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1984/03/26 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 農林水産委員会 第5号
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1984/03/26 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 農林水産委員会 第5号

#1
第102回国会 農林水産委員会 第5号
昭和六十年三月二十六日(火曜日)
   午前九時三十二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月七日
    辞任         補欠選任
     水谷  力君     安田 隆明君
 三月八日
    辞任         補欠選任
     安田 隆明君     水谷  力君
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     下田 京子君     小笠原貞子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         北  修二君
    理 事
                高木 正明君
                谷川 寛三君
                最上  進君
                村沢  牧君
                藤原 房雄君
    委 員
                岩崎 純三君
                浦田  勝君
                大城 眞順君
                竹山  裕君
                初村滝一郎君
                星  長治君
                水谷  力君
                稲村 稔夫君
                菅野 久光君
                山田  譲君
                刈田 貞子君
                塩出 啓典君
                小笠原貞子君
                田渕 哲也君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農林水産大臣   佐藤 守良君
   政府委員
       農林水産政務次
       官        川原新次郎君
       農林水産大臣官
       房長       田中 宏尚君
       農林水産省経済
       局長       後藤 康夫君
       農林水産省構造
       改善局長     井上 喜一君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     関谷 俊作君
       農林水産省畜産
       局長       野明 宏至君
       水産庁長官    佐野 宏哉君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        安達  正君
   説明員
       公正取引委員会
       事務局取引部景
       品表示指導課長  黒田  武君
       厚生省生活衛生
       局乳肉衛生課長  難波  江君
   参考人
       農用地開発公団
       理事長      岡安  誠君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○参考人の出席要求に関する件
○農林水産政策に関する調査(畜産物等の価格安定等に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(北修二君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告申し上げます。
 昨日、下田京子君が委員を辞任され、その補欠として小笠原貞子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(北修二君) 次に、果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。佐藤農林水産大臣。
#4
○国務大臣(佐藤守良君) 果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 果樹農業振興特別措置法は、昭和三十六年に、当時の果実需要の大幅な増大が見込まれるという情勢のもとで、果実生産の安定的な拡大を図ることを目的として制定されたものであります。
 しかしながら、近年の果樹農業をめぐる諸情勢は、現行法制定当時とは大きく変化しております。
 すなわち、我が国の果実需要は、総じて減少、停滞傾向にあるとともに、少量多品目化、良質志向の傾向が強まっており、温州ミカンを初めとして多くの果実が生産過剰基調に陥っております。
 また、諸外国からは、果実及び果実加工品の輸入拡大の要請が強まっております。
 以上のような果樹農業をめぐる情勢の変化を踏まえて、果樹農業の健全な発展を図るため、現行制度を整備強化することとし、この法律案を提出することとした次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、果樹農業振興基本方針及び果樹農業振興計画につきましては、果実の需要の動向に即応した果樹農業の誘導を一層適切に行うため、栽培面積の目標を定めることとする等、その内容を整備することとしております。
 第二に、果樹園経営計画制度の改善についてであります。
 現在の厳しい状況のもとにおいて、我が国果樹農業の体質の一層の強化が求められておりますが、このためには、果樹産地の中核的担い手となり得る自立的な果樹農家を育成することが必要となっております。
 このため、果樹園経営計画の作成主体を農業者集団から個別の果樹農業者に改め、その計画について都道府県知事の認定を受けた場合には、農林漁業金融公庫資金等の融通を受けることができることとしております。
 第三に、果実の生産及び出荷の安定を図るための措置についてであります。
 近年、多くの果実が生産過剰基調にあり、果樹農業の健全な発展を図るためには、果実の生産及び出荷の安定を図ることが必要となっております。
 このため、農林水産大臣は、需給が著しく均衡を失している特定の果実について、その生産及び出荷の安定を図るための指針を定めることとしております。
 また、農林水産大臣は、果実の生産及び出荷の安定に関する業務を全国的に行う民法法人を一を限って指定し、業務の適正かつ確実な実施を確保するため、所要の監督を行うこととしております。
 さらに、農林水産大臣または都道府県知事は、特定の果実の生産者、出荷者等が、その指定された法人等の業務の円滑な実施に著しく支障を及ぼしていると認めるときは、所要の勧告を行うことができることとしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#5
○委員長(北修二君) 次に、補足説明を聴取いたします。関谷農蚕園芸局長。
#6
○政府委員(関谷俊作君) 果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法律案を提案いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下その内容を若干補足させていただきます。
 第一に、果樹農業振興基本方針及び果樹農業振興計画の内容の整備についてであります。
 農林水産大臣が定める果樹農業振興基本方針におきましては、果実の需要の動向を踏まえて果樹農業を適切な方向へ誘導するため、新たに果樹農業の振興に関する基本的な事項を定めることとするとともに、現行の生産の拡大に着目した植栽の目標にかえて、栽培面積の目標を定めることとし、果実の生産総量を適切に誘導していくこととしております。
 また、都道府県知事が定める果樹農業振興計画におきましても、果樹農業振興基本方針に準じた改正を行うこととしております。
 第二に、果樹園経営計画制度の改善についてであります。
 現行の果樹園経営計画制度は、共同して果樹の栽培を行おうとする農業者集団が作成することとなっておりますが、果実生産の拡大等の所期の目的を達成したため、都道府県知事に対する計画の認定請求も昭和五十一年三月三十一日をもって終了しております。
 この計画制度につきまして、果樹産地の中核的担い手の育成を図る観点から改善を図ることとし、計画の作成主体を個別果樹農業者に改めるとともに、都道府県知事に対する認定請求期限を廃止することとしております。
 なお、果樹農業振興計画の内容等に照らし適当である旨の都道府県知事の認定を受けた場合には、農林漁業金融公庫等から計画を実施するために必要な資金の融通を受けることができることとしております。
 第三に、果実の生産及び出荷の安定を図るための措置についてであります。
 農林水産大臣は、需給が著しく均衡を失し、その状態を改善するために相当の期間を必要とすると見込まれる特定の果実について、需要及び生産の動向から見て特に必要な年に、当該果実の生産及び出荷の安定を図るための指針を定めることとしております。
 また、農林水産大臣は、特定果実の安定的な生産及び出荷の促進並びにその果実製品の保管に関する事業を行うこと、その他の果実の生産及び出荷の安定に関する業務を適正かつ確実に実施できると認められる民法法人を、その申請により、全国に一を限り、指定することができることとしております。
 この場合、農林水産大臣は、その指定を受けた法人の業務が適正かつ確実に実施されることを確保するため、その指定を受けた法人に対し、業務実施規程及び事業計画の承認、業務の改善命令等必要な行政上の監督を行うことができることとしております。
 さらに、農林水産大臣または都道府県知事は、特定果実についての指針が公表されている場合において、当該果実の生産者、出荷者等による生産または出荷が、農林水産大臣の指定を受けた法人等の行う業務の円滑な実施に著しく支障を及ぼしていると認めるときは、その生産者、出荷者等に対し、その業務の実施に協力するよう必要な勧告をすることができることとしております。
 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上をもちまして、果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
#7
○委員長(北修二君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
    ─────────────
#8
○委員長(北修二君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○委員長(北修二君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(北修二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 また、本日、農林水産政策に関する調査のため、濃用地開発公団理事長岡安誠君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長(北修二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#12
○委員長(北修二君) 農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#13
○菅野久光君 本日は、議題が畜産価格問題に絞ってというようなことになるわけでありますが、その質問に入る前に、漁期を目前にしながら、日ソ交渉が難航して、米国でも規制案が検討されているこのサケ・マス漁業問題について、若干当局の見解を先に伺っておきたいというふうに思います。
 サケ・マス漁業者は、五月の北洋出漁を控えて一日も早い日ソ交渉の妥結を祈るような思いで望んでおります。昨年の交渉では、妥結が五月にずれ込んで業者は大きな打撃を受けましたが、ことしも同じ轍を踏む可能性が急速に大きくなっているからであります。言うまでもなく、ことしは漁獲割り当て交渉の前に新協力協定の締結をしなければならないにもかかわらず、この時期になってもまだめどが立っていない。したがって、漁業者の心配は昨年以上に大きなものにならざるを得ないというふうに思います。
 かつては優良経営の代表格のように言われましたサケ・マスの漁業経営も、近年急激に悪化してきております。特に太平洋中型サケ・マスなどは、昨年、漁場問題などもあって水揚げが半減するほどの打撃を受け、大変深刻な状況に陥っております。もし、ことし操業できなくなったり、仮にできたとしても、その開始時期が大幅に漁期にずれ込むことにでもなれば、北洋のサケ・マス漁業は、二度と再び立ち上がることができないほどの決定的な打撃を受けるのではないかというふうに思うわけです。その場合、政府は、当然救済措置をとらなければならないわけでありますが、とにもかくにも諸般の事情を考えると、漁期前に何としても新協定を締結して、その協定に基づいて漁獲割り当て交渉を妥結させることこそ肝要だというふうに思います。
 その意味で、今交渉をやっているわけでありますが、交渉の現況について、大臣の時間が限られておりますので、簡単にひとつ御説明いただきたいというふうに思います。
#14
○政府委員(佐野宏哉君) 御指摘の日ソ漁業協力協定につきましては、三月二十一日から協定締結交渉の第六回目が行われております。
 現在の日ソ間の主要な対立点は、簡潔に申し上げますれば、遡河性魚種に対する母川国の第一義的利益と責任というソ連側の主張と、遡河性魚種といえども公海漁業自由の原則ということと調和のとれた形で処理をされるべきであるという日本側の立場との対立で長引いておるわけでございまして、これは取り扱いのいかんによりましては、その後に控える実体交渉にも重大な影響を及ぼしかねない点でございますので、なかなか日本側としてもソ連側の要求を素直にのんで、さっさと急ぐというわけにもいきかねるような対立点であり
ます。
   〔委員長退席、理事谷川寛三君着席〕
 ただ、先生御指摘のように、五月からの漁期が切迫をしておりまして、関係の漁業者の皆様が大変憂慮の念を持って本件交渉を見守っておられるということを私どももひしひしと感じておるわけでございまして、漁期に間に合うように実体交渉がやれるよう、それに先立って可及的速やかに協力協定の交渉を妥結させるという決意で交渉に当たっているところでございます。
#15
○菅野久光君 鋭意そういう交渉に当たっておられるわけでありますけれども、五月の出漁という時期的なことを考えれば、ある程度事務当局で妥結ができるような状況になればいいんですけれども、時期的な問題がありますから、それが難しいような状況になったときには、何としても早期解決のために、またひとつ大臣に御足労いただいて、この漁民の願いを何とかかなえていただきたいというふうに思うわけですけれども、その辺の大臣のひとつ御覚悟のほどをお聞きしたいというふうに思います。
#16
○国務大臣(佐藤守良君) 菅野先生にお答えいたします。
 今、長官がおっしゃったとおりですが、第六回目の交渉が現在モスコーで行われているわけでございますが、今度の場合は、サケ・マスの公海漁獲に関しまして海洋法条約を基礎として初めて実は二国間で協定をつくろうという交渉でありまして、法律的に種々難しい問題があるように聞いておりますが、現在の交渉に臨んでいる日本側代表団は、この種の交渉に最適のメンバーであると確信しております。そんなことで、この代表団が最大の努力を尽くすことを期待しておるわけでございますが、実は本件の協力協定交渉及びサケ・マス実体交渉の早期かつ円満な解決につきましては、先般、私モスコーに参りましたときに、アルヒポフ第一副首相、カメンツェフ漁業相に対し、また駐日大使がモスコーに帰るときに、パブロフ前駐日ソ連大使にもよく私からお願いいたしたということでございます。
 そんなことで、先生のおっしゃる意味もよくわかりますが、漁業従事者のみならず流通加工業者等、関係者がたくさんおるわけでございまして、最善を尽くして期日に間に合うようにいたしたい、このように考えておるわけであります。
#17
○菅野久光君 とにかく、最善を尽くして出漁に間に合うように御努力をお願いいたしたいと思います。
 あわせまして、ソ連だけではなくて今度はアメリカの問題もあるわけですね。現在、米国下院の海運業委員会では、マグナソン漁業保存管理法を修正して、一九九〇年までに外国漁業を完全に締め出すことを検討しているというふうに伝えられております。米国起源の潮河性魚種についてもその例外ではないということですが、そうなると、北洋でアジア系とともに米国系のサケ・マスを混獲している我が国は、五年後には北洋サケ・マス漁業が全く不可能になってしまう、こういう状況になると思います。アメリカの下院では、公聴会を開くなどの手順を踏んだ上で五月半ばまでに委員会審議を終えたい意向と伝えられております。この米国の動きはそれ自体問題であるばかりでなく、日ソ交渉にもこれは悪影響を及ぼすという意味において、大変深刻な問題だというふうに私は思うわけです。米国のこの動きを牽制するためのいわばあらゆる手段をいずれも早急に打たないと、これは取り返しのつかないことになるおそれがあるのではないかというふうに心配するわけですが、この点についての大臣の忌憚のない御見解と、あるいは今後のアメリカのこういったような動きに対する取り組み等について、何か方針があれば御披瀝いただきたいというふうに思います。
#18
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 まず、アメリカの二百海里法につきまして、先生御指摘のように一九九〇年をもって外国漁船の操業を追い出してしまうというそういうアイデアが議論されておったことは事実でございます。
   〔理事谷川寛三君退席、委局長着席〕
ただ、現在のところ、幸いにして一番最新の案からは、特定の日付入りで外国漁船の操業を締め出してしまうという条項は削られた案になっておるようでございますが、ただ、そういうアイデアが存在することは事実でございますので、今後とも私どもとしては注意深く対処をしていかなければいけないというふうに思っております。
 それから、アメリカ起源の遡河性魚種につきましては、殊にマスノスケにつきまして、アメリカ起源のマスノスケが現在の北太平洋漁業条約の枠組みの中で日本漁船によって漁獲されておるということについて、アメリカ、特にアラスカ現地の人々の間の関心が非常に高まっておりまして、いろいろ不穏な動きもあるわけでございます。私どもとしては、これにつきましても引き続き注意深く現在の枠組みを維持するように努力をしてまいりたい。日ソ関係にも反射的悪影響が及びかねないという点は全く御指摘のとおりでございまして、私どもも事態の重大さは十分認識して周到な対処をする心づもりでおります。
#19
○菅野久光君 まさに今私が言いましたように、漁業は外交の時代ということで非常に大変だと思いますけれども、何といっても日本の漁業を守る、漁民を守る、そして魚たんぱくを守る、そういった意味で、ひとつ一層の御努力をお願いいたしたいというふうに思います。
 それでは次に、いよいよ本題に入らさせていただきますが、水産庁長官、どうもありがとうございました。
 畜産物の政策価格が決定される時期をいよいよ迎えたわけでありますが、新聞報道等によりますと、農水省は需給や飼料価格が安定していることを強調して、ことしもまた政策価格などの抑制に向けて厳しい姿勢で臨む方針を固めたというふうに報ぜられております。そこで、加工原料乳の限度数量あるいは負債対策、需給問題等を中心に政府の見解をただしたいというふうに思うわけでありますが、今日の農政の基本は、国際化への対応から足腰の強い農業を育成することとされております。しかしまた、一方におきましては、国内で生産可能なものは極力国内生産で賄う、このことも農政の一つの基本であります。しかし私は、これらの基本と、輸入が国内自給を圧迫し国内生産が調整を強いられているという現在のこの状況を考え合わせますと、国内自給の基本と足腰の強い農業の育成の基本は、相矛盾したことを言っているように思えてならないわけであります。すなわち、足腰の強い農業の育成ということは、言い直してみれば、大量の農畜産物が輸入されることを前提にその中で何とか生きていける農業を残す、そういうことではないかというふうに思えるんです。したがって、国内生産で賄えない、いえば不足する量を輸入することは矛盾するというふうに思うわけです。
 私は、まずその政策価格等に関する具体的内容に入ります前に、国際化に対応した足腰の強い農業の育成とは一体具体的にどのような我が国の農業の姿を描いているのか、また、私の先ほど申し上げたような疑念に対してどのように考えているのか、大臣の御見解を承りたいと思います。
#20
○国務大臣(佐藤守良君) 菅野先生にお答えします。
 我が国の農業は、先生御存じのとおり施設型農業と土地利用型農業と二つあるわけですが、施設型農業につきましては先生御存じのことで、ほぼ欧米諸国並みになってきたと思っております。ただ問題は、土地利用型の農業につきましては経営規模の拡大が全般的に停滞しているというようなこと等で、期待どおりの生産性が上がっていないというのが事実でございます。そんなことで、現在考えておりますのは、どのようにして土地利用型農業の生産性を上げるかというようなことで、私は三つの施策を中心にやりたいと思っております。
 その一つは、需要の動向に応じた農業生産の再編成、二つ目は、技術経営能力のすぐれた中核農家や生産組織の育成確保、三番目には、優良農用地の確保と農業生産規模の計画的整備、このような施策を中心に今後土地利用型農業の生産性を高めたい、このように考えております。
#21
○菅野久光君 食糧の自給力強化に関する国会の決議もあるわけでありますから、国内で不足する分を輸入するという基本が単なるポーズであるとしたらこれは大変な問題だというふうに思うわけです。くどいようでありますが、この不足する分を輸入するという基本については、単なる国会あるいは国民、農民向けのポーズではない、そのように確認してよろしいですか。
#22
○国務大臣(佐藤守良君) そのとおりでございます。
#23
○菅野久光君 そこで、畜産政策価格等に関連して伺いたいというふうに思います。
 大臣は、畜産振興審議会の総会で、我が国の畜産について、需給の動向に即した計画生産の必要性があることを強調されたようでありますが、この点、間違いございませんか。その点、確認をしたいというふうに思います。
#24
○国務大臣(佐藤守良君) 御指摘のとおりでございます。
#25
○菅野久光君 総会におきます今度は畜産局長の報告でありますが、「最近における畜産の動向と畜産関係諸施策等について」を見ましても、最近の「需要の動向等を反映して、多くの部門においては、なお供給過剰となりやすい構造となっており、需要の動向に即した計画的な生産を推進する必要がある。」とされております。このことは大臣もお認めになりましたが、農林水産省は畜産の需給動向を理由に計画生産を推進しようとしているわけでありますね。
 そこで、大臣は最近の需給動向、特に供給過剰になりやすい構造の根拠を一体どのように認識しておられるのか、お伺いいたしたいと思います。
#26
○政府委員(野明宏至君) 生乳生産につきましては、酪農家の戸数が減少してはいるわけでございますけれども、一頭当たりの搾乳量がふえるといったことなどによりまして着実な増加を続けております。五十年代の初めにおきまして生乳生産が非常にふえたときがございます。年率で七%ないし九%ふえております。それからまた、五十七年の夏ごろから翌年の六月ごろにかけましてやはりこれも前年に比べて五%ぐらい伸びる。それからごく最近では昨年の九月からことしの一月でございますが、北海道では七%を超える伸びがございまして、全国ベースで見ましても三・一%伸びるというふうなことからもわかりますように、やはりかなりの潜在生産力がある、場合によっては供給過剰に陥りやすい、そういうふうな状況にあるんではなかろうかと思っておるわけであります。
 現在の計画的生産というのは、先ほどの五十年代初頭の大変な過剰を背景として始められたわけでございますが、やはり今後とも需要に見合った供給を行っていくという観点から、需給動向には十分配慮した計画的な生産を行っていくということが必要ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
#27
○菅野久光君 供給過剰になるような状況が十分に予測をされるということでありますが、この点についても非常に畜産局の方の見方というものは、私はいろんな関係から言って間違っているのではないかというふうに思わざるを得ないわけであります。それで、五十九年度におきます加工原料乳の限度数量は二百二十二万トンでありますが、そこで五十九年度の乳製品の需要量は生乳換算でどの程度が見込まれておるのでしょうか、お伺いします。
#28
○政府委員(野明宏至君) 五十九年度の乳製品の需要量につきましては、昨年の夏の猛暑によりまして脱脂粉乳の需要量がふえるということもありまして、生乳需給表ベースで、これは生乳需給表ベースというのはナチュラルチーズといったようなものの輸入量も含まれておるわけでございますが、そのベースで見まして前年に比べて約三%、約四百万トン弱になると見込まれております。この需要量は、昨年三月に見込みました量が大体三百六十七万トンから三百七十三万トンということでございまして、これを上回っておるわけでございますが、これは予期しない夏の猛暑による消費量と、それからナチュラルチーズの輸入量がふえておるといったようなことによるものと考えておるわけであります。
