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1984/05/30 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 農林水産委員会 第19号
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1984/05/30 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 農林水産委員会 第19号

#1
第102回国会 農林水産委員会 第19号
昭和六十年五月三十日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     小林 国司君     志村 哲良君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         北  修二君
    理 事
                高木 正明君
                谷川 寛三君
                最上  進君
                村沢  牧君
                藤原 房雄君
    委 員
                岩崎 純三君
                浦田  勝君
                大城 眞順君
                岡部 三郎君
                熊谷太三郎君
                志村 哲良君
                竹山  裕君
                初村滝一郎君
                水谷  力君
                稲村 稔夫君
                菅野 久光君
                山田  譲君
                刈田 貞子君
                塩出 啓典君
                下田 京子君
                田渕 哲也君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農林水産大臣   佐藤 守良君
   政府委員
       農林水産大臣官
       房長       田中 宏尚君
       農林水産大臣官
       房審議官     吉國  隆君
       農林水産省経済
       局長       後藤 康夫君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     関谷 俊作君
       農林水産省畜産
       局長       野明 宏至君
       農林水産省食品
       流通局長     塚田  実君
       林野庁長官    田中 恒寿君
       林野庁次長    甕   滋君
       水産庁次長    斉藤 達夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        安達  正君
   説明員
       経済企画庁調整
       局調整課長    西藤  冲君
       経済企画庁総合
       計画局計画官   阿部  修君
       外務省経済局外
       務参事官     赤尾 信敏君
       文部省初等中等
       教育局教科書検
       定課長      小埜寺直巳君
       林野庁業務部長  江藤 素彦君
       通商産業省貿易
       局輸入課長    奈須 俊和君
       通商産業省貿易
       局検査デザイン
       課長       小川 忠夫君
       通商産業省産業
       政策局商政課長  山下 弘文君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、長野営林局の管轄区域の変更及び名古屋営林支局の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
○農林水産政策に関する調査
 (農林水産物の市場開放問題等に関する件)
 (農林水産物の市場開放問題に関する決議の件)
    ─────────────
#2
○委員長(北修二君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、小林国司君が委員を辞任され、その補欠として志村哲良君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(北修二君) 農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、前回において質疑を終局しておりますので、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#4
○村沢牧君 私は、日本社会党を代表して、農業災害補償法の一部を改正する法律案に反対する立場で討論を行います。
 農業災害補償法は、制度の発足以来、国の農業災害対策の基幹として位置づけられ、農業経営の安定、農業生産力の維持発展のために寄与してきましたが、我が国農業が食糧自給率の低下、農業所得の伸び悩みの中で、生産性の高い農業の展開が求められているとき、この制度の果たす役割はますます大きなものがあり、政府は制度の改善充実のために法律内容の整備を行うべきであります。
 ところが、今回の改正法案は、掛金国庫負担の圧縮、当然加入基準の引き上げに主眼を置いたものであって、農家の要望にも逆行するばかりでなく、本制度の根幹を危うくする改悪であり、我々は到底容認しがたいところであります。
 反対する理由の第一は、掛金国庫負担額の削減であります。
 今回の改正により水稲の国庫負担割合は、全国平均で五九%から五四%に減額され、これに伴い農家負担額は全国平均で一三%も増額されることになり、国の重要な政策課題である農業共済保険の国庫負担額がこのように圧縮されることは、制度の崩壊につながることになります。
 国の負担割合削減に伴う農家の負担増を軽減するため、過去二回の改正の際には激変緩和措置を講じており、今回の改正に当たっても我が党は、過去の例に倣い経過措置を講ずるよう強く要請したにもかかわらず、政府はこれを受け入れず、また与党も法修正に反対の態度をとってきたため実現できなかったことはまことに遺憾であり、将来に悔いを残すものであります。
 反対の第二の理由は、当然加入の引き上げであります。
 今回の改正によって、当然加入から脱落する農家が五〇%以上にもなる組合が多くあり、このことは本制度成立の前提となる当然加入制の意味が薄れ、組合の運営、制度の維持に重大な悪影響を及ぼすことになります。
 反対の第三の理由は、政府が内容を充実したと言われる改正の中にも幾つかの問題点があります。
 例えば、危険段階別の共済掛金の設定方式の導入に対する現実的実行性、果樹共済の掛金率の軽減や加入促進、肉用牛に対しては受胎八カ月から共済目的に加えながら、乳用牛に対してはこれを
認めず、また豚の国庫負担を据え置くなど首尾一貫しないものがあることであります。
 その他、本改正案の質疑を通じて、将来さらに農作物共済国庫負担を引き下げられるのではないか、あるいは当然加入と任意加入との間に掛金の差を設けられるのではないかという疑問に対して政府の答弁はあいまいであり、本年度から事務費の国庫負担を定額化したこととあわせて、今回の改正の中心は、政府の責任を農家に転嫁する方向を一段と強めたものであるとともに、将来の制度の後退にもつながるものであることを指摘し、反対の討論を終わります。
 以上です。
#5
○下田京子君 私は、日本共産党を代表し、農業災害補償法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
 まず指摘しなければならないのは、今回の農災制度見直しが、臨調行革路線に基づく財政合理化、つまり国民生活向け予算の削減を最大のねらいとしていることです。
 この点は、本改正案の決定経過を見ても明らかです。六十年度予算と何ら関連のない六十一年度実施の制度改正案が予算とあわせて内示され、予算と同時に決定されるという異例さで、ここに財政主導改正の本質が示されています。
 また、現に今回改正による国の財政負担は、部分的な改善による増額はあるにしても、トータルで約五十億円の削減となります。
 このことは、今年度予算が十六年ぶりでマイナスとなったこととあわせて、戦後二十二年にスタートし、拡充、改善されてきた農災制度を後退、縮小させるものであり、戦後政治の総決算路線の一つと言わなければなりません。
 次に、改正内容に即して問題点を指摘します。
 その第一は、農作物共済の掛金国庫負担率を引き下げることです。
 これは文字どおり、自立自助の名による受益者負担増や高率補助金カットを進める臨調行革路線の実行です。
 この国庫負担率引き下げによる農家負担増は約五十七億円にもなり、生産者米麦価が抑制され、収益性低下のもとで農家経営にさらに打撃を与えるもので、到底容認できません。
 しかも、超過累進制は残したというものの、水稲共済の国庫負担率を六〇%で頭打ちするなど、超過累進制を大幅に後退させた結果、掛金率の高い地域ほど今回改正による農家負担増が大きくなり、超過累進制の名に値しないものです。
 特に、四年連続の冷災害によって深刻な打撃を受けた農家にとっては、料率改定と国庫負担率引き下げという二重の農家負担増を強いられることとなり、これでは災害から農業経営を守るという農災制度の本旨にも反するものと言わざるを得ません。
 第二に、水稲共済の当然加入基準の引き上げです。
 政令改正により、国が一方的に当然加入基準の引き上げを強要することは、都道府県や共済組合等の自治、自主性を踏みにじるものであります。また、小規模零細農家の比率の高い地域では、水稲共済事業の存続すら脅かされることになりかねません。
 第三に、危険段階別の掛金率設定の道を開いた点です。
 共済組合内の低被害農家の掛金率を低くすることは、その分、高被害農家の掛金率を高くすることになります。一方、国庫負担率は、豊作物共済の場合でも組合内一律となっており超過累進制が及ばず、それだけ高被害農家の負担増が大きく、その影響は深刻です。
 また、農家のグループ分けは、助け合いを基本とする共済精神を後退させ、当然加入基準の引き上げとも相まって、高被害農家や小規模農家の共済離脱を促進し、共済制度の先細りにつながるものです。
 今回の改正案には、肉用子牛共済の新設、果樹共済の特定危険方式の拡充など改善内容も含まれています。しかし、改正案の中心が、掛金国庫負担引き下げなど、農業災害に対する国の責任を大きく後退させ、農災制度の根幹にかかわる改悪であります。
 最後に、農業経営の安定、食糧自給率向上にとって不可欠な農災制度の一層の拡充こそが今求められていることを指摘して、本案に対する反対討論を終わります。
#6
○委員長(北修二君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 農業災害補償法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#7
○委員長(北修二君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 最上君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。最上君。
#8
○最上進君 私は、ただいま可決されました農業災害補償法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び二院クラブ・革新共闘の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    農業災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本制度が災害対策の基幹として重要な役割を果たしていることにかんがみ、制度の損失補償内容の充実、事業運営の実効性を確保することとし、農業経営の安定と健全な発展に資するよう、次の事項に留意し、万全の措置を講ずべきである。
 一 共済掛金及び事務費に係る国庫負担については、農業災害の特殊性と農家負担の現状を考慮し、必要額を確保しつつ、農業災害補償制度の健全かつ円滑な運営を期するため、適切に措置すること。
 二 危険段階別の共済掛金率の設定については、相互扶助の精神に影響を及ぼすことのないよう、画一的指導及び強制をしないこと。
   また、その設定に当たっては、実効ある無事故割引制度を包含し得る設定方法となるよう留意すること。
 三 鹿作物共済の当然加入基準の引上げについては、地域の実態を十分考慮し、制度運営に支障をきたすことのないよう配慮すること。
 四 肉牛の子牛共済の実施に当たっては、適正な共済価額を設定する等適正な運用に努めること。
   なお、豚に係る共済掛金国庫負担割合については、その引上げを検討すること。
 五 果樹共済については、加入の促進に努めるとともに、果樹農業を取り巻く今後の環境変化や農家の保険需要に即応した制度のあり方につき、事務の簡素化、事業責任分担の改善等を含め検討すること。
 六 畑作物共済の対象作物の範囲の拡大の可能性について、十分調査検討を行うこと。
 七 各種共済事業について、引受、損害評価方法の簡素化に極力努める等効率的な事業運営を行い得るよう配慮すること。
 八 本制度の機能強化を期するため、地域の実態に十分考慮しつつ共済団体の組織整備の強化を図るとともに、制度の多様化に対処し、共済制度の普及及び共済団体職員等の研修養成の一層の充実を図ること。
 九 本制度の効果を一層発揮させるため、融資制度等他の施策との連携が十分なされるよう配慮すること。
  右決議する。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#9
○委員長(北修二君) ただいまの最上君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#10
○委員長(北修二君) 全会一致と認めます。よって、最上君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、佐藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。佐藤農林水産大臣。
#11
○国務大臣(佐藤守良君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
#12
○委員長(北修二君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○委員長(北修二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#14
○委員長(北修二君) 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、長野営林局の管轄区域の変更及び名古屋営林支局の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。
 本件につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#15
○村沢牧君 日本社会党は、営林局の統廃合に関しては、臨調答申、閣議決定、そして農水省設置法の一部改正に際しても一貫して反対の態度をとってまいり、現在もその態度に変わりがありませんけれども、政府は昨年末一局を廃止し、今議題になっているような承認案件を提出してまいりました。
 この経過の中で、統廃合の候補に上がった営林局の関係自治体、団体、住民から強力な、かつ熱心な存置運動が盛り上がり、農林水産大臣も、そして林野庁当局も、結論を出すに当たっては大変苦慮されたというふうに思います。このように林野庁の歴史に残るような運動が盛り上がったことは、関係地域の皆さんのメンツによるものではなくて、国有林が、そしてそれを管轄する営林局が、また営林署が、地域にとっていかに大事な存在であるかを物語っているというふうに思います。このことは、農林水産大臣としては大変ありがたいことだというふうに思わなければならないというふうに思います。
 したがって、局署の統廃合などということは簡単に考えてはいけないし、また容易にやるべきでないということを、今回のこの結論を出すまでのいろいろな問題が物語っているわけでありますが、この間の経過について、あるいはこうした運動の盛り上がりに対して大臣はどのように考えていますか。
#16
○国務大臣(佐藤守良君) 村沢先生にお答えいたします。
 先生の御指摘のとおりでございまして、今回の営林局の統合に当たりましては、その検討過程の中で地方公共団体を初めとして関係各方面から御意見や御要請をいただいたところでございまして、実は私も営林局と地元の結びつきの深さとか、あるいは国有林野事業に対する地元の期待の大きさ等改めて感じたところでございます。
 しかしながら、森林、林業を取り巻く環境が非常に厳しいのは先生御存じのとおりでございます。そんなことで、国有林野事業がその課せられた使命を達成していくためには、その経営の健全性を確立することが緊要であり、その一環として組織機構の簡素化とか合理化は避けて通れない課題でありますので、今回、長野営林局と名古屋営林局の統合を行うこととしたものでございます。
 なお、統廃合の実施に当たりましては、国有林野事業の機能の低下や地元関係者等に対するサービスの低下を招くことのないように十分配慮してまいる考えでございます。
#17
○村沢牧君 営林局なり、あるいは営林署の統廃合は容易なことではないということは後ほど指摘してまいりますけれども、大臣もよく肝に銘じていてもらいたいというふうに思います。
 そこで長野営林局、そして長野営林局名古屋支局が新たに発足することになりましたが、これまでに至る経過にかんがみて、林野庁はそれに対応する組織機構を整備しなければならないというふうに思います。すなわち、長野営林局は本局にふさわしい体制をどのようにするのか、また名古屋営林局が支局になったといたしましても、従来の管理区域の国有林の管理に支障を来すようなことがあってはいけないし、また、支局化に伴っての激変緩和措置を当然講ずべきであるが、どのように対処されておるのか、それから本局と支局との業務分担は当面及び将来どうなるのか、その辺について説明してください。
#18
○政府委員(田中恒寿君) 今回の統合に当たりまして名古屋営林局を営林支局といたしましたことは、従来のように営林署を通じまして管轄区域内の業務の処理を行う、統合によります激変を緩和する非常に大きな手段といたしまして支局を存置する、これが一つの大きい激変の緩和措置になろうかと思います。
 さらに名古屋支局の性格、任務を、名古屋市の性格と申しますか、中部圏の経済の中心でありまして木材の流通加工業が多いことに着目いたしまして、ここに新たに仮称ではございますけれども需要開発センターを設けて、国有林材の流通改善、木材の需要開発等に努めさせることといたしておるわけであります。
 このようなことを行いますので、営林局がこれまで果たしてまいりました機能の低下あるいは地元関係者の皆さんに対しますサービスの低下は避けられ得るもの、また新しい任務に進むことができるものと考えているわけでございます。
 また、本局と支局の関係につきましては、これはこれまで行いました北海道の札幌市における道局と他の都市における支局との関係は、一応北海道なりの行政体系の中に沿ったということもございますけれども、今回の長野と名古屋の場合は、必ずしもそうとは言えない関係もあるわけでございます。したがいまして、この特徴を生かしまして、例えば両局は木曾ヒノキあるいは人工ヒノキも東濃ヒノキ等に象徴されますように非常に特徴のある森林施業上配慮すべき性格を持っておる、これは一元的にひとつ調整をしながら森林施業のさらに進歩を図ってほしいとか、いろいろ統合されたことによります総合調整機能の発揮も期待しておるわけでございますが、現実にこれまで国有林の直接の管理経営に果たしてまいりました業務につきましては、それぞれ名古屋支局においても変わることなく行われるわけでございます。これはまだこれから動き出そうとするところでございますので、どのような運営の経験を積んだ中から本局、支局の効用あるいは効果を発揮していくかは随分と試行錯誤的なこともあろうかと思いますけれども、まずは対外的業務に関するものにつきましては、地元への影響を来さないようにこれはもう十分留意をして進めてまいりたいと思っております。
 私ども期待しております点では、例えば道路網などは、大きく視点を広めて見るために大変効果的なことも考え得るんじゃないかと思っておりますが、これもこれからの中での検討に任せてまいりたいと思っております。
#19
○村沢牧君 名古屋支局の激変緩和措置をとったことはこれは当然なことであるし、それからまた私たちもいいことだというふうに思いますが、最初に質問したように管轄区域が広くなった長野営林局、本局ですね、これはそれにふさわしい体制をつくらなければなりませんが、これは何も考えていませんか。
#20
○政府委員(田中恒寿君) 国有林野事業全体が、現在組織機構の簡素化と申しますか、する要因につきましてもこれを縮減するという方向に進めておりますので、今回の名古屋支局におきます需要開発センター等は極めて例外的な今回の特殊な事情を反映いたした措置でございますが、やはりこれからの長野営林局管轄区域を広くいたしまして任務が一段と加わったわけでございますけれども、それにつきましては現在の組織機構の中でこれを処理してまいりたい、殊さら新しい組織につきましては現在考えてございません。
#21
○村沢牧君 それじゃ、本局という看板を存置したということだけなんですか。やっぱり本局なら本局にふさわしい、面積が広くなったんですから、名古屋支局で甘受するとしても、今までは長野局管内だけ歩いておればいいといったのが、今度は名古屋支局の方のところまで歩かなければならないんじゃないですか。それを今までと一緒で、看板だけは本局を掲げましたよといって、それじゃ本局になった意味がないじゃないですか。
#22
○政府委員(田中恒寿君) 随分と考えなければならぬ範囲は広くなりまして、例えば販売等につきましても長野一局分でありましたのが、広域的な特に名古屋を控えました国産材の販売ということで、そういう守備範囲の広い業務量も重要性を増したわけでございますけれども、それに伴いまして組織をふやし人員を付加するというようなところまでは考えず、大きな仕事でありますが今の機構で頑張ってほしい、そういう責任感といいますか、責任体制等はひとつ大いに痛感してやってほしいということを考えているわけでございます。もちろん、総合的な企画調整業務は現在のほかにやってもらわなければいかぬわけでございます。組織機構の新設、その他までは考えておらないということでございます。
#23
○村沢牧君 長官、それはおかしいじゃないですか。仕事はふえた、守備範囲も多くなった、しかし今までと同じことでやられておる、これじゃちょっと無理だと思いますね。それは私は人員をふやしてということばかり言っているわけじゃない。それは機構の中にいろいろあるでしょう。例えばあえて言いませんけれども、人事の面だってそれにふさわしい人が行かなきゃいけないし、あるいは予算の面だって当然伴ってこなきゃいけない、本局になっても何にも変わりがない、ただ仕事がふえたっきり、それじゃ全くおかしな形になるんじゃないですか。そんなことを貫くんですか。
#24
○政府委員(田中恒寿君) 長野本局が今後行います業務は、管轄区域全域にわたる国有林増事業の経営方針の作成に関する、あるいは全域にわたる企画調整を要する森林施業、収穫、販売の基本的事項の調整等がありますが、なおまた他省庁との計画との調整等も入るわけでございます。
 それから、これは私先ほど申し上げましたように、今直ちに行っていることではございませんけれども、人事あるいは人事交流等の調整等も手がけていってもらいたい、あるいは研修、広報等も一元化することにおいて大変効果が上がるわけでございますので、これを担当していただきたいと思いますが、やはりこれは現在人員の調整の中でそういう任務を果たしていただきたい。特に新機構その他までは私ども考えてない。それらの充実は、現在の全体人員の調整の中でこれを進めてまいりたいというふうに考えております。
#25
○村沢牧君 長官の答弁は、聞いておっても何か人間を私がふやすというようなことばかり言っているように受けとめているようなんですが、そうじゃないんですよ。本局はそれだけ仕事がふえてくるんです。今までとは違った業務量が多くなってくる。今、長官が何回も言っているとおりなんです。だからそうだとすれば、それにふさわしいいろいろな体制を整えなきゃいけないんじゃないですか。そんなことは、私が一々例を挙げなくたってわかるでしょう。それを今までと同じような形で、予算で、人間で、今までと同じような人たちがやりなさい、それじゃ全くおかしいじゃないですか。納得できませんね。
#26
○政府委員(田中恒寿君) もちろん人事配置に当たりましては、数といいますよりはそういう適当な人材、質と申しますか、十分それを担い得るような人材をそれぞれの場所に配置して進めなきゃならぬ、これは当然でもございますし、またそういうことによりまして予算の調整等を必要とする場合には、これは全体の中でその辺を配慮することは考えなきゃならぬことだと思っております。
#27
○村沢牧君 このことばかりで時間をとっていては次に進みませんから、私はこの問題を強く指摘をしておきますが、大臣も聞いておってわかってもらえるんじゃないかと思います。管轄区域は広くなった、仕事はふえた、看板だけは本局の看板でやるけれども、あとは今までと同じような予算で、人間でやりなさい、そんなむちゃな話はないですよ。よくひとつこれから検討してください。よろしいですね大臣、いいですか。
#28
○国務大臣(佐藤守良君) 今、先生と林野庁長官の質疑を聞いておりまして、結局、基本的には総合的な企画調整業務は長野本局でやる、それ以外は現状どおり名古屋でやる、それに需要開発センターが加わる、こんなふうに理解したんですけれども、ただ、今後の仕事量に応じまして事業の運営が円滑にいくようにひとつ大いに検討したい、こう思っております。
#29
○村沢牧君 次は、林野庁が十営林局のうち一同を統廃合するに当たって、前橋と東京、長野と名古屋の二組を対象の候補者として、前者を仮称関東営林局、後者を仮称中部営林局、こういうふうに検討方針を出した。この資料は与党にも出したし私たちもいただいている。ところが、結果的には長野営林局、そして名古屋支局に落ちついたわけです。関東営林局、中部営林局という、こういう構造はなくなってしまったんですか。今後とも考えていくんですか。
#30
○政府委員(田中恒寿君) 今回、統合される営林局を選定する過程におきまして、前橋局と東京局を統合する案と、長野局、名古屋局を統合する案が検討の対象になりましたことは御指摘のとおりであります。しかしながら、今回の統合に当たりましては、昨年暮れの閣議決定等に基づきまして一周の統合を実施することといたしまして、名古屋営林局を営林支局とすることとしたものでありまして、現時点におきましてはこれ以外の統合の計画はございません。
#31
○村沢牧君 十のうち一つなくしてまたなくすなんて、そんな計画があったらたまったものじゃない。しかし、あなたたちがこの過程で出した資料を見せてくださいよ。仮称関東営林局、仮称中部営林局にするんだ。そのことに基づいて検討したんじゃないんですか。つまり、そういう構想があった。それはただ単に我々を、いろいろ何か理解を、いい言葉で画解するんですけれども、ごまかすためにそういう考え方を持ったんですか。一体あれはいいかげんな資料なんですか、関東営林局だとか中部営林局というのは。どういうことなんですか。
#32
○政府委員(田中恒寿君) 国有林の組織の改編の中では最も大きい問題を昨年処理をいたしましたので、非常に真剣な検討を各分野から加えたのでありまして、関東営林局案にいたしましても中部営林局案にいたしましても、ぎりぎりの寸前までやはり詳しい検討を加えたわけであります。暮れの閣議決定が一局の統廃合ということで最終的には絞ったわけでございますけれども、前後左右と申しますか、あらゆる角度からこの両案につきましての検討は行われたわけであります。
#33
○村沢牧君 一局に絞るということは、暮れに決まったことじゃない。前から決まっているんだ。
 業務部長に伺うけれども、その方針のところをちょっと読んでみてくだざい。仮称関東営林局だとか仮称中部営林局、あるでしょう、その資料。
#34
○説明員(江藤素彦君) ただいまその資料を持ち合わせておりませんので、読み上げるわけにはまいりません。
#35
○村沢牧君 資料がなくても業務部長知っているでしょう。間違いないでしょう、私の言ったことは。
#36
○説明員(江藤素彦君) そのような案があったことは事実でございます。
#37
○村沢牧君 長官、そのような案があったことは事実だと。それはいいかげんな案だったんですか。一体その案はもうなくなっちゃったんですか。どうなんですか、将来に向かって。
#38
○政府委員(田中恒寿君) 大変慎重な検討を加えました案としてずっと存在をしておったわけであります。それを採用しなかったということでありますけれども、最終段階まで慎重な検討の俎上に上せておったわけであります。
#39
○村沢牧君 今まで存在しておった。将来も存在していきますか。
#40
○政府委員(田中恒寿君) 現時点では営林局統廃合の計画を持ってはございません。
#41
○村沢牧君 現時点では持ってないけれども、将来そういうことがあるならば、その次には東京、前橋で関東営林局だよということになりますか。
#42
○政府委員(田中恒寿君) 世の中の情勢が変わりますので、そのときにどういう判断に立つかということは、これはなかなか今から想像して申し上げるわけにはまいりませんけれども、これまでの経験を十分反省と申しますか、よく検討を加えまして、その時点の情勢に合わせてそのときの人は真剣に考えなきゃならぬ問題と思っておりますが、今の時点でちょっと申し上げることにつきましては、確かなことは申し上げかねます。
#43
○村沢牧君 いずれにしても、そういう考え方が林野庁当局にはある。事実あったんですからね。そう受けとめておきましょう。
 それから、閣議決定及び農林水産省の国有林改善計画によれば、六十二年度末までに十九営林署を統廃合することになっていますが、営林署の果たしている役割あるいは国有林と地元の関係を見ると、これまた、我が党として営林署の統廃合には応ずるわけにはいきませんけれども、念のため次のことを伺っておきます。
 営林局の統廃合検討の過程で、営林署統廃合について一定の方針が出されておりますか。
 二点には、本年度も営林署の統廃合をしようとしておりますけれども、聞くところによると九営林署を統廃合するという。いつころ交渉に入り、いつごろまでに決めるのか、今後のスケジュールについて伺いたい。
 三点目は、この選定に当たっての基準、基本的な考え方について答弁してください。
#44
○政府委員(田中恒寿君) 営林署の統廃合につきましては、これも組織機構簡素化、合理化の重要な一環といたしまして、昨年暮れにも閣議決定がなされておるわけでございます。六十二年度末までに十九営林署を統合する。そのうちの九署が六十年度に計画をされておるわけでございますが、最初の御質問の営林局の統廃合に関連いたしまして一定の考えということでございましたが、名古屋営林局の組織が支局化という大きな変革をいたすわけでございます。関連いたしまして需要開発センターの設置等々でいろいろ内部的な組織のそういう新体制に向けての整備も行われますので、今回はこれを組み込まないというような考え方をいたしております。また、特に営林署統廃合問題は多少性格は違いますけれども、いずれも組織の大きな問題でもございますので、営林局を処理し直ちに引き続きということにつきましてはいろいろ問題もあろうかという考え方につきまして、そのような御質問をなされる方に対しましては、当局の考え方として御説明をしたこともございます。
 それから次に、今年度のスケジュールと申しますか、それに関してでございますが、これまで五十三年、五十六年と二度にわたりまして営林署統廃合を処理してまいったわけでございますけれども、それらの経験を踏まえまして、十分これが円滑に進み得るように、期日と申しますか、どのような手順、日程でいくかにつきましては、現在鋭意慎重に検討をしておるところでございます。
 また、選定の基準についてでございますけれども、それにつきましては、これまでも行ってまいりました考え方とそうまで変えておるわけではございません。事業規模が小さいもの、またお互いに近距離に所在して一体的な管理が可能であるもの、また統廃合を行いましても、その後、森林の適正な管理が確保され能率的な事業運営が図られるというふうに考えられるものにつきまして、総合的に判断をして選んでまいりたい。これにつきましては、従来とも同様な考えでございます。
#45
○村沢牧君 統廃合に伴って名古屋支局の管轄している営林署については、今回は対象にしない。しかし本年度は九つなんですけれども、あと十残っているんですが、今回という意味はどこまでですか。
#46
○政府委員(田中恒寿君) 今回はまさに六十年度でございますが、特に今回と限定し次回はということを意味するものでもございませんし、そういう意味で言いますと、ウエートの置き方もあろうかと思いますが、まさに今回は計画をいたさないということでございます。
#47
○村沢牧君 まだ十残っていますからね。では六十年度は対象にしない、それは結構だと思います。そうしますと、局として残されたところ、候補には挙がったけれども営林局として残った、そこへ何だかしわ寄せがずっと行きそうな気がするんですけれども、そんなことはないというふうに思うのですけれども、あとは平等なんですか。名古屋支局は別として、あとは平等にその対象になっていくということなんですか。長野が残ったから長野はうんとしょってくれということじゃありませんね、これは。
#48
○政府委員(田中恒寿君) 名古屋支局のみを特別に配慮をいたしまして、ほかの局は横並び一線でやはり考えていきたいと思っております。
#49
○村沢牧君 それで、本年度は九つ営林署を統廃合するけれども、しっかりスケジュールは決まっていないというふうに言いますけれども、これは六十一年度の予算が決まる、つまり本年度十二月までには決める気持ちなんですか。六十年度中に、来年の三月までに持ち込むんですか。どうなんですか、予算編成との関連で。
#50
○政府委員(田中恒寿君) 予算と申しますよりも、いろいろ地方公共団体の意見聴取、あるいは関係する職員の異動に関します意見聴取等もございますので、大体秋口ころ後には固めてまいらなければならないというふうに考えております。
#51
○村沢牧君 スケジュールは何にも決まっていないと言ったって、秋口といったらすぐですよね。それまでにやらなければならないと言うのは、おおよそのスケジュールはあるんじゃないですか。つまりこの国会の終わったころからぼつぼつ話に入って、秋口ごろからひとつ結論を出したい、そういう気持ちなんですか。
#52
○政府委員(田中恒寿君) 秋口も多少幅はございますけれども、そのとおりでございます。
#53
○村沢牧君 大体おおよその考え方はわかりました。
 そこで、あと十営林署が残っている。しかし、そのほかに臨調の答申は十九営林署を含めて統廃合しろというような形になっていますね。ですから、十九だけでとめますか。さらに六十年度にもっとふやすんですか。十九までにとめるとするならば、六十年度は九つやる、六十一年度は幾つやる、六十二年度は幾つやるということなんですか。六十一年度はやらないんですか。六十二年にやるんですか。その辺はどうなんですか。
#54
○政府委員(田中恒寿君) お話しのように、残っておりますのが十と六十二年度まで、この二つのくだりはしっかりと残っておるわけでございますが、さらにそれ以外のことにつきましてどのように考えていくべきか、今後の営林局署の組織体系をどのように持っていくべきか。御案内とは存じますけれども、改善計画の中にも、これからの営林署はやはり総合的な機能を発揮する性格の営林署、現場の事業実行を主たる任務とする営林署等、いろいろ営林署の機能に応じた中の見分け区分も考えるようにも言われておるわけでございます。全体としての営林局署体系がどうあるべきかということも密接に関係をするわけでございますので、全体的な構想につきましてはそれらとあわせて策定をしてまいりたい。対外的にきちっとしておりますのは、六十二年と残りの十というのはこれははっきりしているところでございます。
