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1984/02/26 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第6号
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1984/02/26 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第6号

#1
第102回国会 社会労働委員会 第6号
昭和六十年二月二十六日(火曜日)
   午前十時十五分開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月二十一日
    辞任         補欠選任
     佐藤 昭夫君     安武 洋子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤 政夫君
    理 事
                佐々木 満君
                関口 恵造君
                高杉 廸忠君
    委 員
                石井 道子君
                大浜 方栄君
                曽根田郁夫君
                田中 正巳君
                前島英三郎君
                糸久八重子君
                浜本 万三君
                和田 静夫君
                中西 珠子君
                安武 洋子君
                下村  泰君
   衆議院議員
       修正案提出者   丹羽 雄哉君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  増岡 博之君
   政府委員
       厚生政務次官   高橋 辰夫君
       厚生大臣官房長  下村  健君
       厚生大臣官房総
       務審議官     長門 保明君
       厚生大臣官房審
       議官
       兼内閣審議官   古賀 章介君
       厚生大臣官房会
       計課長      黒木 武弘君
       厚生省健康政策
       局長       吉崎 正義君
       厚生省保健医療
       局長       大池 眞澄君
       厚生省社会局長  正木  馨君
       厚生省児童家庭
       局長       小島 弘仲君
       厚生省年金局長  吉原 健二君
       社会保険庁年金
       保険部長
       兼内閣審議官   長尾 立子君
       労働大臣官房審
       議官       野見山眞之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       警察庁刑事局捜
       査第一課長    藤原  享君
       法務省刑事局参
       事官       馬場 俊行君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○社会保障制度等に関する調査
 (厚生行政の基本施策に関する件)
○国民年金法等の一部を改正する法律案(第百一回国会内閣提出、第百二回国会衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十一日、佐藤昭夫君が委員を辞任され、その補欠として安武洋子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(遠藤政夫君) 次に、社会保障制度等に関する調査を議題とし、厚生行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○高杉廸忠君 私は、厚生大臣の所信に対して質問をいたしたいと存じます。
 去る二十一日、本委員会において厚生大臣は所信表明の中で、人生八十年型社会に見合った新しい社会システムの構築は、政府全体として、また地方公共団体や民間の力を挙げて取り組んでいかなければならない課題であると述べられました。このことに異論があるわけではありません。しからば厚生大臣、政府全体として取り組むということで大臣は何を行いましたか、まず伺います。
#5
○国務大臣(増岡博之君) まず、人生五十年と八十年と寿命が違うわけでございますけれども、その間の生活のありようの中では、職業というものが大きな柱となると思うわけでございます。したがいまして、そういう意味合いから労働省にもお話しをいたしまして、高齢者の定年延長でありますとか雇用対策でありますとか、そういう問題を協議してはどうかということで、昨年の十二月に厚生、労働両省の関係者が集まりまして、協議会をつくることになりまして、その発足を見たところでございます。
#6
○高杉廸忠君 大臣は、この前も述べられたように、「各界の有識者の方々にお集まりいただき、人生八十年型社会のあり方等について御意見を伺い、広く国民の英知を結集したい」、こう言っておられるわけですね。
 高齢化社会への対応は、今日まで各界各層からも意見が出されまして、政府部内においても、高齢化社会への課題と対応、人口問題審議会報告等等が次々と発表されている状況にあるわけです。私は、今日はもう議論をするときではなくて、一つ一つを着実に実行していくときである、こういうふうに考えますけれども、大臣いかがですか。
#7
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のとおり、いろいろな問題点につきましてはあらかた出そろっておるかと思います。もちろん、その施策につきまして御指摘のとおり対応していかなければならないわけでありますけれども、その中でも私どもが考えておりますことは、長い人生のいわば個人的な生涯計画といいますか、ライフスタイルというものが変わってくるだろう、あるいはまた、世代交代という意味でのライフサイクルというものも相当変わってくるに違いない、そういう観点からももう一度考え直してみなければならない面があるのではないか。したがいまして、実はきょう発足するわけでございますけれども、人生八十年型社会懇談会におきましては、従来からのそういういわばお役所的な、行政的な面からの発想ではなくして、発想の転換を図る必要があろう。そういう観点から人選をいたしたわけでございます。
 私はその中でも、これは私個人の考え方でありますけれども、人間の一生を考えました場合には、今言われております労働時間の短縮あるいは週休二日その他の問題がございますけれども、こういうものが老後の生活に生かされるようなことも考えていかなければならないということまで突っ込んで考えてみたいと思いましてこの懇談会を発足さしたわけでございます。
#8
○高杉廸忠君 次に、この間もお話を聞きましたが、大臣は所信表明の中で、「労働大臣と話し合い、高齢者雇用問題等に関する両省の連絡会議を設置」したと述べられたわけなんですが、具体的には何を話し合い、何を協議するお考えですか。この際明らかに示していただきたいと思うんです。
#9
○国務大臣(増岡博之君) 私が労働大臣とお話しいたしましたのは、これから迎える高齢化社会の
中で働くということを考えました場合には、長く働くということが個人のためにも幸せでありますと同時に、また国家的な見地からも、せっかく高い見識を持った、そういう知識を持っておる人を働いてもらうということも大変有効なことであろうかと思いまして、そういう意味合いから高齢者の雇用の問題について、昨年十二月からでありますけれども、連携をとりながら役所の枠を越えて話し合いをいたしたい、そういう意味合いでございます。
