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1984/06/15 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 決算委員会 第10号
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1984/06/15 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 決算委員会 第10号

#1
第102回国会 決算委員会 第10号
昭和六十年六月十五日(土曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十三日
    辞任         補欠選任
     出口 廣光君     藤田 正明君
 六月十四日
    辞任         補欠選任
     杉元 恒雄君     吉村 真事君
     仲川 幸男君     宮島  滉君
     夏目 忠雄君     林 健太郎君
     原 文兵衛君     杉山 令肇君
     平井 卓志君     山本 富雄君
     藤田 正明君     出口 廣光君
     星  長治君     竹山  裕君
     安武 洋子君     橋本  敦君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐藤 三吾君
    理 事
                岩崎 純三君
                後藤 正夫君
                福田 宏一君
                松尾 官平君
               目黒今朝次郎君
                服部 信吾君
    委 員
                石井 道子君
                大浜 方栄君
                倉田 寛之君
                斎藤栄三郎君
                杉山 令肇君
                曽根田郁夫君
                竹山  裕君
                出口 廣光君
                林 健太郎君
                宮島  滉君
                矢野俊比古君
                山本 富雄君
                吉村 真事君
                梶原 敬義君
                菅野 久光君
                丸谷 金保君
                刈田 貞子君
                田代富士男君
                佐藤 昭夫君
                橋本  敦君
                井上  計君
                三治 重信君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       内閣総理大臣   中曽根康弘君
       法 務 大 臣  嶋崎  均君
       外 務 大 臣  安倍晋太郎君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
       文 部 大 臣  松永  光君
       厚 生 大 臣  増岡 博之君
       農林水産大臣   佐藤 守良君
       通商産業大臣   村田敬次郎君
       運 輸 大 臣  山下 徳夫君
       建 設 大 臣  木部 佳昭君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 藤波 孝生君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       金子 一平君
        ─────
       会計検査院長   鎌田 英夫君
        ─────
   政府委員
       内閣参事官
       兼内閣総理大臣
       官房会計課長   中嶋 計廣君
       内閣法制局長官  茂串  俊君
       内閣総理大臣官
       房管理室長    藤田 康夫君
       総理府賞勲局長  海老原義彦君
       日本国有鉄道再
       建監理委員会事
       務局次長     林  淳司君
       警察庁長官官房
       会計課長     立花 昌雄君
       皇室経済主管   勝山  亮君
       総務庁長官官房
       審議官      佐々木晴夫君
       総務庁長官官房
       会計課長     鈴木 昭雄君
       防衛庁経理局長  宍倉 宗夫君
       防衛施設庁総務
       部長       平   晃君
       防衛施設庁施設
       部長       宇都 信義君
       経済企画庁長官
       官房長      窪田  弘君
       経済企画庁長官
       官房会計課長   長瀬 要石君
       経済企画庁調整
       局長       赤羽 隆夫君
       経済企画庁国民
       生活局長     横溝 雅夫君
       経済企画庁調査
       局長       丸茂 明則君
       科学技術庁長官
       官房長      宇賀 道郎君
       環境庁長官官房
       会計課長     八木 規夫君
       沖縄開発庁総務
       局会計課長    大岩  武君
       国土庁長官官房
       長        永田 良雄君
       法務大臣官房会
       計課長      清水  湛君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  菊池 信男君
       法務省民事局長  枇杷田泰助君
       法務省刑事局長  筧  榮一君
       外務大臣官房長  北村  汎君
       外務大臣官房審
       議官       都甲 岳洋君
       外務大臣官房審
       議官       斉藤 邦彦君
       外務大臣官房会
       計課長      林  貞行君
       外務省北米局長  栗山 尚一君
       外務省欧亜局長  西山 健彦君
       外務省条約局長  小和田 恒君
       外務省情報調査
       局長       渡辺 幸治君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     北村 恭二君
       大蔵大臣官房審
       議官       大山 綱明君
       大蔵省主計局次
       長        的場 順三君
       大蔵省理財局次
       長        中田 一男君
       大蔵省銀行局長  吉田 正輝君
       大蔵省国際金融
       局長       行天 豊雄君
       国税庁徴収部長  緒賀 康宏君
       文部大臣官房長  西崎 清久君
       文部大臣官房会
       計課長      坂元 弘直君
       文部省初等中等
       教育局長     高石 邦男君
       厚生大臣官房審
       議官       高峯 一世君
       厚生大臣官房会
       計課長      末次  彬君
       厚生省保健医療
       局長       大池 眞澄君
       厚生省薬務局長  小林 功典君
       農林水産大臣官
       房経理課長    松下 一弘君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     関谷 俊作君
       水産庁長官    佐野 宏哉君
       通商産業大臣官
       房会計課長    植松  敏君
       通商産業省通商
       政策局次長    鈴木 直道君
       通商産業省立地
       公害局長     平河喜美男君
       通商産業省機械
       情報産業局長   木下 博生君
       運輸大臣官房会
       計課長      近藤 憲輔君
       運輸大臣官房国
       有鉄道再建総括
       審議官      棚橋  泰君
       運輸省運輸政策
       局長       山本  長君
       運輸省国際運
       輸・観光局長   仲田豊一郎君
       運輸省海上技術
       安全局長     神津 信男君
       海上保安庁長官  角田 達郎君
       郵政大臣官房経
       理部長      高橋 幸男君
       労働大臣官房会
       計課長      若林 之矩君
       建設大臣官房会
       計課長      望月 薫雄君
       建設省住宅局長  吉沢 奎介君
       自治大臣官房長  津田  正君
       自治大臣官房会
       計課長      大島  満君
       自治省行政局選
       挙部長      小笠原臣也君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局経理局長   川嵜 義徳君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小島 和夫君
   説明員
       外務省経済局外
       務参事官     赤尾 信敏君
       会計検査院事務
       総局次長     西川 和行君
       会計検査院事務
       総局第一局長   竹尾  勉君
       会計検査院事務
       総局第五局長   秋本 勝彦君
       日本国有鉄道総
       裁        仁杉  巖君
   参考人
       日本輸出入銀行
       総裁       大倉 真隆君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○昭和五十七年度一般会計歳入歳出決算、昭和五十七年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十七年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和五十七年度政府関係機関決算書(第百一回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和五十七年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百一回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和五十七年度国有財産無償貸付状況総計算書(第百一回国会内閣提出)(継続案件)
    ─────────────
#2
○委員長(佐藤三吾君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨六月十四日、杉元恒雄君、仲川幸男君、夏目忠雄君、原文兵衛君、平井卓志君、星長治君及び安武洋子君が委員を辞任され、その補欠として吉村真事君、宮島滉君、林健太郎君、杉山令肇君、山本富雄君、竹山裕君及び橋本敦君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(佐藤三吾君) 昭和五十七年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、前回に引き続き総括的質疑第二回、内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 総理に対する質疑時間等につきましては、理事会において協議し、各質疑者に御通知申し上げましたとおりでございます。
 それでは、これより質疑に入りますが、まず私が、各会派のお許しを得て、決算委員長として総理に若干の質疑をいたします。
 総理にお伺いします。
 まず、会計検査院の権限の拡充強化であります。
 ロッキード事件の反省から、その再発防止のため、国会は会計検査院の権限の拡充強化等を内容とする、いわゆる院法改正を行うよう政府に対し、これまで数回にわたって決議をしてまいりました。
 しかし、政府は、いわゆる肩越し検査に対しては、公権力の介入等を理由として、検査協力を内容とする通達をもって対処してまいりました。いわゆる翁通達及び藤森通達であります。
 しかし、このようなこそくな手段では根本的な解決にはなりません。
 そこで、まずお伺いしますが、総理は、院法改正について、「会計検査院とも御相談をして、とりあえず法律によらないで行政措置によってこれこれのことをやろう。いわゆる肩越し検査につきまして、これを認める方向で行政指導をさせることにいたしまして、その通達も指示もいたしました。会計検査院の方でも、当分これでまいりましょうと、そういうことで納得していただいたということでございます。」、こういう参議院予算委員会において述べておられますが、「当分これでまいりましょう」ということは、法改正の意思は、通達の効果いかんによっては、いまだあると考えてよろしいのでありますか。
 また、「会計検査院とも御相談をして」、「納得していただいた」という答弁をしておりますが、これは五月三十一日の参議院本会議での目黒議員の質問にも、通達について、「会計検査院にも了承していただいたところでございます。」、こう答えておりますが、会計検査院の納得及び了承というのは事実でありますか、お伺いを申し上げます。
 また、総理は、会計検査院は、これで院法改正の必要性はなくなったと判断したものとお考えでありますか。
 ところが、その後の会計検査院の院法改正に関する考えを見ますと、肩越し検査を完全に行うためには、やはり院法の改正が必要であると明確に述べております。総理は、このような検査院の答弁をお聞きになって、納得とか了承したと言えるのでありますか。
 総理としては、国会の決議を尊重し、会計検査院の希望も入れ、国民の前に英断をもって院法改正をすべきであると思いますが、明確な答弁をお願いします。
#4
○国務大臣(中曽根康弘君) 院法改正問題につきましては、国会からの御意見もあり、また各党からの諸般の御意見をしんしゃくいたしまして、政府関係機関におきましてさまざまな協議をしてきたところでございます。
 しかし、本院におきまして御答弁申し上げましたとおり、自由主義経済下におきまして公権力の介入というものを余り伸ばすことは適当でない、そういうような考え方もありまして、調整が極めて難航しておったわけでございます。このまま難航している状態では申しわけない、何とか手を早く打たなければならない、そういう考えに立ちまして、政府部内で協議もし、また会計検査院の意見も伺いまして、当面、当分これでいこうという線で先般来の通達という線が出てきたわけであります。
 会計検査院側の納得という、あるいは了承という考え方は当面の措置としてこれでいく、そして推移を見守るという意味における了承である、そういうふうに私たちも考えて、これを納得と申し上げましたのは、当分の措置として、後は推移を見守る、こういうことであると理解しております。
 院法の改正につきましては、当分は当面これでいくということでありますから、直ちに院法改正
に着手するという考えはありません。しかし、会計検査の仕事の重要性及び国政の実施状況に対する厳正、公正を期するというような意味からいたしましても、院法の改正というものは、長期的な過程の中における一つの課題として我々はあり得るものとそう考えております。
 法律あるいは政令というものは万全なものでもないし、時代の推移に応じてさまざまに再検討されるということは当然のことでありまして、会計検査院法についても当然同様であると考えておる次第でございます。特に、今のような問題が国会でも御提議されておるところでございますから、当面のいろいろな成果を見守りつつ将来の課題として考えたい、そう政府としては考えておるところでございます。
#5
○委員長(佐藤三吾君) 次に、会計検査院長に伺います。
 いわゆる肩越し検査を中心とした院法改正について、いわゆる翁通達に続く藤森通達について、「かなり前進していて評価できると、こういうふうに考えております。」、また、「個々の問題に当たっての対応を見きわめていきたいと、こういうのが現在会計検査院の立場でございます。」、こう述べており、一方では、院法改正の必要性を述べていますが、会計検査院としては、どちらが本音であるのか伺いたい。
 次に、会計検査院は翁通達に続く藤森通達に対して、「この通達によりまして従来検査ができなかった面がまず七〇%、八〇%までの効果がある、」と、予算委員会で述べていますが、これで院法改正が不要になったということではないと思いますが、念のためお伺いします。
 また、通達は法律と異なり当然にその効力に限界があり、仮に何らかの政治的理由その他の理由により、合理的理由なくして肩越し検査を拒否された場合を想定すれば、検査院としては何ともならないのではないでしょうか。
 もし、法改正により検査権限を与えられれば、当然、合理的理由なくして拒否することはなくなるわけで、院法改正の必要性は十分にあると考えますが、現在の会計検査院長の法改正に関する素直な気持ちを聞かしていただきたいと思います。
 最後に、今回の輸銀法及び開銀法の改正は、会計検査院に与える影響が大きいものと思われますが、この点について内閣と相談があったのかどうか。また、改正後の対策ないし対応についてお伺いしたいと思います。
#6
○会計検査院長(鎌田英夫君) お答え申し上げます。
 まず第一点といたしまして、院法改正が必要であるかないか、これは長年にわたりまして両院の御決議もありましたことでもありますし、また、会計検査院の検査は、本来こうあるべきである、こうするのが望ましいという立場は、これは以前と変わっておりませんで、院法改正は必要であるということで、昭和五十四年に改正要綱というものを内閣にお出しいたしまして、内閣並びに国会の高度の政治的御判断にお願いしたい、そういう立場で院法改正の必要性を説明申し上げてお願いしたと、この姿勢は今も変わっておりません。
 それから、今七〇%、八〇%という問題、これはこの前の参議院の予算委員会における御質問に対して私申し上げたことがあると承知いたしております。この七〇%、八〇%と申し上げますのは、やはりこの通達というもの、これは翁通達よりも前進したと評価される藤森通達においてもなお、相当前進はありますけれども、法律に基づく検査という見地からいたしますと、七〇%ないし八〇%、これも相当政府関係金融機関の協力があってそのぐらいの効果があるだろうということを、私、体験上あるいは実績上の見地から申し上げた数字でございます。
 それから、通達は通達で、これは限界があると、こういうお話でございますが、しかし、内閣総理大臣におかれましても、また大蔵大臣におかれましても、官房長官におかれましても、これは極力協力させるということをしばしば申されておることでございますので、これは相当協力をいただけるものと私どもは期待しているわけでございまして、拒否ということはあり得ないと、こういうふうに考えております。
 また、ですから、拒否されれば院法改正ということがあるのかと、改正をまたその時点における院法改正問題をどうするのかということでございますが、もちろんその期待と違いまして協力していただけなかったということがあれば、そのときはそのときでまた別の考え方をもって対処しなければならない、こういうふうに考えております。
 それから、輸銀法並びに開銀法、この改正案ができました。輸開銀の業務の範囲が広がったわけでございますが、これについて内閣と相談したのかということでございますが、一切そういうことはございません。この開銀、輸銀の改正法に伴っての業務の拡張、これに対応して検査院はどうあるべきかということは、やはりその実行の段階で各銀行がどういうふうな融資をなさるかということに対応して、そしてまた、問題があると考えた場合は、これに伴っての現段階での肩越し検査というものには乗り出さざるを得ないと、こういうふうに考える次第でございます。
 以上でございます。
#7
○委員長(佐藤三吾君) 次に、参議院における決算の審査充実についてお伺いいたします。
 総理も御承知のことと思いますが、参議院においては、木村議長から参議院改革に関する御提案が示され、「参議院の独自性発揮と審議充実のための議院の組織及び運営改善について」の中で「決算審査の充実」が挙げられております。
 今さら国会における決算審査の重要性については、言うまでもなく、その審査の充実強化が必要であるということは言をまちません。この決算の重要性、したがって、決算審査の充実についての参議院の取り組みについて、総理はどのように受けとめておられるのか、総理の所感をまずお伺いしたいと思います。
 次に、これまでの決算審査に対する政府の協力の仕方にも問題があるのではないかと思います。
 まず、総理を初め関係各大臣の決算委員会への出席の問題であります。
 決算審査が、予算に関する政府の施策の適否及び予算執行に関する会計経理の適否を審査する重要なものであることから考えれば、当然に関係各大臣は万障繰り合わせて出席すべきであると思います。
 しかしながら、昨年の第一回の総括質疑において、一部の閣僚が十分な事前の連絡がないまま欠席したため、決算審査に支障を及ぼしたこともありました。
 少なくとも総括質疑の際には、総理を初め関係各大臣はすべて委員会に出席され、予算審査と同様とまでいかなくても、これに遜色のない充実した審議をすべきであると思いますが、この点についての総理の所見をお伺いしたいと思います。
 さらに、決算審査充実のためには、資料要求に対する政府の積極的な対応が必要であります。
 当委員会における資料要求につきましても、その提出がおくれたり、提出された資料の内容が要求したものと異なっていたりすることなど、そのために審査が十分に行うことができないこともありました。
 また、質疑の過程で、政府は守秘義務を理由にしてしばしば答弁を拒否するなど、非協力と思われる点が目につきました。
 その他、昨年十一月八日の本委員会における郵政当局の補充答弁に見られるように、不誠実と見られる答弁もありました。
 以上、若干の事例を挙げましたが、決算審査の充実という立場から、これらの点についての総理の改善の決意及び方策をお伺いしておきたいと思います。
#8
○国務大臣(中曽根康弘君) 決算は、予算の遂行並びにその結果に関する審査をしていただく場でございまして、予算と並んで極めて重要な意義を持つものであり、そのように心得なければならないと考えております。
 国民の税金がどういうふうに使われたか、その
行方を見定める大事な仕事でございますから、国民に対する大きな責任もまた持っているものと考えております。政府もそれに対しましては審査に全面的に協力しなければならないと思います。
 そういう意味におきまして、できるだけ万障繰り合わせまして決算の審査につきましては出席もし、御答弁も申し上げ、充実した御答弁を申し上げるべきものと心得ております。
 資料の提出等につきましても、可能な限りの資料を提出すべきものであると、このように考えます。
 先般来、一部の閣僚等が欠席をいたしまして、大変御迷惑をおかけいたしまして遺憾でございました。今後は御期待に沿うように誠心誠意努力してまいりたいと思っております。
#9
○委員長(佐藤三吾君) 最後に、中曽根総理は、総理就任以前から行政改革には並々ならない執念を燃やしていると私どもは受け取っていたわけでありますし、御本人も行政管理庁長官当時、行革三昧と言われておりましたように、行革には極めて意欲的に取り組んできたと思います。
 そこで、今までの行政改革の進め方を見ておりますと、まず小さな政府を目指したわけでありますが、今まで省庁に関する改革はほとんど前進しておりません。出先機関の整理も中味は看板の塗りかえが多く、国土庁、北海道開発庁、沖縄開発庁の統合は全くの手つかずで、許認可権限の移譲も各省庁の抵抗が強く、ほとんど一歩も進んでいないのが実情であります。
 わずかに若干の特殊法人の整理統合が行われましたが、その結果として各省庁は、今度は各大臣の認可だけで設立できる認可法人を増加させてまいりました。
 また、この認可法人の増加に国民の目が向けられ、国会での論議が激しくなった最近では、今度は公益法人を増設する方にウエートが移ってまいりました。そういう経過があります。
 ところが、民法第三十四条に基づいて設立されている公益法人は、文化、学術振興、教育、福祉など幅広い分野で営利を目的としないで、社会のために役立つことを目的としているわけでありますが、現在約二万団体ある中で、まじめな活動をしておる公益法人もありますけれども、最近特に目立つのは、ろくに公益活動をしてないで、金もうけの収益事業に一生懸命で、収益のほとんどが人件費に食われて活動が休眠状態に陥っていたり、つい三日前にも、財団法人日本科学技術振興財団が約一億円の申告漏れが明るみに出ております。まことに公益の名に恥じる法人が少なくありません。
 特殊法人から認可法人そして公益法人という、国から補助金を受けて、しかもそれぞれが高級官僚に天下り先を提供しているというこの実態は、一体中曽根総理の目指している行政改革と言えるのでありますかどうか。
 まず、一番大きな各省庁の統廃合を行って、その上で認可法人、公益法人にもメスを入れていかなければ、本当の行政改革ではないと思いますが、この点についての総理の所信をお伺いしたいと思います。
#10
○国務大臣(中曽根康弘君) まず、行革の推進につきましては、内閣の最重要案件として誠心誠意努力しておるところでございます。中央省庁の問題につきましては、さきに総務庁を設置をいたしまして、旧行管庁と総理府を統合いたしました。それから、国家行政組織法の改正に伴いまして相当数の各省庁の再編を行いまして、時代に合うようにその運営方針を思い切って改革したところでございます。特に、運輸省がごときは全面的改革を行って時代に合うような体制変換を行ったわけであり、また、許認可につきましても思い切って今削減の努力もしておるところでございます。今後も努力してまいりたいと思います。
 いわゆる国土庁等の三庁の統合問題等につきましては、いろいろ注意すべき点もまたこれあり、三庁の連絡会議を持ちまして統合の実が上がるように一面においては努力をいたしておると、当分はこれで推移を見守ろうという考え方でございます。
 特殊法人につきましては、昭和五十年の時点から見ますと特殊法人は着実に減らしております。ただ、御指摘のように、認可法人、公益法人がふえつつあることは事実でありまして、特に最近は、公益法人あるいは認可法人等におきましては、地方公共団体の側から申請して、あるいは監督下にあるものがふえておるという、こういう状況が顕著であり、また、中央省庁の分も認可法人、公益法人もふえる傾向にございます。認可法人につきましては、スクラップ・アンド・ビルドでこれをこれ以上ふやさないようにという意味で中央では抑えておりますが、公益法人等につきましてはふえる傾向にございます。これらにつきましては、御趣旨に沿いまして、厳重に内容を審査いたしまして、所期の目的を達するに必要な最小限のものにとどめるように今後とも努力いたしたいと思っております。
 なお、休眠法人等については、どしどしこれを廃止する方向に監督してまいりたいと思っております。
#11
○委員長(佐藤三吾君) 以上で私の質疑は終わります。
 それでは質疑を続けていきます。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
#12
○目黒今朝次郎君 私は、総理の質問に入る前に、緊急なきょうあすの問題でありますから、冒頭厚生大臣にお伺いいたします。
 京都セラミック――通称京セラと言われておりますが、この問題については、衆議院で我が党の井上委員、参議院で和田委員からその違法性については鋭く問題提起をされておりますから、内容は省略いたします。この京セラに対する行政処分について営業停止を含めてきょうあすのうちに決定がなされるという情報を収集したわけでありますが、どのような処分を京セラに考えていらっしゃるのか、また、これをやみで使った大阪の南病院長並びに担当医師についてどういう処分を考えているのか。きょうあすの問題なので、まず冒頭、厚生大臣からこれに対する対応の答弁を求めます。
#13
○国務大臣(増岡博之君) 今回の京セラの薬事法違反につきましては、それが長期間であり、また、規模も大きゅうございますので、極めて重大なものと考えておるところでございます。
 ただ、処分につきましては、実は本日聴聞を行うことになっておりまして、それから後しばらくの時間が要ろうかと思いますけれども、ともかく厳正な処分をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
 また、国立病院の職員につきましては、未承認であることを知らなかったということでありますけれども、それにしましてもまことに遺憾なことでございますので、二度とないようにいたしたいと考えます。いろいろ指導も行ったところでございます。
 また、職員の責任をいろいろ詳細に調べた上で適当な処分をいたしたいというふうに考えておるわけでございますけれども、ただ、一番極端な場合は医師法上の処分というのがございますけれども、これは司法当局の判断があって、例えば罰金以上の刑とかそういうことがあった場合が対象になるわけでございまして、そこまではいかないものというふうに考えております。
#14
○目黒今朝次郎君 この最近の社会的犯罪のやはり一角を京セラが持っていると言っても過言ではありません。したがって、きょうは時間がありませんから、きょうは午前中聴聞会を開くということも我々も聞いております。十分に内容を調査し、国会の追及の点などについても明確にして、京セラについては営業停止を含む厳重な処分なり、あるいは南病院等については再びこういうことを起こさないように厳正な処置をまず要望して終わります。あとは結構です。
 次は総理にお伺いしますが、三光汽船の問題についてまずお伺いいたします。
 六月の十二日の石油審議会のデータをもらいましたが、このデータを見ますと、一九八八年の我
が国の原油需要量は二億五百五十四万キロリットル、八九年が二億二百七十万キロリットル、いわゆる横ばいか、あるいはどんどん下がっていく。こういうことが石油審議会で審議され、そういう見通しを発表いたしております。こういう点から見ると、世界の石油需要の傾向も同じ傾向をたどっていると言っても過言ではないと思います。
 そういう点から考えますと、タンカーの市場における過剰船舶、これも中期的には吸収する力がないと、こういうふうにタンカー市場が見られるわけでありますが、この認識について総理の率直な見解を簡単にまず冒頭お伺いいたします。
#15
○国務大臣(中曽根康弘君) 石油の需給関係の実績を調べてみますと、最盛時に比べまして大体四八%程度に輸送等は落ちてきております。それに対して船腹の処理というのが大体二五%程度でございますから、現在におきましては世界的にタンカー等は船腹過剰の状況にございます。世界景気の動向を見ますというと、割合に省資源、省エネルギー等が徹底してまいりまして、この船腹過剰状況というものはまだしばらく続くものと考えざるを得ないと思います。
#16
○目黒今朝次郎君 そうした中で三光汽船は累積赤字千六百八十二億、この巨大な赤字について三光汽船のメーンバンクである大和銀行、日本長期信用銀行、東海銀行、この三社が新再建計画のために必要な融資七百四十二億、このうち三社で約二百三十五億融資に応ずる。そういう現在の情勢でありますが、この情勢は変わりありませんか、銀行局長の答弁を求めます。
#17
○政府委員(吉田正輝君) お尋ねの三光汽船につきましては大和銀行など主力銀行から昨年夏策定いたしました再建計画に対する追加対策の要請を三光汽船が受けまして、現在その検討を行っている段階にございまして、その全貌はまだまとまっていないと聞いております。したがいまして、現段階では当該追加対策の一部に必要な資金について銀行が融資に応じたというような事実はないと聞いておるわけでございます。
#18
○目黒今朝次郎君 まだ実行はしておりませんが、そういう話が進んでいるということでありますから、これは後ほど確認してください。
 そして、政府は、この三つの銀行が融資する以外のお金、これは政府が具体的な救済策を考えると、そういうことがマスコミで報じられておるわけでありますが、三つのメイン銀行のほかの政府の救済策とは一体具体的に何なのか、運輸大臣に簡単に御答弁願います。
#19
○国務大臣(山下徳夫君) 私の現在承知いたしておりますところでは、その他のバンク等から借り入れをするというような計画はあるということは聞いておりません。また、三光汽船独自に対して政府が今何をやるかということについては、現在政府といたしましても、ただ構造不況対策とか全般的な問題につきましては考えておりますけれども、何ら考えておりません。
#20
○目黒今朝次郎君 やってない、考えてない、しかしマスコミにはじゃんじゃん出ておっても政府は知らない、存じない。
 じゃ、これも大蔵大臣知らないですかな。大蔵大臣にお伺いしますが、この三つの銀行がいろいろ、今銀行局長が言ったとおり融資について要請を受ける、あるいは足りないところは政府からお願いするというところで水面下の行動をやっておるわけでありますが、仮に三つの銀行から先ほど申し上げた七百四十二億、この融資が要請される、銀行側は今のところは二百三十五億だと、こういうふうな水面下の折衝が行われておるわけでありますが、大蔵大臣として、銀行の社会的使命を逸脱してまでも三光汽船に融資をさせると、そういう考えはよもやなかろうと思うのでありますが、三光汽船に対する融資があったときの三つの銀行がこれに応ずる限界はどの辺に考えておられるのか、ひとつ政治的な問題でありますが、大蔵大臣の見解をまずお伺いいたします。
#21
○国務大臣(竹下登君) 具体的案件でございますので、おのずからお答えに限界があろうかと思っておりますが、まず一般論として申し上げますならば、企業が真剣な経営努力を行いながら金融機関に支援を求めてきました場合には、中長期的にその企業を再建し得るというめどがあると判断されれば、金融機関としても預金者保護等に配慮しながら可能な限りの支援を行うものというのが一般論として考えられます。しかし、個別企業に対して金融機関が支援を行うか否かと、こういう判断というものはあくまでも個々の金融機関にゆだねられておるべきものであります。金融機関は広く国民の預金を預かる立場にあるという自覚の上に立って、預金者保護の観点から、金融支援におのずから限度のあることは、これは当然のことであろうと思います。三光汽船に対する融資につきましても、以上のような基本的な考え方に基づいて対応することが必要であると、一般論の限界を出ないことになりますが、これで答弁とさしていただきます。
#22
○目黒今朝次郎君 今の一般論、また三光汽船についても例外ではないということについて確認をしておきます。
 続いて、総理にお伺いするんですが、最近六大新聞などをずっと、あるいは朝日ジャーナル、エコノミストなどを見ますと、いろんな表現を使っておるんですが、参考に紹介しますと、政府による支援はおかしい、運輸大臣はまだ考えてないと言いますが、筋が通らない、この会社だけが存続すること自体が不思議な物語だと、なぜ三光汽船だけが生き延びるのか理解できない、当然つぶれても仕方がない会社ではないのかなどなど、六大新聞や経済雑誌の見出しをとりますと、ここに持ってきませんが、そういう見出しが出ておるわけでありますが、そして、中曽根政権と銀行団の足元を見て支援を迫る、すっかり居直った三光汽船、こういう非常に生臭い見出しでマスコミが報じ、雑誌が取り上げておるわけでありますが、こういう生臭い問題について総理としてはどういう認識をお持ちか、総理の認識をまず今のことを含めてお伺いいたします。
#23
○国務大臣(中曽根康弘君) 別に中曽根政権が足元を見られるようなことはないと思っております。政治絡みはこういう問題はいけないと、行政の筋を通すということが大事で、厳正公平にこれを行うと、国民の皆さんが納得するような処理を行うということは当然のことであり、運輸大臣はその線に沿って努力しておられると考え、運輸大臣を全面的に信頼しております。
#24
○目黒今朝次郎君 ここにエコノミストがあります。これについては、総理に十分勉強をしてもらうために、私は二日前のレクチャーの際に全部これをお渡しして、総理に読んでもらうということでお渡ししてますが、多分忙しい総理でも寸暇を割いて読んでもらったと、こういう認識の上に質問いたします。
 五月七日のエコノミストの座談会の中で、こういうことがあります。中曽根さんの筋が、もう随分前から河本派取り込みのために三光支援の腹を決めたというのが政界の専らの情報だと、こういうことがあります。また、政治の介入はもはや公然たる秘密だと、こういうことも述べておるわけでありますが、今総理の答弁とこの座談会の中身とは天と地の差がありますが、総理は、もう一度しつこいようですがお聞きしますが、この座談会に出ているような政治の生臭い関係、河本派の関係などなどはよもやないと思うんでありますが、改めてこれらに対する総理の見解を聞きます。
