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1984/03/28 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 逓信委員会 第7号
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1984/03/28 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 逓信委員会 第7号

#1
第102回国会 逓信委員会 第7号
昭和六十年三月二十八日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         松前 達郎君
    理 事
                成相 善十君
                宮田  輝君
                片山 甚市君
    委 員
                岡野  裕君
                沖  外夫君
                長田 裕二君
                川原新次郎君
                志村 愛子君
                添田増太郎君
                西村 尚治君
                山内 一郎君
                大森  昭君
                服部 信吾君
                三木 忠雄君
                佐藤 昭夫君
                中村 鋭一君
                田  英夫君
                青島 幸男君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  左藤  恵君
   政府委員
       郵政省通信政策
       局長       奥山 雄材君
       郵政省放送行政
       局長       徳田 修造君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        酒井 繁次君
   参考人
       日本放送協会会
       長        川原 正人君
       日本放送協会副
       会長       田中 武志君
       日本放送協会技
       師長       矢橋 幸一君
       日本放送協会専
       務理事      渡辺 伸一君
       日本放送協会専
       務理事      川口 幹夫君
       日本放送協会理
       事        横井  昭君
       日本放送協会理
       事        林  乙也君
       日本放送協会理
       事        松本 幸夫君
       日本放送協会経
       理局長      松村  勇君
       通信・放送衛星
       機構理事長    斎藤 義郎君
       通信・放送衛星
       機構理事     大竹 利男君
       宇宙開発事業団
       理事長      大澤 弘之君
       宇宙開発事業団
       理事       岩崎  隆君
       宇宙開発事業団
       理事       船川 謙司君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(松前達郎君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 日本放送協会関係の付託案件の審査、郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査のうち、放送に関する事項の調査のため、日本放送協会の役職員を参考人として、今期国会中、必要に応じ随時出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(松前達郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 また、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に通信・放送衛星機構理事長斎藤義郎君、同機構理事大竹利男君、宇宙開発事業団理事長大澤弘之君、同事業団理事岩崎隆君、及び同船川謙司君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(松前達郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(松前達郎君) 次に、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。左藤郵政大臣。
#6
○国務大臣(左藤恵君) ただいま議題となりました日本放送協会昭和六十年度収支予算、事業計画及び資金計画の提案理由につきまして、御説明申し上げます。
 この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣の意見を付して国会に提出するものであります。
 まず、収支予算について概略を申し上げます。
 事業収支におきましては、事業収入は前年度に比べ四十四億八千万円増の三千三百八十億九千万円、事業支出は前年度に比べ百三十五億九千万円増の三千二百八十四億九千万円となっております。
 この結果、事業収支差金は九十六億円となっております。
 この事業収支差金につきましては、八十九億円を資本支出に充当するため事業収支差金受け入れに計上し、七億円を翌年度以降の収支均衡を図り、財政を安定させるための財源として、その使用を繰り延べることとしております。
 資本収支におきましては、放送衛星等の新放送施設の整備、老朽の著しい放送機器の最新整備等の建設費として四百九十億円を計上しております。
 次に、事業計画につきましては、その主なものは、テレビジョン、ラジオ放送とも全国あまねく受信できるよう、衛星放送の継続に必要な設備の整備を取り進め、中波放送局及びFM放送局の建設を行うこと、視聴者の意向を積極的に受けとめ、公正な報道と豊かな放送番組を提供すること。受信料負担の公平を期するため、受信料制度の周知徹底を図り、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努めること等となっておりますが、これらの実施に当たっては、極力業務の合理的、効率的運営を推進することとしております。
 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。
 郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等について慎重に検討いたしました結果、これをおおむね適当であると認め、お手元に配布されておりますとおりの意見を付することといたした次第であります。
 以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いいたします。
#7
○委員長(松前達郎君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。川原日本放送協会会長。
#8
○参考人(川原正人君) ただいま議題となっております日本放送協会の昭和六十年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。
 昭和六十年度における協会の事業運営は、新メディア時代における新しい放送の実用化を推進しつつ、放送番組の充実に一層努めることといたしておりますが、協会を取り巻く経営環境は極めて厳しい状況にあります。
 このような状況の中で、昭和六十年度は、昭和五十九年度を初年度とする三カ年の経営計画の第二年度として、経営全般にわたり、極力業務の合理的、効率的運営を推進し、放送の全国普及とすぐれた放送の実施に努め、新たな放送の時代における公共放送としての役割を果たしてまいる所存であります。
 次に、昭和六十年度の主な事業計画について御説明申し上げます。
 まず、建設計画につきましては、衛星放送の継続に必要な設備の整備を取り進めるとともに、テレビジョン音声多重放送の拡充に必要な設備の整備、新しい方式によるテレビジョン文字多重放送の実施に必要な設備の整備を行うことといたしております。
 また、国際放送の受信改善のための設備の整備、放送番組充実のための機器の整備等を進めるほか、老朽の著しい放送設備の取りかえを実施することといたしております。
 次に、事業運営計画について申し上げます。
 まず、国内放送では、ニュース、報道番組の充実、特別企画番組の積極的編成及び地域放送の拡充強化など、公共放送の使命に徹し、公正な報道と豊かな放送番組の提供に努めることといたしております。
 また、衛星放送については、番組の充実と普及の促進に努め、音声多重放送について、放送時間と放送地域の拡充を行うほか、文字多重放送については、新しい方式による放送を開始することといたしております。
 国際放送においては、ニュース・インフォメーション番組、各地域の特殊性に即した番細を編成し、放送を通じての国際間の理解と親善に寄与するとともに、受信の改善に努めることといたしております。
 契約収納業務につきましては、受信料負担の公平を期するため、受信料制度の周知徹底を図るとともに、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努めることといたしております。
 広報活動につきましては、協会に対する視聴者の理解と信頼を一層強固にするため、広報活動、視聴者の意向の把握と反映などについて、地域活動を基本として、きめ細かい施策を効果的、効率的に推進することといたしております。
 調査研究につきましては、番組面において国民生活時間等の調査を行い、技術面においては、新メディアの開発研究等放送技術の向上に寄与する研究を推進し、その成果を放送に生かすとともに、広く一般にも公開することといたしております。
 以上の事業計画の実施に当たりましては、経営全般にわたり業務の効率化を積極的に推進することとし、要員について年度内二百人の減員を行うこととしております。
 また、給与につきましては適正な水準を維持することといたしております。
 これらの事業計画に対応する収支予算について申し上げますと、事業収支においては、収入総額三千三百八十億九千万円を計上し、このうち受信料収入については三千二百七十二億円を予定しております。これは有料契約総数において、四十三万件の増加を見込んだものであります。
 また、副次収入など受信料以外の収入についても、極力、増加を図ることといたしております。
 これに対して、支出は、国内放送費などの事業運営費、減価償却費、支払い利息など総額三千二百八十四億九千万円を計上しております。
 事業収支差金九十六億円につきましては、このうち、八十九億円を債務償還などのために充て、七億円を翌年度以降の財政を安定させるための財源として、その使用を繰り延べることといたしております。
 次に、資本収支は、支出において、建設費四百九十億円、協会業務に関連する事業を行う法人への出資に九千万円、債務の償還に百四十億七千万円、総額六百三十一億六千万円を計上し、収入には、これらに必要な財源として、事業収支差金、減価償却資金、放送債券及び借入金など合わせて総額六百三十一億六千万円を計上いたしております。
 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金の需要及び調達を見込んだものであります。
 以上、日本放送協会の昭和六十年度収支予算、事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、今後の事業運営に当たりましては、協会の事業が視聴者の負担する受信料を基盤としていることを深く認識して、引き締まった効率的経営を目指し、常に、視聴者の意向を積極的に受けとめ、これを的確に反映し、すぐれた放送を実施して、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございます。
 委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。
#9
○委員長(松前達郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#10
○大森昭君 まず最初に放送衛星ゆり二号aの故障問題について質問したいと思うんです。
 もう御案内のように、この問題については本委員会において機会のあるどとに政府や宇宙開発事業団の責任問題、あるいは一部私どもの責任もあるかと思いますが、いろんな議論をしてまいりました。しかし、その後の取り扱いが十分解明されておりませんし、郵政大臣は所信表明の中で、BS2bに所要の対策が施され、同機が予定どおり本年の夏に成功裏に打ち上げられることを期待していると。私ども期待しているわけでありますが、しかし、少なくとも郵政大臣というのは宇宙開発事業団の主務大臣として、放送衛星対策については期待をしているということじゃなくて積極的な役割を果たすべきであると思うわけでありますが、大臣、全く言葉はよくないのでありますが、他人事のようなことを言っていたんじゃ主務大臣勤まりませんので、郵政大臣の本意を伺いたいと思います。
#11
○国務大臣(左藤恵君) テレビジョン放送の難視聴解消などを図る目的で打ち上げられましたBS2aが、国民の大きな期待に反しまして故障が生じて、現在一系列だけが活動するという試験放送を余儀なくされているという事態につきましてはまことに遺憾なことであると思っております。
 そこで、BS2打ち上げにつきましてそうした事態が再び起こらないようにということで、宇宙開発委員会における検討の結果に基づいていろいろ現在対策を講じて検討をしていただいておるわけでありますが、その対策で一応の原因なり何が究明されて、そしてそれに対します新しい手が打たれてことしの夏に打ち上げられる。これは別にそうしたことにつきまして絶対に夏に打ち上げられなきゃならないとかいうことじゃございませんが、今の見通しでは夏に打ち上げられるんじゃないかということになってまいりましたので、そういうことで、このことにつきまして我々としてはそうした期待を表明したわけでございます。
 そういう意味で、今先生御指摘のように、放送衛星の開発と利用という問題につきましては、これは御指摘のとおり郵政大臣が主務大臣として、宇宙開発委員会が取り組んでおります問題につきましてのそうした立場にありますので、積極的に取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
#12
○大森昭君 大変難しい問題ですから、関係者の方々の努力も大変だとは思うんですが、しかし再び起こしてはいけないという観点から立ちますと、2bの問題というのは少なくともある一定の方向を見定めてから打ち上げをしなきゃならないというふうに思うんです。そういう考え方からいきますと、少なくとも現在上がっております衛星についての欠陥はどこにあるのか、そしてその欠陥を克服するのにはどういう形で2bを打ち上げるのかということになるんだろうと思うんですが、今大臣が言われましたけれども、少なくとも最終的方針を決めて決断をして打ち上げるというときはどういう手続とどういう確信を持ったら打ち上げられるのか。というのは、前郵政大臣もそれからお見えの会長さんも、少なくとも所要の対策が施されて万全の信頼性が確保されなければ打ち上げるべきでないということを委員会で言っているわけでありますから、したがってその考え方がどのように全体の打ち上げる問題についての理解を得られるような形で進めていくのか、この点もう一回ちょっと私は質問しておきます。
#13
○国務大臣(左藤恵君) BS2bにつきまして放送衛星対策特別委員会がございまして、そこでいろいろな問題につきまして御報告はいただいております。その御報告に示された対策をいろいろ施しまして、そして熱真空試験を実施いたしました。とにかくある一定の期間をかけましてこうした試験をしました結果は、地上でやったわけでありますが、その結果は良好であったわけであります。今後、中継機全体の確認試験、それから衛星の組み立てシステム試験及び打ち上げ射場での試験が次々と実施されていって、その結果順調な状況であればことしの夏期に打ち上げられる、こういう予定になっておるわけであります。
 熱真空試験の結果につきましては放送衛星対策特別委員会において再度評価が行われることになっておりますので、その評価が十分信頼性が得るものだ、こういうふうに確保された上で、今先生御指摘のように万全の信頼性を確保した上で打ち上げをしなければならない、このように考えておるところでございます。
#14
○参考人(川原正人君) 衛星2bの打ち上げについて最終的な打ち上げの決定ということになれば、それは宇宙開発事業団になると思いますけれども、しかし私どもは決して人任せという態度でこれに臨むつもりはございません。2aにしましても2bにしましても、私どものちょうだいしております国民皆さんからの受信料によってこれはその大半が賄われているわけでございますので、私どもとして重大な責任を感じております。aが一チャンネルしか作動していないということについては大変受信者の方に申しわけないと思っております。したがいまして、この2bの打ち上げに対しましては、aの故障の原因、そしてそれに基づいてどのような対策、是正措置が講じられるかというととにつきましては、私どもも全力を挙げまして開発事業団あるいは対策委員会の方に御協力申し上げているわけでございます。そして、この2bについての打ち上げの安全性といいますか、安定性についてはNHKとしても重大な関心を持っておりますし、もし私どもの方でその安全性、安定性について若干なりとも疑念があるときには、少なくとも私どもの意見として打ち上げには賛成はいたしません。その上で十分にお話し合いを進めてまいりたいと思います。
 また、いろいろ協定とか契約とか、あるいは保険とかその種の問題につきましても2aの事故の経験にかんがみまして深くこれを反省いたしまして、aの経験を生かした措置に最大限の努力を続けてまいりたい、そしてその結果に基づいて最終的に関係の方々と御相談申し上げて打ち上げに臨んでまいりたいというふうに思っております。
#15
○大森昭君 今努力している最中ですから、余りいろいろ質問をしたくないんでありますが、一つだけ、これ委員長にちょっと預かっていただきたいんですが、今いろいろ御答弁がありますが、最終的にいつどのような形で放送衛星対策特別委員会が結論を出すのかわからないんですが、国会が開会されているのか国会が休会になっているのかよくわかりませんが、少なくとも国会がどういうふうな状態でありましても、その最終報告が出て、打ち上げをするというときには委員長に少なくとも報告していただきたいし、私どももその委員長に出された報告に基づきまして、それをとめるとかとめないとかという意味じゃないんですが、少し議論もしてみたいと思いますしね。実は前回からいろいろ議論をしているわけでありますが、正直申し上げて、これは政府だとか宇宙事業団の責任ばかり追及していたって――もちろん責任はあなた方にあるんですが、私ども科学的な知識は余りないんですけれども、しかし少なくともこういうことで打ち上げるという状態ぐらいおっしゃらなければ、逓信委員会の任務を、少し私ども責任を感じる意味合いでまずいんじゃないかと思いますので、決断するときには委員長にぜひひとつ報告してもらいたいと思いますね。
 それから、きょうも宇宙事業団がお見えでしょうけれども、もう国会の中で質問されたら答弁するなんという問題じゃないのでありまして、その都度その都度いろんな変化がある場合には少なくとも委員長にはこういう状況ですぐらいの報告をしてもらわないと、私どもは全部時間が限られて質問していますから、正直申し上げまして、これだけの重大な関心事について、国会で質問されたら来るなんというふうなことでは困るんですよ、本当の話。
 どうかひとつ、そういう意味合いでお互いに全体的に、これはNHKにとってはもう生命線と言われる問題なんですから、なかなか技術的な問題で難しい点もありますが、その都度宇宙事業団なども中間報告を委員長にしてもらうことをお願いしておきます。
#16
○国務大臣(左藤恵君) 今、大森先生からの御指摘にございましたようなことで、BS2bにつきまして放送衛星対策特別委員会から一つ結果が出てまいりまして、打ち上げの準備ができるという段階になりましたら、今の先生の御指摘のとおり委員長に、その段階におきまして御報告をさしていただきたい、このように考えます。
#17
○大森昭君 ところで、毎年郵政大臣の意見書が出るわけでありますが、この意見書の主文のなお書きの中で、「長期的展望に立った事業運営を行うため、ニューメディア時代に向けて、公共放送機関としての協会の経営の在り方について更に検討を進めるべきである。」と、毎年の意見書と少し違う意味合いのことが指摘してあるわけでありますが、何か郵政大臣の方でことさらのことがあるのかどうか、この趣旨について説明していただきたいと思います。
#18
○国務大臣(左藤恵君) NHKの経営につきましては、受信料収入の伸びがほぼ限界に達してきたのじゃないかというふうに考えられます。そして一方、放送衛星等のニューメディアの推進に多額の経費が必要だと、こういう段階になりまして、NHKとしてはそういったことでその厳しい現状を深く認識していただいて長期的な展望に立った事業運営を行うために、ニューメディア時代に向けて、公共放送機関としてのその経営規模、経営安定のための方策というものを、協会の経営のあり方全般について引き続き検討を進めてもらいたい、こういった趣旨から今回の意見書の主文のなお書きにそうした点を付加したと申しますか、書かせていただいたわけでございます。
#19
○大森昭君 郵政大臣が意見書でそういうことを言われることは別に私否定しませんが、ただNHKの状況を見ておりますと、五十七年の一月に長期ビジョン審議会の答申を受けまして、これを具体化するための検討会議を部内に設置したわけでありますが、ニューメディアの展望がいろんな意味合いで、言葉としてはよく使われるのでありますが、なかなか具体的には難しい問題などもあるんだろうと思いまして、具体的な結論が得られないで解散といいますか、この検討会議は今ないんじゃないかと思うんですが、今の大臣の意見書と現在NHK内部でニューメディアのあり方についての検討が行われているのか行われてないのかわかりませんが、その辺のところ、大臣の意見についてNHKは受けて立つという状態になっているのかどうか、ちょっと御説明していただきたいと思います。
#20
○参考人(川原正人君) この大臣意見書につきましては、私ども非常にこれは重大な示唆であり、御意見であるとして十分に受けとめてまいるつもりでおります。もちろん、この御指摘を受けるまでもなく、私ども自身としてもこのニューメディアの時代と申しますか、非常に今放送あるいは通信をめぐる社会的な情勢が急激な変化をしております。単に幾つかの技術的なメディアができているということだけでなくて、経営のあり方なり情報の国民に対する提供等の仕方なり本質的な今変化が起こりつつあると思いますので、その問題については十分に私ども検討を今でも続けております。
 御指摘のように、ビジョン審議会を受けました部内検討委員会は一応の結論を出しまして、その形としては、一つは、昨年度料金改定の際にこの席でも御説明しました五十九年度から六十一年度へかけての三カ年計画という中に反映をさしたわけでございますけれども、その後も部内的には組織改正の中でニューメディア推進本部というものもつくりました。また昨年の暮れからは、これは私のいわば諮問機関という形になると思いますけれども、部外の専門家、有識者の方に月一回ないし二回お集まりいただきまして、このニューメディアの時代の中でNHKはどうあるべきかということについて率直な意見を今伺っております。そういう形のものは十分にこれからの経営に反映さしてまいりたいというふうに考えております。
#21
○大森昭君 今のはやり言葉じゃないんでありますが、とにかく経営の立場からすると効率化だとか、あるいは経費の削減だとかというのがよく言われるわけでありまして、もちろん私そのことを否定しませんが、しかし少なくともNHKというのは公共放送としての役割、そういう意味合いからいきますと、何でも効率化だとか経費の削減だなんと言ったって一定の限界があると思うんであります。
 最近、業務の外部委託を増加させているようでありますが、実際の問題としてはどういう形でこのNHKの外部委託ということについて進めていくのか、時間がありませんから簡単で結構でありますが、説明していただきたいと思います。
#22
○参考人(横井昭君) お答えいたします。
 私どもとしましては、業務の効率的運営、合理的運営というのは経営の喫緊の課題である、こういうふうに考えておりますし、その線上で業務委託をこれまでやってまいりました。そのときの基本的な考え方が三つございまして、第一は、先生の御指摘のように、NHKが公共放送として自主性、主体性をちゃんと維持できるかどうか、これが第一点。それから第二点に、その受け手の企業に専門的能力、技術が十分水準に達したものがあるかどうか。それから第三点に、委託する以上は経済効果性が十分あるかどうか。この三点を常に検討しながら業務の委託をこれまでやってまいりました。
 例えて言いますと、外部には例えば会館の清掃だとか、あるいは電話の保守だとか警備の仕事だとか、関連企業には御承知のような放送の美術関係の大道具、小道具だとか、あるいは番組の二次使用とか、そういったものをやってきておりますし、今後もそういう基本方針の中で外部委託を考えていきたい、こういうふうに思っております。
#23
○大森昭君 今言われましたように、清掃だとか、どっちかというと附帯業務といいますか、そういうのは正直申し上げまして外部委託もあろうと思うんです。
 ただ、私の質問は、そういうどちらかというと附帯的な問題じゃなくて、少なくともこのNHK番組の制作、これは基本でありまして、そういうNHKが持つ最も生命的な問題についても何かエンタープライズという会社ですか、当面は放送大学の番組の制作だということのようでありますが、どうもこれをだんだん発展さしていきますと、いずれこのNHKの番組についても請負になるということが懸念されるんですが、この辺はどうなんですか。
#24
○参考人(横井昭君) お答えいたします。
 御承知のように、五十七年度に放送法が改正になりまして、同じく政令の改正があり、NHKの業務に直接関連して政令で定める事業に出資ができるようになっております。その線上で五十九年度に御指摘のように番組制作供給会社としてのNHKエンタープライズを設立し、協会としては一億円の中の五千五百万円を出資いたしました。これは私どもとしては編集の自主性はしっかりNHKに持ちながら良質の番組を提供していく、そのために現在やっている協会の中での番組制作のあり方を見直した上で関連団体に出し得るものは出していく、そういう協業体制の中でお互いに切磋琢磨してよりよい番組をつくっていく、視聴者の多様化するニーズにもこたえていく。さらにNHKの持っているノーハウを放送大学を初めとして一般事業者等にも還元できるような形をとりたい、こういうふうに考えておりまして、あくまでも放送のよい豊かな番組をつくるという基本線を堅持してまいりたいと、こういうふうに思っております。
#25
○大森昭君 言葉の上では、今あなたの言われたように、いい番組をつくってということは理解できるんですが、しかし、いいか悪いかというのはだれが判断するかという問題になってきますと、私は今日のNHKの番組が、もちろんより改善してもらってよりよいものというのはありますが、そう不十分であるとは認識しておらないんですよ。したがって、そういう意味合いからいきますと、請負に出すということについては、今あなたが言ったようによくなるかもわからぬけれども、少なくともよくなるというには――いや、それはわかりませんよね。そういう私危惧を持っていますので、もちろん今後の問題ですから、現実に請負会社でつくったやつを放送されているわけじゃありませんからとかくの批判はいたしませんが、どうかひとつよりいい番組という意味合いでは理解できますが、このエンタープライズに委託するような場合というのは慎重に取り扱いを決めていただきませんと、非常に影響が大きい問題でありますから要望しておきたいと思うんです。
 それで、今の問題とも絡むんですが、最近業務を外部委託をしてやっていくことが経営の効率化といいますか、あるいは事業の能率化といいますか、というようになっているのは一面で言いますとコスト主義ですね。どうもコスト主義に走っているんじゃないか。もちろん安いにこしたことはないんでありますが、余り請負事業を拡大することばかりに気をとられますと、安い料金を維持するということは重要でありますが、反面、多少高くたっていい番組をつくるというのがこれはNHKの基本だろうと思うんですがね。その辺の兼ね合わせというのはどういうふうにNHKは考えているんですかね。
#26
○参考人(横井昭君) お答えいたします。
 御指摘のように、NHKは中立、公正な報道番組を、そしてまた豊かでよりよい質の番組を提供するのがその業務の基幹でございます。この基本線は我々としては堅持していかなければならない。我々としましては、今の我々が行っている番組制作のあり方を具体的に申し上げますと、ほとんど九八、九%まで部内で処理しているという形もあるわけでございまして、そこの点を見直しながら先生の御指摘の点を拳々服膺して、より豊かでより良質の番組を提供できるように、そうして効率的な経営ができるように努力をしてまいりたいと、こういうように思っております。
#27
○大森昭君 例えば、具体的に申し上げますと、一つの例ですけれども、この六十年度の予算を見ますと、中央研修所などについてもこれ財団法人化するというんでしょう。まあ経営のあり方、いろんな経営の視点というのはあるでしょうけれども、まず職員をどのように育成をしていくか。もちろんそのほかにいろいろあるでしょうけれども、いい番組をどうやって制作していくかというのが挙げれば中心だと思うのですね。こういう中央研修所みたいにいわゆるそれぞれの職員の方々に研修業務をしていただくものまで委託をするということのメリットについて、簡単でいいですから……。
#28
○参考人(横井昭君) 御承知のように、放送はメディアの多様化の中で一つの大きな転換期に来ているわけでございまして、ニューメディア時代における放送にかかわる放送人の育成ということと、それからNHKが現在持っております放送に関するノーハウというものを社会に還元していくという二つのねらいで、NHKの職員の研修、既に現在も行っておりますけれども、民放連から受託した研修と、それからJICAを通じて発展途上国の放送人の研修、こういうものを受託して研修する。さらに、NHKの持っている放送にかかわるノーハウを、一般放送事業者、CATV事業者、一般企業でも、最近はビデオ機器の発達で、それをどうやって使うかということの知識、技能の育成ということが非常に要求されております。
 さらにもう一点つけ加えて申し上げるならば、NHKはやはり美しい日本語の伝承をしていく責任があると思うのでございますけれども、美しい日本語、美しい話し言葉、こういったものを不特定多数の国民の皆様へ還元していくこともこの機関を通じて考えていきたいと、かように考えております。
#29