#10
○高杉廸忠君 もう少し具体的にお示しをいただきたいと思うんですけれども、年金と雇用をいかに連結させていくかという視点でお話し合いをされるというのならば結構なんですけれども、どうも年金の六十五歳支給のムードづくりに利用されている、これでは大変困るわけなんです。
 そこで伺うんですが、具体的には何をテーマに労働大臣と話し合うのか、もう少し具体的にこの際明確にしていただきたいと思うんです。いかがですか。
#11
○国務大臣(増岡博之君) 私が考えておりますのは、長く働くということはその人個人の社会参加による生きがい対策ということを考えておるわけでございまして、決して年金の支給開始年齢のことについて絡ませてやっておるわけではございませんので御理解をいただきたいと思います。
 ともかく、高齢者が職業であれボランティアであれ社会に参加するということ、そういう意味合いでのテーマで話し合いをいたしてまいりたいと思います。
#12
○高杉廸忠君 この人生八十年型社会への変化に合ったシステムの再構築というふうに、大変意気込みは結構でありますが、今日の状況を見ますと、意気込みと裏腹に、大臣御承知のとおりに、社会保障予算というのは大変寂しいものだ。大臣は、六十年度予算編成に当たって、こういうような状況についてどのような方針で臨まれたのか、具体的に示していただきたい、私はこのように思うんです。
#13
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘の社会保障関係予算につきましては、私は、これから高齢化社会に向かいますから、必然的にふえていくということはやむを得ないことであるし、そうしなければならないというふうに考えております。
 ただ、現在の財政状況の中ではなかなかそういう点は厳しゅうございますから、その中でも特に健康で安心をして長生きをしていただく、そういう意味合いの予算に重点を置こうと、そういう気持ちで対処してまいったわけでございまして、おかげで一般歳出の伸びゼロの中で、厚生省だけは二・七%増、二千五百三十六億円増が確保できたところでございまして、今後もそのような気持ちで対処してまいりたいと思います。
#14
○高杉廸忠君 もうちょっと具体的にならないとなかなか理解しにくいんですが、大臣がどのように説明されても、ここ最近数年の厚生省予算というものは、国全体の一般会計歳出予算をマイナスにするために無理やりにつじつま合わせをしているというのが現実ではないかと考えるんです。当然負担すべき国庫負担について各種の繰り延べ措置をして今日に至っているのが実情だと思うんです。
 この際、繰り延べについて、その概要について明らかに示していただきたいと思うんです。
#15
○政府委員(長門保明君) 先生お尋ねの繰り延べ措置の内容でございますが、まず、行革関連特例法に基づく厚生年金等の国庫負担の一部繰り延べ措置がございます。この措置に基づく縮減額は、五十七年度におきましては千八百六十八億円、五十八年度が二千百九十九億円、五十九年度が二千四百二十億円。それから、さらに一年延長をお願いしているわけでございますが、六十年度が三千五十億円となっております。
 また、五十八年度から国民年金につきましては国庫負担の平準化措置を行っておりますが、これによる縮減額が五十八年度三千百八十億円、五十九年度が三千二百二十一億円、六十年度が二千五百五十六億円となっております。
 それから、六十年度に新たに政管健保につきまして国庫負担の繰り入れの特例措置を行っておりますが、この関係が九百三十九億円でございます。
 以上でございます。
#16
○高杉廸忠君 今御説明いただいた厚生年金保険に関係して、合計は九千四百七十億円でありますね。確認ですがいかがですか。
#17
○政府委員(長門保明君) ただいま申し上げましたのは、厚生年金のほかに船員保険の関係もございますので、これを合わせますと九千五百三十七億円でございます。船員保険の関係を除きますと先生仰せの数字でございます。
#18
○高杉廸忠君 それから、国民年金特別会計への国庫負担の繰り延べ、これは五十八年、五十九年、六十年を合わせますと八千九百億円ということでいいんですか。確認ですが。
#19
○政府委員(長門保明君) 仰せのとおりでございます。
#20
○高杉廸忠君 それから、厚生年金、船員保険の繰り延べだけでも元利合計で、合わせますと一兆八百五十八億円に達すると思うんですが、いかがですか。
#21
○政府委員(長門保明君) ただいま手元に数字がございませんが、オーダーから言いましてその程度の数字になろうかと存じます。
#22
○高杉廸忠君 大臣、今お聞きしたようなこれらの膨大な金額というものは、現在の財政のもとで、将来確実に補てんされる見通しというものをお持ちですかどうか、この際明らかにしていただきたいと思います。
#23
○国務大臣(増岡博之君) ただいまの数字は、現在の厚生年金、国民年金の財政状況のもとでは許容される数字だと思いますけれども、先ほどから申し上げておりますように高齢化社会を迎えるに従ってそちらの方の会計もだんだん苦しくなるわけでございますので、この件につきましては、ぜひとも必要に応じて、得べかるべき利益も含めて返してもらわなけりゃならぬということで大蔵省との合意も成立いたしておりますので、私はそのようにやれるし、また、やらなきゃならぬというふうに考えております。
#24
○高杉廸忠君 また、六十年度予算財源捻出策として、補助金の一割相当分について地方への転嫁を図っているわけですね。この措置も一年限りと政府部内での合意文書が取り交わされているというように聞いておりますが、現在の財政状況のもとでこの約束は、合意文書で交わされたその約束は完全に果たされると考えておりますかどうか。いかがですか。
#25
○国務大臣(増岡博之君) 今回の措置は六十年度における暫定措置でありまして、これから一年かけまして大蔵、自治、厚生の三省で、これからの役割分担と費用の負担との問題を協議するわけでございまして、一年限りということは、この限りにおいては間違いのないことでございますけれども、役割分担と費用負担の問題については、これからの議論、検討の結果、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
#26
○高杉廸忠君 補助率の削減をしておいて、今のように、今後大蔵、自治、厚生の三省間で国と地方の役割分担の再検討をしよう、これでは本末転倒だと思うんですよね。十分検討をし、財源配分にも意を配った上で、しっかりした理論的根拠に立って地方への負担を求めていくというのが筋であると考えるんです。先に人質をとっておいて今後その対応を議論する、こういった感じを受けるんです。大臣、どうですか。
#27
○国務大臣(増岡博之君) まあ時間的な関係から申しますと、そのようなお考えを受けられる面もあろうかと思うわけでございますけれども、私どもの方としましては、やはり臨調、行革審のいろいろな指摘もございまして、ただ、その後で地方制度調査会からも、見直しについては国と地方との役割分担及び費用負担の云々という御議論がございましたので、今後一年かけてさらに検討をすることとなったわけでございます。多少時間的な順序からそういう御叱正を受けるかもしれません
けれども、私どもの考え方としては、その双方の御意見、あるいは閣議了解、閣議決定を踏まえてやったつもりでありますので、何とぞ御理解をいただきたいと思います。
#28
○高杉廸忠君 再度確認しますけれども、一割カットは一年限りである。いいですね、大臣。
#29
○国務大臣(増岡博之君) はい。本年度における暫定措置でありますから、そういう意味では一年限りでございます。
#30
