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1984/05/23 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 農林水産委員会 第17号
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1984/05/23 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 農林水産委員会 第17号

#1
第102回国会 農林水産委員会 第17号
昭和六十年五月二十三日(木曜日)
   午前十時五十九分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     浦田  勝君     嶋崎  均君
     水谷  力君     徳永 正利君
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     嶋崎  均君     浦田  勝君
     徳永 正利君     水谷  力君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         北  修二君
    理 事
                高木 正明君
                谷川 寛三君
                最上  進君
                村沢  牧君
                藤原 房雄君
    委 員
                岩崎 純三君
                浦田  勝君
                大城 眞順君
                岡部 三郎君
                熊谷太三郎君
                坂元 親男君
                竹山  裕君
                初村滝一郎君
                星  長治君
                水谷  力君
                稲村 稔夫君
                山田  譲君
                刈田 貞子君
                塩出 啓典君
                下田 京子君
                田渕 哲也君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農林水産大臣   佐藤 守良君
   政府委員
       農林水産大臣官
       房長       田中 宏尚君
       農林水産大臣官
       房審議官     吉國  隆君
       農林水産省経済
       局長       後藤 康夫君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     関谷 俊作君
       農林水産技術会
       議事務局長    櫛渕 欽也君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        安達  正君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(北修二君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○村沢牧君 農業共済制度が発足してから三十九年目になりますが、この間、何回もの制度改正を経て、逐次内容も充実をし、国の農業災害の基本として農業経営の安定、農業生産力の維持発展に寄与してまいりました。今、我が国の農業は、食糧自給率の低下、農業所得の伸び悩みの中で生産性の高い農業の展開が求められているとき、災害を補てんし再生産を確保するためにも、農業災害補償法の果たす役割は大きなものがあります。
 ところが、今回の法改正は、若干の改善点はあるものの、国庫負担の圧縮を初め制度の根幹に触れるような基準の見直しに主眼を置いたものであって、これは改善とは言えない。制度を後退させるものであるけれども、大臣はどう考えますか。
#4
○国務大臣(佐藤守良君) 村沢先生にお答えいたします。
 農業災害補償制度は、先生御存じのとおりでございますが、地理的条件や気象条件から自然災害の発生の多い我が国においては、農業経営の安定を図る上で不可欠の制度であると考えております。特に近年、冷害等の異常災害が多発する中で、本制度は農業経営の安定に大きな役割を果たしているところでございます。しかしながら、今回の農業災害補償法の改正につきましては、昭和五十五年の前回の改正以来五年近くを経過した現在、農業事情及び農家の保険需要が変化してきており、これに即応した制度の改善が求められるとともに、厳しい財政事情のもとでより効率的な制度とすることが必要となってきております。
 そういう状況にかんがみまして、今回、農業事情等の実態に即応した制度運営の改善合理化を図る見地から、種々の改正を六十一年度または六十一年産から実施することとしたものでございます。
#5
○村沢牧君 大臣は本法の提案理由説明の中で、補償内容の充実と制度の合理化を図ることを旨として本改正を行うというふうに述べていますが、改正法案並びに政令、省令の中で充実に値するもの、合理化に該当するものは何であるか、挙げてください。
#6
○政府委員(後藤康夫君) 今回の法改正の内容について申しますと、充実改善という観点から申しますと、家畜共済におきまして肉牛の子牛共済を新設する、それからまた果樹共済につきまして特定危険方式の補償水準の引き上げなり、あるいはまた共済責任期間の短縮というようなことで加入の促進を図るための条件を整備するというようなことを中心にいたしまして、共済掛金率の設定方式の改善でございますとか、あるいは病虫害の事故除外方式の導入といったような保険需要なり、あるいはまた近年の農業事情の変化に対応しました改善充実を図るということでございます。
 もう一つ、大臣のお答えになりました、より効率的な制度運営を図るというような観点に立ちました事項といたしましては、共済掛金国庫負担方式の合理化というような事項が、この法律に含まれているわけでございます。
#7
○村沢牧君 内容を充実したといっても、後ほど指摘いたしますが、多くの問題点があるわけであります。
 制度の合理化という極めて耳ざわりのいいことを言っているんですけれども、その中身は国庫負担の削減であり当然加入基準の引き上げである。これは制度の根幹に触れています。合理化じゃなくて、むしろこれは後退であります。改悪じゃないですか。
#8
○政府委員(後藤康夫君) 私ども、近年におきます農業事情の変化に即応いたしました改善充実を図りますとともに、厳しい財政事情のもとでこの制度運営の効率化を図っていくという両方の問題意識を踏まえまして、制度の見直しをし改正の御提案を申し上げているわけでございます。現時点におきまして、農業共済制度を将来に向かって盤石な制度にしてまいるという観点からいたしまして、私ども今回の改正を改悪というふうには考えておらないところでございます。
#9
○村沢牧君 具体的に合理化という言葉に当てはまる改正事項は何ですか。もっと具体的に言ってください。
#10
○政府委員(後藤康夫君) 先ほども申し上げましたように、共済掛金の国庫負担方式の改正がそれに当たろうかと思っております。
#11
○村沢牧君 ですから、合理化という言葉を使ってもこれは改悪じゃないですか。国庫負担を縮減するんですから、これは改悪ですよね。
 それから、この共済事業は、国の農業災害対策の一環として極めて社会的色彩の強い公的事業である。保険の仕組みによって農業の再生産を維持し、国民食糧を安定的に供給しようとする国の重要な政策課題であるというふうに理解しますけれども、大臣の見解はどうですか。
#12
○国務大臣(佐藤守良君) 先ほどから言っておりますけれども、農業災害補償制度というのは、農業者が不慮の事故によって受けることのある損失を補てんして農業経営の安定を図り生産力の発展に資することを目的とし、災害により被害を受けた農家の救済を合理的に行う見地から、これは保険の手法により農業経営の安定を図ろうとするものでございます。本制度は、農業経営の安定を通じた農業再生産の確保、ひいては国民食糧の安定的確保に寄与しておるものと考えております。
#13
○村沢牧君 つまり、政策課題であり政策保険である、このことはそのように理解してよろしいですね。
#14
○国務大臣(佐藤守良君) そのとおりでございます。
#15
○村沢牧君 農業共済が政策保険であるとするならば、共済掛金及び基幹事務費に対して国の財政支出は当然のことであります。法は国庫負担方式と言っているけれども、この負担方式ということは当然負担をすべきものとして財政を支出する、このように私は理解するんです。しかし、これを政策目標に合わして助成をするという意味なのか、あるいは国庫負担を軽減するために補助をするということなのか、農災制度に対する財政支出の性格について農水省の見解を示してください。
#16
○政府委員(後藤康夫君) この農業災害補償制度におきます国庫負担の意味づけでございますけれども、これは農業災害補償制度を国際的に見ましても、我が国の制度が非常に大きな、また非常にきめの細かいものになっているというふうに私ども認識しておりますが、これは我が国におきまして気象の変化が非常に激しくて災害が多発する、しかも生産条件なり経営規模の零細性というようなことから、直接的な被害を災害によって最もこうむりやすいという我が国の農業の特性を踏まえたものだと考えております。そういった状況の中にあります我が国の農業のこの災害に対する対応としまして、その都度の臨時補給的な対応ということじゃなくて、あらかじめ農家の経済的負担を無理なく誘導しながら、しかるべき準備を不断に造成をしまして、災害があった場合に適切にこれに対応する、こういう仕組みをつくりまして掛金の一部を国庫負担しているわけでございます。
 したがいまして、確かに単なる誘導的な、あるいはまた奨励的な通常の予算補助とは若干性格が異なると思います。当然のことでございますけれども、予算に基づく負担ということになっておりますし、それからまた通常、法律に基づく国の負担なり補助でございましても、その負担率なり補助率というものは行政府の内部における予算の査定にゆだねるということではなくて、法律の別表で掛金の国庫負担の率も規定をしているというような、法律に基づきます災害対策としての公的な保険制度上の負担金というふうに理解されるものであろうと思います。
 ただ、そういう性格でありますからといって、その負担の仕方というものがいかなる状況の変化に対しても常に変更されるべきものではないということには必ずしもならないわけでございまして、その制度の運用の実態なり、あるいはまた農業政策の全体の中での位置づけ、農林水産省の予算全体の中での適切なシェアなり、あるいはまた、当然のことながら、財政事情一般の動向といったようなものとの関係で、国の負担をいかにすべきかということについてやはり一つの見直しをするということも当然あり得るわけでございまして、そういった観点からの見直しをいたしまして、この負担の仕方につきましても法律事項でございますので法改正という形で御審議をお願いをいたしているわけでございます。
#17
○村沢牧君 今、答弁があったように、農災制度に対する国庫負担は単なる補助金ではない。ところが、過去の法改正によって国庫負担がだんだん削減をされてきたけれども、今回の改正によってさらに圧縮されることになる。しかし、共済制度の位置づけと生い立ち、あるいは特徴を見るならば、時々の財政事情によって負担金を削減したり制度の見直しをするということは間違っているんじゃないか。制度の見直しということは、制度をより充実するために改善することが基本であって、最初に財政問題があり、国の財政削減の一環として制度を改悪するというような態度はこれはとるべきではない。大臣はどういうふうに思いますか。
#18
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。
 現行の農作物共済掛金国連負担については三つの問題点があると思います。その一つは、適地適産の推進という農業政策との整合性を図る必要があると思います。二番目には、他の公的保険制度と比較して高い水準にあること。さらには、農作物共済掛金国庫負担金額については、共済金額の上昇に伴いまして当然増的に実は増加する傾向にあり、近年における厳しい財政事情のもとで他の共済事業について拡充、改善を行う観点からも、農作物共済の国庫負担の合理化が必要となっていること等の三つの大きな問題点がございますが、今回、超過累進制を残しつつ国庫負担の合理化を行うこととしたものでございますが、今後、先生御指摘の掛金国庫負担割合をさらに見直すことは当面考えておりません。
#19
○村沢牧君 大臣の説明を聞いておると、今までの国庫負担が多過ぎたから今度削減をするのだというような意味にとられるんですけれども、私は決してそんなことはないと思う。しかし、今回の改正だって最初に財政問題があって、その財政削減の一環として制度を改めていこうとするんではないか、そのことがこの共済制度の性格からいって誤りである、そういうふうに私は指摘をしているのですが、どうなんですか。
#20
○政府委員(後藤康夫君) この掛金国庫負担割合の問題につきましては、もちろん近年の厳しい財政事情、共済金額そのものが毎年膨らんでまいりますので、当然のことながら一種の自然増的に増大をしてまいりまして、農林水産省の全体の予算が厳しいシーリングのもとにございます中で年々増加していくというような事情と、そういった財政上の問題と全く無縁に検討されたというふうなことを申せば、これは確かにうそになるというふうに思っております。そういうことも当然非常に大きな背景の一つにございます。
 ただ、それのみならず、先ほど申し上げましたように、近年のそういった状況のもとで他の公的な保険制度と比較をいたしました場合に、例えば漁業共済でございますと国庫負担割合が約四五%である、あるいは漁船保険の場合は約二六%、雇用保険の場合は給付費の二五%というような状況でございまして、他に例を見ない高水準にあるというふうなことに加えまして、近年、御案内のとおり現在でも年々五十数万ヘクタールの生産調整をやりまして、適地適産という観点からの農業生産の再編成を進めておるわけでございますが、米の需給事情は非常に厳しい。いわば限界地と申しますか、高被害地でもぜひ米の生産を確保しなければいけないというかつての状況と米の需給事情も違ってまいっておりますし、適地適産によります農業生産の再編成という場合に、米につきまして被害率が非常に高いところに特に高い傾斜をつけて国庫負担をするということは、米の生産に対しまして国庫負担のやり方が中立的でないと申しますか、もう少し中立的であってもいいんではないか、むしろその方が現在の農政の全体の方向に適合するんではないか、そういった観点からの検討、そういった多角的な検討の中で、このような国庫負担の合理化ということを考えたわけでございます。
#21
○村沢牧君 局長の答弁を聞いておると、農業事情の変化によって国庫負担金も削減をする、こういう趣旨でありますけれども、しかし、農業の特殊性にかんがみて、農業を守りさらに再生産を確保するためにこの法律ができておるんですから、決して今までの国庫負担金が高過ぎるというふうに私は思っていないんです。局長の答弁のようなことで言っていくと、今回は超過累進制は辛うじて維持されておるけれども、将来もこれを見直して掛金率の国庫負担を五〇%に下げる、こういうことにもなりかねないのですが、そういう心配はありませんか。
#22
○政府委員(後藤康夫君) 実は、もちろん財政負担の軽減というふうな観点から申しますと、五〇%一律というような議論も財政当局的な立場からは議論のあったところでございます。五〇%にいたしましても、他の公的な保険の制度の国庫負担率に比べますとなおトップの状態にあるのではないかというような、あるいはまた、国際的な比較というような点から見ても高水準ではないかというような議論もあったわけでございますが、私どもこの問題につきましては種々の検討をいたしまして、やはり農業災害の発生の特殊性といったようなものを踏まえまして超過累進制はやはり残す必要があるということで、相当厳しい、また時間をかけた議論をやった上での今回の結論でございます。
 大臣からも今、当面これを今後変える考えはないという御答弁がございましたけれども、私どもも現在これを今後さらに変更するというようなことは考えておりませんで、この制度改正を踏まえまして農業災害補償制度の安定的な運営を今後図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#23
○村沢牧君 財政当局がこの国庫負担率についていろいろな意見を言っている。
 それで大臣にお伺いいたしますけれども、今回の改正は国庫負担を将来五〇%にするための過渡的な措置ではない、将来とも超過累進制をとって現行のこの改正法による負担率は守っていく、このことを確約できますか。
#24
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 私は現在そのように考えております。
#25
○村沢牧君 現時点じゃないですよ。あなたがいつまで大臣をやっておるか知りませんけれども、農林水産大臣として、農水省として確約できますか。
#26
○国務大臣(佐藤守良君) これは大変お答えの難しい質問でございまして、私が現職中は責任を持って守りますということでございます。
#27
○村沢牧君 そんな不謹慎な答弁はないですよ。現職中は責任を持ってやるのは当然ですよ、今法律改正するところですから。農水省としてどうなんですか。将来五〇%にするための過渡的な今度の改革じゃないんですか。
#28
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 今のところ――今のところという言葉がいろいろ問題があるわけですが、それしかちょっと言いようないですが、今のところ農林水産省はそういうことは毛頭考えておりません。超過累進制とそれから国庫負担の割合については、現在のまま守る決心でございます。
#29
○村沢牧君 局長もいつまで局長をやっておられるか知りませんけれども、農水省としてこのことは確約できますな。
#30
○政府委員(後藤康夫君) 当面のとか現在のところということではどうも当てにならぬではないかということでのお尋ねだと思いますが、より客観的に申しますと、これだけの大議論をして得た結論でございますから、現時点で予想をしがたいような非常に大きな変化というようなものが起きれば別でございますけれども、そのような変化がない限りにおきまして、この国庫負担の仕組みというものを堅持をしていくつもりでございます。
#31
○村沢牧君 国庫負担を今度縮減するんですから、もうこれ以上は縮減できないんですよ。これ以上縮減すれば、超過累進制度なんかなくなってしまう。ずっと将来とも農水省の姿勢、政府の態度を見ていますから、そのことをちゃんと確約をしてこの制度を守っていくということをさらに指摘をしておきたいというふうに思います。
 そこで、今回の改正によって共済掛金の国庫負担率の上限を引き下げ共済掛金区分を圧縮することによって、国庫負担割合はどのように変わるんですか。水稲、陸稲、麦についてひとつ述べてください。
#32
○政府委員(後藤康夫君) 私どもの試算をしておりますところによりますと、国庫負担割合は全国平均で水稲につきまして現在五九%でございます。現行の五九%が五四%程度に、それから陸稲につきましては七〇%が六〇%程度に、麦につきましては現行の六八%が六〇%程度に低下をする見込みでございます。
#33
○村沢牧君 そのことによって、国庫負担金総額はどのぐらい削減される見込みですか。
#34
○政府委員(後藤康夫君) 国庫負担の減少額を試算いたしますと、水稲について四十二億円、陸稲について一億円、麦について十四億円、合計で五十七億円でございます。
 なお、今年度に料率改定をいたしまして若干平均的な料率が下がりますので、これによります農家負担の減が二十三億ございますので、農家負担というような観点から申しますと、差し引きをいたしますと三十四億の増というふうになると試算をいたしております。
#35
○村沢牧君 そのように国庫負担が削減されると、反面、農家負担が増加するわけだ。そこで水稲の十アール当たり料率、一戸当たり農家負担額は全国平均でどのようにふえるんですか。
#36
○政府委員(後藤康夫君) 水稲について農家一戸当たり全国平均を試算いたしてみますと、今回の料率改定で五百三十円の低下になりますが、制度改正によりまして千二百五十円増加をするということになります。また、十アール当たりの水稲の全国平均で申しますと、料率改定で九十円低下をいたしまして、制度改正によりまして二百円の増加、差し引き百十円のアップというようなことになるわけでございます。
#37
○村沢牧君 その全国平均を、負担額の高い県あるいは低い県、それぞれ示してもらいたいというふうに思いますが、たくさんあるというふうに思いますので、三県ずつほど示してください。
#38
○政府委員(後藤康夫君) 全国平均では、制度改正によります十アール当たりの農家負担掛金の増加は二百円でございますけれども、超過累進の仕組みをとっておりまして、それを圧縮をいたしますので、都道府県別に見ますとかなりばらつきがございます。上昇の一番大きい県は、何と申しましても近年被害が多発をいたしまして掛金率の高い北海道でございまして、その上昇額は八百七十円、また最低の県は、被害が軽微で掛金率が低い福井県でございまして、その場合は上昇額は二十円というようなことでございます。
 比較的負担額の増の多い県と申しますと、今申しましたように北海道、高知、青森というようなところがございますし、低いところということになりますと、福井を初めとして新潟、石川、この辺の北陸地域のアップが少ないということになろうかと思っております。
#39
○村沢牧君 参考までにお聞きしますけれども、長野県はどんな状態ですか。
#40
○政府委員(後藤康夫君) 長野県の場合は、旧料率が農家負担が平均十アール当たり一千円でございますが、新しい料率によりましてこれが千五十円になりまして、制度改正後には千百三十円になるということで、料率改定によります十アール当たりの農家負担の増は、目の子で申しまして七%程度のアップだと存じます。
#41
○村沢牧君 一戸当たりの負担はどういうことなんですか、先ほどの例でいいですが。
#42
○政府委員(後藤康夫君) 一戸当たりの農家負担の掛金額は、五十八年の実績で、長野県の場合は三千百五十円でございます。
#43
○村沢牧君 長野県の場合だけ聞くんでなくて、例えば最高の北海道はどのくらいで、あるいは低いところはどのくらい、そういうことを示してください。
#44
○政府委員(後藤康夫君) 制度改正によります一戸当たりの農家負担の増加額でございますが、北海道について申しますと、北海道の場合は引き受け面積が非常に大きゅうございます関係もございまして二万九千円程度でございます。二万九千百五円でございます。長野県の場合は、一戸当たりの増加が二百六十一円ということになっております。それから福井でございますと、一戸当たりで百五十九円の増加ということでございます。
#45
○村沢牧君 今、説明があったように、これは北海道あたりは大変なことだと思いますね。これだけ負担がふえてくるといろいろなものに影響してくるというふうに思うんですけれども、そこで大臣、今説明があったように、国庫負担が削減されれば必然的に農家負担がふえてくる。大臣の答弁がありましたように、農災制度は農業災害対策の基幹であり、国も加わっての政策保険なんです。しかも重要な作物については強制加入、当然加入が前提となっており、農家はその制度を信用して加入しているんです。
 私は重ねて指摘をするんですけれども、国の財政が苦しくなったからといって、国の負担を減らし農家の負担をふやすというようなことはこれは間違いである。今回の改正についても、私はこれは賛成できかねるものでありますけれども、将来再びこのようなことをしてはならない。 このことをひとつ大臣、確認を願って御答弁いただきたいと思うんです。
#46
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。
