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1984/03/18 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 予算委員会 第9号
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1984/03/18 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 予算委員会 第9号

#1
第102回国会 予算委員会 第9号
昭和六十年三月十八日(月曜日)
   午前十時五十八分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     石井 道子君     斎藤 十朗君
     吉川 春子君     近藤 忠孝君
 三月十八日
    辞任         補欠選任
     斎藤 十朗君     松岡満寿男君
     山東 昭子君     水谷  力君
     鈴木 一弘君     矢原 秀男君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         長田 裕二君
    理 事
                井上  裕君
                岩本 政光君
               大河原太一郎君
                梶木 又三君
                亀井 久興君
                志苫  裕君
                太田 淳夫君
                内藤  功君
                伊藤 郁男君
    委 員
                安孫子藤吉君
                岩動 道行君
                海江田鶴造君
                梶原  清君
                古賀雷四郎君
                沢田 一精君
                志村 哲良君
                杉山 令肇君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                土屋 義彦君
                成相 善十君
                鳩山威一郎者
                増岡 康治君
                松岡満寿男君
                水谷  力君
                宮澤  弘君
                宮島  滉君
                森田 重郎君
                穐山  篤君
                久保  亘君
                久保田真苗君
                村沢  牧君
                矢田部 理君
                安恒 良一君
                和田 静夫君
                桑名 義治君
                高桑 栄松君
                中野 鉄造君
                矢原 秀男君
                近藤 忠孝君
                柄谷 道一君
                青木  茂君
                野末 陳平君
   国務大臣
       内閣総理大臣   中曽根康弘君
       法 務 大 臣  嶋崎  均君
       外 務 大 臣  安倍晋太郎君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
       文 部 大 臣  松永  光君
       厚 生 大 臣  増岡 博之君
       農林水産大臣   佐藤 守良君
       通商産業大臣   村田敬次郎君
       運 輸 大 臣  山下 徳夫君
       郵 政 大 臣  左藤  恵君
       労 働 大 臣  山口 敏夫君
       建 設 大 臣  木部 佳昭君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    古屋  亨君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 藤波 孝生君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (国土庁長官)  河本嘉久蔵君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  加藤 紘一君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       金子 一平君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       竹内 黎一君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  石本  茂君
       国 務 大 臣
       (沖縄開発庁長
       官)       河本 敏夫君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長
       兼内閣総理大臣
       官房審議室長   吉居 時哉君
       内閣審議官    海野 恒男君
       内閣法制局長官  茂串  俊君
       内閣法制局第一
       部長       前田 正道君
       内閣総理大臣官
       房審議官     田中 宏樹君
       内閣総理大臣官
       房広報室長
       兼内閣官房内閣
       広報室長     金子 仁洋君
       内閣総理大臣官
       房参事官     松本 康子君
       臨時行政改革推
       進審議会事務局
       次長       山本 貞雄君
       臨時教育審議会
       事務局次長    齋藤 諦淳君
       警察庁刑事局保
       安部長      中山 好雄君
       宮内庁次長    山本  悟君
       総務庁長官官房
       長        門田 英郎君
       総務庁長官官房
       審議官      手塚 康夫君
       総務庁行政管理
       局長       古橋源六郎君
       総務庁行政監察
       局長       竹村  晟君
       防衛庁参事官   池田 久克君
       防衛庁参事官   筒井 良三君
       防衛庁長官官房
       長        西廣 整輝君
       防衛庁教育訓練
       局長       大高 時男君
       防衛庁人事局長  友藤 一隆君
       防衛庁経理局長  宍倉 宗夫君
       防衛庁装備局長  山田 勝久君
       防衛施設庁長官  佐々 淳行君
       防衛施設庁総務
       部長       梅岡  弘君
       防衛施設庁施設
       部長       宇都 信義君
       防衛施設庁建設
       部長       大原 舜世君
       防衛施設庁労務
       部長       大内 雄二君
       環境庁自然保護
       局長       加藤 陸美君
       国土庁長官官房
       長        永田 良雄君
       国土庁長官官房
       会計課長     北島 照仁君
       国土庁計画・調
       整局長      小谷善四郎君
       国土庁大都市圏
       整備局長     佐藤 和男君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  菊池 信男君
       法務省民事局長  枇杷田泰助君
       外務大臣官房長  北村  汎君
       外務大臣官房会
       計課長      林  貞行君
       外務省北米局長  栗山 尚一君
       外務省経済局次
       長        恩田  宗君
       外務省条約局長  小和田 恒君
       外務省国際連合
       局長       山田 中正君
       外務省情報調査
       局長       渡辺 幸治君
       大蔵省主計局長  吉野 良彦君
       大蔵省主税局長  梅澤 節男君
       大蔵省理財局次
       長        中田 一男君
       文部大臣官房長  西崎 清久君
       文部大臣官房会
       計課長      坂元 弘直君
       文部省初等中等
       教育局長     高石 邦男君
       文部省教育助成
       局長       阿部 充夫君
       文部省学術国際
       局長       大崎  仁君
       文部省社会教育
       局長       齊藤 尚夫君
       文化庁次長    加戸 守行君
       厚生大臣官房総
       務審議官     長門 保明君
       厚生大臣官房会
       計課長      黒木 武弘君
       厚生省保健医療
       局老人保健部長  水田  努君
       厚生省社会局長  正木  馨君
       厚生省児童家庭
       局長       小島 弘仲君
       厚生省保険局長  幸田 正孝君
       厚生省年金局長  吉原 健二君
       社会保険庁年金
       保険部長
       兼内閣審議官   長尾 立子君
       農林水産大臣官
       房長       田中 宏尚君
       農林水産大臣官
       房予算課長    鶴岡 俊彦君
       農林水産省経済
       局長       後藤 康夫君
       農林水産省構造
       改善局長     井上 喜一君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     関谷 俊作君
       食糧庁長官    石川  弘君
       林野庁長官    田中 恒寿君
       通商産業大臣官
       房会計課長    緒方謙二郎君
       通商産業省貿易
       局長       村岡 茂生君
       通商産業省産業
       政策局長     福川 伸次君
       通商産業省機械
       情報産業局長   木下 博生君
       通商産業省生活
       産業局長     篠島 義明君
       運輸大臣官房長  永光 洋一君
       運輸省地域交通
       局長       服部 経治君
       労働大臣官房長  小粥 義朗君
       労働省労政局長  谷口 隆志君
       労働省労働基準
       局長       寺園 成章君
       労働省婦人局長  赤松 良子君
       労働省職業安定
       局長       加藤  孝君
       労働省職業安定
       局高齢者対策部
       長        小野 進一君
       建設大臣官房長  豊蔵  一君
       建設大臣官房総
       務審議官     松原 青美君
       建設大臣官房会
       計課長      望月 薫雄君
       建設省建設経済
       局長       高橋  進君
       建設省都市局長  梶原  拓君
       建設省道路局長  田中淳七郎君
       建設省住宅局長  吉沢 奎介君
       自治大臣官房審
       議官       石山  努君
       自治省行政局長  大林 勝臣君
       自治省財政局長  花岡 圭三君
       自治省税務局長  矢野浩一郎君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   猪瀬愼一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        桐澤  猛君
   参考人
       臨時行政改革推
       進審議会委員   瀬島 龍三君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和六十年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○昭和六十年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○昭和六十年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)
○公聴会開会承認要求に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(長田裕二君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和六十年度一般会計予算、昭和六十年度特別会計予算、昭和六十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
    ─────────────
#3
○委員長(長田裕二君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和六十年度総予算審査のため、本日の委員会に臨時行政改革推進審議会委員、同審議会会長の指名する代理者瀬島龍三君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(長田裕二君) それでは、これより安恒良一君の残余の総括質疑を行います。安恒君。
#6
○安恒良一君 お忙しい中を瀬島委員には御出席いただきまして、ありがとうございます。
 早速質問をしたいと思いますが、まず、六十年度予算編成の段階で、臨調答申の基本である増税なき財政再建は実行困難といった声が自民党の幹部から出てきたことは御承知のとおりですが、この点を臨調はどうお考えになりますか。
#7
○参考人(瀬島龍三君) お答えを申し上げます。
 国の財政再建は国家の重大な問題でございます。しかも財政をめぐるいろいろの環境は極めて厳しい情勢にあります。また、五十七年度予算以来六十年度まで既に四年にわたって政府、国会は厳しい予算を編成されております。こういう環境におきまして、私ども臨調が提案をいたしました増税なき財政再建の考え方は、いろいろやはり出てくるということはいたし方のないことであると思っておりました。しかし、予算編成の年末ごろになりまして、六十年度予算編成大綱において増税なき財政再建の基本方針を崩さないという御決定がなされまして、私どもはそのように理解をいたしております。
#8
○安恒良一君 さらに、政府税調の答申で税制の抜本的見直しが取り上げられたのを契機に大型間接税の論議が高まり、税制面からも増税なき財政再建に大きな影響が出てきていますが、この点を臨調はどういうふうに御判断されますか。
#9
○参考人(瀬島龍三君) お答えをいたします。
 臨調の申しました増税なき財政再建、これは我が国の行財政改革を実行していく、これを貫く基本的な姿勢である、また方針である、考え方である、このように思います。この増税なき財政再建の意義は、答申でも申し上げましたとおり次のようになっております。
 当面の財政再建に当たっては、まず何よりも歳出を徹底的に削減合理化し、また租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置をとらない、これを基本とするというのが臨調の申し上げました増税なき財政再建の意義でございまして、このような趣旨から税制を見直していくということについては、そういう趣旨であればこの増税なき財政再建と矛盾をするものではない、このように考えております。
#10
○安恒良一君 今お伺いいたしますと、臨調、行革審はあくまでも増税なしの財政再建を推進すべきである、それはやればできるという御判断のように思われますが、行革審から見まして経費削減、歳出カット等、まだ不十分と思われる点について御指摘をいただきたいと思います。
#11
○参考人(瀬島龍三君) お答えを申し上げます。
 当然歳出については極力これを削減していく、これがすべての前提でございます。そういう前提におきまして、昨年の十月、臨調答申の推進状況ということを行革審議会はいろいろ調査をいたしました。政府、国会にも報告をいたしましたし、国民にもこれは発表をいたしましたが、行革の実行状態は、ただいま本格的な行革を推進している途中でございまして、私どもは五合目にあるというような判断をいたしました。したがいまして、そのことはただいまお尋ねのまだまだやはり歳出を合理化し、効率化していく余地が残っておる、こういう判断でございます。
#12
○安恒良一君 臨調、行革審は新たな税制上の措置をとることによって租税の負担率を上げてはならないと今も述べられましたが、ここで言う新たな税制上の措置には、例えば大型間接税、一般消費税、財産税というような名前のいかんを問わず、新規税目の創設によって負担率を上げることは許されない、こういうふうに受け取っていいでしょうか。
#13
○参考人(瀬島龍三君) お答えをいたします。
 先ほども申し上げましたとおり、租税負担率の上昇という点は、我が国の社会の活力を維持して我が国が先進国病にならないという観点からこの問題を臨調は取り上げまして、非常に重視をしておるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、租税負担率の上昇しない範囲においていろいろの税の検討をなされていただきたい、これが私どもの趣旨でございます。
#14
○安恒良一君 今の答弁ではっきりしたんですが、重要なところですから重ねてあれしますが、答申には二つの制約条項が設けられておると思います。
 六十五年度までの財政再建期間中は新たな税目を創設することはすべきでない、これが第一の考え。もしも万一新規税目で税金を取るならば、他方では減税をして全体をならしてみた場合国民所得比の租税負担率は大体国税で一五%台、国税と地方税合わせた場合でも二五%台、それを上げてはいけない、こういうふうにこの六十五年度までについてはお考えたと思いますが、そういうことで結構でしょうか。
#15
○参考人(瀬島龍三君) お答えを出し上げます。
 増税なき財政再建のこれは答申でも書きましたとおり、「当面の財政再建に当たっては、」と、こういうことでございます。その当面を今先生の御指摘の六十五年度とするかしないか、ここはやはり国政全般の立場で政府、国会におかれましてよく御判断を願いたい問題でございまして、臨調はこの当面を六十五年度と切っておるわけではございません。その点がまず第一でございます。
 それから第二の問題は、ただいま御質問の租税負担率の上昇をもたらさない範囲でいろいろの税制を見直しする、これは我々の臨調としての基本的な考え方でございます。
 ただし、次の問題につきましては、租税負担率の上昇があっても、これは矛盾をしないという私どもの考えでございます。その一つは、税の自然増収でございます。あるいはまた申告納税制度を改善するとか、税の執行面の適正化を図るとか、そのような行政上の努力によって税の自然増収がある、あるいはまた不公平の是正、あるいは不適正なものの是正、こういう結果、反面において一部に増税的なことが起きても、それは私どもが申し上げておる問題と矛盾をしない、こういう基本的な考え方でございます。
#16
○委員長(長田裕二君) 瀬島参考人には御多忙の中をまことにありがとうございました。
#17
○安恒良一君 それでは今のやりとりをお聞きくださった上、総理にお聞きをしたいと思いますが、総理の税の見直しの基本姿勢はゆがみ、不公正、不公平の是正、簡素、合理化、選択の衆議院段階の答弁に加えて、本予算委員会では活力と所得税、法人税の大幅減税を約束されたと理解しますが、間違いございませんか。
#18
○国務大臣(中曽根康弘君) 活力を入れさせていただきました。これは梶木さんの御質問に対して申し上げたところであります。それから、これは時期はまだ未確定でありますが、所得税、法人税の減税を実行したい、そういうふうに申し上げました。
#19
○安恒良一君 総理の御答弁から、これまでしばしば指摘をされました不公正、不公平税制の是正を重点に税制改正に取り組む、そして減税財源をつくり、所得税、法人税を減税して個人消費や企業の活動を活発化する、いわゆる民間活力、したがって大型間接税導入などによりまして財政資金をふやして、その資金を政府がたくさん使う、こういう方式はとらないというふうに理解してよろしいでしょうか。
#20
○国務大臣(中曽根康弘君) ただいま瀬島さんがここでお答えになりましたような、臨調答申の線を守って財政再建を当面実行したい、こういう考え方でおります。
#21
○安恒良一君 ちょっとはっきりしかねますから、なお中身を聞きたいと思いますが、総理の言われる、ゆがみ、不公平を改めればその分野では増税になっても増税が目的でないので総理答弁からは取りっぱなしにしない。例えばこれは一つの例ですよ。トーゴーサンでいって自営業や農民が増税になる場合がある、その場合には今度は逆にサラリーマン所得税減税が行われる、こういうことにお約束できるでしょうか。
#22
○国務大臣(中曽根康弘君) 具体的にどういうふうにでこぼこ調整をするかということはまだ決めておりません。これは政府税調等にいろいろお尋ねして、政府税調のお考えも十分お聞きしてやりたいと思っております。
#23
○安恒良一君 具体的にどの項目ということを私はここで聞こうとしているわけじゃありません。この点はぜひともはっきりしていただきたいんですが、政府の税制改正は六十年以降増減税ゼロ方式で行うことを国民の前にはっきりしていただきたいと思います。というのは、今もおっしゃいましたように、税制改正でこれよりも税金が重くなる職種や業種、所得層があると思います。一方では税の負担が軽くなる職種、業種、所得層が出てくる。しかして、ならして増減税ゼロということではおかしいのではないでしょうか。それが何回も総理が答弁した租税負担率を上げないということで、納税者の立場に立った理解だと思いますが、このところは明確にひとつ総理御答弁願いたいと思います。
#24
○国務大臣(中曽根康弘君) この点は今瀬島さんがここで申されましたように、増税なき財政再建を我々は守ってやっていきたい、そういうことであります。また、我々が行わんとする税の根本的改革といるものは増税、増収、あるいはいわゆる財政再建ということを目的にするものではございませんと申し上げておるところであります。
#25
○安恒良一君 そうしますと、今私が申し上げましたように、増減税ゼロ方式というふうに受け取っていいわけですね、そこのところは。
#26
○国務大臣(中曽根康弘君) これはただいま瀬島さんのお答えに申し上げましたように、いわゆる増税なき財政再建という方針にのっとってやるということであります。でありますから、自然増収とか、その他今おっしゃった場合にはでこぼこ調整その他もあり得ると思っております。
#27
○安恒良一君 いや、自然増収等の使い方はまた後で申し上げますが、今基本理念を聞いているわけです。増税なき財政再建はやる、租税負担率を上げない、こうおっしゃっていますから、結果論から言うと、いわゆる増減税はゼロになりますねということを、でこぼこ調整でふえる面もあります、後ででこぼこの中身は聞きますけれども、ですから基本的に増減税はゼロになりますかということを、あなたが今までずっと答弁された議事録を読んだ中で確認をしているわけです。
#28
○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく今ここで瀬島さんが申されました増税なき財政再建、そういう理念を堅持してやっていくということであります。
#29
○安恒良一君 瀬島さんもおっしゃいましたように、租税負担率を上げてはいけない、あなたも上げない、こういうことを何回も強調されておりますから、この点は私はいわゆる増減税ゼロだというふうにこのところを承っておきたいと思います。
 それでは、でこぼこの問題等をちょっとしてみたいと思いますが、総理みずから主張したゆがみ、不公平、不公正の是正で増税が予想される業種、職種、所得の種類、所得階層についてお考えをお聞かせください。
#30
○国務大臣(中曽根康弘君) それらはすべて政府税調等においてよく検討していただきたい。私たちは今のところは白紙で臨んでおると前から申し上げているとおりです。ただ一般論として方針を申し上げまして、公平、公正、それから簡素、選択、それから活力、そういう方針にのっとってやっていただく、具体的ないろいろな技術的問題というものは政府税調でぜひ御検討願いたい、こう思っておるわけであります。
#31
○安恒良一君 それは納得できません。だめです。本会議や予算委員会の質問から始まって、衆議院段階でも参議院段階でも総理は再三ゆがみ、不公平、不公正の是正を述べられていますが、その是正の対象となる業種というものについても、それはすべて一般論ということでは私は議論が進まないと思います。重ねて総理、ここのところのお考えをお聞かせください。
#32
○国務大臣(竹下登君) 総理のおっしゃっています公平、公正、簡素、選択、活力、で、そのゆがみ、ひずみとは何ぞやと。ゆがみ、ひずみを我々が主観的に断定するわけにはまいりませんが、従来国会の論議と、それから税刷調査会等でゆがみ、ひずみとして指摘されたものをおおむね整理をいたしましてそのようなことでお答えをいたしておるところでございます。
 一つは、いわゆる所得の再配分機能の問題でございます。所得水準の平準化の動向等にかんがみ、中堅所得層の負担の緩和にも配意して全体として若干なだらかな累進構造とする方向で見直しを行うことが適当である。
 二番、所得の捕捉でございます。そのイ、所得課税にについては、これまで執行面で把握差が生じやすく、実質的公平確保の面で問題があるとの批判が少なからず見受けられ、とりわけ個人が稼得した所得に対し直接に負担を求める所得税においては、制度及び執行の両面にわたり実質的公平確保のための工夫を強く要請する。それからロ、法人申告状態を見ますと、約五〇%が赤字申告をしておる。これらも公共サービスを享受しておるという何らかの応益的負担を求めてもよいのではないか。
 それから三、課税ベースの浸食。租税特別措置はいわゆる特定の政策目的を実現するための税負担公平その他の税制の基本原則をある程度犠牲にして講ぜられたものである。したがって、個々の政策目標と税制の基本原則との調和を図る見地から吟味を行う。それからロ、非課税貯蓄残高の総額、これが個人貯蓄残高の六割を占めるに至った。したがって、非課税貯蓄制度の取り扱いが極めて大きな比重を占めておる。
 四、間接税の課税ベースと税率構造。イ、これは我が国間接税は酒、たばこ、自動車、揮発油等の特定品目に対する課税が大勢を占め、しかもそれは従量税である。消費態様の変化、課税ベースの相対的縮小から税負担水準の低下が生じやすい。また、サービスについては近年その消費が急増しているが、国税としてはほとんど課税対象になっていないという問題がある。それからロ、酒税でございます。いわゆる高級酒、大衆酒といった分け方の持つ意味が弱まっておる。税負担格差の縮小を図ることが適当である。
 これらがいわば中期答申の中の指摘された問題であります。
 それから国会等でございます。世上、我が国の税体系が結果的にではあるが、近年直接税に偏り過ぎているのではないかといった指摘もある。そういう指摘を全部税制調査会の方へ国会の論議を忠実に報告し、その中で議論をしていただこう、こういう方針でございます。
#33
○安恒良一君 総理、いろいろ大蔵大臣が挙げられましたが、私は、端的にこのことだけ総理にお聞きをしておきたいと思うんですが、総理の税制改革を納税者側から見ますと、例えば農民とか中小企業、零細企業、自由業等へ徴税強化を図る、これがゆがみと不公平是正の中身だというふうに理解をしてよろしいでしょうか。今いろいろ言われましたけれども、その中の一つの問題として。
#34
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は所得税、法人税等の減税を図りたいと申し上げているので、そういう減税が行われれば、それらの方々はその恩典が均てんするのではないかと思います。
#35
○安恒良一君 所得税のあれが均てんする人もいれば均てんしない人もいると思いますから、これは後で少し中身を議論しましょう。
 そこで次に、直間比率の是正で総理のお考えを聞きたいのでありますが、例えば間接税の比率を上げる政策をとる場合、それは増税になるので、この場合も税制ゆがみ是正の立場と同様に増減税ゼロ方式をとることになりますか。特に直間比率を是正することがゆがみ是正の一つと総理は考えてきたわけですから、当然今度は直接税を減税されるわけでしょうね。どうでしょうか、そこは。
#36
○国務大臣(中曽根康弘君) 直間比率是正ということを私はここで申し上げたことはないように記憶しております。すべてそういうようなことは税調において御研究願いたい、そういうことを申し上げております。ただ、私申し上げましたのは、臨調の答申の中で、また税調答申の中においては、将来は直間比率の割合というものを検討してしかるべきである、そういうような言葉があったということを申し上げたことはございます。
#37
○安恒良一君 それでは総理に具体的にお聞きしますが、例えば将来直間比率を是正する場合、増税が目的でないという立場ですから、いわばこれは税金を徴収する手段、方法を入れかえるだけだ、そこでそういうことで満足される、総理の税制改革の一つの目標ということで再確認していいでしょうか。
#38
