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1984/04/22 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 決算委員会 第6号
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1984/04/22 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 決算委員会 第6号

#1
第102回国会 決算委員会 第6号
昭和六十年四月二十二日(月曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月五日
    辞任         補欠選任
     小笠原貞子君     佐藤 昭夫君
 四月八日
    辞任         補欠選任
     青島 幸男君     下村  泰君
    ─────────────
  出席著は左のとおり。
    委員長         佐藤 三吾君
    理 事
                岩崎 純三君
                後藤 正夫君
                松尾 官平君
               目黒今朝次郎君
                服部 信吾君
    委 員
                石井 道子君
                大浜 方栄君
                倉田 寛之君
                斎藤栄三郎君
                杉元 恒雄君
                出口 廣光封
                仲川 幸男君
                夏目 忠雄君
                原 文兵衛君
                矢野俊比古君
                梶原 敬義君
                菅野 久光君
                丸谷 金保君
                刈田 貞子君
                田代富士男君
                佐藤 昭夫君
                井上  計君
                下村  泰君
   国務大臣
       労 働 大 任  山口 敏夫君
        ─────
       会計検査院長   鎌田 英夫君
        ─────
   政府委員
       労働大臣官房長  小粥 義朗君
       労働大臣官房会
       計課長      若林 之矩君
       労働大臣官房審
       議官       中村  正君
       労働省労働基準
       局長       寺園 成章君
       労働省婦人局長  赤松 良子君
       労働省職業安定
       局長       加藤  孝君
       労働省職業能力
       開発局長     宮川 知雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小島 和夫君
   説明員
       農林水産省構造
       改善局農政部就
       業改善課長    鈴木 克之君
       林野庁林政部長  浜口 義曠君
       労働省労働基準
       局監督課長    菊地 好司君
       労働省労働基準
       局補償課長    佐藤 正人君
       労働省労働基準
       局安全衛生部労
       働衛生課長    福渡  靖君
       消防庁消防課長  清野 圭造君
       会計検査院事務
       総局次長     西川 和行君
       会計検査院事務
       総局第四局長   磯田  晋君
       会計検査院事務
       総局第五局長   秋本 勝彦君
   参考人
       雇用促進事業団
       理事長      道正 邦彦君
       雇用促進事業団
       理事       倉橋 義定君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○昭和五十七年度一般会計歳入歳出決算、昭和五十七年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十七年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和五十七年度政府関係機関決算書(第百一回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和五十七年度国有財産増減及び現在額総計覚書(第百一回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和五十七年度国有財産無償貸付状況総計算書(第百一回国会内閣提出)(総統案件)
    ─────────────
#2
○委員長(佐藤三吾君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る四月五日、小笠原貞子君が委員を辞任され、その補欠として佐藤昭夫君が選任されました。
 また、去る四月八日、青島幸男君が委員を辞任され、その補欠として下村泰君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(佐藤三吾君) 昭和五十七年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、労働省の決算について審査を行います。
    ─────────────
#4
○委員長(佐藤三吾君) この際、お諮りいたします。
 議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(佐藤三吾君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ─────────────
#6
○委員長(佐藤三吾君) それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○菅野久光君 私は、今我が国の労働政策の大きな課題となっている労働時間の短縮の問題を中心に質問をいたしたいというふうに思います。
 まず、山口労相は大臣に就任してから各所において労働時間の短縮の必要性についていろいろ語られております。この時短を必要とする理由をひとり、時間がございませんので簡潔にお答えいただきたいというふうに思います。
#8
○国務大臣(山口敏夫君) 労働時間の短縮の問題は労働者福祉、労働条件の改善という問題でありますと同時に、高齢化時代を迎えまして雇用の延長、定年の延長等をぜひ進めていかなきゃならない。そうしますと、現在六千万労働人口がさらにここ七、八年の間に五百万から六百万規模の労働人口の増加が見込まれる。一方におきましては、資源のない日本でございますので技術革新、ME化、ロボット化にもやはり真剣に取り組まなければならない。さらには社会環境の変化等の中におきまして主婦の、女子の職場進出というものが非常に拡大をされる。そういう意味で、今日までの労働市場とこれから数年先の労働市場では非常に大きな変化が予測される。私はそういうためにこの基本は産業政策によって仕事を創出していくということが大事だと思いますが、一方におきまして労働時間の短縮を含めましたいわゆるワークシェアリング的な、仕事の分かち合い的な一つの発想も転ばぬ先のつえとして今から研究し、勤労国民共通の問題として考えておく必要があるのではないか、そういう立場からこのゴールデンウイークの休暇、連続休暇に象徴されるような労働時間短縮と休暇の拡大について国民の皆さん方にもお訴えし、御提案申し上げている、こういう基本的な考え方でございます。
#9
○菅野久光君 今大臣がいろいろ述べられましたが、さらに今問題になっている貿易摩擦等の関係もやっぱり大きくあるのではないかというふうに思いますが、この労働時間短縮の目標として昭和六十年には二千時間以下にすると言っておられるわけですが、総労働時間を見ますと逆に労働時間は増加をしている。この目標は単なるお題目にすぎないのではないか、そのように思いますが、どうしてこの目標を達成することができないのか、その原因をひとつ明らかにしていただきたいとともに、最近の労働時間を国際比較の上で日本の労働時間がどうなっているのか、その辺も含めてお答えをいただきたいと思います。
#10
○政府委員(寺園成章君) 労働時間短縮につきましては、五十五年の十二月に週休二日制等労働時間対策推進計画を策定をいたしまして、我が国の労働時間の水準を六十年度までに欧米主要国並みの水準に近づけるということを目標にして取り組んでまいったところでございます。労働時間は長期的には短縮が進んでおるというふうに思いますが、近年は短縮のテンポが鈍化をいたしておりまして、五十九年の年間の総実労働時間は二千百時間を若干上回っておる状況でございます。
 この理由はどうかということでございますが、基本的には近年の経済成長率が低下したことに伴いまして、週休二日制などの制度面の改善が緩やかであった、若干は進んでおりますけれども緩やかであったということ、それから年次有給休暇の消化率が依然として六割程度で推移をしておるということが挙げられると思います。さらには、我が国では終身雇用慣行でございますので、生産調整を雇用よりは所定外労働時間で行うという傾向がございまして、最近の景気拡大に伴いまして所定外労働時間が増加をしておるという状況などが影響いたしまして、先ほど申し上げましたように五十九年の年間総実労働時間は二千百時間を若干上回っておるという状況でございます。
 それから国際比較でございますが、労働時間を諸外国と比較をすることは非常にいろいろ難しい面がございますが、できるだけデータの基準をそろえて製造業の生産労働者について推計をしてみますと以下のようになります。
 最近、一九八三年の数字の推計が完了いたしましたが、一九八三年で製造業生産労働者について比較をいたしますと、日本は二千百五十二時間、アメリカにおきましては千八百九十八時間、イギリスでは千九百三十八時間、西ドイツ千六百十三時間という状況になっております。
#11
○菅野久光君 言えば先進国のどの国よりも日本の労働者の労働時間が製造業等では長いということが、今の国際比較の中でも明らかだというふうに思います。これは我が国の長時間労働と低賃金によって製品コストを引き下げている、そのことが今の経済摩擦を招いている大きな一つの原因だ、国際協調という面からも非常に問題があるというふうに思います。国際的な非難の的に今日本はなっているわけでありますが、この意味からも時短の必要性は多言を要しないというふうに思います。
 そこで、目標の二千時間でも国際的に見るとまだ長時間労働でありますが、大体いつごろ達成できるというふうに労働省としては見ているか、その辺をお伺いいたしたいと思います。
#12
○政府委員(寺園成章君) 先ほども申し上げましたが、五十五年に策定をいたしました週休二日制等労働時間対策推進計画におきましては、六十年度までに欧米主要国並みの水準に近づけるということを目標にしながら、一つの数字といたしまして、一般的、平均的な生産労働者の姿として二千時間という姿を想定をしながら計画を策定をしたわけでございます。この計画は六十年度が最終年次でございますので、現在、労働時間短縮についての展望と指針といったものを策定すべく作業をいたしております。三者構成から成ります中央労働基準審議会で御議論をいただいておりまして、その議論を参考にしながら夏ごろまでには展望と指針といったものを策定をいたしたいというふうに考えております。したがいまして、そこでの議論がどのような議論になりますか、審議会での議論がどのような議論になりますか、それを参考にしながら私どもとしての行政の指針というものを策定をいたしたいというふうに考えております。
#13
○菅野久光君 では、それは出てからのまた論議ということにさせていただきたいと思います。
 次に、年次有給休暇の問題についてちょっとお尋ねをいたします。
 ILOが一九八三年に世界の百二十八カ国の年休制度を調査した結果によりますと、我が国の有給休暇制度は、経済大国と言われながら世界の最低水準であることが明らかになりました。つまり、我が国の法定による最低基本休暇の六日間はフィリピンに次いで二番目に少ない、タイと同じ水準である。労働時間について言えば、日本は全世界の後進国であると言っても過言ではないというふうに思います。この事実をどのように受けとめているのか、またこの事実をお認めになりますか、お伺いいたします。
#14
○政府委員(寺園成章君) ただいま御引用の資料は、多分各国の年次有給休暇の最低日数を比較した資料ではないかと思います。
 御承知のように、我が国の労働基準法の年次有給休暇制度につきましては、勤続年数が長くなれば年次有給休暇の日数は増加をしていくという仕組みでございます。したがいまして、現在の平均的な有給休暇の付与日数は、我が国では十五日程度であろうかと思います。
 しかし、いずれにいたしましても年次有給休暇の消化率が六〇%程度であるということにつきましては、各国、特に欧米諸国との比較におきまして必ずしも十分ではないという理解をいたしておりますので、年次有給休暇の計画的な消化などを通じまして消化促進を図ってまいりたい、そのための行政指導を続けてまいりたいというふうに思っております。
#15
○菅野久光君 いずれにいたしましても、法定による最低基本休暇がそういうような状況で、これは企業によっては、一般的には勤務年数によってふやしていくという企業が多いわけですけれども、中にはそういうことのない企業もあるわけですね。そういった点についてもっとやっぱり労働省としても指導を強めていかなくてはいけないのではないかということを私は申し上げておきたいというふうに思います。
 国際的に見て最低水準にある日本の年次有給休暇ですら、その消化状況は先ほどお答えになったように最悪であるというふうに思います。日本においては年休の付与日数平均して十四・八日というふうに承知しておりますが、これに対して取得日数が八・八日、取得率が六〇%と大変低い。西ドイツは取得日は二八・五日、フランスは五週、イギリス四・二週、アリメカ四・一週になっております。したがって、この年休の取得日数がこれだけ大きく違っていることが、我が国の年間実労働時間の数字に大きな影響を与えていると見てよいのではないかというふうに思いますが、その点はいかがですか。
#16
○政府委員(寺園成章君) 欧米諸国との労働時間の比較におきまして一番大きくきいてくるといいますか、差が出てくる原因の一つは、ただいま先生がおっしゃいました年次有給休暇の消化の状況だろうと思います。もう一つは完全週休二日制の普及の状況、この二つが大変大きな要素であろうというふうに思います。
#17
○菅野久光君 労働時間の短縮を図るためには、何といっても年休のあり方が重要であるというふうに私は思います。
 そこで、現在我が国の年休の消化率が平均して六〇%という低水準は一体どこに原因があるのか。さらに、ことし度に労働基準法研究会、これは大臣の私的諮問機関、ここが労基法改正を前提とした最終報告書を提出するようでありますが、年次有給休暇の付与日数の基準、取得条件の整備の方法等について議論されているのかいないのか、いるとすれば、法律改正に向けて具体的にどのような内容のものを考えているのかお伺いいたしたいと思います。
#18
○政府委員(寺園成章君) 労働基準法研究会におきましては、昭和二十二年に制定されまして以来、そのままに推移をしております基準法の労働時間法制について御検討をいただいておりまして、昨年の八月に中間報告が出されました。その中間報告の中に、年次有給休暇の問題についても調査研究がされた旨記述をされております。
 内容といたしましては、付与日数について最低付与日数を六日から十日に上げるというような提言でありますとか、計画的な取得を推し進めていくに当たっての提言というものも含まれております。いずれにいたしましても中間報告でございまして、その後、研究会として労使各側を初め関係者からヒアリングを行っていただいております。そのヒアリングを踏まえてさらに調査研究をお続けになりまして、本年には最終的な報告がちょうだいできると思っております。その報告を受けまして、私ども基準法の改正問題を含めましてこれまた関係審議会の御意見を聞きながら取り組んでまいりたいというふうに思っております。
#19
○菅野久光君 労働省は昭和三十年の十一月三十日に基収四七一八号と、昭和五十三年六月二十三日に基発三五五号の通達を出しておりますが、この両通達の趣旨を、時間が余りございませんので、簡潔にひとつ説明していただきたいというふうに思います。
#20
○政府委員(寺園成章君) 三十年の通達の趣旨は、過去におきます実出勤日数に応じて賞与を支給することは、労働基準法三十九条に違反しないという趣旨のものでございます。
 それから、御指摘の五十三年の通達の要旨でございますが、これは精皆勤手当、賞与の額の算定に際しまして、年次有給休暇を取得した日を欠勤、またはその欠勤に準じて取り扱うことは直ちに労働基準法に違反するものではないけれども、基準法の精神に違反するので、その是正を指導をするという内容のものでございます。
#21
○菅野久光君 今のその通達が私は非常に問題だというふうに思うわけです。私は、我が国の年次有給休暇の法定日数が、先ほどから申し上げておりますように大変劣悪な水準なのに加えて、それすらも消化不良であることは、今指摘いたしました昭和三十年十一月三十日の基収四七一八号という通達が今日においても生きているからだというふうに思うんです。この通達のポイントは、今お話がありましたように、年休を取得する結果、過去における実出勤日数に応じて賞与を支給することは労働基準法違反とはならないということにあります。我が国の賃金の特質は、年間賃金の中に占める賞与と一時金の割合が多く、恐らく四〇%前後、公務員ですと年間四・九カ月分ですから、総給与に占める割合は四〇・八%になります。そこで、ボーナスのカットは労働者、サラリーマンにとっては身にこたえることになります。
 一方、山口労相は大臣就任以来、年休の完全消化を盛んに述べております。このような通達がある限り年休取得の抑制につながる、まさにさすっておいてたたくに等しいこの通達を私は廃止すべきだ、これがある限り年休を取ればボーナスをカットされるんですよ、そういうことを大臣が奨励しているということは、やっぱりこの通達がある限り矛盾をしているんじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。
#22
○国務大臣(山口敏夫君) 私がいろいろ提案しております労働時間短縮、休暇の勧めの中で、特にゴールデンウイークの問題でございますとか、あるいは正月の三が日休暇の問題でございますとか、これは各労働団体からも非常に強く要求されておるところでもございます。
 一方、経営者側や中小商工業者からの反対でございますとか、いろいろ問題、批判もございます。しかし、同時に勤労者個々の方の有給休暇取得に対する抵抗も率直に申し上げてあることも事実でございます。いわば勤労に関しましては、労使双方が二宮金次郎一辺倒ということで、なかなか小原圧助さんとの割合がバランスに欠けておる、それが国際的な労働市場からもいろいろ批判を受けている、こういう点も今日まではございました。
 しかし、先生からも御指摘のように、政府が先頭に立って進めておりますいわゆる生活余裕期間の拡大というものが内需振興、個人消費の拡大等にもつながっておる、こういう社会的な大きな環境の変化もございます。私どもは、今局長からも答弁ございましたけれども、労基法研究会でもこの問題は議論されておりますし、ゴールデンウイークその他を法制化するという、あるいは労働立法休暇、労働休日とするという議論も今与野党で話し合いは進んでおりますけれども、この有給休暇の振りかえということを含めて検討していきますと、労働時間問題に対する大きなまた前進、改善がなされるんではないかというふうにも考えておるところでございまして、先生の御指摘いただいておりますように、この有給休暇が不利益取り扱いにならないようにどう改善すべきかということにつきましては、私どもも真剣にこれを研究して何らかの具体的な改善策にこれがつながるような検討をしたいと、かように申し上げておきたいと思います。
#23
○菅野久光君 それじゃ、今の通達の関係はもう一つあるわけですけれども、いずれにしろ労働者が年休をとったことによって不利益の扱いをしないという方向で労働省としては取り組むと、取り組みたい、取り組む、その辺の決意をもう一度ひとつお答えいただきたいと思います。
#24
○政府委員(寺園成章君) 御承知のように、労働基準法は罰則で履行を強制する規定でございます。したがいまして、先ほど申し上げましたのは、年次有給休暇を取得したことを欠勤または欠勤に準じた取り扱いをすることは要するに罰則にひっかかるかということからいさますと、現在の基準法では禁止をしていないということを申し上げたわけでございまして、これも先ほど申し上げましたように、そのような制度は基準法の趣旨に反するということでございますので、従来から臨検監督あるいは就業規則を監督署が受理する際に、そのような規定を把握いたしましたときには是正を求めることなど、いろんな機会を通じましてそのような不利益取り扱いの規定をなくしていくような行政指導は従来からやっておるところでございます。今後につきましてもその点については力を入れていきたいというふうに思っております。
#25
○菅野久光君 従来からやっているといっても、いまだそのことが実施に移されていないわけですから、先ほどから申し上げておりますように、貿易摩擦等の問題も含め、日本の労働者の労働時間が大変なこれは問題になっているわけですね。この時期にやらなければやるときはないじゃないですか。ひとつ強い決意を持って労働省としても行政指導にきっちり当たってもらいたい、そのことを申し上げておきたいと思います。
 時間の関係がございますので、次に、同じこの働き過ぎのかかわりを含めて、消防職員の問題についてちょっとお尋ねをいたしたいと思います。
 消防職員の四週五休制の実施状況、これほどのようになっておりますか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
#26
○説明員(清野圭造君) 消防職員の四週一回交代半休制、いわゆる消防職員の四週五休制でございますが、これにつきましては、昭和五十八年四月現在におきまして九百二十七消防本部ございますが、これを実施しております本部が三百二十一で、その実施率が三四・六%ということになっております。このほかに試行中のものが三百四十本部ございますので、これを含めますと何らかの意味でいわゆる四週五休制を実施している本部が全体の約七割ということになるわけでございます。なお、このほかに検討中のものが若干ございます。
#27
○菅野久光君 私が資料要求したこの資料と違うじゃないですか。消防職員の四週一回交代半休制の実施状況、昭和五十九年四月一日現在ということで、私は全部の消防本部、一部事務組合も含めて資料要求したのに、一部事務組合の方は資料が出ませんと、こういうことで私のところに資料をよこさないのですよ。今あなたが答えたのと違うじゃないですか。
#28
○説明員(清野圭造君) その後連絡をいたせばよかったんでございますが、先生の方から一部事務組合も含めた数字を出せというお話ございましたので、私どもの公になっておる資料ではございませんけれども、従来、この実施状況について調べた資料がございましたので、その数字をただいま申し上げたわけでございます。それを除いた市町村だけの数字も別に持っておりますけれども、全体を含めた数字の方がより実施状況が明確になるかと思いまして、ただいま御答弁申し上げたわけでございます。
#29
○菅野久光君 答弁はいいんですがね、私が資料を求めて、その後そういう資料があったんだったらなぜ出さないんですかということを私は言っておるのですよ。全国の消防本部、それじゃ一部事務組合を含めて今あなたは九百二十七と言いましたね。そうですね、間違いありませんね。
#30