#55
○村沢牧君 十九ということは決まっている。そのうち本年度は九つやる。あと十残るわけですね。しかし、臨調はもうちょっとやれと言っている。
 ですから、重ねてお伺いいたしますが、林野庁としてはあと十でとどめる、臨調から幾ら言われてもそれ以上やらない、そういう気持ちなのか、あと残ったのを六十一年と六十二年で二年にわた
ってやるのか、六十一年度やらなくて六十二年にやるのか、どういう考え方なのですか。
#56
○政府委員(田中恒寿君) 単に数があって合わせるということではなくて、やはり相当要員の縮減も行われますし、あるいは事業運営のやり方につきましてもいろいろ合理化が図られる。要員の減った中でこれからの国有林管理経営をどうしていくか。営林署におきましても、大営林署的な営林署と事業実行を担当する現場責任の重い営林署、多少性格が分化した面もございます。そういう営林署全体の体系を考える中で、やはり数もおのずと出てくる。初めに数がありましてこれをやるというような形での考え方は、これからは私はとるべきでない。全体の営林署体系構想をしっかり固めてから、その後、数が出るものであるというふうに考えております。
#57
○村沢牧君 長官の言葉を聞いていると、ますますおかしくなってきてしまうのですね。十九営林署というのは閣議決定なのですよ。今、長官の答弁を聞いておると、それ以外にもやりそうなような答弁ですね。そんなことありますか。閣議で決定して十九やるのだって大変なのですよ。それを長官の答弁を聞いておると、もっと余分にやりそうな答弁なのですが、やるのですか。
#58
○政府委員(田中恒寿君) 十九はそういうふうに決定をされました極めて重い数字でありますので、これは実行する。ただ、閣議決定におきまして、「十九箇所を統合することを含め、」云々となっておりますが、そういう全体的な考え方につきましてはもう少し慎重な、先ほど申し上げましたような局署体系の検討の中からあるのであって、初めに数があるものではないということでございます。
#59
○村沢牧君 長官、初めに数があるのじゃないといったって、十九だって大変なのですよ。十九でとめておく、それ以外のことを考える必要ないじゃないですか。今、長官の答弁を聞いていれば、まだそれ以外に考えそうな答弁ですけれども、絶対そんなこと許しませんよ。もう一回答弁してください。
#60
○政府委員(田中恒寿君) やはり今後のいろいろ組織の改善合理化計画の中にそのものは定められてくるのでありまして、ゼロということもありましょうし、またある程度の数もあり得るかもしれません。それにつきまして初めから今後はやらないという前提で組むわけにもまいりませんし、そういうことを離れまして数を出さなきゃいかぬとか、そういうふうな初めに数ありき的な方向へ進むのではなくて、まさにこれからの国有林の組織がどうあれば立派な管理が行われるかということで物事を考えていく、その結果やはり数が出るものであるということでございます。
#61
○村沢牧君 納得できませんね。初めに数ありき、初めに十九という数があるじゃないですか。それだけやるのだって大変なのですよ。そのほかに考えるなんてとんでもない話だ。十九の数をつくるのだって、あなたたち大変苦労したでしょう。それを今の段階になって、まだそれ以上ありそうだというようなことは納得できませんよ。大臣、答弁してくださいよ。そんなことなのですか。大臣ですよ。もう長官の話は何遍も聞いたからいいですよ。時間がないからだめだ。大臣。
#62
○国務大臣(佐藤守良君) 今私、お答えしますのを聞いておりまして、特に閣議決定の中のことで長官こだわって言っておるかと思いますが、やはり私聞いておりまして十九は大変だと思います。そんなことで長官の言っている言葉の中には、十九の営林署の統廃合を含めて運営上支障のないように十分やりたい、こんなようなことを言っておるわけでございます。恐らく気持ちは。
 六十三年以降につきましては閣議決定とか、あるいはそれに対する国有林野事業の改善に関する計画で言っておりますけれども、私は基本的には今はそういう考えは持っていないということをお答えしたいと思います。
#63
○村沢牧君 大臣にも長官にも強く言っておきますが、十九を決めたってまだ十九全然手がついてないですよ。その段階で十九じゃありません。まだふえるかもしれません。そんな気持ちを持って営林署の統廃合できますか。信頼できませんよ、それは。だめですよ、そんなことは。答弁あったらもう一回やってください。
#64
○国務大臣(佐藤守良君) 今、村沢先生にお答えしたとおりですが、今のところはそういうことは考えておりません。明確にお答えします。
#65
○村沢牧君 そこで、営林署や営林局を統廃合しただけで山はよくなるわけじゃないんですね。ですから、林業の活性化を何としても図っていかなければならない。
 そこで、活性化の一環として当面する問題について伺うけれども、これは大臣にお伺いします。
 さきに、木材の関税引き下げに伴って森林、林業の活性化対策を講じた。私は先日、参議院本会議でこの問題について総理に質問した際、総理は、関係省庁に対策検討を指示してある、こういう答弁なんです。
 大臣にお伺いしますが、五カ年計画策定に当たって財政措置、内容、規模について総理からいかなる指示を受けているんですか。
#66
○国務大臣(佐藤守良君) 森林、林業及び木材産業の活力を回復させるために大きなポイントは三つあります。その一つは、木材需要の拡大……
#67
○村沢牧君 大臣、時間がありませんから、どんな総理から指示を受けたか、それだけ答えてくれませんか、きょうは時間が短いですから。
#68
○国務大臣(佐藤守良君) これは、今の三つの点について、木材産業の体質強化とか間伐保育等、森林、林業の活性化等を中心とした総合対策についての検討をするよう指示されております。その内容については、できるだけ早く成案を得るべく現在鋭意検討中でございますということでございます。
#69
○村沢牧君 どんな内容を検討するにしても、大臣御承知のとおり、先に立つものは財政なんですよ。一体それじゃ大蔵省から、総理からどれだけの金が出るか、そのことがわからなきゃ、幾ら検討しろといったってできないじゃないですか。財政問題についてどういう指示をいただいているんですか。つまり、大臣はこの委員会で、財政問題について特に講ずるということは大変大きな意味があります、私は別枠でこれは間違いない、こういう自信を持って進んでおりますと言って同僚の稲村委員の質問に対して答弁をしている。なお、新聞報道によれば、こういう決定をする際に総理は、財政については特別の措置を講ずるという、あるいはまた佐藤大臣が金丸幹事長と会って、いや三千億だ、五千億だという話もしたということも報道されているんです。まず金はどうなんですか。
#70
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 実は金につきましては、特にという言葉の中に私は別枠と理解しております。そんなことは実は関係閣僚で了解済みのこと、そんなことでございまして、現在実は鋭意検討中というのは、一番問題は、先生御存じのことで、私が考えておりますのは木材をいかに安くするかということでございます。これは総合対策を実施すればそれは安くできると、こんな観点から現在積み上げて、一体幾らお金がかかるかということを林野庁で作業中ということでございます。
#71
○村沢牧君 重ねて、特にということは別枠というお話があったんですが、それは大蔵大臣と話がついていますか。しかも、後ほど申し上げますが、関税引き下げのもう時期まで決めて皆さん方は対応している。そうだとするならば、六十年度予算、本年度予算で対処しなきゃならない。そうでなければ、五カ年間たったって活性化は進捗しないじゃないですか。つまり、大臣が言う特にということは大蔵大臣とも話がついているのか、六十年度からそのことをやるのか、その点について大臣、答弁をしてください。
#72
○国務大臣(佐藤守良君) ただいまの件につきましては、実は大蔵大臣とはできるだけ早く総合対策をつくってやるということで大蔵大臣の理解を得ております。
#73
○村沢牧君 年度は。
#74
○国務大臣(佐藤守良君) もちろん六十年度からでございます。
#75
○村沢牧君 そうすると、林野庁、農水省の計画ができて大蔵省へ持っていけば予算はつきますね、六十年度かちぴしっと。
#76
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 その点につきまして実は林野庁が十分積み上げ方式で検討しているということでございます。そういうことでございます。
#77
○村沢牧君 検討していることは知っているんですが、農水大臣が大蔵省へ持っていく、総理のところへ上げていく、それについては文句なしに六十年度から予算がつく、そう理解していいですね。
#78
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 今、文句なしにということじゃなくして、実は林野庁のつくったものを十分信頼しながら最善の努力をいたしたい、こう思っております。
#79
○村沢牧君 大臣の答弁を私はきょうは信頼しておきましょう。
 しかし、そういう活性化対策を講じつつ、その進捗状況を見つつ関税の引き下げをおおむね三年間でやる。しかし、皆さんは六十二年四月から関税の引き下げをやるということをもう決めて、おおよその理解を得て、アメリカの方からもうちょっと早くやれと言われて話をしているんじゃないですか。六十二年の四月までに今のような調子で、活性化の予算がついて、うまく仕事が進んでいきますか。
#80
○政府委員(田中恒寿君) そういう活性化対策を精力的に実施をいたしまして、その実施状況を見つつ取り組むことといたしておりますし、また、おおむね三年目というふうなことにいたしておりますので、それらの範囲内におきまして判断をしてまいりたい。やはり常時施策の実施状況を見ながら考えてまいりたいと思っております。
#81
○村沢牧君 そうすると、六十二年四月から関税の引き下げについて措置をしていくというこれは方針ではないですね、決まっていませんね、大臣。大臣にお聞きしましょう。
#82
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 実は、文章をそのまま素直に読んでいただきたいと思うんです。今、林野庁長官が答えましたけれども、六十二年を目指し、細かく言えば昭和六十二年四月からということになりますが、関税の引き下げ対策の進捗状況を見つつ行うことになっていること、またおおむねとされていることから、これらの趣旨を体して判断をさるべきものと考えております。
#83
○村沢牧君 しかし、対外経済対策会議等は六十二年四月ということをもう言っているわけですね。しかし、農林水産大臣はそんなことは決まってないというようなお話なんですが、本当に決まっていませんか。六十二年四月は決まってない。この進捗状況を見つつ、林業の活性化がいつになったらできるか知りませんが、それが進むまではだめだということでいいですか。はっきり言えますか。
#84
○国務大臣(佐藤守良君) 今の私の答弁したとおりでございまして、結局、総合対策の進捗状況を見つつこれを判断することになっているということでございます。
#85
○村沢牧君 先ほども申し上げたんだけれども、林野庁各いろいろ検討しておるようだし、また検討に非常に頭を悩ましているということも聞くわけですね。それで、何をやったらいいんだといろいろなものを検討したったって、財政の裏づけがなきゃ何にもならないわけですからね。どこまでやっていいのか、もうこれはなかなか苦労するところだというふうに思うんですけれどもぬ。そうだとするならば、六十二年四月からやっていきたいというんだったら、ことしの予算、六十一年度予算、あと六十二年四月は予算面では二年しかないですよ。二カ年しかない。それぐらいで、今のような状態でとても林業の活性化ができるようなことにはならぬと思う。ですから、大臣が言われたように、六十二年四月ということになっているけれども、林業の活性化がならないうちは応じてはいかない、その決意でもってこれからも対処してもらいたい、一貫してもらいたいと思いますが、もう一回答弁を求めましょう。
#86
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 実は私は専門家ではございませんが、二、三年でかなりやっぱり活性化は図れると思います。だから、例えば林業の作業道を含めた場合……
#87
○村沢牧君 そうですか、それは大したものだ。そんなことをやれたち、もっと前にやりゃよかったじゃないか。二、三年でできるといったら、何もこんなに林業は悪くならないよ。
#88
○国務大臣(佐藤守良君) 例えば作業道、林道、例えば林道の場合メーター五万円ぐらい、作業道の場合メーター五千円ぐらい、そんなことでまず作業道をつくる。作業道の幅を広くすればコストは下がりますね。そんなことを含めて、片やコストも下がります。それから特に原木の価格というのは、先生御存じだと思いますが、原木代は安いんです。切ること、搬出、運送に金がかかるんです。この運送をどうして安くするか、これを考えれば木材は安くなるんです。そんなことをやれば、私は数年でかなり活性化は図れると思っています。
#89
○村沢牧君 それは大した自信だ。大したものだ。
#90
○国務大臣(佐藤守良君) それからもう一つ、実は、仮に今の金額みたいなものはけしからぬ話だなんという、そんな林野庁の職員は一人もいないと思います。私は積み上げ方式で、幾ら金がかかってもやっぱりぶつかるという方針で頑張っておりますゆえ、御理解と御後援を心からお願いします。
#91
○村沢牧君 大変御高説をいただいたんですが、そのぐらい大臣の言われるように簡単にできたら、一体今までの大臣は何をしておったんだ。林野庁の職員は一体何をしておったんだ。そんなに簡単に林業の活性化ができるなら結構なことだ。やってください。三年間でやってくださいよ。
 そこでお伺いしますが、こういう活性化事業については、これは国有林もお仲間に入れてもらえるんですか、例えば予算が来た場合に。国有林は別なんですか。
#92
○政府委員(田中恒寿君) 林業全体が例えば需要の拡大等によりまして活性化してくるということは、当然に国有林の経営にもいい影響が及ぶものと考えておりますけれども、現在の対策の中に直ちに国有林ということにつきましては、ちょっと入れることは難しいのではないかということで作業をいたしております。
#93
○村沢牧君 林野庁長官、そんなように元気なくちゃだめですな。国有林財政は大変厳しいですね。ですから、これから大臣は力があるから三千億もらってくるか五千億とってくるか知らぬけれども、そのうちのともかく森林面積の三分の一は国有林が占めているんですね。これは国有林の方へだって少し使わなきゃ無理じゃないですか。
#94
○国務大臣(佐藤守良君) お答えしますが、今の総合対策には国有林は当然入っております。国有林を総合対策に入れていわゆる検討を私は指示してございますということでございます。
#95
○村沢牧君 そうすると、大臣の答弁だと、この活性化事業の中には国有林も入る。したがって、この特別の予算も国有林のところへ行くということですね。
#96
○国務大臣(佐藤守良君) 今、林野庁長官がお答えしたのは制度等の問題を若干言ったわけですが、私、基本的に実は国有林、特に終戦後一千万ヘクタールを人工林にし、しかも間伐は、約四九%間伐時期に来ておる。この間伐の時期によりましては、国産材の時代を迎えた場合大変なことになる。そういうことを含めて、実は国有林は当然総合対策の中へ入ってございますということでございます。
#97
○村沢牧君 林野庁長官や各局の人もおるから、大臣、きょうはいいことを言ってくれたから、これは予算も大臣が大蔵大臣や総理からもらってくる、その中には当然国有林の分も含まれているんだということですから、しっかり張り切ってやっ
てください。私は時間が来たからこれで終わります。
#98
○藤原房雄君 今回のこの承認案件につきましては、行革絡みということであると思います。私どもが各山村へ参りますと、営林局、営林支局、営林署、こういう組織体系というのは長い歴史の中でできているわけでありますから、現在の地方自治体の形とは非常に異なった形態がなされているわけでありますが、しかしやはり山村では営林署がある、営林局がある、そういうことが一つの地域の振興といいますか、地域発展の一つのきずなであったということが言えるんだろうと思います。そういう中で、行政改革で営林署が十九も統廃合になるということは地元にとりましては非常に大変なことだ、私どもも地元のいろんなお話を聞くにつけ、市町村等につきましてもそういう問題については非常に苦慮しておる、こういうことを現実によく見るところであります。
 このたびのこの承認案件につきましては、名古屋が今度は営林支局になりまして長野営林局の中に入るという、こういう形になるわけであります。長い歴史の中で林野行政がそういう形で進められてきた、こういう大きな機構を変えるということは、それは地元にとりましても、またお仕事をする上におきましても、いろんな問題点があろうと思います。また、地元は地元としてのいろんな考えがあって、今日までもいろいろ地元との調整といいますか、話し合いが進められてきたことも私どもはよく承知をいたしております。さっきもお話ありましたが、組織的なことや地元との融和といいますか、地元との関連性、こういうことの中で、この改革に当たりましてはそれなりの検討を加えてきたとは言いながら、さらに地元の発展のために、また地元とのトラブルのないことのためにいろんな考え方が必要だろうと思います。
 そういうことの一つの中に需要開発センター、こういうものを設けて需要の大きい名古屋でそういうものを進めていこうということもその一つのあらわれだろうと思うんでありますが、今後の総合に伴いまして、統合といいますか、長野営林局、名古屋営林支局、こういう形を整えるに当たりまして、林野庁として特に今後の機構上のことや運用上のこととか、こういう問題についていろいろ考えており、また検討している諸問題についてありましたら、まずお聞きしておきたいと思います。
#99
○政府委員(田中恒寿君) 今回、一営林局の統廃合を、まあやむなしと申しますか、実施しなければならないということで名古屋支局を最終的に選定したわけでございますが、やはり統合をした場合におきましても、その後引き続き国有林野の管理経営が適正かつ円滑にでき得るように検討をいたしまして、支局の設置ということで対応することにしたわけでございますが、やはりそういう検討の過程の中で、それぞれの営林局の責務と申しますか、性格等につきましても、いろいろ伸ばすべき機能につきましてはそれを拡充するということで、名古屋の立地条件からいたしますとやはり需要開発、販売促進が大変重要な任務というふうに考えられますので、仮称でございますがセンターを設置し、それらの機能を発展充実させることといたしたわけでございます。
 さらに、具体的な業務内容につきましては、現在林野庁におきましても、あるいは営林局におきましても鋭意検討をいたしておるところでございますが、あのような立地条件でありますので、十分期待にこたえ得る仕事を展開してほしいということで検討を進めているところでございます。
#100
○藤原房雄君 過日、提案理由の説明の中でも大臣のお話、こういう統合するということは国有林事業の改善を図るためこういう形にするんだということでありますが、この統合、こういう形にすることが国有林事業の改善に大きく寄与するという、こういうことを大臣みずからお述べになっていらっしゃるんですけれども、どういうことから、単なる行政改革というそんなことだけじゃなくて、こうすることが国有林事業の改善のためになるんだという、これを大きく旗を振っているわけでありますから、その点について、こういうこととこういうこととこういうことがあるからだということで、具体的な問題について理由といいますか、こういうことがあるから国有林事業の改善に資するんだと、こういう面をひとつお述べいただきたいと思います。
#101
○政府委員(田中恒寿君) 営林局の組織につきましては、御案内のように独立採算制の特別会計でもって運用をいたしておりますので、効率あるいは企業的能率性というものをいろいろ問わなければならない非常に厳しい環境下にあるわけでございます。また、現在、要員の縮減計画なども進めておりまして、今後の国有林野事業を最もやはり簡素化された組織で管理し、必要最小限の人員で管理しなければならないという命題を負っておりますので、今回の例えば支局化におきましても一部一課が削減をされておるわけでございますけれども、そういうふうな身を切る内容での簡素化が行われたわけでございます。
 なおまた、広域化することによりまして、人事管理でありますとか販売でありますとか、いろいろそのことによりますメリットもまた今後期待されるところでありまして、今後新しい組織の運用に当たりましては、そういうメリットが発揮されますような事業運営をこれから考究をしてまいりたいと思っております。
#102
○藤原房雄君 国有林の今日までのあり方については、当委員会でも何度かいろいろ議論になったところでありますし、それはまた後ほどいろいろ申し上げたいと思うんでありますが、確かに親方日の丸的な経営といいますか、国有林のあり方につきましては大きな問題について何度か指摘されてきているわけであります。
 それは順次改善の方向にある、また国有林運営の大変な財政上の問題等もございまして、改善はされつつあることはよくわかるのでありますが、そういう中にありまして、今度の地方機構改革に伴いまして、長野にしろ名古屋にしろ、いずれにしても地元サービスの低下等、こういうものがあってはならないということと、それから私どもは今まで主張しております国有林材のもっと有効な活用、それからまた付加価値のある販売といいますか、国有林ももっと採算性といいますか、そういうものについて合理化といいますか、機構上だけじゃなくして、一貫した合理性というものを考えていかなきゃならぬ、こういうことをよく言ったのであります。このたび仮称ではありますが、需要開発センターというようなものを設けて、営林署がそこにひとつ力を入れていこうということ、これは名古屋という大きな需要地を抱えて、それなりに私ども適宜適当なことだろうと思うんであります。
 しかし、これはどういう運営といいますか、どういう機構をもって進めていくかということによりましては、今後の推移については非常に私どもも強い関心を持たざるを得ない。これは仮称で、今後具体的なことについてはいろいろ煮詰められていくんだろうと思いますが、しかし、今日までもこの機構改革に当たりましてはそれなりの体制、そしてまた業務内容、こういう問題についても十分に御検討していらっしゃるんだろうと思いますが、今日までのいろんな国有林の危機的状況の中にありまして活路を見出さなきゃならぬ。需要開拓、そこにまた大きく一歩も二歩も踏み出すということでありますから、慎重な対処とそれから体制といいますか、そういう問題についての推進がなけりゃならぬだろうと思います。
 ぜひそういう問題について、今検討している、決まったことはもちろんとしまして、今後のあり方等についてどういうようにひとつ進めようとしていらっしゃるのか。地元サービスの問題と、それから需要開発センターの問題、その問題についてお伺いをしておきたいと思います。
#103
○説明員(江藤素彦君) 具体的な業務内容についてのお尋ねでございますので、私の方からお答え申し上げたいと思います。
 先ほど長官からも需要開発センター、仮称につきまして、概要につきまして申し上げたわけでご
ざいますが、大変に目下木材需要が低迷しております非常に厳しい状況の中でございまして、国有林材のPR活動を積極的に推進することが重要となっておるわけでございます。また、国民の緑に対する関心が非常に高まってきておるということでございまして、そういった中で、国有林野事業の果たしてまいります役割というものをぜひ理解していただくためには、森林レクリエーションあるいは分収育林とか、ふれあいの森林といったような国有林と国民とを結ぶ制度というものを積極的に展開する必要があるわけでございます。
 したがいまして、このために、一つには、国有林材の流通改善とか木材需要の開発という点、それから二つ目には、都市と山村の交流によりまする森林レクリエーションや分収育林事業等を効果的に促進する組織ということにいたしまして、以上申し上げましたような二つ、大体大まかに分けまして二つぐらいの目的を持ちまして、名古屋営林支局に需要開発センター、いわゆる仮称でございますが、これを設置することとしておるわけでございます。
 なお、細かいこれからの具体的な業務内容につきましては、先生から御指摘いただきましたように、この点、今後のこの名古屋地区の地元サービスにつきましては、大変重要な存在になるわけでございますので、さらに十分に検討を重ねた上で固めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
#104
○藤原房雄君 国有林の今日までのあり方といいますか、国有林の木材の供給する方法として、一つは立木のまま販売する方法と、それから製品生産方式ですか、国が直営で伐採、搬出を行って丸太にして販売する、こういう二つの形態がございますね。最近見ますと、製品生産方式の直用形態と請負形態、この比率が七〇対三〇、七、三ぐらいになっておりますね。やはり山村の振興ということからいいますと、地場産業、地元の産業にそれが結びつくという、こういうことも国有林では考えていかなければならぬ。それとともに、国有林もそこでやはり合理性といいますか、そういうものがなければならぬということで、国の直用生産、これは地元住民の就労の場の提供とか、こういうことで地元でも非常にそういう要求が多い。山村では、確かに山でしか働く場がないというところにつきましては、やはりそれなりの考え方をしなきゃならぬ。
 そういう点も随分最近は配慮をされているようでありますけれども、今後こういう技術開発、そういうものともあわせまして地元産業に対してどういう方式がいいのかということと、また営林署として、国有林として、林野庁としてそれをどうすることが林野庁の経常上いいのかという、そういう一つの非常に難しい中でこれを進めていかなけりゃならぬ。特に最近部分林、分収育林というようなことで、ただ国有林の経営だけ考えればいいというんじゃない。緑の効用等からいいましても、また分収育林のような考え方からいたしましても、国民の大きな理解の上に立ってという、こういうことになりますと、今までの枠の中に閉じこもった物の考え方じゃなくて、やはりもっともっと地元の産業との結びつき等も考え合わせた上で、まあそれだけで進めれば一番いいわけですが、やはりこの国有林の経営ということも加味してという非常に難しい選択がこれから迫られるんだろうと思います。
 そういうこと等につきまして、現在進められてき、これからまたこの考え方というのはだんだん、よりその地域地域に合った形態で具体的に考えていかなければならないことなんだろうと思いますけれども、基本的にはどういう考え方でこれから推し進めようとしていらっしゃるのか、その辺のことについてちょっとお伺いしておきます。
#105
○政府委員(田中恒寿君) 先生のお話にございましたように、製品生産事業を行うに当たりましても、直用の形態と請負による形態があるわけでありまして、それぞれその地方の歴史的な林業労働のいろいろな経過、過程を経て、各局におきましてもそれぞれ異なった技術が現実にあるわけでございます。
   〔委員長退席、理事谷川寛三君着席〕
 この形を将来どのように考えていくかということでありますけれども、昨年六月に策定をいたしました国有林の改善計画におきましても、業務運営を抜本的に改善するという観点からは、民間の事業体の体制充実等の条件整備を図りながら請負化を推進していく、直用事業につきましては真にそれにふさわしい事業、業務に特化していくということを計画しておるわけでありますが、製品生産事業につきまして具体的に申し上げますと、技術水準等につきましてはやはり国有林が先進的模範となってこれを開発していかなければならぬという任務があると私ども考えておりますけれども、そのような機械開発あるいは林業労働は安全などが非常に問題になっておりますけれども、十分安全管理、安全確保のされた作業方式の開発でありますとか、日本の林業のためにどうしても必要なそういう技術開発等を任務として直営事業はこれを担っていくということが必要だろうと思います。やはりその他の経済的な効率が重んぜられる事業の分野につきましては、これは民間の事業体の整備発展を図りながらこれの請負化を推進していくという考え方で進めておるところでございます。
 また、分収造林制度なども、分収育林を含めまして今後いろいろ運用を拡大していくわけでございますけれども、やはり地元とはこれまで共用林野制度でありますとか、貸付使用制度でありますとか、そういうふうなこれまでの制度によりまして国有林野の所在する地域の振興、住民福祉の向上にそれぞれ役立ってきたわけでございます。やはり今回のこの分収造林制度などにおきまして新しい公募方式を導入することとしておりますのは、国民の皆さん全般のこういう関心の高まりに対応してでございますが、そういう中にありましても、やはり事前に十分地元の市町村と意思疎通を図りまして、契約締結などにおきましても地元が優先できますように、これまでのお互いの依存関係を配慮いたしました進め方をしておるところでありまして、こういう考えで今後とも進めてまいりたいと思っております。
#106
○藤原房雄君 国有林は国民共有の財産という観点から、特にそれがこういう時代になりますとそういう意識がだんだん強くなってくるといいますか、先ほども申し上げましたように、そういうことから言いましても地元住民の福祉向上といいますか、そういうものに対する配慮というものもあわせて行わなければならないだろうと思うんであります。
 ところで、そういうことから最近進められております部分林とか共有林野とか貸付使用、こういうものはここ数年、随分ふえてきたんではないかと思うんですが、最近の動向ですね、そういうことと、それからよく申し上げておるんですが、国有林に影響を及ぼさない範囲内で放牧利用の拡大、これも今日まで東北なんかの具体的な問題を何度か申し上げたりなんかいたしましたが、非常に条件が厳しくてなかなか借りられないというようなこともございました。そういう点についてはいろいろ御検討いただいたわけでありますが、さらにまたキノコの栽培等、こういう貸付面積、最近地元でも非常に声が大きいし、個々にいろいろお話し合いがなされているようでありますが、ぜひこれは旧態依然とした枠の中での規制、こういうことだけではなくして、時代が大きく変わった今日に即応した形で、その可能性のあるところについては弾力的に地元の福祉向上、生産基盤、そういうことのためにはこれを進めるべきである。一部ではその方向にあると思うんでありますが、やはり問題になっておるところもございまして、それらのことについての基本的な考え方と、それから今日までどういうふうに推移をしてきたかということと、これからの進め方、非常に要望が多いだけに、この問題についてお聞きをしておきたいと思います。
#107
○政府委員(田中恒寿君) 国有林が、特に地域の農山村におきましてはいろいろ農林業の一体的な
経営が地域振興に大変望ましいということから、農業的利用あるいは林業的利用も含めまして、活用の要望等はこれまでも相当あるわけでございます。そういう要望に対応いたしまして、活用につきましてはもちろん活用に関する法律もあるわけでございまして、地元産業の振興、福祉の向上のために積極的に対応することとしておるわけであります。
 特に、国有林といたしましては、農林業の構造改善のための活用について見ますと、相当積極的に対応をした結果、過去二十年間の数字をちょっと申し上げますと、三十八年から五十八年までの二十年間で農業構造改善関係約四万九千ヘクタール、林業構造改善関係二万六千ヘクタール、合計約七万五千ヘクタールの活用が行われているわけでございます。
   〔理事谷川寛三君退席、委員長着席〕
 また、国有林側の考え方でございますけれども、そういう地域で農林業が定着し振興されることがいろいろ国有林の事業の実行なり、あるいは管理の面におきましても、お互い地元との依存関係を強固にするということで非常に好ましいことと考えております。
 そういう意味で、今後ともこの方向は推し進めてまいりたいと思っているわけでございますが、先生御指摘ありましたように、いろいろ分収造林でありますとかその他は経年ふえてまいっておりまして、四十八年から五十九年までの約十年の分収造林等におきましても、これは十一万七千ヘクタールから十二万七千ヘクタールと一万ヘクタールの増でございます。貸しつけております土地なども五万九千ヘクタールから七万三千ヘクタールというふうに、非常に地元利用の件数、面積ともにふえつつあるというのが現状でございます。
#108
○藤原房雄君 時間がありませんから最後になりますが、一つは、今申し上げた地元で林野に大きく依存しておりますそういう町村では、財政力もない、若手の働き手もいないということの中で大変な苦慮をしております。さっき大臣は、外材に負けない林業は三年でできるんだというような随分力強いお話がありましたが、地元へ参りますと本当に若い者がいない、町村でも集積場を統合して、トラックも大型のやつで一遍にたくさんなるべく運ぶような合理化、効率化というか図っておる。しかし、こういう山村ですから財政力がございませんで、非常に苦慮しておる。流通加工体制、こういうものの高度化というか、こういうことについてそれぞれ苦慮しておるのが現状です。これは国有林についてもということですが、民間の活力というものが本当に出てくるためには、地方自治体のそういう現状に即したきめの細かい施策が必要なんだろうと思います。林道につきましても大変にこれはお金のかかることでありまして、もっと延びれば効率的にできるというところもあります。これは林道網の整備ということも急務であることは当然のことです。こういうことで別枠ということですから、これはぜひ、今日まで公共事業並みに抑え込まれております林道網の整備等についてもきめ細かにひとつ対策、二年でというのはちょっとどうかという心配もありますけれども、とにかくさっきすごい意気込みで決意のほどを述べておりましたから、私も大いに期待をしておりますが、以上のことをよろしくお願いします。
 最後に一点、過日NHKでもございましたように、最近の人工林というのは根が薄いために被害を誘発するもとになるのではないかということが言われています。この前の本会議の質問でも私申し上げたんだけれども、こういうところはだれも聞き流すということで本気になって考えてくれないので、この機会ですから申し上げますが、地質とか気象条件、また自然の生態系ということにマッチした高度な森林施業というのが必要だ、これは過日長官にも申し上げておるわけでありますが、最近自然団体から言われているのは、やっぱり何百年かけて生い茂った自然林がどうも無計画に伐採される、ほんの申しわけ程度に何本か残しているということであって、これは施業のあり方として、自然保護という観点だけでは見られない国有林には国有林の論理があるのかもしれません。
 しかし、総理を初めとしまして、緑に対する強い警鐘乱打のなされておる今日、そういうことにはお構いなく採算至上主義でやられたのでは日本の自然はどうなるか。特に人工林、杉やヒノキ、こういうことのために被害を大きくしているという、こういうことですから、やっぱりその地質、気象条件、こういうものに合わせた高度な施業というものを是が非でもこれはお考えいただいて進めていただきたい。今そういう方向にあるんだということのようでありますけれども、日本の国土を守るという一つの大きな役割の上からも、これはぜひひとつ御検討いただき、その方向で進めていただきたいことを私は念願するわけであります。このことについては林野庁でもいろいろ御検討なさっているようでありますけれども、最後にお答えいただきまして、終わりたいと思います。
#109
○政府委員(田中恒寿君) 先生御指摘いただきましたように、日本の国の自然は大変にきめの細かい成り立ちになっておりますので、やはり十分それを調査した上での適地適木と申しますか、そういうことに徹底していかなければならない。
 実は森林施業の考え方につきましては、昭和四十八年来そういうふうな考え方でいろいろ指導をしておるわけでございますけれども、一部やはり徹底を欠いたと考えられる点もございますので、さらに今までの指導を徹底いたしまして、例えば公益的機能をより重視すべきところにつきましては、複層林の施業でありますとか広葉樹施業、天然林施業を取り入れるなど、全体としての山のいろいろな効用を最も発揮できるような仕事のやり方、それにさらに十分関係者一同心を集中いたしまして努力をしてまいりたい。前にもお話ございましたが、これにつきましては林業技術者の重大な使命と考えまして取り組んでまいりたいというふうに思っております。