○国務大臣(中曽根康弘君) 直間比率の是正それ自体を私はまだここで言明しているのではないのでございまして、それはすべて政府税調等において御研究願って、その御答申を得て検討する、そういう立場に立って、政府があらかじめ先にそれを行うと決めてかかっておるわけではございません。
#39
○安恒良一君 そうすると、直間比率の是正をやるかやらぬかもすべて税調に任せる、こういうことですか、総理。
#40
○国務大臣(中曽根康弘君) そういうことでございます。
#41
○安恒良一君 それじゃ、今度はでこぼこの問題について聞きたいんですが、これは我が党の志苫委員の質問に対しまして、総画は新しい税目を起こすのではなく、でこぼこ調整や不公平の是正、自然増収が上昇することは臨調答申も認めている、こういうことで言われました。そこで、ちょっと気がかりになりますから、新しい税目、すなわち現行の国税十九種類をふやすと仮定した場合に、租税負担率が上昇することになれば臨調答申の違反であるというふうに思いますが、どうでしょうか。
#42
○国務大臣(竹下登君) 十九種類のほかに税目がふえた場合、そして総体としての租税負担率が当面大きく変わらなければ、私は今の瀬島委員の御答弁からしても臨調答申の趣旨に反しないというふうに考えます。
 ただ一つだけ、先ほどもお話がございましたが、新たなる措置を基本的にはとらない。それで一方同じ答申に実は「所得税制における課税最低限及び税率構造並びに直接税と間接税の比率等について検討する。」というのが臨調答申にございまして、それで直間比率というこの書き方は、あれは結果として出るものだからいかがでしょうかという質問も後で臨調関係としたことがございますが、したがって先ほど来の総理の答弁のいわゆる比率の問題につきましては、結果として出るものでございますので、あらかじめ直間比率を対象に議論はしないというふうに政府部内では話をしておるところであります。これは先ほどの分につけ加えさしていただきます。
#43
○安恒良一君 いや、新しい税目をふやすと仮定した場合に、租税負担率が上昇することになれば、これは臨調答申の違反でしょう。そこのところはっきりしてください。
#44
○国務大臣(竹下登君) これは当面の間ということについては、確かに租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たなる措置を基本的にはとらない、これはそのとおりでございます。
#45
○安恒良一君 総理は答弁の中ででこぼこ調整と言っておられますが、それは何を考えられているんでしょうか。でこぼこ調整と不公平税制の是正とは同じなのか、強うのか。若干引っかかるのは、直間比率の開きをでこぼこ調整というふうなことで言っておられるんでしょうか。これで大型増税を行って租税負担率がもしも上昇することがあっても、臨調の答申には違反しないという総理には下心があるのじゃないかな、こういう心配をしますから、そのでこぼこ調整のところを聞かしてください。
#46
○国務大臣(中曽根康弘君) でこぼこ調整と申し上げた中の一つには、例えば今の所得税の体系を見ますと、二百万から八百万ぐらいの層がかなり重税感を受けておる、そういうようなものは将来直したい、そういうことを申し上げておる。そしてその刻みをもう少し簡単にしたらどうかということも出し上げておる。一方においては、不公平税制の是正ということも片方では臨調答申で認めておられます。そういうようなことを組み合わせて大体とんとんにいくような形というようなことが私の頭の中にあって、そういう言葉も申し上げたわけなのであります。
#47
○安恒良一君 大蔵大臣と少しいろいろやりたいと思いましたが、時間がもう余りありませんので、また改めて一般のところでやらしていただくことにしまして、増税なき財政再建を堅持し、いわゆる増税増収を図って税制度を動かし、それを赤字公債減額のために使うことはしない、これまでの議論で当然の結果だと思いますが、総理、蔵相、この点について御確認をお願いしたい。
#48
○国務大臣(竹下登君) この税の抜本見直しが行われて、そして公平公正の角度から、それが今いわば徴税上の措置も含めて増収につながった場合、それが結果として赤字公債の抑制につながることは、これはあり得るだろうというふうに考えます。
#49
○国務大臣(中曽根康弘君) 大蔵大臣と同じであります。
#50
○安恒良一君 赤字公債の抑制とは聞いてないんですよ。人の言ったことにはっきり答えてください、時間ありませんから、赤字国債の減額に使うことはないでしょうね、こう言っているんです。
#51
○国務大臣(竹下登君) 赤字公債というのは、結局、歳入歳出議論してどうしても不足する場合が赤字公債になるわけでございますから、その赤字公債は、そういうオーソドックスな税負担、税外収入等を積み重ねてなおその不足分が赤字公債になるわけでございますから、安恒さんの論理は論理としては成り立つ論理でございますが、元来オーソドックスに考えれば、あらゆる手段を講じてなお不足する分が赤字国債であるということに議論をいただきますならば、その税制改正と赤字公債は直には結びつくものではないというふうに御理解をいただきたい。
#52
○安恒良一君 いま一点は、私は今までの答弁を聞いておりますと、増減税ゼロ方式、こういうわけですが、税制改正の結果、国庫に増収となる分はないはずですが、万一そういう事態になっても、これを歳出増には使わない、納税者の理解が得られ、政府が疑われないためにも、例えばこの金額を明確にして国債償還のための別勘定で区分整理する、そこまで徹底すべきだと思いますが、どうでしょうか。
#53
○国務大臣(竹下登君) これは考え方の基本は私も否定しません。ただ、結果は決算時においての剰余金の措置ということになろうかと思いますので、私は基本的には今の理念はそのとおりだと思います。
#54
○安恒良一君 基本的にはお認めになったわけですから、総理も蔵相もシャウプ税制の見直し、そして日本の税制のゆがみの是正は純粋に制度を立て直す、換言すれば戦後税制の再建だと言ってきた。納税者から見ますと、財政赤字の苦しいときに非常に禁欲的であると映ります。しかし一定の評価もしている人もあると思うんです。したがって、終始一貫するためには、今私が申し上げましたように、増収があった場合には政府が誤解を受けないようにきちっと今合った別個勘定で処理をするということはいいですね。もう一遍念を押しておきます。
#55
○国務大臣(竹下登君) 別建て勘定の処理というと、制度上もう少し勉強さしていただかなければなりません。今でも剰余金が生じた場合に国債整理基金に入れますとかいうことがあるわけでございますが、しかしおっしゃる趣旨は私どもも理解を十分さしていただいております。
#56
○安恒良一君 民間活力問題について伺いたいと思いますが、まず総理のかけ声で昨年の二月に発足しました国有地等有効活用推進本部について、そのねらい、取り組みの経過、今後の方針を明らかにしていただきたいと思います。
#57
○国務大臣(中曽根康弘君) これは国家が持っておる国有地等につきましてできるだけこれを民間側に提供して、一方においては税外収入をふやす、それと同時に、一方においてはこれによって民間が企業活動等活発にして、そして景気の高揚に役立たせよう、そういう目的を持ちまして、今積極的に洗い出しを行い、部分的にはもう既に実行している、そういう進行状況で乙ざいます。
#58
○安恒良一君 取り組みの経過と今後の方針について、大蔵大臣。
#59
○政府委員(吉居時哉君) やや詳細な問題でございますので私から答弁さしていただきますが、ねらいは今総理がおっしゃったようなことでございまして、さらに具体的に申し上げますと、その推進本部の活躍に資するために内閣官房副長官が主宰いたします企画小委員会が設置されておりまして、これまで必要に応じまして民間有識者の意見も参考としながら、民活対象となる国有地等を中心にその有効活用の方策を検討してまいったところでございます。
 それで、今後の活動の方針でございますけれども、これまでの検討の結果、おおむねこの国有地等の有効活用についての一応の指針的な考え方につきましては整理されてきておりますので、今後は国有地等の処分の契約の方式をどうするかといったような点についてさらに詰めてまいる、あるいは個別の国有地等の有効活用の促進を一層図っていくための処理の検討を図ってまいる、こういうことにいたしたいと、かように考えております。
#60
○安恒良一君 五十八年十月二十一日に閣議決定をして以来、既に一年半を経過するのに推進本部としてのまとまった報告が示されておりませんが、一体どのようにして有効活用を進めるつもりか、方針が不明確でありませんか。
#61
○政府委員(吉居時哉君) ただいまお答え申し上げましたように、具体的には本部に置かれております企画小委員会で、これまで十数回の検討をしてまいっているところでございまして、これまでの検討の実績と申しますか、結果の概要を申し上げますと、大規模な国有地等で計画的な都市利用を確保するためにあらかじめ利用構想を定めることが望ましい、こう認められるものにつきましては、地方公共団体と調整を図った上で利用構想を定めまして必要な都市計画の決定を行いますとともに、この構想に配慮しながら利用し処分することが適当であるという、こういう方針のもとにこれまで具体的な検討をしているところでございます。また、これに至らない小規模な国有地等であらかじめ利用構想を定める必要がない、こう認められるものにつきましては、地方団体の意見を聴取した上で、できる限り速やかに処分するという方針で処理の促進を図っているところでございます。
 また、国有地等の処分の際の契約方式や処分の仕方につきましては、なお今後さらに検討で詰めていきたい、こういうのがこれまでの検討の実績でございます。
#62
○安恒良一君 余り進んでないようであります。
 そこで、少し中身を聞きますが、大蔵省が同推進本部に民間活力導入検討対象財産として報告した百七十五カ所のリストを公表してもらいたいということで今までお願いしておりますが、公表されませんが、どういうことでしょうか。
#63
○政府委員(中田一男君) 民活対象財産としてこれまで私ども推進本部の方に二度にわたって御報告をいたしております。この民活対象財産は全体で百七十六件ばかりございますが、主として行政財産、庁舎とか宿舎を集約立体化いたしまして、そしてあいていったものを処分するというふうな形で生み出されてまいっております。そのために売却の予定も、例えば五十九年度、六十年度売却できるものもございますが、三年、四年と時間のかかるものもございます。またそのうち宿舎関係が百十八件もございまして、これなんかは余り早目に公表いたしますと、それぞれ入居しておられる方々が不安に思うということもございますので、各省庁と話がつきましたものを公表するということにいたしておりまして、現在までのところは大口のものを公表しておるだけでございます。
 今後は、例えば昭和六十年度に処分することを予定しております民活対象財産については、現在、関係地方団体等に利用要望があるかどうか確認をしておるわけですが、この確認を終えたところで整理して公表していくというふうなことにいたしたいと考えております。
#64
○安恒良一君 今聞きますと、何か公務員宿舎が多いので居住者に無用な不安を与えたらいかぬと言われますが、私は納得できません。それはなぜかと言うと、民活のための跡地の保全または利用に期待と関心を持つ地域住民その他一般国民がその意見を表明する機会を公表しないと奪うおそれがあるのじゃないですか。また移転先が決まってから公表するということになったら、これは既成事実をつくって居住者に同意を求めることを意味するんじゃありませんか。これは余りにもフェアじゃないと思います。この点については了解できません。理事、扱いを決めてください。
#65
○国務大臣(竹下登君) これは最初本部ができます間、大蔵省でいろいろやりましたが、いわゆる宿舎が大宗をなしております。宿舎の場合はまず移転先、少なくとも一年とか二年とかどこかへ移っていなければならぬ。そうしますと、それの入れ物をどういうふうにして調達するかという問題、それからそこへ高層化したものが、その地域の、今いみじくも安恒さんがおっしゃったように、その地域のいわゆる住民とか地方公共団体の意思に合うかどうかというようなまず下相談をしました上で、これならば大体可能だというときに発表するという方が、確かにこれはいつの日かおれたちは立ち退かざるを得ないとかいろいろな不安が生じますので、むしろ今安恒さんがおっしゃいましたような地域住民の考え方等も含めて、これならば可能だという時点において公表する方が適当だということでございます。
#66
○安恒良一君 納得できません。私は地域住民だけ言ったわけじゃないんです。その他一般国民が意見を表明する機会を奪うじゃないかということですから、委員長、これは資料の提出を求めてください。
#67
○委員長(長田裕二君) ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#68
○委員長(長田裕二君) 速記を起こしてください。
 ただいまの安恒君要求の件につきましては、その取り扱い方を後刻理事会で協議することといたします。
#69
○安恒良一君 それでは理事会で御相談をお願いします。
 推進本部は、一九八五年の一月に中曽根本部長の指示を受けて、国有地の民活導入に際してのルールや基準づくりに人ったと報道されておりますが、それは事実ですか。
#70
○政府委員(吉居時哉君) これまでの推進本部の活動状況につきましては、先ほど申し上げたとおりでございまして、企画小委員会で十数回の検討をしているわけでございますが、その十回目のところでもって、それまでの検討の状況を一応取りまとめまして今後の基本的な方向としているわけでございますが、その内容が、先ほど申しましたように、大規模な国有地とそれに至らない小規模な国有地等の取り扱いでございます。
#71
○安恒良一君 私の聞いたことに答えていません。ルールづくりや基準づくりに入ったと報道されているが事業かどうか、総理の指示を受けて。それを聞いているだけですよ。要らぬこと言わないでいい。
#72
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は勉強せいと私から言っておるのです。と申しますのは、一つは、これを早く促進していくために関係地方公共団体とのまず調整、それから住民との調整、そういうためにはどういうやり方がいいのか。例えば住宅・都市整備公団というものが間に入るのがいいのか悪いのか。そっちの方が公共団体との話し合いがうまく進むのか。都市計画を認定していく上についていいのか悪いのか。
 それからもう一つ大事な点は、地価を暴騰させない。この前、国鉄の土地が一千億円で入札されたということがありますが、政府が地価を暴騰させるようなことはまた避けなければならない。それにはどういうやり方がいいのか等々の問題がありまして、そういうようなやり方について研究してくれと指示しております。
#73
○安恒良一君 指示をされたということは事実だとわかりました。
 そこでお聞きしたいんですが、民活対象国有地のうち既に十七件を処分した、もしくは五十九年度中に処分予定のものもあると聞いておりますが、これは事実ですか。
#74
○政府委員(中田一男君) 民間活力対象財産につきましては、既に五十八年度、五十九年の十二月までの期間に二十六件、全体で八・七ヘクタール分ぐらいを処分しております。
#75
○安恒良一君 私はどうもおかしいと思うのは、ルールや基準づくりを推進本部発足後一年半を経過してから始めたのはなぜか。なぜルールや基準もできないのに五十九年度からこの処分をされたんでしょうか。そのことについてお聞かせください。
#76
○政府委員(中田一男君) 先ほど推進本部の審議の状況について内閣審議室長から御説明がありましたように、特に利用構想をつくろうというふうな大きな土地は別として、小規模のものについてはできるだけ速やかに地方公共団体等の関係を了して売るようにという方針が既に推進本部で出ておりましたから、その方針に即して処分してまいっておるわけでございます。
#77
○安恒良一君 総理、これは総理がおっしゃったように、まずルールや基準づくりをやられるべきで、でないと品川のような事態が私は出てくると思うんです。ですから、私は、もう今処分してしまったものはしようがないと思いますけれども、これから処分されるものは、まず総理が言われたとおりに、ルールと基準をつくった上でやられるべきだと思いますが、総理、どうでしょうか。
#78
○国務大臣(中曽根康弘君) 大規模なもので、そういう周囲に対する関係、あるいは都市計画に対する関係、あるいは地価の暴騰をもたらすとか、そういうものについてはそうなんですけれども、今までも大蔵省は税外収入を得るために国有財産の売却を国有財産審議会の議を経てやっておるわけです。今のようなこういう財政状況になりますと、できるだけ税外収入をふやすように、そういう指示を私もいたしておりまして、大蔵省もそれにのっとりまして、従来やってきたような延長線上におきまして国有財産の処理はやっておるのです。その中には今言った国有地も入っておるわけで、これは従来どおり認めていただかないと予算編成上差し支えがあります。ただ、今申し上げたような大規模の特定の性格を持っておるものについては、確かにルールづくりが必要であろうというふうに考えております。
#79
○安恒良一君 それでは、総理は大規模のものについてはまずルールや基準をつくってそれから処分する、こういうふうに御答弁されたというふうに承ります。
 そこで、国有地の処分が民間活力導入に有効になっているかどうかということを検証するために、私は処分済みの十七件についてチェックする必要があると思います。そこで落札価格及び落札者のリストを出してもらいたい、こう求めているんです。今もってリストをいただけないのですが、大蔵大臣なぜでしょうか。
#80
○国務大臣(竹下登君) この問題でございますが、この問題につきましては、私どもはとにかく、一つ一つのリストに対しましては差し控えることをお願いしたい、こういうふうに申し上げておるところでございます。
 しかし、社会的に影響の大きい財産等については、必要があれば当該案件の相手方の了解を得た上で、これらの内容の開示を今日までも行っております。大体は、競争入札ならそこで参加した者には皆わかるわけでございます。しかしながら、相手方との間の私法上の契約であるということで、これは税務当局の申しますところのいわゆる守秘義務という範疇のものとは違います。それは確かにそういう守秘義務に覆いかぶされたものではございませんが、原則として今日まで差し控えさしていただいておる。その理由は、相手方との間の私法上の契約であるということであります。
 それから、処分件数が年間約一万八千件ぐらいあるということでございますので、要求に応じて相手方の了解を得てというような個々の開示は今日まで行っておるということであります。
 それから、これは私もどういうふうなお答えをしようかとも思ってみましたが、いま少し検討をさしていただきたいと思っておりますのは、先般ある報道機関が、小さい案件でございましたが、国有地の入札それから落札、その姿を絵にして出したい、こういう希望がありまして、あるいは趣旨の伝達の方法がうまくいかなかったのか、そうしたら入札者が全部おりてしまいまして、それで結果的にいわゆる競争入札そのものができなかった。だからやはり私法上の契約という頭が皆さんにあるのかなという感じも実はいたしましたので、個々のケースの際、どうせそこに参加した者は皆わかるわけでございますから、御了解を得たいものだということで私は考え方をまとめて答弁をいたしたということであります。
#81
○安恒良一君 大蔵大臣、失礼じゃないですか、参加した者はわかると。私は国政調査権の上から必要だと言っているんですよ。そんな答弁ないじゃないですか。しかもあなたたちは衆議院では、いろいろ私契約上問題があるので差し控えたいと思うが、問題があれば調べてお話することはやぶさかでないと答えている。加えて、秘密でも何でもないんですよ。登記簿にはちゃんと落札者の名前が、その人は登記するわけですから出るし、価格等々、そしてこれは公開で他人でも見ることができるんですよ。それなのに、私は民間活力の活用が本当にされているかどうかという検証をしたいから出してもらいたいと言っているのに、今の答弁では絶対納得できません。
#82
○国務大臣(竹下登君) だから、必要があるとおっしゃって、国政調査権に対しては可能な限りの対応をすべきでございますから、当該案件の相手方の了解を得てこの内容をお示しするという、そういう個別の対応の仕方はできる。ただ、国有財産処分件数が年間一万八千ある分をどこかへ公表するという措置をとることは、事務的に一件ごとの公表をするという体制にもないし、私法上の契約でございますから、したがって、そのような形でもって具体的な措置をやらせてもらいたい。確かに税務事務の守秘義務などとは違うということは私どもも承知しております。
#83
○安恒良一君 私はそんなことを聞いていません。処分済みの十七件についてどうかと聞いているんです。一万何千件のことは聞いてない。
#84
○政府委員(中田一男君) 安恒委員のおっしゃっている十七件というのが私どもの申し上げています二十六件と同じものかどうか定かではございませんが、私ども確かに固有財産を売るという立場からそういうものをディスクローズするというのは一つの考え方だと思います。
 ただ、大臣も先ほど申しましたように、私ども国有財産処分というのは、民法上の売買契約で相手方との契約に基づいて売っておるわけでございますから、相手方にもプライバシーという問題があるんだと思います。そして、事実こういうことをいつも、国はだれが幾らで売ったかというふうなことを公表するという体制のもとでは、競争入札で我々が土地を処分しようと思いましてもいいお客さんがついてくれないという問題がございまして、入札の処分そのものが円滑にいかないということで悩みがございます。したがいまして、一般的に個々の売買の状況について相手方とか金額を開示しろという御要求に対しては、それは差し控えさせていただいております。そして、衆議院で私答弁申し上げたわけでございますけれども、もしこの契約が何か問題があるというふうなことで御指摘があるならば、その契約については、相手方の了解を得た上でその契約の内容について開示させていただきますと、このように申し上げた次第でございます。
#85
○安恒良一君 十七件と二十六件で逃げるなら二十六件を出していただければいいんです。私たちはそうむやみやたらに国有地の払い下げがいいという形で言っているわけじゃないのです。しかし、現実に処分をされた処分済みのものについてチェックしたいから落札価格と落札者のリストを出してもらいたい。それは一般に公表されてないわけじゃなくて、登記簿を見れば記載をされているわけでしょう。ですから、そういう意味から言って、私の要求に対してどうして出さないんですか。この点、理事、相談してください。理解できません。
 これをひとつ委員長に要求します。リストを出すようにひとつ委員長にお取り計らいを願いたいのです。
#86
○委員長(長田裕二君) 答弁の補足があるなら詳細に丁寧に補足してください。
#87
○政府委員(中田一男君) 公表することによりまして相手方のプライバシー等の問題もありますし、また私どもの国有財産の競争入札による処分というものが非常に影響を受けるとも思いますので、差し控えさせていただきたいと存じます。
#88
○安恒良一君 納得できない。
#89
○委員長(長田裕二君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#90
○委員長(長田裕二君) 速記を起こしてください。
 委員長から申し上げます。
 ただいま安恒君要求の件につきましては、大蔵省が提示した売却リスト二十六件につきまして、相手方の了承を得たものについては提出を求めます。御承知を願いたい。(「ちょっと今の話は違うでしょう」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
 委員長のただいまの発言を若干訂正いたします。
 リスト二十六件につきましては、相手方の了承を得て提出を求めます。相手方の了承を得てということです。
#91
○安恒良一君 それじゃ、そういう努力をしていただくそうですから、予算の審議している間にやっていただきたいと思います。いいですか。
#92
○委員長(長田裕二君) 提出はただいまの質問者の要請のとおりいたします。
#93
○政府委員(中田一男君) 努力いたします。
#94
○安恒良一君 それでは次に行きます。
 国有地処分に当たって地方公共団体に買い受け等の奨励をすると、五十八年の三月、理財局長通達が出ていますが、その通達の中身と、具体的な実施方法についても定められていると聞いていますが、それを説明してください。
#95
○政府委員(中田一男君) 固有財産中央審議会の、我々当面答申と呼んでおりますが、その答申を受けて五十八年三月に通達を出しております。
 この通達の趣旨は、実はそれまで、昭和四十七年以降国有財産についてはできるだけ民間への処分はしない、公用、公共用にこれを確保しておこうということで、地方公共団体が買いに来ない限りは積極的には売って出ないということにしておりました。しかし一方では、財政事情等も非常に窮屈になってきたということもございまして、また国有地自体を未利用のまま放置しておくこともおかしいじゃないかという議論もございまして、そこで五十八年の当面通達では、これらの国有地について地方公共団体の利用計画をまず確かめてみよう、そして両三年ぐらいの間に利用計画が固まらないものについてはむしろ民間に処分していこうと、こういうふうな考え方に変わりまして、そのために五十八年三月の通達では、これらの国が処分しようと思っております土地につきまして、地方公共団体に三月末に今年度処分予定の土地について利用計画があるかどうか問い合わせをして、そして六月末までに回答をいただくと、こういうことでやっていこうという通達が出ております。
#96
○安恒良一君 相手方はどことどこですか、それは。
#97
○政府委員(中田一男君) 都道府県並びに市町村でございます。
#98
○安恒良一君 大蔵省としては、そういうところに勧奨をすると、こうなっていますが、そのことがこの通達が守られたかどうか。例えば東京二十三区内の十二カ所の場合はどういうふうにこの通達が守られたか、ひとつ勧奨の通達がどう守られたか聞かしてください。
#99
○政府委員(中田一男君) 実はその後、先ほども御答弁がありましたように、民間活力の導入ということで、さらに積極的に国有財産を活用していこうというふうに政府の経済対策等で方針が固まってまいりました。そこで私ども、民間活力を導入するのにふさわしいような土地については、もう少しこれを機動的に公共団体との間の意向確認を行おうということにいたしまして、昭和五十九年の五月に新たな通達を出しました。
 基本的には先ほどの通達が生きておるわけでございますが、例えば東京都二十三区につきまして、十月に民活対象財産として公表いたしました十二件八・五ヘクタールの物件については、世間の関心も非常に高いものですから、できるだけ早く東京都なり区なりの利用要望の有無を確かめた方がいいと思いまして、これらについては昨年の十二月に東京都並びにそれぞれ担当の区に口頭でもって利用要望の有無を確認をいたしまして、一月に入りましてから文書で回答をいただいております。
#100
○安恒良一君 私は、口頭でしたということになると、いつ、だれが、どなたに対して勧奨したのかわからなくなると思うんです。その後文書で回答をもらっておられるようでありますが、今後は文字どおり文書による買い受け勧奨をする、そういうふうにしなければ通達の趣旨が生きないのじゃないですか。口頭では、後でだれがどなたにどう言ったということの証拠がないんですが、その点どうですか。
#101
○政府委員(中田一男君) 実は、この案件につきましてはむしろ民間活力導入ということの私どもの考え方等も区や都の人たちに理解してもらう方がいいだろうと考えまして、幹部が、具体的には本省の課長クラスあるいは財務局の部長クラスの幹部が直接都や区へ赴きまして、こういった財産を選定した背景等もお話をしながら、利用要望を出していただくようにお話をしている。どちらかといいますと、文書で出すよりもはるかにそこは丁重にやったつもりでおるわけでございます。
#102
○安恒良一君 大蔵大臣、ここは国有財産の処分のことですから、後でいろんなことが起こってはいけませんから、私はやはり最初の通達どおり文書によってきちっとやりとりをされておった方が問題が起こらないと思いますが、どうでしょうか。それはその過程でお話し合いすることを否定しておるものじゃありません。しかし、きちっと勧奨についても文書でやると書いてあります。また、相手側からも文書で受けるというふうに最初の通達は書いてあるわけですから、どうですかそこは、大蔵大臣。これは方針の問題です。
#103
○国務大臣(竹下登君) おっしゃる意味は私は十分理解をいたしました。私の方としましては出します、それから実際問題長い間返答が来ない。ですから、今度は国有財産、いわゆる税外収入を得たいという私どもにも気持ちもありますし、その前に地方公共団体の意思というので、念を入れようというのでむしろ足を運びましたが、その両様を併用すれば一番いいのじゃないかという感じを受けましたので、きちんとした指導をしてみたいと思います。
#104
○安恒良一君 次は土地信託問題についてお伺いしますが、まず内閣法制局長官に現行の国有財産法の解釈を問いたいと思いますが、国有地の信託は可能でしょうか。
#105
○政府委員(茂串俊君) お答え申し上げます。
 御質問の問題につきましては、現在関係各省庁において法的側面を含めまして検討中であると承知しておりまして、この席で私から断定的なことを申し上げかねるのでございますが、現行の固有財産法を見てみますと、普通財産の管理、処分の方法として、貸し付けとか売り払いとか交換とか、いろいろなものについて規定を設けておりますが、信託について触れた規定はなく、したがって信託を予定しているものとは解されません。そういう点からしますと、御指摘のような信託を行うことは現行の国有財産法のもとでは難しいのではないか、このように私どもは考えております。
#106
○安恒良一君 難しいとすれば、その根拠は何でしょうか。理由、根拠。
#107
