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1984/06/12 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会外交問題小委員会 第5号
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1984/06/12 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会外交問題小委員会 第5号

#1
第102回国会 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会外交問題小委員会 第5号
昭和六十年六月十二日(水曜日)
   午後一時一分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    小委員長        大木  浩君
    小委員
                石井 一二君
                宮澤  弘君
                久保田真苗君
                野田  哲君
                和田 教美君
                立木  洋君
    外交・総合安全保障に
    関する調査特別委員長  植木 光教君
    小委員外委員
                高平 公友君
                関  嘉彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山本 義彰君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○外交問題に関する調査
 (我が国の外交の現状と今後の強化策等に関する件)
    ─────────────
#2
○小委員長(大木浩君) ただいまから外交・総合安全保障に関する調査特別委員会外交問題小委員会を開会いたします。
 外交問題に関する調査を議題といたします。
 本小委員会は、今日まで我が国の外交の現状と今後の強化策等について参考人の意見聴取、政府からの説明聴取等を行い、調査を進めてまいりました。
 本日の小委員会は、五月二十九日に行いました我が国の外交の現状と今後の強化策等についての各小委員の意見開陳に対し、小委員の皆様が質疑をすることといたします。
 それでは、まず石井君の御意見に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○久保田真苗君 一つは国連の問題について、もう一つは石井先生のおっしゃる適度の防衛力という問題について時間の限り伺いたいと思います。
 国連の機構の問題なのですけれども、象徴的なのがユネスコ問題だったのですが、私はこれについていつも非常に不思議に思うことは、開発途上国の大半はそもそも自由経済圏に属していると思うのです。それにもかかわらずなぜそれが政治化すると言われ、そしてその政治化の内容に東寄りになるという西側の主張があるのか。私は自分の考えで申しますと、やはりそれは西側諸国と言われるところの自由経済先進国が強い経済力を持っているところから非常に南北対立の様相を帯びるということ。それから、例えば経済問題に当然関連しているのですが、人権の問題についてアパルトヘイト等の人種差別を初め、そういったものに対して煮え切らない態度を持っている国があること。我が国も例外とは言えないと思うこと。
 それから、例えば軍縮とか核不使用決議というものについて、原則の立場というのとそれから方法の立場というのがあるとは思いますが、少なくとも日本が期待されている平和・軍縮への役割という点からいえばもっと明快な態度を打ち出すべきだというふうに私は思っているのです。そういう点について日本の建前と本音というのがギャップがありまして、そのような面から批判を受けることもある。それがいわゆる西側先進国と言われるものへの反発となって出ているのではないかと思うもので、私は国連のいろいろな問題に対して根本的にはそのような立場からの姿勢を正していくことが必要だと思うのですが、これについて石井先生はどういう御見解を持っていらっしゃるか、それが国連の問題についての一つなのです。
 もう一つの問題は、一国一票主義の問題なのですが、この一国一票主義というのは確かに力のバランスを欠くという点はあるのですが、それに対して安保理の大国拒否権という形でバランスをとっている、あるいは最近盛んに活用されるコンセンサス方式でバランスをとっている。また、大国はしばしば分担金の不払いというような形で自分の主張を通そうとする。それから事務局の状態も、私が述べましたように、要するに西洋文明、そして西側先進国のポストが多いという状態になっているということを私どもはまず認識しなければならないのではないか、そんなことを思うのですが、これについてもし御感想をいただければ幸いです。
 それから、適度の防衛力とおっしゃっているのですが、日本には国民的なコンセンサスとして尊守防衛ということがあるわけです。この原則に対して、石井先生はどのようなものが適度の防衛力というふうにお考えになっているのか、それを伺いたいと思います。
#4
○石井一二君 往復で一問五分と言われておりますので、簡単にその範囲でお答えを申し上げたいと思いますが、非常に適切な国連に対する御指摘があったと思います。それでただ、必ずしも事実関係が、失礼ですが正しくない面もあるのではないかと自問自答しつつもお答え申し上げるわけでございますが、一国一票主義とか大国の拒否権とかコンセンサスとかいったお言葉の後で、大国によるしばしばの不払いというお言葉がございました。例えばアメリカの人工堕胎とかいった問題については、やはり基本的な主義主張による理由のある不払い的な発言ということになっておる。またユネスコに対しても、現在具体的な事例を挙げて、管理なり運営なりに問題があるからそれを是正してほしい、その上でちゃんと払うべきものは払いましょうというような、やや論理がその裏にあるということを御指摘いただきたいと思います。
 ただ、今申したことはやや末梢でございまして、基本的な御質問というものは、発展途上国が自由経済圏にあるにもかかわらずやや東寄りになっておるのではないか、その原因としてある程度そういったことに対する責任があるべきではないかといったような御指摘でございまして、事実がそういった方向へ移りつつあるという面を遺憾に思うことは事実でございます。ただ、非常に数の多い小国にとってみてやや反体制的な姿勢をとるとすれば、自由主義諸国の長であるアメリカ、あるいは社会主義諸国の長であるソ連ということになるわけでございますが、世界全体のバランスから見て、やはり自由主義陣営主導型で私はいっておるように思いますので、どうしても寄らば大樹の陰と申しましょうか、そういった意味で反自由主義諸国的な立場をとっておるのではないか。それに対しては日本も含めて謙虚な反省とともに、そういったことがないように具体的に行動していくべきであろう、そういうぐあいに考えております。
 なお、平和・軍縮について御発言がございましたが、この前の久保田先生の御発言の中で安倍外務大臣の最近の国連における演説の話が出ました。あえて時間の関係で演説の内容は言いませんけれどもということで若干の御意見を述べられたと思いますが、私はあのとき、先生が安倍外務大臣の演説内容を引用していただけたらなと思っていたわけでございます。と申しますのは、あの内容こそずばり平和・軍縮の演説を安倍外務大臣は
やられたわけでございまして、後で議事録も見ていただきたいと思いますけれども、日本の国連外交というものは平和・軍縮の方向に沿って具体的な行動をし、発言をしておると私は理解をいたしております。
 それから次に、専守防衛の問題でございますが、防衛というのは相手の攻撃が一から十になればこちらも一から十にふやしていかねばならないという受動的なものでございます。したがって、GNPの成長率というものは、GNPはある程度伸びますけれども、その一%というものは百分の一にすぎない。だがしかし、相手の攻撃が非常に強く危険を感じる場合には、適度というものは当然それに比例してふえていくということでございまして、ややデフィニッションがしにくい問題であろう、受動的な問題であろうと考えておるわけでございます。
 したがって、昨今GNP一%論議についてもいろいろな意見がございますけれども、最近七〇年代以降のソ連の拡張、膨張主義というものの歴史を見ても、ベトナム戦争の後でも、カンボジアあるいはアフリカにおけるアンゴラ、エチオピア、ジンバブエ、タンザニア、セイシェル、モーリシャス、こういった面でもいろいろと膨張主義を遂げてきておる。もちろんその以前には、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアその他いろいろな歴史的な事実があるわけでございまして、私は受動的な中にも適度の防衛力というものが現在なってきておる、ひょっとすればGNP一%を超えるのではないかという線まで来ておるのではないか、そのように理解をしておるわけでございます。
 簡単でございますが、一応御答弁を申し上げておきたいと思います。
#5
○小委員長(大木浩君) ちょっと速記とめてください。
   〔速記中止〕
#6
○小委員長(大木浩君) 速記を始めてください。
#7
○和田教美君 石井先生のこの間の発言を聞いておりましたけれども、非常に全体としては柔軟な姿勢で、これなら対話も多くの合意ができると思っているわけなのですが、ただきょうは討論でございますので、いろいろと読んでみまして、ちょっと問題点をあえて拾い上げまして、そのうち一、二の点を御質問したいと思います。
 まず第一に、速記録の二ページにございますが、石井先生が、「自由主義社会に籍を置きつつ全方位平和外交を展開していくのがその柱であろうと思うのでございます。」、こうおっしゃっているわけなのですが、その後で、「アメリカとのパートナーシップの維持の強化」というふうなことが当然書かれておるわけです。全方位外交というのは、私の記憶では福田内閣のころには確かに使われたと思うけれども、中曽根内閣になってからは全方位外交というような言葉は余り聞かないわけなのですけれども、大体どういうお考えなのか。つまり今の外務省も最近は全方位外交などという言葉は使っていないと思うのですが、今の外交スタッフの考え方あるいは中曽根さんの考え方と大体同じなのか違うのか、その辺をまずお聞かせを願いたい。
 それから第二は、軍拡競争について非常に大きなマイナスのエフェクトがあるということをおっしゃっているわけです。平和のための力のバランスによる維持という点を除いては非常にマイナスが多いということをおっしゃっているわけで、この点は私も大体同感なのですけれども、中曽根さんの抑止と均衡論にはそういう考え方は余りないと思うのです。つまりそのマイナスのエフェクトが大きいという認識は余りないのじゃないかと思うのですが、その点をどうお考えなのか、時間が恐らくないでしょうから、その二つだけとりあえず。
#8
○石井一二君 まず、全方位平和外交でございますが、先生が二ページと言われましたので、二ページの「第四番目」の後段に、私は「日米安保条約」と言った後、後から五行目ぐらいですが、「片や、東側諸国との関係でございますけれども、相互信頼関係を求めて、対話を中心とした努力は絶えず」云々というふうに書いてあります。
 したがって、もちろん自由主義諸国であるアメリカを中心とした友好関係、これは防衛では日米安保条約、経済的には今日本にとって最大の輸出市場であり、また最大の輸入供給源であるアメリカでございますから、油等エネルギー関係も仕入れていかにゃならぬ、そのためには外貨を稼がねばならない、そういった意味で日米経済関係は不可分である。また、非核国としてアメリカの核の傘のもとに一応平和と安全を守っておるという面でも日米防衛力協力というものも不可分である。
 こういった自由主義社会の一員という立場は不動であるとしても、だからといって社会主義諸国は敵であるとか敵対視するのではなしに、御承知のように、中国に対する経済協力、もちろん日ソ漁業協定も大事でございますし、それに対しても話し合いを持ちつつ平和的な関係を維持する。同じようにどの社会主義国家に対しても極めて積極的に話し合いを通じてアプローチをし続けつつ、はっきりと自分の立場は自由主義諸国の一員であるといったことを私は全方位外交という表現であらわしたわけでございまして、基本的には中曽根さんのおっしゃることとそう違わない、むしろ一緒であると言わしていただきたいというぐあいに思います。
 それと、軍拡競争でございますけれども、御承知のように大きく分けて軍備には核絡みの戦力と、継戦能力という言葉に代表されるような通常戦力といったようなものがある。それで、日本は非核三原則のもとに、一応自衛隊というものが基本的にそういった通常戦力でGNP一%を超える超えないといっているわけでございますが、一たん世界で戦争が起こった場合にどうなるか、力のバランスの強弱は何によって決めるかということになると、やはりこれは核戦力の大きさによってソ連と米国のバランスというものは図られておる。
 そういった意味で、話がほんの少しの間だけ脱線いたしますけれども、現在アメリカがあのように大きな貿易赤字を抱え、その裏に非常に大きな財政赤字がありますけれども、アメリカの国家支出の三分の一が軍事費であるということが非常に大きな原因である。それも彼らはそれを好んでやっておるのじゃなしに、米ソのバランスを維持するために仕方なくそれをやっておるのだといったところに、非常に大きな全世界の経済的な発展に及ぼす軍事力にこれだけの金を費やさなければならないということのマイナスがあるのではないか、そういう意味で強くこの軍縮の必要性、軍拡に対する反対的な意見の表明を具体的な数字を挙げてここで申し述べた、そのように御理解をいただきたいと私は思います。
#9
○和田教美君 もう一つ簡単に、今の久保田先生の適度の防衛力という問題について、石井先生は相手の脅威に対処して防衛力の量というものは変わってくるというようなことをおっしゃったのだけれども、今の防衛庁のとっておる防衛計画の大綱、その根本になっているいわゆる基盤的防衛力という考え方はそういう意味の脅威対処論というものを一応やめたという建前になっているわけなのですね。それまでの防衛計画というものは、そういう石井先生の今おっしゃったような脅威対処論に基づいてふやしてきたのだけれども、そうではなくて、ある一定量のコンパクトな防衛力を持とうという考え方に変えた、少なくとも政府の説明はそうですね。今でも変わっていないと言っているわけですが、その辺はどうでございますか。
#10
○石井一二君 私は、その点で先生と考えが違いますのは……
#11
○和田教美君 いや、私はそれを支持しているというわけじゃないですよ。
#12
○石井一二君 三木内閣が九年前に決めたときと大きく見て世界の、特に日本周辺の軍事情勢は変わらないと思うわけです。例えば、これは三十八度線の北朝鮮と南朝鮮の戦いというものが、非常に全韓半島が社会主義国家化されるということになると非常に大きな変化ですけれども。したがって、その枠内で五六中業、五九中業をやっていく
