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1984/06/14 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会 第4号
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1984/06/14 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会 第4号

#1
第102回国会 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会 第4号
昭和六十年六月十四日(金曜日)
   午後二時一分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         植木 光教君
    理 事
                大鷹 淑子君
                大坪健一郎君
                中西 一郎君
                大木 正吾君
                黒柳  明君
                上田耕一郎君
                関  嘉彦君
    委 員
                石井 一二君
                大木  浩君
                源田  実君
                佐藤栄佐久君
                曽根田郁夫君
                鳩山威一郎君
                堀江 正夫君
                久保田真苗君
                志苫  裕君
                中西 珠子君
                和田 教美君
   国務大臣
       農林水産大臣   佐藤 守良君
       通商産業大臣   村田敬次郎君
   政府委員
       農林水産大臣官
       房長       田中 宏尚君
       農林水産省経済
       局長       後藤 康夫君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     関谷 俊作君
       農林水産省畜産
       局長       野明 宏至君
       農林水産省食品
       流通局長     塚田  実君
       食糧庁長官    石川  弘君
       林野庁長官    田中 恒寿君
       水産庁長官    佐野 宏哉君
       通商産業省通商
       政策局次長    鈴木 直道君
       通商産業省貿易
       局長       村岡 茂生君
       通商産業省産業
       政策局長     福川 伸次君
       通商産業省機械
       情報産業局長   木下 博生君
       資源エネルギー
       庁長官      柴田 益男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山本 義彰君
   説明員
       外務省条約局審
       議官       湯下 博之君
       大蔵省関税局企
       画課長      吉田 道弘君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○外交・総合安全保障に関する調査
    ─────────────
#2
○委員長(植木光教君) ただいまから外交・総合安全保障に関する調査特別委員会を開会いたします。
 外交・総合安全保障に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○大坪健一郎君 農水大臣にお出ましを願いまして、貿易摩擦の問題と海洋法の問題について御質問を申し上げたいと思います。時間が限られておりますので簡略に御質疑を申し上げます。
 実は、最近貿易摩擦をめぐりましてアメリカの国会筋が大変対応が厳しくなっております。特に四月の初めに上院が対日非難決議をいたしまして、二月には上院の外交委員会が全会一致の対日報復決議を出して、またこの二、三日前には上院が防衛費の増額要求決議のようなものを非常な短期間に、加藤防衛庁長官がアメリカにおられるときに出すという、我々にとってみればいささか非礼な措置ではないかと思いますが、そういうことが行われたわけであります。受け取りようによっては内政干渉ととられかねない物の言い方でありまして、私どもも事情をよく考えなければやや率直に言って腹の立つ話であります。アメリカに対して反省を求めたい感じがございます。
 ただ、現在の貿易摩擦の実態の中にはアメリカの内部で反省が起こり、ドル高についてその原因を正さない限り問題の基本的解決は難しいのではないかという議論も出ておるようなときでございますから、ドル高の是正、高金利の是正ということになれば、当然アメリカの政府支出の削減という方向に動き、それが今回の大統領の特別の要請にもかかわらず防衛予算が削られるという形で出てきておるとすると、その代償として日本にあのような要求が出るというのも理解できないことではないという意味で、あえて内政干渉とは申しませんけれども、しかし特に農業に関係いたしましては、日本の農産物の問題についてはこれは国益の絡むそれこそ安全保障の基幹問題でございます。農水大臣はこの点についてどのような御関心と御決意をお持ちかを、まず最初に原則問題としてお話をいただきたい。
#4
○国務大臣(佐藤守良君) 大坪先生にお答えいたします。
 農業というのは、生命産業として国民生活にとりまして最も基礎的な物資でございます食糧の供給を初めとする国土、自然環境の保全等極めて重要な役割を発揮しております。また、地域社会におきましても就業機会の低下など地域経済社会の健全な発展を図る上で最も大切である、このように考えています。そんなことで私としましては、農業の重要性について今後とも各方面の理解を得るよう最善の努力をしている状況でございます。
#5
○大坪健一郎君 農業については原則的な保護主義をとらざるを得ない、特に穀類については私はそういう感じを強く持っております。穀類の中の米については特にそういう感じを強く持っております。
 しかし、全体として日本の農業は非常に輸入に頼っておる面もございます。輸入の状況がどうなのか、輸入の依存度、それからまた自給率の状況といったものについて農水大臣の御意見を伺いたいと同時に、輸入制限をしております残存品目がございますが、それの処理を今後どうされるか、これは新ラウンドの問題が将来起きまして、農業をどう取り扱うかという問題もありましょうし、また農業問題に関して各国との協議の中で一九八五年の秋以降話し合いをもう一遍するという十三品目の問題もございますので、全体として日本の産業の中で農業が外国との関係でどうなっておるのか、そこを御説明いただきたいと思います。
#6
○政府委員(後藤康夫君) お答えを申し上げます。
 我が国の農産物輸入額は食糧需要の増大でございますとかあるいは食糧需要の構造変化、畜産物消費の増大とかそういうことによりまして増加をしてまいってきておりまして、一九八四年、昨年の農産物輸入額は約百八十六億ドルというふうなことで、世界的に見ましてもソ連と並びます農産物の大輸入国になっております。輸入総額千三百六十五億ドルのうち農産物が百八十六億ドルを占めているというような状況でございます。
 主な品目別の輸入で申しますとトウモロコシが大体千四百万トン、小麦が六百万トン、それから大豆、グレーンソルガムともに四百五十万トンというような輸入を行っておりまして、世界貿易に占めます割合という点から見ましても、トウモロコシ、大豆それぞれ約二割程度を世界の貿易量のうち日本が輸入しております。小麦につきましても五%ぐらいは輸入しておるという状況でございます。金額ベースの自給率で申しますと約七割でございますけれども、例えば畜産物のカロリーなどのもとをたどりますと、輸入飼料のカロリーというふうなことで計算をいたしますと、大体国民が口に入れておりますカロリーのうちの半分強が自給で、半分弱が輸入にもとをたどれば依存をしておるという状況でございます。そういう意味におきまして、我が国の農産物輸入国としての地位というのは、世界的にも非常に大きなものになっておるというふうに実態認識をいたしております。
 それから輸入制限品目の問題につきましては、今お話のございましたように、牛肉、かんきつ、それから十三品目、それぞれ昨年の四月に非常に難しい交渉を経まして決着を見たところでございます。十三品目につきましては、今年度末に期限が切れますので、来年の春には再交渉をいたすということになっております。
 自由化努力も長年の間続けてまいりまして、農林水産品二十二品目ということになってまいってきております。これらはいずれも農業なり水産業で基幹的な地位を占めているもの、あるいはまた地域の農業の存立に非常に重要なものばかりでございますが、現在我が国の置かれております立場の中でいわゆる行動計画の検討というようなものが行われております。その中で私どもやはりそれぞれの品目につきまして点検を今いたしておりますけれども、いずれも自由化ということはなかなか困難なものだというふうに現在考えておるところでございます。
#7
○大坪健一郎君 お話によりますと、カロリーの半分は自給しているけれども、半分は輸入に頼っておるということでございます。輸入に頼っております場合に、国家の安全保障の観点から見ると非常に心配される事態がございます。例えばもう相当以前の話でございますが、アメリカがアメリカ国内の大豆価格の暴騰を理由に日本に対して大豆の輸出をとめるという動きがありまして、日本はその場合大変努力をしてほかの国から、中国からも入れて事なきを得たのですが、価格は三、四倍にたしか上がったと思います。豆腐屋さんなんかは大変な苦労をしたわけでありますけれども、そういう首根っこを押さえられるような動きが相手国の都合によって一方的に行えるというふうになっておるようであります。これはガットでも許されておるようでありますが、そういう状態を考えますと、カロリーの半分を外国に依存するということはそのこと自体で既にもう相当深刻な状況ではないかと思います。したがって、米を中心に自給のできる領域というものは基本的にこれを確実に手の中に握っておかなくてはならない。これについては、やはり譲歩はできないという点をあらかじめ国の内外に対して強く日本としては言っておかなくちゃならない、これが安全保障上どうしても必要な問題だという点について農水大臣はどうお考えでしょうか。
#8
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えします。
 御指摘のとおりでございまして、我が国の食糧の安定供給というのは、安全保障の国の基本という大きな体質の問題があります。そんなことで、私たちは食糧の供給について三つの考え方を持っています。
 その一つは、国内で生産できるものはできるだけ国内で生産し供給するということで、そのためにいかに国土を利用して生産性を高めるかということで、これを総合的な自給力の基準にしているということでございます。それからまた、実はどうしても不足するものは安定的輸入をどうするかということとともに、それから国際的に農業協力をどうするかということを含めて考えるということです。それから三番目には、不測の障害等があった場合とか、あるいは国内で例えば不作等があった場合ということで備蓄をどうするか、この三つの点を中心に考えていることでございまして、お米につきましてはおっしゃるとおりでございます。
#9
○大坪健一郎君 そこで、実はそういう観点であるにかかわらず、現状はまだ問題が起こっておりませんけれども、どうもやはり心配な問題があるわけでございます。それは、アメリカはドル高放置政策、あえて放置政策と言いますけれども、ドル高と高金利政策をずっととり続けておりますために起こってきた非常にアメリカ自身にとって困った問題がある。それは輸出品の価格が高くてあちこちでアメリカの国内産業に影響が出てきておる、特に農業がひどいという報告があちこちから出ております。二百二十万戸のうち三分の一の農家が経営不振だ、そして約二%程度は破産状態だという報告もあります。アメリカの農産物の輸出は八一年度は四百三十八億ドルだそうですけれども、八五年度には三百三、四十億まで減るのじゃないかというふうに言われておる。アメリカの小麦やトウモロコシの値段は、したがって例えばアルゼンチンに比べて五〇%も高い、割高だということも言われておるようでございます。
 こういうことになりますと、アメリカの農業の売れ行き不振というものがアメリカ全体の世論の中で浮き上がってまいりまして、来年の選挙を控えてアメリカの国会でも対日要求の中に、例えば市場志向型個別協議として農産物を取り扱えという要求が出てくる可能性もあると思うのです。そういう問題の出し方をされたときには、我々は厳しくこれに対しては批判を加えて対抗しなきゃならぬ、理論武装も要るのじゃないかと考えるわけでございます。今後そういう問題が起こり得るということを考えて、農水大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
#10
○政府委員(後藤康夫君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、アメリカの農業は今非常な苦境にあるわけでございます。一九七〇年代というのはアメリカの穀物輸出が非常に伸びまして、大変なブームであったわけでございます。そのときにいろいろ借り入れをし、設備をふやす、農地を買い足すというようなことでやってまいりましたものが、八二年ぐらいから農産物の輸出の増というものがとまりまして、むしろ世界の中の農産物市場におきましてアメリカのシェアがどんどん下がってくる、これはドル高が非常に響いているわけでございますが、非常な苦境になり、今後の農政をどうしていくかということが今アメリカでも大議論になっているわけでございますが、一番問題になっておりますのはやはり穀物とか大豆でございます。こういうものにつきましては、我が国はアメリカとの間で非常に安定的なまた非常にいい買い手として良好な関係にございます。こういった分野につきましては、毎年アメリカの農務省と定期的な協議もやっております。こういった分野につきまして日米間で特に新しい問題が農業不況に関連をして起きてくるというふうには私どもは必ずしも考えておらないわけでございます。
 日米間で問題になっております、例えば牛肉というようなことが昨年非常に問題になりましたけれども、こういうものにつきましては、むしろ飼料穀物の値下がりというのは牛肉農家についてはコストの減に結びついてくるというような面もないわけではないわけでございます。
#11
○大坪健一郎君 この点はひとつ大臣、しっかりお願いしたいと思います。
 次に、この間ソ連とサケ・マス交渉をしておられました経緯で出てきました海洋法との関連の魚の問題でございます。
 海洋法はまだ批准国が六十になっておりませんから発効しておりませんけれども、しかし海洋法に決められた原則が幾つか国際間の取り決めの中に入り込み始めておる。特に遡河性の魚の母川主義と二百海里の経済水域問題というのは重要な問題であろうかと思います。
 けさの新聞を見ますると、アメリカ、カナダの
俗に言いますマスノスケ、キングサーモンについてアメリカはやっぱり遡河性の魚の母川主義を唱えて、日本がこれをとることについてクレームをつける方針だというようなことを言っておるようですが、ソ連と今度結びました日ソ漁業協定では、ソ連の強い要求で遡河性の魚の母川主義の問題が入ったと思うのです。そのマスノスケの関連で言う日本とアメリカとカナダが一緒に結んでおります漁業協定で、この母川主義はどういう扱いになっておりますか。そして日ソ関係と日米加関係の漁業協定の取り扱いの差を政策問題としてどう今後お考えになるか、ひとつお聞かせいただきたい。
#12
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 日米加漁業条約におきましては、母川国という言葉自体は用いておりませんけれども、北太平洋の東経百七十五度以東の水域におきますサケ・マスの漁獲を原則として禁止しておりまして、操業期間、操業日数等を定める保存措置が講ぜられておりまして、これらによって北米系のサケ・マスの資源を保護するということになっておりますので、母川国という言葉自体は用いておりませんが、北米系のサケ・マスの資源については十分な保護の規定が設けられているということに相なっております。
#13
○大坪健一郎君 この問題はだんだん厳しい形で出てくると思いますので、魚の回避調査など相当しっかりやっておかなくてはならない。私の聞いたところでは、確かに沿海州、カムチャッカから出る魚は一遍北を回って南からもとへ戻ってくるので、あそこの公海上では日本の網にひっかかるのは大体その魚だという話も聞いておりますけれども、魚の回遊調査をよほどしっかりしていただかなきゃならないと思うのです。
 ただ海洋法条約というのは、アメリカは入っておりませんし、ソ連は入っております、日本も入っておりますけれども、まだ批准しておりません。そして、国際法としての発効をまだしておらないわけですから、海洋法の母川主義が至上であるということにはならないと思うのです。この母川主義と、現在まで歴史的に積み上げた漁場、その漁場を維持するという建前との兼ね合いを考えなくてはいけない、そこを今後どういうふうに持っていくのかという考え方を立てなくてはいけない問題があろうかと思います。
 それに関連して、外務省でお見えだと思いますけれども、母川主義をとっておる海洋法で二百海里の経済水域の例えば魚などの漁獲の第一権利は沿岸国にあるということになっておりますが、遡河性の魚の母川主義と二百海里の問題が競合した場合には、これは国際法上どういうことになるのでしょうか。
#14