#25
○国務大臣(中曽根康弘君) 別に取り込む必要なんかは毛頭ないのでありまして、今お話を聞いて、噴飯物の記事であると、そう思った次第であります。先ほど来申し上げておりますように、この問題については政治は一切絡んではおりません。運輸大臣は行政の筋を通して、そして何人も納得するような措置をとっておるものと確信しております。
#26
○目黒今朝次郎君 あなたの一番女房役である金丸自民党幹事長は、この問題は金丸幹事長が音頭を取って三光汽船をつぶさないことにしたと、こういうように断言しているわけでありますが、自民党総裁と幹事長というのは夫婦の仲であります
から、天下の幹事長がこういうふうに言い切る以上は、あなたがどんなに政治はかんでないと言っても、陰ではたっぷりとかんでいるんではないかと、こういう認識を持つのが私を初め国民全般の私は認識じゃないかと思うんですが、重ねて言いますが、これ金丸幹事長の発言はうそですか。
#27
○国務大臣(中曽根康弘君) 金丸幹事長も私と同じ考えでやっております。
#28
○目黒今朝次郎君 そうすると、金丸幹事長の談話はうそだということを確認いたします。
 それからもう一つ、やはり三光汽船会長の岡庭博会長さんがこう言っています。中曽根首相は河本氏の手腕に期待しているし、徹底的に河本氏を追い込むのは、党勢を弱めると、そういうことを言っておるわけでありますが、結局は自民党の思惑と中曽根政権の思惑がもうにじむように、会長みずからがインタビューで発言しているわけでありますが、これでも関係はございませんか。会長の発言はうそっぱちですか。確認します。
#29
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、河本さんの政治家としての能力には非常に期待もしておりますし、実績もおありになるし、御見識も十分おありになる、そういう意味においては河本さんの腕前は大いに期待もしておるところであります。しかし、それが会社の問題と絡んでどうこうとか、あるいは自民党内部の派閥の問題だとか、そういう政治との関係というものは、いや、企業との関係、事業との関係というようなものは一切ございません。これは公の関係における公の我々がちゃんと節目を通した関係で物事は処理されておるのでございます。
#30
○目黒今朝次郎君 銀行局長にお伺いしますが、レクチャーの際に、日本輸出入銀行ほか政府金融機関が三光汽船に融資をした残高その他はどうかと、このように聞きましたところ、きのうおたくの方から、融資をしたのは日本輸出入銀行だけだと。それで総額が一億九千万ドル、今まで回収したのは、一億ドル弱を回収したと、今現在で九千万ドル強回収ができない、これを二百五十円のレートで直すと約二百三十億まだ回収できない。この数字にイエスかノーで言ってください、間違いありませんか。
#31
○政府委員(吉田正輝君) そのとおりでございます。
#32
○目黒今朝次郎君 じゃ輸出入銀行総裁にお伺いしますが、おたくの方では昨年の八月二十一日、六十二年三月末までに返済期限の来る約六千万ドル、二百五十円に直して約百五十億、この元金返還を棚上げしたはずでありますが、棚上げした根拠は何ですか。
#33
○参考人(大倉真隆君) 私どもの融資金額と現在の残高は先ほど銀行局長がお答えしたとおりでございまして、その残高の中で、三光汽船及び三光汽船に融資をいたしております銀行団から私どもに協力要請がございましたことは、再建期間でございます六十二年の三月三十一日まで、当時から約三年間でございますが、その間に返済期限の来る元本の返済期間を一括して再建期間終了時に条件変更してほしいということでございます。ですから、これは棚上げという表現を使えばその期間棚上げと、こういうことに相なります。金額は六千万ドル弱でございます。
#34
○目黒今朝次郎君 これはいわゆる三光汽船が相当経営が苦しくなっていると、我々の情報では実質的に会社が倒産状態にあると。したがって、今、前段で申し上げた三つの銀行から融資を受けて、再建の見通しができるまで待ってほしいと。そういうことで、いわゆる三光汽船はこのままほうっておくと新再建計画が、十分に金が集まらないと三光汽船は倒産をしてしまうと、そういう危険な状態を救うために何とか輸銀さんお願いしますと、こういうことでのやりとりの結果じゃないんですか。まあ余り前の総理大臣以下がきれいごと言っているからといって、あなたまできれいごと言う必要ないんですよ、国民の税金を扱っているんですから。そういう危険を冒しながらもこの際三光汽船の顔を立てようということで六千万ドル、百五十億を棚上げしたんじゃありませんか。これが真相じゃありませんか。どうせ時間とともにわかることですから、真相は真相で言っておった方があなたのためにもなりますよ、どうですか。
#35
○参考人(大倉真隆君) 先ほど申し上げましたように、私どもの方に協力の依頼がございましたのは昨年の、私の記憶では四月ごろから始まっておったと思います。当時から融資銀行団と会社とがいろいろ相談をいたしまして、いわゆる再建計画というものを策定いたしました。その再建計画の期限が、先ほど私申し上げました六十一年度いっぱい、六十二年三月三十一日と。その再建計画を達成いたします前提として、民間の銀行団がどういうことをやるのかと、あるいは融資しておる民間銀行は全部足並みをそろってやるのかと、そういうことになればその上で私どもとして、政府機関として何か、どこまで協力できるかを考えましょうと、そういうことを申しておった。時間がございませんので簡単に申し上げますと、先方からいろいろと説明を受けまして、主力と言われております三銀行は、この期間、元本はもちろん利息も全部免除いたしますと、それから三銀行以外の金融機関も長期の貸し付けについては、自分たちの本来もらうべき利息を一部減免いたしますと、そうやってこの再建計画が何とか達成できるように協力したいと思いますと。ついては輸出入銀行も、利息の減免はお願いいたしませんけれども、資金繰りを助けるために元本の返済期限を猶予していただけないかと、こういう依頼を受けました。私どもがその上で私どもの金融判断として全金融機関の支援態勢を側面支援するために、私どもの貸し付けのうち、期限がこの期間に参ります部分を一括して再建期間終了に期限を変更するという措置をとったわけでございます。
#36
○目黒今朝次郎君 会計検査院に要求します。私のとっている情報では極めて危険な段階にあると。もう時間がありませんから細かいこと言いません。そういう段階で、今、輸出入銀行がやるような倒産の可能性、非常に危険な渡り鳥をするいわゆる融資、これが国民の税金から出ているというようになった場合に、先ほど委員長の質問の院法改正に絡む藤森書簡じゃありませんが、この問題について会計検査院から、本当に今、輸銀の総裁が言ったような可能性について、安心して国民の税金が使えるものであったかどうかということについて会計検査院に検査を要請しますが、いかがですか。
#37
○説明員(秋本勝彦君) お答えいたします。
 会計検査院といたしましては、三光汽船に対する融資につきまして日本輸出入銀行本店の検査の際に、貸し付けの稟議書とか、あるいは条件変更に関する稟議書等、関係書類を調査してきております。それで、ただいま輸銀総裁の方から御答弁のあった事情も私ども承知しているところでございます。
 それで、今後とも、先生の御指摘の趣旨も踏まえまして、今後とも引き続き慎重にこの貸し付け状況については検査をしていくと、そういうつもりでおります。
#38
○目黒今朝次郎君 藤森書簡の第一回のテストですから、十分にその成果を要請しておきます。同時に、この問題、中曽根総理も、いろんなマスコミが言っていることは全部勝手なことだと、おれは潔白であり、政治は正常であると。運輸大臣も、政府の救済は一切考えていない。銀行局長は、三つの銀行の話として出ておるけれども、そこまでは確認してないと。皆、知らぬ、存ぜぬと。マスコミだけがひとり歩きしている、こう言わんばかりの一連の答弁であります。したがって、きょうは総画でありますから、総理がそういう見解を持っておるということだけははっきりわかりましたから、その見解が裏目に出ないように、今後の海運行政あるいは石油に関する問題などについて要請を、要望をしておきます。細かい三光汽船にまつわる問題等については、運輸委員会もあることでありますし、あるいは七月半ばになれば次の五十八年度の決算の総括質問もあるわけでありますから、三光汽船問題は、三光汽船よ
どこへ行くということを十分見きわめながら、おのおのの委員会で、今、総理以下閣僚の発言がうそでなかったということを期待しながら、やぶ蛇を出さないように、要望だけして、とりあえずこの問題は終わります。
 次に、運輸に関係するやつで漁船の違法改造の問題についてお伺いいたします。
 この問題は、日ソのサケ・マス漁業の交渉がありましたから、私はずっと遠慮しておりました。漁民の方にもいろんな……。しかし、サケ・マス問題も一定の決着がついて出ておるわけでありますから、ここで改めて関係大臣にお伺いいたします。
 私は、この問題は五十九年五月二十八日の運輸委員会、五十九年十月十九日の当決算委員会においてこの問題をやりました。また、衆議院では、農林水産委員会で六十年の四月の十八日、私の生まれ故郷の公明党の武田衆議院議員がやはり取り上げて追及しておりますから、政府には十分におわかりのことだと思いますが、復習の意味も含めて過輸省にお伺いいたします。
 このサケ・マス漁船の違法改造については、私の国会の調査要求に対して調査したところ、全国七十九隻のうち六十八隻、約八六%、私の生まれ故郷の東北管区のやつは、東北海運局では総体で五十八隻の船に対して違反が五十二隻、九〇%、もうほとんどの漁船が適法改造であったと、この事実は、間違いあるなしで結構ですから、間違いありませんか。おたくの方からもらっている資料もあるけれども、これはいいですね。
#39
○政府委員(神津信男君) 先生の御指摘のとおりでございます。
#40
○目黒今朝次郎君 ところが、水産庁は五月の二十四日、六十水海第千二百三十九号で業界に要望書を出している。それから、同じく六十水海第千五百三十八号で、五月の二十四日、水産庁次長から今答弁された海上技術安全局長に文書が出ている。
 この文書を見ますと、水産庁にお伺いしますが、原状回復させることを原則とします――原則としますという言葉を使っている。それから、上甲板の増高等の改造を行った船舶については、原則としてサケ・マス出漁前に改善計画書を出させますと。私も国鉄の乗務員の一人として、安全の問題には原則なんという言葉はない、私は腐った国鉄をやりながらも、私は国鉄の乗務員として、やっぱり安全には例外はないというのが我々ハンドルを持っておるもののなにですが、水産庁は、何で原則という言葉を使っているんですか。この原則という水産庁の物の考え方は一体どういうことか簡単に御説明願いたい。
#41
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 水産庁次長発、海上技術安全局長あての文書は先生のお手元にもお届けをしてございますので、それをごらんいただけば御理解をいただけるかと存じますが、元来は出漁前にこのような手当てはすべて済ましておくべきものなのでありますが、出漁時期を間近に控えた特殊事情……
#42
○目黒今朝次郎君 そんなこと聞いているんじゃないの。この原則だ、原則。文書を持っているからそんなこと要らない。原則の意味だよ、意味。
#43
○政府委員(佐野宏哉君) これは、ここに書いてございますのは、例えば第二項につきましては出漁前に改善計画を提出し得ない者もあり得るという意味で「原則として」というふうに留保をつけてあるわけでございます。
#44
○目黒今朝次郎君 そうすると危険な漁船がサケ・マス漁に出てもやむを得ない、六十八隻のうち二そうでも三そうでも、いわゆる第七十一日東丸のような事故が起きてもそれはやむを得ないということで、事故がなければ幸い、事故があってもしようがない、それが原則だ、こういうふうに水産庁は考えていらっしゃる、そういうふうに考えますと、後でくる上甲板云々の原則もなるほどな、水産庁はそういうふうに考えているのかなということで、これは答弁要りません。少なくともこういう安全に関する問題について原則なんという言葉を使ってごまかすことについては、絶対にやめてもらいたいということを要求しておきます。
 それからもう一つ、この中に出漁前に改善計画書を提出させますとありますが、どの船が改善計画を出しているか、今日現在の資料を後ほど提出してもらいたい。これは次回の運輸委員会で検証しますから、この改善計画書を私の方まで資料として出してもらいたい、いいですか。
#45
○政府委員(佐野宏哉君) 承知いたしました。
#46
○目黒今朝次郎君 じゃそれを見てやります。
 それで海上保安庁長官にお伺いします。
 これも十月の十九日の委員会で、あなたの部下である課長が答弁しておるわけでありますが、今言った経過から考えて違法漁船が一隻であろうと二隻であろうと、完全にきちっとしないまま出航していくという点については絶対にあってはならない、海上の安全の原点から言ってこう思うんですが、いかがでしょうか、見解を聞かしてください。
#47
○政府委員(角田達郎君) ただいまお話しのサケ・マス漁船の出漁の問題でございますが、この漁船が今先生おっしゃいましたように九割程度違法改造をやっておった。ただこのサケ・マス漁船につきまして、出漁の経緯またこれが船舶安全法上は問題ないものとして一応出漁を認めたわけでございますが、漁船法等の規定に違反していることは私ども十分承知しておったわけでございます。しかし、今申しましたように、サケ・マスの漁業交渉が長い間かかってやっと出漁できるようになったというような経緯もぐざいますので、今後の所管行政当局において改善がなされるという状況を見ながら、私どもとして、もし、その改善の状況が不十分であり、違法状態が帰港後もまた裏作に出ていくときにそのままで出ていく、こういうような状態がありましたならば、厳しく取り締まる所存であります。
#48
○目黒今朝次郎君 このサケ・マス漁船は五月から七月まで、今、北洋に行っています。帰ってきますと八月から十一月まではイカとかサンマ、十二月から翌年の三月まではマグロ、こういうことで、これはうちの田舎あたりでは海の俗称裏作、農家の裏作と同じく漁民の裏作、こういうことを言っておるわけでありますが、今海上保安庁長官が言ったとおり、出ていった、帰ってきた船が、今長官の答弁どおり改造しないあるいはもぐりのままこの裏作に出ていくということも十分考えられる、そういう場合には裏作に出ていくことは認めないという厳しい対応をすべきだ、こう私は思うんですが、これはいかがですか。
#49
○政府委員(角田達郎君) ただいま私が申し上げましたとおり、違法状態のまま裏作に出ていくことは私どもとしては許せない、厳しく取り締まる所存であります。
#50
○目黒今朝次郎君 水産庁長官、今海上保安庁長官の答弁を受けて水産庁としてやはりそういう趣旨に沿うた的確な対応をあなたの責任でやるべきだと、こう思うんですが、それに責任持てますか、水産庁長官。
#51
○政府委員(佐野宏哉君) サケ・マス漁船が漁期を終了して帰ってまいりましたら、直ちに所要の措置をとらせるつもりでおります。
#52
○目黒今朝次郎君 それは間違いないように。
 それからもう一つ、これは要望です。これは総脚にも大蔵大臣にも聞いてもらいたいんですが、私は、今回のサケ・マス漁船の違法改造を取り上げて約一年になります。これだけ八〇%、九〇%あるんですから、ほかの漁船もやはり現在の漁業界の厳しいことはわかります。わかりますが、一たん事故が起きたら大変なことになってしまう。また、見ようによってはいわゆる違法ということは漁場の資源の確保という点からも問題になりますし、あるいはソビエト、アメリカあるいは北朝鮮などに関するいわゆる国際的な日本の漁船の問題にもかかわりのある問題だと、根の深いものだと、こう理解をします。ですから、今回はサケ・マス漁船ですが、もう一度全体の船を洗ってみる必要があるんですよ。もちろん海上保安庁なり運輸省にもそれなりの人員の配置、予算の裏づけも
必要でありましょう。あるいは水産庁もそういうことでありましょう。政府全体としてこの問題についてやっぱり洗うべきだと。再見直しをすべきだと、こういうふうに漁業の将来からも人命の問題からも私は考えておるわけでありまして、これをぜひ内閣全体として洗い直してほしい。運輸省、海上保安庁、水産庁、農水省、皆関係あるわけでありますから、ぜひ私の要望について、内閣の責任者である総理大臣の全体的にもう一回調査をして見直してみるということについて努力を要請したいんですが、総理の見解を聞いて、この問題を終わりたいと存じます。
#53
○国務大臣(中曽根康弘君) 違法状態を見逃すわけにはまいりませんから、ちゃんとした規制に従いまして正しい漁業が行われるように点検もし、監督もしてまいりたいと思います。
#54
○目黒今朝次郎君 その実行を期待しております。
 次は、法の谷間という表現を使ったわけでありますが、この問題についてはこの前の本会議の代表質問でも総理に提起をしておるわけであります。私は、今回は時間がありませんから、総理大臣に十分に問題点をレクチャーするようにお願いしたいということを政府委員を通じてやってまいりましたから、中曽根総理の頭の中には日本信販の問題とか、あるいは今毎日毎日社会面をにぎわしている豊田商事の問題やら、きょうも私、持ってきたけれどもこのくらいありました。六大新聞、東京新聞を含めて。ですから、総理も国民の生活を守るためにおわかりと思うんですが、特に豊田商事の悪徳商法、これについて総理が一番好きなお年寄り、お年寄りが全体の四分の三以上含まれていると。年金とかへそくりとかというものを持っていたやつを全部これは与えていると。こういう事情を聞きますと、この豊田商事の社会悪的な、毎日毎日のマスコミの問題について、総理として、一体国の最高責任者としてどういう認識を毎日毎日テレビ、新聞で見ておってお考えですか。まずその認識から、冒頭お伺いいたします。
#55
○国務大臣(中曽根康弘君) 新聞を読みまして、私も心を痛めておるところでございます。特にお年寄りの、知識のない老人等を相手にいたしまして、へそくり等一生かかってためたお金あるいは年金等、もし万一だまし取るような、そういう意図でこれが行われておったとすれば非常に非人道的な犯罪行為であると思っております。関係方面におきましてもこの実態をいろいろ調査しておるようでございます。いろいろ法の欠陥があるかどうか、あるいは今度の問題について、もし言われるようなことがあるとすればどういう法に該当するか。また、どういう取り締まりを今後強化していくべきか、既存の法体系も含めまして、今関係当局におきまして鋭意検討さしており、こういうような新聞に報道されるような忌まわしい事件が再発しないように努力してまいりたいと思っております。
#56
○目黒今朝次郎君 非人道的なことだと、そういう認識がありましたから、その視点からひとついろんな対策をお願いしたいと思います。
 これは政府の、通産省の発表によりますと、この豊田商事の五十九年度はわかっただけでも九百八十三件、三十九億七千五百万、損害。私なりに計算してみると、これは一件四百五十万前後のだまし取りになっているわけですね。ことしに入ってからも四月は十九件の五千八百万、五月は三十六件の一億八千五百万、これはおたくの政府発表ですから、これだけ出ておりますからやっぱり問題は非常に深刻になってきていると、こういう認識を私も持っているわけであります。
 その点私は、国会で豊田商事の問題については日本弁護士会の有志の皆さんがいろいろ検討されて、法務大臣に対して職権による解散命令ということについて取り組んでほしいという動きがあるわけでありますが、この前の五月の二十九日の委員会で提起をした法務大臣の職権による解散命令ということについては可能なのかどうか、問題をお願いしておったわけでありますが、法務局の民事局長にイエスかノーか、こういうことについてお教えを願いたい、こう思うんです。
#57
○政府委員(枇杷田泰助君) 法務大臣は、会社の代表者が法務大臣の警告にもかかわらず反復して刑罰法令に違反する行為をしている場合には、裁判所に対して解散命令を発するような請求をすることができるということになっております。したがいまして、そのような事実が法務大臣として把握できれば警告を発し、解散命令の請求を裁判所にするという手続があるわけでございます。
#58
○目黒今朝次郎君 そういう手続が現実にあるとすれば、政府はこの問題について六省庁ですか、経済企画庁、通産省、大蔵省、警察、法務省、公取と、こういう六者連絡会議をもって対応をやっていると、こういう情報も我々見ているわけですが、そういう機関で今総理の発言を受けて積極的にこの問題についても弁護士の方から請求されて取り組む、被害者から請求されて取り組むという、消極的じゃなくて、これだけの社会問題になっているわけでありますから、積極的に法務省として内容を立ち入って検査をして、そういう可能性についてやはり最大の努力をすべきじゃないかと、こう思うんですが、民事局長いかがでしょうか。
#59
○政府委員(枇杷田泰助君) 裁判所に解散命令の請求をする場合には、確たる事実を把握しておるということが必要でございます。そういう面で各方面からそのような事実を認定すべき資料の提出等がございました場合には、私どもとしては適切な処置をとるということを考えておる次第であります。
#60
○目黒今朝次郎君 最大の努力をしてもらいたいと思います。
 それから、この日本信販の問題については、五月十七日の決算委員会で私が取り上げました。中間は省略します。結論として、村田通産大臣は、これは本当に法の谷間を巧みに操っている悪質なものだと、こういうことを認識した上で、私の問題提起に対して各省と相談して早急に立法措置を含めて検討したいと、こういう答弁をなされ、とれについては総理も御存じだと思うんでありますが、私は、こういう現在のもろもろの日本信販あるいは豊田商事、この問題を考えますと、やはり政府として一つの決断をする時期に来ているんじゃなかろうか。こんなふうに問題意識を持つものであります。
 したがって、総理に再度お伺いいたしますが、この社会的な大変な悲劇、これを早急に解消するために縦割り行政の弊を改めながら、縦横含めて総理大臣の陣頭指揮でこの問題について解釈の運用、指導あるいは不十分であったならば特別の立法措置も含めて、やはりお年寄りの皆さんを救済する、悲惨な国民を救済する、そういう政治の原点に返って国民に向かって決意を表明すべきではなかろうかと。同時にきのうの新聞を見ますと、十一月中旬に臨時国会の召集を予定されているという記事もあるわけでありますから、少なくともこれは自民党も反対じゃないと思うし、野党の皆さんも反対じゃありませんから、与党、野党一致してそういう悪徳商法を摘発するための特別立法については、全党挙げて私は賛成するものであると、こう確信をしておるわけでありますが、やはり悲惨な問題だと明言した総理としては、今言った村田通産大臣あるいは法務大臣、あるいは衆議院の商工委員会でも、我が党の上坂委員の質問に対して、村田通産大臣は立法も必要だと、こういう縦割りの大臣は一応答弁しておるわけでありますが、しかし全般に関係する、こういうことでありますから六省の連絡会議も機能させながら、必要ならば臨時国会なども含めて早い機会に特別立法、単独立法も含めてこの悲劇の救済に当たる、こういうことを総理大臣として考えるべきだと、こう思うのでありますが、総理の大局的な見解をお伺いいたします。
#61
○国務大臣(中曽根康弘君) 臨時国会の開会問題はまだ全く白紙状態であります。
 次に、御指摘のような悪徳商法等につきましては重大関心を持ちまして、今関係各省庁におきまして検討させているところであり、貸金に関する
諸法あるいは割賦販売法、そういうような法の欠陥ありやなしや、あるとすればどういう対策が必要であるか等々につきまして、各省庁におきまして今検討をさしておるところで、万全を期したいと思います。
#62
○目黒今朝次郎君 それからもう一つ、大蔵省サイド、通産省サイドで問題になっている消費者信用法、この問題の運用、解釈も非常に私ら決算をやってみて戸惑うんです。大蔵省なのか、通産省なのか、あるいは建設省なのか、非常に消費者信用法の問題について、省略しますが幾つかの問題点にぶつかりましたので、これもひとつ総理にお願いしたいんですが、これはやっぱり大蔵省が責任を持って、大蔵省がセンターになって関係各省と協力し合って行政を指導していく、そういうふうにひとつ総理に決断をしてもらって、今後消費者信用法の解釈、運用についていろいろな面で困ることのないようにお願いしたい、こう思うんですが、総理にひとつ検討をして決断をしてもらいたいと思うんですが、これは三省間にわたるものですから、総理の見解を聞いておきたい、こう思います。
#63
○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく悪徳商法を退治するということは大変大事なことでございます。特に高齢化社会、長寿社会を迎えまして、御高齢者を保護するということは政治の大きな仕事でございますから、御指摘の点等につきましても関係各省庁において研究をさせたいと思います。
#64
○目黒今朝次郎君 大蔵大臣も聞いているんだから、聞いておる方も間違いないようにひとつ要請します。これは大蔵大臣答弁要りません。総理の政治力を期待してこれは終わります。
 第三番目は、尼崎信用金庫の問題について私は今日まで三回ほど委員会で取り上げ、あるいは大蔵省の銀行局長の努力などありまして関係者を呼んでいろいろ事態の解明、事態の収拾に努力してまいりました。結論から言うと、この尼崎信用金庫の氏平理事長が自分の実弟などの関係なり、いろんな法の盲点をもぐりながら、不良融資を行ってきた、こういうことであります。
 この件について、近畿財務局は五十四年の二月の検査を初め、二回にわたってこの不良融資を点検をして、いわゆる大蔵省の言う示達をして、経営の改善を図れ、こういう大蔵大臣の伝家の宝刀を抜いておるわけでありますが、伝家の宝刀を抜いてもとの尼崎の一族はこれに従おうとしない、こういうことを繰り返しておるわけでありますが、私はこの問題の一定の締めくくりとして要請いたします。
 それは氏平理事長が関係する不良債権のすべての元金、利息、もう一回大蔵省が責任を持ってこれを把握して、この不良債権の回収整理に大蔵省は特段の力を注ぐべきだ、こう思うのでありますが、銀行局長の決意を求めます。
#65
○政府委員(吉田正輝君) 御承知のとおり、一般的に申し上げても金融自由化が進展しておりまして、金融機関を取り巻く経常環境は次第に厳しさを加えていくものと予想しております。そうした中で金融機関は、信用秩序の維持及び預金者保護の観点から、まずもって経営体質の強化や健全性の確保を図る責任がますます高まってきております。
 金融行政を預かる大蔵省といたしましては、このような状況の中で、仮にも金融機関の役員が関係する不良融資が生じたといたしますれば、そのような不健全な融資が再び生じないように指導いたしますとともに、当該融資の事後処理については、これが厳正に行われ、いやしくも疑惑を招くことのないよう指導、監督してまいる決意でございます。
#66
○目黒今朝次郎君 ぜひそれを国会答弁だけでなくて実行することを期待しておきます。いつかまたの機会に実行をチェックしますから要請しておきます。
 それから二つ目には、やっぱり私はこの問題をやってみて、業界全体の体質に問題があるのじゃなかろうかなということに気がつきました。したがって、業界の体質改善をするためには信用金庫の総代会がどうもくせ者だ。自分は理事長であって総代会の会員。ですから、理事長のやっていることとこれをチェックする機能というのが、この信用金庫法ではどうもあいまいもことなっている。そこに氏平理事長のような介入があり得る、組織上、運営上。したがって、この信用金庫の総代会のあり方について、これは私はここをどうせいということは、私は余り専門家じゃありませんからやりません。ただ、この尼信問題をやってみたり、徳陽相互銀行をやってみたり、そういうことをやってみると、やっぱりここに特にほかの銀行と違って信用金庫はどうも総代会のあり方がやっぱり組織的に問題があるのではないかということを、きょうは総括ですから、気がつきました。
 ですから、専門家のあなた方にもう一度このあり方について検討をして、しかるべき機会に御提起願えれば、業界の体質改善のためにはいいことかなと、こう思いますので、これもまた大蔵大臣よりも銀行局長の方が商売ですから、銀行局長の答弁をお願いします。
#67
○政府委員(吉田正輝君) 金融機関の中には株式会社組織のものとそれから共同組織のものがございます。信用金庫は地域の中小企業及び住民等の会員の相互扶助を目的とした共同組織でありますために、ただいま先生が御指摘になったような機能、制度がありまして、金庫の重要な意思決定が行われているわけでございます。
 その場合に、会員が多数に上る場合は、総会にかえまして総代会を設けまして、会員の中から公正に選出された総代会によって合議体を構成して、総会にかわった機能をさせており、現在では大部分の信用金庫がこの総代会制度で運営されているわけでございます。
 総代会は委員御指摘のとおり、それぞれの信用金庫にとって最高の意思決定機関でありまして、その運営がいやしくも形式的に流れるようなことなく、十分その機能を発揮されて運営されることが肝要であるというふうに存じております。
 先ほど申しましたように、金融自由化の進展によりまして金融機関の健全経営に対する自己規制が強く求められておりますから、そのような観点からも総代会の重要性は一段と高まってくると思われます。こうした点を踏まえまして、大蔵省としては委員の御意見を十分念頭に置きながら今後とも総会または総代会制度の意義を失わざるよう、その原点から離れざるよう、実効性のある総代会の運営となるよう業界を指導してまいる所存でございます。
#68
○目黒今朝次郎君 ぜひやってください。待ってます。
 それから、この問題を最後に大蔵大臣にお伺いします。
 私は、この問題をやってきて、本人は少しは自己反省しているのかなと、こう思って銀行局長の取り組み方として多少私も大目に見てまいりました。しかし、その大目に見たことが逆に作用したのか知りませんが、この不良融資の張本人の氏平理事長が再度この総代会でまた理事長に再任されたと、こういうことを繰り返しておるわけでありますが、銀行のやることでありますからなかなか大変だと思うのでありますが、少なくとも、ここからです大臣、少なくとも大蔵省の示達を守らなかったり、示達の中身を実行しようとしない銀行の経営者については、民間人といえども金融の正常な運営のためには何らかの大蔵省として、大蔵大臣として決断をする必要があるのではないか。ここまで言えば、あなたは頭がいいから目黒があそこまで言うからあのことを指しているんだなと、こうお察しだと思いますが、それぐらいのやっぱり私は大蔵省が甘く見られないために金融の正常化のために必要な措置を決めておくことが必要ではないかなと思うのですが、大臣の一般論でも結構ですからお考えを聞かしてもらいたい、こう思うのです。
#69
○国務大臣(竹下登君) 大蔵省としましては、従来から金融機関検査等におきまして不適切または不健全な業務の運営がなされていることが明らかになった場合には、当該検査後の示達、おっしゃ
いますとおりに、それにおきましてそのような問題点を厳しく指摘、是正改善を図るべしという指導監督をしてまいりました。特に金融自由化が進展する中にありまして、金融機関の健全経営を確保するという見地から、検査の示達で指摘した事項については、金融機関経営者にこれを徹底させて是正改善に努めるべきものであると、これは目黒さんのおっしゃるとおりであります。また、金融機関の経営体制の問題については、それぞれの金融機関経営者が会員とか預金者の負託に十分こたえているか、また公共的機関としてその使命を十分果たしているのか、あるいは健全経営の確保の原則にもとることはないか、こういう観点に照らして判断していくべきものであると思います。
 大蔵省といたしましては、今後とも金融機関経営者に対してこうした考え方に基づいて検査結果を踏まえ、正すべきは正し、改善すべきは改善させる、そういう厳正な態度でもってこれに臨むことにより、公共性のある金融機関としての適正な業務運営がなされますよう強力な指導をしてまいりたい、かように考えます。
#70
○目黒今朝次郎君 期待します。
 あと時間一、二分ありますが、二つだけ総理に簡単に聞きます。
 スパイ防止法の問題について、自民党は今月六日国会に提案いたしました。このスパイ防止法案についてここにありますとおり官報号外、昭和五十八年四月二十七日号、参議院の五十八年四月二十七日の本会議に、我が党の和田静夫議員の質問に対して、この議事録の四ページの後方、これは総理大臣の答弁であります。目黒答弁じゃありませんよ、総理答弁です。「次に、スパイ防止法について御質問がございましたが、スパイ防止法をつくる考えはございません。」と極めて明快に総理答弁しておるわけでありますから、本会議の答弁でありますから、答弁の趣旨に従って撤回をしてもらいたい、自民党総裁として撤回してもらいたい、そうしないとこの国会答弁はうそっぱちだと、こうなりますから、スパイ防止法の撤回を要求します。総理、いかがですか。
#71
○国務大臣(中曽根康弘君) 自民党の党内におきまして現状を憂いまして、党員の皆さんがいろいろ研究をしておられました。何しろ日本はスパイ天国と言われるような国でありまして、防衛庁の職員までがかかわるようなそういう事件もあります。そういうようなところから自民党の皆さんが非常に心配をされまして、そして案を練って提出してきたわけでございます。私もその後いろいろ事情も聞き、法案の内容等もいろいろ聞いてみまして、その必要性というものを私は痛感するに至りました。ただ、やるについては内容等について非常に慎重を要する。現在のようなあり方で、例えば国家公務員法とかあるいは防衛庁の職員に関する法であって秘密を漏らしてはならないという程度のものでいいのか。物を盗んでもこれは刑法で処罰される、いわんや重要な国家機密というものを盗もうと思って盗んだり、外国へそれを渡したり売ったり、そういうようなことがそのまま認めていいのかどうなのかという問題であります。そういう面から見まして、自民党の皆さん方がそれを勉強なさり、そしてその制定を心がけて努力してきたということは、これは理解できるところであり、そしてそういう法案を提出してまいりましたから、私はこれを認めたわけでございまして、ただ問題は、国民の人権や、あるいはいわゆる知る権利あるいは情報公開というような問題との調和点を、いかに国民の納得する線でこれをつくり上げるかという問題であるように思います。そういう面からあの法案を基礎にいたしまして、各党間のいろいろなお話も承りたいし、国民の皆様方の反応等もよく調べまして慎重を期してまいりたい、そう思っておるところでございます。
#72
○目黒今朝次郎君 そういう釈明があっても、法案の中身じゃありませんが、中身を見れば見るほど今総理の答弁とは裏腹の法案になっていますから、遺憾ながら私は了解するわけにはまいりません。再び撤回を要求します。
 最後に、外国人登録法に基づく指紋の問題でありますが、四百名近い拒否者が出ている、八百余近くの市町村で大変苦労して、これを撤回してほしいという動きがあるわけでありますし、この方々は永住朝鮮人の方、韓国人の方、かつては日本の国籍を持っている方もいらっしゃるわけでありますが、国際信義の面からも、この面については総理の物わかりやすい、隣の国とも仲よくする、そういう点からいって、この法務省通達については再度早急に見直すべきだと思いますが、その考えを簡単に聞きまして終わります。
#73
○国務大臣(中曽根康弘君) 一昨年韓国の全斗煥大統領と私の間で合意をいたしました当時の共同声明におきまする在日韓国人の待遇問題につきましては、私も誠心誠意努力してまいらなければならないと考えております。その努力もしてきたつもりでございます。国籍法の改革であるとか、あるいは大学教授に外国人も採用できるとか、あるいは国民健康保険その他に加入もできるとか、児童手当の問題も同様でございます。そういう意味において一歩一歩着実に前進してきていると思っておるのでございます。
 指紋の問題につきましても、五十七年に改革を行いまして、年齢を変える、十六歳に上げるとか、そのほか諸般の改革もやり、さらに今回も特別の注意を私払いまして、いろいろ指摘された点で、犯罪人と同じように黒い油か墨で回転式でやるというようなことは、これは確かにプライドを傷つける問題である、そういうような面から私が厳命いたしまして各国の科学技術の発達状態やらそういうものも調べまして、今度は手を汚さない方法で、ちょっとさわっていただけばいいと、そういうような方法に変えたり、あるいは携帯義務その他につきましても、いろいろ諸般の改革、前進を心がけてきたわけでございます。この日本政府の誠意と努力は、ぜひこれは御理解願いたいと思うのでございます。法が存在する以上は、やはり法に従っていただくというのが法治国家でございますから、その点は十分なる御協力をいただきたいと思っております。
 ただ、この問題は、政府といたしましては、今後もそういういろいろな考えもございますから、長期の課題として今後も検討を続けていく、自主的に検討を続けてまいりたい、そう思っておる次第でございます。
#74
○服部信吾君 いよいよ来年が参議院選挙、こういうことでございますけれども、きょうは一応総理に自民党の責任者、総裁ということで、若干選挙制度の問題についてお伺いしたい、このように思います。
