際経済問題に関する調査
 (経済摩擦に関する件)
    ─────────────
#2
○小委員長(大木正吾君) ただいまから外交・総合安全保障に関する調査特別委員会国際経済問題小委員会を開会いたします。
 一言ごあいさつを申し上げます。
 私、このたび国際経済問題小委員長に選任されました。小委員各位の御支援によりまして、公正かつ円満な小委員会運営に努め、責任を全ういたしたいと存じますので、何とぞよろしく御協力のほどをお願い申し上げます。
    ─────────────
#3
○小委員長(大木正吾君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国際経済問題に関する件の調査のため、必要に応じ参考人から意見を聴取してまいりたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○小委員長(大木正吾君) 御異議ないと認めます。
 その人選等については、これを小委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○小委員長(大木正吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○小委員長(大木正吾君) 国際経済問題に関する調査のうち、経済摩擦に関する件を議題とし、経済摩擦について参考人から意見を聴取いたします。
 本日は、お手元に配付の参考人名簿のとおり、二名の方々に御出席いただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところ、本小委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございました。本日は、経済摩擦問題につきまして参考人の方々から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。
 これより参考人の方々に御意見をお述べ願うのでございますが、議事の進め方といたしまして、まず最初に参考人の方々から御意見をお述べいただき、その後、小委員の御質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず青山参考人にお願いいたします。
#7
○参考人(青山浩一郎君) 野村総合研究所の青山でございます。
 経済摩擦の問題につきまして、現況、問題点、あるいは日本の対応につきまして概括的なお話を申し上げたいと思います。
 その前に、私どもの立場でございますけれども、野村総合研究所はこうした貿易の問題だけを専門的にやっているわけではなく、全般的な経済予測に携わっているわけでございます。したがって、この問題に関して私どもはある意味では中立である。中立であるということは、各産業界のどの産業界の立場にもくみしていないという点が一つと、いま一つは、直接、間接に外国側の意見を聞く機会があり、比較的日本だけの立場でもないという意味で中立だと信じております。逆に言えば、個別の問題については専門知識もなく、あるいは具体的な意見もございません。したがって、私の今からのお話は、やや皆様方の議論のたたき台である総括的なお話になると思います。
 まず最初に、お手元の三枚の表で、御存じのことばかりでございますけれども、貿易摩擦の現況について説明をしたいと思います。
 一ページ目の表の左側は最近の日本の貿易バランスでございます。
 アメリカの収支じりというところをごらんいただきますと、八四年が三百三十一億ドルの日本の黒字超過、前年が百八十でございますから、対米黒字は激増しております。ECは百億ドルでほぼ横ばい。東南アジアに対しては四十九億ドルと前年に比べて減少しております。
 アメリカの激増の理由は、その下の輸出、輸入というのをごらんいただきますればわかりますが、輸出の増加でございます。前年比四〇%も輸出がふえております。輸入の方は八・九%ということでそれほどではないということです。ECに関しては、百億ドルでとどまっているのは輸出の伸びの鈍化とそれから輸入の増加でございます。ECからの輸入が一四・九%も伸びている。さらに東南アジアに対しては輸出の鈍化プラス輸入の増加でございます。
 次のページに細かい通関統計の品目がございます。
 アメリカ向けの輸出、何が伸びたかということでございますが、一番左側の列の一般機械という中項目、前年に比べて五九・四%伸びております。全体の輸出増の寄与率の二〇・八%、その下の電気機器、これも一五七・二、二二と、全体のアメリカ向けの輸出増を引っ張ったのは具体的にはこの二つのグループであると思われます。ECに関して、あるいは東南アジアに関してでございますが、輸入がふえたことが黒字の横ばいに役立っておりますが、次の三ページをごらんいただき
たいと思います。
 ECからの輸入は、一番上段に全体で一四・九%ふえておりますけれども、とりわけ下の二つ、化学製品一五・四%、寄与率二三・九%、一番下のその他二〇・一、四五・四、ここらがふえております。このECからの輸入の増大は、欧州の通貨がドルに対しても日本の円に対しても切り下がったということが非常に多く寄与していると思います。同様に東南アジアも輸入がふえております。中段の鉱物性燃料及び一番下のその他ということです。
 以上を総括いたしますと、インバランスの問題はやはりアメリカが最大である。そこでもう一回一ページの右側に戻っていただきますと、アメリカの貿易バランスでございますが、昨年八四年のアメリカの貿易は、世界に対して輸出二千百七十八億ドル、輸入三千四百十一億ドル、貿易収支の赤字が千二百三十三億ドル出ております。そのうち対日赤字が三百六十七億ドル、以下カナダ、ECでございます。
 その下に、全体のアメリカの赤字を一〇〇として、八四年は二九・八%が日本であるということです。ごらんのように対日赤字の割合は減っております。八一年の全体の四五・六から三〇%にまで減っておりますが、そういう意味では、むしろ最近のアメリカの赤字拡大はECからの輸入の増加、あるいはその他の発展途上国からの輸入の増加が大きいと思いますが、それでもなおかつ割合が三〇%に達している、額が大きいということに問題があると思います。
 次に、表から離れますが、二つ目のトピックとして、日米摩擦に限りまして今後の展望について意見を述べたいと思います。
 私どもは、日米摩擦の激化はことしよりむしろ八六年の方ではないか、事態はますます悪くなっていくのではないかというふうに考えております。その理由を、やや箇条書き的になりますが、順を追って申し上げたいと思います。
 まず第一点は、こうしたアメリカの大きな赤字の根源でございますけれども、これは米国の借金経済にあると思います。アメリカが外国から多量の借り入れをして、それで経済を拡大している。例えが適切かどうかわかりませんが、個人に例えれば、毎月クレジットカードでどんどん買い物をして家族をいい気分にさせている。父親は非常に人気がありますけれども、そのツケがいつ来るか、こういうような状況に根本的な原因があります。
 第二点は、そのことがいわゆる双子の赤字という議論でございまして、一つは財政赤字の二千億ドル、一つは先ほどの貿易赤字の千二百億ドル、この二つは非常に相関関係が強いわけでございます。現在、アメリカの国内貯蓄の六〇%から七〇%は財政赤字に吸収されております。この二つの赤字の関係でございますけれども、この第三点のコメントといたしまして、二月二十日のブロック通商代表の議会証言によりますと、八五年の貿易の赤字は、先ほどの八四年の千二百三十三億ドルに対しましてことしの見込みは千四百から千六百億ドルとブロック通商代表は述べております。そして前から言われているように準債務国にアメリカはいよいよことし転落するであろうと。そしてこの理由として、ドル高と日本の市場閉鎖が理由であるとブロック通商代表は述べておりますが、私はそうではなく、アメリカの財政赤字というものが根本的な原因である、あるいはアメリカのそうした借金経済が根本的な理由である、ドル高と日本の市場閉鎖も理由ではありますけれども、根源ではない、このように考えております。
 こうした認識の中で、今後いつ激化するかということについて経済的な要因と政治的な要因と二つに分けてみたいと思います。
 まず、経済的な要因ですが、第一点として、現在ことしのアメリカの経済は極めて順調だと思います。コンセンサスとしてことしの経済成長率は三・五%ぐらいの実質成長が可能である、昨年の六%台には及ばないものの、この状況ならば個人の消費生活あるいは企業収益も順調に拡大をする、雇用もそこそこである、まずまずの状況がことしは続くと思います。
 第二点として、今後のアメリカの経済の可能性として三通りのシナリオが考えられます。
 まず第一のシナリオは、いわゆるハードランディングと言っておりますが、ドル暴落、こうした危機の中で増税とか支出削減がなされアメリカの経済が八六年からかなり厳しい不況に突入していくというハード・ランディング・シナリオが一つ。二つ目はソフトランディング。財政の再建がかなり成功して二つの赤字の一つである二千億ドルの赤字が削減するめどが立ってくる。こういう中で八六年もそれほど急激な不況にはならない。第三点は、第三のコースはその真ん中でございますけれども、英語でこのごろマドルスルー、何か泥の中をもがくような感じで、何とかつじつまをつけて根本的な問題を先に延ばしながらやっていくという可能性です。私どもを初め大方の見方はこの三番目のコースではないかと思っております。
 次に、この二つの経済的なポイントのほかに、政治的な情勢として二点ぐらいコメントしたいと思います。
 まず第一点は、レーガンの人気と中間選挙の見通しでございます。二期目のレーガンはアメリカの大方の人たちの意見では、ことしの暮れぐらいまでレーガン人気というのは非常に強いだろう、来年になると指導力が落ちるだろうという話がありますが、もう一つの背景として、中間選挙で改選になる議員の数が上院議員三十三人のうち共和党が二十人、民主党が十三人でございます。現在の議席が五十三対四十七ですが、今度の選挙で四議席を共和党が失うと逆転になる。下院は民主党が既に大勢でございます。現在、大方の見方は共和党が過半数を維持するのは大変難しいだろう、このような読みでございます。
 もう一点、政治的なコメントとして民主党の支持基盤が近ごろ非常に変わってきているということがあります。先ほどのモンデール大統領候補の支持票の中の全米で二五%が黒人であった、南部では四〇%が黒人であった。黒人のほかに民主党の支持基盤はいわゆる成熟産業の労働組合あるいはスペイン系など移民、つまり自由貿易を望まない保護貿易、雇用の安定を望む人が非常に圧倒的である。これらのことから考えますと、中間選挙で共和党が多数を失った後のこの問題は深刻になってくるということです。
 以上、いろいろ申し上げましたが、貿易摩擦はまず景気がいい限りそれほど大きな国民的な関心にはならない、したがってことしはまず大きな問題にならない、来年にその可能性がある。それからことしの最大の課題は、二つの赤字のうちの一つの財政の赤字克服である。二つ目の赤字対策はその次である。もう一つは、共和党の勢力が非常に強いと信じられている間はこの問題はまだ影響が少ない。以上の点から考えますと、現在よりむしろ来年に問題があると思います。
 最後に、残された時間でこの問題に対する解決の方向と申しますか、いろいろな人が考えている点を挙げるにとどめたいと思います。五点ぐらい解決の視点があると思います。
 まず第一は、アメリカにとっての対日輸出拡大。これは具体的には四分野の市場開放促進要求ということで今来ているわけです。この四つの分野の市場開放によってアメリカの対日黒字は百億ドルふえるだろうという表明があったわけですが、これに対してはアメリカ人の中でも非常に賛否両論がありまして、とてもこれだけはふえないだろうという人が大方でございます。いずれにしても対日輸出の拡大、その手段として四分野の市場開放促進、これが第一点でございます。第二点は、輸入課徴金の論議でございます。輸入課徴金をかければこの黒字は削減されるだろう。第三点は、ドル高の抑制でございます。これによってアメリカの赤字が減るだろう。第四点は、金利を下げることです。このことはドル高の抑制にもなると思います。最後はアメリカの産業への政策介入。政府がもっと産業の競争力を強くするために
いろいろな援助、助成をやるということです。
