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1984/06/04 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 農林水産委員会 第20号
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1984/06/04 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 農林水産委員会 第20号

#1
第102回国会 農林水産委員会 第20号
昭和六十年六月四日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     志村 哲良君     小林 国司君
 六月三日
    辞任         補欠選任
     塩出 啓典君     中西 珠子君
 六月四日
    辞任         補欠選任
     中西 珠子君     塩出 啓典君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         北  修二君
    理 事
                高木 正明君
                谷川 寛三君
                最上  進君
                村沢  牧君
                藤原 房雄君
    委 員
                岩崎 純三君
                浦田  勝君
                大城 眞順君
                岡部 三郎君
                熊谷太三郎君
                小林 国司君
                坂元 親男君
                竹山  裕君
                初村滝一郎君
                星  長治君
                水谷  力君
                稲村 稔夫君
                菅野 久光君
                山田  譲君
                刈田 貞子君
                下田 京子君
                田渕 哲也君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農林水産大臣   佐藤 守良君
   政府委員
       農林水産大臣官
       房長       田中 宏尚君
       農林水産省構造
       改善局長     井上 喜一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        安達  正君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(北修二君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る五月三十日、志村哲良君が委員を辞任され、その補欠として小林国司君が選任されました。
 また、昨日、塩出啓典君が委員を辞任され、その補欠として中西珠子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(北修二君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○山田譲君 農業者年金基金法の改正案についての審議に入る前に、それと関係があるわけなんですが、どうしてもこれは大臣に聞いておきたいということがありますので、明快な御答弁をまずお伺いしておきたいというふうに思うわけであります。
 農業基本法が制定されてからもう二十五年もたっているわけでありますけれども、当然その法律は、日本の農業構造を改善していこうということを考えてあの法律をつくってあるというふうに思うわけでありますけれども、その線で政府としても相当の努力をされてきたと思います。ところが、実際を見ますと、必ずしも農業基本法が考えているような農業改善が進んでおらないというふうに私ども考えるわけでありますけれども、それについて大臣のお考え、つまりどういう努力をしてきたか、現状はそのとおりいっているのか、いっていないのか、まずこの問題。
 それからもう一つは、もし所期の目的がなかなか達成されていないとすると、その原因はどこにあるかという問題。
 それから、それを踏まえて、しからば今後どういうふうな点にどういうふうな努力を傾けていきたいと思うというふうな大臣の決意といいますか、その点をまずお伺いしておきたいと思うわけであります。
#5
○国務大臣(佐藤守良君) 山田先生にお答えいたします。
 実は、先生の御指摘のとおりでございます。そんなことで、農業構造改善事業とか土地改良長期計画に基づくいろんな措置を実施いたしましたけれども、この課題に十分こたえていないというような現状でございます。
 それはなぜか、私は四つの大きな原因があろうかと思っております。その一つは、農地の資産的保有傾向が強まったこと。それから二つ目には、先祖伝来の土地に対する執着から土地を手放すことに抵抗感があること。それから三つ目には、雇用機会の地方分散、交通条件の整備等に伴いまして通勤兼業農家が増加したこと。それから四つ目には、機械化、省力化の進展等により兼業農家が短時間の就業によって稲作を継続することが可能となったこと等によるものと考えております。
 そんなことでございますが、近年、跡取りのない高齢農家の増加とか、あるいは作付規模による生産性格差の拡大、あるいは借地を中心として農地流動化が進展する等の条件がやや熟してきた、このように考えております。そんなことで、従来から借地による規模拡大を含めて農地流動化を促進することとし、農用地利用増進事業を基軸として各種の施策を積極的に実施しておりますが、実績を見てもぼつぼつ一定の成果を上げてきておると考えております。
 そんなことで、今後とも農地流動化等によります中核農家等の規模拡大と農地等の有効利用を促進するとともに、その基礎的条件でございます基盤の整備を行う農業基盤整備事業や、あるいは農業構造改善事業等の諸施策を積極的かつ計画的に推進するとともに、いわゆる借地による経営規模の拡大をしようとする農家に小作料一括前払いのための資金を無利子で貸し付けるとか、あるいはそういう形の経営規模拡大資金を農業改良資金制度に新設する等、農地の流動化と中核農家等の経営規模の拡大を一層促進することと考えております。
#6
○山田譲君 非常に具体的にお示しいただきまして、お考えは一応よくわかりました。この農業者年金基金法も、農業構造改善というふうなことを目指すという点で今のお話と無縁ではないというふうに思うわけであります。
 その次にお伺いしたいのは、しからばそういう
ことをねらった農業者年金基金法が十分な成果が上がったというふうに考えられるか、そしてまた、この法律がなかなか所期の目的がうまく達成されていないというふうに考えられるか、その理由あるいは現状というふうなものについてお伺いしたいと思うんです。
#7
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金制度は、発足いたしまして十四年を経過してきているわけでございまして、農業者年金が当初目的といたしました経営の若返りを通じて経営の近代化なり、あるいは農地保有の合理化を推進していく、そういうことについては一応の成果は上げてきているというふうに考えるわけでございます。
 具体的に申し上げますと、まず経営移譲を主体とする年金でございますので、当然のことといたしまして経営の若返りということが言えるわけでございまして、この点について見ますと、制度の発足前では三十五歳未満に経営を移譲していくのは大体六一・六%でございます。三十五歳から三十九歳が一三・三%、四十歳から四十四歳が一一・二%、四十五歳以上が一四%というような割合になっていたわけでございますが、制度発足後、これは五十一年から五十八年度までをとっておりますが、それを見てみますと、三十五歳未満の経営主は八二・八%、三十五歳から三十九歳が一三・八%、四十歳から四十四歳が二・七%、四十五歳以上が〇・七%、こういうことになっておりまして、若返りの方では相当の効果が出てきているというふうに考えるわけでございます。
 その次に、細分化防止でございます。これは後継者移譲を特に念頭に置いたわけでございますけけれども、これにつきまして面積の面から見てまいりますと、この制度の発足前といいますか、制度がまだ有効に機能する前でございます四十六年から五十年と、それから制度が機能し始めてからの五十一年から五十五年までの対比でございますが、後継者への一括移譲の割合を見てみますと、四十六―五十年が六六・五%、それから五十一年―五十五年が七八・一%というぐあいになっておりまして、一括移譲の割合が高まってきておりまして、細分化防止効果もそれなりに効果を上げているというふうに思うわけでございます。
 それから、直接経営規模拡大に寄与いたします第三者移譲につきまして、これは五十八年の四月から五十九年の三月までを見てみますと、都府県と道南につきましては、譲り受け前の平均面積が一・八五ヘクタール、これが譲り受け後につきましては平均二・四五ヘクタールというふうに規模拡大が見られますし、道北につきましては、譲り受け前の面積の十七・三ヘクタールが譲り受け後平均で二十一・二五ヘクタールと、こういうふうになっているわけでございます。こういうことで、かなり第三者移譲につきましては規模拡大効果が出てきているというふうに見られるわけでございます。
 なお、後継者移譲につきましても細分化防止というのは最低の効果でございまして、それからさらに経営規模を拡大していく、そういうきっかけになったわけでございますが、後継者移譲後の経営面積の動向を見てまいりますと、いずれもこれは規模の拡大傾向が見られるわけでございます。国民年金に加入しております後継者を見ますと、例えば経営移譲を受けた面積が一・五八ヘクタール、これが三年ぐらいたちますと一・七五ヘクタール、あるいは三年から五年ぐらいたちますと一・五四ヘクタールだったものが一・六七ヘクタール、こういうふうに順次経営規模を拡大してきている。つまり、若い経営者によります経営規模の拡大が漸次見られるようになってきているというふうに思うわけでございます。
#8
○山田譲君 おいおいいろいろ御質問していきますから、今、局長のお話をそのまま受け取っておきますけれども、私は局長がおっしゃるようにそんなに物すごい成果がこれによって上がったというふうには考えないわけであります。
 もう一つ非常に問題だと思うのは、農業者年金制度というのは、昭和四十二年ですか、亡くなった佐藤総理が演説の中で、農民にも恩給をというふうなキャッチフレーズでそもそも始まったものであるというふうに聞いているわけです。ところが、それに対して構造改善というふうな内容のものも目的にしようというふうなことで、いわば異質なものを一緒にくっつけてそれで一つの法律をつくり上げていったというふうな感じがしてならないわけです。これはできてしまったことですから仕方ありませんが、内容的にはそういう老後の保障という問題、これは佐藤総理もそこをねらったんだと思いますけれども、それにくっつけてたまたま構造改善というふうなことも中へ入れていった。こういうどちらかというと質の変わったものを一緒の法律でもってやろうというふうに考えたところに、私は非常に大きな問題があろうかというふうに思います。
 ちょっと私もこれは例が悪いけれども考えてみたら、ちょうど一つのおりの中に犬と猿を一緒に入れて、どちらも食わないえさをやっているというふうな感じがしてならないわけですね。ですから、老後保障という面でもどうもぴんとこない、あるいはまた、本当の意味の構造改善のためにもなってきていないというような、犬も猿も両方余り好かないようなえさをくれているところに、私は問題がありはしないかという気がしてならないわけです。だから、一つのおりの中に入れたのはいいけれども、やっぱりぴちっと区別して、犬には犬のえさをやり、猿には猿のえさをやらなきゃ、犬も猿もうれしく思わないというふうなことが、この法律でもちょっと見えるのじゃないかというふうな気がしてならないんですが、まずそこら辺のところをどう思いますか。
#9
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金制度の発足は、御案内のとおり佐藤総理が総選挙のときに農民にも恩給をということを公約されまして、それが発端になりまして発足したものでございます。農林、厚生両省におきまして、この制度をどのように具体化するかにつきましていろいろ検討を行ったわけでございますが、両省とも最終的には現在のような制度の骨子に結論としてたどりついたということでございまして、そういう骨子をもとにして現在の年金制度ができ上がったわけでございます。
 この年金制度の見方につきましては、今指摘をされましたような見方もあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、自営業者等の老後保障といいますのは国民年金で行うというのが原則でございます。そういう制度がありますときに、どのような形で農業者に年金制度をつけていくか、こういうことを考えた制度でございまして、経営移談といいますか、構造政策と老後保障というものを合わせまして一つの制度につくり上げていったということでございます。つまり、経営移譲をするということを老後保障とかみ合わせまして現在の年金制度をつくったということでございます。私は確かに両面の見方があろうかと思いますけれども、やはりこの制度も国民年金の給付と合わせまして老後の保障を図るということと同時に、農業構造の改善を図る政策年金としての役割を高めていくということもできるものと考えておりまして、今後の制度の充実なり運用というのはそういう線に沿って考えていくべきだろうというふうに思うわけでございます。
#10
○山田譲君 老後の保障ということ、これはまさしく佐藤総理が考えられた一番大きな目的であったんじゃないかと思うんですね。それには当然、普通の雇用労働者については厚生年金なり恩給というふうなものがある。それに対して、同じように一生懸命働いておりながら、農民の方にはそれに相当するものが全然ないというふうなことを考えられて恐らく佐藤総理はそう言われたと思うんです。今おっしゃったように、国民年金があるということですけれども、後から話を出しますが、厚生年金や共済組合の年金なんかに比べればまだまだずっと低いわけでありますから、やはり普通の働く労働者並みというふうなことを考えれば、そこに佐藤総理が考えられたような特別な制度を持ってきませんというと農民の老後保障ということではやはり足りなくなる、そういうことだと思
うんですね。ところが、そういう考え方が一本法律の中に貫かれているかというと、私は必ずしも貫かれていない。
 構造改善の方はどうかというと、構造改善がどうしてこの老後保障と結びついたか、その結びつきはよく私にはわからないんですけれども、この面でも、後でまたお話ししますが、不徹底のそしりを免れないというふうに私は思えてならないわけです。
 その一つの一番端的な例として遺族年金、遺族の問題があろうと思うんです。つまり経営移譲したお父さん、お母さんですね、まあお父さんでしょうけれども、お父さんが亡くなって奥さんが残ったというふうな場合に、全然その年金が考慮されてない。今度一時金というふうな非常に消極的な方法でその場をちょっと糊塗しているようですけれども、およそ年金とはほど遠いような待遇を受けているわけですね。そういうところを見ますと、せっかく佐藤総理が農民にも恩給をと言って、当然その陰には本人が亡くなったら奥さんにも保障するんだという気持ちがあったと思います、ほかの雇用労働者、恩給はそうなっているんですから。ところが、全然その考えが取り入れられていない。ですから、お父さんが死んでしまえば、奥さんは一生懸命に農業にいそしんでいた人であっても全然保障がないというふうな形になるんですけれども、そこら辺が私はこの法律が老後の保障という面で一応始まったとはいうものの、非常に不徹底なものになっているんじゃないか。ほかにもそれに相当することはいっぱいありますけれども、それが一番典型的な例として私は言えると思うんですが、その辺どうでしょうか。
#11
○政府委員(井上喜一君) この点につきましては先ほども御答弁申し上げましたが、農業者年金が国民年金の付加年金として制度がつくられているわけでございまして、農業者の配偶者の老後保障というのも国民年金によって行われるというのが原則でございます。したがいまして、農業者年金に遺族年金をさらに組み込んでいくというのは非常に難しい問題でございます。この点につきましては毎回国会の方で議論になるわけでございますけれども、今回の改正法におきましてはこの遺族年金を仕組むということはしなかったわけでございますけれども、農業団体等から強い要請がありました死亡一時金の支給対象を拡大するということで対応したわけでございます。つまり、経営移譲年金を受給いたしました場合には、死亡いたしましても一時金がもらえなかったわけでございますけども、死亡一時金に満たないような経営移譲年金でありました場合にはその差額につきまして遺族に支給する、こういった改正をしたわけでございます。
 いずれにいたしましても、遺族年金といいますか、これにつきましては国民年金でもって対応していくということでございまして、農業者年金においてこういう制度をつくるというのは非常に難しいわけでございます。
#12
○山田譲君 局長が言うように、農民についても国民年金でやるのが建前だというようなことを言い出しますと、そうするとそもそも農業者年金は一体どういう制度かという問題になりますよ。だから、佐藤総理が言われた考えの底には、やはり農業というものは前にもお話があったように非常に大事な産業である。それで、そこで働いている人は、比較的雇用労働者に比べれば恵まれない状況にある。そういうところで孜々営々として働いた人、この老後についての特別な保障ということをやはり佐藤総理は考えられたと思うんですね。ですから、今、局長が言うようなことでいくと、それじゃ農業者年金なんか要らないんじゃないか、国民年金の方を充実していけばそれでいいかという話になってしまう。そうじゃなくて、それにプラスして農業者年金という制度をつくったということには、やはり同じ老後の保障であっても、国民年金プラス一味違った何物かをそこで考えていかなければ、この制度のよって立っている意味がなくなるんじゃないかというふうに思われてならないんですけれども、そこのところはどうですか。
#13
○政府委員(井上喜一君) 確かに農業者年金は老後の保障というのを一つの目的にしているわけでございますけれども、これは経営移譲を通じまして経営の若返りなり農地の細分化防止、さらには経営規模の拡大ということも目的にしているわけでございまして、老後保障と経営移譲ということが密接に絡んでいる年金でございます。
 したがいまして、単に老後の保障だけを考えた年金でないわけでございまして、そういう一定の政策効果を上げつつ、かつ老後を保障していく、こういう制度の仕組みになっておるわけでございまして、老後保障だけを取り出して農業者年金におきまして議論をするというのは、必ずしも適当ではないのではないかというふうに考える次第でございます。
#14
○山田譲君 だから私最初に、例は余りよくないかと思うけれども、猿と犬を一緒のおりの中に入れて、猿も犬も余り好まないえさをやろうとしているということを言ったのはそこなんですよね。一つのおりの中に猿と犬を入れることが間違っていたかもしれないけれども、それはできていることだから仕方がない。やっぱり犬は犬として育てていかなければいけない、猿は猿として育てていかなければならないわけで、だから犬には犬の好むようにものをちゃんとくれなきゃいけないんで、猿と一緒にいるからおまえの食い物は少し我慢しろというふうな言い方はこれはできないはずですよ。だから今の例でいきますと、この話もそうなんで、老後の保障と、それからこっちは構造改善というふうな大事な目的を二つ持っている。持っているということは、何も老後の保障の方をこっちのために犠牲にしていいとか、構造改善の方を老後の保障のために犠牲にしていいとかいう、そういう問題じゃないと思うんですよ。
 今あなたの言っていることを聞いていると、何となく老後の保障もあるけれども構造改善の方もあるんだから、老後の保障だけをやるわけにはいかないというふうな言い方ですけれども、そうじゃなくて、老後の保障の方もちゃんとやり、それから構造改善の方もきちんとやっていくという考えがなければ、この制度の意味がなくなるというふうに私は思うんです。
#15
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金が二つの目的を持っているのは当然のことでございますが、さらに農業者年金が国民年金の付加年金であるという性格があるわけでございます。一般的な老後の保障というのは国民年金で行う、そういうことでございまして、それに付加した年金といたしまして農業者年金があるわけでございます。これらを総合的に勘案をいたしますと、農業者年金の老後保障だけを取り出しまして、それだけを充実していくというのは非常に難しい問題であるということを申し上げているわけでございます。
#16
○山田譲君 私は、それだけをやれと言っているわけじゃないんで、こっちの方もちゃんとやりなさい、こっちの老後保障も老後保障でちゃんとやりなさいということを言っているんですよ。
 今、局長言ったことで気になるのは、この農業者年金制度というのは国民年金の付加であるというふうな、国民年金が主で、それにプラスアルファするのが農業者年金だというふうなことを言ったけれども、これは農業者年金基金法の中にはそんなことは書いてないでしょう。だれがそんなことを決めたんですか。
#17
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金基金法には国民年金の給付とあわせてということを書いておりますので、制度の仕組みといたしましては当然のこととして農業者年金が付加年金になるわけでございます。
#18
○山田譲君 同じことの繰り返しになりますけれども、私はもっともっと老齢者の保護といいますか、こういうことを考えなきゃ、せっかくの佐藤総理がいい考えを打ち出されたその精神を継いだものにならないというふうに思うんです。ですから、どうも局長の答弁を聞いておって気になるのは、何かこの法律は二つ目的があるんだからこっちだけ取り上げてやるわけにいかないというふう
な言い方で、こっちのためにはこっちが犠牲になっても仕方がないんだというふうな言い方は私はどうも気に入らない。やはり両方一緒にやっていくべきである。構造改善を犠牲にしてもならないし、老後の保障ということを犠牲にしてもならない。それをたまたま一緒にあるために、さっきから私が言っているような結果になってしまう。こっちもあるんだからこっちは少し犠牲にしてもしようがないんだというふうな、その考え方はどうしても納得できないわけですが、もう一遍答弁してください。
#19
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金の中の経営移譲年金、農業者の老齢年金が老齢保障の役割を果たしているということはこれは事実でございます。ただ、老後保障につきましては、この農業者年金基金法の第一条にございますように、「国民年金の給付と相まって農業者の老後の生活の安定及び福祉の向上に資するとともに、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与することを目的とする。」というふうに書いてあるわけでございまして、私どもといたしましては構造政策と老後保障との関連はありますものの、さらにそれに加えまして国民年金の給付ということを考えまして、全体といたしまして老後保障ということを考えていくべきだろうというふうに思う次第でございます。
#20
○山田譲君 同じことばかり言っていても仕方がないからこの辺でやめますけれども、私は、少なくとも農水省のお役人なんですから、余り国民年金がどうしたこうしたということは心配しなくていいから、やっぱり農水省の人は農民のために頑張るというぐらいな気概を持ってもらいたい。何か国民年金があるんだから、非常に消極的な考えでもって、多少でも付加してくっつけてやればいいんだというふうなその考えはぜひやめてもらいたい。これはもう農民のためにどうしても必要だということで、これからも頑張っていってもらいたいんですよ。そうしないと、だんだんだんだんこの制度なんというのは薄れていってしまいますよ。ただでさえ黙っていても非常に不安定なところがあることですから、よほど頑張ってくれないと、このせっかくのいい制度がだめになっていってしまう、そういう気がしてならないんです。
 ですから、その一環としてさっきもちょっとお話しいたしましたように、遺族というか、奥さんも真っ黒けになってだんなと一緒に一生懸命働いていて、そのおじいさんが死んでしまったらあとは何にも、一時金が少しもらえるようになったそうだけれども、これだって非常に制限があっての話で大した金額じゃありませんわね。とても奥さんの老後保障なんというところに追っつく代物じゃないんです。ですから、そういうことを全然考慮に入れないというのは、私どうしてもおかしいんじゃないかというふうに思いますが、そこをもう一遍言ってください。しかも、これはもう既に五十六年の当委員会でもっての附帯決議に、第三項ですが、ここではっきりと遺族年金も検討することということが書いてあるわけですよ。どういう検討をなされたか、そこら辺も教えていただきたいと思います。どうしてこれを入れなかったか、そこのところはどうですか。
#21
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金制度が老後保障を全く考えてないということではございませんで、老後保障ということと経営移譲というのを関連づけて制度の中に仕組んでいるわけでございます。
 確かに前回、あるいはその前もそうだと思いますけれども、この参議院の農林水産委員会におきまして附帯決議で遺族年金等について検討をするようにと、こういうのがございますけれども、私どもといたしましてはこれは制度の基本にかかわる問題と考えております。やはり国民年金の付加年金としての性格はあるわけでございます。そういうのを土台にいたしまして、さらに経営移譲との関連も考えて老齢保障を考えていく、そういう枠組みといいますか、基本を崩すことはなかなか難しい、こういうようなことに今回の検討におきましても到達したわけでございまして、私どもといたしましては、繰り返すようでございますけれども、やはり農業者年金制度は国民年金の付加年金とするという、そういう前提の上で経営移譲と老後保障を相互に考えましてバランスのとれました年金制度としていく必要があると、このように考えているわけでございます。
#22
○山田譲君 それじゃ具体的に、今私ちょっと話しましたように、おじいちゃんとおばあちゃんが一生懸命やって真っ黒けになって働いておじいちゃんがぽっくり死んじゃった、その場合に奥さんの保障は一体だれがどういう格好でやるんですか。
#23
○政府委員(井上喜一君) したがいまして、六十五歳未満であります場合には原則的に国民年金の中の遺族年金で対応をすることと思いますし、本人が六十五歳以降になりましたら国民年金からの年金支給が行われる、このように考えるわけでございます。
#24
○山田譲君 それじゃ老齢年金のありがたみは何にもないんじゃないですか。やっぱり農業者年金というものがちゃんとあって、それで少なくとも老後を保障しようというその老後の中には、やっぱり当然それはおじいさんとおばあさんが一緒になって働いているというその実績を考えているわけであって、あなたが言うようなことを言えば、それは厚生省の人はそういうことを言ってもいいけれども、農水省の局長さんとしての言葉とは思えないですな。やっぱり一緒になって努力したおばあちゃんだって見てやろうという気が全然起きないんですか。
#25