 先般、金のかからない選挙、そういうことで参議院の比例代表制というものが導入されたわけでありますけれども、その後一回選挙が行われたというようなこともございますし、何か来年の選挙には総理の息子さんも、御子息も出られるというようなことも新聞で聞いておりますけれども、一回比例代表制が行われまして、いろいろ賛否両論とか、いいところとか悪いところとかいろいろあるようでありますけれども、総理の御感相なり御見解をお伺いしたい。
#75
○国務大臣(中曽根康弘君) 比例代表制の改革は、参議院の皆さんが主になりまして、今までの制度についていろいろな御批判がありましたので皆さんで衆知を集めてああいう改革をおやりになって、法案としても成立し、実行されておるものでございます。したがいまして、今これを変えるという考えはありません。やっぱり現行制度でやっていくという考えに立脚しております。ただ、この問題につきましてはいろいろなお考えや御批判もございますし、各党間でどういうようなお考えがまとまるか、改革意見があるか、そういうような点もやはり注目していく必要がございます。要するに、参議院のルールの問題でございますから、参議院の合意の方向に従っていくというのがやはり政府としても正しい、そう思いまして、我々は慎重に注目してまいりたいと思っておるところであります。
#76
○服部信吾君 総理の、いわゆる比例区を導入して一回選挙やったと、その中のメリットなりデ
メリットというものはどういうものがあるか、その点についてお伺いしたいんですけれども。
#77
○国務大臣(中曽根康弘君) 確かに金がかからなくなったというのは言えるんじゃないかと思います。しかし、一面において、公明党さんは別としまして、ランクをどういうふうにつけたらいいか、この評価基準やらそれを実行するという点については、各党とも大変頭を痛めているのではないかと。それから、やはり選挙民と候補者との密着度が非常に薄くなってしまった、これは政党制の選挙ですからそうなるんでございましょうが、その点で今までの日本の選挙に関する選挙民と候補者との関係というものが非常に薄れまして、選挙民の皆さん方からは選挙に対する無関心というようなものが出てきた、そういうものが投票態度にも影響してきているんではないかというような批判もあるように思っております。
#78
○服部信吾君 総理の御答弁によりますと、どうも何かデメリットの方が多いような御答弁なんですけれども、この問題につきまして、八日の日に武藤副幹事長が金丸幹事長等々と相談をした上に、党選挙対策委員会で、六十四年から比例代表制を廃止する、こういうことの方針を決定した、こういうふうに言われておりますけれども、今総理の言われたこととちょっと違うんですけれども、この点については総理はどのようにお考えですか。
#79
○国務大臣(中曽根康弘君) そういう方針は、選挙対策委員会とかあるいは総務会の決定をもって決定と言うのでありまして、まだそういうことは聞いておりません。
#80
○服部信吾君 その中でもう既に候補者選びが始まっておる、そうなりますと、来年初めて出馬する方にとっては次の選挙がどうなるかということは大変大きな関心の的だ、こういうことで、そういうためのある程度これから立候補する方に対しての自民党の中ではもう同意書なりとっている、こういうことも述べられているわけですけれども、これは総理知っておりますか。
#81
○国務大臣(中曽根康弘君) そういう話は承知しておりません。
#82
○服部信吾君 いずれにいたしましても、これからこういうような問題については大変大きな重要な問題だと思いますし、まだ一回しかやっていない、ちょっと何か何となくデメリットのような問題も随分出てきておる、そういうことでありますので、総理としてもこれは本当に慎重に対応してもらわないと困ると思うんですよ、これ。何か自民党の中だけでこういうことが総理は知らない間にどんどんそんなことが進められている、こうなっているときに、まだ全然私はやらないと言っていても、最後になって、いや、もうこれは問題だということでいわゆる改正をしようなんて話になった場合においては、これはいわゆる選挙制度というのは、もう御承知のとおり相撲で言えば土俵みたいなものですから、そのあり方について何か各党が全然おくれちゃったなんてことがないようにしてもらわないと、これは大変な問題になると思うんですね。ですから、私はそんな一回や二回の選挙のあれを見て、そんな簡単には改正すべきじゃないと思いますけれども、再度、総理もう一回、この問題については改正しない、こういうことでいいわけですね。
#83
○国務大臣(中曽根康弘君) 選挙制度の問題は、衆議院なり参議院なりのグランドルールでございますから、その委員が自分たちの選挙制度をどうするかという点についてお決めくださる、それが一番理想的であると思っております。しかし、制度には長所もあれば欠陥もある。長所がうんと強く意識されれば改正の必要はないし、欠陥が強く指摘されれば改正の必要もある。そういう点で実際の当事者であられる参議院の皆様方の動向を私は注意深く見守ってまいりたい、そう思っておるところで、総裁やあるいは衆議院側が余りこの問題について発言し過ぎるのは越権ではないかという気がいたしておるのであります。
#84
○服部信吾君 この件についてはこれで終わりますけれども、次に、総理は七月の十二日からいろいろとフランスなりイタリア、バチカン等を歴訪される、こういうように出ておりますけれども、そこでちょっとお伺いしたいんですけれども、フランスにまず行かれる、こういうことでございますけれども、来年はいよいよ東京サミットということでありまして、先般のボン・サミットでフランスのミッテラン大統領が、どうもこのボン・サミットのあり方、先進国首脳会議のあり方について非常に問題がある、そういうようなことで東京サミットは辞退したいというようなお話があるわけでありますけれども、今回のフランスに行った場合こういう問題についてもお話しするのかどうか、総理にお伺いしておきます。
#85
○国務大臣(中曽根康弘君) 先般のボン・サミットの最後のジョイントコミュニケ、共同声明等におきましても、明年、各首脳はまた会合することを決め、日本の中曽根首相の東京で歓迎するというその趣旨を――東京は書いてありませんが、日本で歓迎するというそれを了承した、申し出を歓迎するというふうに了承した、そういうような趣旨の言葉で締めくくってあるのでありまして、ミッテラン大統領も出席していただけるものと考えております。ただ、やり方についてはいろいろ御批判がありましたから、私もその点についてはミッテランさんともいろいろ話したことがございますし、今後フランスへ参りましたときにもいろいろ御意見も承ってまいりたいと思っております。
#86
○服部信吾君 まあそれはわかりました。
 それで、フランスなどEC諸国においては大変、今度我が国のこの経済摩擦についてもいろいろ言ってきておるということで、VTR等いろいろな問題でかなりECの方で、この貿易摩擦などの対日批判が起こっておる、こういうことですけれども、その中でフランスの方から、きょうの新聞報道によりますと、何かヘリコプターやらいろいろなものを買ってくれないか、緊急輸入と、こういうような問題が出ているようでありますけれども、こういうような問題についても今回のフランスに行くことによってその話し合いをするのかどうか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
#87
○国務大臣(中曽根康弘君) 政治経済の問題及び二国間の問題等についていろいろお話し合いがあると思いますが、そういう個別的案件について私と大統領が話すというようなことはないだろう、そういう小さい問題は事務的な問題であって、首脳間の話ではない、そう思っております。
#88
○服部信吾君 首脳間の話じゃないということはわかりますけれども、事務レベルでもそういう話は今のっているわけですか。
#89
○国務大臣(中曽根康弘君) 前からヨーロッパ側からエアバスを買ってくれとか、ワインの関税を引き下げよとか、チーズをもっと買えとか、あるいはヘリコプターを買ってくれとか、ハリア戦闘機を買ってくれとか、いろいろな御要望はあるのでございます。それらを今までずっと検討してきて、部分的には応じてきたところもあり、できるだけ協力したいという意思を持って今も検討しておるところなのであります。
#90
○服部信吾君 そうすると、今回は何かそういうものをある程度、今まで検討してきたものを具体的に購入する、こういうお考えですか。
#91
○国務大臣(中曽根康弘君) いろいろ検討はしておりますが、どういうふうに結果が出てくるか、まだ時期尚早であります。
#92
○服部信吾君 時期尚早といってもあと一カ月もないわけですから、これは早急に結論出さないとまずい問題じゃないかと思うんですが、もう既に決まっているんじゃないですか、この問題については。
#93
○国務大臣(中曽根康弘君) まだ決まっておるとか、決まってないとか、私まだ報告を受けておりません。今検討している最中である、そのように思います。
#94
○服部信吾君 それから、総理のボンの帰国報告に対して、私も本会議で質問さしていただきましたけれども、その中で総理が、この今度の東京・サミットには何としてでもオーストラリアを招聘
したいというようなこともあったけれども、何かフランスのああいうような問題があったためにその話し合いもできなかった、こういう答弁が本会議でされているわけでありますけれども、今回フランスに行くに当たっては、この問題について御検討されますか。
#95
○国務大臣(中曽根康弘君) ボン・サミットにおいてオーストラリア加入の問題につきましては、私も考えるところがございましたが、何しろ会議の雰囲気がフランス等の関係もいろいろありまして、自由貿易推進派というようなものは、またこれにふえていかれるんじゃとってもたまらぬというような雰囲気が察知されまして、あの場でそういうことを申し上げても問題にならないと、むしろ、会議の雰囲気を壊しちまう、そういうような感じがしましたので、自重したわけでございます。今後の問題についてはよく検討してまいりたいと思います。
#96
○服部信吾君 あの場の雰囲気ではできなかったということは私もわかりますよ。SDIの問題とか、新ラウンドの問題、特にそういうような問題があったと思いますけれども、今回やはりそういう話をしたかったんだけれども、情勢がああいう状況だったんでフランスにもできなかったということなんですけれども、今回行くに当たってはそのような話はするんでしょう、これ当然。
#97
○国務大臣(中曽根康弘君) まだどういう話をするかということは決めておりません。これからよく議会でも終わったら勉強し始めようと、そう思っておるところであります。
#98
○服部信吾君 それはそれで結構でございますので、決してオーストラリアを入れろというような、反対という意味で言っているわけじゃありませんので、その辺のところはよくお話し合いしていただきたいと思います。
 次に、SDIについて若干お伺いしたいんですけれども、ボン・サミット後の、あのときのSDIのあり方がコール首相の議長総括ということで説明を受けた、こういう程度で終わっていたわけでありますけれども、これは後になってみて、まだ一カ月もたたないうちにそのあれが何でできなかったかということがはっきりしたわけですね。あの問題をあの場で協議したら、これはもう総理の言うように西側の結束なんというのはできやしないと、私はこういうふうに思います。その中で、今後このSDIに対する西側、特にフランスを中心とする西側等が理解を本当にすると思っておりますか。
#99
○国務大臣(中曽根康弘君) 各国の状況についてはいろいろ報告も受けておりますが、しかし各国は非常に真剣に検討はしておるのでありまして、今まで新聞紙上で各国の首相や外相が述べられたような線でいっておる、そう必ずしもヨーロッパの態度というのは冷え切っているような状態ではない、私はそういうふうに観測いたしております。ただ、このアメリカからの説明やら情報という問題をもっと聞きたい、よく見きわめたい、そういうポジションにある、そう私は思っております。日本もアメリカからいろいろな情報あるいは説明等いろいろ聞いてみたい、さらによく研究をしていきたいと、そう思っておる次第でございます。
#100
○服部信吾君 私はこれ、西側は最終的には、これは何年たつかわかりませんけれども、ある面からいって、同調するというか、それはかえって対等の立場で私はなっていくんじゃないかと、こういうふうに思うわけです。
 総理が特にSDIについて認識を聞かれますと、これは大変、だれが言ってもなかなか反対できない形になっているわけです。SDIについて総理に聞けば、いやこれは、ICBMやら核やら、非核兵器でこれを撃ち落とすんだ、こういうことについてだれもこれはなかなか否定できない問題だと思うんです。しかし私は、このSDI構想というのは何かそればっかし強調しておる。ですから、このSDI、そういう、ICBMが飛んできて、それを撃ち落とすというのは、これは下手をやれば二十一世紀にできるかできないかわからないという、そういう一つの大きな構想があるわけです。その裏と言っちゃ、それと同じあれとしては、これは大きくアメリカの戦略なわけです、これ、はっきり言いまして。いわゆる宇宙計画に対する戦略。今この日本で論議されている、総理の言っていることは、何か、このSDIがもうすぐできてとは言いませんけれども、その論議に集中しておりますけれども、今言ったとおり、フランス等西側では全く違った観点からこのSDIを取り上げている、私はこう思います。ユーレカ計画なんというのは全くこれに対するものだ、私はこう思うんです。
 例えばこのSDIのレーガン構想というのは、ある面から言えば、これは選挙等もありましたけれども、まず強いアメリカのイメージの高揚をするとか、抑止力の向上、それから対ソ軍縮交渉を有利にするためのバーゲニングシップである。それから、アメリカを中心とした西側同盟の強化をする。もしこのSDIに同意しなければSDIの傘から外すというようなこと。それから、先端技術部門での優位、独占の確保、こういうような問題。特に先端部門においては、日本、西ドイツなどには独走を許さない、そうした新しい需要の創出、軍需産業のための軍需創出である。こういうような、今まではある面においては攻撃用だったけれども防衛用、こういう大きな裏に構想がある、レーガン構想が。単にSDIで撃ち落とすというようなのはまだまだ先の話だと、私はこう思うんです。そこでフランスなどがそういうことに対抗してこのユーレカ計画を出した。先般、栗山さんにちょっとお話を聞いたら、これはユーレカ計画というのは単なる、いわゆるフランスが西側の世論に対して先端技術の結集を図るために言ったんだと、こういう答弁ですけれども、私はこのユーレカ計画というのはそんなものじゃない。これはあくまでも、ある面から言えば先端技術部門に対する、ユーレカ計画というのはレーガン大統領に対する私はこれは対抗的なものである、このように思いますけれども、総理はどのようにお考えですか。
#101
○国務大臣(中曽根康弘君) SDIは、私は、やはり一つの長期計画でありまして、核兵器の廃絶を目的としている、ICBMのようなあの物騒な大陸間弾道弾、あるいは核兵器というものを地球上からなくしていこうという善意に出てきておる計画でありまして、私はそういう点につきまして理解を示したという態度で現在も同じである。もっといろいろよく情報も知り、研究もして、我々はこの研究参加という問題については検討していきたい、そう思っております。
 それからユーレカ計画につきましては、これはヨーロッパ側におきましてアメリカ、日本に比べて先端技術の研究において劣ってきているんではないか、そういうような心配が出てまいりまして、フランスを中心にしてヨーロッパで固まって先端技術の研究共同体をつくろうというアイデアでありまして、大体各国も賛成の方向にあるやに聞いております。しかし、内容をどういうふうに具体的に研究共同体制をつくっていくのかという点についてはよくまだ承知しておりませんし、対象を何にするかという点についてもまだ細かく知っておりません。しかし、いずれにせよ、ヨーロッパがそういう方向で動いているという事情は我々もよく了知できるところでありまして、大きな関心を持って見守ってまいりたい、そう思っておる次第であります。
#102
○服部信吾君 まあそういう認識ね。ですから、やはりある面からいえば、フランスの立場というのは大したものだと思いますよ、ただ単に理解するんじゃなくて。というのは、アメリカからSDI計画に対して欧州に、民間企業にどんどんいわゆる参加要請を申し込んだ。ところが、欧州には何らそれに対する受け皿がない。そういうことでどんどん技術はアメリカに持っていかれちゃう。これは大変だということで、ワインバーガーさんが三月末にそういう呼びかけをした。しかし、それまでには欧州にはそういう受け皿がなかったために、西欧の先端技術のあれがどんどんアメリカ
に流出してしまう。これは大変だということで、泡食って四月の中旬に欧州連合というところでこれを発表しているわけです。なぜかというと、やっぱりこれはレーガンさんも西側の一員ですからね、これをただ単なる総理が言っているような、あそこでもし例えばフランスがこれを軍事用だ云々なんか言ったら、一番喜ぶのはこれはもう東側でしょう、はっきり言って。だから言えないんですよ。言えないけれども、自分たちのことを考えながら、やはりこのユーレカ計画というものをつくって、そうしてどんどんアメリカに先端技術が持っていかれないようにやっている、私はそう思いますよ、これは。だって総理の言ったSDI計画のICBMを撃ち落とすなんというのは先の話なんですよ。もしかしたら途中でやめる計画かもしれません、これは。それによって喜ぶのは何かというと、アメリカが得するのは、今たまたま言った軍事産業や何かで、もうSDIということでそれこそ何十億ドルの発注がどんどんできている、これは非常に喜びますよ。それから先端技術、これをどんどんやはり持っていくという面もあるわけです。ですから、そういうことからいえば、経済的、経済的とか先端技術、技術的と言いますけれども、フランスとしてもやはりこれはユーレカ計画が軍事的なんということは言えないんですよ。そこがやはりまだフランスとして西側の一員という一つのあれがあるんじゃないか、私はこう思いますけれども、総理どう思いますか、これ。
#103
○国務大臣(中曽根康弘君) ヨーロッパ統一の思想というものは戦後根強く出てまいりまして、そういう基本的姿勢にやはり各国の首脳部はあるんだろうと思います。いわゆるヨーロッパ評議会、ヨーロッパ議会というものもつくり、あるいは共同通貨まで出そうというようなところまで来ているんですから、既に原子力研究開発の共同体ができており、宇宙研究開発の共同体もできており、それと同じような延長線で今度はハイテクに関する研究共同体、開発共同体ができつつある、そういうものであると理解していいと思います。
#104
○服部信吾君 そういう理解というのは、ですから、これは余り言ってもあれですけれども、ある面からいえば、フランスのやっていることは正しいと言っちゃおかしいですけれども、やはり自分の国のこと、また強い欧州をつくるためのことを考えてのこのSDIに対する対応と思いますよ、これは。
 じゃ、もしこれ二十一世紀、我が国のハイテク分野においてこういうSDI研究、研究ということで日本の民間企業がどんどん向こうへ行ってしまった。これはもう海外へ全部流出するわけですから、その流出をストップさせるためにこのユーレカ計画というのをフランスはその歯どめとしてつくっているんじゃないか、私はこう思うんですけれども、じゃ、我が国に対してこのまま野放しに、民間企業とアメリカとのそういうSDI計画への参加、そういう要請があったときにどんどん我が国のハイテクは向こうへ流れていってしまう。こういうことに対する何か歯どめは考えておられますか。
#105
○国務大臣(中曽根康弘君) SDIに関する政府の対策につきましては、さらにアメリカ側から意見、情報も求め、我々の方の検討も重ねまして態度をさらに検討してまいりたい、そう思っておりまして、結論が出ている状況ではまだございません。
#106
○服部信吾君 そこで、ワインバーガー米国防長官から安倍大臣に今書簡が来ていますね。これ本当におかしなものというよりも、本来ならばこれだけの大きな戦略なち、これはレーガン大統領から直接中曽根総理にこういうようなあれが来てもいいんじゃないかというふうな気がします。
 というのは、先般の外務委員会か何かで安倍さんがびっくりしているわけですね、外務大臣も。何でこんなものおれのところに来たのか。その内容も六十日以内にSDIに対する回答をせよというので、なあんだ、これ、大変困っているような御答弁をされていましたよ。これは日本の外務大臣、大変な方のところにこういう何かいやがらせみたいなこういう要請があったわけでありますけれども、このSDIに関してはこれから協議を行うと、先ほど何回も総理から御答弁ありますけれども、この中でアメリカとしては、本件推進の促進を期すために貴国政府のためにSDIについてのブリーフィングを行う用意がある、こういうことで一回ぐらいやられているわけですね、これは。本来ならばSDI計画を要するに理解するかしないか、賛成するかどうかというような問題でもう既に動き出している。一回はもうあれをしているということですけれども、今後この米国の呼びかけに対してこのSDI研究については何回も何回もこれはやっていくわけですか。
#107
○国務大臣(中曽根康弘君) さらに、情報の交換、研究を進めてまいりたいと思っております。
#108
○服部信吾君 その中で総理がSDIについては留保をつけたということは、これは簡単に言えばノーということもあるんだ、それまで長期的な計画だ、こういうことでありますけれども、現実問題としてこれだけ厳しいやつが向こうから突きつけられているというような形になっておりまして、六十日以内というのは、これはすぐ安倍さんが電話をして、ちょっと早過ぎるんじゃないかということで、もう少し延ばせというようなことがあろうかと思われますけれども、何回もブリーフィングを行った結果、留保をつけているということなんで、その結果ノーということもこれはあり得るだろう。というのは六十日以内までに答えろと来ているんですから、これを延ばしたにしたって、せめてこの半年なり短期間の問題だと思うわけですけれども、何回もブリーフィングしながら、そうしてその結果が出てくると思うんですけれども、その場合にはこれはノーということもあるわけですね、これは。
#109
○国務大臣(中曽根康弘君) さらに、先方の説明も求め、よく研究もいたしました上で態度を決めたいと思っております。
#110
○服部信吾君 そういう答弁になってしまうと思いますけれども、やはり私はこれだけ重要なSDI計画に対してもう少し誠意ある答弁をしてもらいたいと思いますし、国民も知りたがっているということだと思いますけれども、この時点でこのブリーフィング計画に応ずるということは、これはもう理解をした。理解をしたというよりも、これでOKしたんだ。本来ならばノーと言うんであればこんなものに応ずる必要はないんじゃないかと思うんですけれども、この辺大臣の見解はどうでしょうか。
#111
○国務大臣(中曽根康弘君) 理解をしたというそういう私たちのポジションは既に示してあるところでありまして、そういうスタンドに、そういう立場に立ちまして今さらに勉強を加えていきたい、そう思っておるところです。
#112
○服部信吾君 この問題の最後なんですけれども、やはり我々としては、じゃあSDIに理解を示してこれからやっていこうということだと思いますし、あれだけ先進国サミットで西側の結束を図るために総理もいろんな面で動いてきておる、そういうことですから、それでそのときの課題がSDI構想と新ラウンドだということもあったというふうに、これでまた総理が反対だなんていうこと言ったら、それこそ西側諸国から何やってるんだと、さんざんあれほど西側の結束を図れ、図れといろいろ根回しまでして、そしてこのSDI構想に反対だなんて言ったらとんでもない、こういうふうに言われて、かえって国際的に信用が失墜するんじゃないか、私そう思いますよ。ですけれども、日本にとって今度SDI計画というのはどれほど、要するに理解示したのはいいですけれども、メリットがあるのかどうか。それから、私は先ほど言った、例えばどんどん海外への先端技術の流出という、我が国が二十一世紀どうしたってこの部門で生きていくしかない、それをアメリカに全部とられるような形になるのじゃないか、そういう非常に心配するわけですけれども、総理のこれに対する歯どめといっちゃおかしいですけれども、何かお考えがあったらちょっと具体的に
お伺いしたいと思います。
#113
○国務大臣(中曽根康弘君) SDIというものは何物であるか、どういう見通しとこれからの青写真及び開発ができるかという点をもっとよく見きわめまして、今おっしゃった問題も含めましていろいろ研究してまいりたいと思います。
#114
○服部信吾君 そういうことであれですけれども。
 最後に、きょうの新聞に生産者米価について報道がされておりまして、どうも今回は七月の三日か四日ぐらいの間ということで、据え置きと、こういうことでありますけれども、それを示唆したということですけれども、これはそうですか。
#115
○国務大臣(中曽根康弘君) 生産者米価の据え置きを示唆したということは言っておりません。これははっきり申し上げておきます。
#116
○服部信吾君 示唆はしないにしても、ちょうどそのときは何か都議選の真っ最中ということで、いろいろと影響があるのでというような報道でしたけれども、総理のお考えとしては示唆はしないまでもどのような方針で臨まれるのか、この点についてお伺いして私の質問を終わりにいたします。
#117
○国務大臣(中曽根康弘君) これは党の皆さんのお考えをまず聞く必要がありますし、米審の審議の状況というもの、答申の状況というものを見て、それから最終的に判断すべきもので、私の方が先にどうだこうだなんて言うべき筋合いのものではありません。そういうことは十分わきまえておりましたから、示唆するという新聞記事はあれは間違いであります。
#118
○橋本敦君 私は、先ほども問題になりましたが、国家機密法に関連をして総理の所見をお伺いしたいと思うのであります。
 今回、自民党が国家機密法案を提案をしてきたことは、そのこと自体憲法が保障する国民の知る権利にかかわる極めて重大な問題であります。私ども共産党は、レフチェンコ事件でも表明をしておりますが、我が国の主権を侵害するスパイ活動や諜報機関の我が国における不法な活動を決して是認するものではありません。しかし問題は、スパイ防止を名目にして国民の言論の自由や知る権利を甚だしく侵害することは絶対に認められない、このことが問題であります。
 そこで、総理にお伺いしたいわけでありますが、まずさかのぼって考えてみますと、戦前は軍機保護法あるいは国防保安法という法律がありましたが、いずれも終戦後ポツダム宣言とそれに基づく我が国民主化処置の中で廃止をされました。それは昭和二十年十月四日に出されました政治的、民事的、宗教的自由に対する制限の撤廃という覚書によってその効力が停止をされました。次いで昭和二十二年四月十八日に、日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律というこの法律によって終局的に廃止をされたわけであります。こうなったのは、これらの法律があの戦前の悪名高い治安維持法などとともに、戦前の我が国の軍国主義体制の法制をつくり上げて、国民の自由を不当に制限したものでありますから、我が国の民主化とは相入れないという立場で廃止をされたのであります。私は、この歴史的経過と認識についてはまず総理とは意見が一致するはずだ、こう思うのでありますが、この点についての総理の御認識を伺いたいのであります。
#119
○国務大臣(中曽根康弘君) 私も橋本さんと同じように、スパイ防止の必要は痛感しておるものでありまして、こういう意味におきましても、国益を守るという点については同じ立場にあると思っております。
 問題は、基本的人権とかあるいは知る権利とか情報公開とか、そういうものとの調和をいかにうまくしていくか、国民の皆さんの納得するものをどういうふうにつくり上げていくかということが問題なのでありまして、そういう点については大いに慎重にしていきたいと思います。しかし、必要性はやっぱりあるのでありますから、日本ぐらいスパイ天国であると言われている国はないのでありますから、そういう点につきましては「羮に懲りて膾を吹く」ということは繰り返さない方がいい、そう思っております。
#120
○橋本敦君 お言葉ではありますが、私は総理と必ずしもスパイ防止が必要だという点で認識が一致していると言ったのではありません。スパイ防止法を制定すること自体は、私どもが今言った言論の自由、報道の自由、国民の権利を守る立場で断固反対しておるわけであります。総理はまた、スパイ天国とこうおっしゃいましたが、日本は役人天国だ、こういう庶民の言葉はそれなりに理解できますが、スパイ天国というのは一体何を意味するか。これは具体性がありませんし、私はいわゆるスパイ防止法を制定しようとする人たちの宣伝の言葉だというようにしか思えないのであります。なぜならば、現行法で不法なスパイ活動行為は十分対処できるからであります。現に、総理が先ほどもおっしゃった宮永事件について言いますと、自衛隊法で厳密に有罪判決で処断をされ対処されておりますし、その際、防衛庁が秘密保全のあり方の洗い直しを行いました。その秘密保全体制検討委員会の提出した報告がありますが、そこでは現行の秘密保全規定は一応整備されている、こうはっきりと言っているわけであります。
 そこで問題を次に進めていきますけれども、まず第一に、我が国の憲法の前文が国民主権と民主主義の諸原則を人類の普遍的原理と宣言した上で、「これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」、こう今の憲法で言ったのは、先ほど私が述べた戦後の廃止処置の考え方を憲法の中にも取り入れて確認した、こう考えていいわけだ、こう思うのであります。したがって、こういった戦前の法体系に類する、そして国民の知る権利を侵害するようなそういう法律は、現憲法はもともと再現させることはこれは許さないという立場に立っているのではないか。そういう点からこの国家機密法を見ていく必要があるわけであります。
 そうしますと第一に問題なのは、何といっても秘密の範囲が極めて広いことであります。御存じのように今度の自民党提案は、まず防衛秘密につきましては装備、防衛構想からその計画、方針、その実施状況、自衛隊の編成、配備、訓練から施設の構造、そしてまた具体的な備品装備の研究開発までほとんど全面的に秘密にするということを別表で決めております。一方、外交はどうか。この問題は重要ですが、自民党の中で検討された第二次案では、この外交は入っておりませんでした。総理も御承知のとおりです。自民党の解説パンフによりますと、外交というのはこれはその範囲が広くて、時間とともに秘密の性格や軽重度が変化する度合いの強いものであるから、法的限定が難しいので公務員の守秘義務の範囲にとどめ、スパイ防止の対象の特別の秘密とすることを見合わせた、こうパンフレットには述べているぐらいでありますが、今度はそれも入れてきた。そういうことで、外交の方針という我が国の外交政策の全般にまで秘密のベールをかぶせることができる、こうなってきたわけであります。こうなりますと多くの新聞は社説で反対を唱えておりますが、ある社説が防衛、外交の問題で秘密でないものを見つける方が困難だ、こうまで書いたのはこれは全くなるほどとうなずける指摘だと言わねばなりません。私は、外交や防衛という問題は本来主権者たる国民が国の進路のあり方、今後の方向、民族の安全の問題も含めて十分に知り得る課題だ、そうなくちゃならぬと思うのであります。例えば戦前、張作霖爆死事件があった、柳条溝や蘆溝橋事件があった。ところがあれはいずれも戦争拡大をねらう軍部がひそかに仕組んだ軍の謀略だったという事実をその当時国民が知り得たならば、国民はやすやすと間違った戦争に日本がいくことを許しただろうか、歴史の教訓に学ばねばならぬと思います。
 そこで総理にお伺いしたいんですが、このように自民党パンフレットも言っておりますが、防衛、外交というものを大きく網を打って特別の法律上の秘密とするそのこと自体が、まさに国民の知る権利をそれだけ狭めるという体制をつくって
いくということに必ずなるのではないか、この点についての総理のお考えはいかがでしょうか。
#121
○国務大臣(中曽根康弘君) 国益を守るために、また憲法自体の存立を守っていくためにも防衛は必要であり、またスパイ防止もこの面において必要でありますから、それを具体的に基本的人権やあるいは情報公開や、あるいは知る権利との調和をどういうふうにやるかという問題に問題は移行してきているのでありまして、その点につきましては各党各派の御意見、あるいは国民の皆さんの御意見をよく聞いて慎重を期してまいりたい、そう思っております。
#122
○橋本敦君 総理が問題は調和だとおっしゃるその前提は、広範な秘密を特別につくってそしてこの国家機密法のような体制をしくことは、やっぱり国民の知る権利と衝突する、制約する、そのことを否定できないという御認識だからその調和が必要だ、こうおっしゃっていると思うんです。私は現憲法の考え方として、明治憲法のように国民の知る権利や言論、報道の自由が法律の枠内で認められるのと違いますから、これはもう先刻総理も御承知のとおりで、まさに今日の憲法は大事な言論、表現の自由に優越的地位を与えようとしている非常に大事な憲法だというふうに理解しなくちゃなりません。そういう点からいいましても、調和の問題とそう簡単に言えないのではないか。現に私が心配するのは、このスパイ防止法制定を促進しております有識者懇談会なるものがありますが、そこでは「国家の機密を守れ」という本を書きましてその中で、この制限はある、しかしそれは最小限度だ、こう述べた上でさらに大事なことは、百歩譲ってそれが仮に違憲であったとすれば憲法自体を改めればよいのだとまで書いてあるわけであります。私はまさにここにこの国家機密法をめぐる非常に危険な、解釈改憲から明文改憲へとまで動いていく一つの動きとの関連で重視しなきゃならぬ問題があると思うんですね。
 そこで次の問題に移りますけれども、私は具体的にそれでは、国民の知る権利を保障するための報道の自由がどうなるだろうかという問題を指摘したいのであります。新聞記者の皆さんの取材活動を例にとって考えてみますと、こういう広範な秘密が特別の枠でできますと、政府の外交、防衛方針のいろいろな問題について今のように自由に新聞で報道する体制を守ろうとすれば、どうしても取材活動を積極的にやらなくちゃなりません。それはまさにこの法で言う探知、収集行為にそれ自体取材活動というのは該当します。軍機保護法でも取材活動は探知、収集に該当するとされてきた。問題は、この国家機密法七条では単に取材するだけでは処罰するとは言っておりませんね、不当な方法で探知、収集すれば処罰するとこう言っておりますが、さてその不当な方法というのがこれがどういう内容のものか明確じゃないものですから、乱用される危険もあり、妨げられる危険もあり、取材活動が制限される危険もある、仮にこれをクリアをして重要な国民に知らすべき事実や情報を得たとしてこれを新聞に報道できるだろうか、これが問題です。これは第八条で知り得た秘密を漏らすこと自体が五年以下の懲役に処するという、こういう体制をこの法律はつくるわけですから、ここのところで全面的にストップになってしまう。取材活動も困難、制限があり、乱用される危険がある。たとえこれをくぐり抜けても、重要な情報や事実を国民に知らせることになりますと他人に漏らしたことになりますから、他人に漏らすというのは、自民党の解説パンフを読んでみましたが、自己以外の者に了知させ知り得る状態に置くことで、相手が特定人であるか多数人であるか問わないと、こう書いてますから、そうなりますと新聞で報道する、雑誌で報道する、本に書くはまさに八条違反、五年以下の懲役に、こうなる。
 こうなりますと、これは総理どうおっしゃろうと調和の問題ではなくて、そうなること自体は政府が公表した内容しか国民に知らせないという体制になってしまうのではないか。ここに国民の知る権利とのかかわりでまことに重大な問題があるという、この事態にならないという保証があるのだろうか、この点についての御所見はいかがでしょうか。
#123
○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく国益を守るためにスパイ防止は必要なんであります。物を盗んでもこれは刑罰に処せられる、いわんや国家機密というようなものをこれを外国に売ったり渡したり、そういう国益を阻害する重大な目的を持っていろいろそういうことが行われるというようなことは見逃すべきものではないのであります。したがって、問題は構成要件をどういうふうにつくるかという問題であるだろうと思います。その点につきましては、今の憲法の精神のもとに人権あるいは知る権利、情報公開、あるいは国会の国政調査権、そういうものとの調和をよくとって慎重を期して行うべきである、そう考えております。
#124
○橋本敦君 総理、お言葉ですが、基本的認識において二つの点で私は指摘をさしていただきたい。一つは、もうそこまでいくと調和の問題ではなくて、憲法の原則に反する問題だという認識で見なきゃならぬのじゃないかということが一つと、それから総理は、物を盗むことはそれ自体違法だという意味で情報もそのたぐいに入れておっしゃったんですが、私は大事なことは、政府は政府の意思で秘密にしたいものがあるだろうが、それは他人の所有物を窃盗罪で所有権侵害をするという単純な本来的、自然犯的法制じゃなくて、それは法によってつくられた問題であると同時に、その中身は逆に国民は知る権利を有することに属する問題が大変多いという、そこのところをどう認識するかということを考えなくちゃいかぬわけであります。