○政府委員(茂串俊君) ただいま申し上げましたように、国有財産法の規定を通覧いたしましても、信託についての規定はないわけでございます。ところが、信託につきましてはいろいろ、これはもう先生十分御承知のとおり、信託というものは委託者が受託者に財産権を移転しまして、そうしていろいろと一定の指示、方針のもとでこれを運用し、そうして利益を受益者に配付するというような内容でございまして、非常にいわば今までの固有財産の管理処分の方式からいたしますと、非常に態様の違った形のものでございますだけに、これを実際に実行するということになりますと、やはり固有財産法体系のもとで入念に審査した上で、いろいろと問題が生じた場合にはその問題を解決するような法的整備を行う必要がある、かように考えておる次第でございます。
#108
○安恒良一君 法制局長官が現行法では困難だと、こういうことを言われました。そこで、国、公有地の土地信託は当面はやらない、こういうことでよろしゅうございますか。大蔵大臣と自治大臣に質問をいたします。
#109
○国務大臣(竹下登君) 最初この御議論が山ましたときに、私は個人的にではありますが率直に言って大変興味を持ちました。でございますが、今、法制局長官からもお話がありましたように、いわば現行の国有財産法は信託ということを予定しない時代につくった、極端に言えばそういうことでございましょう。したがって、まず私どもとしては、この問題は法制上の問題に加えまして、もう一つは信託に付すことが適当だと考える具体的事例がどういう場合にあるか等を含めて引き続き検討を続けよう、こういうことに部内ではいたしております。
#110
○国務大臣(古屋亨君) 民間におきましては、御承知のとおり貸しビルやマンション等に利用するため投資信託が導入されておりますが、地方公共団体が公有地の活用について信託制度を活用することができるかどうかというのが先生の今の御質問の要旨だと思うのでありますが、私どもも民間活用の見地からは大変強い関心を持っております。しかし、四囲の問題、例えば地方公共団体にとりまして本当に有利かどうか、あるいは債務等が残った場合にどうなるかというような点がありまして、実質的なメリットの点を十分に見きわめる必要があると思います。それが実施上の問題でございます。
 なお法律上の問題は先ほど法制局長官が言われましたが、私どもは地方制度上、全般を点検する中でこういう問題は検討していくべきじゃないかと考えております。
#111
○安恒良一君 それじゃ大蔵大臣、自治大臣、検討するということですが、これはいつまでも検討されて、私は結論が出るまではやらないことがいいでしょう、こう言っているのですが、検討するとおっしゃいますから、この予算委員会の総括質問が終了するまでに検討していただいて私に答えていただけますね。検討した結果、これはいいとか悪いとか、やるとかやらぬとか。どうですか。
#112
○国務大臣(竹下登君) これはメリット、デメリット議論した中身はございますので、そういうことについては御説明ができると思いますが、ちょうど予算委員会が終わるまでに、これは未来永劫やらないようにしましたとか、これはやることにしましたとかいうことの返事のほかに、もう一つ、安恒さん、引き続きもうしばらく勉強してみようと思いますというものを含めて正確に相談に行かせます。
#113
○安恒良一君 ぜひ御返事をまずいただきたいと思います。
 それから、そうなりますと、中曽根総理は、昨年の九月十二日全国知事会で、国、公有地の民活導入について随意契約、第三セクター、信託方式と、この三つのことを御説明されておりますが、今の内閣法制局長官の答弁、それから大蔵大臣、自治大臣も検討しなければならぬと、こう言っていますから、この中曽根さんのおっしゃいました信託方式というのは一応修正せざるを得ませんね。
#114
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、的確な対象物や何かを想定して考えたわけじゃありませんが、ともかくあらゆる方法を使って眠っている国有財産を活用する方がいいと、そう思っておりましたので信託方式というのも入れました、それは検討中であると、そういう話も聞いたからであります。しかし私の真意は、できればやった方がいいと、そういう気持ちがあるのであります。しかし、長短をよく研究してもらって、そしてこれは悪い方が多いという場合はやめた方がいい。しかし、大蔵省や政府側はなるたけ自分のものにかき込んでおきたい気持ちが多いのですよ。そういうような根性があればこれは直さなければいかぬ、そういう気持ちがありまして、私は信託方式等には前向きの気持ちを持っておるのです。ですから、それが差し支えなければ、できるだけやる方向へ持っていってもらいたいと思っておる次第なんです。
#115
○安恒良一君 いや、総理が個人的なお気持ちをお持ちのことと今の解釈とはこれは別なんですから、その意味で、結論が出ないとやれないでしょう。疑いがある、難しいと法制局長官言っているのだし、大蔵大臣も自治大臣もいろいろメリット、デメリットについて研究しなきゃならぬ、きょうは安恒さんよう答えぬと、こう言っているんですから、どうですか、総理。
#116
○国務大臣(中曽根康弘君) 願望と結果とは別なことがしばしばあります。
#117
○安恒良一君 それじゃ、それは総理の願望だということで承っておきましょう。
 次に、国有地を処分する場合にこの一般競争入札を原則とするということでありますが、随契で民間に売却できるのはどんな場合でしょうか。
#118
○政府委員(中田一男君) 私ども現在国有地を年間に一万八千件ぐらい売却しておりますが、その多くのものは、例えば物納されました財産をその上に住んでおられる方に売る、こういう場合は随意契約で売ることができることになっております。また、民間の事業者に公益事業の用に供するものとして産業基盤の整備ですとか、運輸、通信ですとか、電気、ガス等の供給事業、あるいは農業、水産業用の倉庫事業、あるいは都市計画の事業、こういうような事業の用に供する場合には随契できる場合がございます。そのほか、先ほど言いました貸付財産のほかに、例えば袋地、めくら地あるいは規模の小さな土地を隣接の人に売るとか、そういう場合にも特別の縁故がある者に売り払うというようなことで随意契約ができると、こういうふうになっております。
#119
○安恒良一君 私がどういう場合と言ったから中身を言われましたが、会計法それから予算決算及び会計令それから予算決算及び会計令臨時特例に基づいて説明してください。
#120
○政府委員(中田一男君) 会計法の三十九条の三によりますと、例えば第四項で「契約の性質又は目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合及び競争に付することが不利と認められる場合においては、政令の定めるところにより、随意契約によるものとする。」という規定がございます。また、第五項には、「契約に係る予定価格が少額である場合その他政令で定める場合においては、指名競争に付し又は随意契約によることができる。」というふうな規定がございまして、これが会計法上の根拠になっております。
 そして、具体的には予算決算及び会計令並びに予算決算及び会計令の臨時特例によりまして、「(随意契約によることができる場合)」が掲げられておりますが、予算決算及び会計令では第九十九条が「(随意契約によることができる場合)」ということで並んでおります。その中で国有地の処分に当てはまります項目が、すべてではないと思いますが、一番これに関係の深い項目は、九十九条の第二十一号、「公共用、公用又は公益事業の用に供するため必要な物件を直接に公共団体又は事業者に売り払い又は貸し付けるとき。」あるいは三十二号「土地、建物又は林野若しくはその産物を特別の縁故がある者に売り払い又は貸し付けるとき。」こういった規定が一番よく使われておるところでございます。
#121
○安恒良一君 そこで、今の法令の中の公共用、公用または公益事業用とはどんなものか。例えば都市計画事業はこれに当たると考えていいんでしょうか。
#122
○政府委員(中田一男君) この先ほど言いました二十一号に係るものとして、例えば都市計画法第四条第十四項に規定する都市計画事業などに土地を充てる場合には当たるものと考えております。
#123
○安恒良一君 大蔵省所管の新宿西戸山公務員住宅の再開発は、都市計画事業を決定しているのでしょうか、どうでしょうか。
#124
○政府委員(中田一男君) 新宿西戸山の事案につきましては、東京都の都市計画審議会並びに新宿区の都市計画審議会でそれぞれ都市計画事業決定を受けられるように、現在それらの公共団体等と話し合いが進められているところだと聞いております。
#125
○安恒良一君 質問に答えていません。決定しているのか決定していないのかと聞いているんです。
#126
○政府委員(中田一男君) 現段階では、まだ決定されておりません。
#127
○安恒良一君 これは、私は念のため、都議会の方でも質問がされていましたところ、都議会では計画要請書さえ提示されていないと都知事が実は認めています。そこで、このことについてお聞きしますが、したがって西戸山開発株式会社は都市計画事業の施行者でもなければ、施行予定者でもないと認めますか認めませんか。
#128
○政府委員(中田一男君) 都市計画施行者とか施行予定者というのは、法律上の文言があるようでございますが、それには該当しないと思います。
#129
○安恒良一君 それには該当しないというが、何かほかに該当するのですか。
#130
○政府委員(中田一男君) 御案内のとおり、新宿西戸山の計画につきましては、理財局長の私的諮問機関として公務員宿舎問題研究会を設けまして、都心部における公務員宿舎の有効活用を議論していただいたわけでございます。その研究会で、民間活力を活用しつつ国有地を利用して住宅建設を行うという事業の性格から見て、事業主体については特定の企業が実施するというのではなく、できるだけ多くの適格な民間企業が参加し、それらの企業が一体となって民間連合体により事業を行うことが適当であるというふうな御提案をいただいております。その提案の趣旨に即応して民間の方でおつくりになりました会社が都市計画決定を受けるべくいろいろと現在努力をしておるところでございますから、都市計画事業決定がなされますれば、その事業をやりたいという意欲を持っておりまして、そういった意味では、広い意味では、法律用語ではございませんけれども、事業をやることを予定して活動しておる会社というふうに言えると思います。
#131
○安恒良一君 そんなばかなことないですよ。法律用語でないのに、事業を予定しているとは何事ですか。だからできるという解釈になりません。私はそこのところは明確に大蔵大臣答弁してください。それがために私はずっと法律を聞いてきたわけですから。
#132
○国務大臣(竹下登君) 今いわゆる現在地元地方公共団体と協議を重ねておるところであるというふうに、私どもは都市計画事業として実現すべく協議を重ねておるというのが現状認識でございます。
 都市計画事業につきましては、その強い公共性、公益性にかんがみて随意契約の適格性が認められております。今後一団地の住宅施設の都市計画が決定されて、同社が都市計画事業の施行者として認可が得られたならば、同社に対し国有財産を随意契約による処分をすることが可能になるというのが正確なお答えではなかろうかと思います。
#133
○安恒良一君 今言われたように、施行者でもなければ施行予定者として決定されるものでもありません。しかしながら、今大臣が言われたこと大変矛盾しますが、既に当該国有地の売却の随意契約の相手方でもない一企業とその土地の所有者たる大蔵省が既に昨年の秋から共同して環境影響調査、開発計画の方針策定、住民への説明会を行っておりますが、これはどんな法的根拠に基づくものでしょうか。
#134
○政府委員(中田一男君) 私どもは公務員宿舎を建てるという立場からやっておりますし、会社の方は、先ほど申しましたように、諸手続が順調にいきますればこの事業を行いたいという気持ちを持って動いておる、そういう資格でやっておるものと思います。
#135
○安恒良一君 理解できません。全然なっていない。だめ。
#136
○政府委員(中田一男君) 御案内のとおり都市計画そのものは郡や区が発議して決めるものではございますけれども、その内容等について、やはり住民の方々は、具体的に何を考えているのか聞きたいというふうなことでございます。そして、現在進めております事業等につきましても、民間の方は先ほど申しましたような報告書の御提案に基づき、その会社が努力をしておるわけでございまして、現時点ではまだ国有地の売却等決まっておるわけではございません。したがいまして、そういう意味では会社が自分の責任においてそういうことを期待し、希望し、住民に説明を行っておるというのが現状でございます。
#137
○委員長(長田裕二君) 午前の質疑はこれまでとし、午後一時三十分に委員会を再開し、安恒君の質疑を続けます。
 これにて休憩いたします。
   午後零時二十八分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十一分開会
#138
○委員長(長田裕二君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和六十年度総予算三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、安恒良一君の質疑を続けます。安恒君。
#139
○安恒良一君 午前中の説明で私が申し上げましたことに対して、新宿西戸山開発株式会社が勝手にやっているようなことを言われておりますが、大蔵省関東財務局連名になっておるのであります。この点についてはどういう法的な根拠でこういうことをされているんですか。
#140
○政府委員(中田一男君) 新宿西戸山開発につきましてはA地区とB地区というふうに分かれておりますが、A地区の方は民間の活力を活用いたしまして、ここに高層住宅をつくる、B地区については公務員宿舎をつくるということで、できれば両者を一体のものとしてやっていくことがいいという考え方で進んでおるわけでございます。
 御指摘の環境影響調査につきましては、本来ですと、法制度のもとではこの調査をいたさなくても済む規模でございますけれども、地元の方でやはり地元民の納得を得るためには環境影響調査をやってほしいという御依頼がありました。そしてこれを別々にやりますよりも、複合による影響ということがございますので、A地区につきまして今これの都市計画決定を受け、また事業認可を受けて事業を行おうとして努力しております会社側と私どもとが共同で影響調査につきましてそれぞれのところに調査を依頼し、まとめて区の方に御説明をしておる、また住民に対してもまとめて御説明をしておるというものでございます。
#141
○安恒良一君 大蔵大臣に聞きます。もう一遍聞きますが、施工者でもない、その予定者でもない、したがって当該国有地売却の随意契約の相手方でもない一企業と土地所有者たる大蔵省が既に昨年の秋から共同でそういうことをやるということについて、法的な根拠は何か、おかしいとは思わないのかと聞いているんです。
#142
○国務大臣(竹下登君) 今おっしゃいますように、法的根拠は確かに私も問答を聞きながら、ないと思います。強いてこれを経過的にとらまえてみますならば、いわゆる公務員宿舎問題研究会というものを、これも法的根拠はございませんが、理財局の中にお願いしたわけであります。この中間報告の趣旨に沿って、いわゆる関係民間会社五十六社が集まって設立されたところの会社でございます。したがって、この公務員宿舎問題研究会は理財局長の懇談会といいますか、私的諮問機関と申しますか、そういう性格でございましたので、必ずしも法的に環境影響調査をしなければならない問題ではございませんが、それをやるということになれば、そうした筋で設立された会社とやった方がより現実的であろうということでやったとしか説明ができないのじゃないかなと、私も思います。
#143
○安恒良一君 全然納得できません。公務員宿舎問題研究会というのは大蔵大臣、あなたの私的諮問機関です。そこで、この民間連合体の提唱がされておりますが、これは現行法の枠を変えて行政裁量権が生じるものでありません。したがって、さきのように大蔵省と西戸山開発KKとの共同で活動したことはすべて違法であり、かつ私は不当であると思いますが、この点については大蔵大臣と総理のひとつ見解を聞かしてください。
#144
○国務大臣(竹下登君) 私は、今おっしゃいますように確かに私的諮問機関でございますから、いわばその法的必然性は私もなかろうというふうに思っております。が、いわば違法性はないじゃないか、したがって、そういう検討の結果できたいわゆる会社でございますから、それとともに環境影響調査を行うこと自体は、私はその会社が将来いわゆる随意契約の相手になるならないは別といたしまして、違法性はないというふうに考えます。
#145
○安恒良一君 いや、私はこの点は違法かつ不当だと思うんです。随意契約になるかならぬかもわからぬわけですから、それなのにどうしてそういうことができるのか、この点はひとつ理解できません。
#146
○政府委員(中田一男君) 大臣から御答弁がございましたように、都市計画の事業決定を受けますためには、やはり準備段階としていろいろな影響等を調査して住民の方々に納得していただく必要があるということからいたしますれば、事実上、会社がこういうことをやりますということは必要なことであろうと思います。現段階で会社側が随意契約の相手方になっておるわけではございませんが、これが都市計画事業として決定され、また事業者として認可されれば、そういうことは可能になってくるという可能性を持っておるわけでございます。違法ではないと思います。
#147
○安恒良一君 東京都はそういうふうには、まだそこまでは至ってないと都議会で答弁をしたばかりじゃないですか。それなのにどうしてそういう期待性を言うんですか、そんなばかなことはないですよ。期待性によって行政権の裁量が変わってはだめです。また期待性によって法律の施行が曲げられたらだめです。納得できません。
#148
○委員長(長田裕二君) 中田理財局次長。明確にお答えください。
#149
○政府委員(中田一男君) 都市計画事業決定を得るためには時間が必要なので、その準備作業が続いておる段階だと申しているわけでございます。
#150
○安恒良一君 理解ができませんので、私は少なくとも住民に配付をされておりますところのいわゆる大蔵省関東財務局、それから新宿西戸山開発株式会社連名の資料についてはこれは撤回をされるべきだと、こう思いますが、大蔵大臣どうですか。一会社が勝手にやったのじゃないんです。連名でやられていますから、その連名の諸資料について、でないと住民は政府が一緒になってやっていると思うんですよ、住民は。まだそこまでは至ってない、にもかかわらず、やられていますが、この点についてこれらの諸資料は撤回をされるべきだと思いますが、いかがですか。
#151
○国務大臣(竹下登君) ちょっと相談してきます。
 現実問題といたしまして関東財務局がこれを行って、それに実際問題として会社がその委託を受けて関与しておるならば、私はそれなりに説明ができることだと思いますが、そうでなく、いわば区に対する報告文書にも両者の名前が書かれてあります、ただいま私も確認をしてみました。そうなれば、この問題は必ずしも公式文書としては適切でないかもしらぬ、したがって、これを、どのような適切な措置を行うかということに対しては、これはしばらく時間をおかしいただきたい。提出いたしました区役所に対しての一応の了解もとらなければいかぬかとも思いますので、御趣旨はよく私も理解できましたから適切な措置をとらしていただきますので、しばらく時間をいただきたいと思います。
#152
○安恒良一君 難しい問題になると全部しばらくしばらくじゃないですか。
 それで、私は、これは何回も言っておりますように、まだ東京都としていわゆる都市計画事業は決定はしていないんです。にもかかわらずに、今申し上げたようなことで連名でされておりますから、これは当然撤回をされるべきだという私の見解を申し上げておきます。
 そこで、最後に総理にこの点で聞きますが、昨年の九月、全国知事会において総理はこの問題に触れて発言をされておりますが、その趣旨をちょっと説明してみてください。
#153
○国務大臣(中曽根康弘君) 明確な言葉は忘れましたが、ともかく民活を促進することが非常に重要でありますと、その点を強調しまして、そして、その一つの例としてあるいは新宿西戸山の例を挙げたかもしれません。これによって民間の力を大いに活用して、迅速、的確かつ関係住民の納得のいくような、そして快適なものを早くつくりたいと、そういう意味で民間の力と知恵を大いに活用するやり方でやりたいというような趣旨のことを言ったように覚えております。
#154
○委員長(長田裕二君) 安恒君、しばらくお待ちください。
    ─────────────
#155
○委員長(長田裕二君) この際、御紹介いたします。
 今般、本院議長のお招きにより来日されましたアルゼンチン共和国上院議員団団長ファン・ツリージャ予算委員長の御一行が、本委員会傍聴のため、ただいまお見えになりました。
 御起立の上、拍手をもって歓迎の意を表したいと存じます。
   〔総員起立、拍手〕
    ─────────────
#156
○委員長(長田裕二君) 安恒君、質疑をお続けください。
#157
○安恒良一君 総理がしゃべられたことは全国知事会発行の議事録にきちっとなっておるわけですが、その中で、民間の株式会社に委嘱して民間にやらせるという発想を持ち、いろいろ手続を経ましたと。非常に殺到して、約八十社以上の申し込みがあったが、二十七社ぐらいにそれを切るのに苦労したと。それで株式会社云々とありますから、総理、この新宿西戸山開発株式会社は、こういう総理の御発言から言いますと、総理が相談されてつくらせられたんですか、これは。
#158
○国務大臣(中曽根康弘君) 民間の活力を大いに発揮させて、景気の拡大あるいは民力、民活に資しようと、そういう考えでいろいろアイデアがありまして、その一つとして今のようなコンソルショム、企業体連合をつくって、そして公正なやり方で、いかに民間がやった場合に迅速、的確、しかも快適にやれるかというような例を示す、それで、法に違反しない範囲内でそれができるかできないか検討させたわけです。法制局及び建設省におきましていろいろ検討して、これならよろしいということで民間側に建設省から話をして、そしてやりましたら、非常に殺到して、そして民間のたしか江戸さんや関係団体の皆さんが相談した結果、今のような形で発足したと、そういうことでございます。
#159
○安恒良一君 いや、私は、その総理の御報告の中に、約八十社以上の申し込みがあって、二十七社ぐらいにそれを切るのに大変苦労したと、こういうような話がずっと一連に出ておりますから、実を言うとこれを総理に読んでもらいたいんです、あなたがしゃべられたことですから。しかし、それを全部読むのは大変だと思って、最終的に総理、あなたがこの会社をつくらせたということですかと、こう聞いておるんです。
#160
○委員長(長田裕二君) 安恒君、時間が参りました。
#161
○国務大臣(中曽根康弘君) 私がつくらせたというわけではなくして、あれは官房副長官が中心になっておるたしか小委員会があったと思いましたが、あすこの結論でこれがよろしいと、そういうことでつくることになったと思っております。
#162
○安恒良一君 時間が参りましたから、残余の質問はまた改めてやらせていただくことで、これで終わります。
#163
○委員長(長田裕二君) 以上で安恒君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#164
○委員長(長田裕二君) 次に、村沢牧君の総括質疑を行います。村沢君。
#165
○村沢牧君 最初に地方の行革について質問いたします。
 地方の行革は本年度中曽根内閣の目玉事業であり、なお重大方針であると言っていますが、総理は、地方行革大綱と、それに基づく地方の行革をどのように進めていかれるのか、まずお伺いします。
#166
○国務大臣(中曽根康弘君) 行政改革につきましては、臨時行政調査会の五次にわたる答申を受けまして推進しておるところでございますが、地方行革も非常に重要な要素でございまして、その臨調方針に基づきまして政府としても閣議決定をもって行革大綱を決め、本年は地方行革を特に推進するという重点政策をつくりまして地方行革大綱をつくり、今推進しておるところでございます。
 もとより、憲法によりまして地方自治の本旨にのっとって行うべきでございますが、国と地方とはちょうど車の両輪のように唇歯輔車の関係で進んでいるわけでございます。国だけが行革をやって地方が何にもしないということでは、がたびしゃになります。地方が一生懸命やって国が何にもしないというのでは、がたびしゃになります。両方がお互いに協力しつつ提携して、しかも大原則としては国の仕事を地方に移譲しつつこれを行う、権限その他を移譲しつつこれを行う、そういう考えに立ちまして推進しているところでございます。
#167
○村沢牧君 政府は地方行革大綱を決め、自治体に通達をした。後藤田総務長官に伺いますが、この大綱の背景には第二臨調答申、そして行革審の答申がある。こうした答申を尊重して地方も思い切った行革を行えという趣旨でこのような方法をとったのであろうと思いますが、どうですか。
#168
○国務大臣(後藤田正晴君) おっしゃるように、第二臨調の答申、行革審の御意見、これらを踏まえまして、やはり地方も国と一緒になって行財政の改革をやってもらいたい、こういうことでこういう措置をとったわけでございます。
#169
○村沢牧君 重ねてお伺いしますが、つまり地方行革とその推進は臨調答申に基づく政府の方針ですね。
#170
○国務大臣(後藤田正晴君) 仰せのとおりでございます。
#171
○村沢牧君 自治大臣の見解はどうですか。
#172
○国務大臣(古屋亨君) 臨調答申に基づきまして地方制度調査会においても答申をいただき、閣議決定もいたしました。それに基づきまして、一月二十二日に地方行革大綱を示したわけでございます。
#173
○村沢牧君 臨調答申と行革審答申、それに地方の固有の事務を含めた地方の行革について、自治大臣はどのように考えていますか。
#174
○国務大臣(古屋亨君) 私は、地方行革というものはもちろん現在まで地方で相当進めておるところもあります。まだ進められてない、残念ながら住民からいろいろの批判を受けているところもあります。非常にアンバランスなのが実情でございます。私ども行政改革大綱によりまして、地方としてとにかくできることはやる。ただ、その基準を地方行政改革大綱によりまして、七項目について基準を示したのでございます。ただ、私の考えますところは、地方だけではできぬ、国の権限移譲だとか許認可だとか、そういうものがなされなければできないのでありまして、その点は、今国におきまして六月ごろまでに答申をいただくことになっておりますので、それによって行いたい。今度は、必置規制とそれから国の関与の問題につきましては昨年暮れに答申がありまして、これが総務庁の方から法律案として提出されることになっておると思っております。
#175
○村沢牧君 昭和五十六年二日二十七日、臨調が発足した当時に自治省はこういう答弁をしています。「いわゆる第二臨調は国の行政制度及び行政運営の改善、合理化について調査審議する機関として設置されるものでございますから、地方自治固有の行政の改革に関する問題につきましては、内閣総理大臣の諮問機関でございます地方制度調査会において調査審議されることが適当であると考えております。」、これについては、今見解違ったのですか。
#176
○国務大臣(古屋亨君) 先ほど申し上げましたように、地方制度調査会の意見も十二月の初めに御答申をいただきまして、それと閣議決定、これに基づきまして一日二十二日に地方行革大綱を指示したところでございます。
#177
○村沢牧君 しかし、自治大臣の見解は今まで自治省が国会で答弁してきたことと大分変わっている。さっき自治大臣は臨調答申並びに行革審答申に基づいて地方行革大綱を決めたとおっしゃったのじゃないですか。
#178
○国務大臣(古屋亨君) 行革審の答申というふうに、もし私が臨調と申し上げましたら、ひとつ行革審の答申というふうに御訂正願いたい、そういうように訂正をさしていただきます。
#179
○村沢牧君 第二臨調発足の当時から国の行革の地方への介入問題については論議のあったところであり、その際政府は統一見解を示しているはずでありますが、これを示してください。
#180
○国務大臣(後藤田正晴君) 昭和五十六年に「臨時行政調査会と地方制度調査会との関係について」ということで、当時の行管庁と自治省との間で話し合いをいたしまして、一応の基本的な考え方が決められているわけでございます。長いですから全部は読みませんけれども、一つは、国の行政との関連において臨時行政調査会は審議をする、これが第一項目。第二番目は、調査審議の対象でございますけれども、これについては臨時行政調査会の委員として地方制度調査会長に参加をしていただく、そうすることによって対象については適切な選択が行われるようにする、こういうことでやったわけでございます。
 なお、先ほど自治大臣が御答弁なさっておりましたように、地方の専務というのは委任の事務と固有事務がございますが、地方行革が重要であるということになれば、固有事務についてはこれは私は当然地方団体みずからの手によって行うべきものであろう、かように考えますが、委任の事務、団体委任もあれば機関委任の事務もございますから、これらについては、これはやはり地方と国が一体になってやっていく、私はそういうことではなかろうかと。しかも、御案内のように、府県の事務について言えば恐らく八割方が私は委任の事務ではなかろうか、市町村は若干それよりは少ないかもしれませんが、いずれにせよ、今日の日本全体の統治機構は国と地方が緊密な関係の上に立ってでき上がっているわけでございますから、行政の改革を進めるということになれば、やはり国も地方も一体になってやらなければならぬものと、かように考えます。
#181
○村沢牧君 自治大臣はこの政府の統一見解を御存じであった、知っていましたか。同時に、今総務長官から答弁あったように、地方の事務は七割が国の委任事務である、そういうふうに理解されているんですか。
#182
○国務大臣(古屋亨君) 私は、今、後藤田総務長官の話によりまして、その沿革的な意味がよくわかったのでございますが、私が昨年十一月一日に任命されまして、自治大臣と、こう拝命したのでございますが、私がまいりまして、地方制度調査会の答申もちょうどいただくところでございました。それから、たしか行革審の答申が十二日十八日ごろ出たと思っております。それに基づきまして十二月二十九日ごろそういう問題についての閣議決定がございました。それで、それを受けまして自治省としては一月二十二日に地方行革大綱を示したわけでございます。
