くにさくロゴ
1984/06/07 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会安全保障問題小委員会 第4号
姉妹サイト
 
1984/06/07 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会安全保障問題小委員会 第4号

#1
第102回国会 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会安全保障問題小委員会 第4号
昭和六十年六月七日(金曜日)
   午後一時十六分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    小委員
                源田  実君
                佐藤栄佐久君
                中西 一郎君
                堀江 正夫君
                志苫  裕君
                黒柳  明君
                上田耕一郎君
                関  嘉彦君
       外交・総合安全
       保障に関する調
       査特別委員長   植木 光教君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山本 義彰君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○安全保障問題に関する調査
 (自衛隊の現状と問題点に関する件)
 (日米安全保障体制の現状と問題点に関する件)
 (軍縮問題と我が国の対応に関する件)
    ─────────────
   〔中西一郎君小委員長席に着く〕
#2
○小委員長代理(中西一郎君) ただいまから外交・総合安全保障に関する調査特別委員会安全保障問題小委員会を開会いたします。
 安全保障問題に関する調査を議題といたします。
 本小委員会は、今日まで、自衛隊の現状と問題点、日米安全保障体制の現状と問題点、軍縮問題と我が国の対応の各テーマについて参考人から意見聴取を行って調査を進めてまいりました。
 本日の小委員会は、自衛隊の現状と問題点、日米安全保障体制の現状と問題点、軍縮問題と我が国の対応の三つのテーマについて小委員会の皆様に御発言いただくことといたします。
 それでは、御意見のある方は順次御発言を願います。
#3
○堀江正夫君 ただいま小委員長から提出されました三つの問題につきまして順次意見を申し述べます。
 まず第一は、自衛隊の現状と問題点についてであります。
 一、防衛計画の大綱について
 昭和五十一年に作成した防衛計画の大綱では、これによって達成する防衛力は、情勢に重要な変化が生じ、新たな防衛力の整備が必要とされるに至ったときには、円滑にこれに移行し得るよう配意した基盤的なものであることを明示している。
 大綱制定以来約十年を経て、ソ連の一貫したかつ画期的な極東ソ連軍の増強による我が国に対する脅威の増大を初めとする全世界的なソ連の軍事力の強化、米ソ軍事力のバランスの変化等は、デタントを想定した昭和五十一年当時とはその情勢を一変させている。したがって、後述するように、いまだ大綱に定め防衛力の水準に質量ともに大きく達していない現在、まず、この大綱水準の達成を国政上の最優先の課題としこれに努力するのは当然であるが、同時に速やかに大綱見直しの検討に着手すべきである。
 二、防衛力整備について
 五六中業においては、大綱に定める防衛力の水準を達成することを基本として五三中業に続いて五十八年度以降毎年整備の努力を続けてきたが、昭和六十年度までの予算の実績は、予定の進度よりはるかにおくれ、このまま推移する場合五六中業による目標の達成はほとんど不可能とみなされる状況にある。
 このような状況下五九中業では、大綱水準の達成を期することを政府方針として、昭和六十一年度から昭和六十五年度にわたる作業を実施中であるが、もちろんこの目標は早期必成を期さなければならない。ただ、仮に五九中業によって大綱水準を達成できた場合においても、この間調達した装備品等が部隊に配備され、戦力化されるのは、四、五年後の昭和六十九ないし七十年度になる。したがってこの間のリスクをいかにしてカバーするかは極めて重大な問題なのである。
 三、防衛力の現状について
 (一)陸上自衛隊
 十八万人の定員に対する実員による充足率は八六・三三%であり、通信機、車両類の低充足とともに第一線部隊での即応態勢の維持、実戦的訓練の実施に大きな阻害要因となっている。また、装備の面でも主力となる戦車が旧式の六一式がなお半数であるほか、火砲も前大戦時に米軍の使用していたものと同型式のものが師団特科の大半を占め、弾薬等の備蓄等の総戦能力も極めて低い。今後はまず北部日本を最優先として師団の総合的戦力を強化するとともに、水際撃破能力、対戦車能力、対空能力、空地機動能力等を向上し、上着陸侵攻対処能力を向上整備する必要がある。
 (二)海上自衛隊
 昭和六十年度において、大綱別表と比較すると、対潜水上艦艇が約八隻、潜水艦が二隻、作戦用航空機が約六十機不足しており、地方隊に属する対潜水上艦艇部隊が二個隊、陸上対潜機部隊も二個隊それぞれ不足している。
 水上艦艇については、数的な整備はもちろんであるが、その際対空、対艦等のミサイル化に努める必要があり、また、旧式化した固定翼対潜機P2JにかえてP3Cの所要数を早急に整備していかねばならない。
 各種ミサイル弾、魚雷、機雷等も大きく不足しており、継戦能力強化は喫緊の課題である。また、魚雷、機雷についてはその整備場を確保して、即応性を高める必要があり、司令部、航空基地等の抗堪性や対空能力の向上も必要である。
 (三)航空自衛隊
 昭和六十年度において、大綱水準と比較すると、作戦用航空機が約九十機不足しており、警戒飛行部隊一個飛行隊もいまだ保有していない。