 例えば総理、きのうの夕刊は各紙が「三沢は米の核支援基地 有事に貯蔵・搭載」というような見出し、あるいは核は「アジアには五八〇発」、こういうことで極めて重要な情報を流しております。三沢がアメリカの核の支援基地とされ、沖縄の嘉手納基地はアメリカの核戦略上極めて重要な位置を占め、大和田、所沢などの各通信施設は直接核戦略にかかわる使命を持っているなどということが、アメリカの書籍でアーキン氏が書いて報道されてきているわけでありますが、これが事実だとすればこれは大変なことであります。我が党はこれに関する一部は既に国会でも追及したことがあるわけですが、こうした情報について、これは我が国の非核三原則という国是にかかわる重大な問題でありますし、日本が核戦争に巻き込まれてはならぬという国民の安全と国益のためにも徹底的に明らかにすることは当然であります。
 だから、こういう問題についてまさに新聞は正義のペンをとらねばならぬ、国会では国会議員は国民の負託にこたえて政府に質問をし事実を明らかにし、国是である非核三原則を守るように追及していかなくちゃならぬ。非核三原則という国是、核を持っちゃならぬという方針があるのに、核を含む戦略体制に日本が組み込まれる危険があることを示すような諸事実、外交、防衛の諸事実をこれを秘密にして、これに国民が近づくことを刑罰で重く禁圧するというその法制は憲法の基本精神に反するのではないか、こういう認識がなくちゃならぬ、これが問題ではないでしょうか。
 私は総理に重ねて伺いますが、調和、調整とおっしゃるけれども、この国家機密法なるものが成立した暁に今私が指摘したような本来国民が知るべき核の有無を含む重要な国の外交防衛の諸問題を、国民は十分知り得ることができるという体制が保障できるのか。私はそうならないということを厳しく指摘して聞いておるのでありますが、こういうことについて総理は重ねて、本当に非核三原則を国民とともに守っていくという国民主権の立場に立つならば、これを秘密のベールで覆い尽くして刑罰で禁圧するというそういう仕組みについては、これは許せないという私の見解について、総理の見解はいかがでしょうか。重ねてお伺いしたいのであります。問題は所有権侵害のような自然犯のような本来的違法の問題ではありません。憲法にかかわる知る権利との関係であります。
#125
○国務大臣(中曽根康弘君) スパイ防止は必要である、そういうふうにお互い一致しているわけでありますが、しかしそれのやり方について、橋本さんは今のような御意見を持ち、私は私なりに感覚を持っていると申し上げているとおりでございますが、スパイ防止というような問題につきましては、あくまで今の憲法のもとにつくられるわけでありますから、憲法の精神に沿ってそして基本的人権や、あるいは先ほど申し上げた知る権利あるいは国政調査権、そういうものとうまく調和していく、国益を守る方法との調和を考えるということが非常に大事だと思うのであります。スパイ防止というような、こういう人権にかかわるような、あるいは取材活動にかかわるような問題については非常に慎重を要すると思っております。普通の窃盗あるいは強盗というようなものと、それから合法的に取材活動をやってそして特だねを物にするというものとは明らかにそれは性格は違いますし、知る権利とか報道の自由とかいうものについてはこれは十分尊重されなきゃならない、これが民主社会でありますから、その民主社会の精神にのっとったやはり法律がつくられなきゃならない、そう思っておるわけで、十分御理解をいただきたいと思うのであります。
#126
○橋本敦君 総理にお言葉を返すようですが、スパイ防止法が必要だとは絶対言っておりません。必要ならば現行法で処置すれば足りると言っているのであります。
 そこで、総理今おっしゃった問題の認識をさらに深める必要がある問題がありますので、そのことについて御所見を伺います。といいますのは、この国家機密法の非常に大事な部分がある。外国に国家機密を通報する、これを厳しく処罰する、こういうことです。こう聞きますと、それは当たり前のようにだれしも聞こえやすいです。地方議会でスパイ防止法をやるんだというのもみんなそういうことを言いながらやってきましたが、その中身はスパイ防止のために外国への通報は許さないということを口実にしながら出てきた国家機密法を見ますと大変なものであります。つまりどういうことかといいますと、外交防衛に関して国が秘密としていまだ公開していない問題、それの取材やあるいはたまたま知り得たとしてそれを報道するとどうなるかということにかかわります。第八条は五年以下の懲役になる、秘密を漏らしたならなると私は言いました。ところが、外国に通報する行為だとみなされますとこれは大変なことで、第四条では死刑か無期しかございません。あの戦前の軍機保護法と国防保安法でも死刑、無期のほかに三年あるいは四年以上の懲役刑が選択できたのでありますが、今度は有期懲役が選択できない、死刑、無期だけであります。大変なことであります。
 それでそういう処罰を受けかねない外国に通報する行為というのは一体どういう行為か。私は自民党の方でどうお考えか。「スパイ防止法案 その背景と目的」というパンフレットを読ましていただきまして、見てみますとこう書いてあるのであります。外国に通報する行為とは、直接外国に告知、伝達する場合はもちろん、外国が知り得る状態になることを認識し、そのようになることを認容した行為も含まれると、こう書いてあります。これが大問題ではないでしょうか。直接外国に通報する行為、それはなるほど外国へ通報する行為です。しかしそういう外国に通報する行為じゃなくて、また外国に通報する意思ではなくて、国民に知らせる意思でもって公にしたならば、それはテレビに出ても新聞が書いても著作に書いても、いつでも外国が知り得る状態にあるわけですから、今日のこれだけ情報の発達した社会ではそうなるわけですから、そうなることを認識し、かつこれを認容する行為も含まれると、こうなりますと一切書けないのであります。もし書こうとすれば、まさに重罰を覚悟して書かなければならぬということになってしまうのであります。だからある大新聞の著名な編集委員がこう述べられています。これでは防衛担当記者の活動は広報係の発表や記者会見の内容しか書かないような、よほど無能怠慢な記者を除いてはほとんどすべてスパイ行為となり、重罰の対象となってしまうだろう、まさにそういうおそれがあるという法律の仕組みになっているわけであります。
 こうなりますと、まさに戦前、国民は大本営発表しか知らされなかったという事態の中で、真実を知らされなかったという状況の中で戦争の破滅へいったように、そうならないという保障があるだろうか。まさにこの外国に通報する行為は、国民から見たちスパイ防止の当然のことだと聞こえやすいけれども、こういう解釈をして自民党のパンフレットに堂々と書いてある、そういう法案だと考えますと、それはまさに言論報道の自由、知る権利を重罰でもってこれで禁圧するということになりかねない大問題が含まれているということが明らかではないでしょうか。
 私は最後に総理にお伺いしたいのは、国家の安全を守るということでいろいろおっしゃいました。しかし今国民にとって本当に国家の安全を守る正しい真の道は何か、それは我が憲法が世界に例のない戦争放棄、軍隊を保持しない、我が国の安全や平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼してこれを保持すると誓って、肝心なことに、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意したというこの憲法のもとで、本当の安全は何か。それはまさに国民が日本の進む外交、防衛、こういった重大な国政問題について十分知る権利を持ち、政府を批判することができ、国民自身がみずから判断することができるこの民主的体制を守り抜くことではないでしょうか。
 その点で、総理はさきのボン・サミットで自由と民主主義を守るという政治宣言を出したことを非常に高く評価されております。こういう国民の目や耳や口をふさいで、そして戦前のような体制へ近づくようなことは、これは総理がみずから誇らしげにおっしゃったあの自由と民主主義の宣言に背離するのではありませんか。両立しないのではありませんか。私は矛盾すると思うのでありますが、いかがでしょうか。この点でこの問題について総理の所見をお伺いしたいのであります。
#127
○国務大臣(中曽根康弘君) ボン・サミット参加国におきましてはほとんど全部がスパイ防止法同様な法律を持っております。我が国は、しかし今のような憲法を持ち、また民主主義社会を守ろうという我々の政府の強い決意があるものでありまして、報道陣の取材活動等については民主主義社会において十分尊重さるべきものである、そう考えております。したがいまして、スパイ防止法制定に際しましては、いろいろ構成要件等について国益の種類あるいは国益擁護の方法、その限界等につきましても今の精神に沿いまして十分調整さるべきものである、そう考えておりまして、これは各党各会派や国民の皆さんの御議論も十分聞いて慎重にやっていきたいと思うところであります。ただその必要であるという点だけはここで重ねて強調しておきたいと思うのであります。
#128
○橋本敦君 総理もおっしゃいましたが、問題は諸外国がどうかじゃなくして、こういう憲法のもとで、国民主権を、民主主義の原則を、国民の知る権利を基本的に尊重して、優越的な地位をそれに与えて、民主体制として進んでいくという諸国に例のない我が憲法のもとにおいて、こういう国家機密法が許されるかどうかということが問題であります。私は、総理のそういう御答弁にもかかわらず、この国家機密法は極めて重大な危険を持つ法律であって、こういう法案が出てくること自体、総理の言われる戦後政治の総決算路線の危険を感じざるを得ません。
 私どもは、こういう法律は、憲法に照らして本来国会に出すべきではないものだということを強く認識しておりますが、この問題について、国民の言論や権利をしっかり守っていく立場を貫いて、今後とも私どもは国会で論議をしていきたいということを表明して、時間が参りましたので質問を終わります。
#129
○井上計君 中曽根総理は、今国会の冒頭に力強い所信の表明をなされました。
  私は、内閣総理大臣の重責を担って以来、「戦後政治の総決算」を標傍し、対外的には世界の平和と繁栄に積極的に貢献する「国際国家日本」の実現を、また、国内的には二十一世紀に向けた「たくましい文化と福祉の国」づくりを目指して、全力を傾けてまいりました。このような外交、内政の基本方針を堅持し、国民の皆様の幅広い支持のもとに、これをさらに定着させ、前進させることが私の果たすべき責務であると考えます。
 冒頭こうお述べになりまして、以下いろいろとお述べになっております。その中で、「(国際社会における積極的な貢献)」という中で、
 戦後の経済発展が、世界の平和と各国国民の理解と共感の上に初めて可能であったことを銘記し、国際社会において重要な地位を占めるに至った今日、世界の平和と繁栄のため、積極的な貢献をしていかなければなりません。
さらに、後段の方で、
  世界経済は、全体として回復基調にありますが、西欧諸国の高水準の失業、米国の高金利、開発途上国の累積債務等の困難な諸問題が依然として存在し、これを背景に保護主義的な動きも根強いものがあります。
  国際的な相互依存関係がますます深まっている今日、自由貿易体制の維持強化及び世界経済の活性化への積極的貢献を行うことが、今や世界経済の一割を占める我が国の責務と考えます。
  このため、我が国は、景気の持続的拡大を図る中で、引き続き国内市場の一層の開放に努め、金融・資本市場の自由化、円の国際化等を促進するとともに、新しい多角的貿易交渉の早期開始に向けて、積極的役割を果たしてまいります。
このようなことをずっとお述べになっておるわけであります。
 このような総理の所信表明が、現在まで総理並びに政府の御努力によって進められておることについては私も評価いたしております。しかし、まだ解決していない問題、あるいはまた、さらに一層今後努力をしていかなければならないような問題、あるいはまた、さらにその後新しく発生しておる問題等々が多くあるであろう、こう考えます。
 そこで、総理にお伺いをいたしたいのは、明年五月に東京でのサミットが開催されることが既に決定しておるわけでありますが、主宰国の総理として、次の東京サミットにおける課題は何が中心になるのか、あるいはまた何が重要な課題となってくると、このようにお考えであるのか、サミットを主宰される総理のひとつ御所見をお伺いいたしたい、こう思います。
#130
○国務大臣(中曽根康弘君) 明年五月初旬に東京で開催を予定しておりますサミットにおきまして、どういうことを議題にするかということは、これから各国と相談をいたしましてその議題を逐次決めていく予定でございまして、今主宰国となる日本がああだ、こうだということは差し控えたい、各国の御意見を十分聞いた上で調整をしてまいりたいと申し上げたいと思うのでございます。
 ただ言えることは、サミットの設立の精神から考えまして、世界経済の運営の問題、これはやはり大きな中心点になるであろう、そういうことは疑いを入れません。これらの問題を中心にいたしまして、各国がいろんな問題を持ち寄るだろうと思いますが、それらをまとめてまいりたい、そう思っておるところでございます。
#131
○井上計君 今後、各国の意見をそれぞれ聞かれて、それらのものをまとめてサミットを主宰されるわけでありますけれども、今総理のお話の中にありましたけれども、いわば、ただ単に簡単に処理できない問題というふうなものがますますふえてくるであろう、しかも解決処理には数年の長きを必要とするような問題がさらにふえてくる、来年のサミットではそのような問題が多くなることは当然予想されるわけであります。
 そこで、大変失礼でありますけれどもお伺いいたしたいのは、中曽根総理の自由民主党総裁としての任期は党則によって明年の十月と聞いております。もちろん自民党の総裁任期と総理の進退とが一体ではありませんけれども、しかし政党政治であります今日、またいろいろと言われておりますことを聞きますと、自由民主党の総裁を任期満了で退任をされると、当然総理辞任となるというふうな話を聞いておるわけでありますが、とすると、このような重要な課題を抱えた東京サミット、さらにはそのサミットの宣言あるいは決議等々、数年を必要とするような重要な問題等を、主宰国の総理として果たして主宰をされた場合、参加各国が、あとわずかで任期が切れる、総理を退任されることについての信頼感といいますか、信用といいますか、そのようなものについてどう参加各国が考えるであろうか、あるいはそれらについてやはりサミットを主宰されることについての運営上の問題が生ずる懸念はないのであろうか、このようなことを実は私ども考えるわけであります。既に国民の中にはこのような懸念を示しておる人が実はいるわけでありますけれども、このような疑問に対してそういう懸念が生ずるのかどうか、あるいは生ずるおそれがないのか、それらのことにつきまして大変お答えにくい質問ではあろうと思いますけれども、総理のひとつ御所見をお伺いいたしたい、こう思います。
#132
○国務大臣(中曽根康弘君) 私も持ち時間が少なくなってきましたから、公約の実現に全力を注いでまいりたいと思っております。
 しかし、多分自民党政権が続くでありましょうから、御心配は要らないと思いますし、私の周りにも何回もサミットに出た有力な候補者がおりますから、そう御心配はない、政策の継続性は厳として守られていく、国際信用も守られていく、維持されていくと確信いたしております。
#133
○井上計君 現在の総理のお立場ではこれ以上のことはお答えにならぬであろうということは予想いたしておりましたが、私どもとしてはこのような問題がやはり今後ともさらに大きな話題となる、このようなことを考えながら現在の総理のお気持ちをひとつそんたくいたしまして、この問題についてはこれ以上お伺いすることはやめます。
 さて、そこで次に、行政改革は中曽根内閣の重要な公約であることは申すまでもありません。電電、専売等については民営化に移行をされました。しかし、電電あるいは専売の民営化移行されて以降、今後の状態を見守っていかなければ、必ずしも行政改革の本当の成果が上がったということについては論ずることはできないと考えておりますが、一応の評価をしておるわけであります。
 しかし、行政改革の最も大きな目玉と言われております国鉄改革についてでありますが、国鉄再建監理委員会からは来月には答申が出るということが伝えられておりますし、既にその骨格についてはでき上がっておるというふうなことについても、昨日も報道されておるわけでありますが、この再建監理委員会が出すであろう答申、すなわち分割民営化の案に対して国鉄当局は分割反対、全国一本の民営化を既に一月に発表して真っ向からこれと対立をしておるわけであります。これらのことにつきまして総理はどのようなひとつ御認識でありますか。この分割民営案に対しては強硬に反対しておる政党もあります。あるいは労働組合もあります。また各方面にもそのような運動があると聞いておりますけれども、総理のひとつ御所見をお伺いをいたしたいと思います。
#134
○国務大臣(中曽根康弘君) 国鉄監理委員会の答申が出る前に軽率な発言は慎みたいと思いますが、既に国鉄監理委員会は大体その方向を明示しておるわけでございます。答申が出ましたら十分検討いたしまして、その趣旨に沿いまして、法律にもそういうことが書いてあるわけでありますから、尊重いたしましてこれを実現するように全力を注ぐつもりであります。答申の内容にもよりますが、国民の皆さんの御理解をいただき、各党各派の御協力もいただきまして円満にこれを推進してまいりたいと思う次第でございます。
#135
○井上計君 運輸大臣はこの問題についてはどの
ような御見解でありますか。
#136
○国務大臣(山下徳夫君) 国鉄の経営問題につきましては、既に臨時行政調査会の第三次答申におきましても分割民営が、その方針が明らかにされておりますし、また国鉄再建監理委員会の昨年の八月の第二次緊急提言におきましても、基本的には分割民営化というものを念頭に置いて検討するという基本方針が既に明らかにされておるのであります。しかもこの基本方針につきましては中曽根内閣といたしましてもこれはこの監理委員会の第二次の緊急提言、このことにつきまして最大限に尊重するという既に閣議決定もなされておるわけでございますから、私どもは答申が出されるならばそういう基本的な認識に立ってこれを最大限に尊重してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#137
○井上計君 次に国鉄総裁に伺います。
 今、中曽根総理もまた運輸大臣も再建委員会から出る答申についてこれを最大限尊重する、既に閣議決定もなされておる、こういうふうなことについてこのように御決意あるいは御所見を伺いました。この問題につきまして国鉄総裁はどのような御見解をお持ちでありますか、まず伺います。
#138
○説明員(仁杉巖君) ただいま先生から御指摘がございましたが、「基本方策」におきまして私どもが分割に真っ向から反対したということではございません。あの文章の最後にございますが、私どもは六十五年まで一体としていきたい、後につきましてはスト権の問題、労働基本権の問題、あるいは分割も含めてそれまでに再検討したいということを申し上げたわけで、分割に反対したということではございません。
 なお、あの案を御説明いたしましたときに「総裁談話」を発表してございますが、その中で、各方面からの御批判や御指摘に対しましては謙虚に拝聴し、監理委員会の審議に対し積極的に協力をするということ、並びに答申が出されまして政府案の作成、並びに政府案ができた場合にはこれに全力を挙げて従いますということを申し上げているわけでございまして、現在もその考え方は変わっておらないわけでございます。
#139
○井上計君 総裁、伺いますが、国鉄の内部に経営改革推進チーム、聞きますと通称が秋山機関と言っておるそうでありますが、このような組織が設けられていると聞いておりますけれども、どうですか。
#140
○説明員(仁杉巖君) 本年の二月の初めにそういうチームを設けてございます。
#141
○井上計君 その秋山機関、通称で申し上げますが、その秋山機関の目的はどのような目的ですか。
#142
○説明員(仁杉巖君) これは私が提唱してつくったものでございますが、今まで監理委員会の窓口あるいはいろいろな基本方策をまとめるチームといたしまして経営計画室というものを土体に考えておりました。しかし、今後分割民営化というようなことを進めてまいりますと、法律だけでも二百本ないし三百本に絡むだろうというような問題点もございまして、さらに担当の各部局においてそれぞれ作業をしてもらわなきゃならない点もあるというようなことを踏まえまして、私どもといたしましては今までの組織ではとても対応できないだろういうことで秋山チームというものを、秋山チームと申しますか、改革推進チームというものを設けまして全社を挙げてこれに対応していくという考え方でこれを設置したものでございます。
#143
○井上計君 聞くところによりますと、この秋山チームは分割の問題点を指摘して、各方面に対して事実上の反対運動を行っておるというふうなことを聞いておるわけでありますけれども、総裁はどのような認識をお持ちでありますか。
 また、今総裁が私の発意によってこういうふうなものをつくったと、こういうことであります。それは国鉄の正規の職制としてつくられておるのかどうか、正規機関としてつくられたものかどうか、あわせてお伺いいたします。
#144
○説明員(仁杉巖君) まず第二点でございますが、正規と出しますか、規定上の組織ではございません。プロジェクトチームでございますから、必要に応じて設けたというふうに御理解を願っておきたいと思います。
 それから分割の問題点につきまして、分割するとなるといろいろ問題点があるということで、いろいろとその問題点を挙げているということはございます。ただ、これは我々の勉強の一つの資料でございまして、決してこれを外に向けてPRするというようなことをしているわけでございませんので、非常にデリケートな資料につきましてはむしろ我々から引き上げておる、会議が済むと引き上げるというような細かい神経まで使っておるわけでございます。
#145
○井上計君 時間が余りありませんから、この問題について詳しい指摘をすることは差し控えますけれども、しかし総裁は先ほどお話になりました分割案に必ずしも真っ向から反対しているんではないという御発言、それから総理、運輸大臣が言われましたように再建委員会の答申が出れば、それはもう絶対的に最大限尊重する、それは閣議決定をしておるという御発言と、この秋山チームが行っておる行動と、率直に申し上げてかなり違いがある、あるいはある意味では総裁の言われたことと違う行動をしておることを実は是認をしておられるということについては、私は重大な問題だとこのように指摘だけしておきます。
 ただ、分割案についていろいろと研究をしておるということでありますけれども、しかし事実上外部に対して、また影響ある各方面に対してこの秋山チームなるものが分割案についての問題点を指摘してずっといわばPRをしておる、こういうことでありますけれども、それは事実上の反対、反対運動とこのようにとられてもいたし方がなかろう、こう思いますから、これもひとつお考えになることをこの際指摘をしておきます。
 時間がありませんから次の問題に移りますけれども、そこで、いずれにしても国鉄を再建するためには多くの問題点を処理していかなくちゃいけないこと、これは当然です。先ほど総裁もお述べになったとおりであります。同時にまた、そのために障害が多いこともこれは十二分に承知をいたしておりますが、その処理する問題の一つとして、やはり何といっても労務対策あるいはまた労務管理の問題があろうというふうに思います。
 そこで具体的な問題としてお聞きをいたしたいのは、五十年の十一月二十六日から十二月三日まで、当時スト権ストということが言われましたが、要するに明らかに不法ストであるというふうに、これはもう当時国鉄総裁もまた政府もこれをこのように断定したわけであります。そこで国鉄はこの不法ストが行われたことによって生じた損害二百二億四千八百二十七万円の賠償請求訴訟を労働組合を相手取って訴訟をされております。この問題について私は五十三年の五月二十五日の内閣委員会、さらに五十四年の二月の予算委員会、五十五年の二月の予算委員会、五十八年三月の予算委員会と、実は今まで四回この問題等について当時の高木総裁に対する質問を行っておりますけれども、現在どのような経過になっておるのか、あるいはどのように解決をしたのか、お伺いをいたします。
#146
○説明員(仁杉巖君) 先生御指摘がございましたように、昭和五十一年の六月に第一回の口頭弁論が開かれておりまして、その後国労、動労等は、公労法十七条の違憲論というようなものを中心とした法律論あるいはストの目的の正当性に関する主張というようなものを展開をいたしておりましたが、これらについて一々私どもとしては反駁をいたしておるわけでございまして、これらの反駁が終わりまして、昭和五十八年の五月の十八日、第二十八回の弁論から証人調べに入っております。これらにつきまして、現在は原告であります国鉄側申請の証人六名に対する証拠調べの中で、今二人目が進行をしているというような状況でございます。
 この中間におきまして、私どももいろいろ、先生からの御指摘もございましたように、これを早
く解決をしたいということで、五十七年の五月、五十九年の一月、五十九年の五月に裁判所に対しましていろいろと裁判を早くというような上申書を提出しているというような状況でございますが、裁判所も非常にいろいろと気をつかっていただいておるわけでございますけれども、なお証拠調べ等がなかなか進展しにくいというような事情もございまして、現在ではいつこれが結審するかという見通しを立てるに至っていないということでございます。しかし我々といたしましては今申し上げましたように裁判所にもいろいろお願いをいたしまして、この訴訟の推進を図っていくために努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。
#147
○井上計君 総裁、済みません、ちょっと今聞き漏らしたんですが、現在まで何回の弁論が行われたか、ちょっと回数をもう一度お聞きいたします。
#148
○説明員(仁杉巖君) 今までの開廷数は三十五回でございます。それで証拠調べに入りましたのが第二十八回からでございます。
#149
○井上計君 今総裁からお答えをいただきましたのは、五十八年の三月十一日、予算委員会で私のこの点についての質問に対して高木総裁からお答えをしていただいたこととほとんど変わらないんですね。ただ変わっておりますのは、そのときに高木総裁は「今日まで二十七回の弁論が法廷で行われております。」と言われている。したがって今三十五回とお聞きしましたからその後七回ふえておるということだけで、あとは大体御答弁はほとんど同じなんですね。それで早く結審に持っていきたいというのも、このときにも高木総裁が実はおっしゃっておられるわけであります。さらに五十五年のときにも、高木総裁のそのときの見通しでは速やかに結審に持っていきたいと、こういうことであったわけであります。
 私はこの問題を特にきょうお尋ねしたのは、いろいろな問題があります、先ほど総裁お話しになったように民営化に移行するために処理していかなくちゃいけない問題がたくさんあるわけです。また処理の仕方によっては国民から大変な批判を受けて、せっかくの民営化がうまくいかないであろうというふうにやっぱり危惧される問題も出てくると思うんですね。その中の重要な一つとしてこれをあいまいにされたのでは困る、このことを私は特にお願いをしておきたいと、こう思うわけです。
 また、既にこのことも当時の高木総裁にも申し上げておきましたけれども、二十四年六月のスト権ストによる損害三千五十七万円の賠償請求訴訟は、昭和二十七年の二月に東京高裁で和解が成立しているわけですね。そのときの和解の条件として、金銭の請求は棄却する、それはゼロとする。ただし自今このような損害を与えるようなストはやらないという覚書が交換されておるわけでしょう。それにもかかわらず、二十七年の和解以降既にもう何十回という言えば不法ストが行われておる。しかも五十年にはこんな大きなストを行って大変な迷惑をかけておるということですね。このようなことがあったのにかかわらずなおこういうようなことが続いておって、依然として五十一年の賠償請求訴訟が十年になんなんとしてもまだ解決していないということは、私は怠慢と言うとあるいは違うかもしれませんけれども、そこに本当に国鉄当局がこの国鉄を再建をするという熱意、国民の期待にこたえる熱意というものが果たしてあるのであろうかどうかということを疑わしく思っておるわけでありますが、総裁、どのようにお考えでありますか。
#150
○説明員(仁杉巖君) 先ほどお答えいたしましたように、現在私どもといたしましては裁判所にもいろいろお願いをしているというようなことで、この結審を急ぐようにという努力を重ねておるわけでございますが、事は裁判所のいろいろ御都合もございますのでなかなか思うに任せないという点もございます。
 それから和解というような問題につきましては、現在のところ何らの動きはございません。
#151
○井上計君 時間が参りましたから、この問題は午後また国鉄総裁に若干お伺いしたいと思っております。
 そこで運輸大臣、今の私と総裁とのやりとりをお聞きになりましてどのようにお考えでありますか、またどのような御認識でありますか、お伺いをいたします。
#152
○国務大臣(山下徳夫君) 率直な感じとして随分長くかかる裁判だなということを私も思っておりますが、何分目下裁判が進行中でございまして、あえて私からいろいろ申し上げることは差し控えなきゃなりません。ただその動きを私どもは見守ってまいりたいと思っております。
#153
○喜屋武眞榮君 時間が短いですので、中曽根総理に対して三点お伺いいたしたいと思います。
 まず第一点は、中曽根総理は御就任以来非常に精力的に国際外交を進めておられる、これは大変結構なことだと思っております。ところで、日本の繁栄やあるいは文化等、もろもろの問題に対して総理の及ぼす影響力というものが非常に大きいだけに、この外交交流の姿勢というものが非常に大事であろうかと私は思うんです。そこで第一点お聞きしたいことは、中曽根総理はどういう姿勢で国際外交交流を進めてこられたのか、またこれからも進めようとしておられるのか、まずその点をお伺いしたいと思います。
#154
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本国憲法の明示するところに従いまして、世界の平和の達成及び世界の共存共栄の達成ということをまず第一に大事であると考えております。日本はある意味におきましては自由主義体制をとっておりまして自由主義陣営の一員である、そういう立場にございます。東西に割れていることは甚だ遺憾でございますが、現実としてこれがある以上は、世界の平和を守っていくためにそういう体制の中に入ってそれ相応の世界平和のための協力もしておるわけであります。
 それからアジアの一員でありまして、このアジアの発展途上国から先進民主主義国になったという日本の過去の歴史というものを深く銘記しつつ、発展途上国やあるいは新生非同盟の国々に対する我々の配慮というものも十分していかなければならない、そのように考えております。以上が基本的な考え方でございます。
#155
○喜屋武眞榮君 ただいまのお言葉の中にもありましたが、コメントの中でたびたび、西側の一員である、そして西側陣営は団結しなければいかぬというお言葉とか、そしてアメリカとは同盟関係にあるんだと、こういうことを強調しておられることが頻々とうかがえます。そのお言葉の中から、国民の中から、大変失礼ですけれども、中曽根総理何だアメリカ一辺倒じゃないかと、こういう声も耳に入るわけでありますね。このことは、アメリカ一辺倒であると国民が思うそれ自体に私は問題があるのではないかとも、こう思われてなりません。
 そこで、私が次のことをまた率直に述べたいと思うのでありますが、安倍外務大臣は創造的外交ということを強調されて、特に北欧とかあるいは東側を風通しをよくしなければいけないという意図で、また精力的に駆け回っておられるのでありますが、この安倍外務大臣の東欧諸国を駆け回っておられることに対して、中曽根総理はどのように評価しておられるのであるか、これをお聞きしたいと思います。
#156
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の安倍外務大臣の東独、ポーランド訪問等は、私は積極的に勧めてやったことでございます。
#157
○喜屋武眞榮君 なぜ私が安倍さんのことをあれしたかといいますと、結局安倍さんの視点は、やっぱりソ連と仲よくしていかなければいけないという、このことが十分うかがえるんですね。そのことを思うと、先ほどアメリカ一辺倒ということを申し上げましたが、これは好むと好まざるとにかかわらず対米対米とアメリカ一辺倒を強調し過ぎますというと、これは国内においてもあるいは外国におきましても今度は反ソという、親米が強調し過ぎますというと必ず反ソというムードが生
まれてくる、これはもう理屈じゃありません。今度は逆に、親ソ親ソを強調しますと反米という、こういうことになりかねないと思うのであります。そういう姿勢では、私は本当の平和、本当の日本の政治の国の進め方としてはどうかと思うんです。そういう意味で、中曽根総理としては平等にというお気持ちかもしれませんが、そのお言葉なのか、あるいは行動の中から受けとめる国民の声というものはそういう声があるということを率直に申し上げておきたいと思います。
 次に、沖縄は復帰して十四年になるわけですが、沖縄に対して、沖縄の現状に対して中曽根総理はどういう理解を持っておられますか、認識を持っておられますか。そのことをお聞きしたいと思います。
#158
○国務大臣(中曽根康弘君) 国民所得、経済状況等を見まして、沖縄がまだ本土と比べてみまして弱い地位にあるということを心を痛めております。復帰後、海洋博をやりまして、あれは一つの転機であったと思いますが、その後失業も依然として多く、あるいは所得水準も低い、こういう状況をできるだけ早く脱却できるように努力してまいりたいと思っておるところでございます。
#159
○喜屋武眞榮君 これももう一問一答の時間がありませんので、このことをまず私はたたんでまいりたいと思います。
 沖縄は復帰十四年目になりますけれども、現実は占領の継続であるということ、これが厳たる事実であります。占領の継続である。そこで今度は、最近渡米されました加藤防衛庁長官とワインバーガー国防長官とのお話し合いの中から生まれてきたのはどういうことであるかというと、沖縄基地は米国の対ソ戦略の中に位置づけられていることがますます明確になって再確認されたということなんですね。そうしますと、さらに気になりますことは、沖縄県民にとって見逃してはいけないもう一つの視点があります。それは五九中業の内容そのものに沖縄基地の一層の強化がうかがえるということなんですね。そうしますと、沖縄の現状はこのように集約できると思うのであります。沖縄県民にとって基地被害は目に余るものがあり、もはや耐えられない限界まで来ておるということなんです。そうしますと、この限界を、さらに基地強化が続くといいますと、十分予想されることは、日米防衛協力の強化は即沖縄基地の機能強化につながってきておるということなんです、これまでも。これからもそうなるでしょう。そして沖縄基地の強化は、沖縄基地の機能強化は、事故の多発となって沖縄県民の生命、財産を脅かしてきておるということなんです。そこで私、現状を踏まえて中曽根総理がどういう沖縄に対する認識を持って、理解を持っておられるかということは、この基地の問題、派生する事故の問題を一歩でも二歩でもよくしていくという、解決していくという解決の方向に持っていくためには、もう日本とアメリカの日米のテーブルに着いた交渉の中でしか沖縄問題は解決できない、解けない、こういうことが結論であります。そこで、中曽根総理に、沖縄問題をどのように理解しておられるかということは、先ほど抽象的でありましたけれども言われた、その沖縄を中曽根総理はどういう今後の御見解、姿勢をもって対処していこうと思っておられるのか、明確にひとつお聞かせ願いたいと思います。
#160
○国務大臣(中曽根康弘君) 喜屋武さんの御意見を体しまして、県民の皆様方が御期待しているような基地問題の解決、特に米軍による不祥事件等の続発等につきましては、我々も厳重にこれを起こさないように米軍側にも申し入れ努力もしてまいりたいと思います。沖縄の県民の皆様方が米軍の施設を抱えまして、日本の防衛上非常に大きな犠牲をしょってくださっているということにつきましては非常に心から感謝しており、それらの御苦労に対して我々はできるだけの報いをしなければならないと、そう考えております。
#161
○喜屋武眞榮君 もう一つ、ただいまの総理の御答弁に対して、ぜひもう限界に来たという沖縄の現状をしかとひとつ最高責任者の総理の胸にとめていただいて対処してもらうことを重ねて要望いたします。
 最後に、これは開発庁長官の意図は大体お察ししておりますので、ぜひ総理のコメントをお聞きしたいという問題は、いわゆる開発庁の統合の問題であります。北海道開発庁と国土庁との三庁の統合の問題、よもや沖縄開発庁を行革のその線に沿うて一つに結ぶと、統合すると、こういうお気持ちはお持ちにならぬと思いながらも、大変気になりますので、その統合問題と沖縄開発庁との問題はどのように考えていらっしゃるかお聞きをいたしまして、質問を終わります。