○説明員(湯下博之君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、海洋法条約上二百海里水域におきましては沿岸国が生物資源の保存等につきまして主権的権利というものを有するということになっております。他方、遡河性の資源につきましては、母川国の第一義的な利益及び責任は二百海里水域とは異なりまして地理的な概念ではございませんで、自国の川に発生する遡河性魚種に対するもので、特段他国の二百海里水域を除外するというようなことなしに全水域における当該遡河性魚種に対して及ぶということになっております。
 そこで、御指摘のように、では他国の二百海里水域における母川国との関係はどうなるかということでございますが、今申し上げましたように、他国の二百海里水域におきましては沿岸国が生物資源の保存等について主権的権利を有しておりますので、そこでその母川国の方の第一義的利益及び責任は、具体的には沿岸国が当該遡河性魚種の保存管理について母川国と協力するという形で反映されているわけでございます。
#15
○大坪健一郎君 ついでに伺いますけれども、二百海里の経済水域に関連して、ソ連なりアメリカはこの権利をフルに主張して、日本の漁船がこれらの海域で魚をとる場合には一部禁止、とらせる場合には相当高額の入漁料のようなものを取っておるように思います。
 ところが一方、八戸の漁業協同組合あたりに伺ってみますと、目の先までソ連の母船が来て日本の魚をとっていくという苦情を言っておりました。日本の二百海里水域は国土の数倍に当たる非常に広域なところでございまして、これに対して海洋法上の権利が明確にあると思うのですけれども、その入漁料を日本はアメリカに対し、ソ連に対し、カナダに対し、中国に対し、あるいは韓国に対しどういうふうに扱っておられますか。向こうの国との対等相互性をとっておられるかどうか、これをちょっとお聞きしておきたいと思います。
#16
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 日本の二百海里水域内ではアメリカやカナダの漁船は操業をしておりませんのでソ連の漁船について申し上げますと、ソ連二百海里水域内で操業する我が国の漁船に対してソ連側は入漁料を徴収しておらないという事情でございますので、それに見合いまして日本も日本二百海里水域内で操業するソ連漁船から入漁料は取っておりません。
 韓国につきましては、韓国は二百海里水域を引いておりませんので、日本側も日本側の二百海里水域は韓国船に対しては適用しないということにいたしておりますので、これもお互いに入漁料ということにはなっておらないわけでございます。
#17
○大坪健一郎君 これは注文ですけれども、海洋法のような法律が国際的に一般的に通用してまいりますと今言ったような問題がいろいろ出てくると思います。特に魚の資源は日本国民の主要たんぱく源でもございますので、粗漏のない対応策をぜひとっていただきたいということをお願いいたしまして、次に移りたいと思います。
 通産大臣がまだお見えになっておられませんからまず事務局の方にお尋ねしたいのですが、同じ海洋法の問題ですけれども、鉱物資源、特に希少価値のある鉱物資源の確保のために深海底開発というものが海洋法上定められております。深海底で海底資源を開発したいという場合の開発国の鉱区の決め方についていろいろ細かく決めておりますけれども、鉱区の申請をこれからしていかなければならないということになろうかと思います。鉱区の申請は調整が要ることだろうと思いますけれども、海洋法の準備委員会というのがまだ批准が完了するまでは置かれておると思います。その準備委員会への鉱区申請の状況というものはわかっておるかどうか。
 それからもう一つは、最近三千メートルぐらいの海底のプレートから噴き出してまいりますマグロが海水の中に、結晶のような鉱物を水の中に析出するわけですけれども、そういう熱水鉱床の鉱物資源というものへの対応が問題になってきております。これはアメリカと日本が特に技術的に調査が進んでおるようですけれども、これは海洋法上どういう扱いになっておるのか。
 この二つを通産省にお伺いしておきたいと思います。
#18
○政府委員(柴田益男君) 最初の御質問の海洋法条約に基づく深海底鉱物の鉱区の調整の問題でございますけれども、日本の場合は先生の御尽力もいただきまして五十七年に深海底鉱業暫定措置法が制定されまして、この法律に基づきましてナショナルプロジェクトであります深海資源開発、DORDが設立されて態勢が整備されたわけでございますが、この国内法に基づきまして五十七年九月に申請された深海資源開発の申請鉱区につきましては関係国のうちで鉱区申請を行っておる四カ国、日本とフランスとソ連とインドでございますが、その間で調整を残すことになっておりまして、鉱区調整交渉が決着を見次第速やかに準備委員会に登録する予定になっておる次第でございます。
 それから熱水鉱床の問題でございますが、これは国連の海洋法条約上その細則について検討はなされておりますけれども、現段階ではマンガン団塊がまだ対象になっておるわけでございまして、熱水鉱床について対象外として未検討の状況でございます。そういう状態になっている次第でござ
います。
#19
○大坪健一郎君 海底鉱物の問題については、日本は最先進関の一つだと思います。お役所もなかなか大変だと思いますけれども、ぜひしっかり目を通しておいていただきたい。
 実は最近、フランスの非常に優秀な海底探査船がやってまいりまして、相模湾の外の海を調査して非常に珍しい幾つかの発見をいたしておりますが、あの程度のものは日本は海洋国なのですから当然自分で持たなくちゃならないと思うのです。ところが日本の船は残念ながら三千メートルくらいしか潜れない。お金をちびっているうちに技術的にどんどん追い抜かれている感じがしておりますので、これは通産省に特に、来年の予算の関係もあるでしょうけれども、海底の探査については技術問題だからおくれをとるとどうにもならないことになりますから、少しピッチを上げてしっかりした深海探査の対応策をとってもらいたいと思うのでございます。これは注文でございます。
 それから、貿易摩擦の問題で通産省にちょっとお伺いをしたいのですけれども、大臣がお見えになっていませんから大きな原則問題は後にしまして、この間私どもが貿易摩擦に関して小委員会でいろいろ外国の方から話を伺っておりましたところが、外国の方は、日本に対して製品を輸出しても非常に一般消費者の手元に届きにくい状況があるようだ、それが何なのか、彼らの意見によればいろいろなことを言っておりましたけれども、例えば食品機械の輸入なんかの場合は、関係官庁で検査をした上にまた未端の県庁でもう一遍検査がされるから、こういうのは二重手間ではないかとか、化学製品に関しては検査なしに済ませることのできる認可成分のリストがほかの国に比して日本は非常に少ないとか、何かいろいろなことを言っておりました。
 こういうような苦情がいろいろあるのですけれども、その一番大きな問題の一つはどうも流通機構ではないか。流通機構の問題の中で、ごく最近は新聞の報ずるところによれば、大規模小売店舗法がスーパーマーケットの地方進出を阻んでおって、いわばスーパーマーケットを通じて消費者の手元に簡単に届けられるようなアメリカなりほかの国のいろいろな製品が消費者の手元に届きにくくなっておるのじゃないか、だからこういった国内の流通段階における個別法の中身を調べて、これの改革要求を出したいなどということを言ってきておるようであります。ここに至りますと、相当私は人の懐の中に手を突っ込んできたような感じがありますけれども、しかし外国がいら立つ日本の流通機構の難しさというものは、やっぱり通産省が相当積極的な努力を払ってこれを直してくれなくちゃいけないのじゃないかという感じがするのです。通産省はこの未端の複雑な流通機構の残っておる状況に対してどういう対応策をとろうとしておられるのか御説明をいただきたい。これはアクションプログラムとの関係でもひとつお話し願いたい。
#20
○政府委員(福川伸次君) 日本の流通機構が複雑ではないか、あるいは閉鎖的ではないかといった御意見は確かに諸外国から指摘を受けている点がございます。私どもでも、本来日本の消費者がかなりその品質についてコンシャスである、あるいはまた非常に品ぞろえを求めるというようなことからどうしても日本の流通機構が複雑にならざるを得ない。あるいはまた、卸売等が多段階になっていくというようなことで、末端に届く場合かなり消費者のニーズに合わした品ぞろえをする、あるいは品質もなるべく多様なものをそろえるということになってまいりますので、複雑になってきているという要因があろうかと思います。もとより、流通機構も最近の消費者ニーズの変化に応じて近代化あるいは合理化の過程をたどっておるわけでありますが、日本のそういった消費者の行動に合わせて流通機構も順次発展近代化の様相をたどっていく、かように考えておるところでございます。
 諸外国から御指摘がありますもののうちの中で、今お触れになられましたスーパーの点で、大規模店舗の事業規則というものが輸入を阻んでいるのではないかといったような御指摘もございます。これもこの大規模店舗の調整というのは周辺の中小小売商等の事業活動の機会を適正に確保して小売業の正常な発達を図る、こういったようなことで届け出をもとに必要最小限度の調整を行っているところでございます。
 私どもは、八〇年代の流通ビジョンというものを求め、つくったことがございますけれども、これも経済的な効果性と社会的な有効性をいかに調和さしていくかということでございます。もとより、今御指摘のございました輸入の基準認証等の改善ということも図ってまいりますと同時に、やはりこの流通機構は先ほど申しましたような要因で日本は諸外国に比べれば複雑だということもございますけれども、その中で消費者のニーズに合わせながら流通の近代化を図っていく場合、その経済的な効率性と、それからまた社会的な安定性、有効性といったようなものを見ながらこれを進めていかなければならないと考えておる次第でございます。
 アクションプログラムの中でももちろん基準認証の問題等についても取り上げることになろうかと思っておりますが、いろいろなところに問題があるわけでございます。そういった政府の関与、基準認証、消費者保護といったものをどこまで簡素化できるかといった問題と、それから消費者のニーズに合わせてできる限り競争性を確保できる範囲で、社会的な安定性を損ねない範囲で経済的な効率性を図っていく、こういったことでこの流通の近代化、合理化を進めていく必要があらうと思っております。その過程におきまして情報化あるいは物流の合理化といった点も取り上げてまいらねばならないと思っております。私どもも輸入の促進という観点からこの流通の問題については十分努力してまいらなければならないと考えております。
#21
○大坪健一郎君 この間EC関係の方の話を聞いておりましたら、関税を少々引き下げても、日本の場合時間稼ぎで国内が整備されてしまって、国内技術の水準も高くなっておるので日本には物が売れない、もういっそ思い切って輸入の比率を上げるような対策をとってくれるとか輸入の数量をふやすことをはっきり示してくれ、こういうような話も出ておったわけであります。
 聞くところによると、通産省では幾つかの企業をお集めになって、具体的にこの際輸入を進めないかという要請か相談かをされたようでございますけれども、私もこういう形で目に見えるようにやった方がいいような気もするのです。ドル高の議論をちょうどアメリカ自身が始めた時側でもあるし、原因とか理屈を幾ら言い合ってもしようがない点はもう具体的にびしっと示した方がいいようにも思うのですが、その状況はどうでしょう。
#22
○政府委員(村岡茂生君) 先生指摘のとおり、四月の末に日本の六十社の主な企業に対しましてできるだけ輸入を拡大してほしいという要請をいたしたわけでございます。五月の後半にこれらの企業から各社の対応ぶりについてヒアリングを実施いたしまして集計をいたしました。その結果、これら六十社の企業におきまして、前年度に比べまして約五十億ドルの輸入増加が見込まれているという集計を得たわけでございます。この五十億ドルという数字は実は想像していたよりも多いという意味で、各社が非常に協力していただいたということを私ども心から感謝しているわけでございますが、現下の貿易摩擦という問題にかんがみまするとき、これは必ずしも十分なことにはなってない、つまり摩擦を解消するほどではない、もう一段の努力が必要だ、こう考えているのが実感でございます。
 先生の冒頭御指摘のとおり、一時EC委員会等から、日本政府が日本の輸入目標額を示すべきだ、それに沿って施策を進めるべきだという意見が開陳されたことがございます。このようなリクエストに対しましては私どもはネガティブに考えているわけでございます。つまり、日本は自由主義経済国家でございまして、政府みずからが輸入
しているわけでもないし、あるいは輸入を統制しているということも原則的にはないわけでございますから、一部の国のように、政府みずからが計画をつくって、それを実行するという立場にないわけでございます。したがいまして、その計画をつくるということはかなり困難な状況にございます。また、無理をして目標頼みたいなものをつくってみましても、やはり輸入ができるかどうかということの基本は、内需の状況がどうか、あるいは為替レートというものがどういう状態にあるかというようなことにかなり大きく左右されます。したがいまして、実現可能性という点から見ますとかなり怪しげな数字をつくるということになりますし、それがもし当たらなかった場合には、かえって解消しようと思っていた摩擦を増幅するというようなことにもなりかねないと思っておりますので、私どもは消極的に考えておる次第でございます。
#23
○大坪健一郎君 もう時間がなくなってしまいましたから、通産大臣がお見えになったらと思っていましたけれども、お見えになりませんから農水大臣に、これはぜひ御検討いただきたいと思うのは、さっき申しました海洋法の問題で、海洋法に署名した国は非常にたくさんあるのです。しかし、これは批准した国が六十になりませんと海洋法自体は効果を発揮いたしません。それまでの間は準備委員会というのでこれを動かしていくのですが、現在先進国で入っておりますのは、特に深海底の問題なんかで重要な役割を担っておる国としては日本とフランスとソ連しか入っておりません。肝心なアメリカとドイツとイギリスが入っておりません。アメリカは、レーガン政権になってからこの海洋法条約の議論から身を引いたわけであります。――通産大臣もお見えになったから聞いていただきたいのですが、この海洋法にアメリカが入っていないということは結果的に日本の立場を大変苦しくしておる。ソ連との折衝事を日本が一手に引き受けなくちゃならない。しかも、海洋では事実上はアメリカが非常に力を持っておるにかかわらず海洋法のらち外で行動する、こういうことでは非常に困るわけです。海洋法の署名をするときにも日本はアメリカの顔を立てて三カ月ぐらいおくらせたわけですけれども、もうそろそろレーガンに対して、海洋法にアメリカも入って一緒になって世界の海洋秩序を維持すべきだという議論を仕向けるべきだと思うのです。
 通産大臣がお見えになる前に、実は海底の鉱物資源の問題について通産省のお話を伺ったのですけれども、海底の鉱物資源の問題も海中の水産資源の問題もともに海洋法に非常に将来大きくかかわる問題だと思います。そこに世界の最も強国であるアメリカ、ドイツ、イギリスが入っていない。日本とフランスがソ連とやり合うというのはどうも非常にへんぱでおかしな格好でございますから、何としても総理も含めてその点の御議論をいただきたいと思うのです。
 それからもう一つは、海洋法を取り扱う官庁が、法解釈その他は外務省、資源問題は通産省、魚は農水省、交通は運輸省とばらばらでございます。海洋法というのはなかなか重要な法律で、海運国日本にとって将来非常に重要な問題になりますので、これをまとめて取り扱うところを一遍閣議でまじめに議論をしていただいて決めていただかなくちゃならぬのじゃなかろうかということを最後に申し上げまして、もしお答えがいただけるならお答えをいただいて私の質問を終わります。
#24
○国務大臣(村田敬次郎君) 大坪委員にお答え申し上げます。
 国連海洋法条約につきましては、通産省としては御指摘のように資源の安定供給の確保という観点から、深海底鉱物資源の開発を積極的に推進しているところでございますが、国連海洋法条約に基づく深海底マンガン団塊の鉱区調整問題等々いろいろな問題があります。こういった問題について、現在は同条約を総括しておる外務省と密接に連絡をとりながら対応をしておるところでございまして、今後といたしましてもこの条約に基づく深海底鉱物資源の探鉱、開発のあり方、関係国内法令の整備等につきましては、外務省その他の関係省庁と密接に連絡をとりながら鋭意検討を進めてまいる所存でございます。
 御指摘のように、日本は海洋国家であり、海底資源というものの重要性はますますこれから増してくるわけでございますので、外務省を中心としながら真剣に対応してまいりたいと思っております。
#25
○国務大臣(佐藤守良君) 大坪先生にお答えしますが、今通産大臣も申し上げましたけれども、問題は二つあると思います。
 一つは、アメリカを入れたらどうかということで、このアクションを起こしたらどうかということですが、私も実は同感に思っています。
 それからもう一つに、海洋法条約というのは大変大切な条約だからということで、国内でまとめてひとつ何かした方がいいのじゃないかということでありますが、実は私は外務省との緊密な連絡をしていますが、今のところ非常に外務省はよくやってくれるものですから、余りその必要性は感じていないということでございます。
#26
○大坪健一郎君 いずれ機会を見てまた議論しましょう。どうもありがとうございました。
#27
○大木正吾君 最初に両大臣にお伺いいたしますが、先ほど正午のニュースを見ておりましたら、きょう政府・与党の連絡会議がございまして、関税問題を中心といたしまして思い切った引き下げを一方的に日本自身まず実行していくといったお話があって、まとまったようなニュースの報道なのですが、これについてはそのように認識してよろしゅうございましょうか、ちょっとお伺いいたします。
#28
○国務大臣(村田敬次郎君) 御指摘のように、きょう八時から首相官邸におきまして対外経済対策についてのアクションプログラムの副本部長を中心にする会合が一時間持たれました。それに引き続いて閣議があったわけでございます。全体としては、七月のアクションプログラムの作成に向けて、総理から各省極めて真剣に対応するようにという御指示がございまして、現在も春以来引き続いて一生懸命やっておりますし、あと残るところわずかでございますが、懸命にアクションプログラムをつくり、そして貿易摩擦を解消する、新ラウンドを推進するという方向で頑張ってまいる決意でございます。