 航空機については、戦闘能力が比較的低下しているF104Jにかえて、F15の整備を進めなければならないし、またF1の後継機についても検討しなければならない。地対空ミサイルナイキJは、導入後約二十年を経過し、性能の相対的低下、維持部品の補給困難から速やかにべトリオットシステム化を図らなければならない。
 また、ミサイルを中心とした弾薬も大きく不足しており、備蓄の増加による継戦能力の向上が必要である。さらに、基地防空能力の整備も、航空機用掩体とともにいまだ一部に限定されており、これらを全対象に拡大することが必要である。
 第二に、日米安全保障体制の現状と問題点について申し述べます。
 一、今日の国際社会と安全保障について
 (一)我が国が単独でその安全を確保することは困難であり、我が国は、戦後、必要最小限の自衛力整備及び自由と民主主義という価値観を共有する米国との安保体制により安全を確保することを選択してきた。かかる選択が正しかったことは、戦後三十年以上にわたり、他国からの軍事的侵攻を受けることなく個人の自由と尊厳を基調とする民主主義体制のもとでその繁栄を築き上げてきた事実からも明白である。
 (二)抑止力の基本は、いかなる攻撃に対してもこれに対応し得る有効な体制をとることにより、他国をして我が国攻撃より何ら得るものはないと認識せしめ、我が国に対する攻撃を未然に思いとどまらしめるものである。したがって、紛争の発生自体を未然に防止し、我が国が万が一にも他国からの武力攻撃を受けないようにするためには、抑止を万全なものとしていく不断の努力が不可欠である。
 二、日米安全保障体制について
 (一)日米安保条約第五条により、米国は我が国に対する武力攻撃が発生した場合には我が国と共同でこれに対処する義務を負っている。したがって、我が国を攻撃せんとするものは、強大な米国との軍事対決の危険を冒さなければならず、これが我が国に対する攻撃を抑止する大きな要素となっている。一部には我が国における米軍基地の存在や米軍艦船の寄港により、我が国が紛争に巻き込まれるとの声があるが、これは専ら抑止が破れた事態だけを取り上げて危機感をあおる誤った議論である。むしろ日米安保体制は我が国が巻き込まれ得る紛争そのものを未然に防止せんとするものであると言えよう。
 (二)前にも述べたとおり、我が国にとっては日米安保体制の円滑かつ効果的運用により、対日攻撃が対米攻撃をも意味することになってしまう情勢をつくり上げていくことによって、日米安保体制の抑止力の信頼性の維持確保のため最大限の努力をすることが不可欠である。このためには、条約上の義務を誠実に履行することは最低限の出発点であり、特に、安保条約第六条により米国に認められている我が国内の施設・区域(いわゆる米軍基地)の使用が、円満に行われ得るようにしておくことは極めて重要であると言わざるを得ない。このような意味で、米軍艦船の我が国寄港は、米軍の円滑な運用を確保し、その抑止力を確実ならしめる上で非常に重要であり、また、在日米軍がその練度を維持していく上で不可欠な訓練等を実施し得るよう協力していくことも、我が国として当然の責務であると考える。
 三、結語
 我が国はもはや貧しい小国ではない。現下の厳しい国際情勢にかんがみれば、我が国がみずからなし得る自衛力整備の努力を行うのは当然のことであろう。また同時に、米国の抑止力にその安全を依存しているのである以上、日米安保体制の円滑かつ効果的運用を図っていくことは極めて重要なことである。
 また、日米安保条約は単に軍事面だけでなく、経済面その他においても相互協力をうたっている。したがって、これらの面においても間断なき対話のもとに緊密な協力関係を維持発展させることが必要である。そして、これら各面における協力によって不動の信頼関係を確立することが、日米相互にとってその安定と安全と発展上極めて緊要である。
 最後に、軍縮問題と我が国の対応について申し述べます。
 一、我が国は、戦争の悲惨な経験に基づく国民の平和への決意に立って、軍事大国となることなく専守防衛に徹し、また、非核三原則を堅持し、その持てる力を世界の平和と繁栄のために向けることを基本政策としている。
 したがって、国際社会の平和と安定を確保していく上で重要な役割を持つ軍備管理・軍縮に積極的に取り組んでいくことは、我が国の平和外交の重要な一環をなすものである。
 同時に、軍備管理・軍縮の促進に取り組むに当たっては、我が国はもとより、世界各国とも自国の安全保障と結びついた重大な問題であるとの立場から、極めて冷徹な判断及び考慮を払いつつ、その促進に努力しているのであり、軍縮措置は各国の安全保障を損なわないように進めていかねばならないという原則は、国際社会における共通の認識となっている。
 我が国としてはかかる認識を踏まえ、みずからの安全を確保していくために、一方において日米安保体制の円滑かつ効果的な運用による抑止力の維持及び必要最小限度の防衛力の整備を図るとともに、他方において平和で安定した国際環境をつくるための積極的外交の展開の一環として、軍備管理・軍縮の促進に向けて努力することが必要である。
 二、次に、これは上述の点と関連するが、軍備管理・軍縮の促進に当たっては、現下の国際社会の平和と安全が世界的な規模における国家間の力の均衡に依存している点を認識する必要がある。
 かかる認識を踏まえて、力の均衡を維持しつつ、同時に、可能な限りより低い軍備の水準で平和と安全が確保されるよう軍縮を促進することが、唯一かつ最も現実的な道であると考える。
 三、さらに、実際に軍備管理・軍縮を進めるためには、効果的な検証措置を伴った具体的措置を一つ一つ積み重ねることが重要である。いかに理想的な宣言や提案が行われようとも、それが実際に兵器の保有や生産の削減を十分な検証により担保する具体的な措置を伴わないものであるならば、各国を納得させ、その合意を得ることができないのみならず、むしろ逆に、世界の平和と安定を危うくする可能性すらある。安全保障という国家の基本課題に重大な関連を有する軍備管理・軍縮の分野においては、効果的検証を伴った具体的措置という考え方は特に重要である。
