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1984/04/23 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 農林水産委員会 第15号
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1984/04/23 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 農林水産委員会 第15号

#1
第102回国会 農林水産委員会 第15号
昭和六十年四月二十三日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は次のとおり。
    委員長         北  修二君
    理 事
                高木 正明君
                谷川 寛三君
                最上  進君
                村沢  牧君
    委 員
                岩崎 純三君
                浦田  勝君
                大城 眞順君
                岡部 三郎君
                熊谷太三郎君
                小林 国司君
                坂元 親男君
                竹山  裕君
                初村滝一郎君
                星  長治君
                水谷  力君
                稲村 稔夫君
                菅野 久光君
                山田  譲君
                刈田 貞子君
                塩出 啓典君
                下田 京子君
                田渕 哲也君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農林水産大臣   佐藤 守良君
   政府委員
       農林水産大臣官
       房長       田中 宏尚君
       農林水産大臣官
       房審議官     吉國  隆君
       農林水産省経済
       局長       後藤 康夫君
       農林水産省構造
       改善局長     井上 喜一君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     関谷 俊作君
       農林水産省農蚕
       園芸局次長    畑中 孝晴君
       農林水産省畜産
       局長       野明 宏至君
       農林水産省食品
       流通局長     塚田  実君
       食糧庁長官    石川  弘君
       林野庁長官    田中 恒寿君
       水産庁長官    佐野 宏哉君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        安達  正君
   説明員
       外務省経済協力
       局審議官     木幡 昭七君
   参考人
       北海道浦幌町農
       業協同組合理事  松川 牧夫君
       和歌山県森林審
       議会委員     真砂 典明君
       静岡県小川漁業
       協同組合組合長  橋ケ谷金次君
       東京大学助教授  荏開津典生君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○農業近代化資金助成法及び漁業近代化資金助成法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(北修二君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特別会計法の一部を改正する法律案、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び農業近代化資金助成法及び漁業近代化資金助成法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。
 本日は、三案につきまして、お手元の名簿にございます参考人の方々から御意見を拝聴いたしたいと存じます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。
 農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特別会計法の一部を改正する法律案外二法案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の委員会の審査の参考とさせていただきたいと存じます。よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、これより御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の進め方について申し上げます。
 御意見をお述べ願う時間は議事の都合上お一人十五分間程度とし、その順序は、松川参考人、真砂参考人、橋ケ谷参考人、荏開津参考人といたします。参考人の御意見の開陳が一応済みました後で、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 それでは、松川参考人からお願いをいたします。松川参考人。
#3
○参考人(松川牧夫君) 私は、北海道十勝管内浦幌町において、搾乳牛四十三頭を飼育し、年間約二百六十五トンの生乳を生産する専業酪農家で、松川牧夫と申します。傍ら、浦幌町農業協同組合の理事などの役職も務めております。
 本日、当委員会において農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案など、いわゆる農業金融三法の改正に関し意見陳述の機会を与えていただきましたことにつきまして深く感謝しながら、以下、私の意見を述べさせていただきたいと存じます。
 今回の農林漁業金融制度改正の契機は、五十八年三月、臨時行政調査会の最終答申、すなわち「農林漁業金融公庫については、利子補給金の抑制の見地から、農林漁業の近代化と体質強化に留意しつつ、融資の重点化及び貸出利率を含む貸付条件の見直しを行う。」との趣旨に由来するものと受けとめております。この点は、農林水産省においても、農林漁業金融公庫資金の利子補給に要する予算が五十九年で一千三百五十億円に達し、農林水産施策の新たな展開の制約になるとの観点から、制度の見直し、検討に入ったとも聞きます。
 私たちは、農業経営に欠くことのできない金融について、自己資金及び農協のプロパー資金を充当しながらも、農業の構造改善や近代化を推進するには、農林漁業資金などいわゆる制度資金がなければ、到底それは達成できないものと考えております。申し上げるまでもなく、それは農業金融が有する特質、すなわち長期低利の要件を満たすには、信用保証や利子補給など政策的かつ財政的な援助がなければできないことだからでございます。しかも農業の今日的状況は、従来以上に制度金融の必要性を高めている折に、財政削減の観点から農林漁業金融制度改正に着手されようとすることに、私は強い危惧の念を持っているのであり
ます。
 国会に提案された改正案によれば、農林漁業金融公庫資金、農業近代化資金等につき、政策との整合性と融資の重点化を念頭に拡充を図るもの、整理合理化を図るもの、それぞれ検討を進め、農林漁業者にわかりやすく、利用しやすく、構造政策の方向等に即した重点化が基本とされております。また、三・五%資金については、構造政策の誘導助長策としてその大筋は維持されました。そのことは評価をちゅうちょするものではありませんが、利用しやすくとは申しましても、現在、経営規模の拡大はしたものの、価格と生産の抑制下で、投資圧のため安定軌道に乗れず破綻寸前の状況にある酪農などに、緊急を要する経営維持ないし再建の資金についてそうなのでありましょうか。これらの経営は今日でも融資対象から除かれつつあり、したがって、殊のほか制度金融への期待を強めておりますが、構造政策の方向に即した重点化とは、逆に融資対象の選別を強めることを意味するものではないでしょうか。
 近年、農業不況のもとで、生産資材などの投入に対する回収、すなわち粗生産額は相対的に低下を続け、農家経済収支は悪化の一途という状況にあります。加えて、毎年の借入金償還が増加し、その償還にたえられない経営、さらにそのことに起因する農協の信用不能といった事例が多発しております。こうした、いわゆるマネーフローの悪化と農業金融のあり方とのかかわりが問われているのだと私は考えているのであります。
 以下、北海道における農家の経営収支と負債の状況、農業金融に対する農民の切実な要望など、実態に即して申し述べたいと思うのであります。
 最初に、北海道信用農業協同組合連合会調査の五十九年十二月末の総貸出金について申し上げますが、十一万戸の農家で一兆四千四百十五億円余となっております。五十九年はまれに見る豊作でございましたが、五十八年末の一兆四千百八十八億円に対し二百二十七億円、率にしますと一・六%ふえております。経済地帯別に見ましても、作況指数一一四%の水田地帯でわずか〇・九%減少、酪農〇・八%、畑作二・一%、混合三・四%、都市周辺四・一%と、それぞれ増大しております。全道農家の一戸当たり借入額は、五十八年末の平均一千三百二十六万円から、五十九年末には一千三百六十九万円に、四十三万円ふえております。借入額の約半分が公庫資金、残りがプロパーであります。五十九年末の地帯別一戸当たり借入額は、酪農二千百四十四万円、対前年比三・三%増、畑作一千七百八十四万円、同じく三・二%増、水田一千七十八万円、同じく〇・五%増と、酪農家と畑作農家の負債増加が目立っております。しかも、一戸平均年間収入の借入金比率は、酪農一四二%、水田一四五%、畑作一〇五%と、酪農と水田経営の深刻さが目立ちます。
 北信連では、毎年、組合員勘定取引から見た農家経済の動向も発表いたします。酪農地帯のそれは、根室管内二組合、宗谷管内二組合、七百八十六戸の一戸当たりという形で農家経済の動向が明らかにされております。五十九年について見ますと、農業収入二千百六十二万円の収入に対し、農業経営費は一千六百九十六万円、うち支払い利息百八十万円、租税公課百十四万円、差し引き農業所得四百六十六万円、農業所得率二一・六%となっております。農外収入を加えた可処分所得四百八十二万円、これに対し家計費二百八十八万円、資金返済二百十五万円、したがって収支じりは二十一万円の赤字と発表しております。しかし、これは資金返済額が酪農負債整理資金が据置期間中で減少しているためで、それがなければまだまだ赤字幅が大きくなります。この資金返済と支払い利息の合計額三百九十五万円は農業収入に対し一八・三%を占め、農家収入に対し一八・一%であるところに、農業金融諸制度がいかにあるべきか、いかに運用を迫られているかがうかがわれるかと思います。
 同じことを畑作で見れば、北見、十勝各五組合六千五百五十二戸の平均で償還と支払い利息の合計は四百二万円、農業収入に対して二七・五%、農家収入比では二六・一%となっております。水田の場合、空知、上川各五組合九千三十一戸の調査で、償還、支払い利息の一戸平均は二百二十四万円ですが、農業収入対比三九・五%、農家収入対比三四・三%となっております。
 なぜこうした負債の状況にあるかでありますが、例を酪農にとり、先ほどの根室、宗谷各二組合七百八十六戸の実態で見ると、生産調整の始まった五十四年を一〇〇として、五十九年では農業収入は一三八・八%、農家収入一三九・三%であるのに対し、農業経営費は一三九・六%に伸び、うち支払い利息は一三一・四%に、資金返済は五十六年からの酪農負債整理事業によって一〇一・九%になっております。この間、乳価の伸びは一・三五%でしかありません。農業経営費増大の原因は、生産資材価格の上昇で、この間の配合飼料は二二%ほど価格上昇しております。
 先ほど五十九年の根室、宗谷各二組合七百八十六戸の農業所得率が二一・六%であると申し上げました。同年の畑作のそれは二五・五%、水田は二八・九%であります。特に酪農について詳しく言うならば、五十四年は二二%、五十五年一三・六%、五十六年一一・六%、五十七年二一・六%、五十八年二六・三%と、生乳生産調整の影響がこの数字から明らかとなっております。このことは、農水省北海道統計情報事務所の調査した農家経済調査から各年別に酪農単一経営、畑作単一経営、稲作単一経営を取り出してみても、農業所得率がいずれの単一経営でも年を追って低下していることを示しております。つまりコストを無視した価格政策が構造政策の名のもとに行われてきた実態が、このような農業所得率の低下、したがって、前述したような農家経営収支悪化をもたらしていると申し上げないわけにはいかないのであります。
 価格政策から構造政策へのもたらしたものと言わねばなりません。そして今、補助金から融資へと新しい方向が打ち出されてまいりました。補助金より融資へ、それは一面では歓迎すべきものを含んでおります。しかしその場合、私たち農民が望むものは、これまで申し上げてまいりましたような現実でございますから、薄く広くばらまかれたり、補助の名のもとに不必要なものまで買わされたり、施設させられたりして、恩恵少なく喜ぶのは農業機械メーカーと土建屋ばかりといった補助金を削減し、そのかわり農業金融制度を手厚く変えていただきたいということでございます。補助金を減らした分、資金枠をたっぷりとり、低い金利で長期の資金を借りられる制度こそ、私たちの望む改正であります。しかし、三法改正の中身は、それにはほど遠いもののように思われます。
 ここで私どもの農協の実態について率直に述べたいと思います。
 正組合員五百五十戸の中から専業酪農家約七十戸を抽出しまして調査したものでございますが、五十五年の場合一戸当たり農業粗収入は一千五百六十六万円、支払い金利を含む農業経営費は一千百四十九万円、農業所得は四百十七万円、これから借入金返済三百十五万円、租税公課五十七万円を差し引いた可処分所得はわずか四十五万円、家計費二百四十八万円を見ますと、収支じりは二百三万円の赤字となっています。これらの酪農家が五十九年には農業粗収入で二千百四十一万円、五十五年対比五百七十五万円、三六・七%増、支払い利子を含む経営費一千七百七十六万円、五十五年対比六百二十七万円、五四・五%増、農業所得は三百六十五万円、五十五年対比五十二万円、一二・五%減、これから借入金返済五百三十八万円、租税公課百十七万円を差し引いた可処分所得はマイナス二百九十万円、さらに家計費等を見ますと相当の赤字が出ているのが現実でございます。この間、生乳の生産調整、乳価の据え置き、反面では配合飼料価格の上昇など反映しているものと思われます。
 私が特に憂慮しておりますことは、こうした収支じり悪化の当然の帰結として、借入金が大幅に増加しているということであります。平均一戸当たりでは五十五年に一千七百三万円でありましたものが、五十九年には三千九百三万円、五十五年
対比二千二百万円、一二九・一%の増でございます。
 さらに内容的には、A階層がこの間に一千百五十七万円から二千二百九万円、九〇%増、B階層が一千八百四十五万円から三千四百四十二万、八六・五%増、C階層が一千八百九十二万円から五千百八十万円、一七三・七%増、D階層では二千四百四十八万円から四千八百三十万円、九七・三%増となっています。また、借入金の種類別区分では、平均の場合、五十五年に農協資金二百三十一万円、制度資金一千四百七十二万円で、制度資金依存度は八六%でしたが、五十九年には農協資金八百八万円、制度資金三千九十五万円で、制度資金依存度は七九%に低下、この傾向は下の階層ほど低く、D階層では五十五年の七一%から五十九年の六九%へと低下しています。これは、本来返済能力のないD階層が、制度資金返済のために農協資金を借りて返済するためであります。したがって、下層の農家ほど債務内容は悪くなっていくわけですし、農協としてもやがてたえられなくなるわけでございます。
 こうした状況から、経営を維持再建するため制度資金への期待は極めて強く、特にそれは経営維持資金であるということです。これを後ろ向きの融資とする向きもありますが、私は、構造改善を目指しながらも未完成の段階と認識しております。北海道でこれらの農家を切り捨てたなら、恐らく国が示した第四次酪近の達成は不可能になるでありましょう。
 以上、北海道農業の現状と農業金融の問題について申し上げましたが、農業の構造において先進的な北海道農業が借金王国となり、借入金の返済をしながら果たして安定軌道に乗れるのか、極めて難しい局面に立たされているのでございます。北海道の農民といたしましては、北海道農業の拡大安定のためにかねてより五十年二分の資金創設を訴えてきました。西欧先進国の例に見られますように、農業の構造改善、近代化の過程においてそれは必要不可欠の政策であると私も確信いたしております。こうした要望が実現しておれば、今日このような借金王国にならなかったはずであります。
 さらに、私たち北海道の農民は、今後の農業政策に抑えがたい不安を抱えながら強い関心を持っております。去る五十七年八月、農政審議会の答申に基づき決定された「「八〇年代の農政の基本方向」の推進について」によれば、北海道の農業構造は、酪農にあっては搾乳牛三十五頭、耕地三十五ヘクタール、稲作にあっては水田十ヘクタールから二十ヘクタール、畑作にあっては三十ヘクタールから四十ヘクタール、いわゆるEC並みの水準を求めているのであります。今、北海道の農業はその方向は目指しつつも、経営は拡大したが安定軌道に乗れず、いわゆる投資圧によって破産状態にあります。こうしたやさきに、我が国の農林予算は防衛予算と入れかわり、GNPの一%を割ろうとしています。また、貿易摩擦の解消策として、対外経済対策の行動計画では農産物も聖域でなく、原則自由化、例外制限を貫くとされております。農産物の国境措置にせよ価格政策にせよ、我が国の農業政策をこれ以上後退させるなら、日本農業は崩壊すると思います。我が国の農業政策が国際化を志向し、価格政策より構造政策とか、補助政策より金融政策といっても、農業経済を無視して単に財政削減だけを至上目的として強行されるなら、日本農業は立ち行かなくなるでありましょう。
 そういう意味で、農業の金融政策のあり方は農業政策の総仕上げとして重視しなければなりません。残念ながら、私は今次の農業金融三法改正に賛成することができません。さきの八〇年代の農政の基本方向の推進のためにも、私はあえて五十年二分の抜本的金融政策の確立を要望しつつ、意見の陳述を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#4
○委員長(北修二君) ありがとうございました。
 次に、真砂参考人にお願いいたします。真砂参考人。
#5
○参考人(真砂典明君) 御指名いただきました和歌山県竜神村でささやかな林業経営をいたしております真砂典明でございます。平素諸先生方には、国政の場で国土の三分の二を占めます山村の実情に温かい御理解と格別の御高配をいただいておりますことを、この席をおかりして厚く御礼申し上げます。
 私は、竜神村でみずから林業を営みながら地域の大勢の仲間とともに官民一体となっての竜神村の林業振興に微力を傾けているものでございます。本日はせっかくの機会に、山村と林業を取り巻く厳しい現状の一端を御報告申し上げて御理解いただきますとともに、農林漁業金融公庫法の一部改正についての意見を述べさせていただきたいと存じます。時間も限られておりますので、問題点を項目に分けて申し上げたいと存じます。
 まず、木材需要の停滞と価格の低落についてでございます。最近の木材需要の停滞に伴う価格の低落は、私たち林業を営む者にとりまして経営意欲を喪失しかねない状態にあることは御存じのとおりでございます。厳しいときだからこそ積極的な取り組みが必要だという考え方もありますが、現実はなかなかそこまでの余裕もございません。
 今、ここで最近の木材価格の一事例を申し上げますと、五十年営々と育てた杉林一ヘクタールを伐採したときに、その山手価格はおよそ二百五十万円しか残りません。諸税公課等を納めて義務づけられた再造林をいたしますと、その後の手入れを五、六年しただけでなくなってしまいます。五十年生の木を伐採して五、六年生の幼齢林になったにすぎないわけであります。
 このような中で、戦後営々と造林されたその大半が、今、除間伐を必要とする森林が過半を占めるわけですが、その手入れがなかなか思うようにいっていないのが実情でございます。そのような中で、最近、間伐促進総合対策事業その他の諸事業の実施で急速に間伐が実行されてきておりますことは私どもも大変うれしく思っておりますが、ちなみに私の村の最近までの実績を申し上げますと、五年前におよそ百五十ないし二百ヘクタール程度の実行された間伐が、この事業の指定を受けて以来、五百ないし六百ヘクタールの間伐が実行されてきております。それでも必要なだけの間伐にはほど遠く、要間伐林の五〇ないし六〇%にすぎないわけであります。その上、除間伐材の大半は山に放置されたまま利用されておりません。経済的にも公益的にも、健全な森林づくりのために保育、除間伐を推進しなければならないことは申し上げるまでもございませんが、そのために次に生産基盤の整備と拡充についてその必要が迫られております。
 ただいま申し上げましたとおり、間伐材はもとより主伐材でも採算の悪い状況の中で、経費の軽減を図り、長期にわたる経営管理の上からも、生産基盤の整備と拡充はどうしてもしなければなりません。この場合、私どもの林業経営にとって必要なのは、作業道程度の道をできるだけ林内に濃密に張りめぐらしたいわけであります。しかしながら、これも先ほど申し上げましたように、現在の木材価格の現状では、路網の開設をしても地元負担、受益者負担にはとても耐えられる状態でないのがまた現実でございます。国民にとって必要な森林がその役割を果たすためにも、健全な森林づくりに必要な林道や、また作業道を全面的に公共事業で行っていただきたいと願うものであります。
 次に、林業後継者問題についてでありますが、特に林業労働に従事する技術者の後継者問題については、今、山村が過疎と老齢化の進む中で、最低限必要な林業労働力は何とか確保されているという状況ではないでしょうか。しかしながら、このまま推移したときには、それぞれの地域の健全な森林の維持増進を図るため、さらには日本の森林、林業を発展させるために必要な労働力は果たして確保できるのでしょうか、甚だ疑問に思えてなりません。林業労働はそこに技術を必要とするもので、だれにでもすぐできるものではありません。経験による技術の積み上げが必要であります。ま
た、林業労働は、他産業、企業に比べますと、季節や天候に左右されるため就労が非常に不安定であります。山村地域の環境整備とともに、林業技術者への条件整備がもっともっと確立されなければなりません。
 私は、およそ十五年前から短材あるいは小径木、枝木等を加工して木工芸品づくりに取り組んで、地域に合った複合経営を目指してまいりました。その結果、日曜、祭日を休日にして月曜から土曜までの仕事が安定し雨降り対策の実効を上げておりますが、今その内容については省略させていただきます。
 次に、森林組合の育成強化についてであります。
 以上のような幾つかの問題解決のため、地域林業の担い手であります森林組合がその一端の役割を果たさなければならないことは申し上げるまでもございませんが、地域林業のため組合員のために十分活動していない森林組合も少なくない現状であります。今こそ森林組合の活性化のため、山村の中でやる気を持った人材の掘り起こしとその養成を行って組合を立て直すとともに、森林組合本来の使命であります生産から流通に至る組合員のための組合活動が積極的に行われて地域林業の振興の核となれるよう、さらに御指導と助成をお願いしたいと思います。
 最後になりましたが、農林漁業金融公庫法の一部改正について意見を述べさせていただきます。
 このような厳しい林業を取り巻く情勢の中で、大きな支えとなり重要な役割を果たしてきましたのが公庫資金であります。しかしながら、今では借入資金の金利の支払いにも事欠いて、山を手離さなければならない例も出てきております。それほど厳しい現在、今回の一部改正による一部利率の引き上げは、財政当局の意向による金利逆ざや解消を図るためのもののようですが、林業の現状とその森林の果たす役割から、早い機会に一律三・五%への復活をするよう、こいねがうものであります。
 具体的には、林業経営改善資金の貸付対象を林業経営の複合化に必要な施設を含め、またその枠の拡大は大いに活用され期待するものであります。が、その複合施設の六・五%の貸付利率の適用は、いささか厳しいように思われます。また、共同利用施設資金等で対応しております林業構造改善事業に必要な資金について一元化した農林漁業構造改善推進資金は、これからの林業構造改善事業の円滑な推進に大いに期待を寄せるものであります。
 私たち林業関係者は、最近の山村と林業を取り巻く厳しい情勢の中で関係者が一丸となって問題解決に頑張っているところでありますが、自助努力のみでは到底立ち行ける状況ではございません。ちょうど国際森林年に当たり、国民の総意で山村と林業の活性化のため各般にわたって一層の充実強化が図られますよう特段の御配慮をお願いいたしまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#6
○委員長(北修二君) ありがとうございました。
 次に、橋ケ谷参考人にお願いいたします。橋ケ谷参考人。
#7
○参考人(橋ケ谷金次君) 私、小川漁協の橋ケ谷金次でございます。諸先生には日ごろから漁業の振興に御配慮を賜り、厚く御礼を申し上げます。
 委員長の御指名に従いまして、私どもの漁業の実態など申し述べるとともに、漁業近代化資金制度等の一部改正案に対する意見を申し述べたいと存じます。
 小川漁業は静岡県焼津市にあり、遠洋漁業の基地焼津港に隣接し、昔から漁業の盛んなところでございます。組合員の営む漁業は沿岸、沖合、遠洋の各分野にわたっており、いずれも漁船漁業を中心として、水揚げされる魚もサバ、カツオ、イワシ、アジなど多岐にわたっております。組合員数は正組合員三百八十一名、準組合員七百七十二名、合計千百五十三名で出資金二億一千六百万円、利益留保金二億九千万円、役員七名、総代百名、職員八十五名であり、漁協事業は信用、販売、購買、冷凍冷蔵、指導、総務の六部門によって運営しております。
 五十九年度の年間取扱高は、販売四十八億一千万円、購買一億九千万円、冷凍冷蔵七億四千万円であります。信用事業は職員十九名が携わっており、五十九年度末の貯金残高は三十五億二千万円、貸出金二十五億六千万円であります。貸出金の内訳は短期貸出金十一億一千万円、長期貸出金十四億五千万円となっております。長期貸出金の内訳を申し上げますと、近代化資金五億円と、いわゆる緊急資金が九億五千万円で、近年特に緊急資金の増加が目立っております。
 漁船漁業は遠洋カツオ、イカ釣り、近海カツオ、サバ釣り、沿岸漁業はシラス船ひき、はえ縄、一本釣り、刺し網、定置網等多様で、使用している漁船は十トン以上の漁船二十二隻、十八経営体、十トン以下の漁船は七十隻、七十経営体が現在の組合の勢力であります。
 経営内容は、最近遠洋カツオ及び沿岸漁業の一部にはやや明るい見通しがあるものの、総じてオイルショック以後さらに引き続く燃油の高値安定、漁獲量の減少、魚価安といった個々の漁業者の力ではどうにもならない要因によりまして厳しい状況下に置かれております。また、大部分が船齢十年以上の老朽船によって操業を続けており、私どもは歯を食いしばってこの苦境に耐えておるのが現状であります。
 特に、当組合の基幹漁業であるサバ漁業及び近海カツオ漁業の状況を見ますと、サバ漁業にあっては、かつてマサバが二万トン、約二十億円の水揚げを保持していましたが、漁獲不振が長期化し、一昨年は五千六百トン、昨年はわずかに三百六十トン、金額にして三十分の一の六千万円にとどまり、その経営は壊滅的な打撃を受け、ついに六経営体の倒産、廃業が相次ぎ、二経営体の一家は離散をし、現在も行方不明となっております。また、関係先にも多大の損害を与え、組合や地域社会にも大きな波紋を投げ、大変深刻な事態に陥っております。また、近海カツオ漁業においても数年来、魚価安が続き、昨年はキロ当たり百八十円と四、五年前の半値以下に下落し、これも経営不振の状況にあります。
 このため、両漁業にあっては、この数年の間に経営継続が困難となって廃業船が相次いで出たことは、既に申し述べたとおりでありまして、再編整備は避けて通ることのできない事態となってきております。そこで、当組合では、本年度からサバ漁業及び近海カツオ漁業について、関係県の同業者とともに、特定漁業生産構造再編推進事業を活用して再編整備を図りたいと考えております。
 次に、本委員会に上程されております漁業近代化資金制度の一部改正案について申し述べたいと存じます。
 漁業近代化資金制度は、我々漁業者の貯金を原資とする唯一の長期低利資金でありまして、特に多額の設備投資を必要とする漁船漁業者にとっては、なくてはならない制度だと存じます。この資金の活用により、漁船の大型化、新しい漁労機器の設置が進み、安全操業、漁業の合理化、近代化に大きな役割を果たしてきたものと思います。また、漁協貯金の増強等、漁協信用事業の発展にも寄与したものと存じます。最近は、漁業経営の不振により設備投資意欲が減退し、残念ながら当制度の利用も減少しておりますが、経営不振を克服するためには、どうしても省エネ船、省エネ機器の設置等、ローコスト化の投資が必要で、当制度の改正によって突破口が開かれることと期待されます。
 十年来、当制度の基本的な改正がなかったわけでございますが、この十年の漁船の推移を見てみますと、例えば五十九トン型の近海カツオ一本釣り船の建造費は一億三千万円から二億四千万円と約一・八倍になっておりますし、漁船の規模も大型化が進み、さらに新側度法により、従来七十トン未満であった船が、新船建造することにより七十トンを超えるケースも出てきております。また、漁船の使用期間も昔に比べ長くなっておりますが、これは漁船自体の耐久性の向上もさることな
がら、漁業経営の厳しさから船主、乗組員が長期使用に努めているからだと存じます。
 このようなわけで、今回の改正はおおむね我々の要望を酌み取っていただいているものと考えます。早期実現を待ち望むと同時に、実行に当たり、特に貸出限度額や償還期間につきましては実態に合った運用を期待いたしたいと存じます。
 なお、地域漁業総合整備資金として特別融資が認められると伺っておりますが、融資枠の確保と、この制度が地域の実情に即して生かされることを願っております。
 次に、農林漁業金融公庫法の一部改正案について申し述べます。
 当組合においては三百トンを超える遠洋カツオ船がありますが、系統資金では賄い切れないため、当公庫資金を利用して代船建造をいたしております。かつて私も利用させていただいたいきさつがあり、感謝をしている次第でございます。特に沿岸漁業者にとって関心のある沿岸漁業構造改善資金については、おおむね現行金利が維持されようとしており、この点、謝意を表します。今後とも漁業者の金利負担軽減、借入手続等事務の簡素化、資金需要の早期対応、資金枠の確保などにつきまして御尽力賜りますとともに、漁業経営の実情及び水産業の食料産業としての位置づけを十分御理解の上、当公庫資金による我々系統資金に対する補完機能のなお一層の充実につきまして切にお願い申し上げます。
 終わりに当たりまして、かかる機会を与えられまして所信の一端を申し述べさせていただいたことは、私の栄誉とするところであります。深く感謝を申し上げ、私の陳述を終わります。
 ありがとうございました。
#8
○委員長(北修二君) ありがとうございました。
 次に、荏開津参考人にお願いいたします。荏開津参考人。
#9
○参考人(荏開津典生君) 東京大学の荏開津でございます。意見陳述の機会を与えられましたことを感謝いたします。
 私は、農業経済が専門でございますので、林業、漁業よりも農業中心ということでお話をいたしたいと思います。
 最初に、今回の改正に関連いたします補助金ないし制度資金あるいは農業財政一般についての原則的な考え方を若干述べさせていただきます。
 私自身は、農業の保護ないし振興のためには財政資金というものは必要である、財政支出というものは必要であるというふうに考えております。その理由は詳しくは申しませんが、今後貿易摩擦ということから、国境措置によって農業を守るということはなかなか難しくなってくるかと思います。外国に対しても、アメリカその他に対しても、日本は財政負担をもって農業を振興し、国の農業を守っているということを明らかに示すということが必要であるかと思います。