○説明員(清野圭造君) これは五十八年四月一日現在の消防本部の数でございます。一番新しいものは九百三十二本部ございます。
#31
○菅野久光君 昭和五十八年四月一日で九百二十七、そうですね。私が手にしている「五十八年消防現勢調 全国消防長会」の資料では九百二十一となっておるのですが、この数の違いは、これも昭和五十八年の十月一日現在で九百二十一、したがって四月から見れば、これは逆に言えば少なくなっておるのですが、その違いはどこにあるのでしょうか。
#32
○説明員(清野圭造君) ただいまお示しになりました全国消防長会の資料は、どういう調査の仕方をしたかわかりませんけれども、私どもの方では政令指定をして常備化を行うわけでございますが、数字の違いがあるとすれば、政令指定をした数と現に業務を開始している数との違いというものは出てまいりますので、それについては若干の数字の違いが年々出てくることは事実でございます。
#33
○菅野久光君 いずれにしましても、委員長、本当におかしいと思うんですよ。私が資料要求をして、きょうの委員会で使おうと思っているそれと違う答えが出てくるのですから、なぜできたらできたということで私の方に連絡がないんですか。全く不誠実だというふうに私は言わざるを得ない。その後私のところに質問取りにも来ているわけですから、私はその自治省の中の消防庁のそういう態度については何としても納得できません。そのことを強く申し上げておきます。
 消防の四週五休の問題は、今そういうことでおおむねわかりましたが、労働基準法の施行規則第二十九条で、消防職員にかかわる労働時間の特例条項が昭和五十八年の四月一日から削除されました。労基法三十二条の適用になったわけですが、このことによって勤務体制に変更があったかどうか。一週六十時間が四十八時間になったわけですね。その点について変更があったのかどうか。また、何らかの具体的な指導をされたかどうか、その辺をお伺いいたします。
#34
○説明員(清野圭造君) 従来、消防職員、それから常勤の消防団員につきましては、警察官と同じように勤務の特殊性にかんがみまして、労基法の規定によりまして一日について十時間、一週間について六十時間まで勤務をさせ、あるいは四週間を平均して一日の勤務時間が十時間、一週間の勤務時間が六十時間を超えない勤務をさせることができるということになっておったわけでございます。しかしながら、最近の社会経済情勢やあるいは労働の実態の変化にかんがみまして、昭和五十六年の二月六日付の労基法の施行規則の改正によりまして、五十八年の三月末までにこの特例を廃止するということになったわけでございます。この廃止に伴いまして消防庁といたしましても、昭和五十六年の四月十四日付の消防課長名の通知をもちまして、各部道府県に対しましてその周知徹底を図ったところでございまして、現在では各消防本部におきましてこれに沿った運用になっておるというわけでございます。
#35
○菅野久光君 それじゃ五十八年の四月一日以降週四十八時間以上の勤務時間を持っているところはないと、あなたの方で出した資料にはそういうことになっておりますが、それはないということで確認をしてよろしいですか。
#36
○説明員(清野圭造君) 私どもの調査した限りではございません。
#37
○菅野久光君 全国消防長会の資料では、四十八時間以上勤務のところがかなりあるんですよ。全部で三日三十九本部が一週四十八時間以上の勤務はなっているんです。それをあなたの方では一つもないと言っているんです。先ほど私が資料要求のときにも言ったように、あなたたちはそういう現地の状況というものをつかんでいないんじゃないですか。そういうことでどうして消防行政ができるんですか。私はこの資料の問題から含めて極めて消防庁のとっている態度、そのことがまた消防職員の皆さん方の労働時間の問題を含めこれはもう大変な状況ですね。しかも消防署に勤務する人たちの団結権を認めていないのは世界、ILOに加盟している国でもわずかしかない。だから、大変劣悪な状況の中で国民の命と財産を守るために骨身を削って働かされているのじゃありませんか。だから消防職員の人たちは、お聞きいたしますとやめてから何年もたたないうちに亡くなられるという方がたくさんいるんですよ。きょう私の持ち時間が少ないので、すべてのことについてお話を聞く、そういう状況を得ることができないわけでありますが、この問題については私は今後いろいろな機会に追及をさせてもらいたいと、そのように思っております。今回の私の質問に当たってのこの資料の出し方から大体何といっても納得できない、そういうものがあるということを申し上げて次の問題に移らさせていただきます。
 次、林野庁の振動病の関係でありますが、振動機械を使用するこの労働者に振動病、いわゆる白ろう病が発生しておるわけですが、まあ聞くところによるとかなり幅広い産業に従事する労働者にこれは出ているようであります。最も新しい統計で産業別振動病認定患者ですね、この累計はどうなっているのか、その辺をお伺いいたしたいと思います。初めに、これは関係するところ、労働省それから林野庁にお伺いいたしたいというふうに思います。
#38
○政府委員(寺園成章君) 昭和五十八年度末におきます振動障害による療養継続者数を業種別に見てみますと、林業六千三百十九人、鉱業、これは採石業を除きますが千二百十五人、採石業六百五人、建設業、これは土木業を含みますが二千四百九十人、その他千六十七人となっております。したがいまして、全業種では合計をいたしまして一万一千六百九十六人でございます。
#39
○説明員(浜口義曠君) 今、労働省から全体のお話がございましたが、林業に限って振動障害発生状況を見てみますと、国有林におきます新規の認定者数、昭和四十九年の七百八十八名をピークに年々減少しておりまして、昭和五十八年は八人となっておりますが、認定者の累計は昭和五十九年三月三十一日現在三千六百十三名となっております。
 先ほど労働省の方からお話になったのは、民有林の関係は一致しておりますのでここで私の方は省略させていただきます。
#40
○菅野久光君 労働省で今お話しのように五十八年度末では労災保険の関係では一万一千六百九十六人ということになっておりますが、何か累計でいきますと一万五千三百人ぐらいいるようでありますが、この差は一体何なのかということをお尋ねいたしたいと思います。
#41
○説明員(佐藤正人君) お答えいたします。
 その差は端的に申しますと転帰された方でございまして、治癒あるいは療養を中断している者の数の差だというふうに思っております。
#42
○菅野久光君 振動病で治癒ということはあり得るんでしょうか。
#43
○説明員(佐藤正人君) はい、数は少のうございますけれども若干いらっしゃいます。主として療養を中断している者の方が多いだろうと思います。
#44
○菅野久光君 じゃ、おおよそどのような理由で療養を中断しているのか、その辺をおつかみだったらひとつ時間がございませんから簡単にお答えいただきたいと思います。
#45
○説明員(佐藤正人君) 症状が夏季に軽快いたしまして一部就労している方もいらっしゃるやにちょっと聞いております。冬季になりますと白ろう等の現象が出まして、そのために療養せざるを得ないというような方だろうと思います。
#46
○菅野久光君 恐らくほとんどの人はこのままでは食べていけないから、本当は療養しなきゃならないんだけれども、やむなく働いているというのが私は実態だというふうに思うんです。先ほど労働省の方からお答えがありましたように、同じこの職業病がこれだけ大量にいろいろな分野にわたって発生しております。しかしながら、この政府の予防とか、あるいは健診、治療、補償などの総合的な対策は私は十分とは言えないのではないかというふうに思うんです。そういう点で労働省がこのチェーンソー、刈り払い機などについて一日の振動機械使用時間の通達を出したのが昭和四十五年、それから既に十五年も経過しておりますが、林業では一日五ないし六時間が普通と言われております。また、実際私どもも宮城県の現地に行ってそういったような状況を聞きました。この行政指導が徹底しない理由は一体どこにあるのか、その点を簡潔に述べていただきたいというふうに思います。
#47
○政府委員(寺園成章君) 一日の作業時間につきまして二時間という規制をいたしておりまして指導に努めておるところでございますが、残念ながらいまだ二時間を超える作業時間に従事しておられる方がおられることも事実でございます。
 その理由でございますけれども、振動障害に対する認識がいまだ低調であるということが一つあろうかと思いますし、また林業にありましては事業上の規模、労働者の移動性というようなこともありまして、労働衛生管理がなかなか定着しがたいというようなことから、そのような実態になっているんではないかというふうに理解をいたしております。
#48
○菅野久光君 特にこの民間林業における振動病の予防対策、とりわけ二時間規制は労働省も通達を出して、行政指導や監督も形の上では確かになされています。しかし、十五年経過しても、それぞれの現地では守れないということは、もはや労働行政だけでは解決できないような要因があるのではないかというふうに思わざるを得ません。そういった点で、労働省としてこの問題についてどのようにお考えでしょうか。お伺いいたします。
#49
○政府委員(寺園成章君) 振動障害対策につきましては、ただいま先生から御指摘のように、単に労働行政の分野だけからではなくて、もう少し関係行政機関、力を合わせて取り組む必要があるであろうというふうにかねてから存じておるところでございます。
 私ども労働省と林野庁、厚生省でもちまして連絡協議会を設置をいたしております。健診、治療体制の整備等について協議検討をしてまいったところでございますが、今後におきましても連携を十分にしながら、振動障害対策は取り組んでまいりたいというふうに考えます。
#50
○菅野久光君 最後に私は、労働省も単なる通達の出しっ放しでは困るし、しっかりした実効性のある指導監督のあり方について、ぜひ知恵を絞ってもらいたいというふうに思います。特に振動病患者の多い林業労働について、林野庁も労働省任せでなく、やることがもっとあるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。そのお答えをいただいて私の質問を終わります。
#51
○説明員(浜口義曠君) 今先生がお話しになりました点でございますが、既に労働省からお話をしましたけれども、林野庁といたしましても、やはり林業の発展のために担い手の育成といったようなもの、今のお話のような振動障害の問題というのは極めて重要だというふうに認識しております。
 そういう意味において、昭和六十年度から新たに林業担い手育成対策というものを計上いたしまして、林業就業者に対する振動障害の防止等の濃密指導、あるいは振動機械使用者に対する実務向上の教育等を行うこととしております。こういう施策を適切に実施することによりまして、労働省通達の遵守等を初め、振動障害の対策等の一層の推進を図ってまいりたいと考える次第でございます。
#52
○丸谷金保君 最初に会計検査院長にお伺いいたします。
 私は昨年二日、総理の施政方針演説に対する代表質問で、日進月歩で進む先端技術を検査するために高度の知識が必要であることと、このため会計検査院に民間技術者を委嘱するというように、専門の分野の検査を行うモニターを採用する、こういうことができないかという提言を行いました。これに対しては、残念ながら当時、総理、大蔵大臣等から確たる答弁をなされておりませんので、この際院長に再度質冊を申し上げます。
 高度の知識を要する先端技術の検査体制はどのようになっているのか。特にこの一両年多数の退職者が出ると予想されておりますので、新規採用にそうした新しい技術開発に対応できる職員採用の方針をお持ちかどうか、お聞きいたします。
#53
○会計検査院長(鎌田英夫君) お答え申し上げます。
 先生おっしゃいますとおり、最近と申しますか、ここのところ高度の技術がいろいろ採用されまして、いわゆるハイテク時代と、こういう状態になっております。したがいまして、検査院といたしましてもこれに対応すべく努力するわけでございますが、基本的には技術者というものは、私ども会計検査院といたしましては優先的に採用したいと、こういう姿勢でおります。
 したがいまして、ここのところ、毎年五名ないし十名程度の技術者が採用されている状況でございますが、何分建築、土木あるいは機械、電気、そういうような通常の技術者だということでございまして、私たちが本当に欲しいと感ずる高度の技術的な知識を持った大学卒業生あるいは大学院卒業生、そういった者は来ておらないわけでございます。これはやはり何と申しますか、そういう分野の技術者は非常に人数も少ない、いわゆる売り手市場と申しますか、各企業の方で優先的に――優先的と申しますか、企業の方が採用してしまう、そういうような状況でございまして、私どものような批判官庁と申しますか、みずから習得した技術を生かしていく、将来の創造に結びつくという分野でございませんので、やはりこういう人たちの採用には非常に苦しんでおります。これは各国の会計検査院にもいろいろ情報交換しているんでございますが、各国とも同じ悩みを持っていると、こういう状況でございます。
 ただ、これで漫然としていてはいけませんので、この採用した技術者にさらに高度の技術を勉強してもらう、そのために大学へ派遣したりみずからも習得してもらう、勉強してもらうと、こういうような努力を払っているわけでございますが、なお足らざる分野において問題が起きることがございます。そういうときは、検査院法に、二十八条でございますが、専門の分野に鑑定依頼、こういうような制度もございますので、これはもちろん有料でございますけれども、公平な、第三者的な意見を述べてもらえるというところにお願いして、その回答を得て検査の結果を判断する、こういうような状態になっております。
#54
○丸谷金保君 院長、なかなかできないと、そのとおりだと思うんです。ただ、今のそういう制度の中では、例えば外国にまで踏み込んでというふうなことは不可能だ。例えばアメリカからどんどんこれから物を買うようになります、特にプランニングされた先端技術機器というふうな物を。こういうふうな物を国が買う場合に、やはり出かけていって調査をしなきゃならないような問題も出てくると思うんです。ところが、現在のところはそういうことについては全くなされておりませんですね。特に今度特許権の関係では、著作権法で新しいそうしたノーハウの開発されたものについては五十年という長い期間の権利設定がされることになります。そうしますと、従来の検査体制の中ではもうとても不可能な問題がある。こういうところにこそ私は民間の活力を、あるいは民間のノーハウを活用するというか、こういうことが必要になってくるんでないか。ただし、今のようなお答えですとこれは非常に限られます。それと、例えば守秘義務の問題だとか、いろんなことからいって、どんどんそういう民間のノーハウを会計検査院の中に吸収するというか、採用するようなシステム、こういうものをつくらないと間に合わないと思いますよ。いかがですか。これはさらに今後やらなきゃならぬ院法強化の問題もありますけれども、院長自身、どうお考えですか。
#55
○会計検査院長(鎌田英夫君) 外国から品物を買う、これは私ども検査の分野におきましては、これはやはり官庁なり公団その他、政府関係機関が購入した物でございます。そういった物を実際に受け入れた段階において、この支払い関係を調べる、あるいは性能関係を調べる、こういうことになろうかと思うんでございますが、まさにおっしゃるとおり現在の技術的な知識の状態では、非常に高度の技術的な内容を持った機械であるというようなものについては、突き詰めた性能の検査と確認というものがあるいは及ばない面も多々あるかと存じます。したがいまして、この分野をいかにして補うかということは私ども長年の検討課題であったわけでございますが、今検査院法の二十八条の鑑定依願という、何といいますか、消極的な態度でなくて、もっと積極的な対応を考えるということでございますが、まさにこれは私どもといたしましても検討をしていかなければならない問題であると存じます。しばらく時間をかしていただきまして、この問題につきましての検討をさしていただきたいと思います。
#56
○丸谷金保君 それでは次に、検査院は、財形持ち家融資制度で運営されている北海道勤労者財形住宅協同組合に対して融資をしておる、融資先である雇用促進事業団の監査をいたしておりますね、一昨年。そして、その事業団のチェック体制が甘いというようなこと、売れ残った、これはたくさん売れ残り持っておるんですが、分については売却に全力を挙げなさいというふうなことを労働省に申し入れをいたしておりますね。ところが、これ国会の指摘事項として出てくるんでしょうか、出てこないんでしょうか。
#57
○会計検査院長(鎌田英夫君) この問題は多少内容的に経過がございますので、主務局長から答弁いたさせます。
#58
○説明員(磯田晋君) 御指摘の雇用促進事業団が北海道勤労者財形住宅協同組合に対して行っておりました貸し付けの問題につきましては、五十九年五月、貸し付けの対象となった住宅の事業計画が適切であったかという点を重点におきまして検査を行っております。
 検査の結果は、まず多額の償還の延滞が生じている、ただいま御指摘のとおりでございます。それから第二番目は、北海道勤労者財形住宅協同組合の構成員が雇用する勤労者以外の者に分譲されているなどの事態が見受けられました。したがいまして、雇用促進事業団におきましては、このような事態が再び生じないように、また事業団が質し付けの業務を委託しております金融機関の業務が的確に行われるよう、貸し付けの諸手続規定を整備するようにという点が第一点、さらに延滞の回収に格別の努力を払うようにということにつきまして、昨年の十月、同車業団に対する打ち合わせの際に注意いたしております。
 検査報告に掲記していない理由でございますが、実は私どもの検査に先立ちまして、事業団が調査に入っておりまして、それについての是正の措置がとられております。すなわち、五十八年十二月に本件貸付金の残金全額の繰り上げ償還の請求の措置を講じておりました。もう一つは、五十九年一月に入りまして、住宅の分譲を既に受けていた購入者から直接割賦返済金、分譲代金を事業団が受領できるような措置を積極的に講じていたということ、こういうような措置がとられておりましたので、こういう事情を勘案いたしまして、当面はとりあえずその是正を見守るということで、検査報告としておりません。
#59
○丸谷金保君 雇用促進事業団にお伺いいたします。
 今、検査院の方としては、是正措置を事業団の方でとっているので、その経過を見守っている、こういう御答弁がございました。実際にそれじゃその後どうなっておりますか。百億を超える負債、これらが是正措置でもって適切に収納できるような体制になっておりますか。売れ残った住宅は売れておりますか、どうなんです。
#60
○参考人(道正邦彦君) お答え申し上げます。
 北海道勤労者財形住宅協同組合、いわゆる勤財脇に対し、相当額の分譲融資の償還遅延が生じたことは、経済情勢、特に北海道における住宅市況の変化についての見通しに甘さがあったとはいえ、まことに申しわけなく存じております。
 事業団といたしましては、ただいま会計検査院からの御指摘もいただきまして、事件発生後直ちに総力を挙げまして貸付金の回収に当たっております。すなわち、既に分議済みの住宅に係る債権につきましては、事業団に直接償還をさせるようにいたしました。未分譲分につきましては、勤財協等を通じまして督励して、その早期処分に努めております。また、ただいま局長からお話がございました融資の審査等についての手続について万全を期するために、住宅金融公庫等を通じて金融機関等に再委託しているのでありますけれども、改善を要する点につきましては、要領の改正等を既に行って関係規定の整備に努めております。
 今後、住宅市況が若干の変化はありますものの依然として厳しく、また経済情勢もいま一つぱっといたしませんし、また勤労者の住宅に対する幅好等に変化もございまして非常に難しい点がございますけれども、事業団としては総力を挙げましして事態の処理に努力をしたいというふうに考えておるところでございます。
#61
○丸谷金保君 経済情勢と言いますけれども、それはちょっといただけないんです。五十九年三月三十一日現在の財形持ち家分譲融資の未分譲戸数、札幌が五百四十、仙台ゼロ、東京十八、名古屋十三、大阪二十八、広島ゼロ、九州二十一、沖縄ゼロ。経済状態だったら全部出るんです。ほかの方はほとんど未分譲住宅がないんですよ。経済状態関係ないじゃないですか、経済状態は。だからそうでないということだけ申し上げて前へ進ましてもらいます。
 こういうことで会計検査院から指摘をされたチェック体制の甘さ、これについて私の体験からひとつ話をさしていただきたいと思うんです。
 私が北海道の池田の町長をやっておりましたときにこういうことがありました。町議会に提案した条例案、そのまま通って施行いたしました。後で気がついたんですが、当時の課長の答弁の中に少し間違ったことがありました、事実相違ではなくて間違った表現のところがありまして。しかし条例そのものには関係ないからそれでそのまま進んだんですが、私はこれはいかぬと、やはり議会側にこの点は説明が違っていましたということは申し上げなきゃならぬということで、次の議会におわびをいたしました。そして、そういう間違った答弁をした課長には一カ月給料十分の一カット、そのことに気がつかなかった助役に二カ月カット、任命権者である町長の私自身は三カ月十分の一のカットをいたしました。議会側はそこまで自己規制しなくてもいいと言われましたけれども、いやこれはやはりこういうことは厳しくみずから律しておかないとたがが緩んでしまう、こう言ってあえてやったんです。同じようなルールは、例えば係長のミス、この場合には係長が一カ月、課長が二カ月、助役が三カ月、町長はそこまでは目が通らないだろうと。係の場合には本人が一カ月であれば係長が二カ月、課長は三カ月というふうな一つのルールで、そうしますと、処分を受けた当該職員は、自分よりも上司が余計に削られるんですから済まないと、反感を持つより済まないという気になって二度とそういう間違いを起こさない。全体のたががそのことによって締まってまいります。
 もちろん、こうした小さな役場の体験を、そのままマクロの国の各機関の中で実行せいと言ってもそれは不可能なことでしょうけれども、少なくとも会計検査院から指摘を受けるような不祥事項があった場合に、やっぱり理事長は担当者に対して何らかの信賞必罰の体制をとるべきだと思うんです。私はそれが上に立つ者のつらいけれどもやらなければならないことだと、このたがが緩むと全体が緩んできます。
 この問題で理事長は何らかの措置を行いましたか、お聞きいたします。
#62
○参考人(道正邦彦君) 繰り返しになりますが、多額の未償還金を発生させましてまことに申しわけなく責任を痛感いたしております。
 つきましては、今後は資金の回収に努めると同時に、それと並行いたしまして、貸し付けに至りました経緯につきましても解明を進めてまいりたいと存じますが、これまで調査いたしました限りにおきましては、五十二年にこの北海道勤財協は発足して業務を行っておるわけでございまするけれども、五十七年の十二月末までは順調に償還が行われた経緯等もございまして、したがいまして、貸付決定時における融資担当者の住宅市況、特に北海道におけるマンションの販売見通しに甘さがあったものの、所定の手続を踏んで貸付決定を行っておるわけであります。
 いずれにいたしましても、先生のお考えも貴重な参考とさせていただきまして、さらに調査を続けて善処してまいりたいというふうに思っております。
#63
○丸谷金保君 手続上間違いがなかったといいますけれども、これはいろいろ問題含んでいるんです。五十七年まで順調だといっても、その間の経営の内容に踏み込めば、これはもう報道機関でも報道しているようにいろいろ問題があるんです。しかし、その中身に入るのはきょうはやめます。