 五十九年度の限度数量の設定に当たりましては、生乳の生産事情などを総合的に勘案しまして、さらに本来生乳等で賄い得るはずの特定乳製品需要というものが大体約三十三万トン程度あるんじゃないか、その中で二十万トン程度は生乳への置きかえをやってもらいたいということを期待して二百二十二万トンとしたわけでございます。したがいまして、いわばこの限度数量の設定というものは、そういった点を総合的に勘案して適正に決定されたものというふうに考えておるわけでございます。
#29
○菅野久光君 それでは、乳製品の輸入量は生乳換算でどの程度になりますか。五十九年の、できれば一月から十二月まででわかればおっしゃっていただきたいと思います。
#30
○政府委員(野明宏至君) 乳製品の輸入量でございますが、これはどういうものが輸入されておるかということを申し上げますと、主なものといたしましてはえさ用の脱脂粉乳というものがございます。それからチーズで言いますと……
#31
○菅野久光君 いや、種類はいいから、総体、生乳換算でどのぐらいあるか。
#32
○政府委員(野明宏至君) ナチュラルチーズというものがございます。そういったものを全体合計しまして、五十九年では生乳換算で二百十一万トンということになっております。それからそれ以外に調製食用脂とか、そういったものがございます。それらを含めますと大体二百四十八万トン程度ということになっておりまして、これらは国内で経済的に生産がしにくいもの、例えばえさ用の脱脂粉乳とか、あるいはお値段等の関係もございまして国内生産で十分対応できないもの、そういったようなものが主なものであるというふうに考えております。
#33
○菅野久光君 五十九年の一月から十二月までで生乳換算で二百十一万トンということでございますか。
#34
○政府委員(野明宏至君) これは五十九年の暦年の数字でございますので、一月から十二月ということでございます。
#35
○菅野久光君 私があれしたのでは、五十九年の一月から十二月までで二百五十万トンというふうにこの乳製品の輸入量の生乳換算ではやっているわけですけれども、その辺はどうなんでしょうか。
#36
○政府委員(野明宏至君) 先ほど申し上げましたように、飼料用の脱脂粉乳とか、ナチュラルチーズとか、そういったようなものの合計が生乳換算で二百十一万トンでございますが、それ以外にココア調製品などのものがございまして、そういうものを加えますと、先ほど申し上げましたように二百四十八万三千トンございます。ですから、ラウンドで先生おっしゃられるような数字になっているわけでございます。
#37
○菅野久光君 ざっと言って輸入乳製品を生乳換算すると、限度数量を上回っているということが言えると思うんです。加工向け牛乳で見た場合、国内生産で賄われている量はいえば五〇%にも達していない。飲用向けを加えた生乳全体で見ても三五%が輸入だというふうに、いろいろな数字から私どもは見ているわけであります。このような実情をもって、供給過剰になりやすい構造と言えるのでしょうか。しかも、脱粉を中心に需給が逼迫した。昨年の猛暑というそういう気候的な問題があったとはいえ、本年二月に脱粉を八千トン緊急輸入しております。このことについても、本当にこれでいいのかということは、昨年のたしか衆議院の農林水産委員会でも念を押されているはずであります。大丈夫だと胸を張ったにもかかわらず八千トン輸入です。
 このような状況は、牛肉や豚肉についても言えると思うんです。生産の合理化が進んで欧米に比肩できると言われる豚肉も一五%が輸入であります。また、牛肉は三〇%が輸入である上に、需要と国内生産量が確実にわからない三年後まで輸入枠の拡大を約束しております。不足分を輸入するのが原則であるのなら、年度ごとに需給の動向を見きわめて割り当て量を決めるべきでありますし、八七年まで毎年この輸入割り当て量を拡大することや、その後の動向が不足分輸入の原則に反して国内生産に影響があるからこそ、山村前大臣は国内に影響がないよう破格の措置をすると、なぜか胸を張って確約されたのではなかったのでしょうか。そこで、再度、畜産がこのような実情にあるのに過剰基調にあると言えるのか。また、不足分を輸入するというのは単なるポーズであって、それを否定したら農林水産省の存在する理由がなくなるので言わない、あるいは言えない、それが本音ではないかとさえ思えるんですけれども、その辺はいかがでしょう。
#38
○政府委員(野明宏至君) 先ほど乳製品の輸入量全体についてお尋ねがあったわけでございますが、生乳換算で約二百五十万トンという輸入の内容と申しますのは、一つは酪農家がお使いになる飼料用の脱脂粉乳、これはやはり安い方がいいということで輸入をされておるわけでございます。それからナチュラルチーズというのは、これもかなりの部分を占めておるわけでございますが、これは自由化されておりまして、そういう中で、経済的な関係がございましてやはりこれは輸入ということになっておるわけでございます。
 そこで、私ども、国内の生乳生産との関連におきまして、主要な乳製品、バターとか、あるいは食用の脱脂粉乳、そういったようなものについては事業団の一元輸入の制度をとっておるわけでございます。そういった中で、国内生産が行われ、飲用に向けられている需要があり、それからまた脱脂粉乳とかバターの需要がございます。これは毎年見通しを立てておるわけでございますが、不足払い法の制度のもとにおきましてやはり一元輸入、それからまた、足りないときには入れるというのが制度の一つの柱になっておるわけでございます。そういうことによって生産者の経営の安定、それから消費者の、あるいは需要者の安定と両面相まってこの制度が成り立っておるんではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
#39
○菅野久光君 一般生産農民は、どのように言われようと、生産できるのに生産を抑制しておいて外国から不足だとして輸入してくる、そのことについては何としても納得できないわけですよ。そして、足腰の強い農業とか国内で不足するものを輸入するんだと。これは、全く言っていることとやっていることとは違うのじゃないか、政府は我々をだましているんじゃないかというのが、私は生産農民の一般的な感情だと思うんですよ。そういうお互いに、行政と実際生産者との間に、今や信頼関係というものが全くない。そういうことで本当に日本の農業というものをしっかりやっていけるのかどうかということが、私は本当に心配なわけであります。ただ単なる国会の委員会の審議の時間だけくぐり抜ければいいのだということであっては困るというふうに思います。
 大臣の時間の関係がありまして、私も残された問題はまた午後からの方に回しますけれども、その供給過剰の問題も含めて、今の畜産局長と私とのやりとりを聞いて、大臣どのようにお考えでしょうか。
#40
○政府委員(野明宏至君) 畜産振興事業団による一元輸入、またその畜産振興事業団による需給操作、価格安定機能といったものを果たすために、必要な場合には輸入する場合がございます。それで、これは生乳生産自体はやはり需要というものに見合ってやっていく必要がある。しかし、そういう状況の中で、あるときはでき過ぎる場合もございます。それから、あるときは天候その他の理由によってできなかったり、あるいは需要が非常にふえたというふうな需給のでこぼこというのが常にあるわけでございます。その場合には、必要な場合には国内の過剰分を事業団が買い上げたり、それから逆に足りない場合には輸入するということでございますので、決して御指摘のようなお話ではないというふうに考えております。
#41
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えしますが、今のやりとりを聞いておりまして、畜産局長は、猛暑等により脱脂粉乳が不足したというようなことで恐らく価格対策を含めて輸入したと、私はこのように考えたわけですが、基本的原則からいけば、やはり輸入しない方が望ましい、私はこのように考えております。そんなことで、もちろん八千トンというのは生乳にしてどのぐらいになるか私よくわかりませんけれども、恐らくパーセンテージにすれば三%ぐらいになりますか、約八千トンでは生乳にして五万数千トンになるかと、そう思う。そんなことですから、三%ぐらいというようなことですけれども、率直に言いますと、一つの予測価値、見通しとすれば、いいことじゃありませんが、三%ぐらいならばまあまあ許容範囲の一つじゃないかと、こんな感じがしておるわけでこざいます。
#42
○稲村稔夫君 私は、本来でありますと、事務レベルの皆さんとのいろいろと詳しいやりとりを大臣に聞いていただいて、そして御判断を最後に聞くという形がとりたかったのでありますけれども、大臣の御日程の関係で、とりあえず基本になることを先にお伺いをしておかなきゃならないと、こういうことになりましたので、よろしくお願いをいたしたいと存じます。
 今も菅野委員からいろいろと質問をされていたわけでありますけれども、特に国内生産と輸入とのかかわり、これは非常に酪農家にとっても畜産農家にとっても重大な問題であります。毎年安定価格なりいろいろと計数が決められる時期、畜産審議会の時期になってまいりますと、毎回繰り返さなきゃならないということになるわけです。しかも、その繰り返していく質疑の内容も、結局同じことをやっぱり繰り返していかなきゃならないというところに、私どもはもう何かこう大変靴の底からかかとをかいているような、そんな感じがしてならないわけであります。
 大臣は、大臣になられてから、それこそ意欲的に取り組んでおられることに心から敬意を表するわけであります。そうした大臣の今までの事務当局といろいろとやってこられたその感覚の中で、今の国内自給を高めていくということとそれから輸入とのかかわり、この点についてどのようにお考えになっておるか。非常に単純な言い方をしますと、国内自給を拡大の努力をしていけば、当然輸入はそれに見合って減らしていってしかるべきもの、国内生産の計画が立てられれば、その計画に基づいて生産が確保し得る価格がやはり保証をされなければならない、こういう相関関係にあろうと思うのです。今も菅野委員から出ておりましたが、これからの輸入、特に牛肉についてはまた圧力が強まってくるんではないだろうか、こんなふうにも思われますが、国内生産を確保するということを第一義に考えていただけば、今後そうした輸入圧力に対しても毅然たる態度で臨んでいただけるんだと思うのです。その辺、前置きが長くなりましたけれども、大臣のまず御感想、御感触を聞きたいというふうに思います。
#43
○国務大臣(佐藤守良君) 稲村先生にお答えいたします。
 今、先生の御質問というのは、畜産物の供給の基本は国内自給であると考えるがどうかというふうな御質問かと存じますが、全くそのとおりだと思います。私はいつも申しておりますけれども、食糧については国内で生産可能なものは最大限国内で生産する、そのために生産性を高くするということを基本としているんです。畜産物についても同様でございます。先ほど先生がおっしゃいました牛肉につきましても、合理的な国内生産による供給を基本としまして、輸入については国内生産で不足する分を計画的、安定的に輸入するという考えでおります。今後ともこのような考えに立って、基本的に体質の強化と生産性の向上を進めながら国内生産の振興を図ってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#44
○稲村稔夫君 おっしゃりたいことはわかるような気もいたしますけれども、しかし、同時にますますわからなくなってくるわけなんでありますが、要するに国内での生産、これを基本にして考えるとおっしゃる。国内生産を努力してふやしていけば、当然一〇〇%自給へ持っていけるかどうか。これも実力の問題がいろいろあるでしょうけれども、そのための努力をする。そうすれば、その努力の成果があらわれてくればその分だけ輸入は減らしていく、こういうことになるんではないでしょうか。
 そうすると、今後アメリカからの、特にアメリカを中心にいたしまして、アメリカ、豪州あたりからのまた輸入要求という圧力は強まってこないでしょうか。それが強まってきたとき、こっちを減らすといったときにどうされますか。
#45
○国務大臣(佐藤守良君) 今の先生の御質問の中で、需要の伸びが欠けていると思います。と申しますのは、欧米に比べて非常にやっぱり肉の消費が少ないと思います。特に今の若い人たちは、例えば私の孫、子供を見ておりましても、御飯はほとんど食べなくて肉等を食べております、この現状。したがって、この今の小さい子供が大きくなるとますます肉の消費がふえる。そういう形の中で、一体どうしたらいいかということになると思います。そんなことで、私は国内で一〇〇%賄うという方針は先ほど言ったとおりでございます。その間、消費の伸びと比較しながらどう輸入を考えるかということになってくるかと思うのでございます。
#46
○稲村稔夫君 そうすると、需給が伸びるとおっしゃるけれども、今度の畜産局長の審議会の総会でのあれの中でも、需給動向は大分緩くなってきているというふうに触れられておる部分がありますね、たしか。それからもう一つは、いわゆる日本型食生活というようなことも言うようになってきているわけです。需給がそうどんどん伸びていくというような計算はできないだろうと思うんですね、現実の問題として。そうしますと、国内生産で拡大の努力をしていけば、当然輸入の枠の方は減らしていかざるを得ないというふうになるんじゃないでしょうか。逆のことを言いますと、価格の面で物を考えていくと、今度は国内生産の価格のペイしない物はどんどんやめていきなさいという形にもしなければ、そうすれば今度はその分を、需給を確保するために輸入しなければならない、こういう理屈になっていくんですが、どちらの道をおとりになろうとしているんでしょうか。
#47
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたしますが、先ほど申し上げたようなことでございまして、基本的に国内で生産できるものは国内で賄うということを基本にやっていくわけでして、牛肉の場合もどうしても不足する分につきましては、ある一定の量を安定的に輸入するという政策でいきたいわけです。今私が申し上げましたのは、肉は大体今、年率四%ぐらいの伸びを見ております。今四・二キロでございますが、そうすると恐らくこれは十年後になると倍ぐらいになるかと思います。そういう形の中でどうするかということ。
 それからもう一つは、国内で生産というのは、価格の問題も実はあるかと思います。そういうようなことを総合的に含めて考えたいと、こういうことでございまして、基本方針はちっとも変わりないと、このように思っております。
#48
○稲村稔夫君 多分、需要の関係を見ながら国内生産を大体七割程度に確保していくというような考え方等をお持ちになりながら、今お答えをいただいたのではないだろうかというふうにも思うんでありますが、しかし、そういたしますと、今度は少し角度を変えまして、そうすると国内での生産というものが、今後本当に需要が拡大をしていって、それとあれできるように拡大をしていくことが可能なんであろうかということも一つ大きな問題になってくると思うんですね。それが可能であるというふうにするためには、やはり生産農家が要するにペイしなければならぬと、こういうことになるわけでございます。
 そこで、生産農家がペイするかどうかについてのいろいろのあれがありますが、農林水産省は今まで何回も畜産においては大体EC、いろんな面でECを指標にしながらという取り組みをしてこられているようであります。そうすると、このEC並みの水準というのが、大臣、本当に我が国で実現できるというふうにお考えでありましょうか。この点は、実は私は農林水産大臣がかわるたびに伺い続けてきたことなんでしてね。というのは、条件がいろいろと適いというものがあるわけでありますが、しかし、少なくともEC並み水準というものを目指すのであれば、それなりのやっぱり目算がなければならぬ。その目算というのが本当に成り立つのだろうか。例えば規模については触れられています。酪農の規模は、北海道の規模はEC並みになったと畜産局長は言われる。あるいはそういう中で、今度は牛肉の価格はEC並みを目指そうというふうに言われる。そうすると、酪農も肉も、どっちもECというものを一つの指標に置いておる、こういうことになるんですが、本当にEC並みになるとお考えになっていますか。
#49
○国務大臣(佐藤守良君) 大変どうも非常に難しい質問でございますが、率直に言いますと、私は酪農につきましては飼養規模で既にEC並み水準に達しておる、こう理解しております。
 ただ、問題は、肉用牛の経営でございますが、これは本格的な肉用牛の生産が始まってから歴史が浅いとか、あるいは飼養規模はECと比較してまだ小さい、そんなことがございます。そんなことで、十年ぐらいでしょうか、十年ぐらいを目標にひとつ頑張りたいということでございまして、これはかなりの格差があると、このように思っております。
#50
○稲村稔夫君 今、北海道で酪農ではEC並みということ、これは飼養規模ですね。経営内容においてはどうですか。
#51
○政府委員(野明宏至君) ECとバランスのとれた価格水準になることは可能だというふうに私ども考えておるわけです。もちろんアメリカとか豪とか、あるいはニュージーランドといったようなわけにはまいらないと思います。
 そこで、酪農についてでございますが、飼養規模では既にEC並みの水準に達しておるわけでございますが、同時に酪農の場合にはなお粗飼料の供給基盤の問題、あるいは経営がいわばヨーロッパあたりと比べまして日本の酪農、かなり長い歴史を持つようになったわけでございますが、まだまだ浅いという中で設備投資、いわば資産、資本の蓄積といったような点でもまだおくれておるという点もございます。したがいまして、規模は大体EC並みになってきておるわけでありますが、そういったなお改善すべき点を改善していく努力ということを続けていくことが必要であろうというふうに考えております。
#52
○稲村稔夫君 今の局長の御答弁で、飼養頭数においては大体EC並みの規模ということになってきているけれども、その他経営の問題になってくると、日も浅いし、あるいは粗飼料の供給基盤の問題だとか、いろいろと解決しなければならない問題がいっぱいあると、こういう御答弁なんですね。そうすると、飼養規模を別にして、今の経営の方は努力によってEC並みというところに達成できるというふうにお考えになっていますか。もし達成できるとすれば、大体どの辺をめどにして達成できると計算しておられますか。
#53
○政府委員(野明宏至君) ただいま申し上げましたように、やはり一つは飼料の自給度の向上という点がございます。そういったような意味で草地の開発とか、あるいは既耕地への飼料作物の作付拡大とか、そういったようなことも積極的に推進しておるわけであります。そういったような努力と相まちまして、長期的にはバランスのとれたものにしていくことは決して不可能ではないというふうに考えて努力をいたしておるというところであります。
#54
○稲村稔夫君 時間がありませんので、これは大臣の今後のひとつ御検討をいただきたいということで、そうしたものを含めてお考えをいただきたいのです。
 今、局長から伺いました範囲でいきましても、これは酪農といっても北海道というその地域の範囲だけのことでありまして、日本の酪農全体ということでいけば、またさらに課題は多くなるわけであります。また、畜産といっても、それが酪農というものでさえそうであります。ましてや、もっともっと歴史の浅い牛肉なんかの問題になってまいりますと、さらに問題は山積をしてまいります。EC並みということを言うからには、ECの経営そのものをいろいろと分析をして、その経営のあり方というものを我が国の現状の中でどういうふうに生かしていけるのか、その辺のところも十分に、事務当局では御検討になっていると思いますけれども、さらに私は大臣の、言ってみれば農業サイドからということだけではなくて、経済原則の上にも立って、一度きちんとした経営分析なり何なりというものをやって、比較検討していただいて、そしてそれでEC並みに本当にいけるのかどうかという本音を一度どうしても出していただきたい。本音を出していただきませんと、一生懸命そのつもりで農家の皆さん努力をいたします。努力をしてみたけれども、結果としてはやっぱりだんだんとうまくいかない方向へばかり追いやられていく。これではどうにもならない。
 第一、いろんな理屈はあるにしても、私のところにも手紙、これは代表的なものを持ってきました。これは肉牛経営者ですけれども、もう借金でどうにもならぬという切実な訴えであります。そういうふうに借金がどんどん膨らんできているということだけは事実なんですよ。これが返せなかったらどうなるんですかという問題にもなるわけです。そこのところはもっともっと、それこそ私は経済原則に照らして可能なのかどうかということを本当に追求していただいて、それに基づいて今度は我が国の畜産をどうするか、こういうことを出していただきたい。本音を聞かしていただける機会をぜひ大臣の在任中に、できるだけ早い機会にお願いをしたい。これがないと、価格問題を幾ら議論してもいつも平行線のまま終わってしまう、こういうことなのであります。ひとつよろしくお願いをしたいと思います。大臣に。
#55
○政府委員(野明宏至君) ちょっとその前に簡単にお答えをさしていただきたいと思いますが、例えば肉の場合でも、ヨーロッパあたりで例えば西ドイツあたりをとりますと、肉の生産は、酪農から出てまいります雄牛を去勢しないものを肥育する……
#56
○稲村稔夫君 いや、わかった、わかった。だから、そういういろいろなものがあるでしょう。そういうものがあるから、それを十分大臣に検討してもらって、そして結論を出すようにしてもらいたい。いろいろな資料、我々にもまだ知らされていないものもいっぱいあるわけですよ。だから、あなたの答弁は要らないから大臣の考え方を聞きたい。
#57
○政府委員(野明宏至君) EC並みという点につきましては五十七年の農政審の報告にも出ておるわけでございますけれども、ただいま先生のお話にございますように、私ども十分検証してまいりたいと考えております。
#58
○国務大臣(佐藤守良君) 今、先生の言ったことは私よくわかります。実は私は、正直に言うと、EC並みと答弁しておりますが、よく知りません。頭数その他、これに書いてあるけれども、知らないということでございます。そんなことで、一応大きなことでは価格がどうであるかという問題が一つあるかと思います。
 そんなことを含めて、一遍何か五十七年に出したことがあるというふうなことですが、一遍とことんやってみたいと思います。そんなことを含めて、私の在任中、いつまでかわかりませんが、できれば私、今考えていることは、ヨーロッパも見てこようかと思います。今までヨーロッパへ行ってきておりますが、私は畜産は見たことがなかった。申しわけありませんが、住宅その他専門分野を見てきたわけで、そんなものですから、一遍見てきて、早い機会にお答えを出して皆さんと一遍ゆっくりお話ししてみたい、こう思っていますので、よろしくお願いいたします。
   〔委員長退席、理事谷川寛三君着席〕
#59
○稲村稔夫君 局長、済みませんでした。あなたもうんちくを傾けたかったんだろうと思いますけれども、それはまた午後いろいろと聞く機会もありますので、大臣の考え方を先に聞きたいと思うのであります。
 最後に、今度バイテクの技術について、新技術の実用化促進というふうに局長等があいさつの中でも触れておられるわけでありますが、このバイテクの技術の促進というのには、後でこれもさらに局長には午後いろいろと伺いたいというふうにも思っている面がありますけれども、とりあえず大臣にお伺いをしておきたいと思いますのは、ややもすると、このバイテクというのは取り扱いいかんによっては農民、経営者とは関係のないところに利益がどんどんと集積をされてしまう、こういうおそれがあると思うんです。
 だから、例えばのことでいきますと、この間、筑波の研究学園都市に行ってまいりましたけれども、凍結受精卵の技術が開発されている。凍結受精卵の技術開発というのは、これはかなり高度な技術を要する。設備も必要とする。これを畜産農家がみずからやることはできないわけであります。そうすると、この受精卵の供給をどこがやるんですかということででも、既に非常に大きな意味が出てくると思うんですね。これを今の試験研究機関の態勢の中で供給をする努力をするのか、あるいは民間活力に依拠をするのかでこれは全然違ってしまう。民活の名においてそこのところを全部押さえられてしまうと後大変なことになると思うんですが、こういうバイテクとのかかわりというのは非常に私気になりますので、特にそうした企業的な利益のために供されることがないようにという配慮を、こういう研究とあわせて一緒にやっておられるかどうか、もしやっておられるとしたらどういう態勢でやろうとしておられるのか、それを伺いたい。
#60
○政府委員(野明宏至君) お答えします。
 畜産におけるバイオテクノロジーの問題といたしましては、ただいまお話ありました受精卵移植の問題とか、あるいは双子生産技術の問題とか、いろいろな形で応用範囲が広がってまいるわけであります。そこで、そういったような家畜改良増殖をめぐります新しい事情、悪するに受精卵移植というふうなことが登場してきておるというふうなことを踏まえまして、先般、家畜改良増殖法の改正をいたしたわけであります。それに基づきまして、技術の特性に応じました所要の規制を設ける、一方、海外産の受精卵についても証明書というふうなものを添付をさせるというふうなことで、国内利用が可能なような措置をとっておるわけであります。そういうことで、新しい家畜改良増殖法に基づきまして、これからも民間活力を活用しながら適正な利用が図れるようにしてまいりたいと思っております。