○大森昭君 ここで私、意見を述べることを少し控えますが、ただ私の発想からいきますと、そういう財団法人化しないで、NHKみずからが持っていて、それで今横井さんが言われたように多くの人たちがそのNHKの施設を利用する。そういう形の中で、NHKの料金も少しずつ上がっていったりいろいろやっているけれども、しかしあのところでこういうこともNHKとしてはやっているという方が――悪いんですけれども、そういうことをやるために財団法人化してやれば、その財団法人がある一定の運営をしていく。しかし、やはりNHKが主体でやっている、ゆえにNHKは放送もする、ニューメディアの問題も取り組んでいる、文字多重もやっている、しかし一方ではそういう社会的な貢献も果たしているという意味合いで私は運営をしていけないものだろうかというのが私の考え方で、もちろんきょうここであなたと議論する気はないんですが、少し発想を変えて、何でもかんでも切り離していけばいいということになりますと、だんだんNHKというのは何をやっているのかわからないということになるんじゃないかと思いますので、これは恐らく財団法人化するということになると、そこに働く人たちの取り扱いをどうするんだとか、今後の経営はどうあるべきなのかということが起きてくると思いますので、まあ労使で恐らくやるんだろうと思いますので、だんだん外部委託だとか何かをやってNHK自体を矮小化するような形じゃなくて、どうかひとつもっと正々堂々と、NHKはあれもやっている、これもやっているということで、そういう貢献をしていただきたいことをお願いしておきます。
 そこで、NHKのこの予算書を見ますと、人員の削減と経費の節減ですか、何かスローガンみたいのが挙がっていますが、こういうことをやれば全体の御理解が得られるということかどうかわかりませんが、むだなことを省くことはもう何も看板を掲げなくたって当たり前の話なんですよ、そんなことは。
 ただ、予算委員会、衆参を通じてやっていますね。それで与野党で話が一致しまして、とにかく今日の状態の中で大型連休をどうするのか、あるいは働く人たちの時間短縮をどうするのか――これ与野党ですよ、私どもだけ言っているんじゃないんですよ。そういうことについてお互いに話し合っていこうじゃないかということなんですよね。ですから、何でもかんでも減らせばいいというんじゃなくて、一体NHKもそういう流れの中で、大型連休といったってNHKの皆さん方が全部一緒に休むような職場じゃないでしょう、これは。そうなってくると、大型連休をしくときに服務体制はどういう格好にするのか、あるいは時間短縮をやっていくのにはどういう形でやっていくのかということになると、それは減る方ばっかり強調したっていけないんですよ。だから、そういう意味からいきますと、少し何となく、人を減らす、経費を節減すると言えばNHKの評判がよくなるみたいな発想は、正直言って僕はやめてもらいたいと思うんです。そんなことは当たり前の話だよ、むだがあれば省くということは。ですから、そういう意味合いじゃなくて、今大きな流れになっている一体働く人たちの時間短縮はどうするのか、大型連休で今世の中が変わろうという問題についてどう対応していくのか。そういう意味合いで、恐らくこういう看板を掲げる限りはいろいろ風圧もあるでしょう。そういう風圧もいろいろあるでしょうけれども、もう少し働く人の立場に立ってNHKの運営をしていくことを特にお願いをしておきます。これはお願いです。
 それからもう一つは、電電の法案でいろいろ議論しまして、私ども電電の法案の形態というのは賛成じゃありません、反対ですけれども。しかし、電電公社の経営形態を少し変えることについてはもちろん私どももそうならなきゃならないという視点はありますが、そういう法案の審議をしている中で、電電が民営化されて果たして一体NHKというのはどうなるんだろう。いや、別に今NHKを全く民営化しろという意味じゃないんですよ。どうも見てますと、今言ったような人員の問題にいたしましても、経費の問題にいたしましても、附帯業務の問題にいたしましても、率直に言って何から何まで郵政省いかがでございましょうかという格好でこれやられておったんでは、もちろん予算が全体どうなるか、これはもう公共料金ですから料金を勝手にNHKだけで決められても困りますし、いろいろ経営形態について、例えば受信料の問題も今言ったとおりでありますが、同時に番組を勝手に何でも民放みたいにやられてもこれはちょっといろいろ問題あるかと思うんですが、こういう基本は別にしまして、もうちょっと自由に物事が処理できないのかという実は考え方を持っているんですが、きょうこれ以上いろんなことで質問をして今にわかに結論を出そうということをしても無理だと思うんですが、多くの規制について、郵政省側もそうなんですけれども、NHKができる分野も少し広げてもらって、自由にやることを、もう一から十まで子供の面倒を見るみたいなようなことはやめてもらうようなことをひとつ検討していただきまして――何かありますか、大臣。
#30
○国務大臣(左藤恵君) NHKの経営基盤が国民の特殊な負担金等でもっているという性格と申し上げていいと思いますが、受信料から成り立っておるという特殊法人、現在そういう形で進んでおるという立場から見ますと、収支予算なり事業計画なりあるいは資金計画を国会で御承認になる、こういう形が現在の放送法の建前になっておりますので、そういった点から見ますと、協会の業務というものにつきましても法律に明定されている業務以外の業務を附帯業務でやるとか、いろんなそういった問題につきましては、やはり郵政大臣が判断する必要があるんじゃないか、このように思いますが、今先生が御指摘になりましたような、そうした言ってみればニューメディア時代に今のような体制でいいのか、こういう御指摘じゃないかと思いますが、そういう点から考えますと新しい放送サービスが登場してきて放送を取り巻く環境がどんどん変わりつつあるということでもございますので、我々としてはあくまで現在の日本放送協会のよって立っている基盤というものは変えることはなくとも、そうした新しい時代に対します放送に関します調査研究というものを省としてもやっていこう。そうして、公共放送のあり方がその中でどういうふうなあり方をしていただいた方がいいんだというような問題とのかかわりが出てまいりまして、そうした問題についても今先生が御指摘になったような問題につきましても、もう少し経営に関しますいろんな規制といいましょうか、いろんなことについても必要なものは必要、またそうしてあり方も十分考えていかなきゃならないんじゃないか、このように考えておるところでございます。
#31
○大森昭君 今大臣からもちょっと触れられたんですが、ことしの予算を見ますと放送法を検討するために調査費を計上してありまして、二年ぐらいかけてということなんでありますが、もう前々からこの放送法の問題は問題になっているんですが、これ二年ぐらいかけてまたできるかできないかというんじゃ、どうも今の大臣の決意もちょっと空虚に聞こえるんですが、この放送法を改正をしていくという展望というのはどのように大体構想されているんですか。
#32
○政府委員(徳田修造君) お答え申し上げます。
 来年度予算に計上いたしてございますニューメディア時代における放送に関する調査研究におきましては、この近年の電気通信技術が著しく発展してまいっておりますので、放送を取り巻く環境が大きく変わってきつつあるというところでございます。
 そういう状況を踏まえまして、当面この放送ニューメディアがどういうふうに将来なっていくか、あるいはそういうニューメディア時代におきます放送の役割はどうあるべきなのか、こういうようなニィーメディア時代における放送に関して有識者の方々による調査研究会議を設置いたしまして調査研究いたしたい、そのように考えておるところでございまして、長期的な展望に立った放送政策の策定を行ってまいりたい、これを計画では二年ぐらいかけて答えを出してその成果をベースにして放送法制の改正の見直しの検討もしてまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
#33
○大森昭君 二年というのはまた大臣もかわるし、局長もかわるんじゃないかと思うんです。実はまた二年と言ったけれども、どうなっているんだなんていうことのないようにひとつやっていただきたいと思うんです。
 この間テレビを見ていましたら、川口さんが四月からの新しい番組で大分抱負を語っておられまして、大変好感を持って聞いておったんですが、果たして川口さんの言うとおりになるのかどうなのかなというのは、また四月以降テレビを見てゆっくり感想を述べさせていただきたいと思うんです。
 最後に、いずれにしても、最近における社会の環境、価値観の変化だとか多様化だとかいろいろ放送環境のもとで協会の運営が必ずしも楽観を許さないと思うんでありますが、こうした状況を踏まえて川原会長の所感を述べていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
#34
○参考人(川原正人君) 御指摘のとおり、今社会は日本だけでなく世界とも非常に急激な変化をしていると思います。その中でNHKが従来と同じ仕事のやり方あるいは意識の中で、ただ先ほど御指摘ありましたように、効率化効率化と言ってその仕事のやり方、組織なり意識なりそのままにして、その経費を切り、人を切るということをすれば、これは企業は衰退するしかないと思います。
 そうではなくて、そういう社会環境の中でもっと新しい仕事のやり方をしていく、あるいは職員一人一人の仕事につきましても、従来六十年の歴史の中である程度の型はできておりますけれども、その型を打ち破った仕事のやり方をしていかなければならない。そういう意味で、NHKは役員、職員を含めて全部の意識が変わり、体質が変わり、そして組織も全部が新しい時代に適合するように変わっていかなければならない。その変革というのは、やはり自分自身の体を変えていくというのは非常に苦痛も伴いますけれども、その苦痛を乗り越えて私どもはさらに発展を続けていきたいというふうに考えております。
#35
○片山甚市君 私は、昨年の本委員会において受信料改定に伴う昭和五十九年度予算を審議した際、行革の名のもとに公共サービスの後退が著しい情勢の中で、特に公共放送としての使命を果たすため、国民的合意のもとに不偏不党の公共放送に立脚した確信ある自主自立の経常方針を立て、いやしくも単なる視聴率追随やスポンサーの意思に左右されるものであってはならないと申し上げ、我が国の文化生活向上に役立つものとして事業を遂行することを強く求めたものでありますが、前奥田大臣、現川原会長とも私の意見について全く異議がないということで御答弁がありましたが、六十年度の予算審議に当たりまして、冒頭に大臣及び会長から所信をお聞きしたいと思います。
#36
○参考人(川原正人君) 私ども協会の立場というものはあくまで全受信料を通じて全国民によって支えられている企業でございますし、またその本質は報道、言論あるいは文化機関というのが本質でございます。あくまで表現の自由を守り、不偏不党の立場に立って本当に視聴者の方々、国民の方々にとってなくてはならない情報機関として今後その任務を遂行するように全力を尽くしてまいりたいと思っております。
#37
○国務大臣(左藤恵君) NHKが公共放送機関として国民の要望にこたえた放送をしなければならない、そして豊かでよい良質の番組を放送して国民の文化水準の向上というものにも寄与していただく、私はこういったことがNHKの重要な任務であると同時に、NHKというものが放送法によってつくられた私は基本になるんじゃないか。そういう意味におきまして、郵政省といたしましてはNHKが法で認められ、またそうしたものが設立された趣旨を十分理解して努力していただいている、このように考えておるところでございます。
#38
○片山甚市君 NHKは言論の自由をしっかり守って、放送法第三条に基づく放送事業者が行う放送番組の編集の自由の保障について侵害されないように御努力を願いたいと思います。
 近ごろ、風潮によりますと、大変そのようなことについての危惧があるときでありますから、我が国が犯した戦前、戦中の言論や表現の統制支配という暗い時代に引き戻されないためにさらに努力を願いたいのです。いかなることがあっても、事業者及び監督者である大臣として、昨年度予算可決の際の附帯決議の第一項の趣旨にもとることのないよう毅然とした態度をとってもらいたいと思います。そうでなければ本日の予算審議はできない。放送の自由というものについて侵されることがない態度で大臣も会長も態度を強めていくということについての決意をもう一度確かめたいと思います。
#39
○国務大臣(左藤恵君) 放送番組につきましては放送法第三条によって放送事業者に「放送番組編集の自由」が保障されておるわけでございます。また、その編集につきまして放送事業者が自分の責任で自主的に行うべきものであるということで、このことについては確立されており、だれも侵すことができない問題である、このように考えております。
#40
○参考人(川原正人君) 報道、言論の自由あるいは表現の自由ということは自由で民主的な社会を築き上げていく私は大前提だと思っております。もちろん、NHKもそのようなジャーナリズムの一翼を担う機関として、また御指摘のように、放送法においてもそのような趣旨で三条を初めいろいろ表現の自由を確保するための規定も設けられております。私どもとしては当然この表現の自由を守るということを大前提としてこれからの仕事を進めてまいります。
#41
○片山甚市君 いかなることがあっても放送法第三条を守ってもらうということでなければ、番組についての信用も、国民の言論の自由を保障することもできないということを繰り返して訴えて、次の問題に移ります。
 衛星放送でございますが、先ほど大森委員の方からもお話がありましたが、私は観点を変えて予算的な立場からお聞きします。
 事業計画は昭和五十五年度を初年度とする三カ年経営計画の大前提として進められることになっておりますが、事業収入が対前年比一・三%、受信料収入では一・一%の伸びに対し事業支出は対前年度比四・三%増である点、事業が充実したということなのかどうかであります。
 建設計画を見ると、建設投資総額は四百九十億円、前年度比一一・三%の増でありますが、うち衛星放送設備関連費用は七十六億七千万円でございます。新メディア実用化のための施設整備費九十三億一千万円の八二%になっております。NHKの建設投資総額に対しては一九%という予算でありまして、予算に占めるウエートは非常に高い。中でも資料によればゆり二号bの打ち上げに三十五億二千万円、ゆり三号に二十七億一千万円もの経費を要することになっております。ゆり二号b打ち上げに要する費用は受信契約総数三千百十六万世帯からの受信料収入三千二百七十一億九千万円の一・八%も占めておるのであります。しかし、不幸にして欠陥放送衛星となりましたゆり二号a打ち上げによって難視聴解消として四十二万世帯は一挙に解消したことになっておりますが、総額六百十億円も使って打ち上げたBS2、いわゆるゆり二号は一チャンネルの放送を辛うじて続けている状態であり、決して所期の目的を達成したと言えないし、原因の究明も対策も納得できるものではありません。今年度の事業計画や予算に占めるウエートの大きさから見ても、今日までの問題点、ましてや視聴者・国民に与えた経済的損失、商業主義的ニューメディア志向の押しつけ、拙速な放送技術、機材への不信感などに対する責任をあいまいにしたまま同じ危険負担を認めるわけにいきません。
 そこで私は、NHKの放送衛星の開発のあり方、責任の所在、将来の展望、その他について今日まで再三問題点を指摘してきたが、予測した不幸な事態が次々と現実のものとなり、それを解決していない現状を関係者はもっと深刻に受けとめ、真剣な対応を求めるものであります。
 そこで、まず、昨年三月、A系統中継器が、同五月、予備のR系統中継器が故障したまま、鳴り物入りで開始されたNHK衛星放送一チャンネルの試験放送を続けているいわゆるゆり二号a、BS2aでありますが、について昨年十月、放送衛星対策特別委員会が中間報告を行ってきましたけれども、その概要についてまず説明してもらいたいと思います。
#42
○政府委員(奥山雄材君) 昨年一月二十三日に打ち上げられましたBS2aのA系統並びにR系統に相次いで故障が起こりました後、五月十四日に宇宙開発委員会が放送衛星対策特別委員会を発足させまして原因の究明を鋭意行ってきたところでございます。その過程で、ただいま委員御指摘のとおり、昨年十月に検討結果を発表しております。
 それによりますと、故障の原因は中継器の中の進行波管の温度が真空中では当初予想した以上、予期した以上に上昇することがわかりまして、そのために進行波管の陰極に含まれているバリウムが蒸発して管内の絶縁物に付着して絶縁劣化を起こし、ブレーカーが働いて保護回路が働いて切断されるということに起因することが判明したわけでございます。その検討結果が放送衛星対策特別委員会に報告されまして了承を得たところでございます。
#43
○片山甚市君 そうすると、中継器の故障原因を要約すると、進行波管の陰極に含まれているバリウムが蒸発し、内部の絶縁物に付着し絶縁劣化を生じたということであると考えます。
 これまで政府や宇宙開発事業団、特に理事長などが両中継機器の故障現象が異なるので、A系統は機能回復の期待が持てるとの発言を繰り返していたが、結局のところもう機能回復については絶望的だということですか。
#44
○参考人(船川謙司君) お答えいたします。
 昨年の九月から十月のいわゆる食期間を利用いたしましてA系統及びR系統の再起動試験を試みました。A系統につきましては、御承知のとおり、スイッチを入れてから二、三ミリセコンドですぐトリップオフ、いわゆるブレーカーが働くというような現象がございまして、これにつきましては、その後の検討で多分先ほどから話が出ていますそのバリウムの若干の堆積で、それほど大きくない絶縁の低下が起こっておりまして、そのためにちょっと中の電気回路の状態が変化しておると。ですから、これは保護回路を外してやれば多分再起動できるだろうというふうな見通しがついておりまして、これにつきましては、試みました結果再起動することができたわけでございます。
 しかしながら、非常に不幸なことには、再起動した後にまたちょっと違った現象があらわれまして、やはりどうも長時間放置しておくと、らせん回路の電流が増加するというふうな現象がこれにも見られるというような事態になりまして、ここで実験を中断しております。
 したがいまして、現在のところA系統及びR系統の両方につきまして、先ほどから話が出ております熱の異常な上昇のためにどうもバリウムが堆積しているというふうに考えられますので、現在のところ回復の見込みは非常に少ないであろうと考えておりますが、我々としてはまだ完全にあきらめたわけではございませんで、今後何かそういうスイッチのオン・オフのやり方の工夫だとか、そういうことでなおトライすることも検討しておるところでございます。
#45
○片山甚市君 機能の回復についてはあきらめてはいないが回復する見込みは持っておらない、言葉をかえて言えば絶望的であるというようにとれます、科学者ですから希望を託してやるのは当然でありますから。
 そこで、バリウム付着の度合いが異なると言っても、同一原理のものであるとすれば、現在作動しているB系統にも波及しないとは限らないのではないか。既にB系統中継器も何回か原因の確定できないトラブル、放送中断の現象が起きておるというふうに聞くのですが、現状と機能維持についての見通しについて御説明願いたい。
#46
○参考人(船川謙司君) お答えいたします。
 B系統につきましては、おかげさまでその後非常に順調に働いております。当初AとRが非常に状況が違うのでB系統にはこういうことは起こらないだろうと、こう申し上げていたわけでございますが、むしろこの熱の異常上昇というようなことが大体原因と推定されますと、Bの方にも起こる可能性がむしろ考えられてきたわけでございますが、幸いにしましてNHKの方及び衛星放送機構の方で温度を上げないような運用に今非常に努力していただいております。そういうこともございますし、また若干のどうしても進行波管を使っているこの出力管でございますが、それの特性のばらつきがこの球はどうもいい方に寄っていたというようなことがあったためだろうと考えられますけれども、今のところ非常に順調に働いております。昨年秋の食期間では非常にトリップオフが起こりまして苦労したわけでございますが、おかげさまで今度の食は割と順調に運用されているというふうに伺っておりまして、我々としましてはBチャンネルについてはこの後の心配はそうないんではないかというふうに考えております。
#47
○片山甚市君 暗い中でもほっとする明かりのようなことでありますから、今理事者が言うように、完全に放送が続けられることを祈ってやみません。
 そこで、放送衛星対策特別委員会の中間報告では、進行波管内のバリウム蒸発は厳しい宇宙環境下で極端な温度上昇及び低下が原因だとしているが、温度変化は当然考えられる現象である。今回の故障原因などは地上テストの段階で回避できたものではないか。三万六千メートルの上で温度が一定するなどと思って打ち上げたとすればちゃんちゃらおかしい。上がった下がったというのは当たり前のことであります。子供でも知っていることです。それをぬけぬけとそういうことで言いわけするというのはどういうことですか、説明してください。
#48
○参考人(船川謙司君) 先生の御疑問まことにもっともでありまして、我々も不明を恥じているわけでございますけれども、少しまた言いわけがましくなりますけれども、ちょっと事情を言わしていただきますと、この放送衛星の上がる前はすべて通信衛星用の進行波管でございまして、十ワットとか二十ワットとか、そういうオーダーの進行波管を宇宙に打ち上げておったわけでございまして、こういう進行波管の場合には衛星の中に完全に進行波管を入れまして非常に温度環境をよくして余り変わらないような環境で運用しておったと。そういう点で搭載用の進行波管というのはもう世界的に実績ができてきたわけでございます。今度初めて我々がこの放送衛星で百ワットという高出力の進行波管を使おうとしたわけでございますが、これは非常に高出力のために、冷却方法としまして進行波管のコレクター部と称しまして最後に電子ビームが集まるところでございますが、それを宇宙空間にむき出しにして、それで冷やすというふうな新しい方法をとっているわけでございます。これにつきましても製造の過程で十分検討いたしまして、そういうコレクター部を真空の冷却の中で何回も冷却テストをして大丈夫だということを我々としては開発の過程で確かめたわけでございますが、非常に問題なのは電子銃部――電子ビームをつくる方の熱の問題に若干どうも我々の当初の見通しが十分でなかったところがございまして、電子銃部からの熱の放散がやはり非常に温度環境に対して十分に放散できないと、そういう問題が生じまして、それで真空の場合と大気中の場合とで電子銃部の温度が二、三十度異なるというふうな現象が生じてしまったわけでございます。実はこういうことはなかなか初めてのことなので予期するのは難しかったわけでございますが、我々としましてはその打ち上げ前に、これはフランスのトムソンの会社の製品でございますけれども、地上試験でできるだけの通電試験、それから寿命試験などをやりまして大丈夫だろうというふうに自信を持ってやったわけでございますが、結果的に見て大変御迷惑をかけて不明を恥じている次第でございます。
#49
○片山甚市君 新しい理事長とか役員だからぬけぬけとそのときと違って言えるけれども、前に聞いておる立場から言えばちゃんちゃらおかしい。そういう泣き言は聞きたくないんです。
 進行波管が当初のヒューズ社の製品からトムソン社製にかえたことに問題があるのじゃないか。初めはヒューズ社の大きいのを使うはずだったのが、トムソン社の製品の方が小さくて便利だということでかえたというふうに聞いておるのですが、トムソン社製については十分にテストはできておるのかということについてですが、テストの時間が短くて十分でなかったと言われるし、これの決定については宇宙開発事業団とNHKとの間にも意見の相違があったように聞いておるのですが、その点はどうですか。まず事業団から聞きます。
#50
○参考人(船川謙司君) 先生御指摘のとおり、初めの実験用の放送衛星ではヒューズの進行波管を使っておったわけでございますが、これは今のらせん型の進行波管と違いまして、比較的古いタイプの空洞結合型と称しまして非常に重たいものであると。三本にしますと十三キロぐらい重量が違うものでございまして、しかも当時この球の製造も大体製造ラインが閉鎖されておりまして、要するにだんだんこういう球が世界の主流じゃなくなりまして、余りもうそういう生産の準備をしてなかった。一方、らせんを使いました進行波管の方はこれからの放送衛星に使うということで、当時フランス、ドイツあたりの放送衛星の準備のために、百ワットではございませんけれども、二百ワットの球の計画がございまして、そういうところでトムソンの方で比較的早く手がけておりまして、試作モデルでございますけれども非常にいいものができておったということでございます。そういう、ヒューズの方ですぐには生産ラインは再開できないというようなことと、この球が将来非常に見込みがある、現に相当いい試作モデルができておるというようなことで、これについて関係者がいろいろ協議いたしまして、こちらの球の方が将来の衛星放送に非常に有用であろう、またこれからの開発のスケジュールにも十分間に合うというようなことで、この球の採用に踏み切ったものでございます。
#51
○片山甚市君 そうすると、テストの時間が十分あったし、機器としては信用があったんだというように説明したと聞いておきます。ところが、打ち上げたときに食の期間に入ったので調査ができなくって、事故がわからなかったということを聞いておるんですが、そういうようなことについては宇宙開発事業団はわかっておったんですか。
#52
○参考人(船川謙司君) これは、結果的には衛星の本体の開発と進行波管の開発が並行して行われまして、いろいろスケジュール調整等で非常に途中苦労いたしまして、それからまたいろんな進行波管のテストの場合に、テスト用の、何といいますか、装置のふぐあいなど起こりまして、いろいろトラブルはあったわけでございますけれども、そういうことは開発の過程でいろいろあることでございまして、そういうことは一応全部何とか処理できて、打ち上げの前には我々としましては大体確信の持てるものを打ち上げられたというふうに考えておるわけでございます。
 食のときにわからなかったとおっしゃることは、ちょっと私よくわかるないんですが、一月に打ち上げまして、三月に入りましてから機能チェックということで初めて進行波管に灯を入れまして、ずっと特性のチェックをやっておったわけでございますが、三月二十二日、A系統の故障が起こるまでは全くその特性に異常がなかったというふうに考えております。
#53
○片山甚市君 点検について、食の期間に入ったのでできなかったから救済がおくれたという説明を昨年されました。今そういうことは百も承知でやったというんですから、それについてもう一度議事録を確認して調査して答えてほしいと言いたいところですが、そう言ったところで三百代言みたいな宇宙開発事業団ですから、ああ言うたらこう言う、こう言うたらああ言う、聞きません、信用しておったらもっと聞くけれども。また何とか言い繕う。食の期間があったので調査ができなかったということは、郵政省がことにこめかみに力を入れて我々に説明をした。他意がない。こんな時期があるとは思わなかった。こんなところに遭遇するとは思わなかったという説明を郵政省は説明しておるわけです。事業団の理事長やめたけれども、うつむいて黙って聞いておったじゃないですか。今大きい顔して言わんでよろしい。
 私はテストが宇宙環境下を想定した厳しいものであったとは思えないし、慎重な事前の対策がなされたと言えないという疑いを持ちます。中間報告によると、ゆり二号bに対して進行波管の温度を下げる措置を講じ、再度熱真空試験を行うことが必要であると指摘をしておりますが、宇宙開発事業団はゆり二号b用の中継器に対し具体的にどのような対策を施したのか。また、中継器の熱真空試験はどのような体制のもとで行ったのか。まず、宇宙開発事業団から説明してください。
#54
○参考人(船川謙司君) まず、中間報告で御指摘のございましたように、進行波管の中の異常な温度上昇を防ぐために、我々はサーマル・シャントと称しておりますが、金属板を、先ほど温度が上がると申しました電子銃部に巻きまして、それを下の基板といいますか、そことの間の熱伝導を非常によくするようにしたと。それからまた、ヒーター電圧を若干下げられるようにいたしまして、やはり温度を下げるようなことを考えたと。それからまた、電源とのインターフェースといいますか、そういう調整の問題で電源がオフするときに少し余分なエネルギーが行くんじゃないかというような問題がございましたので、そういう回路も直すように手配いたしております。
 そういう手配をいたしまして、この一月からそういう改良をいたしました中継器といいますか、進行波管増幅器の熱真空試験を行ったわけでございますが、これは現物がアメリカのGEにございますので、アメリカのGEに日本の技術者――これは宇宙開発事業団、それからNHK、通信放送衛星機構、もちろん契約者の東芝の技術者も含めましてGEにずっと駐在いたしまして、そういう熱真空試験でこういう措置が効果的だったことを確かめようということでやったわけでございます。約二カ月間テストいたしまして、そのうちの二チャンネルにつきましては全く問題なく正常に試験が行われたわけでございますが、Bチャンネルというところに使っておりますTWTにつきましては若干特性の不安定さが見られましたので、これはほかの二チャンネルの試験を先行することにいたしまして、その後真空槽から出しましていろいろ点検したわけでございますが、やはりある特定な温度範囲で少し特性が不安定になるところがあるというようなことがございましたので、これはメーカーの話だと再調整すれば直る程度の特性の不安定だということだったわけでございますけれども、念のために交換するというようなことを考えまして、交換する球の単体としての熱真空試験を終えまして、大体交換できる球ができまして、交換の作業をしているというところでございます。
#55
○片山甚市君 今御説明のありましたように、GE社でこちらから派遣された技術者が立ち会ったというんですが、管理監督責任は日本政府が持つんですか。それとも、アメリカGE社が持つんですか、その結果について。こちらは立ち会ったんですから、それはもう行った者がもし間違ったら責任とってくれるんですか。GE社にかわって説明しておるんですね。
#56
○参考人(船川謙司君) これは契約者として監督、指導といいますか、そういう作業をしておりまして、これの試験の計画の進行、それから評価その他一切こちらの方で日本側に即刻データを送らして、我々の方で関係機関と協議しながら、評価をしながらやっておりまして、それの進行全体の責任は宇宙開発事業団が持ってやっております。
#57
○片山甚市君 今までもそうですが、我々はブラックボックスでないのかと言ったら、そうでありませんという話をするし、いざとなるとよその会社が悪かったような話もするし、いろいろと言いわけするところですから、妖怪変化ですから、これぐらいにしておきましょう。
 しかし、いかに微妙な不調であっても、中間報告で指摘された対策を施したにもかかわらず、再び不調が生じているとすれば、事態を深刻に受けとめなければなりません。先ほど会長のお話によれば若干でも疑念が起こるような状態であればNHKとして打ち上げについて賛成できないということについて確認をし、それでもしその疑念が晴れて打ち上げるときには、大森委員の説明によれば、事前にいつ幾日打ち上げられるようになりましたということを郵政大臣の方から逓信委員長の方にも御連絡をして、ほっと胸をなでおろすことになるかどうかということだというように聞いております。
 そこで、中間報告の推定原因や対策そのものが問われることでありますから、今後どのように地上試験の強化をやり、解析、評価を行うのかであります。一体最終的結論を出すのはいつごろに出せば、いわゆるゆり二号bの九月ごろの食の時期に打ち上げるというのに間に合うのか。いつごろになるんでしょうか。
#58