ことによって、あのときに決めた防衛大綱の基準というものを達成するのがまず第一であるという表現を使っておられるわけでして、まだそこまで達成できていないからまずそれを当面の目標にするということです。ただ、その内容を見てみると、先ほど私が申し上げたように、通常戦力の整備というものにあくまで主体が置かれておるわけで、私の言う大きく見て核バランスとか戦力のバランスというのは、あくまで核を含めたものである、それは日米安保条約という大きな傘があるから、余りにも日本がその一部分を負担するには金額的にも大き過ぎますから、それは問題外に置かれておるというところで末梢の論議に話がなっておるのではないか、私はそういうぐあいに思っておるのです。ちょっとわかりにくい説明かと思いますが、時間の関係もございますので。
#13
○立木洋君 私はいろいろお尋ねしたいことがあるけれども、二点だけとりあえずお尋ねしたいと思います。
 一つは、今、和田議員のおっしゃった最初の第一項目の点、このことと関連してですが、やはり中曽根総理が言われている例えば日米運命共同体、これは平凡な言葉で言えば死なばもろともというふうな考え方だと思いますし、あるいは核兵器の使用禁止等の問題についても、それを主張し強要することは相手の内部問題に対する干渉になるというふうなことで、そういう使用禁止等の問題についても積極的に述べるという態度をとらない。あるいは今アメリカの要求している例えば核基地化等々ではジャイアント・トーク・ステーションが埼玉につくられています。これは最終的に核攻撃の指令を出す通信基地ですね。それから核の戦略攻撃機としてのF16の三沢への配備だとか、あるいはトマホークの第七艦隊への配備等々いろいろとこういう問題が山積みされてきている経過を見ますと、どうしてもアメリカの核戦略に追随した形になっているというふうに指摘せざるを得ないのじゃないかと思うのです。
 そういう状況の中で、石井先生が言われた全方位の平和外交を展開していく、アメリカの核戦略への協力ということとこの平和外交を積極的に進めていくという主張との間にはどういう整合性があるのかという点が一つです。
 それからもう一点は、これは今の和田先生が言われたこととも関連するわけですけれども、先ほど言われました適度な防衛力といえば、一から十になればそれに対応して一から十へなっていく。結局この問題で言いますと、ここでは核兵器の拡張、軍拡については極めて恐ろしいものだという指摘もあり、また年間八十億ドルに上る軍事費、これは実にばかげた状態になるというふうな指摘もあるわけですけれども、現実に今までのあれを見てみますと、アメリカとソ連の大国間のあれが核をめぐる核兵器、核軍拡の悪循環になっているわけですね。どんどん兵器がふえてきている。とりわけ三発から五万発にもなるというふうな状態になってきているわけで、そういうことというのは結局抑止力を認め、均衡論に依存するということになればどうしてもどんどん軍拡にならざるを得ないのじゃないか。そうすると、バランスをという言葉自身から受ける感覚というのは非常に安定感を感じるような意味合いがあるのですけれども、現実に今の複雑な軍事力のバランスは一体だれが図るのか。バランス自体ということをだれが図って、そういうことを精密に行うことがあり得るのか。
 現にINF交渉が破綻したのも、お互いにバランスということを主張しながらもバランス自体に大きな開きがあったわけですからね、一方では保たれていると言い、一方では保たれていないじゃないかと言う。そういうことが交渉の破綻になったということを見てみますと、バランス論というのは結局は相手に対して自分たちの優位ということ、相手が自分より優位になることを好まないわけですから、結局みずからが常に優位を保っているということにならざるを得なければ、歴史の事実が証明しているところによれば、軍拡にどうしてもつながらざるを得ないのじゃないかというふうに感じるわけです。ですからそういう点で、指摘されましたこういう軍拡の事態を、やはりバランス論というのは正しい対応ではないのではないかというのが私の意見なのですが、正しい対応だというふうにお考えになるならば、その点についての説明をいただきたい。
 この二点について。
#14
○石井一二君 鶏が先か卵が先かという話がございますけれども、先ほど先生が、核兵器の使用禁止について発言しないとか、核の基地化になっておるとか、F16だとかトマホークだとかいろいろおっしゃった。ところが、なぜSS20だとかバックファイアというものをソ連が持っておるということをおっしゃらないのかと私は言いたいわけです。こういったものが出てくるから、それに対抗するためにいたし方なくトマホークとかF16だとかSDIに至るまでいろいろな構想が出てきて、それが次の核軍拡を呼んでおるという情けない状態になっておる。
 それと同時に、我々が謙虚に考えてみなきゃならないのは、一九七〇年代にデタントというものが一たんもたらされて、今度こそ軍縮という大きな期待を持ちましたけれども、その間に起こったことは、振り返ってみるとそれまでソ連側の方がおくれておると思っていた軍拡競争を、アメリカがその間手を抜いている間に追いついたという歴史的な事実があり、その終止符として行われたのがアフガニスタンに対する一九七九年の侵攻であったわけです。したがって、レーガン大統領は一九八〇年に大統領就任と同時に、このままでは自由主義陣営の安全を保障できないということで軍拡の道に踏み切って現在に至っておる。それで、先般来の東西の軍縮交渉を私も期待をして見ておるわけでございますが、なかなからちが明きそうにないし、私は今後五年やそこらを見ても結果としてはだめだと思っております。そういった意味であくまで、最初私は鶏が先か卵が先かと申し上げましたけれども、社会主義国家サイドに同じような動きがあるためにこちらもそれに対応しておるのだ、したがって、現在のような情けない姿になっておるのだというように御理解をいただきたいと思います。それが一点。
 それからもう一点は、ちょっと聞き漏らしたのですが、今ので大体両方カバーしておりますか。
#15
○立木洋君 いや、均衡論ですね、つまり均衡論でこれほど膨大になった軍拡を防げないのじゃないか、いかにして均衡というものが図れるのか。
#16
○石井一二君 均衡論でございますけれども、スウェーデンにSIPRI軍事報告書というのがある。これは第三国から出たやや客観的な報告であろう。アメリカの国防総省が「ソ連の軍事力」というようなものを出しておりますけれども、お手盛り的で、自分のところの予算をある程度大きく確保する必要もあるから、ややソ連の脅威を誇張しているきらいがあるのではないかというように私自身は個人の意見として感じておりますけれども、第三国あたりがやはり客観的に見て、お互いに競争しつつ、一応量においてソ連、質において多弾頭その他を含めてアメリカ、合計としてはほぼバランスがとれておるということを言っておるからややそれを信じて、必要最小限度の軍拡をしつつ及んでおる姿というものが現在の数字であろうというぐあいに理解をしております。
#17
○立木洋君 ちょっと一言だけですけれども、私が主張しているのは、つまり両方の悪循環がある、両方でやっているわけですからね。だから、日本がその場合にいかに平和外交をやるかというのは、一方へ加担するのではなくて、そういう悪循環になっている中で平和外交をどう展開するのかという意見をお聞きしたいというのが第一だったわけです。
#18
○石井一二君 そういう意味で、先ほど私が申し上げましたように、安倍外務大臣の国連における発言等もそうでございますし、今ピース・キーピング・オペレーション等を通じて具体的に平和的な外交も展開しつつありますし、もちろん日本がソ連に対してもアメリカに対してももっと軍拡をしてくださいというようなことを言った覚えはな
いわけです。両大国が自主的にこういったことをやっておるわけで、できるだけいろいろな国際的な機関を通じて、例えば環太平洋非核地帯への設置に対する協力とかいろいろな姿で、今後どんどん積極的に、これ以上軍拡競争にならないように日本としては外交を推進していくべきであろうというぐあいに感じております。
#19
○小委員外委員(関嘉彦君) 民社党は基本的には自民党の外交・防衛政策とそれほど大きな違いはないと思うのですけれども、石井さんの言われたことに対して若干疑問点がありますので申し述べます。
 第一点は、先ほど和田さんが取り上げた問題ですけれども、全方位平和外交という言葉の意味、これは誤解を与える言葉ではないかというふうに思うわけです。つまり、等距離外交というふうなこともその当時言われたように思うのです。すべての国と仲よくする努力をすることは当然のことですけれども、例えば紛争当事国、カンボジアとベトナムとの紛争であるとか、あるいはかつては中国とベトナムの戦争でありますとか、そういった双方に対して等距離ということは私は不可能ではないかということを思うわけです。こういった言葉が出ますとその言葉だけがひとり歩きしまして、何か中立的な、中立主義の外交がいいのだというふうな印象を与えかねない。もちろん言われた意味はそういう意味じゃないと思うのですけれども、そういう意味において、余り定義のはっきりしない言葉は使わない方がいいのではないかというふうに私は考えております。
 二番目の質問は、安全保障理事会常任理事国に今すぐなれとは言っていないのですけれども、何らかの将来的な展望の変化というものがあってしかるべきではないか、間接的な言い回しですけれども、日本も安全保障理事会の常任理事国になるべきではないかという趣旨に承れるのですが、例えば常任理事国になればそれだけ責任は重くなると思う。例えば常任理事会において平和維持軍の派遣というふうなことが議題になった場合に、もしそれに賛成して、しかし日本は一切海外派兵やらないのだから、金だけは出すけれども人間の提供はお断りだというふうなことで果たして常任理事国としての責任が背負えるかどうか。常任理事国になるのであるならば、もっと私が申しましたような範囲における平和維持機能に対する協力というふうなことが必要ではないか。
 この二点をお伺いいたします。
#20
○石井一二君 まず、等距離外交ということと全方位平和外交ということは全然私は別の意味だと解しております。私は全方位平和外交という発言は使いましたけれども、等距離ということはここから先も言っていない。したがって、中国、ベトナム等の例も引かれましたけれども、等距離という面では決してないということを御理解いただきたいと思います。
 それで、全方位外交については先ほどの御質問にお答えしましたので重複を避けたいと思いますが、日米関係を軸としつつ、社会主義国ともいつでも対話のできる姿勢と形というものを維持していくべきだという言葉でございますので、その点よろしくお願いいたします。
 それから、第二の常任理事国云々ということもちょっと誤解があるようでございまして、一九七八年に日本が国連においてバングラデシュという、立派な国なのでしょうけれども私はあえて小国という発言をしましたけれども、選挙をやって負けた、非常任理事国にすらなれなかった。こういった国連外交に対して再考を促したわけでありまして、日本が常任理事国になって国際社会においてそれだけの責めを果たせということでは決してないというぐあいに御理解をいただきたいと思います。そして、私が申した裏には一国一票主義に対しても非常に不満でございます。二、三千人しかいない国だってあるわけですし、また、事務総長の権限がなき過ぎるのではないかということも私は潜在的な意味として不満を持っておりますし、また、国連の決議に対して強制力がないということも、国連が十二分な機能を果たす意味でいろいろ問題があろうと思っております。特に私は、大国の拒否権というものが余りにも多く特定の目的のもとに使い過ぎられておるといった面から、何らかの改革案が国連運営について必要だという面で申したわけでございまして、この点についてもちょっと先生が曲解しておられるというと言葉が不適当かと思いますけれども、やや私の本意ではない観点から御質問いただいたのを遺憾に感ずるわけでございます。
#21
○小委員外委員(関嘉彦君) 最近、藤尾政調会長がASEANに行って常任理事国のことを打診したというふうな報道がありましたので、それが頭にあったので、それで自民党の考え方と推定したわけです。
#22
○小委員長(大木浩君) 次に、久保田君の御意見に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
#23
○和田教美君 久保田先生の御意見には参考になる点が多くて、私の考え方と非常に一致するところもあるわけなのですけれども、先ほど申しましたように、きょうは討論ですからあえて二、三点の御質問をしたいと思います。
 まず、速記録の四ページにございますけれども、久保田先生の発言の中で平和主義の問題を取り上げられておるのですが、「イニシアチブは、中小規模の北欧、中欧の中立国あるいは非同盟諸国の積極的な国によって担われてきた」、そして非同盟主義が戦後世界の平和維持にはかり知れない貢献を果たしたということが書かれておるわけです。
 戦後の非同盟主義の運動、あるいはまたそれを中軸とするAA会議の動きなどは、少なくとも戦後しばらくの間は非常に大きな発言力を持っておったし、特に平和主義の担い手であったスカルノだとかそれからネールだとか、あるいはユーゴのチトーだとかという大きい指導者がおったころにはこれは非常に世界政治にも影響があったと思うのですけれども、しかし、最近はむしろそれほどの影響力というものはやや薄れて、いわば挫折それから内部的な対立というふうな局面も出てきたということも客観的に見なければならないのじゃないかというふうに思うわけなのです。そういう意味で久保田先生が、「日本人はとかく東西軸の視点を非常に強く持っております。しかし、実際は世界の大勢は中立、非同盟であり、それが平和維持に不可欠の条件である」というふうにおっしゃっているこの前段については私も全く同感だけども、「世界の大勢は中立、非同盟」であるということは、これはどういう意味なのか、中立、非同盟の国が数が多いということなのか、政治的な影響力という意味において世界の中軸であるというお考えなのか、その辺をもうちょっと御説明を願いたいと思います。
#24
○久保田真苗君 私も議事録の中で言っておりますように、経済的な力は弱いけれどもと言っているわけで、私が言っておりますのは、その国の主権国家の意志として非同盟、中立を強く切望して、それを外交の方針としている国の数が多いという意味でございます。私はそれに対して、おっしゃるように確かに非同盟主義華やかなりしころから見るといろいろなトラブルが外から、また内部で起きていることは認めるものです。ただ、その状況が途上国の経済がなかなかうまくいかないというそのことと関連していろいろな戦略援助が強化されたり、あるいは直に超大国の草刈り場に途上国、第三世界がさらされているということもまた見なければならないと思います。ですから私は、そのような途上国を草刈り場としてどちらかの軍事ブロックに糾合していくようなそのような力に加担しない、日本は途上国の経済がうまくいくようにそういう援助をしていくべきだという意味で言ったわけです。
 ですから、非同盟、中立ということはもちろん途上国だけではなくて、いわゆる先進国の中にも中立国がございます。そして非同盟にオブザーバーの立場で参加しています。それはスウェーデンとかフィンランドとかオーストリアとかスイスとか、あるいはユーゴスラビアとか、そういった国
なのでございますけれども、そのような国が比較的中小国でありながら非常に平和努力を続け、東西のかけ橋、南北のかけ橋になろうとしている努力を、経済大国である日本もまたそのような平和努力を支持すべきではないかという意味で申し上げたわけでございます。