 以上を前提にいたしまして、まず補助金と制度資金の区別でございますが、私は以上申しましたように、農業の保護、振興のためには財政負担は必要であるという考えでございますが、問題は、限られた財政資金をどのように使うかということでありまして、この問題は深く考えていただく必要がある。単に補助金と制度資金というような区分のみならず、価格政策に使うべきか、構造政策に使うべきか、あるいは制度資金に使うべきか、あるいは食管の赤字充当に使うべきかというようなところまで及んで、広く農業財政全体の効率ということを考えていただく必要があるのではないかと思います。
 次に、補助金と制度資金ということでございますが、これにつきましては、個別経営の投資を補助金で賄うということは、私は原則的には望ましいことではないというふうに考えております。つまり個別経営の設備投資に要する長期の資金というものは、基本的に融資によるべきであるというように考えております。その理由は、個別経営の投資の効率性というものは単に物を据えつければいいというものではない、その経営の主体的な経営能力が一方に必要であり、もう一方に経営というものは危険負担でありますから、コストを負担する、危険を負担するという意識が経営の主体になければならぬ。この二つが、補助金によって投資を行いますときにはぼやけてくるというふうに思います。つまり補助金によります場合には、一方において行政サイドの規制によって経営者能力の発揮が阻害されるという点がございます。他方においては、補助金の受け手である農家が危険を負担して経営を行うという意識がぼやける、こういう二重の弊害があるというように考えております。したがって、個別経営の投資を助成するという目的に対しましては、基本的に融資によるべきであるというのが私の考えでございます。
 次に、制度金融のあるべき姿でございますが、私は農業の保護ないし振興というのは、基本的には、これは申すまでもなく農業基本法以来の理念でございますが、十分な経営能力を備えた生産力の高い経営というものの育成ということを最終目標としなきゃならぬ。単に現存する農家というものは現在統計上は四百五十万とか五百万とかあるわけでございますが、この農家を全部維持するというような観点から行うべきではないというふうに考えております。その点からいたしますと、自立経営ないし専業的な農業経営というものは、今日では旧来の家業、家の仕事である、昔以来の仕事であるというふうな観念では到底経営できない、そういうセンスではなくて、経営ないし企業であるというふうなセンスを要求されているというふうに思います。
 特に稲作、食管制度のもとに置かれております稲作とは異なりまして、現在負債が大きな問題となっております畜産でありますとか、あるいは施設園芸でありますとかいうような現在の専業的農業経営の中心をなしております経営類型におきましては、第一に、必要な資金量が膨大である、何千万というような資金を必要といたします。第二に、米とは違いまして価格変動が、先ほどもお話がありましたが、投入財あるいは生産物の両面にわたって著しいものがある。第三に、米の場合には御承知のように所得率が六割というふうな非常に高い数値でございますが、特に畜産の場合には所得率が極めて低い、つまり非常に薄いマージンのところで経営を行っているわけでございますから、その成果を上げるためには経営者の能力というものを非常に要求されます。
 したがって、実際に農業経営を見ますと、個別経営の間の収益性の格差というものが極めて著しい。これは稲作とは非常に違う点でございます。つまり、同じ条件に置かれましても、その経営を担っている人の企業者的な能力と危険負担の意識の有無によりまして非常に成果が違ってくる、こういうことを前提にしなければならない。長期低利の制度資金というものは極めて結構でございますが、こういうことを前提にして融資されるのでなければ、その効果を発揮することはできないというふうに私は考えます。
 これに対応しまして、貸し手である農林公庫ないしは近代化資金の場合には主として農協系統機関でございますが、貸し手の方にもバンカーと申しますか、バンカーというのはちょっと変な表現かもしれませんが、金融というものに対する企業者的なセンスというのが必要である。バンカーとしての人的能力というものを、非常に今後は要求されるというふうに考えます。遺憾ながら私の考えでは、現在農林公庫及び農業協同組合系統の諸機関にも、必ずしもこのバンカーとしてのセンス及び人的能力が十分に備わっているとは言いがたいというふうに考えております。
 今後、補助より融資ということへ重点を移されまして、財政資金を私は十分にここには投入して長期低利の資金というものを維持し拡大していただきたいと思いますが、それに際しては、今申しましたように借り手、貸し手の両側に経営者的あるいは企業的なセンスというものを必要とするということを申し上げたいと思います。
 以上が概論でございますが、あと簡単に今回の改正に関連いたしまして、具体的な意見を若干申し上げたいと思います。
 第一は、近代化資金の改正でございますが、貸付限度額の拡大には私は賛成でございます。近代化資金は農協系統資金を原資としておりますので、組合の金融の範囲に入るわけでございますが、しかし財政によって補助を加えている以上、これは農業経営に対する融資であって農家に対する保護的な融資ではない。つまり経営を育成する融資であります。である以上、現在の経営が要求しているだけの資金額というものは当然必要である。現在の経営は、旧来の農業経営とは違って、先ほども申しましたように莫大な資金というものを必要とするわけでございますから、今回の改正は極めて望ましい。ただ、貸し付けに当たって安易に貸し付けることは、借り手にとっても決していいことにはならないのでありまして、協同組合の側にも農協の側にも、先ほど申しましたバンカーとしての能力を十分に持っていただきたいというふうに希望いたします。
 このことは、肥育牛の購入資金の償還期限延長などについても当てはまります。このことに私は反対ではございませんが、御承知のとおり肥育牛経営というようなものは特に経営者能力を必要とします。価格変動も非常に激しいのみならず、先ほども申しましたマージンが極めて薄い、一〇%というようなところを争っている経営でございます。そういうことで、高度の経営者能力を持つ人に対して融資するという観点を貫いていただきたいというふうに考えます。
 二番目に、農業改良資金についての諸改正でございますが、これについては私は全面的に賛成でございます。大いに弾力的に運用していただきたいと思います。
 三番目に、農林公庫資金についてでございますが、まず、資金種類の統合及び貸付手続の簡素化というようなことには私は大賛成でございます。資金種類などはさらに統合しまして、これはむしろ農林公庫自体にもっと独自の自主的な裁量権を与えまして、農林公庫の金融機関としてのセンスに基づいた融資の余地を開いてもいいのではないかというふうに私は考えております。
 次に、金利の引き上げでございますが、私自身は、今回の改正では原則的に金利水準はほぼ現行に維持されたというふうに理解しておりますけれども、若干の引き上げはあるわけでございますが、このことはどうも賛成しかねる面がございます。確かに財投金利が上がっておりますから資金コストは上がっているわけでございますが、第一に、もうかなり長きにわたりまして農産物価格は、行政価格は据え置き、その他農産物価格も上昇していない。つまり、農家の側からいたしますと、実質金利、つまり、価格上昇を考慮しました金利というものは前に比べて高くなっているわけでございます。第二に、現行金利のもとにおきましても、なかなか計画された枠が消化し切らないという状況でございます。こういうことを考えるときに、この二点にかんがみまして、現在、若干でも金利を引き上げるということには疑問があるというふうに考えております。
 最後に、総合施設資金の対象の拡大でございますが、このことにも私は賛成でございますが、近代化資金との間にやや境界があいまいになるという問題が生じるかと思います。公庫資金の場合には、個別経営を対象として見ます場合、非常に長期にわたってその将来性、つまり、将来自立経営たり得るということに対するはっきりした選別に基づいて融資するという原則を堅持するということを前提といたしまして、総合資金の対象拡大ということに賛成でございます。
 あと、細かなことはございますが、時間もございますので以上で終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#10
○委員長(北修二君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳を終わります。
 それでは、これより参考人の方々に対し質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#11
○菅野久光君 きょうは、大変お忙しいところ、また、遠くからおいでいただきまして大変貴重な御意見をいただきましたことを心から厚くお礼を申し上げ、これからの審議の上に私どもも十分生かしていきたいと思います。
 いろいろ御意見をお述べいただきましたが、農林漁業金融のあり方について、日ごろお考えのことをいろいろ述べていただいたわけですけれども、特にこの点をというところ、力説されるようなところがありましたら、先ほどお述べになった中を抜き出してでも結構ですし、あるいは申し述べ足りなかった点でもよろしいというふうに思いますので、松川参考人から順次お願いいたしたいと思います。
#12
○参考人(松川牧夫君) 私ども酪農民といたしまして、実は、直接農林金融に入る前にちょっとお話し申し上げたいと思うわけでございます。
 それは、酪農負債整理資金が五十六年から始まりました。私ども、いわゆる生産調整、生産を抑制されたのが五十四年からでございます。この二年間に非常に酪農家が経営悪化した現状にかんがみて、政府が酪農負債整理資金を出したという経過がございます。今、実は、金融全般にわたってそうでございますけれども、何か金を貸すということは後ろ向きの対策であって、決して前向きの対策でないというふうに考えられるわけでございますが、私は、農業の現状を見ますときに、政府自体こそもう少し打つべき手を早く打ったならば、今の金融制度が後ろ向きだと言われるようなことはなかったと思うわけでございます。
 その前に、いわゆる第一次オイルショック以後、酪農の規模拡大が急速に進みました。そのためにかなり多くの制度資金、総合資金等を中心に、あるいは農地取得資金等かなり多額にわたって入れたわけでございます。しかも、この規模というものは、決して我々酪農民が勝手に計画をつくって出したものではございません。一定の融資をするからには、国には、一定の農場をつくる規模、生産、そしてそれから経営収支の問題に至るまで、五年ないし十年の計画を提出して初めて認められ、その建設に着手できるわけでございます。
 私自身も、昭和四十七年に、北海道酪農開発公社が初めて行った建て売り牧場を受けまして経営に入ったわけでございますが、そういう経過を見て自分なりに考えますときに、私どもが出した計画は、道あるいは、私は十勝でございますが、十勝支庁それから改良普及所、農協の営農担当者、そういうものと私の考えとを合わせまして、これならばいける、そしてこの総合施設資金を借りるに当たって、これであれば国が認可するであろう、そういう計画を立ててやったわけでございます。しかも、その後、第二次オイルショックに入るわけでございますけれども、そのころ牛乳はだぶついたということで、私自身も、牛舎は五十頭を収容する牛舎でございますけれども、その当時の生産調整の状況から三十頭以上にふやせなかった、そういう実情がございます。したがって、施設はしましたけれども、一〇〇%その施設を生かすことができない。固定経費は全く変わりませんし、据置期間は、私は特に八年を受けましたけれども、その間の前半の四年ぐらいは金利負担にも大変な目に遭いました。どうにも私どもの努力ではできなかった、私どもの努力ではでき得ない部分が我々の計画をすっかり狂わせてしまった。それが、現在酪農家が多額の負債を抱えてあえいでいるという実情でございます。
 したがって、今農林金融三法の改正が出されておりますけれども、私どもは現在これ以上の規模拡大あるいはこれ以上の投資は、私、農協の理事としましても私個人といたしましても絶対してはならない、現在抱えている負債をいかに返し、そういう中でいかに自分が生活するか、そういうことでございます。
 さらに、私どもは危惧を覚えているものがございます。最近貿易摩擦によって、北海道においては豆類二百万俵が輸入されました、これは五十九年。ことしも、六十年度においても雑豆二百万俵が輸入されます。私は十勝でありますので、日本一の豆つくり地帯として、豆の生産地帯として北
海道で生産される四百万俵近いものの中で輸入される豆が二百万俵、これはだぶつくのが当たり前でございます。小豆が二万五、六千円したものが今二万円そこそこ、大正金時が二万三千円したものが今一万五千円そこそこ、そういう状況の中でいわゆる我々が全く自分たちの努力ではなし得ない状況の中で、努力では消化し切れないそういう中で、我々の生活を支えなきゃならぬというところに、特に酪農においては一定の目標をつくりながらその計画が計画どおりいかなかった。それは、我々の努力の及ぶところでないところで現在このような状況になった。
 私は今、先生からの御質問ございましたが、とかく後ろ向きの資金というふうに言われますけれども、この後ろ向きの資金を今後安定に乗っけるためには、先ほど冒頭に意見陳述の中で申し上げましたように超長期超低利資金、そういう長い目で見た中で救っていかなければ酪農家が今後壊滅するであろうという危惧がございますので、この金融に対してそのような観点から申し上げたわけでございます。
#13
○参考人(真砂典明君) 私どもが営んでおります林業は、非常に長期にわたる産業でございます。そうした中で、戦後造林を積極的に取り入れて少しでも山村における生活基盤を確実なものにするために努力してまいりました。その中で公庫資金は私たちの大きな支えであったと思います。
 しかしながら、最近の木材需要の停滞に伴います木材価格は下がる一方で、底なしの状態をいまだに続けております。先ほど申し上げましたこの危機を切り抜けるために私たちは地域の中で精いっぱい努力しているところでありますが、法改正の一つにもあります金融の対象の拡大につきましては、この厳しいときを乗り越えるための大きな力になると期待しております。新しい私たちが生きなければならない複合経営を何とか見出しながら頑張っていきたい、そのように考えております。
 ただ、これは先ほど申し上げました利率が六・五%というのは、その厳しい状況を乗り越える中で木材価格もまだまだ現状を続けるならば、それを支える複合経営としてはいささか厳しいのではなかろうかと考えるものであります。
 以上です。
#14
○参考人(橋ケ谷金次君) 先ほども陳述の中で申し上げましたけれども、金利の軽減、借入手続の簡素化、資金枠の確保等々について御配慮をいただきたいということでございます。
#15
○参考人(荏開津典生君) これも私、先ほど申しましたことでございますが、金融は補助とは違いまして、原則的に受け手である借り手農家の主体的な能力、あるいは危険負担という意識、あるいはコスト負担という意識なしには効果を発揮し得ないものでございます。その点に十分に配慮した上で農業というものの特殊性を考慮いたしまして、長期低利というような一般のコマーシャルベースとは違った優遇措置を講ずるということでありまして、全くの平等といいますか、そういう性質のものではないということに十分の御配慮をいただきたいと思います。
 特に私がこの点で考えますのは価格政策との関係でございますが、価格政策である高い価格水準、高いということに語弊があるかもしれませんが、それを維持いたしますと、数量に過剰が生じてくるということがほとんど必然的に生じます。日本では米及び牛乳が現在深刻であることは御承知のとおりでございますが、そうした場合、価格の方を引き下げませんで数量を抑える生産調整というふうなことになりますと、資金を十分借り入れて発展しようという農家にとってそれは非常な負担になります。つまり、金融というものの効果を生産調整というものは減殺するということがございます。大きな何千万という資金を借り入れて生産を拡大しようという農家にとって、生産量を抑えられるということは極めて厳しいことでございます。つまり金融というものの持っている本来の特質は、生産調整という現状維持的な政策となかなか相入れないということがあると私は考えます。この辺に十分な御配慮をいただきたいというふうに私は考えます。
 以上でございます。
#16
○菅野久光君 松川参考人にちょっとお伺いをいたしたいというふうに思いますが、いろいろな資金を借りて、借りる時期が時期で、返済の時期が年末にほとんどが集中される。そうして返済はもう必ずしなきゃならない。そういったようなことで返済をする資金がないものだから、結局農協のプロパーを、利子の高いプロパーを借りる。安い制度資金のあれを戻して高い利率のやつを借りる。そういうことが何か固定化負債をどんどんふやしていくようなそういう形になっていっているのだというふうに私は理解をするわけですけれども、今の段階、超長期超低利の資金ということが要望されておりますし、またそのことなしにこの長期の固定化負債を解消するということはなかなか困難ではないかと思いますが、しかしそれもなかなか急にはいかないような状況の中で、その返済時期の問題なんかについて、何かこういう形にでもしてもらえればというようなそういうお考えがあれば、ちょっとお伺いをいたしたいというふうに思います。
#17
○参考人(松川牧夫君) 今、特に北海道では、根釧あるいは天北等で行われている新酪農村建設事業というのがございまして、これは特殊地帯的な大きな事業でございます。そのほかに十勝等で行われているのが畜産公社的な、畜産公社方式と言っておりますが、そういう牧場の建設でございます。私の町にもそれを受けてやっている農家は十戸余りございます。
 問題は、工事にかかったときから完成して売り渡しを受けるまでの間に、例えば当初建設費用の五割なら五割というものを、総合資金等が入るまでの間どうしても負担しなければならない。それは畜産公社の方で代替借り入れをして行っておりますけれども、結果的には農家はその金利負担をしなければならない、その金利はやはり農協のプロパー金利が適用される。今まで総合資金は据置期間は四・五%、償還に入ると五%でございますけれども、この据置期間の四・五%と考えましても、いわゆる金利差が四・五%あるわけでございます、九%プロパー資金と。そういうことで、その段階で、しかも総合施設資金で借りる金額というものは、先ほど東大の先生もおっしゃいましたように、酪農畜産関係の資金というのはかなり大きく借りなければならない。そのために四・五%の金利差があるということは、単年度においては当初完成すると同時にかなりの大きな負担をしなければならぬという状況が一つございます。
 したがって私は、この計画を出し、道や支庁や、そして国の査定でそれが認められた段階で、やはり工事の進行に伴って必要なものを逐次貸し出しを行う、そうして受益者である酪農家の負担軽減をその時点から考えていただきたいというふうに思うわけでございます。どうしても北海道は寒い関係で工事が春からかかります。少なくとも六月からかかります。そうして、それから四カ月ないし五カ月たって工事が完成する。今申し上げましたのが、その間に工事の進行に伴って工事者に対する支払いが起きていくという問題でございます。そうして、この農林漁業資金並びに総合資金等、借り入れがきちっと決まる時期がどうしても十一月の下旬になるわけでございます。
 私の例をとりましても、農林漁業資金、これは一つは土地基盤でありまして、牧野改良資金五・五%、農林漁業資金の中のもう一つ、牧野改良資金があります。牧野改良資金が三本ございます。それから、構造改善資金がその中に入っております。それから、耕地整備資金が入っております。この耕地整備資金が二本入っております。そして、その間に自作農維持資金が一本入っております。そして、その後で農地取得資金が入りました。最後に、農地の取得と施設とあわせて総合施設資金が入りました。これを見ますと、天災資金が十二月の二十日、農林漁業資金の今の牧野改良、構造改善、耕地整備、自作農維持資金、これらはいずれも十一月の二十五日でございます。そして、総合
施設資金が一番おくれまして十一月の二十六日になっている、ここに集中しているわけでございます。したがって、資金返済がそこに一挙に起きて、しかも約定償還という形で、余剰がある、なし、あるいは経営費がどうのという前にこれは天引きされます。たとえ組勘が赤になっても、国の資金は優先的に天引きされる。そういう形の中で、しかも現行の経営状況から見ますと、こういうものが十二月末にいって払えなくなりますと、組勘の赤字残として出てくるわけでございます。
 したがって、せっかく低利の五分五厘から三分五厘の資金がずっとあるわけでございますけれども、これがその年の償還分が農協プロパーにかわって九%資金になる。この辺、借入月の問題もありますし、あるいは新たに農場建設、牧場建設するに当たっての工事の進行に伴う国の資金の出し方、そしてそれがどうしても償還期限が十一月末に集中する。私どももこれを何とか農協の段階でもできないかというふうに検討しておりますが、今のところこういう形のものがほとんど全般でございまして、実は私どもこれを時期的にずらすという形が我々農協の段階ではできない状況にございます。
 以上でございます。
#18
○菅野久光君 荏開津参考人にお伺いいたしますが、今の松川参考人からもいろいろお話ありましたが、特に酪農なんかの場合には、やはり施設費が大変大きな額になるわけですね。建設をするときに計画を立てて、その計画を立てるときにはある程度の物価上昇なり、あるいは生産したもの、例えば酪農であれば牛乳だとか、あるいは子牛の価格だとか、そういうものもある程度値段が上がっていくというようなことを想定をした形でお金を借りる。それが国の政策によって生産調整がされたり、あるいは値段が据え置きになるということで、その計画が国に出したときと現実とが狂ったような場合には、もう直接借りた者にしわ寄せが行くような今の仕掛けなわけですけれども、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。
#19
○参考人(荏開津典生君) 今の問題は、私は非常に深刻であると思います。つまり、昭和三十年代の末からかなり日本はインフレーション的な高度成長でありまして、農産物の価格も非常に上がった時期があるわけです。この時期には、金を借りて農業への設備投資をするということは非常に楽だったわけであります。これは金融の方では実質金利というふうに申しますが、物価上昇を差し引いた金利というものの負担が非常に安かったということがあります。ところが、現在はもう低成長へとはっきり移り変わりまして物価が上がらないという状況になってきましたので、実質金利負担は高度成長期に比べましてはるかに高くなっております。そのことが現在のいわゆる負債問題、農家の負債問題ということの一つの大きな原因であるということは、これは否定できないというふうに私は考えます。
 ただ、では価格を上げていけばいいかというふうに言いますと、私は必ずしもそうは言えない。なぜかと申しますと、価格を上げれば必ずと言っていいくらいに過剰の問題が生じる。つまり経済の仕組みとしまして、価格と数量の両方を政策的に自由にコントロールすることは不可能でございます。それは、余ったものをどんどんストックしていくというようなことを考えればあり得ないことではございませんが、現実には不可能。
 例えば、端的な例としまして農産物では生糸がございますが、生糸はついにこれは価格を下げるというところまで行ったわけでございます。つまり、どんどんとめどもなくストックをしていくということができない以上、価格と数量の両方を自由にするということはできない。
 現在、私はむしろ若干の価格の引き下げというようなことを考えましても、大きな負債を抱えた農家、つまり先ほども申しましたが、経営の拡大ということを目指して、かつ十分の能力のある農家にはそれだけ十分に生産してもらうといった意味で、生産調整策という方を、牛乳及び米でございますが、むしろ考え直さなきゃならないんではないかというのが私の意見でございます。
#20
○菅野久光君 橋ケ谷参考人にお尋ねいたしますが、今度近代化資金で船の建造費やなんか借入限度額が二倍に上がるということなんですが、実際船の建造費を見ますと、二倍に上げても特認でなければ実質的には建造ができないようなことになるわけですね。これからもう船の建造費が下がるなんというような状況にはならないというふうに思うんですが、その辺はどのようにお考えか。
 また、私もある漁協に行きましたら、魚価はもう本当に低迷している、あるいは下がる。余り上がるというようなことがないようで、そのことが業界にとっても資金的にも財政的にも大変な状況になっている。その中で燃油の占める割合が大変に大きいわけですね。燃油だけがぐんと単価が上がっているわけなんです。
 緊急資金ができたときには、借りやすいものですからそれをどんどん借りている。しかし、借りたものは返さなきゃならぬということで、今度は借りるのを控えるといいますか、結局操業も若干控えながら借りるのも控えていくというような、そういう状況になっているということを私は聞いてきたわけです。魚価の中に占める燃油の割合、これがやっぱり今の漁業の問題については私は大変な問題だというふうに思うわけでありますが、その辺のところ、二倍の限度額に引き上げたところ、それから燃油の問題、これらについてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
#21
○参考人(橋ケ谷金次君) 今、先生の御指摘のとおりでございまして、建造費におきましても一・八倍、これは標準船でございまして、それぞれの漁種また船員の好み、そうしたものでそれより下回るということは恐らくございません。また、当然人件費その他も年々上昇していくという傾向にございますので、建造費も本年より来年というように、これも徐々に上昇をするということは否定できないと思います。
 それから燃油の件でございますけれども、今うちの組合はキロ当たり五万八千五百円で供給をしております。この漁業に占める燃油の比重というものは、いわゆる航海経費と申しまして、どの漁場へ行くにしてもいろいろ経費がかかるわけでございますけれども、大体今航海経費の六五%、それが燃油の比重の割合だというように記憶してございます。したがいまして、百円の経費がかかるといたしますと六十五円は燃油代で消えると、こういうことでございます。いかに燃油のウエートが大きいかということがおわかりだと思います。
#22
○稲村稔夫君 参考人の皆さんには、大変きょうはありがとうございました。
 私は、極めて短い時間しか持ち時間がございませんので、本当にできるだけ簡単にお答えをいただきたいと思いますと同時に、私の方も皆さんにそれぞれ一問ずつお願いをいたしますので、よろしくお願いをしたいと存じます。
 まず、松川参考人にお伺いをしたいんでありますけれども、融資に当たりましていろいろと具体的な制約みたいなものがあるのではないだろうかと、こんなふうに思うわけでありますが、何かそういう事例などがございましたら、お聞かせをいただきたいと思うわけでございます。いわゆる融資の条件というようなことで、具体的な何か制約、こういう点があって困るというようなことがございましたら、お願いをしたいというふうに思います。
 それから真砂参考人には、林業は非常に期間が長いわけでありますから、そうすると農業とか漁業とかと違った、さらに非常に大きな、長期のしかも低利なということをお考えになったことはございませんでしょうか、御要求はないでしょうかということであります。
 次に橋ケ谷参考人には、燃抽の問題については緊急でもって一時的なしのぎをやっても、やはりこれは制度的にきちんと融資とは別に対応してもらわなければならない問題として何か御要望があるのではないだろうかというふうにも思いますので、ありましたらお願いしたいと存じます。
 また、荏開津先生のお話はいろいろと参考になったわけでありますが、特に農業の持っております特徴で能力の問題を言われましたけれども、いわゆる地代とのかかわり等の中で、融資の関係というのはどのように考えたらいいんでありましょうか。その辺のところを、簡単にというので申しわけございませんけれども、よろしくお願いしたいと存じます。
 以上です。
#23
○委員長(北修二君) 参考人には、一言ずつでお願いします、もう時間がありませんので。
#24
○参考人(松川牧夫君) 融資の条件でございますが、実はそれぞれ組合員の中で融資が必要だということで申請をするわけでございまして、農協ではそれを受けるわけでございますが、そういう段階で割合農機具であるとか、あるいはその他必要な資材等の導入については、これは必要額の八〇%程度に決められておりますし、二〇%程度は自己負担をしなきゃならぬということで、これはきちっと割り切って組合員も申請し、私どももそれを受けて融資の申請をさらに上に上げるという段階でございます。
 私ども実は一番疑問といいますか、もう少し手を加えてほしかったというのは、五十六年に始まったいわゆる酪農負債整理資金でございます。これは一定の枠がございまして、ある一定の枠のその基準の中におさまらないと負債整理資金を受けられない。北海道で三千八十五戸ですか、これは登録されてしまっておりまして、それ以外の酪農家は、幾らその後に経営上融資を受けたくてもできなかった。しかもその受けられた三千数十戸の酪農家も、しからば農協のプロパーがそれで全部解消して長期に移って、五年間の据置期間中に再建できるようないわゆる生産計画が達成できるかというと、全部が救い上げられないという状況がございます。したがって、どうしてもプロパーに残っている、そこに残ったものの高金利が、経営にかなりの影響を与えるという結果が出ております。
 以上でございます。
#25
○参考人(真砂典明君) まず一つ、私ども借り入れの申し入れをいたしまして、実際にお金の入るまでの非常に長い時間かかるということが、私どもとしては大変待ち遠しい一方では、もう少し事務の簡素化あるいはスピード化といったものができないだろうかということを常々思っております。公庫資金の借り入れまでの間は、時には市中銀行からの借り入れをしなければならないことも当然起きてまいります。
 それと、現在私どもが一番目前に控えておる問題としましては、造林資金を借り入れて二十年据置期間がそろそろやってまいります。ところが、その当時は間伐材を元金の返済に二十年以降は充てる計画でありましたのが、最近の木材価格の現状からいたしますと、恐らく返済は現状では難しいのではなかろうかと思っております。そのためには、据置期間の延長ももっともっと長くしていただきたい、そんな希望を持っております。
 以上でございます。
#26
○参考人(橋ケ谷金次君) 先ほど申し上げましたけれども、燃油の漁業に占める経費の比重が非常に大きい。先生から先ほどお話ございましたように、融資は返さねばならない。返さなくてもよいような制度といいますと、これも一番漁業の活性化につながる道ではないかと思うわけでございますけれども、そうは問屋が卸さないと申しますか、せめて燃油の価格が五万円であとは政府が面倒を見ていただくというようなことになったらいいなというのが、これが漁業界の声でございます。
 以上でございます。
#27
○参考人(荏開津典生君) 地代は随分難しい御質問でございまして、簡単にどうもお答えできかねるんでございますが、地代と申します場合に、現実の支払い地代と、地価との関係で考えられる理論的な地代がございます。現実の支払い地代は、御承知のとおり現在地域によって非常な格差がございますが、問題は、むしろ地価との関係における理論的な地代であろうかと思います。
 現在の日本では、これは日本ばかりではございませんが、余りにも農地の価格が高くなり過ぎておるということがあります。この問題のために、農地の有効な活用というのがどれだけ妨げられているかわからないというふうに私は考えます。この問題は農業政策だけで解決できることではございませんけれども、地価を現在の農産物価格との関係において、農地価格を正当な収益還元地価というふうに我々申しますが、正当な地価の水準に下げるという政策的な努力をお願いしたいというふうに考えます。
 簡単でございますが。
#28
○水谷力君 きょうは参考人の皆さん、大変御苦労さまでございます。
 それではまず最初に、参考人全員の皆さん方にひとつそれぞれ所見をお伺いをいたしたいと思います。
 まず、農林水産業の振興に当たっては当然のこと、先ほど来お話ございましたように、制度金融とそれにまた補助制度というもの、そういうものが大変大きな役割を果たしてきたことは御存じのとおりでございます。
 ただ、補助事業というのは、一般に例えば農業で言えば土地改良と公共性の強い分野を担当させ、あるいはまた金融というものは、融資というものは個別経営の資本装備の分野を担当する、漠然とそういうことで今日まで来ております。当然のこと農、林、水、それぞれお考えは違うと思いますが、皆さん方それぞれ参考人の立場から、融資と補助というものについてどうお考えでいらっしゃるか、ひとつお伺いをいたしたいと思います。
#29