○参考人(船川謙司君) 一つだけ悪い進行波管がございましたので、これは単体としての熱真空試験はもう十分終わったと考えておりますけれども、このデータの評価及びこれからこの進行波管を中継器に組み込みまして今度は中継器としての試験をこれからやっていかなければいかぬ。そういう段階におきまして宇宙開発委員会の特別委員会あるいはその下の技術小委員会でいろいろ議論していただきまして、これが大丈夫だとなったら次のステップへ進まれるわけでございますが、我々としましては大体昨年の十月の中間報告に基づきまして対策を施しまして、その方向は大体妥当と考えて差し支えないんじゃないかと我々思っておりますが、これからそういう技術的な判断を宇宙開発委員会の方で仰がなくちゃいかぬわけですけれども、そういうステップを踏みながら、これは打ち上げの前までにもう絶えず我々としましては宇宙開発委員会の方といろいろ連絡をとりながら、最終的には宇宙開発委員会の打ち上げ前の御判断、これはいつも打ち上げの一カ月ないし二カ月前に今までのそういう対策すべてを含めて御審議していただきまして、これでいいということになりましたら打ち上げるというようなことでございますので、本当の意味で最終的にゴーがかかるというのは打ち上げの約一カ月か二カ月ぐらい前になるんじゃないかというふうに考えております。
#59
○片山甚市君 納得できません。予備機であるゆり二号bの打ち上げについて、これは九月十五日ごろだという初めの話でありました。郵政大臣及び会長とも先ほどもお話がありましたけれども、BS2a――ゆり二号aの故障原因が解明され、BS2b――ゆり二号bに万全の対策が講じられなければ打ち上げることはできないと再三にわたってここでも言明されてきました。今までの質疑を通じましても明らかなように、打ち上げの二カ月か三カ月前になったらわかるだろう程度だったら納得できないんです。そういうことで、原因についての明快な解決ができないどころではありませんで、宇宙開発事業団の理事長は昨年私たちに、昨年の十二月段階で結論が出なければ八月打ち上げは無理だという見解を示しております。今ぬかしておるのはどういうことですか、ぬけぬけと。打ち上げの二カ月ぐらい前になったら考える、そんなでたらめなことありますか。お金使うんですよ。子供がおもしろ半分に小遣いでこま回しをしたり、めんこ遊びをしておるのと違うんです。ちゃんとお金が要るんですよ。ゆり二号bを打ち上げるについてはどういうことで大臣や会長は考えるんですか。こんな程度であって打ち上げますとか予算を認めてくれとか言ったって、NHKの赤字になる原因というものは、難視聴解消とかいう名前でまんまとうまくつって放送衛星というむだ金を使っておるために、アメリカもイギリスもフランスもどこもやらないことをおもしろ半分に科学技術振興のためにモルモットにされるのはたまらぬのでありますから、まず大臣も、今のような状態のことでは打ち上げることができないと。昨年私たちに説明したように、昨年十二月段階で結論が出なければ八月ごろに打ち上げることは難しいと宇宙開発事業団の理事長さんが言うておった。今聞いたら、いやいや、二カ月か三カ月前に決まったらできますと。だれに頼まれて宇宙開発をしておるんでしょう。監督官庁である大臣、そのあたりは難しいけれども、アメリカから通信衛星を買えと言われてふらふらしなきゃならぬ、これは放送衛星打ち上げたちスカタンになる、これは大変でありますから、左藤大臣が肝っ玉を見せて決断をする時期に来たと思いますから、ひとつ御所見があればとりあえずいただき、会長のそれについての御意見も賜りたい。
#60
○国務大臣(左藤恵君) BS2bの問題でございますけれども、もちろん十分な地上試験をし対策を講じて、そしてこれならば大丈夫というような形のものになって初めて打ち上げに取り組むべきことであって、今までのようなBS2aにおきますいろんな事故というふうなこともありますから、そういった事態は絶対に繰り返すことのないような配慮をしなければならない、そのように考えております。
#61
○参考人(川原正人君) 私どもも、先ほど申しましたように、このaの事故という非常にある意味では貴重な経験も持っておりますし、反省すべき問題があるわけでございますけれども、これを十分に反省の材料といたしまして、bについては少なくとも技術的にはこれでもうあらゆる手は尽くしたと、大丈夫だという状況でなければ打ち上げには賛成できないということでございます。
 ただ、打ち上げとその確認との間にどのような時間的なゆとりがあるのか。これはやはり専門の宇宙開発委員会なりあるいは宇宙開発事業団の方の判断にまたなければならないと思いますけれども、少なくとも私どもとしては、時間のスケジュールを前提として見切り発車というようなことだけはやめていただきたいというように考えております。
#62
○片山甚市君 大臣と会長の言葉を聞きながら、それでいいと思います。なぜならば、巨額なお金を使うだけでなくて、国民が注視をしてじっとかたずをのんで見ておる問題でありますから、再び間違うことがあれば、我が国の技術もそうでありますが、我々逓信委員会にかかわった者もそこつ者として国民から非難を受けると思います。そういう意味で慎重な上にも慎重に、きちんと目鼻がつくまで急がずに、日程を追うことなく成功さしてもらいたいと思います。
 現在、衛星放送用受信機はどの程度普及しておるのか、昭和五十九年十二月現在でもよろしいから、大体説明を願いたいと思います。
#63
○参考人(矢橋幸一君) 衛星放送受信設備の普及につきましては、BS2aの事故で一チャンネルの試験放送ということになっておりますけれども、やはりその影響があるようでございまして、当初期待していたよりは若干普及が伸びていないという状況でございまして、五十九年の十二月末で把握しております衛星放送の受信世帯数は約三万八千世帯でございます。
#64
○片山甚市君 ゆり二号を打ち上げるときには四十万加入ぐらいの難視聴地帯に対する手当てをすることで発足しました。今日、その一割である三万八千世帯、難視聴かどうかは別としても。お金が要るからできてないということを聞きました。それについて、NHKだけでも三百六十億円のお金、国の分担金を合わせると先ほども申しましたように六百十億円もの巨額が投じられて、そして結果的に一チャンネルでありましても放送されておるんですが、それでも受信者は三万八千世帯しかない現状であります。非常に残念である。NHKは仕方がないからハイビジョンの宣伝をすることによって免罪を受けようというか、一生懸命に技術の面で努力をしておることは涙ぐましゅうございますけれども、本体の放送衛星が完全に五体満足にならぬ限り大変厳しい状況だと思いますから、先ほど来申しますように、ゆり二号bの打ち上げについては万全を期してもらって、我々が乾杯ができるように、喜びをかみしめられるようにしてもらいたいと思うんです。
 また、ゆり二号aは打ち上げ保険を掛けたが保険金は出ず、寿命保険は契約もできないままだといいますが、昨年六月二十八日の本委員会での質疑から見ても、関係機関相互間の契約内容で責任の所在が不明確ということであり、NHKにとってまさしく泣きっ面にハチということでありましょう。それは同時に視聴者・国民が最大の被害者として受信料で払うことになるからです。なまじ前宣伝が華々しかっただけに一層罪深いと言えます。関係機関は、それぞれどのようにこのふぐあいになったことについて責任をとられるのか。まず郵政省、その次宇宙開発事業団、通信・放送衛星機構、最後にNHKと、このふぐあいになったことの責任をどのようにとられるのかについてコメントを賜りたいと思います。
#65
○政府委員(奥山雄材君) BS2の打ち上げにつきましては、五十三年に実験用の中型放送衛星、いわゆるBSが打ち上げられました後、実用の放送衛星を打ち上げるべきかどうかを検討するために、五十四年の四月にBS2連絡会というものを設けました。その連絡会の構成員として郵政省、NHK、宇宙開発事業団、通信・放送衛星機構、四者で寄り寄り協議いたしまして、その協議の結果を踏まえて、同年の六月に宇宙開発委員会に対して宇宙開発計画の見直し要望を出したところであります。そうした見直し要望を受けて、翌年五十五年の三月に宇宙開発委員会がBS2の打ち上げを織り込んだ計画をまとめてゴーのサインが出たわけでございます。
 その意味におきまして、このBSのみならずCS等も同様でございますけれども、国の宇宙開発計画につきましては、宇宙開発委員会が中心としてまとめる宇宙開発政策大綱並びに宇宙開発計画に基づいて関係者の総力を挙げた共同プロジェクトであるというふうに認識をしております。
 その意味におきまして、共同プロジェクトの中で、郵政省として、通信並びに放送を所管する主務官庁として、私どもがこのBS2の開発並びに利用に参画をしてきた点につきまして、結果的に2aについてふぐあいが起こったことにつきまして大変遺憾に存じ、また御支援いただきました先生方に申しわけなく思っておるところでございます。
#66
○参考人(大澤弘之君) ただいま局長から御答弁がありましたような事情でございますが、多額の経費を投入いたしましたこのゆり二号aの故障で一チャンネルの放送しかできていないという現実につきまして、私ども開発を担当いたしました事業団といたしましては、大変厳しくその責任を受けとめておる次第でございます。
 私どもといたしましては、今も御審議にございましたように、原因の究明、対策、これを十分にしていくことが我々の責務を果たすことだと考えて、今鋭意進んでおるところでございます。
#67
○参考人(大竹利男君) 機構の立場から契約上のことで申しますと、打ち上げ時以降に損害をこうむった場合には、事業団に故意がある場合には機構は事業団に対して損害賠償を求めることができますし、また、NHKに対しましては、機構が事業団に求償し得る範囲において損害賠償の責に任ずるというふうになっているわけでございますけれども、いずれにいたしましても、このBS2aの中継器の故障につきましては、通信・放送衛星機構といたしましても、事態を重大に、深刻に受けとめているわけでございまして、NHK、NASDA、関係機関と緊密な連絡をとりながら原因の究明、対策措置について、これからできる限りの努力をしていきたいというふうに存じているところでございます。
#68
○参考人(川原正人君) NHKとしまして、受信料から多額の経費を使いながら放送衛星の二号のaが順調な機能を発揮してない、半分の機能しか発揮してないということにつきまして、受信者の方々にまことに申しわけないと思っております。今二号aの原因につきましても、ほぼ原因は突きとめられたようでございますけれども、最終的な原因あるいは最終的なメーカーの責任というものも、今なおはっきりしてない点もあるようでございますので、もし損害賠償等の可能性があるのであれば、それは、十分にそれぞれの関係の機関において権利を行使していただきたい。そして、NHKに対しても、もし何がしかでも補償するような余地があるならば、それはぜひしていただきたいと考えております。
 しかし、それはそれとして、なかなか微妙な問題でありますので、損害賠償ということにはなりにくいかと思いますけれども、少なくとも、この次上げる2bにつきましては、あくまで万全の対策を講じていただいて、予定どおり所期の機能をこの2bが発揮してもらうこと、そのことが、私どもの今果たすべき一番の責任であろうというふうに考えております。
#69
○片山甚市君 こう申しましたのは、過去のゆり二号aの話でなくて、BS3の問題に関係しますから、明確に言っておきたいんですが、損害賠償の問題と契約保険の問題が成立しない不安定な中では、BS3も計画できない、計画実施をできないということを言いたかったのです。
 それから、ぜひともゆり2号bの成功をさせて、ゆり3号を打ち上げるときには、保険がかからないなどというような不安な状態でなくて、保険を掛けろと言えるようにしてもらいたいということです。これ以上言いません、時間がありませんから。
 最後に国際放送について一言言います。国際交流の進展を通じ、国際社会の一員としての平和日本の理解を深める観点から私はこれまで国際放送充実強化を主張してきましたが、今日なお我が国の国際放送は、欧米先進国に比較して予算とか規模とも格段に劣っている現状であります。我々の追及に対し政府は、当面NHKの負担で八俣送信所の整備を行い、国が今後交付金の増額に努めるほか積極的な措置を講ずるということでありました。しかし、ことしは交付金が下がったのでありまして、ふえておりません。これで十分な対策とは言えないのでありますが、大臣は、国際放送の重要性についてどう認識され、どういうように強化していくのか、最後に質問します。
#70
○国務大臣(左藤恵君) 国際放送の意義また重要性というものは、私は、今日国際社会に我が国が入ってまいりまして、その地位が向上しているとかいう立場から、また我が国の実情を諸外国の皆さんによく知っていただき、正しく理解していただく。そして、あわせてもう一つは、海外に在留邦人が非常にふえてまいりまして、こうした人たちに的確な情報をお伝えする。こういったいろいろな面での国際放送の意義が今日ますます私は高まってきたと、このように考えております。
 そこで、今御指摘の交付金が実質的に減額になっているんじゃないか、こういうことでございます。
 現在、国際放送の受信改善のために八俣の送信所の整備がことしから四カ年にわたって順次整備されております。そしてまた中継局も、ガボンを加えるとかいろいろなことをやっておりますが、大変なこれはお金がかかることでございます。
 そうした点で国際放送に対します交付金が前年に比べて若干減額されたと、こういうことについて先生のお話でございます。
 郵政省としては、何とかこれを増額したいということは念願しておるわけでございますが、現下の厳しい財政事情のために、まあ努力いたしましたけれどもこの程度の結果になったわけでありますが、今後とも国際放送の重要性にかんがみまして、私は、この内容の充実もあわせて多角的に努力していかなければならない問題だと、このように考えておるところでございます。
#71
○片山甚市君 最後に受信料の収入の改善について、受信契約の収納率の向上を図るためにも外務職や委託集金人等について適正な措置をとらなきゃならぬと思っておるところです。そこで、時間がありませんから簡単に意見を述べておきます。
 委託集金人の一部で組織されている全日本放送受信料労働組合から都労委に不当労働行為救済申し立てがなされており、現在都労委から和解のあっせんがなされているとのことでありますが、協会として、これについてしっかり取り組んでもらい、和解である以上当事者間で十分話し合い、労使問題でありますから労使間で結論を出してもらいたい。集金業務や契約業務はNHKにおいては非常に重要な三千二百億円の収入を得るために三百五十何億円の金を使って契約を更新していくということでありますから、この集金の関係は十分に配慮してもらいたい。三千二百億円のお金をもうけるのに三百五十億円程度の契約更改のための手続が要る。その働いておる人たちがしっかりお金を集めるかどうかによって、契約者を逃がさないで済むようになる。そういう意味で、この案件についても、一部でありましても労働組合から要求されていることについて十分に和解ができるように努力をしてもらいたいと思います。
 会長から一言お願いします。
#72
○参考人(松本幸夫君) 今御指摘の委託者とのいざこざの問題でございますけれども、これは五十九年度の処遇改善をめぐりましての対立でございまして、大変遺憾ながら、今まで数十回にわたる交渉を重ねてまいりましたけれども、解決に至らずに現在に至っているという状況でございます。私どもといたしましては、先生が今御指摘のように、できるだけ自主的にこの問題については解決いたしたいというふうに考えまして、何度も自主交渉をやろうではないかという呼びかけもいたしました。幸いなことに、今月に入りましてそういった双方で話し合おうという機運が熟してまいっておりますので、私どもとしては積極的にこの問題には誠意を持って対応してまいりたいというふうに考えております。
#73
○宮田輝君 ことしは日本で放送が始まって六十周年、ラジオからテレビジョンへ、テレビジョンも白黒からカラーへと移りまして、お客様、つまり受信契約者数も三千万を超えております。今話題にもなっておりますが、いわゆるニューメディアでNHKも音声多重とか文字多重、あるいは衛星放送、さらにPCM放送やハイビジョンと、まさに放送は花盛りということになることも予想されるわけであります。しかし、めでたさばかりではなくて、技術開発を含めて放送には莫大な費用がかかります。NHKの場合はそれを受信料に支えられているというわけでございますから、将来の受信料体系をどうしていくか等、経営上の大きな問題が横たわっております。
 そこで、まずニューメディアの実用化で、衛星放送でございますが、今お話しのように一波のみで試験放送でまことに残念であります。ことし打ち上げる予定のBS2b、また数年後のBS3については、これは先ほどから議論がありましたように、私どもはさらに大きく期待を申し上げておりますが、BS3の段階あたりでは、あのきめ細かい画面のいわゆるハイビジョンの実用化も期待してよろしいんでしょうか。いかがでございますか。
#74
○参考人(矢橋幸一君) ハイビジョンの実用化とBS3との関係だろうと思いますけれども、ハイビジョンの技術につきましては、我々の方で次世代のテレビジョンとして十年以上前から研究しておりますけれども、その研究が実りまして、現在ではハイビジョン用のカメラとか、VTRとか、あるいはテレシネといった、そういった番組制作に必要な機器は全部できております。それで、そのほか番組をつくって、それから電波に乗せて受信者に届けるという伝送の技術ですけれども、伝送につきましてもMUSEという帯域を圧縮するという新しい技術を開発しました。ハイビジョンというのはもともと大変情報量の多い映像でございますけれども、現在のテレビジョンの大体五倍ぐらいの情報量、簡単に言いますと今地上の五つのチャンネルを使わなければ放送を出せない、衛星でいきますと二つのチャンネルを使わなければならぬ、それを一つのチャンネルで伝送できるという、今言われているMUSEという新しい技術も開発しました。そういうことによりまして、番組制作から、電波の送信から、受信機の方も開発しております。一貫したいわゆるハイビジョンのシステムとして技術的には一応でき上がっております。
 ただ、今後やはりやらなければならないものがたくさんございまして、国内及び国際的な技術の基準というものをつくりませんといけません。その基準の問題、それから受信機がまだコストがとても高いものですから、受信機のコストを安くする問題、それから、これはもちろん一番大事なハイビジョンの特性を生かしたソフトウエアの開発、これもこれから至急やらなきゃならないという課題がたくさんございます。そういったものに今後積極的に取り組んでいきまして、BS2におきまして技術実験をやる、あるいは現在疑似衛星でございますけれども、科学万博で実際に小さな、狭い場所ですけれども、電波を出して実験をやっております。そういった実験を通して試行錯誤を繰り返しながら、我々の希望としてはBS3の段階で実用化できたらという希望は持っております。
#75
○宮田輝君 そこで、今国際基準というお話もございましたけれども、仮に国際規格が統一されたという場合、NHKの持っているハイビジョンの特許、それからその特許の許諾による使用料といいましょうか、そういうものはどの程度期待できるんでしょうか。
   〔委員長退席、理事片山甚市君着席〕
これは受信者に還元されるという大事な財源につながるんじゃないかと思いますので伺います。
#76
○参考人(矢橋幸一君) 我々としても国民の受信料を使って研究をやってきまして、ハイビジョンにつきましてはいろいろな特許がございます。先ほど申し上げましたMUSE方式という新しい技術、これは一番大きな特許かと思いますけれども、これにつきましてはアメリカ、イギリス、それから欧米の七カ国へ現在特許を出願しております。そのほか、いろいろそれに関する特許が十五ぐらいございますけれども、そういった特許を出願しておりまして、ハイビジョンというものは決して放送だけではなしに、放送以外のメディア、例えば印刷の分野とかあるいは映画制作とか、いろんな広い分野へハイビジョンというものは使われていくだろう。いわゆるこれからの高度情報化社会の中の中核として、機能として幅広く使われていく。そういう意味から申しますと、放送以外に非常に幅広くハイビジョンの技術が使われていくということから考えてみますと、我々としてはこれから副次収入というものはかなり希望が持てるのじゃないか。特に、先ほどお話がございましたように、国際的な規格統一を行いますと世界じゅうが同じ規格になる。現在テレビジョンは御承知のように、世界でSECAM方式、PAL方式、それからNTSC方式の三つの方式がございまして、いわゆるニュースあるいは番組の国際的な交換、あるいは外国との番組の共同制作、そういった面で非常に支障を来しております。これが世界的に統一できますと、世界のいわゆるコミュニケーションといいますか情報の流れが極めて円滑になる、こういう大きなメリットもございますし、もちろんその規格統一によっては受信機のコストというものも同じ規格ですからコストダウンも図っていかれるんだろう、大変多くのメリットを持っている。そういうことで規格統一を進めておりますけれども、今御指摘ありました、ではどのぐらい収入が入るかということにつきましては、今計算したわけではございませんので申し上げかねますけれども、非常に大きな副次収入というものを期待できるだろうというふうに思っております。
#77
○宮田輝君 私どももそれを期待しているわけでございます。せいぜい頑張っていただきたいと思います。
 それから番組の国際交流でございますけれども、これは極めて大事であることは申し上げるまでもありません。ところが、今のところ受け入れ、つまり輸入の方は大変多いですけれども、輸出となるといろいろ難しいことがあるようでございます。しかし、国際化が進んでいるというのは事実でありまして、NHKのいただいた資料によりますと、昭和六十年一月一日現在、二十五の海外放送機関、十八カ国と協力協定を締結、放送番粗の海外各国との共同制作もふえているようであります。この四月から「ルーブル美術館」が始まります。これは日仏共同制作。それから、その後に「大黄河五〇〇〇キロ」でしたか、日中共同制作が予定されているようでありますけれども、この制作費とそれから分担はどうなっておりますか。
#78
○参考人(川口幹夫君) 海外の放送機関と共同制作をする場合のいろんなやり方がございます。例えば役務の提供の場合もありますし、それから完全にかかった経費を半分に、あるいは四カ国でありましたら四カ国で割るというふうなやり方もございます。それから、その制作したものを今度は頒布をする、売るという場合のいろんな取り決めもございます。
 いろいろ各放送機関との、例えば国情だとかその放送機関の持っておる現状とかで違いますけれども、今仰せられた「ルーブル美術館」につきましては、フランスの放送機関と大体経費を折半、総経費が大体十億かかります。それをNHKの担当は四億でございます。そして十三本でございますから大体一本単価が三千万ぐらいでございます。それをNHKの場合は例えば出版するとかあるいはビデオカセットにするとかいうふうなことで外部に売りましてそれをNHKの収入にする、こういう契約でございます。
 それから、「大黄河五〇〇〇キロ」の方は日中共同制作でございますけれども、NHKとCCTVとがお金を出し合う。NHKは協力金という形で出す。向こうはそのために例えば資材とか施設とかそういうものの調達、それから全体のロケに要する人民の動員とかこのようなことを担当いたします。そういう形で今番組の取り組みを進めています。
#79
○宮田輝君 お話のように放送番組として各国へ売るというのはもちろんでございますが、例えばそれを劇場用にしたり、あるいはまたカセットとか写真集にするとか、お話の出版物にするというように、放送素材を多角的に利用するということがこれから特に大事なことではないかと思うんです。NHKとして収入にもなろうかと思います。
 例えば、今予算書を見ますと副次収入というのは〇・六%ということになっておりますけれども、これはさらにさらにふやすことができるんじゃないかと思うんですね。放送の周辺事業をもっと活発にして収入をふやす、そういう努力によって受信料額を極力抑制する、つまり視聴者の負担をふやさないで公共放送の企業体として期待にこたえていくことができるんではないかと思いますので、よくよく工夫をお願いしたいと思います。会長、いかがでございますか。
#80
○参考人(川原正人君) 当然御指摘のとおり私どもとしては副次収入をもっとふやすように努力していかなければならないと思います。従来ややもすればすぐれた番組を出すというそこまでのところに精力を使い過ぎたといいますか、その後の副次収入への活用等についてやや私どもの力が不十分であったということは反省しております。ただ一点、副次収入を上げる場合でも、NHKはやはり営業行為をすることは非常に難しいといいますか、いろんな制約がございますので、
   〔理事片山甚市君退席、委員長着席〕
副次収入を上げるためにも、今私どもはやはり直接NHKが副次収入を上げるやり方と、関連の企業を十分に活用しましてその関連の企業がNHKにかわってNHKの番組の二次使用をもっと活発にやって、そこは関連企業であればかなり自由にいろんな仕事もできますから、そういう面で関連の企業をもっと活用し、あるいはまたふやして育てていきたいというふうに考えております。
#81
○宮田輝君 関連企業を含めてぜひひとつ工夫していただきたいと思います。
 去年の秋でしたか、ABUの総会が東京で開かれまして、NHKは感謝決議を受けたということでその貢献度が推しはかれるというものでございますけれども、今ニュースによく出てまいりますNHKをキーステーションにしてアジア各国がニュース交換を行っているようであります。アジアビジョンですか、これはこれからさらに拡大して、例えば太平洋圏に広げるとか、アメリカとかヨーロッパへも行く、世界のネットに乗せたい、こう思うのは私どもばかりではないと思うんですが、当然努力はされていらっしゃいますね。
#82
○参考人(川口幹夫君) 昭和五十八年の十月でございます、ニュージーランドのオークランドというところでアジア放送連合、ABUの総会がございましたが、そこでABUの加盟各国が相互理解を促進するということで映像ニュースの交換、これをやろうということを決定いたしました。アジアビジョンというのはこれを受けましてNHKがコーディネーションをやります。そして、昨年の四月からNHKを含めて五カ国六放送機関、これはNHK、それから韓国、中国、インドネシア、イランというところが参加をいたしまして週一回のニュース交換をすることになりました。これを私どもはアジアビジョンというふうに名をつけております。昨年の十月からはオーストラリアもこれに参加しまして、ただいまは六カ国七放送機関ということでニュース交換を週二回実施しております。この一年間に交換されましたニュースは約八百六十本でございまして、そのニュースを午後七時のニュース、それから「ニュースセンター九時」、「きょうのスポーツとニュース」等々で放送しております。各国の放送機関でも夜のメーンニュースで活用しておりまして、アジアの国々は社会体制、国の体制が違うんですけれども、それを越えましてなかなか評価が高いという状態でございます。この六十年度からは交換回数を二回から五回に倍増以上にいたします。そういたしまして、アジアの映像ニュースはこれまでアメリカとヨーロッパに比べまして非常に入手しにくいものでございましたけれども、質、量とも飛躍的に拡大をするということになります。NHKといたしましては交換によって入手したニュースをアメリカ、ヨーロッパにも送り出す、そしてアジアにおけるニュースのキーステーションという役割を果たそうと思っております。
#83
○宮田輝君 国際的な映像時代に入った今でございますけれども、NHKは放送法によって短波によるラジオの国際放送を行っております。かけている費用は伺いますと年間約四十八億円。国はこれに対して六十年度は十二億四千万円出すことにしております。NHKは国際放送がよく聞こえるようにするために今送信設備を新しくするとか、出力を大きくするとか、あるいは外国で中継するとか、いろいろ努力されております。これはやらなければならないことでございますけれども、八俣送信所の整備が一段落したあたりで、つまり六十二年ですか、この辺で国際放送を抜本的に見直してみたらいかがなものでございましょう。国と国との相互理解は極めて大事なことであります。国の基本的な政策として国際放送を充実強化するために郵政省、御検討願えませんですか。経費は国が出す、あるいはNHKやそのほか各方面の協力も考えられます。大事なことでございますので、ぜひ前へ進めていただきたい。つまり第三者法人をつくって、そこでやり、放送自体はNHKが責任を持つということで今までの信用をさらに高めていく。国際放送を、よく聞こえる、つまり充実強化するためにぜひ御検討をいただきたいと思います。
#84
○国務大臣(左藤恵君) 我が国の国際放送の重要性がどんどん増していくということにつきましては先ほどもお答え申し上げたとおりだと思います。
 そこで、今までの体制というので十分かということで、私は決してそうじゃないと思いますが、とにかく現段階におきましてはせっかく放送いたしましてもそれが届かないというような状態が非常に多かったものですから、当面の問題としまして御指摘の八俣の送信所の三百キロに増力という問題に取り組んでおるわけでございますが、その後どうするのか、こういうことでございます。
 我が国の国際放送の評価というのはますます、またそれに対して期待というものがふえてまいりますから、今後はさらに私は第三者の法人をつくることがいいかという、これも一つの考え方であると思いますが、抜本的な考え方も今までのものとは違ったもう少し高度のものにして多角的に考えていかなければならないときが来るんじゃなかろうか、このように考えております。こうした問題につきましても、先ほどお答え申しましたように、ニューメディア時代を迎えての放送法制全体の中で国際放送はどういうふうな地位に持っていったらいいのか、例えば今お話のような第三者法人をつくることがベターかどうかということも含めて検討さしていただきたい、また検討する必要がある、このように考えております。
#85
○宮田輝君 極めて大事なことでございますので、本当に前向きに御検討いただきたいと思うものであります。会長いかがですか。
#86
○参考人(川原正人君) 恐らく国際放送の比重は今後ますます高まってくると思いますし、今の、現状の八俣の送信所の新設等々のこれが経常的な年度になってまいりますと、恐らく今の四十八億円がこのままの規模でも八十億円前後に達してくるだろうと思います。それは私ども覚悟の上で八俣の改修に取りかかっているわけでございまして、やはり国内の受信料の方から国際放送に割き得る金額というものはおのずと限度もあると思います。御指摘のように何か抜本的な考えを私どもも進めてまいりたいというふうに思っております。
#87
○宮田輝君 去年のNHK予算のときに、私はここで言葉のミニ番組をおやりになってはいかがですかと番組提案みたいなことをしたわけでございますけれども、それがやがて実現いたしまして今放送されております。かなり評判もいいようでほっとしているわけでございます。
 ところで、一般的に、ふさわしい人にふさわしい仕事をやってもらうというのは、これは大事な人の使い方ではないかと思うんです。NHKの場合、しゃべる仕事についても私はそうではないかと思うんです。NHKは今いわゆる広報番組かと思いますけれども、テレビジョンで「あなたの声と受信料 NHKを支えます」という文字を画面に出しておりますね。そこに寄せられるお客様の声、つまり御意見ですけれども、画面に出たり、あるいはしゃべっている職員についてはどういう意見が寄せられておりますでしょうか。
#88
○参考人(川口幹夫君) 職員が画面に出演をする、あるいはラジオで放送するというケースはアナウンサーだけではなくて、このごろは記者もやりますし、プロデューサーもやります。それから広報番組などでは現実にスタジオを駆け回っているフロアディレクターなども登場いたします。これはニュースの場合などはそのことに関して経験の豊かな、あるいは取材をみずからやった者が生々しい迫力でもってお伝えした方がいいという場合はそのようにしようということでやっているわけでございますが、まだまだおっしゃるとおり視聴者の方々からも、例えばアクセントが悪いとかイントネーションがおかしいとかいうふうなことでおしかりを受けております。昨年以来鋭意そのたびに注意もしてまいりましたし、それから研修なども進めてまいりましたので、このごろは昨年よりもはるかによくなってきたというふうには思います。ただ一層の努力をしたいと思います。