 先ほど言いましたように、現在そういうことは考えておりません。
#47
○村沢牧君 そこで、現在考えておらないと言うけれども、今まで何回かの改正によってこのように国庫負担が削減をされ農家負担が増大をしてきたんです。昭和三十八年、四十六年にこうした改定が行われているんです。国庫負担を削減したことによって掛金、農家負担割合はどのように上昇したのか、今申しました過去の改正のときと今回を比較した数字を示してください。
#48
○政府委員(後藤康夫君) 昭和三十八年の制度改正におきましては、それまでの連合会単位の保険設計から組合等単位の保険設計に料率算定の基礎を変更をいたしました。また、国庫負担方式も、従来の超異常全額国庫負担方式から現在のような超過累進制に改める。そしてまた、共済掛金率算定の基礎年次も変更したということでございますので、そういったものが複合をした結果になっておりますので、農家負担の掛金率の上昇を単純に計算するということはなかなか難しいわけでございます。
 しかし、私ども当時のデータから、水稲につきまして、以上のような制度改正の中で農家負担の増加額が農家負担掛金総額としてどの程度増加をしたかということを計算をいたしてみますと、四・七%程度になろうかというふうに考えております。
 また、四十六年の改正につきましては、これは超過累進のやはり圧縮を行ったわけでございますが、同じような比較を当時の資料に基づいて計算をいたしますと、一・一%程度の農家負担の増加になろうと考えております。
#49
○村沢牧君 今回はどうですか。
#50
○政府委員(後藤康夫君) 今回につきまして、同じように農家負担掛金総額で今回の改正によりまして増加する金額を割って計算いたしますと、約一三%程度の負担の増加というふうに計算をされるわけでございます。
#51
○村沢牧君 過去の改正のときも、将来はこんなことはいたしませんとたびたび当時の大臣も答弁しておったんです。しかしその都度やっているじゃないですか。
 そこで、今話がありましたように、過去の改正のときの農家負担割合の上昇と今回とを比べてみると、今回ははるかに大きいわけです。過去二回にわたる改正では、激変緩和のために経過措置を設けて農家負担の割合を軽減したんですが、その内容を説明してください。
#52
○政府委員(後藤康夫君) 昭和三十八年の改正の際の激変緩和措置と申しますか農家負担掛金の調整交付金という名前になっておりますが、これは水稲につきましては三十九年から四十五年の七年間にわたって交付をされております。累積で合計をいたしますと約十三億円でございます。それから昭和四十六年改正につきましての補助金は、四十七年から四十九年までの三年間に約二億円を交付いたしております。
#53
○村沢牧君 三十八年の改正のときには四・七%の農家負担の上昇であった。しかし、その際には、激変緩和措置として七年間にわたって補助金を交付し、その金額は十三億円。四十六年の改正では一・一%の上昇であったけれども、三年間にわたって補助金を交付して、その金額は二億円。今答弁になったとおりであります。
 過去二回とも、政府が当初からそのような措置をとったんじゃない。これは議員修正によって経過措置を設けたんです。今回の改正は、今私が説明したように、過去の改正に比べて農家負担がはるかに高いんです。したがって、議員修正によらずとしても、政府の方でこうした改正案に合わせて激変緩和措置をとるのが当然のことじゃないのか。しかし、政府にはその熱意が見られない。そうだとするならば、過去の例に倣って国会でこれを修正しなければならないということになるんですね。そのことが、農家の負担にこたえて制度の充実にもつながってくるんです。
 そこで委員長に要請しますが、こういう実態でありますから、このことについては当委員会で検討していい方向を出すべきである。委員長の意見も聞きたいと思うんです。
#54
○委員長(北修二君) 理事会で十分検討させていただきたいと思います。
#55
○村沢牧君 それじゃ、この問題については、委員長の今の発言のように理事会で検討してくれるということでありますから、過去二回こういうことをやったんですから、しかし今回はできないということはないというふうに思うんです。私は理事会において私の意見も申し上げたいというふうに思うんです。
 次は、当然加入基準の引き上げについてでありますが、政令改正によって水稲共済の当然加入基準を十アールから三十アールを二十アールから四十アールにしようとしておりますが、その理由について述べてください。
#56
○政府委員(後藤康夫君) 今回、当然加入基準を定めます政令の改正を行うことにいたしましたのは、兼業化の進展等近年におきます農業事情の変化の中で、農業収入に依存する程度が小さく、また自家消費米の生産が主体であると見られるような二十アール未満程度の規模の農家につきましては、生産性の高い農業経営を育成するという、あるいはまた規模の大きな農家を育成するという農政の基本方向にもかんがみまして、こうした農家についてまでも当然加入の対象とする政策上の意義は乏しくなっているというふうに考えられますことから、当然加入基準の緩和を図ることにいたしたものでございます。
#57
○村沢牧君 当然加入率を引き上げるということは、中核農家を育成するという名目のもとに小規模農家切り捨てにつながる、こういう心配をするんですけれども、その心配はないのか。例えば水稲の経営を見ても、二十アール未満の農家が直ちに自家飯米農家、こういうふうには言えない。それから水田利用再編成対策でも米の需給計画でも、農家の規模によって差をつけているわけではないんです。なぜこのように当然加入率を引き上げをするのか。どうなんですか。
#58
○政府委員(後藤康夫君) 当然加入基準の問題と申しますのは、農業共済の制度の中で、保険と申しますものは、本来は自由な意思による契約なわけでございますけれども、母集団の確保でございますとか、あるいはまた逆選択の防止というふうな意味合いも含めまして、一定の基準に適合するものについてはその共済関係を当然に成立させるということなわけでございまして、任意加入の道というのは、当然加入基準の引き上げによりましてその基準から外れる農家につきましても当然残っておるわけでございます。やはりそのときどきの農業事情の変化というようなものを踏まえまして、どこまでを当然加入ということで強制的な共済関係の成立のもとに置くかという判断の問題でございまして、農業共済の制度から作付規模の小さな農家を除外するという趣旨ではございませんので、その点は御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 過去にも、これまでの法律の制度の枠内で知事さんが定めます基準、そしてまた、それを組合が受けまして当然加入の基準の引き上げを行いました組合の例などを見てみましても、確かに一〇%以上例えば減ったというようなところもございますし、ほとんど任意加入として残ったというところ、一律では必ずしもございません。やはり共済組合の加入促進の努力というようなものが適切に行われれば、私どもこれによりまして加入農家の数に非常に大きな変動を来すというふうには考えておらないわけでございます。
#59
○村沢牧君 時々の農業事情の変化によって判断をするという答弁ですけれども、水稲の生産に占める第二種兼業農家のシェアを示してください。
#60
○政府委員(後藤康夫君) 第二種兼業農家が米の生産量全体に占める割合につきまして、ちょっと私手元に申しわけございませんが数字を現在持っておりませんが、これはたしか食糧庁の調査だと思いますが、米穀生産者の階層別売り渡し状況調査というようなことで、作付面積規模で見ますと、作付面積三十アール未満の農家が占めます売り渡し数量の割合と申しますのは三・二%というような数字がございます。
#61
○村沢牧君 それは売り渡し数量であって、水稲は専業農家、いわゆる中核農家よりも兼業農家の方が多いんですよ。私の調査では五〇%以上が第二種兼業農家が占めている。つまり小面積の人たちですね。水稲というものから見れば、そういう小面積の人たちを当然加入から外していくという、こういうことは共済の趣旨からいってもこれは妥当でないというふうに思うんですけれども、そうだとするならば、この二十アールに引き上げた場合に、現在の水稲共済の引き受け実績から当然加入対象農家及び面積ほどのぐらい下がるんですか。
#62
○政府委員(後藤康夫君) 現在、当然加入基準が十五アールになっております十八部府県の三百五の組合等につきまして、都府県が基準を新たな下限面積である二十アールに引き上げたというふうに仮定をいたしますと、当然加入戸数は二百六十一万五千戸から六万三千戸減少いたしまして二百五十五万一千戸、それから当然加入の面積について申しますと、百八十一万三千ヘクタールから一万一千ヘクタール減少いたしまして百八十方二千ヘクタールになるというふうに見込まれるわけでございます。
 これによりまして、都府県の全引き受け農家戸数に対する当然加入農家戸数の割合は、現在の七八・四%から七六・五%に一・九%の減というふうに相なりますし、当然加入面積の割合で申しますと、九四・七%から九四・二%に〇・五%のマイナスになると見込んでおります。
#63
○村沢牧君 全国平均はそうですけれども、この当然加入の戸数なり面積の減少が多い県あるいは少ない県、これを挙げてみてください。
#64
○政府委員(後藤康夫君) 政令を二十アールないし四十アールに改正することによりまして当然加入基準を引き上げることになりますのは、先ほどちょっと申しました現在当然加入基準を十五アールとしております十八都府県の三百五の組合等でございますが、これを二十アールに引き上げるということで試算をいたしました場合に、当然加入者の中から任意加入に変わってくる、そのことによりまして当然加入者がどの程度減少するかという減少率が大きいところは東京、山梨、大阪、こんなところが二〇%以上でございます。減少率の小さいのは香川、埼玉、熊本といったようなところでございます。
#65
○村沢牧君 具体的な事例を申し上げますが、私の関係ある長野県下伊那北部共済組合について見ますると、五カ村合併の組合でありますけれども、水稲共済の引き受け戸数は四千三百二十一戸、二十アール未満は五三・六%の二千三百十七戸、したがってこれを二十アールにした場合、当然加入は四六・四%、二千四戸になり、半数以上が脱落するんです。この組合のうち、ある村は六二・八%が脱落する。全国にはこのような組合あるいはこれ以上の組合があるというふうに思いますが、どのように把握しているんですか。
#66
○政府委員(後藤康夫君) 個別の組合ごとに、そのような数値を私ども全部算出をして現在手元に持っているというわけでは必ずしもございません。やはり十五アール未満とか二十アール未満というふうな農家の多い地域ということになりますと、非常に大ざっぱに申せば、都市近郊的なところと、それからもう一つは山村的なところでございます。
 今お話のありましたような、長野県でも比較的山村的なところにつきましては、現在の状態でも、例えば十五アールという当然加入基準のもとにおきましても引き受け農家の相当な割合が任意加入の農家で占められているという実態があろうかというふうに思っております。
#67
○村沢牧君 全国的に試算をすればこの程度しか減らないから引き上げても問題ない、そんな考え方で法律を提案するのは間違いだ。もしこういうことになったら、全国でどのくらいの組合がどんな率になるんだ、そのことを調査しなければ全く無責任じゃないか。私は現実の問題を指摘しているんです。だって、これは長野県だけの問題じゃなくて、大阪周辺だってこういうのがあるんでしょう。全国、今私が申し上げたような組合では五〇%以上がもう任意加入になろうと思えばなるんです。加入しなくなってしまうんですよ。これで共済組合の運営が成り立つというように思うんですか。加入戸数がこんなに減って、共済組合の運営あるいは制度のあり方についてはどのように考えるんですか。
#68
○政府委員(後藤康夫君) もしも、当然加入から任意加入にステータスが変わりました農家が全部抜けてしまうというようなことに相なるとすれば、先生のおっしゃるようなことにもなるケースが出てまいろうかと思いますけれども、私ども先ほど申しましたように、こういった当然加入者の比率の低い地域におきましては現在でもかなり任意加入の方々が現に入っておるわけでございますし、当然、共済組合が引き続いて任意加入の方々の加入を促進をし堅持をするための活動をなさるはずでございますから、そういうことを通じましてそれほど大きな激変が生じることはないであろうし、またそういうことを期待もいたしておるわけでございます。
 もちろん、加入戸数の減少という結果がどの程度出てくるかというようなことは、一概にはしたがいまして言えないと思うわけでございますが、こういった当然加入基準の変更によりまして加入農家が減少することが懸念されるような地域につきましては、やはり新種共済を含めた加入の推進なり、あるいはまた防除体制の充実等々、経営努力はもちろんでございますし、場合によってはまた組織整備を一層推進するというようなことによって対処する場合もあろうかというふうに考えております。
#69
○村沢牧君 局長は、当然加入基準を引ぎ上げても任意加入で入ってくるから、あるいは現在入っているから心配ないというようなことをたびたび言っているんですけれども、私たち農家を歩いて、当然加入であっても農家にとってはいろいろな制度に対して意見がある。ここが、今度は任意加入になってくれば、私は入らなくてもいいということになるわけですね。果たして任意加入で今までのような農家戸数なり、あるいは面積を確保することができるのかどうか、その自信がおありなのか。いろいろなことをやるというふうにお話があったんですけれども、農水省としてはどういうふうに見るんですか。私は非常に心配なんですよ、今の保険の実態の中から。どうなんですか。大丈夫ですか。
#70
○政府委員(後藤康夫君) 農業災害補償制度は、農業共済組合あるいはまた、その事業の移譲を受けました市町村が基礎にございまして、そしてまた国が特別会計で再保険をするという仕組みの上に成り立っておるわけでございまして、やはりこの共済組合段階での対応ということが大きく影響をしてまいるだろうというふうに考えております。
 私、先ほど申し上げましたように、そういう意味におきまして新種の共済なども含めまして加入の促進を図っていく、そしてまた、損害防止等日常の共済組合のいろいろな活動を含めまして、地域の農家の方々とより一層密着した事業の運営をやっていくということを、むしろこれを一つの契機といたしまして取り組んでいただきたいと思っておりますし、そういう指導を私どもとしてもいたしたいと考えておるわけでございます。
 裏から申しますと、これだけの大きな組織をつくり、そしてまた、今回、先ほどから村沢先生の御指摘を受けておりますような国庫負担の改正ということを考えているわけでございますが、それにいたしましても、五割を超える国庫負担をいたしましてなおかつ相当小さいところまで強制加入にしなければこの制度というものは成り立たないんだということは、ちょっと国民全体に対して申し上げにくいという事情もあることも御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#71
○村沢牧君 当然加入基準を引き上げることによってまず心配になるのは、二十アール以下の農家には組合が農家に入っていくきっかけ、余地がなくなってしまう、つまり共済組合と小規模農家とのつながりがなくなってしまう、こういうことを共済組合は心配しているんですけれども、これに対してどういうふうに思いますか。
#72
○政府委員(後藤康夫君) そういう御心配をなさっておられる方がおられることは私どもも承知をいたしております。
 ただ、これも見方としては二とおりあるわけでございまして、当然加入ということで法によって強制をいたしますれば、いわば加入促進というような努力をしないでもそこで加入が確保されるということになるわけでございますが、任意加入ということになれば、逆に事業量を伸ばし、あるいは維持をしていくという場合には、むしろそういった任意加入農家への積極的な働きかけがまた必要になってくるという見方もあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、私ども先ほど申し上げましたように、むしろこれを機会にして組合等から、もともと当然加入とか強制加入というような仕組みのない共済種目もあるわけでございますので、組合等から新種共済を含めた加入の推進なり、あるいは防除体制の充実等の積極的な努力を地域の農家に対してやっていただきまして、共済組合の基盤をむしろ充実をしていただく努力を進めてまいりたい、また、私どもも、共済組合にそういうことをいろいろな形で要請をしてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
#73
○村沢牧君 他の共済保険制度も任意あるいは当然加入であるから心配ないというようなことを言うんですけれども、局長、例えば当然加入の蚕繭は、養蚕がどんどん減っちゃって加入者が少なくなっちゃうでしょう。果樹の加入率は、後ほど指摘するけれどもうんと悪い。当然加入に入っている人たちは小さな農家なんです。そこへ入っていく余地がなくなってくるということは、当然加入ならば損害防止事業でも掛金の徴収でも、あるいは共済金の支払いでも農家とつながりを持つんですよ。これが任意加入になって、その農家が共済に入らなければ、組合と農家とのつながりはなくなっちゃうんじゃないですか。だから、局長の今答弁したようなことは実態に合ってないんですよ。
 そこで、さらに二点目には、経営規模の小さい農家が多い地域では余り災害を受けないような、つまり皆さんが言うようなレベルの高い農家は加入しない、かえって災害を受けるような農家だけが任意加入として入ってくる、こういうことだってあり得るんですが、どういうふうに思いますか。
#74
○政府委員(後藤康夫君) これも先ほど申し上げましたように、引き上げ後も何と申しますか、当然加入農家から任意加入農家になったことによって加入農家数が大きく減少するというようなことがないように、共済組合の多面的な加入促進なり加入の維持の努力をしていただきたいというふうに思っておりますし、私ども、まず全体として加入農家数が大幅に減るというふうなことは考えておらないわけでございます。
 したがいまして、技術水準の高い農家が入らなくなるというようなことになるというふうには必ずしも考えておりませんし、また小規模農家であるから、あるいは水稲の作付面積が小さいからということで、必ずしもそういった農家が被害率が高いというふうにも言えないわけでございますし、これによりまして逆選択加入が非常に多く助長されるというふうには私ども考えておらないところでございます。
#75
○村沢牧君 局長の答弁は霞ケ関で考えているだけだからだめなんですよ。農家へ入ってないから、組合へ入ってないからそういうことが勝手に言えるんですね。私どもは組合からいろいろのことを調査をしたり聞いているんですよ。だからこういう心配があるんです。だから、法律を改正するならば、こういう心配があるからこれに対応するような改正をしなきゃだめだ。
 次の問題ですけれども、共済加入や、あるいは損害防止事業が相互扶助の精神の強い組織を通じて行われているわけですけれども、任意加入が多くなれば評価員や連絡員体制も崩れる、加入者がまた散在をするということになれば損害防止事業の統括的な実施が困難である、こういうことも心配するが、どうですか。
#76
○政府委員(後藤康夫君) 共済連絡員なり損害評価員につきましては、組合等の中の地域の字なり、あるいはまた集落単位に委嘱または任命されておりまして、一般にその地区と申しますか、地元で技術的な水準が高い、また農業経営上信頼のある方がこれに当たっておりますので、今回の当然加入基準の緩和によりまして仮に当然加入農家から任意加入に変わる農家が増大をするというふうなことがございましたとしましても、共済連絡員なり損害評価員の体制が崩れるというふうには考えておりません。
 また、水稲の損害防止につきましては、共済団体を含みます地域の防除組織が中心になって行われておりますので、仮に農業共済の加入戸数の減少という事態がありました場合におきましても、直接水稲の損害防止事業に大きな影響を与えることはないというふうに考えております。
#77
○村沢牧君 局長、当然加入が減って任意加入がふえても心配ないということですが、任意加入がふえれば結構なんですが、任意加入にならないから困るんですよ。任意加入にならない、脱落してしまう、共済から縁が切れる、そういうことを心配して私は言っているんですよ。
#78
○政府委員(後藤康夫君) その点は、先ほど申し上げましたように、共済組合の加入促進の努力、また農家のいろいろな需要に対応した事業運営ということをやることを通じまして、任意加入農家の加入を確保し推進するという努力の中で解決をしていくべき問題だというふうに考えております。当然加入から任意加入になったら、途端に全員もう農業共済に入らないということには私どもならないというふうに考えております。
#79
○村沢牧君 全員入らないなんということを私は言っているわけじゃないですけれども、あなたたちが期待をするような形にならないという心配をしているんですよ。そういうことのないように、今後において共済組合あるいは団体に対して農林水産省として適切な対応をしなければならない、そういうふうに思いますが、どうなんですか。
#80
○政府委員(後藤康夫君) その点の対応なり努力はしてまいる必要があるというふうに認識をしております。
#81
○村沢牧君 次は、共済制度が地方行政とも不可分な関係にあるわけです。地方自治体は共済組合に助成を行っているところもあります。当然加入の基準は知事が定めることになっていますけれども、政令改正でこの基準を一律に引き上げるということは知事の権限なり、あるいは地域の特性なり、地方自治体の果たしている役割を無視することになるんじゃないですか。
#82
○政府委員(後藤康夫君) 農作物共済の制度は、言うまでもなく全国的な制度でございます。法律及び政令によりまして制度の骨格が決められておるわけでございます。当然、国の段階での特別会計というようなものもあるわけでございまして、全国的な制度として運営をしていく必要があり、そして法律及び政令によりまして都道府県知事に授権をした範囲内で当該都道府県の内部の農業事情なり農業経営の規模の実態に応じて知事が定めるということになっているわけでございまして、現行法におきましてもそういった法律の授権の範囲内で知事が定めておるということでございます。
 したがいまして、この政令の範囲内で知事が定めるという仕組みがあるからといって、この政令の範囲を変えることができないということにはならないと思うわけでございまして、知事の権限なり裁量という問題とこの制度全体の仕組みというものとは別の問題ではないかというふうに考えております。
#83
○村沢牧君 例えば知事が十アール以上当然加入といっても、その地域の実態において十五アールにしているところもたくさんあるわけですね。地域の特性によって知事の権限においてやるわけなんですよ。例えば十五アールはその県の特性からやっているんです。それを二十アールに政令改正して一挙に引き上げたことは、これはその県の特性を、知事の権限を無視することじゃないですか。
#84
○政府委員(後藤康夫君) そういった弾力性を持たせますために一定の幅の範囲内でということで、政令で幅を規定しているわけでございます。
#85
○村沢牧君 幅を規定したといったって、最低は二十アールじゃないですか。それ以下にするわけにはいかないじゃないですか。ですから、これは地域の実態を無視する改悪であると指摘せざるを得ません。
 そこで、制度を健全に維持し発展させる前提は、何といっても加入者を多くすることなんです。しかし、掛金の国庫負担は当然加入でも任意加入でも同じである。したがって、国の財政への影響はない。あえて加入者を減らすようなこういう基準を引き上げる、こういう改正をしようとする意味は何ですか。
#86