#29
○大木正吾君 私から今さら言うまでもないとは思いますが、アクションプログラムというのは、歴史的に振り返って見ていきますと六回ぐらいやった経過がございまして、今度七回目にたしかなるはずなのです。総じて、私たちこの問題を扱います国際経済問題小委員会におきまして、マンスフィールド・アメリカ大使さらには在日アメリカ商工会議所会頭、あるいは精華大学の教授のタイの方ですね、さらにはECの代表も呼んで伺いましたけれども、要するにメモにする、ペーパーにすることは簡単だけれども、何といっても結果が問題だ、こういう話が全部同じように強調されておりまして、ちょっと従前の六回の市場開放対策とは意味が違ってくるものだというように感じておりますが、両大臣ともそういうふうに御認識でございますか。
#30
○国務大臣(村田敬次郎君) 農林関係につきましては佐藤大臣からお答えになると思いますが、新ラウンドの推進、そしてまた自由開放体制の推進ということで、ボン・サミットにも出席をいたしましたし、日米首脳会談あるいはサミット自体、さらに七カ国の蔵相、経済相会議等にも出席いたしました。今回の貿易問題についての対応というのは、今、大木委員も御指摘になりましたが、私は過去のことは自分で身をもって味わったということはないわけでございますが、書物その他で拝見をしておるところによりますと、今回の摩擦は極めて深刻であるという認識をしておるわけでございます。
 したがって、サミットに向けて袋だたきに遭うようなことになれば大変だということで、四月九日に総理が中心になりまして対外経済対策を決定いたしました。そして、先ほどお答え申し上げま
したが、アクションプログラムの作成について、本部をつくって総理を中心として国としての対応を急いでおるわけでございます。したがって、サミットにおいてはこうした努力が非常に高く評価をされて各国の集中砲火を浴びるということはございませんでした。むしろ、日本の今後努力すべき問題として日本側から自主的に市場アクセスの改善であるとか、対外製品輸入であるとか、そういう問題を主張をし、そして各国の御了承を得たところでございます。
 何としてもこれは、自由主義経済体制諸国の間の貿易というものを全体として眺めますと、貿易摩擦というものは随時起こる可能性がある。しかも、日本の置かれておる国際的地位から申しますと、非常に資源が少なくて、そしてまた世界の一割国家あるいは国際国家と言われる日本でありますから、貿易を主体にして推進せざるを得ない、そういう情勢から申しますと、貿易摩擦の火種は常にあると見なければなりません。したがって、それに対して常に真剣な努力をしていくということに尽きようかと思いますが、少なくとも五月のサミットでは集中砲火を浴びるという情勢は全くなかった。非常によかったわけでございますが、今後の対応が非常に大事でございまして、前数回の場合に比べて今回はますますそういった日本の努力が要請されるのではないか、またそれにこたえなければならない、このような認識を持っておるところでございます。
#31
○国務大臣(佐藤守良君) 大木先生にお答えいたします。
 今通産大臣が言ったことに付言するわけですが、実は私は今度の経済摩擦におきましては、アメリカ、ヨーロッパ、あるいは豪州、ASEANでいろいろ立場と趣は違いますが、大変各国とも大きな期待をしておるということで、実は特に我が農林水産物につきましては、すべて農林水産物に集中砲火を受けているような感じ、いわゆるそんなことがございまして、私は基本方針とすれば我が国の立場は非常によくわかりますが、やはり日本農業を守り、どうして健全な発展を図るかということと、友好国との関係に配慮するにはどうしたらいいかということで、今非常に苦慮しているというのが現状でございます。
#32
○大木正吾君 まだ国際経済問題小委員会等ですべて煮詰めているわけじゃありませんが、きょうの相互主義からさらに一歩前に出まして、みずからがという話の気持ちは、総理の気持ちなり村田通産大臣、特に大きな貿易のいわば出超の担当でございますからわかるわけであります。端的に申し上げて、これはもう遠慮なしに私たちは、余りいい格好をすることはないよ、相手に対してずけずけ物を言わなくちゃいけないし、こっちが直すべきは直さなきゃいけない、同時に守る限度はここだということも言わなくちゃいけないという立場でもって取り組んできておりまして、結局例えばアメリカの車をこちらに、確かに通関手続は面倒だということはありましょうけれども、それではああいう車のハンドルのつけ方一つ見てもベンツとは違うような状態でありますし、同時にまた、イギリスなどの話を、ECグループの話を聞いていますと、日本の長い徳川あるいは明治以来の商慣習に触れてまで話が出てくるわけでございます。
 いろいろな内政干渉がましいことを言って、相当にこちらは、特に私は電電の出身なのですけれども、電気通信摩擦なんかの話を聞いていますと、郵政省の省令とか、とにかくめちゃくちゃに入り込んでくるでしょう。こんなことはけしからぬという気持ちが相当している面もあるし、また逆に日本側としましては、とは言いながら貿易立国だから、どこか総トータルにおきまして余り大きなインバランスが生じっ放しじゃ、やっぱりマージャンの一人勝ちですから仲間に入れてもらえませんからね、仲間外れ。これはもう避けて通れない。そういった問題がございまして非常に交通整理が難しいものであり、しかも構造的な面であるというふうに認識しております。
 結果的には日本側としまして、ある意味では市場開放だけでは、これは少し話が飛びますけれども、どうしても解決のできないものが残るというように考える。この隣の第三委員会室で大蔵委員会をきょうやっているはずなのですが、向こうの話などと整合してみていきますと、大体ことし百二十二兆の財政赤字でしょう。十兆加えていきますから、大体来年は百三十二兆前後の財政赤字ですね。これが結局内需の足を引っ張っていることは間違いない。しからば、一体この経済成長がどんと五から実質が七になるなんて条件はなかなか難しいですね。そういったことを総合して考えてまいりますと、我々自身はもっと主体的な気持ちを持ちながらも緻密に対応していかなくちゃいけない、こういう気持ちを持っておりますことを冒頭申し上げておきたい。私の気持ちを申し上げたわけなのであります。
 そこで、通産大臣にお伺いいたしますが、大変御努力をいただきながら六十社の方々お呼びになりまして、そしてなるべく部品だとかいろいろなものを買ってほしいという話がありまして、ある程度の成果があった。さっきだれか局長さん方から御答弁があったのですが、これについてちょっと大臣の方からお答えいただけますか、どういう内容かということにつきまして。
#33
○国務大臣(村田敬次郎君) お答え申し上げます。
 四月九日に対外経済対策の大綱を決定いたしました。そこで、四月二十二日に通産大臣が主宰で、輸出の特に大きな企業、それからまた輸出輸入に大変大きな関連を持っておる企業、団体の代表者、つまりデパートあるいはスーパーだとか商社だとか、そういったところを含めて六十社の社長にお集まりをいただいて懇請をいたしました。非常に私どもの努力を多として、今後社内に製品輸入についての責任者をつくること、そして具体的なプログラムを考えること、そのプログラムについてまた通産省に報告をしていただくこと、こういったことを逐次検討していただいておりまして、その話し合いをいたしましてから約五十日ばかりたったわけでございますが、次々といろいろなお答えが出ておるわけでございます。
 現在での経過を見ますと、ことしは輸出輸入のインバランスを約四百四十億ドルというふうに見ておるわけでございますが、昭和六十年度におきましても、ほっておけばもっともっと輸出輸入のシェアが開くのではないかという見通しがございまして、あの会合によって少なくとも相当の製品輸入が拡大をするということははっきりしたわけでございます。しかし、輸出輸入のインバランスがそれによって相当減るという見通しはまだ現在のところ立っておりませんので、さらに今後そういった状況を踏まえながらいろいろな方策をとっていかなきゃならない。
 先ほど申し上げましたアクションプログラムの推進もその一つでございますが、ひとつ総理の御指示に基づいて具体的な政策をとること、そしてまたそれが対外的に相当の効果を上げること、そういったことを目標に置きながら今後変わらぬ努力を続けていかなきゃならないと思います。
 ただ、大木委員が御指摘になったように、アメリカに対しても、あるいはサミット参加国に対しても、あるいはその他の開発途上国等々に対しても、言うべきことは言わなきゃならぬのは当然でございまして、それはしっかり主張もし、相手のお立場もフランクによく聞いて、大分世界が狭くなっておりますから、特に貿易問題ではそういう感じがいたすわけでございますし、日本の国際的地位が上がっておる、責任も重くなっておるという認識を持っておりまして、今後そういった前提に立ちながら努力を続けたいと思っておるところであります。
#34
○大木正吾君 貿易総量のふえていく中での五十億ドルということでございますれば、国内中小系列企業なりあるいは部品工場等へ余り影響はないのですが、これを表だけ見ておりますと摩擦が一遍に五十億ドルも減る、新聞によりますと半分ぐらいじゃないかという話も出ておりますが、うれしいといいますか、要するにその分だけ目に見え
てインバランスが減っていく、こういうふうに受けとめればそれでいいのですが、問題はこれを見たときに、自動車の部品メーカーにいたしましてもあるいは電気機器の部品メーカーにいたしましても、五十億ドルということをそのまま二百五十円で掛けていきますと一兆二、三千億になりますか、半分にいたしまして大体六千二、三百億になりますから、この分だけ日本の中小企業とか系列メーカーで仕事が減るということなどあわせて考えていきますと、これはなかなか表の計数は結構な数字なのですけれども、そこまで通産省といたしまして御配慮をしていただきまして手当てを考えていきませんとやはりまずいという感じがするのですが、大臣、その点はどうでしょう。
#35
○国務大臣(村田敬次郎君) 大木委員の御指摘になられました点は、実はいろいろな民間の方にも御指摘をいただいている点でございまして、非常に重要なポイントだと思います。ただ、私どもが考えますのは、その分だけ中小企業のインカムが減るということではなくて、輸入努力をすること、また内需を喚起すること、いろいろな他の要因でもって中小企業に影響を及ぼすことを少なくして製品輸入を拡大するという方法はあるわけでございまして、その方法を模索し、また探求しておるわけでございます。
#36
○大木正吾君 話は少し変わりますけれども、今度は関税問題でちょっと伺ってみたいのでございます。
 これはきょうの朝の閣議の中でもそういうことが中心ではなかったかと思いますが、重点的に五十品目ぐらいのものをあれしていくという一部の新聞記事などもございますが、特にこれが話題になったものですからあえて言わしていただきますが、五十重点品目中、これはインバランスということよりは非常に象徴的な問題として出ておりますのが例のタイからの話題の骨なし鶏肉の問題なのです。これはちょっとお金の換算ということよりは、関税率が確かにアメリカとは違うことは知ってますけれども、問題は、アメリカに対してばかり気を使っておって、そして隣のアジアの国に対して冷たいという差別的な意味合いでもって受けとめられている感じがいたします。それで、これは農水大臣に伺った方がいいと思いますけれども、合板の場合には、けさの一部の新聞では手当ての金額なども具体的に、これは大蔵と話が済んでいないのでしょうけれども、出ていますが、この鶏肉等につきましてこれから今月の末にASEANの経済関係の方とお会いになる御予定もあるわけでしょう。最終的にどういうふうにこれは始末するおつもりですか。
#37
○国務大臣(佐藤守良君) 大木先生にお答えしますが、実は四月二十二日にわが省にできました事務次官を長とする策定委員会で実は今検討中でございます。
 それから木材につきましては、実はけさの朝刊に出ておりましたようなことですが、昨日は林野庁が本当に苦労してつくりまして、特に日本の財政等を考えてつくりまして、国費約八百五十億、それから融資枠が千百六十億ということで二千十億というのをつくりました。これによりまして、いつも私は言っておるのですが、今木材が高いですが、特に原価計算を考えた場合に実は原木代が三で搬出等の費用が七かかるのです。したがって、搬出等の輸送を安くすれば木材は安くなるというようなことで、大体あれで一本だと杉が八千円ぐらいのものが約二千円下がるということで、これなら当然国際的にも太刀打ちできる、こんなことで頑張っておるわけでございます。
#38
○大木正吾君 関連しまして同じく関税関係の問題でございますけれども、大蔵省の関税局の方はお見えになっていますね。けさの会議にはもちろんお出になったと思いますが、話題としまして、これは通産省の方で出ているのかどうかちょっと記憶に定かでありませんが、一部関税を、全部になるのか一部かわかりませんが、法律事項から外しましてそして行政事項に移すという話が散見されるわけでございます。それについては大蔵省関税局はどういうふうにお考えですか。
#39
○説明員(吉田道弘君) 今お尋ねのございました点につきましては、ことしの四月九日の対外経済対策及び四月十九日の政府・与党対外経済対策推進本部が決定しました「市場アクセス改善のためのアクション・プログラムの策定要領」の中に出てまいります「関税」の部の中でなお書きがございまして、そこに、「なお、一定条件の下に暫定税率を施行しうるような授権法についても検討する。」という一項がございました。この関連での御質問と存じます。
 この点につきましては、御存じのとおり関税も租税の一部でございまして、憲法八十四条の特に租税法律主義との関係が非常にございます。そのほかそういうものをつくった場合の効果、さらに自由に動く場合には予算にも影響をいたします。そういう点を考えますと非常に慎重に検討しておく必要があろうというふうに考えております。
#40
○大木正吾君 いずれにいたしましても、二千億円の合板に対する手当ての問題とかこの種の関税の法定から外していく動きとか、確かにいろいろな知恵があっていいと思いますけれども、私どもからすれば検討過程のものは余り手に入らない例が多うございます。両大臣はせっかくこっちが一生懸命勉強しておるわけですから出してもいいじゃないか、こうおっしゃるかもしれませんし、植木委員長もそう言うかもしれませんけれども、こちらの方の方々はなかなか途中では出してくれないことが多うございます。
 そういうことで一喜一憂というと言い方が正しくないかもしれませんけれども、合板業界に対しまして二千億円ぐらい手当てをするということになりますと、業界としてみればもうもらったような気になってしまって後始末に困るということも起きないとも限らぬですね。同時に鹿児島とかあるいは宮崎とか岩手ですか、骨なし鶏肉をつくっている産地などもいずれはこういう手当てをしていただけるかという気持ちになりますから、やはりこの辺の問題の扱いにつきましては、私たちもなるべく本委員会の理事会等では余り表に出すことはいたしませんから、ぜひ慎重に扱い、なおかつ正確な情報等をいただきませんと、植木委員長を中心とするこの委員会でもなかなか議論がしにくい点もございますから、そういう点を含めて各省庁の関連、つながりというものについて、恐らくこれは相当大蔵省だって二千億円の金を出すといったら大変ですからね。なかなか農林水産大臣は力持ちでも恐らく竹下さんはそう簡単にうんと言わぬかもしれません。そういう点をお考えいただきまして慎重に扱っていただきたい。
 それから、もう一つ次の問題は基準認証問題です。通産に問題が多いと思うのですが、ずっと新聞報道のように取り扱いを受けとめてまいりますと、相当程度、これはむしろ行革の進行過程でございますから省庁の仕事が減るということになるわけです。それでもってそれについて嫌な聞き方をしますけれども、内部的に通産省の中でとか、あるいは農水省の中で事務の方からの抵抗というと言い方が悪いのだけれども、こっちが怒られてしまいますけれども、そういったことはございませんでしょうかどうでしょうか。
#41
○国務大臣(村田敬次郎君) 私は、各省の縄張り意識とかそういった質問をよく受けるのでございます。私も公務員出身でございますからよく理解できるのでございますが、公務員のする判断というのは原則として覊束裁量でございます。これは当然のことでありますが、法律、政令、省令等等、そういうものに準拠してする判断でございますから当然これはしゃくし定規になります。政治家のする判断は原則として自由裁量ということになろうかと思うのでございます。したがってどちらも実は非常に必要なのでございまして、日本の公務員制度というのは私は世界に冠たる立派なものだと思っておりますが、そういうところで厳しい判断をしてもらうからこそ政治家の行う自由裁量というものが生きてくるのだと思います。
 基準認証制度につきましては、昭和五十八年三月の基準・認証制度等連絡調整本部の決定を受けてこれまで積極的に対応を重ねてきたところでございますが、これからはさらに一歩進めて、原則自由、例外制限という基本的な視点に立って現行基準認証制度を総点検をしておる。そして新規の基準認証制度の導入には厳しく対応するということで、できるだけそういうやかましい規則的なことをつくらないで、これから自由開放体制にふさわしい基準認証制度を設けるべきであるというふうに考えておりまして、特に公務員の側からする反発は、通産省の場合は一致しておりますから、ないと認識をしております。
#42
○国務大臣(佐藤守良君) 大木先生にお答えいたしますが、実はその前にちょっと一つ。
 さっきの木材総合対策です。あれは合板、製材だけではございませんで、合板、製材を含めた総合対策ということでございます。合板百六十工場、また木材ということですから御理解願いたい。
 それからもう一つ。実は大木先生がさっきちょっとおっしゃいましたが、基本的に考え方に差があるのじゃないか、基準に。例えば日本の場合は非常に政府が皆さん親切でして、国民に迷惑かけちゃいかぬということで基準をつくる。アメリカの場合は逆に基準をフリーにして、悪ければ消費者が罰するのだと、この考え方。したがって、日本の役所は私はかわいそうだと思うのです。という意味は、そういうもとにあって、何かあれば役人が全部やられるわけです。その辺をきちんとしないと私は基準認証の撤廃は難しいと思います。