#162
○国務大臣(中曽根康弘君) 沖縄の皆様方が、沖縄開発庁の存在について非常に関心をお持ちであることはよく承知しております。当面、三庁の連絡会議を活用いたしまして、統合の実質的な実を上げていくように努力してまいりたいと思います。
#163
○委員長(佐藤三吾君) 以上をもちまして、中曽根内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。
   午前の審査はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。
   午後一時十分休憩
     ─────・─────
   午後二時一分開会
#164
○委員長(佐藤三吾君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、昭和五十七年度決算外二件を議題とし、総括的質疑、各省大臣に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#165
○菅野久光君 租税還付加算金についてまずお伺いをいたしたいと思います。
 租税還付加算金は、国民が税金を多く納め過ぎて国から返還されるときに、その利息分として納税者が受け取るものであります。これが五十六年度一般会計決算書には予算額が九十一億六千万円、予備費使用六億二千万円余で、決算額は九十七億八千万円余となっておりますが、この決算委員会で審査している五十七年度の決算書にはこれに関する記載が全く見当たりません。この還付加算金の性格からして全然ないということもちょっと考えられないのですが、何か制度改正をされたのかどうか、まず御説明をいただきたいと思います。
#166
○政府委員(的場順三君) 御指摘のとおり、五十六年度以前におきましては、還付加算金は国税等の過誤納付による還付金等の支払いと異なり歳出予算に計上され、国の歳出として支払われていたところでございます。しかし、還付加算金の支払いは法律に定められている義務費であるにもかかわらず、予算不足を理由としてその支払いが遅延するということは納税者の不満を醸成するということ、納税者に御迷惑をかけるということと同時に、本税の還付金に付随して生ずるという法律上の性格がございます。そういった理由から還付金と一体のものとして、資金から直接支払われるよう改正し、事務処理の合理化を図ることとしたものでございます。
#167
○菅野久光君 今のお話では、国税収納金整理資金に関する法律、これを改正して、還付加算金について本体の還付金と同じ扱いをすることにして、一般会計を通さずに国税収納金整理資金から直接支払うこととしたためだということですね。
 確かに五十七年度当初予算以降、予算項目から租税還付加算金の項目がなくなっておりますのはそういうことであろうと思いますが、この制度改正は受け取る側の法人あるいは国民側から見たらどういうことになるのか。国側の計算違い等による税の取り過ぎから派生する還付加算金はどこから出ても返してもらえばいいのであって、受け取る側のメリットは一般会計から支出されるのも国税収納金整理資金から直接支出されるのも同じようなものですが、今若干お述べになりましたけれども、いろいろ一般会計を通すと時間がかかるだとか、何か手続等の関係で国民が迷惑をするとい
うことでありますが、そういうことで、還付加算金の支払いの迅速化による納税者の利便の増進、それから還付事務処理の簡素合理化、これを図ったということなんですね。
 この国税収納金整理資金に関する法律の五十七年の改正時点のこれは趣旨説明にも載っておりますからこれは確認することができます。しかし、これはどうも表向き、国会向けの理由ではないのかというふうに思わざるを得ません。どうも大蔵省の意図した本当の理由は何か別なところにあるのではないか。いろいろお話を聞きますと、時々そういう手品を使うというふうな話なんかもありますから、そういうふうに思わざるを得ないわけです。
 まず、五十六年度の租税還付加算金の一般会計予算額は当初予算で九十一億六千万円でありましたが、この制度改正によってこの分も含めてすべて同整理資金から支払うことになると、その分一般会計の予算項目がなくなる。そうですね。そうしますと次年度の予算要求、つまり概算要求時点における対前年度比ゼロシーリングあるいはマイナスシーリングとの関係はどうなるのでしょうか、お伺いいたします。
#168
○政府委員(的場順三君) 今委員御指摘のとおり、本件の改正は一つは先ほど来述べられておりますように納税者の利便のためというのが一つと、それから全体として国税庁の事務費あるいは定員につきまして厳しいシーリング等を行うということもございまして、事務を合理化するという観点からでございます。その結果として今御指摘のように確かに五十六年度の予算では九十一億六千万の計上がございます。翌年度以降はこれがございませんから、その部分は枠として使えるではないかということはございますけれども、それは結果として出たものでございまして、それを意図して改正したものではございません。
#169
○菅野久光君 意図したものとしてやったのではないということですが、しかしあくまでもシーリングのときには前年度比ということになるわけですね。
 それではこの前年度の約百億に近いお金はその基礎、何兆という予算ですから、百億ぐらい大したことはないと言われるかもしれませんが、そのシーリングの対前年度比という中には、この百億近いお金というのは入っているというふうに理解してよろしいんですね。
#170
○政府委員(的場順三君) 各省の予算の要求枠、要求基準あるいはシーリングというものは、前年度に減るものを減らし、翌年度ふえるものをふやすというふうなそういう厳密なものをやっているわけではございませんで、各省にもそれぞれ前年度限りの経費というのはあるわけでございますけれども、それは前年度の枠の、例えばこの当時でございますとゼロシーリングでございますから、前年度の枠の範囲内で要求していただくということでございます。したがって、結果的にこの九十一億というのは確かにそういう先生の言われるようなことになりますけれども、それを意図したものでないということは御理解をいただきたいと思います。
#171
○菅野久光君 意図したものではないということはわかりますが、あくまでも対前年度比といった場合には、これも入れた対前年度比ということですね。
#172
○政府委員(的場順三君) そのとおりでございます。
#173
○菅野久光君 非常に各省厳しい予算の査定をするというときに、たとえ百億、九十一億円ですか、であったとしても、そこのところがやっぱりちょっと引っかかるところなんですね。大蔵大臣いかがでしょうか、今の対前年度比という場合に、全く予算項目から落としてしまったものも対前年度の場合には入れるということについてはどのようにお考えでしょうか。
#174
○国務大臣(竹下登君) 今説明しておりますように、五十六年までは旧制度と申しますか、五十七年度法改正してこのようなことになっておると。だから、今おっしゃいます疑念と申しましょうか、疑問というよりも、それは私も理解できます。が、現実問題としてなかなか初めから意図することはできないということになるとすれば、妥当な措置として御理解いただかなきゃならぬのかなと、素朴な感じだけをお答えさせていただいたわけであります。
#175
○菅野久光君 シーリングの関係から言えば、まずその足元の大蔵省自体がそこのところをやっぱり厳しくやっていくことが他省庁に対しても求めていくことになるのではないかという観点から私は申し上げておりますので、その点、今後また毎年毎年こういったような作業がなされるというふうに思いますが、そういう点では、やはりそういう姿勢が大蔵省にとって大事なことではないかということを、ここの部分は指摘をしておきたいというふうに思います。
 次に、この制度改正に付随する問題として、予算科目から租税還付加算金が落ち、それに伴って予備費支出もなくなったことによって、ある年度に還付加算金がどれだけあったかということが予算書、決算書では全くわからなくなってしまいました。これは、制度が変更になったからですから、やむを得ないといえばやむを得ないことかもしれません。ところが、毎年度決算とともに国会に提出され、決算委員会で現に審査対象としている国税収納金整理資金受払計算書を見ましても、五十六年度以前は還付金と還付加算金と分けて記載されたのが、五十七年のこの法律改正後は加算金が還付金に含めて計上されることになったために、ここでも加算金の額がわからなくなりました。そうですね。五十七年三月のこの法改正の段階では、政府側はこのことは一言も言っていないわけでありますし、例え一般会計を通さずに同資金から直接加算金を支払うとしても、それが即加算金と還付金と合計して関係書類に記載しなければならない必然性は私はないと思うんです。なぜこういうことになったのか、この理由を御説明いただきたいと思います。
#176
○政府委員(的場順三君) 先ほど最初に申し上げましたように、一つは事務処理上の問題がございます。したがいまして、予算でその還付加算金というものをなくしたわけでございますから、決算上それをフォローするというふうな体制にいたしますと、結局事務処理上は余りそれをなくしたことと関係がないような形になってしまいます。ちなみに、国税庁で所管しております還付金は、五十九年度で約八百万件ぐらいございまして、今後乙れを、例えば先生御指摘のような形で決算の段階で報告するということになりますと、その八百万件弱のものに他の所管のところを加えまして集計をするという作業が必要になるわけでございます。そういたしますと、現在定員につきましても事務費につきましても極めて御迷惑をかけているような状況になっておりますので、将来の長期的な課題として勉強はさしていただきますけれども、当面、すぐにそういう形で決算の御審査に供せるような形に直すということはなかなか無理があるということを御理解いただきたいと思います。
#177
○菅野久光君 今、五十九年度の還付金は八百万というふうにおっしゃられたと思いますが、その額間違いありませんか。
#178
○政府委員(的場順三君) 国税庁で所掌しております還付金の件数でございます。八百万件でございます。
#179
○菅野久光君 還付金と還付加算金、これはそれぞれの税務署なり何なりの中では、分けた形での取り扱う還付金は幾ら、それから還付加算金は幾らと、こういう形でそれぞれの税務署の段階での集計、取り扱う金額、そういうことはわかっているのでしょうか、わからないのでしょうか。
#180
○政府委員(緒賀康宏君) 現在では、この制度改正によりまして、そういう還付金と還付加算金を別々に区分して集計をしているということはやっておりません。まさにそのために制度改正をお願いしたような次第であるというように思っております。
#181
○菅野久光君 昭和二十九年度の「国の予算」に
よれば、「租税還付加算金は、払いもどし金のごとく過誤納金に見合うものでなく、法律に基き国の債務が発生するものであるから、その性質上歳出予算に計上した。」と、はっきり別途に還付加算金を取り扱うことを記述していることは、別途に扱うことにそれなりの根拠、理由があったと思うんです。従来のやり方が全く意味のないやり方であったというはずが私はないと思うんですが、大蔵省のこの法律改正時の答弁が一つの割り切りであるということで、制度を設けたときの考え方とは違っているということは、この従来のやり方についてその意義を認めているというふうに思うんです。このように、ある程度性格の異なるものを一緒にして合計数字だけを載せて済ますというのは、一種の、国会のずっと今までの論議の経過からいって、国会軽視につながる行為ではないかというふうに思うんですが、この点は大蔵大臣いかがでしょうか。
#182
○政府委員(的場順三君) 確かに、御指摘のとおり従来分けて区分経理をしていたものでございますから、それなりの意義はございました。ただ、先ほど来申し上げておりますように、事務が大変ふくそうする。つまり、全体としての納税人員もふえてきた、あるいは件数もふえてきたということで、その事務の合理化との観点から、法益を害しない範囲で、お許しをいただいて法律改正をさせていただいたということでございます。
 御指摘の決算審査との関係でございますが、先ほども申し上げましたように、国税庁の事務処理体制というのは極めて厳しい状況でございます。したがいまして、将来の課題として勉強はさせていただきますけれども、なかなか区分経理をして従来のように整理するというのは事務上大変問題があるのではないかということでございますので、何とぞ御理解をいただきたいと思います。
#183
○菅野久光君 御理解を御理解をということなんですが、やはりこの還付金と還付加算金、性格の違うものが何か一緒になって出されてくるということは、従来ははっきりそれは分けて出ていたわけですから、私はどうもすっきりしないわけです。税を取り過ぎたということは、もう大部分大蔵省、国税庁の責任だというふうに思うんです。そのために、取り過ぎた税金にさらに利子をつけて納税者に返す、それがこの還付加算金です。ですから、大蔵省にとっては、確かにその額がはっきり出るよりも何か出ないにこしたことはないのではないか。そうした気持ちも私はわからないわけではないんです。しかし、予算書、決算書はもとより国税収納金整理資金受払計算書上もわからない。さらに、毎年大蔵省から出されています国税庁統計年報書でも、見事にこの五十七年度から欠落をしている。一体どこを見たらわかるのか、全く国民の目からは消えてしまったわけですね。同資金から直接支払うことにするという五十七年の法律改正の趣旨は、直接支払うことにすれば、先ほどからもお話がありますように、納税者の利便だけでなく、早く支払うことができることになるので、その分国が納税者に支払う加算金の額も少なくて済むことになるということでありましたが、本当にそれ以後少なくて済んだのか、どれだけ少なくて済んだのかもこのやり方では全くわからない状態になっています。五十六年度以前毎年百億円前後が支出されていたものが、どれだけこの法律改正によって節約できたのか、その実績評価もできなくなったわけです。これでは、現在審査している五十七年度決算の一部を構成している国税収納金整理資金受払計算書の審査もできないのではないか。今までの関係であれば還付金が幾ら加算金が幾らということで、還付金に対して加算金の額がはっきりわかったわけですね。この場合に、例えば同じ還付金であって一体加算金はどれだけであったのか、そのことがはっきりわかるような仕掛けになっていかないということですね。大臣ね、私に言わせればこの種の法律改正とか制度改正に便乗して、しかも国会の審査時点では何か隠しておいたとは言わないまでも、何か見えないようにして都合のいいようにしているのかどうかは別にしても、こういう処理をするということは厳に戒めるべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#184
○国務大臣(竹下登君) 五十七年度改正のときはまさにこの方が便利、事務量も縮減されていくという合理性でお願いしたというふうに思います。それが今の場合、極端に言えばもとの姿の方がむしろ国会に対しては正直じゃないかと、こういう御指摘でございますよね。ですが、せっかく事務の縮減合理化のためにやったことでございますので、今もとへ戻すというのもいかがかと思いますが、私も詳しいことはわかりませんので、それが何らかの形で中身の区分明示をするということになると前と同じような作業量がまた要るかもしらぬなという感じもしますので、この答弁に限りましてはもう少し私が勉強してから答弁さしていただきたいと思います、このことに限りましては。
#185
○菅野久光君 一つの目的を持ってこういう形にした、こういう形にしたことが本当に効果があったのかどうか、そういうことがやっぱりわかるようになっていないと私どもとしては審査のしようがないわけですので、そこはもう少し研究をさせてくれということでございますからそういうことでいいんですが、私の気持ちとしては、五十八年度はもう出ておりますから、少なくとも五十九年度からの国税収納金整理資金受払計算書あるいは国税庁の統計年報書には、五十六年度以前のように戻して租税還付金の額がわかるようにしてほしいという要望、このことについてはひとつ申し上げておきたいというふうに思います。
 それでは次の問題に入らさしていただきます。
 次は、最近における景気の動向と内需振興策についてお伺いをいたしたいと思います。
 まずアメリカの商務省の発表によりますと、ことしの第一・四半期の米国の実質GNPの伸び率は年率〇・七%と二年ぶりに低い伸びを示したというふうに言われております。これは昨年の第四・四半期の四・三%増を大幅に下回る低い伸びで、米国の景気が急激に減速したことを示すものというふうに思われますが、アメリカの今後の景気動向をどう見ているのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
#186
○国務大臣(金子一平君) 今お話のございましたように、ことしの一―三月期のアメリカのGNPの伸びは前期比〇・七%と大幅に落ち込みましたが、その主たる原因はアメリカの純輸出の大幅な減少によるものでございまして、個人消費自体は相当大きく伸びておりますし、また住宅建設等も堅調に推移いたしておりますので、去年のような状況ではまいりませんけれども、大幅に景気が今後落ち込むことはまず考えられないというふうに私どもは見ておるわけでございます。ただ、今後の世界経済に及ぼす影響自体につきましては、私どもも相当慎重にやはり見守る必要があるというふうには考えておる次第でございます。
#187
○菅野久光君 そうアメリカの景気が落ち込むことはないのではないかというようなお話ですが、一方、国内景気の動向、経企庁がまとめた法人企業投資動向調査報告で見ますと、六十年度の民間設備投資は前年度比三・七%増と五十九年度の一二・三%増に比べて伸びが大きく鈍化するものというふうに見込まれております。特に年度の後半について前期比、前年同期比ともにマイナスになるものと見られておりますが、この原因はどこにあるというふうにお思いでしょうか。
#188
○政府委員(丸茂明則君) ただいま先生御指摘のとおり法人企業投資動向調査によりますと、今年度の民間設備投資の額は前年度比三・七%というふうに予想されております。御指摘のとおり年度前半につきましてはかなり高い数字でございますが、後半についてはやや落ちるという状況になっていることも御指摘のとおりでございます。ただその理由でございますが、通常現在の段階と申しますのはこの調査時点の段階でございますが、二、三月ごろでございますので、まだ年度全体の企業が計画を十分に立てていないというのが今年度に限らず通常見られることでございます。例えば昨年度の同じ時期にいたしました同じ調査によりま
すと、五十九年度の当時の見通しでは、見通しと申しますか予測調査の結果では三・九%の増加でございました。しかし景気の情勢等が堅調に推移したということもございまして、実際には次第に増額修正になりまして、結果的にはこの調査ベースで約一二%の増加になったわけでございます。したがいまして、現在の段階で昨年の三・九と三・七とを比較いたしましてほとんど相違がございません。したがって、今後下期にかけての動向について企業がまだはっきりとした計画を立てていないということでございまして、私どもといたしましてはほかの調査の結果等も考え合わせまして、設備投資は当面堅調な推移をたどるものというふうに考えております。
#189
○菅野久光君 それでは、今のところでは前年同期に比してマイナスになるというようなことは考えられないというふうに言い切ってよろしゅうございますか。
#190
○政府委員(丸茂明則君) もちろん将来のことでございますので、絶対にということは申し上げられないわけでございますが、従来のこの計画の、この予測調査の性格というようなことから考えまして、またほかの経済指標の動き等々から考えましてマイナスになることは、これはわからないわけでございますけれども、ないのではないかと思っております。
#191
○菅野久光君 私は今申し上げました二つの資料を見ますと、アメリカの景気ダウンがストレートに我が国の民間設備投資に影響を与えているのではないかというふうに思うんです。公共投資の横ばいあるいは消費行動の力強さの欠如の現在、頼みの民間設備投資が私はだんだん落ちてきているというふうに思うんですが、このような状況で政府見通しの六十年度経済成長率四・六%、そのうち内需寄与度四・一%が達成できないのではないかというふうに思いますが、この点について経企庁長官及び大蔵大臣の御見解を承りたいと思います。
#192
○国務大臣(金子一平君) 六十年度におきましてアメリカの経済成長率がスローダウンいたしますので、輸出の伸びが従来に比べて緩やかなものになるということは、これはもう当然のことでございますので、成長率に対する外需の寄与度というものはある程度落ち込むことは私どもも見込んでおるわけでございます。
 ただ、内需のうち個人消費につきましては、御承知のとおり、景気の回復の効果が家計部門に波及するまでのタイムラグが相当ございましたために、今までなかなか燃え上がるのが遅かったと考えておりまするけれども、昨年の暮れあたりから、冬のボーナスがふえる、あるいは春闘の結果が比較的去年に比べて伸びが大きかったというようなことも反映いたしまして、最近の消費の動向を見ますと相当高いものになることが考えられるのでございます。また、設備投資につきましても、輸出関連のものは若干影響することはこれは当然でございまするけれども、技術革新関連の豊富な投資機会をとらえた投資が引き続いて活発に行われるということが見込まれておりますので、全体として、設備投資も堅調に推移するのではなかろうかと考えておるわけでございまして、六十年度におきましては、内需を中心に景気は引き続き拡大いたしまして、政府見通しの四・六%のGNPの伸びは大体達成できるというように私どもは現在の段階では見ておる次第でございます。
#193
○国務大臣(竹下登君) 大筋経済企画庁のお答えと一緒でございます。
 新聞で申しますと十五日、きょうの朝刊に発表になっておるところでございますけれども、私、特徴的に見ますと、外需で〇・四、三角が立って、それで内需でプラス〇・五でございますから、それが数字になってあらわれておるところを見ますと、今おっしゃったように個人消費を中心としておおむね順調に推移しておりますので、失速状態に陥るとか、あるいは今おっしゃった政府見通しに大きな狂いが生ずるとかいうことは現状では考えておりません。
#194
○菅野久光君 今お話がありましたが、「経済企画庁は十四日、一―三月期の国民所得統計速報を発表した。」ということで、「輸出落ち込み影響前期比」、「一―三月期実質成長率 〇・一%に急減速」という見出しで、これはけさの毎日新聞でありますが、出ております。こういった中で、「経企庁では五十九年度の実質成長の三分の二が内需によっていることから「内需中心の成長に近づきつつある」と判断している。」というふうに書かれておりますが、この判断については間違いがございませんか、お伺いいたします。
#195
○政府委員(赤羽隆夫君) お答え申し上げます。
 今回の景気回復から景気拡大の過程は、昭和五十八年の二月ごろから始まったわけでございますけれども、初年度に当たります五十八年度におきましては輸出が主導をいたしました。輸出によって景気の回復のきっかけをつかんだと、こういうことでございましたけれども、これが五十九年度に入るころから次第に内需にバトンタッチが進んできたと、こういうことだと思います。しかしその場合も、企業の設備投資を中心とした企業部門の景気がまず回復をした、こういう形になっております。しかしながら、ことしに入りますころ、あるいは去年の暮れぐらいから徐々にではございますけれども個人消費の芽が出てきた、こういうことでございまして、六十年度は主として内需中心で成長が続くもの、こういう見通しを立てたわけでございますが、現在までのところ、多少項目別に我々の見ていたのと違った動きはありますが、全体として見る限りほぼその線に沿った動きになっている、こういうふうに考えております。したがいまして、六十年度につきましても、政府見通し策定時、今から半年ぐらい前の見通しは全体として変わらないと、こういうことではなかろうかと考えている次第でございます。
#196
○菅野久光君 「今後、内需が輸出や設備投資の増勢の鈍化をカバーできるほど強まると言えるか疑問だ。」と。これは朝日新聞にもこういうようなことが出ております。前期比〇・一%増となったこの一―三月期の成長率への寄与度を見ると、内需が〇・五%、外需がマイナス〇・四%ですね。二・四%の高成長だった昨年の十―十二月期は、内需の寄与度は〇・五%で、外需が一・九%でした。いわば、外需の差が成長率全体を大きく動かしていたというふうに思います。このように一―三月期の内需は前期と同じ寄与度で、決して高まっているわけではないわけですね。しかし、新聞等で見ますと、「内需中心の成長に近づきつつある」ということで言われておるわけですが、このような姿を内需主導というふうに言えるのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
#197
○政府委員(赤羽隆夫君) 確かに、一―三月期の成長率が内席でございましても〇・五%と、こういうことで低いことは事実でございます。〇・五%ということになりますと、これは年率でも二%強と、これぐらいしか内需が寄与していない。したがいまして、五十九年度から六十年度へかけて、大体内需が四%あるいは四・一%、ほぼ同じぐらいの伸びをするだろう、こういうふうな見通しに比べまして低いことはそのとおりでございます。
 しかしながら、これまで五十九年度中の動きを見ておりますと、一・四半期ごとに上がったり下がったりしておりまして、上期と下期と平均をいたしますとほぼ順調な伸び、上期も下期もほぼ同程度の伸びになっていると、こういうことでございます。こうしたパターンが六十年度の四―六月期以降続くかどうか、それはわかりませんけれども、現在のところから言いまして、先ほども申し上げましたように、次第に内需の中心が消費の方へ移っていく、ことしの一―三月の統計にもそういったような姿があらわれていると、私どもはそのように読み取っております。したがいまして、これから先若干の成長率の持ち直しと、こういうことが期待できるのではないか、その際の中心はやはり消費あるいは住宅といった家計部門の方に順次その中心が移っていくものと、こういうふうに理解をして、現時点では、六十年度の見通しに沿った成長というものが全体として実現できるも
のと、こういうふうに考えているわけでございます。
#198
○菅野久光君 従来の輸出依存型がある意味ではもう限界に来たのではないか、あるいは貿易摩擦の問題やいろいろありますね、そういうことからいきますと、我が国の経済成長を内需主導型へ転換していかなければならないということは、大方の意見の一致するところではないかというふうに思うんです。ただ手をこまねいて内需主導型内需主導型と叫んでいてもそういう形にはなかなかなり得ない、まあ、形としては少しずつはなっていくのかもしれませんが、そういう緩やかな形ではちょっと問題があるのではないか、もっと積極的に内需主導型へ転換していくそういう施策というものが必要ではないか、個人消費を拡大するための減税だとか、あるいは公共投資だとか、そういうものの充実なんかが必要じゃないかというふうに思うんですが、その辺のお考えを経企庁の長官、大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。
#199
○国務大臣(金子一平君) 御承知のとおり、四月九日に発表されました対外経済問題諮問委員会の報告書には、例えばデレギュレーションを思い切ってやれとか、あるいは民間活力の導入のためにいろんな方策を講じて公共的事業の拡大を図れとか、いろんな問題を取り上げております。あるいはまた、税制の根本的な見直しの問題も取り上げておるわけでございます。国公有地の活用もこの中の一つに入っておりますが、そういった線に沿って各省庁それぞれ全力を挙げて今努力をいたしておる最中でございまして、だんだんとそれが実ってくることを私どもも期待し、また確信しておる次第でございますが、特に御指摘のございましたような公共事業につきましては、財政事情が非常に苦しい中をことしは去年に比べて三・七%ふやして配分したわけでございますけれども、特に今度は利子補給によって民間資金の導入をもっとやれないかというようなことで今取り上げておるような最中でございますし、また税制改正につきましては、政府税調、これは大蔵大臣から御答弁があると思いまするけれども、特に今の税負担の重い層に対する所得税の累進課税の軽減の問題を取り上げようということでやっておりますし、私どもといたしましては、また経済効果の特に大きい住宅減税についての施策を何とか今後ひとつ拡大できないかというようなことで、寄り寄り関係省庁と話を詰めているような状況でございますので、だんだんとこの問題は具体化していくことと考えております。
#200
○国務大臣(竹下登君) 一つには、アメリカの発表、最初お触れになりましたときに、私も不用意にリセッションの前兆ではないかという、それは読んだ途端のことでございますけれども、そういうお答えをして、後すぐまた分析をしてみまして、この第二・四半期以降持ち直す、いわゆるソフトランディングするんじゃないか、こういうような今大方の予測の上に立っておるわけであります。
 したがって、内需拡大という問題は、まさに今各方面からいろいろ言われておるところでございますので、今金子企画庁長官からもお話がありましたように、私どもとして、先般通していただいた予算というのが、特に公共事業がいろいろな結果、工夫してのことでございますけれども、地方に御負担を余計いただいたりして、少なくとも事業費そのものをふやすということができたと。これらの傾斜配分というのは、これは地域的な問題を考えながらそうしたことを行いつつ、内需寄与度に対してこれは幾らかでも貢献するではないか。新たに、では財政が出動してやるかと、こういうことになりますと、確かにおっしゃいますように一時的にそれが税収効果にもつながることは事実でございます。よく言われる例として、一兆円仮に公債発行いたしますと、三年ぐらいにわたりますけれども、四千数百億程度の増収にはつながると。しかし、この問題は、一遍それが拡大した場合に今度それを縮小するということに対する財政圧力というのは相当なものでございますから、それに対しては慎重にならざるを得ないという姿勢を今日もとっておるわけであります。だが、かつてほど経済情勢の変化、すなわち土地代に余計吸収されるとかいうようなことから、かつてほどの寄与度は公共事業もないというふうに思っております。
 それから、いま一つの減税問題というのは、なかんずく所得税減税問題でございますが、今環境が三つあるんじゃないかなと思っております。一つは税制改正をしろと、こういう異例の答申に基づいて、国会が終わりましたち国会中の議論を全部整理して、それで税調に報告して、抜本的な見直しをやっていただこうというのが一つございます。それからもう一つは、やっぱり各党の幹事長、書記長会談という問題の所得税減税問題に対する議論というものがもう一つございます。それから、先ほど金子長官からもお答えがありました、諮問委員会から、これは貿易摩擦という点の角度からとらえた消費、貯蓄等々についての税制を内需拡大に使ったらどうだと、消費、貯蓄、投資でございます。
 そういう三つの大体背景がある。それをどういうふうに調和させてその答えを出すか、こういう時期ではなかろうかなというふうに考えておるところでございます。これらについて現在はじゃあおよそどういうものが出てくるかということについては、税制当局はいわば予見を挟むようなことは言わないで、国会の議論等を正確に報告して税調で議論してもらおうと、こういう姿勢をとっておるというのが現状の姿でございます。
#201
○菅野久光君 内需の拡大の問題は、これはかけ声だけでは成果が上がらない。これは中曽根首相がテレビで呼びかけたり、あるいは電車の中にポスターを張って、あるいは自分が買ったって、国民はとても買うお金もないというような状況ですから、実際に内需が拡大するような具体的なそういう施策というものが私は必要だというふうに思うんです。今こそ必要だというふうに思います。
 もう一つですね、これは大蔵省が四月三十日発表した国際収支速報によりますと、五十九年度の経常収支で前年度の二百四十二億ドルを五〇%以上上回る史上最高の三百六十九億九千百万ドルを記録したというふうにあります。また、五月三十一日発表の四月の国際収支速報によりますと、これまで万年赤字だった貿易外収支までが初めて九千三百万ドルの黒字を示した、このように出ておりますが、この原因は何でしょうか。
#202
○政府委員(行天豊雄君) 御指摘のとおり、我が国の貿易外収支は伝統的に赤字でございました。これは我が国の貿易に伴います運賃、保険料の支払いであるとか、あるいは投資収益、利子の払い、あるいは海外旅行の支払いというようなことが経常的に起こっておりますものですから、貿易収支の黒字に対応いたしまして貿易外収支は赤字が続いておったわけでございます。御指摘のとおり、四月にこれが初めて、わずかでございます、九千三百万ドルということでございましたが、黒字になりましたことは御指摘のとおりでございますが、この背景は基本的な要素とそれから一時的と申しますか要素と二つあるように思うわけでございます。基本的な要素と申しますのは、最近我が国が経常収支の黒字と相対応いたしまして、対外資産の額というのがだんだんとふえてまいっておりまして、昨年末でございますと、これが七百億ドルを超える対外純資産という格好になっておるわけでございます。こういうふうに対外資産がふえてまいりますと、当然のことでございますけれども、この資産から上がってまいります利子とか配当というものの収益がふえてまいると、そういうことで従来から伝統的、歴史的に赤字であった貿易外の赤字がだんだんと減ってきておると。これは一つの長期的な傾向でございます。
 それから、四月の計数はこれは多少一時的な要素がございます。それは大体例年四月は三月末に決算をいたします我が国の為替銀行の海外支店が、その利益を送金してくるわけでございます、本店に。そのために貿易外の赤字も季節的に少ない月でございますけれども、ことしの四月は、御承知のとおり、最近米国の金利がかなり低下して
おるものでございますから、この為替銀行の海外におきます資金活動に関連いたしまして、支払いのコストが下がってくると、しかし一方運用の利回りの方はそうすぐに下がりません、タイムラグがございますから。そういうことでことしの四月のこの為替銀行の海外支店からの利益送金が一時的にかなりはね上がったわけでございます。そのためにことしの四月の貿易外収支はわずかであったけれども黒字になったということであろうかと思います。
 そこで、今後の傾向がどうなるかという御質問でございましたが、最初に申しました長期的な傾向の方のだんだんと赤字が減ってくるんじゃないかという様子は今後も続くように思います。
 ただ、もちろん一方で投資収益がふえる反面、例えば海外旅行に伴う経費なんかは恐らくこれからだんだんとふえてまいると思いますので、その差し引きはあると思いますが、長期的にこの貿易外の赤字が減る傾向は続くと思いますが、四月のような傾向が今後もずっと続いて、もう貿易外は赤字ではなくて黒字になるんだということは恐らく起こり得ないんではないかと。多分私どもの予想でも五十九年度のこの貿易外の赤字が七十七億ドルでございました。それからその前の五十八年度は九十一億ドル、その前が九十八億ドルというふうにだんだんと緩やかに減っておりますので、こうした傾向は続くと思いますけれども、これがすぐ黒字基調に変わるということはちょっとあり得ないように考えております。
#203
○菅野久光君 ある意味で言えば一過性的なものもあるというようなことにもなるのかなというふうに思いますが、初めてこういったような形が出てきたと、こういうことをとらえて、この原因も今の海外資産の問題あるいは対外証券投資に伴う利子配当の受取額、こういったようなものもかなり多くなったというようなことが、こういったようなものを招いたろうというふうに思いますが、このようなことから欧米から、日本は貿易で稼いだ金を債券投資でもう一度もうけているという批判が起きているというふうに言われておるようでありますが、これが事実なのかどうかお伺いをいたしたいというふうに思います。
#204
○政府委員(行天豊雄君) 御指摘のとおり、我が国の対外資本輸出がかなりの規模に達しておる、それからまたその中でも対外証券投資が多いということは事実でございます。ただ、この背景を見てみますと、やはり何と申しましても最大の原因は、米国におきまして財政赤字等を背景といたします高金利の状態が続いておる、そのために我が国の利子水準との間に現在でもまだ四%近い差があるものでございますから、当然そういった高い収益を求めて、これは日本からだけじゃございません、世界じゅうから米国に証券投資という格好で金が集まっておるということは事実でございますし、また我が国の事情について申し上げますと、こと数年間非常に我が国の経済の規模が大きくなりまして、それからそれに伴いまして金融の自由化、国際化という措置が行われました結果、日本の資本金融市場というものが国際的に果たしております役割が非常に高くなっておりまして、それを通ずる金の流れが活発になっておるというようなことも原因であろうかと思います。我が国が金を証券に投資して利子を稼いでおるというのは確かに現実にはそういうことでございますけれども、反面、諸外国に輸出されております我が国の資本というのは、結果的にはそれぞれの国におきましてそれぞれの国に役立っておるということは忘れてはならないと思うわけでございます。米国につきましても、これだけの我が国からの資本の流入があれば、それによって金利の上昇圧力が減殺されておるわけでございますし、開発途上国について申しますれば、このような日本の資本輸出によって当該国の経済発展が促進されておる、あるいはこれによってそれぞれの国での雇用、所得がつくられておるということもございますから、決して我が国からの資本の輸出は、何か外に金を出して稼いでおるということだけでとらえらるべき性質のものではないだろうというふうに考えておる次第でございます。