○政府委員(後藤康夫君) 今回のこの当然加入基準の見直しに当たりまして、当然加入農家と、それから任意加入農家で掛金の国庫負担割合に差を設けたらどうかという財政当局からの議論があったことは事実でございます。しかし、私ども、先ほど来当委員会でも御議論がありますような問題を踏まえまして、当然加入農家と任意加入農家の間に国庫負担の差をつけるようなことはしない。ただ、近年における農業情勢の変化なり農政の方向といったものを踏まえまして、当然加入の制度を緩和するという、これは制度発足以来何回かの緩和をやってまいってきているわけでございますが、その方向に沿った緩和をするということにいたしまして、国庫負担の差を設けるということはやらなかったわけでございます。国庫負担とか財政支出に差がないのであれば制度を変えなくてもいいではないかということには必ずしもならないわけでございまして、そういうことは裏から申しますと、財政負担が減ることしかやらないということにもなりかねないわけでございます。
 私ども、当然加入基準の引き上げの理由につきましては、先般来、また大臣からもお話がありましたような考え方でやったわけでございますが、財政負担というような観点でこの当然加入基準の引き上げを考えたものではないということは、申し上げておきたいと思うわけでございます。
#87
○村沢牧君 よくわからないんですけれども、国庫負担が変わりがないんだから当然加入基準なんか上げなくたっていいじゃないか。今回あえて上げようとするのは、財政当局が言っているように任意加入者との国庫負担の差をつけると、将来そういうための前提じゃないか。将来とも、任意加入者であっても当然加入者でも国庫負担には差をつけない、そのことを確約できますか。将来この任意加入者の国庫負担はもっと下げる、それがための前提として今二十アールに上げたんじゃないですか。
#88
○政府委員(後藤康夫君) 私ども、そういった意味での伏線としてこういうことをやったというふうなことでは全くございません。また、私ども現在当然加入農家と任意加入農家との間で国庫負担に差をつけるというようなことを検討する考えも持っておりません。
#89
○村沢牧君 農水省が検討する考え方を持ってないと言ったって、大蔵省は既にそういうことを言っているわけなんです。大臣、どうですか。任意加入と当然加入の国庫負担の差は将来ともつけないとお約束できますか。
#90
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 先ほどから局長が答弁しておりますが、今度のは二つございまして、その一つは、政策的効果を高めるということでやっぱり生産性の高い農家育成という意味があるわけでございます。そんなことで、小規模経営者につきましてはいわゆる任意加入にいたしたということでございます。そんなことで、今のところ差をつける考えは毛頭ございません。
#91
○村沢牧君 今のところと言ったって、今、法律を審議しているんだから、今のところはそうだということはわかっていますよ。将来ともそういうことはしない、農水省として、農林水産大臣としてしない、財政当局から幾ら言われたってやらない、だから農家の皆さん方は安心してくださいと言えますか。
#92
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 今申したとおりでございまして、将来とも我が省としてはそういうことは考えておりません。(「頼りない」と呼ぶ者あり)
#93
○村沢牧君 頼りないというこっちの方で意見もありますが、そのことは聞いておきましょう。
 共済掛金率の設定方式の改正についてでありますが、今回こういう方式を導入をしたわけでありますけれども、しかし基本的に見た場合に、被害の差は災害の発生そのものに起因するものがほとんどではないか。また、技術の差によってこういう段階を設けるなんということはほとんど困難である。農水省が提案理由の説明で言っておるように、技術の差によってこの被害の発生が差異が生じておる、そういうことがあったとするならば、具体的なひとつ事例を示してください。
#94
○政府委員(後藤康夫君) 今度の危険段階別の共済掛金率の設定方式の導入につきましては、農家間の負担の公平を図るという見地から行うわけでございまして、この危険段階を区分をいたします場合に、過去の被害率でございますとか、あるいはまた被害の頻度、裏から申せば無事故年数ということにもなるわけでございますが、そういうものを指標としてやりますので、技術の差によって生じた被害でありますとか、それから技術の差のいかんを問わず、天候によって生じた被害というようなものを区分をするというふうなことは私はできないと思っておりますし、そういうものを一体としてつかまえた結果としての被害率なり被害の発生頻度というものをもとにして危険段階を考えるということになろうかというふうに思っております。その点では、先生御指摘のとおり、危険段階を区分するときに技術要因による部分だけを分離して取り出すということは技術的にも不可能だというふうに思っております。
 ただ、このような仕組みを取り入れる背景の一つとして申し上げておることでございますけれども、近年、異常災害が続きました。その中で、好天候に恵まれておりますときには余り収穫に差が出ない、農家間で。気象条件が悪くなりましたときに、基本的な栽培管理の手順なり注意を十分尽くしている農家と必ずしもそうでない農家との間で収量の格差が拡大をしているというような例、これは農業白書などにもそういったことが報告をされておりますし、私ども若干実態を個別の組合について調べたこともございますが、確かに農家によりまして五年の間に三回共済金をもらっている農家と一回しかもらわない農家あるいは一回ももらわない農家というのがあることはこれは事実でございます。
 地域によりまして農業事情が異なりますので一概には申せませんけれども、栽培上の基本的な技術が励行されるか否かということも、近年におきます農家間の被害率格差をもたらす原因の一つになっているというふうに考えているわけでございます。
#95
○村沢牧君 農家によって事故が多く発生をしたり、あるいは地域によって発生したり発生しない地域もある。そういう場合には、農家の不公平が生ずるとするならば、無事戻し等によって対応すべきだ、そういうように思いますが、どうなんですか。
#96
○政府委員(後藤康夫君) 無事戻しと申しますのは、共済事業を運営してまいります過程におきまして、保険の設計上見込んだ被害に比べて実際の被害、そしてまた共済金の支払いが少なかったということによりまして生じましたいわば共済組合の剰余を処分する一つの方策として、
   〔委員長退席、理事谷川寛三君着席〕
これももちろん農家の公平感にこたえるという趣旨を含めてでございますが、無事故の農家に一定の金額をお返しするという制度でございます。これはあくまでも剰余ができました場合の剰余の処分のやり方ということでございまして、危険段階別の設定方式と確かに公平感にこたえるという点では共通したところがありますけれども、そもそも掛金の徴収の段階で、この危険段階別の掛金率を設けるということとは制度的な建前が違うわけでございます。
   〔理事谷川寛三君退席、委員長着席〕
 ただ、私ども、この辺は無事戻しの制度も今後とも道は開いておくつもりでございまして、それからまた危険段階別の料率の設定方式というのも、これは組合でそういうことをやりたいというときにやれるようにするということで、組合の自主的な選択にまつという仕組みにいたしておりますので、地域の実情に応じまして、また農家の意向に応じまして、農家間の公平感の充足あるいは確保というものをどちらの手段に重きを置いてやるかということにつきまして、私どもの方で強い一律的な指導をするというふうな気持ちは持っていないわけでございます。両方とも道を開いたらどうだろうかという考えでございます。
#97
○村沢牧君 こういう段階別の危険方式ですか、方式ができたとしてもこれを強制するんではないという答弁ですが、それはそのとおりだというふうに思うんですけれども、現実の組合を見ると、組合の広域合併によって現在でも同一組合にあっても旧村単位、あるいは地域ごとに掛金率の差を設けている。今回、さらにグループごとに段階別区分を取り入れたとしても、現実どういうふうに対応するのか。そんなことはできないじゃないかという組合の指摘もあるわけですね。具体的にそれじゃどういうふうにこの設定区分なり期間なりを設けてやろうとするのか、その道を開こうとするんですか。現実の組合は、そんなことをつくったって、私どもの組合ではもうこれ以上細分化することはできないと言っていますよ。そういうことをやるという希望もたくさんあるんですか。
#98
○政府委員(後藤康夫君) これは現在も、地域料率の設定を特別の事情があります場合には認めるということでやっておるわけでございますが、今度の段階別の料率設定の導入の中にこの地域料率制も吸収をしたいというふうに考えておりまして、そのことも含めた何と申しますか、共済組合単位一律ではなくて、複数に分けた料率の設定ができるという法律の仕組みにしたいと思っておるわけでございます。
 じゃ、どういうふうなやり方を具体的にすることを考えているのかということでございますが、私ども大きく申しまして、グループ分けの指標のとり方としては三つほどあるんではないかというふうに思っております。
 一つは、組合員等ごとの過去の一定年間の金額被害率と申しますか、共済金を共済金額で割ったもの、俗に申せば、要するに組合員ごとの一定の年間の過去五年なり六年の間の被害率というものの平均を指標にして分けるというやり方があります。
 それからもう一つは、地域なり集落等ごとに過去の一定年間の被害率の平均をとりまして、それで地域なり集落ごとに分けるというやり方もあろうかと思います。
 それからもう一つは、やや発想としては無事戻し的な発想になりますけれども、指標のとり方として組合員等ごとの過去の一定年間の共済金の支払い頻度、裏から申せば、無事故年数というようなものを指標にしてグループ分けをするということでございまして、こういった形で人に着目するやり方もできますし、地域なり集落に着目することもできる。そして、被害率を指標にすることもできますし、無事故年数とか、あるいは共済金の支払いを一定年間に何回受けたかというようなことを指標にすることもできるということで考えたらどうかというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、この辺は要するに地域の共済組合の中の農家の方々の公平感というものを充足するのにどういうやり方がよろしいかということで、組合がそういう選択をしたいという場合に、そのような料率のいわば細分化ができるような道を開くという仕組みを取り入れるというふうに考えております。
#99
○村沢牧君 時間がありませんから次に移ります。
 畑作共済について、一点だけ具体的に伺っておきます。加工用トマトの共済対策についてでありますが、私は五十五年の改正法審議の際、加工用トマトを共済対象に加えるべきだと要請いたしましたが、当時の松浦経済局長は、加工用トマトは加工業者の契約で栽培されるので、引き受けの面、損害評価の面においても、資料がかなり的確なものが聴取できるので新しい角度から今後検討する、こういう答弁があったわけですけれども、どのように検討したのか、その見通しについて。
#100
○政府委員(後藤康夫君) 露地野菜につきまして昭和五十二年度から調査研究を開始いたしておりますが、この露地野菜につきましての共済制度化の一環として、加工用トマトにつきましては、ただいまお話がございましたような御要望もございまして、昭和五十六年度から検討対象品目に加えまして、生産出荷状況あるいは被害発生状況等につきまして、長野県及び茨城県におきまして、委託をしまして基礎調査を実施したところでございます。五十九年度からは長野県に委託をいたしまして、さらにもうちょっと深く引き受けなり損害評価等について、どのような問題があるかというような現地調査を実施しているところでございます。
 加工用トマトにつきましては、契約栽培でございますので、確かに基準収穫量でありますとか共済金額の設定等、引き受けに関する事務は比較的容易と考えられるわけでございますが、作付面積なり生産量とも近年低下傾向にあるという問題もございますほか、損害評価につきまして取引上の入出荷データだけで、果たしてその減収量が共済事故によるものかどうかの判定ができるかどうか、また損害評価の時期を収穫の都度にやるのか、あるいは災害発生の都度とするのかといったようないろいろな問題がございまして、また露地野菜の共済制度の問題というのはなかなか難しい問題がございますので、仮にやるといたしました場合に、これを野菜という分野の一つとして考えるのか、あるいはまた畑作物共済の対象として考えるのかということもあるわけでございますが、仮に畑作物共済の対象にするということにいたしましても、今直ちに制度化するということは困難であると考えております。
 五十九年度からそういうことで引き受けなり損害評価等についての調査を始めたところでございますので、この調査を引き続いて行いまして、その結果を踏まえて検討することにいたしたいと考えております。
#101
○村沢牧君 共済の対象に新たに加えようとする調査についても随分時間がかかる。露地野菜といったって、今話が出たように五十二年から調査をしている。これが容易に対象に踏み切らぬということは、先ほど来指摘をしているように、財政問題ばかり考えているから踏み切れない。財政を削減するということは、去年考えてことしすぐやる。よくしようということは、もう七年も八年もかかるわけですね。こんな態度じゃやっぱりだめですね。もっと促進をしなきゃいけないと思うんですよ。ですから、加工用トマトについても、もっと積極的なこれから方針を出していくように強くこれは要請しておきますが、どうですか。皆さん方は補助金を減らすといったらすぐやるわけですね。補助金を新しく加えるといった場合には、五年も十年も調査にかかる。こんな態度じゃ農家、農民から信頼されないですよ。どうですか、局長。
#102
○政府委員(後藤康夫君) 共済制度を新しい作目について仕組みますには、先ほどもちょっと申し上げましたようにいろいろな、これは一つの保険でございますので、被害率あるいは損害評価のやり方等々技術的に非常に細かい問題があるわけでございまして、別に検討を怠っておるわけではないわけでございます。
 それと、また調査をしてまいります段階で、保険需要というようなものが、経済事情の変化あるいはまた実際に調べてみますと、必ずしも強くないというようなことになってまいる場合もあるわけでございますが、いずれにいたしましても、加工用トマトにつましては、今回またそういうことで、恐らく地元の実態なり需要というものを踏まえたお話であろうというふうに私ども受けとめておりますので、今のお言葉を頭に置きまして対応してまいりたいというふうに考えております。
#103
○村沢牧君 ぜひ頭に置いてください。
 次は、果樹共済についてですが、まず加入率ですけれども、農水省の資料によれば、五十八年度、収穫共済二六・三%、樹体共済五・五%ですが、五十五年改正の際の加入率はどうだったんですか。
#104
○政府委員(後藤康夫君) 五十五年度引き受けの加入率は収穫共済で二六・六%、樹体共済で七・〇%でございます。
#105
○村沢牧君 そうすると、五十五年に法律改正をして加入率をふやそうといって張り切っておったんですが、減っちゃったですね。これは一体どういうことなんですか。加入率を高めることがこの制度を維持発展させる前提である、当委員会でも加入促進をたびたび政府に指摘したところでありますが、一体農水省はどういう努力をしたんですか。
#106
○政府委員(後藤康夫君) 五十五年度改正以降におきまして、私ども国会での御議論を踏まえまして、例えば優良農家の加入推進強化事業の実施でありますとか、組合等の選択によりまして一定年間無事故の農家に対しまして共済掛金の割引をやるとか、あるいはまた特定の防災施設を設置しております農家についての掛金の割引でございますとか、あるいは共済掛金の納入期限の延期といったような制度的な措置のほかに、農家向けパンフレットの作成、配付でございますとか、あるいは県、市町村の生産出荷団体におきます普及推進説明会の開催等々努力をしてまいってきたところでございます。
 しかし、共済掛金が近年の被害状況を反映しまして上昇傾向にございまして掛金が比較的高い、それからまた、共済責任期間が長いといったようなことで農家の理解が他の共済に比べると得られにくい、さらにまた、栽培形態が永年作物でございますので、普通の農作物に比べまして共済の仕組みも複雑にならざるを得ない。そしてまた、執行体制が整備されていない組合等にありましてはなかなか積極的な加入推進が難しいところもあるというようなことから、残念ながら加入率が低位にとどまっておる実態にございます。
#107
○村沢牧君 いろいろおっしゃったけれども、五十五年審議の際、農水省はこの法改正によっていろいろ対策を講じて加入率が五〇%程度になるまで努力していく、こういうふうに私の質問に答えているんですけれども、この公約は一体どうなったんですか。
#108
○政府委員(後藤康夫君) 先ほど申し上げましたようにいろいろ努力をいたしたわけでございますが、これもまた先ほど申し上げましたようないろいろな要因がございまして、残念ながら低位にとどまっているという状況にございます。そのために今回の制度改正におきまして特定危険方式についての補償水準の引き上げでございますとか、凍霜害を特定危険方式に追加をいたしまして、またセット方式で特定危険方式が導入できるという形での拡充を考え、また共済責任期間の短縮でございますとか、優良農家の加入促進というような観点からも、この共済掛金率の農家ごとの被害状況に応じた設定もできるというような制度上の手当てをいたしまして、優良農家の加入促進にさらに努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
#109
○村沢牧君 五十五年の法律審議の際の答弁は単なるその場しのぎのことであった、願望であったと、そう言わざるを得ないのです。今、局長から答弁があったように、さらに今回の法律改正によって、これからそれじゃ加入率はどこまでしようとするんですか。五十五年のときには、ともかく五〇%まで五十五年の法律改正でしますと言った。今度改正してどの程度加入率をふやそうとするのですか、目標を示してください。
#110
○政府委員(後藤康夫君) もともと、こういった加入率と申しますものにつきまして一つのきっちりした形で運動の目標というものを掲げて努力するという意味での目標はあれでございますが、恐らくここまで行くであろう、またするというようなことを数値で申し上げるということは、なかなか難しいというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたような前回の改正事項を通じまして農家の理解のもう少し得られやすい、そしてまた農家の保険需要に即した特定危険方式の充実及び補償水準の引き上げということ、そしてまた、優良農家にとって今までよりも魅力のある仕組みを取り込むわけでございますので、専業的な果樹農家を中心に加入促進を私ども団体と一緒になりまして努力をいたしまして、加入率の引き上げに努めたいと思っております。
 何%というようなことを私ここで申しますと、もしかしますと何年後かに私の後任の者が苦しむというようなことにもなりかねませんので、そのような数字は本日の経験から申しまして控えさしていただきたいと思います。
#111
○村沢牧君 それでも皆さん方が努力をするにはやっぱり努力目標がなくちゃいけない。今、毎年二六・何%ですけれども、せめて三〇%に持っていけば何とか制度がうまくいくんではないかという、そういう希望も持っていると思います。そういうことから、やはり将来こういうことにしたい、その努力をするやっぱり目安がなくてはならないと思うんです。だって、五十五年のときは、先ほどから言っておりますけれども、五〇%にいたしたい、いたしますと、そういう皆さん方決意を述べた。後藤局長になったらだんだんこれが低下しちゃった。それじゃこんな法律を出したって、こういうふうに改正しますからぜひ加入したい人が入ってください、入りたい人が入ってくださいという程度になっちゃうんですよ。やっぱり皆さん方の決意を示してもらわなければいけませんな。
#112
○政府委員(後藤康夫君) 制度改正をしたから好きな人いらっしゃいということでは決してございませんで、先ほど申し上げましたように、今度の制度改正を契機にいたしまして私どもと共済団体と一体になりまして、この低迷しております果樹共済の加入率を引き上げる努力を大いにやってまいりたいというふうに考えております。
#113
○村沢牧君 では将来加入率がどうなるかわからぬけれども、ともかく法律は改正しますということなんですね。どういうふうに理解すればいいんですか。今度法律ができましたから、こういうふうによくなりましたから加入してください、加入率をふやしましょうというのか、農民の皆さん方もぜひ加入してくださいと、その程度のものなんですか。
#114
○政府委員(後藤康夫君) 私どもこの改正を国会においてお認めをいただけましたならば、それを一つの有力な手がかりにいたしまして、加入促進に全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
#115
○村沢牧君 そこで、加入率の向上は農水省がさらに積極的な取り組みをしなければいけない。同時に農家の意欲と理解、あるいは組合だとか農協、自治体の運動も大事になってくるでしょう。しかしそれ以前の問題として、制度の仕組み、運営そのものにもっと改善すべきものが私はあると思うんです。今回なるほど若干の改正はした、改正の内容によっては評価すべきものもあることは私は否定しませんが、例えば一番問題になるのは、被害の共済支払いは、半相殺方式の場合は被害率三一%に対して共済はたったの一%おります。全相殺の場合は二一%の被害に対してこれまた一%、こういうふうになっていますけれども、三〇%の被害なんというのはその農家にとっては大変なことなんです。しかし、それだけの被害を受けたけれども、共済金額の一%しか共済金は来ない、これでは幾ら入ったって魅力がないじゃないですか。もっとこういう根本的な問題を改善をしていく、その勉強を農水省はすべきだと思うが、どうなんですか。
#116
○政府委員(後藤康夫君) 恐らくお尋ねの件は、損害に見合った補てんという観点から、足切り割合の引き下げ改善というようなことを検討すべきではないかという御趣旨ではないかと存じます。
 この足切り割合につきましては、作目ごとの被害の発生態様なり、あるいはまた自家保険能力といいますか、生産者そのものの経営の中でこなせる部分がどれだけあるか、また損害評価の難易なり、それにどのくらいの労力がかかるか、それからまたモラルリスクといいますか道徳的な危険の防止、それからまた掛金負担能力というようなものを総合的に考慮して定められるべきものでございます。この点につきましては五十五年改正のときにもいろいろ議論になったところでございますけれども、果樹共済におきましては現在の掛金率の水準がかなり高い、これは一方では加入が低迷しているということとまた関連をしているわけでございますが、かなり高く、かつ最近年の被害状況からその上昇が避けられないというような状況にございますので、さらにこの支払い開始損害割合を引き下げるということになりますと、保険の仕組みから申しますと、どうしても掛金率の大幅な引き上げにつながるということも考慮をいたしまして、支払い開始損害割合を半相殺の減収総合方式では三割、特定危険方式では二割、全相殺方式では二割というふうにしているわけでございまして、これをさらに引き下げることは現状では適当ではないんではないかというふうに考えておるところでございます。
#117
○村沢牧君 私が勉強せよということは、足切りはそういうことでなかなか入れることはできないとするならば、被害率に応じた共済金の支払いの段階をもう少し考えることができないのか。何もかもできないというんじゃ、これは余計魅力がなくなっちゃうんですよ。ですから、私は皆さんに勉強してくださいと言うんです。よろしいですね。
 時間がないから次へ行きますけれども、ナシあるいはリンゴの場合、農家の掛金は現行の制度でおよそどのくらいになりますか、十アール当たり。
#118
○政府委員(後藤康夫君) 十アール当たりの果樹共済の農家負担共済掛金でございますが、五十六、七、八の三カ年の平均で申しますと、リンゴにつきましては六千二百四円、ナシにつきましては六千七百二十四円という金額になっております。
#119
○村沢牧君 例えばリンゴについて六千二百四円、一ヘクタールで六万二千円余ですね。これは二町歩、三町歩つくっているところもあるんですよ。そうすると、十何万という掛金になるでしょう。農家へ行くと、それだけ掛金を出すのなら農協へ貯金に積んでおいた方がいいというんですよ。それで利息をもらった方がいいというんですね、毎年災害があるわけじゃないから。ですから、入ってこないんですよ。魅力がないんですね。そういう実態を御存じですか。