#183
○村沢牧君 私が聞いているのは、自治大臣は当時の行管庁、自治省と取り交わしたとういう統一見解があったのを知っていたのかどうか。
#184
○国務大臣(古屋亨君) 私も衆議院の地方行政委員会におりましたから、そういうことは聞いておりましたが、今先生のおっしゃるような、はっきりこうだという点は私にはまだ理解できなかったところもございます。
#185
○村沢牧君 これは重大な問題ですね。後ほど指摘をいたしますが、この地方行革大綱とその自治省の通達、これは随分問題があるんですよ。それが、自治大臣がそういう内容を知らずしてすべて行管庁に任してある。この責任は私は許せないと思うんですが、どうなんですか。
#186
○国務大臣(古屋亨君) 国の行政改革は総務庁が行うことになっております。地方の行政改革は自治省が行う。ただ、自治省だけではできませんので、国から権限移譲とか、そういう問題を国で処理していただいて、それが地方自治の方にやりいいようにやるということが私の任務であると考えております。
#187
○村沢牧君 総務庁長官の言われた、七割が委任事務だというお話があったんですが、そういうふうに思っていますか。
#188
○国務大臣(古屋亨君) 数字的には、今はっきり私ここで申し上げませんが、委任事務が随分多いということは私も承知しております。七割ということは私はよく存じません。ただ、非常に多いということは知っております。
#189
○村沢牧君 しかし、地方に対して重大な責任を持っておる自治大臣が、どのくらい委任事務があるかわからないようなことで行政できますか。
#190
○国務大臣(古屋亨君) 率直に申し上げまして、今臨行審でそういう問題について、権限の移譲とか地方の委任事務というものについて整理をされております。その状況は聞いておりまして、随分これは多いなという感じは私も持っております。
#191
○村沢牧君 総務庁長官ははっきり数字を挙げて言っているんですから、自治省もはっきりした答弁をしてください。
#192
○国務大臣(古屋亨君) 数字の問題でございますから政府委員からお答えいたさせます。
#193
○政府委員(大林勝臣君) 現在、地方の行っておる事務の中で国の機関委任事務がどのくらいあるかということは、前々からその都度話題にはなっております。ただ、これは従来、量的にこれを正確に測定したことはございません。ただ、戦後機関委任事務がふえてまいりますたびに、それぞれの論議の中でおおむね七割から八割ぐらい行っているのじゃないかということがその都度言われておったことは事実でございます。測定したことはございません。
#194
○村沢牧君 総務庁、その長官の答えた根拠について示してください。
#195
○国務大臣(後藤田正晴君) 私も長い間地方行政の事務をやっておりますから、当時から言われておることを根拠にして申し上げたわけでございます。ただ、私のこの基本的な考え方、これは学者によってもいろいろあるんです。団体委任の事務というのはこれはそうでない、機関委任事務だけだといったようなことを言っている人もあるかもしらぬし、あるいはまたいわゆる委任事務の範囲、物の考え方、いろいろな考え方があることは事実です。私は、団体委任の事務、機関委任の事務、それらを含めて大体その程度ではなかろうかな、かように常識的に申し上げているわけでございます。
#196
○村沢牧君 政府の統一見解は「地方自治の問題については、国の行政との関連において調査審議する」、こういうことになっております。ところが、政府は昨年の五月、行革審に対して、地方行政全般にわたっての行革の推進方策を検討要請し、行革審はこの要請に基づいて七月下旬、政府に答申を行っている。これに基づいて政府は地方行革大綱を決定して地方に通達をしている。この統一見解と今まで取り組んできたこの経過はどういうふうに理解すればいいんですか。
#197
○国務大臣(後藤田正晴君) 先ほどお答えしましたように、五十六年度の当時の行管庁と自治省との間の話し合いの趣旨、これを踏まえて今度の問題も出しておると、かように私は御理解していただければいいのじゃなかろうか、かように思います。
#198
○村沢牧君 総務庁長官が行革審に地方行革問題についての検討を依頼する際に、政府としては、こういう統一見解があるのでそれに基づいて検討してもらいたいということを申し上げたんですか。要請文書に基づいて答弁してください。
#199
○政府委員(古橋源六郎君) お答えいたします。
 行政改革審議会に対しまして要請いたしましたときには、文書をもってこういうことということについてはやっておりません。
#200
○村沢牧君 そうすると、地方行政改革をすべてにわたってひとつ審議をしてもらいたいという要請なんですか。
#201
○政府委員(山本貞雄君) お答えいたします。
 当時総務庁長官から行革審に対しまして、地方行政改革の推進につきまして具体的な意見を求められたわけでございますが、ただいま先生御指摘のとおり、五十六年の臨調の地方行革を取り上げるに当たってのいわゆる了解事項、これは当然行革審ができましたときに既に総務庁の方からも引き継いでおりまして、そこは十分行革審といたしまして理解の上、当時の行政管理庁長官の御要請を受けとめたと、そういうことでございます。
#202
○村沢牧君 行革審の検討内容、答申は地方自治全体にわたっているんじゃありませんか。
#203
○政府委員(山本貞雄君) お答えいたします。
 ただいま先生御指摘のように、五十六年のいわゆる了解事項は「地方自治の問題については、国の行政との関連において調査審議する」、御案内のとおりでございます。この解釈は、いわゆる自治省が地方自治体に対しましていろいろ地方行革につきまして指導の権限を持っておるわけでございますが、それの範囲内におきまする事項につきまして行革審は意見を提出した、そういうことでございます。
#204
○村沢牧君 自治省に尋ねますが、この行革大綱に基づいて地方に対して通達をしている。この通達の内容について明らかにしてください。
#205
○政府委員(大林勝臣君) 行革大綱の内容は、大きく分けまして三つに分かれております。
 第一が行革推進のための体制の整備であります。できるだけ民間有識者等を含めた委員会の設置及びその実施本部として庁内に行革推進本部を設置してもらいたいということ、これが第一であります。
 第二は、行革の重点事項といたしまして数項目の列挙をいたしております。一つが事務事業の見直し、二つ目が組織、機構の簡素合理化、三つ目が給与の適正化、四番目が定員管理の適正化、五番目が民間委託、OA化等事務改革の推進であります。さらに会館等公共施設の設置、管理運営の合理化、地方議会の自主的な合理化を含めまして七つほど代表的な事例を列挙いたしております。
 三つ目の柱がこういった行革の計画的な推進を訴えておるわけでありまして、できるだけ統轄をする長の主導のもとに全庁的な取り組みを図ってもらう、同時に住民の理解と協力のもとに計画的な推進を図ってもらいたい。
 これが内容の概略であります。
#206
○村沢牧君 その通達の項目の中に、地方自治体固有の問題と先ほどから言われている国の行政と関連をする問題、両方あると思いますが、その内容の分析を各項目別に行ってください。
#207
○政府委員(大林勝臣君) 地方の行革を推進いたしますためには、一つには地方の行革努力を阻害しておる国の側の問題、二つ目が地方団体自体の自主的な努力の問題、この二つに大きく分かれると思います。
   〔委員長退席、理事梶木又三君着席〕
第一の地方の自主的な行革努力を阻害している問題がいわゆる国の関与なり必置規制と言われておるものでありまして、これが昨年の行革審の答申に基づきまして今般必置規制及び関与の整理合理化の法律案が御審議の対象として御提案をされておるところであります。地方自体が自主的に努力をすべき対象といたしましては、先ほど申し上げたような事項が代表的な問題であろうと思います。各地方団体がその地域の特殊性に応じましてこれを取捨選択をしてその地域に応ずる行革の大綱をつくっていただく、つくっていただいたものについて御報告をいただく、こういう段取りに現在いたしておるところであります。
#208
○村沢牧君 私が聞いているのはそうではなくて、この大綱、それに基づく通達の中で地方の固有義務と思われるものはどれとどれがあるのか、中央との、国との関連はどれとどれがあるのか、それをはっきりしてください。
#209
○政府委員(大林勝臣君) 国との関連がある問題といたしましては、事務事業の見直しの問題が一つはございます。現在地方団体が行っております事務事業の中で時代に沿わないもの、もっと合理化を図れるもの、いろいろあろうと思います。ただ、この問題につきましては、地方団体の固有の事務もあれば、あるいは国から委任をされた事務もあろうかと思います。さらには、会館の運営にいたしましても、事務の民間委託にいたしましても、地方独自の固有事務の委託の問題もあれば、あるいは国から委託をされました事務の委託の問題もございます。会館を委託しようと思いましても、必置規制がありますとか、あるいは国の関与があります問題につきましてはなかなか委託ができない。そういった一つの事務につきましても地方の事務と国の事務が錯綜しておりますので、やはり地方団体自体だけではできない問題が相当あると思います。
#210
○村沢牧君 この中で、地方は行政改革推進本部をつくりなさい、そういう指摘をしているんですけれども、どういうふうにつくるのか、そのことが地方の固有の問題であるのか、国の行政との関連があるのか、はっきりしてください。
#211
○政府委員(大林勝臣君) 地方の行革につきましては、基本的には地方自体の自主的な努力にまつわけでありまして、その推進本部の設置につきましても地方団体自体が自主的に人選をし自主的な組織づくりを考えていただく。これについて国からどうのこうのというようなことはこれはございません。地方があくまで自主的に組織づくりをしていただくということであります。
#212
○村沢牧君 通達に基づいて答弁しなさい。はっきり読んでください、通達を。
#213
○政府委員(大林勝臣君) この通達と申しますのは、もちろん地方が自主的にやっていただくことを要請をしておるわけであります。自治省といたしましても、一番の理想は地方自体が自主的にやっていただくのが一番いいのでありますけれども、先ほど大臣がお答えになりましたように、従来から自主的にそういった組織づくりをつくっていただいてやっていただいているところもございますけれども、まだそういった体制が整備されてない、その行革努力が足らない、こういうことで住民の批判を受けておる地方団体も少なくない。したがって、そういった努力の足らない地方団体を含めて、今後一層各地方団体が足並みをそろえてやっていただく必要があろう、こういうことで全地方団体に御指導を申し上げる羽目になっておるわけであります。
#214
○村沢牧君 そんなの答弁になっていないじゃないですか。この通達を見れば、地方は行革推進本部をつくりなさい、今まであるのは全部改組してつくり直しをしなさい、しかもこの長にはその自治体の長がなりなさい、例えば知事がなるとか町村長がなるとか、組織はどういうふうにしなさい、どういうことを書きなさい、国に報告しなさい、書いてあるじゃないですか。もっとはっきり言ってくださいよ。
#215
○政府委員(大林勝臣君) この行革大綱と申しますのは、国の方で先ほど申し上げましたような理由で今後一層地方の行革努力を求めるのが主眼であります。その一つの大きな柱として組織づくりについてお願いをしておるわけであります。それぞれの地方団体ごとにそれぞれの組織を設けてやっておられるところがありますけれども、なおやはり住民の理解と協力を得るためにはできるだけそういった組織の中に民間の有識者、こういった方々を組み込んでやっていただくのがこれが一番いいのじゃないか、こういう意味の要請であります。
#216
○村沢牧君 次は、地方議会に対してどういう指摘をしているのですか。
#217
○政府委員(大林勝臣君) これは地方制度調査会の方からも御答申をいただいておるところでありますけれども、地方議会の合理化の問題といたしましては、地方議会の議員定数の減少については既にかなりの自主的な努力が行われているところでありますけれども、地方行革を推進する上での地方議会の役割の重要性にかんがみまして、さらに今後地方議会においてもその権能に十分留意しつつ、組織、運営の合理化等について自主的に険討を進めることを要請いたしております。
#218
○村沢牧君 それも地方の自治に対して、行政に対して介入ではないですか。
#219
○政府委員(大林勝臣君) 地方議会に対してもこういった行革の努力をお願いしておるわけでありまして、私どもとしては介入とは考えておりません。
#220
○村沢牧君 私が今まで指摘をしてきたように、地方行革に対する取り組みは政府の統一見解を逸脱している。しかもその内容においては地方自治に介入もしている。
 そこで官房長官に聞くけれども、政府の統一見解というのはどういう性格のものであり、それは国会に対して、国民に対していかなる責任を持つものでありますか。
#221
○国務大臣(藤波孝生君) 政府内各省庁にまたがります問題を政府で統一して調整をいたしまして政府の考え方としてまとめて各方面に政府の意思を伝達する、この趣旨でつくられたものでございます。
#222
○村沢牧君 それは責任持つものですね、国会に対して。
#223
○理事(梶木又三君) 村沢君、立って。
#224
○村沢牧君 この統一見解が示されたのは、中曽根総理、あなたが行管庁長官のときに示されたものです。あなたが一番よく知っていると思う。しかしこういう統一見解は示されたけれども、その後政府の取り扱い方は統一見解よりも逸脱している。手続において、内容においてそうですよ。このことをはっきりしてもらわなければ私はこの問題について審議を進めることができない。政府はまた統一見解を出し直すのですか。それとも今までやってきた取り扱いがこれは若干間違っておったというふうにおっしゃるのですか。
#225
○国務大臣(後藤田正晴君) 先ほど来お答えをしておりますように、五十六年の申し合わせの趣旨に沿ってやっているものであって、それを私は逸脱をしているとは考えておりませんし、同時に地方行革というのはやはり地方御自身の手によってやってもらうわけですから、政府は自治省でああいう通達を出しましたが、これはあくまでも地方団体に御要請を申し上げるというような前提でやっておるわけでございますので、自治権に対する介入云々ということは、私は村沢さんの御意見ですけれどもそういうことはないのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
#226
○村沢牧君 しかし長官、そうはおっしゃるけれども、そういう統一見解がありながら行革審に対して地方行革の問題すべてを審議を要請しておるということは、これは既に逸脱しているのじゃないですか。
#227
○国務大臣(後藤田正晴君) その申し合わせの中にありますように、対象とする事柄については地方の問題は地方制度調査会でいろいろ御意見がございますからその会長に委員になっていただいて、そしてその対象の選択も第二臨調としては十分地方自治を配慮の上やっているわけでございますから、そこらは御理解をしておいていただきたいと、かように思います。
#228
○村沢牧君 この問題ばかりに余り時間を費しているわけにいきませんから、いずれまたこの問題については一般質問その他で追及してまいりたいというふうに思います。
 さてそこで、地方に対して要請する前に国として当然やらなければならないのがたくさんあるわけですけれども、これについてはどういうふうに積極的に対応しているんですか。
#229
○国務大臣(後藤田正晴君) 地方行革、ただいまお答えしたように地方みずからの手によって積極的に進めていただかなければならぬことですが、同時に今日の地方行革を進める場合にはやはり私は中央各省庁の地方自治に対する御理解、これを真剣にお考え願わなければ所期の目的が達成できない、かように考えておるわけでございます。
 そこで、今回の第二臨調答申を受けてのいわゆるこの行政改革全般についても、政府としては地方公共団体に対する国の関与、必置規制の整理合理化、二つ目は機関委任事務の整理合理化、三番目は地方公共団体の行う許認可等の整理合理化、あるいはまた補助金のあり方、雇用手続のあり方、あるいはまた人件費補助、これで人を縛っておりますから、これらについてもできる限りは一般財源化するなりあるいは交付金化していただく。こういったような地方行革を進める場合に当たって、地方がせっかくやろうと思ってもやりにくいといったような点を基本的に中央省庁の行革の一環として進めていこうと、こういう方針で従来から進めておるわけでございます。
#230
○村沢牧君 具体的に本年度どういうふうにしようとされるんですか。
#231
○政府委員(古橋源六郎君) 必置規制と国の関与の関係につきましては、今国会に法案を提出を予定いたしております。それから、機関委任事務の根本的なあり方の問題につきましては、臨時行政改革推進審議会におきまして基本的なあり方について御検討をいただきまして、本年の夏ごろまでに御答申をいただきたいと、こういうことのお願いをいたしておるところでございます。
#232
○村沢牧君 大蔵大臣、機関委任事務やその他の権限の移譲に伴って財源も当然移譲しなければならないと思いますが、その用意をお持ちですか。
#233
○国務大臣(竹下登君) いわゆる行政が総合的そして効率的に行われますためには、それぞれ地方と国が機能と責任を分かち合う、こういうことでございますので、したがって国と地方との財政は税源配分、交付税交付金、補助金等によってまさに密接な関係がございます。したがって、この財源配分問題についてはいわゆる役割分担とか、それからそのときどきの財政事情とか、そういうことを基本に置きながら幅広い角度でこの見直しを行っていく必要があるわけでございますから、それが言ってみれば、いわば所掌事務の分担関係によって機械的に財源そのものが動くものでは必ずしもないというふうに理解をいたしております。
#234
○村沢牧君 機械的に動かないとしても、権限の移譲は口にするけれども、財源については補助率を引き下げたり国の財政赤字のしわ寄せを地方に転嫁をしていく、まさに本末転倒ではありませんか。国が本当に地方の行革を打ち出すのなら、財源についてももっと具体的にあるいはまた真剣に討議をし、その範を垂れるべきだと思いますが、総理どうですか。
#235
○国務大臣(中曽根康弘君) 自治省を中心にしまして、地方団体とよく連絡をとりつつ両方とも汗を出し合うという形で今努力していると思います。
#236
○村沢牧君 財源も含めてですか。
#237
○国務大臣(中曽根康弘君) 総合的に検討し合っていると思います。
#238
○村沢牧君 次の問題に入ります。
 主として農業に関連をして伺ってまいりますが、総理、我が国の農林漁業を取り巻く情勢は大変厳しくなってきておりますが、今まで進めてきた農政をどのように思っていますか。
#239
○国務大臣(中曽根康弘君) 農業を取り巻く環境は非常に厳しいと思います。農業基本法の精神、目的を実行できるように今努力しているのでございますけれども、なかなか客観情勢は厳しいように思います。しかし、今後とも生産性の向上あるいは構造改革、そういうような基本的部面をも重視しまして努力してまいりたいと思っております。
#240
○村沢牧君 我が国の農林業を取り巻く環境が大変に厳しくなってきたということは、農林業の本質とその位置づけを軽視して場当たり的な政策を進めてきた自民党農政の失敗によることは否定することのできない事実であります。しかし、これに対しての反省がない。農林業は一度ないがしろにするとその復活には大変な努力を要することは世界の歴史が物語っているところであります。ところが、政府はことしも臨調行革の名のもとにおいて農林予算を大幅に縮減をし、のみならず制度改悪の法律まで提案しており、ますます農政後退の道を歩んでいるんです。総理は、農は国のもとだとか、あるいは農業は生命産業だと、耳ざわりのいいことを常に言っているんですけれども、国のもとであるあるいは生命産業である日本の農業、林業をどのように誘導していこうとするんですか。今までの反省も含めて政府の基本的な政策と農業の位置づけを示してください。
#241
○国務大臣(中曽根康弘君) 農業基本法の制定以後、畜産物、果実などの需要に応じた生産の拡大あるいは施設型農業部門を中心とした生産性の向上、こういう部分はある程度実現していると思います。しかし、小麦、大豆等の自給率が低下した一方、米と一部農産物が過剰基調にございます。また、土地の利用型部門の経営規模拡大の停滞等が挙げられております。今後農政を進めていくに当たりましては総合的な食糧自給力の維持強化を基本として、生産性の高い土台のしっかりした農業の実現を目指して各般の施策を展開いたしたいと思います。
#242
○村沢牧君 総理の答弁は極めて抽象的で、そんなことはいつも言っておることなんですけれども、後ほどこの政策の誤りについては指摘をしてまいります。
 そこで、総理は教育改革に大変御熱心である。私は総理の言う教育改革やあるいは臨教審については意見を異にするものでありますけれども、農業、林業の営みが国土、生活環境の維持に大切であるとするならば、自然教育についてはどう考えますか。また、総理は放牧教育などと言っているんですけれども、文部省の学習指導要領からは林業というこの記述がなくなっておるのではないですか。これはどういうふうに考えますか、どうしますか。
#243
○国務大臣(中曽根康弘君) 林業の記述がもしなくなっているとすれば、はなはだ遺憾でございまして、これは是正さるべきであると思います。国際森林年というものすらことしは設けられて、国際的に緑の問題等に力を入れておるところでありますから、文部省に検討してもらいたいと思います。
 それから林業全般について見ますと、いろいろ需給関係あるいは立地条件等から林業自体がかなり厳しい状況になってきておりまして、ややもすれば山林が荒廃に帰する、過熟林がふえてきて間伐もできない、こういうような状況になりつつありますし、木材価格は非常に低下して林産業関係の企業が非常に苦しみに遭う、こういうことが続いております。これを何とかして打開したいと思いますが、きょうも実は大蔵大臣、あるいはさっき農林事務次官を呼びまして、林政に関する特別な施策を検討してくれと頼んだところでございます。何といっても民間の所有者は間伐がどんどんできるようにしなければだめなのでありまして、それを森林組合を使ってどうするか、国家がどういうふうに促進していくか、そういうような点についてやはり想を新たにした新しい大きな政策が必要な段階になってきておると、私はそう思って農林事務次官にそのことを特に要請した次第なのでございます。水産業についても同様のことも言えましょう。これも大きな変革の場が来つつあるわけでもございます。したがいまして、農林水産関係全般についてここでよく基本的に検討を加えてみたいと思います。
#244
○村沢牧君 林業に対しては大変御熱心な答弁をいただいたんですが、先ほど私が申し上げました教育の中における自然教育、これについては、臨教審等もありますけれども、どういうふうに考えていますか。
#245
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は自然教育は非常に大事だと思っておるのであります。前にも申し上げたことがありますが、人間には小さいときの原体験というものが非常に重要で、三つ子の魂百までもと言いますが、幼児のころあるいは小学校のころ、山へ行ったとか川で遊んだとか、蛇をつかまえたとか石けりをやったとか、ともかく原っぱというものが人間生活に非常に重要な要素を我々のときは占めておった。あの辺に転がっておる土管ですら隠れんぼをするとかなんとかというので人間を自然に親しませる大きな要素でもあった。原っぱがなくなってしまいましたから今子供たちは遊ぶ場もないと、こういうことであります。
 したがって、私は、今都会の子供たちをどうして自然に親しましめるかという一つのアイデアとして放牧教室というようなことを本に書いたことがあるんです。夏休みの間は、東京や大阪や横浜や神戸の子供たちは過疎の村へ行ってそこへ住んでもらう、過疎の者は今度は部会の方へ出てくればいいじゃないか、そういうふうに交流して、昔、戦争中疎開というのがありました。あの学童疎開というものは、山形県や新潟県へ行って、非常にいい思い出を彼らは持ってきて、大人になって、四十、五十になっても子供や奥さんをその自分が住んだ過疎の村へ連れていっていますね。それぐらいにやっぱり小さいときの印象というものは濃いものであります。
 そういう意味において、群馬県でも利根郡とか吾妻郡では東京や横浜の都市の小学校と契約しまして、夏はおいでくださいというので林間学校を開いてもらってきております。そういうふうにしてそれをもっと計画的、組織的に全国的にやっていけば子供たちが自然に親しむ機会がもっと多くなる。私は文部大臣に対しましてかつてこれを文部省として計画的に推進する方策を講じてみたらどうかと勧告したことがあるのであります。今でもこの考え方は捨てておらぬのです。これを何とか合理的にやる方法はないか。私の群馬県には水のきれいな山の美しい場所が幾らでもありまして、みんな来れば歓迎するのであります。ただ、ないのは、知恵がないわけです、知恵が。あとはお金がないんでしょう。知恵と金というのは人間がつくればつくれるものですから。自然はつくれるものではないし、原体験はほうっておいて与えられるものではない。
 そういう意味におきまして、群馬県では牛は大体冬は下で農家が飼っていて、夏になると赤城の山や浅間のふもとへ持っていって放牧して強健な牛にして、また秋になると農民がとりにいって帰ってくる。そういうことを繰り返していますが、やはり都会の子供たちも、そういうように夏は山へ放牧みたいにおっぽり出して、そして冬や秋は都会で生活する、それを二カ月ぐらいやらしたらどうだろうかと、実はそういう夢を持っておるので、ひとつ臨教審でも参考にしてもらいたいと思っておるぐらいなのであります。
#246
○村沢牧君 総理の好きなような、得意とするような質問をしたら、とうとうと述べてもらいましたが、総理はそういうことはとうとうと述べるけれども、農業の基本政策やその他については官僚の書いたものを丸読みじゃないですか。もうちょっと基本政策と政治に対してはっきりした答弁してくださいよね。
 それから、文部大臣に聞くけれども、今総理は学習指導要領から林業がなくなってしまったのはけしからぬ、これは五年前にあったんですよ。ところが今なくなってしまって、現在は農業と水産業はあるけれども、林業はない。総理は復活させると言っているんですが、いつ復活しますか。
#247
○国務大臣(松永光君) この問題につきましては、先生が前から大変御熱心に指摘をしていただいているところなんでございます。
 申し上げますと、先生御指摘のとおり、かつては小学校の学習指導要領に産業の中で林業というのも教えるように書いてございました。その後、教育内容を精選して、ゆとりのある学校生活を実現しようということで現在の学習指導要領になっているわけでありますが、先生よく御承知と思いますけれども、産業の中で工業生産、それから食料にかかわる生産、したがって農業、水産業が挙げられておって、その他の産業は地域の実情等に応じて教えることと、こういうふうに今、小学校の場合になっておるわけであります。中学校や高等学校の場合には学習指導要領に産業としての林業も教えることになっております。
 問題は、小学校の場合に、今申したとおり、工業と農業、水産業があって、林業ということが産業として教える場合に名前が挙がってないという点の先生の御指摘だろうと思いますが、その点につきましては、今申したとおり、地域の実態や必要に応じて適宜指導する、こうなっておるわけでありまして、別に軽視したわけでもないのでありますけれども、内容を精選するということからそうなったのだろうと思います。しかし、中学校や高等学校ではちゃんとあることは先生御承知のとおり。
 そこで、どうするかという問題でありますが、この次に学習指導要領をどうするかという改定の時期が来るわけでありますが、そのときには検討の対象にもちろんしなければならぬと思います。ただ、ここで重ねて申し上げておきたいことは、産業としての林業というものは小学校の学習指導要領からはなくなっておりますけれども、自然と人間とのかかわり、あるいは森林の果たす人間社会における大変大きな役割、例えば水資源の涵養とか環境保全とか、そういう意味で森林が非常に大きな役割を果たしているという点については、それぞれ小学校の場合でも中学校の場合でも、高等学校の場合でも教えるということに実はなっておるわけでございます。
 そういう意味で、森林というものについては教えるということになっておるわけなんでありますが、問題は林業という、産業としての林業というものを小学校の段階から全国一律的に教える必要があるかどうかという問題だろうと思うのでありまして、これはもう少し勉強さしていただきたい、こういうふうに思います。
#248
○村沢牧君 文部大臣、総理はなくなったことはけしからぬと言っているんですよ、森林も含めて、林業ですね。しかも中曽根総理は放牧教育なんという、小学校の子供たちも山へ行って遊べばいいじゃないかと言うんですね。こういう中曽根内閣の姿勢なんですから、あなたの答弁は極めてあいまいなんです。この次に復活させるのかどうか、はっきりしてください。
#249
○国務大臣(松永光君) 総理が言われました放牧教育、これ私も趣旨においては賛成なんでありまして、心豊かな、そしてたくましい体づくりを自然の中で生活をすることによって幼少のときから培っていく、これは非常に大事なことであると思うわけです。
 そこで、先生たちもかねがねおっしゃっておったことでありますし、先ほど総理がそういうことをやったらどうだという指示があったということでございましたが、それを受けて去年度から御承知の自然教室推進事業というのを文部省が補助を出して各教育委員会でやってもらうということになりましたが、その予算も六十年度ではややふやして確保できたわけでありまして、大いにこれからも推進してまいりたい、とういうふうに考えておるわけであります。
 小学校の学習指導要領の中で、かつてあった産業としての林業を復活するという問題でございますが、ゆとりのある教育ということとのかかわりで研究をしなければいかぬかなと、今直ちにここで林業という産業を小学校の場合から教えるということをいたしますということを私は確約するのはちょっと難しい問題が実はあるわけでして、大いにひとつ勉強さしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。