 しかし、理事長ね、私は天下り何でもけしからぬとは言いません。後進に道を謝るために早く優秀な人たちが退官する、このノーハウを公益法人等で生かすということは、時には日本の全体として必要だと思います。しかし、天下った先で高給をいただきながらあぐらをかいてしまうようなのは僕はいけないと思うんです。その点でやはり理事長というのはそれなりの毅然たる態度で措置しないと、今のような答弁のことでこの問題が流されますと、二度と再びこのようなことが起こらないように努力するなんて、会計検査院の方もそれを見ているといいますけれども、そういうことになりかねないんです。やはり、もし、これらについてのいろいろな問題が明らかになってきた場合に、これは法的にかかるかからないの問題じゃないですよ。貴重な勤労者の財産を、あるいは貯金を使って大きなマイナスになるような措置をした場合に、中身はわからなかったじゃ通りませんよ、現地にもいるんですから。民間の会社だったら大変ですよ。むしろ民間の会社以上にそういう点では自己規制の中で厳しく公益法人やってもらわなきゃならぬ。その点について、理事長ひとつしっかりした答弁をもう一遍いただきたいと思います。
#64
○参考人(道正邦彦君) 重ねての御叱正、御意見、肝に命じて拝聴いたしました。事態の解明を進め、また未収金の回収に一段と努力を重ねる中にありまして、今後いかように行政的に処理をするか、先生の今のお話を拳々服膺しながら善処してまいりたいというふうに思います。
#65
○丸谷金保君 労働大臣にお伺いしますが、今の御質問は決して雇用促進事業団だけのことじゃないんです、私の申し上げているのは。こういうことのいろいろ問題が起きてきたときに、どうも今の行政機構というのは温情主義といいますか、むしろ臭い物にふたをすると、温情主義者なんかじゃないと思います。というようなことで内部規制が非常に緩むと。むしろ行政改革というのはこういう点で内部規制をきちっとやることを明確にしていかないと、信を国民に問うことにならないと思うんです。官僚システムの中における無責任体制、これらを大臣としてやはり十分行政執行の面で考えていただきたいと思いますが、今のお話聞いてどう思います。
#66
○国務大臣(山口敏夫君) 今、丸谷先生のいろいろ御指摘を承っておりまして、まことに国を挙げて取り組んでおる行政改革というものの実態的な運営改善というものは、先生の御指摘いただいたような部分にきちっとした姿勢を貫き正すということが、国民が一番望んでおる行革の基本的な一つの取り組みではないか、かように承り、労働大臣といたしましても、所管の事業団の事業のことでございます、大変反省をしながら承っておったわけでございます。特に、会計検査院の指摘を待つまでもなく、国民の、勤労者の財産運用、こういうことでございますので、こうした事業の問題に対する取り組みというものを一層真剣に、また慎重に判断をいたしまして、そして運営、また資金の融資その他、過ちなからしむるように制度的にも検討しなきゃならないというふうに考えます。特に、道正理事長からも再三御答弁ございましたけれども、労働省といたしましても事業団を十分指導しながら未分譲住宅の分譲を進める等、債権の回収に全力を上げる、こういうことが当面まず措置しなけりゃならない監督責任だと思いますし、それからいま一つ、私、先生の御指摘でございますので率直に申し上げて、こういうことの協同組合といいながら、大事な勤労者の財産通用と、こういうことでございますので、道庁でございますとかしかるべき地元の機関とも十分情報なり指導を受けながら、こうした大きな事業につきましてはいろいろな角度からの御協力や御助言もいただきながら進めるような一つの制度、システムというものも改善の中に検討する必要があるのか否か、こういうこともございますし、基本的には先生のそういう大所高所からの御指摘でございますが、役人仕事といいますと、ややそういう問題で指摘を受けますと、今度は守る側ばっかりに精力を費して、せっかく雇用の創出とか事業の創出につながるような、例えば事業団がやっている働労者住宅なども各全国市町村が大変要求されて、立派な仕事もしている部分もあるわけでもございまして、先生の御指摘をひとつ正しく運用をするということが我々監督官庁に課せられた務めである。けじめをきちっとつけるということと、またさらにいい仕事を通じてこの趣旨を生かすと、そういう両面における一つの反省の起点にしたいと、かように考え、また承っておったわけでございます。
#67
○丸谷金保君 大臣、やっぱり行政というのは経過がどうあろうと結果なんです。結果責任を明らかにしていく、それで信賞必罰をきちっとしていくということが欠けるといけないんだと思うんです。
 それで、この問題は、一つには私は、今検査院長から御答弁がありましたが、検査院が入ってやる前に事業団自身が協同組合の方へ御調査して適当な措置をとっておったと、こういう御答弁がございました。院長、これは調べてみますと、会計検査院は相手方まで入って調べられないんですね、報告を受けるだけで、今の機構の中では。ですから、問題が起きなければ、そして起きたとしても限度があるんです。あとは報告聞くだけです。やはりこれは我々が年来主張しているように、例えば日債銀の問題でもそうですが、少なくとも政府関係、そしてそれらのものが公的な資金が流れている借入先、ここまで検査が踏み込めるような体制をやはり早くとらないと、こんなのは九牛の一毛です。ここにあらわれていることも、院長が今答弁されたようにそこまで直接入っていけませんから、やっぱり核心をついたお答えになってこないんです。少なくとも私たちが調べているような具体的な問題について、そこまでの核心ついたものをやれないと思います。これはやはり相手先まで入っていける、こういう機構にしていかなければならないし、これらについては毎年の決算委員会の総括で附帯決議というような形で参議院はつけてまいりました。院長として、どうなんですか、そういう点での院法改正。こういう小さな一つの具体的な例でも出てきているんですから、まだたくさんあるわけです。これについてのお考えをひとつこの機会に述べていただきたい。
#68
○会計検査院長(鎌田英夫君) 政府関係機関等の貸付先の検査ということになりますと現行法では不可能である、そういうことで院法改正案を提出いたしまして今日まで至ったわけでございます。その過程におきましては、これは先生御承知のとおり、昭和五十四年に院法改正案というものを、草案、これを内閣にお願いしまして、内閣並びに国会の高度の政治的御判断をお願いしたいということでやったわけでございますが、その後なかなか実現を見ませんで、五十六年に翁通達というものが出ましたが、これはどうも検査される側が検査する方、検査が必要であるかどうかという判断をするというようなことになっておりまして、私どもといたしましては絶対これは受け入れられないということで、ことしの二月、新たにかなり詳細な内容に踏み込んだ内閣官房の副長官の通達が出されたわけでございます。
 これによりましてどのくらい検査できるかということでございます。この今回の通達につきましては、内閣総理大臣、内閣官房長官あるいは大蔵大臣、協力させると、こうおっしゃっておられるわけでございますから、その成果を私どもは大いに期待しているわけでございます。ですから、これを翁通達と比べると今度の通達はかなり踏み込んだ検査ができるんじゃないかと、こういうことに期待しておるわけでございます。
 それで、これは政府系の金融機関だけではございませんで、例えばこのような、今回問題になっておりますような雇用促進事業団の融資というようなものもあるわけでございますが、これも同じような立場から、私どもといたしましてはかなり肩越し検査という面では御協力いただけるんではないかというふうに感じているわけでございます。そういうことで、やはり担当の事業団等と折衝を重ねながら、やはりこれは財源は労働者の貴重な財産であり、あるいは税金であり、あるいは貯金であると、皆大事な資源でございますので、そういう意識のもとに検査を進めていきたいと、こういう所存でおります。
#69
○丸谷金保君 振動病の問題、菅野委員に引き続いて御質問いたしたいんですが、実は帯広の監督署の関係で、五十四年以降やや減ってきた認定患者数が五十九年度になってまたふえる傾向にあります。これはもう今までも言い尽くしてきた問題なので、こういう状況を何とかなくしていく、振動病をなくしていくためには、これはもうけしからぬというようなことだけ言っていてもいけないんで、行政はやっぱり結果ですから、振動病撲滅対策についての労働省と林野庁の基本的な決意だけお聞きして質問を終わりたいと思います。
#70
○政府委員(寺園成章君) 振動病対策につきましては、かねてから行政の重点課題の一つとして取り組んできてまいっておるところでございますが、この問題につきましては予防から補償までの一貫した対策ということが必要と存じます。そういう観点をも踏まえまして三カ年計画の総合対策を策定をいたしまして取り組んできております。現在、第二次の総合対策を策定をいたしまして、総合的な観点から、また関係省庁との連携も深めながら今後とも振動病対策に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
#71
○説明員(浜口義曠君) 林野庁といたしましても、今労働省からお話がございましたが、この本件の問題が林業の振興のために欠くことのできない重要な課題だというふうに考えております。労働省等と過絡調整を密にいたしまして今後とも振動障害対策を実施していく所存でございます。
#72
○目黒今朝次郎君 私は、今、丸谷先生あるいは菅野先生が言った振動病の問題に絞って若干質問します。
 国鉄であるとか建設関係、郵政省関係、人事院関係などなどについていろいろ事前の資料なり説明を受けたわけでありますが、場合によったら時間がなくて質問入れませんが、あらかじめお断りをしておきたいと思います。
 それで、労働省、林野庁ですが、先ほど菅野先生の質問に対して、民有林は五十三年、千四五三十一人をピークに五十八年は四百三十一名と、非常に三分の一に減っていると。国有林関係は四十九年、七百八十八名がピークで、五十八年度は八名と、こういうお話があって、国有林は労働組合との関係もきらんとされておりますからそれなりに期待できるわけでありますが、民有林が減っていると、こういうことについては資料をいただきました。しかし、本当に減っているんだろうか、本当に問題がないんだろうかということにメスを入れるために、私たちは三月の二十九、三十、二日間、宮城県の白石に行ってまいりました。
 労働省の資料によりますと、宮城県は民有林関係はたった九名ということになっておるわけでありますが、土地の約六十何%山である宮城県が九名とはどういうことなんだろうかということで疑問を持って、医療班を編成して健診に行きました。三月の二十二、二十三、白石で健診をやり、四国の勤労病院の病院長を筆頭に大分、岡山、北海道、高知、神奈川と、こういう方々十二名のメンバーで参加しました。そして検査の方法も採尿、問診、血圧測定、右手握力・つまみ力測定、心電図肺波測定、これは負荷前検査、つめの検査、痛みの検査、振動の反応、こういうもの、それからサーモグラフ撮影、診察、採血、冷水負荷検査、エックス線検査、個人指導、症状説明、こういう十二項目にわたって専門的に検査をやりました。テレビその他で募集をしたところ六十二名の方が健診に参られました。この六十二名のうち、これもマスコミに記者発表したわけでありますが、六十二名の健診のうち、直ちに治療する必要がある、そういう方が十七名、二七%。私も立ち会いましたから、このサーモグラフ撮影、これを見ますと、私の手をやるときれいに骨が見えます。ところが健診に来た方の手をやりますと、とろりとろりと骨が溶けておりましてぼやっとしている。特に、国鉄の保線夫であった山田豊さん、この方は福島保線区に働いておった方でありますが、タンパーを二十二年使っていた。この方の手など、私の手をやりますと私の手はきれいに骨が見える。この山田さんの手はほとんどもう見えない。俗に絶対治らないと言われるWC。労働省の認定ではA・B・CのC認定です。そういう方も含めてとにかく骨が溶けている方が十七名おりました。骨が溶けている方が十七名、二七%。それから溶け始め、たらりたらりと溶け始める、ガマの油じゃありませんが、たらりたらりと溶け始めて、直ちにこれはチェーンソーを使ってはならない、いわゆる職務転換が必要な方が十六名おりました、十六名。合計三十三名。六十二名のうち三十三名が直ちに治療することが必要である、あるいはチェーンソーを使ってはならないというのが発見されたわけであります。この実態には率直に言って驚かされました。蔵王山ろく、山形県と宮城県の境にそびえる二千メートルの蔵王山ろくのところで働いておる森林労働者であります。
 したがって、こういう実態について労働省とか林野庁は聞いたことがあるかどうか。東北も山であります。北海道も山であります。北海道にも千七百七十一名という認定患者がおるわけでありますし、宮崎とか鹿児島にも相当数があります。木材の町、東北にないというのがおかしいのであって、私は、これはやはり現実の生々しい姿ではないかと、こう思うんですが、これらの問題について労働省なり林野庁は聞いたことがあるかどうか、まず冒頭、感覚をお聞かせ願いたい、こう思うんです。
#73
○説明員(福渡靖君) 私どもの方も振動障害対策というのは労働省の一つの大きな重点項目として取り組んできておるわけでございます。一人でもこういう健康影響、健康障害を起こさないように労働衛生管理を徹底するようにすることが私どもの仕事でございますので、そういう観点で関係の事業者あるいは関係者の方々に御協力をいただきながら進めておるわけでございます。
 ただ、健康診断の実施というのは、どうしてもこれは事業者責任で行うということになりますので、労働省自身が直接そういう実態を把握をするということがなかなか難しいわけでございますが、私どもは事業者を通じましてそれなりの報告をいただいております。ただ、それですべてのものが正確に把握できているかと言われますと、私どもも今申し上げたような仕組みの制約がございますので、そういう点では報告をされたものが一応実態であるというふうに認識をしておりますが、なお受診状況等を勘案をいたしますと、さらに徹底をした指導をするべきである、このように考えておるところでございます。
#74
○説明員(浜口義曠君) 今先生からお話がございまして、労働省からもお答えをしたわけでございますが、林野庁といたしましても一人親方等を対象にいたしまして特殊健康診断を実施をいたしました。振動障害の早期発見、早期治療に努めておるところでございます。
 今のお話のように、」いろいろ具体的な地域におけるお話を承っておりますが、そういうことを踏まえまして今後とも健康診断に当たりましては個別に通知をするほか、地域の広報活動を利用する等によりまして、振動機械使用者すべてにもれなく受診の機会が与えられるように呼びかけを行わなければならないというふうは考えておるところでございます。
#75
○目黒今朝次郎君 労働大臣、私はこれなぜこうなったんだろうかということを幾つかテーマと取り組んでみました。よく聞いてくださいよ。一つは宮城県と仙台の労働基準監督署におきまして今労働省が言った健診ですね、あなた方どういう健診をしているんだとずばり聞きました。労働大臣、わかりやすく説明しますと、宮城県にはチェーンソーを使っている森林労働者は千三百名いらっしゃると、これは県庁も労働省も一致しました。いわゆる健診は一体どの程度健診を受けているんですかと聞いたらば昭和五十年は二百五十八名、千三百人に対してね。千名程度受けてないんですよ。それから一番多いところで昭和五十九年六百九十六名、六百九十六名というのは約半分ですね。ところが、この名簿などを拾ってみますと受ける方は二回も三回も受けている、受けない方は全然受けてない、五十年から始まって約十年間、受ける人は二回、三回受けている、受けない人は全然受けない。受ける数字をとっても最高で約半分ですね、千三百に対する六百九十六ですから。ここに私は問題があるということを見きわめました。ですから、林災防とか労働基準局を含めて割合に五キロとか十キロとか非常に近くのところは巡回で簡単に巡回できる。三十キロも四十キロも五十キロも山に入ったところはほとんど十年間、十五年間放任されたままだということを裏づけしているんではないでしょうか。ですからこの地帯四十二名の方々を聞きましたら、目黒さんや、おれのところはここから三十五キロなんやと、こういうずうずう弁で言っていました。三十五キロなんやと。こんな二時間規制とか労災があるとか健診があるとか、何とかかんとかというのはいまだかつて聞いたことはないというんだよ、いまだかつて。やはりそこに一つの盲点があるんじゃないでしょうか。手短なところはよく見る、本当に山の中の森林労働者、一人親方、そういう方々はチェーンソーという便利な機械は覚えて買って、それで伐採しているけれども、そのチェーンソーを十五年も二十年も使って自分の体がいかれているということもわからなければ、わかるチャンスもなかったというのが、私はこの実態をひとつ裏づけていると、こう思うのですが、この辺がやっぱり健診のあり方に問題があったんではなかろうか。だから数字のみでは出てこないけれども、実態は六十二名のうち三十何名はもう重病患者だということを生み出した背景の一つではないか。ですから、やっぱり山の奥に入ってそこでやっている森林労働者は、本当に見てやるのが行政の仕事ではないのかということを気がつきました。これはうちの栗駒山脈であるとか、あるいは岩手県の岩手山であるとか、そういう山に行きますね、やっぱり宮城県と同じことが言えるのではなかろうか。だから行政の盲点がここにある。数字だけ何ぼ並べたって私は問題解決にならないということをひとつわかったので、この点はいかがでしょうか。これはもう両方いいですから、大臣の見解としてどうですか。
#76
○国務大臣(山口敏夫君) 先ほど来から政府委員が御答弁申し上げておりますが、いろいろチェーンソーを使用している労働者の労働災害防止のための努力というものも進めてはおるところでございますけれども、しかし、今先生御指摘のように、どうしても行政の目の届かないといいますか、手の届かないようなおくれとか、いろいろ御指摘いただくような部分もあると思います。そういう意味で先生方の御調査等を踏まえて、いわゆる巡回地区でございますとか、健康診断の方法についてのいろいろ工夫改善が必要だということを率直に私伺ったわけでございまして、その点もせっかく国会でこうしてお取り上げもいただいておるわけでございますし、現実非常に労働者の労働災害といいますか、非常にチェーンソー使用の労働者の方の病状健診等、私も必要だというふうに再三お取り上げの中で承知をいたしましたので、ひとつその辺の周知徹底をどう図るべきか、早速労働省竹内におきましても、その実行方をお約束申し上げたいというふうに思います。
#77
○目黒今朝次郎君 ぜひ大臣の責任で、林野庁、労働省で奥地の健診ということについて創意工夫をしてもらいたい。
 それから、もう一つは、これはやっぱり私は白石の市長さんと丸森、川崎、蔵王、関係首長さんなり代行者を呼んでいろいろ聞いたんですよ。ところがこれも通達する、指示すると言ったけれども、この関係の首長さんとか担当者が健診のあり方とか二時間規制とかというのはほとんどわからないのですね、遺憾ながら、これは率直。だから営林署、あすこは白石営林署があります。白石営林署の署長が、営林署の本来の任務である地域の方々とか、あるいは民有林の方々とか森林組合の方々とか、そういう方々を指導啓蒙するということを怠っておったのか、本来林野庁全体が何もやらないのかわかりませんけれども、関係の首長さんが健診とか二時間というのは幾ら聞いても知りませんでしたと。自分のうちのこうした方々はみんな市民であり住民なんですよ。自分の町の木を切っている労働者が、もう再起不能の病気になっているということ自体町長さんは知らない、市長さんは知らない。こんなことで一体おれの町は森林で成り立つんだなどということはなりますかとどなりつけたら、市長さんは、本当に申しわけありません、だって林野庁とか営林署が教えてけれねえんだもん、こういうはね返りでした、東北弁で言えば。そんなこと言うけれども目黒さん、営林署の偉い人とか、あるいは県庁の偉い人がこんなこと教えてけれねえんだや、おらのような学のねえのがわかるわけねえじゃねえかと、こうくると、あなた方はどんなに立派な通達を出していますと言ったって、その市町村の首長さえ知らないのだから、これはいかに通達行政かということを裏づけしているんじゃないでしょうか。ですから、やっぱりことしは二年目で結構でありますから、この関係市町村の問題についても、もう少しやっぱり私は気を使ってもらいたいなあと、こう思うのです。これはもう答弁要りません。
 それから、もう一つは、これは労働省にお願いになると思うのですが、私も自分の恥をさらします。確かに仙台は東北大学あり、国立大学あり、あるいは労災病院あり、ありとあらゆる病院というか研究機関は、札幌はどうか知りませんが、東北では一番まとまっている私は学都仙台だと、こう自負してまいりました。ところが、学都仙台でありながら、この振動病に対する抜本的な対応がおくれているということも、これは私は県民として恥ずかしいことだと、こう思っておるわけでありますから、少なくとも私は今回の三十三名ですか、三十三名のこの発見者を中心に、抜本的に地域ぐるみの予防、健診、治療、こういうものの体制をぜひこれは労働省と林野庁のプロジェクトで私は指導してもらいたいなと、そうしないと行政はどうしてもついていけない、こういう気がします。その辺の問題について労働省の基準局長の見解をまず聞きたいなと思いますから、お答え願いたいと思います。
#78
○政府委員(寺園成章君) 振動障害対策につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、単に労働行政の分野だけではなくて関係省庁相協力しながら進めることが必要であるというふうに認識をいたしております。そのような観点から、従来から林野庁、厚生省、労働省で構成いたします協議組織を設けまして進めてまいったわけでございますけれども、ただいま先生からもさらにの御指摘がございますので、関係省庁と十分協議を進めてまいりたいというふうに存じます。
#79
○目黒今朝次郎君 それからもう一つは、健診を委託されている林災防、この林災防は、これは労働省の管轄か林野庁の管轄か何か知りませんが、どちらでも。この林災防、やっぱり私は再度見直しをする必要があるということが気がつきました。林災防の皆さんは第一次健診がどんな格好で行われているかということについては十分把握してないですね。形式的になっておって、この六十二名の中にも第一次健診で異常なかったと言われた方が四名おりました。しかし、我々の調査では、これはABCのCです。第一次健診何でもないと言われたのに何でおれがCになつたんだと、さっき言った機械、エックス線入れてみると、あなたの手は細くなっているでしょう、指は。これでよく第一次健診合格しましたね。第二次健診までいかないんですよ。第一次健診は異常ありませんと。だから、第一次健診のあり方をもう少し創意工夫をしてくれと、ところが、これを林災防に話しますと、いや金もありません、あるいは時間もありません、面倒くそうございますと。面倒くさいと言っては語弊がありますけれども。そういうことで健診を実施する林災防の体質と、第一次健診、第二次健診と分けて行っている健診のあり方それ自体を、もう少し科学的に健診をする方法を創意工夫をできないものか、もちろんそれは若干金もかかるでしょう、機械化するわけですからね。今、コンピューター時代に、手を冷たい水に入れて針でちゃんちゃんちゃん、ちゃんちゃんちゃん、感度ありますか、ありませんかと、こんなことをやっているの時代おくれじゃないですか。これもその一つの方法です。方法であることは、私も北海道から沖縄まで歩いて、これも否定しません。でも、オートメーションの時代ですからね。せめてエックス線にぱっと手を入れれば骨が見える。健康な手と不自由な手、足もしかり。骨が溶けているんですから。それぐらいはぱっとわかるぐらいの機械を買って設備するのが労働者を守る労働省の仕事であり、同時に、林業の担い手、国際森林年です、担い手を守るための林野庁の労働者対策であっても決して不自然じゃないじゃありませんかと、こう思うんですがね。そうすれば、一次健診、二次健診は要らないんですよね。そういう機械化され、科学化された健診のあり方ということを根本的にやっぱり見直すべきじゃないかと、こう私は思うんですが、現在の健診体制では、どんなきれいごとを言っていても限界だということを私は言いたいんですよ。これは林野庁、労働省、共同作戦でオートメーション時代に対応する健診体制の整備をぜひしてもらいたいなと、こう思うんですがね。私も、今回の調査団で、先生、これどのくらい金かかるんですかと聞きました。まあ目黒さん、一千万ね、一千万もあれば一通りそろうんじゃないですかと。北海道に一千万、東北に一千万、あるいは九州に一千万、四国に一千万、まあ四千万か五千万あれば、オートメーション時代にふさわしいとは言わないけれども、その程度の健診の機構は整備されるんですよ。それぐらいの金は、森林のことを考えると、私はやってもいいじゃないかなと、こう思うんですが、その点は労働省と林野庁、なかなか答えにくいと思うんですが、やっぱり健診の科学化ということで前向きに検討してもらいたいなと、こう強く要望しますが、いかがでしょうか。