 それから、広報番組等に出る職員についても、これはやっぱり若くてもNHKの代表でございますから、それなりの気品と好感を持って迎えられるような形で出したいというふうに思っております。
#89
○宮田輝君 大体よくはなってきているんじゃないかと思うんですけれども、近ごろちょっと気がつくのはインタビュアーの接し方といいましょうか、例えば悲しい事件があって死んだ人が出た。その遺族の方にマイクロホンを突きつける。これなんかはよほど御注意をいただきたいと思うのは私だけではないんではないか。私はきょうは番組ではなくて、放送のやり方、演出と言ってもいいのかもわかりませんけれども、例えばそういう場合に音声はなくてもいいんではないでしょうか。その遺族の方を映すだけで訴える力はかなり強いんではないか。むしろしいんとした方が力が強いんではないかとさえ思うことがございます。テレビジョンは映像と音声がなければ成り立たないんではなくて、それも私は工夫ではないか。その逆の場合もあろうかと思いますけれども、インタビュアーの態度あるいは言葉遣い、それも大事でございますけれども、それは即、今、川口さんおっしゃったように、NHKの姿勢というふうにとられるわけです。NHKはそれほど期待されている公共放送機関でございますから、その期待にこたえるためにはそういう点も研究の余地がありはしないか、御注意の余地がありはしないかと思います、いかがでしょう。
#90
○参考人(川口幹夫君) おっしゃるとおりだと思います。私どもが一番注意をしなければいけないのは、そういう災害の場合、それから緊急のことが起こった場合、どのような形でもってお伝えするのか、それがそのときの状況に一番ふさわしいのかということは絶えず考えなければいけないことだと思います。
 それから、テレビになりましてから映像時代ということで、映像で何でも言わせようということがありますけれども、むしろテレビの場合の音声の持っている力というものは映像よりもはるかに強いんだということを自覚をしております。ですから災害の場合に、例えばマイクを向ける等のことは、これは鋭意慎しむようにこれまでもやってまいりましたけれども、さらに一段と努力をしてまいります。
#91
○宮田輝君 映像が強い、音声が強い、それはいろいろそのケースによるわけでございますけれども、人間味豊かな接し方というのを私は考えていただきたい、こういうことを申し上げているわけであります。それはNHK自体が人間味豊かな企業体であってほしい、こう願うからでございますし、人々もまたそういう期待を抱いているというふうに私は思うわけでございます。
 今NHKはニューメディアの実用化など大仕事に取り組みながら経費の節減、あるいは要員の効率化というような難しいことを進めなければならないわけであります。しかし、やっぱり企業は人なりではないでしょうかね。役職員の皆さんにこの上とも頑張っていただかなければなりません。お客様の期待は本当に大きいわけです。今のところ、私は信頼され、また理解されていると思うわけでございますが、六十年の歴史もございます。ますますの御健闘を祈りたいと思うものでございます。
 そこで、あと十年たつと放送開始七十周年ということになりますが、NHKの七十周年のときの像を会長はどんなふうに描いていらっしゃいますか、また郵政大臣はいかがでございましょう。
#92
○参考人(川原正人君) 具体的にこのようなという像を今ここで皆さん共通のイメージをお持ちになるように申し上げるのは大変難しいわけでございます。ただ、恐らく十年後この日本の社会自体も私ども想像できないような姿になっているでありましょうし、その中で私どもは当然その時代に合ったような形で企業の組織も人間の意識も変わっていかなければならない、番組も当然もっともっと国民の期待にこたえるようになっていかなければならない。ただ、その中心にあるものは、私はときどき最近部内でも申しておりますけれども、日本の高度成長もこういう段階に来まして、やはり国民が求めているのは精神的な生活の豊かさであり、心の充実であろうと、そういうものに的確にこたえられるような番組がもっともっとふえなければだめだと、あるいはまたNHKの組織も人間の気持ちもそういう時代に合致するようになっていかなければいけないということを言っております。番組の中でも十年後のことをひとつ想定いたしまして、この四月から、できるだけ皆さんに見ていただき、また考えていただきたい、私どもにまた御意見もちょうだいしたいというふうに考えております。
#93
○国務大臣(左藤恵君) 近年の電気通信技術の非常な発展ということから考えまして、多重放送とか、今先ほどお話ございました高精細度テレビジョン放送あるいはPCM音声放送、そういったいろんな新しいメディアが次々と出現しておると思います。そしてまた、民間放送も衛星放送の実施というふうなことになっているんじゃないかと思います。そうしたことで、まだ我々も予想できないような問題までこの新しい時代というものに放送界を取り巻く環境は大きく変化をしておるんじゃないかと思います。さらにまた、そうしたものに対しまして我々はおくれることのないような放送法制の対処ということも十分努力しなければなりません。そしてそれによって、先ほど来お話がありましたように、国民の豊かな文化生活というものを裏づけをすることができるような体制にしていかなければなりませんし、私はそういった時代が来るんじゃないかと、このように考えております。
#94
○宮田輝君 どうもありがとうございました。ぜひひとつ御努力をお願い申し上げます。ありがとうございました。
#95
○委員長(松前達郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分より再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十三分開会
#96
○委員長(松前達郎君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#97
○沖外夫君 ただいま議題となっております六十年度NHK予算につきまして次の六点について御質問を申し上げたいと思います。
 第一点は経営の基本的な指導理念について、第二点は合理化の努力について、第三点に放送番組につきまして、そして第四点には技術開発の問題について、第五点には電波行政につきまして、そして最後に災害対策についての問題点を多少お尋ねを申し上げたいと思います。
 さてそこで、まず第一に経営の指導理念についてでございますが、今日私ども政治家に課せられておる最も優先する課題の一つに行財政並びに教育の改革を断行して、経済社会を活性化し、来るべき将来に継承していかねばならない重大な責任があるのであります。既に着々実行に移されておるわけでありますが、四月一日から電電公社及び専売公社が民営化され、また国鉄も経営形態の改善のため鋭意検討中であることは御承知のとおりであります。この際、NHKも公共機関の一つとして時代の変化に対応できるように常に合理化への経営努力を怠ってはならないと思うのであります。NHKを民営化せよと申し上げるわけではございませんが、経営に当たってはいつ民営化に移行しても対応できるくらいの気持ちが必要ではないかと思うのですが、経営の基本的な指導理念につきまして会長の御所見を伺いたいと思います。
 また、今後五年後、十年後の経営計画の青写真がございましたらお聞かせいただければありがたいと思います。
#98
○参考人(川原正人君) 現在私どもを取り巻いております日本の社会的状況は、御指摘のとおりあらゆる企業がより効率的な経営、より合理的な経営を目指して鋭意努力をしていることはよく承知しております。この十年来、いわゆる石油ショックの後、日本の企業が世界の競争の中で生き抜いていくために徹底した減量化を実施して、そして活力を取り戻したというか一層沸き立たしているということは私どもよく承知しておりますし、また私どもの受信契約者である国民の方々がそういう企業努力の中でやはり苦しんでこられた、そういう目でNHKもごらんになっているということも十分承知しております。したがいまして、私どもはもとより一般の株式会社、利潤追求の企業ではございません。国民にとって必要不可欠な情報を提供し、あるいは文化の創造に当たり、あるいはまた日本全国にテレビ、ラジオの番組が必ず行き届くようにしなければならない、そういう公共的使命も持っておりますので、一概に利潤追求の会社、企業と同じというわけにはまいらない点は重々あると思いますけれども、しかしあくまでやはり合理的で効率的経営でなければならないということは当然のことでございまして、他の企業にむしろ先駆けて、私どもはみずからの体質改善に努めていっているつもりでおります。ただ、私どもの公共的使命というものも一方にございますので、それとの兼ね合いの中で私どもはバランスをとってまいりたい。しかし、繰り返し申し上げますけれども、みずからのそういう公共的使命という言葉によって合理的な経営、効率的経営がおろそかにならないよう今後も努めてまいりたいと思っております。
 五年後、十年後というのはそういう企業経営の理念にのっとって進めてまいりますけれども、多少具体的に申し上げれば、やはり従来私どもが使命と考えておりまして、これだけは必要な仕事であるということで、そのほとんどをみずからの手で賄うという態度でやってまいりましたけれども、やはりより合理的な経営を求める場合には私どもの使命を損なうことのない範囲で、やはり物によっては外部の企業との共同作業を取り入れた方がより効率的であればそのような経営も取り入れますし、あるいはみずから合理的経営をするためには、やはりいろいろな制約の上でNHKというものが利潤追求の営業行為を完全にできるわけでございませんので、それはNHKの関連企業という形の中で、本来NHKがやっておりました仕事も関連企業との共同作業の中でよりコマーシャルベースに近い形で能率を発揮できるものがあれば、そういう形でNHKを取り巻く関連企業集団と一緒になって一つの大きな企業集団としてより能率を発揮していく、そういう形をとっていきたいと思います。既に一、二年前からその種の意図のもとに幾つかの関連企業を発足さしておりますけれども、これらの企業が成長を遂げまして能力を発揮するには恐らくまだ数年かかるかと思いますけれども、数年後にはそういうものとの共同作業の中でより能率的な企業体に発展できるというふうに私は考えております。
#99
○沖外夫君 今ほど会長の御答弁にありましたように、公共的使命を果たすという基本姿勢、また合理的に運用するという極めて難しい組織体でございますから、一層国民の要望にこたえるようにひとつ御期待をいたしておきます。
 次に合理化の努力についてお尋ねいたしたいと思います。
 NHKは五十九年度に受信料を改定されて一五・五%アップされたわけでありますが、当面一応財政基盤が確保されたことでありますが、これからのニューメディアの時代に向けての研究開発や国際放送の強化、さらには衛星放送などなすべきことも多く、長期的には極めて厳しい展望にならざるを得ないと思うのであります。この際、不足すれば料金改定で活路を求めるような安易な考え方を排して、例えば人件費を切り詰めるとか、あるいは番組の制作費をどう節約するとか、私どもの民間企業なら当然やっている努力をぜひひとつ取り上げていただきたい。
 今日、国家であろうとあるいは我々私企業であろうと、共通の課題として今一番大切なものは、まず第一はむだを排除すること、そして変化にどう対応していくか、そしてまた組織全体を活性化していくということが最も重要な課題と受けとめておるわけでございます。したがいまして、NHKはどのような形で合理化の具体的な努力をされているのか、お伺いをいたしたいと思います。
#100
○参考人(川原正人君) 合理化につきましては、御指摘のとおり、特に私どもの放送事業というものはやっぱり人手によって仕事をするといいますか、放送番組の制作というのはその大半は人間の手でつくるものでございまして、機械とかたくさんの原材料を使って生産をするものではございません。したがいまして、原材料の節約とかあるいはロボットとかコンピューターとかというものをたくさん導入すればそれで合理化できるという面が非常に少ないんで、やっぱり人手をいかに有効に使うかということが一つの眼目になるかと思います。その点については、数で言えば既に五十五年度から人員の削減に努めまして、今日まで、五十九年度までに既に五百人以上の人を削減しておりますけれども、さらにこれを今後六十五年度までに千五百人、つまり五十五年度当時ほぼ一万七千人おりました人間を二千人減らすと、一万五千人の体制まで持っていって一二%以上の削減を既に計画として進めております。
 ただ、もちろんむやみやたらと人を切っていったんではこれは番組の質にも影響してまいりますので、私としましてはやはり人間もお金も重点的に使っていくと、つまりどうしても必要なところには従来以上に人手もお金もかけると、しかし重点によっては従来よりももっと能率的な仕事のやり方をしてもらう、あるいは先ほども申し上げましたけれども、関連の企業の協力を求めてその関連の企業との共同作業の中で、従来一〇〇%協会がやっておりました仕事を七〇%あるいは全部外に発注するという形も取り入れていきたい。それから経費につきましても、同じようにこのところ合理化を進めておりまして、毎年数十億円の規模で必要な経費を切っていっております。したがいまして、一年では数十億円ですけれども、これがずっと毎年の積算になってまいりますと数百億円の経費の節減は五十四、五年以来努めてきているところでございます。今後ともこの経費も人手と同じでございまして、ただ一律にすべての経費を何%切り詰めていくというやり方をしますと、これは大事な番組の方の手当ても薄くなってきて番組の質の低下を来す、あるいは私どもの使命が果たせなくなるということになりますので、あくまでも重点的に運営をしてまいりたいというふうに考えております。
#101
○沖外夫君 次に、放送番組について伺いたいと思います。
 NHKはかねてより芸能番組等に大分力を入れておられるようでありますが、やはり公共放送ならではつくりにくいような番組にもより力を注いでもらいたいと思うわけであります。
 例えば、かつての「シルクロード」とか「NHK特集」などのシリーズ物が地域社会あるいは地域文化に密接なかかわりのある名番組も数々あります。身近な例で恐縮でありますが、先般「委節はずれの蜃気楼」というドラマ番組が二十回にわたって放送されまして、私の郷土の方で大変な好評を得たわけであります。ローカルカラーをふんだんに取り入れられ、これをしかも全国に紹介された好評もさることながら、地域の人たちの生活や文化が見直され再認識された意義も極めて大きかったと思うわけであります。このような地域社会、地域文化の向上にかかわる番組についてさらに御努力を願いたいものだと思うわけでありますが、いかがでございましょうか。
#102
○参考人(川口幹夫君) 「季節はずれの蜃気楼」をお褒めいただきましてとってもうれしゅうございます。なかなか地方の局でドラマをつくるというのは難しいんでございますけれども、あの番組の場合は名古屋、富山が協力をいたしまして非常に土地の御協力を得まして、いい形でドラマの制作ができたことを御礼申し上げたいと思います。
 先生おっしゃいましたように、NHKの番組というのは一にかかって視聴者の信頼を得ることが一番大事であるというふうに思っております。それには的確なニュースを伝えること、それから知りたい情報をお伝えすること、それから役に立つあるいは精神的な面でもありますけれども、心の糧になる番組、そういうものをつくらなければいけないと思います。
 そしてさらにつけ加えれば、あすへの活力を養う娯楽番組も、またこれある程度の制作は当然あるべきだというぐあいに思っております。いずれも、いわゆる軽薄短小ではなくて、常に底力のある、しかも親しみの持てる番組であろうということを志しております。六十年度におきましては大きな項目として四つほどのことを挙げたんですが、一つは時代を先取りする大型の企画番組ということで、会長申し上げましたようにかけるべきところにはお金をかけるというふうなことで、例えば外国との共同制作「大黄河五〇〇〇キロ」でありますとか、「その日・一九九五年」、つまり十年後のことを予測した大型の時代先見番組といいますか、そういうようなものをつくりたいと思っておりますし、それから二番目には国際情報の強化と、それからニュースないしは報道番組の充実ということでございます。それから三番目に、次代を担う子供あるいは青少年に対してどのような番組を提供するか、これも極めて大事なことだと思っております。四つ目の柱に地域放送の拡充ということを掲げました。
 これらの四つが、この六十年度の放送番組をつくっていく大きな柱として我々としてはそれぞれに英知を傾けて、あるいは汗を流して皆さんの御期待にこたえる番組をつくろうというぐあいに思っております。どうぞよろしくお願いします。
#103
○沖外夫君 第四番目に技術開発の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 今日放送及びニューメディアをめぐる技術の進歩は目をみはるものがあるわけであります。聞くところによりますと、先ほども先輩の宮田委員から質問がございましたが、いわゆるハイビジョンについての研究開発も相当進んでおるようでありまして、先ほど矢橋技師長もこれから高度情報社会の中心として広範囲に活用されるというお話がございました。その研究成果とその展望について簡単にひとつお聞かせを賜りたいと思いますし、また先ほどの宮田委員の質問の中にもございましたが、研究開発について国際的な統一規格の設定の必要性ということについて触れられておりましたが、その場合、国際協議のスケジュールはどういうような過程になっておるのか。そしてまた我が国の担うべき役割というものはその中でどうなるのか、お伺いしたいと思います。
#104
○参考人(矢橋幸一君) ハイビジョンにつきましては、先ほど触れましたけれども、いわゆるハイビジョンの番組をつくるということに必要な機材――カメラ、VTRはいろんな設備がもうできておるということでございます。
 それで、ちょっと先ほどの話を補足しておきますけれども、先ほど触れました新しい、いわゆる情報を圧縮するMUSEという方式がございますけれども、その新しく開発いたしましたMUSEという方式は、いわゆる衛星放送一チャンネルでハイビジョンの放送をできるということのみならず、ホームVTR――家庭用のVTR、あるいはビデオパッケージ、それを今のテレビではなしにハイビジョンで見られるようなホームVTR、あるいはビデオパッケージ、そういったものが非常につくりやすくなっている。ということは、パッケージメディアというのは御承知のように電波は使いませんから、そういったハイビジョン用の、VTR用のソフトウエアの制作というものは意外と早く制作が開始されるだろうという見方を持っております。これはもうホームVTRだけではなしに、例えばビデオシアターだとかそういったハイビジョン用のソフト、これの制作が意外と早く来るだろうと、そういう見方を持っております。
 したがいまして、放送はその後を行く、パッケージが先行するという形を予想せざるを得ないわけですけれども、そのために早く番組をつくる技術基準を決めておかないと、世界じゅうでアメリカと日本が全然別なカメラを使うと、そういうふうなことになりますと当然パッケージメディアにおいても番組交換ができない、日本のパッケージがアメリカで売れない、そういういろいろな情報の流れがとぎれてしまう。そういう意味で、世界のコミュニケーションを円滑にするという意味では、ぜひとも世界に通用する機械をつくりたいというのが我々が急いで統一規格を今努力している理由でございます。
 それで、今お話しになりましたこれからの国際の規格を決めていく段取りでございますけれども、一昨年に国際のそういった規格を決めますCCIRという会議で高品位ハイビジョンの規格を決めようということが決まりまして、今作業部会というところでいろいろ世界の放送機関の人が集まって決めているわけです。そこで、これはNHKの職員がその委員会の議長をやっております。そういう意味で、世界の放送機関がNHKに対して非常に強いリーダーシップを求めているという一つのあらわれだろうと思います。
 そこで、我々はもちろん、あのハイビジョンという新しい映像表現をするメディアは、やはりこれは絵を見なければわからない。幾ら理屈でワイドで迫力があると言っても、いわゆるシーング・イズ・ビリービングといいますか、やはり見なきゃだめだということで、ここのところ昨年以来ずっと世界各国で我々はデモンストレーションをやっております。世界の方々に、ハイビジョンというのはこういう迫力のある、魅力ある新しいメディアだということを説明してまいりました。南米、モスクワ、欧米、あるいは中国へも行きました、韓国へも行きました。そこでいろいろデモンストレーションをやってまいりまして、それによってかなり理解を得られたと同時に、先ほど申し上げましたCCIRの作業部会の委員会も三回開きまして、この次は五月に作業部会が開かれます。大体NHKといいますか、これは日本の規格でございますけれども、日本のハイビジョンの規格を中心に今審議が進められております。そして、ことしの十月の研究委員会、そこで大体事実上の最後の決着が見られるだろう。形式的には来年五月に予定されておりますCCIRの総会で一応国際上のスタンダードの規格が決まると、そういう段取りで進めております。
#105
○沖外夫君 五番目に電波行政について、特にテレビ電波の割り当てについて郵政大臣にお尋ねいたしたいと思います。
 改めて申し上げるまでもなく、テレビ電波の割り当ては、電波法並びに放送法の趣旨にもかかわらず、府県によっては著しく不公平、不平等なものになっており、大きい府県に偏り過ぎているように思えるわけであります。したがって、比較的人口、面積の小さい私の出身県などは新局の開設を望む県民の要望が日増しに大きくなっておるわけであります。一体、当局は何を基準に七チャンネルの府県と四チャンネルの府県に分けておられるのか、大臣から明確な答弁をお願いいたしたいと思います。
#106
○国務大臣(左藤恵君) 放送は、有限で非常に貴重な国民の共有財産である電波を利用して行われるものでございます。そして、テレビジョン放送用の周波数の割り当てにつきましては、放送を全国的に最大限に普及させ、また全国民が放送を享受できるような観点から各地域の周波数事情、そしてまた放送事業の存立の基盤となる地域の経済力、こういったものを考慮しながら割り当てを行ってきたわけでございますけれども、先生御指摘のように確かに東京、大阪、そういったところにつきましてはNKHを含めますと七チャンネルも見える、それからそうでない地域では四チャンネルしか見えない地域があるじゃないかと、この御指摘はそのとおりだと思います。民放二チャンネルの地域につきましては、他地区並みの放送を見たいという要望の強いことも十分承知いたしております。そこで、この御要望におこたえしてこれからどういうふうなことでやっていくかということでございますが、従来からも地域の経済力等を考慮して順次周波数事情、いろんなものを勘案してチャンネルをふやしてきておりますので、これにつきましてチャンネル格差の是正をできるだけ早い機会にやれるように努力をいたしたいと、このように考えているところでございます。
#107
○沖外夫君 重ねてお尋ねいたしたいと思いますが、出身県の例を引き合いに出して大変恐縮でございますが、私の県は民放が二局で、今ほど大臣が指摘されたような経済力も極めて強い県でありまして、テレビの受像契約率は九四%で新潟に次いで全国第二位であります。また、FM放送の例のように、申請会社もすぐ一本化が可能でございまして、一日も早く地域格差をなくし、県民あまねく放送文化を享受し得るよう、今ほどの大臣の趣旨を十分ひとつ理解をいたしておるわけでありまして、重ねて大臣の所信をお伺いしたいと思います。
#108
○国務大臣(左藤恵君) 今日二局しか見れないという二局地区は十七県ということでございます。そういうことで、このことにつきましてこれから努力をするということでございますが、なお我々の方としても勉強しなければならない問題は、親局の波の割り当ての方は可能でありましても、中継局が完全に周波数が確保できるかどうかということについて検討しなきゃならない問題もございます。経済力の問題だけじゃなくてそういった問題もございますので、できるだけ早い機会に御趣旨の点を実現できるよう努力をさしていただきたい、このように考えております。
#109
○沖外夫君 最後に災害対策についてお尋ねをいたしたいと思います。
 NHKが分担せねばならぬいま一つの役割として、不測の災害が発生した際の緊急情報伝達の仕事があると思うわけであります。特に大地震など予知できない天災などにいつでも即応できるように日ごろからの万端の準備も必要でしょうし、また、各種機材の操作など訓練も重ねなければならないと思います。これが対策としてどのような基本態勢を組んでおられるのかお示し願いたいものであります。
 また、緊急時のコミュニケーション対策などは、必要なら公費負担も当然かと考えるわけであります。その点はどうなっているのか、あるいは今後どういう方針か、NHK、郵政双方からお尋ねをして、私の質問を終わりたいと思います。
#110
○参考人(川口幹夫君) 災害対策基本法という法律がありますけれども、この法律によりましてNHKは報道機関としてただ一つ指定公共機関ということになっております。これはいかにNHKがそういう場合にお役に立たなければいけないかということでございまして、私どもも災害報道がNHKの負わされた非常に大きな責任の一つであるというふうにも常々自覚をしております。
 非常災害のときに放送をどういうふうに出すのか、あるいは国民の生命財産をどうやって守るのかというような観点でいろんなことを今考えておりますけれども、一つは施設とか機材の整備でございます。それをいつでも役に立てるように点検をするというふうなことがまずございます。それから、もし地震などで現在の設備が壊れた場合に、例えば次なる対策をどう立てるのかというふうなことだとか、それから例えば放送衛星を使って緊急の報道をする体制をどう組むかというふうなことも、今すべてのことに対して目配りをしているつもりでございます。
 ただ、こういう機材的な、施設的なものだけではなくて、今度は情報をどう伝えるのかということがありますけれども、一つは今何が起こっているか、それから次は何が起こりそうかということ、そしてそれに対してどういう対策を立てるべきか、この三つは災害放送の基本であろうかと思いますので、こういった点についても常日ごろ報道関係の者、アナウンサー等を常に研修、訓練をしているところでございます。
 それからなお、情報の入手の手段、それからその伝達の方法等につきましても関係の各機関と緊密な連絡をとって、そういうときの運用体制にそごがないようにふだんから準備をしなければいけないというふうに思っております。
 また緊急警報放送という、夜中でも電源が入っておりますと信号が鳴って、今災害が起こったということを知らせる緊急警報放送というシステムを確立すべく各関係方面とただいま準備中でございます。こういうふうなことをあわせて、災害報道には万全を期したいというぐあいに思っております。
#111
○政府委員(徳田修造君) 災害時におきます情報伝達に放送というのは極めて効果的なわけでございます。放送法第四十五条の二の規定がございますが、これによりまして放送事業者は災害関係の放送をするように義務づけがなされておるところでございます。この規定は五十七年に改正していただいた規定でございまして、その趣旨は、限られた国民の貴重な電波を放送事業者というのは利用しておられるわけでございますから、国民の非常災害時における期待にこたえるという趣旨で義務づけがなされておるのではないかと考えておるわけでございます。このほかに電波法の七十四条という規定がございまして、この規定は郵政大臣が命令をして、非常の場合に災害の通信を命ずるという規定でございます。この規定の場合には、かかった費用、実費は弁償するという規定になってございます。それで、先ほど申し上げました放送法四十五条の二の規定、これは放送事業者の義務として実施されるということで、自主的な判断で放送をする規定になっておりますので、この場合には放送事業者の負担で行われるという形になっておるところでございます。
 それで、現実にNHKあるいは民間放送が行っておりますのは、放送事業者としての義務として災害放送を行っておるわけでございまして、郵政大臣が命令して行っているというようなケースはこれまでのところございません。やはりこういう災害時には放送事業者がみずから責任を持ってやっていただくのがよろしいんではないか、そのように考えておる次第でございます。
#112
○服部信吾君 まず初めに、郵政大臣にお伺いしたいんですけれども、一昨日の新聞に「ニューメディア時代 放送のあり方探る」、こういうことで、「郵政大臣の私的諮問機関「放送に関する調査研究会」を、五月にも発足させる。委員の人選は近く着手する。二年ほどかけて提言をまとめ、同省は内容次第で放送法の改正も検討する。委員は二十人程度で、NHK、民放、新聞などの代表や郵政省OBも含めた学識経験者が選ばれることになりそうだ。」こういう報道があるわけですけれども、この郵政大臣の私的諮問機関「放送に関する調査研究会」についての目的をお伺いしたいと思います。
#113
○国務大臣(左藤恵君) 非常に近年の電気通信技術の進歩が著しいわけでありまして、先ほどもちょっと御説明申し上げたような放送の種類だけでも、多重放送とかあるいは高精細度テレビだとかあるいはまたPCM音声放送とかというふうな新しいメディアが出現してまいっております。衛星放送の面でも具体的にまだ相当進んでいく段階に達するんじゃないか、こういうことが当然予想されるわけであります。したがって、放送を取り巻く環境というものも変わってくるわけでありますから、それに対応する行政も今までのような形であっては私はついていけないんじゃないか、それであっては困る、こういうふうにひとつ考えるわけであります。
 一方また、放送法、電波法、これは制定されてから三十年以上の年月がたっております。そうしたことで、逐次改正は若干ずつはされておりますけれども、基本的な枠組みというものは今日までその出発のときから余り大きな変化がないわけであります。これは見直すべきものと見直してはならない基本的なものと私は二通りやっぱりあるんじゃないかと思います。
 例えば放送の問題についての例といたしまして、アマチュア無線の免許というようなものも、これは電波法で規制されておるわけであります。それから放送局も同じような形で電波法で放送局そのものは免許されておる。こういうことが果たしてそれがいいのかどうかというふうなことも、そういう一つの基本的な問題も検討してかかる必要があるんじゃないか。こういうふうな点から見まして、今申しましたようなことのひとつ御意見をいろいろ調査研究していただいて、その成果を十分活用して法制に取り組んでいくべきじゃなかろうかというふうなことからこういった調査研究を始めたい、こういうことでございます。
#114
○服部信吾君 これは五月ぐらいまでに発足させるわけですか。それと、こういうような同様の機関というものはまだ何かあるような気もするんですけれども、特に今国会においては私的諮問機関についていろいろと論議を呼んでいるところでありますので、私どもとしては行政改革を推進するに当たっては、これは必要な機関は必要な機関としてどんどん認めなくちゃならぬ。そういうことで、後ほどいろいろ問題がないようであるならば私はこれでいいと思いますので、大体いつごろまでに発足させるのか、また同様の機関がないのかどうか、この辺についてお伺いしたいんですが。
#115
○国務大臣(左藤恵君) 当面といたしまして六十年度予算に三百五十万円だったと思いますが、そういう調査研究の会を開く経費を予算の中に入れていただいておるわけでございますけれども、非常に問題が幅の広い、また非常に重要な問題で、いろんな御意見をお伺いしたりして幅広く検討しなければならないということもありますので、まあ二年間ぐらい御検討願わなければならない問題ではないか、このように考えております。