○高杉廸忠君 新聞報道によりますと、六十年度予算の審議が始まったばかりの現在、厚生省内ではもう来年の六十一年度予算の編成の難航を予想して検討を始めている、こういうふうに報道されているわけですね。このようなときにどれだけ新しい対策を予算面で打ち出していくのか。何に向かってどのような検討をなされようとしているのかこれはこの際ひとつ明確にしてもらいたいと思うんです。この財政不如意の際に、大臣はどのように省内を引っ張ってリーダーシップを発揮されようとされるのか。この際、具体的に大臣の決意、所見を伺いたいと思うんです。
#31
○国務大臣(増岡博之君) 実は、今六十年度の予算の御審議をいただいておるわけでございまして、六十一年度につきましては大変困難であろうかということは認識はしておりますけれども、具体的に予算編成について、現段階ではまだ全く白紙の状態でございまして、これから将来に向かって、六十一年度の厳しい状況をいかにして局面を切り開いていくかということは今後の課題でございますけれども、現段階ではまだそのような状態でございますので、御理解をいただきたいと思います。
#32
○高杉廸忠君 次に、話題を変えまして、日本における精神障害者の人権問題について、具体的に以下伺いたいと思うんです。
 ちょうど満一年を迎えようとするんですけれども、昨年の三月宇都宮病院事件がありました。大臣は、昨年の三月以降について前大臣からどのように引き継ぎをされ、今どのようにお考えになっておられるか、まず伺います。
#33
○国務大臣(増岡博之君) 前大臣から、二度とこのような事案を生じさせてはならないとのお話を引き継いでおりまして、私も全く同感でございますので、引き続き関係者の指導に十分な配慮を行って、二度とこのようなことがないようにしなければならぬ、そういうふうに考えております。
#34
○高杉廸忠君 次に、警察並びに法務省に伺います。
 昨年、宇都宮、聖十字、菊池などの各病院で不祥事がありました。これによる事情聴取、それから逮捕、送検、起訴、公判、それぞれの実数。それと法違反容疑はどのようになっているか。これは警察関係と法務省にあわせて伺います。
 また、石川文之進前宇都宮病院長に対する論告求刑、これはどのようなものか。さらに、一審判決はいつになるのか。これらについて伺います。
#35
○説明員(藤原享君) お尋ねの関係でございますが、まず、警察の方の関係でございますが、栃木県警察におきましては、昨年の三月から十一月にかけましてこれら一連の捜査を進めたところでございます。その結果、まず宇都宮病院関係につきまして、傷害致死及び傷害容疑で同病院の看護助手四名、元入院患者一名を逮捕いたしたのを初め、暴行、傷害等の暴力事犯、付添看護料の不正受給、証票隠滅等の容疑で十二事件延べ三十名を検察庁に送致または送付いたしております。宇都宮につきましては、このほか無資格診療等の医事関連事犯、保健婦助産婦看護婦法など九法令の違反で計九件を立件し、石川院長外三名を逮捕したのを初め、延べ四法人六十五名を送致いたしました。
 次に、聖十字病院関係でございますが、入院患者に対する暴行容疑で、昨年の九月に同病院の看護士一名を逮捕し、さらに三名を検挙し、それぞれ検察庁に送致いたしております。また、余罪として、昨年の十一月でございますが、元看護士の入院患者に対する婦女暴行事件、これは告訴でございますが、この事案につき捜査を行いまして検察庁に送付いたしております。このほか昨年十一月、前院長及び二名の病院関係者を保健婦助産婦看護婦法違反で検挙し、それぞれ送致いたしております。
 第三に、菊池病院関係でございますが、保健婦助産婦看護婦法違反、診療放射線技師及び診療エックス線技師法違反で十月に病院職員四名及び看護婦長一名を逮捕したほか、十月から十一月にかけまして保健婦助産婦看護婦法違反で看護助手などの職員八名を検挙いたしております。また十一月に、無資格診療補助事犯で院長を検挙したほか、理事長と職員二名を歯科技工法違反でそれぞれ検察庁に送致されております。
 そういうことでございまして、逮捕、任意等の送検いたしました合計は百三十名余になっております。
 以上でございます。
#36
○説明員(馬場俊行君) ただいまの警察御当局のお答えを前提にいたしまして、起訴の状況等について概略御説明申し上げます。
 まず、報徳会宇都宮病院関係についてでございますが、数字で申し上げますと、石川文之進外の合計五名を公判請求いたしておりますほか、看護助手等合計八名につきまして略式命令により罰金刑の裁判を受けておるわけでございます。
 それから、次に聖十字病院関係でございますけれども、これも准看護士一名につきまして暴力行為等処罰ニ関スル法律違反によりまして略式命令により罰金刑の裁判が確定しておるわけでございます。
 それから、桂慈会菊池病院につきましてですが、院長の菊池実という人につきまして、いわゆる保助看法違反によりまして宇都宮地方裁判所に公判請求いたしまして、現在公判中でございます。
 公判中の事件のうち、御指摘のありました石川文之進に対します公判の状況でございますが、今月の十四日、宇都宮地方裁判所におきまして論告求刑が行われております。この論告求刑におきましては、公判におきまして事実関係が争われていないということもございまして、主として情状関係について意見が述べられ、懲役一年六カ月という求刑が行われておるわけでございます。判決につきましては、現在のところ三月の二十六日に予定されております。
 以上でございます。
#37
○高杉廸忠君 大臣、今お聞きしたとおりです。戦後、医療機関をめぐる人権侵害や不正事件、いろいろありましたけれども、その中でも宇都宮病院事件というのは大きな事件であったと、こう思うんです。
 そこで大臣、このようなことが二度と起こらないようにするために、これはどういうようにお考えなんですか。それからまた、具体的にどういうふうになさろうとするのか、伺いたいと思うんです。
#38
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、大変な不祥事案であると認識いたしております。
 精神病院に対しましては都道府県が一応指導監督に当たることになっておりますので、まず都道府県知事に対して機会あるたびごとに適切な指導をするよう指示を行ってまいっておるところであります。
 次に、昭和六十年度予算におきましては、入院患者に対する実地審査の大幅な拡充を図ることにいたしておりますし、ナイト・ケア部門の創設等社会復帰対策の充実を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。
 また、入院患者の処遇に関する具体的なガイドラインを近々のうちに作成をいたしまして、入院患者の適正な処遇について引き続き努力をしておるわけでございます。
 大体、主な方策は以上でございます。
#39
○高杉廸忠君 大臣、具体的に伺いますが、これは医の倫理とも深くかかわる問題でありますが、前国会で前大臣も約束をされましたように、医療に対する国民の信頼の回復、それから国際国家日本の人権に関する立場を明確にするためにも、石川文之進医師を医道審議会にかけて免許剥奪を図るべきであると、こう思うんです。大臣、いかが
ですか。
#40
○国務大臣(増岡博之君) 吉崎局長から答弁させます。
#41
○政府委員(吉崎正義君) 医師法に基づく医業停止または免許の取り消し処分でございますけれども、罰金以上の刑に処せられた者などにつきまして医道審議会に諮った上で行うこととされておるところでございますけれども、本件につきましては、先ほど警察当局などから御説明がございましたように現在公判中でございますので、本件の全貌が明確になった段階におきまして所要の手続を踏み、厳正に対処してまいる考えでございます。
#42
○高杉廸忠君 厳正にといっても、私の方は医道審議会にかけてと、そうしたことがもう事実明らかになっているんですから、厳正と言うならば当然やるべきじゃないんですか。いかがですか。