#80
○説明員(福渡靖君) 御指摘のように、振動障害の健康診断は、第一次健診に引き続いて第二次健診を行うように今のところは指導をしております。それぞれの第一次健診、第二次健診に必要な健診項目も昭和四十八年に定めまして、通知を出しておるところでございます。その健診の進め方については、現地の実態にあわせまして、現在もいろいろと工夫をしていただいているところでございますけれども、内容も含めまして、この健診のあり方については私どもも絶えず検討を続けていくべきであるというふうに考えております。ただ、今先生御指摘のように、すぐに健診体制の整備ということになりますと、いろんな制約もございますので、引き続き検討を行ってまいりたいと思いますが、当面、現体制の中でどのようにすればいいのかというようなことは十分に検討をして、できるものから実施に移していきたいというふうに思います。
#81
○説明員(浜口義曠君) 今労働省の方からお話がございました、先生御指摘の一次健診、二次健診につきまして、林野庁も労働省と同じような形で実施をしてまいったわけでございます。既に時間もたっているというお話もございましたし、三省庁の連絡会議、そういうところもございますので、関係省庁とも十分連絡の上対応していきたいというふうに考えております。
#82
○目黒今朝次郎君 行政の部長さんとか課長さんではその程度の回答しか出てこないことは私も了解します。だけれども、やっぱりこんにらはと握手して、冷たい氷のような手、その名前を聞いて、家庭を聞くと、若い人も年配者も、もう夫婦生活もどうにもならぬ。手が冷たいから仕事もほとんど能率が上がらぬ。上がらぬから、自分は賃金がだんだん下がる。夫婦げんかをする。自殺をする。あるいは脳軟化症のようになっちゃって家庭争議を起こす。手からどんどん内臓に入ってきて、肝臓、腎臓にまでなる。そういう生けるしかばねといいますかな、生けるしかばねをチェーンソーがつくっている。この現実は何人といえども否定できないんですよ、これは、文明社会の今日において。これを科学の力で防げるんなら防いでやるべきじゃないですか、科学の力で。これぐらいは、これは国際森林年の年にやれなくて何が国際森林年ですか。だから、きょうは私は強く要求します。今一千万と言いましたから、四国の勤労病院の五島先生に聞けば、大体一千万あれば大体まあ当面の整備はできると、そういう話でしたから。この前白石に持っていった機械は約一千万ですよ、装置は。その一千万使って六十二人のうちで三十三人発見できたんですから、それを北海道、東北ブロックに一つぐらい置いて、そして山の奥まで、十キロじゃないですよ、四十キロ、五十キロ山に行って、そこでやっぱり働いておる労働者がおるんですから、その方々の健診をしてやって、そして病気の予防と生活ができる環境をつくってやるというのがやっぱり日本林業の再起のポイントですよ。これは今度の総括質問で私、総理に質問しますからね、林業関係で国際摩擦で抜本的な対策を講ずると。総理大臣、テレビに出たり電車の中にポスター張ったり、一生懸命やっているから、この山の問題についてもぜひやってもらいたいということをあなたから林野庁長官に、それから局長からね、労働大臣によく話して、金を握っている大蔵省、竹下さん少し点数上げてやって、創政会もつくったんだから、山の金ぐらい出せ、すると株が上がる、こういうことも含めて、やっぱり五、六千万出してもらうということを含めて、とにかくオートメーション時代にふさわしい健診のあり方を近代化してもらうということを強く、これは答弁要りません、両方に要望をしておきます。
 それからもう一点だけ。林野庁ね、おたくで林野庁の請負の方々にやる際に、二時間規制の問題とか社会保険の問題などについては契約条項に入れてるという話は再三説明を受けておるんですが、そこのところも一歩突っ込んで、確かに森林組合とか一人親方とかいろんな就労形態がありますが、国有林の方は全林野との関係で確実に一〇〇%成果が上がっている。そのうちの身近なのは、あなた方の仕事を直接請け負わされる請負の民間の皆さん、その方々の振動病を根本からなくすということが最も手短だと、こう私は考えるんです。山の奥の人だけれども。それはやっぱり契約条項の中できちっとしていくということが一番いいことで、我々も再三やってまいりました、お願いして。だけれども、どうもここが、二、三日前部長にも会ったが、この前札幌の人も言ったけれども、契約段階一万円だと言われたけれども、おらのもらっているのは五千円だと。契約段階一万円のくせにおれはまだ五千円だと、その五千円どこ行ったんだべやと、あっち持ってったのかこっち持ってったのかわからないから。この前答弁できなかったわね。現にあなた方が一万円の契約しておいても、もらっているの五千円ですから。一万円の中には二時間規制も入っているし社会保険も入っている。ところが、戦い済んでふたあけてみると、二時間規制は四時間とか六時間、社会保険はパアだと、こうなってますから、その契約のところもう少し創意工夫してきちっとしてもらうというのが、やっぱり林野庁の一番大切な当面の課題じゃないか、こう思うんです。この点については少し、どうしても約束守れないなら仕事はパアだというぐらいの強力な指導をしてもらいたいなあと、こう思うんですが、いかがでしょうその辺。
#83
○説明員(浜口義曠君) 目黒先生からお話しの国有林野におきます請負契約の問題でございますが、この点につきましては今先生の御指摘のとおり、労働安全衛生に関する諸法令及び諸通達の遵守ということを明記しておりまして、契約書上の措置をとっておるところでございます。関係行政機関との連絡を図りながら、今後とも指導に努めてまいりたいと思っております。さらにこの点につきましては、請負事業体につきましての二時間規制のための具体的な手段というふうなことでございますが、作業計画書というものを請負事業体に提出をさせまして、その内容に基づき指導を図るということをやっております。さらにチェーンソーの指導状況の把握をするための報告書を提出をさせまして、きめ細かな指導に努めていかなければならないというふうに考えております。そういった先生のお話の請負契約書上におきます具体的な措置の明示のほかに、具体的なそういう措置をとりまして、今後ともその実行の十全を期するようにしていきたいというふうに考えるものであります。
#84
○目黒今朝次郎君 国会答弁はそれでわかるんですよ。私が山を、私は全国区の関係もあって北海道から沖縄の果てまで三百三十の営林署、最低三回、多いところは六回ぐらい、北海道と沖縄六回以上歩いていますから表裏までみな知っている。今部長の言うことはいいんですよ。ところが山の悪い癖というのかいい癖か知りませんが、役所の報告書というのはみんな親方がうまく書くんですね。我々山へ行って、目黒議員が来てチェーンソーと言われたら、はい二時間使っていますと言いなさいよとそう言われるわけですね、一杯飲んで。おまえ本当に二時間かと、ちょっとチェーンソーの歯見せろと、のこぎりの歯。歯見ると二時間と違うんですよ。この歯のぐあいから見ると四時間から五時間使っているなと言うと、えへへ、五時間使っていますとこう言って、何だと言うと、いや親方から二時間だと言えと。これと同じで、役所の報告は全部親方が書くんですよ、親方が。だから親方は、部長が言われるように、これ書かないと契約やられっからというのでうまく書いて役所に報告するんですね。だから、そういう抜け穴が今日の森林の労働問題を非常に悪い方にこじらせる、こう思うんです。森林組合は森林組合、林災防といえば林災防、みんな労働省とか林野庁のOBの皆さんですから、国鉄も同じように先輩後輩あっていろいろ苦しいところもあるでしょうけれども、やっぱり労働者の命にかかわる点はそういうごまかしをしないように素直に書けやと。それで、素直に指導してもらう、あるいは抜き打ち検査をしてもらうとか、そういう何か創意工夫をして、あなたの契約の通達が実を結ぶような方法を考えないと、行政のテーブルで言ったんでは困るということを特に私は山を歩いてみて感ずるんですよ。だから、そういう点でこの契約事項についてはもう少し、少なくとも国有林の直接の契約の皆さんから振動病やそういうものは全然出てこないということが、裏から見れば今部長の言った答弁が立証されるわけですね。あなたがどんなに答弁したって、国有林の請負労働者それ自体から振動病の患者が出てきたんでは、それは実行されていないということを裏返しすると、そういう因果関係をよく頭に置いて実のある指導をぜひしてもらいたいなと、社会保険問題も含めて。あと、時間がありません、そういうことを要望いたしまして、もう答弁要りません。どうせ答弁したってそれ以上答弁できないんだから。要りませんが、そういう私の言わんとするところをよく心得て実効を上げてもらいたいということを要望して終わります。
 以上です。
#85
○刈田貞子君 私は男女雇用機会均等法の問題についていささかお伺いさせていただきます。
 既に社会労働委員会で御専門的に細部にわたっての審議をなさっておられますので、あえて細かいお話をお聞きするつもりはございませんけれども、婦人の議員といたしましていささか私の立場でも確認をさせていただきたいことがございますのでお伺いいたします。
 この婦人の差別撤廃条約批准に向けて国内法の整備の大きな柱の一つであるこの法案は男女雇用機会均等法案でございますが、大臣お飽きになるほどたくさんの論議をなさっていただいて、私も伺わせていただいて大変な質疑が行われていることはよく存じております。
 そこで、まず私は細かいことではなくて、総論めいたお話の中で、むしろ大臣の信条的なお答えをいただければ大変ありがたいというふうに思うわけでございます。
 まず一番最初にお伺いいたしますのは、たくさんの論議があったことを通して大臣自身が女子労働者の思いというものをどんなふうにお受けとめになられたか、このことからまず伺います。
#86
○国務大臣(山口敏夫君) 私は男女雇用均等法を審議しておりまして、人間初心忘るるべからずではございませんが、この世に生まれ育って社会という場で跳んだりはねたりできるのはだれのおかげかと、こういうことがすべての男性諸君が十分原点を見失わなければ、男女雇用均等というような論議を大上段から振りかぶってしなくても、この職業社会においても十分男女の平等、公平というものは確保されておらなければならないというふうに考えるわけでございますが、現実の職業社会におきましては率直に申し上げて男子社会、こういう傾向が非常ほ顕著でございます。これは女子の能力とか資質とか仕事に対する意欲というものの男女差ということよりは、女性の家庭責任、特に家事でございますとか育児でございますとかそういう分野においての御負担が大変多いわけでございますし、またそれが一つの女性の大事な役割だ、こういう長い社会の通念等もございます。しかし現実の問題といたしましては、この情報化時代、高齢化時代、また省力化時代ということで能力的にも体力的にも男女が平等の条件で社会あるいは産業分野で活躍でき得る、そういう社会環境の大きな変革があるわけでございまして、我々といたしましても条約の批准に合わせた国内法の整備という中で、この時期に職業社会における男女の雇用の平等、公平を大いに前進、改善をしたい、こういう気持ちを持ちまして今この国会で御論議をいただいておるわけでございます。
 いろいろ御指摘いただいて、まだまだ至らない点がたくさんあることは私もよく承知しているわけでございますが、一歩、一歩この長い社会の通念の中で女子の立場も十分守りながら、なおかつこの仕事社会においても平等、公平を一層拡大、安定をさしていきたいということの決意を持ってこの法案の御審議また成案をお願いをしておるところでございます。
#87
○刈田貞子君 そういうハードなお答えというよりは、本当にすごいと思ったとか、それから大変だなと思ったとか、大臣にも心の方を吐露していただきたいわけですよね。わかるんです。局長の答弁、大臣の答弁も私も伺っておりましたから、よくわかるんですけれどもね。非常に御理解の早い大臣でいらっしゃるから、心情的にはがつっと受けとめているものがあるんですよ、大臣。そこの方の底辺の部分の方をぜひ伺いたいなと思って、私はきょうここの場面でこれを取り上げるんでございましてね、そうでなければ、ハードな論議をするのなら社会労働委員会に入ってやりますから結構なんでございますから、ぜひその心情部分と先ほど申し上げたのはそこでございますので、ぜひよろしく。
 そして、今回の御論議を通して大臣何回も伺っておられるように、多くの女性がこの法案を改悪だというふうに皆言っておりますね。この改悪だと言われているゆえんはどこだと思いますか。
#88
○国務大臣(山口敏夫君) これはなかなか法案の中身というのは、正直申し上げて忠ならんと欲すれば孝ならずという古い言葉の引用が、一番表現しやすいと思うんですけれども、いわゆる時間外労働の部分でございますとか、いわゆる労基法の女子保護規定についての改正点でございますとか、そういった点が非常に特に主婦といいますか労働者の雇用条件あるいは家庭責任とのロイヤリティーの中で、大きなジレンマ調整を心配されておるというところであろうというふうに私も受けとめております。
#89
○刈田貞子君 そこで今回の法案の中で、私もそう思っている者の一人ですけれども、一条、二条の目的及び基本理念の問題でございますが、これもたくさんの審議過程でお話がございました。私はこれはやっぱり今回の審議の基本的な大前提になるものであろうかというふうに思いますんで、この辺がやはり本当の意味での男女の雇用における機会均等というものを実効あるものにするには、非常にお粗末ではなかろうかというふうに思うわけでございますが、この目的及び基本理念等の修正等お考えになられてはおりますか。
#90
○国務大臣(山口敏夫君) 私も現実の女子勤労者、女子労働者の働くということとまた家庭責任という問題の中で、先ほど申し上げたようにいろいろ調整的に苦慮されている、またいろいろそういう点がこの法案の成立後の運用の一番大事な問題だというふうな認識は、率直に持っておりますけれども、しかしそれと同時に、例えば雇用する側における就職でありますとか、あるいは女子労働者の地位あるいは賃金、いろんな意味で本当に国際的な社会にも十分評価いただけるような水準、あるいは平等というものを確保するためには、保護規定の問題について、労基法等の問題についても今政府が提出、御審議いただいておる法案が、私どもの立場から言いますと理想と現実の接点、この法の運用の中でいろいろ国会で御論議いただいたような問題につきましては、婦人少年室を中心として行政的な立場で最善の調整部分における女子労働者の職場条件等の後退のないようにひとつ進めていく、こういう基本的な考え方で、修正等の問題についてはいろいろ御指摘いただいている部分、十分承知でございますけれども、政府原案で何とか御審議、御成立をいただけないもんであろうか、これが私の立場でございます。
#91
○刈田貞子君 もう一つは、これもだれもが御指摘なさった分でございますけれども、いわゆる政府原案の欠陥の一つであるところの、そして私自身も反対の大きな理由に挙げているものの一つですが、現状で男女差別の著しい現象を呈しているところの募集、採用、配置、昇進という部分ですね、ここのところが全く企業側の努力義務に任せておるというところ、そして退職までの全ステージを禁止規定というところに持ち込めなかった理由を、大臣率直に言って何だというふうに今お考えになっておられますか。
#92
○国務大臣(山口敏夫君) これは、例えばこれは大臣としてこういう場所で御答弁、こういう答弁の仕方というのは適切かどうかわかりませんが、例えば役所の採用なんかにおきましても本当に頭と点数だけで採用すれば、将来役所の局長の半分ぐらいは女性になっちゃうんじゃないかというぐらい、いわゆる募集、就職時において点数主義といいますか頭だけの試験主義でいけばそういうようなぐらい、女性の能力というものは非常に優秀なるものがあろうと思うのですね。しかし現実、じゃ結婚することになりました、私このたびやめさせていただきますという男子社員というのはほとんどないわけでありまして、いろいろそういう産業界の実態等考えますと、非常に審議会でも六年間いろいろああでもないこうでもない、いろいろ御論議をいただいて、結局審議会が異例とも言えるような三論併記というような形でとうとう結論がまとまらないというぐらい、この中身というのは実際運用の面においては理念は理念として合意が難しいという状況、先生御承知いただいているとおりでございます。
 そこで、こういうまとまらない案については少し先送りいたしましょうということも、今までの政府の立場からすると往々にしてあったわけでありますけれども、労働省といたしましても国際批准の問題のみならず、非常に女子の労働市場、雇用条件が大きな変化の状況にある、やはり今までのような形じゃなくて一歩でも二歩でもひとつ前進させるべきである、こういう形でこの法案を取りまとめた、こういう経過もございまして、これはいずれ私は、今政府原案出しておりますけれども、何年か後に社会の実情は応じて当然国会で御指摘いただいた部分を含めて、あるいは修正なり改正なりという議論はやっぱり正直出てくると思うんですね。そういう経過のまず前提条件として、禁止規定という形までとれなかったわけでありますけれども、努力義務という形であってもこの法案の持つ女子雇用の機会均等というものには大きな改善がなされる、こういうひとつ判断と確信の上に立って今回の法案をまとめさせていただいた、こういう経過と考え方でございます。
#93
○刈田貞子君 そうすると、走り出した中でいろいろ問題が出てきたときには再度また改正をしていくということになれば、その見直し規定というようなものについても慎重にお考えになって政府原案の中で御検討なさっていらっしゃいますか。
#94
○国務大臣(山口敏夫君) やっぱり政府の立場でございますから、一応政府の、労働省として、閣議決定をし、いろいろ手続をして国会に提出を申し上げてそして御論議をいただいている法案でございますから、現時点においては一番いい中身の法案である、こういう自信はございます。ございますが、やはり男女の雇用の均等がより一層改善される余地、あるいは女子労働者の能力、資質がより生かされる余地というものが、これから広がりこそすれ後退するということはあり得ないわけでございますから、そういう社会的な環境、条件の変化を先取りするなり、あるいは状況に合わせる意味において当然将来は何らかの検討がなされるということは、私は政治家の立場としても当然あり得るべきであるというふうに考えておりますが、労働大臣といたしましては今御審議いただいている法案をぜひひとつ中心として御論議いただきたい、こうお願いを申し上げたいところでございます。
#95
○刈田貞子君 それからもう一つ重大なこととしては、政府案の欠陥の重大な問題点の一つが骨抜きだというふうに皆さんがおっしゃる平等法と抱き合わせの労基法改正、この問題先ほど大臣も盛んにおっしゃいましたけれども、恐らく大変お気になるのでこの労基法改正のことをおっしゃっておられるんだろうと思うんでございますけれども、これ私女子保護規定等の縮小に関して今改正する必要性が本当にあるのかないのかというようなことについては、やっぱり率直に思っておりますんです。改正しなくても何とかなるという余地が少しでも残っているのかいないのか。私どもの党といたしましては、この部分は切り離して別途審議すべきであるし、先ほど労基法研究会の話も出ておりましたけれども、やはりそういうところの結論を待ってさらに時間をかけてこれは論議していくべきであるというのが、私どもの方の党の言い分でございますけれども、この労基法改正、これは今どうしても必要なものであろうかどうなのか、その点お伺いします。
#96
○国務大臣(山口敏夫君) 労基法は、いずれ労働時間短縮の問題あるいは休暇の拡大の問題が日本の労働市場の範囲のみならず、国際的な経済摩擦や貿易摩擦の中でも、これが論議の対象となっているということでございまして、我々としても労基法の改正の問題は、この一両年の一つのターゲットとして十分論議をしているという事実経過がございます。したがいまして、それまで待って男女法とは切り離して、その時点で見直しを必要ならしたらいいんではないか、こういうお考えも私はやはり一つの見識だというふうに、正論だと私は思います。思いますが、やはりせっかく男女雇用機会均等法ということで、新しい視点から女子の労働というものを見直し、そして雇用の拡大や能力、資質を遺憾なく発揮でき得るようなそういう社会的な条件をここで整備しなきゃならない、こういうことになりますと、やっぱり女子が保護されている部分に対しても、私は女子労働者みずからの理解と認識をお持ちいただく中で、むしろこの点もやっぱり踏み込んでやはり改善、改善といいますか、やっぱりハンディを乗り越えるべきである。これも一つの私は勇気といいますか、見識といいますか、決断が必要なところではないかというふうに、我々はどうしても客観的に公平にやっぱり世の中の男世界の立場からも、女子労働というものを見ている立場からもこれを支持せざるを得ない、こういうことで社労委員会のやりとりで先生もお聞きいただいておりますように、私といたしましては、この部分は実態よく承知しつつも、やっぱりこれをクリアするということが一つの大きな前進、改善につながっていくという考え方に立っておるということでございます。
#97
○刈田貞子君 大分大臣のお気持ちがうかがえるような気がいたしますけれども、いずれにいたしても私も個々別に、そして事例別にいろいろお伺いしたいこと等たくさん持っておりましたんですけれども、ただいま社労委員会におきまして慎重な御審議をなさっておるところでございますので、ぜひにこれが実効ある男女雇用機会均等法が成立するように、私は実効あるものとして成立するように希望するものの一人でございます。大臣も政府原案にはいろいろ欠陥も今のところあるというふうに率直にお認めになっていらっしゃいましたので、その点私もぜひその欠陥をできるだけクリアする形のものができ上がっていくことを婦人の議員の一人といたしまして希望をいたします。
 それでは次に、出稼ぎ労働の問題についてお伺いをいたします。
 今なぜ出稼ぎかということになるんですけれども、農村では秋に一度出稼ぎの話が出ます。稲の取り入れが終わったころ、これから町に出て一稼ぎするという時期のことでございます。そして、今また都会の労働が終わってふるさとに帰ってきて、その冬の間の自分たちの働きあるいは稼ぎ高のことについて話をしながら、出稼ぎ労働の実態を集約するというのがこの四月の月に当たっているようでございまして、私のところへも岩手県の方から口頭ではございますが幾つかの話が届いております。その中でまとめて申し上げてみますと、ことしはやはり銭取りがよくなかった、こういう話が出ております。これは十人に七人の割合で余りよくなかったという率直な意見が届いております。これは岩手の例でございます。そして、このような状況だともう都会にわざわざ行かなくてもいいんじゃないかという、こういう気持ちのようですね。かつて高度成長期時代には、日本の重化学工業などを中心にして部会の産業を支えてきた農村労働力、そしてまた高速道路をつくり、あるいは地下鉄、高層ビル建設など都市の開発には非常にこの農業労働力というものが果たしてきた役割というものは大きいものであろうかと思います。東京オリンピックの年あたりを中心にして本当にたくさんの農村労働者が都会に入ってきて、そしてそのためにたくさんの問題があって、また国会等でも御審議があったこともよく皆様御存じかと思いますけれども、今余り話が出なくなってきた。私もいろいろ資料を探そうと思うと余りないわけですけれども、私自身は大変にこのことを心にかけて関心を寄せている者の一人でございます。
