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1984/03/28 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 農林水産委員会 第7号
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1984/03/28 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 農林水産委員会 第7号

#1
第102回国会 農林水産委員会 第7号
昭和六十年三月二十八日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     小笠原貞子君     山中 郁子君
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     山中 郁子君     小笠原貞子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         北  修二君
    理 事
                高木 正明君
                谷川 寛三君
                最上  進君
                村沢  牧君
                藤原 房雄君
    委 員
                岩崎 純三君
                浦田  勝君
                大城 眞順君
                岡部 三郎君
                熊谷太三郎君
                小林 国司君
                坂元 親男君
                竹山  裕君
                初村滝一郎君
                星  長治君
                水谷  力君
                稲村 稔夫君
                菅野 久光君
                山田  譲君
                塩出 啓典君
                小笠原貞子君
                山中 郁子君
                田渕 哲也君
                喜屋武眞榮君
   衆議院議員
       発  議  者  玉沢徳一郎君
   国務大臣
       農林水産大臣   佐藤 守良君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  河本嘉久蔵君
   政府委員
       国土庁計画・調
       整局長      小谷善四郎君
       国土庁地方振興
       局長       田中  暁君
       農林水産政務次
       官        川原新次郎君
       農林水産大臣官
       房長       田中 宏尚君
       農林水産省経済
       局長       後藤 康夫君
       農林水産省構造
       改善局長     井上 喜一君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     関谷 俊作君
       農林水産技術会
       議事務局長    櫛渕 欽也君
       林野庁長官    田中 恒寿君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        安達  正君
   説明員
       厚生省健康政策
       局指導課長    谷  修一君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部水
       道整備課長    森下 忠幸君
       農林水産省農蚕
       園芸局果樹花き
       課長       武政 邦夫君
       建設省道路局地
       方道課長     吉越 治雄君
       建設省住宅局建
       築指導課長    立石  真君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○山村振興法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
○果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○農林水産政策に関する調査
 (日米漁業対策に関する決議の件)
    ─────────────
#2
○委員長(北修二君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告申し上げます。
 昨日、小笠原貞子君が委員を辞任され、その補欠として山中郁子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(北修二君) 山村振興法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、発議者から趣旨説明を聴取いたします。衆議院議員玉沢徳一郎君。
#4
○衆議院議員(玉沢徳一郎君) ただいま議題となりました山村振興法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 昭和四十年に制定された山村振興法に基づく山村振興対策につきましては、昭和五十年の法改正を経て今日まで、産業基盤や生活環境などの地域格差の是正等を図ることを目的として各種の施策が推進され、一定の成果を上げてきたところでありますが、山村の現状は、依然として他地域との格差が解消されず、また若年層を中心とする人口の流出がなお続いているなど、極めて厳しいものがあります。中でも、自然的、経済的、社会的条件に特に恵まれず、かつ産業基盤及び生活環境の整備の程度が著しく低い振興山村の状況は一層厳しいものがあります。
 一方、山村地域は、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全等に重要な役割を担っていますが、近年これらの役割の高度発揮に対する国民的要請が一段と高まってきておるのであります。
 このような実情にかんがみまして、本年三月三十一日をもって期限切れとなる本法の有効期限を延長いたしますとともに、山村の当面する新たな情勢に対処して、その内容の充実を図ることとして、ここにこの法律案を提出いたした次第であります。
 以下、改正の主要な内容について御説明申し上げます。
 第一に、法の有効期限を十年間延長することといたしました。
 第二に、国は、振興の緊要度が高い振興山村の山村振興計画に基づく重要な事業の円滑な実施が促進されるよう配慮するものとすることといたしました。
 以上が山村振興法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ御審議の上、速やかに御可欠くださいますようお願い申し上げます。
#5
○委員長(北修二君) それでは、これより本案の質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○村沢牧君 提案者におかれましては本案延長に努力をいたしたことに、まずもって敬意を表します。
 私も本案の延長には賛意を表するものではございますが、延長後適切な法の運用、目的を達成するために、以下数点お伺いいたしたいと思います。
 まず提案者にお尋ねしますが、本改正法案は単純延長でなくて、一項を追加をして延長しようとしているわけでありますが、その理由について明らかにしてください。
#7
○衆議院議員(玉沢徳一郎君) 御承知のとおりに本法案は昭和四十年に制定をされたものでございますが、当時の制定の趣旨を伺っておりますと、日本の高度経済成長期、都市と山村の地域の格差というものが予想をされたわけでございます。したがいまして、山村を特に振興をしなければならない、こういう趣旨でこの法案が制定をされまして、基幹道路の整備に関する特別措置の創設あるいは各種施策の充実が図られてまいりまして、それなりの大きな役割を果たしてまいったと思うのでございますが、しかしながら、今日もなお振興山村におきましては、産業基盤や生活環境などの地域格差の是正を図る上でまだまだ問題があります。
 したがいまして、これらの山村と他地域の格差、また社会的な条件に恵まれない産業基盤あるいは生活環境の整備の程度がおくれている地域、特におくれている山村の地域に対しまして、国としても特別の配慮をして振興していかなければならない。この点を特に強調をする上におきまして、国は振興の緊要度が高い振興山村の山村振興計画に基づく重要な事業の円滑な実施が大いに促進されるよう配慮すべきである、こういう規定を加えまして今回の改正案となったものでございます。
#8
○村沢牧君 今、説明のあったような理由で一項追加したわけでありますけれども、このことによって例えば山村地域の指定基準の見直しだとか、あるいは指定地域における財政措置規定の考え直し、こんな気持ちは持っておらないというふうに思いますが、今までと変わりはないかどうか、その点どうでしょうか。
#9
○衆議院議員(玉沢徳一郎君) 今日、国民の一般的な関心といいますのは、緑に対する非常に大きな関心がございます。これは都市部に住む者も、日本の国土の七五%が緑の地域である、こういうことでこの環境あるいは国土保全、こういう点に対してやはり山村というものの重要性というものを特に認識をいたしてきておると思うわけでございます。
 ところが、その山村が非常に厳しい状況にあるわけでございます。私は日本国民の民族の活力というものは、やはり森をたたえ、そしてその中に水を確保し、その水が川となって流れてまいりまして農業用水に使われる、家庭用水に使われる、工業用水に使われる、考えてみますと、山村というものは日本民族の活力の源を確保しておる、こういうように考えるわけでございますので、この法律案が特別の一項を含めたことにより、ほかの地域がこれによって振興がおくれる、こういうようなことがあってはならないと思うのですが、特に強調して全地域の山村が発展をされるように考えまして、そうしてこの法案を作成したものであります。
#10
○村沢牧君 ただいまの答弁の中から、一項を追加したけれども、これによって今後よくなるとしても悪くなることはない、私はそういうふうに理解しておりますが、よろしいですね。
#11
○衆議院議員(玉沢徳一郎君) はい。
#12
○村沢牧君 わかりました。
 そこで、国土庁長官に聞きますけれども、この法律ができてから二十年になり、山村地域の福祉の向上や格差是正に果たしてきた役割は大変大きいと私は思っておるところでありますが、国土庁長官は、本案が可欠された暁には、山村の置かれている現状からさらに政府はこの法の趣旨を体して一層努力しなければならないというふうに思いますが、国土庁長官の見解を聞きたいと思います。
#13
○国務大臣(河本嘉久蔵君) ただいま提案者の説明されたとおりでございまして、山村地域はやはり国土の保全、水資源の涵養等、国民生活に非常にかかわり合いの深い重要な役割を果たしていることは事実でございます。今後ともこの役割を高度に発揮させるためには、引き続き山村振興対策を積極的に進めてまいるという決意でございます。
#14
○村沢牧君 国土庁長官も一生懸命やっていただけるようでありますが、これは政府の慣行用語になっているかもしれませんが、例えば委員長が国土庁長官にこの法案に対してどう取り組むかと言うと、議員立法であるからそう言うかどうか知らぬけれども、この法律についてはやむを得ないものと考えておると、いつもそういう答弁をするんですね。それだけ評価しておったらそんな答弁しなくて、もっと積極的にやるというようなことをこの委員会の場で、きょうは言うかどうか知りませんよ、衆議院の答弁を見るといつもそういうことを言っているが、やむを得なく思っているなんてことじゃだめですな。
#15
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 政府見解といたしましては、やむを得ないという答えしか出ないわけであります。といいますのは、やむを得ないということは賛成だという意味と解釈していただきたいと思います。
#16
○村沢牧君 だから、国土庁長官ですから、いい法律をつくってくれた、もっと私ども一生懸命やります、大賛成だというようなことは政府の答弁として出しておかなきゃ、議員立法だからやむを得ないなんてそんな答弁じゃだめですな。もうちょっとしっかりやってください。
 それから、時間もありませんので、あとこの法律が延長されたら各省庁とも今後十年間に法の目的を達成するためにかなり真剣に努力してもらいたいというふうに思いますので、二、三の問題について質問しますので、簡潔に答弁してください。
 まず、農水省に伺いますけれども、この法律が農林水産委員会に付託された、この意味を官房長、よくかみしめて考えなきゃいけないですね。ですから農林水産委員会に付託されたことは農水省もありがたく思って、農水省の所管というものについて今までもやっちゃおるけれども、さらに積極的に取り組んでいく、その決意と所信をひとつ述べてください。
#17
○政府委員(田中宏尚君) 山村の居住者の大半は農家、林家でございまして、法律の所管省はたまたま国土庁でございますけれども、この法律を我が身と思って従来から山村の振興に積極的に取り組んできているわけでございますけれども、せっかくの議員提案で本法が延長されることを契機といたしまして、従来以上に山村地域の農業なり林業の振興、それから地場産業を活用しての就業機会の造成でございますとか、あるいは環境整備、それからさらには山村と都市との結びつき、そういうものについて積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
#18
○村沢牧君 次は、山村における高齢化が急速に進んでまいりまして、全国平均よりも約二十年も先行しておる。こうしたことによって、雇用機会が不足をして所得格差が拡大しつつあるわけなんです。そこで、高齢化対策と山村労働力の確保についてどう考えるか。これはひとつ国土庁から述べてください。
#19
○政府委員(田中暁君) 御指摘のとおり、山村におきます高齢化の進行は、我が国の平均をはるかに上回る速度で進行しておりまして、五十五年の国調べースで全国の九・一に対して一四・二まで達しております。いわば十五年ないし二十年は高齢化がより速く進行していると言うことができるわけでございます。我々といたしましても、今後の山村振興対策の一つは高齢者対策であるというように認識をいたしておりまして、それと同時に定住条件の整備を図りまして、よい職場をできるだけ造成し生活環境も整えるということによりまして、若者が住みつくような魅力のある山村を形成してまいらなきゃならないという決意を新たにしているところでございます。
#20
○村沢牧君 決意だけでなくて、具体的にひとつその対策を講じていくように強く要請しておきましょう。
 次に、厚生省に聞くけれども、人命にかかわる問題として医療機関の不足が山村においては従来から指摘をされてまいりました。振興山村の医師の数は若干の改善が見られておりますけれども、しかし、病院だとか診療所の数は、御承知のとおり四十五年で比べてみると三・八%も減少になっております。
 そこで、山村における救急体制の強化を含めて病院及び診療所、こういう不足の対策に対して厚生省はどのように取り組んでおり、今後さらにこの法の延長とも絡めて取り組んでいこうとされるのか、そのことが第一点。
 もう一点は、振興山村における水道の普及率、これは簡易水道を含めて若干よくなってきておるところでありますが、しかし、依然として井戸水だとか、あるいは流水、湧水、こういうものに依存している戸数が三割近くも統計によるとなっているわけです。こうした水道に対して、厚生省としては今後どういう取り組みをされていこうとするんですか。
#21
○説明員(谷修一君) 医療の面につきまして最初にお答えをさしていただきます。
 山村あるいは僻地等に対します医療につきましては、従来から僻地医療対策ということの中で救急医療も含めましてやっておりますが、従来から年次計画に基づきまして僻地におきます中核病院、それから僻地診療所の整備あるいは僻地巡回診療の実施等を行ってきております。
 また、医師の確保につきましても、僻地中核病院からの診療所への医師の派遣、また将来僻地に勤務しようとする医学生に対します修学資金の貸与、また僻地勤務医師の紹介、あっせん等の事業をやってきているわけでございますが、今後ともこれらの施策、僻地医療対策の充実強化ということに努めてまいりたいと考えております。
#22
○説明員(森下忠幸君) 水道関係について御説明申し上げます。
 全国レベルでは水道の普及率は九二・六%ということでございますが、町では八二・八、村の部では七五・八と、先生仰せのとおり大変低くなっております。大変整備の難しい地域が残っているということでございますので、従来から簡易水道を中心に、そういう地域の普及には努めてまいったわけでございますが、今後とも補助事業を優先的に採択する等、山村地域につきましてもさらに水道の普及を図ってまいりたいと思っております。
 特にここで申し上げておきますのは、簡易水道よりも小さな規模の、つまり百一人以上五千人までを簡易水道と申しておりますけれども、それより小さな五十人から百人の規模の施設も飲料水供給施設ということで国庫補助の対象としておりますので、私どもこういったものをさらに充実させていきたい、このように考えております。
#23
○村沢牧君 次は建設省に質問しますが、何といっても山村の産業振興の根幹をなすのは道路整備だというふうに私は思うんでありますけれども、この道路整備を見ても、例えば国道にしても、あるいは主要地方道にしても、都道府県道あるいは市町村道、全国水準と比べて山村地域は整備率が悪いわけなんです。したがって、せっかくこういう法律もあるし、建設省は建設省としての整備方針もあるんですから、法律がこのように延長されるんですから、もっと山村地域における道路整備、例えば国の道路財源も、あるいはその他の建設省の予算も少ないとしても、もう傾斜配分をすべきだ、そういう時期になっているというふうに思いますが、どうなんですか。
#24
○説明員(吉越治雄君) 先生御指摘のとおり、山村におきます道路の整備の状況でございますけれども、五十九年度のこれは推定値でございますが、市町村道におきましては改良率が二六・六%、それから全国平均では三二%ということで、やはり若干整備率は下回っております。
 これに対しまして建設省といたしましては、市町村道事業における振興山村にかかわる千百九十八市町村ございますけれども、全国では三千二百五十五市町村ございまして、約三分の一がこの山村振興でございますが、これにかかわる投資としまして昭和五十九年度は四五・二%の投資をしておるところでございます。かなり力を入れているというふうに思っているところでございます。これからも、これらの地域の道路整備につきましては前向きに取り組んでまいりたいというふうに思います。
 以上でございます。
#25
○村沢牧君 国土庁長官、今私は、時間がありませんから、山村における重要だと思われる問題について二、三の点を指摘をして各省庁の意見を聞いたんですけれども、その中で、今まで取り組んでおることは承知をしておるんですが、せっかく法律が延長されるんですから、これを機会に、国土庁は山村振興法を所管している省庁でありますから、各省庁を督励して、山村における、今私が申し上げましたような事業が促進をするように、ひとつさらに前向きな態度と方針を出してもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
#26
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 提案者及び我々共通の考えを持っておりまして、本法案が成立の上は、特に山村の特徴といたします地域格差といいますか、国土庁としましては四全総にも大きな関係があることでございますので、十分配慮して万全を期していきたいと考えております。
#27
○村沢牧君 時間が余りありませんのでぼつぼつ締めていきたいと思います。
 国土庁長官に聞くけれども、政府は行革関連法案として国の補助金等の整理合理化のための臨時特例法案を今国会に提出しているわけでありますが、山村振興法は、今提出をされているこの特例法の中には含まれておりませんね。
#28
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 今回の延長法案の成立によりまして、山村振興法が六十年度以降も存続することに相なりました場合は、御指摘の行革関連特例法との関連につきまして、他の補助制度との均衡、現下の厳しい財政事情等に配慮しつつ、……
#29
○村沢牧君 そんなことを聞いているんじゃないですよ。含まれているかどうか聞いているんだよ。そんなこと質問していないじゃないか。
#30
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 適切な取り扱いがなされるものと考えております。
#31
○村沢牧君 今の法律の中に含まれているかどうかと聞いているんだよ。そんなことは聞いていないんだよ。
#32
○政府委員(田中暁君) 今度の一括法案の中で、いわゆる行革特例法、六分の一カットの規定がございますが、これにつきましては、その一括法の十一条によりまして別表を改正いたしまして削除いたしております。ただこれは、今も大臣が若干触れられたわけでございますが、現行の山村振興法が六十年三月三十一日限りで失効するということを前提に置いてそのような規定になっております。
 以上でございます。
#33
○村沢牧君 そんなことは聞いていないじゃないか。私が質問もしていないことをどんどん勝手に答弁して失礼じゃないか、こんなことは。
 私は、この行革特例法案に入っているのか入っていないのかと聞いたんです。入っていないんでしょう。入っていないから、この法律が延長されたとしたって行革法案の対象にはならない。もし対象にするんだったら、政府が改めて行革法案を出し直さなきゃいかぬ。ですから、ちまたに聞くと、何か修正して他の法律と並べてくれというようなことを頼んでいるみたいな話は、とんでもない話だね。だって、延長したら入っていないんだから、山村をよくするためには入っていないのはよかった、六分の一も十分の一もカットされぬでよかったと喜んだのは皆さんじゃないですか。そのことは強く要請しておきますからぬ。私が要請しないうちに、勝手にそっちで弁解みたいなものをしたってだめですよ。だから、最初に答弁したことは、そんなものは聞いていないからね。いいですか。
 そういうことですから、私はそのことを国土庁長官にも強く要請しておく。せっかく提案者もお見えになっていますから、これは行革カットの法律には入っていないんだから、せっかく法律を提案者が努力して延長したら、無理してまた入れるなんて、そんなことはしなくたっていいですよね。だから、提案者としては行革カットの法律からこれは外していくと、政治家ですから。そういう態度でもって今後臨んでいただきますようにお願いしまして、私の時間が参りましたから終わります。
#34
○高木正明君 山村振興をめぐる基本的事項に関して、私は幾つかの点について政府の見解をお伺いをしておきたいと思います。
 まず最初に国土庁にお伺いしますが、山村の役割についてであります。
 山村は古くから木材あるいは食料、燃料や水などの供給をするとともに、国土の保全や、あるいは水資源の涵養、さらにまた自然環境の保全、形成などの機能を発揮してまいりましたし、それを通して国民生活に大きな役割を果たしてきておることは御承知のとおりであります。特に山村の役割は今後ますます重要になるものと思われますので、現在、政府部内で策定作業中と私は伺っておりますが、いわゆる四全総において山村、林業等の役割についてどのような位置づけをするつもりなのか、国土庁の考え方をお伺いいたしたいと思います。
#35
○政府委員(小谷善四郎君) 森林なり山村が幅広いいろいろな意味で大きな役割を果たしているということは、今、先生が御指摘になったとおりでございます。一方、最近の山村の地域を見てみますと、あるいは林業の現状というものを見てみますと、山村におきましてはなお過疎化が進んでおりますし、また都市地域に先駆けて高齢化が進んでおりますし、さらにはまた、林業をめぐる状況は非常に厳しいというようなことで、さまざまな困難な問題を抱えるに至っていると私ども理解しております。
 したがいまして、四全総の策定に当たりましてはこれらの点も十分踏まえまして、長期的観点に立って活力ある山村地域の形成といったことを目指すことが必要でありますし、また森林、林業の適正な管理経営のあり方についても十分検討を進める必要があるのではないか、そのような観点を総合的に検討いたしまして、山村あるいは森林、林業の位置づけを四全総の中で適切に進めてまいりたい、このように考えております。
#36
○高木正明君 次に農林水産省にお伺いをいたしますが、山村の振興を図っていく上での問題についてであります。
 健全で活力ある山村地域の実現のためには、産業の振興が不可欠であることは言うまでもありません。山村の基幹産業である農林業の振興について、現在話題になっておる木材関税問題への対処も含めて、所管官庁の考え方についてなるべく具体的にお伺いをいたしたいと思います。
#37
○政府委員(井上喜一君) お答えいたします。
 農林水産省といたしましては、山村振興法制定以来、これまで山村につきましては特別の対策事業を行ってきております。現在におきましても、農林漁業の振興対策に加えまして就業機会の確保あるいは高齢者の生きがい対策、生活環境の整備、こういったものを含めました第三期の山村振興農林業対策事業を実施していることは御案内のとおりでございます。
 また、こういう山村の特別事業のほかに、私どもといたしましては、山村地域におきます土地改良事業、圃場整備でありますとか農道の整備等でございますけれども、この採択基準を緩和をいたしましたり、あるいは補助率につきまして一般の補助率よりさらに優遇するというようなことを行って、積極的な事業の推進を図っているわけでございますが、また非公共事業におきましても、農業構造改善事業等をきめ細かく実施をしているところでございます。
 来年度予算におきましても、非常に財政状況が厳しい昨今でございますけれども、この山村振興対策につきましては、わずかでございますけれども、一〇一・二%という前年を上回る予算を計上しているところでございます。予算額は百四十三億円余でございます。こういうこともやっておりますし、また団体営の農用地造成につきましては採択基準の緩和をいたしまして、一般の基準十ヘクタールを五ヘクタールというところにまで緩和をしてきているようなことをやっております。
 さらに、山村の現状に活力を与える、こういう意味から、昭和六十年度から農山村ふるさと情報提供事業というのを発足させることといたしております。これは農山村のふるさと情報センターというものを設置をいたしまして、農山村の生活、文化あるいは特産物、観光資源等に関する情報を都市住民に提供していくと、こういう事業でございます。こういう事業を通しまして農山村に活力を与えていきたいと、こういうことを考えているわけでございまして、今後とも以上申し上げました事業を中心にいたしまして山村地域の振興を図ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#38
○政府委員(田中恒寿君) 林業振興につきまして、木材製品の関税も関連させましてお答え申し上げます。
 木材製品関係の関税問題についてでございますが、御案内のことでございますが、我が国の林産業がかつてない長期の深刻な不況下にございます。これがいまだ全く回復の兆しも見られておらないというようなことから、これが我が国の森林、林業に大変深刻な影響を及ぼしておる、ひいては山林の公益的機能にまで影響を及ぼすのではないかという憂いすら言われておるような状態でございます。
 このような状況下にございますので、木材製品の対外問題につきましては、関係国との友好関係にも留意しつつ、我が国林業を生かすという観点に立ちまして、森林、林業の健全な発展との調和を図って対応することが基本的に重要であると考えております。したがいまして、関税引き下げにつきましては極めて困難であると考えておりまして、慎重に対処してまいる所存でございます。
 このような状況に置かれておる林業でございますけれども、言うまでもなく山村地域におきましては林業が地域経済の重要な柱になっておるということは十分認識をしておるところでございまして、この振興は極めて重要な課題である。しかるにと申しますか、この林業経営の現状がかつてない厳しい状態にございますので、このような状況を脱却して、今二十一世紀には国産材時代を招来させなければならない、国産材時代たらしめなければならないということを我々考えておるわけでございますが、そのための施策を、山村地域の活性化を軸としてやはり展開してまいりたい。
 具体的に申し上げますと、地域活性化のための造林林道等の生産基盤の整備でありますとか、特に川上に当たります山村におきましての国産材主産地形成、林業担い手の確保、それから特に目下の重要事案でございます間伐につきましては、これを集団的に実行し最終的な販路市場へ持っていけるところの集団間伐の実施、さらには、これはやはり特用林産等の振興も極めて重視をしておるところでございますが、川上を担う川上の林産業の体制整備などにつきましても各般の施策を積極的に推進しまして、林業振興、すなわち山村の振興に努めてまいりたいというふうに考えるところでございます。
#39
○高木正明君 次に建設省にお伺いをいたしますが、林業振興と関連の深い問題についてであります。
 林業振興のためには木材需要の拡大を図ることが重要な問題でありますが、この点について、木造建築物を建てにくい大きな原因として建築基準法の規制を挙げる意見が数多くあることは御承知のとおりでありますが、建設省も、この際、木のよさを正当に評価して、それを生かせるように建築基準法の規制を緩和する必要があると私は考えます。
 さらに、建設省は木材需要の大半を占める住宅建築物の所管省でもありますし、また重要な公共事業の所管省でもありますので、木材の需要拡大を進める上で特に大きな役割を果たすことが期待されておりますが、以上の点について建設省の今後の対応の考え方をお伺いいたしておきたいと思いますし、最後にもう一点、これは国土庁長官にお尋ねをしたいと思いますが、今後の山村振興対策の推進に当たって長官としての決意のほどをお伺いをいたして、終わりたいと思います。
#40
○説明員(立石真君) 初めに建築基準法関係につきまして御答弁いたします。
 建築基準法におきましては建築物につきまして、防火上あるいは安全上の観点からどこに建築物が建てられるか、あるいは建築物の規模とか使われる用途がどういうものであるかということに応じまして建築物の構造であるとか、あるいは設備等について守らなければならない基準を定めているわけでございます。例えば木造建築物につきましては、大規模な建築物であるとか、あるいはまた三階以上の階を百貨店、劇場、旅館等の特殊な用途に供する建築物であるとか、また密集市街地の防火地域内の建築物であるとか、そういうものにつきましては規制をしているところでございます。
 これらの規制につきまして一般的に緩和をするということはなかなか多くの問題があるわけでございますが、技術開発等が行われまして防火上、安全上の性能が向上したそういう技術につきましては一部の規制を緩和しているわけでございまして、例えば大断面の集成材を用いた体育館等についてはその高さ制限を緩和するとか、そういうような措置を講じてきているところでございます。
 今後とも、建築基準法の運用に当たりましては、このような方向において適切に対処してまいりたいと考えている次第でございます。
#41
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 山村振興につきましては、山村振興法が制定されまして以来、山村の産業基盤や生活環境の整備のために各般にわたる振興対策が実施されまして着実に成果が上がっておるところでございますから、山村地域の見直しといいますか、さらに山村地域は国土の保全、水資源の涵養等、国民生活の全般にわたって極めて重要な役割を担っております。
 今後とも、こうした役割を高度に発揮させるために、引き続き山村振興対策を積極的に遂行する必要があるというふうに考えておりまして、今回の改正法の趣旨を十分に体して、関係省庁とよく連絡を保って、適切に積極的に対処してまいりたいと考えております。
#42
○藤原房雄君 山村振興法の一部を改正する法律案、このたびはこの三月三十一日の期限をまた十年延長するということと、さらにまた一項を加えたということで、私どももそれなりに、それなりにといいますか、現時点におきます山村振興のためには必要欠くべからざることであったと思います。それなりに、提案者を初めといたしまして関係の皆様方に心から敬意を表するものでありますが、またこの法律案に対しましては賛意を表するものでございます。
 しかしながら、今日までの山村振興というものがどういうようにこの法律のもとに遂行されてきたかということになり、また現時点では山村振興地域というのはどういう現状にあるかということを考えますと、もっともっと各般にわたって力を入れてもらいたいというのが私どもの偽らざる心境であります。