#25
○和田教美君 もう一問いいですか。
#26
○小委員長(大木浩君) どうぞ。
#27
○和田教美君 経済援助の問題について、「単なる経済援助だけではざるに水を注ぐようなものであって、」というふうな表現をとっておられたり、「私は巨額の援助は余り必要ではないと思いますし、また、まともな途上国ならばそのような援助を望まないのではないかと思います。」と、つまりテークオフに必要な技術、経済援助という視点からそういうことをおっしゃっているわけで、それはそのとおりだと思うのです。しかし経済援助、現在の日本として考えた場合に、軍事的に世界に対する貢献をするということはできないという状況から見ればやっぱり援助政策というのは非常に重要だと思うし、量の点においても今で私は十分だとは思わないわけなのです。その点はどうも全体的にちょっとそんなに援助ばかりふやしたってしようがないじゃないかというようなふうに誤解される危険性があると思うのですが、その点はどうでしょうか。
#28
○久保田真苗君 御指摘いただいてありがとうございます。私はODAは質、量ともにふやすべきだと言ったのですけれども、途上国に必要な援助の方式というものはその国その国にとって一つのキーポイントがあると思うので、例えば一国に対する巨額な援助、それから一国から受ける巨額な援助というものは、私は途上国の立場から見てもそれほど望ましいことではないのと、それからテークオフについては、非常にきめの細かい援助が必要だけれど、既にテークオフをした国についてはやたらに援助というよりは、むしろその国の製品を買っていく、そして日本もそれに対していろいろなものを売っていくという形を、つまり関税障壁とか、それから市場開放とかいったことを途上国に特に配慮していく必要があるという意味で申し上げましたので、誤解があってはならないと改めてその点を確認いたします。
#29
○石井一二君 言葉じりをとるわけじゃないのですが、この四ページの三段目の「日本経済の繁栄も、実は開発途上国のこの非同盟主義の政治姿勢に負うところが極めて大きいと思います。」、私は、こういった非同盟開発途上国に日本経済の発展が極めて大きくは負っていないと思うのです。釈迦に説法ですが、全世界的に輸出もどんどんさしていただきましたけれども、基本的に貿易立国として最大の市場はアメリカでもあったし、やはり対先進国貿易というものが輸出のほとんどであるといったことも含めて、むしろ日本が資本財をこういった国に輸出をして工業化を促進するという面で、逆に向こうの国々の経済発展に大きく寄与していることはあっても、これは逆さまの論理ではないかと思いますので、多分私が間違っておると思いますから、ちょっと補足説明をいただきたいということが一点。
 もう一点お聞きしたいと思いましたことは、今ちょうど出ましたのですが、テークオフ、テークオフといとも簡単に言われるけれども、じゃ何がテークオフかということになると、私は永遠にテークオフというものは先々に逃げていく、ここまでいったとしても、ほかの国との比較的な競争ですからね。したがって、巨額な援助は余り必要ではないとか、特定の国からもらうと困るというお言葉も、やはり対外経済協力などというものは総花的に広く薄くばらまくのではなしに、一点集中主義で、ある程度のところまで継続的に援助をして初めて効果が出てくると思うのです。そういった意味で先ほどの質問とやや重複しますけれども、この点についてはちょっと誤解を招きやすい御発言ではないかと思うのです。
 この二点について補足の御説明をいただければありがたいと思います。
#30
○久保田真苗君 私は、途上国が非同盟主義をとってきた、つまりいわゆる軍事同盟に、東西のブロックに属さないという意味で非同盟主義をとってきたということは、世界のいろいろな平和に総合的に寄与してきた比率は非常に高いと思うのです。日本はその恩恵は、私ははっきり受けていると思うのです。そのような国がどちらかのブロックに分類されてしまったならば、そしていろいろな地域紛争がもっと大きな形で頻発していったならば、日本は途上国から原料を買っている国ですから、そういうことも不自由したでしょうし、それから日本の製品は先進国へばかり行っているわけではなくて、途上国に非常に大きい比率で輸出が行われているわけです。そのような国が日本の製品を使ってさらに一層の発展をするということが必要なわけでして、私は基本的認識はあるいは石井先生とは違うのかもしれないけれども、途上国の政治的姿勢というものが世界平和を維持し、その世界平和の恩恵を日本がこうむり、世界じゅういろいろなところへ途上国も含めて製品を輸出できたということは、やはりその政治姿勢に負っていると私は思うのです。
 それから、まさに核兵器の均衡抑止が世界平和を保持してきたという議論に対して、この小さい途上国のたくさん集まった政治的姿勢というものが戦争を防止してきたということを私は主張する者です。
 テークオフにつきましては、確かに一点集中主義という、もちろん援助の方式には、これは方法論ですからいろいろな方法があると思うのです。テークオフということはやはりそこにいる人口に対して雇用の機会が創出され、そしてその人たちが自分の手でマネージできる技術を身につけて、そして自力でもって経済を拡大していく、その能力が物心両面で発揮できるという意味で言っているわけでして、その意味から言えば、私は一点集中主義よりは、途上国というものは非常にたくさんあって、そのテークオフに悩んでいる国が非常に多いのですから、まんべんなく出していくということがやはり世界経済を円滑に運用する上では一つの重要な条件だと認めているものです。
#31
○立木洋君 御報告の中で述べられた点で非同盟を重視されるという視点、これは私も大変理解できるのですが、今も御指摘があった、例えば戦後の経済自立の方向への努力だとか、あるいは国連の軍縮特別総会を開催するに至った経緯等々の中での非同盟の役割ということはよく理解できるわけですが、ここでその前段にお述べになっている「日本の外交が必ずしも平和、軍縮について期待されるほどの積極的なイニシアチブをとれなかった」という御指摘、あるいは政府と国民との間ではやはりこの問題に関しては大きな格差があるという御指摘ですね、この点については、これはやはり日米安保条約が根源にあるのではないかというふうに私は考えているわけですが、この日米安保条約の問題についてどのようにお考えになっておられるのか。報告の中では御指摘がなかったので、そのことを一点お伺いしたい。
 それから、もう一点は社会主義国ですね、ソ連や中国などとの問題についてこれも御発言がなかったので、その点についても補足的に、どういう努力をしていく必要があるというふうにお考えになっているのか、この点をちょっとお伺いしたいと思います。
#32
○久保田真苗君 私はこの議事録を見てつくづく感じますことは、私だけが非常に個人的な意見を言っているのですね。ですから、私の言っていることの中には落っこちていることがたくさんあるのです。それは私、党に対しては申しわけないことだと思っているのです。
 機会を与えていただきましたからそれじゃ申し上げますけれども、確かに日米安保条約というものがありまして、そして日本は今現に中立でもなければ非同盟でもない。そこの認識から始まらなければならないわけです。ただ、このようないわゆる軍事力のブロック化、それを糾合してもう一つ大きなブロック化と。ブロック化、ブロック化をして米ソを頂点として大きな世界の対立をつくっていくということ、そして世界じゅうをそれに
巻き込んでいくということは、しょせん、これは特に核軍拡にならざるを得ないという意味からして、このような軍事同盟というものから私自身は日本はできるだけ遠ざかる政策をとるべきだと思うのです。
 そして、もちろんそこにはいろいろな欠陥も出てくるかもしれません。出てくるかもしれないけれども、今のこのような例えば核に対する手だてとして、そういうブロック化を進めることが日本の安全に寄与するかどうかという点からいえば、私はこれはマイナスだと思うわけです。そして安保条約はできるだけ――安保条約に深入りしていって、しかも安保条約をもはみ出すような専守防衛の域を超えた軍核に日本が誘い込まれていくというようなことは、到底日本の安全を守るゆえんではないと思うので、安保条約はいずれはこれを日米の友好条約という方向へ転換するように、そういう政策をとり、また、現実にそういう行動をしていくべきだと思うのです。
 社会主義国に対しましては、大体ここで皆様がおっしゃって指摘していらっしゃることは、これらの国との対話を進めていくということは言われていますので、それほど大きな差がないのじゃないかという私は認識は持っておりますけれども、社会主義国に対していろいろな面で経済、文化の交流というようなところから始めて、それらの国との相互依存関係を深めていくことが結局は戦争を防止することになる。中国に対しては日本はある程度やっておりますけれども、ソ連に対しての対話は甚だ不十分であって、その意味から私は、社会主義国と一歩一歩相互依存関係を深め、向こうもこちらがなければ大変困るという状況をつくっていくことが日本の安全に寄与するものだと思っております。
#33
○小委員外委員(関嘉彦君) 久保田さんのお話を聞きまして、これは社会党の意見と少し違うのではないかということを感じたのですけれども、しかし久保田さんの考え方は私はよく理解できるつもりであります。
 ただ、やはり党の代表をしているわけですから若干質問したいのですけれども、一つは、今立木さんが言われたことと同じことになるのです。確かに事実の問題として、北欧、中欧の中立国及び非同盟の途上国によって平和主義のイニシアチブが担われてきたという過去の事実は、私は半分当たっているし半分は少し誇張じゃないかと思います。半分当たっているというのは、例えばダレス時代に、ダレスが無理やりに発展途上国を自由主義圏に巻き込もうとして、あれは大変な失敗だったと思う。かえって混乱を起こした。両方に入らないで、それぞれのネーションビルディング、国民国家建設に尽力したということ、私はそれはよかったと思います。しかし、現在果たしてそういう発展途上国が平和主義のイニシアチブをとっているかどうか、あるいはまた、途上国が平和愛好国であるというふうに言えるかどうか。例えばインドネシアのチモール問題であるとか、途上国同士の争いなんかもあるわけであって、余り発展途上国の役割を過大に評価することは幻想を持たせることになるのじゃないか、これは事実認識の問題。
 しかし同時に、この途上国の中立、途上国に限らず北欧、中欧の中立国云々と言われたのは、スウェーデンであるとかスイス、そういった国のことを考えておられるのだと思いますけれども、その底流にはやはり日本も非同盟中立でいくべきである、その考え方の伏線としてこれが言われているのではないかということを考えるわけです。遠い将来の目標としまして、理想として、ブロック的な対立をなくするように努力しなくちゃならない、これはもちろん賛成で、それに反対する人は私はいないと思いますが、やはり外交政策というのは今後数年あるいは十年、それを目的とした現実的な政策でなくちゃならない。それで、日本が自由主義諸国から離脱するような方向をとることはかえって世界の平和に対して危険ではないか、現状を非常に大きく変えるということはかえってそれは危険ではないか。スイスであるとかスウェーデンというのはこれは長い歴史があって、初めから中立であったわけですけれども、日本が現在そのとった方向に方向を転換するということは非常にかえって危険ではないかということを私は感じます。そのことが第一点。
 第二点は、専守防衛ということを言われましたけれども、それでは一%の枠内であれば自衛隊を承認されるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
 第三点は、太平洋の非核地帯構想のことを言っておられますけれども、これは海だけのことを言っておられるのか。ほかの政党の方はアジア・太平洋になっていたと思うのですけれども、久保田さんのものにはアジアというのが入っていないのですけれども、海だけのことを言っておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
#34
○久保田真苗君 私は事実認識としまして、途上国が非常に崇高なものだと言うつもりはないのです。それは南米だって、開発途上国が武器を盛んにつくって輸出しております。そういうことは幾らも例がございます。ただ、私が言いますのは、要するに東西ブロックに所属しない、軍事ブロックに所属しない、その立場なのですね。非同盟というのは、その国自体が必ずしも絶対に地域紛争も何も起こさない平和主義だとは言い切れないと思います。しかしただ、米ソを頂点とする東西の軍事ブロックに引き込まれて対立関係を激化させない、そして経済的にはやはり途上国の立場から非常に格差の激しい人口と所得の再配分を進めていくという、そういう立場だと思いますので、私はその立場を評価するし、実際問題として現実的な意味からいっても、それ以外に途上国が非常にもっとこれ以上軍備にお金を使い、そして発展の契機を失うというような事態を防ぐ方法は総体として見たときにはどうもないのじゃないか、そんなふうに思うのです。
 それから、日本が非同盟中立を直ちにすべきかということなのですけれども、私は必ずしもこれは遠い将来の目標だとは思わないのです。むしろ日本にとって、日本は安保条約がありますから、現に非同盟中立国であるとはもちろん言えない。しかし、中立国の中にもいろいろな種類があると思うのです。スイスのように非常に厳密な中立国もあるし、スウェーデンのようにむしろ国連とかそういうところへ積極的に参加していって平和努力を国際的に影響力を及ぼそうという国もあるし、そのほかラオスとかいろいろな形の中立主義があると思うのです。その意味では、いわゆる西と言われる中にある例えばオーストラリア、ニュージーランド、カナダなんかも、非核といったような意味では非同盟的な立場をとることがあるわけです。日本もその意味では本来国民的合意として、非核三原則、専守防衛、それから武器禁輸といった政策をとっているわけですから、その限りにおいては部分的にある意味での非同盟的な立場というのはあると思うのです。私はそれを拡大していくべきじゃないかというふうに思うのです。
 それから、自由主義と自由経済というものから日本が離れるかということなのですが、そういうことをもし考えるとすれば、それは非常に非現実的だと思います。ただ、非同盟中立というのは、そういう経済体制あるいは社会のあり方についての国としての主義とは無関係にできることだと私は思うのです。その意味で日本はできるところ、少なくとも核に関しては非同盟的な立場なのだ、あるいはもう一歩進めて軍縮についてはそうなのだ、そういう米ソのどちらにもくみしないようなそういう軍縮を進めることは日本の立場として十分可能だし、やるべきだとそう思っております。
 一%でも、GNPが五%上がれば日本は五%の軍事費の膨張があるわけでして、他の予算等から見ればそれだけでも聖域だと思うのです。私はやはり一%の枠というものを厳守して、その中でできるような専守防衛に必要な、例えば何も遠くまで出かけたり、距離の長いミサイルとかそういうものを配備することは専守防衛の立場からいって全く必要がないと思うのです。一%の枠内で今の防衛費を抑えるべきだと思いますし、自衛隊を認