#116
○服部信吾君 次に、放送衛星について先ほど来いろいろと論議がありましたけれども、若干ここでお伺いをしておきたいと思います。
 先ほど来聞いておりますと、郵政大臣としてはとにかく九月ぐらいまでにこのBS2を上げたいとおっしゃっておりますし、NHKの会長さんの方からは技術的にきちっとすれば何とか上げたい、こういうことで、ニュアンスは同じだと思いますけれども、大臣と会長の再度このBS2b打ち上げに対する御意見をお伺いしておきます。
#117
○参考人(川原正人君) 私どもとしては、BS2aの事故によって受信者の方々に大変御迷惑をおかけしております。まことに申しわけないと思っておりますし、この過ちは二度と繰り返さないように、ぜひ2bにおいては成功させたいというふうに考えております。それには何といいましてもaの原因をはっきりさせて、それに基づいて2bの方では十分な対策、是正措置を講じてそして打ち上げるということになろうかと思いますけれども、かたがた、確かに宇宙開発についてはいろんな衛星の打ち上げ等がきびすを接して待っておりまして、打ち上げのスケジュールは大変込んでいるやにも聞いております。したがいまして、どうしてもこういうスケジュールというものが我々の頭を離れないわけでございますけれども、私としては、スケジュールに気をとられてその対策が不十分といいますか、若干疑問を残しながらスケジュールに従うということだけはしたくないと。十分な対策を講じて、その上でもしそのスケジュールに間に合わないなら次の処置を考えてでも万全の対策、安全性第一に考えてまいりたいというふうに考えております。
#118
○国務大臣(左藤恵君) この問題は昨年の宇宙開発委員会で御指摘になりまして御報告された対策を、三月十七日ですか進行波管について所定の熱真空試験が終わったわけでございます。そしてこれから、その結果が良好であったというふうに伺っておりますが、中継器全体の確認試験とかあるいは衛星組み立て後のシステム試験、それから打ち上げ射場におきますそういう試験、次々とやらなければならない問題があるわけでございまして、その試験において所要の性能を有するということが認められたときに私はやはり予定どおり本年夏において打ち上げていただくということでありまして、もしそういったことが十分な性能が得られていないということであれば、私はこれは強行すべきでない、このように考えております。そういった結果によって、目下の見通しとしては放送の継続性に影響を与えることにならないというふうには考えておりますけれども、こういったことについて十分な配意をした上で打ち上げに踏み切っていくべきだ、このように考えております。
#119
○服部信吾君 そこでちょっとお伺いしたいんですけれども、現在BS2aが打ち上げられておる。九月ごろに、このままの計画でいくとBS2bが打ち上げられる、六十三年にはBS3が打ち上げられる、こういう予定になっておるわけでありますけれども、この放送衛星に対してどのくらい今予算をかけようとしているのか。国費、NHKといろいろあると思いますけれども、国費がどのくらいでNHKがどのぐらいか、合わせてどのくらいか、この点についてお伺いします。
#120
○参考人(矢橋幸一君) BS2につきましては、総額が約六百億でございます。その四〇%を国が負担いたしまして、六〇%をNHKが負担しております。
#121
○服部信吾君 それからBS3は。
#122
○参考人(矢橋幸一君) BS3は、トータルは八百億弱と聞いておりますけれども、そのうちのNHKが六五%を負担いたします。ただし、今回はNHK以外に一般放送業者も入りますので、NHKとしてはその六五%のさらに三分の二、いわゆる三チャンネルのうち二チャンネルをNHKが使いますので、三分の二を負担するということで、約三百四十億ということでございます。
#123
○服部信吾君 大変なお金を使ってこの放送衛星を打ち上げるわけであります。会長のお話からもありましたけれども、技術的に余りはっきりしないうちに打ち上げて、タイムリミットにこだわることなくと、大臣もそういうようなお考えのようでございます。本当に技術的にある程度これでいけるんだと、こう出たときに打ち上げたいというふうなことでありますし、私もそういうように思います。余り無理して打ち上げてまた失敗というようなことになったんではこれはまた大変でありますけれども。
 いずれにしても、このBS2bの打ち上げというものに対しては、既に今度のことしの予算あたりにもかなりいろいろ組み込まれておりますし、もしこの2bが打ち上げられないとまたいろんな支障が出てくるんじゃないかと、こういうことも懸念するわけですけれども、その中で何とか九月までに打ち上げたいということなんですけれども、今どの辺までこれがいっているのか。要するに米国GE社等からこのBS2aの原因究明のための報告がなされた。その後、三系統の中継器の試験が行われて、二中継器はよかったけれども、一中継器はだめだったというようなことで、またそれをどこかの違った中継器にかえたら成功したというようなことがある。その後これを衛星全体に積み込むと、こういう段階になる。そうして、その後いろんな実験をしてそして種子島でテストをする。そして最終的に宇宙開発委員会において最終決定を行うと、こういう一つの流れがあるわけでありますけれども、現在このBS2bに対する、どの辺までいっておるのか、この辺についてお伺いします。
#124
○参考人(大澤弘之君) 事業団からお答えいたします。
 今お話がございましたように、中継器の真空試験、これは三本2b用にございまして、このうち二本につきまして熱真空試験、組み込んだ形で試験をした結果が良好であったわけでございますが、一本に不安定な状況がございましたので良品と取りかえてこれは使用したいということで、現在その一本についてこれはパネルに2b、つまり打ち上げ機の形に積み込まない状態での真空試験、単体での真空試験といっておりますが、それをまず行いまして、この球がいいかどうかというテストを行いましたが、その結果が良好でございますので、今度これをパネルに組み込みまして中継器全体としてさらに試験を行って、その結果が確認されれば、この中継器に対しますBS2aの対策が十分であったというようなことがひとまずわかることになろうかと思います。
 それで、ただいまお話がございましたように、さらにこれを全体の組み立てをいたしましてシステム試験、これをGEの工場で行いまして、それから種子島に持ってまいりまして、お話にございましたような種子島での今度また受け入れの試験、これを経まして、これらの結果がすべて順調に進んでいるならば、衛星をロケットの上に積み上げまして発射をしていくというのが具体的な手順でございます。この間に放送衛星対策特別委員会で、この中継器に対してとった対策の結果をデータに基づきまして評価を得まして、この評価を得た上で、ただいま申し上げたような作業も進んでいくわけでございますが、さらにこの作業の進展を見て、宇宙開発委員会で打ち上げに関しまして承認を得てというような手続が別途横にも走っておるというようなことで、私どもも打ち上げに関しましては、これらの試験あるいは各委員会等の評価が確実なものだということを得まして、打ち上げに最終的には臨むと、こういうことのつもりをいたしております。
#125
○服部信吾君 そうしますと、中継器全体の試験は行ってそういう結果が出たと、今この衛星全体に積め込んでいる段階というふうに解釈していいわけですか。それで、この衛星全体に積み込みが終わっていわゆるその結果を見て、この放送衛星対策特別委員会に提出する、ここまではまだきていないわけですね。
#126
○参考人(大澤弘之君) 技術小委員会の方には得られましたデータは逐次報告をいたしまして検討を積み重ねておりますが、最終的な今申し上げましたような試験がまだ終わっておりませんので、最終的な評価をまだいただいていないということでございます。
#127
○服部信吾君 そこで、ちょっと放送衛星のテストの結果とかいろいろ成功だ不成功だとわかんない面があるんですよ。例えば今回中間報告が出て、このようにやりなさいと、こういう形で結果が出てきて、二系統はオーケーだったけれども、もう一つの中継器はかえなくちゃならぬと、こういうことなんです。
 これから保険の問題も絡んでくるんですけれども、例えば放送衛星を打ち上げたときに三つの中継器が全部作動しておればこれは成功、オーケーと、だけども二つまで作動していればどうするのか、一つだけで二つはだめと、全くゼロというのはこれはもう失敗だと、こういうふうに考えますけれども、その辺の概念というのはどういうふうになっておりますか。
#128
○参考人(大澤弘之君) 放送衛星につきましては一つの衛星に三器の中継器を積んでおりまして、これがもう一機ございます。当初の計画といたしましては、放送がNHKの二チャンネルということでございまして、これに対しまして六チャンネルあるという状況でございます。最初の2aにつきまして二チャンネル、そして残りの一チャンネルは私どもは冗長系と言っておりますが、予備のチャンネルということで組み立てられております。二号機目のつまりBS2bは軌道予備機ということで、最初の衛星がぐあいが悪くなったときにこの役を立てるということが当初の計画で仕事をしてきたものでございます。
#129
○服部信吾君 いや、もっと端的に僕は聞いておるんですけれども、さっき言ったような三つあって全部作動すればこれは成功と、全部だめならこれは失敗と、ところが二つオーケーで一つだめとか、一つオーケーで二つだめ、これはどういうあれになるんですか。
#130
○政府委員(奥山雄材君) 衛星にかかわる保険はいわゆるオーダーメード保険でございまして、少量のかつ金額の張る非常に特異な保険でございますので、世界の保険市場の相場に頼らざるを得ませんし、例えばBSのaの場合も国内の元請社並びに海外のシンジケート団入れまして百七十社ぐらいに危険を分散したようなことでございまして、そのような世界の相場がございますので、その相場からいたしますと成功条件といたしまして、三のうち二が健在な場合は成功と、三のうち一が生き残った場合に二分の一と、ゼロの場合が全部と、こういうような条件になっております。
#131
○服部信吾君 わかりました。
 それで、例えば非常に単純なあれなんですけれども、今現在BS2aが上がっているわけです。二つ故障して一つオーケーと、こういうことですけれども、これ地上から国内から何か今上がっている衛星に対して操作なんかできないものですか。
#132
○参考人(船川謙司君) お答えいたします。
 昨年の秋の初期の期間には、大体先生がおっしゃったのと同じような趣旨で再起動の実験というのを試みまして、残念なことに余りうまくいかなかったわけでございますが、今後もこれからの原因究明の進展に伴いまして有効な方法が見つかれば、下からコマンドを打つような方法でもう一度再起動できるかどうかというふうな試みをまだあきらめているわけではございません。
#133
○服部信吾君 ということは、今のところまだ一つしか今動いてないので、あんまり地上から操作すると、もう一つの中継器も動いているのもだめになっちゃうおそれがある。ですから、例えばBS2bが成功したと、そういう時点において今上がっているBS2aについていろいろともっと操作をする、こういう考えですか。
#134
○参考人(船川謙司君) 今のところそういう効果的な方法が見つかったらやりたいというふうなことで、これは原因究明の、何といいますか、結果にもよるわけで、いろいろ方法をまだ検討中ということでございますが、確かに先生がおっしゃられましたように2bが上がりまして、そちらの方の二チャンネルが健全に働けば安心してそういう試験がやれると思います。
#135
○服部信吾君 あんまりこれやっておりますと時間がありませんけれども、そろそろこのBS2a・BS2bはこういう形でアメリカ等から購入して何か失敗すれば一々向こうへ行って故障の原因を調べたりなんかしてもなかなか出てこない、思ったようにできない。そういうことで、BS3というのは、これは六十三年でしょうけれども、我が国で開発できないものか、この点についてお伺いしたいと思います。
#136
○参考人(船川謙司君) BS2の開発のころにはまだ国内に技術が確立しておりませんでしたので、やむを得ず現在のように大部分をアメリカのGEに頼むというような格好をとったわけでございますが、その後国内にもいろいろな衛星の打ち上げを通じまして技術が大分蓄積されてまいりましたので、この次の放送衛星につきましては日本の自主技術を基本的なものとして考えてやっていきたいというふうに関係者は考えておるところでございます。
#137
○服部信吾君 それでは保険についてちょっとお伺いしますけれども、BS2aについては残念ながら寿命保険においては掛けられなかったというよりもそういうあれがなかったようでありますけれども、これからBS2bを打ち上げるに当たって、この保険に対する交渉等今いろいろ保険会社とやっているようでありますけれども、最近の放送衛星に対する打ち上げが大変失敗しておるということで、なかなかうまく保険会社の方も後ずさりをしているというようなことがあるようでありますけれども、現在どのような保険会社との交渉を行っているのか、その辺についてお伺いしておきます。
#138
○参考人(岩崎隆君) 保険会社との具体的な交渉は通常、打ち上げの三カ月前ぐらいから始める、これが一般的な慣行でございますので、まだBS2bに関しましてそういう意味での具体的な交渉を始めているわけではございません。
 ただ、それのいわば準備といたしまして、先般新聞にも出ておりましたけれども、ニューヨーク、ロンドン等におきまして世界の保険関係者に予備的な説明というようなことを兼ねまして宇宙開発事業団、NHKの方から人を派遣いたしましてその説明等をやったわけでございます。申し上げましたような厳しい面も世界の保険市場にはあるわけでございますけれども、BS2bに関しましてはひとつ保険、打ち上げ保険それからNHKの方でお掛けになる寿命保険、これタイアップいたしましてひとつ万全の体制で成約にこぎつけたい、そのように考えております。
#139
○服部信吾君 打ち上げの三カ月前ということですからね。いつ打ち上げられるかわからないわけですから。でも、そういう準備をされておるということはやはり保険会社ともある程度交渉しているんじゃないかと、こう思うわけですけれども、その中で衛星保険に四つの種類があるわけですね。打ち上げ前保険――組み立て準備段階。それから打ち上げ保険――ロケット発射から人工衛星が軌道上で機能を発揮するまで。それから寿命保険。それから第四番目に第三者賠償責任保険――衛星を打ち上げたときに第三者に傷害を与えたかどうかという、こういう保険があるようでありますけれども、今回打ち上げに関してBS2bにおいてはこの四つを全部きちっとつけると、こういうあれでございますか。
#140
○参考人(岩崎隆君) BS2aにおきましても、打ち上げ前危険と打ち上げ危険とを含めました打ち上げ保険とそれから第三者に対する賠償責任の保険については付保をいたしたわけでございますが、寿命保険が欠けておったというのが2aの場合でございますけれども、今度の2bに関しましては、先ほど申し上げましたように、寿命保険をお掛けになるのはNHKではございますけれども、そこを、連続性、継続性を保つような形でぜひ御協力をして寿命保険も含めて2bについては掛けるようにいたしたいと、そのように考えておる次第でございます。
#141
○服部信吾君 これは仮定の話になるかもしれませんけれども、いろいろと努力をして保険を掛けたいということですけれども、先ほど述べたとおり、いろいろと保険業界の方もしり込みをしておると、こういうことなのでこの四つの保険がきちっと決まらない、決まらなければじゃBS2bは打ち上げられないのかと、こういうことになるのですかな。この辺はどうですか。
#142
○参考人(岩崎隆君) 万々そういうことがないように私ども努力をいたしたいというふうに考えているわけでございますけれども、万一おっしゃいましたような事態がある場合には、打ち上げ時期の問題も含めまして、関係方面と御相談をいたすと、こういうことに相なろうかと思っております。
#143
○服部信吾君 わかりました。
 それではちょっとNHKにお伺いしたいんですけれども、衛星放送の実用化を推進しているわけでありますけれども、衛星放送は一波で全国をカバーするため、難視聴解消には役立つものの、ローカル放送には大変不向きなようであります。現在衛星放送は一チャンネルの試験放送でありますけれども、BS2bの打ち上げが成功し、二チャンネルの正常な衛星放送が実施できるようになった場合の衛星放送における番組編成についてはどのようにお考えですか。
#144
○参考人(川口幹夫君) おっしゃるとおり、今一チャンネルで放送をしております。したがいまして、大体総合テレビが主でございますけれども、その中で地域放送の分も特別の帯を設けまして、衛星放送の中の地域放送ということで実施をしているところでございます。
 2bが上がりました後、使えるようになりましたときに、ではその二つのチャンネルを使ってどういう放送をするかということにつきましては、現在いろんなデータを集め、視聴者のお声を聞き、部内で今鋭意検討している最中でございます。これまでの一チャンネルの中でも、土、日の昼間とかそれから週末の夜間ですとか、衛星放送ならではという形の魅力のある番組をいろいろ放送してまいりました。これについての御感想等もたくさんいただいておりますので、私どもとしては二つのチャンネルを使った場合は地上放送にないもっと魅力的な衛星放送ができないものか、それを使うことによって二つのチャンネルで衛星放送をしているという意味をはっきりと出したいものだというふうに思っております。
#145
○服部信吾君 最後にちょっと会長にお伺いしたいんですけれども、六十三年度打ち上げる予定のBS3以降において衛星放送などが本格化する場合、衛星放送と地上放送との関係、衛星放送を地上放送に対してどのように活用していくのか、この点について会長の御見解をお聞きしておきます。
#146
○参考人(川原正人君) 今までの衛星放送の打ち上げの計画では、この衛星は主として難視聴の解消に役立てたいということで進めてまいっておりますけれども、実際に今上がっておりますa、これは一チャンネルであるということもありますけれども、これの普及の度合い等を見ていますとまことに、一チャンネルということもあると思いますけれども、その普及が遅々として進まない。また、かねてこの国会の御審議の中でも、また一般の世論の中でも普及促進のためにはもう少し魅力ある番組を入れるべきではないかと、こういう御意見もございますし、私どももやはりBS2bあるいは三号と進むに従いまして、地上の放送にはない魅力のある番組も編成してまいりたいし、それから先ほど来私ども御説明しておりますハイビジョンという非常に精密な絵の出るテレビ放送も衛星を使えば十分に可能でございます。もちろんそれを放送に映すまでにはまだまだ法制的にもあるいは技術的にも解明しておかなければいけないものはありますけれども、少なくともBS3という段階においてはNHKとしましてはこのハイビジョンの放送も何らかの形でもって実際に電波に乗せてみたいという希望を持っております。
#147
○服部信吾君 この放送衛星については先ほどお伺いしたとおり、多大なお金がかかっているということで、受信料あるいは国民の税金、お金がたくさんかかっておりますので、私どもといたしましてもとにかく技術的にはっきりした時点で打ち上げると、余り無理してタイムリミットにこだわる必要はないんじゃないかと、このように考えているわけであります。
 それでは次に、第九十六国会で成立しました放送法等の一部を改正する法律案によりNHKの出資条項が緩和されたと、こういうことで五十八年から五十九、六十年といろんな会社に出資しておりますけれども、特にその中で、この法案の改正の中で副次収入というようなことを挙げられております。先ほどの質疑の中でありましたけれども、現在では副次収入としては〇・六%である、こういうことでありますけれども、五十八年には四社ですか、それから五十九年に四社、ことしは二社、こういうところに出資をしているということで、今後もぐんぐんこういう形で新会社に出資をしたりつくったりする、こういうことでありますけれども、今現在〇・六%でありますけれども、これはもう受信料が中心になるのは当然のことでありますけれども、バランスの問題でありますが、五年後、十年後になったときに全体の予算に副次収入の占める割合がどの辺が理想か、どのように考えておるか、会長にひとつお伺いしておきます。
#148
○参考人(川原正人君) 数量的にどこが理想かという御質問になりますと、なかなかお答えしにくいんでございます。現在のところ、全収入の中で占める位置は一%にも達してない、〇・六%ということでございますが、少なくともこれは一%なり二%なりというところまでは持っていきたいと考えておりますけれども、何といいましても三千万の受信者からちょうだいする三千数百億の受信料収入に比べますと、副次的な収入という点ではどうしてもそれほど大きな割にはなかなかなりにくいんではないかというふうに考えております。しかし、だからといって手を抜くというようなことは全く考えておりませんで、NHK本体としてもぜひこの副次収入をもっともっとふやせる方法はあるはずでございます。そういう方途を見出したいと思いますし、逆に一般の放送以外のCATVであれ、また民間の、他のパッケージメディアであれ、私どものやっております番組のもっと多角的な利用もあるでありましょうし、あるいは私どもが開発してまいりました技術、これをもっと多角的に御利用いただく方法もあるでありましょうし、あるいはそういう形になったものでない、もっと私どもNHKが六十年にわたって蓄積してきましたノーハウのようなものも十分にあるはずでございます。こういうものを、仮にNHKが直接一般の役に供することができないまでも、いろんな関連事業の中を通じまして、もっと世間にお役に立てたい、そしてNHK並びにその周辺の事業の中での収入の増加に役立てていきたいというふうに考えております。
#149
○服部信吾君 ちょっと具体的にお伺いしますけれども、六十年度予算の中で、株式会社NHK放送情報サービスというところに出資をするようになっております。それから未定として、名前は決まってないんでしょうけれども、文字多重放送事業、東京、大阪、こういうことで、これは新会社をつくるのか出資をするのか、ちょっとわかりませんけれども、このNHK放送情報サービスには五十八年度も二千万ですか、出資をしておる。今回また六千万ですか、出資をするということでありますけれども、これはどういうことですか。
#150
○参考人(横井昭君) お答えいたします。
 放送情報サービスは五十八年度に、先生御指摘のとおり、五十七年の放送法の改正を受けまして、文字多重放送の番組を制作する会社として三千万円出資をしたものでございます。現在パターン方式で主としてデフサービスを中心にやっておりますけれども、六十年度に入りましてハイブリッド方式の本放送になるであろう、そのときに文字情報の番組制作量がかなりふえてくるわけです。そういうことを含めまして、六十年度に資本を一億二千万円にして、協会の出資を六千万円見ようということで六十年の予算に計上してあるわけであります。
#151
○服部信吾君 それで、未定の会社、「未定」と書いてある、出資先が未定なんですけれども、NHK放送情報サービス、これはできておるわけですけれども、その事業の内容を見ますと、「テレビジョン文字多重放送(字幕放送)用番組の制作」、こう書いてあるわけですね。今度新しく出資される未定の会社、文字多重放送事業、東京、大阪につくられるわけですけれども、これは放送番組をつくるのと、これはこっちの事業を行うということですけれども、こういうものは二つに分ける必要がないんじゃないか、並純な考えですけれども、これはひとつ一緒にしてこれくらいのことはできないのかというように考えることもあるわけですけれども、その辺の違いをはっきりきちっとしてください。
#152
○参考人(横井昭君) お答えいたします。
 私がただいま申し上げましたのは、五十八年度にできましたNHK放送情報サービスの増資のことを申し上げたんでございますけれども、六十年度の予算にあります中で三千万円は、新たにハイブリッド方式になりましたときに、文字放送の第三者法人を設立ができるように放送法の改正が行われております。その第三者法人というのは、NHKの電波の中でNHKの施設を借りながら一般放送事業者として文字情報のサービスをする会社でございます。それを大阪と東京に、東京二億の資本、大阪一億の資本で、協会はこれに対しまして法律で一〇%の出資しかできないことになっております。したがいまして東京で二千万円の出資をする、大阪の文字情報では一千万円の出資をする、いずれも一般放送事業者としてスタートするものでございます。
 以上でございます。
#153
○服部信吾君 それはわかります。ですから、これを一緒にしたらということはできないにしても、単純に見るとそういう気がするということでお伺いしたわけでありまして、特に五十八年度に日本放送出版協会、それからNHK美術センター、それから全日本テレビサービス株式会社、こういう会社にも出資をしているわけでありますけれども、この日本放送出版協会というのは昭和六年四月にできているし、NHK美術センターというのも昭和三十六年、全日本テレビサービス株式会社これも昭和四十四年、こういうことで、ここにまた出資をした理由というのは何かあるわけですか。
#154
○参考人(横井昭君) お答えします。
 先ほどの五十七年度の放送法の改正と政令の改正によりまして、テキストの出版だとかその他さまざまのものに対して協会と密接な関連のある事業に出資ができるようになったわけでございます。御指摘のように五十八年度には、日本放送出版協会は要するにNHKのテキストを発行しておるわけでございまして、今まで出資がゼロでございましたが、新たな放送法の改正でできるようになりましたので、六千五百万円に対して六百五十万円、その他美術センターにつきましてはNHKの大道具、小道具その他美術業務全般をやっておりまして、これも協会は今まで全然出資をしておらなかったわけでございますが、この機会に八百万円の出資をした。そういう意味でテレビサービスにつきましても協会の放送送信設備の保守運用をやっておりますけれども、これも新たに五百万円の出資をした、こういう経緯でございます。
#155
○服部信吾君 あと他の二つは。美術センターと……。
#156
○参考人(横井昭君) 美術センターは、今申し上げましたようにNHKの大道具、小道具の美術業務を全部やっているわけでございまして、一応放送情報サービスと出版協会と美術センターと全日本テレビサービス、その四つに五十八年度に出資をした。その中で新しくつくった会社は情報サービスでありまして、ほかの三社は既に先生御指摘のとおり以前からあって協会と密接に関係があったのでございますけれども、放送法上出資ができなかったのを放送法の改正を機会に出資をした、こういう経緯でございます。
#157
○服部信吾君 NHKとしては、このように業務の外部委託による受信料以外の収入増を図る、業務の効率化を推進している、このように思うわけでありますけれども、経費や要員の面において、特に要員の面において具体的にどのような影響があるのか、この辺についてお伺いしたいと思います。
#158
○参考人(横井昭君) 五十九年度に新たにつくりました番組制作供給会社でありますNHKエンタープライズ、それから番組制作にかかわる技術関係業務をやりまするNHKテクニカルサービス、もう一つはコンピューターの処理とプログラムの開発、それからコンピューターの運用をやるNHKコンピューターサービス、この会社が五十九年度にできたわけでございまして、これからNHKの業務の進め方の本格的な見直しをやりながら、部分的にこれらの企業に業務の中身を委託していく。その委託の考え方は、やっぱり第一に、NHKが公共放送として主体性がちゃんと確立できるようなものであること。二番目に相手の企業がNHKのノーハウを十分把握してそれなりのレベル、水準を持つこと。それから外部に委託することが経済上の効率性がある。こういう三つの点を勘案した上でこれをやるわけでございまして、そういう意味では人間の効率化は今後の課題として六十年、六十一年以降に実際の数が出てくるものであろう、そういうふうにまた我々は仕向けていかなければいけない、こういうふうに考えております。
#159
○服部信吾君 業務委託の拡大によって経営の効率化は非常に結構なことだと思います。しかし、心配されるのは番組の質的低下、こういうことを非常に心配するわけでありますけれども、今後の業務委託に対する会長の見解をひとつお伺いしたいんですが。
#160
○参考人(川原正人君) 非常に形だけの、あるいは数量的な効率化を力で推し進めていきますと、恐らくその企業の中にいろんなひずみが出てくると思いますし、私ども一番大事な番組制作の面に悪い影響が出かねない、そのことを私非常に警戒しております。
 したがいまして、効率化、合理化を進めるに当たりましても、NHKの本来の業務を一体どこまで私どもがみずからの手でやるべきか、あるいはどこに重点を置くべきか、その点は十分に勘案しながら、かつまた私どもが過去何十年かの間先輩の人たちから引き継いできた仕事のやり方をもう一度見直しながら、一番重点のところには力を注ぎますけれども、時代の変化とともに仕事の態様が変わっていき、外にも十分協力してもらえる企業が発達したものについてはそういう外部の企業との提携をしながら、番組の内容について悪い影響を残さないように合理化なり効率化を進めてまいりたいというふうに思っております。
#161
○服部信吾君 じゃ、最後の問題ですけれども、高品位テレビについてちょっとお伺いしておきますけれども、これは大変画面が大きくて画像も鮮明で大変迫力のある放送ができる、このように聞いておりますけれども、現在どのような研究開発を行っているのか、この辺についてお伺いしておきます。
#162
○参考人(矢橋幸一君) 高品位テレビにつきましては、先ほど申し上げましたように、十年前から開発を始めましてハイビジョンの番組をつくる機材は全部実用の段階に入っている。そういうことで、言うなれば番組はいつでもできる。現実にNHKでも高品位、ハイビジョンの番組の試作はやっておりますけれども、そういった意味のソフトウエアはいつでもできるように――ただどういうソフトウエアがいいのかという、そういういわゆるハイビジョンに見合ったソフトウエア、それについては今後かなり研究の余地があるだろうと思います。私は、ハイビジョンというのは今の地上でやっております五百二十五本の普通のテレビジョンと比べましてそれにとってかわるという考え方は持っておりません。我々は、ハイビジョンというのは文字どおりニューメディアでありまして、今の地上のテレビジョンと並行して走るといいますか、我々はよく放送新幹線と言っておりますけれども、今あるテレビジョンに置きかわるのではなくて、それぞれの機能がありまして並行してサービスをしていく、そういった今のテレビジョンとは違ったソフトを開発する、そういう必要も出てくるということで、従来のテレビジョンを在来線とすればハイビジョンが東北新幹線である。同時に我々は、したがって今のテレビジョン、いわゆる在来線につきましても今後とも活性化を図っていく必要がある。技術的にも、ハードの面でもソフトの面でも活性化を図る必要があるだろう、そういうふうに思っております。
#163
○服部信吾君 高品位テレビの技術開発によって技術面での特許、あるいは番組制作にまでNHKとして副次収入をふやしていく、こういうことも今後考えるべきと思いますけれども、これに対する対応はどのようにお考えですか。
#164
○参考人(矢橋幸一君) ハイビジョンは確かに、ニューメディアとして開発してきまして、やはり新しい技術ですから、我々の研究した特許というのはかなりございます。それはやはり協会の副次収入の一部として今後とも副次収入になるように努力していきたいと思っております。
#165