 提案者にせっかくきょうおいでいただきまして、また提案理由の説明もございまして、これらの言葉の中に尽きるとは思うんでありますけれども、総合的な施策が必要なんで、一つ一つの問題をやっていますと大変時間がかかります。わずかの時間しかありませんからあれでございますけれども、まず提案者の頭の中にあって今後の山村振興のためにはこういうことはぜひ力強く推進しなきゃいかぬ、こういうことはという思いがあろうかと思います。一つ一つ述べるそういう時間もないかもしれませんが、最も頭の中にありますこととして二、三まず腹蔵なくお聞きをしておきたいものだと思うんです。
#43
○衆議院議員(玉沢徳一郎君) 山村の果たす役割は、まさに国民に、国家にとりましては極めて公的な役割を果たしておる。しかしながら、その地域の現状というものは、果たしている役割に反比例しまして非常に厳しい困難な状況に置かれておるわけでございます。したがいまして、あくまでも公的な役割というものに政治としましては温かい配慮を加えていくということが大事であると思うわけでございますが、特にこの法律案の中にありますように道路交通網の充実、これがまず生活環境の充実を図っていく上において極めて大事であると思います。
 また、山村の大半を占める地域は山林の地帯でございます。山林におきましては、林業及び林業関連の事業におきましては非常に今厳しい状況に置かれておることは先ほど来の話にあるとおりでございますが、しかしながら、そういう一次産業の果たしておるという役割、これは国土保全という立場あるいはまた国民全体に対する環境の保全、こういうことを考えましたときに、何と申しましてもその山村の地域になりわいができる、こういう産業というものを育成をするための施策というものを充実をしなければならないのではないか、またその他社会的ないろいろな施策もあると思うわけでございますが、この山村の地域に人々が十分暮らしていけて生活ができて、そして公的な役割を十分果たしていくことができるような施策を充実すべきではないか、このように考えておるわけでございます。
#44
○藤原房雄君 私も今、提案者からお話がございましたことについてはまことに同感でありますし、詳しいことを言うといろいろなことがあるかもしれませんが、やはり道路網の整備、また一次産業の振興ということが最も急務なことであり大事なことだろうと思います。先ほど同僚委員からもお話ございましたが、道路整備のことについては建設省いろいろ努力をしておるということですが、しかし、まだ都市部に比べましても低い現状であることは否めない事実であります。これは早速力を入れていただきたい。
 それと同時に、振興山村のおよそ九割ほどは豪雪地帯で、三割、三分の一ぐらいが特別豪雪地帯、こういうことでございまして、これは提案者もお住まいのところで十分に御存じだと思うんでありますが、道路をつくりましても、冬期間これが使えないということであるならばないも等しいわけでございまして、冬期間の除雪対策というのも、これまた振興山村にとりましては非常に重要な問題であります。しかし、これは積寒道路とか指定道路、こういうところにつきましては建設省の指定がありますとそれなりの対策が講じられ、また雪害に対しましてはそれなりの積雪については法的な裏づけもあるんですが、しかし町村道に参りますと、これはなかなか財政力の弱い町村としましては非常に困難をきわめているのが現状です。車社会でありますから、昔は半年は雪の中にいたのだなんというそんな話をしたってもう通じません。我が庭から町に出るための道路という、これは偽らざる農村、山村にお住まいの方々の気持ちであり、現在はそういう時代になっておる。そういうことから、除雪対策に対しまして十分な対策をすべきである。
 これは過日、予算委員会でも私はお話を申し上げたのでありますけれども、これは本当に雪の中に住んだことのある人でないとわからぬ、提案者は十分に御理解いただけると思うんでありますが。こういうことで現在の法律はありますけれども、それではちょっと時代をさかのぼる時代の考え方でありまして、現在これほどの車社会の中において、そして除雪される道路ができる、これがどれほどその地域の発展に寄与するかということについては、建設省また国土庁各省庁の方々は十分に御存じだと思います。この積雪寒冷特別豪雪地帯が三分の一、豪雪地帯が九割近くある振興山村につきましての冬期間のこの除雪対策につきましては特段の配慮がなければ、どんなにうまいことを並べ立てたって、また道路をつくりますと言っても、冬は何もできないということではいかぬ。財政力の弱い地方自治体、こういうことを考えますと、この対策については是が非でも過分の力を注ぐような施策が必要である、私はこう思うんですが、建設省と国土庁にお伺いしておきます。
#45
○政府委員(田中暁君) 先生御指摘のとおり、山村とそれから豪雪地帯のダブりと申しますか、それは非常に大きいわけでございます。山村の非常に大きい部分が豪雪地帯であるわけでございます。山村振興という見地に立ちましても、基幹的道路網の整備というのは大変重要なことでございまして、五十年改正の最も重要な眼目であったわけでございますが、豪雪地帯においても同じように道路網の整備が豪雪対策として最も肝要でございます。似たような代行道路の制度が豪雪地帯対策としても取り上げられている、こういうことでございます。
 さらに、御指摘のように、ただつくっただけでは道路としての効用を全うできないわけでございますので、その管理対策、特に冬期間における除雪対策というものは非常に大事でございまして、これにつきましては国道あるいは都道府県道につきましては、積寒道路に該当しますれば除雪費の補助制度がございます。市町村道につきましては、一般的には交付税をもって対応するという制度になっておるわけでございますが、昨年の冬あるいは今度の冬のように異常な豪雪時におきましては、特例補助等の措置を講じましてそれ相応の対応をしているわけでございます。今後ともそういった豪雪地帯、山村地域における道路網整備維持の重要性を体しまして努力してまいりたいと思います。
#46
○藤原房雄君 これは積寒道路の指定、それから交付税で処置したということについては私どもも十分に聞いておりますが、特別豪雪地帯、豪雪地帯については、雪というのはその年その年に多いとき少ないときあるのは当然のことでありますけれども、基幹道路はどうしてもこれはしなきゃならないのは当然でありますけれども、最近こんなに車が重要な役割を果たす時代になりますと、今までの基幹道路と言っていたその道路だけではなくて、もっと枝線も除雪しなきゃならない時代に変わりつつある、大きく変わっておるのだというその点の認識をしっかり持っていただきませんと、制度がございます、そんなことは知っています、それはそれなりの対応をしておりますと、それは当然ですが、現地へ参りますと、もうそういう考えられた時代からさらにまた進んでおるという現状を十分に認識いただきたい。これは大臣ひとつ、道路をつくりましても冬使えないなんというのじゃだめなんで、それからまた枝線、先の方についての十分な施策を、今後ひとつ強力にその点については配慮してもらいたい、どうですか。
#47
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 御指摘のとおり、山村振興に基づく施策だけではなく、林業など産業の振興、また教育、医療の充実など各施策も重要であると考えておりますし、今後とも各省庁の協力を得まして、総合的な対策について最善の努力を払うつもりでございます。
#48
○藤原房雄君 それから、情報化社会という時代になりまして、医療の問題につきましても、またそのほか文化、いろんなことにつきましても、これからまた大きく山村におきましてもさま変わりするだろうと思います。
 先ほどお話も出ておりましたが、僻地医療ということについてはいろんな問題があるんですけれども、とうとい人命のために、この僻地の医療についてはこういう情報化社会の中でそれを最大限取り入れて、山村における医療体制というものについての充実、こういうものをしっかりと期してもらいたい、こう思うんです。
 あとはやはり山村振興、これは一次産業の振興というのは何といっても当面する課題であり、これも今までいろいろ議論ありましたからこれは重複を避けますけれども、先ほどのお話の中にも、若い者が定住する、そういう山村でなきゃならぬというのはこれはもう理の当然なんですが、どうすれば定住できるかというこの施策が大事なことになるだろうと思うんです。そのためには、父祖伝来、今日まで営々としてやってまいりました林業というものが非常に大きなウエートを占めることは間違いないだろうと思います。
 それから、最近きれいな空気、きれいな水、そういうことで先端産業を初めとしまして、これは見直されつつあるということも、現在そういう一つの時の流れみたいなものもあることも事実です、まあ大きな数ではないかもしれませんが。そういうものをひっくるめて、これから新しい時代に即応した一つのものをつくっていかなきゃならないと思うんですが、そういうこの根っこにあるものは、やはり都会の人たちとそれから山村にお住まいになる、山村の様相というものと人の触れ合い、都市の人たちに山村と大いに触れ合っていただく、知っていただく、こういう触れ合いの場をつくるということもこれは非常に大事なことだと思うんです。
 今日まで、山村振興というと、すぐコミュニティーとか体育館とか建物を建てるんです。建てるとその維持費が大変だという地元ではいろんなお話もありますが、建たないよりは建った方がいいに決まっていますけれども、そういうものをより多く、より活用するということも必要なことでありますし、そういう施設がどんどん建てられていると同時に、今までありました学校が廃校になるなんというような形のものもあり、そういういろんなこと等の中で、都会の方々との触れ合いの場をよりつくるということには、今日までの施設をつくったということや現状からしまして、そういうことでいろんな部会との提携をしまして交流が行われつつある、こういう形のものをもっと大きく輪を広げ、それを誘導策といいますか、そういうものを推進し、そして都会の方々に山村の重要性というものを認識してもらう、文字として活字としてじゃなくて体でそれを知ってもらう、こういう施策がこれからも非常に大事なことだろうと思うんです。ハードの面もいろいろあるかもしれませんが、ソフトといいますか、そういう知恵を働かして、そしてまた進めなきゃならないことが数多くあるだろうと私は思うんです。それも緒についたという感じですけれども、こういう問題をよりひとつ大いに振興さしていただきたい。
 最後に、ひとつ大臣、それらのことを含めまして一言お答えいただきまして、終わりたいと思います。
#49
○国務大臣(河本嘉久蔵君) 先生御指摘の、山村に対するハンディキャップの解消、非常に難しいことでございますが、先般も予算委員会で中曽根総理が、都市の人間を集団ごとに部落へ休暇を利用して移住さす、そういうことで都市と山村との人の触れ合いを重視するというようなことを言うておられましたが、全くそのとおりでございまして、そういうことに最大の努力を払わねばならぬということは十分認識しておりますが、要は、私は所得水準を何とかハンディキャップを少なくしていくということの努力が一番肝要ではないかというように考えております。今後とも、あらゆる面で先生の御趣旨を体して最大限の努力を図っていきたいと考えております。
#50
○山中郁子君 大変短い時間ですので、二つのことをお伺いして、要望もできればと思っております。
 一つは、提案者にお尋ねもし、また要望もしたいことですが、この問題の先ほどの村沢理事の御質問の中で議論になっていましたんですが、行革関連法案、そして補助金カット一括法案ですね、これとの関係ですが、私どもは今問題になっております補助金カット一括法についてとんでもない話であるという立場、強い立場で臨んでおりますけれども、いずれにしても、今回ここにかかっています法律が今年度で期限切れになるために、補助金カット一括法の中には含まれていないけれども、今回改正措置がとられれば、延長措置がとられればこの中に入ってくるというふうに考えておられないと思います。
 先ほども、そういう姿勢の御要望に対して受けておられたというふうに私は判断したんですけれども、まさに本法の目的の地域格差の是正は依然として大きな課題でありまして、そういう点でも提案者としていろいろな形での補助率引き下げ措置、具体的なこの問題との、法律との関連で言いますと、つまり補助金カット一括法との関係で言いますと、地域特定のかき上げ、補助率の引き下げ、さらには二分の一を超える補助率の一割カット、こうした問題が関連して出てくるわけなので、その点については提案者としてこうした補助率引き下げ措置はとらないし、またとらせないという、そういう基本的な態度で臨んでいただいているものと思っておりますが、お約束もお考えもいただきたい、これが一つでございます。
#51
○衆議院議員(玉沢徳一郎君) 先ほど来村沢先生からも同様趣旨のお話がありましたが、御意見として承っておきます。
#52
○山中郁子君 御意見として承っていただくのは当然なのでありますけれども、それが強い国民的な要望であるし、またこの本法の趣旨にも立つものであるということを改めて私は重ねて強調をしておきまして、提案者においてそうした政治姿勢を貫いていかれるものと期待もし、また重ねて要望もしておきたいと思います。
 もう一点は、国土庁にお伺いというよりもこれは要望なんでございますけれども、この計画の達成の問題で、私どもこの法律ができたときからいわゆる列島改造、企業開発型の列島改造について大きな批判を持って臨んできておりました。今振り返って、第一期から現在実施中の第三期までの実績を見ますと、やっぱり生活密着型重点の公共投資を進めて、そして生活基盤の整備を進めるということが今までの御議論の中にもいろいろありましたけれども、国民の要望でもあるし、国土庁自身が例えばアンケート調査をことし二月に実施されていますね。その中でも、働く場所や条件が整えば住みたいと思うというふうに答えていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるわけですね。そういう点で一期、二期、三期というふうに数字を比較してみますと、時間がないので一々具体的な数字は申し上げませんけれども、そちらでもよくおわかりだと思います。進捗率が大変三期は悪いんですね。そういう点で、やはりもっと生活密着型公共投資ということを一つの基盤にして、先ほど建物さえできればいいというものではないというお話もございました。もちろんそういう総合的な観点で山村振興に実りのある、中身のあるそういう対応を立てていくためにも第三期の計画を早急にやり遂げて、そして第四期計画へ向けて積極的に生活基盤の整備ということを進めていかれるべきであると考えておりますが、その点についての御見解というよりも御決意というか姿勢をお示しいただきたいと思っております。
#53
○政府委員(田中暁君) 御指摘のように、三期山村はまだいわば途中でございまして、六十年度も百カ所の計画策定をお願いしているというような段階にございますので、一期、二期に比べると進捗率は遅いということになっておるわけでございます。我々としては、御指摘のように、これを踏まえましてできるだけ早い期間に三期山村を全山村に行いまして計画を進めていきますとともに、それが済みますと、さらに新しい総合的な施策を立てるようにやっていきたいと考えておるところでございます。
#54
○委員長(北修二君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#55
○委員長(北修二君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 山村振興法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#56
○委員長(北修二君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#57
○委員長(北修二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 午後一時二十分まで休憩いたします。
   午前十一時二分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十九分開会
#58
○委員長(北修二君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#59
○村沢牧君 私は今の法案に入る前に、大臣に一言だけ要請しておきます。
 ということは、近く予算の委嘱審査があるわけですけれども、私も予算委員会、本会議でも質問し、大臣にいろいろ今まで要請をしているところでありますが、それは木材の関税引き下げに関する問題であります。ということは、総理が今まで衆議院で言ってきたこと、参議院で答弁をしたこと、そのことと最近の新聞発表による内容が違っている。大臣もいろいろなことを言っているけれども、どうも総理と大臣の間が合ってない。したがって、当委員会でもって委嘱審査をするまでにひとつ政府として統一した見解を示してもらいたい、そのことを最初に要請しておきます。
 それでは本題に入ります。
 大臣、この法律を改正をするに至った理由と背景について述べてください。
#60
○国務大臣(佐藤守良君) 村沢先生にお答えいたします。
 これは、先生御存じのことですが、現行の果振法というのは、非常に果実の需要の大幅な増大が見込まれる情勢のもとで、果実生産の安定的な拡大を図ることを目的として制定されたものでございますが、最近の果樹農業をめぐる情勢は非常に違ってきておりまして、果実需要が総じて減少ぎみで停滞傾向にあること、また少量多品目化、良質志向の傾向が強まっており、特に温州ミカンを初めとする多くの果実が生産過剰基調に陥っております。また、諸外国からの果実及び果実加工品の輸入拡大の要請が強まっております。
 こんなことで、今回の果振法改正案は、このような情勢の変化を踏まえて、現行制度につきまして、需要の動向に即した長期的な生産の誘導の強化と短期的な生産出荷の安定体制の整備等、生産と需給の安定を図るため所要の改善を行うものでございます。
#61
○村沢牧君 果樹振興法は昭和三十六年に制定された。同じ年に農業基本法が制定をされたわけであります。この農業基本法は、選択的拡大生産を目指して果樹をその有望作物として、その目的を達成するために果振法を制定し、果樹の拡大生産によって生産の安定と果樹農業の健全な発展を図ろうとした。こうした結果、果樹生産は拡大をしたけれども、今回はまたこの法律を改正して生産を調整する、そして需要の安定を図らなければならないような事態になったわけなんです。
 この二十年間の政府の対応は間違いはなかったのか。果樹農業を取り巻く環境が大変厳しくなったことと照らし合わして、今まで二十年間やったことが正しかったかどうか、そのことについて大臣の見解を聞きたい。
#62
○国務大臣(佐藤守良君) 現行の果振法につきましては、先ほどちょっと申し上げたようなことでございますが、果実需要の大幅な増大が見込まれるという情勢のもとで、果実生産の安定的な拡大を図ることを目的としてつくったものでございます。以来、基本方針等による需要の見通しにより果実生産の誘導に努めてきたところでありますが、このような農家に対して長期的な観点からの生産の目標を示してきたことはそれなりに有意義だったと思います。
 ただ、近年、果実の需要の動向は急速に変化しまして、特に大量消費果実である温州ミカンについて大幅な過剰が顕在したことに対しては、現行法の枠内で新植を禁止し、さらには計画的な改植及び単年度の需給安定措置を事実上の措置として講じてまいりましたが、今般、現行法の枠組みでは対処することができないと判断し、長期的な誘導の強化とともに、短期的な需給安定措置を法定化すること等により、早急に生産と需給の安定に努めることとした次第でございます。今後は、本制度の適切な運用により、万遺漏なきを期してまいりたいと考えております。
#63
○村沢牧君 果振法によって生産拡大をしてきた。しかし、今日まで放任をしておった政府の責任は重大だと思うが、そのことを論議していたんじゃまた時間がかかりますから、それは指摘にとどめておきましょう。
 そこで大臣、この改正案は、今日果樹を取り巻く環境に照らして、果樹農家や、あるいは関係団体の期待にこたえたものだという自信をお持ちですか。
 そこで、さらに私は、この法案の内容においてもう少し整備すべき課題があったんではないか、そのように思いますが、どうですか。
#64
○国務大臣(佐藤守良君) 今次改正について、結局輸入問題等を抜きにして果樹農業振興対策を考えるようになったんじゃないかと、こういう意味だと思いますが、それでよろしゅうございますでしょうか。質問の意味がちょっと……
#65
○村沢牧君 じゃ、もう一回やりましょう。
 この法律を出したんだけれども、これについて、今の果樹を取り巻く環境や果樹農家の、果樹団体の期待に報いた大臣として自信のある法律だと。私に言わせるならば、もう少し内容においてさらにつけ加えるべき課題があったんではないか、そのことを聞いているんです。
#66
○国務大臣(佐藤守良君) 今の点につきましては、実は先ほど言ったようなことでございまして、現状を理解し果樹農業の将来を展望しながら最大限の努力をいたしたと、こう考えております。
#67
○村沢牧君 まだ答弁になってない。
#68
○国務大臣(佐藤守良君) 今言ったようなことでございまして、いろんな点が若干あるかと思いますが、現在の私たちとすれば最大限の努力をいたしたと、こう考えております。
#69
○村沢牧君 この法律につけ加える課題があるということは、後ほどだんだん申し上げていきましょう。
 果樹対策について、法的に整備をする、あるいは行政の面でも何とかしなければならないという機運が急速に盛り上がってきたのが、昨年の日米農産物協議からなのであります。私は、昨年、山村前農相が日米農産物協議が終わって帰ったとき、八時半という異例なこの委員会を開いたときの際に山村農相に要請をしたところ、前大臣はこういう答弁をしている。私は、今回の日米農産物交渉に当たりましては総理大臣から全権委任を受けたわけでこざいますが、その際に申し上げましたことは、今後のいわゆる牛肉そしてかんきつ類に対する予算その他の措置というものは、これは破格なものにしてもらう、このことは総理とも約束ができております、こういう答弁をしているわけですね。したがって、予算その他の措置で破格なものにするということは、それにこたえなきゃいけない。したがって、この法律案も、日米農産物協議を終えて、その後のやっぱり対応を示さなきゃいけないわけですね。
 それから、大臣はこの法律案を提案する中において、諸外国からは果実及び果実加工品の輸入枠拡大の要請が強まっておりますと、こういうふうに述べている。昨日参考人聴取をやったけれども、いずれの参考人も、一生懸命国内ではやるけれども、もっとやっぱり政府として輸入対策をとってもらわなければ、我々の努力では手が及ばないと、こういうふうに言っているわけです。したがって、今日輸入問題を抜きにして果樹を論ずることはできない。輸入枠の拡大や自由化要求に対して政府がいかに対応するかということが、本改正案の基本方針でなければならないわけです。しかし、本法案はこのことについて何ら触れておらない。農水省はこの輸入問題に対して、この法律案をつくるのにどういう努力を払ったんですか。
#70
○国務大臣(佐藤守良君) 先生のおっしゃっている意味はよく理解できるんですが、国境調整措置をどうするかという問題でございますから、これは生産者団体等の重点要請となっているということはよく知っております。それで、今度の改正案につきましても主要検討課題としていろいろ検討をいたしたわけでございますが、我が国の国境調整措置については、現在最小限のものとして維持しております現行措置についても諸外国から強い市場開放要求がなされております。自由貿易の推進を旨としたガット体制のもとで、現状以上に国境調整措置を強化することは困難であると思っております。というようなことで、今回の改正案には織り込みがたいとの結論に達したわけでございます。
#71
○村沢牧君 局長に聞くけれども、果樹対策の研究会というのはどういう性格を持つものですか。
#72
○政府委員(関谷俊作君) これは、関係の方々の御参集によりまして、いわゆる農蚕園芸局長の私的諮問機関ということでありますが、大事な果樹対策の問題を、そういうことで私どもに対するいわば意見をお聞かせいただくという意味で設けられた研究会でございます。
#73
○村沢牧君 この研究会の検討結果を見ると、一部を除いては大体総体的にいいことが書かれてある。同じ農蚕園芸局長の諮問機関でも、昨年出された養蚕の研究会なんというものは全くなってない。私は非常にあれは不満だと思います。それにしても、局長がかわると大分変わったもんだということを私思っていますけれども、この研究会の報告に基づいて大臣が言われたように本改正案が検討されたということでありますけれども、この研究会の報告を法律の中に十分生かしていないんじゃないですか。
#74
○政府委員(関谷俊作君) お尋ねの研究会で、局長がかわるとということでございますが、蚕糸の研究会も私が局長のときに結論を出しておりますので、私どもとしては両研究会とも非常にいい結論を出していただいたのではないか、かように考えております。
 研究会のいわば御提案の中でいろいろな問題がございますが、大きなところはやはり国内の需給安定措置、需給の動向に即した生産の誘導なり需給安定措置、こういう関係、あるいは中核的果樹農家の育成、こういう関係でございまして、これについては今回御提案しました法案の中で、先ほど大臣もお答えしましたように最大限の努力をしまして一応の格好をつけたというふうに考えておりますが、輸入調整、そういう関係につきましては研究会の結論の要旨は、輸入割り当て制度等の現行国境調整措置は引き続きその維持に最大限の努力を払うとともに、果実、果実加工品の総合的な需給調整に万全を期すること、こういうことでございまして、こういう意味合いで法律的な検討をいたしたわけでございますが、先ほど大臣もお答え申し上げましたような結論になりまして、なかなか政府案の中に盛り込むことができない、こういうことで、このようなこの関係につきましては法律案の内容としては対応することができなかったと、こういうような結果になっているような次第でございます。
#75
○村沢牧君 この研究会の冒頭にはこういうことが書かれている。昨年の日米農産物協議の結果、「オレンジ、オレンジ果汁の輸入割当枠の拡大等が合意されたが、我が国果樹農家は、将来の農業経営に対し、強い不安感を抱いている。」、最初に書いていますね。何カ所もこういうことが書いてある。そして、今後の果樹対策の方向としては、「果実加工品の大幅な輸入増加は、我が国果樹農業に大きな影響を与えるものと考えられる。」、したがって、こういう「厳しい状況下にある我が国果樹農業の保護及び安定を図るため、引き続き輸入割当制度等の現行輸入調整措置の維持に最大限の努力を払うことが必要」である。これが中心なんですよ、この研究会は。しかし、法律案にはちっともそんなことは書いてないじゃないですか。研究会の検討の結果が生かされておらないじゃないですか。どうですか。
#76
○政府委員(関谷俊作君) 研究会での重要問題が、今御指摘の点にあったことは事実でございます。こういう意味で、最後に法律案ということになりますと法制的な検討になるわけでございますが、先ほどの大臣のお答えにもございましたが、一つはやはりガットという条約との整合性と申しますか、こういう点がございまして、輸入制限その他の法律的な措置を明確に法律に書くということにはなかなか支障があるわけでございます。
 一方、そういう明確な措置と別にしまして、例えば輸入について対応措置を講ずるというようなそういう規定ということでもどうであろうかという検討もいたしたわけでございますが、これはなかなかこう申し上げるとなんでございますけれども、輸入というようなことになりますと関係の省庁が私ども一省だけではない。こういうような事情等もございまして、なかなか法案提出時期までにこれらの意見をまとめるということが非常に難しいというような状況になりまして、こういうことであれば研究会のこの部分については直接おこたえすることができなかったわけでございますけれども、まずその出発点である国内の需給安定措置をしっかりやる、これについては現行制度の中でできるだけのことをやっていく、これをいわば国内体制を固める足がかりにすると、そういう意味でもこの法案を御提出する意味があるのではないか、こういうように判断をいたした次第でございます。
#77
○村沢牧君 大臣、日米協議は輸入枠を四年間にわたって順次拡大をしていく、それだけじゃなくて、今後輸入自由化の要求はますます強まってくるというふうに私は思うんです。また、果樹加工品の輸入とか、さらには関税の撤廃、引き下げ、こういう要求も強くなってくるというように思うんですけれども、こうした輸入外圧に対して大臣はどのように見ているのか、どのようにしていこうとする決意を持っているんですか。
#78
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えしますが、先生の御指摘のとおりでございます。
 特にアメリカは、我が国の輸入割り当て制度の全面的撤廃を要求しているわけでございます。この要求を取り下げているわけではございません。引き続き厳しい態度をとると、こう思っております。
 そんなことで、我が国の果樹農業は需要の減退と価格の低迷で極めて厳しい状況にあります。そんなことでございまして、アメリカに対しましてはこれまでも市場開放問題に臨んで、相手国に対し我が国の果樹農業の置かれている厳しい状況を説明し、その理解を得るよう最大限の努力を払っていきたいと、このように考えております。
#79
○村沢牧君 そのことは今まで政府も取り組んできたけれども、せっかく法律をつくるんですから、やっぱりそういう圧力が強いのです。これに対して、日本の農業はこういうことであるということを法律条項に盛り込まなければだめですよ。
 そこで、局長にさらに聞くけれども、ブラジルのオレンジ増産と我が国に対する影響についてはどういうふうに見ておりますか。
#80
○政府委員(関谷俊作君) ブラジルのオレンジの生産状況についてのお尋ねでございますが、これは率直に申しまして、これから少し将来もかけて考えますと、この国のオレンジ生産あるいはそのオレンジの加工品である果汁、こういうものの我が国等に与える影響につきましては相当関心を持ち、また注意を要すると、こういうようなふうに認識しております。
 この生産の動向は、近年いわゆる新植ブームというような状況がございまして、四年間で栽培面積が四十八万ヘクタールから六十五万ヘクタールに増加する、生産量も九百六十万トンと、こういうようなことになっているわけでございます。そういたしますと、大体今、若木が多いので、もう二、三年たちますとアメリカの生産を追い越しまして一千万トンを超える、こういうようなことが見込まれるわけでございます。
 また、その用途別の仕向け量を見ますと、過半が果汁に向けられています。サンパウロ州だけでも一九七七年まで濃縮果汁で二十万トンであったものが、一九八二年には五十万トン台にもなる勢いでございます。さらに、その果汁の仕向け先を見ますと、ほとんどが輸出に向けられているわけでこざいますが、アメリカ、ECが多うございまして、我が国の方で見ますと、我が国の輸入オレンジ果汁の過半がブラジル産果汁で占められています。こういうようなことでございまして、例えば最近の時点ではフロリダの寒波でアメリカが大量に買い付けるということで果汁価格が少し上がっておりますので、なかなかその関係では難しいわけでございますが、将来、価格も通常の水準に戻るというようなことも見込みますと、かなり日本のかんきつ果汁、ミカン果汁との競合が強まるということで見込んでおります。
 なお、生果につきましては、チチュウカイミバエの発生地域でございますので、植物検疫上、輸入を禁止しておりますので、この関係の影響はないと考えております。
#81
○村沢牧君 温州ミカンが晩かん類に転換した結果、晩かん類は昭和五十年と五十八年度を比較すると五割も伸びているんです。この晩かん類はさらに四、五年先に大きく伸びてくる、本格化してくるのですね。ちょうどこのころは、日米協議によるオレンジの輸入が最高の水準になるというんです。まさに輸入が、まともにこの晩かん類とかち合うことになるんです。政府が補助金を出して温州ミカンを他の作物に転換をする。そして晩かんに誘導したその作物が、また政府の輸入を拡大した措置によって大変苦しくなってくる、成り立たなくなる。大臣、これをどういうふうに思いますか。
#82
○政府委員(関谷俊作君) ちょっと状況を御説明申し上げますが、中晩かん、御承知のように価格が堅調であった、あるいは温州ミカンから転換する場合に高接ぎが可能である、いろいろ栽培面でも取り組みやすい、こんな状況から非常に栽培面積が増加しまして、五十九年度現在で五万百ヘクタール、生産量七十万トン台でございますが、未成園の成園化を見込みますと、やはり数年後にはこの生産量が九十万トン台、こういうふうになるのではないかと考えられております。
 ただ、新植につきましては、今のところ五十五年度から中晩かん瀬の植栽は温州ミカン園からの転換によるものに限りましたし、五十九年度からその中でも伊予カン、ナツミカン、ハッサク等については転換先から除くというようなことをやりましたので、植栽ペースは落ちついております。そういう意味で、大体植栽は横ばい状態になっておるわけでございます。
 なお、オレンジ輸入の影響でございますが、これは枠の拡大がされてまいりまして、いわば最終年度であります六十二年、このあたりになりますとかなりふえてまいるわけでございますが、大ざっぱに見ましてこの六十二年の時点で入ってくるオレンジの数量、主要出回り期でございます二月から五月の間のオレンジの数量と、それからその時期の中晩かん類の出回り量と対比しますと、大体輸入オレンジの方が中晩かんの出回り量に対しまして六%ぐらいであるという計算がされまして、このことだけから見ますと、数量的な影響は決定的なものではないというふうに考えられるわけでございますが、御指摘のような情勢がございますので、私ども晩かん類の中でもいろいろ多様化、品質向上を図っていくとか、果樹緊急特別対策事業によりまして果汁その他新製品、こういう加工品の面で対応していく、こういうこととか、加工原料用果実価格安定対策事業の充実、これらの措置を十分講じまして、御指摘のございましたような中晩かん類の面で、また今度問題が出てくるというようなことをできるだけ避けますように、今後とも努力してまいりたいと考えております。