めるかということについては、既に社会党の立場は先生よく御存じのとおりで、要するにこれは法的に存在するとしているわけなのですね。ただ、その中身が、自衛隊の任務というものが憲法、自衛隊法の枠を超えていくということについてすべきではないし、それから今現存している自衛隊をできるだけ災害救援、救助、そのような国土のいろいろな場面にむしろ転用していく。そういう面を、つまり、日本は地震も多いですし、火事も多いですし、そういういろいろな面がございますけれども、そういった方向へ将来は転用すべきではないかと私は思っております。
 ただ、これは国際的な環境で国連などの理想とするところは、結局は武力を用いないというそういう理想はあるわけでございますから、やはり軍備というものはできるだけ縮小し、究極的には廃絶していくという立場を私もとっております。
 アジア・太平洋問題につきましては、太平洋の中の国を想定しないで海だけを想定するということはできませんので、それは私が落としていたことでございます。太平洋を取り巻く国を含んで非核地帯をつくる構想を進めるべきであることは言うまでもなく、しかし、海が一つの核の基地化しているわけですから、その海についても重点を置く、そのような意味でございます。
#35
○小委員長(大木浩君) 次に、和田君の御意見に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
#36
○石井一二君 端的に二点和田先生にお伺いをいたします。
 まず、議事録に基づくわけですが、七ページの二段目あたりに、「米国との軍事同盟関係の強化」ということから、「このような路線は国民の多数が追求してきた平和主義の理念に反するものであります。」というように御指摘をいただいておる。御承知のように、日米安保条約は一九六〇年に一回目、自動延長で七〇年、その間に国政レベルの選挙も多数ありましたし、自由民主党並びに歴代の自民党政権というものが日米安保条約を背景に日米軍事同盟というものを基調として選挙を戦ってきた結果、現在のような過半数をおあずかり申し上げておる。そういう事実に基づいてこのお言葉を分析した場合に、「国民の多数が追求してきた平和主義理念に反する」ということ自体がやや御理解が足らぬのではないか、そのような気がいたしますのでコメントを承りたいということが一点。
 第二点は、またその二行ほど戻るわけでございますが、「抑止と均衡、西側の団結をすべてに優先させる中曽根外交は、結局アメリカの世界戦略に無条件に追随している」云々という御発言があるわけでございます。私が特に先生に御認識いただきたいのは、日米安保条約というものは片務契約である。同じように韓国とアメリカの間に、名前は日米のような米韓安全保障という名前じゃありませんけれども、同じような契約があるけれども、これは双務契約になっているわけです。自分のところの領海外でアメリカが第三国から攻撃を受けた場合は、韓国はそれを助けに行かなければいかぬという契約になっておりますけれども、日米安保条約の場合は片務契約で、日本が攻撃を受けた場合は助けに来てくれるけれども、領域外で、領海外でアメリカが攻撃を受けた場合は日本は何にも責務がないというようになっております。そういった面から見てもやや言い過ぎではないかというような、失礼でございますが、気がいたさぬでもない。
 この二点についてコメントをいただきたいと思います。
#37
○和田教美君 まず第一点の、米国との軍事的同盟関係の強化に動いていると言わざるを得ないというのは、全く私はそのとおりだと思います、客観的な事実から見ても。
#38
○石井一二君 私の言うのは国民の部分です。
#39
○和田教美君 国民の部分というのも今の石井先生のお話だと、自民党が多数をとっているから、だから国民の多数は自民党の路線を支持しておるというふうなことをおっしゃっているのだろうと思うのだけれども、例えばGNP一%突破論は我々は下手すると軍拡路線につながっていくということで反対しているわけですが、それを世論調査してみると、六〇%ないし七〇%の人が現状でいいと言っているわけです。そうすると、今防衛庁を中心に進めようとしているこのGNP一%の枠を突破してやっていこうという路線は、自民党が要するに選挙で勝ったから常にそういう路線も支持されているというふうには私は言えないと思うわけです。少なくともここ数年の傾向から見ると、今までの政治の惰性で自民党が多数をとっているけれども、しかし、自民党を支持する人の中にも、今のような軍拡につながっていく危険性のある路線というものに対しては危惧の念を抱いている人がかなりあるのではないか、こう思うからこういう表現をとったわけで、別に私は間違っていないと思います。
 それから、日米安保が片務的な条約だから、したがってアメリカの世界戦略に追随するのは当然だ、世界戦略に乗っていくのは当然だというお考えなのですか。
#40
○石井一二君 いや、そうじゃないです。このように世界戦略に無条件に追随していっているというのは言い過ぎではないか、無条件に追随しないだけの契約内容に日米安保条約はなっておりますよ、片務契約ですよと。日本はそれだけのオプリゲーションを負っておりませんよということを私は申したので、やや発言が強過ぎるのではないかというように御批判申し上げたわけです。
#41
○和田教美君 表現が強過ぎるとかなんとかという御批判なら受けますけれども、しかし今の問題について言えば、確かにそういう片務条約だということを当時安保改定のときに言われたわけなのです。それのバランスをとるために基地を提供するというような安保条約六条という規定ができたわけです。しかも最近の日米共同防衛というふうな構想の中には、ときどき国会発言などにも出てくるように、確かに安保条約上は、今先生のおっしゃったように、日本の領域外においてはアメリカの艦船が攻撃をされた場合には、日本は必ずしもそれを守る義務を負っていないという点は条約上ありますけれども、しかしそういう場合に日本は米艦を守るべきであるというふうな答弁も、具体的に詳しいことは申しませんけれども、出ておるわけです。
 しかも、全体としてシーレーン防衛という問題なんかの構想を見ていくと、これはやっぱり日米のいわゆる連係プレーというものがますます強くなっていっているということであって、条約の建前と実態とは大分乖離してきているのではないかという、私はそういう見方をとるわけなのです。確かにあなたのおっしゃるような点はあるけれども、それだけですべてそれが履行されているというふうには私は考えないということでございます。
#42
○立木洋君 二点お聞きしておきたいと思いますが、第一点は、八ページの二段の一番最後に述べておられる「第一は、自由貿易原則の擁護と強化であります。」、この主張が保護主義等の台頭に対する問題提起という点なら私は理解できるのですが、ただ、例えば今の国際的な経済の秩序のあり方とすれば、やっぱり南北問題を避けて通ることができないだろう。そうした場合に、自由貿易原則の擁護ということになりますと、これは基礎になっているのが自由競争ですね。自由競争を基礎にして自由を束縛しない状態での貿易、そうすると、つまり交易条件が極めて開発途上国は弱い。それで、自然条件に左右される一次産品というものが非常に多いわけですし、それから輸送条件なんか考えると、なかなかコンスタントに、定期的に同じ品質のものを輸出できないというふうないろいろな問題があって、結局競争条件が弱い南の経済というのは常に低位に置かれる。
 そうすると、UNCTAD等々で問題にされてきている本当の南北の格差の解消という見地からするならば、やはり自由貿易擁護の原則ということだけではなくて、新しいそういう形を改善していく経済秩序のあり方ということが当然重視されなければならないのではないかというふうに思い
ます。もちろんここで和田先生が言われている開発途上国の強い不満を当然考えに入れてその要望を重視しなければならない、あるいは経済協力等についての御指摘等もあるわけですが、そういう新しい経済秩序の問題についてのお考えを一点お伺いいたしたいということが一つ。
 それからもう一点は、平和の前提ということで、常に国際的にいろいろな紛争が起こるのを見てみますと、これは資本主義の場合もそうですし、社会主義の場合もそうですし、どうしてもかつての社会主義ですと、ブレジネフ・ドクトリンという新しい制限主権論なんかで外国の民族の主権に対して侵害をするだとか、あるいは中南米に対するアメリカの裏庭的な発想ということから他民族の主権が尊重されないだとか、こういう事態がやはり平和擁護という見地からするならば、当然こういうことの克服が日本の外交政策として重視されなければならない見地ではないかと思うのです。この点どういうふうにお考えになっているのか。
 二点お伺いしておきます。
#43
○和田教美君 まず、自由貿易原則ということを私が言ったのは、これ以外に日本として生きていく道はないのではないかという感じで、主として、先生のおっしゃったように保護主義の台頭に対する反対的な姿勢として自由貿易原則の擁護ということを言ったわけであります。
 したがいまして、今先生のおっしゃっている南北格差の問題、南の国々が交易条件が非常に悪いというふうなことから、今の日本の自由貿易原則というもの、あるいは今度の新ラウンドの提唱なんかに対しても必ずしも開発途上国は積極的賛成をしているとは思えないというふうなものがあって、やっぱりそういう自由主義原則というものに対して、これは強者の論理だという考え方をとる国が開発途上国の中にかなりあるということは現実の問題としてあるし、また、日本の市場開放の問題一つを取り上げても、貿易の政策というものがどうも先進国同士の貿易というものを非常に重視する傾向にあって開発途上国を軽視しているという点は、これは否めない事実だと思うのです。そういう意味ではいわゆる開発途上国の要求している新貿易秩序といいますか、新経済秩序というふうなものについては私は原則的に賛成でございまして、そういうものについて日本は十分それに耳を傾けていかなければならないというように思うし、これからの市場開放政策を考えるに当たっても、開発途上国の立場というものを十分考えていかなければならないというふうに考えます。
 それから、立木先生の御意見を見てみますと、主権の尊重ということを非常に強調されているわけであって、私も主権の尊重ということについては原則的に賛成でございます。それが侵されるような政策、東側で言えばブレジネフ・ドクトリン、それから最近のニカラグアの情勢というものはやっぱり大国の横暴だというふうに私は思うし、そういう意味では主権の尊重ということは外交政策の上でも非常に重視しなければいけないというふうに考えます。
#44
○小委員外委員(関嘉彦君) 最初の質問は石井さんが触れられました質問に関連があるのですけれども、抑止と均衡云々という点なのです。抑止と均衡ということによって平和が少なくとも現在まで維持されてきたと思うのですが、何かそれがよくないことであるというふうな印象を受けます。確かに、そういった武器によって均衡しているという状態はベストな状態に比べればはるかに悪い、道徳的にもよくない状態だと思うのですけれども、しかし外交、国際政治においてベストのことを望むことはできないのであって、やはりレッサーイーブル、少しでも弊害の少ない方を選ぶのが現実の国際政治じゃないかと思う。その場合に、抑止と均衡がよくないからといってそれを否定すれば、一方的に軍備を全部撤廃してしまう、ユニラテラリストの立場をとるのであるならばこれは別ですけれども、またそういうことをすればかえってワースト、一番悪い状態になってくるのではないか。その点からすると、抑止と均衡というのは確かにいろいろな欠点がありますし、今度のSDIなどというのは核兵器による相互確証破壊という抑止をある意味ではなくそうというのがレーガンなんかの考え方だと思うのですけれども、そういったふうな考え方もあるので、そういったものと比較検討してどっちが弊害が少ないか、私は、やはり現在の状態においては抑止と均衡によって平和を維持していくということはやむを得ないことではないか、これを否定してそれにかわるどういう方法があるかということが第一点。
 それから第二点は、一%論ですけれども、仮にGNPが減少した場合、しかもソ連の脅威が今よりもっと増大するというふうな場合でもなお一%は堅持すべきであるかどうか。
 それからもう一つは、これは小さい問題ですけれども、信頼醸成措置、日本とソ連との間の、もっと広い意味で言われたのだろうと思う、アメリカ、ソ連を含めて。私も賛成なのですけれども、ただ、ヨーロッパなんかにおけるような信頼醸成措置がそのままとれないというのは、ヨーロッパなんかの信頼醸成措置というのは領土境界線を前提にしているわけです。それを認め合って、そしてその内部において相手の軍備はどうなっているこうなっていると通報し合うわけで、日本の場合は北方領土の問題が未解決であるので、ヨーロッパと同じような信頼醸成措置をとると北方領土の要求は放棄したと事実上みなされるおそれがあるので、私は別な意味で信頼醸成措置をとることは賛成ですけれども、ちょっとそこのところに何か限定を置かないと北方領土の問題は放棄したのだというふうにとられるのじゃないか、その点をお伺いいたします。
#45
○和田教美君 まず、抑止と均衡の問題ですけれども、私は抑止と均衡論を全面的に否定しているわけではないのであって、私の安全保障論というのは非常に灰色の部分が多くて、なかなか関先生のようにクリアカットでいかない。関先生のは全体を読むと非常にわかりいい。非常にすかっと言っているのだけれども、私はなかなかそういかない面があるのでいろいろ悩むのです。
 抑止ど均衡論についても、歴史的な事実として抑止と均衡という形が、とにかく例えばアジアにおいても一種のバランスを保ってきたということを認めるわけなのです。しかし同時に、抑止と均衡という問題については先ほどから何回も議論に出ているような軍拡のメカニズムというものがどうしてもこれにつきまとってくる、その面を何とか抑えなきゃいかぬのじゃないか。要するに、軍拡の方向での抑止と均衡というのが今までの傾向であったのを、何か軍縮の方向で、なるべく低いレベルの方向でバランスをとるというふうな方向に持っていけないかどうかということをいろいろと考えておるわけなのです。ここにも、私の発言にもありましたように、安倍外務大臣もそういう点について悩んでおられるようだし、ある意味において私は同調する気持ちがあるわけなのですけれども、そういう意味での抑止と均衡論に対する批判であるということをまず承知していただきたいと思います。
 それから一%論は、今ソ連の脅威がさらに強くなった場合に云々ということを関先生はおっしゃったけれども、国際情勢ですからどう変わっていくかということはこれは予想できませんけれども、私は近い将来においてソ連の脅威がさらに強まるという可能性は比較的少ないのではないかというふうに見ている一人なのです。繁張緩和、デタントを模索する動きというものは非常にか細い動きかもしれないけれども、当分は続いていくのではないかというふうに見ているわけで、そういう情勢判断から見て、今すぐ一%枠を突破する必然性というのはないのではないかというふうに思うし、やはり何といってもこの一%という問題については、国民の世論の六〇%ないし六〇%が一%以下にすべきだということを、どの新聞社の世論調査を見てもそうなっておるというふうなことから見て、これは一つの政治的な歯どめであるというふうに思う。