#43
○政府委員(吉崎正義君) 医道審議会の御審議にまつことになるわけでございますけれども、お話しのございましたように非常に大きな事案でございますので、厳正に対処する所存でございます。
#44
○高杉廸忠君 先日、イギリスから心理学者の方が見えまして、宇都宮病院事件を調査して帰国をされたんですけれども、この方がこう言っているんです。何が一番驚いたかというと、お医者さんがリンチで死んだ患者さんの死亡診断名を偽る、これは本当に信じがたいことだと言っておられるんですね。そしてその方は、自分の国でこんなことがあったら世論が沸騰してただではいられないんだと、こう言って帰られたんです。
 御承知のとおり、ことしの八月にはまた国連人権委員会が開催されますし、これに向けて今いろいろな国際的な動きもあるわけなんです。そこで、この際でありますから、国際国家日本の自覚の上に立たれて、毅然たる対応を私は大臣にお願いしたいと存じます。大臣、いかがですか。
#45
○政府委員(大池眞澄君) 国際的な場におきましても、いろいろとこの件について注目されておるといることは御指摘のとおりでございまして、また最近、八月の国連におきます小委員会へ向かっての動きかと思いますけれども、国際法律家委員会が来日の意向を伝えてきておるというようなことも一連の動きとしてございます。
 私どもとしましては、この機会に我が国の精神医療の制度的な現状なりあるいはその実態なり、国際的にも正しく理解してもらうように、このような動きには積極的に対応してまいりたい、かように考えておるところでございます。
#46
○高杉廸忠君 医の倫理といえば言うまでもなく、事もあろうに東大医学部の医師たちが宇都宮病院の石川前院長と一心同体であった、これも世間を驚かせたんですね。その医師たちが宇都宮病院の医師になって、しかも中心であった武村信義東大助教授が次期院長の予定と聞くんですね。これはもう論外だと思うんです。こういうことは私はないように願うし、こういうことこそ厳正に対処していただきたいと思うんです。
 私は、この方も医道審議会にかけるべきである、こう思うんです。どうですか。
#47
○政府委員(吉崎正義君) お話しのございました武村医師でございますけれども、昨年の秋に院長に推す動きがあったというふうに聞いておりますけれども、この件につきましては、栃木県の指導によりまして、現体制で宇都宮病院を立派な病院にする、再建を図るということで取り組んでおると承知をいたしております。
 また、同医師は東大の医学部長から注意を受けておるわけでございますけれども、これまでのところ警察当局の捜査によりますと、石川院長の違法行為への関与は認められておらないところでございます。医道審議会では罰金以上の刑に処せられた者などにつきまして処分を行っておるところでございますけれども、同医師のような事例につきましては、過去に実は例がないのでございます。本件につきましても、慎重に対処すべきものであると考えております。
#48
○高杉廸忠君 厳正にやっていただきたい、重ねてこれは要請をしておきます。
 それで大臣、先ほどお答えがありましたけれども、労働大臣とお会いして高齢者雇用問題等に関する両省の連絡会議を設置された、これは大変結構なことだと思うんです。そこでお願いですけれども、精神障害者の社会復帰、それから雇用、労働権の確立等についてもぜひひとつ両省間で研究と御協議の場を設置していただきたい、こう思うんです。
 大臣も御承知のとおりに、精神衛生関係費の九九%は医療費で、社会復帰対策費というのはわずかに一%にも満たない、これが現状なんです。これでは私は、大臣が所信に言われた地域社会福祉の視点というのはゼロに近い、こう考えるんです。大臣、どういうふうな御所見ですか。あわせまして伺いたいと思うんです。
#49
○国務大臣(増岡博之君) 社会復帰対策につきましては、いろいろ、デイ・ケアでありますとか、社会復帰施設を整備するとか、一応のことはございますけれども、本当に社会復帰ができるような状態にするということ、これは本人の問題のみならず、社会全体の物の考え方として考えていかなければならない問題であると思いますので、必要に応じまして労働省とも十分相談をしてまいりたいというふうに思います。
#50
○高杉廸忠君 あるお医者さんに伺ったんですけれども、その方は、現在の精神病院の入院患者のうち、三分の一は社会的受け皿がないから仕方なしに病院を生活の場としている、次の三分の一は社会復帰対策に力を入れれば社会に復帰できる人である、最後の残りの三分の一が病院を本当に必要とする人たちだ、こう言われているんですね。
 そこで、根本的に社会復帰と労働権の保障、これを考える時期に私は来ているのだと思うんです。ぜひとも両省で研究と協議をして、食と住の供給のシステム、あるいは人権救援センター、こういうものを具体化していただきたい、こう思うんです。大臣、いかがですか。
#51
○政府委員(大池眞澄君) 先ほど大臣も答弁申し上げたところでございますが、御指摘のように、精神障害者の社会復帰対策につきましては、現在の精神医療におきまして非常に、さらに充実を求められておる分野であることは、私どもも同じ気持ちで取り組んでおるところでございます。
 そこで、デイ・ケア施設等各種の社会復帰施設の整備には引き続き努力を継続いたしますし、また、通院患者のリハビリテーション事業、あるいは保健所におきます社会復帰相談事業も一層の充実を図ることとしております。昭和六十年度の予算案におきましても、新たに精神病院におきますナイト・ケア部門の整備、運営費の助成を行うことと予定しておりますし、また、民間施設で運営しております共同住居の実態も調査をいたしまして、今後のあり方について検討を加えることといたしたい、かような予算案でお願いをしておるところでございます。
 また、必要に応じ関係省庁ともよく連携をとって相談をしながら進めていきたいと思っております。
#52
○高杉廸忠君 人権救援センター、これを設置していただきたい。なぜお願いをするかというと、一昨年の秋、宇都宮病院を訴訟された元患者さんが私にこう言っているんです。あの病院の患者の半分は入院不要者だ、こう言っているんですね。まさかと思ったんです。その後の措置入院、同意入院患者の実地調査の経過、これを見ても、また、事件が起こるや一方に受け皿も考えずにどんどん患者を退院させた。結果として、最高時には九百八十名の入院患者がことしの二月一日現在五百五十一名。しかもこのうちの約四十人は入院不要、通院と、こういう人だと言われているんです。この四十名の方が通院になったら入院患者は五百十一人。当時と比べると約半分なんですね。こういうような状況ですから、今入院されている方の半分は働けるというんですから、大臣、やはり社会復帰。そして労働権の保障、雇用、こういう関係をきちんとして社会復帰と、そういうこともぜひお願いをしたい。私は事実を申し上げておるんです。
 しかも人権救援センターについては、私も昨年
前大臣にも要請をしたわけですから、これらについても具体化していただきたいと思うんです。重ねてですが、いかがですか。
#53
○国務大臣(増岡博之君) お話しの社会復帰につきましては、やはり社会全体のいろいろな理解というものが必要だろうと思いますから、関係省庁と協議をいたしまして、今後十分相談をしてまいりたいと思います。
 後の、人権救援センターにつきましては、政府委員から説明をいたさせます。
#54
○政府委員(大池眞澄君) 人権の確保の問題につきましては、昨年六月宇都宮病院事件等一連の事件の後で、厚生省の関係三局長連名通知を出しまして特に注意喚起を図ったところでございますが、現在、人権問題につきましていろいろとガイドラインの作成等も行いながら、さらに一層内容的に強力な指導を期すべく作業をしているところでございます。