 統計によりますと、一カ月以上一年未満の期間の予定をもって出稼ぎに出た農家世帯員は、四十八年の三十万人を最高にそれ以降一貫して減少傾向を続けている。五十七年では雇用情勢の悪化に加えて地元就労志向というものが高まってきたというような関係から、前年に比べて六千人減少し十一万九千人、これは五十七年のデータでございまして、四十八年のピーク時から見ると四割になってしまった、つまり半分以上少なくなってしまったというわけですね。出稼ぎの話が余り出なくなったのもこういう実態にあるからではなかろうかというふうに私思うんですけれども、ただ、ピーク時の四〇%になってしまったといっても、依然として農家世帯員が都会に出て働いているという実態があるということが一つと、それから出稼ぎという労働も四十年代では売り手市場だったのが、不況が続いてきている今日ではむしろ買い手市場になってしまって、自分たちが仕事をより好みできない、選べないという状況が出てきていることの中で、労働条件が非常に悪化しているというような実態が私はあろうかというふうに思います。
 それでまず労働省の方にお伺いするわけですが、出稼ぎ労働者の就労実態調査というのを実施なさっておるはずでございますけれども、この点についてひとつ御報告をお願いしたいと思います。
#98
○政府委員(加藤孝君) 出稼ぎ労働者の実態につきまして、ただいま先生の方からお話がございましたが、確かに私どもの調査ではピーク時の四五%に減っております。若干数字を申し上げてみますと、四十七年が私どもの調査ではピークになっておりまして、五十四万八千人という数字を押さえております。これが五十八年度におきましては二十五万一千人ということで、まさに先生がおっしゃいました四割、四五%、こういうことで、半数以下になっております。
 このうち出身地域を見ますと、ただいま申し上げました二十五万一千人のうち、東北地方が十四万五千ということで半数以上を占めておると、こんな実態にございます。それから男女別に見ますと、男子が九〇%というようなことでございます。それから年齢が四十五歳以上の方が五九%ということで、非常に高齢者が大きなウエートを占めておるということでございます。
 それから就労先の事業所は建設業が六六%となっておりまして、建設業関係での出稼ぎが多いということで、次いで製造業で二五%と、こんな状況でございます。それからまた、今お話ございましたように出稼ぎに行くその家業の方は、やはり農家が圧倒的に多うございまして八一%、こんなような状況でございます。
#99
○刈田貞子君 農林水産省の方にもお伺いしてみたいのですが、今申し上げましたように出稼ぎ労働者は、特に農村出身の出稼ぎ労働者というのは減少の傾向を示している。だけれどもやはり農業者が都会に働きに出ているということには間違いないわけですね。先ごろ岩手県の報告によりますと、昨年は稲作を中心に豊作が続いておるので私は出稼ぎに出る人の数が少なくなるのではないかというふうに思っていたらば、まだ集計的なものではなくて実態的なものとして聞いてみますと少なくなってはいないと、こういう話をこれは五十九年秋の話ですけれども報告を受けております。農民文化研究所のアンケート、昨年の三月に調査したものによりますと、出稼ぎに出て得たお金を何に使うかという胴いに対して生活費に充てると答えている人が七六・七%あって、いわゆる農業経営維持のために充てるというのを上回っているということ、これは民間調査ですよ、私はこの実態を大変に重視しているところでございますが、農林水産省としてはどのような実態を把握していらっしゃるか、お伺いいたします。
#100
○説明員(鈴木克之君) 農業者の出稼ぎの状況でございますが、昭和四十七年の三十四万二千人をピークとしてその後年々減少しておりまして、五十八年には十万八千人になっておるわけでございます。また、これを地域的に見てみますと北東北の方に集中しておりますとともに、さらに年齢構成の上で見ましても高齢化の傾向が見られるところでございます。
 出稼ぎにつきましては、農林水産省といたしましてはこのような不安定な就業状態を解消いたしまして、安定的な農家経済を確立することが望ましいと考えておるわけでございますが、このために農業生産基盤の整備、農業構造の改善、農業生産の近代化、農産物価格の安定など各般にわたる施策を展開いたしまして農家の所得の向上に努めておりますとともに、地場産業の振興、それから農村地域への工業導入の促進などを通じまして、地元における就業機会の確保に努めますとともに、新農村地域定住促進対策事業、第三期山村振興農林漁業対策事業などを引き続き実施いたしまして、不安定兼業農家の所得の増大並びに就労の安定化を図っておるところでございます。
#101
○刈田貞子君 そこで労働省にお伺いいたしますけれども、出稼ぎ労働者が部会に出てきて就職するときの就業経路でございますけれども、公共職業安定所を経由している者の数がやはり非常に少ないわけですね。この点についてどのようにお考えになっておられるのか。私が調べたところによりますと四三%で非常にこれは低いわけでございますが、こういう職安を通して就職しない人の実態はつかめているのかどうなのかをお伺いしたいことと、あわせて、出稼ぎ労働手帳というのがありますね、この手帳の交付の数と職安を通る数とはどういう関係になりますか、お伺いいたします。
#102
○政府委員(加藤孝君) 出稼ぎ労働者の就職する経路を見ますと、御指摘ございましたように安定所経由が約四割程度でございます。二十五万のうち安定所紹介による就職者が十一万、そんなような数字でございます。それ以外の方はどういう経路かという点につきましては、やはり縁故、知人友人の紹介というのが半数以上に上っておるわけでございます。そのほか、これまで働いていた事業所との約束でまたことしも行く、こういうようなのが約一〇%程度ございます。
 それから出稼ぎ手帳の交付状況でございますが、これにつきましては、五十八年度で二十八万の手帳を交付いたしておるわけでございますが、結局手帳を持っておる方があるいは直行するというような形でのまた就労、先ほど申しましたように、去年行ったところにまた行くからというような形で手帳を持ったまま行かれるということもありますし、それからまた、手帳を持っておられても、何といいますか、それですぐ手帳が役に立つわけでもないじゃないかというような調子で、それが生かされてないというような場面も率直に言ってございまして、この安定所紹介の数よりも相当たくさんの手帳を出しておりますが、手帳と安定所就職というものがずばっと一致しているわけではないという現状にございます。ただ、私どもとしては、安定所経由で就職されれば、少なくともいろいろ話題になりましたような、出稼ぎ先で蒸発されるとか、あるいは出稼ぎ先で賃金不払いというような問題があったときにすぐその不払い事業所と連携をとって、なぜこの労働者に賃金を払わなかったのかと後でいろいろ追及をしたりというような、いろんな問題の解決の上では非常にそういう安定所経由ということはまた大いに意味がある。それからさらにまた手帳について言いますれば、やはり高齢者が多数になってきております中で、健康診断、特に高血圧の関係等、そういう健康診断の面で、ぜひこういう手帳を通じまして自分の健康状態も把握する、もう無理をしないでそろそろ出稼ぎをやめたらどうかとか、あるいはまた出稼ぎの事業所も建設業から製造業に変わったらどうかとかいうような関係で、いろいろ意味のあるものだと思っておるわけでございます。そういう意味で、この安定所の経由、それと手帳の所持という面では、私ども出稼ぎ対策の一つの大きな政策の柱として推進をいたしておるところでございます。
#103
○刈田貞子君 そうしたいわゆる職安を通さない就労経路をとる人たちのためには、これをやはり正常化するために、できるだけ職安を通してほしいというような御指導はなさるわけですね。
#104
○政府委員(加藤孝君) それはもう出稼ぎ対策の真っ先に、ぜひ安定所経由でということはいろいろ地元市町村、それからまたそういう出稼ぎのグループのリーダーという方々に常に呼びかけをしておるところでございます。
#105
○刈田貞子君 それでは労働条件の問題についてお伺いをいたしますけれども、この出稼ぎ労働者の賃金あるいは労働時間等のことを含めた条件が、一般の都会の労働者と比較してどんな条件下に置かれているか、把握していらっしゃいますか。
#106
○政府委員(寺園成章君) 出稼ぎ労働者の就労実態につきまして最も最近の調査は、昭和五十六年の調査でございますので、それに基づきまして申し上げますと、一カ月の平均賃金で、男子におきましては十九万円から二十二万円未満が二六・八%と最も多くなっております。次いで十六万から十九方未満というのが二一・五%、二十二万から二十五万円未満が一四・八%という状況でございます。したがいまして、約六割の労働者が十六万円以上という状況でございます。一方、一般の労働者につきまして同一の時点で比較いたしますために、昭和五十六年の毎勤調査によって見ますと、男子の一カ月平均の賃金では、建設業の常用作業者は五十六年平均約十九万円でございます。製造業の生産労働者は約二十一万円ということになっております。当然のことながら、調査方法等が違いがありますので、直接比較することの当否の問題はございますけれども、私どもが把握をいたしております数字は以上の状況でございます。なお、ちなみに五十九年の建設業の常用作業者の定期給与につきましては、約二十万八千円という状況でございます。それから労働時間でございますけれども、適切な資料がございませんが、出稼ぎ労働者の三分の二が就労いたしております建設業の常用作業者男子について見ますと、五十九年平均で見ますと、月間の総実労働時間が百九十一・八時間でございます。そのうち所定内労働時間は百七十四時間でございます。これを製造業の生産労働者と比較いたしてみますと、総実労働時間では約四時間、所定内労働時間では十一・五時間長くなっておるという状況でございます。
#107
○刈田貞子君 先ほど申し上げました民間機関の調査でもただいまおっしゃられたようなことが出てきております。一カ月当たりの平均が十五万円から二十万円、これが大体七三%ぐらいという民間調査ですけれども出ております。それから今労働時間についてはいささか長目であるというお話ですけれども、これも出ております。この民間調査の労働環境調査という部分のところでは、やっぱりかつてに比べては環境はいささかよくはなってきている、改善はされているというお答えを出しながら、長時間労働が非常に多いという声がやっぱり一番多いこと、そしてもう一つは、残業をやってもその分の賃金がもらえないという声がございます。これは先ほどの職業安定所等を通さない種類の方々が解決に困っている部分のものじゃなかろうかというふうに私は思うんですけれども、全く未払いというのも苦情の中にあります。それから宿舎等生活環境の悪さ、そしてもう一つ私が非常に気になりましたのが労働災害への不安という、こういう問題を訴えておられる方が多いようでございます。ことしの先ほどの岩手県からの報告でも、口頭の報告でございましたが、この労働災害へのやっぱり不安というものを訴えている声がございました。私ここに持っておりますこれは昨年の十一月の朝日新聞が記録をなさったものでございますが、秋田県の雄勝郡羽後町の話の報告が載っております。これは、この町は三千八百世帯の町で常時二千数百人が出稼ぎに出るという町でございますが、五十八年度もその出稼ぎに出た者の中から二十七人がけが、二十四人が病気にかかり、そして病死が四人の、事故死一人という報告が出ているわけでございますが、こうした出稼ぎ問題の中で労働災害に関する一つの現状というものをどんなふうに把握しておられますか、お伺いをいたします。
#108
○政府委員(寺園成章君) 手元にございます数字は五十八年の数字でございますが、全産業の労働災害はよる死亡者の総数は二千五百八十八人でございますが、そのうち出稼ぎ労働者は六十三人でございます。約二・四%の方が労働災害でお亡くなりになっておるという状況を把握いたしております。
#109
○刈田貞子君 けが等の事故はどうですか。
#110
○政府委員(寺園成章君) 別の調査でございますけれども、就労中に業務災害に遭った方が三・七%おられるという調査がございます。
#111
○刈田貞子君 そこで、やはりこうした労働条件の向上というようなことについて、労働省も具体的な手をお打ちにならなければならないし、現になさっているであろうかというふうに思うんですが、いわゆる送り出している地域、そして受け入れ地域というふうに分けての安全対策、あるいは就労条件の向上とか福祉対策ですね、こういうふうなものを具体的にはどんなふうにしておられるか、あるいはそれが効果を生んでいるのでしょうか。
#112
○政府委員(寺園成章君) 労働災害問題、それから賃金不払い問題を例に挙げてのお話でございますが、労働災害につきましては、労働災害全体といたしましては減少傾向にありますものの、近年災害の低下傾向に鈍化が見られます。なかんずく労働災害の中で、季節労働者が多く就労しておられます建設業の労働災害というものはまだかなりの水準でございます。そういう実態を踏まえまして、かねてから建設業を行政の重点といたしまして労働災害の防止に取り組んできておるところでございます。現在、第六次の労働災害防止計画を策定し、また各年、本省におきましても、また各地方におきましても労働災害防止のための計画を策定しながら実施をいたしておりますが、その中にありましては各局通じて建設業を重点の一つに掲げて取り組んでおるところでございます。
 なお、先ほどお話のございました賃金の未払いの問題につきましては、出稼ぎ労働者自身、あるいはその家族の生活に大変大きな影響を及ぼす問題でございます。具体的な事案がございましたら、監督署の方にお申し出いただきたいというふうに思いますし、監督署で現実に処理ができている件数がかなりございますが、それ以外にも立てかえ払いという制度がございますので、そのような制度を運用しながら、出稼ぎ労働者の福祉に力を注いでまいりたいというふうに思います。
#113
○刈田貞子君 援護相談所のお話でございますけれども、今先ほどもお答えの中にありましたように、いわゆる出稼ぎ労働者の年齢が高齢化してきている。したがって、求人の枠も大変狭まってきている。しかし、選ぶわけにはいかないので就職してみたらば、まことに耐えられないというようなことで、求職及び転職というような相談がこの援護相談所にふえてきている。私が伺ったところでは、昨年は四割増というふうな報告を受けているわけでございますけれども、この労働者のいわゆる援護相談所については、これは実は総務庁から縮小の勧告が出ている分でございますね。これについて労働省は、この相談所の機能をどのようにお考えになっておられますか。
#114
○政府委員(加藤孝君) この出稼ぎ労働者援護相談所は全国で五カ所、札幌、東京、横浜、名古屋、大阪と、それぞれの地域におきまして出稼ぎ労働者についての相談あるいは宿泊の関係あるいはそこでの求職の関係等々の援護業務を行っておるわけでございます。これに対しまして総務庁の方から行政勧告がございまして、むしろひところよりも大分利用者が減ってきておる、そういう意味でこういう面についての今後の見直しをすべきではないか、こういう指摘を受けておるわけでございます。ただ、率直に申しまして、トータルとしては減っておりますが、例えば今先生御指摘でございましたように、横浜などはピークの四十八年のころよりも三割ぐらい増加しておるというような状況もございます。ただ、逆に東京などでは四十八年に比べまして三分の一程度に減っておる、こういうような非常に相談所の、援護相談所によりまして業務の量が増減が非常にちぐはぐになっておりますので、そういったような点については今後の運営面でさらに人員配置のいわば業務量に応じた配置がえといいますか、そういったようなことなどは我々の方も検討していかなきゃならぬだろうと、こう考えておりますが、現在なお多数の出稼ぎ労働者があるわけでございますし、それになおこういう地域によりましては多数の方方の相談もやっておるというような事情もございますので、こういう業務量に応じた人員配置ということなどは検討する必要があると思いますが、この業務は私どもとしてはなおむしろ一層さらに利用されるようなPR等もしながら、出稼ぎ問題のお役に立ちたいと、こんなふうに考えておるわけでございます。
#115
○刈田貞子君 そこで、こうした出稼ぎ問題を解決するために、むしろ居住地における就労の機会というものを設けていくということが大変大切な政策になっていくのかというふうに思うわけでございますが、農村地域工業導入促進法及び工業再配置促進法に基づいて、居住地への工業の導入あるいは工業の分散というような政策を積極的に進めてこられたわけですが、この促進事業、これはどんな成果をもたらしているのか。これは労働省、通産省、農水省三省にわたる事業でございますが、労働省としてはこの事業がどんな成果をもたらしているというふうにお思いになりますか。特に五十六年度から始まった第三次基本方針には、日雇い、出稼ぎ等不安定就業者の地元における安定就業の促進ということがテーマに挙げられているわけでございますけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
#116
○政府委員(加藤孝君) ことしの三月末までの農村地域工業導入促進法によります工業導入の状況を見てみますと、導入して既に操業いたしておりますのが約二千五百企業ございます。これに加えまして導入決定企業というのが七百強ございます。これに雇用されておる方が十八万八千ということであり、そのうちの地元雇用者が十五万三千ということでございますので、八割以上の方が地元雇用ということでございます。
 それからまたこの地元雇用十五万のうち、農業従事者からの雇用者が七万七千、こんな数字になっておりまして、そういう意味では、一応この農村地域工業導入促進法によりますこういう導入企業によりましての雇用の場というものは、一応それなりの機能というものは果たしてきておるというふうに見ておるわけでございます。
 それからまたこの地元雇用の数字につきまして中身をさらに洗ってみますと、出稼ぎをしておられる方についてなおそういう農村工業において雇用するというような例もわずかではございますが、出ておるわけでございます。
 今後の問題といたしまして、私どもこの農村工業導入そのものがこういう十八万の雇用者、そしてまた地元雇用十五万ということではございますが、量的に言いまして、率直に言いまして、この計画どおりに導入が進んでいるとは言いがたい状況にございます。また地元での雇用も計画どおりになかなかいってないというような状況もございますし、それが単に計画が進まない背景問題を考えますと、なかなかまたオイルショック等の中でこれがみんな計画倒れに終わったというような場面もいろいろあるわけでございます。今後ともこういう農村工業導入を進めていかなきゃなりませんが、ただそれだけに頼っておって本当に地元雇用というものが促進されるであろうか、こういうことも懸念をされるわけでございます。そういった観点からこれは六十年度の施策ということで、労働省といたしましてはさらに地元の自立的なこういう雇用の場づくりといったものをお手伝いできないだろうかというようなことで、新しい事業をモデル的に五カ所やってみようということで今計画いたしておるようなところでございます。
 若干説明させていただきますと、ただいま大分県であるとかあるいはまた北海道などで、いわゆる一村一品運動というような形で地元のそういう農産物等を利用いたしましたいわゆる一・五次産業といいますか、そういったようなものが非常に試みられておりまして、地域によりましてはそれが地域の活性化にもつながっておる、あるいはまた例えば大分県の大山町のようなところは、それによって今まで出稼ぎに行っておった方が出稼ぎに行かなくても済むんだというような例もいろいろ出ております。そういうような非常に先進的な事例等も参考にしながら、国レベルでも出稼ぎ対策の一つの対策としてそういったものをモデル的に推進していきたい、こんなことで六十年度計画をいたしておるというような状況でございます。
#117
○刈田貞子君 私もこの促進事業については農村における農業者の農外労働市場、そういうものをつくるためにはある種の役は果たしていると思います。けれども、まだまだやはり地元雇用というのが進んでいない実態を私も聞いておりますので、やはりこれだけの促進事業を興しているけれども、まだまだ用は足りていないというふうに思うわけです。
 その一つの例といたしまして、これは地域別に見てみますと、非常に不均衡があるということを思うんでございます。ちなみに積雪寒冷地帯ではやっぱり工業の集積がしにくいということがございますね。これは五十八年に全国農業会議所が農業委員会を通じてとったアンケートでございますが、全国六百三十四市町村の農業委員会を通じて行ったこの調査結果によりますと、地元、周辺の雇用機会があるかということに対して、「少ない」という答えを出したものが関東では二七・七、東海で三三・九、九州で四三・四。だから、「少ない」ということの、数が少ないんです。だからあるということなんです。ところが東北では地元の雇用の機会が少ないと答えているのが七三・四%ある。つまり今申しました積雪寒冷地帯における工業集積というのがやっぱり行われていないということを私は考えるわけで、こういう地域差を今後どういうふうに考えていくかという問題が一つあろうかというふうに思うんです。農村からの出稼ぎの実態を見れば先ほどもお話がありましたように、何といっても東北、北海道で八三%を占める。東北だけでも七七%、農村出稼ぎ労働者の七七%は東北地方です。これはやはり今言った実態と符合しておりまして、要するに地元に仕事がないから、だから都会へ出ていくより仕方がない。こういう実態になろうかというふうに思うんですが、この地域差に関することはどのようにお考えになっておられますか。
#118
○政府委員(加藤孝君) ただいま先生御指摘のございましたように、そういう地域差は非常に大きな関係があると思うわけでございまして、例えば北海道でございますと四十七年に出稼ぎ労働者が六万六千ということでございますが、五十八年になりましてもなお四万三千ということでございます。一方、福島県になりますと、二万四千の出稼ぎ者が現在五千に下がってきておるというような状況もございます。それからまた北海道と類似の状況にございます青森でも、これも七万五千が十一年後になりましてまだ六万という非常に高い割合でございます。ただ、私どもの数字では岩手県の場合には四万五千の出稼ぎ者が、五十八年段階では半減いたしまして二万七千というような数字になっております。さらに宮城県になりますと、一万五千が二千八百、こんなふうに激減をいたしておりまして、随分地域によりましてやはりこういう工業導入あるいは工業化の進展の度合いが非常に出稼ぎ問題についても地域格差が出ておる、そんなような感じが強くするわけでございます。これは地域差問題というのは大変大きないろんな面からの政治問題でもあるわけでございまして、結局、例えば岩手県の場合でございますと、最近は例のIC工場などどんどん岩手県に進出しているというような動きもあるわけでございまして、これが新幹線の開通のせいだというようなこともいろいろ言われておりますが、逆に日本海側の秋田県でございますと七万三千人が三万三千ということでまだ半数ぐらいあるといういろんな事情、そういう数字にも出ておるんではないか、こんなふうに見ておるわけでございます。
#119
○刈田貞子君 農業出嫁ぎ労働者問題というのは、あるいはまた農外労働市場の問題というのは、実は農業の基本的な問題と密接にかかわっておりまして、これまで政府がとってきた農業政策あるいはまたこれから講じようとする農業の政策というものに触れないでは、実はこの話は論議できないという関係を私はよくわかっておるんでございますけれども、しかし、現時点においては十一万何がし、あるいは二十五万というやはり移動労働人口があるということの現実を踏まえて、ぜひ農水省そして労働省が御連絡をおとりになりながら、労働者保護のために私は一役買っていただきたいというふうに思います。
 最後に、大臣大変恐縮でございますが、今いろいろとお話しをしてきました農村の出稼ぎ問題について、大臣の御見解をお伺いして質問を終わりたいと思います。
#120
○国務大臣(山口敏夫君) 出稼ぎ労働者の方が居住地で就労することができる体制を整備することが、先生の御論議を伺っておりましても一番重要であるというふうに考えますし、そういう観点から今後とも農林水産省等関係省庁とも十分連絡をとりながら対策を講じるということが労働省のまた役割であると、こう考えます。
#121