 この一%の問題について論をなす人は、およそ一%には科学的な根拠はないということをおっしゃるわけです。そういう純粋の軍事的な理論ということから見れば確かに科学的な根拠は別にないかもしれないけれども、大体歯どめというようなものは私はすぐれて政治的なものであるというふうに思うし、そういう意味では今一%をどうしても突破しなければならないという必然性はない。そうすると、自衛隊の内部をいろいろ洗ってみると三軍横並びでどんどんどんどん膨らましていくということではなくて、もう少し部分的に合理化し、削る可能性があるのではないか、できるのではないか、そういう意味で一%の枠を守ることは不可能ではないのではないかというふうに私は考えておるわけでございます。
 それから、信頼醸成措置については先生のおっしゃるとおり領土問題は、これはもちろん領土問題と関連させるような全欧安保会議的な、全欧安保会議は要するに、東西両陣営の固定化ということを前提としてあそこに信頼醸成措置の話し合いが今また行われているわけですけれども、そういう形の信頼醸成措置ということではいけないと思います。領土問題はあくまで別の問題として、しかし信頼醸成措置については、例えば大きな演習の通告だとか、大韓航空機事件のようなことが起こらないような何らかの歯どめを信頼醸成措置を通じてとるとか、何か工夫があってしかるべきではないかというふうに思うし、領土問題とは切り離した形での信頼醸成措置というものは追求することの価値があるのではないかというふうに思います。
#46
○小委員長(大木浩君) 次に、立木君の御意見に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
#47
○石井一二君 質問もございますし、また事実関係も間違っていはせぬかと思うようなこともございまして、二、三の発言をさしていただきたいと思います。
 まず最初は、立木先生の御発言の中で十ページの絡みでございますが、一番上の段のやや左手寄りに、一つは、徹底した平和外交をやれというところから非同盟中立の立場を貫くべきであるという御主張、この主張が同じように繰り返されて、一番下の段の「三つ目」のところへいきまして、「日本の独立と主権を侵害し、日本を戦争に巻き込む危険の根源でもある日米安保条約を廃棄して、日本の独立と主権を回復すると」云々という言葉がございますが、現在、御承知のように極めて少ない数の国しか非武装中立的な防衛形態をとっている国はない。ちなみに名前を挙げてみますと、アイスランド、モナコ、リヒテンシュタイン、サンマリノ、アンドラ、バチカン、コスタリカ、少なくともこの七つぐらいの国じゃないかと思うのですが、現在の経済的にも繁栄した工業国日本というものは侵略主義者にとってみれば極めて魅力的な国であります。私は、そういった意味でこの考えは大きく大きく誤っておる、何千回と繰り返したい気持ちでございますが、御再考を強く求めるものであります。
 それと、事実関係が間違っておれば、そういったことはこういった議事録に残り、それを一般的な国民がお読みになると、そうかいなというように間違った認識を持って行動するということは非常に過剰的なマイナス効果ですからあえて指摘をしておきたいのですが、今申した日米安保条約破棄のすぐ五、六行後に、「日本が、アメリカが世界のどこかで戦争を起こす、国民が知らぬ間に戦争に巻き込まれる仕組みのもとに置かれている。」というのは、先ほど和田議員等に対して私が申し上げましたように、日米安保条約の片務契約的な内容から申しても、こういった事実は間違いじゃないかというように思いますので御意見を求めたいと思います。
 また、そのすぐ後、日本に外国資本の入った会社が多くあって、外資系企業の中でアメリカが特に多く、結論としてアメリカのひもつきというような発言があって、日本の真の主権を回復するという努力を私たちがもっと重視せなければならないと思うというような御発言でございますが、確かに外資系の会社の中でアメリカの会社も多うございますけれども、現在は御承知のように日本の会社がアメリカに持っておる資産の方が、アメリカの会社が日本に持っておる資産よりも大きいという事実関係を無視して、ここらあたりからひもつきとか主権が損なわれるという御発言は事実に反するものではなかろうか。御所見があれば承りたいと思います。
 それから、その後領土問題に触れられて、北方領土と尖閣列島、竹島という三つを挙げておられて、極めて適切な指摘だと思うのですが、尖閣列島、竹島は島の大きさとか機能からいって、あってもなくてもそう大きな問題はないですけれども、北方領土については軍事基地となっておる、それが日本に対して脅威的な存在であるという面から、しかもその持ち主が、持ち主というか一方的な使用主が共産主義に基づくソ連である。たまたま先生御所属の党と主義主張では非常に、同じとは申しませんが近い関係にある。そういった面で私は、国民的な立場からでも大いにこういった面については責任も感じておられるし、いろいろ申し開きにも苦慮されておると思うのですが、その辺の御心境もちょっと承りたい。
#48
○立木洋君 若干多目の質問をいただきましたが、一つ事実関係の問題で申しますと、私の方では事実関係は全く誤認いたしておりませんで、今石井先生が言われたところにやっぱりちょっと誤認があるのじゃないか。私は非武装中立という言葉は一つも使っていないのです。非同盟中立と言っているのです。非同盟というのは武装を全部否定している用語では全くございません。ですから非武装中立と非同盟中立は全く違う概念でございますから、この点はよくお読みいただければ、この非同盟中立というのがどういう見地かということは明確だろうと思うのです。非同盟という点では七カ国だけではございませんで、今九十二カ国、そしてゲスト、オブザーバー合わせて百十二カ国の非同盟の国が参加をいたしております。
#49
○石井一二君 非同盟中立を言ったわけ、少なくともという表現を使ってね。
#50
○立木洋君 それで問題点は、結局先ほども私は質問のときにちょっと申しましたけれども、例えば軍事同盟というのは、一方ではNATOがあり一方ではワルシャワ条約機構があるわけです。そうしますと、それぞれの軍事同盟に加盟している国は大国の意思によっていろいろと影響を受けるということが現実に存在する。NATOの場合も事実上今まで三%の軍事費の伸び率ということを求められてもなかなかそれができない。さらには四%要求される。これは国内的にもいろいろな問題を醸し出す。あるいはワルシャワ条約機構の場合でも御承知のあのチェコ事件だとか今度のポーランドのような事態、こういうものも、先ほど言いましたように制限主権論と結びついて、軍事同盟維持のためには他国の主権がある程度制限されるのはやむを得ないというこういう間違った論調のもとに進んでいく。こういうことが結局は紛争を醸し出し、他民族の主権を侵すことによって平和が脅かされるという事態が生じるわけですから、そういう点では非同盟中立、つまりいかなる軍事同盟にも加盟しないということが平和を維持していく上で極めて重要だというのが主張であります。
 それで、この安保条約が戦争に巻き込まれるかどうかという点については、中曽根総理自身も、アメリカが戦争を始めた場合に日本が巻き込まれるおそれが全くないとは言いませんということを国会答弁の中でも明確に指摘をされております。結局鈴木総理の時代に、中東等で問題が起こった場合のシーレーン防衛、これは日米首脳会談で鈴木首相の発言の中でも、いわゆるアジア・太平洋における米艦隊が留守になった場合のその機能を代替するというふうなことがその後の国会の議論の中でも問題になっているわけですから、この日米安保条約によって事実上アメリカが始めた戦争に国民の知らぬ間に日本が巻き込まれる危険性があるということは明白だろうと思うのです。そういう事態が今度の機密保護法等の問題でも、外交
についてもなかなか知らないようにさせられるということになれば、ますますそうした事態が強まるということもあわせて述べておきたいと思います。
 それから、アメリカに経済的に依存をしている、従属しているという問題から経済的な自立を主張したのは、これは事実でありまして、ここでも繰り返し述べていますように、外国資本が入っている中でのアメリカの役割ということはここで数字を挙げているとおりであります。また、農業問題で、戦後のアメリカの余剰農産物を日本に輸出するということから、ある時期には一日に一食はパン食にしましょうということで、小麦の売れ行きを促進するというふうな政策をとられたという時期もあったということもそうですし、また石炭産業につきましても、これは石油法が提出される経過の中で、あの一九六〇年代前後に全国的に存在していた日本の石炭産業がつぶされていく、そしてエネルギーが大幅に石油に転換させられるということもアメリカの経済政策と無関係ではないどころか、アメリカの経済政策に結びついてそれに追随した原因であるということは明確だろうと思います。
 確かに今、経済摩擦問題は、日本の資本もアメリカの高金利という状態でアメリカにいろいろと出ていますけれども、そういう事実を私は否定するわけではありませんけれども、そのことで対等、平等の経済関係が確立されているということではなくて、今日の日米経済摩擦の中でも結局はアメリカ自身が経済摩擦の根源になっている財政赤字や金利の問題についてほとんど努力がされていない。結局はその問題の解決が日本に圧力が加えられることで、一歩一歩、日本の農業にしろ林業その他中小企業等々の困難な状態がありながらも、アメリカの主張に同調していくという歩みが見られることも、そういう状態になっているという事実をやはり指摘しておいて、その場合に我々は今後経済的にもそういう追随した関係ではなく、日本の立場を主張して平等互恵の見地で問題を処理していくということが必要ではないかというふうに思います。
 領土問題の問題については、もうここに私は明確に述べておりますけれども、千島問題ということを非常に重視をし、一九五九年当時からソ連とも交渉して千島の返還を要求するという努力を私たちはしてきました。そうしてこの問題についても、主義、主張が近いから何か申し開きをしなければならない苦しい心境あたりをというふうなお話ですが、全くそういうことはありませんで、これはソ連の責任である、それは私たち共産党が負うべきことではなくて、やはり我々は日本民族の主権を擁護するという党の立場から、いかなる国であろうとも日本の主権を侵害するそういう党には堂々と主張し、全面的な返還のために努力をする。基地の問題でも、これが不当であるということも、ソ連の軍事基地を決してつくらせるべきではないということも当然だということをあえて指摘をしたわけであります。
 若干長くなりましたが……。
#51
○久保田真苗君 私も似たような御質問になるのですけれども、一つは領土問題なのです。確かにこれは歯舞、色丹について言いますと、日本固有の領土であって、何かこの間アメリカの外交文書が公開されたときに、終戦当時マッカーサーラインというものがあって、そうしてそれに基づいてソ連があそこを占拠したというような、そんなことも言われております。それで立木先生の場合も、日本の領土としてこれを強く要求する、悪いのはソ連だとはっきりおっしゃったわけです。私ももちろん日本の領土であり、この主権を回復するということについていささかの疑念もないのですけれども、しかし実際問題として私は、本当に今の為政者あるいはその中の一部の方が本気で北方領土を回復しようと思っていらっしゃるのかどうか、疑問に思わざるを得ないのです。
#52
○立木洋君 日本のですか。
#53
○久保田真苗君 日本のです。それはつまり、今太平洋というものが非常に戦略的に重要な場所になっており、そして日本列島を例えば盾に例えて、やりはアメリカだというふうなそういう発想を持ち、かつそれを公言してはばからないということになりますと、それはソ連から北方領土を返還させる上からいって盾の幅を広げるということを当然向こうは思う。私はその意味からいうと、日本が少なくともアメリカの軍事ブロックに入ってそして安保条約を続けている状態、しかもそれを強化し、宗谷海峡の封鎖あるいは対馬海峡の封鎖といったような姿勢をとり、そしてこの日本列島が盾だということになると、これは外交上からいっても非常に矛盾した話だと思うのです。その辺をどういうふうにソ連との間で打開していくのか、その辺のことを立木先生の姿勢あるいは方法論についての御議論を伺いたいと思うのです。
#54
○立木洋君 これは石井先生と全く違った角度からの御質問ですけれども、私は、いわゆる千島は三つの違った概念があると思うのです。一つは北千島であり、一つは南千島であり、もう一つは千島列島に属さない歯舞、色丹である。歯舞、色丹というのは北海道の属島ですからこれは千島列島ではない。それから南千島というのは一八五〇年の下田条約で領土が画定されているわけですから、これはもう一切外国の領土になったことがないのです。北千島の場合には吉田さんがサンフランシスコ条約で述べたように、これは樺太との交換条約で平和的に日本のあれになったわけですから、多少の概念の違いがありますけれども、しかしこれは武力で外国からとった領土ではない。ですから、これらの概念のそれぞれ違いがありますけれども、これはすべて日本の領土である、外国に占有されなければならない根拠は全くない。これは戦後に領土不拡大の原則でカイロ宣言に基づくポツダム宣言を受けて我々が承認したわけですから、これを放棄すること自身も私は正しくなかったと思うし、ましてやこれをソ連が占拠していること自身も、我々はこのソ連の領内に占有したということ自身も、我々戦後処理の原則から見て正しくないということがやはり基本にあるだろうと思うのです。
 これで私は一回国会で、亡くなった方のあれを引き出してあれですけれども、園田さんが外務大臣をやられていたときにこの問題について、いわゆる南千島については日本政府は放棄したことがない、放棄したのはいわゆる北方領土だけだという、そういう外国でやったので、だから南は歯舞、色丹、それから国後、択捉というのは日本の固有の領土なのだから、こういう日本の主張を理解してくれということを、これはイギリスだとかフランス等々にも要請の手紙を一九五〇年代の後半にやっているわけです。
 それに対しての同意は得られなかったという問題で園田外務大臣に質問したときに、国際的に世論が得られない、そういう状況でどうして本当の立場が貫けるのか、だからそういう意味ではサンフランシスコ条約二条(C)項自身を破棄する、ウィーン条約ですね、条約法に関するウィーン条約の、民族が大きな危害を受ける場合にはそれを廃棄することが可能だということも条約としてはあるわけですから、いわゆる二条(C)項を破棄して堂々と国際的にも返還が求められるような立場を日本が確立して主張すべきではないか、今のようにサンフランシスコ条約で千島を放棄しておきながらそれを放棄していない、放棄したのは北だけで南は入っていないというような欺瞞的な主張では国際的に通らないのではないかという主張をしたときに、これは議事録にも残っておりますけれども、園田外務大臣は、それは重要な指摘なので外務大臣としてさらに勉強さしていただきますという答弁があったわけです。その後も勉強された結果を聞くことができない状態ですが……。ですから日本政府が主張している主張にはやはり矛盾がある、そういうことでは返還できないというふうに基本問題としては私は思っているわけです。
 それから同時に、やはり日米安保条約が結ばれている状況のもとでのこれが返ってくればどうなるかということも当然考えに入れなければならないというもろもろのことがありまして、私たちは