 四、我が国としては、上記のような考え方に立ちつつ、具体的には米ソ間の軍備管理・軍縮交渉の進展、核実験全面禁止の実現、核不拡散条約体制の維持強化、さらには化学兵器禁止問題などを重視し取り組んでいるところであるが、今後とも国連やジュネーブの軍縮会議等の国際的な場や二国間の関係において軍備管理・軍縮の促進のため粘り強い努力を行い、我が国としてでき得る限りの貢献を行っていくべきである。
 五、最後に、特に現在世界の人々がその進展を強く期待している米ソ間の新たな軍備管理交渉について述べる。
 我が国としては、米ソ両国が真剣かつ建設的な態度でこの交渉に臨み、実質的な進展を図るよう強く訴えるべきである。
 現在、米ソの立場には大きな基本的隔たりがあり、今後困難かつ相当に息の長い交渉となることが予想されるが、米国は、我が国を含む西側全体の安全保障を確保するとの立場から交渉に臨んでおり、我が国としては米国のかかる姿勢を積極的に支持しつつ、同時に過大な期待を抱くことは慎みつつ、辛抱強くかつ冷静に交渉の成り行きを見守る必要があろう。
 この際、いわゆる反戦平和運動は、ややもすると国論分断等の意図的な工作に乗ぜられる結果となるおそれがあり、十二分に慎重に対処することが必要である。
 以上、本小委員会が行った参考人からの聴取の項目に従って意見を申し述べたが、本小委員会としてはなお、十分に審議できなかった問題点も多い。今後より深く審議すべき問題として、例えば民間防衛、純粋防御兵器、SDI、東西、南北を含めた経済の相互依存の深化、世界の平和、軍縮、繁栄を目指した科学技術の研究、一部の装備、施設等についてのリース制度導入の可否等のあることを指摘して結びといたします。
 終わり。
#4
○上田耕一郎君 私は、三回の小委員会での参考人意見に触れながら、三つのテーマについて日本共産党の見解を述べたいと思います。
 なお、一と二のテーマは絡み合っておりますので、一括して述べさせていただきます。
 まず第一に、自衛隊と日米安全保障体制の現状と問題点ですけれども、この本質は、例えば自衛隊はアメリカ占領軍の指令でつくられた対米従属、国民弾圧、憲法違反の軍隊でありまして、国連憲章違反、憲法違反の日米安保条約のもとでは、アメリカの戦略太平洋軍を補完する軍事的役割を負わせられている軍隊であります。個々の隊員の国を守るという意識とは別として、こういう本質を持っている自衛隊は、日本をアメリカに縛りつけている日米軍事同盟のもとでは、絶対に日本の主権と平和を守る自衛の組織とはなり得ない
ものであります。このことは在日米軍事顧問団の初代幕僚長であったフランク・コワルスキー陸軍大佐の「日本再軍備」などでも詳しく書かれております。
 なお、私は、大賀元海幕長が御自分の体験に基づいて、二十年、三十年自衛隊は全くアメリカ任せだったということを述べたことも非常に興味深くこの事実を裏づけるものとして聞きました。大賀元海幕長は、そういう状況に変化が起きたのは一九七五年だと述べて、坂田・シュレジンジャー会談から七八年十一月のガイドラインに至る経過を述べております。このガイドラインは、日米安保条約のNATO化、自衛隊のNATO並みの統合軍化を目指した安保条約の再改定に匹敵するものでありまして、自衛隊と日米安全保障体制の現状と問題点を考える際、このガイドライン以後の危険な事態は最大の問題点であると思います。この点は福山、佐藤、山川の参考人らが共通して指摘している問題であります。
 その第一の問題は、日米共同作戦と自衛隊の軍事分担区域の拡大であります。いわゆる領土の防衛から領土外の防衛に向かって踏み出した、この点がガイドライン以後今日に至る最も重大な問題点で、その中心はいわゆるシーレーン防衛であります。
 これは広大なグアム以西、フィリピン以北の西太平洋の海域を日本の自衛隊に軍事分担をさせようというものであります。これが新しい変化であることは、竹田前統幕議長も、防衛計画大綱作成当時は一千海里シーレーンには関心はなかった、そういう構想はなかったと述べておられることからも明らかでありまして、ガイドライン以後新たに鈴木首相の言明、中曽根現首相の対米誓約によってアメリカによって強く押しつけられているものであります。この作戦範囲の拡大によって異常な軍備拡張が押しつけられており、これは竹田前統幕議長も証言しているところであります。
 八一年のハワイ事務レベル協議で合計四兆円と言われる軍拡の要求、例えばミサイル護衛艦の七十隻、潜水艦二十五隻、P3C百二十五機、F15など三百五十機等々の具体的な要求が突きつけられたことは新聞紙上でも報道されております。なお進藤参考人は、このP3CとかF15の役割は第七艦隊を守るものにほかならないという点を指摘しております。
 このシーレーン防衛問題で今日重要な問題になっておりますのは、前田前海幕長、村井元統幕議長なども指摘しておりましたけれども、NLP問題であります。この三宅島をNLPの候補にしようという動きは、実はNLPだけにとどまりません。私は先日三宅島に行ってまいりまして、この点の実情をいろいろ調査してまいりましたが、例えばNHKの日高義樹特派員は、アメリカ国防総省からの直接取材に基づいて「アメリカ・レポート 三宅島基地問題」という小論文の中で、「三宅島、硫黄島に最新鋭のジェット戦闘爆撃機や対潜哨戒機を常駐させ、地域の防衛偵察にあたらせるというアメリカ側の構想」について報道をしております。
 つまり、硫黄島と三宅島をP3C、F15の作戦基地としようという計画をアメリカ国防総省は持っておりまして、日高氏は、「この構想が具体化してくれば、日本の防衛費のGNP比一%以下などという数字は軽くふっ飛んでしまう」と述べております。私もそう思います。なお、硫黄島については、八一年のワインバーガー・大村会談でアメリカ側から硫黄島にF15百機を置きたいという具体的な申し入れさえ行われております。私はこの点で、現在進められておりますシーレーン防衛の研究問題についても重大な関心を持ちますし、日本の政府がこのようなアメリカの要求を断固として拒否して、シーレーン防衛のために伊豆七島あるいは小笠原を恒久的な軍事基地化するという計画は放棄することを強く求めるものであります。