#250
○村沢牧君 総理にお聞きしますが、総理は先ほど地元の群馬県の例まで出されてとうとうと長々期待、願望を述べておったんですが、文部大臣はああいう答弁なんですよ。ですから、今まであったものがなくなった、林業という産業はなくてもいい。森林として子供に教えていくことが必要じゃないですか。せめてこのくらいは中曽根内閣として、総理の権限、指導によってやるべきだと思うんですが、どうですか。
#251
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、義務教育に全部撤去されてなくなったのかと思ったら、中学校はあるようであります。問題は小学校でありますが、業としての林業というものとしていいのか、山を愛する、森林を愛する、自然を愛する、そういう意味の自然の大事さ、森林の大事さというのを強調するという、そっちの後の方の点は大賛成なのであります。しかし、業として、今挙げた工業、農業あるいは水産業と並列して林業というものを入れていいかどうか、これはもう少し検討の要があると思いますが、あなたがおっしゃったような意味において、この森林を愛し、森林の大事さというものを強調するという教育はこれはぜひ入れてもらいたいと思っております。
#252
○村沢牧君 文部大臣、総理はぜひ入れてもらいたいと言っているんですから、もう少し前向きに答弁してください。
#253
○国務大臣(松永光君) 総理がおっしゃっていることと私が言っていることとは食い違いは全くないのです。要するに森林の大事なこと、自然の大事なこと、こういったことはもう小学校の時代から、中学、高等学校はもちろん、きちっと教え込んでいく、したがって学習指導要領の中に書き込むべきである、現に書き込まれております。問題は、産業としての林業を、工業、農業、水産業、それと並列的に林業というのを、中学、高等学校はちゃんとあるんですよ、小学校の段階から書き込むべきかどうかという問題なんですね、問題は。そうすると、林業のほかにいろんなまた産業があります。したがって、小学校では教育内容を精選するということから、ゆとりのある教育をするために簡素化されたわけですね。そういう問題がありますので、産業という中での林業をどう位置づけるか、小学校の段階から書くべきかどうかというのはもう少し勉強さしていただきたい、こう申しておるわけです。
 あくまでも森林は大事だ、自然は大事だということはこれはもう小学校の段階から教え込んでいかなければならない、そこで学習指導要領の中にちゃんと書いてある、こういうことでございますので、先生のお気持ちはよくわかるのでございますが、ゆとりのある教育という問題との絡みもありますので、もう少し検討さしていただきたい、こう申しておるわけでございますので、御理解を賜りたい、こういうふうにお願いします。
#254
○村沢牧君 竹下大蔵大臣、今総理から農業に対するビジョン等もとうとうと述べられたのですが、列島改造論を書いた人は農地のつぶしをはかった。創成会のあなたは列島ふるさと論ということをよく言っているんですけれども、ふるさと論という概念においては第一次産業のことを、農業や農村、林業、森林のことも当然考えているというふうに思いますが、あなたは列島ふるさと論というその中で、農村のあり方、都市と農村との交流をどういうふうに考えますか。
#255
○国務大臣(竹下登君) 今大体総理が私のつねがね言っております列島ふるさと論の序文を全部お述べになったような感じがいたしたわけでございますが、確かに相互の交流を行うことによって、たとえ過密に住んでおる東京の子供たちも、それこそ先生の信州のあの伊那谷の自然に触れるようなことになれば、日本はやっぱりいいなあと。伊那谷も含めて日本列島全体がそれぞれのふるさと意識というふうに定着することが好ましいというふうな抽象的なことを申しております。が、ことしの予算で私もありがたいなと思いましたのは、あの農林水産省で新規事業として出された中に、例の農山村ふるさと情報提供事業、これが出てまいりまして、よかったなと、こんな感じで私も予算査定に臨みました。
 それから、都市農村交流促進事業とか、こういうものが出たことは大変私にとってもうれしかったし、林業の問題については、やっぱり例のふれあいの森、あの構想なんかが一番ロマンがあるんじゃないかな、こういう感じで接触さしていただいております。
   〔理事梶木又三君退席、委員長着席〕
#256
○村沢牧君 国土庁長官、四全総の新しい計画準備をしているようですけれども、この中で、農地、農業あるいは林業の位置づけをどういうふうにこれから持っていこうとされていますか。
#257
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 四全総及び国土利用計画の策定にあたりましては、まず食糧の安定供給、二番目に健全な地域社会の維持発展、三つ目に国土資源の管理という見地から活力ある農業と農村の実現を目指して十分検討してまいりたいと考えております。
#258
○村沢牧君 極めて抽象的な答弁ですけれども、その中で、私は、農村への視野を軽く見て、都市に立脚した展望のみを重要視すべきではない、三全総の定住圏構想の考え方をより発展をさして農村地域の具体的なイメージを高めていくべきだというふうに思いますが、どう考えますか。
#259
○政府委員(小谷善四郎君) 現在作業中でございますけれども、先生がおっしゃったような点も含めて十分に検討してまいりたいと、このように考えております。
#260
○村沢牧君 それぞれ農村や農地、林業についてのいろいろビジョンを承ったわけでありますけれども、しかしそんなビジョンを持っておったって、農業や農民団体の手の届かないところで政府の施策によって農業を苦しめる政策が行われている。それであっては総理の言ったことが全く空念仏にさえ聞こえてくるんです。その最たるものが農産物の輸入の増加であります。
 農林水産大臣に聞くけれども、輸入拡大の状況と国内農業に与えている影響についてどういうふうに考えているんですか。
#261
○政府委員(後藤康夫君) 事実関係につきまして私からお答えを申し上げさしていただきたいと思います。
 我が国の農林水産物の輸入でございますが、年々傾向的に拡大をしてきておりまして、一九七〇年から昨年の八四年までの十四年間ということでとってみますと、輸入額が農林水産物全体で四・五倍というような状況になっております。昨年の実績で見ますと、大体輸入総額で約二百八十億ドル近いものがございます。世界有数の農林水産物の輸入国になっておるという状況でございます。我が国の総輸入の中で約二割程度を占める状態になっております。
#262
○国務大臣(佐藤守良君) 村沢先生にお答えいたします。
 輸入の増大が国内農業へ与える影響はどうかという御質問だと思いますが、そんなことで、これは今経済局長が答弁したとおりでございますが、年々拡大傾向がございます。これは主として、御存じのことでございますが、国民の食生活が……
#263
○村沢牧君 国内の農業に与える影響です。
#264
○国務大臣(佐藤守良君) そういうことですが、食生活が変化してきた中で、特に需要の増大している畜産物について生産が拡大し、飼料穀物の輸入が増加したことによるものであります。またそういう形の中で、他方、麦とか大豆等の土地利用型作目については、国土資源の制約や経営規模の零細性等による生産性向上の立ちおくれ等から国内生産が減少してきたものがございます。そんなことで、これからは総合的にはやはり自給力維持という立場で、まず国土を有効利用しまして、生産性の向上を図りつつ、国内で生産可能なものは極力国内生産で随うことを基本とし、そして不足しておるものは、輸入に依存せざるを得ないものについては安定的な輸入の確保に努めてまいりたい、このように考えております。
#265
○村沢牧君 農林水産大臣、そういう現状の中からこれ以上農産物を日本が輸入する余地はない、輸入するものもないというふうに考えるのですか、まだ輸入を今以上にふやしていってもいいというふうにお考えになりますか。
#266
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたします。
 先ほどちょっと言ってあることでございますが、農産物の輸入につきましては、基本的に国内で生産可能なものは生産性の向上を図りながら極力国内で生産する、一方、国内の需要が大きく、我が国の自然条件の制約等から供給面で不十分なものについては今後とも輸入に依存せざるを得ない、こう考えております。そんなことで、特に農産物の輸入に当たっては、その需給動向を踏まえ、国内農業の健全な発展と調和が図られるよう対処してまいりたいと考えております。
#267
○村沢牧君 それではまだどんどん輸入してもいいということなんですか。農産物をどんどん輸入してもまだいいということなんですか、現在の。
#268
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えします。
 先ほど言ったようなことでございますが、基本的に国内で随えるものは国内で生産をする。ところが、そういう形の中に、日本はやっぱりいろいろな土地等の制約条件がございます。そういうものにつきまして輸入せざるを得ないもの、例えば飼料穀物等につきましては安定的な輸入に努めるという方針でございます。
#269
○村沢牧君 私は輸入を全部やめてしまえなんて、そんなことを言っているんじゃないですよ。農林大臣、どんどん輸入がふえていって、またふやされているでしょう。そういうことがいいのかどうかということなんですよ。今だって随分輸入している。世界一の輸入国なんだ。これ以上ふえていっていいのかどうか、その政治的な見解を聞いているのです。
#270
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えします。
 先ほどちょっと言ったようなことでございますが、基本的には国内で生産できるものは生産性を高めながら生産をするというのが基本原則でございます。ただ、そういう形の中にはどうしても不足するものもございます。そういうものにつきましては輸入せざるを得ないということでございまして、基本的には国内生産で賄うということでございます。
#271
○村沢牧君 そんなことはだれでも知っていることなんですよ。その問題についてはまた場所を改めてうんと論議いたしましょう。
 そこで、外務大臣が見えましたからお聞きいたしますが、農産物の市場開放に対するアメリカの要求には大変強いものがある。しかし、今アメリカの農業というのは大変な危機に陥っているんですけれども、外務省としてはアメリカの農業というのをどういうふうに見ているんですか。同時に、このことが日本に対してさらに輸入を拡大せよという要求につながってくるのではないかというふうに思いますが、どうなんですか。
#272
○国務大臣(安倍晋太郎君) アメリカは農産物の生産国としては、その生産性あるいはその生産力から見ても世界で最も有数な国であることは論をまたないわけなんですが、そういう中にあって最近はレーガン政権のもとで農業に対する保護政策というものを打ち切るという方針が出ておるわけであります。
 世界じゅうで、農業に対する保護政策はどこの国でもほとんど進めておるわけでございますが、アメリカにおいてはこの保護政策、補助金等を切るというふうな異常な決断が下されたわけです。議会でどういうふうになるかわかりませんが、しかし、そういうことになれば、アメリカの人たちも言っておりますが、アメリカの農業生産者の中で三割ぐらいが倒産するのではないか、そういうことも言われております。しかし、同時に残った七割の農家というのは世界一の生産性を持った農家ということになって、世界で最強の農家がアメリカに残るということになる。非常に安い農産物が世界市場に対して提供される、こういうことにもつながっていく、こういうふうになるのではないかという見方をしておるアメリカの人もありますし、私もそういうふうに思っております。そうなればやはりアメリカの農産物のヨーロッパとかあるいは我が国等に対する輸出圧力というふうなものもさらに強まってくるのじゃないだろうかと、こういうふうに考えております。
#273
○村沢牧君 外務大臣は、そういう中で農産物の自由化、あるいはそこまでいかないとしても輸入枠拡大、これについてはどういう見解をお持ちなんですか。
#274
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は、アメリカと交渉する場合においても、あるいはECと交渉する場合においても言っておるわけですが、農産物というのはいずれの国においてもそれなりのやはり保護政策をとっておるわけです。ECは御承知のとおり輸出払戻金という補助金を大量に上乗せをしておるような状況でもありますし、またアメリカはアメリカなりに、あれだけの自由主義国でありますが、農業に対する保護は進めておるわけであります。
 日本もそういうことでございますが、しかし、そういう中にあって、やはりその国の農産物の需給動向というものも考えながら、同時にまたその他の諸外国との間の調和というものを踏まえながら農産物貿易というものは行われているわけでありまして、一番、私たちもそういう意味ではアメリカと交渉する場合においてもこの農産物交渉というのは大変頭の痛い問題でございますが、しかしそういう中で両国の間の調和点をとりながら、自由貿易ということではなくて、いわゆるやはり枠でもって、クォータ制でもってこれまで難航の中で両国の合意を成立さしてきておるわけでございますし、今後とも私はそういうことが続いていくのじゃないか。
 しかし、最も基本的な米といったような問題については、これはもうあくまでも輸入とか、そういう自由化というものは日本の国策としてこれは認めることはできないということについてはこれはアメリカも承知しておりますが、牛肉だとかオレンジとか、そういうものについての、農産物輸出についてアメリカの要求が非常に強い、日本は日本の限界がある、こういうことで、お互いに苦しい交渉をしながら、お互いの調和をとった形で合意をしておるというのが現状でございます。
#275
○村沢牧君 河本大臣にお聞きしますが、いずれにしても農産物の市場開放に対する要求がだんだん強くなってきておるわけでありますが、仮にアメリカその他の国の農産物輸入をふやせという要求を受け入れたとしても、貿易摩擦解消に寄与する額は極めてわずかだと思うけれども、河本大臣はどういうふうに考えますか。
#276
○国務大臣(河本敏夫君) 今、アメリカとの間で四分野におきまして次官クラスをヘッドとする話し合いを続けておりますが、その中に林産物を中心とする話し合いが進んでおります。農産物の問題は昨年解決をいたしましたので今度は議題になっておりません。発展途上国との間には若干の問題が残っておりますけれども、アメリカとの間は現在は林産物、特に合板問題でございます。
 先ほど質疑応答の中で、総理から、農業、林業に関する基本問題は構造改善、生産性の向上だと、こういうお話がございました。また、大蔵大臣にいろいろな指示もしたというお話もございましたが、私もまさにこの一語に尽きると思うのです。いろいろなことをやろうと思いますと、やはり我が国における構造改善事業、生産性の向上をどう高めながら問題を処理していくか、こういう方向からいろいろ検討すべきだと、こう思っております。
#277
○村沢牧君 そういう中で、この貿易摩擦解消に日本政府が努力をしていくことは当然のことであるけれども、後ほど指摘しますけれども、そのために農産物を象徴化すべきでないと私は強く主張しているのですが、河本大臣はどう思いますか。
#278
○国務大臣(河本敏夫君) 農産物、林産物につきましては、これは我が国の基礎的条件が大変不利でありますし、それから各国とも特別のいろいろな対策をとっております。でありますから、工業製品とはおのずから別の角度から考えなければならぬということだと思いますけれども、しかし、やはりこれだけ世界経済が交流をいたしますと、一切やらない、そういうわけにはまいりません。やはり各国との話し合いを通じまして、できることはやっていかなければならぬ、こう思うんです。できる条件をつくり出すために何か必要かといいますと、先ほど申し上げたとおりでございます。
#279
○村沢牧君 そこで、河本大臣から今話がありましたように、農業、農産物に対しては各国とも国境調整措置を実施しておるわけでありますが、その内容について少し説明してください。
#280
○政府委員(後藤康夫君) 農産物につきましては、各国とも国民生活におきます食糧供給の重要性でありますとか、あるいは経済社会におきます農業の非常に多面的な役割といったようなことから国境調整措置等の保護措置を講じておりますことは、先ほど来出ているところでございます。
 ECでは、外務大臣の御答弁にもございましたように、穀物とか酪農品、食肉などにつきまして大体六十品目相当でございますが、域内の支持価格と関連づけまして境界価格というものを設定いたしまして、これと輸入価格との差額を可変輸入課徴金ということで徴収をいたすという方法を主としてとりまして、域内の農業生産を海外からの競争から保護をしているということでございます。なお、ECの加盟国はまだそれぞれ残存輸入制限というものを持っております。フランスを例にとりますと、バレイショでございますとかトマト等十九品目が残存輸入制限ということになっております。
 アメリカでも、世界最大の農産物輸出国でございますけれども、精製糖が残存輸入制限、それから、これは五〇年代の初めでございますが、アメリカの国内農業法とガットの規定とがどうしても適合しなくなりまして、非常に大幅なガットの義務免除をとっておりまして、酪農品等十三品目につきましてこのウェーバー、義務免除のもとに輸入制限をいたしておる。あるいはまた牛肉等の食肉につきましては食肉輸入法ということで輸入の制限ができる法制を持っておりまして、実際はそれをてこにいたしまして輸出国にいわば輸出自主規制を行わせているというような状況でございます。
#281
○委員長(長田裕二君) 答弁はなるべく簡明に願います。
#282
○村沢牧君 総理と外務大臣に聞きますけれども、今答弁があったように、自分の国の農業を保護していく、あるいは食糧安全保障のために先進国はそれぞれ農産物の輸入制限だとか国境の調整をしているんです。我が国も当面する課題に対処していくためには一定の国境調整措置を今もやっているわけですが、この程度のものは引き続き講じていくことが必要である、私はそのように思いますが、どうですか。
#283
○国務大臣(安倍晋太郎君) 農産物貿易というのは私は世界の今のあらゆる種類の貿易の中で一番難しいのじゃないか、これはもうガットにおきましても農業問題というのは一番調整困難な課題になっておるわけであります。それはやはり農業というのはその国の一番重要な食糧政策の根幹でありますし、その国なりの長い歴史と伝統を持っておる。そういう中で、農業に対してはこれまでいろいろな面の各国それなりの保護政策というものがとられてきておるわけですから、これはやはり一つの世界的なルールをつくっていくということは非常に困難であります。そういう努力はされておりますが、非常に困難でありますが、しかし、そういう中にあって、現在世界が非常に開かれてきている、そして相互依存性というものが大変高くなってきておるわけでございますから、やはりその国の農業の根幹というものを揺るがせない、そういう基本の中で、各国との相互依存性あるいはまた調和というものを考えながらこの農業貿易というものには対応していかなければならない、こういうふうに思っております。
 したがって、日本の場合も、やはり農産物貿易においては、できるものとできないものがあるわけでありますが、しかし、そうした各国との調和あるいは相互依存というものも考えながら、やはりできる部分においては日本の今日の国際的に立場から見まして努力をしていくということも私は大事なことではないか、こういうふうに思っております。農業のそうした国内政策につきましては私が口を出す筋合いのものではございませんし、農林大臣が十分考えての、あるいはまた総理の御判断において施策が行われることは当然でございます。
#284
○国務大臣(中曽根康弘君) 外務大臣と同じであります。やはり各国とも食糧の自給あるいは総合的安全保障というものを極めて重視した上に立って国際協調、相互有無の両全、そういうような形に立って調整をしておるのであります。外務大臣が考えて申し上げたのと全く同じ考えに立っております。
#285
○村沢牧君 総理のそのような答弁ですが、総理はアメリカへ行き、あるいは東南アジアへ行き、その都度、市場開放のお上産をいただいてきておる。どこの国でもできることとできないこととあるんです。日本の総理は、アメリカに対して、あるいはその他の国に対しても、言うべきことはきちんと言う、それから我が国の実態をよくわかってもらう、そのことが長い目で見た真の友好的な日米関係あるいは国際関係、これを形成していく上でも極めて大事だと思いますが、どうなんですか。
#286
○国務大臣(中曽根康弘君) まさに基本はそういうことであると思います。その上に立って国際協調を旨として相互調整を考えていく、国際摩擦を防いでいく、こういう考えが必要であると思います。
#287
○村沢牧君 そういう姿勢でやっていただけますか。
#288
○国務大臣(中曽根康弘君) 過去にやってきましたし、将来もやっていくつもりでおります。
#289
○村沢牧君 そこで、今アメリカとの約束の四分野のいろいろな交渉が進められておるわけですけれども、国内の状況は必ずしも楽観を許さないものがある。そこで、交渉が行き詰まってまいりますと、アメリカでは一月の中曽根・レーガン会談の合意に反する、こういうことも言っておるようですが、総理は一体何を約束してきたんですか。
#290
○国務大臣(中曽根康弘君) 四分野におきましてもう少し高級レベルの話し合いをやって、お互いによく話し合って解決に努力しよう、そういう解決への努力と、それからやり方に関するもう少し高級レベルの話し合いという方式をつくろう、そういうことを話したので、どれを何ぼどうするかというような話は一切約束しておりません。
#291
○村沢牧君 話し合いを進めていこうという、そういう段取りについて話をしただけであって、将来こういうふうにいたしますということは約束してないんですか。
#292
○国務大臣(中曽根康弘君) 中身については約束しておりません。しかし、一般的に市場開放に協力する、我が方も世界的レベルを考えつつ市場開放の努力をする、そういうことは言ってまいりました。
#293
○村沢牧君 その中で、きょうはやはり農林関係について関連して質問しますが、木材の関税引き下げについては、先日も事務レベル会議が物別れに終わったわけです。農水省は木材の関税の撤廃はもちろん、引き下げは絶対困る、こういう主張をしておるんですが、その根拠を示してください。
#294
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたします。
 今の点につきましては、先生御存じのことでございますが、大変我が国の林産業界は非常な極めて深刻な不況でございます。それは第一番に木造住宅の建設の停滞とか、あるいは製品価格が例えば五十五年に比べて三割下がっておるとか、あるいはまた、そのほかに五十五年から造植林において経費が三割上がっておるとか、そういう形の中で、実は年間倒産が、先生御存じのことですが、大体昨年も一千件以上出まして、負債総額が二千百億、こんな形でございます。とともにまた森林は公益的機能を持っております。例えば水の問題とかあるいは国土の保全、先ほど先生おっしゃったことでは、教育等につきまして大変公益的機能を持っておるが、これにも大変悪影響を及ぼしておる、そんなことがございまして、現在、木材製品の関税引き下げについては極めて困難であると考えておるわけでございます。
#295
○村沢牧君 総理は木材の関税引き下げについては、現在まで当院の本会議あるいは衆議院の予算委員会等で答弁してきたんですけれども、その気持ち、あるいは答弁内容に現在も変わりはありませんか。
#296
○国務大臣(中曽根康弘君) 将来、いろいろな調整政策やら合理化政策、あるいは構造的強化というものが進むならいざ知らず、今の状態ではそんなことはできませんと、そういうふうに考えており、言っております。
#297
○村沢牧君 国会答弁では、木材製品に対しては慎重かつ適切に対処していく、さらにまたアメリカに対しては木材は困難ですよということを総理は言っていらっしゃる。しかし、その後、三月八日の閣議では、改めて閣僚に対してこの市場開放に努力するように指示をした。そして、それによって不利益を受ける業界その他については政府は金を出して何とかしましょうと、こういうことも言われたようでありますけれども、こういう金によって解決するというような気持ちはありませんね。
#298
○国務大臣(中曽根康弘君) 構造政策を進めて、そして対応力をつくり、強靱な体力を進めつつ徐々に国際開放というものにも応じていく、ある程度の中長期の政策は必要だと私は思っているんです。ただできないできないと言ったのでは、これは外国から日本が疑い深く見られるばかりであります。それでは政治的に無能無策であるとも言われかねまじき情勢にも今あるのであります。そういう意味から、ある程度の中長期的な視野も考えつつ、その構造的な強化を図りつつ物を考えていくという対応も必要である。今すぐしろと言ったって、そんなことはできません。そういうことはよく言ってきておるのであります。
#299
○村沢牧君 木材の問題については、単なる木材業界だけでなくて、総理御承知のとおり、林業全体にまつわる問題だけに根が深いし、関税を下げちゃいけないという要求も強いわけなんです。したがって、総理が今考えているように、例えば近く解決しなければならない、そうして、その解決をするために政府が金を出して、業界に金を出すから関税引き下げの要求に日本が応じていくという、そのことのような考え方は当面木材に対して持っていませんね。
#300
○国務大臣(中曽根康弘君) やはりこれは構造強化の政策をやって、それに応じつつ物事は弾力的に考え、国際的にも摩擦を解消し、日本に対する非難を減少させるというのが政治のあり方であると思っています。何にもしないで、できないできないということでは国際的には通用しないと思うんです。しかし、今やれと言ったってそれはできない。そういう意味で、中長期的な視野も踏まえつつ構造強化策を考えていくのが政治である。それから、山の政策にいたしましても、今のように間伐もできない、そういうような状態で林政というもの、あるいは日本の開放政策というものを進めろと言ったって、それはまた無理な面も一面出てきておる。やっぱりある程度全般的に考えつつ、これは進めていく必要もあると考えておるんです。
#301
○村沢牧君 総理、ぜひ今まで国会答弁をしてきたその答弁、そして気持ち、当面をする問題について変わることのないように私は要求をしておきますし、そのように受けとめておきます。
 そこで、個別の問題について一点だけお伺いいたしますが、日本の養蚕は伝統的な産業である、しかし今養蚕は大変危機に陥っているんですけれども、農林水産省、この養蚕の現状についてひとつ説明してください。
#302
○政府委員(関谷俊作君) 養蚕業の現状でございますが、御承知のように、戦前に比べますと養蚕のウエートは農業全体の中では低下しておりますけれども、農山村等畑作地帯では大変重要な作目でもございますし、また、製糸業も伝統的な地場産業ということで、地域経済に重要な地位を占めております。
 ただ、需給動向は、御承知のように大変絹需要は和装を初めとして減退してまいりまして、昭和五十三年度四十六万俵ぐらい生糸換算でございました需要が五十八年度には二十九万俵、こういう四割近い減少を示しております。その中で、養蚕につきましては五十六年以降毎年生産目標を決めまして計画生産を推進しておりまして、特に五十九年は二五%という減産も指導してきたところでございますので、繭生産、これによりまして五十三年七万八千トンから五十九年五万トンに減少しております。また、製糸業につきましても、設備封印カルテルを五十八年から実施しまして、大体設備で、繰糸機で廃棄率約三分の一、こういうような設備制限をしまして、生糸生産、五十三年二十七万俵ございましたが約二十万俵に減少しております。
 こういうことで、大変生糸需給の不均衡がございまして、蚕糸砂糖類価格安定事業団の在庫も六十年二月末で十七万四千俵、こういうような非常に需給不均衡の状態になっております。こういうことで、今国会に価格安定制度の改善と在庫処理の促進ということを図る改正案を御審議いただいているわけでございますが、この間、基準糸価につきましては五十六年度に七百円引き下げ、さらに昨年十一月、期中改定ということで一キロ一万四千円の基準糸価を一万二千円に引き下げた、こういうような経過をたどっております。
#303
○村沢牧君 総理、私が特にここの場で養蚕問題を引き出したということは、総理は全国一の養蚕県である群馬県の出身である。先日、新聞を見ておると、佐藤農林大臣に対して、もっと消費拡大を一生懸命やれ、養蚕を何とかしろという指示をしたということで、関心が深いようでありますから特に養蚕問題を取り上げたんです。
 そこで、お聞きのように、なるほど生糸の需要量は減った。しかし、日本ではそれだけ生産ができないんですよ。つまり日本の生糸生産量は需要量に対して六五%ぐらいしかない。三五%不足なんです。にもかかわらず事業団の在庫はどんどんふえていっている。そのために政府は金を出して事業団の在庫処理をしていく。一面、養蚕家に対しては生産調整をしていく。その結果どうです。あなたの群馬県でも、十年前と比べて養蚕の面積は三割減っちゃったじゃないですか。養蚕農家は五割減っちゃった。一体この原因は何だ。つまり足らないものだけ輸入したらいいけれども、それ以上に輸入するからこういうことになっちゃったんですよ。この問題を解決せずして国内の消費を高めろ、養蚕を何とかしろと総理が指示したって、できることじゃない。
 したがって、私は全部ストップしろとは言わない。適正な在庫になるまでは、そこまでは何とか輸入を抑制していくということをこの際、総理が養蚕に対して御熱心なんだから、前向きな姿勢をとるべきじゃないですか。
#304
○国務大臣(中曽根康弘君) もとより輸入調節は必要でありまして、それで幸いにも政府間協議というものを持ちまして、特に韓国及び中国とも割合に大局的見地に立った話し合いを今までしてきておるわけであります。さりながら、やはり消費が非常に減退してきておるということも事実であります。そこで、両々相まって、むしろ長期的視野からすれば、価格的政策よりも消費を拡充するという方が根本的な大事な政策である。