一九五九年に当初ソ連と交渉を開始したわけですが、一九七九年のときには、これは若干申し上げますと、私もモスクワに行ってこの問題でやったのです。これは宮本議長に同行していったときに、ソ連側が主張したのは、これを日本にもしか返すということになれば、日米安保条約のもとで軍事基地がここに置かれることになるのではないか、今の状況のもとで返せば日本政府に返すことになる、そういう危険性を私たちは無視できないのだということを確かに彼らは主張しました。それで私たちがそこで主張したのは、とりあえず歯舞、色丹というのは北海道の属島なのだから、これは日本政府も放棄していないのだから直ちに返すべきだ、返す場合に協定を結ぶ、その協定についてはこれを日米安保条約の適用外の平和な島とするということを確認できるならば返還するということにだってできるではないか、軍事基地をつくらない島ということだってできるではないかという主張を私たちはしたわけです。ですから、彼らがそれを軍事基地として利用される危険性を感じている、今の状況のもとではそういうことは多分に起こり得るということについても、我々は本当にソ連が安全保障ということを考えるならば最も近い日本との友好関係、日本がソ連が平和の国だということを信頼できるような状態にすることが重要だ、だからそういうことを考えに入れていわゆる軍事基地にしない、平和な島にするということを前提にして返還するということにしてはどうかということを主張し、さらに検討を続けようというふうな経過になっております。
 経過的に若干説明しましたけれども、そういうことです。
#55
○和田教美君 立木先生に二点ばかり御質問をさせていただきます。
 まず最初に、外交安全保障政策という問題はいわゆる移行過程、そういう意味では時間の問題ですね、ある体制からある体制に移る、ある関係からある関係に移るという時間の要素というもの、移行の過程というものがかなり私は重要だというふうに考えるわけなので、その辺の点について共産党立木先生はどういうふうにお考えになっているか。
 と申しますのは、今の立木先生の御意見は、日本が今平和外交を行うというための最重点のまずやるべきことは軍縮だ、軍縮努力だ、核兵器の完全廃絶だということを強調されておる、これは私もそのとおりだと思います。ただ、それの具体的な方法論としては全面禁止の国際協定を結ぶとか、それから通常兵器の削減を含む全面的な軍縮というふうな、いわばスローガン的なものがやや羅列されているような感じがして、そのためにどういうふうにそれを実現していくのかという移行過程の説明がないわけです。
 安保条約の問題についても、日米安保条約を廃棄して日本の独立と主権を回復するということは書かれておりますけれども、それがすぐできるというふうに考えておるのかどうかということについてもわからないわけでございまして、そういう意味で移行過程という問題をどういうふうに考えておるか、政策論としてこれをどういうふうに取り上げておられるのかということが一つです。
 それから第二点は、先ほど立木先生から私に質問がありましたことのお返しなのですけれども、経済主権の問題、経済外交の問題として経済主権を確立して、平等互恵の経済外交を進めて新しい国際的経済主権確立のために努力するという問題があります、こういうことが強調されておるわけで、私もそれは賛成だということを申し上げたのですが、今問題になっております自由貿易体制の問題、これを日本はとって保護貿易主義反対という立場をとる、それから市場開放をさらに進めるという問題、当面のそういう問題については言及がないわけでございまして、その点について立木先生はどうお考えなのか。
 以上の二点でございます。
#56
○立木洋君 時間的な要素ということを我々は全く無視しているわけではありません。例えば核兵器の完全廃絶という問題を主張したからといって今一挙に核兵器の廃絶がばっとできるというふうなことは、これは私たちも考えていないわけです。
 この核兵器全面禁止、廃絶を緊急の課題としてやるという問題とは何かと言えば、これはいろいろな自然科学者の主張を聞きましても核兵器の廃絶の困難さ、これを地球上から一掃する上での物理的な技術的な条件、問題というのはそんなにさほど困難はないと思うのです。問題はこれを持っている国々の政治家がこの決断をするかしないかということが根本的な問題だろう。ですからこれは戦後の歴史の歩みを見てきますと「こういうことをやれば核兵器の廃絶につながるとか、こういうことをやれば核兵器廃絶の一歩になり得るとかいうふうなことが主張されていろいろな施策がとられましたけれども、結果的に言えば核兵器はどんどんふえる一方しかならなかった、一発の核兵器も削減するという経過をとらなかった。
 こういうことを見てみますと、今私たちが緊急だと言っているのは、それぞれの核兵器保有国が廃絶しようという政治的な決意を固めて核兵器廃絶しようという国際協定を結ぶ、そしてそれを廃絶しようという点で完全な国際的な協定が結ばれるならば、これをどういう手順でどういう経過を経て廃絶に導いていくか、まず登り詰める目標を明確に合意した上で、段取りは後につけられるだろう。このように登っていけば頂上に着くだろう、この道を行けば行けるかもしれないというふうなやり方では、今までの戦後の歴史を見てもやっぱり行き着かなかったという経過があるので、そういう意味で、核兵器廃絶を前面に掲げて緊急課題として政治家が決意をし、拘束力のある国際協定を結ぶということの緊急性を主張しているわけです。これをどういう段取りでなくしていくかというのは、その合意ができればあとはいろいろな形でそれはできていくだろうということで、戦後四十年の何とかしてなくそうという国民の世論に実際にこたえられなかった経験を踏まえて、そのことを重視した意味で私はこの緊急性ということをここで提起したということであります。
 それから安保条約の廃棄の問題についても、これは現実の状況を見ますと、ここまで安保条約との絡み合いというのは日本では大変になっていますからなかなかすぐ廃棄するというのは難しいだろうと思いますけれども、安保条約上保障されているのは、安保条約の第十条で廃棄を通告すれば一年間にそれを解消をすることが可能だということだと思うのです。これは例えばフランスの場合も、NATOからの離脱でいろいろあったけれども離脱の宣告をした。しかしその後、かといって何も経済的な断絶をしたわけではなくてやれる。私たちの場合も、この条約に沿って廃棄通告をして一年以内にそういう道を切り開いていく。もちろんそのことはアメリカと我々が敵対関係になれだとかというふうなことで関係を断絶しようということでは一切なくて、相互に平等互恵の立場で経済協力の関係もさらに進めていき、可能ならば不可侵条約、そしてお互いの立場の主権を尊重し合った日米友好条約を結んで友好的な関係は発展さしていくべきだという考え方であります。
 それから経済主権の問題については、まさにだんだんお話を聞いてみると共通点が近いようでありまして、私たちの場合も、結局今の自由貿易の問題について何も全面的に頭から否定しているわけではなくて、この自由貿易に日本が得るところというのは今の体制から言うならば極めて多いということも事実だろうと思うのです。その場合に私がやはり主張したいのは、日本の特定の産業に特定の重大なしわ寄せを生じるような、犠牲が生じるようなことは起こさないで、一方ではそういう措置をとりながら、やはり時間的な経過が私は必要だろうと思うのです。これはヨーロッパにしましても、フランスだとかその他自由化していない品目等は日本よりも多いわけですし、それからアメリカ等でもそういう自国の経済の条件を全く無視してすべて完全に開放してしまえということではないので、一定の秩序ある形でそういう内容は図るべき必要があるだろうということは現実的
な問題としては考えております。しかし、大局的には南北問題とも絡み合わせてこの問題を処理していくという大きな観点での経済秩序の確立の方向に努力しなければ、国際全体、世界全体の経済の中で日本の果たす役割というものが積極的な意味を持ち得ないだろうという考えであります。
#57
○小委員外委員(関嘉彦君) 外交防衛政策につきましては民社党と共産党は一番対立しているのですけれども、こう横に並んで座っていて、しかも相手が立木さんであるとなかなか闘志がわかないのですが、できるだけ闘志を奮い立たせて質問いたします。ただし灰皿を握って立ち上がることはしません、御安心ください。
 まず第一点は、先ほど石井さんの質問だったと思いますが、それに関連するのですけれども、共産党の立場は非武装中立ではなしに非同盟中立、私はこれは共産党の一つの特色だと思います。つまり中立を貫くためにはある程度の軍備を持たなくてはならない場合があるのだということを認めておられるのだと思うのですけれども、共産党の考え方としては、共産党が政権を取った後において国民の世論に聞きながら武装するかどうかを決めるというふうに承っているのです。私は、それはまさに共産党さんが非難されるところの大衆追随主義ではないか、いやしくも前衛政党である以上は、政権を取る前に、自分たちが政権を取ったならば武装中立でいくのだ、あるいは非武装中立でいくのだ、それをはっきりさせるのが前衛政党の役目じゃないかと思うのですけれども、その点いかがお考えかということが第一点。
 それから第二点は、これはほかの方も言われたことですけれども、まとめて立木さんの御意見をお伺いしたいのですが、アジア・太平洋の非核武装地帯ということを言っておられるのですけれども、その範囲はどこからどこまでか、つまりシベリアを含むのか含まないのか、中国はどうなるのか、そういったその範囲が私は非常に大事じゃないかと思うのですけれども、その範囲はどういうふうに考えておられるか。それが第二点。
 それから第三点は、CIAであるとかソ連の諜報機関の介入には毅然として反対するということを言われているのですけれども、どのような方法で反対を貫くのか、単に毅然としているだけではアメリカ、ソ連もはあそうですかと言って引き下がりはしないだろう、秘密保護法でも制定されるつもりかどうか。その点が第三点。
 それから、国連の平和維持活動に参加することは憲法違反であるというふうに言われているのですけれども、国連警察軍は一応おくとしまして、国連の平和維持活動ですね。ピース・キーピング・オペレーションと言うのですか、例えば通信部隊を派遣するとか医療部隊を派遣するとか、あるいは選挙の監視とか国境の監視、そういった監視部隊に日本人が参加することが憲法違反になるのかどうか。自衛隊そのものが憲法違反だからそうだと言われるのでしたらこれはまた話は全然別になります。私は自衛隊は憲法違反ではないと思いますし、憲法の前文には、いずれの国も自国のことのみに専念して他国を無視してはならないということが書いてあるし、私はそのくらいのことはすべきではないかというのが考え方ですけれども、どういう論拠で憲法違反であるというふうに言われるのか、その点をお伺いしたいと思います。
#58
○立木洋君 一番最初の軍備の問題について言いますと、これは現在の憲法というのが日本の一切の戦力を持つことを否定しているわけですから、現憲法のもとでは我々は軍備を持つというふうなことは一切否定する。現実の自衛隊が持っておる、いわゆるこれは軍隊とは言わないけれども、現実には、警察予備隊から保安隊になりそして自衛隊になってきたという経過で、二十八万に上る事実上これは軍隊です。ですからこの存在自身が私たちは憲法に反しているものであるというふうに主張しておりますし、この自衛隊についても、自衛隊員の生活の保障をしながらもいわゆる解散をすべきであるということを私たちは主張しております。これは現在の憲法のもとでは当然とるべき態度であるというのが私たちの主張であります。
 共産党が政権を取ったらということではなくて、これは民主連合政府ができるか、あるいはいろいろな将来の形のもとで、今日の憲法が平和的な問題として、つまりアメリカの戦略に追随するという形での憲法の改正ではなくて、新しい民主的な政権のもとでそういうことが問題になり、やった場合には、これは当然そういう憲法改正のもとでは新しい対応がそれぞれの政権を構成する政党の間での協議によって問題になり得るだろうというふうに思います。私たちは将来そういう状況のもとでは、自衛のためのいわゆる武装ということはすべて否定しているわけではありません。ですから一切非武装という立場ではないわけであります。最小限の自衛力についての考え方というのは当然持っています。
 しかし、これは大衆追随ではないかということはちょっと御意見が違うわけで、我々の場合は、政党が指導力を果たし得るかどうかということは、国民の求める方向に基づいて政党が真にその方向に努力をすることによってその指導力が十分に発揮し得るわけであって、国民の意思の総意である形で形成される日本の基本的な原則である憲法を否定するような立場をとるということは誤りであるという見地から、私たちが今日とっている態度は決して大衆追随ではなくて、憲法に対する態度と将来あり得べき可能性という問題については明確に区別しながら述べているところであります。
 二つ目のアジア・太平洋という問題に関して言いますと、これは我々は非核武装地帯、核兵器のない地帯を最初からここでなければこの非核武装地帯はつくらないという概念ではなくて、これを設置できるところは設置しそれを広げていくということも考慮に入っているわけです。ですから我々は当然ソ連との交渉の中でも、我々が非核武装地帯を考える場合には当然ソ連も念頭に置くということは、これは当然のこととしてソ連側との話し合いでも主張をしました。それから中国も当然含まれるだろうということも我々は考えています。ですから、これがここまで入らないと絶対に非核武装地帯をつくらないということではなくて、これは非核武装地帯ができるところならつくっていく。だから最初まず何ならば日本自身が非核宣言をやって、日本自体が非核武装地帯になるということを国際的にも明確にし、そういう立場から一歩一歩広げていくというふうなことも可能ではないかという考え方です。広い意味でアジアといえば中近東の方まで結局含むわけですから、そういう設置と、さらにそれを拡大するという両方の概念でアジア・太平洋地域というふうに述べたわけであります。
 それから、CIAやソ連の諜報機関等の問題についてですが、これは最後にちょっと述べられたような国家機密法でもつくるのかという指摘ですが、それは全く我々は反対であります。これは最後の中で述べています国家機密保護法の問題については外交的な見地からも賛成できない、断固反対であるということを明確にするというふうに述べてあります。この点は例えばソ連の諜報機関等々の問題、それからアメリカのCIAの問題等でも現行法において、例えば守秘義務にしろあるいは国家公務員法だとかその他の内容においてきちっと取り締まることができるわけで、そういうことを明確にすべきだ。例えば我々も国会でこのことを主張したわけですけれども、現にCIAの職員が、これはアメリカの中央情報局、この職員が日本に多いときでは百十六名、少ないときでも九十数名存在するというふうな事態があったわけで、そのことを明確にわかりながらその人々に外交官としての特権を与えて活動を自由に保障しているというふうなことは私たちはやめるべきではないかということも主張したことがあります。
 中曽根さんの略伝を翻訳した本人がCIAと関係があるのじゃないかと言ったら、中曽根さんは国会で、いや、CIAと関係があるのじゃない、それはCIAだよというふうに中曽根総理自身が国会で明確に答弁しています。ですから、これは