#110
○下田京子君 まず、今回の承認案件であります名古屋営林局の支局化ということは、そもそも五十二年に閣議決定されまして五十三年策定された改善計画に基づいてなされたものだと思うんです。
 そこで、はっきりさせたいことは、五十三年策定の改善計画のもたらした結果は何であるかということなんです。これは六十年度の国有林野事業業務方針の冒頭で、「事業運営の能率化、経営管理の適正化、収入の確保等各般にわたり格段の努力を行ってきたところであるが、材価の低迷、伐採量の制約の強まり、借入金の利子支払及び元金償還の増大等により、財政事情はますます悪化の度を深めている。」、こういうふうに述べられておりますけれども、要約して言えば、いろいろやったけれども、結果として五十三年策定改善計画のもたらしたそのものは、ますますの財政の悪化であった、こういうことでありますね。
#111
○政府委員(田中恒寿君) 五十三年来経営改善計画を立案いたしまして、それに従いまして改善を推進しておるところでございますが、いろいろ客観情勢の中に、例えば材価でございますとか、あるいは伐採量につきましても、当初予定した伐採量がいろいろ環境保全でありますとか自然保護の要請に対応しなければならないというような事情もありまして、なかなか当初計画どおり伐採できない、そういう量的な問題もございます。あるいはそういうことが重なり合う、さらには業務運営の能率化等につきましても必ずしも十分ではないというようなこともございまして、結果的に財政状態がだんだん悪化をしてきておる事情にございます。
#112
○下田京子君 つまり、五十三年策定の改善計画に基づきまして六十二年目標に示された合理化路線をいろいろやってきた。具体的に言えば北海道の五営林局を一局四支局に再編縮小しましたし、十六の営林署あるいは二百五十九の事業所を廃止しまして縮小した。それから約一万二千人の要員も削減して、赤字補てんのためだということでもって約一万一千ヘクタールの資産売却も行って八百八十八億円等の収入も得てきている。しかし現
実には、今の借入金の残高がふえる一方で、五十九年度では一兆円を超えている。このことだと思うんですね。
 私が申し上げたいのは、この路線をさらに進めていくことは事業縮小、そして山荒らし、国土の崩壊にさらに拍車をかけることになるんじゃないかということなんですが、そうでないと断言できますか。
#113
○政府委員(田中恒寿君) 昨年、従前の改善計画を見直しまして新しい改善計画に移ったわけでございますが、これに私どもまだ着手したばかりでございます。これを推進することによりまして、特に森林施業の面につきましては、ただいまの山荒らし等になることはこれは厳に戒めねばならないことでありまして、特に施薬につきましては従来とは相当変わりました天然林施業の充実、広葉樹施業の充実、採用ということで取り組んでおります。御心配のようなことのないように、現在職員挙げて取り組んでおるところでございます。
#114
○下田京子君 山荒らし、国土の崩壊につながらないように新たな改善計画で進めているんだということなんですが、ことでも確認したいんですけれども、長官は、この路線というものは五十三年策定の改善計画をさらに強化して事業縮小を進めようとしていることじゃないでしょうか。といいますのは、六十年度の事業実行計画の中で、長官、こういうことを言われていると聞いております。昭和六十年度の事業実行に当たっては一層厳しさを増している、そういう厳しさの中での財政事情のもとで事業全般にわたる見直しを進めて、これまで以上の改善に努めるとともに、厳しい条件のもとでも可能な限りの工夫を行って立派な山づくりに努める必要がある、こうは言っているんですけれども、例えば費用価が販売額を上回るような生産事業を休止してその要員を造林事業に振り向けるなどの措置が必要なんだ、そういう点で職員の皆さんにもひとつ努力をしていただきたい、こう言われていると思いますね。
 そうした具体的な事業の進め方とは一体何なのかということなんですが、現場でいろいろ聞いてきましたら、例えば前橋営林局の場合なんですけれども、生産部門では費用高の事業所が九カ所ある、これは六カ月から一年間休みなさい、その他の事業所は梅雨期三カ月禁止だ、それから造林の部門ではどうかというと、事業量は前年対比で六割程度に抑えなさい、ですから結局、苗の方が五千本も余る、つまり五割のまきつけは減額しなさい、こういうふうな計画が出されてきているということを聞いています。つまり、そういうことは結局は事業縮小、合理化で、そして長官は胸を張って山荒らししないと言っても、結局国土の荒廃につながっていくことじゃないか、その路線を引き続いだ中で六十年度に九営林署と二十六事業所の統廃合やむなしと考えているんですか。
#115
○政府委員(田中恒寿君) 生産事業につきましては、これはやはり収益を上げて造林とか林道、そういう事業を賄うのが任務でありまして、やはり実行をしてかかった経費が販売価格に及ばない、凌駕するというのであれば、これはまさにやる意味がなくなってしまうわけであります。現在、市場価格が非常に落ちているということもございますけれども、そういう際には造林事業にかわってもらう、そういうことがやはり私ども抱えておる労働力を一番有効に消化していくということで、どうしてもそういう業務の転換はしなければならないと思っているわけでございます。
 また、造林につきましても、やはり適地を本当に選んで造林すべきところを厳選していくというようなことから、面積の減等もございますけれども、そういうことでの事業量の減が直ちに山荒らしに結びつくものであるとは私ども考えておらないところでございます。
#116
○下田京子君 考えているかどうかではなくて、現実がどうかということなんですね。
 今、長官は、収益が上がらないところにもう事業はやれないみたいなお話だったんですけれども、国有林の持つ公盃的機能というのは何なんですか。水資源の涵養であるとか国土を守るであるとかいう点からいいましたら、採算に乗ってこない点での役割というのは重大じゃないですか。先ほど営林署の統廃合のことで、今年度九営林署統廃合はもう避けて通れないみたいなお話をされていましたけれども、私はこれはもう見直しをすべきだと申し上げたいんです。
 その廃止の際の基準がいろいろ話されまして、既定の考え方でいくということだったんですけれども、現場ではこういう話も出ているんですよね。収益性、収益性ということなものだから、営林署も今までの基準から統廃合云々でなくて、いかに高く売れるかというそういう観点が加味されてくるようなことになったらますます大変だ、こういう話まで出ていまして、たくさんはがきが寄せられてきておりますけれども、ちょっと御紹介します。大臣、いいですか。
 今年は国際森林年で、森林の果たす役割の重要性と森林資源の十分な保全対策が世界的に進めることが急がれています。日本の国土を守る使命は国有林野事業が大であります。
  ところが林野庁は国有林の財政事情にのみ目を向け、手抜き施薬を進めており、国有林の荒廃は年々増大しております。近年は伐採しても植林しない施業をしてきており、荒廃に拍車をかけております。
  また六十年度に九営林署を統廃合するとしております。国有林を守っているのは営林署です。
 こういうことで、現場の職員や、あるいは地域の住民の方々から大変だと、前に示されたような基準からいったら、例えば距離が近いということになったら、福島県ならいわきが入るなだとか、あちこちで大変な騒ぎになっていますよ。だから、そういう観点からではなくて、本当に公益的機能、そういう国有林の事業の役割から見て山づくりということは考えるべきだと思うのですよ。大臣、いかがですか。
#117
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。
 今、先生から御指摘がありましたことでございまして、森林の果たすべき公益的機種、これも理解できます。ただ問題は、今の時代におきましては経済性を無視するわけにはいかない、そんなこともございまして、やはり私は事業運営の高能率化とか、あるいは経営改善問題等を考えた場合、今、林野庁の考え方は正しい。
 ただ、問題が一つありますのは、いつも言っておりますが、木材価格が高過ぎる。これをどうして安くするか。したがって、例えば国産材時代を昭和七十年代に迎えますが、現在赤字が一兆円、残りが一兆円借金といいますが、それは価格を高くしての一兆円、だから昭和七十年は今のまま行きましたらかなり厳しい状況を迎える、そんなことでございますし、私は木材価格を安くしてどうしてたくさん売るか、これを考えるべきである、こう考えております。
#118
○下田京子君 最後にお尋ねしたいのは、先ほど、今、大臣が言われた木材価格云々の話じゃなくて、私が聞いているのは、山づくりの基本は何かということでいろいろ申し上げたんですよ。それを合板の関税引き下げなんかに伴いまして、活性化対策ということが今出されているわけです。長官は何か活性化対策に国有林が入ってないみたいなことを言われたけれども、大臣は明確に入っていると、こうおっしゃいましたね。入っているなら具体的に何を今進めているのか、これは非常に重要なことだと思います。
#119
○政府委員(田中恒寿君) 今、全体的な具体的な内容につきましては検討中でございまして、申し上げられる段階にまではなってございません。
#120
○委員長(北修二君) 下田君、時間になりました。
#121
○下田京子君 最後に一言。
 大臣、いいですか、さっきは食い違いがあったんです。しかし、大臣がもう国有林野事業も含めまして活性化対策を今考えているんだと、こうおっしゃった。大事ですから具体化してください。これは言うまでもないと思いますけれども、関税の引き下げによって合板工場等の経営悪化や倒産
につながるし、それはやがては山元にも行きまして国土が荒廃する、大変なことになるわけなんです。そのことを指摘いたしまして、質問を終わります。
#122
○田渕哲也君 まず、今回の提出されております承認案件である長野営林局と名古屋営林局の統合の理由、それから経緯等について御説明をいただきたいと思います。
#123
○政府委員(田中恒寿君) 国有林野事業をめぐる大変厳しい状況が続いておるわけでございますが、昨年、国有林野事業改善特別措置法の改正が行われまして、これに基づきまして昨年の六月に、五十九年度以降十年間につきまして自主的な改善努力の一層の徹底を基本とする新たな改善計画を定めたところであります。営林局の統合はこのような自主的改善の一環といたしまして、経営管理の適正化を図る上で極めて重要な課題でありまして、また五十五年に改正された農林水産省設置法にも規定をされておりますように、行政改革の一環として避けて通れない課題であるという認識から、これを実施することとしたのでございます。
#124
○田渕哲也君 私は、この問題はやっぱり行政改革の一環としてのもの、しかもこれは昭和五十五年の閣議決定によって決められたわけですね。地方支分部局の整理再編について、この中では行政管理庁の四国管区行政監察局と中国管区行政監察局の統合、あるいは法務省、大蔵省、厚生省、農林水産省、通産省、運輸省、郵政省、各省並びでちょこちょこっと少しずつ地方支分部局の整理を閣議で決めているわけです。その中の一つとして、農林水産省では国有林野事業の改善に伴うということで営林局の一局の統廃合を決めているわけですね。私は、これは何となく行政改革の地方支分部局の整理のための格好をつけるために、各省横並びで決めたその一つがこれではないか。農林水産省としては困ったからこれを営林局に押しつけて一つ削れと、こういうことになったんじゃないですか。
#125
○政府委員(田中恒寿君) 国有林野専業は現業でございますので、自分の内部からと申しますか、そういう業務の効率的な運営でありますとかをみずからどうしてもやらなきゃならぬという内発的な力もございまして、行革の要請もあるわけでございますけれども、特別会計の能率化、効率化から、やはりこれを受けてと申しますか、一番きつい営林局組織問題につきましてもこれをひとつ実行していきたいという気持ちもありまして、決して押しつけとか何かではないと思っております。
#126
○田渕哲也君 私は、この一局を減らす論議の経緯を見ても、確かに林野事業の簡素化、合理化、改善、こういったものは本質的に自主的に必要なのでありますけれども、しかし、この営林局の整理の問題は、そういう観点よりも、やっぱり一局どこか減らさぬといかぬ、だから前橋営林局と東京営林局を合併させようかということも考えた、それから長野営林局と名古屋営林局の統合も考えた、そして長野と名古屋とやった方がいいだろうということで一局にしたというような感じが否めないのですね。したがって、私はこの営林局の統合の問題が国有林野事業の改善合理化、こういうものとどういう関連があるのか、この点についてお伺いをしたいと思うんです。
#127
○政府委員(田中恒寿君) 組織機構を簡素化いたしますことは、究極的には経営の間接費の節減になってくると思います。それから、直接的な大きな効果がありますのは要員の削減でありますけれども、国有林野にありましてはこの人員削減も大変きついテンポで進めておりまして、これまでも年率にいたしまして三、四%、ほかにはないぐらいの高率な人員の削減をいたしております。そうなりますと、やはり伴います組織機構も並行して簡素化していくということも必要だと思っておりまして、計数的に計算をしてどうというわけではございませんけれども、どちらもそれを簡素化、要員削減ともに並行して進めてまいりたいと思っております。
#128
○田渕哲也君 私は、少なくとも国有林野事業の改善という立場からこういう組織の簡素化、統合化を考えるならば、今回の統合によってこの両営林局の仕事の内容が具体的にどう変わるのか、それによって人員がどの程度削減されるのか、あるいは経費がどの程度削減されるのか、こういうことが明らかでないとおかしいと思うんですが、この点はいかがですか。
#129
○政府委員(田中恒寿君) 今回の統合によりまして業務の内容の変更と出しますと、対外的に関連する業務につきましてはこれを影響させないように配慮し、内部的に行います業務をいろいろ統合簡素化していきたいと思っておるわけでございます。総合調整機能などを本局が持つことによりまして支局のそういうものが軽くなるとか、あるいは人事、広報、監査等もございますけれども、そういう対外地域に関係を及ぼさない内部的な合理化を進めたいと思っております。また、やはり名古屋局が一部一課の削減もございますので、定数につきましてもそれを配慮した配置が可能でございます。
 ただ、なかなかいろんなものを計量的にどうということは申し上げかねるんでございますけれども、大きな効果を将来生み出し得るであろう。人員につきましては、相当長期間にわたりまして新規採用を抑制いたしました厳しい減量を続けなければならない事情にございますので、それに対応する組織の簡素化ということで効果を上げ得ておるんではないかと思っております。
#130
○田渕哲也君 私は、営林署の統廃合の問題でもそうだと思うんですね。五十二年の十二月の閣議決定で一割の営林署を統廃合する、こういう方針が出て既に十六営林署が整理されておるわけでありますけれども、あと残りが十九ということで六十年度中に九つ、それから六十二年までに十。どうも初めに閣議決定とか行革の方針で枠が決められて、後はいかにそれに合わせるかということで非常に苦労しておるような感じを受けるわけです。本来、国有林野事業の本当の改善合理化をやろうとするならば、まずそういう主体性というものが、こことここをこういうふうに組織を変えた方がよりこれは合理化できるとか改善できる、そういうものが先にあって、それからこういうものが出てくるのが順序じゃないかと思いますけれども、この点はいかがですか。
#131
○政府委員(田中恒寿君) 営林局、営林署組織につきましても、ほとんど開設以来変更が加えられないまま五十三年までは推移してきたわけでありまして、五十三年当時、当時の財政事情の悪化からやはり抜本的な改善に取り組む、そういうために経営内外の意識を引き締めましてこれに取り組んでいくというためには、これまでやり得なかったようなこともやはりしっかり組んでそれを実行することも必要ではなかったかと、当時の事情を考えているわけでございますが、役所でやりますのは、組織が大変縮小するというのは非常に難しいことでございますが、あえて目標を掲げることによりまして、経営管理を改善する気持ちをあらわしていったんではないかと考えております。
#132
○田渕哲也君 確かに役所の整理統合というのは非常に難しい問題であり、こういう手法でないとなかなか進まないという事情もよくわかるわけであります。したがって、こういう改善合理化に役立つものであるならば、私はこういう統合整理を進めることに反対はいたしませんけれども、しかし本当にこれが実のある合理化、改善につながるようなものにぜひしていただきたい。この点を要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#133
○喜屋武眞榮君 私、初めに大臣に基本的なことについて尋ねたいと思います。
 まず、機構の設置とか、あるいは整理統合、改廃という場合には、その目的を達成した場合に解消あるいは解組、ところがより発展させるためには発展的解消という意味において整理統合がある、こう理解しておりますが、大臣、いかがですか。
#134
○国務大臣(佐藤守良君) 喜屋武先生にお答えいたします。
 今、先生の御指摘のとおりでございまして、や
はり私は森の果たす役割、これは木材の供給とともに公益的機能がございます。そんなことでございまして、やはり経済性等も加味する必要があるというふうなそんなこともございまして、私は、いろんな御質問ございましたけれども、事業運営の能率化を図るとか、あるいは経営管理の問題等につきましてこの合理化を図ったということでございます。
 ただ問題は、私は実はこの林野庁の問題を見ておりましていつも言っておりますけれども、例えば林政審の答申などを見ておりましても、木材価格も毎年四%、例えば昭和五十五年の価格から下がってきているという、そんなことで、価格の低迷という中に今の木材価格が高過ぎる、いかにして安くするかというような大きな使命を持った合理化でなくちゃいかぬ、そうすれば必ず私は林野の荒廃もなくなるということで、本当に未来に明るい何といいますか、林業の活性化を図れる、このように理解しておるわけでございます。
#135
○喜屋武眞榮君 そうしますと、現在営林局が十局ありますね。その数ある中で、特に長野営林局と名古屋が統合の対象になった。この長野と名古屋が統合の対象になった理由は何でしょうか。
#136
○政府委員(田中恒寿君) 林野庁におきましては、現在の十ございます営林局につきまして業務の実態、地理的条件等を総合的に勘案して判断をしたわけでございますが、その際、統合した場合に国有林の管理経営を引き続き適正に実施できるかどうかという観点から見たわけでございます。先ほど関東営林局、中部営林局というお話も出たわけでございますけれども、この長野、名古屋を統合いたしました際に、例えば営林署の数で申しますと、全国の九つのうちの第四位になります。あるいは管理面積なども大変重要でございますが、これが第五位と、こういう大きな指標におきましてちょうど真ん中辺に位する営林局ができる、そういうことから、統合を行うことと計画をしたわけでございます。また、いろいろそのほか細かい点もございますけれども、一体管理が可能であるというふうな判断もしたわけでございますが、主な要素について申し上げますと以上でございます。
#137
○喜屋武眞榮君 次にお聞きしたいことは、営林局を長野市に、今度は営林支局を名古屋市にと、こういうふうに位置づけられておるんですね、この場合は。ところが、その逆も考えられるわけですね。すなわち営林局を名古屋に、その支局を長野にということも一応考えられるわけでございますので、なぜそのように置かなければいけないか。これにはいろんなメリットが考えられるはずであります。また、デメリットも考えられるわけでございます。また、実績からも、これは功罪の面からも局に値するか支局に適当であるか、こういうことをいろいろ検討されたと思いますが、まず聞きたいことは、長野に局を、それから名古屋に支局を置かれたこの理由と、逆も考えられるはずでありますが、それはいかがでございますか。
#138
○政府委員(田中恒寿君) どちらを本局にするかということの判断に当たりまして、これははかりがあるわけでもございませんので、いろいろ最終的には総合的に心を無にいたしまして、大臣の御判断も仰ぎまして決定をいたしたわけでございますけれども、やはりその中で考えた因子といたしましては、営林局と申しますのは現業を管理するところでございますので、そういう意味からの管理のしやすさはどちらであろうかとかいうような点が主に検討されたわけでございますが、その過程で、従前営林局と申しますと、いかなる営林局も大体同じ構成で同じ仕事をしておりましたが、その分析の中から、それでは名古屋の任務は需要開発等の大変重要な任務もあるというようなことなどが途中で論議になりまして、それではそれを充実することも必要だという、多少派生的ではございましたが、検討の過程でそういう議論もなされた。総体的にそのバランスをとると申しますか、いろいろ総合的に判断をいたしまして、最終判断も仰ぐ過程で現在の案に落ちついた。ですから、歯切れの悪い言い方でございますが、そういうことでございます。
#139
○喜屋武眞榮君 重さをはかるのははかりですが、私がお聞きしたい真意は、結局この目的を達成するにはどちらがいいのであるかと、こういったいろんな客観条件を設定されて、それによって結びつけてはかるということでありまして、これには何も計量器は要らないわけですから、そういう意味で、私は結局日本の森林を守り自然を守り、そしてその目的を達成していくために効率的に能率的に機能を発掘していくためにはどうあるべきか、こういうことが検討されなければいけないと思うんです。
 それで、この統廃合によって職員の配置転換、こういった問題も真剣に検討されたと思いますが、その職員の配置転換についてはどのようになっておりますか。
#140
○政府委員(田中恒寿君) 組織機構をいろいろ簡素化、合理化いたします際には職員の理解、協力をいただくことは大変重要なことであります。これまでも組織機構の統合に当たりましては、事前に関係職員に対する説明あるいは労働条件の低下を避けるということからの対応等もいたしておるわけでございますが、今回の統合に伴いまして直ちに大幅な異動が行われるという体制には実はございませんけれども、統合の実を上げ業務運営の能率化のためにはだんだんと必要になろうかと思っております。
 新設の需要開発センター等におきましても、これは例えば一般市民の方に開かれたセンターでありますと、土曜、日曜の勤務なども必要になろうかと思います。そういう際には、十分事前に説明等をする必要があるわけでございます。これまでも組織統廃合によりましてそういうことを経験を積んでまいりまして、今後も十分その手段を尽くしまして円満に進めてまいりたいと、こう思っております。
#141
○喜屋武眞榮君 それじゃ、時間が参りましたので、もう一言申し上げて終わりたいと思います。
 この改正の背景というのはいろいろいかなる場合でも考えるわけでありますが、ただ数字合わせ、ごろ合わせみたいなような格好で統合しなければいけないという側圧的な理由のある場合もありましょうし、そうではなしに、本当に目的達成の上から検討されて、この方が本当に合理的であり効率的であり能率的である、そして成果が上がる、しかも実際現場で働く職員の立場にとっても納得のいくことであると、こういった経過を経て一つの目的を見出すことが、民主的であり合理的であり、能率的であり効率的であると私は思うんです。そういうことで、単に行革、財政再建だということで形式的に数を合わせればいいんだ、こういうことになるというと、これは大変なことになると思うんです。そうであると断言するわけではありませんけれども、何かしらそれに近いような感触も感ずるわけでありますので、どうかその点、今後に向けてもひとつ十分に配慮していただいて、守るべきものはきちんと守る、こういう姿勢を正していかなければいけないじゃないかということについて、ひとつ大臣のコメントを求めて終わります。
#142
○政府委員(田中恒寿君) 組織機構を考えるに当たりましては、本当の意味での業務の効率的な円滑な実行が確保されるように総合的に判断して、組織機構体制が組み立てられるべきだと思っております。国有林は、これからもいろいろ合理化を進める過程で組織機構いろんな部署についてはそういう観点からの見方が必要でございますけれども、原点に立ったと申しますか、本当の意味での業務の総合的な効率的な実行に立脚いたしました計画として進めていかなきゃならぬと思っております。
#143
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 今、長官が言ったとおりでございますが、関係職員の理解を非常に深めながらこの問題を進めていきたいと、このように考えております。
#144
○委員長(北修二君) 以上をもって本件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#145
○委員長(北修二君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#146
○下田京子君 私は、日本共産党を代表して、長野営林局の管轄区域の変更及び名古屋営林支局の設置に関し承認を求めるの件に対して反対討論を行います。
 国有林野事業は、林産物の安定的な供給、国土の保全や水資源涵養等の公益的機能の発揮、さらに国有林野の活用や国有林野事業の諸活動等を通ずる地域振興への寄与など、国民経済、国民生活の上で重要な使命を担っており、とりわけ今日、環境破壊が世界的に進む中で、緑資源保護の重要性は一層高まっています。
 しかるに、長野、名古屋両営林局を統廃合するという本件は、経営悪化を理由に要員の大幅削減、営林署の廃止、直用事業の請負化等、臨調行革路線に基づく国有林野事業の一層の縮小合画化を目指す一環であり、国有林野の果たすべき使命の放棄につながるものと言わなければなりません。
 政府は、名古屋営林局が廃止ではなく支局に格下げになったことで、組織構成では最小限の縮小にとどめたとしています。しかし、将来とも人員、予算について削減されないとの保障はありません。そうなれば、全国有数の木材産業地域である愛知、岐阜、富山の各県の林業、林産業、ひいては地域経済にも多大な支障が及ぶことは必至であります。
 そもそも、国有林野事業の経営悪化の原因は、かつての高度成長時代の過伐、乱伐による森林資源の減少や、公益的機能維持の要請による伐採量の落ち込みと、外材輸入増と木材需要減退による木材価格の低迷など、基本的には政府の大企業本位の経済、そして林業政策の結果であり、経営合理化など内部努力の不足によるものではありません。
 さらに、今日の経営危機に拍車をかけた大きな原因は、一般会計からの繰り入れによる財政確立ではなく、財投資金の借り入れに依存してきたサラ金財政にあります。
 しかも、政府は、今日の深刻な木材不況をよそに、アメリカの不当な圧力に屈して、木材製品の一層の市場開放を進めようとしています。これでは国有林野事業の経営にも大きな打撃を与え、山林、国土の荒廃に拍車をかけることは明らかです。
 我が党は、外材輸入を規制するとともに、国有林野事業が持つ使命発揮のため、一般会計から必要な資金の導入や借入金利の引き下げ措置をとり、むしろ要員、機構の充実確保をこそ図るべきであることを指摘して、反対討論を終わります。
#147
○委員長(北修二君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、長野営林局の管轄区域の変更及び名古屋営林支局の設置に関し承認を求めるの件の採決に入ります。
 本件に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#148
○委員長(北修二君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって原案どおり承認すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#149
○委員長(北修二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#150
○委員長(北修二君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#151
○委員長(北修二君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#152
○委員長(北修二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時十八分休憩
     ─────・─────
   午後一時二十二分開会
#153
○委員長(北修二君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 農林水産政策に関する調査を議題とし質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#154
○山田譲君 いわゆる経済摩擦といいますか、貿易自由化の問題と農林水産の関係、こういうことについて若干御質問をしたいと思います。時間が非常にないものですから、端的にいろいろ申し上げますから、なるべく端的にお答えをいただきたいというふうに思います。
 最初は、これはこの間のボンのサミットの問題であります。
 まず、外務省の方にお伺いしたいんですが、伝えられるところによると、これは中曽根総理も本会議でもちょっとお話しになったところですけれども、いわゆる経済宣言をボン・サミットでやられたわけですが、その中の問題に関連して保護主義はいけないというふうなことを盛んに強調しております。その問題に関連してミッテラン大統領が、農産物については例外にしなきゃいけないと言ったような話をちらっと総理もしておられました。それに関係があるかどうか知らないけれども、ミッテランは非常に不服を示しまして、来年の東京サミットには出ないというふうなことも言ったとか言わないとか伝えられております。そしてまた、それを受けて中曽根総理も、国会が終わったらフランスに行ってミッテラン大統領とお話し合いをしたいというふうなことも言っておられるわけであります。我々は密室の中で七カ国の首脳が話し合ったことですからよくわかりませんけれども、単なる自由貿易主義じゃなくて、やはり農業というようなものについては相当の保護主義といいますか、保護を与えなきゃいけないんだというふうなことを、ミッテランははっきりとサミットでおっしゃったんじゃないかというふうに思われてなりません。
 そうしますと、我々が考えているとおり、農業という問題についてはそう単純に自由貿易がいいんだなんというふうなことは言えない代物である、そういうことを私はやっぱりミッテランはいみじくもちゃんと言われたんじゃないかと思うんですよね。どこかの国の総理のように、何でもかんでも自由化だ、それで例外はもうだめだというふうな言い方をしているようじゃこれはしようがない。やっぱりミッテランぐらいの見識を持って堂々とああいう場所で物を言うというふうな総理大臣を私どもも持ってみたいと思うんでありますけれども、それは別問題として、ミッテランがどういうことを言われたか、そこら辺をはっきりと言ってもらいたいと思うんです。
#155
○説明員(赤尾信敏君) お答えいたします。
 サミットでの討議は、もちろんこれは首脳と、あと外務大臣と一部の方だけで議論しておりますので、私もその場に、中に入っていたわけじゃありませんが、一応出席された方等からいろいろと伺いましたところに基づいて御説明いたします。
 新ラウンド、ガットの多角的通商交渉をいつ始めるかという問題を議論している過程において、確かにミッテラン大統領は農業問題がフランスにとって非常に重要な問題であるということを言っておられます。ただ、フランス政府及びミッテラン大統領としましても、ガットにおける新ラウンドの開始について反対しているわけではありません。やっぱり各国とも世界貿易の拡大につれて経済成長をやっておりますので、貿易の拡大の必要
性については皆認識が一致しております。そのためには、新しい貿易交渉もしなければいけないという必要性を認めております。
 ただ、フランスと他の三カ国の間で意見が違いましたのは、その新しい交渉をいつから始めるかということにつきまして若干認識が違いまして、ほとんどの国は八六年には新ラウンドを始めるべきであるということです。フランスは八六年に始めるべきかどうかというのは、その前の準備がうまくいくかどうかわからない、準備過程を見た上でないと何年ということは言えないんじゃないかということで意見が一つ違ったわけです。
 農業問題につきましては、ECには御承知のとおり共通農業政策というのがあります。この共通農業政策が欧州共同体の一応根幹であるということもありまして、この新しい通商交渉を始めるに当たって共通農業政策はどうなるだろうかという点に特にフランスは懸念を表明しているということかと思われます。しかしながら、先ほど申しましたように、新しい通商交渉を始めることについては反対していない、そういうことかと思われます。
 なお、その関連で、来年の東京サミットにミッテラン大統領が出席するかしないかという御質問ですけれども、コミュニケの一番最後に、来年は東京で会合するというパラグラフがありまして、それは各国各首脳とも異議なく合意されましたので、私たちは来年はミッテラン大統領も来ていただけるものと期待しております。
 以上でございます。
#156
○山田譲君 今もう一つお答えいただきたいのは、この間、本会議で総理大臣がそういうことをおっしゃって、本会議では、ついては国会の終わり次第フランスへ行ってミッテランさんとお話し合いをしてみたいというふうなことを言っておられたんですけれども、その問題はどうなっているんですか。
#157
○説明員(赤尾信敏君) まだ正式に決まったわけではありませんけれども、一応総理は七月ごろフランスを公式訪問されるラインで検討中であります。もしもそれが正式に決まった場合には、来年の東京サミットの運営の方法等についても話し合えるかと思っております。
#158
○山田譲君 さっきあなた言ったように、フランス一国というよりもECの農業問題として心配をされているんじゃないかという話でしたけれども、しからばECの問題としてどういうことが考えられますか。
#159
○説明員(赤尾信敏君) もともとこの新ラウンドをいつ始めるかということを議論している過程で、私、ECとも折衝していろいろと話をしているわけなんですけれども、ECが提起しております問題は数点ありまして、一つは、貿易交渉と並んで通貨の問題も並行して議論しなければいけないということを前からECは主張しております。貿易交渉も大事だけれども、通貨が、特に為替レートの変動が激しい、これをできるだけ安定した方向へ持っていかなければいけないんじゃないかということを言っております。同時に、アメリカの保護主義的圧力が強くなってきておる。こういう新しい貿易交渉をやろうというときに、アメリカの保護主義の動きは全く矛盾している。アメリカはアメリカで、自分の本心を抑えてもらわないと困る。日本については、日本の貿易黒字が非常に拡大してきている、これもできるだけ黒字を減らすようにしてもらわないと、新しい貿易交渉のための雰囲気づくりという観点から望ましくないということを言っております。
 それで、もう一つは、ECとして農業問題を新ラウンドでどういうふうに取り扱うかという点について、これはどういう問題があるかということをはっきり言っておりませんし、新ラウンドでまだ何をやるかというのは具体的に決まっていないわけです。これから準備をして、準備会合等を開いて、そこでどういう問題を取り上げるか、その問題をどういうふうに交渉するかということをこれから話し合おうと言っている段階ですので、例えば農業問題を取り上げるかということもまだ決まっておりません。取り上げる場合に、農業問題をどういうふうに交渉するのかということはまだ決まっておりません。今、話し合いつつありますことは、ことしの夏の終わりぐらいまでに高級官吏会合を開いてそれで準備を始めよう。その準備過程で、参加国の数とか交渉の仕方とか交渉の議題等を決めよう、そういう段階であります。
#160