#120
○政府委員(後藤康夫君) そういうことをおっしゃっている農家の方もおいでになるであろうというふうには思います。
#121
○村沢牧君 そこで、共済の私は制度は必要だ。必要ですから、災害が起きたときには共済金は、先ほど言ったように、農家が期待するようにはもらえないけれども、共済金が出る。しかし、災害のないときには何もないわけです。災害のないときでも、何か共済に入っておってよかった、やっぱりこういうメリットがあったと、そういうことを農水省も指導し、組合としてもやっぱりもっと勉強すべきじゃないですか。
#122
○政府委員(後藤康夫君) そういう点から申しますと、現在農業共済団体におきまして損害防止活動を行うなどの活動を通じまして農家に対するサービス事業を活発化して農家から満足していただくということがあるわけでございます。農業共済事業なり団体が、今後農家とつながりを深めて農家に支持をされ、また頼りにされるようなものとして運営されるということは大変大事なことだというふうに思っておりますので、一部の組合におきましては既にそれぞれの地域におきまして、例えば土壌診断をやるとか、あるいは栽培技術の指導をやるとか、家畜の飼養なり衛生管理のいろいろな指導をするといった農家に対するサービス事業を実施している例も見られますので、今後この地域に密着をした共済事業なり共済組合の運営に努めるように私どもも共済団体と一緒になって考え、また指導もしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#123
○村沢牧君 ぜひそういう指導を農水省としてももっとしっかりやる必要がある、このことを指摘しておきましょう。
 今回の改正で特定危険方式に凍霜害を加えたことはいいとしても、従来の方式と比べてその加入の仕方により掛金率が低くなる、こういうメリットがなければ、先ほど申したように加入率はふえてこない。農水省のひとつ試算を示してください。
#124
○政府委員(後藤康夫君) 現行の特定危険方式の共済掛金率は樹種によっていろいろ違いますけれども、半相殺の減収総合方式に比べましておおむね二ないし四割ぐらいの支給水準になっておるわけでございます。特定危険方式の共済掛金率の見込みにつきましては、この特定危険ごとの被害発生態様が共済目的の種類なり地域によりましてかなり違いがありまして、またセットの仕方でも違ってくるということが考えられますので、調査結果が完全にまだまとまっていない現時点で、明確なことはちょっと細かい数字では申し上げにくいわけでございますが、今の掛金率よりも著しく高率になるというようなことはないと考えておりまして、半相殺の減収総合方式に比べれば、かなり低い水準になるというふうに考えております。
 ひょう害または凍霜害の発生率と申しますのは、地域的にかなり偏りがございます。全国的にはかなり出現率は低いものと考えられますので、現行の特定危険方式の掛金率約二%程度でございますけれども、これの約五割増しぐらいになるのではないかというふうに考えております。この見込み共済掛金率でも、半相殺の減収総合方式と比べますと、三ないし六割の水準ということになりますので、農家にとっては掛金の安さという点ではメリットのあるものになり得るだろうというふうに考えております。
#125
○村沢牧君 法律改正によって引き受け農家数が多くなるかならないかは、そのメリットいかんということもあるわけですから、掛金率が低くなる、他方また災害を受けたときには共済金の支払いも多くなるというようなことを、ぜひひとつ積極的に制度の運用の中でやる必要があるということを、これまた指摘をしておきます。
 そこで、共済責任期間の短縮は、果樹の樹種によって異なるんですか。例えばリンゴは対象になるけれどもナシは対象にならないということを言われる人もあるわけですけれども、地帯によってはナシもやっぱり短縮してもいい地域もある。その選択はどこでするか。農水大臣が地域指定をするということになろうというふうに思うのでありますが、この地域指定は、地域の実情あるいは組合の要請に十分こたえていく、そういう気持ちでひとつ地域指定をしてもらいたいと思いますが、どうですか。
#126
○政府委員(後藤康夫君) 共済責任期間の短縮におきましては、今お話しのございましたように、樹種と地域というものの結びつきで短縮できるところを考えていきたいというふうに考えております。もともと花芽の形成期からということになるとどうしても一年半から二年ということで、いわば保険の商品としてなかなか売りにくいということに対応いたしまして短縮できる道を開くことにいたしたわけでございますので、組合等からの要望を踏まえて短縮の制度を運営をしていきたいというふうに思っております。保険の仕組みとして非常にぐあいが悪いという場合は除かれるわけでございますけれども、地域の実情等十分考慮いたしまして、御要望のあったところについてはできるだけ認めていきたい、どちらかというとそういう基本姿勢でやってまいりたいというふうに思っております。
#127
○村沢牧君 ぜひ地域の実情あるいは組合の要望にこたえてそれを承認していくというような方針、姿勢を今後ともとっていただくように要請しておきます。
 次は共済団体なんですけれども、共済団体は累積黒字、多額の積立金を持っているので国庫負担を削減をしてもいいんではないかというように財政当局は言っているようでありますが、しかし個々の組合の経営を見ると必要な人員の確保、その費用負担、あるいは組合の運営費の捻出に大変苦労しているんです。農水省は全国的な数字で見れば組合の運営はいいように見ているというふうに思いますけれども、個々の組合の実態についてどういうふうに把握しているんですか。
#128
○政府委員(後藤康夫君) 確かに全体的に見ますと、農業共済団体の財務の状況はかつてに比べると非常に改善をされてまいってきておりまして、農作物共済勘定の積立金の額は五十八年度末で千二百八十八億というようなことになっておりますけれども、事業の規模なり作目構成なり、あるいはまた被害の発生態様等が地域によって違いますので、そして積立金そのものも将来の大きな災害に備えるための準備である、そしてまた、特別積立金につきましては損害防止なり無事戻しの財源にも使われているということでございますので、一概にこれが過大であるというふうなことを私ども考えているわけではございません。
 ただ、大多数の組合につきましては累積収支が黒字になっておりますので、ある程度連続して異常災害が発生しても、共済組合段階の責任を果たすには積立金で対応できるような状態が生まれてきているというふうには考えております。もちろん地域によりましてこれもいろいろございまして、例えば組合等の農作物共済勘定の積立金の状況を全国平均で一団体当たりで見ますと四千五百万ぐらいあるわけでございますが、長野県ということでございますとこれの半分というようなことで、県によっても大きく差がございます。
#129
○村沢牧君 個々の組合になれば、赤字を出しては大変だから赤字を出さないように精いっぱい努力しているんですよ。決して財政が豊かだから黒字になっているというわけではない。そういう実態の中へ今度は事務費の国庫負担を六十年から定額化にしたわけですけれども、定額化にした運用の基本的な考え方、定額の予算の将来見通しについて方針を示してください。時間がありませんから簡単にひとつ。
#130
○政府委員(後藤康夫君) 六十年度予算から共済団体の事務費国庫負担金を定額化したわけでございますけれども、これは国庫負担金の予算額の安定的な確保を図る観点から行ったものでございます。従来の個別経費の積み上げでございましても、いわば補助対象の人員につきましての定員削減というようなこともございましたし、組織整備をして広域合併をやるというときのメリットは、積み上げ方式でございますと国の財政負担の減ということで国庫で吸収されるというようなことがあったわけでございますが、そういったことは定額化によりまして今後は安定的に一定額を確保できる仕組みにいたしたいということでございます。
 この予算額は定額として設定されたものでございますので、当然若干の経済事情の変動というようなことで改定されるべき性質のものではございませんけれども、非常に大幅な経済事情の変動などが見られました場合等必要な場合については、事業運営の実態を見まして支障を来すことのないように適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
#131
○村沢牧君 定額化にした。将来は、六十年度予算五百四十一億ですか、それは予算を六十年度の定額予算よりも減らさない、ふえる、そういうふうに自信をお持ちですか。
 同時に、配分として、組合は事業が拡大し、あるいは人員が増加し、さらにまた職員のベースアップもしなければならない、こっちの国の方の補助は定額だけれども、組合の方は予算がふえてくるんですよ。そうなってくれば配分は減少するということになるんですけれども、ベースアップなんかの場合にほどうなるんですか。
#132
○政府委員(後藤康夫君) 私ども定額化と申しますのは、今までの積み上げ方式ではなくて一定の金額を安定的に確保する方式というように考えておりますので、定額化した上でまたそれが一律五%カットとか一〇%カットというような措置の対象を受けるような性格のものではないというふうに考えております。
 それから、個々の組合等に対します定額化の影響でございますけれども、従来の積み上げによりまして個別経費を積み上げて国庫負担割合を乗ずるという方式をとっておりましたものを、今度は農業共済団体等の基幹的な事務費に対して一定のいわば定額の金額を補助するという方法に改めたものでございまして、共済団体等に対します補助対象経費に変更を加えるというものではございません。
 それから、事務費の配分につきましては、従来と同様、事業規模割と固定費用割ということによって行うことにいたしておりますので、配分総額を変更するということはできませんけれども、例えば仮にある組合等の事業量が非常に増加をしたというような場合には、当該組合への事務費の配分額は増加をすることになるわけでございます。事業量に関係なく、ただ人員がふえたという理由だけで増加することはちょっと難しいかと考えております。
#133
○村沢牧君 今後の職員のベースアップ等に対応できるような配分ができるのかどうか、そのことが一つと、最後に大臣に伺いますが、予算を定額化した、この定額化した数字は今後ふやすことがあっても減らすようなことがあっては絶対いけないと思いますが、その決意、見通しについて大臣の見解も聞きたい。
#134
○政府委員(後藤康夫君) まず、ベースアップ等のお話でございますけれども、先ほど申し上げましたように、今回は積み上げということではなくなりますので、算定基礎の中で給与の単価アップというようなものを一々織り込むということにはならないわけでございます。しかし反面、先ほど申し上げましたような事務費節減効果はメリットとして組合に残るということにもなるわけでございますし、組合の事業運営全体の合理化なり効率化によりまして全体として対応をしていくということにならざるを得ないというふうに考えております。
 なお、この定額化された予算につきましては、大臣から今後の御方針についてはお答えを申し上げた方が適当かと思います。
#135
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。
 御指摘のようなことで最善の努力をいたします。
#136
○村沢牧君 時間が来ましたから終わります。
#137
○委員長(北修二君) 本案に対する質疑は午前はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後一時休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#138
○委員長(北修二君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#139
○刈田貞子君 質問さしていただきます。
 我が国は、地理的な条件や自然的な条件によって自然災害を受けやすい条件にあるわけでございますが、特に農林水産業は自然条件に影響されやすい産業であるというふうに心得ております。一たび災害が発生すれば農林水産物はもちろんのこと、農地あるいは農業用施設等の生産基盤に至るまで大きな被害を受けるという実情があろうかというふうに思います。
 こうした災害に対して各種の被害に対する救済措置というものがあるわけでございますが、その中でやはり農業共災制度が果たしてきた役割は非常に大きいのではないかというふうに私は思います。共済制度が災害対策の根幹であるという考え方をするとするならば、国庫負担率が高い云々という話もありますけれども、私は決して高くはないというふうに思います。このたびその国庫負担率の引き下げを行うということについては、大変遺憾であるというふうに思っているものの一人でございます。
 以上のような事実認識を前提に論議を申し上げるはずでございましたが、細部の点については先ほど同僚委員の村沢委員の方から大変に細かくお話をしてくださいましたので、あえて言わしていただけば、当然加入率の引き上げの問題等、やはりこれも今の国庫負担率の引き下げが改悪であるとともに、この政令改正も私は改悪につながるものの一つであろうというふうに思います。あるいは果樹共済の加入率の少ない問題とか、先ほど出ました事務費の定額化等、私はお伺いする予定でおりましたけれども、これは避けまして、今回の改正の基本にやはり財政的な財源の問題が一つ下敷きにあるとするならば、災害が起きたときにはその災害へ被害に対してどんな形で手だてをするかというのが共済であろうというふうに思うんですけれども、その共済を経済的な理由でいささか改悪に持っていく、まあ改善の部分もあります。ですけれども、改悪に持っていくという理由が、一つ財源の問題等にあるとするならば、私はそういう被害が起きる以前にもっと農政という立場でしていかなければならない問題があるのではないかということで、最初にいわゆる病虫害等の災害を起こさない、そういう被害を未然に防ぐ方法の問題について、むしろ重点的にお話をしていってみたいというふうに思うんでございます。
 それで、昨年は四年連続の冷害に続いて非常な豊作を迎えたということで、これは既に報じられてあることでございますが、五十九年産の水稲に限ってお伺いしますけれども、大変豊作であった、史上最高の大豊作に恵まれたということにはなっていても、水稲共済の方では、これは六十六億五千万の共済金が農家に支払われているという事実がございますね。
 これについてお伺いをするんですが、作況あるいはまた、単収等が同じような条件の中で豊作と言われる年にどのくらい水稲共済が支払われていたか、わかりますか。つまり、豊作だと言われているのに共済が支払われたという事実が五十九年度にあった、そういうような例が過去にありますかということをお伺いしています。
#140
○政府委員(後藤康夫君) 今、数字を調べておりますけれども、何分にも三百万を超える水稲作付農家かおるわけでございまして、大豊作の年でございましてもやはり地域によりまして減収になっているところが全くないというわけではございません。そういう落ち込んだところだけを積み重ねてまいりますと、豊作の年でもやはりある程度の共済金の支払いというものは必ずあるものでございます。
#141
○刈田貞子君 それで、五十九年度の例を見ますと、これは関東中心にしま葉枯れ病の発生があって、これがかなりこの共済の支払いにウエートが置かれているわけですね。それで、図が支払った再保険金は約九千七百万円になっておりますね。
 これは園芸の方にお伺いするわけですけれども、この関東一円でしま葉枯れ病が発生した事情等が究明されておりますでしょうか、お伺いします。
#142
○政府委員(関谷俊作君) 昨年産の水稲につきましては、しま葉枯れ病に限りました数字をちょっと把握しておりません。水稲の場合には、昨年は非常に大変な気象条件のよさということで全体的には水準が高うございましたが、ただ個々に申しますと、日本の稲作はこのごろは天気のいい場合は非常によろしいのですけれども、同時に体質の非常な弱さというのがありますので、部分的にはお尋ねのようないろいろな病害虫がかなり出るということがございます。
#143
○刈田貞子君 そこで、私が先ほど申し上げたそういう病虫害等が起きない方策というのが、これは共済の制度とやはり裏腹でひとつあるのじゃないかというふうに思うんですね。そういう施策をいろいろ考えておられるというふうに思いますけれども、例えばこれは例の新稲作運動が発足して強い稲づくりというようなことが盛り込まれておりますね。それで、六十年度の目標の中に新稲作運動推進会議が出されているものでございますが、その中で気象の状況あるいは水稲の生育状況ですね、そうしたものを的確にとらえて情報を伝達する、そのスピード化に努めるというようなことが、ここにことし六十年度の一つの政策として出されておるわけですけれども、こういうようなことを含めて、被害を未然に防ぐ施策ということについてどのようなことを考えていますか。
#144
○政府委員(関谷俊作君) 昨年からやっております新稲作運動、我々の言葉で、健康な、あるいはたくましい稲づくりと、こういうことでございまして、実はその基本になっておりますのは、例えば地力の増進とか、それから昔からございます非常に基本的な技術の励行という、今までおろそかになっておりますことをしっかりやろうというのが基本でございます。
 その中に、今お尋ねのございましたような、いわゆる気象等の情報を早期に把握して被害を未然に防止するという関係では幾つかのこれからの施策がございますが、例えば病害虫の発生予察事業、これはもともと植物防疫法の中で大事な仕事として位置づけられている仕事でございますが、これもだんだん最近のような新しいニューメディアの導入とか、そういうことに対応しまして我々としましても、例えばアメダス情報とか、ああいうもので把握しましたものを、従来の病虫害の発生状況から見まして一つのプログラムの中で対策を出していく、こういうようなシステム化というのをやりたい、そういう気持ちがございます。
 ただ、これは県によりましては、そういう一種の情報システム化ということで、被害防止対策をかなり一つの先駆的なモデルをつくったところもございますが、全般的には、まだこれから私どもが県あるいは県の試験場、さらに県にございます病害虫防除所、これらでさらに試験もし研究もしていこう、そういうプログラム開発をやりながら、その面の情報システム的な取り組み方は充実をしていくべき今後の課題、こういうことになっております。
#145
○刈田貞子君 強い品種の開発はどうですか。
#146
○政府委員(櫛渕欽也君) 病害虫に強い品種の開発でございますけれども、これは稲の品種改良の中では、もう従前から非常に大事な改良の目標になっておりまして、それで最近ですと、新しい品種が年によりまして五品種あるいは三品種くらい農林水産省関係で出ておりますけれども、従前の品種に比べますと、品質あるいはほかの形質、あるいは収量性、そういうことも十分重視しまして、その上で病害虫にも強いというようなものをつくっておるわけでございます。
 特に先ほどちょっとお話のありました、しま葉枯れ病という病気に対する品種改良の例を申し上げますと、しま葉枯れ病は最近特に関東地方に多く広がっておりますが、これは実はウイルス病という病気の一種でございまして、トビイロウンカという昆虫が媒介をします。その昆虫は、冬は麦の中で越冬をするのでございますけれども、そういうことで麦と稲との関係なんかございますが、今までの日本の品種は、このしま葉枯れ病に対して抵抗性の品種が一つもなかったわけでございます。そこで、もう十数年来かかりまして、外国の品種の中で、特にモダンという品種は、これはパキスタンの在来だと思いますが、そういう東南アジアの品種に抵抗性の遺伝子があることを発見しまして、それを大変年数をかけて日本の品種の中に取り込んだ品種改良が続いていまして、その成果が最近非常に出てまいりまして、最近の品種ですと、五十六年にむさしこがねという品種がありますが、そのほか星の光とか青い空とか、あるいは本年農業研究センターから新品種候補になっております関東百二十七号と、こういった一連のものはしま葉枯れ病に全く罹病をしません。これが昨今、関東地方を中心に急速に広がっておりまして、これまでの品種に大幅に置きかわりつつあるわけでございます。
 このほか、稲の病気では、大変重要ないもち病については、最近非常に強いということで定評のある新品種としてはホウレイという品種とか、あるいはハツコガネというような、こういう品種が大変病気に強い新品種ということで今後の普及が期待されておるわけでございます。
 そのほかに、いろいろな虫についても、特に暖地、九州方面で厄介なトビイロウンカという虫がございまして、日本では越冬できないのですけれども、毎年南の方から飛んできまして、それが場合によると稲に非常に大きな害を与えてしまう。そのトビイロウンカに対する抵抗性の育種も大変前から手がけておりまして、これについても日本の従来の稲は全く抵抗性を持ちませんけれども、やはり外国の抵抗性品種を基本にしまして、そういった素材を見つけ、それを大変年数をかけて日本の品種の中に取り込みまして、今新品種一歩前の、中間母本と呼んでおりますけれども、もうすぐ新品種になりそうな段階にまで達してございます。
 そういうようなことで、いろいろと日本の品種の病害虫の抵抗性を強めるということは非常に重要でありまして、そのために外国の遺伝資源といいますか、病害虫に強い抵抗性の遺伝子の探索が非常に重要でして、それが見つかりますと日本の稲にそういうものを取り込むということで、実は今、中国雲南省で、日本の研究者がずっと日本と中国の共同研究をやっておりますが、その中でも、最近の成果ですと、いもち病に非常に強い遺伝子を持った陸稲が見出されておりまして、こういったものが今後のさらに我が国の病害虫抵抗性の育種の非常に有力な素材になるだろうというふうに考えております。
#147
○刈田貞子君 この間、婦人対策のことがあって栃木県に行ったときに、このしま葉枯れ病のことが大変に農村婦人の中から出ておりましたので、いろいろ対策を考えてあげていただきたいと思います。
 それから、イネミズゾウムシの多発に備えてというようなことで、これも私ニュースを聞いていて耳にしたわけですが、注意報や警報が埼玉、山梨、神奈川、茨城ですか、出されているようでございますが、これはどういう条件がそろってくるとイネミズゾウムシの多発が予測されるということになるのか、教えていただきたい。
#148
○政府委員(関谷俊作君) ただいまお尋ねの中で、イネミズゾウムシでございますが、これの病害虫発生予察の注意報が今出ているところでございます。
 これはいろんな気象条件等によりまして、イネミズゾウムシは冬の間田んぼの周りのところに入っておりまして、それから田植え期にかけて本田に出てくるわけでございます。そういうような気象条件等から見まして、発生がかなり可能性が高くなってまいりますと出しているわけでございまして、今出ておりますものは、茨城県についてはまだ警報、注意報とも出ておりません。現在出ておりますのは埼玉、山梨、神奈川、この三県を含みます合計十二府県で、警報ではなくて注意報という警報より一段階下のもの、これは重要な有害動植物が多発生することが予想される、かつ早目に防除措置を講ずる必要があると認められるものということで、関係の対象の有害動植物に応じまして発生程度、防除時期、防除方法、そういうものを出しておるわけでございます。これに対応しまして、防除対策につきましては関係の事業により対応していく、こういうことにいたしております。
#149
○刈田貞子君 これは、まだ田植えの前の状況にある苗についての話ですよね。
#150
○政府委員(関谷俊作君) イネミズゾウムシの生態と申しますのは、これは昔は日本にはいなかったわけですけれども、大体わかりました生態では、冬の間田んぼの周りの地面の上とかでございますけれども、そういうところに潜んでおりまして、本田にその後出てくる、こういうようなことでございますので、その辺の発生条件がかなり高い。こういう状態で、したがって田植えをしました後の苗にくっつく、こういうところからだんだんいわゆる食害が出てまいりまして苗がやられる、こういうことでございます。この辺のところは、従来の生態の調査に応じまして、発生の予察で大変可能性の高いという場合に、今申し上げました注意報なり、さらに高ければ警報を出す、こういうようなことをいたしております。