○服部信吾君 今後の高品位テレビの放送に備えて一般の受像機の開発はどうなっているのか。広く普及を図っていく上からも受像施設の価格をできるだけ安くできるようにすべきではないか、このように思うわけですけれども、この辺についてはどうですか。
#166
○参考人(矢橋幸一君) 我々、先ほどもお話しましたように、衛星の一チャンネルでハイビジョンの放送ができる、そういった技術を開発したわけですけれども、当然まずハイビジョンにふさわしいソフトウエアの開発と同時に、受信機のコストダウン、安い受信機を開発するということがハイビジョンの普及ということに非常に重要なことだと思っております。とにかく、先ほど申し上げましたMUSE方式一つとりましてもいろいろな映像信号を特殊な処理をいたしますので、高度なIC技術というようなものを使うことになろうと思います。したがって、コストを下げるにはいわゆる新しい技術といいますか、回路の部分を専用のLSIというものに置きかえる必要がございます。これはまだできておりませんので、このLSI化をすることによってコストは下がっていくだろう。同時に、先ほど言いましたように世界規格を統一いたしまして量産効果によるコストダウンというものを図っていきたい、こういうふうに思っております。
#167
○服部信吾君 最後に、会長に高品位テレビに対する取り組み方についての決意をお伺いして質問を終わります。
#168
○参考人(川原正人君) やはりこの高品位テレビジョンというのは今の試作品といいますか、技術的に開発が一段落して画面を実際に見ていただけるところまでこぎつけたわけでございます。私ども自身これを見ておりまして、これは全く新しいテレビジョンの放送になり得るというふうに確信をいたしております。ただ、そういう非常に性能の高いテレビジョンでございますけれども、実際にこれがどのように実用に役立ち得るかということになりますと、実際ソフトといいますか、そのメディアを使って何をどういう形で視聴者の方々に提供するのか、ここが一番大事なところだと思います。
 その点に関しますと、私どもはこれはいわゆるテレビジョン放送として開発してきたものでございますけれども、そういうテレビジョン放送としてだけでなくて、いわゆる劇場用、劇場のような場所で放送する、あるいはむしろそれは映画に近いものかもしれません。これはまた別のVTR等のパッケージメディアの発達によりましてそういうふうな可能性も出てきている。あるいはもっと科学的な教育のような場面あるいは医学的な、何といいますか、研修教育のような場面にも今までのテレビとは全く違った形で、むしろ肉眼で物を見ているよりも、例えば虫眼鏡か天眼鏡を使って物を見るぐらいに非常に精密に見ることができるということであるならば、単なるテレビジョン放送としてだけでない分野に活用できるのではないか、そういう感じもいたしております。
 しかし、いずれにしても私どもは放送事業者でございますので、あくまでこれは放送事業として新しいテレビとしてぜひ実現にこぎつけたい。それには地上の今の私どもがちょうだいしている電波では周波数の幅も足りませんし、もう満杯でございます。どうしてもこれは衛星放送、衛星からの電波という中で出さなければ実用にできないわけでございますし、ぜひこの衛星放送、今一チャンネルになってまことに申しわけないんですけれども、これをぜひ軌道に乗せ、その衛星放送の中でこれを実用に供してまいりたい。先ほど私BS3の段階で電波に乗せたいという希望を持っていると申し上げましたけれども、単に乗せるだけでなくて、その段階にはぜひ実用化したいという希望を持っております。
#169
○佐藤昭夫君 私、まず衛星放送の問題について最初に幾つか質問いたしたいと思います。
 第一には衛星放送における難視解消課題の位置づけの問題であります。
 言うまでもなく、BS2は当初難視解消を目的として打ち上げられたわけでありますが、NHKの難視世帯と言われる四十二万世帯、このうち実質的に難視が解消されたと現在判断をしておるのはNHKとしてはどういう把握でしょうか。
#170
○参考人(矢橋幸一君) 衛星が打ち上げられましてから受信世帯は、先ほどもお答えしましたけれども三万八千世帯ございます。その中でいわゆるテレビが見えなかった世帯が衛星で見えるようになった世帯の数は千九百世帯でございます。
#171
○佐藤昭夫君 一報、郵政省は五十九年度にも、また六十年度の予算案の中でも難視解消についての調査研究の費用を計上していますが、その内容を簡単に御説明ください。
#172
○政府委員(徳田修造君) テレビジョン放送の難視聴の状況でございますが、辺地の難視聴につきましては現在全国でNHKの難視聴が約四十二万世帯ございます。これは衛星放送によって解消するということで衛星の打ち上げをしたわけでございますけれども、現状は御案内のとおり一チャンネルという状況になっているわけでございます。この四十二万世帯につきましてもかなり前のデータでございまして、最近は少し減ってきておるのではないかなというふうにも思っておるわけでございますが、その辺の実情の把握がまだ十分なされておりませんので、五十九年度の予算で難視の実態の調査をいたしております。
 間もなく結論が出ようかと思うのでありますが、六十年度の予算でこの実態を解決するためにはどういうような報策をとるのが一番望ましいのか、例えば最近技術が進んできておりますので、性能のすぐれた受信アンテナで解消するとかあるいは共聴施設の設置であるとか、あるいは場所によっては中継局を設置するとかいろいろな方法があり得ると思うわけでございますが、どういう方法がそれぞれの地域において一番望ましいか、そういうような調査をいたしたい、そのように考えておる次第でございます。
#173
○佐藤昭夫君 ところで、BS計画の本来の当初の目的は難視解消を打ち出しておったわけでありますけれども、しかしその後の経過、実態はこの看板と違う方に進んでいるんではないかというふうに私は見るんです。特に四年後のBS3の段階になりますとこのことは一層はっきりして、民放の一チャンネル分は地上とは全く別なものを考えている、こういう動きでありますし、NHKもBS3の段階ではさっきも話が出ておりますけれども、ハイビジョンテレビを実用化したいというこういうことも検討に上っている。看板は難視聴解消ということでありますが、いつの間にかその中身が変わってきているという、これについてはどうしたものかというふうに私は言わざるを得ないわけです。
 改めてもう一遍確認を求めたいわけでありますけれども、放送衛星、衛星放送計画についてその目的、利用のあり方、こういったものを国民の前にはっきり示して、国民的合意のもとで、これだけの莫大な費用を使っていくわけでありますから、それを進めていくというこういう立場にもう一遍立ち返ってもらいたいというこの点の確認を求めたいと思いますが、どうですか。
#174
○政府委員(徳田修造君) BS2につきましてはNHKのテレビジョン放送の難視聴解消を主たる目的としておるものでございます。新しい衛星放送の技術開発のいろいろ実験をやるということになっておりますけれども、これも放送終了後の時間帯に行うなど、本来の放送に支障のない範囲で行うということになってございます。したがいまして、新しい技術開発が主になっているというふうなことではございません。
 それからBS3でございますが、BS3はBS2の後継機ということで、BS2による放送サービスを引き継ぐということが第一の目的でございます。ただ、搭載の機器の余裕がございますので、一般放送事業者の放送も一チャンネル乗せて、それで多様性のある番組の放送も可能なようにしたいということでございますが、NHKの難視聴解消という目的は変わりません。
 以上です。
#175
○佐藤昭夫君 そこで会長にお尋ねをしますが、NHKは会長初め今までしばしば新しい仕事を展開をしていく場合には視聴者の支持がなければ成功するものではないとか、いろいろ手だてを講じて視聴者の意見をくみ上げていくよういろんな努力をやっておる、こういう発言をされてきているわけでありますけれども、今衛星放送という新しい仕事を進めていく際に、どういう構想、内容でそれをやっていくのかといった点について、こういう時期にこそ国民の支持を得るべく計画の内容、衛星放送のあり方、こういった点で国民の意見を聞き、国民合意を形成していく努力をぜひ強めていただきたい。
 具体的にはさっきから提起をしております難視解消の進め方の問題について、それともかかわってBS3段階でのプログラムを国民にわかりやすい形で提起をして、視聴者会議とかいろんな場が考えられるかと思いますけれども、そういう点で広く意見を求めていく、こういう姿勢で対処をしてもらいたいというふうに思いますが、会長どうでしょうか。
#176
○参考人(川原正人君) NHKは企業そのものが全国民からの受信料で成り立っていることを考えますれば、当然のこととしてそういう視聴者の合意のもとで私どもの仕事は進まなければならないと思っております。特にこういう新しい仕事を展開していく中でいろんな機会をとらえまして私どもやっぱり多くの視聴者の意見を的確にとらえて反映してまいりたい、また全国民の代表である国会の今までの御審議の中からちょうだいしました意見、あるいは附帯決議等も十分に尊重して仕事を進めてまいりたいというふうに考えております。
#177
○佐藤昭夫君 次は放送衛星の故障の問題で私も質問をいたします。
 川原会長は一月八日付の「電波タイムズ」というその紙上の新春座談会で、放送衛星の故障に関して、衛星の故障はある意味では大いに反省させられた、やはりもう一回よく足元から見直さないといけないんだということでは大変な教訓であったというふうに発言をされているわけでありますけれども、この足元から見直すというのはどういうことが念頭にあるんでしょうか。
#178
○参考人(川原正人君) 今の「電波タイムズ」での発言について今正確に私記憶ございませんけれども、今御指摘のようなこととほとんど同じような気持ちを今でも持っております。
 といいますのは、やはり私ども放送衛星につきましてはほぼ二十年近く前から協会、NHKとしましてはこの放送衛星が将来の新しいメディアとして、また特に難視聴の解消に一番有効な手段であるということで提唱してまいって、かつまた技術的にもこのことは十分に可能であるということから主張してまいりました。そして、昨年放送衛星を打ち上げるときにおいてもこのような技術的な蹉跌を来すということは全く正直言って考えてもおりませんでした。
 しかし、あれだけの大きな技術的なつまずきに遭遇してみまして、やっぱり技術の開発というものについてもちろん万全の体制はとってきましたけれども、常に最悪のことも考えておかなければいけない。したがってその種のことは、例えば契約の問題一つとりましても十分にもう一度契約のあり方から見直さなければならないし、それから放送衛星の使い方につきましても、私どもは二十生前の状況の中で提案したことをそのまま今でも提案していていいものであろうか。新しいいろんなメディアの発達の中、二十年前には予想もできなかったような今のいろんな通信情報メディアの発達の中でこの放送衛星が担うべき役割は一体何であるのかということももう一度改めて考え直して、といって別に放送衛星を打ち上げたことは間違っていたという意味ではございません。新しいそういう社会の進展の中でこの衛星が担うべき役割は二十年前に考えられていたよりももっともっと大きなものがあるであろう。
 例えばハイビジョンというもの一つとっても、これは二十年前には全く想像もできなかったメディアで、技術でございます。それが今この衛星を使えば可能である。既にもう画面まで皆様の前にごらんに入れるところまで来ているわけでございますから、こういうものは当然衛星のこれからの使い方の中で十分に取り入れられていくべきではないか。少なくともNHKとしてはそういうことを今考えているわけでございます。
 そういう意味で、この衛星の問題、あるいはあの技術的な事故をめぐってのこれから先のいろんな契約の問題、あるいはあの衛星をだれがどのようにして所有していくのが一番いいんであろうかというような問題も恐らく将来議論になることじゃないかと、そういうことも含めまして、私どもはやっぱりいろんなことをこの際検討し直しておきたいというつもりで今いるわけでございます。
#179
○佐藤昭夫君 きょうの委員会もそうでありますが、特に昨年の委員会でもこの放送衛星の時期の問題をめぐってはかなり激しい議論がいろいろやられてきた、そういう経過を持っているわけでありますけれども、いわば衛星の信頼性確保の技術と手だて、これが極めて不十分であったということが露呈をされたわけでありますけれども、そういう議論の経過の上に立って大臣は、御就任になったのは事故が惹起をした後、去年の秋からということではありますけれども、前大臣の後を引き継がれて本当に事故原因の徹底究明と信頼性確保といいますか、事故防止策の確立、こうした点で大臣としてはどういう努力をなさってきたんでしょう。
#180
○国務大臣(左藤恵君) 今お話がございましたように、前国会で前大臣がこのBS2aの故障に関しまして事故を徹底的に究明すると、その原因究明に全力を挙げるということについてお約束を申し上げたわけでございます。
 そこで、このことにつきまして、まずその中継器の故障について、宇宙開発委員会の放送衛星対策特別委員会技術小委員会というところが昨年の十月十九日に本委員会特別委員会に対しまして原因の推定と対策を報告しております。この報告に基づきましてこのBS2bの中継器はどういうふうなものをつくったらいいかということについての必要な対策を十分準備してかからなければいけない。その有効性の確認のための試験を繰り返しいろんな面で十分やらなければならないということに全力を尽くしてきて、ただいままでのところでは結果が良好であったと先ほど御説明したようなところでございます。そうした問題、それからもう一つお話ございました保険の関係もあると思います。このことにつきましても2aのときにいろいろ問題があったわけでありますけれども、さらに今回2bにつきましても、これは同じ形としましては宇宙開発事業団とNHKが共同して打ち上げ保険を掛けるということで予算の計上という問題もしてきたわけでございまして、このことにつきましてはさらに一つの前回のときの努力というものを生かしていかなければならない、このように考えております。
 今後またさらにBS3につきましても、これからもちろんBS2のa、bが上がってからの問題ではありますけれども、そうした計画もあるわけでありますから、この今日までの状況、経験、そういったものを、それからまた各方面からの御指摘というようなものを十分踏まえて必要な改善を図っていかなきゃならない、このように考えておるところでございます。
#181
○佐藤昭夫君 そこで、ことしの八月ないし九月ごろに2bを打ち上げる、こういう予定としながら、今に至るも故障原因については昨年の十月の中間報告が出ただけで最終報告というものが出るに至っていない。おおよそ原因がはっきりしたので必要な対策を講じて現在熱真空試験を実施中、こういうことでありますが、昨年の委員会でも私が指摘をしたのでありますけれども、BS2aに先立つ昭和五十三年四月打ち上げられた実験用の放送衛星、この故障問題についてでありますが、五十五年の十一月に宇宙開発委員会の報告が出ていまして、その報告によると、高圧モジュールのポッティングに生じたクラックに沿って放電が起こって進行波管増幅器が作動しなくなった、こういうふうにされている。これを参考にしながら、今回のというか2aの故障原因について主に三つほどが考えられ、それをさらに煮詰めているところである、こういう昨年の春から夏にかけての当局の説明だったと思います。それが十月の中間報告、こうなりますと、進行波管の電子ビームを出す電子銃部の温度が上昇し、管の陰極に含まれるバリウムが蒸発して絶縁物の劣化が生じた、こういう原因の確認になってきているという点で、これで大体わかったという考え方になってきておると思うのですけれども、私は果たして本当にこの確認で大丈夫かということでなお疑問はぬぐえないわけですけれども、こういうふうにこの原因の認定が三つほどに絞られているというときに、その中の一つにも挙げられていなかったのじゃないかというように私思うのですけれども、このバリウム問題、ここにいよいよこれだというふうになってきた理由は何ですか。
#182
○参考人(船川謙司君) お答えいたします。
 まず、先生が初めにおっしゃった一番初めの実験用の放送衛星BSEのふぐあいのことでございますが、これは電源モジュールと称しておりますが、電源トランスを含んだサブシステムだと考えていただいて結構だと思いますが、電源トランスのあたりに使っております充てん剤が不適切でありまして、その中にクラックが生じましてその中で放電した。したがいまして、電源がダウンしたために中継器が残念ながら次々にやられていったわけでございますが、それにつきましてはその後そういう原因ということがはっきりしましたので対策をとりまして、充てん剤の種類を全く変えまして、この次のBS2には新しい充てん剤のものを使っておりまして、そういうふうな意味でのそれと同じような現象は起こっていないと我々考えております。
 それから、当初故障が起こりました後すぐにはその故障の状況だとかそういうのを判断いたしまして、いわゆるフォールト・ツリー・アナリシスというので疑いの持てそうなところを幾つか挙げておって、それにつきましていろいろ検討しておったわけでございますが、昨年の夏に一つの原因究明の、解明の手段といたしまして、当時もBS2bの中継器が大体できておりましたので、それの熱真空試験を行ったわけでございます。その熱真空試験の中で非常に我々が今まで気づかなかった現象がちょっと出てまいりました。
 それは、先ほどちょっと話が出ましたが、電子銃部のところで温度の異常上昇が起こりましてバリウムが過剰に飛び出しまして、本来導電性でないところに蓄積、堆積いたしまして、絶縁度を下げるというふうな現象がわかりました。これは進行波管としての機能を全く阻害するほどではなくて、あるテストの段階でそういう症状があらわれるという球が二本あらわれまして……
#183
○佐藤昭夫君 余り持ち時間かないので短くやってください。
#184
○参考人(船川謙司君) そういうことから、そういう測定結果、実験結果からバリウムが原因であろうというふうなことが推定されまして、それに対応する手段をとりまして、それに対する効果を見るための試験をやって、大体確かめられてきたというのが現状でございます。
#185
○佐藤昭夫君 私が指摘をしているのは、昭和五十三年に先立って打ち上げた実験衛星、その故障の原因、これが今回出てきていないので、これで疑問を持たざるを得ないと、こう言っているわけじゃないんです。
 それは、確かに手だてを講じてこの2aを打ち上げたんでしょう。しかし、それで2aの故障が起こって、三つほど原因を今絞りつつあるんだと、こう言われておったときに、余り浮上をしてなかった問題が去年の十月の報告でぼんと出てきているというこのことについて、本当にそうだろうかと、こういう疑問を持たざるを得ないわけです。
 それともう一つは、そういうふうに一応原因を確認をして、それに基づいての対策を講じて熱真空試験やった。三本のうち二本はオーケーになった、一本に不調が出た。しかし、おおよそこれでもういいんです、単体試験はこれでほぼ終わったんですと、こう言うんでしょう。だから私は危なくてしようがないんですよ。単体試験が終わって、後は三本セットの試験に、まあ言うなら最終試験というか総合試験というか、ここへ入ってくる、こういうやり方で八月、九月の打ち上げに間に合うようにということで急いでいく。こういうことでいったら、これはまたその時点でしまったと、こういうことになりかねないことが起こるんじゃないかという不安を私はぬぐい切れないんです。
 そういった点で、ぜひ大臣、陣頭指揮をとっていただいて、ほかの方からもありましたけれども、さっき大臣のお言葉の中で、原因についてはほぼ見きわめがついたとこう言われていますけれども、そういうふうに決めてかかるんじゃなくて、原因究明についてももっといろんなこの分野の専門家の意見なんかも徴しながら、念入りに念入りに原因の究明、そしてこういう事故防止の対策、これに慎重に慎重を期する、こういうことで引き続きひとつ大臣、陣頭指揮をとって鋭意そういう立場でやってもらいたいということを強調をしたいと思いますが、どうでしょうか。
#186
○国務大臣(左藤恵君) 御指摘のとおり、これは視聴者の期待がかかっておるわけでありまして、これを裏切らないようなためにも、今先生おっしゃったように、慎重の上にも慎重を期し、そして、いろんな多方面の御意見を伺って、その上でいよいよ試験を重ね、確実だという段階で打ち上げに入るべきだと、このように考えております。
#187
○佐藤昭夫君 それでは、先ほど同僚委員の質問に対してBS3については自主技術でやっていきたいと、こういう見解の表明があったわけですけれども、その問題は、単に打ち上げだけの問題ではないわけですね。設計から製作から打ち上げに至るこの全段階について、本当に自主技術でやっていけるのか。本当に自主技術を貫いていくためには、あと何を解決しなくちゃならぬのですか、答えてください。
#188
○参考人(船川謙司君) まず一番今話が出ております進行波管でございますが、これにつきましては、BS2を上げるころには全く国産品でこれに相当するものができておらなかったわけでございますが、その後NHKが資金を出されまして、国内メーカーでずっと研究が続けられておりました。それからまた、事業団も研究開発で、同じメーカーで進行波管の試作をさしております。
 そういうわけで、BS3が上がるまでには大体今の見込みであれば国産の進行波管が、今度の失敗にかんがみまして完全な試験をして信頼性の十分高いものができるだろうと我々は自信を持って考えております。
 それからまた衛星全体につきましても、実験用の放送衛星あるいはBS2を通じまして国内に大分技術が蓄積されておること、それからまたほかの衛星につきましても、例えば我々は今CS3だとかそれから技術試験衛星の五型だとかいうものをほとんど完全な自主技術でやっておりますので、こういう技術を結集いたしまして、なるべく自主技術をもとにした開発を今後したいというふうに考えております。
#189
○佐藤昭夫君 限られた時間での応答でありますので制約がありますが、ここまでの部分は自主技術でできる、現時点ではこの部分は外国の技術に依存せざるを得ないと、こういう区分けをして、この依存せざるを得ない部分をどうしたら自主技術でやれるというような状況に持っていけるか、その課題と方策を明確にする、こういう点で一遍そこらの一覧表のようなものを資料として出していただけませんか。どうですか。
#190
○参考人(船川謙司君) お話のありましたような資料を提出さしていただきます。
#191
○佐藤昭夫君 NHKの会長にお尋ねをしますが、これでまあ万全に万全の方策を尽くして2bが成功し、その暁、衛星放送が本放送と、こういうことになっていった場合に、その受信契約は一体どういうことになるのかということで念のために聞くわけですけれども、2aのこの故障のしわ寄せが受信料のところへ持ち込まれる、こういうようなことは万々が一にもないでしょう。
#192
○参考人(川原正人君) 故障のしわ寄せがという――御質問の趣旨、ちょっとはかりかねるところがありますが……
#193
○佐藤昭夫君 故障によるNHKの欠損が、将来国民の負担という形で受信料問題にはね返ると、そういうことはないでしょうね、ということです。
#194
○参考人(川原正人君) はい。私どもが五十九年度の計画の中で、放送衛星を順調に打ち上げて本放送になると。そのときには、本放送である以上、この衛星を利用してテレビ受信を享受される方からはやはりほかの方と同じように受信料をちょうだいするという計画を立てました。したがいまして、それが予定どおりいかなかったという限りにおいては、その分の予定した収入が減るということには理論的にはなるわけでございます。その分がもししわ寄せだと言われれば、それは私は結果としてやむを得ないことになると思います。
 それから、もう一つは今後の問題でございますけれども、完全に二波の体制ができて、しかもそれが安定して放送が継続できるという見通しになりましたならば、私どもはやはりどの段階かで、昨年申し上げましたように、これは本放送ということで、この衛星でもってテレビをお受けになっている方からはやはり受信料をちょうだいしなければならないというふうに考えております。
#195
○佐藤昭夫君 最後に大臣にお尋ねをします。
 同僚委員の質問の中でも、六十年度予算案で放送法制検討のそういう作業を郵政省で進めているという話がありました。それで、ちょっとこのことの関係でごく基本的なことを二つお尋ねをしておきたいんですけれども、ニューメディア時代における放送のあり方を検討すると、こういうことに藉口をして放送の自由を規制する、その問題を検討俎上に上せるということはまさかないでしょうねということが一つと、それから、かつて政府与党の中に動きがありまして、国会と国民の批判の中で消えたわけでありますけれども、受信料徴収の義務化、不払い者への罰則、これを放送法改正の中に盛り込もうという動きがかつてありました。これをもう一遍再燃させようというような意図はまさかないでしょうねというこの二つ、御質問したい。
#196
○国務大臣(左藤恵君) 放送法の三条の精神、また四十四条の精神というものは、これは根本的には憲法で保障されておる問題、憲法の問題であり、言論の自由というものについては、この放送法制の中でどうしてもこれは動かすことができないという基本的な問題であろうと思いますので、そういった問題について検討の対象にするということは考えてもおりませんし、またすべきではない、このように考えております。
 それから二つ目の問題につきまして、その受信料制度の問題につきまして、前にも一度罰則をつけたりなんかはいたしておりませんけれども、義務化するというような法案が国会へ提出されたこともございます。そういうことで、そういう問題もございますので、これは受信料という問題、受信料の性格というものそのものについてどういった御意見があるかということにつきましては、この放送法制の中ででも論議されるんではなかろうか、私はこのように考えます。
#197
○佐藤昭夫君 終わります。
#198
○中村鋭一君 BSにつきましては、朝来いろいろ各委員の方が御質問でございますので、質問通告にはございませんけれども、少し具体的なお話を伺わせていただきたいと思います。
 BSによります本放送が始まりますと、同時にいわゆる高品位テレビというものが御家庭でごらんをいただけるのか、それとも少し時間的経過がたってから高品位テレビをごらんいただけるようになるのか、まずそこからお伺いをいたします。
#199
○参考人(川原正人君) 高品位テレビは、まだ私どもが開発をしている段階でございまして、少なくとも日本の電波行政の中でこれがまだオーソライズされておりません。したがいまして、仮に放送衛星が、時期にもよりますけれども、今我々が一生懸命努力しております2bという段階で二チャンネルがちゃんと安定した状態で出るようになった段階、ここで放送衛星は本放送にいずれの時期にかなると思いますが、その段階ですぐにハイテレビジョンが同時に実用化ということは多分ないだろう、ある程度のタイムラグは出るだろうというふうに考えております。
#200
○中村鋭一君 その高品位テレビ、最近よく使われる言葉でありますけれども、今テレビを視聴していらっしゃる皆さんにひとつわかりやすく、現在我々が見ておりますテレビといわゆる高品位テレビとの違いを御説明をお願いすると同時に、その高品位テレビを成功させるために今NHKの技術陣がクリアしなければならない技術的な問題点、それはどの辺にあるか、お教え願えますか。
#201
○参考人(矢橋幸一君) ハイビジョンにつきましては、技術的に申しますと、画面の走査線と言っておりまして、絵を分解する走査線がございます。走査線の数が現在の我々がNTSC方式のテレビジョンは五百二十五本でございます。ハイビジョンにつきましては、より絵を精細な、精細度を上げるために約倍に近い千百二十五本というたくさんの線で絵を分解しております。
 もう一つは画面の、我々アスペクトレーショと言っておりますけれども、縦横比が現在のテレビジョンは縦が三で横が四でございます。三対四。今度の新しいハイビジョンにつきましては縦が三で横が五でございます。それだけ絵がぐっとワイドになります。したがいまして、非常に細かいところまでよく見える。それから、ぐっとワイドですから非常にいわゆる臨場感といいますか、そういうものが強く出てくるということで、今までのテレビジョンの絵とは全く我々は別な感じを受ける。例えばハイビジョンの番組をいろいろつくっておりますディレクターに聞きましても、カメラワークにしてもアップはよく見えますから要りません。それから、ワイドでいいですから、やたらスイッチング、切りかえも要りません。そういうことで、野球を見ていても本当に野球場にいるような感じ、いわゆる臨場感が大変強い。それからもう一つは、ハイビジョンというのは衛星でやる場合には音がPCM音声というものを使いまして、非常に音のいいハイファイの音が使えるということで、我々は先ほど申し上げましたように、今の地上でやっている番組と同じ番組を出しても全く意味がない、もっと別なサービスだろうというふうな見方をしております。
   〔委員長退席、理事片山甚市君着席〕
 それで我々が技術的に今後クリアしなければならない問題は、まず第一にはやはりいかに安い受信機をつくるか。これは受信機と申しましてもいわゆる絵を出すディスプレーと言っておりますが、いかに大型のディスプレーを安くつくるか、これは今の日本のエレクトロニクスの実力から言えばいずれクリアするだろうと思っておりますけれども、しかもそれが先ほど申し上げましたように、世界の規格統一を行うことによって非常な量産化が行われます。しかも、これは放送だけではなしにいろいろなメディアに使えますから、大変な技術が広く使われますから、量産化も出てくるだろうということで、我々としては一つの目標として、五年後には一台五十万円のハイビジョンの受像機をつくるように、そういうこれは意気込みですけれども、研究開発をやっております。
 先ほど申しましたように、やはりこれは放送に使う以上は、特にスタジオの番組をつくる技術基準と、電波に乗せますから伝送基準の規格というもの、これはもちろん郵政省の電波技術審議会で決めるわけです。そういった基準化というものをクリアしなければならない、受信機を安くしなければならない、その辺が大きなあれになります。
#202
○中村鋭一君 そうしますと、結局安い受像機をつくるのがこれから乗り越えなきゃいけない問題点であるということは、画面の上では先日も私NHKのどの番組でしたか、草柳大蔵さんが司会をしておられたので、こちらが高品位でこちらが今のテレビです、余りの違いに驚いたんですが、そういう意味での技術はもう既に問題は解決しているわけですよね。
 とすれば、画面が大きくなるとおっしゃいましたが、一応今考えておられる画面の大きさというのが大体あると思うのですよね。今五十万円受像機とおっしゃいました。その五十万円の受像機というあなたの頭の中には、画面の大きさはメーターで同メーター何センチ対何メーター何センチぐらいのを想定しておいでですか。
#203
○参考人(矢橋幸一君) ただいま五十万円と申しましたのは、大体ブラウン管のはすの対角線で三十インチぐらいの、これは家庭用ですから大きくはないんです。ただし将来は、私が持っている夢といいますか、それはやはり壁掛けテレビで、百インチぐらいのワイドなスクリーンをつくっていきたい、これは必ずできるだろうというふうに思っております。
#204
○中村鋭一君 百インチといいますと、二・五センチが一インチですか、相当巨大なものですね。それでしかも我々が見て今のテレビをそれだけ引き伸ばしたら大変ざらついたりちらついたりすると思うのですけれども、国民の皆さんにとってもそれが早く出れば大変な福音であると思います。
 いま一つ、静止画放送ですかというのを聞いたことがありますけれど、この静止画放送というのはどういうものなんですか。
#205