 これについて二点だけ私どもの見解を述べたいと思うのですが、まず一つは輸入課徴金でございます。輸入課徴金は、現在のアメリカの通商法から言えば、百五十日間であるならば、そして一律一五%ならば大統領の権限ですぐかけられるということになっております。最近になっていろいろな議員から課徴金の提案の動きがありますが、これに対して、最近私どもがアメリカでインタビューをしたかなり有力な人の発言では、このような見解を示しております。アメリカにとって輸入課徴金をかけるのはメリットがないし、かけられないというのが彼の意見でございます。ついでに、その人は現在ブルッキングス研究所の主任研究員で、トレザイスという日米貿易でも非常に有名な方です。
 トレザイス氏は、まず第一点として、輸入課徴金はあくまで輸入品にかける税金である、これはレーガンの選挙公約に反する、レーガン大統領が八一年に行った減税、これはその後の増税で打ち消されたわけですが、もし二〇%の輸入課徴金をかけますと年間八百億ドルの税収が得られます。この八百億ドルというのはレーガンの八一年の減税額そのものでございまして、これを全部打ち消すような増税である、これが第一点です。
 第二点は、課徴金は既に保護されている業種の国内価格を一層高くするものである、これは不必要な過剰保護であって、国民経済に大きな負担をかける、これが第二点でございます。
 第三点は、実際の運営が極めて難しい。かつてアメリカも検討したことがあるんですが、例えば輸入のための船に乗っている輸送中のものの扱い、輸入割り当てをやっているものの扱い、その他いろいろやっておりますと、全体の五〇%は課徴金の対象にはなりにくいものがあるということで、実務的に大変難しいということがあります。また、それ以外に、輸入課徴金によって確かに輸入は減るけれども、経済を減速させ、雇用を減少させるというデメリットがあります。私どもの見通しでは、八五年に限ってこの課徴金が通り、実施される可能性は極めて少ないのではないかと思っております。
 第二点として、ドル高の影響でございます。ドル高のデメリットといいますか、二つの赤字とドル高の関係についてもう一度こんな感じで整理してみたいと思うのですが、まずアメリカの膨大な二千億ドルの財政赤字、これを補てんするのに国債を発行しております。国債の発行によって資金が需給逼迫になります。その結果、金利が高くなります。金利が高いから外国の資金が入ってきます。外国の資金が入ってくる限りドル高になります。このドル高がアメリカの輸出産業の国際競争力を低下させ、輸出を停滞させます。そして膨大な貿易の赤字になります。一千億ドルの赤字になります。このように、二千億ドルの財政赤字と一千億ドルの貿易赤字はドル高というファクターを通じて非常に連結されているわけです。したがってドル高のデメリットは、まずアメリカにとって産業の設備投資を減退させるという、これが第一点。それから第二点は、その結果、経済の成長力を鈍化させる。第三点は、経済における産業とか企業の地盤沈下。第四点は、失業の増大。最後の第五点としては、将来の技術開発力の低下というものがあります。
 実際にどの程度がアメリカの貿易収支に影響しているかということで、私どもの非常にラフな試算を紹介したいと思います。私どもは実は昨年のアメリカの経常収支の赤字を、約一年前に六百億ドルと推定しておりました。実際には千億ドルになったわけです。四百億ドルの見込み違いがあったわけですが、それはアメリカの成長率を四・五と踏んでおりました。実際には七%になりました。成長率が二・五%見込み違いになったわけです。OECDの全体の成長率を二・五と踏んでおりました。これは実際には三・〇です。最大の違いは、ドルがそのときに十カ国主要通貨に比べて一〇%ドル高になりました。この一〇%予想よりドル高になったということと成長率の拡大の結果、四百億ドルの黒字がふえたわけです。
 ラフに申し上げますと、アメリカの成長率が一%上げ下げしますと、アメリカの経常収支は八十億ドル変化する。それから、アメリカのドルが一〇%上げ下げしますと、百三十五億ドル貿易の黒字が変わってくる。一〇%のドル高が百三十五億ドルの赤字の増加になると、こんな関係があります。なお、昨年アメリカの大統領に対する経済諮問委員会が、一〇%のドル高は二百億ドルの赤字要因であるという試算をしたことがあります。私どもの試算は若干少ないのですが、大体その前後だと思います。このように、ドル高を抑制することができれば、この手段については非常に難しいわけですが、貿易赤字、経常収支の赤字はかなり改善されると思います。
 時間が来ましたので、あと質疑応答の中で補足したいと思います。
 ありがとうございました。
#8
○小委員長(大木正吾君) ありがとうございました。
 次に、小澤参考人にお願いいたします。
#9
○参考人(小澤春雄君) 私、本日の参考人に御指名いただきました通信機械工業会専務理事の小澤春雄でございます。座って進めさせていただきます。
#10
○小委員長(大木正吾君) どうぞ。
#11
○参考人(小澤春雄君) お手元に、通信機器受注動向と最初に書いてあります五枚つづりの数字の資料をお配りしてございますので、これに基づいて我が国の通信機械の産業あるいは貿易のまず実情について御説明申し上げます。
 この資料は、暦年で、昭和五十五年から五十九年までの資料でございまして、一九八〇年から一九八四年までということでございます。外国の統計は暦年でとっておりますので、暦年でとってございます。
 私どもの通信機械工業会は御承知のように、我が国の通信機械産業の唯一の産業団体でございまして、日本電気、富士通、日立、沖、三菱、東芝、松下と、これを大手七社と申しておりますが、以下二百社のメーカーで構成されておりまして、我が国の通信機械生産高の九五%をカバーしておるというふうに考えております。
 その数字がお手元の数字でございまして、一番右側の昭和五十九年、これは数字ができたばかりでございますが、この数字は先ほどの青山さんの数字と大体同じような通関統計とか、そういう国の統計に準拠しておりますので、同じベースだとおとりいただいて結構だと思います。
 昭和五十九年の我が国の通信機械の総生産額が一兆六千六百十六億円ということでございます。それで、これの受注で大きく分けてみますと、五十九年のわきに、上が前年比で下が構成比というようになっておりますが、構成比をごらんいただきますと、全体を一〇〇といたしますと、官公需が三二・二%でございます。このうち、もちろん一番大きいのは電電公社でございまして、二五・四%。それで三二・二と二五・四%の間は、防衛庁とか国鉄とか警察等の通信を使います関係の官公需でございます。
 それから、民需と申しますのが一般市場で売られております通信機器でありまして、現在の制度下では、これのほとんどは端末機器と言われます電話機、ボタン電話装置、ファクシミリ、PBX等でございます。
 それから、一番下の外需が三五%、これは輸出でございます。
 したがって、私どもの通信機械産業は非常にわかりやすい形になっておりまして、全体の売上高の三分の一が官公庁に売っておる、それから三分の一が民間に売っておる、それから三分の一が海外に売っておる、大ざっぱに申しまして現在はこういう構成でございます。
 ただ、この移り変わりを見ますと大分違っております。例えば電電公社の受注の比率でございますが、五十五年当時は全体の三八・一%を占めておりましたものが、五十九年になりますと二五・四ということで、四分の一ということになりまし
た。したがって、全体での構成比率は年々減ってきております。これは、一番右の五十五年から五十九年の五年間の伸び率でごらんになっていただきますとよくおわかりでございまして、電電公社は年平均四・三%の伸び率で伸びてきたということです。それに対しまして、民需の方は一七・四%の対前年の伸び率という形で伸びてきた。最も伸びておりますのが輸出でございまして、平均して五年間で毎年対前年で三〇・三%も伸びてきたということでございまして、輸出が非常に伸びてきた。これは言い方を変えますれば、我々通信機械産業はやはり輸出で伸びてきた。同時に、輸出がいわば成長の原動力であったということが言えると存じます。
 なお、総体では年平均一五・四%でございまして、二けた成長でございますので、我が国の産業分野としては非常に成長率の高い分野の成長でありますということが全体で示されております。
 次に、二枚目の生産動向でございますが、これは生産と申しますのは、機種別はちょっと受注がとれませんので生産でとっております。したがって、総額数字が少し前ページの受注と生産ではずれがございますけれども、おおよその傾向としては生産で見ても問題はないと思います。
 これでごらんになっていただきたいと存じますところは、どういう機種が一番伸びているかということでございまして、これも五十九年度の前年比という欄の数字で見ていただきますと、電信装置というのがございます。これが五十九年度は三九・二%の対前年の伸び。年平均でも、その右にございますように三〇・二%の伸びということでございます。電信装置が伸びているのはちょっとおかしいとお考えかもしれませんが、これはほとんどファクシミリでございます。ファクシミリが大変な伸びでございまして、ついででございますが、私はいろいろなところでニューメディアという話をさせられますときに、我が国で恐らくここ当分は電話時代の次はファクシミリ時代だろうということをよく申しております。いろいろなニューメディアが出ておるけれども、事務所に入り家庭に入り、そして実用化されて最も便利に使われていって、しかも産業、市民の生活を大きく変えていくものはファクシミリだろう。いわばこれは目で見る電話器というふうに見ていいと思っております。
 その次に、ワープロ、ワードプロセッサー、この通信系に結合した日本語テレテックスといったものが次の段階に伸びていくのではなかろうかというふうに考えております。それがこの数字でも出ております。
 次に、電話応用装置というのがその上にございます。これが対前年度二八・六%の伸びで、五年平均で三一・二%でございます。したがって、五年平均では電信装置よりも伸びております。これは御承知のボタン電話装置でございまして、電話器の中にIC、LSIを組み込みましていろいろな多機能的に使える、米国ではキーテレフォンと言っておりますが、これでございます。この二つがいわば前年度の伸びから見ましても一番の成長機種ということが言えると存じます。
 その次に、三ページ目に輸出動向だけを対外の地方別に分けてとらえております。このトータルの数字がやはり一ページの数字とちょっと違っておりますのは、一方は受注統計であり一方は大蔵省の通関統計でありますが、若干数字が違っております。
 これで見ていただきますとおわかりのように、北アメリカうちUSAというのがございます。これが合衆国でございますが、五十九年度の構成比で見ますと、輸出全体の五七%が合衆国であるということになります。なお、その上の欄の七三・二というのは対前年度、五十八年度に対して七三・二%対合衆国輸出は伸びたということになります。五年間平均で見ますと、対合衆国輸出は五四・九%、毎年五五%ぐらいずつ伸びているということでこれは大変な伸び率でございます。それからその次がアジアでございまして、これはずっと落ちまして構成比で一六・一 %。それから次がヨーロッパで九・六%というふうな数字になっております。したがって、私は通信機械の我が国のお話をするときに、三分の一が輸出である、その半分が北米であるというふうな言い方をしております。
 それから、その次に四ページの輸入でございますが、これはUSAだけごらんいただきますと、五十九年度が輸入が二百七十四億でございまして、ずっと伸びてきたのですが、五十八と五十九ではここでありますように三・七%の減少ということで、五年間平均いたしますと四一・八%と輸入も伸びております。しかし前ページのUSAへの輸出の伸びの五四・九%に比べますとやはり輸入の方が伸び率が若干低いという数字になっております。なおこの数字は、電電公社が発表しております電電公社としての米国からの買い付け金額が公表されておりますが、これはいずれも契約段階で発表しておりますので、我々の通関統計とはかなり時間的にずれがございますので、終局的にはNTTの購入金額もこれに入るわけでありますが、ずれがございます。
 最後に、五ページの対米輸出入の数字、これは上にありました数字を輸出入の形で対比させて整理してみましたが、ここでごらんいただきますように、昭和五十八年は日本から米国への輸出が千八百六十一億円、それに対して輸入が二百八十五億円ということで、一対六・五という比率でございました。それが五十九年になりますと輸出が三千二百二十四億円というふうに非常にふえまして、それに対しまして輸入は二百七十四億円ということで、よく新聞で一対十一・五とかいろいろ書かれておりますが、つい最近知り得ました数字では一対十一・七というふうになっております。