#43
○大木正吾君 確かにこれは育ってきた国の商慣習の違いがございますし役所の中の違いもございますから、何かあっちこっちから、世界、地球上の流行語のように日本が悪いと。確かにそれは金がもうかっちゃっているから悪いということになるのかもしれませんけれども、インバランスが激し過ぎるからそういうことになるかもしれません。ただ問題は、これをだんだん解決をしていく際にどうしても被害者が中に起きてくるということがあるわけです。ですから、私の物の見方からしますと、例えば最近貿易の黒字、経常黒字といったものも予想外にふえているわけですけれども、それをため込んでいる海外の資本の上り方が世界で第一位になってくる。そういうふうにとらえていきますと、国内には、これは通産大臣等もよく御理解でしょうけれども、産業的なアンバランスがございます。そうすると、例えば名前を挙げたら失礼ですけれども、鉄鋼ですとかあるいは自動車とか電気機器とか、そういったところは花形輸出産業である。こういう関係の方々はどんどん銀行までつくってしまっておる、トヨタ銀行などという話もございますけれどもね。そういったところが今度海外資本収支でもって海外にお金を置いていく。一方では、どこに景気のいい風が吹いているのだという産業もあるはずなのです。
 ですから、そういった面で私の考え方を述べさしていただきますと、前にたしか、これは植木委員長などもまだ別の委員長をやっていたころかもしれませんけれども、例の狂乱インフレーションの前後に、日本の石油関係の会社が公取その他に訴えられたケースがありまして、住友化学の社長なんか、私たちもよく知っている方なのですけれども、何らかの形でもって一応罪を受けたという形になっておるわけです。あのときに出たのが、大蔵省が発想したもので法人利潤税というものがあったわけです。私の見方からすれば、ここ十年ぐらいはまだばらつきの状態の経済産業状態が恐らく続いていく、ある産業は成長し、ある産業は停滞ですね。
 そうすると、これは大蔵省の主税局は呼んでおりませんから答弁はある意味では要らないかもしれませんが、感想でも述べていただければと思うのですが、私は輸出課徴金というものはこれは反対です。課徴金なんて、戒めるというような言葉は絶対使っちゃいかぬと思います。しかし、法人利潤税というか、法人税をもう一段階上に延ばす。三%とか五%一定の金額から上にいった部分はやっぱり国に還元していただくといったものによって、結果的に言えばこういった市場開放の犠牲というと言い方が厳しいのですが、犠牲というか、その影響を受けた中小なりあるいはその関係の産業に対しまして何らかの助成をしていく。そうすると、さっき農水大臣もお答えになった木材絡みの問題につきましても、一方で自動車がどんどんもうかっているのだよ、そのうちの一定の収益を上げた分から上の部分については、予想外だった分については五%税金を余計にもらいたいのだ、その分を今度大蔵省に文句を言わせずにこっちに使うという形でないとなかなかうまくバランスがとれないという感じがするのです。
 だからやっぱりどこかに――いえば全体的には、外国から見ていると日本の国民は金持ちじゃありませんし、それから同時に企業の中のアンバランスがあることは、産業的にも当然起きがちだし、これからも続くでしょう。そういったことは、私の感じとしましては非常に大まかな考えですけれども、やっぱり法人税を三段階、もう一ランク上に上げて、そうして輸出で稼いでいるところは大変御苦労ですけれども、今でも高いといって稲山さんなんか怒っていますけれども、国のためにはそういったことをだれかが、大臣の方々が言いにくければ、政調会長は元気がいいですから政調会長にがあんと言ってもらってもいいのじゃないかという気がします。
 それから同時に、もう一言言いますと二百数十兆の預金、これは私も実は電電出身だから郵便や通産とは隣り合わせにいますから、ちょっとここで言って記録に残っちゃうと後でもってつるし上げを食うかもしれませんけれども、大体日本の国民の一世帯平均貯金が六百二、三十万となっています。ですから、一遍ずらっと税金をかけろという去年の議論は必ずこれから八月にまた起きますよ。大蔵省にしてみれば金がないのですから、調整額をどうしようかという議論でもって頭へきているわけです。しかも百分の一・六というあの公債の赤字の積み立てたのを全部放棄しちゃっているわけですから、そういった段階ですから、一遍やってみて、そうして六百万ぐらいまでのところは三月の申告のときに税金をちゃんと返してあげる、こういうふうにでもして、一兆円、五千億ぐらいのものは出てくることは間違いないですから、そういったことも考えなきゃならぬでしょうし、そういったことをもうちょっと、私はこういった日本が金持ちだ、金持ちだといってわいわい騒いでいるときに、どうですか、政治家の二人や三人は腹切り覚悟でもってやらなかったら、とてもじゃないけれど荒波は乗り切れませんよ、通産大臣は苦労していますけれども。私はそういう見方に立っているわけですね。
 ですからそういう中でもって、ちょっと今度は質問に変わりますけれども、とにかくさっき村田さん等からお答えがあったのですが、部品購入でもって五十億ドル一応何とか出てきましたと。しからば一体具体的に、その部品を納めている自動車の中小メーカー、そういったところは一体どうしてくれるのだという問題が起きたときにどうされるかとか、あるいは骨なし鶏肉関係でもって受ける三県の業者関係に対しましてどういうふうにされるのか。大蔵省に言ったってそれは一円も出してくれませんからね。そういったこと等について私は心配なことは、市場開放は結構だけれども、大きなものでもってそこから救っていくということは、これは内需拡大の問題がございますが、個別の問題として、この種の問題に対しての対策について両大臣にもう一遍、具体的なことも含めて若干意見が、知恵があったらここで聞かしてほしいと思うのです。
#44
○国務大臣(村田敬次郎君) 大木委員の御質問は、全体的な貿易や経済の哲学に触れておると思うのです。私は思いますのに、産業というのは、発展する産業がある、衰微する産業がある。言うなれば、日の目を沿びる産業と斜陽の産業とあることは間違いないわけでございまして、例えば一番いい例が日本では石炭産業だと思います。かつては石炭産業は最も日の当たる産業であったのでございますが、今は非常に次々と閉山をし、そし
てまた戦線を縮小しておるわけでございます。これからこれが活性化していくには、やはりハイテク関係であるとか保安関係であるとか、いろいろ今問われておる問題を積極的に前向きに努力をすることによって一度日の暮れかけた産業がまた日が上るということもあり得ると思っているのです。
 ただ、今の状況を見てみますと、貿易などでも毎年何割何割という増加のあるハイテク関係だとか自動車産業だとか、そういういろいろなものを見てみますと、そういうものについて通産政策というのはあるべき次の時代の姿、二十一世紀の姿というものを見ながら、真の意味で国民生活のためにはどうしていったらいいのかというのが私は貿易の哲学であり、通産の哲学だと思います。
 さてそこで、今御指摘になった税制の問題等は、これは大蔵省の問題でございますが、広く一般から言えば、内需を喚起をしていく、そしてまた製品輸入を拡大することによって部品購入であるとかあるいはいろいろな知恵を働かして、国内の中小企業には影響を及ぼさない形でこれからの貿易推進をやっていかなきゃならないと思います。そして基本的には輸出を減らすのでなく、輸入を拡大するという方向でバランスをとるというのが正しい方向だろうと思います。
 ただ、それも今非常にせっぱ詰まったところまで追い詰められてきておりますから、輸出についてもどしゃ降り的輸出を避けるとか、いろいろなそういった国としてのコントロールが今や必要であるという判断も導入されてきておりますが、外国に迷惑をかけないで国内が発展をするのはやはり内需の喚起でございます。内需の喚起は一般論から言えば、例えば民間設備投資あるいは非常に広いすそ野を持っておる住宅の問題、そしてまた公共事業等々ということになりましょうが、例えば日本国民は貯蓄は多いのですね。貯蓄はアメリカに比べて抜群の貯蓄率を持っておるわけでありますから、この姿を大ざっぱに申しますと、民間はある程度富んでおるけれども政府は極めて貧乏であるというのが今の姿だろうと思います。
 だから、小さな政府をつくることを一つの目標にしておるのが行政合理化でございましょうし、その中でアメリカでは非常に新しい税制を考えておるというレーガン大統領のニュースが入っておるわけでございますが、そういった内需喚起問題をいろいろと工夫をしてみながらこれからの貿易問題に対応していくというのが基本的な考え方だろうと思っております。
#45
○国務大臣(佐藤守良君) 大木先生にお答えします。
 大体通産大臣が答えたわけですが、日本の置かれた立場というのは貿易立国、そんなことで総合対策をどうするかという問題ですが、基本的には実は為替の問題がどうなるかという問題があるかと思います。私は実はアメリカの高金利の為替で、今為替が一ドル二百五十円前後です、これが仮に二百二十円前後になれば今のはそれが吹き飛ぶわけです。だからこの辺を一体どうするかということで大きな金融対策が必要だと思っております。
 そういう形の中で、私は実はアメリカが仮に部品を持ってきても心配しておりません。例えば先生は電電の出身ですが、日本の電話というのは十三年に一遍ぐらい故障です、アメリカは二年から三年、それは部品がいいからです。今アメリカでは日本のようにいい部品はできません。したがって、私はその意味からいって電気通信は心配ないと思っておるわけです。
 それから、私のところの骨なし鳥肉についてはこれは今検討中で、事務次官を長とする策定委員会で大変苦慮しておるというのが今の現状でございます。
#46
○大木正吾君 佐藤農水大臣に一言本当に確認しておきたい問題でございますけれども、先ほど大坪委員もおっしゃったのですが、恐らくアメリカなりがこのインバランスがずっと総量的に続いてまいりますと、構造的なものもございますからなかなかそう簡単には解消しないという見方に立ちますと、穀物を含めた農産物の強引ないわば押しつけが来るという心配をしておりましたね。これは生産性問題ということで片づけるわけにいきません、やっぱり日本人の主食ですからね。食糧安保という立場におきまして私は絶対にこれだけは、あなたが大臣ですね、これからも継続してやっていただくかどうかわかりませんけれども、農水大臣が二人や三人かわってでもそこだけは守っていかないと……。
 私の兄貴は百姓なのです。私はサラリーマンです。兄貴は相当に私らより収入が多いけれど税金は一銭も納めていないのです、本当に。でっかい土地に住んでいて、立派な家に住んでいましてね。それでいながらでも食糧だけはやっぱり押さえておかなきゃならぬ、こういう気持ちを持っております。時々けんかもしますけれども、そういったことでありますから、食糧事情だけは考えておいてもらいたいことをお願いしておきたいのです。
 最後になりますが、これは内需拡大問題に絡んで若干村田通産大臣からも佐藤さんからも話がありました。これは私の意見に絡んで御所見があったら伺いたいのですが、この委員会でもってずっと小委員会を持ってまいりまして、大來委員会からも報告を受けているわけです。大來さんの場合には非常にずばずば物をおっしゃっていただきまして、そして例えば労働問題にまで入り込んで、ボーナスを夏にたくさん出してやってくれればいいのだがということで、結局時間短縮問題でございますとか、二千百時間と千七百時間前後といった時間単価のコストは、おまえたち月給をもらっている、総額は余り違わないと、こうおっしゃられましても、国民性の違いがあって、レジャーを楽しむ欧米人と日本人と違います。時間単位のコストでもってアメリカとかヨーロッパの場合には賃金を計算していきますから、日本はやっぱり安いのですよ。そういったことで、要するに最終的には個人消費が非常に落ち込んでいるといいますか、少ないから内需が拡大できない。これは一番土台の問題ですね。
 そうしてその上に、今、村田さんがおっしゃったけれども、住宅ローン減税でありますとか、あるいは公共事業というものを四年間、五年間勝手に据え置いてきましたから、物価が三%ずつ上がってきますれば一五%、一六%の落ちになります。例えば雪国でありますとか、東京も雪に弱い大都市ですけれども、こういうところでもってもしもガス管とかあるいは水道管とかこういったものが継ぎはぎをやっておっては間に合わないことが出てくる。継ぎはぎの方に金がかかっちゃって、恐らく耐用年数十五年のものでいった場合に、十二、三年たっていれば危ないですからね。そういったこと等を考えた公共事業というものをことしも去年と全く同じ金額で置くなんということは大変な問題だというふうに考えます。
 私は、さっき申し上げたけれども、要するに今出る知恵は、恐らく皆さん方今度国会が終わって予算の議論に入った段階では、要するに利子配当課税あるいは少額貯蓄に対する課税問題ですね。今、郵便貯金が何か減っているという新聞報道があります。村田さん、あの正体がわかりますか。あれは私は知っておるのですけれども、大体田舎の特定局長さん方がその町の中でもって一番金持ちの方々からずっと貯金を集めるのです。名前がありませんから、大体五人のところを、これは余り記録に残しちゃまずい問題かもしれない、個人名を出さなきゃいいのでしょうけれども、三十人ぐらいの名前をつくりましてやるのです。そういったものをやっておきますと、もう来年の一月以後危ないですから、チェックされていきますから、結果的にはどんどんそういうものを解約して別の新しい信託とか、あるいは保険会社とかに新商品がありますから、その方に乗りかえているという状態が現に私は耳にしている問題として友人から話を受けるわけです。
 そういったこと等がございますから、やっぱりこういう厳しいときには正しいことは正しいと主張してくださる大臣さん方がいなければいけな
い。だから加藤税調会長にもこれはお願いしたいのだけれども、どうでしょうね、二百六十兆ありますあの預金の課税外になっているものにつきまして、零細の方々がいるからだと、こういうことばかりやっていますとなかなか問題は解消しませんから、これだけみんなが汗を流し、血を流したりして苦しみをしているときですから、そういったものから税源を持ってきまして、そうして私は内需の拡大の原資に、あるいは税制の財源に充てなければ問題の解消はできないと思うので、両大臣にこの内需拡大策について、きょう企画庁から来ているのですが、恐らくこれは答弁をしてもらいますと、内需拡大の時期で、ありませんと出てくるから、これはきょうはせっかく来てもらったけれども聞きません。内需拡大の方向についての所見を両大臣から聞かせていただけませんか。
#47
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えします。
 最初に個人貯金の問題ですが、先生のおっしゃったこと、それとともにやっぱり郵貯の金利志向が弱くなっておりますね。定額で九%が十年で、ビッグとかワイドだったら五年で一〇%、この辺が大きく作用しているような感じがします。したがって、郵便貯金は魅力ある商品じゃないと厳しくなってくるという感じがするわけです。
 それで、実は基本的に私も中曽根内閣の一員でございます。そんなことで財政再建、行革を今中心に行政をやっておるというのが姿でございます。その前にどうかと言われると、国にはお金はございません。そんなことの中に民間活力といいますか、規制を緩和するという形に民間活力を導入する。そのためには例えば本四架橋、高速道路、道路公団が国費六%です。あとは全部、九四%は借入金でやっておる。あるいは私は例えば整備新幹線もそういう方法がとれるのじゃないかと思う。そんなことでとにかく内需拡大をする。そういう形の中で所得をふやすというような形のものを考えなきゃいかぬと思う。したがって、私は民間活力を中心にやるべきではないかと思っておりますのでよろしくお願いします。
#48
○国務大臣(村田敬次郎君) これは総理大臣か大蔵大臣がお答えになるのが適当じゃないかと思うのですが、政治家として、あるいは一国務大臣として率直に申し上げさせていただきますと、内需の拡大がやはり一つの決め手だと思うのです。昭和六十年度の経済見通しでは内需に依存する比率を相当高く見ております。そうして、今まで来た形では貿易で稼いでいるという形が多いわけですから、そこに大変なここへ来ておとがめが来たわけでありまして、これは大木委員が御指摘になったように、我々が職を賭して頑張る気持ちがなかったらこの危機は突破できないぐらいな大きな危機だと思います。したがって、その気持ちで働かしていただいておりますが、内需拡大については、先ほど申し上げましたいわゆる民間設備投資、公共事業あるいは住宅建設といったようなところが私は本命であろうと思います。
 それから税制問題は、これは国民全般に関係する問題でありますし、当然避けて通れない大きな問題でございますが、現在の段階でこの問題について深入りすることは私としては差し控えなければならないと思います。要は、小さな政府というものを目標にしてできるだけ行政事務の簡素合理化をする。そしてまた一方では、総理がいつも言っておられますように、民間活力の導入というものをいろいろな形でやっていけば、現在は貯蓄率は高いのでありますから、そういう内需を拡大するための消費の拡大とかいろいろな方策はあるわけでございます。したがって、先ほど御指摘になりました大來さんでございますが、諮問委員会のキャップとして言っておられるように、この問題は労働時間といったものにまで及ぶわけでございます。
 労働時間は、御指摘になったように日本の国民の労働時間が欧米に比べてはるかに長いというのは実態でしょう。しかし、それが非常に勤勉な国民であるからこそ私は現在の日本の活力というものが維持されておるという非常な長所も無視できないと思います。私は戦中派でありますから、したがってこの問題については相当慎重でありますが、労働大臣が週休二日制の促進であるとか、あるいは連休のときにもっと休暇をふやしたらというような御提案をなさいまして、これは生産部門を承っておる通産省でも対応しようという決心をいたしました。そこで、さしあたり民間企業の実態を調べて、週休二日制になるようないろいろな努力をしてみようではないかということを指示いたしました。