○参考人(矢橋幸一君) 静止画放送といいますと、今のテレビでもできるわけですし、ハイビジョンでもできるわけなんです。テレビの一チャンネルを静止画に使いますと、大体五十番組ぐらいの静止画の番組ができる。これはもちろん音つきですから、我々が今ハイビジョンと静止画と結びつけて考えているのは、いわゆるインテリアビデオといいますか、一つの番組で絵が二十枚ぐらい変わるわけですから、例えば大きなハイビジョンのスクリーンで「名曲アルバム」のような非常にいい音楽を流して、そこで例えば非常に猫が好きな人は「猫」という番組を押せばこれは受信者の方で選べるわけです。五十番組ぐらい常時送っていますから、好きなものを選んで、そうするとかわいい子猫の大きなハイビジョンの絵が次から次へ変わって、美しい音楽が流れる。これは大変安くできる番組ですし、そこで編み物を編みながらそういう絵を楽しむというそういったサービスもできるんじゃないかと思います。
#206
○中村鋭一君 そうしますと、例えば今モナリザの絵を見ようと思えばフランスまで行ってルーブルに入らなきゃ見られませんが、NHKの優秀なスタッフがルーブルへ行ってモナリザをきっちりと撮影して今おっしゃった静止画でやれば、これは今本当に我々が美術館へ行って目の当たりにしているのと同じ感じで、例えばああいう名画も鑑賞できるわけですか。
#207
○参考人(矢橋幸一君) もちろん立体感とまではいきませんけれども、かなり迫力がある映像が楽しめるだろうと思うんです。
#208
○中村鋭一君 DBSによる放送を楽しむためにはパラボラアンテナが要りますね。
   〔理事片山甚市君退席、委員長着席〕
このパラボラアンテナは、今NHKの推測によれば何年ぐらいたてば幾らぐらいで求めることができるとお考えになっていらっしゃいますか。
 それからもう一つ、今の場合はパラボラアンテナは受像機と別々に取りつけなきゃいけませんね。それが将来、例えば受像機に内蔵されるような技術開発は可能なのかどうか、その辺をお答え願います。
#209
○参考人(矢橋幸一君) パラボラアンテナにつきましては確かに今普及がまだ進んでおりませんので、こういうエレクトロニクスの機械はやはり量産化によってコストダウンというのが一番いいわけなんで、世界的に見ましてもヨーロッパにしろアメリカにしろ、来年、再来年あたりからDBSのサービスがいよいよ始まろうとしておりますので、日本の受信機がヨーロッパあるいはアメリカへ当然輸出されていくだろうと思いますから、世界じゅうのDBSの時代が始まれば、今かなり値段は高うございますけれども、我々は十五万円を切るぐらいのところへ持っていけるんじゃないかというふうに思っております。
 それから、今お話になりました内蔵型というのはこれはちょっと無理ですから、せめて平面アンテナといいますか、一枚の板で受信、例えば屋根へ板をつけて、それで自由に指向性をとるように、そういった研究を今やっております。
#210
○中村鋭一君 ひとつ大いに頑張っていただきたいと思います。今おっしゃったように、将来頑張るとしても三十インチの画面で五十万、パラボラアンテナが安くなるとしても十五万ですね。そうすると、我々がDBSによる放送を楽しむためには、安くなるとしても六十五万かかるわけです。まして、これが百インチぐらいの大画面になりましたらすぐ百万ぐらいかかることになるんじゃないですか。とすれば、今日のテレビの放映というものはもう我々国民の生活とは完全に密接不可分のものでありますから、それが百万以上も何やかやでかかる、安くしても五十万以上かかるということになりますと、これはやはり庶民の手の届くものではないということになりますから、ということになりましたら、例えば当委員会でそういうロマンに満ちたバラ色のビジョンを描きましても、それはまさに委員会での空理空論にすぎないということになりますね。本当に国民大衆のためになるためには、もっともっと安くそういうものが見られるようにしなければいけませんので、我々も頑張りますけれども、コストダウンということはやっぱりNHKの優秀な技術スタッフによってのみ私は可能であると、こう思いますので、せっかく頑張ってくださるようにお願いを申し上げておきたいと思います。
 最近、NHKは報道番組に大変力を入れていらっしゃるように私はテレビを見ておりまして感じているんですが、具体的に例えばここ一年ぐらいの間にNHKのいわゆる報道番組というものに対する人事構成はこう変わりました、番組の放映の体制はこのように変わりました、ラジオの放送番組はこう変わりましたし、その内容と質はこのように変化をしつつありますし、このように変化をさせていきたいと思いますと、大いにひとつその辺を論じていただきたいと思います。
#211
○参考人(川口幹夫君) ニュース及び報道番組というのはNHKの非常に大きな責任でやるべき仕事だと思っております。したがいまして、これまでの報道のいろんな試みをさらにここのところいろんな工夫をいたしまして充実をするように努力しているつもりでございます。
 まず体制からいいますと、昨年の組織改正で編集センターというのをつくりまして、前は整理部だとか報道番組部、いろんな部があったんですけれども、そういうものを一括しまして、取材をしてきたものがどのような形でテレビやラジオで流れるのか、そういう編集の体系を一元化しまして、そのような組織改正もやりました。
 それから現実的には、番組あるいはニュースというものがこれまでのように、何といいますか、一過性じゃなくて、もっと深くならなければいけないというふうにも思っております。したがって、一つの事件が起こった場合に、それがさらにその後どうなっていくのかという追及の姿勢とか、それから後に続いてくる問題の追跡というようなこともやるようにしております。
 それからもう一つは、そういう意味でいうと番組自体はより国際化しなければいけないと思っております。今世界じゅうどこでも大体十五分以内には映像が入ってくるという大変便利な時代でございますから、ネットワークを活用いたしまして、アメリカ、ヨーロッパ等ももちろんでございますけれども、昨年からはアジアのニュースを強化しようということでことし四月からはさらにアジアビジョンを週に五回放送するというような形で、海外の情報についてはこれまで以上に拡大をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
 それから一方、国内の方では地域放送の強化ということをやりまして、より身近な情報、より生活に密着した情報をお伝えしようというふうな精神で取り組んでおります。一つの例を申し上げますと、今の八時五十分からの、これはローカルニュースでございますけれども、この情報なども従来は火事だとか、あるいは事故だとかいうのが主でございましたけれども、このごろはより生活に密着した形で放送しておりまして、大方からは大変御好評をいただいているというのが現状でございます。
 一方ラジオは、昨年の四月から全放送時間を生化いたしまして、五時から深夜十二時まで全く生放送化ということでやっております。したがって、いつどういうことが起こりましても直ちに対応ができる、放送の電波に乗せられるというふうな形をつくっておりますので、さらに災害放送も先ほどのお尋ねにお答えしましたけれども、一段と強化をしてまいっているつもりでございます。
#212
○中村鋭一君 朝からの片山委員の質問の中でも答えていらっしゃいましたけれども、従来ですと、例えば韓国のニュースが一たんAFPでありますとかAPとか、こういうところを経由して日本に入ってきておりましたのが、これからはABU等々でダイレクトに自由に行き来する、こういうことになる。そういう傾向をNHKは強めておいでになるということなんですが、それは大いに結構です。
 今NHKの各国語の翻訳スタッフというのは何人ぐらいいらっしゃるんですか、そういうふうにどんどんやるようになりますと、それはもう世界じゅうの言葉に通じているスタッフというのが必要になります。私、いつもNHKを拝見しておりまして、非常に的確に翻訳をしてテロップがスーパーされますが、それは敬意を表しているところではございますが、念のために何人ぐらいいらっしゃいますか。
#213
○参考人(川口幹夫君) 翻訳のスタッフは職員もおりますし、それからいわゆる出演者といいますか、外部の方もたくさんいるわけでございます。国際放送関係と、それから報道の外信関係の方におりますけれども、ただいまちょっと具体的な数字を持ち合わせていないんで、また後でお知らせいたします。
#214
○中村鋭一君 この間、私は予算委員会で中曽根総理にもお尋ねしたんですけれども、中曽根さんがゴルバチョフ新書記長に会ったときに、通訳はどのようになさいましたと伺いましたら、中曽根さんの通訳は日本の外務省のスタッフ、ゴルバチョフの通訳はソ連の通訳がやりますということでございました。
 従来から言葉の翻訳というのは、単語一つにいたしましても、随分、それが日本語に直されますと印象が違うことがございますね。まして、今イランとイラクは戦争しておりますけれども、あの人たちはいわゆるアラビア語をお使いだと思うんです。ですから、そういうときにNHKに優秀な、そういう比較的日本では余りポピュラーでない、我々にファミリアでない言葉を専門とするスタッフが充実されていることが誤りなく情報を伝えるためにも必要であると思いますので、その点はひとつNHKも大いに気を使っていただきたい、これもお願いを申し上げておきたいと思います。
 先日、「核戦争後の地球」でございますか、が放映されて大きな反響を呼んだと伺っております。この番組はNHKのどの部局がおつくりになったんですか。
#215
○参考人(川口幹夫君) NHKスペシャル番組部というところがございます、そこがメインになりまして、そこに産業科学部というところのセクションの科学の担当者も入りましてプロジェクトをつくりましてつくったものでございます。
#216
○中村鋭一君 スペシャル政策部ですか。
#217
○参考人(川口幹夫君) スペシャル番組部です。
#218
○中村鋭一君 スペシャル番組部の科学の何ですか。
#219
○参考人(川口幹夫君) スペシャル番組部がメインになりまして、そこに、去年の組織改正の前は教養科学部、それから、組織改正になりましてからは産業科学部でございますが、そういうセクションにいる科学番組の担当者が入ってプロジェクトをつくって制作したものでございます。
#220
○中村鋭一君 そうすると、「核戦争後の地球」という番組はすぐれて科学的な番組であると、こう理解してよろしゅうございますか。
#221
○参考人(川口幹夫君) 科学の目で、科学する心でつくった番組だと、こういうふうに申し上げていいと思います。
#222
○中村鋭一君 制作日数は何日ぐらいかかりましたか。
#223
○参考人(川口幹夫君) これは共同制作でございまして、企画から制作完了までに三年間を要しております。
#224
○中村鋭一君 私は長らく民放におりまして、民放で一つの番組をつくるのに三年なんというのはとてもじゃないけれども絶対にこれは許される余裕ではございません。そういう点で、三年もの日時をかけて立派な番組をおつくりになったと、こう思いますが、それだけに大きな反響を呼んだと思います。
 視聴率は何%ぐらい出ましたか。
#225
○参考人(川口幹夫君) 二回放送しまして、第一回目が約二四%、それから第二回目が約二〇%であったと思います。
#226
○中村鋭一君 視聴者の皆さんからは大変な反響があったと思いますが、その反響を分類いたしますとどういうふうに分けられましたですか。
#227
○参考人(川口幹夫君) 二回の放送に対して、たしか二千七百ぐらいの電話反響があったというふうに記憶しております。それから、手紙またははがきによる反響の方もまた五百ぐらいでしたか、あったと思います。
 その中で、やっぱり一番多かったのは、核戦争というものが現実的に起こったらどういうふうになるかということのその怖さをこの番組で知ったという意見とか、それから、これを見て平和のとうとさを改めて感じたとか、それから、ぜひ地球上から、世界の平和のためにも人類の幸福のためにも核戦争があってはいけないというふうな感じの反響が多かったと思います。
#228
○中村鋭一君 衆議院の逓信委員会でこの番組について論議が交わされました。その際NHKは、純粋科学的データを集めた番組であるとこれについて答弁をしていらっしゃいますが、いろいろと意見があるところでございますが、これについてNHKは、こういった意見等々についてどのようにお考えでございますか。
#229
○参考人(田中武志君) いかなる場合におきましても放送番組に関する御批判、御要望に対しましては、NHKといたしましては謙虚に受けとめていきたいというふうに考えております。
 今回の番組の企画制作のねらいは、今、川口が申しましたように、もし核戦争が起こったら地球と人類はどうなるだろうというようなことをテーマに取材をいたしまして、予見という形で多角的に映像化したものでございます。そのねらいは、核爆発による自然環境等への深刻な影響を、放送機関としてわかりやすく一般に理解していただくようさまざまな状況の面を設定いたしまして、各種の撮影技法等を用い映像化したものでございます。
 今回のNHK特集「核戦争後の地球」につきまして、今お話がありましたようにいろいろな御批判があれば、私ども十分に御説明申し上げたいというふうに考えております。
 今後、このような番組の企画制作に当たりましては、放送法第四十四条三項にうたわれておりますように、「政治的に公平であること。」、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」など十分配慮しながらいきたいというふうに思っております。
#230
○中村鋭一君 社会的に与える影響が極めて大きいNHKであります。のみならず、今回の番組は、今お伺いしますと三年という日時を費やし大変な努力をもっておつくりになり、そしてこれだけの社会的反響を呼んだ番組でございます。ただいまの御答弁のように、四十四条にのっとりましてこれからも大いに頑張っていただきますように、また、その番組制作等々につきましては十分に配慮をして、慎重にかつ徹底的に国民の皆さんから喜んでいただけるような番組づくりをしてくださることを要望をいたしまして、私の質問を終わります。
#231
○田英夫君 最初にNHKの経営哲学というようなことになるんでしょうか、言うまでもなく、NHKは受信料によって運営をされているという性格でありますけれども、私は、この受信料というものを、何の疑問もなくこれが当然だと思っていいかどうかということにいささか疑問を持っているという立場で伺いたいんであります。
 以前からNHKは受信料でやるんだと、これが常識になっておりますから、NHKの皆さんはもうそれが常識になっていらっしゃるでしょうけれども、民放というものができて、いわゆる電波料制度によってこれが経営されるということになりますと、一般の方の立場からすると、日本の放送というものは受信料のNHKと電波料制度の民放が並存をしているという、これはやや奇異な感を持って当然なんじゃないかと思います。しかし今では、もう民放ができて長い間たちましたからこれも実は当たり前のことのようになっているかもしれません。しかし、考えてみると、依然としてこの二本立てというのは奇異な感じを持って当然だというふうに言うべきじゃないか、こういう気持ちが私の根底にはあるわけですね。しかも、現行法ではこの受信料の問題について、例えば制裁措置とか処罰とかということがない。
 例えば電話ならば通話をとめてしまう、あるいは電力ならば送電をとめてしまうということが可能でありますけれども、電波の場合、NHKの場合にそういう方法が法律上もとられない仕掛けになっている。こういうことで、NHKの関係者の皆さんはいろいろそれがゆえに苦しいことも体験をされてきている。こういうことを考えますと、やっぱり疑問を呈しながらこの受信料制度というものをもう一回見直してみる必要があるんじゃないかと、こういうことを感ずるんでありますけれども、大変抽象的な哲学的なといいますか質問ですけれども、感想をひとつ会長なりどなたかから伺いたいと思います。
#232
○参考人(川原正人君) 私どもこの受信料の制度という問題については部内でも常に議論をしているところでございます。
 ただ、結論としましては、やはりこの受信料の制度というのは非常によくできているというか考えられている。それで、少なくとも現在日本の放送制度の中で、特にNHKに課せられた使命、公共的な性格で幾つかの使命を負っておりますし、またNHKが報道、言論機関として、あるいは文化機関としてできるだけ不偏不党で公正な立場で、しかも時に商業的な採算ということだけでない形でつくらなければならない番組というのもずいぶんあると思います。そういうものを制作していくためにはやはりこの受信料という制度がなければ私どもの仕事はできない、任務は果たせないんじゃないかと。
 ただ、一つの国の中にこういう受信料というものをもとにした公的な立場の放送機関だけでいいかといえば、やはり一方に利潤追求といいますか、資本主義社会の中で採算というものを基準として非常に活力のある民間放送の存在がまた両々相まって非常に放送番組を豊かにしている。非常にバランスのよい形で今現在存立しているのではないかと。ただ、この形がいつまでどういう形で続くかということにつきましては、やはり社会は一日も同じ場所にとどまっているわけでございませんし、歴史の大きな流れを見た場合に先々いろいろな問題があるいは生ずるかもしれません。しかし、私どもとしてはやはり日本のこの放送事業の中ですぐれた番組、あるいはその採算という形では達せられない番組を放送し、国民の方にサービスしていくためには、どうしても受信料制度というものはなくてはならない存在であろう。それに支えられたNHKもまた国民にとって絶対に必要な存在だと、私どもはそういう自負と責任のもとに今この受信料制度を考えております。
#233
○田英夫君 そこで、今会長も実は言われたんでありますけれども、ちょっとわき道にそれるようでありますが、きょうたびたびお話が出ておりますように、いわゆるBSの問題、BS2が今残念ながら一チャンネルになっておりますが、これがbが上がって正常に活動するということになっていくという前提で申し上げるんですが、一応BS2の段階で大義名分としましては難視聴の解消ということになっていると思いますが、そう理解してよろしいですか。
#234
○参考人(川原正人君) これまで私どもが申し上げてきた大義名分といいますか、たてまえとしては主として難視聴の解消に役立てたいということでございました。
#235
○田英夫君 そこで、若干意地悪な言い方でありますけれども、三千万を超す受信料を払っている世帯、その負担においておよそ五十万と言われている難視聴の世帯を救うためにNHKが六百億の六〇%、三百六十億の負担をしてBSを上げてこれを利用していくと、こういうことになってくるわけでありますが、もちろんその三千万世帯も将来その恩恵に浴するということになりますからもちろんゼロとは言えないわけでありますけれども、今度の故障は除きましても、どうも今の状況では非常に問題があるのではないか。その辺のところをどう割り切ったらいいのか、将来に向けての問題だからと、3が上がってくるその先の将来の問題として皆さんにもこれは大きな利益ありますよということでいいのかどうか、その辺はどういうふうにお考えですか。
#236
○参考人(川原正人君) 確かに難視聴のもし解消だけというふうに考えますと、少なくとも事業の採算という観点からいうと非常に疑問は出るところだと思います。
 ただ、御理解いただきたいのは、実はこの放送衛星というものをNHKが主張いたしましたのはたしか昭和四十一年か二年のころ、ほぼ二十年ぐらい前の当時でございました。当時まだ難視聴の世帯はかなり残っておって、年間恐らく三、四十億あるいは五十億円近い難視聴対策費を、その置局並びに共同施設のために投入していた時期だったと思います。その辺の時点で考えますと、確かに一個の放送衛星で全国をカバーできるということは非常に魅力のある手段でございましたし、かつまたそのときから恐らくこの放送衛星というのは難視聴の解消だけでなくて、将来これは非常に多角的な能力を発揮するであろうと、国民の財産としても十分その成果はまた再び国民の方々のところへお返しできるはずだという思想は持っていたと思います。
 そういう形で、今この二十年後にこういう状況に上がってきまして、やはり私どもは放送衛星の2bでも三号でも考える場合に、もちろん今までの難視聴解消ということを大義名分は大義名分としまして、さらにこれが持つ放送衛星の未来への可能性、特にもう既にその後、二十年前には考えられなかったハイビジョンというような新しいメディアも開発できてすぐにでも実用化できるところまでこぎつけてきております。さらにPCMというすぐれた音質の放送とか、あるいはこれも可能性でありますけれども、静止画放送とかファクシミリということもこの放送衛星を活用すれば十分にできるわけでございますから、そうしたことを考えれば、長い目で見た場合に私は国民の方々に十分その成果というものはお返しできるというふうに思っております。
#237
○田英夫君 そこで、いわゆる大義名分としてのことから言えば、難視聴地域を解消するというのはBS2の段階ではそういうことだとすれば、その段階ではBS2を通じて放送するものは今までの地上二波と同じ内容のものでないとおかしなことになりますね。つまり五十万の難視聴地域にはBSを通じてしか行かないわけでありますから、地上二波と同じものを送らなければいけないという論理になると思いますが、その点はいかがですか。
#238
○参考人(川原正人君) 論理的にその点だけを詰めてまいりますと、確かにそういうことに一応なるかと思います。ただ、御承知のように現在今地上二波で放送しております番組の中にも時間帯によりましては再放送の時間等もかなりございます。もちろんそれは必要であるから私ども再放送しているわけでございます。その辺を上手に活用すればあるいはその四十万といい、あるいはその離島の方々に若干の問題は残すにしても、今度は別の三千万の方々のためにそういう時間をうまく編成することによってサービスができるのではないかというふうにも考えております。
#239
○田英夫君 私は否定をしているわけではないんで、むしろNHKの方で積極的に、今この段階は実験的であり、試験的であり、過渡的なものなんだということをもっと視聴者の皆さんに徹底された方がいいんじゃないですかなという気持ちで実は申し上げているんであります。
 問題がもとへ戻ってきまして、実は受信料制度というものに触れてくるわけですが、BS3というような段階から先になってきますと、もちろんその段階でもいわゆる技術的な実験というようなことがいよいよ本格化するという意味ではまだ実験的な段階が続くのかもしれませんけれども、今の過渡的なBS2の段階では地上二波と同じものを出していくというのが原則とすれば、衛星を通じたから難視聴地域の方には別の料金をいただくというわけにはもちろんいかないということですね。ですから、つまり衛星を通じた放送を見てもこれは無料である。無料というか、つまり受信料という形で地上二波を見ている場合と全く同じという扱いになるんだろうと思います。そう考えてよろしいですね。
#240
○参考人(川原正人君) その辺はそのBS3の段階でどのような番組の編成が可能になるか。可能という意味は、私どもだけで可能という意味もありますし、それからいろいろまた放送行政上の問題も残るかと思います。そういうことを含めましてどのような放送が可能になるか、私どもの願望はいろいろあります。その可能になった放送の編成の内容によりましては、難視聴の解消プラスアルファのサービスがかなりできるんではないか。もしそうであるならば、そのプラスアルファのサービスについて、これはあくまで観念、理論ですけれども、プラスアルファの料金をちょうだいすることも不可能ではないかもしれないということも考えております。しかし、それはあくまで仮定のまた仮定の話でございますので、もう少し事態の進展を見ないとその辺は詰めるわけにはいかないかと思います。
#241
○田英夫君 まさに私も同じようなことを感ずるわけですね。このBS3から先の将来の問題については、一方では新聞、通信社あるいは民放、そういうところでやはり衛星を利用していろいろなサービスをしたいという計画がおありになる。しかも、その計画によると料金の取り方までそれぞれ個性があって独自の考えをしておられるようですね。今会長おっしゃったとおり、NHKもBS3から先の段階になってくると、民放もそれを使う、あるいは新聞、通信社というようなところもいろいろ参入してくるというようなことになってきますと、そこから先はいわゆる今までの受信料とは別の料金というものを考えなければいけない段階になるんじゃないか。3の段階というのはそう遠い将来でなく、八八年ですか、もうある意味では間近に迫っておる。そろそろそういう意味の検討をしておられるのではないかと思うんですが、この際、そうした別料金を取るんだぞというようなことまでお考えかどうかを伺っておきたいと思います。
#242
○参考人(川原正人君) 先ほど申しましたように、もしBS3の段階で地上の放送とは異なった新たなサービスが可能になり、それがある程度の分量、受益感を待って受け取っていただけるようになれば、それに伴ってやはり何らかの形の別料金というか付加料金というか、それはむしろ考えるべきではないだろうか。そうでないと、逆に衛星放送をごらんになっておられない方とのバランスということにおいても逆な問題が出てきはしないか。しかし、これはあくまで今私どもの部内で議論をしている段階でございますので、率直に言いますと、ここでそこまで発言するのは果たして妥当かどうか。もちろん関係の役所等々と相談しているわけではございません。私どもの部内でそういう議論は正直言ってしているという段階でございます。
#243
○田英夫君 大変立ち入ったことを実は伺っているわけですけれども、つまりNHKの受信者といいますか、見ている人、聞いている人というのはほとんど一般国民全部なんですね。したがって、今の段階からそういうことになるだろうということは、私のような素人が考えても当然予想されることなんですから、NHKでも当然専門家の方がそういう将来の、ある意味の有料化ということをお考えならば、お漏らしいただいた方が、国民の皆さんには心の準備もできるし、新しい時代のそういうあり方というものに早くなじんできていいんじゃないかと思うのです。その辺から、もう要するに、私は冒頭申し上げたように、今のような受信料一本という格好じゃなくなりますよ、新しい時代になるとNHKのいわゆる経営の問題についてもそういうことが起こってきますよということが早目に皆さんにわかっていた方がいいんじゃないかという気持ちを持っているものですから、今申し上げたわけです。
 したがって、まだ本当に内部で御検討の段階で、これ以上立ち入ってもと思いますけれども、例えばその場合にどういう取り方があるんだろうか。今の受信料のような月決め方式で、もう衛星をとるという契約をした方は月決めで取っていくということもあるでしょうし、あるいは全部は見ないんだというようなことになれば、その見た部分だけ、ペイ・パー・ビューと言うんでしょうか、そういう格好で取るんだというような取り方もあるんでしょうけれども、そういう具体的な段階にまで今検討が進んでいるのかどうか。
#244
○参考人(川原正人君) 私どもは非常にこの激しい変化の時代の中で生きていかなければならない企業でございますから、企業の研究としましてはかなりいろんなケースについて議論をしております。そのときの我々の側としての、企業の論理としての利害得失、あるいはごらんになる視聴者の方々の気持ちとしての納得性、どういうことが可能なのか、あるいはまたどれが一番合理的なのか、そして場合によると非常に合理的に見え、そのごらんになる方が納得しやすい形であっても、それはNHKの経営にとって逆に人手やコストがかかり過ぎると、かえって受信者の方に負担をおかけするようなケースも出かねないものでございますから、あらゆるケースについて今研究を部内的にはしているところでございます。
#245
○田英夫君 ちょっと別の問題になりますけれども、やはり衛星時代ということを迎えてのことになるんですが、衛星放送が普及してくる、BS2から3になってくるというような段階になってきますと、どうしてもやはりCATVが普及するということが並行して進んでいかないと、さっきのパラボラアンテナの問題も出されましたけれども、せっかくの放送が多くの方になかなか広がらないということになるんじゃないかという気がするんですけれども、その点はCATVとの問題はどういうふうにお考えですか。
#246
○参考人(川原正人君) CATVのメリットというものを我々十分勉強さしていただいているつもりですけれども、ただCATVというものが日本全国にわたって将来にわたって網の日を張れるものであろうかということになると、率直に言ってかなり疑問を持っております。それよりも、やはり電波でもって一気にある地域をカバーしていく、特に放送衛星で日本全国をカバーするということはこれは経済的に見ても非常にメリットがあるんではないか、つまり光ファイバーにしろ何にしろ、ケーブルをずっと張りめぐらしていくのに比べれば。今のところ確かにパラボラアンテナなりコンバーターの料金が高い状況でございますけれども、大量生産に移ってこれが小さなパラボラアンテナで安くできるようになれば、経済的な合理性とすればむしろ電波によるカバーの方がはるかにあるんではないか。もちろん有線テレビにはそれなりのまた特徴もおありだろうと思いますけれども、ある面ではタイアップし、ある面ではやっぱり全然別の形で将来成長していくんではないかなという感じは持っております。
#247
○田英夫君 全くの素人でわからないんですけれども、ニューメディアの時代になる、電電の民営化、そして光ファイバーのことも今触れられましたけれども、そういうような問題、それからコンピューター時代、そういうことを考えますと、CATVというものがかなりそういうものと連動して威力を発揮するということもあり得るんじゃないだろうかということを考えますと、私はNHKは以前からCATVについては消極的だというふうに感じているんですけれども、この辺は将来のことでわかりませんけれども、御検討をいただいた方がいいんじゃないだろうか。また、余計なあれですけれども、NHKの持っておられるドラマとかドキュメンタリーとかそういう番組もCATVというものに売っていくというようなことも可能になってくる、これも一つの経営の一助になるんじゃないだろうかというようなことも考えまして実は伺ったわけです。
 それは次の問題ですけれども、大変ちょっと小さいことかもしれませんけれども、ことしはユニバーシアードが神戸であるということで、これに対するNHKの取り組みというのは具体的にはどういうふうにお考えですか。
#248
○参考人(川口幹夫君) ユニバーシアード――世界学生スポーツ大会というのは、今細かいところを詰めておりますけれども、NHKがホスト放送機関としてこの放送を受け持つことをお約束しております。
 したがいまして、撮りました映像は各国の放送機関に分岐をするというふうな形で提供することになろうかと思います。まだ具体的な競技種目、日程等がはっきり決まっておりません。五月の末か六月ぐらいになりますとはっきりいたしますので、その段階で十種目ほどを放送するということになろうかと思います。なお、これにちなんだ特別番組等も放送する計画でございます。
#249
○田英夫君 実は私伺いましたのは、もちろんユニバーシアードはオリンピックやアジア大会に比べれば国民の皆さんの関心も低いかもしれませんけれども、一応ここ近いところであるスポーツのイベントとしては大きな国際大会、来年の札幌のアジア冬季大会というのは第一回ですし、これはなかなか大きな注目を集めるでしょうけれども、実は一九六七年に東京ユニバーシアードがあったときに私はたまたま組織委員会の報道部長というのを仰せつかってやったことがあるものですから、そのときは一年ぐらい前からNHKから人員まで派遣していただきまして取り組みました。東京、しかも初めてで、東京オリンピック、札幌オリンピックということに関連をしたものですから関心も高かったかと思いますが、なかなか国によっては学生のレベルが非常に高いところでは関心が高い大会だものですから、あのときは組織委員会の報道部の私は部長をやって、課長がNHKの方だったと思いますね。そういう意味で、かなり世界的に画像を送ったりニュースを送るという意味でNHKが積極的に取り組んでいただきたいという意味でお聞きをしましたので、これはひとつお願いをしておきます。