 なお、センターの関係でございますが、私どもといたしましては、精神衛生行政の中におきまして、なかんずく技術的な基盤を与えるものとして各都道府県に精神衛生センターを設置することとしております。そして、その精神衛生センターを技術的な中軸に置きながら、それぞれの地域を担当いたします保健所におきまして精神衛生指導員を配置し、地域の精神衛生関係の専門家等の協力も得ながら、精神医療、これは入院医療だけではございません、地域におきます精神医療の面におきましてもこの適正な実施、人権の確保というような面も含めまして対応しているところでございます。
 具体的には、保健所あるいは精神衛生センターにおきます精神衛生相談事業等の活動を通じまして、御指摘のような対応の一層の充実を図ってまいりたい、かように考えているところでございます。
#55
○高杉廸忠君 先ほども申し上げましたが、宇都宮病院の今日までの状況にはただただあきれているわけですね。これは言うまでもなく石川一族が自己の私欲のために精神障害者を不法に拘禁した、こういうことだと思うんです。国の公費をむさぼってきたと言っても過言ではないと考えるんですね。そして、措置入院、同意入院の制度、入院制度の運用、これがずさんだったと言うしかない、こういうふうに考えるんです。私は、社会復帰、雇用、労働権の保障がないことが病院を収容所にした一因とも考えているんです。大臣、どうですか。
#56
○国務大臣(増岡博之君) そのようなことも影響があったかと思います。
#57
○高杉廸忠君 それじゃ、制度のずさんということについてはどうですか。
#58
○政府委員(大池眞澄君) 当該宇都宮病院に関しましては、御指摘のように今回の事件を通じまして、精神衛生鑑定医によります入院患者の実地審査を全員について行いましたところ、措置入院患者あるいは同意入院患者につきましても、措置入院患者につきましては約一〇%程度の入院を要しないと判断された者がありましたし、また、同意入院患者につきましても相当数の入院不要患者がいたという実態がございます。
 宇都宮病院に関して申しますと、確かに御指摘のように、社会復帰あるいは地域社会におきます引き受け手がないというような状況から入院を継続しておったというような状況が思考されるわけでございますが、そのような観点から見ましても、先ほど来御説明申し上げておりますように、社会復帰、地域在宅における精神障害者の適切な受け入れ、ケアということの重要性というものを一層痛感しているところでございます。
#59
○高杉廸忠君 では、先ほども言ったような、国の公費をむさぼってきた、こういうふうに私は思うんですが、それはどうですか。
#60
○政府委員(大池眞澄君) その点につきましては、宇都宮病院に関して、これを契機としまして、私どもとしましては実地審査というものを一層強化、拡充する必要があろうということで、六十年度予算に向かいましては現在の体制を二倍あるいは三倍というような形で実行するということを計画をしているところでございます。
 なお、五十九年度におきましても、全精神病院に対して措置入院患者についての実地審査を実施しているところでございます。
#61
○高杉廸忠君 さらに伺いますけれども、宇部官病院で大量の退院者があったわけですね。この人たちが現在どこでどのように生活をしておられるのか把握をされていますかどうか。また、一方的に退院をさせたために不幸な出来事が数件起きたと考えるんですが、これがどのような理由と原因でそうなったか、これを事務当局の方では把握されておりますか。把握されていたら示していただきたい。
#62
○政府委員(大池眞澄君) 第一点でございますけれども、精神病院の退院者につきまして、その後どのように生活しているかということを逐一把握するという仕組みはございませんので、お尋ねの退院者について、全員についての状況は承知しておらないわけでございます。
 しかし、入院措置が解除されまして退院をされた方々で、なお精神障害が続いておる患者さんなどにつきましては、必要に応じまして保健所の精神衛生相談員による訪問指導等が行われておりまして、その方々については掌握可能でございます。
 それから、宇都宮病院から退院をされた方々の中から、一部新聞報道等で報じられましたような事件が発生したということにつきましては、私どもといたしましてまことに遺憾に思っておるわけでございます。この問題は、医学的に見まして退院が可能と判断される場合でありましてもこのような事件が結果として起こり得る可能性もあるということを示唆しているというふうに考えられるわけでございまして、このようなことを今後防止するためにどのようなことが考えられるのか、大変難しい問題ではございますけれども、専門家等も含めまして一層よく検討してまいりたいと思っております。
#63
○高杉廸忠君 それはだめだよ。病院から退院をした患者さんの行方を把握する、これは精神衛生行政の最も基礎的な作業じゃないですか。どういうふうに考えておられるんですか。私はきちっと把握しなきゃならぬと思うんですよ。どうですか。
#64
○政府委員(大池眞澄君) 現在の精神衛生法の仕組みにおきましても、先生御指摘のように、必要な方については訪問指導等を通じまして引き続きフォローするわけでございますが、一般的に申し上げますと、その他の一般的な精神障害者の方々が地域に戻られるに当たりましては、その主治医の方、それを取り扱われた医療機関の方で、その患者さんのもし外来によります通院医療が必要であればその通院医療を通じ、また一定の期間を置いて観察のためにいらっしゃいというような措置をとるとか、いろいろな形で主治医と患者との関係で仕切られておるのが実情でもあり、それが適当な方法であろうと考えております。したがって、行政におきまして、その退院されました精神障害者をずっと追跡をするというような形は、いろいろとプライバシーその他微妙な問題も絡みまして、必ずしも実態にそぐわないのではなかろうかと考えておるところでございます。
 したがいまして、必要な場合において保健所等におきます精神相談員が赴くわけでございます。例えば家族なり主治医の方から御依頼を受けたとかいうようなケースが現実に行われている実態でございます。
#65
○高杉廸忠君 大臣ね、地域医療とか地域福祉の基礎データにもなるわけですから、ぜひひとつ把握をしていただきたい、これはお願いをしておきます。
 それから、精神障害者の人権問題については、昨年の七月三十一日の当委員会において同僚の本岡昭次委員から、十二項目と当面の対応四項目の提案を行って、八月三日の社労等四委員会の連合審査で私からも申し上げたところなんです。大臣においてもぜひひとつ今後これを踏まえて対応し
ていただきたい、このように思うんです。大臣、いかがですか。
#66
○国務大臣(増岡博之君) 本岡先生の御提案は、私も手元にいただいておるわけでございます。その御提案の中に、実行できるものは既に実行しておるものもございますし、直ちに実現することが困難な項目もあるわけでございますけれども、ともかく貴重な御提言でありますので、今後の精神保健行政につきまして十分に参考とさせていただきたいというふうに考えております。
#67
○高杉廸忠君 大臣、前大臣も約束をされました三省庁協議ですね、これで宇都宮病院などのトンネル会社の実態究明についてもぜひ作業として進めてもらいたいと思うんです。これについてもこの際ぜひ実現をしていただきたいと思うんです。いかがでしょうか。
#68
○国務大臣(増岡博之君) 医療機関に対しましてのいろいろな規制、規定をつくることが可能でございますけれども、ただいまお話しのありました三省庁につきましての問題につきましては、実はただいまお願いをしております医療法改正法案の中にその趣旨も新たに設けることを内容といたしておりますので、その早期成立をお願いいたしたいところでございます。
 また、それまでの間におきましても、御趣旨の趣は尊重してまいりたいというふうに思っております……