#83
○村沢牧君 いずれにしても、輸入問題は日米協議で終わったのじゃないんです。アメリカはさらに自由化を目指して、大きな要求を日本に持ってきております。ブラジルの情勢については、今局長のお話のとおり、さらに転換をした晩かん類との競合も出てくる、こういう中で大臣、果樹農家の不安は、国内でいかに努力しても、政府が輸入農産物に対する調整措置を講じてくれなければ日本の果樹の需給安定、果樹農業の健全な経営は成り立たない、こういうことなんです。そのことは大臣もわかっている。しかし、中曽根内閣の今の政治姿勢や現実の国際状況の中では、大臣が法律案に盛り込むことができない、そういうことも率直に今話があったところだ。そうだとするならば、国会は国会として決意をしなければなりませんから、そのことは大臣によく申し上げておきますから、よく腹へ入れてください。
 さて、それで次の問題に移りますけれども、日本の農産物の多くは何らかの形で価格の保証がされておるわけですけれども、果樹については価格保証が何らない、こういうまた不満が昨日の参考人からも多くの意見が出されました。これについてはどういうふうに考えますか。
#84
○政府委員(関谷俊作君) 価格の直接的な保証ということになりますと、なかなか果実全体、いわゆる生果につきましては非常に生鮮度が高い、こういうようなことやら、いわゆる表裏の年による生産変動が激しいとか、いろいろなかなか価格保証制度としては難しい、こういうようなことがございます。したがいまして、現在では、この加工原料用果実については御承知のような価格安定対策ということで、一定の価格が低落しましたときには補てんをする、こういうことを主要な加工原料用の果実については仕組んでおるわけでございますが、果実全体を含めて価格水準を決めたものを保証する、こういうような仕事は非常に仕組みにくいわけでございますので、いわばその生産出荷の前段階に当たります段階でいろいろ需給調整をやっていく、あるいは生産対策、生産の合理化を図っていく、こういうことで生産出荷の安定を図ろうということになるわけでございまして、今回の法案にもそういう関係をより一属強化するような措置を盛り込んでいる次第でございます。
#85
○村沢牧君 農政審の答申でも今後の農政のあり方で、価格政策に重点を置くのではなくて構造政策に重点を置きなさい、こういう方針が出されまして、今農水省の政策はそういう方に向かっているというふうに思いますが、果樹の価格保証問題については現時点はもちろん、将来にわたっても農水省としては考えていくということができない、そういう気持ちなんですか、どうなんですか。
#86
○政府委員(関谷俊作君) いわゆる価格政策、価格安定対策ということで従来から入っておりますような売買あるいは価格差補てん、こういうようなスタイルの事業になりますと、今申し上げましたような意味で生果実については非常に変動が大きゅうございますし仕事として仕組みにくいので、これはなかなか将来とも難しかろう。ただ、加工原料用果実については、ただいまも申し上げましたように、できるだけ現在の価格補てんシステムを充実して、これによって対応してまいりたいという考え方でございます。
#87
○村沢牧君 政府が法律をつくって生産調整をしていく、そして需給の安定を図っていくということですから、大臣、果樹の価格保証は難しくてできないなんということじゃなくて、もう少し本当にどうすればいいのかということを勉強しませんか。勉強させませんか。どうですか。
#88
○国務大臣(佐藤守良君) 私も実は広島県の尾道の向島というところで小さいころからかんきつになじんで育ったわけですが、見ておりまして、やっぱり経営規模の拡大というのは非常に大切だと思うんです。大体私のところで一ヘクタール、二ヘクタールぐらいだと思いますが、五ヘクタールやっている人は少ないです。しかもこれは基本的にもう一つ、ミカン産地というのは、昔お米のできなかったところにミカンをつくったわけです。したがって南側の傾斜地なんです。立地条件の悪いところなんです。そういうところでどうして採算を合わせるかという問題が一つあるんです。
 したがって、私はやはり経営規模を拡大する、そういう形の中に出荷調整をどうするかという問題があります。実は価格がいいと全部出荷するわけです。そうすると出荷の価格が下がる。これが各県の苦労している姿だ。そういう形の中に、貯蔵をどうするかという問題があるかと思います。したがって、私は今試験場等にお願いをしておるのは、例えば生果でございまして、そうもちがよくございません。したがって二週間、三週間短期に出す。それを、もしでき得れば一年じゅう貯蔵して、しかも同じような味で出したらどうだろうか。そうすると、価格は全部安定すると思うんです。そんなことも含めて検討する必要がある、こう思っております。
#89
○村沢牧君 そんな勉強をしろと言ったんじゃなくて、もう少し価格保証が果樹にできないのかという勉強を農水省もしてくださいということなんですよ。そんな勉強は現場の方がよくやっていますよ。
 そこで大臣、この法律案の中にもありますけれども、今大臣が言われたように経営規模を拡大しろと。なるほどこの法律案の中には中核農家を育成していくんだと、これも大事でしょう。しかし、日本の果樹農家の現状を見ると、〇・三ヘクタール未満の農家が六〇%あるんですよ。この小規模の果樹農家というのを一体どういうふうに考えるんですか。それをやめちゃって、みんな大経営へ全部移してしまえという何かうまい方法でもとるんですか、農水省。
#90
○政府委員(関谷俊作君) これは今回の改正案との関連で申し上げますと、果樹園経営計画、これは従来認定期限が切れているものを今回いわば新たに活用するということで考えているわけでございますが、そういう果樹園経営計画に基づくいわば中核農家の育成の考え方としまして、これはもちろん農林公庫法の総合施設資金でございますので、自立経営農家あるいは今回法律改正によりまして、これを目標としていわば自立経営の一歩手前のところまで近づいていくというような農家まで含めるわけでございますが、その場合に、いわゆるスタート時点で現在の規模が小さいからそういう対象から除外するというようなことは考えておりませんで、現在が小規模であっても非常に経営の改善に意欲的である、そういう意味で一定の規模拡大なり所得増加なり、そういうものを目指す農家についてはこの制度の対象としていく、こういうことを考えているわけでございます。
 なお、その小規模なままとどまるというような状態の農家、これは現実に現在の園地の構成なり何なりから見ますとそういう農家もかなりおられることは事実でございますが、この場合には、従来からも実施しておりますが、農業近代化資金の活用、そういうようなこととか、あるいはその地域単位に一定の産地体制を整備し、あるいは集団的に基盤整備なり共同防除、こういうような一種の共同出荷とか共同的な作業を通じまして団地化をしていく、こういうようなことによりまして小規模な農家も含めて一定の産地として力をつけていく、こういうような考え方で進んではいかがかと考えているわけでございます。
#91
○村沢牧君 そういう考え方だとするならば、本法の運用については十分配慮しなければいけないと思いますね。このままではそういう形にならないというふうに思います。
 そこで、例えば経営規模拡大、農地の流動化、農地三法ができて取り組んでいるところでありますが、農水省は経営規模を拡大しなさいと号令はかけるけれども、号令だけじゃうまくいかないんですよ。経営規模が拡大できるような、あるいは兼業農家が、小規模農家が農地を放しても生活ができるような対策を講じなければだめだ。そうしなくてあなたたちが号令だけかけたってだめなんですよ。だからそういうことを、それはきょうの主たる論議じゃありませんけれども、要請しておきましょう。
 それから、この法律に基づいて基本方針の対象とする果樹が現在十二種類ある。これ以外の果樹までこの基本方針の対象にならない。したがって、果振法そのものにも対象にならない。今まで対象果樹の移り変わりを見てみるとだんだんふやしてきたんですが、今後はどうしますか。
#92
○政府委員(関谷俊作君) 果振法の対象果樹は十二種現在ございまして、基本的には栽培面積が相当数あるということで生産額が大きくてまた需要の伸びが見込まれるというようなもの、しかし、そういう要件を満たさない場合であっても、地域農業の振興上重要な果樹として位置づけられるもの、こういうようなことを選定対象として配慮しているわけでございまして、従来こういう観点から逐次指定をしてきたところでございますが、現時点におきましてもこれからいろいろな果樹につきましてこれからの伸び方、従来の生産の動向、こういうものを考えまして大事なもの、今申し上げましたような観点で、本法で取り上げるべきものと認められましたものについては、今後とも対象としていくという考え方に立っておるわけでございます。
#93
○村沢牧君 そこで局長、具体的にひとつ果樹名を申し上げましょう。
 対象になってない果樹でクルミ、アンズ、ブルーベリー、キウイ、これについてはどう考えますか。
#94
○政府委員(関谷俊作君) まず、今幾つかお挙げになりました中のクルミでございますが、これは栽培面積が五十一年一千八百ヘクタールございましたが、五十八年八百四十ヘクタールと半減しておりまして、生産県も限られている。こういうような状況から見ますと、なかなか現時点ではすぐに本法の対象として取り上げる状態にあるかどうか、この点は少し今後の検討を要するのではないかと思っております。
 また、アンズでございますが、大体近年三百ヘクタール前後の安定的な推移をしていまして、ただ地域的には青森、長野二県に集中している、こういうようなことでございまして、例えばその消費動向でも、青森がほとんど地場消費であり、長野は加工品として県外出荷も多いけれども特定市町村に偏っている、こういうようなことでございますので、これも現時点ですぐに取り上げる状況にはどうもないのではないかと考えております。いずれにしても、今後のひとつ動向を見て検討すべき品目であろうと考えております。
 それからブルーベリーでございますが、これも現時点では栽培面積三十七ヘクタールでございますが、これからいろいろ産地形成あるいは加工需要との結びつき、いろいろ考えますと、現時点でもなかなか対象にならない、こういうような感じでございます。
 最後にキウイフルーツでございますが、これは非常に温州ミカンの転換品種として重要な地位を占めてまいりまして、産地化が図られております。生産も約二千百四十ヘクタールというようなところまでまいりまして、これはやはり全国的な見地から、生産の計画的な誘導ということで本法の対象にすべき時期に来ているのではないかというような感じを持っておりまして、これはもう六十年度の間に政令指定によりまして本法の対象にするという段階に至っているのではないかと考えておるわけでございます。
 いずれにしましても、今お挙げになりましたクルミ、アンズ、ブルーベリー等の品目も含めまして、十分今後のそれぞれの果樹の動向に応じて本法の対象とするかどうかについては今後とも常時検討をすべきものである、かように考えております。
#95
○村沢牧君 私は今四つ挙げたんだけれども、最後の一つは合格したんだけれども、私が我が県の現状から考えて一番最初に挙げた三つはなかなか口が重いんですが、これはまたゆっくり話をしましょう。
 それから、今後の果樹農業の発展を図るためには重要な役割を果たすと思われる新興果実類の需給、新植の目標等について基本方針でやっぱり定めるべきだと思いますが、どうですか。
#96
○政府委員(関谷俊作君) 今お話のございましたのは基本方針の問題でございますか、新興果実とおっしゃいましたけれども。
#97
○村沢牧君 新しく伸びる果実。
#98
○政府委員(関谷俊作君) これにつきましては、果振法自体は先ほど申し上げましたような基準で十二品目を対象としているわけでございますが、これはもちろん法律上の問題として取り上げるものは先ほど申し上げましたような法律の考え方に照らして取り上げているわけでございますが、このほかにやはり法律対象外で地域特産として大変大事なものがございます。そういうものにつきましては、法律ということではございませんけれども、六十年度から地域特産果樹対策事業というような新しい事業もつくりまして、そこでは先ほどの御質問の中にございましたブルーベリーとかキウイフルーツもございますけれども、そういうような地域特産という意味で大変伸びてくる果樹、こういうものは予算措置において関係の助成措置を講じてまいりたいということで、六十年度の新規事業の対象としていく考えでございます。
#99
○村沢牧君 ぜひそのように取り組んでください。
 そうして、この法律は、農林水産大臣は、需給が著しく均衡を失し、また失するおそれがある果実を特定果実に指定をして生産出荷の目標を達成するために、また補給金も出すというようなことになっているけれども、現在どのような果実を特定果実に指定をして、ここ数年間どんなような果実を指定すべきだというふうに思われますか。
#100
○政府委員(関谷俊作君) 特定果実の要件については法律に規定されておりますが、生産能力が需要に対して著しく過剰である、そういう状態を改善するために他果樹等への転換等の措置を講ずるとしてもかなり期間を要する。法律では一年を超える相当期間。我々としてはやはり少なくとも四、五年ぐらいはそういう対策が必要である。したがって、短期的な生産出荷の安定措置も必要である、こういうような考え方に立つわけでございまして、現時点でこの基準を適用して判断いたしますと、当面は温州ミカンを指定することが適当であるというふうに考えております。
 ただ、この法律に照らしましてこの要件に該当するものが今後出てくれば、もちろん政令で指定をするという道があるわけでございまして、そういう意味で、先ほどの法令適用果実のことを申し上げましたが、この特定果実につきましても今後の果実需給の動向を見て、必要なものが出てまいりますれば指定をするということを考えたいと思っております。
#101
○村沢牧君 せっかくこういう法律をつくるんですから、現在は温州ミカンも指定をされた、これから将来需給関係等において指定をする必要のある果実が出てきたら、これはすべからく指定をしてもらう、そのことを強く要請をしておきましょう。
 次は、長期見通しなんですけれども、果樹振興基本方針は六十五年度を見通した長期見通しを立てております。それによれば、ミカンは六十五年度三百五十三万九千トンになっております。しかし、最近における生産量を見ると、五十八年度は二百八十五万九千トンであって三百万トンを割っておるわけなんです。この生産量は、今後オレンジ果汁の輸入枠が拡大していくことなどを考えると、さらに下がるんじゃないか。したがって、六十五年度の長期見通しを立てて、こんな見通しを立ててこれに基づいてこの法律を運用していくなんということは大きく間違っている。この見通しは改定すべきだと思うが、どうなんですか。
#102
○政府委員(田中宏尚君) 長期見通しは、先生御承知のとおり、全体的な農産物について総体としての需要と供給の見通しを全体的に立てていく計画なわけでございます。その中で、ただいま御指摘ありましたように、ミカンでありますとか、あるいは生糸でありますとか、こういうものにつきましては残念ながら現状と見通しの間に大きな乖離が出てきておるということは事実でございますけれども、米でありますとか酪農、こういうほかの作物につきましては、おおむね長期見通しで見通している趨勢線上を歩いているというような点がございますので、現時点で今直ちに全体を見通している六十五年見通しというものを改定するという段階にはまだ至っていないのじゃないかという感じがしております。
 ただ、先生御指摘のとおり、いろいろと問題が出てきておりますし、これから四全総を策定するとか、あるいは水田利用再編対策も十年計画で進めましたやつがもう八年に入っているというふうなこともございますので、いろいろと現状と長期見通しとの関係等につきましての問題点の検索なり、いろいろ現実の検証というものは、これからも常日ごろ心がけていきたいというふうに思っているわけでございます。
#103
○村沢牧君 官房長、そんなかたくななことを言っているんじゃなくて、法律ができるんですよ。したがって、法律ができる段階に、昭和六十五年度になれば三百五十三万九千トンもミカンができます、こんな見通しを立ててそれに基づいて、見通しというのは単なる希望数字じゃないんですよ。見通しを立てれば、そのように誘導していくのが政府の見通しじゃないですか。ですから、この機会に、そんなお役人みたいな形式ばった、お役人だから形式ばったことを言うのだけれども、もう少し現実に即した見通しを立てて、それに基づいて計画を立てなけりゃ運用できないんじゃないですか。法律の運用がうまくできないじゃないですか。園芸局長、どうですか。
#104
○政府委員(関谷俊作君) ただいま農作物全体の立場からのお話ございましたけれども、……
#105
○村沢牧君 果樹ですよ、ミカンの問題。
#106
○政府委員(関谷俊作君) 実は、私どもの局に、長期見通しとの関係でかなりギャップがあるということで、今の官房長の御答弁にありましたが、ミカンあるいは生糸、この辺のところは大変その辺のギャップも出てまいっておりまして、我々行政当局としましては、これらの個別品目から考えますと、やはりそれぞれの品目についてはかなり現実に即した需要見通しを立てていかなければいけない。具体的に果樹については、法律改正後、新しいスタイルでの基本方針の中でそういうことを具体化していくわけでございます。
 そういうことの関係で、長期見通しにつきましても、今の官房長のお答えにありましたように、これは六十五年という時点を見通しているわけでございますから、いずれ全体的に見通しが改定されるという時期も来るわけでございますので、その中でミカンにつきましての十分現在の需要に即した位置づけをし、また他作物との関係あるいは土地利用との関係も合めた位置づけをしていただきたい、かように思っているわけでございます。
#107
○村沢牧君 現時点でも合っていないし、六十五年を見通したといったってこの数字は合わないでしょう。せっかく法律を改正するところだから、やっぱり六十五年を見通せばこういうふうになりますよと、そういうのを立てて誘導計画を立てなければだめなんですね。そんなものは、すべての農産物をやれというのじゃないんですよ。違っているものは見通しを改めなさいと、法律ができるときですから。大臣、どうですか、そのことをはっきりさした方がいいんじゃないですか。
#108
○政府委員(田中宏尚君) 長期見通しは、くどいようでございますけれども、全体の見通しを立てておりまして、総体としての農地をどういう作物でどう分担して生産を担っていくかという全体像を描いているわけでございます。その中でミカンでありますとか、いろいろとギャップが出てきて問題なものは確かにあるわけでございますけれども、一つの品目で全体の計画を直ちに直すということは、なかなか考え方としても、現実の技術論といたしましても非常に難しい点があるわけでございますけれども、問題が出てきておりますことは十分承知しておりますので、現状についての点検なりは精いっぱい努力してまいりたいというふうに考えております。
#109
○村沢牧君 私は、この長期見通しについても皆さんと若干見解を異にするんですが、長期見通しは総需要量について見通しを立てている。この総需要量が即生産量にはならないと思うんですよ。その間には輸入があるわけですね。総需要量は、果実の需要量はこれだけであろう、そして国内で生産するのはこう、輸入がどうだ、その分類したやっぱり見通しを立てなければ果実生産の誘導目標にはならない、そのように思いますが、農蚕園芸局長どうですか。
#110
○政府委員(関谷俊作君) 果実それぞれにつきましては御指摘のとおりでございます。需要としましては総体の、例えばミカンならミカン総体の需要を見通しましていくわけでございますが、生産の誘導との関連で申しますと、その中で輸入の見通しとしてどのくらいのものが輸入に見込まれるか、あるいは国産としてはどのくらいの生産規模を考えるかということになりまして、その生産規模にリンクしましたものが今回の法律改正後の栽培面積の目標ということで具体化をされる、こういう仕組みになろうかと思いますので、今の基本方針等におきます組み立て方は御指摘のとおりでございます。
#111
○村沢牧君 それから六十五年度の、五年も先ですね、この見通しを立てたのは五十五年ですね、十年も先の見通し。それも必要かもしらぬけれども、単年度のやっぱり需給の見通し、均衡を図るようにしなければいけない。このことも参考人から強く意見のあったところでありますが、農蚕園芸局長はどうですか。
#112
○政府委員(関谷俊作君) この単年度需給の問題は、実は果樹対策の研究会の中で、大変輸入問題と絡まる、また別にかなり大事な問題としまして検討されたところでございます。
 長期見通しのラインを持ちながら単年度ごとの需給の均衡が大事になる、それが特定果実である、こういうふうな仕組みになっているわけでございまして、ただ、単年度需給というものについてのいわばそれを立てる主体というか、責任者というものについての議論はいろいろございまして、従来は御承知のような生産者団体が集まりました生産出荷安定協議会の場でのいわば協議、事実上の協議というものによりまして単年度の需給の計画が立てられているわけでございますが、今回は、法律を改正するに当たりまして、やはり特定果実というものは単年度需給の問題が非常に大事だということで具体的な数字に即しました計画、さらに具体的な仕向け先、ここまでいくかどうかは別としましても、国が一歩踏み込んでこの問題に取り組むべきであろうということで、法律にございます特定果実についての生産出荷安定指針、こういうものの中で安定的な生産出荷の目標ということで、今申し上げましたような単年度の需給に絡みます問題をできるだけ具体的に農林水産省の方針として示そう、こういうふうな考え方に立ったわけでございます。
#113
○村沢牧君 ぜひそれは前向きに検討してください。
 次は、この法律は、ややもすればミカンに重点を置いたような法律だ、また改正案もそういうことになっているわけです。しかし、果樹はミカンだけではない、落葉果樹についてもっと充実した施策を講じなければならない。従来、この法律によって落葉果樹に対してどのような配慮をしてきたのか、また今後どういうふうに配慮しようとされるんですか。
#114
○政府委員(関谷俊作君) これは法律がもともとそうでございますが、いわゆる常緑果樹、落葉果樹、そういう差別というか区別を設けて行われているわけではございませんので、落葉果樹という部門が果樹農業の非常に基幹的な部門としてあるということで、これについては十分な対策を講じていかなければならないわけでございます。
 今回の法律改正等との関係で申し上げますと、もちろん落葉果樹、当面は温州ミカンを特定果実にするわけでございますが、落葉果樹にするわけでございますが、落葉果樹も含めまして、そのほかの果実についても過剰が著しく、こういう特定果実の要件を満たすようになりましたらば指定をする、こういうふうな考え方に立っておるわけでございます。
 また、具体的な事業に即しまして申し上げますと、今年、来年度を含めまして造成いたします四十五億円の果樹緊急特別対策基金の中で、これまでも実施してまいりましたが、特に今後は落葉果実も含めて果実の消費の拡大、輸出の促進、高品質の果実、果汁の生産、新製品の開発、こういうことを積極的に推進するということで、この基金の中で事業として取り上げてまいる考えでございます。また、加工原料用果実の価格安定対策については、リンゴについて引き続き実施するほか、六十年度より桃の対象数量を大幅に増加する、こういうようなことで、落葉果樹対策についてこれまでも実施してまいりましたが、今後とも重点的に力を入れて、本法あるいは関係の予算措置によりまして対策を推進してまいりたいと考えております。
#115
○村沢牧君 この中で、リンゴが百万トン時代を迎えた今日、この需給バランスに黄色い信号がともっていると言われておるんですが、農水省としてはこのリンゴの需給関係をどういうふうに見るか、今後またどういうふうにしなければいけないのか、その見解を示してください。
#116
○政府委員(関谷俊作君) リンゴでございますが、近年のリンゴ生産を見ますと非常に価格が堅調に推移してきましたことと、矮性台木が普及しまして大変植栽がふえた、収量水準も向上が見込まれるということで、これは大体百万トンラインに達しておるわけでございますが、六十五年目標の百九万六千トンというのが掲げられておりますが、遠からずこれも超えるのではないかということで、需給の不均衡、そういうようなことが予想されております。こういうことになりますと、やはり価格の下落というようなおそれも出てまいるわけでございまして、そういう意味では、かなりそういう点に注意をして対策を講ずべき状況に来ているのではないか。例えば栽培面積でございますが、五十九年八日一日現在五万四千三百ヘクタールでございまして、これも大体六十五年度見通しのラインに乗っております。
 こういうふうに考えますと、リンゴ対策全体の今後の考え方としては、やはり栽培面積は総体としては大体現状の五万四千ヘクタール前後で推移をしていくように誘導すべきことが大事ではなかろうか。反面、この内容としまして、近年非常に強く求められております質的向上については、今後例えば農業改良資金の中の果樹栽培合理化資金等も使いましたりしまして、品種の適正化、こういうようなことを考えていく、質的向上を図っていくということでございます。これにつきましては、今度改正法のもとで果樹農業振興基本方針の見直し改定作業を進めます際、学識経験者の果樹農業振興審議会において今申し上げたような点について慎重な審議をお願いするわけでございますが、その基本的な考え方としましては、今申し上げたような方向で生産誘導を図っていくこととしてはどうかと考えているわけでございます。
#117
○村沢牧君 そうすると、農水省の考え方はリンゴについても新植なんかを抑制をしていく、あるいはまた生産調整もやらなきゃならないというような考え方になっているのかどうかということと、その他の落葉果樹についてもこの種の問題があるのかどうか。
#118
○政府委員(関谷俊作君) 今例えばリンゴについて申し上げましたのは、栽培面積全体について横ばい――横ばいというか、そういうことであろうということで、その中のいわゆる品種の更新、いいものに変えていく、そういう意味での新植というか改植というか、これは今後とも続けていかなければならないわけでございまして、まさにその点が今度の果樹栽培合理化資金等の中でも品種転換ということで取り上げていくような対象になっておるわけでございます。そういう点も含めまして、ほかの落葉果樹等につきましても、同様な状態で全体としての栽培面積の誘導目標を改正法によりまして示す一方で、内容的には品種の更新あるいは転換、そういうことによりまして私どもかねがね申し上げております需要の多様化、高度化に対応していく、こういう生産対策が必要であろうと考えております。
#119
○村沢牧君 その他の果樹ではそのようなものはないですか。
#120
○政府委員(関谷俊作君) これは、全体として栽培面積その他から見まして現在生産について一種の注意信号というか、このままいけば過剰になるということで、その他で考えておりますものはブドウと桜桃でございます。こういうものについても、全体のこれからの栽培面積の増加というようなことについてはブレーキをかけるべき状態に来ているのではないかと判断しております。
#121
○村沢牧君 せっかくこういう法律ができるのですから、面積をふやすな、抑制をしていくと、そんな考え方ばかりじゃなくて、もっと消費を拡大するとか輸出をするのだとか、もっと前向きのことをひとつ考えてくださいよ。何だか国内を抑えるばかりにこんな法律をつくったようになってしまいますからね。局長の答弁も余り気に入りませんから、ひとつもっと前向きに取り組んでください。せっかく局長は農林水産技術会議の事務局長かなんかおやりになって、そういう技術は大変に優秀だというようにお聞きしているのですから、どんどんそれを生かしてくださいね。
 それから、果実出荷安定基金制度の事業内容を見ると、ミカンを中心とした常緑果樹が主体となっておりまして、リンゴだとか桃だとかというものは全く価格が低落したときにおける一部の補てんにすぎない。つまり落葉果樹なんというものについては、今までつけ足し程度の制度なのですね、これは。ですから、この基金で落葉果樹に対して今まで何%ぐらい出しているのですか。
#122
○政府委員(関谷俊作君) これは今金額で何%ということは申し上げるちょっと数字を持っておりませんが、確かに従来の傾向としまして、非常にかんきつ類にかなり関係の対策が傾斜しているということは事実であろうかと思います。例えば価格安定事業にしましても、温州ミカンを実施しておる県が二十県、ナツミカンが七県、リンゴについては四県というようなことで、県数も少のうございますし、その他需要面のことについても十分ではないという感じを持っております。
 ただ、今後の問題につきましては、今お挙げになりました基金の仕事の中で、例えば新製品開発特別対策事業、こういうものの中では、品質の高い果汁を製造するための高品質果汁製造施設の導入とか、果実か果汁等を原料としました新しい加工製品の開発、こういう経費についてリンゴ等の落葉果樹についても助成の対象としていく。また、輸出振興関係につきましても、従来は比較的少ないわけでございますが、例えば昨年ですとナシ、カキ、こういうようなことが、かなり具体的な促進があったわけでございますが、この基金事業の中で考えております海外において日本の果実のよさを知ってもらうためのPR活動、例えば五十九年度に実施しましたカナダ、アメリカの二十世紀ナシ、それから海外への試験輸送等による新しい市場開拓、この例としましては五十九年度に東南アジア向けリンゴ輸送試験、こういうようなものの助成も実施しております。こういうようなことで、落葉果樹につきましても基金事業の中で今後積極的に取り上げていきたいと考えております。
#123
○村沢牧君 いろいろ指摘をすると、今後やりたい、今後やりたいなんということばかり言っていますけれども、今までやったことは、この基金で例えば交付金見ても、落葉果樹なんというのは一%いっていますか。どうですか。課長知っているでしょう。一%もいかないでしょう。どうですか。答弁してください。
#124
○説明員(武政邦夫君) 私も数字を今持ち合わせていないわけでございますが、基金事業に毎年度投下しておりますが、一般会計で三十億程度でございます。三十億の中で加工原料用の価格安定制度では、桃とリンゴが対象になっております。それからそれ以外でございますと、リンゴが改植をいたしましたときの事業等があるわけでございますので、そういうものを含めますと、一%ぐらいにはなっているんではないかと思います。
#125
○村沢牧君 私の調査では一%を割っておるんですよ。それだけの金を出した。しかし、落葉果樹については一%を割っておるんです。それはミカンが大事だ、それはわかりますが、これでは日本全体の果樹の振興にならないんですよ。私の数字が間違っておったら、後からまた皆さんの方から教えてください。私は間違っていないと思う。ですから、これからやる、これからやると言ったって、今までがこんなことじゃないですか。せめて一%でなくて、来年は二〇%ぐらいやってくださいよ。いいですか、いいですね。今までの失敗を取り戻すためにひとつ配慮してください。
 それから、この安定基金の中で、例えばリンゴ果汁の補給交付の単価をやっぱりもう少し上げなきゃいけない。あるいは加工品調整保管事業の果汁消費促進事業をこのところにも適用しなきゃいけないと思うわけですが、どうですか。
#126
○政府委員(関谷俊作君) 価格補てんの単価の問題でございます。これにつきましては、従来から現実の取引価格の推移を見まして、保証基準価格についての改定等を実施してまいったわけでございます。加工原料用果実、加工原料用のリンゴについて見ますと、なかなか変動の面で見通しが難しいわけでございますが、五十九、六十年度、二年間を対象に既に設定をしておりますので、現在、今の時点で、いわゆる業務年間中途での補てん単価の変更は難しいわけでございます。
 ただ、六十一、六十二年度、次の業務年間の問題としましては、価格補てん単価について今後の取引価格の推移等配慮しながら、この保証基準価格について十分検討してまいりたいと考えております。
 なお、新製品開発特別対策事業、これにつきましては、先ほどちょっと申し上げましたけれども、果汁の新しい品質の高いものをつくる製造施設の導入とか新しい加工製品の開発、こういうものについて落葉果樹、リンゴ等も含めて対象にしてまいる考えでございます。
#127
○村沢牧君 最後に申し上げますが、私の県ではリンゴなどの主要果実の価格安定事業として、県の果実生産出荷安定基金協会に生果の価格安定事業あるいは輸出果実補てん事業等をつくろうとしている、現につくっているんですが、これらに対しても、やっぱりいいことなんだから、こういう基金でもって少しは配慮したっていいと思うんですが、どうなんですか。
#128
○政府委員(関谷俊作君) 今お挙げになりました長野県での事業等については、これから具体化をされる過程で、私どももこの基金の事業としては割合幅の広い消費増進なり価格安定なり生産出荷の安定という仕事を掲げておるわけでございますので、これを全国基金の仕事として助成対象にしていくというような問題については、今後県の基金ともよく御相談をしながら検討を進めさしていただきたいと思います。
#129
○村沢牧君 ぜひ、それこそ前向きに検討してください。