#61
○稲村稔夫君 大臣、今の畜産局長のお話にもあったんですが、なお心配であります。特に、民間活力を利用しながらというふうに言われましたのでね。いわば企業に根っこを押さえられるようなことがないようにという最大の努力をしていただきたい。そのことをずっと申し上げてきたのは、前にも申し上げてきたことと全部関連するんですが、国内生産を確保していくという観点から私は非常に重大な問題だと思います。
 それから最後にもう一つ、もとへ戻って恐縮ですけれども、国内生産を確保するという観点から、今後輸入圧力に対しては毅然とした態度で頑張っていただけるという決意を一度聞かしていただきたい。今後は輸入についてはきちんとした姿勢をとって対処をいたしますというふうに多分言っていただけると思いますけれども、念押しで恐縮ですが、ぜひお願いいたします。
#62
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたします。
 一つはバイテク等の問題ですが、御心配の点よくわかります。この点は今、局長も答弁した、そういうことのないように配慮していきたい、こう考えております。
 それから、いわゆる自由化等の問題でございますが、私の在職中はきちんとやりたいと、このように思っております。よろしくお願いいたします。
#63
○藤原房雄君 六十年度の畜産物価格の決定を目の前にしまして、鋭意、審議会でこれから価格決定に至るわけでありますが、大勢として報じられるところ、先に据え置きありきじゃないけれども、ムードとしてはそういう方向にあるみたいな雰囲気といいますか、これは非常に遺憾なことだと私は思うんです。過日、十九日の日に、大臣にも私ども公明党としまして申し入れをいたしまして、何項目かにわたりましてお話を申し上げましたが、私が長々申し上げるまでもなく、もう既に御存じのとおり、五十三年以来わずか一・四%そこそこの乳価のアップ以来ずっと推移しておる。しかし、生産資材や生活費は、それぞれの地域もございますが、全国平均ということとか、また各地域ごとの指標もいろいろございますが、
   〔理事谷川寛三君退席、委員長着席〕
それ相当に生産資材や生活費は上がっておる。最近は各畜産、酪農につきましても、特に酪農なんかは一頭当たりの乳量が非常に多くなって経営が安定の方向にあるということで、またそういうことから据え置きみたいな雰囲気が出てくるという。しかし、それは表面的なことでありまして、また個人差、地域差、規模の相違、いろいろな違いがありますから、押しなべてこれをはかるということは非常に難しいことですが、しかし、一枚皮をはいでその実態というものをよくひとつ見ていただいて、畜産農家の所得と畜産の再生産のできる価格というものをやっぱり真剣に、七年も八年もほぼ据え置きに等しいような状況で推移しております現状の中で、物価指数もそんな大幅な上昇があったわけじゃありませんけれども、しかし、七年も八年もたちますとやはり数%上がっている現状については、いろいろな指数がございますから御存じだと思いますが、本当に農家の立場に立って、再生産ということの上に立って厳密にこれは御検討いただかなきゃならぬ。
 このことをこの前も申し上げておるわけでありますが、そういうことから農家の方々も最近は非常に御努力をしておりますが、ここで問題になるのはやっぱり生産性を上げるということが何とも大事なことで、規模やいろいろなことについてはECに近づきつつあるということでありますが、限度数量というのは、やっぱり生産性を上げるためにはどうしても多頭飼育またはたくさん乳量を出す、こういうことによって生産性が上がるという一つの大きな力になることはこれは論をまたないことだと思います、そのほかいろんな手だてはありますけれども。この限度数量が抑えられて、そしてその枠の中で生産性を上げるということは非常に難しいことです。
 しかしながら、需要と消費というこういうバランスの中で限度のあることは、これは当然私どももわかりますが、しかし、昨年のように、脱粉ではありますけれども輸入をしておる。また、生乳換算にしますと、限度数量を超える数量が輸入されているんじゃないかという、こんな換算の数値も出ておりますが、こういうことではコスト低減、そしてまた限度数量で頭を抑えられた中での生産性向上、これは非常に農家にとっては逃げ道のない大変に難しいことであって、限度数量というのはやっぱりそういう点では農家の生産性を上げるためには、どうしてもやっぱり枠を拡大するという方向というのは真剣にこれは考えなきゃならぬ。そのための輸入に対してどうするかという手だてや、今日までもいろんな議論をされてまいりました擬装乳製品やなにか、いろんな問題が提起されましたけれども、そういうこと等もあわせて、この生乳換算にしまして限度数量の枠の拡大の方向性というものは、どうしてもやっぱり生産を上げるための大きな問題としてこれには真剣にひとつ配慮しなきゃならぬ。
 本年の価格決定に当たりまして、やっぱりこの限度数量を上げるということと、また金融、負債整理、二つが一つの大きな課題になっているわけでありますけれども、そのほか、乳価が上がることはもちろんこれは一番手っ取り早いことでありますが、こういう諸情勢の中で大幅な値上げということはなかなか難しいことだろうと思いますけれども、この限度数量の枠の拡大ということについて、大臣、これをどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。私は、この輸入のことから、また生産性の向上から、いろんな観点からその必要性について、言葉は少ないんですが、多くの問題をはらんでいるこの問題については、農水省としても十分御関心を持っていらっしゃることだろうと思いますし、この点を最大限御努力いただきませんと畜産農家、酪農も、やはり表面で見ている数字ではじいているそういう実態とは大きな乖離がある、その穴を埋めることができないんじゃないかという私は感じがするんですが、どうでしょう。
#64
○政府委員(野明宏至君) 最近の酪農経営の全体的な動向というのは、収益性も改善されてまいっておるわけであります。そういった状況の中で、今後法律に基づきまして審議会の意見を聞いて決めていくということになるわけでございますが、限度数量の問題につきましては、やはり我が国の生乳生産の構造というものは、ややもすれば供給過剰に陥りやすいというふうな構造を持っておるわけでございます。したがいまして、現に計画的な生産も推進していくことが必要なような状態になっておるわけであります。したがいまして、五十年代初頭のような過剰を再び招くというようなことはこれは避けなきゃいかぬ。それからまた限度数量という問題、これは財政負担という問題がついて回っておるわけであります。したがいまして、そういった財政負担までして供給しなければならない乳製品というものについても考えていかなければならぬ。それから最近脱脂粉乳等、いわば本来生乳で供給する、あるいは生乳を使用する、例えばヨーグルトとか乳酸菌飲料とか、そういったものが財政負担の伴った形の乳製品で供給されるということについてもやはり問題があるんじゃなかろうか。さらには、現在の乳製品の需給、ややもすればバターについては過剰になるおそれもある。そういったような諸般の事情を踏まえて、審議会の意見も聞いて適正に決めてまいりたいと考えておるわけでございます。
#65
○藤原房雄君 今、過剰になりやすいとか、または財政負担がどうとか、生乳がどうとか、何点か挙げておりましたけれども、それは当然のことでありますが、一つ大事なことは、財政負担云々と言います。EC並みになった、なったと言いますけれども、とにかく日本の酪農は戦後わずかの期間にこのように大きくしたわけですから、どうしても体質的に脆弱なところがある。これをある程度支えて、そして強固なものにしませんと、さっきバイオの話がありましたけれども、あした、あさってにそれがすぐ実現するわけじゃないですから、そういうことを考えますと、やっぱり農業というものは息の長いものでしょう。それを五年か十年か十五年でEC並みに引っ張っていくということですから、農家の人たちは一生懸命努力しても、努力には限界がある。
 こういう中でのことですから、今日も金融対策はいろんなことがあります。今、行政改革ということでとかくに財政負担ということがすぐ口に出るんですけれども、それは過度なことがあってはなりませんけれども、こういう脆弱な体質のものを強化しようということでいろんな施策がなされる。そういう中で、ある程度財政負担もやむを得ない面もある。そして、早くに体質を強化いたしませんと、自由化の波に押されて、今農産物、貿易摩擦というと全部集中的に農林水産省に覆いかぶさってくる。ぎりぎりになってから、さあ魚が大変だ、肉が大変だ、オレンジが大変だ、そこで何とかその場その場を繕うのがようやくで、そういうことをいつまでも繰り返していたんではなりませんので、やはり長期戦略といいますか、展望の上に立って、できることとできないことときちっとしなきゃならぬ。日本にこれだけ根づかした酪農というものをつぶすというのだったらそれはわかりますけれども、育てていこうというんだったら、やはりある程度の財政負担も基盤強化のためにはある時期は必要なのではないか。七年も八年も一%、一・四%そこそこの乳価、しかし、それができないとするならば、財政的な面である程度突っかい棒をするというのもこれは当然のことではないでしょうか。
 限度数量、これは生産性向上ということの中でやっぱり一番大事な柱であることは間違いないと思います。たくさんつくるな、そして一生懸命生産性を上げろなんというこんなことでどうするんですか。そういうことで財政負担、それはもう我々もよくわかりますが、この点については大臣に本当に勇断をもって、私は農業のことは余りわかりませんというお話ですが、わからない方がいいみたいなもので、率直なところ、農林水産大臣におなりになっていつやめるかわからぬなんて言っているけれども、この前ずっとやってくださいと私は言ったんですよ。外務大臣も大蔵大臣ももう四年も五年もやっているんだから、農林水産大臣も本当にそれぐらいやっていただいて、新しい眼で見て、これはちょっとほかのものとは、今までは郵政や何かそういう点では非常に明るかったのかもしれませんが、農業というのは大変だなというふうにお感じになっていらっしゃると思いますし、畜産物の価格についても今回大臣が初めて体験することで、いろんな指標なんかお話を聞いて、畜産関係の育成というのはなかなか大変なことだなということを実感を持ってお感じになっていらっしゃるんじゃないかと思うんですけれども、やはりこれにはある時期力を入れなきゃならぬ、そういう何点かはあるんだということをお感じになっていらっしゃると私は思うんですが、大臣どうでしょう、率直なところ。
#66
○国務大臣(佐藤守良君) 藤原先生にお答えいたします。
 今聞いておりまして先生のおっしゃること、やっぱり人間の基本として、まじめに働いて努力して合理化した場合にそれが報われるようにならなきゃいかぬというようなことが、一つは酪農にも通ずると思うんです。したがって、酪農経営者が非常に努力して一頭当たり乳量を上げる、乳量をふやした、そういう形でコストを安くする。安くした中に、実は保証価格も安く限定数量も低い場合はちっとも農家に新しい喜びという意味はない。こんなことで、日本農業を考える場合、その点配慮したらどうかということだと思います。
 そんなことで、今、局長が財政負担、毎日財政再建で厳しいときで、お金でかりかりしておるから財政負担等と言いましたが、局長もその点はかなり理解していると、私はこのように思っておるわけでございます。そんなことで、結論としては、申しわけないんですが、やはり畜産振興審議会というのがございます。その意見を聞きながら先生の御指摘の点を配慮しながら今後取り組みたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#67
○藤原房雄君 審議会の意見を聞くのはあれなんだけれども、しかし主体性は農水省にあるんでしょう。農水省は何もなくて、真っ白けの紙の上に審議会が書いたやつで何かするわけじゃない。最終決定は農水省にあるわけですから、農水省の考え方を聞いているんで、向こうから来たら決めますなんというそういうのじゃなくて、そのことはそんなことじゃなくて、ひとつ農水省の大臣としての考えを聞いているということと、それから素人素人とさっきから言うものだから、初めて今回畜産物価格の決定というこういう場面に当面して、いろいろお話を聞き指標を見、そういう中でやはりほかの産業と違って農業というのは、特にこういう生き物を扱うというのは大変なことだという、こういう実感をお持ちになっておると思うんですけれども、そのことをちょっとさっきお聞きしたかったんですが、どうですか。
#68
○国務大臣(佐藤守良君) お答えしますが、先ほど言ったようなことでございまして、私も実は酪農あるいは肉用牛等の経営につきまして大変厳しい状況であることは認識しております。けれども、今一応、加工原料乳の保証価格等については法律に基づいて、やはり生乳の生産条件とか需給状況その他の諸事情を総合的に考慮し畜産審議会の意見を聞きながら決めたい、こういうふうに考えておりますが、よろしくお願いいたします。
#69
○藤原房雄君 大臣の時間が限られていますから、後からまたいろいろ伺います。
 今日、こうやっている間にも離農しなきゃならない方々、何年か一生懸命努力をしながらそういう方々がいらっしゃる。組合でももう三月三十一日、この年度末にどうするかという決断を迫られる。ひところ入植者の多いときは、ある程度の離農というものはこれはしようがないという時代もあったのかもしれません、しようがないという時代は悲しいことですけれども。職を離れるという、また転職するということは大変なことです。しかし、今日において、またある程度規模を大きくした段階でさえも、今日まだ離農しなきゃならない方々がいらっしゃる。
 最近では、もう地域で数少ない農家がいなくなったら、地域の構成といいますか、非常に地域経済にも大きな影響を及ぼす、こういうことで商店街もバックアップするから何とかひとつ離農しないでください、こういう傾向もある。これは北海道やなんかの数少ないところですと、本当に酪農とか農業中心のところですとそういうことですから、これはもう今日ここまでやっていらっしゃる方々、それは個人差もあって大変だろうと思うんですけれども、やはり負債整理資金というのは今日まで制度をつくってそれなりの成果があったことは事実ですが、これもやはり先ほど申し上げたように、もう短期間に大規模にしたということで、やはりここにも大きな無理がかかっておる。これを何とか支える、商店街でも何とかしようやという声が出る、農水省は横見ているなんというこんなことではいかぬので、これはぜひひとつ実態に即した形で、大臣ひとつこの負債整理の問題についてももう一つてこ入れして、後押しをして、できるものについてはやっぱり何とかそれを継続さしていくような方向で、最近、組合の方々も組合の経営、単協の経営そのものが非常にもう窮迫しておる、こういうところが続出しておるという現状を私どもいろいろ見聞きをしておるんですけれども、こういうことで、ひとつ個々の農家、また組合、またその地域の経済、こういうこと等も考え合わせまして、今日、農業の一つの政策として進めてきたものはやっぱり温かく見ていくと、こういうことのために、言葉だけでなくて、現実的に具体的な施策の中でそれが生き残れる方策というものについては最大に努力してもらいたい。
   〔委員長退席、理事谷川寛三君着席〕
 今日、行財政いろいろなことで厳しい、また国際環境、こういう中にあるということは十分承知の上ですけれども、その中で大臣がどこまで努力をしてそれを支えることができたかという、こういうことが必要なことだろうと私は思うんですけれども、それに対してはきのうも自給率云々で予算委員会でいろいろお話を聞きました。大臣もいろいろ決意のほどを述べておりましたけれども、畜産もまた今、価格決定、この価格によって、価格政策で物事が決まれば一番いいんですが、そうはいかない厳しい環境の中にある。それならば次善策として限度数量、またこの負債整理の対策、こういうことについての団体からの強い要請もありますが、私ども現地を回って、本当にこれは温かい施策をしなければ今までの長期展望に立って計画を立ててきた農水省の計画というのは一体何だったんだ、やらせておいて途中ではしごを取るみたいなそういう施策であってはならぬということを私は痛感する。それで、大臣に再度この負債整理問題等についても現在考えておりますことをひとつお聞きをしておきたいと、こう思います。
#70
○政府委員(野明宏至君) 酪農負債の問題につきましては、五十六年度から五年間の予定で、農協などの融資機関による既貸付金についての償還期限の延長など、償還条件の緩和措置と相まちましてやってまいっておるわけであります。その間その効果は顕著にあらわれておりまして、対象農家の所得も向上するというふうなことで、また対象農家の戸数も減ってまいっております。六十年度は最終年度にあるわけでございますけれども、そういった対象経営の生産性の向上の努力の状況などを見きわめながら検討を進めてまいりたいと考えておるわけであります。
 なお、こういった対策のほか個別的な再建対策としては、一定の条件に該当するものにつきまして従来から再建整備資金というものが設けられておるわけであります。こういったものも含めて対処してまいりたいと考えておるわけであります。
#71
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 これはもう大変大切な問題でございまして、負債整理に二つの立場があると思います。一つは、今まで先生が先ほど御指摘になった急激に頭数をふやしたということで、その価格が非常に不安定というようなことで負債のふえた方、それから、これからやっぱり負債のふえそうな人、この二つがあると思いますが、今までの分につきましては今、局長が言ったようなことで、たしか五年前は三千数百負債農家があったのが、今千八百ぐらいになって、ことしで大分なくなるのじゃないかと、このように思っておりますが、実は基本的に、牛というのは素牛子牛で一頭三十万ぐらいだと思いますが、それで別に金利費用等含めて約二十万ぐらいかかると思います。そうすると約五十万、百頭で五千万かかるわけですので、したがってそのときの価格がどうであるかで非常に違ってくる。そんなことで、そういうことを含めて金利あるいはその他価格等含めて総合的な対策を練らないとこの負債問題は片づかない、このように思っておるわけでございます。
 そういう点を含めて局長に、この問題は全力を挙げてひとつ負債対策に取り組むように、それでまたこれを取り組むことによって非常にコストが安くなる。例えば金利が高いのは一一・数%がございます。安いのが約七・五%ぐらい。そんなことで、仮に金利を四%下げても五千万の場合二百万違う。こういうことを含めてでございますが、そういうことを含めて総合的に負債対策に取り組みたいと、このように考えております。
#72
○藤原房雄君 ぜひ、大臣もいろいろお考えのようですから、ひとつ御努力いただきたいと思うんです。
 何といっても息の長い作業ですから、長期計画を立てて返済計画を立てる。ところがオイルショックや何かある。そういうことで、大変な社会情勢の変化で当初の計画が大幅に狂う。そういうときに、そういうものを勘案して償還計画を変えてくれるのならいいんですが、なかなかそういうことは難しい。そうすると、そういう波は全部酪農家が背負わなければならない。そういう中での苦闘、こういうこともいろいろあります。それは一々手直しするということは難しいことかもしれませんが、やっぱりそれをバックアップするための施策というのは、大臣もいろいろ今お話ししておられましたが、本当は本人の努力ということと、またそういう行政の施策ということと相まちまして、やはり自分がやろうと思って一生懸命努力しておる、そういう者にはぜひひとつ花を咲かせていただきたいと思います。
 審議会、審議会と言うから、私も時間がないから最後に大臣にお聞きしますが、そんなに審議会と言うんだったら、去年審議会で建議をした乳製品それから畜産物価格、この建議がどのぐらいひとつ忠実に守られておるのかということを一つ一つ聞きたいところだけれども、時間がないからこれは午後に、大臣がいないことになるかもしれませんけれども局長にお聞きします。しかし、総括的にこの建議についてはどういう取り組みをしたかということをひとつこれは大臣から一言お聞きして、私終わりたいと思います。
#73
○政府委員(野明宏至君) 昨年度の畜産振興審議会においても建議をちょうだいいたしておるわけでありますが、それぞれにつき適切な対応をいたしておると、こういうことでございます。
#74
○国務大臣(佐藤守良君) 大変申しわけございません。私は建議等その取り組みについて十分理解しておりませんが、今、局長の答弁したとおりだと思います。
#75
○塩出啓典君 それでは、六十年度の畜産物価格決定を前にいたしまして農協からいろいろ要求が出されておるわけでありますが、この数年、要求額も大変控え目でございますが、特に加工原料乳保証価格あるいは限度数量等、農協要求の実現については情勢はどういう情勢であるのか、これを率直な御意見をお聞きしたいと思います。
#76
○政府委員(野明宏至君) お答えいたします。
 最近の酪農経営をめぐる状況につきましては、一頭当たり乳量が増加しております。それからまた家族労働時間、一頭当たりの家族労働時間も減少をいたしております。そういったことによりまして生産性が上がっておりますし、それからまた収益性も向上いたしております。さらにまた、配合飼料価格も昨年の七月とことしの一月、二度にわたって引き下げられるというふうな状況にあるわけでございます。
 そういった状況を踏まえまして、加工原料乳の保証価格等については法律に基づきまして、生乳の生産条件あるいは需給事情その他の諸事情を総合的に考慮いたしまして、畜産振興審議会の意見を聞いて適正に決定することとしておるわけでございます。
#77
○塩出啓典君 大変農協の要求に対しては厳しいような御答弁と受け取ったわけでございます。
 今回、骨なし肉の関税の問題とか、あるいは乳製品、豚肉、液卵の輸入の問題、あるいは牛肉、オレンジの輸入枠の問題、こういうような点が要求が出されておるわけであります。これは大臣にお尋ねをしたいんでありますが、私たちも、昨年の大統領選挙が終われば米国の日本に対する開放要求というものは大分変わってくるんじゃないか、そのように考えておったわけであります。今年一月、総理も訪米されたわけであります。それ以後さらにアメリカの対日要求というものはますます険しいと、けさもニュースで大河原前アメリカ大使がそういうような情勢を言ってきておるわけでありますが、我が国に対する外国からの開放要求の状況というものはどういう状況であるのか、またその原因はどういうところにあるのか、農林水産大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
#78
○国務大臣(佐藤守良君) 塩出先生にお答えいたします。
 今、先生のおっしゃったこと、実は私も大河原大使にきのうお目にかかって約三十分ほど貿易の話をしまして、想像以上にアメリカが、特に議会が日本に対し厳しいという話を聞いたわけでございます。この間、経団連の稲山さんが団長で東南アジアを回りましたときも、やっぱりタイ、マレーシア、インドネシアその他におきまして同じような厳しい状況にあるということを聞いた。例えばタイなども、特に骨なし鳥肉などにつきましてはいろんな要望があるわけです。大体約二十五億ドルぐらい日本と貿易を結んでおるが、そのうち十五億ドルぐらいがやはりタイが輸入超過である、これを何とかしたい、こんなことで、そういうところでも出ておるというふうなことでございまして、大変アメリカ、東南アジア含めて日本に対する要望が厳しくなっておると思います。
 その一つは、東南アジア等におきましてはやはり日本は先進国である、そんなことの中で、ひとつ後進国の仕事は後進国に譲ってもらいたい、日本はもっと先端技術産業等、より新しい仕事をやってもらいたい、こんな要望もかなりあるような感じがいたします。特にアメリカにおきましては、また今度は日米経常収支の黒字約三百四、五十億ドル、このことはアメリカの赤字の約三分の一、日本が黒字を持って帰っておる、こんなことを含めていろんな状況が厳しくなっておるというのが現状だと思います。
 そういう形の中で、農産物の市場開放問題につきましては二つの立場があると思います。一つは、やっぱり関係国との友好関係を配慮する必要が日本はあると思います。そういう形の中に、どうして我が国農業を生かすかとの観点に立ち、その健全な発展を図るか、その調和をどう図っていくかということが一番難しい問題だと思っています。そんなことですが、我が国は農産物については既に実は五十九年度に百八十六億ドル輸入している世界の大輸入国です。アメリカからは農産物だけで七十七億ドル、農林水産物を入れましたらば約九十二億ドル入れておるというのが現状です。
 そんなことでございますので、私はいろんな国際化の要請はございますけれども、我が国農業の生産性の向上とか体質の強化を図りつつ、諸外国に対しましてはこれまでの市場開放措置や我が国農業の置かれている厳しい実情等について十分説明し、その理解を得ながら対処してまいりたい、このように考えております。
#79
○塩出啓典君 どうも私たちの感じとしては、昨年の景気も非常にいいと言うけれども、それはいわゆる輸出産業に依存している外需依存の景気のよさでありまして、そういうものがすべて貿易のアンバランス、そのしわ寄せが全部農業に来たのではたまらないと思うんですね。そういう意味で、こういうような問題はただ農水省だけではなしに、
   〔理事谷川周三君退席、委員長着席〕