○政府委員(井上喜一君) 繰り返すようでございますが、農業者年金は主として経営移譲をいたします場合に経営移譲年金を受ける、あるいは六十五歳以上については加えまして老齢年金を受ける、こういうことによりまして経営の若返りなり、あるいは農地の細分化防止をするということにあわせまして老後保障を行う、こういう目的を持っているわけでございまして、ただ単に老後保障をするということではございませんので、老後保障につきましては国民年金とあわせて考えていく必要がある、そのように考えている次第でございます。
#26
○山田譲君 ただ単にと言うけれども、これは非常に大事なところなんで、だからこれをやってもらわなきゃ、ただ単にと言ったって困るんですよ。だから、経営移譲といったって、それは経営の主体が移るとかなんとかということを言っていますけれども、今はおじいちゃんだといっても、実質的に考えると、場合によってはおばあちゃんの方が一生懸命頑張っている場合もあるかもしれません。その二人一体となって農業経営をやっていた人たちですね。だからそれを全然考えない、あとは国民年金でいいんだというのじゃ、ちょっとこれはどう考えても農業者年金制度の趣旨からいって、あるいは佐藤総理が農民にも恩給をと言ったその言葉からいってもどうも納得できない話なんだけれども、そこら辺どういう検討をなさったか、もう一遍言ってください。
#27
○政府委員(井上喜一君) 答弁を繰り返すようでございますけれども、農業者年金制度の仕組みについてはただいま申し上げたわけでございますけれども、それに年金制度の場合は、一身専属的な権利といいますか権利義務があるわけでございまして、それを飛び越えまして新しい要素を年金の中に持ち込むということはできないわけでございます。
 農業者年金制度につきましては、経営移譲をいたしまして、一定の要件を満たした場合に経営移譲年金等が支給されるわけでございます。この年金制度は、経営主でありますけれども、その本人の一身専属的な権利になるわけでございまして、その配偶者等につきましてはそういった権利義務が及ばない、こういう仕組みになっているわけでございまして、御指摘の老後保障につきましては国民年金で賄うというのが原則になっているわけでございます。
#28
○山田譲君 普通の雇用労働者の場合ですと、これはだんなが勤めに出ていって奥さんが家にいる
と、こういう形ですね。ところが、農業の場合はそうじゃなくて、本当に奥さんとだんなが一緒になって真っ黒になって働いている、こういう姿ですから、労働の実態からいっても、やっぱり雇用労働者とはかなり違うというふうに私は思わざるを得ないと思うんですよね。
 そういうことですから、そういう農業の実態というか、おじいちゃんとおばあちゃんが一緒になってやってきた、こういう実態から考えますと、そのおじいちゃんだけ一身専属でもって、おじいちゃんだけでいいんだというその考え方そのものが、私は農業で実際働いているおじいちゃん、おばあちゃんたちの実態に合わないんじゃないかと思うんですがね。だから、一身専属、一身専属と言わないで、一身同体となっていわば農業経営をやっているこの姿を見ないと、やはり事柄の本質を見失うことになるというふうに思うんです。
 私は、これ以上同じことになりますから言いませんけれども、何としてもやっぱりこれは附帯決議もちゃんとあるんですから、検討の結果、一身専属だからだめだという程度の検討結果ではなくて、もう少しそういう農業の実態を考えた上での何と言うんですか、検討の結果をぜひともこれからも続けていっていただきたいと、そういうふうにお願いをするところであります。
 たまたま今、奥さんの年金という問題がありましたけれども、今言ったような農業労働の実態を考えて、やはり農村の婦人にも加入できる――加入できるんでしょうけれども、非常に数が少ないと思うんですね。だから、こういうことについてどういうふうに考えていらっしゃるか、農業のおばあちゃんの方には遺族年金が出ないということになると、せめてそっちの方でもって考えていかざるを得ないと思うんですが、それについてどういう方法を考えておられるか、教えてください。
#29
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金が、経営移譲を通じまして所定の構造政策追求の目的を持っているわけでございますので、どうしても農業者年金の加入資格を持つ者は経営主になるわけでございます。経営主は、当然のこととして農地の所有権なり、あるいは使用収益権を持っている者でございます。あるいはその後継者などが対象になっているわけでございます。したがいまして、こういう経営主でありますればそれは男女を問わないわけでございますけれども、こういう権利を持たない者につきましては、たとえ農業労働に従事をしておりましても加入資格がないということになるわけでございます。
 農業者年金制度の加入の状況を見ますと、婦人の加入も五十九年の三月現在で三万六千九百五十三名ということで、全体の加入者総数の四%を占めております。また、婦人の経営移譲年金の受給権者の数、つまり年金を現に受けておる人とほぼ一致するわけでありますが、五十九年の三月で二万八千三百十六名というふうになってきております。こういう婦人の場合は、本当の意味の何といいますか、経営主というような場合もありましょうが、兼業農家の場合に、夫が厚生年金などに加入をしております場合に、その妻が夫から使用収益権を設定されまして妻が農業経営をやっている、こういう場合に農業者年金に加入する道が開かれているわけでございまして、こういう婦人の加入者の数がただいま申し上げた数になっているわけでございます。
 先生の御指摘は、そういう地権者でなくても実際に労働をしている、働いている婦人の場合は加入さすべきじゃないか、こういう御質問かと思いますけれども、農業者年金の制度、つまり経営移譲というのを主要なメルクマールにいたしておりますので、農地等に対する所有権なり、あるいは使用収益権を持つ、それを移転させる、それを移動させるということを経営移譲のメルクマールとしてとる以上、どうしてもそういう権利を持たない人を加入者として認めるわけにはまいらないわけでございます。
#30
○山田譲君 そういう実態が農業労働の実態からしてみて、奥さんも一生懸命だんなと働いている、こういうふうな場合に、形式的な農業経営主ということになればそれはだんなの方だということはわかりますが、私はこれから形式的なことを言おうとしているわけですが、奥さんにもそういう農業者年金の恩恵に形式的にもあずかることができるような方法というもの、方法というか、そういうことをやはりもっともっと積極的に考えていっていいんじゃないかというふうに思うんです。今、三万そこらというのは非常に少ない数ですね。ですから、これをもっと多くするようなことをすると婦人にも魅力が出てくる。法律的には婦人だって入れるということになっているけれどもね。
 そこで、私が農水省にお伺いしたいのは、私はそれはおかしいと思うけれども、それがだめだとすると、やはり法律的にもきちっと奥さんの方がもらえるようなことは今の法律の下でできるかできないか、まあできると思うんだけれども、できるとしたらどういう方法でもって加入を促進してやるかというふうなこと、それについてはどうですか。
#31
○政府委員(井上喜一君) 現行制度におきましては、男女を問わないで法律上の一定の要求されております資格要件を満たせば加入できるわけでございます。農業者年金が政策年金でございますので、そういう性格上の一定の制約があるわけでございます。どうしても地権者でないといけないという、地権者でなければ加入ができないわけでございますので、そういう中で考えていかなくちゃいけないわけでございまして、夫婦そろって農業をやっておりますような場合には、通常経営主であります夫の方が加入するかと思いますが、夫の方がサラリーマンになっておりまして被用者年金に加入しているというような場合には、これも先ほど申し上げましたが、夫の方から農地等についての使用収益権を設定してもらって、それで農業者年金に加入するととができるわけでございます。
#32
○山田譲君 ぜひ婦人の方にも加入するように、これからも大いにPRに努めていただきたいというふうに思うんです。
 今、局長の言ったことで、言葉じりをつかまえるわけじゃないけれども、この法律は政策年金であって、何か老後の保障は考えなくてもいいんだ、政策の方が大事だというふうな言い方をしておりましたけれども、例えば農業者老齢年金というのがありますね。これは必ずしも経営移譲をしなくたって出せるわけでしょう。そうすると、この考え方は一体どういう考え方になるんでしょう。
#33
○政府委員(井上喜一君) 農業者老齢年金につきましては、これは原則的な考えを申しますと、長い間農業に従事をしてきた、あるいは精進をしてきた、こういうことに対してそれに報いる、そういうような性格の年金でございまして、経常移譲年金のように経営移譲をすることによりまして一定の政策日的を追求するというようなそういう政策的な色合いは薄いといいますか、ほとんどない制度であるというふうに考えております。
#34
○山田譲君 だから、私が言っているのは、政策年金だから経営移譲をした人にだけ年金を出すのだという考えじゃないと思うんですよ。もともとの話は、あなたが今言ったように、長い間農業にいそしんだ人に対して老後を保障してやるというねらいがこの年金制度の一番のというか一つの立派な目的であって、政策年金だというので経営移譲した人だけを大事にするというふうなそんなものじゃないでしょう。もしそうだとすると、この農業者老齢年金の意味がなくなる。何も経営移譲をしなくたって、ちゃんとやっぱり農業者老齢年金という制度もつくってあるわけですから、それはまさしく政策年金、政策年金と言うけれども、単なるそういう経営移譲についてだけ見てやろうというふうな考えでないという何よりの証拠じゃないですか。もう一遍答弁してください。
#35
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金制度は、経営移譲年金と農業者老齢年金を支給することによりまして経営移譲を促進し所定の政策目的を追求する、同時に老後の保障を行う、こういうことで
ございまして、やはり制度の主たる中身は経営移譲年金にあるわけでございます。農業者老齢年金につきましては、経営移譲をした人についても、あるいは経営移譲をしなかった人についてもひとしく適用される制度でございますが、やはりこの農業者年金制度の中心は、何といっても経営移譲年金にあるわけでございます。
 そういう意味におきまして、農業者年金制度が非常に政策年金としての性格の強い年金だというふうに考えられるわけでございます。現在の助成制度をとりましても、経営移譲年金であるということのために高率の補助がされているわけでございます。こういう点から言いましても、農業者年金制度は経営移譲年金を主体とする政策年金であるというふうに言えると思います。
#36
○山田譲君 同じことばかり言うようで申しわけないけれども、どうしても私はそういう考え方が納得できないわけですよ。
 やっぱり、さっきから言っているように、老後の保障ということもある、それからもう一つ、政策的なものもある、両方をくっつけた法律がこの法律であるということはわかりますよ。だけれども、こっちのために老後の保障の方は多少おろそかになってもいいとかなんとか、そういう性格のものではなくて、農民についても恩給をやろうと言った佐藤総理の考え方のとおり、まずこっちの方が先にあるんじゃないか、むしろどっちかというと。法律的には一応並べて書いてあるけれども、少なくとも同等に扱うわけであって、経営移譲のためにこっちの老後の保障をどっちかといえばやるんだ、そういう意味での政策年金と言えるのかどうか、私はどうもその辺は非常に疑わしいと思うんですよ。
 あくまでも、やっぱり農業を一生懸命やった人に対する老後の保障を見てやろうという考え方が先にあっての話じゃないか、それにたまたま政策だとかなんとかという、経営移譲なんという問題がくっついてきたことは確かだけれども、こっちが主であって、こっちのためにこっちが犠牲になるというふうな今の局長の話を聞いてみると、どうも逆立ちした議論のような気がするんです。経営移譲ということの政策が大目的としてあって、それにくっつけて老後の保障を考えますと言わんばかりの言い方だけれども、そうじゃないんじゃないかと、私はそう思うんですけれども、どうですか。
#37
○政府委員(井上喜一君) 自営業者等についての老後の保障の制度と言いますのは、これは国民年金があるわけでございます。農業者につきましてもう一つの年金制度をつくるということについては、他の自営業者等に対する制度のバランスから見ていろいろな議論があったわけでございまして、したがいまして農業者年金制度が現在のような制度に仕組まれてきたという経緯があります。すなわち、政策年金といたしまして、経営移譲を行うというのを中心に置きました制度になっているわけでございまして、そういう政策年金としての要素、それに老後保障が絡まっているわけでございますけれども、老後保障はそういった経営移譲との関連においてばかりでなしに、国民年金との関連においても考えていかれるべきものであるというふうに考えるわけでございます。
#38
○山田譲君 同じ答弁を聞こうと思って私、言ったわけじゃないんです。いろんな議論はもちろんあったことはわかるけれども、法律を見ると、どうしてもあなたの言うようなふうにはなっていないですよ。法律の形式として、老後の保障と経営移譲というふうな政策的な面、構造改善というようなその二つがあるということは事実だけれども、こちらの方が従でこちらの方が主だという考え方は、全然法律には書いてないと私は思うんですけれども、これはこれでやめます。
 そこで、この経営移譲の中身を見ますと、実際には後継者移譲が九割を占めているわけですよね。第三者移譲というのは一割程度。そうすると、構造改善の効果の面かち考えますときに非常に不十分なものになっていはしないか。あなたはさっきから盛んに構造改善のためにやるんだということを言っているけれども、じゃ構造改善の方は非常に進んでいるかというと、必ずしもそういっていないわけですよね。だから、さっきから言っているように、中途半端なものになっちゃっているということを言ったんです。効果は、細分化は辛うじて防止ということは言えますけれども、それ以上に積極的に構造改善のために物すごく役に立っているというふうには言えないんじゃないですか。みんなやっぱり後継者が九割はそのままおやじから引き継いでいるというふうなものじゃないんですか。
#39
○政府委員(井上喜一君) 一括移譲につきましての、一括移譲といいますか、細分化防止についての効果をどのように見るかということかと思いますけれども、最近のように地価が高騰をしてきているような状況でございますし、それからまた民法の均分相続の制度もございまして、ややもすれば分割移譲というようなことも起こるような状況でございます。そういう中におきまして、この農業者年金制度の対象になります比較的規模の大きい農家につきまして、一括移譲によりまして農地の細分化の防止ができてきているということは、それなりのやっぱり効果が上がってきているんじゃないかというふうに評価をすべきものと考えるわけでございます。
 また、先ほど申し上げましたように、一括移譲の後におきましても、三年とか五年たちますと、漸次経営規模を拡大してきているような傾向も見えるわけでございまして、そういう点からいいましても、細分化防止を一つの節目といいますか、きっかけにいたしまして、経営規模の拡大ができてきているんじゃないかというふうに考えるわけでございます。無論、第三者移譲の場合は、これはもう直接的に経営規模の拡大の効果があるわけでございまして、第三者移譲が多くなるということはそれだけに政策効果が大きくなる、目に見えて大きくなるということが言えるかと思いますけれども、ただいま申し上げましたように、経営移譲につきましてもそれはそれなりに今評価をすべき点があるというふうに考えるわけでございます。
#40
○山田譲君 私は全然役に立ってないということは言ってないけれども、実際にあなたがさっきから言っているように、政策的な年金だ、構造改善が非常に重要なんだというふうに言っている割には、その割にこの法律はそういう目的を達していないんじゃないかという感じがしてなりません。
 そこで、一般論としてお伺いしたいんですが、さっき聞いたかもしれないけれども同じことをお願いしますが、全体として、この年金制度の問題を離れて、農業構造改善政策、農業構造の政策というものを一生懸命やっているわけですけれども、そういう中で現実にはなかなか経営耕地の規模が拡大していないということが実態だろうと思うんです。私は群馬なんか歩いてみると特に気がつく点なんですが、山間僻地に行ってみますと、田んぼもそうですが、非常に畑が荒れ果てているという実態が目につくように最近なってきたわけです。聞いてみますと、やっぱり売ろうと思っても買い手もないし、そうかといって耕すといっても余り意味がない、ですから、しようがないから荒れ果てているけれどもそのままそこに置いておくんだ、こういう考え方で農地が荒れるに任しておる。いいところはそんなことはありませんけれども、そういう土地が非常に多くなってきておるような感じがしてなりません。ですから、「まさに田園蕪せんとす」というふうな状況にあるところもあるわけです。
 ですから、私まず一つ聞きたいのは、日本全体としての耕地面積というものは一体ふえているか、減っているかということです。
#41
○政府委員(井上喜一君) 耕地面積の動向につきましては、造成される面積と転用される面積のプラスマイナスの結果が現況にあるわけでございますけれども、ちょっと手元に資料はございませんが、最近の傾向といたしましては、漸次今農地面積は減少してきているわけでございまして、現在約五百四十万ヘクタールぐらいに相なっているわ
けでございます。
 また、山間地等におきまして、荒廃地といいますか、耕作放棄地がかなり出てきているんじゃないかというような今御指摘でございますが、この点につきましても、かなりのそういった荒廃地なり耕作放棄地というのが出てきているように考えております。
#42
○山田譲君 ただでさえ狭い、そして少ない日本の耕地がどっちかというと減っているということ、しかも、そういう御先祖様が一生懸命開墾した山の畑がますますもって荒れ果てていっているというふうな状況について、農水省としてはどういうことを考えておられますか。
#43
○政府委員(井上喜一君) 私どもといたしましては、食糧の自給力の維持その他を考えまして一定の耕地は保持する必要があるだろう、こういうことで、壊廃面積もございますので、農用地の造成を片や推進をしているというような状況でございます。そういうような状況でございますので、そういった荒廃地を、現に今発生をしてきているわけでございますけれども、極力解消していくような方向で考えているわけでございまして、具体的にはそれぞれの地域ごとの話し合いをもとにいたしまして、中核農家等にそれを利用させていくようなことを考えているわけでございますけれども、確かに地域によりましては荒廃地がそのまま残っているというような状況が、現在なおかなり残っているのが実態であろうかと思います。
#44
○山田譲君 もうちょっと話をはっきり言ってもらいたいんだけれども、どういうことをしていますかと私さっき聞いたわけですから、それに対して農水省はどういうことをしていますということを言ってもらいたいんで、今の話じゃ何もしていないのと同じことになっちゃうんですよ。ですから、何かしているとすればしている、してないならしてないでいいから、この際はっきりと言ってもらえばいいんで、どっちか、また、しているとすればどういうことをやっていますかということを聞きたいわけです。
#45
○政府委員(井上喜一君) 農林省といたしましては、それぞれの市町村におきます町づくり、村づくり運動の一環といたしまして、そういう不耕作地の解消ということをやっているわけでございまして、具体的にその地域の実態に応じまして、関係者の話し合いによって中核農家等にそういった農地が利用されるようなそういうことを推進しているわけでございます。
#46
○山田譲君 余りぴんとこないけれども、非常にもったいない感じがするんですよね。せっかく開墾してつくった畑がまた荒れていってしまうというのも非常にもったいない。だから、積極的にこれをどう活用すればいいかということを、農水省、もっと指導していってもらいたいというふうに私思うんです。私みたいなやつが行っても、山間僻地の方へ行けばそういう畑がある。そういう畑をどうすればいいんでしょうかなんて、私に聞く人がいっぱいいるわけですね。私なんかそれは何も知りませんけれども、農水省はその道の専門家なんだから、この畑はクリを植えればいいでしょうとか、あるいはもっとこう使えばいいんじゃないですかということを、知恵を授けてやっていただきたいと思うんですよね、だれも好きこのんでせっかくの土地をほうりっ放しにしておくはずはないんですから。そこら辺をもっともっと積極的に指導をしていっていただくように、お願いをしたいと思うんです。
 そこで今、たまたま中核農家という話が出ましたけれども、この話について現状の日本というものを考えますときに、中核農家を育成するということに重点を置くという農政そのものが、私はやっぱりちょっと間違っているんじゃないかという気がしてならなくなったわけです。それはいかにも計算上はその方がいいようにも見えるけれども、実態はなかなかそうはいっていない、とりわけ二種兼業というふうなものも結構いて、その人たちは土地をそう簡単に手放さない。しかも、自分が土曜日なり日曜日なり、あるいはまたどこか都会に勤めていっても、退職した後は自分の家へ帰って畑をやるというふうな考えのもとにいる人が多いですから、そうすると、必ずしも計算どおりみんな中核農家にどんどんどんどん土地を売ったり貸したりしていくというふうなものじゃなくて、二種兼業というのはやっぱり相当のウエートを日本の農業の中でこれから持っていくんじゃないかということを考えますときに、中核農家重点、あるいは育成を主に農政の重点として考えるんだという行き方そのものが、やはり検討の余地があるんじゃないかというふうな気がしてならないんですけれども、その辺どうですか。
#47
○政府委員(井上喜一君) まず、先の山間地等におきます耕作放棄地の問題でございますけれども、農林省といたしましては私が申し上げましたような事業に対して補助金を交付いたしまして、市町村段階におきますそういう不耕作地の利用の促進を図っているわけでございますけれども、御案内のとおり、県におきましては農業改良普及事業等がございまして、この不耕作地の解消というのは非常に大きなテーマでございます。普及員なり、あるいは農協等の関係者が中心になりましていろんな検討をしているわけでございますが、具体的にその作目ということになりますと、確かに御指摘のように非常に難しい問題があるわけでございますけれども、真剣にそういった問題については取り組んでいるわけでございます。最近といいますか、私ども検討しておりますのは基盤整備がおくれている地域が多いわけでございまして、基盤整備をすることによってそういった土地が活用されるというような地域につきましては、基盤整備につきましても検討していくべきじゃないかというふうなことを内々考えているわけでございます。
 それから後の、中核農家との関連におきまして兼業農家の扱いというようなこと、あるいは兼業農家に対する考え方を御質問されたわけでございますけれども、農業の生産性を上げていく、足腰の強い農業を育成していくというためには、やはり技術的な能力、技術的な面あるいは経営的な面ですぐれております中核農家に極力土地を集積していくというのが基本になろうかと思いますし、あるいはそこまでいかなくても、地域の組織化をいたしまして、その組織が生産性の高い農業を実現していく、そういう方向に誘導していくのが基本であろうかと思うわけでございます。しかし、現実に第二種兼業農家が広範に存在しているのはこれは紛れもない事実でございますし、またかなりの耕地面積も所有しているわけでございます。
 農業経営の実態から申しますと、第二種兼業農家につきましては、これは一概に言えないかと思いますけれども、やはり自分の土地を大切にする、大切に持つということと、それから極力自給をしていくというような考えで農業をしているような人が多いと考えられるわけでございますけれども、当初大臣の御答弁にありましたように、そういった兼業農家につきましても、もう農業をしないそういう農家がだんだんふえてきておりますし、それからまた、新しい農業機械を買うというような状況になってまいりますとだれかに委託した方がよろしい、こういうことになりまして、作業委託なり、あるいはさらに進めば農地の賃貸借というようなことまで進んでくるわけでございます。そういう意味におきましては、中核農家の周辺に存在をするといいますか、中核農家の規模拡大を助けるような存在にもなるわけでございますので、そういった兼業農家を包摂いたしました集団で、十分な話し合いによりまして土地を極力中核農家に集中をしていくというようなこと、あるいは生産組織に集中をしていくというようなことが大切になってくるんじゃないかと思うわけでございます。
 したがいまして、兼業農家につきましては、兼業農家対中核農家という対立ではなしに、一つの地域社会に両者が併存するといいますか、共存するような形で、土地利用等につきましては関係者で十分話し合って、有効な土地利用ができるようにしていくべきじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。
#48
○政府委員(田中宏尚君) 第二種兼業農家の位置づけなりそれに対する一つの政策のあり方ということは、ただいま構造改善局長から詳しく御説明がありましたけれども、局長からありましたように、我々といたしましても中核農家を核といたしまして何とか生産性の高い、足腰の強い農業というものをつくっていきたいということが基本でございますけれども、現に頭数におきまして第二種兼業農家が七一%ございますし、それから農地保有という面から見ましても四六%というシェアを第二種兼業農家の方々が持っておるわけでございます。
 こういう現にある頭数なり現にある農地保有、こういうものを無視して政策というものは進められるわけじゃございませんので、こういう中核農家の方々も、地域全体での生産の組織化でございますとか、あるいは環境の整備でございますとか、いろんな面におきまして大きなウエートを持っておりますので、この方々を包摂した地域全体での生産性の向上なり、それから農村社会の活力化ということの中で、中核農家とともども第二種兼業農家についても対応してまいりたいというふうに考えております。
#49
○山田譲君 私も、初めのうちは確かに中核農家を中心として今後の農政をやっていくという点はそのとおりかなという感じがしましたけれども、地域なんか歩いているうちに、必ずしもそんなものじゃないなということがよくわかるようになったわけです。だから、計算どおりなかなかいかないんですよ、土地の問題というのは。ですから、やはり中核農家がいいというのは、下手すると一つの机上の空論になってしまう。実際やっぱり少しの土地でも自分で持って、そしてそこでもって米なり麦なりをつくっていきたいというふうな気持ちが兼業農家の人たちには非常に強い。
 ですから、それを売るなり貸すなりして、それで中核農家を育成していって中核農家を中心に農政を展開していくんだという考え方は、私はもうちょっと無理じゃないかという感じがしてならないんです。それは中核農家というものを大事にすることもいいですけれども、すべての政策の中心をそこへ持っていくという農政が果たして妥当かどうか、私は非常に疑問に思っているんです。ですから、やっぱりそういう兼業農家もこれまた大事な農政の対象と考えてこれからやっていただくように、特に希望を申し添えておきます。
 その次に、農業者年金で後継者移譲しますけれども、それの五六%が国民年金に加入していないサラリーマンなんですね。だから、移譲しても、その移譲された者の側の大体五六%はサラリーマンの後継者である。それじゃ実質的に経営移譲が行われたと言えるかどうか、そこのところが問題だと思うんです。ですから、経営移譲したとは名ばかりで、相も変わらずじいちゃん、ばあちゃんが一生懸命田んぼを耕している、そしてその移譲されたはずの息子は一生懸命市役所かなんか、どっかの工場へ行っている。ですから、周りの人たちから見ると、あれ、ちょっと変じゃないかというふうな、政府はあんなことをやっているのかという、そういう疑問が結構みんなあるわけですよ。そこら辺はどうですかね。