 ただ、ちょっとここで注釈を加えさせていただきますと、まず一対十一・七をごらんになる場合に、米国と日本の通信機械の市場の大きさというものを比較の尺度の一つに入れてみる必要があると思います。大ざっぱに申しまして、米国の市場規模、これは大体通信機械の年々の購入規模という形で市場規模をとらえてみますと、市場の規模の大きさは米国は日本の四倍というふうに考えられます。したがって、輸出入のバランスがもし一対四ということでありますとバランスはとれておる。一対四から離れていくほどインバランスになっていくというふうにお考えいただくことがよろしいかと思います。
 さて、米国への日本製品の輸出でございますが、米国のITCという機関がございます。国際貿易委員会でございますが、そこが昨年ITC報告というものを発表いたしました。その数字で見ますと、日本から米国への輸出品が米国市場でどのくらいの比重を占めているかという数字が発表されております。これは一九八三年の数字でございますけれども、米国が世界から輸入しておる通信機の比率は、米国が一九八三年に購入した通信機械の総額の一〇・八%、一割強が外国からの輸入品でございます。したがって、裏返しますと九〇%は自国の製品で自国の市場が賄われておるという形でございます。この一〇・八%の合衆国の外国からの輸入でございますが、このうち日本は四・四%でございます。先ほどの昭和五十八年の千八百六十一億という数字は、米国へまいりますとちょうど米国の全体の市場の四・四%を占めておる。残りの六・四%はカナダ、韓国、台湾、香港、シンガポール等が大口でございます。この国名でもわかりますように、ほとんどが電話機、それから先ほどの電話応用装置、ボタン電話装置でございますが、それからPBXと、この辺の端末装置がほとんどでございます。
 なお、日本が四・四%という米国の全体のシェアを占めておりますが、これも約六〇%は今申し上げましたような端末機でございまして、いわゆる中枢機器というようなものは米国でも日本製品は余り買われておりません。これを買うのはATTとかその他GTEとかそういういわばコモンキャリアでございますが、彼らも中枢の交換機、中枢の光ケーブルといったようなものは日本の製品は余り比重としてはたくさんは買いません。端末
機がたくさん売れておるということでございます。
 それから、もう一つ数字でございますが、米国の通信機器、米国から今度は世界に売っている通信機器の輸出と、それから外国から入ってきています通信機器の比重が一九八三年に輸入の方が輸出を上回った。輸入が一〇・八%で輸出が七・五%になって、その前の年の六・四%対八・二%と逆転いたしました。つまり、一九八三年に米国はその占めている比重は大きくはございませんけれども、一応電気通信機器については輸入国に変わった、これが米国にとって非常に大きなショックであったようであります。先ほど申し上げましたように、先ほど青山さんのお話の一九八四年の米国の対日貿易赤字が三百六十八億ドル、これに対して私どもの通信機械の占めます比率は十一億ドル強でございますから、絶対額といたしましては金額はそう多くございませんけれども、いやしくも先端技術の親元とか言われております米国が通信機器に関して輸入国に変わったということは、米国にとって大きな衝撃を与えたようであります。そういう背景から、御承知の上院の国際貿易小委員会の委員長ジャック・ダンフォース上院議員、ミズーリ州選出、共和党でございますが、昨年、通称ダンフォース法案といいます電気通信貿易法案を議会に提出いたしまして、公聴会までまいりました。
 その内容は、相互主義でない相手国に対して三年間バランスをとらせるための交渉をする、それでも協定が失敗に終わった場合には、現在の通信機械の関税の五%から一五%の範囲のものを一躍三五%に引き上げるという法案でありまして、日本製品をターゲットにした法案でございましたが、さすがにここまでは米国の政府も賛成いたしませんでしたし、民間でもかなり反対もございまして、これは昨年の議会では流産に終わりました。
 今米国が考えておりますこれにかわります法案、これもダンフォース議員などが中心で考えている法案でございますが、日本なら日本というふうに限定してよろしいと思いますが、日本から米国に入ってくる装置の認可について、日本が行う通信装置の外国製品ないし米国製品の認可といったものと同じような形で認可をする。したがって、日本の認可が厳しくなれば米国も日本からの製品についてそれと同じような厳しい審査認証を行う。結果として認可が手間どり、あるいは製品が、非常に輸入が狭められてくる、こういうふうな形の、これも一種の相互主義法案でありますが、これが今考えられております。
 以上が現状であり、また問題点でございますが、最後に私ども通信機械工業会としてこうした事態に対応する対策として行っておりますところは、とにかく米国と日本とを同じ立場で輸出入を行うということを基本姿勢にいたしまして、我々が米国に入っていく以上は、米国からも、日本が出ていくと同じ形で入ってくるということを希望しておりますし、また、そうした動きをいたしております。
 具体例といたしましては、米国のちょうど通信機械工業会に匹敵いたしますUST SAという団体がございます。これは六百五十社の通信機械メーカーの団体でありますが、ユナイテッド・ステーツ・テレコミュニケーションズ・サプライヤーズ・アソシエーションというのですが、ここと私どもは昨年相互友好協定を結びまして、情報の交換、展示会への相互出品、相互の訪問、あるいは講演会の開催、セミナーの開催、統一見解の発表といったようなことをやることにいたしております。二月の十二日から十四日までニューオリンズ市でUSTSAの総会が行われまして、そこへ私は招かれまして約三十分間スピーチをすることを許されました。私はその場で、日本の産業界ないし産業団体は米国に対して全く同等の開かれた姿勢でおるということを幾つかの事例を挙げて説明をいたしました。
 そのもう一つの我々のやり方といたしまして、日本の産業団体に先駆けまして、日本のメーカーだけではなくて外国のメーカーを正会員にするということを実行いたしました。既にIBM、モトローラ、ノーザン・テレコム、フィリップス、シーメンスといったような会社が、これは日本法人の立場からではありますが、通信機械工業会の正会員になっております。ノーザン・テレコムだけが賛助会員でありますが、あとは正会員になっております。
 ということで、私どもは民間ベースとしましてはいち早く相互主義を実行する。例えば米国のメーカーが日本で売りたいといったときには、商社を通じてもいいし、我々メーカーとタイアップしてお互いの製品を売り合うということもやったらいいだろうということで、既に岩崎通信機がノーザン・テレコムのディジタル型PBXを日本で売っております。それから立石電機がロルム社のボタン電話装置を日本で自社の製品と一緒に売っております。後は日本のユーザーが選ぶ、こういう行き方をとっております。
 そういうことでございますので、今、目下の問題になっております郵政省と米国の商務省あるいはUSTRとの間に生じております通信機器の端末機器の技術基準あるいはその適合認定の問題に対しましての私ども業界の立場は、この政府間の話し合いが一日も早く円満に解決することを希望しております。これが話し合いがおくれてしまったり、あるいは話し合いがつかないままで推移いたしますと、米国の現状からいたしまして、先ほどもダンフォース法案の例を申し上げましたが、報復措置が出てまいります。貿易立国という我が国の基本的な立場から、今や自動車、エレクトロニクスというものが我が国の貿易立国を支える、また日本国民を食わせていく基本的な産業になっておるわけでございますので、これがうまくいかなくなるということは日本国民にとって非常に望ましからざることになります。私どもとしては政府間の手続協定がおくれるために民間の貿易関係が悪化する、なかんずく今申し上げましたようにこの通信機械につきましては正直言って片貿易でございます。
 我が方は二十年かかってこの貿易を築いた。アメリカはまだここ二、三年日本へ入ろうと一生懸命努力をしておる。しかも市場構成が、私どもは五〇%輸出しておる、アメリカは一〇%ぐらいの輸出ということでございますので、国内で十分食っていけるわけでありますから、メーカーの輸出に対する意欲も日本と米国とでは全然違います。私どもは米国の国民の選ぶような、好みにかなうようなデザイン、仕様、機能といったものを必死になってつくり上げて米国の市場で売っております。自動車と違いまして、米国の市民が電気通信機器を買う場合にも、裏をひっくり返してこれがNECの製品であるから買うとか、この会社が好きだから買うとか、このブランドが好きだから買うとか、そういうことはございません。デパートなりあるいは電気店へ行って一番色がいい、形がいい、取り扱いがいい、こういったものを買うわけでございますので、これを我々は二十年かかって開拓したわけでございます。もし米国が日本で売っていこうとすれば、やはり同じ努力をしなければいけませんということを我々は民間ベースで米国のUSTSA等にも申し上げております。
 ちょうど時間になりましたので、以上です。
#12
○小委員長(大木正吾君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は小委員長の許可を得て順次御発言を願います。
#13
○高平公友君 それじゃ、青山参考人に教えていただきたいと思います。
 ドル高の問題は、もとより日本にとっても大変大切な問題でありまして、貿易摩擦の原因にもなっておるんだと、我々はそういうぐあいに思っておるんですが、特に日本の市場閉鎖ということにつきまして、今アメリカからそれぞれ個別にも参っておりますが、アメリカでは非常に関心を持っ
て、日本がどうも市場閉鎖をやっておると。日本がそんなぐあいに市場閉鎖をやっておるのかどうか我々はわからぬのですけれども、このことにつきまして忌憚のない意見をひとつ聞かせてもらいたいと思うのです。
 それともう一つは、ドル高といいますか、円安の問題です。これは最近ちょっと小康を得たというような格好ですが、ますます円安になっているわけです。今のお話の中で、アメリカも、自国の産業、特に第一次産業あたりはドル高によって輸出ができないで大変困っておるアメリカの実態というものも新聞あたりで我々見ておるわけです。レーガンさん自身は、ドルが強い方がいいのではないかという最近の発言あたりを我々は新聞で聞くわけでありますけれども、アメリカの首脳はこの問題に対してどういう対応をしようとしておるのか、何かこんなこともお聞かせいただければいい。
 以上、二点につきまして御質問を申し上げたいと思います。
#14
○参考人(青山浩一郎君) 最初の市場閉鎖の点につきましては、冒頭お断り申し上げましたように、私も個々の産業の問題について熟知しているわけではございません。ただ、一般的にむしろアメリカサイドの意見を直接、間接に聞いている立場として、いわゆる今四つの分野の市場開放ということが議論になっております。
 これは御案内のように、通信、エレクトロニクス、それから医療、医薬品の分野、そして最後が木材、紙製品と具体的な要求もあるようです。それで、かねて日本は市場閉鎖をやっておるという議論があったんですが、現在ではほぼその四つの分野だけに限定され、それ以外についてはもうよくやってきているんだという認識に変わってきたように思います。今から三年ぐらい前までは、自動車から機械から金属バットからありとあらゆるものについて日本は市場閉鎖的であったという、余りよくも調べないでという感じもあったんですが、最近ではそういうむやみな議論は後退して、かなり分野が限定して具体的な議論になってきている。したがって、これはかみ合う話であって、解決が可能であると思います。ただ、先ほどちょっと申し上げましたように、こうした市場開放をやれば百億ドル貿易が改善されるというような、かなり責任ある立場の人の発言があったわけですが、それに対してはアメリカのビジネスマンも、ただそれだけやったってよほどの、さっき小澤さんが御発言になったように、いわゆる気の長い企業努力をしなければ簡単にどこの国でも輸出はできない、そういう面もあるだろうと思います。
 これにつけ加えますと、アメリカの人たちは、今やっている規制とか何かはもうかなり開放されてきているし、よくやってきている、しかし、日本はまだこれから新しいことをやるんじゃないか、何か新しい産業ができるとそれにいろいろ新しい規制をやるんじゃないか、今までやっていることはいいのだ、これからやらないようにという、そういう妙なおそれというか不安感がある、これも事実でございます。
 以上が第一の御指示に対するコメントでございます。