いかなる国であろうとも自国の主権ということがあるわけですから、どのような国であろうともそういう諜報機関の活動を事実上援護するような、保障するような事態というのはやめるべきであるということ。一方ではこれがアメリカであれソ連であれ現行法で規制できる法律があるわけですから、これは厳格にやるべきである。ですから、戦前の軍事機密法だとかあるいは国家保安法だとかというふうなことの再現はやるべきではないというのが見解であります。
#59
○小委員外委員(関嘉彦君) 国連平和維持活動と憲法違反。
#60
○立木洋君 この点については、国連憲章の四十二条については軍事的な制裁の意味合いを持つ、ですから国連自身がそういう措置をとり、平和維持を擁護する努力をするということについて我々は非難をしているわけではありません。これは国連自身が多くの国の賛成を得てやっている措置ですから、このこと自身に私たちは反対しているわけじゃないのです。日本の場合にはそういう集団自衛権の問題や、軍備をそもそも持つということが憲法で禁止されているわけですから、それに協力加担をするということは憲法の精神からいってやるべきではない。例えば平和だからといって人的な資源が送られるということになれば、これがだんだん拡張解釈されていくというふうなことになるので、この点はやはり四十二条に基づく軍事制裁的なものについては、国連で行うことについてもちろん我々は反対ではないけれども、日本の憲法という制約がある限りそういう態度はとるべきではないという見解であります。
#61
○小委員長(大木浩君) 次に、関君の御意見に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
#62
○石井一二君 関先生から極めて示唆に富んだ御発言を先般いただいたわけでございますが、私は、その中でも特に現在の中国における路線の変更の可能性を示唆された御発言に興味を持っております。このことに関連してお聞きしたいのですが、先生の御発言によりますと、現在中国は表面上はマルクス・レーニン主義を標榜しておるが、実質はそれを離れて経済の自由化政策をとりつつある、早晩政治体制にも影響を与えるであろう云々ということがありました。
 なぜ私がこれを特に注目しておるかと申しますと、中国という国が社会主義国家としてソ連と手を組んで日本に当たってくる場合とそうでない場合とでは、月とスッポンほど我が国への軍事的な脅威というものには差があるわけでございます。そういった意味でこのような御指摘をされた裏にはいろいろな事実関係とか、いろいろな御学識、御認識があろうかと思うわけでございますが、例えばソ連とベトナムとの関係、中ソ国境問題、それからアフガニスタンに対する間接的なソ連の支援、あるいは覇権主義に対する考え方、また中国の国境を通るシベリア鉄道の軍事的な観点からの機能等々、いろいろ論ずべき面が多いと思うのですが、この御発言をされた背景である路線変更の可能性についてもう少し詳しく御示唆をいただければありがたいと思います。この一点で結構でございます。
#63
○小委員外委員(関嘉彦君) 時間が限られていて十分説明し得なかったことを質問していただきましてありがたく存じます。
 一つは、いまさき言われましたようにソ連と中国との間は非常に長い国境を接している。国境を接している国、隣同士というのはやはり安全保障上しばしば対立するものであり、片一方が非常に弱ければ別ですけれども、両方の力がだんだん均衡化してくると対立が起こりがちであるということが一つでございます。ただしこれはイデオロギーとは関係なしに、ほかの国においても起こり得ることであります。中国がマルクス・レーニン主義をとりながらだんだん変わっていくのではないかということについての御質問ですけれども、私は余り詳しいことはよく存じませんけれども、一つの仮説として持っているのは中国の国民性とロシア人の国民性との違いであります。
 殊に宗教の違い、グリークオーソドックス、ロシア正教といいますか、この非常に神秘的な一神教をルネッサンスの宗教改革もなしに十九世紀の終わりから二十世紀の初めまで持ち続けてきた国民と、それからそういった一神教の伝統のない、宗教と言っていいかどうか、広い意味の宗教だろうと思いますけれども、儒教であるとか老荘の教えであるとか、時代によっては仏教であるとか、そういったある意味で日本人に似ているのですけれども、そういった一神教の伝統のない国民とは物の考え方が違う。マルクス・レーニン主義というのは私は一種の代用宗教だと思うのです。あれは一神教の国民の間に非常にぴったりする考え方ですけれども、それ以外の国になると共産主義というのはだんだんだんだん変わっていくのじゃないかというのが私の仮説です。
 それからもう一つは、経済が自由化していけば政治にも影響を及ぼすのじゃないかという考え方ですけれども、経済が政治に影響を与えると言うと、唯物史観におまえは賛成するのかと言われそうですけれども、決してそういった唯物史観的な考え方ではなしに、唯物史観は全然間違いだとは私は思いません、半分の真理は持っていると思います。しかし、今までの経験からいいまして、例えばポーランドの場合であろうとチェコの場合であろうと、経済的に自由化が進んでくると同時に政治の自由化を要求する声が起こってきております。経済の自由化だけでしたらソ連も認めるかもしれませんけれども、政治の自由化になってくると、これはもう共産主義体制そのものを根本から脅かすことになりますから、絶対にソ連としては認めることができないので、ソ連が介入してこれをいつもつぶしているわけです。そういった経験法則からいいまして、中国の場合はソ連の介入は一応ないと考えていいわけですから、経済的に自由化が進んでいくとすれば、ジグザグはありますけれども、中国人というのは非常に実利主義的な、功利主義的な国民ですから経済的に自由化していくと思いますが、経済的に自由化していけばそれは政治の方にも何らかの作用を及ぼしていくだろう、これも一種の、半分仮説ですけれども、私はそういうふうに考えております。
#64
○久保田真苗君 関先生、一つ伺いたいことは、私もこの前意見発表に述べましたし、和田先生はさらにそれを詳しく敷衍してお述べになったのですが、国会審議権と内閣の外交権の問題なのです。
 私は、本当に重要な条約、和田先生の言われる文書の名称のいかんを問わず、国際的に重要な約束事が実に国会に提出されていないことおびただしいと思うものです。特に、国民の間で非常に論争点のある問題、私はこの前、武器技術の対米供与に関する交換公文を挙げたのですが、最近の報道によりますと、SDIへの研究参加は国会の承認を要しない行政の専管事項であるといったような総理の発言もあるやに聞きます。私は、このようなことで国会審議が最も重要な事項から遠ざけられていくのであっては、とても内閣が国会に責任を持っている状態ではないと思いますし、まして、それが国の非常に大きな浮沈にかかわるような、未来を想定させるような事柄について当然政府はそのような交換公文をも国会に提出すべきである、それは条約の範囲に入るのだという解釈をとるわけでございますけれども、関先生のこれについてのお考えをお願いいたします。
#65
○小委員外委員(関嘉彦君) 原則的に私は久保田さんの言われたことに賛成でございます。
 例えば外交交渉、折衝中のものはこれはやはり秘密を要するので国会にすぐ報告するということは要求しません。しかし、協定ができて、後においてこれはやはり当然国会に諮るべきものがかなりあるのじゃないか。ただ、それをどこからどこまで、すべて国会の承認事項にするか。一応今までの条約とか協定とかというものを、こういうのは国会にかけるべきじゃなかったかということを一度洗いざらいにしたいと思っていますけれども、時間がないので、どういう原則をつくったらいいかということはまだ私は確信が持てない。しかし、趣旨としては、殊にSDIなんかの問題は、
これは当然国会で議論すべき問題で、かけるべき問題だ。それは全く賛成でございます。それを、どこからどこまでというのはちょっと私は今のところはまだ申し上げられません。
#66
○久保田真苗君 もう一つ伺います。
 先生は、中立主義というものを日本がとり得る立場ではない、地理的条件などからいって大変だ、もしそういうことをするとすると自前の軍備が大変であって、しかも核を含む恐らくそういう防衛体制が必要になろうということをおっしゃっておられるのですね。私は、核を含む装備ということになりますと、同じように地理的条件あるいは日本の国土の備えている条件からしまして、そしてそこに非常に稠密な人口がいるということからしまして、仮に米ソ等と対等の核装備を日本がしたと仮定しまして、それによって抑止ができ、かつ均衡がとれ、そして日本の安全保障が守られるとは到底考えがたいのです。こちらが全滅するとき向こうは部分的な被害で済んでおるだろう。そういうことを考えますと、核を含む重装備という方法は日本のとるべき方針ではないというふうにどうしても私は思うのですけれども、その辺いかがでございましょうか。
#67
○小委員外委員(関嘉彦君) 中立になった場合に、非武装では中立を維持することができないので私は武装が必要だろうと思います。その場合に、中立ができるかどうかということをまず考える必要があるのですけれども、さっき言いましたようにスウェーデン、スイスみたいにああいった歴史的にそうなっているところは別であって、日本は今までの第二次大戦以降の状態をもとに戻すわけにはいかないので、今までの関係で自由陣営の中に入っているのにこれを脱退するということになってくるとかえって国際的な均衡を破る、その点からいってとるべきではない。
 仮にその問題が解決できた場合に、日本は地理的な条件から、もし米ソの緊張が高まってきて、あるいは一触即発の事態になれば、どちらかが日本を押さえるということは、これはもう戦略的に非常に重要な価値があると思うのです。そのためにはどちらかが先に日本を押さえようとするだろうし、他方はそれに押さえられたのでは大変だからそれに対して抵抗してくるだろう、あるいはこっちの方が先にいくだろう。あるいは両方が一緒に入ってくれば、日本は、かつての朝鮮半島のようにローラーでひかれることになるので、その意味からいうと、もし中立を維持するためには、そういった米ソ両方のどちらかが入ってくるのを武力で撃退し得るだけの装備を持った武力が必要であろう。
 核でもっておどかしをかけてきた場合には、やはりこちらも向こうの心臓部なら心臓部で相互確証破壊といいますか、相手をやっつけるのだ、それだけの核を持つのでないと核のおどしに屈服してしまうことになるのじゃないだろうか。何千発、何万発なんていうものを持つ必要は私はないだろうと思いますけれども、やはり敵の心臓部を破壊し得るだけの核を持たなくてはならないだろう。しかし、やはり核拡散防止条約を少しでも広めていく立場に立つ日本としてはそういったことはとるべきではない。とするならば、決して最善の方法とは言いませんけれども、レッサーイーブルの方法として日米安保条約を結んで、日本は日本を守るだけの自衛力を持った方がいいのではないか、これはレッサーイーブルとしての選択でございます。
#68
○久保田真苗君 もう一言だけ。
 この問題は、すぐに議論し切れるものじゃございませんけれども、私はアメリカの核の傘にあっても状況は同じだろうと思うのです。日本がそれに対していろいろな形の便宜供与をしている限り、アメリカの核であろうと仮に日本の核であろうと、その状況は同じであって、核をもって対抗することによって日本の安全は到底図られない、それによって全滅の危機が日本の方に圧倒的に多くあるだけだというふうに思うものですから、私は、やはりその政策は、アメリカに依存しようと日本独自であろうと到底日本はとれるそのような立場ではない、別の方法を考えるべきだと思うわけでございます。
#69
○小委員外委員(関嘉彦君) やはり核が米ソの間である意味においてバランスしているということは、相互確証破壊といいますか、それによってその脅威がある限り、私は核兵器の戦争というものはまず考えられない。日本もさっきの前提のようなふうになって、もし日本が中立にならざるを得ないといった場合に、日本も相手を確実に心臓部を破壊するだけのものを持てば、やはり相互確証破壊の上に立ったところの、道義的には非常に嫌なけしからぬ状態ですけれども、それによって恐らく核は使われないまま極めて危なっかしい平和が維持されるのじゃないかというふうに考えております。
#70
○和田教美君 関先生には全方位外交をどう考えるかということをお聞きしようと思ったのですけれども、もう既に関先生から御説明がございましたので、これはわかりました。
 それで、二点ばかしお伺いしたい。
 まず第一は、速記録の十四ページに関先生が述べておられる国連の平和維持機能活動に関する協力の問題ですけれども、関先生は、昭和五十八年九月の外務大臣の諮問機関としての国連の平和維持機能強化に関する研究会、これは斎藤鎮男さんが座長をやった勉強会ですが、それの提言を参考にしてやれということを述べておられる。そして、その後でその具体的なことを書いておられるのですけれども、研究会の提言というものが出たときに国会で問題になりまして、いろいろ平和維持活動に関する日本の役割という部分は結局お蔵になってしまったものなのですね。その中に、段階を追って平和維持活動に対する協力も単に従来の資金協力の枠を越えてやっていくべきだという考え方が出ている。関先生がさっきからおっしゃっているような選挙監視活動、あるいは医療活動、通信、運輸活動、警察活動、兵たん補給活動、さらに監視パトロール活動というふうなものにも段階を追って協力していくべきだという考え方がこの研究会の結論として出ていたわけです。
 そこで私は、関先生のおっしゃるように、国連の平和維持活動にただ金だけ出していれば日本の役割はすべて免罪されるというふうな時代は済んだ、去りつつあるということはある程度事実だというふうに思うのですけれども、しかし監視パトロール活動というものに協力ということになると、どうしても自衛隊の派遣ということ、要するに場合によっては戦闘行動を伴う、武力行使を伴うということが起こってくるのじゃないかと思うわけです。その点については、武力行使を伴うような協力の場合には、自衛隊がそういうものに参加することは憲法上許されないということが政府の統一見解でも出ているわけなのです。
 これは、私は公明党員ではなくて国民会議ですから公明党と少し違うかもしれませんけれども、例えば資金だとか資機材の提供というものはいいのじゃないかというふうに思う。それから選挙監視活動もまず許されるのではないか。医療活動もいいのじゃないか。そういうものを自衛隊の参加という形ではなくて、私の私案ですけれども、外務省で文官を養成してそういう要員を確保したらどうかというふうに思うのです。しかし、かといって一挙に自衛隊の派兵に、派遣につながるようなものはやっぱりまだ国民的なコンセンサスはできていないと思うし、これについては慎重にとるべきではないかというふうに思うのですが、その点の御見解をお聞かせください。
#71
○小委員外委員(関嘉彦君) 一番最後に言われたことから先にしますけれども、確かに国連の平和維持活動ですか、ピース・キーピング・オペレーションに参加するまでに国民の世論が熟していないことは事実だと思います。しかし、私は政党の立場というものは国民の意見を後から追っていくのではなしに、むしろこうすべきであるということを訴えて国民の世論を変えていく。もちろん国民の意見を無視して勝手なことをやるということはこれはファシズムになるわけですけれども、政党はやっぱりリーダーシップをとって世論を変え