#50
○政府委員(井上喜一君) 今現在、経営移譲をいたします場合に、その後継者が農業経営を専業にやっている者ばかりではなしに、被用者年金に加入しているいわゆるサラリーマン後継者につきましても、引き続き三年以上農業に従事をしていること等の要件を満たせば後継者移譲ができるわけでございます。時に監査によりまして問題が出ることもあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、やはり経営移譲を行いました以上は、その移譲を受けました後継者が経営主となりまして経営の責任者でなくてはならないわけでございます。時にただいまのようなことが言われるわけでございますけれども、そういうことの言われないように、農協の加入名義を変えるとか、あるいは土地改良区につきましても親にかわりまして加入をする等のことはやっていかなければいけないように思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、ただ形だけが整えばいいということではありませんで、実質的に経営してないといけないわけでございます。実質的に経営主に経営移譲をしなければ経営移譲年金は出ないわけでございますので、私どもといたしましても、単に形さえ整えばいいということでなくて実質的に経営主になる、経営についての責任をとる経営主になる者でなければならないというふうに考えておるわけでございます。
#51
○山田譲君 今、局長は、実際移譲を受けた者は農業経営をしなきゃいけないんだというようなことを言われたけれども、これは法律的には何かそうなっているんですか。別にそうなっていないでしょう。
#52
○政府委員(井上喜一君) 後継者移譲の場合につきまして、農地を一括移譲するわけでございますが、この場合には必ずしも農業をやる必要はないわけでございまして、私が申し上げましたのは、サラリーマン後継者がサラリーマンをやめまして農業をやるような場合にはそのような実体を当然備えないといけない、こういう趣旨で申し上げてございまして、サラリーマン後継者を続ける限りにおきましては、それはそういうことでよろしいわけでございます。
#53
○山田譲君 何だか歯切れが悪いけれども、要するにサラリーマンとして、それこそ外車に乗ってどこか市役所か何かに勤めに行っていても構わないということでしょう。
#54
○政府委員(井上喜一君) 経営移譲をいたしまして経営移譲年金を受けます場合には、経営移譲をいたしますとか、あるいは廃止、縮小をする、こういうことが要件になっているわけでございます。
#55
○山田譲君 そうすると、どういうことですか。もう一遍よく言ってくださいよ。
#56
○政府委員(井上喜一君) 経営移譲をいたします場合には、農地等につきまして所有権または使用収益権に基づいて耕作または養畜の事業を行う者がそういった事業を廃止または縮小する場合におきまして、一定の要件に該当する場合にはよろしいということでございますので、経営移譲を受けます場合には、その経営移譲をした人が農業を廃止なり縮小した場合に、もちろん一定の要件はございますけれども、経常移譲年金の支給があるわけでございます。
#57
○山田譲君 具体的に私聞いたんだから、具体的に答えてください。
 つまり経営を移譲すれば、した人は年金をもらうわけだから、あとはもうゲートボールか何かやって遊んでいなさい、それで息子は市役所へ外車に乗って行ってでも、経営移譲を受けたんだからそれはそれでよろしいというのか。受けた方は必ず市役所はやめて、そして今度は受けた田んぼを耕さなきゃいけませんと、こういうふうに法律はなっているわけじゃないでしょう、必ずしも。そこのところを聞きたいわけです。
#58
○政府委員(井上喜一君) お答えいたします。
 経営移譲をする人が一括移譲なり、あるいは一定の自留地を持ちまして移譲すればよろしいわけでございまして、そういう人が経営主として継続をしていく場合には問題になりますけれども、そこが確実に今言いましたような状況になりますれば、経営移譲をしたことに相なるわけでございまして、その移譲の相手方等につきましては特に規定はないわけでございます。
#59
○山田譲君 そういうことでしょう。要するに、相手方の方はサラリーマンであろうと何であろうとそれは構わない、こういうことでしょう。それで経営移譲する人だって、形式的な経営主でなくなるということは、それをしなきゃ年金をもらえっこないけれども、移譲した後は相変わらず今までどおり田畑を耕していちゃいかぬということにはならないわけですね。しても構わないわけでしょう。そこのところはどうですか。
#60
○政府委員(井上喜一君) 経営移譲年金の支給要件といいますのは経営移譲をするということでありまして、その経営移譲の仕方につきましては若干の要件はありますけれども、一般的に言います
と経営移譲すればよろしいわけでございます。それで、経営移譲した後につきましては、要するに経営主でなければいいわけでございまして、農作業の手伝いをするとか、その他の何といいますか、手伝い等についてはよろしいわけでございます。
#61
○山田譲君 日本で一番この制度に詳しいはずの局長でさえ、なかなか今あいまいだったでしょう。ましてや、普通の人には理解できないわけだ。ですから、田舎へ行ってみますと、隣のおじいちゃんは今までどおりに田んぼへ行っている、それでせがれは移譲を受けたはずだけれども市役所へ行っている、一体この農業者年金制度というのは何なんだということを、よく私聞かれるんですよね。だから、そういうことをやはりもうちょっとはっきりと農民の皆さん、国民の皆さんに周知徹底を図る必要があるのじゃないか、まだよく理解されていない面があるのじゃないかと思うんですよね。
 そこで、次の問題を聞きたいんだけれども、未加入者がいますよね、当然加入あるいは任意加入にしろ未加入がある。そうすると、そういう人たちのことをまた詳しく聞きますが、まず一つの理由として、どうして未加入なんだと聞くと、どうもこの制度の行く先が不安である、あるいは農業そのものに対する政策が不安定だ、だから何か農業者年金制度、この制度に喜んで入ろうという気持ちにならないんだということをよく聞くわけですけれども、その点はどうですか。
#62
○政府委員(井上喜一君) 確かに未加入者がおりまして、その未加入の理由について聞きますと、加入するのにはまだ早いと言っているのが六一%でございます。それから農業経営の将来が不安だというのが一二%、農業経営の将来といいますか、農業経営を継続するかしないかというようなことかと思いますが、それが一二%、それから保険料が高いと言っているのが九%、その他が一八%という状況でございます。
 こういうことで、制度の中身を十分理解していないというような者もあると思いますし、あるいは年金の財政問題があって、どうなるのかというようなことを心配しているような者等もあろうかと思います。
#63
○山田譲君 いや、あろうかではなくて、それに対してどういうことを農水省としてはしていますかということを聞きたかったわけです。
#64
○政府委員(井上喜一君) 農林省といたしましては、こういう未加入の者につきましてその加入を促進しているわけでございますけれども、加入を促進いたします場合には、やはりそれぞれの人が考えておりますその未加入の理由というのがあろうかと思います。ただいま申し上げましたような理由が主たるものでございますけれども、そういったそのそれぞれの持つ不安感といいますか理由を解消するために、それに即した説明を十分していく必要があろうかと思います。
 特にその方法といたしましては、第一線でこういった加入業務を担当いたしますのは農業委員会でありますとか農業協同組合等でございますので、そういう年金業務を実際にやっております人の研修会を十分に行いまして、制度の仕組みなり、あるいは年金の財政状況なり等について十分に説明をするということ、あるいは加入促進に当たりましてはパンフレットでありますとか、あるいは各種の広報紙を通じまして十分にPRをしていきまして、加入制度に対する不安を解消するように努力をしてまいりたいと考えております。
#65
○山田譲君 ごく具体的にお伺いしたいんですが、まず最初に一人の農民がいますね、その人が当然加入の人だったと、まず人か人でないかはだれが見つけるんですか。
#66
○政府委員(井上喜一君) この見つけ出す方法についてでございますけれども、当然加入者につきましては、農協と農業委員会が未加入者名簿を作成しておりまして、それによって当然加入者を見つけ、当然加入者の未加入者に対する加入を促進しているわけでございますが、その未加入者名簿の作成の方法でございますけれども、これにつきましては、今の農業者年金が国民年金の付加年金でありますことから、国民年金の被保険者名簿に記載されている者からピックアップをする、そういう作業をいたします。それからもう一つ、農業委員会で農家基本台帳というものをつくっておりまして、農家ごとの農地の状況が明らかになっている台帳でございますが、そういうものから当然加入者の資格要件を満たすであろう者をピックアップいたしまして、それを突合いたします。突合いたしまして、未加入の者につきましてそれを名簿にまとめて未加入者名簿に登載をする、こういう方法をとっているわけでございます。
#67
○山田譲君 未加入著名簿の作成まではわかりましたけれども、その次に、このAさんならAさんが当然加入者であるけれども加入してないということがわかったら、だれかその家へ行って、おまえさん当然加入だから来月から納めなさいというふうなことをきちっと言うのはだれがやるんですか。
#68
○政府委員(井上喜一君) これは地域によりまして若干差があろうかと思いますが、原則といたしましては農協の役職員にやってもらっていると考えております。
#69
○山田譲君 そうすると、今の未加入者というのは大体一割ぐらいいるわけですか。何人ぐらいいるんですか。
#70
○政府委員(井上喜一君) お答えいたします。
 約二十四万人でございまして、一割ぐらいが未加入者になっているわけでございます。
#71
○山田譲君 その一割の未加入者というのは制度のことを本当に知らないで入らないのか、それとも知っていても、おれは金を払うのは嫌だから入らないというのがいるのか、それともあるいは土地を買った結果、その人が今まで三十アールだったけれども今度六十アールになりましたと。そのことを、そうなったんだけれども、面倒くさいからそのままほうっておくというふうな状態の人か、どういう割合になっているんですか。
#72
○政府委員(井上喜一君) これは詳細な調査がないわけでございますけれども、先ほどお答えいたしましたように農業者年金基金が調査をした結果によりますと、制度はわかっているんだけれども、加入するのにはまだ早いと言っている者が約六割あるわけでございます。それから農業経営の将来が不安だというのが一二%で、保険料が高いというのが九%、そのほか一八%と、こういうことでございます。したがいまして、制度がわかってないというような人はその他に入るのではないかと思いますが、それにいたしましても一八%とかなり高率になっておるわけでございます。
#73
○山田譲君 そういう場合、当然加入ですから、私は法律的にはやっぱり当然加入として、つまり国税徴収法の例によって税金と同じに取り立てるというふうに一応法律的にはなっているわけですね。そこが任意加入と違う点だろうと思うんです、法律的には。ところが、実際は、そういう知っていてしかも入らないという人が一割もいるということは、国税徴収法の何か例によってというようなやり方で強制的に取り立てたというふうな例はまだないんでしょう。
#74
○政府委員(井上喜一君) 私どもといたしましては、制度的には当然加入の制度になっておりまして、保険料が未納の場合にはこれは強制徴収できる、そういう道も残されているわけでございますけれども、やはり関係者の理解と協力の上に加入をしてもらうというのが適当と考えまして、現在までのところ、そういった強制徴収等の方法で保険料を徴収したということはございません。
#75
○山田譲君 私は、もちろん事柄の性質上は、税金なんかと違ったやり方をやっていって結構だと思うんです。そんな無理やりに農民から取り立てるようなことはする必要はないと思うんですけれども、やっぱり当然加入と任意加入の違いは、当然加入すべき人であるにもかかわらず入らないということですから、それはやっぱり入ってもらわなきゃ困るわけですね。だから、そういう人に対する周知徹底の仕方がどうもまだ足りないのじゃないか。さっき未加入者台帳とかなんか言いまし
たけれども、あるいはアンケートの結果も言われたけれども、やはりアンケートに漏れている人がかなりまたいると思うんですね。だから、そういう人に対してもうちょっとちゃんと入ってくださいということをどこかが責任を持ってやらなければいけない。
 それをどうも農協なり農業委員会、これは後でまた言いますけれども、この制度の非常に一番問題は、そういう責任の所在が非常にあいまいであることだと思いますけれども、具体的なことは後から述べますが、そういうことなものですから、ただ台帳をつくればそれでいいというものじゃなくて、台帳をつくってそれからが非常に難しいところだと思うんです。まずおまえさん入りなさいということと、入ったら今度お金をちゃんと納めなさいというところが非常に難しいところだと思うけれども、そこら辺について農水省としてはどういうふうに具体的にやろうとしておられるか、やっておられるか、そこのところをお伺いしたいと思うんです。
#76
○政府委員(井上喜一君) 加入促進といいますのはなかなか実際問題として難しいことでございますので、やはり一般的に、そういう制度がありますというような説明では加入をしてもらえないわけでございますので、当然加入資格を持つ人に対しましては、個別にその加入を説得していくという方法によるのが一番適当であろうと考えておるわけでございまして、そういうことで農協とか農業委員会に個別の加入説得をお願いしているわけでございます。
 また、親の経営移譲年金の裁定請求書が出される段階で、その後継者につきましてはまたその時点で個別に加入の説得をしていると、こういう状況でございますが、これらの点にこういうような方法がかなり今有効のように私ども考えておりまして、それなりの効果が上がってきているように思いますので、こういう個別の説得、しかも経営移譲年金なんかもらいます場合には、特にそういったことを強調して加入の促進を図ってまいりたいと考えております。
#77
○山田譲君 この一割の未加入者ですね、もちろん当然加入で、その人たちの比率が一割と言っていますけれども、この数はずっと減ってきていますか、それともふえていますか、どっちですか。
#78
○政府委員(井上喜一君) 傾向としては減ってきているわけでございます。ただ、全体に対する未加入者の率も漸次下がっておりますけれども、これはまだそう急に下がるという状況になっておりません。
#79
○山田譲君 ここ数年の間の比率を、具体的にきちっとしておいてください。
#80
○政府委員(井上喜一君) 五十五年からの未加入者の推移を申しますと、五十五年が二十九万四千人、五十六年が二十八万八千人、五十七年が二十六万六千人、五十八年が二十四万四千人、こういうぐあいになってきております。
#81
○山田譲君 率は聞こえなかったんだけれども、率もお願いします。
#82
○政府委員(井上喜一君) 率につきましては、五十五、五十六、五十七年が二二%、それから五十八年が二一%と、わずかに一%ダウンをした状況でございます。
#83
○山田譲君 要するに、未加入者の率なり人数もそう減っているというふうにはとれないわけですね。ですから、せっかくの制度ですから、未加入者に対する働きかけをもっともっと積極的にやってもらいたいという感じがします。
 そこで、さっきから私が言っていますように、こういうことがあるのはやはり責任の所在がこの制度について非常にあいまいではないかというふうに思われてならないわけです。これはおたくの方からいただいた厚生省と農水省がつくった資料ですね、横長のもの。これを見ますと、一番最後に組織が出ておりますね、「農業者年金制度実施機構図」というのがある、これについてちょっとお伺いしたいわけです。細かいことを言うようだけれども、私は細かいことを言うのがねらいじゃなくて、こういう結果だから未加入者が減らないんだということを言いたいわけです。つまり、最初に「厚生省」「農林水産省」とありまして、まず下の方の升に「農業者年金基金」というのがあります。これは基金がやるんだということで基金があって、基金のやることは「農業者年金業務」の実施と、それから「離農給付金業務」と「農地等買入売渡業務」、「融資業務」、この四つを基金がやると、こういうことになっていますね。これはこのとおりだと思うんです。その右側の下の方に二つの升があって、下の升は「農林中央金庫」、それから「都道府県信用農業協同組合連合会」という升がありまして、その上にもう一つ、「都道府県農業会議」「都道府県農協中央会」という升がある。その上に少し大きな升で「市町村(農業委員会)」、それから「農業協同組合」、この二つの升がありますね。今度右の上の方にまた一つの升があって、「国民年金担当」、「農政担当」、「都道府県」、こういうふうに書いてある。
 この升との関係を各線が引いてあるわけですけれども、「農林水産省」からまず線が一本引かれていて基金のところに矢印が行っていますね。これは「監督」というふうに右手に書いてある。そして今度、これからが問題ですが、「農業者年金基金」というところから右の方の、まず「市町村」「農業協同組合」というところに一本の線があって、「委託」と書いてある。その次に、「都道府県農業会議」「都道府県農協中央会」というところに線が引いてあって、「委託」と書いてある。それからその次に、「農林中央金庫」「都道府県信用農業協同組合連合会」にもう一つやっぱりこれも「委託」ということが書いてある。今度、「農業協同組合」「市町村」と「都道府県」との間にまた矢印があって、このところに「監査、指導」とある。それで今度、「都道府県」と「農林水産省」「厚生省」との間に二本線が引っ張ってあって、一本が「農林水産省」から「都道府県」の「農政担当」のところへ矢印が引いてある。
 そうすると、ここに「委託」だとか「監督」だとか「監査」だとかいろいろ書いてありますけれども、これはどうも法律的に私はわからないわけです。何がわからないかというと、「農業者年金基金」と「市町村」「農業協同組合」との間に「委託」という関係がありますけれども、これは法律上何に基づいて委託しているかという問題なんです。これは法律上は確かに委託ということに――これは第二十条がそうだと思うんですが、そういうふうに考えていいですな。これはわかる。その次の「都道府県農協中央会」との間に「委託」という関係がある。これは法律には全然ない事柄なんですね。これは何に基づいてやっているわけですか。
#84
○政府委員(井上喜一君) お答えいたします。
 この農業者年金基金と他の法人と委託契約を結ぶ場合には一定の制約がございまして、今御指摘になりました基金法二十条の規定に基づいているわけでございます。基金法の二十条につきましては、市町村でありますとか農業協同組合等につきましては法律上の明文があるわけでございますが、二十条の一項の三号に「前二号に掲げる者のほか、主務大臣の指定する者」と、こういう規定がございまして、市町村、農協のほかに、主務大臣が、都道府県農業会議でありますとか都道府県農協中央会、あるいはその下に書いてあります農林中央金庫等の指定をしているわけでございまして、この規定によりまして委任をしているわけでございます。
#85
○山田譲君 そうすると、この「都道府県農業会議」と、それからもう一つ「市町村」との間に、「業務指導」ということで小さな矢印がありますね、これは何に基づいてやっているんですか。
#86
○政府委員(井上喜一君) これは、都道府県農業会議と農協中央会とそれぞれ市町村の農業委員会あるいは農業協同組合との関係がございますので、言ってみれば、そういう県レベルと市町村レベルのそれぞれに機関の内部的な関係によりまして業務指導をしている、こういうことでございます。
#87
○山田譲君 そうすると、これは法律上の問題じ
ゃないんですか。
#88
○政府委員(井上喜一君) 基金が、都道府県農業会議と農協中央会に委託をしております内容は、市町村の農業委員会なり、あるいは農業協同組合の業務指導をしてほしい、する、そういう中身になっているわけでございます。基金が、農業会議なり農協中央会にそういう委託契約をいたしますのは、市町村段階と県段階のそれぞれの機関の内部関係に着目してそういった委託契約を結んでいるわけでございます。
#89
○山田譲君 その次、「市町村」と「都道府県」との間に矢印がありますね、この線の右に「監査、指導」という言葉がある。この「監査、指導」という言葉は法律上はないですね。
#90
○政府委員(井上喜一君) これは御指摘のとおり法律上の規定はないわけでございまして、いわば都道府県の一般的な行政指導といいますか、行政指導をする立場に基づく監査、指導でございます。
#91
○山田譲君 もう一つ、「農林水産省」と「都道府県」との間に「委託」とありますね、これは何ですか。
#92
○政府委員(井上喜一君) これは、農業者年金基金と市町村農業協同組合の間でそれぞれ委託契約を結んでいるわけでございますけれども、これがいわゆる通常年金業務でございまして、加入の申し入れでありますとか、それから保険料の徴収とか、あるいは加入者の資格のチェックでありますとか、経営移譲をした実態のチェック等を中身とするものでございます。
#93
○山田譲君 今私が聞いたのは、「農林水産省」と「都道府県」の間の話です。
#94
○政府委員(井上喜一君) これは、都道府県が市町村とか農業協同組合に対して行います監査とか指導がございますが、こういったことを中身とする契約でございます。つまり、そういうことを中身といたします契約を農林水産省と都道府県の間でしている、こういうことでございます。
#95
○山田譲君 この年金に関連して委任があるわけでしょう、法律的に。その線が抜けているんじゃないですか。
#96
○政府委員(井上喜一君) この図では、確かにその権限の委任関係があるわけでございまして、国からは都道府県に対しまして立入検査でありますとか報告聴取の権限を委任しておりますが、この図ではその線が抜けております。
#97
○山田譲君 ちゃんとこの法律に基づいて委任関係がある線が抜けているわけですね。あるいはまた、都道府県から市町村へ行く検査というのがやっぱり委任関係で出てくると思うんです。これがないように感じるんだけれども、そういう細かいことを私聞きましたのは、要するに、私もこの図を見て農業六法を見たんだけれども、非常に複雑怪奇なシステムになっている。しかも、委託とかいうのは、公法上の委託ではなくて何か民法上の委託でしょう、これみんな。ですから、相手方はそれを拒否することができるわけですね、公法上の委任関係じゃないから。そうなると、そういう民法上の委託みたいな関係でもってこの大事な年金業務をこれだけ多くの関係機関にやらせるということに、私は非常に問題があると思うんです。
 どうして私こういうことを言うかというと、実際地方に行ってみて、市町村に行けば、市町村はそれは農業会議がよく知っていますと言う。農業会議に行きますと、それは都道府県農政担当が一番よく知っているはずですと言うんですね。それで農政担当のところに行けば、それは一番知っているのは市町村ですよというふうな話を聞く。とにかくどこへ行っても、責任の所在が極めてあいまいもことしているということなんですよ。そういう状態で、そう言ってはなんですけれども、さっきあなたが言っていたけれども、ああいう未加入者の加入なんていう問題も、はっきりした責任の所在がないからどうしてもちゃんとやれなくなってしまうということの問題点が私はあると思うんですが、そこら辺はどういうふうにお考えですか。
#98
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金業務につきましては、個々の農業者を相手とするということで非常に事務が膨大になるわけでございまして、どうしても基金だけではやれない、そういう性格のものでございます。そういうことで、市町村なり市町村農業委員会なり、あるいは単位農業協同組合に加入等につきましてお願いをしているわけでございます。
 委託の中身につきましては、農業委員会と農業協同組合、それぞれ別の契約でございまして、一応重複をしないような形になっているわけでございますけれども、確かにこの両者が密接に絡む面がございまして、実際問題としては農業委員会と農業協同組合が共同で業務をやっているような面も多々あると思うわけでございます。そういうことでただいまのような御質問が出るのではないかと思いますけれども、両者の連携をとるということは当然必要でありますけれども、しかしまた責任分野もあるわけでありますので、連携をとりつつ、かつ責任分野において十分責任が果たせますように、そこは今後とも十分気をつけましてやっていく必要があると、そのように考えている次第でございます。
#99
○山田譲君 今すぐこれを変えるということはできないかもしれませんけれども、私はやっぱりもう少しこの関係を簡素化すると同時に、法律上もはっきりと位置づけをすべきだと思うんですよ。ですから、例えば市町村に委託をするその委託も、公法上の委託じゃなくて民法上の委託である、しかもその委託契約の内容が、何か市町村は農業委員会にやらせると、こういう委託契約になっているそうです。ですから、市町村は直接はやらないで、農業委員会にやらせちゃうということですね。職員は、実際問題として役場の人がやるんでしょうから、その問題は別として、形式的な権限の所在というところからいくと市町村はもう農業委員会に全部任してしまう。ところが、構造改善というような問題はやっぱりすぐれて市町村行政そのものじゃないかと思うんですね。ですから、こういう大事なことを農業委員会に全部任してしまっていいものかどうかという私は懸念があります。
 また、それは当然に都道府県との関係でも言えることなんだけれども、都道府県はそれは監査をするとか何とか言うけれども、その前にまずどういう実態があるかとかいうふうな把握、あるいはそれをどうしていこうというふうなそういう行政上の責任というようなものもはっきりしていませんから、何か一生懸命にならない。こういう問題がありますので、この辺はよくよく考えてやっていただきたいというように思うんです。それがその結果どういうことになるかというと、書類の裁定なり、加入申し込みの書類が四分の一は返戻されてくるわけです。出してもなかなかちゃんと行くところへ行かない。どういう経過をたどっているかわかりませんが、とにかくあっちこっち行くものだから、結局だれもちゃんと直さないので、どこか途中でもって書類が不備だというので返されるその率が四分の一になっているというわけですね。だから、十通出せば二通以上は戻ってくるという計算になる。そういうことで、ましてやそのために裁定なり加入の受け付けがずうっとおくれていってしまうというふうなことになるわけです。
 ですから、農業会議あたりでも問題になっていますように、もっと各機関の法的な位置づけをきちっとしなければだめである。それから、もう少し体制をきちんとさしてくれというふうな要望が出ているのは当たり前だと思うんです。この辺はいろいろな問題があろうかと思いますけれども、どういうふうにお考えか、局長の御答弁を聞きたいと思います。
#100
○政府委員(井上喜一君) 今の四分の一書類が戻るという話でありますが、これは経営移譲年金の裁定請求書が基金に提出された場合にそれの四分の一ぐらいが戻った、そういうようなことでございますが、やはり個人の重要な権利義務に関することでありますので、どうしても最低必要限度のことはこれは記載されなくちゃいけないと思うわ
けでございますが、書類の行き来のために手続がおくれるということも問題でございますので、これからは農業委員会でありますとか、農業協同組合等の受託機関の担当者の研修を十分やっていきたいと思います。また、各種の会議とか、あるいは広報紙を通じまして、そういうことがきちっとできますように努力をしてまいりたいと思います。
 また、同時に、事務処理の簡素化などもいたしまして、添付書類といいますか、記載書類等が余り複雑であるために間違いがあるというようなこともあろうかと思いますので、そういうことのないように極力手続の簡素化なり、あるいは様式の簡素化等についても検討してまいりたいと思います。