○服部信吾君 大臣にお伺いしたいんですけれども、ゴールデンウイークにおける連続休暇問題でございますけれども、あと一週間足らずでゴールデンウイークが来るということで国民も大変楽しみにしておりますし、家族等もいろいろなプランを組んでおりますけれども、大臣も就任の際には、まずこの問題だけはやっておきたいと、大臣として就任されてまずこの問題は解決――解決というよりも何とか導入したいと、こういうことで所信を表明されておりますけれども、時間がありませんので、三月の六日の日に予算審査に関連して、与野党における幹事長、書記長会談の合意文書の中でこの問題が提起されておるわけです。「時間短縮並びに連休等休日の増加の問題については、各会派責任者で予算成立までに協議機関を設置し、今国会中にその実現をはかるようつとめる。」と、こういうふうにこの文書にも出ておるわけでありますけれども、今どのようになっておりますか、大臣にお伺いします。
#122
○国務大臣(山口敏夫君) 私も、先ほど来から労働時間問題を取り上げていただいておりますが、そうした労働時間の短縮や休暇の拡大、特にこの本人の休日を振りかえで連休等にこれを活用すると、こういうひとつシステムが形成されるように非常に行政指導を進めておりまして、昨年に比べまして製造業中心でございますが、国会等でも御論議いただいたおかげをもちまして、行政指導の立場を通じて二〇%ゴールデンウイークの休暇を採用していただく企業がふえたということで、これは今年度においては非常に大きな前進だというふうに考えております。しかし、法制化の問題につきましては、これは今回のゴールデンウイークの法制化等の労働団体の要求もございますが、本来そういうまた与党の中にも中小企業や商工業等の立場等を踏まえて法制化はいかがなものかと与野党御論議がございます。しかし、その論議は別としまして、大体休日とか祝日法案は、本来政府提案ということでなく、議員立法ということで国会でいろいろ論議をいただいて与野党合意の上で成立をさしておるという過去の経緯もございます。したがって、今回のゴールデンウイークの休日の問題も、祝日にするのか、労働休日にするのか、今先生御指摘のように、与野党で論議しようと、こういうことで今取り上げていただいたわけでございますが、それを我々は非常に期待し待ち望んでおるわけでもございますが、この会期末でもございます、一層与野党の幹事長、書記長会談の合意を踏まえてぜひひとつ、ことしからということは物理的にもなかなか行政的にも、カレンダー業界その他の大変なこともございますが、六十一年から実施するのか、六十二年から実施するのかも踏まえて、ぜひこれお取り上げお詰めをいただきたいということを労働大臣としてはひとつ大いに期待をし、またそれに伴う我々の手伝うことについては何なりとひとつ御協力を申し上げたい、こういう状況なのでございます。
#123
○服部信吾君 大臣は何とかやってまいりたいという御決意でしょうけれども、かなり自民党さんや経団連等の経済界との話し合いでとても難しいんじゃないかと、こういうような声が出ておりますし、それに対して大臣もちょっとおかしいというような反論をしていることが新聞に出ておりましたけれども、その中で、時間ありませんけれども、ちょっとお伺いしたいんですけれども、総理も労働大臣もゴールデンウイークの連休化問題に対して、当面行政指導を行い、ある一定の水準に達し、国民の合意形成がある段階まで達したときに初めて法制化するのが適当であると、九割ぐらいのコンセンサスと、このように総理も、大臣もおっしゃっておるわけですけれども、この九割という合意は何によって把握するのか、何かこういうことがあって、これで九割だと、そういう何かがあればちょっとお伺いしたいと思うんですけれども。
#124
○国務大臣(山口敏夫君) 私は当面行政指導を通じましてゴールデンウイークの連続休暇を採用する企業がある程度、今七〇%でございますが、もう一息これが広がりを見せますと、これはもう最大公約数と、こういう一つの合意と受けとめてよろしいと思うんですね。ただ、実態といたしましては、もう国会自体が、国民の代表として国権の最高機関たる国会の特に構成メンバーである与党、野党の幹事長、書記長が、この問題についてひとつ協議をして一つの成案について結論を出すと、こういう合意をいただいておるわけでございますから、私はそこで出された結論というのは国民的合意というふうに受けとめてよろしいと思うわけです。ですから、いろいろ考え方の意見もございますし、また反対という人はいないんですね、時期尚早であるかどうかという時間的な余裕をどう目標にするかという論議が非常にあると、こういうことでございまして、ですから、そういう点ででき得れば国会の合意――与野党が協議すると、この幹事長、書記長会談を受けて時短懇でも御協議いただいておるようでございますが、ぜひこの連休前に何らかの方向づけだけでもひとつ出していただければ大変ありがたいと。我々も今政府にこう引っ張り込まれていますというか、政府の立場でございますので、各政党の先生方にいろいろオルグするということをやりますと、またいろいろ国会との問題で関係がありますので、ぜひその辺を一歩進めていただけないものだろうかと、こういうことで逆は非常に期待をして待たしていただいておると、こういうことでございます。
#125
○服部信吾君 時間ありません、最後ですけれども、とにかく昨年就任のときにばあんと大臣もこの問題に対して打ち上げられたと、大変国民もこれはいいなというような期待が非常にあったわけですね。ところが、だんだんこうなってきますと何となく、大変言葉は悪いんですが、しりつぼみみたいになってきちゃって、何かリップサービスじゃないかというようなことまで言われる、そういうようなことでありますので、何とか大臣の任期中にこの問題については決着をつけてもらいたいと、こう思うんですよね。これ六十一年だか六十二年だかわからないとか、また大臣がかわっちゃったらもうこのままになっちゃうんじゃないかというような、国民も非常に期待しているだけに、また大臣が非常に活動的ですし、素早い行動ということで期待をしているところですので、どうかこの問題について思い切った取り組みをしていただきたいと、最後に大臣の御決意を聞いて終わりにしたいと思います。
#126
○国務大臣(山口敏夫君) 大変御理解をいただいて感謝を申し上げたいと思うわけでございますし、我々も議員立法ということになりますれば、先生方この各党と御一緒にぜひこの提案者として参加をさしていただきたいというふうに考えております。そこで例えばカレンダー業界なんかもことし仮に実施するとかいうことになりますと、二、三百億ぐらいの印刷の刷りかえとかなんとかいろいろ損害が出ると、こういう具体的な例もあるわけですね。で、印刷業界に代表されるように、余り来年のことでももう今決めないと、もう来年のこと自体もなかなか物理的に休みの一日をふやすということが我々が考える以上にやっぱり経済は生き物でございますから、非常に波及、リアクションも起こると、こういうことで、私はことしある程度与野党で合意して方向づけを決めて、来年以降休日をふやす問題については、それが労働休日になるのか、あるいは祝日法案のような形になるのか、いろいろな案はあると思いますけれども、これを進めていく方法を検討するということで、これは私が在任中に限らず、これはもう時代の必然として労働時間短縮と休暇の問題は内需振興とか消費拡大等、その他いろいろな波及的な効果というものが公平に評価されている状況でもございますので、ぜひ先生のそういう御指示に対しましても、我々労働省や労働大臣の立場からも、その実行方にひとつ執念を燃やして何とか実現をしたいと、かように考えております。
#127
○佐藤昭夫君 まず二硫化炭素、いわゆるCS2中毒の問題でありますが、このCS2中毒によって脳血管が侵され、全身の動脈硬化から精神障害まで行きつく恐るべき症状の問題についてはよく御存じのことと思いますが、まずこのCS2を使用する全国の工場数とおおよその労働者数どれくらいでしょうか。
#128
○政府委員(寺園成章君) 二硫化炭素を使用いたしましてレーヨンを製造している事業所の数は全国で十五、二硫化炭素取り扱い作業に従事する労働者の数は約二千二百人というふうに承知をいたしております。
#129
○佐藤昭夫君 そのうち労災認定をされておる人数、死者の数どれくらいでしょう。
#130
○政府委員(寺園成章君) 五十九年度末におきまして、二硫化炭素中毒による労災認定患者の数は全国で四十四名でございます。そのうちお亡くなりになった方は十五人でございます。
#131
○佐藤昭夫君 ところでCS2中毒防止のために濃度の規制を行うその基準は、ずばり言ってどういう状況になっていますか。
#132
○政府委員(寺園成章君) 労働者がCS2に暴露されることを減少させるという観点から、作業環境からの有害物の低減を図ることを目的といたします作業環境管理の徹底を進めているところでございます。その際、作業環境の評価に基づく作業環境管理要領におきまして、管理濃度を示しておるところでございます。
#133
○佐藤昭夫君 大臣も御記憶のことと思いますが、昨年の十二月十三日の当院の社会労働委員会で我が党の橋本議員がこの規制基準の早期明確化、これを取り上げまして、大臣としてもその問題も含めよく検討してまいりたい、こう約束をされているわけであります。以来約四カ月経過をしておりますが、この規制基準、規制方策、これについて十二月答弁以降新たにどのような検討を労働省として行っていますか。
#134
○国務大臣(山口敏夫君) 有害物質から労働者の健康を守る、これはもう当然のことでございまして、その最善を尽くさなきゃならない、取り組んでおるところでございます。しかし、特に作業環境管理がこうした問題は特に重要でございまして、管理濃度設定等行政指導に当たっておるところでございます。
#135
○佐藤昭夫君 非常に一般的な答弁にとどまっているんですけれども、去年の社会労働委員会で主として橋本議員から規制基準問題を大体中心にいろいろお尋ねをしておったと思うんですが、さっき言いましたように、その点も含めてよくこれから検討していきたいという大臣答弁がありまして、以来何か新しくやられたことありますか、労働省として。こういう手を打った、こういうことを決めたというようなことありますか。
#136
○説明員(福渡靖君) 有害物質の濃度規制につきましては、どういう形で規制をするかという基本的な問題を含めまして、専門家の意見を聞きながら我々も対処してきているところでございます。一般的に前回の、今御指摘がありました、社会労働委員会でも問題になりました許容濃度につきましては、これは個人暴露に関する指標として勧告されているものでございますけれども、個人暴露量の測定については技術的な問題が非常に多いということで、許容濃度規制の導入は困難であろうかというふうに考えております。
 しかしながら、今も大臣、局長から御答弁を申し上げましたけれども、労働者の暴露量を減少させるという観点からは作業環境中の有害物を少しでも減らす、こういうようなことで作業環境における管理濃度を示しておるわけでございますが、その後この管理濃度を中心にいたしまして作業環境をどのように評価し、これに基づいてどのような対応をとるべきかという専門家会議を設置をいたしまして、現在検討していただいているところでございます。
#137
○佐藤昭夫君 いろいろ言われていますけれども、去年の十二月答弁以降新たにこういうことの検討を始めた、こういうことを決めたという話はないわけですね。今管理濃度というこれを一つの目安にして、できるだけ高濃度にならないように各企業、工場でひとつ留意をしてください、こういう指導をやっているということですけれども、この管理濃度なる考え方というのは、昭和五十九年二月十三日通達、ここで打ち出してきているわけですね。去年の暮れの十二月にあの社労委員会での論議があったわけでしょう。こうした点でせっかくああいう方向での大臣のひとつ濃度規制という問題、濃度の規制基準をつくるというこの点も含めてよく検討していきたいと言いながら、その後しかく事が進んでないということについて、私はやっぱり極めて遺憾だというふうに言わざるを得ない。技術的に規制基準をつくるということについては困難があるんですと、困難があるんですということは別に今始まったことじゃない、ずっと今までもいろいろわかっていること。しかしそのことを重々知りつつ、しかし管理濃度という考え方もある、これは確かに多少アバウトな概念ではあるわけですけれども、しかしそんなようなものも土台にしつつ、ひとつさらにいろんな角度から新しい手法も使いながらできるだけ労働者の健康、安全を守るためにひとつ濃度規制をやっていくという方向で検討していこう、こういうことでやられるはずだったし、ひとつ今後は一層その方向で鋭意努力をしてもらいたいというふうに思うんでありますが、この点確認を求めたいと思います。
#138
○説明員(福渡靖君) 先ほどその後専門家会議を設置をしたというふうに申し上げましたが、本年の三月十六日に作業環境の評価に基づく行政的措置のあり方についての専門家会議を設置をいたしました。
 ここで検討していただく内容は、作業環境測定の結果がどういう意義を持っているのか、そしてそれをさらによい方向に持っていくための技術的な進め方というものをどのようにするかということが内容でございます。その中で管理濃度に基づきましてその作業環境がどういう管理区分に分類をされるかという内容を含めまして、適切な管理区分に作業環境を持っていくための技術的な方策についての示唆をいただく、提案をいただく、こういうことで現在検討をしておるわけでございます。
#139
○佐藤昭夫君 大分はっきりしてきました。ですから三月十六日そういう専門家会議も設置をして始めているということでありますから、ぜひ急いで、そして精力的にそういう労働者の安全、保護、このためのひとつそういう基準をつくる、こういう方向で一段の努力をやってもらいたいというふうに思うわけです。
 ところで、この二月に、ことしの二月に京都の宇治ユニチカ工場、ここでまた二人のCS2の労災申請が出ているわけでありますけれども、御存じのことと思いますが、
   〔委員長退席、理事目黒今朝次郎君着席〕
既にこれは熊本の興人八代を初め全国で二つの工場について既に労災認定もやられておるという現実の経過もあるということでありますし、この二人の申請者のうち特に一人はもう働けないということで会社を退職をして、目下失業療養中でありますから、生活も極めて困難ということでありますので、ぜひひとつ急いで審査をして、早期に結論を出すということでやっていただきたいというふうに思いますが、まずこの点どうでしょうか。
#140
○政府委員(寺園成章君) 二硫化炭素による疾病の業務上外の認定につきましては、既に認定基準を定めております。御指摘の請求事案につきましても、既応歴、作業従事歴等十分な調査を行い、あわせて主治医、専門医の意見を徴して総合的に業務との因果関係について判断をいたしたいというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、労災についての申請につきましては、適正に、かつ早期に判断をしていくという原則に立って処理をしてまいりたいというふうに思います。
#141
○佐藤昭夫君 そこで、今もありましたCS2の疾病認定基準、ここに定めていますようなCS2に起因すると考えられる腎障害、網膜症、またはCS2性の脳血管障害及び網膜症、こういうものが認められるときには労災の認定をする、これが認定基準だというふうに理解しておいていいわけですね。
#142
○政府委員(寺園成章君) そのとおりでございます。
#143
○佐藤昭夫君 ところで、今この二人の申請が出た。その原因というのはきのうきょうのことじゃない。相当の長年にわたって仕事に従事をしてきた、そういう経緯、経歴があるわけでありますけれども、一体宇治ユニチカ工場はCS2中毒防止のために万全の体制を今日までとってきたのかどうか、あるいは重大な不十分さがあったのか、まずその点労働省はどのような見方をしていますか、基本的に。
#144
○政府委員(寺園成章君) 二硫化炭素につきましては、有機溶剤中毒予防規則によって規制の対象になっております。すなわち、第一種有機溶剤といたしまして、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、または局所排気装置の設置、特殊健康診断の実施等、事業者に義務づけておるところでございます。ユニチカの宇治工場につきましても、このような観点に立ちまして従来から指導等の措置を行ってきているところでございます。
#145
○佐藤昭夫君 指導をされてきていると。で、実際にそういうことで万全の措置を工場側はとっていたんでしょうか、事業者側は。
#146
○政府委員(寺園成章君) ユニチカの宇治工場につきましては、継続的に監督、指導等を行ってきておりますが、最近では、昭和五十八年の八月に監督を行っております。二硫化炭素関係の設備等について法令に定める違反は指摘をされておりません。
#147
○佐藤昭夫君 最近検査に入って大変できがよかったからということが今のCS2中毒の余り証明になりませんね。やっぱりずっと長年にわたって、過去どうたったかという、ここが問題。
 ところで、このユニチカでは高濃度のCS2ガスが出ていたと、こういう公的機関の調査報告書がかってあったことを労働省は御存じでしょうか。
#148
○政府委員(寺園成章君) 五十三年度の京都府の白書におきまして、大気汚染防止法に基づく観点からの調査の報告があったということは、その白書の範囲内で承知をいたしております。
#149
○佐藤昭夫君 確かに五十三年度の京都府の環境白書、その中に、相当高い濃度のCS2が排出をされておるというのが今も言われていますように出てまいりますね。そもそもこの調査報告は、昭和五十二年度に、環境庁の委託ということで京都府の衛生公害研究所同じく衛生部公害対策室それから同じく京都府の宇治保健所それから宇治市生活環境部、この四者でユニチカのCS2排出濃度を測定をした、それの結果に基づく報告書が環境庁に昭和五十二年三月付で出ているという、こういう紛れもないものであります。それと、同じ調査の一員として加わっておった京都府が、環境白書で概略をその白書に記述をしておるということでありますけれども、その内容を見てまいりますと、例えば環境庁に対する報告書では、大型スクラバー六基、小型スクラバー五基のうち八基が、平均排出濃度一〇〇ppm以上。ですから、これは先ほどの管理濃度、目安としておる管理濃度、指導の、これは一〇ppmということで言っているわけですね。ですから、これをはるかに上回る排出濃度が、スクラバーの十一基のうち八基、そういう姿になっていると。京都府の環境白書の方でも、「紡糸機ドラフト排気スクラバーのCS2は約一〇〇ppm、中バス排気スクラバーでは二五〇〜四五〇ppm」だと、こういうふうに環境白書自体も、これはその一ページでありますけれども書いているわけであります。とにかく大変高濃度のCS2が出ているという調査結果が出ておったということは紛れもないと。
 一方、今回の労災認定の申請を出されておる御本人の自己意見書では、この種レーヨン工場よく御存じの方は御承知のところでありますけれども、とにかく上に排気装置がついているわけでありますけれども、それでがばっとこうシェードのようにかぶっているわけですけれども、いよいよ糸を紡ぐというときに、窓のようなものがあって、そこへ顔を突っ込む、それで手で操作する、こういうことから、その御本人の自己意見書にはこう書いておるんです。昭和四十九年、排ガス装置が作動するまでは窓や扉は締め切られ、ガスは充満状態であったと。紡糸機に顔を入れ、糸の切りかえをするので、CS2ガスをまともに吸い込み、せきやたんが出る、ガス目になった、と書いているわけであります。極めて危険な作業環境にあったということはこのことからも明瞭だというふうに労働省お考えにならないでしょうか。
#150
○政府委員(寺園成章君) 現在、その労災申請をお出しになっている二名の方についての業務上外の認定につきましては、先ほど申し上げましたように、諸種の資料に基づきまして適正に判断をいたしたいということでございます。
#151
○佐藤昭夫君 いや、申請を出したものはよく審査をしたいというのは、これはもう当たり前のことで、当然の審査機関の務めでありますけれども、とにかく私が、この公にされておる京都府環境白書ですね、その中に数値まで挙げて、二五〇から四五〇ppmというここまで書いておるんですから、大変な作業環境にあったということは紛れもないという、その角度からもう一遍過去を振り返って、どういう姿にあったのか、監督署の指導はどうであったのか、ここをよく振り返ってもらう必要があると思うんですよ。
 角度を変えてもう少し聞きましょう。このCS2の扱いについて、会社は労働者の注意を喚起する掲示板を出すことを義務づけられていますね。これは出ておったんでしょうか、本当に。――わからないならわからないと。
#152
○説明員(福渡靖君) 確かに規則でそのように事業者に義務づけておるわけでございますが、今までの私どもの方で行いました監督指導の範囲の中では、それに対する法違反というのは確認はされておりませんけれども、御承知のように監督の方は限界がありますので、実態については余りつまびらかに掌握はしていないというのが現状であろうかと思います。ただ企業の方にも説明は求めてはおりますが、その中でも法違反の事実はないというふうに承知をしております。
#153
○佐藤昭夫君 私はきょうの質問を準備するこの間、何人かの労働者の方からもいろいろお話を聞きました。今の掲示板の問題についていえばCS2の貯蔵場所と受け入れ場所、ここには確かにあると。しかし労働者が働く肝心の労働者のよく目の見えるようなこういうところには掲示板はないと、過去もないし今もないと、こういう話なんですよ。労働省が昭和五十九年六月二十九日、去年ですね、基準局長通達を出しまして、労働者に対する安全衛生教育をしっかりやりなさいということで、有機溶剤作業に従事をする者全員に対して、新規採用者から現に働いている者に順次及ぼしていくという、こういう形で一人四時間半以上の特別教育カリキュラムを組んでそういう教育をやりなさいという通達を出しているということでありますけれども、一体ユニチカはやっておるでしょうか。
#154
○説明員(福渡靖君) 昨年の六月にそういう形で通知を出したわけでございますが、これは法に基づく義務のある教育というものではなくて、それに準ずるような形で実施をするということで指導に当たっているわけでございます。昨年通知を出した後は今のところはその後の実態についてのフォローはしておりません。
#155
○佐藤昭夫君 通知は出したけれどもその後どうなっているか調べてもいませんと、言葉をかえればこういうことですけれども、これも聞きました。そういうCS2についての安全教育について過去もなかったし今もないと、こういうのが私どもの聞いた話なんです。大臣、いろいろお聞きいたたいたと思いますけれども、一つはさっきの答弁ですね、労災認定の申請が出ている、これについてはできるだけ早く審査をやって早く結論を出すという、このことを初めとするこういう被害者に対する救済問題、これをぜひ急いでいただきたいというこのことと、やっぱりこれを機会にいろいろ通達の出しっ放しということではなくて、本当に労働省の指導方向をきちっとそれぞれの企業に守らせるべく企業のいろんな不十分さ、誤りに対しては指摘すべき点は指摘すると、こういう方向で一段とひとつ大臣、督励をしていただいて、こういう方向での労働省としての対処を強めていただきたいというふうに思いますが、大臣の御見解どうでしょうか。
#156
○国務大臣(山口敏夫君) 御指摘の請求事案につきましては既往歴、作業従事歴等十分な調査を行いまして、あわせて主治医、専門医の意見を徴して総合的に業務との因果関係について適正な判断を行うことといたしたいと考えております。
#157
○佐藤昭夫君 それともう一つは、今言いました企業責任の問題ですね、こういういろいろと労働災害、職業病の原因となる、さっき幾つかの事例で私聞きましたように、随分ずさんな姿になっているわけです。とりわけ目安として指導しているはずよりもはるかに高濃度のCS2がどんどん出ておったという歴然たる調査結果も出ておる、こういうことでありますので、これを機会にやっぱり労働者の安全を守るべく企業にちゃんと責任を持つべき点は責任を持たせる、こういう指導をぜひ大臣が主導性を発揮して労働省としての取り組みを強めてもらいたいというふうに思うんですが、この点をもう一遍お聞きします。大臣。