○山田譲君 この問題ばかりやるわけにいかないからこの辺にしておきたいと思うんですが、いずれにしても密室の中でやられたことだから我々にはわからない。恐らくあなた方にも直接わからないと思うんですね。そういう点で非常に不透明である。何かこの中を読んでみると、盛んに透明、透明ということを言っておるけれども、密室の中のやつは非常に不透明で、どうもわからないんですよね。やはり感じられることは、ミッテランが、自国だかECだか知りませんが、農業についてはそう簡単に自由主義なんて言ったってだめだぞということを相当強調されたんじゃないかということを、あなた方の言うことをこれは勘ぐる程度でしてね。ですから、これは非常に不透明な話ですから、これ以上言ってもしようがないと思うけれども、とにかくできるだけ的確に、こういうことはやっぱりみんな心配しているところですから、ひとつお話をしていただきたいと思います。しかし、きょうのこの質問は、このぐらいで終わりたいと思います。もう外務省よろしいですから、どうぞお帰りください。
 大臣、よくお聞きになったとおりでありまして、やっぱり大統領ともなれば、そのぐちいの見識を持って、そう簡単に自由主義だとか保護主義だとかというのじゃなくて、おれのところはこうだからそうは簡単にいかないぞというぐらいの迫力をやっぱり示していってサミットに臨んでもらいたい、私はこういう感じがしてなりません。
 それでは次へいきます。
 次に、企画庁に、「対外経済対策」の例のあれは何というのですか、出された対策ですね、これを見ますと、非常に私はわからないところがあるんです。つまり聞きたいのは、日本の関税が一体、全体的に低いのか高いのかという問題です。それで、この「対外経済対策」のあれを見ますと、「当面の措置と政策プログラム」ということで、「関税の引下げ等」という項目がありますが、それについて「我が国の関税水準は、」云々ときて、「低い状況にある」と、こういうふうにはっきり言っていますね。少なくとも経済企画庁なり政府としては、日本の関税というのは諸外国より低いのだということをはっきり言っておられる。それで、低いのならば、それ以上何も低くしなくてもいいじゃないかという感じもするのですよね。
 だから、まず日本の関税は、ここにも書いてあるとおりですけれども、もう一遍、果たして諸外国に比べて低いか高いか。それはもちろん高いものもあれば低いものもあるということはわかるけれども、総じての話として、ここに書いてあるとおり、世界に比べて低いんだということを今でも企画庁としては断言されるわけですか。
#161
○説明員(西藤冲君) 先生御指摘のとおり、四月九日の「対外経済対策」で、我が国の関税水準が低いという表現をしております。これは全品目の平均で低いということを言っておりまして、一九八二年度のいわゆる関税負担率、これは総輸入額に占める関税収入の割合ですけれども、これで見ますと、アメリカが三・六%、ECが二・七%になっておりますが、日本は二・六%ということで数字の上でも低くなっております。したがって、我々としては、日本は先進国の中で関税水準は低いというふうに考えております。
#162
○山田譲君 今度の経済対策の全体を流れる考え方は貿易自由化である、これをもっとしなければいかぬとか、あるいは関税を低くしなければいけないとかと言っているわけですけれども、そうすると、関税は日本は世界に比べて低いんだけれども、なおかつ低いやつを下げようということを考えておられるかどうか。
#163
○説明員(西藤冲君) 平均では確かに低いわけで
すけれども、品目によりましてはかなり高い関税の品目もございます。そういう高い品目の中で、外国からの引き下げの要望の強い品目もございます。我が国としては、やはり自由貿易体制のもとで一番恩恵をこうむっているということは事実でございますので、その自由貿易体制を維持強化していくという視点から、どうしてもそういう高い関税率の品目について、外国の要望の強いものについては、やむを得ず関税を引き下げざるを得ないというものもあるというふうに考えております。
#164
○山田譲君 最初から私言っているように、平均しての話を私は言ったわけですね。もちろん個々に比べれば高いものもあるし低いものもある。それは平均すれば日本はずっと低いですよと、こういう話ですよね。だから、今あなたが言ったように、高いものはもちろんありますから、高いものを低くしたら物すごく低くなっちゃうということですよ。それでもいいんですか。いいというか、そういう考えなのかどうかということです。
#165
○説明員(西藤冲君) 個別の高い品目について、外国から強い要望があってそれが日本の市場開放問題について大きな影響を持っている、あるいは自由貿易体制を維持していく上で強い意見になっているという場合には、日本としては関税率の引き下げについてやらざるを得ないという場合があると思います。ただ、全体の問題は、今後ニューラウンドで交渉をして、各国との交渉の過程で決まっていく問題だというふうに考えております。
#166
○山田譲君 どうもよく理解しにくいし納得できない考え方だと思うのですけれども、先に進めたいと思います。
 ついでに企画庁に聞きたいのは、同じくそこのBのところで、「その他の個別品目の関税引下げに係る決定は、本年前半中に行う。」と書いてありますけれども、伺いたいのは、まず一つは、ここで言っているのは農産物も含むということかどうか。
 それからもう一つ、「本年前半中に行う。」というふうに書いてありますけれども、これはどういうことですか。
#167
○説明員(西藤冲君) 個別品目の範囲につきましてはまだ確定しておりませんで、これから決めるわけですけれども、しかし、農産物も含み得るというふうに考えております。
 それから、「本年前半中」ということは、ASEANの閣僚会議の日程などを考えまして、六月中に決めるというふうに考えておることを表現したわけでございます。
#168
○山田譲君 六月中というのはどういうことですか。六月中に何を決めるんですか。
#169
○説明員(西藤冲君) どういう個別関税品目について関税率を引き下げるかということを、六月中に決めるという内容でございます。
#170
○山田譲君 そうすると、みんな関税引き下げをする個別品目は六月中に決まっちゃうということですか。要するに決めるということですか。
#171
○説明員(西藤冲君) どの範囲の関税品目について決めるかということはこれからの問題ですけれども、やむを得ず引き下げる必要のあるものについては六月中に決めるということが内容でございます。
#172
○山田譲君 それは重大問題ですね。どの範囲をということは決まらないといったって、決まらなきゃ関税のどれを下げるのかわからないでしょう。ここで言っていることは、このとおり読めば、あくまでも個別品目も名前も固めて、それぞれについて関税を引き下げますと、それを六月中にやるということですか。
#173
○説明員(西藤冲君) 決定は六月中に決めるということでございます。
#174
○山田譲君 決定を決めるというのはどういうことかよくわからないけれども、決定するということですね。そうすると、この品目はこれだけパーセントを下げますということは六月中に決めるということですか。
#175
○説明員(西藤冲君) さようでございます。
#176
○山田譲君 そうすると、あと一月そこそこしかないんだから、もうかなり具体的に作業が進んでいるというふうに理解していいですか。
#177
○説明員(西藤冲君) 個別関税につきましては、それぞれの関税品目の御担当の省庁で検討をしていただいておるというふうに聞いております。
#178
○山田譲君 それをまとめるのはおたくの方でしょう。
#179
○説明員(西藤冲君) 私どもの方が内閣と一緒になりまして取りまとめることになっております。
#180
○山田譲君 これは非常に重大問題で、そんなことだとすると、我々としては審議をもっともっと毎日のようにやって、農産物についてはどれとどれが関税が高いから低くするとか、こういうことをもっと急いで検討しなきゃならなくなってくるんですが、それはあなたの言ったことは間違いない、政府の考え方だというふうに理解していいでしょうか。
#181
○説明員(西藤冲君) 「対外経済対策」の中で経済対策閣僚会議で決定した内容でございますので、政府の方針でございます。
#182
○山田譲君 それでは、この問題は改めて議論することにしましょう。では企画庁の方、結構です。
 それから、その次に農水省の方に伺いたいと思うんですが、今の問題に関連してですけれども、総理は口を開けば農業政策について、農は国のもとなりというふうなことをよく言われます。これは実際本会議でもそう言っておられるんだけれども、口ではそうおっしゃいますけれども、実際にやっていることそのものは、ちっとも農は国のもとなりというふうにはどう考えても考えられないわけですね。農は国のもとなりということは、これは昔の農本主義みたいな考え方で、産業の中で農を主としてあとは皆従だという考え方ですけれども、こういう考え方をやっぱり農林水産大臣もとられるんですか。
#183
○国務大臣(佐藤守良君) 山田先生にお答えいたします。
 先生御存じのとおりでございますが、農業というのは国民生活にとりまして最も基礎的な物質でございます食糧を安定的に供給するとともに、公益的機能、水資源の涵養とか土壌の浸食防止など国土、自然環境の保全とか、あるいは活力ある地域社会の形成に重要な役割を果たしております。その意味で、農業は国のもとと言うべきものと考えております。
#184
○山田譲君 どうも農業は国のもとだとおっしゃる割には、農業予算はどんどん減らされるし、農産物価格は物すごい低迷をする、減反を強いられるというようなところを見ても、あるいは農民の人だってみんな今喜んで農業にいそしんでいるなんという人は、それもいらっしゃるだろうけれども、大半の農民は、一体政府は何を考えているんだろうというふうなことで非常に悩んでおられるのが実態ですから、そうなりますと、農は国のもとなりというようなことは本当に口先だけで、実際にやっている政治そのものは必ずしもそうでないんだ、そのとおりいっていないというふうに我々理解せざるを得ないんですけれども、その点はどうですか。
#185
○国務大臣(佐藤守良君) そんなことで、やはり時間的経過その他ございます。今までの農政につきまして、計画どおりあるいは進捗しなかった点もございますけれども、今後ともそういう農業の重要な役割にかんがみまして、農政の推進に当たりましては二つの点に私は中心を置いて今後進めたい、こう思っています。
 その一つは、生産性の向上を通じた足腰の強い農業の確立、二つ目には、農村地域社会の活性化を図り我が国農業が他の産業と均衡のとれた形で健全に発展していけるよう各般の施策を行いたい、こう考えております。
#186
○山田譲君 今の大臣の答弁はもう何回も聞いたことなんですけれども、どうも具体的にそれがそのようになっていないから、私どもは一生懸命こうやってまた何回も聞いているわけです。
 そこで、これは大臣にもぜひ聞いておきたいんですが、総理がときどきおっしゃるように、日本
農業を完全自由競争の中にほうり込んだとしたら、それは一体どうなるというふうに考えておられますか。
#187
○政府委員(後藤康夫君) ただいま大臣からお答え申し上げましたように、農業は非常にいろいろ重要な役割を果たしておりますし、それからまた国際的に見まして、アメリカにいたしましてもECにいたしましても、それぞれその国の農業の特に重要な分野というようなものにつきましては手段、措置の態様は異なりますけれども、一定のやはり国境措置というようなものをとっております。そういう意味で、農業を完全に自由にしている国というのは世界の中で見出すのが難しいのではないかというふうに私どもは考えております。
#188
○山田譲君 農業というものはやっぱりそういうものだと思うんです。だから普通の、それこそ自動車とか、あるいはテレビなんかと違って、非常な変わった、違った性格を持っているものであるということだろうと思うんです。だから、何も自由貿易だといって農業までもその中に巻き込んで、全く自由競争の波にさらすというふうな考え方そのものが私はどうもちょっと間違っているんじゃないか。聖域とかなんとかという言葉、それはそんな言葉を使わなくてもいいけれども、農業そのものには、ほかの産業からつくったものとは違った感覚でもって対処していかないといけないんじゃないかと私は思うんですけれども、これについてはどうですか。
#189
○政府委員(後藤康夫君) 先ほど申し上げましたように、農業の特殊性なり、もう繰り返すまでもございませんけれども、いろいろな自然的な、あるいは社会的な条件のもとでそれぞれの国の農業というものが成り立っておるわけでございますし、食糧の安全保障というようなものにもかかわってくる問題でございますから、各国とも農産物について一定の措置を多かれ少なかれとっている。また、そういう事実というものは、国の内外を問わず認識をしていただく必要があるというふうに私ども思っておりますけれども、農産物がそれでは貿易のそういったルールなり国際取引の中でもう全く他の鉱工業製品と別世界であって、それについては国際的なルールなり、あるいはまた国際的な交渉というものが全くあり得ないというようなものではないというふうに私ども考えております。
 ガットにおきましても、自由貿易体制という大原則の中で農産物については幾つかの例外が認められておりますけれども、それもガット全体としての貿易障壁をできるだけ軽減していくとか、無差別原則に基づいて自由な通商を実現していくという大きな原理原則の中の農業の特性に基づく一定の何といいますか例外、そういうものとして位置づけられておるというのが、農産物をめぐります国際的な考え方というものの現実であろうというふうに思っております。
#190
○山田譲君 私は、鎖国の時代みたいに全然農業は別だというふうなそういうことを言うんじゃないけれども、要するに原則自由というふうなことを他の鉱工業生産品と同じレベルでもって考えること自体が間違っているんじゃないか。つまり農業はむしろ独特なものなんだ、ほかのテレビやなんかと違いますということをまず考えた上で、しかしこれは例外的に自由にしてもいい、これは自由にしてもいいんじゃないかということが出てくるはずで、だからむしろ原則は保護というんでしょうかね。要するに、例外がむしろ自由にしていいというようなものである、こういうふうに考えるんです。
 それについて、農水省にできた行動計画策定委員会というのがありますね。これは私、この前も言ったんだけれども、行動計画としていただいて非常に感謝しているんですが、それとも農水省の方は私と同じように英語が余りわからない人がいるかどうか知りませんけれども、とにかく農水省だけじゃないかと思うんです。行動計画と、わざわざアクション・プログラムを日本字に直してくれた役所に対して私は非常に感謝をしているわけですが、その委員会が一体どんな審議内容をしておられるか、そして審議に当たっての基本方針をどう考えているか、つまりさっきから言っておりますように、農業を例外とせずというふうなこういう考えに基づいて審議をしておられるかどうか、その審議の内容をお話しいただきたいと思うんです。
#191
○政府委員(後藤康夫君) お尋ねの前段の方のお話でございますが、これは物事を表から見るか裏から見るかということにも最終的にはなろうかと思いますけれども、我が国を初め世界百近い国が加盟をいたしておりますガットにおきましても、先ほど申し上げましたように、原則的には自由な貿易を志向するというガットの体系の中で、農産物について、あるいはまた一次産品につきまして、その特殊性に基づいていろいろな例外的な扱いをしておるということでございまして、私どももやはりガットの一メンバーとして批准をしてこれに加入をしております立場から申しますと、農業は例外的に自由貿易なんだということは、政府としてちょっと申し上げかねる事柄でございます。
 それから、農林水産省の中のアクション・プログラムの策定作業でございますが、行動計画の、この点はいつか山田先生に特に御指摘を受けまして私ども気をつけておりますんですが、つい誤りましたので訂正さしていただきます。行動計画の検討状況でございますが、四月二十二日に事務次官を長といたします策定委員会を設置いたしまして、その下に部長、審議官クラスで構成をいたします幹事会を設けまして、今、種々検討を行っておるところでございます。
 この行動計画の内容たるべきもの、事項といたしましては、関税でありますとか、あるいはまた輸入制限でございますとか、基準・認証、規格の問題、あるいはまた政府調達の問題等ございますが、これらの分野につきましてこれまで各国から種々の要請がございますような問間も頭に置きながら、農林水産品につきましてどういう対応を行動計画の中でしていくかということについての険討を行っているところでございまして、まだ作業の途中でございますので、現段階において具体的な結論なり内容というものをお示しできるところまで至ってない状況でございます。
#192
○山田譲君 さっきの話じゃ六月中に関税を引き下げるというふうなことも決めるという話でしたから、そうなると、今、局長おっしゃったようなのんびりしたやり方では到底間に合わないんじゃないかというように思います。それと同時に、政府・与党でつくっております推進本部というのがありますね、この問題に関連して。これにアクション・プログラムの策定要領というのがありまして、これによると、「五月中及び六月中に、それぞれ、関係省庁からアクション・プログラムの策定状況につき中間的な報告を聴取する。」と、こういうことになっていますね。これは五月といったらあしたしかないんだけれども、もう既に聴取に応じておられて何らかのことを言っておられるのか。そうすると、どういうことを言いましたということはここで言ってもらえないかどうか、その辺どうなんですか。
#193
○政府委員(後藤康夫君) 五月の推進本部、これが四日十九日に続きまして第二回目の推進本部の会合であったわけでございますが、既に五月十七日に開催をされております。この席上では外務大臣からサミットの御報告がありまして、また自由民主党の藤尾政調会長がASEANを歴訪されましたその御報告がございました。総理からもそれらを踏まえてお話がありますと同時に、各省における行動計画の推進体制について、それぞれの省で策定委員会を設置いたしましてこの作業に取り組んでおります、そして行動計画の策定要領の方向に沿って作業を進めておりますということを、各省別ではなくて内閣官房副長官からまとめて簡潔な御報告をして、五月の報告は既に終わっておる状態でございます。
#194
○山田譲君 これは各省からやるんじゃないんですか。「関係省庁からアクション・プログラムの策定状況につき中間的な報告を聴取する。」と
「関係省庁」って書いてありますよ。だから、おたくの方でも当然やっているわけです。
#195
○政府委員(後藤康夫君) 関係省庁の、例えば策定委員会等の組織なり設置、いつ設置をしたかというようなことにつきまして取りまとめをいたしまして、全省庁を代表しまして官房副長官が報告をされた。しかし、六月の末には第三回の推進本部が開催されると思いますが、その六月末の推進本部においては、恐らく各省庁ごとにどんな作業状況になっておるかということの報告を求められるのではないかと思っております。
#196
○山田譲君 さっきいろいろ言われてちょっとわからなかったんですけれども、そうすると、官房副長官ですか、に報告された。農水省からどういうことを報告されたんですか。
#197
○政府委員(後藤康夫君) 四月二十二日に行動計画の策定委員会を省内に事務次官をヘッドとして設置をいたしまして、策定要領の方向に沿って検討を開始したところでございますということを御報告申し上げただけでございます。
#198
○山田譲君 えらい簡単な報告ですね。そのくらいでもって相手はわかりましたといって引っ込んだんですか、副長官は。
#199
○政府委員(後藤康夫君) 四月九日に「対外経済対策」が決定されまして、そしてこれに基づきましてどういうふうにこれに対応していくかということにつきましては、たしか四月の十九日に第一回の推進本部が開催をされまして、そこで策定要領も決定をされたということでございますので、五月のまだ半ばという段階でございますと、それぞれの省庁ともまだそういった委員会の設置をいたしましてから二、三週間というような段階でございましたので、各省とも大体農林水産省と同じ程度の簡潔な報告をされまして、これは各省ごとに特に個別にやる必要はないのではないかということで、全省庁を取りまとめて簡潔に御報告をしたということになっておるわけでございます。
#200
○山田譲君 そんなことは余り慌ててやることはないと私は思うけれども、ここに一応「五月中」とはっきり書いてあるものですから、どんなことを報告されたか非常に気になったから言ったんですけれども、今程度のことだったらば安心をしたわけです。
 それから、同じく策定要領の一番トップの「基本原則」というところで、ここでもやっぱりあくまでも「原則自由、例外制限」という考え方でやるんだ、こう言っております。ここで、「この場合、例外として取り扱われる制限分野に属させるものは、国家の安全、環境保全や国民生活の維持・安全に関わるもの、その他国際的にも十分説明しうるものに限る。」、こう言って例外の一つの基準みたいなものをここに示しておりますけれども、これについては一体農水省としてはどういうふうに考えておられますか。
#201
○国務大臣(佐藤守良君) 今の点につきましては、先ほどからちょっと御指摘申しましたが、農業というのは、国家の安全にとりまして不可欠の食糧の安全保障を初め国土自然環境の保全等に極めて重要な役割を果たしております。また、地域社会における就業機会の提供など地域経済社会の発展にも十分な貢献をしておる、そんなことでございまして、諸外国においても、先ほども局長の答弁のようなことがございますが、各種の国境措置を講じており、ガット上も一定の輸入制限が認められております。
 そんなことで、農業につきましては、個々の産品ごとの事情により例外として掲げられている基準のいずれか、または複数の基準に該当するものが多いと考えており、このような農業の役割について各国の理解を求めていく考えでございます。
#202
○山田譲君 そうしますと、農産物というものは全部この基準に当てはまるような感じがしてくるんです。そうすると、農産物は結果的にはやっぱり例外制限の方に考えていくんだ、こういう考えのもとに行動計画をこれからもつくっていかれるというふうに理解してよろしゅうございますか。
#203
○政府委員(後藤康夫君) 今後具体的な取り扱いにつきましては、これは個別に検討をしてまいらなければいけないというふうに考えております。貿易問題と申しますのは、やはり非常に大きな問題でございますが、問題になりますときは必ず個別品目として問題になってまいりますし、そういう場合に、先ほど山田先生が挙げられましたような観点から見て、我が国にとってどの程度の重要性を持つかというようなことを一つ一つ点検をし、また諸外国に対しても言っていけるような準備作業ということをやってまいらなければいけないわけでございまして、先ほどの繰り返しになりますけれども、およそ農業というものはという形での対応ではなかなかこれは国際的にも通用しにくい点がございますので、具体的には個別品目ごとに検討をしてまいる考えでございますし、そういう必要があるというふうに考えております。
#204
○山田譲君 これはさっきから聞いていることですけれども、そういうふうな農林水産省の中につくった行動計画の委員会、これで個別的な、これはもう自由化した方がいい、これは関税を下げるべきだというふうなそういう個々についての検討をこれからやっていかれることになるのですか。そうすると、それはいつまでに終わるのですか。
#205
○政府委員(後藤康夫君) 四月九日の「対外経済対策」の中では、先ほどもお尋ねの中に出ておりましたように、本年前半中に、すなわち六月の末までに個別品目の関税引き下げについての決定を行うということがございます。そして、七月末までに策定をいたします行動計画の骨格というのが次にあるわけでございます。恐らく六月末の個別関税についての決定というものも、その決定が七月末の行動計画の中に盛り込まれるであろうと思いますけれども、そのほかに行動計画の中には先ほど申しましたような基準・認証、規格あるいは政府調達といったいろいろな問題も入ってくるということでございまして、これらの問題につきまして基本方針をどうするか、そしてまた品目別にはどういうふうに対処をしてまいるかという、いわば総論と各論を両方とも検討をいたすということで作業をやっておるところでございます。
#206
○山田譲君 この問題に関連してあと一つだけお伺いしておきたいのは、この策定要領の一番最後のところの「アクション・プログラム策定における透明性の確保」というのがありまして、そして、「アクション・プログラムの策定に関し、政府・与党対外経済対策推進本部及び関係各省庁は、対外経済問題諮問委員会の委員等内外有識者の意見を適宜聴取する。」、こういうふうに書いてありまして、これがいわゆる透明性の確保になるのだというふうなことを言っております。
 そこで私がお伺いしたいのは、それではこれは一体国会との関係はどういうことになっているのか、透明性を確保するためにあっちこっちに相談すると言っている。国会と入っていないのだけれども、国会にはやはり相談していただけるのでしょうね。まさか国会にはうるさいから話ししないとか、こういう魂胆じゃないと思うんだけれども、そこら辺どうなのですか。
#207
○政府委員(後藤康夫君) 行動計画は、政府が対外経済問題につきましての各般の分野につきまして一つの考え方なり措置についてのプログラムをまとめるということでございまして、行政府の権限の中で処理できることにつきましては行政府として決定をいたす、それからまた、それが法改正等を必要といたします場合には必要な法律案というような形で国会の御審議を受ける、こういうことになろうかと思います。
 それから、国会と政府との間の関係におきましては、本日のような御指摘も一つでございますが、こういった機会を通じまして十分御意見も承らしていただいているところであると思っております。
#208
○山田譲君 局長ともあろう者がそんなことを言っちゃだめですね。何も農水委員会は法案の審議だけやるわけじゃないのですから、やはり農政全般についてのいろんな意見を我々も述べるし、あなた方にも聞いてもらう、あなた方の意見もこっちで聞く、こういうところが農水委員会なり国会の仕事なんでして、法律をつくるということもそ
のうちの一つでしかないわけだから、これは法案に関係ないかもしれないけれども、やはりときどきちゃんとこちらの質問には答えていただきたい。そうすることによって、初めて透明性が確保できるんですよ。最近やたらに透明という言葉を使うんだけれども、今のあなたの言ったようなことだと不透明になっちゃうんです、実は。だから、不透明ということはよくないというふうにちゃんと言っているんだから、今度透明性を確保するためにもきちんと我々の質問に答えるなり、そっち側から積極的にこういう案をつくりましたというぐらいのところで相談してもらいたいというふうに思います。もっともっとやりたいことはいっぱいあるんだけれども、ほかにもありますから、きょうはこの辺でやめておきます。
 次は、例のビール麦のことでちょっとお伺いしたいんですが、ビール麦、これも全然貿易と無関係の問題じゃないんですけれども、さしあたり極めて具体的な問題としてビール麦の被害が非常にこの夏多い、特に栃木あるいは群馬、それから茨城、埼玉も出ているようですが、こういう関東、どちらかというと北関東の方に非常にビール麦のしま萎縮病の被害が今多くなっている、こういうことは御存じであろうと思います。局長も既に向こうへ行って栃木の方を見て回られたようですけれども、私もこの間、群馬の館林の方にも行ってきましたけれども、そこで被害状況についてごく簡単にここで局長に説明してもらいたいというふうに思います。
#209
○政府委員(関谷俊作君) 大麦のしま萎縮病でございますが、これはいわゆるれ連作的に大麦、ビール麦をつくりますと比較的多くなるということもございまして、五十八年全国約二万ヘクタール、五十九年約一万六千ヘクタールでございますが、六十年は私ども今把握しておりますのは二万四千ヘクタール余りでございます。その中の相当部分が関東でございまして一万一千二百八十五ヘクタール、こういうことでございます。その中でも多い方から申し上げますと、茨城が約六千へクタール、それから栃木が約三千百ヘクタール余りというようなところが多うございまして、あと西の方でも佐賀県で三千九百ヘクタール、この辺が一番しま萎縮病の多い発生面積を持っている県でございます。
#210
○山田譲君 災害対策そのものについてもいろいろ聞きたいことがありますけれども、私はここで特に問題にしたいと思いますのは、いわゆる契約栽培をしてビール麦というのをやっているようですけれども、そこでビール会社が非常に横暴じゃないかというふうにどうも思えてならないし、現に農民の方もそれを非常に怒っているわけですね。どうしてかというと、今度のしま萎縮病ですか、これになったのは品種から言うとあまぎ二条とかというふうなやつで、これはビール会社が非常に推奨したやつだ。推奨したどころか半ば強制的にこれを植えろと、こういうふうに言って植えさしたわけです。ところが、農民なり関係者は、ここでやっているあまぎ二条というのは非常にしま萎縮病に弱いということは既にかなり前からわかっていたものなんですね。
 どういうわけで会社がそんなものを強引に農民にやらせてつくらしたかということがどうもよくわからないんですけれども、たまたまそれに対して農業試験場の方でもってそれなりに検討をして、いわゆる関東二条二十二号ですか、というふうな品種をつくっていろいろ検査をしたところが、内容的にはあまぎ二条にまさるとも劣らない、そしてまた耐病性も非常に強いということがわかったわけですね。(写真を示す)この写真をそこに持っていけば一番わかりやすいんだけれども、見ますと、同じ条件の中で並べて植えてあるわけです。そして初めに麦の苗を踏むころは全く同じなやつが、刈り取る段階になって、これを見るとよくわかりますけれども、あまぎ二条ですか、まるっきりもうほとんど枯れちゃって全然成ってない。それに対して片方の関東二条二十二号ですか、の方はもう隆々と育っているというふうなことが歴然と出ているわけですね。こういうことは、やっぱり農民は長い経験からよく知っているわけです。それにもかかわらず、ビール会社の方はどういうわけか非常にこのあまぎ二条に固執をして、これをつくらなきゃいかぬと。
 もっと私として非常に不愉快なのは、ところがそういうことを知っていたものだから群馬はなかなかそれに切りかえなかったわけですね。そうしたら農協あてにビール会社の方から手紙をよこしまして、それで早くあまぎ二条にかえろ、もしかえなければ来年の枠は減らすぞというふうな半ば脅迫みたいなことを言って、この病気に弱いやつをつくらせているわけですよね。やっぱり農民が心配したとおり、全然もうべたにやられちゃっている。こういうところを見ると、どうも何かほかに魂胆があってその会社はやっているのじゃないかというふうに勘ぐらざるを得ないようなことなんですね。片方では農業試験場が立派なやつをつくったのに、それは全然採用しようとしないでそういうことをやっている。しかも、脅迫に近いことさえやっているというふうなことになりますと、これはやっぱり黙っているわけにはいかないのです。そういう意味で、きょうは特にどういうふうに農水省はその辺を考えておられるか、そこをお伺いしたいと思うのです。
#211
○政府委員(関谷俊作君) ビール麦の栽培品種の決定の仕組みでございますが、これは主要農作物種子法の適用を受けるものでございますから、県が行います奨励品種決定調査、これを経ます。それからビール会社においても栽培試験を行いまして、そういう栽培面での現地適性というチェックと、それからその中で有望と認められたものにつきまして醸造試験をビール会社で行いまして、その結果、契約栽培の中の契約対象品種として、いわゆる指定品種という扱いになってまいるわけでございます。
 これまであまぎ二条その他ビールに非常に適性を持ちまして、また同時に関東、そういう地域での栽培にも適性を持ちます品種が開発されて使用されておるわけでございまして、現在、先生のお尋ねのようにあまぎ二条を無理につくれ、一方、関東二条二十二号のような抵抗性品種をつくるなと、こういうふうなことがあるのではないかというお尋ねでございますが、実は関東二条二十二号といいますのは、しま萎縮病抵抗性品種としていわば本邦で一番最初にできた品種でございます。これは今、先生も御調査の機会にお聞きになったと思いますが、栽培試験、醸造試験をもう極力早めまして、できるだけ早く栽培段階に持っていこう。もちろん、その過程で醸造試験等に不適な事態が出ますればできないわけでございますが、こういうことでやっておるわけでございます。
 一方、ビール会社の姿勢としましても、関東二条二十二号は国の指定試験で栃木県農試でつくった品種でございますが、これに続きますものにつきましては同じような抵抗性品種を福岡県農試でもやっておりますけれども、ビール会社としましても幾つかかなり有望な品種が今できておるわけでございます。
 そういうことでございますので、ビール会社が一方的にこういうふうな品種を押しつけるということではなくて、生産者と需要者と両方一致協力しながら、現地でもつくれるし、同時に醸造しても適性がある、こういうものをつくっていきたい、こういうことで取り組んでおる次第でございます。
#212
○山田譲君 同じことの繰り返しになりますけれども、私の地元の群馬にしてみると、そういう危険性は農民はもちろんわかっていますし、それからほかの関係者の人たちもよく知っている、なるべくあれは栽培しない方がいいよと言っていたんだけれども、とにかく何といったって契約の相手方の買い手市場ですから、だからビール会社の方が強くて、強いばかりでなくて、さっき言ったような枠を減らすぞというふうなおどかしをかけるものですから、やむを得ず、みすみす病気になると思っていながらも植えちゃった。そうしたら案の定そのとおりですし、会社の勧めたやつは全部べたっとやられちゃったということになります
と、これはやっぱり農民が怒るのは当たり前だろうと思うんですよ。だから、今、局長おっしゃるような、局長は自分で麦を植えてないからわからないかもしらぬけれども、やっぱり植えている人にとってみればこれは重大問題なんです。
 しかも、これは転作奨励ということでやったやつなんですよ。ところが、そんな連作はいけないから連作をやめろといったって、ほかにやる物がないわけですね。普通の小麦をやればいいかもしれないけれども、小麦はずっと刈り取るのが遅くなっちゃって、そうするとその次に植える稲が遅くなる、またそれでもっていろいろ問題が出てくるということで、やはりビール麦が一番いいというんですよね。それこそ適地適作というやつですよ。それにもかかわらず、それだけ農民が心配し、あるいは関係者もある程度わかっていて、県なんかにも何回も陳情にも行っているわけです。そういう代物であるにもかかわらず、それを一顧だにしないで、それでただただそのあまぎをやらなきゃ枠をやめるぞというふうな、そういう態度が私はやっぱりよくないと思うんですけれども、そこら辺どうですか。
#213
○政府委員(関谷俊作君) 関東のような、今お話のあった刈り取りの時期との関係で、六月上旬に収穫されるビール表について非常に地域の作物として重要性があるということはよく承知しております。
 ただ、先ほども申し上げましたように、しま萎縮病につきましては土壌ウイルスというものに結局なってまいりますので、その抵抗性品種を見つけるまでが大変だったわけでございます。関東二条二十二号も、その中で木石港という中国から昔持ってまいりました六条大麦の品種を入れまして、それをビール麦的につくり直したというような品種でございまして、そういう意味では品種開発が遅かったと言えば遅かったわけでございますが、そういうしま萎縮病に抵抗性のあるものをこれから出していくということでございますので、今まで確かに現在のような連作状況でございますのでかなり弱い状況も出たわけでございますが、これはまさに抵抗性品種というものの出方がまだ出てまいらない段階でございますので、いずれにしましても、御指摘のような点につきましては、十分これから留意をして指導をしてまいりたいと思っております。
#214
○山田譲君 この間も館林へ行きましていろいろ農民と会って話したんだけれども、私の想像以上にみんなかんかんになって怒っておるわけですよね。どうしてこういう強引なことを会社はするんだろう、それでしかも実際は全然収穫がないような状態になってしまった、国は一体何をしているんだというふうなこと。さらに勘ぐれば、勘ぐりだからこれはもうげすの勘ぐりと言われてもしようがないけれども、やっぱりビール会社にとっては何も国でつくってもらわなくてもいい、輸入すればいっぱい安い麦芽が来るから、かえってよく作ができない方がそれでいいんだというふうな考えでやっているんじゃないかというふうな勘ぐりまで農民の人は言っているんです。あながちこれは勘ぐりでないような感じも私は実際するんですけれども、そこで輸入の状況、これはどこからどのぐらい輸入して、その値段はどのぐらいか、ちょっと教えていただけませんか。
#215