#101
○山田譲君 こんなことは私に言われてそんなことを言っているんじゃなくて、当然もう前から返戻の率が高いなんということは「農年」にも書いてあるし、わかっていなければならないはずだと思いますよ。そしてまた、このシステムが、今私が言ったように非常に複雑怪奇あいまいもことしているという点が問題だと思います。裁定関係の書類は私もずうっと見ましたけれども、大体非常に大事な問題ですからこのぐらいはやっぱりしようがないかなという感じがしています。
 とにかくいずれにしても、こんな書くことになれている人たちじゃないですから、やっぱりなかなか書きにくいし、間違ったことを書いたりする例も多いと思うんです。そういうものの指導を農協がやるのか、農業委員会がやるのか、基金がやるのか、都道府県がやるのか、全然わからないわけですよね。だから、結局は無責任体制になって、ずるずるとそのまま基金まで行ってしまって基金から突っ返される、こういう結果になるんであって、私はやっぱりその辺もっともっと、今研修をやるとかなんとかいろいろ言っていましたけれども、簡素化すると同時に、もう一方でやっぱり体制の問題があろうかと思うんです。つまりそれに伴う金がかかるわけですからね、あるいは人手がかかる。ところが、都道府県と市町村との関係は公法上の委託、委任ではなくて、全く民法上の委任関係、委託関係というふうなことで、委託費はならしているんでしょうけれども、その金が非常に少ないという問題があるわけです。あるいは人手も足りない、だからどうしても書類をよく見て基金へ送ることができなくなってしまう、こういう問題もあるようですけれども、その点どうですか。
#102
○政府委員(井上喜一君) まず、農業委員会と農業協同組合との関係がきっちりとしてないのではないか、そういうことで最終的にだれがどういう責任を負うのかという責任体制が明確になってないのではないかということでございますけれども、現在は移譲年金の裁定請求書につきましては、農協が所要の点検なり、あるいは補正をいたしまして、それから農業委員会の方で経営移譲の内容についてのチェック、確認をしておりまして、それが農業者年金に上がってくるわけでございますけれども、この両者につきまして十分協力すると同時に、それぞれの権限についてはそれぞれが責任を持つように、十分徹底をしてまいりたいと考えております。
 それから、農業者年金の事務がかなり複雑で多いわけでございますけれども、それにつきましては業務委託費の充実に努めてきたわけでございますが、最近ではなかなかこれにつきましても大幅に予算を拡充していくというのが難しい状況になってきているわけでございますが、職員の資質向上をするための研修制度の整備充実等を図っていきたいと考えております。
 それから、これも既に御案内のことと思いますけれども、かなり専門的な知識を要するケースが多くなってきておりますので、都道府県農業会議、農協中央会に相談の担当者を設置することを、昭和五十八年度からやってきているわけでございます。こういった職員をもう少しふやしてはというような御意見もあろうかと思いますが、これもなかなか財政措置等につきまして非常に難しい点もございますので、既存の予算、制度を前提にいたしまして極力充実を図っていくということ、それから、できるだけ事務は簡素化をして対応していきたい、このように考えておるわけでございます。
#103
○山田譲君 いろいろ問題もあろうかと思いますけれども、人が足りない、あるいは金が足りないということであれば、せめて機構みたいなものを簡素化していくというふうなこと、あるいは責任体制をきちんとするということが私は大事だと思うんですね。だから、私は本当に行ってみて、市町村長が責任を負うのか、農業委員会の会長が負うのか、あるいは農協の農協組合長か何かが責任を負うのか、指導するのか、その辺が非常にもうあいまいですから、これはぜひ改善をするように頑張っていただきたいというふうに思います。
 それから、こういうふうないろんな問題を含んだ農業者年金制度でありますけれども、こういうことについて社会保障制度審議会の答申が三月一日に出されました。その中で、社会保障制度審議会はかなり厳しい言い方をこれについて言っているわけです。特にこれからいけば「年金財政上ゆゆしい事態が生ずる」、こういうふうな言い方をしている。「制度の抜本的検討」を既に五十六年に答申しましたと。「しかるに、」と言っているんですね。「その後見るべき対応がなされないまま今日に至り、他の公的年金制度を大きく超える国庫負担を投入しても年金財政の確立は望み得ない状態にある。」、ですから、「根本的な検討を行うことを強く要望する。」、「しかるに、その後見るべき対応がなされないまま今日に至り、」というふうなことで、行政当局の怠慢をここで責めているわけです。
 私は、これほど厳しい指摘を余りこういう審議会の答申で見ないんですけれども、これだけ厳しい指摘をしたことについて、まず大臣はどういうふうに思われますか。
#104
○国務大臣(佐藤守良君) 山田先生にお答えします。
 先生の御指摘のとおりでございまして、結局、年金財政を健全に維持していく上にということで抜本的な改善を求めているのは事実でございます。実は、農業者年金の年金資産というのは、昭和六十年度末で約六千億円と見込まれております。当面の制度運営には支障ありませんが、昭和六十二年度末には単年度収支が赤字となり、その後積立金は減っていくということでございます。
 そんなことで、我が省といたしましても給付と負担のあり方、それから経営移譲年金の支給開始年齢等の制限の基本的枠組みに係る問題等について、今後部内に設けられている研究会等の場において検討を行うつもりでございます。
 それから、実はちょっと余分でございますが、先ほど来質疑を聞いておりましたが、妻の加入の問題でございます。これは局長の答弁しているとおりでございまして、農業者年金は国民年金の付加年金である。加入資格というのは、地権者あるいは使用収益権を設定した人ということでございますが、しかし実態は、私の田舎でも奥さんが全部農業をやっているのが実態です。そんなことでございますゆえ、この検討課題の一つに加えて検討したいと思っております。
#105
○山田譲君 審議会が、ちっとも対応をしなかったということを言っているわけですけれども、これは大臣でなくて局長で結構ですから、そう言われて、いや、おれはちゃんと対応をしているんだという気があるのかないのか、そのとおり怠慢でしたと言うのか、どっちを言おうとしているのか、はっきり言ってください。
#106
○政府委員(井上喜一君) 社会保障制度審議会から非常に忌憚のない厳しい答申をいただいたわけでございますけれども、私どもといたしましては、前回の社会保障制度審議会の答申を受けましてできるだけの検討をいたしたと考えているわけでございます。
 これは今回の改正案の中にも反映されておるわけでございまして、経営移譲年金の給付水準でありますとか、あるいは今回の農業所得を前提にい
たしまして給付を行います場合に、既裁定者との関係で既裁定者の裁定額が現行法といいますか改正法、既裁定者の裁定額が改正法によります裁定をした者よりも上回る場合には物価スライド措置を停止しますとか、あるいは農業構造の改善を促進するために経営移譲をする態様によりまして年金の給付水準に差をつけると、こういったようなことをいたしたわけでございまして、これらにつきましても前回の社会保障制度審議会の答申を十分検討いたしまして、このような改正案を出したということもあるわけでございます。
#107
○山田譲君 それは、抜本的な見直しとあなたが言うのにしてはお粗末だと思いますよ。単なる手直しでしかない。やっぱりさっき言ったように、大臣もちょっと触れておられたけれども、六十二年ですか六十三年かに単年度の赤字が出る。その後はずっとその赤字がふえていく一方でありますね。ですから、そういう状態でいったら大体七十一、二年ころは完全にパンクというような状態を考えざるを得ない。それを防ごうとすると、今度も上がっているわけですが、掛金を上げて給付を下げるというふうなやり方、保険財政のただつじつまを合わせようとすればそういうことをやるほかない。それだって限度があります、もうこれだって非常に今度は高くなっていると思うのだけれども。そうすると、もうあと十年足らずのうちにやってくるそういう状態を考えて、それこそ審議会じゃないけれども抜本的な検討をしなきゃならぬのはこれは当たり前の話で、今、局長が言った程度の単なる手直しじゃ、とてもおさまらぬと思うんですよ。それについてどうお考えかということなんです。
#108
○政府委員(井上喜一君) 今回の改正におきましては抜本的なところまではいかなかったわけでございまして、その検討の第一歩を踏み出したという状況と考えておるわけでございまして、御指摘のように、やはり抜本的な検討を行いましてこの農業者年金制度の長期安定を図っていかなくちゃいけないわけでございます。これにつきましては、なるべく早い時期に制度の枠組み等を含めまして十分に検討をして結論を出していきたい、このように考えている次第でございます。
#109
○山田譲君 あと十年しかないわけですよね。そうすると完全にパンクするという状態を迎えているわけですから、そんなのんきなことを言っていちゃ困るので、やっぱりこういうふうにします、ああいうふうにしたいと思いますとかいうことを、パンクを防ぐために、あるいは農業者年金制度なんかもうやめてもいいという考えなら別ですよ。そうじゃなくて、これはずっと半永久的にぴちっと伝えていこう、いいものにしていこうという考えがあるならば、それはやっぱりそういう十年先のことを考えてある程度の構想くらい持たないと、それは困っちゃうんじゃないかと思いますよ。
#110
○政府委員(井上喜一君) この点につきましては、構造改善局の中に設けました農業年金制度研究会におきましても、あるいは国民年金審議会におきましても同様の意見が出されているわけでございまして、なるべく早い時期に基本的な検討をしまして、農業者年金制度の安定を図っていくべきであるということでございます。そういうことを指摘されているわけでございます。現時点におきまして、基本的な枠組みにつきましてはこのように考えるというようなところまではいっておりませんけれども、私どもといたしましては、そういう問題につきましてなるべく早く検討いたしまして基本的な方向を見出したい、このように考えておる次第でございます。
#111
○山田譲君 それは今すぐに言えというのは、大事なことですから無理かもしれないけれども、やっぱり本当にできるだけ早くこれをやってもらわないと、また予算もそろそろ概算要求の時期になってきますけれども、そのときにまた大蔵省とやって、大蔵省はそれはもっと給付を減らして掛金をふやせというふうなことを言ってくるに違いないですわね。そうしたら一体どこを歯どめにして農水省としては頑張るのか、あるいはどういう理届を持ってそれに対抗していこうとなさるか、そういうことを今から十分考えていっていただきたいというふうに思うんです。
 その次に、いろいろありますけれども、今回の改正案でまず新規加入を局長としてはどの程度見込んでおられるか、こういうことをお伺いしたいと思うんです。
 それと過去の実績ですね、新規加入がどういうふうな推移でもって来て、今後どういうふうになっていくであろうというふうに思われるか、そこをちょっと説明してください。
#112
○政府委員(井上喜一君) これからの農業者年金への新規加入者でございますけれども、大きく分けまして二つあるわけでございまして、最近特に多くなっております他産業に一度就職をしまして若いうちに離職をしまして帰農をする者、それに新規学卒者でそのまま就農していく、こういうグループと、それからもう一つは、先ほどの御質問にもありましたが、加入資格がありながら未加入である者の中から農業者年金基金等の加入促進に対する効果も勘案いたしまして加入する者と、こういう二つの範疇の者があるわけでございますけれども、そういう両者の加入数は、六十一年度から六十五年度は毎年三万人、それから六十六年度から二万八千人、六十七年度からは二万六千人、六十八年度が二万四千人、それから六十九年度が二万二千人で、七十年度以降が二万人程度になるだろう、こういうような見込みをしているわけでございまして、最近の加入状況を見ますと、五十五年が二万二千三百八十八人でございましたのが漸次多くなってまいりまして、五十七年は二万六千二百四十六人、五十八年は二万八千七百八十八人、五十九年は三万百九十二人と、こういうふうに増加をしてきているわけでございます。そういう中で、私どもはこういった今申し上げましたような新規加入者を見込んでおるわけでございます。
 それから、将来の見通しでございますけれども、このような前提に立って考えますと、昭和六十五年段階では被保険者数が約六十七万人、それから経営移譲年金をもらっている人が約六十万人、それから農業者老齢年金をもらっている人が約四十三万人弱ということでございます。それから昭和七十年時点で見ますと、被保険者数が約五十七万人、それから年金を受給している人でございますが、経営移譲年金が約六十五万人、それから農業者老齢年金の受給者が約五十七万人と、こういった見通しを持っておるわけでございます。
#113
○山田譲君 要するに、新規加入の数はずっとどうしても減っていきますね。それで、受給者の方が物すごく膨大にふえていく。こちらの方の被保険者はずっと減っていくわけですね。そうなると、これはとてもじゃないけれども、保険財政として成り立っていかないようなことになっていく。そういう点についてどういうふうに考えておられるか。さっき大臣ちょっと言われたけれども、六十二年ですか、三年ですか、そこがはっきりわからないのだけれども、今一番新しい計算で六十何年になると単年度赤字が生ずるかということと、いつになれば完全にパンクしてしまう、つまり積み立てた金がなくなってしまうという状態になるか、そこをはっきり教えてください。
#114
○政府委員(井上喜一君) これは収支の見通しの場合は一定の前提を置いての見通しでございますので、そのように御理解いただきたいわけですが、今の見通しでは単年度収支で赤になりますのは六十二年でございます。それから、年度末資産がマイナスに転じるのが昭和七十四年でございます。
#115
○山田譲君 そういうことで、さっきの問題と同じことになりますけれども、みすみす六十二年になれば完全に単年度の赤字になる、これはもう明らかですね。とれはそう変わらないと思うんだ、どんな前提を置こうと。七十三年になると完全に資金を食いつぶしてしまって、後は全然払えない状態になる。そういう事態を迎える前に当然何らかの手を打たなきゃならないと思うんだけれども、これもさっきと同じ問題で恐縮ですが、もう一
遍それに対するお考えを聞きたいと思うんです。
#116
○政府委員(井上喜一君) 年金財政の見通しから言いますと、ただいま申し上げましたように昭和七十四年に年度末資産がマイナスになるわけでございまして、私どもといたしましては、この農業者年金制度を長期に安定をして運用していくためには根本的な検討を行わなくちゃいけないというふうに考えておりまして、そういった認識は持っているわけでございます。給付と負担の関係でございますとか、あるいは最近の高齢化の状況から見まして経営移譲年齢をどのように考えていくべきなのか、その他いろんな各界からも問題を出されております。そういう問題を含めまして基本的にどのような枠組みを設定していくのか、今後鋭意検討していきたいと考えているわけでございます。しかも、なるべく早い時期にそういう検討はしなくちゃいけないと、このように考えております。
#117
○山田譲君 時間がありませんから、余り細かいことに触れないで大きなところだけ聞いていきますが、給付の水準の問題について、今度改定するようですけれども、その基本的な考え方は一体どこにあるか、これについて説明してください。
#118
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金の給付の水準につきましては、従来から厚生年金並みというようにしてきたわけでございまして、今回の改正におきましても基本的にそのような考え方を踏襲してきているわけでございます。
 御案内のとおり、厚生年金の給付水準につきましては、昭和六十一年度以降二十年をかけまして段階的に給付水準が改定をされることになっておりまして、二十年後の給付水準は改正前の約六〇%程度になるということでございます。農業者年金につきましても、そういう趣旨に即しまして給付水準を改定することになるわけでございます。
#119
○山田譲君 そこで、厚生年金並みという言葉の意味ですけれども、やっぱり実際にもらうお金を比較してみますと、六十歳から六十四歳までの農業者年金について言うと、これは八万九千三百円ということになっております。厚生年金ですとこれが十一万九千九百五十円、六十歳から六十四歳までですね、こういう差がある。これが厚生年金並みだと言われる根拠というのは、恐らく農業所得なり標準報酬月額が、厚生年金の方の場合は二十五万四千円ですし、農業所得の月額というのは十三万一千円だから、これはもらう金が少なくたってしようがないという、こういう考えになるのかならないのか、そこのところはどうですか。
#120
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金を厚生年金並みに給付をしていくといいますのは、農業者の平均的な所得でもって厚生年金に加入していたとすれば得られるであろうその水準を確保していくと、こういうことでございます。したがいまして、現実の厚生年金の年金額とは若干違うわけでございます。といいますのは、平均の標準報酬月額が違いまして、厚生年金の方が農業者年金の基礎になります農業所得よりも高くなっておりますし、それから年金への平均加入期間が厚生年金の方が長くなっているわけでございますので、それが具体的な年金額の差になって出てくるわけでございます。したがいまして、同じような条件でもって計算をいたしますと、同様な年金額に相なるわけでございます。
#121
○山田譲君 その考えがちょっと私は納得できないんだけれども、その前にちょっと聞いておきたいのは、農業所得の月額、さっき私十三万一千円と言いましたけれども、これは間違いありませんか。それと同時に、この数字の算定根拠はどういう算定でしたんですか。
#122
○政府委員(井上喜一君) まず、その農業所得の月額でございますけれども、これは五十八年度の毎月勤労統計から算定されます総給与月数というのがございます。これが十五・六カ月になっておりまして、これで所得の年額を除して求めたものでございます。
 それでは、所得年額をどうして求めるかということでございますけれども、これも従来から計算をしている方法がございまして、四十六年から五十八年を基礎にいたしまして、ということは制度発足後最近時点までの期間をとりまして直線回帰あるいは片対数回帰、三次曲線回帰あるいは農業所得のその期間の平均をとりましてそれぞれ年額を算定するわけでございますが、それで一番高いところを今回はとったわけでございます。無論、最近の五十五年、五十八年は冷害等がございまして農業所得がかなりダウンをしております。これにつきましては、米等につきまして平年作ということを前提にして補正をいたしております。そういう計算の結果、最高の月額が十二万円から十三万一千円というところになったわけでございまして、その最高のところの十三万一千円という月額をとった、こういうことでございます。
#123
○山田譲君 老後の保障という点から考えますと、ちょっと農業所得、今のあなたの言ったようなことがもとになって老後の保障の金額を決めていくという、そこのところがどうも適当じゃないんじゃないか。おじいさん、おばあさんは、農業をやった人でも、あるいはどこかへ勤めていた人でも、同じ金額を老後の保障として保障してやりましょうと、こういう趣旨でなければおかしいんで、しかも最近は農業所得と勤労者所得の格差が広がっている状態です。そうすると、おまえはかつて貧乏だったから老後も貧乏だ、こっちは前は金持ちだったんだから老後も金持ちにと、これでは老後の社会保障的な考えは全然出てこないと思うんですよね。それは実際働いていたときはどうだったかは別として、やはり老後ということになりますと、これはまず金額を合わせていくということが大事であって、昔貧乏だったからこれからも貧乏でいけというふうな考え方は通用しないんじゃないかと思うんですけれども、どうですか、そこら辺は。
#124
○政府委員(井上喜一君) 年金額の水準を一定にしていくという考え方は国民年金等にはあるわけでございますけれども、厚生年金等のように、年金制度の改正によりまして比例報酬部分というととにこれからなっていくわけでございますけれども、農業者年金につきましてもそういう厚生年金並み、厚生年金水準といいます場合には、どうしても所得というのが入ってこざるを得ないのではないかと考えているわけでございます。また、年金保険制度として仕組むわけでございますので、当然負担の問題もあるわけでございまして、そういった場合、やはり所得との関係ということも考えなくてはいけない要素であると考えておるわけでございます。
#125
○山田譲君 もちろん掛ける関係もありますから、それは今までのような計算の考え方でいけばやむを得ないと思うんだけれども、基本的な考え方として、私は冒頭に言ったように、佐藤榮作さんが農民にも恩給をと言った気持ちというのは、やはり雇用労働者並みの保障をしてやりましょうということがねらいだったと思うんですよ。百姓は貧乏だから老後だって貧乏でいけなんということは、そのときの総理大臣の佐藤さんは考えていなかったと思うんですね。だから、せっかくの佐藤さんのお考えですから、ひとつ農水省としても十二分にそこら辺は考慮した上、単純に働いていたときの所得が少なかったから老後も少なくていいんだという考えはとらないようにお願いしたいということなんです。
 時間が来ましたからもう少し、どうしてもこれも納得できないと思いますのは、今度の改正でサラリーマン後継者へ経営移譲した場合に年金額に差をつけるという制度にしましたね。毎年度二十分の一ずつ減らしていって五年で四分の一の差とする。これは一体どういう考え方ですか。息子がサラリーマンでその人に経営移譲した場合には、もらうおじいさんの方の年金が四分の一減るということでしょう。これの考え方はどういう考え方か、これを説明してください。
#126
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金制度は、老後保障をしていくという目的とあわせまして、経営移譲によります経営の若返りでありますとか規模拡大等を図るということが目的でございます。
そういう政策目的を持っておりますし、また、そういう政策目的は現状の農業政策からいきまして最優先的に考えるべきことと考えておりまして、この年金制度におきましても、生産性が高い中核農家等に対して極力農地が集まるようなそういう形に経営移譲を誘導していく必要があるというふうに考えているわけでございます。そのような趣旨から、今回、農業者年金の被保険者等に移譲をいたします場合とそれ以外の場合とで年金額に差をつける、こういうことにいたしたわけでございます。
 この問題につきましては、農村内部におきましてもいろんな意見がございます。私どもも、農業者年金制度研究会におきましても関係者の意見をお聞きしたわけでございまして、そういった意見を総合勘案いたしまして、現在の法案で提案しております四分の一の格差をつけるのが適当であろう、こういうことになったわけでございます。
 四分の一の格差の根拠でございますけれども、やはり老後生活の保障というようなことがございますので、そういった水準も勘案いたしまして差をつけたわけでございます。
#127
○委員長(北修二君) 時間になりました。
#128
○山田譲君 これはもう絶対に納得できませんから、ひとつよろしくお願いいたします。
 まだいっぱいありますけれども、これでやめます。
#129
○委員長(北修二君) 本案に対する質疑は午前はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時二十二分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十二分開会
#130
○委員長(北修二君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農業者年金基金法の一部を改正する法律案の質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#131
○藤原房雄君 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして、若干の質問を申し上げる次第であります。
 この農業者年金基金法、農業者年金は、この問題だけを取り出して云々というわけにはいきませんで、やはり農業を取り巻く諸情勢について深いかかわりを持っておると、こう思うのであります。その点につきましては広範にわたります問題、限られた時間で一々申し上げる時間もございませんので、何点かに絞ってお話を申し上げるわけでございます。過日の大臣の法律案の提案理由説明の中にもお話がございましたが、農業者年金制度、それは「四十六年一月に発足して以来、農業経営の若返り、農地保有の合理化等に寄与してまいりました。しかしながら、農村における人口構造の高齢化、兼業化の進展等により、農業者年金をめぐる状況は厳しいものとなってきております。」、このように大臣もお話ししておりました。
 確かに大臣のおっしゃるようなこういう状況の中にありますが、こういう認識の上に立って、それに対してどう対処するかという次のものが出てくるわけであります。そういうことからいいまして、厳しいものがあるということでありますけれども、その厳しさというものをどう認識していらっしゃるか、そしてまた、農業の持つ重要性というものを当委員会では何度も強調しているわけでありますが、その強い認識の上に立って、その厳しい諸情勢をどう乗り越えようとするのかという、そういうところが非常に重要なところだろうかと思います。
 大臣の趣旨説明にもあったところでございますので、趣旨説明ということですから詳しいお話もなく、このようなお言葉になっているわけでございますが、この現在の農村における人口構造の高齢化とか兼業化の進展、こういうことで農業者年金をめぐる諸情勢は非常に厳しいという、こう趣旨説明でもお話になったその中といいますか、その奥底にあります大臣の認識、そこらあたりのことをまずお伺いしておきたいと思います。
#132
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金制度をめぐります情勢というのはなかなか難しい問題がございます。農村地域におきまして兼業化が相当進んでいるわけでございまして、そういうことから経営移譲をいたします場合にも、専業ないしは専業的農家に経営移譲するということでなく、安定兼業農家、いわゆるサラリーマン後継者に経営移譲がどんどんふえてきているというような状況もございます。確かに後継者は若返るわけでございますけれども、農業の経営能力という点から見ますと問題が出てきているわけでございます。そのような農業の経営者の質につきまして、かなり状況が変わってきております。
 また、経営移譲の数でございますけれども、当初予定いたしました後継者移譲、経営移譲が非常に数がふえてきております。さらに、全体として高齢化が進んでおりまして、年金の受給期間が長期化をしてくる傾向がございます。
 こういうことで、構造政策という目的から見ました効果につきましても問題がありますし、また年金財政を長期的に見ました場合にも、長期安定をしていくというそういう点から問題が出てきているわけでございまして、非常に難しい問題、厳しい問題として受け取っている、そういう趣旨でございます。
#133