 それから、二つ目のドル高の問題につきましては、先ほどの問題に若干敷衍いたしますと、アメリカにとってだけではなくて世界全体にとってドル高の問題点というのが三つか四つあると思います。
 まず第一点は、一昨年から議論されている発展途上国の債務問題の深刻化。途上国は膨大なドル建ての債務を負っていますので、ドルが高くなればその返済負担が非常に大きくなってくる。昨年以来途上国は、例えば金属だとか非鉄金属だとか、あるいは農産物にしてもドル建て債務の返済のために市場価格をある程度無視して自国の産物を安売りしなきゃならないという、そういうような悪循環もあります。これが第一点です。
 第二点は、日本などではある程度為替相場の下落を防ぐために高金利政策をとっているわけではないのですけれども、金利を余り下げられない。現在の日本の物価の水準なり経済の安定性から考えればもっともっと金利は下がってもいいと思うのですが、為替相場をある程度支えなければなりませんから金利を下げられない。これは日本だけじゃなくてヨーロッパでも同じ悩みだと思います。これが第二点です。
 第三点は、これだけのドル高でありますと、恒常的なドル高とはだれも信じられないわけで、変動の増大、一年間に円の相場が二百二十円から二百六十円になってみたり、せんだって先週のように東京市場寄りつきの三十分間で円が五円動くそういう著しい変動のリスク、それは金融界も産業界も個人も負っているわけでございます。これにアメリカサイドのアメリカの経常収支の赤字、財政の赤字があります。この四点ぐらいが世界的な問題点であると思います。
 アメリカの中でドル高容認説とそれからドル高に対して反省説ともちろん両方あるんですが、私どもの印象では、世界的な視野に立つ人、例えばボルカー議長だとかそういう人たちはドル高に対して厳しく警戒をし、何らかの策をとるべきである。むしろ、インワードルッキングといいますか、アメリカだけのことを考えている産業界あるいはそういう立場の人は、むしろこれでいいのじゃないかという議論だと思います。しかし、物事の限界点として、よくわかりませんが、一ドル二百六十円ぐらいが限界点にほぼ近いのではないか。つまり、二百六十円を超えて二百七十円、八十円になってきますと日本にとっても非常に大きな問題が生じてくるし、アメリカにとってもこれ以上のドル高はいろいろな問題が出てくる。したがって、そのレベルが恐らく二百六十円ぐらいだと思いますので、その点が介入なりあるいは防衛策を議論する一つの出発点になるんだろうと思うのです。
 以上です。
#15
○高平公友君 もう一つ敷衍して、今の日本の市場閉鎖のお話はその四つのことを挙げて、私は詳しく全部知りませんけれども、木材半製品、合板だと思うのですが、一五%ぐらい税を取っておると思うのです。東南アジアの国々はたしか一一ですか、一五ぐらいだったか、ちょっとその辺の数字はわかりません。これらの半製品まで全部やっても金額的には極めて少ないのじゃないか、そんなぐあいに思いますけれども、その木材より四つの中で一番大きいものは何でしょうか、大きく日本がどう言いますか……。
#16
○参考人(青山浩一郎君) これは小澤さんの方が専門かと思いますが、むしろエレクトロニクスあるいは通信機分野の方が質的にも重要だし、全体にとっても大きな問題ではないかと私は考えております。
#17
○高平公友君 ああそうですか、わかりました。
#18
○大坪健一郎君 青山参考人に一つ教えていただきたいのですが、今アメリカの中にはドル高の容認説もあるとおっしゃいました。それはさておき、大体ドル高の限界点が一ドル二百六十円ぐらいではないかというふうに考えられるとおっしゃいましたけれども、これはどうして二百六十円というのをドル高の限界点と考えるわけでしょう。それをひとつ教えていただきたい。
#19
○参考人(青山浩一郎君) まず、アメリカ側にとって先ほど来の二つの赤字がどれくらいが耐え得るか。金額で財政赤字の二千億ドル、貿易赤字の一千億ドル。金額もさることながら、対GNP比率などが一つあると思います。先ほどのブロック通商代表がことしの貿易赤字千四百とか千六百億ドルと言ったのはGNPに対して四%ぐらいに当たります。それから財政赤字の比率は、むしろ二年ぐらい前の方がGNP対比では少ないわけでございますが、大体五%ぐらいというのが耐え得る限界ではないかと思います。こうしたアメリカサイドの問題、これ以上のドル高が続くならば、貿易赤字がGNP対比これだけふえてしまう、ひいては財政赤字もふえてしまうということがあります。
 一方、日本サイドでございますが、一つのシミュレーションをしてみたんです。お聞きいただき
たいと思いますが、私どもことしの経済見通し、四月から始まる新年度でございますが、実質成長率を四・〇%、政府見通しよりはかなり控え目になっておりますけれども、実質成長四・〇%。それから卸物価の上昇率がマイナス〇・六、消費者物価の上昇率が二・六、つまり極めてインフレの鎮静……
#20
○大坪健一郎君 卸売物価の伸びは何%ですか。
#21
○参考人(青山浩一郎君) マイナス〇・六、〇・六の減少でございます。消費者物価は二・六のプラスでございます。最後に経常収支の黒字を三百九十四億ドルと見ております。このときの前提は、円のレートが年度平均として二百三十円台ということです。仮に四月以降一年間を通じて二百六十円とします。今現在二百六十円ですけれども、この状況がずっと続いて年度平均二百六十円になるとしますと、次のようにその要因だけで変わります。
 まず、実質成長率は四・七、〇・七プラスになる。これは大変結構なことでございます。しかし、卸物価はプラス三・四、前の試算ではマイナス〇・六。消費者物価はプラス三・二、ややプラスがふえます。最後に、経常収支は四百三十一億ドルということです。つまり、二百六十円という状況が一年間も続いた場合に、一つは輸入インフレの傾向が日本にとって顕著になる。この三・四というのはそれほど水準としては高くはないのですけれども、その変化率から考えますと一挙に四%ぐらい卸物価が上がる。これは容易ならないことであり、これが続くと、じゃ八七年以降どうなるかということです。さらに経常収支の黒字の拡大、今でも大きいのにそれが四百億ドルを大きく上回ってくる。となると、日本にとってもこれ以上の円安は、仮に続いたとするといろいろな面で経済的に深刻な問題が出てくる。
 以上、二百六十円だけが唯一の限界点かどうか知りませんが、私見ではそのように思います。
#22
○大坪健一郎君 どうもありがとうございました。
 それから、いろいろお聞きしたいことがあるんですけれども、アメリカの経済が順調じゃなかろうかという意見をちょっと出されました。さっき御質問がありましたように、ドル高による輸出の困難が農業を中心に起こってきておるので、あなたの御指摘になったドル高の問題で世界が困っておる、発展途上国の債務問題の深刻化、債権の確保が難しくなってくるというような問題は、単に国外の発展途上国ばかりでなくて、国内の農業部門についてもアメリカでは起こってくるんではないでしょうか。そうすると、金融資本市場全体の問題として金利が政策的にも安くできなくなるんじゃないですか。アメリカの経済はそんなに順調なんでしょうか。
#23
○参考人(青山浩一郎君) アメリカの経済は、構造的な問題を抱えていながら当面の実績は順調である、こういうことではないかと思います。
 当面というのは、八四年以降が順調であります。もっと前までさかのぼって、レーガン大統領が就任をした八〇年から八三年までの実績は、どんな指標をとってもむしろカーター大統領の四年間の実績を下回る。一つだけすぐれているのはインフレの鎮静という指標でございます。それ以外の指標というのは、経済成長率とか雇用の伸びだとか工業生産の伸びだとか、それについては実績ではよくない。ただ、八四年とことしの八五年の経済パフォーマンスは極めていいということです。
 極めてよい理由として、レーガン大統領が行った減税政策の効果、減税によって個人が消費をふやした、企業が設備投資をふやしたという効果、それから産業の規制緩和をやり、その結果産業が設備投資をふやしてきた効果というものがあります。この規制緩和の効果というものは継続性があると思います。しかし、減税の効果は一時的であり、今のような財政の状況ではむしろ増税を議論しなければならない。そういうことを考えますと、確かに先生がおっしゃいますように一見よく見えるわけですが、構造的な問題は完全には解決されていない、先送りになっているということだと思います。
 ことしに関しても、私ども年間を通して三・五%ぐらいの成長と考えておりますけれども、四半期別の成長をずっとたどっていけば後半になってかなり減速をしてくる。例えば、後半の最後の十―十二月の前年同期比実質成長率は、一とか二とかかなり低いものになると思います。八六年の前半は、先ほどの三つのシナリオのどれになるとしても、前半に関してはかなり景気後退色が出てくるというふうに思います。おっしゃるように、農業の問題その他、新たな、それなどは最近また新しく追加されてきたような構造的な問題だと思います。
#24
○大坪健一郎君 それじゃ最後なんですが、そうしますと、御説明では、通信機器とエレクトロニクスと木材と医療関係を除けば大体日本に対する貿易摩擦の攻撃はやむだろうというお話だけれども、むしろアメリカの景気が下り坂になり、構造的な困難を内包しているとすると、農産物は幾らドルが高くなってもやはり日本よりは有利ですから、農産物の市場開放問題とかそれに関連した一次産品系列の市場開放問題とか、これは余り日本には直接影響ないかもしれません。そういったほかの領域の問題がまだまだ出てきて、どうも日本とアメリカの間の貿易摩擦についてそう楽観できないように思いますけれども、どうでしょう、そこのところ。
#25
○参考人(青山浩一郎君) 全く同感でございます。特に、冒頭申し上げましたように、八五年まではまだそれほど深刻にならないわけですが、八六年になればもっと深刻になる可能性がある。それはアメリカの経済的な情勢あるいは政治的な情勢です。
 そこで、アメリカ側が主張している点が恐らく数え上げればもう百ぐらいあるだろうと思うのですが、さっきの四分野の市場開放というのはその中の全く一つであって、例えば日本の工業製品の輸入比率をもっと高くしろ、金額でスイスと同じぐらいしか日本は輸入していないのではないか、何年後に何%入れるという目標を提示して工業製品の輸入をしろだとか、あるいは日本の構造不況業種の対策をやっている、こういうものは競争力を失った産業を輸入から守ろうとするわけであって、独禁法の違反とかガットの違反である、けしからないとか、あるいは細かいことを言えば、米国人の弁護士の日本での活動をもっと自由にさせよとか、あるいは金融、証券の分野とか、非常にたくさんのものがあるわけでございます。四分野というのは全くその中の一つである。
 この日米経済摩擦というのは、今を第三次と言うのか第四次と言うのかわかりませんが、第一次は七一年とか七二年のニクソン・ショックのころ。第二次は七八年ごろ。そして今回は、八二、三年ぐらいから三次と言っていますけれども、むしろ経済摩擦は恒常化している。ショックではなくて常におる。そして問題が常にある業種の問題から、非製造業の分野からいろいろなところに拡散をしているという傾向です。繰り返しますけれども、おっしゃるように楽観はできない、むしろ先になるほどその範囲が広がってくるように思います。
#26
○大坪健一郎君 そこで結論みたいな話なんですけれども、私は、アメリカが強気になっていろいろなところでごたごた言ってくるのに一々まともに取り合っている。まともに取り合っているというと語弊があるけれども、個別的に対応してアメリカの言い分をのむという姿勢だけでは、こういうふうに恒常的に摩擦問題がビルトインされてくるような事態ではうまくいかないのじゃないかと思うのです。
 日本側としては、一時盛んにもっと金利を安くしろとか、財政の赤字を何とかしろとか言っていたけれども、最近余り言わなくなってしまった。そういうことに対してはもう少し政策的にしっかりしたものを持たないと、それこそ私どもは今、安全保障の観点から貿易摩擦を議論しているんだけれども、日本の安全保障の問題として問題が残
るんじゃなかろうかという感じがいたします。
 通信機器は、今非常にハイテクレベルでは日本は高いところに来ておって、小澤さんのお話では門戸を完全に開放しても大丈夫だと。それはまあ大丈夫だろうと思いますから、その領域ではむしろ対等に、どんどん門戸を開放する方がいいのじゃないかとも思うけれども、しかし、やはりここにも問題が幾つか残るような気がするんです。