#205
○菅野久光君 時間が余りございませんので答弁の方もひとつ簡単にお願いいたしたいと思いますが、日本とECの貿易経済交渉を締めくくる高級事務レベル協議において、EC側は日本に対して、米国の景気減速を補なうため、市場開放と内需拡大の努力を求めたというふうに伝えられておりますが、その内容はどのような内容でしょうか。これは外務省ですね。
#206
○説明員(赤尾信敏君) 先般、六月三日から六日まで日本とECの間のハイレベル協議が東京で開催されましたが、その際EC側は、今先生の申されたとおり、一層の市場の開放を求めると、具体的には関税の引き下げとか輸入枠の拡大、基準・認証制度の改善とか金融資本市場の自由化等を要請いたしました。同時にそれに加えて内需拡大を、特に日本の場合はインフレ率も低い、経常収支も黒字だということもあって内需拡大を図ってほしいという比較的一般的な形で要請がございました。
#207
○菅野久光君 さらに、訪欧中の大来外務省顧問は、六月五日、ロンドンでの記者会見で、日本の貿易黒字が世界の自由貿易体制全体に対する脅威が広がり、米欧連合という新たな事態を避けるための真剣な対応が必要と強調し、市場開放措置とともに税制を利用した内需拡大、政府調達による外国製品輸入の必要性を指摘していますが、これに対する通産、それから大蔵大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。
#208
○国務大臣(村田敬次郎君) ただいま菅野委員が御指摘になられました大来さんの記者会見でございますが、これ続んでみますと、ガットのドンケル事務局長だとかチャノン英貿易省の担当相だとか、そういう方々に会った感じでそういう印象を強められたということでありまして、個別の発言はいろいろあろうと思いますが、大来さんの言われた一層の市場開放と内需拡大といった問題につきましては、その必要性は私は全く同感でございます。
 ボン・サミットにおきましてもいろいろな外国の大臣、代表とお会いをしておりまして、四月九日の中曽根総理の行った日本政府の対外経済対策というものは非常に高く評価をされております。ただ問題は、それに基づいてどのように今後輸入が拡大をされていくか、あるいは市場アクセスが改善をされていくか、また対外黒字が少なくなっていくかということであるということをECの代表者も、あるいはアメリカのリーガン大統領首席補佐官もバンゲマン西独経済相も皆言っておりました。この点は共通でありまして、ボン経済宣言でも市場アクセスの改善、輸入増加の奨励ということをはっきりと日本政府の方針としてうたっておるわけでございますし、また昨日首相官邸で行われました対外経済対策の拡大正副本部長会談におきましても、総理あるいは各大臣等の代表者からこの問題についてのこもごもの御要請、そしてまた御指示があったところでございまして、そういった結論については先ほど来大蔵大臣や経済企画庁長官のお答えになられました趣旨と全く賛成でございます。
#209
○国務大臣(竹下登君) 大来さんは先ほどお答えの中で申しました対外経済問題諮問委員会の委員長でもございます。したがって、あのときの思想をお話しなすったんだろうと思っております。
 税の問題については既にお答えいたしましたが、なお一層市場開放努力が必要であるということは通産大臣からもお答えがあったとおりでございます。
 いつも思いますのは、これは少し粗っぽい数字でございますけれども、公共事業を三兆円やりますとどれだけ輸入がふえるか、大体十三億ドル。それから所得税を今の三分の一を減税したって、五兆円所得税を減税すると大体七億ドル。意外とそういう措置というものが必ずしもこの輸入にトタでつながるものではない、やっぱり市場開放、そしてアンフェアな状態は少なくともないんだ、そういう理解を求めていくことが何よりも必要じゃないかな、こういうふうに思っております。
#210
○菅野久光君 現在の状況を踏まえますと、もはや民間活力の推進だとか、あるいは公的規制の緩和だけでこの日本の国際収支の黒字幅の拡大傾向をストップさせることは困難だというふうに思います。日本が国際的な非難や孤立を避けるためにも、アメリカの高金利だとかあるいはドル高を批判する前に、まず日本みずから財政出動してでも効果の上がる内需振興策に積極的に取り組むべきであると考えます。私はまた、内需振興策が手おくれにならないように、すなわち景気が冷え込む前に手を打つ必要があるのではないかどいうふうに思います。したがって、早期に補正予算を組んでそのための臨時国会を召集すべきではないかというふうに考えますが、この点については外務大臣も、衆議院でしたか、ちょっと発言なさっておりますので、外務大臣、大蔵大臣のお考えを聞き、私は十五時三分までですので、税収の見通し等も聞きたかったわけでありますけれども、この質問をもって終わりたいというふうに思います。
#211
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今欧米から日本に対する圧力は相当強くなってきていると私は思っております。したがって、今非常に注目されておる日本のこれから発表するアクションプログラムでありますが、これが欧米諸国に評価されないということになりますと、欧米での一斉な日本攻撃というのがまた始まってくるのではないか、それがまた保護主義というものにつながっていく危険性が非常にある、こういうふうに思っておるわけでございます。ですから、そういう中でやはりアクションプログラムをきちっとして打ち出すということが必要でありましょうし、同時にまた貿易の黒字問題については、彼らも一挙にこれが解決するとは思っておりませんけれども、やはり我が国が輸入を促進するためにも内需を促進すべきだという議論は一般的に彼らの間に非常に強いわけです。もちろん日本の財政の状況等もよく知っておりますから、財政で内需を拡大するということについての困難性は踏まえながらも、しかし先ほどからお話がありましたような規制の緩和だとか、あるいは民活の推進であるとか、あるいはまたいわゆる時短の推進であるとか、そうした問題を的確に進めていくべきだ、こういうことでございますが、私はさらにそういうことで果たしてしのげるかどうかという問題はこれからの課題であろうと思いますし、それはやはりアクションプログラムが打ち出されて各国の反応等も見ながら、やはり保護主義というものを抑えていかなければなりませんから、そういう中で日本自体がこれからさらにそれ以上のものが必要であるかどうかということについて判断をする必要が出てくる時期も来るかもしれない、こういうふうに思っておるわけであります。
#212
○国務大臣(竹下登君) 補正予算ということになりますと、これは政治家としていろんな議論はございましょうが、この間予算を通してもらった大蔵大臣が、秋には補正予算を考えますというようなことは言える立場にはないというふうに御理解をいただきたいと思います。
 実際問題として、今外務大臣からもお答えがあっておりましたように、さていわゆる民間活力というものが今どう機能しておるかといいますと、予算を見ますと民間活力が起こるような環境整備、そういう予算の執行がささやかながらなされております。それから、まさに民間に移りました電電等につきましては、電話機の参入問題が国内の会社でもたくさん希望が出だしたと言ってもまだこれは完全には動いておりません。それから、関西空港もまだトンカチという音はしていないわけであります。それから、西戸山の国有地のものもまだトンカチという音はしていない。そういう音がいわゆるデレギュレーションと一緒に下期から行われていくのじゃないかという期待を持っておるというのが素直な今日の認識であります。
   〔委員長退席、理事目黒今朝次郎君着席〕
#213
○服部信吾君 まず初めに外務大臣にお伺いしますけれども、先ほども話がありましたけれども、総理はアメリカ一辺倒、まあ一辺倒と言えばどっちかというとレーガン一辺倒、こういう中で、外務大臣が東ドイツあるいはポーランド、スウェーデン等七日から十四日、一週間回ってこられましたけれども、大変意義があったと思います。そういう中でまずこういう諸国を回られた外務大臣の成果、そういうものについてお伺いしておきます。
#214
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今回はスウェーデンのストックホルムにおきまして先進国と開発途上国十八カ国によるところのいわゆるガットの閣僚会議がありまして、日本としましては、ニューラウンドをぜひとも来年からスタートさせたい、そういう空気をつくらなければならぬということで、途上国の中ではインドとかあるいはブラジルとか、これに対する消極的な国々もあったものですから、こうした国々に対しても働きかけてこの十八カ国の会議をニューラウンドに対して積極的な方向に向けなければならぬということで参りまして、これはある程度成功したのではないか、こういうふうに思っております。一応路線はニューラウンドについて敷けたのじゃないか。ですから、九月までには高級事務レベルの作業会議が開かれるという見通しも出たように思うわけであります。
 次いで、ポーランドそれから東ドイツを訪問したわけでございますが、これは日本との間では非常にいい関係でありますけれども、しかし人的な往来といいますか、要人の往来は全く一方通行でありまして、東ドイツには日本の外務大臣はこれまで一回も行っていない、それからポーランドにも十八年間も行っていない、こういうことでもありますし、日本の今の国際的な役割からしますと、こうした国々に対してもやはり外交の幅を広げて、二国間の問題あるいは国際情勢等についても話し合うことが、日本にとりましても、また日本が世界に対して役割を果たす上においても大事だ、こういうふうに思いまして、今回ポーランドそうして東ドイツを訪問いたしました。大変な歓迎を受けまして、ポーランドにおきましてもヤルゼルスキ首相、あるいはまた東独におきましてもホーネッカー議長等とも長時間にわたりまして会談をいたしまして、日本との関係をさらに強化したいと、日本に対する非常に期待感が強いことを痛感をいたしたわけでございます。その他国際情勢さらに東西問題、米ソの軍縮交渉等につきましても忌憚のない意見の交換をいたしまして、それなりにお互いの立場を理解し合うという意味では意味があったと思うわけでございます。日本外交の幅を広げるという意味における今回の訪問でございまして、それなりに努力し、それなりの実りは得ることができたのじゃないだろうか、こういうふうに率直に思っておる次第であります。
#215
○服部信吾君 特に東ドイツとかポーランド等でいろいろお会いしたと。今後何か定期的にそういうような会談を設けるようなそういう約束とかなんかはあったわけですか。
#216
○国務大臣(安倍晋太郎君) やはりこれからはいろいろな体制、それぞれの国の体制を超えて政治対話を進めていくということがお互いの誤解を避けることになりますし、さらにまた平和と軍縮に向かってのいろいろな話し合いをするということも必要だということで、実は合同委員会であるとかあるいはまた高級事務レベル会合といったものを積極的に行おうということで、貿易とか経済、そういう面の広がりはありますけれども、政治対話が非常におくれておりましたから、この辺でこれからひとつ継続的にやっていこうということにいたした次第であります。これは私は今後のために非常に必要であったと、こういうふうに思っております。
#217
○服部信吾君 その中で、東独、ポーランドあるいはスウェーデン、そういうところを歴訪されたわけですけれども、特に大変今問題になっておりますSDI、こういうような問題についてもかなりいろんな突っ込んだ話し合いがなされた、こういうふうに聞いておりますけれども、この点については各国とどのようなお話をしたのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
#218
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはポーランド、
それから東独とも非常に大きな関心を持っておったことは事実でございまして、向こうの方からこのSDI問題を議題にいたしまして、今のこのアメリカで研究されておるSDIが結局最終的にはいわゆる軍拡につながっていくんだという説明が向こうからあったわけでありまして、日本はこれに対しまして日本の立場を説明をいたしたわけでございまして、この辺はいわば平行線に終わったわけですけれど、しかしポーランドにおいてもあるいは東ドイツにおいても、平和と軍縮を日本と同じように進めようという点については完全に一致したわけでございますが、SDIについてはソ連と同じように、これが大変危険な一つの戦略構想である、それよりはむしろ今ジュネーブで行われている交渉を積極的に進めて、宇宙にまで入り込むということは危険ではないかと、こういうふうな強い彼らの主張が行われたわけでございまして、そうした意味で東欧諸国が大変この問題には関心を持っておるということを我々感得をして帰ったような次第でございます。
#219
○服部信吾君 そういうSDIについていろいろと向こうから厳しい批判があった、こういうことでありますけれども、そういう話を聞いて、大臣、我が国としても理解を示しておると、こういうことでありまして、その中でも新聞報道によりますとね、かなり外務大臣としてもわからない点が随分あると、こういうふうに言っておりますので、このSDIに対する考え方が変わったんじゃないかと思うんですけれども、その点についてはどうですか。
#220
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは私は日本の立場を率直に申し上げたわけで、レーガン大統領と中曽根首相と会ったその結果として、SDIがいわば核弾頭ミサイルを無力化し、同時にまたこのSDIそのものが非核の兵器であり、防御兵器であり、そして核廃絶につながるというこの考え方のもとでこれが構想されておると。日本としても核廃絶というのは日本の最終的な目標で、そうしたSDIの構想であるならばこれは理解すると。しかし、同時にこのSDIはお互いに一方的な優位を求めているものであってはならないし、あるいはまたABM条約に違反するというものであってはならないということは実は両国で合意を見たんだと。要するにこのSDIというのが防衛的であって、非核であって、そしてこれが最終的に核廃絶につながるということで我々は理解をしておるんだということを説明をいたしました。これに対してはポーランド側もあるいは東独側も、そうした考え方はわかるけれど、しかし防御的であるといってもこれはこれまでの経験から見てもやはり防御的な兵器というものがどうしてもこれが核拡大、軍拡というものにつながってきたという歴史があるじゃないか、ですから非常に危険だということでございまして、同時にまたSDIについては日本もまだまだ研究が十分足らないと。ですから、日本はそうした方向については理解しているけれども、これに協力するとかどうとかというようなことについてはこれは私自身もまだ十分な中身について知っておるわけではないし、もっと日本は研究をしなければ最終的態度は決められないと。そして、日本が決める場合においてはあくまでも日本のこれまでとってきたいわゆる平和国家としての基本的な理念あるいはこの主張、基本原則、そういうものを踏まえて慎重に自主的にこれは判断していきますと。こういう日本のこれまで国会でも答弁いたしましたようなことを言ったようなわけでございます。ポーランドもあるいは東独等も日本のこのSDIに対する関与が相当何か積極的に進んでいるんじゃないかと、こういう感じも持っておったようでございますが、今の客観的な日本の立場を説明をいたしまして、それに対しては彼らも十分理解をしておったように私は思った次第でございます。
#221
○服部信吾君 私もけさほど総理にこのSDIについていろいろ質問したわけです。
 あと一点だけですけれども、まあSDIについてどういうことかということを聞きますと、今外務大臣が答えられたような、要するに核廃絶のためにICBM、こういうものを非核で打ち落とすんだと、こういうことで理解ということもあるわけですけれども、やはりこのSDIのアメリカのレーガンの構想というものはもっと深いものがあると。ある面から言えば、例えば先端技術だとかあるいは軍需産業のいろいろな問題だとか、あるいは東側に対するいろいろな対抗政策とか、いろいろな分野があるわけですね。私は日本の外交姿勢として先ほども総理に尋ねたんですけれども、例えばフランスのユーレカ計画、これはある面から言うと、これはSDIに対抗するというか、ある面から言えば先端技術をアメリカに持っていかれちゃうから困るんだという、そういうための対抗施策なんだと、こういうことはある意味では常識的になっている。ところが、日本の何か外交のあれから聞きますと、またこの間北米局長に聞いても、ただこれは要するにいわゆるフランスが呼びかけて経済的にやったんだというような簡単な態度であるわけですよね。特にフランスがその呼びかけをしたと、これは四月ですけれども、ボンサミットの前に呼びかけをしているわけですけれども、やはり欧州連合で呼びかけをしている。この欧州連合というのはある面から言えば、当初は戦争が終わって戦争のいろいろな面の西ドイツのそれをよく見張ると、こういうような役割があったわけですけれども、最近ではINFのあれだとか、軍備、全部そういうところで討議されておる。いわば西側というか、西欧のいわゆる防衛問題とか安保問題とか、そういうものを全部討議されている、その西側連合でこういうユーレカ計画を発表しているわけですよ。だけれども、我が国のあれとしては、いやこれはただ単に要するにそういう先端技術を集めて研究するんだと、こういうことで答弁が返ってきているわけですけれども、やはり私はこれはもうそういう面から言うと西欧の立場というものを考えた対抗、対抗ではないけれども、それを守るための、西欧を守るための、自分たちを守るための一つの連合体、それに対して日本は何もやってない、どんどん先端技術がとられちゃうということがあるわけですけれども、外務大臣にこのユーレカ計画とSDI計画、ある人はミニSDI計画、こう言っているわけですけれども、大臣のお考えをお伺いしておきます。
#222
○国務大臣(安倍晋太郎君) ユーレカ計画については、我が国としましては詳細につきましてまだ承知しているわけではございませんが、欧州の先端技術を結集して欧州産業の技術基盤及び競争力の強化を図ろうという目的のもとに、フランスがイニシアチブをとり、欧州諸国の協力を求めているものである、こういうふうに承知をいたしております。また、これはSDIに対抗することを目的として始めたものではないとフランスは説明をしておると、こういうふうに承知をしております。この点につきまして、実は最近の会議でデュマ仏外相がこういうことを言っております。SDIはそもそもが軍事的な研究であり、その副次効果が民間の方にも及ぶものと承知している。他方、ユーレカ計画はこの反対であり、そもそもが非軍事的研究である。もちろんその副次効果として軍事利用の可能性もあろうかと思うが、もとよりこれを目的としたものではない。こういうふうに説明しておりますが、これによってフランスの意図しておるところがはっきりしておるんじゃないかと、こういうふうに考えるわけです。
#223
○服部信吾君 それはいろいろと議論があるかと思いますけれども、やっぱり先ほども言ったんですけれども、やっぱり一応これはフランス側としてもここで軍事的あるいは今言った技術的ということを言ったら、これはもう東側が一番喜ぶ、アメリカと西側が分裂しているということをそのまま見せるわけですから、ですからそれは言えない。それはやっぱり西側の一員としての私はこれはフランスの態度のやはり一つのよさといってはおかしいのですけれども、外交のしたたかさ、私はこう思います。この点はこれで終わります。
 それで、外務大臣が十二日に東ベルリンでいろいろ発表した中で、米ソ外相会談があって、シュ
ルツ米国務長官がグロムイコソ連外相に対して要するに北方領土を返すべきじゃないかと、とういうふうなことを述べたと、こういう事実はあったわけですか。
#224
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはアメリカからの説明を受けたわけでございますが、去るウィーンで行われました米ソの外相会談におきまして、この北方領土問題をシュルツ国務長官が議題に取り上げて、ソ連は日本にこの北方四島を返すべきであるということを強く主張したと、これに対してもちろんグロムイコ外相は強く反発をしたと、こういう事実がございました。これを私から記者団に説明をいたした次第であります。
#225
○服部信吾君 そういう報告がアメリカからあったと、こういうことだと思いますけれども、外務大臣、こういう米ソの外相会議で北方領土問題が出たと。日本にとってはこれは非常にいいことだと思います。
 そこで、外務省としては何らかの働きかけをやはりある面から言えばアメリカにしたのか、あるいはもししてなければ、どういう経過でこういう話がなされたのか、この点について外務大臣、どのようにお考えですか。
#226
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは別にアメリカに対して働きかけをしたわけではありません。しかし、北方四島領土問題につきましては私も国連の総会においてしばしば言及しておりますし、またソ連に対しましても事あるごとに主張をいたしておるわけでございます。したがって、こうした日本の主張というのは世界の各国が十分承知しておると、こういうふうに思います。もう既に昨年の実は国連総会の際にも、中国の呉学謙外相もグロムイコ外相との会談でこの北方四島の問題を取り上げて、中国側の見解として北方四島は日本の領土であるということをソ連にはっきりと言っておるわけでございますし、アメリカもまた昨年の国連総会の際に、やはり米ソの外相会談でもこの問題に触れておるわけでございます。
 したがって、この問題自体は二国間の問題でございますから、我々がソ連との間で今後とも腰を据えてこれは交渉しなきゃならない課題であろうと思いますが、しかし同時に、そうした世界の各国が日本の立場というものを理解をして日本の主張を支持するということは、日本にとりましても大変心強い次第であると、こういうふうに考えております。
#227
○服部信吾君 次に通産大臣にお伺いしたいんですけれども、昨日、アメリカの半導体メーカーが、日本が半導体貿易で不公正取引を行っている、こういうようなことで、一九七四年米通商法第三百一条に基づいて米通商代表部に提訴した、このようにあるわけでありますが、通産大臣としてこれをどのように受けとめておるのか、この点についてお伺いしておきます。
#228
○国務大臣(村田敬次郎君) お答え申し上げます。
 六月十四日、SIA(米国半導体工業会)が一九七四年の通商法三百一条に基づく提訴を行うということを決定したことは承知をいたしております。
 提訴内容につきましては、伝えられるところによれば、日本の半導体市場に対する米国製品の参入は自由化後も頭打ちである、過去における日本政府の助成措置等に起因する市場の閉鎖性に問題がある、それから輸入に対する障壁となる市場構造を日本政府が存置させていることは不公正かつ不合理であって米国の利益に違背するというようなことが、提訴内容であると伝えられております。通産省といたしましては、提訴内容を詳細に検討いたしました上で適切に対処をしたい。ただ、我が国の半導体分野において、提訴にあるような不公正、不合理、差別的な政策、慣行などは存在しないものと私は確信をいたしております。
 いずれにいたしましても、具体的には今後とも、日米エレクトロニクス会合等いろいろの日米交渉の場がございますので、そういった場で相互理解を一層深めていくことが肝要であると、このように認識をしておるところでございます。
#229
○服部信吾君 この提訴の内容等についてはきょう新聞に発表されておりますけれども、一応四十五日以内に不公正貿易の実態調査を向こう側で行うと、こういうことだと思うんですね。とにかくこれはまた大統領までいっちゃうと大変な問題になろうかと思いますから、これはその間日米間でよくいろんな話し合いがなされなきゃならないと思いますけれども、この点について何か具体的にこれからこれに対する対応の仕方があればお伺いしておきます。
#230
○国務大臣(村田敬次郎君) 実はこの一両日、そのニュースがにわかに顕在化してまいったわけでございまして、現実に米国の文書はまだ拝見をしておらないわけでございます。ただ、いろいろ情報が伝わっておることは事実でございますが、この対日提訴等の動きの背景には、米国の半導体業界が非常に苦境であるというようなこと、価格急落あるいは需要の低迷、輸出の減少、さらに現実にレイオフとか工場閉鎖とか、そういう事態が起こっておるということも聞いておりますし、そのために米国政府や米国の議会等に対して日米半導体通商問題のプライオリティーの高さを認識させるというような、いろいろな考え方もあるんだろうと思います。今服部委員が御指示されました大統領決定について、まだ相当程度の期間がございますから、具体的には私は、米国政府と日本政府とがよく話し合って理解を深めていくということがまず大前提であろうと、このように考えております。
#231
○服部信吾君 その中で、昨日総理からいわゆる市場開放のためのアクションプログラム、こういうことを出されております。その中で特に総理が言われたのが、輸出自主規制というようなこともやるべきだと、こういうようなことも述べられているわけですね。これに対しては大変通産省さんとしてはちょっと不満があるというようなことも聞いておりますけれども、このいわゆる半導体の問題について自主規制まで、そういうことを考えておるのかどうか、この点についてお伺いして、この質問を終わります。
#232
○国務大臣(村田敬次郎君) 総理が貿易摩擦の解消について持っておられる意図、意欲というのは非常に強いものがあるわけでございまして、その総理の指示を体して私どもは動いておるわけでございます。昨日の会合でもその点は具体的に率直に御指示をいただいておりまして、私どもも懸命の努力を七月に向けて続けていく覚悟でございます。
 ただ、この半導体分野について今までどうであったかといえば、実は日米間の協議というのは相当順調に進捗をしておりまして、服部委員も御承知のように、この国会でもこれに対応してやりました措置がいろいろあるわけでございます。したがって、日米の協議というものは順調に推移をしておる部分も多いと思っておるわけでございますが、この先ほど来申し上げておりますSIAの提訴にはいろいろそういった社会的、経済的な背景を踏まえてのことでもあろうと思いますので、まず米国政府との間の理解をしっかりと深めていく、そのことに重点を置いて努力をしてまいりたい、このように指示をしておるところでございます。
#233
○服部信吾君 まあひとつそういうことで、我々としてもちょっと無理なことを言っているんじゃないかと、こういう感もするわけですから、ひとつ慎重に対処していただきたい、このように思います。
 次に、ちょっと建設省にお伺いしたいんですけれども、最近、日本住宅公団が三十年前ぐらいに建設して分譲した住宅を今の住宅・都市整備公団が建てかえる、こういう話が具体的になっているようでありますけれども、既に分譲住宅に入居している人たちは一度工事中に退去をして、従来よりも広い面積の分譲住宅に無償で再入居できる、こういう構想であるようでありますけれども、これを東京の渋谷区の原宿団地で施行すると、これが第一弾だと、こういうことでありまして、住宅・都市整備公団が三十年前ぐらいにつくったや
つが大分古くなってきたと、しかし最近の建築の基準のいわゆる緩和等によって非常にたくさん建てられる、こういうふうになったと思うんですけれども、第一号住宅、これについての概要なり、これを述べていただきたいと思います。
#234
○政府委員(吉沢奎介君) 原宿にございますちょうど二十八年前に公団が建てました団地、これは売り払ったものでございますが、住民の方々が建てかえをいたしたいという御要望がございまして公団の方にお話が来たということで、公団の方は、今その住民の方々の代表でございます原宿住宅管理組合というものとの間で基本的な建てかえをやろうということの合意は成立いたしております。ただ、具体的にどういう形で建てかえをやっていくかということは、いろんな絵などはかいてございますが、まだその詳細についてはっきり固まったわけではない、建てかえ計画について検討中であるというふうに聞いております。
#235
○服部信吾君 三十年ほど前に建設された公団の分譲住宅、現在の居住者が従来の入居面積よりも大きなところに無償で再入居できる。この事業は非常に、これからなかなか土地の購入とかこういう面において難しくなっておる、そういうととで、今まで百戸しかなかったところが、建築基準法の緩和によって百五十戸にふえるとかあるいは二百戸にふえる、こういうようなことになるかと思うんですね。そういうことで、大変私はこれはいい構想じゃないか、こういうふうに思うわけでありますけれども、現在三十年代に建設し分譲した団地が全国でどのくらいあるのか。そしてまた、特に首都圏でなかなか土地が手に入らない、そういうような首都圏ではどのくらいあるのか、こういうようなことについてお伺いしておきます。
 それからこの中で、建てかえのメリットがあるのはどのくらいあるのか。余り田舎へ行ってこういうことをやっても、これは全くメリットがないと思いますけれども、特に首都圏とかこういう場所においては非常にメリットがあると思いますけれども、この点についてお伺いしておきます。
#236
○政府委員(吉沢奎介君) 昭和三十年代に建設いたしました分譲住宅は約九千五百戸でございまして、このうち東京、関東支社、要するに首都圏域でございますのが約六千五百戸、四十六団地であるというふうに聞いております。この中で、建てかえによって一体どの程度容積率などをフルに使って有効な土地利用ができるようなものがあるかということにつきましては、まだ具体的に戸数をカウントしておりません。
#237
○服部信吾君 その中で、今回、原宿団地については住宅公団が施行する。ところが、こういうことを民間でもやり始めた。公団が今まで売った、要するにマンションないしそういうものに対して、実際に原宿団地以外に目黒区にある公団分譲の上目黒住宅について今度は新日鉄がこういうことをやり始めた、こういう事実があるわけでありますけれども、この点については建設省としてはどのように把握されておりますか。
#238
○政府委員(吉沢奎介君) 分譲いたしまして、結局お買いになった方々の完全な所有に移っているわけでございます。その方々がこれを建て直したいという御意向をお持ちになって、建て直しをどこに依頼されるかということは、公団に依頼される場合もございましょうし、新日鉄みたいなところもございましょうし、民間デベロッパーなんという場合も考えられるわけでございまして、私どもといたしましては、どこに依頼されるというのはお入りになっている方々の御自由ではないかというふうに考えております。
#239
○服部信吾君 そういうふうに言いますけれども、やはり公団がつくられた一つの住宅なりマンションですから、やはり積極的にこういうものを利用すべきじゃないか、民間活力の導入導入とは言っておりますけれども、とにかくなかなか今いい場所、そういう近郷、そういうところではすぐに売れるわけですね。ですから、やはりある面から言えば、こういう問題については公団が積極的に推進すべきと思いますけれども、これはどうですか。
#240
○政府委員(吉沢奎介君) 住宅公団は、先生御承知のように、大都市圏におきましてよい住宅を大勢の方々に提供するということが使命でございます。そこで、単純に古くなったら建てかえる、今入っている方々だけのために建てかえるということですと、これは公団がやるのが適切であるかどうかという問題が一つございます。ただ、そういう公団が建てかえを行うことによりまして住宅が非常に良質になる、あるいは良好な町づくりに役に立つ、あるいはそこで幾つか新しき住宅が生み出されて、これをまた不特定多数の方々に募集してお入りいただくことができる、こういうような事態があります場合には、これは当然公団としても手がけることが非常に結構なことではないか。ましていわんや、それが公団自身が建てたものであるならば、入居者の要請がある場合には公団がそれに積極的に当たっていくということが必要ではないかというふうに考えております。
#241
○服部信吾君 公団がそういうことでやられた建てかえについて、そこに現在入っている人たちが引っ越しだとかいろいろまたどこか家かえなくちゃならぬというふうな面においては、これはいろいろ保障はされているわけですか。
#242
○政府委員(吉沢奎介君) この建てかえというのは、要するに入居者の方々の依頼を受けまして一種の再開発をして差し上げるという建前でございまして、そこで、今お話のございました移転費用なんかをどうするかとかという種類の問題につきましては、全体の事業の採算性の中で勘定していく種類のものでございまして、これはお約束事でございまして、どういう形でそれを負担するか、だれが負担するかということは、その計画において個々に決まっていく種類のものであろうというふうに考えております。
#243
○服部信吾君 この問題については、私は大いに推進をしていただきたい、こう思います。
 そこで最後に建設大臣にお伺いしたいんですけれども、今月の十二日に住宅宅地審議会が答申を発表いたしまして、その中身をみますと、住宅施策のしんである居住水準を十年ぶりにつくり直した、こういうふうになっております。最低水準はこれまでの水準をほぼ受け継いで五十平米、平均居住水準が今まで八十六平米であったのを二つに分類して、都市居住型九十一平米、一般型百二十三平米、こういうふうになっております。この都市居住型は大都市のマンション向けである、このように思うわけですけれども、旧水準と新しい水準、分離住宅の建てかえ後の面積、原宿で平均五十五平米、上目黒で五十二平米、こういう数値を比較したときに、今回変更のなかった最低水準をわずかに上回るものの、平均水準を大幅に下回る結果となることでありますから、確かに居住者は一銭も払わないで広いところに入居できるわけですけれども、公団が建てかえ事業を行ってもとういう結果となるということと、このような建てかえ後の面積と居住水準との関係をどのようにお考えになっているのか、建設大臣の御答弁をお伺いいたしましてこの質問を終わります。
#244
○国務大臣(木部佳昭君) 先般、審議会からいろいろ長い御議論いただきまして答申をいただいたわけでございます。今先生御指摘のように、国民のニーズも大変大きく変わっておりますし、また高齢化社会というような時代でございますので、私どもは入居者の水準の向上ということに主力を置いて、また、審議会の方としてもこれに対して大変結構な提言をいただいたものである、そういうふうに私は考えております。いずれにいたしましても、これからの住宅政策の基本というものは、やはり充足の時代は終わりましたから質の時代に入ってきているわけです。そういう点を私どもはしっかり受けとめさしていただいて、そして住宅の供給が良質なものであり、また良好な町づくりのために積極的にこれから努力をし取り組んでまいりたい、かように考えておるわけであります。
#245
○橋本敦君 自民党が提案をした国家機密法は、我が国の民主主義の根幹にかかわる重大な問題を
はらんでおりますので、これは本来憲法に違反する重大な法律でありまして国会に提出すべきものでないという立場で、総理にも所見を伺った次第でありますが、続いて法務大臣並びに外務大臣にもお伺いしたいと思うのであります。
 最初に法務大臣にお伺いいたしますが、スパイ防止法を制定、促進したらどうかというような議論が、法務委員会でことしの四月二日になされたのでありますが、その際、法務大臣はこう答弁されました。「一般論として申し上げるならば、この種の立法については報道を含めていろいろ表現の自由との関係の問題といったような問題があるわけでございますから、やはり十分国民の皆さん方の共感を得て物を考えていかなければならない、」、「そういう意味で党の中でもいろいろな意味で慎重な検討が行われるということを期待しておる」のでありますという趣旨の御答弁をなさいました。大臣は、この問題についてはここに示されたように、報道、表現の自由を含めていろいろ問題があるので慎重な対処が必要だというそのお考えは今もお変わりございませんか。
#246
○国務大臣(嶋崎均君) およそ国家が存在する以上、例えば外交とか防衛とかというような問題についてある程度機密が存在をするということは、私は避けられないことであろうと思いますし、また国家公務員等のいろんな仕事をやっていく場合についても、そういう問題がついて回っていることはいろんな法案にも規定をされておるところでありますから、それは当然のことであるというふうに思っておるわけでございます。そういう意味で、この問題を論議をするというのは非常に長い経過があるわけでございますが、最近のいろんな情勢というものを考えまして、非常に情報が自由化をされておるという日本の国柄から考えて、その問題を何か慎重に検討しなきゃならぬというような御議論があるということは、私ども十分ある意味ではわかるところがあるわけでございます。