日本の各界の協力というか、また各大臣、内閣としての協力もなければ日本農業を守っていけないんじゃないかと思いますので、そういう意味で農林水産大臣としてもそういう大局的見地に立ってどんどんひとつ経済界や各閣僚に対しても要請をして、農業だけが犠牲にならないようにぜひ頑張っていただきたい、このことを強く要望をいたしておきます。
 それから次に、畜産農家の経営状態の問題でありますが、負債が非常にふえておる、そういう意味で五十六年度から酪農経営負債整理資金というものを五年間でやって大変効果を上げた、そういうようなお話でございますが、私がいただいた農協からの資料によりますと、借入金の残高の推移を見ますと、昭和五十六年度を一〇〇とした場合に、酪農はほとんど一〇〇前後で余りふえてはいない。そういう意味では、酪農経営についてはその効果が出てきたのかなと。しかし、肥育牛を見ますと、五十六年度を一〇〇といたしますと、五十八年度に三〇〇、五十九年度は四〇〇、この三年ぐらいで借入金の残高が三倍、四倍になっておる。こういう意味で五十七年度から政府も肉畜経営改善資金という制度を導入をしておるようでありますが、余り効果を発揮していないんじゃないか。この点今後どうされるのか、これをお伺いしたいと思います。
#80
○政府委員(野明宏至君) 肉用牛経営につきましては、近年急速に規模を拡大した農家の一部には、生産資材価格や畜産物価格の変更に加えまして、生産性の向上のおくれなどによりまして負債が累積、固定化して借入金の償還が困難となったものが見られたわけでございます。そういうことを背景といたしまして、農家の自助努力や農協等の融資機関の既貸付金につきまして、償還期限の延長などの償還条件の緩和と相まって、臨時特例的な措置として五十七年度に肉畜経営改善資金の貸し付けを行ったわけでございます。同時に、農家みずからの経営、家計全般にわたる合理化努力と、それからさらに関係団体によります経営指導を通じまして経営の改善、向上を図っておるわけであります。
 これにつきまして、借り受け者の経営状況がどうなっておるかということにつきまして、肉畜経営の改善推進協議会というところで調べておるわけでございますが、農業所得も五十九年には五十八年に比べまして全般的に好転しておりまして、その効果は上がっておると言えようかと思います。例えば肉専の肥育経営の場合には、五十八年の実績が五百五十四万円であったわけでございますが、五十九年には六百九十七万円というふうに所得の向上が見られておるわけでございます。そういったようなことで、各繁殖経営、それから肥育経営につきましても全般的に経営は改善されているものと考えられるわけでございますが、素畜費とか飼料費につきまして借入金の依存度が高い経営とか、あるいは過去に素畜の高いときに導入したそういった経営の中には、なお借入金の金利負担とその償還ということで経営の改善、向上が十分でないものが見られるわけでございます。
 こういった個別的な経営対策としては、従来から自創資金の再建整備資金の融通を行っておりまして、これにつきましても六十年度融資枠を拡大いたしますとともに、その他各種制度金融についても肉用牛を中心に充実を図ることといたしておるわけでございます。
 そういったことでございますが、今後とも、枝肉価格なり飼料価格なり素畜価格等の動向に留意しながら実態の把握に努めて、適切に対処してまいりたいと考えております。
#81
○塩出啓典君 先般、私たちも仙台と広島に二班に分かれていろいろ農業地帯へ参りまして、畜産農家とか果樹農家とか漁業とか、いろいろな御意見を聞いてきたわけでありますが、今、局長の話ではかなり好転をしているということですけれども、必ずしもそうではない。特に肥育経営はもとより、繁殖も含めて、肥育あるいは繁殖している経営は非常に厳しいわけで、このデータを見ても借り入れはふえていますから、そういう点、今後とももっと長期の低利の資金を供給するように努力をしてもらいたい、このことを要望しておきます。
 それと、やはり融資をすればいいというものではなしに、経営改善というか、酪農も、最近はいろいろ技術、品質管理と申しますか、えさをやるにしても、その日に出てきた乳の量によってえさをやるとか、いろいろかなり細かい技術的な面の指導、経営の面と技術の面、そういう面でレベルアップをしていかなければいけないのじゃないかと思うのであります。農協からの要求といたしましても、経営指導というものも、やはり県信連とか、あるいは経済連とか中央会とか、そういうのがばらばらにやっておったんではいかぬ、やはり総合的に指導をもっと強化をしてもらいたい、だから、県によってはそういう総合的な指導体制をつくっているところもあるようでありますが、そういう点にもっと国は助成をしてもらいたい、こういう要求が出ておるわけで、私ども全くそのとおりだと思うのでありまして、今後経営指導の強化というそういう点について、これは農水大臣からお考えをお伺いしたいと思います。
#82
○政府委員(野明宏至君) 特に肉用牛経営につきましては、歴史が浅いこともありまして技術水準もばらつきが見られるわけであります。それから、素畜を入れましてからそれを回収するにいたしましても長期間を要するというふうなことで、その間の指導というものが非常に大事でございます。それで、今お話ありましたように、えさの問題あるいは経営それ自体の問題、それから販売の問題いろいろございます。したがいまして、そういった経営の実態に即しましてレベルの高い総合的な経営指導が必要だろうと思っております。
 そういう意味で、経営計画の作成とか、あるいは牧畜場の指導、そういったようなことを通じまして経営管理能力を向上させていく、さらには畜産の経営技術を改善するための各種の指導情報を提供するとか、また、投資の適正化を図るために、制度資金等を活用して新規投資をいたします場合も、その場合にどういうふうにしたらいいかということについての重点指導をするというふうなやはり総合的な指導が必要だろうと思います。
 ただ、これについて政府が助成をするかどうかということは、ある意味では、そう申し上げては恐縮でございますが、みずからの問題でございますので、そういった点も考えていかなければならないのじゃないかというふうに思っておるわけでございます。
#83
○国務大臣(佐藤守良君) 塩出先生にお答えします。
 今、局長が答弁したとおりでございますが、第一点の、負債を長期低利融資に切りかえる、この努力は最大限やりたいと思っております。
 それから経営指導の問題ですが、これは実は経営者自体が考えることでございます。そんなことで、例えば販売の問題あるいは老後の問題あるいはコストの分析の問題等含めて当然強化したい点は、やはりこれは自分のことなものですから、今、先生おっしゃるような補助金等の問題につきましてはなかなか難しいんじゃないかと、こう思っております。
#84
○小笠原貞子君 もう十年近い前に、私は農林水産委員でいろいろとお願いもいたしました。それ以来私、国会へ出て十七年目になるんですけれども、北海道の農業を見ますと、一〇〇%悪いとは言いません。酪農負債対策などいろいろいい政策もありますけれども、基本的な問題としてはちっとも解決されていないのではないか。そういうことで、ことしも一月、二月いっぱいかけまして北海道各地の水田、畑作そして酪農とずっと調査いたしました。いよいよ乳価の決定という時期になりましたので、きょうはその乳価についてお伺いしたいんです。
 最近のいろいろな世論だとか、またきょうの御質疑を伺っておりましても、乳製品の市況は回復してきた、乳量も増産されてきている、経営の収益性も上がってきた、だから、ことしも乳価は値上げする要因はないと、こういうふうに言われているわけなんです。
 私はまず言いたいことは、例えば労働者の賃金と比べても、アップ率は年々下がっていますけれども毎年上がっているんですよね。ところが、農家の、酪農民の場合を調べてみるというと、五十三年の一日当たりの家族労働報酬というのは八千二百四十二円でした。ところが、今幾らになっているかというと六千八百十九円と、こういうふうに二〇%下がっています。労働省の調べでは三一%上がっているんですよね。百姓だから、酪農民だから賃金は下がってもしようがない、もっとそれで我慢しろとおっしゃるのならこれは大問題。ということで、特に私が調査いたしました中で、それをしょっている主婦の方たちの苦労を思ったときに、何としてもこの乳価というものを引き上げていただきたいと、そう思うんです。ところが、いろいろとそちらのお考えもあります。だから、私は事実について伺いたいと思います。事実は強いんです。見解の相違も党派の違いもございません。
 この事実を申し上げますのは、これは農林水産省帯広統計情報事務所、この管内というのは日高とか十勝、釧路、酪農の大きな中心地帯になっているわけです。その「昭和五十八年度の農家経済(経営組織別概算値)」というのが出ております。これを私ずっと調べて、なるほどな、事実はそうなんだということがわかったわけです。これは農林水産省の統計事務所ですから、おたくの方の資料ですよ。ここに「酪農単一経営」というのがございます。いろいろ畑作とかありますけれども、「酪農単一経営」で見ますと、こう書いてあるんですね。「農業所得は四百四十八万二千円で前年度に比べ二四%と大幅に減少した。」その理由、「これは生乳生産量の増加による増収はあったものの育成牛及び成牛の価格低迷により、その販売収入が前年度に比べ一五%、百万一千円減少したこと」、そして続いて「農業経営費が農業生産費材価格の値上がり等で対前年比四%増加したためである。」と。前年度に比べて所得は二四%ダウンしましたと、こう書いてありますね。そして次に、「農家総所得は四百九十八万四千円で前年度に比べ一六%減少」しました。農家総所得も一六%減っています。そして、「農家総所得から租税公課諸負担を差引いた可処分所得(手取り収入)は三百七万六千円で前年度に比べ百七万二千円(二六%減)の減少となり、五十三年度以降では最も低くなった。」と、こういうふうに書いてあるわけですね。
 そして、家計費というところがまたあります。五番目、「家計費は四百三十六万九千円で前年度に比べ二%増加した。」、いろいろと家計費は住居費、交通費、雑費、光熱費というようなものも上がったと。しかし、いろいろ書いてあるけれども、家計費というものは「総額では二%増となっている。」、それを「世帯員一人当たりでみると、家計費は対前年比一五%減で、所得の低下による消費活動の引き締めがみられる。」、つまり家計費の支出は抑えているんだ、去年よりも一五%も家計費を引き締めているよと、こう書かれているわけですね。
 そして、この後ろの方の統計を見ますと、家計費は幾らかといいますと四百三十六万八千九百円だと、こういうふうになっているわけなんです。つまり家計費は四百三十六万九千円かかりましたと、こうなるわけですよね。しかし、収入は幾らかといいますと、収入は先ほど言いました三百七万六千円という数字になってくるわけなんですね。わかりましたか。手取り収入は、先ほど言いました租税公課抜かしたところでは三百七万六千円の収入と、こういうわけですね。そして、家計費は締めたけれども四百三十六万九千円出ましたよと。これはおたくの数字ですからね。そうすると、差し引き赤字は幾らかというと百二十九万三千円の赤字になってしまった、だから大変だということをおたくの資料でわかるわけですよ。
 これは北海道の酪農の有数地帯の帯広ですよ、帯広管内。EC並みだとか、日本で言えば北海道酪農はいいなと、こう言われるけれども、その北海道の酪農の実態がおたくの資料で見てもこういう資料になって出てきております。こういうことを、大臣、本当に考えていただきたい。そして、乳価というものを適正に引き上げていただきたい。結論は簡単なんです。実態を申し上げました。乳価について適正な価格に引き上げるということが、どうしても今必要だと思います。大臣の御答弁をお願いいたします。局長、後でゆっくり聞きますからね。大臣、結構勉強していらっしゃるから、大臣のお答えをいただきたいと思います。
#85
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えします。
 今の先生のお話は、ちょっとこれを見ておりますと、農業所得は四百四十八万二千円ということで、前年度と比較して、これは育成牛及び成牛の価格低迷によって大体販売収入が前年度に比べ一五%、百万一千円減少したということと、もう一つは、農業経営費のうち農業生産資材が四%上がった。そのことで約百二十九万円の赤字になったということだと思いますが、その後、実は五十七年、五十八年に比べまして、例えば収益性などを見ておりますと、例えば北海道で一日当たりの家族労働報酬というのは五十七年が四千六百十三円、五十八年が六千八百十九年で四七・八%向上しておる、そういう数字もございます。また、搾乳牛一頭当たりの所得、これも実は十八万五千四百二十円、だから五十七年は前年五十六年よりもマイナスでございましたね。五十八年になりますと逆に一一%ふえておると、こういう資料もあるということでございます。そんなことでございまして、先生の今おっしゃった数字は一番悪いときの数字じゃなかったかなと、よくわかりませんが、今、数から見ますと、ちょっとこういう感じが実はいたしておるわけでございます。
 そんなことでございまして、先ほどから答弁しておるようなことでございますが、事実一頭当たり乳量の増加、これはもう間違いないわけです。それから生産性、収益性も向上しておる、また配合飼料、これも二回にわたってたしか三千二百円ずつ下がっておるというようなこと、そんないい材料もあるということを実は申し上げておるわけでございます。
#86
○小笠原貞子君 一番悪いのを引っ張ってきたんじゃなくて、まだこっちは五十九年出てないんだから、一番最近の五十八年ということで、それで御意見があればまた今度時間をとってゆっくりやりましょう。だけれども、これは一つの事実でございますと申し上げたんだから、これを否定なさるわけにはいかないと思う。だから、これに基づいて乳価値上げということについて大臣として御努力をいただきたいということを再度お願いをいたします。それで、北海道をごらんになったことないでしょう。ヨーロッパはもちろんだけれども、まだ北海道の酪農を御存じありませんね。だから、ぜひ一度お待ちしておりますから、おいでいただきたいと思います。
 さて、次の問題は、加工原料乳の先ほどからおっしゃいました限度数量の問題なんです。保証価格を上げていただくと同時に、加工原料乳の限度数量をどうしても上げなければならない。なぜかといいますと、五十八年度の実質手取り乳価というものを生乳だとか加工乳、いろいろ出た量とお金を計算いたしますと、五十八年度の実質手取り乳価は八十九円三十五銭だったんですよね。それが五十九年度は、五十九年四月から六十年二月の見込みで決めなければなりません。前年度より一円十銭マイナスの八十八円二十五銭になる見通しになっているんです、今。なぜそんな数字になったのかということが問題なんです。これは加工用向けに認定されない限度数量、枠がありますから、その枠以上は認定されませんからね。その認定されない限度数量からはみ出したたくさんの分は、国からのいわゆる不足払いによる補給金がもらえないという形になりますと、キログラム六十九円十八銭という極めて安い価格で出荷せざるを得なくなっているわけなんです。それで、その量が十三万トンに及んでしまった。だから、結局、不足金のもらえない加工原料乳というものが十三万トンあって、そしてそれが六十九円十八銭という安い値段で売らなければならないということの結果、去年に比べて農民の手取りの乳価というものは一円十銭マイナスなんですね。据え置きどころじゃなくて、マイナスになっているんだということなんですよ。
 だから、保証価格が据え置き、五十八年九十円七銭ですか、五十九年九円十七銭据え置きですよと保証価格で言われるけれども、あれは補給金が入っての価格ですから、限度数量をはみ出した分については補給金がないんだから、全体の乳価を引き下げて、詳しくダブって言いますけれども、手取りは実質下がってきているから農民が乳量を上げろ、加工原料乳枠を広げろという要求になってきているわけなんですね。それで足りなくなっちゃって、脱脂粉乳を八千トンも緊急輸入するという事態になったのは御承知のことだと思うんですね。生産調整下で輸入するという、まことに酪農民にとってはもう本当に腹立たしいですよ。だから、この問題、質問は、限度数量の適正な枠の拡大をして、調整しておいて輸入するなんというような農民に対する裏切りは私はもう絶対やめていただきたいというのが、二番目の質問です。どうぞ大臣、御決意のほどを。
#87
○政府委員(野明宏至君) ただいまのお話でございますが、御案内のように、昨年の夏は、牛の夏ばてというふうなことで生乳の生産量も落ちたわけでございますが……
#88
○小笠原貞子君 済みません。もう時間がなくなってきましたので、枠を広げる努力をしてくださるかどうかというそのこと一点、大臣、簡単に一点答えればそれでいいんです。
#89
○政府委員(野明宏至君) 秋以降につきましては、生乳生産量も急速に回復してまいっております。したがいまして、確かに全体平均しました手取り乳価という問題は一方であるわけでございますが、一方では生乳生産量が急速に回復しておるというふうな問題もございます。限度数量の問題については、そういった点も含めて慎重に検討してまいりたいと思います。
#90
○国務大臣(佐藤守良君) 先生のおっしゃる意味はよくわかりますが、限度数量を拡大すれば一円十銭が原価どおりいく、だから枠を拡大してもらいたい、そうすると農家の手取りが減らない、こういうことをおっしゃっていると思いますが、実は、これは先生御存じと思いますが、加工原料乳の限度数量については加工原料乳生産者補給金等暫定措置法という法律がございます。そんなことで、大変意にそぐわないと思いますが、いろんなことを総合的に勘案し、畜産振興審議会の意見を聞いて適正に決めたい、こう思っております。
#91
○喜屋武眞榮君 私は、大臣にお尋ねする前に、基本的なことをまずお聞きしたいと思います。
 まず、国土開発という観点から、少なくとも日本の国土は一億二千万国民の食糧の生産基地として最高度に発揮する、こういう原点に立つならば、亜熱帯、そして豊富な太陽エネルギーを持っておるところの沖縄の地域というものを国土開発の一環という立場から、私は農業の立場から見た場合に、沖縄という土地は最も農業基地として、水産基地として、そして畜産基地として最適の条件を具備しておるところの日本にとってかけがえのない土地である、地域である、このように私は理解しておりますが、大臣、いかが認識しておられますか。
#92
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えします。
 先生と同じ認識を持っております。
#93
○喜屋武眞榮君 それでは、今の大臣の御答弁を正しく受けとめまして、沖縄の酪農についてお尋ねいたしたいと思います。
 御承知かと思いますが、沖縄は戦場になりまして、地上の物件が九六%壊滅、人間も二十余万犠牲になった。国破れて山河なしという言葉も生まれたわけですが、そういった廃墟の中から、十頭の乳牛から出発したというのが沖縄の酪農であります。そこで、五十八年度には飼養戸数が二百四十戸にふえた、そして飼養頭数も八千二百八十頭、このようにふえてまいりました。そして五十七年度には、その飲用牛乳が約四万八千キロリットルという生産を上げた。それに呼応して、消費量が五十二年度以降生産量を上回る状態になったという、こういった情勢の中から沖縄の酪農は今日に至っておるわけであります。
 そこでお尋ねしたいことは、沖縄の酪農と今問題となっておりますLL牛乳との関連について私はお尋ねいたしたいのでありますが、ひとつ率直な大臣の御見解を承りたいと思うのでありますが、その結論、お答えをお聞きする前に、次のことは申しておきたいと思います。
 五十八年三月に、LL牛乳は、食品衛生法上常温化について問題がないということが一応厚生省から打ち出された。それが問題となって、要冷蔵要件が撤廃されると国内の牛乳の流通機構に大混乱を起こすのである。これは単に沖縄だけの問題ではないと私は思っております。日本全体の立場からもこれは大混乱を起こすのでありますが、特に、いまさっき申し上げてみたような、四十年の風雪に耐えて発展してきた沖縄の酪農が、これを実施された場合にはそれこそ大打撃を受けて、もう再起不能、こういう方向に追い詰められるのではないか、こういう心配があるわけであります。それで、このように、県議会としましてもそれを大問題にしまして、意見書を添えて陳情、要請に最近来ておりますので、大臣もそのことをよく御認識だと思いますが、そのことについてひとつ大臣の御見解を承りたいと思います。
#94
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたします。
 もう既に先生がお話しされたとおりでございますが、LL牛乳の要冷蔵要件を撤廃した場合にも、流通上の混乱を最小限にとどめるよう、生産者、乳業者、販売業者等の意見を集約の上、適切に対処してまいりたい、このように考えております。
#95
○喜屋武眞榮君 いやいや、ちょっと今のははっきりいたしませんが、LL牛乳の厚生省の意見に対して、それを全面的に受け入れて実施される、こういうことなんですか。
#96
○政府委員(野明宏至君) LL問題につきましては、五十八年三月に厚生省において安全宣言を出されております。それで、要冷蔵要件を撤廃する条件はでき上がっておるわけでございますが、その際、農林水産省の方に、流通上の混乱を最小限にとどめるよう検討してくれ、こういう御依頼があったわけであります。それを踏まえて、現在、流通上の混乱を最小限にとどめるように、生産者、乳業者、販売業者等の意見を調整しておるわけでございます。
#97
○喜屋武眞榮君 もう一遍重ねてお伺いしますが、いわゆるその方向にはあるが検討の余地はある、検討はする、こういう御配慮なんですね。
#98
○国務大臣(佐藤守良君) そうです。
#99
○喜屋武眞榮君 特に私、重ねて申し上げたいのは、生産者と乳業者との納得のいくコンセンサスを詰めてもらわないというと、ただ一方的にこれがやられた場合に、いわゆる日本の農政というものの基本的な問題にこれはかかわってくる、こう私は思うんです。ぜひひとつ、生産者とそれから乳業者との納得のいく話し合いによってこの結論を出していただきたいということを強く重ねて私、要望を申し上げます。これに対して大臣、もう一遍コメントしてください。
#100
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたしますが、今、私、局長も言ったとおりでございまして、流通上の混乱を最小限にとどめるよう、生産者、乳業者、販売業者の意見を十分聞きまして集約の上、適切に対処してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#101
○喜屋武眞榮君 非常に不安があるわけでございますが、私はそれを揺るぎなく監視しておきたい、見守っておきたいと思います。ひとつそのように対処していただきたいと思います。
 時間が残りましたので、次に、沖縄の畜産の中で黒毛和牛の飼育について、特に沖縄の場合、粗飼料の生産性が非常に高い。粗飼料の条件がよろしい。例えばサトウキビの葉っぱ、あるいは芋のつる、それから牧草の栽培、これが全国的に見ましても非常に有利な条件にあるわけでありますが、今、日本の畜産の推移を見ますというと、飼料問題が大きな問題を醸しておるわけなんですね。家畜の問題、飼料、外国から輸入した濃厚飼料が非常に日本の畜産に影響しておる。特に黒和牛の場合、粗飼料というものと肉質というものとの戦前からの非常に高い密接な関連、評価があるわけでありますが、その点からも、沖縄における黒毛和牛の飼育、その生産性が高いという立場からも、今後肉用牛の安定した生産振興を図るためには牧草地の造成あるいは生産基盤の整備、そうして沖縄に適した牧草の開発を積極的に進めていきますならば、沖縄は日本の畜産基地としてまさに最適であるという、こういう評価ができると思うのでありますが、大臣、いかがでしょうか。
#102
○政府委員(野明宏至君) お答えいたします。
 沖縄県の畜産は、恵まれた自然条件のもとで、畜産につきましても農業の基幹的な作目として振興が図られているわけであります。畜産部門が農業粗生産額の約三割を占めるに至っております。それからまた、肉用牛についても現在四万頭を超える頭数になっております。したがいまして、沖縄県におきましては沖縄県の有利な条件を生かしまして、肉用牛の供給基地の形成を目指して取り組んでおるわけでございます。
 その場合に、御指摘のように草の生産というのが非常に大事な問題でございまして、団体の草地開発事業あるいは畜産基地建設事業、さらには先ほどお話ありました家畜導入につきましても、バガスとかそういったような未利用資源を活用した取り組みをしておるわけであります。今後とも、そういった点を積極的に進めまして、肉用牛生産の振興に努めてまいる考えであります。
#103
○委員長(北修二君) 本件に対する質疑は午前はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時六分開会
#104
○委員長(北修二君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#105
○稲村稔夫君 午前中、大臣の基本的な考え方を聞きたいということで質問をいろいろとしたわけでありますけれども、それでは極めてまだ不十分な面もあるわけでありますので、なお何点かについて畜産局長の御答弁をいただきたい、このように考えております。