○参考人(松川牧夫君) 私は、現況におきましては、この金融政策は補助金政策などに比べ少ない財源でやれるというふうに考えております。補助金はふやせないといいますか、ふやさないというふうになったとしても、これは金融政策はやはり拡大していただかなきゃならないというふうに考えるわけでございます。
 今まで国の負担された利子補給が一千三百五十億というふうに言われております。私、いただいた資料にもそのように書いてございました。この一千三百五十億、これを倍にしたならば、現在の少なくとも北海道の農業経営あるいは酪農経営、畜産経営、そういう中で今の補助金制度が若干薄められたとしても、補助金以上の効果がこの金利軽減で効果が出ると思いますし、負債農家の負担軽減もかなり緩和されるというふうに考えております。
#30
○参考人(真砂典明君) 私ども林業は非常に超長期にわたっておりますので、その経済的な見通しというものが大変立ちにくいわけでございます。そういう中で金融、融資におきましては将来、先ほども申し上げましたとおり、当初は返済が可能な時期を恐らく二十年と見た農林資金等につきましても、現時点に至りますとそれは非常に難しいということからいたしますと、私どもといたしましては、むしろ融資制度よりも補助制度によってそのときどきの事業を遂行する方が有効ではないかと考えております。
 以上でございます。
#31
○参考人(橋ケ谷金次君) 融資制度につきましては、漁業の場合には再建、経営維持安定資金あるいはまた燃油資金等、現下の漁業界の不況に対応したそういう資金の融資を受けておるわけでございます。年々これも削減をされていくというような傾向にあるというように伺っておりますけれども、やはり漁業の実態を考えた場合には、なるなら補助金というものが一番いいんでございますけれども、政府の方も補助金の削減というふうなことで行革等の問題で御苦労されているようでございますので、やはり融資の枠だけは削減をしないように存続をしておいていただきたい。
 以上でございます。
#32
○参考人(荏開津典生君) 先ほども申しましたが、制度資金融資も補助金も財政負担を要するという点では同じでございます。私は、このどちらが財政負担が大きいかというようなことでこの二つを選ぶべきではない、どちらが所期の目的を達
成するために効率的であるかという観点から選ぶべきであるという考えでございます。そういう観点からいたしますと、農業振興という上での効率を発揮いたしますためには、最後の受け手である農業経営者というもののやる気といいますか、経営的な能力と危険負担をしても投資をするという意識と申しますか、この二つが不可欠でございます。したがって、そのことを十分に配慮した上で何は補助金により、何は低利資金あるいは長期資金によるべきかということを判断すべきであるというふうに考えております。
 したがって、先ほど申しましたように、個別的な投資については基本的にもちろん制度資金で賄うべきでございますが、土地改良等につきましてもある程度の受益者負担というものが必要であり、それに対して制度資金を向けるべきである。これはなぜかと申しますと、ダムや基幹水路等はもちろん個別的な投資ではございませんが、ダム、基幹水路あるいは排水路等が生きるかどうかというのは、最後にそれを使います農業者のあり方次第でございます。その最後の受け手の能力とやる気というものを明らかにする意味で、最後のところは補助金ではなく融資によるべきであるというのが私の考えでございます。
#33
○水谷力君 先ほど来お話に出ておりますように、特に酪農家の皆さん方は非常に困っていらっしゃる。負債もたくさん抱えていらっしゃると同時に、また先ほど荏開津先生のお話の中では、特に酪農なんかはマージンが薄いんだから経営能力というものが大変問われるというお話と同時に、貸し出す方にもいわゆる指導的立場が大変大事である、こういうお話がございました。
 そこで、これまた全参考人にお伺いをいたしたいと思いますが、この制度金融あるいは系統金融というものが的確にその機能を発揮していくようにする、それには貸し付けするときに十分チェックをする、あるいは貸付後の経営指導のあり方というものがやはり責任は大変大きいだろうと思うんです。そういうことでは、農協であるとか、あるいは漁協であるとか、あるいは森林組合等、あるいは改良普及員といいますか、あるいはまた公庫側、それぞれ貸付後の指導体制あるいは貸し付けへのチェック体制というものは大変に重要だと思うんです。今まで決しておざなりにしてきたというわけではないんですが、間々そういうことによって先ほどの、私はもう時間がたくさんありませんから、なんでございますが、枠拡大あるいは融資の倍率等、二倍にした等によって来る経営の放漫はないだろうか、あるいは過剰投資はないだろうかという心配をする一員なんですが、そういうことを含めてその指導の充実を図る何かお考えがございますか、ひとつお伺いをいたしておきたいと思います。
#34
○参考人(松川牧夫君) もちろん、酪農畜産経営における投資額が非常に大きいことは事実でございます。今抱えている負債という問題から考えますと、私どもは先ほども申し上げましたように、あらゆる指導といいますか、それらの機関をも含めていろいろ私どもも検討して、そして組合員に当たっているわけでございますが、まず第一は、これ以上負債をふやさないということが大事でございます。その後に、いかに今ある施設を十二分に生かして生産を上げるか、まずこの二点でございます。
 私ども、私の農協ばかりでなく、十勝管内の二十八農協、それから他管内の状況、それから北信連等の報告されている経済の調査の状況等を見ましても、家計費はここ七、八年全く上がっておりません。家計費はもう三百万から三百五十万くらいのところでやっております。
 それで、こういう中で実は酪農の場合、ふえているものが二つございます。そのふえている内容は、一つは流通飼料費でございます。いわゆる濃厚飼料、牛乳を生産するために給与する飼料費でございます。もう一つは金利負担でございます。これを少しでも軽減する、いや、かなり軽減してやる、やらなければ再建といいますか、今後の経営を維持していくということに非常に問題があるというふうに考えております。
#35
○参考人(真砂典明君) 先生のただいまの御質問でございますが、公庫資金を借り入れた後のいわば森林組合等から組合員に対するある種のサービスといったものは、過去にはございませんし、恐らくこれからも直接的なものはないと思います。しかしながら、今後森林組合の育成強化の上では、ただいま先生が御指摘のそれらの点も、十分に組合員へ周知することが大切ではなかろうかと思っております。
 もう一つ、過剰投資にはならないかというお話ですが、当然借り入れる際には適正なといいますか、それぞれチェックをした上で貸し付けられていると思いますし、過剰にはならないと私どもは考えております。ただ、最近は、林業の場合におきましては造林あるいは保育等に要します経費も賃金の高騰によって大変上がっておりますので、それらは森林組合あるいは公庫のチェックによって十分機能を果たすことになろうかと思います。
 以上でございます。
#36
○参考人(橋ケ谷金次君) 制度金融貸し付けの場合でございますけれども、静岡県の場合を申し上げますと、当然、漁協の窓口で厳重な審査をいたします。それから上部団体、いわゆる県信漁連または中金あるいは県、そうした上部団体の御指導、審査、そうしたものを踏まえまして漁業信用基金協会、この保証をつけまして、また漁協といたしましてもその見合い等につきまして十分な手当てをして貸し出しを実施しているというのが慣例でございます。
 以上でございます。
#37
○参考人(荏開津典生君) 過剰投資ということは私は現在ある程度存在するというふうに思っておりますが、それは理由が安易な貸し付けということもあるでしょうけれども、一つは、先ほども申しましたが、インフレ的な高度成長の時期の、金を借りればそれで非常によかったという時期の惰性が今なお残っている、あるいはそのときに借りた金の金利負担が今になって重くなっているということが第一点。第二点は、先ほども申しましたが、生産物の過剰という問題が生じまして、先ほどから北海道の方の参考意見にもございますが、せっかくつくった施設をフルに動かせないという、この二点が現在の過剰投資を結果している主な原因ではないかと私は思っております。
 先ほども申しましたが、価格が上がらず需要がなかなか伸びないということはこれはもういかんともしがたいという面がございますので、私は今後の、特に今後でございますが、貸し付けに当たっては、農林公庫、特に農林公庫の総合資金の場合二十年、三十年にわたる資金でございますから、十分な能力の審査をやると同時に、そういうことで資金を借りて規模拡大を目指す農家がまた生産割り当てで思ったとおりの生産ができないというようなことがありますと、いかに能力があり計画自体がしっかりしていても、例えば酪農の場合で言いますと、乳牛頭数五十頭にするという計画でスタートしましたものが、三十頭で乳量の面から抑えられてしまうということでは、いかに経営者能力があろうともいかんともしがたいということがございますので、そういうあたりを総合的にどう考えるかということが、農政上の大問題になるのではないかというふうに私は考えます。
#38
○水谷力君 終わります。
#39
○刈田貞子君 参考人の皆様、本日は大変ありがとうございます。お忙しいところを恐縮でございます。
 私は、松川参考人にまずお尋ねをするわけでございますけれども、先ほどからお話を聞いておりますと、大変厳しい現状がいろいろあろうというふうに思うんですが、五十九年度、豊作にもかかわらず北海道農家の一戸当たりの借入金は増加している現状があるというふうにおっしゃいましたね。そして、特に酪農家では一戸当たり二千百四十四万円というふうにおっしゃいましたね。年間収入の一四二%。私はこれは非常にショッキングな数字だというふうに思うんですが、実は農水省のお話ですと、自作農維持資金のいわゆる再建整
備資金ですね、それから五十六年にしいたところの負債整理資金、これで手だてをしているので酪農家の経営は改善されてきているというような御説明を私どもの立場では聞くわけですね。私だから、聞かされるんだろうと思います。改善されているというふうに御説明を聞くわけでございます。
 それで、私は質問としては、この両資金がどんな効果を上げているかということをお聞きしようと思っていましたら、先ほどのいろいろのお答えの中でわかってきました。それでこの効果のほどを聞くよりは、まず、きょうは農林水産省も見えていますけれども、口をききませんから大丈夫でございますから、農林水産省のこうした言い分というか認識と、皆様現場でのいわゆる問題意識、あるいは実情と、どこかにずれがあるというようなことを、私は非常に最近頭を突っ込み始めたらば感じる部分があるわけでございます。それで、その部分のところを、各分野にわたって各参考人からまずお伺いをしてみようかなというふうに実は思ったわけでございます。それで、これはわかっているのに手だてをしないという部分も確かにあろうかと思います。それからまた、見えないという部分もあろうかというふうに思いますが、この辺を率直なところでお聞かせ願いたいというふうに思います。
#40
○参考人(松川牧夫君) 政府側の方々の方は何も言わないとおっしゃっていましたけれども、実は大変気になるところでございまして、畜政課長さん、あるいは経営課長さん等々、今までいろいろとお話し合いした方々もおられます。実は農水省としてはおわかりになっているだろうというふうに思うわけでございますが、農協で貸し付けを受けるに当たってどうしても鉛筆をなめなければならない内容がございます。それを実は余りはっきり申せない部分があるわけでございます。このことは農水省の方々はよくわかっておられて、あるいは若干片目をつぶっていただいている面も多分にあろうかというふうに思うわけでございますが、実は私ここへ参考人として参りますのに、理事会の席上で私が参考人として参議院の農水に出ますと言いましたら、組合長初め、余り差しさわりのあることを言うなよと、こういうふうに言われてまいりました。
 私お願いしたいわけでございますが、ぜひ先生方に現場に行っていただいて内容を調査していただきたい。そしてそれをきちっとやはり国会の場で、また農水省のそれぞれの役所の立場の方々もやりやすいような方法を、国会の場でお決めいただくことが非常に私は今望ましい。
 この辺で失礼さしていただきます。
#41
○参考人(真砂典明君) 私ども和歌山県竜神村という地域の中で、大変地域ぐるみでの林業、地域林業振興に取り組んでおりますので、いろいろな新しい事業について、あるいはそれを裏づけるものとして制度資金等を大変有効に利用をしております。これは私ども和歌山県の中では、例えば竜神村という地域においては非常に恵まれた状況にあると思います。
 しかしながら、先刻から再三申し上げておりますように、その中でも一番大きな問題は、需要の停滞あるいは木材価格の低落といった現状を今後どういう形で乗り切っていくか、私ども苦慮しているのが現実でございます。ただ、私どもその地域の中で、これも冒頭触れました隠れた人材の掘り起こしをしながら、何とか活力を見出していかなければならない、そんな考えで私はおります。
 以上でございます。
#42
○参考人(橋ケ谷金次君) 先生、質問の内容がよく把握できないんですけれども。
#43
○刈田貞子君 要するに、自分たちが要望する中身を、ここがわかってもらえないという部分があるんじゃなかろうかという問題の意味ですよね。
 それから、農林水産省、先ほど酪農のことで申し上げましたけれども、あちらは改善されているとおっしゃっているけれども、先ほどからの報告は全然改善されていないわけですよね。そうすると、そういう認識のずれがあるんだけれども、そういうことがおありですかということをお伺いしているわけです。
#44
○参考人(橋ケ谷金次君) 後の問いでございますけれども、私の知るところでは、認識のずれというものはないと思います、漁業の場合に。
 先の問題でございますけれども、欲を言えばたくさんあるわけでございます。しかし、先ほど冒頭申し上げましたように、やはり順序順序を経て改正を一歩一歩していただいているわけでございますので、もうこれ以上のことは望んでも無理だと思います。
#45
○参考人(荏開津典生君) 農水省の調査されたことを私も承知しておりますが、先ほども申しましたけれども、酪農にしろ肉用牛にしろ、大規模の畜産経営は、個々の経営間の格差というものが非常にございまして一概に論ずることはできない。これは私はむしろ当然じゃないかと思います。古来の日本の農業のように、大体一町歩ぐらいの田んぼをつくっていまして、その間に若干の野菜をつくっているというような農業であれば、これはどの農家も大差ないということでございますけれども、現在の酪農にしろ肉用牛にしろ、肉用牛も一頭や二頭飼っているのと違いまして、五十頭、百頭というふうに飼う経営は、個々の経営によって千差万別といっていいぐらいの差があるのが当然かと思います。
 したがって、そのどこに着目するかによって、現状認識というものにも違いが出るのはむしろ当然ではなかろうかというふうに思っておりますが、酪農の場合について言いますと、農水省の御認識でそう私は間違っているというふうには思えません。ただ、先ほども申し上げましたけれども、去年はよかったわけでございますけれども、今後も乳量を抑えるというようなことになりますと、投資をたくさんした酪農家は非常に苦しいことになる。その問題を、私は、乳量を抑えるというふうな政策がとられる限り、いかんともしがたいのではなかろうかと思っております。
#46
○刈田貞子君 ありがとうございます。
 それでは、個々別の参考人の方にお伺いしていきますが、時間がございませんので、ずっと通して申し上げてしまいますが、松川参考人にお伺いしたいのは長期低利の融資ということでございますけれども、その枠の条件がそろえば一番望ましいことですが、私が伺いたいのは、融資の立場で長期の魅力という、あるいは弊害、長期の融資ということについてどんな御意見を持っておられるか、ちょっとお伺いをしたいというふうに思います。
 それから真砂参考人にお尋ねしたいのは、このたび複合経営に貸し出しの枠が設けられているわけですけれども、具体的にはこの複合経営というようなことはどういう可能性を持っているのか、あるいは具体的にはどういうことを考えておられるのか、これが一つ。
 それから、先ほど共同利用施設事業に対して、大変間口を設けていただいてよかったというお話がございましたけれども、今後の共同利用施設というようなことでもたらされる林業の活性化ということはどんなふうなことを考えておられるのか。
 それからもう一つは、手続上のスピード化とか、あるいは簡素化というお話が出ておりましたけれども、具体的にこのことだけは改善してほしいということがもしおありになれば、お聞かせ願いたいというふうに思います。
 それから橋ケ谷参考人には、先ほど老朽船で操業しているというお話がございましたね。これは今、一番主流で動いている老朽船というのは一体どのぐらいたっているものなのかということ、これをちょっと安全操業等の問題も含めてお伺いをできればと思います。
 それから魚価の問題でございますけれども、魚価が非常に抑えられるのでということでお話があるんですが、私は消費地代表といたしましては、しかし魚は安くなっておらないということがいつも言えることなんですね。むしろ家計費に占める動物たんぱくのウエートは上がっていて、その中
で一番魚価が上がっているぐらいの感じなんですね。私たちはブロイラーと牛肉でむしろ動物たんぱくをとるというような格好になるくらい、魚価については大変に不思議に思っている。こういう問題はどのようにお考えになるのか。
 それから、資金の活用による投資意欲が減退しているというのは、これは一番基本的な問題になりますけれども、この投資意欲を喚起するためには今どんな条件をそろえればよろしいのか、こんな問題について。
 それから荏開津先生には、大変恐縮なんでございますけれども、経営能力が必要だ、特に近代化資金等については枠拡大は賛成だけれども、これからやはり借りる側にとっては経営能力等が必要になろうし、それから貸す側にとってはバンカーとしての能力も大いに問われるんだというようなお話がございましたけれども、私はそういう話を聞いていて、やっぱりこれは借りる側からすれば、かなり選別をされていくような感じを受けるわけで、自立農業経営者が意欲的にこれを選択して、そしてみずからの意思で動くということの要素が果たして生きているのだろうか、やっぱりそういう問題を持ちますので、このことを一つお伺いしたいことと、それから大変漠とした話で恐縮なんですが、つい最近読んだ本の中に、日本の農業は客観的に見て産業としての性格を持っていないというようなことが書かれておりまして、私はいつかどなたかにこのことを伺ってみたいと思っていたんですが、ぜひこれを先生にお伺いしたいと思います。
#47
○参考人(松川牧夫君) 先ほど荏開津先生からもお話ありましたが、非常に酪農、畜産というのは収益性が低い産業だというふうに話されました。そういう中ではどうしてもかなり資金が長期にわたるものでないと、収益性の低い中から支払いをし金利も払っていくという、そういう形になりますので、今後私どもの経営を何とか維持していくためには、長い期間と低い金利が必要だというふうに申しているわけでございます。そのことが長期化といいますか、長期資金への希望として持っているのは、やっぱりこの単年度返済を少なくするということが一つでございます。
 それからもう一つ、この長期化への保証といいましょうか、そういうものを考えるときに農畜産物をつくる保証、このかなり長い資金を借りる、そしてそれをその農家に返済さしていく、そのためにはいわゆる生産する保証がなければならないと思います。先ほど荏開津先生もおっしゃっておりましたけれども、この生産を保証するということが私、今最も大事だ。いわゆる国が長い資金を貸し与え長い間で返済させる、それには生産を抑制したり、あるいはある程度の国境措置を講じて我々の生産物を長期にわたって保証していただかなければ、長期資金を返済できないという形になります。したがって、資金の長期化イコール我々がつくる保証を国につけてもらう、これがイコールだというふうに考えております。
#48
○参考人(真砂典明君) 最初に、複合経営について具体的にという御質問でございますが、私ども林業の中で特用林産物、例えばシイタケ栽培等につきましても、最近その需要が少しずつ伸びておりますので、それらの施設、生シイタケで出荷、あるいは干しシイタケで出荷する等の場合の加工処理施設等もその一つになるかと思います。また、林産物の中で、木材加工を通して複合的に林業と木材加工ができないだろうかと思っております。さらには、最近特に都会からの、あるいは都市住民からの緑、森林に対する強い要請の中で立体的にと申しますか、多面的にと申しましょうか、空間を利用してレクリエーションの場でありますとか、あるいは小さなキャンプ場等を設置して、それらが林業との複合経営に結びつかないだろうかということを考えております。
 次に、共同利用施設を通して林業の活性化にどういう形で具体的になるかということですが、私どもが願っております共同利用施設の中で、私は非常に広い山村地域の中でその共同利用施設というのは余り大きなものは必要がない。むしろ小さな利用施設を山間地にたくさん設置して、それらが小さな地域の中で有効に利用されることを願っております。そのことはきょう冒頭の意見陳述の中で説明を省きましたが、林業従事者の雨降り対策といった面で非常に有効ではなかろうかと考えております。
 最後に、制度資金の手続の省力、スピード化につきましては、これは森林組合を通して行政機関をさらにという経緯の中で、私どもどの部分で停滞しているのか不明な点がございます。ただ、これも申し上げました、ときには申請をして半年近くもかかることがございます。そういったときに、市中銀行からの一時借り入れということもときには講ずるわけですが、私も森林組合の理事という立場で理事会での承認が必要になってまいりますので、その理事会を資金借り入れの承認のためだけに開くこともできませんので、まず第一段階、森林組合で承認するまでの時間がかかるということもございます。しかし、その後につきましては、正確には私どもではわからないわけでございます。
 以上でございます。
#49
○参考人(橋ケ谷金次君) 老朽船の件でございますけれども、一番古いのは昭和四十四年に進水をした船でございます。もちろん、先ほどお話し申しましたように、比較的トン数の多い十トン以上の二十二隻の中の一隻でございます。遠洋カツオ船が三隻ありますけれども、これがオイルショックの前の昭和四十七年の建造でございます。総じて、沿岸漁業の十トン以下七十隻あるわけでございますけれども、これも代船建造ということは難しく、いわゆる代船購入、そうしたことで船齢が非常に古くて、平均して十年ということでございます。
 それから魚価の問題でございますけれども、先生のお話は肉よりも魚の方が高いというお話も承ったわけでございますけれども、私ども浜値といいますか、非常に安いわけなんです。これは私どもよくわかりませんけれども、流通に問題があるのではないかというように考えておるわけでございます。
 それから、資金需要の減退でございますけれども、これもやはり魚価問題と合わせまして、漁業がもう少し景気がよくなれば資金需要も多くなってくるのではないか。今の状況では、なるべく設備投資を少なくして借り入れを少なく身軽な体制で経営をしたいというのが本音でございます。
 以上でございます。
#50
○参考人(荏開津典生君) 御質問の第一点、農業制度金融の選別性ということでございますが、私の見解では、制度金融はいかに長期低利であっても、基本的に金融である以上、選別性というものを持っているというふうに考えております。つまり負債整理資金等である時期農家の生活を保護するという面はないではございませんけれども、基本的には金融は経営ないし産業の振興の手段でありまして、生活の保護ないし福祉的な政策の手段ではない。でない以上、そこには選別性は必然的に存在しますし、また逆に言えば存在するべきである。つまり選別しないで貸し付ければ、一時的にはどうかわかりませんけれども、結局は能力なしに借りた人の不幸を招くだけでございますので、選別性というのは金融にはつきものであるというふうに私は考えます。
 それから第二点の、農業は産業であるか否かという御質問でございますが、これはなかなか難しい問題でして、簡単には私もお答えできませんけれども、産業というのは何であるかというようなところから話は始まるかと思いますが、生産物及び生産者の両面が経済的な価値を十分に持っているということが産業の条件であろうかと思います。
 現在の日本農業は、非常に多様化しているというふうに私は思います。中には、なかなか産業とは呼びがたいような部分も、特に稲作に私はあるんではないかと思っております。ただ、先ほどから議論になっておりますような酪農あるいは大規模の畜産、施設園芸等は私は産業である、あるい
は少なくとも産業への、いわゆる経営、家計未分離の状態から経営への移行期にあるというふうに考えて差し支えないというふうに考えております。この経営への移行期にあるということがある意味で困難を招きまして、負債問題というのを発生しているという面があることは事実でございますが、私は現在の農業の相当部分は産業への移行期にあり、やがては産業として確立するであろうし、農業政策としてはぜひともそうしていただかなければならないというふうに考えております。
 以上でございます。
#51
○下田京子君 各参考人の皆さん、御苦労さまでございます。
 農林漁業をめぐる情勢は大変厳しゅうございます。しかも、農林漁業は自然条件に左右されますしリスクが高い、それだけに資金の回収、こういった点でも大変長期なもの、そして低利なものが必要だという特殊性はわかりました。時間が限られておりますので大変恐縮なんですが、一点に限って各参考人に順次お話を伺いたい。
 それは、大変今問題になっておりますが、市場開放問題でございます。中曽根総理が、御承知のように去る十九日ですか、政府・与党対外経済対策推進本部の会議を開きました。その際に、農業も例外じゃないと、全面的な貿易措置の見直しという問題を指示いたしました。これを受けまして農水省の方でも、関税率あるいは二十二品目の残存輸入制限など全面的見直し作業に入っているわけです。私どもが思いますには、これ以上の市場開放ということは農林水産業の今後に大変深刻な打撃を与えることになる、そう思います。今日の日米の貿易摩擦を根本的に解決する策は何かと言えば、一つは、やはりアメリカの高金利政策によるドル高を是正すること、それからさらには、日本の工業製品の輸出増というものを秩序ある輸出に変えていく、それから同時に、国内にあっての国民の購買力を高めていく、そういうことが大事だと思います。特に、農林水産業にあっては、自給率の向上という点に沿った本格的な振興策が今求められている、こう考えているわけなんですが、それぞれの立場から簡潔に御意見をお聞かせください。
#52
○参考人(松川牧夫君) 私ども、貿易摩擦解消のために農畜産物といいましょうか、ちょっと強い言い方かもしれませんけれども、農業がまさにいけにえにされているというふうに考えております。
 かつて私ども牛乳の生産抑制をしたときも、乳製品の二百数十万トンに及ぶ輸入から国内でだぶついた現象が起きたわけでございます。先ほども申し述べましたが、雑豆等の輸入が直接北海道の畑作地帯に打撃を与えております。私ども、これ以上貿易が自由化された場合、これはもう我々は農業では生きられない状態になるんではないかというふうに考えざるを得ないわけでございます。
 過般、いろんな政府の方々が申しておりますが、貿易摩擦解消のために一部業種、業界間に犠牲が出たとしても、それは国家的見地から見ると仕方がないんだというふうに言われていることが新聞等に発表になりました。私どもは、これはまさに重大なことだというふうに考えております。先ほど御意見を申し上げた当初にも、私どもこの対外経済対策としての行動計画の中で、農産物も聖域でない、原則自由化、例外制限と言われているというふうに申して危惧の念を表明したわけでございますが、私ども、今後農畜産物の輸入がこれ以上進むような状況になりますと、かなり思い切った行動に出ざるを得ないだろうというふうに考えております。
 以上でございます。
#53
○参考人(真砂典明君) 今回の関税引き下げに当たっては、林業、木材関係の中で特に合板が中心であるわけでございます。その合板の関税引き下げによって受ける対象は、おおむね製材品の中の小幅板と聞いております。この受けるそのことが、木材業のみならず林業にも大きな影響を与えることは申し上げるまでもないと思います。
 そうした中で、実は先刻から、農林水産物等の中で、時に農水産物という表現を耳にいたしますが、もし農水という形で、今回の市場開放の中で林がその対象外になるならば、大変ありがたいことだと思っております。
 以上でございます。
#54
○参考人(橋ケ谷金次君) かつて、数年前に韓国マグロ等々の輸入反対ということで、私どもも間接的にその運動に参加をしたことがございますけれども、今般の総理のお考え等につきましては、漁業界の方として直接的にどうこうということはまだ申し上げる段階に来ておらないのが実態でございます。しかしながら、国策として自由化を進めるということであるならば、必要最小限にとどめておいていただきたい。それと同時に、また国内の生産体制の強化をお願いをいたしたいということでございます。
#55
○参考人(荏開津典生君) これは非常に難しい問題でございますので簡単にお答えはできないわけでございますが、私は、日本の農業が自由貿易のもとで国際競争力を持つということは極めて難しい、かといって、日本の農業を全くなくしてしまうというようなことは望ましくないので、保護は必要であるという意見でございます。ただし、貿易に関して制限をいつまでも続けていくことが望ましいかどうか、現在の日米の貿易摩擦等のことはちょっと別にいたしまして、長期的な観点でそういうことが望ましいかどうかというふうに言われますと、私は原則自由ということはやはり重要ではないかというふうに思っております。つまり、やや理想論になりますけれども、もはや日本の農業政策も単に日本の農業ということだけを考えて今後将来にわたっていくというようなことでは必ずしも望ましくない、むしろ現在の世界の農業の最大の問題は、御承知のとおり後進諸国の飢えという問題でございます。
 そういう問題をどう解決するかというふうな観点から日本の農業政策も考えていかなければならない、あるいは世界の平和というようなことを考えますと、世界のいろんな国が貿易を通じて相互依存の関係にあるということが非常に重要でございます。貿易を制限するということは、やはり例外であるというふうに考えるべきであるというのが私の考えでございます。ただし、直ちに現在数量制限されておりますものを自由化せよというような意見ではございませんので、念のため申し添えます。
 以上でございます。
#56
○下田京子君 どうもありがとうございました。
 ただ残念なことは、私は日本の工業製品とのかかわり、それから日本の農業の中での自給率向上のための振興策いかんということをお聞きしたかったんですが、時間なので、またの機会にお願い申し上げます。
#57
○喜屋武眞榮君 四名の方には、率直な御意見を聞かしていただきまして大変ありがとうございました。ご苦労さんでございました。時間の関係もありますので、四名の方に一問ずつお尋ねいたしまして、時間の範囲内でお答え願いたいと思います。
 まず松川参考人に対しては、先ほど来承りますというと、いろいろ率直な御意見があったわけですが、私がお聞きしたい点は、補助制度から融資制度へ改正になると、今度の法改正の意図でありますが、その制度が農業者の立場から、農業経営の立場からどのようなメリットがあるのか、あるいはデメリットがあるのか、こういう点、これは詳しく申し上げれば時間が幾らあっても足りぬと思うんですが、これがメリットだ、あるいはデメリットだと率直におっしゃっていただければありがたいと思います。
 それから真砂参考人に対しては、お聞きしますと間伐実施が増産につながりつつあると、こういうことを述べておられたんです。そこで大事なことは、やる気を持つ人物の育成が最も大事であると強調しておられましたね。
 そこで、この改正案がどのような意義を持つと思っておられるのか。やる気を持つ若者、後継者を育成する上から、この改正案がどのような意義
を持つと思っておられるのであるのか。
 次に、橋ケ谷参考人に対して、漁船規模の増大が望まれておるが、ところが事実は設備投資への意欲が減退しておる、ならば、その原因はどこにあるのでしょうかということをお聞かせ願いたい。
 次に荏開津参考人に対しては、農業政策は金融政策の上に立って初めて安泰であるというお言葉がございました。その観点からこの三法改正がどのような意義を持つのかという、また内容としてメリット、デメリットですね、制度の上からの。先ほどは、農業経営者の上からのということで松川さんにお聞きしました。
 以上の点、説明が舌足らずの点もあるかと思いますが、ひとつ今申し上げました点について、それぞれのお立場からお聞かせ願いたいと思います。よろしくお願いします。
#58