○藤原房雄君 ただいまお話ございましたが、農業者の質の問題、それから経営移譲がある程度進んでいるというようなお話ございましたが、これは今日まで、基本法農政以来、農業の基本になります農業の憲法と言われた農基法、その後、社会の大きな変動、そういう中にありまして、最近では「八〇年代の農政の基本方向」を推進する一つの目安といいますか、目安というより農業の基本というものを打ち立てて、それに近づけていこう、五十五年の農政審の答申を受けて、五十五年の十一月には「農産物の需要と生産の長期見通し」、こういうことで目標年次を六十五年にする、こういうことでいろいろ計画を立てましたですね。現在、非常に社会の変動、時代の変化が激しいということで三年先も五年先もなかなか見通し得ないようないろんな問題がある。それを十年とか十何年というオーダーで見通すということになりますと、これはいろんな違いが出てくるのはやむを得ないことなんだと思いますが、特に農業の問題につきましては、非常に今、構造的に変革が求められておる。
 こういう中にありまして、先ほどお話にございました農業者の質の問題、さらにまた後継者の問題等につきまして、今日までも施策としてはそれなりに進めてきたと思うんでありますけれども、現実問題、農業に非常に希望の持てるような状況に、現在は胸を張ってそれを言い切れるだけの状況にないことは、他産業と比較をいたしますと農業所得、こういうものを見ましても明らかであると言わなければなりません。そういうことで中核農家の育成ということを今日までも言われてきておるわけでありますけれども、その中核農家育成ということもなかなかこういう社会情勢の中では進展をしない。
 こういうことで、私は今回農業者年金の問題につきましても、とにかくこの構造政策と農業者年金、こういう政策が相マッチして、当初計画を立てたような方向に農政が進めばいいのかもしれませんが、日本の限られた耕地面積の中で五百万とも六百万とも言われた農家が規模拡大をするというそういう方針を立てましても、そうわずかな期間の間に農業構造というものが大きく変化することは非常に難しいことである、特にだんだん農村の混住化というようなことも出てまいりました。兼業農家というものに対しましてもそれなりの位置づけというものを明確にいたしませんと、今まで言っておりますような中核農家一本やりの物の考え方、そういう形でこのまま推し進めよう、規模拡大、それは当然しなければならないのでありますが、それは本当に限られたところでのことであって、それが日本農業の大きな希望を持たせる道はこれ以外にないみたいな方向性というのは、
ちょっとそういう旗はおろさなきゃならないのではないか。
 こういうことで、当然規模拡大をした中核農家が中心になければならないのは当然のことでありますが、しかし、大勢としては、やっぱり兼業農家というものを度外視して日本の農政も語れませんし、今後また兼業農家のあり方ということに対するきめ細かな施策というものがなければならないと私は思うのですが、その辺のことについてはどうお考えでしょう。
#134
○政府委員(井上喜一君) 国民食糧を安定的に供給をしていくというのは、農業政策の大きな目標であります。また、その方法といたしましては、生産性の高い中核農家によって多くの農業生産を担えるような、そういうような農業構造をつくっていく必要があるのは当然でございます。しかし、最近の農家の状況を見てまいりますと、兼業化が進展をしてまいる、あるいは高齢化が進展をしてきているわけでございまして、中心となりますその中核農家につきましては全体として環境が厳しくなってきているわけでございます。
 基本の方向といたしましては、この中核農家を中心に考えていくというのが当然かと思いますけれども、午前中の議論にもございましたように、兼業農家が現に存在しておりますのは事実でございますし、多くの農地を持ち、またかなり多くの農業生産の分野を担当している、こういう実態があるわけでございます。
 したがいまして、中核農家に農地を集積していくといいましても、その周辺に存在いたします兼業農家の協力なくしては中核農家の育成もないわけでございます。率直に兼業農家の存在を認めまして、中核農家との協力の関係におきまして中核農家を中心とした生産組織の育成なり、あるいはもう少し進みますれば、中核農家そのものに農地を集積をしていくようなことが必要と考えているわけでございます。現に農業生産の実態を見ましても、兼業農家との協力なしには病害虫防除等に見られますように農業生産はうまくはいかないわけでございます。
 構造改善局といたしましては、中核農家とその周辺の兼業農家との話し合いによりまして、その地域の農業が組織化し能率の高い農業になるように、その話し合いを促進してきているところでございます。
#135
○藤原房雄君 そういう日本の現状の中にありまして、優良農地と言われるようなところにつきましては、それなりに規模拡大し、また生産性の高い農業の実施という、こういうことに心がけていくのはこれは当然のことでありますが、画一的な物の見方で南北に長い日本列島を見ましても、それはそう簡単にはいかない要素があることはもう今お話しのとおりであります。そういうことから農家の中に専業と兼業と、そういうことでそれぞれの営農をなさっている形態は異なるとしましても、やはり農業に携わる者に対しましての施策としては、そんな大きな差異を生ずるようなことがあってはならない。やはり兼業は兼業として日本の農業の一翼を担っているという重要性というものは、これはそれなりに評価をしていかなければなりませんし、今後社会情勢の変化の中でどのようにこれが変わっていくのかということも、また非常に予測の難しいところだろうと思います。
 そういうことからしまして、このたびの農業者年金法の改正につきましては、いろいろな問題を指摘しなければならないわけでありますが、確かに中核農家、専業農家というものを中心として、そこに経営移譲するという形を最重要視するということも大事なことでしょう。しかしながら、いろんな形態のある中での、そしてまた食糧増産という大事な立場を担っております農業者に対しましての配慮に欠けるところがありますと、また非常に問題が出てくるだろうと思うのであります。そうでなくても最近は老齢化がだんだん進んでおりまして、一部には後継者の移譲によりまして若返りもできておるというお話がすぐ出るのでありますが、しかしそれは本当に限られたところの問題でありまして、総体的にまだそんなに進んでいるわけじゃございません。まだまだいろんな問題をはらみながら、その解決を一つ一つ乗り越えながら進行しつつあるというのが現状だろうと思うのであります。
 この農業者年金基金法ができるに至りました経緯、こういうものを考えてみましても、やはりこれは佐藤総理が思いつかれた、思いつきでされたというのじゃなくて、やはり農業の重要性ということを十分に勘案した上で、この制度の実施というものを促したのだと思います。これは選挙の公約ということですから、一つの人気取りもあったのかもしれませんが、しかし、そういうことじゃなくて、この時点で、しかも佐藤榮作大先生はノーベル平和賞をいただいたような立派な方でありますから、本当に日本の行く末を見、そして日本の農業のあり方につきましてやはり深いお考えの上に立ってこの制度の発足というものを促されたのではないか、私はこう思うのです。
 ところが、このたびの改正は掛金は高くなるわ、支給額は減るわ、そして国民年金、ほかの年金も公的年金の横並びということもあるのですけれども、だんだんそれに並列化するような形で大事な政策目標というもの、目的というものがだんだん薄らいでいくような形になっていくような気がしてならない、全体を見まして。
 まず、このたびの改正に当たりまして、大綱的なことでございますが、設立当時の佐藤総理がお考えになっていた基本線からいささかなりとも外れるなんということのない、趣旨はきちっと踏まえておるという確信を持って大臣言えるかどうか、その辺どうでしょう。
#136
○国務大臣(佐藤守良君) 藤原先生にお答えいたします。
 今、先生からいろいろ御指摘があったわけでございますが、農業者年金制度につきましては四十六年の四月発足以来十四年を経過しております。その間、経営移譲の促進を通じまして、四つの大きな役割を果たしてきていると思います。もちろん、その四つの柱につきましては先生御指摘のようなことで、例えば農業経営の細分化防止、それから中核農家の規模拡大、これはなかなかそう順調にいってない。また、農業経営者の若返りを進める、また、そういう形の中で農業者の老後保障に役割を果たしてきた。
 そんなことで、国民年金の付加年金として、経営移譲の促進を通じましていわゆる経営農家の若返りとか、あるいは老後保障、こういう目的をかなり果たしてきておる、このように考えておるわけでございます。
#137
○藤原房雄君 農民にも恩給をという、当時の大きな柱はそこにあったと思うんです。若返りは当然そういう方向になきゃならないのでありますけれども、当時国民皆年金の、三十四年ですか国民年金法ができて、そういう方向に進みつつあるという中にありましたし、農業者につきましては老後の保障というのがない中で、そういう方向性を明確にしなきゃならぬというものもあったんだろうと思いますが、この法律の第一条に、「農業者の老後の生活の安定及び福祉の向上」ということとか、「農業経営の近代化及び農地保有の合理化」という目的が二つ並記してあります。
 これは午前中の質疑にもありましたけれども、どっちに重きを置くなんていうんじゃなくて、法の目的でありますから、当然これはどちらも重要な法の目的として明記してあることだと思いますけれども、これは発足当時につきましても今日に至りましても、その理念に変わりはないのは当然のことだろうと私は思うんですけれども、最近は財政再建とか財政逼迫とか、こういうことの中で、だんだん老後の安定や福祉なんというところについての考え方というのは軽くなってきたんでしょうか。そんなことがあってはならないと思いますし、またあくまでもこの精神は貫き通さなきゃならぬと思うんですけれども、まずその点についてお伺いしておきます。
#138
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金制度は、農業者年金法の第一条にありますように、「国民年金の給付と相まって農業者の老後の生活の安定及
び福祉の向上に資するとともに、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与することを目的とする。」ということで、これは並列で書いてあるわけでございまして、要は、この年金制度は、構造政策と老後保障というのは非常に密接に絡まっている、密接な関係において仕組まれた制度である、このように考えております。
#139
○藤原房雄君 密接に絡まっているから、どちらを重視してどちらを軽んずるということではなくて、両者の力、いわゆる両者のそれぞれの働きというものを農業発展のために生かしていかなければならないということで、軽重とかそういうことはないというふうに考えるのは当然だと思いますが、その辺はどうですか。
#140
○政府委員(井上喜一君) 並列に書いてありますので、軽重ということはないわけでございますけれども、現在、農業が置かれているような状況から見ますと、より両者の関係は密接不可分に絡めていく、そういう両者の関係を十分絡めてこの制度を考えていく、そういうような時期に来ていると考えております。
#141
○藤原房雄君 まず、この目的の二つの柱ということになりますが、農業経営の近代化及び農地保有の合理化、この法律が果たしてきた役割、これは端的に言ってこの言葉に表現されるんだろうと思いますが、この若返り及び農地保有の合理化等、こういう問題については農水省としては、統計的な数字はもちろんいろいろありますけれども、施行以来十五年ですか、十五年そこそこの年数でありますけれども、
   〔委員長退席、理事最上進君着席〕
それなりの成果といいますか、効果をあらわしてきたというふうに評価をしているのかどうか、その辺はどうですか。
#142
○政府委員(井上喜一君) この法律制度が目的としますことについては、いろんな見方があろうかと思いますけれども、一定の成果は上げてきていると考えております。
 経営移譲によります経営者の若返り、これについても三十五歳未満の若い経営者に八〇%にも及ぶ経営移譲が行われるようになってきておりますし、また細分化防止、一括移譲ということにつきましても、従前よりは多い一括移譲が行われるようになってきております。
 さらに、移譲の形態として第三者移譲というのがありますが、これは直接に土地を譲り受けた経営者の規模拡大に直結しているわけでございまして、規模拡大効果は相当に出てきている、このように考えております。
 また、経営移譲によりました後の後継者の経営状況を見ますと、移譲を受けました農地等を土台にして、さらに経営規模を拡大してきているというような傾向がありまして、そういう点を含めましても、この年金制度による構造政策的効果はかなり出てきているというふうに考えております。
#143
○藤原房雄君 最近の農村の混住化ということで、しかも農村に工場がどんどん導入される、こういうことでお働きになる方々もだんだん多くなる。昔は農村は農家の方々だけであったのかもしれませんが、そういう社会の大きな変化の中で、農業者のみならず、とかくに自分の生活というのは人との比較で見るようなことになるわけでありますが、この年金が発足した当時もやはり厚生年金並みの制度、支給条件、こういうものが厚生年金並みというのが一つの目標というか、農民も一つの大きな願いとしてきたところだと思うんです。
 厚生年金の場合は、これは企業負担があるわけであります。ところが、この国民年金を基として進めております農業者年金、国民年金は企業負担はございません。本人負担、国庫のある程度の補助ということがあるわけでありますけれども、当初から厚生年金並みと、こういうことで進められてきましたけれども、しかし、現実は、基礎年金の上に加算される年金という意味合いの上からも、形としてはそういう形に進みつつあるのかもしれませんが、実際の加入期間とか、または支給金額とか掛金等、大きな相違が出てきているのは御存じのとおりです。
 こういうことから、当初厚生年金並みと、こういうことが言われてきた、そういうものに対しまして政府としましてはこういうことをどのように認識していらっしゃるのか、お考えになっていらっしゃるのか。とてもそんなことは聞いたこともないというか、聞いてはいるんでしょうけれどもでき得ないことだというようなお考えなのか。今回の改正に当たりまして、そういう問題についてはどのように念頭に置きながらこの改正の手法について進められてきたのか、その辺ちょっとお伺いしておきたいと思うんです。
#144
○政府委員(井上喜一君) ただいまお話しの話は、農業者年金として現実に経営移譲年金を受け取っている金額、あるいは厚生年金の平均の月額、こういうものを比較いたしますとかなり差があるわけでございます。五十九年三月末で申しますと、農業者年金の場合には月額が四万九千三百四十円でございますし、厚生年金の場合には十一万三千三百一円というふうになっております。これは平均加入期間が両者で違いますこととか、また平均報酬月額が違う、こういうことで違っているわけでございます。農業者年金の給付水準につきましては従来から厚生年金並みと言ってきたわけでございますが、この中身は、農業者の平均的な農業所得で厚生年金に入ったとすれば、そこで給付されるであろう年金水準を農業者年金として確保する、こういう趣旨でございます。したがいまして、厚生年金に加入し平均報酬月額が十三万一千円、こういうようになりますと、農業老年金加入者の今回の改正によります十三万一千円を基礎にいたしました年金額と同じになるわけでございます。
 この厚生年金並みといいます場合に幾つかの考えがあろうかと思いますが、やはり報酬、所得というものを基準にしていくのが一番妥当であろうというふうに考えるわけでございます。したがいまして、農業者の農業所得を上げていくといいますのは、農業政策全体として、あるいは経済政策全体として農業所得を上げていくというような努力にまつべきものでございまして、現実の農業者の所得につきましては実際の所得を基礎にして考えていくべきものであろうというふうに思います。
#145
○藤原房雄君 農業者の農業所得というのは、このところ農産物の価格がずっと据え置かれて低迷しておりますから、どうしても低い。それから、サラリーマンの給与も五十五、六年低い時代もありましたが、しかしこのところで四%、五%の伸び率というのがあるわけでありますから、どうしても農業者の農業所得というのは低迷しておる。そういうことから言いまして、現在の算定方式から言いますと、どうしても低くなるのはこれは当然と言えば当然かもしれません。しかしながら、老後の保障ということからしまして、しかし農業の所得として加工業のように急激に所得を伸ばすということはでき得ない。農業の場合にはそれなりの時間もかかる、技術的な改革のためにも投資をしなければならぬという、そういうハンディを背負いながらこれを進めていくということでありますから、サラリーマン並みの所得が上げられれば問題はないんですけれども、そうはいかないし構造的なものがある。
 それなりに、ならば国の国庫補助というものがそれをある程度カバーするのでなければならない、こう思うんですが、今回はほかの公的年金の大改革との横並びで国の補助率というのはカットになる。こういうことから、本来の農業老年金の形態というものは大きく変質しつつあって、老後の生活保障ということよりも経営移譲とか若返りとかというそっちの方に力点が置かれて、構造改善の方にどうもウエートが置かれるような感じがしてならない。この法の目的は老後の保障ということが明確にうたわれているにもかかわらず、その施策というのは、農業所得が低いんだから現状では現在のこの算定方式ではやむを得ないんだということでこのまま推移するということであるならば、法の目的は一体何だったのかと問い直さな
ければならないんじゃないかというような気がしてならないんです。こういうことで、このたび政策年金ということで確かに財政のいろんな状況もあることは私もよく存じておりますが、公的年金のほかの年金との横並びで、同じような形で同じようにこれが改正されるということにはいささか問題があるんじゃないかと私は強く思うんですけれども、この点については政府はどういうふうにお考えなんですか。やむを得ないことだ、しようがないんだということなんですか。
#146
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金制度と厚生年金の制度とはそれぞれ仕組みが違うわけでございます。加入者も違いますし、年金の給付の要件等も違うわけでございます。ただ、お互いに共通しているような事項もございまして、例えば高齢化の社会を迎えまして農業者年金加入者におきましても高齢化が進む、加入者といいますか、受給者につきましても高齢化が進行しているような状況でございます。そういう一般的な現象については共通の状況がございますし、また農業者年金につきましては、給付については従来から厚生年金並みというようなことで対処してきたわけでございます。
 このたび公的年金制度の改正が行われまして、二十年をかけまして給付水準の改定が行われるわけでございますので、農業者年金といたしましてもそれのよく趣旨を踏まえまして、それに準拠いたしまして年金給付の水準を改定することにいたしたわけでございます。そういうことで、農業者年金制度を取り巻く状況、それに影響されます年金財政あるいは給付水準の考え方等を考えまして、今回のような改正案を提案した次第でございます。
#147
○藤原房雄君 そういうことで、これは大蔵当局との財源の問題でいろんな話があったんだろうと思いますけれども、本当に政策目的を達成するという考えの上からこれを進めようとするならば、ほかの公的年金と同一視するようなことで今回の改正が進められたということであるならば、これはだんだんだんだん変質したものになってしまうんじゃないかと私は危惧するんですね。農業構造政策というのは農業者年金だけじゃございませんで、ほかの政策もいろいろございます。しかしながら、第三次土地改良事業なんかを見ましても、第二次の進捗状況から第三次を見ましても、公共事業の大幅なカットの中でこの進捗状況が非常に芳しくないのは御存じのとおりです。
 今、対外経済摩擦ということで日本の農業が大変な危機に直面しておるわけでありますけれども、同じスタートラインに立ってスタートするならいざ知らず、いろんな不利な条件の中で追いつき追い超せということでどんなにしりをたたかれましても、基盤を確立するということは非常に大事なことでありますから、そういうことからいうと、私はやはり大臣が就任になって最初にお話し申し上げたことですが、どうも最近の農業を取り巻く諸情勢の厳しさということと、それから農業に対する国民の関心度というものに対するPR、そしてまた農水省には、大臣には申し上げておりますように、農林予算というものが一番年々縮小しておる。こんなに農業を重視しなきゃならぬということが叫ばれておる中で、お金だけがすべてではないのはわかりますけれども、しかし、かつて総予算の一割からありました日本の農林予算というものがもう七%を切るような状況の中でも、しなきゃならないことがたくさんある。狭い日本の国とは言いながら、耕地の基盤整備をするということもまだ十分に進んでいない、そういう中で諸外国または他産業と競争しなきゃならぬという状況にある。
 そういうことからいいますと、この農業者年金も財政的にはやむを得ないと言えばそれまでのことかもしれませんが、やはり大臣のよく言う足腰の強い農業、そういう農業の基盤を確立するためには大事な制度であり、そのためにはいささか時間をかしてもらって、足腰が強くなるまで公共投資を初めといたしまして諸制度については見てもらわないと、とてもとても他産業と同じような条件でどんどんどんどん国庫負担が削られ、あの制度もこの制度も縮小されるということの中で、日本の農業に足腰強く立ち上がっていきなさいと言われましてもなかなかそうはいかないのではないでしょうか。
 これは農業基本法以来、今日までそれぞれの目標を定めて、農水省を中心に進めてきたことはよくわかるんですけれども、しかし他産業の高度成長と農業の合理化推進、機械化、こういうものとの進捗状況というのはそんな同一のパーセントで進むわけはございませんから、今日なおかつ基盤整備や何かでしなきゃならない諸制度については、まだまだ手を加えなきゃならないところがたくさんある。皆さん方に言うと、いやことしも厳しい中で随分頑張りましたという返事しか返ってこないんだけれども、大臣、これは本当に一農業者年金の問題ではなくして、日本の農業を守るということの上から見まして、年金制度ですから公的年金と一緒になって横並びで同じように国庫負担が、国庫補助がカットになる、やむを得ないんだということでいいのかどうか。また、公共事業につきましても基盤整備の大事な柱が、投資がだんだん少なくなって基盤の確立がおくれておる、そういう中で対外貿易摩擦に打ちかつ足腰の強い農業といいましても、これはちょっと無理な話ではないでしょうか。
 そういうことで、今日までの財政当局との折衝等もあわせて、また農水大臣の農業に対する強い決意といいますか、そういうものもあわせて、農業者年金だけじゃなくて、農業というものに対してのもっと強力な歯どめというか力強いバックアップをいささかの間これはしなきゃならぬ。合板問題が出まして林産業については別枠でということですが、これは二年や三年ですぐできるかどうかわかりませんけれども、農業につきましてはやはり競争するには競争するだけの基盤を築かなければいかぬ。
 そういうことからいたしまして、何も農業者年金のことだけ言っているんじゃないですけれども、諸制度が他産業並みに全部一律にカットになって一律に縮小されて、そしてそれ立ち上がれと言われても、それで外国に打ちかつ大臣の言う足腰の強い農業ができるのかどうか、私はだんだんだんだん迫りくるこういうやり方に対して、非常にふんまんやる方ない気持ちでいるんですけれども、どうでしょう。
#148
○政府委員(井上喜一君) 構造政策を推進するのは単に年金だけではないわけでございまして、今御指摘になりました公共事業を計画的に推進をしていく、あるいは構造改善事業等の非公共事業についても充実をしていく、そのほか農振法なり農地法等に基づく規制等も行っていくというような総合的な施策が必要でございます。特に、御指摘になりました公共事業につきましては、五十七年に第三次のいわゆる長期計画を策定いたしまして、三十二兆八千億円という内容にしたわけでございますが、昭和六十年度で三年目を迎えまして、その進捗率が一六%ということに相なっているわけでございます。財政状況が最近のような状況でございますので、相当進捗率が低いわけでございますけれども、今後ともさらに力を入れてこの計画の達成に努力をしていかなくちゃいけない、このように考えているわけでございます。
 年金の方につきましても、このたびの改正案では補助制度の改定をいたしております。これにつきましても、私どもといたしましては年金制度の現状から主張すべきは主張いたしまして現在のこのような改正案になっているわけでございますけれども、背景といたしましては、公約年金制度におきまして、拠出時と給付時の双方に国庫補助をしている例がないわけでございます。農業者年金制度におきましてもこの拠出時補助は当分の間と、こういうことになったわけでございます。また、公的年金制度におきます国庫補助は、国民年金といいますか、いわゆる基礎年金部分に対しまして十分の三の補助があるわけでございます。そういうことで基礎年金部分に集中をしておりまして、それに上乗せをされます年金の部分には補助
がされないということでございまして、農業者年金につきましても政策年金に対する補助であるということを明確にする必要があったわけでございます。
 このようなことから、経営移譲年金の給付につきまして現行の三分の一の補助をしておりますが、これに加えまして当分の間の措置でございますけれども、さらに六分の一を付加する、こういうことにしたわけでございまして、これもあくまで国庫補助水準を急激に変えるということは年金財政に大きな影響があるということでこのような措置をとったわけでございまして、この結果、確かに財政的には影響はありますけれども、大きな影響がこれでなくなるというふうに考えているわけでございます。
 確かに、財政というものと無関係に年金制度も論じられないわけでございますが、我々といたしましては与えられた状況の中では最大限努力をいたしまして、まず今後のこの年金制度の維持継続が長期的に図られますようなそういう観点から、今回の改正案を提案した次第でございます。
#149
○国務大臣(佐藤守良君) 藤原先生にお答えいたします。
 私に対して一般的な農業の重要性についてのお話だったと思うんですが、やはり私は農業というのは、いつも言っている生命産業ということで国民に食糧安定供給の大きな役割を果たす、またそれ以外に水資源の涵養その他公益的な機能を持っているということでございます。また、地域社会におきましても就業の機会等を与えるということで地域経済に大きな活性化を与えておる。
 そういう形の中に、やはり国民に食糧を安定供給する立場から三つの考え方が基本だと思っています。その一つは、生産性を高くして国内で生産できるものは国内で生産して自給させることでございます。第二番目には、どうしても足りないものは価格を安くし安定的に輸入するということです。それとともに三番目には、やはり不慮の災害に備えて備蓄をするということ、そんなことで実は一番目の生産性を高く、そして国内で自給できるものは国内で自給するという形の中に経営規模の拡大等があるわけでございます。
 そういう意味におきまして、私はやはりこの農業者年金というのが経営者の若返り、そういう形での老後保障をするということを、先生の御指摘のように十分ではございませんが、これからも積極的に進めていくというのが正しい方向ではないだろうかと、こう考えております。
 そういう形の中に、実は大変財政が厳しいのは先生御指摘のとおりでございます。そういう厳しい中に、とにかく厳しい予算でございますが、有効にかつ効率よく予算を運営する、そういう形の中に、どうしても農林水産業に必要な予算はこれを確保する、こんな考え方で今後とも進めたいと思っていますので、よろしく御理解と御協力、御後援をお願いいたします。
#150
○藤原房雄君 農業の話になるとすぐそんな話になってしまうんですが、大臣は政治家ですから財政当局がどうこうというそういう手続上のお話の前に、やはり農林水産業に責任ある立場として、政治家として主張することはひとつしっかり主張されて、農林水産業の未来に大きな問題を起こすようなことのないような先見性のある御判断をお願いしたい、これはいつも言っていることでありますけれども、何回この法律を見ましても、何も国庫補助が切られるからという、確かにしなきゃならないことはしなきゃならない、みんなで痛みを分かち合わなきゃならない部分もあるんですけれども、やはりどうしても守らなきゃならない一面もある。