 その第一点は、午前中の答弁の中でも出てまいりましたけれども、国内生産の、特に酪農を中心にいたしまして過剰にならないようにというようなことをいろいろと配慮をしておられるように受け取りました。過剰にならないようにということが、ちょっと私には大臣答弁とのかかわりでなかなか理解し切れない。ということは、国内生産を一応確保していくということによって、それを基本にすることによってだんだんと生産が拡大してくれば輸入は減っていくのは当然だと、こういう観点で質問したはずであります。そうすると、過剰になってきた、過剰ということは輸入をしていて過剰なんでありますから、輸入の方を減らしていけば当然過剰というものは解消するのではないか、このように思うわけでありますが、その点はいかがでございましょう。
#106
○政府委員(野明宏至君) 生乳についてその点どうかということのお尋ねであろうと思いますのでその点についてお答えしたいと思いますが、現在輸入されております乳製品は、先ほども申し上げたわけでございますが、えさ用の脱粉、これはいわば国際価格でありますから、値段が非常に安いということで酪農家の子牛を育てるミルクに使われているわけであります。したがいまして、これはなかなか、私どもはそういうものも母牛の乳で育ててもらいたいと思うわけでございますが、現実問題としてはやはり輸入のえさ用脱粉が使われておる。それからナチュラルチーズ、これは需要がふえておるわけでありますが、これは自由化されておる。ただ、これも国内でもちろん生産は可能であるわけでありますが、価格関係によってその辺のところを克服できるかどうかというふうな問題があるわけでございます。
   〔委員長退席、理事最上進君着席〕
そういった問題を別にいたしますれば、やはり飲用乳が主体のものと、それから脱脂粉乳、バターあるいは全粉乳、そういったものが主体でございますが、そういった国内の生乳生産というものをベースに飲用乳の供給が行われ、あるいはまた乳製品の供給が行われておるわけであります。
 これらの点については、大体そういった需要全体が生乳ベースで七百万トン程度あるわけでございます。これらについて需要に見合った生産を行っていくということによって、いわば通常の場合は過剰とか不足が起こらないようにやっていくということが適切ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
#107
○稲村稔夫君 生乳換算で乳製品全体の量を見ていったときに、結局国内生産、今の脱脂粉乳の価格が国際競争との関係でどうかということ、
   〔理事最上進君退席、理事谷川寛三君着席〕
これをまず別におけば、生乳換算で需要を見ていく限りにおいては私は国内生産というものである程度のカバーができる、だんだんと水準が上がっていっていると、こういうふうになっているんではないだろうかというふうに思うわけであります。
 そこで、これは今度はそれぞれの経営形態とのかかわりにもなってくるわけでありますけれども、そうすると輸入をした脱脂粉乳を子牛に与えるというそういう形態から、例えば生乳をということももちろんありましょう。が、さらに脱脂乳にいたしましても、例えばバターの生産をした際に生ずるもの、これをできるだけ最大限農家に還元をしていくというような形で、価格の面ではいろいろと工夫ができる側面というのもあるのではないだろうか。その辺のところの御努力がどの程度されているのか、こういうことが一つ疑問になります。
 それから、さらに需要の関係につきまして、これから先、一体生乳ベースにしてどの程度需要が伸びるというふうに考えておられるのか。それによってまた輸入に対処する方策というものが違ってくるんではなかろうかと、こんなふうにも思います。その点もお聞きをしたいというふうに思うわけでございます。
 とりあえず、酪農関係を中心にして、疑問になる点をまずお伺いいたしたいと思います。
#108
○政府委員(野明宏至君) お答えいたします。
 まず第一点の、子牛に母親のお乳を飲ませるという点でございますが、これはなるべくそういうふうにしていただきたいわけでございます。ところが、なかなか値段の関係でそうまいらないというふうなことで、かつて五十年代の初めの大変な過剰の時期には若干の補助金も出してそういうふうなことを奨励したことがございますが、現在はそういったものについては補助金は出しておりません。しかし、さっきの脱脂乳なんかの問題も含めて、生産者の御努力によりそれを子牛が飲むということになれば、それだけまた需給関係は改善されてまいるということになるんだろうと思っております。
 それから、今後の需要の見通しでございますが、大体、牛乳・乳製品の需要でございますが、生産が七百万トン程度ということで見通しておるわけでございますが……
#109
○稲村稔夫君 これは何年ですか。
#110
○政府委員(野明宏至君) 七百万トン程度と、五十八年度になっておるわけでございます。基準年次の五十三年度、これは六百二十五万トンとなっております。長期見通し、六十年は生産は八百四十二万トンということになっておりまして、五十三年から六十五年までの年率としましては二・五%程度伸びるというふうに見ておるわけでございます。
 なお、需要につきましては、基準年次が七百万トンで、六十五年は、これは幅で見ておりますが、九百二十七万トンないし九百七十二万トンということで、これも年率にいたしますと、幅がございますが、大体二・五%前後というふうなことになっておるわけでございます。
#111
○稲村稔夫君 そうすると、その需要の九百二十七万トンというのは、これは確か六十年ですね。
#112
○政府委員(野明宏至君) これは六十五年でございます。
#113
○稲村稔夫君 そうすると、このときに生乳と乳製品の量的なものはどうなりますか。どういうふうに見ておられますか。生乳がどのくらいで、乳製品が生乳換算にして何トンくらいになりますか。
#114
○政府委員(野明宏至君) ただいま総需要量といたしまして、六十年見通し――失礼いたしました。これは幅で見ておりますので、九百二十七万トンないし九百七十二万トンと申し上げたわけでございますが、九百二十七万トンでございます。それから、幅で九百七十二万トンでございます。
 そこで、この内訳を申し上げますと、飲用需要量全体が六十五年で五百二十七万トンでございます。それから乳製品需要量が三百八十三万九千トンでございます。その中にこれはチーズも含まれております。したがいまして、この中に、先ほども申し上げたわけでございますが、食料需給表ベースはチーズも含まれておりますので、輸入のナチュラルチーズというものも約百万トン程度含まれておる、そういったような状況でございます。それで、そういったようなものを除きまして、国産の生乳の需要というふうに見てまいりますと、大体六十五年で八百二十三万トン程度というふうなことになっておりまして、これは幅の中の下の方でございます。これに対して生産が八百四十二万トンでございますから、大体需要に見合った生産が行われるというふうなことになっておるわけでございます。
#115
○稲村稔夫君 この中に、そうするとあれは入っていませんね。いわゆるココアだとか、そういう疑似乳製品がこの中には入っていないんですね。
#116
○政府委員(野明宏至君) そういったものとか、それから飼料用脱粉とか、そういうものは入っておりません。
#117
○稲村稔夫君 一つは、これだけの見通しのとおりにうまくいってくれればいいわけでありますけれども、需要の方が頭打ちになるということもありますということが一つありますし、それからもう一つは、疑似乳製品というものがこれは私はばかにならない存在になってきつつあると思います。これに対するチェック体制というものができなければ、というのは、国内産の牛乳にしても、疑似乳製品と称されるものに利用する道はあるわけです、ただ価格的にどうだとかこうだとかというのがあるんだろうと思いますけれども。それだけに、私は一番基本として国内産を重視をしていくということになれば、こうした乳製品関係についてもやはりきちんとした対応策を講じていっていただかなきゃならぬのじゃないか、そういうふうに考えるんですが、その辺の対策はお持ちになっているかどうか、これをお聞きしたいと思います。
#118
○政府委員(野明宏至君) ココア調製品といったようないわゆる基礎乳製品につきましては、五十九年は前年に比べて九九・九%でございます。ほぼ前年水準になっているわけでございます。これが今、調製食用脂というものがあるわけでございますが、これは前年に比べて九四%というふうな水準になっております。これらにつきましては、関係者の協力も得まして、できるだけいわば自粛をしていただくというふうな指導をいたしておりまして、その結果、大体前年水準程度にとどまっておるというふうなことでございます。
#119
○稲村稔夫君 私も、今の酪農関係は大変厳しい状況の中にあると思うわけでありますけれども、その厳しさというのは、主としてやはり今の経営のあり方の中での価格問題ということに結局なると思うんですよね。そこで、今需要をいろいろと聞きましたのも、国内産を重視するというのであれば、そうしたいろいろな乳製品にも国内産が優先的に使われていくというような体制が必要なんだと思います。ところが、そうしたときにすぐ国際競争力、価格の問題、コストの問題が出てまいりますということになるわけです。そうすると、それじゃそのコストは一体見通しとしてどうなるのか、今これだけの見通しを立てられているわけでありますから、その時期にコストがどういうふうになっていくか、これはやはり重大な問題だと思うんですね。
 局長の今度の畜産審議会でのあいさつの要旨の中に、これは乳製品ではなくて牛肉について触れられていますけれども、価格においてEC並みというふうに、目指すというふうに言っておられる。それから、これも午前中に伺いましたが、酪農においては北海道で飼養頭数でEC並みになったというふうに言っておられるが、それではコスト的にEC並みになっている分があるのか、あるいはEC並みになり得るのか、その辺の判断はどういうふうにしておられますか。
#120
○政府委員(野明宏至君) 酪農につきましては全国平均で二十四頭という規模になっておりまして、それ自体、規模ではECに匹敵する規模になっております。北海道の場合には、四十頭を上回るという状況になっております。酪農経営の中にも……
#121
○稲村稔夫君 要するに、コストがどうなっておるかということを聞いているんです。
#122
○政府委員(野明宏至君) これはただいま手元に数字がないわけでございますが、酪農経営の中にも負債なり、あるいは設備投資の償却負担というものがかなりの程度済んでおるというふうな経営も出てまいっております。そういうような経営においてはECに近いところへ果ておる、平均的にはまだ格差があるわけでございますけれども。したがいまして、EC並みということを実現していくということは決して不可能ではない、十分実現可能性のあるものであるというふうに考えております。
   〔理事谷川寛三君退席、委員長着席〕
#123
○稲村稔夫君 極めて重要な御見解を伺ったわけであります。コスト的にもEC並みになり得るというふうに御判断をしておられるとするならば、それではECと比較をして私たちも検討をするいろいろと資料が欲しいと思います、コストとしてですよ。頭数の話はもう耳にたこができるほど聞いたんです。ですから、頭数の規模だけで比較することができないというふうに考えるので、そうすると、当然コストという面で比較をしていく、そのための検討を多分しておられると思うんです、そうしなきゃ計画というのは成り立たないと
思いますのでね。そういう私たちも検討の素材がいただきたいと思うのですが、いかがですか。
#124
○政府委員(野明宏至君) これにつきましては、いろいろなモデル経営みたいなものを想定いたしまして検討をいたしたことがございます。そういったような検討を踏まえて、五十七年の農政審議会の報告におきましてもEC並み水準を目指すというふうなことを言っておるわけでございます。
 資料の点については、別途御説明させていただきたいと思います。
#125
○稲村稔夫君 資料について別途というのは、これは後ほど整備をして私どもに提出をしていただけるということなんでしょうか。それとも、検討をしていたけれども、まだ資料というのはどうもうまく整わないということになるのでしょうか。ということは、ちょっと心配いたしますのは、我々の方と比較する、そういう生産費の比較だとか何とかいうのがなかなかできないという話も伺うものですから、それでちょっとお伺いしたのです。
#126
○政府委員(野明宏至君) なかなかストレートな比較が難しい面もございます、為替の問題等々もございますので。でございますが、検討いたしまして先生にまた御説明をしたいと思っております。
#127
○稲村稔夫君 その際、一戸当たり、あるいは一頭当たりの負債もやはりぜひ知らせてもらいたい、今一番負債の問題がもう一つの重要な課題になっていますからね。その辺のところもぜひお願いをしたいと思います。
 それで、もう時間もなくなってまいりましたので次に移らせていただきたいと思いますけれども、これも午前中に大臣にちょっと伺いましたが、バイテクの技術の畜産新技術の実用化促進というふうに言っておられるけれども、これは具体的にはどういうことを指しておられるのかということでございます。特に私が伺いたいと思うのは、日本の農業経営に適した品種改良とか、あるいは飼育技術であるとかいうようなことについても、あわせて研究をしておられるのかどうかということが特に気になっておりますので、お伺いしたいと思います。
#128
○政府委員(野明宏至君) バイオテクノロジーを活用いたしました畜産新技術の実用化の具体的内容でございますが、一つは、受精卵を採卵して移植する採卵移植でございます。これらにつきましては、受精卵の採取なり処理なり、あるいは移植技術の実施をする、あるいは展示を行う。また、そういったことを行うのに必要な機械器具の整備なり、あるいは研修会といったようなものを進めておるわけでございます。それから受精卵移植の技術、これにつきましては、やはり技術の習得というのが大事でございますので、その講習会に必要な機械器具を整備する。
 さらに六十年度からは、ただいま申し上げましたのは、凍結してない受精卵も含めての問題でございますが、凍結受精卵の移植、これにつきましては、いわば凍結いたしますと、その受精卵をかなり広域に使うということもできますし、それから実際に移植する場合も、凍結してあった方が発情期を合わせるという意味でもやりやすい。さらには、双子生産というふうなものにも使えるということで、そういった点にも新しく取り組んでいきたいと思っております。
 それからまた、こういったバイオテクノロジー技術を活用いたしまして、F1雌牛を活用した肉用牛生産。FI雌牛の場合には、大変丈夫でございますので事故率が下がるとか、あるいは繁殖性にすぐれておるとか分娩間隔も短縮できる。また、保育能力がすぐれておる、そういった有利性を持っております。そういうものを活用した肉用牛生産といったものにもこれは応用ができるということで、こういった問題にも取り組んでまいりたいと思っておるわけでございます。
#129
○稲村稔夫君 私が特に気にしているのは、こうした畜産新技術の実用化促進ということで言われますと、これは今の持っている酪農なり肉牛なり養豚なり、あるいは養鶏もそうでありますけれども、それぞれの経営において、今農家経営が非常に厳しい状況の中にある。これを克服していく方法として、つまり一番日本の農業の体質に合ったそういうコスト、そしてそういう中でコスト引き下げに見合っていくような、そういう格好での方向性を持ちながらの研究なのかどうか。その辺が大きな私は関心事なんですよ。そんな、バイテクでただ受精卵の移植技術がどうだこうだとか言っても、ただそれで新しい技術が出てきたというだけでは、私は余り意味がないと思うんです。基礎研究の段階はそれは必要でしょうけれども、私はむしろその辺は基礎研究の段階に入れておいていただいて、実用化というからには、もっと日本の今の経営に適したやり万、そうしなければやっぱり今の価格問題は解決しない、そう思うものですからね。
#130
○政府委員(野明宏至君) バイオテクノロジー関係の新技術につきましては、これは畜産試験場なり、あるいは種畜牧場で研究し、あるいはさらにそれを実用化段階に持っていくということをいたしておるわけであります。
 これは、一つは家畜改良増殖上の効果という問題がございます。要するに、家畜改良増殖のテンポを速めることによって、能力の高い牛をつくっていくことができるということがございます。
 それからもう一つは、先ほどの双子生産技術というふうなものを活用することによりまして、やはり畜産のコストダウンにつながっていく。両々相まって能力の高い、またコストダウンに役立つ方向にこれは活用していくことができるのではないかというふうに考えております。
#131
○稲村稔夫君 いずれにいたしましても、私はバイテクの新しい技術というものを大いに研究をしてもらいたいと思います。しかし、その研究をされたものを、応用問題を解く問題として実用化をどう進めていくか、こういうことになると、それはまた別の角度からいろいろと検討しなきゃならない課題がいっぱいある。きょうのこの短い時間の中でとても私も聞き切れないでおりますので、ほんとに部分的な側面だけですが、これは私も今後ずっと一つの課題として何回か伺い続けていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
 時間もありませんからあと一問だけ私伺いたいんですが、それに関連いたしまして、局長のあいさつの中で生乳の乳質改善に資するために体細胞数検査機器を整備をする、実施をするというようなことが書かれています。これは、具体的には内容はどういうことをしようとしておられるのか、この点お聞かせいただきたい。
#132
○政府委員(野明宏至君) 生乳のやはり乳質改善ということが大変大事な問題でございます。最近、いろんな需要の多様化というふうな中で質というものを重視する。また、そういう場合に良質な原料乳が求められるというふうなことになってまいっております。その場合に、牛乳の味とか風味に体細胞の数というのが影響を与えるというふうに言われておるわけでございます。
 したがって、具体的な事業といたしましては、各県の生乳検査協会にそういった体細砲の数をスピーディーにはかれる機械を導入しまして、そういうふうな検査を定期的にやっていくということを通じて、また原料乳の質を向上させていくというととに役立てていきたいということで、今年度から手をつけようというふうにいたしておるわけでございます。
#133
○稲村稔夫君 ちょっと不勉強でよくわかりませんが、体細胞の数で乳質が決まるというのはどういうことなんでしょうか。
#134
○政府委員(野明宏至君) 牛乳の質につきましては、これは細菌の数だとか、あるいは脂肪率だとか、あるいは無脂乳固形分の比率だとか、いろいろあるわけでございます。それ以外に、いわば体細胞というものが分離しまして牛乳の中にまざっている。それがどうであるかということによって牛乳の味、風味に影響いたしますとともに、それがまた牛の健康というような問題とも関連をしておるということで、さらに先ほど申し上げました
ような諸要素のほかに、そういったものも含めて、よりよい牛乳ということで考えていこうというふうな問題でございます。
#135
○稲村稔夫君 そうするとあれですか、例えば乳房炎だとか、ほかにもあるかもしれませんが、そういうことで、牛乳の中に体細胞が異常な形で混入をしているかどうかということを調べるということですか。
#136
○政府委員(野明宏至君) 乳房炎というのも、その一つの要因になっておるということでございます。ですから、そういったものも含めて調べるということでございます。
#137
○稲村稔夫君 そうすると、それは各県単位ですか。問題は、やっぱり具体的に今の乳質の向上といいましょうか、そういう病気とかその他をある程度未然に発見をしたり、そういうための対策ということであるとするならば、県単位というのではちょっと粗っぼ過ぎるような感じもするわけですけれどもね。
#138
○政府委員(野明宏至君) これにつきましては新しい試みでございますので、当面は国の一般会計の補助になっておるわけでございますが、テスト的に、県単位ではございますけれども、三カ所程度やりたいということで予算の計上をいたしたわけでございます。
#139
○稲村稔夫君 前向きの姿勢だということで、大変私も評価をしながら伺っていたんでありますけれども、何か態勢を伺うと、まだ極めて出発したばかりだからということなんでありましょうが、そういう感じなんですが、こういう前向きな施策はできるだけ早急に全体に行き渡るように、飼育農家に恩恵が行き渡るようにという計画を進めていただきたいということを希望をしたいと思います。
 最後に、これは私の要望になりますけれども、やはり何といっても飼育農家はみんな苦しんでいるということは事実なんでありまして、局長の午前中のいろいろな御答弁の中でも、例えば負債の関係なんかも多少よくなってきているように言われている面がありますが、対前年度とかなんとかという比較でいけば確かに改良された部分があっても、かつてと比べていきますと、いろいろとみんな負債の倍率は高くなってきています。資産がふえていっているよりも負債の方が少し倍率が高くなっています、五十三年と比べるとというような皆さんの数字の中ではじいてみても、さっきここでそれで私計算していたわけですけれども。ですから、いろいろと言われるけれども、現実に農家は大変苦しいというのが一言でみんな出てくるわけです。というだけに、価格決定に当たっては、私は国内の需要が確保できるというそのために、農家がこれ以上苦しまないということを基礎にした価格決定をぜひともやっていただきたい。そのことを最後に、これは決定というと強制価格じゃない場合もありますけれども、要するに指導ができるそういう価格をきちんと決めていただきたいという要望をいたしまして、私の質問は終わりたいと思います。
#140
○菅野久光君 午前中ちょっと質問がとぎれましたので、午前中の質問に引き続いて質問をいたしたいと思います。
 午前中の質問の最後は、輸入乳製品を生乳換算すると限度数量を上回っているというところだったというふうに思います。このような状況の中で、不足分輸入の原則から見て、加工原料乳の限度数量を大幅に拡大をしなければこの原則から外れるのではないか。また、牛乳の需給動向によっては輸入枠を減らすということも大事ではないかというふうに思いますが、この辺について時間がございませんので簡単に答えてください。
#141
○政府委員(野明宏至君) 今、二百五十万トン程度入っておるというものは、えさ用の脱粉とか、あるいはナチュラルチーズだとか、そういうものが主体になっております。これらは、なかなかコスト面からいっても国内生産に置きかえられないというふうな事情があるわけであります。限度数量は、生乳の国内生産と国内需給という中で決められてまいっておるわけでございます。したがいまして、二百五十万トンという先ほど申し上げましたように別途輸入があることは事実でございますが、これをもって置きかえていくというふうなことにはならないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#142
○菅野久光君 国内で生産ができるにもかかわらず輸入をこれだけしなきゃならぬということで、結局生産者の調整をしていかなきゃならぬ。こういう状況は、不足分輸入の原則ということから見れば、何といってもやっぱり納得ができないことだというふうに思うわけであります。
 このことをやっておっても、何か水かけ論のような形になってしまうようなことになるわけですけれども、ここのところは、生産者の方は何としてもやっぱり納得できないことだということだけは、私は申し上げておかなきゃならないというふうに思うんです。中長期的に見た世界の食料需給の展望が楽観を許さない状況になっているわけですから、不足分を輸入するという基本は、私は失ってほしくないというふうに思うんです。したがって、この輸入が国内の需給環境を圧迫して、それを理由に国内生産の調整を強いることのないように、私は強く要望したいというふうに思います。
 そこで、何といっても今酪農家、特に北海道、加工原料乳の生産地である北海道においては負債の問題が大きな問題になっている。これはもう統計等で見ましても大体単年度の償還額が五十八年度で約五百七十万、負債残高の約五分の一ぐらいを毎年返していかなきゃならないというような状況であります。農業所得が同じ五十八年で五百二十六万ということですから、これは明らかに償還額の方が多くなる。そういった中で、保証乳価は上がらない。先ほど午前中に出ておりましたけれども、限度数量が二百二十二万トンに抑えられて、実際加工原料乳としては約二百四十三万トンぐらい使われていて、二十一万トンが六十九円十八銭で取引されている。そうすると、平均で八十八円二十六銭。こういったようなことで、私の試算では、先ほど一円十一銭保証価格より下がるようなお話もございましたが、私はもっと高くて一円八十一銭下がるというようなことになるわけですね。そうすると、生産者の要求価格から見て、ここで下げられて、さらに限度数量以外の二十一万トンのやつで下げられる。ことに、今のこの農家の方たちの大変な苦しみがあるということを私はぜひわかっていただきたい。わかっているのかもしれませんが、実際に乳価の決定などについてはこの辺がわからないのではないかというふうに思わざるを得ないわけであります。
 今、一番問題の負債の問題について、この負債整理の政策が何としても、抜本的な政策がいろいろやられていますけれども、それはそれだけれども、しかし今なおこういうような状況になってきているということから見れば、ここのところが一番私は日本の畜産の足腰を鍛える上で大事なところだというふうに思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。
#143