 しかし、この問題につきましては、先ほどの答弁にもありましたように、やはり何というか、報道その他のいろんな問題もある、あるいは表現の自由その他のいろんな厄介な問題もありましょうから、そういう問題については十二分に検討を推し進めていかなきゃならぬというふうに思っておるわけでございまして、今度の法案についてもまだ趣旨説明その他十分承っておりませんけれども、国会の中で十二分に審議されることが必要であろうというふうに考えておる次第でございます。
#247
○橋本敦君 私は、国会の中での慎重な審議じゃなくて、出すこと自体にもっと慎重でなくちゃならぬというように言いたいと思います。
 法務大臣に続いてお伺いしますが、現行法では今おっしゃったように、国家公務員法を含めて秘密を保持することを建前としている諸法規があります。それからさらに不法な秘密の探知、収拾ですと、時には住居侵入、時には窃盗、こういう刑法規定の適用も可能ですし、それから一般人と公務員という関係から見ても、秘密漏泄を教唆したとか、共同正犯ということで刑責を問うということも可能ですし、外国人の場合は不法入国の場合はこれはもちろん出入国管理令で処置することもできるし、外交官その他の場合は外交的処置もとれるしということを考えますと、基本的に今大臣がおっしゃった国の秘密を保持する必要があるとしても、現在現行法で十分対処できるという体制があると私は思うのですが、いかがですか。
#248
○国務大臣(嶋崎均君) 我が国の場合に、いわゆる刑事特別法であるとか、あるいは日米の日米防衛機密保護法ですか、そういうような特別法の規定があるほかに、国家公務員法あるいは外務公務員法、あるいは自衛隊法などの公務員の秘密漏えいを処罰するための法律があることは事実でございまして、これまでもスパイ行為等に対してはこれらの法規の運用により具体的な対処をしてきたということは事実であると思うのでございます。しかし、今後とも現行法制で十分であるかどうかということについては、種々の意見があるということは現実でございまして、そういう意味でこの問題につきましても十分論議を尽くされることが必要であろうというふうに思っておる次第でございます。
#249
○橋本敦君 刑事局長、端的に言って現行法で基本的には対処できているという現状は、これはお認めになるんじゃないですか。
#250
○政府委員(筧榮一君) 今大臣からお答え申されましたように、刑特法その他の特別法、あるいは国家公務員法等の一連の公務員法等に規定があるわけでございます。その他窃盗とかいろんな関連法規といいますか法律があるわけで、現在までに発生いたしましたいわゆるスパイ行為については、これらの現行法を運用いたしまして具体的事案に応じた対処がなされたというふうには考えております。
 ただ、スパイ天国という言葉が適当かどうかは別といたしまして、そういう行為がいろいろあるというふうに言われておりますし、今後どういう形でそういう行為が行われるか、これはわからないわけでございます。そうしますと、今申し上げましたように、刑特法その他については秘密の範囲は限定されておりますし、公務員法等は主体である公務員が漏泄するという行為が基本でございます。それに共犯形態での関与という点はございますけれども、やはり基本が公務員自体の秘密漏泄ということを中心としておりますので、考えられるあるいは現に行われているというふうに言われておるようないろいろな形のいわゆるスパイ行為、これについて現行法で十分かと言われれば、必ずしも十分ではないのではないかというふうに言わざるを得ないかと思っております。
#251
○橋本敦君 それは刑事局長、将来どういうことがあるかもわからぬという想定から、今言ったようなことをおっしゃったわけでしょう。あなたがスパイ天国とおっしゃったけれども、実際スパイ天国だから現行法で処断できない、処理できない、だからこういうようになったという事例がありますか。具体的にありますか、一つでも。
#252
○政府委員(筧榮一君) 現在まで発覚いたしました件については現行法でどうにか――どうにかと言うとあれですが処理できておるわけでございます。ただ、いろんなことが考えられるわけでございますし、現に発生しておるという論者もいるわけでございます。その辺の実態は私どもよく承知しておりませんけれども、そういう実態なり今後のことを考えていろいろ議論がなされるとすれば、やはり現行法で十分であるとは言えないというふうに考えておるわけでございます。
#253
○橋本敦君 よくわからない実態があるということをおっしゃりながら、将来必要性があると言うのは、これは一方的な判断になりますよ。そういうことはやっぱり慎重に、おっしゃるべきでないことだと私は思いますね。大体法務大臣、それじゃ国家機密法でどうするかといいますと、まず秘密の範囲が物すごく広いですよ。
 外務大臣にお伺いしますけれども、自民党がこれまで検討してきた第二次案では外交問題は秘密にしてなかったことは御存じですわな。それは自民党が出しているパンフレットを見ますとそのことははっきりと、外交機密というものはこれは極めてその範囲が広いからこれは「法的限定がむずかしい」、しかも「秘密の性格や軽重度が変化する度合の強い」、そういうものだと。だから「公務員の守秘義務の範囲内に止め、スパイ防止の対象の特別の秘密とすることを見合せた」こう言っている、解説にね。これは妥当な考え方の一つですよ。どうですか。外交機密というのは物すごく範囲が広いし、時とともに軽重の度合いが変わってくる。だから、アメリカでは一般機密は十年で全部開示だ、特別のものも三十年で開示だ。ついこの間も行政協定の交渉記録が開示されたでしょう。ところが、今度はこの外交機密も入れてきた。外務大臣、いいですか。その入ってきた外交機密の範囲は、外交の方針、外交の交渉、外交上必要な外国に関する情報――何でも入りますよ、これ。こういう広い範囲を秘密ということにして、秘密であるものと秘密でないものとの区別を大臣責任持ってできますか、どうですか。
#254
○国務大臣(安倍晋太郎君) 自民党でどういう議論が行われて、どういう段階を経て今回の提案になったかということについて私は詳細には承知しておりません。まだ提案理由の説明もないわけですから、今外交当局としてこれに対して政府の立場からコメントするということは差し控えたいと思うわけでありますが、今のお話の点につきましては事務当局からお答えをさせます。
#255
○橋本敦君 いや、結構です、大臣で。いいという意味は、大臣ね、この刑特法がどうこうということじゃなしに、一般的に私は大臣に、大臣の責任として、外交の方針とか、それから外交上の交渉の内容とか、外交上必要な外国に関する情報とかいったような外交問題について、ここが秘密でここは秘密でないという客観的基準を引くということは極めて困難だというのが、だれが見てもそう思うわけですが、そういう客観的判断基準というのは明確に引けるんでしょうか。外交の御専門の、長年御担当の大臣としてどう思われますかという、大臣の見解を伺っておるんです。
#256
○国務大臣(安倍晋太郎君) この法律を詳細に私も検討しているわけじゃありませんけれども、一般的に、そうしたおっしゃるようなことがすべてこの外交の機密だとか、そういうことにはならないと思います。ただしかし、外交の中にあっても、国家安全保障という立場からいわゆる機密と言われるものが存在していることは事実でありますし、これが外に出るときはいわゆる国の防衛とかあるいは安全保障上国益に非常に害を与えるという機密というものが存在することは、これはもう事実であろうと思います。
#257
○橋本敦君 そうすると、やっぱり一つの矛盾がはっきりしたんですよ。この自民党が提出した法案では、今大臣がおっしゃった、そういう一般的なことは秘密にならぬとおっしゃったそのことを、外交に関する事項として外交上の方針とか内容とか、外交上必要な外国に関する情報とかいうことで全部秘密にするというんですから、今大臣がおっしゃったこととは矛盾して、秘密の範囲を拡大していることが一つはっきりするんですよ。
 法務大臣に伺いますけれども、こういう広範囲な秘密を設定をして、防衛及び外交の秘密を広範囲に設定をして、そしてこれを発表するということを著しく困難ならしめるという意味では、言論、表現の自由に非常にかかわる重大な問題を含んでいる。私はその問題について次に伺いたいのでありますが、法務大臣、一番私は問題だと思いますのは、外国に通報する行為という概念規定だと思うんですよ。これは大臣も御存じだと思いますけれども、刑法の改正問題の中でも今まで議論をされてきた問題がありますから、御存じのように、準備草案では、外国に通報する目的をもって重大な機密を不法に探知または収集した者を処罰するというのがあって、これがいろいろな議論があって削除をされ、法制審議会の刑法特別部会でもこれはもうやめようということになって、今出されておる刑法改正草案ではもうなくなったわけですね。これ、なくなった理由は、端的に言って、学界、法曹界、マスコミ界を含めて、この外国に通報する目的をもっての機密探知罪というのは、これはやっぱり言論、表現の自由とのかかわりで問題が多い、そういう批判があって刑法改正草案から削除されたというように私は聞いておりますが、理由はその点間違いありませんか。時間ありませんから簡単に言ってください。
#258
○政府委員(筧榮一君) 準備草案にありました規定が刑法改正草案には載っていないことは御指摘のとおりでございます。その審議の過程におきましては、この種の規定を設けること自体について賛否の両論があったわけでございます。また、賛成の意見の中にも、刑法に包括的な規定を置くことは相当ではない、機密の範囲等を明確にして特別法で詳細な規定を設けることとする方が適当であるというふうな意見もありました。結局、審議会の結論としては、この改正刑法草案の中ではその新設を見送るということになったわけでございます。
#259
○橋本敦君 置くとしても秘密の規定を、範囲を明確にせよという意見もあったということで、積極的に廃止せよという意見もたくさんあったわけですよね、そうでしょう、局長。その点どうですか、廃止せよという、だめだという意見もたくさんあったでしょう。
#260
○政府委員(筧榮一君) その論拠は省略いたしますが、必要がないという意見と必要があるという意見、両方が強く主張されたわけでございます。
#261
○橋本敦君 必要でないという意見が強く主張されたことをおっしゃらぬから聞いたわけですよ。
 秘密を限定すべきだという意見は存置すべきという意見にもあったんだが、今度の国家機密法では、限定どころか広範囲に物すごく広がっているということが一つ重大問題ですね。それからさらに、法務大臣、外交、防衛という国民にとっても当然知ることが必要な、国民主権の民主主義下では知る権利として当然国民が知らなくちゃならぬという重要な国政上の問題がたくさんあるわけですが、そういう問題について大きな秘密のべールで覆ってしまうような網がかぶせられてしまって、国民がこれを知ることができない、あるいは新聞が報道することができない、こうなること自体がまさに民主主義として重大な問題になるわけでしょう。そこで、そういうことになる一つの重大な問題としてあるのが、この国家機密法という法律の中で言っておる外国に通報する行為ということなんです。ところが、この外国に通報する行為はどういうことを言うのかというと、自民党の方でお出しになっている解説パンフレットによると、総理にも申し上げたんですけれども、甚だ広くて、直接外国に告知伝達する場合はもちろんこれは入る。その他、「外国が知り得る状態になることを認識し、そのようになることを認容した行為も含まれる」こうなりますから、だから例えば新聞記者が、事前協議があったとかなかったとかいう重大な問題、あるいはまた外交の方針について、日米の軍事協力や安保体制強化の問題がどういう話がなされたか、あるいは、この間開示された文書のように、アメリカから憲法改正をやったらどうかというような議論がまた出てきたのか出てこないのかといった情報、こんな大事なことは、これは当然、非核三原則を持ち、平和憲法を持っている今の憲法体系下では国民はやっぱり知る権利があると思うんですが、そういうことをたまたま入手して取材をした新聞記者がこれを書きますと、これは今言ったように、その新聞報道はそれはまさに「外国が知り得る状態になることを認識し、そのようになることを認容した行為」こういうふうに問われる可能性があるわけですね。刑事局長、こういう解釈は当然出てくるでしょう、このパンフレットの解釈からいえば。どうですか。
#262
○政府委員(筧榮一君) 本法案については私どもその内容を十分承知しておりませんので、その解釈についてはお答えは差し控えたいと思います。
#263
○橋本敦君 それじゃ大臣ね、解釈問題でなくていいです、法の解釈じゃなくて自民党が出している解説パンフレットの言い方として答えてください。この解説パンフレットで言うてるとおりならば、私が指摘したように、新聞で報道すれば当然外国が知り得る状況になるというのは否定できないんじゃありませんか。大臣いかがですか。
#264
○国務大臣(嶋崎均君) 具体的なその内容というのがよく承知をされない前提の中でお話を承っておるので、必ずしも十分理解はできないわけでございますが、今回の改正案を考えてみますと、当初御説明申し上げましたように、国が存在をする、そういうときにいろんな意味でやはり安全を守っていくために必要な機密というものが存在するであろう。また、外交、防衛の問題についてもそれを限定をして取り上げられておるわけでございますから、そういう意味では、ある意味でその囲いというものを明らかにした扱いになっておりますから、その取り扱いはだんだんに明らかになっていくんだろうというふうに思っておるわけでございます。
#265
○橋本敦君 私の質問に答えてください。
#266
○国務大臣(嶋崎均君) そういう意味で、今度特別法で、議員立法でお考えになるという趣旨は、
今刑事局長からも説明がありましたように、さきの改正のときにもこの問題をめぐって賛否両論があり、そして、そういう中で、賛成をされた人も、そういう場合には何か特別法の考え方で処理をしたらいいんじゃないかというような議論もあったというようなことを踏まえられて、この法案ができておるんだろうというふうに思うのでございます。
 その内容の詳細については、私も余り細かくは内容、承知しているわけじゃなしに、新聞等の報道で承知をしているのみでございますので、それが具体的にどういう事例がどう当てはまるのかということについての判断というのは、ことで御説明申し上げるような状況にはなっておらぬというふうに思っています。
#267
○橋本敦君 大臣は私の質問にまともにお答えになっていらっしゃらぬ。自民党の解説パンフレットによれば、外国通報行為というのは、直接に通報するだけじゃありませんよ、外国が知り得る状態にすることも含まれるんですよと、こう言っておるんですが、こういうパンフレットの解説そのものを素直に解釈すれば、新聞記者がたまたま取材で知った外交、防衛上の問題、これは国民に知らすべきだと、こう考えて新聞に書けば、それはこのパンフレットでいう外国に通報した行為とみなされる、そういう状況に当然なるじゃありませんか、どうですかと、こういうことを聞いているんです。いかがですか。もう一遍答えてください。はっきりしてください。
#268
○国務大臣(嶋崎均君) 何か今お聞きになっている事柄自体が非常に抽象的なお聞きなものですから、判断自身がなかなか個別な案件については、刑事関係のお仕事については私もそう個別の判断をするわけじゃない。一般的な論議としてお聞きしたところについてそういうケースが当てはまるのかどうかというのは、具体的な事案を見て判断をせざるを得ないんではないかというふうに思います。
#269
○橋本敦君 冗談じゃない。具体的な事案になっておったら大変ですよ、こんな法律を制定して。だれが考えてもはっきり日本語で「外国が知り得る状態になることを認識し、そのようになることを認容した行為」というんだから、テレビで報道する、新聞で書く、本に書く、だれもが知り得る状態だし、外国が当然知り得る状態だというのは明らかですわな。
 そういうようなことのすべてが、これは死刑または無期、時によったら懲役三年、四年以上の有期懲役という重い刑罰で処罰されるということになる。そういう状況がもし出てきたとするならば、これは大変なことじゃありませんか。私が言うように、そういう状況になったらそれは大変だという、このこと自体は一般的な国家体制のあり方として大臣、どう思われるんですか。
#270
○国務大臣(嶋崎均君) 先ほど来申し上げましたように、そういう報道その他の問題も含めて非常に論議の多いところでございます。現に刑法の改正案を論議をしたときにも、そういう議論が多くあったことは事実であろうと思うんです。
 そういう経過の中で、先ほど御答弁申し上げましたような論理から賛否両論があり、反対の議論もありました。しかし、ぜひ設けなきゃならぬという強い議論もありました。そういう中で対処をするとするならば、やはり個別の立法で対処をした方がいいんだろうというようなことでこの案ができておるわけだろうと思います。第四条の解釈の中身をそういうぐあいな一般的な事例について判断をするということがなかなか困難だろうというふうに私は思っておりまして、この条文だけを見ましても、そういう解説がどういうことにあったのか私もよく承知をしておりませんけれども、どうも一般的な事例でお答えをするというような状況にはないということを申し上げているわけです。
#271
○橋本敦君 大臣、全然答弁をはぐらかされているんですよ。多くの秘密を特別の秘密としてつくり、そしてそれを探知する行為を制限し、不当な方法で探知したらそれ自体大変な罰則ですよ。それで、外国に通報することを特別に重く処罰するという形をとり、しかも、その中身の外国に通報する行為とは、直接通報どころか新聞記者も多くの言論人も国民も、公表すること自体が外国通報行為だととられかねないこういうような法律ができたら、それこそ国民の知る権利を圧殺されるじゃないですか。それこそ戦前のような大本営発表しか知らされないことになるじゃないですか。そういう国家になっちゃならぬ。そういうことは大臣としてもはっきり言えるんじゃないですか。そういう国家になっちゃならぬ。
 最後にそのことをもう一遍はっきり確認をして、もう時間が来ましたから質問を終わります。委員長、はっきり答えてもらってください。はぐらかし答弁ならもう一遍やります。
#272
○国務大臣(嶋崎均君) 先ほど来たびたび答弁申し上げておりますように、具体的な提案の理由の内容というのも承知をしておらない状況にあるわけでございます。そういう内容の中で今委員が指摘されるような前提のことを申し述べて、それが一般的にどうのこうのという判断をどう考えるかという説明を求められておるわけでございますが、そういうことにつきましては具体的な法案の審議の中を通じ、かつまた我々もそれは具体的な事案でどういうケースというものがあるのかというようなことを見まして、個別的に考えていくべき問題ではないかということを申し上げておる次第です。
#273
○橋本敦君 全然納得できませんが、終わります、時間がありません。
   〔理事目黒今朝次郎君退席、委員長着席〕
#274
○三治重信君 官房長官にお尋ねをいたしますが、最近、この春、秋に勲章が出され、またそれの前後に褒章が伝達されるんですが、私も鳩山内閣のときに労働省で秘書課長代理をやっていて、その褒章を授けたことがあるんですが、最近こういうことを聞くんですね。褒章、民間の人でえらいお祝いをやって呼ばれていくと、これはもらうのはいいんだけれども、あとどう使ったらいいんですかと、こう聞かれて、私も、授けたことはあったけれども後の使い方どうなっているのかなと思って、調べるのもそのままにしておって今日に至って、一度内閣に聞いてみようと思っておったんですが、ひとつその点どういうようになっているか、お尋ねします。
#275
○国務大臣(藤波孝生君) 勲章などの着用につきましては、総理府の告示で勲章等着用規程というのがございまして、その中で「国、地方公共団体その他の公の機関の行なう式典には、勲章等を着用するを例とする」と、こういうふうに定めてございます。この規程は、普通はまあどういうふうに着用するかというようなことを主として定めたものでございますけれども、その中にはそういった条項がございまして、一般的に勲章などをぜひ公共の会合などでおつけになるといいと思いますという感じをここで出しておるわけでございます。
 また、賞勲局等で主宰をいたしまする各自治体などの栄典の関係者の会議などでもそういったことに触れまして、いろいろな公の会合などでできる限り着用されるといいがという感じを出しておるところでございますが、一般的に御遠慮になりますのか、なかなかそういうまだ慣習になっていないと申しますか、せっかく勲章や褒章をお持ちの方がなかなか着用してそういった会合にお出にならない、式典にお出にならないということになっておること非常に残念に思っておるところでございまして、なるべくそういう慣習をつくるようにいろいろな機会に、指導をと言うと失礼ですけれども、申し上げていくようにしてはと、こんなふうに考えておるところでございます。
#276
○三治重信君 そういうことですか。それなら、お祝いなんかをやって後の着用のやつも着用規程というのがあるんですが、それは服装なんかも指定しているんですか。
 それが一つと、それからもう一つは、私は渡すときに後のそういう着用規程のことをよく説明したらいいんじゃないかと思うんですが、それはど
うも余りやってないんじゃないですか。市町村のそういう賞勲関係やっている関係者に説明していて、そこで説明聞いてはいと言っているだけで、受章者そのものはもらったときには何にも説明受けなくて、それから別に市町村の係官に説明しているだけで、そこの間にうまくいっていないところがあるんじゃないか。それから服装やどういうときに着用できるかというと、もらうときに説明したりすることが必要じゃないかと思うんです。いかがですか。
#277
○政府委員(海老原義彦君) お答え申し上げます。
 まず、先生の第一点のこの勲章等着用規程で服装などどんなものを規定しているかという御趣旨だと思いますけれども、勲章等を着用する場合の服装でございますとか、それから具体的な一等勲章の着用方法、二等勲章の着用方法あるいは併佩といいまして勲章と褒章と並べてつけるときどういうふうにするかとか、外国勲章と並べてつけるときどういうふうにするかとか、そういうものを規定したものでございますが、その中に今官房長官から御説明しましたように、「(勲章等を着用する場合)」としまして、第二条としまして「国、地方公共団体その他の公の機関の行なう式典には、勲章等を着用するを例とする。」というふうに規定しております。
 また、御質問の第二点で受章者に対してどのような指導をしているかということでございますが、勲章等の受章者に対しましては受章の際にこういう「勲章・褒章受章者のしおり」という小冊子をお渡ししておりまして、その第一ページ目に「勲章等は、国又は地方公共団体等が行う式の際に着用する建前となっております。」というようなこの着用規程の趣旨を述べた後、また社会的な儀式、例えば長寿祝賀会とか結婚式とかそういうものを例示しまして、そういう場合にも触れて、前記に準じてというようなことを言っておるわけでございまして、今後ともそういった受章者に対する面、それから地方公共団体等に対する面、指導を推進してまいりたいと思っておるわけでございます。
#278
○井上計君 運輸大臣にお尋ねをいたします。
 休憩前、国鉄の再建問題等につきまして運輸大臣の御所見を伺いました。また国鉄総裁に今後再建について、特に民営化に移行する場合にいろいろと問題になっておるその処理等についてのけじめをつけるということについて、その一つの例として賠償請求の訴訟について伺ったわけであります。あと時間がありませんから、国鉄総裁特に御出席をいただくことをいたしておりませんけれども、今後とも運輸大臣、特にその面については運輸大臣の責任として十二分に御検討いただくように、また督促をしていただくように、いずれにしても五年前からもう近く結審、近く結審ということが繰り返されておって、いまだにまだ結審の見通しがつかないということについてはいささかどうであろうかと、こういうふうに考えますので、再度運輸大臣にこの点についてひとつ要望をいたしておきます。
 そこでお伺いいたしますが、道路運送法についてであります。道路運送法が昭和二十六年に制定をされております。以降、若干の一部改正が行われておりますが、ほとんどは昭和二十六年制定当時と全く変わっていないこと、これはもう我々としてもいささか奇異に感ずる点があります。ということは、昭和二十六年と現在とではもう我が国の道路事情はもちろんでありますけれども、特に車両台数等々あらゆる面においても格段に違っておりますが、それが現在依然として昭和二十六年制定当時の道路運送法によってすべての規制が行われておる、あるいはまた運用されておるところにいろんな問題があるんではなかろうかと、こう考えます。七月に運輸省は機構改革を行って、その後九月に将来の事業規制のあり方等についての検討委員会を設置し、検討を続けておられるとこう聞いておりますが、結論はいつごろ出るとなっておりますか。まず、それから伺います。
#279
○政府委員(山本長君) お尋ねのとおり、運輸省におきまして昨年の九月から検討委員会をつくって検討を開始しておるわけでございます。運輸省としての結論のめどと申しますのが、六十年度中には一つのめどをつけたいという時期的な目途を置いてやっておるわけでございます。運輸省といたしましては基本的な許認可のあり方の問題と、個々の許認可をできるだけ簡素化、合理化するという当面の合理化ということを二本立てをもって検討をいたしておりまして、その当面の簡素合理化という点につきましては、ことしの三月に一応の第一段の結論を出しまして、省令などの改正を含めまして四百三十件ばかりの簡素合理化をやるということで、省令改正を若干残っておりますが、ほぼ終えたという段階でございます。基本的な問題につきまして現在検討をいたしておるところでございますが、一方、行革審の方の規制緩和分科会というところで、この問題について精力的に現在審査が行われているという段階でございますので、その審査に我々も協力するというような立場でもって運輸省の検討も進めておると、こういう段階でございます。
#280
○井上計君 私は誤解されては困るんですが、現在の規制をすべて外してというふうなことを言うんじゃありません。しかし余りにも、先ほどから申し上げているように昭和二十六年に制定された道路運送法に基づいて、当時はこのような規制が行われておってもこれはまあ当然であったろうと思われる点もありますけれども、しかし、三十数年たった今日、当時と同じような考え方で規制をされているところにいろんな問題が起きておると、こう思うんですね。だから、既存の業者、業界においても現在の道路運送法についての見直しの声が強い。同時にまた、新規参入しようとする人たちにとって現在の道運法は全く適切でない、こういうふうな意見があるわけですね。だから、根本的な見直しというものが考えられなくてはいかぬと思いますし、今、局長三月にある程度結論が出て、さらに政令等についての検討中だというお話がありますが、現在、実態に沿わないようなそのような行政指導といいますか、特に新免等についての取り扱いが末端の、今は陸運局という名称でなくなりましたが、地方で行われておるというふうなこと等があるわけですね。時間がありませんから具体的な問題等についての指摘はやめますけれども、先般ちょうだいをしたこの三年間の免許件数の推移等についてみても、確かに数はトラック、区域トラック等についてはかなり免許、新免あるように書いてありますが、実際は地域的に偏っておるというふうな面もありますし、また出先によって規制のあり方がかなりばらつきがある、こういう実態もある、このように聞いております。
 それからもう一つは、数年前から問題になっておりますけれども、特に貸し切りバスの免許の問題で、非常に厳しいために白バス、要するにやみバスが横行しておる。そのためにお客との間のトラブル、あるいは交通事故発生の原因、あるいは事故発生の場合の補償の問題というふうな問題がしばしば起きておる、こう聞いておりますから、私が申し上げますのは、規制の緩和というものはそういうふうな実態に即したそういう面をもっと検討し、さらに適切な方法を早くおとりいただく必要がある、こう考えております。
 それから、あわせて申し上げますけれども、五十八年四月二十一日に参議院の、当院の運輸委員会で「貨物自動車に係る道路運送秩序の確立に関する決議」がなされておりますが、この決議、これはもっともだと、当然だと思いますが、どうも往々にしてこの決議を非常にかたく考えて、だから事実上新規免許というものは出さないんだ、出せないんだというふうな、そのような取り扱いをしておる末端の窓口もある、こんなふうにも聞いておりますので、この点についてもっと根本的な見直し、検討が必要である、こう考えておりますが、大臣あるいは局長、どういうふうな御見解でおられますか。
#281
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほど担当の局長からお答えいたしましたけれども、今政府が持ってお
ります許認可は総数が約一万と伺っておりますが、その中で二千二百を超えるものが運輸省でございまして、したがってこの際許認可官庁から政策官庁へと脱皮しようという合い言葉のもとに、昨年の七月来この作業を進めてきたことは今局長が申し上げたとおりでございますが、とりわけその中でも自動車が一番多い。しかしながらこれらの許認可の原点にさかのぼってみますと、やはり交通秩序の確保と申しましょうか、ひいては社会秩序のためにそれぞれ必要な立場からできた。しかしおっしゃるようにやはりこういうものは一つの時代の変化に対応して変えられるべきものだということは、私も痛感をいたしております。
 細かな技術的問題については担当の政府委員来ておりませんからお答えできませんが、例えば積載制限の問題にいたしましても、自動車の構造自体が昭和二十年代と比べるとはるかに違ってきている。あるいはブレーキ一つとってみましてもはるかに優秀になってきている。それなのに基準が同じであるのはおかしいではないかということは、実は私から指摘している問題でございまして、これらのことにつきましては今日の技術の革新、その他時代の対応等も考えながらひとつ適宜処してまいりたいと思っております。
 なお、ただそう言いながらもやはりそれでは例えば今御指摘の免許の問題もございますけれども、簡単な例をとってみますと、霊柩車について私のところにいろいろ国会議員の方もついてお見えになります。おたくでは人口規模からすれば霊柩車は今のままでいいでしょう、一台でいいでしょうと言えば、二台にふやしたって死人が倍にふえるわけじゃないじゃないか、とおっしゃるけれども、そういったやはり一つの地域におけるすべての適正台数というものがあらゆる面に、これは配慮していかなきゃならぬ。最近、例えばタクシーにつきまして多過ぎて、これはもう共倒れだという声で、私といたしましては場合によっては多過ぎるならば新しく免許をおろすどころか、逆に減車も、減らすことも考えていいではないか。地域の業者の一致した意見であればそこまでもはや踏み切る時期が来ているというようなことも考えておりますし、余りもうこれは放縦に流れますというとやみタクシー、やみトラック、やみバス等がまたばっこいたしますので、やはり地域に適したそういったものを認めていくという、そういう立場から許認可をさらにもう一回見直していく、こういう方針でまいりたいと思っております。
#282
○井上計君 今、大臣の方に私は実は政策官庁に脱皮を特に運輸省としては今後お考えをいただきたいということを最後に要望するつもりでおりましたが、大臣の方からお答えがありました。全くそのとおりであろうと、またそのとおりでなくてはいかぬと、こう考えます。今、大臣のお話の中にありましたが、昭和二十六年当時とは私が先ほど申し上げておりますように道路事情、さらに今車両がもう非常に優秀になっておるわけですから、それらの点を合わせますと、やはりもっと根本的な見直しが当然であろうというふうに考えます。
 最後に一つ、こういうふうな問題もあるということを申し上げておきます。新免の申請をいたします。そのときにまず当然資金的な計画、これを出すわけでありますけれども、資金が、銀行残高が幾らあるという残高証明を提出をする、それが一年なりあるいは半年、運輸省は半年程度と言われますけれども、実際には一年、一年半ぐらい先になって詳細な聴聞のときにその残高が同じでなくてはいかぬというふうな、そういうふうなことも末端で指導されておるんですね。一年も一年半も銀行預金で遊ばせておる人が果たしてあるであろうか。これも現実の問題とは大分かけ離れておるということもありますし、その他申請の書類の内容あるいは聴聞のときの内容等については、昭和二十六年当時と変わらぬようなことがずっとなされておる、そこらあたりにもやはり問題があるであろうというふうに考えます。道路秩序を守るためには既存の業者を一面では擁護しなくちゃいけませんが、同時にそれが安易な道に流れておって、既存の業者があぐらをかいておるというところにまた問題があるというようなケースも発生しておるわけでありますから、そういう面についても十二分のひとつ御配慮、御検討を今後ともいただきたい。
 以上希望して、私の質問を終わります。
#283
○喜屋武眞榮君 外務大臣、御苦労さんでありました。大きなお土産に対しても聞きたいところでありますが、時間が許しませんので、後日にいたしたいと思います。
 それですぐお聞きしたいことは、午前、中曽根総理に沖縄基地の問題に対する姿勢を尋ねました。ところで冒頭に外務大臣に尋ねたいことは、もうはしょって申し上げます、沖縄の基地は年々強化拡充されるばかりであるが、そうしますと、事故の確率というのは数とスピードに比例して多くなるということがこれも確実でありますので、今でさえももう県民の生命、財産の脅威はもう我慢ならないという限度まできておるんです。それをどうしてもそのままにしてもらっては沖縄県民は困るということで、結局日米の間でテーブルに着いて、その問題を前向きで話し合ってもらわなければどうにもならない。してみますと、沖縄基地の問題を取り上げる窓口は外務省でありますので、外務大臣がどのような姿勢で日米の交渉をしていかれるか、このことによってしか期待できない。といいますのは、西銘沖縄県知事もそして加藤防衛庁長官もワインバーガー長官に会っておられますが、その結論からも、米ソの戦略基地としての沖縄基地はますます大事であるということがもう再確認されつつあります。そういう状況を踏まえて、外務大臣としてどのように対処していこうと思っておるのか、この一点ぜひお聞きしたい。コメントをお願いします。
#284
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日米安保条約に基づきます米軍の存在は、我が国の平和と安全、ひいては極東の平和と安全に寄与しておりまして、政府としましては、沖縄県におけるところの米軍施設区域の円滑かつ安定的な使用が日米安保条約の目的達成のために緊要である、こういうように考えておるものであります。しかし同時に政府としましては、沖縄県における米軍施設あるいは区域の密度が非常に高いわけでありますし、施設区域をめぐる問題の解決についてはかねてから地元に強い要望があることも十分承知をしてきております。国会でもいろいろと御指摘をいただいたわけであります。政府としましては、これまでも累次の機会に米側に対しまして施設区域の使用に際しては安全対策に万全を期し、周辺の住民生活に最大限の配慮を払うよう求めてきておるところでございまして、外務省としてもしばしばこの点については米軍に申し入れております。同時にまた、今回加藤防衛庁長官もワインバーガー長官に対しまして日本側の要請を伝えたことは御承知のとおりでありますが、今後とも地元の要望あるいは民生の安定、開発計画等に配慮するとともに、日米安保条約の目的達成との調和を図りながら米側との協議を通じまして、問題解決に向かって努力を続けてまいりたい、こういうふうに考えております。
#285
○喜屋武眞榮君 次に、文部大臣にお尋ねします。
 教育において、歴史の証言としての事実を教え、真実を教えるということは教育の道で最も大事なことであると思いますが、大臣いかがでしょうか。
#286
○国務大臣(松永光君) 歴史の教育につきましては、客観的な事実に基づいて教育すべきでありますが、ただ教育というのは教育を受ける児童、生徒の発達段階を考えながら教育はしていかなきゃならぬというふうに思うわけでございます。
#287
○喜屋武眞榮君 では、お聞きしますが、小学校の社会科の教科書が今度検定教科書が内容が、表現が変わっておる、こういうことで、これは全国的にも大きな問題ですが、特にその内容が沖縄との関係、いわゆる沖縄戦のあの中から生まれた問題が教科書に取り入れられておったわけでありま
すが、時間がありませんので、その内容について検討する、質疑する余地はありませんので、時間もありませんので、このことだけはぜひお聞きしたい。
 住民虐殺のこの事実が削除されておる、前はあったが削除されておるというこの理由、この根拠は何でしょうか。
#288
○国務大臣(松永光君) 昭和六十一年度から使用される小学校用の社会科教科書の検定は、現在その検定作業中でございます。
