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1984/03/25 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 予算委員会 第14号
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1984/03/25 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 予算委員会 第14号

#1
第102回国会 予算委員会 第14号
昭和六十年三月二十五日(月曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十三日
    辞任         補欠選任
     神谷信之助君     近藤 忠孝君
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     浦田  勝君     宮島  滉君
     竹山  裕君     関口 恵造君
     山東 昭子君     石井 一二君
     峯山 昭範君     高桑 栄松君
     矢原 秀男君     藤原 房雄君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         長田 裕二君
    理 事
                井上  裕君
                岩本 政光君
               大河原太一郎君
                梶木 又三君
                亀井 久興君
                志苫  裕君
                太田 淳夫君
                内藤  功君
                伊藤 郁男君
    委 員
                安孫子藤吉君
                岩動 道行君
                石井 一二君
                板垣  正君
                海江田鶴造君
                梶原  清君
                古賀雷四郎君
                沢田 一精君
                志村 哲良君
                杉山 令肇君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                土屋 義彦君
                成相 善十君
                鳩山威一郎君
                林 健太郎君
                増岡 康治君
                宮澤  弘君
                宮島  滉君
                森田 重郎君
                穐山  篤君
                久保  亘君
                久保田真苗君
                村沢  牧君
                矢田部 理君
                安垣 良一君
                和田 静夫君
                桑名 義治君
                鈴木 一弘君
                藤原 房雄君
                近藤 忠孝君
                柄谷 道一君
                木本平八郎君
                野末 陳平君
   国務大臣
       法 務 大 臣  嶋崎  均君
       外 務 大 臣  安倍晋太郎君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
       文 部 大 臣  松永  光君
       厚 生 大 臣  増岡 博之君
       農林水産大臣   佐藤 守良君
       通商産業大臣   村田敬次郎君
       運 輸 大 臣  山下 徳夫君
       労 働 大 臣  山口 敏夫君
       建 設 大 臣  木部 佳昭君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    古屋  亨君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 藤波 孝生君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (国土庁長官)  河本嘉久蔵君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  加藤 紘一君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       金子 一平君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       竹内 黎一君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  石本  茂君
       国 務 大 臣
       (沖縄開発庁長
       官)       河本 敏夫君
    政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長
       兼内閣総理大臣
       官房審議室長   吉居 時哉君
       人事院総裁    内海  倫君
       人事院事務総局
       管理局長     網谷 重男君
       内閣総理大臣官
       房審議官     田中 宏樹君
       臨時行政改革推
       進審議会事務局
       次長       山本 貞雄君
       日本国有鉄道再
       建監理委員会事
       務局次長     林  淳司君
       警察庁交通局長  太田 壽郎君
       総務庁長官官房
       審議官      手塚 康夫君
       総務庁行政管理
       局長       古橋源六郎君
       総務庁行政監察
       局長       竹村  晟君
       総務庁恩給局長  藤江 弘一君
       総務庁統計局長  時田 政之君
       北海道開発庁計
       画監理官     滝沢  浩君
       経済企画庁調整
       局長       赤羽 隆夫君
       経済企画庁物価
       局長       斎藤 成雄君
       経済企画庁総合
       計画局長     大竹 宏繁君
       経済企画庁調査
       局長       横溝 雅夫君
       科学技術庁研究
       調整局長     内田 勇夫君
       環境庁長官官房
       長        岡崎  洋君
       環境庁大気保全
       局長       林部  弘君
       国土庁長官官房
       長        永田 良雄君
       国土庁長官官房
       会計課長     北島 照仁君
       国土庁計画・調
       整局長      小谷善四郎君
       国土庁地方振興
       局長       田中  暁君
       国土庁防災局長  杉岡  浩君
       法務大臣官房長  岡村 泰孝君
       法務省人権擁護
       局長       野崎 幸雄君
       外務省アジア局
       長        後藤 利雄君
       外務省欧亜局長  西山 健彦君
       外務省経済局長  国広 道彦君
       外務省条約局長  小和田 恒君
       大蔵省主計局長  吉野 良彦君
       大蔵省主税局長  梅澤 節男君
       大蔵省関税局長  矢澤富太郎君
       大蔵省理財局長  宮本 保孝君
       大蔵省理財局次
       長        中田 一男君
       国税庁直税部長
       兼国税庁次長心
       得        冨尾 一郎君
       文部大臣官房長  西崎 清久君
       文部省初等中等
       教育局長     高石 邦男君
       文部省社会教育
       局長       齊藤 尚夫君
       厚生大臣官房総
       務審議官     長門 保明君
       厚生省社会局長  正木  馨君
       厚生省援護局長  入江  慧君
       農林水産大臣官
       房長       田中 宏尚君
       農林水産大臣官
       房予算課長    鶴岡 俊彦君
       農林水産省構造
       改善局長     井上 喜一君
       農林水産省畜産
       局長       野明 宏至君
       食糧庁長官    石川  弘君
       林野庁長官    田中 恒寿君
       水産庁長官    佐野 宏哉君
       通商産業省基礎
       産業局長     野々内 隆君
       中小企業庁次長  黒田 明雄君
       運輸大臣官房国
       有鉄道再建総括
       審議官      棚橋  泰君
       運輸省地域交通
       局長       服部 経治君
       気象庁長官    末廣 重二君
       労働省婦人局長  赤松 良子君
       労働省職業安定
       局長       加藤  孝君
       建設大臣官房長  豊蔵  一君
       建設大臣官房会
       計課長      望月 薫雄君
       建設省都市局長  梶原  拓君
       建設省河川局長  井上 章平君
       建設省道路局長  田中淳七郎君
       建設省住宅局長  吉沢 奎介君
       自治大臣官房長  津田  正君
       自治大臣官房審
       議官       石山  努君
       自治大臣官房審
       議官       土田 栄作君
       自治省行政局長  大林 勝臣君
       自治省財政局長  花岡 圭三君
       自治省税務局長  矢野浩一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        桐澤  猛君
   説明員
       日本国有鉄道総
       裁        仁杉  巖君
   参考人
       地震予知連絡会
       会長       浅田  敏君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和六十年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○昭和六十年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○昭和六十年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(長田裕二君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和六十年度一般会計予算、昭和六十年度特別会計予算、昭和六十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
    ─────────────
#3
○委員長(長田裕二君) まず、一般質疑についての理事会における協議決定事項について御報告をいたします。
 審査日数は四・五日分とすること、質疑時間は自由民主党・自由国民会議及び日本社会党それぞれ百八十七分、公明党・国民会議百十七分、日本共産党及び民社党・国民連合それぞれ四十七分、参議院の会及び新政クラブそれぞれ二十三分とすること、質疑順序等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。
 右、理事会の決定どおり取り運ぶことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(長田裕二君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和六十年度総予算審査のため、本日の委員会に地震予知連絡会会長浅田敏君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、出席時刻等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#8
○委員長(長田裕二君) それでは、これより村沢牧君の一般質疑を行います。村沢君。
#9
○村沢牧君 私は、去る十八日の総括質問で政府の答弁が不十分であったために後日に回した問題二項目について最初に質問いたします。
 まず、地方行革についてでありますが、臨調答申、行革審答申に基づいて地方行革大綱が決定をされ、これを地方に通達しているわけでありますが、この大綱は余りにも地方公共団体の固有の問題、プロパーの問題に介入し過ぎているわけであります。自治大臣はどういうふうに思いますか。
#10
○国務大臣(古屋亨君) 地方行革大綱は、昨年十二月四日の地方制度調査会の答申を踏まえまして十二月二十九日に閣議決定された六十年行革大綱、つまり行政改革の推進に関する当面の実施方針を受けて策定されたものであります。地方公共団体といたしましても、最近の地方行財政をめぐります極めて厳しい環境の中で今後における住民の多様なニーズにこたえるためには、総力を挙げて行政改革を進めることが必要だという考え方でございます。このため、地方公共団体における行政改革の指針として地方行革大綱をつくりまして、地方公共団体に対し自主的、総合的な行政改革を推進するよう要請いたしました。各地方団体における具体的な行政改革につきましては、すべて当該地方団体において自主的に決定し、実行すべきものとしておりまして、私どもはそういう方針で今後も進めてまいりたいと思います。
#11
○村沢牧君 行革大綱を決定したことについて私は異議を言っているわけではありませんが、この行革大綱が地方の固有の事務に介入し過ぎているんだ、そのことを聞いているわけなんです。
#12
○国務大臣(古屋亨君) 行革大綱におきましては、地方公共団体を取り巻く現在の厳しい状況にかんがみまして、すべての地方団体が足並みをそろえて総力を挙げて行政改革の推進を図るために委員会、推進本部等、行革推進体制の一層の整備を図りますとともに、行政改革大綱を策定いたしまして公表するものとしておりますが、行政改革大綱におきまして何をどのように改革改善するかにつきましては、あくまで地方公共団体が地域の実情において自主的に決定すべきものと考えておりまして、地方公共団体を拘束するようなことは全く考えておりません。
#13
○村沢牧君 この行革大綱を見ると、こんなこと
まで国が指摘しなくても、あるいは要請しなくてもいいのではないかと思われることがたくさんあるわけでありますが、今大臣からお話がありましたように、この行革大綱は地方公共団体固有の問題について地方公共団体を拘束するものではない、このことが確認されますか。
#14
○国務大臣(古屋亨君) 行革大綱は、地方行革におきまして何をどのように改革改善するかにつきましては当該地方公共団体の実情において自主的に決定をしていただきたい、地方公共団体の自主性を十分に尊重してまいりたいと思っております。
#15
○村沢牧君 そうすると、地方公共団体がこの行革大綱に沿わない行動をとったとしても、自治省はこれに対して圧力あるいはペナルティーというようなことは絶対に科してはならないというふうに思いますが、どうですか。
#16
○国務大臣(古屋亨君) 地方行革につきましては国や都道府県の指導、援助することがあることは当然でございますが、あくまで地方公共団体の自主的、総合的に推進すべきものと考えておるわけでありまして、地方行革大綱に関連して行財政上の特別のペナルティーとか、そういう措置は考えておりません。
#17
○村沢牧君 地方行革大綱をつくるまでの経緯、その内容を見ると、一貫して流れている思想は、自治の尊重、分権の思想を二次的なものとしか考えておらなくて、地方公共団体を国の出先機関、あるいは地方を信用しないという態度であって、これでは憲法の精神にも反するというふうに思いますが、自治大臣どうですか。
#18
○国務大臣(古屋亨君) 行革大綱におきまして地方行革の重点事項として七項目を取り上げておるのでございますが、これは当面地方公共団体が行革を推進する上で検討すべき重点項目として考えれば、一つの基準的なものとして総括的に掲げたものでございます。地方行革大綱はこれらの重点項目を示しておりますが、基本的な考え方はあくまでも地方公共団体が自主的、総合的に推進すべきものとしておるのでありまして、地方公共団体の自主性を十分尊重しておるものと考えております。
#19
○村沢牧君 こうした大綱をつくり、画一的な行革を押しつける、しかも実施状況の報告義務を課するということは、国が地方公共団体の監督指導を一層強めて、やがては中央集権化をねらっている、そのように指摘する向きもある。私もそのように思うのですけれども、この点については総務長官並びに自治大臣から答弁をしてください。
#20
○国務大臣(古屋亨君) 地方公共団体の行政改革大綱につきましては、策定後の実施状況等を把握する必要がありますため一定の報告を求めることとしておりますが、これは地方公共団体の行財政運営について指導、助言する立場から報告を求めるものでありまして、中央集権化にはつながらない、絶対そういう気持ちはないということを申し上げておきます。
#21
○国務大臣(後藤田正晴君) 今日の国全体の仕組み、国と地方が複雑に絡み合いながら並行して全体の行政が行われている、したがって行政改革をやる場合もやはり車の両輪として国もやる地方もやる、もちろんその際に地方は自主的にやるということはこれは当然の話であろう、こう思いますが、その際にぜひひとつ地方団体にお考え願いたいことは、地方分権あるいは地方自治といっても、これは地方の首長のための自治でもなければ組合のための自治でもありません。これはあくまでも住民のため、つまりは納税者のためである。したがって、今日の地方行政のあり方について国民世論がどのようなものであるかということは、真剣にひとつ地方団体の方々もお考えいただいて取り組んでいただかなければ私はいけないのではないか。かように思うわけでございます。
 政府として地方行革をお願いし、そしてまた指導の立場にある自治省から御案内のような指針というものが出たわけでございますから、地方もやはりこういった線は十分ひとつ尊重して自主的立場でやっていただきたい、かように思っておるわけでございます。
#22
○村沢牧君 私も、地方公共団体でも改革をしなければならない問題点があることを否定するものではありません。しかし、地方はその実態に応じて、むしろ国の行革よりも進んでおるところがたくさんあるわけなんです。したがって、政府としてなすべきことは、地方行革の障害となっているものを取り除いて行革推進の環境づくりをすることである、また地方の補助金をカットするというようなことではなくて、権限移譲に伴って財源も移譲することであるというふうに思いますが、この点については総務庁長官並びに大蔵大臣の答弁を求めます。
#23
○国務大臣(後藤田正晴君) この点はしばしば委員会等でもお答えをしておるわけでございますが、地方行革、これは地方みずからの手によってやっていただきたいのだけれども、その地方の行革をいわば阻害しておるといった中央各省の考え方があることは、これは私は否定をいたしません。そういうような立場で、やはり国の過剰関与あるいは必置規制、こういったものの見直し、あるいは補助金の合理化、特に人件費補助金等のものによっては廃止あるいはまた交付金化、こういったことも当然やらなければならぬ大きな課題であろう、かように考えるわけでございますが、一連のそういった国が一口に言えば過剰関与し過ぎておるということについては中央各省も真剣に取り上げていただかなければなりませんし、今回の国全体の行政改革の大きな課題として従来から私どもやっておりますし、同時にこの国会にも御提案申し上げているものもありますし、あるいは機関委任事務の見直し、こういったような非常に重要な課題についても行革審で今御審議願っておりますが、引き続いて取り組んでまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#24
○国務大臣(竹下登君) 私どもといたしましても今国、地方を通ずる厳しい財政状況にかんがみまして、地方公共団体におかれても定員の合理化、適正化あるいは給与等の適正化、事業運営の合理化、効率化、これらが行われることによって地方行革が推進されることが心から望ましいことの一つだというまず前提にあります。そうして、それぞれの住民の方々は、これはすべて我が国の国民であるわけでございますので、したがって今度は国と地方とのいわゆる車の両輪としての役割の問題が議論さるべき当然の課題だと思います。
 そこで、税財源の配分、そういうことをこの前提に置きながら両者の役割分担、そしてまた費用負担のあり方、こういう議論は絶えずしていかなければならぬ問題だと思っております。したがって、今国会にお願いしておるこの問題につきましても、あるいは高率補助率の引き下げとかいう問題をお願いしておるわけでありますが、これについてもいわば地方財政計画全体の中でやっぱり適切な措置が行われることによって、単なる地方への負担のしわ寄せであるというような措置にしてはならないということを絶えず念頭に置いて対処してまいるつもりでございます。基本的に、税源配分のあり方というような問題につきましても、両者の公経済を支える両輪としての役割の中に適切な対応が絶えず模索されていかなければならない課題だというふうな認識の上に立っております。
#25
○村沢牧君 大蔵大臣、私が指摘していることは、地方行革といい、さらに地方に対して権限移譲というけれども、今大蔵省が言っているような地方の補助金をカットするような、そういう方向であってはいけないということを私は言っているのです。ですから、それだけ地方に権限を移譲していく、地方に期待するのだったら、それに伴うやっぱり税財源の再配分をしなければならない、そのことを私は指摘をしているんです。
#26
○国務大臣(竹下登君) これも先ほど後藤田大臣からもお答えがありましたように、いわゆる補助金でカットした問題もございます。それはそれなりに地方自治体の仕事として定着してきたと判断されるものは、あるいは人件費補助等の交付金化というような措置をとらしていただいておること
も事実であります。だから、権限移譲に伴えば当然それだけの事務分担もふえてまいります。それらの問題も国と地方との、なかんずく地方財政全体のあり方の中でこれが十分消化できるという、またそれに対して適切な対応措置ができるということがないままで、ただやたらと権限移譲のみで財源はなしよという形で対応すべきものではないという基本認識は、私も等しくしておるではなかろうかというふうに考えます。
#27
○村沢牧君 第二点は、消費者米価の問題でありますが、先日の委員会で消費者米価引き上げの根拠について質問した際、大蔵省は売買逆ざやの解消に努めるため消費者米価を引き上げた、こういう答弁をしていますが、この答弁に変わりありませんか。
#28
○政府委員(吉野良彦君) 先日の御答弁で、売買逆ざやの解消に政府として従来から努力を続けておりますし、今度の六十年度の予算編成に関連をいたしましても、売買逆ざやの解消ということに私どもとしては大きな努力をしたということを申し上げたわけでございますが、法律的な根拠ということになりますと、これは当然のことながら、食糧管理法に基づいて適正に決定をされたというふうに承知をいたしております。
#29
○村沢牧君 食管法という法律があって、消費者米価、生産者米価の決定の方法を決めているのですから、大蔵大臣、政府としては法律に基づいてやっぱりこれらの価格決定の努力をしなければならないという点はどうですか。
#30
○国務大臣(竹下登君) これは基本にありますのは、おっしゃいますとおり私はやっぱり食管法そのものが基本であると思っております。その法律に基づいて決める背景にありますのは、やっぱり政府売り渡し価格につきましては、まずは売買逆ざやの縮小というものが今日まで図られてきておりますが、なお逆ざやが存在して、臨調最終答申等におきましても、その早期解消が強く求められておること、そして米にかかりますところの財政負担がなお相当なものであるということを総合的に勘案して、消費者家計の安定また物価への影響等を十分配慮しながらこの引き上げを実施することとしたものでありまして、もとより基本は、おっしゃいますとおり食糧管理法ということが基本にあることは事実であります。
#31
○村沢牧君 基本は食糧管理法である。なるほど財政事情も考慮しなければならないでしょうけれども、食糧管理法は、まず第一に消費者の家計の安定を図ることをもって、その他の経済事情を参酌して米価を決めなさいと、こうなっている。家計の安定ということが第一義だというふうに思いますが、どうですか。
#32
○国務大臣(竹下登君) 家計の安定ということをまず第一義的に十分これは配慮をいたしまして、今日のいわば上げさしていただくことに決まりましたこの率にいたしましても、これが今消費支出の中に占める割合等からして、家計そのものを大きく崩す要因にはならないという判断の上に立って、それに加えて財政事情等々を配慮して決めさせていただいた、こういう筋になろうかと思われます。
#33
○村沢牧君 くどいようですが、米価決定に当たっては食管法に基づいて決めていく、このことを確認してよろしいですね。
#34
○政府委員(吉野良彦君) おっしゃるとおり食糧管理法に基づいて適正に決定をされているというふうに考えております。
#35
○村沢牧君 大蔵省に重ねてお伺いいたしますが、生産者米価の決定については大蔵省はどのような見解を持っていますか。
#36
○政府委員(吉野良彦君) 生産者米価につきましても、御案内のとおり食糧管理法にその規定がございます。その規定に従いまして年々適正に決定をされているというふうに承知をいたしております。
#37
○村沢牧君 大臣にお伺いいたしますが、御承知のとおり生産者米価についても食糧管理法に規定がある。したがって、この価格決定の方式は二重米価というか、そのことが食管法の根幹にもなっているわけです。したがって、食管法を堅持すると総理も言っているのですが、そうすれば売買逆ざやが生じてもやむを得ない、ある面においては生ずるのが当然と言うと行き過ぎだと思いますが、当然だというふうにも思うのですが、どうなんですか。
#38
○国務大臣(竹下登君) まさに逆ざやが存在することが当然だというよりも、あり得る姿だという認識は私も持っております。しかしながら、やっぱり物の価格ということのあり方として、これをコスト逆ざやでなく売買逆ざやということに限定してみますと、確かに物の価格のあり方から見ると不自然だな、こういう感じは常識的には一応持つわけであります。しかも今日の家計支出に占める米支出のウエート等からいたしまして、やっぱり売買逆ざやというものが存在しておるということを可能な限りそれがノーマルな形にしていくための努力というものは、これは財政当局側から見ても、当然その努力はなされてしかるべきではなかろうか。しかし、本来売買逆ざやがあってはならないということを言うべき性格のものでは食管法はないというふうに私は考えております。
#39
○村沢牧君 そうすると大臣、生産者米価が上がったから、それに連動して消費者米価を上げていくのだという、そういう根拠は成り立たないわけですね。
#40
○国務大臣(竹下登君) やっぱりその問題は、消費者米価を仮に据え置くとしたら、売買逆ざやを拡大するという財政上の要因にはなろうかと思われるわけであります。しかしながら、今日消費者米価を上げていく場合におきましては、やはりおっしゃいましたように、家計支出の中に占める米支出の割合とかいうような、いわば消費生活全体を見通しながらやっていくべき問題であって、財政状態を抜きにして必ず連動すべきものであるという性格であるとは私も思っておりません。
#41
○村沢牧君 その売買逆ざやは過去最低の一・九%となって、かつては生産者から米を高く買い、消費者には安く売る、こういう食管法の運用であったわけですけれども、現在では逆ざやでなくて一部のものは順ざやになっているんです。消費者米価の方が高くなってきている。したがって、大蔵省としてはこれ以上まだ売買逆ざやを解消しようとするのですか。
#42
○国務大臣(竹下登君) これは物によっては確かにおっしゃるような御指摘になっておるものもございますが、しかし全体として見た場合、まだ逆ざやというものが大きく財政支出というものにそのままつながっておるという事実を総合的にやっぱり見るべきではなかろうかなというふうに考えます。
#43
○村沢牧君 大蔵大臣、そうは言ってもことしの農水省予算は各省庁で一番切り込みが大きかった。その中でも食管会計が七四・二%も減って、これだけ食管会計も減っているのですよ。だから逆ざやも、これが少なくなった、これ以上なくしていこうという財政的な面だけ考えて今後取り組んでいくのですか。
#44
○国務大臣(竹下登君) それはやっぱり村沢さん、どうしても農林予算というものを見た場合には、確かに今度の御審議いただいております予算の中にも、いわば食管に関係する部分が減ってきておることは、これは事実でございます。ただ、それは必ずしも食管そのものをねらい撃ちにしたとかいうことではなく、あくまでも総合した農業政策の中でとった結果として出てきた数字であるわけでございますので、一つ一つにつきましては食管法というものが現存しておる、そしてこれは守るべきものだ、こういうふうに中曽根総理もお答えをしておることは十分認識の上に立って対処した最も現状において最善のものなりとして御審議いただいておるわけでございますから、私どものそれに対する努力と、そして関係方面へ理解を求めていくその努力というものに対して御理解をいただきたいものだというふうに考えます。
#45
○村沢牧君 余り理解もできませんが、経企庁に質問しますが、消費者米価の決定に当たって経企庁が難色を示して米価審議会の冒頭に諮問をする
ことができないというような異例の事実があったわけですけれども、経企庁はどういう見解を持ったのですか。
#46
○国務大臣(金子一平君) 公共料金の改定に当たりましては、物価なり家計への影響全体を十分に配慮いたしまして、物価担当官庁として厳正な対処をすることに従来からやってまいっております。それで、今回の消費者米価につきましても、改定幅なり実施の時期等について関係官庁と十分連絡してやりました。その調整の時期が多少かかったということでございまして、他意ございません。
#47
○村沢牧君 河本前経企庁長官は、年度の途中で二回も消費者米価を上げることはしませんということをかつて言っておったのですが、これは二回上げちゃったんですね。この三・七%という率が物価なり消費者家計に及ぼす影響というのはどういうふうに考えるのですか。
#48
○国務大臣(金子一平君) 今回の消費者米価の引き上げは、大体〇・一%ぐらいの物価上昇になりましたことは事実でございます。できるだけ年一回にとどめたいということで努力したのでございまするが、農水省、大蔵省それぞれの立場もございまして、最終的には実施の時期をずらすことにいたしましたけれども、上げ幅は二回やらざるを得なかった、こういうことでございます。
#49
○村沢牧君 結果的にはそういうことになってしまったけれども、しかし前の長官がそういう約束をしているのですから、これは経企庁としても約束守らなければ困るというふうに思いますけれども、この問題余り長くやっているわけにいきませんから次に移りますけれども、大蔵大臣、重ねて申し上げますけれども、消費者米価、生産者米価の決定に当たってはあくまで食管法に基づいて今後とも取り扱ってください。強く要請しておきます。
 次は、捕鯨問題について伺います。政府は、閣議の決定によって国際捕鯨委員会、つまりIWCに対し国際捕鯨取締条約の規定に基づいて異議の申し立てを行ったが、その理由を外務大臣明らかにしてください。
#50
○国務大臣(安倍晋太郎君) 御指摘の異議申し立ては商業捕鯨全面禁止決定に対するものを指してと考えるわけですが、その理由としましては、個々の鯨資源の状態のいかんを問わず商業捕鯨を全面的に禁止するということは科学的な根拠を欠くものであるということが第一点であります。次に、同決定は鯨が食習慣その他の面で我が国の伝統、文化に深く根差しておるということ、また捕鯨業が地域産業として重要な役割を果たしていることを十分考慮していない、こういう立場から異議の申し立てを行ったわけであります。
#51
○村沢牧君 農水大臣にお聞きをするけれども、異議の申し立てを行ったということはIWCの決定に拘束されない条件で操業を行う、すなわちIWCで決定された枠以上に鯨をとる、こういう意思があってのことだというふうに思いますが、どうですか。
#52
○政府委員(佐野宏哉君) IWCが決定をいたしました頭数の枠について異議申し立てを行いましたのは、先ほど外務大臣から御答弁のございました商業捕鯨モラトリアムの方ではなくて、今期の南氷洋のミンククジラの捕獲頭数についてでございます。南氷洋のミンククジラの捕獲頭数につきましては、我が国は異議申し立てを行いましたので、当然国際捕鯨委員会が決定をいたしました捕獲頭数枠には拘束されないという立場であります。
#53
○村沢牧君 拘束は異議申し立てをすればもちろんされないわけですけれども、これは枠以上にとる、とりたいという意思があって申し立てをしたのではないですか。
#54
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 私どもといたしましては、昨年のブエノスアイレスの国際捕鯨委員会の会議で決定されましたミンククジラの捕獲頭数の削減は科学的根拠を欠くものであると考え、ブエノスアイレス会議で決定された頭数を上回ってとっても差し支えないものと考えておりました。
#55
○村沢牧君 そのような根拠に基づいて異議の申し立てを行ったが、結果的には捕鯨船団はIWCで決定された捕獲頭数の千九百四十一頭の捕獲を忠実に守って漁場を離れている。これは農水大臣の指示によるものですか。
#56