 それから、通産省は通商産業省でありますが、俗名通常残業省とも申しましてよく働く省でございます。この通常残業省という悪弊を改めようではないか、月の休みが今五日間になっておるが、六日間に拡大しようじゃないか、そして金曜日の午後は五時半になったら皆さん仕事をやめてお家にお帰りなさい、まあお家に帰るかどうかわかりませんけれども、そういうことを指示をしたところでございまして、そういう労働時間の問題を含めて最善の努力をしていきたいという気持ちでおります。
#49
○大木正吾君 時間が参りましたから私の所見だけ述べて終わりますが、民活ということで佐藤さんのお答えがございました。私は民活は別に全面的に反対しているわけじゃありませんが、例えば東京都内の例を幾つか挙げてみたいのです。
 杉山商事さんのワンルームマンションの件で市民グループと大変な摩擦がございまして、中に入りまして、上の四世帯ぐらいカットしましてやっと話をつけたこともあります。とにかく神田周辺のしにせがどんどんビル街に変わっていきます。結果的には土地が、上の方をずっと天井を高く十数階ずつしていきますからね。今テレビでもやっていますけれども、神田周辺の方はみんな三鷹から向こう武蔵野の方に越していきまして、土地をビル街に売っていきます。
 私はああいったことが、セメントジャングルという話もございますけれども、要するに土地が値上がりし、しかも高層になるから、メリットがあるから民活になるわけですね。同時に、公有地を開放すれば、割合にいいところに土地がありますから、これは入札でもってやりましても比較的メリットが大きい。しかし、純然たる、とんとんでもうけのないところで民活がほんとにいけるかどうかという話ですよ。私は例えば東京湾に橋をかけるお話なんかもよく、同僚に千葉県出身の木更津の人もいますからああいう方々と話もいたしますけれども。とにかくその橋は、出した幾つかのプロジェクトの民間の会社のものでもって、有料でもって百年間走らすかどうかというものまで計算しなければ金はなかなか出しがたい。関西空港も、あれも合弁です。
 そういった意味合いで、民活問題と簡単に皆さんおっしゃるけれども、個々のケースを当たってみると、民活でもって内需が拡大しておるのだと、私たちはもう今のような状態にないと思っています。ここのところは財政資金を何らかの誘導問題としてでも出さなければほんとの民活は出てこないというところを私の見解として佐藤さんにも聞いておいていただきたいと思うし、ぜひこれからもそういったことを含めて御努力願いまして、要するに民活があり、同時に政府が誘導し、内需拡大があって、その上に通産大臣、農水大臣の御苦労があって初めてこの問題は次第に解消に向かうだろう、こういうことを所見として述べさせていただきまして終わります。
#50
○中西珠子君 政府が目下策定を急いでおられます日本市場開放のための行動計画は、諸外国から大変期待されているところだと思います。期待が大きいだけに、もしその行動計画が非常に具体性、実行性を欠くというふうなことがあったり、また一部東南アジアの人たちの差別的な待遇だという不満が解消されないということでありますと、これは期待が大きいだけに非常に落胆、失望、不満、批判というものが大きく一層激化するのではないかと恐れるわけでございます。
 私どもは、国際経済問題小委員会におきまして、米国やASEANやECからの外国人の参考人の意見を聞いたわけでございますが、東南アジ
アのタイの国籍を持ったインタラタイという精華大学の教授が来られまして、そして非常に率直な、忌憚のない意見を言われたのでございますけれども、合板、骨なし鶏肉の関税に見られるように、日本は交渉力の弱いASEANを米国等先進諸国と差別し、偏見を持って扱っている、真の友好関係を持つためには東南アジアの人々が納得する行動を日本がとる必要があるというふうなことをはっきりと言われたわけでございます。
 それで、現在いろいろ象徴的に言われているのが骨なし鶏肉、合板、それからそのほかパーム油とかバナナとかエビとかASEAN諸国から要求があると思いますが、これに対して農水省はどのような対応をなさるおつもりなのか。差別的な待遇というものをどのように解消なさるおつもりなのか、お聞かせ願いたいと思います。
#51
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたします。
 実は、先ほどから申し上げているとおりでございますが、現在骨なし鳥肉等につきましては、我が省に四月二十二日にできました事務次官を長とする策定委員会におきまして現在鋭意検討中でございます。
 ただ、アメリカ、東南アジア、EC、豪州ともに実は皆日本に不満を持っておるという形の中でいろいろな経済摩擦の内容が違ってきておるということでございます。特に東南アジアにおきましては、アメリカと比較されますが、我が省としては、今までアメリカと東南アジアを差別したことはございません。というようなことでございまして、骨なし鳥肉と骨つき鳥肉の両方の関連につきましてはいろいろ意見がございますが、差別したことはないということでございまして、今現在検討中でございます。
#52
○中西珠子君 骨つき鶏肉と骨なし鶏肉と関税を同じにできない理由は何でしょうか。
#53
○政府委員(野明宏至君) お答えいたします。
 骨つきの鳥肉とそれから骨なし鳥肉は国内生産の状況が違うわけでございます。骨つきのもも肉は国内生産は一部でございます。大部分は骨を外した正肉という形で生産をされておるわけでございます。したがいまして、骨のついていないいわゆる骨なし鳥肉については、国内の影響の度合いが非常に異なるわけでございます。そういったことが主たる要因になって現在の関税水準というものが決められておるわけでございます。決して両者殊さらに差を設けているということではございません。
#54
○中西珠子君 バナナについては季節関税が課せられているわけですけれども、これについてはフィリピンから要求があるそうですが、どのような対応をなさるおつもりですか。
#55
○政府委員(関谷俊作君) バナナにつきましては、国内の果実、特にリンゴ等の出回り期等の関係で四月から九月まで、十月から三月までで関税率に差を設けております。いわゆる季節関税でございます。これはやはり全体的に見まして出回り期に特に多いリンゴ、その他の果実について非常に消費面で競合があるのじゃないかというようなことから税率の差を設けているわけでございまして、これからこの辺の問題につきましてはよく消費の動向でございますとか、国内産業果実との関係、この辺をよく検討しながら慎重に対処してまいりたいと思っております。
#56
○中西珠子君 エビとパーム油と合板についてはいかがですか。
#57
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 エビの関税につきましては昨年の十二月の対外経済対策におきまして、本年の四月より三・四%から三・〇%ということで、二年前倒しを行ったところでございまして、その結果東京ラウンドの最終税率にまで現に下がっております。
 それで、これ以上関税が下げられるかどうかというところでございますが、エビの輸入金額が現在三千億円を超えておりまして、国内供給量の約七〇%が現に輸入物でございます。したがいまして、我が国のエビのマーケットはもう十分過ぎるほど開放されているというふうに認識をいたしております。一方、国内生産はほとんど零細な沿岸漁業者によって行われているものでございますので、私どもといたしましてはこれをさらに関税を引き下げるということは大変困難なことであるというふうに考えております。
#58
○政府委員(塚田実君) パーム油についてお答えいたします。
 確かにマレーシアからパーム油の関税の引き下げについて要求があることは承知しております。
 ただし、パーム油は御案内のように去年の四月に四%から三%に下げたばかりでございます。その上、ECでも一二%の関税を下げておりまして、そういう関税率の水準が既に相当低い、それから下げたばかりであるということがありますが、他方、パーム油についてはこれは熱帯産ですから国産はありません。そういう事情もいろいろ勘案しながら、先ほど大臣も申し上げましたように鋭意検討中というところでございます。
#59
○政府委員(田中恒寿君) 合板についてお答えいたします。
 ASEAN諸国、特にインドネシアから国による差であるという言われ方をされておるわけでございますけれども、これは決してそういうわけではございません。針葉樹と広葉樹の樹種による差でありまして、アメリカの主力製品が針葉樹でございますし、ASEAN諸国が広葉樹でございます。もちろん用途も違いますし、また日本の合板業界に与えます影響も全く影響度が違っておりますので双方に関税の差があるわけでございますけれども、今回の四月九日の決定におきましては、しかしそういうふうに受け取られております気持ちもやはり配慮をいたしまして、広葉樹、針葉樹を通ずる関税の引き下げに取り組むということで、これは総合的に判断いたしまして今回は対応したいと考えているところでございます。
#60
○中西珠子君 同じインタラタイ精華大学教授は非常に親日的な方なのです。それにしてもASEANの国のことを考えて率直な忌憚のない意見を述べられたのですけれども、品質の基準について日本はASEAN諸国に非常に高い農産品、食品の基準を設けている、それはアジアは汚いという態度でASEAN産品に偏見を持っているのではないか、こう言われたわけです。検疫の関係はどうなっておりますか、お聞きしたいのです。
#61
○政府委員(関谷俊作君) 私の方から検疫の中の特に植物検疫についてお答え申し上げますが、日本の場合はこういう島国でございまして、大変そういう意味では病害虫が少ない、言ってみれば大変きれいな国になっております。そういうことで日本にはない病害虫、これは一たん侵入してまいりますと大変影響が大きいものですから、検疫面ではその面で大変厳しく対処しております。これは日本だけ特に厳しいということではございませんで、例えばアメリカを例にとりましても、日本からミカンを出す場合にいわゆる柑橘潰瘍病というものに対して大変厳しい検疫条件を課しているわけでございます。こういうようなことで、やはり国内の植物をつくります農業生産にとって大変影響の大きい有害な動植物については、これを厳しく対処をするということで対応しております。
#62
○中西珠子君 基準とかそういった検疫関係で差別的という印象を与えているというのはちょっと困ることですけれども、確かにいろいろな不健康な状況、非衛生的な状況というものが存在しているそういった国々に対して、やはり技術協力、技術移転などをして指導していって、日本の規格に合ったような産品を輸入するという方向でやっていくことも必要ではないかと思うのでございますけれども、農水大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
#63
○国務大臣(佐藤守良君) 中西先生にお答えします。
 実は骨なし鳥肉などは日本でできるよりもタイでできる方が日本の規格に合っていいものができてくるのです。そんなことで逆に困っておるわけで、今先生おっしゃったようなことで農林水産省は指導してやっております。
#64
○中西珠子君 これはちょっと通産省にお聞きし
たいのでございますけれども、現在の経済摩擦の原因は確かに貿易不均衡の拡大ということだと思うのですが、それもやはりドル高に起因するところが大きいと私は思うのです。しかし、経常収支の黒字幅の拡大というものに加えて、非常に集中豪雨的あるいはレーザービーム型の輸出というのが行われて、経済摩擦の火に油を注いできたということも確かだと思うのです。
 それで、こういった集中豪雨的な輸出というものが例えば米国では自動車産業、ECではエレクトロニクスの産業などを弱体化させて、そしてそういった分野における失業が増大したということも否めない事実であると思うのです。それで日本は失業を輸出しているなどということも言われるほどの実態もあったと思うのでございますけれども、今後こういった面に対してはどういう指導を国内的になさるおつもりか、それからまた、対外的にはどのような対応をなさるおつもりかということをまず通産大臣にお聞きしたいわけでございます。
#65
○国務大臣(村田敬次郎君) 中西委員が今例にお挙げになりました自動車とかVTRなどが一番具体的な例だと思いますから申し上げますが、自動車の場合は今では世界一の自動車産業、日本はそういうことになりました。かつてはアメリカが圧倒的に強かったわけでございます。しかし、日本の自動車が非常に評判がよくなりアメリカへの輸出が多くなっておるというわけでございます。
 したがって、四年前から自動車の輸出規制をいたしまして台数を制限した。昨年は百八十五万台でございましたが、ことしは制限をすべきかどうかというところで、最後に私の決定で二百三十万台を超えない台数ということで決定をいたしたのでございますが、これは日米両国の貿易摩擦を少なくする、そしてまたアメリカの消費者の方にも喜んでいただけるという考え方から、制限をする台数は幾らかということで二百三十万台をはじき出したわけでございます。発表のときには非常に向こうからの反発があったのでございますが、現在においては私は鎮静した、自動車輸出についてはよかったというふうに判断をいたしております。
 それから、エレクトロニクスの一つの分野でありますVTRでございますが、VTRについてことしは天気予報というのをいたしまして、二百二十五万台を超えないということで天気予報をいたしました。これは自動車規制とは違った形でございますが、ECとそれが妥結をいたしまして、そしてその範囲内で欧州の市場を荒らさない、また、御指摘になられました労働市場も荒らさないといったような考え方でやったわけでございまして、これが一つの具体的な例であろうと思います。日本は御承知のように非常に資源が少ない、そして国土が狭い、人口が多いわけでありますから、どうしても貿易立国ということを考えざるを得ないわけでございまして、その形においては貿易摩擦はある意味で必然的だとも言えるわけでございます。そういったことに対して現在、先ほど来御説明申し上げておりますアクションプログラムをつくりまして貿易摩擦を最大限減らす、そして内需を拡大して、日本自体が世界の一割国家、国際国家として存在意義を大いに認めてもらうということで努力をしておるわけでございまして、そういった点の今後も厳しい努力が続けられる、このように認識をいたしております。
#66
○中西珠子君 行動計画、アクションプログラムの中身を充実さしていただくということは非常に大事なのでございますが、今大臣もおっしゃいましたように、やはり内需の拡大ということが非常に大事ではないか。それからこの経済摩擦は単なる経済の問題ではなくて社会的な面、労働の面、文化の面、それからまた政治的な面の複合した摩擦というふうにも考えられますので、やはり長期的な視野に立った抜本的な対策というものをお考えいただく必要があると考えます。
 私、ちょっと新聞を見ていましたら、自動車電話ダンピングというのが出ているのですね。これは六月七日の朝日ですけれども、自動車電話のダンピングで日本の五社が商務省から、一応これは仮決定ですけれども、クロだという判定が下ったというのです。これに対しては通産省は御指導なすっているのでございますか。
#67
○国務大臣(村田敬次郎君) これは実は郵政省の所管で郵政大臣でございます。農水大臣も大変お詳しいのでございますが、所管としては郵政省でございます。ただ、きょうのアクションプログラムの計画では、そういった問題もあわせてこれからひとつしっかりやってくれという指導が総理からございました。
#68
○政府委員(鈴木直道君) アメリカとの関係におきまして、いろいろな輸出が非常にふえる品目につきまして、おっしゃるような形でダンピングの提訴等々が行われますが、今おっしゃいました自動車電話につきましては、提訴があって受け付けられたという段階でございまして、それが現実にクロであるかどうかというのは今後の調査、日本側ももちろん弁護士さん等を使って反論するチャンスはございますが、そういうことで決定されるわけでございまして、まだ決まったわけではございません。
#69
○中西珠子君 電気通信分野での市場開放問題は通産省と郵政省との間で非常に意見の違いもおありになったとか伺っておりまして、そしてアメリカ側から、こちらの省がこうおっしゃってこちらの省がこうおっしゃったというふうなことも聞いておりますけれども、これは全然所管が違うというふうにおっしゃらないで、どうぞ緊密な連携を持ってやっていただきたいということを申し上げておきます。
 それで、アクションプログラムもさることながら、やはりそれを補完する意味で緊急輸入というものをお考えになっているということが新聞に出ておりますが、大体においてどのようなものを緊急輸入するというお考えなのか、これはどちらにお聞きすればよろしいのか。通産大臣でいらっしゃいますか。
#70
○政府委員(村岡茂生君) いわゆる緊急輸入につきまして、実は現下の非常な貿易インバランスの問題を背景として、最近ようやく検討するに至った段階でございまして、まだもちろん結論を得るに至ってはいないのでございますが、私たち現時点において考え得るものといたしましては、例えば航空機、これはJALとか全日空とか、こういうものが輸入される航空機を少し急いで前倒しして輸入できないかとか、あるいはレアメタルみたいな金属類を備蓄することを拡大できないだろうかとか、あるいは経済協力の一環ではございますが、プラントバージみたいな形で、発電施設を諸外国から輸入して、日本のバージに載っけてこれをLDC諸国に経済協力で置いて民度を向上させるというようなことができないだろうか、いろいろなことについてやっと検討を内部的に始めた段階でございますので、まだこれという決め手を持っておりません。
#71
○中西珠子君 政府調達制度についても改善をお考えだそうでございますが、これは具体的にはどういうことをお考えになっているのでしょうか。
#72