 それから最後に、片山委員も触れられましたけれども、さっきの受信料の問題に関連をして、全日本放送受信料労働組合――全受労というのとNHKで今、都労委の問題になっているということを伺うんでありますけれども、これは一体どういういきさつでそんなことになってしまったのか、ちょっと簡単に聞かしてください。
#250
○参考人(松本幸夫君) お答えいたします。
 全受労労働組合と申しますのは、私ども受信料を集金あるいは契約の取り次ぎをやっていただく方々と委託契約を結んでおりまして、その方々がおよそ四千人おられます。そのうちの約五%の方々が全日本放送受信料労働組合という組織をつくっているわけでございます。この四千人のうちおよそ六五%の方々が組織をつくっておられまして、三五%の方は組織をつくっていない。その六五%の内訳としまして、労働組合と呼称しております組織が六つございますが、その大部分は日本放送協会集金労働組合という形でN集労というふうに呼称しておりますけれども、この組合がおよそ二千人以上の組織を持っております。
 私どもは新しい時代の受信料の契約あるいは収納という点で、特に高口座時代という点にやはり着目して、安定した収納活動を続け、あるいは効率的な収納活動をやってまいらなきゃならぬというふうに考えているわけでございますが、そういった仕事のやり方をベースにいたしまして、受託者の処遇と出しますか、これもそういったものに即した形の体系に改めた体系、いわば新しい体系を五十八年の半ばごろに組合に提示をいたしまして話し合いました結果、二千人以上で組織しておりますN集労といいます組合とは話し合いがつきまして、全体の九五%の方々は新しい体系に移られたわけでございます。その新しい体系の中には五十八年度を含みまして、それから五十九年度にもさらにその体系の内容の改善をいたしておりますので、処遇改善をその中に含んでいるわけでございます。したがいまして、私どもとしましては五十八年度の後半から、さらには五十九年度の当初から、つまり五十九年度の処遇改善を含めた形で九五%の方々と新しい体系の契約を結んでいるわけでございます。ところが、いろんな大変複雑ないきさつがございますので……
#251
○田英夫君 いや、簡単でいい。大体聞いている。
#252
○参考人(松本幸夫君) 簡単にとおっしゃっていただいて恐縮なんですけれども、全受労と申します二百人ほどで組織しております組合との間でも妥結寸前にまでいったわけなんですけれども、残念ながら決着せずに、話し合い、処遇の改善もできないという状況だったわけでございます。そのために全受労としてはそれを部労委に持ち込まれたわけです。
 私どもも都労委で十分に誠意を持って対応しているつもりでございますが、あわせて私どもとしては、やはり自主的な話し合いで解決したいということで何度か私どもの方からの呼びかけもいたしまして、それで先ほども申しましたけれども、今月に入りまして、順序から申しますと、昨年の末に五十九年度の処遇改善をそれだけ切り離してやってほしいという要求がございました。その後話し合いの結果、六十年度の新しい体系による処遇改善を求めてまいりました。この二本立てで今組合との間では問題があるという状態でございます。私どもとしては、できるだけ早く話し合いに入りたいということで、自主的にこれを解決しようということで働きかけまして、最近に至って大変機運が私としてはかなり熟してきている状態ではないかというふうに判断しております。したがいまして、近々に具体的なそういった問題についての話し合いに入って解決へ向かって努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#253
○田英夫君 今伺ったその問題なんですけれども、都労委の方で三者委員会といいますか、会長と労使の委員の見解が出たり、あるいはことしになってからは最終的な指導というような意味の見解が出たりして、私もそれを見たのですけれども、この話を聞きまして、かなり全受労の方の感情的な問題もあるように私は感じたんです。労使双方で都労委へ出された申し立ての中で、労働者ではないというようなNHK側の見解がありまして、これはそれなりに一つの御見解だとは思いますけれども、この辺が大変感情的になる原因になっているようにも聞いております。
 NHK側のこの見解もわかりますけれども、例えば全建総連という大工さんや左官屋さんの労働組合が、これ非常に大きな組織で総評にも加盟していると思いますが、これはやや似たといってもいい、つまり昔風の組織で言えば棟梁がいて大工さん、左官屋さんという人を何人か抱えてそれで注文を受けて仕事をする、その人たちが寄り集まって一つの労働組合の格好になって、実は健康保険ということを一つのつなぎ目にしてやっていると思いますけれども、これは労働組合として、労働者として認められて活動をしている、ややそれに似ているという気もするんですね。ですから、余り労働者ではないというような決めつけ方で言われますと感情的になるんじゃないかなあという気もいたします。もちろん私はNHKの経営の細かなそういう点に介入するつもりはありませんし、ただこれを拝見した限りでそういう感じを持ちました。したがって、今近々のうちに話し合いに入るというお話を伺いましたので、ぜひそういう意味で円満に話し合いをして解決をしていただきたいし、受信料の問題というのは細かくお聞きすれば振り込みがどのぐらいで、そういう方たちが活動することによってNHKの経営も支えられている部面が非常に大きいんだろうと思いますし、この辺は、ひとつ最後はお願いになりますけれども、円満に解決をしていただきたいということを要望して質問を終わります。ありがとうございました。
#254
○青島幸男君 まず衛星放送のことでお尋ねをいたしますけれども、むしろ私は今、田委員とのやりとりを拝聴しておりまして、ちょっと考え方がおかしいんじゃないか、NHKさんに対してちょっと憤りすら感じました。前回もこの問題で会長とお話し合いをしたはずなんですけれども、放送衛星の主たる目的は難視聴解消であった、しかし放送衛星に可能性があるものだから、その可能性をフルに活用したらいいんじゃないかという考え方も一つはあるんですが、違った編成の放送内容を送りたいんだというお話のときに、それがちょっと違うんじゃありませんかと申し上げましたね。全く新たな放送システムを一つつくるのと同じことになるわけですね。そんなことをNHKさん勝手に考えられるのは少し横暴だと私は思いますね。しかも先々BSが上がった状態においては、ハイビジョンですか、いろいろ勝手な構想をお立てになっていらっしゃるようですけれども、そこまで勝手に踏み外してよろしいものかどうか。郵政省としては、監督官庁の主務大臣としては、そこまで勝手にどんどん機械に可能性があるからといってその可能性を勝手に追求していって放送行政をかき乱すというようなことがあってもいいものかどうか、その辺、大臣は今のNHKさんと田さんとのやりとりをお伺いになっていらっしゃってどのようにお感じになりましたですかね。
#255
○国務大臣(左藤恵君) 今のお話を伺っておりまして、現段階におきます受信料というのは、現在の放送を進めていくという建前でNHKの本来的な仕事をやっていくということであったわけでありまして、そういう意味において受信料そのものを、例えば放送衛星が上がって、そしてそれで違った番組を送ることができるというふうな問題、その場合に、その受信料制度というものが現在取っておるものだけで放送衛星のそういう新しいものを全部やっていくことができるかという経済的な問題もあります。しかし、基本的にどんどん広げていくといいますか、今お話のようなそういうことにつきましては受信料そのものも考え直さなければならないんじゃないか。現段階におきましては、まだいろんな、試験的なとか、そういうふうなことでできるとかできないとかという技術的な問題についての御検討をいただく、これは私は差し支えないと思いますけれども、放送体制としてどういうふうな方向で行くかということになってきましたら根本的な問題として考えていかなきゃならない。一方、先ほどもお答え申し上げましたように、将来の放送体系どうあるべきかという問題について我々これから検討していこう。こういう中には、今のそういった問題についてNHKが今後どういうふうに進んでいくべきかという問題も含めて私は検討されるべきものであろう、このように考えております。
#256
○青島幸男君 ですから、省の方でまだ確定的な図を引いてないという状態のときに、新しい編成でもし可能ならば一波流したいということになりますと、それはやっぱり勇み足と申しますか、まだ視聴者との間のコンセンサスも得られてない状態のときに、勝手にそこまで踏み込んでいいかどうか。田委員はそのことに大変肯定的なお話の進め方をなさっていらっしゃいましたけれども、私は全く反対でして、機械に可能性があるからできるなら何でもやってよろしいということでは必ずしもないと思いますよ。それにはそれなりの従来の放送行政のあり方というものは一応確立されておりましたし、そこに機械に可能性があるからといって、勝手にそれを活用してどんどんコンセンサスも得ぬままに行ってしまうというのは行き過ぎだと思いますね。
 それから、省としても先々はBS3なんかが出てくるようになれば民放にも使わせるというような構想もお持ちのようですけれども、これはUHF局を一局ふやすというような話とは全く別でして、日本全国のどこからも見られる新たな一つのシステムが生まれるわけですね。それともう一つ、今総合放送と教育やっておりますね。NHKさんはそのほかに星を使って全く違った編成の一波を使いたい。それでまた民放が合同でつくった一波をつくるということになりますね。そうすると、今あるUHFも閑古鳥が鳴くんじゃないかと言われているような折から、また新たな一波が星によって流れるというようなことを軽々に扱いますと大混乱を招くと私は思いますね。
 本来は難視聴解消のために上げた星ですから、その星からは、先ほども田委員が言われたように、地上放送と同じものが内容として流れるのが本来論理的には筋が通っているわけですね。ただ可能性があるから、あるいはパラボラアンテナも普及するなりハイビジョンまでの可能性も考えて、行く行くは皆さん方に御享受をいただけるんだからという勝手な想定のもとにそこまで先走るのは僭越だと私申し上げたいんですけれども。それは前回にも会長に申し上げましたね。その辺は重々お含み置きの上御検討をいただきたいという要望を私申し上げていたはずなんですけれども、今のお話を伺っていますと、全くその方向と違う方向にお進みのようなんで、大変腹立しく思いましたがいかがでございましょう。
#257
○参考人(川原正人君) 確かに放送というのは限られた電波を国民の財産として使うものでございますし、放送事業者はまさにそういう電波に対して特権的な割り当てを受けて専業をやるものでございますから、国の放送行政とか国の施策をはみ出してやれるものではないと思っております。ただ、それはそうなんですけれども、私ども放送事業者として、またかつこの衛星を長い間にわたって主張してきた者として、国民の財産としての可能性があるならばそれはできるだけ活用をしていきたいという願望を強く持っております。
 それから、余りそういうことを根拠にはできませんけれども、今まで国会の御審議とかあるいは一般の御要望とか、そういうものの中でやはり衛星の新しい使い方をもっと考えたらどうか、普及促進も図ったらどうかという御指摘もいただいておりますので、そのためにはこういうやり方があるんではないかということを私ども研究をし、それを願望として持っておりますので、まあ少し踏み出したかもしれませんが、率直に申し上げたわけでございます。
#258
○青島幸男君 ですから、可能性の追求、あるいは未来図を描かれることは当然あってもいいことですけれども、そのことと、実際にBS2上がって試験放送が終わった段階で違った編成の一波を流すということとは全く別のことと考えますね。ですから、そのことをお間違いにならないように御認識していただきたいと思います。そうでない今までの姿勢ですと、ちょっとこの承認ということですけれども、私予算をそういう精神でどんどん先走っていかれるようでしたら軽々に承認できないというふうな懸念さえ捨て切れません。ですから、その辺は大臣重ねて要望いたしますけれども、可能性があるということと筋道を立てて物事を通ぶということは別の問題です。ですから、そのことだけはきちっと区分けして、可能性は可能性で追求していって、将来に財産として国民に還元しなきゃならないものですから、新たな可能性の追求と技術の進歩は追求していただくのは結構ですけれども、それはそれ。それから、難視聴解消のために打ち上げたという星だったら、とりあえずはそのことのために専念する。それから先のことは新たなコンセンサスを得て、新たな議論を呼んでから改めて踏み出すべきものだというふうに区別して考えていただきたいということを重ねて要望いたしますが、いかがですか。
#259
○国務大臣(左藤恵君) お話のとおりBS2は、これはあくまでも基本的に難視聴解消という目的で上げられたものであるわけでありますから、NHKの放送体系は基本的な考え方としてはそれで進むわけでありますけれども、民放の問題も含めまして、将来の問題といたしましては、放送秩序全体にいろいろかかわってくる問題が出てくるわけであります。衛星放送が普及していく、そしてその普及が本格的になってきたという段階におきましては、当然テレビ、音声放送全部含めた放送体系全体のあり方につきまして私は、改めて検討をしなければならない問題だろう、このように考えております。
#260
○青島幸男君 どうぞそのような考え方で、慎重に事に臨んでいただきたいと重ねて要望いたします。この問題はこれで結構でございます。
 六十年度の予算を拝見いたしますと、収支が余り希望的ではないようですね。繰り越していかれるのが純粋には七億ですか。こういう状態で推移いたしますと、やがては赤という懸念すべき状態も出てきて、ついには受信料の値上げという格好で、また皆さんに御協力をいただかなきゃならぬという事態になるかもしれませんね、今までの歴史的な経緯を考えますと。国民の皆さんは、それは大体いつごろになるんだろうかとか、そういうことでいろいろ御心配になっている向きもあると思うんですね。最近ではまた、このNHK放送は皆さん方の受信料によって賄われておりますというコメントがかなり数多く目につくようになりまして、あのコメントが目につくようになるとどうも値上がりが近いんじゃないかという一般の予測もあるようでございますけれども、さしむきどういう予測を立てておいでになるか、漠然としたところで結構でございますけれども、お漏らしいただけませんか。
#261
○参考人(川原正人君) 私どもが今番組の間で受信者の御支援を要望していることと値上げとは、決して直接の関係はございません。そうではございませんが、今の六十年度の予算は七億の繰り趣しかと言われました点につきましては、これは昨年度料金改定いたしますときに三年の経営計画というものをつくりまして、一応のその計画の中でこの三年間はこの料金で運営いたしますということを申し上げまして、そのときの大体予定の線に沿って今動いているわけでございます。あのときも二年目の六十年度は次年度に七億を繰り越すということになっておりまして、ただ、実を言うと収入の方があのときの計画より減ってきているんです。ですから、本当は算術的にいきますと、計画どおり七億残すのが苦しいんですけれども、それは、一つは副次収入等収入を別の面でふやして、それからさらに支出を削りまして、ともかくお約束した七億は何としてでも繰り越すという形の中でこの予算を編成しております。ですから、理屈の上でいけば、三年たつと収支とんとんになって、四年目は赤にならざるを得ないというのが一応計算上はそうなっております。
 また、事実これは、率直に申し上げますが、私少し率直に申し上げ過ぎるかもしれませんが、受信料の収入が、正直言って頭打ちでございます。どうやっても一%ちょっとぐらいしか伸びません。そして、世の中の物価の動き等を考えれば、この一%の中で私どもが未来永劫仕事をしろと言われても、これは正直言ってこのままでは難しいんです。ですから、もちろん支出の方は鋭意これは効率的、合理的にもやります。それから収入もさらにふやすようにもいたします。いたしますけれども、長いレンジで見た場合に、今の受信料のシステムと料金の額で何年も運営することは大変困難でございます。しかし、だからといって四年目は値上げするということを今申し上げるつもりはございません。それは、私どもさらに、今終わろうとしてます五十九年度も一生懸命努力をしまして、あの予算に比べればある程度の金額を多分残し得るんではないか。それから、この先もできるだけ合理的、効率的な運営を進めてまいりますけれども、ただいつまでもというわけにいきませんので、その辺からこれも言いわけめきますけれども、将来の衛星だとかハイビジョンということが私どもすぐに新しい仕事とし、新しい収入へどうしてもつなげたくなってくるわけであります。そうしませんと、今の受信者に必要以上というか、負担をまたおかけせざるを得なくなってくる。そこで何か新しいもので新しい収入をということを今一生懸命考えているところでございます。
#262
○青島幸男君 せっかく御努力があって、少しでも先延ばしができるように希望をいたします。お願いを申し上げます。
 「紅白歌合戦」のことなんですけれども、これが香港とか台湾で同時中継をされているのを、大変楽しんで見てきたという旅行者がおりまして、これは私はどういう格好でそこへ同時中継で流れているのか、大変疑問でして、しかもそれが流れていて、NHKさんが二次収入として外国に売ったのか、あるいは海賊放送として何かの理由でどっかから電波をとらえて流しているのかわかりませんし、第一にちょっと困ったなと思ったのは、そのときに日系の企業のコマーシャルが勝手に挿入されておるという話を聞きまして、もしそうだとすると、NHKさんはどう対処したらいいのかなという気がするんですけれども、いかがなもんですか。
#263
○参考人(川口幹夫君) 「紅白歌合戦」は、これまでのところ数年にわたりまして同時放送で、例えばブラジルでありますとか、それからアメリカの西海岸でありますとか、今の香港ですとかというところとは約束をしまして、そして提供をしているケースがたくさんございます。
 今御指摘の香港は、HK―TVBというところと契約をしまして、時間的には時差がありますから向こうの九時から放送をしたということで、これはちゃんと契約ができております。ただ、今伺いまして、台湾の方は、これは実は全く契約しておりません。したがって、海賊放送という形で流されたのではないだろうか、こういうふうに推測をいたしますけれども、早速調べまして、これに対しては適切な措置をとるように努力したいと思います。
 それから、番組に対してコマーシャルが流れるということについては、これは今まで世界の放送局がそうですが、例えば一切コマーシャルを出さないBBCとか、NHKの場合もそうです。ただし、その番組が外国に売れて、そして外国の商業放送で放送される場合は、これはその放送の中にコマーシャルが入ることもやむを得ないというふうな一種の国際的慣行になっております。ですから、特段品位に欠けるとか、NHKのイメージを大きく傷つけるとかいうようなことがあれば、それはもちろん契約の中でチェックはしておりますけれども、このことについてはいたし方がないというふうに思っております。
#264
○青島幸男君 正式に売買の契約が結ばれておりまして、しかもきちっとした内容で契約が行われていれば問題はないんです。売った先でどういう使い方をしようと、余りひどいイメージを傷つけるようなことをされては困るけれども、それは約款どおりに使用してくれれば文句の言いようはないと思います。
 しかし、台湾のようなケースですね。しかも、おかしいと思うのは、日系の企業がついておるんですね。そうすると、日系の企業がついておるということは、出先の機関も、NHKがどういう格好で運営が行われていて、どういう性格の放送かということはよく御存じだと思うんですよ。それがちゃんとした契約がなされてオンエアされているのか、その辺も確かめずに、重々承知していながらコマーシャルに乗るというのは、ちょっと不見識な気もしないではないんですね、その出先の商社か、あるいは日系企業。何とかチェックする方法はないか――もっとも国交もないような状態、向こうは著作権も明確に確立してはいないようですし、そういうことですと、著作権の問題なんかもさまざま検討しなければならないことになりますしね。その辺を何とかチェックする手だてがないものかどうか。あるいは勝手に海賊放送で撮っていろいろいじくり回されたり、間違った訳をしたり、勝手な解釈をしてテロップを流されたりしますとNHKさんとしても甚だ迷惑なことだと思いますので、その辺は少しチェックをして権威に傷がつかないようなやり方を配慮した方がよろしいんじゃないかと思いますが、いかがなものですか。
#265
○参考人(川口幹夫君) 著作権の使用に関して監視をするという機構というのは日本の国内では非常にうまくできているんです。ところが、国際的にこれを監視する形というのが余りできておりません。それから台湾の場合は万国著作権条約というものに加盟しておりません。したがって、また著作権法的にお互いに制約をするというふうなことも非常に難しい状況に今ございます。ただ、実際上万国著作権条約に入ってない韓国などはなかなかきちんと契約をして放送しておりますから、必ずしも入ってないからどうにもならないということではないと思うんですね。ですから、今の先生の御指摘を受けまして、私あしたからでもすぐ著作権部を中心にしまして、外部の団体、著作権関係の団体とも相談の上で早速この問題については調査をして適切な措置をとれるようにしたいと思っております。
#266
○青島幸男君 それからこれも経費節減につながるとも思うんですけれども、例えばNHKエンタープライズなどという下請と思われるような会社をつくってそこに出すという経費節減、あるいは品質を落とさずに何とか上手に合理化したいというお気持ちもわかるんですけれどもね。何か労働条件を悪くしたり品質が低下したりするということを恐れるものですから、もしこういうことが可能ならもっと大幅な番組のリピートを考えてもいいんじゃないかと思いますね。例えば、私も漏れ承るところで明確には知らないんですけれども、アメリカなんかでは多くの局が、半年は一生懸命精力的につくって新しいものを流すけれども、あとの半年は報道とスポーツ以外は大半がリピートを流しているということも伺っていますけれどもね。それぞれ人間には生活のスタイルというのがありますね。土曜、日曜にかけて休みの方もおいでになれば、月曜、火曜も休みの方もおいでになりますし、朝十時ころ起きて夜中じゅう起きていらっしゃる方もおいでになりますし。ですから、相当自信のある番組をお流しになっても最高いっても四十何%ということですね。そうすると、ごらんになっていない視聴者というのもかなりおいでになるはずです。ですから、夜流した分を昼間流していらっしゃる、今も連続ドラマなんかも流していらっしゃいますけれども、ああいうやり方で品質を損ねないで上手に経費節減に結びつく方法はないものかということを考えますし、アメリカなんかでは大幅にそういうリピートも何の抵抗もなく受け入れられているということもありますしね。それからもう一つ、ちょっとリピートをやるとNHK同じことばかりやっているじゃないかという批判もあることもあると思うんですよね。しかし、そのことが品質を落とさずに経費の節減につながっていくということから考えますと、特に自信のある番組なんかはウイークデーを通じてぶち抜きでそのリピートの特集を組むとか、そういう格好をもっと大幅に活用してもいいんじゃないかという気がするんです。
 それで、これは一つは、民放もそうですけれども、NHKも民放もそれぞれ毎日毎日新しい番組をつくって流しているわけですね。これは大変な労力だと思います。そのために我々は新しい番組をいつも享受しているわけですけれども、これは単に習慣だと思うんですよ、ある意味では。昔の生放送の習慣ですね。実際に始終流してないと絵が出ないわけですからね、ですから民放もその習慣がそのまま抜け切れずにいて。ビデオというのはすぐれた記録装置だと思いますしね。あれがなかったころ、毎日毎日新しい番組を流していなきゃならなかった。どこかのスタジオから絵を出していなきゃならなかったというのがおのずと身についた習慣でして、こんなすばらしい記録装置があるなら時間帯を変えるなり編成かえをするなりというような格好でごらんいただいてない方に繰り返し見ていただくことでまたその番組の真価も認めていただけるようになるかもしれませんし、そして繰り返し流すことが必ずしも御不興を買うばかりとは思えませんし、工夫の仕方ではかなりの経費節減にもつながるんじゃないかという気がしますが、もう全く過激に半年つくったら半年休めとは申しませんけれども、そのくらいのことを実際に行われているケースも勘案いたしまして、もう少し大幅なリピートを考えられてもいいんじゃないかという気がしますが、その辺御意見がございましたら伺わせていただきまして質問を終わります。
#267
○参考人(川口幹夫君) アメリカの例を引かれましたけれども、アメリカの例ほど極端に私は日本ではいけないんじゃないかという感触を持っています。それは日本人の方がはるかにテレビに接するのに細やかでございます。ですから、そういう国民性といいますか、国民感情みたいなものをそんたくすれば、そこまではとてもいかない方がいいという判断を持ちます。ただ、おっしゃるとおりリピートが今、昔のリピートをしなかった時代とは全く違うという御指摘はそのとおりだと思います。いろんな理由がありますけれども、一つはテレビは昔は一過性でもう一遍出してしまうとそれで空中に消えてしまってあと残らないという状態がありました。それからもう一つは、出そうにも昔のものがたまるものがなかったと、蓄積がなかったということがあろうかと思います。それともう一つは、機械が進歩しておりませんのでビデオあるいはキネコでも撮りますと非常に画質が悪い、放送するにはとてもたえないという、この三つがリピートを妨げていた理由じゃないかと思います。
 いずれももう一過性ではない、あるいいものは何遍でも見てくれるという兆候は、例えば私の方でやった「シルクロード」は、一番多かったものでは六回放送しております、あの「楼蘭の美人」という回でございますけれども。今度は四月から毎週一回また放送しますから、これで第七回目になるわけです。いずれも本放送と比べて大幅に視聴率が落ちたということはございませんので、ある程度の視聴者が必ずついているという大変安心した状況がございます。そういう形でできるだけ活用をしていきたいというふうに思いますが、そうしましても、単に再放送でもとのものをそのまま出すということではいけないんではないだろうか。一工夫して新しい価値をつけるというふうなことがどうしても必要になってくると、このように考えております。
 去る二月に「自然・ナイスキャッチ」という番組をつくりまして、これは実は自然物、例えばペンギンだとか動物の生態などを一回一回新しく編集したものですが、その中身は全部過去に放送した番組でございます。それに新しく仕入れた情報をつけ加えて、そうして四回放送にまとめたんです。これが大変好評でございまして、このような形をつくって出せば全く新しくつくったもの以上に効果を発揮するというようなこともわかりましたので、六十年度の編成計画の中にも大胆にそういう再放送計画は取り入れていきたいというふうに思っております。
#268
○委員長(松前達郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#269
○委員長(松前達郎君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#270
○委員長(松前達郎君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 この際、片山君から発言を求められておりますので、これを許します。片山君。
#271
○片山甚市君 私は、ただいま承認すべきものと決定いたしました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、新政クラブ及び二院クラブ・革新共闘の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
    放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)
  政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。
 一、放送の不偏不党を堅持し、放送による表現の自由を確保すること。
 一、協会は、厳しい経営環境を踏まえ、一層事業運営の効率化、活性化を図るとともに、受信契約、受信料収納の確保に努め、今後における視聴者の負担増を極力抑制すること。
 一、衛星放送について、その正常な運用が確保できるよう万全を期するとともに、ニューメディアの導入にあたっては、視聴者ニーズに十分配意し、長期的な経営展望にたって、計画的かつ効率的に推進すること。
 一、国際間の相互理解の重要性にかんがみ、因際放送について、交付金の増額、受信改善などに積極的に努めるほか、放送番組の国際交流などについても、一層その効果的推進を図ること。
 一、協会は、地域に密着した放送サービスに対する社会的要請に応え、地域放送について、その充実強化のための体制整備を図ること。
  右決議する。
 以上でございます。
#272
○委員長(松前達郎君) ただいま片山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#273
○委員長(松前達郎君) 全会一致と認めます。よって、片山君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、左藤郵政大臣並びに川原日本放送協会会長から発言を求められておりますので、この際これを許します。左藤郵政大臣。
#274
○国務大臣(左藤恵君) 日本放送協会昭和六十年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上、ただいま御承認をいただきましたことを厚く御礼を申し上げます。
 これまでの御審議に当たりまして、各委員から御提起いただきました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきまして、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。ありがとうございました。
#275
○委員長(松前達郎君) 川原会長。
#276
○参考人(川原正人君) 日本放送協会昭和六十年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認をいただきまして、まことにありがたく、厚く御礼申し上げます。
 本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程で種々御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣の意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。
 また、ただいまの附帯決議につきましては協会経営の根幹をなすものでございますので、十分に遵守いたしまして執行の万全を期したいと考えている次第でございます。まことにありがとうございました。
#277
○委員長(松前達郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#278
○委員長(松前達郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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