○政府委員(野明宏至君) 酪農の負債問題につきましては、その経営安定を図るために経営家計全般にわたる合理化努力と相まちまして、五十六年度から五カ年間の予定で長期低利の酪農負債整理資金の融通を行ったわけです。これは要するに、その負債を克服すれば経営としては非常によくなるというふうな経営もたくさんあるわけであります。そこで、毎年の約定償還額と、それから金利なんかもございますが、そういうものを個別経営ごとにはじきまして、別途農業所得がございます。そこで、生活費を支弁をして経済余剰という部分で払えない部分というのがある場合に、農協等の金融機関の貸し付け条件の緩和というふうなものとか、そういった自助努力と相まちまして、そういうものについて融通をいたしておるわけであります。
 そういったことによりまして、例えば北海道につきましても、対象の経営状況でございますが、農業所得自体も五十六年に比べて五十九年は倍ぐらいになってきております。それから対象農家も三千三百戸程度全体で対象になっておるわけでありますが、そのうち千二百戸程度は経営が安定いたしまして貸し付けの必要もなくなったということで、効果が顕著にあらわれておるわけでありまして、六十年度やはり相当数の経営が再建できる見込みでございまして、そういった動向を踏まえて酪農の負債、最後の年の問題については対処していきたいというふうに考えております。
#144
○菅野久光君 大分、何か見方としては楽観的な見方をされているのではないか、実態から大分私は、ずれているんじゃないかというふうに思わざるを得ません。
 具体的な問題はまた別な機会にやらなきゃなりませんが、ただ北海道で酪農経営では、五十七年の一戸当たり平均で借入金は約二千五百五十万ですね。貯蓄額は約千百六十万、搾乳牛一頭当たりの借入金は約百万円となっております。しかも、所得は前年比一二四・五%と伸びておりますが、実は五十六年が大変落ち込んでいるんですね。このように一二四・五%伸びていますけれども、これすら五十四年の時点から見ると、五十七年度は七二%にしかなっていないわけですよ。そうした中で、なお償還額はふえていく、そして所得は五十四年から見て七二%、これで本当に酪農経営が成り立っていくのかどうか。しかも、乳価はさっぱり上がらないという状況ですね。酪農家にとっては、乳価が上がらないということは何よりも大変なことだということは、私が申し上げるまでもないというふうに思うので、それでもなお生産者の乳価の要求が高過ぎるというふうにお考えでしょうか。
 北海道だとか東北、九州、沖縄において、信用基金協会による代位弁済対象畜産農家からの回収が進んでいない。いずれ、これらの地域から畜産は消えていく可能性すらあると言えるのでありますけれども、この点についてもどのようにお考えか。時間がございませんので、簡単にお願いいたします。
#145
○政府委員(野明宏至君) 先ほど五十四年度の農業所得の水準をおっしゃられたわけでございますが、御案内のように五十年代の初頭、これは大変な過剰生産になったわけであります。過剰生産になったわけでございますが、保証乳価は下がらないで水準が維持されたということで、大変な過剰を招くほどの状態の中で実現されたわけでございます。その後、御案内のような過剰の中で、やはり過剰ということになりますと所得にも響いてくるということで、五十六年度が四百万円程度になったわけでありますが、その後、需給関係の改善とともに農業所得も改善されてまいりまして、五十七年度は前年に比べて二四%、これは北海道平均でございますが、五十八年度も五%程度上昇しておるというふうな状況でございます。そういった状況の中で、一頭当たり乳量もふえる、あるいは労働生産性も上がる、他方、配合飼料の値段は二度にわたって下がる、また今申し上げましたような所得の上昇というふうな状況にあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、今後、畜産振興審議会に諮問いたしまして、適正に決定してまいりたいと考えているわけでございます。
#146
○菅野久光君 どうも数字というのは非常に説得性がある、それだけに、この数字の使い方一つでどのようにでもなっていくわけですよ。ですから、私はどうも去年もここのところで言ったんですけれども、乳価なり、あるいは牛肉の価格を低く抑えるように抑えるようにこの数字を持ってきているというふうに思わざるを得ないわけです。非常に残念ですけれども、どうもそういうふうに思います。
 具体的なことはまた別な機会にこれはやらなきゃならぬというふうに思いますが、いずれにしろ今日のこの畜産経営の窮状から、少なくとも要求価格の実現だとか、あるいは限度数量の枠の拡大だとか、あるいは負債対策、それから需給を乱す輸入の調整は何としても実現していただかなければならない、このことを強く申し上げておきたいというふうに思います。
 時間も幾らもございませんが、中央酪農会議の調査によりますと、乳業メーカーは最近経営が非常に厳しいと言いながら、国産乳製品から年間約百億円の利益を上げている。このことと赤字や負債に苦しむ酪農家の窮状等を考え合わせますと、生産者とメーカーの手取り価格に不公平が生じていることになっているのではないか。不足払い制度の根幹にもかかわる問題だというふうに思うのです。すなわち、今日の不足払い制度は、乳業メーカーの手取りをある意味で言えば大幅に保証するものになっていて、本来の目的である生産者の手取りを保証するものになっていないのが実態だというふうに思うのです。したがって、メーカーの不当な利益を――不当という言葉が適当かどうかは別にしても、片方は苦しんでいるわけですから、この利益を公平に分配するため生産者に還元させる、また財政負担の増大を理由に保証乳価が抑えられている実情からすれば、公平分配の原則に沿ってこの基準取引価格を引き上げ、保証乳価の引き上げを図るべきであるというふうに思うのです。そしてその結果は、国が財政的に苦しい中で財政負担が伴わない乳価の引き上げ等が実現することになるわけでありますが、この点についてメーカー利益の実情を含め政府の見解を伺いたいと思います。
#147
○政府委員(野明宏至君) 加工原料乳のまず保証価格でございますが、これは不足払い法に基づきまして生乳の生産条件や需給事情、それから酪農経営の状況といった各種の要素を総合的に考慮して、生乳の再生産を確保することを旨として決めておるわけでございます。一方、基準取引価格につきましては、主要乳製品の製造業者の販売価格から製造販売費用を控除して、いわば支払い可能乳代として算出をいたしているわけでございます。したがいまして、両者別個の観点から算定いたしているわけでございまして、これ自体が企業の経営状況によって直ちに左右されるというものでは必ずしもないという性質を持っております。
 それから、先ほどお話ありました中酪の調査の点でございますが、これは安定指標価格というのが定められておりまして、安定指標価格を上回る場合と下回る場合とあるわけでございます。最近、需給関係の改善とともに安定指標価格を上回る状態が続いておるわけであります。改善される前は逆に大変下回っておった。九、一〇%以上、二割ぐらい下回っておるというふうなときもあったわけであります。そういった状況の中で、それぞれの経営が行われておるわけでございまして、もちろん価格がいいときに経営状況はいいということは推測されるわけでございますが、これらにつきましては一概にそれが大きなもうけと言えるかどうかという点については必ずしもそうではないんではなかろうか。そういったような余裕がありますれば、いわば一元集荷、多元販売の中で、相互の取引の中でまた実現していくという側面も持っておるんじゃなかろうかと思っているわけでございます。
#148
○菅野久光君 いずれにしろメーカーと生産者との取り分の関係について、今もう生産者がとにかく大変な状況になっているわけです。そういう中で片方のメーカーは利潤を上げている、そこのところを何とかしてくれというのがこれは生産者の皆さん方の希望でもありますし、本当に今の酪農を何とかしていくためにはそこのところを何とかしてもらわなかったら困るのだという、そこのところはやっぱり政府の方でもしっかり踏まえておいていただきたいと思うんです。そこのところをきちっとやらなければ、一体政府は生産者の方を向いて農政を進めているのか、メーカーの方を向いて進めているのか、そういうことになってしまうというふうに私は思うんですよ。そこのところ非常に大事なところですから、ひとつ今の生産者の苦しい状況を何とか、ここのところを救うためにも乳価の引き上げ、メーカーと生産者との取り分のところはしっかり考えてやっていただきたいというふうに思います。
 あと時間もございませんので、全部取りまとめて質問をいたしますから、簡単にお答えをいただきたいというふうに思います。
 昭和五十九年暦年の牛乳から生産されるバターなど六品目の生産量についての見込みと実績、それから同じく生産間についての見込みと実績、それをお願いいたします。
 それからその次に、今、審議会をやっているわけですけれども、どのような諮問をしようとされているのか、農林水産省として、乳価から牛肉の関係、どのような諮問をされようとしているのか。
 それから、大蔵省といろいろ折衝なさっているというふうに思うんですけれども、そこのところはどんな状況なのか、そこのところを含めてひとつ御答弁していただいて、私の質問を終わります。
#149
○政府委員(野明宏至君) 特定乳製品といたしましてはバター、脱脂粉乳、全粉乳等々九品目あるわけでございます。これらにつきましては、五十八年度の実績が二百三十六万四千トンというふうになっております。
 それから保証価格等の問題でございますが、現在まだ、先ほど申し上げましたような諸事情を勘案しつつ検討をいたしておるところでございます。畜産振興審議会の意見を聞いて、適正に決定してまいりたいと思っております。
 財政当局との間では、もちろんいろいろな論議があるわけでございます。それらの論議も含め、また各般の諸事情を総合的に考慮いたしまして、畜産振興審議会に諮問をしていきたいと考えておるわけでございます。
#150
○菅野久光君 見込みと実績のやつ、私が言ったとおりの答弁になっていないんですが、後から資料でください。生産量と生産高の、六品目の、後から資料でください。いいですか。
#151
○政府委員(野明宏至君) 承知いたしました。
#152
○高木正明君 私に与えられた時間が余計ありませんから、端的に質問をさしていただきます。
 午前中から論議を聞いておりまして、我が国の農業の中で約三割を占める酪農が多くの課題を抱えていることは、多くの先生方の議論の中でわかりました。今、農林水産省が乳価や限度数量その他を含めて畜産振興審議会に諮問をするわけでありますが、この諮問をするに際して農水省の基本的な方針をまずお聞かせいただきたいと思います。
#153
○政府委員(野明宏至君) 加工原料乳の保証価格あるいは限度数量等につきましては、不足払い法に基づきまして生乳の生産条件、需給事情その他の諸事情を総合的に考慮して畜産振興審議会の意見を聞いて適正に決定することとしておるわけでございます。
#154
○高木正明君 そこで、まずお尋ねしたい一点は、酪農経営については酪農経営負債整理資金制度が六十年度で最終生度を迎えるわけですが、これは今日までやって非常に効果が上がってきております。したがって、酪農経営安定のために十分な予算措置を構ずるべきだと思いますが、この点、政府としてはいかが対処していくお考えでしょうか。
#155
○政府委員(野明宏至君) 酪農経営負債整理資金につきましては、五十六年度から始めまして六十年度が最終年度になるわけでございます。したがいまして、全体として非常に効果が上がってまいっておるわけでございますが、最終年度の事態をよく見て検討していきたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから、酪農対策それ自体の問題といたしましては、これは非常に幅の広い各種の対策をとっておるわけでございますが、土地利用型農業の基軸といたしまして、近代化基本方針に即しまして総合的な振興合理化を図ることといたしておりまして、不足払い制度の適切な運営はもとよりでございますが、需要に見合った計画的生産、さらには飼料基盤の整備、また飼料自給度の向上によります乳牛の能力の向上とか、あるいは資本装備の効率化とか経営管理技術の改善とか、各般の対策をとっておるわけでございまして、六十年度におきましても、そういった意味で、例えば昨年度から発足いたしました畜産振興資金制度、無利子の資金でございますが、これなんかについても、草地というふうな観点から非常に大切な資金であるということで、制度的に整備をいたしますとともに、融資枠についても七十四億を九十億に拡充するというふうな対策をとっておるわけでございます。
#156
○高木正明君 農家がちっともよくならないという話はよくお聞きになっておるだろうと思うんですが、私も三月に二週間ほど北海道の酪農地帯を歩いてまいりました。そのときにいろんなお話をされましたのは、いわゆる昭和五十二年度までに設備投資をした人、その方々は大体、例えば四十九年度に乳価が四四・三%、五十年度に一四・七%、五十一年度に七・六%、乳価がだんだん上がってきておるから、そういう方々は負債の重圧から比較的解放されているんです。ところが、それ以降に設備投資した人方は、やはり負債の重圧に耐えかねている。
 というのは、御存じのように、五十二年から乳価がちっとも上がってこないからなんです。七年間でわずか一円二十銭なんですから、ちっとも上がっていかない。設備投資をしたけれども乳価が上がらない、しかも限度数量も抑えられてしまう、そういうものが重なってきて、いわゆる借金だけが残っている。だから、農家の一戸当たりの収入を考えるとちっともよくなっていないので、酪農は果たして、北海道が主産地だと言うけれども、酪農の将来、北海道は展望できるのかという話になるわけなんです。したがって、ここ七年ぐらいで一円二十銭ですから、これは乳価が上がったとは言えないわけでありますが、もうそろそろここに来て乳価を上げる時期に来たのではないかと思うんですが、どうお考えになりますか。
#157
○政府委員(野明宏至君) 四十九年から五十一年にかけての状況でございますが、かなり価格が上がったと、そういったようなことの中で需要は伸びておったわけでございますが、その後、生産が七%ないし九%伸びるということで大変な過剰に突入したわけでございます。したがいまして、需要に見合った計画的生産ということを続けながら、需給関係としては過剰を招くことのないようにしていくということがやはり基本であろうと思っておるわけでございます。そういう中で、最近の酪農経営をめぐる状況、これは一頭当たり乳量の増加あるいは生産性の向上あるいは配合飼料価格の低下といったような状況がございます。そういった点を踏まえて、畜産振興審議会の意見を聞いて適正に決定してまいりたいと考えておるわけでございます。
#158
○高木正明君 午前中からの論議の中で、酪農はEC並みになっているというお話がちらちら出ますが、確かに北海道を歩いてみますと、EC並みになれるだけの要素はあるんです。ただ、借金の重圧に苦しんでおって、とてもEC並みどころではないという声が出てくる。いわゆる経営がEC並みになっていないということなんですね。この重圧をはね返していけば、ある程度経営的にもEC並みになるということは大体納得できるわけですが、そういう負債の問題については十分、北海道が主産地でありますから、酪農民が酪農経営に将来明るい展望が持てるようなそういう負債対策をしてもらいたいと、特に望んでおきます。
 それからもう一点でありますが、加工原料乳の限度数量であります。これは、去年も農林水産省は加工原料米、これを韓国から輸入しまして大きな問題になりました。いろんな事情があってそういう措置になったと思います。昨年の八千トンの脱粉の輸入もいろんな事情があってそうせざるを得なかったという話はもう既に伺っておりますが、六十年度において再び輸入を行うことのないように、加工原料乳の限度数量を大幅に拡大すべきだと思いますが、この点はいかがでしょうか。
#159
○政府委員(野明宏至君) お答えいたします。
 限度数量の問題につきましては、やはりこれが過剰を来さないという点にも留意する必要がありますし、それからまた、例えば補助金がついて限度の中で生産されました乳製品がまた本来生乳で使ってもらっていい分野に使われる、それがまた飲用乳市場を混乱に陥れるというふうな側面もあるわけでございます。したがいまして、限度をふやすということにつきましては、そういった本来生乳を使ってしかるべきものはできるだけ生乳を使っていくと、いわゆる発酵乳取引というものをやはり進めていくことが必要な時期になっているんではなかろうかと思うわけでございます。そういったようなことを、もちろん需要の動向とか生産の動向とかということはあるわけでございますが、そういった発酵乳取引というふうなものも、いたずらな脱粉需要というものを抑えるというふうな効果を持っておるんじゃなかろうかと思います。そういった全体的な流れの中で、特別な事情がない限り需給がバランスしていけるんだろうというふうに考えておるわけでございます。
#160
○高木正明君 肉用牛の経営は非常に厳しい状況にあることは御承知のとおりでありますが、この肉用牛経営対策として、政府も新たな負債整理対策を講ずるべきだと考えますが、この点についてどうお考えになっておりますでしょうか。
#161
○政府委員(野明宏至君) 肉用牛経営につきましては、五十七年度に肉畜改善資金の融資を行ったわけでございます。その後、経営はかなり改善されてまいっておるわけでございます。それからまた、最近全般的には経営状況は改善されてまいっております。ただ、御案内のように、急速な規模拡大を行いました経営の中に、素畜費とか飼料費、そういったものについて借入金の依存度の高い経営がある、それからまた、そういったもののいわば金利負担というふうないろいろな問題もございます。それから、過去、高い素畜を導入した影響が残っておるというふうな経営もあるわけでございます。
 そういった、全体としては改善されてまいっておるわけでございますが、個々の経営の中にはそういったものもあるわけでございます。これらにつきましては、個別経営改善対策として、再建整備資金というものが用意されておるわけでございます。そういったようなものの活用とか、あるいは農家自身の改善努力と、それから農協などの融資機関の償還条件とか、そういった条件緩和をするとか、あるいは関係団体が一体となった強力な指導をするというふうなことを通じまして、経営改善に努めることが重要であろうと考えておるわけでございます。
 したがいまして、今後とも枝肉価格なり、えさ価格なり、素畜価格なんかの動向に留意しながら、実態の把握に努めまして、適切に対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
#162
○高木正明君 最後になりましたけれども、大臣席に座っている政務次官にお尋ねをしたいと思います。
 あなたは、北海道の今は亡き中川一郎先生と非常に親交があったと伺っておりますし、また中川先生生前中にお話ししたときは、鹿児島に行くと川原新次郎さんのところへ泊まったんだよという話も聞かされました。
 したがって、政務次官に特にお尋ねをしておきたいのは、北海道というのは国の三全総の中でも日本の食料基地だという位置づけを明確にされておるのにもかかわらず、最近は食料基地である北海道の位置づけが非常に不明確になってまいりました。特に農業の中でも酪農は北海道が主産地だと、こういうことを言われておるのに、その北海道でも酪農が極めて厳しい環境の中で酪農民は生活にあえいでいるという実態を、いろいろ午前中からの議論の中で政務次官十分おわかりだろうと思う。ですから、北海道の酪農という問題一つとらえてみて、やはり主産地である北海道の酪農に関して、これは国の農業政策の中でも重要に考えておられるのかどうか。また、これからも日本の食料基地だと言われるならば、北海道それだけのことを考えていかれるおつもりなのかどうか。大臣にかわって政務次官の答弁をお願いして、質問を終わりたいと思います。
#163
○政府委員(川原新次郎君) 私からお答えするのは非常におこがましいというか僣越かと思いますけれども、ただ私見として申し上げてお答えにいたしたいと思います。
 日本の農民が、農業が、非常に戦後食糧不足の時代から期待をされながら取り組んでいった青年がまさに壮年になってきているわけですけれども、今日の状況は、その期待を外された形に置かれていると言っても過言でない姿が日本の農村地帯に点々としてあるようであります。その最たるものが、北海道の方に失礼かもしれませんけれども、北海道であり、また南の果てだと思うんであります。
 そういうような地域に私も農業を営ましていただいているわけでございますけれども、一番農家個々が悩んでいるのは、畜産だ、果樹だ、行け行けと騒がれた中で、大きく取り組んでいった農家ほど非常に負債を抱えて困っている農家もあります。もちろん立派になし遂げている方もありますが、その農家に与えた資金というものは、貸し付けた金というものは、これは微細な補助金に名をとられて引っ張られたかもしれません。ところが、要は貸し付けた資金が非常に小さかった、償還期限が非常に短かった、そしてまた金利のあり方が、まだ日本の零細農民が立ち上がっていく資金にしては金利が高かった、こういうようなこと等が非常な災いをしていると私は考えております。
 したがいまして、このような問題を今ここで解決するような案を即刻農林水産省が出しているわけではございませんけれども、今回提案しております九つの法案の中にはそのようなものが若干は含まれていると思います。今後におきましては皆さんのお力をばあわせてかりながら、一層ひとつ強化していく必要があろうかと思います。そういうことがなされない限り、日本の農民の行方というものは非常に暗いと思いますので、このまま置くわけにはいかないし、また外国と対決をしていく上から考えましても、一層強力な力が必要であると思いますので、執行部といわず、議会の皆さん方とともに手を取り合って、育成に御協力を賜りたいと思っております。
#164
○藤原房雄君 今の政務次官のお話は、みずから額に汗して農業を営んでいる政務次官だけに非常に立派で、しかし言葉だけで実がないということじゃ困りますので、せっかくその立場でお仕事をしていらっしゃるわけであります。今回もまた何本かの法律の中にそういう金融関係の法律もあるようでございますが、ぜひひとつみずから農業を営んでいるという体騒を生かして、一歩でも二歩でもひとつ改善の方向に進めていただきたいものだと、こう思います。
 日本の農業をどうするかということは、一側面だけで解決のつくことではない。やっぱり総合的にいろんな問題を抱えておりますから、それらの一つ一つが整合性を持ち、そして前進をしていかなきゃならないだろうと思います。そういういろいろの、もろもろの問題の中の一つとして自給飼料というものを高める。飼料、えさが安いことにこしたことはないわけであります。今度の法律にのっとって、これはえさのことについてもいろいろ審議会でまた議論になるようでありますが、政府としましては輸入飼料については今後の推移、経済情勢いろいろございますから不確定な要素もあるんでありますが、アメリカの農業についても、レーガンが当選以来非常に政策転換といいますか、厳しい政策を強いるようであります。これはアメリカの農業がどういう方向に行くのか、そういうものとのかかわりも出てくるんだろうと思いますが、飼料価格の安定制度、飼料価格、輸入飼料、こういうことについては農水省としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、まずその点、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
#165
○政府委員(野明宏至君) 大家畜生産につきましては、粗飼料の自給度をできるだけ高めていくということが必要でございますが、同時にいわゆる濃厚飼料、これは中小家畜はもちろんでございますが、大家畜についても使われておるわけであります。したがいまして、その価格の安定ということを考えていかなければならないわけでございますが、同時に輸入飼料でございますので、輸入の安定ということについても、情報の収集等々によりまして努めていく必要があろうと思っておるわけであります。
 最近の状況を簡単に申し上げますと、一九八四年の生産は、アメリカにおきましていわゆる生産調整の緩和によりまして前年を七三%上回る大幅な増産になっております。世界全体でも、前年を一六%上回る史上最高の七億九千七百万トンというふうな状況になっております。一方、消費の方はわずかな増加にとどまっておるわけでございますので、在庫水準につきましても前年を大幅に上回る在庫水準になってまいっておるわけでございます。期末在庫率も、その前の年が九%だったわけでございますが、一一%程度に回復いたしまして、現在緩和基調で推移いたしておるわけでございます。
 今後の価格動向につきましては、当面大きな変動はないものと見込まれるわけでございますが、在庫率、いわゆる平年水準よりは若干低いとか、あるいは主要生産国の今後の気象状況とか為替の動向とか、いろいろな不確定要因もございますので、そういう動向も注視をしてまいりたいと思っておるわけでございます。そういった状況の中で、配合飼料価格につきましては、昨年の七月とことしの一月にトン三千二百円ずつ値下げが行われるというふうな状況になっておるわけでございます。
#166
○藤原房雄君 前段のその自給飼料ですね、これも随分国でも草地造成ということで力を入れてまいりましたし、また農家の方々も随分御努力をいただき、自給飼料の確保ということで進めてきているわけですが、この問題について我々去年北海道、東北各地を回りました。ホールクロップサイレージなんかのああいうことで随分うまくやっているところもあるようなんで、農水省でもいろいろ研究して普及活動なんかやっておるようです。もっとこういうものの普及というものは可能だというふうに私どもは見てきたんですけれども、これは自給飼料という観点で全体的に現在どういう現状にあるのか、また今後の推進策といいますか、今後の考え方等についてちょっとお伺いしておきたいと思います。