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 私どもといたしましては、千九百四十一頭を超えて捕獲してもパックウッド・マブナソン修正法が発動されるということにならないように米国政府と協議をすべく、いろいろ粘り強く働きかけておったところでございまして、そういう状況にもかかわらず業界の御判断で千九百四十一頭で操業が打ち切られたわけでございまして、千九百四十一頭で操業を打ち切るようにというふうに私どもが指示したことはございません。
#57
○村沢牧君 農水大臣はもっととってもいいと言ったけれども、業界の方で枠内におさめて帰ってきたという。農水省としてはなぜそれで打ち切ったかというその判断はどういうふうに理解しているのですか。
#58
○政府委員(佐野宏哉君) 私どもといたしましては、先ほど言及いたしましたパックウッド・マグナソン修正法というものが存在すること自体及びパックウッド・マグナソン修正法とマッコウクジラの捕獲をめぐって現にアメリカで行われております訴訟、ことにそれが第一審判決において行政府側が敗訴しておる、そういう事実を念頭に置かれたものと考えております。
#59
○村沢牧君 外務大臣、今答弁があったように、政府はいろいろな根拠に基づいて異議の申し立てを行った。しかし、最近新聞の報道によると、また政府が異議の申し立てを撤回するような方針を固めたというふうに言われておる。先日の委員会で佐野水産庁長官はこのことを否定しているのですが、今後の方針を含めて外務大臣の見解を聞きたい。
#60
○国務大臣(安倍晋太郎君) 政府としましては、国際捕鯨委員会の商業捕鯨全面禁止決定に対する異議申し立て撤回の方針を今決めているわけではございません。我が国としましては、反捕鯨という国際的な趨勢の中で、国際捕鯨委員会及び日米捕鯨協議の場で捕鯨存続のために厳しい対応を迫られてきていることは事実であります。政府としましては、こうした国際的環境及び国内における議論を考慮して今後の方針を決めてまいりたいと考えております。
#61
○村沢牧君 米国は我が国がこの四月一日までに異議申し立てを撤回しなければ制裁措置をとると言っている。我が国に何を求めようとされているのか、政府としての見解を示してください。
#62
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 昨年のボールドリッジ書簡に盛り込まれておりますアメリカ側の意図は、モラトリアム発効後二シーズンの捕獲を認めて、その後で効力を生ずるような、その効力発生の時期は二シーズン後になりますが、商業捕鯨モラトリアムに対する異議申し立てを撤回することを求めているわけであります。
#63
○村沢牧君 撤回しなかったならばどういう制裁措置をアメリカはとろうとしているのですか。そのことについて聞いているのです。
#64
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 これは米国行政府の意図と申しますよりはパックウッド・マグナソン修正法そのものに書いてあることでございますが、証明が行われますれば当該年におきます漁獲割り当ての五〇%削減、翌年における漁獲割り当てをゼロにするということがパックウッド・マグナソン修正法によって規定されておるわけでございます。
#65
○村沢牧君 それは鯨だけでなくて、北洋漁業も含めて全体を指すわけなんですか。
#66
○政府委員(佐野宏哉君) これは鯨ではございませんで、米国二百海里水域内における漁獲割り当てに関する規定でございます。
#67
○村沢牧君 外務大臣に重ねてお伺いしますが、もし日本が仮に、今外務大臣は異議の申し立てを撤回する気持ちがありませんというふうにおっし
ゃっておりましたが、私はその態度でいいというふうに思うのですが、仮にこの異議の申し立てを撤回するとするならば、アメリカはパックウッド・マグナソン修正法の発動をやめて、今後とも米国水域で日本漁船の操業がこれまでどおりできるという、こういう保証はお持ちですか。
#68
○国務大臣(安倍晋太郎君) 異議申し立ての撤回については、今のところまだ方針は決めてないということを申し上げたわけであります。恐らく今水産庁長官が申し上げましたように撤回はしないということになれば、パックウッド・マグナソン修正法によってアメリカのいわゆる制裁措置といいますか、そういうものを行うということになるのではないかと、こういうふうに見ております。
#69
○村沢牧君 仮にこの異議申し立てを全面的に撤回すれば捕鯨も全面撤退になるし、また米国水域の北洋漁業もやがて鯨と同様な形に数年たつうちにはなるのではないか、こういう心配もするんですが、そういう心配は全然ありませんか。
#70
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 パックウッド・マグナソン修正法との関係におきましては、米国政府は、二シーズン後に効力を発生する異議申し立ての撤回を行えば、二シーズンの間の捕鯨に対してはパックウッド・マグナソン修正法の発動をしない旨の約束をする用意があるというふうに申しております。それから、我が国の米国水域内における漁獲割り当ての将来でございますが、この点につきましては、許容漁獲量にして変化なければ、米国の国内の漁民によります漁獲量が増加すれば外国割り当てがそれに応じて減っていくということ自体は、米国の二百海里法の規定によって避けられないところでございます。
#71
○村沢牧君 いずれにしても、アメリカ二百海里内における我が国の漁業は後退していくというようなことが見通されるわけであります。
 そこで外務大臣にまたお伺いいたしますが、アメリカのパックウッド・マグナソン修正法に対しては日本の世論は非常に憤激しているんです。一体この法律はどういうものであるか、外務大臣はどういう見解を持っているんですか、また今後どういうふうに対処しようとされるんですか。
#72
○国務大臣(安倍晋太郎君) もちろん我が国としては、このパックウッド・マグナソン修正法につきましては国内においていろいろと批判もあるわけでありますし、我が国自体も、先ほど申し上げましたように、我が国の捕鯨というのは、我が国の長い間の伝統的な文化あるいはまた国内産業として今日まで長い歴史を有しておるわけでありますし、基本的に資源保護という立場で捕鯨の存続というもの、あるいは捕鯨について考えるということは、我々はそれなりに意義があるということは常々言っておるわけでございますが、ただ国際捕鯨委員会の言っているような全面的な商業捕鯨禁止、そうした資源問題というものを抜きにしてそういうことが決められるということについては我が国としては納得ができないという立場で、今日までこれは国際捕鯨委員会においても反駁を加え、あるいはまた日米の捕鯨の協議におきましても、また我々の日米外交間の折衝におきましても、その日本の立場というものを強く訴えましてアメリカの善処をこれまで求めてきたわけでございます。
 しかし、アメリカには、この我が国のそうしたアメリカのパックウッド・マグナソン修正法に対する批判は別にして、厳としてアメリカで法律が存在しているわけですから、これに基づいてアメリカがやるということを日本として阻止し得ないという立場にあることは、そのとおりでありますし、そういうところから、今の我が国の捕鯨をいかに存続させるかということについては、何としても日米間で協議を成立させなければいかぬということで苦労を続けておるわけでございますが、今の状況ではなかなか厳しい情勢になっておるということを我々は認識せざるを得ないわけであります。
#73
○村沢牧君 外務大臣、今回の問題は、単に捕鯨を選ぶのか、あるいは捕鯨を捨てて北洋漁業全体を守るかという経済的比較にあるのではないというふうに私は思うんです。それはアメリカに対する日本政府の姿勢にあると言わざるを得ないんです。本委員会で中曽根総理の答弁を聞いていても、アメリカのおっしゃることは、防衛問題にしようが、市場開放問題にしようが、何でも聞き入れてくるというこの政府の姿勢にあると思うんですね。どこの国だってできることとできないことがあるんです。したがって、日本政府はアメリカ初め諸外国に対して言うべきことはきちんと言って我が国の立場を理解してもらう、理解をさせる。そのことが長い目で見た真の友好的な国際関係をつくっていくのだというふうに私は思いますが、どうですか。
#74
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日米間の問題については確かにおっしゃるとおりでありますが、ただこの捕鯨については国際捕鯨委員会においていわば大勢が商業捕鯨の禁止ということに向かっておるわけでありますし、またアメリカはその有力国でもあるわけであります。そういうことも無視し得ない現在の国際情勢であります。そういう中で先ほど申しましたような日本の立場をいかに生かしていくかということで苦心をいたしておるわけでございます。
 もちろん日米関係におけるいろいろなトラブルにつきましては、あるいはまた摩擦につきましては、日本としてはどうしても納得ができないという点については、日本の主張をアメリカ側に強く訴えてもおるわけでありまして、最終的にできないものはできないわけであります。しかし、同時にまた日本の国際的な責任という立場から、できるものは努力して摩擦をできるだけ防いでいくという方向に進めていくことがこれまた日本の立場ではないか、こういうふうに思っておるわけであります。
#75
○村沢牧君 政府は、アメリカの行政府というよりも、むしろアメリカの議会の動きが活発であるからなかなか日本もこのままでは済まされないということがうかがわれるわけですが、しかし日本の議会でも、我が党は、アメリカのこのような理不尽な要求に対して対抗していくために、アメリカとの水産物問題について議員立法をつくろうと、そういう準備もしているんですよ。日本の議会だってそういう強い要求があるんです。そのことを外務大臣よく承知をしてもらいたいし、それからアメリカに対しても交渉の中においてはそういうことを強調してもらいたい、すべきだというふうに思いますが、どうですか。
#76
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日米関係におきまして、おっしゃるようにアメリカはアメリカの立場、日本は日本の立場がありますし、アメリカにも議会があれば日本にも議会があるわけでございます。そういう点については、日米間でいろいろと経済貿易問題で話し合う中で、日本の主張また日本の主張の背景ということについてはアメリカ側にも十分伝えておるわけであります。またアメリカ側もアメリカの立場を日本に対して明らかにいたしておるわけでございますが、そういう中で日米間の大きな友好関係という立場から、こうした問題をどういうふうにして円満に処理するかということで日米がお互いに努力を続けまして今日に至っておるわけであります。我々としましては、何とかお互いに互譲といいますか、妥協して円満に問題の処理を図りたいということで、最後の最後までひとつ望みを捨てないで協議を続けていきたい、こういうふうに思っておるわけであります。
#77
○村沢牧君 次は部落解放問題について伺います。
 昭和四十年に同対審答申が出され、部落解放問題を根本的に解決するために四十五年に同和対策特別措置法が、そして現在は地域改善特別措置法が施行されておりますが、この特別措置法は同対審答申の精神をそのまま受け継いでいるというふうに思いますが、どうですか。
#78
○国務大臣(後藤田正晴君) 同対審の答申は、御案内のように「同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲
法によって保障された基本的人権にかかわる課題である」、かように答申に述べられておりますが、政府としては、こういった精神を踏まえながら今日まで特別立法もやり、それに基づく事業の推進あるいは啓発の運動、これらを進めておるつもりでございます。
#79
○村沢牧君 政府は、今なお後を絶たない部落差別の実態、心理的な面あるいは物的な面、いろいろあるわけでありますが、これをどのように把握していますか。
#80
○政府委員(手塚康夫君) 物的な環境整備の面、これはいろいろ調査がございまして、関係各省それぞれ四十年に大きな調査をやっておりますが、その後もいろいろ実態把握をやっております。同対審の方で言われましたように、啓蒙啓発関係、特に心理的差別の関係、これはなかなか難しい問題もございまして、具体的なケースなどにつきましては法務省等が把握しているということでございます。
 総務庁といたしましては、関係府県との関係を重視しておりまして、同和対策関係の課長会議、これも開いておりますし、それから県の啓発、情報のヒアリング、これも行っております。そういったことで情報交換を行っているということでございます。それから全日本同和対策協議会と申しまして、同和関係の府、県、市を構成員とする団体がございますが、これとも定期的な会合を持って情報交換をしているということでございます。それから関係省庁それぞれに把握している情報がございますので、随時連絡会議を開いてそこで情報交換を行っている。そういう形で私ども一生懸命把握しているということでございます。
#81
○村沢牧君 同和対策を扱っている窓口は総務庁がなっておる。今報告されたことは政府が実際に調査した資料に基づくことですか。
#82
○政府委員(手塚康夫君) 資料と申しますか、総務庁は全般的に把握していくということでございますので、随時いろいろな会合あるいは府県との接触を通じて全体的な把握を行っていくということに努めているわけでございます。
#83
○村沢牧君 どの程度に把握しているかどうかは後ほどだんだん指摘してまいりましょう。
 同対審答申が出されてから二十年にもなりますけれども、政府みずからが同和問題の実態調査もせずに他団体の報告を受ける、あるいは自治体から聞く、こんな観念論的に把握しただけで適切な対策が講ぜられるというふうに思うんですか。同和問題の解決は国の責任であり焦眉の急を要するということは先ほど総務庁長官が言われた答申の中にも言われているんです。もっと積極的に取り組むべきではないですか。
#84
○国務大臣(後藤田正晴君) おっしゃるように、地域の各それぞれの実態、これを政府が把握しなければならぬという御意見、これはそのとおりであろうと思います。御案内のように、この対策としては物的施設、それともう一つは国民全体の意識の問題、二つあるわけでございます。御承知のように、事業については五十年に全国の調査をやったわけでございますが、ことしは私どもの方で関係各省と連携をとりながら、意識面といいますか、あるいは生活実態面、こういったようないわばソフト面、これの調査をやりたい、かように考えているわけでございます。
#85
○村沢牧君 今答弁があったように、五十年に調査をした、その後調査をしなさいしなさいという我々の強い要求によって六十年で初めてこの総合的な実態把握としても予算を計上したんです。まさに、遅きに失する、こういう避難は免れないけれども、一体この調査費を使ってどんな調査をするんですか。その金額、調査方法、調査時期等を示してください。
#86
○政府委員(手塚康夫君) ただいま大臣の方からも御答弁ありましたが、従来、物的環境調査の方は、五十年調査を基盤といたしまして各省でそれぞれ把握してきたわけでございますが、大臣のおっしゃるそのソフト面ですね。意識面、生活実態面は、確かに完全に把握できてないという点がございまして、ただいま御審議いただいている予算に計上しているわけでございます。金額的には二千九百二十三万一千円計上してございます。それから対象といたしましては、全国の同和関係者と同和地区周辺居住者一万五千世帯、これを抽出いたしまして、内容的には世帯の状況といたしまして経済状況、住居の状況等、それから世帯員の状況といたしまして教育、就労、福祉、そういった状況を把握したい。それから同和問題に関する意識面、こういった調査をいたしたいというふうに考えております。ただ、具体的な項目、中身につきましては、学識経験者等を集めまして検討委員会をつくって、そこで御検討いただいて今年の十一月以降実施できるようにいたしたいと考えているところでございます。
#87
○村沢牧君 その調査は本年度単年度で終わろうとするんですか、今後とも継続してやっていこうとされますか。
#88
○政府委員(手塚康夫君) こういった内容につきまして関係各省それぞれ縦割りに従来把握しているところもあるわけです。ただ、それを総合的に見る機会がなかったということで、六十年度にこういうことを実施したいということで考えておりますので、そういう意味では六十年度単年度で実施したいというふうに思っております。
#89
○村沢牧君 日本社会党も私も、長野県を初め全国各地の現地調査を行った中で差別事件が現実に発生していること、被差別部落の生活面が大変おくれていることを確認して、調査資料もここにたくさん持っております。時間の関係上一々紹介できませんが、長野県で起きた差別の一例については関係省庁に事前に配付してあります。
 そこで長官、差別事件が後を絶たないことは文化国家として私は恥ずかしいことだと思う。さらに生活面が大変おくれていることは行政の対応がおくれている、そのことが起因していると思いますが、長官、どういうふうに思いますか。
#90
○国務大臣(後藤田正晴君) この問題は、ただいまお答えしましたように、一つは生活環境を取り巻くいろいろな施設面がおくれておったのをともかく早期に整備しようということで、政府としては累年努力をし、ただいまは残事業が若干残っておりますから、これを後二年間に完全にやっていきたい、この努力をまず一方では進めたい。今日まで使っておる金は、大まかに申しまして、すべて合わせて大体残事業七千億といっておったのですが、事業面のみならずほかも入れれば一兆円弱になっておると思います。今日既に七千億は突破しておるという実態であろうと思います。
 それからもう一点の方の意識の問題、これはやはり心の問題でございますから、これは生活実態とあわせてよく調べまして、そしてどうしてもこれだけは、啓発運動ですから、目に見えた成果というのはなかなか外にあらわれにくいという問題であろうと思いますが、これは基本でございますから、昨年地対協から磯村会長の御意見をちょうだいしておりますので、私どもとしては、今後はこの問題に粘り強い努力をしていきたい。おっしゃるとおりの考え方に私も立っておるということはお答えをいたしておきたいと、かように思います。
#91
○村沢牧君 法務省は差別事件の報告を受けているわけですけれども、法務大臣はどう思いますか。
#92
○国務大臣(嶋崎均君) お答えいたします。
 御承知のように、法務省の中では人権擁護委員は全国で十一万五千人配置しておるわけでございます。法務省のこれに携わっておる人間自身はそんなに多い数じゃありませんけれども、これらの人々を通じましてこの人権問題を非常に慎重に取り扱っておるわけでございます。
 最近の事例を見ますと、この同和関係の問題については、年に百件をちょっと超える程度の問題が出ておるということを把握しておる。ひところよりは少し低下ぎみでもありますけれども、非常に厳しい姿も十分承知しておるわけでございます。先生からいただいた資料につきましても十分見せていただいておるわけでございますが、我々としては部落差別の事象を非常に悪質な人権侵犯
事案であるというような考え方で大いにその啓蒙に努めてまいっておるわけでございますけれども、差別言辞、あるいは差別行動、そういうようなことが非常に多くなっているのは残念至極であるというふうに思っておる次第でございます。
 いずれにしましても、基本的な人権を基本とするところの憲法が制定されてから四十年近い日限がたっておるわけでございます。そういう中で同和対策事業特別法、あるいは地域対策の特別法等によりまして、中央、地方をあわせて努力をしておるにもかかわりませず、なおこういう事案が非常に頻発しているというのは非常に残念なことであるというふうに思います。これは一つには、この問題について、啓発活動にもかかわりませず、国民一般の人々に余り十分認識をされてないというような事態に基づくのであろうというふうに思いますけれども、法務省としましては、これからその人権活動というものを強化する中におきまして、今後ともその差別撤廃のために大いに努力していかなければいけないというふうに思っておる次第でございます。
#93
○村沢牧君 法務省の把握している差別事件だけでも百件以上もある。私はその程度のものではないというふうに思います。いろいろな差別がありますけれども、次は文部大臣に聞きます。
 学校内における差別発言、差別落書き、いじめが依然として発生していることは、これまたまことに残念なことだというふうに思うんです。同和問題に関する最初の知識は義務教育、高校教育の中で得ることが多いわけでありますから、したがって教育活動を通じて一層この同和教育を充実する必要があるというふうに思いますが、学校内におけるこういう差別問題についてどういうふうに感ずるのか、今後どういう取り組みをされますか。
#94
○国務大臣(松永光君) 基本的人権の思想が徹底をされなければならない学校の現場において、先生御指摘のようにいまだに差別事象が時に起こっておるということは、まことに遺憾なことであるというふうに私は考えます。速やかにこういう事象が起こらないような状態にしなければならぬというふうに考えるわけでありますが、そのためには総合的な対策が必要なのでありますけれども、学校現場を担当する文部省としては、地域における学校間の連携の強化、校内における教職員の共通理解の徹底等を通じまして、同和教育の一層の充実に努めてまいらなければならぬと考えております。そこで、今後とも都道府県教育委員会を通じて、各学校における同和教育の一層徹底した取り組みをするように指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#95
○国務大臣(嶋崎均君) 先ほどの答弁の中で十一万五千と言ったらしいのですが、一万一千五百です。人権擁護委員の数でございますが、何か一けた違って言ったように注意されましたのですが、一万一千五百人でございます。よろしくお願いします。
#96
○村沢牧君 就職の差別や職場内における差別も発生している。現に地名総鑑なんといって、部落の箇所を全部印刷したのが職場へ回っている、あるいはそれを買っている事実もあるんです。これについては労働大臣や通産大臣はどういうふうに考えますか、どのように対処しようとするのですか。
#97
○国務大臣(山口敏夫君) 就業の中における差別の実態につきましては、職業安定所の窓口でございますとか、職業相談員等を通じて把握に鋭意努めているところでございますが、先生の御指摘のように、同和関係住民に対する採用選考時における差別は依然として後を絶たない状況にもございます。そういうことでございますので、職場内において従業員の相互間の差別発言等の問題もございますし、我々といたしましては、職場内におけるさまざまな差別の解消を図るために、企業に対する啓発、指導とあわせて、特に一定規模以上の企業には同和問題研修推進員を設置して、自主的な啓発活動が進められるよういろいろ対策を今講じて進めておるというところでございます。さらにそうした施策を通じて、御指摘の就業における同和の差別問題に対する解消、改善を進めていきたい、かように考えております。
#98
○国務大臣(村田敬次郎君) 企業の就職差別等につきましては、ただいま労働大臣からお答えを申し上げたとおりでございます。通産省といたしましては、同和問題は憲法によって保障された基本的人権にかかわる重大な問題であるという認識のもとに、昨年六月の地域改善対策協議会の意見具申の趣旨を十分尊重いたしますとともに、総務庁初め労働省あるいは法務省等関係省庁と連携をとりながら、通産省が所掌しております任務及び権限の範囲内において、同和問題の早期解決のために努力しておるところでございます。
#99
○村沢牧君 今まで各大臣に差別の問題について質問してまいりましたが、それぞれ差別事件が現実にあることを認められている。文化国家あるいは経済大国といっても、私はこんな問題があることは非常に恥ずかしいことだと思う。したがって今後とも努力するということは聞いたけれども、さらに積極的な取り組みを政府としてやってもらいたい、やるべきだ。そのことを強く要請をし、総務長官に重ねて答弁をお願いしたい。
#100
○国務大臣(後藤田正晴君) 御趣旨を十分腹に入れて政府としては積極的に取り組んでまいりたいと、かように思います。
#101
○村沢牧君 次は、予算に関連して若干お伺いいたしますが、同和対策特別措置法制定以来十五年になる。この間の運動の展開によって環境面においてはある程度改善をされてきたということは私は認めるものでありますが、それでもまだ多くの残事業があるのです。政府は一定の時期に調査して、あとはこれだけしかと言っているんですけれども、まだまだある。しかし同和対策予算は年々削減されて、昭和五十六年を一〇〇とすると、六十年度は七五になっているんです。こんなことで本当に環境改善ができるというふうに思いますか。
#102
○国務大臣(後藤田正晴君) 先ほどお答えをいたしましたように、物的施設の方の整備は私は政府としても相当な財政資金を投入し、また地方も出して現実に進んでおると思います。あと二年間で残事業も一部大規模の事業については若干の事業のおくれがあるのじゃないかと考えておりますが、これらについても政府としては最大限の努力をして何とか完成をしたいと、かように思います。これからは私どもとしては、いずれにせよ、これは心の問題でございますから、これをどのように進めていって、そして本当の意味でのこれはいわば日本の恥部なんですから、こういうものをなくするかということに、関係方面とも十分勉強しながら、私は政府として力を注いでいきたいと、かように考えておるわけでございます。
#103
○村沢牧君 現行の地域改善対策特別措置法は六十一年度で効力を失う。予算で見るならば六十年度予算がこれから施行されてくる。あと六十一年度予算、それだけで効力を失うんです。しかし六十年度予算案を見ると、一部の省庁を除き同対予算は大幅に減額をされている。一体この計画に盛られた残事業は幾らあるのか、しかも法期限内に残事業を完成させることができるのかどうか。特に事業の多い建設、農林水産、文部各省それぞれ答弁してください。
#104
○国務大臣(佐藤守良君) 村沢先生にお答えいたします。
 我が省とすれば、地域改善対策特別措置法に基づきまして農林漁業関係施設等の推進に努め、相応の成果を上げてきておりますが、法制定時に見込んだ事業量については残された法期間内に達成すべく最善の努力をいたしております。
#105
○村沢牧君 もっと細かく言ってくださいよ。私は残事業が幾らあるのかということまで聞いているんですよ。
#106
○国務大臣(佐藤守良君) 政府委員から答弁させます。
#107
○政府委員(井上喜一君) お答えいたします。
 農林水産省といたしましては、地域改善対策特別措置法が制定されます前に残事業量調査をいた
しております。これがいわゆる五十六年の残事業調査というものでございまして、ここで調査をいたしました事業量は、地方公共団体が、法律が予定しております期間のうちに地元の調整を了しまして事業の実施が可能と判断されるものにつきまして実施をいたしたものでございます。
 この結果につきましては、当省関係につきましては五十六年度予算の大体三倍ぐらいというように把握をいたしております。したがいまして、農林水産省はこの事業量をもとにいたしまして、事業の進捗状況等を基礎にいたしまして、毎年度予算を要求をしてきたところでございまして、当初予定をいたしました事業量につきましては法期間内に完了できるものと、このように考えているわけでございまして、そういう方向で努力をしてまいりたい、このように考えております。
   〔委員長退席、理事梶木又三君着席〕
#108
○政府委員(吉沢奎介君) お答え申し上げます。
 建設省としましては、昭和五十七年度におきまして残事業の調査をいたしております。建設省全体としまして約五千億円、国費ベースで五千億残事業がございまして、このうち昭和五十九年度末までに約二千六百億円を施行しております。残額は約二千四百億円でございます。なお、その後五十七年以降に新しく採択した事業量が若干ございまして、その追加分につきましてはまだ金額のほどははっきりつかんでおりません。
 なお、この措置につきまして昭和六十一年度末までに極力その実施に努めていく所存でございますけれども、大規模な住宅地区改良事業というのは、いろいろ手順もございまして、実施に長期間を要するものでございます。したがいまして、これらにつきましては、関係地方公共団体を強く指導いたしまして、できる限り早期に完了するように一層努めてまいりたいというふうに考えております。
#109
○政府委員(齊藤尚夫君) 文部省所管の物的な施設の整備はいわゆる教育集会所の件でございます。この集会所につきましては、五十六年度に関係機関を通じまして調査をいたしまして、館数で申しまして三百九十七館の建設計画が出されておるわけでございます。その後の市町村におきます整備の状況は、用地の取得等の問題もございまして、必ずしも当初の予定どおりに整備が進んでいない市町村も見受けられないわけではございませんけれども、全体的に言いまして、県単独の集会所の整備等も進んでおりまして、法期限内には消化することはおおむね可能であるというふうに考えておるわけでございます。
#110
○村沢牧君 法の期限内に計画を達成しようとして努力をしておることは、これは認めるものであります。しかし残量が幾らという話があったのですが、環境改善面でも全く事業がなされておらない地域がある。また大規模な部落だとか、あるいはその他でも少数点在地における改善事業がほとんど手がつけられておらない。それから建設省から答弁のあった住宅問題にも問題があるんです。さらには後藤田長官から話があったような健康、生活、就職、教育難、ソフト面、こうした面でもおくれているのです。したがって、今答弁になった三省は、もうそれだけでもって部落の環境改善は大丈夫だ、終わったと、そういうふうにお認めになるのかどうか、残事業だけ済ませばいいんだと、そういうふうにお考えになりますか、もう一回答弁してください、これは大臣答弁してくださいよ。
#111
○政府委員(井上喜一君) 先ほどもお答えいたしましたように、私どもといたしましては、五十六年調査を基礎にいたしまして事業を実施いたしておりますが、その後出てきます事業につきましても、全体の市町村の振興計画との調和がとれておりまして、緊急性の高いものにつきましては極力補助対象にするというような措置を講じておりますので、当初想定しておりました残事業につきましてはおおむね予定の期限内に完成できるものと、このように考えておる次第でございます。
#112
○村沢牧君 それで農水省としては、これだけやれば農水省所管の部落問題についての環境改善はもう終わったとお考えになっていますか、大臣答弁してください。
#113
○政府委員(井上喜一君) 五十六年時点で調査をいたしましたものプラスその後出てまいりました事業につきましては、私どもといたしましてはおおむね予定どおり完了できるものと、このように考えておる次第でございます。
#114
○村沢牧君 農水大臣、これだけの仕事、今構造改善局長が言ったような仕事だけやれば、農水省の仕事としてもう同和対策は終わったと、そういうふうに考えますか。
#115
○国務大臣(佐藤守良君) 村沢先生にお答えします。
 今、局長の答弁したとおりでございまして、五十六年度時点調査について最大限の努力をしたい、このように考えております。
#116
○政府委員(吉沢奎介君) 先ほど御答弁申し上げましたように、私どもは五十七年に残事業調査をいたしまして、その後も必要な箇所については新規採択を行ってきたわけでございますが、これらにつきましては先ほど申し上げましたように、一部長期を要するものを除きましては何とか期限内に完成し、また長期を要するものについても早期に完成すべく努力をいたしておるところでございます。
#117
○政府委員(齊藤尚夫君) 先生からも御指摘ございましたように、物的な条件の整備ということだけではなくて、まさにソフト面についてこれから充実していかなければならない時期だというふうに考えております。育英奨学事業その他につきまして今後も充実に努力していきたいと考えます。
#118
○村沢牧君 総務長官、私は先ほど指摘したんですが、なるほど最初に申請したのは法の期限内に何とか達成しようとして努力をしている。私が指摘したように、まだ大規模な部落に、あるいはまた少数点在しているところに、やらなければならないけれども事業ができないところがあるのです。ソフト面だけじゃない、物的問題がある。したがって、法律はあと二年で切れるんですから、もう一回物的問題について調査をする、その努力をする責任が政府にあると思いますが、どうなんですか。
#119
○国務大臣(後藤田正晴君) 御案内のように、同対法から地域改善対策特別措置法に切りかわったわけですね。その際に残事業が幾らということを政府としては調べて、それの完遂を図っていくということで今日その努力が続いているわけでございますから、それが終われば、一応は私は政府として決めておったこの対策は終了をした、かように認めざるを得ないと、かように考えております。
#120
○村沢牧君 今まで調査したのはそうだけれども、法律はあと二年で期限がなくなるんです。ですから、この法律は期限がなくなるけれども、これですべて仕事は終わったのか、もう希望はないのか、やるところはないのか、そのことを確認しなければならない責任があると思うんです。私はここで法律をどういうふうに延長しろとか、どういう法律をつくれということは今申し上げるわけじゃないんですけれども、どうなんですか、このままで終われば政府の責任は終わったということなんですか。
#121
○国務大臣(後藤田正晴君) 一応法律が変わったときに全国の調査をして、第一線の状況等も把握をした上で、残事業量は幾らだと決めて、その計画に従ってやったわけですから、それが終わればやはり一応終わったと、こう私は認めざるを得ないと思います。ただし、大規模事業等は、土地の関係その他の権利関係が複雑でなかなか工事が進まないといったようなところで、いわゆる残事業の中にあった大規模の事業で未完成のものについては、これは政府としては引き続いてやらざるを得ないと、かように考えておるわけでございます。
#122
○村沢牧君 私たちは現場をよく見ている、しかし政府は全体を把握してないから総務庁はそういうことが言えるんです。したがって、さらにこの環境改善面においても一体どれだけあるのか調査
をすることを強く要請しておきたいと思います。
 大蔵大臣に質問するけれども、環境改善にはともかく財政が伴うので、大蔵省も同和事業の重要性は認めているけれども、今後の財政支出についても、法の期限もあるのですから十分配慮する、尊重しなければならないと思いますがどうですか。
#123
○国務大臣(竹下登君) 基本的には後藤田国務大臣からお答えしたことがまず基本であろうというふうに理解いたしております。
 私どもといたしましては、村沢さんおっしゃるいわゆる物的事業の残存事業につきましては、おおむね達成できるというふうに見込まれておるというふうに理解をいたしておりますので、予定している事業が完結できるような最大限の努力は、残された期間私どもは努力をしなければならない重要な課題だという事実認識をいたしております。