 過日も、第三次土地改良構造改善三十二兆なんという計画を立てたってできそうもないということを申し上げたんですが、さっき一六%進捗しておりますと言っておりますけれども、公共事業が財政的な、三年前ですか計画を立て直すときに、財政事情が非常に窮迫しているという中での計画でありますから、これをきちっと計画を立てて推進するということは、農業にとって基盤確立の上に非常に大事なことであるし、計画を立てた以上はそれはやはりある目標、目的が達せられるように大臣にも重々お話ししたところであったわけであります。
 ところが、財政事情が非常に窮迫を告げる中で農業だけが突出するということは難しいことなのかもしれませんけれども、防衛庁予算並みとは言わなくとも、その半分ぐらいは大臣ひとつ頑張ってもらわなければならないし、いよいよ予算の時期を迎えておるこういうときでもございますので、かみついたら、主張したら一歩も引かないというぐらい日本農業のために頑張っていただきたいと思います。これはできることとできないことはありますけれども、一線だけはひとつ守り通してもらいたい。そういうさっきのことで言えば国庫補助のことを申し上げましたが、現行の保険料拠出金の十分の三の補助は廃止になるわけですが、経営移譲年金の給付費用額の三分の一とそれから当分の間六分の一の補助、当分の間というのは、これはどのように財政当局とのいろんな話の中では農林当局としてはこれをお受け取りになっていらっしゃるんですか、これをちょっとお伺いしておきます。
#151
○政府委員(井上喜一君) このたび拠出補助の十分の三が廃止されまして、経営移譲年金の給付時の補助に六分の一の上乗せ措置がされることになったわけでありますけれども、当分の間ということになっております。
 この上乗せ措置の趣旨でございますが、拠出補助が廃止されることによりまして農業者年金制度の円滑な運営に支障が生ずるということは問題でありますので、そういうことのないように、つまり国庫補助水準の急激な変動を緩和するために設けられたものでございます。趣旨は、あくまで農業者年金制度の円滑な運営ということにありますので、こういった趣旨を強く考えまして、今後とも制度運営に支障のないように対処をしてまいりたい、当分の間というのはそういう趣旨に考えております。
#152
○藤原房雄君 そこらあたりで我々も、人のいい藤原さんも最近はだまされてばかりいるものですから、地方自治体の補助も一律カット、突然そういうことが浮かび上がって強引にそれがまた通されるという、こういう煮え湯をしょっちゅう飲まされておるものですからね。支障を来さないというのはどういう条件をそういうふうに言うのか、そこらあたりいろいろ大蔵との話もあったんだろうと思いますけれども、当分の間というのは非常に幅があってないみたいな表現方法になっているわけですが、
   〔理事最上進君退席、委員長着席〕
ここらあたり、これは事務当局の方に云々するというよりも、やっぱり大臣にしっかりこれは厳しく見ていただきませんと、ほかの年金財政と違って非常に財政の難しい中での運営、また農産物の価格が低迷しておる、また農業就業人口がだんだん減りつつある、専業中核農家がだんだん減りつつある、若い人たちが一方ではふえつつあるとは言っておりますが、そんな急激にふえるような状況にはない、いろんな難しい環境の中でのことでありますから、財政というのはやっぱり十年、二十年という先を見てのことで、五年ごとに見直すことにはなっておりますけれども、ぜひひとつこれは厳しく見定めて、それこそ支障を来さないようにやっていただきたい。
 それで、三分の一と六分の一で二分の一補助ということになるわけですけれども、制度の成熟で補助総額は年々ふえることになる、数字的なものはいただいておりますが、これによりまして補助率の拠出時と給付時のトータルで現行よりどういうことになるんでしょうか。現行制度とそれから今度新しい法改正によりまして拠出時の十分の三の廃止、そしてまた当分の間の六分の一、給付費用の三分の一の国庫負担、こういう新しい制度になりまして、現在までの制度と新しい制度によりますカットされる分というのは大体どのぐらいになるんでしょうか。これは一割ぐらいという話は聞いておるんですけれども、ちょっとその辺、御
説明ください。
#153
○政府委員(井上喜一君) 財政の収支見通しによりますと、現行制度に比べまして一割弱の減少、これが国庫補助額でございます。しかし、国庫補助額全体といたしましては、受給者が増加していきますので年々増加をしていくことになるわけでございまして、したがいまして金額で申し上げますと、毎年大体平均しまして九十億円ぐらいになるわけでございます。したがいまして、向こう五年間をとってみますと、大体四百五十億円ぐらいになります。
#154
○藤原房雄君 大臣、今お話ありましたように、いろいろ現行制度を改正するといいましても補助率を削減するということでありまして、改正ということになると何かいい方向に進むみたいに思うのかもしれませんが、決してそうじゃございませんで、どんどん窮屈になるということですから、そうでなくても政策目的があって、それから加入者にも限定があるという中でのことですから、非常にこれは行く末について厳しい目で見ていかなければならないことだろうと思うんです。それから、給付水準とか保険料とか、こういう問題についてもいろいろお話をいただかなきゃならぬし、また厳しい注文をつけなきゃならないいろんな問題もありますが、時間もありませんからそれらについてはちょっと省きます。
 それで、先ほどもお話ございましたが、この制度はそれなりの機能はしておる。若返りとか経営移譲、こういうのが進んでおるというお話ございましたが、実態を見ますと、第三者移譲というのは非常に少ない状況の中にありますね、八・八%、一割そこそこという。それで、この第三者移譲がその割には進んでいないということは、これからいろんな制度やなんかの整合性というか、そういうものが整備されて進むようになるのか、現状としてはそれほど進まないだろうということなのか、農水省としてはどういうふうにこれはお考えなんでしょう。
#155
○政府委員(井上喜一君) 私どもは後継者移譲数がどのようになり、第三者移譲がどのようになるということを数字をもって明確に予想はできないわけでございます。現在、経営移譲の約一〇%が第三者移譲になっているわけでございます。この数字を大きいと見るのか低いと見るのか、いろいろ見方もあろうかと思います。ただ、私どもといたしましては、最近の農業経営者の跡取りの状況などを見ますと、どうも生活をともにして跡をとっていくような後継者がいない農家が非常に多くなってきているわけでございまして、そういう意味におきましては第三者移譲がこれからふえていくような傾向にあるんじゃないか。そういうような一般的な考えを持つわけでございますけれども、具体的にどのようになるかということにつきましては私どもは予測をしておりません。
#156
○藤原房雄君 それから、先ほどのお話にもちょっとありましたが、後継者移譲につきましてもその半数がサラリーマン後継者の移譲というような現状になっておりますね。それは社会の変化の中でそういう時代になったんだということなんだろうと思いますが、政策目的からいたしますと、本当はそういうサラリーマン後継者ということじゃなくて、本当に中核として農業を支えていく、そういう人であることが望ましい現状にあると思うんでありますが、現実はそう進んでいない。こういう問題についてはどうお考えですか。
#157
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金制度の目的からいいますと、後継者は農業者らしい農業者になるというのが一番よろしいかと思うのでありますけれども、やはり兼業化の進展というのが予想以上に進んでおりまして、そういった結果がいわゆる安定兼業農家といいますか、サラリーマン後継者が多くなってきている、こういうふうに考えるわけでございます。
#158
○藤原房雄君 これから兼業農家の方々、土地の集約といいましても、規模拡大といいましても、限られた地域でのことで、日本全体としての大きなパーセントを動かすというような数字はなかなかそう短期間にできることではないだろうと思うのでありますが、そういうことからいたしますと、サラリーマンの後継者というのはここもう少し数がふえる、そういう推移をたどるのじゃないかというふうに思いますけれども、こういうことから、先ほど申し上げた兼業農家の方々に対する日本の農業の中の位置づけといいますか、こういう兼業農家に対しましても十分な配慮をした上での施策というのは必要になってくるんだろうと思います。
 次に、政策目的にございます規模拡大の方向ということ、それにはいろんな施策があるわけでありますけれども、この農業者年金基金でその手だてをいろいろやっておるわけですね。規模拡大ということについては八十年代の農政ということからいいましても一つの大きな目標として進められてきているわけでありますが、この農業者年金基金の中で規模拡大のための融資枠とか制度そのものの手当てというのを見ますと、実際金額が非常に少ない現状の中にあって、基金というのは積み立てたものとそれから国から補助としてもらったものと、そういう中ですから限界があるのは当然でありますけれども、しかし地方によりますと資金がないために規模拡大をしようと思ってもなかなか思うように進まないという地域もあり、この基金だけじゃなくてほかのいろいろな制度がありますから、そういう制度でもできない事業ではないのでありますけれども、五・五%で借りられるということでありますから資金需要が非常にあるだろうと思います。五十八年の実績並みの資金需要ということで、それはもう少し拡大をするとか考えるというようなことは進められないことなんですか。現状はどうなっているんですか。
#159
○政府委員(井上喜一君) これは、農業者年金基金の農地の売買業務でありますとか融資業務に資金をどのように配分しているのかということだと思います。これは五十八年度までの実績しか出ておりませんけれども、農地の買い入れの方は累積で九十九億円、融資が四百十三億円になっておるわけでございます。六十年度予算におきましては、農地の買い入れのための資金枠を九億円、それから農地等の取得資金の融資枠を四十五億円としておるわけでございます。私ども、基金が行います農地の売買業務なり、あるいは融資業務につきましては、基金の円滑な実施を補完をする、そういうことを考えておりまして、離農希望者のものを買い受ける、そういう場合に融資をしたり、あるいはそういう人から直接買いまして被保険者等にも売り渡していく、こういうことをやっているわけでございます。
 基金の資金につきましては、安全で、かつまた効率的に運用するということが基本になっておるわけでございまして、この業務の実態からいいまして資金的にやや窮屈な面もあろうかと思いますけれども、なるべく効率的な運用、もちろん安全にして効率的な運用でありますけれども、そういうことを配慮いたしますと、なかなかこういった規模をさらに拡大をしていくというのは困難な状況にあるわけでございます。
#160
○藤原房雄君 現状としては非常に難しいという今の結論としてそういうお話のようでありますが、これはそういう政策目的の上に立っているわけでありますから、最大限その目的が達成できるような努力、そういうものをひとつ今後図っていただきたいと思うわけであります。
 それから、今回の制度で確かに改善になった点いろいろありますから、改善というか、よくなったといいますか、今までの附帯決議、それから各団体から要望されておりましたものも取り上げておる、そういう点ではそれなりの努力があったということはよくわかるんであります。遺族に対する死亡一時金の問題、それから役員になった農協の組合長が病気になったときの空期間をどうするとか、いろんなことで御検討をいただいたことはそれなりに評価をいたすのでありますが、やっぱり現地の方々といろいろお話ししますと、経営移譲のときの経営移譲年金の格差の支給導入、サラリーマンの後継者に対する経営移譲をするときには格差をつけるという、これは一つの混住化とい
うか、最近の農村社会というのはだんだん複雑になっているわけですけれども、同じ農業をしていながら息子が、後継者が勤めておるという、それはいろいろ条件のあるのはよくわかっておりますけれども、いずれにしても比較対照で物を見る、隣の家は、向かいの家はという、こういう農村というのは、農村でなくてもどこでもそうですけれども、そういう中でこれは非常に改悪というか、こういうことをどうしてしなければならなかったのか。
 それはそれなりの政府の言い分もあるでしょう。しかしながら、兼業ということも日本の農業の中でやむを得ざる一つの姿として、農業でちゃんと生活できればそれは専業でやっていこうというのは農民の本当の姿だと思うんでありますけれども、他産業に依存しなければ農家収入として経営が成り立たぬ、生活が成り立たぬという現状の中でやっぱり勤めに出る人がどうしても多い。そういうことで、支給に格差を設けたということに対しては、それなりに非常に一番今回の改正の中で問題点として指摘されていることが非常に多い。それはいろんなことについて私どももわかるんですが、ぜひこれは国民の前に、また農民の前に、かくかくしかじかだということの明確な政府の考え方をお聞きしておきたいと思います。
#161
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金制度は、経営移譲を行うということを要件にいたしまして経営移譲年金を支給しているわけでございます。現行制度におきましても、経営移譲の有無によりまして年金額に差が生ずるということになるわけでございます。この年金制度の実態を見ますと、いわゆる安定兼業農家等に移譲する、そういう経営移譲が多くなってきているわけでございまして、私どもといたしましては、より望ましい経営移譲を誘導していくということが必要であるというふうに判断をしたわけでございます。相当高率の国庫補助もしているわけでございまして、そういうより政策目的に合う者につきまして優遇措置をとることにしたわけでございます。したがいまして、我々といたしましては、差をつけること自身につきましてはやむを得ない措置として御了解いただけるのではないかと思っております。
 ただ、その格差のつけ方でございますけれども、率直に言いまして、この改正案がまとまりますまでにいろんな意見があったわけでございます。私どもの農業老年金制度研究会におきましてもいろんな意見がありましたし、また政策団体等においてもいろんな意見があったわけでございます。
 その中で特に注目すべき意見といたしましては、農業者年金制度といいますのは要するに加入者の相互扶助によって成り立つ制度でありますし、また世代間の相互扶助ということによって成り立つ制度であります。つまり、現在の加入者が経営移譲をいたしまして年金をもらうようになりますと、さらにその後継者が入りまして、単にその本人の分だけではなしに、現に年金を受給している人の分まで負担をするような部分があるわけでございます。そういう世代を超えてといいますか、世代間の相互扶助の制度でもあるわけでございまして、農業者年金をもらっている人に農業者年金に加入している人がある部分を負担しているわけでございまして、したがって後継者が農業者年金に加入しておりますような場合と、そうでなくて厚生年金に加入している場合では違うわけでございまして、そういう場合に経営移譲年金に格差をつけないというのもおかしいのではないか、むしろある程度の格差があってしかるべきじゃないかというような意見も事実あったわけでございます。
 私どもといたしましては、そういうような意見あるいはこの政策目的に照らしましてある一定の誘導措置をとる必要がある、より望ましい後継者に経営を移譲していくようなそういう誘導措置をとる必要がある、こういうことで格差をつけたわけでございますが、その格差につきましても、やはり老後の保障と関係がございますので、そういう老後保障の水準ということを考えまして四分の一の格差をつけた、こういうことでございます。
#162
○藤原房雄君 農業の生産性というものは上がって、農家収入、農業収入というものが他産業と比較してそう見劣りのしないぐらいのものがある段階であればそれなりの考え方も理解できないわけじゃないだろうと思うのでありますが、先ほどお話ございましたように、サラリーマンの平均賃金と農家所得の間には余りにも差があり過ぎるという現状の中で、掛金率とそれから給付金額、こういうものの間にも大きな差がある。
 こういうことのように、当然掛金が少なければもらうのは少ないということになるのかもしれませんが、相互扶助や世代間のことや年金の統合というようなことも最近いろいろ言われておる。こういう中で同じ農村の中で格差を設けるということは、これはやっぱり今までの連帯意識というようなものがあった農村の中に一つのひびを入らせるようなことになりはしないか。制度的な運用、制度ということの中ではそれなりに理解といいますか、そういう説明も確かにあるのかもしれませんが、農村社会という特殊なそういう中では、こういう格差支給の導入というのはそれなりに非常に私どももしっくりしない一面がある。
 それと、こういうことのために、農業者年金の加入というものに対して、おやじの姿を見て一層のブレーキがかかるようなことになりはしないかという、こういうことも危惧をするわけであります。
 午前中も言っておりましたが、局長はすらすらと答弁しているけれども、現場ではなかなかこれは難しいいろんな要件があります。十分に趣旨の徹底といいますか、こういう問題についての徹底がありませんと、多い少ない、こういう比較論で物を見られる。そういうことから、どうしても感情的なものが先に立つようなことになる。そういうことで、なかなかこういう格差支給の導入というのは非常に農村社会には難しいことだなという実感を持って私は聞いておったんです。今後の加入促進ということも一つの大きな目標になってくるんですけれども、こういうことにまた一つの大きなブレーキになりはしないか。こういうものを克服するためにどういうことをお考えになっていらっしゃるのか。PRのあり方とか、いろんなことを通しまして、これについてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
#163
○政府委員(井上喜一君) 農業者とそれからいわゆるサラリーマン後継者とに移譲いたしました場合に、経営移譲年金の金額に差をつけるわけでございますが、これも一気に差をつけるということでなく、五年間をかけまして段階的に差をつけていく、こういうことにしたわけでございまして、これにつきましても、研究会等の意見でもそういうのを支持される方がほとんどであったわけでございます。
 今、御心配のその点は、そういう格差をつけると経営移譲をしようと思っていても、その移譲の促進にブレーキをかけることになるのではないかと、こういうことでございますけれども、この格差がつきました経営移譲年金につきましても、老後生活に支障を来さないような水準の額を確保されていることになりますので、私どもといたしましては経営移譲の促進にはブレーキがかかることはないだろうという見通しを持っております。
 ただ、今御指摘がありましたように、この制度の改正の趣旨につきましては十分関係者に周知徹底をいたしまして、制度の理解を深めながら、経営移譲が片や促進されますようにしてまいりたいというふうに考えております。
#164
○藤原房雄君 ちょっと話が前に戻るような感じで申しわけないんですが、経営移譲をいたしますと、農協の役員とか、それから土地改良区の専任役員ですか、こういうのにはなれませんですね。経営移譲いたしますと農協とか土地改良区とか、そういうところの役員には、土地を移譲したわけですからそういう役職にはつかれない。六十歳で経営移譲するということなんですが、農村では非常に経験豊富な方々、六十以降の方々がそういう立場に立っていろいろなさることが多いわけで
す。
 私もあちこち行って話になるのは、こういう経営移譲をすることのためにいろんな制約を受けるということで話があるんですが、農村というのはやはり豊富な経験者がそこにいらっしゃってそこでいろんなことがなされる、そういう形態というのは非常に大事なことなんですけれども、これはやはりそういう土地所有者でないということの上から、それは制度的にはそういうことだろうと思うんですけれども、農村社会という特殊性の中では一考しなきゃならない問題だなというふうに私は考えておるんです。どういう形になるのかわかりませんけれども、農水省でもいろんなことについて御検討なさっていらっしゃると思うんですが、これは制度としてかくかくしかじかだということで一線を引かれていらっしゃるのか、現状としてどういうふうにこれは御認識していらっしゃるでしょうか。
#165
○政府委員(井上喜一君) 経営移譲をいたしまして年金を給付されるようになりますと、農協の組合長なり、あるいは土地改良区の理事長になっておられた方が引退をされるというようなケースがあるようでございます。農協の組合長なり土地改良区の理事長、役員ですね、理事長を含む役員につきましては、法律上は一定の数の学識経験者が就任できるようになっているわけでございます。土地改良区でありますれば理事の五分の一、あるいは監事の二分の一ということになっております。たしか農協につきましても同様の規定があったかと思いますけれども、そういう法律上の規定で具体的にそれを定款で書くわけでございます。したがって、どうしてもそういう今までの知識経験からして引き続き理事長をやってもらいたい、あるいは理事をやってもらいたいというような場合には、そういった定款改正をいたしましてその中で選任をしていく、こういうことが必要になるわけでございます。
 私どもも、今御指摘になりました点につきましていろいろと御要望がありますので、ただいま申し上げましたような趣旨を十分下部に通達をして趣旨を徹底しているところでございまして、経営移譲をしたからといって直ちに役員なり組合長、理事長をやめるものではないわけでございます。
#166
○藤原房雄君 それは各地でいろいろありまして、なかなかはっきりとした明確な判断をする人がいないようで、私も何度か相談を受けたことがあるので、そういう趣旨はひとつ徹底していただきたいものだと思うんです。
 それから、規模拡大というのは、日本の農政をこれから推進する上において非常に大事なことになってくるわけでありますが、時間もありませんからちょっと一、二点だけお伺いするんですが、所有権の移転ということで農業委員のあっせんによりますものと、それから農用地利用増進事業によります事業とあるんですね。
 農業委員のあっせんによります構造政策推進のための中核農家の土地の集約というのは、農業委員会がそこにタッチしますから、いろんな面で両者の話、そういうことをよく聞き、そしてまた取得者の資格とか、そういう問題については厳密にそれを審査をしたり、これは農地が分散することのないようにというようなことでよくそれを見定めるとか、農地価格が適正であるかどうかということについてそれを指導するとか、そのほか税制上のこととか、資金の具体的な相談とか、農業委員を通してやる場合にはそういうことにはよく目が通るといいますか、そういうことなんですけれども、ところが農用地利用増進事業ということで利用権を設定するとかいろんな話し合いをするときには、零細農家同士の土地取引、農家同士で話し合い、そこに農業委員というようなものが介在しないでやりますので、さっき申し上げたような分散的な取得、こういうことがあってもそれを事前に防ぎ得ないとか、価格等についても農業委員会に相談しないで進める場合があるとか、農地の資産的な保有を防ぎ切れないとか、こういうようなことが実際あるんですね。
 それで、土地規模拡大ということでそれなりの努力をしていらっしゃる方々があるわけですけれども、制度的にこういういろんな形がありますと、どうしても好ましい方向といいますか、やはり農業委員会なんかを通して、きちっとそういうものをいろんな条件等を加味した上でするということの方があるべき姿だ、こう思うんですが、しかし、農用地利用増進事業という制度もあるということで、これは土地規模拡大推進ということの中でやはり一考を要する問題ではないかというふうに思うんですが、このあたりどういうふうにお考えでしょうか。
#167
○政府委員(井上喜一君) 土地所有権の移転なり、あるいは利用権の設定なりをいたします場合に、最終的には農業委員会の許可が要るわけでありますけれども、個々の関係者が相対でそういうのを決めていく場合もありましょうし、あるいは農業委員会があっせんでその中に立ちまして、両者を調整して所有権なり利用権の設定をしていくという場合もあるわけでございます。
 ただいまの御指摘は、やはり農業委員会が中心になりましてそういうあっせんをしていけば、例えば農地の集団化でありますとか、あるいは特定の農家に対して地縁的にまとまりました農地についての利用権を設定できるんじゃないか、こういうような御趣旨かと思うわけでございます。私どもも、農業委員会がそういうような趣旨で積極的にあっせんをしていくということでありますれば、そういうことが一番望ましいのではないかというふうに考えております。
 なお、農用地利用増進事業、これは市町村が公告をするという方法によって行っておりますが、これにつきましては農業委員会の方と十分協議をしておりますので、そこは一般の農業委員会抜きの相対の契約とは違いまして、かなり調整がとれたものになっているのではないかというふうに考えております。
#168
○藤原房雄君 時間もありませんから次に進みますが、何といっても保険設計というのは、ある規模の加入者というのが、どんどん加入者がふえていくというのが望ましいことなんですけれども、農業者年金の場合は農業者がだんだんふえるなんという傾向にはない、減少方向にありまして、そういう点では非常に苦慮するところで、現在加入資格がありながら入っていないのが二十四万とかいろいろ言われておるわけですけれども、加入促進に対して、午前中もちょっとお話ありましたが、エネルギーといいますか力を入れなければならない。私も何人かの方とお話をしましたけれども、やはり農業委員会、それから農業団体、それぞれ組織といいますか、推進のあれはあるんですけれども、なかなか難しいのが現状です。
 それで、最初にお聞きしたいのは、都道府県によって非常に加入率というのは差がある、そういう問題についてもこれは農水省でもいろいろ御検討なさっていらっしゃるのだろうと思うんですけれども、どういうところにこの加入率の悪さがあるのか。また、それを克服するためには、PRするためには、新規加入者をふやすためにはどうしなきゃならないかという、こういう対策というものが生まれてくるんだろうと思うのでありますが、各都道府県の未加入者数、五十八年十月現在のをいただいておりますけれども、現在の加入者の少ない主なところについての、これはいろんなアンケートやなんかもありますから、そんなところに集約されるのかもしれませんけれども、特にこれを推進するという立場の上に立って考えるならば、今後どういう施策が必要になるか。
 農業者年金というのは非常に魅力がなくてだめだということじゃないだろうと思うんですけれども、大いに意欲を持って、胸を張ってPRする点があるんだ、また、日本農業の構造改善に大きな役割を果たしてきたんだと大臣もさっき胸を張って言っておりましたから、そのためには大いにPRしてもらわなければならぬのですけれども、この都道府県の状況等、地方別でも結構ですが、どういうことが隘路になっているか、それを推し進めるためにはどうするか、農水省のお考えをちょっとお伺いをしておきます。
#169
○政府委員(井上喜一君) 加入の実績は地域別にかなりアンバランスがあるわけでございまして、五十八年度末現在の加入率を見ますと、全国平均では七九・二%でありますが、都道府県別では最低では六二・一%、最高で八八・二%でございます。上位県といたしましては、北海道八八・二、福井八七・一、富山八六・一というふうになっておりますし、下位県につきましては、東京六二・一、青森六八・〇、茨城六八・三、こういうぐあいにかなりの開きが出ております。
 いろんな状況があろうと思いますけれども、一つは、年金の担当者によるところもかなりあると考えられまして、熱心に加入促進をするところについては加入率が向上いたしますし、そうでないところにつきましてはどうも加入率が低くなる、こういったような傾向もあるのじゃないかと思います。また、加入する方の資格を持っている人から言いますと、まだ早過ぎるとか、あるいは農業についての先行き、まだ継続してやるかどうかよくわからない、こういったようなこともあろうかと思うわけでございます。