ていく努力をすべきじゃないか。そのためには、民社党はしばしば突出しているということを言われるのですけれども、私は突出しない政党などというのは存在理由がないのじゃないかというふうに考えております。
 それから、本文の方の斎藤鎮男さんたちの出された意見書ですが、これは一つは、今言われた日本の活動、日本の参加の問題と、その前に国連の事務総長の権限の強化、調査機能の活動とか、調停機能の活動とか両方あると思うのです。私はやっぱり両方日本はやっていくべきだと思います。
 それで、事務総長の権限の強化などというのは国連の内部においてもっとそういった意見をしょっちゅう唱えていく、国連総会のたびに外務大臣の演説なんかで私は絶えず訴えかけていくべきだと思います。
 それから、日本の平和維持……、ピース・キーピング・オペレーション、何と訳していますか。(「平和維持活動」と呼ぶ者あり)平和維持活動ですね。平和維持活動への参加の問題といって、医療とか通信、運輸、いろいろな兵たん補給活動への参加その他等々ここに挙げています。例えばこの中の国連の平和維持軍として戦闘行為を伴うようなものはやはり避けた方がいいのではないか。しかし、単に国境線の監視とかなんとかいうのは、破られたときにそれに対して応戦するのじゃなしに、破られたら破られたということを報告すればそれで仕事は終わるわけですから、そういった監視活動、それから通信、運輸活動、医療活動といったものは大いにやってよろしいし、自衛隊が非常に問題があるとすれば、私は問題があると思いませんけれども、問題があるとすれば、例えば警察官であるとかなんとかいうのを外務省の官吏に身分を移して、そしてそれを国連に派遣するということは十分やり得ることじゃないかというふうに考えております。それでよろしゅうございますか。
#72
○和田教美君 はい、結構です。
 もう一つ簡単に、経済援助の問題について、十三ページに書いていらっしゃいますけれども、「日本は軍事力によって自由世界の安定に寄与することができないかわりに、世界の特にアジア・太平洋地域の経済的な困難のために生ずる紛争の除去に尽くさなければならない。」ということを書いておられるわけですが、先生の考え方の「自由世界の安定に寄与する」という考え方を基本として考えていく場合に、ときどき外務委員会なんかで問題になる戦略援助というふうな考え方もある程度これは肯定するというお考えにつながるのか。私はなるべくこの援助というものは、余り戦略援助的なものは避けるべきであって、全体としてアジアにおける開発途上国の貧困に基づく紛争要因というものを除去するのは何も自由世界だけの問題ではないという観点でやった方がいいと思うのですけれども、その点はいかがでございますか。
#73
○小委員外委員(関嘉彦君) はい、わかりました。
 私、経済援助をする種類は二つあると思うのです。
 一つは、例えば今のアフリカの飢餓なんかのように全く人道主義的な立場からやる援助で、これは相手が共産主義の国であろうと何であろうと、ともかく現に人が飢えつつある、それを助けるのはどこの国であろうと助けるべきじゃないか。ともかく最低限生きていけるだけの食糧援助はすべきじゃないか。
 しかし、それ以外の援助であれば、私はやはり日本の国益、安全ということを優先的に考えてやるべきじゃないか。そのことは、例えばASEANみたいな中立の国を自由陣営諸国に引き込むということじゃなしに、ASEAN地域が安定しているということは日本のオイル、石油輸送であるとか資源輸送にとってこれは極めて大事な点。その点からいうと、やはりそういう戦略的に重要な地点を優先的にやっていくということが自由世界の安定に寄与するのじゃないか、そういう意味においては差別をつけていいのじゃないかというふうに私は考えております。
#74
○立木洋君 たくさん御質問いただいたのですが、ほかの先生が大分質問されたので、二つだけお尋ねをします。
 一つは、ここでちょっと先ほども出ましたけれども、「経済交流及び文化交流の拡大によりまして、ソ連社会内に少しでも自由世界の空気を吹き込む、それによって気長にその社会体制が変革するのを待つべきである。」というところ、あるいは中国の場合も、「経済の自由化政策をとりつつある。その成功は早晩政治体制にも影響を与えるであろう」と。これは御本人がどういう社会体制であってほしいという願望ですね。これは希望を持つというのはもちろん自由だと思うのですが、相手を何らかの形で変えようという行為が伴うと、これはちょっと。もちろんそういうふうにお考えにはなっていないと思うのだけれども、伴うとやはり内部問題の干渉になるので、ここでは「少しでも自由世界の空気を吹き込む」というこちらの主導的な態度が述べられてあるのでちょっと私は気にかかったのです。
 それで、世界じゅうには今御承知のように異なる国がたくさんあるわけですから、その異なる国がそれぞれやっぱり共存していかなければならない。これは相手によって押しつけるという形ではなくて、平和的に共存していくということが必要だろうと思います。そういう異なる体制、異なる状況下にあるそれぞれの国が平和的にお互いに存在していくということのためには一定の基本というか原則が必要だろう。そういう意味では、私も先日強調したのは、やはり二国間外交においては領土の保全、主権の尊重、相互不可侵、それから平等互恵、平和共存という、そういう見地が必要ではないかというふうに考えたので、この考え方についてどのようにお考えになるのかが一つです。
#75
○小委員外委員(関嘉彦君) 「自由世界の空気を吹き込む」という問題について。中国の方はさっき石井さんの質問に答えたからいいでしょう。
 ソ連に対して、私は先ほど言いましたように、体制が変わるということは中国なんかに比べると非常に難しいだろうと思う。しかし、これは最後は信仰みたいなものですけれども、ソ連の人もやっぱり人間であって、同じ人間であるならば言論の自由、結社の自由といった自由を要求するのではないか。また、そちらの方がいいと考えるのではないか。今までそういった自由世界のことは余り知らない。第二次大戦後ソ連が連合軍と接触して、その兵隊が帰って一時非常に自由化の要求が起こったという話は聞きました。それはすぐ抑えられてしまってなかなか広がることはできなかったと思いますが、やはり人間であればそういった意味の言論の自由であるとか結社の自由というものを要求するだろう、そういう前提に立っております。そしてまた、そちらの方を望むであろう。
 それで、私は第三世界なんていうのが急になるとは思いませんけれども、世界がそういった自由民主主義の国にすべてなれば全然戦争がなくなるとは言いませんけれども、戦争の危険ははるかに少なくなっていくのじゃないか。というのは、自由民主主義諸国というのは横の関係で結ばれる世界であります。共産主義の考え方はいわゆる民主集中制、民主という言葉はついていますけれども、上下関係であります。だから、共産主義社会が対等の立場で平和共存やるということは非常に難しい。上下の関係で東欧諸国がソ連に頭を下げているようなそういう関係であれば一応平和は維持されるでしょう。しかし、中国のように強くなってくると共産主義国同士の間は自由主義諸国に比べてはるかに戦争の危険が多いのではないかと思う。共産主義社会内部についてもそうでありますので、やはり共産主義社会と自由民主主義の社会とは同じ自由という言葉は言ってもその自由の意味が違うわけです。
 そういう国の間で自由あるいは平和と言ってもその内容が違うわけであって、そういう国の間で本当の意味の親善関係を結ぶことは難しいのじゃないか。としますならば、やはり世界じゅうの国
が力によって強制するのは絶対に避けるべきですけれども、言論の力によって自由民主主義の考え方に変わっていくことを私は希望いたしております。また、それは必ずしもいろいろな条件が整えば不可能ではないのじゃないかという考え方の上に立っております。
#76
○立木洋君 意見はありますけれども、また別の機会にいたしましょう。
 それからもう一点は、これもちょっと関連があるのですが、「必要最小限度の自衛力」というこの「必要最小限度の自衛力」というのをどのようにお考えになっているのか。これは先ほど石井先生が言われた、例えばこれは相対的なもので、相手が一から十になればこちらも一から十にならざるを得ないというふうなことを考えているのかどうなのか。そして、これは久保田先生が言われたアメリカの核というのを日本の自衛力、つまり自衛的な意味での抑止力というふうなお考えを持っておるのかどうか、その点ちょっと。
#77
○小委員外委員(関嘉彦君) 二番目は、アメリカの……。
#78
○立木洋君 アメリカの核を日本の自衛力の範疇、いわゆる自衛のための抑止力といいますか、こういうものとしてお考えになっているのかどうか。
#79
○小委員外委員(関嘉彦君) さっき和田さんから、私の述べたのは非常にクリアカットに述べているとお褒めの言葉をいただきましたけれども、実は必ずしもそうではないのであります。理論というのは非常にクリアカットですけれども、政治というのは私は常に灰色の領域があると思っております。私がここで言ったことも決してクリアカットではないのであって、クリアカットにお答えすることは非常に難しい問題であります。
 ただ、防衛力の考え方としては、やはり相手が力を増大してくればそれに応じてこちらも力を増大しなくてはならないけれども、日本の場合はあくまで日本だけの防衛ということを考えているので、現代の段階においては日本は北海道の防衛ということを考えて、北海道にともかく敵を上がらせない。その立場を考えればソ連が十倍に軍備を伸ばしたからといって日本が十倍に伸ばす必要はないのじゃないか、二倍あるいは三倍で済むのじゃないか。しかし、やっぱりふやすことは私はふやさなくてはいけないというふうに考えております。
 それから、アメリカの核戦力を日本の防衛力の一部に考えるかどうかという御質問ですが、核兵器のおどしに対してはアメリカの核に依存して、もしソ連が日本に核兵器のおどかしをかけてくればアメリカがそれに対して対抗する、その信頼関係を確保しておくべきだ。しかし私は、日本が直接にアメリカの核を持つべきであるという意味では全然ございません。
#80
○小委員長(大木浩君) 久保田君より追加発言を求められておりますので、これを許します。久保田君。
#81
○久保田真苗君 和田先生の時間に私は中座しまして、先生への質問やそれからお答えも伺っておりませんので、あるいはダブったら大変失礼でございますが、よろしくお願いします。
 二点お伺いいたします。
 一つは、朝鮮半島の問題なのです。朝鮮半島につきましてはここの席ではその自主的平和統一を歓迎するということにどなたも御異存はないように思うのですけれども、実際問題としてこれはどのような条件が必要になるかということがございます。
 社会党の立場といたしますと、朝鮮民主主義人民共和国との関係について太いパイプを持ちまして、民間の漁業協定が締結されることを助けたりしておりますけれども、その反面、党も犠牲を払っている面がございますので、一日も早く我が国と朝鮮民主主義人民共和国との関係が正常化されることを望むのですが、和田先生はこの点を非常に前向きの御姿勢で、近い将来承認に踏み切るべき時期が来ることを想定し、その準備を始めることが必要だろう、こうおっしゃっているのです。
 ところで、その条件なのですが、平和統一が仮にできた状態を想定しました場合、その状態はどういうものかと考えますと、私は、この地域が中立化する以外に現実的な方法はないのじゃないかと思うわけです。
 例えば、戦後オーストリアが四国分割を長い期間されておりました。この外国軍の撤退を要求し、そして独立をし、かつオーストリアが統一をするためにはまさに中立宣言以外には全く手がなく、そしてオーストリアはそれを非常に見事にやってのけたと思うのですが、同じようなことが朝鮮半島にも言えるのではないか。そしてそのような中立化ができるかどうかが私はかぎではないかと思うのです。大変難しいことだとは思いますけれども、日本はそれに対して反対すべきでもないし、そしてまたそれをバックアップすべきだと私は思いますのですが、先生の御意見はいかがでしょうか。
#82
○和田教美君 まず統一問題、自主的平和的統一というのは北も南も言っているわけなのですね。そして要するに、日本が韓国と関係を正常化して北とも正常化する。直ちにということについて、韓国はもちろん現在反対ですけれども、できれば自主的平和的統一が行われた後でその一つの朝鮮と正常な関係を結ぶというのが一番ベターだというのが、朝鮮の方々の多数の意見じゃないかというふうに私は思うわけなのです。ですから、そういう状況ができれば一番望ましいと私は思うのです。
 今の話し合いですね、南北対話というものはいろいろな曲折はあるにしても、それが進展していって連邦制になるかどういう形になるかはわかりませんけれども、そういう方向に行って、今、久保田先生のおっしゃったような中立ということが一つの条件になるかもしれませんけれども、そういう状況で進んでいけば、その統一朝鮮との正常な関係を持つことが一番いいと私は思うのです。
 しかし、現実にはそういう一つの朝鮮という形にすぐになるかというと非常にそれは難しいのではないか。南北対話は進む可能性は私はあると思いますけれども、それがすぐ二つの政権が一つになるという形には、なかなかそこまでいかないのではないかというふうに思うわけで、そういう意味でそれがいつまでもいかない場合に、北朝鮮との関係をいつまでも不正常な形にしておくことは日本としてはとるべき施策ではないから、これは次善の策ではあるけれども、その場合には北朝鮮との間の関係の正常化ということに踏み切るべき時期が近い将来に来るのではないか、そういうふうな考え方で私は述べているわけなのです。
 それで、仮に先生のおっしゃるように、統一朝鮮というものができるということを想定した場合に、その条件として中立ということは非常に重要な条件になってくると思うし、それ以外に現実に国際的に西側に入るということもできないし、東側に入るということもできないということであれば、結局中立ということにならざるを得ないということは、私もそのとおりじゃないかというふうに思います。
#83
○久保田真苗君 もう一つ、経済援助の問題ですが、先生はいろいろとODAの質、量の改善、それから戦略援助を行わない、相互依存の度合いと人道的配慮を深めるといったような御提言をなさっていらっしゃいます。もちろんそのとおりでございまして、私も全く賛成なのですが、それでは実際に経済援助はどのようなあり方であるべきか。私は大体三つぐらい挙げまして、いわゆる製造産業の基盤整備、それからテークオフの面倒見、そしてその後は途上国の製品輸出が行われるような環境づくり、その三つを挙げているのですが、和田先生はこれについてはどのようなお考えなのでしょうか。
#84
○和田教美君 大体そういう考え方に賛成です。テークオフをした国はこれに対して重点的に援助をやるということじゃなくて、そういう国に対しては漸次貿易関係の正常化というふうなことでやっていく、そして援助そのものはテークオフ以前の国に対してやはり重点的にやっていく。それに
は戦略援助的な配慮はなるべく避けていくというふうな考え方でいくべきだ、私は基本的にはそう思っております。
#85
○小委員長(大木浩君) 以上で本日の意見交換を終わりますが、皆様の御協力により有意義な会議となりました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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