#124
○村沢牧君 地域改善対策協議会は昨年の六月、内閣総理大臣及び関係大臣に意見書を具申していますが、政府はこれをどのように受けとめてどのように対処しようとしているのですか。
#125
○国務大臣(後藤田正晴君) この意見書は、物的施設はだんだんよくなってきておる、しかし依然としてソフト面といいますか国民の心の問題については十分でない。したがって、あの意見書を受けまして、政府としては啓発運動というものにこれから先は全力を挙げていきたいと、かように考えております。
#126
○村沢牧君 意見書は啓発事業に対してもっと真剣にやれということを指摘しているんですが、この啓発をするについても予算が伴うものである。六月意見書が出たんだから、ことしの六十年度の予算にはもっと啓発事業の予算がふえるだろうと思ったけれども、伸び率も昨年とほとんど変わりはない。一体これはどういうことなんですか。
#127
○国務大臣(後藤田正晴君) 同対協の御意見を受けまして、厳しい財政事情の中でありましたけれども、総務庁の予算、あるいは法務省ですか、あるいは労働省とか、こういった予算は全部一二%を超した伸び率を示しておるわけでございますから、精いっぱいの努力はしたということはお認めをいただきたいと思います。
#128
○村沢牧君 それでは啓発の内容について、政府はどのようなことを重点として取り組むのですか。
#129
○政府委員(手塚康夫君) 啓発の対象は国民でございますが、先ほどの意見具申にもございますように、最終的にはむしろ国民が啓発の主体になるべきであるということを指摘しております。確かにサービス意識を個々に持っておる方もおられれば、全く無関心で人権問題であるという理解もない方もおられる。そういう方に、広くいろいろな階層がございますから、そういう方に広くきっかけを与えていかなければいけないということで、当面やっておりますのはテレビ、ラジオ、新聞等を使った広報活動ですね、これは広く見ることができます。それからわかりやすいという形では、映画を今年度もつくりまして、昨年度もつくっておりましてなかなか好評でございますが、映画などを通して訴えるということが正直私どもはいろいろ効果があると考えております。こういったものも継続していきたいと思っております。それから地方公務員に対する啓発指導者ですね、こういった養成、これにも力を入れております。それからもちろん国家公務員に対する研修、こういったものもやっていくと、こういった点を重点にやっていきたいというふうに考えております。
#130
○村沢牧君 そのような啓発をしていく基本的な柱となるものは何を中心にしてそのような宣伝啓発をするのですか。
#131
○政府委員(手塚康夫君) 先ほど先生も御指摘になったようないろいろな差別事象が起きているということは残念ながら事実のようでございます。それに対して国民が、いろいろ、それぞれの階層がございますが、正しい理解、認識を持っていないということが一つ問題であります。そういったことを主体として啓発するということで、むしろ自分で考えるというようなきっかけを与えることが必要ではないか、そういった点を中心にやっていきたいというふうに考えております。
#132
○村沢牧君 啓発は全国民を対象にし、しかも生活の場を通じて行う、あるいは地域においても啓発を促進しなければならない。
 そこで、この際、労働大臣と通産大臣に聞きたいが、先ほどお認めになっておりますように、職場における採用その他で差別事件が発生しているのだ。したがって、事業主に対する啓発、職場の指導者の資質の向上、これが必要だというふうに思いますが、担当大臣としてはどう考えますか。
#133
○国務大臣(山口敏夫君) 職場に関しての啓発の問題につきましては、各関係行政機関の有機的な連携を図りながら啓発リーダーの養成と資質の向上に努める、また啓発のための資料等の整備充実等を図る。そうした点を中心として職場における啓発指導の施策の整備充実を図っておると、こういう状況でございます。
#134
○国務大臣(村田敬次郎君) 総務庁からも御答弁がございましたが、同和問題の真の解決というのは、国民全体の同和問題に対する理解と協力を得ることが必要不可欠である、こういった観点から、通産省といたしましては、先ほども申し上げましたが、六月の地域改善対策協議会の意見具申を踏まえまして、当省の所管する範囲内で啓発事業を積極的に行っております。具体的に申し上げますと、企業活動にかかる差別事象の発生を未然に防止するということで、あるいは対象地域の産業と関係の深い業界における同和問題についての理解を深めるということを目的といたしまして、昭和五十八年度から産業振興懇談会事業というものを行ってきたところでございますが、六十年度では五十九年度と比較して地区数を倍増しております。十二地区分を計上して事業を実施するという意図でございます。
#135
○村沢牧君 同和問題を解決するために公務員の果たすべき役割が非常に大きい。人事院はこのための職員の研修をどのようにやっているのか、またその必要性についてどう感じていますか。
#136
○政府委員(内海倫君) お答え申し上げますが、研修の詳細等につきましては後刻担当局長から説明させますが、基本的な人事院の考え方、そしてまた施策の方向につきまして私からお答えを申し上げたいと思います。
 同和問題の早急な解決ということが国民的な課題であることは今先生からもるる述べておられるところでありますし、またこれに関しまする国の責務も極めて大事なものであると私どもも厳しくこれを受けとめ、認識しておるところでございます。したがいまして、在来この問題につきましての、特に私どもの対象といたします国家公務員に対しまする啓発につきましてあらゆる方策をもって真剣に取り組んできたところであります。特にこの問題に関しまする公務員の果たす役割が極めて大きなものであることにかんがみまして、各省庁とも十分に協力しながら、職員に対する啓発に努めており、本院における研修、あるいは地方事務局における研修等におきましても特に重点を置いてこの問題を取り上げて研修をいたしておりまするし、また各省のこの問題の担当者等とも絶えず会議を持つなどいたしまして、啓発に努めておるところでございます。
#137
○村沢牧君 人事院は職員研修規則に基づいてみずからも研修企画を立て、あるいは実施をし、また各省庁を指導し、その実施状況を人事院に報告を求めなければならない。現在までにどのように取り組み、研修の実態をどのように把握しているのですか。
#138
○政府委員(網谷重男君) 先生御指摘の、人事院が研修実態をどのように把握しているかということでございます。
 五十八年度で申しますと、全省庁が行っております研修は九千二百五十五コース、大体一万近くございます。そのうち一定規模のもの、研修時間が二十時間を超えるというようなものが四千八百五十六コース、大体半分ございます。これらにつきまして全部報告ということが望ましいわけでご
ざいますけれども、一応二十時間以上のものにつきましてその実施の概要、研修の目的、時間数、時期、主要な教科目の名称、時間数等の報告を受けているところでございます。
#139
○村沢牧君 人事院総裁、今のような答弁の中から各省庁とも人事院も含めて研修はよくやっている、そういうふうにお認めになりますか。
#140
○政府委員(内海倫君) ますます真剣に、かつ回数も多くやることが必要でございますが、現在までの段階におきまして、私どもとしましてはあらゆる機会をとらえて実施いたしておりますので、もとより十分ということを言うことはどうかと思いますけれども、私どものできる限りにおける啓発のための研修というふうなものは実施しておると確信いたしております。
#141
○村沢牧君 私は総裁のその必要性あるいは熱意は買うものでありますけれども、同和問題に対する人事院の態度は消極的である、熱意を欠いておる、そういうふうに私は言わざるを得ないと思うんですよ。人事院は本当に各省庁がやっているのを掌握しているのですか。二十時間やった研修じゃなくて、それ以外のものは掌握していないのじゃないですか。どうなんですか。
#142
○政府委員(網谷重男君) 同和問題の啓発の重要性につきましては常々十分認識してやっておるところでございまして、先ほど総裁の答弁にもありましたように、各省庁の職員を対象とする研修の中でその啓発のためのカリキュラムを取り入れ、あるいは各省庁の研修担当官、これを集めまして、研修全般につきましての、これは改善の検討会議でございますが、その中につきましても常にこの問題の重要性を指摘してこれをやっていくということでやっております。
 ただ、先生の御指摘のその結果を報告を受けておるのが二十時間以下のはないではないかという点でございますが、事柄の重要性を我々も認識しまして、一般的な二十時間以上の報告を受ける中で、この問題につきましてもその研修の有無その他について今後十分把握するように努めてまいりたい、このように思っております。
#143
○村沢牧君 私が人事院の態度が消極的で熱意を欠いていると言ったのは、各省庁がどれだけやっているのかつかんでない。したがって私は当予算委員会の理事会を通じて各省庁に過去五年間の研修をどれだけやったか、全部調べてもらったんです。人事院はこの資料持っていますか。あなた持ってないでしょう。こんなことは人事院がやることなんだよ。人事院に要求したけれども、そんな資料ないと言うから、全部調査してもらったんだ。こういうことを調査する、あるいは指導するのが人事院の仕事じゃないですか。
#144
○政府委員(網谷重男君) 先ほど申し上げました件数も一万に近い件数、コースがございますので、なかなかあれでございますが、先生御指摘の点はもっともでございます。今後ともそのようにしっかり報告を受けたい、このように思っております。
#145
○村沢牧君 全く答弁になっていませんね。これだけ三日間かかって各省庁が調べて委員会へ出してくれたんですよ。こんなことは人事院がすぐ出すべき問題なんだ。そのことは人事院が責任あるんでしょう。総裁どうなんですか。
#146
○政府委員(内海倫君) ただいま主管局長が御答弁申し上げましたように、在来一定範囲の研修を報告を求めておるにとどまっておりますけれども、ただいまの御質問の意思も十分体しまして、今後私どもとしてはその研修の実情というものは十分報告を求め、また報告の結果についても所見を伝えていきたい、こういうふうに思います。
#147
○村沢牧君 この資料によれば、各省庁それぞれ対応していることは認めます。しかし、その中身を見ますると、よくやっているところもあるし余りやってないところもあるし、その差が歴然としておるのですね。だから、私はきょうは時間がありませんから一々各省名指しで申し上げませんが、よく大臣聞いて、みずからの省を省みてください。
 それからこの問題について最後に後藤田長官に質問いたしますが、私は同和問題に取り組んでいることはよくわかるけれども、しかし地対措法は六十一年で失効する。しかしこの法期限内には環境改善だとか、あるいはソフト面全部できたというわけにはいかない、したがって、今から政府が実態調査をするんだ、啓発運動もこれからやっていこうということなんですね。したがって、部落の解放なくしては民主主義は実現されない、人権が叫ばれているが、部落解放が一番重要なんだ、そういう立場に立って新たな法律をつくっていくもう準備をしなければいけない。どうなんですか。
#148
○国務大臣(後藤田正晴君) 私も新たな基本法をつくったらどうだといったような意見があることは仄聞をいたしておりますが、その内容を私はまだ承知をいたしておりません。そこで政府としてはともかく残事業の完遂に最大限の努力をする、そして同時にいわゆるソフト面、これらについては、これは基本は心の問題でございますから、それだけに粘り強い啓発運動をやっていかなければならぬ、かように思っているわけでございますが、何せこれは心の問題でございますから、現在の憲法秩序のもとにおいて、他方やはり言論の自由とかいろいろな問題がございます。そういったことで心の問題、これを立法措置でやるということについては、これはよほど私は慎重でなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
#149
○村沢牧君 今後の法のあり方、対応については、これから時間をかけてさらに要求し、論議をしてまいりましょう。
 時間が参りましたので次にまいりますが、次は災害対策についてお伺いいたします。
 地震予知連の浅田会長さんに参考人として御出席を願っておりますのでお聞きをしますが、大規模地震対策特別措置法によって東海地震を対象に監視体制がとられていますが、地震予知は確実にできる状況なんですか。
#150
○参考人(浅田敏君) お答え申し上げます。
 東海地震というような地震が発生するだろうと想定されまして、それを予知してやろうというのが学会の考えでありまして、それ以来その考え方は変わっておりませんし、学問も進歩いたしましたが、進歩したためにかえって難しくなったという面は別にございません。観測網も非常に着実にふえてまいりました。でありますから、原則として予知はできるのである、できやすくなったのだと、こういうふうに解釈しております。しかし、人間のすることでありますから、間違いということは絶対にないとは申し上げられない面もございます。
 それから、日本の社会はまるで時計の針が進むように正確に進んでいる複雑で極度に進歩した社会でございますので、この予知の精度、正確さ、間違いを含まないということは非常な厳しさを要求されるのではないかと思っております。後から見て大体予知ができたではないかというような程度の予知ではどんな困乱を巻き起こすかわかりません。そういうわけでございますから、観測網はもうこれだけできたから完全であるとはどうしても申し上げられません。今後、それだけではなく、地震予知という技術も完全には進歩しておりませんので、地震予知の技術に関する研究とか勉強は絶えずしていかないと、今申し上げたような危惧の念を完全にぬぐい去ることはできません。
 以上でございます。
#151
○村沢牧君 そういう予知体制、研究の中で、東海地震の発生に対して現時点でどのような判断、予測を持っていらっしゃるでしょうか。
#152
○参考人(浅田敏君) 東海地震は、太平洋沿岸に大地震がいっぱい起こることは既によく知られていることであります。そのうちで、マグニチュード七あるいは七・五ぐらいの、例えば宮城沖地震とか、あるいは日向灘に起こったような地震とかを除きまして、近い将来起こって陸地に被害を生じるだろうと思われるものは東海地震といわれる地震だけであります。ということは、例えば関東地震はもっと後で起こるだろう、こういうふうに考えられておりまして、そういう考え方はまだ変わ
っておりません。
 問題は、東海地震がいつ起きるかということでございますが、地震というものの予知にはいろいろな考えがございますけれども、何年何月の何日に地震が起こるということは理論的に不可能です。ですから、その種の予知は全く信用できないものでございます。では、東海地震はどうかというと、せめてあと何年ぐらいで起こるかということを、まあ私も申したいのでありますけれども、考え方としてはそれはやはり申せないのであります。実情は、東海地方では測量を繰り返しておりますので、ひずみが蓄積されているということは明白であります。でも、これは実は東海地方以外の日本のすべての地域においてひずみは絶えず蓄積されておるのであります。
 東海地震について申し上げることをもう一度まとめますと、太平洋沿岸の陸地に被害を生じる大地震では、さしあたり考慮しなければならないのは東海地震だけである。これは、ひずみは蓄積されつつある。今どうしても申し上げたいことは、あと数年間は大丈夫であるというようなことはもう絶対に申し上げられませんので、そのつもりで気象庁の監視体制は絶えず一生懸命やっておると、こう考えております。
#153
○村沢牧君 東海地震に対しては、マグニチュード八クラスの地震予知は可能であるということをかつて聞いておるんですが、昨年発生した長野県の西部地震や、今後発生のおそれのある南関東地区地震など、いわゆる直下型あるいは内陸型地震の予知というのは現在の技術でどうなんでしょうか。
#154
○参考人(浅田敏君) 内陸の地震、まあ昔は七・五ぐらいと漠然と言っておりましたけれども、いろいろ考えてみますと、内陸の地震というのはもっと小さいのが多いので七ぐらいと考えなければなりませんが、例えば七・三の福井地震でも四千人もの被害者が出たという、もう激甚な被害を生じる危険性があるので、内陸の地震が重要なことは明らかでございます。
 それじゃ、内陸の地震の予知はどうかというと、考え方はこういう考え方がございます。例えば、ある特定の地域に非常に密に、非常に高感度の観測網を敷けば直前の前兆をつかまえられるのではないかというので、これはつかまえられる可能性は非常にあるのだと考えております。というのは、マグニチュード五とか六とかいう小さい地震でも前兆現象を記録したという研究論文がございますのでそういうことはあると思います。しかし、じゃどこにそういう地震が起こるかという大局的予知、あるいは我々は超長期的予知などと申しておりますけれども、内陸の地震というものは、千年とか一万年とか、場合によっては数万年に一度同じ場所に起こるのであって、ただし起こる素質を持っている場所の数が非常に多いのでございます。総体的には数年に一度被害のある地震が起こっておる、こういうことになります。でありますから、どこに起こるという見当をつけることは極度に難しいのです。ですから、もし直前の予知をしたければ日本じゅうべた一面にそういう観測網を敷かなければならない。しかし、これは明らかに現実的ではございません。あらゆる問題がありますのでできないと申し上げた方がよろしいのであります。ぜひ内陸の地震の予知はしたいのでございますけれども、何らかのやはり技術革新が必要だと考えております。それで、そういう技術革新は今非常な進歩をしておりますので、決して望みがないとは思っておりません。
#155
○村沢牧君 内陸型地震についても、東海地震についても、予知はなかなか難しい問題があるけれども、しかし、学術面についても必ずしもできないことではないというお話があったんですが、そこで、会長は、今後そうした予知体制や技術を高めるために、学術面あるいは行政面では、特に行政面ではどういうところに力を入れるべきだというふうにお思いになりますか。
#156
○参考人(浅田敏君) お役所の仕事は非常に精密に組み立てられておりまして、私のような素人は余り意見を申すこともできないぐらい精密にできていると思いますが、原則といたしましては、やはり予算は十分に、それと人数も十分にということだと存じます。現に、地震予知をしようではないかと学会に意見が出始めたのは二十年前でございます。そのときはほとんどゼロだったんですけれども、非常にその点は、予算もふえましたし人員もふえました。その結果、二十年前のことを反省してみますと、まあ物を知らなかったものだということでございます。逆に言いますと、今は、簡単に申しますと思想が深くなっております。しかし、今からまた十年たちまして今のことを考えてみますと、あのころは物を知らなかったものだというふうに思う可能性が非常に多いので、これはもう絶えず努力していかなければならないと思います。
 最後に一つだけ申し上げたいのですけれども、これは日本の理学博士ですね、若い研究者が毎年出てくる数はアメリカの十分の一にも及ばないのでございます。こういうふうに、日本全体の基礎学術に対する力の弱さは、やはり地震予知を進めるためには多少の障害になっているかと思っております。
#157
○村沢牧君 地震予知には観測体制の強化が重要であることは申すまでもありませんが、観測強化地域は全国に二地域、あるいは特定観測地域として八地域を指定しているんですが、この程度のことでいいんでしょうか。
#158
○参考人(浅田敏君) 予知連が地域を指定しておるのは、地震予知の一種の演習をそこでするのがいいのではないかというのが最初の考えでございます。特定地域あるいは強化地域を指定するにはある基準がございます。正直に言いまして、基準を理想的にとれば日本じゅうすべて地域に指定したいと、これが現実ではないかと思いますが、それじゃ今特定地域に指定されているというところはもっと実際的な立場から面積が小さいわけでございます、日本全体に比べまして。じゃ、そういうところでどういうことが行われているかと申し上げますと、例えば国土地理院は測量の繰り返しをするときに考慮しております。大学は自分たちが適当と考える観測設備をそこに置くように努力しておりますが、しかし全体としての観測の対応密度は東海地方とは比較にならないのでございます。
#159
○村沢牧君 今、参考人からいろいろ御指摘をいただいたところでありますが、いずれにしても地震予知を充実させていくためには積極的な予算措置を講じていかなければならない、行政として積極的に取り組まなければならない。そこで科学技術庁長官、建設大臣に、今の参考人の指摘をお聞きしてどのように感ずるのか、あるいは行政面ではどのように予算措置も含めて対応しなければならないというふうに考えていますか。
#160
○国務大臣(竹内黎一君) お答え申し上げます。
 地震予知の観測研究につきましては、内閣に設置されております地震予知推進本部を中心に関係各省の緊密な連携協力のもとに地震予知技術の向上を図ってまいっているところでございます。ただいま御審議を願っております昭和六十年度の予算案におきましても、地震予知関係は五十七億円、対前年度比一〇二%を計上し、また房総沖海底地震計の設置など観測網を充実するとともに、気象庁における地震関連の人員の増強を行うなど、観測研究体制の整備を図ってまいりましたが、ただいまの参考人もおっしゃいましたように、地震予知の技術をこれから進めていくためには予算であり人であるということでございまして、その意を十分に体してこれからも一層努めてまいりたいと思います。
#161
○国務大臣(木部佳昭君) この地震の対策につきましては予知と防災とございまして、私どもは、主として一部国土地理院なんかは予知を担当いたしておるわけです。その他財政特例法の指定を受けられたところについて防災上の、例えば避難路であるとか、そういう問題等について一生懸命努力をさしていただいておるわけであります。国土地理院におきましては、測地の基準点の測量等の繰り返しとか地殻変動等の問題、財政的にも大変
厳しいわけでございますが、できる限りの配慮をしてこれからも所要の体制の整備に努力してまいりたいと、そういうふうに考えております。
 それから、いろいろな防災上の対策につきましてはかなり進捗率は進んだと思いますが、私ども承っておる範囲ではこの法案をもう一回延長する動きもあるやに聞いております。その中におきましてはやはり避難路の問題なんかが大変おくれておるというふうに認識をいたしておりますので、またそういう点につきましても最善の努力を尽くしてまいりたいと、こう考えております。
#162
○村沢牧君 今、建設大臣の答弁の中にありました地震財政特別法、この適用事業の進捗状況と残事業はどうなっておりますか。
#163
○政府委員(杉岡浩君) お答えいたします。
 ただいまの地震対策緊急整備事業でございますが、昭和五十五年以来国及び地方公共団体におきましては万全の推進を図っておるところでございますが、全体計画四千百八十億円に対しまして、五十九年度末の見込み額でございますが、三千百六十億円程度となっております。進捗率七六%。したがって、その残事業といたしましては千二十億と、こうなっておりますが、これは実質の事業量にいたしますと約千四百四十億というふうになっております。
#164
○村沢牧君 その後の要望も含めて。
#165
○政府委員(杉岡浩君) それで、ただいまの残事業は約千四百四十億ございます。
 それから、この法律が仮に延長されるという段階におきましては今までいろいろと耐震の診断、その他そういった面からのまだなかった分、これを新しくその後追加するということもございます。それが約九百三十二億ございまして、全部で二千四百億円弱というふうになっております。
#166
○村沢牧君 その中で特に進捗率の悪い事業、その理由について述べてください。
#167
○政府委員(杉岡浩君) 先ほど国及び地方公共団体ではこの緊急事業の推進について万全の対策を進めておるわけでございますが、その事業の中身によりまして、例えば避難路あるいは海岸保全施設等々がその進捗率が悪くなっております。具体的な率を申しますと、避難路につきましては三八%程度の進捗でございます。それから海岸施設等につきましては五三%の進捗率となっておりますが、これにつきましてはこれの施設の設計に当たりまして地元との調整、こういったものが出てきますし、それから避難路等につきましては用地の買収あるいは区画整理事業の推進、こういった面において地元との調整、こういった面がその理由になっております。
#168
○村沢牧君 国土庁長官、先ほど浅田参考人から意見があったように東海地震は数年間は大丈夫だと言い切れないと言っているわけですね。だから緊急に設備を要する必要があるために議員立法で財特法を適用した、五年前に成立さした、しかしこの適用事業はこんな進捗率だ。このことは政府の財政支出を抑制した、取り組みの熱意を欠いた結果であると私は判断するが、どうなんですか。
#169
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 財特法は今審議中でございますが、現在局長が説明いたしました七六%ということはまことに残念なことでございますが、関係省庁よく連絡を保ちまして早急に事業が完成するように努力してまいります。
#170
○村沢牧君 この財特法は三月三十一日に期限が切れる。したがって今、議員立法でさらに五年間延長しようとする準備をしているところでありますが、今度延長されたら新規の分も含めてこの期限であれば必ず完成させると、その決意がなくちゃいけないんですが、これまた関係大臣の答弁を求めたいと思います。
#171
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 財特法が延長されました場合、早急に関係各省庁と連絡しまして七六%という欠けている面を全力を挙げて早急に完成したいという決意でございます。
#172
○村沢牧君 地震対策事業の促進は政府の財政支出が非常に大きなウエートを占めておるわけです。議員立法による特別法を制定し、今回さらにこれを延長しようとする、大蔵大臣はこの趣旨を踏まえて補助率だとか補助金のカットなんというのはこうした仕事にはやらない、そのことを私は強くこの席で要望しておきたいと思います。
 続いて、もう一つ災害対策問題について。
 激甚災害の指定が年々厳しくなっており、指定率は落ちている、したがって、かなりの大きな災害であっても激甚地の指定にはならない、本激の指定にはならない。私は、この激甚災害の指定を見直すべき時期に来ているというように思いますが、関係大臣の答弁を求めます。
#173
○政府委員(杉岡浩君) お答えいたします。
 今先生の御質問につきましては、その激甚災害のうちの公共土木施設の面であろうと理解しておりますが、確かにこれにつきましては、最近の指定率は以前に比べまして落ちてきております。これはいろいろな理由があるわけでございますけれども、その比較の対象になります全国の標準税収入額、これは以前と比べまして相当伸びてきております。この法律が制定された段階から現在におきましては十八倍程度伸びてきております。
 それから被害の方でございますが、その被害を物価指数、いわゆるデフレーターでございますが、総合土木指数で見ますと、これが約四倍ということでございますので、十八倍と四倍の乖離ということが出てくるわけでございます。
 その激甚災害が指定されましたのが、法律ができましたのが三十七年ということでございます。その後、そういった国や地方の財政の事情の変化あるいは災害の態様の変化、いろいろな要素があるわけでございます。これについてそういった観点からの勉強もいたしておるわけでございます。
#174
○村沢牧君 自治大臣に聞くけれども、標準税収入が伸びたことは事実だけれども、標準税収入が伸びたからといって災害復旧に対する自治体の財政負担能力が大きくなったとは言えない、そういう現状ではないと思いますが、どうなんですか。
#175
○政府委員(土田栄作君) お答え申し上げます。
 標準税収入額は毎年伸びてきておりますけれども、地方財政では、公債費とかあるいは社会保障関係の扶助費とか、そういうふうな義務的経費がふえてきておりまして、そういう面で地方団体の歳出構造が変わってきておりますので、標準税収入額が伸びたからということで災害復旧事業費に向けられます地方財源が十分であるということには必ずしもならないということは、ただいまの委員御指摘のとおりだろうというふうに存じております。
#176
○村沢牧君 今答弁があったように、標準税収入と災害額を比較する、標準税収入が伸びたといっても、災害に対し負担をする地方の力がついたわけじゃない。したがって、この激甚地の指定、この基準を見直す時期にもうなってきておると私は強く指摘をするんですが、これは大臣からひとつ答弁してください。
#177
○理事(梶木又三君) 村沢君、時間が来ました。
#178
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 社会経済情勢の変化に対応して激甚災害の指定基準の見直しを行っていく時期に来ておると考えておりますので、ひとつ勉強してまいりたいと考えております。
#179
○理事(梶木又三君) 以上で村沢君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 午前の質疑はこれまでとし、午後一時に委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。
   午後零時四分休憩
     ─────・─────
   午後一時二分開会
#180
○委員長(長田裕二君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和六十年度総予算三案を一括して議題とし、海江田鶴造君の一般質疑を行います。海江田君。
#181
○海江田鶴造君 まず最初に防衛庁長官にお伺いをいたしたいのでありますが、我が国は平和憲法を持ち、また専守防衛という他国に攻撃はしないという原則をはっきりと堅持しておるし、また一方ではもう世界第二のGNPを持つ国際社会の有力な一員としての政治的、経済的な責任がございます。我が国の防衛を考えるときにはそういう面
から長期的に国際的、国内的な視野に立って考えるべきであると思うのでありますが、過般来防衛費が昭和五十一年の三木内閣のときにできた一%枠以内を目途とするという方針についての議論が多くて、また我が国のマスコミその他の世論もやや短絡的、あるいは一つのキャッチフレーズにとらわれたような議論が多いように思うのであります。
 私は、この複雑な国際社会における我が国の防衛についてはもう少し長期的な、そして本当に防衛の本質を考えた議論、また国内的だけではなくて国際的な視野に立っての議論、特に選挙で選ばれる私どもとしましてはついつい国民の感情といいますか、そういうものに左右されがちでありますけれども、できるだけ理性的な立場に立って長期的に考えなくてはならないと、このように考えるのでありますが、防衛庁長官のこれについての御意見を伺いたいと思います。
#182
○国務大臣(加藤紘一君) 委員御指摘のように、私たちの防衛政策を考える際に防衛の本質に基づいて国際的に、かつ長期的な視点に立って論議をしていかなければならないということは、私たち基本的に全く同感でございます。私たちは侵略を未然に防止し、また万が一侵略があった場合には、これを有効に排除し得るようその防衛の本質を考えておるわけでございますが、防衛政策の場合にはどうしても相対的な側面があるということも否定できないところであろうと思います。その観点から、常に変動する国際情勢を私たちは十分見きわめながら、それからまた国際軍事情勢もグローバルな観点から、また極東における状況からその双方にわたって十分に考えながら、観察しながら防衛政策を進めていかなければならないとこう思っております。
 現実に日本を取り巻く周辺の国際軍事情勢は、ソ連の軍事力の増強によって厳しさを増しておるわけですけれども、したがって私たちは今後その防衛政策を考える際には、GNP一%問題も含めまして、節度のある防衛力はどうあるべきか、それから本質的に日本の戦略体系はどうあるべきか、それに対して私たちはどう対処すべきか、そういった本質に基づいて大いに議論していただき、そしてそれに基づいて政策を決めなければならないのではないだろうかと、こう思っております。その際に私たちとしては政策を立てても国民の皆さんの理解を得なければ防衛政策というのは進み得ないものでございますので、本質議論をしながら国民の皆さんにどう御理解いただきながら進めていくか、その観点からも今後とも十分に努力してまいりたいとこう思っております。
#183
○海江田鶴造君 ただいまの大臣の御答弁の中で、日本の戦略的立場についてもよく考えながらということをおっしゃいましたが、私これはかなり昔のことでございますけれども、中国とソ連がかつては一枚岩と言われておったのが、今からちょうど二十年ぐらい前に中ソが互いに分裂といいますか反発し合いましたが、その一番大きな原因は、中国が核を持ちたいということに対してソ連が中国には核を持たせない、これが中ソ分裂の一番大きな原因であったと私は当時伺っております。またその後フランスのドゴール大統領が、フランスが核実験をやるか、核を持つかということについて、ドゴールさんはこれからの国際社会の中においては核を持たずしては一人前の外交ができないのではないかということで核実験に踏み切られたと聞いております。我が国は平和憲法のもとで非核三原則を堅持しておるということで、私は、これは被爆国として当然の国民の大きな理想であり、そうあらねばならぬと思いますけれども、アメリカの核の傘というか、アメリカの核の抑止力のもとで日本がこれから防衛をやっていく場合に外交上何らかの差があるのかどうか、あるいは戦略上日本はそれで不利なことをこうむっても私は仕方がないのかなあと思いますが、その点について長官の御意見を承りたいと思います。
#184
○国務大臣(加藤紘一君) 一九六〇年前後から始まりました中ソ対立の根本的な原因はどこかにつきましては、世界じゅうの多くの学者が、また観察家が論争しているところでございまして、その点については諸説があろうかと思います。まあ委員御指摘のような核政策をめぐることによって中ソの対立が始まったのではないかという意見を私たち耳にしたこともございますが、必ずしもしっかりとした定説になってはいないように考えますが、いずれにいたしましてもその点につきましては政府委員の方からまた後ほどコメントさしていただきたいと思います。