#151
○刈田貞子君 お伺いするんですが、これは水稲に関する共済の責任範囲のところですけれども、原則的には稲の被害に対する補償というのは、田植えをしてからということになるのではないかと思うんですが、苗の段階のところの被害というのはどういうふうに考えればよろしいんでしょうか。
#152
○政府委員(後藤康夫君) 苗代の被害につきましては、苗の再仕立てをするとか、あるいはほかの地域から余剰苗を分けてもらって受け入れるというようなことによりまして対処できることがございますので、一般的には、苗代に被害があったからといって直ちにこれを補償の対象とすることはしないということで、今お話がございましたように、本田移殖期以後を共済責任期間とするということにいたしておるわけでございます。
 ただ、既に本田移殖期に入りまして、共済責任期間のもう範囲内に入っているという場合で、苗の再仕立てなり他地域からの受け入れがともかく不可能であるというような場合に限りましては、この移殖準備中の苗に共済事故によって被害がありましたために移殖が不能になった、あるいはまた移殖後の収穫物に減収を来したというような場合には補償の対象として扱う、こういうふうにいたしておるわけでございます。
#153
○刈田貞子君 いろいろ申し上げたいことがありますけれども、私先ほど申し上げましたように、やっぱり被害が起きてからどんな形でそれを補償していこうかという補償制度を完備することとあわせて、この被害が起きないためのあらゆる方策を講ずるということは、これは今水稲に限ってお伺いしておりますが、非常に大事な一つの農業的な政策じゃないかというふうに思うんです。予察機能とさっきおっしゃっておられたけれども、こういうこともだんだん技術が発達してくればかなりのことができていくのではないかというふうに思いますね。これをぜひ各分野において真剣に取り組んでいただきたいというふうに思います。そのことを含めて大臣にお伺いをいたしますが、そういう被害の未然防止ということについて農政の上でどう考えておられるか、このことが一つ。
 それからもう一つは、農業共済協会等からも、このたびの一部法改正に当たってはいろいろと要望があったというふうに私は聞いておりますし、私のところへもいろいろお申し出に来られた方がありました。かなり御要望が細々とあったわけでございますけれども、そうしたことを踏まえて、今回の一部法改正について、大臣はそれらの声に十分こたえ得ているかどうかということをお答えいただいて終わります。
#154
○国務大臣(佐藤守良君) 刈田先生にお答えします。
 二つ質問がございます。その一つは未然防止についてでございますが、先ほどからの経過を聞いておりまして、新種といいますか、そういうやっぱり災害に強い有望な育種素材等を活用しながら、より病虫害に強い抵抗性品種の育成に努力してまいりたい、このように考えております。
 また、実はINSの活用も、山形でありましたけれども、山形INSというのがございまして、ある一定の気象条件が整えば病虫害が発生する、そうすると、ある一定の気象条件の整ったときにどのような予防措置を講ずるか、こんなことを含めて実はその方法を講じてみたい、このように考えております。
 それから、後段のいわゆる共済協会等の要望でございますが、この補償制度につきましては、農業事情及び農家の保険需要が変化してきておりますので、これに即応した制度の改善が求められるとともに、厳しい財政事情のもとで、より効率的な制度とすることが必要となっております。このような状況にかんがみまして、今回の制度につきましては、農業事情の実態に即応した制度運営の改善合理化を図ることとしております。そんなことでございまして、今後ともこういう制度につきましては、実は農業共済団体の御理解、御協力を得つつ、その効率的かつ健全な運用に努めてまいりたい、このように考えております。
#155
○藤原房雄君 農業災害補償法につきまして若干の御質問を申し上げますが、これは同僚委員からもいろいろ問題の指摘がございました。
 私は最初に、この農業災害補償法の一部を改正する法律案の提案理由の説明で大臣がその要旨を説明いたしておりますが、この法律を改正するに当たりましての理由といいますか、よって来るところの問題点としまして何点か指摘して、かくかくしかじかなるがゆえに今回の改正が必要なんだというお話でありますが、その中で、「近年、農業事情及び農家の保険需要が変化してきており、これに即応した制度の改善が求められるとともに、厳しい財政事情の下で制度の一層の合理化を図ることが必要となっております。」というふうなことを大臣がお話しになっておりました。制度改善の要求は、これはそれぞれの団体もいろいろな角度から要求はあったと思いますし、また過去何回かの法改正、一部改正のときにも当委員会としましても附帯決議で、検討せよということで何度か御提案をしているわけであります。今回の法改正の中にはそれらの問題についての取り上げられた部分もあるわけでありますが、しかし「厳しい財政事情の下で制度の一層の合理化」というここのところが、改善ではなくて非常に農家負担を強いる現状に相なるというのが、先ほど来同僚委員からも指摘のあったとおりであります。
 そこで、大臣にまずお伺いをしなきゃならないのは、この農業災害補償法というのは、戦後の農地法とかそのほか今日まで農業の基本になる何点かの問題点があるわけでありますが、その中の大事な一つの柱であることは論をまたないところだろうと思います。このような大事な日本農政を支える柱である農業災害補償法、これに手を加えるということは、そしてまた、合理化とは言いながら農民に負担を強いる形のものにするということは、それはそれなりの大きな理由と説得力がなければこれは相ならぬと思うんです。今度の法改正を見ますと、確かに今までの要望の一部は取り入れられておるわけでありますけれども、その裏返しに大変な財政負担といいますか、農家経済に大きな負担を強いる一面もあるということで、今回のこの法改正に対しまして私どもも一抹の危惧を抱くわけであります。
 まず総括的に、日本農業の中で農業災害補償法というのは全体の中でどういう位置にあるのか。このたびのこの法律を改正するに当たりましては、大臣としても相当な御研究と決断をもってこれにお取り組みになったんだろうと思いますが、その辺の大臣のお考えをまずお伺いしておきたいと思うんです。
#156
○国務大臣(佐藤守良君) 藤原先生にお答えいたします。
 このたびの農業災害補償制度というのは、先生御存じのことでございますが、地理的条件や気象条件から自然災害の発生の多い我が国におきまして、農業経営の安定を図る上で不可欠の制度である、このように考えております。特に、近年冷害等の異常災害が多発する中で、本制度は農業経営の安定に大きな役割を果たしてきていると考えております。
 そんなことで、今後とも、農業災害補償制度につきましては、その効率的かつ健全な運用に努めますとともに、制度の機能を十分に発揮することにより、農家の経営安定のための制度として真に定着するよう努めてまいりたいと考えております。
#157
○藤原房雄君 この制度ができてから四十年近い歳月が流れておりますが、この農業災害補償法の果たしてきた役割、これは非常に大きいものがあったと思うんです。その辺のことについての認識については、今、大臣のお話の中にもございました地理的条件や気象条件、そういう災害を受けやすい状況の中で果たしてきた役割だということでございますが、それは言葉としてじゃなくて、本当に実感としてこの災害補償法の果たしてきた役割は非常に大きかった。戦前ですと、五十五年以来のあの冷害がもし昭和の初めに起きましたら、三年も四年も冷害が続きますと、東北、北海道は大変な経済不安を巻き起こしたであろう、いろんなことが言われております。そういうことから言いますと、こんな三年も四年も冷害が続くなんということは、異常気象が続くということは、そうあることじゃ決してありませんけれども、しかしながら農業災害補償法がそれなりの働きをしたということは万人の認めるところだろうと思います。そういうことで、これだけの三年も四年も異常気象のような状況が続いても、地域にはそれ相応の問題点はありますけれども、しかし昭和の初めのような悲劇が生まれなかったという点では大きな役割を果たしたと思うのです。
 ですから、まず最初に、この農業災害補償法というのは非常に機動的に働いておる、日本農業を支える、また農家の健全経営という上からいいまして、経営の安定という上からいいまして非常に重要な法律であるという御認識は、今、大臣のお話の中にもありましたが、その点をしっかりひとつ認識するとともに、さて現在の日本の農業がどうなるかということでありますが、日本の経済、日本の農業、いずれも非常に今大事な難しいところに来ておる。特に日本農業は、農家の努力のみではなくして、外国の圧力のためにまた大変な圧迫を受けておる。こういうことで、農家経済、農家経営というものは非常に苦しい状況の中にある。制度の一層の合理化、これは大臣も言われましたけれども、合理化は当然しなきゃならないんでありますけれども、非常に難しい現在の農家経済の中で、どこまで合理化というものが詰めていけるのかというのは非常に難しいことだと思うんです。
 大臣も、この法律を閣議に提出するに当たりましては、この災害を受けやすい日本の現状の中で、そして農家経済の非常に厳しい中で、特に諸外国からのいろんな制約、外圧の中で、日本の農業に対しまして責任ある立場として、日本農業の非常に大きな柱であります災害補償法を改正をするということについてはそれなりの御決意があったんだろうと思うんですけれども、その点については大臣も十分に勘案、決断をなさってこの法案の提出ということになったんだと思います。しかし、先ほど同僚委員からいろいろ指摘がありましたように、私ども十分に各種の現状というものを把握しておるわけじゃありませんが、以下、何点か指摘をしなけりゃならない問題点があり、そういう点ではぜひこの現実、現状というものをよくひとつ踏まえて適切な対処をしていただきたい。この農業災害補償法というのは日本の農政にとって非常に重要な法律である。また、それだけの大きな働きをしておる。それなりに、今後のいろんな諸問題については、大臣も責任を持ってひとつ今後の諸問題を弾力的に幅広く見ていかなきゃならない、私はこう思うんです。
 私どもはこの法律に賛成というわけにはまいりませんが、まず冒頭に、非常に重要な日本農業を支える柱であるという点におきまして、賛否は別としまして、この法律の重要性というものにかんがみて大臣に注意を喚起しておきたい、こう思うんですが、大臣、まずひとつ御決意のほどをちょっとお伺いしておきたいと思います。
#158
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたします。
 農業災害補償制度については、農業事情及び農家の保険需要が変化してきておりまして、これに即応した制度の改善が求められますとともに、厳しい財政事情のもとで、より効率的な制度とすることが必要となっております。このような条件にかんがみまして、今回農業災害補償法につきまして、農業事情等の実態に即応した制度運営の改善合理化を図ることといたしたわけでございます。そして、この制度の機能を十分に発揮することにより、農家の経営安定のための制度として真に定着するよう努めてまいる所存でございます。
#159
○藤原房雄君 最初に、危険段階別の共済掛金率の設定方式の導入ですね、いずれにしましても、農家負担が大きくなることは間違いありません。先ほども同僚委員からもお話ありましたように、地域間それから規模別、こういうところでいろんな問題点が出てくるだろうと思うんですが、さっきもいろいろ指摘がございました。これは適地適産の考え方というのはこの中にあるんだろうと思いますけれども、今日まで日本の農業が、それぞれ農業者がいろいろ努力をして工夫考慮をし、研究をし、そしてそれぞれの地域に見合った作物がつくられているわけであります。ですから適地適産、言葉はありますけれども、しかし自分のところに適さないものを無理やりつくっているなんということはないはずです。やっぱりそれなりの歴史的な経過、また先人の努力、そういうものがあって、特に水稲等につきましても大変な努力がなされて今日に来ているわけでありますが、先ほど来、当局の皆さん方のお話を聞いておりますと、あたかも災害を受けるところはそこは適地ではないんだから、しょっちゅう災害を受けて掛金の高くなるようなところはそれはやめたらどうかと言わんばかりのような感じがしてならないのですけれども、その辺の適地適産ということと、今度のこの掛金率の危険段階別ですね、これとの関連についてはどういうお考えでいらっしゃいますか。
#160
○政府委員(後藤康夫君) 共済掛金の国庫負担率の見直しに関連をいたしまして、適地適作の推進ということと今度の見直しとの関係についてはどういう考えなのかと、こういうお尋ねでございますが、今度の国庫負担の方式の合理化をいたしました幾つかの理由なり背景ということの中には、確かに適地適作という農政との整合性という問題が一つあったわけでございます。
 これは、かつては、限界地におきましてもお米の生産確保を必要としていた時代におきましては、異常に被害率が高いところについて特段に高率の補助を行うことによりまして、そういうところの生産率を強く支持をしていくということにかなり政策的な意味があったであろうというふうに推測されるわけでございますけれども、米の需給の不均衡のもとで五十数万ヘクタールに上ります水田利用再編対策をやりまして適地適作に基づく生産調整を推進しております現状では、この高被害地に特別に高率の補助を行うという仕組みは農業政策全体の整合性との見地から見てどうかということがあったわけでございまして、農家の掛金に対します国庫負担というのを被害率に対して中立であってもいいのではないか、つまり一律で上がってもいいのではないかというふうな議論も財政当局からあったわけでございます。また、仮に若干の超過累進を残すにいたしましても、その幅をやはり圧縮することが農政の基本方向にも沿うのではないかと、こういうことであったわけでございます。
 したがいまして、これは高被害地のところについて何か抑制するということよりは、むしろ国のこういう災害対策につきましての助成なり負担の仕方としまして、傾斜をつけて特に高くするということではなくて、中立的にしたらどうだという考え方によるものでございます。
 私ども、もちろん米の適地と申します場合に、被害率だけではかるわけにはまいらないと思います。被害率ということのほかに、例えば生産コストの問題もありましょうし、また経済的な観点に立ちますと、そこで生産される米の品質というようなこともやはり適地かどうかということの当然考慮に入ってまいります。ただ、適地、不適地と申します場合に、やはり被害率というものが一つの重要な要素であることは間違いがないだろうというふうに思っているわけでございます。そういった観点に立ちまして、やはりこの超過累進制は残すことにいたしまして、ただその傾斜を今までよりも緩くする、こういった仕組みの改正を行うことにいたしたわけでございます。
 それから、危険段階別の料率設定方式の導入につきましては、これは今までの共済組合単位で原則として一本にしておりましたものを、危険段階によりまして農業者のグループあるいは地域、または集落に分けまして、その全体の加重平均が今までの組合等ごとに定めておりました一律の料率に一致をするように細分化をするということでございまして、平均的な掛金負担率に変動を来すものではないわけでございます。
#161
○藤原房雄君 先ほどもお話ございましたように、日本の国は全体的には豊作と、こう言われていましても、高冷地とか、また地域によりましては共済金をもらわなきゃならないところもやっぱり出てくる。非常に南北に長い、また高冷地を抱えた複雑な地形をする日本の国でありますからいろんな問題があるわけでありますけれども、そういうことで災害ということを避けては通れない日本の農業事情というのがあるだろうと思うんです。
 災害による農作物被害に対しましていろんな農林漁業それぞれの公的制度があるわけでありますが、財政当局の主張の一つには、ほかの公的保険に比べて農作物共済を初めとしまして農業災害補償法そのものが非常に国の高率負担という、こういう言い方をしていますね。これは確かに高い一面もあるんですが、ほかのものと比べて全部が全部そうだとは言い切れないものがあるだろうと私は思うんです。本来、この法律の趣旨といいますか、災害時にはどうするかということに対しましては、これは災害の大抵の制度を見ますと高率の負担になっているのは当然ですね。ほかの補助率やなんかとは違って災害時の負担というのは別だと私は思いますし、特別この共済制度が高率負担で、そうでございます、これはもう合理化しなければなりませんという、そういう代物とは違うんだと私は思うんですが、どうですか。
#162
○政府委員(後藤康夫君) 私も農業災害補償制度、これは農業関係の災害関係の対策ではほかにもいろいろ災害融資を初めあるわけでございますが、何といいましてもこれが災害対策のやはり基本、基幹であるというふうに思っております。
 したがいまして、私ども他の公的な保険制度との比較論ということも随分いろいろ関係方面ともやりましたけれども、それぞれの制度にそれぞれのやはり存立理由なり重要性ということがあるわけでございますから、他の各種の公的な保険と何%というようなところで必ず機械的に横並びにしなければいけないものというふうな理解は私どもは持っておりません。今回御提案申し上げておりますような改正をやりました後におきましても、各種のこういった公的な保険制度の中ではやはりトップクラスの国庫負担を必要とし、またそれが災害対策としての一番柱になるようなそういう制度であり続けるというふうに考えておるところでございます。
#163
○藤原房雄君 災害がありますと、災害補償法によりまする補償と、それで損害額が全部満たされるわけじゃありませんから融資を受けるということになるわけですね。これは当然、共済の方からいただくものと、それから再生産のためにどうしてもそれだけでは賄い得ない、そういうものは融資を受ける。損害を受けたそれぞれの地域、それぞれの農家では、そのように共済と融資とは裏腹というか、一緒になって再生産のための手だてをしなければならぬということになるわけですが、そういうことから、災害がありましたときに、その災害に対して共済では幾ら支払われ、そしてまた融資が幾ら出され、それで再生産のための準備ができた、こういうことになるんだろうと思うんですが、五十五年から三年、四年冷害が続いているんですけれども、そこの共済の金額とそれからまた融資、要するに災害額に応じた融資、これはどういう関係になっているのか、ちょっと数字がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
#164
○政府委員(後藤康夫君) 突然のお尋ねでございますので、手元に特に災害金融、これも系統原資の天災融資法の融資、それからまた公庫の自作農維持資金等いろいろございますので、それを突合してどういう数字になっているか、ちょっと数字を持ち合わせないわけでございます。
 なお、水稲を例にとりまして支払い共済金で申しますれば、昭和五十五年以降の数字について申し上げますと、昭和五十五年が二千四百八十四億の支払い、それから五十六年が九百三十六億の支払い、五十七年が六百七十四億の支払い、五十八年が六百四十八億の共済金の支払いというような、近年この四、五年の間は、昨年は豊作でございましたが、かなりの額の共済金の支払いをいたしておるところでございます。
 先ほど御指摘ございましたように、この共済制度がなかった場合ということを考えますと、この昭和五十五年から五十八年の異常な天候によります災害というのは、農家経済あるいはまた地域経済に非常に大きな私は打撃を与えたであろうというふうに考えております。
#165
○藤原房雄君 総体的な数ですから、事前に言ってなかったからあれですけれども、こういう共済金だけで損害額が補い得て再生産できる状況ではないことは、この制度の上から、三割足切りだった例は、いろいろな共済では条件がございますし、そういうことで、必ずそれを補うための融資、これも激甚な災害であれば激甚の災害に即した制度もありますし、またそれぞれの個々の災害について金融、系統資金、いろんな制度でそれを補う、こういうことになるわけで、やはり一たび災害が起きますとそれはどういう比率になっているか、これは共済だけで全部賄い得る、そういう状況にはないだろうと思います。
 そういうことから言いまして、過日の金融三法でもいろいろお話がございましたように、今日まで補助金でなされておりましたものが今度は融資に変わるということで、農政もそういう方向に進みつつある。融資というのは、一たん借りますと返さなきゃならぬお金でありますから、それなりに農家に負担がかかる。同じように災害を受けたときも、融資を受けますとそれは返さなきゃならないわけであります。掛金が、今度は国庫負担が削られる分だけ農家の負担が増すわけであります。
 先ほどお話ありましたが、北海道では一戸当たり二万九千何がしという平均的な数字も出ておりましたが、そういうことと、この融資でまた補うということで、大臣も御存じのように、決して農家経済は上向いているという状況にない。厳しい中で一生懸命努力していらっしゃる。そういう中で、このたびこのような農家の負担を強いる制度、まあ制度としてはこの時期にやむを得ない一つの合理化策なんだと言えばそれまでのことですけれども、そこに一人の農家の方がいらっしゃって、そして何町歩かの水稲、また果樹を、畑作をということを考えますと、国民年金も農業老年金も今度上がる、またこの共済の掛金も上がる、今まで補助であったものが今度は融資に切りかわる。対外経済政策については、洪水的な輸出ということをよく言いますけれども、個々のものを見ますと、それなりの理由があってそれなりの金額であるのかもしれませんけれども、そこに一戸の農家がある、そして営々として努力して営農なさっているという農家を見ますと、もう何もかにもここわずかの期間の間に変わりましてそれが全部覆いかぶさる。各部局ではそれぞれ真剣にいろんなことをお考えになっていらっしゃるのかもしれませんけれども、農家の方にとりましては二重、三重の負担増ということになるのではないか。
 こういうことは、やっぱり政治家である大臣がよく見定めていただきまして、時期的にどうするとか緩和策をどうするとか、こういう手だてというものをお考えいただきませんと、それぞれの部局で、それぞれの理由で、大義名分のもとにそういうものが全部積み重なりますと、そのわずかばかりのやつの積み重ねで農家経済はますます危機に瀕することになるんじゃないか。こういうことも事務当局としては総合的にいろんな御検討をなさったんだろうと私は思うんですけれども、どういう御見解を持っていらっしゃるのか、ちょっとお聞きをしておきたいと思うんです。
#166
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 今の点につきましては、御指摘の点もよくわかりますから、十分慎重に配慮してこれから政策を進めたいと、このように考えております。
#167
○藤原房雄君 もう法律が半ば走りつつあるという中でこれから考えると。こういう問題が出されるときは、変えなきゃならぬ改革の一つの時を迎える、そういうときには往々にしてこういうことがある。各部局はそれぞれの立場でお考えになるんだろうと思うんですけれども、それを全体観に立って見定めていただくのは、やっぱり政治家である大臣以外にないと思うんです。今後ということよりも、現在真剣にひとつお考えいただいて、これはもう決まったことなんだからこれで押し通すんだということじゃなくて、もう少し愛情深い大臣として、これは温かく真剣にひとつ見ていただきたい、こう思うんですけれども、私の言うことと何かちょっと違うところはございますか。
#168
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 お気持ちは非常によくわかります。
#169
○藤原房雄君 気持ちがわかっても何かしてくれないと困るんですけれどもね。確かにこういう保険も上がる、また掛金も上がる、何もかにもという集中的に重なっているという現実だけはひとつよく御認識いただいて、そういう中で緩和策、今後の執行面につきまして御配慮いただける問題についてはきちっとひとつ御検討いただく。今後の問題としましては、やはりこういうものは総体的に見ていただかなきゃならぬ、私はこう思うんです。
 それから大事なことは、水稲共済なんかで、やっぱり集落へ参りますと、みんな同じ気持ちでやっていきませんと、集落再編成やなんかいろいろなことで政策的にもやっておるんですけれども、最近は混住化というそういう方向にありまして非常に難しい。そこへ任意加入と当然加入ということ、規模別での線を引く、こういうことで、これが農民の中に、また集落の中に入る人と入らない人と、こういう連帯意識というものがだんだんだんだんそがれる、こういう要因というのが非常に感じられる。私もいろいろなお話をしましても、そういうことを危惧する人が非常に多いわけなんですが、大きな規模でやっていらっしゃるところは余り関係のないことかもしれません。法文を見ますと、法文というか皆さんのお話を聞きますと、自家飯米農家とか二兼農家とかいいますけれども、そういう人たちが一緒にいて一つの集落をつくっているわけですから、そういう中に精神的な亀裂、これが制度の中から生み出されたということは、今後の農村形成におきまして非常に問題ではないかというふうに思うんです。
 そういうことで、やはり連帯意識を持つための啓蒙なり、また別な施策といいますか、これは一緒の気持ちで物事を進められればいいわけですが、当然こういうところに対しては十分な配慮をしなきゃならぬと私は思うんです。こういうことについても十分にその実態等についてはお考えになっていらっしゃるんだろうと思うんですけれども、どうでしょう。これについては何かお考えをお持ちになって、こういう規模の小さい方々に対しましての集落の中でそういう配慮を、ある程度考え方というものをお持ちになって進めようとしていらっしゃるのかどうか、そこら辺ちょっとお伺いしておきます。
#170
○政府委員(後藤康夫君) 農業災害補償につきましては、他の一般の損害保険などと違いまして、例えば被害の評価というようなことを一つとらえましても、やはり一つの集落なり地域の連帯感と公平感の中でこの制度の運営が行われるという点に特徴があるわけでございまして、やはりそういった性格と申しますものは農業災害補償制度の一つを支える要素として、これは将来ともそういう地域での連帯といいますかつながり、それに基づきます共済の事業運営ということは大事にしていく必要があることだというふうに私ども思っております。
 午前中の御質疑のときにもちょっと申し上げましたけれども、これまでの当然加入基準を引き上げました組合等の実績から見ましても、私ども基準の引き上げを行いまして任意加入の状態になりました農家の方々は、かなりやはり引き続いて任意加入という形で入っておられますし、共済組合がその事業基盤の確保なり事業の推進というふうな観点から、新種の共済も含めました加入の推進なり、あるいは防除体制の充実といったような経営努力をまたやっていただくことによりまして、むしろこれを機会にひとつ組織基盤の確保、充実に一層取り組んでいただくということを期待いたしておるわけでございます。
 私どもとしましては、これは当然加入といういわば強制の基準を緩和したということでございまして、制度的にはまさにそういうことでございまして、そこに何か、大きな地域の連帯に制度として亀裂を入れるというような考え方というものは全くございませんので、その点はひとつ御理解を賜りたいと思っている次第でございます。
#171
○藤原房雄君 個々の共済のことでありますが、家畜共済については、今度今まで要望の多かった肉牛の子牛等について制度の対象にするということになりました。酪農牛の雄牛の子についてもぜひ考えてもらいたいということも今まで何度か要望が出されておって、当局でもいろいろ御検討をしていらっしゃったのだろうと思うんですが、共済ということになりますといろんな問題がございますから難しいのかもしれませんけれども、この検討の結果と、また今回この中に加えられなかったのはどういうことだったのか、お伺いをしておきたいと思います。
#172
○政府委員(後藤康夫君) 乳牛の子牛につきましては、子牛の事故に際しまして農家の受けます損害の程度も、搾乳収入が得られますこともあって肉牛の場合ほど決定的でないということがございまして、乳牛の子牛についての事故につきましては従来保険需要も比較的少なかったということで、制度化のためのいろいろな事故関係のデータの調査というようなこともやっておりませんので、今回の制度検討の対象にはいたさなかったわけでございます。
 例えば、私どもの統計情報部でやっております畜産物生産費調査報告などで見てまいりますと、繁殖雌牛の和牛の一頭当たりの粗収益が三十一万円でございますけれども、そのうちの子牛の収入というのは二十六万円でございます。八四、五%が繁殖雌和牛の経営では粗収益は子牛から得ているわけでございますが、搾乳牛になりますと一頭当たりで六十二万四千円のうち子牛の収入は三万七千円というふうなことで、当然のことながら大部分が牛乳の収益になっているわけでございます。また乳牛の子牛の場合には、出生後間もなく出荷されるものでありますとか、そのまま一定期間哺育、育成されるものというようなことで、肉用牛の場合に比べますと飼養形態が区々でございまして、また、これを反映しまして被害率の格差も大きいとかいうようなこともございまして、そんなことで、実は乳牛の子牛共済の制度化の是非につきましては農家の保険需要なり、あるいは被害の実態等を見きわめながら判断をする必要があると考えております。関係の農家の方々から強い御要望があれば、また私どもとしても将来の検討課題として検討はいたしてみたいというふうに考えております。
#173
○藤原房雄君 それから畑作物の共済、てん菜等については足切りを二割という、そのほか低被害対象作物の足切りの切り下げとか、それからホップとかお茶とか、こういうものについても入れたらどうかとか、こういうことについてもいろいろ議論もございましたし、またホップとかお茶については五十五年の農業災害補償法の一部を改正する法律案のときの附帯決議にもなっておりますね。また前には、自給飼料をふやさなきゃいかぬという、そういうことにかんがみまして牧草についても考えてみてはどうかという、こんなこともいろいろ提起したこともございましたけれども、これらの問題についても私どもいろいろ調べて、なかなか難しい問題もあるんですけれども、今日まで数年を経過しているということや、お茶とかホップとかいうようなものや、また低被害対象作物の足切り水準云々ということについては五十五年の附帯決議、こういうことでもう五年も経過をいたしておるわけでありますから、相当この問題については御検討いただいていると思うんですが、どうなんでしょう。
#174
○政府委員(後藤康夫君) ホップやお茶につきましては、確かに五十五年の際に附帯決議をちょうだいいたしておりまして、それを私ども踏まえまして昭和五十六年度からホップにつきましては畑作物共済の対象品目に追加をいたしております。それから茶につきましても基礎資料の整備されている地域、あるいは損害評価が適切に実施できる見込みのある地域につきましては実施を行っているところでございます。
 それから、てん菜の足切りの水準の問題でございますが、これにつきましては、現在畑作物共済の足切りの水準と申しますのは、作物別に被害率なり、また粗収益に占めます第一次生産費、第二次生産費というようなものの割合、生産費率と申しておりますが、これを見ますとバレイショとか大豆、てん菜、サトウキビと申しますのは生産費率が相対的に高い、そして被害率が相対的に低いグループに入ります。それから、小豆なりインゲンと申しますのは生産費率が相対的に低い、しかし被害率は相対的に高いというグループになっておりまして、前者は後者に比べまして足切り割合を低くすることが適切であるというふうに考えられまして、五カ年間の試験実施の結果、関係者の御意見等々を伺いまして現行の足切り割合が定められたものでございます。
 また、仮に足切り水準を引き下げますと、現行制度と比べまして確かに共済金の支払いはふえますけれども、掛金率も上昇をするというようなことが一方ございますと同時に、支払い機会がふえますと損害評価の労力もまた大きくなってくるという問題もあるわけでございます。また、てん菜につきましては、同じ甘味資源作物でありますサトウキビなりとの均衡も勘案するというようなことも必要でございまして、こういったことを全体勘案をいたしまして、やはり現在の補償水準なり足切りの仕組みというものが現時点では適切ではないかというふうに判断をいたしておるところでございます。
#175
○藤原房雄君 果樹災害でありますけれども、省令ですか、特定危険方式について今度は暴風雨とかひょう害とか凍霜害とか、こういうものを追加するということですけれども、なかなか果樹も品目によりましてもいろいろ難しい面もあるんですが、何といっても災害が起きてそれをどう共済で見合うかということも大事なことですが、やはりそういう災害の起きないような品種改良とかそれから農作業、施薬、こういうことが大事なことだろうと思うんです。
   〔委員長退席、理事谷川寛三君着席〕
特に果樹については非常に難しいいろんなことがございますのであれですが、果樹の試験場等でいろいろ果実の落果等についての防止や品種の改良等についても研究していらっしゃるんだろうと思うんです。今度は風速等とかいろんなことが決められますが、農業試験場も最近の技術等におきまして今度の制度の中でできるだけ災害を少なくするための努力、こういうものを一つの研究目標として進めていらっしゃると思うんですけれども、その辺のことについて最近の状況等、御報告いただきたいと思うんです。
#176
○政府委員(櫛渕欽也君) ただいま御指摘のありましたいろいろな果樹の障害の中で、特に生理落果と申しますけれども、この問題は非常に果樹生産にとりまして障害の大きな要因になっておりますので、その点について申し上げてみます。
 果樹試験場におきましては、従来からこの生理落果に関します要因の解明とその防除技術の研究につきましては大変力を入れて進めてまいっておる次第でございますが、これまでの結果ですと、リンゴでありますとか、かんきつ、こういったものの生理落果につきましては、植物ホルモンの一種でありますエチレンという物質が関与しておるということが明らかになっておりまして、そのほかのいろんな要因もありますけれども、このことが一つ明らかになりまして、それをもとにしまして、こういった一部の果樹につきまして植物調節剤によります生理落果の防止技術を開発いたしたところでございます。この技術は、既に現地で普及に移っているわけでございますけれども、なお、まだいろんな気象の状況等によりましてこの防止効果の安定性に問題が残っているわけでございまして、そういうことから今年度からさらに、果樹のこういった気象要因によります発育の異常でありますとか、異常落果でありますとか、こういう問題についての研究に取り組むことにしております。これはプロジェクト研究で、果樹関係のかなりの勢力で取り組むというようなことを計画しておりますけれども、こういった中で、気象条件あるいは樹体の栄養条件その他いろいろな要因によって発生してまいりますこうした障害、特に生理落果等につきましての発生のメカニズムを明らかにいたしますと同時に、より安定的な、効果的な防止技術を開発しようとして今積極的にやっておるわけでございますが、今後ともこうした試験研究を通じまして果樹の障害につきましての一層の安定技術あるいは品種改良、こういったものも進めてまいりたいと考えております。
#177
○藤原房雄君 時間もあとわずかしかございませんであれですが、五十五年の附帯決議の中にもございますが、「共済組合の広域合併等の組織の整備に努め、各共済事業の普及推進及び事業の複雑な特殊性に対応し、共済職員の研修」等を行いたいということでございます。今日までも数字等を見ますと、ある程度進められてきているような感じもしますが、現在まで、五十五年当時から見まして、共済事業を推進するに当たりましての組織の整備といいますか、また今後の進みぐあいというのをどういうふうに農水省では見ていらっしゃるのか、まずその辺のことについてお伺いしたいと思います。
#178
○政府委員(後藤康夫君) この点につきましては、私どもも鋭意附帯決議の御趣旨も踏まえまして努力をしておるところでございますし、共済事業の末端を担います組合等のやはり体制が十分でございませんと一つはいろいろ事業推進も十分にできない、また職員の処遇などについてなり、あるいは研修というようなことについても十分なことができないというようなことでございますので、緊要な課題として私ども受けとめておるところでございます。一郡一組合というのを一つの目安にしまして、もちろんこれも地域の実態によっていろいろ事情はあるわけでございますけれども、その辺を一つの目安にしまして、実態に応じた広域合併の推進を図ってまいりたいと思っておるところでございます。
 現在、広域組合等の数というのが、五十五年当時は二百三十三ございました。うち、市町村の一部事務組合が十というような状態でございましたが、昭和五十九年現在で、いずれも四月一日現在でございますが、広域組合等の数が三百三十七、うち一部事務組合が三十三ということで、広域組合等の数が増加をいたしております。全国の市町村の数の中で広域組合等の中に含まれている市町村の数というものを比率でとりますと、五十五年に三八%でございましたが、五十九年には五五%ということで、五五%の市町村が既に広域組合等でカバーをされているという状態になってまいってきております。
 組織整備関係につきましては、六十年度におきまして組織整備の推進費というようなことで九千七百万、それから農業共済事業の基盤整備強化対策ということで四千九百万の予算も計上いたしまして、これからさらに地域の実態に即しました、また共済組合の体質の強化につながりますような組織の整備、広域合併の推進を図ってまいる所存でございます。
#179
○藤原房雄君 それから、共済事業推進に当たります組合職員の方々の待遇改善とか、損害評価員また共済連絡員の手当改善ということもこの附帯決議の中にありました。これは実際五十五年から冷害がございまして、五十五、五十六、五十七と、地域によっては、中、ちょっとよかったところもあるかもしれませんが、東北、北海道、北の方はこういう災害を受けまして、現地へ参りますと評価員の方々なんかもう不眠不休で大変な、早くにきちっとした評価をいたしませんと何もできないということでありますから、しかも自分の町のことを自分の町の人かするというわけにいかないわけでありますからどうしても遠出になる、こういうことで人手が足りない、大変なオーバーワークで、そういう実態を私どもも目の当たりにしまして、これは豊作続きのときはいいのかもしれませんけれども、地域全体がやませなり、また冷害なりで被害を受けるということになりますと、集中的に仕事が全部来て自分のこともできないようなことで負担がかかるということ、これは皆さん方もよく御存じのことだろうと思うのであります。
 しかし、今度の改正を見ますというと、事務費というのはさっきお話がありました定額といいますか、そうふえない。そうふえないじゃない、ふえない。あとは努力というみたいなことのようでありますけれども、これは多くかかるときとかからないときとある。共済組合職員の場合には、これはきちっと定まっておるでしょう。しかし、農民の要望もだんだん多様化の方向にあるということになりますと、それなりの専門家の方々が要るということで、どうしても事務経費とかそういうものが必要になってくる。こういうことで、この共済組合職員の待遇改善とか損害評価員とか共済連絡員の手当改善ということは、これは附帯決議ではこのようにうたって、皆さん方もそれは守りますということなのかもしれませんが、しかし今度の改正で非常に制約を受けるのじゃないかというふうに私は考えざるを得ない。
 それはもうそれぞれの組合で努力をするんだというふうに言ってしまえばそれまでのことなんですが、合理化といいましても、そこに人がおって常時態勢をつくらなきゃならぬということになりますと、非常に難しいことだというふうに私は思うんです。非常に大事な、下積みといいますか、一番最前線で大事な仕事を担っていらっしゃる。この方々の評価をいただきませんともう手がつけられないといいますか、次の作業が進まないというようなこと等を考え合わせますと、今回の改正で事務費が定められる、限定されるというようなことでいいのかどうか。財政的には年々増大する、これを何とかするんだというそういう上からの見方はそれなりに私もわからないわけじゃありませんけれども、しかし現場で働く方々にそれがしわ寄せが行くようなこのたびのこういう改正は非常に問題がある、こう考えざるを得ないんですけれども、これはぜひひとつ、附帯決議にも盛っていることであり、現実に当委員会におきましても何度か災害の起きるたびに私どもも提起をいたしておることでもありますが、このたびの改正によりまして、こういうところに大きな支障といいますか、なり手がないみたいな、そこにまた問題が起きるようなことのないような十分なひとつ行き届いた施策というものを私は要望しておきたいと思うんですけれども、これらのことにつきまして局長と大臣からひとつ御答弁いただきたいと思います。
#180
○政府委員(後藤康夫君) 私ども、ただいまお話のございました組合等の損害評価員等の方々の事業運営に占めます非常に重要な役割というものについては全く同じように考えているところでございますし、従来からも実行上の問題といたしましては、積み上げ計算の予算方式をとっておりました中におきましても、実態上、地域の実情なり実態に応じた支給がなされるようにというようなことを指導をしてまいったところでございます。今お話のございましたように、今後この損害評価員等の方々の活動に支障が生ずるというようなことが起きませんように、私どももいろいろ共済組合なり関係団体ともお話をしながら努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#181
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 今、局長の答弁したとおりでございますが、第一線の方々がこの事業運営に支障を来さないように、士気を低下させないように最善の努力をいたしたい、このように考えております。
#182
○田渕哲也君 農業災害補償法が昭和二十二年に制定されて以来、我が国農業の安定発展のために大きな役割を果たしてきたことは否定できないと思います。また、その間、幾多の変遷を経て、制度そのものも数次にわたり改正されて今日に来たわけであります。
 現在、我が国の農業の置かれた立場というのは、国民の農業に対する期待というものも従来とは変化しておりますし、また財政事情というものも大きな変化を遂げております。さらに、この農業事情というものも変わっておりまして、現在与えられた状態の中で日本の農業が最も好ましい方向で発展するように制度自体を改革するというのは私は当然である、このように考えるわけであります。ただ、今回の改正の内部、内容につきまして若干疑問の点もありますので、二、三質問をしたいと思います。
 まず第一は、危険段階別の共済掛金率の設定方式の導入についてであります。今回、この制度を取り入れる理由というものを、まずお伺いをしたいと思います。
#183
○政府委員(後藤康夫君) 現行の制度におきまして、掛金率が御案内のとおり、共済目的の種類なり組合等の区域ごとに原則として一律というふうに定められているわけでございますが、近年におきますいろいろな状況の変化の中から、大まかに申しまして、今回の危険段階別の掛金率の設定方式の導入をすることにいたしました背景として三つほどの状況の変化がございます。
 一つは、高水準の技術力を持っております専業的な農家が育成されつつあります一方、兼業化なり、あるいは担い手の高齢化というものが進みます中で、好天候に恵まれた年はよろしいわけでございますが、気象条件が悪いというような状況になりますと、栽培管理の基本を励行しているような優良な農家と、言葉はやや語弊があるかもしれませんけれども、いわば片手間的な農家との間で被害の発生状況にかなり差異のある地域が生じてきているというようなことが一つございます。
 それから第二には、組合等の広域化ということに伴いまして、広い範囲を対象地域にします組合等が増加をしてまいりまして、組合員等の間でこの原則一律の掛金率に不満を持つ、あるいは不公平感を感ずるというような農業者なり地域が生じているということがございます。
 それから第三には、他方、こういった組合の広域化とか事務処理体制の整備ということに伴いましてコンピューターなどが導入されてまいりまして、昔のそろばん計算の状態に比べますと大量の事務処理が可能になってきた、こういったような三つの事情を背景にいたしまして、危険段階による掛金率の設定方式を導入いたしまして農家負担の公平を図るという観点から、この組合等の選択によりまして農家なり、あるいは地域を区分をしまして被害率等の被害状況に応じまして危険段階別の掛金率を設定する、それによりまして被害の少ない農家の共済掛金率を低くする等の道を開きたいというのが、今回の改正の背景及びねらいでございます。
#184
○田渕哲也君 この制度には当然加入あるいは義務加入制というものもあるわけでありまして、農作物共済、蚕繭共済については一定規模以上の農家の加入を強制する当然加入制がとられる、それからその他の任意加入制を原則とする事業においても、組合等の議決によって加入を義務づける義務加入制が採用される。この当然加入制とか、あるいは義務加入制が採用されておる根拠というものをお聞きしたいと思います。
#185
○政府委員(後藤康夫君) これは、やはり危険分散なり逆選択加入の防止といった観点、あるいはまた、一定の事業規模を確保しないと事業そのものとして成り立ちにくい。しかし、その事業はぜひ導入をしたいというような場合に、組合の意思決定を経ましてその事業を始めるというような場合、そういう場合に一定の規模以上の農家の加入を義務づけるといいますか強制する、こういう趣旨で設けられているものと考えております。
#186
○田渕哲也君 私は、この加入を強制する制度というものは、本来なら非常に技術の優秀な農家、それから与えられた気候条件もいい、被害の少ないところでも加入をしなければならない、これは被害が起きた農家というものをそういう余裕のある農家がやっぱり助けるという共済の趣旨ですね。だから、余り危険段階別というようなことで料率を分けてしまうというのは、この当初の恵まれた者が恵まれない者を助けるという趣旨からするとちょっとどうなのか。特に強制加入の制度をとりながら、この掛金率に格差を設けること自体、やや矛盾する面があるのではないかという気がしますが、いかがですか。
#187
○政府委員(後藤康夫君) 農家に加入を強制するかどうかという問題と、それから加入農家の間の負担と給付の均衡を図るためにどのような保険設計なり料率の設定の仕方が合理的であるかという問題は、一応別個の問題として存在をしているのではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。もちろん、強制加入制度のもとで例えば料率を非常に細分化して、もうほとんど出したものをまたもらうというところまで細かく細分化すれば別であるかもしれませんけれども、私ども考え、また団体の方でも考えておられるのは、それほど細かいことを考えているわけではございませんで、被害率なり共済金の支払い頻度というようなものを指標にして三つでございますとか、せいぜい五つとか、そういうふうな段階を分けようというふうなことが通常であろうというふうに思っておるわけでございます。
 強制加入であるから形式的平等といいますか、一律の掛金であるべきだという考え方もあり得ようと思いますけれども、逆に強制加入の制度をとっているんだから実質的なやはり公平ということをある程度考えなければいけないと、こういう立論もやはりあり得るのではないか。そういう意味で、強制加入というものと料率を一本にするかしないか、あるいは保険の設計の仕方をどうするかということは、直接にはつながらない問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。
#188
○田渕哲也君 大体、保険制度というのは、生命保険にしても健康保険にしてもそうですけれども、健康で長生きする人は掛金は長く掛けて損をする。病気になった人とか早く死ぬ人が、その分で保障をもらうという制度なんですね。だから二つの面、特に農業の場合には被害の原因にも二種類あると思うんです。先ほど言われたような技術水準あるいは技術努力、こういうものによって被害が防げる部分、それからもう一つは、天候とか天災的なもので人力ではなかなか防げない部分、そういう両面がありますし、それから、先ほど言った共済保険という趣旨からしても、やっぱり被害の軽い人が被害のひどい人の面倒を見る、助けるというのがその趣旨ではないかと思うんですね。だから、掛金率を今度は各組合が自由にグループ分けをしたり、あるいは料率を決めたりすることができるわけですけれども、そこに一定の制限というものがないとこれは保険の趣旨を損うことになりかねないと思いますが、いかがですか。
#189
○政府委員(後藤康夫君) 確かに、保険の仕組みでございますから、事故の少ない方が事故の多い方を救うという機能は当然持っておるわけでございます。ただ、今生命保険のお話がございましたけれども、生命の場合にはいつ死が訪れるかわからないということと、これは永久に未来に開かれて、一時間後、一月後、一年後に死が訪れるかもしれないという可能性は常に持っておるわけでございますし、死亡という事故はそれこそ一生に一度しか起きないわけでございます。そういう事故と、例えば最近車の損害事故でも、自動車の事故が起きますと、これはもう何回も起き得るわけでございまして、また、ある程度は属人的にもその頻度が違ってまいるというふうな場合に、自動車の損害保険でも最近料率の細分化というようなことをやっているわけでございまして、共済なり保険というものの中でも、その事故の態様等によりましてやはりその仕組みなり設計というのはいろいろ違ってきてしかるべきものなのではないかという気がいたします。
 それから、お話しのように、しかしながら、危険段階別の共済掛金率の設定の道を開くということで野放しにした場合には農業共済の本旨に反するような運用も行われるのではないかというお尋ねでございますが、そこは私どもも十分に意識をしているところでございまして、一つは、危険段階別に分けます場合の指標のとり方というようなものにつきましては一定の基準をやはり指導をいたしたいと思っておりますし、それからまた、危険段階別に分けましたときの刻みのつけ方というのが、本来のその基礎データにあります危険度の差よりもうんと過大にならないようにする、それからまた、危険段階別の掛金率を決めました場合に、その加重平均値がこれまでの共済組合の一本の掛金率に一致するように定めなさいというようなことは、そういう基準を決めまして、その枠内で共済組合の選択によってこういう方式が導入できるようにするようにしたいということで、その点は私どもも気をつけて運用するようにいたしたいと思っております。
#190
○田渕哲也君 自動車の保険の例が出ましたが、自動車の保険でもその料率にメリット・デメリット制をつけているのは任意保険の場合でありまして、強制保険は全部一律であります。死亡事故の場合だけ保険金を再払いするという制度があるわけでありますが、そこで強制保険と任意保険の差というものはやっぱりあると思うんですね。したがって、農業災害補償の場合でも、強制加入の場合には余り大きな差をつけることは好ましくないのではないかと思うわけであります。そういう意味で、十分な指導をお願いしたいと思います。
 それから次に、掛金の国庫負担方式の合理化の問題でありますけれども、これは他の保険と違ってかなり高率の国庫負担がついておるということは先ほども言われたわけでありますけれども、この高率の国庫負担をつけておる理由は何なのかをお伺いしたいと思います。
#191
○政府委員(後藤康夫君) これは、農作物共済におきまして、掛金率の高低におきまして負担割合に差をつける、そしてまた、その超過累進制の下のところが農作物共済においては五〇%であるというところから、当然かなり高率になっておるわけでございますけれども、これは農作物共済の対象になっております作物、特に米が我が国の農業生産なり国民食糧の基幹をなすものでありまして、また、我が国は気象変動による災害が非常に多発しやすい、しかも地域的にかなり深度の深い被害をもたらす場合があるというようなことから、このような高率の国庫負担をしてまいってきたのだと思いますし、また、このよりかなり高率な国庫負担をすることによりまして、当然加入制のもとで、いわば加入を強制しておるわけでございますから、この農家負担のある程度の平準化にも役立てて、強制加入制度の円滑な運営にも資していこうという配慮もあったのではなかろうかというふうに思っております。
#192
○田渕哲也君 この制度のできた当初、三十八年改正以前は、超異常災害の共済掛金の標準率分については、保険というよりはむしろ国が補償すべき部分として全額を国庫が負担した、その他の部分は二分の一ずつ負担したという制度になっておるわけです。これが、三十八年改正ではいわゆる超過累進制がとられ、四十六年の改正ではさらに上限が引き下げられた。今回、さらにまたそれが引き下げられるわけでありますけれども、そうすると、この当初の考え方というものが大分変わってきておる。私は、国庫負担を高率につけるというのは、やっぱり災害対策という面が非常に強いからだと思うんです。だから、軽度のものならばお互いの共済で何とか面倒を見切れるけれども、いわゆる天災とか自然条件の大きな変化で大きな災害が出た場合にはとても共済では面倒を見切れない、そういう部分はやっぱり国が助けるということならこれは非常にわかりやすいわけですね。当初の趣旨はそういう趣旨が盛り込まれておったと思いますけれども、今回のような改正にすると、だんだんそういう趣旨がなくなると思うんですが、その点はどうなんですか。
#193
○政府委員(後藤康夫君) 実は、今お話がございましたように、三十八年改正前は、超異常災害につきましては国が全額負担をして、超異常災害でない被害につきましては共済でもってカバーをするというやり方でやってきたわけでございますけれども、昭和三十年代に米の作柄が安定をしてくるに伴いまして、それ以前のこういった仕組み、そしてまた、そのときには保険設計は、やはりそういう超異常災害というようなものをどうつかまえるかということになりますと、できるだけ大数の法則が働くような大きなものを単位にして設計をしなければいけないというようなことで、連合会といいますか、県単位で、しかも被害率の比較的似通ったところをまとめて制度を仕組むというようなことでやってまいったわけでございますが、そういたしますと、例えば非常に掛け捨てになる、あるいはまた、掛金は払うけれどもほとんどこの制度の恩恵を受けないようなところと、国の財政負担を含めて非常に受益が集中をする地域というようなものが出てまいりまして、それからまた、掛金の相当部分が連合会なり国の特別会計に吸い上げられてしまって掛金が共済組合の単位組合の手元に残らない、そんな非常にいろいろな問題が起きまして、組合の解散運動というようなものにまで発展したりした時期がございました。そこで、三十八年に組合等単位の保険設計にがらりと変えまして、そしてその際に、今日のような被害率の高いところにつきまして国庫負担の率を高くするという超過累進制を取り込んだわけでございます。
 実は、今回の制度の見直しの際にも、こういった今お話しのございましたような超異常災害は国が全部見るというようなことで仕組みをもう一度考えてみたらどうかというふうな検討も実は内部的にはいたしたわけでございますが、組合等単位の保険設計というもの、これは今共済団体の中でもこれを動かす意向は全くございません。これを前提にいたしまして、仮に超異常全額国庫負担というようなことになりますと、同じ水準の掛金率でも超異常部分とその他の部分の被害の仕分けが組合等間で非常に異なるというふうなことから国庫負担割合が違ってくる場合もございまして、組合間あるいは農家間の公平という観点から非常に不満が出るのではないか、あるいはまた、組合等の間で被害の発生頻度なり深さに差が大きい現状のもとにおきましては、何をよりどころに超異常部分とその他の部分の被害を区分するかということを客観的に算定することが非常に難しい。蚕繭共済は超異常災害部分国庫負担というやり方をとっておりますが、これは県単位の保険設計でございます。そういう難点がありましたので、そういった方式の導入はやはり難しいという結論に、今回も検討の結果なったわけでございます。
#194
○田渕哲也君 財政当局の希望とすれば、将来は一律国庫負担五〇%にしろとか、あるいはさらに引き下げを考えておるとか思われるんですけれども、この点はいかがですか。
#195
○政府委員(後藤康夫君) 財政当局としては、なるべく国庫負担をあらゆる事業なり制度について下げたいという大変強い御希望を持っておられることは最近言うまでもないことでございますけれども、今回、財政当局ともかなり長い期間にわたりましていろいろ議論をいたしまして、最終的に到達をいたしました結論が、今御提案を申し上げているようなことでございます。私どもといたしましては、現在の状況によほど大きな変化がない限りはこれを変えることは今のところ全く考えておりませんし、この制度改正を一つの踏み台にしまして、
   〔理事谷川寛三君退席、委員長着席〕
この改正に基づきまして今後農業災害補償制度の安定的な運営を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#196
○田渕哲也君 次に、農作物共済の当然加入基準の引き上げについてでありますけれども、先ほどからいろいろ論議されておりますが、現行の十ないし三十アールを二十ないし四十アールに引き上げる理由というのがもう一つはっきりわからないのですけれども、もう一度お伺いしたいと思います。
#197
○政府委員(後藤康夫君) この当然加入制は、昭和二十二年に農業災害補償法が発足をいたしました場合には非常に厳しい当然加入の基準になっておりまして、組合員資格を持っておる者はもう全部当然加入というふうなところからスタートをいたしまして、その後、何回かにわたってこの強制の基準が緩和をされてまいりまして、現在の十ないし三十アールというものの中で知事が定めるというところまでまいったわけでございます。
 今回のこの予定しております政令改正も、いわば戦後のそういった長年の延長線上にある考え方でございまして、過去十年ないし二十年の間に兼業化の進展というのも相当著しいものがございました。特に小規模の農家層の農業への依存度がかなり小さくなっているというようなことがございますし、農政もできるだけ生産性の高い、規模の大きな農業経営を育成していこうという方向でございますし、二十アール程度と申しますと、まず平均的な収入なり農家の家族人員ということを考えますと、自家飯米の生産が主体という農家でございますので、そういった農家まで当然加入ということで強制的な加入を義務づける政策的な必要性というものも乏しいということから、今回の政令改正を考えたわけでございます。
#198
○田渕哲也君 この二十年間の推移を見ても、稲作農家の一戸当たり平均の耕作面積規模はほとんど拡大していない。そういう点からすると、稲作に占める小規模農家の地位というものは決して減少していないわけですね。これは構造改善がどんどん進んで小規模農家の占めるウエートがうんと低くなれば、こういう考え方もそれに付随して出てくるものであって、そういう面がほとんど進んでいないのに、この制度だけでそれが先行されるというのは逆ではないかと思いますが、いかがですか。
#199
○政府委員(後藤康夫君) 今申し上げましたように、今回の当然加入基準の引き上げと申しますのは、農業構造の改善なり農業規模の拡大の状況との関連において実施しようというものではないわけでございます。先ほども申し上げましたように、兼業化の進展なり農業収入に対する依存度、あるいは農業所得に占めます水稲所得の低下というような状況が、特に兼業農家あるいは経営規模の小さな農家では生まれているわけでございまして、基本は、要するに当然加入と申しますか保険を強制する必要があるか。これは個人の契約の自由を縛っておるわけでございますね。縛るだけの政策的な理由があるかどうか、こういう観点からお考えいただいたらお考えいただきやすいのかなという気がいたしております。
#200
○田渕哲也君 そうすると、共済制度の側に立った必要性ということではなくて、小規模でそれに依存する度合いの低い人は強制的に入れるまでもない。入るのは自由だけれども強制する必要はない。そういう考え方ですか。
#201
○政府委員(後藤康夫君) 強制する基準を緩和するという考え方でございます。私ども、任意加入として共済組合に加入し続けていただくことは希望をいたしております。
#202
○田渕哲也君 そうすると、大した改正ではないというような気がするわけですけれども、私はその背後に政府当局のねらいがあるのではないか、やっぱり小規模農家は任意加入にして、それで任意加入の国庫負担分は削減する、もともとそういうねらいから出てきた問題ではないかと思いますが、いかがですか。ただ単に、小規模農家にとって余り煩わしいことを強制せぬ方がいいということだけではないと思うんですがね。
#203
○政府委員(後藤康夫君) 財政的な観点から、今お話のございましたように、当然加入と任意加入とで国庫負担の差をつけるべきだとか、あるいはまた極端に申しますと、当然加入農家にだけ国庫負担をすればいいではないかというふうなかなり乱暴な議論も、財政的な観点のみからすればあり得るわけでございますし、また、そういう論をなす方も現にあるわけでございますけれども、私ども、それは農業共済制度の全体の健全な運営という観点からそういうことはできないということで、当然加入、任意加入で国庫負担に差をつけるということにつきましては、最後までこれは農業共済制度としては受け入れられないし問題にならないということで、そのように決定をいたしたわけでございます。
#204
○田渕哲也君 これで終わりますけれども、もともと財政当局からそういう話が出てきて、それで農林水産省は抵抗して、つまり国庫負担率の削減は防いだ、しかし、当然加入基準の引き上げだけは残ったということが真相ではないのでしょうか。
#205
○政府委員(後藤康夫君) そういうお尋ねがあると思いまして、一番この項目の冒頭のお答えのときに申し上げたわけですが、昭和二十二年の制度発足以来一つの流れとして、非常に厳しい強制から、順次、需給事情の緩和あるいはまた、稲作への依存度の高くない農家の増大というようなことに伴いまして、過去二回ほどだったと思いますが、当然加入基準を緩和してきております。これは、共済関係が当然に成立するということを法律でぴしゃりと書いている、かなり強制の強いものでございますから、やはり制度論としては、節目節目では、そういう強制をする政策的な根拠なり公共性、公益性というふうな点からの見直しはやっていかなきゃいかぬものだろうと思っております。
 過去二回の見直しは、今よりもはるかに財政需要の豊かな、年々二割近い財政支出の伸びがありましたような時代にもそういう見直しをやっておるわけでございまして、財政当局はそれを関連づけて考えましたけれども、制度としては、財政事情のいかんにかかわらず、やはり節目節目では見直さなければいけない問題ではないかというふうに思っております。
#206
○喜屋武眞榮君 私は、農業災害補償法について一応目を通してみたわけですけれども、目を通しただけではどうも理解のできない点が多々ありますので、そういった問題を拾い上げてただしていきたいと思っております。
 まず、大臣に対してお尋ねしたい私の気持ちは、もと立ちて末起こるという言葉がございます。ですから、やっぱり末を明かしていくためにはその根本の柱を十分に認識してかからないというと正しい判断ができない、また期待もできない、こういう考え方に立って、特に農は国のもとであるとも言うわけなんですが、ですから、その国のもとである農業を振興させるための農業災害補償法であるならば、この災害補償法を確立することは、一生産農家の立場を守るだけじゃなく全国民の生活につながる重要な問題である、こういったとらえ方に立って大臣にお聞きしたいことは、この農業災害補償法のあるべき姿を政府はどのようにとらえておられるのであるか、そのもとを大臣にまずお聞きしたいと思います。
#207
○国務大臣(佐藤守良君) 喜屋武先生にお答えいたします。
 この農業災害補償制度は、先生御存じのとおりでございますが、地理的条件や気象条件から自然災害の発生の多い我が国においては、農業経営の安定を図る上で不可欠な制度でございます。特に近年、冷害等の異常災害が多発する中で、本制度は農業経営の安定に大きな役割を果たしているところでございます。
 今回の補償法の改正につきましては、昭和五十五年の前回の改正以来五年近く経過した現在、農業事情及び農家の保険需要が変化してきており、これに即応した制度の改善が決められておりますとともに、厳しい財政事情のもとでより効率的な制度とすることが必要となっている状況にかんがみ、この制度について、農業事情等の実態に即応した制度運営の改善合理化を図る見地から、種々の改正を六十一年度または六十一年産から実施することとしたものでございます。
 今後とも、この効率的かつ健全な運用に努めますとともに、制度の機能を十分に発揮することにより、農家の経営安定のための制度として真に定着するよう努めてまいりたい考えでございます。
#208
○喜屋武眞榮君 あえて最初に大臣に以上のことをお尋ねしました私の気持ちは、制度の改正というのはあくまでも改善であり改悪であってはいけない、前進であり後退であってはいけない、こういう基本的なとらえ方を私は持つものであります。この前の国民年金法改正案の連合審査のときに私、大臣に率直にお尋ねしたのは、年金制度というのは、いわゆる保険制度というのも含めて、そのよしあしは文化国家のバロメーターである、こういうことを強調いたしたことは御記憶にあられると思います。
 そこで、今度の法の改正の質疑を行うに当たって、農業災害補償制度が農業経営を維持するための最後のとりでと申しますか、こういった観点から、この保険制度は日本の農業に対する政府の姿勢を示すそれこそまたバロメーターである、こういう見解に立っておるわけですが、ところが最近、中曽根総理が、去る四月十九日ですか、対外経済対策推進本部の会合で、貿易摩擦解消のためには農業も例外としないといったようなことを述べておられるんですね。このことに対して私は腑に落ちない、ひっかかるものがあるわけであります。ということは、この裏には中曽根総理は、農業の重要性というものに対して本当に正しく受けとめて理解をしておられるのであるか、こう私は思われてならない。農業も例外ではない、一律軒並み、こういう一つの発想ですね。
 そこで、農業の本当の国民生活あるいは国にとって果たす役割、重要性というものについて、直接の責任者であられる農水大臣にあえてお聞きしたいんです。
#209
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。
 今、先生御指摘のとおり、農業というのは生命産業として極めて重要な役割を果たしてきております。また、地域社会におきましても、就業機会の提供など地域経済社会の健全な発展を図る上で非常に重要でございます。
 このような農業の重要性、特殊性にかんがみまして、総理も去る五月九日でございますが、衆議院の本会議におきまして、アクション・プログラムにおける農業の取り扱いについては国際的に説明できるものでなければならないが、国民生活あるいは国民経済における役目等々を十分考えて、その特殊性に留意しつつ行うべきものであると考えている旨答弁されております。また、参議院におきましては、五月十日の参議院本会議でございますが、ニューラウンドの推進に当たっては農業問題だけを突出させるということは私自身も反対である。農業問題というものは各国とも皆そういう固有の事情を持っている、そういうことを私はミッテラン大統領に申し上げてきたのであります、こういう答弁がされたわけでございます。
 そんなことで、私としても農業の重要性については今後とも各方面の理解を得るよう努めてまいることとしており、アクション・プログラムの策定に当たりましては、我が国農業を生かし、その健全な発展を図ることを基本にして関係国との友好関係にも留意しながら慎重に対処してまいりたい、このように考えております。
#210
○喜屋武眞榮君 最近、日本の政治で大きく言われておるのがいわゆる貿易摩擦の問題ですね、四面楚歌といいますか。そういった貿易摩擦の解消のためには農業も例外ではないということを、これは私がそのように気にしておるだけじゃなくて、農水大臣も国民が総理の発言をどのように受けとめておるかということは一番よくわかっておられると思います。
 そういうことと思い合わして大臣に重ねてお聞きしたいことは、昨年来問題になりましたいわゆる貿易の輸入枠の問題ですね。農産物の輸入枠の問題について、今私がお尋ねした中曽根総理の貿易摩擦解消の問題と絡めて、いわゆる牛肉、オレンジ、パイナップルの問題をその輸入枠の問題、あの時点とこの今日の時点と絡み合わせてどのように考えておられるか、明確に聞かしていただきたいと思います。
#211
○政府委員(後藤康夫君) 牛肉関係につきましては、昨年日米間で合意決着を見まして、四年間についての合意ができたわけでございます。昭和六十二年度の双方都合のいいしかるべき時期にその四年たった後の問題について日米双方で話し合おう、こういうことになっておるわけでございます。
 それから、十三品目につきましても二年間の合意ということでございますので、来年の三月まではこの合意が現に存在をしておるということでございまして、現在は我が国はその約束をきちんと履行しているという状態でございます。もちろん、四月の政府決定によりまして、これからまた今後の対外経済対策関係のおおむね今後三年間先までを見通した行動計画の検討というふうなことがあるわけでございますけれども、少なくとも今申しました四年なり二年の間については一定の合意ができておるわけでございますし、その後のことにつきましてはこれから検討をする段階でございます。
 いずれにしましても、ことし今すぐどうこうするというような性格の状態になってはいないというふうに私は理解をいたしております。
#212
○喜屋武眞榮君 繰り返すようでありますが、農業は国民生活につながる基本的な問題でありまして、そうして国内自給を高めていくという生産増強ということは、これはもう基本的な政策条件であることに変わりはないと思いますので、この点ひとつしっかり守って、国民の、わけても生産農家に不安を持たせることのないように重ねて要望しておきます。
 次に、今回の改正の目的とそうしてその内容と結びつけて考えた場合に、改正は改善であり改良であり後退であってはいけないと冒頭申し上げましたが、ところが、この改正は農家の負担を強いるものであるということは、これはどう弁解しようが明らかであると思います。この点、ただ稲、麦の掛金国庫負担の引き下げであることは明らかであるわけですから、このことはまことに遺憾であると思うんですね。そうしますと、稲と麦の掛金国庫負担の引き下げであるわけですが、この掛金国庫負担率を引き下げねばならないその引き下げを提案されるに至ったいきさつ、このことを明確にしてもらいたいんです。
#213
○政府委員(後藤康夫君) 農作物共済の掛金国庫負担水準につきましては、昨年の夏と申しますか、集中的にいろいろ議論、検討が行われましたのは秋以降でございますが、いろいろな観点からの検討がなされたわけでございまして、一つは、今日相当大規模な米の生産調整を行いながら適地適産を進めていくという観点からいたしますと、被害率の高い地域に、より手厚く国庫負担する方式は問題があるのではないかというような問題提起がございましたし、また、各種の公的な保険制度の国庫負担割合に比べてかなり高い負担水準、飛び抜けて高い負担水準になっているのは問題ではないか。また、特に財政当局からは、もちろんこの制度は災害対策としての公的救済の側面を持ってはいるけれども、公共事業に対します補助などと違いまして、いわば個人の掛金に対しまして五〇%以上の補助を続けていくというのは、制度的にも他に例を見ないというような議論がございました。そしてまた、一般的な背景といたしましては、特に国庫負担について申せば、臨調答申等におきまして、各種補助金につきまして、特に高率の補助なり負担は全面的に見直すという一般的な財政的な見直しという方針の中で、五割を超える補助というのは高率であるというふうなことで、財政当局からは、この際見直しをして一律五〇%程度にすべきではないかという見地からの御議論が相当強くあったことは事実でございます。
 しかし、私ども農林水産省といたしましては、米麦は何と申しましても農業経営の基幹をなすものでございますし国民の基本的な食糧である。そしてまた、農業災害の特殊性という見地も忘れてはならないということで、種々検討し、また反論もいたしました。最終的には、超過累進性という考え方はあくまでも維持をしながら、最高の掛金率のランクの国庫負担割合というのを一律に一〇%だけ縮減をする、水稲については六〇%までにするということで、平均の国庫負担率を約五九%から五四%にするというようなことで決着を見たものでございます。
#214
○喜屋武眞榮君 大体わかりました。
 それでは次に、この改正に伴う政令の改正について、関連してお尋ねをします。
 特に水稲共済の、先ほども触れておられるようでしたが、政令の改正を予定されておる水稲の当然加入基準、現行十アールから三十アール、これを二十アールから四十アールの枠に改められるわけですね。そのことについて、沖縄の場合、地理的条件、島嶼条件もありまして、十五アールから二十アールの枠でありますね。十五ないし二十。そして、それを三区分に分けて決められておる。ところが、問題は、この基準の最低が二十とされた場合、これはもう当然加入引き上げ基準になるわけですが、そうなると、これは制度のもう根幹的な改正になるということになりますね、政令の。そうなると、根幹に与える影響といいますか、随分これは派生していくのではないか、こう思われますが、このことをどのように考えておられるのか、お聞きしたい。
#215
○政府委員(後藤康夫君) 沖縄県につきましてのお話でございましたが、沖縄県におきましては水稲共済を実施しております組合が三つございます。三組合のうち、一組合はもう二十アール以上ということになっておりますので、二組合が当然加入基準を引き上げることになろうかと思っておりますが、先ほど来この問題についていろいろ御議論が出ておりますけれども、組合がいろいろな加入促進なり、あるいはまた防除体制の整備等の経営努力を払っていただきまして適切な対応をしていただければ、当然、任意加入の道は開かれておるわけでございますし、またこれらの沖縄の二組合について見ますと、畑作物共済のサトウキビと、それから家畜共済がむしろ共済事業の中心でございますので、農作物共済のウエートが小さいということもございまして、この二組合について非常に大きな影響を生ずるということはないものというふうに私ども見ておるところでございます。
#216
○喜屋武眞榮君 法改正に伴う政令との関連において、そういうものが派生的に連動してくるわけでありますので、その面で混乱、混迷がないように十分配慮してもらわなければいかぬと思います。そういう点で念を押すわけですので、その点、十分ひとつ配慮していただきたいと思います。
 次に、制度というのは、例えば日本の農業が自然的な制約と地域的な差異という面から集約されて制度が生まれてくる、こう思うんですが、そして農業に対する国と生産者、農民によるところの共済制度として設けられたのが、この災害補償の制度であると思うんですが、あえて基準の下限を、例えば十アールから三十アールを二十アールから四十アールというふうに下限を引き上げるわけですね。十アールを二十アールに引き上げる必要があるのかないのか、ないのではないかと私思うわけですが、その点どのような見解を持っておられるか。
#217
○政府委員(後藤康夫君) 水稲共済の当然加入基準を引き上げることにいたしましたのは、生産性の高い、また規模の大きい農業経営を育成するという農政の基本方向もございますし、過去十年、十五年の間にかなり兼業化とか農業収入への依存度というものが、特に経営規模の小さな農家については進んでおるというようなこともございます。
 そういったことから、農業収入に依存するところが少なく、また自家消費米の生産が主体であるような小規模農家についてまでも当然加入の対象として、加入を任意ではなくて強制をして義務づけるという政策上の意義が乏しくなっているというふうに考えられることから、当然加入基準の緩和を図るものでございます。
#218
○喜屋武眞榮君 今お尋ねしました背景には、例えば北海道の場合には北海道地域に対する特別な基準がありますね、北の外れ。それから南の沖縄にも、沖縄の地域に即した特別措置があるわけなんですが、その枠を、繰り返すようでありますが、こういった地域に対する配慮、特に離島に対する特例的な措置ですね、これを考えておく必要があると思うんですが、先ほども触れられましたけれども、これをちょっと念を押したいと、こう思いますのは、基準を変えることによって、今度は健全な運営という面からの見通しはどう考えておられるか、もう一遍念を押してみたいと思うんです。
#219
○政府委員(後藤康夫君) 先ほどもお答えをいたしましたように、当然加入基準の引き上げと申しますのは、組合からそういった農家を排除するということではございませんで、意思のあるなしを問わず強制的に強制加入をさせるというのから任意加入の方に制度として仕組みを移す、強制を緩和するということでございます。したがいまして、共済組合として加入促進なり、あるいは損害防除その他のいろいろな活動を通じまして地域内の農家を十分つかまえていただくという努力をやっていただければ、私どもは任意加入になった途端に加入農家が激減するというような事態は生じないし、また生じないように努力をしなければいけないというふうに思っているわけでございますし、また沖縄の当該二組合につきましては、サトウキビなり家畜の共済が事業の主体でございますので、そういった面でも水稲についての当然加入基準の変更というものが、問題の二組合について非常に大きな影響を与えるというふうには考えておらないということを、先ほど御答弁申し上げたわけでございます。
#220
○喜屋武眞榮君 念を押すようでありますが、この制度の改正によっていろいろ切り捨てられたり、落ちこぼれたり、こういうことがないように十分配慮してほしいことを、重ねて要望しておきます。
 次に、家畜共済について伺いたいんですが、沖縄の畜産の現状を申し上げますと、農業粗生産の三〇・八%、こう数字が示しておりますね。特に肉用牛については、最近非常に意欲的で発展しつつあるわけですが、五十八年度末は史上最高だと言われております四万三千三百六十八頭。さらに意欲的にふやす計画を持って、六十六年度には八万頭目標、こういう目標で今、意欲的に頑張っておるところであります。ところで、この改正案によりますと、家畜共済は肉用牛の子牛とそれから母牛の胎児が共済目的として今度追加されたわけですね。このことは、これは時代の要求といいますか、近年、最近の食肉資源に占める肉牛の重要性と申しますか、そういう点からその意味は非常に大きい、意義のあることだと、こう理解いたしております。そこで、これまであったときと異なっておりますのが、母牛の妊娠八カ月以上の胎児、こういうふうに限定されておるわけですね。そのように決められた理由、根拠はどこにあるんですかね。
#221
○政府委員(後藤康夫君) 今回、制度化をいたしたいと思っております肉牛の子牛共済は、子牛の事故による損失を補てんしたいということで考えておる制度でございまして、牛の胎児につきましては、妊娠満八カ月を経過いたしますと、胎児が正常に出産をした子牛と同様の生活能力を有するということから、子牛を制度の対象とすることとの均衡上、妊娠満八カ月以上の胎児から対象にすることにいたしたものでございます。
#222
○喜屋武眞榮君 今の点、理解できました。
 次には、共済金額につきましても、今までと違いまして、母牛といいますか、母牛の価額の二〇%、こうなっておりますね。母牛の価額の二〇%と押さえた根拠は、理由はどこにあるか。従来は一六%でしたかね、前にあったのは一六%でしたでしょう。今の第一点は、母牛の価額の二〇%と押さえた理由は何なのか。
 今度は従来と異なって一律二〇%という、一律と押さえてあるでしょう。この一律とした根拠はどこにあるのか、これが第二点。
 そして第三点としまして、この根拠に立って進めた場合に、果たして農家の期待にどの程度こたえることができるであろうかという疑問もあるわけですが、その三点についてひとつ明確にしてもらいたい。
#223
○政府委員(後藤康夫君) 今回の胎児及び子牛を共済の中に取り込みます場合に、この価額をどのように評価をするかということにつきまして、私ども胎児、子牛とも母畜価額の二割というふうにしたいと考えているわけでございますが、これは御案内の、もう当然のことでございますが、胎児は通常売買をされませんので市場価格も形成をされないということから、何らかの形で推定をしなければいかぬわけでございます。これを子牛の例えば出荷月齢別の子牛の価額を母牛の価額との比率でとりまして、趨勢線を引いて、そして月齢がゼロのところで見ると大体どのくらいかというふうなことで推定をいたしましたり、あるいはまた出荷子牛の体重と価額との相関関係をつくりまして、生まれたばかりの子牛というのは大体三十キロぐらいということでございますので、それに三十キロぐらいの子牛の場合の価額を推定するというようなことをやりますと、大体母牛の価額の二割程度になるということがございますし、家畜伝染病予防法の五十八条によりまして、予防接種などをやりまして牛が死にました場合の手当金の交付という仕組みがございますが、これに対しまして、胎児価額の評価というのは母畜価額の二割を基礎とするようにというふうなことで現在指導されているということがございます。
 また、四十一年に一度廃止されました旧生産共済におきましても、胎児の価額を母畜の価額の二割と見ていた。今、喜屋武先生一六%とおっしゃいましたのは、付保割合が八割で、その二割ということで、掛けて一六%ということでございまして、母牛の価額のやはり二割ということでやっておりました。そんなことを総合勘案いたしまして、二割ということが適当ではないかと思っておるわけでございます。
 それから、旧生産共済では、成長に応じて共済金額が増加していたじゃないかというお話でございますが、この点は、旧生産共済が実施されていました当時の家畜共済制度と申しますのは、まだ飼養規模も小さかった、今のように多頭飼育というような状況でございませんでしたので、加入方式も一頭ごとの個別加入方式であったわけでございまして、共済金の算出に用います事故家畜の価額も、事故の原因発生直前の価額というものを用いるということで、子牛の共済金額も成長に応じて増加をさせておったわけでございます。
 ところが、その後、飼養規模の拡大などに伴いまして、農家の飼養家畜を全頭加入させるという包括共済加入方式に移行をいたしまして、もちろん種雄牛とか種雄馬というふうなものは個別共済がまだございますけれども、その他のものにつきましては包括共済加入方式に移行をいたしまして、それまでの事故直前の家畜の価額による評価方式というのは事務的に非常に煩瑣でございますし、適正な評価を統一的な基準で実施することもなかなか難しいというような理由から、現行の家畜共済制度におきましては、家畜の価額と申しますのは、原則的には最初の共済掛金期間開始時における価額と、そしてまた次の掛金期間が始まりますときに、その時点でもって評価を見直す、同じ掛金期間の中では固定をするということで制度が変わっておるわけでございます。そういったことで、旧生産共済とは家畜共済そのものの制度が変わっておりますので、この中に新しく今度子牛なり胎児を取り込みます場合に、今の家畜共済のそういった制度に合わせてやはり取り込む必要がありますので、二割ということで、かつ一つの共済掛金期間においては固定をする、しかし、また次の掛金期間には当然評価を変えるということは可能なわけでございます。
 それから、こういったことでどの程度農家の要望にこたえられるかということでございますが、この点は、かつての旧生産共済というのは四十一年にうまくいかないで一度廃止をしたわけでございますが、その後、今申し上げましたように、包括共済というふうに制度の仕組みも変わってきておりますから、今度のような仕組みであれば制度としてもうまく回るだろうと思っておりますし、関係団体からも、特にこの昭和四十年代の後半に非常に牛の異常産――流産でありますとか早産、死産というふうなものが多発をいたしましたのを契機にいたしまして、それまで割合低かった肉牛の飼養農家の保険需要、保険意識が非常に高まってきているというようなことがございますので、もちろんこれは制度を実施いたしてみませんと、また実施をした段階で追加的な御要望が出てまいることもあり得ないことではないと思っておりますけれども、こういった仕組みにつきましても、共済団体といろいろ打ち合わせをしながら制度を仕組んでおりますので、現時点での関係農家の御要望にはこたえられる仕組みと言えるんではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。
#224
○喜屋武眞榮君 見通しとしてもうまくいくと、こういった御見解ですね。
 次にお尋ねしたいんですが、四十一年の時点では、保険需要が著しく低かったということから政府が廃止を提案された、こう承知しておりますが、最近復活を要求する声が非常に強くなった、高まってきた、こういうこともうかがえます。ところが、四十一年に廃止したことが今度復活したということについてどのように考えられるだろうか。例えば、その廃止されたという時点では、それが今日また復活するようになったということとを結び合わせて、それは間違いであったのか、早計であったと判断されておるのか、見通しが立たなかったと、こういった反省の立場からそのことをどのように考えておられるのか、そのことをお聞きしたいということと、今後の保険需要の見通しについてまたどう見ておられるか、そのことを念を押してみたいと思うのです。
#225
○政府委員(後藤康夫君) 旧生産共済を四十一年に一度廃止しておいて、今度またこれを改めて新規の制度として導入するというのは一体どういうわけかというお尋ねでございますが、昭和二十二年にこの災害補償法が制定をされて以来、牛馬の胎児と生後六カ月未満の子牛なり当歳馬というふうなものを対象にいたします生産共済が確かに実施されてきたわけでございますが、当時の家畜共済制度は、先ほどちょっと申し上げましたように、個別加入方式をとっておりましたために、逆選択でありますとか、あるいは俗に申しますつけかえというようなことが行われたりいたしたということもあり、また掛金率が高率であったというふうなこともあって年々加入が減少する、そして加入が減少すると掛金も高くなり、また加入も非常に局地的になるというふうなことで先細りになりまして、四十一年には家畜共済の改正の際に廃止をしたというのが実際の経過でございます。
 当時は、もうこれで保険需要としてもないし制度としてもなかなかうまく回らないということで、一回あきらめた形になったと申した方が正直だろうと思いますが、その後、先ほどちょっと申し上げましたように、四十年代の後半に牛の出産事故が非常に多発をいたしまして、肉牛飼養農家の保険意識が非常に高まってまいったということがその後の状況変化としてございますし、農政の方でも、やはり食肉需要の増大というふうなことで、肉用牛の生産振興ということを考えます場合に、やはり繁殖経営のところの経営安定ということを考えますと、どうしても子牛の生産共済のところでひとつ制度的な手当てをやる必要があるというような政策的な判断も加わってまいりました。
 さらに申せば、家畜共済につきまして、一括して引き受け共済関係を結ぶ包括共済制度がとられてまいってきておりますので、かつての生産共済のときの制度的な欠陥というようなものも母牛と一体で包括的に引き受けるということにいたし、また仕組みもいろいろ工夫を凝らせば、かつての個別共済のような弊害なり問題も生じないで済むであろうというようなことをいろいろ検討をいたしました結果、そういう結論に達しましたので、今回改めて導入をすることにいたしたわけでございます。
 したがいまして、一言で申せば、あのやめたというときには確かに復活の予定をしておりませんでしたので、そのときには見通せてなかったということかもしれませんけれども、基本的には保険需要の変化、それからまた、家畜共済制度全体の枠組みが変わることによりまして子牛共済が制度的にも取り入れやすくなったという、この二つが基本的な事柄であろうというふうに考えております。
 それから、実際に保険需要はどのぐらいあるかということにつきましては、これも畜産事業の相違なり畜産農家の意向によってかなり違ってまいりますので一概にはなかなか申せませんけれども、かねてから制度化につきまして御要望も強かった、そして幾つかの肉用牛のウエートの高い都道府県からは御要望もいただいておった事項でございますので、私どもの制度普及の努力をいたしますれば、相当程度の加入があるものと考えておるところでございます。
#226
○喜屋武眞榮君 家畜共済についてもう一点尋ねたいんですが、この牛と馬、豚の比較でありますが、豚についてのみ国庫負担が四〇%と、こうなっておるんですね。ところが五十五年の改正時点で、一気には行かないが、いずれ豚も牛、馬並みに上げていくといった発言があったと記憶しておりますが、なぜ牛、馬並みの五〇%国庫負担が豚について実現しなかったのか、それから今後実現の見通しはどうなのか、その点、念を押したいと思いますが。
#227
○政府委員(後藤康夫君) 種豚及び肉豚の掛金国庫負担割合の引き上げにつきましては、五十一年及び五十五年に引き上げが行われました結果、現在四〇%ということになっておりまして、さらに引き上げてほしいという旨の御要望があることは私どもも承知をいたしておるところでございますが、現下の厳しい財政事情のもとでなかなか困難が大きゅうございまして、また他の改善要望事項との優先度についてもいろいろ検討をいたしました結果、今回、豚の掛金国庫負担割合の引き上げについては見送らざるを得なかったというのが正直なところでございます。したがいまして、この問題については、将来への検討課題ということで今後考えさしていただきたいというふうに考えておるところでございます。
#228
○喜屋武眞榮君 牛、馬、豚は、これは平等に扱ってほしいと思いますね、差別をつけぬで。だから、どうしても早く一律の線を実現してもらいたい、こう思います。
 次に果樹共済について、特にパイナップルは我が沖縄が唯一の生産地であるということはもう御案内のとおりでありますが、ところが、このパイナップル共済について沖縄の現状と照らし合わして申し上げてお尋ねをしたいんですが、こういうことがうかがえますね。
 五十八年度の被害状況を見ますと、戸数で四二・六%、面積で五三・四%、それから加入状況は面積で一四%の引受率、こうなっておりますね。このことを言葉をかえて申し上げますと、事業実績は、被害率が高いのに加入率が低いという結果になっておるんですね。このことから思いますことは、被害率が高いのに加入しない原因は一体何だろうか、どこにあるだろうか、この疑問が起こります。そしてまた思うことは、これは制度そのもの、すなわち果樹共済制度自体が農家の保険需要に積極的にこたえてくれてない内容であるのか、それとも生産農家に、沖縄の特殊事情に原因があるのであるか、この原因はどっちだろうか、ひとつ御見解を承りたいと思います。
#229
○政府委員(後藤康夫君) 御指摘のとおり、沖縄のパイナップルにつきましては加入率が低迷しているわけでございますが、その原因といたしまして、いろいろあると思いますが、一つは、パイナップルの価格が低迷をしている、それから第二に、沖縄の農家の方々の危険意識といたしましては、やはり台風の被害ということを一番頭に考えておられるわけですが、パイナップルはサトウキビ類に比べまして相対的に台風の被害が少ないというようなこと、また農家負担掛金がサトウキビに比べましてパイナップルの方が、率はパインの方が低いんですが共済金額が大きいというようなこととの関係で、農家負担掛金がパイナップルの方がサトウキビよりも高い、一戸当たりの農家負担掛金がパイナップルの場合は二万七千百八十九円、サトウキビが二万六百三十三円というようなことで、十アール当たりでも大体やはりパイナップルの方が少し金額として高いというようなことなどが要因としてあるのではないかというふうに私ども承知をしているわけでございます。
 こういったことから、加入の推進方策といたしまして、農家向けのパンフレットを配りますとか、あるいは生産出荷団体におきます普及推進説明会等を通じまして加入促進を図るといったような地道な努力の積み重ねによりまして、制度に対する農家の方々の理解を深めながら、一層加入の推進に努めてまいりたいというふうに考えるわけでございます。
 料率の問題も時に聞くわけでございますけれども、パイナップルの料率は、料率としてはサトウキビの方が高くパイナップルの方が低いという状況でございますし、それからまた、この料率の算定の基礎になります被害率というのは、やはり過去における被害の発生状況によりますものでございますので、保険の仕組みがございます以上は料率を加入促進のために下げるというようなこともなかなか難しいという状況がございますので、やはり地道な努力が必要ではないかというふうに考えております。
#230
○喜屋武眞榮君 沖縄にとってサトウキビとパインは基幹作目であるわけですが、特に唯一の亜熱帯産業としてのパイナップルであります。それで、毎年のようにこの問題につきましては価格の問題、それから輸入枠の問題について政府に強い要望が繰り返されておるわけでありますが、幸いに今度は沖縄からの報告によりますと次の結果に結論が出ておりますので、これを御参考までに申し上げまして、この線をぜひひとつ守り育ててくださるように要望をしたいと思います。
 五月二十日のパイナップルの生産協定、いわゆる生産者代表とパッカー代表が増産体制で危機打開というスローガンで見事な結論を得ております。まず第一点は、年間国内需要量二百四十万ケースと押さえて、沖縄側が百万ケース、そして冷凍品として五十万ケース、輸入として九十万ケース、合わせて二百四十万ケースですね、これを至上課題とする、そのためには年間原料生産五万トン、これも至上課題として意欲的に取り組む、そのためには三点として価格安定協定、これを見事に結論を出しております。一キロ当たり四十九円。そして、それに条件をつけております。決定額、この四十九円を下限として向こう五年間保証するとパッカーが答えているわけなんです。これを答えてくれることによって農家の生産意欲を刺激して増産に励む、パッカーはまた企業経営を計画的に推進していくというこのことを再確認をして、握手をして、希望的なこういう立ち上がりを二十日に結論を出しておりますので、どうかひとつこの線を大事にしていただいて、意欲的に政府の立場からも育成をしてもらいたいと思います。
 以上、申し上げまして、最後にひとつ果樹共済に関する附帯決議に関して、五十五年の改正時に第二項でこのようなことが決議されておりますね。第一、地域の条件等に対応した単位当たり価額の算定。二、適正な標準収穫量と基準収穫量の設定。三、的確な損害評価の確立の指導。四、共済金の早期支払いに役立つ事務の簡素化等に努めるようといった、その改善を求めるという要望がこの附帯決議に出されておりますね。
 そこで最後にお尋ねしたいことは……
#231
○委員長(北修二君) 時間が参りましたから簡潔にお願いします。
#232
○喜屋武眞榮君 政府はどのような検討に努力をされたか、今回の改正に盛り込むべきものは何だったのかということをコメントしてもらって、終わります。
#233
○政府委員(後藤康夫君) 地域条件等に対処した単位当たり価額の算定という御決議につきましては、単位当たり価額は、共済目的の種類等の細区分ごと、都道府県内の価格差の実態に応じて区分された地域ごとに主務大臣が定めるということにいたしまして、地域の実態に対応したものにすることにいたしております。
 それから、果樹の標準収穫量及び基準収穫量の適正な設定についてでございますが、標準収穫量は、地域、栽培条件、植栽形態等の要因ごとに作成をいたしました標準収量表を基礎に設定をすることにいたしまして、これを適正に作成するために必要な経費を昭和五十六年度に助成をいたしました。また、基準収穫量は、当該年産の果実に係る開花期までに園地条件、肥培管理、樹体、隔年結果等の状況を十分調査して適正に設定する必要がありますので、これを適正に設定するために必要な経費を昭和五十七年度から助成をすることにいたしております。
 それから、的確な損害評価につきましては、損害評価特別事務費補助金を引き続き交付する等によりまして、一層の的確さを期しているところでございます。
#234
○委員長(北修二君) 本案に対する質疑は本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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