 次は同僚委員の菅野さんに譲りますので、私の質問はこれで終わりたいというふうに思いますけれども、いずれにしても、先ほど局長がいろいろ述べたように、落葉果樹についても、この需給安定のための消費宣伝事業だとか、あるいは新製品の開発事業に積極的に取り組むという話があったんですけれども、それに加えて学校給食、皆さん嫌いなんだけれども、だめだとは言っておらぬけれども、これについても前向きな検討をしてもらいたい。これはひとつ要請しておきましょう。
 以上で終わります。
#130
○菅野久光君 私は、初めに基本的なことについてお伺いをいたしたいと思います。
 二十四年前に制定されました現行の果樹農業振興特別措置法は、農業生産の選択的拡大を目指した時代背景のもとで、果実生産の安定的な拡大を図ることを目的として制定されました。
 ところが、先日の委員会で論議された畜産酪農部門といい今回のこの果樹農業といい、当時の選択的拡大の花形であった作目が、総じて需給調整を要する困難な局面を迎えているわけであります。畜産にしろ果樹にしろ、まあ言えば自然体で今日の状況を迎えているわけではなくて、基本法農政、あるいは総合農政というように、これらの部門はそのときどきの政府の指導によってリードされてきたわけであります。したがって、この政府の指導に基づくものだけに大きな成長が期待され、農家もまたその要請にこたえてきたわけでありますが、現在までに幾度かその政策が行き詰まりました。そのことに対する農政当局としての反省がなければならないと思うのであります。提案理由の説明ではこの点が全く欠如していますが、本法の制定以来二十四年間の歴史を振り返って、果たして政府の進めてきた農政に誤りがなかったのかどうか、この辺、大臣のひとつ所見を承りたいというふうに思います。
#131
○国務大臣(佐藤守良君) 菅野先生にお答えします。
 御指摘のとおりでございますが、二十四年間を見まして生産量が大変大幅にふえたというのは事実でございますが、ただ、私はミカン県に育ったものですから、見ておりまして、農林水産省の指導とともに実は農家も先走りしてミカンをつくった、こういう事実もございます。そんなことがこういう結果を招いたということでございまして、農林水産省だけの責任ではないと、こう思っております。
#132
○菅野久光君 農林水産省だけの責任ではないと。それはちょっと農家の方々にしてみれば、その言葉はやっぱりいただけない。少なくとも、やはり政府の指導による農政、それでよく言われている言葉に猫の目農政だとか、全く何もないという意味でのノー政だということが言われてきたのではないでしょうか。
 そういう点で、今のような政府だけの責任じゃないというようなことでは、これは反省ということにはならないわけです。ある面ではおっしゃるとおりだというんですから、これはお認めになったというふうに思うわけでありますけれども、やっぱり私はこのところが本当に大事だというふうに思うんですね。いろいろな要因があって今日のこういう状況を招いたというふうには思いますけれども、しかし、やっぱりある程度誤りなき見通しを持った政治でなければならない。それでなければ農民の方々は安心してやっていけないということになるわけでありますから、もう少しこの辺のところも反省をひとつきっちりやって今後の上に誤りなきを期していただきたい、そういう意味合いで私は質問したわけですから、ひとつ私の意図を十分くんで今後の農政に当たっていただきたいというふうに思います。
 過ぎてきたということからいえば、現在の農政担当者に過去の農政を批判しろと言っても、これは先ほどの大臣の答弁のように農林水産省だけの責任でないというふうに言わざるを得ないのかもしれません。しかし、温州ミカンを初めとして多くの果実が生産過剰基調に陥っている原因の一つは、四十年代の半ば以降十三年にわたって実施されている米の生産調整対策の中で、米対策と果樹政策との整合性が十分に検討されないままに、水田から果樹等の永年性作物への転換が奨励されまして果実の供給量を増加させたことであり、もう一点は、最近の農政が負わなければならない問題として、諸外国の市場拡大要請に屈して大幅な果実及び果実製品の輸入を許したことにあると思うわけであります。もちろん、政策の関与可能な範囲を超えた果実の消費構造の変化という問題を私は理解しないわけではありませんが、果樹農政に対する反省の上に立って果樹農家に関する確固たる位置づけを行わなければ、農家の経営の将来性に対する不安にこたえられないのではないかというふうに私は思うわけでありますが、この点いかがでございましょう。
#133
○政府委員(関谷俊作君) ただいまの問題も含めまして全体果樹対策の動向としましては、一つは、やはり農業基本法の選択的拡大という方針以来、やはり積極的に果樹をつくれ、こういうふうにとられるような政策ということで、いろいろ果樹園の新植促進なり、あるいは農業構造改善事業で取り上げる、こういうようなことがあったわけでございます。その後、我々としましてもそういう生産、いわば拡大基調ではいかぬということで、ミカンについては四十七年に生産過剰基調が顕在化して以来、新規植栽を抑制しておりまして、例えばお話のございました水田利用再編対策については、ミカンは五十年から対象から外す、それから中晩かんは五十三年から、リンゴについては最近の第三期の五十九年から外す、こういうような対策によりまして新規については抑制をする一方で、特にミカンにつきましては五十四―五十八年度の五年間で三万ヘクタール、それから五十九年度からはさらに一万へクタール、こういう転換政策を進めているわけでございます。こういうようなことで、この過程の間、ただいちずに拡大を図ってきたわけではないわけでございます。
 一方、輸入につきましては、これはかんきつ関係のような輸入制限の品目についてはそれなりに運用によって対応してまいりましたし、外国との交渉におきましても最大限の努力によりまして現在の国境調整措置を維持し、またその運用に慎重を期するというようなことをやってまいったわけでございますが、ただそういう状況の中で、非常に需要が総体として減少すると同時に、品質の高度化、多様化に対する要請が高まってきた、こういうことに対応する必要があろうということで、従来の果樹農業振興法の基調を占めておりました生産拡大、こういうものをこの際転換をするということで、今回の法律案の提案を考えたような次第でございます。
 いずれにしましても、そういう輸入の問題あるいは従来の生産拡大対策の問題、こういう問題については、今後とも我々としまして十分留意をして対策を考えなければいけないことだと考えております。
#134
○菅野久光君 余り猫の目にならないように、安心して経営ができるようなそういう政策をしっかり立てていただきたいということを、私は強く申し上げておきたいと思います。
 ある程度言葉の上では抽象的に申し上げましたので、あるいは理解しにくいところがあったというふうに思いますが、要は、二十六日の畜産物の価格問題に関する論議の中で申し上げましたように、食糧の供給は国内生産を基本として、言えば足らざるものを輸入する、これが政府の基本的な考え方だというふうに答弁でもされておりますから、この基本に立って全国の農家が納得できるように、単なるポーズにとどめないで忠実に実行することが私は大事だというふうに思うからであります。
 中曽根内閣における農政の今日までの経過を見ますと、自由貿易の原則というガット体制の中で、米国と歩調を合わせて進もうとしているようにどうも見えるわけであります。我が国と米国との立場の相違を考えれば、EC諸国、特にフランスのように国内農業を保護し基本的には食糧自給を推進していくという国づくりの哲学にこそ私は学ぶべきであるというふうに考えますが、この辺どのようにお考えでしょうか。
#135
○政府委員(後藤康夫君) 農産物の輸入につきましては、先ほどお話しございましたように、国内で生産可能なものにつきましては生産性の向上を図りながらできるだけ国内で生産をしていく、ただ一方、国内の需要が大きいのに比べて我が国の自然条件の制約等から供給面でどうしても不十分なものにつきましては安定的な輸入の確保に努め、また所要の備蓄ということも考えていく、こういったことで私ども農林水産省、仕事をしてまいってきているわけでございます。
 今、ECのお話が出ました。ECとは仕組みが違っておりますけれども、我が国も国境で関税でございますとか、関税割り当て制度ですとかいう形で保護を行っておりますほか、基幹的な農産物あるいは地域振興の上でどうしても欠かせない作目につきましては、輸入の数量制限でありますとか、あるいは一元輸入等の措置をとりまして、輸入が農業生産なり農家経済の安定に不測な悪影響が及ばないようにということでやってまいってきているわけでございます。
 今お尋ねの中に、日本はいろいろ国際場裏においてどうもアメリカと全く歩調を合わせて対応をしているんではないか、こういうお話がございましたけれども、例えばガットの農業委員会というところで、これはこの次の多角的な貿易交渉をやる際に、農産物分野での交渉をどういうアプローチでやるべきかというような議論が実は始まっているわけでございますが、その中でも我が国としては、農業の特性というものを十分考慮した形で行われなければいけないということを主張をいたしてきております。
    ─────────────
#136
○委員長(北修二君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま山中郁子君が委員を辞任され、その補欠として小笠原貞子君が選任されました。
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#137
○菅野久光君 今の質問の中でも私申し上げましたけれども、食糧の自給ということは何と言ってもやっぱり農政の基本でなきゃならない。その食糧自給を進めていくということが、言えば国づくりの基本だというこの哲学、ここのところを一歩やっぱり崩すと大変なことになる。きのうの参考人の皆さん方の意見もやっぱりそこのところが一番問題だ、心配だということを言われているわけでありますが、その点について大臣の決意といいますか考え方、そこのところをひとつお聞かせいただきたいと思います。
#138
○国務大臣(佐藤守良君) 今の経済局長の申したとおりでございますが、農産物の市場開放問題につきましては、関係国との友好関係にも留意しつつ、国内の需給動向等を踏まえ、我が国農業を生かすとの観点に立ち、その健全な発展と調和を図って対応していくことが重要であります。先生のおっしゃるとおりでございまして、国内の生産性を高めまして、国内で生産できるものはぜひ国内で賄うということを基本にしてやるべきだ、こう思っています。
 そんなことで、我が国の農産物につきましては先生御存じのとおりでございますが、百八十六億ドルの大輸入国でございます。そんなことで、市場開放に当たりまして大切なことは、第一番に先ほどちょっと申しましたけれども、我が国農業の生産性の向上、体質の強化を図ることを基本にしまして、諸外国に対しましてはこれまでの市場開放措置や我が国農業の置かれている厳しい実情等を十分説明し、その理解を得ながら慎重に対処してまいりたいと考えております。
#139
○菅野久光君 いつでもこう質問いたしますと、答弁するのは、国内自給を原則に足らざるものを輸入するんだということを口では言われます。口では言われるけれども、しかし、実際生産農家の方々から見れば、それはあくまでも基本だというその基本がいつも崩れているわけですね。ですから、いろんな問題が起きてくるわけでありますから、その基本というのはひとつ崩さないようにしっかり守っていっていただきたいというふうに思うわけであります。
 我が国の農産物市場開放問題の対応姿勢を見ますと、どうも日米交渉にも見られたように、政治決着を行って事後対策を講ずるというパターンが繰り返されてきているわけですね。中曽根総理は、木材合板の関税率引き下げ要求に対しても何か同様の考え方を示していますが、政治決着によって失うものと事後対策によって救えるものとをはかりにかければ、それは圧倒的に失うものの方が大きいわけですよ。このようなパターンを今後繰り返すことのないように、私は日本農業を守る国民的な合意を早急に樹立しなければならないというふうに思います。各国が国民食糧の自給を基本として、その過不足を調整するための貿易を一定のルールのもとに行うという農産物貿易の新しいルールづくりというものを積極的に提唱するという努力をするべきではないかというふうに思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
#140
○政府委員(後藤康夫君) 先ほど申し上げましたように、ガット等におきまして来るべき多角的な貿易交渉の中で農業分野をどう扱っていくかというような議論が始まっておるわけでございますが、この中では一般的にはガットのルールをより強く農業分野にも押し広げていくべきだという意見が相当に強いわけでございますが、そういう中にありまして、これは北欧諸国でございますとか、あるいはECなどもそういうことを言っておりますけれども、やはり農業というのは自然環境にも左右され、またいろいろ環境保全等にも結びついた非常に多面的な役割を持っている。そしてまた、食糧安全保障というようなことも考えなければいけないというようなことで、農業の特性というものを無視してはいけないということを我が国としては主張をいたしてきております。
#141
○菅野久光君 何といったって、諸外国との友好とかなんとかも非常に大事なことですけれども、まず我が国の農民、農業を守るということが基本になって初めて外国との友好も、どうも我が国の農民が犠牲にされて外国との友好だけが先行しているのじゃないかというふうに非常に私も心配するわけなんです。まさかそうではないとは思いますけれども、どうもやっている結果を見るとそういうふうにどうしても思われてしまうということで、この点は何とか農産物貿易についての新しいルールというものをやっぱりきちっとつくっていく努力を私は望んでおきます。
 以上、政府の農政に対する基本的な考え方というものを伺ってまいりましたので、次に果樹農業をめぐる情勢についてお伺いをいたしたいと思います。
 今回の改正は、果実の需要の動向が五十年代に入ってさま変わりになった、需要量としては減退傾向が顕著となって、消費の形態も少品目多量消費の時代から多品目少量消費の時代に移ったという背景の中で、果樹農業をこのような需給の動向に即応したものとするため各般の措置を講じようとしているわけであります。この制度改正の背景となっている果実消費の減退傾向がいかなる理由によって生じているのか、その点を伺いたいというふうに思います。農林水産省の説明では、何か果実消費形態の変化を消費者の嗜好の変化のように受けとめているようでありますが、
   〔委員長退席、理事谷川寛三君着席〕
家計調査の所得階級別の消費実態を見ますと、どうも所得面の制約によるところが大きいと思えるのですが、その点も含めてお答えをいただきたいと思います。
#142
○政府委員(関谷俊作君) 果実の消費動向でございますが、先生の御質問の中にございましたように、全体としては拡大傾向から減少ないし停滞傾向に転じた。内容的に非常に少量多品目化、こういう傾向に至っていると思いますが、この原因については、なかなか私ども分析というか科学的な解明というのは難しいわけでございますが、全体として見ますと、やはり一つはいわゆるカロリー多消費的な、たくさん食べる、こういうような感じよりも、もう少し嗜好というものに傾斜して好みを求めるというような傾向に至ったのではないかというふうに考えているわけでございまして、リンゴあるいはかんきつ類、いろいろ考えましても、非常に最近のものは品質的に高度なものを求める。しかし、それぞれの消費量はそう多くはない、こういうような傾向ではなかろうかというふうに思います。それで全体的にも食料消費水準等を見ましても、熱量としましては御承知のように国民一人一日平均で供給熱量で二千六百キロカロリー、この辺のところが今後とも横ばいでいくのがよかろうということでございます。
 また、飲食費支出については、やはり安定成長と申しますか、経済の情勢を反映しまして余り飲食費、特に飲食費についてはそうは伸びない。こういう中になりますと、やはり果実の消費動向がそういうことでありますとすれば、生産面でもこれに対応した相当きめの細かい品質志向の政策というか、生産の誘導ということを考えなければいけない状況に来ているというふうに判断をしているわけでございます。
#143
○菅野久光君 私は、果実だけを例にとってみると、確かに嗜好の変化という説明もうなずけないわけではありません。しかし、この後審査に入る繭糸価格安定法における絹の需要を見ても、五十四年度以降かなり激しい落ち込み方をしている。木材にしても、住宅需要の落ち込みで林業はもう不況のどん底にあります。このように、消費の減退は果実だけではなくて衣食住の全面に及んでいるのであって、これを嗜好の変化で説明することには、何か大きな無理があるのではないかというふうに思います。
 言うまでもなく、果樹は永年作目であり、生産調整を摘果で済んでいるうちはまだ何とかなるわけでありますが、一度抜いたらもう生産力を回復するまでに十年程度はかかるのではないかというふうに思いますから、需要見通しの誤りは需給不均衡の原因になるというふうに思うわけであります。また、今回の改正によって、基本方針等は果樹農業の誘導目標としてより重要な役割を担うことになりますので、誤りなきを期していただきたいというふうに思いますが、その辺の決意を含めてひとつお答えをいただきたい。
#144
○政府委員(関谷俊作君) まさに果樹農業振興特別措置法がもともと生産の誘導という役割を担っておったわけでございますが、やはり提案理由等で申し上げましたように、どちらかというと拡大基調に至って、その新植面積をいわば目標として決めていく、こういうような立場に立っているわけでございます。
 今後の需給、需要関係から見ますと、やはり栽培面積全体について誘導するということで今回の法律改正の内容にもその点が盛り込まれておるわけでございますが、今後の具体的な運用の見通しということになりますと、法律改正後果樹農業振興基本方針、これの新法に基づく策定ということが第一着手になるわけでございます。
 この策定の場合には、果樹農業振興審議会の議を経ますので、ここでいろいろ専門家も含めた十分な検討がなされるというふうに考えますけれども、我々としましては、例えばミカンをとりましても現在の長期見通しとの乖離があるわけでございますので、やはりこの振興基本方針を今度決めます際にはミカンも含めまして現時点で、例えば見通し先としましては昭和七十年あたりを見通すことになるわけでございますが、この場合には果樹のそれぞれの品目について、量的な面については現時点での見通しに即して基本方針を決めていくということになりますので、形としましては従来の長期見通しというものの改定よりも、果樹部門についてはこちらの方がもっと七十年のところまで見通しを出すようなことになるわけでございます。しかし、これをやりませんと、まさに御質問にございましたような過大な需要見通しを持っていることによる、かつてあったような生産過剰傾向助長という非常に現実的な弊害が出てくるわけでございますので、現時点におきまして最善の見通しをこの振興審議会の場でやっていただくということで対処してまいりたいと考えております。
#145
○菅野久光君 複雑な要素を含んで立てるということでは非常に難しいとは思いますけれども、難しい中でなおかつ一層のひとつ努力をしていただきたいというふうに思います。
 果実の消費形態の変化への対応という面では、リンゴの生産は非常に私はうまくいった例だというふうに思います。リンゴの栽培品種の変化を見ますと、四十年代半ばころまでは紅玉と国光が圧倒的比重を占めていましたが、次第にデリシャス系に移行し、さらに五十年代の後半には「ふじ」に移行するというように、絶えず消費者のニーズに的確にこたえてきたと思うわけであります。
   〔理事谷川寛三君退席、委員長着席〕
また、生産量についても、四十年代には百万トンを上回る時期もありましたが、近年では大体九十万トン前後で推移しており、需給も安定し、収益性も、品種にもよりますが、比較的よいというふうに思います。ところが、この五十八年産リンゴの生産量が、近年では初めて百万トンの大台を超えて約百五万トンとなったために、リンゴについても非常に危機感が強まっています。この実態と原因、そして今後の見通しについてどのようにお考えか、お伺いをいたしたいと思います。
#146
○政府委員(関谷俊作君) リンゴの生産の動向、またその中でのお話のございましたような品種のいわば交代と申しますか、需要に応じた内容変化というのは御指摘のとおりでございます。
 総体として見ますと、私ども、これは五十八年が約百五万トン、五十九年産は、御承知のような春先の低温による開花のおくれ等が影響しまして、八十万八千トンという大変生産量が落ち込んだわけでございますが、通常年で見ますと、どうもやはり百万トン台というものは大体生産量が見込まれるような状態になっております。
 その原因等でございますけれども、従来は比較的価格が堅調でございましたので、やはり生産意欲が強かった。しかし、生産面、技術面的に申しますと、矮性台木の普及等によりまして植栽が、新植がこれによってふえると同時に収量水準も一層向上した、こういうような要因によるものではなかろうかというふうに見ておるわけでございまして、こういう生産量の動向で百万トン台がかなりかたいということになりますと、昭和六十五年度見通しの百九万六千トンにもう近い状態になっておるわけでございますので、この辺、今後の生産誘導については、今後の果樹農業振興基本方針等の中で十分な配慮が必要であると考えております。
#147
○菅野久光君 最近のリンゴの新植面積等の動向を見ますと、五十五年以降、新植面積が年に千ヘクタールを超える状況が生じているようであります。一方、廃園面積は五十八年度には五百ヘクタールを切っているため、潜在的な生産量はかなり増加しているというふうに考えられます。
 このような動向を受けて、五十八年のリンゴの未成園面積は、速報値ではありますが、八千五百十ヘクタールとなって、未成園率も近年にはない一六%まで上昇しているというふうに思います。この背景として、北海道ではまだ普及率はたしか三、四%ぐらいにすぎないと思いますが、長野、青森、岩手県においては普及率が高い矮化栽培によるところが大きいのではないかというふうに考えられます。
 そこで、最近における矮化栽培の動向と総生産量との関係において、これをどのように指導していくお考えか、それを明らかにしていただきたいと思います。
#148
○政府委員(関谷俊作君) 矮化栽培のまず動向でございますが、四十八年の当時は千五百四十五ヘクタール、リンゴ栽培面積の中では約三%でございました。これが五十八年になりますと七千八百十五ヘクタールということで、大体一五%近いものになっております。地域別にも、今、先生のお話のあったような状況が見られておるわけでございますが、これは特にいわゆる矮性の台木が開発されたということによります影響であろうと、こういうことでございまして、生産量の面で見ますと、大ざっぱに推定しますと、矮化栽培の生産量は全体の大体一割弱ぐらいのところであろう、こういう見通しでございます。
 この矮化栽培の関係では、収量が普通の栽培よりも大体一割ぐらい矮化栽培の方が十アール当たり収量で高い。普通栽培が三千六百キロといたしますと、矮化栽培は四千キログラムが見込まれると、こういうようなことでございます。また、矮化栽培の場合には、普通栽培よりも成園に達する年数もやや短い。「ふじ」の場合に普通栽培八、九年のところ、矮化栽培は五年であると、こういうようなことがございます。
 そういう意味で、品質面の問題も考慮しなければなりませんけれども、生産力としては矮化栽培が非常に強化をする、こういうふうな状況にございます。それに一方、先ほど申し上げましたような全体百万トン台という生産量から見通しますと、矮化栽培自体を制限するわけではございませんけれども、栽培面積については、少なくとも総体としては現状程度で推移すべきものであろうと考えております。
#149
○菅野久光君 以上、いろいろ申し上げてまいりましたように、リンゴについてもその需給に、先ほど村沢委員からもお話がありましたが、黄信号あるいは赤の点滅信号がともり始めたというふうに思うわけですが、今回の改正によって創設される果実の生産及び出荷の安定に関する措置の運用については、機を失することのないように適切に対応していただきたいというふうに思います。
 すなわち、農林水産大臣は、需給が著しく均衡を失し、その状態を改善するために相当の期間を必要とすると見込まれる特定果実の指定については、当面温州ミカンが指定される予定と聞いていますが、しかし、リンゴについては現在の段階ではもう危惧の段階あるいはそこを越えているのではないかというふうに思うわけですが、状況の推移によっては、傷口の大きくならないように迅速かつ的確に対応していただきたいと思いますが、この点いかがでしょうか。
#150
○政府委員(関谷俊作君) いわゆる特定果実の指定の問題でございますが、この要件としては、法律にも書いてございますが、生産能力が需要に対して著しくいわゆる過剰であるということでほかの作目への転換等も必要になってくる、その措置もかなりの期間を要する、また短期的な生産出荷の安定措置も必要である、こういうような判断が加えられる果樹ということになるわけでございまして、当面、温州ミカンを指定することは適当と考えておりますが、リンゴにつきましては、先ほどの御答弁等でも申し上げましたように、全体として見ますと、かなりこのままブレーキをかけないでいくと、需給の不均衡の懸念は確かに強い状態には来ているということでございますので、私どもとしましては五十八年度から新規植栽の極力抑制ということで、五十九年度の第三期対策からは水田利用再編成の奨励金の対象から外すと、こういうようなこともやっておるわけでございます。
 こういうような生産誘導に努めますことが必要でございまして、これによっていわゆるミカンと同様な生産指定果実にしていくことが必要にならないようにということで努めるのが当面の我々の政策、行政の課題だと思っておりますが、しかし、法律の問題としましては、この事態の進行によりましていわゆる構造的な生産過剰ということで特別の対策が必要になるような事態が不幸にしてまいりますと、これは関係団体あるいは県とも十分御相談の上で、特定果実の指定というようなことが法律上の問題としては出てまいるわけでございますが、現時点では、こういうような大変な事態にならないように努力してまいりたいと考えております。
#151
○菅野久光君 そういう事態にならないように努めるという点は大事な点でございますけれども、もちろんそういったような状況が出たときには、ひとつ早急に迅速にこういうものはやらないと傷口が大変大きくなるじゃないかというふうに思いますので、迅速な対応を特に要求をしておきたいと思います。
 次に、今回の改正点について幾つかの点について伺いたいと思います。
 まず、今回の改正の最大部分であります果実の生産及び出荷の安定を図るための措置についてであります。特定果実については、当面、温州ミカンが政令で指定される予定ということでありますが、中晩かん類については、日米農産物交渉の結果、オレンジ及びオレンジジュースの輸入枠が大幅に拡大されたところから、輸入量が増大するにつれて需給不均衡問題が深刻化する可能性がありますが、特定果実指定との関係ではどのような見通しを持っておられますか、この点をちょっとお伺いいたしたいと思います。
#152
○政府委員(関谷俊作君) 今回の特定果実の指定につきましては、いわゆる温州ミカンを指定するという考え方でございますが、中晩かんにつきまして、これは中晩かんそれ自体としての需給関係が、ただいま申し上げましたリンゴのような問題とほかの果実と同じでございますけれども、現状の判断からしますと、今すぐに指定ということではございませんで、やはり構造的な生産過剰というようなことが見込まれるに至りますと特定果実への指定と、こういうことが考えられるわけでございます。
 いずれにしましても、かんきつ額の中では今回の特定果実に当面指定するものは温州ミカンであり、そのほかの中晩かん類あるいはかんきつ類以外のその他の果実については、その状況により法律上特定果実として指定する道が開かれておりますので、この関係については常に十分検討して、早目に対策を講じるということで対処してまいりたいと考えております。
#153
○菅野久光君 とりわけ日米交渉の関係もあったわけでありますから、よろしくひとつお願いいたしたいと思います。
 また、特定果実生産出荷安定指針を達成する等のため、農林水産大臣は民法法人を申請によって全国で一法人を指定することとしていますが、予定される指定法人についてお伺いをいたしたいと思います。
#154
○政府委員(関谷俊作君) これは法律の体裁としまして、民法法人の中でこういう業務を的確に処理する能力のあるものを指定するわけでございますが、現在、この法律の検討の過程で、従来からやはりミカンの計画的な生産出荷あるいは価格、それから加工品の原料果実の価格補てん、こういうことを国からの助成を受けて、しかも県の段階にあります基金協会との連携のもとにこういうことをやってまいりました財団法人中央果実生産出荷安定基金協会がございますので、これを指定するということで対処してまいりたいと考えております。
#155
○菅野久光君 指定法人としては、今お答えのように、現在の財団法人中央果実生産出荷安定基金協会が予定されているということでありますが、次に、この指定法人の基金造成の現状と今後の見通しについてお伺いいたしたいと思います。
 この点については、五十九年度予算において一般会計から現行基金に積まれた約二十九億円及び六十年度予算における三十億円に加え、民間から積み立てられた三億円の計六十二億円と承知していますが、この点がどうなのか。事業の運営状況によっては、このファンドに不足を来すこともあり得るというふうに私は思います。そもそも今回の制度改正は、日米農産物交渉妥結の後、中曽根総理が国内対策については破格の措置を約束したその一環であるわけですから、ファンドの不足によって本法の目的を十分達成することができないといった事態を招くことのないよう十分に配慮していただきたいと思いますが、その点も含めてお答えいただきたいと思います。
#156
○政府委員(関谷俊作君) この中央果実生産出荷安定基金協会に対する予算措置については御指摘のとおりでございまして、五十九年度が二十九億七千五百万、六十年度が三十億二千九百万ということでございまして、これらの措置も含めまして果樹農業体質強化ということでの果樹緊急特別対策基金四十五億円の造成を図っていくということでございます。今後のいわば当基金協会に対するいわゆる国からの助成と申しますか資金供給につきましては、六十年度は今申し上げたようなことで四十五億円の特別基金の造成というところが中心になっているわけでございますが、これからの事業の内容の進展に応じ、また各方面の要望も考えながら、予算措置については十分計上するように努力してまいりたいと考えております。
#157
○菅野久光君 ことしはこれで間に合うのかもしれませんが、あるいは年度途中で不足を来した場合であっても、それから来年度の予算要求についても、十分先を見越して破格な措置をするというこの約束がしっかり守れるように、特段のひとつ御努力をお願いいたしたいというふうに思います。
 最後でありますが、果実の生産及び出荷の安定に関する措置が創設されたことは評価をいたします。これによって特定果実の需給均衡回復のための努力が払われたにもかかわらず、どうしても目的を達成することができない場合もあり得るというふうに思うんです。それはごく当然のこととして考えられることでありますが、需給不均衡の大きな原因の一つが輸入量の増大にあるというふうに考えられるからであります。
 そこで、私は、果実の生産及び出荷の安定措置によってだけではどうしても特定果実等の価格安定が図れないという場合、外国産果実または果実製品の輸入によってこのような事態がもたらされているときには、その原因になっている当該外国産の果実または果実製品の輸入に関して、必要な措置を講ずる等の有効な措置をしなければならないというふうに思います。その点についての大臣としてのお考え、決意をひとつお聞かせいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
#158
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 ミカンの過剰というのは、五十三年度における輸入枠拡大の取り決め以前から生じております。先ほど長期見通しの場合に、私は選挙区の関係で知っておるんですが、植栽計画の倍ミカンを植えておる。これは例えば三十七年から四十一年の植栽が農林省は三万五千五百ヘクタールだった。ところが実際は六万ヘクタール植えた。これはなぜかといいますと、塩出先生も御存じですが、私の選挙区にミカン村がございますが、そこの一坪の価格は広島市の一等地の一坪と同じ価格の時代があった。それで、みんなこぞってミカンを植えたという事実がある。これは参考のために申し上げます。したがって、農林水産省だけを責めちゃかわいそうだということを申し上げたわけでございます。
 それで、実は果実の需給不均衡は主として果実需要の多様化の傾向によるものと考えております。そんなことで、これに対処するため、需給均衡対策の基本というのは、先ほど言ったようなことで五十四年度から五十八年度までに三万へクタールの園地転換をするとか、あるいは五十九年以降は一万ヘクタールの転換を進めておると、こんなことでございます。そんなことで、今、先生の御指摘のようなことにつきましては、増枠の国産果実への影響を極力最小限にとどめるよう、オレンジの季節枠の適切な運用等に努めるほか、輸入果実による不測の事態に備えるべく、中央果実生産出荷安定基金協会に果樹緊急特別対策基金を総額四十五億円造成し、この中で対処していきたいと思っております。