 それで中国及びソ連が今核を持っております。それ以外のほかの国々は、世界のどの国も米ソいずれかの核の抑止力の傘の下にいると言っていいのだろうと思います。私たちもその方針できております。確かに核というものが政治的に外交的な恫喝とか、そういう面で武器として使われることは事実でございますが、私たちとしては、日米安保体制のもと、そしてアメリカの核の傘、抑止力のもとにいるというこの現在の私たちの政策判断は、国民の感情から見てもそれが正しいと思いますし、非核三原則からいいましても私たちは将来とも核を持つ考えは持っておりません。
 そうしますと、それが非核三原則のもとでは本当に有効に機能し得るのかねという問題が常々国会でも御議論いただいていると思いますが、アメリカ政府としては、私たちのその政策に理解を示しながら、そういう原則のもとでも核の抑止力を日本が享受し得るような、そういったコミットメントを私たちに与えてくれておるわけでございますので、私たちとしては、日米安全保障体制の信頼性の維持に全力を傾注しながら、そしてアメリカの核の抑止力に信頼して今後とも政策を進めていくのが今の我が国としてとるべき正しい姿であろうと考えております。
#185
○海江田鶴造君 次に、科学技術庁の方にお伺いをいたしたいと思いますが、我が国の科学技術政策についてお尋ねいたします。
 来るべき二十一世紀に向けまして我が国が活力ある経済社会と豊かな国民生活を築いていくためには、それを支える人材、特に今後の社会を担う青少年に対する教育の問題に適切に対応することが大切であります。同時に、我が国にとりまして唯一の資源ともいうべき頭脳資源、これを生かして科学技術の振興を図り、科学技術立国への道を歩むことが不可欠であると思うのでございます。
 今日の我が国は、今や自由世界第二位の経済力を有しまして、特にエレクトロニクス、産業用ロボットなどの技術分野では世界のトップクラスに位置することができるようになりましたが、しかし一方では基礎的研究の分野、これは長期にわたる地道な努力の積み重ねを必要とする、革新的技術の根源となる分野でございますけれども、この分野では残念ながらなお立ちおくれていると言わざるを得ません。このため、今後はこれまで蓄積してきた科学技術水準に加えまして、導入技術の改善、改良といったような枠を超えた、独創的、創造的な科学技術の振興を図ることが極めて大切ではないかと考えるのでございます。特に我が国におきまして経済力、技術力が飛躍的に向上した現在、我が国に対する世界の期待も高まっておりまして、今後はただ経済だけではなくて、科学技術の分野におきましても我が国の地位にふさわしい国際的な役割を果たしていかなければならないと思います。この意味からも、創造的な科学技術の振興は極めて大切でございます。
 私は、今後の科学技術の振興につきまして、長期的、基本的な指針を明らかにして、これまで以上に科学技術の振興に力を入れていただきたいと考えますが、長官の御所信をお伺いをいたします。
#186
○国務大臣(竹内黎一君) お答え申し上げます。
 先生ただいま御指摘の基本的かつ長期的な科学技術の振興政策につきましては、昨年十一月末に科学技術会議から答申をちょうだいしております。私どもこれを十一号答申と申しておりますが、この答申では次の三つを柱にした施策の大綱が示されております。すなわち、まず第一には、先生今御力説の創造性豊かな科学技術の振興、二番目には科学技術と人間及び社会との調和ある発
展、そして三番目には国際性を重視した展開、この三点を特に答申は強調しておる次第でございます。したがいまして私ども科学技術庁といたしましても、この答申の三つの柱に沿って、これから我が国の科学技術振興に一層力をいたしたいと、こう考えているところでございます。
#187
○海江田鶴造君 長官、どうもありがとうございました。
 まだ厚生大臣所用でお見えではございませんが、次に厚生関係について御質問を申し上げます。
 私、過般来、兵庫県に予算委員会の地方公聴会に参りまして、そのときに知事さんからのお話も承ったんでございますし、また全国を回っておりましていろいろ、全国の市町村長あるいは市町村会議員、府県会議員等から話を聞いておるのでありますが、戦後の高度成長がずっと十数年続きました中で、国も市町村も府県も税収その他が大いに伸びまして、そのために社会福祉その他の面に大きな前進が見られたようでございます。しかし中には、財政的に余裕があるからということで、過度の福祉というものもあったようでございますが、現在、財政再建ということで国、地方挙げてこれに取り組んでおりますときに、若干社会福祉の問題等でやや行き過ぎ、言葉は悪いんでございますけれども、国民の側に国、地方公共団体に対する甘え、場合によったらたかり的な動きもあると、このように伺っておるのであります。
 私は兵庫県で生活保護につきまして知事さんの御意見を伺いましたところが、制度自体は極めて立派であるけれども、運用にまずい点もあるのではなかろうかと、こういうような御意見でございましたし、特に例としては、夫婦が別れてはいないのに別れたとして、母子家庭としての生活保護をもらったり、また別な市町村では、病気のときに生活保護を受けたが、病気が治っても依然として生活保護を受け続けておるとか、あるいは働けば働けるのに生活保護の方がむしろ額としてはいいというようなことで、そういうことをやっているというのが田舎の町村等ではあるのでございます。
 私、今ここでひとつ厚生省の局長さんにお伺いしたいんですが、生活保護法による保護世帯、保護人員、これは毎年ふえておるのか減っておるのか、また生活保護の基準額というものは、これはふえておるのか減っておるのか、またその基準額自体が場合によっては高過ぎるというようなことはないのかどうか、こういう点について御答弁をいただきたいと思います。
#188
○政府委員(正木馨君) お答え申し上げます。
 生活保護世帯、被保護人員の推移でございますが、近年大体横ばいの状態にございます。一番新しいところで昨年の九月末現在でございますが、被保護世帯数が七十八万六千世帯、被保護人員は百四十六万でございます。それで五年前の五十四年を見てみますと、被保護世帯七十四万五千、被保護人員として百四十三万ということで大体横ばいでございます。ただ、戦後間もなくの昭和二十六年ごろを見ますと、被保護人員二百万ということで大変多かったわけでございますが、最近は横ばいになっておるというふうに考えております。
 ところで、生活保護の基準額でございますが、終戦直後はマーケットバスケット方式という理論生計費で積み上げ計算をしておったわけでございますが、現在は一般の国民生活水準とのバランスというものを考慮しながら、いわゆる水準均衡方式というものをとっておりまして、現在、都会地と町村とは違うわけでございますが、東京のような都会地で申しますと、一級地で四人世帯で大体十五万二千円程度の保護基準ということになっております。それから、先ほど先生のお話がございましたように、生活保護の場合には国民の最低生活の保障という社会保障の最後のよりどころでございます。そういった意味で、この生活保護の実施について漏れがあってはならないと同時に乱れがあってはならないということで、適正実施という点については私ども精いっぱいの努力をやっておるという現状でございます。
#189
○海江田鶴造君 この保護基準は、一級地、二級地、三級地の三つに分かれておるようでありますが、九州の片田舎の町村等では、その保護額というものがどうも一般の一生懸命働いている人よりも場合によったら同じか高いのじゃないかというような議論があるのですが、生活保護を目いっぱいもらったとすればこの三級地で一体幾らぐらい生活保護がもらえるのか、ちょっとお教えをいただきたい。
#190
○政府委員(正木馨君) 三級地の生活保護基準額でございますが、これは年齢によりましてもいろいろ違いがあるわけでございますが、標準四人世帯ということで夫婦と九歳の男の子、五歳の女の子ということで一応標準的な保護基準額を算定いたしますと、三級地の場合ですと、五十九年度現在の基準額が十二万五千四百二十八円でございます。
#191
○海江田鶴造君 それにいろいろまた手当がもらえるんでしょう。
#192
○政府委員(正木馨君) ただいま申し上げましたのは標準四人世帯ということで、夫婦がおられて子供さん九歳と五歳ということでございますが、それぞれの家庭の形態によりまして、例えば障害者がおられるということでありますと障害者加算、あるいはお年寄りがおられますと老齢加算、あるいは母子加算といったような加算制度が別途措置されるということでございます。それは世帯の類型によって異なるわけでございます。
#193
○海江田鶴造君 私がこれを問題にしましたのは、田舎の町村等におきますと、生活保護をもらっておって、もらっている方が働くよりもまだましだというような人もあると。そして、それが結局、国民の勤労意欲を阻害する要因になることもあるのではないか。また、生活保護をずっともらっておると病気が治ってもなかなか打ち切るわけにいかぬ。そういうことで生活保護をもらっておる家庭、これが場合によったら家庭環境で、そこの子供たちが独立心というものを失っていくのではないか。この生活保護の原則には補足性ということで、一生懸命働いて、やって足らぬところを国が面倒見るんだということとか、あるいは自立心というものを養成して自立自助の原則というようなものがあるそうでございますけれども、いろいろ聞いておりますと、現実にはどうもそういう面が乏しいのではないかということであります。私は、この生活保護についても一括国の補助が一割削減されたということで、あるいはこの機会に生活保護というものを見直す、場合によったら国八割、府県二割、市二割という行き方、これを改めて、もう少し市町村という末端の行政にこれを任せて、そしてもう少ししっかりとした生活保護に持っていくような努力が必要ではないか。一兆二千億という生活保護の予算、市町村、末端まで入れれば約一兆四、五千億になるのでしょうが、これは何としてもちょっと大きいのではないかとこのように思いますが、厚生省どうでしょうか。
#194
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘の生活保護の補助率につきましては、昭和六十年度のことにつきましては暫定措置として補助率の引き下げを行ったところでございます。これから先のことは、国と地方との間の役割分担の見直しとあわせて今後政府部内で検討を進めることにいたしておるわけでございまして、先生御指摘の自立自助の精神ということには異存はございませんけれども、現在のところそのような状況でございますので、御理解をいただきたいと思います。
#195
○海江田鶴造君 よろしくお願いをいたしたいと思います。私の言わんとするところは、やはり若い青少年に対して甘えとかそういう気持ちが生じるような社会福祉であってはならないと、このような考え方でございます。
 次に、もう一つ、保育所の問題についてちょっとお伺いをいたしますけれども、最近たしか婦人労働者というのは千五百万ぐらいと聞いておりますけれども、またパートタイムの女子労働者というのが三百万超しておるとか聞きますが、こうした人たちが働く場合に保育所というものが非常に大事な役目を果たすわけでございまして、この点
については私は児童福祉法に盛られた保育所というのは大変有意義なものだとは思います。ただ私は、文部大臣もおいででございますけれども、どうも教育という観点から考えて、今の児童福祉法による保育行政というものは子供たちの教育という立場でもうちょっと考える必要があるのではないか。例えばゼロ歳児、現在約百八十万以上の児童が保育所で面倒を見ていただいておるわけですけれども、ほんのわずかしかおりませんけれども、ゼロ歳児というのが年々比率が高まっております。私は働く婦人の立場というのはよくわかるんでございますけれども、やはり人間がこの世に幸福を求めて生きていく場合には、赤ん坊というのは母親がみずから育てるというのが一番大事なことではないか、このように考えるのであります。ところがゼロ歳児がこれが保育所に預けられるものが多くなってきた。また一、二歳児、これは合わせますと約三割が保育所で育っておるわけです。私は、父親がというわけにもいきませんでしょうから、本当は母親が満三歳未満ぐらいまではやっぱり一生懸命育てなくてはいけないのじゃないか、それが本当にこれからの時代を担う青少年を赤ん坊のときからしっかり育てる基本ではないか、このように考えるのでございます。その点につきまして厚生大臣のまず御所見をいただきたいと思います。
#196
○国務大臣(増岡博之君) 親と子の関係は、やはり母と子供が一対一の関係で安定した情緒の発達を期待しなければならぬということで、家庭の養育が望ましいことであることには間違いないと思うわけでございます。しかし、先生御指摘のように、最近婦人の就業の機会が大変多くなりました。現実的には不可能な場合がございますことから、児童の福祉を何とかして維持しなければならぬということから現在の制度を行っておるわけでございますので、その設備運営面では十分配慮をして、御指摘のような趣旨がある程度保てるような乳児養育を行うこともまた必要ではないかと思うわけでございます。また労働省にもお願いいたしまして、そういうお母さんが育児のために休暇をとられる、あるいは休業をなさいます場合のいろいろな制度も考えていただいておりますので、そのようなお母さんの育児休業制度その他の条件の整備に努めながらも、その間またやむを得ない就業の方々に対する保育はやはり私どもがやっていかなければならないと思っております。
#197
○海江田鶴造君 事情はよくわかりますけれども、ただ、働きたいから子供を全部預けるということではいかぬので、やっぱり母親に一、二歳まではまず育ててもらうということで、むしろ抑止ぎみにやっていただくように私はこれは希望をいたしておきます。
 なお、労働省にちょっとお伺いしたいのですが、先ほど大臣の言われましたゼロ歳児について育児休業制度というのがあって、一年間ぐらい育児のために休んでもまたもとの仕事に帰してくれるという制度があると聞いておりますが、これがどの程度普及しているかについてお知らせをいただきたいと思います。
#198
○政府委員(赤松良子君) お答え申し上げます。
 育児休業制度がどの程度普及しているかというお尋ねかと存じますが、育児休業制度は昭和四十七年に勤労婦人福祉法が制定されましたときに、使用者の努力義務として初めて我が国の法制上にあらわれた制度でございますが、その当時から見ますと、だんだんに普及は進んでおりまして、ただいま一四%ちょっとぐらいの普及でございます。これはまだ大変普及したとは言いがたい状態でございますので、六十年度からはこれまでございました育児休業導入に対する奨励金の制度を大幅に拡充いたしたいと考えておりまして、六十年度ただいま御審議中の予算案については、その額の大幅な増額をお願いしているところでございます。また、育児休業制度の普及指導員の増員あるいは育児休業制度普及旬間などというようなものも設けまして、この制度を多くの方に理解していただいて、その制度を取り入れる企業がふえるように労働省といたしましては極力努めている次第でございます。
#199
○海江田鶴造君 文部大臣にお伺いをいたしたいのでございますが、今、臨教審で戦後の教育の見直しということが行われておりますけれども、私はこの教育の問題につきましては、ただ学校教育だけではなくて、社会教育、また先ほど申し上げました家庭教育というものが極めて大事だと思うのでございますが、臨教審ではこういう問題も扱っておりますか。
#200
○国務大臣(松永光君) 先生のおっしゃいましたように、教育、人間形成の面で、学校教育のみならずまず家庭教育が大事であると、先ほど厚生省や労働省に対する御質問の中にもありましたが、人間の基礎が形成されるのは乳児期、幼児期であると言われております。その意味で、家庭における望ましい子育てのあり方、これが極めて私は大事であるというふうに思います。
 同時にまた、その後の学校教育とともに社会において人格を完成させていく、特に教育というものは個々人の人格の完成を目指すわけでありますが、同時に国家や社会を支えるそういう人材を養成することでありますから、そういう立場から教育というものはなされていかなければならぬというふうに思います。社会の形成者として基本的なルールを身につけ、かつそのルールに基づいて行動できるような人間に育てていかなければならぬものと私は考えております。
 今度の臨時教育審議会におきましても、それらの問題はまだ明確な論議がなされておるとは承知いたしておりませんけれども、既に御承知と思いますが、臨時教育審議会の第一部会には検討課題として「人間形成の基本」というものも掲げられておるのでございますので、先生御指摘のように、社会人としての基本的な心構えをどういう形で教え、また育てていくかという事柄につきましても、臨教審で十分御議論がなされるものと私は期待をしておるわけでございます。
#201
○海江田鶴造君 私は、現在の日本の環境、社会というものが青少年の健全な教育には必ずしも適していないのではないかという疑いを実は持っております。ちょっと簡単に、私が調べたものだけで申し上げましても、日本には公営ギャンブルというのがございまして、約五種類ぐらいございますけれども、これが現在売り上げが約五兆円でございます。このほかに一割ののみ行為があるそうでございます。宝くじも約二千五百億、酒の消費量はアルコール等を入れて大体年間五兆円ぐらい、これに輸入がまた加わります。たばこも売り上げが約三兆を超す状況でございます。また、近年やかましいパチンコは四兆円産業とか六兆円産業とも言われておりますし、またラブホテル等で使われる金も三兆円から五兆円と言われております。防衛費の額と比べたらまことに大きいものでございます。
 そういう点で、昔、孟母三遷の教えというのがありましたけれども、私はこの環境を浄化するということ、これが非常にこれからの教育の場合に大事なことではないか。また、これから技術革新が始まりますが、どうしても物や技術というものに心がとらわれて、魂、心、特にしつけ、先般、林健太郎委員からも質問がありましたけれども、しつけ、道徳教育というものがおろそかになりますが、こういう問題についてもしっかり私はやってもらって、これからの青少年を本当にたくましい国民、社会人、また国際人として育ててもらいたい、このように念願をいたしておりますが、この問題について文部大臣の御所見を賜りたいと思います。
#202
○国務大臣(松永光君) 先生の御意見に一般論としては賛成であります。立派な人間を育成する上では学校教育でしっかりとした教育をしてもらわなければなりませんけれども、しかしまず立派な人間をつくっていくためには、先輩である大人がいい手本を示す必要があると思います。世の中のもろもろの仕組みやもろもろの慣習というものは概して大人がこれをつくっておるわけでありまして、そのことが子供たちの健全育成にとってマイナスになるものがあるとするならば、それは大人
の責任において直していく必要があるというふうに思います。そういう意味で、お互い人間として、大人としていい手本を子供に示すような努力をしていきたいものだというふうに私は思っておるわけでございます。
#203
○海江田鶴造君 以上で終わります。(拍手)
#204
○委員長(長田裕二君) 以上で海江田君の質疑は終了いたしました。
    ─────────────
#205
○委員長(長田裕二君) 次に、藤原房雄君の一般質疑を行います。藤原君。
#206
○藤原房雄君 最初に、去る十六日の本委員会において同僚の鈴木委員より暫定予算を求めるべきであるという委員会としての態度を決めてほしいという発言がありまして、それに対して委員長は理事会で相談するという答弁がありましたが、委員会としての態度についてどうなったのか、既に十日もたっておりますので、当然暫定予算を求めるように決まるとは思いますけれども、このことについて委員長の御発言をお伺いしておきたいと思います。
#207
○委員長(長田裕二君) ただいまの件に関しましては、鈴木委員の御発言について理事会で鋭意協議中でございますが、来る二十七日には委員会として態度を明確に示したいと存じますので、御了承願います。
#208
○藤原房雄君 最初に、農業問題にちょっと触れたいと思いますが、五十八年度の食糧自給率は総合で七一%、穀物自給率では三二%、これは前年度よりそれぞれ一%下がって、史上最低ということであります。これは衆参両院の国会決議に反するということからいいまして、これは断じて許し得ないことだと思うのでありますが、どのようにこれは認識していらっしゃるのか、大臣にお伺いします。
#209
○国務大臣(佐藤守良君) 藤原先生にお答えいたします。
 食糧の安定供給と安全保障を確保することは国政の基本とも言うべき重大な点であると思っております。そのようなことで、農政の展開に当たりましては、先ほど先生が御指摘のとおり、国会の決議等を踏まえまして、本当に国内で生産できるものは国内で生産するというようなことで総合的な食糧自給力維持強化に努めてまいっております。
 そのようなことで、実は私は四つの施策を中心に進めたいと思っております。その一つは、需要の動向に応じた農業生産の再編成。二番目には、技術、経営能力にすぐれた中核農家や生産組織の育成確保。その次には、優良農用地の確保と農業生産基盤の計画的整備。それから、バイオテクノロジーとかニューメディアを駆使した農業技術の開発や普及。こういうものを中心に今後の施策を図ってまいりたい、こう考えております。
#210
○藤原房雄君 国土の態様とか食生活の多様化、経済の国際化、こういう中で完全自給というのは非常に難しいことはわかるのでありますが、しかし、外圧でじりじりこの自給率が下がるという、こういうことに対しまして、食糧安保の上からも、また七五%の国内で自給というこういう国民の声からしましてこれはゆゆしき問題である、こういうふうに思うのであります。こういうことに対しての歯どめの政策ということについてはどのように具体的にお考えになっていらっしゃるかお伺いしておきます。
#211
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えしますが、先ほど答弁したようなことでございますが、できるだけ生産性を高め、そして効率のいい農業をやる、そんな形の中で総合的な自給力を高める。今、先生に言いましたようなことで、四つの施策を中心に歯どめを図りたい、このように考えております。
#212
○藤原房雄君 こういう政策を進めるには何といっても財源的裏づけがなければならないわけでありまして、大蔵大臣この問題についてはよく御存じのことと思いますが、財布を預かる大蔵大臣として、こういう現状についてはどう御認識していらっしゃるか、お伺いしておきます。
#213
○国務大臣(竹下登君) いわゆる食糧の自給率向上の問題が我が国の農政の基本の考え方に置かれておるということは私も承知いたしております。それらの具体的ないわば予算の問題あるいは投融資の問題につきましては関係農林当局とよく協議して対応する立場にある、このように位置づけをいたしておるところであります。
#214
○藤原房雄君 総予算の中に占める農林予算が年々急角度に減少しておる、いろいろな事情はあるのですけれども、財政当局におきましては十分にこの内容については御存じだと思うのですが、やはりなすべきことはなさなければならない、こういうことで、財政運営については十分に配慮すべきだと思いますが、どうでしょう。
#215
○国務大臣(竹下登君) 大きな流れで申しますならば、いわば補助から融資へ、こういうような政策が大きな流れとしては位置づけられておるところであろうと思っておりますが、基本認識といたしましては、今、藤原さんおっしゃいました、きちんといわば基礎的にあらねばならぬ姿という問題については、藤原さんと私とそう大きく物の考え方が離れておるというふうには考えておりません。
#216
○藤原房雄君 アメリカ政府の発表しました「二〇〇〇年の地球」という、この中で、日本は二〇〇〇年になりますと開発途上国全体の輸入量よりも多い四千二百万トン穀物を輸入することになる、こういう指摘があるのですが、高温多湿な農業に適した国土に恵まれております日本が自給率をできるだけ高めるという、ある一定を維持をするということは国際社会の一員としての責務である、こう思うのですけれども、これについては、農林大臣と外務大臣、ひとつ御見解を伺っておきます。
#217
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたします。
 先ほどから申しておるようなことでございますが、日本の立地条件等もございます。そういう形の中にいかにして四つの施策を中心にやりながら、そして国内で生産できるものは国内で生産するという形の中に生産性を高めながら総合的自給力の強化に努めたい、このように考えております。
#218
○国務大臣(安倍晋太郎君) 穀物の安定確保というのはやはりその国にとっての総合安全保障といった立場からも極めて大事であろうと思いますし、そういう中で自給率をできるだけ高めるという努力は日本としてもこれを続けていかなければならない大きな政策の一つである、こういうふうに思っております。
#219
○藤原房雄君 このたび起きました不正規米の売買事件ですね、食管体制が事実上権利化しているということで、消費者、生産者の立場を踏みにじるもので、許し得ない、こう思うのですが、食管法の根本精神を守る大臣の決意と米流通に対しましての総点検、こういうことについて再び同じ事件が起きないようにする、こういうことでの対策を講ずべきだと思いますが、どうでしょう。
#220
○国務大臣(佐藤守良君) 藤原先生にお答えいたしますが、先生の御指摘のとおりでございまして、食糧管理制度というのは、国民の主食であるお米を政府が責任を持って管理することによりまして、国民の必要とするお米を消費者に対しまして安定的に供給するという重要な役割を持っていることは先生の御指摘のとおりでございまして、今後とも本制度についてはこれは堅持してまいる考えでございます。
 米穀の不正規流通につきましては、これを放置しておけば食糧管理制度の健全な運営を図っていく上で重大な支障を来すものでございますゆえ、悪質なものについては断固たる措置をとる方針で対処してまいるつもりでございます。ただ問題は、不正規流通を防止するためには、集荷、販売の両面におきまして不正親米が流通しないようにするにはどうするかという防止策が必要だと思いますが、集荷面におきましてもあるいは販売面におきましても、より活発な販売活動が行われるよう措置してまいりたい、このように考えておりま
す。
#221
○藤原房雄君 農産物の市場開放についてお伺いしますが、木材関係について農林大臣が十九日の閣議後の記者会見で、条件つきながら木材の関税引き下げ要求に応ずるというような発言が報道されておりますけれども、これは国会答弁等で言ったことから大きく後退したのかどうか、大臣、どうですか。
#222
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたします。
 我が国の林産業界は、先生御存じだと思いますが、大変長期にわたる深刻な不況下にあるということでございまして、回復の兆しは現在見られません。こうした林産業界の不振が我が国の森林とか、あるいは林業に深刻な影響を与え、森林の持つ公益的機能にも大変な悪影響を与えておるということは先生御存じのとおりでございますが、木材製品の対外問題につきましては、関係国との友好関係にも留意しつつ、我が国林業を生かすとの観点に立ち、その健全な発展との調和をどうして図っていくかということが基本的に大切であると考えております。
 そのようなことで、関税引き下げにつきましては、従来から申し上げてきたとおりでございまして、極めて困難であると考えております。そして、慎重に対処したいと、このように考えております。
#223
○藤原房雄君 慎重に対処は当然ですが、木材製品の輸入増加は、これは国内木材産業のみならず、林業そのものに壊滅的な打撃を与える。森林の荒廃は国土の荒廃につながる。中曽根総理が唱えております緑化推進、これにも逆行することになるのじゃないかと、こういうことで非常に憂慮しておりますので、これに対しましてはひとつ毅然たる態度で臨んでいただきたいと思いますが、どうでしょう。
#224
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えしますが、実は木材製品の関税引き下げ等につきましては、中曽根総理含め、実は河本担当相あるいは安倍外務大臣、竹下大蔵大臣、皆さん大変御理解と御援助をいただいております。私は今までいつも言っておるとおりでございまして、私は極めて困難であるというようなことで、慎重に対処してまいりたいと考えております。
#225
○藤原房雄君 ASEANから要請されております骨なし鶏肉の関税引き下げの問題ですけれども、外務大臣、どのような要請を受けてどのように対処しようとしているのか。外務、また特命相にお伺いします。
#226
○国務大臣(安倍晋太郎君) タイからの鶏肉輸入の約八割はいわゆる骨なし鶏肉でありまして、その関税は現在一八%であるのに対して、主に米国から輸入されているいわゆる骨つきもも肉の関税率は現在一二・五%となっておるわけであります。そういうことからタイはこのような我が国の鶏肉に対する関税率の差はタイに不利なものとなっているということで、骨なし鶏肉につきまして骨つきもも肉並みに関税率を引き下げるということを求めておるわけであります。
#227
○国務大臣(河本敏夫君) 現状は今外務大臣が御答弁になりましたとおりでございます。
#228
○藤原房雄君 骨なし鶏肉や木材関係のほかにASEANからの市場開放要求にはどういうものがあるのか。また、日本の合弁企業との契約による輸出制限条項ですね、これの撤廃の要請があるということを聞いておるんですが、これらのことについてお伺いしておきます。外務と通産ですか。
#229
○政府委員(後藤利雄君) お答えいたします。
 ASEAN諸国からただいま先生御指摘の骨なし鶏肉、あるいはインドネシアあるいはマレーシアの関心を持っております広葉樹合板以外で特に一般関税あるいは特恵関税の引き下げ要求の主要な関心品目といたしましては、マレーシアからパーム油、それからフィリピンからバナナ等の関税の引き下げあるいは特恵関税の引き下げの要求があります。輸出制限につきましては、特に木材につきましては、丸太の輸出制限というのはインドネシアは行っておらない。したがって、国内産業の育成という点でできるだけ製材を輸出する、こういう政策であると承知しております。
#230
○藤原房雄君 通産大臣はいないのか。合弁企業の輸出制限条項について、通産。
#231
○委員長(長田裕二君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#232
○委員長(長田裕二君) 速記を起こして。
#233
○政府委員(国広道彦君) ただいま御質問をいただきましたのは、我が国からAS EANに企業進出等をしました場合に、そこでできる製品をほかのマーケットに輸出しないような条項が入っているということに対して、AS EAN諸国で、せっかく自分の国で工業を興すのだから、それにせっかくできた製品が外国に輸出できないというような制度はおかしいではないか、そういう制度はなしにしてくれという要求がたびたび出されております。
 これは、政府の方でそういう条件をつけているのではございませんで、民間企業が進出する際に、民間の企業の問題としてそういう内容が契約の中に入っていることがあるというふうに聞いておりますが、これは民間の方のビジネスの問題でございまして、それは通産省等で、そういう要求が強いということは民間企業にお伝えしてあるというふうに聞いております。
#234
○藤原房雄君 関税率引き下げ等につきましては、これは二国間交渉じゃなくてやっぱりガットの場で多角的に話し合うべきだということだと思うのですけれども、これは大蔵、外務にお聞きしておきます。
#235
○政府委員(矢澤富太郎君) お答え申し上げます。
 関税率の引き下げにつきましては、今、委員から御指摘がございましたように、本来総合的、多角的に行われるべきものでございます。我が国といたしましても東京ラウンド等ガットの多国間交渉に積極的にこれまでも参加してきているところでございます。また、近年の累次にわたります市場開放対策に当たりましてもこの東京ラウンドの成果でございます東京ラウンド合意の線に沿いましてその繰り上げ実施を柱として措置してまいってきているところでございます。しかしながら、御承知のように最近の我が国の巨額な貿易収支の黒字を背景といたしまして我が国の個別農産物について市場開放を求める諸外国の要請は大変に強いものがございまして、我が国といたしましても対外摩擦の解消に資するためこれらの要請にも対応せざるを得ない状況になっているわけでございますが、この場合におきましても国内の農業事情に十分な配意を払いまして、具体的には所管省の意見を十分に尊重して適切に対応しているところでございます。
#236
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今、関税局長が申したとおりでありまして、やはり本来的にはガットの場で論議されるのが当然でありますが、ニューラウンドを今日本提唱しておりますが、大分先の話ですし、そういう中で今日本の非常に国際収支の膨大な黒字であるとか、あるいは各国の保護主義の高まり、そういうものが背景となりまして、日本に対しても各国から、今ASE ANの諸国もそうですしアメリカもそうですが、膨大な関税引き下げの要求が来ております。こうした世界の自由貿易体制を守っていくためにはやはり二国間あるいは日本自身の自主的な判断で関税の引き下げ等もやっぱりやらざるを得ない、そういう状況になっておることはこれは客観的な状況として我々は認識しなければならぬと、こういうふうに思っております。
#237
○藤原房雄君 漁業外交について一言だけお聞きしますが、自給率の低下の中で漁業につきましてもIWCの鯨を初めとしまして、日米、日ソ、こういう関係でどんどん押されぎみになっている。長期戦略というか、こういう上に立っての強烈な漁業外交というものが要求されるんですが、これは農水大臣、外務大臣、どうお考えになっていらっしゃいますか、今後の取り組みについて。
#238
○国務大臣(佐藤守良君) 藤原先生にお答えいたしますが、米ソの二百海里経済水域につきまして
は実は沿岸国がその主権を強く主張しておるということで非常に厳しくなってきているのは事実でございますが、私はこれらの諸国とは今後とも粘り強い漁業外交を展開しながら、ある場合は向こうとの協調によるような漁業を進めながら今後ともひとつ漁業、漁獲の確保に努めたい、このように考えております。
#239
○国務大臣(安倍晋太郎君) 農林大臣の言われるとおりでありまして、やはり新海洋法時代を迎えまして新しい二百海里時代ということになりますと、これまでとは違ったやはり水産外交というものを展開せざるを得ないわけで、今そういう過渡期の中で例えば日ソの問題等も今回非常に難航の末に協定が結ばれたわけでありますが、非常に二百海里というのは主権的な要求というのが強くなっております。そういう中でいかに我が国の水産国としての国益を守っていくか、大変苦労しておるわけでございますが、今後とも農林水産省と力を合わせまして我が国の水産の利益の確保のためにひとつ努力をしたい、こういうふうに思っております。