○参考人(松川牧夫君) 補助金と融資のメリットというふうなお話でございますが、私この三月末の酪農畜産物の価格あるいは量の決定に当たっても、国の補助金は牛乳においては四百五十数億というふうに出ておりますし、また大豆における交付金あるいはてん菜における生産奨励措置、ざっと北海道における目ぼしい補助金あるいは交付金の内容を見ましてもかなりの金額に上ることは事実でございます。もちろん、そういう中で私ども経営をさしていただいているわけでございます。ただ、私ども今までの補助金、特に効率的な補助金は土地改良基盤整備でございました。この土地改良基盤整備の事業費といいましょうか、それから単価とでも申しましょうか、それが非常に私ども考えて高いというふうに思います。それで、何かしらそれは本当に農民のための補助金が有効に動いているのか、その工事を担当した業者にかなりのウエートを占めるような形になっているのか、私どもとしてはちょっとはかり知れない面がございます。いずれにしましても、補助金が本当に補助金として農業生産とその生産に携わる農民のために十分なっておったかというところに疑問がございます。
 例えて言いますならば、畜産公社営農畜産基地建設事業で牛舎等施設をやっておりますが、その牛舎の建設単価が非常に高いわけでございます。これにはもちろん建物ばかりでなくその中に必要な搾乳施設であるとか、あるいはふん尿等を屋外に搬出する施設であるとか、そういう設備も行いますが、ざっと私の農協の中でその事業で工事を行ったものの中を見ますと、坪当たり三十万前後かかっております。そういう中でそういう建設事業に対する補助金等も出ているわけでございますけれども、これはどう考えても高過ぎるというふうに私は見ます。こういうことから考えると、従来の補助金が本当に農民のためになっているかというと、その割合がどのような形にあるかとは別に、ちょっと補助金には問題があったんではないだろうか。やはりもう少し安い単価のもので十分生産を上げることができるような形になれなかったかというふうに考えるわけでございます。
 それから今、私どもも十分この財政事情が苦しくなっているということも承知してございます。そういうことから、実は補助か融資かというふうに比べて考えますときに、先ほども申しましたけれども、これ以上の投資をしない、いわゆる負債をふやさない、そういう考え方でやっていきますときに、長期の融資と低利の資金、そして生産効果なり、あるいは酪農家の経営維持等を考えることが、私は、この財政負担が補助金よりもむしろ少なくて一定の効果が上がるんではないかというふうに考えております。
#59
○参考人(真砂典明君) 先生からのただいまの御質問でございますが、やる気のある人材を育てることと今回の法改正との関連でございますが、今回の改正の中で、複合施設等の組み込み、そしてまた枠の拡大がございます。それらにつきまして先ほど私、具体的な事例を申し上げましたが、それらがより効果的なまた成果を上げることによって、地域の中で人材が生まれるんではなかろうかと思っております。
 ただ、あわせて申し上げますならば、山村地域における人材の育成につきましては、過去から現在に至る普及指導事業の効果も大変大きかったものと私どもは評価しております。今後、今回の改正の中でそれらとのかかわりをより深く持つ中で、普及指導事業につきましても改めて抜本的な見直しの中で強力に推し進めていただきたいと願っております。
 以上でございます。
#60
○参考人(橋ケ谷金次君) 燃油の高値安定、魚価の低迷等漁業経営の悪化によりまして船齢は随分古くなっておって、そういう内容を抱えまして、やはり漁業の先行きに不安を持っているというのが実態でございます。私どもは、一日も早くこの漁業界の不況から抜け出して、それぞれが新しい船をつくって設備投資をする日が一日も早く来るように、首を長くして待っているという心境でございます。総じて、今の状態では、ここ一、二年の間に全面的に大きな設備をするということはちょっと不可能ではなかろうかというように考えております。
#61
○参考人(荏開津典生君) 今回の改正の評価でございますが、これは私の理解が間違っているかもしれませんけれども、私は、今回の三法改正は財政負担の軽減というふうな見地からなされたものではないというふうに理解したいと思います。
 農林公庫資金について、資金種類が整理統合され簡素化されたとか、あるいは総合資金の貸付対象が拡大されたとか、あるいは近代化資金の資金限度が拡大されたというようなことはすべて私は非常に結構なことである、これがうまく運用されれば、あるいは財政負担はかえって増加するのではないかというふうに私は思いますけれども、それで私は結構であるというふうに思います。
 ただ、非常にフレキシブルになったわけでございますから、先ほども申しましたけれども、農林公庫及び近代化資金の貸し付けに当たります農協系統機関にはそれなりの責任が要求されるようになる、そういうことさえあれば、運用よろしきを得れば非常にいい改正であるというふうに私は考えます。
#62
○委員長(北修二君) 以上をもちまして参考人の方々に対する質疑を終わります。
 参考人の方々に一言お礼を申し上げます。
 本日は、皆様には御多忙中にもかかわりませず当委員会に御出席をいただきまして、大変貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。当委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。
 午前の審査はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。
   午後零時五十六分休憩
     ─────・─────
  午後二時開会
#63
○委員長(北修二君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特別会計法の一部を改正する法律案、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び農業近代化資金助成法及び漁業近代化資金助成法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題として質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#64
○菅野久光君 私は、この金融三法の質問に入る前に、前回の委員会のときにも同僚委員から質問がございましたが、今の日ソ間の漁業の問題について交渉状況がどうなっているのかお伺いをいたしたい、このように思います。
#65
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 日ソ漁業協力協定の交渉は第六回目の交渉が三月二十一日から始まったわけでございますが、昨二十二日までに決着をつけることを目途として日ソ双方とも鋭意最後の詰めを行っておったのでございますが、残念ながら昨日の段階でさらに引き続き協議を要する論点が若干残りましたので、モスクワ時間二十三日の午前十時から協議が再度行われる、そういう状態になっております。
#66
○菅野久光君 報告することはそれだけでしょうか。
#67
○政府委員(佐野宏哉君) 最後に残されている論点の中身につきまして詳細を御説明することはちょっと御容赦いただきたいのでございますが、規制措置について、母川国側の立場と沖取り国の立場とを条文の上でどう調整するかというところが、残された論点であるというふうに御理解をいただきたいと存じます。
#68
○菅野久光君 日ソ間での漁業の問題というのは、今の協力協定にかかわる交渉だけですか。
#69
○政府委員(佐野宏哉君) 政府が直接当事者となります交渉は、現在日ソ漁業協力協定の交渉が行われておりますが、それと同時に、懸案といたしましては、先般の日ソ漁業委員会の際から継続案件になっておりますカニ、ツブ、エビの共同事業の問題がございます。この点につきましては、先般、四月十五日から交渉を始めるということになっておったのでございますが、交渉のための日本側の代表団が出発する直前になりまして、先方から急遽、日延べをしたいという連絡がございまして、その後、鋭意交渉の早期開始に向けて働きかけておりますが、残念ながら現在のところ見通しが立っておらないという状態でございます。
#70
○菅野久光君 私は前の委員会でも、今の協力協定の問題はもちろんこれは政府が担当してやらなければならないことですけれども、このことにかかわってこのカニ、ツブ、エビの問題については、今回の日ソの漁業協定の関係から言えばまさに犠牲になった業界ではないのか、だから準政府間的な立場でこの交渉が円滑に進むようにすべきだ、そういう配慮が必要じゃないかということを私は申し上げたわけであります。
 ですから、私は最初の質問でも、日ソの漁業協力協定がどうなっているかということではなくて、日ソ間の漁業の問題についてどうなっているかということを申し上げたら、やっぱりカニ、ツブ、エビは私が再々度質問して長官から出てくる。やっぱり忘れられているんじゃないかというふうに、私は残念ながら思わざるを得ないわけですよ。その点は、本当に私は何回もこの委員会で指摘をして要請もしている。そしてこのカニ、ツブ、エビの問題についてはもう何回も言っているわけでありますが、エビは既に三月から漁期入りをしているわけですね。ズワイの盛漁期も五、六月、言えばタイムリミットすら事実上既に越してしまった形なわけです。ツブが七月が盛漁期ということですから、まだぎりぎり間に合う、こういう状況なんです。
 ですから、私は、もちろん協力協定の問題も非常に重要な問題ですが、それと同じようにこの問題も重要な問題。訪ソする直前になってからソ連がビザを出さない。ソ連からの情報によると、この二十日過ぎに予定されていた民間交渉は、ソ連国内のカニ、ツブ、エビ担当官である極東専門家をモスクワに呼ぶ手続をまだとっていないということが原因であるというふうにこれは北海水産という新聞に出ているわけですけれども、このことについては事実でしょうか。
#71
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 極東の専門家を呼んでいないということは恐らく事実であろうと存じますが、ソ連側が交渉延期の直接の理由として述べましたことは、ソブルイブフロートの総裁の外国出張ということを理由に挙げておりました。
#72
○菅野久光君 これが十八日に出発するのに十六日になってから急遽ビザもおりない、だめだということになったわけですよ。ですから、出発の前日になってから突然モスクワ行きの飛行機便をキャンセルするという状況になっているわけなんです。だから、協力協定の問題と同じように準政府間的な立場でやってもらいたいという、私がこの委員会で何回も言っていることを、全然意に介してないというか、忘れられているのではないか。直前になってから慌てるという、そういう状況ではないのかというふうに思わざるを得ないわけでありますが、その辺はいかがですか。
#73
○政府委員(佐野宏哉君) 交渉の当事者としては大日本水産業会でございますが、これはあくまで形式上の問題でございまして、日ソ漁業委員会の協議の経過から見れば、本件の協議について政府が重大な責任を負うべきものであるということは私どもも痛感をしておるわけでありまして、したがいまして、協議の糸口をつけるためには私どもとしてもいろいろなレベルでそれぞれ努力を行ってきたつもりでございまして、先ほど申し上げましたように、ソ連側から突如として交渉延期ということを申し越されたということにつきましては、私どもも大変遺憾に存じておりますが、今後引き続き、早期に協議が開始できるように努力をしていくつもりでございます。
#74
○菅野久光君 先ほども申し上げましたように、カニ、ツブ、エビの問題については、もうツブを除いてはまさに漁ができないというような状況で、この業界における打撃は非常に大きいと思います。その打撃を受けた責任の一端はこれは政府にも私はあるというふうに思わざるを得ませんから、この業界がこれからいろんな問題を抱えてその対策に乗り出さなきゃならないということになるわけでありますから、その点については十分政府としても心得て、対応をひとつしっかりやってもらいたいということを、この機会に申し上げておきたいと思いますし、先ほども言いましたように、くれぐれも今の協力協定の問題とカニ、ツブ、エビの問題は全く一体的なものとして、今後とも手落ちのないようにやってもらいたいということを、冒頭申し上げておきたいと思います。その点、大臣いかがですか。
#75
○政府委員(佐野宏哉君) 私どもも本件交渉については、日ソ漁業委員会以来の経緯から見て、当然政府が重大な責任を持って関与すべきものと心得ておりますので、先生御指摘のとおり対処いたす所存でございます。
#76
○国務大臣(佐藤守良君) 菅野先生にお答えいたします。
 先ほどいろいろ御指摘ございましたカニ、ツブ、エビの問題ですが、これは一応日ソ漁業協力協定というものが表に出ておりますけれども、我がことのように長官を含めてやっておるということを御理解願いまして、これからも最善の努力をいたすつもりでございますので、よろしくお願いいたします。
#77
○菅野久光君 それじゃ法案の関係に入っていきますが、まず農林漁業金融公庫資金制度の改正の問題についてお伺いをいたしたいと思います。特に、私は水産関係から見てどうなのかということを、重点的に取り上げてまいりたいというふうに思います。
 まず、農林漁業金融公庫の資金制度の改正問題でありますが、近年二百海里規制が年々強化される情勢にあるため、沿岸漁業に期待する声が国民の間に大変強くなっています。先日発表されました漁業白書につきましても、報道機関の社説などでほとんど例外なく沿岸漁業を重視すべきであると指摘されております。しかし、その沿岸漁業は経営規模も零細で生産性は低い。その上、高度経済成長時代に埋め立てや水質汚濁によって広大な面積の好漁場を失い、需要の強い高級魚介類の資源が概して減少する傾向にあります。養殖が盛んになりましたが、密殖あるいは魚病、自家汚染などの問題を抱えて、五十年代半ば以降生産量は頭打ちの状態にあります。栽培漁業も一応全国的に施設が整備されてきたとはいえ、生産量の増大に大きく寄与するようになるのははるか先のことであろうというふうに思われます。
 そこで、大臣にお伺いしたいのですが、大臣は沿岸漁業の現状をどんなふうにごらんになっておられますか。沿岸漁業が重要だという国民世論にこたえていくために、沿岸漁業の振興には特段の努力を払っていかなければならないのではないかと私は思うのでありますが、大臣はどうお考えになっておられるか、御所見をお伺いしたいと思います。
#78
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。
 二百海里に対しての定着化に伴いまして、沿岸漁業を中心とする我が国漁業の振興が大切である
ことは、先生の認識と同じでございます。
 そんなことでございまして、ただ沿岸漁業の経営状況について見ますと、漁業収入は魚価の低価等によりまして伸び悩んでおります。また、一方漁業支出は、燃油価格の高水準での推移、減価償却の増加等の影響もあってその抑制を図ることは困難であり、沿岸漁業経営をめぐる環境には厳しいものがございます。このため、沿岸漁業の振興を図るために、沿岸漁場の整備開発、栽培漁業の振興等、つくり育てる漁業の推進、沖合漁業を含めた漁業生産及び水産物流通の基地である漁港の整備等、各種の施策の展開により我が国周辺水域の漁業振興に努めてまいりたいと考えております。
#79
○菅野久光君 大臣も広島でございますから、十分その点はおわかりだというふうに思います。沿岸漁業を振興していきたいという大臣の熱意はよくわかりました。しかし、大臣が所信表明でも挙げておられた沿岸漁業者の期待を集めている栽培漁業は、大臣も御存じだと思いますが、瀬戸内海で始められたものなわけですね。当時、魚介類の産卵場でもあり幼稚魚の生育場でもある藻場が、埋め立てや水質汚濁によって大量に喪失をした。クルマエビなどの高級魚介類が急速に減少してきていたため、人為的に資源を補給する目的で始められたものであるわけです。埋め立てや水質汚濁によって失われた漁獲量は、年間数十万トンにも上るとの説もあるそうであります。一たん漁場を喪失してしまえば、栽培漁業などに膨大な投資をしても、漁獲量をもとに戻すのは容易なことではありません。何といっても、行政がまず第一にしなければならないのは、沿岸漁場を確保すること、特にきれいな自然環境を持った藻場を確保すること、これだというふうに私は思うんです。広々とした好漁場を埋め立てて、そこに汚水を流す企業が進出し、片隅に追いやられた漁業が気息えんえんといった状態で栽培漁業や魚礁の投入をやっている。これでは、沿岸漁業の振興も何もあったものではないというふうに思います。
 なぜ私が今さらこんなことを申し上げるかといいますと、近年、沿岸海域の埋め立てや水質汚濁は確かにかつてほどではなくなった。東京湾でさえ、ひところいなくなった魚介類が姿を見せ始めたという話を聞きます。しかし、その一方で、大企業などからいろいろな公害規制基準の緩和を求める声が強くなってきております。行政もそれにこたえるような姿勢が見えるように思うので、それを心配して私は申し上げるわけであります。大臣、いかがでしょうか、これ以上は絶対に沿岸漁場は失わせないというかたい決意でこの沿岸漁業の振興に取り組んでいただきたいというふうに思いますが、ここでその決意をひとつ表明をしていただきたい、このように思います。
#80
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 先生ただいまお話のございましたように、ともかく最近はせっかく東京湾にも魚が帰ってくるという御指摘がございましたように、水質規制などの効果がようやくあらわれてきている状況でございまして、先生御懸念のような、このような趨勢を企業サイドに立った規制緩和のために逆戻りさせるのではないかという御心配についてでございますが、私どもとしては断じてさようなことがあってはならないという決意で対処する所存でございます。
#81
○菅野久光君 これは農林水産省あるいは水産庁で断じてそうさせないということを言っても、どうも行政というのはやっぱり縦割りなんですね。どっか知らないところで公害規制が緩和されたり、いろいろこういったようなことが起こされる。そういう意味では、やはり横の連絡を密にして、環境庁あるいは通産省あたりも含めて、いかに沿岸の漁場を守るかということでこれからしっかり取り組んでいっていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。事務当局も、今申し上げましたようなことを常に関心を持ちながら、最大限の努力をしていただきたいと思います。
 さて、沿岸漁業の経営でありますが、最初に申し上げたとおり、大変零細な経営、まあ経営というよりも生業である、そういう形態が多いというふうに思います。その経営を改善するために、沿岸漁業構造改善事業が実施されておりますね。
 そこで、そもそもこの沿岸漁業構造改善事業はどのような背景のもとで、どのような目的に基づいて始められたのか、沿岸漁業振興政策の中でどのような位置づけを与えられてきたのか、これまでにどのような成果が上がったか、今後はどう進めていこうとしているのか、いろいろ申し上げましたが、その辺を含めてひとつお答えをいただきたいというふうに思います。
#82
○政府委員(佐野宏哉君) 沿岸漁業構造改善事業は第一次、第二次と引き続いて実施をしてまいりましたが、五十四年度から総事業費約二千億の計画で、ねらいといたしましては漁業資源の培養、資源管理型漁業の推進、沿岸漁業の担い手の育成確保、それから豊かで活力のある漁村の創出ということを目標にして、新沿岸漁業構造改善事業を実施しているところでございます。
 この事業に基づきまして具体的にどういう仕事が行われておるかということでございますが、増養殖場の整備でございますとか、荷さばき場、共同作業場等漁業近代化施設の整備あるいは漁村センターの設置等の漁村の環境整備のための事業、これらの事業を総合的に実施をしておるわけでございます。それで、沿岸漁業構造改善事業は漁港の事業でございますとか、あるいは沿岸漁場整備事業、あるいは水産物の流通拠点整備事業、これらの事業と一体をなして沿岸漁業振興のための重要な一翼を担うものというふうに位置づけられておるわけでございます。
 新沿岸漁業構造改善事業につきまして見ますと、全体計画地区数六百五十地区のうち事業が完了しておりますのは五十地区でございますが、それぞれ所期のねらいについては大きな効果を上げているものというふうに認識をいたしております。
#83
○菅野久光君 沿岸漁業構造改善事業は今いろいろ御説明いただいたように、沿岸漁業政策の中で大変重要な地位を占めているわけですが、それでは沿岸漁業構造改善事業に対して農林漁業金融公庫資金はどのような役割を果たしてきたか、御説明をいただきたい。
#84
○政府委員(佐野宏哉君) 一つは、沿岸漁業構造改善事業推進資金は、沿岸漁業構造改善事業の補助事業につきましてその目的を達成するための補助残融資として融資をされているものと、それから非補助事業に対する融資との二本立てになっております。
 それで、補助残融資につきましては、先ほど補助事業としてどういうものをつくっておるかということを申し上げましたので、そういうものの補助裏に当てられているのであるということでございますが、非補助事業につきましては、これは補助対象とならない個別経営の小型漁船でございますとか増養殖施設とか、そういうものを対象にいたしまして、これが補助事業とあわせて一体となって地域の沿岸漁業の構造改善を図っていくということに相なっておるわけでございます。
#85
○菅野久光君 五十八年度においての件数、それから金額、それをおっしゃっていただきたいと思います。
#86
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 五十八年度について見ますと、補助残融資が四千六百万、それから非補助の融資が百六十億三千七百万でございます。それで、非補助の融資百六十億三千七百万のうち百十四億一千万が漁船の建造、改造等に充当された資金でございます。それからそのほかに、海面養殖施設のために融資されましたものが三十二億四千二百万、漁具が七億三千九百万、それから漁船漁業用施設、漁場改良造成施設が合わせて六億四千六百万という内訳になっております。
#87
○菅野久光君 沿岸漁業構造改善事業推進資金は補助残融資が六件四千六百万円、今お話がありましたですね、それを除いてすべて非補助の三分五厘資金だと思いますが、これは間違いございませんね。
#88
○政府委員(佐野宏哉君) 御指摘のとおりでございます。
#89
○菅野久光君 現在、国民世論とも言うべき沿岸漁業振興のための対策の中にあって、構造改善事業は極めて重要な地位を占め、そしてこの事業は公庫の三分五厘資金に大きく依存しているわけであります。それでは、なぜ今回の法改正で沿岸漁業構造改善事業推進資金の非補助資金について改悪の手を加えようとしているのか、私にはどう考えても納得がいかないのでありますが、ひとつわかるように御説明をいただきたいと思います。
#90
○政府委員(佐野宏哉君) これはまず沿岸漁業構造改善推進資金という以前に、現下の厳しい財政事情のもとで、公庫資金全体につきまして効率的な利用を図るという見地から見直しが行われるわけでございまして、そういう中で効率化、重点化を志向して今回御審議を賜っておるようなことに相なっておるわけであります。それで、沿岸漁業構造改善事業推進資金につきましてもそういう見直しのらち外にはあり得ない、そういう事情がございます。そういう中で、沿岸漁業構造改善事業が沿岸漁業振興上極めて重要な施策であるというところから、この重要な施設の事業推進上の必要な役割というのはこれを確保するということを基本といたしまして、この見直しに対処をするということにいたしたわけでございます。
 したがいまして、今般の見直しに当たりましても三・五%の金利の資金であるという基本はこれをあくまでも維持しつつ、効率的利用という見地から見て構造政策の方向に即した重点化を図るということにしたわけでございまして、具体的に申しますと事業の内容、漁業者の負担の程度等を種々勘案をいたしまして、本資金のおおむね一割程度を新たな金利水準とするということにいたしたわけでございまして、これによりまして構造改善事業の推進に悪影響を及ぼすことにはならないというふうに考えておる次第でございます。
#91
○菅野久光君 片方では沿岸漁業を振興しなきゃならぬと言って、片方ではこのように利率を今度は逆に上げていく、今の沿岸漁業は先ほども言いましたように非常に零細な企業でしょう。企業というよりも生業、それでなりわいを立てているわけですよ。それで、今回その利率を上げることによって余り影響のないようにするということが実際にできるのかどうなのか、私はどうも先ほどの答弁と今の答弁とではかみ合わないんじゃないですか。言っていることとやることと違うんじゃないですか。その辺はどうも私は、先ほど言いましたように、納得がいかないのでわかるように御説明願いたいというふうに申し上げたんですが、わかるような説明にはなっていない。もう一度わかるように、あの沿岸の漁民の人たちにもわかるようにひとつ答弁をしていただきたい、このように思います。
#92
○政府委員(佐野宏哉君) 今お答えしたことは、別の角度から申し上げますと、五%の金利にする部分といいますのは、私どもが現在考えておりますのは、事業費百万円未満のものにつきまして、事業の円滑な推進と漁業振興という見地から見て、その範囲であればということで五%の金利を適用するということを考えておるわけでございまして、この程度の手直しは、これによって漁家の投資意欲を損ねるということはないように十分に配慮したものであるというふうに考えておるわけであります。
#93
○菅野久光君 配慮のその仕方が違うんじゃないでしょうか。経営の規模が小さいところには高い金利、経営の規模の大きいところには安い金利、それで本当に改善ということになるのでしょうか。同じ百万円でも規模によって違うわけでしょう。経営の規模の小さいところは百万円というのは大金ですよ。経営の規模の大きいところは、百万円といってもそれほど大したものではないかもしれない。経営規模の小さいところにしわ寄せをするようなこういう改悪、我々で言えば改悪ですよ、それをなぜしようとするのですか。どうも納得いきませんね、そこのところが。しかし、あなたたちがそれを提案しているわけでありますが、百万円未満の貸し付け、ここのところは私は大変問題だと思います。総額としてはそう大きなものにならないかもしれない。しかし、このような少額の融資を受ける経営こそ、先ほどから申し上げておりますように、本当に零細な経営が多いはずなんです。だからこそ、この金利負担能力、それは低い場合が多いと思うのですね。だれが考えてみてもそうです。いわば、弱い経営の負担を大きくすることで財政当局の要求にこたえようとしているのではないかというふうに私は思わざるを得ないのです。
 今、私と水産庁長官とのやりとりを聞いて、大臣どのようにお考えでしょうか。
#94
○政府委員(佐野宏哉君) まず、ちょっと私のお答えの仕方が悪かったのかもしれませんが、私が先ほど申し上げましたのは、漁業経営の規模によって差をつけるということは私は申し上げなかったつもりでございまして、行き違いがありましたら御容赦いただきたいと思います。百万円云々というふうに申し上げましたのは事業費の規模でございまして、経営規模ではございませんので、経営規模の小さい人に高い金利を課すという、そういう趣旨ではございませんので、何かの行き違いであろうと思いますが、お許しをいただきたいと存じます。
#95
○菅野久光君 私は、勘違いでも何でもありません。漁業の実際の状況の中で、百万円以下の金を借りる企業体というのは私はそうないと思うんですよ。規模の小さい零細企業が多いのではないかというふうに思うんです。そういうことで私は言っているわけですから、取り違えでも何でもございませんから、その点はひとつ踏まえて大臣のお答えをいただきたいと思います。
#96
○国務大臣(佐藤守良君) 今お話を聞いておりまして、実は私、これはやっぱり三・五%の資金の制度を維持しながら、事業の内容とか事業者の負担の程度等、種々勘案して一割ぐらいを五%金利にしたということでございます。したがって、私率直に言いますと、農林漁業金融公庫の資金のうち、大体一千万以上というのが六割から七割だと思います。そういう形の中では、やっぱり金利負担を軽くする、そして、百万円以下については五%なら若干いいんじゃないか、こんな感じでされたような感じがするのでございます。
 そんなことで、百万円で五%というのは、もちろん三・五%ですと一万五千円年間下がるわけで、かなり大きい負担になるかと思いますが、一千万以上の三・五%ということを考えれば、まあまあその程度の負担には耐え得るんじゃないか、こんな感じがしておるわけでございます。
#97
○菅野久光君 おかしいじゃないですか。
 それじゃお尋ねします。百万円以下の件数というのは一体どのくらいあるんですか。五十九年度で計が出ているか、あるいは五十八年度のでも結構ですけれども。
#98
○政府委員(後藤康夫君) 農、林、水と構造改善関係の公庫融資がございますが、そのうち、いわゆる標準三分五厘を持っておりますのは農と漁でございます。実は、農業に比べますと漁業の方が一件当たりの貸付金額が平均的に多うございます。五十八年の融資実績が私の手元にございますが、この融資実績、単年度でございますが、これで申しますと年間で二千百件ばかりの貸し出しが三分五厘について行われておりまして、そのうち二百九件が百万円以下でございます。
 ただ、貸付金額全体から見ますと百六十億ほどの貸付金額でございますが、連年の数字は私今ちょっと手元に持っておりませんが、五十八年について申しますと一億五千三百万というような金額で、百万円以下の貸し付けの金額の比率というのは非常に小そうございます。農業に比べると水産の方が、一件当たりの貸付金額が大きい分布になっております。
#99
○菅野久光君 今もお話しのように、百万円以下というのは五十八年度は二百九件ですね。三分五厘にしたからといって、五分にしなくても大したものじゃないんじゃないですか。だから、一見、三・五%資金を五%に上げたということによって
財政当局にこういう改善をしましたという見せる数字、そういうふうに私は思わざるを得ないわけですよ。何ですか、一体これは。
 だから、私は、さっきから言っているように、百万円未満の貸し付けを受ける漁家というのは本当に零細な漁家だと思うんですよ。弱い者いじめだ、これでは。今のいじめと同じじゃないですか、これは。教育臨調がいろいろやっていますけれども、いじめの問題が問題になっている。政府自体が弱い者いじめをするようなこういうことをなぜやろうとしているんですか。どうしても私はここのところは納得いかない。いかがですか。
#100
○政府委員(後藤康夫君) 今回の制度改正全体の見直しの中で、無利子資金でございます改良資金の再編拡充でございますとか近代化資金の限度のアップ、あるいはまた公庫資金の貸付対象の拡大等各種の内容の充実を行いますと同時に、三分五厘資金につきまして構造政策等の推進の方向に即した重点化を図るということをいたしたわけでございます。
 その中で、公庫の補給金が年々増大しているというような状況の中で、財政当局からは、例えば三分五厘資金を全部見直せというような話、その他いろいろあったわけでございますが、私どもやはり構造政策の基本にかかわる融資制度だということで三分五厘の基本はあくまでも維持をしたい、そういった中で重点化ということで、事業の内容なり農林漁業者の負担の程度といったようなものも勘案をいたしまして、先ほど来お話が出ておりますように、もともと構造改善事業の非補助の資金と申しますのは、農業の分野で申しますと、農機具でございますとか施設でございますとか、農業近代化資金と貸付対象が同じようなものでございます。
 これをなぜ三分五厘資金にいたしたかと申しますと、一定の年次化計画に従ってかなり集中的に投資をする、そういたしますと、やっぱり償還の負担も投資が大きな金額を集中的にやることによりまして大きくなるので、貸付金利もやはり三分五厘を特に必要とするというふうなことで設けられたという経緯があったわけでございますが、そういった観点から、やはりこの重点化を図るという際に、一つ百万円というような事業規模のところで線を引きまして、それ未満のものにつきましては先ほど申しましたように、この構造改善事業推進の三分五厘をつくりましたときの当初の必要性と申しますか、集中的にかつ一つの地域を面的に整備するために集中的な投資をやるというための負担の軽減という趣旨を生かしながら重点化を図るということで、これをやります場合は農業も漁業もやはり同じ考え方でバランスをとってやっていく必要があるだろうということで、今回のような改正を考えたわけでございます。
 ただ、先ほどちょっと申し上げましたように、農業に比べますと漁業の方が百万円未満の貸付件数では一割でございますが、金額では農業に比べますと百万円以下の占めるウエートというのは小そうございますので、そういう意味では沿岸漁業構造改善資金の方が影響については小さいだろうと、こういうふうに見ております。