#158
○国務大臣(山口敏夫君) 事業所における労働災害の防止また労働者の健康障害の防止につきましては、労働安全衛生法において、事業主に対して一定の予防措置を講ずる義務づけをしておるところでもございますし、一般論として申し上げるならば、労働安全衛生法に基づく措置義務違反が明らかとなった場合には事業者責任が問われる、こういうことにもなるわけでございまして、我々としてはこうした労働災害で労働者の健康が損なわれないように適切な指導に努める、これが労働省の責任であろう、かように考えております。
#159
○佐藤昭夫君 それではこの問題はきょうはこの程度にいたしまして、二つ目の問題、同じ労働者の労働環境、労働条件、これを保護をするという立場からの地下街労働者の問題、これを質問いたします。
 まず、今全国的にあります地下街の数、そこに働く労働者の数、現状はどういう姿ですか。
#160
○説明員(菊地好司君) 全国の地下街の総数は二百六となっております。その余の細かい数字は持ち合わせておりませんのでお答えしかぬるんですが、全数は二百六でございます。
#161
○佐藤昭夫君 私から改めて言うまでもないと思いますけれども、地下街に働いておるということは日光も当たらない、いろいろごみやほこりも多い、こういうことで一般の労働環境に比べてより劣悪な労働環境にあるということは言うまでもないと思うんですが、ところがこの地下街の数が幾つあるのかといえば、昭和五十五年の数字以降はつかんでない、労働者の数については答えることもできないという、ここにこういう地下街労働者の労働条件、労働環境、これを守るという点での注意が非常に不十分だということの証明が、私はこんなところにも出ておるんじゃないかというふうに思うんですよ。そこで、しかし労働省としては、形としてはやっぱり積極性を示さなければならぬと、こういうことなんでしょう。既に昭和四十七年、十三年前六月の二十日、地下街労働者対策要綱というものを出していますね。もちろんこれは法的強制力を持つものではないわけですけれども、労基法や労働安全衛生法、こういうすべての労働者に対する労働条件などの保護規定に若干地下街労働者は上乗せをして、こうこうこういうような方向で努力を願いたいという指導方向を出している。こうした点でこういう特に地下街労働者は一般の労働者以上に目を配っていく必要があるだろう、これが、四十七年六月二十日、地下街労働者対策要綱というものを打ち出した精神、趣旨だというふうに理解をしてよろしいでしょうね。
#162
○説明員(菊地好司君) 御指摘のとおり、地下街で働く労働者につきましては、通常の事業場と違った特殊の環境のもとにあるというところに特徴があるかと思います。そのようなことも踏まえまして昭和四十七年に、労働基準法、労働安全衛生法で規定しております法定労働条件のほかに、特別の配慮事項を総合的に書き込んだものでございます。
#163
○佐藤昭夫君 ところが、そういう趣旨で要綱が出されて既に十三年たっているんですけれども、果たしてそれが実際に末端の地下街、末端の地下街店舗において守られているかという問題であります。
 お尋ねしますけれども、労働省として、要綱で定めています地下街労働者の安全問題、衛生問題、労働条件問題、こういうことについて実態調査をやったことはありますか。
#164
○説明員(菊地好司君) 四十七年に要綱を作成して以来のことでございますが、昭和五十五年に全国一斉監督を実施しておりますが、その後も随時監督あるいは集団指導をしてございます。
#165
○佐藤昭夫君 昭和五十五年に一斉監督をしたと言うんだけれども、これは静岡でのあの地下街火事が起こってということで防火、防災体制をしっかりやらなきゃいかぬという、ここの目的で必要な調査をやったということで、私が聞いているようなそういう地下街労働者の安全、衛生問題、労働条件問題、こんなようなことで五十五年に調査したわけでもありませんし、その後フォローしていますと言うけれども、一体、全体として、例えば地下街労働者の健康診断がどういう姿になっているか、あるいは大掃除がどういうふうにやられているか、休憩、休日がどうなっているか、こんなようなことの実態調査をやったことがありますか。あるんだったらその調査報告を出してもらいたい。個々の監督署が時々ちょっと実情を聞いているという程度のことじゃないですか。労働省として、一斉調査をやったというふうなことはないでしょう。
#166
○説明員(菊地好司君) 各都道府県の基準局が中心になりまして、おっしゃるように局単位で監督指導を実施してございますが、御指摘のような一斉の把握ということはいたしておりません。
#167
○佐藤昭夫君 労働者の数もつかんでいないんですから、やっているはずがないというのは当然ですけれども、本当にこれで、上乗せ的にひとつよく目を配っていこうと要綱を出しながら、そういうことでは年間通しての労働省の労働行政が全うされているというふうにはとても言えないというふうに、大臣、私は思うんですよ。
 具体例でもう少し聞いていきましょう。私の選挙区であります京都の国鉄京都駅構内、ここに近年ポルタという名前の地下街ができましたけれども、その実情をいろいろと調べてみました。その中の若干例の一つでありますけれども、健康診断、この実施状況は、京都の監督署からの報告ではどういうことになっていますか。
#168
○説明員(菊地好司君) 御指摘の京都の件でございますが、京都ステーションセンターの労働者に対する健康診断を年一同実施する際に、各個別事業場に対しましても通知をいたしまして、その際に受診を行っているという状況にございます。
#169
○佐藤昭夫君 このポルタでのお店の数は百三十四、労働者の数は約千二百五十ですけれども、この店舗の数で健康診断をやっているのは幾つですか。労働者単位では幾つですか。
#170
○説明員(菊地好司君) 個別の事業場単位での実施状況は把握してございません。
#171
○佐藤昭夫君 つかめてないということでありますが、ここに労働組合がございまして、そこに私いろいろ聞きました。八四年度の実施実績では、年一回の健康診断をやっているというのが百三十四のお店のうち六十三、半分以下です。労働者で見ますと千二百五十人のうち三百七十五人、こういうことで、したがって、残り八百七十五人はどうなっているのかわからぬということなんです。ですから、これは、健康診断もやられていないというそういう労働者も相当数あり得るんじゃないかということですね。
 大掃除の実施状況はどうですか。
#172
○説明員(菊地好司君) 毎年一回清掃業者に委託をいたしまして大掃除を実施していると承知しております。
#173
○佐藤昭夫君 業者委託ということですけれども、それは全店一斉の統一的な大掃除ですか。
#174
○説明員(菊地好司君) いわゆる狭い意味での一斉ということではありませんが、同時期に同じ方法で各店の事情に応じて実施しているというふうに承知しております。
#175
○佐藤昭夫君 これも、労働組合の報告では一斉統一的な大掃除ではない。これは私から申し上げるまでもなく、一斉にやらなければ、こっちのお店で大掃除やっておったって、ネズミやゴキブリがこっちの店に逃げ込んだのでは大掃除の値打ちというのは全くないと。だから、一斉にやってこそ大掃除の値打ちが出てくる。しかし、それが一斉にやられていないというふうに労働組合からは聞きました。
 法定の休日、休憩は確実にとれているのでしょうか。要綱では確実にとれるようにしなさいと書いてあるんだけれども、とれているのでしょうか。
#176
○説明員(菊地好司君) 決定の休日は一過一日ということになっておりますが、御指摘の地下街につきましては休業日というのを定めておりまして、毎月第三木曜日、月一回休業をみんなでしておると。それから一月一日も同じでございます。それ以外の休日につきましては、事業場の事情に応じて法定どおりやっている事業場もありましょうし、あるいは労使協定で休日に労働しているというケースもあろうかと思います。
#177
○佐藤昭夫君 あろうかと思いますというのは想像でおっしゃっておるわけでありまして、これも労働組合の調査の結果ですけれども、定休日がない、週一回の休みがないというのが二一・一%、それから、法定の休憩というのが六十分、四十五分ですね、これが、休憩三十分未満というのが二三・七%、こういう実情になっているわけです。労働時間の問題もしかりでありまして、午後九時以降に退社をするというのが、男性の場合ですと四四・四%ということにもなっています。
 もう一つついでに聞きましょう。
 要綱では、各店舗ごとに就業規則を整備しなさいということになっていますが、どうですか、実情は。
#178
○説明員(菊地好司君) 御指摘の就業規則につきましては、基準法では常時十人以上使用する事業場に届け出、作成を義務づけております。商店街と申しますのは一般に十人未満が多うございまして、商店街の要綱で整備するように努力を課しているわけでございます。具体的に、届け出義務もない事業場が多数含まれているということもございまして正確には把握してございません。
#179
○佐藤昭夫君 基準法上の定めにもかかわらず、地下街労働者は上乗せが必要だからということで就業規則をできるだけ決めなさいと、こういうことで要綱で打ち出したわけでしょう。今の答弁では、そもそもの要綱を打ち出した根本趣旨に照らしてちょっと横っちょ向いた答弁になっておるじゃないですか。それで、実際はほとんどできてないんですよ、これも労働組合の調査では。
 大臣、お聞きをいただいたと思いますけれども、以上幾つかの具体的な項目で確認をしましたように、明らかに法違反とも言えるような疑いを持たざるを得ないようなこういう実態が、こういう地下街労働者、地下街の場合には出てるということで、最低年一回の健康診断さえ確実にやられてない。法定の休日、毎週最低一回の休日、あるいは八時間以上の労働には一時間の休憩、六時間以上の場合は四十五分の休憩というこの法定の休憩、これも守られてないと、等々ですね、明らかに法違反の疑いもあるそういう実態が放置をされている。せっかく労働省としてああいう要綱というものを出しながら、その後も実情もよくつかんでないし、要綱に沿っての系統的指導、これも労働省としてできてない。こういう姿になっていると思うんですね。
 確かめますけれども、ここのポルタは昭和五十五年の十一月に開設をしたんですが、それ以降各店舗に対して要綱の精神、要綱で示しておる各問題、これについて各店舗に対して集団指導をしたのは何回あるんですか。
#180
○説明員(菊地好司君) 御指摘のとおり、五十五年地下街が営業開始をしたわけでございますが、それに先立ちまして、三日間にわたりまして全店制事業主を集めまして集団指導を実施いたしました。その際に、今お話しになっております対策要綱につきましても、資料として配付いたしまして、説明指導を行ったところでございます。さらに、五十六年九月には、五十五年、前年度に実施した要綱の実施状況について調査を行ったところでございます。
#181
○佐藤昭夫君 地下街が始まったときに三日間の集中指導したというのは、それは当たり前のことであれですけれども、今あった五十六年度実施状況を調査をしたと。にもかかわらず、それならなぜこういう実態が出ているのかということで、本当に熱と力を込めたそういう指導というのはやってないんじゃないかというふうに私は思わざるを得ない。一体その原因は何か。結局監督官が少なくてできないということですか。
#182
○説明員(菊地好司君) 御案内のとおり、基準行政は全業種、全規模を対象にして限られた人員でやっておるということもあって、そういう要因もあろうかと思いますが、この要綱は事業主の自主的な努力を要請する、協議組織を設けて自主的に改善を図っていってもらうというような趣旨でできていること等もありまして、若干御指摘の点について十分にこたえ切れない結果になっているものと承知しております。
#183
○佐藤昭夫君 そんな責任を他に転嫁をするようなことを言ったらだめですよ。私もいわゆる行政改革の名のもとに人減らし、とりわけ労働省の監督官なんかが減ってきているということはよく承知もしてますし、共産党としてはむしろこういう分野については増員をすべきだということを、かねてより主張をしているところでありますけれども、どうですか、現在の監督官の人数で全国の経営商店、ここへどれくらいの率で立入調査、立入指導ができるのか。もしもすべての経営商店に対して最低年一回、そういう立入指導ができるためにはどの程度の増員が必要なんですか。
#184
○説明員(菊地好司君) 監督官の総数は約三千人でございます。単純ほ計算いたしますと、監督実施率年間五%、二十年に一回という勘定になりますが、行政におのずから重点を置きまして、問題の多いところにはもっと高い実施率で実施している状況にございます。
#185
○佐藤昭夫君 大臣、今も私が指摘をした問題ですけれども、十三年前から対策要綱を出しながら、それが守られていないと、しかも実態がつぶさにつかめてもいない、こういう状況のもとで、それは確かにたくさんの事業所があるでしょう。しかし、繰り返し言ってますように、地下街労働者というのは、労働環境という点から見て特別の目を向け、特別の保護をしていかなくちゃならぬ分野ですね。そして、大体ほとんどどこの地下街もそうだと思いますけれども、自治体が、京都駅ポルタで言えば京都市、こういうところが出資団体になって、一枚かんで運営をされておる、そういうところでありますから、そういった点で公共自治体が加わっているという点で、いわばいろんな労働諸法規についてはそれが厳正に守られるような一つの模範的姿になってしかるべき、こういうところであるのに、しかし法違反という疑いを持たざるを得ないようなそういうひどい実態にあると、こういうことでありますので、ぜひ大臣、この要綱を出して既に十三年でありますけれども、この要綱がもっときちんと守られるような強制力を持たせるようなそういう方策を検討するということが一つと、それからもう一つは労働省の指導を徹底をするために、今この時側監督官の増員問題についても大臣として特別の努力を傾注をしていただく必要があるだろうというふうに、二つのことを大臣にお尋ねをしたいと思いますけれども、どうでしょう。
#186
○国務大臣(山口敏夫君) 労働行政を推進する上において労働基準監督官を増員せよと、こういう我が省の行政の進展に対する御理解は感謝を申し上げるわけでございますが、行政改革を政府として推進しておる折でもございます。限られた与えられた員数の中で先生の御心配いただいているような問題も含めて最善を尽くすということが、私どもの一つの責任であろうというふうに考えます。
 また、十三年前から、昭和四十七年からこの地下街労働者対策要綱と、こういうことを策定をしたわけでございます。中身その他につきましては、これが地下街に働く労働者の危険防止措置、作業環境の改善、適切な健康管理その他必要な措置を総合的に講じさせるような一つの対策要綱になっております。要はしかし、その実施面においていろいろ御批判、御指摘いただいたようなこともあろうかとも存じますので、この要綱をひとつ有名無実にすることのないように、十分この要綱に即して今御指摘いただいたような問題も含めて、一層労働者の健康管理、福祉改善が進められるべく努めたい、かように考える次第でございます。
#187
○佐藤昭夫君 行革の折からなかなか監督官の増員は難しいということを前段述べられましたけれども、例えば大蔵省の関係でいくと、国税庁の職員なんかはふえておるわけでしょう。だから、そういうことも念頭に置いて一段の努力をお願いをしたい。
 終わります。
#188
○井上計君 労働条件の改善等々、先ほどから論議されておりますが、大臣や政府側は全く休憩なしですから、私の質問時間十分提供しますから、ひとつ皆さんにお休みいただくように……。
#189
○理事(目黒今朝次郎君) それでは速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#190
○理事(目黒今朝次郎君) 速記を起こしてください。
#191
○井上計君 大臣には後で伺います。
 まず私は技能検定制度についてお伺いをしたいと思いますが、いただいている資料からまいりますと、技能検定制度ができましてから古いものはもう二十数年たっております。現在の職種が百三十五職種、そうして百三十五職種の中で作業数が三百三十作業ですか、このように伺いました。それから百三十五職種で働いておる労働者、労働人口は約一千六十五万人である。これは五十五年の国勢調査ですね。そうしてその中で過去からずっと現在に至るまで、五十八年度に至るまで受検をした人の累計が二百六十三万人で約二五%、合格者の累計が百十二万で総労働人口の一一%ということでありますから、この技能検定制度が従来これによってかなり効果があったということについては私も評価をしております。ただしかし、私がいろいろと質問をし、また私の意見として申し上げたいのは、現在のようないわば高度技術社会、技術革新の時代に技能検定制度そのものよりも、あるいは技能検定制度に入っておる職種あるいはそのような作業の工程等々が現実に対応しない、あるいは必要がないとは言いませんけれども必要度がうんと薄らいでおるというふうなものがかなりあるんではなかろうか、こんなふうに実は感じる点が多々あります。そのようなことを前提として具体的にお伺いしますのは、各都道府県に技能検定協会があり、さらに中央に中央技能検定協会があるわけですが、中央技能検定協会へ労働省として出しておる補助金は、昨年度でも結構ですが、幾らになりますか。
#192
○政府委員(宮川知雄君) 現在中央職業能力開発協会への補助金は、六十年度予算で見てみまして国庫から八億九千二百万でございます。
#193
○井上計君 そこで、それらのいわば多額の補助金を労働省出しておるわけでありますけれども、実態がそれらの補助金がどういうふうに使われておって、本当に技能検定に役立っておるかどうかということになると、実は疑問に思う点があるんです。時間が余りありませんからもう一々細かい点をお尋ねをやめにして、私から調査資料等によって、あるいは私の感じておる点を申し上げます。
 一例を挙げますと、技能検定制度を実施するために各それぞれの団体が行っておるわけですね、いろいろ。ここに一つの、五十九年度、前年度の資料ですが、東京都印刷工業組合が行っておる数字から見ますと、試験手数料として本人から実技の試験手数料を一万一千円、それから学科の試験手数料を二千円、合計一万三千円を本人から納付さして、そうして組合が東京都技能検定協会へ七十六万一千円を納付をしているわけですね。そうしてこの東京都の技能検定協会から補助金としてこの東京都印刷工業組合に来ておる金が、実施費が三十七万七千円、委員手当が三十五万五千円、合計が七十三万二千円でありますから、納付した金額よりも二万九千円が少ないということなんですね。
 そこで、東京都印刷工業組合がこれを実施いたしますためには、もちろんこれでは足りませんからさらに本人から受検協力金という名目で、これは東京都印刷工業組合に加入している組合員の従業員、それからアウトサイダーの従業員とはやむを得ず区分していますけれども、アウトサイダーの従業員からは職種によって若干違いますけれども大体二万ないし二万八千円ぐらいの協力金をもらっておる。それでなおかつ東京都印刷工業組合が一年間、前期、後期を実施いたしますと約百五十万円ぐらいの支出をしておると、こういうことなんですね。この数字から見ると、技能検定というのは国がやるべきことではありますけれども、国が補助金を八億九十幾ら出しているとは言いながら、実際には業界の団体と受検者本人の負担でなされておるということなんですね。これについてはどうお考えですか。
#194
○政府委員(宮川知雄君) 技能検定につきましては、特に国家検定を委託しておるという性格からいたしまして、当然事業収入等とあわせまして国の補助金、これで検定が賄われるというのが理想でございます。ただ、現実には都道府県ごとに状況が随分違います。と申し上げますのは、受検者の偏在という問題もございますし、また検定場を借り上げる、あるいは国の、あるいは公の施設を使う。例えばいろいろな材料等も比較的古いものを使う、新しいものを使う、いろいろ千差万別でございまして、地域によってかなりの差がございます。しかも、この補助金というのがどうしても一定額に抑えられやすい傾向がございますので、実際にはそれより高い、今先生御指摘のような協力金というような名目で出ている事実もございますのは大変残念なことでございます。
 ただ、これが比較的妥当な額にとどまっております程度ならば、業界の意欲といいましょうか、意識の進行という意味でむしろプラス面もあろうかと思いますが、行き過ぎますと先生御指摘のように全体がゆがんでまいりますので、そうしたことのないように補助金の増額について十分検討するとともに、検定のやり方、例えば数府県にまたがって比較的受検生の少ないそれについてはまとめてやるとか、なるべく公設、公の施設を使うとか、十分工夫いたしまして、なるべく余計な経費のかからないように工夫をしながら、全体としてバランスのとれたものに持っていくように努力したいと考えます。
#195
○井上計君 おっしゃるとおりだと思うのです。
 そこで、私はそのようないわば業界団体、本人の負担が非常に多いから補助金をふやしなさいということを言うんではないんですね。むしろ私は補助金は減らす方向に行くべきだと。しかし同時に、それは現在のやり方では、現在の補助金でもそういう非常に高い負担である。したがって、やり方あるいは見直しをこの際根本的にすべきであろうということが一つ。
 もう一つ、見直しすべきであるというのは、先ほど申し上げましたけれども、技術革新がこのように進み、高度技術社会の中で言えば本当にもう職人的な、労働省が表彰を毎年されておりますが、卓越した技能の持ち主という表彰制度がありますが、実はそのような卓越した技能を持つ人を養成するための技能検定制度であってはもうこれはいけないと思うのです、今の時代に。だから、これからの時代にやはり対応するような、適応するような頭脳的な技術、そのようなものをもっともっと取り入れなくちゃいかぬわけでありますから、そこで私はそういうことをまず申し上げた。
 そこで、時間の関係もありますから具体的に申し上げますけれども、印刷を例にとりますと、これは労働大臣御存じかどうか知りませんが、現在でも印刷の技能検定の中には文選とか植字という科目があるんですね。今、実際に文選や植字の技能検定に合格してもそんなことではとても職場なんというものはもうますます狭められて、ないわけですね、技術革新の中で。だから、そういうふうなものをいつまでもやっておることが必要であるのかどうか。ところが、そういう科目がありますから、毎年、最近は二年に一回してますけれども、やはり公表する。そこで、受検者が一人でもあれば大変なまた組合は負担をしながら、そういうふうなものを実施をしなくちゃいけないということになっておるわけです。これは印刷だけではなくて百三十五の職種の中にかなりそのようなものがあるんではなかろうかと、このように考えていますが、それについてはどのようにお考えですか。
#196
○国務大臣(山口敏夫君) 井上先生御指摘いただいたような問題につきましては、著しい技術革新の進展、また経済サービス化の中で特に技能検定職種によってはその内容が職場の実態に必ずしも即応しておらない、こういうことでございますので、既存の職種の見直しとあわせて技能検定職種の整理統合等を中央職業訓練審議会において作業を進めておるところでございますが、一層そうした点について、御指摘いただいた点を十分留意して改善策を検討してまいりたいとかように考える次第でございます。
#197
○井上計君 ぜひその方向を早くひとつ進めていただきたいと思います。
 というのは、業界ではかなりもうこれは廃止してほしいというふうな希望があるんです。ところが、そういう希望しても何かいろんな段階があって、返ってくる答えはやはり必要だからということで返ってきておる。それは協会の中にあるんですね、例の専門家等々の委員会が。その専門家等が必ずしも業界というか現実の状態を御存じないという方。あるいは、そことまた労働省との間に十分なる意思の疎通がなされていないというふうなことから、もう廃止をしてほしいと思いながらなかなかそれが何年たっても廃止されない。それからまた、業界団体かこういうものを新しく入れてほしいという希望があってもなかなかそれを入れてもらうためには容易なことではない。同時にまた、学科試験一つにしても変えるためには、これはかなりの費用をかけてそのようなものをテキストをつくって、また審査を受けてそうして云々ということで、大変ないわば年月がかかっておるというふうなことが、随分とやはり苦情としてあります。