 それで、例えば郵政省とアメリカの郵政関係省との交渉で話し合いを先に延ばしたら、アメリカは強硬的な態度をとって、次官を送らないと言ってきたというようなおどかしをかけてきているわけでしょう。このことについて小澤さんは大変楽観的なお話をしてくださったけれども、そういうことなんだろうか、どうでしょう。
#27
○小委員長(大木正吾君) きょうは郵政省は呼んでおりませんので、どうぞ遠慮なしに言ってください。
#28
○参考人(小澤春雄君) 大坪先生は楽観的とおっしゃいました。これは、今の貿易の推移が日本にとって米国側のいわば法的あるいは経済的な阻止方策あるいは保護主義政策を実行に移さないということであれば、私どもは十分技術対技術あるいは製品対製品で米国と対等にしかも同じ条件で貿易の闘いというか貿易をやっていけるというふうに考えておりますが、問題は米国が最近たまたま新しい、四月一日からの電気通信事業法の施行という事態、これがなければ私正直に言いまして電電公社が矢面に立って、しかもあとは、数字的な先ほど申し上げたインバランスではしょっちゅうやられると思います、このバランスが崩れ過ぎていると。
 しかし、たまたま四月一日から新しい法律ができるということで、従来電電公社がやっておりました技術基準の制定、それから技術基準適合認定ということが電電公社から郵政省に移る、そのやり方が省令で決められるようになると、このきっかけから、米国がこの問題について非常に日本側からいいますと思いもよらない誤解といいますか、そういうことで責めつけてきて、うっかりすると、われわれはこれは虚像だ、実像ではないと思っているんですが、この虚像がアメリカ側では実像に変わって、そして米国の保護主義者を勇気づけて、日本はこんな新しい法律制定の機会に厳しい郵政省が制約をしようとしてるんだから、これに対抗するために保護主義政策の立法をしようとか、こういう保護主義者を勇気づけるようなことになりますとこれは大変なことなのです。
 私どもはこれはもう全く、郵政省にも申し上げておりますけれども、まず最初に言っていただきたいことは、電電公社がやっておったことをかつては電気通信省がやっておったわけでして、それが電電公社に移って、それからまた今度は電電公社を民営化するんで郵政省に移るわけですから、そのやり方はちっとも変わりはないのだ、むしろ技術基準などはこれを移す機会に簡素化して簡明なものにするとか、そういう改善といいますか、米国から見れば改善、項目も減らすとか、現にそういうふうにやっているように私どもは聞いております。そういうことで説明はつくんじゃないでしょうか。
 それから、適合認定方法については、これが一番最後まで残りそうでありますけれども、我々としてはやはり電電公社がやっているやり方と基本的には変わらないやり方で日本製品にも米国製品にも平等に適用いたしますということを、具体的にはそのやり方も含めて簡明に米国人にわからせていただいて、そしてそうした報復措置が具体的にあらわれないようにということが前提であれば、私どもは日米の通信機器貿易が、同時にもう一つは、インバランスができるだけこれ以上米国からいえば悪化しない方向にいろいろとまた米国側も努力してもらわなければいけませんけれども、そういう前提で何とかここ最悪の事態にならずに、従来も幾つかそういう峠がありまして、それを乗り越え乗り越えきたわけでして、いけるんではなかろうか、こういう意味で申し上げたわけでございます。
#29
○大坪健一郎君 どうもありがとうございました。
#30
○小委員長(大木正吾君) それじゃ、後段の方の大坪先生のお話は、これは本委員会のまた討論の場に供することにいたしまして、次に、久保田さんどうぞ。
#31
○小委員外委員(久保田真苗君) きょうはどうもありがとうございます。
 それじゃ小澤先生にお伺いしたいのですが、お話を伺いましたところ、アメリカの海外からの通信機器の輸入は一〇・八%で、九〇%は国内で賄っているんだ、そのうち日本のシェアは四・四%で、そのほかはカナダとか中進国である、品目が電話機器である、日本からの輸出も中枢機器は少なくて端末機器がほとんどであると。こういう状況を伺いますと、なぜアメリカが日本からのわずかな輸出に対して、わずかといっても比率から見ると確かに一対十一・七ですけれども、そのような品目に対してそんなに文句をつける筋合いがあるのか、怒る方がおかしいじゃないかという感じを持つわけなんです。それで、日本からの輸出が今後品目として変わっていく、例えば中枢機器なんかにも及んでいくのかどうか。
 それから、アメリカからの輸入のこの一という数字が内容的には日本の中でどういう役割を果たしているのか。あるいはこういう品目についての輸入が日本の側で十分じゃないというところにむしろ業界のいらいらがあって、それに関連して何か市場開放に問題があるとごらんになるのかどうか、その辺のところをちょっと伺わしていただけますでしょうか。
#32
○参考人(小澤春雄君) 第一の点は先生のおっしゃるとおりでございますが、私ども考えておりますのは、やはり米国としては基本的には日本に、もちろんインバランスの解消が、ダンフォースなどは数字だけだと言っていますが、一対十一とかそういうものは一対五とか一対四とかいうものに減っていくということが基本ですが、私はもっとその底にはNTT、電電公社というものが一つ大きく存在していると思います。日本の市場を彼らは、初めは日本に民間市場があるということすら知らない人が随分多かったわけです。日本の電気通信市場というのは全部NTTの市場だったというふうに思っておった人がつい最近までまだおるくらいでございます。それに対して我々は、今でも六対四です、日本の電気通信市場の四がNTTで、六は一般市場ですということを言っているわけですが、向こうのねらいは、端末器を日本に売るということで、あるいは周辺機器でバランスを回復するということで満足するという問題じゃなくて、やはりNTTに中枢機器を継続的に買わせるということをねらっているようでございます。
 これはなかなか国のシステムの差がありまして、英国のメーカーの人などは私どものところに来てはっきりと、システムが違うのだから我々も米国の製品は中枢には入れられないのだということを言っておりますが、これがなかなか米国の中では理解できずにやはり中枢機器を買えと、こういう基本的な考えがあって通信機器というものを重要視してきておるということ。その背後には、ハイテクは我々のものだ、電気通信機器などというものは日本が戦争に負けたときはまるで何もなかった、我々が教えてここまで引っ張ってきてやったものを今ごろになって、ちょうどこちらはATTを分割して市場を広げてやった、そこへどんどん入り込んでいくんだというのはとんでもないという、この二つで日本の輸出体質というものが通信機器に一番象徴的にあらわれている。絶対額よりもやり方とかそういうものをつぶすことが日米貿易の全体のあり方の正常化を図る一番いいあれだと。あの旗を撃て、こういうことがございましたが、そういう形でとらえられているというふうに私どもは理解をいたします。
 したがって、二の方の今の一対幾つにするという問題も、これは私もいろいろな数字を調べてみたんですが、米国だってATTが一昨年、西海岸に光ファイバーケーブルを通す入札をやりましたときに、富士通が一番札をとったんですけれど
も、国防省や国務省の横やりを、ATTにレターを送るわけですね。そして、こういう国防上重要な回線を、外国のメーカーの製品を入れるのは米国の国防上憂慮すべき事態だと牽制する。そして、米国の方の契約方式というのは、日本と違って最低価格のものを必ずしもとるという仕組みじゃございませんで、その他のいろいろな条件の要るネゴシエーション契約ですから、最終的には富士通はけられまして二番札のたしかコーニング社がとったというふうな、こんな話もされまして、なかなか中枢機器には日本の製品は入れてもらえない。したがって、我が方は端末器で売っているという形になっておりますので、最後は、したがって我々としては、米国もこの際新法で開かれる自由市場に大いに入っていらっしゃい、私どもはむしろお手伝いをしますと言っているくらいです。
 ところが昨年、NTT、電電公社が五万台のノーザンテレコムの電話機を買ったというふうに我々承りまして、我々も協力して日本の製品と一緒に差別なく並べまして、子供さんたちや奥さんたちや来る方に札を入れさして、どれが好きかというようなことをやったことがあります。そのときには、大体日本製品も米国製品も好き嫌いでは同じくらいの票が入ったんですけれども、電話局の方で米国製品の電話機を、これは第二電話機以降ですが、売るとすると、今度はお客さんが、いや、こっちの方がいいと選んだのは日本製品だというようなことでして、どうも米国製品は案外に売れないという、そんなことがあります。これはちょっと原因はわかりませんけれども、ただ、今になるとますます不利になるのです。電話機というのは大体三月くらいでどんどんタイプが変わっていきますので、もう古く置いておけば置くほど製品が古くなりますから、在庫さしておくと余計売れなくなるのだと思います。そんなことで、米国の製品はどうも日本人から見ると重たくて何かごついし、日本人の食欲をそそらないというような面があるようです。
 私は、米国ではその話もしまして、今ここで名前を申し上げてよいのかわかりませんが、T電機のピオニーというもの、ばかに人気があるのです。これが高校生なんかには飛ぶように売れているのです。あれがどうして好かれるのか。やはり何か非常に軽くて軽快で、取り扱いも、ベルを大きくするときベルの大きさを変えてしゅっとやったり、日本人向きに目で見て取り扱いが楽になるとか、そういう日本人の生活感情に即したような製品をつくって売れているのですね。その辺の差がやはり出てきているので、一対十一・幾つというものを回復していくには、中枢機器で強圧をかけるというようなことは私どもはまずいと思います。
 それ以外の自由市場の分野ですと、米国も相当頑張って、右ハンドル、左ハンドルの問題もございますが、やはり日本の市民の感情、市民の美的感覚の中にアピールするような製品を本当にやってみる、日本にそういう人たちを常駐させてやるくらいの気構えでありませんと、私どもの方が逆にそれをやっておりますので、バランスがなかなか回復しないのじゃないかなというのが率直なところでございます。
#33
○小委員外委員(久保田真苗君) 青山先生にお伺いしたいのですが、アメリカで財政赤字と資金逼迫、ドル高、こうなっているのですが、日本で日本人が一生懸命ためた貯蓄が米国にそのためにたくさん流れ出している。これに関してこちらは赤字財政なのにアメリカへ金が行く。そしてまた投資も行われる。向こうでその機会ができる。その金を日本で使って雇用の場、それからいろいろな経済発展の事業をやったらいいのに、それがそういうふうになっているのでけしからん、こういう議論があるわけでございます。先生はこれについて日本に対してその面でどういう評価をなさいますでしょうか。
#34
○参考人(青山浩一郎君) 先ほど申し上げましたが、日本人の貯蓄率はGNP比二〇%ぐらい、個人の所得ベースにしても二〇%ぐらい貯蓄をしている。アメリカは大体それが五%かそこらである。そうした慣習その他に基づく構造的な違いがあるわけですが、現在起こっていることは、先生がおっしゃいますように、昨年日本から外国への長期資本の流出が大ざっぱに四百億ドルくらい出ているわけです。この分でいきますと、二年間で八百億ドルくらいのものが出ていくわけです。これは流入と流出の差し引きでございますからネットでございます。
 アメリカがかつて、こういう状況にあったのは、第二次大戦の直後でございます。ドルが一番強いときで、世界のGNPの四〇%がアメリカであった。このときにアメリカは資本輸出をしたのですが、当時経済規模がまるきり違いますから、幾らアメリカが大きかったといっても年間の経常収支の黒字がせいぜい何十億ドルということです。アメリカが黄金時代に長期資本の流出の累計が、例えば二十年間で八百億ドル、現在は日本は二年間で八百億ドル、これだけ経済規模が大きくなっているわけです。それだけにおっしゃるように、二年間で八百億ドルもの日本のお金が外国へ出ていっていろいろなことに使われるのがいいだろうかと議論があります。私はこれは、物事は半々のところに正解があるように思うのですけれども、日本に投資機会があるならば、経済成長率を四%ではなく、できるならば五%とか五・五%ぐらいにして、こんなに過剰貯蓄が外国にいかないようにするのが望ましいと思います。
 こういう方策はもうあらゆる英知を絞って考えるべきだと思います。ただそれは公共投資をふやすことではなくて、民間活力の利用ということだと思います。しかしそこは限界があるんで、例えば経済成長率六%を続けるということは、これは日本の実力以上かもしれない、しかし四というのは過小である、どこかその中間のところに適正なところがあると思います。