 どうも失礼いたしました。まことに不勉強で申しわけありませんけれども、今の三省庁の問題は医療法改正法とは別個でありますけれども、医療法改正法におきましても立入検査、改善命令等の規定を設けることといたしておる趣旨でございますので、訂正をさせていただきたいと思います。
 また、先生の御指摘のことにつきましても、今後とも十分意を用いてまいりたいというふうに思います。
#69
○高杉廸忠君 時間の関係で、締めくくるわけでありますけれども、現在医療法は、医療法人の経理に関する立入検査権がない。そこで私は、昭和五十五年十全会事件を取り上げた際の約束で、医療法改正が約束されましてから五年たつわけですね。本気で医療法人の不正をただす意思が厚生省にあるのかどうか。大臣、医療法改正、これは早急に協議を始めて、医療法人報徳会から石川一族の経営するトンネル会社にどれだけの医療費が流出したか把握していただきたい、これをお願いします。こうしたことを放置しておいて、医療費の適正化だ、こういうことは私は口にすべきでないと思うんです。早急に、厳正に対処していただく、このことを強く要請をし、時間が参りましたから、大臣の決意を伺って私の質問を終わります。
#70
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、今後法改正を含めまして厳正な態度でやらなければならないと思います。特に、大部分の医療機関はまじめにやっておられるわけでございますので、そういう方々の名誉のためにも、今後厚生行政の面におきましても正しい決定を行っていかなければならない、そういうふうに考えております。
#71
○下村泰君 まず大臣にお伺いしますが、大臣の所信表明のお言葉の中に、「私は、先般労働大臣と話合い、高齢者雇用問題等に関する両省の連絡会議を設置いたしました。」、こういうふうになっておるわけですけれども、これはまあお話し合いをしないよりはお話し合いになった方がいいことは事実なんですけれども、高齢者雇用問題だけに限らず、私など一番念願としておりますのは、いわゆる障害児・者の問題ですが、この障害児・者の問題は、時によって両省に即またがるような場合がしばしばございます。したがいまして、高齢者雇用問題だけに限らず、まあ等となっておりますからあるいはそれが含まれるのかもわかりませんけれども、もう少し幅広くそういった問題までも広げていただいて労働大臣とお話し合いになっていただきたいというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。
#72
○国務大臣(増岡博之君) お話しのとおり身障者その他の、婦人の問題もそうでありますけれども、労働省と従来からも協議をしておるわけでございまして、今後ともその施策につきましておろそかにするという意味では決してございませんで、その上に今度高齢化の問題も上乗せをしたというふうにお考えをいただきたいと思います。
#73
○下村泰君 以前橋本厚生大臣のときにもそういうお願いをしたことがありまして、労働大臣とお話し合いになるというふうなお答えがあったんですけれども、その後の委員会でお尋ねしたところが、あれは会えなかったというようなお話も伺っております。したがいまして、どうぞひとつお口の上だけでなくて実際にお会いして、いろいろのお話を広げていただきたいというふうに思います。よろしくどうぞお願いします。
 さて、小規模作業所のことでございますけれども、厚生省では五十六年十月一日に児童家庭局が小規模作業所、これは通所作業所とも申しますが、施設の調査を行っていますが、その後の調査の推移はどのようになっておりましょうか。
#74
○政府委員(正木馨君) 身体障害者、精神薄弱者の施設につきましては、先生御案内のように収容授産施設というものがございまして、これは三十人定員でございますが、さらにできるだけ身近なところでということで通所形態の授産施設の整備を進めておるわけでございます。これは二十人以上ということになっておりますが、先生お尋ねの点は小規模作業所ということで、その二十人に満たない施設の実態はどうなっておるのかということでのお尋ねだと思います。
 先生ただいま御指摘のように、五十六年の十月に小規模作業所、精薄関係、身体障害者関係それから精薄、身体障害者あわせて処遇しておる施設、合計いたしまして六百三十八カ所という数字が出ております。その後につきましては調査はいたしておりませんが、大体同様な傾向にあるのではないかというふうに私ども思っております。
#75
○下村泰君 これは厚生省からの資料がこういうふうに来ておりますけれども、これにもたしか六百三十八にはなっております。しかし、実際のところを見ますと千百カ所にもふえているわけですね。年々六十カ所以上ずつふえています。最近になりますると六十六などという数ではなくて、下手すると年間に大体百カ所ずつふえるという傾向に来ています。ただ、今も言ったように無認可ですからね。無認可の小規模作業所ですから、これはますますふえるだろうと思います。これが今度法人として認可を取ろうと思っても今の法律の条件ではまずできないのが現状です。もちろんその施設に携わってくださる方々の数もありますし、それから、一番の問題が、作業所をつくるための土地問題、これが一番のネックになっています。例えば行政の指導も規制のみで、どのようにしたら土地が手に入るかというようなことは一切お構いくださらぬわけで、しかも、借地でも構わないというこの借地がなかなかうまくいかないですね、実際問題として。都市部周辺というようなことを言われているんですけれども、都市部周辺とは一体どこからどこまでなのか。線引きもできません、これは。実際問題として、地上権などを含むと、その費用がもう、障害者関係でも資金がなくてどうにも手の出しようがないというのが現状なんですね。いつまでこの無認可というようなものが続くのか。それから、この無認可という枠を外して何とか認可の方向に持っていけないものなのだろうかというようなことでお考えになったことはございましょうか。
#76
○政府委員(正木馨君) 先生、数字を挙げて現状についてのお話しがあったわけでございますが、お話にございますように、これは無認可の施設でございます。したがって、この実態はなかなかつかみにくいところもあるわけでございますが、ただ、先生お尋ねのように、無認可というものをできるだけなくすように、認可を広げていったらどうだというかねがねの御指摘があるわけでございます。私どももその点をもちろん検討しておるわけでございますが、その一つのあらわれが、先ほど申しましたが、できるだけ小規模のものを認めていきたいということで、通所形態のものを三
十人から二十人に落としたというのが一つございます。
 それから、さらにもう少し下げていったらどうだということでございますが、一つには、小さなものであってもよければいいじゃないかという考え方も確かにあると思いますが、やはり一つの施設として安定的な運営をしていくということを考えますと、どうしても対象者の数は一定規模以上ないとこれは職員の配置の問題、それから職員の労働条件、それから処遇者に対する安全でそして適切な措置というものに欠ける面が一般的にはどうしても出てくるわけでございます。したがって、その認可の基準を下げるということについては、やはり社会福祉施設という性格を考えますとおのずから限界があるのではないかということでございます。
#77
○下村泰君 おたくさんがおっしゃっていることはよくわかるんですけれども、八四年二月六日の「福祉新聞」の「社説」にもこういうことが載っているんですね。「行政指導のみでは解決できないことを当局は知るべきである。」という言葉も使ってございます。ここには今局長のおっしゃったことがそのままこの記事の中にも書かれています。そして、「この状況の中で施設最低基準を充実し法人格取得(実際は相関関係にある)を指導しても無理なことは自明である。ではどのような手段があるか。まず行政当局がその存在を社会的に意義があるか否かの認識を持つことから始めねばならない。そのためには共作連の」――これは共同作業所の連合体ですけれども、「調査結果のみでなく、自らの目で実地検証することである。」、こういうふうに書かれているわけですね。