 それで、実は一番やっぱり基本的問題というのは、安くておいしいミカンをどうしてつくるか。例えばバナナが今大体五百円で十四、五本です。私はしょっちゅう果物を全部買って歩いているわけです。そうすると一本三十円ちょっと、ミカンよりこれはずっと安いです。そして、実はおいしいものがいっぱいあります。その中で、日本人は非常に子供もぜいたくになっております。そうした場合、安くておいしいものを実は食べておる。そういう形の中には、どのような嗜好に合った果物をつくるかということに専念しないとなかなか厳しい状態が来る、このように思っております。そんなことで、先ほど村沢先生にもお答えしたのですが、私は品質の向上を図りますとともに、やはり消費拡大を図るためには今出荷調整をやる、あるいは貯蔵を含めたそういう検討をしないとなかなかいかないと思っております。
 例えば、つい最近では佐賀県では清見というのができておりますが、これは非常にいいんです。今までのミカンというのは輸出しようとする場合でも皮が薄いからもたないのですが、この清見というミカンは、これは農林水産試験場がつくったのですが、ミカンとオレンジをかけ合わせたのです。皮が厚くて、そして実はおいしいんです。なぜアメリカのオレンジが日本にもつかというと、あのもちがいいというのは皮が厚いからです。だから、そんなことを含めてこれから頑張りたいと思います。よろしく御指導をお願いいたしたいと思います。
#159
○竹山裕君 最近の果樹農業をめぐる情勢は内外ともに厳しいということは申すまでもないわけでありますが、特にミカンにつきましては、昨日の参考人の方々の意見を聴取する場で生産者の方のお話を伺い、一段とその状況の厳しさを感じたわけであります。
 私も静岡が出身でありますので、地元ミカンの産地を見るにつけましてもその感を強くするわけであります。五十九年産だけについて言えば、冬場の干寒害で大幅な減産になりまして、しかし夏から秋へかけての気象条件に大変恵まれまして、品質的には特にすぐれたものができ、市場価格もアップしたという意味では、一時的ではありますが、意欲的な農家にとっての希望を与えた。しかし、生産過剰というのは四十七年以来続いているわけでありまして、この間、生産者の方々はミカン園の転換を初めといたしまして、さまざまな経営努力を積み重ねてこられているわけであります。しかし十年を経過して、なおかつ現在も依然として生産過剰は解消されておらない。長引く不況で果樹農家の経営は悪化していくばかりである。このために、私の地元静岡県などにおいても農家によっては管理の手抜きが見られる。また、農家の階層分化や産地格差の拡大など、構造的な変化が進行しているわけであります。それに追い打ちをかけるように、日米農産物交渉によってのオレンジの輸入枠の拡大が行われた。まさに生産者は、将来への不安ととまどいを抱いているわけであります。
 そこで、大臣に、このような厳しい状況下においての果樹農業振興という面に対しての基本的なお考えをお伺いしたいと思います。
#160
○国務大臣(佐藤守良君) 竹山先生にお答えいたします。
 今、先生がおっしゃったことをどのようにして改め、そしていわゆる果実生産を安定させるかというようなことで、果振法の改正に踏み切ったわけでございます。
 この要点は、第一番に新たな果樹農業振興基本方針を早急に作成し、これに基づき果実の需要の動向に即した生産の誘導を図ることとしております。また、現在御審議いただいております農業改良資金制度の改正に導入される果樹栽培合理化資金、これは無利子資金でございますが、これの活用等により果実の需給の安定化と良質果実の生産を推進することとしております。またさらに、適地適産の原則を踏まえつつ、引き続き果樹園の整備、集出荷施設の近代化等の産地整備対策を推進するとともに、新たな果樹園経営計画制度の活用により、果樹産地の中核となる技術力と経営力を持った果樹農家の育成を図りたいと考えております。
#161
○竹山裕君 次に、今回の果振法の改正法案は、果実の生産過剰基調に対処して、果実の生産出荷の安定を図る措置が新たにつけ加えられた。これは政府が一歩踏み込んだものとなっているわけでありますが、生産者、出荷者の自主的な努力と行政庁による指導が相まって、車の両輪のように連帯して運営されてこそ新しい法制度をつくった意義があるわけでございます。また、そうすることによってその効果が十分発揮されるわけでありますが、何といいましても適切な運用の必要が迫られるわけであります。そのため、生産出荷の安定は、政府、生産者、集出荷業者、加工業者の関係者が一丸となってこれに取り組んで初めてその成果が得られると思います。きのうの参考人のお話を伺いましても、加工用果実の安定的供給を含めた果実の需給の安定、商系事業者の多くを広く参加させた体制の整備の要望がありましたが、政府は今後これらに対していかにこれの運用の適正化を期していくか、この辺についてお伺いします。
#162
○政府委員(関谷俊作君) この法律の運用につきましては、御指摘にございましたように、関係諸団体、それから県等の関係行政機関の一致協力した運用が必要なわけでございます。
 第一には、従来の経過に照らしましても、この果樹農業振興基本方針等で示しますいわば生産誘導の方向というものがなかなかうまく徹底しない、こういうこともございましたので、今回栽培面積等を決め、さらに昭和七十年を見通した基本方針を決めるわけでございますが、この実施、誘導に対して皆さん方が、関係の方が協力してこたえていただくということが第一に必要でございます。こういう点の指導には十分配慮をしてまいりたいと考えております。
 また、今回の改正で加えられます生産出荷の安定措置につきましては、これは従来の研究会をめぐる討議の中でも非常に中心的に議論されました点は、これまで果実生産出荷安定協議会というもので、いわば近い時点でのいわゆる単年度需給計画的な協議を進めてきたわけでございますが、この運営にしましても、お尋ねにございましたような関係業者も広くこういうものに参加を求める、それから国の方も従来よりは一歩踏み込んで生産出荷安定指針というものを決めたい、こういうことで国、行政機関、関係団体、それからさらにいわゆる生産者団体系だけではなくて、出荷関係の民間企業の方々、それからさらに言えば加工原料業者の方々、こういう方も含めてこの法律の運営については皆さんの協力を求めながら、今後の日本農業の基幹的な部分でございます果樹農業の安定発展を図っていきたい、こういうことで、この法律の適正な運用につきましては、以上申し上げましたような点を十分考えて対処してまいりたいと考えております。
#163
○竹山裕君 果樹農家は、果実の供給過剰基調のもとで大変な努力を払って経営の安定維持に努めてこられているわけですが、そうした農家にとっては今回の法改正は大きな力となると思っております。昨今の米国などを初め市場開放要求が一層強まっている中で、十三品目については六十年度末から、またオレンジ等については三年後に米国との交渉が再開される予定となっております。農業者、果樹農家の不安は高まるばかりであります。
 そこで、振り返って、最近の市場開放措置が我が国果樹農業に対して与える影響をどのように考えておられるか、また、市場開放に対する果樹農業関係者の不安を取り払うために本改正案で何らかの対策を講ずるべきでなかったか、この点についての政府のお考えをお聞かせいただきたい。
#164
○政府委員(関谷俊作君) 従来、特に日米の農産物交渉の中で中心的な問題になりましたかんきつ、さらにいわゆる十三品目の中の特に果樹関係等の交渉でございますが、その影響等につきましては、全体的には大変生産者団体にもその過程におきまして不安をお与えし、また我々としても大変苦慮して対応したわけでございますが、御承知のような輸入割り当て量の増大等を中心にしました対応をいたしておりますが、こういうことで、もちろん大変厳しい内容ではございますが、国産果実等の影響についてはできる限り必要最小限度の中にとどめられた、こういうふうに考えております。
 今後の問題につきましては、これは、いずれにしましても十三品目の関係は非常に近い時点で問題になってまいるわけでございますし、それからかんきつについても四年という期間はそう長い期間ではございません。すぐに問題になってまいります。こういう意味で、この日米関係を中心にしました貿易交渉につきましては、我が国の農業の置かれた立場、特に需要の減退の中で、品質の高度化等について大変苦慮している。そのために、今回の改正案によりまして生産出荷の安定ということで指定法人の業務を中心とした、また国も生産出荷安定指針を決めるというようなことで、国内需給の安定に非常に積極的に取り組んでおる、こういう状況を十分訴えまして、相手国の理解も求めながら果樹農業の安定に対処してまいりたいと考えております。
 なお、その関係で直接輸入にかかわる措置につきましては、果実自体の中でガットとの関係等でなかなか難しい規定を設けることができなかった。また、輸入ということになりますと農林水産省専管の業務でもございませんで、ほかの関係省庁との権限の問題もございまして、なかなか具体的な、あるいは今後の方針についても法律規定を盛り込むということができませんでしたので、この法律の内容としましては、先ほど来申し上げましたような国内的な生産出荷安定措置の強化ということに重点を置きまして法律案を策定して御審議をお願いをしている次第でございます。
#165
○竹山裕君 最後に、農業関係者が最も関心を持っておられます輸入問題については、どのような法制度が確立されたとしても、我が国農業を健全に発展させるという見地に立って毅然たる態度で対外折衝に臨んでいただくことが必要だと考えるわけであります。そこで、農業者の不安を取り除くという意味において、大臣に今後の果実などに関する市場開放問題に臨む基本的な姿勢、またその対処方針について決意をお聞かせいただきたい。
#166
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたします。
 先ほど局長も答弁したことでございますが、我が国の果樹農業というのは非常に需要の減退と価格の低迷で極めて厳しい状況でございます。そんなことで、これまでの市場開放問題に臨んでは、相手国に対しまして我が国果樹農業の置かれておる厳しい状況について十分説明し、その理解を得るよう最大の努力を払ってきております。今後とも関係国との友好関係に留意しつつ、我が国果樹農業の健全な発展を損なうことのないよう最大限の努力をしてまいる所存でございます。
#167
○塩出啓典君 それでは、果樹農業振興特別措置法の改正について質問をいたしたいと思います。
 まず最初に、この法案提出に至ったその背景についてお尋ねをしたいと思いますが、政府の提案理由の説明等を読みますと、やはりミカンを中心とする果樹の消費の減退に加えて、あるいは生産の過剰、それから一つは最近の自由化の要請、そういうようなものがバックにあるようでありますが、私は提出がやや遅きに失したのではないか。果樹の過剰基調というものはもう十数年前からあったわけでありまして、この拡大を基調とした果樹農業振興特別措置法を今回方向転換するというのは、余りにも時期が遅きに失したのではないか、こういうような感じがするわけでありますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
#168
○政府委員(関谷俊作君) 今回の法案提案に至ります状況につきましては提案理由で御説明申し上げ、また今、先生の御質問の中にもありましたとおりですが、全体としましてやはり需要の減退傾向、それから果実としても非常に品質の高度なものが求められるということがございまして、確かに需要の基調というものは農業基本法当時のいわゆる選択的拡大と重要品目としてうたわれていた時代とは変わってきてまいったわけでございます。
 ただ、これがミカンについて申しますと、確かに四十七年あたりから生産過剰基調が顕在化しまして、新植抑制等の行政措置も行ってきたわけでございますが、果樹農業総体として見るならば、従来、中心に考えられてきた拡大、拡大というこういうものを法律の基調として改めるという意味では必ずしも早いとは申しませんけれども、やはり相当な現在のような事態の進行のもとで法律全体の基調の変更も含めた全体的な見直しを図る。その中で生産誘導にしましても、新植だけではなくて栽培面積全体を誘導する。それから生産出荷の安定措置という今まで全くなかったような措置を加えるとか、こういうところまで至りますにはある程度の時期があった。また、果実全体についてそういうことを考えるべき時期が到来したということで、もちろん極めて早いというふうな気持ちではございませんけれども、我々としては状況の推移を見て、できるだけ法律面でもこういう果樹農業の問題にこたえるような対応をやりたいということで検討の結果、御提案するに至った次第でございます。
 それから、輸入の問題については、この間、大分問題がございましたのでなお検討いたしたわけでございますが、この法案の内容としては、なかなか政府の案としてこの関係の措置を盛り込むには至らなかったということでございます。
#169
○塩出啓典君 実は、昨日参考人の皆さんにお越しをいただいていろいろ御意見をお聞きしたわけですけれども、生産者の方々の御意見は押しなべて、御意見というか認識は、やはりこの輸入圧力と申しますか、我が国に対するそういう農産物の開放の一環としてオレンジを中心とする果実の輸入圧力、そういうものからこの新しい法律を彼らは望んでおると、そのようにきのう発言があったわけですけれども、当然農水省としてもこういう法律を提出したというその背景には輸入の増加圧力というものがその根底にある、このように理解していいわけでしょうか。
#170
○政府委員(関谷俊作君) 輸入の問題については提案理由の中でも申し上げましたとおり、確かにそういう市場開放要求の強まり、こういう状況で需給の問題が大変厳しくなった、これが一つの今回の法律提案の背景の中の問題点としてあることは事実でございます。ただ、これに対する対応ということになりますと、政府の案としてなかなか法文化しがたいといういろいろな事情がございまして、この関係については法律案の中に入っておらないわけでございますが、反面、輸入に対して直接的に対応をするという法的措置もございますけれども、まずその前提として国内の生産出荷安定措置、いわゆる需給安定措置を強化することが先決である。こういう実態をもちまして、初めて国内でもこれだけの努力をしているのだからと、こういうことが今後の輸入の交渉なり相手国への対応の関係で非常に制度的にも力を持つ、こういうような判断も内々いたしている次第でございまして、やはり法的な措置ということになりますと、国内的な需給調整体制を整える、できる限り整えていく、これがまず第一着手であろうということで、今回の法律案におきましても生産出荷安定措置関係のことが中心になっておる、こういうふうな次第でございます。
#171
○塩出啓典君 今お話がありましたように、生産者の方々の希望とは反しまして、この法案の中には輸入規制についての内容は何もないわけですね。もちろん私たちも世界の動向というか方向としては、やはり我が国も徐々にガットの精神に基づいた貿易の自由化の方向に行くことは私は時代の流れだと思うんです。それには一つの段階があるわけですから、そういうときに一つの圧力に対する歯どめというものが、やっぱり日本の国の農業を預かる農林水産大臣には、そういう歯どめというか伝家の宝刀というか、伝家の宝刀は余りしょっちゅう抜いてはいけないわけですけれども、そういうようなものが私は必要じゃないかと思うんです。現在においてはこの法律にはないわけですが、それ以外にはどういう歯どめがあるんでしょうか、農林水産大臣としての歯どめですね。
#172
○政府委員(関谷俊作君) 輸入に対する対応措置としましては、現在ございますのは輸入制度でございますが、この割り当て制は御承知のように貿易管理令に根拠を置いておりまして、この行政的な実施については農林水産大臣が通産大臣と共同しまして実施をする、割り当てをしていくと、こういうふうな意味で農林水産大臣の権限になっておるわけでございます。また、もう一つの手段としましては関税でございますが、これも法律によりまして対応いたしますので、関税制度の改正も含めまして、これは政府の一員としての農林水産省、農林水産大臣の権限の中で対応しているわけでございます。
 今回の法律案も含めまして、法的にこういうことに対応するとなりますと、直接これらの割り当て制度なり、あるいは関税制度に触れるようなことをまた別の法律で書くということがなかなか法的に競合する問題として難しい。それから直接何か措置を書きますと、これもまたガットの条約に真っ正面からすぐに違反をしてしまうと、こういうようなおそれもございます。そういうような措置がなかなか法的に書きにくいということで、むしろ現状を見ますと、確かに輸入に対応する措置は必要ではありますけれども、やはり我々としてできることは、まず国内体制をしっかりすること、こういう意味で、今回の法律の中に生産出荷安定措置関係の規定を入れまして、いわばこういうことが今後の輸入に対応する場合の一つのよりどころ、基盤になっていく、これを足がかりにして輸入に対するいわば対応もできていくと、こういうような意味合いはこれらの措置にあるのではなかろうかと考えておる次第でございます。
#173
○塩出啓典君 国内の体制を生産調整してそうして輸入をふやす、そういう条件をつくるためにこういう法律が制定されたんではないか、そういうようなことにならないように頑張っていただきたい、このことを要望しておきます。
 それから、今回のこの果樹農業振興特別措置法の一部改正は、いわゆる果樹対策研究会のいろいろ研究の結果に基づいてなされているように理解をしているわけでありますが、果樹対策研究会というのはいかなる団体であるのか、何に基づいた団体であるのか、この点をお伺いしておきます。
#174
○政府委員(関谷俊作君) 果樹対策研究会でございますが、これは農蚕園芸局長からいわばお願いをした方々にお集まりいただいて、御検討の上意見を聞かせていただくということで、余り適当かどうかわかりませんけれども、私的諮問機関という言葉がよく使われますが、法律制度で決まったものではないという意味で私的と言っているんだろうと思いますが、そういう意味で農蚕園芸局長の私的諮問機関、つまり法律に基づかない、意見聴取のために研究会を催したというものでございます。
#175
○塩出啓典君 これは農林水産大臣にも要求しておりますが、今日まで、今度の国会の予算委員会でも問題になっておるわけですが、私的諮問機関をつくって、ある意味においては都合のいい人だけを集めて、その意見をいかにも全体の意見のようにして一つの方向に誘導する。そういうようなことがあってはならないという意味で、私的諮問機関のあり方について問題になっておるわけですけれども、私は今回のこの内容が特にいけないというわけじゃありませんが、やっぱり私的諮問機関というのは、個々の意見を聞くことはいいわけだけれども、全体のまとまった意見を何か何かの機関の意見のようにやるということは、これは法律の趣旨からも行き過ぎであると、こういうことが論議もされましたし、私もそのとおりだと思います。そういう意味で、今後はこういう私的諮問機関の取り扱いについては法の趣旨を私は厳正に守ってやっていただきたい、このことを要望をしておきます。この点はどうでしょうか。
#176
○国務大臣(佐藤守良君) 塩出先生にお答えいたします。
 これは私も国会議員としまして、特に役所が私的諮問機関を自分の隠れみのにしておるというようなことで非難を受ける場合もかなり多いわけですが、私は今度のこの果樹対策研究会を見まして、そういうことは毛頭ありません。しかも、実に適切なことを指摘されているというようなことをもちまして、この研究会を高く評価しておるわけでございます。
#177
○塩出啓典君 隠れみのにするようなことは今後慎んでいくと、そういうことですね。
#178
○国務大臣(佐藤守良君) そういうことです。
#179
○塩出啓典君 それから次に、いわゆる農水省の需給見通しでございますが、先般来論議がありましたように、果樹の場合は野菜と違いまして方向転換が非常に難しい、そういう点から、需要の動向を予測するということはこれは非常に私は大事なことじゃないかと思うんです。ところが、ほかの面は知りませんが、温州ミカンについての農水省の立てた需給見通しというものは全く大幅に狂っておる。私は優秀なメンバーをそろえ、いろいろ統計、情報もたくさん備えておる農水省が立てたにしては余りにも狂い過ぎる点があったんではないか。そうして、そのことがやっぱり果樹農家、ミカン農家の混乱を招いた一つの因ではないかと、このように考えておるわけですが、今この農水省の需給見通しの狂いについて農水省としてはどのように反省をされておるのか、その原因はどこにあるとお考えであったのか、これをお伺いをしておきます。
#180
○政府委員(関谷俊作君) 六十五年度の長期見通しと現実の足取りとの違いの数字につきましては、先生よく御承知のとおり、総需要等でかなり狂いがございまして、それがミカンについて相当大きな差異になって出たわけでございます。
 その原因については、まず加工の需要の関係でございますが、やはり相当当時のいわゆる飲み物の出回るというか消費量がふえていく過程で、当時としては確かに果汁需要に非常に期待をした。ところが、その後いわゆるコーヒー飲料とかスポーツドリンクとか、いろいろそういう非果汁系の飲料に対してかなり需要が伸びたということで、ここに一つの狂いがあったということは率直に認めるべきことと思います。また、生食需要についても大体総体で横ばいというふうに見たわけでございますが、果実消費が多様化しまして、ミカンからほかのものにかわった面もございますし、またミカン自体が果実全体としても減ってきた、こういうふうなこともありまして年率二%弱のテンポで減少してきた、これがもう一つの生食関係の需要のいわば狂いでございます。
 これはなかなか需要の見通しについては、こういう点でいわゆる楽観的と申しますか、結果的に後でそんなに需要が伸びないというような事態は、御指摘のように生産者方面を大変混乱をさしていわゆる過剰を来すということもございますので、こういう需要の動向を見ますと今後長期的見通しの必要性というのはやはりあるわけでございますから、これまでの足取りもよく見ながら、過大な見積もりということがないような、十分需要の動向に即したできる限りの努力をしていくということで慎重に対応すべきものだというふうに考えております。
#181
○塩出啓典君 今、局長がお話しになりましたのは昭和六十五年の見通しについてだと思うのですけれども、しかし、昭和五十一年に立てました昭和六十年の見通しはこれよりさらに大きかったわけですね。そこで今お話しでは果汁、いわゆる加工品が、余り果汁が伸びなかった、それから生食が非常に伸び悩んだという、これはもうちょっと果汁の場合はどの程度見込んでいたけれどもどの程度になっちゃったというのか、ひとつ数字的に御説明いただけませんでしょうか。
#182
○政府委員(関谷俊作君) 六十五年見通しの方で申し上げますが、全体としまして六十五年はミカンの需要量百五十三万九千トンと見込んだわけでございますが、そのうち加工向けが百二十九万トンと見込んだわけでございます。これは基準年次でございます五十三年度からのが九十三万二千トンでございまして、年率二・七%の伸びと、こういうふうな見通しをしたわけでございます。これが加工向け全体でございますが、現実には五十八年で七十九万四千トンということでむしろ減りまして、この減るテンポが五十三年の九十三万二千トンから見ますと年率三・二%の減少、こういうようなことで、この辺が、先ほどの飲料の中での競合等も含めまして実際に見通しの狂った大きな点でございます。
#183
○塩出啓典君 実は、昭和四十八年の二月の農林水産委員会で私がミカンの問題を質問いたしております。私の記憶では、四十七年に大変ミカンができ過ぎまして暴落をいたしまして、広島県においてもミカン農家が自殺をするという、こういう一つの社会問題にたしかなっておったときでありますが、その二年前の四十六年に科学技術庁の資源調査会というものがミカンの需要予測をいたしまして、今のままではミカンは過剰になる、二年前からもうミカンはこのままでは過剰になる、そんなにミカンは伸びないと。アメリカなどは七割が加工でこれは年間使用できるけれども、日本の場合はまだ加工は一部でございまして、生果を食べるといえばもう期間は限られていますし、ミカンは保存の点においても問題がある、いろんなそういうデータを挙げてミカンが過剰になるということを、私が言っているんじゃない、科学技術庁の資源調査会がそういう報告を出しておるわけです。
 それをもとに、農林省の当時の伊藤俊三局長に質問をしたわけですけれども、そのときの農林省のお答えは、四十七年、これはミカンができ過ぎたのは異常気象なんだ、異常気象でできたのであって、決してこの計画は間違ってないんだということを言い張った記憶があるわけでありますが、しかし、それから以後今日までの経過を見れば、私は科学技術庁の資源調査会の予測の方がはるかに正しかった、十年たってみれば。こういう結果が出ておるわけでありまして、そういう点農林省もそれなりのデータに基づいた予測ではないかと思うんですけれども、結果的には科学技術庁の資源調査会の予測の方がぴったり当たって、全く農林省の予測はお手上げである、私はそのように言わざるを得ないと思うんですけれども、そういう点は今はどのようにお感じになっておりますか。
#184
○政府委員(関谷俊作君) これは、ただいまの四十八年の先生の御質問についても私ども承知をしておるわけでございますが、このあたりからの経過を見ますと、大体この辺で生産過剰基調というのはやはり顕在化をしたわけでございますが、全体のミカン対策の推移を見ますと、やはりこの辺のところで植栽調整ということで新規植栽の抑制の方針を明確に出したものが四十八年二月二十六日に通達が出ておりまして、これはいろいろ補助事業や融資事業による植栽が植栽計画におさまるよう調整指導する、それから補助事業による植栽は極力抑制ということでございます。さらに四十九年三月に至りまして、やはり局長通達で生産指導としまして、むしろ植栽に当たっては系統更新等の改植を積極的に進めて新植は極力抑制する、こういうようないわば抑制基調の方針を出しましたのは四十八年二月以降、こういうふうに考えております。
 ただ、その間のいわばテンポ、対応につきましては、確かに御指摘のように、少し曲がり角に来たらすぐにかなり強い対策を講ずるということには確かになっておらない点がございまして、いわゆる本当の温州ミカン園の転換計画ということを始めましたのは五十四年から五十八年までの三万ヘクタールの転換、これがいわゆる本当の転換の最初でございます。また五十九年度から三年間で現在さらに一万ヘクタール減らすということで、このスタートから見ますと五十四年当初の栽培面積十五万ヘクタール、それから三万ヘクタール減らしまして十二万ヘクタール、さらに五十九年度から一万へクタールを三年間で減らしますので十一万ヘクタール、こういうような目標を当面持っておりますが、この間の対応については確かに今申し上げましたような新規植栽の抑制ということはやっておったわけでございますが、その辺のブレーキのかけ方、あるいは転換への切りかえというのが、若干需要の減退の傾向からしますと少しおくれをとっておるということは否めない事実であろうと思います。
#185
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えしますが、今の点は大変難しい問題で、やはり私は嗜好の問題だと思うんです。
 それともう一つは、果汁等も率直に言いますと、先生御存じのところで、そのころの果汁はまずくて高かった。そしてその後、果汁に例えばアメリカのオレンジを七、三で加えるとか、あるいはポンカンを入れたらおいしかったとか、そこらが一つあるんで、やはりそんなことで、例えばほかの生鮮食料に負けたという点があると思う。つい最近は味がよくなりましたけれども、その当時よくなかった。それから実は幾つもおいしいものはたくさん出ております。例えば子供に百円与えた場合、ミカンは買いません。まずチョコレートから買ってきて、十円で売っていますガムを買います。そういうことで、恐らく私はこの予想を立てたときは、ミカンしか食べるものがないというような感じの予測ではないかという気がするわけで、そういう意味におきましては農林省の専門外のことであったわけですね、嗜好とかそういう問題。そんなことで一つは大きく食い違った点があるんじゃないかと、こんなような気がします。我々の小さいころというのは、これは広島におきましてとにかく果物が安く買えました、ミカンが。だから小遣いを持つとすぐミカンを買いにいった。今全然事情が違う。こういう点もあるかと思いますから、その点は特に御理解をお願いしたいと思うわけでございます。
#186
○塩出啓典君 そういう時代の動向をキャッチするのは、やっぱり農民の方よりも情報を持つ農水省の方がより早くキャッチしなければいけないんじゃないかと思うんですがね。
 それで、私が四十八年に質問したそのときは、昭和五十一年に三百三十六万から三百七十一万トン、昭和五十六年に四百十万から四百二十三万トン、これが非常に多過ぎるということを、これは資源調査会のデータに基づいて私は主張した。私の意見じゃない、科学技術庁資源調査会の意見なんだ。ところが、昭和五十一年にその見通しを改定して、昭和六十年には四百五十二万トンという、まだ昭和五十一年まで農林省の需要目標は四百五十二万トンなんですよ。そして昭和五十五年のときにようやく昭和六十五年の見通しを三百五十四万トンと、こういうように下げておるわけですね。そういう意味で、ちょっとこの対応が、そういう消費の動向、いろんな変化をキャッチするのに余りにも遅過ぎたんじゃないか、こういう感じがするんですけれども、その点はどうでしょうか。
#187
○政府委員(関谷俊作君) この点は、ミカンの生産の見通しにつきましては確かにおっしゃるとおりでございます。五十一年八月時点でつくりました六十年度目標が四百五十三万八千トンと、こういうふうに見込んだわけでございます。この辺のところは、当時の事態としてやはりミカン生果及びその加工品、こういう関係の需要についてまだ確かにほかの嗜好品その他にかわるということで、そうは伸びないんだということが十分認識できなかったということによる需要の見通しの確かに十分でなかった点があろうかと思います。
 と申しますのは、従来の農林水産省関係のこの種の見通しの手法でございますが、基本的には一種の需要関数を用いるわけでございますが、その場合に、可処分所得が伸びました場合に一定テンポで需要も伸びていくという、そういう場合の簡単に言えば所得と消費との関係について過去の期間の伸び、言えば係数を使う、こういうようないわゆる従来の実績の中から将来を見通すという方式が大体中心的にとられておりまして、これはミカンだけではなく、ほかのものでございますが、その間、今議論に出てまいりますようなかなり基本的な消費構造とか競合商品が出てくるという段階では、過去のそういう消費動向、特に所得との関係で伸びていくという係数が妥当しないようなことになるわけでございますので、この点は確かに予測の手法としまして、これからも含めまして、過去のこういうような過大な見通しが二度とないように十分留意をすべきことだと考えております。
#188
○塩出啓典君 昨日の参考人の方も、やはり権威のある見通しを立てて需給のバランスをとれと、こういう発言がありました。権威のある見通しということは、私は本当に大事なことだと思うんですね。そういう意味で、今、果樹審議会で次の新しい需要の予測を検討されておるようでありますが、私は現在までの手法を抜本的にひとつ検討して、やっぱり需要予測というものは非常に大事になってくると思うんです、農家の方々の指針になるわけですから。そういう意味で、どういう手法によるかということは細かい論議はここではいたしませんけれども、農水省といたしましても新しい手法を取り入れて正しい予測ができるように最大の努力をしてもらいたい。これは農水大臣に御要望したいと思いますが、その点いかがでしょうか。
#189
○国務大臣(佐藤守良君) 今、局長から聞いておりまして、非常に難しい問題でございます。可処分所得によって率を出してやるわけでしょうが、恐らくそれに国民が何を求めているか、何が一番いいか、この点を含めたやっぱり修正率というのを考えなきゃいかぬと思うんです、例えば嗜好その他、それから価格が安いか高いかということを含めて。例えばバナナ一本とミカンといったら、バナナを買います、子供は。私、孫に賀わしてみますと、百円持たせると、ミカンを買わずにバナナ、一本三十五円から四十円です。今フィリピンと台湾で、ほとんどフィリピンですが、全部やらしてみますと、子供はそうなんですよ。これがミカンを買うようにしなきゃいかぬわけですね。そんなことを含めて実は私はひとつその点をよく十分調査して、そして修正率を掛けて適正なるものを方向づけしていきたいと、こういう考えをしておるわけでございます。
#190
○塩出啓典君 それから、昨日の参考人の方の御意見として、今、大臣もお話しになりましたように、最近の子供はすぐお菓子を買いに行くというんですね。しかし結果的には、お菓子を余り食べるということは子供の健康にもよくない。やはり果物を食べ、ジュースを飲むということは、子供の将来の健康にとってもいいわけです。ところが、お菓子の方はテレビでぱっぱぱっぱと新しい製品を出してやられるものだから、自然にそういう方向に行くと思うんですね。したがって、単なる予測をするということも大事だけれども、やっぱり子供の嗜好、国民の嗜好に合ったそういう品物をつくる、そういう加工品あるいは果物をつくる、あるいは場合によってはテレビの宣伝もするとか、こういうような点も私は農水省としてはやっぱり関係団体にもその時代の流れというものは伝えて、そういう対応ができるようにしていかなくちゃいけないと思うんですけれども、そういう点は農水省としてはどのようにお考えでしょうか。
#191
○政府委員(関谷俊作君) これはまさに消費、需要増進ということは大変大事でございまして、今の子供の時代からの嗜好というか好みの誘導、そういうことも含めましてやらなければならないわけでございます。今回の法律の中でも、指定法人といういわばかなめになっております法人の事業として、需要増進という仕事を特に一項目取り上げているわけでございます。
 この内容としましては、今までも少し手がけてまいりましたけれども、いわゆる消費宣伝、それから品質向上対策、それから海外市場への輸出、こういう全体を含めて対策を立ててまいりたいというふうに思っておりますが、その中で特に消費宣伝、消費拡大については、いわゆる果実の持っております食品としての優秀性と申しますか、こういう点についても十分国民一般に、特に若い世代に訴えるような需要開発あるいは消費宣伝と申しますか、こういう点について十分留意しながら進めていかなければいけないと考えております。
#192
○塩出啓典君 そういう点は、生産者のレベルアップ、あるいは加工業者の内容の充実というか、そういう点にもひとつバックアップをして努力をしていただきたいと思います。
 それから、今度の法案によりますと、この果樹農業振興特別措置法の対象果樹として現在は十二種類になっておるようであります。この法律が制定された当初は九種類だったそうでありますが、昭和四十一年に梅が加わり、四十七年にパイナップル、五十三年にスモモ、こういうそうでありますが、少量多品種の時代になってきておるわけでありますので、そういう意味で、キウイとかイチジクとかアンズとか、こういうものも加えた方がいいんじゃないか。やはり最近広島県等においてもキウイに転換した人が多いわけですが、キウイの作付面積がどういう状況でふえておるのか、そういうようなことを農水省がこの法案、この法律の対象果樹に加えて発表すれば、いろいろな面で農家の参考にもなっていくんじゃないか。こういう意味で対象果樹を拡大をすべきではないか。この点はどうなんでしょうか。
#193
○政府委員(関谷俊作君) 果振法の対象果樹につきましては、栽培面積が相当ある、それから年間粗生産額が大きい、また将来の需要の伸びも見込まれる、こういうようなものを対象に考えているわけでございまして、地域農業の振興上重要な果樹についても取り上げるという方針になっております。
 こういう考え方で、今お挙げになりました問題については、今後の指定についてそれぞれの果樹の状況に応じ検討をしていくことで、さらに指定の範囲が必要なものは拡大をしていくという考え方に立っておりますが、まずキウイフルーツについて申し上げますと、これは大体温州ミカンの転換先として重要な地位を占めておりまして、産地化が図られている、生産、需要が急速に拡大しておりますので、五十八年約二千百四十ヘクタールというところまで来ておりますので、こういう状況から見ますと、大体全国的な見地から生産の計画的誘導を図ることが必要であろう、こういうことで今年度中にでも政令指定果樹にして対象にするような方向を考えております。
 イチジクでございますが、これは九百ヘクタールぐらいの生産規模でずっと推移をしておりますが、生産の状況がかなり分散をしておる、地場消費が多いというようなことから、なかなか全体的に国ベースで生産の運用を図るというようなことではいかがであろうか、こういうようなことでございます。しかし、この辺の問題については、これからの推移を見るべき問題と考えております。
 また、アンズについては、三百ヘクタール前後でございますが、かなり青森、長野二県に集中するとか、そういうようなことでございますし、青森はほとんどが地場消費である。長野は加工品、特定市町村に偏在している。こういうようなことでございまして、なかなか全国的な対象として取り上げるべき状態になっているかどうかという問題もございます。
 いずれにしましても、当面、キウイフルーツはいずれ指定というような段階に来ておるというふうに思いますが、ほかの問題については、今後の問題として状況を見ながら必要に応じて指定をするという段階ではなかろうかと思っております。
 なお、法律上の問題はそういうことでございますが、いわゆる法律によらないものについても、今回地域特産果樹対策というようなものも予算上の措置としては設けまして、必要なものは対策を講じていくというような、予算上の措置としては対策の範囲内に含め得るものがあるわけでございます。
#194
○塩出啓典君 それで、昨日の参考人の方も、いわゆる輸入というものが全然掌握されない、これはアウトサイダーじゃないか、そういう意味で輸入に関する見通しも加えるべきではないかという意見もあるわけですが、しかしこれは、農水省がつくるこの計画に輸入をどうするなんということを、なかなかこれは書けと言ってもちょっと難しいんじゃないか。余り輸入をふやさないとなると、アメリカが文句を言うでしょうし、また余りふやすようになるとこれは生産者団体が非常に――そういう点を考えると、私はこういう需給の見通しというようなものは、これは本来は政府がつくるよりもやっぱり農業団体というか、果物の予測についてはやっぱり果樹連合会のようなものが、そういうところがやっぱりつくる方がいいんじゃないかなというふうに思うんですが、そういう点はどうなんですか。それはどのようにお考えですか。
#195
○政府委員(関谷俊作君) 輸入に関する見通しについては、確かにこれは、輸入ということで国内的にコントロールし得る外にありますので、それ自体の見通しは大変難しいわけでございます。ただ、生産誘導という面になりますと、総体の需要を見通す一方で、輸入がどのくらいあるだろうということを想定した上で国内の生産誘導を行うということになりますので、全く輸入に関する見通し、これは独立に、あるいは公開して立てるようなものではございませんけれども、ある程度の腹づもりとして持ちませんと国内の生産の誘導ができないということで、果樹農業振興基本方針などをつくります場合に、輸入についてもある程度の見込みを持ちながら栽培面積等を決めていくことになるわけでございます。
 こういう問題からさかのぼりまして、そもそもこの種の農産物等の需要の見通しというものをどう考えるかということは大変難しい問題でございます。経緯として申しますと、議論としてはいろいろあったわけでございますが、農業基本法ができますときに、その中の重要な新しい政府の仕事として、需要と生産の長期見通しを持って、それに即して生産誘導をするということを基本法に即して決めたというところが、需要と生産の見通しが政府の仕事になり、それを誘導する、こういうようなことになった一番の出発点になっているわけでございます。
 そういう意味では、確かに行政としてなし得る限界を超えているのではないか、ミカンの例等を見ましても非常に難しい、政府がつくるだけになかなか影響も大きくて、当たれば当たり前で、当たらない場合には大変混乱を来すというようなことがございます。そういうようなことでなかなか難しいわけでございますが、どうも基本法だけを盾にとるわけじゃございませんが、大変難しい仕事だけれども、やはり少し先を見て、どのぐらい国内生産というものはつくったらいいのかということを、情報を一番持っている政府がやるというのが、どうも仕事としては適当ではないか。民間団体がやっていただくにしても、影響が多い場合にはやはり政府のチェックが必要ということにもなりますので、そんな気持ちを持っております。
 いずれにしても、これは一つの政策のあり方として議論になる点ではあろうかと思いますが、農政の中としては、この需要見通し、生産見通しということが一つの大事な仕事になって二十年来来ておる、こういうようなことでございます。
#196
○塩出啓典君 今度の法案では、果樹園の経営計画の内容が少し変わりまして、今までは共同の経営計画を出さしておったわけでありますが、今回は単独でもいい、こういうように変わったようでありますが、この果樹園経営計画を提出させる目的は何なのか、そして、これを適当であるかどうかということを認定をする認定の基準は何なのか、どういう状況なら認定し、どういう状況なら認定しないのか、これはどういうことなんでしょうか。
#197
○政府委員(関谷俊作君) 今回果樹園経営計画について、共同ではなくて個人農業者、こういうふうに改めます趣旨は、従来の果樹園計画、どちらかというとやはり拡大、新植志向の経営計画でございまして、そうしますと一定の団地、当時でございますと十ヘクタール以上でございましたか、そういう一定の団地について共同でやる場合に、それを対象にするというような趣旨が明確に出ておりました。今回は、全体の需給動向から見ますと、やはり一番責任を負います個人の経営者が自分の園地の中のいわば品種転換とか、あるいは改植とか更新とか、そういう質的な面での向上に重点が置かれますので、個人単位の方が実態に即しているというふうに考えておる次第でございます。
 その場合に、認定の基準につきましては、この経営の内容に書かれております所得目標あるいは経営規模の目標、その達成に必要な品種構成、労働力、資本装備の内容、こういうような面について技術的な面からの妥当性、それから経営的に達成可能であるかどうか、こういう面についての検討をした上で知事の認定をするということで、今回の経営計画は結果的に総合施設資金で対応いたしますので、やはり相当規模の所得目標なり経営規模目標に技術面、経営面から見て到達が可能かどうか、そのためにこの資金が必要かどうか、こういうような観点で認定をすることを考えております。
#198
○塩出啓典君 お金を貸すわけですから、貸したお金は返してもらわなくちゃいけないわけだから、返せるかどうかというそういうチェックは必要だと私は思うんですけれども、余りそういう以外の、何に植えかえるんだとかどうなんだとか、そういうものはそれぞれの判断に基づいて、どれがいいかこれがいいかということは、これは国や県では決まらないんじゃないかと思うんですけれども、そういう意味で、余りややこしい計画を出さして、それで妥当であるかないかとか、妥当であるという認定をしてうまくいかなかったら県が責任を持つかといったらそうじゃないわけでしょう。こういうのはもうちょっと行政改革の趣旨からいっても、余り農水省は何でもかんでも報告させるというそういう体質は改めた方がいいんじゃないでしょうか。その点どうなんですか。
#199
○政府委員(関谷俊作君) これは確かにそういう御意見もあろうかと思いますが、我々としては現在の需給関係なり、あるいは生産の状況からしますと、やはり例えば先ほどのミカンの例などもございましたように、一定のかなり過剰が見込まれるようなもの、そういうようなものでやるというそういう判断が必要であろう、こういうふうに思っております。
 それからもう一つは、今回の果樹園経営計画の作成に伴いまして、これが農林漁業金融公庫の方では総合施設資金を貸し付けるわけでございますが、その総合施設資金という年利五分の特別の資金を総合的に貸すわけでございますので、そちらの方で経営規模または農業所得の目標を決めていくわけでございます。そうしますと、そもそも資金の貸し付けの要件である経営規模または農業所得に到達するかどうか、そういうことが見込まれるかどうか、つまり本来この資金の融資を受ける適格者であるかどうかということをセレクトした上で、特別の低利の資金を貸すという仕組みになっておりますので、こういう関係からもやはり認定ということがどうしても必要になってまいりまして、そうしますと計画の達成のために技術、経営等の条件につきましても、やはりそれなりの経営計画達成の可能性についての審査が必要になってくるわけでございます。
#200
○塩出啓典君 そういう点はできるだけ簡素に、私も今の状態のときに余り規模を拡大して新しいミカン園をつくるとか、そういうようなものにお金を貸すべきではないと思いますし、そういう基準をひとつ明確にしてやるようにしていただきたいと思います。
 それからやはり私は、ミカンのコストも下げていくということを、バナナみたいに安いから売れるわけじゃありませんけれども、安くてうまければこれは高くてうまいよりもなおいいわけですから、そういう意味でミカン農家が国際競争力をつけるには、一つはコストも下げていかなくちゃいかぬ。ところが今回は共同の経営計画、そういうようなものが認められない。そうなってくると、過剰投資とかそういう心配があるんじゃないか。したがって、私はもっとコストダウンをし共同利用、そういうような点も誘導していくべきではないか。ところが、今回はそういうのが認められないわけですけれども、そういう点は心配ないんでしょうか。
#201
○政府委員(関谷俊作君) これは経営計画に基づきます資金の貸し付けの考え方によるわけでございますが、やはり経営計画に対応する資金というのが、本来個別経営の中で処理すべき基盤整備でありますとか、個人経営で持つべき施設、こういうふうなことについて融資をするということで仕組んでおるわけでございます。
 お尋ねのいわゆる過剰投資を避けるというような意味合いにつきましては、本来共同利用あるいはさらにはもっと大規模な地域的な単位で考えるべきものということになりますと、例えば共同利用のための防除施設とか、あるいは大規模な共同利用のための出荷施設とか、こういうものになりますと、別途の融資なり別途の補助金で対応をするというようなものが用意をされているわけでございまして、こういうための産地の総合整備というような補助事業も別途仕組んでおるわけでございます。こういうことで、個別経営になじむものは融資で経営計画、それから共同ないしさらには集団化、団地化というラインで考えるべき防除、出荷、こういうようなやや地域的な機能については補助ないしそれなりの融資でということで、やや区別して組み合わせをしていくというようなことで対応していきたいということで、経営計画の部面だけを見ますと、何か、何もかも個人でというような感じがいたすわけでございますが、本来の趣旨は、やはり個別経営になじむものは個別経営に対する融資で、こういう基本的な考え方で仕分けをしているつもりでございます。
#202
○塩出啓典君 次に、今回の改正案で焦点の一つは、民法第三十四条の規定による指定法人をつくる、それによって生産出荷安定指針を設けて、そういう生産出荷安定事業をやっていこう、こういうことでありますが、この指定法人には、財団法人中央果実生産出荷安定基金協会という既にある協会をこの指定法人にされるように承っております。今までではなぜいけないのか。こういう指定法人をふやし農水大臣の勧告、監督権を加えるというようなことは、現在の電電公社あるいは専売公社を民営化していくというこういう方向から見るならば逆行ではないか。今の中央果実生産出荷安定基金協会をバックアップしていくならば、このままでいいんじゃないか、こういう感じがするわけでありますが、今のままではなぜいけないのか、この点をお伺いをいたします。
#203
○政府委員(関谷俊作君) これは今回の法律改正の一つの要因というか動因をなしているわけでございますが、特にかんきつを中心に昨年の日米交渉後の対策として、しっかりした需給安定措置をやってもらいたいということで何か公的な機関、生産者の団体の希望としては、畜産には事業団がある、蚕糸にも事業団がある、果実にはどうして事業団かないのか、こういうような御意見まであったような次第でございまして、そういうことから考えますと、何らかの意味でやはり準公的な機関としての仕事としてなすべきことがあろうということで、我々いろいろ検討してまいったわけでございます。その場合に我々としても、もちろん特殊法人の新設というようなことは考えるような時代ではございませんし、また仮にそのほかの仕事としても、新しい民法法人にしても何かつくるということでもなかろうということで、中央果実基金協会の活用ということになったわけでございます。
 その場合に、それを法律に登場させる意味というものについては、やはりこれからその中央果実基金協会が、従来は予算措置でやってきておるわけでございますが、考えてみますと国からかなり多額の資金を投入しまして需給調整、それから需要増進、価格補てん、こういう関係で大変大事な仕事をしておりますので、それにはそれなりのやはり国の監督というのが必要であろうということで、今回業務実施規程とか事業計画、収支予算の承認制度、またさらに業務改善命令とか、こういうような監督措置も整備しまして、現在の法人を使ってそれを実質的に立派にしっかりやってもらうということで生産者方面の期待にもこたえよう、こういうふうな趣旨でございまして、あくまでも今までやってきました仕事の仕組みをベースにしてこれを公正にやっていただくという趣旨で、法律上の対象として指定しかつ必要な監督を行うことにしたわけでございます。
#204
○塩出啓典君 この生産出荷安定事業も全部が協力していただかないと、余りアウトサイダーが多いと効果はなくなってくると思うんですね。ところがこの法律では、農林水産大臣は勧告はできるわけですが命令権はないわけで、勧告というのは余り効果はないのじゃないんでしょうか。そうすると、今までと内容は変わらない、今でもアウトサイダーがあってなかなか協力してもらえない、こういう中でそういう心配はないのかどうか、この点はどうなんでしょうか。
#205
○政府委員(関谷俊作君) この勧告と関連しましてアウトサイダー規制という問題が、これは研究会の中でも大変真剣に議論されたわけであります。結局、アウトサイダー規制の命令というものは立法例がないわけではございませんけれども、こういう場合には生産者団体等が自分たちの調整をしまして、それで不十分な場合にアウトサイダー規制命令をかけるというような中小企業等でとられている法制スタイルがあるわけでございますが、果実の場合にそれを考えますに、やはりいわゆる生産者団体の調整というものが現実に農業協同組合組織を中心に行われているわけでございます。そういたしますと、これを新たに法制化することもいかがかということになりまして、なかなかそういう団体の調整を前提にして、それを法律に登場させてそれにアウトサイダーの規制をかける、こういうところまで仕組み得ないという法律的な関係がございました。
 一方、それでは何もなくていいのかということになって勧告という親定を置いているわけでございますが、この意味については確かに勧告でございますから強制力はございませんけれども、しかし反面、現在のような社会の中で、大臣なり知事が法律に基づきまして有権的に正式に、あなたはこの指定法人の仕事等に協力しなさいということを文書によりまして勧告をするという効果は、実際の法的強制力はございませんけれども、社会的な意味においては十分な目的を達し得る、あるいはそういうことが期待できる、こういう期待のもとにこの勧告規定でもってこの法人の業務が有効に行われますようなことを期待しておるわけでございます。
#206
○塩出啓典君 私は、特にこの中央果実生産出荷安定基金協会が指定法人になることによって国の関与が強まり、そしてある面では国を頼ってその経営努力、合理化努力というものが散漫になってはいけないんじゃないか。しかも、今回は果実製品の保管もやるようですが、最近問題になっております蚕糸事業団のようなああいうことにならないように、私はこの新しい指定法人が本当にその目的を達成するように、そういう意味での監督も十分してくれなくちゃいけないのじゃないかと思うんですけれども、そういう危惧はないのかどうか。余りにも国が関与すると、それだけ国に甘えるというこういう精神が深くなっては逆行すると思うんですけれども、その点は心配ないのかどうか、これをお伺いしておきます。
#207
○政府委員(関谷俊作君) 従来の果実基金が、実は相当な国からの資金供給に基づきまして県の基金協会と連絡のもとにかなり大事な仕事をしておったという実態からしますと、法律に基づきます正式の監督規定を設けまして、御指摘のありましたような弊害がございませんように十分指導をしなければいけない、こういうふうに考えておりまして、この点はこの改正によって非常に指定法人、大事な地位を与えられますので、監督には遺憾なきを期してまいりたいと思います。
 なお、保管の点については、今回の法律に法人の業務範囲に規定をしておりますが、現在の予算措置のもとでは、直ちに法人がみずから買い入れをして保管をするというところまでは予定をしておりませんで、今後の業務能力が認められておりますので、今後の課題としてどういう場合にこの指定法人が加工品を買い入れて保管をするか、これは慎重に対処しませんと、蚕糸事業団の例を挙げるまでもなく、非常に無責任に指定法人に何か滞貨がたまっていくという弊害は十分懸念されますので、これは今後の問題として、特に保管業務については、実施の要件については十分な検討の上でこれは取り上げなければならない事業だと、こういうふうに思っております。
#208
○塩出啓典君 最後に、これは農林水産大臣に要望しておきますが、一つは消費拡大について、例えばジュースを学校給食に使うことは今努力をされているようですが、こういう消費拡大に努力をしてもらいたい。これは健康のために、また生産者もそのように努力するように指導してもらいたい。
 それと、もう一点は輸出問題、これは広島県も、農林水産大臣御出身でございますが、かつてはアメリカに輸出をしておったわけでありますが、今はやめておる。その理由は、余りにも検査が厳し過ぎるわけでありますが、これは前の農林水産大臣の時代にもいろいろ努力をされておるようでありますが、米国における輸入州をふやす、あるいは国内の潰瘍病対策の検査をもっと合理的なものにするように、そういうのをぜひ農林水産大臣が在任中に解決をしてもらいたい、またアメリカにも一度ひとつその問題で行ってもらいたい、こういう点、この二点を要望します。大臣のお答えを聞いて終わります。
#209
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えしますが、果実加工品につきましては消費拡大が一番大きい問題でございまして、きょう各先生からいろんな御指摘ございましたが、そういう点を踏まえまして全力を尽くしたいと思います。また、我が省とすれば、安くておいしい果物をどうしてつくるかということもありますので、この点研究したい、このように考えております。
 それから、今の対米輸出でございます。解禁州拡大とそれから検疫条件の緩和でございますが、この点につきましては実は解禁州の拡大の見通しについてはこれはもう御存じと思いますが、昨年六月にブロック農務長官が日本に来ましたときに、現在の六州を三十八州に拡大するための事務手続に入る旨を明らかにし米国で手続が進められてきたところでございますが、しかしながら昨年夏、米国フロリダ州の一部で米国が最も侵入を警戒しているかんきつ潰瘍病、こういう病気が発見されたことにより輸入解禁州拡大のための公聴会開催の手続が中断されております。そんなことで、我が国は米側に対しまして数次にわたり公聴会の早期開催を要請してきておるんですが、アメリカ側はフロリダ州で実施しているかんきつ潰瘍病の根絶対策の推移を見きわめながら公聴会開催の判断を行おうとしています。当方としても、引き続き公聴会の早期開催を米側に要請しております。
 また、検疫条件の緩和をどう進めるかにつきましては、アメリカは我が国から輸出される温州ミカンに付着しているかんきつ潰瘍病が侵入することを防止するため、我が国産温州ミカンの輸入に当たっては無病地区及び緩衝地区から成る輸出生産地域の設定、果実の表面殺菌、日米両国植物防疫官による合同検査等の検疫措置を求めてきているところでございます。これに対しまして、我が国としても技術的な観点から、米国の検疫条件の緩和を求めるために必要なデータの集積を行って努力しているところでございます。
#210
○藤原房雄君 同僚委員からいろいろな角度からお話ございましたので、ちょっと一、二問主要なものだけお聞きをしておきます。
 このたびの法案につきましては、確かに三十六年から二十四年経過しまして時代が大きく変化したという、こういうこともございました。日本の国内、内外を問わず大きな経済変動、社会変動の中で今日こういう事態に立ち至って改正をしなければならないということで、個々の問題についてはそれぞれ意見がありますけれども、しかし、ここまで御努力なさったということに対しましては私ども敬意を表しますし、またこういう一つの方向性というものを時代に適応した形で進めるということについてはそれなりに評価をしなければならない、こう思います。
 今度の改正案につきましては、振興基本方針、それから果樹園の経営計画制度の改善とか、また果樹の生産及び出荷の安定を図るための措置とか何点かあるわけでありますが、先ほど来同僚委員からもいろんなお話ございましたが、当初の三十六年のときには基本法農政にのっとって規模拡大という方向にどんどん進む。そしてまた、自立経営農家、農業として、農家として自立できるそういう方向性というものを示しておったわけでありますが、今度は一転、そうではなくて守りといいますか、どっちかというと、国内的な消費者のニーズもありますが、外圧に対してどう対処するかということが一つ大きな眼目になっておる。こういうことから言うと、どちらかというと攻めの今までの法律から今度は守りに転ずる。
 こういういろんな計画を立てるに当たりましても、経済も非常に停滞ぎみである、財政的にも非常に厳しい状況の中にある。特に農林予算等につきましては年々低下の傾向にある。総予算の中に占める比率、個々の事業ではそれなりの増加というものはありますけれども、これから大きく伸びるなんということは予測し得ません。こういう中にありましてこの計画を立てるということになりますと、どうしても先ほどもお話のように、縮小といいますか非常に消極的な計画、こういうものにならざるを得ない。現場でいろいろ努力をしながら計画を立てた、その計画が大臣のところに参りまして、現在はこんな緩和するような状況じゃないというふうなことで、どうしても抑制ぎみに働くんじゃないかということを私は大きく憂えるんですけれども、これは総体的な計画の今後の五年計画ですか、五年どとに計画を立てていく、その計画の立て方に対しまして余り大ざっぱなことであってはなりませんし、現実に即した形でなければならないのは当然ですけれども、この抑制、ドライブの余り効き過ぎたそういう計画にならないような歯どめといいますか、そういう一つのものがここになければならないと私は思うんです、生産者の立場から立ちますと。
 これはいろんな要因がありますから、何をどうしなさい、こういうことを言えることじゃ決してないんですけれども、計画を立てるにはやっぱり忘れてはならない、営々として父祖伝来、果実に取り組んできた農家の方々が今日なおかつその改良をしつつ努力をしている、そういう現実と消費動向、こういうもの等を勘案しまして、ぜひひとつ幅のあるといいますか、抑制ぎみの計画ではなくして現実というものを直視した計画を立てていただきたい。そういうことのために、計画の最終的な決断をする大臣としてどのようにこれを運営しようと考えていらっしゃるのかといいますか、歯どめというか、かんきつのこういう厳しい状況の中で、計画が余り抑制が効き過ぎた形でないようにということのためにどんなことをお考えになっていらっしゃるのか。二度と再びまた過剰傾向で大きな不安を起こさせてもなりませんが、しかし余りにも抑制ぎみであってもならぬという、そこのところ非常に難しいところですけれども、そこらあたり大臣のお考えをちょっとお聞きしておきたいと思います。
#211
○国務大臣(佐藤守良君) 藤原先生にお答えいたします。
 実は、基本的には、従来の果樹農業振興基本方針を引き続き堅持する、そういう形の中で、特に本改正法案におきましては特定果実に関する規定等短期的な需給調整措置を加えた、こう御理解願いたいと思うわけでございます。そんなことで、我が街としては、やはり長期的な観点から需要の動向に即応した生産の誘導を図りつつ、質の高い果実を生産し得る効率性の高い果樹農業経営の育成と、輸入果実に負けない足腰の強い果樹産地の育成を図ることを基本として考えております。
 このために二つの点を考えているわけですが、新たな果樹農業振興基本方針を早急に作成し、これに基づきまして果実の需要の動向に即した生産の振興を図る。次には、適地適産の原則を踏まえつつ、引き続き果樹園の整備とか、あるいは集出荷施設の近代化等の産地整備対策を推進するとともに、新たな果樹園経営計画の活用により果樹産地の中核となる技術力と経営力を持った果樹農家の育成を図ることを基本にしております。
#212
○藤原房雄君 非常に果樹農家は兼業の方が多い、立地条件も悪い、こういうことで合理化というか、協業化といいましてもなかなか難しい中で悪戦苦闘しているというのが現実です。それだけに、総合的な政策というのが非常に大事なことだろうと思うんですが、さっきもお話ございましたが、この計画を立てるのは今度個人ということなんですが、それは個人経営として大規模な土地集約、こういうようなことが難しい環境の中で営農しているというこういう実態、そういうことですから、いろんな諸制度を合わせて、やはりこの中核的な農家が健全に経営できるような方向性というのは持っていかなきゃならぬ。
 きのうも参考人のいろいろなお話がございましたが、共済制度、これはなかなか気象条件とか、いろんな災害があったときには、共済はそれなりの効果をあらわすわけであります。必要なためにこの制度をつくったんですけれども、現実問題、兼業でやっている、また規模も小さい、そういうことで共済に入るということについては二の足を踏む方が非常に多い。きのうの参考人は、もうこれは強制的にやってもらいたいなんというようなお話もありましたが、やっぱりそういう災害を受けたときにはどうするかということや、価格が下がったときにはどうするか、いろんなことで総合的な政策というのが必要なんだろうと思うんです。そういうことで、やはり果樹園に携わる農家の方々というのは非常に厳しい環境の中で、共済なんかに入らなければ災害があったときはどうなるかということも十分承知の上で入らないでやっているということですから、この経営問題について先ほど塩出委員からお話がありましたが、総合的な政策、また融資の制度やいろんな問題について合理化のできる最大のひとつ御努力をしていただきたいと、こう思うんです。
 私はもう時間がありませんから最後になりますが、消費のことですが、消費拡大ということで、これは系統農協がそれぞれ努力していらっしゃるわけです。きのう香川大学の先生もいろいろお話しておりましたが、果樹についてはおいしいとか、何かそういうことは大いにPRはされているようであります。栄養の面についてはそれはみんなの認識の中にはありますけれども、こういう面のPRというのは必要だろうと思いますし、それから最近確かに消費者のニーズも少量多品目、良質志向、こういう方向にあることは事実なんですが、昭和生まれが一億に達すると、こういう時代ですから、何でも甘くて大きくて見かけのいいやつというそういう方向にどんどんどんどん進みつつあるんですけれども、やはり昔のように酸味のきいたのが食べたいという方々もいらっしゃるし、まだやはり二千万以上は昭和でない方もいらっしゃる。
 古きよき時代を懐かしむ方々もまだ相当な人口があるわけでありまして、そういうこと等も考え合わせますと、特にリンゴのことになるんですけれども、それぞれの需要に応じた、そしてまたもっと消費についてのPR等についても力を入れていかなきゃならないと私は思うんです。特に最近、矮化ということで非常に生産しやすい、こういう状況になったということで「ふじ」等が急激に伸びている。これもさっきお話がございましたが、やっぱりこれはこういう調子でいきますと、どこかで百万トンを超すということになると必ずまた問題が起きる。こういうことで、一品種に偏るとどうしてもまた問題を起こすことになるわけでありますから、こういう点もひとつ勘案して、よくそこは生産者団体とお話しの上、消費の拡大、そしてまた現実の諸問題について、この法律が有効に運営のされるよう特段にひとつ配慮を心からお願いをしておきたい。時間がありませんから、大臣のひとつ決意のほどを聞いて、終わりたいと思います。
#213
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたしますが、今、先生の御指摘のとおりでございます。最大の努力をしたいと思っております。
#214
○小笠原貞子君 この法案の提案理由の第一に、果樹の需要の減退と、こういうふうに言われておりますけれども、いろいろ調べてみますと、先ほどから言われているように、やっぱり需給の見通しというのが非常に狂ってきたということが問題ではないだろうか。その典型がミカンにあらわれていると思います。
 例えば昭和四十七年に立てた基本方針では、昭和五十六年度の生産目標四百十九万二千トン、その実際の収穫量は二百八十一万九千トン、それから昭和五十一年基本方針では、植栽はゼロとしたものの、六十年生産目標は四百五十三万八千トン、現実には二百八十万トンでも多いということで、五十九年から一万へクタールの転換を実施せざるを得ないというところまで来ています。まさにこれを見ますと、政府が立てた長期計画というものが大幅に狂い、生産者に誤った目標を示したことで今日の過剰の問題が起こったと見ざるを得ないわけです。きのうも参考人の中川さんですか、生産者御自身が本当に苦労な中で一生懸命にやっていらっしゃって、そして御意見をお出しになりました。あれを伺いながら、この過剰というものの責任は農民に少しでもあると言われるのか。私はやっぱりここに大きな政府としての責任があると言わざるを得ない。その責任に対してどういうふうに認識していらっしゃるか、まずそれを伺いたいと思います。
#215
○政府委員(関谷俊作君) 需要の見通しにつきましては、先生の御質問の中にもございましたが、確かに従来の長期見通しにつきましては、やはり従来の予測方法等の制約等もございまして、所得の伸びに応じて需要も伸びるというふうに単純に考えがちだったという結果があらわれていると思います。ただ、こういう見通しを行う一方で、我々としましては、例えばミカンについては四十七年あたりから生産過剰基調が出まして以来、四十八年二月以来のことでございますが、新植の抑制を次第に強化してまいりまして、五十四年からは転換にも取り組むと、こういうふうな対応をしているわけでございます。
 この間の見通しないし政策のあり方としまして、この辺の転換が少し遅いというか、十分ではなかったんではないかという御批判については、これは確かにそういう御批判に対しまして我々反省をしなければいけないというふうに考えております。そういうことで、今後の見通しについてはおのずから慎重な対応が必要でございますが、従来の経過に対しましては、こういう需要の動向でございますので、例えばミカンについて進められておりますような生産の新規の抑制、新植の抑制やさらに転換、こういうことにできる限り取り組むことによりまして、需要に即した生産の誘導に一層努めてまいりたい。こういうことによりまして、これまでも見られたような生産面の混乱に対しましては、我々としても十分責任を持って対応していかなければいけないというふうに考えております。
#216
○小笠原貞子君 高度経済成長時代ですから、やっぱりそれをもとにして見通しを立てるということは当然のことだと思いますし、先ほどから言われているように非常に難しいですよね。これ、ただ計算すればいいということではございません。そのことは重々承知しておりますけれども、見通しを誤りました、反省しますということはおっしゃりやすいけれども、それによって被害を受けている農民というのは生活がかかっているわけだから、そういう立場で私は申し上げましたので、今後ともいいといいましょうか、正確な見通しというものを立てていただくこと、それに責任を持っていただきたいと、そう思います。
 そういう意味でいろいろと反省をされたし御努力もしていただけましたけれども、まずそのためには、第一に、果物の輸入抑制という問題が非常に今なすべきこととして必要ではないかと申し上げたいと思うわけです。調べてみますと、需要減退が出てまいりました五十年の果実輸入百十九万トンが五十九年には百二十万トン、横ばいでございます。ちょっとふえていますが、横ばいでございます。果実調製品は五・八万トンから十一万トンとふえておりますね。そして、果汁に至っては四千八百十八キロリットルから一万六千九百十一キロリットル、実に三・五倍になってきております。だから需要が減退したといいながら、輸入の方がどんどんふえているということは、もうどんな理屈をつけてもこれは明白なことだと思うんです。今の数字は、おたくからいただきました資料で申し上げた数字でございます。
 さて、そこで、この輸入という問題になりますと、昨年日米農産物交渉というのが四月に行われまして、ここでオレンジは毎年一万一千トンの枠を拡大する。そしてその結果どうなるかというと、六十二年度オレンジの枠は十二万六千トンになると、こういうふうに数字が出ているわけです。オレンジ十二万六千トンということになりますと、今いろいろ転換したとかなんとかおっしゃっていましたけれども、これは温州ミカン園の転換でやっと伸びてきた伊予ミカンというのが十二万五千トンでございますから、転換した伊予ミカン十二万五千トンを上回る十二万六千トンが輸入されるというふうな、そういう大きな輸入になってきていると思うんです。しかも問題にしなければならないのは、四年後の交渉の方向でございますね。四年後は枠拡大どころか、いよいよ自由化そのものをめぐる交渉ということになってくるということが予想されるわけでございます。
 「果樹対策研究会検討結果」というのを拝見いたしますと、その中にも、「今次交渉では一応、枠の拡大にとどめ得たものの、今後、輸入自由化又は輸入枠拡大の要求は、益々強まる」と、こう指摘されておりました。農水省としてはこの点をどのように認識されているのか。アメリカからの実質自由化も含めてどんどん枠の拡大が押しつけられるという予測がもう現実のものとして起ころうとしているという中で、これに対して日本の果樹農民を守るという立場で毅然としてこれを拒否するという姿勢で御奮闘くださるのかどうか、その御決意についてお伺いしたいと思います。
#217
○政府委員(関谷俊作君) 輸入の従来の経過につきましては、先生の数字を挙げて御質問がございましたが、全体的には果実及び果実加工品の中でいわゆる輸入制限品目というもの及びそれ以外のものもございまして、全体として見ますと輸入量は相当ふえておりますが、これは一つの果実の国際的な流通という面からしまして、全部を制限すると、こういうわけにはまいらないという事情も関係しておるわけでございます。ただ、問題になります国内的なミカン等の過剰事態につきましては、こういう輸入の増加ということが直接原因となっているというよりは、むしろ内需の減退傾向によりまして招来されたという面がかなり強いわけでございます。
 そこで、今後の問題等につきましては、昨年かんきつ交渉及びいわゆる十三品目交渉、両方含めまして果樹農家は大変試練に遭っておりますが、我々としましては、昨年の交渉は全体の中ではできる限り最小限な影響にとどめるように努力したつもりでございます。また、今後につきましても、十三品目の交渉なり、かんきつ交渉時期は近いわけでございます。その中でアメリカ側の要求としては、輸入枠の拡大のみならず、もともと持っております輸入割り当て制度の全面的撤廃という要求についても、これは取り下げたわけではないわけでございますので、我々としましては日本の果樹農業の健全な発展を損なうことのないよう、また現在の国境調整措置の権利なり枠の拡大についてはできる限り枠の拡大を避けると。こういう問題につきましては、我々としましても果樹農業の現状にかんがみまして最大限の努力を払って対処してまいりたい、またその過程で日本の国内の需要のいわば伸び悩みの状況、それから生産過剰の状況、こういう問題についても相手国に十分よく説明し理解を求めると、こういう態度で進みたいと考えております。
#218
○小笠原貞子君 次に、今回の改正で、果実の長期見通しに即した栽培面積を決めることとしておりますけれども、リンゴについての見通しはいかがでございましょうか。五十八年に百万トンの大台を突破して価格安値に苦しんだ経験から、リンゴもまた過剰になる、ミカンの二の舞になるのではないかという、そういう懸念が持たれております。ミカンの二の舞にしないようにしっかりした見通しを立てていただきたいと思いますが、その点についての御見解をどうぞ。
#219
○政府委員(関谷俊作君) リンゴの生産につきましては、状況を見ますと、従来割合価格が堅調であったとか、それから矮性台木の普及による新規植栽の増加と収量水準の向上ということでかなり生産が急激に増加してまいりまして、御質問にございましたように、大体百万トン台をオーバーする。五十九年産については、春先の低温による開花のおくれ等の影響で八十万トンという異常年、低い年になりましたが、どうも通常年においても百万トン前後の生産量が見込まれるという、こういう感じでございます。この間の栽培面積を見ますと、かなり新植、改植が進んだわけでありますが、我々としても水田利用再編成の品目、対象から外すというようなこともやりまして、大体植栽のペースは鎮静化しておりまして、五十九年八月一日現在で五万四千三百ヘクタール、こういう状況になっております。ところで、これを六十五年度の長期見通し等と対比してみますと、栽培面積、それから生産量ともほぼその水準に来ておるわけでございます。
 これからの状況を見ますと、やはり需要の動向から見ますと、かなり注意をしてきめ細かい生産対策を講ずべき時期に来ておるという判断に立っておりまして、これは法律改正後七十年目標の果樹農業振興基本方針を定めていただく際、学識経験者の方々の御検討によるわけでございますが、我々としてはどうもこの辺が栽培面積あるいは生産量ともそろそろ日本のリンゴの需要の面から見るとかなり限界の城に達しているのではないかと、こういう方向でこの審議会の御検討もいただき、それに応じまして今後の生産指導を進めてまいりたいと考えております。
#220
○小笠原貞子君 今回の改正で、さらに果樹園芸経営計画を作成し、農林漁業金融公庫から資金を借りられるという道が開かれまして大変よかったと思います。
 私、北海道でございますけれども、かつて腐乱病が大変はやりまして、そして作付面積は五千ヘクタールから現在二千三百ヘクタールと半減いたしました。収穫量で見ますと、六万トン台から二万トン台と三分の一に落ち込んでいるわけでございます。私も地元でございますから滝川、江部乙とか、そういうリンゴのところへ行きまして、そして本当に見ていて、あの腐乱病というのは植物のがんだと言われるくらい特効薬はございませんで、どうやってそれを防いでいるかといったら、削り取るだけなんですね。一回削り取ってそれでいいというわけじゃなくて、本当にその削り取る作業というのが大変な労働だということを、私行きましてわかりました。そういう中で、もうだめになっちゃったといってだんだんやめていったというようなこともあって面積は半減、収穫は三分の一になってしまった。だから、今生き残ったというリンゴ農家を考えてみますと、本当に大変な苦労の中から今頑張っているわけですね。
 そこでお願いもしたいと思いますのは、そんな苦労して残ったリンゴ農家の方たちが、改植だとか内部の充実、経営強化するために、所得を上げるための投資としてお金を借りたいというときに、この農林漁業金融公庫、せっかく開かれた道でございますから、これが活用できるように御配慮をいただきたいということをお願いしたいと思います。いかがでございましょうか。
#221
○政府委員(関谷俊作君) 北海道におけるリンゴ生産の動向については、御質問の中にございましたように、リンゴ腐乱病の蔓延による痛手をこうむったということとか、北海道の主要品種でありますスターキング等、デリシャス系の品種が、道外産の「ふじ」と競合しまして収益性の低下が見られるというようなことで、確かに半分に減るというような状況になっております。
 今後の問題につきましては、今回の御提案をしております法律の一つの点としまして果樹園経営計画による拡大、これについては計画の認定をするわけでございますが、一定程度への規模の拡大、また一定程度への農業所得の向上、こういう目標が達成される見込みがあります場合には、そういう意欲のある果樹農家につきまして対応するという総合資金の貸し付けを行うということでございますので、北海道のリンゴ作農家についても、こういう要件に照らしまして意欲のある方のこの資金の活用については道を開いていく、対応していく、こういう考え方でございます。
 なおもう一つ、リンゴの品種の中でも、北海道で今後有望な品種ということでいろいろ「つがる」、「きたかみ」、「あかね」、こういうような早生品種などもあるようでございますので、農業改良資金助成法の方で設けます果樹栽培合理化資金の中で、こういう品種へ転換していくという場合に、改植、高接ぎ経費、その他品質向上の関係の経費についても、農業改良資金の果樹栽培合理化資金の方で対応するという道が開かれる予定になっております。
#222
○小笠原貞子君 次は負債問題なんですけれども、リンゴを初め果樹農家も結構負債問題というので苦しんでいらっしゃいました。台風が続いたとか雪が降ったとか寒いとか、それから腐乱病だとか、聞いてみたらいろいろと困難な条件がありました。そして、輸入拡大と消費の不調ということによりまして経営状態が大変だったということがわかりまして、先ほど申しました滝川の江部乙だとか、それから仁木という町がございます。余市という大きなリンゴ、ブドウの産地がございます。
 時間がございませんから、余市の場合を調べてまいりましたら、果樹農家というのが六百十五戸ございまして、負債総額は六十五億、一戸平均で九百三十五万の負債になっておりました。とても大変だというので、町として独自の制度として固定化負債を抱えている六十一戸に対して自立経営安定資金制度というものをつくりまして、農協が一・五%、それから町が一%と、二・五%の利子補給というのを、小さい町でございますよね、そこでもそれをやっているということなんですね。そこで、もう町でもやっているんだ、それだけ努力しているんだから、国としても何とかそういう援助をしてもらいたいという御要望が一つございました。
 それから、負債、負債と北海道の農業全部負債の問題でこの間から言っておりますけれども、そういうときに政府としては、自創資金があります、それを使いなさいと。一般が五百万、特認が八百五十万。それがどういうふうに使われているのかと余市で調べましたら、五十九年度わずかに二千六百七十万円しか利用されておりませんでした。なぜこれだけしか使われていないのかと聞きましたら、酪農負債対策とは違いまして限度枠がありますし、それから毎年というわけにもいかない。つまり、自創資金の枠が少ないと同時に、再建計画の認定がないと特認をもらえない。その認定の条件が非常に厳しい。だから、必要な農家ができるように枠の拡大と認定の条件の緩和を何とか努力して生きるようにしていただきたい、そういうことでございましたので、それについての御見解を伺いたいと思います。
#223
○政府委員(井上喜一君) 御指摘のように、北海道の果樹農家につきましては、この自創資金を利用している農家が非常に少ないわけでございます。何かその地域にあります特有の原因でそのようになっているのか、あるいはそもそもが需要がないのかよくわかりませんけれども、実態はそのようでございます。
 まず、第一の資金枠でございますけれども、最近の一般的な傾向といたしましては、自創資金の需要量が増加をしてきておりまして、したがいまして、今融資枠の方も広げてきている状況でございます。現に、昭和六十年度におきましても、こういう財政事情でございますけれども、五十九年度の貸付計画枠に対しまして十億円を増額しておりまして、二百六十五億円を確保をいたしているところでございます。
 これの配分でございますけれども、都道府県と十分相談しながら資金需要に応じて配分をしていくということをとっておりますので、北海道につきましてもそのようにやってきたわけでございますし、六十年度におきましても道庁と十分相談いたしまして対応してまいりたいと思います。それから一般枠は五百万円でございまして、特認の方が八百五十万、これが六十年度から千五百万に増額をされるわけでございますけれども、この要件につきましても、対象農家が自創資金の対象になる農家であることはもちろんでありますけれども、そのほか経営規模がその地域の平均規模以上である等の要件がございまして、特別にこの要件がやや厳しいというようには私ども必ずしも考えていないわけでございます。
#224
○小笠原貞子君 それじゃ次に、品種改良の問題ですけれども、先ほど大臣、適地適産、いいものをそれに合ったところでとおっしゃいましたし、今また局長もおっしゃいましたけれども、品種改良という点から見まして、北海道でも、北海道に向くリンゴと北海道に向くブドウというものの改良をみんな期待を持っているわけでございます。
 北海道の中央農業試験場では、昭和四十五年から十五年かけまして、「ふじ」を母に「つがる」を父に人工交配というのをずっと重ねまして、HAC九号というのをつくり出しました。リンゴのエースが誕生したとみんな非常に期待を持っているわけなんで、今度このことについて、ちょっと余市の若い人たちと話し合いしてきたわけですけれども、やっぱり今大事なことは後継者ですよね、もうどこの農業に対しても。後継者が、本当に自分たちが日本の食糧を守るという誇りを持ってやっていけるようにしなければ、幾ら金を出したって何したって私はだめだと思うんですよ。そうすると、今の若い人たち、勉強しておりまして、そしてやっぱり品種の改良ということを一生懸命にやっておりました。具体的に私たちが聞いてまいりましたのは、このリンゴの新種が誕生したというので、今度はブドウについて、いろいろあそこはワインの原料のブドウの多いところでございます。六十種類も外来種を入れて、赤と白二種ずつ開発して、道産ワインやブドウの振興に大きな期待が寄せられているというわけなんです。
 そこで、もう自分たちうんと研究したい、そして本当にいいものをつくって自分たちが後を継いでいきたいといういろんな話を聞きまして、私はやっぱり今の農政に必要なのは、そういう若い人たちがまじめに真剣に考えて研究しているということに報いてやることだと思うんです。そうして、もう大きな期待をかけて、私たちも頑張るからと、こう言われたときに、やっぱりそれらに対して農林水産省としても、また大臣としても、そういう若い人たち本当によくやっている、頑振れということと一緒に、何か具体的な激励、御援助というものが考えられるならば、私はどんなに大きな力になろうかと、そう思うわけなので、その点について御見解を承りたいと思います。
#225
○政府委員(櫛渕欽也君) 農林水産省の中で、リンゴ、あるいはブドウの品種改良につきましては、それぞれの都道府県の試験場と連携をとりながら組織的にずっと以前から進めておるわけでございます。特に、今お話しのブドウでございますけれども、その中で生食用のブドウにつきましては最近北海道でも大変普及が伸びておるわけでございますが、この品種改良は国の果樹試験場の安芸律支場が分担をいたしまして、ここで貯蔵性でありますとか、輸送性でありますとか、あるいは品質がすぐれて大変収量の多いようなこういった品種の育成を一生懸命つくっているわけでございまして、こういったものの中からこれまでに、熟期が早くて品質の良好な寒地向けの有望な系統が続々と出始めております。これは安芸津ナンバーで四号から十号までございまして、この七つの有望な系統を実は昭和六十年度から北海道の中央農業試験場を中心に……
#226
○小笠原貞子君 そういう事情はわかっておりますから、どういう報いを、手当てをしていただけるか。
#227
○政府委員(櫛渕欽也君) そういうことで、私ども道のこういった試験場に大変有望なものを送り込みまして、こういうところで一緒に検定をしていただきまして、寒地向けの優良なブドウの育成に努力してまいりたいと考えております。
#228
○小笠原貞子君 どうぞ、大臣の御見解を。
#229
○国務大臣(佐藤守良君) 今、事務局長からお話がありまして、大変いいことでございますが、我が農業試験場としても種々研究しております。また、今先生がおっしゃったようなことで、農業者みずからが品種改良に取り組みたい人は、培われた技術蓄積を踏まえまして必要に応じて技術的な助言、指導等に努めてまいりたいと考えております。
#230
○小笠原貞子君 それじゃ、きっと時間がなくなるだろうと思って御通告してなかったかもしれませんけれども、昨年の四月の日米農産物交渉で、いろいろ見ておりますと、中曽根総理の密使ではと言われた東力代議士という方が「貿易摩擦のメカニズム」という著書の中で「輸入自由化の流れを政治交渉によって遅らせたり、インパクトを小さくすることは可能ではあるが、流れそのものをセキ止めることは正直言ってむつかしくなってきている。」というようなことが書かれておりまして、これは密使じゃないというようなことで、それはどうでもいいんだけれども、そういうふうなことを言われたことについて農水省として、また大臣として率直にどういう認識をしていらっしゃるかという点、ちょっと時間がありましたので。
#231
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。
 実は今、私は東君は知っておりますが、その本は読んでおりません。ただ、彼は大蔵省出身でございまして、アメリカに七年ぐらいおりまして、それで若干知っておるということですが、実は私は、もちろん東君は日米関係にいろいろな配慮をしながら若干そういうことを言ったかと思いますが、私は現在農林水産大臣でございまして、日本農業を守る立場でございまして、したがってそれを守る立場で今後ともすべての問題に対処いたしたい、こう考えております。
#232
○田渕哲也君 大分時間も経過しておりますし、それから前の委員の方が質問された点もありますので、できるだけ重複を避けてお伺いをしたいと思います。
 まず初めに、我が国の果樹農業の問題点について大体どういうところが問題点なのか、お伺いをしたいと思います。
#233
○政府委員(関谷俊作君) 果樹農業の問題点といいまして、今一番当面我々が大きい問題として対応しなければいけないのは、やはり需要の動向に対する対応でございまして、内容的にはやはり総量として、日本もミカンを初めとしてかなり需要の減少、停滞傾向があるということ。また、その需要の内容が、かなり今までのように量中心というよりは質に志向しまして、いいものをいろいろ多品種食べるという高級化志向が非常に強い、これに対する対応が生産面で必要であるということが第一でございます。生産面の問題としましては、いろいろやはり果樹農業というのは気象面の問題あるいは果樹園というような園地の上で営まれます農業でございますので、また永年作物である特性からも生産面の安定と効率化、コスト低下、こういう点が非常に難しいわけでございます。こういう果樹園経営の合理化にさらにさらに一層取り組まなければいけない、こういういろいろ問題もあろうかと思いますが、大きく換言しますと今の需要の問題、それから経営の合理化の問題、この二つが大きな問題だと思っております。
#234
○田渕哲也君 日本の果樹農業は非常に規模が零細であると言われておりまして、しかも規模の拡大というのが余り進んでおりません。農業センサスにある資料を見ましても、十五年ぐらい前から見ましてもほとんど進展していない。この理由はどこにあるわけですか。
#235
○政府委員(関谷俊作君) 規模の問題についてはまさに御指摘のとおりでございまして、構成比としましてなかなか大きな経営の階層がふえておりません。これは確かに稲作等の場合と違う点でございます。これは基本としましてやはり樹園地また果樹という永年作物、そういうものに制約をされるということでございまして、普通いわゆる農地流動化による規模拡大という要請もございますけれども、なかなか果樹園の売買、貸し借り等による農地流動化による規模拡大というのは非常に難しいわけでございます。その辺がいわば原因であると思いますけれども、現在の園地、樹園地、そういうものを持ちました上での合理化ということになりますと、やはりそれぞれの産地における団地ごとの、例えば共同防除とか共同出荷とか品質の統一とか、こういうような団地単位の共同的な行為あるいは集団的な行為、これを進めるということによって実質的な規模拡大を図っていく、こういうことが果樹経営の場合には特に対応として必要になる、こういうふうに考えております。
#236
○田渕哲也君 この規模拡大が進む見通しはありますか。
#237
○政府委員(関谷俊作君) 個別経営の問題として、まさにいわゆる農地の流動化による規模拡大という面からしますと、これはもちろん全くないわけではございませんけれども、またあきらめているわけではございませんけれども、これは非常に確かに難しいわけでございます。木の乗りました樹園地の売買というのは、非常に価格の設定等でも難しゅうございますし、またいわんや貸し借りというようなことになりますと、いわゆる小作料の評価についてもなかなかすっきりいかないということで、御承知のように米などで行われております請負小作というような形も果樹の場合には余り見られないというような状況でございますので、経営規模の拡大、そういうことで余り量的に多くを期待するわけにはいかないわけで、やはり規模の実質的な問題としまして、先ほども申し上げましたようなそれぞれの樹園地のまとまりごとの実質的にいろんな作業を共同でやるというようなことを通じましてコストの低下を図っていく、こういうような対応がむしろ現実的な取り組み方として考えるべきことではなかろうかと思っております。
#238
○田渕哲也君 これからの時代の特色は国際化だということが言われておりますが、私は、現在農業に限らず工業においてもすべての面で国際化、それから門戸開放ということが要求されてきておるわけであります。特に果樹農業の場合、これにどう対応していくかというのは、やはりこれからの重要な課題ではないかと思うんです。私は、現在の段階でやはり経営の安定を図るためには国境調整措置は必要だと思いますけれども、しかし、この国際化の波というものはどんどん押し寄せてくる。それにどう対応していくか、その辺の基本的な考え方をまずきちんとしておかなければならないのではないかと思うんです。
 もちろん、工業製品と農産物とは違います。だから、工業製品と同じような形で自由化ということは不可能だと思いますけれども、しかし、農産物の特色は何か、農産物においては若干各国ともそれぞれ程度の差はあれ保護主義を実施しておる。それの大義名分は一体どこにあるかというと、一つはやはり食糧の安全保障だろうと思います。いざというときに一番大事な食糧をどう確保するかはそれぞれの国の政策として持つべきである、これは世界的にもある程度は理解されるコンセンサスのある問題だと思います。それからもう一つは何かというと、やはり農業の特性だと思います。そう簡単に転換するわけにもいかない、やっぱり土地づくり、土づくりから始める、あるいは特に果樹の場合には永年性植物だからそう簡単につくるものを変えるわけにもいかぬですし、こういう二つの面が私はその大義名分だと思うんですね。
 ただ、この第一の食糧の安全保障の観点から考えると、やはり農産物の中でも重要度に差がある、米のような主食と果実とはやっぱり差が出てくると思います。果実というのは嗜好性の強い嗜好品、さらに非常に多品種であって好みによって代替される、米のようにほかには余りないというのと違うわけであります。そういう面で私は、この安全保障の観点から見るとやはり重要度は薄い。それから、多品種でありますから国民の好みですね。現在、日本のミカン類とオレンジとの貿易摩擦というのが非常に大きな課題ですけれども、これにしたって、アメリカのオレンジと日本のミカンとは若干違うわけであります。おれはオレンジは嫌いだけれどもミカンは好きだとか、その逆の人もおるわけであります。しかし、大体似ておりますから、これは非常に強い貿易摩擦の要因になる。しかしながら、バナナとか熱帯性植物は日本では余りできませんから、こういうものについてはこれはどうしようもないということになるわけであります。
 したがって、私は、この果樹農業の場合の保護政策をとる場合に、一つの考え方の基準というものはやっぱりあると思うんですね。やはりこれは、日本の現在ある産業に大きな打撃を与えないようにする、しかしそれは過渡的なものにならざるを得ないだろう、スムーズに転換をしていくその期間というものを保護主義ということで守っていくと、そういう性格のものにならざるを得ないのではないかと思うんです。
 その意味で私は、果樹農業と国際化の問題、貿易摩擦の問題について基本的にどう考えるか、お伺いをしたいと思います。
#239
○政府委員(関谷俊作君) 国際化の問題、果樹農業についてどう考えるかというお尋ねでございます。
 確かに、我々がいろいろ国際的な交渉の場などで考えるというか、日本のいわゆる保護政策というのは必要だという立場の根拠としまして、先生の御質問にございましたような食糧安全保障というもの、農業の特性、簡単に転換できない、こういう二つの論拠というものがいつも出てくるわけでございますが、我々はやはり果実の所管局でございますので、食糧安全保障の点について、確かに米と同一に論じられないという点はございますけれども、同時に、いわゆる日本型食生活と申しますか、国民の栄養保健と申しますか、そういう点から考えてみましても、一つのバランスのある食生活あるいは栄養問題、これを考えますと、確かに嗜好性が強いものが多うございますし代替性もございますけれども、全く日本の国内で果実生産をすることが日本人の食生活にとって意味がないということではなくて、やはり重要な日本型食生活の一部を構成するものということで、安全保障的な要請もかなり主張すべきものではないかと所管局としては考えております。
 また、農業の特性という問題につきましても、転換できないということではなくて、やはり一つの地域の農業の問題として考えますと、樹園地というものがそれぞれの地域の土地利用の中で相当なウエートを占めておる、また国土の保全というような効果も持っておる、そういう土地の有効利用なり国土保全という問題から考えましても、あるいはその地域に居住しておられる方々の生活なり地域社会の維持という、こういうことを考えましても、それ自体としての日本農業の価値というものとして果樹農業の位置づけというものもなかなか大事なのではないか、こういうような考え方をしておりまして、こういうことが一つの国際化の流れの中でどの程度主張できるかと、こういうようなことになるわけでございますが、我々所管局の立場としましては、現在の一種のいろんな意味での保護というものが専ら過渡的で、いずれ期間がたっと不要になるというような考え方に私どもは立っておらないのでございます。
#240
○田渕哲也君 私は、果樹農業が日本にとって重要産業であるということは否定しません。これは重要産業である、守っていかなくてはならない、守り方の問題なんです。形の問題だと思うんです。だから、国際的にいつまでもそういうことで通用していけばそれでいいわけです。ところが、実際にはどんどんどんどん外圧が来て、オレンジなんかも枠をふやさざるを得ない、自由化せざるを得ない羽目になっているでしょう。そこで幾らそういうことを言っておっても仕方がないわけです。そういう中で、いかに日本の果樹農業を発展させていくかという方策を考えるべきであるということを私は言っておるわけであります。
 次に、それに関連してお伺いしますけれども、果樹の国内生産の今までの推移、それから輸入量の推移、それから国内需要の推移、輸出量の推移、それと今後の大ざっぱな見通しについてお伺いをしたいと思います。
#241
○政府委員(関谷俊作君) 果樹の生産面につきましては、大体、総体で果樹栽培面積は四十万ヘクタールぐらいで推移をしております。五十九年度速報値で、全体で三十九万一千六百でございますからそのぐらいの中でございますが、内容的には温州ミカン等で、かつてのピークの十六万へクタール台から十一万六千ヘクタールぐらいまでかなり減少するという内容的な構成の変化がございます。こういうことで、果実の生産量は大体六百万トンを少し超えるぐらいでございます。五十八年度が六百二十九万三千トン、五十九年度は、ミカン、リンゴを中心に少し減ると思います。その中で、これも内容構成として、温州ミカンの減少及びほかの品目の増加というような傾向が見られているわけでございます。
 次に消費量でございますが、大体、これは我々の計算でございますが、国内消費仕向け量ということで一人当たり年何キロという水準であらわしますと、五十年ごろが八十五キロぐらい消費仕向け量がございますが、現在五十八年の速報値の食料需給表では七十七・五キロ、これが国内消費仕向け量、これには減耗も含んでおりますけれども七十七・五キロ、この中の温州ミカンが二十三・二キログラム、こういうような一人当たりの状況でございます。
 次に輸入でございますが、果実については大体内容構成では若干変化がございますけれども、このところは年により変動はございますが、五十七年、五十九年は百二十万トンぐらい、五十八年は百九万トンでございます。果実調製品の輸入量が約十万トンぐらい、それから果汁が、これもかなり変動が大きいんでございますが、五十九年度で一万六千キロリットル、一万七千キロリットルを少し切る、こういうような水準でございます。
 なお、輸出についてでございますが、これはまだ内容が非常に変化がございますが、生鮮で見ますと、トータルで大体五万トンぐらい、この中の半分ぐらいが輸出では温州ミカンで占めております。
 なお、若干、最近加工用としましては輸出が伸びてきておりまして、果汁飲料で、五十八年が七万六千キロリットルぐらい、これは五十六年、五十七年とふえてまいった結果の数字であります。
 なお、御参考までに、この七万六千キロリットルの輸出のうち、六万キロリットルぐらいがサウジアラビアが占めております。それからミカン缶詰につきましては、数量で二万七千九百二十八トン、これが五十八年の数字。大体、以上が加工品の輸出の主なところでございます。
#242
○田渕哲也君 今、説明されたとおりですが、大ざっぱに見ると、国内需要は大体横ばい、停滞、それから国内生産も大体横ばい、停滞、そういう中で輸入は果汁まで含めますと漸増の傾向にある。それから、これから先の見通しもそういう傾向になりそうだと。そうすると、やっぱり国内生産というものは生産過剰にだんだん追いやられていくのではないか。それから、輸出は確かに伸びておりますけれども、絶対量が非常に少ないので伸び率というのはそれほど問題にならない。そうなると、ますます国内需要が圧迫されるということになりかねないと思います。
 そこで、私は大事なことは、一つは、やっぱり国内の需要を伸ばす。伸びる可能性はないのかということであります。現在、一人一日当たりの果実の消費量は、アメリカやヨーロッパ諸国は大体二百グラムないし三百グラム。少ないところで二百グラム。日本の場合には百五十グラムで、まだまだこれは潜在的には伸びる余地はあるんだろうと思いますけれども、その辺の見通しはいかがですか。
#243
○政府委員(関谷俊作君) 国際比較としましては、日本人の果実消費量というのは、今御指摘の中にございましたように低いわけでございますが、これはなかなか食生活パターンと関係しまして、日本の場合には反面、御承知のように、野菜が世界で一、二番目というぐらいのかなり大きな消費量を持っております。これはいろいろ従来の食生活の伝統による面もございますので、なかなかこういうパターンが変わっていくか、これは果樹が伸びるとまた野菜が減ると、こういうような多少の競合関係はあるわけでございます。そういうことから申しますと、なかなか見通しは難しいわけでございますが、一人当たりで見ると、我々はなかなか総体としては現在の水準が目覚ましく伸びていくというよりは、むしろほぼこの辺が停滞ぎみではなかろうか。ただ、内容的には、例えば今までのリンゴ等の例に見られますように、かなり品質の高いものが求められる。いわゆる高級化それからまた内容的に多品目化、少量多品種消費と申しますか、そういう方向には向かうのであろう、内容的、質的な高度化はさらに進むと、こういう感じを持っております。
#244
○田渕哲也君 総理府の家計調査年報、昭和五十八年の調べによりますと、所得による分類で見ますと、やはり第五分位、所得の高い人たちの購入数量は第一分位の人に比べて量は一・六倍。ところが、価格で見ますと単価は余り変わらないんですね。百グラム当たりの価格は所得の低い人も高い人も余り変わっていない。こういうことはどういうことかと言うと、数量について非常に所得に対する弾性値というものが高い。ということは、果実そのものが、全体がやはりまだややぜいたく品という見方をされておる。だから、所得が伸びれば私は数量が伸びていくのではないかという気がするわけです。先ほど大臣も言われましたけれども、最近はたくさんいろいろな物がある。本当は安くていい物がたくさんあれば需要を刺激して、総量は、総需要は伸びなきゃいけないんですけれども、なぜ日本の場合は停滞しておるのか。一つは、所得の伸びが停滞しておるということもあるでしょうけれども、所得が伸びればやはり伸びる可能性は出てくるのではないかと思いますが、いかがですか。
#245
○政府委員(関谷俊作君) ここのところが、ミカン等も含めました果実消費の需要の見通しの一番難しいところであるわけでございます。と申しますのは、農業基本法で選択的拡大ということで果実、畜産物が伸びるというふうに見通しましたその一番のもとは、先生も御引用になりましたような所得階層別の消費量等を見ますと、あるいは過去の所得の増加と消費量の関係を見ますと、所得の増加に応じてある一定の関数関係で消費が伸びる、こういうような実態が検証されておりますので、それを将来に伸ばしまして、所得が伸びれば総体の需要も伸びるということでミカン等見通しましたのが、御承知のような大変需要の見通しの狂いが出てきた原因なんでございます。
 これはどういうことかというのは、これはやや素人論になってしまうわけでございますが、やはり日本で果実消費あるいは果実の加工品消費というものが確かに日本人の嗜好には非常に根強いものはあるわけでございますが、同時に、所得が伸びましたときに飲み物で申しますとほかの非果汁系の飲み物、それから嗜好品で申しますとお菓子類とか、こういうほかのものに移っていくというような傾向があるために、なかなか単純に所得上昇期の消費伸び傾向を将来に見通せない、あるいは今後にもなかなか見通せない。こういう大変消費者の選択のところまで考えますと難しいということで、一般的にはもちろん所得が上がる、あるいは所得階層が上の方に行けば行くほど消費がふえることは事実でございましょう。しかし、その総体のテンポをナショナルベースで、所得が上がるときにどのぐらいで上がっていくか、従来のようなことで上がっていくかということになりますと、ここのところむしろ停滞ぎみでございますので、なかなか将来もっと伸びるという見通しを自信を持って言えない、こんな状況でございます。
#246
○田渕哲也君 それと先ほど貿易摩擦のお話をしましたけれども、貿易摩擦は私は果実の場合ミカンとオレンジに限らないと思います。なぜかと言うと、きょうの果物は何を買おうかという予算が大体決まっているわけですから、先ほど大臣も言われましたけれども、子供はミカンを買わずにバナナを買う。それだけバナナを輸入することによってミカンの消費は減るわけです。そういうあれがありますから、私は現在国内の生産と輸入が大体五対一ぐらいの割合だと思います。将来この比率がどうなる見通しになっていますか。あるいはどんどん輸入がふえた場合に、やっぱりこれは困るということでどこかで限度枠というものをある程度設定するのか、その辺はどうですか。
#247
○政府委員(関谷俊作君) これは輸入につきましては、輸入制限のあるものは輸入割当の中で、あるいは関税措置により、ややそれとの関係で輸入量が規制されるもの、影響を受けるものはございますけれども、輸入をコントロールするということは全体としては難しいわけでございますので、五対一というような比率が将来どうなるかということは個別品目によつても大変異なるわけでございますので、私は率直に言ってこの辺の総体としてのいわゆる輸入、国産比の見通しは難しいと考えております。
 ただ、問題の考え方としまして、先生の御質問にございますように、果実総体として見る、あるいはお菓子のようなものと果実の選択として考える、こういうようなやや消費者行動に即した少し幅の広い見方をしながら考えていく。その場合に、バナナのような輸入品はどのくらいのこれから伸びがあるだろうか、大体実は横ばいになっておるわけでございますが、こういうようなことをいろいろ個別品目に即して考えていくというような将来見通ししかないわけで、なかなか総体としてどうなるかということは一概に言えない、こう考えております。
#248
○田渕哲也君 時間が余りありませんから最後の質問ですけれども、私は輸出ということをもっと真剣に考えるべきではないかと思うのです。現在温州ミカンとかナシ等は輸出がかなりされておるわけでありますけれども、やはり果実というものの性格上、私は本来保護主義には余りなじまない。やはり自由貿易になじむものだと思います。したがって、日本が外国へ輸出できるような果実、果汁というのはどれだけ可能性があるか、それから輸出市場をどれだけ開拓できるか、そういうものにもっと力を入れるべきではないかと思いますが、いかがですか。
#249
○政府委員(関谷俊作君) この輸出促進の仕事は、実は今度の指定法人の業務の中に需要増進というのが書いてございますが、その中のかなり大事な仕事にしておるわけでございます。その方法としては、従来でいうPR的な宣伝もございますし、それにとどまらずにさらに一歩踏み込んで、去年も実施しましたような一種の試験輸送というような、試験輸出というようなことも含めて市場開拓をしていくということが大事な仕事として取り上げられておるわけでございます。
 今日までの状況から見ますと、かなりそれこそ具体的な物ごとに、あるいは相手方の国ごとに相当な違いが出てくるわけでございまして、ジュース、果汁などは生産者団体の大変な努力でサウジアラビアというようなああいう地域で相当伸びてきたわけでございます。それから去年の鳥取の二十世紀ナシにつきましては、これは私、率直に申しましてアメリカ側でのかなり協力があったわけでございまして、相当、一個三百円ぐらいにつくような高いナシがアメリカで試験的に販売をされまして、来年はさらに伸ばそうというようなことでございますが、こういう場合や日本のミカン輸出の場合には向こうの国での検疫の問題、その問題をかなり解決することが相伴って必要である、こういうようなことでございます。これはもちろんかなり技術的な病害虫防除の技術あるいは輸出の際の消毒の問題、こういうこと等も関連いたすわけでございますが、こういう努力をかなり品目ごとに、相手方の国ごとに相当きめ細かくやるべきであろう。徐々にながら、まさに二十世紀ナシに見られますように、こういう面で生産者団体も関心を持たれ、我々も行政の仕事としてこういうものを推進するということで、これから地道に開拓をしていくべき分野であろうと考えております。
#250
○田渕哲也君 終わります。
#251
○喜屋武眞榮君 私は、昨日の参考人の皆さんが強調しておられたことを集約しますと、一つには、生産と需要の調整が緊急の問題である、それから価格保証の制度を確立すべきである、それから生産意欲の減退と後継者の育成、この点を特に強調しておられたと認識しておりますが、この点をまず政府とされましても大事にしていただきたい。
 こういう観点から特に最初にお尋ねしたいことは、かんきつ輸入枠拡大がどのような影響を与えておるかということの一例を申し上げたいと思いますが、昨年の四月七日でしたか、ワシントンにおいて開かれました山村農林水産大臣とブロック米通商代表との会談で決着をつけたのが、日米農産物交渉の結果、一九八七年度のオレンジの輸入枠を十二万六千トン、オレンジジュースの輸入枠を八千五百トンに拡大するということになったわけでありますが、これが今日晩かん類に直接大きな影響を及ぼすことは、多くの皆さんが、特に生産農家の立場からも強調しておられるところでありますが、この過剰問題が深刻化しておる温州ミカンへの影響をどのように理解しておられるかということ。
 もう一つは、現行の五十五年に策定されたかんきつ類の需要見通し、生産目標では、この大幅な輸入枠の拡大を念頭に置いておらぬわけですが、六十年度に策定される予定の基本方針ではどのようにこの結果を反映させようとしておられるのであるか、その二点についてまずお伺いしたいと思います。
#252
○政府委員(関谷俊作君) 昨年の日米間合意のかんきつ関係でございますオレンジの合意内容については、先生お尋ねのとおりでございますが、その後、この実行ということで五十九年度の割り当ても実施をしておりますが、大体前回合意の延長線上の増加のテンポである、また六―八月の季節枠を適切に運用しているということ、加えてアメリカの異常気象によるオレンジの不作、輸入価格の上昇等がございまして、大体五十九年度の輸入数量はほぼ前年水準であります。一方、国内産は、これはことしの特別のことでございますけれども、御承知のように、ミカン、晩かん類とも生産量が少なくて価格が非常に堅調でございます。したがいまして、日米合意後の状況については、もともと合意の線がそう大きな上昇を見込んではいなかったこともございますけれども、運用上国産果実の影響は最小限にとどまる、こういうような関係になっておるというふうに理解しております。
 次に、果汁関係につきましても割り当て量の若干の増加を見ておるわけでございますが、これも大体前回合意の範囲内の増加量にとどめまして、また御承知のように、国産ミカン果汁とのブレンド用にオレンジ果汁の方は使われる、こういうようなこともございまして、全体として輸入割り当ての状況から見ますと、やはりこちらの場合にもそう大きな影響はない、こういうふうなことで、影響としては最小限度の状況になって今日までのところ推移しているというふうに考えております。
 なお、今後の問題でございますが、基本方針等の策定に際しまして、総体の需要から国内生産の誘導に結びつける場合に、輸入につきましてもこれは当然一種の織り込みをしなければいけないわけでございますが、我々の考えとしましては、これは果樹農業振興審議会で基本方針策定に当たりまして最終的に御審議いただくわけでございますけれども、現在合意されている輸入枠の大体最終年度の六十二年の水準、この辺のところに仮置きする、こういうようなことがどうも現実的な対応としてとらざるを得ないのではないか。この水準が、全体として見ますと、それぞれの出回り期の中ではいずれも大体五%にも達しないような比率でございますのでそう大きな影響はない、こういうふうなことでございますが、この合意による輸入枠の拡大は、いずれにしましても基本方針の策定の際に織り込まざるを得ないと、こういうふうに考えております。
#253
○喜屋武眞榮君 次にお伺いしたいのは、日本型食生活の定着と果実の消費というこの関連からお尋ねしたいのですが、食料需給表あるいは家計調査を拝見しますと、最近における果実消費は停滞あるいは減退の傾向にあるということを物語っております。
 ところで、温帯モンスーン地帯にあります南北に長く位置しておる我が国は、ある面では果物王国だと、こう言われておるわけですが、ところがそのように有利な立地条件があるにもかかわらず、国民の果実消費の水準が国際的に見て非常に低い現状である、このことを指摘できるわけでありますが、これは先ほども話がありましたが、食生活あるいは学校給食に定着さしていくという立場から非常に重大な問題であると思うわけなんです。この日本型食生活を定着させようという努力は、特に農林水産大臣の所信表明の中にも強調されておりますが、それをどのように指導していこうと思っておるのであろうか、お伺いしたいと思います。
#254
○政府委員(関谷俊作君) 日本型食生活については、いわばその要素としまして、大体消費総カロリーが二千六百キロカロリーぐらい。それでたんぱく、脂肪、それからいわゆるPFC比率がちょうどいいということで、炭水化物の消費の比率が、カロリー比率がちょうどいい。さらに畜産物と果実、魚等の動物性のたんぱく質の中の構成がかなり水産物のウエートが高いと、こういうようないろんな特徴でございますが、我々として見ますと、これをもう少し伝統的な食生活との対比で申しますと、やはりもともとは野菜、魚、米というような基本的な食材によっていた食生活が、その後のいわば食生活向上によって畜産物、それから果実、こういうものが加わった非常にバランスのいい食生活だというようなことでございますので、我々としては、果実はその内容でかなり重要な要素を占めておるということでございます。
 この日本型食生活の定着につきましては、これは食生活の問題でございますので、いわゆる行政からの押しつけとか干渉とか、そういうふうにとられるような進め方はよろしくないわけでございまして、あくまでもそういう食生活のよさ、日本型食生活のすぐれた点、また日本の農業という日本の資源の面からしてのいい点、こういう点をいわば情報提供的に国民の理解と支持を得ると、こういう進め方が基本になろうかと思っております。
 なお、御参考までに果実だけをとりますと、日本の場合には、御質問にもございましたように、余り高くないわけでございますが、どうも日本では果実の消費が低い一方で野菜の消費量が多いということで、野菜と果実が両々相まっていわゆるビタミンCとか、あるいは植物繊維とか、そういうようなものの供給源になっているような感じがいたします。こういう点もありますのでやはり果実としては低いわけでございますが、果実消費量だけを単独にとってふやしていくというようなことは、政策としてはなかなか難しかろうと考えております。
#255
○喜屋武眞榮君 次に、これは沖縄の主要果実といえばパイナップルでありますが、その需要見通しは、五十一年に策定された六十年度見通しでは三十一万トンに見通されておりますね。策定されておる。ところが、五十五年度に策定された需要見通しでは二十九万トンにダウン修正されておる。
 そこで、最初にお聞きしたいのは、その理由が何であるか。次には、六十五年度見通しにおいては二十九万トンの需要に対して生産目標は十万トンとされておりますね。ところが、この十万トンという位置づけは、他の果実類に比較してみた場合に、生産比率が極めて低く抑えられております。想定されております。その理由は一体何であるか、このことについてお伺いしたい。
 と申しますのは、これはひがみかもしれませんが、国民のパイナップル消費は、だんだんふえはしても減りはしないんじゃないか、ダウンはしないんじゃないかと、そう思うわけなんです。そうしますと、外国輸入をふやすための一つの抑えではないかということも考えられるわけでありますが、以上のことを、ひとつ御見解を承りたいと思います。
#256
○政府委員(関谷俊作君) まず、初めの需要見通しの問題でございますが、これをいわゆる下万修正で二十八万八千トンにしたことの理由でございますが、全体としまして総需要は、生食需要は増加しておるわけでございますが、缶詰需要は減少傾向にありまして、どうも生食需要が増加するものが缶詰需要の減少を補うに至らない、こういうことからどうも全体としては若干の減少ということを見込まざるを得ないということで、六十年度需要見通しをわずかに下回るという二十八万八千トンに下方修正をしたわけでございます。
 次に、総需要といわば国内生産の比率の問題でございます。需要二十九万トン、生産目標十万トンと、こうなっているわけでございますが、現実にはパイナップルの国内生産が、いろいろ栽培地域が沖縄地域圏に限定されておりまして、用途別ということになりますとどうも缶詰原料にほとんど向けられる、こういうような状況でございます。生食の方になりますと、これがどうもいろいろ品質等の関係もございましてほとんど輸入による、こういうことになりますので、確かに御指摘のように国内生産比率はほかの果樹から見ると低いわけでございます。こういうような生食需要と缶詰需要との関係、こういうようなことで、どうしても国内生産によるものというものが率として低くなっておるわけでございます。
#257
○喜屋武眞榮君 次に、熱帯性果実の生産振興、特にこれは沖縄との関係が非常に深いですのでお尋ねしたいんですが、最近各地で地域特産物等を発掘して市場開拓を行う等の働きが非常に活発になっておりますね。それは非常に結構なことだと思います。一村一品運動などはその代表的なものでありましょうが、これは地域経済の振興を図る上で極めて有意義なことであると思います。最近、特に消費が多様化する傾向にうまく沿った運動だと見ております。
 このような視点から沖縄について考えてみますと、果樹農業に関してはバナナもあるわけでありますが、バナナのような大量に、しかも安価に輸入されているものはまず別といたしまして、特に最近若い者が研究に取り組んでおる、栽培に取り組んでおる品目の中にアボガド、マンゴー、パパイアといった熱帯性の果実の生産が考えられると思いますが、その振興方策と熱帯農研における研究の現状についてお伺いいたし、そして最後にぜひひとつ大臣の御見解を承りたいと思います。
#258
○政府委員(関谷俊作君) 熱帯性果実の生産でございますが、これは果実消費の状況がこういうふうに総体的には停滞している中で少量多品目化傾向あるいは非常に高級なものを求めるということからしますと、政令指定果樹以外のいわゆる地域特産果樹というものが非常に大事になっているわけでございます。御指摘のございましたアボガド、マンゴー、パパイアその他の熱帯性果実、こういう意味ではいわゆる特産果樹としてはかなり代表的なものであるというふうに考えておりまして、私どもとしましてはこういう状況を踏まえまして、六十年度から特産果樹産地育成対策事業というのを発足させることとしております。これはいろいろなそういう特産果樹につきまして生産から流通、加工条件整備、こういうものも含めました対応のできるような対策を組んでおるわけでございまして、これにつきまして、それぞれの熱帯性果実も含めました地域の特産果樹についてはこういうものの中で取り上げ対応していきたい、かように考えております。
#259
○政府委員(櫛渕欽也君) 熱帯農業研究センターの研究の現状について申し上げたいと思います。
 熱帯、亜熱帯におきましては、温帯にない非常に多くの種類の果樹がございます。こういった熱帯果樹の研究につきまして、熱帯農業研究センターにおきましては、これを効率的に推進するという観点から、まずその実態の把握が大変重要である、そういうふうに考えております。そこで、同センターにおきましては、熱帯果樹の生態的特性及び栽培技術、こういったことにつきまして基礎的な資料を得るために、これまで文献の調査や現地調査、こういったことを行ってまいり、その結果を資料としてまとめまして、沖縄県等の関係研究機関あるいは県等に既に配付をしているわけでございます。また、熱帯果樹のいろいろなものを収集をいたす努力を続けておりまして、現在におきましては筑波にあります熱帯農研のセンターの温室にもアボガド、マンゴーあるいはパパイア、こういった約四十種を保存しておりますけれども、熱研の沖縄支所におきましても同様にこういったものの約二十種につきまして約一・五ヘクタールの圃場に栽培保存をしておりまして、こういったものを必要に応じまして沖縄県の試験場の研究材料等に提供を図っておるわけでございます。
 一方、先生今おっしゃいましたように、沖縄県の試験場、名護支場におきましてはマンゴーのハウス栽培法あるいはグアバとかパパイア、こういったものの栽培法の確立、こういった試験研究を続けておりますわけですが、私ども国の試験研究機関といたしましても、こういう沖縄県の要望に応じましてこれらの試験研究に対する連携あるいは協力に積極的に努めてまいりたいと考えております。
#260
○国務大臣(佐藤守良君) 喜屋武先生にお答えしますが、私二つお答えしたいと思います。
 その一つは、パイナップルでございますが、私の経験では、最近缶詰を食べません、生食を食べる。特に私らの子供などは生食オンリーです。何かこれは工夫を要するんじゃないでしょうか。
 それからもう一つは、今も両局長から答えたとおりでございまして、アボガド、マンゴー、パパイアは、沖縄というのはもう農林水産物としては亜熱帯性適地でございます。そんなことで、今言ったようなことで最善の努力を尽くしたい、こう思っております。
#261
○委員長(北修二君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#262
○委員長(北修二君) 御異議ないと認めます。
 村沢君から発言を求められておりますので、これを許します。村沢君。
#263
○村沢牧君 私は、ただいま議題となっております果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び二院クラブ・革新共闘の六派共同による修正の動議を提出いたします。
 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。
#264
○委員長(北修二君) それでは、村沢君提出の修正案を議題といたします。
 まず、修正案の趣旨説明を聴取いたします。村沢君。
#265
○村沢牧君 これより修正案の趣旨について御説明申し上げます。
 今回政府から提案されております改正案は、最近における果樹農業をめぐる諸情勢の変化に対処して、果樹農業の健全な発展を図るため、果樹農業振興基本方針、果樹園経営計画の内容の改善等を行うとともに、果実の生産及び出荷の安定を図るための措置を講ずること等を主な内容としております。
 特に、果実の生産及び出荷の安定に関する措置は、温州ミカンを初め、多くの果実が過剰基調に陥っている中で、需給が著しく均衡を失している特定の果実を農林水産大臣が指定し、生産出荷安組指針に基づいて、指定法人等により安定的な生産及び出荷の促進等各般の施策を講じようとするものでありまして、その効果が大いに期待されているところであります。
 しかしながら、近年、果実あるいは果実製品の輸入が増加しており、今後もその傾向が強まると考えられているところから、本改正案によって特定果実または特定果実に係る果実製品に関する諸措置が講じられている場合であっても、外国産の果実または果実製品の輸入によって、その措置が効果を発揮することができない事態も予測されるわけでありまして、このような場合には、当該外国産の果実または果実製品の輸入に関して必要な措置を講ずる等、事態の克服のために相当と認められる措置を講じ、本改正案の目的である果樹農業の健全な発展に資することとしようというのが、修正案の趣旨であります。
 委員各位におかれましては、よろしく御賛同をいただき、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げまして、修正案の趣旨説明を終わります。
 以上です。
#266
○委員長(北修二君) それでは、ただいまの修正案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。――別に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより原案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、村沢君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#267
○委員長(北修二君) 全会一致と認めます。よって、村沢君提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。
 修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#268
○委員長(北修二君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。
 以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#269
○委員長(北修二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#270
○委員長(北修二君) 次に、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。佐藤農林水産大臣。
#271
○国務大臣(佐藤守良君) 繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 我が国養蚕業は、農山村・畑作地帯において農業経営上重要な作目の一つとして定着しており、製糸業も伝統的な地場産業として地域経済において重要な地位を占めております。
 このような中で、蚕糸砂糖類価格安定事業団は、生糸の買い入れ、売り渡し等を行うことにより、繭及び生糸の価格の安定を図り、蚕糸業の経営の安定に資する等の役割を担ってきたところであります。
 しかるに、最近の我が国蚕糸業をめぐる情勢を見ますと、生活様式の変化等から絹需要が大幅に減退し、生糸の需給に著しい不均衡が生じております。その結果、事業団においては、その買い入れに係る生糸在庫が大量に累積するとともに、保管経費の増大等により財政が極度に悪化する等極めて厳しい状況に直面しております。
 また、このことは、繭糸価格安定制度の先行きに対する不安を生じさせ、繭及び生糸の価格の安定を妨げる大きな要因の一つともなっており、早急に事態の改善を図ることが必要となっております。
 この法律案は、このような状況に対処し、需給の均衡にも資するものとなるように、価格安定措置の改善を図るとともに、事業団の在庫生糸の処理の円滑化等を図ろうとするものであります。
 次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
 第一は、繭及び生糸の価格安定措置の改善であります。
 現行の価格安定措置については、昭和四十一年の中間安定措置の発足以後異常変動防止措置は発動されず、専ら中間安定措置により価格安定機能を発揮してきたという実態に即して制度の簡素化を図るため、異常変動防止措置を廃止し、中間安定措置をもととした安定価格帯を設け、その下で事業団が生糸の買い入れ、売り渡し等を行い、繭糸価格の安定を図る仕組みとすることとしております。
 第二は、事業団の在庫生糸の処理の円滑化等であります。
 現在、事業団は、大量の生糸在庫を抱えているところでありますが、その円滑な処理を図るとともに、かかる事態の再発の防止に資するため、一定の期間を超えて保有する生糸については、生糸の時価に悪影響を及ぼさない方法で生糸を売り渡す道を開くこととしております。
 また、これまでの大量の在庫生糸及び借入金の処理につきましては、事業団に特別の勘定を設けてこれを整理し、適切な在庫処理を図ってまいることとしております。
 第三は、蚕糸業振興資金の拡充であります。
 現行の異常変動防止勘定の廃止に伴い、同勘定における積立金相当額の一部を、蚕糸業の振興等を図るための助成事業を行う財源である蚕糸業振興資金に充てることとしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
#272
○委員長(北修二君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 次に、補足説明を聴取いたします。関谷農蚕園芸局長。
#273
○政府委員(関谷俊作君) 繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。
 この法律案を提案いたしました理由につきましては、既に提案理由にて申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
 第一は、繭及び生糸の価格安定措置の改善についてであります。
 この法律案におきましては、異常変動防止措置を廃止し、中間安定措置をもととした安定価格帯を設け、そのもとで事業団が生糸の買い入れ、売り渡し等を行い、繭糸価格の安定を図る仕組みとすることとしております。
 すなわち、蚕糸砂糖類価格安定事業団は、生糸の価格が安定基準価格を下って低落し、または安定上位価格を超えて騰貴することを防止するため、出資者である製糸業者から一定の数量の範囲内で生糸を買い入れ、その買い入れに係る生糸を、相手方の請求に応じて売り戻すとともに、生糸の価格が安定上位価格を超えて騰貴しまたは騰貴するおそれがあると認められる場合には売り渡すこととしております。
 この場合、標準生糸についての安定基準価格及び安定上位価格は、生糸の生産条件及び需給事情その他の経済事情から見て適正と認められる水準に生糸の価格を安定させることを旨として、農林水産大臣が毎年五月までに定めることとし、標準生糸についての事業団の買い入れの価格は、標準生糸の安定基準価格を基準とし、売り戻しを行う期間に係る保管に要する費用の額を考慮して、農林水産大臣の認可を受けて、事業団が定めることとしております。
 また、事業団は、製糸業者が基準繭価に達しない価格で繭を買い入れる等の場合には、生糸の買い入れをしないこととしており、基準繭価は、繭の生産条件及び需給事情その他の経済事情から見て適正と認められる繭価水準の実現を図ることを旨とし、生糸の安定基準価格を参酌して、農林水産大臣が定めることとしております。
 第二は、事業団の在庫生糸の処理の円滑化等についてであります。
 事業団が在庫生糸を長期間にわたって保有することは、その保管経費の増大等により事業団財政を悪化させるほか、生糸在庫の大量の累積を通じて生糸の市況を圧迫する要因にもなりかねず、かえって生糸価格の安定という制度の目的の達成を困難にするものであります。このため、一定の期間を超えて事業団が保有する生糸につきましては、農林水産大臣の承認を受けて、生糸の時価に悪影響を及ぼさない方法によって売り渡すことができることとしております。
 また、これまでの事業団の大量の在庫生糸及び借入金の処理に関する経理につきましては、特別勘定を設けてこれを整理することとしております。
 昭和六十年度予算において計上されております蚕糸砂糖類価格安定事業団在庫生糸特別処分損失補てん交付金四十四億八千八百万円は、この特別勘定に繰り入れることとしております。
 第三は、蚕糸業振興資金の拡充についてであります。
 事業団は、蚕糸業振興資金を財源として、生糸の需要の増進を初め蚕糸業の振興に関する各種助成事業を実施しているところでありますが、異常変動防止措置が廃止され、同措置に係る勘定も廃止されることに伴い、この勘定の積立金相当額の一部二十五億五千二百万円は、蚕糸業振興資金に充てることとしております。
 また、臨時行政調査会の答申を踏まえて、事業団の理事及び監事の任期を二年とするほか、事業団の財務諸表を事業団の各事務所に備え置かなければならないものとすることとしております。
 以上のほか、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の目的規定につきまして、最近における生糸の需給事情及び繭糸価格安定措置に関する改正内容を踏まえて所要の改正を行うこととしておりますとともに、施行期日につきまして、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日としております。
 以上をもちまして、繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
#274
○委員長(北修二君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
    ─────────────
#275
○委員長(北修二君) 次に、農林水産政策に関する調査のうち、日米漁業対策に関する件を議題といたします。
 高木君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。高木君。
#276
○高木正明君 私は、この際、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び二院クラブ・革新共闘の六派共同提案に係る日米漁業対策に関する決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   日米漁業対策に関する決議(案)
  鯨は、我々日本人にとって魚介類と並ぶ貴重な生物資源であるとともに、特定地域における基幹産業となっている等、現在なお重要な役割を担っている。
  また、米国二百海里水域内における北洋漁業は永年にわたり、我が国最大の遠洋漁業となっており、その実績確保が重要な課題となっている。
  しかるに、国際捕鯨委員会(IWC)は科学的根拠に基づくことなく一九八五年秋より、商業捕鯨全面禁止の決定を行う一方、米国はパックウッド・マグナソン修正法及びペリー修正法により日本の鯨肉の消費習慣の放棄、鯨肉輸入の禁止及び捕鯨業の全廃を企図し、これに応じなければ制裁措置として北洋漁業を二年間で全面的に締め出すことを規定するなど極めて遺憾な事態を生じさせている。
  よって、政府は国際捕鯨取締条約の基本精神に基づくIWCの機能の正常化に努めるとともに、き然たる態度をもって、我が国捕鯨を維持存続し、かつ、北洋漁業を確保するため対米漁業外交の推進に最大の努力を行うべきである。
  右決議する。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#277
○委員長(北修二君) ただいまの高木君提出の決議案に対して、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、ただいまの各派共同提案による高木君提出の日米漁業対策に関する決議案の採決を行います。
 本決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#278
○委員長(北修二君) 全会一致と認めます。よって、日米漁業対策に関する決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、佐藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。佐藤農林水産大臣。
#279
○国務大臣(佐藤守良君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分尊重して、最近の厳しい日米漁業環境を踏まえつつ、今後とも最大限の努力を払ってまいります。
#280
○委員長(北修二君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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