 しかし、さはさりながら、日本がこういういわば外国に長期資本を持っていけるようになったということは、これは大変ありがたいことであって、どこの国も必ずこういうステージを経ると思います。人間のライフサイクルと同じように、必ず青年は壮年になり、やがて何百年か後には成熟するわけなんで、これはもう避けがたいから、ここはせっかく八百億ドルたまるわけですから、なるべく適切、安全な投資をしておく、そこで子孫のために残しておくということだと思います。したがって、私はどっちにもくみしないわけですが、物事はちょうど真ん中ぐらいだろうと。
 ただ、今一つだけ言えることは、現在の長期資本の流出はいわゆる証券投資が多過ぎる、外債の取得を中心にして。直接投資という企業が外国に工場をつくったりする、これが比較的少ないわけでございます。アメリカの黄金時代はIBMが外国へ工場をつくるとか、フォードがブラジルへ行くとか、長期資本流出の大半が企業の直接投資であった。ここがどうも問題ではないか。それは私見なんですけれども、案外日本の企業の経営力なり技術力なり人材力というものがまだまだ外国で経営をやっていくほど蓄積されていないことなのか、それとも何か外国の方にそういう障害があるのか、もう少し直接投資をふやさなければ子孫のために安心できないのじゃないかという私見でございます。
#35
○小委員外委員(久保田真苗君) ありがとうございました。
#36
○中西珠子君 本日はお忙しいところお二方がおいでくださいまして、大変貴重な御意見を賜りまして、心から御礼申し上げます。
 まず第一に、青山参考人にお聞きしたいのでございますけれども、貿易赤字削減の方法といたしまして五つばかりお挙げになりまして、それで産業への政策介入というか、産業への援助とか助成というものをアメリカ側でやるべきだというお話でございましたけれども、過去において、また現在どのような例がございますでしょうか。また、将来どういう産業がその対象になるらしいというふうな予測がございましたらお伺いいたしたい、これが一点でございます。
 第二点は、アメリカ側の貿易摩擦解消のための主張はたくさんある、百ぐらいあるというお話でございまして、構造不況業種を援助し過ぎているとか、アメリカの弁護士の活動を制限し過ぎているとか、いろいろあったらしゅうございますけれども、私がアメリカとかヨーロッパにちょいちょい参りまして聞かされるのは、日本が余り公正な国際競争をしていないのじゃないかという話なんです。
 殊に賃金とか労働条件、労働時間というふうな面で、日本は年間二千時間を超える長時間労働であるし、それから輸出花形産業である電子機器とか電気機器においては婦人がたくさん使われているわけですけれども、男女賃金格差が非常に年々広がっている傾向にもあるんです。五十八年の数字で言いますと、男性の賃金を一〇〇にすると女性は製造業全体では四三ですけれども、エレクトロニクスとかその他電子機器、電気機器の分野では四二というふうな数字が出ているので、そういった面でも女性が差別されて賃金が低いということでは公正な国際競争ではないのじゃないか。また、長時間労働ということも大変国際的な批判の的にもなっています。極言する人は、日本が失業を輸出している、もう少し公正な国際基準を守ってもらわなくちゃ困るというふうなことを私はしょっちゅう聞かされるんです。そういうふうな批判は先生のお耳に入っていないのかどうか、アメリカの主張の百ぐらいある中に入っていないのかどうか、これを両先生からお聞き申し上げたいと思うのでございます。
#37
○小委員長(大木正吾君) 最初に青山参考人どうぞ。
#38
○参考人(青山浩一郎君) 最初の政府の産業強化論でございますが、アメリカの場合、今までに著しい格好で何かそういうことをやったということはありません。むしろ今まで政府は自由にしてきた。産業の保護もしなければ強化もしない。好きなようにやってきた。そこで現在議論は、かつての日本がそうかどうか議論がありますけれども、先端産業の育成だとか輸出産業の強化とか、日本がそういう政策をとってきた。それから、それ以外の発展途上国諸国もそういうことをやっております。それでアメリカも、そういう政府が特定の産業を育成した方がいいんではないかという議論が展開されてきている。
 それで、特に前回の民主党の大統領候補のハート氏がそういうような意見に賛成であるというようなことが言われて、これは一つの問題提起としては出てきているわけですが、これに対しては大変反対論が多くて、特に共和党は、こういう考え方はアメリカの本来の産業なり社会の基本哲学とは調和しない、だからやるべきではないのだ、こういう意見だと思います。ただ、民主党政権になった場合にそういう考え方が否定される可能性はありますけれども、したがって私は、この五つ挙げた中でことしとか来年の問題にはならない、少数意見で、アメリカはこういう方向には行かないだろうというふうに思います。ただ、余り日本が何にもしなくて、この経済摩擦の問題で怒らせてしまった場合にはこういう世論が強くなってくるということだと思います。
 これに関して一つだけ若干疑問があるというか、これはどうかということですが、それじゃレーガン大統領がやったあの減税政策及び償却の加速だとか、あれは何だろうか。非常にあれがアメリカの設備投資を促進し、自動車を初めいろいろな、自動車のビッグスリーの利益は一挙に百億ドルまで回復しております。これなんかも、レーガンの減税あるいは加速償却などこれの効果があります。ただ自動車産業だけに効果があったわけじゃなくて、産業全部に影響があったはずである、したがって公平であるということであればいいのですけれども、ああいうものも一種の政府による産業育成と考えれば、それはまだいろいろやる余地があるということです。
 それから二つ目の、いろいろな意見の中で公正ではない競争をしているんじゃないかということは、ありとあらゆることがあります。労働時間の問題については私はよくわかりませんが、日本の労働省なんかの意見をもとにしても、もう差は少なくなっているんじゃないか、かなり労働時間の長さなどではアメリカ側が批判するほど日本は差をつけていないというふうに理解しております。
 ただ、こういうことをかなりの識者も言うのですけれども、例えば先ほどの日米賢人会の中のアメリカ代表の一人のハネウエル社のエドソン・スペンサーという人が、これは二月の二十一日にアメリカの大学で公開の講演ですから引用できると思うのですけれども、自分は賢人としていろいろ日米間の問題をやってきておる、日米貿易の赤字の理由として次の三点がある、第一点はドルの問題、これはだれもが言うことです。通貨交換比率、ドル高円安の問題、第二点は、日本の賃金は二重構造でそれをうまく利用する、その結果、相当な対米競争力を発揮できていると、これが第二点です。もう一つ、日本の経営者は短期の業績を追いかける必要がない、アメリカの経営者は四半期ごとの一株当たり利益を上げることに一生懸命で、もしそれができないと株は上がらないし、経営者はすぐ二年でやめなきゃならない、日本はもっと十年ぐらいの計画で、目先を考えずに経営できる。
 このうち一番目のドルの問題はそうなんですけれども、二番目の二重構造論ということについては、果たしてこれはアメリカの主張が正しいのかどうか。私は決して正しくはないと思うのですけれども、ああいうスペンサーさんですらそういうことを払拭できないでいる。これはもう事実です。まして一般の人たちは、依然として日本は低賃金で輸出しているんだと思っているだろう。これを何とか納得してもらわなきゃならないと思います。それから、経営者の考えが短期志向であって日本が長期志向であるということについては、これはアメリカの経営者の方が最近反省をして、それではだめだということで改善されているように思います。
 お答えになったかどうかわかりませんが、私のコメント……。
#39
○参考人(小澤春雄君) 中西先生の第二の方の問題だと思いますけれども、通信機器の日米の片貿易について、労働問題といいますか賃金問題といいますか、あるいは婦人労働者などを含めましての問題を理由に挙げて、日本は非常に安い製品を労賃の切り下げ等によってつくって、それを米国にどんどん輸出して不当競争をしているんだというような言い方は最近全くありません。というのは、私どもは日本電気、富士通、日立、沖、東芝、松下等の諸社が大分米国に、これは貿易摩擦緩和の目的もございまして、工場をつくりまして、そして米国人を使ってつくった製品を米国に供給して、その価格が十分競争にたえている。もちろん米国人には米国並みの賃金を払っているということで、これも米国人にもわかってきたようでございまして、日本がそういう低賃金でやっているというようなことは最近問題はありません。
 ただ、ちょっと笑い話になりますが、生活の違いというのがわかるのは、製品の防じん室を初めつくったときに、米国の婦人が靴を脱いでその防じん室に入るということにはかなり労働組合を通じて抵抗があって、靴を脱いで防じん室に入れさせる婦人にはかなり手間取った。しかし、究極的にはこれは日本の製品がそういうことをやって品質を高めているんだということを理解して、米国の婦人労働者がそういうことに従ってきたという、これはちょっとある意味ではおもしろい例でありますけれども、それは私ども聞いたことがございます。
#40
○中西珠子君 どうもありがとうございました。
#41
○柳澤錬造君 両先生には本当に貴重な御意見をお聞かせいただきましてお礼を申し上げたいと思います。
 時間が制限されていますので、青山参考人の方にだけ、何点かお聞かせをしていただきたいと思うのです。
 一つは、大変いい資料をいただいたんでいろいろお話を聞きながらずっとメモしていったんで
す。これは最近の問題ではなく大分昔からなんですけれども、日本からの対米輸出、大きな順番から拾っていきますと、一番目の自動車が百五十四億三千四百九十六万ドル、二番目のテープレコーダーで四十三億四百四十四万ドル、三番目の事務用機器で四十二億三千九百十三万ドル、四番目に鉄鋼で三十二億七千六百四十七万ドル、五番目に光学機器が来て二十六億三千九百十五万ドル、六番目の半導体、七番目で通信機、八番目に自動車部品、九番目でラジオ、十番目で金属製品、十一番目に原動機、十億ドル以上でそこまでいくわけなんですね。
 そして、今度はアメリカからの輸入の方では、一番大きいのがトウモロコシで十六億一千九百五十一万ドル、二番目の大豆が十三億三千二百七十二万ドル、三番目の石炭が十一億一千九百十一万ドル、四番目の木材が十一億三百五十五万ドル、五番目に来て初めて事務用機器というので十億七千三百四十八万ドルということで、これだけ並べてみますと、どちらが先進国でどちらが発展途上国かわからぬような、こういうことになっているわけなんです。
 これは相当前からこの傾向が出ているんで、私は、日本の市場開放がしているとかしていないかの問題ではないと思うのです。その辺について、アメリカがいろいろ言っていることはよく聞かされているからあれですけれども、青山参考人がお考えになって、その原因がどこにあるんだというふうに御判断なさっているか、お聞かせいただければと思うのです。
#42
○参考人(青山浩一郎君) 何をもって先進国と考えるか、いろいろ議論があると思うのですが、おっしゃるようにアメリカの輸出品目は農産物を中心にした、あるいは鉱物などを中心とした資源関連でございます。それで先進国というのは、農業というのは先進国の産業であるということを言う人もあります。もちろんそれはスイスとか日本にとって、幾ら先進国であっても農業国にはならないのですけれども、現在の農業というのは種子の生産、育成から耕作機械に至るまでかなりの先端技術を駆使しなければならないということで、アメリカを例にするように、農業というのは先進国の非常に得意な仕事である、このように考えてもいいと思います。
 ただ、問題は、日本とアメリカとの輸出構造の違いは、今、日本の先ほど先生が挙げられました自動車を初めとした商品は、言ってみれば十年前の最先端商品であります。自動車、テープレコーダー、VTR。しかし、現在の最先端商品ではない。例えば、自動車よりもっと先を行っているコンピューターの端末、あるいは宇宙衛星の部品というものではないわけです。こういう最先端的な商品については、依然としてやはりアメリカは強いのではないか。ただ、国内で使っているから輸出には回ってこないわけなんで、そういう最先端の技術についてはアメリカは決して弱くはないのだ、強いのだというような認識も一方で持つべきじゃないかと思います。その最先端の次のところが今日本が一番強い。そこで日本の輸出があります。