 第二の問題は、日米統合軍化、自衛隊がNATO並みの軍隊として米軍と一体的な従属軍になるという問題であります。これの進行で一つの画期的なものになりましたのは、昨年の十二月に署名されました日米共同作戦計画案の採択であります。これは文字どおり決定的な意義を持つであろうと思います。大賀前海幕長も、こういうものができ上がるまではアメリカは日本の防衛に関して何の研究もしていなかったということを述べているほどであります。
 この点で日米共同作戦計画案ができたということは非常に重大でありまして、この中身は政府は、幾ら追及しましても極秘だということで述べませんけれども、八〇年の六月五日、朝日のワシントン小川特派員が当時アメリカ側からスクープして報道したものによりますと、ソ連の北海道に対する局地戦以下の侵攻対策を基本にして、陸海空三自衛隊による作戦展開、運用、またそれに呼応する岩国基地の第一海兵航空団、横田の第五空軍、横須賀の第七艦隊、沖縄の第三海兵師団など米軍の展開を盛り込んでいると言います。「同計画の内容は詳細を極め、例えば日米両国が必要とする魚雷の数の推定から始まり、貯蔵されている魚雷をどんな運搬手段で、どの道路を使用してどこへ集めるかなど、すべての日米両国の兵員と兵器の動きを「地図と時計をにらみながら」シナリオ化したものだ」と報道されております。
 新聞報道によると、今度の作戦計画案は五センチの厚さというものでありますけれども、私はこういうものを国会に提出することを政府に強く要求したいと思います。
 なお、こういう作戦計画案で極めて危険なことは、日本の自衛隊が米軍の指揮下に置かれないということであります。五月二十三日に一九五二年のアメリカの外交文書が公表されました。
 これを見ますと、岡崎・ラスク両氏の間での行政協定交渉の中で、米軍指揮下のもとに日米連合軍をつくるという交渉さえ行われたことが明らかにされております。私が今国会で暴露いたしました陸上自衛隊の幹部学校の教科書「国土防衛作戦」の中でも、太平洋軍事同盟をつくり、アメリカ軍の指揮のもとに日米の統合軍をつくるという構想が書かれておりましたけれども、これも事実であることが裏づけられたと私は思います。
 今回の発表の中で、こういう構想はガイドラインに引き継がれていると指摘されております。ガイドラインの中には日米調整機関がつくられるということが取り決められておりますけれども、この日米調整機関なるものは、まさに米軍指揮下のもとに自衛隊がその傘下に公然と入るという危険な方向を示唆したものだと私は考えております。
 この日米共同作戦計画案なるものに基づいて、ガイドライン以後日米共同演習の陸海空にわたる大規模化、激化が進んでおります。これも安保条約のNATO化に進むものでありまして、兵器の標準化、継戦能力、インターオペラビリティーという相互運用性の強化、これらも日米統合軍化への不可欠の柱であって、こういうものがそれぞれ急速に進んでいることも重大であります。
 なお、竹田元統幕議長は今回の意見の中で、「この日米共同作戦計画は今のままの法体制、今のままの防衛力では絵にかいたもちにしかすぎないだろうという懸念を持っております。」と述べておりますが、このことは、絵にかいたもちでないようにしようというので有事立法を促進しなければならないということを告白したものだろうと思います。
 きのう国会は提案されました国家機密法、これは防衛機密だけでなくて外交機密なるものをつけ加え、何と死刑をもって規定しているという恐るべきファッショ的法律でありますが、森清自民党安保調査会副会長の自民党総務会での発言によりますと、戦前の軍機保護法も外交がなかった、一九四一年の国防保安法で外交を入れたということを述べておりまして、これは今度の国家機密法が有事立法と結びついた極めて憲法の基本をも覆しかねない重大な内容を持っているというふうに我我は考えております。
 第三の問題点は、日米軍事同盟の核軍事同盟化、それに伴う自衛隊の核戦争能力の強化が今推し進められつつあるということであります。
 日本に寄港する第七艦隊の核積載可能艦が恐らく確実に核兵器を積載していくであろうということはニュージーランドなどの事態から見ても明らかであります。ニュージーランドで米軍艦が寄港できなくなったことがANZUS軍事同盟の重大な打撃だとアメリカ政府は述べておりますが、日本に幾ら第七艦隊の軍艦が寄港しても、日米軍事同盟の打撃だと彼らが全く見ていないということは、核の存否を明らかにしないという政策の陰に隠れて非核三原則が完全に空洞化され、日本の全土が核軍事同盟化されている現実を示していると思います。
 私どもは、立木参議院議員が昨年の参議院予算委員会で取り上げましたが、神戸で行われているように、アメリカの核積載をしていないという厳密な証拠のない限り、一般港だけでなく、日本のすべての港にその証明のないアメリカの軍艦の寄港を拒否するという政策を日本政府にとるよう、国是の非核三原則の見地から強く要求したいと思います。
 なお、私、国会でも取り上げましたが、昭和三十四年に自衛隊が核戦争教育を行っていたという点がありますが、ガイドライン以後幾つかの証言によりましても、防護と称して核戦争下の教育訓練が進行しているという事態も日米共同作戦計画の想定のもとで、自衛隊が核戦争のもとで戦う能力を準備しつつあるという重大事態を示しております。
 今国会で中曽根総理大臣が、有事の際公海上でアメリカ軍が核兵器を使おうとする場合、日本は排除する立場にないと述べたことも、唯一の被爆国でありながら、核戦争を阻止するということでなく、核兵器の使用さえ容認しようとしている日本の政府の最も危険な状況を暴露したものであると我々は考えます。
 なお、今度の三回の小委員会の仲で私が重要に思いましたものは、竹田前統幕議長などの証言によって、実は日米安保条約体制なるものは日本を戦争に巻き込むものだ、日本を戦争から守るものではないという事実が述べられたことであります。竹田氏は、単独で日本が攻められるということはない、中東あるいはヨーロッパ、あるいは極東、特に朝鮮の事態でそれが日本に波及する場合に日本で有事のことが起きるということを述べました。この点は非常に強調されておりますソ連脅威論、これが実はフィクションにほかならないという進藤参考人その他の指摘の真実性を裏から示したものであると私は考えます。