#240
○藤原房雄君 次は地域経済の問題に入りますが、五十九年度経済について、企画庁は成長率を上方修正して景気は上向きつつあると、こう言っておるわけですが、これは全国平均の数字でいまだ地域的にはばらつきがあるのが現状です。地方を回ってみましても現実は厳しいという声がやっぱり多いのです。
 そこで、企画庁にお伺いしますが、二月十九日にまとめました「地域経済動向」、次の七点について全国と北海道についての経済指標、この数字を示していただきたいと思います。一つは五十九年度の鉱工業生産指数の前年比、二つ目には五十九年十―十二月期の公共事業請負金額の前年同月比、三番目には五十九年の百貨店販売額の前年比、四番目には五十九年七―九月期の全世帯消費支出、五番目は五十九年の有効求人倍率、六番目が五十九年の倒産件数の前年比、七番目が五十九年十―十二月期の新設住宅着工の前年同期比について、全国、北海道の数字をちょっとお示しいただきたい。
#241
○国務大臣(金子一平君) ただいま御指摘の数字につきましては、政府委員から答弁をさせます。
#242
○政府委員(横溝雅夫君) お答えいたします。
 今、御指摘の項目につきまして、暦年でありますとか、十―十二月期でありますとか、ものによって対象の時期を先生ちょっといろいろおっしゃいましたが、手元におっしゃいました時期にぴたりの数字がちょっと準備してございませんので、最近月の数字をとりあえず御答弁さしていただきたいと思います。
 まず、鉱工業生産につきましては、ことしの一月におきまして全国が前年同月比八・六%の増でございますが、北海道はマイナス三・六%でございます。それから公共工事請負金額、これもことしの一月でございますが、全国がマイナス六・六%に対しまして北海道はマイナス三五・七%でございます。それから新設住宅着工件数、これも一月でございますが、全国九・九%増に対しまして北海道はマイナス二一・三%。それから百貨店の販売金額でございますが、これも一月でございますけれども、全国六・八%増に対して北海道は七・八%増。それから全世帯の消費支出、実質これは去年の十二月の数字でございますが、全国が二・四%増に対して北海道がマイナス八・四%。それから有効求人倍率、これは前年比ではございませんで実数でございますが、ことしの一月全国が〇・六九倍、北海道が〇・三七倍。それから企業倒産件数、東京商工リサーチの数字でございますが、これはことしの二月でございますが、全国が一三・四%減に対して北海道が六・一%減でございます。
 以上でございます。
#243
○藤原房雄君 七つの代表的な経済指標について述べていただいたわけですが、これは全国の平均といっても北海道は全部下回っているのが現状ですね。沖縄とか四国、九州、また東北の一部の県でも同様なことが言えると思うのであります。こういうことから地域経済に跛行性というのは明確といいますか、やはりまだ残っていると言わなければなりません。この数字を見ての認識と今日までとってきた対策、今後に対しての方向づけ、企画庁どういうふうにお考えでしょう。
#244
○国務大臣(金子一平君) 藤原先生御指摘のとおり、景気は全体としては伸びておりますけれども、地域的なばらつきが特に北海道等にはっきりと見受けられます。その一番大きな原因は設備投資関連業種が少ないとか、あるいは公的支出への依存度が高くて消費関連産業のウエートも高いというようなところに問題があるのだろうと思うのでございます。特に従来から、例えば五十九年度の上半期におきましても公共事業等の機動的な弾力的な施行を地域的に配慮いたしたことがございましたが、やはり必要に応じてそういった適切な対策を今後とも景気の動向を見ながら打ってまいりたい。一方、民間活力が最大限に発揮できるような環境づくりをしっかりやるということが大事であろうと思うのでございます。例えば、テクノポリス事業の推進、これは函館地区が指定になっておりますが、最近はまたテレトピアの施行の地域に札幌、帯広が指定になっておりますが、そういうようなことをやりながら地域の特性を生かした地域経済の自立的発展を促す諸施策を今後も極力図ってまいりたいと考えておるような次第でございます。
#245
○藤原房雄君 大蔵大臣、今の数字をお聞きになったと思いますが、公共事業の配分等については当然地域経済の跛行性というものを頭に置いているんだろうと思いますけれども、現実にこんなに大きな格差があるということであるならば、これは傾斜配分も十分ではなかったのではないかというような感じがするんですが、御見解はどうでしょう。
#246
○国務大臣(竹下登君) いわゆる公共事業の地域配分、これは従来からそれぞれの地域の社会資本の整備状況あるいは事業の優先度、それを基本としながらも、今御指摘なすっております経済事情等の地域の実情、これを念頭に置いて配分に努めておるわけでありますので、これからもこの方針で対応していかなければならぬ。
 今藤原さん、もろもろの指標の御指摘がありましたが、財務局長会議というのが大蔵省ではございます。そういたしますと、私なりにいつも感ずるのは、いわば中部、名古屋中心でございますね。そこの局長の分析と北海道の局長の分析とがどれだけ違うかということが、私どもが予算執行に当たっていろいろ勘案する大きな興味といっては失礼でございますが、非常に関心を持ってその報告をいつも聞くわけであります。したがって今度適していただきました補正予算等の地域配分については、そういう方向が結果として生かされておるではなかろうか。さらに、その補正の中におきますいわゆる債務負担行為、契約だけやってもよろしいというものが中身にございますが、これもいわば雪が降りまして、雪の下ではどうにもならぬというような問題もまた確かに北海道の実情の中にはございますが、それに影響のないもの等から特に選別いたしまして、それが平たい言葉で言えば傾斜配分とでも申しましょう、そういうことを念頭に置いて対応してきたし、これからも地域ばらつきの問題については絶えず念頭に置くべき課題であるというふうに考えております。
#247
○藤原房雄君 この問題は去年も大臣に申し上げたんですけれども、ぜひひとつそういうお考えで進めていただきたいと思います。
 次に、六十年度の公共事業の執行で上半期の契約率ですね、前倒し、どの程度に持っていく方針でしょうか。
#248
○国務大臣(竹下登君) これも五十九年度の公共事業の事業執行時、今藤原さん当時のことを想起しながらの御質問でございますが、上半期におきましては内需の振興に資するよう執行を行うこととして、景気動向に応じて機動的、弾力的な施行を推進してきたわけでありますが、今のところ我が国経済は民間設備投資を初め、国内民間需要を中心に順調に拡大しておりますが、今後とも引き
続き、基本的にはインフレなき持続的安定成長、これを達成していかなければならぬということ。
 そうしてここに、特に今御審議いただいている予算の中身に触れるわけでございますけれども、いわば公共事業の関係費につきましては、国費は減額しましたが、一般公共事業の事業費については前年度を上回る水準を確保したものを今御審議いただいておるということになるわけであります。したがって予算と、そうして関連法案が成立して、計数がまとまった後の問題になるわけでございますけれども、基本的認識としては最近の経済動向から、いわば特別に景気拡大的な施策を講ずる必要は、総体としては必ずしもないという認識でございますものの、地域問題等につきましては十分念頭に入れておるつもりでございます。
 試みに過去五年間の上半期の契約率をちょっと見てみますと、五十五年は抑制でありまして五九・六%でしたが、五十六年が七〇・五、五十七年が七七・二、五十八年が七三・五、それで五十九年はいわゆる自然体ということで目標を設定しなかったわけでありますが、結果としては七二・〇%、こうなっておりますので、いわば対応の仕方というのが、国はもちろんでございますが、地方自治体等も非常に円滑に執行することになれてきていらっしゃるというと、表現は適切ではございませんが、そういう環境にもございますので、いろいろな地域ばらつき等は十分念頭に置いておかなければならない政策執行上の課題であるという認識は、藤原さんと私と違っていないのじゃないかというふうに考えます。
#249
○藤原房雄君 六十年度の前倒しには積極的な考えがないといいますか、こんなことも報道もされておるのですし、今お話にございました地域性を考えるということですが、五十六年から九年までは七〇%で大体キープしておったわけですから、基本的な考えとしては、今年もやっぱり上期には六〇%台の後半ぐらいに落とすというような考え方と理解していいかどうか、どうでしょう。
#250
○国務大臣(竹下登君) まだ決めておりませんので、パーセントで申し上げるわけにはまいりませんが、先ほど読み上げました中にもありましたように、いわば自然体にしておっても結果として五十九年が七二になっておりますので、そういう円滑な執行体制というのは非常に完熟しておるではなかろうかということでございます。まだいわゆる繰り越しが何ぼあるかとか、そういうことのトータルを見定めてから決めるべきことでございますが、私は大きく、今藤原さんが念頭にお持ちになっていろいろなことをお考えになっておられることと相反するような方向にいくようなことはなかろうというふうに考えております。
#251
○藤原房雄君 次は地域経済問題についてちょっと御提言を申し上げたいと思うのですが、企画庁の「地域経済動向」ですね、中国は緩やかにとか、九州は着実に、沖縄は順調にという言葉であらわされているのですが、地域経済の動向を確実に把握するためにはやっぱり統計処理上工夫が必要じゃないか、こういうふうな考えを持っておるのですが、この地域経済動向の指数というようなものを作成すべきだと、こう思いますが、どうでしょう。
#252
○政府委員(横溝雅夫君) 先生御指摘の地域経済についての景気動向指数の点でございますが、現在都道府県におきまして景気動向指数を十一の県が定期的につくって発表してございます。そのほか十八の県でつくっておりますが、内部検討中で発表していないとか、あるいは作成を検討しているとかいう状況でございまして、経済企画庁といたしましては、地方自治体等が景気動向指数を作成することによって、地域の景気動向を的確に把握することができるよう情報提供とか、あるいは景気動向指数のつくり方のノーハウとか、いろいろ積極的に御支援を申し上げているところでございます。
#253
○藤原房雄君 三十統計という精緻なものでなくても基本的な統計を総合して一目でわかるもの、また、この「地域経済動向」は二カ月に一度ということですが、これはやっぱりできれば毎月、より地域経済の動向の把握ができるようにすべきだというふうに私は思うのですけれども、どうでしょう。
#254
○政府委員(横溝雅夫君) 今、先生御指摘の「地域経済動向」の分析でございますが、御指摘のとおり企画庁では全国を十地域に分けまして隔月、一カ月おきに「地域経済動向」という名前で分析結果を発表いたしております。これを毎月出したらどうかという御指摘でございますが、これ内部的な話で恐縮でございますが、私ども調査局の内国調査第二課というところでやっておりますが、この課は昭和五十五年にできまして、まだできてから数年でございますが、陣容もまだ少のうございまして、なかなか毎月やるというのはかなり困難な状況にございます。一カ月置きに地域動向を分析し、産業動向を分析するという産業と地域を月交代でやっておるわけでございますが、現在におきましてはそういうことでちょっと体制上困難がございますけれども、御指摘の御趣旨を踏まえて今後とも検討してまいりたいと存じます。
#255
○藤原房雄君 次に、四全総についてちょっとお伺いしておきます。
 これは地域経済活性化という観点からですが、国土庁の四全総の土台となる「長期展望作業中間とりまとめ」、この四全総策定のスケジュールをまずお伺いしておきたいと思います。
#256
○政府委員(小谷善四郎君) 四全総は昭和六十一年を目途に策定することを予定して現在作業を進めているところでございまして、昭和五十八年十月に国土審議会にお諮りいたしまして作業に着手いたしまして、昨年十一月、今先生のおっしゃった「長期展望作業中間とりまとめ」を公表したところでございます。現在は、この中間とりまとめを基礎にいたしまして、地方公共団体を初めとする各界、各層の御意見を承っている、こういう段階でございまして、それらの意見を十分に承りながら四全総の基本的な考え方を基本構想として集約したい。さらに、その上で具体的な計画課題の検討を行いまして、冒頭にも申し上げましたように、六十一年を目途に策定いたしたい、このようなスケジュールで今進めております。
#257
○藤原房雄君 中間報告の中で目標年次を二〇〇〇年に置いて、自立調和型社会、バイオソサエティーの拡大進展を目指すというふうになっているのですけれども、これは三全総の定住圏構想とどう違うのか、さらにまた四全総で地域経済の活性化をどういうふうに位置づけているのか、その辺のことについて。
#258
○政府委員(小谷善四郎君) 最初に、「長期展望作業中間とりまとめ」で私どもが言いました自立調和型社会と、三全総で言いました定住構想とどう違うのかという点を申し上げたいと思いますが、定住構想といいますのは三全総の計画方式でございまして、その趣旨は、全国それぞれの地域で地域の特性を生かしながら自然環境、生活環境、生産環境が調和した総合的な環境をそれぞれの地域で形成する、そのことを通じて大都市への人口、産業の集中を抑制し、一方では地方を振興して過密過疎に対処しながら新しい生活圏の確立を図ろう、こういう計画方式でございます。
 一方、長期展望作業で言いました自立調和型社会でございますけれども、これは長期を展望したときの二十一世紀型の日本社会のイメージとして一応自立調和型社会ということを書いたわけでございまして、技術システム等が変化してまいりまして、そういう過程を経て個人におきましてもあるいは地域におきましても自立性が高まってくるのではないか、その結果として個と個が自立しながら互いに補完し合う、そして全体として一つの調和のとれた総体を形成するのではないか、そのような展望を描いた言葉でございます。
 したがいまして、一方は国土計画の計画方式でございますし、他方は社会全体のイメージを示したものでございまして、そういう点の差はございますけれども、一人一人の自由な活動あるいはそれぞれの地域の自立性といったものを重視して、それを創造的に発展させるということを通じて国土や社会の調和と均衡を図ろうという点について
は、両者は軌を一にしているものであると私どもは理解しております。
 なお、四全総においてどんな計画方式を選択すべきかということにつきましては、今後さらに検討すべき課題であろうと思っております。
 それから、第二点目の四全総において地域経済の活性化をどのように考えていくつもりかという御質問でございますが、近年地域間の格差は先ほど来御議論がございますように地域的なばらつきはございますけれども、全体としては徐々にではございますが縮小してきている、そういう流れにあると見ております。しかし、最近におきましては地方圏で産業構造の変化への対応がおくれる、あるいは財政トランスファーへの依存がある、あるいは就業機会が不足している等々の問題が見られるわけでございまして、このような状況のまま推移いたしますと、大都市圏と地方圏との格差が再び拡大するおそれもあるのではないかと見ておりまして、したがいまして四全総の策定に当たりましては、国土の均衡ある発展を図るという観点から地域経済の活性化を図っていくということが重要な課題であると考えております。
 そういう点から具体的に若干申し上げれば、交通、通信等の国土基盤の整備でございますとか、あるいは工業の分散、地場産業の振興あるいは農林漁業の振興、さらにはまた制約条件の多い地域への支援等々をハード、ソフト両面にわたって多面的な地域経済活性化のための施策について検討し、計画していかなければならないのではないか、このように考えております。
#259
○藤原房雄君 情報化社会の到来と言われておりますし、また民間活力の導入、こういうことを考えますと、四全総が都市問題に非常にウエートがかかるのじゃないかというような感じがする。過疎地や山村地域や農村地域への取り組みが総体的に小さくなるんじゃないかという懸念を持つんですが、どうでしょう。
#260
○政府委員(小谷善四郎君) 私が改めて申し上げるまでもございませんで、農山村というのが広がりにおいて国土の大部分を占めておるということがございますし、国民食糧や木材の供給ということでありますとか、国土保全、水資源確保等の国土資源管理の面でも重要な役割を果たしておりますし、さらには都市住民を含めて国民に対して自然との触れ合いの場を提供している、保全しているというような役割も果たしておりまして、国民生活の安定、安全な国土あるいは美しい国土をつくっていくという面で不可欠な大きな役割を果たしているというふうに見て、そのような角度から四全総においても取り上げていく必要があるのではないかと考えております。しかし、今日農山村地域というのは、これも御説明するまでもございませんが、都市の遠隔地では過疎化が進行しておりますし、一方都市周辺では混住化が進んでいる、また都市に先駆けて高齢化が進展しつつあるというようなさまざまな困難な問題を抱えるに至っておりまして、したがいまして、そのような困難な問題を解決しながら農山村地域の振興をどのように図っていくかということは、四全総においても基本的に重要な課題ではないか、このように考えております。
 都市と農村ということから考えました場合に、都市と農山村を二つに分けて発想するということではなくて、都市住民も農山村を必要としているわけでございますし、他方農山村住民も生活の向上のために都市の便益を必要としているということがございますので、そういう観点から都市と農村が自立しながら相補って調和を保っていく、そういう視点が重要ではないかと考えておりまして、そのようなことから総合的に幅広く検討してまいりたい、このように考えております。
#261
○藤原房雄君 自立調和型社会と言いますが、自助努力で今後の地域開発を考えていくという、こういうことがその基本になっているのですが、今日までの過疎対策で道路とかコミュニティー施設、これは随分つくった、しかしながら過疎はとまらなかったという現状です。こういうことで、ここまでやったんだからあとは地方でやれという、こういう形になるとするならば、これは国の責任回避ということになるのではないか。自助努力と言いますけれども、国は制度改革とか財源付与とか、こういうことで実際の運営は地方自治体の主体性にのっとる、こういうことでなければ、主体性を尊重するというんじゃなければならぬと思いますが、どうでしょう。
#262
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 今後の地域づくりに当たりましては、それぞれの地域の創意工夫と自助努力が重要である。しかし、こうした地域の努力を生かすに当たりまして、道路等の基盤づくり、制約の条件が大きい地域への支援などの面で国が果たす役割は極めて大きいと思います。こうした地域と国の努力の双方が、自助努力と言いますが、双方が力を合わせて二十一世紀に向かって望ましい地域づくり、国土づくりが可能になると考えております。
#263
○藤原房雄君 北海道、東北、北陸、この豪雪地帯また農村地帯、さっきもちょっと触れておりましたけれども、四全総では、これはどういうふうに位置づけていらっしゃるのか、現在の作業の中で位置づけようとするのか、ちょっとお伺いします。
#264
○委員長(長田裕二君) 答弁はなるべく簡明にお願いします。
#265
○政府委員(小谷善四郎君) 北海道、東北地方が積雪、寒冷等の厳しい気候条件を持つということが一方ではございますし、他方では豊かな国土資源に恵まれて大きな発展の可能性を秘めた地域であるということも一方でございまして、したがいまして四全総の策定に当たりましては、これら地域の持つ開発のポテンシャルを踏まえて、また二十一世紀へ向けてのいろいろな内外の諸情勢の変化に対応して、その位置づけ、振興のあり方ということを検討してまいりたいというふうに考えております。
 その際、積雪、寒冷等の厳しい気候条件に基づく制約条件でありますとか、特殊事情といったことを十分踏まえる必要がございますし、それらを踏まえて雪害の克服でありますとか、地域振興のための施策といったことを検討することが大切ではないかというふうに考えております。
#266
○藤原房雄君 長期展望中間報告の中で注目すべき試算があるんですが、公共投資が実質三%程度の伸びで推移すると、二〇二五年ごろには各分野の国土基盤の整備水準が相当高まる、しかし実質横ばいで推移すると公共投資の九〇%がこれまでの維持管理費に充てざるを得ない、こういうふうに記されているんですが、現在マイナスシーリングで公共事業費も前年水準を下回っている、こういうことでありますが、国土庁長官、現在の公共投資抑制政策、五年も続いているわけですが、これは問題だと思いますけれども、どうでしょう。
#267
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 二十一世紀へ向けての国土づくりを進めるに当たりましては、交通、通信、国土保全等の国土基盤の充実が求められておるわけであります。非常に財政の厳しい状況でありますが、長期的視野に立ちまして、着実に社会資本の充実を進めるべきだと考えます。
#268
○藤原房雄君 望ましい国土づくりを進めるために社会資本の充実というのが必要であることは論をまちませんが、しかし、それは地域の特色をよく理解した上で進めることが大事だと思います。日本は、よく言われますが、国民一人当たりの社会資本ストックは欧米の半分そこそこと言われておりますが、中間報告にありますように、私は今後とも実質三%程度の公共投資の伸びというものは最低必要だという、こういうことから大蔵大臣の所見をお伺いしておきたいと思います。
#269
○国務大臣(竹下登君) 確かに、社会資本の充実というものが国土の均衡のとれた開発のために、そのいわば基礎的な要件である。したがって、私どもも乏しい財政の中でも工夫をいたしまして、今年度、今御審議いただいている予算におきましても、国費ベースでは千五百十一億円、すなわち三角の二・三%と、こういうことになるわけでございますが、事業費ベースで見ますと十二兆七千九百五億円が十三兆一千九百十九億円、すなわち
四千十四億円、三・一%の事業費を確保した。ぎりぎりいっぱいの工夫をいたしておるというのが現状でございます。
#270
○藤原房雄君 物価上昇とか、いろんなことも勘案しますと、そういう下回らない伸び率が要求されるということで、これは要望しておきます。
 また次に、四全総の策定作業が進められている中で、北海道総合開発計画、これについてちょっとお伺いしておきますが、この北海道総合開発計画をどのように考えているのかということと、またその計画の中で青函トンネルの利用についてはどう考えているのか、この点お伺いしておきます。
#271
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 北海道総合開発計画は昭和六十二年度までとなっております。六十年度からは次期計画の策定に取りかかることとしております。
 北海道総合開発計画と三全総との絡みでございますが、今国土庁におきまして、四全総をあらゆるヒアリングをしながら研究中でございますが、北海道もこれに呼応して立派な北海道総合開発を取りまとめたいという考えでございます。
#272
○藤原房雄君 地域開発の活性化という見地から青函トンネルの有効活用についてちょっとお伺いしておきますが、青函トンネル問題懇談会の報告は、国全体の総合的、長期的見地からトンネルの早期完成、有効活用の結論を出しているが、運輸大臣、これをどのように考えていらっしゃるのか、政府の立場としての見解をお伺いしておきます。
#273
○国務大臣(山下徳夫君) 当面は在来線としての工事を進めておりますけれども、ただいまお話がございましたように、私どももこれは国民全体の非常に大きな財産というふうに理解をいたしております。したがって、より有効にこれを利用するという立場から、青函トンネル問題懇談会にお願いをいたしましていろいろ御検討いただきまして、その答申が昨年出ております。これによりますと、今申し上げました在来線としてまず活用する。それから、カートレーンとして三種類ぐらいお答えをいただいておりますが、まず在来線としてのカートレーン、それから中小国―木古内、この間における標準軌によるカートレーン、それから青森―函館間における標準軌によるカートレーンということでございまして、さて、この中でどういう方法が一番いいのかということを今関係各省庁で御審議いただいておる段階でございますけれでも、採算性その他、国民に御利用いただく面においてどれが一番いいかということをさらに慎重に検討した上で決定してまいりたいと思います。
#274
○藤原房雄君 また報告書では、建設費の償還についてはすべてを国鉄や利用者に負わせることは不可能である、何らかの形で公的負担が必要であるという政府の決断を求めているところがあるのですけれども、財源対策について運輸、大蔵、それぞれどういうふうにお考えでしょうか、現時点でのお考え。
#275
○政府委員(棚橋泰君) 先生御指摘のように、青函トンネル、大変膨大な経費がかかりますので、その資本費を現在の国鉄にしょわせるということは困難であるということは懇談会でも御指摘ございますし、臨調答申等でも同様な御指摘をいただいております。
 ただ問題は、国鉄にしょわせない場合のやり方につきましては、国鉄の現在の財政再建の全体の中の一環として検討しなければならないというふうに考えておりまして、その点につきましては、国鉄が負っております他の長期債務と一緒にいたしまして国鉄再建監理委員会において現在御検討いただいておりまして、夏ごろには適切な御結論をいただけると思います。その結論を待って対処いたしたいと、かように考えております。
#276
○国務大臣(竹下登君) 基本的には、山下運輸大臣から国民全体の財産とも言うべきものである、多額の建設費の扱いや、そのまた使用方法につきましてはいろいろ検討すべきことがあろうかと思いますが、今のお答えにありましたように、財政当局として今日申し上げます限界としては、国鉄再建監理委員会の結論等を待って、その上で適切な答えを出していかなければならぬ課題だという事実認識をいたしております。
#277
○藤原房雄君 国鉄再建監理委員会答申ということで、どっちもそういう話ですが、もちろんそれは尊重しなければならないのかもしれませんが、青函トンネルの持つ意味というのは非常に大きなものがあると思うんです。国土の一体化、均衡のとれた発展、東北、北海道振興ということで採算ベースだけでこれを推しはかるということだと、当初の、トンネルを掘ろうという、つくろうというときの二十年前の原点というものをとかく忘れた論議がここから出てくるのじゃないかと思います。財政ということもこれは当然のことですけれども、しかしながら、あの原点に立ち戻ってやはり広い立場から活用策というものを考えていかなければならぬ、結論を出すべきだ。
 十年も、時間がたてばたつほど技術革新の中で物が古い物になってしまう。科学万博ではリニアモーターカーがありますけれども、ぐずぐずしているうちにもうそっちの方が先行するかもしれない。また、東北新幹線ができたということで東北はどれほど地域の大きな発展につながったかわかりません。こういうことで、せっかくトンネルができながら、財源がどうだこうだということでこれが本当に生かされないようなことがあってはならぬ、私はこのように思うんですが、運輸大臣、決意のほどをお聞きしたいと思います。
#278
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほど大蔵大臣からもお答えいただいたとおりでございまして、これからの資本費等につきましてはやっぱり別途に考えて、これらの持つ意義を十分理解いたしまして、それに余りとらわれ過ぎるとまたいけないかと思っておりますが、いずれにいたしましても、二年後にはこれが開通という大体の一つの目標でございますので、早急に結論を出して、より有効なる利用の仕方をしたい、かように思っておる次第でございます。
#279
○藤原房雄君 洞爺丸事件に象徴されますように、多くの方々の人命を失うようなことがあってはならぬということも中にあったわけでありまして、均衡ある国土の発展ということから、これは是が非でも本当にこの有効な活用、地域の大きな発展のために資するような方途というのを早急に決めてもらいたいと思うのです。
 次に雪害対策、幅広い問題を次々やりまして申しわけございませんが、国土庁長官、豪雪地帯の面積、住民、全国土と全人口の何%になるか、まずお答えいただきたいと思います。
#280
○政府委員(田中暁君) 豪雪地帯の面積と人口でございますが、面積は十九万七千平方キロでございまして、全国土の五二%、人口は二千百万人でございまして、全人口の一八%、おおよそでございますが、相当いたします。
#281
○藤原房雄君 東京の暖かいところでぼけっとしていますと、雪などというのはどこかの国の話のように思うかもしれませんが、日本の国の半分以上がこういう豪雪地帯であるということです。その認識の上に立ってぜひひとつお考えいただきたいんですが、過日、国土庁長官が新潟県の雪害調査に行かれましたですね。本年の豪雪についての被害の状況とそれから地すべりで新潟の青海町で九名お亡くなりになりました。同じような事故があってはならぬということでいろいろ対策を考えておられると思うんですが、それらの問題についての取り組みについてお伺いしておきます。
#282
○政府委員(杉岡浩君) お答えいたします。
 本年の雪でございますが、昨年の暮れから北陸地方を中心にいたしまして相当異常降雪があったわけでございます。現在までの被害状況でございますが、一般被害といたしまして死者が八十四人、それから負傷者が五百七十八人、それから家屋の全半壊が十一棟、こうなっております。
 そこで政府といたしましては、関係省庁の連絡会議を開きまして今冬の雪に対しまして道路の除雪あるいは鉄道の確保あるいは雪おろし対策、それから災害の救助の問題等々いろいろと申し合わせをしてきたところでございます。
 また、先般は国土庁長官を団長といたしまして、一番非常に雪の多かった新潟県に現地の視察
をいたしたわけでございます。まだ、その施設被害全体は出てきておりませんが、これに対しましていろいろと関係省庁相連絡をとりながら対策を講じてきておるところでございます。
 まず道路除雪が一番今冬の雪で問題になったわけでございますが、先般国県道の除雪に関しましては追加配分をいたしまして費用の追加をいたしたわけでございますし、また市町村道につきましても、今回補助の特例措置を開いたわけでございます。また、交付税におきましても百二十億円の追加をいたしたということでございます。
 こういったことで雪害対策につきまして関係省庁相連絡をとりながら万全を期しているところでございます。
#283
○藤原房雄君 青海町の地すべりで亡くなった方は。
#284
○政府委員(杉岡浩君) 青海町につきましては十人の被害が出たわけでございます。これにつきましてはすぐに関係省庁のやはり連絡会議を開きまして、二次災害の防止、それからその下に国道八号線が通っておりますので、それの交通の確保等々につきまして対策をとったわけでございます。現在、建設省におきまして青海町の災害につきましてボーリング等実態の調査をいたしまして、これに対して基本的な復旧の方向について現在調査をいたしておる段階でございます。
#285
○藤原房雄君 同じような危険区域が多いのですけれども、ぜひこれは総点検をしていただきたい。
 それから、それぞれ被害が、雪害があるんですが、山林及び農林被害が非常にことしは多い。激甚災の指定については検討していると思うのですが、どうでしょう。
#286
○政府委員(杉岡浩君) お答えいたします。
 今現在につきましては、施設被害につきましてまだ十分の数字が上がってきておりません。農業関係の被害につきましては、総額が三月十四日現在で五十三億円の被害が出ております。農地・農業用施設が七億七千万、営農施設が十八億、農作物等の施設が二十二億、それから林業関係の施設が五億というような現在実態の把握中でございます。
#287
○藤原房雄君 先ほど報告ございましたが、本年の雪害、人的被害が異常に多いんですね。この原因は一体どこにあるのか、どういうふうにお考えでしょう。
#288
○政府委員(杉岡浩君) お答え申し上げます。
 先ほど御説明申し上げましたように、今回の被害は死者が八十四人ということになっておりますが、そのうち、原因を調べますと、雪おろしによる事故、転落事故等でございますが、これが二十三人、それから屋根から雪が落ちてまいりまして、それによって被害を受けた方が二十六人、それから除排雪中に河川等に転落したというのが十四人、それから雪崩は今回は非常に少のうございますが五人というのが主にその数字になっております。
 特に、屋根からの雪おろしということでございますが、やはり昨年の暮れ、二十三日ごろから急に雪が降ってまいりまして、非常に多い雪でございました。したがいまして、屋根からの雪おろしということを皆がされたわけでございます。その場合にやはり一人で雪おろしをされるとか、あるいは雪が多くなってまいりまして雪庇ができまして、屋根とそれから雪の先の境界線がはっきりわからない、したがって転落したというようなことがあるというふうに認識しております。そういった観点から今回も早速関係省庁の連絡会議を開きまして、その対策につきまして我々いろいろと打ち合わせたわけでございます。やはり雪おろしをするにはなるべく複数、二人以上でやるべきだ、あるいは命綱をつけるべきだといったようなことを指導いたしました。それで、関係公共団体におきましても、市町村等を通じましてそういった指導をいたしたわけでございます。
#289
○藤原房雄君 何もしてないとは言いませんが、雪おろしで亡くなった方が非常に多いという、これは一つは今お話がありませんでしたけれども、非常に老齢化して、積雪地、そういう過疎地が多い、それだけではないんですけれども、そこに問題がある。そういう器具やなんかそれに即したもの、こういう十分なひとつ対策を考えていただかなければならないと思うのですが、大臣、これひとつ真剣にお願いしますよ。
#290
○国務大臣(河本嘉久蔵君) お説のとおり、雪おろしにやっぱり老齢化した部落の御老人が従事しておられるということが死亡につながったのではないかというふうに判断しております。これの対策ですが、先般も新潟にお見舞いに行きまして、知事以下が非常に憂慮しておるところでございますが、老齢化現象に対して、若返りということもできませんし、非常に難しい問題でありますが、そういう死者が出るようなことのない十分な配慮をしていきたいと思っております。
#291
○藤原房雄君 さっき話しておりましたけれども、もう少しきめ細かな、お年寄りに合った除雪器具とかいろいろなもので、ひとつ安全第一、人命尊重という、こういうことで早急にこれは検討していただきたいと思います。