 ただ、先ほど小澤さんも言われたように、アメリカはこのままで行ったら一番強い最先端のところでも競争力を失うのではないか、そういう懸念、転ばぬ先のつえみたいなものがあります。必ずしもそう簡単にそうはならぬと私は思うのですが、日本だって手をこまねいていたんでは、その最先端のところで勝てるとは思わないのですけれども、このままアメリカが技術開発を怠り、設備投資を怠り、それが高金利などの結果できなくなる。さっきのドル高のデメリット、それから今、日本などは既存の商品については市場開放をするけれども、どうも先々新しいものが出れば、どんどんまたそれについても市場閉鎖をする、そういうことをさせないためにいろいろなことを言っているんじゃないか、そのように考えます。
 お答えになったかどうかわかりませんが……。
#43
○柳澤錬造君 次に、ことしよりかむしろアメリカ経済は来年が大変だというお話があったんです。それからもう一つ、通商法に基づく輸入課徴金については恐らくやらないだろうというお話もございましたんですが、来年になったらもっとアメリカ経済が悪くなるという事態に立っても、輸入課徴金という通商法を発動するような状況には至らないという御判断なんでしょうか。
#44
○参考人(青山浩一郎君) 来年景気が悪くなるというのは、一つは従来の景気循環の月数、そこから上昇を続けて、大体何十カ月の後にほぼ在庫循環が終わって、設備循環が終わって一つの景気サイクルがあるかと、そういうことにもかかわっているわけで、アメリカの八六年の姿が例えば八〇年とか八一年のようなマイナス成長になるとか、そこまでは考えていないわけでございます。さっきの三つのシナリオの中のハードランディングという最悪のシナリオでない限りは、悪くなったとしてもそれほどきつくはない、しかし八五年の三・五%成長に比べればかなり悪くなるということでございます。
 そこで、課徴金があるかないかというのは全く私もわかりませんが、課徴金については唯一アメリカで試算などが出ているのは、せんだって日本の新聞にも紹介されたんですけれども、ある調査研究機関、データリソーセスというところの調査研究機関が発表したものがあります。それによりますと、初年度の二〇%から始まって三段階に分けて三年間かけていった場合の貿易赤字の改善額は確かに大きいのですけれども、余りにもそれが雇用なり成長に影響する、そういうことならば、多少なりとも八六年の成長率が悪い中でなおかつ雇用とか成長に影響するようなことはまず世論が通らぬだろう、こういう読みでございます。
 ただ一方、もう一つの、これも私もよくわかりませんけれども、課徴金よりもっと早いというのが七〇年通商法三百一条の適用による関税引き上げという、そういう手段もあるんだそうでございます。これは不公正な貿易慣行をしている国の輸出品、これは何でもいいんですけれども、報復的に関税をかけてもいいという法律があります。その場合も何%かけてもいいわけです。それでこういう法律を日本に適用したいという意図をホワイトハウスは公表して、議会が公聴会を開くという可能性があるとアメリカの人たちは今伝えてきています。かけなくても、この三百一条を適用してもしなくても公聴会を開くよという事実は、かなりこれはほかの、日本に対して圧力を加えるものではないかと思います。まあ対日警告でございます。これも実際にはかけないで終わるというふうに、課徴金もこの三百一条もいろいろなことが提案される中のかなり重要なおどしの手段として使われる可能性がある。しかし現実に考えた場合に、さっき言ったようなことから考えますと、私は八六年になっても課徴金はやらない可能性が強いと今のところ考えています。
#45
○柳澤錬造君 円とドルの今の日米の為替レートの関係が、日本でも何でこんなに円安になっているんだろうかというふうに奇異に感じられているんだけれども、アメリカの方ではどういうふうに見ているのか、そしてこれがこれからどういうふうな状態に発展するというふうに御判断なさっているのか、お聞きいたします。
#46
○参考人(青山浩一郎君) これは本当に私どもも、経済予測の非常に大きな前提は為替の予測でございます。先ほど御紹介しましたように、二百三十円が二百六十円に変わればあんなに違ってしまう。為替についてはもう何で決まっているかというのが、この二、三年ぐらい全くわからなくなったのが現状でございまして、一番最初が購買力平価説、これで八〇%ぐらいわかるというのが七〇年代ごろの議論でございます。日米の物価の上昇率の差が為替レートを決めると。それから次にカントリーリスク説みたいなことが言われて、政治不安だとか経済問題、トラブルのある国の通貨は弱い、強い国は政治的にも安定していると。それから内外金利差という話があって、金利の高い国の通貨は強いと。ところが、昨年の秋からアメリカが金利を下げた途端にドル高になった。つまり、内外金利差という議論の全く逆が起こってい
るわけです。そういう状況で今来ています。
 今唯一信じ得る説としては、投資機会のある国の通貨は強いと。アメリカの企業は今設備投資をしていますが、設備投資をすればもうかるという状況だからしているわけです。百億投資をすれば税引きで九億円ぐらいの利益が上がる。この税引きというのがポイントでございますが、減税をやった結果です。そういう投資収益率の高い国の通貨は強い。だからアメリカへ金が集まってくる。したがって、いろいろ見方がありますけれども、アメリカの中でも最後のよりどころは投資収益率あたりではないか。ということは、ドルが弱くなるか強くなるかはアメリカの景気だとか経営者の態度、そして設備投資が沈滞するかどうか、そんなところじゃないかと思います。
 設備投資はレーガンのディレギュレーションとか減税政策の結果、構造的にはかなり根強くこれは増加しつつあります。向こう四、五年考えたら非常に強い。過去五年に比べればかなり強い。しかし、循環的にはことしと来年と比べればことしよりは設備投資は来年落ちるだろう。そこらあたりにドル高修正のきっかけがあるように思います。
#47
○小委員長(大木正吾君) それじゃ私の方から二つほどお伺いいたします。
 一つは、小澤参考人にお伺いいたしますが、先ほど大坪委員からも質問がございましたけれども、日米の通信機器摩擦に絡みまして郵政省の次官等がアメリカに行ったり、あるいは三月になってまた来る来ないとかという話があるわけです。今四月一日で新電電の発足を前にいたしまして、業界もそうですけれども、端末機器の販売等が自由化されまして、それに絡む省政令という、法律に基づく具体的な仕事に絡む問題が練られているはずなんですが、仮に万が一、四月一日付までに省政令が間に合わなかったということになった場合には、業界としてはどういう影響が出るでしょう。これが一つのお伺いです。
 それから青山参考人に、これは私の本意ではないのですけれども、全然逆の立場でもってお伺いするんでございますが、実は国民経済研究所にいた方ですか、日米摩擦問題について、田中さんですか、彼は非常に何というか、楽観論というと言い方は悪いのですが、グローバルというとり方の方がいいのかもしれませんけれども、まあ、わいわい騒ぐほどのことなのかと。
 あるいは、例えばアメリカの自動車業界は自主規制との関係等もあり、企業としては百億ドル近いものをもうけておるということなどもございましたり、いろいろな繊維から始まった摩擦の歴史的な経過を見たとき、企業の間は、先ほど小澤さんもおっしゃったんですけれども、業界同士は極めて冷静な対応が示されておって、騒いでいるのは議会の選出議員、農業関係だったら農業関係の方が多いと思うのですが、そういったバックを持った議会の方々とかマスコミが騒ぐ。しかし、実際には四十年前とは大分違っていまして、そして日米の企業間のある意味では調整といいましょうか、共同作業といいましょうか、そういった状態が進行しているので、割合に政府なり企業の側は冷静な対応をしている、こういう話がたしかエコノミストかなんかに書いてあったと思うのですが、そういった所見については青山さんどういうふうにお考えでしょうか。
 この二つをお二人からお伺いをいたします。
#48
○参考人(小澤春雄君) 今、大木小委員長からお尋ねの、四月一日までに政省令がもしうまくできなかった場合の影響ということでございますが、私ども業界はこれを国内問題と国際問題の二つの観点からとらえております。
 一番心配しておりますのは国際問題よりもむしろ国内問題でございます。どういう点かと申しますと、一番我々の業務に直接影響を及ぼしますのは、電気事業法四十九条、五十条の端末機器の接続に関する技術基準とそれから認定の問題でございまして、これは私どもの、先ほども端末機器の比重が高いことを申し上げましたが、四月一日から自由市場になる、また本電話機がNTTに開放されればますますそうでございまして、四月一日から市場へどんどん売り出して、競争原理のもとに生き残る競争をしなければなりません。その場合に、もし機器認定が四月一日にそういう審査機関、端末機器審査協会というものがスタートして、四月一日から電電公社にかわって流れ作業で、三月三十一日から四月にかけての流れが全然とぎれずに、また中断もせずにいくということが、特に省令ができませんと、それにのっとった活動ができませんので停滞が起きる。そういたしますと、工場の設備は流れ、製品は流れておりますので、それに認定がもらえないということになりますと、そこに製品の製造はできたけれども市場で売れないという期間が生じまして、これがまず一番心配な事態でございます。
 先例として、英国が民営化したときに、やはり審査機関の問題でもめて、相当の期間審査が中断したということを我々業界の連中はみんな聞いておりまして、そうなったら大変だということで、これについては数回にわたって郵政省の方にそういう中断、あるいは製造に影響を及ぼすような事態のないようにということをお願いしております。
 もう一つは、私ども心配しておりますのは、はっきりさせていただかなきゃならないことは、三月三十一日までに電電公社の認定をいただいて、そして出荷直前になっている機器がたくさんございます。それらは倉庫の中に入っておりまして、そして一定のこん包をいたしまして、NTTの認定何月何日ということで表示が全部つけられて、そして出荷できるようになっておりますが、もしこれが省令で三月三十一日までに電電公社の認定を得た製品はそのままの表示で、包装、こん包等の表示もそのまま四月一日にも売ってもよろしい、そういう省令なり通達が出されておりませんと、これはどうしていいかわからないわけでして、現場の製造面でそういう問題は一刻も早くはっきりさせてくれということは非常に強い要望がございます。こうした差し迫った具体的な我々メーカーに直接影響のある国内問題につきまして、省令の制定がおくれると、これの指導をはっきりせずに四月一日空文状態になったということになったらこれは非常に困ります、ということを強く申し出ております。
 それから第二は、先般来申し上げております特に米国との貿易問題でございますが、これは四月一日からにわかにそれがどうこうという問題ではございません。いわば先方が報復措置を講ずるきっかけを与え、チャンスを与えるということから一刻も早くこの政省令をクリアしていただきたい、こういうことでございます。
#49
○参考人(青山浩一郎君) 産業界が比較的冷静に受けとめているし、貿易摩擦でそれほどダメージがない、これは事実だと思います。
 昨年、アメリカであるレポートが出たんです。出したところが大変おもしろいのですが、ニューヨーク証券取引所が出したんです。それで、アメリカの産業界はそれほど弱ってはいない、活性化しているということを分析しているわけですが、自動車とか電気だとか繊維とか鉄鋼とか四十の業種を分析して、十年間の間に輸入がふえたか減ったかとか、雇用が減ったとかいろいろなことやっていますが、結局、貿易によって雇用が著しく減った業種は四十の中の四つだけである。残りの十四業種は雇用がふえてきている。貿易むしろ輸出によって雇用の拡大をしている。二十六業種はほとんど関係がない。多少減ったけども横ばいだと。最後の四つの業種だけが大幅なダメージを受けている。その四つというのが鉄鋼と自動車と、それからアパレルというか繊維の絡みとそれから靴と革でございます。
 恐らく靴と革というのは日本には関係がなくて、イタリアだとかなんかそっちのイスラエルとか、それからアパレルも、これも日本よりむしろ発展途上国の問題、そして鉄鋼と自動車はこれはかなり日本に関係がある。そこで、今後五番目とか六番目の業種をふやさなければ、四十の業種の大半はいいわけですから、今の四つのような業種
をふやさなければ向こうの産業界は黙っているわけです。ところがほっておくと、日本はどうしても強いわけですから、五番目、六番目のそういう業種をつくってしまう。それが何になるかわからないのですけども、エレクトロニクスなのか何になるのか、今後そうなることに対するお互いのおびえではないかと思います。