#167
○政府委員(野明宏至君) 飼料作物の作付面積、これは全体で大体百万ヘクタール程度の水準になっておるわけでございます。大家畜生産という観点からいたしますと、粗飼料の一層の生産増強ということが非常に肝要でございますので、酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針に即しまして各種の事業を展開しておるわけであります。
 その一つは、公共事業でございます草地開発事業につきましてはほぼ前年度並みの予算額を確保しまして、草地畜産基盤の総合的な整備を図ることにしております。それからまた、その中で特に六十年度におきましては、団体営草地開発につきまして、やはり林地放牧の促進によります肉用牛生産の低コスト化ということもやってもらわなきゃいかぬということで、団体営草地開発事業の放牧林地の受益面積の採択用件を百ヘクタールから五十ヘクタールに緩和して、事業をやりやすくするということをいたしております。
 さらに、飼料の生産利用対策につきましては、先進的な技術を駆使して、やはり粗飼料の低コスト生産、またその利用というふうなことをやってまいりますモデル地区を設けるとか、あるいは無利子の資金といたしまして畜産振興資金制度については制度的な充実整備を行いますとともに、融資枠も拡充するということで、今国会改良資金法の法律改正についてもお願いをいたしております。また、里山等の活用、あるいは公共育成牧場の効率的な活用、それから先ほどお話ありましたホールクロップサイレージということで、これは非常に乳量の向上というものにも役立っておるわけでございます。その他未利用資源の活用も含めまして、各般の対策を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#168
○藤原房雄君 今いろいろ事業のことでお話がありましたけれども、我々もその土地その土地のいろいろなものも見てはおるんですが、草地事業も、着々といいますか、こういう時代ですからそう大きな伸びはないのかもしれませんが、何年かぶりに行きますと、びっくりするような事業もどんどん進んでおるようですが、放牧林地ですね、特に国有林なんかを活用すべしなんというようなことも言われておるんですけれども、なかなかこういうことについて、現地へ行きますと、これはいつも言っていることですけれども、いろいろな条件がございまして、これはそういう限られた地域のことでありますから、どこでもというわけにはいかないわけですけれども、林野庁さんとの話し合いというのは現場ではなかなか難しいようですね。
 そういうようなこと等についてもぜひひとつ借りやすいように、また国土の荒廃、いろいろなことがございますから、どこでもというわけにいかないのかもしれませんけれども、そういう適地がございましたら、やっぱりこういう畜産業の振興ということで、放牧林地等についても国としても考えておるわけでありますから、これは十分ひとつ、民有林はもちろんでありますが、国有林の場合にはそれ相応の条件等について借りやすいような方向に進めるようにひとつまた御検討いただきたい、こう思うんです。
 それから、午前中もお話し申しましたが、限度数量とそれから負債整理資金、ここあたりをしっかり、乳価が上がることは、価格政策、それはある程度限度があるかもしれませんけれども、これは何といったって大きな柱であることは当然のことでありますが、ここまで参りました畜産の振興のためには、この二つがまた大きな支えになるだろうと思います。今も同僚委員からいろいろお話こざいましたが、負債整理でさっきもちょっとお話があったんですが、いつの時点に酪農経営をしたかという、これによりまして随分差があるんですね。立地条件、個人差、地域差、いろいろなことがありますから一概には言えないのかもしれませんが、やはり既存といいますか、長い間やって、そしてだんだん規模を拡大していった方々と、三十年代入植なさって努力なさった方々、四十年代前半、後半、五十年代に入って、同僚委員から今お話がございましたけれども、やっぱり五十年、四十年後半に入られた方は大変な苦しい状況にある。
 皆さん方にお話しすると、いやそんな畜産も酪農も悪いことばかりじゃない、いいところもありますという話をするんですけれども、それはいつの時点で入ったかという、そこらあたりのことで確かに差のある、それはいい方というのは本当に一握りでありまして、一生懸命やりながら何とか、融資を受けるときも、どういう償還計画でやるかということは、これは担当の方々とお話をしながらやるわけで、当時、五十年前後というと、物価上昇とかいろいろなものを勘案して伸び率を考えて償還計画を立てるわけですけれども、時代がそういうふうにいかなかったという、こういう一つの大きな経済変動の波をかぶる。一たん決めたものを変えるなんということはなかなかしてもらえない、やっぱり決めたものは決めたもので推し進めるということで、これが二十年、二十五年という長期のものになりますと、やっぱりそういうものが非常に大きなおもしになっているというのが一つあり得ると思うんですね。
 それから、技術革新が激しいというこういう中で、当時四十年の後半、五十生前後、近代装備で新しいものがどんどん入りまして、新しい近代的な施設を補助金等で建てたところは、これはもう現在になってみますと別ないろんな方法があって、そんな多額なお金をかけなくてもいいという、こういうことも現実ですね。去年私、根室に参りましたら、二千万も三千万もするスチールサイロを使ってないのが多いと言ったらちょっと語弊があるかもしれませんが、もとの小さいというか、もとのやつで十分間に合うという、しかもビニールの大きいやつでやるような方法とか、いろんなことが最近技術的にできまして、そういう大きな投資をしたものが十分に活用されれば当初の計画というのはそれは生きてくるのかもしれませんけれども、現実はもうどんどん進歩の中で、相当な投資をしたものが十分に有効に活用されてないという、こういう現実もたくさんあるんですね。負債整理、それはまた大事なことでありますが、長期低利、これは大事なことなんですが、実際使っているものに金を払うならいいんですけれども、有効な当初の効能書きどおりの活用をしていないという、こういうものまで荷を負わされるということでは、これはもうなかなか農家の経営としては大変なことですね。
 こういう一つの時代の推移、これは第一次、第二次オイルショックやなんかありまして、また経済変働、技術革新、いろんなことがありましたから、そういうことがいいとか悪いとかということじゃないんですけれども、やっぱり行政というものは小回りがきかないというか対応力がないというか、現実は現実として見て、それに対する対応力というものを持たなきゃいかぬと私は思うんです。その点、負債の中身としていろんな問題があるんですけれども、設備投資、当時は補助金やなんかで立派なものを建てた。しかし、今は建てたものが十分に有効活用されてない一面もあり、そういうものについては全く棚上げというわけにはいかないかもしれませんけれども、何年間か棚上げするか、ある程度経済の安定するまでは何らか措置を講ずるような方法も考えないといけないんじゃないかという気がしてならないんですけれども、どうでしょう。
#169
○政府委員(野明宏至君) 畜産の設備をいたします場合に、できるだけコストの安い形で取り組んでいかなきゃいかぬということで、その面の努力も私どもいたしております。また、投資したものについてはできるだけ効率的に活用されなきゃいかぬということもそのとおりだろうと思います。
 酪農につきましては、五十年代初めの過剰の時期を経まして、その時期に設備を拡張するというふうな経営、それが生産面では計画生産に入るということで経営が苦しくなるというふうな面もございましたので、五十六年度から五年間の予定で酪農負債整理資金をやってまいっておるわけでございます。六十年度、最終年度に当たるわけでございますが、実情をよく把握いたしまして対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
#170
○藤原房雄君 それは従来の制度でありまして、ひとつ現実を御調査いただいて、そういう中で近代装備、相当多額な投資をしたものの中で、こういうことでいいのかという現実をひとつ見ていただいて、適切な処置をお願いしたいと思うんです。
 それから三全総、四全総が今いろいろ中間取りまとめがありましてこれからやっていくわけですが、それにしましても北海道は、先ほどお話ございましたように食料基地という位置づけで、農業は一次産業が中心で、特に大規模な酪農経営というのは北海道、九州と限られたところで行われているわけであります。最近の農水省の見方というのは、一戸当たりの頭数もふえ乳量も多くなった、こういう言い方をするんですが、そこで農水省として、それはいい面は確かに一戸当たりの頭数もふえ、それから乳量もふえ、いい牛を入れなければ、頭数だけふえても乳量の出ないような牛を置いちゃならぬ、こういうことで非常に工夫をし、また努力をしている、そういう姿は各地を回りますと本当に私はよくわかるんです。
 しかし、ここで忘れてならないのは、農家戸数がどんどん減少しているというんですね。食料基地、そしてまた三十年の末から四十年代に相当に離農者がある。今日、なおかつ多くの人が酪農経営に行き詰まって離農しなきゃならぬ。農協単位でこれはみんないろんな指導をし、そしていろんな制度もある。しかし、こういう現実は現実です。それは先ほど来申し上げておりますようなことも一つの要因であり、いろんな問題があるだろうと思うんですが、それにしましても、五十二年を一〇〇とすると北海道なんかは七五・八というんですから、これは大変な減少傾向です。五十五年、五十六年あたりから、さらに五十七年、五十八年と、ずっとこういう食料基地という位置づけをして、そしてそういう中で三十年代、四十年代、五十年代前半、一生懸命やってきた方々が今日なおかつ、また相当な離農をする。こういう姿というのを農水省として好ましいなと見ているわけは絶対ないだろうと思うんですけれども、どういうふうに見ていらっしゃるのか。
 これは日本だけではなくて、外国とかいろんな国際的な環境の中にありますので、いずれの産業も大変なことはよくわかりますけれども、しかし三全総そのほか国の計画の中で一つの基盤をつくろうということで投資をし、国としましても相当な力を入れてやってきた。それが、今日なおかっこういう大きな勢いで離農が相次いでおるという。これは単に個人差とか何とかという言葉では片づけられない根本的な問題があるんじゃないかと思うんですけれども、こういうことについてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。
 また、今後に対して、それは金融面でてこを入れます、いろんなことをお考えになるんだろうと思いますが、しかしこれは、何でも負債整理資金、負債整理資金といいましても、限られたもので、単協の中に行きますとそんな多くの方々がこれに浴するわけじゃございませんからあれなんですけれども、もう少しひとつ実態を把握して適切な処置を講ずるべきだと私は思うんですけれども、どうでしょう。
#171
○政府委員(野明宏至君) 酪農経営全体の動向について見ますと、ただいまお話ありましたように、飼養戸数は主として零細な方を中心に減少を続けまして、五十九年には八万七千戸というふうな状況になっております。酪農経営対策といたしましては、やはりその経営の安定を図るということが基本ではなかろうかと思っております。そういう中で、また後継者も確保されていくということではなかろうかと思います。
 そういう意味におきまして、例えば普及事業の中での研修教育とか、あるいは集団活動を助長していくとか、あるいは改良資金の中でも後継者育成のための資金とかいうものが設けられております。それからまた公庫資金の中でも、段階的に自立経営に到達しようとする農業後継者なんかを貸付対象にするというふうな道もございます。また畜産総合対策事業、その中で後継者を主体とした巡回指導者の育成確保と、後継者の技能の向上といったようなことも考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、酪農経営の安定を図ることを基本にしてただいまの問題については対処してまいりたいと思っております。
#172
○藤原房雄君 後継者育成のための資金とかいろいろあるんだということですが、三十過ぎても嫁が来ないようなことで悩んでいる酪農の現状ですから、もう少し実態を把握しながらひとつ適切な施策を進めてもらいたいと思うんです。
 時間がありませんから次に移りますが、不足払い制度ができて二十年ということですね。どんな制度も時代の波でいろいろな変化といいますか問題をはらんでくるのは当然のことだと思いますが、最近、特に乳業メーカーが生乳を余り使わなくなったのじゃないかということや、飲用乳価と保証価格との差、こういうものでメーカーというのは甘い汁を吸っているのではないかという、いろいろなことが言われているわけですが、還元乳の問題についてこれはいろいろ取りざたされておりますし、また農水省としましてもこの問題については十分に御承知のことだと思うんですが、二十年たって今日、当時この法を制定するときにもいろいろな議論がありましたが、それなりの役割を果たしてきたのだろうと思うんですけれども、今日それがだんだん変質しつつあるというような感じがしてならないのですが、どういうふうにお感じでしょうか。
#173
○政府委員(野明宏至君) いわゆる還元乳生産につきましては、季節的、地域的な生乳不足だとか、あるいは新しい消費者ニーズの対応というふうなことで出てまいっている面もあるわけでございますが、他方同時に、そういったものについてはできるだけ生乳で賄っていくということが国民経済的に見ても、また生産者の手取り乳価の向上という点から見ましても、また飲用牛乳流通の混乱の是正といった点から見ましても、やはり脱粉とかバターを還元するというのではなくて、生乳を使っていただくようにすることが望ましいと考えておるわけでございます。
 そういう観点から、一昨年、飲用牛乳の流通に関する取り扱い指針という局長通達を出して、できるだけただいま申し上げましたような方向で指導をいたしておるところであります。
 今後につきましても、いわゆる発酵乳等向け生乳取引の推進というふうなことに努めますとともに、還元乳の抑制ということにつきまして関係者全体の努力をお願いをしたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#174
○刈田貞子君 今の藤原委員の質問の関連でお伺いをいたしますけれども、今、店頭、市場には大変たくさんの牛乳が出回っているわけです。私たち消費地では、これになれるために大変苦労をしていることでございます。整理すると、牛乳、加工乳、飲料乳及び乳酸菌飲料というような整理の仕方があると同時に、低温殺菌牛乳あるいは生乳、加工乳、還元乳、成分無調整乳あるいはロングライフミルクというふうに、成分無調整というのをやっと覚えたと思っていた時期に、今度新しく中央酪農会議の御推薦によりまして生乳一〇〇%マークというのが出てくるわけでございます。
 これの登場について私ども都会ではいろいろと論議をいたしましたけれども、ややこしいなという声が一つございました。それからもう一つは、牛乳パック四面のうちの一面を全部使って、そして牛乳とはこういうものである、生乳とはこういうものでありますというふうに消費者に語りかける、大変なスペースを使われたということで、各商品もこれに追随すべきではないかというような賛成の論もございます。しかし、いずれにしても、一〇〇%マークというのが突如出てくるということについては混乱があるのではなかろうかというふうに私は思います。
 そこでお伺いをいたしますわけですが、この生乳マークなるものは既に農林水産省で酪農会議との了解ができているかということが一点、そして私がさらに伺いたいことは、こういうマークが生まれなければならない背景に何があるのかということをお伺いしたいと思います。
#175
○政府委員(野明宏至君) 先般、中央酪農会議が、いわゆる生乳マークにつきまして提案をなさっておるわけでございますが、この問題はやはり関係者、生産者のサイド、それから処理業者のサイド、それから販売サイドといった関係者の合意、納得ずくでやっていくということが必要であろうと考えておるわけであります。そういう意味で、この提案につきましては、私どもはこういうことをこういう形でやるということが決まったとは考えておりませんで、一つの提案であると。この問題については、先ほど来の関係者で構成されております全国牛乳普及協会の場でその取り扱いを検討していくということになっておるわけでございます。したがいまして、その場で検討が行われて取り扱いが決まっていくということを期待をいたしておるわけでございます。
 それから、その背景でございますけれども、これはどちらかといいますと、飲用牛乳におきます、そういったものに使用されます生乳の需要というのが鈍化傾向になっておるという中で、他方それぞれの表示自体はきちっと乳等省令なり何なりで、公正規約とかで決まりがあるわけでございます。ではありますが、これを提案された趣旨としては、その牛乳だけでできておりますということが非常にわかりやすい形でできないかというふうな趣旨があるのだろうと思いますが、ただこれについては関係者いろいろな御論議がございます。したがいまして、先ほど申し上げたような場で取り扱いについて検討をしていただくと、こういうことになっておるわけでございます。
#176
○刈田貞子君 牛乳だけでできている牛乳ということになりますと、牛乳だけでできてない牛乳もあるということになるわけで、非常にややこしいのはこれは大変なことになるわけで、ちょっと厚生省さんが見えていると思いますのでお伺いいたしますけれども、今、乳等省令の話が出ました。これは全く厚生省の所管の中でお扱いになるものだと思うんですけれども、この生乳マークというものについての厚生省の考え方を一つと、それからもう一つは、牛乳というのは摂氏七十度前後から低温、それから百二十から百四十度高温というような殺菌の工程を経て出てくるものでありますけれども、この殺菌方法を除外視しては牛乳というものは生まれてこないということになると、なじむ表現であるのかないのかということも、あわせてお伺いしたいと思います。
#177
○説明員(難波江君) お答えいたします。
 牛乳につきましては、食品衛生法に基づく乳及び乳製品の成分規格等に関する省令におきまして、生乳をろ過、殺菌、小分け、密栓の処理を行ったもので、先生御指摘のように、生乳以外の原料を使用してはならないということで規定をしておるわけでございます。一方、生乳につきましては、同じく同省令におきまして「さく収したままの牛の乳」というふうに規定をしておるわけでございます。また、同じ省令におきまして、牛乳につきましては、牛乳であるというようなことで種類別の表示を義務づけているところでございます。
 したがいまして、牛乳に生乳マークを表示することにつきましては、先生御指摘の生乳マークを表示しない牛乳があった場合に、生乳以外の原料を使用しているかのごとき誤認を消費者に与えるおそれがあるということ、あるいはまた厳密に申し上げますならば、牛乳は生乳を殺菌等の処理をしたものでございまして、生乳一〇〇%という表示は牛乳にはちょっと適切ではないんではないか。その他、種々の問題があるものと考えております。
#178
○刈田貞子君 済みません。同じ見解を、公正取引委員会がお見えになっていると思いますので、公正取引委員会の見解をお聞かせください。
#179
○説明員(黒田武君) お答えいたします。
 景品表示法では――略しますけれども、景品表示法から見まして、私どもの方では言ってみれば、ただいま乳等省令の話が出ましたように、生乳といいますのは搾取したままの牛乳ということの意味でありますから、それが現在、加熱殺菌して売られている牛乳につけられることは、やはり消費者に混乱を与えるんじゃないかという点がまずあるわけです。
 それから二点目は、現在市販されている牛乳というのは生乳が一〇〇%使用されたものを売っておるわけですから、そういう状況下で一部の牛乳メーカーだけがその当たり前のことである生乳一〇〇%という表示をすることは、やはり一般消費者に混乱を与えるんじゃないかということです。
 それから三点目としまして、生乳一〇〇%と表示するのは、実はその牛乳の原材料として生乳を一〇〇%使用しているということであれば、加工乳やなんかもやはり生乳を使っているわけでありまして、そういった意味からも、ちょっとやはり消費者に混乱を与えるのではないかと考えております。
#180
○刈田貞子君 厚生省に改めてお伺いするわけですけれども、乳等省令の中で加工乳についての表示の仕方の中に、加工乳にあっては主要な原料名を書くことと、順次に書くことということがございますね。私は今、公正取引委員会の御提案の、もし生乳一〇〇%がひとり歩きをしていくのならば、当然加工乳についても百分率が出てくるべきであるというような表現があったわけですけれども、実は私もそういう意見を持っているんですね。ところが、食品衛生法の中のこの乳等省令ではそこまでは強制力がないわけですね。この問題をどういうふうに考えたらよろしいか。本当は
私、これをお尋ねしてはいけないのかと思うんですが、こちらから話が出たので、どうしてもちょっとそこのところを聞かしていただきたい、御見解で結構でございますから。
#181
○説明員(難波江君) 加工乳の原料表示として生乳の混入率を書かせるべきでないかという御指摘かと思うわけでございますが、加工乳の原料といたしましては脱脂粉乳とかバター、クリーム等、牛乳に本来含まれている成分以外の成分の添加を禁止をしているわけでございますし、また実際に加工乳というのは、一般的に生乳をベースにしつくられているものでございますけれども、その混入割合というのは、地域によりまして需給のアンバランスがある、あるいは季節によって非常に需給状況が変わるというようなこともありまして、かなり変動があり得るものでございます。
 そういうようなこと、さらにまた、現在加工乳につきましては乳等省令で種類別の表示のほかに、乳脂肪分であるとか無脂乳固形分という含まれている成分についての表示も義務づけているわけでございます。そういうことで、現在十分に消費者の選択に資するような表示があるというふうに認識をいたしておりますし、さらに加えて生乳の混入割合を表示させるということは必ずしも必要じゃないんじゃないかというふうに考えている次第でございます。
#182
○刈田貞子君 済みません。時間かないので、あと五分なので公正取引委員会にちょっとお伺いするんですけれども、飲用乳の表示に関する公正競争規約四条で特定事項の表示基準についてのところですが、ここで「「牛乳」、「特別牛乳」及び乳脂肪分三・〇%以上の「加工乳」以外の飲用乳の表示に「牛乳」、「ミルク」又は「乳」の文言を用いてはならない。ただし、施行規則で定める基準によるものについては、この限りでない。」という箇所があるわけですけれども、この上の文言でいけば、加工乳についても牛乳という表示ができるということになるのだというふうに思います。それから今の施行規則の方でいきますと、乳飲料の商品名に牛乳、ミルク、又は乳という文言を用いてはならない。ただし、百分率で無脂乳固形分八%以上及び乳脂肪三・〇%以上の成分を含有するものは、乳飲料であっても牛乳という表示ができるということですね。そうでございますね。
#183
○説明員(黒田武君) お答えします。
 乳飲料等の表示に関する公正競争規約で先生ただいま御指摘のような点は、加工乳につきましても乳脂肪分が三・〇%以上、それから無脂乳固形分が八・〇%以上の成分を有している場合には牛乳と呼んでよいことになっております。それから乳飲料についても同様です。
#184
○刈田貞子君 それで、私最後に農水省に申し上げたいんですけれども、先ほど同僚委員の方から還元乳の話が出てきたわけでありますけれども、いわゆる生産者がまじめに農水省の言い分に従って一生懸命努力しても、その利益の集積というものは大変なアンバランスが出てくるというような問題、それは実は私、こういう種類のところにもネックがあるような気がして仕方がないんです。昨年度も公正競争規約の乳製品について私は御指摘申し上げたはずでございますけれども、ぜひこういう小さな部分にさわって各関係省庁との御連絡をとりながら、やはり現在の状況は進んできていて、食生活あるいは乳製品等の多様化を含めてかなり状況は変わってきているわけですから、そういうものに対応し切れる形のやはり規則、ルールというものができていかなければならないということを去年も私申し上げたんですけれども、ひいてはそれが生乳の消費拡大につながる私は細かい作業であるというふうに思うんです。あるいは基本的な作業じゃないかというふうに思うんです。くるくるっとかき回して還元乳をつくって、そしてそれを乳飲料の中に使っても、これに牛乳という名前が使えるという仕組みになっていることの方がおかしいんではないかというふうに私は御提案申し上げているのでございますけれども、時間がないので農林水産省の方のお答えをいただいて質問を終わります。
#185
○政府委員(野明宏至君) もちろん、いわゆる還元乳につきましては消費者のニーズの多様化というものの中から出てまいったものもございます。ただ、やはり先ほど来申し上げておるわけでございますが、そういうものにつきましても補助金がついた形の脱脂粉乳なりバターを使うのはいかがなものか。これは本来生乳なり、あるいは脱脂乳とかいろいろな形で対応はできる性質のものでもあるわけであります。したがいまして、そういった趣旨で、できるだけ生乳が使えればそれは脱脂粉乳のいたずらな需要がふえぬと、本来ふえてしかるべきものがふえていくものですから。そういった側面がありますので、その点はできるだけ努力をしていく必要があろうと思います。