 そこで、一つは、やはり年金の担当者の研修等実施いたしまして資質を向上させていくというのが一つと思います。また、加入者につきましては、各メディアを通じまして加入促進のPRをしていくのは当然でありますけれども、やはりこれは個別にそれぞれの人に応じた加入の勧誘ということが必要だと思います。特に重点を置いてまいりたいのは、県で言いますれば加入率の低い県でありましょうし、それから特定加入者の個人の側面から言いますと、経営移譲を受けました後継者でまだ未加入の者でありますとか、あるいは早晩に入らないと年金をもらえないようなそういった年齢の人などに重点を置いて加入促進を進めていきたい、このように考えております。
#170
○藤原房雄君 年金問題につきましては、厚生年金でも国民年金でも同じですが、非常に制度が難しいというか、いろんなケースの方々がいらっしゃってこれを熟知するということは非常に難しい。農業委員の方なんかのお話を聞きますと、やはりその一つを担当してマスターするなんというのは相当な年数、経験が必要で、ですからそれをマスターした人をほかの部署に移すなんということはちょっとできない、エキスパートとして存在しなきゃならぬ。それは農水省も同じことなんだろうと思うのですが、年金というのは本当にいろいろな仕組みの中にあるわけで、そしてそれでよしといった者が現実加入しまして、ある程度になったら年金が出ないとか、何かいろいろな支障を来してその判断が間違ったなんということになりますと、これはえらいことになります。
 過日、宮城県で担当者の方が心を痛めて自殺した方がいらっしゃったのが新聞にも出ておった、御記憶にあると思います。まことに神経質というか、責任感の旺盛な方はそのくらい心を痛める。その人に年金が出るか出ないか、そしてどういう条件でどうなるのかということの一人の人、また一つの家庭に対しての老後の大事なことを判断する役割を担っているということから、担当者というのは、ほかの事務的なそろばんをはじいてどうするなんということと違って、非常に地方におきましては責任の重い仕事である。農業委員会を中心として農業団体、地方自治体、それぞれの方々にお願いをしてあるわけでありますけれども、午前中もお話ありましたが、確かにこの組織といいますか、一人一人の農家の方々に接してそれをきちっと判断する専門家の方が非常に不足をしておるということや、またそれを熟知するには年数がかかるということや、この業務運営ということは現場に参りますと非常に難しい。
 そういうことで、この事務経費というのはこれはなくてはならない。ですから、毎回のこの年金改正のときには附帯決議の中に業務体制の充実ということ、またそれに対する事務費、こういうことがいつも挙げられておりますけれども、これは中央にいらっしゃってしっかり頑張ってくださいなんというようなことでは済まされない、やはり事務経費とともに体制強化ということは急を要する大事なことだ。ここにも今度はまたこのような改正がなされるわけであります。担当者の方々がいろいろ相談を受けるということは、本当にもう農林水産大臣の何十倍も責任を負わされるというような立場で、イエスかノーかということをきちっと判断しなきゃならない大事な立場にいます。
 過日、岩手県へ行っていろいろのお話を聞きましたら、町村で大体ならして平均で二十万そこそこの事務費という、まあ多いところ少ないところあるんですけれど、平均でそのぐらいだということですから、これではなかなかこの責任の重い仕事を完全にやりこなすということは大変なこと。我々が言うとすぐ金のかかる話ばかりで本当に申しわけないんですけれども、やり切るためには必要なものなら必要なものとしてやっぱりこれは見なければならないと私は思うんですが、今日までの附帯決議でもこの業務体制のことについては、そしてまた事務費のことについてはいろいろ述べられております。
 こういうことについて、ぜひこれは大臣、現場でだれが担当してどうなっているのかということで、そしてその重要な仕事の内容というものについて、全国すべからくとは申しませんが、大臣の選挙区の中の一つの農業委員会でも結構ですけれども、だれが担当してどういうふうにやっているのかという実態をぜひこれは見ていただきたい。そしてどれだけの事務費で何人の方がどうしているのかという、これは現場では一番頭を痛め、そしてますます複雑化する、こういう中にあります。これは電算機や何か入って簡易化するような方向にあるのかもしれませんけれども、現状としてはまだそこまで進んでおりませんから、これはぜひひとつ真剣に、附帯決議でも何度も言われて、附帯決議って一体何だという議論もありましたけれども、これだけはひとつ、これだけってほかはどうでもいいというんじゃないですけれども、これだけは真剣にひとつ取り組んでいただきたい、こう思うんですが、どうでしょう。
#171
○政府委員(井上喜一君) 年金業務が的確に行われるためには、年金本部におきましてもきちっとした事務処理をする必要がありますけれども、何といっても非常に関係者の多い業務でございますので、実際その窓口になります農協でありますとか農業委員会の方できちんと行われるような体制ができないと、健全な業務の運営はできないわけでございます。
 今お話にございましたように、出先機関の業務の範囲を明確にいたしまして、その範囲の業務については責任を持って事務をやっていただくと、こういうことが必要でございます。そのためには業務の委託費の充実に努めていく必要があるわけでございますが、これも私どもといたしましては極力そういう事務費の充実ということに努めてきたわけでございますが、なかなか思うような増額ができない状況でございます。これからさらに充実に努力をしていきたいと思います。また、具体的には、そういう実際の窓口の担当職員の資質の向上を図っていくということが必要でございますので、研修制度の整備充実にも努めていく必要があろうと思います。また、それを指導する県の農業会議でありますとか、あるいは農協等におきましても、現在専門の相談員を置いておりますけれども、こういった人たちのレベルの向上もさらにしていく必要があろうかと思います。
 それからあと、きょう午前中にも申し上げましたけれども、やはり事務はできるだけ簡素化をしていく、必要最小限度のものにして簡素化していくような、そういうような措置もあわせて検討していく必要があろうと、このように考えております。
#172
○藤原房雄君 ぜひこれは大臣、こういう財政の中にあるんですから私も十分にわかりますが、しかし、必要なところにつきましてはこれはやっぱりきちっといたしませんと事務の停滞、そしてまた、今農業人口が若い人がどんどん入って世代交代がどんどん進んでいくという明るい希望の中にあるなら、我々はこれはおおように構えてもいいんですけれども、農家人口がだんだん減少傾向に
あり資格要件の方々が減ってもふえることはない、こういう現状の中にあって、保険設計の上から言いましても、やっぱり加入増進また趣旨の徹底とか、こういうことについては力を入れなければなりませんし、事務の簡素化ということもこれはぜひ必要なことでありますけれども、そういうことで必要な財源については、事務費としてはやっぱりこれだけのものは出していかなければならぬというものについては、政治家としてぜひこれは強く主張していただいて、せっかくノーベル平和賞をいただいた佐藤榮作先生がおつくりになられたこの農業者年金制度が、何だか形がいつの間にか二本の柱が一本になって、老後の保障なんというのが消えてなくなるみたいなことでは相ならぬと私は思う。これはぜひひとつ、これは事務方の方は事務方の方としてあれですが、大臣に強く強く要望しておきたいと思うんですけれども、大臣のひとつ所見をお伺いしておきます。
#173
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。
 実は私もこの実態についてはかなり聞いたわけですが、まだ現地へ行って特に聞いたわけではございませんので、御指摘もございますから一度よく勉強いたしまして運営に支障ないように努力したいと、こう思っております。
#174
○藤原房雄君 まじめな人ほど心を痛め、過日はこの相談員の方が自殺したんですよ、本当にね。それほど事務の煩雑さと、その一家にとって大事なことだということでお取り組みになっている最前線の方のことを、ぜひひとつ大臣お忘れなく対処していただきたいと思います。
 時間がありません。最後になりますが、これは午前中の質疑にもございました。やっぱりこの農業者年金というのがこれからどういう方向に行くのか、非常に危惧をいたしておる者の一人でありますが、財政の窮状ということでだんだんだんだん圧迫をされる。あらぬ方向に行ってしまっては相ならぬということを危惧するものでありますが、国民年金審議会の意見書、六十年二月二十二日の国民年金審議会、この中に「今回の改正は、公的年金制度の改正等に伴う当面の措置としてやむを得ないものと考える。」云々とございますが、答申の中に、農業者年金制度の改正についての社会保障制度審議会の答申、この中に明確に、後段の方でありますが、「他の公的年金制度を大きく超える国庫負担を投入しても年金財政の確立は望み得ない状態にある。よって早急に本制度の趣旨、目的にまでさかのぼって、根本的な検討を行うことを強く要望する。」という六十年、ことしの三月にこういう答申が出ておる。
 我々も、農業者の立場に立ちますといろんな主張はあります。今回の改正でも、大分今まで言われたことが改正になって、それなりに評価をしたい点もありますけれども、何といいましても農業収入の少ない中で掛金が高くなる、また年金額も少なくなるということでありますから、非常に強く先ほど来何点かについて申し上げておるわけであります。
 しかし、この制度はほかの公的年金以上に非常に難しい年金財政にある。「根本的な検討を行うことを強く要望する。」ということなんですけれども、根本的にこれを検討しますとどういうことになるのかという、これは先のことですから、今具体的に何をどうだということは言えませんけれども、政治家として、この農林業に知悉する大臣として、この農業者年金というのはどういう位置にあるかということは十分にわきまえた上に立って、この年金制度の根本的な検討ということでありますが、しかしこの根本的な検討といえども、法の制度、老後の保障ということと構造政策ということについて、どっちに比重を置く、そういうことではなくて、あくまでもこの法の精神、法の目的というものを貫き通す、こういう改正である、こういうこと以外は考えていないという大臣のひとつ明確な御答弁をいただきたいものだと思うんでありますが、いかがでしょう。
#175
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。
 今後におきましては、農業者年金制度を長期的に安定した制度として維持するとともに、先ほど先生が御指摘の経営者の若返り、老後の保障等、そういう政策的年金としての役割を高める観点からも、給付と負担のあり方、経営移譲年金の支給開始年齢等の制度の基本的枠組みにかかわる問題等について、部内に設けられています研究会等で十分検討いたしたいと考えております。
#176
○下田京子君 私は、今回の法改正のまず特徴を申し上げたいと思うんですが、給付水準の引き下げ、それに保険料大幅引き上げ、そして国庫負担を引き下げるという、まさに三大改悪を進めるというところにある、これは指摘しておきたいと思うんです。
 最初に確認したい点は、そこでその給付水準の引き下げが一体どういうことになるのかという実態であります。局長、いいですか、二十歳で四十年間、目いっぱい加入した農業者の経営移譲年金額が幾らかという問題。これは現在で単価三千七百十円、四十年間という格好でいきますと、月額が十四万八千四百円。ところが、今回法改正によりまして段階的に給付は下げていくんだ、その際に引き下げられた単価は二千二百三十三円で、四十年間で計算してもらえる年金額は八万九千三百二十円。しかも、これは特定譲り受け者に移譲した場合でありまして、サラリーマンの後継者に移譲した場合には、この単価二千二百三十三円の四分の一がカットされますから、何と六万七千円にしかならない。ですから、今回の引き下げという法律は、現在と比較いたしますと、実にサラリーマン経営移譲という場合の年金額は何と五五%もダウンする。事実ですね。
#177
○政府委員(井上喜一君) ただいま数字を挙げてお話しになりました点は、そのとおりでございます。
#178
○下田京子君 そこで大臣にお尋ねいたしますけれども、今申し上げました数字、大変驚くべきものなんですね。先ほど来から他の委員の御質問に対する答弁を聞いていますと、経営移譲年金というものをどの程度の水準に置いたか。しかも、サラリーマン経営移譲年金の場合にも、それは老後生活に支障を来さない水準と考えてセットしたんだと、こう言われているんですが、本当かということなんです。
 私、ここに資料を持ってきておりますけれども、五十九年の生活保護の際の最低生活保障基準、それが幾らかということですね。これは老人二人世帯で、男性六十四歳、女性が六十一歳でもって、五十九年度の単価で生活扶助、これだけとりましても、三級地ですからまさに農村地帯であっても七万三千五百四十八円なんです。それが一級地になりますと八万九千六百八十八円ですよ。これはもう大変だと。
 しかも、このサラリーマン後継者への経営移譲というのは全体で約五割にも及ぶものでしょう。しかも、月額六万七千円というのは四十年間目いっぱい加入してもらえるものですから、四十年に満たない人たちはその水準よりもさらに下がるということなんですよ。まさにこれでは生保以下の水準ということ、つまり憲法でも保障しております健康で文化的な最低生活保障、これすらも脅かすことになるんじゃないでしょうか。
#179
○国務大臣(佐藤守良君) 下田先生にお答えいたします。
 経営移譲年金の給付水準につきましては、厚生年金の給付水準の適正化に即しまして、昭和六十年度以降二十年かけて段階的に改定することとしております。そんなことで、保険料納付済み期間が延びるために、一定の年金水準が確保され、それに資産等による収入を加えれば、農業者の老後生活の安定を図ることは可能であると考えております。
#180
○下田京子君 全く真剣に考えていない答弁であるし、制度そのものの持っている、今また私が指摘したことを大臣、理解しているのかしら。四十年かけて、その二十年後の水準がどうなのかといったら、この六万七千円でしょう。これは今の生活水準をもはるかに下回るものだということを言っているわけなんです。
 問題点をはっきりさせますけれども、いいですか、大臣。今言ったのは、最低保障でやらなければならないのに、本来は最低生活を保障した生保、これよりもさらに二万円近く劣っている。さらに四十年掛けて、最高もらうのが六万七千円だという問題点ですよ。いろいろ問題あるんですけれども、こういう問題を持っているというのは事実なんです。そうでしょう。
#181
○政府委員(井上喜一君) 六十歳から六十五歳までの間に支給されます年金は、これは経営移譲をした場合でありますけれども、経営移譲年金がございまして、これは厚生年金並みということで算定されるわけでございます。今回の改正は、農業所得が十三万一千円ということで算定いたしますので、八万九千円、九万円弱の支給になるわけでございますが、四分の一の格差がつきます場合は、今お話がありましたように六万七千円ですか、その程度の数字になるわけでございます。
 これは、この六十から六十五歳までの間は加入者個人に即しまして年金額が決まるというような仕組みになっておりますので、そのようになるわけでございますが、ただ、その水準でございますが、生活扶助基準額と年金額を比較されたわけでありますけれども、生活扶助基準といいますのは財産もゼロ、貯蓄もゼロという場合の最低生活費でありまして、農業者年金の場合にはある程度の貯蓄でありますとか、家屋、家具等を持っているのが通常でありますので、これを直ちに比較をしまして、この差でもって云々というのは必ずしも適当ではない、そんなふうに考えます。
#182
○下田京子君 必ずしも適当であるかないかではなくて、現実にその水準以下だということは事実でしょう。しかも経営移譲年金というのは、農業をやめても老後生活ができる年金というところにあるんじゃないですか。だから、厚生年金並みということが出てきたんじゃありませんか。
 その厚生年金並みということで先ほどからお話がありますけれども、確認したい点は、その算出なんですね。一つは、定額部分と報酬比例部分から成り立っている厚生年金の算出に当てはめましたと、これが厚生年金並みと言われている根拠だと思います。そのことにより、今経営移譲年金単価であります三千七百十円というものをどうやって算出したかというと、定額単価を二千四百円と見て、それに十三万一千円の平均報酬月額の百分の一ということで千三百十円をプラスするという格好で出てきたものでしょう。ところが、給付が引き下げられた後の経営移譲年金単価の二千二百三十三円というのはどうやって計算したかと言えば、その定額単価を引き下げて千二百五十円にし、それに一万三千百円の部分の千分の七・五ですか、それで九百八十五円をプラスして出したんだと、こういうことでしょう。
#183
○政府委員(井上喜一君) 厚生年金並みといいますのは、結果的に農業所得を厚生年金の標準報酬月額として計算いたしました場合に水準が同じになるように、そういうことにしたわけでございまして、農業者年金の場合は保険料の納付済み期間掛ける単価ということになっておりますので、今おっしゃったことで、私ちょっと詳細にもう少しフォローする必要があるかと思いますけれども、原則的によろしいんじゃないかと思います。
 ただ、この格差のつきました年金を受ける人といいますか、格差のついた年金を受ける人の年金額と生活扶助の金額の比較がございましたけれども、サラリーマン後継者を持つ場合、サラリーマン後継者といいますと、いわゆる安定兼業農家等が中心になろうかと思いますけれども、同居ないしはそれに近いような形の家庭が大部分でありましょうし、また経営移譲いたしました場合にはやはり農作業等も手伝うということもあろうかと思います。そういうことを考えますと、ただ金額だけを比較するというのは、これはやっぱり必ずしも適当ではないのでありまして、要するにその生活の中身が違うわけでございますので、この単純な比較というのはできないのではないか、このように存じております。
#184
○下田京子君 一万三千百円のところは十三万一千円なので訂正しておきますが、しきりに生保との関係で言われたことを気にされておりますけれども、経営移譲年金というのは農業をやめても老後生活ができるということになれば、憲法で保障した最低生活なんです。最低生活よりもそれが下がるということを、同居しているとか、やめても農業をやれるだろうとか、貯金があるだろうとかというのは、それは推定の話で、年金設計上、制度上は通用しない話なんですよ。それはもうはっきりさせておきます。
 それから、移りまして、厚生年金並みということによりまして起こされた問題が何かということなんですけれども、今回の農業者年金の改正の中身というのは、定額部分で二千四百円を千二百五十円と、四五%減額していますね。それから、報酬比例部分では、千分の十を千分の七・五という格好で二五%減額していますね。つまり、今回の農業老年金改正の問題点というのは、定額部分でカット率が大きいということで、低所得者層への打撃が大きくなるわけですよね。これが問題の一つなんです。
 つまり、それに低所得である農業所得ですね、低い農業所得を農業者年金の単価を計算する際に当てはめたということによりまして、厚生年金が三六%ダウンなのに、その問題のある厚生年金よりもさらにダウンが大きくなって四〇%ダウンというようなことになりました。こういう問題が指摘できますね、局長。
#185
○政府委員(井上喜一君) 確かに今回の改正では、定額部分がより多く引き下げられております。四八%程度の引き下げ、それから報酬比例部分が二五%、こうなっておりますので、所得の低い人がより大きな影響を受ける、そのような内容になるかと思います。
#186
○下田京子君 農業所得の水準がいかに低いかということなんです。
 厚生年金並みとおっしゃいますので、厚生年金の標準報酬月額とずっとこれを歴史的に比べてみてどうなのかということでお話し申し上げますけれども、四十九年改正当時、農業所得は七万六千円、厚生年金の標準報酬月額というのが八万四千六百円ですから、その比率は八九・八%でした。ところが、佐々下がりまして、今回は農業所得の方が十三万一千円に対しまして、何と厚生年金の標準報酬の方が二十五万四千円ですから、その割合は五一・六%という格好で、どんどん格差が広がってきているということがわかるわけですね。つまり、これだけ所得格差が広がるということは、受け取る年金額でも年々格差が広がっているということになるわけです。そうでしょう。
#187
○政府委員(井上喜一君) 確かに農業者年金の平均農業所得と、それから厚生年金の標準報酬月額を比べますと、四十九年改正時では厚生年金の標準報酬月額を一〇〇にいたしますと、農業者年金の方は八九・八でございますし、今回では同様な計算をいたしますと五一・六ということになっておりまして、格差が開いてきているということでございます。これはまさに一般のサラリーマンの方の報酬が上昇をするのに対しまして、農業所得の方は停滞をしている、こういうことでございます。
#188
○下田京子君 サラリーマンの方が絶対的に上がっているかどうかという議論はまた別ですが、厚生年金並みということは、単に算式に、厚生年金を算定するときの算定方式に当てはめたという理論じゃないんですよね。つまり、老後の生活をいかに安定させるかという創立当時のそういう考え方というのが生きているわけだと思うんですよ。
 私はその経過を指摘しますけれども、これは四十九年法改正の際に、農業者年金制度研究会の報告でこのように述べているんですね。「年金給付水準の改定」というところで、「給付水準の改定については、近年農業所得が停滞している事情もあるので、年金給付水準の基礎となる農業所得の算定にあたっては、本制度のもつ政策的な課題をも十分考慮して調整を行なう」と、こういうふうに指摘しておりますし、この指摘はなぜ出てくるかというと、そもそも先ほど申し上げましたように、農業者年金制度が発足されたときの、創立当
時の理念ではっきり述べているわけです。
 当時の倉石農相がこう言っています。提案理由の説明の冒頭に、「近年におけるわが国経済の高度成長のうちにあって、農業がその生産性の向上をはかりつつ国民食糧その他の農産物の安定的な供給を行ない、農業者に他産業従事者と均衡のとれた所得と生活水準を実現し得るようにすることは農業と農政に課せられた基本的課題であります。」、こう言っているんです。ここから出発しているんですよね。ですから、何度も申し上げますけれども、厚生年金並みというのは、いわゆる算定方式を厚生年金のやり方に当てはめたというんじゃなくって、この所得の低い農業者に対して老後暮らせる年金をどうするかというところから生まれたんだと。これは変わってないでしょう。
#189
○政府委員(井上喜一君) 農業所得を他産業従事者並みの賃金に相当するものにするというのは、農政の基本的な目標であると思います。
 農業者年金制度は、そういう政策の一翼を担うものでございまして、そういうのを含めまして、各種の施策によりまして農業所得を他産業従事者の賃金に均衡させていくような努力はしなくちゃいけないと考えるわけでございますが、具体的に農業者年金の制度の中におきます農業所得をどのように考えるかということにつきましては、やはり最近までの農業所得の推移等を勘案いたしまして、一応実現可能といいますか、現実的なそういう所得をもって平均農業所得とすべきであるというふうに考えるわけでございます。
#190
○下田京子君 私が言っていることに答えてください。低い農業所得に何で置いたかという話でしょう。
 ちょっと確認したいんですけれども、今度は六十五歳以降ですよ、六十五歳以降の農業者年金の支給額と、それから現に厚生年金並みと言われていますが、その十三万一千円のサラリーマンの場合の支給額と比べてみたいと思うんですけれども、経営移譲年金分はこれは八千九百十六円で、それから農業者老齢年金というのが二万二千三百十六円で、国民年金の付加年金分が八千円で、それで国民年金が御夫婦で十万円ということになりますと十三万九千二百三十二円、こうなりますね。サラリーマンの方はどうなるかというと、十三万一千円の給料を、改悪されたもの、千分の七・五で掛けまして四十年ということになりますとこれは三万九千三百円で、それに同じように国民年金御夫婦分十万円をプラスすれば十三万九千三百円と、ほとんどこの点では同額になるわけなんです。
 ところが、保険料の方はどうかとなりますと、農業者の場合に、これは六十二年の一月時点ですけれども、農業者年金の保険料は八千円でしょう。国民年金の方の保険料はどうかというと六千八百円掛ける二人分ですね、それで一万三千六百円、それに国民年金の付加年金分四百円足さなきゃならない、そうしますと合計で二万二千円、六十二年一月時点で掛けなきゃならない。それが六十六年の一月時点になりますと、二万七千六百円にもなるんですよね。一方、厚生年金の場合はどうかといいますと、十三万一千円の給料取りが、六十二年一月時点で千分の十二・四に変わりますが、その半分が事業主負担ですから、本人はその半分ということになりますよね。ですから、そうやって計算していきますと八千百二十二円、同じ十三万九千何がしかの年金額を受け取るのに、農業者年金の方は何と六十六年一月一日では二万七千六百円も払わなきゃならないということになる。ところが、厚生年金の方は八千百二十二円で済む。ですから、厚生年金に比べまして掛金は何ともう三倍、三・四倍という格好になるわけです。事実でしょう、これ。事実の確認。
#191
○政府委員(井上喜一君) お答えいたします。
 私は何倍になるかはよくわかりませんけれども、今の具体的な数字につきましてはそのとおりであります。
#192
○下田京子君 そういう倍率は簡単ですから、八千百二十二円に二万七千六百円だから、すぐわかるでしょう。大変なものを六十六年一月以降農家が負担していくわけです、二万七千六百円というものを。
 これは、農業所得に占める割合はどのくらいかとなりますと、一カ月十三万一千円の農業所得で二万七千六百円の保険料を支払うということは、何と二一%にもなるものを負担しなきゃならないわけですから、もう農家の負担能力を超えているというふうに指摘せざるを得ないです。どうですか。
#193
○政府委員(井上喜一君) これは今、農業所得を基礎に言われたわけでございますけれども、農業者年金の保険料負担を計算してみますと、年間でどの程度の負担になるかということを見ますと、農業所得では、これは昭和六十六年の段階でございますと六・六%、それから六十二年の段階でありますと四・七%でございます。また、国民年金の保険料を農業所得から充当していくという考えもあるかもわかりませんけれども、より制度の趣旨に照らして言えば、農家所得の中から負担をしていく、支出をしていくという考えをとる方がより妥当であろうと思います。そういうことで計算をいたしますと、年間の負担で見ますと、六十二年は五・一%、六十六年は六・四%と、こういうふうになるわけでございます。
#194
○下田京子君 いろんなすりかえとごまかしを今お話しされましたが、農業者年金を幾らもらうかという点で、一カ月十三万一千円の所得に対して月々払う保険料は二万七千六百円だということは事実じゃありませんか。今お話しになりましたところでの一つ一つを申し上げたいところですが、私が月に置いているものを年額にすりかえたというそのごまかしは何かというと、月額の際にはボーナスを除いて計算しているんでしょう。それが年額の場合にはボーナスも含めて、より割合を低く見せるような作業をしたという点でのすりかえ。それから、農家所得で見なきゃならないというお話なんですけれども、これも大変なもので、農家所得ということを言うなら、そこには被用者の所得が入っているんですよ。うなずいています。そうでしょう。そうしたら、農家所得の場合には被用者年金の保険料も加えなければ正しくないんです。しかも、はっきりしていることは、農業者年金と国民年金の保険料というのは農外所得でやりなさいということじゃないんですよ。農業所得で支払うのが筋でしょう。