 この点で、六月五日付の新聞で報道されましたマンスフィールド駐日米大使が米上院議員にあてた書簡の中で、日本は米国自身の防衛に直接かかわるということを述べたものも興味あることであります。つまり、アメリカ側は日本の自衛隊が日本を守るのではなくて、アメリカの防衛にかかわっているということを大使自身が述べたようにみなしているということであろうと私は思います。
 なお、この証言の中で大賀前海幕長は、「日米安保体制になって三十年。よく法制的に安保条約の片務性だとか、あるいは部隊の運用についての集団的自衛権がどうあるべきだとか、あるいは非核三原則だとか、いろいろ研究されるべきことは将来に向かって少なくない」と述べておりますが、安保NATO化の危険な進行の中で、いよいよ憲法違反の集団自衛権問題、非核三原則の改悪問題、安保条約の片務性をさらに改悪しようとする危険な事態が進行していることを、自衛隊の元制服の方が国会で述べたものとしても重大であろうと私は考えます。
 以上のような状況の中で、もう時間がございませんので簡単に述べますけれども、日本の安全、それからアジアの平和を守る上ではこの日米安保条約を廃棄して、独立、非同盟、中立の日本の道を進むこと、自衛隊の縮小、解散を図ることが必要であると我々は考えております。万一中立が侵犯された場合は、憲法と矛盾しない自衛措置をとるべきであろうし、将来独立・民主日本が安定してきて、国民の世論に基づいて憲法上の措置がとられた場合には中立を守る自衛措置が必要になるであろう、そういうのが私ども共産党の考えであります。
 時間が少しなくなりましたが、ちょっとお許しいただいて簡単に、最後に軍縮問題について述べたいと思います。
 ことしは第二次大戦終了四十年、広島、長崎被爆四十周年に当たります。しかし、戦後四十年の期間に核兵器は五万発になり、進藤参考人、高榎参考人、杉江参考人などが指摘しましたように、もし米ソが持っている核兵器の一 %が爆発しただけでも核の冬が起き、人類が死滅しかねないという危険な現状にあります。この中で核兵器廃絶が全人類の最も緊急な重要な課題にたっていると我々は考えます。
 その点で、なぜこのような核軍拡が四十年間進行してきたかと申しますと、やはり均衡と抑止の理論というものが横行して核軍備拡張の悪循環の導因になってきたという事態がございます。我々は、国連の第一号の決議に述べられておりましたような核兵器廃絶に今こそ取り組むことが最も必要になっていると確信しております。
 その点で、ことしは国際政治に核兵器廃絶が具体的に日程に上った年として重要であります。昨年の十二月十七日に日ソ両党の共同声明でこの点を確認いたしました。また、レーガン大統領も八三年以来核廃絶を理想として何度も強調しております。一月八日のシュルツ・グロムイコ米ソ外相の声明も、今度の交渉であらゆる分野の核兵器の完全廃絶を目指すべきであるということに合意いたしました。その後、さまざまな問題逆流も特にSDIを中心に起きておりますけれども、国際政治に核兵器廃絶が日程に上ってきたこの年に、唯一の被爆国日本の重要な責務は、核兵器廃絶を本当に第一義的課題として掲げて、国連でも、国際世論に対しても、また日本の国内でも、大いに国民も政府も国会も活躍すべきことが最も重要な唯一の被爆国としての責務であると我々は確信しております。
 この点で、最近の衆参両院の国会決議で、核兵器廃絶を今日の緊急の課題として取り組むべきなのか、それとも将来の究極の課題として棚上げすべきかが問われていることし、「究極的」という言葉がつけられたことは極めて残念に我々は考えます。唯一の被爆国日本として核兵器廃絶のために全世界の先頭に立って奮闘すべきことと同時に、この核軍縮を推し進めている根源としての軍事同盟、軍事ブロックの対抗をなくすために、軍縮の観点からも安保条約廃棄のために奮闘することが最も重要な国民的課題になっていると我々は考えるものであります。
 以上で終わります。
#5
○関嘉彦君 民社党を代表して述べます以下の意見陳述は、第百一国会における本委員会の報告、すなわち昭和五十九年八月七日の会議録に戦っておりますものを前提にしまして、いわばその各論に当たるものであります。したがって、前回に述べたものと重複する点は極力省略し、その折に述べ尽くさなかった点を中心に述べます。
 民社党の考える総合安全保障の基本的な考え方及びその安全確保の手段として、適切な国内における経済的、治安などの措置をとることはもちろんでありますが、対外的には外交的手段による紛争の解決と並んで必要最小限の防衛力が必要であること、そしてその防衛力として自衛隊及びその不足を補うものとしての日米安保条約は、合憲であるのみならず、必要であることについては既に昨年述べたとおりであります。しかし、自衛隊の現状並びに日米安保条約の運用面については問題がないとはいえません。
 まず、自衛隊の問題点を取り上げます。
 問題点の第一は、政治による防衛の統制体制についてであります。
 言うまでもなく、防衛は国家存立の基本に関する問題であって、防衛庁のみに任せておくことはできない。国内の治安、財政、経済などの国内的な要因や外交関係などとの関連で対処すべき問題であります。しかるに、現在の国防会議はその運
用が形骸化して、事実上は防衛庁で決めたところの業務計画あるいは予算案の追認機関になってしまっていて、国家の安全をそのときどきの情勢に対応して審議、決定する機関とはなっていない。例えばSDIについての対処であるとか、日米の防衛協力の方針の決定であるとか、あるいは軍縮ないし軍備管理の基本方針などを総合的に審議、決定する機関が必要であります。そのためには、現在ある国防会議や総合安全保障関係閣僚会議を統合改組して、以上のごとき任務を遂行するために、総理大臣を議長とし、少数の関係閣僚を議員とする国家安全保障会議を設立すべきである。また、その事務局には、内外の情勢を的確に把握し、政策の判断の基礎及び有事に対する的確な判断を下せる資料を会議に提供し得るように充実したスタッフを備えるべきであるというふうに考えます。
 防衛体制の第二の問題点は、自衛隊内部の指揮系統の一元化であります。