 沖縄戦に関する教科書の記述に関しての御質問でございますが、これにつきましては沖縄県民の県民感情に配慮しつつ、客観的でありかつ公正で、それに児童の発達段階に即した適切な教育的な配慮が施されたものになるよう検定を現在行っているところであります。今御指摘の点でございますが、先ほど申したとおり現在作業中でございますので、個別にわたる事項につきましてはコメントすることはこの際差し控えさせていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
#289
○喜屋武眞榮君 まだ検討中であることもわかっております。事が重大でありますがゆえにあえて申し上げますが、今大臣もおっしゃったように、教育の道において児童の発達段階に留意することは大事でございます。であればこそ真実をゆがめてはいけない、歴史的事実をすりかえてはいけない。このことは、これは私は最も大事なことであると思いますので、これを大事にしていただきたいということを要望いたしまして、次に進みます。
 次に、厚生大臣お尋ねします。
 基本的な問題、日本のこれからの福祉制度のあり方について大臣の見解を求めたいと思います。
 私は思います。戦後の日本の福祉制度というものはそのよりどころがイギリス型の福祉と言われておりますが、ところが憲法二十五条のあの柱が日本の福祉の制度のよりどころである、根拠である。そこで、この福祉というものは私は国民の命にかかわること、健康にかかわること、暮らしにかかわることである。なるがゆえに一たん実現した、立法された福祉の内容というのは前進はあっても後退があってはいけない、百歩譲って足踏みはあっても断じて後退はあってはいけない、こういう見解を持っております。そのことにつきましてもいろいろ問答いたしたいのでありますが、もしこのことが、日本が米国の世界戦略の片棒を担いで、その結果として防衛予算が増大して、そのあふりを食らって福祉が後退をする、あるいは切り捨てられるということであるならば、ここにまた問題があると思うのでありますが、今日まで日本の戦後の見直しという、総決算という名において検討されつつある面もあるわけですが、厚生大臣のこの基本的な見解を求めたいと思います。
#290
○国務大臣(増岡博之君) 今日我が国は大変速いスピードで高齢化社会を迎えておるわけでございますから、社会福祉制度全般にわたりまして長期的に安定をしたしんの強いものにしなきゃならぬということが言われます。したがって、不断に注意を払っておかなければならないところであろうかと思います。
 今御指摘のように、イギリスでの福祉のことに関連いたしまして御質問でございますけれども、我が国と英国とは社会経済情勢も違うわけでありまして、社会保障制度についても全然別のものでございますので、そのようなことが我が国に影響されるということはないものと考えております。御指摘のように福祉の水準は今後とも守っていかなければならないという気持ちで頑張っております。
#291
○喜屋武眞榮君 このことにつきましても質問を続けたいのでありますが、時間が許しませんので、一応大臣の基本的な見解は今承りましたので、最後に、豊田商事の問題は、衆議院と言わず、参議院と言わず、また各委員会におきましても取り上げられておることも私存じております。そこで、はしょりまして、そのあらしが沖縄にもとうとうと浸透してきておる、しかも沖縄の事実がむしろ質的にはひどいのではないか。例えばお年寄りやあるいは身体障害者、そういった層をねらっておるという、こういったケースがもう続出しつつあるわけであります。そういったこともありますので、ねらわれておる沖縄の実情を経企庁長官とされてどのように被害状況を把握しておられるか。これももう詳しいこと求めれば限りがありませんが、はしょってお聞きしたい。しかも、そのことがさらに沖縄の離島、渡嘉敷、座間味と、その離島の開発にもまた結びついて、そして離島を今大騒ぎさしておる頭実ですね。この、先ほども悪徳商法というお話がありましたが、もう許せないことが沖縄にも浸透しつつあるわけであります。そこで、この問題の解決には、特に離島開発との関連におきまして非常に頭を痛めて騒いでおりますが、地元村民に不利益なことがないように、ひとついち早く適切に処置をしてもらわなければいけないと、こう切実に思い詰めておるわけでありますので。
 以上、大変舌足らずでありますけれども、意のあるところをお察しくださいまして、そして今この悪徳ということにも関連するのじゃないかと思いますが、きょうの午後三時過ぎのNHKの臨時ニュースで、豊田商事大阪本社を兵庫県警が強制捜査をしたことが報ぜられておるようであります。それは、外為法に違反ということで、その容疑で豊田商事本社が家宅捜索を受けておると、こういうことが報じられておりますが、どこまでこれが虫食いが浸透していくのであるか、本当に末恐ろしくなるわけでありますが、以上お尋ねしまして、大臣の御見解を求めて終わります。
#292
○国務大臣(金子一平君) 数字的な説明は政府委員からさせます。
 お話のように、沖縄の方まで豊田商事が手を伸ばしておる、しかも金まがいの商法だけじゃなくて観光開発にまで手を出しておるということは私どもも承っておりますが、こういう特に老齢者を中心にした将来の身寄りのない人を被害者にするような商活動は社会的にも許せませんので、私どもといたしましても全力を挙げてこういった被害の波及を食いとめ、救済策を講じたいと思って努力をしておる最中でございます。
 そういう意味から、この問題が大きな社会問題になりまして、早速、大蔵、通産はもちろんでございますが、警察庁、法務省、公取委員会を加えて、私どもも中心になりまして関係の六省庁がこの対策に取り組んでまいっております。ぜひひとつ、こういう悪徳商法がまかり通らないような取り締まりをやりたいということで今全力を挙げて問題の詰めをやっておる最中でございますが、今お話しのございましたように兵庫県警が強制捜査に乗り出しましたので、さらにこの問題の解決が一歩大きく前進することと考えております。
 私どもといたしましては、訪問販売法やら出資法を初め、関係法令の許す限り厳正な適用をやってまいりたいということで、今検討を進めておる最中であることを申し上げておきます。特に経済企画庁といたしましては、消費者保護の立場から、中央の生活センターはもちろんでございますが、各都道府県にございます消費者センターを動員いたしまして被害者との連絡に努め、また被害者の救済に乗り出しておる最中であることを申し上げておきたいと存じます。
#293
○委員長(佐藤三吾君) この際、休憩中の理事懇談会におきまして、警告案文のうち会計検査院法改正について協議いたしました結果、委員長から再度質問をすることに各会派の意見の一致を見ました。
 それでは質問をいたします。
 会計検査院法の改正問題については、決算委員会の重要課題として取り組んできたところであるが、政府は、いわゆる藤森通達等の行政措置により措置してきた。この点について、本日の最終総括質問において内閣総画大臣及び会計検査院長の見解が表明された。
 政府は、この見解に沿い藤森通達が有効かつ確実に運用されるよう政府関係機関の積極的な協力体制をとり、検査対象機関においていやしくも検査の拒否などの事態の発生しないよう強力な措置を講ずべきである。
 本決算委員会は、向こう一カ年間、右の要請に対する政府の対応を注視し、院法改正について改めて発議することもあり得ることをここに明言して、大蔵大臣において政府全体を代表して答弁を求めます。
#294
○国務大臣(竹下登君) 委員長の御質問にお答えをいたします。
 ただいまの委員長の御発言に関しましては、今後藤森通達等を実効あらしめるよう、本通達に従って必要な場合には関係機関を指導する等、御質問の趣旨をも踏まえ、会計検査に対する一層の協力に努めてまいる所存であります。
#295
○委員長(佐藤三吾君) 他に御発言もなければ、昭和五十七年度決算外二件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#296
○委員長(佐藤三吾君) 御異議ないと認めます。
 これより昭和五十七年度決算外二件について討論に入ります。
 昭和五十七年度決算の議決案はお手元に配付のとおりでございます。
 なお、内閣に対する警告案文につきましては、理事会において協議の結果、意見が一致したものでございます。
 案文を朗読いたします。
 (1) 昭和五十七年度は、第二次石油危機に伴う世界経済の停滞が予想以上に長期化したこと及び政府の経済見通しが結果として見込み違いを生じ、六兆円を超える税収不足が発生し、その補てん策として特例公債を増発することとなった等により「五十九年度特例公債依存体質からの脱却」という目標が実現しなかったことは、誠に遺憾である。
   政府は、可能な限り正確な経済見通しの策
定に努めるとともに、行財政の無駄をなく
し、「特例公債依存体質脱却」に向け、財政
改革を強力に進めていくべきである。
 (2) 貸金業規制二法が施行されて一年半を経過したが、いまだに過剰貸付けの事例がみられ、返済能力のない一部の債務者に悲惨な事態が生じており、さらに信販会社など複数のクレジット業者から多重・多額な貸付けが行われ、社会的な問題となっていることは遺憾である。
   政府は、貸金業規制二法の厳正な運用を図るとともに、クレジット業者の貸付けを含め過剰貸付けが行われないよう指導することにより、関係省庁間の緊密な連携の下に多重債務者の問題の防止に努め、利用者の保護に万全を期すべきである。
 (3) 一部の都道県が、義務教育費国庫負担金の算定に当たって、小・中学校から事実と相違した過大な児童・生徒数の報告がなされ、これに基づき教職員の標準定数等を算定していたため、国から当該都道県に対し、国庫負担金が過大に交付されたことは、極めて遺憾である。
   政府は、今回の事態が学校教育の場で生じたことを厳正に受けとめ、このような事態の再発防止に努めるとともに、各都道府県及び各市町村に対して指導すべきである。
 (4) 農林水産省の水田利用再編対策事業については、発足以来既に相当の期間を経過し、一定の成果は認められるが、事業の効果が十分発現されていない事例について、会計検査院から種々の指摘を受ける事態があったことは遺憾である。
   政府は、これまでの会計検査院の指摘にも対応して五十九年度から発足した第三期対策の実施に当たり、その趣旨の周知徹底を一層図るとともに、適正な補助金の交付に努め、転作の定着化を促進するなど事業効果の向上を期し、補助目的を達成するよう努めるべきである。
 (5) 昨年一月の三井石炭鉱業三池鉱業所有明鉱の坑内火災事故に引き続き本年四月の三菱石炭鉱業高島礦業所及び五月の同鉱業南大夕張礦業所の坑内ガス爆発事故など、この一生間に繰り返し発生した事故は、生産重視と保安対策の不備による人災ともいえる惨事であり、昨年本院において炭鉱事故再発防止の決議が行われ、また、毎年、国から補助金が交付されていたにもかかわらず、このような事態が繰り返されたことは極めて遺憾である。
   政府は、たび重なる事故の重大性にかんがみ、保安対策上の基本的な問題の所在をさらに徹底的に究明するとともに、今後の鉱山保安行政を進めるに当たっては、自主保安林制のより一層の整備拡充に配慮しつつ労働者の安全、衛生、保護などの各施策を充実させるため抜本的な対策を講ずべきである。
 (6) 都市再開発法に基づく組合施行の市街地再開発事業は、国から補助金を受けて実施されているが、最近、一部の事業について、その契約方法、補償方法などをめぐっての疑いが指摘されたことは遺憾である。
   政府は、今後、市街地再開発事業が適正に行われるよう、関係団体を一層指導すべきである。
 (7) 決算審査は、予算に関する政府の施策及び予算執行に関する会計経理の適否を審査するものであり、その審査又は調査のためには政府の積極的な協力を必要とするが、政府の対応には必ずしも十分でなかった点が見受けられたことは遺憾である。
   政府は、本院における審査又は国政調査権の行使に支障が生ずることがないよう最大限の努力をすべきである。
 以上であります。
 それでは、御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。
#297
○目黒今朝次郎君 私は、日本社会党を代表して、昭和五十七年度決算外二件に対し是認することができないことを表明するとともに、委員長提案の内閣に対する警告案に賛成するものであります。
 反対する理由の第一は、五十七年度の財政・経済運営についての誤りが挙げられます。同年度の財政の特徴は、超緊縮予算であったにもかかわらず、レーガン米大統領の軍事費増額の強い要求に押されて防衛費を突出させるだけでなく、逆に社会保障、教育、中小企業など国民生活に深くかかわる関係予算を大きく切り込んで、軍拡型予算を誕生させたことであります。
 また、五十七年度の歳入決算を見ますと、税収不足が五十六年度の二倍にも当たる六兆円に達していることが挙げられ、政府は五十九年度に赤字公債依存脱却と財政再建を公約しながら、完全に失敗いたしました。この歳入欠陥の穴埋め策として、同年度の補正予算で史上最高の三兆四千億円もの赤字国債を追加発行し、それでも足りないとわかると、さらに国債償還のための定率繰り入れを取りやめるなど、およそ財政の再建とは逆行する措置をとったのであります。
 そして、この税収不足が大きな政治問題に発展いたしますと、その原因が景気の停滞とか物価の安定にあるとか強弁していますが、その根本原因は、政府の実勢無視の高過ぎた経済成長の設定と、それに基づく過大な税収見積もりにあります。このことは、防衛費を捻出するために予算をやりやすくするという隠れた目的があったと言っても過言ではありません。
 その結果、年度半ばにして鈴木前総理は、財政非常事態宣言を出すという重大な事態に追い込まれ、ついに退陣を余儀なくされました。その後になって中曽根内閣は、財政再建を六十五年度まで七年間に延ばし、増税なき財政再建を公約しましたが、これとて現在の財政運営では達成困難となっており、多くの国民は政府を信頼しない段階にあります。
 第二の理由は、いかに人命軽視の行政が行われているかであります。昨年の一月、三井石炭鉱業有明鉱の坑内火災事故に引き続き、本年四月には三菱石炭鉱業高島砿業所、五月に同鉱業南大夕張砿業所の坑内ガス爆発など、短期間にしかも一瞬のうちに多くのとうとい人命を奪った事故が発生いたしました。これら一連の事故から明らかにな
りましたことは、企業側の初歩的なミスによる不備な鉱山保安対策に加え、国の鉱山保安監督行政にも財政面から大きな問題を残しております。
 石炭関係予算は、現在、毎年千二百億円から千三百億円台で推移しておりますが、そのほとんどが生産奨励金など生産部門に充てられ、肝心の保安確保対策費はその十分の一以下で寒心にたえません。しかもその少額な予算ですら、年々不用額が増加しているありさまであります。その結果、予算消化率は、五十六年度九二%、五十七年度八六%、五十八年度には八一%と毎年低下しているのであります。こうした人命軽視の実態から、一連の事故がまさに人災であると断ぜざるを得ません。
 第三の理由は、会計検査院法の改正が手つかずであることであります。言うまでもなく、院法の改正は、ロッキード事件の発生を契機に、再発防止の観点から検査の充実強化の国会決議があってから六年も経過しております。しかし、これに対して政策金融が機能しなくなるとの関係各省の身勝手な主張とともに、内閣の優柔不断な態度によって国会決議が実現しないのは、議会制民主主義を否定するものであり、断じて認めることはできません。それと同時に、役人の悪知恵を集めた肩越し検査でもってこの問題を処理しようとする政府の姿勢は全く容認することはできません。
 さらに、検査院が指摘する違法・不当な支出も依然として後を絶たず、政府の予算執行の姿勢、規律に大きな疑問を残しております。
 以上三点を主にして反対の理由を述べ、反対討論を終わります。
#298
○後藤正夫君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、昭和五十七年度決算外二件に対してこれを是認するとともに、委員長提案の警告に賛成の意思を表明するものであります。
 五十七年度の緊急の政策課題は、物価の安定を基礎に民需を拡大して内需を中心に着実な景気回復を図り、財政運営においては、公債発行額を着実に縮減して、五十九年度赤字公債ゼロの財政再建を達成することでありました。このため五十七年度の当初予算は、歳出の伸びが六・二%と昭和三十二年度以来最低に抑えられた歳出抑制型予算であったのであります。
 この限られた予算の中で、政府は四月には公共事業の上半期契約率七七・三%という過去最高の前倒しを決定したのでありますが、この契約率は九月末にはほぼ達成されております。さらに五十七年度の前半は世界経済の停滞に伴って輸出が減少を続けたため、景気回復が緩慢となり、雇用情勢は厳しく、また産業は業種によって構造的な問題を抱えたものが目立ってきたことから、十月には、内需の拡大、不況産業対策、雇用対策を柱とする二兆七百億円の総合経済対策を決定し、機動的かつ、きめ細かい経済運営に努めたのであります。
 しかし、米国が五十六年夏以降再び景気後退に陥り、欧州経済も停滞を続けるという世界経済の急激な同時不況と米国の高金利は、我が国経済に予想したよりはるかに大きく影響したため、景気の回復がおくれ、五十七年度半ばには税収の大幅減収が予想されるに至りました。そのため政府は補正予算で税収の減額補正を行い、その補てんとして特例公債の増発を余儀なくされ、五十九年度に特例公債依存から脱却という目標からは方向転換をせざるを得なくなりましたが、これは政府として全く予期せぬ不可抗力ともいうべき外的要因によるものであり、避けることができなかったのであります。五十七年度は、こうした海外からの厳しい影響を受けながらも、政府は素早く対応し、財政経済運営を行ってまいりましたが、それはまことに時宜に適したものであったと言えるものであります。
 また、政府はその後も増税なき財政再建という目標は崩すことなく、経費の徹底した節減、合理化によって予算規模を厳しく抑制し、公債発行額の縮減に努めており、その努力は大いに多とするものであります。
 物価については、卸売物価が前年度比一%、消賢者物価は二・四%の上昇で、前年度よりもさらに低く、今日まで引き続いて極めて安定した状態にありますが、物価の安定は他の先進諸国と比較しても際立ってよいものであり、政府の物価対策が適切であったことの証左であると申せましょう。これはまた国民生活の安定に大きく寄与しております。
 財政執行の個々の問題については、本委員会の審査の過程で明らかになった点、あるいは会計検査院の指摘で見るように、反省すべき点、留意すべき点がありましたが、政府は、この際、警告の趣旨を十分に体して、今後一層財政の効率化、行政の適正化に心がけ、国民の信託にこたえるよう要望いたしまして、賛成討論を終わります。
#299
○服部信吾君 私は、公明党・国民会議を代表して、昭和五十七年度決算外二件に対して、これを是認できないことを表明し、内閣に対する警告に対して、賛成の意を表するものであります。
 その最大の理由は、財政運営の失敗であります。前の五十六年度決算について大幅な歳入欠陥が早くから予想される中で、この五十七年度予算は成立をいたしました。その直後に五十六年度の大幅な歳入欠陥が明らかになるという、財政当局がこの五十七年度予算の土台が崩れていることを国会審議の段階でひた隠しにしていたことは、憲法の定める財政民主主義の観点から厳しく糾弾しなければなりません。
 さらに、経済成長率も名目八・四%と見込んだものが、五・〇%、実質五・二%と見込みながら、三・三%といずれも低い水準に終わっておりますが、当初から高く見込み過ぎだという批難が的中をいたしました。これは予算編成を容易にするため安易に税収を多く見込もうとして、無理を承知で現実離れをした経済見通しを行ったことが、その後暴露されました。このようにして六兆円という未曾有の税収不足を生じたのは、当初から予想された人為的な事態であり、全面的に政府の責任であります。
 当時の鈴木総理は、九月経済非常事態宣言を出したものの、その一カ月もたたないうちに政権を投げ出したのでありますが、鈴木総理は政権を投げ出しただけで済みましたが、国民への約束である五十九年度赤字公債依存脱却はほごになり、しかも、補正予算では一転して三兆三千億円の赤字公債発行を決めるに至り、国の財政を奈落に、突き落としたのであります。
 五十七年度の緊急課題は、民需を拡大し、内需を中心に着実な景気回復を図ることでありましたが、経済指標はただ一つ経常収支の黒字幅が減少したくらいで、他はことごとく見通しを下回っておりますのは、公共事業の前倒し、十月の総合経済対策がほとんど効果がなかったことを立証しております。
 次に、個々の政策の実行を振り返ってみましても、中曽根総理が、レーガン・アメリカ大統領のSDI構想について、今後の研究にまつという海のものとも山のものともわからない中で、また宇宙戦争に反対する国連決議を無視するものであるにもかかわらず理解を示したことは、世界平和に大きな問題を引き起こしているのであります。
 また乾電池に含まれている水銀による環境汚染が国民の間で大きな関心事になっておりますが、これに対する各省庁の対応も十分でないことは、公害の未然防止の観点から甚だ遺憾と言わざるを得ません。
 最後に、会計検査院から不当と指摘された事項、あるいは電報事業に関する改善要求に見られるように、毎年同じような指摘がなされており、この国の財政難の折から、国民は怒りを覚えていると思うのであります。強く反省を求めるものであります。
 以上、反対の理由を申し述べました。委員長提案の警告に対しては、政府は十分に反省し、改善を行い、速やかに警告の趣旨の実現を図ることを要望して、反対討論を終わります。
#300
○佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表して、昭和五十七年度決算外二件に対し、これを是認できないとする反対討論を行います。
 五十七年度予算は深刻な消費不況と中小企業倒産、膨大な歳入欠陥など、財政と経済が重大な危機に陥り、国民の間で核廃絶、軍事費削減及び大幅減税など、国の施策の根本的転換を求める声が大きく広がる中で編成されました。
 しかし、五十七年度予算とその執行の結果は、第一に、一般会計の実質的な伸びが一・八%にすぎない中で、軍事費が七・七五四%増と異常突出し、後年度負担を加えると四兆三千億円を超える膨大なものとなったのであります。とりわけ航空機購入費は前年比二二・六%増となり、P3C、F15合わせて三十機もの新規契約が行われました。
 このような軍備増強のもとで、中曽根総理は五十八年一月の日米会談において、日本の不沈空母化、日米運命共同体、三海峡封鎖などの危険な約束を次々と行い、日米軍事同盟体制強化へと大きく進み、そして今日、ファッショ的な国家体制の確立を目指す国家機密法案が自民党によって提出されるに至ったことは極めて重大であり、我が党は本日の質疑でも強く撤回を求めたところであります。
 第二に、大企業向けの補助金や優遇税制が軍事費とともに聖域扱いされ、公共事業においても、国民生活に直結する事業が抑えられる一方で、高速道路や本四架橋の建設など大企業奉仕の大型プロジェクトは大幅に伸ばされたのであります。
 第三に、軍事費と大企業奉仕という二つの聖域のもとで、国民に対しては、五年連続の所得税減税見送りによる実質大増税、臨調行革路線のもとでの老人医療費の有料化、保育所予算の大幅削減などによる福祉切り捨てや公共料金の値上げなど、多大な負担と犠牲が押しつけられたのであります。
 第四に、税収不足が不可避であることを承知の上で粉飾予算を組んで年度途中で大破綻を来し、赤字国債を大増発したばかりか、人事院勧告の凍結、地方交付税の大幅減額を断行するなど、国民を犠牲にしてつじつま合わせをしたことは言語道断と言わなければなりません。
 第五に、財政執行面においても会計検査院の報告が公共工事発注に当たっての積算ミスを数多く指摘するとか、談合入札やいわゆる持参金つき天下りなど、政・官・財癒着の腐敗構造に起因するむだが依然として温存されたままであるという点であります。
 以上申し上げたとおり、五十七年度決算は重大な問題を含んでおり、到底これを是認することはできません。
 国有財産増減及び現在額調書は、以上の五十七年度予算の執行に伴う国有財産の集計であり、その内容には防衛庁の船舶や航空機の急増が含まれているところからも是認できません。
 国有財産無償貸付状況総計算書につきましては、無償貸し付けの制度自体の意義は否定しませんが、その管理、運用についての詳細な資料が提出されていない中で、一部に管理、運用上に重大な疑義がある事態が残されたままとなっており、これを是認することはできません。
 最後に、委員長御提案の警告決議案につきましては賛成の意を表明して、私の討論を終わります。
#301
○井上計君 私は、民社党・国民連合を代表して、昭和五十七年度決算外二件に対し、是認できないことを明らかにし、討論を行います。
 以下、その理由について申し述べます。
 反対理由の第一は、我が党が、昭和五十七年度予算案成立に際し、五十六年度の現実を無視した経済成長率の策定、過大な税収見積もり等の政策判断の誤りに対して、その反省もないまま、五十六年度と同じ轍を踏もうとしていると忠告をいたしました。しかし、政府は、この忠告を守らず、有効適切な対策を実施しなかったため、予算執行の結果である昭和五十七年度決算は、経済見通しが名目八・四%に対し五・〇%、また実質五・二%に対し三・三%と経済成長率は見通しを大きく下回ったばかりか、これを基礎とする税収は、当初予算に比べ六兆円を超える史上空前の巨額の税収不足を発生させてしまったのであります。
 そのため、政府は、これを補てんする方法として昭和五十七年度補正予算において歳入面で、三兆四千億円に及ぶ赤字国債を増発したり、一方歳出面では国債費定率繰り入れの停止等を行うなど歳入歳出両面にわたる異例の措置を行い、ついに、「昭和五十九年度赤字国債依存体質脱却」という財政再建目標は失敗したのであります。
 このように、昭和五十六年度に引き続き、歳入欠陥の発生により、五十七年度の財政、経済は非常な事態に陥ったことは、政府の失敗であったことは明らかであります。
 反対の第二は、いまだ行政改革の実績が見られないことであります。
 鈴木前総理、中曽根総理の両総理とも行政改革に政治生命をかけると言われました。
 しかし、その後の政府の行政改革の実施状況を見ると、国民の望む実績の跡が見られないのであります。
 特に国鉄の余剰人員対策が国鉄改革の最大課題であるにもかかわらず、政府及び国鉄当局の取り組みは依然消極的で、現在、両者とも対策本部を設置したにすぎず、具体策は何も決まっていないのが実態であります。
 そのほか、行政改革の大きな柱である国土庁、北海道開発庁、沖縄開発庁の三庁の統合を初め、補助金、機関委任事務の見直し、地方事務官制度の廃止といった国と地方の役割分担の抜本改革、公的年金制度の一元化など課題は積み残されたままであります。
 こうした問題にメスを入れるタイミングを漫然と引き延ばしていたのでは、行政改革とは何かを問い直さなければなりません。
 政府は、行政改革を、国鉄、専売、電電で事足れりとするのではなく、その他の事項についても、実績が上がるよう積極的な努力をすべきであります。
 第三は、会計検査院法の改正がいまだ実現されていないことであります。
 ロッキード事件に端を発した政府出資法人検査のため、その融資先に対する会計検査院の検査については、国民の強い要望があります。加えて、決算検査報告において毎年度、国費のむだ遣いが指摘されているにもかかわらず、相変わらず同種事犯が発生するなど、ずさんな経理と国費のむだ遣いの是正は、国の財政状況のためばかりでなく、国民の政治への信頼を取り戻すためにも緊急な課題であります。
 このためにも、会計検査院の権限強化は、ぜひとも必要であります。にもかかわらず、政府は、会計検査院法改正の手続さえとろうとしないばかりか、一片の通達により、お茶を濁しているだけで、根本的な解決策をとろうとしておりません。
 以上の理由から昭和五十七年度決算は到底是認することはできないのであります。同時に我が党は、今後の予算編成及び執行を効率的かつ合理的に行い得るよう会計検査院の権限を強化するため、検査対象範囲の拡大、チェック機能の充実・強化を図るとともに、予算が効率的に執行されていないときは年度途中においても執行停止、変更の勧告ができるよう法改正、制度改正を行うことを提案いたします。
 最後に、委員長提案の警告決議案につきましては賛成の意を表して、私の討論を終わります。
#302
○喜屋武眞榮君 私は、二院クラブ・革新共闘を代表して、昭和五十七年度決算外二件に対して、是認しないことを表明し、委員長提案の警告案に対しましては、賛成の意を表するものであります。
 是認しない理由の第一点として、昭和五十七年度の政府の財政経済運営についてであります。
 五十七年度に編成された予算は、歳出カットの名のもとで社会保障、公共事業、文教関係の経費及び中小企業対策費のような国民の生活基盤に直接かかわる分野が厳しく圧縮される一方で、防衛費や財政硬直化の要因である国債費が大きく伸びるという、赤字財政のツケを国民の側に専ら転嫁するものであり、また見せかけの歳出抑制のため
八千億円余の歳出を後年度に繰り延べる措置がとられたのは、その後の予算編成をますます難しくしたとともに、国民の目を欺くものであったと断ぜざるを得ません。
 そして政府は、この年度の経済運営の基本方針として、国内民間需要を中心とした景気の維持拡大や雇用、物価の安定等を掲げ、経済成長の点では率にして名目で八・四%、実質で五・二%という楽観的とも言える高い数字を見込んだのであります。
 しかし、経済情勢に対する見通しが甘かったことや、有効適切な経済政策が講じられなかったため、内需を中心に景気は停滞し、経済成長率も実質で三・三%と、政府当初見通しの五・二%に比較して二ポイント近くも低い数値に終わったのであり、一方では鉄道運賃等の公共料金の値上げが行われ、国民は生活防衛を余儀なくされたのであります。
 雇用の面においても、五十六年度より一層厳しい状況となり、失業者数は百四十三万人に増大し、失業率も二・四六%と高い数値を示し、企業倒産は一万七千件以上に上り、国民に多大な生活不安をもたらしたのは明白であります。
 また、当時政府は、昭和五十九年度に赤字国債依存脱却という財政再建目標を掲げていたにもかかわらず、財政再建元年とした昭和五十六年度は二兆円、五十七年度は一兆八千三百億円の赤字国債を減額するという、政府の意図とは裏腹に、最初の五十六年度において補正予算での赤字国債の追加発行で目標が崩れたばかりでなく、この五十七年度では、当初予算から減額目標を二千六百九十億円下回る一兆五千六百十億円にとどまったのであります。
 そして、年度途中で経済情勢が政府の見通しから大きく乖離し、内需の停滞とともに世界経済の後退で、景気の低迷状態が一層はっきりしてまいり、税収不足も明らかとなる中で財政の非常事態宣言が出されたのであります。
 その後、補正予算の段階においては六兆一千四百六十億円もの巨額の税収不足が発生し、赤字国債を三兆三千八百五十億円も追加発行せざるを得なくなったのは、五十九年度赤字国債依存脱却という公約を根底から崩したと言ってよく、政府の財政運営の失敗を如実に示しており、また景気等の経済情勢に対する政府の見通しの甘さを指摘せざるを得ないのであって、この点政府は強く反省すべきであったと思うのであります。
 是認しない第二の理由として、政府の予算執行の過程の中で、依然として国費の不正不当な支出や不適切な会計経理の発生が後を絶たず、五十七年度に会計検査院が不当、むだ遣いなどと指摘したものは実に二百十三件、二百十八億円余となっており、不当と判断したものだけでも百八十一件、六十二億円余に上っており、これらはまさに全体のごく一部であることを考えれば、まことに遺憾なことと言わざるを得ないのであります。
 また、不当で不適切と指摘を受けた事例の中には、指摘されてからかなりの年月が経過しておるにもかかわらず改善を見ないものがあり、例えば私がこの委員会の席上で指摘した国立大学の学外からの資金の受け入れにかかわる不適切な経理の問題もその一つであり、政府は国民の声にこたえるためにもこのような問題に対する適切な改善措置を一刻も早く講ずることを求めるものであります。
 以上、反対の理由を申し述べましたが、委員長提案の警告に対しては、政府は謙虚に受けとめ、その趣旨を十分に体して適正な行財政の執行に努めるよう要望して、私の反対討論を終わります。
#303
○委員長(佐藤三吾君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#304
○委員長(佐藤三吾君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 まず、昭和五十七年度一般会計歳入歳出決算、昭和五十七年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十七年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和五十七年度政府関係機関決算書の採決を行います。
 第一に、本件決算は、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#305
○委員長(佐藤三吾君) 多数と認めます。
 第二に、内閣に対し、先刻朗読のとおり警告することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#306
○委員長(佐藤三吾君) 全会一致と認めます。よって、昭和五十七年度決算につきましては、多数をもってこれを是認することとし、内閣に対し、先刻朗読いたしましたとおり警告すべきものと議決いたしました。
 次に、昭和五十七年度国有財産増減及び現在額総計算書の採決を行います。
 本件につきまして、異議がないと議決することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#307
○委員長(佐藤三吾君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって異議がないと議決いたしました。
 次に、昭和五十七年度国有財産無償貸付状況総計算書の採決を行います。
 本件につきまして、異議がないと議決することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#308
○委員長(佐藤三吾君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって異議がないと議決いたしました。
 なお、これらの案件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#309
○委員長(佐藤三吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、内閣に対する警告について、関係国務大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。竹下大蔵大臣。
#310
○国務大臣(竹下登君) ただいま御決議のありました財政改革の推進につきましては、御決議の趣旨を踏まえ努力してまいりたいと存じます。
 次に、貸金業者の業務の適正化につきましては、従来から関係省庁と連絡を密にしながら法律の厳正な運用を行ってきたところでありますが、今後とも御決議の趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。
#311
○委員長(佐藤三吾君) 松永文部大臣。
#312
○国務大臣(松永光君) ただいま御決議のありました義務教育費国庫負担金に係る事項につきましては、御決議の趣旨に沿い、教育委員会等に対し十分指導を行い、再発防止に努めてまいる所存でございます。
#313
○委員長(佐藤三吾君) 佐藤農林水産大臣。
#314
○国務大臣(佐藤守良君) ただいま御決議のありました水田利用再編対策事業につきましては、かねてより適正な補助金の交付等に努めてきたところでございますが、今後、さらに御決議の趣旨に沿うようその適切な実施に努力してまいる所存でございます。
#315
○委員長(佐藤三吾君) 村田通商産業大臣。
#316
○国務大臣(村田敬次郎君) ただいま御決議のありました石炭鉱山の保安確保に関する件につきましては、昨年、当委員会から炭鉱事故再発防止の決議をいただいているにもかかわらず、本年四月に高島炭鉱ガス爆発事故、五月には南大夕張炭鉱ガス爆発事故と甚大な炭鉱災害が発生し、多数の罹災者が出ましたことはまことに遺憾であると考えております。現在、両炭鉱事故の原因究明につきましては、事故調査委員会を組織し、鋭意調査を進めているところであります。
 通商産業省といたしましては、御指摘の点を踏まえ、今後再びかかる事故が起こることのないよう、適切な鉱山保安対策を講ずべく全力を挙げてまいる所存でございます。
#317
○委員長(佐藤三吾君) 木部建設大臣。
#318
○国務大臣(木部佳昭君) ただいま御決議のありました組合施行の市街地再開発事業の諸問題につきましては、御決議の趣旨に沿って適切な指導を
行ってまいる所存でございます。
#319
○委員長(佐藤三吾君) 藤波内閣官房長官。
#320
○国務大臣(藤波孝生君) ただいま御決議のありました決算審査に対する政府の対応につきましては、今後とも最大限の努力をしてまいりたいと存じます。
#321
○委員長(佐藤三吾君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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