 そうしますと、厚生省としては、いろいろなところからいろいろな報告が来るそれだけで判断しているというようなことは申し上げませんけれども、もう少し行政当局が完全に御自分たちの目で実態を把握するということも私は必要ではないか。その上で、例えば小規模作業所の認可もあるいはできるのではないか。その実態さえつかみ得ればですね。ただ報告のみでは無理だろうと思いますけれども。そんなようなお考えはありませんか。
#78
○政府委員(正木馨君) 先生おっしゃいますように、実態をつかんだ上での判断が大事だということは私どもまさにそのとおりだと思います。この小規模の無認可の施設の実態につきましては、厚生省から直接県に参りましたときに折に触れ視察をする場合もありますし、また、県当局を通じましていろいろ実態を常時できるだけ把握をするようにということを努めております。
 ただ、先ほどの答弁と重なるようでございますが、やはり一定の社会福祉施設というものを公的に認めていくということになりますと、一定規模で安定的そして適切な運営ができる施設というものを認知していくということがやはり基本になると思います。無認可の施設の中には、非常によくいっているところも実際問題としてあると思いますが、中には非常に問題があるという、問題が起こりがちなところも率直に言ってあり得るわけでございます。
 そういうことで、公的な施設として認知といいますか認めていくというためには、一定の規模なり水準というものを維持するというものを前提とした考え方というものはやはり基本に持つべきではないかというのが私どもの考え方でございます。
#79
○下村泰君 実際問題として、私もそういった種種の作業所はつぶさに歩いておりますけれども、局長の言いにくいことを補足すれば、作業所に通っている人たちの状態がそれぞれ違います。中には、精神障害者と身体障害者を一緒に作業所で作業させている場所もあります。そうしますと、その本人よりも親御さんの中で、うちはああいう障害じゃないんだと、うちはああいう障害者とは違うんだというような変な差別的意識があることも事実なんです。だからといってこれを見過ごしにするというわけにもいきません。
 大臣、いかがでしょうか。今の件について大臣も大変いろいろと御関心がおありのようなんですけれども、そういった小さい小規模の作業所、これから厚生省の方として、今の認可、不認可の問題でございましたけれども、政府としての援助方向、厚生省としての援助方向というようなことを考えていただけますでしょうか、どうでしょうか。
#80
○国務大臣(増岡博之君) 認可、無認可の問題でありますけれども、私は、本来建物の大きさとか面積とかよりも、むしろその果たしている機能というものを重視すべきであるというふうに思っておるわけでありますけれども、しかし、それを社会的に認知させるための手段としては、いろんな、先ほど局長が説明しましたようなもろもろの条件が出てくるのもやむを得ないかと思うわけであります。
 ともかく実際に身体障害者や精神薄弱者などが幸せになるようなことを考えなければならないわけでございますので、共同の小規模作業所につきましても、ただいま先生が御指摘のありましたような、親御さんからのそういう御意見もあったり、障害の特性によっても処遇を異にするという難しい点もあるかと思いますけれども、しかしやはり今後もそういう課題に取り組んでいかなければならないだろう。検討さしていただきたいと思います。
#81
○下村泰君 ありがとうございました。
 ところで、地方自治体も、援助をしているところ、あるいは補助をしてくださっているところもあるんですけれども、現在助成していない県が鳥取、山梨、高知、徳島、わずか四県。この四県のうち二県、鳥取と山梨は助成の方向で今年度から考えていくというふうなお答えが返ってきております。ところが、この助成に物すごい差があるんですね、ばらつきが。大変なばらつきがあります。余りにも地方地方によって不平等があり過ぎるんですね。ですから、この不平等をなくしてほしいと私は思うんですが、実際に補助している自治体数、それからそれぞれの補助額おわかりでございましたらお答え願いたいと思います。
#82
○政府委員(正木馨君) 共同作業所への自治体等の補助でございますが、五十九年、昨年でございますが、大体共同作業所の九割方につきまして都道府県なり市町村が何らかの形で助成をしておるというふうに聞いております。
 東京都の例で申しますと、これは一年ずれまして五十八年度でございますが、二十二カ所で、十五人以上の施設につきましては年間六百万円、八人以上の施設につきましては四百万円という補助がなされておるというふうに承知をいたしております。
#83
○下村泰君 東京都の場合には非常にいいわけですね。無認可の場所でも一人に対して五万円ぐらいの手当が出ているんですね。ところが、これに比べますと、先ほども申し上げましたように、非常にほかはばらつきがある。それは富裕な自治体もありましょうし、あるいはなかなか経済的にうまくいかない自治体もございましょうから、多少のばらつきはやむを得ないことだとは思いますけれども、どうなんでしょうか、これ、実情に合った補助額を支給できるように行政指導というのはできるものなんでしょうか。
#84
○政府委員(正木馨君) 先ほど申しましたように、現在社会福祉施設につきまして一定の基準に即しまして、基準を満たしている場合に認可をする、その認可を前提といたしまして助成が行われる、この基本があるわけでございます。ところが、認可をされていない施設におきましても、それぞれ地域の実情に応じまして、また、地方公共団体あるいは地方公共団体の長が中身を十分見ました上で、それぞれの地方公共団体独自の判断におきまして地域福祉の一環として助成がなされる。平たく言いますと、県なり市町村の単独事業で行われるというのが今の助成でございます。
 そういうことで、国全体といたしまして一定のレベルの助成なり補助というものを考える場合には、どうしてもやはり認可には全国レベルでの一定の水準の確保というものが前提になるわけでございます。それに対しまして、基準を満たしてい
ないけれども、その地方におきまして実態に照らして必要の度合い、それからその施設が本当に適切なものであるのかというものを個別に審査をいたしましてなされるのが地方公共団体の単独事業として行われる助成だと思います。
 そういう意味で、地方公共団体独自の判断でなされるものにつきまして、国が一定の行政指導なり何なりということをやるのはどんなものかというふうに率直に申しまして考えるわけでございます。
#85
○下村泰君 結局、何だかんだ言っても、そういった、何といいますか、基本的な変な線がございます。基本的な変な線というのはないかもしれませんが、私の感覚はそういうふうな言葉になるんですけれども、要するに認可できない条件がそろい過ぎているから、国の方としてはどうにもならない。ここのところなんですね、私がさっきから申し上げているのは。認可条件がそろう、そろはないんじゃなくて、先ほどの「福祉新聞」の中にも書いてございますけれども、最近のこういったお体の不自由な方々というのは、自立更生をみずから求めている方々が多いわけですね。ですから結局自分の体、自分の不自由な体でも通い得る場所、通い得る距離、そして自分の能力に合った仕事の、自分自身で自分の仕事の能力を開発していく、そういう希望のためにこの小規模作業所が今できつつあるわけなんですね。