 戦前の陸海軍の内部不統一の愚かさを繰り返さないために統合幕僚会議議長の権限を強化することが必要であります。平時においても教育訓練とか後方計画の作成であるとか、陸海空軍間の重複を避けて冗費を節約するため統幕議長の調整権限の強化が必要でありますが、特に有事において統合部隊の編成されたときはもちろんでありますが、それ以外のときでも統幕議長の権限が現在のままでいいかどうか再検討すべきであると思います。特に有事に際し、指揮命令は迅速であることを必変としますが、統幕議長が直接に防衛庁長官を補佐するように改める必要があります。
 第二の問題点は、危機に対処する対応策の整備の問題であります。
 近代戦はしはしば奇襲をもって始まる。防衛出動下令前の奇襲を受けた場合に、自衛隊はいかなる行動をとるべきであるかについての規定の整備を図ることが大切であります。それとともに、防衛出動下令後の自衛隊の行動についての有事法制の整備も至急に行うべきであります。例えば、自衛隊法第百三条は有事における物資の収用について決めておりますけれども、依然としてその政令はつくられていない。これについて防衛庁はその問題点の研究に着手し、中間報告を発表していますけれども、政令の公布には至っていない。至急整備すべきであると考えます。
 第三の問題点は、装備の近代化とその効率化であります。
 日本のように国土が狭くかつ人口稠密な国土においては、敵を国内に引き入れて撃破するということは極めて困難であります。したがって、専守防衛を旨とする自衛隊は、波打ち際で、可能な限り洋上で敵を撃破することを旨とし、にもかかわらず上陸してきた敵に対しては、既成事実をつくらせないように速やかに撃退する体制をつくっておかなければなりません。そのためには、何よりも侵略行動を早期に察知するために偵察衛星やあるいは高性能レーダーの設置による情報収集能力の向上が第一に必要であります。また、電子機器を使っての防空能力の向上、海峡、シーレーン防衛のための海上防衛能力の向上、上陸部隊撃退のための機動力のある電子機器を装備したところの陸上部隊の整備も急がるべきであります。
 ただし、防衛は一国の経済力と無関係に行うことはできない。日本は昭和五十一年来、基盤的防衛力の充実の考え方に立って防衛費をGNPの一%に抑える方針をとってまいりました。この枠を堅持したことは、外国に与える誤解を回避し、あるいは国民的合意の形成にとってそれなりの役割を果たしてきたと思います。しかし、アメリカの力が相対的に低下し、ソ連の極東地域における著しい軍備の増強を見る今日においては、いつまでもGNP一%枠内に防衛費を抑えることは不可能であると思います。もちろん、むだな経費は極力節約する必要があり、また自己増殖の危険性を持つ軍事費に対して一定の歯どめをかけることは必要でありますけれども、それは政府及び国会がそのときの情勢に応じて抑制すべき問題であるというふうに考えます。
 第四の問題点は、自衛隊員の人材の確保と教育の問題であります。
 いかに優秀な武器があっても、それを使う人の質が悪ければ戦力にはならない。現在の自衛隊の定員をこれ以上増加することは必ずしも容易ではないし、また必要でもないと思う。それよりも必要なことは、自衛隊員の士気を高め、質の向上を図ることです。自衛隊の士気を高める最善の方法は、国民が防衛に対して理解を持ち、自衛隊を支持して万一の場合ともに戦うという雰囲気をつくることが必要であります。その空気を変えるために政府のなすべきことは最後に述べますけれども、さしあたりここで強調しておきたいことは、隊員の処遇とその地位を向上させ、隊員に社会的にも尊敬される仕事をしているという誇りを与えることであります。特に隊員の兵舎の劣悪さは既に国会でも指摘されたところでありますけれども、一日も早くその改善を行うべきである。
 さらに、質の向上のためには訓練が欠かせない。現在でも予算が足りないために十分の訓練が行われていない。公害問題など困難な問題があることは十分承知しておりますけれども、政府はこれら問題の解決に早急に取り組み、訓練のための予算を充実すべきであるというふうに考えます。
 いま一つ重要なことは、指揮官となる幹部の教養の問題であります。現在防衛大学校においては、単に専門教育だけでなしに、社会科学の教育も限られた時間ながら行われていますけれども、何よりも幹部は専門知識を持つのみでなく、常識豊かな社会人になることが必要である。そのためには一般の大学の大学院やあるいは外国の大学に留学させて世間の一般の常識にも触れさせ、その教養を高めることが必要であります。
 次に、日米安保条約の問題点について述べます。
 日米安保条約は、その第二条に規定するように、単なる軍事的協力のみの条約ではない。しかしここでは、その防衛面の問題点のみを取り上げます。
 現在の世界が基本的に米国を中心とした自由陣営とソ連を中心とした共産陣営との対立であって、日本は自由陣営の一員として以外繁栄することはもちろん、生き延びることも難しいことは既に述べたとおりであります。しかしそのことは、アメリカの外交国防政策は無条件に支持するということではない。必要な場合、日本は米国に対して適切な忠告を行うべきであると思う。しかし、それはあくまで同盟を強化する立場からのものであることを忘れてはならないと思う。
 米ソ両国の軍備競争に対しても、米国のみを非難する論調が時として見られるわけでありますが、しかし、ソ連は封鎖社会であるのに対して米国は開放社会であることを忘れるべきではないと思う。つまりアメリカの対外政策は、議会あるいはマスコミの批判の対象になるためにその実態が知られやすいですけれども、ソ連では反対党や自由なマスコミがないために、ともすると秘密のベールに隠されがちであります。そのような情勢を考えると、我々は米国のみの軍備拡大を非難することはできないと思う。
 日米安保条約の運用につきましてもそのことを忘れてはならない。確かに日米条約が日本に与えるマイナスの面も少なくないことは認めます。しかし、その条約がない場合のソ連の脅威を考えると、可能な限りそのマイナス面を少なくする一方、日本憲法の範囲内でその条約の有効な機能を発揮できるように努めるべきであります。