#101
○菅野久光君 いろいろ時間を稼がれると困るわけでありますが、どういうふうに説明をしてもこれはやっぱり説明のできないことですね。大臣も、うん、うんと、こう言っておりますけれども、もう本当に財政当局に農林水産省当局としてはこういう努力をしましたという見せるためのこれはやり方だ、それ以外の何物でもない、言ってみれば。経済局長も渋い顔をしておりますけれども、もうそうとしかやっぱり思われない。しかも、このやられることが、私は零細経営に対するやっぱり圧力になる。例えば月収二十万の人が五万円借りるのと、月収五十万の人が五万円借りるのとでははるかに違うわけですね。それと同じじゃないですか、これは。
 だから私は、こういうことで本当にわずかな金額を財政当局に顔向けをするために一歩踏み込む、このことが次にはさらに大きな改悪につながっていくんじゃないか。今回は辛うじて百万円以下というところに線を置いてということであるいは財政当局の理解を得たのかもしれませんが、しかし、一歩崩れると、そこから次々に崩されるのではないかというふうに私は心配をするわけですよ。もうこれ以上は絶対そういうことはないんだというふうに言い切れますか。大臣、どうですか。
#102
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。
 今、御指摘のようなことで、実は今度の場合も経済局長と水産庁長官が答弁したようなことで構造政策の方向に持っていったわけですが、基本的には財政当局が五%に全部しちゃうと、こんな話もあったのをやっと三・五を維持し残した、こういうようなことでございまして、そういう点もこのように御理解をお願いしたいと思うわけでございます。
 今の点につきましては今後最善の努力をいたしたい、このように考えております。
#103
○菅野久光君 だんだんやっていくとやっぱり本当のところが出てくるので、私が今いろいろ指摘をしたような理由で、私は今回の本当に零細なところをいじめるようなこういうやり方については何としても納得ができないし、反対せざるを得ないというふうに思います。
 要約すれば、まず第一に、国民的課題とも言うべきこの沿岸漁業の振興の足を引っ張るものである、そして第二に、弱者にしわ寄せしようとするものであること、第三に、この改悪がさらに大きな改悪の呼び水となるおそれが強い、この三点であります。どうですか大臣、私の考えは間違っていますか。杞憂にすぎないというふうにお思いでしょうか。杞憂にすぎないというのであればそれはそれでいいのでありますが、そういうことを大臣に言い切れる自信がおありでしょうか。沿岸漁業の振興のためには、むしろこの非補助資金についてより借りやすいように、より拡充する方向で検討することこそ緊急に必要とされているのではないで しょうか。ひとつ大臣の腹蔵のない御意見をお聞かせいただきたいと思います。
#104
○国務大臣(佐藤守良君) 沿岸漁業の重要性についてはもう同じ認識でございまして、私は三分五厘資金につきましてはこの制度を維持、堅持するために最善の努力をいたしたい、このように考えております。
#105
○菅野久光君 最善の最善のというのは、いつも最善なわけですけれども、それが最善でなくて最悪の状況にいろんなものがなってくることを私は本当に心配をいたします。
 次に、漁業近代化資金制度の改正の問題について若干御質問を申し上げたいと思います。
 漁業近代化資金の貸付限度額を二倍に引き上げることとしていますが、私はこの倍率に疑問を感じます。そこで、まずこの二倍に引き上げる理由を明らかにしてもらいたいというふうに思います。
#106
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 前回、貸付限度の引き上げを行いましたのは四十九年度でございまして、それ以来十カ年たっておるわけでございますが、この間、主な融資対象施設がどの程度値上がりをしておるかというのを見てみますと、前回の四十九年度を一〇〇といたしますと、五十八年度で漁船が一八八、それから漁船漁具保管修理施設が二一八、養殖用の施設が二三五、それから養殖用の種苗、これの放流育成が一六九ということで、おおむね二倍前後ということでございます。それから漁業用生産資材について卸売物価で見ますと、やはりこれも十年間で二倍前後ということでございますので、これを勘案いたしまして二倍ということにいたしたわけでございます。
#107
○菅野久光君 物価の動向がおおむね二倍ぐらいになっているということで二倍に端的に言えばしたということだと思いますが、業界からはもっと大幅な引き上げ要求が出ていたというふうに思いますが、どうでしょうか。
 それから、漁船の建造費は既に現在でも改正後の限度額を上回っているものがかなり見られると
聞きますし、これからもまた建造費がどんどん上がっていくのではないかというふうに思います。さらに、大臣特認の件数の割合が漁業近代化資金の場合、農業近代化資金よりもかなり大きなものになっていると思いますが、これはもう間違いないでしょうか。お伺いいたします。
#108
○政府委員(佐野宏哉君) 貸付限度額の引き上げ幅につきましては、これは法律案を準備いたします段階で漁業関係の団体の皆さんとも十分御相談をしたつもりでございますが、二倍ということで特に異論はなかったと承知をいたしております。
 それから特認件数につきましては、五十八年度の例で見ますと百五十七件ございまして、これは全体の一・二七%でございます。それで農業の場合が特認が〇・三八%でございますから、先生御指摘のように、確かに農業に比べれば多いことは多いのでございますが、一・二七%というのはパーセント自体としては非常に低い、百五十七件というのも件数としては非常に低い件数でございますし、それから今回二倍に引き上げましたことによりまして、従来特認という手段を使わなければならなかったケースの大部分はこれで限度内におさまりますので、その点では特に御迷惑をかけることはあるまいというふうに考えておる次第でございます。
 それから、漁船につきまして、一部の漁船につきましては二倍に引き上げた後も貸付限度でその資金需要に対応できないという場合があり得ようかとは存じますが、これにつきましては、大臣特認制度の適切な運用で対処してまいりたいというふうに思っている次第でございます。
#109
○菅野久光君 実際に、船の中ではもうはるかに二倍に引き上げた限度額を超えているものがある。それは特認で何とかやるんだというようなお話でありますけれども、しかしこれも限度額というのは法律事項ですね。そう簡単にたびたび変えるなんということにはならないわけですよ。それがもう今でさえも、特認事項でやらなきゃならないという船がたくさんやっぱりあるというふうに思うわけです。そういう点から言えば、そう法改正というのはたびたびできるものではないから、ある程度ゆとりのある限度額にしておくべきではないかというふうに思うんです。どうでしょうか、そういう考え方。私は常識的にはそうあるべきだというふうに思うんですが、それでもなおかつ二倍でなきゃならぬというその理由、含めてひとつお答えいただきたい。
#110
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 漁業近代化資金の場合には、何と申しますか漁業系統金融機関が融資機関になっておりまして、それで漁業系統金融機関の実力などから見ますと、率直に申し上げまして決して多々ますます弁ずるというふうに言えるような実力があるわけでは必ずしもございませんし、それからこういう利子補給制度の利益を特定の人がどの程度享受するかということにつきましては、おのずとある種の限界があってしかるべきものであるようにも存じますので、実体的に御迷惑をかけるつもりは全くございませんが、融資限度の引き上げにはやはりある種の節度はあるべきものであって、多ければ多いほどよいというふうには必ずしも私どもの立場としては思いにくい事情もあるということを御賢察いただきたいと思います。
#111
○菅野久光君 何か、二倍以上にしたら返すときに困るから、二倍ということにとどめたというような気持ちがありますか。
#112
○政府委員(佐野宏哉君) 資金をお借りになる側の問題として私は申し上げたつもりはございませんので、融資機関の方の側の実力から見てどの程度大口融資ができるかということについての、そういう意味での実力について、漁業協同組合の場合には私どもある程度保守的な気持ちが働くことはやむを得ない事情があるということを申し上げたのでございます。
#113
○菅野久光君 私も幾つかの漁協を回って実際にいろいろとお話を聞いてきていますが、お金を借りたものをどうやって返すかということで、皆さん大変苦労しているわけですよ。ですから、私はこの限度額を二倍に引き上げて、それでもなおかつ建造費が足りない、足りない分はどこかからまた別に借りてこなければならぬというようなこと、あるいはそれは特認ということでそういう制度があるからこれはそこを使えばいいと。しかし、これはあくまでも例外なんですね。例外なんです。だから、当然その手続をするのに手間も時間もかかるわけです。やはり基本は、ゆとりのある限度額を定めておくことだというふうに思うんですよ。やむを得ず特認制度を活用する場合は、できるだけこの手続を簡素にして、余り時間をかけなくて済むように制度を運用すべきだというふうに思うわけです。水産庁当局はどうでしょうか、漁業者の方々のこういう期待にこたえていく考えはおありでしょうか、お伺いいたします。
#114
○政府委員(佐野宏哉君) 先ほど申し上げたことでございますが、私どもとしては五十八年度の例で見まして百五十七件の特認がございますが、この大部分は今回の二倍の引き上げによって特認という手続を今後要しなくなるものというふうに考えておりまして、そういう意味で私どもはまず適切なゆとりは見ているつもりでおります。
 それから、それにもかかわらず限度につかえるということもあり得ないわけではございませんが、その場合につきましては、借り受け者に御迷惑をかけることが私どもの本意ではございませんので、先生御指摘のように、迅速に手続をとり御迷惑をかけないようにするつもりでおります。
#115
○菅野久光君 事務当局も今の答弁をしっかりひとつ受けとめて、実際に借りる漁業者の方々に迷惑をかけないようにやっていただきたいというふうに思います。
 次に、今回新設されることになった地域漁業総合整備資金制度は、これまで漁業にはなかった仕組みを持つ制度資金であります。そこで、この資金の前提となる地域漁業総合整備計画はどのような内容を想定しておられるのか、特に資源管理型漁業とどのような関係を持たせることを考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#116
○政府委員(佐野宏哉君) この地域漁業総合整備資金制度と申しますのは、実は六十年度から新しく私どもが手がけたいと思っております活力ある漁村の形成のための新規の事業が三つございまして、その中の一つをなすものでございます。
 それで、三つの事業と申しますのは、一つは、沿岸域計画営漁推進事業、それからもう一つは、沿岸地域活性化緊急対策事業、それから三番目に、ただいまお尋ねのございます地域漁業総合整備資金制度でございます。
 この三つの事業を通じまして私どもがねらっておりますのは、二百海里時代の到来に伴いまして沿岸漁業の重要性が一段と高まっておるわけでございますが、その沿岸漁業の中で、やはり資源と漁獲努力との間のアンバランスというのが非常に顕著に見られるという認識に立っておるわけでございます。従来であれば、一昔前に申されておりましたように沿岸から沖合へ、沖合から遠洋へという形でそういうアンバランスが処理されておったわけでありますけれども、二百海里時代というのは、そういう形でアンバランスが処理され得る時代ではないというのが認識の基調でございました。
 そういう中で、今後の行き方としては、当然漁業者集団の話し合いによって地域の実情に即した営漁計画づくりを推進してもらいたい。そこで、端的に資源管理型漁業どんずばりというわけにはまいりますまいが、資源管理型漁業の前提になっておりますような物の考え方というのを営漁計画の中に盛り込んでいただいて、その営漁計画づくりを進めていくということを考えておるわけであります。
 それで、沿岸地域活性化緊急対策事業と申しますのは、それにこたえるハード面の事業でございまして、地域漁業総合整備資金制度というのは、それに対して漁業近代化資金を特利で融資をすることによって金融面からサポートする、そういう関係に相なっておるわけであります。
 したがいまして、地域漁業総合整備計画は、こ
の資金制度によりまして漁業者集団が漁場の自主的な管理を図ることを基本として、地域の漁業者の話し合いによって今後のその地域の漁業の持っていき方について計画をつくっていただくということでございまして、詳細は現在煮詰めておる段階でございますが、漁場利用の適正化、水産資源の維持増大、就業機会の拡大等につながることを盛り込んでいただくということを考えておるわけでございます。
#117
○菅野久光君 この計画は漁業者集団が作成することになっていますが、その漁業者集団、この場合は漁協になるというふうに思いますが、このような計画の作成やその計画に沿った事業の推進には必ずしもなれていないというふうに思うんです。そこで、適切な指導が必要だというふうに思いますが、主にその指導にはどの機関を当てることを考えておられるのか、お尋ねをしたいというふうに思います。特に、地域の実態を踏まえて現状を改善するための計画づくりは、決して易しいものではないというふうに思われますので、お尋ねするわけであります。
#118
○政府委員(佐野宏哉君) 計画づくりは、私どもが考えておりますのは漁協などが中心になって地域の漁業者集団が自主的に策定をするということを考えておるわけでありますが、先生御指摘のように、これの指導体制ということが重要な問題であるということは、私どももそのように認識をいたしております。この点も現在詰めている段階でございますが、私どもが考えておりますのは、都道府県が水産業の改良普及組織を活用しながら、市町村、漁協などと協力をして指導をしていく、そういう体制をつくってほしいというふうに考えておるわけでございます。
#119
○菅野久光君 そこで、本年度は百地域を考えているようですが、その対象地区の選定基準は何を主眼としておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#120
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 ただいま申し上げましたように、活力ある漁村の形成のための三つの事業というのがあるわけでございまして、したがいまして地域漁業総合整備資金制度を使っていただく対象の地区としては、先ほど申し上げました計画営漁推進事業、これを実施してくださっている地区を選んでいくということを考えておるわけでございますが、これも詳細につきましては現在詰めを行っている段階でございます。
#121
○菅野久光君 近年、漁村の老齢化が加速度的に進んでおります。漁業者の半数近くは五十歳以上のようですが、老人漁家対策はこの計画の内容には入ってこないのでしょうか。どうでしょう。
#122
○政府委員(佐野宏哉君) 先ほど申し上げましたように、私ども現在の段階で計画に盛り込むべき事項の詳細を決めてしまったわけではございませんが、私ども現在考えておりますところでは、その地域の漁業者の皆さん方がその地域の漁業の活性化のためにこういうことはぜひやらなければいけないというふうにお考えになる事項は、私どもは計画に盛り込んでいただくべき事項として門戸を閉ざすというつもりは今のところ考えておりません。
#123
○菅野久光君 近代化資金には特利が適用されるようですが、公庫資金には適用されるのでしょうか。いかがでしょう。
#124
○政府委員(佐野宏哉君) 近代化資金だけでございます。
#125
○菅野久光君 特利の適用というのはないんですね。されないとすれば、それはなぜでしょうか。というのは、地域農業総合整備資金では公庫にも特利が適用されるとのことでございますが、これでは余りにもバランスを欠いてはいないでしょうか。そこのところはいかがでしょう。
#126
○政府委員(佐野宏哉君) 現在の地域漁業総合整備資金制度というのは、今申し上げましたような目的のために、近年の厳しい財政事情のもとで特に特利という制度をつくったわけでございまして、結果として特利が近代化資金に限られてしまったわけでございますが、公庫資金の融資につきましては、現在その重点化が課題の一つとなっておりますような現状のもとで、公庫資金に特利を設けるということが困難であったということにつきましては御理解をいただきたいと思う次第でございます。
 今回、特利の対象とならなかった公庫資金の一般施設資金につきましては、漁業近代化資金でおおむね同じような目的の資金を融通することができることになっておりますし、それからまた、基盤整備その他の漁業近代化資金の対象となっていない資金につきましては、公庫の方から円滑な融通を図ることによって対処をしてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
#127
○菅野久光君 それでは公庫資金の特利を適用したのと同じ状況で運用できる、いろんな制度資金の関係をやりくりしてと、そういうふうに理解してよろしいですか。
#128
○政府委員(佐野宏哉君) 私が今申し上げましたのは、仮に公庫資金に特利があったとしても、その公庫資金を借りておつくりになるようないろんな施設その他は大部分は漁業近代化資金でも融資をすることができますので、特利のついている漁業近代化資金をお使いいただければ、特利という点については、公庫資金が特利の対象にならないからといって御迷惑をかけずに済むものが大部分であるという事情にあるということを申し上げたわけでございます。
#129
○菅野久光君 経済局長、地域農業総合整備資金には公庫資金に特利が適用された、そうですね。ところが、地域漁業総合整備資金制度には公庫資金の特利は適用されてない。バランスを欠いているというふうに思いませんか。
#130
○政府委員(後藤康夫君) これは何と申しましょうか、農業の地域再編の方の資金につきましては、実はこれまでありました営農団地でございますとか、農業団地でございますとか、三つほどございました近代化の特利の仕組みを全部合わせましてより総合的な形でつくったと。この農業の方につきましては、従来からほとんど農業近代化資金で充足をできる形になっておりますけれども、公庫の方におきましてもその近代化の特利に見合った金利の設定をしておったという経過がございまして、そういう経過を踏まえまして、いわば前にありました座布団をより総合的な形で近代化資金に特利を設定したこととの見合いにおきまして、公庫資金の方につきましても、いわば従来のそういう特利の実績というのを踏まえた同様の対応をした、こういうことでございます。
#131
○菅野久光君 たった、「農」と「漁」という字が違うだけなんですよ。片方は地域漁業総合整備資金、片方は地域農業総合整備資金なんです。片方では公庫の資金の特利を適用する、片方は適用できない、しない。どうしてこんな紛らわしいことをするんですか。おかしいと思いませんか。いや、いろんな理由づけ、いろいろ言いわけをされておりましても、どう考えてみても、しかしこれはわかりづらいことではないんでしょうか。どうしてこんな紛らわしい形にしたのでしょうか。どうですか、大臣、本資金にも公庫資金特利の適用を検討してもらいたいというのが、いわば関係者の一致した願いだというふうに思いますが、その方向でこれを検討願えないでしょうか。
#132
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 まず、もともと漁業近代化資金には特利というものが従来ございませんで、それで農業近代化資金の方にはあったわけでございます。ですから、特利の有無という点について申しますれば、従来は農業近代化資金に特利があって漁業近代化資金には特利がないという関係があったわけでございまして、今回、漁業近代化資金について特利を設けて、そういう意味では、漁業近代化資金が農業近代化資金と同じスタイルになったわけでございまして、今回の改正は、農業と漁業とにつきまして差別待遇をするという趣旨のものではなくて、従来存在した格差を埋めて、漁業近代化資金を農業近代化資金にレベルを合わせたわけでございます。そういう意味では、従来、漁業の側が不利という言葉を使うのがどうか、使うことの当否につい
てややためらいを感じますが、漁業の場合に特利がなかったのを今度特利をつくることにしたわけでございますから、その点を御理解を賜りたいと思う次第でございます。
#133
○菅野久光君 いろいろ言いわけをされておりますが、国民には、同じ名称のものに、それは実質的には同じようなことになるのかもしれませんが、片方には公庫資金に特利がつく、片方には公庫資金に特利がつかない、こんなバランスを欠いたやり方、なぜこの法改正のときに同じようにできないんですか。私はどうもわからない、そこのところが。いかがですか。
#134
○政府委員(後藤康夫君) 先ほど水産庁長官も申し上げたことと同じことでございますけれども、漁業が、こういった村づくり的な資金につきまして農業の方に追いつくような措置を今回とりまして、大きく一歩前進をしたわけでございますが、一部、公庫の特利のところまでは行き切らなかったということでございまして、特に制度に差別をつけたということではございません。
 それからまた、公庫の特利と申しますのは、法律レベルの話ではございませんで、業務方法書上の改正で対応できる問題でございます。
#135
○菅野久光君 総理も、国民にわかる政治とかなんとかと言っても、こんなに政治というのはわからないものかなと私は思わざるを得ないんです。いや、本当に大方の方に聞いてもらってもわかるのではないでしょうか。余りかたくなに、これを提案したからといってそれに固執することはないじゃないですか。やっぱり間違っているものは間違っている、この際きちっとするものはするという方向で私は行くべきだというふうに思うんです。大臣、いかがですか。
#136
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 先ほどから局長、長官の答弁したとおりでございますが、基本的に、私は率直に言って、財政的問題があったと思いますね。そんなことで、私は、恐らく水産庁は努力したんでしょうけれども、農が先行していて難しかったということでございますが、おっしゃるとおり、将来の検討課題として研究したいと思っております。
#137
○菅野久光君 それじゃなぜ農民と漁民とを差別するんですか。今まで漁民がおくれていたから、やっと農民のここのところまで近づけた。なぜちゃんと一緒にできないんですか。なぜ農民と漁民とを差別するようなことをやるのでしょうか。
#138
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 やはり農が先行しておったということで、差別ということではございません。そんなことで、今、将来の検討課題にいたしたいということでございますので、その点は特に御理解をお願いしたいと思うわけでございます。
#139
○菅野久光君 このことは私は、同じ日本の国民で、同じ一次産業に従事していて、農業と漁業の差こそあれ、こんな差別をするようなことを、私はそれでいいと言うわけにはやっぱりいかない、そのように思います。国民みんなやっぱり平等に、みんなそれぞれの立場で努力しているわけですから、平等の扱いをするのが、これが政治じゃないでしょうか。そんな差別的な取り扱いは、私は認めるわけにいかないというふうに思います。
 時間がたちますので次の問題に移りますが、漁協の信用事業のあり方についてでありますが、漁協の信用事業が大変な状態になっております。
 そこで、まず確認しておきたいのですが、金融機関別の預貯金の伸び率を、相互銀行、信用金庫、信用組合、農協、漁協という比較的競合しやすい金融機関の中で比べてみますと、漁協が最低で、五十五年度以降その状態がずうっと継続しているわけであります。私はそういうふうに理解をしているわけですが、そのことについては間違いがございませんか。
#140
○政府委員(佐野宏哉君) 申しわけございませんが、今資料の手持ちがございませんので、後刻、お答えをさせていただきます。
#141
○委員長(北修二君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#142
○委員長(北修二君) 速記を起こして。
#143
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 漁協の預金の対前年伸び率でございますが、五十八年三月の対前年同期比が七・八%増、それから五十七年三月の対前年同期比が七・六%増、それから五十六年三月の対前年同期比が五・二%増でございます。それで、それに対しまして他の金融機関で見ますと、農協が六・四%増、五十八年度末の対前年同期比でございますが、それから五十七年度末の対前年同期比が七・五%増、五十六年度末の対前年同期比が九・九%増でございます。都市銀行の場合も同じ数字を申し上げますと、八・一、五・三、一〇・九、地方銀行が八・二、八・四、一〇・九、相互銀行が七・二、七・九、一〇・五、信用金庫が六・五、七・七、一〇・三、信用組合が七・五、八・九、一〇・三という数字になっております。
#144
○菅野久光君 漁協が最低で推移をしているということで、今の数字はそういうことですね。今お述べになったことで漁協の関係が最低、その理由はどこにあるというふうに行政当局は考えておられるか、お答えいただきたいと思います。
#145
○政府委員(佐野宏哉君) 実は、例えば五十七年三月の対前年同期比で見ますと漁協の預金は対前年同期比七・六%増でございますが、同じ時期につきまして農協の場合が七・五%、それから都市銀行が五・三%ということでございますので、漁協は確かに低い方ではございますが、全機関を通じて毎年必ず漁協が低いというわけでは必ずしもないというふうに存じております。ただし、漁協は傾向的に低いことは間違いないと思っております。
 それから、漁協の預金の伸びが思わしくないことの事情につきましては、何と申しましても、最近の事情といたしましては漁家の経済余剰が思わしくないということが基本的な要因であるように認識をいたしております。
#146
○菅野久光君 漁業情勢が大変厳しいことがいわば私は基本的な理由だというふうに思いますし、また、だれが見てもこのことは明らかだというふうに思うんです。しかし、それだけだったら、漁業情勢が若干でもよくなるようであれば、漁業の預金の伸び率も自動的に回復するというふうに思います。私が心配しているのは、単に漁協貯金の伸び率が前に挙げた金融機関中大変低いという事実だけにあるのではなくて、漁家の預貯金の漁協集中率が五十年代に入ってから下がる傾向にあることなんです。
 全漁連の調査によれば、五十二年度六二・一%であったものが、五十八年度には五五・六%にまで下落してきています。貯金は系統信用事業のかなめだと思いますが、漁家の貯金が他の金融機関に流れていってしまう。言いかえれば組合員の組合離れ、それが着実に進行しているのではないか、これは実に深刻な事態だというふうに私は思います。貯金にとどまらず、この動きは他の事業にも広がっていく可能性を持っているからなんです。そうなれば、漁協を中心に進めようとしている営漁指導、資源管理型漁業あるいは活力ある漁村づくりなどにも直接、間接の悪影響を与えることにもなりかねません。それどころか、漁協を中心に組み立てられた漁業秩序が足元から崩れていくことになるのではないか。政府は、漁家貯金の漁協集中率の下落傾向の原因をどう把握しておられるか、他の事業への影響についてはどう考えておられるのか、お伺いをいたします。
#147
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 漁家の預貯金が漁協に集中する割合が低下するという問題につきましては、私どもは、まず最近預金者の間に金利選好が非常に高まってきております。それからまた、金融機関側も多種多様な金融商品を開発してマーケットに進出をいたしております。そういう中で、預金者のビヘービアというのが、従来のように単純、素朴に漁協の組合員であるから預金をするとすれば漁協に預けるのが当然であると、そういう行動様式をだんだんとらなくなってきているということが根底にあるように存じます。
 それで、漁協の場合には農協と違いまして、経
営が専ら信用事業に依存するというわけではございませんけれども、しかし、漁家の預金の漁協の利用割合がこういう事態であるということは、やはり漁協が漁業者の団結の組織であるという実態をだんだん問われつつあるという、そういう事態を象徴しているように思われますので、そういう意味では、漁村における漁業者の結集の核心がだんだん崩れていくという、そういう危険に直面をしており、こういう危険な状態から脱出するためには、私どもとしても漁協の体制を立て直して漁業者の信認を回復するということが必要であるというふうに認識をいたしておるところでございます。
#148
○菅野久光君 認識だけではなくて、やっぱり具体的な手だてを考えていかないと大変なことになるということを、この機会に申し上げておきたいと思います。
 時間がありませんので少しはしょって申し上げますが、漁協信用事業は貯金の受け入れ面だけでなくて貸し付けの面でも大きな問題を抱えているというふうに思います。水産庁の委託で全漁連が行った水産業金融構造調査によれば、昭和五十八年度において経営不振組合の回収不能債権及び回収に不安のあるものに対する債権の合計額は債権残高の三割弱に達する、何か二七%ということであります。そのように承知しておりますが、この数字に間違いはございませんか。
#149
○政府委員(佐野宏哉君) 御指摘のとおりでございます。
#150
○菅野久光君 水産庁は本年度から漁協信用事業整備強化対策を始めるようでありますが、この事業の内容などについては次にお聞きするとして、まず、なぜ漁協の不良債権がこれほどの高率に達するまで有効な対策を水産庁として講じなかったのか、この点について明らかにしていただきたいというふうに思います。
#151
○政府委員(佐野宏哉君) お答えをいたします。
 元来、今私どもが直面をしております事態というのは、第一次オイルショックのとき以来ずっと継続した一つの過程として起こっておる事態であるというふうに思っております。それで、それにつきましては、私どもとしては燃油資金を融資をするとか、あるいは借りかえ資金を融資をするとか、そういうやり方でこのような事態に対する緊急避難的な対策を講じてきたわけであります。本来は燃油価格の騰貴という事態に対処するためには、漁業の生産構造自体を省エネルギー化し、かつそのような燃油価格の水準に対応できるような経営体質に構造的再編を進めていくという形で対処すべきものでございますが、その過渡的な対応として、そういう緊急避難的な融資をやることによって処理をいたしておったわけであります。
 その後、第二次オイルショックがあり、あるいは二百海里があり、魚価の低迷があり、そういう事態が続出をいたしまして、その結果、こういう緊急避難的な措置で続くべき時期というのが予想外に延びてまいりまして、それに伴って、そういう緊急避難的な融資が積み重なっていくことによって生ずる金融機関としての漁協信用事業の負担というのが累増してきたわけであります。私どもとしては、これを単なる緊急避難的な融資の繰り返しではなくて、漁協の信用事業に対するてこ入れをすることによって解決をすべき時期に立ち至ったというふうに判断をいたしまして、六十年度からこの事業に取り組むことといたしたわけであります。
#152
○菅野久光君 今までは緊急避難的に小手先でやってきた、そのことがこれだけやっぱり大変な状況を生み出してきたのではないかというふうに思います。この財政の厳しい中で、六十年度の予算で漁協信用事業整備強化対策ということで二億九千万の予算が計上された、これは本当に厳しい中で大変よかったなというふうに思いますが、到底このことだけでは、私は漁協信用事業についての不安を消すことはできないのではないかというふうに思います。一生懸命やってもらいたいわけでありますが、そこで大臣、もしこの事業を実施してみて十分な成果が上がらない場合は、さらにこの内容を拡充するとお約束願いたいというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
#153
○政府委員(佐野宏哉君) 私どもとしては、現在の段階ではこの事業を成功裏に完遂をするということに全力を傾けたいというふうに思っておりますので、ただいま先生御懸念のような事態にならないように全力を傾けるのが私どもの責務であるというふうに心得ておる次第であります。
#154