 さらに、過去、再計算の際に、農家の負担能力を考慮いたしまして、現実には平準保険料、つまり本来必要な保険料をいかに低く抑えるかというふうなことで苦労もしてきているわけですよね。そういう点から見ますと、もう素直にお答えいただきたいことと、そういうすりかえはまずいと思います。そうでしょう。
#195
○政府委員(井上喜一君) 私は事実を申し上げているわけでございまして、確かに計算の方法としてはいろんな方法があろうかと思います。ただ、農家負担という点から見れば、特に国民年金などの場合は専業農家で農業所得しかない農家はともかくとしまして、他の収入のある農家につきましては、やはり農家全体で見ていくのが妥当ではないかと、こういう趣旨から申し上げたわけでございます。
 農家の保険料負担は、今度は確かにかなり重くなるわけでございます。これを平準保険料で見ますと一万三千円余になるわけでございますけれども、やはり農家負担の現状等考えまして八千円ということ、昭和六十二年で八千円ということにいたしたわけでございます。また、それ以降、六十六年までにおきましても、まずその一割程度、八百円を加算していくと、こういうことにしたわけでございまして、私どもといたしましては、給付と負担の適正化という要請はありますけれども、農家負担の現状を考えまして、先ほど申し上げましたような保険料にいたしたいということを考えたわけでございます。
#196
○下田京子君 いろんな考え方があるなんて、またごまかしちゃいけませんよ。農業者年金と国民年金の保険料というのは農業所得で支払うのが筋でしょう。そんなのごまかしちゃいけないです
よ。しかも、農業所得の中での保険料の占める割合というのはどんどんふえているというのも、これも事実でしょう。四十五年当時は一・九%、それが今回は六・一%になって、最終的には、いいですか、十三万一千円の農業所得だということに対して支払う保険料が一万一千二百円、これは何と八・五%になるわけですよ。そういう点で大変問題があるし、今お話しになりました平準保険料が高いのでさも何か軽減しているようなお話をされておりますけれども、では一体現行どおりの国庫負担でいったときに平準保険料は月額幾らになるかということなんです。幾らですか。
#197
○政府委員(井上喜一君) 現在、今回の改正の基礎になります平準保険料が一万三千二百三十八円でございますけれども、補助体系を変更しないということでありますと一万一千十三円ということになるわけであります。
#198
○下田京子君 そうしますと、一万一千十三円で済むものを一万三千二百三十八円にしたということは一体何によって起きたかというと、今私が申し上げましたように、今回の国庫負担の改悪、つまり補助率の引き下げによってその分だけ、約二千円近く農家の保険料にはね返っていくということを、いみじくもはっきり示したわけじゃありませんか。
#199
○政府委員(井上喜一君) 平準保険料としてはそのようになるわけでございますが、具体的な保険料の額につきましては、農家負担等を勘案して決めるということにいたしておりまして、昭和六十二年におきましては八千円ということにいたしたわけでございます。
#200
○下田京子君 ですから、その農家負担なるものが所得に比べてもう大変なアップですよということで申し上げましたでしょう。
 今のことでちょっとお尋ねしたいんですけれども、じゃ一体拠出時補助金が今回カットされたのですけれども、拠出時の補助金が一体どういう理由で今までつけられていたのかということ、どんな理由でついていましたか。
#201
○政府委員(井上喜一君) 拠出補助につきましては、これは農業者年金制度が発足するということもございまして、その加入を促進するという意味と同時に、やはりある程度の年金といたしまして資産を持つ必要が健全な運営上必要であろう、こういうことで、拠出時保険料を拠出いたします場合に補助がされていたと、このように理解をしております。
#202
○下田京子君 詳しくはまた後に譲りますけれども、私これだけは指摘しておきますよ。四十九年改正でこの拠出時補助が盛り込まれたと思います。それはどうしてかといいますと、その中に制度改正を検討した農業者年金制度研究会の検討結果の中で、その3で「保険料および財政方式」という項目があるんですが、そのところにこう言っています。「今回、年金給付水準を改定した場合、これに伴い保険料の引上げを行なわざるを得ないが、保険料の水準は、農家の負担能力、他制度における引上げの実態、国の助成強化の程度等を考慮して決定する必要がある。」、つまり保険料の水準は農家の負担能力等を判断してやらざるを得ない、そういう点で不足分は国が助成して強化して対応しなさい、こういうことだったと思うのです。それだけお答えください。
#203
○政府委員(井上喜一君) 補助の場合には、もろもろの理由がありましてこの補助制度ができ上がったと思いますけれども、私どもが承知しておりますのは、加入をさらに促進をしていくということと、健全な基金の運用をするために当初の資産をつくる、これが主たる理由であったというふうに理解をしております。農家負担その他いろんな事情があったということも私どもとしては否定しないわけでございまして、そういうもろもろの要素も中に入った上であるということを、私といたしましては否定するものではございません。
#204
○喜屋武眞榮君 私は、確認をしながら理解を深めてまいりたい、こういうことでお尋ねいたしますので、ひとつよろしくお願いします。
 まず、基本的なことですので大臣にお尋ねしたいんですが、この農業者年金制度を分析しますと、農業経営の近代化と農地保有の合理化に寄与するとともにということで農業者の老後の生活の安定、そして福祉の向上に資す、こう明確にうたわれておるわけですが、そのことが農民にも恩給をと、こういう愛情があるわけですが、この立法の趣旨からしますというと、農業者の老後の保障の充実が主眼であるべきと私は理解いたします。ところが、その経過を、しかも今回のこの改正の趣旨に照らして、その運用の実態は構造政策面の効果を考えた運用が中心になっておるのではないか、こう思われてなりません。老後保障が軽視されているように、はっきり申し上げましてこういうふうに私は理解いたしたい、そのように理解していいでしょうか、大臣。
#205
○政府委員(井上喜一君) 農業者年金制度の趣旨は、この農業老年金基金法の法律の第一条にありますとおりでございまして、国民年金の付加年金という位置づけで、その上で農業者の老後の生活の安定と、それから福祉の向上に資すると同時に、農業経営の近代化あるいは農地保有の合理化に寄与する、こういうことでございまして、いずれが主でいずれが従ということではないわけでございまして、相互に非常に密接に関連をしている、そのような位置づけになっているわけでございます。
 ただ、最近におきます農業者年金をめぐります状況につきましては、年金財政は今の時点では長期に安定をしているというふうには言えない状況でございまして、長期の安定を目指して改善策を今後とっていく必要もあるわけでございます。かつまた、公的年金制度の改正ということも行われておりまして、二十年をかけまして現在給付水準を漸次下げていくというふうな改正もしているわけでございます。
 この農業者年金の発足以来の考え方であります厚生年金並みということからいたしましても、公的年金制度の改正の趣旨を踏まえる必要があろうかと思います。また、構造政策的な効果という点から見ましても、経営上の実態から見まして検討すべきことが多々あるわけでございまして、そういった問題点を踏まえまして今回の改正をいたした、こういうことでございます。
#206
○喜屋武眞榮君 そうしますと、今の御説明からしますと、将来に向けてはそのような方向で希望が持てるが、現状においては老後の保障第一というよりも構造政策の面にウエートを置いてやってきておる、やむを得ないという、このように受けとめていいですか。
#207
○政府委員(井上喜一君) 私が申し上げておりますのは、この年金の給付ということと構造政策というのが密接不可分に結びついているということでございまして、一方におきまして構造政策的な効果を高める必要がありますが、他方におきましては老後の生活とさらに密接不可分に関連さしていく必要がある、こういうことを申し上げているわけでございます。
 年金制度は、これは年金保険という今は仕組みをとっておりますので、国庫の補助はありますけれども、やはり保険料負担ということもあるわけでございます。そういうことを念頭に置きまして、年金財政の長期安定ということも考えていく必要があるわけでございまして、全体総合的にそういった問題を考えて、個々の事項につきましては改正を考えていくべきだろうというふうに考えているということでございます。
#208
○喜屋武眞榮君 ずばり私の質問に答えてくださらないことは非常に不満でありまするが、あなたのおっしゃることはわからぬわけでもありません。
 それでは、今の質問とも関連がありますが、社会保障制度審議会の今までの答申の中で、社会保障制度のあり方として疑問があると指摘されてきておるわけですね。その答申の中で、農業者年金制度については「これまで繰り返し社会保障制度としてのあり方から見て疑念がある」と述べてきたという指摘をしておるわけですね。社会保障制度審議会として指摘をしてきたというこの指摘の
内容はどういうことなんですか。
#209
○政府委員(井上喜一君) 国民年金審議会、それに社会保障制度審議会、両審議会ともいずれも同様の趣旨の答申をこれまでいただいているわけでございます。
 ちょっと長くなりますけれども、前々回ぐらいから申し上げますと、昭和五十四年の社会保障制度審議会の農業者年金基金法の一部改正についての答申でございますが、「本制度は、農業政策上の観点から特に手厚い国庫の負担を受けているものであるが、今なおその政策効果は明らかにされていない。そのうえ、保険原則や他の公的年金制度への影響を十分に考慮しないままに、諮問案にみる如く任意加入者について安易な条件での遡及加入を認めるようなことは、多くの問題を残すこととなる。」というようなことを言っております。それから、その後、昭和五十六年でございますが、「農業者年金制度は、専業農家の後継者の確保、経営者の若返り等農業政策上の要請に応えることを主眼とするものであるが、年金保険という形態をとる限り、長期的財政見通しに立脚することが不可欠である。今回の財政再計算の結果によれば、近い将来、年金財政上ゆゆしい事態が生ずることは必至とみられるので、この際、農業者年金制度そのもののあり方について、抜本的検討を行われたい。」、こういうのが今回の答申に連なってきたわけでございまして、「本制度については、本審議会は、これまで繰り返し社会保障制度としてのあり方からみて疑念を述べるとともに、年金財政の確立を強く求めてきた。特に、昭和五六年の答申においては、近い将来、年金財政上ゆゆしい事態が生ずることは必至であるとして、制度の抜本的検討を要請したところである。しかるに、その後見るべき対応がなされないまま今日に至り、他の公的年金制度を大きく超える国庫負担を投入しても年金財政の確立は望み得ない状態にある。」という非常に厳しい指摘を受けたわけでございます。
 私どもといたしましては、現行の制度が抱えております問題の解決のために今回の改正案もその一環として提案したわけでございますけれども、なお根本的な解決にまでは至っていないわけでございます。
 この審議会の答申の趣旨は、やはり年金制度は長期に安定した制度としてこれから運営をしていく必要があるので、その場合にはそういった対策を基本的に立てる必要がある、このような趣旨で答申されているというふうに我々は理解しているわけでございまして、そういう答申の趣旨に沿いまして今後さらに基本的な問題について検討を進めていきたい、このように考えているわけでございます。
#210
○喜屋武眞榮君 それでは今の御答弁に対して、そのような審議会の答申で具体的に指摘されたことに対してどのように対処してこられたか、そのことをお聞きします。
#211
○政府委員(井上喜一君) まず、給付水準でございますが、これにつきましては、公的年金制度の改正に準じまして農業者年金制度におきましても給付水準を二十年かけまして適正化をしていくということがございます。それからまた、経営移譲をいたします形態によりまして、その後継者のいわゆる農業とのかかわり合いの程度によりまして四分の一の格差を設けるようなそのような改正をいたしております。また、保険料につきましても、これは農家に保険料負担を多くする結果になるわけでございますけれども、保険料につきましても昭和六十二年度には八千円、それからそれ以降八百円を追加いたしまして六十六年まで参る、このようなことをいたしたわけでございまして、私どもといたしましては、できる範囲といいますか、現実的に可能な範囲におきましては、年金財政の健全化のためのそういうような措置を検討してきた、その中で実現可能なものについて今回の改正案の中に織り込んだ、こういうことでございます。
#212
○喜屋武眞榮君 そうすると、今までの答弁をお聞きしまして私はこのように理解したいんですが、いいですかね。この法の目的と審議会の答申を結びつけた場合に、結局こういうことが判断できると私思っておるのです。審議会の答申からしますと、この改正案の目的とする農業者年金制度の長期的安定を図るという厳とした目的があるわけでしょう。その目的と照らし合わせて見た場合に、どうも先行き長期的安定を図る目的にはすれ違いがある、沿わないのではないか、こう私はお聞きしながら思うんですが、そのように受けとめていいでしょうか。
#213
○政府委員(井上喜一君) 今回の改正につきましては、公的年金制度の改正の趣旨を踏まえまして、農業者年金利度の給付と負担の適正化を図り、制度がより安定的に運営できますような、そういったことを考えて改正したものでございまして、あわせまして、より構造政策的な効果と年金制度を結びつける、そういう意味におきまして、年金給付につきまして年金額に一定の格差を設けるというようなことも導入した、こういうことでございます。
#214
○喜屋武眞榮君 何回聞いても同じような答弁がはね返ってきますので、このあたりでとめておきます。
 次は、沖縄との関連に結びつけて聞きたいと思います。
 この農業者年金制度が沖縄に適用されたのは、本土と一年おくれて、沖縄の本土復帰に結びついたわけなんですね。ですから、十四年経過しておる。その間に、私が思うのに、沖縄においても農村に定着しておるのではないか、こう見ております。そのことを、十四年の経過を政府の立場からごらんになって、政策年金としてどのように評価しておられるか、このことをまずお聞きしたいと思います。
#215
○国務大臣(佐藤守良君) 喜屋武先生にお答えいたします。
 沖縄県につきましては、先生御指摘のとおり、本土復帰に伴いまして一年おくれてこの制度が適用されたわけでございます。そんなことで、五十九年の三月末現在におきましては、年金への加入者は約六千百名、経営移譲年金の受給者約三千二百名となっており、他の道府県と同じように、本制度は沖縄の農村に定着してきていると考えております。
 また、本制度につきましては、経営移譲の促進を通じまして四つの大きな役割を果たしておると思います。もちろん不十分な点もございますが、四つの点と申しますのは、事業経営の細分化防止、あるいは中核農家の規模拡大、農業経営主の若返りをしますとともに、農業者の老後保障に大きな役割を果たしてきていると考えております。
#216
○喜屋武眞榮君 この法が健全に伸びていくためには、何と申しましても、年金財政の健全性ということが最も大事であると私は思います。財政の健全な運営を確保するためには現状の認識、いわゆる加入と未加入の状況がどうなっておるか、こういった未加入者の加入促進を徹底させるということが最も大事であろうかと思うのです。
 そういう点から、あらましで結構ですから、本土の全体の加入者の実態、それから未加入はどうなっておるか、この点、まずお聞きしたいと思います。
#217
○政府委員(井上喜一君) 全国の未加入者は二十四万人でございまして、約一割の者が未加入になっている、こういうことでございます。その加入を促進していくということはこれから非常に重要なことでございますが、私どもといたしましては、一般的にはパンフレットでありますとか広報紙を通じまして加入を促進しているわけでございますけれども、より属人的には、経営移譲を後継者にいたしますような場合には、その後継者が未加入の場合にはその加入を促進するとか、あるいはもう年齢の関係で加入をしなければ農業者年金を受給できないようなそういう人には、その時点で加入を促進している、こういうようなことでございます。
 また、これは先ほどの御質問にもございましたけれども、県ごとにかなり加入の状況にアンバラ
ンスがありますが、そういうアンバランスがありますような場合には、特に加入率の低い県等は重点を置きまして、ただいまのようなことをやっているわけでございます。
 最近の加入状況を見ますと、漸次加入の数がふえてきておりまして、こと五年間のうちに二万二千三百八十八人から、昨年には三万百九十二人というふうになるまで漸次加入者数が増加をしてきている、こういった状況でございます。
#218
○喜屋武眞榮君 今の御答弁を前提にして、今度は沖縄の農業年金の加入状況を他府県と比較してどうなっているのであるか、それが非常に気になるのです。沖縄の状況がどうなっておるか、そのことを聞きたい。
#219
○政府委員(井上喜一君) これは五十九年三月末で申し上げますと、沖縄県の現在の加入者が六千百二十三人でございまして、全加入対象者七千六百五人に対する加入率は八〇・五%、これは全国平均の加入率七九・二%をやや上回っているわけでございます。ただ、任意加入の加入率が全国平均が六一・八%でございますが、沖縄の場合には五七・六%、やや下回っている状況でありますけれども、さほど全国平均と比べまして格差があるとは考えられない数字でございます。
#220
○喜屋武眞榮君 やっぱり気にしておるのが任意加入のパーセントですね。これが非常に気になっておったわけですが、やっぱりそのとおり下がっておるんですね。
 それじゃ、なぜ沖縄の任意加入が他県に比較して下がっていると理解しておられるか、そうしてその下がっておる原因は一体何だろうか。
#221
○政府委員(井上喜一君) 私が申し上げましたのは、任意加入の加入率が全国平均に比べてやや下回っているわけでございますが、そういうことを申し上げたわけでございまして、一般の場合には全国平均を上回っているわけでありますので、特に特別の理由というのは考えられないわけでございまして、全国的に未加入の理由というものがありますが、そういった理由ではないか、そのように思うわけでございます。
 全国的な未加入の理由につきましては、加入するのがまだ早いと言っているのが六一%、農業経営の将来が不安であるというものが一二%、保険料が高いというのが九%、そのほかが一八%、こういうことを言っているわけでございます。
 任意加入の加入率につきまして、これは若干低くなっておりますが、特に低いというわけでもございませんので、私は沖縄県に独特の理由がありましてこれが低いというふうには考えないわけでございます。
#222
○喜屋武眞榮君 といいますのは、正直言って、この法というのはなかなか徹底して理解しにくい面があると私自身が思っておるものだから、余計一般農民が、その該当者がそういうことを本当に理解できないためにせっかくの権利にありつけない、放棄しておるのではないか、こういうこともいろいろ思うんです。してみた場合に、その現状を目的に沿うて実行されていくためには、どうしても政府自体のその法に対するあらゆる機会を通してPRしていく、あるいは理解させていく、こういったいろんな方法が尽くされなければいかぬと思いますが、その点、政府としては十分やるべきことをやっておると、こう判断していいですか。いかがですか。
#223
○政府委員(井上喜一君) まだ未加入者が二十四万人もいるわけでございますので、私どもといたしましては、もうこれで十分であるというふうには考えていないわけでございまして、これからも積極的に加入促進をしていく必要があると考えております。その場合に、農林水産省自身として一般的なPRをするのはもちろんでございますけれども、やはり年金業務は農業者年金基金が実施するものでありますので、主としましてはこの年金基金を通じましてPRをし、また実際に加入を促進する、加入を勧誘していきますのは農業協同組合等でございますので、農業協同組合等の担当者を通じまして積極的な加入の勧誘がされるようにしなくてはいけない、そのように考えているわけでございます。
 その方法といたしましては、これは先ほど申し上げたわけでございますけれども、窓口の年金担当事務者の熱意いかんが加入にかなり影響しているというようなところもありますので、そういう担当者の研修をさらに充実いたしまして加入の促進をいたしますとともに、またそのPR等につきましても加入が促進されるようなことを十分念頭に置いたそういうようなPRをしていく必要があるだろうというふうに思います。具体的な方法といたしましては、一般的なそういうPRも必要でありますけれども、やはり個人的に未加入者にお会いをいたしまして、その未加入の理由等を聞きながらそれに対応して加入を促進していく、こういうことが必要であるというふうに考えております。
#224
○喜屋武眞榮君 今のお話とも関連しますが、この窓口は委託業務でありますね、組織の。そうすると、そこにもう私は政府の配慮がなければ、窓口は委託業務である、そこに本当に委託業務を担当する皆さんが自分の問題として受けとめて、そして事務処理も迅速に正確に、より遠く、より正確に処理していく、こういった窓口との血の通うつながりがだんだん魅力ある理解に結びついてくると思うんです。そういう点から、この委託業務に対するヘルプの仕方ですね、物心両面あると思いますが、財政的な面も十分に誠意をもって、誇りをもって処理していける、こういう体制を時たなければ、そこからまたマイナス要因が出てくると思うんですが、その点、ひとつ委託業務に対する政府の、もっとやりいい、喜んでやりいい、進んでやりいい、こういう体制づくりのために財政的な援助もいままで以上にやってもらう必要があると思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
#225
○政府委員(井上喜一君) 全く今御指摘のとおりだと思います。十分心が通った中で加入の勧誘ができるわけでございます。私どもといたしましては、一つには、財政的な裏づけをするということでございます。これにつきましてはこれまでも努力をしてきたわけでございまして、幾分充実されてきたわけでありますけれども、何分財政状況が窮屈なものでございますので、十分なそういう財政の裏打ちができているようには思わないわけでございますが、これはこれから問題といたしましてさらに充実に努めてまいりたいと、このように思います。
 それからもう一つは、やはり加入の対応の仕方でございますけれども、これは担当者の研修等を通じまして対応が的確にできますように、これからもそういった点を充実していく必要があるだろうというふうに思います。五十八年度から都道府県の農業会議、それから全国段階の全国農業会議所あるいは農協中央会に年金業務の相談に応じます相談員を設置してございますけれども、こういったことも活用しながら年金業務が的確に行えるようにこれからも努力をしてまいりたい、このように考えております。
#226
○喜屋武眞榮君 今の点、私は要望としてぜひそれにこたえてもらうようにお願いします。
 次に、沖縄の経営移譲の特徴と申しますか、特徴として第三者移譲が多いと見ております。ところで、これが多いということは、もし受給者が死亡した場合、亡くなった場合、たちまち遺族の生活が困ってくるわけですね。これは必ずしも沖縄だけでもありませんが、沖縄が特にそのケースが多いという立場から強調するわけでありますが、これは本土においても同じ条件だと思うんですよ。
 それで、私が先ほど来、将来に向けて希望が持てるかということを冒頭にも申し上げたのは、この事実からどういう要望が強いかというと、これは遺族年金の問題ですね。遺族年金をどうしても実現してほしいという強い要望があるということは、大臣初め十分耳にしておられると思うんです。そういった必ずしもこれは沖縄だけの問題じゃありませんので、本土も含めてこの問題に対して大臣、どのようにお考えでしょうか。
#227
○政府委員(井上喜一君) 遺族年金制度につきましては、これまでも何回も議論がございましたし、また委員会の附帯決議におきましてもとの遺族年金の検討の項目が入っているわけでございます。ただ、農業者年金といいますのは、再々申し上げるようで恐縮でございますが、国民年金の付加年金で仕組まれているわけでございますので、農業者の配偶者の老後保障というのは国民年金で行われる、こういうことでございますので、農業者年金にさらに遺族年金を仕組むということは非常に困難な実態でございます。
 御要望の趣旨には基本的にはおこたえできないわけでございますけれども、今回の改正では死亡一時金の支給対象を拡大いたしまして、経営移譲年金を受給した後に死亡した場合にも一定の場合には、一定の場合といいますか、死亡時までの受給総額が死亡一時金に満たないような場合にはその差額を遺族に支給をする、こういった改正をしたわけでございます。
#228
○喜屋武眞榮君 今の遺族年金については、ぜひひとつ今後の問題として御検討を願いたいと思います。
 次に、離農給付金の給付状況、支給状況といいますか、このことについてお尋ねしたいと思いますが、この問題も私は法に対する理解との関連が強いと、こう思ってあえてお尋ねするんです。これも本土もあるわけですが、特に沖縄の特殊事情から沖縄に結びつくケースが大きいんです。沖縄におけるこの離農給付金の支給状況ですね、これがどうなっておるか、まずそのことをお聞きしたいんです。
#229
○政府委員(井上喜一君) 沖縄県におきます離農給付金の支給状況でありますが、五十九年度末までの累計で、件数では九百二十件、金額で十一億一千百万円でございます。その内訳を申しますと、これは五十五年五月十五日までは旧法によるものが大部分でございまして、八百五十四件、十億七千万円でございます。その同年の五月十六日以降の新法に基づく分は六十六件で、四千百万円となっておりまして、最近は非常に減ってきている、こういうことが言えると思います。
#230
○喜屋武眞榮君 それでは持ち時間がもう参りましたので、最後に尋ねまして、残りはまた次の予定がありますから、そこに譲りたいと思っております。
 今、離農給付金の支給の実態ですね、総額を今おっしゃったけれども、実はいろいろ調べておる中で私も気づいたものですからよけい身にしみておるわけでありますが、これはもう一律補助六十二万円ですね。無条件に六十二万円。この権利を、知らないがゆえに放棄しておる人々がたくさんおるのじゃないかと私は察しをしておるわけなんです。そういう痛さからお尋ねするわけでありますが、ぜひそのこととも関連しまして、私ももっともっと勉強して、一人でもそういった不利益にならぬように努力をするつもりでありますが、担当大臣とされて、あるいは担当農水省とされて、もっとひとつ生産農家に徹底するように、法的にも理解をして守られていくように努力を願いたい、こう要望いたしまして、ちょうど時間になりましたので次回に譲りたいと思います。
#231
○政府委員(井上喜一君) 御要望でございますけれども、確かに最近は離農給付金の支給件数が減少してきておりますが、これは今御指摘がありましたように、特定の市町村に偏りまして支給されているということがございますので、この制度を知らない町村があるのじゃないかと思います。そういうことを念頭に置きまして、十分こういう制度がありますことを積極的にPRをしてまいりたいと思います。
#232
○委員長(北修二君) 本案に対する質疑は本日はこの程度といたします。
    ─────────────
#233
○委員長(北修二君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、中西珠子君が委員を辞任され、その補欠として塩出啓典君が選任されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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