 それから、雪害についての個人問題として除雪費の雑損控除の制度があるんですけれども、これは実態に合っていないという声が非常に多いのですが、雪害寒冷地控除とか、いろいろなことが今日までも言われてまいりましたが、こういう問題についてひとつ積極的に取り組んでもらいたいと思いますが、大蔵大臣、どうでしょう。
#292
○政府委員(冨尾一郎君) 所得税法上雪害に関しまして雑損控除の対象になりますのは、第一には家屋が壊れたりする直接の被害でございますが、そのほかに豪雪の場合におきまして、第一に屋根の雪おろしをする費用、それから屋根の周りに積もった雪を除去する費用、それから取り除いた雪を河川等に捨てるために直接支出した費用につきまして雑損控除の対象になるわけでございます。
 これらの雪によります雑損控除の適用件数でございますけれども、私ども昭和五十六年と五十八年、二年分を調べたわけでございますけれども、比較的雪の多かった五十六年分につきましては六千六百四十三件の申告の適用がございました。五十八年分につきましては百五十八件でございまして、比較的この年は雪が少なかったように私ども承知しておりますが、一応それぞれ雪の状況に応じた数字になっているというふうに考えております。
#293
○藤原房雄君 雪の多いときはもちろんですが、手続上のことや、また制度そのものについても研究をひとつ怠りなく見守っていただきたい、こう思うんです。
 それから、豪雪地帯の除雪対策として高床式住宅、床を高くする、こういうのが最近非常にあるんですが、除雪費の軽減ということで個人も自治体もそれぞれそれなりのことがあるのだろうと思うのですが、固定資産の非課税という声が非常にあるのですけれども、この問題について。
#294
○政府委員(矢野浩一郎君) 積雪寒冷地域に所在する家屋につきましては、他の地域に所在するものと比較いたしまして、御指摘の高床式のような特殊な構造のものもございますし、また、積雪寒冷の影響により通常以上の損耗が認められる、一般的に耐用年数が短くなるという傾向にあることもございまして、従来から他の地域に所在する家屋に比べまして、木造の場合でございますと通常の評価額から最高で二五%の減価を行う措置を講じておるところでございます。また、非木造の場合には軽量鉄骨づくり、れんがづくり、コンクリートブロックづくり、このようなものにつきまして最高五%の減価を行うということにしておるところでございます。
 雪国の生活の厳しさ、これはもう御指摘のとおりよく理解できるわけでございます。台風常襲地域あるいは地盤の軟弱な地域などについても、一般の地域と同じような取り扱いをしているところでございます。こういった雪国における家屋の取り扱いについては、こういった減価ということでもって配意をしておることを御理解を賜りたいと存ずる次第でございます。
#295
○藤原房雄君 これらのことをあわせて大蔵大
臣、御所見。
   〔委員長退席、理事梶木又三君着席〕
#296
○国務大臣(竹下登君) 豪雪地域の対策、税制上の角度からと申しますと雑損控除ということであります。毎年毎年この雪おろしの経費等の問題で御議論のあるところでございますが、税制調査会の五十八年度のいわゆる中期答申におきましては、「そもそも様々な国民の生活態様の中から特定の条件や特定の家計支出を抜き出して、税制上しん酌するにはおのずから限界がある」ということで、新規の特別控除を創設することは適当でないという一応のお答えがあるわけであります。
 しかしながら、私どもといたしましては、やっぱりそれにはそれに対応した措置が必要であるということで五十九年度の税制改正におきましては、災害被害者の負担を軽減するための措置として、所得税の減免を受けることができる災害被害者の所得限度額及びおのおのの減免率の適用対象所得限度額を、それぞれ一倍半ということにしたというような措置を行いましたが、恐らく藤原さんの御質問は、税制上のみでなく、豪雪地帯に対する諸般の施策についての御要請であろうと思っておりますので、国会でこのような議論がありましたことを踏まえて、今後とも対応すべき課題であると考えております。
#297
○藤原房雄君 雪害でもう一つ大事なことがあるのですが、これは地吹雪でありますけれども、国土庁はこの問題については随分研究を進めてまいりましたが、そのメカニズム、また被害の多いところはどこでしょう。
#298
○政府委員(田中暁君) 御指摘のように、地吹雪によりまして山形県の庄内地域でございますとか、北海道の石狩地域でございますとか、青森県の津軽地域でありますとか、非常に住民の方々に生活の不便をおかけいたしておるわけでございます。
 この地吹雪対策といたしまして、国土庁といたしましても昭和五十六年度から五十八年度にかけまして御指摘の地吹雪の発生メカニズム、あるいはそれによる影響あるいは対策等々に関します基礎的な調査を行ったところでございます。ただこの結果といたしましては、結局現在のところ全国的に、あるいは統一的に観測されたデータがない。また、地吹雪の現象というのは、非常に微地形と申しますか、そういったこととか、あるいは風向き、風速、雪質、こういったものによりまして非常に細かなバリエーションがある、また、年によっても非常に発生状況に差が見られるというようなことから、非常に定量的な把握が難しいということが判明しておる次第でございます。今後におきましてはそれぞれ特異性がございます特定の地域におきまして、やはり計画的な地吹雪による被害の軽減対策を立案する必要があると考えておりまして、六十年度におきましてもそのような調査を実施する予定にしておるところでございます。
#299
○藤原房雄君 定量的にというのは、相当実は研究は進んでいるんだ、多いときと少ないときがあるのは、これは雪だってみんな同じですよ。そういうことから、そんなわけのわからぬこと言わないでやっぱりきちっと、もうここ数年やっているわけですし、また科学的にこれを確立するというにはそれ相応の体制も大事でしょうけれども、真剣にひとつ取り組んでいただかなければならぬと思うのです。これを一生懸命庄内地方でやっているのは、実は消防という観点から、冬期間火災が多い、必ず全焼する、これを何とかしようという鶴岡地区の消防事務組合の方々が自主的に観測をするというところから出発しているので、国土庁はそれに乗っかったみたいなもので、これはぜひひとつ早く実態の解明とともに、それをどう生かすかということについて積極的に取り組んでいただきたいと思うのです。
 こういうことで、普通の上から降ってくる雪のほかに、横から降ってくる地吹雪という、下から降ってくるというのですから、このための除雪費というのは全然現在の制度では見られていない。そういうことから特別豪雪地帯の累年平均積雪積算値、これに積雪深というものを考えるべきだと私は思うのですが、どうでしょう。
#300
○政府委員(花岡圭三君) 除、排雪経費を普通交付税に算入するに当たりましては、各市町村の区域におきます昭和三十三年から昭和五十二年までの二十年間の平均積雪量を用いて、積雪市町村を一級地から八級地までに区分して、各級地における標準的な除、排雪経費を算入することとしておるわけでございます。
 御指摘の地吹雪による積雪防止等関連防雪施設など、積雪地域におきます道路構造の特殊性に起因する増加経費につきましては、普通交付税の算定に当たりまして道路橋梁費の投資的経費において積雪度補正を適用することにより所要の経費を算定しておるところでございます。
 また、当該普通交付税の算入額を超える額を除、排雪に使いました場合には、これは特別交付税によって措置をするということにいたしておるところでございます。
#301
○政府委員(田中暁君) 私どもの方の関係といたしましては、地吹雪によります雪だまり等々の要素を特別豪雪地帯指定の積雪深として勘案すべきではないかという御意見であったと思うわけでございますが、ただ、特別豪雪地帯は道路除雪という観点からだけ指定するというのではなく、寒冷、豪雪による一般的なさまざまな生活被害、あるいは行政経費の掛かり増し一般をカバーしようというようなことでございまして、したがって、雪の量的な基準といたしましては、いわゆる累年平均積雪積算値というものを用いておるわけでございます。これはつまり降った雪の量と根雪の長さと申しますか、その両方を勘案して算定している、こういうことでございますが、地吹雪によります、風による雪の運搬、こういった要素を積算値に加えるということは、これは私がさっき申し上げました定量的な把握が難しいということだけではなしに、積算値に加えるための数学的と申しますか、いろいろな指標化するための技法、これ自身が大変難しいという要素がございまして、現在のところ困難ではないかというように考えておるわけでございます。
#302
○藤原房雄君 生活に及ぼす影響というのは、雪の除雪費はもちろんのこと、車の交通、こういうことで大変な影響があることは御存じだと思います。いずれにしましてもそれだけの大きな影響がある、それを指数化するのは難しいということですが、それは最大限どういう形でできるかということについての真剣な取り組みが必要だ。いろんなデータについては国土庁もお持ちだと思いますけれども、酒田では普通の除雪費のほかに三一%はこの地吹雪のために使っているとか、立川町では少なくとも九四%は地吹雪のための除雪費だった、こういうようなことも言われておりますから私は言っているんで、ぜひひとつこれは御検討いただきたい。
 さらに地吹雪の緊急対策としての防雪さく、長期的には防雪林、この対策も早急にひとつ進めていただきたい。どうでしょう。
#303
○政府委員(田中暁君) 六十年度に我々が新たに調査検討をしようと思っておりますものの中に、ある特定の地域におきます地吹雪による被害軽減のためのいわばモデル的な計画をつくるということを考えておるわけでございますが、その被害軽減のためのいわばハードな施設といたしましては、先生御指摘の防風林でございますとか、防風さくというような問題がございます。ただこれにつきましても、例えば防護さくにつきましては夏の間の管理をどうするのかというようないろいろな問題があるわけでございまして、そういうものを含めて今後さらに検討を深めてまいりたいと考えております。
#304
○藤原房雄君 地吹雪情報の徹底。気象業務としての注意報とか時刻、地域、これは大体科学的にどういう条件になると地吹雪が起きるかということはもうわかっているわけですから、気象業務として、これは限られた地域かもしれませんが、通報ができるのじゃないかと思いますが、気象庁どうでしょう。
#305
○政府委員(末廣重二君) お答え申し上げます。
 地吹雪の発生状況につきましては、気象観測点の付近では常に観測しておりますし、また地吹雪に関する気象情報といたしましては、強風注意報、風雪注意報または暴風雪警報の本文中で、視程障害、これは見通しの悪化でございます。また、吹きだまり等が発生しやすいということについての注意、警戒を呼びかけることにしております。
#306
○藤原房雄君 最近は非常に細かく通報を出すようになりましたが、地吹雪もぜひひとつきめ細かに通報し、ことしも津軽で一人亡くなった、そういう人命にかかわる問題ですから真剣に取り組んでもらいたい。
 次に、積雪寒冷地の積雪というものが社会生活万般に及ぼす影響というのは非常に大きい。この調査というのは科学技術庁でいろいろ取り組んでいるというんですが、これも早くにいろいろな問題についてひとつ幅広くやってもらいたいと思うがどうかということと、もう一つは除排雪、融雪、この雪の総合的な対策、これは科学技術庁でいろいろ研究所でやっているのですけれども、研究費が非常にわずかで遅々として進んでいない。研究者は一生懸命なんですが、これ真剣にひとつ取り組んでいただきたいと思いますがどうでしょう、科学技術庁長官。
#307
○国務大臣(竹内黎一君) 実は私、先ほど来お話のあります特豪地帯、地吹雪常襲地帯の一員でございまして、そういう意味で先生がその対策を強調される点は全く同感でございます。
 確かに私どもの実験研究所の予算は決して十分だとは思いませんけれども、私先般現地の視察に参りまして、所員が皆一生懸命やっていることについて感動を受けてきた次第でございます。お話の降雪雪の流体輸送の技術だとか、太陽熱を利用した屋根雪処理の技術だとか等々、日常生活に関連の深い雪害防止技術に重点を置いてやっているわけでございますが、さらに六十年度からは、先ほど来お話のありますように屋根雪を機械によって処理はできないかという、こういう研究開発にも着手をしておりますが、お示しに従って今後一層頑張りたいと思います。
#308
○藤原房雄君 竹内大臣のときに何らかの形で、そういう中にいらっしゃる立場としてひとつ業績をお残しいただきたいと思います。
 次、スパイク粉じん問題に入りますが、その前に、国家公安委員長がいらっしゃいますのでちょっとお伺いしますけれども、最近警察官による不祥事件が目立っております。また、昨日神奈川においての銀行強盗事件も、お昼の報道では元警察官によるのではないかというふうに言われておりますが、国家公安委員長としてどのように報告を受けていらっしゃるか、その事実についてはどうお考えかお聞きします。
#309
○国務大臣(古屋亨君) 私も昨晩ずっとテレビで状況を見ておりまして、けさ五時半に逮捕された。ところがその後、その中の一人が元警察官で、けん銃で自殺をはかろうとしたという経緯を見まして愕然といたしました。退職警察官は立派に社会において活躍しておりますが、今回のような犯罪を行った者はほとんど途中で退職した者でございます。昨年の十月の終わりに退職した警察官でございますが、退職したとはいえ、一般の警察官のポストにありました者がこのような重大事件を起こしたことはまことに残念であり、遺憾に思っております。今後は退職後の生活指導を含めまして、現職にあるうちから、もっと職業倫理の確立、あるいは規律の保持に一層努力をしてまいりたいと思っております。
#310
○藤原房雄君 環境庁長官、スパイク粉じんについて二十三道府県が大変悩んでおるのですが、この問題の経緯と現状、現在国が取り組んでおる姿についてお伺いします。
#311
○政府委員(岡崎洋君) お答えいたします。
 私ども五十七年の七月にスパイクタイヤによる粉じん等対策調査検討会を設置いたしまして、五十七年度には札幌市、五十八年度には仙台市、五十九年度には新潟市で粉じん等の実態調査を実施いたしております。
 また、五十八年三月には情報交換等のためスパイクタイヤ問題関係省庁連絡会議を設置いたしまして、現在までに五回ほど開催をいたしております。
 さらに、五十八年九月には局長通達によりまして関係道府県知事に対し、スパイクタイヤの使用自粛を中心として当面の対策をとるよう要請をいたしました。
 大体以上でございます。
#312
○藤原房雄君 専門家ですから、健康被害ということについてどうです、長官。
#313
○国務大臣(石本茂君) お答えいたします。
 ただいま政府委員がいろいろ御報告申し上げたわけでございますが、五十九年度から動物実験によります生体影響調査を始めておりますので、そうしたことなどを含めまして、この粉じん問題を今後どう対策していったらいいかということを環境庁としては結論を出す努力をいたしております。
#314
○藤原房雄君 六省庁の関係省庁連絡会議でいろいろ検討しておるということですが、運輸省、通産省、建設省、警察庁、それぞれ現状どういうところまで進んでおるか、ひとつ御報告をいただきたいと思います。
#315
○政府委員(服部経治君) まず、運輸省からお答えを申し上げます。
 このスパイクタイヤに起因いたします粉じん公害の問題に対処いたしますためには、一つには、まず自動車の走行の安全の確保という観点、そしていま一つには、公害の防止という、いわば相対立いたします二つの社会的な要請というものを踏まえまして、その対策を検討する必要があると考えているところでございまして、私どもといたしましては、そうしたいわば二律背反の中での、しかるべき適正な調和点を見出すための基礎的な技術調査を五十八年度から鋭意進めているところでございます。
 また、この問題はいずれ後ほど各省からも御答弁ございますけれども、道路管理とか、スピード規制とか、各般の総合的な対策が必要とされる問題でございますので、ただいま申しましたような技術調査の結果を踏まえまして、各省庁と緊密な連絡をとりながら、今後の所要の対応措置を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#316
○政府委員(野々内隆君) 通産省ではタイヤの生産を所管いたしておりますので、現在関係業界に対しまして、タイヤの技術的な改善などにつきまして指導、支援を実施いたしておりますが、そのほか工業技術院におきましてスノー、スパイクタイヤの低公害化の技術の研究、これを四カ年計画で現在実施中でございます。また、省内にスパイクタイヤ問題の対策検討委員会を設置いたしまして、委員長に中央大学の赤坂教授をお願いいたしておりますが、タイヤの性能あるいは改善の見通し、こういうものを中心に対応策につきまして現在検討中でございます。
#317
○政府委員(田中淳七郎君) スパイクタイヤによります舗装の摩耗につきましては、先生御指摘のように非常に著しいものがございます。建設省におきましては、舗装の耐摩耗性、これはアスファルト舗装合材のことでございますが、の向上を図ってきたところでございます。特に筑波にございます建設省の土木研究所、さらに北海道開発局の土木試験所等々と常にインフォメーションを交換いたしまして、いかにして摩耗に強い合材をつくるかということが一点でございます。
 しかしながら、スパイクタイヤに関する問題は非常に幅広い分野にわたりますために、先ほどから御説明ございました昭和五十八年度に発足しましたスパイクタイヤ問題関係省庁連絡会議の場を積極的に活用しまして、省庁間の連絡に努めているところでございます。
 なお、建設省におきましては昭和五十七年、五十八年度の調査結果に基づきまして、耐摩耗性舗装の活用、スパイクタイヤ装着の適正化等を内容とする当面の対策につきまして、昨年の十一月、関係道路管理者に対しまして道路局長よりいろい
ろな注意事項を通達したところでございます。
 以上でございます。
#318
○政府委員(太田壽郎君) 警察といたしましては、関係省庁の連絡会議の結果を各都道府県警察の方にも通達をいたしまして、特に街頭指導等におきまして、スパイクタイヤを使用する必要がないような時期における自粛の呼びかけ、あるいは運転者の各種の講習におきまして同じような呼びかけというようなことを行っている状況でございます。
#319
○藤原房雄君 交通安全と発生源対策、いわば発生源との関係、また道路管理水準とスパイクタイヤの改良の限界という非常に困難な問題がここにあるわけですが、しかし、タイヤ協会で一生懸命改良して一次基準を決められたんですね。ピンの打ち込み本数とか、突出寸法とか、材質とか、フランジの径とかという、こういうことについてはやはりコンセンサスを得られるものについては、技術的に確立できるものは道路運送車両法の技術基準というものにきちっとしなければならぬのじゃないかと私は思うのですが、どうですか。
#320
○政府委員(服部経治君) ただいま先生御指摘の点に関しまして、私ども五十八年度から各種のスパイクタイヤを使用いたしまして、その走行から生ずる粉じんの発生状況あるいは騒音の発生状況、そして一方での走行性能いかんといったような問題につきまして詳細な調査を継続してやっているところでございます。これらの調査結果も踏まえまして、かつ先ほども申し上げましたけれども、各省庁との協議も進めまして、しかるべき対策を進めていきたいわけでございますが、その中にはもちろん調査結果を踏まえましての保安基準の改正、見直しということを考えておるところでございます。
#321
○藤原房雄君 道路補修費、年間どれぐらいになりますか、建設省。
#322
○政府委員(田中淳七郎君) 先生の御指摘の防雪事業だけについて申し上げますと、年間大体三十億平均でございます。ただ、除雪それから防雪それから凍雪害防止。
#323
○藤原房雄君 道路補修費だよ。
#324
○政府委員(田中淳七郎君) 大体いわゆる雪寒関係が八百五十億程度でございまして、補修費全体になりますと、今ちょっとデータ持ってきておりませんが、二百億ぐらいになると思います。二百億か三百億ぐらいになると思います。
#325
○藤原房雄君 二百億からの大変な経費が年々消えていくんです。これはぜひ産業界や官界、学界、こういうところで総合的な研究が必要であると私は思うんです。それとやはりスタッドレスタイヤ、ことしは随分これは見直されているんですが、登はん力の強い前輪駆動、その場所場所によってこういうものが非常に今研究されているんですが、こういう誘導策というものも必要じゃないかと私は思うんですが、どうですか。
   〔理事梶木又三君退席、委員長着席〕
#326
○政府委員(野々内隆君) スノータイヤは御承知のように三種類ございまして、まず一つがスパイクタイヤでございますが、これにつきましてはできるだけその本数を減らしながら、かつ制動能力が落ちないというようなことで基準を、現在一次基準ということで一本当たり百二十二本まで減らしておりますが、今後もこれについて検討を進めたいと思っております。二番目が、今おっしゃいましたスタッドレスタイヤで、これはスパイクがないけれども制動性能が非常に高いというものでございますが、これはやはり現在ではまだスパイクタイヤに比べまして相当程度性能が落ちますので、これを何とか上げるという方向で研究開発中でございます。
#327
○藤原房雄君 現在札幌とか仙台市などで期間規定ですね、これを行っているわけですが、しかし車は広域的に移動性があるものですから、一地方の条例ではなかなかこれは決められない。こういうことで条例には限界がある。こういうことから、いろいろな地域的な問題はありますけれども、基本的な面で法規制を含めた総合対策、これに取り組んでいくべきだというのが地元の大きな声なんですが、これは警察庁やまた官房長官、ひとつ国としてぜひこれに取り組んでいただきたいと思うんですが、どうでしょう。
#328
○政府委員(太田壽郎君) ただいま御指摘の法規制の問題でございますが、スパイクタイヤが交通安全上非常に役に立っているという、それにかわるべき適切なものは必ずしもないというようなこともございますので、現在直ちには法規制というものが非常に難しいという点があるわけでございます。しかしながら先生御指摘のような問題点もございますので、関係省庁とよく連絡をとりながら慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
#329
○国務大臣(藤波孝生君) 積雪地帯にはいろいろな問題がございますけれども、その中の一つが先生御指摘のスパイクタイヤの問題であろうと思うのでございます。粉じんの問題、騒音の問題、いろいろな角度から、政府といたしましても先ほど来お答えをいたしておりますように、関係省庁の連絡会議を設けて取り組んできておるところでございますが、なお問題の性格上実効を上げていないということは、大変申しわけなく思っておるところでございます。
 特に、今御指摘がございましたように、先ほど来からも検討を重ねているとか研究しているとかといういろいろなお答えをしておりますが、産業界あるいは学界、行政、取り組む者がみんな力を合わせて総合的に検討していくというのが非常に大事なことだというふうに考えますので、そういった点特に重視をいたしまして、今後取り組んでいくようにいたしたい。今警察庁からお話がございましたように、なかなかスパイクタイヤにかわる技術開発が進んでいないということ等もございまして、すぐに法的に規制することは難しいと思いますけれども、さらにこの問題が大きく前進をいたしますように、ひとつ総合的に取り組んでいくようにいたしたい、こう考える次第でございます。
#330
○藤原房雄君 総合的に段階的にぜひひとつ進めていただきたい。それから、慎重であるのは当然のことですが、連絡会議は現状把握とそれから情報交換という、現在のこうやってしゃべっておる間にももうすごい公害が起きておるわけでありますから、官房長官、ひとつ内閣としても積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、緑化事業についてお伺いしますが、一つは林野のことですが、前にもいろいろ申し上げましたが、国際森林年ということもございますけれども、このごろ国土緑化の上からまた水源涵養ということから、ダムよりも森林の振興が大事だという、こんなことも言われておりますが、官民挙げてこれは取り組まなければならない、こういうことだと思うのですが、農水大臣、どうでしょう。
#331
○政府委員(田中恒寿君) 林業の振興には、官民を挙げてと申しますか、取り組んでいかなければならぬわけでございますし、特に最近の森林の公益的機能が十全に発揮されるように整備されるようにするためには、国、公共団体は当然でございますが、所有者、さらには最近では受益者も一体となりまして、この森林の整備に積極的に参加してもらうということも必要だと思っております。そういうことのために、一昨年民有林につきまして、昨年は国有林につきまして分収育林の制度化をいたしまして、都市住民の方々の参画の道を開きました。それから最近では、全国各所に小流域ではございますけれども、受益者の方々が基金をつくりまして、上流の森林の整備にいろいろ援助をする、福岡県水源の森でございますとか、広島県水源の森基金などがございます。こういうふうなことを本年におきましてはさらに拡充推進をいたしたいということで、有識者の意見も聞きまして、これをどのようにさらに発展させることができるか、世論なども調べながらこれの充実に力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。それによりまして、森林の整備を前進させたいというふうに考えております。
#332
○藤原房雄君 林業経営を無視して緑は守れないということが言われておりますが、ぜひひとつ、
先ほども林業問題についてお話しましたが、しっかりひとつ取り組んでいただきたいと思います。
 もう一つは、山林経営者の相続税ですね、これは山林所有者に農地並みの税の軽減措置、これをやりませんとどんどん細分化して、緑というものは言うはやすく現実は先細りである、こうなると思いますが、どうでしょう。
#333
○政府委員(田中恒寿君) 山林につきましても農地に見られるような納税猶予制度を設けるべきであるというふうな御意見についても、私ども聞いておるところでもございます。林業経営は特有のいろいろ難しい点もあるわけでございますが、まあ農地と林地を比較いたしますと、農地に課せられておる権利移動、転用に対する規制は林地とは全く異なっておりますし、また、農地改革を経た農地とそれのございませんでした林地との問題等いろいろ基本的な問題もございます。さらに林業経営にはいろいろ相続税等に特例措置もあるわけでございますので、よく引き比べられます農業に準じたようなことにつきましてはなかなか困難な問題が多いのではないかと思っております。しかし、林業経営の公益性と、それから長期性等の特質を踏まえまして、六十年度の税制改正におきましても、相続税の延納期間の延長を図ることといたしておるわけでございますが、今後とも林業経営の実態を踏まえました改善につきましては努力をいたしてまいりたいと考えております。
#334
○国務大臣(竹下登君) 相続税でたしか林地の場合五分五乗とかいう政策がとられております。六十年度改正では、今、長官からお答えがありましたように、延納期間の問題等でこれに対応しておる。農地の場合と、いわゆる林地の場合と実態を比較してみますと、いわゆる細分化してはいけないという前提でございましょうが、それは私も賛成ですが、相続税法等はかなりの現実に即した制度が実際においては行われておる。さらに、延納期間を延ばすことによってより私は現実的になり得るじゃないかと。ただ、税制だけでなく、もっと基本的な問題は恐らく林野庁等と今後協議しなければならぬ課題であろうという問題意識は持っております。
#335
○藤原房雄君 それじゃ都市緑化についてお伺いしますが、五十八年九月の緑化推進に関する世論調査で、緑を守りふやしたい場所として多くの人々はどこを望んでおりましたか。
#336
○政府委員(吉居時哉君) ただいま先生御指摘のように、緑化推進に関する世論調査というものを五十八年の九月に総理府が行っておりますが、その中で、緑のイメージについてという項目がございまして、これは、緑という言葉からどのような場所や風景の緑を思い浮かべるかということを聞いたものでございます。これにつきましては、回答の総数の結果を見ますと、回答率の高かった順番で並べますと、第一が森林、これは山や丘陵なども入っておりますが、森林の緑というのが六四%、それから高原や野原の緑というのが三九%、それから公園の緑が三七%、こうなっております。これ足して一〇〇になりませんのは複数の回答をさしたからでございます。
 それからまた、緑を守り、ふやしたい場所という項目がありまして、それにつきましては、今後、緑を守り、ふやしたいと考えるのはどのようなところの緑かということを聞いたものでございますが、この第一位は公園の緑でございまして三九%、第二位が街路の緑で三七%、第三位が庭の緑等々がございます。
#337
○藤原房雄君 建設省にお伺いしますが、都市緑地の獲得対策としてどういうふうに進めてまいりましたか。
#338
○政府委員(梶原拓君) 都市緑地の大宗を占めますのがやはり基本的には都市公園でございます。五十八年度末現在全国平均でございますが、一人当たり四・七平方メートルというような段階でございます。そういうことでただいま第三次の都市公園整備五カ年計画を推進いたしております。この計画の中で極力緑地の確保に努めておるという次第でございます。
#339
○藤原房雄君 最後に、特命相とそれから官房長官にお伺いしますが、国有地等有効活用推進本部、中曽根総理が本部長ですが、国有地の払い下げを検討しておりますけれども、大都市における防災上、先ほど統計にございましたように、公園の緑、街路の緑、こういうことからいいましても、樹木の防災機能、こういうことからいって、緑地を確保するということは非常に大事だと思いますけれども、この国有地等有効活用、このときには一定率をやっぱり緑地にするんだという、こういう原則をきちっとすることが大事だと私は思うのですが、このことについてどのようにお考えか、また推進しようとするのか。
#340
○国務大臣(藤波孝生君) 国有地は国民共有の財産でありますから、公共目的に使用することが基本である、このように考えておるところでございます。とりわけ都市内の国有地につきましては、都市の再開発などを進めていく上で非常に貴重な交換資源であり、これをできる限り有効に活用していくという考え方で進めていかなければならぬと思うのでございます。
 お話の国有地の処分等に当たりましては、まず、地方公共団体の利用の要望があれば優先的に御相談をするということで従来もきておりますし、これからも地方公共団体の要望などに十分耳を傾けて進めていかなければならぬ、こう考えておるところでございまして、地方公共団体からいろいろお話がありますれば、その必要性などを十分勘案をして調整するということで進んでまいりたいと思うのでございます。
 ただ、その中で一定部分をもう緑地として決めてしまうということにつきましては、やっぱりその地域地域いろいろな特色などもございますし、その地域地域のいろいろな活用の仕方等もございますので、それを一律に決めてしまうということはなかなか難しいかと思うのでございますけれども、先生の御指摘の御趣旨は十分頭に置いて地方公共団体との調整を進めるというようなことで取り組んでまいりたいと思う次第でございます。
#341
○国務大臣(河本敏夫君) 今国有地で払い下げ予定の対象になっておりますのは百七十六カ所ございます。それから国鉄所有地で約十カ所ございまして、いろいろ研究をいたしておりますが、基本的な方針につきましては、今、官房長官がお述べになりましたとおり、その方針に従ってやっていくつもりでございます。
#342
○委員長(長田裕二君) 以上で藤原君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#343
○委員長(長田裕二君) 次に、穐山篤君の一般質疑を行います。穐山君。
#344
○穐山篤君 官房長官の都合がありますので、質問の順番をちょっと変えたいと思います。最初に後藤田長官にお伺いしますが、ことし十月一日、国勢調査が行われるわけですが、これの準備の状況はいかがでしょうか。
#345
○政府委員(時田政之君) お答えいたします。
 昭和六十年の国勢調査につきましては、現在予算等をこちらの方で御審議いただいておる段階でございますが、三百三億円の予算を御審議いただいておる段階でございまして、私どもそのためのいろいろな諸準備を整えておりまして、予算成立後四月早々ぐらいに、四月になりましたら関係法令等を整備して、四月の中旬ぐらいから地方の方に流してまいりたい、このように考えておる段階でございます。
#346
○穐山篤君 今三百三億円と言われましたが、三百三十三億円前後じゃないですか。
 それから、毎回問題になりますのは、そのうちの一つは無国籍者あるいは密入国者、まあ蒸発、家出、住所不定、こういう者の取り扱いについて前回も実は問題になったわけですが、この点については今回はどういうふうに処置をしようとしているのか、その点明らかにしてもらいたい。
#347
○政府委員(時田政之君) 先ほどの答弁、失礼いたしました。三百三十三億円でございます。
 私ども、国勢調査の方は十月一日に日本の国内におりますすべての人間、常住しております人間を調べる格好にいたしているわけでございまし
て、無国籍者あるいは蒸発者、すべてつかまる限りつかまえたい、全部の人口をつかまえたいというのが私どもの調査のねらいでございます。
#348
○穐山篤君 それから次は、都市部で特に多いのはプライバシーの保護の問題でありまして、前回もかなり、政府もそうでありましょうが、私どもも苦情をもらった経験があるわけです。何回となく経験しているわけですから、今回あたりプライバシーの保護の問題について特別の方法を考えたらどうかなというふうに思いますが、その点いかがでしょう。
#349
○政府委員(時田政之君) 国勢調査は、統計法によります指定統計として国の最も大事な調査でございます。統計法によりまして、指定調査の結果知られました個人等の秘密の保護、あるいは調査票の目的外使用の禁止、こういうものが統計法で決まっております。調査員等が調査上知り得ました秘密を他に漏らしましたときには罰則の規定もあるわけでございます。
 国勢調査は、御案内のように、我が国に住んでおりますすべての人を対象とする国の最も基本的な調査でありますので、調査の実施に当たりましては、このような法律の要請を国、都道府県、市町村の各段階において徹底するとともに、国民に誤解を生じせしめることのないよう、特に第一線で調査に当たっております国勢調査員に対しましては秘密保護の徹底を図り、調査の実施に万全を図ってまいりたい。先生の御指摘のようなことがないように十分指導、徹底を図ってまいりたいと、そういうつもりでおるわけでございます。
#350