 それから先ほどの、関係各省ともよく連絡をとりながら、いろんなものに牛乳という言葉が使えるということは事実でございますが、これはいろいろな従来の歴史の中でそういうふうになっておる面もあるわけでございますが、御指摘の点、十分また検討をさせていただきたいと思います。
#186
○小笠原貞子君 酪農の負債対策について、午前中やれませんでしたから二つお聞きしたいと思います。
 五カ年計画で酪農負債対策が実施されて、これは非常に喜ばれております。いよいよ六十年度が最終年と、こういう形になります。みんながこれで一応助かったよという声を聞きまして、この負債対策が真に国定化負債に苦しむ酪農民の経営再建に役立つように、毎年の約定償還の借りかえだけでなくて残高も含めた借りかえがぜひ必要だと、そう思うんですよね。
 そうしますと、残高も含めての借りかえということになれば、相当の資金枠というのがこれは準備されなければならないわけです。ざっと百億を超えるかもしれないと、そう思うんですけれども、せっかくここまでみんなに喜ばれていい効果を上げてきたんだから、ぜひ積極的な対応をお願いしたいと思うんですけれども、いかがでございましょうか。二つを五分以内で上げなければいけないので、簡単に。
#187
○政府委員(野明宏至君) ただいまの点につきましては六十年度、最終年度になるわけでございますが、実態をよく調べて検討してまいりたいと思います。今ここで、その点を含めてどうこうと言うことは差し控えさせていただきたいと思います。
#188
○小笠原貞子君 もうちょっと積極的におっしゃってもいいんだけれども、腹の中じゃ考えていらっしゃるんだけれども、下手を言ったら後が大変だというようなちょっとそういうニュアンスがいたしますが、今の言葉に中身を持たせて、本当に喜ばれるような最終年度に、きちっと援助をしていただくように重ねてお願いいたしたいと思います。
 それから、酪農負債対策の対象となった農家は非常に喜んで、私も大きな効果があったなと、そう思うんですけれども、対策から外れた農家というのはやっぱり非常に深刻なわけです。そういうものに対しては、先ほども自作農維持資金の再建整備資金というので対応するというふうにおっしゃっておられましたけれども、これは八百五十万ですよね。そして昭和五十年度千五百万に拡大された。これはこれで結構なんだけれども、喜ばれて効果を上げてきたという酪農負債対策と比べますと、酪農負債対策の方は個々の経営の実態に合わせて必要な額を手当てしている、そして限度枠というのがありませんね。そして、一回だけではなくて、毎年五カ年間の計画でもって対応するという点から考えますと、対象から外れたものは特例自創でやればいいというふうにはちょっと言えないのではないかということですね。だから、酪農だけの対策から外れたものと、それからもう一つここで言いたいことは、肉用牛の農家の、先ほども問題をいろいろおっしゃいましたけれども、これもなかなか経営は深刻なんですね。
 肥育牛収入が全農家の八〇%以上を占めているという、そういう農家の借入金の残高というのを調べてみました。これは農水省でお出しになっている「農家の形態別に見た農家経済」。五十五年度と五十八年度を比較いたしますと、借入金残高というのは、五十五年度が三百八十八万、そして五十八年度が千三百十一万、こういうふうになっております。いろいろと理由もあると思いますけれども、現実に借入金残高がふえているということは、やっぱり先ほどから問題になったように肉牛の農家も大変だと。そうすれば、酪農負債対策から外れた農家にも、そしてまた、こういう肉牛で大きな負債を抱えているというところにも、先ほどおっしゃいましたような本格的な負債対策で、死ぬことがないように、生かすという手だてをやってもらいたいと私は切望するんです。それについてはいかがお考えでしょうか。
#189
○政府委員(野明宏至君) 簡単にお答えさせていただきます。
 酪農負債整理資金につきましては、この内容は、大変な個別経営をとらえてやってまいるものでございまして、これは生乳の計画的生産が始められたという中で起こった問題に対処するための臨時的な特例的な措置としてとったわけであります。したがいまして、その対象農家についてはこれまで毎年見直しをしてやってまいっておるわけでありますが、それ以外にもどうなんだろうかという点につきましては、これはやはりそれぞれ制度が用意されております。ですから、そういうものも活用しながら、また関係機関の指導の中でやってまいることが適切ではなかろうかと思っております。
 それから肉用牛の問題でございますが、これは経営全般改善されてまいっておるわけですが、一部にいろいろな要因で問題のある経営もあるわけでありますが、肉用牛の場合には酪農の場合と異なりまして、設備投資というよりは運転資金がかなりの部分を占めておるわけであります。そういうものをどうやって対策に取り入れることができるのかという難しい問題を実は含んでおるわけであります。
#190
○小笠原貞子君 それじゃ、またゆっくり詰めていきたいと思います。
 次に、サイロの問題でお伺いしたいと思います。農用地開発公団、お出ましいただきましてありがとうございます。
 ことし、ずっと調査いたしましたときに、北海道で大型の酪農家が使用するスチールサイロという問題がたくさん出てきました。ボトムアンローダーは故障が多い、特に維持修理費が高くかかり過ぎると、大きな問題になっておりました。私も十勝や根室をずって見てまいりましたが、非常に事態は深刻でした。北海道酪農のシンボルと言われるこのスチールサイロなんですけれども、これが何基も、さっき藤原委員も言われたけれども、使われないで遊んでいるというような実態でございます。使っていても修理費がかかると悲鳴を上げているというようなありさま、こういうような状態を御存じでいらっしゃるかどうか、簡単にお答えをいただきたいと思います。
#191
○参考人(岡安誠君) お答えをいたします。
 先生御承知のとおり、農用地開発公団が根室でもって仕事をやったわけでございますが、あすこの根室地区で最初に入植をいたしましたのは昭和五十年でございます。当時は、まだ一般的にサイロにつきましてはバンカーサイロとかタワーサイロというものでやっておったわけでございますが、スチールサイロにつきましてはまだ非常に例が少ない状況ではございましたけれども、農家の方の御要望が非常に強かったものでございますので御要望にこたえる、また内部でいろいろ検討いたしましたけれども、操作その他十分に気をつければ、これは十分省力的で高品質のサイレージができるという点でもって効果的であるということで、スチールサイロの導入に踏み切ったわけでございます。
 その当時、もちろん建設費につきましてもほかのサイロよりも若干割高であるということは承知いたしておりますし、また操作等につきましても十分慎重に、また間違えずにやる必要がある、そうしませんと修理費等に金がかかるということもある程度わかっておりましたけれども、その利点が相当ありましたので、私どもといたしましては導入に踏み切ったものでございます。
 なお、御質問の中で、スチールサイロが遊んでいるとかいうような御指摘がございますけれども、私ども余りそういう例を知らないわけでございます。もちろん、中には特殊な事情によりまして、例えば家庭の事情等によりまして、スチールサイロを導入いたしましたけれども現在たまたまバンカーサイロの方を使っているというような例等が一、二ございますが、一般的にそんなに遊んでいるサイロが多いというふうには理解いたしておりません。
#192
○小笠原貞子君 そんなはずはないというようなお答えに聞こえましたけれども、私も行って調べたんです。そして、第一次で五十年に入植したのが八戸ございます。その八戸全部調べたんです。その八戸のうち、スチールサイロの種類を言いますと、ハワードハーベストア、これですね、(資料を示す)これが八戸のうち五戸なんですね。それからコールマン、これが二戸でした。それから、シンプレックス・シールドストア、これが一戸なんです。これ三種類。もう一種類あったんだけれども、使っていませんでした。これは全部英国製でございまして、これを八戸入った全部について調べて種類も調べまして、修理費等の金額を調べました。そうすると、六百万以上かかっているというのが四戸ございます。四軒ね。それから、四百万から六百万というのが三戸でございます。四百万以下というのはたった一戸なんですね。それから、使用状況というのを調べますと、全く使っていないというのが八戸のうち二戸ございます。将来かえたい、もうこのままじゃ使いにくくてしようがない、このまま金もないししようがないから使うよというのが三戸なんですね。
 今言ったように、一軒一軒八戸全部、種類とその費用を、かかったのを調べました。将来を含めると、もうかえたいというのを含めますと六〇%以上がほかのものにかえたいと、こういうふうに言っておりました。そして、これなんかもきれいなこういうのが出ているんですけれども、ここにもきれいないい写真が出ています。(資料を示す)この写真、モデルで出ている横田牧場、今日これを全然使ってないわけなんですね。だから、実際調べてみますと、今おっしゃったような状態ではないというのは事実でございます。そういうことを、そんなことはないと言われると、私はちょっと心外でございますね。そういうことを私は今指摘いたしました。事実でございますから、全く無責任だなと、そう思うわけなんですよね。
 それで、続けて伺いますけれども、五十三年度「大規模酪農における経営実態調査報告書」というのが出ております。それから、五十七年度「大型酪農経営効率調査」報告書というのが出ております。これは一体だれがどこに委託した調査報告書でしょうか。農水省、お答えいただきたいと思います。
#193
○政府委員(井上喜一君) 「大規模酪農における経営実態調査」といいますのは、これは農林省が北海道庁に対しまして五十一年から五十三年まで委託した調査でございます。その後、調査内容等についてかなり経費がかかりますので、五十四年から五十八年までは農用地開発公団の方で、調査の項目としては大体農林省が委託いたしました調査を踏襲いたしまして、「大型酪農経営効率調査」というのを実施をいたしております。
#194
○小笠原貞子君 今言われましたように、公団が調査を北海道に依頼したといって、そして出てきた「大規模酪農における経営実態調査報告書」でございますね、五十三年度に。これをずっと読んでいきました。そうしたらサイロ、ボトムアンローダー、今非常に故障が多いといって修理費がかかるというその「サイロ、ボトムアンローダーの維持管理費用について」という中に、「ボトムアンローダーは、」「価格、維持経費などの経済性と、取扱い技術の難かしさなどの問題を内包している。」、それで「維持管理費用の実態を調査した。」と、こう書いてあります。そして「修理に必要な部品、工賃が高額な点からも綿密な点検整備、利用技術を習得させ一年でも長く効率的に利用することが課題である。」、そして「今後継続して調査が必要である。」と、こうなっているわけですよね。そうしますと、そんなはずはない、知らなかったでは済まないと思うんですね。やっぱり五十三年度に調査したこの報告書の中に、今言ったような問題がちゃんと指摘されているということですよね、おたくの方で出された。
 それから、今度「大型酪農経営効率調査」というのがまたもう一つ出ているわけですね、公団の委託調査で。ここにもちゃんと出ているわけなんです。「故障個所も年々多くなりこの修理費が高価格で来年以降の保守管理の技術対策が課題」だと。いろいろ時間がないから言えませんけれども、もう既に公団としても道庁に頼んだり、農林省としても頼んで調査したこの中にちゃんとこういうのが書いてあって、そして今こういうような問題が非常に大きな話題になっているわけなんですよね。そうしますと、調査もずっと継続して問題もはっきりしていたと、こうなるわけでしょう。そうすると、もう時間もありませんから伺いますけれども、これらに対してやっぱり農民とも相談したとおっしゃるけれども、農民がスチールサイロのメリットはどうだ、科学的に見ていいとか悪いとか、なかなかできませんよね。やっぱり専門家とか何かを入れて、そしてこのスチールサイロはいいですよといって農民も買った、そしてこれの問題があるよというのを公団でも農水省でも認めていらっしゃるとするならば、やっぱりこれに対して責任をちょっと考えてもらいたい。その責任というのは一体何だろうか、使い方についての技術指導もあるだろうと思いますけれども、具体的に二点だけ質問していきたいと思うんです。
 新酪では、五十九年度から毎年五百万余の今度返済に入りますね、新酪の方は。五百万の返済だと、そしてその上に六十万、百万の修理費がかかるということになると、これは先ほどから言われているように大変な問題になるわけなんですね。だから、それをどういうふうにしていただきたいか、責任を感じて対策を立てたいとおっしゃるならば、機械の部品等について国産の安い品物を紹介をして、そして取扱方法についてもメーカーに親切な指導をするようにということを公団の責任、農水省の責任においてこれをやっていただきたいということなんですね。これはお二人に伺います。
 それと、その次にやっていただきたいことは、ほかの機種に変更したいといってもお金がかかるわけですね、二千万、三千万と。そうすると、とてもじゃないけれどもお金が足りない。長期低利の融資制度を考えていただけないだろうかということですね。その点について公団と農水省から、そういう具体的な問題について考えたいというふうにお答えいただけるかどうか。
#195
○参考人(岡安誠君) まず最初にお答えいたしますが、私先ほど申し上げましたのは、遊んでいるサイロが公団の責任でそういうことができたんじゃないかということの御質問でございますが、私お答えいたしましたのは、私どもも二軒につきましては現在スチールサイロを使っていないということを承知いたしております。一軒はこれは非常に家族関係、家庭の事情がございまして労働力が減ったというようなこともございまして、ほかのスチールサイロを持っている農家と共同作業ができないということもございまして、これはバンカーサイロの方に変わっていったいうふうに聞いております。もう一軒は、独自の経営方針といいますかがございまして、一般の方たちと違った経営をしていきたいということもありまして、ボトムアンローダーからトップアンローダーに変えたというようなことも聞いております。一般的には、私ども、スチールサイロの利点というものが十分果たされまして活用を願っているというふうに理解をいたしております。
 ただ、私どもも、五十三年はこれは農林省の調査でございますが、五十四年以降、北海道庁にお願いをいたしまして調査をやっております。中には相当多額の修理費の報告をいただいているところもございますし、非常にこれはばらつきがございます。余りに高い修理費につきましては、恐らくはこれは何か事情がありまして部品を交換をされたんだ、もう百万円を超すようなそういう修理費というのは普通は考えられない、三、四十万というのが普通でございますので、これはそういう事情があるのではなかろうかというふうに思っております。
 今後の問題でございますが、私ども、スチールサイロにつきましては十分その利点があり、今後もやはり大規模の集約的な経営を推進するためにはスチールサイロを入れてよかったというふうに思っておりますが、ただ、先ほどもお答えいたしたと思いますけれども、十分慎重な運営といいますか、そのサイロの高級なといいますか、サイロの処理に必要な技術を備えた管理をしませんと、やはり修理費が余計かかるということもございます。そこで、私ども一応根室につきましては事業を完了いたしましたけれども、今後、道庁なり、それからまたサイロのメーカー等につきましても、指導といいますか、農家に対する技術指導をぜひ続けていただくように、できるだけ長く、もちろん十年になりますから更新期に来ていると思いますけれども、こういう時世でございますので、できるだけ故障がなく長く使えるように指導をお願いをいたしたいというふうに思っている次第でございます。
 それから、国産につきましては、これは五十年代に入りましてやっと国産の方も出てまいりましたし、最近、五十年代の半ば以降は順次大型のものもできてまいりました。確かに、中には外国品よりも安いものもございます。現に、根室におきましても国産のアンローダーが二台既に入っております。したがって、これはもちろん農家の希望によるわけでございますけれども、私ども国産等につきましてもその機能の紹介等をいたしまして、今後はやはり国産の導入につきましてできるだけ御要望にこたえていきたいと思っております。
#196
○政府委員(井上喜一君) 根室地域に新酪をつくります場合にどういうタイプのサイロを導入するかにつきましては、学者、試験場、地元の町村それから道庁を含めまして随分議論したわけでございます。そこの最終の結論が、スチールサイロを導入することが最も適当だ、こういうことで導入することにいたしまして、その機種の選定につきましては農家が指定をするというような形をとったわけでございます。しかし、何分、スチールサイロにつきましては非常に日本におきましては歴史が新しいものでございまして、当初取り扱い等についていろいろな問題があったということは十分承知をしております。しかし、スチールサイロの場合は、品質が非常にいいサイレージがつくれますとか、あるいはロスが少ないとか、労働力が節約されるというようなメリットがございます。
 そういう全体を考慮いたしますと、従来のタワーサイロでありますとかバンカーサイロよりも数段すぐれたサイロであるというふうに考えております。しかし、何といいましても新しい設備でございまして、保守管理等についても十分な点検が必要でございます。また、牧草を詰め込む作業にいたしましても、十分細かく刻みまして、まんべんなくサイロに落としていくような、そういった細かな作業上の注意が必要でございます。こういうことが相まちまして、スチールサイロのいいところが発揮できるようになるんじゃないかと思います。
 ただいまいろいろな御指摘がございましたけれども、問題のあることは十分承知いたしておりますので、今後、私がただいま申し上げましたような点につきまして十分注意いたしますように、北海道庁を通じて指導をしてまいりたいと思います。ただ、この問題はもう経営一般の問題でございまして、私の方というよりも、むしろ畜産局の方かと思いますけれども、ことに畜産局長おりますので、十分その趣旨も伝えていきたい、こういうふうに考えております。
#197
○喜屋武眞榮君 私、午前は沖縄の酪農、そして総論的には沖縄が畜産基地として適当であるということを農水大臣も認めておられたわけでありますが、まず最初に、沖縄の畜産基地の建設事業については、推進しておられるわけですが、これまでの実績と、そしてこれからの推進していくための計画について、まず承りたいと思います。
#198
○政府委員(野明宏至君) 沖縄の畜産基地建設の実績とそれから今後の計画というお話でございますが、沖縄県は亜熱帯性の海洋気象という恵まれた自然条件を生かしまして草地開発を進めることによりまして、飼料基盤に立脚いたしました肉用牛を中心とする畜産の発展が見込まれるわけでございます。
 そういうことで、畜産基地建設事業を積極的に推進しておるわけでございますが、事業の推進状況を見ますと、まず、既に石垣第一区域、それから山原第一区域、それから石垣第二区域については完了をいたしております。それから山原の第二区域、これと、それから八重山の第一区域、これは事業を現在継続中でございます。さらに、六十年度には新たに与那国区域が全体実施設計を行うということになっております。
 それから、これからの計画についてでございますが、沖縄県におきます飼料基盤の積極的な開発整備を進めていくということで、八重山地区におきまして畜産基地建設事業の地区調査計画を行いまして、新たな事業の可能性を検討しておるところでございます。
 なお、沖縄の六十年度の畜産基地建設事業関係の予算要求額につきましては、二十億五千万ということで、おおむね前年度並みという予算を確保することができたわけでありまして、将来的にほぼ計画どおりの事業の進捗が見込まれるんではないかというふうに見ておるわけでございます。
#199
○喜屋武眞榮君 順調に進みますよう、ひとつよろしくお願いいたします。
 そこで、かつて私、畜産の権威だと言われておりました東大の大内力先生からこういうことを言われたことがあるんです。沖縄の畜産の将来は具体的には黒牛と黒豚で、量で勝負するのではなく質で勝負することを考えたらいいだろう、こうおっしゃったことがあるんです。ところがそれは、科学的にはどうなっておるかよく私はわかりませんし、またお尋ねする機会もなかったんですが、もしその点、今お答えができますならばお聞きし、もしお答えができませんならば、後で資料を求めたいと思いますが、いかがですか。
#200
○政府委員(野明宏至君) そういったようなお話があったのかもしれませんが、こういった形で草地基盤を整備して肉用牛を入れていくということになりますと、やはりできるだけ低コストで、どちらかといえば量ということではなかろうかと思いますが、なお参考になる資料がございますれば、また調べてみたいと思います。
#201
○喜屋武眞榮君 ぜひひとつ、後で参考になる資料をいただきたいと思います。
 ついでに申し上げますが、戦前、神戸牛と言われた牛は、沖縄から一応神戸に輸送して神戸で仕上げて売り出したのが神戸牛のいきさつであったわけでありますが、九九%沖縄で生育してそれを神戸に輸送していった、こういういきさつがあるわけなんですね。そういうこと等思い合わせて、大内力先生のおっしゃったことに非常に共感が持てるわけでありますが、その点よろしくお願いいたします。
 次に、売買同時入札方式についてお尋ねしたいと思います。農林水産省は、現在の輸入牛肉の一〇%を対象に国内需要家が直接海外から買い付けることのできるいわゆる売買同時入札方式を決定しておられる、実質的な一部自由化に踏み出されたということにもなると思うんですが、このような新しい方式が採用された理由は何なのか、またそれによってどれだけのメリットがあるのであるか、そのことをひとつお聞かせください。
#202
○政府委員(野明宏至君) 今回、畜産振興事業団の牛肉の売買に導入いたしました売買同時入札方式、これは畜産物の価格安定等に関する法律に基づきます事業団の一元的な輸入、それから価格安定機能、そういう枠組みの中で事業団の牛肉売買の一部として実施されるものでございます。
 具体的には、近年におきます我が国の牛肉流通におきます商品形態が多様化してまいっております。また、需要動向の変化といったものもございますので、そういったものに対応するために事業団の牛肉売買の一部、これは一〇%ということでございますが、こういったものにつきまして我が国の実需者と、それから外国の供給業者との間で牛肉の部位とか、それから規格についての協議、これを容易化するためのものとして導入した方式でございます。
 したがいまして、この方式による牛肉の売買は事業団の売買そのものでございます。事業団の持つ需給調整機能をこれは損なうものではないわけでございまして、また自由化というふうな、御質問の中にございましたけれども、そういった方向とは何ら関係のないものであるというふうに考えております。
#203
○喜屋武眞榮君 今のでよくわかりました。
 では、次にお尋ねしますが、肉用牛の一貫生産についてお尋ねしたいと思います。
 肉用牛の一貫生産はいろいろのメリットがあると私は思うわけなんですが、例えば肥育素牛の流通のための経費が節約される点、生産流通の合理化を図ることができるわけです。それから素牛価格の変動の影響を受けないといったような利点があるわけですが、それにもかかわらず、全国的にはまだ一貫生産は余り行われていないように思います。その原因はどこにあるのか、また政府は合理的な肉用牛生産を推進していくための一貫生産の対策をどのように考えておられるのであるかということについてお伺いいたしまして、時間になりましたので私の質問を終わります。
#204
○政府委員(野明宏至君) 肉用牛生産につきましては、地域内の一貫生産、さらには最近ふえてまいっておるわけでございますが、経営内一貫生産というものもございます。これらについては、ただいま先生お話しのようなメリットがあるわけでございます。ただ、これにつきましては、段階的に地域内一貫生産を推進しておるわけでございますが、例えば繁殖雌牛を導入いたしまして、生産した子牛を育成して出荷するまで約四年かかってまいります。したがいまして、これは相当の資金が必要である。さらには、繁殖と肥育では飼養管理技術がかなり異なるというふうなことで、いわゆる経営内の一貫生産については逐次進める。
 それから地域内一貫生産、これは総じて見ますと約六割に現在達しております。県によってかなり高いところと、それからまだまだ低いところがございます。これらについてはやはりその地域における取り組みということが一つございますが、同時に、飼養生産基盤だとか家畜を飼う施設とか、そういったものの整備の状況、それから産地食肉センターといったようなものがどう整備されておるか、それからそういった地域内の肥育経営の素牛供給あるいは肥育牛の産地食肉センターの出荷等のための体制というものがどうなっておるかということによって進みぐあいが変わってくるわけでございます。
 私ども、できるだけ地域内一貫生産あるいは経営内一貫生産ということも推進してまいりたいと考えておりますので、各種金融制度の活用とか、あるいは助成制度を活用いたしまして、こういった方向への誘導に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
#205
○委員長(北修二君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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