○政府委員(関谷俊作君) ビールの麦芽の輸入でございますが、これは御承知と思いますが、いわゆる関税割り当て制度によりまして一次税率は五%ということで、ビール用の麦芽については輸入について枠をはめております。その中で大体最近の輸入状況は年間五十五万トン前後でございますが、国別にということでございますので大きな方から申し上げますと、オーストラリアが一番多うございまして十七万トン少し超えるという数字、それから次がカナダ、これは一九八四年で十万五千トンぐらい、次にイギリス六万三千トン、それからフランス約四万九千トン、それから西独、チェコスロバキア、これが三万トン前後、それからベルギーが一万トンを切る水準でございまして、その他いろいろな国が七万トン余り、こういうような国別の状況になっております。
#216
○山田譲君 価格。
#217
○政府委員(関谷俊作君) 価格につきましては、これは年により多少差がございますが、最近の時点でございますと大変内外価格差が大きゅうございまして、いわゆるCIF価格に関税諸掛かり込みで日本でのいわば使用価格と国内産の価格を比較いたしますと、大体日本のものが外国産のものの価格に対しまして約三・三倍というような大変高い水準になっておるわけでございます。
#218
○山田譲君 そこで、特にこの問題でもっともっと聞きたいことがあるんだけれども、あともありますからこの辺でやめますけれども、私が特に指摘しておきたいのは、要するに農水省なりビール会社なり実際にやる農協なり農民、こういった人たちの話し合いが非常に欠如しているんじゃないかということなんです。だから、農民もあらぬ誤解もしたくなるというふうな、そういうこともある。ですから、今後やっぱりこういう問題については少し早目に十二分に話し合いをして、そうして農民の方に納得できるような状態でやってもらうように、ぜひお願いをしたい点なんですよ。ビール会社も安い麦芽があるんだというふうなことじゃなくて、日本の農業というものを考えて、日本の農業のためにビール会社も頑張るというぐらいの誠意を持ってやってもらわないと、それは農民は怒るのは当たり前と僕は思うんですね。これは両方にとって不幸なことでありますから、こういうことのないように、特に農水省が中心になってよくよく指導をしていただきたいというふうに思うんです。
 それともう一つの要望として出ておりますのは、これは前に大臣に私の方から申し上げましたからおわかりだと思いますけれども、試験的な醸造のやつを千トン今やろうということになっているそうですが、これにプラスアルファをつけてもらえないかというふうな要望も強く出ております。これがどうなっているか。あるいは契約――作が悪いからといって向こうがおどかしをかけるような、そういう枠をそれによってまたさらに狭めてしまう、狭くしてしまうというふうなことのないように、ぜひまた注意をしていただきたい。
 それから、何といったって秋にまくわけですから、もうそろそろこの次の秋は何の種類をやるんだということが農民にわかるようでないといけないと思うんですね。農民は黙っていればまたビール会社にあまぎ何号をやれと強制されるんじゃないかという心配を非常にしておりますから、その点はこういうことで心配しなくていいというふうなところを、ひとつ農民にゆっくりと話していただきたいというふうに思うんです。そこら辺について局長のお考えを伺った上で、私の質問を終わりたいと思います。
#219
○政府委員(関谷俊作君) 第一点のビール麦についての指導の姿勢なり両当事者の話し合い、こういう問題でございますが、ビール麦につきましては全国段階ではビール酒造組合と全農、それから全集連、こういう生産者あるいは集荷団体との基本的な話し合いのもとに各県段階での契約が行われているわけでございまして、私ども今後の日本のビール麦生産のあり方については、先ほど申し上げました関税割り当て制度の運用も含めまして日本の国産のビール麦を相当使ってもらう、こういう基本的な姿勢で今までもやってまいりましたが、これからもさらにそういう線で指導を十分いたし、また当事者間で意思疎通なり話し合いもやっていきたい。その過程で、このしま萎縮病に見られますようなこういう大変な事態に対しましては、両当事者の協議の中でいいものを安定して生産できるような麦をつくっていく、こういう方向で指導いたしたいと思っております。
 その場合、一千トンプラスの問題でございますが、これにつきましては、実はことしの種の新しい関東二条二十二号のとれぐあい、それからことしの醸造試験の結果、これによりましてこの千トンにどれぐらい上乗せをするかということを両当事者間で話し合いをするわけでございますが、その過程で私ども十分指導をいたしまして、我々の
希望としましても、できるだけ多くのものが来年の秋の作付で使われますように指導してまいりたいと思っております。
 なお、全体の枠につきましては、これは先ほど申し上げました全農、全集連とビール酒造組合とのいわゆる基本的な覚書の中で総体として幾らということが決まっております。これは来年度以降については、この次のこととしまして今検討いたしているわけでございますが、そういう全体のラインがございますので、こういうような被害等がございましたからといいまして、国内生産の契約の枠を減らすということは、これまでもございませんでしたし、これからも全体の枠の中で、それぞれの地域別に、あるいは品種別にどういうものをつくっていくか、こういうことは決めてまいりたいと思っております。
 なお、ことしの秋の作付については、その全体枠の中での生産者団体と実需要者、個々の会社との間の契約がまさにこれからだんだん具体的に決まっていく、そういう状況でございますので、御指摘の点、十分踏まえまして指導してまいりたいと思っております。
#220
○稲村稔夫君 今、一番懸念をされております市場開放の、特に農畜産物についての取り組みについて政府の姿勢をいろいろとお聞かせいただきたい、このように思っております。
 農林水産省に主として伺うという形になるわけでありますけれども、それにいたしましても、その前に、若干他の省庁の方に来ていただきまして、ちょっと関連をいたしますのでその方針をお聞かせいただきたい、このように思っております。
 まず最初に、経済企画庁にお願いをいたしますが、先日経済企画庁で発表されました「二〇〇〇年に向けて激動する労働市場」というのがあるわけでありますが、これは何か委託調査だそうでありますけれども、二〇〇〇年といっても、もうほんのあと十五年でやってくるということになるわけであります。ごく間近なことであります。その内容というものは、一口に言って、もし私の読み方が悪ければ御訂正をいただきたいんでありますけれども、そのころは団塊二世の問題等もあって労働市場はかなり厳しい。休日等のあれによって、労働時間の短縮等も含めて、言ってみれば全体に薄くしながら分け合おう、そういう切り抜け方を緊急の切り抜け方として、あと根本対策をいろいろと立てていこうではないか、こういうような内容のように受け取れるんでありますが、この点はいかがなんでございましょうか。
#221
○説明員(阿部修君) 今、先生御指摘になりました「二〇〇〇年に向けて激動する労働市場」、これは問題意識としまして、今後の高齢化の進展なり、それからパートタイマーと申しますか、そういうパート労働者の増大等の、そういった労働市場の構造的な変化が企業の雇用構造とか年功序列制、こういうものにいかなる変化をもたらすか、そういうものを研究するために、社会開発研究所というところに私どもの方から委託して行った調査でございます。
 これは一口に言いますと、今、先生御指摘になったようなことでございまして、今後の我が国の労働力市場といいますのは、高齢化という面と、もう一つは、このレポートでは団塊二世という言葉を使っております。これは、戦後の二十二年から二十四年に生まれた人たちの子供、すなわち昭和四十六年から四十七年ぐらいに生まれた子供、第二次ベビーブームでございますが、こういう人方が労働力市場に入ってくるということで、労働力市場として非常に厳しいことになるのであろうという展望をしておるわけでございます。
 このレポートにおきましては、適度な経済成長をやっていくということはもちろんでございますが、このレポートにおきましては、自己投資の場としての休日の増加なり労働時間の短縮をやっていこうというのが一点と、それから部門専門職といいまして、ゼネラリストというよりも専門的な知識を持った人を育てていこうと……
#222
○稲村稔夫君 一口にしては随分長いですよ、もっと一口に。
#223
○説明員(阿部修君) 失礼しました。
 そういうものを、大体その二点を提言しておるわけでございます。
#224
○稲村稔夫君 途中で茶々を入れて申しわけありません、時間の関係がありますので。
 私は、それにいたしましても、かなり重要な問題を提起されているというふうに考えるわけです。それは、特に農村とのかかわりでいきますと、今農村地域というのはほとんど、まあ第一種、二種という違いはありますけれども、農業者が同時に労働者であるという傾向が一般的にあるわけであります。これが二〇〇〇年の時期に、こういう事態の中でどういう影響を受けるであろうかということは、かなり私どもにとっても重大な関心事であるわけであります。こうした農村の労働力というようなことが、この検討の中では素材としていろいろと検討されたんでしょうか。それとも、農村労働力とかそういうことと一切関係なしに、言ってみれば抽象的に、理論的にだけ詰めていったというものなんでしょうか。
#225
○説明員(阿部修君) このレポートは、特に農村とか農業労働力というところに、そういうものまで包括して勉強しておるというものではございませんで、我が国の労働力全体の市場を念頭に置いてやっておるというような性格のものでございます。
#226
○稲村稔夫君 そうすると、かなり深刻な状況の中で、過渡的な段階でいろいろな問題点がこれからも出てくると思うんでありますけれども、特に農業がかつてはそういう余剰労働力というものを一定程度受け入れていくキャパシティーを持っていました、農村地域は。だが、今後は、そういうものが私は余り考えられないと思うんでありますけれども、そういった、言ってみればいろいろな労働にかかわる各種の要件というようなものもこれでは検討はされていなかったわけですか。
#227
○説明員(阿部修君) そういう農業を取り巻く諸条件につきましては検討してございません。
#228
○稲村稔夫君 ありがとうございました。これは後ほど農林水産省の方に伺う問題と非常に関係がありますので、一応お聞かせをいただいたわけであります。企画庁の方はこれで結構でございます。
 次に、通産省の方にお伺いをしたいと思います。
 農林水産省の関係の中では、アクション・プログラムという言葉はできるだけ使わないということになっているわけであります。私もそう思うんでありまして、何のためにわざわざアクション・プログラムという言葉を使っているのかと思うのであります。アメリカ国民に向けてならば、それはアクション・プログラムであってもいいと思うんですけれどもね。ということになれば、今度は日ソ問題だとかなんとか、あるいはロシア語をつけた表題をつけなきゃならぬというぐらいに考えていかなければならない問題だと思う。むしろ積極的に国民に対して総理が一人百ドルの外国製品を買いましょうという呼びかけをやっているという時期に、国民の理解を深めるということも非常に大事なことなんだと思うんですね。
 そういう観点などもあって私も行動計画というふうに申し上げますけれども、その行動計画、先ほど農林水産省の後藤経済局長のお話ですと、七月末ぐらいに大体でき上がるんでしょうか。何かそんなふうに感じとして受け取っておりましたが、一応この計画のあれは七月にということを目指しているようでありますけれども、このことと関連をしまして、一つは朝日新聞がやった世論調査で、国民が外国製品の購入に対しては非常に疑問である、冷淡であるというようなことが出てきております。総理が百ドルの外国製品購入にかなり積極的に取り組んでおられるけれども、これが果たしてこうした市場開放攻勢、貿易摩擦と言われているものを和らげていくために役に立つのであろうか、この辺のところをどういうふうにとらえておられるのか、通産ベースでどういうふうに考えておられるかということをひとつ伺いたいと思
います。
 それから、もう一点一緒に伺っておきたいんですが、この世論調査の中で外国製品に消極的だという理由が幾つもあります。例えば、国産品の方がよいというのがこれはトップ、それから値段が高いというのがある、それから三番目に関税が正いということも理由に挙げています。関税が高いというふうに言われたときに、私どもは農林水産委員会でありますから農林水産物についてのことは関心は持っても、他の工業製品等の関税が高いというのは言われているんですけれども、どういうふうになっておるのか、その辺のところをお聞かせいただきたい。
#229
○説明員(奈須俊和君) お答え申し上げます。
 今、先生御指摘のように、私ども輸入促進のキャンペーンというものをやっておりまして、
   〔委員長退席、理事谷川寛三君着席〕
これは対外経済諮問委員会の答申におきまして、輸入品を進んで受け入れるような意識の高揚等を積極的に行うということがございまして、これを受けて「対外経済対策」の中でも輸入促進キャンペーンをやろうと決められております。この趣旨は、製品輸入につきまして、もっと製品輸入に関心を持ってもらう、できれば協力してもらうという、まさに意識の高揚をねらったものであります。そういう意味で、私ども例えばソニービルスクエアの前でのキャンペーン、新聞広告等々広範にわたりまして国民の方々に訴えてまいりました。もちろんこれが形の上で輸入が幾らふえるとか、なかなかその辺は測定が難しいと思いますけれども、国民の方々の御関心、これは相当製品輸入について持っていただいたのではないかと思っております。製品輸入拡大につきましては、まさに国民各位のこういう御関心、これが基礎であると思っておりますので、そういう位置づけをしておるわけでございます。
 第二に先生から御指摘がありました、輸入品が高いではないかということでございます。こういう運動をしておりますと、つい輸入品――ブランド品ということに目が行くわけでございますが、本当に我々が買っておりますもの、外国品という意識がなしに買っておるものがたくさんございます。御指摘の調査にもありましたように、ブランド品の一部には確かに高いなと思われるものもあるかと思います。関税等につきましては、関税は我が国は相当既に引き下げてきておりまして、関税全体で見ますと既に関税負担率二、三%という国際的にも非常に低いレベルになっております。もちろん物によりましては、若干脆弱な産業の保護というような色彩があるかと思いますけれども、基本的には、今申しましたブランド品が高いということはむしろ関税の問題ではないんじゃないかという感じがしております。では流通マージンかということになるかと思いますが、流通マージンということにつきましても卸、小売段階、これは輸入品、国産品、特に違いはございません。
#230
○稲村稔夫君 私は、関税が高いという国民の意識があるので、関税について伺ったわけであります。
 そこで、そうすると今特殊な、言ってみれば少し産業基盤が弱いところというようなことをちょっと言われたように思いますけれども、関税の高いものがあるということをお認めになっておると思うんです。全部を挙げていただきたいとは私どもは言いませんけれども、主なものというとどんなものがございますか、関税の高いもの。
#231
○説明員(奈須俊和君) 今ちょっと高いと言いましたけれども、相対的なものでございます。工業製品で例えばネクタイなんというのは一六・八%というような関税になっておりまして、こういったものを念頭に置いたわけでございます。そのほか、その程度のものとしますとスカーフとか口紅、マニキュア等々、いずれもその程度のものかと思います。
#232
○稲村稔夫君 完成品についてはそうですが、そうすると原料になるものでもまだ高いものもありましょう。例えばアルミなんかでもありますね。そういうものではどんなものがありますか、主なもの。
#233
○説明員(奈須俊和君) 恐縮でございます。正確なアルミの数字を持ってきておりませんが、先生の御指摘のとおりだと理解しております。
#234
○稲村稔夫君 いずれにしましても、関税が比較的高いと思われるものが工業製品の中にまだあるということは、それはどういう理由によるわけですか。
#235
○説明員(奈須俊和君) これはそれぞれ理由があるかと思います。従来からどんどん引き下げてきておるわけですけれども、その過程で今ここまで来ておるというふうなこともあるかと思いますし、それからもちろん国内に及ぼす影響というふうなことも考慮には入っておるかと思います。外国との関係ということもあるかと存じます。
#236
○稲村稔夫君 先の御答弁と後の方の御答弁とでは私にはちょっとよく理解が十分できない部分が出てくるんですけれども、先ほどお答えになった中では、たしか業界の基盤が脆弱なもの等というのも中に入っていたように思いますけれども、そういうものもあるんですか、ないんですか。
#237
○説明員(奈須俊和君) 先ほどちょっと申し上げましたが、むしろその辺は国内産業との関係という意味でお受け取りいただければありがたいかと思います。
#238
○稲村稔夫君 そこの疑問はまだ解けないんですけれども、本委員会での主題ではありませんので、そこの点はこの程度にさせていただきます。
 次に、行動計画の中に基準・認証制度の見直しを織り込むのではないかというようなことが新聞報道等で報ぜられておりますが、その点について、これは具体的にはどういうことを盛り込んでいくということになるんでしょうか。
#239
○説明員(小川忠夫君) 基準・認証制度の改善の問題につきましては、通産省では昭和五十八年の三月二十六日の基準・認証制度等連絡調整本部の決定を受けまして、内外無差別の法制度的確保、あるいは外国検査データの受け入れの促進、規格・基準の国際化の推進等の改善措置を今まで講じてきたところでございます。
 現在、通産省では、四月十九日に省内にアクション・プログラム策定委員会というのを設置をいたしまして、通産省所管に係る基準・認証制度について検討中でございます。
 具体的には、先ほど申し上げました五十八年の連絡調整本部の決定の実施状況について省内のレビューを行うとともに、原則自由、例外制限という基本的な視点に立ちまして、通産省関係のすべての制度を対象に、改善すべき点があるかどうか検討を行っている次第でございます。
#240
○稲村稔夫君 私は、その基準・認証制度の洗い直しというのもしなければならないものもあるけれども、同時に、それを強化してもらっても緩和されることはかえっていけないのではないかと思われるものも随分あると思います。例えば食品衛生上にかかわるものであるとか、それから交通関係でもそうでありましょう。要するに人命にかかわるものであるとかいうようなことが考えられますけれども、それらのことも新聞報道等によると、何か例えば食品添加物についても日本方式を改めて米国方式にしようと考えているとかいうことも報ぜられているわけでありますけれども、そんな国民の命とのかかわりがある基準の見直しなどということは、よもやこの中ではされないんでありましょうねということですが、いかがですか。
#241
○説明員(小川忠夫君) 通産省関係の基準・認証制度に係るいろんな法制度の関係につきましては、先ほど申し上げましたように、視点といたしましては原則自由、例外制限と、こういう基本的な視点で一応現在すべての制度を対象に、改善すべき点があるかどうか検討を行っておるわけでございますが、その際、先生から御指摘ございましたように、人の命とか、あるいは国民生活の安全の問題とか、こういったものに関係する制度もございます。
 したがいまして、そういった制度につきましては、今後とも検討の際に消費者の安全、国民の安
全という視点も踏まえまして検討を行っていきたいと、このように考えておるところでございます。
#242
○稲村稔夫君 通産省の関係のことにつきましては、後で外国との合弁資本等のかかわりのことで工業製品についての通産省のお考えというのを聞きたいというふうに思っておりますけれども、これは農林水産省に伺っていくこととの一つの枠の中でお伺いをしたいというふうに思っておりますので、今の点はそういうお答えで結構でございます。
   〔理事谷川寛三君退席、委員長着席〕
 そこで、農林水産省にお伺いをしたいわけでありますけれども、最初にこれは私はやはり大臣にぜひともお答えをいただきたいというふうに思うんでありますが、行動計画に向けていろいろと今、農林水産省でも作業を進めておられるということになるわけでありますけれども、どうも先ほどの山田委員の質問に対するお答えでは、経済企画庁の方の言われていることと農林水産省の取り組みの関係とでは、何かずれがあるみたいな感じに受け取られるわけであります。
 それが私の間違いであれば正していただきたいというふうに思いますが、大臣に伺いたいのは、これまでも我が国の農業については農民を犠牲にしてはならない、こういうこともあって再々国会決議を委員会でやられたり、あるいは本会議で行われたりということが繰り返されてきているわけであります。特に九十一回国会あるいは九十六回国会でやられた決議というようなもの、これはやはり私は重要な国会の意思ということ、国民の意思でもあるというふうに極言していいと思うんでありますけれども、それだけに、この行動計画の中で農林水産物の関係については、そこのところをしっかりと踏まえていただいてなければいかぬというふうに思うんでありますけれども、その辺、大臣のひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#243
○国務大臣(佐藤守良君) 稲村先生にお答えいたします。
 農業につきましてはもういつも申しておりますけれども、生命産業として国民生活にとりまして最も基礎的な物資でございます食糧の供給を初め国土、自然環境の保全等極めて重要な役割を発揮しております。さらに、地域社会におきます就業機会の提供など地域経済社会の健全な発展を図る上でも重要でございます。
 そんなことでございまして、このような農業の重要性、特殊性にかんがみまして、総理も実は五月二十四日の本会議におきまして、行動計画における農業の取り扱いにつきまして国際的に説明できるものでなければならないが、国民生活あるいは国民経済における役目等々も十分考えて、その特殊性に留意しつつ行うべきものであると考えている旨答弁されたところでございます。
 そういうことでございまして、私としてもこの生命産業としての農業の充実につきましては、今後とも各国の理解を得るよう努めてまいるつもりでおりますが、行動計画の策定に当たりましては五十七年五月の本委員会の決議の趣旨を踏まえ、我が国農業を生かし、その健全な発展を図ることを基本にしまして、関係国との友好関係にも留意しながら慎重に対処してまいりたいと考えております。
#244
○稲村稔夫君 多分そういうふうにお答えになるだろうと思っておりました。私は、しっかりと踏まえていただくことが非常に大事であります。その踏まえていただいた中で、その後の方の慎重にという方が余り妙な形にならないように、ぜひともお願いをしたいと思うんです。
 そこで、私は、大臣は国際的にも説明し得るというふうに表現もされましたけれども、そこで国際的に説明し得るということでは、アメリカ側が逆に、国際的にこれが説明し得る態度かというふうに思われるようなことが最近起こっております。そういうことに対してどのように考えておられるかということを、ひとつお聞かせいただきたいんです。それは先週の土曜日、二十五日の新聞に報ぜられておりますけれども、オルマー米国商務次官が、内容は新聞報道でありますからあれですが、とにかく牛肉、オレンジについては去年ああやって決めたけれども、事情が変わったからまた牛肉、オレンジで攻めなきゃならぬという言ってみれば意味のことを発言している。ことしの通商代表部の代表が変わってくるということを一つの機会にしてこういうことも言われたというようなことが報ぜられているわけでありますが、私これが事実だとすれば、それこそ去年の農林水産省、当時の山村大臣がそれこそ大変な御苦労をなさってああいう努力をされたあの取り決めというのは一体何だったのだ、まさに背信行為ではないか、アメリカ側が背信行為をやっているんじゃないか、そう言いたいんでありまして、アメリカ側が背信行為をやっているときに日本側がアメリカ側の言うことをそうそう聞いていられるかと、こういう気持ちになるんでありますけれども、その辺はいかがでございましょう。
#245
○政府委員(後藤康夫君) 去る五月二十四日にアメリカのオルマー商務次官が、対日農産物輸出に関連をいたしまして牛肉、かんきつ合意の見直しを示唆するような発言があったと伝えられておりますけれども、この発言はワシントンにおきまして外国人記者団との会見の際に行われたもののようでございまして、発言の詳細、真意については私どもも新聞報道以上のことを承知しておらないところでございます。しかし、オルマー次官は、もともと農産物問題についてアメリカ政府を代表するような立場にある方ではございません。そのような発言があったとしても、私どもはこれはあくまでオルマー次官の個人的な意見を述べられたものというふうに受け取っております。
 実はあの数日後に、私あるパーティーで在京のアメリカ大使館のかなりランクの高い方に、オルマー次官のあの発言は一体何だということをたまたまお会いをしましたので言いましたところ、大使館としては何らまだ詳細には承知してないけれども、あれは全くオルマー次官の個人的な発言であるというふうに理解をしておる、アメリカ政府の意見というふうには思っていただかないでいただきたいというようなお話も、これはオルマーさんも個人的な意見を言われましたので、私もパーティーのときのお話を御披露申し上げましたけれども、お話があったところでございます。
 日米農産物問題につきましては、ブロック農務長官に去る四月十八日に松永駐米大使が会われまして会談をしておられますが、その場でも牛肉、かんきつ交渉の決着後は農産物問題については平穏な状況であるというふうに見ているということをブロック農務長官も述べておられるところでございますし、アメリカの農業団体関係も今のところ比較的平静であるというふうに私ども認識をいたしております。
 いずれにしましても、牛肉、かんきつの合意につきましてアメリカ政府から正式に見直し要請があったというようなものでは全くございませんし、この合意の内容については誠実に我が国も履行をしているわけでございますので、合意期間である一九八七年、昭和六十二年度末までの間はこの合意によります平穏な状況が続くし、また続くべきものであるというふうに私どもは理解をいたしております。
#246
○稲村稔夫君 私は、今の後藤局長のお話を聞いていますと、まだ今オルマー次官の個人的見解の段階ではないかという判断をしておられるようですけれども、私はその辺は決して軽く見るべきではないだろうというふうに思います。ということは、確かにアメリカ側の農業サイドから声が上がっていないとしましても、やはりこの貿易関係の主力になっているのは農産物ではない、アメリカ側の事情は。言ってみれば電子機器であり、あるいは自動車でありという、そういった工業製品が今まさにアメリカ自身がいろいろと日本から追い抜かれていく、あるいは今後に対しての危機感というようなものがかなりあって、これは例えば「エコノミスト」で、要約でしかありませんけれども、アメリカ側の産業競争力委員会報告などと
いうのが載っていまして、これを見てまいりますと、まさにそういうあせりというようなものがるる述べられております。ということでありますから、私はそうした産業界の背景というものがあって、そしてその中でたまたま農産物というものが一つの引き合いに出されていくというような筋道をとる可能性だって非常に強いというふうに思うんですよ。
 ですから、向こうの農業関係のところが今のところ平穏だからといって安心をしているというわけにはいかぬのじゃないか。むしろその辺のところをもっと積極的にいろいろと情報収集等に当たられて、不測の事態に至らないように、また非常に苦労しなきゃならぬような状況にならないように十分な手を打っていただきたいということを、これは要望になりますけれども申し上げておきたいというふうに思います。
 そこで、アメリカとの関係はそういうことなんでありましょうが、アメリカ以外のところ、特にアジアの各国等との関係の中で市場開放問題というのはどういう形に今なってきつつありますか。
#247
○政府委員(後藤康夫君) ASEAN諸国からは、かねてから骨なし鶏肉の関税引き下げなどを初めといたしまして非常に強い市場開放要請が出ておるわけでございます。このことは私ども十分承知をいたしておるところでございますし、また開発途上の段階でそれぞれの国がやはりまだ所得水準も低い国民に何とか雇用の場を確保したいというようなこととの関連でいろいろ要請が出ておるわけでございますが、反面、これらの要請に係る品目につきましては非常に困難な国内事情のあるものもかなりございまして、その対応には私ども率直に申しまして非常に苦慮しておるところでございますが、そういった国内事情と他方におきましてASEAN諸国との友好関係の配慮というもの、それにも配慮をしながら現在鋭意検討を行っているところでございます。
#248
○稲村稔夫君 アジア各国からの圧力というものの中に代表的なものとして例えば骨なし鶏肉の問題であるとか、あるいは合板の問題であるとかというようなものが出されてきております。これらの報道等を見ていきますと、その報道の中には、いろいろと現地合弁会社というような形で、日本の資本が見え隠れをするというのがあるわけであります。そうすると、我が国の、今の後藤局長の御答弁であれば、今ぐあいが悪いということは、とても我々受けられそうもない、のめそうもないというようなことが、言ってみれば日本の資本が出ていってその現地の圧力の中に一緒に加わっている形になるわけであります。こういう問題はどういうふうに理解をしておられるのか。日本の資本というものに対して、そうすると何かの指導というものをしておられるのですか。
#249
○政府委員(野明宏至君) 我が国の商社の中には国内で鶏肉生産に関与しているものがございます一方、合弁企業の設立などによりましてタィ国での鶏肉の生産とか、あるいは処理に関与している企業のあることは事実でございます。ただ、タィに進出している企業の中には、また国内においても鶏肉生産をかなり行っているというふうなものもあるわけでございまして、こういったような商社の立場が、今問題になっている関税問題といったようなものにかかわっているというふうには承知をしていないわけでございます。
 いずれにいたしましても、国内の生産、処理、加工等の関係者で構成されております日本食鳥協会というものがございます。それから一方で輸入商社、タイからの輸入は輸入商社を通じて行われておるわけでございますが、双方が協議いたします場が設けられております、情報交換その他を目的といたしておりますが。私どもこういったような場を通じまして、秩序ある輸入がなされるように指導をいたしておるというふうなことでございます。
#250
○政府委員(田中恒寿君) 合板等に関連いたしましては、インドネシア等から広葉樹合板について強い関税引き下げの要求が出ておるわけでございますが、この要求の背景には、インドネシア国の対外収支の改善、自国産業の育成のために、従来は原木、丸太で輸出していたものを、現地において加工し付加価値を高めて輸出したいという基本姿勢があるものと考えております。また、合板の関税引き下げにつきましては、我が国の経団連におきましてもこういう引き下げの提言がなされておるということも承知しておりますが、このようなことに関しまして我が国の商社がどのように関与しておるかということにつきましては、私どもも承知をしていないところでございます。
 なお、商社がインドネシアにおきましての合弁などの形態で合板製造を行っているところもございますが、またさらに機械設備の輸出、融資等を行っております関連商社があるのもまた事実でありますが、市場開放要求とかかる商社が絡んでいるかどうかについては承知をしておらないところでございます。
#251
○稲村稔夫君 今、林野庁長官からの御答弁の中で、直接農林水産関係のものでなくて機械類等についてもいろいろということがたまたま出ましたから、通産省にお伺いするんであります。
 こうした外国への投資というものが今盛んにいろんな形でやられておるわけでありますが、その外国への投資というのが俗に言われるブーメラン効果というようなことになって戻ってくる、こういう可能性というのが多分にあるわけでありまして、それとのかかわりの中で、それが結局貿易摩擦、市場開放圧力とかいろんな形で我が国をまた窮地に追い込んでいくということになっている。そういうことで、日本の投資というものについていろいろ難しいことがあると思いますけれども、少なくとも本社が日本にあるそういう資本というものについて、通産省は何か御指導をなさっておられますか。
#252
○説明員(山下弘文君) 先生御指摘のとおり、海外投資につきましてはブーメラン効果と言われる問題がございますわけでございます。したがいまして、現在の法制でも、外国為替管理法におきまして海外投資につきましては大蔵大臣に届け出ということが義務づけられておりまして、大蔵大臣が我が国の特定生産部門の事業活動その他日本の経済の円滑な運営に悪影響を及ぼすことになるという判断をした場合には、内容の変更あるいは中止の勧告また命令ができるというような体制になっております。
 通産省といたしましても、私どもの所管しております業種に今のような事態が起こらないように、大蔵省とも相談しながら必要な場合には指導をしていくという体制をとっております。
#253
○稲村稔夫君 いずれにしても、無関心ではいられない問題として通産省もいろいろな形で御指導になるということでありましょうが、私は通産省の今の方針をちょっと伺ったということは、農林水産省の関係におきましても積極的にそうした外国への、海外への我が国資本の動向というものについては十分に掌握をしていただき、そしてそのブーメラン効果というものが妙な格好で我が国に波及してこないようにという、そういういろんな形での努力というものはぜひとも必要だというふうに思うわけであります。
 先ほど林野庁長官は、直接日本の資本が介入しているかどうかはわからぬというふうにおっしゃったけれども、私はそれは直接は介入というのはなかなかわからぬかもしれないと思います。しかし同時に、そのことによってその国の経済の一つの突破口として日本が標的にされる、そういうものをつくっていくということには変わりがないわけであります。そういうことについてのやはりきちっとした考え方というものを今後持って対処をしていかなければならぬ問題だというふうに思うんでありまして、特に午前中、村沢委員の質問の中で大臣は、木材関係については特にもう自信を持って活性化の方に向けていくんだ、こういう大変頼もしい御決意を御披露になりましたが、であればあるほど、その分がまた外国の方からの輸入圧力でもってへたへたとなるなんということになっても困るわけでありますから、その点のところは十分にひとつ留意をしていただきたいと思うわ
けです。
 私は、きょうはいつもと違ってしゃべる方が多いわけで申しわけありませんけれども、時間が実は足りなくなりました。こうした外国資本のことも加わって、我が国は大変今厳しい、苦しい状況の中に置かれているというそのことはわかりました。
 そこで、話がまたもとへ戻っていきますが、先ほどの商務長官の話の中で牛肉、オレンジということを言っていますが、そこでオレンジについてちょっと私は考え方を伺いたいと思っていることがあります。それは、アメリカとブラジルのオレンジの競争力ということについてであります。比較をするのに極めて便利だと思いますので、ちょっとお聞かせいただきたいんでありますけれども、アメリカのオレンジの生産、これは生食をする方はちょっと除いて、ブラジルの方はジュースが主力ですからジュース用のオレンジの生産費、それから生産規模といいましょうか、そういうようなものについて、おわかりでしたら教えていただきたいと思うのです。
#254
○政府委員(関谷俊作君) オレンジの果汁の方でございますが、現在のところは両国とも、アメリカ、ブラジルとも大体年間五十万トン前後ぐらいの生産であろうと思います。
 価格の関係でございますが、アメリカは大体ブランド中心の製品輸出でございますので、ブラジルの方は御承知のような原料用濃縮果汁ということで比較がしにくいわけでございますが、大ざっぱに見ますと、濃縮果汁に直してみますと、やはりアメリカの方がブラジル物より少し、一、二割程度高いのじゃないかと、こういうふうな感じを持っております。現在、アメリカはブラジルから一年間に二十五万トンから三十万トンぐらいずつ果汁を輸入しております。それから、ブラジルの側から見ますとヨーロッパ、アメリカ、カナダ、日本はごくわずかでございますが、いわゆる生産量のほとんど全部を輸出しているということで、オレンジ果汁につきましてはブラジルが輸出中心のいわば世界的なかなり輸出国として地位を固めてきた、こういうふうな感じを持っております。