○穐山篤君 十月一日にやりましても、その集計というのはかなり時間がかかりますね。第一回の概況の報告というのを、例年の例でいきますとことしは何月に置いているのか。それから最終的な調査、分析、公表の時期はいつか。その予定が今準備されているならば明らかにしてもらいたい。
#351
○政府委員(時田政之君) 十月一日に国勢調査を実施いたしまして、一番最初に結果がまとまりますのは、市町村、都道府県で男女別の人数がまとまってまいるわけでございまして、十二月に入って私どもにそういった数字が参りますので、十二月末を目途に都道府県でカウントしました分を概数人口として取りまとめたいと、このように考えておるわけでございます。
 それから、国勢調査は何分、数が一億二千百万ぐらいになろうかと思いますが、それを結果の重要なものから順次発表していくつもりでございますが、速報といたしましては一%の抽出集計を考えておりますが、それが明年の春ぐらいを目途に考えておるわけでございます。全数の集計の分につきましては、順次第一次、第二次、第三次という段階を経まして、最終的な分につきましては六十四年ぐらいになろうかと思っております。
#352
○穐山篤君 厚生大臣、この国勢調査の結果を待って厚生省では例の人口動態とか、あるいは将来の人口推計というものをやられると思うのです。またそれが二十一世紀を目がけての一つの大きな材料になると思うのです。その意味で厚生省の分析、公表というのはいつごろおやりになるのか、その点いかがでしょうか。
#353
○政府委員(長門保明君) お答え申し上げます。
 先生おっしゃっておりますように、人口推計につきましては、最近は国勢調査の結果が出ましたところで、それから作業に取りかかっているところでございますが、過去の二回分の例を見ますと、大体一年余りかかっているところでございますので、その意味ではことしの十月から一年ちょっと先ということになるわけでございますが、ただ私ども今までの推計では、国勢調査の一%抽出の結果をもとにして作業を行っておりますので、その関係で全数の結果とはちょっと違ってまいりますので、できれば正確な数字を得たいということで、それを使いますとちょっと時間がかかりますので、その辺のかね合いをどういうふうに、早く出すか、それとも正確なものを出すかというふうな、そういった点の判断がございますので、現在のところは、統計局の方の集計の御計画等もにらみ合わせて、どういうふうな方法によって推計を行うか、これから考えてまいりたいと、かように存じておるところでございます。
#354
○穐山篤君 次に、経企庁にお伺いをしますが、今世紀末あるいは二十一世紀についていろいろな問題が議論をされてはおりますが、特に財政の問題を議論する場合にある程度の指標というものが必要になるわけですが、そこで、今世紀末あるいは二十一世紀の前半で結構でありますが、日本におきます生産年齢人口の推移、あるいは人口高齢化の国際比較を含めた推移と、こういうものについて資料の提出を求めていたわけですが、まだ時間的に間に合わないようです。今席で答弁できる範囲でひとつ明らかにしてもらいたい。
#355
○国務大臣(金子一平君) 推計になりますので、技術的な関係もございますから、政府委員に答弁をさせたいと思います。
#356
○政府委員(大竹宏繁君) まず第一の御質問であります生産年齢人口の全人口に対する比率の国際比較でございますが、国連の一九八二年の推計によりますと、二〇〇〇年の時点におきましては欧米主要国ではおおむね六六%から、これはイギリスでございますが、これが一番低くて、西ドイツが六七・六というようなことになっております。その時点におきます日本、これは厚生省の推計でございますが、六六・八というふうになっております。
 それから第二点の、全人口に占める六十五歳以上の人口の比率でございます。同じく国連の八二年の推計でございますが、日本が一五・六%でございます。これは厚生省でございますが、その他先進国のケースを見ますと、アメリカが一一・七、これが一番低うございまして、スウェーデンが一七・二、これが一番高い数字になっております。
#357
○穐山篤君 労働省にお伺いしますが、労働力人口の変遷といいますか、推移はどういうふうな状況になるでしょうか。これから当然女子の職場進出というものが多くなると思いますが、男女の労働力人口の推計はどんな状況になりましょうか。
#358
○政府委員(加藤孝君) 二十一世紀の初頭、すなわち昭和七十五年時点におきまして全体の労働力人口が六千五百万人程度と、こう見ておるわけでございまして、これは五十七年に比べまして約七百三十万人程度の増加になると見込んでおります。そのうち男子が三千九百四十万人程度になると。すなわち、五十七年に比べまして四百二十万人程度の増加。それから女子は二千五百六十万人程度ということで、同じく五十七年に比べまして三百十万人程度の増加と見込んでおるわけでございまして、この間の我が国の労働力人口の伸びは、男子で年率〇・八%程度、それから女子で年率一・一%程度と、女子の伸びが特に男子よりも高い、こんなような状況になると見ておるわけでございます。
 それから国際的に見ますと、アメリカの場合でございますと、一九八〇年から二〇〇〇年にかけまして男子は〇・九%程度伸びる、それから女子はやはり高くて一・三%程度伸びる、こう見られておりますし、それからイギリスの場合はこの間男子が〇・四%程度、女子で〇・八%程度伸びる。それからまたフランスにおきましては、男子で〇・七%程度、女子で一・二%程度伸びるということで、いずれも女子の伸びが高くなっております。なお、西ドイツにつきましては、男女ともこの間におきまして同じ〇・三%伸びる、こんなふうに見込まれておるという状況でございます。
#359
○穐山篤君 経企庁長官に伺いますが、二十一世紀の話というのはなかなか難しいと思いますけれども、GNPはどういうふうな状況に推移をするか。高度成長はないと我々見るわけですが、安定成長、中位成長でいけば三、四%から五%というのがごく常識だと思いますが、その点の推計はいかがでしょう。
#360
○国務大臣(金子一平君) お尋ねの今後の経済成長どうなるか、GNPどうなるか、大変難しい問題でございますが、生産人口がだんだん減るわけでございますから、結局それを技術でカバーして老齢者、若年者を支えるわけでございますから、成長率はそれほど高成長を期待するわけにいかぬ
と思うんです。今御指摘のように、せいぜい四%台から五%台にかけての成長、しかもそれは相当努力をする必要があると思いますが、私どもはそんなふうに考えておる次第でございます。
#361
○穐山篤君 同じく経企庁長官、二十一世紀をよく総理も口にいたしますけれども、そう簡単にバラ色じゃないと思うんですね。この二十一世紀に向けて我が国の大きな課題というのは何でしょう。
#362
○国務大臣(金子一平君) 資源のない日本でございますから、やっぱり知恵と技術をいかに活用して経済を伸ばし、不生産層を養っていくかということに尽きるかと思うのでございます。
#363
○穐山篤君 総理も、二十一世紀というのは国際化の時代だ、あるいは高齢化社会の時代である、さらにはいろいろな意味で成熟された社会であろう、こういうふうに言うわけですが、これから日本の経済なり財政運営を考えてみた場合に、メリットあるいはデメリットという問題もかなりあると思うのです。例えば、国際化について我が国はどういうことを考えなければならぬのか、高齢化社会到来について我が国は何をどうしなければいかぬのか、あるいは例えば成熟社会という中には、高学歴時代に入ると思うんです。そうなりますと、実際に生産年齢であったにしてみても、実は就学をしておって、実際の就業労働人口になっていないという、そういう問題点があるわけです。そういう問題について大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
#364
○国務大臣(金子一平君) 大変難しい問題ばかりでございまして、私どもといたしましては、とにかく高齢化社会をどうやって支えていくかというと、先ほど来申し上げましたように、今後技術をうんと伸ばして、それで知恵を出して養っていく。そのためにはやはり国際化と申しますか、自由貿易をさらに大きく進めることによって日本の経済を支えていくということが一つの方向ではなかろうかと考えておるわけでございます。今後、成熟社会、高齢化社会が進むにつれまして、今申しましたようなことを本当に真剣にあらゆる面において取り組まなければいかぬなという気持ちで今取り組んでおる最中でございます。
#365
○穐山篤君 大蔵大臣、今急ぎ足で二十世紀から二十一世紀にわたる世相といいますか、特徴といいますか、そういうものを明らかにしたわけですが、さて膨大な借財をしょっております我が国の財政当局の最高責任者として、今世紀末あるいは二十一世紀前半はどういう財政の状況になるだろうか、これはまあ推測の域を出ないと思いますけれども、ちょっと感想を述べてもらいたいと思います。
#366
○国務大臣(竹下登君) これは非常に難しい問題でございますが、私もこの間ある書物で読みましたら、仮に今のように夫婦二人で一・七人ずつしか子供が産まれないといたしますと、八百年先で日本で受精能力のある者はちょうどいなくなるという本を読みまして、ほっと感じました。
 確かに、私は昭和三十三年に国会に出ましたが、当時男性六十三歳、女性六十九歳と言われたのが、今や七十四・二〇歳と七十九・七八歳でございますから十一歳延びておる。そして人口構造から見ますと、昭和四十五年前後のあのベビーブームのときは、いつでも成人式がありますと二百四十万人、ところが近ごろ成人式はことし百六十万人と、八十万も減ったんだなと。そうすると、おっしゃいますように、いわゆる抱える六十五歳以上の方々が多くなる。したがって、今から年金とかそういう問題を国会で問答しながら詰めておかなければいかぬ課題だなということをしみじみと感じます。
 したがって、財政の問題ということになりますと、穐山さん、大蔵委員会でそれ専門に議論していらっしゃいましたが、言ってみれば昭和六十五年脱却したとして百六十六兆円、そういうものが、赤字公債だけでも仮に六十年でやれば穐山さんが百二十二歳、竹下登が百二十六歳のときになくなるというような話をたしか問答したことを覚えております。したがって、よほど今からその二十一世紀というものに対応して、財政の立場からは非常に中長期的な健全化の方途を模索しておかなければならぬなと。経済全体からいいますと、今金子国務大臣からお答えがありましたように、幸いにしてどこの国にもまさるいわば知恵がございますから、この技術と知恵というものを生かしていかなければならぬなと、こんな感じで、私も感想としてあえて勝手なことをしゃべらせていただくとすればそういうことでございます。
#367
○穐山篤君 先ほど数字で明らかになりましたように、かなり経済活動の分野で知恵を働かせるという部分はこれから相当あると思いますけれども、ただし、物理的に考えてみれば老齢人口がふえてくる。それから二十一世紀の初頭から労働力人口というのは少しずつまた下り勾配になる。GNPは四、五%ということになりますと、おのずから税収というものも限界があると思うんですね。その限界を我々は常に心配をしているわけです。
 そこで、もう一度その点をお伺いしますが、インフレ政策もとれない、とりたくない、雇用も安定をしたい、それから増税諸問題につきましても枠がかなり厳しく予算委員会でたががかかっているわけですね。そういうふうな状況の中で、大蔵大臣としては将来はこういうふうに財政運営を変えたいと、現実に変えなければやっていけないという現実に直面をするわけです。もう少し焦点を絞ってその点を明らかにしてもらいたいと思います。
#368
○国務大臣(竹下登君) おっしゃるとおり、知恵を出さなければいかぬという感じがいたしますが、私は知恵の点で幾らかいつでも感じますのは、サミットへ参りますと、一番先に出てくる課題が若年失業者対策というのが出てまいりますが、日本人の私には余りぴんときません。結局、十八歳までは高等学校へ就職しているとでも申しましょうか、圧倒的に世界で高校進学率も一番高いし、イギリスなどはちょうど今二十五年前の日本と同じ、専修学校制度等は別といたしまして、そういうことでございますので、したがって知恵はあるなというふうに思います。教育水準が高い、頭がいいということでございましょう。
 そうして、こう考えてまいりますと、今おっしゃいますように、インフレ政策、調整インフレとでも申しましょうか、これ一番避けなければいかぬ課題ではなかろうか。ちょうど穐山さんや私どもの年齢のときには、戦時公債をおやじが買っておりますが、我々は買っておりません。したがって、あれがインフレによってパアになったという実感としての問題は我々には比較的ない。我々の年齢が時として調整インフレをこいねがう傾向にありはしないかということを我と我が身にまず言い聞かしております。これが一つです。
 それから税の問題については、確かにこの増税なき財政再建、租税負担率、いろいろな議論をちょうだいしております。が、最終的に私は、頭がいいというところから何が出てくるかと申しますと、言ってみれば頭がいいから議論もやっぱり現実的であり、かつ高度な議論が国会で行われるわけでございますから、したがって国民のコンセンサスが那辺にあるか、すなわち言ってみれば、負担するのも国民、そして受益者もまた国民という認識の中の問答が重ねられていったならば、やはり私は日本の二十一世紀の財政というものに対しては一つの方向は必ず模索できるのじゃないか、今それを盛んにやっている最中だというふうに私は認識をいたしております。
   〔委員長退席、理事梶木又三君着席〕
#369
○穐山篤君 前国会で特例公債の借りかえという問題が起きまして、法律改正が行われたわけですが、これは政策の転換であると、非常にその点を懸念いたしまして、参議院としては良識の府として特別の附帯決議をつけたわけです。この附帯決議というのは、当分の間、政府もあるいは国会も、ある意味では十分規制を受けるものでありますし、尊重もしなければならぬ、そういう意味では非常に重要な附帯決議であります。ひとつ事務局の方からこの附帯決議を明らかにしてもらいたい
と思います。
#370
○政府委員(吉野良彦君) 昨年、いわゆる五十九年度の財確法を御審議いただきました参議院の大蔵委員会におきまして、最終の段階で、今お話ございましたように、重要な附帯決議をちょうだいいたしております。内容は大きく分けまして三点ございます。
 第一点は、「六十五年度を目標とする特例公債依存体質からの脱却は、現下の財政における最優先課題である。したがって、政府は、この目標達成にいたる手順と方策を具体的に明らかにすべきである。」、これが第一点でございます。
 第二点は、「公債残高の減少を図るために、公債の償還方法及び国債整理基金特別会計への繰入れのあり方については、おおむね三年をめどにその時々の経済情勢・財政事情等を踏まえて見直しを行う。また、毎年度の償還計画を明示するとともに、特例公債・建設公債別の公債の発行・消化・償還・保有等の状況、国債整理基金特別会計への繰入れ状況等について、毎年報告する。」ことというのが第二点でございます。
 それから第三点でございますが、「国債管理政策の円滑な推進を図るため、金融・資本市場の動向を踏まえた金利等の発行条件及び発行時期の適正化に配慮するとともに、財政法第五条本文の精神を遵守して財政インフレの防止に資するため、日本銀行に係る特例公債・建設公債別の保有残高の四半期ごとの状況を逐次報告する。」、これが第三点。
 以上三つの項目について附帯決議をちょうだいいたしております。
#371
○穐山篤君 大蔵大臣、この五十九年度の財確法案が成立をしたときには、専売や電電公社、株式会社の株式売却のことはどの程度意識をされておったんですか。
#372
○国務大臣(竹下登君) これは何分にも、この五十九年六月二十六日の附帯決議でございますが、その際は、この電電株の問題につきましては、私どもが政府の統一的な答弁として、要するに国民共通共有の財産であるから、したがって総合的な判断をさせていただきたいという限界にとどめておりましたが、当時も私は大蔵大臣でありましたので、私の気持ちの中には、いわば今度また法律等でお願いしております国債整理基金への直入、すなわち公債償還財源に国民の共通の財産を国民の共通の負債に充てたいものだというような気持ちはございました。
#373
○穐山篤君 先ほど三つの項目が読まれたわけですが、この第一項の脱却目標というものについて、手順と方策を具体的に明らかにしなさいと六月に決議がされたわけです。優に九カ月以上を経ている今日でありますから、どのような具体的な目標を立てて、それからその手順と方策というものも研究をされていなければならぬと思うんですが、その点はいかがですか。
#374
○国務大臣(竹下登君) そこで、その六月二十六日に委員長から、「ただいまの決議に対し、竹下大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。」、私が立ち上がりまして、「御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。」とお述べして、「なお、第一の事項につきましては、具体的な歳出削減計画とか、増税計画といったものを策定してお示しすることは無理だと思われますが、目標達成に至るいろいろな道筋についてどのようなものができるか、今後工夫してまいりたいと存じます。」とお答えしたこと、今御指摘のとおりでございます。
 したがって、結果的には、そう言いながら穐山さんのお気持ちの中では、中期展望をもって財政運営を考えていくことが必要であると考えておる、そのような観点から、このたび国会に基本的な考え方と、そして財政の中期展望や機械的手法による仮定計算例を出して御審議の参考に供しているところだと。これでは全く去年と同じじゃないかと、こういうことがあろうかと思うのであります。先読みをするようでございますが、本当にそうであろうと思います。
 そこで、今回提出した試算は昨年と同じ手法であります。いわゆる歳出と歳入の差額を要調整額という形でお示ししております。これも確かに中期的に見た財政事情を示す一つのわかりやすい試算でありましょうが、これをもとにさまざまな角度から検討していただくためのたたき台となる基礎的な資料であるという考えは、今日もそのとおりでございます。
 私も考えましたのは、何かそれでも一歩でも半歩でも進んだものが出てこないかということを随分議論をいたしてみました。結局、さはさりながら、この手法で増税をもって幾らに充てます、歳出削減をもってこの用に充てますということを、なかなかこれを将来にわたって試算するのは困難でございます。そこで、言ってみれば、その中期展望の裏側にある一つの施策というものを読み取っていただきますならば、昨年から申しますならば、いわゆる医療制度の改革というものが、昨年に比したものから見れば、今年度はそれが試算の中に変わった形で出てきております。そしてまた、歳出面におきましては、いま一つは、これも今国会でお願いしておりますいわゆる補助金のあり方の問題で、高率補助等々の削減問題を法案の形でお願いをしております。これが、言ってみればそういう要調整額を苦心した裏側の作業としてこれを読み取っていただきたい。
 それから、先ほど御質問の中で出ました、いわゆる国債償還財源の充実に資するための電電株式を国債整理基金へ三分の二帰属させる等の方向、これもまだことし売るわけじゃございませんので、数字としては出てこないわけでありますが、数字の裏側にある一つの施策のあり方としてこの国会で御論議をいただいておるということでございます。したがって、そういうものを前提に定量的な試算をするのは確かに難しゅうございますけれども、やっぱり今日の段階は結局、私も一歩でも二歩でもと思っていろいろなことを考えましたが、そういう要調整額をいかにしてやるかという問答をしておる中に、賢い国民でございますし、具体的に国民のコンセンサスが那辺にあるかということが見出されていって、それが年々の試算の裏側に、あるいは試算の中身の中に変化していくべき性格のものではなかろうか、そんな感じがいたしております。
 あえてもう一つつけ加えるとしますならば、かく増税し、かく削減するとかいうような問題を、おれについてこい式で言う時代じゃないのじゃないか。国民の方が賢いわけでございますから、国民に問いかけておる間にコンセンサスを見出していくというのも新しい時代における一つのリーダーシップのあり方かなと、我と我が身に言い聞かせながら時々反省をし、また時には自己満足もしながら対応しておるというのが偽らざる私の心境でございます。
#375
○穐山篤君 借換債を発行しない場合の計算も当然出ますが、借換債を発行した場合の計算も現に出ているわけですが、それでいきますと約二兆円金利がふえていくことになるわけですね。そこで、五十九年度の財確法案の際に、手順、方法を示しなさいと言ったわけだ。ですから、少なくとも六十年度の財確法案を今国会に出しているわけですが、それまでに一定の見解を示さなければこの附帯決議に忠実だとは我々は言い切れないと思うんです。その点はいかがですか。
#376
○国務大臣(竹下登君) 確かに財確法を御審議いただきますときの本院における主たる議論の焦点というものは、言ってみれば、今までは毎年毎年特例公債は借りかえはいたしませんということをつけながら国会に提出しておったものを、今後過去のものも含めて一遍にこれからは借りかえをしますと、そういうことになれば財政の節度、歯どめがきかなくなるのじゃないか、こういう議論が本院の大前提に、これは与野党を通じた議論の中に存在しておったと私も意識しております。したがって、私どもは政策転換とこれは説明せざるを得ないというふうに申し上げてまいりました。
 そこで、その節度の一つとして、第二項、第三項ももとよりですが、第一項の附帯決議というものがあったわけであります。したがって、それの
手順というような問題につきましては、私はいわばお出しした資料は昨年と同じ後年度負担推計によるものであるが、その背景にこれらの法律等がございます。例えば電電株にいたしましても、そんなに、当然私どもの念頭の中には償還に充てるということが十分にあったといたしましても当時は言えませんでしたが、今日は言えるものでございますけれども、これも定量的にこれを示すという時期には今日なおないということで、昨年の附帯決議に対するお答えといたしましては、今のような私の答弁をもって一生懸命お答えすることによってその責めを果たさなければならないではなかろうかと、こう思っております。
#377
○穐山篤君 今の答弁では全く不満でありますけれども、ここでとめるということにもまいりません。
 そこで、過日、公明党の鈴木委員から減債制度のあり方の問題について質問がありましたけれども、やや不足の点もありますので、もう一度お伺いをしますが、現在の減債制度、国債整理基金が当該年度に償還すべき国債の償還財源を確保するという方法については四つほどあろうと思いますが、それについて御説明をいただきたいと思うんです。
#378
○政府委員(吉野良彦君) 公債の償還財源の確保の方法でございますが、一般的、理論的には幾つかございます。
 一つは、当然のことながら減債制度というのがございます。そのほかに、そのときどきの国債整理基金の状況、償還財源の所要額を見ながらいわゆる予算上の繰り入れをしていくというような、予算繰り入れというような方法もあろうかと思います。それからまた、ややこれは観点が違いますけれども、一方で公債償還財源を減債制度どおり実施していきます場合にその財源が要るわけでございます。現在のように特例公債にかなりの財源を財政全体として依存をせざるを得ない状況のもとにおきましては、この減債制度を忠実に実施をしていくということは、裏返していえばその財源を特例公債に依存するということにもなろうかと思います。したがいまして、同じことでございますが、見方を変えれば、特例公債の発行という形態に依存をして償還財源を確保していくということは、見方を変えた場合の一つの類型かというようなことが言えようかと思います。
#379
○穐山篤君 資料によりますと、六十年度基金残高は九千八百九十三億円でありまして、国債残高の〇・七%、非常に低い水準になっています。そこで、昭和百二十五年返済というふうなことも考えてみますと、国債整理基金の資金のつくり方、金をどういうふうにプールするか、これは財政当局にとりましても我々にとりましても非常に重大な課題だというふうに意識しているわけです。そういう意味で、一般会計から予算に繰り入れをするいろいろな方法があるわけですけれども、この減債基金制度を将来どういうふうに健全に確保していこうとしているのか、その考え方をはっきり示してもらいたいと思います。
#380
○政府委員(吉野良彦君) 今の減債制度は、これも委員御案内のとおり、たしか昭和四十年代の初頭であったかと思いますが、いわゆる国債の発行、当時は建設公債でございますが、公債の発行が本格化してまいりました時期に、かなり時間をかけまして財政制度審議会に償還財源をいかに調達していくかということを御議論いただきまして、現在のいわゆる百分の一・六という減債制度を基本としてやっていくのが適当であるという結論をいただきまして、それに従いまして今の仕組みをつくっているわけでございます。
   〔理事梶木又三君退席、委員長着席〕
もちろん、それには附帯的に、毎年度仮に決算上一般会計で剰余金が出ました場合には、この剰余金を法制上は二分の一以上償還財源として積み立てるとか、あるいは先ほどもちょっと申しましたが、必要に応じて予算上の繰り入れをする、従来いわゆる三本柱と私ども申してまいったわけでございますが、今日におきましても私どもはこの減債制度の基本的な考え方は堅持をしてまいるべきものだというふうに考えております。
 ただ、御案内のように、既に三年にわたり、今度は四年目になるわけでございますが、いわば緊急避難的な措置としてこの百分の一・六の定率繰り入れを停止せざるを得ない状況にあるわけでございます。まことに残念に存ずるわけでございますけれども、今後の基本的な考え方といたしましては、やはりこの減債制度の基本というものを守っていく必要があるというふうに考えております。ただし、この減債制度の運用に当たりましては、現在のような財政事情でございますので、その年々の全体の財政事情あるいは国債整理基金の資金繰りの状況というものを見ながら毎年度具体的に判断を要するとは思いますけれども、基本的には、繰り返しになりますが、現在の減債制度の基本的な考え方を守ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#381
○穐山篤君 そこで救いの神として電電、専売の話がいつも出てくるわけですね。資本金七千八百億円、丸い計算でいきますと、その二分の一を五年間にわたっていきますと、額面五万円にいたしまして八百億円になる。売却価格というのは、これは推定しかできませんけれども、仮に三十倍ということになりますと年間二兆円余の国債償還財源が入る。そこで、入ってきた場合にどういう問題が起きるか、どういうふうにするかということも当然今から勉強しておかなければならぬことですが、その点、大蔵大臣どういうふうにお考えでしょうか。
#382
○国務大臣(竹下登君) まずは七千八百億円、ちょうど三で割れていいな、こう思っております。これは三分の一と三分の二という問題があるから、なかなか設立委員会の先生方、味のある決め方をしていただいたというふうに思っております。それが一つあります。
 そこで、この問題になりますと、まず第一にはいわゆるどうして市場へ出すかという、これこそ学識経験者の御意見をこれから聞いて、過去の事例といいましてもそう参考になるものが余計あるわけじゃございません。したがって、いやしくもいわば疑惑を受けるようなことがあってはならないという、その仕組みを仕組まなければならぬということが一つございます。
 それで、今度はそうなると市場の実勢等を見ましたときに、今、穐山さんも三十倍とかいうお話がございましたが、実際問題として毎年新株というのがどれぐらい市場に出ておるかといろいろ調べてみますと、多いときには二兆七、八千億というようなときもございますけれども、一兆ぐらいのときもございますし、一時に大量のものが出た場合当然値段は下がってまいりますし、そういうことに対する配慮もしていかなければならぬということになりますと、まずは売り方から、そういう市場の見きわめ方から勉強してかからなければいかぬ。
 そして、それが実際として入ってまいりましたならば、それは実際、穐山さんが百二十二歳、竹下登が百二十六歳まで赤字公債の残高が残っておるというのはもちろん好ましくございませんから、いわば昭和六十五年、非常に大ざっぱですが、六十五兆が赤字国債、百兆が建設国債としますならば、厳密には六十六兆ぐらいになりますか、公債には色がついておるわけじゃございませんけれども、それを念頭に置いてやはりそれの償還財源に充てていかなければならぬ。将来にわたって六十年間に少しずつ少しずつ返済していくものに充てていくという考え、最低限はその方式をとりなさいと言われているのは電電株の問題の起こる前の議論でございますだけに、やっぱり昭和百二十五年までかかればいいのだという考え方で対応してはならぬ。色はついておりませんが、繰り上げ償還というような、俗称そういうもので対応すべきものではなかろうかというような考え方はまだ固まっておるわけじゃございませんが、漠然とした今私の思っておることをお答えさしていただいたという限界ではございます。
#383
○穐山篤君 特例公債は五十九年度までは借りかえができなかった。言いかえてみれば十年でキャッシュで返す。これが法律改正になりましたので
自今六十年間理屈の上ではスパンができたわけですけれども、少なくとも十年償還が基礎でありましたので二十年ないし三十年以内ぐらいには特例公債について借りかえをしない、全部償還をしていく、そういう財政運営をとらなければならぬというふうに思うわけです。借金をするときに孫かひ孫がお返しをしますなんという話は余り通用しないわけですね。言いかえてみれば目の黒いうちに約束というのは果たしていく、そこに重点を置くべきだというふうに思いますが、どうでしょう。
#384
○国務大臣(竹下登君) 私も基本的な精神はそこにあるべきであると思います。具体的な問題になりますと、いわばこれからの借換債の発行等々で、借換債に色がついておりませんので、その問題についての何らかの形で明らかにしていくという方策も考えなければいけませんが、基本的には二十年、三十年がいいのでございますやら、あるいはある人に言わせるならば、今ちょうど今の国会議員は一九〇一年生まれが一番最高年齢でございますので、十九世紀生まれの人は先般の選挙で一人もいなくなったそうでございます。したがって、二十世紀生まれの人が言ってみれば抱えた借金だから二十一世紀までにしたらどうだというような観念的な議論もございますが、私もこれとて決して一笑に付すべき議論じゃないと思って耳を傾けて、そういう努力をして少なくとも二十一世紀には孫子に赤字国債の償還を残しておく姿はなくしたいものだなと、本当に心からそう思います。
#385
○穐山篤君 それから、変わった面から言いますと、国債整理基金に入るわけですから、理屈の上からも実際からも余裕ができるわけですね。そうしますと、資料では来年六十一年からは定率繰り入れをやります、こういう計算例は出ておりますけれども、余裕ができますから、定率繰り入れの停止をなお続けながら一般歳出はもうこれ以上抑えるわけにいかぬという限界論にこたえて歳出削減を緩和するという逆な手法も考えられるわけです。この点についてはどうでしょう。
#386
○国務大臣(竹下登君) 電電株というものが念頭にありますと、私どもも今のおっしゃったようないわゆる国債整理基金の定率繰り入れを例えば全額にしないで半分にするとか、あるいは三分の一にするとか、その都度まだ必要な段階はそういうことでもできるのじゃないか、そうなれば、言ってみれば歳出削減に対していま少し厳しさが緩和されてもいいじゃないか、こういう議論もあろうかと思いますが、私自身も去年の十二月二十九日、概算閣議を終わりました後、本当にこれ以上歳出削減できるだろうかという気持ちになった途端に、ああこれじゃいかぬな、やっぱりそういう気持ちをいかに非力であろうと大蔵大臣そのものが持つというのは、それによって歳出圧力に抗し切れなくなるのじゃないかと言って、もう一遍我と我が身に言い聞かせて今日またお答えをしておる、こういうふうに大体認識をしていただきたいものだなというふうに考えております。
#387
○穐山篤君 国債の発行、借金の問題については、前回も指摘をしましたが、歴代内閣で言えば総理大臣が四人ないし五人ですね。きょうおいでの皆さん方はほとんど連座をしているわけです。二十一世紀中まで借金を返さなければならぬような政治を続けてまいりましたのは皆さん方なんですね。なかんずく、中曽根総理は昭和五十五年から直接行管庁長官なんかを経験しながら百三十三兆円の借金の頂上にいるわけです。その政治的な責任というのは非常に後代に対して重く考えてもらわなければならぬ、こういうふうに厳しくこの点では指摘をして終わりたいと思うんです。
 次に、戦後処理問題についてお伺いしますが、かつて佐藤総理大臣が沖縄の施政権返還の際に本土復帰がなければ戦後は終わらないという話をされた経験があるわけですが、しかしそれ以来、依然として戦後処理問題というのは基本の問題を含めて大小、深くたくさん残っているわけですね。厚生大臣、それから外務大臣、官房長官、基本的な問題を含めて、あるいは経済的な問題を含めて戦後処理問題はどんなものを抱えているか、こういう認識についてまずお伺いします。
#388
○国務大臣(増岡博之君) 厚生省の所管といたしましては、今現在、中国残留孤児の問題を早急に解決しなければならぬということで重点を置いてやっておるところでございます。そのほか、遺骨収集でありますとか、墓参でありますとか、そういう方面に意を用いておるところでございます。
#389
○国務大臣(安倍晋太郎君) 対外的にはいろいろな問題が処理されてまいりました。講和条約が締結をされ、さらに日本が国連に加盟し、さらに日本の領土であるところの沖縄が返る。しかし、まだまだ残っている問題もあります。北方領土もそうでありますし、あるいはまた竹島もそうであります。そうした領土問題、あるいはまた、かつてのいわゆる朝鮮半島の南北問題、南との間では、韓国との間では問題は解決しておりますが、北朝鮮との間ではそのままの状況になって、まだ依然として外交関係も開かれていないということでございます。そういう意味で、対外的にはいろいろ問題が残されておる。ソ連との間でも平和条約がまだ結ばれていないという状況にあるわけでございますし、思いつくままに言いましても、そうした問題等がこれから我々として取り組んでいかなければならない対外的な課題であろう、こういうふうに思います。
#390
○国務大臣(藤波孝生君) なお戦争の後始末と申しましょうか、戦争から生じてその後に処理していかなければならぬ問題、いろいろな問題がまだあるというふうに私どもは認識をしておるわけでございますが、具体的には今六十年度の予算の中で御厄介になっておりますが、軍人恩給の欠格者の問題、あるいはシベリア抑留者の問題、在外財産の補償の問題、これなどを中心にいたしまして懇談会で検討を進めていただいてきておりまして、それの報告が出ましたので基金の活用ということを中心にして検討を進める。そして、新しい問題といたしましては、台湾人の元日本兵の問題、特に亡くなられた方とか病気になられた方とかといった方々に対しての処遇の問題というのがことし大きな問題として浮かび上がっておりまして、これを検討していくという課題がございます。