○政府委員(村岡茂生君) これもいろいろ関係各省にまたがる問題でございまして、通産省にまつわるものがむしろ少ないわけでございますが、若干聞いた話として申し上げてみますと、二つの種類がございまして、一つは、いろいろ民間にも輸入を拡大するようにお願いしているという異常な状況にございますので、政府といたしましても買うものはないだろうかというようなことをいろいろ考えてみましょうというタイプのものでございます。これは例えて申しますと、明年度はサミットがございます。その関係で防弾ガラスつきの高級車を輸入できないだろうかとか、あるいは政府専用機、ヘリコプターにいたしましてもあるいは大型機にいたしましても、そういうものが買えないだろうかとか、そういうたぐいのものを議論しましょうというカテゴリーのものが一つ。もう一つは、政府調達は、いろいろございますが、内外無差別というような原則をより徹底できないか。例えば入札に付するよりは随意契約でやる局
面が多いわけでございますが、もう少し徹底して入札制度、公開入札というものができないかというようなことを検討してみようということでございます。
 いずれにいたしましても、このアクションプログラムの中で七月末までに議論を結了させなければならないと考えておる次第でございます。
#73
○中西珠子君 先ほども申し上げたように私どもの国際経済問題小委員会では、アメリカのマンスフィールド大使だとかそれからハイディ在日米商工会議所の会頭、それからベラヴィータ欧州ビジネス協議会議長とか、そういった方々においでいただいていろいろお話を願ったのでございますけれども、関税の問題ばかりでなく、やはり非関税障壁につきましても言及されまして、例えば国際検査基準を受け入れていないのは大変問題であるとか、基準認証手続が非常に厳しくて差別的であるとか、そのような言葉もお使いになったりして非関税障壁の問題について問題を指摘されたわけでございます。こういった問題についてはどのような対応をなさるおつもりなのでございましょうか、お伺いいたします。
#74
○政府委員(鈴木直道君) アクションプログラムに含まれます関税以外の項目でございますが、先生から御指摘ございましたような基準認証の問題、さらには輸入制限の問題、政府調達、サービス、政府調達につきましては先ほどお触れになりました。特に基準認証につきましては、一昨年私どもとして一つの閣議決定がございまして、先ほどおっしゃられた内外無差別、あるいはまた透明性ということで外国の方々の意見を聞く、あるいは規格を国際化させるという国際化の原則等々具体的な原則を決めて、その後私どもとして最大限の努力をいたしましたが、今回のアクションプログラムにおきましてはさらに手続を簡素化するとか、外国データを直接受け付けるとか、各般にわたりましてかねがね海外諸国からございました要望にこたえるべく最大限に努力しているというのが今の段階でございます。
#75
○中西珠子君 先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、やはり日本の市場の閉鎖性、それから流通機構の問題というものが大変問題になっているというふうに承知しておりますのですが、昨日の朝日新聞でしたか、大規模店小売店舗法がスーパーの規定をしている、そして日本では非常に流通機構が複雑だったり、また系列の企業とかグループの中では優先的にいろいろ取引が行われるけれども、外国の製品が日本の国民の手に渡るまでには非常に複雑であって、また市場に、流通機構に参入できないということも言われておりますし、たとえ参入できたにしても、何重にも流通機構の段階を経ていくものだから物すごく高い価格になってしまう。例えばネクタイの例なんかも挙げられましたけれども、そういうふうに一本のネクタイが物すごい高いものになってしまうという状況がある。
 それから、スーパー販売を通じなければやはり日本の市場に外国製品は参入できないのに、スーパー規制をやっている大規模小売店舗法を何とか改正もしくは撤廃してもらわなければ困るのだということで、これは交渉のテーブルにまだ上っていないと思うのですけれども、こういうことを問題として交渉したいのだということを言っていること自体非常に内政干渉的な感じがしないわけでもないのです。それにこの法律は中小の小売店の保護というものをねらいとしているわけですから、これをアメリカに言われたからといってすぐやめるわけにもいかないし、すぐ改正するわけにもいかないとも思います。こういった流通機構の閉鎖性ということは確かに存在はしているわけでございまして、近代化を図らなければならないという面も多々あると思うのでございますけれども、こういった面に関する通産大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#76
○国務大臣(村田敬次郎君) 今御指摘になられました新聞の報道につきましては、実はまだ具体的な申し入れはなされておりません。これは中西委員御指摘のとおりでありまして、大店法に基づく規制というものがいろいろあるわけでございますが、日本国内の場合は、その地域にあります小売店舗であるとかあるいは地域の消費者の立場というものを実際に考えなきゃなりません。したがって、大店法の規制はそれに基づいて行われておるのでございまして、きめの細かい対応をいたしておるところでございます。まだその申し入れがアメリカからなされておりませんから仮定の問題になりますが、もしそういったことがなされるとすれば、十分日本のそういった国内事情も説明をして御相談をしなければならないと思っております。
 それから、委員御指摘になられた我が国の流通機構が非効率的で閉鎖的である、また、商慣行がわかりにくいという批判が海外から言われておることは事実でございます。私も各国の大臣等にお会いしましたときにそういう指摘が行われたことはございます。しかし、これらの批判は日本の市場であるとかあるいは取引慣行などに対する理解の不足や誤解による面もあって、必ずしも的を射ていないとも考えられるわけでございます。しかし、仮に流通面にそういう問題があるとすれば、ぜひこれはこの際解決をしていかなきゃならないと思いますし、今後とも流通機構、商慣行について国際的な理解を増進するために一層の現実的な努力というものが必要であると考えております。
#77
○中西珠子君 世界のGNPの一割を占める日本といたしましては市場開放の努力も必要ですし、関税の引き下げ、また、非関税障壁の除去というものに対する努力も必要でございますが、やはり日本の経済力に見合った経済協力の拡大、それから政府開発援助、これは量が相当ふえてまいりましたけれども、まだ質の面においては御承知のとおりDAC加盟国から指摘もされているし、また、質の面ではDAC加盟十七カ国の中で非常に低い地位にあるということも言えるわけでございます。こういった面でもっともっと日本は努力していかなくちゃいけないし、それから雇用とか教育とか住居とかいった面での外国人の扱いということも、これは日本社会の閉鎖性をもろに示した面もあると思いますので、こういった面においてはやはり同じような努力を続けていく必要があるのではないかと思います。
 先ほど申し上げたように、経済摩擦はただの経済問題ではなくて非常に複合的な摩擦であるということも言えるわけでございます。もちろん、パーセプションギャップだとか相手国の理解の足らなさというものもあるのですけれども、そこはやはり日本のよいところを理解してもらうような努力と、本当の意味での国際的な責任を全うする日本でなければいけないし、もっと積極的な意味で、国際社会の一員としてすべての国と平和的な共存共栄を図って世界の平和に貢献するという面もなくちゃいけないと思いますので、こういった面での両大臣の御所信をお伺いいたしまして私の質問を終わらしていただきます。
#78
○国務大臣(村田敬次郎君) 大変いい御指摘だと思います。先ほど非関税障壁ということを言われたのですが、例えば日本語は非関税障壁であるという冗談があるわけです。実際私どもが外国へ行って外交折衝していく上で、例えば英語、フランス語などで話しておる国民に比べると大分日本語というのはわかりにくいという面があります。だから貿易面で大変それが障害になっているということもあるのです。事ほどさように日本は国際貿易社会では比較的後で参入をした国でございます。わずか四十年の間に世界有数の貿易国になり、そして経済大国になった国でございますから、そういった意味で商慣習やまた外国の労働事情、いろいろな問題で勘案をしなきゃならない問題がたくさんあると思います。今、中西委員の御指摘になった面は非常に適切な御指摘だと思います。今後の貿易あるいは経済立国の問題についてよく考えてやってまいりたいと思います。
#79
○国務大臣(佐藤守良君) 中西先生にお答えします。
 実は先生がおっしゃったとおりで、村田通産大臣の言ったとおりでございます。やはり基本的に
私は先ほどもちょっと言ったのですが、日本とアメリカの考え方の差、日本と東南アジアの考え方の差をどう理解し合うかということが非常に大切です。例えば基準認証の問題でアメリカと日本は全然考え方が違います。日本は非常に親切で、日本政府が全部国民の幸せを願って基準をつくる。ところがアメリカはそうじゃございません。そこで何かあると実は役所に全部苦情が来る。そうすると役所はたまったものじゃありません。千のうちの一つでも大変、その辺をどうするかを考えてやらぬと本当の自由化は私は難しいと思います。だから全部今役所に来ます。特に下ほどかわいそうです。下ほど融通をきかせません、まじめにやる。こんなことを含めて本当の自由化をやるならそこまで考え方を理解していないと難しい、こう私は思うわけでございます。
 また、先ほどおっしゃったようなことは、経済協力等を含めて、それから特に私は物を買うのでも、例えば農林水産物というようなけちなものじゃなく、例えば通信衛星一つ二億五千万ドル、二つで五億ドル、そういうものを買うとほっと光るわけです。そんな物の買い方をした方がもっと有効じゃないか。それから先生がおっしゃるようなことで、海外経済協力等に思い切ってやるというようなことをする必要があるのじゃないか、このように思っておるわけでございます。
#80
○国務大臣(村田敬次郎君) 我が省の有力なるスタッフからメモが入りまして、これはぜひ中西委員に訂正発言をさしていただいてくれ、自動車電話の基準につきまして、電波法の関係でその問題は郵政省でありますが、生産自体はまさに通産省である、このことをお答えしておいてくれというので、謹んで御訂正申し上げます。
#81
○中西珠子君 時間が来ましたので。どうもありがとうございました。
#82
○上田耕一郎君 私ども日本共産党は国際経済に関する第三の小委員会に委員がおりませんので、きょうは若干党の見解も述べながら質問させていただきます。
 四月九日に発表されました政府の対外経済政策、私どもはこの中身は率直に申し上げまして基本的に反対です。と申しますのは、日本の林業や合板業界に非常な打撃を与える関税引き下げの問題、それから日本人の命にかかわりのある医薬品での外国臨床試験データの受け入れその他、それから電電公社の民営化につながってATT、IBMなどへの門戸開放、それから新聞には第二のロッキード事件のうわささえ出ているという通信衛星購入に関する周波数の割り当て等々、余りに問題が多過ぎる。やはり対米屈従的だと思うのです。
 当日の中曽根首相の記者会見を見ますと、輸入手続は、簡素、透明、内外無差別、市場開放の観点に立ちと、もうまるきりガラス張りにしようという基本態度で、テレビでのいつからセールスマンになったのかというふうにからかわれるような、とにかくアメリカから物さえ買えば日米貿易摩擦が解決するというようなお立場なのです。しかし、マンスフィールド・アメリカ大使さえ、たとえ日本の関税・非関税障壁がすべて撤廃されたとしてもアメリカの対日貿易赤字が消滅するとはアメリカ政府のだれも信じていないと言っているわけで、やっぱり問題の分析、根源のつかまえ方そのものに非常に大きな問題があると思うのです。
 少し具体的に質問をしたいと思うのです。農水大臣にお伺いしたいのですが、農産物問題では、昨年四月の牛肉、オレンジなどの輸入枠の拡大問題、あれでもやっぱり譲歩を強いられましたし、それから農産物の残存輸入制限品目問題でも譲歩を重ねているというところなのですね。この点では私どもは市場開放すべてを否定するわけじゃございませんけれども、そういう際に、農業とか中小企業とか日本の国民経済に非常に重要な役割を果たしている部門については日本の経済主権の確保、それから日本の自主的な経済基盤をしっかりさせるという観点からも、必要な場合は保護政策を貫くべきだろうと思うのです。
 そこで農水大臣にお伺いしたいのは、私どもがマルクス主義の立場の本やら何やらを引用しても余りに立場が違うということになるだろうと思いますので、最近読んだ本で、農水省関係の方が書いた本でおもしろいのがありまして、佐々木敏夫さん、この方は農林省の元国際専門官だった方です。「先進国の食糧戦略」、これはアメリカもECもむしろ日本以上に農業、食糧問題については保護政策をきちんととっておる、そういう点では日本も当然とるべきだということをるるデータを挙げて書かれております。この方は農水省現役ではございませんけれども、「農的小日本主義のすすめ」を書かれた篠原孝さんは大臣官房、現役の方でございます。この方の農的小日本主義という立場そのものはなかなかユニークな、日本を中立のスウェーデンのような、そういう農業を中心にしたリサイクルの新しいシステム、加工貿易型の工業国家というのはやめた方がいいというなかなかおもしろい文明論的観点もあるのですけれども、その観点は別として、やはり篠原さんも佐々木さんと同じように、アメリカ、ECなどと比べましても日本の農業関係、食糧関係の市場開放度は非常に高いのだということを指摘した上で、米の自由化などめちゃくちゃなことは絶対言うべきでないと述べておられるのです。
 私はここに去年の九月発表になった日米諮問委員会報告を持っておりますけれども、これはレーガン・中曽根会談で決まってこの報告が出て、閣議でも中曽根首相は尊重すると言われた。これは防衛関係もうんと問題になりましたけれども、農業関係でも相当この篠原さんや佐々木さんが厳しく批判した米の問題まで国際価格に全部近づけろ、小規模の米作活動は痛手を受けるだろうからと言って、小農は打撃を受けることを頭から承知の上で市場開放を書いてあるというようなものなのです。こういう農水省関係の方が今の事態を見て非常に憂えられて書かれた二冊の本、それからまた全く反対の結論を出しております日米諮問委員会報告、これらについて農水相の率直なお考えをお聞きしたいと思います。
#83
○国務大臣(佐藤守良君) 上田先生にお答えいたします。
 まず最初に、佐々木さんの「先進国の食糧戦略」という本と、それから篠原君の「農的小日本主義のすすめ」について、実は私も詳細には読んでいないのですが、さらっと読んだわけです。その所感を申しますと、やはり佐々木さんの書いた「先進国の食糧戦略」は世界の食糧情勢に触れながら、EC、アメリカ、日本の農業政策及び農業保護について対比し、各国とも何らかの保護措置を講じていることを紹介していると思います。
 それから篠原さんの「農的小日本主義のすすめ」というのは、今先生がおっしゃいましたが、我が国は従来の加工貿易立国から徐々に脱却し、国内に内在する水とか森とか草とか海岸のリサイクル資源の有効活用を図ることにより、リサイクル的自立国家を目指すべきだとしております。そんなことで、私はこれを読みまして、やはりますます国土を有効利用し、生産性の向上を図りながら、国内で生産可能なものについては極力国内生産で賄うということを基本にした総合的な自給力の維持強化を図ることが大切だと考えております。
 また、先ほどおっしゃいました日米諮問委員会報告でございますが、これは、実は先生御指摘のように、貿易、為替、それから投資とか産業政策、外交、防衛等広範な事項について提言を行っておりますが、農業とか林産物貿易に関する提言については見解を異にする面が非常に多いと考えております。
 そんなことで、例えば現在の食糧安全保障政策については自給自足のみに焦点を当てた政策であるとの指摘がありますが、私としては、我が国の資源とか社会経済的要因を総合的に勘案し、また、食糧自給力強化に関する国会決議の趣旨を踏まえて対処していく考えでございます。
 また、農林業につきましては、国際的比較優位と特化に基づいて農林産物の貿易を拡大すべしと
しておりますが、農林業というのは先生御存じのとおり自然に大きく影響を受ける産業であり、単に経済ベースで割り切れない多くの側面がある、工業とは異なった扱いをする必要があると考えております。
#84
○上田耕一郎君 日米諮問委員会報告の農業関係のことについての御答弁は非常に注目してお伺いしました。ひとつ今のような御答弁の方向で日本の自主的な農業を守っていただきたいというふうに思います。
 通産相にお伺いいたしますけれども、大坪委員やそれから中西委員も取り上げられましたけれども、大型店規制撤廃問題ですが、これはまだアメリカから申し入れがないと先ほど言われましたが、新聞報道によると、来週東京で行う両政府間の貿易委員会でアメリカ側が正式議題として持ち出すというのですね。もう来週のことです。来週持ち出された場合に、通産相は先ほど、もしアメリカが持ち出されたらいろいろ御相談したいというふうにお答えになりました、複雑な問題を承知しているからということですね。ただ相談するというのじゃなくて、観点は先ほど農業問題について申し上げたように、日本の中小企業、特に中小商店は消費者にとっても非常に大事な関係を持つ、また数の非常に多い商店ですので、大規模小売店舗法がもしアメリカの申し入れによって中小商店が被害を受けるような形で何らか変更を加えられるというようなことがあったら大変な問題になると思いますので、中小商店、中小企業の保護という観点は、アメリカが持ち出された場合、相談のいかんにかかわらずその基本はお貫きいただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
#85
○国務大臣(村田敬次郎君) 上田委員にお答え申し上げます。
 その問題については先ほどもお答え申し上げましたが、目下まだそういう申し入れを受けていないわけでございます。ただ、基本としてこれは日本国内の問題でございますから、したがって大店法の趣旨に基づいて消費者、そしてまた中小企業の商店の経営、そういったことと大規模店の進出についていろいろ具体的な相談をしながらやっていっておるというのが大店法の現実でございます。したがって、そういった方針をアメリカから仮に申し入れがあっても変えるという意味ではございません。ただ、貿易問題として指摘があること自体が内政干渉であるということまで言う必要はないと私は思っております。したがって、日本のそういった実情をよく理解を求めて相談をすればいいではないか、こういった意味でお答えを申し上げた次第でございます。