 実際、絹というものは使ってみれば、こんないいものはないし、こんな上品なものはない。私は絹の下着を使っておりますけれども、これは非常にやわらかくて吸湿性もあるし、ちょっと値が高いのが難点です。しかし、これもいろいろ大量生産でうまくやるようにすれば値も安くなります。これは婦人の下着なんかにも最適でありましょう。その上、洋服も、改良すればよろしい。去年、山村農林大臣のときにつくってもらって私着ましたけれども、遺憾ながら足のところへしわが寄り過ぎた。この辺にまたしわが寄り過ぎた。ことしはさらに改良されて、たしか佐藤農林大臣が着ておる洋服は絹の新しい、新型であると思うんです。きょうは違うんですか。
#305
○国務大臣(佐藤守良君) これは三割です。あれは三週間着て――これは三割混紡です。
#306
○国務大臣(中曽根康弘君) これは三割混紡だそうです。
 それで、ともかく安くていいのをつくってくれ、しわの寄るところはいろいろ化繊を入れてもいいじゃないか、そういう形で、下着及び洋服その他について、スカーフもそうでしょう、大々的に宣伝しようじゃないか、そういうことで実はさっき角道事務次官も呼んで、この間、大臣にもお願いしたから君もしっかりやれ、農業団体と提携してやろうと、政府の方も内閣の広報室が金出して、そしてテレビやその他でもコマーシャルでひとつやるようにするからと、今もそう言ってきてお互いに提携してやろうということを話したところです。先生もぜひ絹の洋服を着てくださるようにお願いいたします。
#307
○村沢牧君 総理、そんなことを聞いているんじゃない。絹の洋服は五万八千円でできるんですよ。閣僚の皆さん聞いてください。五万八千円ですばらしい服ができるんです、佐藤大臣着ているような。しかも余りしわ寄りませんよ、私もやっていますけれども。
 そこで、総理に聞いているのは、やはり消費の拡大もしなければいけない。しかしもう少し輸入を、全部とめろとは言わないんだ、もう少し少なくしなければだめなんですよ。そのことがあなたが総理大臣としてできないのかということなんです。もっとそんな話でなくてしっかりした責任ある答弁してくださいよ。
#308
○国務大臣(中曽根康弘君) 自由化されておりますから、これはある程度やはり外国との調節ということも考えなければならぬ、それで特に韓国及び中国も日本の農民のことも考えてくれて、大局的な話し合いをしておると。私も全斗煥大統領にお会いしましたときも、またずっと前に周恩来首相と会って話したときも、日本の生糸の話をして、これについては日本の農民を守らなければならぬので、ひとつお互いによく協調し合って政府間同士で話し合いするようにやろうじゃないか、そういうことで先方も了承していただいて、そういういきさつもありまして、お互いが大局的に話し合ってやってくだすっておるのであります。そういう意味において今後も話し合いを継続していきたいと思います。しかし我々内部もやっぱり消費に対するもっと積極的努力をしなければいかぬと、そう思っておるのであります。
#309
○村沢牧君 重ねてお伺いしますが、つまり生糸の輸入もなかなか減らない、したがって事業団の在庫は十八万俵もあるんです。ことしの予算で五十億の金を政府が出して在庫処理をしようとする。何年続くのですか。何百億円になるかわからぬ。こんな農政があるんですか。少しでも抑えていく、国内も努力していく、それが政治じゃないですか。もう少し前向きな答弁してください。それが政治です。
#310
○国務大臣(中曽根康弘君) ですから両々相まって調節をしていこうと。しかし我々が今まで割合に閑却していたのは、国民やあるいは皆様方に対して絹のよさというものを宣伝することが少し足りなかったと思うのであります。長い目で見た場合には、やはりいい絹のよさを知っていただいて、もっとどんどん使っていただく、手軽に使っていただく、そういうチャンスをもっとうんとつくりたいと、そう思っておるのであります。
#311
○村沢牧君 絹の問題は一つの事例として出したんですけれども、やっぱり政策について私は総理並びに閣僚にもっと真剣に農業問題に取り組んでもらいたい、そのことを強く要請して次の問題に入ります。
 日米諮問委員会について伺いますが、まずこの委員会をつくった経過、目的、性格、報告書の内容について説明してください。
#312
○国務大臣(中曽根康弘君) これは五十八年の正月に訪米しましたときにレーガン大統領との間で話をしまして、日米間のさまざまな問題について政府でない民間人の見識のある人々でよく話し合っていただいて、そして政府に適切な助言をしていただいて、日米関係のさまざまな問題について良好な関係が展開するように協力していただこう、そうしてできたものでこざいます。
#313
○村沢牧君 総理は昨年九月の閣議でこの報告書の趣旨の実現等を閣僚に指示した。そしてことしの一月の日米首脳会談においてレーガン大統領はこのレポートが両国間の将来の方向を描く上ですばらしい出発である、こういう認識で一致したというふうに報道されておりますが、総理のこの報告書の評価と今後の活用についてどう考えていますか。
#314
○国務大臣(中曽根康弘君) 両方の委員が精力的に努力していただいて、そして立派なものができたと思っています。しかし、その中身にはいろいろまた個々的には検討を要するものがありまして、政府としてこれを実行する場合にはよく慎重に検討した上でやるべきものもあると、そう考えております。
#315
○村沢牧君 この報告中、農業問題について農林水産大臣の見解を求めます。
#316
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたします。
 この日米諮問委員会の報告書の特に農業と林産物貿易に関する提言につきましては、実は非常に見解を異にする点が多いと思っております。特に農林業につきましては、国際的比較優位と特化に基づいて農林産物の貿易を拡大すべしとの指摘については、農林業は自然に大きく影響を受ける産業で、単に経済ベースで割り切れない多くの側面があります。したがって、工業とは異なった扱いをする必要があると考えております。また、小規模農地で効率的に生産し得る農産物への生産構造の転換を目指すべしとの指摘については、稲作とか肉牛生産等の土地利用型農業は食糧の安全保障、国土の保全等の観点からその維持発展が極めて重要であると考えております。さらに、現在の食糧安全保障政策については、単に自給自足のみに焦点を当てた政策であるとの指摘がありますが、私としては我が国の自然、社会、経済的要因を総合的に勘案しまして、また食糧自給力強化に関する国会決議の趣旨を踏まえて対処していく考えでございます。
#317
○村沢牧君 農林水産大臣は農業問題についてこの報告書はいただけないと言っている。しかし、ここに経団連の経済広報センターの「日米新時代への挑戦」、これはいいレポートだから実践しようということで盛んに宣伝をされている。中曽根総理の喜びそうなことなんですけれども、しかし、これはある面では日米の今後の関係を方向づける重大なレポートだというふうに思うんですけれども、農業問題その他いろいろありますけれども、総理、こんな重要な問題を検討するについて、なぜ農業なら農業の専門委員をこの諮問委員の中に入れなかったのですか。外務大臣は何かこの人選について聞いていますか、日米諮問委員会の人選について。
#318
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは両国で総理大臣、大統領の意を受けてそれぞれホワイトハウスと総理官邸で人選が行われたものであります。
#319
○村沢牧君 この諮問委員の人選、日本側からも出ていますね。この人選については外務省は関知をしておらないということですか。
#320
○国務大臣(安倍晋太郎君) もちろん外務省としては外務省の意見を人選に当たりまして具申をしたことは事実であります。
#321
○村沢牧君 農林水産大臣、農業問題についてあなたがいただけないようなこの諮問が出ているんですが、農林水産大臣は、こういう農業問題について審議をするので、この諮問委員の日本側委員ですね。これについて御相談をいただいているんですか。
#322
○政府委員(後藤康夫君) 実は昨年の秋、別の委員会で同様のお尋ねを受けまして、何分にもたしかこれは二年前の首脳会談で決まったことでございますので、私どもも即答をできずに困ったわけでございますが、その後当時の担当者等に尋ねましたところ、特別に人選について御相談にあずかったという経過はないように聞いております。
#323
○村沢牧君 総理、結局、農林省だとか通産省に相談することなく、こうした委員の選定については総理のお好みの人だけこれを選んで、しかも重要な提言を決めてもらう、これが中曽根さんの、あなたの一番悪い政治姿勢なんだ。どう思いますか、この人選、あなたがやったんでしょう。
#324
○国務大臣(中曽根康弘君) 人選につきましては私も関与しましたが、農業の問題については亡くなられた牛場君がかなり農業の問題を大使時代からも手がけておりまして、しかも彼は日本の農業の自主性と申しますか、食糧の安全確保というような面については見識を持っておった人なのであります。この問題については私とよく相談してやってくれと、そういうことで牛場君とも相談をして彼を任命した。アメリカ側の委員には農業関係の人がおりましたが、日本側の委員には直接はおりませんが、いろいろ農業関係の意見もよく聞いてやってくれと、そういうことで、主として牛場君を中心にやってもらったわけであります。
#325
○村沢牧君 亡くなった人に責任を押しつけるようなことを答弁してはだめなんですよ。あなたはお好みの人だけ選んでこういうことをやっているんですよ。これは単なる日米諮問委員会の委員だけじゃなくて、すべてのものがそうじゃないですか。この姿勢があなたいけないんですよ。
 そこでお伺いしますけれども、諮問委員会の提言は、日本の食糧安全保障政策を見直せと言っているんです。見直すべきだと言っている。総理はどういうふうに考えますか。
#326
○国務大臣(中曽根康弘君) 食糧安全保障政策というものは、総合安全保障の枠内にあるものに関する限りはやはり必要であると、そう思っております。
#327
○村沢牧君 今まで政府が進めてきた食糧安全保障政策というのは、見直しをするのですか、見直しをしませんか。
#328
○国務大臣(中曽根康弘君) 総合安全保障政策を政府は進めておりますが、その枠内においては食糧の安全保障政策というのは必要である、そう考えております。
 例えば備蓄の問題がありますけれども、これも農水大臣が昨年以来いろいろ心配もし御答弁申し上げているように、適正在庫、ゆとりのある備蓄という線で、いろいろ減反問題にも対処しているということでもありますし、また、こういう食物はどうしても日本でつくっておく必要がある、例えば米のような主食については完全に日本で自給する、そうして外米の輸入は行わない、食管制度を維持していく、そういうような点は我々は今後も厳然と守っていきたいと思っておるところです。
#329
○村沢牧君 政府は、食糧やエネルギー問題を主要なテーマとして検討し国の安全保障を確立するために、五年前内閣に総合安全保障関係閣僚会議というものを設置したんですけれども、食糧問題について今日までどんな会議をして、いかなる方針を決定しているのですか。官房長官のひとつ答弁を願います。
#330
○国務大臣(藤波孝生君) 御指摘の総合安全保障関係閣僚会議は昭和五十五年十二月に設置されまして、現在まで十三回、中曽根内閣になりましてからは六回開催をしておるところでございます。
 この会議は、いろいろな問題について連絡協議を適宜行っておる会議でございますので、特にこの会議で特定の方針を打ち出すということには至っておりませんが、御指摘のように食糧問題が非常に総合安全保障上重要な課題でございますので、この中で少し申し上げますと、第二回目に、輸入食糧の供給先多角化とそのための農業技術協力の必要性について。第五回目に、米ソの食糧需給状況と我が国の対米農産物輸入問題。第七回目に、我が国の食糧自給の現状と問題点。第九回に、食糧備蓄の現状、ハイテクノロジーの進歩と食糧需給との関係について。第十一回、韓国米の輸入と米の需給状況について。第十二回、世界の食糧需給状況について。適宜、農林水産大臣が中心になって御報告をいただきまして、意見の交換を行っているところでございます。
#331
○村沢牧君 日本の食糧自給率はどうなっているのか。また、先進諸国と比べてどうか。そして先進諸国はどのようにして食糧の自給率を高めたのか。また、そのことをどのように評価しているのですか。
#332
○政府委員(田中宏尚君) 我が国の食糧農産物の総合自給率でございますけれども、これは五十年代に入りましてからおおむね七〇%強ということで推移しておりまして、大体横ばいという傾向でございます。その中で特に穀物の自給率につきましては、主食用の穀物については七割を維持しているわけでございますけれども、残念ながら飼料用穀物の輸入というものの需要が増大しておりますので、主食用と飼料用を加えました穀物全体の自給率、これは五十年代になりましてからはほぼ三〇%強ということで、五十八年度には三二%という水準になっております。
 それから一方外国の自給率の推移でございますけれども、EC諸国の穀物の自給率、これにつきましては、一九七四年から一九八四年の十年間、まあ代表的な例をとってみますと、イギリスでは六九%から一〇九%へ、それから西ドイツでは八二%から九二%にというふうに、それぞれ自給率は向上しております。それで、こういう自給率が向上しております背景は、それぞれの国の食糧の事情でございますとか、あるいは生産規模、特に農地面積のあり方、こういうものが非常に異なっておりまして一概には申し上げられませんけれども、一般的には、ECの共通農業政策というものの下での価格支持政策に加えまして、単位面積あたりでの収量というものがここ数年間かなり上がってきたということが、それぞれの国の自給率の向上の背景かと思っております。
 それで、こういう自給率がEC諸国で相当上がってきておりますことそれ自体としては評価できるわけでございますけれども、最近のECの事情を見てみますと、そういうものを背景といたしまして若干過剰に悩み始めまして、そういう共通農業政策下でのいろいろな対策につきましての反省期といいますか、問題の検討期にも入っているというふうに聞いているわけでございます。
#333
○村沢牧君 農産物の国際需給の見通しと我が国の対応について。
#334
○政府委員(田中宏尚君) 農産物の国際需給は年によりまして非常に変動がございますけれども、ここ数年間はおおむね緩和基調で推移してきておりまして、特に一九八四年に入りましては米国で生産調整を若干緩和したのに加えまして、好天候が重なったということで、前年に比べて相当上回る生産が見込まれております。一方、ソ連では若干不作でございましたけれども、EC等の豊作ということも見込まれておりまして、現時点での世界の食糧需給構造というものは全体としては緩和基調に転じておりまして、我が国への食糧供給につきましては当面は懸念はないというふうに考えております。
 それから、今後の長期的な見通しでございますけれども、これも見通しは難しゅうございますけれども、全体的に申し上げまして、人口の増加あるいは一方で耕地の制約等、こういうような要因が強まってくることが考えられますので、基調的には逼迫ぎみ、あるいは不安定度を強めるということで推移するんじゃないかと思っている次第でございます。
#335
○村沢牧君 国民は食糧についてどんな意識を持っているのか、政府の行った世論調査に基づいて説明してください。
#336
○政府委員(金子仁洋君) 「日本の食料自給率についてどのように感じたか」という調査を昨年九月にいたしておりますが、数字は、「低すぎるので心配だ」というのが六五・三%でございます。
#337
○村沢牧君 この世論調査はもっといろいろ書いてあるでしょう。そんな程度のものですか。私が求めたのは、この世論調査では価格の問題についてもいろいろ言っているわけですね。
#338
○政府委員(金子仁洋君) お答えをいたします。
 もう一つは、「将来の食料事情についてどう思うか」ということを聞いておりますが、これに対して「非常に不安を持っている」というのが一六・六%、「ある程度不安を持っている」というのが四七・四%でございます。
#339
○村沢牧君 総理、お聞きのように、世界各国が自分の国の食糧自給率向上に努めて、その成果を上げているんです。それを日本は、お話しがあったように、三二%の穀物自給率、国民は食糧に対して不安を持っているんです。自給率を何とかして高めようというのが国会決議のやっているところなんですが、総理は食糧自給率に対してどういうふうに考え、今後どういうふうにしようとするのですか。
#340
○国務大臣(中曽根康弘君) この点は、この前の石油危機のときの食糧危機のときの経験にかんがみまして、やはり小麦とか大豆等も増加していかなければならぬ、自給率を拡大させよう、こういうことで、自来営々と努力してこのパーセンテージは非常に上がってきたところであると思います。やっぱり必要なものはある程度の自給率を維持していくという方針で今後も努力してまいりたいと思っております。
#341
○村沢牧君 総理、基本的な方針として食糧については国際分業論的な考え方はとらない、国内で自給率を高めることによって安全保障を図っていくのだ、国内で不足するものに限って輸入を行うのだ、そして国内で生産が高まったものについては輸入も減らしていくのだ、これが総理の、あるいは中曽根内閣の基本的な考え方でなくてはならないというふうに思いますが、どうなんですか。
#342
○国務大臣(中曽根康弘君) 原則としてそれが正しいと思います。
#343
○村沢牧君 次に、食管制度について伺ってまいります。
 総理、食管制度は年とともに形骸化されてまいりましたが、今後とも食管制度は堅持をしていくという方針をお持ちですか。
#344
○国務大臣(中曽根康弘君) そういう考えでおります。
#345
○村沢牧君 そこで、大蔵省にお聞きをしますが、消費者米価がこの二月二十五日から三・七%引き上げられた。この米価引き上げに当たって、大蔵省は大幅引き上げを主張し、農水省の見解と対立したが、結局足して二で割るような形で三・七%に落ちついた。大蔵省は消費者米価引き上げの根拠を示してください。
#346
○政府委員(吉野良彦君) 政府といたしましては、従来からいわゆる売買逆ざやの解消に努めるという努力を重ねておるわけでございますが、今般の予算編成と並行いたしまして、農水省とも十分御相談をしました上、いわゆる消費者米価の三・七%アップということを米価審議会にも農水省の方から諮問をいただきまして、答申をいただいた上引き上げを決定されたというふうに考えております。
#347
○村沢牧君 大蔵省は、食管法を御存じですか。
#348
○政府委員(吉野良彦君) 承知をいたしております。
#349
○村沢牧君 法制局長官、伺いますが、食管法の生産者米価と消費者米価についてはどういうふうな見解を持っていますか。
#350
○政府委員(茂串俊君) 突然の御質問でございまして、食管法に生産者米価の算定の方式あるいは消費者米価についての算定をすべき基礎になるべき事項が定められておりますが、詳しくは農水省の御当局の方からお聞き取りを願いたいと思います。
#351
○村沢牧君 大蔵省の考え方は食管法に基づく考え方じゃないんです。後ほどまた、時間がありませんから指摘をいたします。
 それで米の管理をしていくためには農水省自体もしっかりしなければならない、食管法を守るためには。ところが、最近いろいろ米の流通が混乱をしているわけでありますが、先ほどは山形県の食糧株式会社のやみ米なども出ておりますけれども、こうした米の管理について農林水産大臣はどう考えていますか。
#352
○国務大臣(佐藤守良君) 村沢先生にお答えいたしますが、米穀の不正規流通についての御質問だと思いますが、これは放置すれば食糧管理制度の重大な大きな問題だと考えております。そんなことで現在集荷、販売両面にわたりまして適切に対処してまいりたいというふうなことでいろいろ指導しておりますが、仮にこれに従わないような悪質な者がおれば断固たる措置をとる方針で対処しております。
 なお、今回の山形における事件につきましては、食糧管理法違反の疑いがありますので、現在食糧管理法に基づく行政処分を行うことにつき三月二十日に公開の聴聞を行うことにしております。その結果、法違反の事実が明確になった場合には関係法に照らしまして厳正な処分を行う予定でございます。
#353
○村沢牧君 食管法を守っていくためにはやっぱり食糧、米の管理を適切、厳格にしなければならないわけです。今、農水大臣から報告があったところでありますけれども、警察庁にお聞きをいたしますが、こうした山形県食糧株式会社の問題等を含めて米の不正親流通について今まで警察当局ではどういう考え方を持っていたのか、今後どういうふうな考え方を、また対処していかれようとするのか、お聞きをしたい。
#354
○委員長(長田裕二君) 村沢君、時間が参りました。
#355
○政府委員(中山好雄君) 警察といたしましては、米穀等の流通秩序の維持は第一次的には所管行政庁の行政措置によって行うべきものと考えております。その行政施策が十分に効果を上げることができるようにという立場に立ちまして、米穀の正常な流通を著しく阻害事犯等悪質な事犯につきまして的確に対処してまいる考えでございます。
#356
○村沢牧君 終わります。(拍手)
#357
○委員長(長田裕二君) 以上で村沢君の質疑は終了いたしました。
    ─────────────
#358
○委員長(長田裕二君) 次に、久保田真苗君の総括質疑を行います。久保田君。
#359
○久保田真苗君 私の質問に関連して、きょう参考人の出席を要求しておりましたが、その取り扱いはどうなりましたでしょうか。
#360
○委員長(長田裕二君) 久保田委員の参考人出席要求につきましては、理事会において後日その機会が与えられるよう協議を続けておりますので、御了承願います。
#361
○久保田真苗君 私は今回の参考人に関する一連の問題を非常に遺憾に存じます。私はこのことが議員が参考人を自由に呼ぶという原則を崩すものであっては絶対にならないと思います。理事会でこれを拒まれる方はここへ来てその理由を説明していただきたいと思います。第二院である参議院が自由な論議、当事者の出席、そして意見聴取を拒むというようなことはまさに自殺行為であります。これでは無用論が出てもいたし方ありません、既に自分で自殺しているんですから。私は今回のことに抗議するとともに、委員長の公正な御運営に期待いたします。
#362
○委員長(長田裕二君) 理事会の協議につきまして委員長は公正な態度で臨んでおるつもりですし、今後も臨んでまいります。
#363
○久保田真苗君 私もユネスコの問題について少し質問したいと思います。
 総理、総理が言っておられるユネスコに求める改革とはどういうことでしょうか。
#364
○国務大臣(中曽根康弘君) 政治的な偏向のおそれのあるようなことはやめること、ほかの専門委員会のやっているようなことをオーバーラップしてやらないこと、それから経営や人事について乱費あるいは偏したような人事をしないというようなこと等々であります。
#365
○久保田真苗君 政治的偏向とはどういうことを指しておりますか。
#366
○国務大臣(中曽根康弘君) 国連憲章の精神から見て、それに対して国際機関として中正であるべしという予想される線からいかがと思われるような感じのすることごとを申すと思います。
#367
○久保田真苗君 途上国とソ連、東欧圏とが結束して主導権を握っているというようなことが報ぜられておりますけれども、このことを総理、外務大臣はそうお思いになりますでしょうか。
#368
○国務大臣(安倍晋太郎君) ユネスコにおきましては一国一票主義の建前でありまして、そういう中にあってやはり第三世界の人たち、国々が非常に大きな力を持っておるし、また南北問題という背景もありまして、こうした南の関係の国々、あるいはまたそれにやはり協力するという立場で東側の国々と、どちらかというと一つの大きな流れが出ておるということが客観的に見て言えないことはないのではないかというふうに外務省では分析をいたしております。
#369
○久保田真苗君 途上国の大方は自由市場経済圏に属していると思うんです。それにもかかわらず、そのような途上国と東欧の結束、あるいはそのような東欧寄りというようなことがあるとすれば、西欧社会においても深刻な反省が要るんじゃないかと思うのですが、途上国が本当に求めているもの、それは一体何だというふうに総理はお考えになりますでしょうか。
#370
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは、要するにユネスコという組織が文化とか教育とか、そうした国連の組織でありますから、やっぱり本来そうした政治的にはむしろ中立的な問題を行っておる国連機関ですから、あんまり政治的な、南北対立であるとか、第三世界と西側との対立であるとか、そういう問題がこのユネスコの機関に持ち込まれるというふうなことは、私は本来的に言ってユネスコのあり方から見て正しいあり方ではないのじゃないか、もちろん、現在の世界の情勢ですから、そういうものを完全に無視していくということは、私は客観的には困難な面もあると思いますけれども、しかしそういう色をなるべく抑えて、できるだけやはり文化、教育等の面においてコンセンサスをお互いにイデオロギーを超えてつくっていくという努力がやはりユネスコにおいてはなされなければならない、こういうふうに思うわけですが、残念ながら最近の情勢は、そうしたコンセンサスづくりよりはむしろ政治的な対立といいますか、そういう面が先行する、そういう状況が出ておることでありまして、そういう中でやっぱり本来の姿に返していく、国連の憲章に基づいた本来の姿に返していくという努力をやはり行わなければならぬ。これは日本だけの責任じゃなくてユネスコ加盟国の私は責任であろう、こういうふうに思います。
#371
○久保田真苗君 予算とか事業についての問題ですね、どういうところに問題があるとお考えでしょうか。
#372
○政府委員(山田中正君) お答え申し上げます。
 まず、予算の面でございますが、国連及びその他の国連専門機関の予算につきましては、各国とも厳しい財政状況でございますので節減の努力が非常になされております。
 一般的に申しますと、大体実質ゼロ成長というのを目標にして予算編成を行っておるのがここ最近の例でございます。例えば、国連につきましては、実質でございますが、一・五%の伸び、ILOにつきましては一・九%の伸び、WHOにつきましてはマイナス〇・三%と、こういうことでございますが、ユネスコだけは事務局が提案してまいります予算案が非常に高い伸びを示しております。私ども、これを努力して削減してまいりましたが、それにもかかわらず一九八四年、八五年度予算につきましては、実質の伸び率が四・四六%になっておる次第でございます。
 また、事業の面でございますが、ユネスコには教育の増進でございますとか、文化財の保護等、非常に重要な事業がございますが、それにとどまらず、先ほど総理からもお話しございましたように、事業計画が非常に拡散してまいりまして、本来ユネスコでやらなくてもいいようなもの、よその機関とダブるもの、それから政治的な問題でコンセンサスの得られないようなもの、そういうものに事業計画の拡散が行われておる状況がございます。
#373
○久保田真苗君 私、外務省から予算書、リストをいただいておるのですけれども、実際にこれを見ておりますと余りぴんとこないのですが、例えばユネスコ憲章と照らしてこの中で不適当なものというようなものはどういうものがございますか。
#374
○政府委員(山田中正君) お答え申し上げます。
 まず、政治的な問題でございますが、例えば平和とか軍縮という問題、これはユネスコ本来の教育の問題がございますので、教育の枠内での平和、軍縮ということでございますればそれはそれなりに意味があるわけでございますが、例えば国連で軍縮関係の研究等に九百万ドルほどの予算を計上して実施しておるにもかかわらず、非常に同じようなことをまたユネスコの場で実施したいというふうなことがございます。それからまた、解放団体への支援のプログラムでございますとか、各国の間でコンセンサスのとりにくい事業への問題がございます。それから、例えば人口でございますとか、開発でございますとか、国連の他の機関で行っておる事業をダブってやっているという例がございます。
#375
○久保田真苗君 私は必ずしもこの中身を知っているわけではないので改革が必要だということを否定するものではありませんが、しかし、当方が主張する改革の中身にはやはり合理性が必要だと思います。憲章の目的あるいは任務に照らし、あるいは他の機関とその仕事の内容においてどちらが優先さるべきかというようなことを具体的に御検討いただいて提案をしていただきたい、私このことをお願いしたいわけでございます。
 次に、人事について、先ほど御指摘がありましたが、人事についての問題点は何でしょうか。
#376
○政府委員(山田中正君) 人事面におきます問題点といたしましては、まず採用決定までの間に非常に遅滞が見られること、一生以上、数年にわたるケースがございます。それから、本部への職員の集中の傾向がございます。全職員の約八割がパリの本部に勤務しておるという事情がございます。それから、常に多数の空席がございます。時によりますが、大体二百から三百ポストの空席が起こっておりますが、この空席に対処するために非常勤職員が非常に多用いたされております。また、上級職員の採用に関しましては執行委員会の全体会議に諮ることになっておりますが、これが必ずしも守られておらない例がございます。それから、専門職の職員の採用につきましては加盟国の地理的配分を尊重することになっておりますが、その地理的配分が適当な形で達成されていないという事情がございます。
#377
○久保田真苗君 地理的配分によるポストの現状といいますと、例えば地域別に見ますと現状はどんなふうになっておりますか。
#378
○政府委員(山田中正君) お答え申し上げます。
 地理的配分が適用されますのは、いわゆるP1以上の専門職でございますが、地域別に申しますと西欧が四〇%、東欧が八・二四%、中南米が一一一・二四%、アジアが一四・二四%、アフリカが一五・六四%、アラブが九・六四%になっております。地域別に見ましていわゆる適正配分からそう大きくずれているということではございませんが、国別に見ますと適正配分が行われておらない例が非常に見られるということでございます。