 自動車なんですが、そういうふうに問題の業種であるわけですが、最近楽観論があるのは何といっても今もうかっているからである。このもうかっている状況を恒常的と考えていいかどうかということです。確かに八四年のビッグスリーの利益は百億ドルである。日本のトヨタ自動車の利益が税込みで二十五億ドル、税引きでは十二、三億ドルでございます。ということは、クライスラーの利益とどっこいどっこいかトヨタ自動車の方が少ないぐらい。つい最近までクライスラーというのは倒産をしかけていた。GMは赤字になっていた。ビッグスリー全部合わせて赤字であったという状況から一挙に百億ドルというプラスになってきている。これはありとあらゆる好条件が重なったものであると思います。
 一つは、レーガンが減税をやったり、あるいは石油価格が急に下がったり、賃金が余り上がらない中で生産がふえたり、日本からの輸出が一応自主規制でとめられてみたり、あるいは十五年間消費者が買い控えていた、そこへインフレがおさまったんで安心して大型車を買ってきた、千載一遇のような要因が五つか六つ重なった結果百億ドルの利益が出てきている。したがって、この利益が仮に五十億とか六十億になれば必ず自動車業界から文句が出るに決まっているわけです。というわけで、今思うことは、今現在、去年までの現在産業界に決定的なダメージを与えたわけではない、それは特定の業種に限られている。今後日本は与えないようにするということが一つと、それから何といっても景気次第というか収益次第、もうかっている間は向こうは文句を言わない、しかしもうけがなくなればどんな業界といえども、ありとあらゆることを言ってくるというふうに思います。
#50
○委員長(植木光教君) きょうは御苦労さまでございます。お二人のきょうのお話を伺っているんですが、先ほど来、大まかな印象ですけれども、お二人の話を聞いておりますと、今の日米摩擦問題あるいは貿易インバランス問題に関しては日本側には余り問題がないのだ、むしろアメリカの誤解であったり、あるいは地域エゴであったり企業エゴであったり、あるいはまた努力不足であったり、さらにまた将来についての不安に基づくおどしであったりというようなお話が非常に多かった。それならば非常に結構なことなんでありますし、誤解を解き、また、いろいろな面についての日本の立場の説明あるいは説得という努力を払えば済むというような、済まないかもしれませんけれども、その努力が必要だという格好になってくるわけですが、果たしてそういうふうに受けとめていいのかどうかというのは私は何か問題があるように思うのです。
 そこで、通信機械工業会はそれぞれ企業も努力をしておられる、あるいは工業会としてもいろいろな、先ほど民間ベースでやっておられるということはそれはまたそれとして非常に敬意を表します。また、青山参考人のお話のように、グローバルなお話に基づいて私どもとしてもいろいろな理解を深めるわけでありますけれども、何かやはり日本側に問題がないのかどうか、あるとするならばこういう点であるということをそれぞれのお立場で、言いにくい点もあるかもしれませんけれども、率直な御見解をお二人から聞かしていただければ大変ありがたいというふうに思います。
 小澤参考人の方からちょっとお先に。
#51
○参考人(小澤春雄君) お答え申し上げます。
 大変、私どもの言いたいことを逆におっしゃっていただきまして、ちょっと私どもも遠慮がちに、やや内輪にお話ししたような印象をお与えしたことがはしなくもそういうことを御指摘されたように思いますが、私どもの方に問題がないということではございません。例えば、今米国で我々が輸出しております自動車電話がダンピング訴訟を受けまして、これは九社が全部対象になってダンピング訴訟を受けております。これがITCの第一次裁定でダンピングの疑いありということになりまして、今、商務省のダンピング枠とかそういうものの実態調査に入っておりますが、そのモトローラ社がかなり中から見ると米国なりの論理で、米国的なエゴで言ってきているという面もございますけれども、やはり我々が米国製品に対して相当値引いて売っておるという事態を指摘してきております。
 私ども、これは各社にいろいろとよく聞いてみますと、かなりリーズナブルな価格だということを言っておりますけれども、果たして九社が米国市場で、とにかく市場の第一次的な占有をとろうということで日本の業者同士が競り合って、そして価格をかなりコスト割れに持っていっているというような事態はないかとかということについて、私どもはまだ本当にそうだと言い切れるかどうかについては、私自身は今後十分この辺を突っ込んでいかなきゃならないと思っております。したがって、これは自動車電話の例でございますが、ボタン電話装置にしてもPBXにしましても、今後そうした米国の通商法に基づく提訴というようなものは米国はいろいろな形で出されますが、それが価格面で、先ほどの中西先生のお話にもちょっと関係するのかもしれませんが、日本側がいやしくもコスト割れで、価格自体は労働時間とかそういうものはきちんとするにしても、販売政策としてコスト割れでも市場をひとつ獲得しようかというような動きがもしあるとすれば、米国では非常にこれに対して日本のやり方を強く受けとめまして、日本製品の行き方というものについて、長い目で見ると大変な日本製品に対する信用を落とすということになります。
 品質だけで我々は勝負しているんだというものの、価格というものはやはり米国の市場で十分通用していくような価格を公正にやっていくという、この面について我々はもっと努力する必要がある。それでないと米国と議論しても、我々は米国の顧客が選ぶのだからそれはあとは米国の努力不足だということを言っていられるということではないように思います。したがって、私どもはこの辺の貿易の公正さというものを十分我々が自分に振り返ってみても恥ずかしくない行き方をとるというようなことで、この辺は私ども大いに今後も自戒していかなきゃならない。この辺で米国だけが問題があるということではないように思いますので、正直に言いますとそういうことでございます。
 それからもう一つは、これも申し上げにくいことなんでございますが、例えば今度の電気通信事業法の施行で、まず、先ほど大木小委員長のお話もございましたが、移行していくとき私どもは問題を起こしてほしくない。と申しますのは、今までNTTの調達協定が四年前にあれだけの苦労をして、初期にはやはり認証の問題とか、技術基準の問題で随分もめたんでございます。そして、それを直しに直してNTT調達の少なくも手続としてはもうアメリカはこれでよろしいというところまでいったわけでございまして、あとは実績が上がらないという問題は別の問題ですが。したがって、今議論してます郵政省の技術基準の問題は、またNTT調達協定の初期のような手続論での議論でございますので、これはNTT調達のときに済んでおるというくらいの姿勢でそれよりもっと簡素化したり、米国が動きやすい、同時に我々の製品が米国で受けているような処遇を与えてやる、こういう大所高所からの考え方で決着をつけて何で悪いのだろうか。
 極端に言うと、NTTと全く同じにやりますと言っても済むはずでございますので、その辺のところが私どもは率直に申しますと、米国が無理なことを言うという考えよりも、日本側がもっとそこらは大きな懐で、私も実はある委員会でも言ったんですが、電電公社のあり方を変えません、それなら御心配ないでしょうというぐらいのことを
まず基本的に言って、それで改善するのはここですとぐらい言ってほしいと申し上げたわけでして、こんなところは私どもは日本がもっと米国の考え方を理解してやってもいいのじゃないかという気がいたします。
#52
○参考人(青山浩一郎君) 今の植木委員長の御質問に対して二つのことを申し述べたいと思います。
 まず一つは、日本側は何も問題がないのかということですが、先ほど引用しましたハネウエルのエドソン・スペンサー氏は公開の席で、次の五つを日米経済関係の改善のために提案したいと言っております。そのうちの幾つかは日本にとってのことであります。
 まず、そのスペンサー氏の提案の第一は、資本のアメリカへの流入をもっと盛んにすべきである、活発な資本移動はアメリカの資金不足を緩和する。ただ、これがドル高を促進したんでは何もならないわけなんで、その程度が問題ですけれども、基本的には日本の資本輸出、アメリカへ持っていって事業機会を活発にする、それは結構なことであると。
 第二点は、そのことと絡みますけれども、アメリカへの直接投資をもっと盛んにすべきであると。これまで貿易摩擦の状況というのは雇用の問題であります。現在も各州の知事が日本へ来て企業誘致セミナーとか何かをやってますけれども、直接投資をアメリカに対してもっと活発にすべきであると。
 それから第三点は、アメリカと日本の経済政策をもっと調整することが必要であると。かつて機関車論とか、一緒に景気を吹かそうという話があったんですが、そう単純な話じゃなくて、もっと金融政策とか経済政策とか、今でもやっておられると思うのですが、しょっちゅう連絡し合って調整をする。
 第四点は、各業種ごとの日米交渉をもっと盛んにし、そこから解決の道を探るべきであると。通信なら通信、小澤さんがさっき言っておられたように、協会同士が提携するというのは一つだと思います。
 最後は、これだけは米国の話なんですが、アメリカは何よりも財政赤字の縮小に取り組むべきであるということで、五項目のうちの四つは日本に対してということなので、結構要望があります。
 もう一つのコメントは、私どもの私見でございますけれども、当面、長期的な対応として二点、それから短期的な対応として二点、これも今おやりのことばかりでございますけれども、改めてということで申し述べたいと思います。
 こうした日米摩擦の解決のために、長期的な対応の第一点は、新しい自由化大綱みたいなものをもっとわかりやすく、きちんとつくって発表するということではないかと思います。かつて日本は、昭和三十四年から貿易の自由化を行い、資本の自由化を行い、それぞれ長期的なスケジュールも示しながらいろいろやってきたわけですが、もう一回ここから先に関してそうした長期プログラムみたいなものを再確認して内外に発表する。今までとの違いは、受け身ではなくてもう少し能動的に、アメリカから言われたからやるという姿勢ではなくて、これからの技術の展望だとか、世界経済の展望、日本が大国化するという展望を踏まえて、被害者意識ではなくて、むしろ積極的な姿勢で自由化大綱みたいなものをつくり、発表するということではないかと思います。先手をとるということでもあると思います。
 第二点は、何といっても日本はまだ長期資本の輸出をして、それで立国をする時期だと思うので、むしろアメリカに対外投資を積極的に行う。技術、資金を海外で活用することを考える。しようがないからお金が出てくるということじゃなくて、そういうことを積極的にやる。それでアメリカの雇用も確保する。長期的には、この二点だと思います。
 短期的には、やはり二点挙げるならば、アメリカの財政赤字の削減にもっと口を出すというか、もっと一生懸命やりなさいと、これを求めていいのではないかと思います。一生懸命やっているわけなんですけれども、外国の立場として財政赤字の削減が根本の原因でございますから、これに対してもっともっと、本当は日本のノーハウを教えてあげればいいのでしょうが、日本もまだ困っているわけでございます。しかし、もっと要望していいだろう。
 それから最後に、先ほど百も問題があると言ったんですが、これを個別に解決をしなければならない。百もためてしまうからだめなんで、一つ一つの問題はそう大きくないのですけれども、何かいっぱい残っている。個別交渉に力を入れて、一つずつ解決をしていくということではないか。
 この四点ぐらいのことを感じております。
#53
○委員長(植木光教君) どうもありがとうございました。
#54
○小委員長(大木正吾君) 以上で質疑は終わりました。
 両参考人にお礼のごあいさつを申し上げます。
 本日はお忙しい中を本小委員会に御出席を願い、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきましてありがとうございました。
 ただいまお述べいただきました御意見につきましては、今後の本小委員会の調査の参考にいたしたいと存じます。小委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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