#255
○稲村稔夫君 私がわかる範囲内でまいりますと、例えばブラジルについて、これは香川大学の例の北川先生が「果実日本」に寄稿されているのを見ますと、大変なことだと思うのですね。といいますのは、大体経営面積が大きいところだと三千三百ヘクタールなんということなんでありますからね。六十ヘクタール以下は零細農だそうであります。それも見方であって、一部の人では二百ヘクタール以下の生産者を小規模と言うと、こう言われる状況なんでありますから、もう規模が全然違いますね、アメリカと。それから、労働賃金は日本円に直すと五百円足らずというような状況。そしてまた、同じ「果実日本」のあれの中で見ていきますと、生産費がブラジルは何と、驚いたですね、もう数字の間違いじゃないかと思って何回も見たんですけれども、一キロ当たりの生産費は約六円だというのですね。これがアメリカ側のあれでいきますと、フロリダのものが出ておりませんからまだよくわかりませんけれども、カリフォルニアのやつでも三十四円、加工用のものですね。
 私がこんなことを申し上げましたのは、言ってみればアメリカというのはそれこそ世界でも最も合理的な低コストで食料が生産できる、そういう条件の中にあった。だが、ブラジルで例の病気の克服ができる新品種が開発されて、台木ですね、砧木が開発されて、そしてそれができるということになったら急速に広がっている。そうすると、一転してアメリカはもうブラジルには絶対太刀打ちができない、そういう状況の中へ追い込まれるわけですね。
 私は、農畜産物というものは、その国、その国のそれぞれの置かれた条件によって、国際競争力なんて比べることができないものというのがいっぱいあるんだと思う。その国際競争力で比べられないものを、何かここのところを国際競争力、国際競争力ということで物を言われているというところにも私は大きな問題があると思うんですよ。少なくとも経費を落としていく、合理化をしてそういう努力をしていくということは私は非常に大事なことだと思うけれども、こうした現在の何か一部市場開放圧力の中で、農畜産物が特に日本の場合は集中攻撃を受けているような形になっておりますけれども、その辺のところを毅然たる態度をもって臨んでいただくということならば、いろんな角度からこういうもの、今言われているような国際競争力だとか、そういったいろいろなことで言われていることが間違いだということを私は主張していくことが、非常に大事なんだというふうに思うんです。
 時間がありませんので、私の主張の方を先にずっと申し上げてしまいましたけれども、先ほど私は経企庁の二〇〇〇年の就業動向についてのことを伺いました。私はこの推測のようにもし推移するとしたら、そのときに日本の農村が経済力ががたんと落ちていて、農村でもってもう既に農業では食っていけないからということでほかに就労していて、農業へ戻りたいといったって戻れるような条件がなくなっている、農村には労働力を受け入れるキャパシティーがなくなっている、こんな状況になってから慌てたってもうどうにもならない、そういう状況もあると思うんです。大臣は、よく足腰の強い農業づくりというようなことも言っておられるわけでありますけれども、こんな状況だったら足腰なんて強くなりませんということになるわけでありますから、そうした観点で、大臣、最後になりますけれども、私の今までの流れの中で聞いていただき、そして私の今出している意見というものを大臣はどのようにお受け取りになりますか、そしてそれを今後の交渉の中で多少考えていただくことができますかどうですか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
#256
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。
 先生のおっしゃる意味はよく理解できるわけです。私は、日本の農業というのは生命産業ということで、その重要性については改めて申し上げません。日本の置かれておる立地条件、そういう狭い島国の中で一億二千万の国民にどのように食糧を安定供給するか、多くの役目を持っている。したがって、そういう形の中に日本の特殊性、自然条件等ございます。そういうことでございまして、経済合理性のみではいけない、ただし経済性も加味していかなくちゃならない、こういうことも実は考えております。
 そういう形の中で、市場開放の問題につきましては、これは重ねて申し上げましてまたかということかと思いますけれども、私は我が国の置かれた立場というものを認識しながら、やっぱり日本農業を守り、どうして発展させるか、そういう立場と関係国との友好関係に留意しながら国内の需給動向等踏まえながら慎重に対処いたしたい、このように考えております。
#257
○刈田貞子君 きょうは五月三十日であります。お国が決められた消費者の日であります。それで、いつもそうでございますが、消費者サイドから考える輸入の問題についていささか意見を申し上げ、また質問をさせていただきたい、このように思います。
 過日、消費者団体の代表が総理及び農水省、各党にも公開質問状を出しております。その中で、食糧は国内で自給するのが基本であり、もし農産物の自由貿易化を進めるならば、日本の農業は急速に衰退し回復不可能な大打撃を受けるであろうというような指摘をしておるわけでございまして、かつてはそうでない要素もありましたけれども、今は消費者団体及び消費者の中では、やはり日本の農業を基本的に守っていかなければならないというニーズが非常に高まっております。
 それから、そこの三番町にありますEC代表部にでございますけれども、つい三日ほど前に消費者団体代表がECの方々から呼ばれまして、そして、これから積極的に消費者と話し合いをする中で摩擦のない貿易を進めていきたい、こういうことで、日本のお役人の話はようわからない部分もあるのであなた方にじかに伺いたいというような
話し合いが進められたようでございます。
 そこで、団体代表はかなり厳しい、そしてシビアな要望を述べてきたようでございますけれども、食料品の輸入等に関しては品質基準とか、あるいは安全基準のようなものは日本では厳しいんだ、したがって、こういうものを厳しく考えて対応してほしいということを申しておるようでございます。それからまた、原産国表示、あるいはEC商品に関しては特にブランドでございますけれども、にせブランド等についても十分に注意してほしいというようなことでかなり厳しく話をしてきているようでございますが、そんなことを含めて、今輸入に関する問題が消費者の中で大変に沸騰しているということを一つの環境と踏まえながら、私は以下の質問をしていってみたいというふうに思います。
 その質問を申し上げる下敷きは、これは昨年の十一月、大変いい調査をしていただいたと思っておりますが、食品流通局の消費経済課でおとりになられました「輸入食品の利用について」というこのアンケート、私は母集団の人たちをよくわかっております関係で非常に信憑性の高い中身であろうというふうに思いますので、これをひとつ下敷きにしながら質問を進めてみたいというふうに思うわけでございます。
 これは後から申し上げますが、最初に、先ほど同僚の稲村委員からもお話が出た例の新聞記事の問題をちょっともう一度だけ確認をさせていただきたいわけでございますが、オルマー商務次官の発言について今、局長の答弁を伺いました。それで、私もそういうこともあろうかというふうに今了解はしているわけでございますけれども、これは先ほどの答弁で間違いございませんか。
#258
○政府委員(後藤康夫君) 先ほどの答弁のとおりでございます。
#259
○刈田貞子君 そうしますと、伺いますけれども、昨年四月七日でしたか、日米間で高級牛肉について四年間で二万七千六百トンの輸入枠を増加することを決定したというこの種のこと。これにオレンジが入りますけれども、牛肉、オレンジ協定の所管をしたいわゆる通商代表部あるいは農務省あるいはさらにアメリカ政府の基本的な考え方みたいなものは、このオルマー次官の話とは別に、情報としては全然手にお入れになっていらっしゃいませんか。
#260
○政府委員(後藤康夫君) 私ども、アメリカ政府のこれらの品目につきまして権限を持っております筋から直接、間接に昨年の合意の見直しというような話を提起されたことは、今日ただいまのところまでございません。新聞等見てみますと、オルマー次官は実は六月には今のポストを去る予定になっておる方でございまして、この一月以来、テレコミュニケーションと申しますか、通信機器の問題につきまして、いわゆるアメリカ側の交渉者として日本との折衝に当たった。それを振り返って、自分がやったこの分野は非常に前進を見た、初め考えられもしなかったぐらいの前進を見たと。そこまでおっしゃったのはこれはよろしいわけですけれども、それに比べるとよそは余り進んでないのじゃないかというようなところから、話がそちらに流れていったのではなかろうかという気がいたしております。
 そういうことで、私どもアメリカ政府の意向の表明というふうには受け取っておらないわけでございます。日本の新聞紙上に非常に大きく出まして、私ども、むしろ日本の世論がそんなにまじめに受け取ってくれるのなら、一回まじめに言ってみるかなんということを向こうが思いはしないかと思って、心配をいたしておるところでございます。
#261
○刈田貞子君 それで局長、先ほど御答弁の中で、したがって昨年四月七日の合意は一九八七年、六十二年度末までは続くべきものであると理解をしているというふうにお答えになられましたね。そういたしますと、もちろん牛肉、オレンジの問題は先ほどの策定作業の枠外ですね。
#262
○政府委員(後藤康夫君) 関税とあわせまして、輸入制限の問題につきましても、行動計画の中での検討項目の中には入っております。したがいまして、輸入制限のもとにあります品目につきましても、私ども現時点に立ちまして、需給動向でありますとか、あるいはまた輸入割り当て制度の運用、またその効果といったようなものについての点検作業というようなことは、これはある意味では常時やっていかなきゃいかぬ話でございますが、この機会にやろうと思っておりますけれども、少なくとも六十二年、一九八七年までは、こういうことでアメリカとの間にも取り決めができ、それをまた内外にも表明いたしておりますので、それを誠実に履行していくということであろうと思っております。
#263
○刈田貞子君 そうすると、策定計画を練るその委員会で話し合われる中身にはなるわけですね。
#264
○政府委員(後藤康夫君) 先ほど申し上げましたような意味での点検作業と申しますか、そういうものの中には、どれを入れる、除くということではなくて、この機会にできるだけのそういった勉強と申しますか、またいろいろ外から言われてまいりましたときに、それにも十分答えられるような作業というものは、できるだけ幅広にやってまいりたいというふうに思っております。
#265
○刈田貞子君 そうしますと、これは畜産局長にお伺いすることになりますけれども、メンバーのお一人として、牛肉に関して基本的にはどんな方針をお持ちで、この策定委員会の中で発言をなさっておられますか。
#266
○政府委員(野明宏至君) 策定委員会自体、これから具体的な検討に入っていくことになると思いますけれども、いずれにいたしましても、牛肉につきましては、合理的な国内生産というものによりましてその安定的な拡大を図っていく。それから輸入との関係につきましては、やはりそういう生産を前提にしながら国内で不足するものについて行っていくという考え方で、国内農業との調和をとって対処していくという考え方でこれまでも対処してまいったわけでありますし、これからもそういう考え方で対処していきたい、こういうふうに考えております。
#267
○刈田貞子君 昨年、日米交渉が決着した時点で、マスコミはすき焼き一人前の牛肉交渉であるとか、あるいはまたハンバーグ一個分の攻防であるとかいうふうな輸入枠数量を過小評価して報道をした立場があるわけですけれども、果たしてそうでありましょうかということですね。四年後には、牛肉の輸入量が、先ほども申し上げましたように十七万七千トンですか、これはオーストラリア分も入れてですよね、そういうことになります。一トンを五頭に換算すると八十八万五千頭分に上るという計算を出しておる方もあるわけで、果たしてハンバーグ一個分の攻防であったのかということは、私は非常に問題であろうかというふうに思うわけですね。昨年四月、本当にたくさんの論議がありました。
 それで、私がこういうことを心配する一つの事情として、農業総合研究という本の中の四月号で、例の牛肉需給の計量分析をしてあるのを、大変難しゅうございますが、読ましていただきました。それで、厳しいなと思いました。このことをお伺いすると、恐らく御答弁が出ないんじゃないかと思うくらい数字が深刻ですね。
 例えば、六十二年までの交渉で妥結した輸入の増加量が対前年同期比五・五%増で、標準ケースで計算した場合でも、八五年度で自給率七〇%維持、九〇年度になると六三%になる、これはあくまでも試算でございます。いろんな条件を仮説設定してのことですから、あくまでも試算でございますけれども、私は、この数字を大変興味というか、関心を持って読みました。
 それに、牛肉の自由化、開放については私どもはさらに大きなアクションが起こるであろうというようなことを予想して、即時自由化ケースというようなものを数字で拾ってみると、九〇年には牛肉自給率は三五%にまで低下するという分析が出ているわけでございます。私は、これはどうですかと申し上げたいんですが、そういう試算がありますよ、だからそういう試算を踏まえた上で、
なおかつこれから起きてくるであろう交渉に当たっていただかなければなりませんということを申し上げたいわけでございますけれども、先ほど国内の消費の足りない部分をカバーする形、それは私、一般的に七〇%というふうに覚えておりますけれども、どのぐらいの数値を押さえていらっしゃいますか。
#268
○政府委員(野明宏至君) 今お話しございましたように、牛肉の需要全体の中で約七割が国内生産でございます。それから、約三割が輸入というふうなことになっておるわけであります。
 こういった点につきましては、農林水産省で六十五年の見通しというものを立てております。それからまた、一昨年、酪農及び肉用牛生産の近代化方針というものを明らかにいたしております。これも、この見通しに沿ったものとしてその方針を出しておるわけでございます。したがいまして、私どもこういった方針に沿って国内生産の合理化、それからまた、生産の振興を進めていくというふうなことで各般の対策を講じておるわけでございます。
#269
○刈田貞子君 日米交渉の決着が間もない今日の段階で、先ほどの新聞の記事等を読んで、改定要求が出てきているというようなことを思いますと、私どもは非常にさまざまな不安を持つわけでございますので、ぜひ国内の方針をしかと踏まえた上での今後の交渉をしていただかなければならないというふうに思います。
 それで、私は先ほどのアンケートに戻るわけでありますが、この中でこれは輸入食品の全般にわたってとっているアンケートなんですけれども、その中で、一般的には輸入商品は高いというふうに言われているわけでございますが、そして割合にクールな回答が出ているというふうに思うんですけれども、輸入牛肉の答えについてだけ私はずっと拾い上げて、そしてそれだけを分析してみました。これは大変におもしろい、そして貴重な御意見が出ているというふうに思いますので、その点について伺っていきたいと思います。
 輸入牛肉の購入状況について、大部分の人が利用をしております。ですけれども、一般的に計の総論でいくと、購入したことがある人の中で、その評価については、国産品よりも劣っていたというのが五二・五%です。それは品質の評価。価格上の評価では、国産品よりも割安であったというのが八一・九%で、これとこれとをクロスしてみて大変私はおもしろいと思ったのは、安いから買っているけれどもおいしくはない、これが輸入牛肉に関する総括的な消費者の評価でございますが、これはどのように思いますか。
#270
○政府委員(塚田実君) お答えいたします。
 私ども食品流通局はかねてから家庭の主婦の方約千二百名、消費者モニターとしてお願いしていろいろ調査をしていただいているわけでございますけれども、ただいま御指摘の調査結果は、昨年十一月に実施した「輸入食品の利用について」ということでございます。御回答いただきましたのは千十人の主婦の方、全国から回答していただいております。
 そこで、今御指摘のように、輸入牛肉につきまして今までに購入したことがありますかという設問に対しまして、あると答えた人は六五・八%でございます。それで購入したことがないとした人は三四・〇%でございます。そこで購入した人に対しまして、それではなぜ購入したのですかという問いに対しましては、国産品より割安だからとお答えになった方が八六・五%で最も多いわけであります。同様に購入しなかった主婦の方に対して、なぜ買わないんですかと問いましたところ、国産品と比べてまずいからという答えが最も多くて四二・三%でございました。もっとも、私どもアンケートをお願いした主婦の方、何といいますか、適当な言葉かどうか知りませんが、平均より上の方だろうと思いますけれども、こういうような答えが返ってきております。このような結果から見ますと、消費者の皆さんは輸入牛肉につきましては割安、国産牛肉については輸入牛肉よりもおいしい、こういう評価を与えていると私は思っております。
 そこで、今回の調査結果にあらわれました消費者の率直な意見としては、常識的な言い方でございますけれども、結果としてはおいしい国産牛肉をより安く供給していただきたいということであろうかというふうに思っております。
#271
○刈田貞子君 局長、そのとおりなんです。だからこれからそのことについてお伺いをしていきたい、こういうふうになるわけでございます。
 それで、まず、消費者が輸入牛肉はおいしくはないけれども安いから買うというこのことについて、輸入牛肉の価格の問題について少しお伺いをしてみたいわけでございますが、私がいろいろ調べていくことの中で、輸入牛肉は本当に安いのかどうかという問題もあるわけです。一般的な理解によれば、我が国の牛肉の価格は確かに世界的に極めて高いというふうに言われているわけです。だけれども、アメリカから輸入している牛肉、これがチルド部分肉で、これは貿易月報で見たんですが、一キロ当たりが千二百円台ということになりますと、国産の乳雄、これを枝肉の卸売価格で比べると大体同じじゃないですか。これはもちろん部分肉と枝肉の比較の仕方が難しいとは思いますけれども、その価格は考え方としてどうでしょうかということと、輸入肉はこれに二五%の関税がかかるわけでしょう。そうするとどうなんですか。
 それから一方、オーストラリアの分については、これはフローズンで骨つきですよね。八五年二月の実績だとキロ当たり七百八十二円、三月が六百八十六円、だからこちらは幾分か安いわけですが、しかしフローズンであるというハンディがあり、これに関税、流通経費が乗るということになると、価格差をどういうふうに考えたら消費者としてはよろしいのでしょうかという疑問があるのでお伺いをしたい。
#272
○政府委員(野明宏至君) ただいまの通関の値段というものは、これは姿としては部分肉でございます。それから国内の卸売価格でそう違いないじゃないかとおっしゃられましたのは、恐らくは枝肉の市場での取引価格ではなかろうかと思います。したがいまして、枝肉から部分肉というふうに移る過程でこれはやはり歩どまりというものがございます。これは大ざっぱに申し上げまして約七割ぐらいということになります。
 そういったような関係にあるわけでございますが、輸入牛肉につきましては畜産振興事業団におきまして畜産物の価格安定等に関する法律に基づきまして価格安定帯というのがございます。国内の価格がその幅の中におさまるように安定させていくということで、需給操作をやっておるわけでございます。そういう中で、牛肉の価格につきましては、最近五年間自主的に大体据え置いてきております。そういったようなことがございますので、牛肉の卸、小売価格とも一般物価や食料品価格に比べて安定的に推移をいたしておるわけであります。
 その中におきましても輸入牛肉の価格についてでございますが、これは国産牛肉よりも相対的にやはり安い価格で安定的に推移しておる。やや数字的に申し上げますと、国産牛肉の卸売価格についてでございますが、これは価格安定制度が発足いたしました五十年を一〇〇にいたしまして五十九年度は若干それより下の九七というふうなところで推移しておるわけでございまして、一般の卸売物価が三割以上上がっている中で安定的な働きを示しているのではなかろうか。それからまた小売価格につきましても、牛肉の中はやはり五十年を一〇〇といたしますと五十九年が約一三〇でございます。消費者物価の総合ではやはり五十年を一〇〇としますと一五六というふうなことになっておりまして、相対的にやはり安定的に推移しているといってよかろうかと思います。そういう中で輸入牛肉につきまして消費者価格を見てみますと、五十年を一〇〇といたしまして五十九年は大体七五というふうな水準になっております。
 したがいまして、やはり輸入牛肉につきましては、国産との関係で相対的に安い水準で推移して
おるというふうに見られるんじゃなかろうかと思います。
#273
○刈田貞子君 そうしますと、安いというメリットは消費者の立場ではずっと確保できるということの今のお話なんですが、それではおいしくないという方の分ですけれども、一般商品で輸入食品を買って満足でしたかという設問が今のアンケートにありますが、それに対して不満足度の方は各商品にわたって大体皆一〇%ぐらい、輸入食料の主食品で。だから、そんなに不満でない部分があるんですよね。ところが、事、牛肉に関しては一番不満足度が高いわけで、それで二四・五%になる。これは品質、価格、売り方及び何及びというのが入ってくるのだと思うんですけれども、要するにひっくるめて不満足感があるのが一番高いのは牛肉というふうになっているわけです。それで、この不満足感の解消について、また後で伺うわけですけれども、今のおいしくないという方の解消はどうですか。
#274
○政府委員(野明宏至君) やはり輸入牛肉の場合には、例えばオーストラリアの場合でございますと、これはグラスフェッドでございます。要するに牧草で育てておる。それからアメリカの場合には穀物で育てておるということはございますが、日本のような飼い方とはやはり違うわけでございます。それからアメリカとオーストラリアのそのグラスフェッドとグレーンフェッドを比べた場合には、グレーンフェッドの方が脂が乗っておるというふうに言われるわけでございますが、やはり日本の肉に比べますと味の面では日本の方がまさっておるということはあろうかと思います。
 ただ、日本の肉もまたこれはいろいろでございまして、先ほど約七割が国産というふうに申し上げましたが、肉専用種について相当長期間の肥育期間をかけていわば脂肪交雑、サシがよく入るようにしているというふうなものから、肉専用種でもかなり放牧に適したものもございます。それから乳雄というものもございます。いろいろございまして、それによってまた品質も異なるわけでございますが、総じて言えば、品質面では国産の方がまさっておる、それから輸入牛肉については、国産よりはかたかったり脂が乗ってなかったりということはあろうかと思います。
#275
○刈田貞子君 いろいろあるのはわかっているんですけれども、輸入牛肉についてはおいしくないという通念、概念が定着しているということについて、これの解消は難しいということになるわけですね。ところが、日本の国内の牛肉の消費量はいささか下降し、今少し安定して横ばいという感じでしょう。これから先これが伸びていくという保証はあるのかないのか私はわかりませんけれども、消費量はそんなに伸びていかないんじゃないかということを仮定した場合には、何といっても食生活というのはこれから量から質の時代になっていくと思うんですね。そして、まして諸外国の方々のように草履のようなステーキは日本人は割合食べないわけですよね。そうすると、この消費量を勘案しながら質の問題をどう考えていくか、そこに私は輸入牛肉と国内消費の限界があるんじゃないかということを言いたいわけで、たくさん輸入しても大変じゃございませんかということを言いたいわけです。
 このアンケートの中で、以前は利用したが今は利用はもうしてないというのが二〇・九%、それから、利用したことは全然ないが今後も利用する気は全くないが二一・一%なんですよ。これを合わせると四二%ある。以前は利用していたんだけれども今は利用したくない、それから、利用したことはないし今後も利用する気はないなんて、これは利用しないでしょう。それが四二%出ていますね。それと、今の質の問題と美食が進んでいくという傾向性との中で輸入牛肉をどう考えたらよろしいかということをひとつお伺いしたい。
#276
○政府委員(野明宏至君) ただいまのアンケート調査は、これは消費者の素朴な感じが出ておるんではなかろうかと思うわけでございますが、一つは、輸入牛肉につきましても食べ方なり、あるいは調理法でございますね、これによっておいしく食べられるということはこれはいろいろあるようでございます。最近の若い人は赤肉志向、赤肉を好んで食べる、むしろサシの入った霜降りの肉よりは赤身の肉を喜んで食べるというふうなこともございます。ですから、消費者の方の嗜好がどうなるかというふうなこともございますし、それからまた食べ方なり調理法によっておいしくも食べられる、消費者の方々にも輸入牛肉を召し上がっていただく場合にはもっといろいろ勉強をしていただく必要があるんじゃないかと思っておるわけでございます。
 それからまた逆に、やはり国産の方につきましてもこれはおいしいという評価をいただいておるわけでございますから、国内生産、これはもちろんコストダウンを図っていかなければいかぬわけでございますが、これを安定的に生産を拡大していくということによって、おいしい牛肉もやはり安定的に供給していくという体制をつくっていくことが必要ではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。
#277
○刈田貞子君 きょうは難しい機構の問題等はやりませんから、このアンケートに即してやっていますからね。
 そこで、牛肉の環境をいろいろつくっていただかなければならないという問題についてお伺いをしますが、このアンケートでも、先ほど流通局長おっしゃったように、国産牛肉が安ければもっと購入すると言っているわけでしょう。これが五十歳以上だと六〇%近く、五九・六%あるんですよね。それで二十代は六〇%を超えているんじゃないですか。それからトータルしたって六三・三%なんです。だから、国内産の牛肉が安ければもっと買いますよと言っているわけだ。大臣、この政策をやらなきゃいけませんね。それでそのことをお伺いをいたします。
 五十八年一月に行政管理庁行政監察局から牛肉を中心とした勧告が出ていますね。これについての諸方策をどのようにその後、手をお打ちになられたか、その肉づくりの環境を伺うためにも、これを確認させていただかなければならないわけでありますが、この勧告は四つの柱にわたってできていますね。「牛肉価格の安定と輸入牛肉差益金の効果的運用」、それから「牛肉流通の近代化、合理化の促進と公正な取引の確保」、それから「肉用牛の生産対策の推進」、そして「消費者対策の充実」という四つの柱で指摘が出ておりますね。
 その中で、きょうの問題に関連をし近いと思われる部分だけを取り上げてお伺いをいたしますが、まずこれは消費者にとっても大変に関心の深いことでありますし、先ほど事業団の機能もちょっとお話が出ましたけれども、最近の効果的な運用ということで、この事業をどのように現在運用されておるか、伺わなければいけないわけですけれども、指摘の中では、「輸入牛肉の売渡しについては、輸入牛肉の種類、部位等を十分配慮しつつ適期、適量の売渡しを行うこと」ということがあるわけです。これは実は業界等から、欲しいときに欲しい部位がもらえないという声があるのを知っているでしょう。だから、これはその後どんな手を打たれましたかということが一つですね。
 それから、やはりこの売り渡し方法についても検討方が指摘されているわけですけれども、これはどんなになっておりますか。五十八年の指摘を受けて、現在どうなさっておるかということが伺いたいんです。
#278
○政府委員(野明宏至君) 今の価格安定制度の効果的運用という点についてでございますが、まず第一点の問題でございます。これにつきましては、輸入牛肉の的確な売り渡しによりまして牛肉価格を安定さしていくということで、その後、理事長の諮問機関といたしまして、牛肉の生産流通といった各分野の専門家を構成員といたします輸入牛肉委員会というものを発足させまして、売買の対象といたします輸入牛肉の種類とか部位とか規格などについて意見を聞いてやってまいっておるわけであります。これにつきましては、これからもこういった意見を十分聞いて、より一層的確な輸入牛肉の売り渡しが行われますように事業団
を指導してまいりたい、そういうふうに考えておるわけであります。
 それから、第二点の輸入牛肉の売り渡し方法の問題でございます。事業団の輸入牛肉売り渡しにつきましては、やはり国産牛肉の流通の実態とバランスのとれたものをというふうなことに配慮してやっていかなくちゃいかぬわけでございます。したがいまして、これにつきましても国内産の牛肉の流通の実態の変化といったようなものも逐次あるわけでございますので、そういったものに対応いたしまして、円滑な需給調整のための売り渡しができるように指導をいたしておるわけでございます。
#279
○刈田貞子君 それでは指定助成対象事業の効果のほどはどうですか。
#280
○政府委員(野明宏至君) 指定助成対象事業につきましては、これは効果的な実施ということをこの報告では言っておるわけでございます。指定対象事業につきましては、これは畜産物の価格安定等に関する法律に基づきまして、畜産物の流通の合理化とか、あるいは畜産の経営技術の指導あるいは肉用牛の生産の合理化といったような我が国の畜産の振興に資するための事業に対して助成を行うことになっておるわけでございます。この事業の財源につきましては、輸入牛肉を売買することによって出てまいります差益金が主なものでございますので、国産牛肉の生産振興とか、あるいは流通消費対策に重点を置いて実施することといたしておりまして、六十年度について申し上げますと、肉用牛経営の安定合理化を図るための肉用牛経営合理化資金の融通助成とか、あるいは肉専用種の繁殖経営の規模拡大を促進するための肉用子牛の生産奨励対策とか、あるいは肉用牛の経済肥育を一層促進していくということとか、さらに食肉小売店におきます適正表示その他食肉の流通改善と消費者価格の安定を図るための対策といったようなものに重点を置いてやっておりまして、そういう意味で、より効果的な実施に努めているところでございます。
#281
○刈田貞子君 細かいいろいろな個々の問題がありまして、このことだけでもいろいろお伺いできる時間が本当はとれればよろしいのですけれども、あとのあれがありますのでね。
 もう一つは、四番目の柱の消費者対策の方。消費者対策の中では二つありまして、店頭小売段階における表示の改善の問題が一つありますね。それともう一つは、指定店制度の運用の仕方についてがありますね。この二つの指摘ですよね。
 その表示の問題について、きょう公取の方をお呼びしてないのでなになのですが、公正競争規約で決められた表示の仕方と二通りあるでしょう。これはどういうふうに整合性を持たせていますか。
#282
○政府委員(野明宏至君) これにつきましては、食肉小売品質基準というものを設けまして、部位別表示というものを指導いたしておるわけであります。こういう形でもってやっております県と、それから公正取引規約を設けましてそれに即してやっております県とございます。
 基準についての両者の関係でございますが、公正取引規約に基づいてやっております県につきましては、今申し上げました基準につきましては、私どもがお示しいたしております食肉小売品質基準に準じてやるということをその規約の中でうたっておりまして、したがってぴたりと同じかどうかは別にいたしまして、両者がほぼそういった小売品質基準というふうなものに即して表示も行われておるわけでございます。また、私どももそういう形での表示が行われるように指導をいたしておるわけでございます。
#283
○刈田貞子君 表示が一番話題になり課題になっていますね。部位別だけではわからないので、こうでもよろしいという用途別表示になっているのがありますね。今ほとんど用途別になっているんじゃないでしょうか。牛すき焼き用と、こうなっちゃうわけですよね、もう今。牛ステーキ用、これで表示というふうに言われているんですがね。それだけだと、値段との関係でなかなか消費者は確認しにくい部分が出てきますので、やっぱりこれはこの勧告にもありますように、消費者モニター等によって絶えず表示のチェックをしてほしいということが書いてありますので、これはお願いしておきたいと思います。
 それから、指定店制度の問題では、このアンケートの「購入したことがない」という答えの中で、「購入する機会がないから」というのがある、購入するチャンスがないから。私はこれを一生懸命読み込みをしてみたんですが、これが三三・八%あるんですね。輸入牛肉を購入したことのない人の中でチャンスがないというのはどういうことなんだろうということで、これを指定店制度の問題に乗せて考えてみますと、近くに売ってないからというわけです。昨年四月に、二千三百軒から二千七百軒にふやしましたね、指定店を。そして、二千七百軒になってどのくらいその輸入牛肉を販売する指定店がふえたという実感があるかということを私は聞いてみました、団体の方々に。やっぱり余り実感がないのですね。四百軒ふえたって、ならしてしまえば一町村でといったら、本当に輸入牛肉がどこで売っているのというような感じになってしまうわけですよね。この指定店制度についての改善はどうですか。
#284
○政府委員(野明宏至君) 指定店制度につきましては、その後さらに店舗の数をふやしまして、現在では三千店舗になっております。それで、これはやはり消費者対策の一環といたしまして、輸入牛肉を適正な価格とそれから表示によって売られるようにするということを目的といたしまして、指定店制度というのを設けておるわけでございます。現在これにつきましても指定店のモニターというのをお願いいたしておりまして、モニターの方に常に見ていただく、それからまた表示なり、あるいは価格なりにつきまして調査の結果を事業団がいただいておるわけであります。
 その結果によりますと、大体目安価格というものを指導いたしておりまして、ほとんどの指定店ではそういった指導に即した形での販売が行われておるというふうな状況になっております。ごく一部に目安価格よりも上回る販売を行っているというものも見られるわけでございますが、そういう場合には随時事業団から適切な指導を行うとか、それからどうしても改まらないものは、これは毎年指定をいたしておりますので、翌年の指定の際にはその指定を取り消すというふうなこともやりまして、適正な運営に努めておるわけでございます。
#285
○刈田貞子君 指定店での輸入牛肉の表示についてですけれども、冷蔵と冷凍の表示をするようになっていますか。フローズンとチルドの違いを値段で知りたいために輸入牛肉、これはチルド、これはフローズンと、こういうふうに書かせる指導はあるんですか、ないんですか。
#286
○政府委員(野明宏至君) 指定店につきましては、ただいまもおっしゃられましたような形の表示になっておるわけでございます。
#287
○刈田貞子君 なっておる……。
#288
○政府委員(野明宏至君) はい。
#289
○刈田貞子君 なってないですわよ。輸入牛肉しか書いてないですわよ。冷凍物か冷蔵物かなんて書いてないでしょう。
#290
○政府委員(野明宏至君) これは輸入牛肉の場合にはフローズンの場合とチルドの場合と両方あるわけでございますが、もちろん両方扱っている店もございますが、フローズンだけ扱っている店と、それから他方、チルドだけ扱っている店というものもあるわけでございます。したがいまして、それぞれ並べて扱っているというふうな場合には、こちらはチルド、こちらはフローズンというふうな形の表示がなされておるはずでございます。
#291
○刈田貞子君 おるはず……。
#292
○政府委員(野明宏至君) はい。
#293
○刈田貞子君 おるはずならそのように見てみますから、私も見落としの分もあるかもしれませんのでね。ただ輸入牛肉は書いてありますよ。だけれども、それがチルドかフローズンかはわからないですね。わかりませんよ。よろしゅうございます。