#86
○上田耕一郎君 ぜひこの点自主的な態度を貫いていただきたいと思うのです。
 私は先ほど、政府の対外経済対策に根本的に批判を持っておると申し上げましたけれども、やっぱり日米貿易摩擦の大きな原因、対外的原因と対内的原因の双方について見解を異にする点がある。対外的原因では、私どもはアメリカ側に特にドル高、高金利、それからその背後にある財政赤字、さらに根源的には軍拡赤字に問題があると思っているのです。
 大坪委員も取り上げられましたけれども、今アメリカ農業が大恐慌以来五十年ぶりの危機だと言われて大問題になっている。レーガンは保護政策撤廃のような新しい法案を出しているのだけれども、農水相、このアメリカ農業の危機の大きな原因はやはりドル高にあると私どもも考えておりますが、いかがでしょう。
#87
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えします。
 私はやはり、穀物などは世界的な供給過剰による価格の低迷、それからドル高などによる輸出不振が大きな理由だと考えております。
#88
○上田耕一郎君 ドル高、高金利のおかげでアメリカの各産業の輸出競争力が落ちていて、農業が一番ひどく出たのだけれども、最近はコンピューター、エレクトロニクスなどアメリカの先端産業にまでそれが及んでいる。これもドル高に基づくアメリカの輸出競争力の低下が直接原因だと思いますが、通産相、いかがごらんになっていますか。
#89
○国務大臣(村田敬次郎君) アメリカの貿易赤字、日本の貿易黒字でございますが、これについては御指摘のようにドル高、それからまた高金利あるいは財政赤字といったものに大きな原因があるということはレーガン大統領自身も言っておるところでございます。ただ、日米の貿易関係を考えてみますと、日本の側にも輸出についていろいろそういった原因がないわけではない、やはりこれは相互的に理由があるのだというふうに考えております。
#90
○上田耕一郎君 ちょっとお答えが順序がかわっておりますけれども、まあいいでしょう。アメリカの先端産業まで危機に陥っているということで、このドル高、高金利がアメリカ資本主義の国際競争力全体に非常に大きな打撃を与えているという状況になっていると思うのです。
 それでその原因ですけれども、ここで議論をデータを挙げてやっていると時間もかかりますので、私はひとつ、エコノミストの四月三十日、五月七日号に、これは福田赳夫さんも書かれておられるけれども、シュミット西ドイツ前首相、彼のなかなか鋭い論文が出ているのです。彼は、今、世界経済を脅かしている二つの時限爆弾がある、一つは南米の累積債務、もう一つはアメリカの債権国から債務国への転落だ、この二つの時限爆弾がコチコチと時を刻みつつある、これを早く除去することをやらなきゃならぬ、手おくれにならぬうちに時限爆弾のヒューズを切断するために努力しなきゃならぬというのが彼のこの論文の結論なのです。その際、アメリカの債権国から債務国への転落、これは六十六年ぶりです。ボルドリッジ商務長官は一月から三月期に転落したかもしれぬと言っているし、商務省は、純債務残高がことし末で約一千億ドル、世界最大の債務国になるだろうと発表しているし、ニューヨーク連銀の調査では、もしこのままいけば一九九〇年に一兆ドルに達するだろうと、そういう数字まで発表されているのです。そうすると、その根源は財政赤字にあることは明らかで、これはボン・サミットの経済宣言もアメリカの財政赤字の大幅削減が書いてあるわけです。
 さて、ボン・サミットも中曽根内閣も触れないのだけども、この財政赤字の背景にはアメリカのレーガン政権の軍備の大拡大があるわけです。シュミット前首相はその点を見て、この財政赤字の削減のために一九八五年中に財政赤字を五百億ドル、つまり現状から四分の一縮小するには軍事費の削減をおいてほかに考えられないと述べている。私はこれはまさに正確な指摘だと思うのです。御存じのように、今アメリカの上下両院で軍事費削減問題が問題になって、特に民主党が大いに頑張っているようですけれども、約五百六十億ドルぐらいの削減幅が議会で問題になって、上院の方は実質で前年並み、下院は名目で前年並みと。これは実質削減です。そこまで態度を決めて、レーガン政権も窮地に陥っているのだが、これはアメリカの国会もこのドル高、高金利、それに基づくアメリカの債務国転落、輸出競争力の低下等等の根源の財政赤字を減らすためにはやっぱり軍事費削減以外にないのだということをアメリカの議会も認め、行動に出始めていることだと思うのです。通産相いかがですか。だからこういう日米貿易摩擦のアメリカ側の原因として、財政赤字だけじゃなくてその裏には軍備拡大、軍事費、これは数年たつと四千億ドルを超えるという数字まで出ているので、ストックマン行政管理予算局長がそういう発表をしているのですが、この点どうお考えになっているか、はっきり答えていただきたい。
#91
○国務大臣(村田敬次郎君) 今お挙げになりました五月七日付のエコノミスト誌の掲戦、「発展途上国の累積債務増加と、米国の債務国転落という二つの時限爆弾」という指摘、これは拝見をしております。そしてまた、アメリカが財政赤字を大変に抱えておる、そしてこの財政赤字を削減することについては、米国内のみならず国際的にも関心が高まっておって、私も出席をいたしました
が、御指摘のように先般のボン・サミット経済宣言においてもその重要性に言及したことは承知をしております。我が国といたしましてもこのような財政赤字の削減、ドル高、高金利の是正を米側に強く主張しておるところでございます。
#92
○上田耕一郎君 いや、質問は、そこまではもう今までだれでも知っているし、だれでも言うのですよ。その先のアメリカの軍事費の増大が財政赤字の原因と思わないか、上下両院さえ軍事費削減に乗り出しているのだから、通産相はどう思うかということです。
#93
○国務大臣(村田敬次郎君) 米国軍事費の問題は、通産省の所管外でございます。
#94
○上田耕一郎君 これは全く恐れ入った答弁で、日米貿易摩擦は通産省の所管でしょう。それの根源を追求していって、財政赤字までは通産省の所管だと。その先の分析は放棄するのですか、軍事費問題は所管でないと。驚くべき話ですな。
#95
○国務大臣(村田敬次郎君) その問題について私は日本の通産大臣としてここでお答えする義務はないと思います。
#96
○上田耕一郎君 じゃ、お答えにならない、お答えできないということですけれども、アメリカでさえ名目前年並みあるいは実質で前年並みを議会が決めているとすると、日本はことし前年度比名目六・九%です、軍事費をふやしたのは。そうすると、消費者物価の増を、卸売物価じゃない、消費者物価をとると二・八%ですからね、実質四・一%の軍事費の増で、アメリカでさえ前年並みというのに、日本の軍事費突出というのは本当に世界でも異例なものだということになるのですね。私はこれは異例だというだけでなくて、日本政府のこういう態度は実はアメリカの経済危機それから国際経済の危機をも推し進めるものだということを指摘したい。
 今度加藤防衛庁長官が滞米中に、アメリカの国会が防衛力増強を日本に対して要求する決議をして大問題になっておりますけれども、ひどい話で、自分の国会はアメリカの軍事費を下げようとしておいて、日本にはふやせと言うのでしょう。それで、つまりアメリカは本当に根源に手を触れないで、ツケを日本に回そうとしているわけです。日本もそのツケをはいはいと受け入れるのじゃなくて、本当に財政赤字の根源であるアメリカの軍拡をもっと下げろ、世界の軍縮のためにもやれという態度をとらなければ、世界の経済危機や日米貿易摩擦は解決しないです。
 それを、アメリカが回してくるのを、はいようございます、六・九%ふやしましょう、シーレーン防衛プラス今度はスカイレーン防衛だそうで、とんでもないことを始めますと。これはアメリカの財政赤字、債務国転落のスピード、それから世界の資本主義のさまざまな今諸問題、第三世界、発展途上国の累積債務を含めましてこれらの危機を推し進めることになる、そういう非常に悪い役割を日本政府が果たしているのだということを私は強く主張して、こういうやり方には我々は反対だと再度申し上げたいと思います。
 その次に、日本側の日米貿易摩擦の要因として、これは大来さんのレポート、対外経済問題諮問委員会報告などにも、日本の輸出競争力の強さからくる対米輸出が非常に伸びたこと、急増ということなど、当然のことが指摘されているのだけれども、この日本の輸出競争力の強さの原因が問題になってくる。これは当然日本の技術水準の高さとか製品の品質のよさは当然入りますけども、同時にやはりコストの安さも大きな要因だと思います。我々はこの問題を重視している。労働者の長時間過密労働、低賃金、それから日本特有の下請中小企業に対する激しい収奪があるわけです。それから八二年の日米労働コスト比較を見ましても、時間当たり労賃が、製造業はアメリカを一〇〇として日本四九、鉄鋼業は四六、自動車が三七というようなデータさえ出ているのです。こういう問題はいつも商工委員会などなどで大いに議論をしていると思いますので、私はちょっと違った角度でお聞きしたいのですけれども、最近出た報告で、これは違った角度からなのだが、労働時間短縮問題を日本の西暦二〇〇〇年に向けての大きな課題だとして指摘されているものがあるのです。
 国民生活審議会総合政策部会政策委員会のことし六月に発表された「長寿社会への構図――人生八十年時代の新たな経済社会システム――」これは、労働時間がアメリカ、イギリスが千九百時間、フランス千七百時間、西ドイツ約千六百時間、日本は割に短くなったけれどもまだ二千百時間あるということを指摘しながら、西暦二〇〇〇年には千八百時間まで労働時間を短縮しなきゃならぬ。これは私はスピードがのろ過ぎると思うのですけれども、少なくとも西暦二〇〇〇年には千八百時間という指摘がこの中間報告には出ている。それからこれは経企庁の委託調査で「二〇〇〇年に向けて激動する労働市場」の報告書、六十年三月のもので、これも私は非常におもしろく読んだのですけれども、これは高齢化社会の進展、それからパートタイマーなんかずっとふえていくだろう、それから情報社会化、マイクロエレクトロニクス化等々が物すごくこれから進んでいくであろう、それから第二次ベビーブームと言われる団塊二世ですか、その昭和四十六年から四十九年に生まれた方々の労働市場参入等々非常に詳細に分析をしまして、結局労働時間短縮がどうしても必要だと。西暦二〇〇〇年には日本の労働市場は物すごく厳しくなるであろうと言いながら、その解決のためには一つは労働時間の短縮ということを言い、年間百四十日間という休日をどうしても設けなければならないというのが積極的提言として出ているのです。
 それで、これは観点が違うけれども、日米貿易摩擦からだけでないのだけれども、こういう西暦二〇〇〇年に向けての日本の産業構造、労働市場構造の変化の分析から二つのレポートは労働時間短縮を出している。それから、日米貿易摩擦の激化からいっても、日本の国内の要因としてその問題を我々は重視すべきであろうと考えておりますけれども、通産大臣、いかがでしょうか。
#97
○国務大臣(村田敬次郎君) 今、上田委員が御指摘になられました「二〇〇〇年に向けて激動する労働市場」の労働時間を短縮するという主張、それからまた、その他いろいろな資料も拝見をいたしております。これは率直に申し上げて我が国の労働時間が欧米諸国より長いというのは事実だと思います。そして、これは例の大来さんも諮問委員会で指摘をしておるわけでございますが、貿易摩擦の原因にはさまざまな要因があると考えられますが、中でも技術革新の進展、設備の近代化等による我が国産業の国際競争力の優位による、これが大きな原因であると私は思うのです。
 通産省としては週休二日制の一層の普及、労働時間の短縮の促進などを図って余暇時間を増大させていくことは豊かな国民生活を実現し、活力とゆとりのある社会を築いていく上で必要でありまして、また対外摩擦の解消にも資するものであると考えております。
 なお、週休二日制の一層の普及、労働時間短縮の促進等に当たりましては各産業、企業の実情を踏まえて、労使の自主的な努力を通じて推進することが重要と考えておりまして、また適切な経済運営の確保など、労働時間の短縮を容易なものとするための環境整備を行っていくことが重要であると考えております。
 ただ、私自身の個人的な考え方をここで申し上げますと、私は戦中派でございますから、ちょうど上田先生と同じぐらいの年輩でございますが、働くことは日本人の非常に大きな長所だと思っているのです。これをもしすぐに労働時間の短縮ということで短絡的に結びつけると、日本の現在持っておる非常な活力というものをそぐのではないかという心配も個人的にはございまして、私はそういった意味でひとつ漸進的に週休二日制を行っていこう、また労働時間の短縮を行っていこう、二十一世紀に向けてそのように考えておるところであります。
#98
○上田耕一郎君 労働時間の短縮というのは、働くことを本当に効果的に国民経済全体の発展とい
うことに結びつけるものなので、今の個人的な御感想は余り重要なものではないのではないかと考えます。
 もう時間が参りました。私はこの日米貿易摩擦問題でアメリカ側のねらいは三つあると思います。
 一つは、軍事、外交、金融などアメリカの強い分野での支配をてこにして相対的に不利な通商面で有利な条件を引き出そうとしていることであります。二つ目は、アメリカの競争力が強い先端技術などの分野で日本の追い上げを封じ込めて優位を確保し続けることにある。三つ目は、農業、中小企業など日本の重要な経済的基盤を一層強くアメリカの支配下に置くことにあると思うのです。我々はそういうアメリカの不当なねらいに乗ることなく日本の主権をしっかり守る、経済主権をしっかり守る、日本の自主的な経済基盤をあくまで確保していくということ、そのことを通じて日本経済の発展が世界経済の発展に結びつくであろうと我々は考えます。
 以上申し述べて質問を終わります。
#99
○関嘉彦君 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会というのは、長期にわたる基本的な政策の調査研究をやる委員会でございますから、法案の審議をする委員会ではございませんので、政府委員でなければ答えられないような細かな事実であるとか数字なんかを聞くつもりは全然ございません。大臣の識見、また個人的な意見を先ほども述べられましたけれども、私はむしろそういった個人的な意見を大いに述べていただきたい。そうでなければ本当の討論はできないのじゃないかと思っております。政府委員の方はお忙しければどうぞお引き取り願って結構でございます。
 なお、第三の国際経済小委員会は、経済に関する安全保障の問題で経済協力の問題、経済援助の問題、あるいは資源であるとかエネルギー、食糧なんかの備蓄の問題、そういう問題も当然取り上げる項目の中に入っているのですけれども、きょうは通産、農水大臣がお見えになっておりますので、やはり日本の安全保障にとって非常に大事である経済摩擦の問題を中心に質問したいと思います。
 まず最初に、今まで日本は外国から市場が閉鎖的でありオープンでない、あるいはアンフェアであるという批判がなされておりますけれども、この批判をどういうふうに受けとられておるか、賛成されるのか反対されるのか、両大臣のどちらからでも結構でございますから承りたいと思います。
#100
○国務大臣(村田敬次郎君) 諸外国において、我が国の市場について今委員御指摘になられましたような批判があることは承知をしております。しかしながら、こうした批判のうちで日本と外国との制度、慣行の相違に基づくいわゆるパーセプションギャップに根差すものも少なくないと理解をしておりまして、こうした点については諸外国の認識を求めながら実態面で国際化を進め、ギャップ縮小のために不断の努力を行うことが必要であると思っております。
 一方、国際的な水準、我が国の国際経済に占める位置などから見て、我が国として改善すべき点があれば前向きに取り組むことが我が国の国際的な責務であると考えます。こうした観点からこれはアクションプログラムをつくるのについても一貫した原則でございますが、現在原則自由、例外制限の方針のもとに諸外国の要望を踏まえながら市場アクセスの改善について全面的な見直しを行い、アクションプログラムに盛り込むべく鋭意検討しておるところでございまして、確かに商慣習の相違やあるいはいろいろな国家としての今までの成り立ちの相違といったものに対する外国の誤解もあると思いますし、それからまた、日本自体も努力をして解消していかなければならない面も確かにあるのではないか。この二面について真剣な反省と検討と推進を行おうとしております。
#101
○国務大臣(佐藤守良君) 関先生にお答えいたします。
 私の農林水産省の農林水産物については的を射ていない、こう思っています。昭和三十年のガット加盟以来、厳しい農林水産事情にかかわらず累次可能な限り市場開放に努めてまいりました。この結果、我が国の農産品の平均関税率はECを大きく下回っております。また、輸入制限品目もガット加盟以来大幅に減少してきておりまして、我が国は世界一の農林水産物の輸入国で、一九八四年で二百五十五億ドルの入超となっております。
#102
○関嘉彦君 私も外国の批判については随分当たらない点があると思いますし、日本としても言い分は十分あると思います。しかし、これは理屈を言っていけば双方に理屈はあると思うので、理屈をお互いに言っていくとエスカレートしていって、結果がもし保護主義にでもなれば、一番損害を受けるのは私は日本じゃないかと思う。ここにいらっしゃる方の中では源田委員を除いて私が最年長じゃないかと思うのですけれども、一九三〇年代のあの悲劇を実際に見てきた者としまして、あの当時におきましてもやはり世界不況の結果失業者が各国にたくさん出て、その失業者を減らすために各国が保護貿易になって、日本なんかも随分締め出された。そのときに日本がソーシャルダンピングであるとかなんとかいろいろな非難を受けました。これに対して、そのとき日本の方は言い分はあったわけですけれども、結局保護貿易になってそしてああいう結末になった。ああいう歴史を繰り返してはならないと私は思いますので、何としてもこの保護貿易に各国が走るのを抑えていく必要がある。その観点から、以下若干貿易摩擦の問題について質問申し上げたいと思います。