 その点で第一の問題点は、有事の際の日米共同の作戦が行われるよう組織及び法制面の整備を平時から用意しておくべきことである。すなわち、統合司令部における指揮命令系統の調整を行うとともに、日本救援のために来援する米軍が日本国内で有効に活動できるように法制面の整備を行っていくことが必要であります。
 第二に、ヨーロッパのNATO諸国が行っているように、日本においても救援のための米軍が日本で使う武器、弾薬などの最小限度のものはあらかじめ事前に備蓄しておくことが必要であり、そ
のことが米軍の来援をより確実にするものと言えると思います。
 以上のように、日米安保条約を堅持し、自衛隊の整備をすることが日本の安全を確保する上で必要でありますけれども、しかしそのことは、現在の自由陣営と共産陣営との間の一触即発の対立状況をそのままにしておくということではない。軍備の拡張、特に核兵器による対立が経済的にむだであるのみならず、そのこと自体が偶発戦争を引き起こす危険性を持っております。したがって、両陣営の間の軍備の縮小、特に核兵器の廃絶を世界、特に米ソ両国に対して働きかけることが必要であります。しかし、自由陣営が一方的に軍備、特に核兵器を廃棄すればソ連もそれを見習うであろうという考え方は極めて危険であると思います。軍縮は双方がバランスを保ちつつ漸進的に縮小を図り、しかも検証を伴うものでなければなりません。両陣営間の不信の念が続く限り、検証抜きの軍縮は、秘密社会であるソ連を利するのみであります。また、ソ連との間で効果的な軍縮交渉を成功させるためには、自由陣営の団結を図りつつ、日本はそのすぐれた技術を利用して検証手段を提供するなど、側面からこれを援助することが必要であると考えます。
 最後に強調しておきたいことがあります。それは国民の間における防衛意識の向上であります。
 日本は先般の大戦で無謀な戦争を行い、しかも敗戦した結果、国民の間には戦争を連想させるようなことはなるべく考えないようにするような気風が一部にあります。しかし、世界の人々は必ずしもすべてが天使のような人たちばかりではありません。戦争の原因となるような国際紛争の種を外交的手段で除去することはもちろん必要でありますけれども、力の空白が侵略の原因になったという過去の歴史の経験にかんがみ、防衛のために最小限度の自衛力とその足らざるところを補う米国との同盟の維持が必要であります。戦争を防ぐ最善の方法は、外国の侵略に対しては最後まで抵抗するという国民の気迫と、それを裏づける最小限度の防衛力の保持であります。自衛隊及び日米安保条約も、それが万一のときに使われなくて済む最善の方法は、それがいつでも有効に機能し得るごとく整備しておくことであります。そのことを国民に周知徹底させるためには、政府も率直に日本を取り巻く国際的な軍事情勢の実態を公表して、その対策の必要を国民に訴えるとともに、国会でも安全保障の問題について各党の考え方の差を討論を通じて国民に明らかにし、この問題についての国民の関心を喚起すべきであり、外交・総合安保調査特別委員会の任務もまさにその点にあると考えます。
#6
○志苫裕君 私から意見を申し上げます。
 一、自衛隊の現状と問題点
 防衛庁が今編成作業を急いでいる五九中業に日本の自衛隊の現状と問題点が象徴されている。
 第一に、五九中業は、極秘の五九統長(統合長期防衛見積もり)や五九統中(統合中期防衛見積もり)の国際軍事情勢の分析を踏まえ、陸海空の三自衛隊の統合戦力による三海峡封鎖、シーレーン防衛並びに制海、制空圏確保、敵策源撃破のための洋上阻止、侵攻作戦などを想定している。これは明らかに防衛計画の大綱に定められた「限定的かつ小規模な侵略」への対処を基調とする専守防衛戦略を覆し、かわりに公海上、公空上でなるべく本土から遠いところで敵を迎え撃つ前方防衛、反撃戦略への危険な転換を企図するものである。
 第二に、総額で十九兆円強と見込まれる防衛費によって、五九中業は明らかにGNP対比一%以内の制約の突破をもくろんでおる。
 この戦略転換のもとで航空自衛隊は、航空軍から航空侵攻、制空作戦を目指す攻撃的航空戦力に変貌し、海上自衛隊は、対潜作戦から戦略制海作戦(シーレーン防衛、敵基地撃破、三海峡封鎖など)の海上戦力に転換し、また、陸上自衛隊は、通峡阻止作戦、着上陸阻止、自隊・地域防空作戦を遂行し、時期を見て攻勢に転ずる決戦防御の地上戦力に転化しようとしている。
 このため、航空自衛隊はF15制空戦闘機六十五機を増強、七飛行隊百九十機体制(他にF4EJ三飛行隊)、E2C早期警戒機十二機体制の確立を図るとともに、新しく四千キロ先まで探知可能超長距離監視(OTH)レーダー、広域の防空指揮が可能な大型のE3A空中警戒管制機(AWACS)戦闘機の行動範囲を拡大するための空中給油機などの導入を企図している。
 海上自衛隊は、P3C対潜哨戒機を五十五機増強、これを百機体制に拡充するとともに、最新鋭のAEGIS艦二隻を初め、戦闘用艦艇十二隻の建艦を計画している。さらに、陸上自衛隊は師団改編に着手し、北海道師団の機甲(戦車)師団化を推進するとともに、新型戦車、戦闘装甲車の大量導入、地対艦ミサイル(SSM1)三・五個隊の整備に乗り出した。これらの攻撃的兵器体系の導入、整備が五九中業の危険な性格を浮き彫りにしている。
 日本の軍事大国化を目指す中曽根内閣のこのような政策に対し、我が党は憲法理念を実現していく方策の一つとして、GNP対比一%制約の厳守と防衛費の凍結、縮小を強く要求するものである。周知のように、少額の頭金を当初予算に計上するだけで調達費の大部分をツケの形で後年度に回す後年度負担のシステムによって、一単位当たりの調達費が百億円を超える百億円兵器の大量調達が行われようとしている。したがって、中曽根内閣の防衛費突出、聖域化政策に対して、当面、我が党は、明らかに専守防衛戦略の限界を超えた攻撃的正面兵器であるF15戦闘機、P3C対潜哨戒機、ミサイル搭載護衛艦(DDG)、ハープーン搭載潜水艦や五九中業で調達が予定されているOTH(超長距離監視)レーダー、AEGIS改良型ミサイル艦(DDG改)、E3A空中警戒管制機(AWACS)などの百億円兵器の当初予算計上の中止を要求するものである。