#379
○久保田真苗君 具体的に言いますと、国別の方も聞かしていただけますでしょうか。
#380
○政府委員(山田中正君) お答え申し上げます。
 国別の専門職の配分を申し上げますと、西側諸国で適正水準以上になっておりますのは、本部がございますフランス、それから英国、スペイン、ベルギーがございます。これはフランスに本部があるということ、英国、スペイン、ベルギー等は公用語の関係があろうかと思いますが。開発途上国で地域的配分を非常に超えておりますのがインド、エジプト、アルゼンチン、アルジェリア、セネガル等がございます。なお、日本は地域的配分の適正基準が四十六・三名ということになっておりますが、現在二十三名の職員しかおりません。
#381
○久保田真苗君 日本が大変少ないということは事実でございますけれども、地理的配分そのものについてはそれほどアンバランスではないのじゃないかと思います。ただ、いろいろ個別に縁故採用等の、そういう事実がございましたら、これも具体的にひとつ御指摘いただきたいところだと思います。
#382
○政府委員(山田中正君) 先生御指摘ございました縁故採用というのは、なかなか具体的にこれがそうであるということを申し上げにくいのでございますが、一般的によく言われておりますことを数字で少し申し上げますと、事務局長の出身国でございますセネガル、これは地域配分でいきますと適正水準が五名でございますが、現実には九名おられます。それから地域配分はかかりませんけれども、一般職の場合は通常本部所在地の国民が非常に多く採用されるのが例でございます。したがいましてフランスの場合が非常に多いわけでございますが、セネガルにつきましてはそれが非常に多うございまして二十三名おられます。また事務総長の御夫人の国籍国のハイチの職員の数も非常に多くなっております。
#383
○久保田真苗君 いろいろ御尽力いただいておるわけですけれども、この秋総会の結果が不満であって、もし仮に脱退するというようになったとき、その時期はいつになりますでしょうか。
#384
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはまだ脱退とかなんとか考えておるわけじゃありませんで、改革をとにかくしてほしいということで加川大使からも具体的に総会で提案をしておりますし、また私も今度ムボウ事務局長が科学博覧会へ賓客として来ますので、改革問題について十分話し合って、そしてぜひとも改革を求めていきたいと思いますし、また同時に今現在日本は、要するに改革を求める同志の国々と相計らって、ユネスコ内部でやはり改革運動を今起こしておるわけでございますので、これからのそうした日本の努力、それから日本と志をともにする国々の努力というものと相まってぜひとも改革を実現しなければならない、そういう決意で臨みたいと思います。
#385
○久保田真苗君 私、このことは非常に慎重にお願いしたいと思います。なぜならば、一九八七年というのは事務局長改選の年に当たると聞いておりますので、もしそうであるならば、その年に抜けているというようなことは大変困ると思うのですが、いかがでしょうか。
#386
○国務大臣(安倍晋太郎君) 事務局長改選の問題については、それはユネスコ内部で決まることでしょうし、その中で日本のそれなりの発言力があるわけですが、私はやはり基本的には国連というのは日本にとって非常に重要な国際機関、日本がこれからのやはり平和外交を展開する上においても欠くことのできない機関であると思いますし、戦後四十年続いておる国連、いろいろと批判はあるわけですが、これは基本的には大事にしていかなければならぬ。ですから、ユネスコも日本が国連加盟の前に加盟した国連機関である、こういう歴史も持っておりますから、とにかく全力を挙げて、今のこのユネスコのあり方では到底我々としては満足ができない、本当にユネスコとしての本来の姿ではないと、これはもうどうしても改革してもらわなければならないということで、熱意を持ってとにかくこれに取り組んでいきたい。事務局長問題とどういうふうに絡んでおるのか、その辺のところちょっと理解できませんけれども、とにかく日本としては、そういう局長問題は別にしてこの改革だけを何とか進めたいと、こういうふうに考えております。
#387
○久保田真苗君 ユネスコ本部に駐在している日本代表部の陣容はどんなふうになっておりますか。またその代表部はこれまで改革のためにどういうことをしていらっしゃいましたか。
#388
○政府委員(山田中正君) ユネスコに対します日本の代表部は、形式的には在仏大使館の館員を充てておりますが、常駐代表といたしまして大使を一名、そのほか参事官、一等書記官、三等書記官それぞれ一名の計四名を専任に充てております。なお、ユネスコの改革問題が非常に重要な時期になりましたので、近く参事官クラスを一名増員して対処する予定でございます。
 なお、ユネスコの代表部はパリに常駐いたしておりまして、各国代表部との協議、ユネスコの各種会合への出席、執行委員会の際の補佐等をいたしまして改革の運動に取り組んでおるわけでございますが、昨年から改革のための臨時委員会というものを設けまして、我が国はその中にアジアの代表として参加いたしまして、この臨時委員会、さらには執行委員会、総会等を通じて改革の努力を行っておる次第でございます。
#389
○久保田真苗君 大臣、米英に続いてもし日本が仮に脱退した場合、ユネスコは本当に困るとお思いでしょうか。私は、何かホスト国のフランスが見捨てない限り、日本が国連大学を抱えているのと同じようで決定的に困りはしない。むしろうるさい人がいなくなって好きなことがやれる、この改革も含めて好きなことがやれる、そういうふうに見ることはできませんか。
#390
○国務大臣(安倍晋太郎君) 仮定の問題ですし、日本としてはとにかく残って改革したいというのが我々の念願ですから、改革に向かってとにかく全力を尽くしたいと思いますが、もし脱退するということになりますと、財政的にはこれはアメリカが二五%、日本が一〇%負担をしておるわけですから、この財政的な打撃はそれは確かに大きいと思いますし、そうした日本が抜けた後かわって財政負担をできるような国は私はないのじゃないか。既にアメリカが抜けるということでもいろいろと財政援助を呼びかけておりますが、集まっている金は非常にわずかなものだと、こういうふうに聞いております。
 しかし、事業につきましては、これは日本の立場からいえば、日本なりの世界における文化、あるいは教育の国際協力というのは進めることができると思いますが、しかしアメリカ、イギリスあるいは日本というふうな大きい国、経済的な大きな負担をいとわない国が抜けるというのは、ユネスコの国際的な権威というものを失墜して、事業の面にもやはり支障が出てくるのではないだろうか、こういうふうに思いますので、我々としては何とか残って改革をして、そしてかつてILOがそうだったようにまたアメリカを呼び戻す、こういう努力をしたい、こういうふうに思っております。
#391
○久保田真苗君 そういう財源難から整理が行われる、その場合、当然人員整理ということもあり得るんじゃないかと思いますが、例えば脱退国の出身者を、米英は非常に数が多い、日本も少ないけれど、まあおります。そういう者を優先的に切っていくということもあり得るのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#392
○政府委員(山田中正君) 事務局職員は国際公務員でございまして、事務局との間の契約に基づいて雇用されておるわけでございますので、本国の国の進退いかんによって直ちに影響を受けるものではないと思います。
 ただ、先生御指摘ございましたように、契約の更改のときまたは新規採用の場合には、加盟国でない国の職員については先ほど申しました地域配分がございませんので、やはり影響を受けるというふうに考えます。
#393
○久保田真苗君 私、日本が国連後発国であるということから、外務省は、特に出先の大使館はポストの確保に非常に苦労をされたと思います。また、中に入った人たちも、少ない人数でその実績をつくるために営々と苦労してきたわけでございます。それを外務大臣は御存じないわけはないと思います。私はこのことを軽く見ないでいただきたいとお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
#394
○国務大臣(安倍晋太郎君) もちろん我々は今国連で働いておる日本人職員のことは十分配慮しなければならぬと思うわけでございますが、同時にまたユネスコの改革というものは、これからのユネスコを支持したいという日本にとりましても極めて大事な問題でありまして、何としても我々としては改革を行って、そして日本人の職員もそういう中で喜んで働けるような体制というものをつくっていかなければならぬ、こういうふうに思います。
#395
○久保田真苗君 文部大臣に伺います。
 日本ユネスコ国内委員会、これはどういう仕事をしておりますか。
#396
○政府委員(大崎仁君) 日本ユネスコ国内委員会でございますが、これはユネスコ憲章の趣旨に従いまして、我が国におけるユネスコ活動に関します助言、企画、連絡、調査というような仕事を任務としておる機関でございます。
 具体的に申しますと、ユネスコの総会の議案等に関する事項につきまして関係大臣に建議をいたしますとか、あるいはユネスコ関係の出版物の頒布あるいは国内の種々の活動に関する連絡、調査というような事業を行っておるわけでございます。
#397
○久保田真苗君 ユネスコには、本部の方ですが、数百のNGOが協力体制をつくっております。日本ユネスコに関してはどうでしょうか。もしそういうものがあるとすればどんな協力活動を行っているのか、教えていただきたいと思います。
#398
○政府委員(大崎仁君) ただいまの御指摘のように、ユネスコは教育、科学、文化の諸分野におきまして各種の国際民間団体と取り決めを結びまして協力をしておるわけでございます。例えば国際博物館会議でございますとか、あるいは世界スカウト機関とかというようなものがございまして、我が国のこれに関連する団体が多く加盟をしておるというふうに承知をいたしております。
 このような国内団体のうちで、特にユネスコ活動を専ら目的にしておりますものといたしましては、日本ユネスコ協会連盟という団体がございまして、全国各地で活動をしておりますユネスコ協会というものが約二百六十ほどございますが、これの全国団体といたしまして各種の集会、出版活動あるいは国際協力事業というようなものを実施をしておるわけでございます。
#399
○久保田真苗君 もし脱退をした場合、どういう影響がありますでしょうか、この日本ユネスコの活動には。
#400
○政府委員(大崎仁君) 民間のユネスコ活動自体は、これは非常に早いものは我が国のユネスコ加盟以前から活動をしております団体もあるわけでございますし、また、それぞれのNGOの性格によりまして影響のあらわれ方が違うかと存じますが、先般来のお話のように、私どもといたしましては、現在ユネスコの改革を推し進めるという観点に立ちまして外務省と十分連絡協力を図っておるというところでございます。
#401
○久保田真苗君 文部大臣は今回の代表の脱退示唆をどういうふうに受けとめておられますでしょうか。今後どういうふうに対処なさるおつもりでしょうか。
#402
○国務大臣(松永光君) 我が国のユネスコ改革に関する強い決意を表明したものと受けとめております。今後とも外務省と協議し、協力をして改革が実現するように最大限の努力をしてまいりたい、こう考えております。
#403
○久保田真苗君 日本では、ユネスコは最も親しまれてきた国際機関だと思います、つまり学校とかNGOに協力者も非常に多かった。ユネスコはパリにあると言いますけれども、本当はユネスコはこの方たちのものなのじゃないかという気もします。役所はじきに権限ということを言いまして、もちろん外交は外務省ですけれども、活動は外務省がなさるわけではないと思うんです。やっぱりユネスコはこの方たちのものだし、世界じゅうにいるこういう方たちのものじゃないかと私は思うのですが、外務大臣、どうお思いになりますか。
#404
○国務大臣(安倍晋太郎君) もちろんユネスコ活動は、日本が国連に入る前から日本人の中で行われてまいりましたし、ユネスコに入ったときも国連に入る前ですから、非常に歴史と伝統を持っているだけにこれは大事にしていかなければならない、こういうふうに思いますし、そして日本は実際的にユネスコを通じまして具体的な教育・文化事業あるいは文化財保護等についての国際協力を積極的にやっておりますから、こういう国際協力についてはユネスコにおるとか、あるいはユネスコから出るとか、そういうことは関係なしに日本としては進めていかなければなりませんし、その基本方針には全く変わりはないわけであります。ただ、今我々がかつてユネスコで喜々として働いておった時代と違って、ユネスコ自体に非常に大きな問題が出てきた。ですからこれはどうしても改革をして本来の姿に返ってもらわなければならない、こういうことで具体的な要求を出しておるわけであります。
 私はここで申し上げたいのですが、今の予算だとか、人事だとか、事業だとか、そういう面について改革を求めておりますが、我々は国連も非常に大事だと思っておりますし、これからも大事にしていかなければならぬと思いますが、最近国連についての批判もよく聞くわけで、国連の高級職員等が各国の外交官等と比べると大変いろいろな面でぜいたくをしているというような話も率直に聞かないわけではない。それがやはり国連の批判につながっていくわけで、私はそういう意味で国連につきましても、国連の改革といいますか、国連がやはりさらに世界の信頼を回復していくように、ユネスコだけじゃなくて、やっぱり国連についてもいろいろと日本としても言うべきことは言って、国連の改革もしてもらわなければ、国連のこれからの本当の世界平和、世界の安定のための活動といいますか、行動というものは私はできないのじゃないか、こういうことを心配をする一人であります。
#405
○久保田真苗君 ユネスコは変わったと言われましたけれども、ユネスコは確かに加盟国がふえて拡大したということは言えると思います。その拡大したのは途上国によって拡大し、そして途上国の求めるところを支援していくというのがユネスコの非常に大きな役割だと思うわけです。でございますから、私はやはり改革に当たっては途上国の求めは途上国に聞くということを強くお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#406
○国務大臣(安倍晋太郎君) もちろん途上国の立場というものも十分踏まえていかなければならぬと思います。これはやはり我々がこれから国際的な協調関係を進める上において大事な要素であろうと思いますが、しかし、問題はユネスコ本来のあるべき姿、そういう枠組みにおける途上国の要求というものは、これは積極的に耳を傾けなければなりませんけれども、そういう枠組みを超えた要求があるとするならば、これはやっぱり本来の姿から逸脱するものとして我々としては聞けない場合もあり得ると思うわけでございまして、それにはやはりおのずから限界もあるのじゃないか。しかし、できるだけ耳を傾けて聞いていくというのが日本としてのあり方ではなかろうかと、こういうふうに思っております。
#407
○久保田真苗君 総理、アメリカやイギリスは非常にすぐれた外交国家だと思います。常に西側のグループでも主導権をとってやまない国だと思います。けれども、第三世界に関してはいささかその神通力が薄れているのじゃないかと思います。つまり悪玉扱いをされている面があると思います。けれども日本はそうじゃないんじゃないかと私は思うのです。過去はありましたけれども、やはりアジアの国であるし、核兵器も持ってないし、軍事大国にならないと言ってるし、日本語のせいで情報的、文化的浸透もしてないわけです。しかも唯一の被爆国だということは総理も外務大臣も盛んに活用していらっしゃる。それはやはり原爆の犠牲者が私たちに残してくれた大変な財産じゃないかと思います。そういうものを使って日本はアメリカやイギリスにできないことができるんじゃないかと思うんですが、総理はどうお考えになりますでしょうか。
#408
○国務大臣(中曽根康弘君) そういう面も多々あると思います。
#409
○久保田真苗君 それで私がこの際お願いしたいのは、西側の国がそういう意味で抜けるのであれば、それは日本は、日本の外交が多国間外交で腕の振るいどころじゃないか、そんなふうな見方もできると思います。捨てた主導権ならば拾って、自分の財産を使って一生懸命やったらいいじゃないか。ですから日本の外交官にこの際思い切って働いていただく、そして八七年までは懸命に内部で努力していただく、そういうことをお願いしたいと思いますが、総理、外務大臣、いかがでしょうか。
#410
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今そういう意味で日本の立場は非常に重要であろうと思います。まさにこの改革のかぎを握っておる。ですから、日本が主導的な役割を果たして、志を同じくする国々とともに改革の先頭に立って、何としてもユネスコを本来のあるべき姿に返していく、そしてアメリカとかイギリスをまた再加入させるという方向にぜひともひとつ努力をしてまいりたいものだと、こういうふうに思っております。
#411
○久保田真苗君 次に婦人問題に移ります。
 総理に婦人問題企画推進本部長をやっていただいておるのでございますけれども、初めに、おひざ元の特別活動として審議会の婦人の参加、十年前に私どもこれを当面一〇%を目標として始めました。あらゆる事業の中で唯一の目標を先に設定したただ一つのものだと思うのです。この十年間の進歩とか総理の評価などをまず伺わせていただきたいと思います。
#412
○国務大臣(中曽根康弘君) 一割を目標にいたしましたが、たしか私の記憶では五・二%ぐらいですか、まだ半ばちょっとぐらいで甚だ残念でございます。今後とも大いに努力していきたいと思います。
#413
○久保田真苗君 特定の審議会について私は総理府に婦人の参加率を伺ったんですが、各省に聞いてくれということなので、恐縮でございますけれども、さきにお願いしました審議会の婦人の参加率をちょっとお知らせいただきたいと思います。
 まず総理府お願いします。
#414
○政府委員(松本康子君) お尋ねのありましたのは、社会保障制度審議会、税制調査会、対外経済協力審議会、それに経済審議会だったと存じますが、社会保障制度審議会は、現在委員三十二人、これは国会議員十人、その他の方二十二人で、合わせて三十二人でございますが、そのうち婦人はおりません。それから税制調査会は、委員三十人のうち婦人は三人でございまして、婦人の比率は一〇%でございます。それから対外経済協力審議会は、委員二十人のうち婦人は一人でございまして、婦人の比率は五%でございます。それから経済審議会は、これは経済企画庁の方で所管でございますが、委員二十六人のうち婦人は一人で、婦人の比率は三・八%となっております。
#415
○久保田真苗君 厚生省お願いします。
#416
○政府委員(長門保明君) 厚生省関係についてお答え申し上げます。
 お示しこざいましたのは審議会三つでございますので、まず老人保健審議会でございますが、委員数が十九名に対しまして婦人の委員が一名でございます。したがってその割合は五・二六%でございます。それから生活環境審議会につきましては、委員数が三十四名でございます。このうち婦人の委員数が二名でございますので五・八八%。それから社会保険審議会につきましては、委員数二十七名でございまして、こちらの審議会には婦人の委員は発令されてございません。
 以上でございます。
#417
○久保田真苗君 総理、お聞きになったようなんですが、これから高齢化社会に向かって婦人もいろいろな意味で戦力として期待されているわけでございます。しかし、社会保障制度審議会などは、この十年来総理府は、お願いしてお願いして、しかしこの十年実現されなかったんですが、やはり年金改革、児童扶養手当等の法案の改正を見ますと、これは婦人に入ってもらわなければしようがないんじゃないかと私は思います。そういう意味で、こういった主要な審議会について、ゼロのところはまずぜひ入れていただくように、それから一名というようなところは、やはり老人問題等はもっと均衡ある数婦人を入れていただくように、こういうことをお願いしたいと思いますけれども、総理、特段の御努力をお願いできますでしょうか。
#418
○国務大臣(中曽根康弘君) 御趣旨を体しまして努力させます。
#419
○久保田真苗君 次に、児童扶養手当でございますけれども、厚生大臣、この児童扶養手当の改正案提出に当たりまして、婚姻外の子を排除したことについて、さきに衆議院予算委員会で金子議員の質問に答えておられるんですが、そのことをもう一つはっきりと確認していただけますでしょうか。
#420
○国務大臣(増岡博之君) 過日衆議院予算委員会におきまして金子先生にお答えいたしたわけでございますけれども、未婚の母と子の問題につきましてお尋ねがございました。そのときに私がお答えいたしましたのは、それ以前に金子先生から未婚の母と子に対する対策についていろいろお話がございましたので、「御指摘のような御趣旨につきましてはごもっともなことでございますから、今後の施策の上には十分反映をさせていただきたい、そういうふうに考えております。ただ、」現在衆議院社労委員会で継続案件として付託されております児童扶養手当法案につきまして、「今の法律案を提案いたしております関係から、法律案そのものの中身に関します言及は差し控えたいと思います。」この趣旨は、法律案以外に未婚の母と子を含みます母子福祉対策がございますので、その方面には十分対策を講じてまいりたい、そういう趣旨でございますし、法律案の方は社労委員会で十分御審議をいただきたい、そういうふうに申し上げたわけでございます。
#421
○久保田真苗君 つまり、それは大丈夫なんだろうなと思いますけれども、念のために私この問題は、長年国連婦人の地位委員会で婚姻外の子の権利ということを取り上げてまいりまして、幾つかの国際文書にこれが実っておりまして、世界人権宣言、人権規約等がございますけれども、外務省からちょっとこの点について該当事項を御説明いただけますか。
#422
○政府委員(山田中正君) ただいま先生からお話のございました国際文書といたしまして私ども承知いたしておりますのは、一つは世界人権宣言、この第二十五条の第二項に、「すべての児童は、嫡出であると否とを問わず、同じ社会的保護を受ける。」という文言がございます。また、国際人権規約、私ども通常A規約と言っておりますが、A規約の第十条の一項に、できる限り広範な保護及び援助が、家族に対し、特に、扶養児童の養育及び教育について責任を有する間に、与えられるべきであるという趣旨の項がございまして、第三項におきまして、「保護及び援助のための特別な措置が、出生その他の事情を理由とするいかなる差別もなく、すべての児童及び年少者のためにとられるべきである。」という文言がございます。さらに国際婦人世界行動計画、これの第百三十三節におきましても、未婚の母は親としての完全な地位を認められるべきこと、非嫡出子は嫡出子と同一の権利、義務を有すべきこと等をうたった文書がございます。
#423
○久保田真苗君 老婆心だと思うんですが、婦人の十年の締めくくり年でございますから、こういうことが起こらないようにひとつよろしくお願いいたします。
 次に、離婚による母子家庭、父から子の扶養を受けている母子世帯の割合を厚生省御説明ください。
#424
○政府委員(小島弘仲君) お答えします。
 五十八年八月の母子家庭調査によりますと、現に扶養を、別れた夫から子供に仕送りを受けているものが約一〇%、かつてもらったことがあるというもの約一〇%、合わせまして約二割程度、二割強ということでございます。
#425
○久保田真苗君 父が別れた子を扶養しないということはどういう理由かわかりませんが、私、文部省の方でも学校教育で男子の生徒に親としての教育というものをしていただいた方がいいのじゃないかと思いますが、この点いかがでしょうか。
#426
○国務大臣(松永光君) 男性としてその能力がありながら、自分のつくった子供に対して養育費を仕送りをしない、養育費を支給しないというのは男として最低だと私は思います。そういう男にならぬように、やはり親になった場合の心構え等、子供の成長段階に応じてきちっと教えていくべきであるというふうに私は思います。
#427
○久保田真苗君 ありがとうございます。よろしくお願いします。
 次に、最高裁に伺いたいのですが、家庭裁判所のお世話になって離婚する家庭のパーセント、どんなでしょう。
#428
○最高裁判所長官代理者(猪瀬愼一郎君) 離婚総数につきましては人口動態統計によるのが最も適当かと存じますので、これによって御説明申し上げます。
 昭和五十八年に届け出られた離婚総数は十七万九千百五十件でございまして、このうち裁判所が関与した離婚件数は、家事調停による離婚、これが一万三千六百八十九件、パーセンテージにしますと七・六%でございます。それから、調停にかわる審判離婚、これが五十四件で比率は〇%でございます。それから、これは家庭裁判所ではございませんが、地方裁判所での判決離婚が千八百件ございまして、一%の比率を占めておりまして、裁判所が関与しました離婚件数は合わせまして一万五千五百四十三件、比率にしまして八・六%でございます。なお、協議離婚が五十八年には十六万三千六百七件、比率にしますと九一・三%ございますが、このうちの数百件程度のものは協議離婚届け出をする旨の家事調停の成立に基づくものが含まれてございます。ただ、その数字は統計上明らかでございませんので明確ではございません。
 以上でございます。
#429
○久保田真苗君 家裁の調停で養育料を決めている場合があります。その割合と支払いの状況をお聞かせください。
#430
○最高裁判所長官代理者(猪瀬愼一郎君) 司法統計によりまして昭和五十八年の件数を見ますと、家庭裁判所の手を経た離婚件数は一万五千七百五十七件ございますが、このうち未成年者の子のある夫婦の離婚件数は約一万二千三百件でございます。そして、このうち離婚に際して養育料の取り決めのあった件数は約七千四百件でございまして、未成年の子のある夫婦の離婚件数の約六〇%を占めております。
 その養育料の支払いの履行状況でございますが、この点については統計資料がございませんので数字の把握はできないわけでありますが、過去二、三の家庭裁判所で試みられましたアンケート調査等の結果を参考にしてみた感触といたしましては、これはごく大ざっぱな感触でございますけれども、調停で金銭給付が定められた一般的な場合、その約七、八割程度のものは履行されているのではなかろうかと思います。
 なお、当事者が任意に履行しない場合には、家事債務につきましては履行勧告という制度がございまして、権利者の申し出に基づいて家庭裁判所がその履行状況あるいは不履行の場合にはその不履行の原因等を調査しまして、必要に応じて義務者に対して義務の履行を勧告するという制度でございまして、この制度に基づいて相当の成果がこの面でも上がっているものと考えております。
 以上でございます。
#431
○久保田真苗君 家庭裁判所に供託制度というのがございますね。この利用度と、それからこの供託制度をもっと近代化して拡大して、今ほとんど養育料を支払われていないこういう方たちのために、間に入る国の機関としていただくようなことができないものでしょうか。
#432
○最高裁判所長官代理者(猪瀬愼一郎君) 養育費の支払いに関しての寄託制度の利用状況につきましては統計資料がございませんので明確な数字を申し上げることはできませんが、金銭の支払いを目的とする義務の履行一般につきまして寄託制度の利用状況を御説明申し上げます。
 まず、家庭裁判所の調停、審判で寄託支払いの定めをした件数を見ますと、最近著しくその利用は減少の傾向を示しておりまして、昭和五十八年には五百三十九件となっております。これは十年前の数字と比べてみますと約一二%程度のものでございます。これに伴い寄託金の受け入れも減少しておりまして、昭和五十八年では受け入れ件数は約四万七百三十件で、十年前の四三%程度でございます。それから受け入れ金額は約十六億八千四百一万円でございまして、これも十年前の五五%程度というふうに非常に減ってきております。その減ってきております理由は、金融機関を通じての口座振り込み制度が発達してその利用が一般化してきておるということによるものというふうに考えております。
 家庭裁判所におけるこの寄託制度に期待されます機能としまして、当事者間の直接の金銭の授受に伴う感情的な対立を防止するため、第三者である裁判所を介して金銭の授受を行うということが主たる機能でございまして、それとあわせて金銭の授受を明確にしようということにあるものと思います。これらの機能は最近の銀行の口座振り込みによりまして肩がわりされる傾向があるわけでございまして、こういった新しい方法が用いられるということは家事債務の履行の円滑な確保を図るという見地からしまして少なくともマイナスではないものと考えております。ただ、少なくはなりつつございますけれども、寄託制度を利用する当事者もおりますので、この制度を国民が利用しやすいようにしていく努力は今後とも運用上工夫をしていく必要があろうかと思います。
#433
○委員長(長田裕二君) 答弁は簡明にお願いいたします。
#434
○久保田真苗君 銀行振り込みというのは胆保してくれないんですね。
 厚生大臣、お聞きになりましたように、ともかく養育料の支払いというのは非常に悪い。そこへもってきて、今度の改正案では前夫の所得六百万円以上の世帯の手当を打ち切るということになっているんですが、私はやはり養育料取り立てを担保する手段を最高裁なり関係機関とまず講じていただきたいんです。その後にしかるべく処置をなさればいいので、国としてはどうなっても構わない、これは子供に関係することなので、国はやはり最終的には子供を見捨てることはできないと思うのですが、その点どうでしょうか。つまり、先にそういうことを講じていただきたい、このことです。
#435
○政府委員(小島弘仲君) 現在確かにその手段はございませんが、現段階で制度化するということについては我が国の離婚の法制、それから離婚の実態から見ましてまだ問題があると考えております。今現在いろんな研究会を設けまして、それらの措置についても検討しているところでございます。
#436
○久保田真苗君 そうしますと、今回の法改正はやめるんですか。つまり、何か先に手段を講じていただける、これを棚上げしていただけるんですね。
#437
○政府委員(小島弘仲君) 先生御承知のとおり、離婚しても父親には扶養義務があるわけでございますので、一定以上の収入、高額の収入がある場合には、まずその父親の扶養義務を履行していただきたい、またそれを請求していただきたいという趣旨で一定以上の場合には対象から一応外す、ただ、その条件の変更があった場合等々については対象にするということにいたしております。
#438
○久保田真苗君 私は、こういうことは本当に慎重にやっていただかないと困ると思うんです。やっぱり国の責任は子供に対して一番大きいと思いますので、ぜひ慎重にしていただきたい。大臣の御答弁をお願いします。
#439
○国務大臣(増岡博之君) 先ほどからお話がございますように、父親は当然子供に対して扶養義務があるわけでございますから、すぐ国民の負担で手当を支給することはいかがなものかということは先ほど政府委員からお答えしたところでございます。
 そこで、御指摘のように、こういう問題が起きますのは、やはり離婚の実態というものが諸外国に比べて協議離婚が多くて法的な保護がないという、そこに問題があるように思うわけでございます。この関係も現在社労委員会で法案を御審議いただいておりますので、私どもからその内容につきまして申し上げる立場にはございませんけれども、しかし御指摘のような社会全体としていろいろ考えるべきことがあろうかと思いますので、関係機関とよく協議をしてまいりたいと思います。
#440
○久保田真苗君 つまり、社労委員会の結果で厚生省は大いに直すことに協力する、こういうことだと承ります。
 次に、教育課程に入ります。
 婦人差別撤廃条約は、教育課程について男女に同一の機会ということを言っておりますのですけれども、今回文部省がこれについて検討会議を設けて結論をお出しになった。非常にわかりにくい結論なので、単純明快にこれをどういうふうに実現していただけるのか、大臣にお願いします。
#441
○国務大臣(松永光君) 現在は、この家庭科に関する履修の仕方でございますが、中学校の場合には技術・家庭科というのがございまして、男性の場合は技術・家庭科の中の技術系列から六、家庭系列から一、女性の場合にはその逆に技術・家庭科の中で家庭系列から六、技術系列から一、それから高等学校の場合には家庭一般については女子は必修、男子は選択、こうなっておるわけでございます。そのことが婦人差別撤廃条約批准の関係で問題であるということの指摘がありましたので、先生御指摘のとおり文部省の中に検討会議が設けられまして、去年の十二月に検討の結果の報告をいただいたわけであります。
 その内容は、中学校について男女とも共通に履修させる領域及び適性等に応じて履修させる領域を設けること、それから高等学校につきましては家庭一般を男女とも選択必修にすること、その選択必修にする仕方として二通りの御指摘が実はあったわけであります。その一つは、現行の家庭一般のほかに家庭に関連した別の科目を設けて、そしてその中のどれかを選択必修するというやり方と、それから家庭一般と他の教科の科目を組み合わせて、その中からいずれかを選択すること、この二つの方法による選択必修、こういうことが高等学校の場合には必要であるということで改善すべしという報告をいただいた、こういうことでございます。この報告に基づきまして、次の教育課程審議会の審議の際に今申した検討会議の報告を十分参考にして改善策を講じてまいりたい、こう思っておるわけであります。
#442
○久保田真苗君 次の教育課程審議会はいつになりますでしょう。いつ指導要領が改まっていき、これが実施されますか。
#443
○国務大臣(松永光君) この問題につきましては臨時教育審議会の方でも審議がなされるものと思っておりますが、その審議をにらみながら、できれば一、二年のうちには教育課程審議会をスタートさせたい、こういうふうに考えております。
#444
○久保田真苗君 教育課程審議会について注文がございます。この前の教育課程審議会、どのくらい女性の割合があったか。ともかく、この問題は女性の背景人口が多いので均衡ある女性の割合をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#445
○国務大臣(松永光君) 前回の審議会の場合には審議会の委員総数六十名中四名であり、その比率は六・七%でございました。
#446
○久保田真苗君 次にお約束いただきたいのは、女性の割合をふやしていただきたいということなんです。
#447
○国務大臣(松永光君) 立派な人がいらっしゃれば、教育課程審議会の問題の事項の審議について適当な人がおれば、男女を問わず、人格識見のすぐれた人を委員に選任するということになっておりますが、実際上は今までは少なかったわけでありますけれども、先ほどから先生の御議論にもありました一〇%を目標にしておることでありまして、まだ一〇%に達していないわけでありますから、それに近づくように、できれば超えるような方向で努力をしてまいりたい、こう考えております。
#448
○久保田真苗君 頑張ってください。
 次に、男女雇用機会均等法です。
 時間がないので荒骨だけやりますけれども、私どもこういうものになるとは夢想だにしていなかった。大変残念なんですね。均等法案では定年、退職、解雇の、雇用の出口だけに女子であることを理由として男子と差別的扱いをしてはならないと禁止規定を立てているんですが、それ以外については、雇用の全ステージにわたってこの差別の原則を立てていないんです。回避しているんです。これが全生涯にわたるということで婦人団体も何も非常にあきれ怒っているのですが、どうしてこういうことになったんでしょうか。
#449
○政府委員(赤松良子君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、雇用の分野におきましては入り口から出口までいろいろなステージがあるわけでございますが、出口とそれから職業訓練あるいは厚生福利の面につきまして禁止規定としているわけでございます。それ以外のステージにつきましては御指摘のように努力義務規定と規定したわけでございますが、これは六年にわたる三者構成の審議会の中での御議論をいろいろと私どもは伺い、またそれ以外の方々の御意見にも耳を傾けながら、労働省としての現在の段階では最も適切な方法としてこのように規定した次第でございます。
#450
○久保田真苗君 余りお答えの中身がないんですね。少なくとも婦人少年問題審議会の建議では、配置、昇進は強行規定にしろと。それはそうすべきだと思ったし、それが可能だと思ったからじゃないんですか。なぜそうしなかったんでしょう。
#451
○政府委員(赤松良子君) 婦人少年問題審議会の御答申と申しますか、その前の建議では確かに入ってからの昇進、配置につきましては強行規定とすべしという公益委員の御見解が述べられているとおりでございますが、しかしその建議の中には、同時に、労働基準法の保護規定につきましても、工業的な業種以外につきましてはすべて女子だけの保護を撤廃して男子と同じにするのが適当という御見解もあるわけでございます。両方勘案いたしまして、直ちにそのようにすることは適当でないという判断をした次第でございまして、機会均等の方につきましても、現状を考えるとすべてを強行規定にするということが適切でないと考え、また労働基準法の女子保護の規定を撤廃することについても工業的業種以外といえどもすべて男性と同じに撤廃するということは適当でないというふうに考えたわけでございます。
#452
○久保田真苗君 私は、基準法のことは今伺っていないんです。基準法とてんびんにかけるというのがそもそも間違いだと私は思います。それぞれの規定についてそれ自体の合理性を求めるということがまず先決なのじゃないんでしょうか。
 それで、私が伺いたかったのは、何ゆえに強行規定は現状においては無理なのか、そこのところを伺いたいわけです。
#453
○政府委員(赤松良子君) 日本の雇用慣行におきましてはいわゆる終身雇用というものが非常に行き渡っておりまして、その中では年功の長い者を優遇するという慣行が確立されているところは先生も御承知のとおりでございます。ところで、その点につきまして女性と男性との働き方は非常に違っておりまして、最近では女性も長く働くことになってきているとはいえ、まだ就職後かなり短い期間でやめる人も大変多いわけでございます。そういう現実を踏まえますと、企業の中で採用、配置あるいは募集等について男女全く同じにしろということは、漸進的には、目指す目標としては可能であっても、直ちに強行規定をもって迫るということが適当でないというふうに判断したわけでございます。
#454
○久保田真苗君 終身雇用制とおっしゃるけど、女性はほとんどその恩恵を受けてこなかったんですね。年功序列制の恩恵も受けてこなかったんです。むしろ、企業が早くやめさせようとした、使い捨て、消耗品扱いだったんです。そういう十把一からげをやめよというのが今度の法案じゃないんですか。
 それに、勤続年数と言われるけれども、私どもは違う者を同じに扱えとは言っていないんですよ。勤続年数は長い人も短い人も、再雇用の人もいるでしょう。特に、労働省が再雇用制度を今回推進しようとしている。このことを考えれば勤続年数は平均的には上がりっこないんですね。そういう理由を持ち出されたのじゃ私は本当に納得ができない。これは裁判の中ででもこういう答弁は解釈として使われますよ、これは非常に危険なことなんです。本当にこういうことはやめていただきたいんです。
 勤続年数がとおっしゃるけれども、それは男にだってあるわけです。私どもは、同じ資格、知識、適性、熟練、実績、そして本人の希望、こういったものを勘案して同じチャンスを与えろと言っている。それだけのことなんですよ。だから、差別はいけないという原則を立てる、このことが大原則なんですね。出口とその他については強度に差があるなどという、そういう御説明では大変困るんです。ジャスティファイされない差別を全ステージに置いているわけです。出口だけはとおっしゃるけれども、あと全ステージ全部努力規定なんですよ。こういうことは諸外国にも例を見ないことでして、こんな差別と両立できる均等法というのはナンセンスだと思うのですが、大臣どうなんですか、これは。審議会が建議しているんですから。
#455
○国務大臣(山口敏夫君) 審議会が建議しているのは努力規定と両論併記で出されているわけでございますが、確かに禁止規定の意見も非常に強く主張されているわけでございます。今、婦人局長から答弁申し上げましたように、現実の問題として、どういう職場に担当してもらおうかとか、あるいは昇進の問題についても、私は使用者側から見ても、能力ある人をそれなりの適宜な職場、職責に抜てきしたいという希望はあると思うのですけれども、現実、婦人局長から答弁したように、女性と男性の場合は雇用年数といいますか、勤続年数でも倍近く違っておる。これからは別といたしまして、今までは結婚しますのでひとつ会社やめさせていただきますという男性は少ないわけでございまして、どうしてもそういう女性における、職場における一つの諸条件というものがあったわけでございますから、私どももここでとまるということではなくて、この努力規定をひとつ契機に、さらに漸進的にこれを改善、拡大をしていこうと、こういう一つの環境づくりのためにも、この法案に対する社会的な大きな関心と御審議をいただいているわけでございますので、今出ている法案で、ここで男女の平等や公平がとまってしまうということではなくて、ここを起点として、さらに家庭と職場における女性の両立の問題でありますとか、また、ややもすれば男性社会と言われるような職場社会において、女性の働きやすい環境条件を、職場の男性諸君にも、また家庭における男性の役割分担においてもひとつ一層理解を広げていただこう、こういう決意と考えの上に立ってこの法案を今日取りまとめさせていただいた。こういう経過は先生も御承知のとおりでございまして、ここからスタートするという点における御理解をいただければ大変ありがたいと考えるわけでございます。
#456
○久保田真苗君 大臣、ここからスタートしていつこれを禁止規定にすると、そういう見込みなんでしょう。
#457
○国務大臣(山口敏夫君) 現在、法案を提出して参議院で御審議いただいておる最中でぐざいまして、審議会でございますとか、いろんな方々の御意見、労働者側、使用者側、また男性側、女性側、いろいろな皆さんの御意見の中で、一応現状、理想と現実の接点と、そして将来に対する展開の起点を織り込ましていただいているという段階でございますので、この法案がまだ成立しない段階において、次いつ改正するんだと、改善するんだということは、私の立場としては断言できないわけでございますが、しかし少なくともこれから女性の職場進出、また女性の役割、この責任の重さというものは、率直に言って今までと比較にならないほど大きなものがあろうと思うわけでございます。そういう社会的な環境、背景、重さの中で、私は、今、先生が御指摘のような問題については、漸次これが前進を見られる、そういう一つの雇用法の起点にしたいという考え方に立っておるわけでございます。
#458
○久保田真苗君 大臣、そんなに待つ必要はないんですよ。募集、採用、配置、昇進、これを強行規定にしたからといって、この法案はもともとただ一つの罰則もないんですよ。ですから、出口のところの定年、退職、解雇、これだって禁止規定にはなっているけど罰則によって担保はしていません。それならば同じことじゃありませんか。なぜほかのところも強行規定にできないんですか。罰則がないんだったら何もびくびくすることないでしょう。ただ、努力規定よりは原則がはっきり立っている、私たちが喜ぶ、そして裁判に悪影響を与えない、これがあるわけでしょう。ですから、今すぐ強行規定にしたって何にも経営者側がびくびくすることはないんです。どうですか。
#459
○国務大臣(山口敏夫君) 男女の、特に女性の職場における立場あるいは権利、平等、公平という問題がいかにこのスローガンとは裏腹におくれているものであったかということは、むしろ私よりももう三十数年来御専門の久保田先生の方がよくその辺を御認識いただいておるわけでございまして、そういう一つの社会的条件から大きく女性の雇用の拡大と平等を確保する、こういう立場において皆さん方が御論議の中で今度の法案の取りまとめをいただいた、こういう経過もあるわけでございまして、現時点でこの禁止規定というものはそう時間をかける必要はないんだ、こういう率直な御指摘でございますけども、我々としては、今までの過去と現在とそれから将来的な展望の中で、現行この法案で、努力規定というこの枠組みの中でこの法案に対する御理解をいただき、そしてそういう環境づくりに一層精を出したい、こういう決意でございますので、その点も十分御理解をいただければ大変ありがたいと思うわけでございます。
#460
○久保田真苗君 総理、お聞きになっていただいたと思うのですけれども、私どもはこの法律が非常に易しい法律だと思っています。易しい法律ならば原則ぐらいはきちんと女子であることを理由として差別してはならないと、そのことをなぜ各条文にうたっていただけないのか。就職から退職までその間を同じように差別してはならないとうたっていただけないのか。私これは労働省もとても苦労していることよくわかっているんです。ですから私は総理にやっぱり一臂のお力をいただきたいと思うのですが、その点どうお考えになりますでしょうか。
#461
○国務大臣(中曽根康弘君) 現法案に御不満の趣旨は今も拝聴してよくわかるところでございます。政府としてもこの法案をつくるときにはかなり慎重な態度を持って各方面の意見調整に努め、特に党内の意見調整に努めたところで、労働省も苦労したところでございます。現在の雇用状況における女性の関係の現状を見ますと、ある程度妥協せざるを得ないという面も実はあるのであります。妥協しないというとかえって女性の就職の機会が失われるという危険性すらなきにしもあらずでございまして、これはこれでひとつスタートさしていただいて、そしてこの後の状況を見さしていただく、とりあえず早くこれを成立さしていただいて、国連の条約批准を早くやりたい、そう念願しておる次第なのでございます。
#462
○久保田真苗君 婦人条約の批准は私どもも願うところですけれども、私どもはやはりこの法案の基本理念の不徹底というところからして、なぜできるところにも作文を書くそれだけのやる気がなかったのか、それが本当に残念でならないのです。これはどなたにも、使用者側だって別にこれで何も害を受けると思う必要はないんですね。それだけのことをなぜしてくれなかったのかと非常に残念に思うわけなんです。
 ところで、救済機関の実効性についてですが、私、端的に三点ほど挙げます。
 この調停委員会という名前ですけど、これは婦人少年室の相談機関みたいなものですね。それなのに五重六重にガードをめぐらして人が来ないように来ないようにしているんです。まず、委員会が仕事を始めるに当たって双方の同意が要る。つまり、解決の難しいことに対して使用者が同意しなければ仕事を始めないというのは、これは怠慢じゃないんでしょうか。
#463
○政府委員(赤松良子君) お答え申し上げます。
 調停委員会のねらっておりますところは、労使双方が話し合いをしていただいて、互譲の精神で解決を図るということでございまして、一方的に命令をしたりするという趣旨のものではございませんから、それを前提にいたしますと、双方が調停に応ずるという前提がなければ調停を始めてみても意味をなさないと、そのような考え方から最初から調停には双方の同意があって始めるというふうにしたわけでございます。
#464
○久保田真苗君 同じことならばわざわざ括弧書きまでして双方の同意があったときに限るなどと宣伝することないんですよね。これじゃ断ったらいいんですよと言わんばかりなんです。私は同意が仮になくても、この委員会は調停だけをするんじゃないんですね。いろいろな助言や勧告をするわけですから、ですからまず始めて、仕事をやってみて、勉強してケースを学ぶという、そのくらいのやる気がなくちゃいけないと思います。
 次に、現場で調査ができるという、そういう決めがないんですね。「百聞は一見に如かず」で、調査なくして勧告なしなんですよ。
 それから、もう一つ重大なことは、この委員会に申し出た人に対して企業が不利益処分をしないという、そういう担保をする文がないんです。なぜこれはないのですか。
#465
○政府委員(赤松良子君) 調査につきましては、婦人少年室長はこの調停委員会の事務局を努めることになっておりまして、婦人少年室長は調査をすることができるわけでございます。それ以外につきましては、やはり調停の本質的な性格ということからこのような程度のものにするというのが適当であろうというふうに考えた次第でございます。
#466
○久保田真苗君 法律が適当かどうかは、法律は国民のためにあるのであって、その逆じゃないんですね。ですから不利益処分をするなということは、ECの指令なんかには各国に対してこれを条文に入れろという指令をしているんですよ、それは必要だからなんです。今回の場合、委員会が命令もできない、罰則もない、それで調停や勧告をけられればそれっきりと、そういう実効性のないところへ、調停であろうと不利益処分はあり得ますからね、身の危険を冒してここへのこのこ出かけていく人がどれだけあるのでしょう。つまり、この委員会は関古鳥なんですよ。そういたしますと、これはもともと初めっから人が来ないことを願ってつくったんじゃないんですか。大臣、どうなんですか。
#467
○国務大臣(山口敏夫君) 決してそういうことではなくて、やっぱり男女法に伴う附帯的な要素として、その実効あらしめるためにそうした一つの考え方をまとめたわけでございます。特に、行政指導とかいろいろな問題については法律にしろとよく指摘を受けるわけでございますけれども、やっぱり行政指導を徹底することによって法律以上の効果を上げるという場面が労働問題、労使問題には多分にあるわけでもございまして、今久保田先生の御指摘の部分については、そういう規定が結果的に閑古鳥が鳴くと、逆に行くことがかえって自分の権利や利益を阻害するというようなことのないように、我々としては婦人少年室に対しても周知徹底をするということについてはきちっと取り組みたいというふうに考えます。
#468
○久保田真苗君 これは婦人少年室への周知徹底の問題じゃないんですね、大臣は不利益処分を受けないという一文をこの中へ書かなくても絶対に犠牲者は出ないと、そういう保証できますか。
#469
○政府委員(赤松良子君) この調停はもともと両者の合意があって初めて成り立つというのが基本でございますので、その調停を申し立てたからといってそれが不利益処分の対象になるということはあってはならないし、またそのようなことがないように、室長その他私どもそのようなことがないように努力をいたすつもりでございます。
#470
○久保田真苗君 あなたの努力の問題じゃないんですね。絶対にないためには、ここに確実に不利益処分を受けないと書いておかなければならないんですよ。なぜこれ書くことができないのですか、どうしてそんな不精なことをするのですか。こんなのおかしいですよ、実効性もないのに犠牲が出るかもしれないなんて法律じゃとてもいただけないですね。
#471
○政府委員(赤松良子君) 確かに不利益処分についての規定を設けた法律はいろいろとあるかと存じますが、それはそのもとの条文が非常に強い規定でございまして、このような調停というようなものについてそれほど強い不利益処分の禁止規定というものを設けるということはバランスを失しているのではないかというふうに考えた次第でございます。
#472
○久保田真苗君 バランスの問題じゃないんですよ。法律のために婦人労働者が犠牲になっちゃ困るんですよ。だからこれを担保するために書いてほしいと言っているんですね、どうです大臣。
#473
○国務大臣(山口敏夫君) 先生の御発言もどざいますが、確かにいろいろ法律上の規定を盛らないと不当労働行為その他の立場で論議できないと、こういう点もございますけれども、これはまあ先ほど来申し上げておりますように、男女法の成立に向かっていろいろな御論議が、審議会やまた法制局やそうした専門機関とも協議した上で、まあ現行の法律の中においては先ほど先生の御指摘のような三条件を婦人少年室を窓口として労使双方の、特に女子労働者の不当な労働条件というものの強要がないようにということで枠組みを決めさしていただいたと、こういう経過もございます。いろいろ御発言を伺っておりまして、ついついうなずいてしまうような部分もございますけれども、やはり私は先ほど来発言さしていただいておりますように、男女法の性格とそして生い立ちとこれからの社会の男女の平等、公平の間願を一層広げていく上におきまして、そうした基本的な悪い立場からの指摘、御心配ということもございましょうけれども、ひとつ政府で今提出しておる法律を起点として、まあ男女の平等、公平の拡大を進めていくという一つの理念をぜひ御理解をいただきたいということを申し上げたいと思うわけでございます。
#474
○久保田真苗君 大臣、もしものときにはどうやって責任とってくださいますか。
#475
○国務大臣(山口敏夫君) 私は、これだけ情報化時代における情報化社会、また人間の人権、人格が尊重されなければならない世の中でございまして、女子労働者に限らず、もし男子労働者であってもそうした不当、不法な労働行為が強要されたり、労働者の不利益が改善されないというようなときは、これはもう経営側にとっても、その労働者に対する問題以上に、大きな不利益と社会的な指弾も受けるということもあるわけでございまして、我々としてはそういうことのないようにいろいろな法的な機関、あるいは労働省としてもそうした問題に対してもこれは全力を挙げて取り組むわけでございますし、またそうした不当な労働行為の中にただただ泣いて辛抱するということでもないわけでありますから、十分こうした国会等の論議も踏まえて労働者の、特に女子労働者の労働福祉や労働条件の改善に、そうしたケースをてこにさらに取り組んでいくということにおいて責任を果たしたい、かように考えます。
#476
○久保田真苗君 犠牲者が出たときはそれじゃどうぞ辞表をお願いいたしますね。
 ところで私、最後に時間の関係で一つだけ伺います。
 条約における保護規定の扱い、これは外務省はどのように解釈していらっしゃいますか。
#477
○政府委員(山田中正君) 女子差別撤廃条約におきましては、妊娠、出産、保育を除いて基本的に男女間に異なる取り扱いをする差異はないとの考えに立ちまして、女子労働者が男女の平等を基礎として人権を享有するような、基本的に労働条件を男女同一にいくことを求めておる、このように理解いたしております。
#478
○久保田真苗君 保護規定というのは女子保護規定に限らないんですね。女子保護規定は必ず労働基準法の他の部分に、もっと基本的な部分に結びついているんですよ。ですから、私はこれが条約に言っているのは、保護立法は科学的、技術的知識に照らして定期的に検討し、必要に応じて修正、廃止またはその適用を拡大すると、こう言っているので、何か必要なのか、それを定期的に検討していきなさいということなのであって、この日本の場合の労働の基準、その水準というものと不可避的に結びついていると思うんですね。
 それで、私はこの点につきまして労働大臣に、この日本の労働時間、長時間労働、それからこれに対する規制、この問題を次の機会にやりたいと思いますけれども、きょうは労働大臣がどういう認識を持ち、どういう対応をしようとしているか、それをおっしゃってください。
#479
○国務大臣(山口敏夫君) 労働時間短縮の問題はやはり労働者の労働福祉、労働条件の改善にとどまらずに、長期的には高齢化時代を迎えての雇用の問題にもつながっておりますし、また国際社会からは、安恒先生御指摘ございましたけれども、労働摩擦の原因にもなっておるというようなことで、非常に長時間労働という問題は幾つもの問題の中からこれが指摘を受けている、これが現実だという認識を持っております。
 したがいまして、労働省としましては、そのための有給休暇の完全消化でございますとか、あるいは今労働基準研究会において労働時間の問題を最終的な結論を得べく御論議をいただいておりますとか、また、それに付随して与野党で検討を合意した連続休暇の問題等を含めた労働時間の問題に対する取り組みということも御論議いただいておるわけでございますので、我々としては今行政指導を通じまして、労働時間の問題、あるいはそれに付随する連続休暇の問題等につきましては、最重要政策課題の一つという認識を持って取り組まさせていただいております。
#480
○久保田真苗君 時代逆行の水準を来たすような今回のこの労働時間の女子の残業規制の大幅緩和、これはこの次にあれしますけれども、本当にこれはよく考え直していただきたい。ともかく、これは国際問題だと思うんですよ。
 私、最後に残った時間で安保条約と地方自治という題できょうやりたいと思っていましたものについて、とば口のところだけ外務省その他に伺っておきたいと思うんです。
 まず、この際伺いたいのは、日米安全保障条約第六条によるいわゆる地位協定と、それに二十五条による日米合同委員会が設けられていますが、この合同委員会は協議機関と性格づけられているんですね。協議機関であれば、お互いに意見を出し合って、物事を相談して決めていく、こういうことなのでしょうか。
#481
○政府委員(栗山尚一君) 基本的には委員の今おっしゃったような性格のものと御理解いただいてよろしいと思います。
#482
○久保田真苗君 事情があって、一度決めたことを変更する必要がある場合にはどうするんでしょうか。
#483
○政府委員(栗山尚一君) 委員会で、日米双方でこれはお互いに政府を代表して協議をいたすわけでございますから、一たん合意が整ったものは、当然、一種の国際約束でございますので、これを見直すという場合には改めて両者話し合いを行って、双方の合意によって既存の合意を修正する、こういうのが基本的な手続でございます。
#484
○久保田真苗君 今までに変更した前例があるでしょうか。
#485
○政府委員(栗山尚一君) 合同委員会で一番典型的な合意は、御承知のように施設、区域の提供でございます。
 過去におきまして、もちろん一たん提供された施設区域が米軍側によって不要になりまして、その全部あるいは一部を返還するというようなケースが多々ございます。そういうような場合に、一たん米軍に提供された施設区域を返還するための合意というものを改めて行うというケースもこざいます。
 それから、そういう施設区域の提供を離れまして、例えば航空管制につきまして日米間にあります合意を必要があって修正した、こういうようなケースもございます。
#486
○久保田真苗君 安保条約に基づく米軍基地及び自衛隊の基地に関して、たくさんの地方公共団体がいろいろな問題を抱えているわけなんです。安保条約は国と国との約束であっても、そこから出てくるいろいろな具体的な施設及び区域の選定に関しては、ある場合には純然たる国内問題であり得る場合があるんですね。その場合、地方公共団体が影響を受けたり、被害をこうむる、そういう場合に、住民の意向に沿って意見を言ったり、反対したり、あるいは合理的な解決を求めるのは、私は当然だと思うんですがね。できたらば、このことについて総理にお答えをいただきたいのです。
#487
○委員長(長田裕二君) 久保田君、時間が参りました。
#488
○国務大臣(古屋亨君) お答えいたします。
 恐らく逗子の問題であると考えますが、一般的に私どもとしましては施設庁なら施設庁、それから地元の間で相互理解の上に円滑に話が進むことを自治省としては期待をし、またそうあってほしいと思っております。
#489
○委員長(長田裕二君) 以上で久保田君の質疑は終了いたしました。
    ─────────────
#490
○委員長(長田裕二君) この際、公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和六十年度総予算三案審査のため、来る三月二十六日に公聴会を開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#491
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#492
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 明日は午前十時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
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