○菅野久光君 こういうところの答弁ではやっぱりそういう答弁になるだろうと思いますけれども、要は結果なんですね。だから、一生懸命やってみたけれども成果が上がらなかった、そのときにはもっとやっぱり手を入れなきゃいかぬ、そういう意味で私は今この質問を申し上げたんで、その点、大臣からひとつお答えをいただきたいというふうに思います。
#155
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。
 今、長官がお答えしたとおりでございまして、今の事業を全力を尽くして推進し、その結果を見ながら総合的判断をしてみたい、このように考えております。
#156
○菅野久光君 常に結果を見ながらということになるわけですけれども、これももう抜き差しならなくなってからでは手おくれなんですよ。そうなってから、日本全体の漁業の状況をいろいろ考えていったときに、もう手おくれになったのではこれは助けようがないということになってきますので、できるだけ早いうちに手当てをするということがこの種のものにとっては大事だというふうに私は思いますので、これからも時々私はこの問題についてその後どうやっているか、どんな状況かということをひとつ聞いていきたい。どうも質問で頭の上を風が吹き抜けていけば、後はそのまま過ぎてしまうというようなことが一般的にあるようでありますから、私は自分の言ったことについてはまた確認をしながらこれから進んでいきたい、このように思っております。
 私の質問は明快に質問しているわけでありますけれども、お答えの方が大分もたもたしたもんですから時間が過ぎて、実は緊急資金の問題もやりたかったわけでありますが、あとちょっと酪農の問題がありますし、水産庁長官も大分お疲れのようでありますから、ここでひとつ選手を交代して酪農の問題の方にいきたいと思います。水産の問題については、実は漁協をずっと回りまして、何といっても今この燃油資金、これが大変な状況ですね。もう魚価の多くをこの燃油代が持っていっているというような状況で、その燃油代を何とかしてもらえないか、また、燃油代を何とかすれば、魚価を下げてもっと消費を拡大することもできるというようなことなどもいろいろあります。総じて私が行ったところは、皆さんどうやって自分の経営をしっかりやっていくか、そうして借りた金をいかにきちっと返していくか、そういうことで本当に大変な努力をしております。そういう意味で、先ほど申し上げました農業者と漁業者を差別するようなそういうことだけは私は絶対やめてもらいたい、そういう政治は行うべきでないということを申し上げておいて、水産の関係については一応ここで終わって、次は少し酪農の関係、時間が大分過ぎて余計ありませんが、そちらの方に移りたいと思います。
 初めに、畜産物の関係でありますけれども、これはさきの畜産物の価格問題について私が質問した際にも申し上げたわけでありますが、今日の我が国の農畜産物は実質的に過剰なのかどうかという問題であります。乳製品一つとってみても、IQを中心とする輸入制度のもとで実質五〇%以下の自給率と見られるのですが、この点に対する政府の見解をひとつお伺いいたしたいというふうに思います。
#157
○政府委員(野明宏至君) お答えいたします。
 畜産物の需給状況につきましては、物によって事情がいろいろ異なっておるわけでございますが、まず需要との関係につきまして申し上げますと、最近の状況につきましては実質所得がやはりかつてのような伸びではない。それからまた、国民の栄養水準につきましてもほぼ上限に達してき
ておるというふうなことでございまして、全体的に伸び率は鈍化してまいっておるわけでございます。
 そういった中で生産面についてでございますが、土地利用面での制約が比較的小さい豚とか、あるいは鶏といった中小家畜につきましては、既に相当な規模拡大が進んでおりまして、生産性向上も進んでおるというふうな状況でございます。そういう中で、ややもすれば過剰になりやすい卵にいたしましても卵価が非常に低迷しておる、それからブロイラーにつきましても同様な状況にあって、いずれも計画的な生産に取り組んでおる、豚につきましてもやはり生産者の自主的な、計画的な生産に取り組んでおるというふうな状況でございます。
 それから、土地利用面での制約が大きい大家畜につきましては、産業としてまだ歴史の浅い肉用牛生産につきましては、やはり合理的な国内生産というふうなもとでこれからも生産の拡大をしていかなくちゃいかぬということでございますが、酪農につきましては潜在的な生産力というものはかなりの水準に達しておるということでございまして、生乳生産につきましても、御案内のように五十年代初頭におきましては年率七%ないし九%というふうな伸びが見られたわけてあります。需要は着実に伸びておるわけでございますが、それを上回る伸びがあって大幅な過剰に直面をした。また、最近におきましても、やや需給がタイトになるというふうな状況があらわれてまいりますと、例えば昨年の秋からの状況でございますが、年間を通じては大体全国ベースで一・三%ぐらいの伸びであるわけでございますが、十一月、十二月、一月というふうな状況の中では全国的には三ないし四%、北海道では七、八%の生産の伸びが見られるというふうなことで、やはり酪農についても、五十四年からやってまいっております生産者団体によります計画的な生産というものを継続していくことが必要な状況にあろうかというふうに思っておるわけでございます。
#158
○菅野久光君 私は不足しているというふうに思っているんですよ。何か畜産局は口を開けば過剰ぎみ過剰ぎみと言って、そしていよいよになったら、足りなくなったから輸入だということでぼんとやられるわけです。これじゃ生産者はたまったものじゃないです。そうでしょう。ことしの二月だってそうですね。脱粉の輸入がありましたですね。そういうその年その年いろんな状況が生まれてくることは私も理解できますが、しかし一般的に、そうやって常に過剰だ過剰だという言葉なんです。そんなことでは生産農民は私は納得しないというふうに思うんですよ。そういったような過剰だということで生産調整を強いられる、また価格の据え置き、こういうことでやられる。いわばEC並みの足腰の強い酪農業と言われておりますが、これには投資が伴うわけですね。せっかく投資をする、そしてある程度物価の伸びだとか、それから乳価なり何なりの生産したものの価格の伸び、そういったようなものをいろいろ見合いながら計画を立てて大型の融資を受ける、そして、さあこの償還に入るというときになったら生産調整だ、そして価格は上げない、こうなったときに借りた農家はどうなりますか。しかも、限りなき拡大ということで、そういう政府の方針に従って拡大をした酪農家はどんな状況になるでしょうか、お答えください。
#159
○政府委員(野明宏至君) 酪農につきましては、これまでも酪農の近代化計画、累次の計画を立ててやってまいっておるわけでございますが、御案内のように酪農及び肉用牛近代化方針というものを明らかにいたしまして、そういった目標に沿って現在進められておるわけでございます。
 ただいまお話しございましたように、酪農経営につきましては設備投資が非常に大きいということは事実でございます。経営の実態を見ましても、稲作と例えば比べてみますと、経営をやってまいる場合にある一定の所得を上げていこうといたしますと、四倍ぐらいの設備投資を必要とするというふうな経営の実態でございます。したがいまして、規模拡大の過程でそういった設備投資というものが必要になってまいるわけでございます。
 そういった状況の中で、生乳の計画的な生産、需要は着実に伸びてはいるわけでございますが、伸びの大きさというものをなだらかにするというふうなこととか、あるいはその間の生産性向上のおくれが見られるという経営が一部に見られるというふうなことがあったわけでございます。そういうことで、酪農につきましては、五十六年度から酪農負債整理資金というふうな特別な対策も講じまして、そういった経営面の対策を行いますとともに、これからの問題といたしましては、やはり需要は安定的には伸びていくわけでございますから、そういった状況の中で同時に質的な充実による低コスト生産、経営の体質の強化というものを図りまして、酪農経営の所得の拡大というものも図っていくということが重要であろうと考えておるわけでございます。
#160
○菅野久光君 いろんなことを言われますが、質的な強化というのは具体的に言えばどういうことなのか。あるいは今、酪農業は、きょうも午前中参考人の方の御意見の中でも固定化負債、これは大変な状況になっていることがるる述べられましたし、そのことがまた明らかになってまいりました。そういったようなものを抱えて、政府が言う足腰の強い酪農、これをやるためには固定化負債を今何とかしなきゃならないわけなんですが、確かに酪農の負債整理資金などを入れながら一定の努力をしたことは認めます。それはそれなりに大きな役割を果たしたと思いますが、そのことだけではこれは現状は幾らかよくなったという程度で、しかしいまだに負債の圧力というのは大変大きいわけですよ。だから、今の大きな負債を返してなおかつ十分に経営余剰が生み出せるような、そういう強い酪農経営というものはどういう形にすれば生み出すことができるのか。こうすれば生み出せるんだというそのモデル的なものをお考えでしたら、ひとつ示していただきたい。できるだけ簡単にやってください。
#161
○政府委員(野明宏至君) 酪農経営のこれからのあり方につきましては、酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針というものを明らかにいたしまして、同時にこれに即しまして県段階、さらには市町村段階でも計画をお立てになっておるわけでございます。
 そのポイントを幾つか申し上げますと、一つは、飼料基盤の整備拡大によります飼料自給度の向上という点でございます。これは、近代化方針におきましても明らかにいたしておる点でございます。それから二番目は、やはりいい牛を経営の中に取り入れていくと同時に、いい牛を育てていく、そういうことによりまして乳量をふやしていくということが必要でございます。それから三番目には、資本装備の効率的なやり方と、それからやはり経営管理技術というものが非常に大事でございます。そういったことによりまして生産性の向上を進めますとともに、第四点といたしましては、新たな部門といたしまして、乳用雄子牛の哺育、育成とか、あるいは乳廃牛を肥育していくとか、そういった形で酪農経営の中に肉用牛生産を取り込んだ乳肉複合経営といったものを育てていくということによりまして、全体として所得を高めていく、こういうことで経営体質の強化を積極的に進めることとしているわけでございます。
#162
○菅野久光君 大変御高説を承らせていただきましたが、今までも政府の方針といいますか、こうやればというようなある程度モデル的なことで、それに従ってやってきて、それが政府が言われたような結果を生んだという例が何か余り私はないような気がするんですが、そして最後のところへいけば、何かうまい言葉で責任を逃れるような形、やっぱり役人というのは頭がいいんだなということを農家の方はよく言うわけでありますが、何かそういうような形になっている。
 先ほど畜産局長がいろいろ言われたこと、それはひとつ責任を持って早急に実施をしていく。これは去年の農畜産物の輸入の枠拡大、あのときに当たって、足腰を強くする、そして、それについて
は破格の措置をしていくという、そういう約束があるわけですからね、もう時間も本当にないんですよ。あと二年、その間にそういうことをやり得るのかどうなのかということは、これは大変なことだと思いますけれども、ひとつ頑張っていただきたいと思います。
 時間がありませんから特に酪農に絞ってちょっとお尋ねいたしますが、大変施設の投資に大きな金額を使っているものですから固定化負債の額が大きい。そして、先ほど言いましたように、生産調整だとか、あるいは価格の引き上げがないなどということによって経営が大変苦しい。元利とも戻せない、いわゆる償還できない、あるいは元金だけ償還できる、あるいは利子だけ償還できる、もう生活費さえも生み出せないとか、そういうA、B、C、Dの階層がありますが、それらについて、酪農家の階層別にランク付のパーセンテージ的なものはお持ちでしょうか。
#163
○政府委員(野明宏至君) 五十六年度から酪農負債整理資金ということで、個々の形態につきまして毎年経営改善計画を立てていただく。それから、それに対しまして、関係団体等が一体となって指導をしていくというふうなことで経営改善を進めておるわけでございますが、そのやり方といたしましては、ただいまお話ありましたように、それぞれの経営の実態を踏まえまして、A、B、C、Dというふうな仕分けをいたしまして、それに対応した指導なり対策を講じておるわけでございます。
 そういった状況の中で、例えば北海道につきましては五十六年に対象戸数が三千八十五戸あったわけでございますが、五十九年度は千七百二十二戸ということで、経営改善が図られた農家が相当数出てまいっておるわけでございます。また、北海道の対象農家の平均で見ましても、農業所得につきまして対象農家五十六年の所得が三百三十万程度であったわけでございますが、五十九年にはこれが六百五十万程度に上昇してまいっておりまして、借入金を償還する力というものが逐次ついてまいっておる、もう一息というところへ来ておるという状況でございます。
#164
○菅野久光君 農家個々についての調査ということはなかなか難しい面もありますが、農林水産省としてはやっていないのではないかというふうに思います。既に御承知だと思いますが、年次は若干古くなりますけれども、北海道の農務部が五十六年六月に北海道酪農家一万五千三百六十戸の負債実態について調査したことがあります。
 この調査結果によりますと、五十五年の単年収支で元利償還が可能な層は四四%にすぎない。利子は償還できるが元金の一部は償還不能という層が二五%、元利支払い不能な層が一八%、さらに農家所得で家計費すら捻出できず、元利償還金すべてを新たな借入金に依存せざるを得ない層が一三%にも及んでおります。また、元利償還不能や家計費の捻出すらできない層ほど、融資条件が厳しい一般資金や系統資金の比重が高い。今後ますます経営間格差を押し広げて、より劣悪化させていく、こういう一万五千三百六十戸という全酪農家の実態を北海道の農務部がやった結果があるわけであります。
 今も申し上げましたように、経営の悪いところほど、結局制度資金を借りたやつは必ず返さなければならぬ、必ず返すために系統のプロパーを借りるわけですね。三分五厘の利子のものを返して、そして九分の利子のものを借りてくるわけですから、いよいよこれは抜き差しならない、いわばサラ金状況になっていくわけであります。ここのところを何とかしなければだめなんで、酪農家の固定化負債を救っていくということにならない。
 そういうことで、きょうも参考人の意見の中にありましたが、やっぱり酪農でやっていくんだ、そういう決意と意欲を持っている人たちがそれにこたえて経営していけるような、そういう金融というものをぜひやってもらいたい。それがきょうの午前中の参考人の方の意見でありました。
 ですから、いわば補助じゃなくて、今千三百五十億でしたか、この利子補給の額を二千億にしても、補助金で一千億出すよりもずっと経済効果というものは大きい。そして、そのことによって多くの農家の人たちが生き生きと営農に励むことができる。そういう意味で、長期といっても超長期ですな、超低利の資金をつぎ込んでいくことが、足腰の強い農業、足腰の強い酪農家というものを育てていくことになるんだということなんです。この点について、ひとつ大臣の決意をお聞きしておきたいと思います。
#165
○政府委員(野明宏至君) ただいまお話のありました約一万五千戸というお話でございますが、これは五十六年から酪農負債整理資金を始めるに当たりまして、その前の年に私ども調査の経費を助成いたしまして調べていただいたわけでございます。ただいまお話ありましたように、それぞれのランクごとの戸数のウエートというものはおっしゃられるとおりでございます。そういった実態を踏まえまして、酪農負債整理資金の対象農家というものも出てまいったわけでございます。これ以外に自作農維持資金で対応できる者とか、それぞれ仕分けをいたしまして対策を進めておるわけでございます。
 酪農に関しましては、こういった対策をとりますとともに、基本的には、一つは公庫資金におきます総合施設資金、さらには農用地取得資金、また牧野の造成につきましては牧野資金といったような長期低利の資金が用意されておるわけでございます。こういった各種の資金を活用することによりまして、今後の酪農経営の規模拡大なり体質の強化には十分対応できるというふうに考えておるわけでございます。
#166
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 今、畜産局長の申したとおりでございまして、かねてから先生から御指摘がございまして、今度も六十年度に負債整理が終わりますけれども、その残につきましては新たに負債整理基金をつくりまして、約二十億でしたか、約十五年にわたって利子補給をするということでそういうことのないようにいたした、こういうつもりでございます。
#167
○菅野久光君 終わります。
#168
○塩出啓典君 それでは質問をいたしたいと思います。
 今回の金融関係三法案を審議しておるわけでありますが、この法案が成立をいたしましても、いずれにしてもこの法案の実行の上において農協、漁協の果たす役割は私は非常に重大じゃないか、やはり農家の方々、あるいは漁家、林業経営者の方々、そういう人たちに対して経営指導とかいろいろな助言をしていくのは農協、漁協じゃないかと思うんですね。その農協、漁協がもう自分のところが危ない、そういうようなことでは、やっぱり農民や漁民の経営相談にも身が入らないのじゃないかと思うんですね。
 そういう意味で、私はやはり農協、漁協というものがもっと経営的にも安定をし、またいろいろなそういう指導においても指導体制を強固にしていかなければいけないのではないか。こういう立場から、まず農協、漁協の経営の状況というものが今どういう状況にあるのか、きょうの午前中の参考人あるいは今日までの衆参の論議を通しまして、かなり不良債権とか貸し倒れとか、そういうようなことで大変農協、漁協の経営は厳しいように承っておるわけでありますが、その状況についてお尋ねをいたします。
#169
○政府委員(後藤康夫君) 農協の経営状況でございますが、経営収支について申しますと、低成長経済に移行しました後も五十三年度ぐらいまで比較的順調に推移をしてまいったわけでございますが、五十四年度以降、事業総利益の伸びが停滞ぎみで推移をいたしております。しかしながら五十八年度につきましては、事業総利益、粗利益の伸びが七・二%というふうになりまして、前年度に引き続きまして事業管理費の伸び四・四%を上回りましたために、事業利益は対前年で大幅な増益というふうになっておりまして、この傾向は五十九年度も継続するものというふうに見込まれます。
 そういうことで、現状を見ますと、何と申しま
すかそれほど危機的な状況にあるということでは決してございません。ただ、全体的に傾向、流れを見てまいりますと、農協をめぐります金融経済情勢が厳しい中で貯金、貸出金が伸び悩みます一方、金利下降局面におきまして直接費の減少が強くあらわれたために五十八年度、五十九年度の収益が非常に良好な結果であらわれたということでございまして、経営環境という点から見ますと、需給の不均衡でございますとか農村の都市化、混住化あるいは兼業化といったような今後とも厳しい動きが予想をされておりますし、金融の自由化の進展によりまして競争の激化とか、あるいは運用利ざやの縮小が進んでくる可能性がございますので、これからの厳しさを加えます経営環境の中で農協経営を健全に維持してまいりますために、貸し出しの促進でございますとか、あるいはまた、最近農協でやはり若い人が農協離れをしているというようなことがございますが、そういった若い人たちもしっかりとつかまえながら、地域に根差す組織として着実に伸びていくというための方途を、これからいろいろ工夫をしながらやっていかなければいけないというような状況にあると思っております。
#170
○政府委員(佐野宏哉君) 漁協のうち大宗をなします沿岸地区の出資漁協について水産庁が調べたところによりますと、漁協の八〇%以上が信用、購買、販売の経済事業及び指導、利用事業等を行っておりますが、農協の場合と違いまして販売事業の占めるウエートが高いということが特徴でございます。
 信用事業について見ますと、貯金、貸出・貸付金の対前年度伸び率を見ますと、貯金は五十三年度以降停滞傾向にありまして、貸付金は五十五年度までは毎年七%台の増加率を示しておりましたが、五十六年度以降その伸び率は低下傾向にあります。貯賃率はかつてはオーバーローンでございましたがこれは解消されまして、現在七〇%程度の水準にございます。漁船漁家、平均の漁家の預貯金及び借入金の漁協利用率は、五十三、五十四年度の預貯金の利用率が若干高かったのを除いて、双方ともほぼ五〇%台で推移をしておるということでございます。
 漁協の収支の状況について見ますと、最もウエートの高い販売事業については、漁価の低迷が影響して収益性が低下してきております。購買事業におきましては、取扱額は燃油を中心にして増加しておりますが、その収益性は悪化をしております。このため、五十三年度までは比較的順調に推移をしてきておりました経営状況も、五十四年度以降、事業総利益の伸びは低調に推移をいたしており、また事業管理費の伸びが事業総利益の伸びを上回って推移しておりますので、事業利益の伸びも低調に推移をしております。
 損益の状況で見ますと、当期損益で欠損を有する漁協が五十二、五十三年度では全体の一三%程度でございましたが、五十五年度以降は急激に悪化して、五十七年度には二〇%という状態になっております。
#171
○塩出啓典君 まず農協に関しましては、今全体的にはそう悪くはない、しかし、いろいろな情勢を考えれば前途多難であるというお話だったと思うんですけれども、こういう平均ではなしに、たしか農協は全国で四千何ぼあると思うんですが、そういう中で非常に要注意とか、ちょっと全体の平均ではなしに、いろいろ分析した場合どういう状況であるのか、そういうデータはございませんか。
#172
○政府委員(後藤康夫君) 私ども四千三百ぐらいの農業協同組合につきまして、いわゆるアンケートを発出をいたしまして、毎年農協統計というものをつくりますための調査をやっております。その中に、例えば平均ということでなしにということで、例えて申しますと、当期剰余を出している組合、当期損失を出している組合、それから利益、損失いずれもなかった組合といったような区分けで全体を見てみますと、若干のお答えのなかった農協がございますが、五十八年度、四千三百六組合のうち当期剰余を出しておりますのが四千二百二十一、当期損失を出しております組合が八十、利益、損失いずれもなかった組合が五組合、こういうふうな分布になっております。
#173
○塩出啓典君 私のおります広島県におきましても、いろいろ農協において現先に手を出して失敗したとか、あるいは漁業組合において使い込み事件があったとか、そういうのが非常にあるわけでありますが、これはやっぱり全国的な傾向としては特にふえているようなことはないのかどうか。そういう点はどうなんでしょうか。
#174
○政府委員(後藤康夫君) 農協の融資に関します焦げつき等不適切な融資の実態というようなことになりますと、これはどういうものを不適切な金の貸し方をしたかというようなことになりますと、定義自身も難しいということがありまして全国的な把握は行っておりませんけれども、いわゆる不正事件で刑事事件になったものにつきましては、都道府県を通じまして概要を把握しております。
 最近の動向を見ますと、発生件数はおおむね四十件前後。このうち、信用事業関係が二十五件程度ということで、横ばいの傾向でございます。被害金額につきましては、年々かなりの変動が見られますが、最近三年間の平均、五十六年から五十八年度の平均で見ますと、三十七億六千万円。そのうち、信用事業関係は二十七億五千万円程度の金額になっております。不正の種類を五十八年度について見ますと、業務上横領が六五・五%、背任が三一・八%、これが金額で見ますと多いものになっております。
 最近は事務の機械化も非常に進んでまいりまして、うっかりいたしますと、こういった不正事件が非常に大きな金額になるというような危険も出ておりますし、また金融自由化等の非常に厳しい経済情勢の推移の中で不正事件が起きますと、やはり従来以上に農協経営の悪化に直結をするというようなことにもなりやすい状況にございますので、その発生防止につきましては、今後一層努力していくことが必要だというふうに考えております。
#175
○塩出啓典君 一つ表面に出ただけではなかなかわからない場合もあると思うんですが、そういう点には十分ひとつ目を光らして、もう手おくれにならないように指導を強化していただきたい、このことを特に要望しておきます。
 そこで、今までどちらかといいますと、農協の場合は信用事業とかそういう方面で利益を出して、購買事業等は余り利益を出していない、赤字である。ところが、そういう利益を出していた信用事業が、御存じのように金融の自由化ということで大変金利も上がって、貸し出し、預金金利も上げざるを得ない、こういう金融市場をつくらなくちゃいかぬ、こういうことになってくるわけでありますが、そういう意味で農協のいわゆる員外利用制限、こういうものをもっと廃止をしてもらいたい。
 さらには、国債のディーリングをやるとか、こういうようにある程度活動の範囲を広めてもらいたい、こういうような意見もあるわけでありますが、こういう点についてはどのようにお考えでございますか。
#176
○政府委員(後藤康夫君) 員外利用規制の緩和の問題でございますけれども、やはり農協が農民の協同組織であるという本来の性格からいたしますと、員外利用の拡大というのはその趣旨に沿わないものであるわけでございますけれども、最近におきます農村なり農協をめぐります諸事情の変化、特にまた貯貸率が非常に低下しているという中で、貸し出し以外の貯金の運用をいろいろやってまいらなければいけないというような非常に厳しい状況の中に置かれまして、その中で少しでもやはり貸し出しも伸ばしていきたいという御要望はいろいろあるわけでございます。
 私どもといたしましては、やはり員内利用、組合員に対するサービスを最重点にする。これを阻害して員外利用をふやすというようなことは、やっぱり協同組織としての性格から好ましくないと思っておりますけれども、そういった配慮を加
えながら、単協につきましては員外貸付対象範囲を五十七年に拡大をいたしまして、小規模の需要者に対する貸し付けでございますとか、あるいはクローバーローン等の小口生活資金の員外貸し付けが行われるように措置をいたしたわけでございます。それからまた信連、県の信用事業の連合会につきましては、員外利用に関する特例を認めまして、主務大臣の指定した信連につきましては預かり金、つまり貯金と定期積み金総額の一割以内の員外利用ができるように措置をいたしまして、員外利用規制の緩和を行ったところでございます。
 また、国債の扱いの問題でございますが、国債の窓販等につきましては、これは国債の引受体制、国債のシンジケート団参入等の体制の問題がございますが、これが確立をされていない。また、証券取引法上の認可が必要であるといった種々の問題もございますので、農協信用事業としてこれを行う必要性なり事業管理体制の整備などとあわせまして今後検討をしてまいりたいと思っているところでございます。
 いずれにいたしましても、農協でございますから、協同組合としての本来の性格というものをあくまでも守りながら、税制上もそういうことでいろいろな恩典も受けておるわけでございますので、守りながら、最近の金融情勢あるいは農村をめぐります状況の変化にどのように対応していくかということで考えてまいりたいと思っているわけでございます。
#177
○塩出啓典君 次に、これは水産庁長官にお尋ねいたしますが、先ほどお話がありましたように、漁協の方は一段と状況が悪くなっておる。そういう中で、先ほど菅野委員から質問がありましたいわゆる不振漁協対策ですね、これを今年度から始められるわけでありますが、やっぱり私も結果を出していかなければ意味がないのじゃないかと思うんですけれどもね。そういう意味でこの対象、約二千数百の漁協があるわけでありますが、そういう中でどういう漁協を対象にするのか、それと、この対策として、いつまでにどの程度の目安まで持っていくとお考えであるのか、この点をお伺いしたいと思います。
#178
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 どういう漁協を対象にするかという点でございますが、まず私ども国のレベルで対策の基本方針を決めまして、それを受けて県段階での方針をつくっていただきまして、それで、それを受けて信用事業の整備強化を図ろうという組合、その組合で、これはまず組合御自身もそうでありますし、それから系統の上部団体あるいは都道府県、そういうのが打って一丸となって欠損金及び固定化債権の問題を処理をしていくという、そういう体制の整っている漁協を対象にしていきたいというふうに考えているわけであります。予算上のあれで対象漁協数は二百三十五組合ということを予定をしています。それで、対象の組合につきましては欠損金及び固定化債権に見合う借入金の金利の一部について助成をするわけでございますが、利子助成の期間としては十年間ということを予定をいたしております。
#179
○塩出啓典君 今の立て直しの目安というか、そういうものはないのでございますか。
#180
○政府委員(佐野宏哉君) 利子助成期間を十年間というふうに予定をいたしておりますということは、そこで離陸をしていただくことを期待をしているということでございます。
#181
○塩出啓典君 それから次に酪農の問題をお尋ねしたいわけでありますが、実は私は前回の委員会におきましていろいろ実際に農家の方々の負債の状況はどうかと、こういうことをお尋ねをいたしまして、農水省から資料をいただいたわけでありますが、この資料を見ますと、全国平均で言いますと、貯蓄は千三百二十八万円で借り入れが百八十八万円、これは五十八年度ですけれどもね。あるいはこれを地域別に見ますと、北海道は千百十二万の借入金で貯蓄は千五百八十六万、北海道は一番厳しいわけでありますが、それ以外は借入金は百万台で貯蓄の方は一千万もある。あるいはこれを全農家の専業、兼業別のデータもいただいたわけでありますが、農水省の説明と、実際にきょうも午前中酪農の方のそういう報告がございましたし、また衆議院でも参考人の方がいろいろ述べておられるわけでありますが、そういう実態との間には、かなり差があるような気がするわけであります。
 政府は、いわゆる酪農の負債対策をずっと実施してきて、実際には対象戸数は非常に減ってきておる、よくなってきておるじゃないかと、そのように言われるわけでありますが、実態は大分ひどいんじゃないか。そのように農水省の認識と現実の姿には非常に開きがあるのじゃないかという、そういう感じがするんですけれども、そういう点はどのようにお考えですか。
#182
○政府委員(野明宏至君) 畜産経営の負債なり資産の状況につきましては、農林水産省におきましては農家の形態別に見た農家経済調査という形で畜種別あるいは地域別の調査をいたしておるわけであります。平均的に見ますと、ただいまお話ございましたように、例えば酪農につきましても全国平均で負債額は一千三十九万六千円、しかし同時に資産額も四千三百五十五万三千円、これは五十八年度の状況でございますが、こういう状況になっておるわけでございますし、また経営環境も全般的には改善されてまいっておるわけでございます。
 ただ、これは全体的な平均的な姿でございますので、もちろん個々の経営について見ますと、あるいはまた地域によって大きな負債を抱えておる、またそれがいろいろな事情があるわけでございますが、生産性のおくれというふうなことで負債が固定化するというふうな経営もあることは事実であるわけでございます。したがいまして、そういった状況に対応した対策をとっておるというふうな状況でございます。
#183
○塩出啓典君 きょうの午前中の参考人の方のお話でも、これは北海道の信用農業協同組合連合会ですか、この調査として五十九年度末においても北海道全体の負債が一・六%ふえておる、五十九年度というのは豊作であるにもかかわらずふえておる。その中で酪農も二千七十六万円の負債が二千百四十四万円とふえておる。そういう個々の問題はあるにしても、全体としてもそういう状況になっておるわけであります。ところが、今まで特に農水省としてはこの酪農の負債対策に対しましては自作農維持資金のうちの再建整備資金、こういうものでずっと長期低利の融資をやり、さらに五十六年度からは酪農経営負債整理資金、こういうものを新設をして、それで政府の説明では当初三千三百二十八戸の対象戸数が今は千八百七十四戸に減ってきた、かなり効果を上げておるんだということですね。ところが、実態はそうなっていないという、どうも農水省というのは非常に成果の上がったところだけ集めていいように発表をしたがる傾向があるんじゃないかなという、そういう感じがするんですけれども、その点はどうなんでしょうか。
#184
○政府委員(野明宏至君) 農家全体のデータは別にいたしまして、酪農経営について見ますと、例えば北海道につきましては、一戸当たりの負債額は五十八年度、二千八百五十七万円ということで、前年に比べまして五%ほど一戸当たりの負債はふえております。ただ、この間、規模拡大も行われておりまして、一戸当たりで見ますと、五十八年度百万六千円ということで、前年に比べまして三%ほど負債は減っておる。他方、資産でございますが、五十八年度に、北海道につきましても、先ほど申し上げましたような状況の中で、五千六百八十三万円ということで四・五%ほどふえておるというふうな状況でございます。これは、先ほど申し上げましたように、全体の平均的な姿でございます。
 そういう中で、個々の経営についてはやはり問題のあるものもあるわけでございますので、そういったものにつきましては、ただいまお話のありました負債整理資金、これを酪農関係でもかなり活用をいたしております。こういったものを活用
して経営の改善のための対策をとると同時に、五十六年からは酪農負債整理資金というふうなことで個別には対応をしておるわけでございます。これからも、そういった全体的な動向を把握いたしますと同時に、個々の問題につきましても、その実態を踏まえつつ対応をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#185
○塩出啓典君 特に私は、今、局長が言われましたように、個々の実態を把握をする、そういう面に多少金がかかってもやむを得ないんじゃないかと思うんです。それで、やはりどこに原因があり、どこが悪いかということがよくわからないと医者も治療できないわけですし、原因がわからないで一生懸命治療しても立派な治療はできないわけですからね。そういうような意味で、今後よくよくどういう形で農家の実態を調査するか、特に問題を抱えている業界ですね、今は畜産はもう一つの大変な業界ですから、そういうものについてはコンスタントにどういうデータをとって、そして政府の施策がどのような結果をもたらしておるか、こういう点をキャッチしながらやっていくように、これは具体的にひとつ検討していただきたいと思うんですけれども、その点どうでしょうか。
#186
○政府委員(野明宏至君) お答えいたします。
 酪農経営の状況につきましては、先ほど申し上げましたように、農家経済調査という形で統計情報部においてその実態の把握を行っておるわけでございます。同時にまた、例えば五十六年から酪農負債整理資金をやったわけでございますが、その際、北海道につきましては私ども一部助成をいたしまして、約一万五千戸の農家につきまして、その個々の実態というものを把握して対策をとったわけでございます。これからもまたそういった必要が出てまいりますれば、前回のような調査ということも検討していかなきゃいかぬと思っておるわけでございますが、現在はそういったものを踏まえつつ、北海道それから府県につきまして対象農家の実態を継続的に把握いたしまして、こういった農家につきましても、酪農負債整理資金は六十年度までの対策でございますが、それ以降についてもその経営の安定が図られるような対策を今年度においてとりたいというふうに考えておるわけでございます。
#187
○塩出啓典君 何か今のお話では、かなり個々の経営についてもある程度調査はしておる、そういう資料もあるわけでございますか、畜産の場合。
#188
○政府委員(野明宏至君) 個々の経営につきましては、五十六年度に全般的な調査をいたしたわけでございます。その後はそういう形の調査はいたしておらぬわけでございますが、その調査を踏まえて対策をとっておる農家については、継続的に実態を把握してまいっておるという状況でございます。
#189
○塩出啓典君 だから、私が言っているのは、これは一万五千の農家を調査をして、そのうちの三千三百二十八戸を対象にしたわけで、その数は減ってきているわけですね。しかし全体を見ると、全体の負債がふえている状況から見れば、それ以後それ以外のところから発生しているかもわからないわけですし、そういう点にも気を配ってもらいたい。だから、この一万五千戸やった調査を毎年やれとは言いませんけれども、定期的にやるとか、これは全国すべてやれということではありませんけれども、ある程度必要に応じてそういうことを積極的にやっていくべきじゃないか、そのために少々お金を使っても私はそれはいいのじゃないかと思うんですけれども、そういう点を検討する気持ちがあるかどうか。
#190
○政府委員(野明宏至君) この点につきましては、例えば肉用牛経営につきましてはさらに詳細な実態を把握しなきゃいかぬということで、北海道においても調査をいたしておるわけでございますが、酪農につきましては、現在のところその予定はいたしておりませんけれども、状況を踏まえつつこれからも検討していきたいと思っております。
#191
○塩出啓典君 その点よろしくお願いいたします。私たちもいろんな人に会いまして、早く手を打てばもっと簡単にできたものが、何となく手おくれになっちゃうとますます大変である、こういう事例もたくさんございますので、その点をひとつお願いしたいと思います。
 それから次に、総合施設資金でございますが、この資金については五年ごとに融資効果の調査を行ってきておるわけであります。きょうは時間がございませんので、その融資効果の調査結果については省略をいたしますが、私が聞いている範囲では、規模の拡大の方は大体かなりいっておる、しかし所得の目標ですね、これはたしか目標の八割を達成したのが半分程度である、こういうことでありますが、農水省としては、この結果にはどのようなお考えを持っていらっしゃいますか。満足でございますか。
#192
○政府委員(関谷俊作君) 今お尋ねの総合施設資金借り受け農家の五年経過後の目標達成状況でございますが、四十三年から五十七年までの約三万一千件について見ますと、今お尋ねの所得目標達成率八割以上の農家は約六五%でございます。一方、規模拡大目標の方は達成率八割以上の農家は約八四%でございまして、全体として見ますと、規模拡大の目標の方は、これは土地規模の拡大等で資金の融通によりまして達成が割合可能なわけでございますが、所得面につきましては、今の六五%という程度のことになりますと、いろいろ価格面なり、あるいは資材の価格、その他経営のもろもろの要素も入りますのでこの辺の数字になっているわけでございまして、私ども決して十分とは考えておりませんけれども、総合施設資金として見ますと、ある程度の目標は達成しているわけですが、まだまだ今後の営農指導面で努力すべき必要があると、かように考えております。
#193
○塩出啓典君 そこで、これは大臣にお尋ねしたいわけでありますが、私はこの総合施設資金のように一つの目標を定めて、そして五年たったらその目標に達したかどうか、この財政資金がその目的を達成したかどうかということをチェックをする、そしてそこで達成していない原因を検討して、そしてまた資金のあり方も変えていくという、こういうやり方は非常にいいんじゃないかと思うんですけれどもね。こういうようないろいろな制度をやったけれども、よかったか悪かったかさっぱりわからない、こういうことではいけないと思うんです。このような効果のチェックというものを、ほかの制度資金についてもどんどんやるべきじゃないか、この点はどうでしょうか。
#194
○国務大臣(佐藤守良君) 塩出先生にお答えいたします。
 先生御指摘のとおりでございまして、農林漁業の政策金融については、その目的が十分達成されるよう、融資先農家の経営状況の実態や融資効果等に応じて改善を図っていくことが大切であると思います。
 そんなことで、政策金融については、これまでも資金の性格なり目的に応じまして融資先農家の実態及び融資効果につき定期及び随時の調査等を実施し、これらの指標に基づき制度の見直しを行い、改善充実を図っているところでございます。
 今後とも御指摘のような的確な実態把握等に努め、政策金融の適正な運用と改善充実に努めてまいりたいと考えております。
#195
○塩出啓典君 これは私は余りよく知らないんですが、こういうようにチェックをしているのはほかにも大分あるんでございますか。
#196
○政府委員(後藤康夫君) 先ほどお話のございました総合施設資金、これは特に自立経営を目指す経営に対する総合的な融資制度というふうなこともありまして、貸付後三年目と五年目に調査を行っておりますけれども、それ以外にも資金の種類に応じまして、例えば一例を申し上げますと農地取得資金でございますが、これは構造改善局の方から通達なども出ておりますところでございますが、農地取得資金の借り入れ農家の経営改善の達成状況、それから貸付前後三カ年の経営規模の動きというようなものを県、市町村を通じて調査をいたしまして、効果の把握なり、あるいは適切な指導に役立てておるわけでございます。こう
いったことで、各種資金の性格なり目的に応じて状況把握を行っておりますし、また、公庫におきましていろいろな融資に関します一般的な業務統計もつくっております。それからまた、農林公庫の行います融資との関連におきまして、必要に応じまして大学等の、あるいはまた学識経験者等に委託をいたしまして、委託調査で融資の実態なり効果の把握に努めておるところでございます。
 おっしゃいますように、制度をつくり融資をしたらそれで事終われりということではなくて、やはり常に融資をしながら農林漁業そのものも、それを取り巻く条件も変わっているわけでございまして、常に実績なり効果というものを把握するように努力をしながら本当のニーズにこたえた、また適切な融資を行うような見直し、検討というふうなことは、常時行っていかなければいけないものというふうに考えております。
#197
○塩出啓典君 それから、衆議院の参考人の方から、やっぱり規模拡大だけではなくて、拡大された経営というものを安定的に維持発展させるための資金が必要である、こういうような御意見がありました。私も全くそのとおりだと思うんですね。それで、産業界におきましても今は増量景気ではなしに減量景気だ、売り上げをどんどん伸ばす時代ではなしに、むしろコストを切り下げてそれでいろいろ利益を生んでおる、このようにも言われておるわけでありますが、そういう点から見て、私は例えば今回農業改良資金というもので生産方式改善資金というものが新設をされたわけでありますが、これは内容を見ますと、大体条件が規模の拡大、規模の拡大というんですね。もちろん規模を拡大することによってコストは下がるわけですけれども、余りにも規模拡大というものが条件になり過ぎているんじゃないか、規模拡大しなくてもコストダウンするとか、協業化を進めるとか、そういう経営を安定的にやはり続けていくというための資金がもっとあっていいんではないかなという、そういう感じがするんですけれど、そういう点はどうなんでしょうか。
#198
○政府委員(後藤康夫君) 非常に大ざっぱな分け方をいたしますと、公庫資金でございますとか近代化資金といった制度金融で分担をいたしております分野と申しますのは、農地なり施設の取得あるいは機械の導入というようなことで資金が多額に及び、かつ回収に比較的長期を要するような資金を分担しておりまして、農業経営のための運転資金ということになりますと、一般的には投下資本の回収、更新が割合短期間に行われるということから、原則としてこれは農協系統金融のプロパーの融資の分野というふうに考えておるわけでございます。
 ただ、そうは申しましても、同じ運転資金の中でもかなり回収に長期を要するもの等、通常の農業の運転資金とは若干性格を異にするようなものがございます。そういうものにつきましては、従来から累次のいろいろな制度金融の制度改正の中で、例えて申しますと、公庫資金の総合施設資金のうち一定の飼養規模の拡大を行いますための家畜購入資金でございますとか、あるいは農業近代化資金におきまして果樹等の永年性作物の植栽育成資金あるいは肥育牛の購入育成資金、こういったものはいわば経営の運転資金でございますが、その性格からいたしまして制度金融の対象にいたしておるわけでございます。今回の制度改正に当たりましても、近代化資金の中の肥育牛の購入育成資金につきまして、やはり規模拡大をいたしました当初なかなか経営が急速に拡大をいたしました後の安定するまでの間、いろいろな厳しい経営条件であるというようなこともあって、この償還期限をもう少し延長してほしいというような御要望がございましたので、据置期間、それから償還期限をそれぞれ一ないし二年延長をするというような措置も六十年度に実施をすることにいたしております。
 大体、制度金融で対象にできそうなと言っては語弊があるかもしれませんけれども、運転資金につきましては制度金融での手当てをいたしておりますが、また今後いろいろな農業の情勢の変化に対応いたしまして、その辺の境目につきましてもいろいろ勉強はしてまいりたいというふうに思っております。
#199
○塩出啓典君 これはもう時間がございませんからくどくは申しませんが、私の意見としては、今も、規模を拡大して当初大変だからというので、これも規模拡大が条件になっておるわけでありまして、規模拡大ではなしに、もっとコストをダウンするとか協業化するとか、こういうような点でも融資制度ができるように、そういう点御検討をいただきたい、このことを要望しておきます。
 それから、今回、林業経営改善資金を拡充をいたしまして複合経営施設の追加を行う、こういう改正が行われるわけでありますが、複合経営というのは具体的にはどういうものが考えられるのか、それから今回、個人経営の上限の面積が四十へクタールから八十ヘクタールに拡大をされたのはなぜか、この点をお尋ねいたします。
#200
○政府委員(田中恒寿君) 我が国の林業経営の所有規模が大変零細でございますので、そのために収入に間断が生ずるわけでございます。そういうふうなことで、今回の改正に当たりましては、経営規模の拡大と、もう一つ最初の御質問にございました複合経営の促進でございますが、この内容につきましては、代表的な例は特用林産物、シイタケとかナメコその他のこういう特用林産物が非常に収入の間断の穴を埋めるために有効ではないか、それからさらに、レクリエーションの施設なども森林、山林を活用した経営の一分野として有効ではないか、そういうものも複合経営として取り入れたわけでございます。
 それから、面積を拡大いたしましたのも、やはりこのくらいの面積を持ちましてその地域に定着して、しっかり根差してもらいたい、そういう規模のところに焦点を置きまして経営の安定を図っていきたいということから、規模を少し大きくしたわけでございます。
#201
○塩出啓典君 私は、こういう方向は非常にいい方向だと思いますし、先般も西多摩郡の方をいろいろ視察に行ってまいりましたが、間伐材で丸太小屋をつくるとか、こういうように五十年、六十年たって木を伐採したときでないと収入がないのではなしに、途中でもいろいろ収入ができるような、こういう林業をつくっていかなければいけないんではないかと思うのでありますが、そういう点で、複合経営にも融資をしていくという方向は非常にいい方向だと思いますので、そういう点、いいノーハウをまた考えて、頑張っていただきたいと思います。
 それから次に、先般広島へ参りましたときに、これは共済関係の方から意見が出たわけですが、広島県の場合は加入率が水稲が九〇%、麦は四三・九、繭が八六・九、乳牛は九八・六、しかし温州ミカンは、広島もミカンの産地の一つですけれども、一一・一%ぐらいしか加入していないわけですね。
 それで、いわゆる農水省の制度金融については共済加入を要件とすべきじゃないか、してもらいたい、こういう意見が出たわけなんですけれども、私もやはり農業共済も、あるいは制度金融も、いずれも農家の体質を強化して強い農業をつくるためにつくられた制度で、そういうものは一貫したものじゃないかと思うんですけれどもね。それで、自分の都合のいいところだけつまみ食いをしていくような感じではこれはいけないんじゃないか。そういう意味で、この制度金融については共済加入を要件としてもらいたいという、そういう意見もなるほどなと思ったわけですけれども、こういうような点はどうなんでしょうか。
#202
○政府委員(後藤康夫君) これはある意味では、農業共済側からいたしますとそういう御意見が出ることは当然でございますが、私どもの経済局の方は制度金融と両方抱えておりまして、この問題につきましてはいろんな御意見がございます。私どもやはり農業共済の加入促進のためには、まず第一義的には、制度それ自体を農家によく御理解をいただく、そしてまた、制度そのものをできるだけ魅力のあるものにいたしまして自発的な加入を
確保するというのが、やはり第一義だというふうに考えております。
 確かに、この制度金融で施設をつくる、あるいはまた家畜を導入をいたすという場合に、せっかくそういう制度金融という政策手段を使ってやりました事業が、不慮の事故のためにその効果が失われてしまう、そして共済があれば、またその共済金の支払いでその当初の事業目的に沿った、何といいますか施設なり家畜の回復ができるところが、なかなか難しくなるというような事例もございますので、そういう意味で、事業目的の担保という意味で、補助なり融資をやります場合に共済加入を勧奨するというようなことは当然あってもいいんではないかというふうに思っておりますけれども、それではこれをあらゆる資金なり補助金に一律に義務づけるということになりますと、果たしてこれで関係者の理解が得られるかどうか、また結果的に、共済未加入農家とか加入率の低い地域で今度制度資金の融通を受けよう、あるいは補助金を受けようという場合に、それがなかなか難しくなるというようなケースが出てこないかというような問題もございますので、これは制度資金の性格等に応じまして慎重に検討していく必要があるというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、制度金融を共済の加入促進に結びつける有効かつ現実的な方法、そしてまた、その妥当性というようなことにつきましては、今後も検討をしてまいりたいと思っております。貴重な御意見として、私ども今後の検討の素材にまたさしていただきたいというふうに思っております。
#203
○塩出啓典君 私たちが住宅ローンを借りますと、必ず生命保険に入らされますね。そういう点から考えればそうおかしなことでもないと思いますし、ひとつ検討していただきたいと思います。
 最後に、これは特に漁業の信用基金協会の代位弁済が非常に多くなってきておる、そういう点で、六十年度においてはこれに対して予算処置をしておると聞いておるわけでありますが、どういう処置をされておるのか、その代位弁済の状況と、そしてその対策はどうなっているか、これは農業と漁業両方についてお尋ねをして終わります。
#204
○政府委員(後藤康夫君) 農業の方について申し上げますと、農業信用基金協会の代位弁済額は近年やはり増加傾向にございまして、五十八年度は七十三億二千万ということで、前年に比べまして十五億九千万ほどの増加になっております。
 この保証機能の一層の充実強化を図りますために、六十年度におきまして、一つは、農業信用基金協会の基金造成のための都道府県の出資に対します出資補助金を一億一千万計上をいたし、また第二に、農業信用基金協会が保証債務の履行を行いますために必要となる融資資金を農業信用保険協会、中央にございます協会に対しまして交付するための交付金を三億五千万予算計上しております。そのほかに、やはり代位弁済がふえておりますのを中身を分析いたしますと、やはり畜産関係資金がかなり大きなウエートを占めているということがございますので、畜産関係資金の融資の円滑化のために畜産振興事業団からも所要の助成をいただくことにいたしておりまして、こういったことを通じまして農業信用基金協会の経営基盤の強化に努めることにいたしております。
#205
○政府委員(佐野宏哉君) 漁業信用基金協会の代位弁済額は五十七年度で九十五億、五十八年度で百五億という水準でございます。それに対しまして、中央漁業信用基金の保険金の支払い額は五十七年に六十八億五千六百万、五十八年が八十一億三千二百万、五十九年が七十六億六千九百万ということでございます。それで、これに対しまして国の予算の関係でございますが、六十年度予算といたしましては、漁業信用基金協会の出資補助が三億、それから中央漁業信用基金に対する出資が四十五億二千万、両方合わしまして四十八億二千万ということに相なっております。
#206
○下田京子君 本日、私、農林漁業金融公庫法との関連で主にお尋ねをいたします。
 まず、最初に指摘しておきたいことは、農地取得資金の枠の拡大をもっと積極的に図っていくべきではないかということなんです。政府は、こう言いますと、今までも積極的に対応してきた、一応需要を満たし得ると考えるなどとも言われるわけですが、確かに六十年度当初予算、これは五十九年度と比較いたしますと、五十九年は未墾地取得資金十億円を加えまして七百十億円だったと思います。六十年度予算では二十億円増の七百三十億円になっておりますね。しかし、五十九年度の実績ベースとの比較でいけば、逆に六十年度当初で二十億円の減になっている。それから、概算要求段階から見ますと五十億円の減になっている。実績でずっと見ていけば、五十八年に比べて五十九年度は落ち込んでいる云々というふうな御説明もあるいはあるかと思うんですけれども、私は五十九年度は特に資金需要を抑えた指導をやってきたのが実態じゃないかと思うんです。
 その一つの例なんですけれども、農地取得資金は本来融資率は定めてありませんね。ですから、限度額の範囲なら必要な資金は一〇〇%借りられるわけです。それを五十九年度は融資率八〇%で、残り二〇%は自己資金でと、こういうふうに指導なさっているわけです。またさらに、具体的な例として、例えば北海道のように資金需要の強いところでは、五%資金の総合施設資金との併用という格好で進められていることは御存じのとおりでございます。そして、三・五%の農地取得資金は借入可能額の五〇%で抑えております。残りは総合施設資金の活用をと、こうなるのですけれども、総合施設資金の方は融資率九〇%ですから、残り五〇%の九割ですから残五%は自己資金、こういうふうになってくるわけですね。
 こういう実態でございますだけに、追加枠も含めて必要な資金の手当てはやる、これは当然のことだと思うんですけれども、大蔵大臣と今後また協議をしていく際に、この点を踏まえて枠確保に対応していただきたい、こう思うわけです。
#207
○政府委員(井上喜一君) 農地等取得資金につきましては、申請者がこの融資を受けることが必要でありまして、他に適当な方法がないという場合に融資をする資金でございまして、そういう趣旨から融資率を設定をしているわけでございますが、資金全体の動向を見ますと、最近年は徐々にその枠が拡大されてきておりまして、今お話のとおりでございます。
 そこで、今年度はどのような枠を設定するかということでございますが、これも農地の所有権の移転面積とか、あるいは農地価格等を勘案して設定するわけでございますけれども、私どもといたしましては、一応前年の当初の枠でございますが、七百十億円を上回ります七百三十億円程度と、こういうぐあいに設定をしたわけでございます。これによっておおむね資金需要の動向に対応できるんじゃないかと、このように考えているわけでございますけれども、あるいは万一資金枠が不足するというような場合もあろうかと思いますが、その場合には公庫資金全体の貸し付けの実行状況等を勘案いたしまして適切に対応してまいりたい、このように考えます。
#208
○下田京子君 万が一ということでおっしゃいましたが、いずれにしても枠の拡大が必要なときには対応するということですから、今いろいろお述べになったことは私は前もって指摘しているわけですから、積極的対応をお願いいたします。
 次に、農水省は御存じだと思いますけれども、農地価格は上昇する、一方でお米などの収益性が悪化する、こういう中で、農地を買ってもますます採算がとれないというのが現状だと思いますね。政府等の調査でもこれは明らかでございまして、農地の純収益から見た農家の金利水準はどうあるべきなのか。五十八年産の米生産費調査を見ますと、水田十アール当たり平均でもって八千百五十三円の農地の収益があります。ところが、農地価格の方は、全国農業会議所の調査資料でございますが、中田で農用地区域内の価格を見ますと、百五十六万一千円です。つまり、百五十六万一千円の投資をして利益は八千百五十三円ですから、その利回りは何と〇・五二%というふうになるわけですね。規模別に見ましても、三ヘクタール以上の規模の農家で、農地の純収益というのは四万二千二百四十三円で、二・七%という利回りにしかならないわけです。いずれも、農地取得資金の金利三・五%を下回っていますね。
 しかも、重要なことは、この農地投資の利回りが年々下がっていることです。五十三年三・三、五十四年が二・一、五十五年が一・一一、五十六年に〇・八、五十七年は〇・七、五十八年〇五%、こういう低下をしている。御承知だと思います。
 ですから、結論的に言いますと、農業収益性の低下と農地価格の上昇を考えたときに、農地取得資金の金利は引き上げるどころかむしろ引き下げなければ採算がとれないということを現実が示していると思うんですけれども、違うでしょうか。
#209
○政府委員(井上喜一君) 今、御指摘のような計算であれば、そのような結果になろうと思いますけれども、個々の農家がこの資金を利用いたしまして農地を取得いたします場合には、取得価格につきましても地域ごとにそれぞれ違うわけでございまして、そういう農家の計算がありますと同時に、また農地を取得いたしました場合に経営規模の拡大というような要素もございまして、そういったメリットの点も勘案する必要があろうかと思います。
 今御指摘の、三・五%をそういうような状況のもとでさらに一部のものについて五%にするというのは問題ではないか、こういうような御質問でございますけれども、これもたびたび御質問がありましたように、最近におきます財政事情から見ますと、どうしても限られた資金を有効に利用していく、あるいは効率化を図っていくという要請がございますと同時に、私どもといたしましては構造政策を積極的に推進していく、そういう必要もあるわけでございまして、こういう両者の調整の上に立ちまして一部の資金につきまして五%の資金を設定をすると、こういうことに相なったわけでございますけれども、私どもといたしましては三・五%資金の基本は維持していっているつもりでございまして、五%の金利を設定いたしましても大きな影響はないものと考えている次第でございます。
#210
○下田京子君 私は、農地収益性を無視してやれないでしょうと言ったんです。それから、そういう計算ならばというのは、私が勝手に計算したのじゃなくて、ちゃんと資料の出典も示して、うなづいて聞いていたでしょう。地域によって農地の純収益というのは異なる云々の話もありました。恐らくそれは限界農地純収益のことを指されて言っているんじゃないかと思うのですが、それとてもこれは試算した資料がありますけれども、四・七ヘクタール層が最も大きい、その利回りも三・八四%で、その他の階層は全部三・五%を下回っているという、ちゃんとそういう資料もあるんですよ。御存じでしょう。ですから、そのことを私は申し上げておいて、農地の収益性、これは何も金利政策だけで対応できるものじゃありませんけれども、むしろ現状からいったら引き上げということにはならぬ、引き下げだと、こう言ったんですよ。
 その次に指摘しておきたいんですけれども、あるべき金利水準という点で、なぜ引き下げが必要なのかということなんです。私はまだ具体的に五%云々ということは申し上げてないんですが、今お答えになりましたけれども、現状からいったら、まさにこの五%資金を一部といえども入れてきたというのは、現実にもう逆行するものじゃないかということなんです。
 お聞きしたい点なんですが、実際に農地取得資金を借りる農家で、五%資金と三・五%資金をどういう要件でもって区別するのかということなんですね。
 そこで、まず最初に確認したいことは、いいですか、ここから質問ですよ。農地取得資金を借りられる農家の貸付適格認定の要件、これがどうなっているかというと、要項、要領を見ますと、いろいろありますけれども、主な要件は何かといえば二つ、その一つが、申請者が農業に精進する見込みがあること。そして具体的には、申請者の総所得のうち農林水産業の所得が半分以上を占めていること。また農業経営主、その者が六十歳以上である場合には、その後継者が現に主として農業に従事しておる、かつ云々というのもありますけれどもね。それから二つ目の要件が、申請者の経営面積が取得後の土地も含めて地域の平均規模以上ということ、この二点が大事なところだと思うのですけれども、間違いありませんね。事実の確認です。
#211
○政府委員(井上喜一君) そのとおりでございます。
#212
○下田京子君 そうしますと、農地取得資金を借りられる要件を持った農家とは何かということは、今認めたとおりでしょう。その上に、さらに今回五%資金と三・五%資金を一体何をもって貸し付けの区分をするのか。これは今までの説明を聞いていますと、農地移動適正化あっせん基準に準じて運用したいと、こう言われておりますね。
 では、そのあっせん基準の要件のポイントは何かということなんです。これもいろいろありますけれども、そのポイントはおおむね二つ、主として農業に従事する人以外にもう一人農業従事者がいること。二つ目は面積要件で、その地域の平均以上の農業委員会の定める基準面積ということになっています。実際には平均以上といっても基準がなくて、各地の農業委員会の実情を聞きますと、大体平均の面積を決めているのが多いと言われています。とすれば、農地取得資金貸付適格要件とこのあっせん基準の大きな違いは一体何なのか。つまりは農業従事者が一人なのか二人なのか、そういうことになるわけでしょう。どうでしょう。
#213
○政府委員(井上喜一君) 二つの重要な事項につきましては、ただいまのお話ございましたように、従事者要件と面積要件でございまして、従事者要件が農地のあっせん基準におきましては、専らまたは主としてその農業経営に従事すると認められる青壮年を含む二人以上というふうになっております。そこが一点違いますのと、経営面積につきましては、これは現行の農地取得資金の認定要件につきましては、その地域、これは大体市町村の地域を指すわけでございますが、平均面積ということになっておりますのが、ここではその平均面積以上で農業委員会が定める基準面積ということになっておりますので、その二点が主として違うわけでございます。
#214
○下田京子君 さっきもうなずいて聞いていましたが、面積要件の方は平均以上という基準だけれども、実際は平均の面積で定めているところが多いわけですから、実際これからのあっせん基準でどこが適格要件と違うかとなれば、主として農業従事者が一人か二人かということになるわけでしょう。そうですね。
#215
○政府委員(井上喜一君) 主として違いますのはこの二点でございまして、その二つでどちらがより違うかというような御質問であれば、家族の従事者要件の方がより違うであろうということは言えると思います。
#216
○下田京子君 いろいろと答弁を今までも伺っていますと、どうしてこういう金利上の差別をつけるんだと言いますと、構造政策上重点化を図る、そのために五%資金と三・五%と差をつけているんだというような御説明が必ずあるんですよ。しかし、そもそもこの農地取得資金を借りられる農家という点では、政府の構造政策に沿って、そして政府の言ういわゆる中核農家でなければ対象にならなかったはずですよ。ですから、その要件はさきにも申し上げたとおりでございますから、初めからこの農地取得資金というのは、二種兼農家や中小零細農家は借りることができないということでもってまさに選別的融資、つまり構造政策上、重点化を図るためにやられてきた資金なんですよ。それを今度農地移動適正化あっせん基準に準じて、あなたは三・五、あなたは五%と格差をつけるということで、一体政策的な意味づけがどこにあるのかと言いますし、今も言いましたように、もう一人か二人かの差しか出てこなくなるわけですね。この点でいきますと、一人の方が必ずしも規模が小さいというふうにも限らないんですよ。
 これは後藤経済局長にお聞きしたいんですが、私、意地悪を言うつもりはないんですけれども、三月二十七日の衆議院の委員会での御答弁を見ますと、平たい言葉で言えば農家らしい農家には三・五%、それ以外は五%を貸し付けると、こういうふうに説明されているんですけれども、こんな格好ですぱっと区分できるものなんでしょうか。
#217
○政府委員(後藤康夫君) 基準がかなり先ほど来御議論になっておりますようにいろいろございますものでございますから、それを詳しく御説明するのを避ける言葉として農家らしい農家ということを申し上げたわけでございまして、正確に申せば、先ほど来構造改善局長がお答えになっておられるとおりでございます。
#218
○下田京子君 本来ならこれは失言もので、取り消しをしなければならないようなことだと思うんですよ。そうでないと、今まで農地取得資金そのものが構造政策上に乗っかってやってきたものですから、仮にもそれをさらに振り分けるということになりますと、農家らしい農家でないところにも貸してきたという格好になるわけですよ。私はそこを申し上げたい。結局は、財政合理化がやっぱり主目的じゃないかと思うんです。
 その点で言いますと、財政当局から補給金が大きく予算が膨らむので金利を引き上げよという攻撃があって、一部五%ということで対応してきたわけですね。特別新たな私は農業政策上の意義があって五%にしたわけではないということが、今までのことでも明らかになったと思うんです。予算編成の過程で、大蔵省は内示段階では、大臣さっきもう一生懸命三・五%資金を守ったんだといみじくもおっしゃいましたけれども、三・五%は七割にせよ、そして五%は三割にせよ、こういうふうに言われていたと思うんです。それを三・五を九割で五%を一割に復活させたという点では、確かに大臣おっしゃったように頑張ったと言えますよね。しかし、大蔵省は農地取得資金について何と言っているかというと、宅地用地と同様に個人資産となる農地についての取得資金の金利が三・五%というのは低過ぎるではないかとか、規模が大きく富農となっている層に対しても一律三・五%という金利で取得資金を供給するのは所得の再配分という観点を無視したものではないか、こういうふうな攻撃がなされたと思いますよ。
 結局、あれこれ言われているけれども、大蔵当局の理屈に屈服したことになると思うんです。なぜかというと、つまり農水省は頑張って今回は一割で済んだと言いますけれども、五%の資金の割合が次は三割、次は五割というふうな格好でふやされていく、そういう道を開いたということになると思うんですが、違いますか。
#219
○政府委員(後藤康夫君) 今回の三分五厘資金の融資の重点化につきましては、経過は一々詳しくは申し上げませんけれども、財政当局を初め各方面と相当な粘り強い議論を長期的にわたってやりました結果でございます。これをまた軽々に動かすというようなことは、私ども考えておらないところでございます。
#220
○下田京子君 最後に大臣、今も局長が三・五%を守るということを言われました。大臣もこの三・五%資金を守る決意を繰り返しお述べになっております。ただ、大事なのは、確かに大蔵からの攻撃があった、臨調からの指摘もあった、しかし最終的には農水省の姿勢そのものが大切だと思うんですよ。これは「特殊法人等説明資料」という農水省がお出しになっている資料の中で、あれこれ今弁解されておりますけれども、今まで言ってきました例えば貸付金利のところでどう述べているかというと、こう言っているんです。
  農林漁業は、自然条件に左右されるところが大きく、零細で収益性が低いことから投資に際してのリスクが高く、その回収に長期を要するという特殊性があり、生産性の向上等のための農林漁業投資を助長するためには、低利・長期の資金をもって支援する必要がある。特に、農地等の取得、土地改良事業等については、政策的要請に基づき、長期固定的な投資を計画的に推進する必要があり、できる限り低利の融資を行う必要がある。
こうちゃんと言っているんですね。「農地の取得による収益の増加は取得に要する資金に比較して小さく、低利融資でないと引き合わない。」、ここまで大変明確に述べてあるんです、ここに一部持ってきたんですけれども。こういう姿勢を後退しちゃいけないということなんですよ。大臣、どうですか。
#221
○国務大臣(佐藤守良君) 下田先生にお答えいたします。
 構造政策の基本でございまして、実はこれはもう先ほど先生御指摘のとおりでございますが、第一次内示においてはかなり厳しい線であったわけですが、本当に皆粘り強く頑張りまして折衝した結果、そういう結果になったわけであります。そんなことで、最後まで今後とも三・五%を維持、堅持したい、こういうふうに考えております。
#222
○下田京子君 ですから、私は時間がないからこっちで言いましたが、ちゃんと書いてあるその姿勢をきちんと貫かなきゃならない、弁解ばかりなさっちゃいけないということですよね。
 次に申し上げますけれども、外務省おいでですね。時間がありませんから簡潔にお答えいただきたいのですけれども、国際協力事業団の融資事業の点についての概要等でお聞きいたします。
 実はここに、「海外で事業を行うみなさまに」ということでの御案内のパンフレットがありますけれども、そのパンフレットの中身を見ますと、一つは関連施設整備のための融資ということでもって、例えば道路とか学校ということが対象になって、その融資条件は何かというと、四億円までは融資比率一〇〇%で金利は〇・七五%、四億円から二十億円までは融資率七〇%でこれも金利が〇・七五%、二十億円から三十億円までの際には融資比率が七〇%で、金利はこれはちょっと高いが二%から三・五%、償還期間は二十年以内、据え置き五年ということになっております。もう一つは、試験的事業資金としての融資ということでもって農産物の栽培、家畜等の飼育、造林、未利用樹加工などが融資対象になって、その条件は三億円以下融資比率一〇〇%で金利〇・七五%、三億から十五億円までが融資比率が七五%で金利が二・五%から三・五%、以下同じように二十年以内、据え置き五年という格好で、造林及び基盤整備の場合にはこれが三十年間償還、こういうふうにここに図入りで説明されておりますけれども、この条件は現在も変わっておりませんかどうかということが一つ。
 同時に、この融資条件の問題で、大蔵からとやかく言われた経緯はあるかないかの二点だけ、確認してください。
#223
○説明員(木幡昭七君) 融資条件については、ただいま先先の御指摘の条件は変わっておりません。
 それからもう一つの、大蔵省から何か注文があったことはあるかどうかという点でございますが、これは特に私ども難しい御注文があったことは最近はないと思っております。
#224
○下田京子君 農水大臣、いいですか、今農業者の国内にあっての融資の方は三・五を五にしろということで大蔵から言われた。ところが今外務省は、最近は特にそういうことがない、こういう御指摘がありましたよね。この点を一体農家の皆さんにどう説明されるかということなんです。まさに今の答弁というのは、軍事費と並んで経済協力基金というのが聖域扱いされているということですね、経済協力の分野ですか。
 特に、今のお話の中で具体的な事業なんですけれども、例えばエスビー食品がマレーシアでスパイス栽培実験事業を実施して、成功すればエスビー食品の原料になるのですけれども、これに対して約八千万円、金利〇・七五%、これはまさに手数料並みの安さですよ。償還期間が二十年以内ということで今言ったとおりです。また、三菱商事の場合には、開発輸入のためのパイナップル開発事業をタイでやっているんですけれども、これも同じようなもの。もうどう考えても大企業、大商社の利益につながるためにやっているのじゃない
かと言わざるを得ませんよ。しかも、その原資は何かと言ったら、一般会計なのですよ。国民の税金なのです。この投融資が五十年から始まったわけですけれども、五十九年度までの過去十年間の実績を見ますとどうかというと、トータルでもって三百十億四千三百万円、うち農林漁業案件が百六十六億二千七百万円と全体の五三・六%なんです。ですから、アフリカだとか食糧不足に困っているところを人道的に開発援助をするという、そういう性格のものとは違うのですよね。利潤追求を目的とする大企業、大商社になぜこういう低利融資をしなければならないのか。農業金利との関係で、農民にわかりやすいように御説明ください。
#225
○政府委員(後藤康夫君) この国際協力事業団が行っております投融資でございますが、開発途上地域におきます経済社会の発展に寄与をする農林業関係プロジェクトのうち、海外経済協力基金でございますとか輸銀等の融資の対象になりがたい試験的なリスクを伴う事業、あるいは農林業プロジェクトに付随して関連地域の住民の福祉向上や地域開発に資する施設等を整備をする事業を対象にいたしておるものでございます。
 これも、いろいろそういう農業開発をいたします場合に例えば相手国と費用を折半をする、そしてその日本側の部分を試験的なリスクを伴うものでありますとか、地域開発関連の施設のために投融資という形で協力事業団が融資をするということでございまして、これは国内で同種の事業が行われるといたしますと、補助事業の対象になるような事業というのはたくさん含まれているわけでございます。それを償還を要する融資という形でやっておりますので、今ちょっとお話がございましたけれども、手数料並みの金利というようなことになっておるわけでございます。
 この問題につきましては、やはりこれだけの低利の融資でございますから当然財政負担もかかるわけでございますが、反面、開発途上国に対します援助、これは無償援助でありますとか贈与でありますとか、そういう一〇〇%のあれと……
#226
○下田京子君 質問に答えてください。
#227
○政府委員(後藤康夫君) いや、今お答えをしているところでございます。
 投融資のようなものにつきましては融資条件、これをどの程度贈与の要素があるかというようなことで総合いたしまして各国比較しておりますが、我が国はこの先進国の中でそういう贈与的な要素の比率ということからいいますと、先進国の中で十六位というようなことで、これ以上条件を悪くしにくいというような状況にあるということも一つあるわけでございます。
#228
○下田京子君 最後に一点だけ申し上げておきますけれども、私は質問に答えてと言ったのは、事業の中身を説明せよと言っているのじゃないんですよ。今、局長は延々とそれを説明されていたわけです。片一方、今、構造政策上、本当に足腰の強い農業云々と、こうよく言われますけれども、三・五%資金でも高いと言われるような農地取得資金を何で一部であっても五%に上げるのか、片や海外にあっては、今お話しの中にありましたが、開発途上国だとか食糧不足のところへの援助の話とは別なんですよ。それを私は申し上げたんです。
 特に、きょうはブラジルに対する日伯セラード農業開発協力事業の問題で質問もしたかったんですが、これは次回に譲ります。特に、このJICAの投融資事業の中で最も大きいのがこれなんです。このセラード開発事業なんです。総額七百億円。そして日本がその二分の一、しかも金利はと言えば、二・五%の資金というようなものを国際協力事業団、つまりJICAが貸し付けている、こういう事業もやられているわけなんです。ここを一体農民にどう説明するのかということを申し上げたんです。
 いずれにいたしましても、とにかくあれこれ今御答弁がありましたけれども、本当に企業活動だけは保護するけれども、農民の営農をきちっと保護していくというような姿勢が欠けていったら大変だということだけを最後に指摘いたしまして、終わります。
#229
○喜屋武眞榮君 私は、去る十八日の委員会で残した問題を主に質問をいたします。
 その柱は、農業改良資金助成法につながる問題点であります。その目的には、農業者が新しい技術を導入するために必要な資金、そうして農業経営の安定、生産の増大というねらいを持って、無利子、無担保でという条件をお出しなされて、これは非常に結構なことだと思います。ところが、今回の改正案で畜産、果樹、あるいは野菜、養蚕、各資金を設けて貸付限度額の増額、そして返還期間の延長という条件は結構だと思いますが、そこで、この問題につながる点で、野菜の生産高度化資金と養蚕技術総合改善資金の償還期間が、養蚕の場合は七年になっておりますね。ところが、内容が大同小異だと思うわけですが、野菜生産高度化の方については五年ないし七年という条件になっておりますね。二つに差を持たした理由は何なのか。私といたしましては同様に七年にすべきじゃないだろうか、こう思うわけなんです。その理由と、また七年にできないというならば、一体それはどういう理由であるのか、七年を目標にひとつ検討していただきたい、こういう願いを込めて質問いたしておるわけです。
#230
○政府委員(塚田実君) お答えいたします。
 御指摘のように、この野菜関係の資金につきましては償還期限が二通りありまして、野菜作柄安定品質向上資金につきましては償還期限は五年以内、それから施設野菜経営改善資金につきましては七年以内、こういうことになっているわけでございます。
 そこで、前者の方の野菜作柄安定品質向上資金の償還期限がなぜ五年であるかということでございますが、これはまず養蚕と野菜とはちょっと違いますのは、野菜の場合は施設を新しく導入しますとその年からある程度の所得が見込まれるという事情がありまして、それから収益性、これは私どもいろいろ計算もしておりますが、収量が安定する。野菜の場合非常に不安定なわけですけれども、このような施設、これは主として雨よけ施設でございますが、そういう施設を導入しますと収量も安定しますし、それから品質向上もあるわけでございまして、そういう収益性から見て、五年で償還が可能であろうというふうに考えているわけであります。
 それからもう一つの理由を申し上げますと、これは雨よけ施設でも主な資材と申しますのはパイプでございます。パイプの耐用年数を考えますと、従来からこれは五年ということになっております。そういうようなことで五年にいたしたわけでございます。
 しかしながら、後者の方の施設野菜経営改善資金につきましては、これは環境制御を行う方式でございますが、資材としてはコンピューターが主でございます。コンピューターを使って環境制御をするわけでございますが、この場合はコンピューターを使うこと自体がやはり相当の技術の習得が必要ですし、この償還もコンピューターということでございまして七年を必要とするというようなことがありまして、こちらの方は七年以内にしているという状況でございます。
 そういうわけでございまして、雨よけ施設の方の五年以内というのは、私どもは五年以内で十分対応可能ではないかというふうに考えているわけでございます。
#231
○喜屋武眞榮君 おっしゃることもわからぬわけじゃないんですが、要望としまして、もう一遍ひとつ御検討願いたいということを申し上げておきます。
 次に、改良資金の需要の状況を見ておりますと、それは国から県への資金の流れということであります。はっきり統計表も示しておりますが、見ておりますと、府県別に県によって相当のばらつきがありますね、ばらつきがある。ところが、そのばらつきを考えてみますのに、一つには、この資金の貸出基準が厳しいために利用したいけれどもしないのであるか、もう一つ考えられることは、県が資金に対する対応の熱意が足りないのであるかどうか、こういうことが一応考えられます。
 といいますのは、この表にも示すとおりに、完全消化した県もあるし、完全に近い額を消化したところもあるが、丸々と莫大な額を残しておる県もあるわけなんですね。そのことについてもお聞きしたいんですが、私が思うのに、国はもっと意欲的に県を通じて資金についての理解、啓蒙、PRをすべきではないだろうかということを痛切に感じます。そしてまた、この改正案によってこの資金が全国調整されることによって、今度は気になりますことは、資金の貸し出しを抑制される懸念があるような気がいたします。そのようなことも結びつけて、この際確認をしておきたい、こう思いますので、ひとつ伺います。
#232
○政府委員(関谷俊作君) 何点かお尋ねがございますが、第一の、県の貸し出しにばらつきがある理由でございますが、それでお尋ねの中でお挙げになりました基準が厳しいという点でございますが、これは基準は、御承知のように全国全く同じ基準でございます。それから一部、地域農業技術導入資金のように、県が自分で考えて地域の実情に応じて資金を融通をするというものもございます。したがいまして、基準の問題はないというふうに考えております。
 また、県の熱心さはどうかということでございますが、これは、御承知のように県も三分の一の資金を投入しておりますので、当然その地域の農業の改善のために一生懸命融資をしている、こう考えておりますので、全体としまして、ばらつきの理由というのは、やはり資金造成がかつて行われた年度とその後の各県ごとの需要のいわば増減がずれが出てきた、この辺のところが一番大きいのではないかということで、今回御提案しているような全国調整をしたらどうか、こういうことでございます。
 この趣旨はあくまでもむしろ需要が現在の資金量から見ますと非常に強い、そういう県について資金を重点的に配分していく手段として行うわけでございますので、お尋ねのような貸出抑制というようなことは私どもないのではないか。いずれにしましても、御質問の中にありましたように、この資金は三十一年からできておりますが、今後ともこの資金、特に今度設けられます新しい資金の内容、こういう点についてはPRを十分いたしまして、本当にこういう資金を必要とする農家が借りますように、十分指導してまいりたいと思っております。
#233
○喜屋武眞榮君 このことについての本当に目的が十分果たされるように、ひとつ円滑な運用について要望しておきます。
 次に、この法案の改正後、国の立場から、また農家の立場から、改正後にどのようなメリットがあるのか、そのことについてお伺いします。
#234
○政府委員(関谷俊作君) 今回の改正の一番大きな点は、生産方式改善資金というものを設けるということと、経営規模拡大資金を設けるということでございます。両資金とも、一方は新しい生産方式の導入、一方は利用権設定による規模拡大ということで、これからの農業発展のために非常に大事な事柄をやっていただくために無利子資金を拡充するわけでございます。そういう意味におきまして、従来の技術導入資金あるいは生活改善資金、農業後継者育成資金、こういうものに加えましてこれらの新資金が大いに活用される、こういうメリットをねらっておるわけでございます。
 なお、先ほどのお尋ねで申し上げました全国調整につきましても、やはり資金の有効利用という面からこれは県の御理解を得ながら逐次進めてまいりたい、かように考えております。
#235
○喜屋武眞榮君 次に、私常日ごろからいつか機会があったらただしてみたいと、こう思っておる問題があります。きょうはそのことについてお尋ねをいたしたいと思います。
 それは、附帯決議というものの政策化ということについてであります。委員会のときには附帯決議がよく行われます。そして修正案の出ることもある、あるいは多数決で決まる場合もある、全会一致もあるわけですが、いずれにしても附帯決議というのがよくつきますが、大体附帯決議は全会一致という形になるわけなんです。
 そこで、この三法案に対しても過去においてそれぞれ附帯決議がなされておりますですね。その過去において決議された附帯決議は、どのようにその後の政策に具体的に生かされてきたか。と申しますのは、附帯決議に対しては必ず担当大臣が、誠意を持ってその実現に云々という決意表明がございますね。私はそれに非常に大事にしていかなければいけないと、こう思うわけなんです。といいますのは、原案ではいろいろ意見があっても附帯決議によって補われて完全なものになる、いわゆる国民要求そして委員の要求の中身が織り込まれていくわけでありますので。そういつた考え方に立って、私は附帯決議というのは非常に重視していかなければいけないのじゃないか。
 そこで、きょうは、三法案についてそれぞれ附帯決議がなされておる過去がありますが、すべてについて申し上げる時間も、また御答弁の時間もないと思いますので、一例、例えば昭和五十二年四月十九日、参議院の農水委員会でこの法の一部を改正する法律案に対して決議が行われておりますね。はしょって大急ぎで申し上げますと、一つには、目的として農業経営の改善、農業後継者の育成、二つに、農業改良資金制度の実効ある運営に努めょとか、三に、技術導入資金の特認事業は地域農業の実情に対応した適切な運用を図れとか、それから農業後継者育成資金の部門経営開始資金は貸付限度額の引き上げ、償還期間の延長等貸付条件の改善を検討せよとか、そしてこのことは、同年の衆議院においても大体同様の附帯決議がなされておりますが、まずそれを一例としてどのように政策にあらわれてきたのか、お伺いいたします。
#236
○政府委員(関谷俊作君) 附帯決議の内容につきましては、私ども法案をお願いしまして、その運営につきましてはこれを実施すべく努めておるわけでございます。
 ただいまお挙げになりました五十二年の当委員会の決議を中心に申し上げますと、改良資金全体につきましては、当時から次第に拡充をしてまいったわけでございますが、現在の資金造成額トータル約一千億円近くになっておりまして、今回新たに国及び県の資金投入によりまして新しい資金を中心に拡充をしていく、こういうことに相なっているわけでございます。
 具体論につきまして幾つか申し上げますと、農業後継者育成資金のうちの部門経営開始資金の貸付条件でございますが、これにつきましては、全般的にこの資金は非常に大事でございますので、いろいろ技術指導も行いながら拡充をしておりますが、昭和五十八年、貸付限度額は従来一般が三百五十万円、特認四百五十万円でございましたのを一般四百五十万円、特認五百五十万円という引き上げを行っておりまして、今後ともさらに実態を見ながら改善に配慮してまいりたい、かように考えております。
 第二に、農業改良資金の貸付枠あるいは資金造成の問題は、今申し上げましたように全体一千億という水準に達しまして、五十二年度から五十九年度まで国費、県費合わせまして新規造成三百三十四億円行っておりますし、六十年度の改正も含めましてさらに拡大に努めてまいりたいと考えております。
 第三点は、技術導入資金の特認事業の問題でございます。これにつきましては地域農業技術導入資金というものがございまして、これは御承知のように県知事の指定によりまして特認事業を設けるわけでございます。これは実は、現在これが特認というよりはむしろこちらの地域農業技術導入資金のいわゆる特認部門の方が技術導入資金の中では大宗を占めてまいりまして、こういう形で特認事業を運用するということで、県におきましてもそれぞれの地域のかなり特色のある事業を取り上げ、指定をしてこの資金を活用しておられる、こういう状況でございます。
#237
○喜屋武眞榮君 次に、最後にしたいんですが、また積み残すことになりますけれども、御迷惑かけてもいけないと思いますので……。
 次のことをぜひひとつ大臣の所見として承りたいと思うことがあります。それは午前の参考人の御意見の中からも強調されたのでありますが、融資をして、経営者農民が借り入れをしてそれぞれ運用する、ところが、融資を受けてそれを生かそうということで頑張ったけれども、結果的には生産協定をしていかなければいけない。結果的には、経営者農民が生産協定の羽目に追い込まれてきた。しかも、生産協定という事態もこれはおかしなことでありますが、価格も据え置きになるどころか、だんだん今度は価格が落ち込んでいく、こういう事実もあるわけなんですね。こういうことを考えてみました場合に、全く国民の声の中からも時々聞くんですが、こんな愚かな農業政策がどこにあるのか、全く農業政策のないノー政と言わなければいけない、農業政策のないノー政だという皮肉も国民の中から聞くわけでありますが、これは午前の参考人の御意見の中にも、借り入れして、いわゆる融資をして、それを活用して精出してやったら逆に追い込まれて、今度は生産協定をしなければいけない、まことにもって能のないことである、警戒しなければいけない、こういうことを強調しておられたわけてありますが、そのことと思い合わせて、日本の農政のあり方を静かに考えてみた場合に、私は思い当たる節が幾らでもあるというわけであります。
 そこで大臣に、今回金融三法が改正されますが、本当に実のある、実効のあるためには、私は思うに、営農指導体制の整備強化が最も重要であると考えられるんです。それを抜きにしたのでは、また目玉のない農政に、これこそまたノー農政にしかならない、こう思われてなりません。そういう意味で、本当に目玉を入れてもらうためには、制度を実効あるものにするためには、営農指導体制の整備強化が最も重要である、こう考えるわけでありますが、それに対する大臣の先見性、豊富な御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
#238
○国務大臣(佐藤守良君) 喜屋武先生にお答えします。
 御指摘のとおりでございます。今度の制度金融の目的を達成するためには、まず第一に、私は経営者の経営及び技術能力の向上が大切、それと相まって農林漁業者が必要とする資金が融資機関の的確な審査のもとに適時適切に融資される、また、資金融通後において制度の目的に即した適切な営農指導が行われることが非常に大切であると考えております。
 そんなことで、この点、従来から融資機関の職員の研修等による審査能力等の向上、また普及組織及び農協等による営農指導体制の強化等に努めてまいったところでありますが、今後とも制度金融の適切な運用を図るために十分な指導を行ってまいりたいと考えております。
#239
○委員長(北修二君) 他に御発言もなければ、三案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#240
○委員長(北修二君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより三案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#241
○下田京子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております金融関係三法案のうち、特に農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
 改正案の改正項目の中には、総合施設資金の拡充とか林業経営改善資金、新規用途事業資金の貸付対象の拡大など、今日の農林漁業の実態に即した幾つかの改善も見られます。しかし、貸付金利の引き上げという農林漁業金融制度にとって原則的な後退を意味する措置が盛られており、到底賛成することはできません。
 政府は、今回の三・五%資金の一部五%への引き上げについて、構造政策の方向に即して重点化を図ったものとしています。しかし、例えば農地取得資金の場合、現在でも貸付対象を地域の平均規模以上の農家に限定し、第二種兼業農家や中小零細農家を融資対象から締め出す選別的な融資となっております。それを金利面で三・五%と五%に区分することは、政府の言う構造政策上何ら合理的な意味を持つものではありません。
 そもそも今回の法改正は、利子補給金抑制の見地から貸出利率を含む貸付条件の見直しを指摘した臨調答申の実行であり、まず金利引き上げが先にあって、構造政策に即した重点化などは後でつけた理屈にすぎません。しかも政府は、五%資金対象は一割程度と説明しておりますが、大臣の定める要件次第で三・五%資金の適用範囲を幾らでも縮小することが制度上可能になり、この点から今回の改正は金利引き上げの突破口と見ざるを得ません。
 農林漁業は自然条件に左右されるところが大きく、零細で収益性が低いことから、投資に対してのリスクが高く、その回収に長期を要するという特殊性があり、したがって農林漁業制度金融の低利かつ長期金利体系は当然であり、いわば命であります。これを農業振興や経営安定に逆行し、専ら財政支出削減を優先させる立場から金利引き上げに道を開くことは、制度そのものの自殺行為であり農林漁業金融公庫法の目的にも反するものです。
 今、農林漁業制度金融に求められておるのは、借金の累増にあえぐ農林漁業者の経営立て直しのための抜本的な負債対策の実施であり、規模拡大を機械的に押しつける選別融資を改め、意欲を持って経営改善に取り組む農林漁業者に対し、より長期低利の融資制度の拡充を行うことです。そして、新たな投資が借金の増加、経営悪化につながることなく、生産の発展と経営の安定向上に真に結びつくために、アメリカ等の圧力に屈したこれ以上の農林水産物の市場開放策を改め、農林漁業を国の基幹産業として位置づけ、自給率向上を基本に、しっかりとした保護政策を実行することが何よりも重要であることを主張し、私の反対討論を終わります。
#242
○委員長(北修二君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#243
○委員長(北修二君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより順次三案の採決を行います。
 まず、農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特別会計法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#244
○委員長(北修二君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#245
○委員長(北修二君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、農業近代化資金助成法及び漁業近代化資金助成法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#246
○委員長(北修二君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 村沢君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。村沢君。
#247
○村沢牧君 私は、ただいま可決されました農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特別会計法の一部を改正する法律案、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案及び農業近代化資金助成法及び漁業近代化資金助成法の一部を改正する法律案の三法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び二院クラブ・革新共闘の各
派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特別会計法の一部を改正する法律案、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案並びに農業近代化資金助成法及び漁業近代化資金助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、農林水産業をめぐる厳しい諸情勢に対処し、足腰の強い農林漁業経営を育成するため、農林漁業金融制度の運営が一層効果を発揮し得るよう、次の事項の実現に万全を期すべきである。
 一、農林水産施策の推進に必要な補助及び融資については、それぞれの特質に応じて適切にその役割を分担・補完し、十分効果が発揮されるよう措置すること。
 二、制度資金については、その使命の重要性にかんがみ、三・五%資金をはじめとする長期・低利資金の円滑な供給を図るため、必要な予算の確保並びに農林漁業をめぐる諸情勢の変化に即応した融資条件の緩和、融資対象の拡大、融資枠の確保等に努めること。
 三、制度資金の融費対象者の範囲については、農林漁業経営に意欲的に取組もうとする者が幅広く活用できるよう、適切に運用すること。
 四、制度資金の所期の目的が達成されるよう適正な貸付の確保に努めるとともに、改良普及員、農協営農指導員等による融資後の経営指導の徹底等を図ること。
  また、農林漁業者の資金需要に適時、的確に対応するため、貸付手続の一層の簡素化に努めること。
 五、農林漁業金融については、系統金融、近代化資金、農林漁業金融公庫資金等が、その役割に応じ、十分機能を発揮し得るよう、分野調整に努めること。
 六、系統資金については、その活用を図るため、組合員の資金需要に積極的に対応するとともに、農林漁業と農山漁村の実情に応じた適正な貸付が確保されるよう指導等に努めること。
   また、金融の自由化等の急速な進展に対処するため、系統の組織及び機能のあり方について、本来の役割を踏まえ、幅広く検討を行うとともに、系統信用事業の基盤整備と効率化の指導に努めること。
 七、農林漁業者の負債の実態把握に努めるとともに、固定化負債を含め負債整理のための金融制度のあり方について十分検討を行い、経営の安定を期する見地から所要の措置を講ずること。
 八、融資の円滑化を図るため、融資保証、保険制度の適正な運営と所要の改善に努めること。
  右決議する。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#248
○委員長(北修二君) ただいまの村沢君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#249
○委員長(北修二君) 全会一致と認めます。よって、村沢君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、佐藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。佐藤農林水産大臣。
#250
○国務大臣(佐藤守良君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
#251
○委員長(北修二君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#252
○委員長(北修二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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