 そして、いろいろと申し上げたいんですけれども、先ほどの話に話を戻して、国産牛肉が安ければ購入したいということが消費者の要望です。これが六三・三%の要望でございます。それで、昨年大変な思いをして日米農産物交渉が妥結をしました、四月八日。足かけ三年もかかったというふうに思います。だけれども、昨年四月に決着した牛肉の輸入枠拡大六千九百頭、これが四年間にわたって占める金額というのは六十五億そこそこだというわけです。それでアメリカの日本への農産物輸出総額の五十九億ドル、これは八三年分ですが、一兆三千二百億円に対比すれば〇・五%にしかすぎない。アメリカはどうして日本にこういう牛肉をターゲットに輸入を迫るのか、私たちも、先ほど同僚の稲村委員の方からもお話がございましたけれども、大変に不思議に思うわけでございますけれども、安いというところのメリットを除けば、消費者は果たしてこの輸入牛肉を大歓迎するであろうかどうだろうか。
 きょうは輸入食品の中の牛肉にだけ絞って私はるるお話を申し上げたわけでございますけれども、いろいろ消費者サイドからも言いたい分がたくさんあるということ、そうしてまた、その言いたい分について農水省はそれの環境づくりにやはり励んでいただかなければなりませんということを申し上げます。
 最後に大臣にお伺いいたしますが、この六三・三%の人、国産牛肉が安ければもっと購入しますという方々にこたえて御答弁をお願いいたします。
#294
○国務大臣(佐藤守良君) 刈田先生にお答えしますが、全く同感でございます。
 実は、私も長女に孫が三人おりまして、小学校二年から四歳までです。娘の願いは、実は大体牛肉が百グラム国産で平均三百五、六十円ですね。バター焼き、網焼きは六百円前後で、六百円前後の肉を五百グラム、一週間に一遍食わせたいというのがこれは願いです。そんなことで、私も実は肉の問題をお聞きしまして、私も肉をよく買って歩きます。そんなことで一通り相場を知っておるので、私も安くてうまい肉を食わせたいと、こう思っております。
 それから、実は昨日アメリカのワイオミング州の大牧場主が訪ねて来まして、アメリカでは平均五百頭、そこは千頭をつくっておるそうですが、これは赤字だそうです。なぜ赤字かといいますと、流通段階で取られるんだそうです。日本でも同じことだと思います。
 そんなことで、実は私、この答弁書の文章を読みません。もうそれは先生が御存じのとおりでございます。私は、こう見ておりますと、やはり今の生産コストはそう下げられぬと思います。したがって流通段階をどうするかということ、これを含めて考えないと肉は安くならない、こう思っておるわけでございまして、ここに書いてある答弁は、酪農及び肉用牛生産の近代化を図るためと、基本姿勢が書いてありますが、私はそういう立場で量をどうするかということで最大の努力をしたい、そうして早く私も若い主婦の人に安い国産肉を食べさせたい、腹いっぱい子供に食べさせたい、このように思っておりまして、よろしくお願いいたします。
#295
○藤原房雄君 きょうは一般質疑ということで、特に市場開放、今一番問題になっております問題について私も何点か申し上げたいと思うわけであります。
 今、同僚の刈田委員からお話ございましたように、去年四月に妥結いたしました牛肉、オレンジ、特に牛肉の問題は今お話ございましたが、市場開放、アメリカの圧力、いろんなことがありまして、六千九百万トン、四年間、逐次これをふやしていくということでありますが、このこと一つ見ましても、そもそも日本人は日本人の食生活というのがあるわけでして、そこへ大量の牛肉が入りましてもなかなかそれは消費に結びつくというのは難しいことであります。安いからいいとか、味がいいからいいとかということだけでは進まない。やはり限度がある。ある量の少ない段階では、それなりのはけ口はあるのかもしれません。東北とか北海道の方々に聞きますと、これはどっちかというと豚肉を食べる習慣といいますか、そういうのにならされている。安いから牛肉を食べるという、そういうことでもないみたいですね。
 そういうことから言いますと、西と東と、今日までの生活様式の違い、そういうことで、市場開放ということは時の流れとして最大の努力をしなきゃならないことは当然のことだと思いますけれども、しかし農林水産物につきましては、努力をしたからといってあした、あさってすぐという、こういうことではなくて、やはり時間のかかることであり、何千年の日本民族の長い食生活の中でまいりましたものに、そういうものを大量に買い付ける、また買わなきゃならない、買う、それを消費に回すといいましても非常に難しいことだということを、先ほど来いろんなお話の中から私も感じ取っておりますし、今日市場開放問題についてかたくなにそれを拒否する、絶対一粒なりとも農産物の輸入は相ならぬということを私どもは主張しているわけじゃございませんで、やはりそれなりの生産段階の整備、それから流通、それにまた消費、こういう一貫したものがありませんと、日本の経済という観点だけではなくして、日本の文化、食文化というものにも大きな影響力を持つ、そういうことから、この市場開放問題というのは非常に重要な課題として、しかもそれが農林水産省に集中的に今問題が投げかけられておるだけに、この問題は真剣に討議をしなきゃならぬ。
 また、大臣におかれましては、今日までも何度か力強いお話は聞いておりますが、しかしことしの予算を見ましても、財政の逼迫ということではございますけれども、大幅な予算の削減、基盤整備そのほかなさなきゃならないそういう事業がたくさんあるにもかかわらず、削減されるときにはほかの公共事業と同じように削られる、そしてまた市場開放の名のもとに、今度は入ってくるときには農林水産物が集中的に入ってくる。こういうことでは、これは日本の農業の将来には大きな暗雲といいますか、問題が発生するのは当然のことだろう。こういうことで私は、この農林水産物の市場開放、このことについてもまた今後まだ何回か経緯をたどらなければならない、これからの問題ということでありますけれども、今からそれなりの考え方といいますか、そういうものをきちっとしておかないとならぬと思います。
 特に、中曽根総理はボン・サミットへ参りましてから、まあその前からそうですけれども、市場開放には大変御熱心のようでありますが、しかし大事な農業政策というものを度外視した、度外視といいますか、その重要性というものを認識しない上に立っての、いたずらに諸外国の圧力に屈するような形での市場開放というものであっては相ならぬ。どちらかというと、農林水産大臣がただ一人閣議の中で孤立無援の中で頑張らにゃならぬような立場になるのではないか。
 そういうことで、強い決意の上に立って今後の交渉に当たっていただきたい、私はこう思うんですが、まず最初に大臣の決意というか、ひとつお考えをお伺いをしておきたいと思います。
#296
○国務大臣(佐藤守良君) 藤原先生にお答えいたします。
 農業は生命産業という重要性につきましてはもう言うまでもございませんが、改めて申し上げますと、国民生活にとりまして最も基礎的な物資であります食糧の供給を初め国土、自然環境の保全等極めて重要な役割を発揮しております。さらに、地域社会におきましても、就業機会の提供など地域経済社会の健全な発展を図る上でも非常に重要でございます。
 このような農業の重要性にかんがみまして、そしてまた特殊性にかんがみ、総理は五月二十四日の本会議におきまして、行動計画における農業の取り扱いについては国際的に説明できるものでなければならないが、国民生活あるいは国民経済に
おける役割等々も十分考えて、その特殊性に留意しつつ行うべきものであると考えている旨答弁されたところでございます。
 私としましては、農業の重要性につきましては、今後とも各方面の理解を得るよう努めてまいることとしております。また、行動計画の策定に当たりましては、そのような趣旨を十分踏まえまして、我が国農業を生かしその健全な発展を図るということを基本にしまして、また関係国との友好関係に留意しながら慎重に対処してまいりたいと考えております。
#297
○藤原房雄君 四月九日の「対外経済対策」で決めました原則自由、例外制限、この基本線に沿って佐藤農水大臣も、農業は原則自由、例外制限の分野であると、こういう御発言をなさった。その後、四月十九日の第一回の政府・与党対外経済対策推進本部の第一回の発言が問題なんですが、今、大臣がお話しになりましたように、過日の本会議では、農業というのは大事なんだということでちょっとトーンダウンしたような言い方をしております。私は本会議の席上であり、あれだけまた国民注視の中で、ボン・サミットから帰ってまいりましてから、第一回のこの発言というのは非常に大きな反響を呼んでおりますから、それなりの配慮もあったんだと思います。
 しかし、どちらかというと、中曽根総理を信頼しないというのじゃありませんけれども、一国の総理を信頼しないのじゃしようがないんですが、しかし内政よりも外交、外面が非常にいいというか、そういうことで国内で最も重要な農業に対してどこまでのお考えがあるのかという一抹の、これはもう総理と農業問題についてそんな何時間もお話しすることはありません。農水大臣とは去年からのおつき合いでもう何時間もお話しして、腹の底までよくわかっておりますけれども、総理はそうもいかぬ。それで非常に総理は外面がよくて内のことについてはどうかという、こんな気持ちも心の中にちょっとあるものですから、しかも閣議の中ということになりますと、農水大臣ただ一人、あとはもう大体これを開放せよという、そういう圧力の強い閣僚が多い。こういうことの中で、やっぱりそれなりの説得力のある、農業を守るための、生命産業とかなんとかというそういう大原則はもちろんのこととしまして、現状を踏まえた立場できちっと主張し抜く、こういう姿勢というものが大事であると私は思うんです。
 そういうことから、先ほど来いろいろお話がございましたが、行動計画策定委員会、ここでいろんなことを御討議いただくわけですけれども、どうも過日の会合で佐藤農水大臣は、農業というのはとにかく生命産業として大事なんだ、それから例外の中に入れるべきだというお考えを主張なさったようでありますけれども、総理は聖域は認めない、この前ちょっとトーンダウンしたような発言はございましたけれども、非常に厳しいお話、それはお互いに何度かやり合ってということではなくて、農水大臣がそう主張したという何か感じにしか我々は報道では受けとめられませんので、本当に閣議の中でそういうものが定着といいますか、佐藤農水大臣がお話になったことは当然のことだという観点で受けとめられた閣議の雰囲気といいますか、そういうことなのか、全体的には何となしに厳しい雰囲気だったけれども、農水大臣は自分の立場で御主張なさったということなのか、その辺はどうなんですか。
#298
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 閣議のことについては、外にしゃべらないことになっておりますしお話しできませんが、実は私は中曽根総理というのは大変気の毒だと思っております。と申しますのは、いろいろな発言ございますが、やっぱり総理としての立場というのがございまして、若干の発言がございますが、実は私は個々によく話しておりますが、大変農林政策に御理解いただいている、また閣僚の皆さん方も私の主張に耳を傾け御理解いただいている、このように私は理解し、今後とも実はこの農業の問題につきましては大いに皆さん方の意思を体して頑張りたい、このように考えているわけでございます。
#299
○藤原房雄君 今私どもは、指一本も触れさせないという、そんなわけにはいきません、この国際環境の中で。やはり努力しなきゃならない、総点検の中でどういう問題が出てくるか。何点かもう指摘になった問題点もありますけれども、しかし閣議でもし決まりましたことが、こんなことでどうするんだというような問題がもし閣議で決められていったということになりますと、それは農水大臣がどんなに弁解しましても、中曽根総理というのは非常に農業に御理解のある方だという御発言ですから、我々の意図することではないことがもし実行されるなんということになりますと、それは農水大臣も当然それは了承した上でそういう方向に進んだ、このように厳しく見なきゃならぬだろうと、こう思うのです。
 それは諸情勢、いろんなことがあるかもしれません。しかし今、三十年代から農業が曲がり角に来たと言われて四十年代、五十年代、本当に猫の目農政と言われるように大きな転換期を迎えながら、その場その場を繕う暇もなく世の中が移り変わる。加工業と違いまして農業は大変に時間がかかり金のかかる、基盤整備一つを見ましてもそういう環境の中にあるものですから、時代になかなかうまく適応できない。ある部門については即応するところもあるかもしれませんが、総体的にはなかなか時代に即応した改善といいますか、推進ができ得ないということであります。
 特に、現在公共事業というのは大幅に削られておる。これも対外的なことがあって、日本の農業を大臣の言うように足腰をしっかりさせなきゃならぬということならば、構造改善事業、三十何兆の事業も本当はほかのこととは違って達成率がもっと高くなきゃならぬはずなんですけれども、そういうことはほかの事業と同じようにどんどん切ってしまって、そして対外的な圧力は人並み以上に波をかぶらなきゃならぬ、こういうことがこのまま進んでは一体日本の農業はどこへ行くのかと、こういう心配をするわけであります。
 そういうことで足腰の強いといいますか、そういう基盤ができた上で、用意ドンで競走するのならいいんですけれども、弱いうちにしりをたたきあっちをたたきじゃとても競走にならぬ、そういうことで今日ほど日本農業が大事な岐路に立たされたときはない。いい点も、農民の努力によって皆さんの御指導によって確かに新しい芽は出つつある、それは大いに結構なんですけれども、しかし総体的に見まして、まだまだ対外的に競争し得る環境にないことは御存じのとおりです。
 そういうことがありますが、さらに五月十七日の第二回の政府・与党対外経済対策推進本部、ここで対ASEANの問題で、過日の四月十九日の第七次の対外経済対策でいろいろ検討事項として当面の措置と政策プログラム、この中では林業の問題が中心になって出ておったんですけれども、今度は第二回の五月十七日にはASEANの問題が再び浮かび上がってまいりましたですね。これもいろいろ問題提起になって、何とかしなきゃならぬぞということですが、国内的には何の措置もなさらないうちに、またこういうことで藤尾政調会長が東南アジア、ASEANをお回りになられて、これはもうどうしてもしなきゃならぬぞということで実は浮かび上がるということで、これは記者会見なんか見ますと、農水大臣、最終的には自分の決断で決めるんだという大見えを切られたように報道されているんですけれども、これはどういうふうに対処をなさるのか。
 やっぱり現状の中では非常に難しい問題が出、ことしの初めいろいろ議論になったわけでありますけれども、これという対策、措置も講ずる間もなくすぐこれに対して措置をしなきゃならない、こういうことが迫られているということで、これは加工業ならすぐ機械を取りかえてということもあるのかもしれませんけれども、農業の場合はそうもいきません。責任を持ってと、こうおっしゃったと新聞報道されておるんですけれども、どういうお考えか、ちょっとお伺いしておきたいと思うんです。
#300
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。
 ASEAN諸国からは、骨なし鶏肉とか合板とか、あるいはバナナ、油等の関税引き下げについて強い要請があることは承知しておりますが、これらの品目につきましては、正直に申しまして困難な国内事情もあり苦慮しているところでありますが、ASEAN諸国との友好関係も配慮しつつ、実は現在我が省の策定委員会におきまして検討をお願いしている状況でございます。
#301
○藤原房雄君 検討をするのは当然なんですが、聞きっ放しで横見ているなんというわけにはいかないでしょうがね。しかし、大臣としてはこれは何らかの決断をしなきゃならないときが来るわけなんです。これに対しましては当面、今検討しても結論が出ないということになるんだと思いますけれども、どういうことが今その問題の隘路になっているのか、大体中身は我々もよくわかっておるわけですけれども、農水省としては今その問題点として指摘になっていること、それのためにどうするかという、こういう課題というか何点かあるんだろうと思うんですが、どうなんですか。
#302
○政府委員(後藤康夫君) このASEANの関連品目、例えば例を骨なし鶏肉にとりますと、今年度に入りましてから、国内的には需給の不均衡ということで価格がむしろ昨年より下がってきているというような非常に厳しい状況の中にございますし、主なる生産圏と申しますと南九州でございますとか岩手でございますとか、こういった非常に雇用の機会なり農業で容易に転換をできるというような機会に必ずしも恵まれていない、そういう地域の生産が割合高いシェアを占めているというような非常に厳しい国内的な事情がございます。
 他方、ASEAN、特にタイ国などにおきましては、やはり開発途上の経済発展段階の中で何とか少しでも国内の雇用をふやし、また非常に大きな貿易のインバランスを持っておりますので、輸出の増進のために少しでも可能なことはぜひやってほしいという非常に強い要請があるということでございまして、私どもこういった二つの要請の中で、今これをいかにして今後対応してまいるかということにつきまして、正直に言いまして、大臣も今苦慮というお言葉をお使いになりましたけれども、文字どおり本当に頭と胸を痛めながら検討をいたしておるところでございます。
 それで、この委員会での検討の結果を最終的には大臣にも御報告をいたしまして、何らかの結論を六月の二十七、二十八日に日・ASEANの経済閣僚会議が予定をされております。たまたま六月末までに個別関税の引き下げにつきましての決定を行うことにも四月九日の経済対策でなっておりますので、そういった節目に向けまして今種々検討をいたしているという状況でございます。
#303
○藤原房雄君 時間がありませんからあれですが、特に最近、最近というか、二回の会合以降、ニューラウンドを認識した各省に対しても徹底した市場開放措置、これを策定するようにということで、今これとまた牛肉、オレンジとか、いろんなASEANの問題等お話がありましたが、こういう限られた品目だけじゃなくて、残存輸入制限二十二品目のこういう農産物の制限緩和、または枠の撤廃、これを含めたもうこれは総体的な全面的な見直し作業、こういうものに取り組まなきゃならない、そういうことが言われておるわけです。
 これは私は、今日までも対外的な経済問題で当委員会でもいろいろ議論になりましたが、それはオレンジだ、牛肉だ、ASEANで骨なし鶏肉がどうだという個々の品目、そういう問題がいろいろ話題にもなって、どうするかということであったんですけれども、ここに参りますと、特にボン・サミットから帰られた以降というのは、全面的に残存輸入制限品目一つ一つについてどうするかということが非常に厳しく問われている。総点検といいますか、洗い直しといいますか、こういうものが迫られているんではないかというような気がするんですが、こういうことで今までの何十倍も非常に重要なときを迎え、そしてまたこの決定というものが次の中間報告、そういうことがあったら最終的にはもう決定することになりますと、農水省としても非常に大事なときを迎えておると私は思うんです。
 さっきもちょっとお話ありましたが、アメリカのオルマー商務次官の発言云々と言っていましたが、五月の一日に岩持全農会長がアメリカへ行ったときにも、アムスタッツ米農務次官ですか、この人からもやっぱり同じようなことが言われていますね。これはそういうふうに報道されていますけれども、商務次官が言ったというだけじゃなくて、やっぱりアメリカには潜在的にそういう高官の人たちの中には意識が強いということで、これはもう四年間決めたんだからということではなくて、全面戦争じゃございませんが、いつになってもそういう問題というのはやっぱりくすぶり続けている。
 これは貿易の日本とアメリカとの黒字幅の三百五十億ドルを超すような大幅な黒字がある限りは、やっぱり農産物に対しての集中的な砲撃といいますか、論議といいますか、市場開放問題というのは続くんじゃないかという気がするし、牛肉、オレンジだけではなくして、ほかの品目についても、これはアメリカも日本よりももっとあるんですけれども、そのことはもう棚に上げて、とにかく農産物で集中的に日本に迫る、こういうことを私どもはどうも感じてならないんですが、農水省としては最近のこういう働き、単なる一商務次官というとらえ方なのか、やっぱりもっと厳しい現実というのがあるんだというふうに受け取っていらっしゃるのか、その辺はどうですか。
#304
○政府委員(後藤康夫君) 牛肉、かんきつの問題につきましては、昨年日米の間で二年以上にわたります非常に困難な交渉の決着を見ました際にも、アメリカ側といたしましては、これの完全自由化の旗をおろしておるわけではございません。アメリカ側としては、今後とも引き続きそういうアメリカ側の主張は引き続いて掲げていく、アメリカ側としては四年の間は枠の拡大ということで合意をするけれども、その後においては自由化をしてほしいという姿勢は崩さないということであったわけでございます。ただ、四年間についてはこの合意を誠実に履行をしてください、その間はこの分野については決着をした問題としてアメリカの方も扱います、こういうことでございまして、最終年次の一九八七年、昭和六十二年の日米双方にとって適当な時期にその後のこの問題について話し合いましょう、こういうことになっておるわけでございます。
 したがいまして、アメリカの基本姿勢という話と、それからこの四年の合意が昨年成立をしたにもかかわらず、これをまた振り出しに戻してやろうというような話とは一応別の問題、私どもアメリカはやはり完全自由化の旗をおろしていないということは、もうかねてから承知をいたしておりますが、昨年の合意をまた振り出しに戻して交渉するというような話は、私どもアメリカの責任ある当局からまだ聞いたことはないということを先ほど申し上げたわけでございますし、また、仮にそういったお話が仮定の問題としてあったといたしましても、そういうお話があった、はい、そうでございますかということで直ちに応ずるというようなわけにはまいらないというふうに私は思っております。
#305
○藤原房雄君 相手のあることですから、自分の国の経済情勢、それから財政状況悪化ということになりますと、苦し紛れに何を言い出すかわかりませんし、それは信頼したいところでありますけれども、とにかく三年の間にやっぱり肉牛農家、かんきつ類の経営農家、それらの方々の安定経営の方向に国内施策というものをしっかり進めることが大事なことだろうと思うんです。
 時間がありませんので後日また詳しいことはさしていただくとしまして、最後に日ソ・サケ・マス交渉、きょう何時ですか、十一時からか交渉なさっているはずですが、六月一日出港ということを目指しまして準備をしておる。こういう中で、可能性があるみたいな、また何か難しいことのよ
うに、この漁獲量とか操業区域とか、また協力費、こういうことで大変今大詰めに来ておるというふうに報じられておるんですが、これは現状は今どうなっておりますか。
 さらに、最後ですからあれですが、この北洋のサケ・マスに関係するのはおよそ二十万人とも言われております。また、このサケ・マス漁業の関係する方々の借入金というのは、借入資金が四十一億、長期資金を含めると本年の償還百九十一億、とにかく大変なお金を借りてのこのたびの準備、サケ・マスに関連する状況の中にあるわけでありますが、後日これはまた詳しくいろいろお尋ねしたいと思いますけれども、まず交渉の現状と、それからこの六月一日の可能性がどうかということと、それから一カ月おくれたことのために地域経済また経営者にいろんな問題が起きておる。これに対して水産庁としては何らかの対策をお考えになっていらっしゃるのかどうか、その点だけ端的にお伺いをしておきたいと思います。
#306
○国務大臣(佐藤守良君) 藤原先生にお答えします。
 私から経過を話して、残りにつきましては水産庁次長からお答えさしたいと思います。
 先生もう御存じのとおりでございますが、現在モスコーで行われています日ソ・サケ・マス漁業交渉は、日ソ双方とも実質的妥結に向けて努力しており、かなり詰まった点もありますが、残された問題についてさらに協議が進められているところでございます。これは具体的にいいますとクォータの問題、あるいは漁場転換の問題、それから協力金の問題、その他規制の問題等ございますが、そういうことにつきましてさらに今後協議を詰めたい。
 本年は既に漁期も遅延しておりますし、一日も早く安定的な操業条件のもとでの出漁が可能となるよう、本交渉の局面を打開するために実は二つの方法を考えました。
 一つは、佐野長官がカメンツェフ漁業大臣と直接会って交渉する。それにつきまして、私の親書を持って会うような努力をお願いし、多分ただいま会っていると思います。
 それから、私は昨日実はアブラシモフ駐日ソ連大使に、実は大阪へ三日間旅行しておりまして、きのう八時五十九分の新幹線で帰ってまいりましたが、特に外務省を通じてお願いしましたら、駅からすぐ本省に来てくれました。そんなことで、ソ連大使を招請し、漁獲量あるいは漁業協力費などの基本的問題に関し、できる限り早く円満な解決を見、本交渉の最終的な決着が図られるよう、ソ連側の協力につき強く実は私からお願いしました。その効果が早急に上がることを期待しておるわけです。
 また、カニ、ツブ、エビでございますが、実はカニ、ツブ、エビも、このアブラシモフ大使のおかげで、実は今月の五日に代表団が訪ソした経緯もあるということでございますが、これも非常にやっぱり問題が厳しくなっておる、こんなこともございます。そういうことで、これらの問題につきましても、操業条件を再考し交渉を早期に再開するよう要請を行ったところでございます。
#307
○政府委員(斉藤達夫君) ただいま大臣から御説明のありましたとおりなのでございますけれども、基本的には、先方は、母川国主義に基づきます新協力協定のもとでの第一回の会議でございますから、最大限とるものをとろうという立場があからさまでございまして、先方の主張は非常に厳しいわけでございます。それに加えまして、資源状態が悪い、あるいはさらにソ連の国内需要を満たす必要がある、そういう見地から先方が言っておりますのは、総漁獲量三万五千トン、それから漁業協力費は五十億円ないし五十五億円。これに対しまして我が方の主張といたしましては、四万二千五百トンをとらせるのであれば四十二億五千万円を払う用意あり、さらにそれに加えて、中型サケ・マス漁船が依存しております漁場に関しまして、今までの四十四度以南から逆に四十四度と四十八度の間に移せということを言っておりますが、この漁場転換の問題につきましては、先方は非常に今厳しい態度をとっておる。それからまた、漁獲量、協力費につきましても、今、大臣から御答弁ありましたように、最後の詰めを行いつつあるということでございます。
 それから、休漁あるいは出漁遅延に関する問題でございますけれども、今こうやって鋭意代表団がやっておりますときにこの話が出ますと、先方は、おまえの方はとにかくどういうふうになっても政府が見てくれるんじゃないかということを、現に、もっと減船をしたらどうだ、政府で面倒を見て減船をしたらどうだというような主張を向こうはしておるわけでございますので、これはもう少し先へ行って検討させていただきたいと思います。
#308
○下田京子君 最初に、アクション・プログラム作成問題でお尋ねいたしますが、市場開放問題で五月十七日に政府・与党対外経済対策推進本部が開かれまして、本部長であります中曽根総理が、アクション・プログラムの作成は全世界が注目している、「対外経済対策」を着実、誠実に実行することが今後の日本の命運を左右するというふうにまで発言されております。何かこれを聞きまして、私は、市場開放に積極的に取り組まないのは日本の運命を危うくする、いわば戦前流に言えば国賊だと言わんばかりの言い方に大変聞こえました。大臣は、この点についてどういう御認識でしょう。
#309
○国務大臣(佐藤守良君) 下田先生にお答えいたします。
 やっぱり同じような答えになるかと思いますがお許し願いたいと思います、基本方針は全部同じでございますから。
 農業につきましては、これは生命産業、実はこれは総理が生命産業といつも言っているわけで、生命産業として、国民生活にとりましては最も基礎的な物資であります食糧の供給を初め、あるいは国土、自然環境の保全等、極めて重要な役割を発揮しております。さらに、地域社会におきます就業機会の提供など、地域経済社会の健全な発展を図る上でも重要でございます。
 このような農業の重要性、特殊性にかんがみまして、総理は、五月二十四日の本会議におきまして、行動計画における農業の取り扱いについては、国際的に説明できるものでなければならないが、国民生活あるいは国民経済における役目等々も十分考えて、その特殊性に留意しつつ行うべきものであると考えている旨答弁されたところでございます。
#310
○下田京子君 大臣、今の発言は矛盾した部分もありますが、それはおいといて、お尋ねしたい点は、農産物は一体例外なのか自由なのかというふうな点なんです。総理の発言は、政府・与党対外経済対策推進本部で決定いたしましたアクション・プログラムの策定要領の基本原則である「原則自由、例外制限」の「例外」に農産物は当てはまるとは言っていませんね。つまり、農産物の特殊性に配慮するとか農産物だけ突出させない、こういうふうには言っているんですけれども、やはり農産物も原則自由というふうに言われているんだと思うんですが、どうですか。
#311
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 農業については、先生御存じのとおりでございますが、諸外国においても各種の国境措置を講じており、ガット上も一定の輸入制限を認められております。そんなことで、農業については個々の産品ごとの事情により例外として掲げられている基準のいずれか、または複数の基準に該当するものが多いと考えております。このような農業の役割を理解し、今後の具体的取り扱いについては個別に検討してまいりたい、実はこう考えております。
#312
○下田京子君 個別検討は当然だと思うんですけれども、私が伺いましたのは、今、政府が与党と一体になってやった農産物は、原則自由なのか例外なのか、このことについてお答えになっていないわけですね。実は、副本部長であります河本大臣がこのように言っておりますよね。推進本部の決定の方向は、農産物の中にも国際的に当然例外
措置をとるべきだという品目がある、しかし、農産物の全部が例外の対象になるわけではない、例外を設けようとすればそれなりの理由がなければならない、こういう趣旨で合意されているというふうに明確に述べているわけです。ですから、農産物も原則としては自由だ、いわゆる例外的に制限を設けるものもあるということで言っているわけですよ。さらに策定要領では、「自由化に時間がかかる分野や国内調整に困難性があるものについては、国際社会において十分納得されうる明確な理由を示すとともに、これらについても段階的に実施を図る。」となっている。例外制限されたものについても国際社会に十分納得され得る明確な理由を示すことが必要で、かつこれも段階的には自由化するというふうに言っているわけなんですよ。そういうことですか、大臣も。
#313
○政府委員(後藤康夫君) 先ほど大臣がお答えになりましたことを若干敷衍して申し上げたいと思いますが、農業というものが原則がすべて貿易の制限であり、例外的に自由なんだというふうには私必ずしも言い切れないと思います。現に、農林水産物の中でも関税が無税でかつ自由化されているものも相当数あるわけでございます。
 ただ、大臣が今おっしゃいましたように、今制限のありますような品目につきましては、これまでもたび重なる国際交渉の中でもそのような制限を残してまいったわけでございますから、国家の食糧供給の安全保障でございますとか国土自然環境の保全とか、そういうものに関係をしてそういう制限が残っているものが多い。これについては、我が国が現在大変大きな貿易黒字を抱えておりまして、諸外国からのいろいろな市場開放の要請を受けておりますので、そういうものについて諸外国にも十分説明できるようないわば点検作業というものをやってほしい、こういうのが推進本部の御要請だというふうに私理解をいたしております。
#314
○下田京子君 今の、理解しているかどうかという局長の話を聞いているんではなくて、実際に本部長、副本部長が、農産物も原則自由なんだ、例外的に制限するものもあるけれども、それはいろいろ説明のつくものじゃなきゃだめなんだよ、それもやがては段階的に自由化するんだというふうに言っているんですよね。そこがやっぱり大変なことだと思うんです。それはどうなのかと聞いているわけです。
 さらにお尋ねしたいのは、藤尾政調会長が、骨なし鶏肉の関税引き下げが必要だということでこれも発言されているわけですが、十七日の政府・与党の推進本部の会議の席上で、骨なし鶏肉は日本に対する要請のうち象徴のようなもので関税引き下げをやらなければならない、こういうふうに発言したと。その際に大臣は、この藤尾さんの発言に対しまして、鹿児島でもブロイラー処理場に三万人の婦人が働いている、少し雇用面の配慮が足りないんじゃないかというふうに批判したというふうに聞いているわけなんですが、その辺の事実関係はどうなんですか。
#315
○国務大臣(佐藤守良君) 今のは、藤尾政調会長が東南アジア訪問を終えて帰っての御報告をお聞きしたわけで、そのときは、ただ私お話を聞いただけでございます。恐らくそれは、済んだ後の記者会見で質問があって、特に私が、例えば鹿児島などでは三万人の御婦人が働いておられますし、岩手ではやっぱり二万八千人、そういう雇用の問題をどうするかという話をしたということで、やや事実関係を混同されていると思います。
#316
○下田京子君 直接藤尾政調会長には言わなかったけれども、大臣の気持ちというのはこうなんだということで記者会見で説明された。そこに大臣のお考えは出ているわけなんですが、ただ、大臣も今回の推進本部のメンバーではありますけれども、藤尾政調会長も与党の推進本部のメンバーでございますよね。しかも、副本部長ですよね。そういう点からいきますと、この発言の持つ意味というのは大変重大なんですね。それから渡辺幹事長代理も同じようなことを言っていますよね。二十六日ですか、日本の置かれた国際的な環境を考えればバナナや骨なし鶏肉の関税は多少引き下げなきゃならない、こういうふうに発言している。ただこれは、タイ国の鶏肉関税引き下げの背景というものには、さっきASEANなんかとの友好関係を大切にしたい、だから苦慮している、胸と頭と両方痛めていると、こんな話がありました。私は、この胸と頭を痛めていると、大いに痛めていただきたいと思うんですよね。
 なぜならば、私は以前にも質問いたしましたけれども、タイ国の鶏肉というのは、現地に進出した合弁企業は日本商社等であるわけですね。これは畜産局長もお認めになっていますが、そういう商社やブロイラー関係企業が介在しているわけですよね。しかも、国内にあってどうかといいますと、商社のインテグレーションによります支配がどんどんどんどん進んでおりまして生産過剰が深刻化している、ブロイラー生産農家も大変な苦境に立たされている、ですから苦慮しているということになるわけだと思うんですけれども、苦慮して本当に胸を痛めたならば、関税引き下げなんというものはもうできる状況じゃないと、私ははっきり言えると思うんですよ。
 この点を無視して関税引き下げ発言を繰り返しているということは、やっぱり世論づくりになっていくと。そして、この問題が出た時点では、大臣は明確に、私は絶対にそれは許さぬ、こう言っていたのが、今苦慮している、こうなってくるわけですから、やはり大変な役割を果たすものだなというふうに思うわけで、そういう市場開放のための舞台づくりの役割を果たされているという点での位置づけを明確にして、きちっとした対応をしなきゃならないと思うわけで、大臣の決意を聞かしてください。
#317
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 藤尾政調会長の骨なし鶏肉の問題は、よくお話ししました。十分話しております。それから渡辺美智雄先生には、よく理解していただいております。渡辺美智雄幹事長代理も、日本の置かれた立場と認識から話しておるということでございます。けれども、実によく理解し、しかも、私の先輩の農林水産大臣ということで大いにやっているということでございます。
 そんなことでございまして、私はいつも考えは変わっておりませんというようなことで、最初申したとおりの考え方で最後まで頑張りたいと、このように考えております。よろしくお願いします。
#318
○下田京子君 大臣は大変人がいいのか、具体的に自分たちの閣僚や何かのお名前に触れるときには決して御批判をされませんで、それはそれとして理解しつつも、私はこうなんだと、こうお述べになっているわけです。私はこうなんだという農水大臣としての責任というものが、今、歴史的に非常に問われている。しかも、ASEANとの友好関係云々だと言われておりますけれども、むしろ国内からそういう声が上がっているということが大変問題だということを私は指摘しておきます。