 このような攻撃的正面兵器の予算の凍結によって、巨額の後年度負担が削除され、防衛費の大幅縮小が可能となる。こうして、日本が厳格に専守防衛戦略とGNP対比1%枠を堅持することで米国を初め周辺諸国に対して、通常兵器における軍備縮小を強く要求することができるはずである。この政策こそが、五九中業による日本の軍事大国化への道よりも、日本の安全保障上はるかに適切な政策であることをこの機会に強く指摘するものである。
 二、日米安保の現状と問題点
 日米共同作戦計画の調印、三沢基地への核搭載戦闘爆撃機F16の強行配備、核巡航ミサイルトマホーク搭載原潜の横須賀寄港による非核三原則空洞化の試みなどに見られるように、日米安保体制のアジア・太平洋核安保、世界核安保体制への危険な転換が今急速に進められている。ワインバーガー米国防長官は、米議会に送った「一九八六会計年度国防報告」の中で、「われわれは紛争が同時に二ないしそれ以上の地域に拡大する場合に備えて、この同時多正面紛争の対処能力を持たなければならない。ソ連は同時に多数の地域で侵略を開始する能力を完全に備えており、われわれはこの事実を考慮に入れなければならない」(「八六国防報告」)とあるように、レーガン米政権は対ソ同時多発戦争に備えた戦略転換を急いでいる。それは、NATO正面、北大西洋のG・I・UKギャップ(グリーンランド、アイスランド、英国)、北太平洋に位置する宗谷、津軽、対馬の日本の三海峡地域などにおける対ソ戦争準備を意味している。昨年十二月に調印された日米共同作戦計画やF16の三沢基地配備、核トマホーク搭載原潜の横須賀寄港などは、対ソ最前戦基地としての日本列島の役割を象徴するものである。
 こうして、日本へのあり得る侵攻のシオリオとしては、もはや限定的かつ小規模なものではなく、世界の他地域での米ソ対決のアジア・太平洋への波及を基本的に想定したものとされており、日米安保体制と自衛隊は、これに対処するものと位置づけられている。問題は、日本政府・防衛庁がこの転換を事実上公然と受け入れ、積極的にこたえようとしていることにある。
 このような日米安保の世界核安保への画策は、必然的に日本の命運を米国の対ソ極東戦略により強くしばりつけることになる。日本国民の安全よりも米国の極東戦略が優先され、グローバルな米ソ戦争が万が一勃発した場合、日本全土は米戦略の最前線として荒廃の局地にさらされることになる。我が党はこのような危険な戦略に強く反対するとともに、逆に、日本が日米安保体制から離脱し、中立の立場を確立して、それをてこに積極的な平和外交を展開し、日本のみならず世界の緊張緩和と平和のために努力する道を選ぶよう主張する。この中で、日米の友好協力関係を追求すると同時に、日ソ関係においても友好協力関係を拡大し、北方領土等の解決を行うべきである。
 三、軍縮問題と我が国の対応
 ジュネーブでは、今、米ソ包括的核軍縮交渉が開かれているが、一、宇宙軍拡の規制二、戦略核兵器の削減三、欧州中距離核の配備規制の三テーマをめぐって厳しい対立が続いている。言うまでもなく、この米ソ包括核軍縮交渉の成否の分岐点をなすのが、SDIと宇宙軍拡をめぐる米ソの対立である。SDIや宇宙空間へのあらゆる種類の戦略兵器配備は、米ソ核軍縮交渉の進展にとって重大な障害となるばかりか、世界平和にとっては今や最大の脅威であると言わなければならない。
 ソ連の戦略ミサイルの無力化を狙う戦略防衛構想(SDI)の推進によって、レーガン政権は米ソ核軍拡競争を宇宙空間に拡火する口火を切った。しかも、このSDIは自国の都市、産業センターを人質として相手の核報復第二撃の前に故意に無防備状態に置くことで辛うじて成立していた相互確証破壊戦略と恐怖の均衡からの決別を意味している。それは、この抑止戦略よりもはるかに危険な核戦争を戦って勝利する戦略への移行を示唆するものである。
 ところで、中曽根首相はこのSDIへの理解や支持を言明し、「政府の参加するかどうかの態度が未決定の段階でも日本企業が米国のSDI研究に参画することは可能」(外務省)との姿勢に見られるように、日本のハイテク企業のSDI参加を暗黙のうちに推進している。このように、中曽根内閣のレーガン核戦略への加担は紛れもない現実となった。これは日米安保体制を文字どおり米核戦力を中軸とする世界核安保へと飛躍、発展させる危険な試みである。
 このように中曽根内閣は、レーガン米政権の力の政策と対ソ核戦略是認の立場から、この米ソ核軍縮交渉にとっては有害かつ誤った姿勢に終始している。ロンドン・サミットからボン・サミットへの経過の中で、中曽根首相は一貫して西側同盟の結束強化と力の政策を主張し、レーガンの対ソ核戦略をこの立場から支持し続けることによって、米ソ核軍縮交渉の進展に重大な障害をみずからつくり出しているのである。
 我々が目指すべき方向は、このような動きとは全く逆である。SDIやあらゆる種類の戦略兵器の宇宙空間への増強配備を米ソ両国が強く自制し、戦略・戦域核兵器についてもその凍結、削減に踏み切ることで米ソ包括的核軍縮交渉は初めて実質的な進展を遂げることができる。これによって世界核戦争の現実的脅威も軽減されることになる。
 日本が軍縮に関して貢献できる最善の道は、日本自身が軍備増強をしないことを基本として非核三原則の厳守、アジア・太平洋非核武装地帯の提唱及び世界の反核運動や非核国のイニシアチブの確立などで日本政府は世界的な核軍縮の達成に積極的な役割を果たすべきである。核及び通常兵器の世界的軍縮に日本が大きく寄与するための措置として、核軍拡競争と軍縮の現状についての完全な情報公開、ストックホルム平和研究所に匹敵する国際的な平和・軍縮研究センターの設置、国際的な軍縮・平和教育機関の開設などが世論形成の重要な課題であることを指摘したい。
 以上であります。
#7
○小委員長代理(中西一郎君) 以上で小委員の皆様の御発言は終了いたしました。
 公明党・国民会議黒柳明君及び参議院の会秦豊君よりそれぞれ本日のテーマについて意見を開陳した文書が小委員長の手元に提出されておりますので、これを本日の小委員会会議録末尾に掲載することといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト