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1984/06/11 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 建設委員会 第12号
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1984/06/11 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 建設委員会 第12号

#1
第102回国会 建設委員会 第12号
昭和六十年六月十一日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月五日
    辞任         補欠選任
     佐藤栄佐久君     志村 哲良君
     矢野俊比古君     安孫子藤吉君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         本岡 昭次君
    理 事
                堀内 俊夫君
                増岡 康治君
                増田  盛君
                青木 薪次君
    委 員
                井上 吉夫君
                植木 光教君
                工藤万砂美君
                志村 哲良君
                服部 安司君
                福田 宏一君
                白木義一郎君
                二宮 文造君
                馬場  富君
                山中 郁子君
   国務大臣
       建 設 大 臣  木部 佳昭君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  河本嘉久蔵君
   政府委員
       国土庁長官官房
       長        永田 良雄君
       国土庁長官官房
       水資源部長    和気 三郎君
       国土庁計画・調
       整局長      小谷善四郎君
       国土庁土地局長  鴻巣 健治君
       国土庁大都市圏
       整備局長     佐藤 和男君
       建設大臣官房長  豊蔵  一君
       建設大臣官房総
       務審議官     松原 青美君
       建設省建設経済
       局長       高橋  進君
       建設省都市局長  牧野  徹君
       建設省河川局長  井上 章平君
       建設省道路局長  田中淳七郎君
       建設省住宅局長  吉沢 奎介君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田熊初太郎君
   説明員
       防衛施設庁施設
       部施設取得第二
       課長       小澤 健二君
       防衛施設庁建設
       部建設企画課長  黒目 元雄君
       環境庁自然保護
       局企画調整課長  加藤 栄一君
       建設大臣官房官
       庁営繕部長    渡辺  滋君
   参考人
       本州四国連絡橋
       公団理事     吉田  巌君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○建設事業並びに建設諸計画に関する調査
 (公共事業費の確保に関する件)
 (規制緩和方策の在り方と実施状況に関する件)
 (下水道整備に関する件)
 (住宅減税に関する件)
 (明石海峡大橋の建設問題に関する件)
 (霞ケ関中央官衙地区の整備計画に関する件)
 (池子米軍家族住宅建設問題に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(本岡昭次君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る五日、佐藤栄佐久君及び矢野俊比古君が委員を辞任され、その補欠として志村哲良君及び安孫子藤吉君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(本岡昭次君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 建設事業並びに建設諸計画に関する調査のため、本日、本州四国連絡橋公団の役職員を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(本岡昭次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(本岡昭次君) 次に、建設事業並びに建設諸計画に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○青木薪次君 現在の日本経済が輸出主導型で成長を続けまして、貿易収支が大幅な黒字を続けている状況にあることは御案内のとおりでありますが、諸外国から強い反発を受けておることも御承知のとおりであります。そこで、我が国の経済運営を何とかして内需に重点を移して経済発展を持続していくということが極めて大きな政治課題となっているわけでございます。
 内需の振興となりますと、個人消費や民間設備投資、そして住宅投資、公共事業とあるわけでありまするけれども、住宅と社会資本は諸外国に比べまして極めておくれた分野でもあるし、我が国の経済社会の発展を図る上でこれらを拡大することが最も重要なことだと私は考えているわけでございます。これらはいずれも建設大臣の所管するところでありまするけれども、現在の経済社会の情勢の中で内需振興の必要性についてどう考えていらっしゃるか、木部建設大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
#7
○国務大臣(木部佳昭君) 青木先生御指摘のように、今内需の振興の問題は、日本の経済にとっても、また貿易摩擦の解消の問題にとりましても非常に重大な問題でございます。御指摘になりましたように、公共事業のGNP全体に対するシェアというものは大変大きいわけでございまして、政府としてとり得る当面の対策といえば二つあると思うんです。一つはやはり減税をどうするか、一つは内需の振興、公共投資をどうするか、こういう問題だと私は思うんです。
 そういう点を考えてまいりますと、私どもは来年の予算の編成の時期もそろそろ近づいておるわけでございますが、大変厳しい中でございますが、国土の均衡のとれた発展のためにも、また同時に、今お話のありましたように、貿易摩擦の解消のためにも、内需の拡大のためにも、公共投資が景気を維持拡大する大きな役割というものを十二分認識を持ちながら、そうした方向へ努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第であります。
#8
○青木薪次君 内需拡大の必要性ということについては大臣も今お認めになっているわけでありますが、これはやはり総理も認めなきゃいかぬというふうに思うのであります。これをどう具体化するかということになるとこれは大変違ってくるわけでありまして、総理に最も信頼の厚い建設大臣
はこのことをひとつ閣議の席上で発言をしていただきたいと思うのでありますが、その一つに、中曽根総理も竹下大蔵大臣も財政難を理由にいたしまして財政の出番はないのだ、こういう点が私どもは非常にひっかかってくるわけでございます。すなわち、公共事業の拡大という問題については消極姿勢そのものである。中でも、閣議でも河本特命相は、民活といったような問題、それからこれには財政の支出をすべきである、こういうような意見を吐いて積極財政論という立場をとっているというように聞いているわけであります。
 そこで、大臣にお伺いいたしたいと思いますのは、公共事業の拡大や、今おっしゃった減税をしないで内需の拡大は困難だと思うのだけれども、大臣はどうお考えになっておられますか。
#9
○国務大臣(木部佳昭君) 今の青木先生の御指摘になりました点と私の認識というものは一致いたしておるといっても決して私は言い過ぎじゃない、そういう認識の上に立っておるわけでございます。総理も大蔵大臣も別に消極的じゃございません。むしろ、民間活力の導入をして大いに頑張れということは総理からもたびたび指示を受けている問題でございますし、また民活の場合に一番大事な問題はやはり規制の緩和の問題、これが一緒になって回っていかないと十分な効果というものはございませんので、そういう点も思い切って私ども規制の緩和というようなものについて、それからまたある意味では税制上の問題であるとか、そういうような問題が総合的に整合性を持って実行されなければいけません。また一方では、財政再建、臨調という大きな枠もございますけれども、民間活力によって、今いろいろ御指摘いただきましたように、私どもは内需の振興のためにそうした総合的な整合政策というものを打ち立てていく必要がある、そういうふうな認識でございますので、この上とも御鞭撻をいただければ大変ありがたい、こういうふうに思っております。
#10
○青木薪次君 特に、住宅や社会資本の整備水準ということについて、戦後の復興期から高度経済成長期を経て安定成長への移行期に至るまで時代時代の要請に対応しつつ精力的に進めてきたということについては、豊かで活力ある経済社会と安全で快適な国民生活の維持充実を目指して、その基盤となる住宅、社会資本の充実に対して努力してきたことは私どもも認めるのでありますが、しかしながら、その整備水準は我が国経済社会が要求する水準には全く達していないのであります。
 経済社会の基盤というものは社会資本と民間資本との有機的な結合で構成されておって、国民のすべての活動はこうした基盤の上で成り立っていると思うのだけれども、社会資本と民間資本についてはそれぞれの時代時代の生活水準、生産水準に応じたバランスが確保されていなければ、もろもろのひずみを生じさせることになる。したがって、経済社会の水準、国民の価値観等に対応した水準の確保が求められなければならない。これは建設省で主張していることであります。私が言っていることではないのであります。
 そこで、来年度予算の概算要求の時期が来ていわゆるシーリングの設定も具体化すると思われるのでありますが、既に財政当局などは厳しい方向を打ち上げておりまして、去年と全く今年度も同じだ、来年度も同じだよというように言われているわけでありますが、今、建設大臣は私の意見と違いは全くないというように解釈されても結構だ、こういうように言われたことについては、私もまた大臣の御所見に対して感銘を覚えますけれども、おくれている社会資本の整備を促進するためにも、シーリングの設定から予算要求に対して積極的強い姿勢で臨む必要があると考えるのでありまするけれども、毎年毎年今ごろはこの議論を私は毎年続けてまいったわけでありますが、それは大臣とそれから建設省の当局を激励する意味も含めてやってきたわけでありまするけれども、その考え方についてひとつ官房長からお伺いします。
#11
○政府委員(豊蔵一君) ただいま御指摘ありましたように、六十一年度の予算編成に当たりましての概算要求基準は、まだ政府として定められておりません。昨年の例で申し上げますと、昨年は七月の三十一日に閣議了解がなされたと記憶いたしておりますが、ことしは、そういったようなことを頭に描きますと、六月から七月にかけて財政当局と各省といろいろと議論が交わされるものと考えております。私どもといたしましては、おくれております住宅、社会資本整備を進めますためには何としても公共事業の拡大が必要であるということを考えておりまして、そのための対策として、いろいろな民間資金の活用をも十分考えながら、その量の確保につきましては努力をしてまいりたいと思っております。
 なお、各論的に申し上げますと、それらの公共事業全体の問題以外に、昨年来引き続き恐らく議論になるであろうと想像されます道路財源の全面的な充当の問題、あるいはまた住宅金融公庫の補給金につきましてはせんだって法律の改正を成立さしていただきまして実施に入っておりますが、それでもなお相当ふえていくという傾向にあることは事実でございますので、これに対する特別の配慮、そのほか、また各種の五カ年計画もちょうど六十年度で終了いたしますものが私どもの所管しておりますものだけでも五本もございます。これらにつきましてやはり将来の展望を明るいものにした計画づくりをしたいと思っておりますが、これらに関する諸問題等々、財政当局とも相当詰めて議論いたしまして、来年度の概算要求に当たりまして適正な取り扱いをしてまいりたい、このように思っております。
#12
○青木薪次君 先日成立いたしました補助金の一割カットの問題等に対しまして私も非常に心配したわけでありますが、今、官房長のおっしゃったように、地方道の緊急整備の関係とかそのほかの知恵を絞って事業費としては七%ないし多いところは九%も増加したところも実はあるわけでありますが、それだけ地方負担というものはいろいろ加算をされているということは認めます。
 しかし、起債の関係や将来の交付金の関係等々を考えてまいりますれば、これからもそれらに対する手厚い対策を立てながら対処しなきゃならぬと思いますけれども、そういうようにして知恵を絞りながら、財政を使うことは困るのだというようなことが一般的な議論として定着しつつある。しかし、内需拡大の必要性は認める。そうすると、政府は金がないから規制緩和を行って、そしてそれは何だといったら民間活力だ、そこへどうも逃げてしまう悪い癖がこのごろ出てき始めました。
 このことが政府の考え方の主流になっては困るのでありまするけれども、建設省もここ二、三年来いわゆる民活問題に取り組んできておりますけれども、これまでにどのような措置がとられてきたのか、それともこの規制緩和によって内需の拡大はどの程度見込めるのか、総務審議官ひとつ答弁してください。
#13
○政府委員(松原青美君) 建設省といたしましては、本年四月に民活の第二次報告を取りまとめました。それは、これまでに行ったこと、今後行うことの概要を書いているものでございます。
 まず、そのうちの主なものを申し上げますと、都市計画建築規制の見直しによる町づくりの推進ということが第一点でございます。再開発関係につきましては、特定街区制度の改正、拡充を初め、良好なプロジェクトに対する助成措置をいろいろ講じてまいりました。税制上の措置も、財政上の措置も、助成措置も講じてきたわけでございます。なおさらに、新しい新市街地の開発につきましては、市街化区域、市街化調整区域の見直しの弾力的運用、あるいは許可基準の二十ヘクタールから五ヘクタールへの引き下げをやる。さらに、官民総合のプロジェクト、私どもが幾つか挙げております中では、例えば隅田川の沿岸におきます防災性と緑と水、親水性を備えた町づくりということで、大川端再生構想のような総合プロジェクトもモデル事業として実施いたしたいと考えておるわけでございます。
 さらに、今後行います措置といたしましては、いろいろな観点からの規制緩和できるものはさら
に進めてまいりたいと考えておるわけでございますが、当面考えておりますのは、例えば中水道を設置いたしまして、水を節約する形の施設を新しいビルに設置するような場合に容積率の緩和をするとか、そういうものも含めていろいろ検討しているわけでございます。
 後のお尋ねの方の、規制緩和によって民間活力の活用等につきまして内需の拡大効果をどのように考えているかということでございますが、先ほど申し上げましたように、都市計画、建築規制の見直し、あるいは再開発に対する税財政上の助成措置の充実、あるいは関連する公共事業の重点的実施、そういうことで住宅宅地供給あるいは都市整備の分野での民間活力の活用を進めているわけでございますが、これらの分野が本来的に民間活動に担われていることもありまして、民間の旺盛な投資意欲を適切に規制、誘導、支援する、その活発化を図っていくことは、公共の行う基盤整備の投資効果をさらに高めるとともに、内需拡大にも資するものと考えておるわけでございます。
#14
○青木薪次君 民間活力を生かすための規制緩和は、都市開発または再開発が中心になっていると思うのであります。この間も、私ども建設委員会で東京の隅田川のリバーサイド・ルネッサンスですか、を見たし、それから隅田川を北上いたしまして大変立派な都市環境をつくろうとする努力、あるいはまた地震対策、こういったようなものを中心といたしまして我が国の都市環境や住宅の整備を何とか推進したい、こういう努力というものもこの辺から見ることもできましたし、大変な参考にもなりました。
 しかし、これらの整備というものは、都市計画の中で環境整備ということを中心として考えるべきであって、これが即座に民間活力の増大だというように飛躍して考えるということは私は間違いだ、これはやっぱり息長く努力をしながらこれらのことを考えるべきだと思いますから、その点の整合性といいますか、どういうようにお考えになっていますか。
#15
○政府委員(松原青美君) まことに先生の御指摘のとおりでございまして、建設省におきますいわゆる規制緩和、そのための都市計画の見直し、建築規制の見直し、こういうものにつきましては、良好な市街地環境の形成を図りながら土地の有効利用を促進する、そういうことを基本にいたしまして進めているわけでございます。確かに、おっしゃるように環境のいい町づくりをするということが政策の基本目標でございますから、それを実現するためにどのように規制、誘導していったらいいかということを常に念頭に置きまして取り組んでいるところでございます。
#16
○青木薪次君 現在の規制の中で必要以上の規制があるところがございます。これが民間活力を生かす上で障害になっているということになるならば、それを取り除くということについては私は大賛成です。例えば私の家の近所でも市街化調整区域がある。山の方に市街化区域があって、ここに立派な住宅群が建っているわけでございますけれども、こういうようなことは、これはやっぱり線引きの見直しをしなきゃいけないというように思うのでありまするけれども、そういうところが私はたくさんあると思うんですね。
 都市計画法上の線引きをする以前に、そういう兆候があるとそこへもっていってどかどかと建てられる。あるいはまた、調整区域と市街化区域と全然関係なく無指定があるわけです。無指定のところはずっと山の中で家がどんどん建てられまして、その中で土地価格はずっと便利のいい市街化に沿ったところの調整区域よりも山の中の方が倍近くもするという、こういうような問題等については、これは都市の良好な環境を確保するという立場からいってみても非常にこれはいいことじゃないわけですね。その点、都市整備という関係から、牧野局長、これからひとつ腕の見せどころなのでありますけれども、どういうようになさるつもりですか。
#17
○政府委員(牧野徹君) ただいまの先生の御指摘は、現実に即したものでございますので、そういうことがないと言う勇気は全然ございません。ただ、総務審議官からも申し上げましたように、私どもが現在持っておりますいわゆる都市計画制度、線引きでございますとか、あるいは用途地域の規制でございますとか、あるいはそれと裏腹の開発許可でございますとか、これらはいずれも私はやはりこの十数年なり二十年なりの都市形成にとってそれぞれ有効に機能してきたと思います。
 ただ、現実の運用に当たりまして、今、先生がおっしゃられたようなことも中にはあろうかと思いますし、現実に私どもも線引きの見直しを担当しておりまして、言ってみればもう少し現実に即した柔軟な処理をした方がよろしいのではないかというようなこともございまして何度も見直しておりますが、最近で言えば三年前、五十七年に基本的な線引きの見直しのやり方など、これは何度も御説明申し上げておりますが、通達もして、現在鋭意見直しを進めていただいている状況でございます。
 その他、くどくなりますから省略しますが、例えば用途地域の変更等にいたしましても、あくまでもその町がより環境がよくなり、より住みやすくなるという点に主眼を置いて、ただ制度は柔軟に運用していきたい、かように考えております。
#18
○青木薪次君 今おっしゃった線引きにしても、地域、地区にしても、容積率等にいたしましても、都市の良好な環境を確保するとか、あるいはまた街路、下水道、公園、都市に必要な基盤整備を効率的に進めるという点については、いわゆるむやみに変更することは計画的な都市整備を進めるためには問題が実はあると思うのでありますけれども、一方、自治体あたりでつくった開発要綱を目のかたきにする向きも実はあるんですね。これは自治体にすれば、良好な都市環境を守るために現在の都市計画法等では対応できないということで、自己防衛的な要素もあったりして今非常に迷っている点も実はあると思うんです。民間活力を生かすということで民間活動が活発化すれば、それに応じた社会資本の整備促進が当然必要不可欠になってくるということになろうと思うのでありますが、民間活力だけで内需を拡大しようというのは私は不可能ではないかと思うのでありますけれども、その点いかがですか。
#19
○政府委員(豊蔵一君) 内需拡大を図るための住宅、都市再開発の分野におきます民間投資の拡大に資するように都市計画とか建築規制の見直しを行っておりますが、それらのほか、再開発に関します税財政上の措置の充実あるいはまた関連公共事業の重点的実施を行うといったようなことを考えておりますが、それはそれといたしまして、規制緩和ということだけで町づくりというものが的確に進むわけでございません。やはり今申しましたように公共事業というものが先行して、これが誘導的に使われることによって都市整備といったものがさらに進んでいく、民間活力も発揮できるという点もございます。
 そういったような立場から、私ども公共事業につきましてやはり今後とも所要の事業量の確保と、その着実な実施を図ってまいりたいと思います。その際、公共事業につきましての財源的ないろいろな問題につきましては、財政的な事情もございますので、民間資金の活用といったようなことも考えてまいりたいと思いますが、いずれにいたしましても、規制緩和、あるいはまた公共事業の実施、これらは両々相まって経済的な効果というものを総合的に発揮できるのではないかというふうに考えております。
#20
○青木薪次君 民間活力の活用に関しては、先ほど松原審議官も言われたのでありますが、四月に建設省の民間活力検討委員会の第二次報告が出されまして、臨時行政改革推進審議会でも近く土地整備分野の規制緩和についての報告が出るのじゃないかということを聞いているのでありますが、行革審の報告原案というものは、新聞によりますと、開発業者の要望を大幅に取り入れまして、開発を容認するものだということが実は言われているのであります。
 そこで、他方で、先日行われましたOECDの
我が国に対する都市レビューでは、都市整備には財政制約下にあっても積極的な投資をしなければ経済社会の発展に見合ったレベルに引き上げることは不可能だと指摘いたしておりますし、線引き制度にも小規模開発に抜け穴があってスプロールが防止できていないとも実は言われているわけでございます。こういうような関係の中でよい都市をつくっていくということになりますと、ある面では規制を緩和することと矛盾するとも思うけれども、いろんな行革審の動きやまたOECDの指摘等に対して建設省は一体どういうように考えていらっしゃるのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
#21
○政府委員(松原青美君) 臨時行政改革推進審議会に設置されております規制緩和分科会におきまして、先ほど先生がお話しになりました、一部の新聞に現在検討している内容が報じられました。現在、審議中でございまして、ことしの七月上旬をめどに、都市整備分野だけではございませんが、全部の分野にわたって出てくるはずでございますが、都市整備分野も含めた規制緩和方策のあり方について検討が進められていると聞いております。
 その内容につきましては、一部新聞に伝えられております内容の結論になるのかどうかということにつきましてはつまびらかにいたしませんし、分科会において審議されておる最中でございますので、この内容につきましてちょっとコメントは差し控えさしていただきたいと存じます。
 なお、つけ加えて私どもの感じ方を申し上げさしていただきますと、ことしの三月十二日にこの規制緩和分科会におきまして建設省の考え方についてのヒアリングが行われました。その際、建設省の意見を申し述べたわけでございますが、この建設省の考え方につきましては十分御理解がいただけているものというふうな感じを持ってございます。
 なお、もう一つのOECDの今回のコメントでございますが、確かに、日本の都市整備分野におきます公共基盤整備というものはもっとやらなきゃいかぬのじゃないか、財政制約下といういろいろな事情はあろうがさらに進めていく必要がある、こういう御意見がございました。御意見はごもっともでございます。ただ、これは短期的なものと長期的なものがあろうかと思っております。基本的には、私どもは都市整備におきましては、都市計画で定められました根幹的な公共基盤の整備というものは一朝一夕にはできるものではございませんが、絶え間ない努力が必要であると考えておりまして、その整備を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
#22
○青木薪次君 私もOECDには四回も実は出ているんです。そのたびごとに、日本のいわゆる二十一世紀を目指した財政投資、社会資本の整備という点についてもいろいろとディスカッションをしたことがあるわけでありますが、今もそれぞれ、官房長も総務審議官も都市局長も言われたのでありますけれども、内需の拡大とか、そういったものが先に出がちになる。日本の社会資本の充実に対する意欲というものは欧米諸国でも認めましょう、しかし今までのものは性急過ぎて、やっても今度はすぐ壊さなきゃならぬというものがあったり、新しい将来の二十一世紀を目指した都市ビジョンとの関係で整合性のないものになってしまったり、産業、経済、文化の進展に伴ってこれが非常にふつり合いなものになってきた、こういうような点が日本人らしい性急さとあわせて投資効果が生まれていないということを私どもよく聞かされました。
 そういう中で、建設省は二十一世紀を目指す都市づくりということで未来都市研究会を都市計画中央審議会の中に設置したようでありますけれども、そのねらいとするところは何かということについて明らかにしていただきたいと思います。
#23
○政府委員(牧野徹君) 先生からただいまお話ございましたように、あと十五年といいますか、そのぐらいで二十一世紀でございます。かつ、その際に明らかなことは、高齢化がかなり進むわけでございます。そこで、建設省といたしましては、やはり二十一世紀までの間というのは町づくりにとって非常に大事な時期であると常々考えておるわけでございます。そこで、おっしゃいましたように、町づくりというのはかなりの時間とか労力とかお金とかがかかるわけでございます。まかり間違っても、おっしゃいましたように、悪い町づくりをしたなと子供とか孫に言われたくない、こういう思いがございまして、そこでいろいろ都市計画制度について根本的な検討を常々いただいております都市計画中央審議会の中に二十一世紀未来都市懇談会というものを設けたわけでございます。
 おっしゃいますような今後の経済社会を規制する大きな要因がございます。例えば高齢化、国際化、都市化、いろいろございましょう。そういうものを全体ひっくるめて二十一世紀のいわば未来都市がどういうふうにあったらいいのか、それに行くためにはどういう手順というか手法がいいのかというふうなことを勉強していきたいということでございまして、ただ各委員、先生それぞれ、第一回をやったわけでございますが、言ってみれば、中には矛盾するというか、対立するというか、そういう意見がいっぱいございます。ただ、その懇談会の先生方が一致しているのは、やはり何といってもニューメディアといいますか、先端技術を導入したいわゆるハイテク都市といいますか、ハイテク都市であればあるほど人と人との触れ合いというか心の問題が大事になるだろう。だから、いわゆるハイテク都市であると同時に、いわばハイタッチ都市と申しますか、そういう都市を目指さなきゃいかぬ。これも言葉で言うのは割合簡単なんですけれども、そのためには具体的に何をどういう手順でというところはなかなか難しゅうございます。
 今どういう審議状況かということでございますが、四月の十二日に第一回を開きました。それで、この際は、経済社会の今後の主要動向、言ってみればメガトレンドみたいなものについていろいろ御議論をいただいたわけでございます。次に、間もなく、あさってでございますが、第二回の懇談会を開きまして、生活、文化面でございますとか産業面から見て一体どうなっていくのかというふうなことを勉強いたしまして、将来の、いわば未来都市のビジョンあるいは具体的な実現方法等について大いに研究をしていただきたいと考えておる次第でございます。
#24
○青木薪次君 そこで、国土庁にお伺いいたしたいのでありますが、国土庁は、最近開発が抑制されているはずの市街化調整区域で都市化が無秩序に進んでいる、これを心配いたしまして農村計画法というものの制定を検討しているということを新聞で見たわけでありますが、この点について内容はどんなものか、教えてもらいたいと思います。
#25
○政府委員(鴻巣健治君) お話のように、近年、農村に住んでおりまして、農村から都市に通勤する人口もかなりふえて、いわゆる農家とそれから農家でない世帯の混住化というのが大変進んでおりまして、その結果、農村での土地の利用のあり方が大変混乱をしているというところが出ているわけです。そこで、これから秩序ある土地利用を形成するという観点から、農村計画法あるいは農村計画制度をつくるべきではないかというかなり有力な考え方もあるわけでございます。
 このような問題に対処するには、まずやはり農村地域での都市化なりあるいは混住化なりというものの実態といったものについて十分調査を行った上で適切な対応策を考えていくということが一番大事だと思っておりまして、最初に、例えば最も望ましい土地利用、そしてそれに伴っての公共公益施設の配置とか、それからそれに伴ってここは住宅地とかあるいはここは農地とかいうように土地利用の秩序を考えていくという農村計画制度というのを考えていくことが一つの方法であると考えております。そういう意味で一つの検討課題と考えております。
 国土庁といたしましては、そのために私どもは
昭和六十年度から二年間を目途にいたしまして、都市的な土地利用あるいは農業的土地利用とが入りまじっている地域におきます土地利用上の問題点を洗ってみる、あるいはその地域で望ましい土地利用のあり方は一体どういうふうにしたらいいだろうかというようなことを検討する予定でございまして、その検討の結果を待って適切な方向というのを打ち出すと申しますか、検討してまいりたいと考えております。
#26
○青木薪次君 民間活力論議とも関係すると思うのでありますけれども、最近の地価の安定ということを背景にいたしまして、国土利用計画法の土地取引規制を緩和してもらいたいという業界の要望がありまして、国土庁も国土法の検討に乗り出したようでありますけれども、この問題は土地問題の根本にかかわる問題なのでありますが、業界の要望されている点は何か、国土庁はどう考えているか、この点をお聞きいたしたいと思います。
#27
○政府委員(鴻巣健治君) 先般、私ども行革審の規制緩和分科会等でヒアリングを受けたわけですが、関係いたします民間の団体側からの例えば国土利用計画法についての要望といたしましては、最近の地価動向に照らしますと土地取引規制を行う理由に乏しいと考えられるので、当面、届け出、勧告、公表といった土地取引の規制制度は停止することにせよということとか、また商業地域、工業地域あるいは工業専用地域の土地取引については土地取引制度の適用除外措置、つまり届け出はないようにしろというような土地取引の規制の適用除外措置を講じられたいというようなことが民間団体の一部から要望されているわけであります。
 私ども国土庁といたしましては、国土利用計画法によります土地取引の規制は、法律をつくって施行いたしましてから十年になりますが、投機的な土地取引の抑制あるいは地価の安定に大きな役割を果たしてきたと考えております。近年、経済が高度成長から安定成長に移りまして地価も落ちついている中で、この土地取引の規制をめぐりまして緩和しろという意見、あるいは逆に強化しろという意見、両面から各種のいろんな指摘がなされておりまして、そういう意味からこの法律の見直しを求める意見が出ているわけでございますけれども、現在地価は全国的には全般的に大変落ちついてはおりますけれども、東京とか大阪とかあるいは福岡とか札幌とか、一部の商業業務用地域でかなり高い地価上昇が見られまして、金融の緩和基調の中でかなり金もだぶついているというような背景から、今後なお地価の動向については十分に注視をしていかなければならないと考えているわけであります。
 したがいまして、土地取引の規制のあり方をめぐりましては、緩和あるいは強化といった両面から各種の指摘がなされておりますが、近年の土地をめぐる経済社会情勢の変化に対応して、より適切な土地利用のあり方というのは何かということを考えるために、本年度からこの国土利用計画法の今後のあり方について学識経験者による検討というのを行う予定でございます。
#28
○青木薪次君 そこで、民活に対して、国公有地の払い下げ問題についてお伺いいたしたいのでありますが、先般、四月にこの委員会で国公有地の払い下げについて慎重に対処すべきだと指摘をいたしました。建設省は公団仲介方式について検討している旨を明らかにしたのでありますけれども、国公有地の活用、またこの公団仲介方式の検討は進んでいるのかどうなのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
#29
○政府委員(松原青美君) 国公有地の活用のあり方につきましては、政府におきましては国有財産活用推進本部の企画小委員会で検討をされてきております。現在行われておりますいわゆる行革審に国有地分科会が設置されておりまして、そこで国有地の活用のあり方についての議論が行われております。これも先ほどの都市整備の関係の規制緩和と同じく七月には答申がまとまる運びになってございます。それを踏まえまして政府としての対応を行うということになろうかと存じます。
 国有地の活用のあり方につきましては、同様、国有地分科会に対しまして私の方から建設省としての考え方を説明したわけでございます。基本的には、市街地におきます国有地というものは都市の整備、再開発のための貴重な空間資源であるということで、その良好な町づくりあるいは良好な環境を持った市街地住宅の供給という観点から活用できるものは位置づけるべきであるという考え方を申し述べたわけであります。その中で、一つの活用の方式として住都公団の活用方式につきましても私どもの考え方を御説明申し上げ、御審議いただいているところでございます。
#30
○青木薪次君 大臣にお伺いいたしたいのでありますが、民活民活で朝から晩まで、民活に明けて民活に暮れるような記事が毎日載っているのでありますが、大臣は、この間の新聞にも、そこにお並びの建設省の大幹部の皆さんの人事異動は六月か七月に大体なさるのが、これが今進行形であるから、政府のバックボーンであるから、これを停止して冬に近い秋のころまで延ばしてしまって、そして恒例の人事異動をストップしてまでこの問題に熱中していらっしゃる。これは各紙の伝えるところでありますが、大臣、それまでしてこの民活の問題、国公有地の払い下げにかかわる問題をおやりになるかどうか、お伺いいたしたいと思います。
#31
○国務大臣(木部佳昭君) 青木先生、今、朝から晩まで民活だとおっしゃっていますが、私どもは、先ほど来いろいろお話がございましたように、内需の振興の問題であるとか、また公共事業の取り扱いというのが、非常に大事な予算の編成時期にも来ていますし、また民間活力も具体的に実行をしていかなきゃならない、そういうふうな非常に建設省にとりましても大事な時期でございますから、そういう点を認識して役所が一丸となってそうした非常に大事なときに取り組んでいこう、そういう考え方で今一生懸命一丸となって努力をさしていただいておるところでございます。
#32
○青木薪次君 民間活力ということについては私も別に反対ではありませんけれども、余りにも熱心過ぎて大蔵省でも困った困ったと言っている。余りにも熱心なものだから困った困ったということで、各省庁でも大変慌てているという状態だと思うのであります。国の金を使いたくないから民活だ、こういうように答えが返ってくるわけでありますけれども、この点は国の財産を民間に払い下げて、そして宅地造成は住都公団にやってもらって、そしてなるべく安く特定の法人組織または組合に払い下げていく。これは非常に慎重にしないと、この間、私も四月の委員会のときでしたか、申し上げたら、全くそのとおりだから慎重にやると言われたのでありますけれども、人事の異動をストップしてまでこれをやるというこの気構えについて、実は新聞でも皮肉っているわけであります。ですから、木部大臣だからへまなことはしないと思うけれども、総理が余り進行しないものだから少しヒステリーになっているという話まで新聞には出ておりますので、その点について整合性のあるやり方でやらないと、かえってこれは逆効果になるし、非常に疑惑を持たれるという点を心配しておりますから、その点を大いにひとつ総理に進言をしてもらいたいと思います。
 それから下水道の整備について伺いたいのでありますが、今年度をもっていよいよ第五次下水道整備五カ年計画は終了するわけでありますが、その普及率は大体どんな程度になっておりますか。時間がありませんので、簡単にひとつ答弁してください。
#33
○政府委員(牧野徹君) 簡単にお答えします。
 財政状況等もございますので、五十八年度末で総人口普及率は三三%、五十九年度末では三四%になる見込みでございます。
#34
○青木薪次君 総事業費で七三・五%、補助対象事業費では六九・一%と、極めて低いわけですね。事業量ベースではもっと低くなっているということなのでありますけれども、各種五カ年計画の中で実績が最も低いのじゃないだろうかというように思うのでありますが、下水道事業の促進は各自
治体においても非常に要望の強い事業でありますけれども、建設省の取り組みについて少し遠慮をしたのじゃないかというように思うのでありますが、その点いかがですか。
#35
○政府委員(牧野徹君) 先ほどは失礼しました。総人口普及率のことを申し上げましたが、五カ年計画の進捗率はただいま先生のお話のとおりでございます。
 それで、取り組みが悪いから何か一番おくれを――一番おくれをとっているかどうかは、ちょっとほかの省庁のもございますが、アバウト四分の三程度でございますからそう威張れた数字でないことは確かでございます。ただ、やはりこの五カ年計画の期間がちょうどゼロシーリングないしはマイナスシーリングという私どもにとっては結果として不幸な時代でございましたものですから、一生懸命やったわけですが、残念ながらこういう状況に終わっている。それと同時に、下水道につきましては、例の公共下水道の特別の地方債の、悪い言葉で言えば借金返しでございますが、ああいう制約もございまして、新規の方の事業費が若干伸び悩んだという点もあろうかと思います。
#36
○青木薪次君 下水道の普及率で見ますと、第五次五カ年計画の目標は三〇%であったものを四四%に引き上げていたはずだと思います。ところが、実際には三四%にすぎなかった。目標にはほど遠くて普及率の向上は年に一%に達していないという原因については、今、都市局長が言われましたような借金返しの点等もあると思うのでありますが、用地取得というような点とか、あるいはまたイメージとして、例えば浄化センターがうちの近所に来るとか、あるいはまたパイプが四方八方につながるということに対しての住民の協力度の問題とか、そういうような問題もあると思うのでありますが、特に用地問題については相当難しい事業だと思うのでありますけれでも、その点はどうなんでしょうか。
#37
○政府委員(牧野徹君) 先生お話しのように、ひところはかなり、実際には御自分方が使う施設なんですけれども、イメージが悪いというようなこともあって用地問題も難航したようなこともありましたけれども、現在では私どもの方も、例えば上を覆って公園に使うとか周りをきれいにするとかいろいろ工夫をしておりますので、総じて言えば用地問題で大きなトラブルはないというふうに考えております。
#38
○青木薪次君 下水道普及率の進捗が低い一つの原因に整備の進め方等が指摘されているのでありますが、下水道は末端の管渠から終末処理場まで連結しなければ効果がない。しかし、地域によっては大規模な流域下水道と市町村の公共下水道との整備が有機的一体に進んでいないか、あるいはまた終末処理場はできましても管渠が整備されていない。
 今年度は説明によれば管渠を重点にやるのだということも聞いているわけでありますけれども、整備の進め方というものは事業の効率的な執行という面から考えてみまして問題があるのではないだろうか、その辺の工夫というものが必要ではないだろうか、こういうように考えているのでありまするけれども、これはどちらも金がかかる問題ですね。浄化センター、いわゆる処理場、それからパイプ、管渠というもの、両方とも金のかかる話でありまするけれども、その点はいかがでしょうか。
#39
○政府委員(牧野徹君) これは先生御指摘のとおりパイプと処理場両方あって初めて効果を発揮するわけでございますから、バランスのある整備を進めるというのは当たり前といいますか、当然の前提でございます。
 ただ、御承知のように、ある程度パイプを広域に引く場合に、対応する処理場をつくりますと、処理場ができたのと同じに、それに満杯に入れ込むパイプが完全にセームタイムでできるというわけにもまいりませんので、一部ずつ引けたパイプを処理場では処理する。しかし、処理場は小さいものからだんだん大きくするというわけにはまいりませんので、ある程度の経済単位でつくってしまうわけです。ですから、どうしても事柄上処理場の能力の方がやや先行するということはこれはやむを得ないかと思います。
 ただ、おっしゃるとおり、パイプ、管渠と処理場がやや結果的にアンバランスであったということを反省いたしまして、六十年度においては、お話もございましたが、かなり管渠の方にウエートを置きまして、総事業費のうち公共下水道では七六%を充当するということで、御指摘の点を念頭に置きつつ頑張っておるわけでございます。
#40
○青木薪次君 先日、隅田川を北上いたしましてBODの値が五ないし六ppmというようなことも聞きましたし、四、五年前は隅田川は非常に臭かった、今日ではシラウオが泳いでくるというようなことまで聞いて非常に力強く思ったし、私も非常にいい勉強になったわけでありますが、下水道の完備ということであのように川がきれいになったということでありますから、これからの社会資本の最も重点的な投下の中心は下水道であるということが言われておりますし、環境整備もまたそこになきゃならぬというように考えているわけでございます。
 新しくこれからいろいろと河川にしても道路にしても公園にしても整備しなきゃならぬことはもちろんでありますけれども、二十一世紀に向けて下水道完備ということは非常に重要な課題になってきたということなのでありますが、その中で資源を有効に活用することもまた重要だと思うのでありまして、例えば処理水にしても、水に親しむ場をつくるとか、下水の汚泥をコンポストにして肥料に用いるとかということについては既に行われているんですね。下水汚泥については自治体ではその捨て場に非常に苦慮しているのではありますが、有効活用の道を本格的に研究しておられるのかどうなのか、お伺いしたいと思います。
#41
○政府委員(牧野徹君) 結論から申し上げますと、おっしゃるとおりでございます。
 若干数字を申し上げますと、汚泥は年間で二百二十万立方メーターぐらい出るわけでございます。おっしゃるとおり、現在は大半埋め立てで処理されておる。ただ、これを何とか資源活用という意味も含めまして、緑農地還元、言ってみれば肥料でございますね、おっしゃったコンポストとか。あるいは建設資材等へも使うというふうなこともございまして、その点は、今申し上げました二百二十万立方メートルのうちの三十一万立方メートル、一四%程度はそういうことでやっておりまして、コンポスト化の施設も現在山形市、秋田市など全国二十一都市で稼働をしております。今後ともますます下水が普及するにつれて汚泥はやはりふえるわけでございますから、その有効利用の調査研究なりあるいは実用化の推進を図るとともに、広域的な汚泥利用の推進も図ってまいりたいというふうに考えております。
#42
○青木薪次君 私どもでは、大臣もよく御存じなんですが、製紙業界ではSSの処理が、一番ヘドロになってたまるわけですが、これを持ってきて肥料にする人もあるし、壁土に使ったり、いろいろするんですが、この中に重金属が含まれている可能性というものもこれはあるわけですね。そういうような点もあるので一概に肥料とかなんとかということも、植木ならいざ知らず、食べ物にはやっぱりまだ問題があるというようなことだと思うのであります。
 中水道と言われますところの処理後の水をビルの雑用水に使うということも水資源の有効活用なのでありますけれども、この間も聞いたのでありますが、新宿の副都心等では既に実用化されているようであります。水資源に之しい地域では今後実用化が考えられると思うのだけれども、やはり水質の基準や維持管理、助成等について法制化する必要があるということが言われていますが、その点いかがですか。
#43
○国務大臣(木部佳昭君) 先ほど来、青木先生から下水道の普及の問題、立ちおくれの問題、大変御指摘をいただきましたが、六十一年度以降の計画をどういうふうに見るかというようなことで今
審議会でいろいろ議論をいただいておるところでございます。審議会の答申、成案をいただきましてから私どもといたしましては来年度予算編成に対して前向きの姿勢で今後取り組んでまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 今、新宿の副都心のお話もございましたが、下水を高度処理して再利用するということは私はダムをつくると同じぐらいの大きなウエートをかけなきゃならぬ、そういうふうに思っております。新宿の副都心へ行って、トイレで使った水をもう一回滅菌して、そして夜中にやりますと電力料金も半分ぐらいで済むわけですから、非常に資源の有効利用といいますか、そういう点にも大きな寄与をしておるわけです。私、素人でよくわかりませんが、通水式に参りまして、東京都や建設省の技官の人たちにこれは一体飲めるのかと言ったら飲めるというのです。それで、地震や災害のいざというときにろ過装置をすれば川やなんかのそれよりもきれいかと言ったら、それよりもきれいだというようなことを言っておられましたです。ですから、飲もうと思えばもちろん飲み水にも使える。
 こういうことでございますから、いわゆる雑用水なんかにあれするとかというようなことは、今私申し上げるようにダムをつくるぐらい大きな大事な検討事項である。私といたしましては、関係省庁といろいろ相談をして法制化の方向を含めて検討したい、こういうふうに実は考えておるわけでございます。したがって、そういう意味で今後ともこの法制化に向けての御指導、御鞭撻をいただければ大変ありがたい、こう思っておるわけであります。
#44
○青木薪次君 最後に、私は第五次下水道整備五カ年計画が達成率が低く終わることを大変残念に思っているわけでありますが、来年はまた法律をつくって、そして新たな五カ年計画のスタートが考えられるのでありますけれども、問題はやっぱり私は行き着くところは金だというように考えておりますので、実績が七割そこそこということでは計画をつくる当局としても非常に寂しいと思うんですね。それらの点を考えて、私どもも積極的にこの問題について協力していきたいというように思いますし、推進を図りたいと思っていますから、その意味で今まで以上に全力を傾注してこの下水道整備に当たっていただきたい。要望をいたしまして、私の質問を終わります。
#45
○増田盛君 ただいまから建設大臣にお伺いしたいと思いますが、大体大きく分けて三点でございます。一つは、公共事業の問題であります。それから第二番目は、民間活力の問題であります。それからもう一つは、住宅政策の問題に関しまして、特に住宅減税の問題に関して伺いたい、かように考える次第であります。
 それから国土庁長官にお伺いしたいと思いますが、来るべき四全総の問題でございます。
 まず、建設大臣にお伺いいたすわけでございますけれども、公共事業全体に関しまして、これから予算の編成時期も近づいておりますので、どのような御決心で臨まれるか、それをお伺いしたいと思うわけであります。
 大変、当面いたしておりますこの状況は厳しいものがありますことは十分承知いたしております。財政の問題に絞られているようでございますけれども、考えてみますと、単なる財政の問題あるいは産業、経済だけの問題じゃありません。社会福祉、社会保障の問題に関しましても、それから教育の問題に関しましても、それから我々の担うべき政治の問題に関しましても大変な時代が来ておる、かように実感いたしておるわけであります。人によりましては、脱工業化の時代であるとか、いろいろ言ってきております。それから高度情報化の時代であると言っている人もあるわけであります。あるいはまた、論ずる人によりましては従来の波と違った第三の波であると言っておりますし、非常な大変動期にありますことは事実なようでございます。
 この変動期におきまして公共事業をいかに受けとめ、いかに進めるかということが大事な問題でございます。当面の問題に関しましては、内需拡大論が盛んでございます。御承知のとおり、日米の経済摩擦に端を発しまして、輸出主導型の経済運営から内需拡大論が出てまいったわけであります。しかし、この問題はそれだけを見れば解決する方法、それから突き進む方向があるわけでありますけれども、時あたかも行財政の改革の問題とぶつかっているわけであります。この二つの問題をどのようにいたして両立させるかという問題は容易ではないわけであります。
 そこで、内需拡大論の一つの柱でございますけれども、公共事業の推進に関しましては先ほど同僚の青木委員からるる御見解ないし御質問が展開されましたけれども、日本におきましては住宅関係、社会資本の整備が欧米先進国に比べまして立ちおくれているということは常識でございます。いろいろなものが取り上げられまして、建設省の白書に関しましても、例えば下水道の問題あるいは都市公園の問題あるいは道路の舗装率の問題等が数字をもって挙げられておる次第でございますけれども、残念ながらこのような形で立ちおくれておるわけであります。
 こういう立ちおくれている現況の中で、私どもはどうしても解決して突き進んでいかなければいけない非常に厳しい、難しい情勢に直面いたしているわけであります。こういう観点から、こういう問題に関して甚だ抽象的に、一般的に申し上げましたけれども、大臣が既に三月七日に所信表明の中で明らかにしておられる点でございますけれども、もう一度大臣の所信というものをこの際お伺いいたしたいと思います。
#46
○国務大臣(木部佳昭君) 今、増田先生から大変格調の高い御意見がございましたが、私ども公共事業の予算を取り巻く環境というものが大変厳しいということは十二分認識をいたしておるところでございますし、恐らく六十一年度の予算編成も常識的に考えてみましても大変厳しいだろう、そういうふうに思っておるわけでございます。しかし、公共事業というものは、今さら私が申し上げる必要もありませんが、国土の均衡ある発展、それから国民生活の充実、また経済社会に与える影響というようなものは先ほど申し上げましたように非常に大きなものがあるわけでございます。
 今御指摘いただきましたように、貿易の摩擦の問題等もございまして、内需中心の経済成長の実現を図るということが非常に大きな我々のなすべき施策の柱でございます。そういう認識は、今、先生からいろいろ御質問いただきました、また御指摘を賜りましたようなことと私どもの認識というものは全く一致いたしておるわけでございます。例えば下水道の普及率なんかにしても、大体欧州先進国なんかと比較すると三分の一ぐらいの程度だ、それから一人当たりの都市公園の面積なんかにしても十分の一程度であろう、それから道路の舗装率なんかも大体二分の一ぐらいだ、下水道なんかでも非常におくれておるというようなこと等をとってまいりましても、やはり私どもは快適で安全でそして均衡のとれた国土開発というものを考えた場合に、厳しい中でも何としても国民生活の充実のために、また国土の均衡ある発展のために公業事業を積極的に推進していかなきゃならない、こういうふうに思っておるわけでございます。したがって、これから六十一年度の概算要求の時期にもございますが、公共事業の確保や拡大に向かっては最大限の努力を払ってまいりたい、そういう決意でございます。
#47
○増田盛君 概算要求の時期を控えまして、建設大臣に一層御奮励していただきますようにお願い申し上げる次第であります。
 次に、関連いたしますけれども、六十年度の予算執行の問題に関しましてお伺いいたします。
 我が国の景気は目下拡大基調にあるとされておるわけでございますが、その 主な要因は輸出と民間設備投資にありますことは御存じのとおりでございます。しかし、米国の景気にスローダウンの兆しが見られておることも御承知のとおりでございます。それから我が国の輸出あるいは民間設備
投資の伸びが鈍化いたしまして、国内景気がまたもや低迷するのではないかと懸念されておるのであります。このような当面の国内景気の動向から見ましても、また中長期的な視点から見ましても、従来の輸出依存型の経済運営を内需主導型に転換していくというそういう考え方から見ましても、内需振興策が必要不可欠であると思うのであります。
 そこで、公共事業促進のために、まず六十年度予算の執行についてでございますが、六十年度予算が成立した後いわゆる補助金の一括法案の審議がおくれ、同法案に関係する高率補助公共事業の事業別予算内示ができず、公共事業の上期契約率が低下するのではないかというおそれが強まっておったのであります。しかし、公共事業を積極的に促進し、景気の回復基調を定着させ、特に地方経済の振興のために公共事業費の前倒し執行が必要であると思うのであります。少なくとも上期契約率を昨年度並みにすべきではないかと思うのであります。御存じのとおり昨年度は七〇%以上の契約をする方針で臨んだわけでございますが、この点に関しまして政府におきましてもいろいろ御議論があるわけでありますけれども、これが最終的に方針が決定したということはまだ聞いておるわけではございません。この際、建設省の方針をお伺いしたいと思います。
#48
○政府委員(豊蔵一君) 昨年度は、地域の経済動向等に配慮しながら、特に経済の回復のおくれている地域を中心に相当の前倒し執行等いたしまして、その結果、上半期の契約率は私ども建設省関係の予算につきましては七五%という実績を上げました。六十年度は補助率の一括法等の成立がおくれましたために、その法案と関係のないものを四月早々には各公共団体に内示いたしましたが、大宗を占めております高率補助率に係ります分の内示が若干おくれるといったようなことがありまして、私どもが聞き取り調査で見ましたところ、四月、五月の各公共団体の事業執行は昨年度に比べて若干おくれている実情にございます。
 そこで、私どもは、今後の経済動向等を十分見なければいけませんが、やはり地域経済の情勢に即した適切な執行を行うという立場から、今後十分注意をしながら各公共団体と御相談をしてまいりますが、現在の方向といたしましては、前年度上半期と同程度の事業量を上半期に実施させていただきたい、このような考えで各公共団体に指導をいたしております。恐らく、現在、私ども聞きましたところでは、六月は大体前年度並みに回復するというふうに報告を聞いておりますので、一部、六月でまだ取り戻せない地域につきましては、その事業の促進を図るといたしまして十分の措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
#49
○増田盛君 ただいま六十年度の実施方針に関しましてお伺いいたしましたけれども、六十一年度の予算編成の時期も差し迫っているわけでございます。それで、公共事業費の六十一年度の概算要求に向けまして、建設省の方針に関しましてお伺いしたいと思います。
 公共事業費の予算は、ここ六年間、横ばいあるいはマイナス予算で組まれてまいりましたことは御存じのとおりでございます。六十年度予算につきましても、建設省所管では道路関係予算の増額確保、または高率補助金の一律カットに伴って国費は減額となりましたが、事業費ベースでは増額という予算が組まれております。苦しい中で建設省が大変に御苦心の結果であった、苦心の作であったというので評価をするのにやぶさかではございませんけれども、考えてみますと、どうも来るべき六十一年度の予算はこのままでいきますと六十年度の環境よりも一段と厳しい事情にある、財政事情を中心にして考えますと極めて厳しいというように考えられるわけであります。
 従来でありますと、概算要求の基準というやつは削減率五%、これが従来の線でございますけれども、ただ単純に考えますと、このような考え方を延ばしますと、この削減率五%がもっとさらに上積みされるのじゃないかという懸念があるわけであります。このような厳しい状況のもとに、建設省の予算要求についていかなる考えを持っておられるか。
 もう既に進行中であると拝察するわけでありますけれども、例えば一例でございますけれども、公共事業についてはマイナス要求の別枠とするということで進まれるのかどうか。これは一つの考え方でございますけれども、なかなか容易じゃないと思うわけであります。しかし、端的に申し上げまして、増額要求するにいたしましても、どういう手段にいたしましても、これを食いとめようといたしますと財源が必要でございます。これに見合う財源をどうするのか。
 公共事業費を全般的に見ますと立ちおくれは疑うべくもないわけでありますけれども、その中にも、先ほどから御指摘がありましたとおり、いろいろ事業種別に関しましてはでこぼこがあるわけであります。国民の要望も極めてせっぱ詰まった状況にあるわけであります。そして、従来の建設省の御主張からいいますと建設国債増発ということで臨まれるかもしれませんけれども、これに関しても財政全体の先行きから見まして問題がありますことは篤と御承知のとおりであります。こういう状況の中で、どのようにいたしまして建設省が六十一年度の予算編成に関して立ち向かっていくのか、端的にお伺いいたしたいと思います。
#50
○政府委員(豊蔵一君) ただいま先生から御指摘ありましたように、六十年度の予算につきましては、道路財源の一部を道路整備特別会計に直接繰り入れる、あるいはまた補助率の一律カットによる事業量の増、あるいはまた財政投融資の活用、さらにはダム事業等におきますところの施行の促進といったようないろいろな工夫を凝らすことによりまして、国費の一般会計への計上はマイナスとなりましたが、事業量としてはある程度増額をすることができたわけでございます。
 六十一年度は、まだ財政当局との間での議論は十分進んでおりません。御案内のとおり、いわゆる概算要求基準もまだその方向が明らかになっておりませんが、国費に関する限り決して楽な状況ではないということは仰せのとおりでございます。私どももいろいろと、さらに六十年度にとりました措置以上に何かいい知恵はないかということを現在勉強いたしております。特に、公共事業につきましては、かねてから私どもは適度の国債増発によるならばその公共事業の波及効果によってGNPも増大させ財政の悪化にはつながらない、かえって財政の健全化にも役に立つ側面があるといったようなことから、そういうようなことも議論しながら公共投資の拡大を求めてまいっておりますが、どのような資金を使うかにつきましてはなお研究を必要といたしますが、やはり公共事業費の拡大につきましては特段の要求をしてまいりたいと思っております。
 また、先ほど御説明申し上げた中にございます道路の財源の問題、あるいは住宅金融公庫の補給金の問題等々は、これは昨年も概算要求段階で大蔵大臣と建設大臣との間で十二月の予算編成までに別途検討するといったような申し合わせがなされた中で概算要求を行ったという経緯もございますので、ことしも、どのようになりますかはわかりませんが、そのようないろいろな特別な事情のあるものにつきましては格段の配慮を要望するという中で来年度の展望を明らかにしてまいりたいというふうに考えております。
#51
○増田盛君 次に、予算編成と関連いたしまして、特に住宅や下水道といった社会資本整備のための五カ年計画が幾つかございます。これについてお伺いいたします。
 建設省の所管としまして時期がやってまいりましたのは、住宅、下水道、都市公園、海岸、交通安全施設の五カ年計画でありますが、この計画の決定は来年度以降の予算に重大なかかわりを持つことになるわけであります。公共事業を促進し内需拡大策を進めていく上でこれら五カ年計画の策定作業が現在どのように進められておるか、簡単にお答え願いたいと思います。
#52
○政府委員(豊蔵一君) ただいまお話がありまし
た五つの五カ年計画が六十年度をもって終わることに相なります。これらの五カ年計画はいずれも、住宅のいわゆる公的資金住宅を別といたしまして、その進捗状況ははかばかしくございません。そういうために六十一年度以降の五カ年計画はなかなか大変な状況にはございますが、現在は大体のところ各審議会で御議論をいただいておりまして、これらの審議会の御答申を得まして、それを踏まえた上で来年度の概算要求の基準とも照らし合わせて具体的な要求をすることとなると思います。
 いずれにいたしましても、社会資本整備が極めて重要な課題であること、またこれからの二十一世紀を迎えるに当たっての先行的な整備が何としても欠くべからざる状況にあること等々を踏まえまして、私ども来年度には審議会の御意見も踏まえながら、適切なまた希望の持てる五カ年計画をぜひともつくり上げていきたいというふうに考えて、現在作業中でございます。
#53
○増田盛君 第二の問題といたしまして、民間活力の問題に関しましてお伺いいたします。先ほど同僚の青木委員よりも御質問がございましたので、重複を避けまして簡単にお答え願いたいと思います。
 現在、内需拡大を中心といたしました経済の持続的安定成長のために、民間活力の推進が取り上げられておるわけであります。建設行政の分野におきましても、住宅供給、都市再開発における民間事業の活性化、それから公共事業への民間の関与等が求められておるわけであります。私も、先般来、飯田橋の都市再開発の事業、あるいはサンシティー、それからまた大川端は今回で二度視察いたしました。特に、都市整備につきましては、臨時行政改革推進審議会の規制緩和分科会におきまして規制緩和の検討が進められておりますが、まず建設省では今日まで都市計画、建築規制の見直し等についてどのような具体策を講じてきたか、御説明願います。
#54
○政府委員(松原青美君) 建設省といたしましては、民間活力を活用して良好な町づくりを一層推進するという観点から、都市の再開発や宅地開発に関しまして都市計画、建築規制の見直しを行ってきたわけでございます。
 具体的に申し上げますと、再開発の関係では、いわゆる空中権の活用を図るための特定街区制度の整備拡充、それから第一種住居専用地域におきます十メートルの高さ制限の緩和を図るための認定準則を定めております。さらに、一団地の建築物に対する特例制度の活用の認定準則を定めておるわけであります。
 現在作業が進行中のものとしまして、東京都の環状七号線の内側のように土地の高度利用を図るべき地区におきます一種住専の見直しにつきましては、その作業を進めているところでございます。
 宅地開発関係で申し上げますと、市街化区域と市街化調整区域のいわゆる線引きの見直しを推進し、かつ、その弾力的な運用を進めているところでございます。調整区域におきます開発許可の規模要件を二十ヘクタールから五ヘクタールに下げまして、最近の宅地開発の動向に対応したところでございます。さらに、宅地開発指導要綱につきましては、行き過ぎの是正を指導中でございまして、五十八年八月に次官通達を出しまして指導を始めまして、順次この見直しが進んでいるところでございます。
 さらに、以上申し上げました措置を推進いたしますが、何と申しましても事務処理の合理化、迅速化ということが必要であろうと考えておりまして、開発許可や建築確認等に際しましての事務処理の合理化、迅速化につきまして公共団体の指導の徹底を図ってまいっておるところでございます。
#55
○増田盛君 ただいまの御説明にありましたとおり、各種の規制緩和措置が考えられておるようでありますが、ただ若干懸念する点があるわけであります。例えば市街化調整区域の線引きの見直し、これは結構でございますけれども、これを不用意に乱用いたしますと、いたずらに地価の高騰を招いたり、道路、下水道など社会資本の秩序ある整備を乱すことが予想されるわけであります。これは御承知のとおりであります。また、日照権などで地域住民の反発を招くことも予想されるわけであります。また、もう一つ、借地借家法にいたしましても、弱者保護などそれぞれの目的があって、こういう点で経済的な要請だけで見直しを進めていいかどうかという問題が残るわけであります。
 これ以上申し上げませんけれども、今後の民力活用のために規制緩和を進めるに当たって建設省はどのような方針で進まれるのか、繰り返しになりますけれども、御説明願いたいと思うのであります。それから最終的に以上述べました民間活力の方針について全体的にどのような方向で進まれるか、結論だけで結構でございますから御答弁願います。
#56
○政府委員(松原青美君) 建設省といたしましては、当委員会におきましても再三お答え申し上げておりますように、民間活力を活用して良好な町づくりを促進する、こういう観点から再開発や宅地開発に関しまして民間活力活用のための条件整備ということで、規制の見直しあるいは都市計画の見直しを行っているところでございます。先ほど申し上げましたように、再開発関係、宅地開発関係につきまして具体的な指導を行っているところでございます。
 今後とも、先生御指摘のように、不用意な見直しとか、そういうことにはならないように考えておりますし、指導いたしてございますし、各地方公共団体におきましてもよい町づくりということが基本でございますから、見直したために環境が悪くなるということでなくて、それを見直すことによっていい町づくりができる。例えば容積率の緩和にいたしましても、容積率にボーナスを出すことによって公開の空地、緑地というものが確保される場合とか、あるいはいい条件の市街地住宅が供給される場合、そういう場合に緩和するという指導をいたしているところでございます。
 建設省といたしましては、今申し上げましたように、規制の合理的な緩和というものをさらに一層進めますとともに、先ほど来お話が出ております大川端再生構想のようなそういう官民総合のプロジェクト、公共も必要な基盤整備を行い、それに伴って民間もその基盤整備を生かした町づくりをする、こういうような総合的なプロジェクトをモデルプロジェクトとして取り上げまして、こういう推進を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。
#57
○増田盛君 それでは第三に、住宅問題に関しまして、特に住宅減税の問題に絞りまして御質問いたします。
 総務庁統計局の昭和五十九年度家計調査によりますと、全国のサラリーマン世帯の約三分の一が住宅ローンを抱えております。その一カ月当たりの平均返済額は六万一千八百五十三円にも達しておりまして、これは可処分所得の一四・三%を占めているということであります。一四・三%であります。非常に大きいものでございます。これらの世帯はいずれも苦しいやりくりの中で生活費を切り詰めておりまして、これがまた個人消費の方にはね返ってまいりまして個人消費の伸び悩みの一因となっておるのは御承知のとおりであります。年々重くなる住宅ローンの負担に対して建設省は現在どのような税制措置を講じておるのか、税制措置に関しまして御説明願います。
#58
○政府委員(吉沢奎介君) お答え申し上げます。
 建設省の今とっております住宅減税措置でございますが、先生御承知のように、例えば固定資産税でありますとか、あるいは不動産取得税でありますとか、そういったものに対する軽減措置をとっております。それから例えば一昨年にいたしました親子税制ということで住宅資金贈与に対する税の減免措置というようなものもございますが、とりわけ今、先生御指摘のございましたローンの負担を直接軽減するような税制ということで、住宅取得控除制度というものがあるわけでございます。
 この制度を創設いたしまして逐次改善を図ってきておりまして、特に昭和五十八年度の税制改正におきましてかなり抜本的な引き上げを行ったわけでございます。一年間に返します住宅ローンから三十万円を控除いたしまして残った金額に一八%を掛ける、それが最高限度十五万円でございますが、これまでの金額を三年間税額から控除するという抜本的な制度改正を行って現在に至っているわけでございます。
#59
○増田盛君 ただいま伺いました点で、減税規模が金額にいたしましてどれくらいになりますか。
#60
○政府委員(吉沢奎介君) 私ども減税額を正確に把握できる立場にないわけでございまして、正確なことはちょっと申し上げられないんですが、国税当局などから漏れ承るところによりますと、おおむね一年間にこの住宅取得控除制度によりまして四百億から五百億の減税があるというふうに伺っております。
#61
○増田盛君 四百億でございますから大きい金額というふうにも考えられますけれども、住宅対策の裏づけといたしましては、少しローンを食うというんですか、借金に困っておる、これを解消するには少しほど遠い、そういう感じもするわけであります。したがって、現在の一八%、大変なこれは御努力でここまで来たわけでございますけれども、関係の向き向きから、これは応援いたしますから、ぜひこの一八%を二五%程度まで引き上げてもらえないか。そして、適用期間は、ただいま三年という御説明がございましたけれども、これを五年延長してもらえないか。この程度の制度を考えますと住宅政策に対する裏づけというものが非常に基礎のかたいしっかりしたものになるのじゃないか、かように考える次第でございます。これに関して答弁は要りません。
 それで、さらにこれに敷衍いたしまして申し上げますが、国民の住宅ローンの負担の軽減を図るということはもちろん重要な課題でありますが、また一方で、住宅建設の促進は内需振興の有力な手段としても重視されていることは先ほど申し上げたとおりであります。先ごろ住宅局長の私的諮問機関であります住宅経済懇談会のまとめました報告書におきましても、「住宅投資の安定的拡大は、わが国経済が今後内需主導の成長を確保していく上で極めて重要である。」旨はっきり述べておられるようでありますが、これにつきまして大臣の御見解をお聞きいたしたいと思います。
#62
○国務大臣(木部佳昭君) 先ほど来、先生から住宅政策の推進のために大変格調の高いいろいろ御指摘をいただきまして、感謝を申し上げているわけであります。
 私ども、例えて申し上げれば、今人生五十年が人生八十年の時代になってきた。でありますから、二世代で住宅ローンなんかも返せるような、そういう制度とか仕組みは一体できないものだろうかというふうなことなんかもかなり真剣に検討いたしておるわけであります。ところが、期限が余り長くなりますと、元金よりも金利の方が余計になってしまうというような問題なんかもあるわけですね。ですから、理想とすれば、そういうふうなことも非常に必要でありますけれども、それを大きな負担がなくて二世代でなし遂げられていくというのは、先生から先ほど税制についてのいろいろ改革の問題もございましたが、そういう問題との整合性というものをいかにうまく仕組んでいくかというふうなことなんかも非常に大事だと私は思うんですね。
 これから都市化や高齢化が進む中で国民のニーズというものも非常に大きな変化をしておりますので、今までのような例えば充足の時代はもう終わった、いかにして質を確保するか、そういう時代になってきているわけで、全体的に国民生活というものは、意識調査でも御承知のとおり八〇%近い人たちが中産階級の意識を持っているわけですから、これを一つ考えてみても非常にニーズは変化しておるわけです。
 それからまた、公団の賃貸住宅なんかにいたしましてもそうでありますが、一時は郊外へとずっと行ったんでしょうけれども、通勤時間とか、また余暇活動に対するいろんな施設の不足とか買い物とかというようなことで、場合によれば年をとったら実家を継がなきゃいかぬ、若いときにはむしろ賃貸住宅の方がいいのだというようなそういうニーズがありますし、それから東京なんかの区長さん方、有志の方とも懇談してみますと、ある区なんかの場合には防災を中心にしていくとか、またある区の場合には夜間でも活力のある町をつくっていきたいとか、また学園都市をつくりたいとかいうような、そういう区長さん方なんかも、マイタウン東京の基本的な考え方というものを、それぞれ特色のある文化性の高い都市をつくりたい、また住宅政策なんかもそういう方向に進みたいというような非常に強い希望もあることも私どもよく承知をいたしておるわけであります。
 そういうことでございますから、私どもといたしまして、今御指摘がありましたように、住宅経済懇談会、これは住宅局長の私的諮問機関であるというふうに承っておりますが、この懇談会におきましても、やっぱり住居水準の向上、内需の拡大、それから安定的成長を図るとか、住宅投資が重要であるとかというような、それからまた税制面で住宅対策の充実を整合性を持たせるというような、そういう御意見をいただいておるようでございますので、私どもは、そうした点をよく踏まえまして、今申し上げたような住宅投資に向けて、都市の再開発を含め努力をしてまいりたい、
 こういうふうに考えておる次第であります。
#63
○増田盛君 私も、内需振興に最も効果の大きいのは住宅である、住宅投資だと思うわけであります。住宅の数、これが世帯数を上回っておることは御承知のとおりでございます。しかし、反面におきまして、住宅に何らかの不満を持っておる世帯というものは非常に多いわけであります。大体、全世帯の半分以上が不満を持っておると言われておるわけであります。有名なウサギ小屋、ラビットハッチでございますか、ウサギ小屋から飛び出してもっと広い家へと考えている人が非常にたくさんおるわけでありまして、こうした潜在需要を現実の需要にすることが重要でありまして、そのためには今思い切った住宅減税をやる必要があると考えるものでございます。
 住宅経済懇談会の報告書におきましても、「住宅投資の活性化を図るため、住宅税制の抜本的見直し及びその拡充を図る必要がある。」と指摘しておるのでありますが、具体的には、現行の住宅取得控除制度の拡充のほか、「新たに欧米先進諸国で行われている住宅ローン利子の所得控除や西ドイツの持家減価償却制度についても検討すべきである。」と述べておるのであります。間もなく来年度予算の概算要求の時期も来るところでありますが、建設省としまして、こうした住宅減税についての検討状況はどうなっているのか、御説明願いたいと思います。
#64
○政府委員(吉沢奎介君) ただいま先生からお話ございました住宅経済懇談会、そのほか住宅宅地審議会におきましても、同様に住宅税制の拡充強化というものを図ったらどうかという御提言をいただいているわけでございまして、いずれも内需拡大にこれがつながるものであるという考え方からそういう御意見をいただいておるわけでございます。
 欧米でのローン控除制度あるいは住宅の償却制度、そういったものを参考にいたしまして私ども今鋭意検討を進めているところでございます。ただ、いずれもいろいろな問題がございまして、例えばローン控除制度、欧米で行われておりますこの制度につきましては、アメリカでは既にこの見直しを行いまして、少しマイナス方向に今動きつつございます。あるいはフランスではローン控除制度があったわけでございますが、昨年、日本と同じような税額控除制度に切りかえたという報告もいただいております。また、西ドイツの割り増し償却といった制度につきましても、これは基本的に住宅税制というものの物の考え方を大きく改めることになるわけでございまして、いずれもいろいろ問題がございます。
 そこで、私どもこれらについて一番いい方法は
どういうことかということで現在検討しているわけでございまして、先ほど先生から御提言いただきました税額控除制度におきまして控除率を引き上げる、あるいは適用期間を延長するというような御提言につきましても、これは極めて有力な考え方ではないかというふうに受けとめさしていただいているわけでございまして、今後、税制の拡充につきまして大いに努力してまいりたいというふうに考えております。
#65
○増田盛君 最後に、大臣の御意見をお聞きいたしたいと思うわけでございますが、我が国の歳出総額に占める住宅関係の減税額の比率は欧米諸国に比べますと極めて低いようであります。欧米の方が住宅を入手しやすい条件にありますことは御承知のとおりでありますが、どうも住宅税制というのは逆になっているというふうにも考えられるわけであります。これの是正という意味からでも六十一年度の税制改正は思い切った住宅減税を盛り込むように要望するものでありますけれども、大臣の御決意をお伺いいたしたいと思います。
#66
○国務大臣(木部佳昭君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、私どもは国民の良好な住宅に対する根強いニーズというものをしっかり把握いたしておるものでございます。したがって、居住の水準を着実に向上させるためには、住宅投資の拡大、内需の振興、そういうふうなものを総合的に考えてまいりますと、やはり何といっても税制の免税措置というものが非常に大事だというふうに思っております。
 アメリカなんかの制度をちょっと見てまいりますと、アメリカなんかは、公社債市場といいますか、そういうのが非常に発展しておりまして、私なら私が住宅を必要とする。そういう場合に、Aという住宅会社が発行する社債を私が仮に買う。そうすると、これはもちろん無税です。それで、その三分の一とか五分の一とか社債を発行するものを買って、そして今度はぼちぼち家賃よりも低いので返還するというようなことなんか、非常に楽に返還ができるわけですね。
 したがって、日本の場合でも、私先ほど申し上げましたように、親子二世代というようなことなんかも検討してみますと、ただローンだけを長くしても元金よりも金利の方が高くなっちゃう。これではやっぱりいけないので、税制上の措置を思い切って導入することによって内需の振興にも非常に大きく役立っていく。私は国民のニーズもそういう方向に行っているということも承知をいたしております。でありますから、六十一年度の税制、住宅関係に当たりましては、今申し上げましたようなそういう点を十二分私どもは反映できて、そして期待にこたえられるように全力を挙げて財政当局その他も説得もし、また皆様方にも広い見識と御指導を賜ることによって実現をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
#67
○増田盛君 ありがとうございました。
 最後になりますけれども、国土庁長官にお伺いいたしたいと思います。四全総に関してでございますけれども、まだできていない、ちょっと時間がかかる問題でございますけれども、今の段階での御意見を伺いたいと思います。
 第一次が出ましたのが昭和三十七年です。あれからずっと三次にまでなってきているわけでありますけれども、考えてみますと、拠点開発の構想から出発いたしまして、大規模プロジェクト、それから定住構想、私どももあらゆる段階の総合開発計画に関しまして大変な期待を寄せまして今日に至ったわけであります。ところが、それに対しまして実現が長引いておるわけでございますけれども、極めて厳しい二十一世紀に向けての最後の段階に入っておるようでございます。
 そこで、四全総は、キャッチフレーズじゃ失礼でございますけれども、一言で言って何を目標にされるのか。いろいろ御議論中であるようでございますけれども、その考え方を聞きたいわけでございますが、やはり国土づくりの指針でございますから簡潔に国民にわかるようなテーマが必要でございます。そしてまた、従来とは違った新しい画期的な大変動の時代に備えるというふうな感覚を持ったものが私は必要だろうと思うわけでありますけれども、聞くところによりますと、昭和六十二年度スタートを目指して現在鋭意策定作業中のようでございますが、御存じのとおり河本国土庁長官は常日ごろ国民に夢と希望を与える四全総と言っておられるようであります。国民に夢と希望でございます。
 まず、大臣にお尋ねしますが、四全総に対する基本的な考え方、所信をお伺いいたしますとともに、先日、もう一つ大都市圏整備局から発表されました首都改造計画、これも古い問題でございます。古い問題でございますけれども、四全総という新しいものが策定されるその直前に首都改造計画というものが発表されたわけでございまして、それが四全総の上でどういう位置づけになるのか、そういうものをどう考えておられるのか、そして四全総の今後の策定作業のスケジュール、そういう点に関しましても御説明願いたいと思います。
#68
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 先生御指摘の二十一世紀の初頭に向けまして、首都と国土をめぐる諸情勢は御指摘のとおり大きな変化があることと予想されております。四全総はこのような諸情勢の質的な変化を十分踏まえまして、二十一世紀の国土づくりの指針を示すという策定作業に従事しております。
 具体的には、三大都市圏及び北陸、東北、中国、四国、九州の各地区の要望を今吸収して策定作業中でございます。何といいましても、各地区の意見を尊重するということが大事でございますから、そういう考えで進めております。なお、個別には、各都道府県単位の意見も聴取して吸収しておるということでございます。
 先般の首都改造計画につきましては、東京近郊の東京、千葉、埼玉、茨城の知事も含めまして、横浜、川崎市長、神奈川の長洲知事と埼玉県でミーティングをやりまして改造計画の概要を申し上げたんですが、これはやはり一極集中の大都市を分散さそうという構想でございまして、各府県、都市の意見を吸収して、そしてバランスのとれた首都圏をつくりたいということが主たる目的でございます。
 これの四全総の関係ですが、私はこれはこれ、あれはあれということでやはり個別に各地区の意見を吸収して四全総を策定すべきだという考えを持っております。
#69
○委員長(本岡昭次君) それでは、以上で午前中の質疑は終わります。
 午後一時再開することといたしまして、休憩いたします。
   午前十一時五十七分休憩
     ─────・─────
   午後一時六分開会
#70
○委員長(本岡昭次君) ただいまから建設委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、建設事業並びに建設諸計画に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#71
○二宮文造君 本日は、法案審査の間を縫いまして一般質問の機会が与えられました。私は、この機会に建設省としてぜひやっていただきたいこと、それからまた、非常に細かい問題で余り手をつけたくないことですが、関係者にとってみれば一日千秋の思いで待っている問題もございますので、そういう問題を、一時間でございますが、取り上げてみたいと思います。
 まず最初に、去る六月八日に大鳴門橋が開通をいたしまして、大臣を初めとして関係者各位の御苦労を多とし、まことにおめでたい限りだ、こう申し上げておきます。
 全長千六百二十九メートル、五十一年に起工して九年の歳月と千六百五十億円を投じたいわゆる東洋一のつり橋、こう銘打たれております。現職大臣としてこの世紀の開通式にテープカットをされた大臣は、現状やあるいは将来展望についてさまざまな所感を持たれたと思います。まず、その
点をお伺いしたいと思います。
#72
○国務大臣(木部佳昭君) いろいろ公団の関係の皆さん方や、また議会の皆さん方や地方のまさに英知を結集しまして大変立派な東洋一という橋が開通されまして、私もテープカットをさせていただいて非常に感激に打たれた次第であります。
 それは、率直に申し上げますと、昭和三十九年の五月ごろ、私が宮仕えをさせていただきました今は亡き河野一郎先生がその構想を打ち上げたわけでございます。それで、ちょうど河野さんが亡くなられましてから私が二十五代目の建設大臣でございまして、テープカットをさせていただいて非常に感銘を、ある意味では仏のめぐり合わせだなというふうな、そんな気持ちで受けとめさせていただきました。
 私、技術のことはよくわかりませんけれども、あそこは非常に風の強いところでございますそうで、何か飛行機の両翼のように風が余り吹き上げないようなあれをされるとか、それから非常に渦潮で御承知のとおり景勝の地でございますから、自然環境というものを維持しながらあれだけの橋を完成させたということは、まさに公団を初め建設省の技術陣の世界に誇れる一つのものだ。同時にまた、私どもは今申し上げました自然との調和を維持しながらあれだけの長大橋を建設させたということで文化の面や二十一世紀に対して大変立派な遺産を残すことができた、そういうふうな私は感動を受けました。
 そういう意味で、これからあの橋が、橋の完成を契機にして、経済的な問題だけじゃなくして文化の面でも大いに役立っていくような、そういうことを期待申し上げ、またいろいろこの受け皿の方の道路網その他地域の問題なんかもよく見直しをしながら考えていきたい、そういうふうにも実は思っておる次第でございます。
 私も率直に申し上げますと、今地元で、明石海峡の方へ約三千六百メーターですが、それだけの橋を延長しないと名実ともに経済効果も出ないのではないか、こういうふうな実は声もございますし、またこれを早期に着工してくれというような御意見もございました。この問題につきましては、明石の橋というものができれば世界一に近いものだと言われておるわけでありますが、今まで建設省といたしますと、ずっとこの調査をいろいろ進めて、百二十億ぐらいの調査費というものをずっと毎年継続して調査はいたしておるわけであります。
 私の承知いたしている範囲では、あの橋の構想が打ち上げられて具体的になりましたときに一つ問題になりましたのは、新幹線の併用でいくべきか、単独橋でいくべきかという議論が当時あったことを私は承知いたしております。私がお仕え申し上げた河野先生は故人ですから率直に申し上げますが、当時の河野建設大臣は、新幹線の時代は終わった、鉄道の時代は、だから単独橋でいった方がいい、そういう政治家としての意見を持っておられたことも私よく承知をいたしておるわけであります。
 ところが、地元の皆さん方からの当時のいろんな陳情その他を私ども取り次いだりなんかしたことで記憶している範囲では、やっぱり鉄道と併用でいくべきだというような実は意見がかなりあったわけです。地元でもそういう運動がございました。そのような調整が実はおくれたといいますか、なかなか調整がつかない点も率直に言ってあったと思いますが、ちょうどこれからいよいよ工事にかかるというようなその瞬間にオイルショックが発生いたしまして、一時とんざをしなければならないというような事情等もあったと私は思います。そういうようなことで、昭和五十八年の三月に臨調答申により一時凍結というような、そういう事態が発生をしたことは二宮先生も御存じだと思います。そういうことで、現在も臨調で凍結をされておるわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、地元の強い要望があるということは私もよく知っておりますし、社会経済情勢が依然厳しい中にもございますが、率直に申し上げて地元は大変そういう運動もありますし、幅広い御意見もありまして、早く明石の橋に着工できるように努力してくれというようなことも、切実に私もそう受けとめておる面もございます。しかし、いろんな意味を考えてみますと、総合的に検討、調整を図らなきゃならぬ。例えて申し上げますと、国土庁長官もおいでになりますが、国土庁の四全総にどういうふうに組み入れるのか、どういう位置づけをするのか、また単独橋でいくべきか、それから鉄道との併用橋でいくべきか、こういう問題等につきましてもいまだ未調整でございます。
 でありますから、そういうふうな問題を一つ一つやっぱりきちっと位置づけをしていかないと、例えて申し上げれば、新幹線の併用橋の部分だけでも伺うところによると百六十億ぐらいと言われておるわけですね。これだけ行政改革の厳しい中、一体ほおかぶりしてそのまま明石だけが単独橋でいいのか悪いのかというような問題等なんかも私は率直に言ってあると思います。そういうふうないろいろな検討を総合的にしていかなければなりませんし、私ども、運輸省、建設省、国土庁、この三省庁が寄り寄りそういう問題等についても協議をしなきゃならぬというふうにも思います。
 それから御承知のように財政的に非常に厳しい中でございますから、地元の意見としては民活でどうかというような御意見もございます。しかし、私どもは橋というものはなかなか民活に実際問題としてなじみにくい問題もあるのじゃないかというふうな気持ちもいたします。しかし、そう言っても、これを途中で今まで長い間調査を進めてきたことを中止するわけにいきませんから、これは鋭意努力をしてまいらなきゃならない、そういうふうに実は考えておるわけでございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
#73
○二宮文造君 大臣の今の答弁、率直に伺いました。ただ、大臣は臨調答申を念頭に置きながら、しかし大鳴門橋が開通した現在、その投資効果をペイするためにも、あるいはまた将来展望するためにも明石海峡大橋の建設というものが今や世論になってきた、ただ、そこにどういう格好でそれを進めていくか、いわば前向きな立場で大臣は今明石海峡大橋をお考えになっておる、こう私は拝聴いたしました。そのとおりだと思います。
 そういうさなかで、公団の方ではついせんだって、四月の五日でございますか、建設省、運輸省、国土庁に対しまして明石海峡大橋の道路単独橋可能性調査報告、こういう表題かどうかわかりませんが、そういうことで新聞報道されておりますが、そういうものを提出された。ですから、公団がそういう報告書を提出された事情、あるいはその中に盛り込まれた、単独橋の場合にはこういうメリットがありますよというふうな内容になっているかと思いますが、建設費の問題とか、あるいは橋プロパーの建設費と関連して道路問題が出てきます。そうしますと、単独橋にした場合にはそういう関連費用も含めて大体どれぐらいの建設費になるのか、そういうことも報告書に書かれておると思いますが、それらを含めて簡単に御説明いただきたいと思います。
#74
○参考人(吉田巌君) 明石海峡大橋の道路単独橋可能性調査報告というものを建設省にお出ししたわけでございますが、その要点は、併用橋を道路単独橋にいたしますと鉄道荷重や鉄道の施設等がなくなりますので、また設計施工上の難易度も軽減されるというようなことから概算工費は五千十億円と見込まれまして、併用橋の場合の約七四%、工期は約十三年というふうに見込まれる次第でございます。
 また、採算性につきましては、道路単独橋の場合、道路分の工費は確かに増加するわけでございますが、利用交通量も工費の増加分程度になりますので、併用橋の場合と同様に採算性は確保されるというふうに見込んでおります。
 また、後段御質問になりました関連道路事業でございますが、神戸―鳴戸ルートの未着手区間につきましては、明石海峡大橋の対象区間九・五キロメーターのほかに淡路島島内の今回供用終点でございます津名一宮インターチェンジ以北の陸上
部が約二十六キロメーターございまして、これを含めますと全体建設費は六千九十億円というふうに見込んでおります。
#75
○二宮文造君 私、公団がこの間単独橋可能性というものの調査報告を提出されたということ、これもやっぱり、それは実用性の問題もありましょうけれども、工費を若干でも低下させる、こういうことも配慮されているのではないか、こう思うわけです。
 そこで、これを具体性を持たすためにちょっとお伺いしておきたいんですが、本四公団の資金構成、これは一体おおむねどういう格好になっているのか。また、民間資金比率が他の道路系の公団と比較してどうなっているのか。二番目には、借入金の金利は現在どうなっているのか。それは二、三年前と比べてどういう変化があるのか。三番目には、出資金によって資金コストがどう薄められていくのか。この三点、現在の問題としてお伺いしたいんですが。
#76
○政府委員(田中淳七郎君) 本州四国連絡橋公団の昭和六十年度におきます道路分の外部からの調達資金の内容を申し上げますと、総額で約二千六百三十七億円でございます。
 その資金の構成内容でございますが、出資金及び政府引受債といいますいわゆる公的資金が約八百五十六億円でございまして、そのシェアが大体三二・五%になっております。それから、このほかに政府保証債あるいは縁故債等の民間資金が約千七百八十億円で六七・五%のシェアになっております。簡単に申し上げますと、公的の資金が三二・五%、民的な資金の内訳が六七・五%ということでございます。
 この民間資金の本四公団におきます昭和六十年度のシェアの六七・五%は、他の道路系公団と比較いたしますと、首都高速道路公団が六八・三%で、ほぼ同じでございますけれども、日本道路公団が四九・五%、それから阪神高速道路公団が五八・四%になっておりまして、本四公団の場合にはかなり高い民間資金のシェアになっております。
 それから借入金の金利が現在どうなっているかという御質問でございますが、昭和六十年度予算におきます道路分の借入金の平均金利は七・一〇三%となっておりまして、この金利は五十七年度の場合に八・一七三%、五十八年度の場合に八・一 八一%、五十九年度の場合には七・八三〇%、これらに比べますと現在全般的に金利水準が低くなっておりまして、これを反映して二、三年前より約一%ほど低くなっているのが現状でございます。
 次に、出資金によって資金コストがどう薄められたかということでございますが、御案内のように、有料道路制度の償還主義の原則に基づきまして、本州四国連絡橋公団の一ルート四橋につきましては、おおむね三十年間で料金収入により償還するためには資金コストを年利約六%、正確に言いますと六・一四九%でございますが、にする必要がございます。したがいまして、本四公団の調達金利を約六%の資金コストに薄めるために必要な額を国及び地方公共団体が出資しているものでございます。
 以上でございます。
#77
○二宮文造君 ですから、最近のいわゆる借入金の金利、これが下がってきたということも、要するにいわば財政再建とかそういう財政の負担、そういうものを軽減する一つの材料にもなってこようかと思います。
 そこで、先ほども大臣から、地元では強い要望があった、こういう認識を述べられましたが、私の記憶を、非常にラフな記憶ですけれども、たどってみますと、明石海峡大橋には最初に技術的な問題があった。その次には、いわゆる併用橋か単独橋かという議論があった。その技術的な問題はほぼクリアされた。それは可能性の調査報告に集約されていると思うわけです。それから単独橋というのも、今の財政の都合とか、それからまた国鉄関係の状況とか、そういうもので併用橋は無理だろうというふうにコンセンサスがまとまってきた。したがって、政府はまだ決断しておりませんけれども、大鳴門橋が開通した今日では明石海峡大橋は必至である。しかも、それは単独橋である。あとは政府の決断しかなくなってきたわけです。
 しかも、もう既に、これは言うまでもありません、大臣が先ほど言いましたけれども、なお念のために、私は地元の熱意というもの、あるいはかけるべし、着工すべしという意見に集約されている状況をるる申し上げたいんですが、近いところを考えてみましても、三月の十五日には関西及び四国の二十八の経済団体が明石海峡大橋建設期成同盟会を結成されました。代表理事には、神戸商工会議所の会頭とか、あるいは日向方斉氏、その他関係市の商工会議所の会頭、こういう方々が名を並べまして、まず今策定事業が進められている四全総に組み入れてもらおうというのがこの期成同盟会の一つの願いである。
 それから四月の十一日には河本特命大臣、後藤田総務庁長官、山下運輸相ら五閣僚が出席をされました明石―鳴門架橋促進議員連盟の総会で明石海峡大橋を建設してルートを全通させる、こういう決議がされた。これは議員連盟。
 それから四月の十一日に、関西経済連合会会長の日向方斉氏が関西財界を代表して中曽根総理に民間資金は責任を持って調達するからと、色よい返事はなかったようですが、直談判をされた。
 五月の二十九日には、政府と自民党との連絡会議で金丸幹事長が推進を強調した。
 さらに、五月の三十一日には、自民党四役と経済四団体との定期懇談会で民間資金を活用した公共投資の増大の具体的な検討プロジェクトに明石海峡大橋が挙げられている。
 こういうふうに皆さん臨調答申というものは厳しく念頭に置きながら、しかし財政事情を考えて政府支出には余り依存しない、主として民間資金を中心にして、しかも内需拡大という至上命令にもこたえて事業の推進を期している。こういう動きがずっと出てきまして、今や引っ張るものはなくなっちゃったわけですね。ちょっと待てという引っ張るものがなくなってきた。
 ならば、ここで担当大臣としての木部大臣の決意と努力が非常に必要になってくるわけでありますが、凍結解除に対してイニシアチブをとっていただきたい、こう思うんです。大臣の御答弁をいただきたいし、あわせて、せっかくいらっしゃるわけですから、国土庁長官に、問題の四全総にこれはやはり組み入れるべきである、こういう私はお願いをしておきたいんですが、御答弁をあわせていただきたい。
#78
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 先生御指摘の明石架橋につきましては、先般、近畿圏の整備特別委員会が大阪で開かれたわけですが、非常に強烈な御要望があったことを私も十分承知しておりますので、いろいろな制約はあると思いますが、現在の鳴門架橋だけでは片手落ちであるという認識を持っておりますし、四全総におきましても積極的にこれを組み入れるべく最善の努力を払いたいと考えております。
#79
○国務大臣(木部佳昭君) 今、二宮先生から地元の期成同盟会、議員連盟、それから関西の経団連の日向会長から中曽根総理にも要請があったというような、そういう一連の運動の大勢といいますか、そういうようなものは私もよく承知をいたしておるわけであります。
 先ほど私申し上げましたように、気持ちの上では私は認識は二宮先生とそう大きく変わっておりません。しかし、いろいろな諸般の事情というものをもう少し調査をし、調整もし、そして確実に対策を立てるというようなところまでまだ私の気持ちもいっておりません。これからもう少し詰めなきゃならぬ問題がたくさんあると思うんです。
 一つの例を申し上げれば、関西新空港でもそうでございますけれども、空港の本体は約一兆円と言われているわけですね。ところが、アクセスの道路とか下水道とか住宅だとか補償だとかというような関連をいろいろ私も事務当局に聞いてみますと、二兆か三兆かなかなかつかみにくい、こう言っておられるわけです。十三年の工期がかかる
わけでございますから、また金利も一体今のような低金利で推移するのかしないのかというような問題もあると思うんです。それから前後の取りつけの道路の問題なんかにしても、建設省としてもこれは民活だから民間に全部任せればいいということじゃなくて、民活でいける部分と我々が公共事業でやっぱり担わなきゃならぬものというものの今度調整やすり合わせというものはあると思うんですね。
 それから例えて申し上げれば、これは私だけが率直に申し上げて、この間も時間の許す限り国道十一号なんかずっと車であれしてみた。それから予算編成の時期に四国の知事さんが、いろいろ、鳴門もさることながら例えば坂出ルート瀬戸大橋の方が六十二年に開通になるわけでございますから、それに対して横断道路を一体どうしてくれるのだというような非常に強い要望もあるわけです。でありますから、こういうように財政が厳しいときでは、むしろ今進めている工事を着実にその工期内に仕上げると同時に、これに関連する横断道路というようなものについても私どもがなすべきことはきちっとしなきゃ実際の効果が出てこない。ですから、中途半端と言っちゃ言葉にあれがありますが、率直に申し上げますと、あっちもこっちもということでこれをやり過ぎちゃって二兎を追うというようなことでどうだろうかというような心配も実はあるわけでございます。この間のある新聞の論調なんかにしても、物流だけで終わってしまうのじゃないかというような論調なんかも率直に言ってあるわけですね。
 ですから、そういうような問題も踏まえて、私は河本特命相の構想なんかも大変すばらしい、民間のあれを七〇%以上あれして実行するというようなそういう構想に対してはやはり敬意を表したいと思っておりますけれども、今申し上げるようないろいろな、もう少し調整したり詰めたりというような問題点がありますので、我々といたしましても認識は一致いたしておりますけれども、具体的に進める場合にもう少し効率的、効果的に、そしてある意味では十三年も十四年もかかるわけでございますから、そういう展望を見ながら、さっき五千百億というような御意見がありましたけれども、一体それで済むのか済まないのかという問題等につきましてももう少しやっぱり我々建設省としても努力をしなきゃならぬというような点なんかもあると思うんです。
 そういう意味で、臨調の凍結の問題等につきましても、これは私が政府という建設大臣の立場でなくて議員という立場でも、一応臨調の方は国会の承認事項でお願いしているわけですから、そういう点なんかももう少し私どもも納得が得られるようなやはりお互いに努力もし解決もしていかなきゃならぬ、そういう問題もあると思うんです。ですから、先ほど来申し上げておりますように、認識では一致をいたしておりますが、大事業だけにまた他の関連も、横断道その他全体的な問題もございますから、そういう実際の経済効果、またこれから地方に対して均衡ある国土の発展や地方の活性化のためにもう少し交通機関としての果たすべき役割というものはかくあるべきというようなものも考えていかなきゃならないというようなことでございますので、鋭意今申し上げたような基本的な考え方に立って研究と検討をさしていただきたい、そういうふうに考えておるわけであります。
#80
○二宮文造君 最初は極めて前向きに御答弁をいただいていると拝聴したわけですが、だんだんと前へ向いているけれども足が進まないというふうなお話に変わってまいりました。担当大臣としては当然そうあろうと思います。そうあろうと思いますが、しかし、るる申し上げたように、今やこれは待てという状況は一切ないわけです。あとはお金の問題だけです。政治というのは、やはりお金の問題も大事ですけれども、しかしニーズにこたえるということが一番政治の大きな問題ですし、またさらに投資効果を確実にしていくというのもこれはアフターケアとして政治の非常に大事なことであろう。だから、お金の問題はさりながら、しかしそれをどう追いかけていくか、調整していくか、これにはやはり前向きなやり方しかないわけです。したがって、大臣は慎重に答弁をされましたが、私は意識としてはそのとおりですとおっしゃった大臣のお気持ちを受けとめて、今後せっかく御努力をお願いしたい、こう申し上げてこの問題は終わります。よろしくお願いしたいと思います。
 それから次に、大臣はさきの所信表明で、「我が国の住宅、社会資本の整備水準は欧米先進諸国に比べ依然として低く、」と、厳しく現状認識をされました。そして、行政改革とかあるいは当面の財政再建という至上命題の中で、一方ではたびたび言われてまいりました内需の拡大という問題、社会資本の整備という問題が出てきておるわけでございますが、こうした中で六十年度末で終わる海岸、住宅、下水道、都市公園、交通安全に係る長期計画が軒並み未達成のまま終わる見通しとなりました。けさほど青木先生からもこの点について指摘がございましたので、私、簡略にしたいと思いますが、まずこうした結果に終わったということを大臣はどう受けとめられているのか、お伺いしたいと思います。
#81
○国務大臣(木部佳昭君) 今御指摘のように、第五次の計画がことし五本終わるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、審議会等で今検討を鋭意進めていただいておるところでございますが、社会資本の整備、活力のある経済社会、それから安全で快適な国民生活を実現するためには、やはり何といっても公共事業、特に今申し上げるような社会資本の整備というものは欠くことのできないものであるというふうに考えております。したがって、財政の厳しい中でございますが、今後とも審議会の皆様方の検討を待って前向きに投資の努力のために取り組んでまいりたい、こういうふうに基本的には考えておるわけでございます。
#82
○二宮文造君 こういう五カ年計画とか何次計画とかいう年次計画の策定は結構です。それは当然そうしたいという願望を持って策定されるのですが、やっぱり財政の都合というのは毎年毎年出てくるわけですから当然未達成になるという条件が出てまいるわけですね。そうすると、一たん決めたものは動かさない、これは私はある程度その状況に合わせて、努力目標として置くのだという言い方もありますけれども、しかしもっと親近感を持たせるために計画途中であっても手直しをするということも私は考え方の中に入れてよろしいのではないか、こう思うんです。今後五カ年計画を策定する、年次計画を策定する、大蔵省あたりは余り慌ててやるな、こんな財政の不如意な時代に慌てて年次計画をつくるな、こういうような否定的な意見もありますが、私はやはり年次計画は必要だという立場をとります。しかし、それは絵にかいたもちとか、幻の計画とか、こういう非難をなくする意味で途中で手直しをする、これもやっぱりこの問題に取り組む大きな姿勢ではないかと思うんですが、この点、大臣、どうでしょうか。
#83
○国務大臣(木部佳昭君) 今、先生から御指摘いただきましたが、私もそういう認識には全く一致いたしているわけでございます。
 そこで、これはまだ私は事務当局にはそこまで指示もいたしておりませんけれども、例えて申し上げれば、仮に五本なら五本のいろんな各種整備計画でございますが、その中でも一番おくれているものは何だろうか、それから内需の振興に役立つものは何だろうかというようなことも私の頭の中を去来している大きな問題の一つなんです。それは例えて申し上げれば、ことしダムなんかで御承知のとおり、あと三年か二年ぐらいでできるものについては民間活力の理念を導入して一時業者に立てかえてもらう、それで政府の方は元金と金利分をお払いしましょうというようなことで、ダムなんかは緊急性があるものですから発足したわけですね。これは私は非常に画期的なことというふうに実は評価しておるわけです。議員の皆さん方からもそういう非常な強い要望もございましたし、また皆さん方にもいろいろ御鞭撻いただいた
たまものだ。
 したがって、私は今も申し上げますように内需の振興の問題を考えてみても、今、先生のおっしゃるとおり審議会にいろいろ議論はしていただいていますけれども、何か一つでも二つでもそういう一番おくれているもの、それから内需の振興だとか、そういうものに役に立つものは、長期的には見られませんけれども、短期的ならば金利もかなり安いときですから民間の協力が得られないか、また場合によったら地方自治体の協力も得られないものかというふうなことも実は頭の中をいろいろこの予算編成の中で去来しているわけです。
 ですから、私は横断道路なんかにしても、来年四全総が策定されるわけでございますけれども、これなんかにしても率直に申し上げれば、それじゃ一万キロ余のうち残っている二千何百キロですが、これを仮に指定をしてみたところで、極端なことを言えば今の財政状況じゃ直轄でぼちぼちやったってとても、既存のものがいっていないですから、それをまた追加してみても、今、先生のおっしゃるような問題も指摘されかねない問題ですね。
 でありますから、例えば公団のできる部分とか、地方の道路公社のできる部分とか、また建設省が直轄でやらなきゃならぬ部分とかというようなものについてメニューを、いろいろできる努力を地方自治体にも協力願うとかということで最終的に高規格のものへ持っていくとか、何かそういうふうなあり方というものを、発想の転換を導入できる部分があればそういう方向でいかないと、実際問題として今、先生のおっしゃるとおり公共事業は財政の厳しい中でこれを伸ばすなんということは非常に難しいことだと思いますね。ですから、そういう点なんかも、私どももできる限り努力をして、そして公共投資の投資努力というものが発揮できるようなそういう努力をしてみたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#84
○二宮文造君 若干申し上げたいこともありますが、あとの問題がありますので。
 ちょっと連絡してございましたけれども、時間の関係で要望だけにとどめておきますが、例えば建設業の企業倒産が非常に多くなった。要するに、受注機会の確保という問題が非常に大事にな
 ってきた。例えば、具体的に申し上げますと、関西新空港などの建設は何か関連地域整備を含めますと一兆九千億というふうにも伝えられておりますが、こういうことで関連工事に地元の中小建設業者、これの受注機会をふやしてもらうように配慮してもらいたいとか、あるいは建設不況の中で、これは業界新聞がよく取り上げておりますが、ダンピング受注、これは目を覆わなきゃならぬような事態も出ているということでございますので、地方の発注機関やあるいは建設業者の指導、これに格段の御配慮をお願いしたい、これは要望にとどめておきます。
 それから次に、これまたけさほど増田先生が民活に関連をしまして規制緩和の問題について今まで建設省がおやりになってきたことあるいはこれからやろうとしていることなんかに触れましたので、前文はここで省略をさしていただいて、規制緩和に関連しましてまたかということになりますが、これは本当に私何回も取り上げてみて、これほどせっついてもせっついても頑として国というのは動かないのだなと、ほとほとあきれ果てている問題があるわけです。御承知の霞ケ関の官衙の一団地、この規制の問題です。
 この問題につきましては、五十五年五月十三日、これは渡辺建設大臣、それから同年の十月二十一日、斉藤建設大臣、それから五十七年五月に始関建設大臣、さらにまた五十七年六月十九日には質問主意書、七月二十四日には再質問主意書、こういうもので建設省、国がどうあるべきかということをるる申し上げたわけです。
 まず、大臣にお伺いしたいんですが、四十三年、古い話です。四十三年の十二月に永田町一丁目四番・五番官公用地指定解除期成同盟、旧三年町住民が五十三名の署名捺印を付して当時の坪川建設大臣に提出した要求書、これは大臣はごらんになりましたでしょうか。
#85
○国務大臣(木部佳昭君) 見ておりません。
#86
○二宮文造君 読んで見てください。それはそれは、こういうことがあっていいものだろうかという悲憤慷慨といいますか、自分が長年営々辛苦して住んで、良好な住宅地であると思っていたところに突然規制の網がかかった。聴聞会も何もありませんから知らなかった。そして、もうそろそろ二十年もたったから建てかえにゃならぬなと思って手続に入ったら、おまえさんところは地下はつくれませんよ、二階までですよと、あらどうしてというとこういう法律がありますという、その一部始終がるる述べられているわけです。御承知のように、都市計画決定は三十四年でしょう。
#87
○説明員(渡辺滋君) 三十三年でございます。
#88
○二宮文造君 三十三年。二十七年前ですね。二十七年前というところをよく覚えておいてください。
 それからこういう住民の要求書が出てから、四十三年ですから、もう既に十七年を経過しようとしている。そして、自分の土地に、今も申し上げたように、知らない間に建築制限の網がかぶされた。建てかえもできない、売れもしない、国も買ってくれない、それこそ三方封ぜられたまま。行ってごらんになったら、官公庁は立派な建物になっていますが、気の毒にその方々のお家はコケむしています。裏側へ回るとこれが国の行政の手落ちなのかと一目瞭然、要するに権力の横暴というのはこういうものなのかと事実で物語っているようなのがこの関係者の方々のお宅です。これは何とかしなきゃならないのじゃないでしょうか。
 しかも、昭和五十年当時に、それは建設省分、衆議院分、文部省分と三つの大きな区画になっていますが、総計してまだ買い上げていなかった土地の総面積が一万二千九百八平米あったわけです。そして、それから既に十年たちました、五十年がそれですから。十年たって、その間にどれだけ買ったかといいますと、二千五百六十四平米しか買っていないわけです。予算は毎年二億五千万程度ずつしか入れていかないわけですね。そうすると、一万平米も残っているこの土地は一体いつ買い上げてくれるのだ、こういうことになりましょう。そして一方では、環七の中は規制解除をするとか、一種を二種に規制緩和するとか、きれいごとは並べられますけれども、幾らそういうきれいごとが並べられたって、この関係の住民の方は、何だ、おれたちの土地はどうしてくれるのだ、こういう状況で二十七年放置しているんです。これは一体どういうことでしょうか。御答弁いただきたい。
#89
○説明員(渡辺滋君) ただいま二宮委員から御指摘のありました件につきまして、概要を申し上げます。
 四十三年に確かにそういう要求書が出ておりまして、その後余り進んでおらないということでございます。現在未買収地がどれだけかというのも、先生のお話のとおり、ただいま一万三百四十平米ほど残っております。これは霞ケ関地区の中で五つの地区に分かれておりまして、ただいまお話しの要求書が出ましたH地区につきましては四千四百五十、未買収地が残っております。
#90
○二宮文造君 そういうことはわかっていますから、どう対応するかということをおっしゃっていただきたい。
#91
○説明員(渡辺滋君) はい。
 私ども、この用地買収を今後どうするかということにつきまして、施設整備計画の進捗と相まってこれを進めていきたいということで考えております。これのもとになりますのは、中央官衙計画を一体どうすべきかということに尽きるかと思います。そういう状況でございます。
#92
○二宮文造君 前と同じ答弁です。
 では、施設整備計画はいつまでにおつくりになりますか。
#93
○説明員(渡辺滋君) 私ども、後ほどまた大臣からお話があろうかと思いますが、中央官衙整備計画について早急に詰めろという命令を受けており
まして、これの作業を鋭意行っているところでございます。
#94
○二宮文造君 どこから命令を受けておるんですか。早く整備計画をつくれという命令をどこから受けているんですか。
#95
○説明員(渡辺滋君) 大臣から承っております。それで、作業をただいまやっております。この結果を早くまとめて、基本計画ということをしっかりしたいというふうに考えておるわけでございます。
#96
○二宮文造君 ずっと会議録をひっくり返してください。同じ答弁なんです。あなたじゃありません。それで、歴代大臣からこういう答弁を聞いているんです。原点に戻って、私権を侵さないように、関係者と話し合い、早い機会によい結論が得られるよう進めてまいりたい。いい言葉ですね。御指摘にかなうような対策を早急に講じてまいりたい、この枠を出ていないわけです。
 そして、私が手がけてからも七、八年たとうとしている。旧三年町の住民の方がお願いして十七年かかっている。都市計画を決定してから二十七年かかっている。そして、いつも答弁は、施設整備計画をつくりまして解決してまいりたいという御答弁なんです。ならば、私は逆に言いたい。住民の気持ちを全然無視して、できた整備計画の分だけしか買わないのか、百年かかってもこの網は外さないのか、こういうことなんです。ですから、私は施設整備計画を早急につくる、いつまでにつくる、それを住民の皆さんと公文書で約束する、こういう姿勢をもはや国の方は示すべきだ、限度に来ている、こう私は申し上げたい。その上で大臣に御答弁いただきたい。
#97
○国務大臣(木部佳昭君) 私、先ほど様子がよくわからないということを申し上げたんですが、実は中へ入ったことはないという意味で、ああいう状態で放置されているということはよく承知いたしております。特に、私の議員会館の部屋は一〇一号室でして、あそこから見ると毎日わかるわけです。中へは入ったことはありませんが、近くを車で通っただけでこれがこんなにひどいのかという感じはもちろん持っていますけれども、そういうことでございますから御理解いただきたいと思います。
 そこで、今、部長からも答弁いたしましたように、整備計画の案を検討しろということを指示いたしておるわけでございますが、これは率直に言って、私は規制緩和なんということは一般の人から言わせたら何だ、こういうことで当然言われることは当たり前のことだと思うんです。したがって、今私は何月何日までということは申し上げませんが、少なくも早い機会に解決といいますか、ある意味の方向づけをきちっとするように指示をいたします。これは公の場所で私は答弁申し上げておるわけですからその答弁には責任を持ちたい、こういうふうに思っております。
#98
○二宮文造君 大臣の答弁を了とします。
 ただ、私はかぶせたまま住民の方々に全く接触がないということは極めてよろしくないと思います。盆暮れのつけ届けぐらいはすべきじゃないでしょうか、御迷惑をかけているんですから二十七年間。それは一つの例えですが、こういうことで遅くなっていますとか、この部分についてはこういうふうに進んでいますとか、いわゆる政府の対応の仕方を、おしかりは受けるでしょうけれども、住民の方々に説明するということは大事なことじゃないでしょうか。それは雲の上から見ているだけでは、とてもじゃないけれども、我慢ができない。かわいそうだと思います。
 大臣は、なるべく早く、こう言われました。なるべく早くといっても、私は大臣の任期中には結論はつかないと思います。つかないと思いますが、それをカバーする意味で、大体これぐらいのめどでせっかく努力していきますのでという説明は丹念におやりになるべきだと思いますが、この点いかがでしょうか。
#99
○国務大臣(木部佳昭君) 住民の皆さん方とも、必ず私の責任において接触をいたさせます。それから、私もすぐ近くですから、時間があったら一回現地を見させていただきます。
#100
○二宮文造君 よろしくお願いしたいと思います。
 次に、これも行政のアフターケアというか、これは行政の責任ばかりじゃありませんけれども、土地区画整理事業ですね。この土地区画整理事業で、これは前文はのけますが、計画決定から二十年以上も放置されているいわゆる休眠地区、これが全国で百カ所、七千ヘクタール、それから十年以上たっても動かない休眠地区まで含めると約二百五十カ所、一万五千ヘクタール、特に三大都市圏にある休眠地区は商業地区として有効利用ができる、この休眠地区が動き出しますと総額十兆円のプロジェクトになって内需拡大の決め手にもなる、こういう論法があるわけです。
 これが動かない理由はいろいろありましょう。道路、公園などの用地として土地所有者が出し合う土地の面積、これが話し合いがつかない、あるいは移転後の各自の土地の位置、これが話し合いがつかない、移転に伴う補償額、これが話がつかないというようなことで関係住民の最終的な意見調整がまとまらないで現在放置されている、こういう状況。
 これもやっぱり決定をすると、年月に関係なく、公示すればしたまま、あと動こうが動くまいが我関せずというような批判が出てくるわけですが、私はこういうふうに十年、二十年とこういう経過した地域については、実情の調査も結構だけれども、まず関係住民の合意づくりを急ぐように公共団体を指導する、それも大事です。しかし、それと同時に、必要に応じてほかの開発手法に切りかえるということも早急に検討されるべきではないかと思うんですが、この点いかがでしょう。
#101
○国務大臣(木部佳昭君) 私、事務当局にも強い指示はしませんでしたけれども、総点検してみたらどうかということは申し上げたつもりでございます。
 そこで、戦後四十年たっているわけですから、これはただ地方のブロックの関係者に合意ができるようにお願いするなんというような抽象的なことでは地権者に対しても大変迷惑なことであると思います。でありますから、例えば街路事業に切りかえるとか、それから市街地の再開発事業への手法に変更させるとかというような、そういう点についても考慮をしてまいりたい、そういうふうに考えております。
#102
○二宮文造君 あと三分になりました。
 これもまた折に触れてお願いしたわけですが、造成された土地がその後市街化調整区域に編入されてしまった。しかし、五年間に限っては自宅を建てる場合はいわゆる猶予がありましたね。それを過ぎてしまったというので、いわゆる歯抜け団地といいますか、この問題をどうするかというのがまだ十分に解決を見ておりません。建設省の方も適時地方公共団体を指導していただきまして、例えば埼玉県の場合には五十七年の七月に実態調査をされまして、それから面積一千平方メートル以上に限って市町村の同意と一定の団地整備水準の確保を条件に建築許可を与える、そういうことで約一万二千六百戸の住宅建設が可能になった。まだ残っておりますが、そういうふうに埼玉県は努力をされ、歯抜け団地の解決に一歩乗り出しておられる。
 このように埼玉県はこういう問題の独自の取り扱い方針を定めましたが、そのほかに、いわゆる首都圏というのは東京に対する通勤圏ですね、その通勤圏の範囲内でやっぱり歯抜け団地、地方公共団体との調整がうまくいかないで建築制限のまま残されているという問題がございますが、この問題は、まず実態調査を前にもお願いしたんですが、問題解決のイニシアチブを建設省の方からとっていただかなければ地方公共団体は動かないのじゃないだろうか、こう思うんですが、この解決の方法をどうお考えになるのか、御答弁いただきたい。
#103
○政府委員(高橋進君) この問題につきましては、たびたび先生から御指摘のあるところでございます。今の埼玉県で一つの方式としてそれに対
応する措置をとっておるところでございますが、ほかに千葉県におきましても似たような取り扱い方針をつくりまして、一部解決に向かって今動いておるということでございます。
 そのほかの各県につきましても一応の調査をいたしましたが、両県に比較しますと、ほかの県ではそれほど私どもの承知しているところでは多いものとは考えておりません。具体的にそういう問題がありますものにつきましては、同様な取り扱いをなされるように地方公共団体に対しても指導してまいりたいと思っておるところでございます。
#104
○二宮文造君 時間が来ました。
 せっかく仕事をされている建設省の皆さんには残っている問題ばかり取り上げてしまいましたが、関係者の立場に立つと、いずれもこれはやはり御配慮いただきたい問題でございますので、あえて申し上げました。それぞれ問題解決の方向に努力していただきたい、こうお願いして質問を終わります。
#105
○山中郁子君 私は、本日の建設行政一般の調査に当たりまして、この機会に池子弾薬庫での米軍住宅建設の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 この問題は、既に国会で幾つかの委員会で論議が行われてまいりまして、関係者の皆さんはよく御承知のとおりであります。
 まず初めに、この問題の重要な一つであります当地域の、つまり池子弾薬庫、そこの地域の緑と自然の保全の必要性について基本的な環境庁からの見解を伺いたいと思います。
#106
○説明員(加藤栄一君) 御説明いたします。
 お尋ねの池子の地域でございますが、標高十メートルの平たん部から百三十メートル前後に至る丘陵性の山地までございまして、平たん部に弾薬庫が散在いたしますほかは森林で覆われております。
 これらの森林は、尾根部等におきましてはウラジロガシ、アカガシなどがございまして、また山腹部にはケヤキ等の高木林がありますほかは、大部分はコナラ等の二次林でございます。近隣の森林と一体となりまして大都市の近郊にあっては比較的規模の大きい森林が残っているというふうに承知しております。
 また動物では、哺乳類ではノウサギ、ホンドアカネズミ、鳥類ではヒヨドリ、シジュウカラ、メジロなどが生息しております。
 また昆虫では、チョウ、トンボ、蛍類が生息しているというふうに聞いております。
#107
○山中郁子君 いずれにいたしましても、日本の国土の中でもとりわけ大都市圏で大変貴重な自然の地域である、保存すべき地域であるということが環境庁の環境行政の立場からも明確にされておりますし、今の御答弁もそのようにお伺いいたしました。それは一つのこれからの議論の大きな前提であります。
 初めに、防衛施設庁にこの池子の米軍住宅建設事業についてのあらましをお伺いしたい。
#108
○説明員(黒目元雄君) お答えいたします。
 池子弾薬庫におきます米軍家族住宅の建設につきましては、横須賀地区におきます米海軍家族住宅の深刻な不足を解消するために、既に提供しております施設区域内におきまして国が計画しているものでございます。これは、防衛庁設置法第五条二十五号に定めております駐留軍の使用に供する施設区域の提供に関すること、及び同条三十三号の「所掌堂事務に係る施設の建設工事の実施に関すること。」、この規定、並びに安全保障条約第六条及び地位協定に基づいて行われます国の固有の事務として行うものでございます。
 池子米軍家族住宅の建設事業は、池子弾薬庫の全面積約二百九十ヘクタールのうち、樹木の伐採が少なくて済む約八十ヘクタールを住宅建設計画区域といたしまして、そこに不足住宅数約千三百戸のうち、当初千五十六戸を計画いたしましたが、逗子市長の希望を入れまして九百二十戸に縮小し、あわせて住宅関連施設を建設するものでございます。
 建設計画に当たりましては、約八十ヘクタールのうち、建物、道路等の敷地につきましては約二十ヘクタールでありますが、残り約六十ヘクタールは緑地といたしまして計画しております。緑地は、既存の林地をそのまま保存するものが約二十七ヘクタール、既存の草地をそのまま保存するものが約二ヘクタールでありまして、新たに樹木を植栽するものと芝地、草地とするもので約三十一ヘクタールとなっております。この緑地約六十ヘクタールは住宅建設計画区域に対しまして約七〇%以上となっております。このように緑について極力確保を図りまして、また治水につきましても考慮しまして、大規模な調整池を設けること等の計画を行います。計画区域としましては、地形改変を可能な限り少なくするように計画しております。
 建設に当たりましては、環境影響評価に係る諸手続を進めまして、関係地方自治体及び関係住民の理解を深めまして計画どおり事業を進めたい、このように思っております。
#109
○山中郁子君 一つ御注意申し上げておきますけれども、千三百戸のうち、逗子の市長の意向を入れて九百二十戸にした、逗子の市長は九百二十戸ならよろしいとあたかも言ったようなおっしゃり方はなさらない方がよろしい。国会の場でございます。御注意申し上げておきます。
 それから具体的に伺いたいのですが、ここでつくられる住宅の規模。これはおたくたちがお出しになった、つまり横浜の防衛施設局が膨大な評価書案をお出しになっておりますけれども、こうしたものによりましても、例えば一戸当たり住宅規模、これは低層住宅の場合ですけれども、三LDK、四LDKそれぞれ百四十四平米ないしは百五十六平米、そういうものになっておりますけれども、それは間違いないですね。一から十まで全部おっしゃらなくてもいいですけれども、今私がこの資料の中から取り上げましたものは間違いないですね。
#110
○説明員(黒目元雄君) お答えします。
 間違いございません。
#111
○山中郁子君 それで、まず私はこれは建設大臣にもよくお聞きいただいて、また後ほど御意見を伺いたいところでありますが、三LDK、四LDKといいましたら、これは日本の場合でしたら高級住宅ですね。しかも逗子ですよ。土地からして最高級住宅地というふうに言っても差し支えないと思います、一般論として。そこへ持ってきて三LDK、四LDK、そういうのをつくる。もちろん鉄筋コンクリートです。高層住宅も若干ありますけれども、低層住宅の場合について今申し上げました。
 それだけではないのですね。これも私の方からちょっと御紹介をしますけれども、それで施設庁の方に御確認をいただきたいのですが、あなた方の計画によりますと、このほかに附帯施設として、テニスコート、バスケットボールコート、バレーボールコート、アメリカンフットボール兼サッカー場、全部夜間照明つきです。少年野球場兼ソフトボール場、運動場、野球場、少年と大人と別々な野球場なんですよ。そういうことと、そのほかに、こうした運動施設、附帯設備、立体駐車場、遊歩道、中央公共施設、ありとあらゆる、ちょっと考えられない、この建設委員会でもいろいろなところでそれぞれの環境整備の問題について切実な要望が出され、多く議論されてきたはずだと私は思いますけれども、そういう中ではとても考えられないようなこうしたものが建設されるという計画になっている。この点についても間違いありませんね。
#112
○説明員(小澤健二君) お答えいたします。
 ただいま先生のお話しになりました体育施設、運動施設でございますが、これにつきましては、逗子の現地の周辺には体育施設というのが非常に僅少でございまして、このたび米軍と共同使用という形で一般の方と一緒に使っていただくという計画をしておりまして、現在、先生のお話しになりました施設につきましてはそのとおり計画を立てております。
#113
○山中郁子君 最後の御答弁だけいただければよろしいのでありまして、前の方の問題はまた別な問題です。
 それで、いずれにしても、ですから米軍基地として基地住宅の中でそうしたものを全部つくる。それは、私は単なる米軍の住宅をつくるということにとどまらない、まさに新都市開発、ニュータウン建設、そういう性格のものであると言わざるを得ないというふうに思います。
 ここで、私は建設省にお伺いをしたいのでありますけれども、日本の現実の居住水準は今どうなっていますでしょうか。二言目にはウサギ小屋が出てくるわけなんですけれども、この点については、今、日本の国民の置かれている条件はどうなっておりましょうか。
#114
○政府委員(吉沢奎介君) 日本の居住水準の目標でございますが、第四期住宅建設五カ年計画は、昭和六十年度を目途として、すべての世帯が確保すべき最低居住水準あるいは半数の世帯が確保する平均居住水準、この二つの居住水準を設定いたしております。
 そして、おのおのについて申し上げますと、最低居住水準につきましては、例えば夫婦と子供二人の標準世帯では住戸専用面積を五十平方メートルということにいたしております。それから平均居住水準につきましては、住戸専用面積を八十六平方メートルというふうにいたしております。
 そして、昭和五十八年の住宅統計調査によりますと、全国でこの今申し上げました基準に達していない世帯というのが、最低居住水準について見ますと、約一一・四%、三百九十五万世帯がまだ達していない。それから平均居住水準に達していないのは、全体の約五〇・九%、千七百六十七万世帯がこれにまだ達していないということでございます。
 そのほかに、住宅の一戸当たりの平均床面積について申し上げますと、昭和五十八年の調査時点におきまして、ストックでは、持ち家が百十一・七平方メートル、借家が四十二・九平方メートル、平均いたしますと八十五・九平方メートルでございます。今のはストックでございます。それからフローで見てみますと、昭和五十九年度の調査によりまして、持ち家は百二十五・五平方メートル、借家が四十六・五平方メートル、平均しまして八十四・一平方メートルというふうになっております。
#115
○山中郁子君 かなりな格差です。
 私はまず率直にお伺いいたしますけれども、日本の現状がこうである。しかし、米軍の住宅についてはなぜこのような都市居住水準をつくらねばならないということになっているのか。その根拠は何ですか。
#116
○説明員(小澤健二君) 提供施設整備で建設しております家族住宅の規模につきましては、米国人の生活様式、体格等をもととして作成された米国の国防総省建築基準に基づいております。
 それから米軍家族住宅の建設に当たりましては、我が国の国土が狭隘という事情もございまして、米側に理解を求めまして、住宅の立体化あるいは集合化ということで、また基準の面積を若干下回るものを建設するなど土地の有効利用、建設面積の縮小に努めております。米国防総省建設基準によりますと、三寝室の型の住宅の面積はおよそ百三十平方メートルでございますが、提供施設整備で現在実施する場合は米側と調整いたしまして大体百二十平方メートルに縮小して建設しております。
 なお、五十四年度から五十九年度までに着工したものが、また昭和六十年度に建設を計画しておる家族住宅、これがおよそ三千三百戸のうち八五%に当たる二千九百戸は二寝室または三寝室の型で、一戸当たりの面積は九十平方メートルから百二十平方メートルのものでございます。それでもなお日本側において整備しておる家族住宅は我が国の一般住宅の間取りに比べてゆとりがあるという御指摘も承知しておりますが、これについては在日米軍、それから安全保障条約第六条に基づきまして我が国の安全に寄与するため本国を離れて我が国に駐留しているという事情を踏まえまして、御理解いただきたいと考えております。
#117
○山中郁子君 私は、今の御答弁はそれはそれとして見当違いなことをおっしゃったとは言いませんけれども、池子の弾薬庫のここにおつくりになろうとしているということで評価書案をお出しになっている三LDK、四LDK、百四十四、百五十六、そういうものと余りにも格差があるではないかということを今申し上げました。
 それで、ちょっと一つだけお尋ねしたいんですけれども、あなたはさっきアメリカの国防総省が云々とおっしゃいましたね。それは、これから私その後その金がどこから出るのかということも含めて問題にいたしますけれども、要するに、そういう米軍住宅をつくるときにはアメリカの国防総省、アメリカからの指示というか、指示とおっしゃりにくければ依頼というか、そういうようなものの上に、こうした例えば池子の場合には今申し上げました大きさの、ないしはあっと驚くようないろいろな設備、そういうものをおつくりになることにしているんですか。簡単で一言でいいですから答えてください。
#118
○説明員(黒目元雄君) お答えします。
 先ほども小澤課長が申しましたように、米軍の生活様式とか体格等によりまして違いますので、向こうの基準というものに基づいてつくるというふうにいたしております。
#119
○山中郁子君 日本人も体格がいい場合には広いスペースがもらえるなら、私なんか広い家に住めるのじゃないかと思っておりますけれども、その点についてはまた機会を得て少し突っ込んだ議論をしたいと思いますが、少なくとも自主的にアメリカの立場に立ってあなた方はおやりになっているのか、その背景にアメリカからの強い要望があるのか、大体その辺のところなのでありましょう。
 そこで、私はちょっとここで建設大臣に御感想をお伺いするという形でよろしいんですけれども、こういうことはいかがですか。つまり、国民の住宅の問題について今いろいろ大変切実な要望になっているし、世界的にもいい意味でない話題にもなっておりますし、けさほど来の御論議もありました。しかし、片方では問題のあそこの池子にこういうデラックスなアメリカの兵隊の住宅団地をつくるんですよ。そういうことについての御感想を聞かせてください。
#120
○国務大臣(木部佳昭君) 先ほど来、防衛施設庁の方から答弁がありましたように、これは日米安全保障条約、地位協定に従ってやっておる問題でございまして、日本の住居水準と比較してどうこうというようなそういうコメントは差し控えさせていただきたい、そういうふうに思っております。
#121
○山中郁子君 日本の置かれている住居条件と随分格差がありますね。それは、そうお思いになりますでしょう。率直にというか、フランクにお答えいただいて結構なんです。
#122
○国務大臣(木部佳昭君) 向こうの生活様式だとかいろいろな点が日本人とは基本的に違うわけですから、それは私どもだって立派なところへ住みたいと思っておりますけれども、なかなかそういう事情にはないわけでありますから。したがって、さっき申し上げましたように、両国の比較というようなものは、これは確かに快適で立派な良好なものがあれば結構なことでございましょうけれども、いろいろな事情等もございますから、先ほど来申し上げておりますように私はコメントは差し控えたい、そういうふうに考えております。
#123
○山中郁子君 私は、建設大臣が日本の国民の立場に立って物を考えたり、せめて感想ぐらいはお述べになるということを期待していたところであります。
 この事業は国が事業者でありまして、防衛施設庁は神奈川の県条例によってアセスを提出なさいました、横浜施設局が。ところが、御承知だと思いますけれども、これは自民党の中山正暉国民運動本部長が神奈川に出向かれましてこういうことを言われたのですね。それが報道されております。
  防衛、治安、外交、教育は国の専権事項であり、池子住宅問題は国防、外交問題である。貿易摩擦のうえに防衛摩擦が起こると、極東のバランスが崩れ、ゆゆしき事態となる。一神奈川の問題で世界に影響が出てくる。知事として速やかに知恵ある解決をしてもらいたい。長引くようならそれなりの対応をする。
こう言われた。
 そしてさらに、
  国有地で、しかも国の防衛問題。本来ならアセス条例の適用を受けないはずだ。なぜ防衛施設庁が提出したのか疑問に思っている。私ならアセスにはかけない。
こうもおっしゃった。
 そして、新聞は「アセス取り下げを考慮しているものとみられる。」とコメントしています。
 私は、これは大変重要な発言だというふうに思いますし、問題の性格としてかなり重要な点ではっきりさせなければいけないものだと思っております。この点について県の当局は、国の事業といっても条例の対象外とはならない、それからまたアセスを取り下げたり、仮に手続をしなければ条例によって、条例二十六条、県条例ですね、そこに明記されておりますけれども、条例違反であり、条例による勧告や公表その他を検討することにもなる、そのように県当局の方は見解を表明しておられる。
 そこで問題は、中山さんのこの私がただいま紹介いたしました発言にかかわらず、この事業が神奈川県のアセス条例の対象であるということについては疑いないものであり、だからこそ、あなた方、横浜施設局がこの膨大な評価書案をお出しになったわけです。この点は何ら疑問のないところですね。施設庁の見解を伺いたい。
#124
○説明員(小澤健二君) お答えします。
 本件につきましては、米軍家族住宅建設計画のような国の事業について神奈川県環境影響評価条例が適用されるという明文の規定はございませんが、従前より地元において自然の保護に強い希望がございましたし、また本計画については国から逗子市に対して協力要請をいたしたときに逗子市の方から厳密なアセスを行ってほしい旨の強い要望がございまして、逗子市の方から条件つきで協力する旨の回答を受けたわけでございまして、この条件の一項目としてアセスを県の方へ手続を経てくれというお話がございまして、これに対して国は県当局と十分調整いたしつつ適切に対処することを約束いたしました。こういう経過を踏まえて環境影響予測評価の手続をとることといたしたわけでございます。
#125
○山中郁子君 要するに、県条例に基づいて出さなければならないから出したのであるということなのか、そうでないという理解も解釈も成り立つけれども、諸般の情勢によって出したのだとおっしゃっているのか、どちらですか。ということは、つまり最初にあなたは法令に定めてはない、こうおっしゃった。何の法令に定めていないという意味でおっしゃったのでしょうか。
#126
○説明員(小澤健二君) これは神奈川県のアセス条例でございます。
#127
○山中郁子君 二つ質問しているけれども、どっちなのか。
#128
○説明員(小澤健二君) 先ほど私申しました、条例が適用されるとの明文の規定はないというのは神奈川県の環境影響評価条例でございます。
#129
○山中郁子君 神奈川県の条例には、明確に何の例外もなくそうしたことについての明記があります。それで、私はそういう点から、あなた方があえて、それではさらに防衛施設庁としては、中山さんがちょっとおっしゃったように、そういうことは出さないでやるということがあり得るというふうに考えておられるのかどうか、そこのところをはっきりしてほしい。
#130
○説明員(小澤健二君) 過去どうであったかということは、まだ私就任しましてつまびらかではないわけでございますが、現在、現実に神奈川県のアセス条例にのっとって手続をしておるということではっきりするのではないかと私は理解しております。
#131
○山中郁子君 そうですね。アセス条例にのっとっておやりになっているのだから、条例にちゃんとそういうことをしなければならないというふうになっているんですよ。だから、それでおやりになったわけでしょう。そこを確認しておきます。
 それで、関連してお尋ねしたいんですが、この基地ですね、安保条約に基づく地位協定、そうした関連の事業で地方自治体の条例によってアセスを行った事業はほかにありますか。
#132
○説明員(小澤健二君) 他にございません。
#133
○山中郁子君 私は、これはやはりかなり環境問題、それから基地問題、それから自然保護――環境問題の中の重要な今回の焦点になっているのは貴重な自然保護ですね。そうした問題について、つまり地方自治体でのいわゆるアセス条例が今いろんなところで住民の合意としてつくられ始めてきている。昔はそういうものはなかったわけですから、そのときには勝手に、地位協定があるから、安保条約があるから当然のことなのだ、施設区域内では、つまり基地の中では米軍が勝手に何をしようと国民は何にも言えない、地方自治体も日本の政府も言えないのだ、こういうことでおやりになって、横田基地なんて勝手にばんばんいろんなものをつくってきたわけでしょう。だけれども、今ここであなた方もお認めになるように、池子にそうしたものをつくるということについては神奈川県の条例、そのことに大きく束縛をされて、そしてそれに基づいてこれだけの膨大なものをあなた方お出しになる。そういう事態に進んできて、少しオーバーに言うならば私は歴史が進んできている、この時期だと思うんですね。
 そういう点で、私は、今あなたがお答えになりました、今までこういうことはなかったと。初めてのケースだということでしょうね、要するに。その初めてのケースというのが、いかにそれらの問題に関して、つまり基地問題、環境問題、国民の暮らしの問題、そういうことと深いかかわりのある重要な問題であるかということの思いを新たにしていただきたい。防衛施設庁は、そういう問題についての一番の直接の出先というか関係するところですよね。基地問題その他で国民の要求ないしは苦情、そうしたものとの接点の仕事をされているわけですから、そこのところを私は強く強調いたします。
 それで、条例の三条一項、つまり安全の問題なんですけれども、この安全の問題についてあなた方の評価は、つまり評価書案では単に交通安全のみの評価しかしていないんですね。この点について、私はまず神奈川県の総合計画というものが土台になって条例がつくられているということをきちんと押さえていただきたいのでありますけれども、その神奈川県の総合計画では、「安心して暮らせる人間中心のまちづくり」、そして「良好な環境の創造」、そして「基地返還の促進」、こういうことを明確にうたっておりまして、核基地化のおそれ、それとともに基地の存在は県民生活の安全にはかり知れない不安を与えている、地域住民の安全と福祉を守る立場から基地の全面返還を促進する、こういうふうに押さえているんですね。この総合計画と県条例は不即不離の関係にあるということについて御承知だと思います。
 私は、またさらに、実際に自分が行って調査もしてきたので大変印象に強いのでありますけれども、例えば横須賀では在住米軍関係者の犯罪、それから衛生や保健、事故など、そういう基地による被害や災害が広範に市民の安全を脅かしてきています。したがって、この問題は、議会やそれから地元の経済界や自治会なんかでもずっと懸案になって問題になってきていることなんですね。
 この評価案で安全ということを交通安全だけにしているのは、非常にこれは片手落ちというよりは全く正確でないし、なぜ交通安全だけにしか安全の問題についての評価をしなかったのかということは、多くの市民の皆さんが聞きたいところだというふうに言っておられますし、私もそのように思いますので、ちょっとこの点についてはお答えをいただきたい。
#134
○説明員(黒目元雄君) お答えいたします。
 当該事業計画に当たりましては、神奈川県の環境影響予測評価条例を尊重してやったわけでございますが、住宅団地の造成につきましては、評価項目のうちに環境評価の条例の中の三条二項に技術指針が定められておりますが、それによりますと、住宅団地の造成につきましては交通安全のみでよいということに一応なっております。
 先生ちょっと触れられました件でございますが、家族住宅の建設を目的とするものでございますので、先ほどおっしゃいましたような治安上の問題とか、そういうものはないものと考えております。
#135
○山中郁子君 それは余りにも甘いし、そんなこと、あなた責任持てるんですか。一千戸からの米軍住宅をつくって、そこで家族住宅だから米兵による事故、犯罪はない、防衛施設庁がそんな責任が持てるんですか。いいかげんなことを言わないでください。
 みんなが言っているのは、安全というのは、本当の意味で基地における安全を守るということが必要で、だからこそ、あなた方が本当にそういう立場に立つならば、そうした問題についての評価を当然しなければならないものである。その点についてのあなた方の姿勢を私は今ただしたわけでありますけれども、そのお答えは余りにもひどい考え方であるということがよくわかりました。
 それで、そういうところがすごく問題なんですけれども、限られた時間ですので、私はひとつこの点ははっきりお伺いをしておきたいのですけれども、皆さんも御承知だと思うんですね。つまり、逗子の市長選挙が、この池子における米軍住宅地の建設、この問題をめぐってリコール選挙ということが行われて、池子の住宅建設反対ということを掲げた富野市長が実現をしたわけです。こうした経過はよく御承知のところです。
 その富野市長がこの点についてどういうふうに今言っておられるかということを申し上げますと、本事業は大規模な、しかも貴重な自然環境の破壊であり、それが単に当該造成地域だけでなく、広域的生態系に大きな影響を与える。さらに、都市計画、自然公園構想、神奈川環境プラン等との関連、こういったことも踏まえて逗子市基本構想、基本計画を位置づけて住宅建設事業を問題としている。市長は、また今回提出の評価書案を大変不満足なものというふうに表明している。市としては、本事業に関連させて環境調査を行おうと六十年度の調査事業の予算化もしている。
 それで、さらに市の権限があるわけです。それは、市の権限としては、つまり区域外、区域の都市開発に関係がある区域外の問題になるわけですけれども、下水やごみ処理、そういうものを市として最悪の場合に受け入れるのか拒否するのかということも上策というふうには思っていないという意味の発言をしながら、つまり下の手段でありというふうなおっしゃり方をしています。しかし、現段階ではとるべき方策ではないかもしれないけれども、市の権限としてはそういうこともあり得るということも発言されているわけですね。
 それで、アセスを進める上で、県条例の中で中心的に位置づけられている市民の代表たる市長の声、意見、これは県条例でもこの尊重というものは断固たるものとして中心に据わっているわけですけれども、この点については尊重なさるということによもや御異論はないと思っておりますけれども、確認をいただきます。
#136
○説明員(小澤健二君) 神奈川県の条例に基づいて私どもは手続をとっておるわけでございまして、神奈川県の方から市の方への照会、また市長さんからの神奈川県への意向というものが伝わると思いますので、私どもは神奈川県の条例に先ほど申し上げましたとおりのっとってこれを進めてまいるということでございます。
#137
○山中郁子君 中身があるお返事をいただければいいんですけれども、結局そもそも今からアセス問題について基本議論をここでできるわけもないんですけれども、地域環境の総合的で科学的な管理を目指すアセス、これはまず地方自治の尊重、それから住民参加と公開、そして地域環境についての住民合意の形成、こういうものが基本的な要件であるし、神奈川県条例もその基本を貫いて市長の意見を求め、市長の意見について十分考慮するということを明確にしているんですね。その点についてはあなた方も何の異論もないところでございましょうということを申し上げております。その点について一言で結構ですから、お答えください。
#138
○説明員(小澤健二君) お言葉を返すようでございますが、先ほど申したとおり、このアセスにのっとってやるということ以外に何物もございません。
#139
○山中郁子君 だから、その立場は、何回も申し上げますように、それじゃ県の条例に何と書いてあろうと、これはあなた方は何にも関係しないし、尊重しないということをまさかおっしゃっているわけじゃないでしょう。県条例に基づいておやりになるんでしょう。字面の問題じゃないんですよ。
#140
○説明員(小澤健二君) そのとおりでございます。
#141
○山中郁子君 それで、私は県条例の中で市長の意向、こうしたものが最大限に尊重されるべき性格のものであるということが明確にされているということについて申し上げたところでございますから、あなた方もその点についてはよく理解を深めておいていただかなければ困るということです。
 与えられた時間がそろそろなくなってきておりますので、結論的に申し上げざるを得ません。私は、先ほどもちょっと確認いたしましたけれども、安保絡みで基地問題で地方自治体のアセス条例、そういうものとのぶつかり合いはこれが初めてである、その関連が。ですから、問題としては、県の関係部門も言われていることですけれども、審査の中で日米合同委員会の検討経過の内容や、あるいはなぜ池子になったのか、池子にしなければならないのかという立地問題についての調査、しかもアセスの原則としての県民公開、こうしたものも当然のことながらその過程の中で必要になってくるし、当然に取り扱われる手続であるということを言明をされているし、私はそのとおりだというふうに思っています。
 したがって、県や審査会の現地調査、地元市長からの現地調査の要求なども必要となってくるでありましょう。このことについても私が申し上げるまでもありません。要は、いずれにしても本条例を遵守すること、それやアセスの結果の履行の責任、こういうものについては条例で明確に定めてある。したがって、このケースのように安保関連事業は国が事業者でありながら、地方自治体の方針なり政策なりに集約されている住民の意向、意思や要求を踏みにじって進められていいのかどうか、それは絶対によくないということはおのずと明らかであるというふうに考えています。
 そうしますと、今までずっと、逗子の市長選をめぐる経過も含めて、現在の市長の言明も含めて、あるいは市民の皆さんの要求も含めて、いずれにしても、ここにこの広大な米軍の住宅基地を建設するということについて、既定の事実としてあなた方がただ理解を求め、理解を求めやっていきます、そういう態度ではいかなくなるし、そういう態度を強行することはこの県条例に反することになる、県条例を乱暴に踏みにじることになる、それはイコール切実な国民の願いを踏みにじることになる、そのことを私は強く警告をするということです。
#142
○委員長(本岡昭次君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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