 それから、米紙の報道によりますと、アメリカの商務省が、カナダからの豚あるいは豚肉の輸入により価格が低落してアメリカ国内の生産者が痛手を受けているとして、カナダからの輸入に一八%の関税を課すというふうになったという、そういう話を聞いているんですけれども、この事実関係は御存じでしょうか。
#319
○政府委員(野明宏至君) その点につきましては、私ども事実を確認いたしておるわけじゃございません。ただ、報道と申しますか、通信社から入ってまいります報道の中で、最近のドル高相場を受けてこのところアメリカの食肉輸入が急増しておるというふうなことがあるようでございまして、カナダからの輸入もふえておる、そういうものに対応して商務省がカナダ産の豚につきまして、この報道によりますとポンド当たり三・九セントの関税賦課を仮決定しているということが手元に入っております。これについては、まだ正確な事実は確認されておらないということでございます。
#320
○下田京子君 報道された事実をつかんでいるということなんですが、言ってみればその事実関係などにもやっぱり関心を持ってお調べいただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、アメリカというところは日本に最も執拗に農産物の市場開放を迫っておりますけれども、いざ国内になりますと、自国の農業を守るということで保護政策をとことんとっているわけですね。自国の農業を守るということは、その国の独立にもかかわるやっぱり重大事だというふうに思います。自給率もこれ以上の低下を招いてはいけませんし、そういう意味では、私はむしろ総理が市場開放を積極的にやらぬものは日本の命運を云々なんておっしゃいましたけれども、逆にこれ以上の自給率低下ということは日本の運命を左右する大変なものだということを指摘しておきます。
 そこで大臣、いろいろ私お出ししますけれども、「今週の日本」という新聞があるんですよね。これはどこで出しているかといいますと、総理府が出しているんです。これは五月二十日付のものなんですけれども、「貿易の拡大均衡へ」ということで「新局面を開く対外経済対策」ということでいろいろ詳しく図入りで述べております。総理府の広報室が編集しているわけで、こういう「重要な市場開放についての行動計画」だとか「輸入をふやし不均衡改善」をなどというふうなことでいろいろお述べになっているんですけれども、私はここで申し上げたいのは、国内の農業保護の必要性ということは一言も触れてないということです。そういう点で農水省としての立場も、ぜひこの総理府編集の「今週の日本」等を通じて私はやっぱり今、国民にアピールしていくということも大事なんじゃないかと思うんです。いかがですか。
#321
○国務大臣(佐藤守良君) 大変申しわけないですが、「今週の日本」をまだ詳しくは見てないものですから、よく見まして検討したいと思っております。
#322
○下田京子君 農業の必要性を皆さんに知っていただくという意欲ありというふうに受けとめさしていただきます。具体的な対応を期待いたします。
 次に、製品輸入の問題なんですけれども、田中官房長にお尋ねいたします。
 市場アクセスの改善という格好でもって総理がさらに積極的に推進しているのが、外国製品の購入運動であることはもう言うまでもありません。官房長にお尋ねしたいんですけれども、この外国製品購入について率直な私気持ちをお述べになったんだと思うんですよ。お昼のときにそばと卵を食べられて、そばも輸入品だし、卵も、そのえさも輸入物だ、これで十分だというような発言をされたというふうに聞いているんです。恐らくいろいろまだあったんじゃないかと思うんですけれども、私はそのとおりだと思うんですよ。食卓にこれほど外国製品が入り込んでいるという国は、先進国の中で私、日本以外にないと思うんです。大臣も今うなずかれましたけれども、これは事実ですよね。自給率が低いんですから、この点は、もうこれ以上農産物の輸入というのはできないんだというような気持ちを言われた官房長の気持ちというのは私大事にしたいんですが、国会でどういう御答弁をいただけるのか、お聞かせください。
#323
○政府委員(田中宏尚君) 対外対策の一環であります輸入促進でございますとか、特に外国産品の政府調達、こういうものについていろいろ新聞記者から御質問がありまして、その中で特に食管物資でございます小麦について、もっと買うことが赤字対策として一番的確じゃないかというふうな御質問が新聞記者からございましたので、現在置かれている日本の農業の自給率なり、そういう状況につきまして、身近なそばと卵という、たまたまその日、昼に食いましたものを引用いたしまして、日本の農業の置かれております厳しい状況というものを率直に記者に説明したということでございます。
#324
○下田京子君 私はそれが実感だと思うんですよね。国民の意識がどうかということで、これは五日二十七日付の朝日新聞で、中曽根総理が外国製品を一人当たり二万五千円買うようにと勧めたということについてどう思うのかということで世論調査を進めた。それによりますと、そんな余裕がないと答えられた人が三四%でしょう。首相が外国製品を勧めるのはおかしい、こう答えた人が三三%。できるだけ協力するというお答えはわずかに一二%なんです。ここに、国民の気持ちが率直に私は示されていると思うんです。生活実感なんです。大臣はどう思いますか。
#325
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。
 今、官房長が答えたわけですが、実は私、総理が百ドルを買いなさいと言ったときに、総理の立場はそう言わざるを得ないと思いました。通産省も立場上そう言わざるを得ない。ただ私は百ドルを一ドルも買わなかった。と申しますのは、やっぱり外国の物は高くて悪いと思います。そんなことで、実は昨年海外に行ったときに、ちょっと買い物をしまして、百ドル分は買っているということもございました。実は私、もし百ドルあれば、これは絹の洋服ですが、国産を買って頑張りたいということでございますから、御理解と御協力をよろしくお願いします。
#326
○下田京子君 今の百ドルの問題なんですが、通産省が百ドルのイメージということでそのお勧め品を出しているのを大臣、御存じですか。通産省は、この外国製品百ドルイメージということでお勧めしているその中に、好きなものを選んで夢を描いてみませんかということで紳士物にはウイスキー、たばこ、ライター、ネクタイ、ダイアリーノート、それから女性のおしゃれにはブローチ、口紅、マニキュア、スカーフ、ジャージーの手袋、それぞれトータルで約百ドル、こうなっています。
 私はここで言いたいのは、外国たばこのお勧めは、大幅に減反を強いられている国内の葉たばこ農民ともうもろにぶつかる。どう考えているんだろう。それからネクタイやスカーフにしても、外国絹製品の輸入増の中で繭減産を余儀なくされている国内の養蚕農家のことを考えたら、今、大臣、私は百ドルで絹を云々で国内の物を買いたい、御理解をと言いましたが、私は逆に政府、皆さんに御理解いただきたいと、こう思うわけで、私に言う前にその政府・与党の対策会議の中でもっとしっかり大臣に言っていただきたいと思うんですよ。特に家庭の団らんにというところでは、ワイン、チーズ、チョコレート、ジャム、それからフォンデュセットにパンかごということがメニューで出されているんですけれども、チーズの場合に、国内のプロセスチーズにしても、その原料はほとんどもうナチュラルチーズという格好で輸入してきているわけでしょう。そういう点で、これは大変やっぱりいろいろ問題がある。
 しかも、メニューの紹介だけじゃないんですよね。輸入商社やスーパー、デパートなどの販売業者に要請という名の指導をしているわけです。その中には、絹製品の団体にまで輸入促進の協力を要請している。ここまで来ますと、一体何なんだろうかというふうに思いますし、大体農水省の方針に反すると思うんです。その辺は、きちっと総理に私話されているんだろうかと思うんですけれども、どうなんですか。
#327
○政府委員(田中宏尚君) 推進につきましては、それぞれ嗜好品的なものもございますし、それから生活の潤いでございますとか、いろんなことでそれぞれ消費者が選択すべきものでございまして、我々としてとやかく言うべきことではないと思っております。
 それで、絹でございますとか酪農製品でございますとか、こういうものにつきましては、我々としても需要拡大ということに精いっぱい努力しておりますので、そういう努力は今後とも続けていきたいと考えております。
#328
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 今、総理も非常に絹の洋服に熱心で、私が勧めた絹の洋服を何着かつくって着てもらっております。それから閣僚も皆、国産洋服で頑張っていただいております。
#329
○下田京子君 いや、総理が絹のことで熱心だと言いますけれども、総理は、皮肉じゃないですけれども養蚕県で一、二位のところにいて、この前お買い物に行って買ってきたのがネクタイだと、何と見てみたらフランス製のネクタイだった。これはやっぱり本気になって考えていないと私は言いたいです。
 それから次に、単に宣伝だとか指導だけじゃないんですね。財政だとか金融面でも輸入促進のための積極的なバックアップをしているという問題なんです。日本輸出入銀行の製品輸入金融の貸付金利、去る四月九日、改正前の七・二から七・五五を、七・一%に引き下げる。さらに、貿易摩擦関連品目は〇・三%引き下げて六・八%にするということをお決めになっていますね。ただ、この貿易摩擦関連品目については一体何なのかということで、まだ対象品目は決まっていないということでございますけれども、こういう格好で四月九日に決定した市場開放の四項目の中では木材製品が対象となる可能性というのは大きいわけですよ。農水省は通産省から、こういった問題について協議があるのでしょうか。
#330
○政府委員(後藤康夫君) 品目を指定するというような場合におきまして、農林水産省に関連のある品目については協議があるものと考えております。
#331
○下田京子君 実際に御相談のあったときには、どういう対応をされるのでしょう。特に農業者の皆さん方にどう説明されるのでしょう。つまりどういうことかといいますと、つい先般、農林漁業金融公庫の金利を財政が大変だということを理由にいたしまして引き上げたばかりですよね。そういう一方で、農林水産物関連品目の輸入促進のために輸銀の金利が引き下げられる、こういうことになりましたときに、農家は納得できますでしょうか。
#332
○政府委員(後藤康夫君) 協議がありました場合には、その当該品目の国内需給事情、その他私どもとしての判断をして御返事をしたいと思っております。
#333
○下田京子君 大臣。
#334
○国務大臣(佐藤守良君) 局長の答弁したとおりでございます。
#335
○下田京子君 大臣、局長の答弁と同じというよりも、むしろ大臣がやっぱり農政の責任者なんですから、さらに積極的に農民のお気持ちを察して、そして本当に通産等やなんかに対応していただくというお気持ちを聞きたかったと思いますが、そのことはやってくださるだろう。ただし、言っても、結果としてどんどん押し切られてきているというのが今の実態であることも指摘しておきます。ただ、私は絶対こういったことは容認できないということもまた申し上げます。
 そこで、日ソのサケ・マス交渉問題についてお聞きします。先ほども他の委員から御質問がありまして詳しいことは聞きました。日本時間の四時からカメンツェフ漁業相と佐野水産庁長官がお会いになっている。そして、かねてより問題となっておりましたクォータ、協力金あるいは漁場転換など最後の詰めに入られている。かなり粘り強く交渉されていることはよくわかるわけです。
 ただ、ことで申し上げたいのは、漁業者の方は五月一日出漁というのを延ばしに延ばしてきたわけでしょう。私、先般行われました危機突破大会にも参加いたしました。そこで、急遽現場で働く者だということで、皆さんの御了解を得て漁労長が発言されたんです。その発言というのは、海の男が陸で一体何ができるんだ、我々は許されるなら今すぐにでもとも綱振り切って海に出ていきたい気持ちだ、こういうふうに訴えておりました。それから北海道でもその他の府県でも、私の地元、福島のいわき市でも、市民ぐるみで危機突破大会が開かれております。
 一日も早い操業開始を訴えているわけですが、同時にもうここに参りますと、きょう三十日、すると、どんなに早くても六月に入っていく。そうなりますと、どこが大きな影響を受けるかといいますと、太平洋中型流し網だとか、あるいは小型流し網、これが一カ月の漁期のおくれとなりまして、どんどんサケが北上していくために漁獲実績が十分上がらないということはもうはっきりしていると思うのですよ。ですから、昨年は九日間おくれただけでもどのくらいの被害が出たかと言えば、小型サケ・マスの場合で一隻当たり約一千万円の赤字が出たというふうに聞いておりますが、一カ月おくれということになりますと、これはまた大変な私は赤字になると思うのです。その辺のことはどうお考えになっておりますか。
#336
○政府委員(斉藤達夫君) 日ソ交渉最後の詰めに入っておるわけでございますが、御指摘のようにほぼ一カ月出漁がおくれておるわけでございます。
 このことによってどれだけ漁獲に影響が出るかといいますのは、年によりまして漁況、海況というのはかなり変わっておりまして、特にことし沖合いの状況を調べてみますと、サケがよく好んで住みます五度から十度の水温帯というのが最近二、三年と比べますとかなりまだ南にある。それから、先日の台風もそういう傾向に幸いなことに役に立ったというようなこともございます。交渉の結果、どれだけ割当がとれるか、それからまた漁況、海況がどうなるかといったようなことを検討した上で、今御指摘のような問題は検討さしていただきたいと思うわけでございます。
#337
○下田京子君 交渉中であるし、さっきもお話を伺っていますから、具体的な救済の中身はどうのこうのまで立ち入った御答弁は今いただけないということは承知しておりますが、ただ私はここで一つの例として申し上げたいのは、二百海里時代に突入した五十二年、五十三年にも出漁が大変おくれたことはございましたね。その際には、五十二年のときですか、これは五月二十四日までおくれたわけです。減船が実施されましたわけですけれども、政府交付金とそれから公庫等の融資を実施しておるわけです。そういう点からいきましても、ことし既に着業資金が四十一億だとか、あるいは長期資金が本年だけでも償還額合計で百九十一億円になっているというような大変な実情というものはよく理解されていると思うので、その辺をよく考えた上で、いわゆる検討という名に値する対策を考えていただきたい。これは大臣にお答えいただきたい。
#338
○国務大臣(佐藤守良君) 先ほど斉藤次長のお答えしたとおりでございますが、今後出漁のおくれに伴いどのような影響があるかについては、毎年の漁獲とかサケ・マス実態交渉の妥結内容あるいは漁・海況等に大きく左右されるものでありますから、政府としては、今後とも今おっしゃったような点を踏まえましてこうした影響を見きわめた上で検討してまいりたい、こう思っております。
#339
○喜屋武眞榮君 結論を先に申し上げますと、まず現在の日本農業は急速な変貌の過程にある、こう私は考えております。その背景は何かと申しますと、こういう事柄であります。
 まず、昭和三十五年と昭和五十八年、この推移を見ますと、農家戸数減少が百五十三万。昭和三十五年には約六百五万戸、五十八年には約四百五十二万戸。百五十三万戸減っておりますね。しかも、その減っておる中身には、分析しますと、専業農家が三四・三%から一三・二%に落ち込んでおる。それから第二種の兼業農家が三二%から七〇%にふくれ上がっておる。この中身であります。
 次には、この農業就業人口の推移を見ますと、昭和三十五年には約千四百五十四万人、それが五十八年度には六百四十六万人、八百八万人の落ち込み、減少ということになっておりますね。次には、耕地面積の面から見ますというと、三十五年は六百七万ヘクタール、それが五十八年には五百四十一万ヘクタールに縮小しています。それから作付延べ面積からしますと、八百十五万ヘクタールから五百五十九万ヘクタールに落ち込んでおる。それから耕地利用率の面からしますと、三十五年は一三四・三%が五十七年には一〇〇・三%に落ち込んでおる。それから輸入量の特に穀類は四百五十万トンから二千四百九十二万トン、五・
五倍に輸入穀類がはね上がっておる。豆類が百十八万トンから四百六十五万トン、三・九倍と、このような推移をたどっておりますね。それから食用農産物の総合自給率を見ますというと、三十五年が九一%から、これは五十七年でありますが七一%に落ち込んでおる。それから主食用の穀類の自給率が九〇%から六五%に落ち込んでおる。それから穀物のいわゆる食用と飼料用の自給率を合わせると、八三%から三一%に落ち込んでおりますね。
 このような推移からしますと、私はこういうことが言えるのではないかと思います。
 以上の事実に見られるように、農業基本法の農政が当初期待したほどこの推移からしましても農業の近代化が進んでおらない。そして、大規模で強力な経営者層の形成も進んでおらない。全体としては、日本農業の特徴である経営規模の零細性に基本的に変貌しつつある、変わってきておる。しかも、総農家数の七〇%余りが第二種兼業農家であるという事実を示しておるわけですね。こういうことから、専業農家の中でも農業者の老齢化傾向が進んできておる。全般的にこのような農業経営主体の弱体化が顕著にあらわれてきておると、こう私は評価するわけであります。
 そうしますと、その前提を踏まえてさらにもう一つ申し上げてみたいのは、日本人のカロリー摂取量の面から分析してみた場合に、御承知と思いますが、終戦後の日本人のカロリー摂取量は千二百カロリーだったと言われておりますね。現在の自給率をカロリーベースで見ると、五〇%程度だと言われております。そうすると、今日、一日二千五百カロリーの約五〇%であるということになります。約半分である。ところが、現実的には、今日日本人の生活は飽食時代であるといろいろな面から云々されておるわけなんですね。給局、自給率では五〇%のカロリーしか与えてないということになっておるのに、飽食ということは、裏を返せば輸入によってそれが補われておるということなんですね。
 そこで、問題は、万一輸入が閉ざされた場合に、あるいは制約を受けた場合に、今までのように安易に輸入に頼っておれないということが当然反省されますね。そこで、政策的にも国内自給を重視しなければいけない根拠はここにあると私は思うんです。そうであればこそ、かつて国会におきましてもその線で決議をしたいきさつもあるわけなんですね。
 ここで、私、大臣に結論を申し上げたいことは、農業の地盤沈下、弱体化が進行しつつあるのではないか、こういった危惧の念を持つわけなんですが、政府はこのような日本農業の将来に本当に希望の持てるビジョンと方策をどうしても立ててもらわなければいけないということになるんですが、その点、大臣にお聞きしたいのです。
#340
○国務大臣(佐藤守良君) 喜屋武先生にお答えいたします。
 我が国農林水産業の現状は、実は先生の御意見と同じでございまして、食糧消費の伸び悩みとか、あるいは農林水産物の価格の低迷、経営規模の拡大の低迷、あるいは労働力の高齢化の進行などの諸問題に直面しております。また、行財政改革の一層の推進が求められておりますとともに、諸外国からの市場開放要求が依然やまないので極めて厳しい状況にあるのは、先生御指摘のとおりでございます。
 こうした中で、我が国農業に明るい展望を切り開いていくためには、いつも実は私言っておりますような生産性の向上を通じまして体質の強化を図るとともに、農山漁村の活性化を進めることが最も重要な課題でございます。
 そんなことで、私は四つの施策を積極的に進めながら明るい展望を開いていきたいと、こう考えております。その一つは、需要の動向に応じました農業生産の再編成、二番目には、自立経営能力のすぐれた中核農家や生産組織の育成、三番目には、農業生産基盤の整備と技術の開発普及、活力ある村づくりの推進、こんなことを中心に積極的に進めていきたい、こんなふうに考えております。
#341
○喜屋武眞榮君 この問題につきましては、なお時間をかけて質問したいこともありますけれども、一応基本的に、だから日本農薬の推移を見た場合に、安易に飽食、飽食と喜んではおれない、どうしても自給向上を根本的に掘り起こして備えなければ大変なことじゃないかと、こういう危惧の念を持つわけでありますが、そういった点から日本農業の将来というものについてのビジョン、方策を打ち立てるべきであると私は思います。
 そこで、農産物の輸入枠の問題が先ほど来のみならずいつも問題になるわけでありますが、この農産物の輸入枠の問題の一つに、今ここではっきりお聞きしたいことは、沖縄のパイナップルのことについてであります。
 承りますと、日本・ASEAN経済閣僚会議が六月の二十七日と二十八日の二日間東京で開かれるようでありますね。それに向けて日本側にASEANから、特にタイを中心とする国から要望が非常に強い。その一つは、関税を引き下げてくれ、そして輸入枠を広げてくれ、さらにそれだけではなく、その要求の強さは自由化を求めておるという、こういう背景がうかがわれるんですね。そうすると、日本政府は、そのような姿勢で要望しておる国に対して関税を引き下げることは、輸入枠をふやすことはやむを得ないという、こういう何か姿勢に立って二十六日までには結論を出して臨むと、こういうことが感ぜられるわけでありますが、非常にこれは重大な問題だと思っておるわけなんです。といいますのは、沖縄の農業形態が今後どのように変わったとしても、基幹作目としてのサトウキビ、パイナップルは消すことはできないと私は思っております。そういった守るべき唯一のとりでであるところのパイナップル産業がつぶれるようなことに、あるいは自滅するような、また減退の方向に行くとするならば、これは重大な問題である、こう思われてならないんです。
 そこで、現地沖縄におきましても、このパイン産業を守っていくために従来にない決意をいたしておるということは大臣もおわかりと思うのでありますが、繰り返すようでありますが、いまだかつてない真剣な態度を持ち合って、寄せ合って生産者代表とパッカー代表がたびたび集まって、沖縄のパイン産業の将来を希望の持てるものにしていくために増産体制で危機打開を詰め合っておるんですね、話し合って、理解し合っておる。具体的に申し上げますと、年間国内需要量が二百四十万ケース、これをまず目標設定しておる。ところが、現状は沖縄側からの生産力はまだそこまではいかないわけなんですが、その二百四十万ケースの内訳として、沖縄側は百万ケース、それから冷凍品が五十万ケース、輸入が九十万ケース、こういう二百四十万ケースという目標を持っておるわけです。その九十万ケースの枠の九〇%はASEAN側から来ておるわけですね。そのASEAN側が今度は輸入を拡大するということになると、これは大変なことになる。しかも、全部取っ払って自由化の方向へ行ってもらいたいという熾烈な願いを持っておるようでありますね。ここに問題がある。
 そこで、パッカーと生産者代表とが結局結論として、年間の原料生産枠を五万トンと再確認しておるんですね。どんなことがあっても五万トンは生産しようということを決議し合っておるんです。そのことが今度は再生産意欲それから価格の安定につながる、こういうことで価格安定に対しても一キロ当たり四十九円、今度一円五十銭アップしまして四十九円になりましたね。しかも、決定額を下限として向こう五カ年間保証するということをパッカー側に生産者側が要望して、よしいこうと、こういうことでパッカー側も紳士的な協定に踏み切っておるわけなんです。このように希望の持てる基幹作目パイン産業を育成していこう、取っ組んでいこうと、こういう矢先に、今言った外国からの枠の拡大とか関税の引き下げとか、こういうことを言われるというと、これはもうまさに冷や水をぶっかけられるようなこういう不安と怒りを持つわけであります。そのことによ
って農家の再生産意欲を刺激して増産を、そしてパッカーは企業経営を計画的に樹立していくということを再確認しておるわけでありますが、このことは、いつも大臣が基本方針として地域農業の振興ということを強調しておられますが、この面からもこれはまさに好ましいことであると思っております。
 そこでお尋ねしたいことは、政府は、このいきさつからも輸入枠を広げていくということは私は考える必要はない、こう思うんですが、大臣の、また政府の見解は、沖縄のパイン産業を育成していくというこの基本姿勢からどのように今の問題を考えておられるか、お聞きしたいと思う。
#342
○政府委員(関谷俊作君) 沖縄のパイン産業は、先生お尋ねのように地域の大変基幹的な産業の一つでございます。
 この五、六年来の生産の推移を見ますと、これはいろいろな原因はあるんでございましょうけれども、栽培農家数、栽培面積、したがいまして生産量は若干減少の経過をたどっておりまして、かつては、五十五年どろには缶詰生産量で百十一万ケースを生産しておったわけですが、五十九年、八十二万ケースというようなことで若干減っておりますので、今お話のございました百万ケース目標、これは私どもよく承知しておりますが、この達成にはよほど努力も必要であるということで、私どもそういう面につきましてはよく関係機関も指導し、また農家、農業団体の一層の御努力をお願いしたいと思っております。
 お尋ねのASEAN諸国からのこの関係の要求につきましては、いろいろございますけれども、やはりお尋ねのパイン缶詰の割り当て量の拡大というところが要求の焦点のようになっているように私ども感じております。ただ、これにつきましては、よく御承知のように、昨年の日米交渉におきまして、五十九、六十、二年間の枠をいわゆる十三品目の一つの交渉として決めておりますし、それからお尋ねの中にるるございましたような沖縄におけるパイン産業の重要性、さらに今後の生産のいわば活性化、こういうことも考えますと、この要求に対しましては私ども、一つは日米交渉の決着の経緯、もう一つは現地におけるパイン産業の振興、この両面を念頭に置きまして、これは十分慎重に対応すべき問題である、かように考えております。
#343
○国務大臣(佐藤守良君) 喜屋武先生にお答えします。
 今、局長の答弁したとおりでございますが、私は沖縄パイナップル産業の重要性を念頭に置きつつ慎重に対処してまいりたい、こう考えております。
#344
○喜屋武眞榮君 次には、お尋ねしたいことはたくさんありますけれども、同じ輸入枠の問題に関連して日本の林業、いわゆる木材ですね、それとの関連において私は日本の木材業あるいは生産、この両者を含めて、統計の示すところ、林家といますか、林業経営の数字を見ますと、五十四年と五十八年の推移は、まず粗収益が年々減少しておる、所得も年々減少しておる、ところが経営費は年々上昇してきておる、この結論は、倒産の実態を裏づけておるわけであります。そして今度は、企業倒産状況も、木材、木製品を取り扱っておる業者を中心として五十九年には企業倒産状況は、負債額一千万円以上として千四十八件、負債額が二千一百三十七億一千二百万円と、こういう数字を示しておるわけなんですね。
 だから、こういった状態の中で、今度はアメリカとの貿易摩擦を解消するということで木材輸入の関税引き下げをアメリカ側から強要されておるようでありますが、外国材輸入、そして関税引き下げと枠を広げた場合に、いよいよ日本の林業はもう守れるはずがない、国内材の値段がさらにはね上がってくることもこれはもう当然である。こういった深刻な実情を、アメリカから関税引き下げだ、枠拡大だということになるというと、それこそもう国内林業も自滅以外にはない、こう思うんですが、この点いかがですか。
#345
○政府委員(田中恒寿君) 先生御指摘になりましたような林業、林産業界の実情は、五十五年以来の長期にわたります木材不況が続いておりますために、まさにそのような状況にあるわけでございます。
 したがいまして、今回四分野の一つといたしまして木材関係の関税を引き下げる方向で取り組むといたしましても、それに先立って十分な林業、林産業の活力回復策をとる必要があるということから現在取り組んでおるわけでございますが、極力、そういう国内林業界への影響につきまして配慮しながら、その対策を推し進める必要があると考えておるところでございます。
#346
○喜屋武眞榮君 次に、文部省中心に聞きたいと思います。
 といいますのは、今のこの話とも関連しまして、自然を守る、森林を守る、山を愛する、こういった愛情は、これは大人にも求めるべき大事なことですが、もっともっと子供のころから育てていくということがなお大事であると私思っております。そういった観点から今日の我が国の教育、そして教科書を見た場合に、義務教育の課程ですね、小学校、中学校を中心とする教科書の中に、子供たちの野生鳥獣の知識とか鳥獣を保護するとか、あるいは自然を保護するとか、そういった心を育てることに結びつく教材がないとは言えぬと思いますが、私の知る限りにおいて少ないんじゃないかと、こう思います。それで、教科書の理科教育あるいは社会教育、国語教育の教科書の中で、今申し上げましたような心を幼いころに育てていくということが非常に大事であると私は思うんです。そうすることによって自然を愛し、生物を愛護し、野生鳥獣に心から親しみを持つ、こういった心情と科学的な知識を育てていく、これが非常に大事であると思うんです。そういう面から教育の中で、そして教科書の中にそれをぜひ積極的に取り上げていただきたい。熱烈な要望と申しますか、その願いを込めてひとつお答えを願いたい。
#347
○説明員(小埜寺直巳君) ただいま先生から御指摘がございましたとおり、子供たちに自然を愛する気持ち、あるいは動物を大事にする気持ちを教えていくことが大変大事なことだと私ども思っております。学校教育におきましてもこの点を大変重視いたしまして、小学校、中学校の理科、社会科の授業を中心にいたしまして自然を愛する豊かな心を培う、あるいは生物を愛護する態度を育てるということを基調といたしました教育が行われている状況でございます。
 教科書の具体的な記述でございますけれども、例えば森林を守るとか、そういった自然を含めた関係の記述でございますけれども、現在、例えば小学校の教科書、社会科五年生でございますけれども、六社ありますが、そのうちの五社が森林の関係の記述をしておりますし、理科につきましては、小学校六年生の教科書すべてについてこのことが記述されているわけでございます。
 これからの問題でございますけれども、先生御存じのとおり、教科書におきましてこの自然保護の関係あるいは動物愛護の関係についてどのように記述するかということにつきましては、基本的には、これは現在の教科書検定制度のもとでは執筆者の執筆方針にゆだねられているところでございますけれども、文部省といたしましてこの検定制度の枠の中でできるだけの努力をいたしたいと思っております。
#348
○委員長(北修二君) 時間が参りました。
#349
○喜屋武眞榮君 時間も迫りましたので、最後になります。
 それは、この日本の森林を守るということと関連して、また沖縄の森林を守る、こういうつながりで問いたいと思いますが、日本列島の山が非常に荒れておる、いわゆる山崩れが激しい、こういうことは皆さん御存じだと思います。ところが、その山をつぶさに見るというと、杉山が一〇〇%つぶれておる。これは針葉樹の山ですね。ところが広葉樹の山、ナラ、クヌギ、この山は崩れがほとんどないと言われておるんですね。
#350
○委員長(北修二君) 喜屋武君、時間が過ぎてお
ります。
#351
○喜屋武眞榮君 そういうことで、時間が迫ったようでありますので、結論は、広葉樹と針葉樹の植樹ということに対して検討する、見直す必要があると思うんですが、そのことに対する見解を求めて終わります。
#352
○委員長(北修二君) 田中長官、簡潔に。
#353
○政府委員(田中恒寿君) 森林の広範な公益的機能を発揮させるには、広葉樹施業とか、複層林あるいは天然林施業等が効果的だと思いますので、適地適木に徹しまして、そのような方向で進めてまいりたいと思っております。
    ─────────────
#354
○委員長(北修二君) 日ソ漁業交渉について佐藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤農林水産大臣。
#355
○国務大臣(佐藤守良君) 去る五月十三日よりモスクワで行われていました第一回日ソ漁業合同委員会において、本年の我が国の北洋サケ・マス漁業の操業条件等を協議しておりましたが、ただいま連絡がございまして、日ソ間で大筋の合意が得られました。
 その概要は、クォータについては三万七千六百トン、協力金については四十二億五千万円、漁場転換については今回実現しなかったが、本年秋に科学者会議を開いて改めて協議する等であります。
 大要、以上の内容で大筋合意されたわけでありますが、なお細部の詰めが残っており、議事録の署名は明日になると思われますが、六月一日から出漁できるようにするため、最大限の努力を行っているところでございます。
 クォータにつきましては、本年の漁期が一カ月経過したことを考慮すれば、まずまずの量が確保できたものと考えております。協力金につきましては、ソ連側の多額の要求を抑え、我が国サケ・マス漁業者が負担できるぎりぎりの額とすることができたと考えております。
 今次交渉は、母川国主義を基本的に認めた新しい日ソ漁業協力協定下における初めての交渉であり、大変厳しいものでありました。大詰めを迎えた昨夜、私がアブラシモフ駐日ソ連大使を招致し、ソ連に最後の協力を要請するとともに、現地においても佐野水産庁長官をしてカメンツェフ漁業大臣に要請を行わせしめたところであります。
 いずれにいたしましても、佐野水産庁長官、中島海洋漁業部長を初め、日本側代表団の最大の努力を多とするものでございます。
 どうもありがとうございました。
    ─────────────
#356
○委員長(北修二君) この際、本調査のうち、農林水産物の市場開放問題に関する件を議題といたします。
 村沢君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。村沢君。
#357
○村沢牧君 私は、この際、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び二院クラブ・革新共闘の六派共同提案に係る農林水産物の市場開放問題に関する決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    農林水産物の市場開放問題に関する決議(案)
  最近における我が国の農林水産業は、主要農産物の需給不均衡の拡大、農業所得の低迷、木材需要の減退等に伴う林業の不振、二百海里規制の強化等による漁業経営の悪化等深刻な事態に直面しており、関係者は、ひとしくその打開に苦慮しているところである。
  一方、諸外国からは、我が国の貿易黒字の拡大を契機として、農林水産物に対する市場開放要求が一層強まっている。
  よって、政府は、市場開放問題の処理に当たっては、我が国の農林水産業を取りまく状況について、諸外国の十分な認識を得るよう一層努めるとともに、既に深刻な事態にある我が国の農林水産業に決定的な打撃を与えひいては食料安全保障等の面で国民生活にも多大の悪影響を及ぼすことのないよう万遺憾なきを期し、去る第九十一回国会の「食糧自給力強化に関する決議」及び第九十六回国会の当委員会における「農畜水産物の輸入自由化反対に関する決議」の趣旨に則り、農林水産業者に一方的な犠牲を強いることのないよう対処すべきである。
  右決議する。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#358
○委員長(北修二君) ただいまの村沢君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#359
○委員長(北修二君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、佐藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。佐藤農林水産大臣。
#360
○国務大臣(佐藤守良君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨を体しまして今後鋭意努力いたしてまいります。
#361
○委員長(北修二君) 本調査につきましては、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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