 まず、通産大臣に質問いたします。
 貿易摩擦の問題が起こってからもう既に数年になりますし、先ほどの話にもありましたが、七回目かなんかという話でしたけれども、非関税障壁の撤廃あるいは簡素化に日本としてもそれなりに対応してきたと思います。ところが、また現在この問題が蒸し返されている。この経過を見てみますと、何かいかにも小出しで、一時しのぎで少しずつ譲歩してきた。日本人から見ますと、何か外国の圧力に応じていやいやながらそれに屈服してきたというふうな一種のフラトレーションを覚えますし、外国人から見ると、日本という国は圧力をかけなければ動かない国だという印象を与えているのじゃないかと思う。そういった印象を与えた、あるいは小出しにならざるを得なかった原因はどこにあると判断されておられますか。
#103
○国務大臣(村田敬次郎君) 関委員の御指摘を承っておりまして、実は同感の点が非常に多いのでございます。一九三〇年代当時の世界的な不況、恐慌、城山三郎さんが「男子の本懐」で描いておるようなああいう情景ですね、非常に深刻なものがあると思いますし、経済書で調べてみると、あの当時のGNPそれから貿易額はその前の六割ないし七割に減ってしまったというのでありますから、まさに保護主義というものの恐しさを非常に感じるわけであります。
 したがって、開放体制それから新ラウンドの推進に非常に熱心に対処をしておるわけでございますが、諸外国から見れば、日本がわずか四十年の間に大変な経済大国に成長をした、そしてまた日本の置かれた過酷な条件の中で実に見事な回答を日本が出しておる。何といっても貿易黒字というものはアメリカやあるいはASEANやFCやその他のいろいろな国々から見て非常に日本が目につく原因であると思います。したがって、そういったものにアンフェアなものがあるかないか、あるいは商慣習その他で誤解を受けるものがあるかないか。そういった実態についてのいろいろな考え過ぎ、誤解等もあると思うのでございますが、何といっても日本のそういう大きな貿易の伸展、経済国家としての大きな推進ということに原因があるのであって、したがって国際社会の中に対応をしていくためには自由開放体制をひとつ真剣に取り組んでいかなきゃならぬ、その意味で今進めておりますアクションプログラムの策定だとかそれから新ラウンドへの対応などは日本にとって欠かすことのできない大切な努力である、この
ように認識をしております。
#104
○関嘉彦君 私が質問した意味は、今後どうやっていかれるかという問題ではなしになぜ今まで少しずつこうやってきたのか、思い切ってぱっとやれば私は日本人の方でもそれほどフラストレーシリンを感じないし、また外国の方としても、何かいつまでたっても不満が残るというふうなこともなかったのじゃないかと思うのです。しかし、結局は譲歩する点までは譲歩したわけですから、なぜそういった行動様式があるのか、それをお伺いしているわけです。
#105
○国務大臣(村田敬次郎君) 例え話を申し上げますと、今まで漢方薬を一生懸命飲んでいたのじゃないでしょうか。思い切って大手術をしなかったということもあろうかと思います。しかし、ここへ来ると相当思い切った大手術をしないといかぬ段階に来たなという認識をしております。
#106
○関嘉彦君 私も全く同感でございます。
 それに関連しまして、特に今度の通信機器の自由化の問題に関連してでございますけれども、外国の新聞を受けまして日本の新聞にも出ましたけれども、外国の新聞では、日本の官僚機構及びその背後になっている自民党の何々族が圧力を加えている、これでなかなかできないのだ、これががんのもとだということを書いております。一々のその論文の内容は予算委員会で中曽根首相に申し上げましたからここでは申し上げませんけれども、実に大臣を侮辱したようなことを日本の官僚が言ったということが外国の新聞なんかに載っているわけであります。そういうふうな行動に対して大臣としてどういうふうにお考えになっておられるか、そのことをお伺いしたかったのです。
#107
○国務大臣(村田敬次郎君) 私も具体的な例を挙げようと思います。
 実は、ボン・サミットのときにリーガン首席補佐官とバイラテラルで四十分ばかり話し合いました。リーガンさんは御承知のように財務長官から今首席大統領補佐官になったのでありますから、行っておる機能は首相に近いような非常に実力者であると言われておりますが、この人が、四月九日の中曽根総理の決定は高く評価する、ただ問題はそれがどういう実績を持ってあらわれてくるかということである、ついては日本の官僚統制というものが非常に厳しいというふうに聞いているが、それについてミスター村田はどう思うか、こういう質問があったのです。
 まさに先生の御質問と同じでございますが、私は答えたのです。アメリカはいわゆる大統領制度であって、大統領がかわると高級官僚も皆かわってしまう、大臣も皆かわってしまうという制度があるが、もちろん大臣は日本もかわりますけれども、こちらは議院内閣制度でありますから、言うなれば次官以下の各省のスタッフはかわらないわけであります、私は率直に申し上げて、日本のビューロクラシーというのは世界に冠たる立派なものだと思います、それで、アメリカのようにがらがら皆かわってしまわないから非常に恒常性のある行政が行えるのだ、だけれども、その官僚機構のいろいろな統制を、具体的な方向づけを行うのは政治家である我々である、したがってそういう官僚統制という問題については我々がしっかりと方向づけを行うつもりであるから御心配をしないように、こう申し上げたのです。私の信念はそういうところであります。
#108
○関嘉彦君 それに関連して農水大臣にお伺いしたいと思いますけれども、合板の関税引き下げについて、造林業でありますとか製材業の総合的な活性化対策を打ち出すことに対して、林野庁の対応が非常に遅いと不満を述べられた。ことしの六月八日のある新聞には、雷を落とされたというような記事もあったように思いますけれども、今やはりそのようにお考えでございますか。
#109
○国務大臣(佐藤守良君) 関先生にお答えしますが、そういう事実はございません。林野庁は非常にまじめによくやってくれましたということでございます。
 それから先生、一つ先ほどの通産と郵政の問題ですが、率直に言いますとVANの問題だと思ったのですが、ただこれも実は一種、二種で、これはINSできたら光ファイバーで共用になるということでやっておる、そんなことですが、これは先生、考え方の差です。だから種々重要なことでございまして、実に通産、郵政は仲よくやっているということを御理解願いたいと思います。第三一者ですが、よろしくお願いします。
#110
○関嘉彦君 私の承っているところは必ずしもそうではないように思います。しかし、私は先ほど通産大臣が言われましたように、日本の官僚機構というのは非常に優秀だと思います。しかし、それは漢方薬を飲んでいるときには非常に優秀で、外科手術をしなくちゃならないときには、私はやはり官僚の力をコントロールしていく、それは政治家の任務だと思う。どうしてもやはり官僚というのは現状維持的でございます、法律に従ってやっていく。それで平時といいますか、大きな問題が起こらないときはいいと思いますけれども、現在はまさに漢方薬じゃなしに外科手術を必要とするような時代じゃないか。
 と申しますのは、これは官僚だけを私は責めるつもりはございません。政治家も含めて、また国民も含めて、国民が余りにお役人に対して注文が多過ぎる。ちょっとあらしが吹いて屋根がわらが飛びそうになってくると、すぐ市役所に電話して、ちょっと来てください、屋根がわらが飛びそうだ、そういうことを一々市役所なんかに言っていく国民もあるそうですけれども、こんなことを言っていたら何人お役人がいても足りるはずはないので、私は国民の意識からまず第一に変革する必要があると思う。
 つまり今までは、日本は外国から進んだ技術あるいは進んだ組織をいかにして取り入れてきて、それに追いついていくかということであったと思いますし、官僚の政策としても、何とか日本の業界の利益を守っていくということでよかったと思うのでありますけれども、これだけの経済大国になった現在においては、日本は世界の繁栄と平和に対してどういう貢献ができるか、その観点から政治が行われるべきじゃないか。そういう観点に立ちますと、私はやはり、もちろん官僚の持っている優秀な知識は大いに尊重しなくちゃいけませんけれども、それを使いこなすのは政治家でなくちゃいけないというふうな考えで、それで今言ったような質問をしたわけでございます。何かコメントがありますれば伺いたいと思います。
#111
○国務大臣(村田敬次郎君) 関委員の御高見に同感でございます。
 私は、官僚というものは政治家のような判断をしないところが官僚のいいところだと思います。なぜなら官僚は覊束裁量でありますから、法律や政令や省令で判断をするのでありますから、そういうものを飛び越えて官僚が判断をしたらこれは大変な間違いになるのでありまして、そういう高度な判断は政治家がすればよいのである。したがって、そういった点の官僚の守っていただくいわばルール、また政治家の守るべきルール、また政治家も官僚の行うべきものにむやみと手を突っ込むということは自制しなきゃならない、そういう認識を持っておりまして、その意味では非常に現在の行政機構のあり方というものは、新しい時代に向けて一つの方向性さえ与えていけば決して誤っていないと思っております。
#112
○関嘉彦君 これはもう済んだことなのですけれども、今後こういうことが繰り返されるといけないという意味で通産大臣に質問いたしますけれども、乗用車の自主輸出規制の問題です。
 ことしから、今までの百八十五万台だったのを二百三十万台ですかにふやして自主規制を続ける決定をした、これは、日本としては集中豪雨的な輸出を抑えるためにやった。ところが、現在おさまっているそうですけれども、通産大臣が言われましたように、アメリカあたりの反発が非常にひどかった。かえって非難されて、中曽根総理大臣も四月十二日の本会議で、これはミステークと言えばミステークであったということを答えられましたけれども、もしミステークであると判断すれば、これは情報のミステークであったのか、ある
いは十分こちらの意図を向こうに伝える根回しが不足していたのか、どちらであるというふうに大臣はお考えでございますか。
#113
○国務大臣(村田敬次郎君) 私は二百三十万台の中曽根総理そして私どもの行った決定は正しかったと信じております。そして私は、あの段階で余計な説明を申し上げないようにということを心がけておったのでございますが、中曽根総理があの段階で本会議で言われました。私も聞いておりましたが、それは発表形式であるとか時期とか、そういった問題に関連をして非常に素直に感じたままをおっしゃったのであると思っております。したがって二百三十万台の決定自体は正しかったと総理も信じておられると思いますし、私も信じております。
 事実、あれが発表になりました三月末の時期は貿易摩擦がその渦中でありまして、米国の上院が対日批判決議を満場一致で通した時期であります。したがって、あの時期ではどんなカードを出してもそれは批判の対象になったに違いないのでありまして、その後、例えばクライスラーのアイアコッカ会長が来られました。通産大臣室においでになりまして、会いたいということでありましたから、自動車のことに具体的に触れないのなら会おうという条件で会いましたら、一言もさすがに触れられませんでした。そして、あのアイアコッカの本では大変な対日批判が爆発しておったのでありますけれども、日本に来て行ったコメントは、むしろ現在の貿易赤字はアメリカ側に原因があるのだと言って、日本側をほとんど責めなかったわけでございます。
 かれこれ考えてみまして、いろいろな情報を我我はつかんでおりますが、大統領、側近、その他いろいろな情報をつかんで、あの二百三十万台の一年限りの決定としてやりましたことについて正しかったという認識を持っております。
#114
○関嘉彦君 私も、十分こちらの意図を向こうに伝える根回しが不足していたのじゃないかというふうに感ずるのです。つまり、ワシントンにおいてそのことをよく伝えると同時に、東京にあるアメリカ大使館に対してもそのことをよく伝える必要があったと思うのです。私がアメリカ大使館の人から聞いた限りでは、その前日になって初めてあのことを知ったと、ある責任者からの答弁があったのですけれども、どうも根回しが不足していたのじゃないか。そういうことは今後繰り返さないようにしていただきたい。
 自由貿易を維持していくためには、国内において価格経済あるいは自由経済を維持していくためには自由放任ではだめなのであって、やはり独占禁止法とかなんとかという価格経済を維持するための枠組みが介入していかなくちゃいけない。それと同じように、国際間の取引においても、残念ながら世界国家というのはないのですけれども、しかし、お互いに各政府間において連絡をとりながら、自由貿易を維持していくためにある程度の規制を加えるのは私は必要じゃないか。どうも中曽根首相の話を聞いていると、何かレッセフェールだ、干渉をデレギュレーションで全部取っ払えば、おのずからして自由経済ができ上がるかのような考え方が聞かれるのですけれども、それは間違いじゃないか。私はやはり、国際貿易においても自由貿易を維持していくために自主規制が必要じゃないかということを感じております。
 だんだん時間がなくなってまいりました。今後の中長期的な対策のことについて、既に他の委員からもお話がございましたけれども、ちょっと私の意見を交えてお伺いいたします。
 先ほどからもたびたび言われましたように、アメリカ側に、あるいはそのほかの国に対して是正してもらわなくちゃならない点があることはこれは事実でございます。その点は大いに外国に対して主張すると同時に、やはり日本自身としてこの貿易黒字構造というものを根本から直すことは私は不可能だと思いますけれども、できるだけその黒字が減るような政策をとっていく必要があると思う。
 それに対して、いろいろ財界であるとか評論家の間から提案がございます。例えば、先ほども言われましたように輸出課徴金の問題なんかを提案している人もありますけれども、これはかえって逆効果、むしろ円安をもたらす。円高にするためにやるのが、かえって結果としては円安をもたらすのじゃないか、私はこれ反対でございます。しかし先ほども言われましたように、輸出貿易によって非常にもうかっている会社に対しては、自由貿易を維持していくための負担金として法人税を上げるとか何かそれは方法は考えた方がいいと思います。やはり何らかの税金を取って、その税金によって、自由貿易によって困難を受ける、苦しい目に遭う産業の体質強化を図っていくということが必要ではないかというふうに考えております。
 それから、これも中曽根首相は、財政的な措置は一切やらないで民間活力、デレギュレーションによる民間活力によってやっていくということを言われました。我々の党は少し考え方が違っておりまして、確かに財政再建ということは大きな目的ですけれども、それだけが国の目的じゃないのであって、今としてはやはり保護貿易に各国がならないようにしていくということも、これも一つの大きな目的でありますから、場合によって財政再建を一、二年おくらしても構わないのじゃないかという考え方ですけれども、その点は自民党政府と我々の意見の違うところで、予算委員会の中でたびたび述べられたことですからここでは述べません。
 しかし、自民党の考え方の上に立ちましても、例えば民間資本を公共事業に動員していくためには普通の金利ではなかなか私はやっていけないのじゃないかと思う。例えば公共事業のための利子補給金というふうなことも考えたらいかがかと思います。あるいはその財源がないのだといろいろ言われるかもしれませんけれども、日本はかなり貯蓄率が高いのですが、果たして貯蓄優遇の税制を続けていく必要があるのかどうか。私は人為的に貯蓄を削減するような政策は反対でございます。しかし、人為的に貯蓄を推進していくような政策は今までは必要だったと思いますけれども、今後果たして必要なのかどうか。こういう点を検討しますと、私は必要な財源は必ずしも公債発行とかなんとかしなくてもやっていけるのじゃないか。そういった問題につきまして、時間がなくなりましたけれども、お二人の大臣から何かコメントがあればそれを承りたいと思います。相当時間が超過しましたけれども、委員長、お許し願いたいと思います。
#115
○国務大臣(村田敬次郎君) 時間が大分切迫したということでございますから簡単に申し上げます。
 先生から大変示唆に富んだお話をいただいております。例えば利子補給、これは住宅金融公庫の補給金であるとか、あるいは下水道の特例債であるとか、いろいろそういうものを既に導入している面もあるわけでございます。ただ、前年度のツケを後年度に回すという意味で、私はこれは通産大臣としての立場を離れて申し上げておきますが、後年度に負担を残すという意味で非常にいろいろな問題点がある。大蔵大臣が非常に苦労されるところだと思いますが、諸般についてお述べになられた意見は大変私どもの参考になる意見が多いわけでありまして、御高見を承って対応したいと存じます。
#116
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたします。
 先ほどの民間活力は大賛成。実は先ほど大木先生の財政誘導というのはそういうことで、今残っている民間活力はなぜできないかというと採算が合わないから。採算が合わないのは金利が高いからです。金利を安くすれば採算は合う。そんなことでむしろそういう利子補給をしながら財政指導をするということが大切だと思っております。
 また、土地など高いのは、逆に信託方式はどうだろうかという形も考えたらどうかと思っております。
 そういう形の中に、貯蓄ですが、いろいろな意
見がございますが、個人貯蓄二百数十兆円。これは国債百三十兆の今赤字が出ておりますが、むしろこれを出しても物価が安定をしている、景気が浮揚しているのは個人貯蓄のおかげじゃないかというようなことで、やはり私は貯蓄は日本じゃ推進すべきじゃないだろうか、こんな感じをしております。よろしくお願いします。
#117
○委員長(植木光教君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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