 私は印刷のことだけ申し上げていますけれども、聞きますと、仮に大工さん、大工さんも依然としてまだかんなで敷居やかもいを削るような検定科目残っていますね。確かにそれは必要ないとは言いませんけれども、ほとんど今大工さんの見習いでも全部電動かんな、電動のこでやってしまう時代に、依然として昔のように歯を合わしたかんなで削る検定科目が必要なのかどうかというふうなこともあると思うんです。だから、百三十五職種の中で、そういうふうなものをもっと見直せば、もっともっと整理できるんではなかろうか、そうして、新しいものをもっと入れることができるんではなかろうか、こういう感じを強く私持っていますので、至急にひとつそれをテンポを速めてそういう検討をしていただきたい。
 特に労働省としては、この協会に大体お任せになって、これは当然ですけれども、お任せになっているだけではなくて、積極的な協会とのそういう話し合いをひとつ進めていただきたい、これは要望しておきます。
 それから、そこでもう一つ協会に対する補助金が先ほど九億、六十年度は八億九千二百三十三万九千円という術助金が計上されておりますが、ところが、六十年度の協会の予算が管理費が七億五千万円ですね、そうしてそのうち人件費が六億一千九百万、要するに大部分が管理費であるということですね。協会そのものが約九億近い補助金もらっていますけれども、実際にはさっき申し上げたように事業費についてはほとんど加入団体の会費であるとかあるいは納付金であるとかというもので賄われておるわけですね。それでなおかつ納付金のほかにさっき申し上げましたように本人負担だとか団体の出費が相当あるということですから、この面もあわせて、今申し上げている職種あるいは検定科目の見直し等とあわせて、この協会のあり方についても私は十分お考えいただく時期に来ておると、こう考えておるんですが、これは大臣、どうでしょう。
#198
○政府委員(宮川知雄君) 今先生御指摘ございましたように、六十年度の中央職業能力開発協会に対しまする国庫の補助は八億九千二百万でございます。中央協会全体の総枠は十二億六千百万円でございますが、うち管理費が御指摘のように七億五千万円、うち人件費が六億一千万円、事業費が四億八千万円ということでございまして、いわゆる自前収入と言われます会費収入は三千九百万円、それから各種の事業に伴います自前収入が三億二千万円でございます。こうした限りでは確かに人件費に大変食われておりまして、こういう団体としても少しバランスを崩しているのではないかという御指摘は当然出てくることと思います。
 ただ、能力開発協会は、その仕事といたしまして技能検定の試験問題の作成、それから試験の実施要綱の作成、あるいは都道府県の職業能力開発協会が行います技能検定の実施の技術的の指導と、言いわけじみてまいりますが、いわばそれぞれ一つ一つが全部手づくりと申しましょうか、人手をかけて人がやることでございまして、どうしても人件費の割合が高くなってくることは否めないところでございます。
 ただ、職業訓練の振側あるいは職業能力開発全体の意欲の高揚、技能検定の実施のための、そうした意識の高揚ということを図るための協会といたしましては、白前収入を上げるということが、つまり業界に浸透する、技能尊重機運を高めるということと同じことでございます。
 したがいまして、国からの補助だけを当てにするのではなくて、自前収入をどんどん上げるように十分考えてもらいたい。その中で労働省といたしましても、見直しについていろいろ御指摘ございました。確かにもうおっしゃるとおりでございますが、確かに一つ一つを見てみますと、いやこれは基本的ないわゆる技能、スキルとしてまだ残すべきである、あるいは、いやもう全く要らないんだと、いろいろな意見がいわば百家争鳴的にございます。そうした面もございます。
 しかし、大臣からもお答え申し上げましたように、この技術革新の世の中で本当に意味のある、社会的に意味のある技能検定をやろうと思うならば、どんなに手間暇がかかりましても絶えずこの見直しを図る、絶えず清新なものにする必要があるというのは全くそのとおりでございまして、したがいまして、労働省といたしましては、技能検定そのものの委託しております協会の運営が自前――事業収入が伸びるような方向で盛んになるのとあわせて職種の見直し、あるいはその職種ごとの内容の技能検定の試験基準の見直し、これを積極的に進めるようにいたしたいと思っております。
#199
○井上計君 私、労働省が直接所管をしておったのが、昭和四十四年か四十五年であったかと思いますが、この中央技能検定協会ができて移管されましたね。そのときに中央技能検定協会の設立の何かの私メンバーになっていろいろとそのときに、当初設立についていろいろと論議したことがありますから、その記憶をたどってみると、実はその当時と現在と協会のいわば経理、補助金に対する依存度あるいは補助金の中に占める人件韓等等が余り改善されてないと、こんな気がするものですから、かなりもう、十五、六年たった段階でやはりこれだけ世の中変わっておるわけですから、それらのことについてもあわせてひとつお考えになる必要があるんではなかろうか、こういうことを、これを指摘をし、また要望しておきます。
 それからその次に、現在、先ほど資料いただいて申し上げたように、百二十万という合格者が出ております、一級、二級。ところが、それらの人たちが実際努力をして勉強して検定に合格しても、実は職場の中で合格をしたことについてのメリットといいますかね、そういうふうな報われ方というのが実はほとんどないんですね。
 そういう面についてもっと、技術を習得しそのような検定に合格したことによって自分が努力のかいがあったというふうに、労働者がそのように思えるような何かそういうふうなものを、私はさらに意欲を持たしていくためにも、さらにこれからのやはり難しい高度技術社会に対応していくためにもそういう制度が必要であらう、こう考えます。
 それとあわせて関連をしますけれども、現在の一級よりかもう一つ上のクラスの、やはりそのような国家の認定制度というものが必要な時期に来ておると思うんです。現在一級ではやはり十分ではない。そこで、各団体では独自の検定制度をつくって、さらに一級の上の制度をつくっている団体が幾つかありますね。これはまた労働省の所管とは違うかもしれませんけれども、商工会議所は販売士制度をつくっていますし、さらに今度通産省は、つい、今国会で審議をしましたが、情報処理技術者試験というふうな制度が生まれます。そういうふうな時代ですから、他の省庁との連絡あるいはそういう試験制度の整合ということを考えながら、現在の一級検定よりかさらにもう一つ上のものを考える必要があると思うんですが、それらについてはどうお考えですか。
#200
○政府委員(宮川知雄君) 百二十万の合格者がありながらどうもメリットが少ないじゃないか、ああ勉強してよかったと、そういう感じをもっと積極的に持たせるべきであるという御意見でございまして、まことにそのとおりだと思います。ただ、技能検定は、一生懸命勉強し、技術を身につけてもらいまして、その到達した段階を公証しようという制度でございまして、何と申しましょうか、就業制限的な、その資格がないとこれの仕事にはつけない、そういうような性格のものでないということは先生よく御存じのところでございまして、そうした意味のメリットはなかなかございませんが、昭和五十五年はなります、ちょっと古くなりますが、雇用管理調査というのを私どもの当時の統計調査部がいたしましたが、技能検定の合格者に対する優遇措置の有無ということで見てみますと、何らかの優遇措置を講じているものが一級技能検定の場合に八三%、二級で八二%、社内検定で六九%というような数字がございまして、一級技能検定で見てみますと、手当を一時的ではあるけれども支給するが四九%、それから社内表彰をするというのが一一・六%、社内資格制度で考慮するというのが一八・三%、人事考課上考慮するというのが三一・六%と何がしかの恩典といいましょうか、勉強に対するそれはあるわけでございます。ただそれと同時に、各省庁との関係というようなお話もございましたが、性格が違うということでなかなかすり合わせが難しい面もございますが、最近は、例えば建築関係でまいりますと、一級技能士の現場常駐制度が、官庁営繕工事の場合には五十六年度からこれが義務づけられる。そういうことで私どもはそうした面の養成に特に力を入れているところでございますし、また各種の就業制限的な資格につきましても、一部の試験免除あるいは受験資格の認定等その他が行われております。先生御指摘のように、縦割り行政の弊を国民に及ぼすことは許されないところでございますので、十分各省庁とも打ち合わせしながら、メリットというものがもう少しはっきりするように努めてまいりたいと思います。
 それから一級、二級だけでなくて、各省あるいは各業界の独自のそれを見ると、特級的なものも考えるところに来ているのではないかというお話でございます。確かに生涯にわたって勉強をする生涯学習社会をつくっていきたいという私どもの願いからしますと、最初の五年あるいは最初の十年でそこに到達して、あとはそれでおしまいということでは足りません。また、この技術革新の世の中で仕事の中身そのものが複雑化しております。したがって、全体を管理するあるいは技能としてもう一段高いもの、そうしたものを含めましてもう一ついわゆる多段階化と言っておりますが、そうしたものも考える時期に来ているように思います。そうした面も積極的に検討いたしまして、全体としてのメリットというものが決して就業制限ではないけれども、前向きにとらえられるようなそうしたものを考えていきたいと思っております。
#201
○井上計君 いろいろとお考えいただいていることはわかりました。ぜひそれらのテンポを速めていただく。私はお考えいただくことをよくわかるんですが、過去とやはりかなり周辺の変化のテンポが違ってきておるわけですから、テンポをひとつ速めていただくということを特に要望しておきます。
 そこで、今ハイレベルのものについても考えておるというお話がありましたが、やはり実態をいろいろ考えていくと、現在分かれておる職種、また例を印刷にとりますけれども、印刷の場合には製版と印刷と製本と三つありますが、製版の中にもいろいろありますね、印刷の中にも平版と凸版があるわけですが、そのようなものを全部習得した者でないと現在の企業の中でいわば管理職になれないんですね。だから、そういう総合したものの検定を業界でやって、印刷業界では生産管理士という独自の制度をつくっておるわけです。ところが、生産管理士は合格する人かなりいるんですが、それらの人たちはやはり国の何かお墨つきが欲しいという要望があるわけですね。だから、そういうふうな業界が独自に現在の技能検定制度の中でないようなもの、業界が独自に必要とする、そういうものを業界がつくったものについて、労働省が大臣名で何かのお墨つきを出すようなことは考えられませんか。
#202
○政府委員(宮川知雄君) テンポを速めて検討するようにというお話でございます。十分心してまいりたいと思います。
 それから、例を印刷業界におとりになりまして、総合したものあるいは生産管理士というようなもう一段高いものが必要になっているではないか、しかもそれを国として何かバックアップできないかというお話でございます。技能検定といいましても、国家全体、社会全体として認められるもの、共通にできるものとして今の技能検定制度があるわけでございますが、比較的それが局限されたものにつきましては技能評価審査制度とか、あるいは最近、社内検定制度を労働大臣が認定するというようなことも始めております。そうしたものになじむのか、それとは別に行うものなのかいろいろございましょうが、いずれにいたしましても広い意味での技能検定制度の一環として、労働省としてあるいは国としてこれをどういうふうに評価したらいいか、前向きに取り組んで検討してみたいと思っております。
#203
○井上計君 時間もありませんし、またいろいろと私自身もっと細部にわたって要望したい点もあります。また改めてよくひとつお話をしたい、またいろんな意見も申し上げたい、こう思います。
 そこで、あと残された若干の時間がありますので、大臣に、これは質問通告以外のことでありますが、先ほど来他の同僚議員との質疑をお聞きをしておりまして感じた点を申し上げて、ひとつ大臣にさらにお考えをいただきたいという要望を申し上げます。
 労働省のあり方というのは、労働者の福祉、労働者の労働条件の向上、改善等とのためにこれはもう当然行われる行政でありますけれども、しかし、労働行政とあるいは産業行政といいますか、やはり国のその他の行政との整合性を保つことは考えていただかなくちゃいかぬと思うんですね。
 先ほど来お話がありますけれども、末端の基準監督署等々が、有機溶剤についてもあるいは労基法等についてもよく調査をされます。ところが、必要以上に調査をされることによって、特に小零細企業は大変困っておるというふうな実例も実はあるわけですね。
 それからもう一つ、そういうふうな調査をやられる場合に、アウトサイダーはほとんど対象にならないんですね、全部インサイダーだけが対象になる。工業組合だとかいろんな協同組合等、確かに名簿が労働省掌握されておりませんから。だから中には、組合に入って共同行動をとっておるためにそういう煩わしいことが起きるんだ、組合に入らない方が得だという、現実にそういう声もあるわけですね。それらの点もやはりお考えをいただく必要があろう。私は何も緩めていただきたいという意味じゃなくて、そういうふうなことも考えて、やはり整合性ということも考えながら、ひとつぜひ今後の、労基法あるいはその他のいろんな法令違反等々が随分と後を絶ちませんが、そういう面についての監督、指導をお願いをいたしたい、こう思います。
 それから、やはり先ほど来質疑が行われておりますけれども、また大臣も明快な答弁をしておられますが、大型連休の法制化の問題であります。先ほど大臣の御答弁の中に印刷業界の例を引いていただきましたけれども、現実には大臣がおっしゃったように、六十一年のカレンダー既に現在もう製作に入っているわけですね。したがって、仮に今国会で決まったら、大臣がおっしゃっていただいたように、業界は約三百億円の損失になるわけです。全部刷り直ししなくちゃいけませんから、大変なことです。だから、そういうふうな法制化はやはり私は軽々しくやるべきじゃない。これはカレンダー、印刷だけの問題じゃありません。だから、多くの人たちは賛成だという同僚議員の御発言ありましたが、私が聞いている限りはやはり賛否両論であると。しかも賛成者の意見は非常に強いです。ところが、大型連休について慎重にやるべきだという意見は余り表に出ていないんですね。だから、時間短縮という中で連休に反対だと言うと反動的だとか言われはせぬかという、そういう心配があるので、余り口をさかないです、そういう人は。だから口を開く人はやれ、やれということばかりですが。だから慎重におやりいただきたい。
 同時に、長期連休というのが法制化されると、そこでやはり直接、間接的に関連する法律というのが随分あるわけですね。まあ銀行法にしても、現在の銀行法を変えていかなければ大型連休という法制化もやはり問題があると、こう思います。あるいは民法の中でも、取引条件等々についてやはり大型連休になると支障を来す面があるわけですね。それから下請法でも、今の状態で私はこのままいくと、大型連休が法制化されたら下請の中小企業は大変なやはりマイナスが起きる。というのは、親企業のしわが全部来るわけですから。これは既に週休二日の問題で実は来ている企業がたくさんあるわけですね。
 だから、そういうふうな点もあわせて考えながら、やはり今後の大型連休の問題についてはひとつ十分対処していただきたい。私はしかし時間短縮反対ではありません。やはり時間短縮はすべきである。確かに日本は欧米諸国と比べて年間労働時間非常に長いですから、やはり欧米並みの労働時間の短縮をすべきであるという、もう早くからそういう持論持っていますから、現在の時間短縮についてはもちろん賛成ですけれども、ただやり方としては慎重にやっていかなくては大変な弊害が起きると、こういうことを感じておりますので、その点を特に改めて大臣に要望をしておきます。
 質問を終わりますが、大臣、もし御答弁いただければお聞きをいたします。
#204
○国務大臣(山口敏夫君) 今、井上先生が中小企業、零細企業の立場も踏まえていろいろ御心配いただいたような点も私も十分承知をしておりますし、労働省の仕事は労働者の生活条件の改善と同時に、中小企業のやはり生き得る一つの企業的な側面というものも十分認識をするということが、最大の雇用市場である中小企業その他に対する立場というものも十分尊重していかなきゃならないというふうに思いますし、ただ、雇用条件というものはあくまでおくれている部分に合わせるんではなくて、進んでいる部分に合わせる努力を一層取り組んでいきませんと、国際的な社会からの問題もございます。また、国内的にもこれだけの日本の社会的な形勢の中でさらに一歩前進しませんと、国会でせっかく御論議いただいた趣旨も行政あるいは実社会の上に生かされないと、こういう点もございますので、まあひとつ、いろいろ調整が必要だとは思いますけれども、まあ大所高所という立場で、こういう我々が提案しておる時短の問題あるいは連休の拡大等についても、一層御啓発にも御理解、御協力をいただければ大変ありがたい、さように考える次第でございます。
#205
○下村泰君 四月十八日に織訓法というものの審議を社労委でいたしました。そのときに、二、三、時間の関係で質問できなかったことを、再度お尋ねしたいと思います。
 身体障害者の職業訓練については、もうこれは大変な特段の改善が図られるべきでありますけれども、殊に技術革新に対応した措置も必要となってまいります。公共職業訓練校におけるME機器の整備状況、これを拝見しますと、雇用促進事業団が九百九、それから身体障害者職業訓練校が五十七、都道府県が三百十となっております。これは五十八年四月現在。これはいまだにこのまま変わっておりませんですか。
#206
○政府委員(宮川知雄君) コンピューターそれからNC工作機械、その他といたしましてワードプロセッサーとかシークエンスコントローラーがございますが、身体障害者職業訓練校におきましては五十八年で五十七台でございまして、これが現在六十四台になっております。
#207
○下村泰君 私どもにいただきました資料には五十七となっておりますが、これは大変結構なことだと思います。ただ、ここに問題がございまして、幾らふえてもふえて困るということはないと思うんです。と申しますのは、無認可の共同作業所が全国で千カ所以上、これはもう始終社労の委員会にも持ち出している私のあれなんですけれども、私の調べでは、もう千百カ所以上になっております。毎年百カ所に近いぐらいの数で共同作業所というのはふえつつあるわけですね。そうしますと、ただ共同作業所というのは安易に数だけがふえているのではなくて、その地域地域で、もう御存じのごとく地域ぐるみの共同作業所という意味合いを持ちまして、これはもうこれから先まだふえるんじゃないかという気がするんです。そうしますと、現在の六十四台というこういった台数では、こういうところに対しても何かまだ満たされないものがあるんじゃないか、もっとふやしてもいいのではないかというふうに考えるんですけれども、いかがでしょうか。
#208
○政府委員(宮川知雄君) 身体障害者の職業訓練といいますものは、職業的自立を図ることが一番でございまして、そのためにこういう訓練というのはもちろん一番大事なものでございます。したがいまして、これはもう先生も御存じのところでございますが、身体障害者の職業訓練につきましては健常者とともに作業ができる、訓練を受けることができる人々につきましてはなるべく一般校に入ってもらう、そのための施設の整備に努めているところでございます。どうしても重篤化あるいは多様化した障害のために一般校にはなかなか入校しがたいと、この人々につきましては、全国十八校、間もなく十九校になりますが、この身体障害者の専門の職業訓練校に受け入れているわけでございまして、そこでも機器の整備に努めているところでございます。
 ただ、共同作業所というお話がございました。職業訓練につきましては、特に身体障害者の職業訓練につきましては内容が複雑多岐にわたるということで、なかなか公共職業訓練施設だけでは賄えない、あるいはそうした科目をつくってもむしろ民間のそれにやってもらった方がより効果的であるとか、特定の地域なのでそうしたものを経済的にもなかなかつくれない、むしろ民間を利用する方がいいというようなことで、いわゆる委託を身体障害者の場合には随分やっております。その場合に出てまいりますのが、いわゆる共同作業所でございますが、共同作業所につきましては適当な指導者、指導員がいるかどうか、あるいは身体障害者の特性に応じてさめ細かな指導をするための施設、設備、そうしたものが整っているかどうか、あるいは責任の所在がはっきりしているかどうか、全然問題がないわけではございませんが、中には大変何と言いましょうか、適切な施設もございますので、今後はこの共同作業所につきましても委託先として適切なものについては考えると、そういう形で身体障害者の職業訓練を幅広く展開したいと、そういうふうに考えております。
#209
○下村泰君 今の局長のお答えで、私があと質問しようと思ったのがなくなっちゃったんです。
 この後で私案として今局長がおっしゃったように、例えば就職先をまず決めてそしてそこの技術に合わせるような訓練をするとか、あるいは企業の方に委託訓練をしてもらうとかという方法を考えて、少しでも就職率を高めてはどうかという質問をしようと思ったんです。そしたらお答えが先に出てきちゃった。でも聞く前に答えが出るということは大変結構なことだと思いますよ、そういうふうにやってくださっているということは。それは大いにそのまま進めてください。そういうことと含みあわせて、事実もう加藤職業安定局長にはしばしばお尋ねしておるんですけれども、何しろ納付金などという制度があって、それでむしろ企業側の方がある程度逃げ腰になっているという現実があってなかなか雇用率は満たされない、これは目の前に起きている現象ですね。そういったことを含んで、今度の職訓法の改正も入れまして、六十年度ではどういうような改善がなされるのか、具体的にありましたらお答え願いたいと思います。
#210
○政府委員(加藤孝君) 身体障害者の雇用促進につきましては、雇用率の制度を設けております。雇用率の未達成企業につきましては、従来よりもさらに企業規模の小さなところまでその具体的な指導を強めて、雇用率未達成のところの指導を強化していくということを考えておりますが、さらに具体的には、もう一つの大きな問題といたしまして、就職はするが、一方離職率が高いという問題が特に私ども重視しなきゃならぬだろうと。一方においては就職促進、進めておりますが、結局ある企業ではまた離職していく、結果としては全体としての身障の就職状況が、雇用率が必ずしもはかばかしく進んでいないという状況にありますので、特に定着指導のところに重点を置きまして、定着指導のための推進チームというようなものを企業につくってもらいまして、そして身陣対策を単に役所の方から声をかける、いろいろ行政指導とかいうような形で声をかけるだけではなくて、企業自身の中において、そういう特に定着関係ほ重点を置いた推進チームを置いて、みずからの内部で取り組んでいただくというところを最も新しいものとして進めていきたい、こんなふうに新年度考えておるところでございます。
#211
○下村泰君 とにかくこういう方々というのは、もちろん対応の仕方が非常に難しい問題で、健常者と違いますので、それぞれ労働省の方でも苦心に苦心を重ねていることはよくわかります。御苦労ではあると思いますけれども、なお一層のひとつ努力をしていただきたいと思います。
 私がこの間取り残しましたのはこの二つでございます。他の問題はいずれ時間を改め、時期を改めてまた御質問をさせていただきます。大分お疲れのようですから、これで終わらせていただきます。
#212
○理事(目黒今朝次郎君) 他に御発言もないようですから、労働省の決算についての審査はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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