 きょうも第十回目の会合が開かれましたが、閣僚の靖国神社参拝の問題の懇談会などもございますが、これらなども含めますと、やはり戦争から戦後へかけていろいろ処理しなければならない問題、どうするかということを考えなければならない問題、いろいろ問題としてはたくさんに抱えておりますけれども、具体的には、今申し上げましたように、基金の検討やあるいは台湾人の元日本兵の問題などの検討が特に六十年度の予算の中で御厄介になっておる問題である、このように考えております。
#391
○穐山篤君 靖国神社の公式参拝という話は、これは別の次元の問題でしょう。
 さて、今それぞれ三相からお話がありましたように、いわゆる戦後処理の問題はまだ完結をしていない、そういうふうに私どもは認識をしますが、いかがですか。
#392
○国務大臣(藤波孝生君) 戦後処理の問題は完結をしていない、先生の御指摘のとおりであろうと思います。例えば戦争中に内地で戦災によって亡くなられた方々の慰霊の問題などをどうするのだといったような問題も浮かび上がっておりますし、あるいは戦前、戦時に特に北九州などを中心にいたしまして、強制労働で大変な大勢の方々、外国人の方々にいろいろ御迷惑をかけて、その慰霊の問題なども一体どうするのだといったような問題についても、当予算委員会でも衆参両院で論ぜられておるところでございますし、これらも含めてやはり戦後処理問題は完結していないという感じでございます。
#393
○穐山篤君 今お話がありましたが、戦後処理問題に関しまして予算が一億数千万円計上されております。特別基金検討調査費という名前になっているようですが、これの性格ですね、これはどういうふうに考えられておりますか。
#394
○国務大臣(藤波孝生君) 戦後処理問題懇談会におきましては、回を重ねていろいろ御検討をいただきました結果、これ以上国において措置すべきものはないとするとともに、関係者の心情に深く心をいたすという趣旨から特別に基金を創設して、これの活用を十分考えて、これらのお気持ちにこたえるべきである、こういう報告を受けておるところでございます。したがいまして、その基金の創設やあるいは基金の活用につきましていろいろ検討調査を進めていきたい、このように考えておりまして、それらは予算成立をまちまして総理府に検討を進めるための室を設けまして、各省庁と連絡をとりながら具体的に検討を進めていくようにいたしたい、このように考えておる次第でございます。そういう性格の一億五千七百万の予算である、このように考えております。
#395
○穐山篤君 戦後処理問題、先ほどお話が出た三つのほかに、まだそのほか満蒙開拓であるとか、あるいは従軍看護婦であるとか、台湾出身者の問題であるとか、たくさんありますね。その団体別にと言っては語弊がありますが、請願を受けたり政府が要請を受けました各種団体ですね。これを総合しますと何万人ぐらいの該当者が出るんでしょうか。例えば全抑留とか軍恩だとか、そういう各種団体の概数ですよ、該当者の概数。
#396
○政府委員(吉居時哉君) シベリア関係が六万人です。それから引揚者団体が約三百万人でございますか、それから恩給欠格者団体が約五十万、こういうふうな数字で、概数でございますが、あと先生がおっしゃいました満蒙開拓その他の関係は我々数字を持ち合わせておりません。
#397
○穐山篤君 私の調べでは、原爆被爆などを含めますと約四百万人ぐらいになるわけです。
 そこで、私は、各種団体に去年の暮れから政府の措置なりあるいはその前の懇談会の答申、そういうものを差し上げながら、あなたのところの団体ではどういう考え方ですかということで、ほとんど全部回答書あるいは報告書をもらっているんです。社団法人引揚者団体全国連合会、会長中野四郎先生です。これは政府の措置もけしからぬ。それから、そのほか例えば軍恩について言いますと、報告書を櫻内先生からもちょうだいをしているわけです。全部各団体の長は自民党の先生方です。政府のやり方は遺憾でありまして、初心に戻って個々のきめの細かい解決を図れ、そういう報告書に、回答書になっていますが、その点どういうふうにお考えになりますか。
#398
○委員長(長田裕二君) 穐山君、時間がまいりました。
#399
○国務大臣(藤波孝生君) いろいろな団体の方々がいろいろな御意見をお持ちであろう、そのことは先生の御指摘のとおり、私どもからも推測のできるところでございます。
 大きな団体といたしましては、今申し上げましたように、シベリア抑留あるいは軍人恩給の欠格者の問題あるいは在外資産の問題、こういったことを中心にいたしまして検討をお進めいただいてまいりまして、基金の創設をという提案をいただいたところでございます。これを受けて検討を進めていくようにいたしたい。その場合に、どういう団体をそれでは戦後処理の対象として考えられるのかということにつきましては、これは戦争という事態の中ですべての日本人が非常に迷惑をこうむり苦労をしてきたという関係にございますので、なかなかどの団体の御意見は聞いて、どの団体のことはそのまま通り過ぎるというのは非常に難しいことでございますけれども、懇談会で御検討いただいてまいりました大きな団体を中心にいたしまして検討調査を進めてまいります中で、いろいろな団体の御意見をまた伺っていくようにいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#400
○委員長(長田裕二君) 以上で穐山君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#401
○委員長(長田裕二君) 次に、梶原清君の一般質疑を行います。梶原君。
#402
○梶原清君 私は主として運輸交通に関する諸問題について御質問をいたしたいと存じます。
 まず、公的規制の緩和措置についてでございますが、目下政府において行政改革ないし民間活力の導入を推進する立場から、各種の事業に対する公的規制の緩和措置について検討をされているようでございます。そこで、政府部内における検討体制をどうなさっているのか。検討の対象分野、スケジュールについてどのようにお考えになっているのか、これらの点につきまして簡潔に御答弁をいただきたいと存じます。
#403
○国務大臣(後藤田正晴君) 御案内のように、今規制緩和の問題は民間の活力を引き出していく、こういう観点から、従来からもいろいろ施策を講じてきたのですけれども、やはりこの際各種の経済規制、これは思い切って解消したい、しかし同時に社会的規制がある。これは社会安定ということを配慮しなければなりませんから、これらについては公共性といいますか、そういう点を十分配慮しながらも、しかし、これもまた各省ばらばらでいろいろな厄介な規制をかけておりますから、こういうものはできるだけ合理化したい。こういうことで、何はさておき、これはいま一度行革審で検討してもらおうということで検討してもらっておりますが、二月十二日に行革審の専門委員のところで一応基本的な物の考え方を出してもらっておるわけですが、これらを受けて恐らく六月、七月ごろには答申が出ると思いますから、その答申を受けて私の方として、つまり政府全体として、さてこれにどう取り組むかということを逐次実施に移していきたい、かようなスケジュールで考えているわけでございます。
#404
○梶原清君 河本大臣が民間活力の関係の特命大臣におなりになっておるようでございますが、その点はいかがでございましょうか。
#405
○国務大臣(河本敏夫君) 民間活力といいますと、広い意味と狭い意味とございまして、広い意味ではやはりアメリカが行いましたような税制の抜本改正をやる、これがどうしても必要だと思います。それともう一つが、今、後藤田長官からお述べになりました規制緩和の、特に経済上の公的規制の全面緩和と、こういうことが必要だと思います。アメリカも随分思い切ったことを税制改革と並行してやったようでございます。この二つがアメリカの見違えるような今の力の回復になっているわけでございますが、そういうことで我が国も今のスケジュールで作業をいたしております。私のお預かりをいたしております特命室におきましても、行革審と十分な連絡をとりながらいろいろ作業を進めておるところでございます。それから、さらに民間活力ということになりますと、国公有地の有効利用という問題もございますが、それにつきましても今いろいろな角度から検討を進めております。
#406
○梶原清君 私の仄聞いたしますところでは、公的規制の緩和につきまして運輸交通の分野におきましては自動車運送、海運、航空の三つが検討対象にされているようでございます。本日、河本大臣、後藤田長官を煩わしまして大変恐縮に存じますが、ぜひこの際深い御理解をいただいておきたいと、このように存ずるわけであります。
 例の軽貨タクシーの問題でございますが、軽貨タクシーが沖縄、奄美地区だけでなく全国的に蔓延をいたしまして、違法が違法を呼び、一部には治安問題にまで発展してまいっておることは御存じのとおりでございます。これを取り締まりますための道路運送法の改正が長い年月にわたる紆余曲折を経て、過般、参議院を通過し、近く衆議院で御審議を賜ることになっておるわけでございます。
 もともとこの軽貨タクシー問題が発生をいたしました原因と申しますのは、行政簡素化を図るために昭和四十六年に制定されました許可、認可等の整理に関する法律によりまして、軽自動車で貨物を運送する事業が免許制から外されたというところに起因をしておるわけであります。この十数年間にわたる軽貨タクシーをめぐる混乱と弊害、そして関係者間の深刻なトラブル、苦労というものは本当に大変なものでございまして、何のため
の行政簡素化であったのかということを疑問に思わざるを得ないわけであります。したがいまして、このたび規制緩和の措置について御検討されるわけでございますけれども、この世の中には性善説ばかりが通用するのではなくて性悪説もあるのだという、この点についての御認識を十分いただきまして、幅広くかつ慎重にお取り組みをいただきたい、こういうお願いでございます。
 特に運輸交通事業はいわゆる即時財という性格を持っております。また、安全で確実な輸送というのが事業の生命でございまして、規制を緩和することによって、例えば労基法違反とかトラックの過積載等の問題が起き上がってまいりましては大変でございますので、ぜひとも政府規制の緩和措置に当たっての検討に当たりましては十分な御配慮をお願いをいたしたいと、このように強くお願いを申し上げる次第でございます。要望も含めましてこの点につきましての河本大臣と後藤田長官の御見解を承りたいと存ずるわけでございます。
#407
○国務大臣(後藤田正晴君) 今行革審で審議をしておりますから、行革審としては恐らく関係各省あるいは各種団体から十分ヒアリングをすると思います。そういったときに運輸当局なりあるいは関係団体なりから十分御意見を述べていただきたい。おっしゃるように安全性の問題があるわけでございます。ただ、一つお願いをしておきたいことは、運輸省の行政というのは一番許可、認可だらけの行政庁なんですね。これまたいろいろな問題があることもこれは御理解を願わなければならぬと思います。したがって、審議の対象にはならざるを得ないと、かように考えておるわけでございます。
 いずれにせよ、結果はどうなりますか、その際にやはり規制がかかっておるということは、今おっしゃったような一方の必要性でかかっておることは間違いないのですけれども、しかし、これが行き過ぎますと、何というか、ギルド組織、つまり今許可、認可を得ている人はそれでいいけれども、新規参入をシャットアウトしていると、これがいろいろなまたふぐあいを来しておるということもございますから、そこらを十分ひとつ配慮しながらお願いもいたしたいと、かように思います。
#408
○国務大臣(河本敏夫君) 公的規制の緩和、特に経済上の公的規制の緩和の問題につきましては、戦後四十年の間、次から次へたまりまして、今では五けたの数字になっておるようであります。これが初めは必要に応じて皆できたものでございますが、そのうちに我が国の経済の競争力が非常に強くなりまして、今ではかえって邪魔になっておるものも相当ある、こういう状態でございますので、やはりこの規制を緩和いたしまして、自由競争を原則として新しい投資を誘発していく、こういう考え方に立ちますと相当思い切ったことも時にはやらなければならぬと、こういうことでございますが、今お述べになりました点等は参考に当然されると思います。行革審等において参考にされると思いますが、根本的には先ほど申し上げましたような規制の全面緩和による自由競争の拡大とそれによる経済の活性化、こういう考え方でございますから、どうぞその点は御理解を賜りたいと思います。
#409
○梶原清君 競争が発展の原動力でございますので、私は一概に競争政策を非難するものではありません。その必要性は十分理解をしておるつもりでございます。ただ、交通業の性格から見まして、一定の秩序のもとに公正な競争をさせていくというその土俵づくりが政府の任務ではないだろうかと、このように考えておりますので、両大臣におかれましてこの点の深い御理解の上で御処理をぜひお願いを申し上げたいと、以上御要望を申し上げまして次の問題に移らせていただきたいと存じます。
 次は、運輸大臣にお尋ねをいたしたいと存じますが、大臣も御存じのように、運転代行という問題がございます。お酒を飲んだお客さんの車をそのお客さんにかわって運転するという運転代行業でございます。その数は、台数は恐らく全国で四千台を超えているんではないだろうかと思うわけでございます。私も地方に出かけます都度よく見て回るわけでございますが、その実態というのは、運転代行という名のタクシー営業類似行為であります。また、その運転をしております運転者の大半はアルバイトを使ってやっておるというのが実態でございまして、安全確保上極めてゆゆしい事態ではないだろうかと、こう思うわけでございます。これにつきましては現行の道路運送法で十分行政処分もできるわけでございますから、ぜひ運輸当局におかれまして早急に関係省庁との連携のもとに強力な取り締まりを行っていただきたいと、このように存じますが、いかがでございましょうか。
#410
○政府委員(服部経治君) お答え申し上げます。
 運転代行を行いますものの中に、本来の運転代行の範囲を逸脱いたしまして旅客運送行為を行うものが見られますことは私どもとしてまことに残念であり、かつ遺憾に思っているところでございます。このような運転代行という名称のもとに行われます輸送秩序の紊乱行為につきましては、これは良質で安全な輸送サービスを提供しなければならぬという、そういった観点から到底看過し得ない問題でございますので、私ども今後とも警察当局との連携をより以上に密にいたしまして、この問題への対応を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 なお一言付言して申し上げますと、昨秋以来私どもは警察当局との間に運送秩序維持対策協議連絡会議といったような名前の定例的な協議の場を設けまして、昨秋以来、先ほど先生の御質問の中にもございました軽貨タクシー問題についてその対応を検討、協議してまいったわけでございますが、この問題が一区切りつきましたときには、次は運転代行の問題というふうに考えておるところでございます。
#411
○梶原清君 それと同様の問題で、車検代行業というのが問題になっておるわけでございますが、御存じのように、先般来の車検制度見直し以降、車を洗っただけで検査を受けに来るような、いわゆる車検代行業というのが非常に増加をいたしております。
 私の理解では、自動車の安全にとりまして極めて重要なのは制動装置でございます。この制動装置のブレーキシューの減りぐあいはブレーキドラムを外さないと、つまり車を分解しないと外部から点検することができない、整備することができない、こういうことになっておるはずであります。自動車の安全確保のためには国が行います検査に先立って必ず分解整備をすることが必要であり、分解整備をしないで検査を受けに来る自動車に対しましては、分解整備検査を実施するか、あるいはそれにかわる、またはそれを担保する手段をとることが自動車の安全確保上緊要ではないかと私は考えるのでございます。なるほど国民負担の軽減という見地から自動車の整備に要する費用を低減させていく努力を続けなければならないことは言うまでもありませんけれども、同時に、あるいはそれ以上に交通の安全、自動車の安全確保ということが大切ではないだろうか、こう考えるわけであります。
 したがいまして、この際この問題につきまして前向きに御検討いただき、国民各位の御理解もいただく努力をしていただきたいと存じますが、いかがでございましょうか。
#412
○政府委員(服部経治君) 自動車の点検整備ということは、自動車の事故防止を図り、あるいは公害防止を図っていく上で基本的に重要な事柄でございますことは先生御指摘のとおりでございまして、そういう観点から自動車の使用者に対しまして常に自動車を安全な状態に管理するように定期点検整備ということが法律によって義務づけられているところでございます。
 御指摘の車検代行の問題でございますけれども、国の検査場におきます検査全体の不合格率に比べまして、代行業者が取り扱った自動車の不合格率というのは圧倒的に高い状態でございまし
て、代行業者に車検手続というものを依頼するようなケースにつきましては、使用者の側における定期点検整備の確実な実施ということが強く望まれるところでございます。
 具体的に代行業者が行う代行行為というものが問題になりますケースでございますけれども、概略申し上げて次の三つのようなケースがあるのではないかと思っております。
 一つは代行業者が使用者から点検整備の依頼を受けておりますにもかかわらず、その自動車を認証を受けました整備工場と提携するなどによりまして、きちんとした分解整備を行うということを怠りまして車検手続をとるという場合、これが一つ。それから二つ目は、使用者から車検手続の依頼を受けました代行業者が未認証であって、みずからはそういった資格がないにもかかわらず自分でもって分解整備を行うという場合。三つ目は、使用者が定期点検整備を実際には行っていないにもかかわらず、あたかも自分でちゃんとやったというふうに申し立てて代行業者に手続を依頼する。こういった三つのケースが考えられるわけでございますが、このようなケースにつきましては、使用者に対しまして定期点検整備の確実な励行ということにつきまして、今後ともより一層指導、啓蒙を図りますとともに、そういったケースの代行業者につきましては法律に照らしまして厳しく対処してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#413
○梶原清君 自動車の安全確保という見地から、そうした代行業者に厳しく対処するということのほかに、制度の面でひとつ検討をしていただきたいという強い希望を持っておりますので、この点を重ねて申し上げておきたいと存じます。
 次に、行政書士の問題でございますが、自動車の検査登録等に関しまして役所に提出する書類の代書とか代行とかをめぐって、最近各地で自動車関係団体と行政書士会との間で深刻なトラブルを起こしているようでございます。この問題につきまして運輸大臣はどのような御理解をしておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
#414
○国務大臣(山下徳夫君) この問題につきましては、過去におきましてかなり長い間いろいろないきさつを経て今日に至っております。それはもう先生御承知のとおりでございますが、問題は、自動車の登録検査業務だけでも年間五千万件ぐらいございますね。これは全部行政書士が扱うのだといったって実際には処理し切れない。
 しかも、行政書士法によりますと、今、さむらい士というのですか、税理士の士の字、あれが幾つか、十八か二十ぐらいたしかあるはずですが、それぞれ何々士、何々士というような法によってその所管業務がちゃんと明記されておる。それでないものは全部行政書士が扱うということになって大変に行政書士は法的に窓口が広い。しかも限られた行政書士の数である。一方においては、今申し上げた自動車の検査登録だけでも五千万件あるというようなことで、とてもそれはもう速やかに処理し切れないというところに基本的な私は問題があると思うのでございます。
 そんないろいろな法の問題も含めて、いろいろないきさつ、過程を経て、これではどうにもならぬということで自動車会議所が中心となって、昭和五十四年でございましたか、別途自動車検査登録士という制度をつくってほしいという非常に大きな一つの陳情があったわけでございますが、関係官庁の方々お集まりいただいて、あるいはまた党が仲裁と申しますか、一応預かりという格好で今日まで来ておるわけでございますから、やはり私はここらあたりでよくお話し合いをいただかないというと、またそういう問題が表面化してくるということでございますから、関係の省庁が中心となって、また団体等ももっとやはり角突き合わした格好でなくてやるべきだ、そうでなければまたその問題は出てくると思うんです。そういうふうに私は理解しておりますから、私どももそのように関係の団体には指導してまいりたいと思っております。
#415
○梶原清君 運輸大臣の基本的なお考えにつきまして、私もそのとおりだと思うわけでございますが、自治大臣にお尋ねをしお願いをするわけでございますが、この行政書士の制度につきましては去る昭和三十九年九月の臨調答申にも出ておるわけでございますが、役所に出します書類をみずから作成をし提出することのできない人たちがこの世の中にいらっしゃるとすれば、行政書士の制度が必要であると私は思うわけでございます。ただ、それがすべての書類にわたりまして行政書士でなければならない、このような独占的な性格を持ってきますと問題ではないだろうかと、このように考えるわけでございます。
 例えば、今運輸大臣もお述べになりましたように、自動車の販売、登録、整備という仕事の流れの中で、実態に即して円満に行われておる、そういう業務がどうしても行政書士でなければならないということになりまして、そして行政書士法違反云々ということになりますことは極めて遺憾ではないだろうかと思うわけでございます。ぎくしゃくしないで、関係者が円満に話し合っていただくという方向で事態の解決をぜひしていただきたい。難しい事情がございますことは十分存じておるわけでございますが、要は何が国民の利益につながるのか、何が実態に即するのかという立場で自治省におかれて適切な行政指導をしていただきたい、このように要望したいわけでございますが、いかがでございましょうか。
#416
○政府委員(大林勝臣君) 御指摘の問題につきましては長い間の問題でございます。現在の制度におきましては、官公署に提出する書類につきまして報酬を得て業とする限りにおきましては、ほかの法律で規定しないものにつきましては行政書士が行うと、こうなっておるわけでありまして、そういったものとの関連におきまして車庫証明申請書の作成業務につきまして、御案内のように自動車販売協会連合会と日本行政書士会連合会との間で一応の合意ができておりますが、現在までまだ全都道府県で協議が整っていない状況でございます。御指摘のように、問題はユーザーに御迷惑がかかるようなことになっては非常に困りますので、自治省といたしましても関係の省庁とも連絡をとりまして、ユーザーに御迷惑のかからぬよう、速やかに調整ができるように要請してまいりたいと存じます。
#417
○梶原清君 ぜひそういう方向で御尽力をいただきたいと存じます。
 次に、かつて運輸委員会で御質問を申し上げたこととダブるわけでございますけれども、地下鉄等が建設されたことによりまして、従来その地域で輸送を担当しておりましたバス事業者等が経営上深刻な影響を受けることに対します救済措置についてでございます。
 交通機関が整備をされ、便利になるということ自体は大変望ましいことでございますけれども、他方で、他の事業者が、バス事業者なりタクシー事業者が深刻な影響を受けることはいかにも気の毒でございます。もともとバス事業は公共輸送機関として運送引受義務を課せられております。地下鉄などの新しい交通機関の開通直前までは従来の運行をしなければならない、開通後は余った人員、余った車両をどう解決するか、こういう深刻な課題を抱え込むことになるわけでございます。福岡市の地下鉄に限らず、全国の各都市で、地下鉄、モノレール、新交通システムの建設が現に行われつつございますし、東京圏では国鉄の通勤別線の建設が進められつつあるわけでございまして、この開通の暁には、従来その地域を担当しておりましたバス事業者が極めて深刻なダメージを受けることは必至の状態でございます。
 従来とも運輸省におかれましては、関係者による協議会を設けるなどして対処をしてこられておるわけでございますけれども、こうした新しい交通機関の許認可に先立って、関係者間の調整を十分に図られるようにお願いをいたしたい。また、可能であれば、何らかの補償措置ができないものかどうか。この補償措置といいましてもなかなか大変でございましょう。困難でございましょうが、例えば地下鉄を建設する地方公共団体が影響
を受けますバス事業者に対して利子補給をするとか、あるいは別の事業をあてがうとか、いろいろの手段があり得るはずでございますので、そうしたことを考えていただいて、ぜひ影響を受けますところのバス事業者の救済策を図っていただきたい、このように存じますが、いかがでございましょうか。
#418
○政府委員(服部経治君) 大変に難しい問題の御指摘でございます。
 私どもといたしましては、もう先生も御承知のとおり、よりよい、望ましい都市交通体系を整備していくというためには、大量輸送手段であります鉄軌道系の輸送機関を中心とした効率的な都市交通体系の整備ということが何よりも肝要であるという基本的な認識のもとに、そういう方向での都市交通の整備を図ってまいってきておるところでございますが、ただその場合に、御指摘のように、旅客の転移によりまして、そのエリアに営業権を持って営業いたしておりました既存のバス事業者等に極めて深刻な影響を与える事例というものの発生を見ておりますことは、もう既に先生御指摘のとおりでございます。
 このような場合に生じます特に大きな問題といたしましては、減収、減益の問題もございますけれども、そのほかに路線の縮小、再編成といったようなことから生じてまいります余剰車両、余剰人員というものをどう処理していったらいいかというような問題でございます。このような問題につきましては、これまでも札幌市あるいは京都市、あるいは福岡市といったような各都市での地下鉄の整備に伴いましてそういった問題が生じてまいっておりますけれども、関係のと申しますか、原因者であります鉄軌道事業者側におきまして、受け入れが可能な範囲内で、例えばそういった余剰人員の受け入れでございますとか、バス路線につきましての調整といったような各種の形で両当事者間の調整が図られまして、おおむねはこれまでは円満な解決を見ているケースが多いというふうに申し上げてよろしいかと思います。
 今後とも私どもこのようなケースにつきましては、両当事者間の話し合いということを主体にいたしまして、できるだけそういった影響が小さくなるような方向での話し合いによる解決というものが図られるようにしてもらいたいというふうに考えておるところでございますし、そういった鉄軌道系の都市交通機関の整備に際しましては、既存事業者への影響というものを十分考慮いたしまして、今申しましたような方向で関係当事者を強く指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#419
○梶原清君 次に、国鉄再建問題についてお尋ねをいたしたいと存じますが、まず国鉄総裁に御決意のほどを承りたいと存じております。
 御案内のとおり、国鉄の経営が破局的な状況にあり、その抜本的な解決が一刻の遷延も許されない緊急な国民的課題になっておるわけであります。目下、国鉄再建監理委員会で鋭意検討をなさっていただいておりますし、国鉄当局もことしの一月、意見を発表されて大変な御努力をなさっておるところでございます。問題は、総裁以下国鉄の労使が一体となって、石にかじりついても頑張るんだ、再建するんだという覚悟と気概が最も大切ではないだろうかと、私はこう思うわけであります。それが国民の大きな共感を呼ぶようにならなければ絶対にだめだと私はそう思っております。いろいろと国鉄に対する御批判もあります中で、国鉄の官僚的体質を指摘する声もあるわけでございますが、これはかつての任用制度にも関係があったのではなかろうかと思っておるわけでございます。この点も含めまして国鉄総裁の決意のほどをお伺いをいたしたいと存じます。
#420
○説明員(仁杉巖君) お答えいたします。
 今、先生が御指摘されましたように、現在国鉄の状況、非常に破局的と言ってもいいような状況でございまして、御指摘のように、ただいま国鉄再建監理委員会でいろいろと御議論を願っているところでございます。しかし、私ども実際に運営を預かる立場の者といたしまして、この間の基本方策でも基本認識として申し上げておりますが、私どもとしてはまず第一に自助努力、自分たちが努力をするということが第一であるというふうに認識をいたしております。そのために幹部あるいは管理者というものが先頭に立って努力をしていくということがまず第一でございますが、先生も御指摘のように、職員と申しますか、組合と申しますか、そういう人たちとも相協力していくということが基本になければいけない、こういう努力は私どももいたしております。
 また、前に職場規律の問題等いろいろ御指摘がございましたけれども、これらに対しましてもだんだんと改善をしているというふうに思っております。まだ十分ではございません。しかし、この辺もやはり国民の共感を得るための前提条件であるというふうに考えております。したがいまして、今、各組合とも精力的に団交その他、あらゆるパイプを通じまして協力を呼びかけているというような状態でございまして、私どもとしましては懸命な努力を重ねているということでございます。
 今、先生、最後に御指摘がございました官僚的なあり方が採用制度にあるのではないかという御指摘でございます。これらにつきましては、私もそういう認識をいたしておりまして、先生も御承知だと思いますが、ことし幹部の採用に当たりましては、今まで本社、支社、採用の区別をいたしておりましたが、これを今一本にいたしますとともに、やはり地域に密着した幹部の養成ということも必要であるということで、いわゆるフランチャイズ制と申しますか、各地で、そこに所在する大学等を中心にいたしました採用システムをとるというような形をいたしております。こういうことは、しかし今始めましてもすぐ実るわけではございません。これらにつきましてはやはり一つの御非難といたしまして、なかなか世の中の人たちの言葉に耳を傾けないというような御非難もございますので、今、私どももよく皆様方の御意見を十分ちょうだいしながら、それを消化しながら再建に結びつけてまいりたいというふうな努力を重ねてまいりたいと思う次第でございます。
#421
○梶原清君 ぜひ頑張っていただきたいと存じます。
 最後に、国鉄バスの問題でございますが、国鉄再建監理委員会は去る五十八年八月に行われた提言で、閑散路線の整理、民営バス等と競合している路線の整理、競合しない路線についても極力民営バス等へ譲渡することと、こういう御指摘がございまして、私は極めて妥当な御提言だと考えておったわけであります。ところが、去る三月六日の新聞によりますと、国鉄バスを地域別に統合して民営化させるという方針のようでございます。これはどのように理解したらいいのか、この点を事務局にお尋ねをいたしたいと存じます。
#422
○政府委員(林淳司君) お答え申し上げます。
 ただいま前段で御質問のございましたのは一昨年の緊急提言だと思いますが、これは経営体制というよりは、むしろ実態としまして国鉄のバスなりあるいは貨物、それから旅客全般についてどういう効率化の施策をしていったらいいかということを一昨年の夏に御提言申し上げたということでございます。それから、最近新聞紙上等で出ましたけれども、国鉄の経営体制そのものについてどうしたらいいかということについては、これは実態とは別の体制の問題でございまして、これについては端的に申し上げて、まだ具体的な経営体制についての結論を監理委員会として持っているわけではございません。ただ、昨年の、これ一昨年でなくて、昨年の緊急提言におきまして、国鉄バスのいわゆる経営体制につきましては、「例えば、いくつかの営業所の統合を行うこと等により、一定の地域的なまとまりと規模を有する独立の企業体とすること等も考えられる。」ということで、一つの方向を示唆しまして、これを出してから、その方向で具体的な今検討をやっておるという段階でございます。
#423
○梶原清君 そこで、私の要望でございますが、昨今は民営バスでさえ経営を維持することが非常に困難になっておると思うわけであります。した
がいまして、地域旅客交通の分野におきましては、例えば奈良県下の奈良交通がやっておりますような小型バスによる雑貨商的な、地域に密着した、きめ細かな輸送体制に切りかえていくということが大切ではなかろうかと、私はそのように存じております。国鉄バスのあり方につきましても、こうしたバス行政全体のあり方の中で御検討いただきたい、このようにお願いをしたいわけでございますが、いかがでございましょうか。
#424
○国務大臣(山下徳夫君) 国鉄バスの問題につきましては、抜本対策は、やっぱり何と申しましてもことしの中ごろ予定されております再建監理委員会の答申を待ってやらなければならないと思いますが、しかし、いずれにいたしましても基本的な問題はやはり自立経営ということだろうと思います。したがって、自立経営が可能なようなそういう方向に向かっての対策をまず基本として改革が行われるべきであると思います。
 そこで、例えば民営バスにおきましても、企業的には絶対維持できないいわゆる閑散路線というのですか、御承知のとおり平均乗車密度ですか、これが五人未満、これはやはり国鉄の場合でももう絶対に経営困難でございますから、民営と同様にこれは整理の道を進める以外にないと私は思うのでございますが、例えば五人以上の、いわゆる閑散路線でなくても、民営と非常に競合するようなところは、お互いにこれむだな競合はやめて十分話し合い、今先生の御指摘ありましたように、民営と双方話し合ってこういう問題は解決すべきだと思っております。いずれにいたしましても、効率的な地域交通体系というものが実現できるように配慮してなされるべきであると、かように考えておる次第でございます。
#425
○梶原清君 以上で終わります。(拍手)
#426
○委員長(長田裕二君) 以上で梶原君の質疑は終了いたしました。
 明日は午前十時に公聴会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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