 ですから、それを先ほどから局長のおっしゃっているようなある一定の基準があって、その基準に満たなければ認可できないんだという観念がいつまでも続いていけば、永久にこの人たちはほったらかしということになって、地方自治体、今おっしゃったように地方自治体が単独で面倒を見る以外に手がなくなってくる。地方自治体にしたって、まあ今言われておりますわな、三割自治だ何だかんだ言われているんですから、その中でもやっぱりやりくりしている。国がやりくりできないはずはないと思うんですよ、私はやり方によっては。ですから、その方向に何とか進んでいってほしいと思います。これ以上言っても水かけ論になると思いますから、これ以上申し上げませんけれども、そういった御配慮をひとりお願いしたいと思います。
 それから、ILO、何かというとこのILOというのが出てくるけれども、ILOから勧告されるよりもほかの国から日本の福祉制度というものを見習おうじゃないかなんて言われてほしいと思うんですよ。何かといえばILO勧告ILO勧告。私もこんなこと言うの嫌なんだけれども、言われているんだからしようがない。
 このILOの「職業リハビリテーション及び雇用(障害者)に関する勧告(第百六十八号)」の十一項のこれは(d)というところですかね。ここに「非政府機関が運営する障害者のための職業訓練、職業指導、保護雇用及び職業紹介の事業に対する適当な政府援助を行うこと。」、それから「身体障害者福祉基本問題検討委員会報告書」というのがあるんですけれども、その中の「施設対策」の中で、「作業施設は、近年、小規模化の傾向にあり、将来の方向として対象者の障害の相違を踏まえた共同利用等について検討を進める」となっているわけですけれども、そろそろ本当に、先ほどから何回も申し上げますように、国の方としても本気で考える時期に来ていると思うんですけれども、これはいかがでしょうかね。
#86
○政府委員(正木馨君) 先生御指摘のように、ILOでも障害者の職業リハビリテーション関係につきましての勧告がなされております。その中で障害者関係の施設につきましての小規模化、それから精薄、身障通じましての共同利用施設というものをうたわれておることも先生おっしゃるとおりでございます。まさにこの小規模化というのは、先生おっしゃいますように、できるだけ障害者の方々も身近なところで働く場を求めるというものに向かっていかなければならぬということだと思います。
 それから、精薄者と身障者の共同利用ということについてもうたわれておるわけでございますが、この点につきましては、先ほど大臣からもお話しがございましたように、やはりそれぞれの障害の持つ特性、処遇技術の違いというものがあるけれども、やはりそういった面についても、ILOの御指摘をまつまでもなく、検討すべき課題であるということは私ども十分認識をしておるわけでございまして、大臣からもおっしゃいましたように、今後の一つの検討課題であるというふうに私ども事務当局も認識をしておるわけでございます。
#87
○下村泰君 それとあわせて、今このILOの言っております「非政府機関」、こういうことについてはどういうふうにお考えでしょうか。
#88
○政府委員(正木馨君) 身体障害者に限らず社会福祉の問題については、公的な施策と同時に民間の力というものが十分挙げられていかなければならないということで、政府機関、非政府機関を通じましての検討というものを今後十分進めていかなければならないというふうに思っております。
#89
○下村泰君 精神障害者とそれから身体障害者が一緒にいる共同作業所、文字どおり同じ人間としての共同作業所なんですけれども、もうそろそろ厚生省も、身体障害者でなく心身障害者という言葉を便わなきゃならない時期が来ているんじゃないかと思うんですがね。私は「あゆみの箱」という運動を昭和三十八年、九年ごろから始めたんですけれども、そのときには心身障害者という言葉を使っていたんですね、体も心もというふうに。ここへ来てみたら全然別なんでね、驚いたんですけれども、元松沢病院の院長先生に言わせると、一番最初の翻訳の仕方が間違えたからこうなったというようなお話でございました。
 それはそれとして、現実に全国各地を見てきたのでございますけれども、この両者が何の不自由もなく作業をしているということは事実なんですね。これは一緒にやれないものなのかどうなのか。厚生省ではいまだに分けていらっしゃるようですけれども、私らの方は不思議に思うんですね、現場へ行ってみて。どうでしょうか。
#90
○政府委員(正木馨君) 心身障害者という言葉をもう定着させたらどうだという先生の御意見でございます。これは先生御案内のように、昭和四十五年に心身障害者対策基本法ということで、まさに身体障害者と精神薄弱者を一体としてその対策を今後進めていかなければならないということが法律ではっきりうたわれております。それから昭和五十六年、国際障害者年というものがあったわけですが、これも身体障害者、精神障害者を含めての心身障害者対策ということでございます。
 先生おっしゃいますように、障害者対策というものは一方で身体障害者だ、精神障害者だということではなく、その両面を十分認識して進めていくということはまさにおっしゃるとおりでございますが、ただ、それぞれの障害の特性、それから処遇技術の違いという面は配慮をしていかなければならない。これもまた同時に考えていかなければならないと思います。ただ、基本は先生おっしゃるとおりだというふうに認識いたしております。
#91
○下村泰君 その異なる作業というのはこれは現場の人の判断に任せればいいのであって、つまり厚生省側が、先ほどの認可の問題もそうだけれども、基本的にどういうふうにお考えかということなんでね。
 「身体障害者福祉基本問題検討委員会報告書」というのがあります。この中にも、「施設対策」という項目の中に、「作業施設は、近年、小規模化の傾向にあり、将来の方向として対象者の障害の相違を踏まえた共同利用等について検討を進める必要がある。」と、もうほとんどこういう意見に固まりつつあるわけですね。固まりつつあるのに厚生省側がいまだにそういった態度でいるというのはちょっとおくれているんじゃないかと、こんなふうに思いますが、いかがですか。
#92
○政府委員(正木馨君) 先生の御指摘は、五十八年の八月に身体障害者福祉基本問題検討委員会ということで、斯界の識者に集まっていただいていろいろ検討されたと、それはおっしゃるとおりで
ございます。この報告を受けまして、現在、全社協の中で授産事業の基本問題研究会というものをつくりまして検討なされておるわけでございますが、ここには、身体障害者の方々、あるいはその親御さん、それから精神薄弱者の親御さん、それから施設の従事者、いろんな方が入りまして、実際これを実現していった場合にはどういう点にネックがあるのか、それをどういうふうにすれば克服ができるのか、受け入れ態勢はどうだ。それから、やはり先生のお話にもありましたけれども、率直に言いまして、精神薄弱者の、あるいは精神薄弱児・者の親御さんが、その障害の違った人たちが一緒になった施設で大丈夫かなという不安感があることも率直に言って事実だと思います。そういう不安を払拭するためにはどういったことを考えなければならないのかというものを受け入れ面で今いろいろ検討いたしておるわけでございます。
 お言葉を返すようでございますが、こういう方向にあるけれども厚生省がそれにブレーキをかけているんじゃないか、そういうことは毛頭ございませんで、私どももやはり障害者が身近なところでできるだけ生きがいを持って生きていくためには、そういう働く場というものをふやしていかなければならない、そういう場合に、皆さんが本当に安心してできる施設形態というものはどういうものがいいのかというものを十分真剣に検討しておるということだけは御理解いただきたいというふうに思います。
#93
○下村泰君 いい方向へ向かっているんでしたら幾らでもお言葉を返してください。悪い方向に向かっているんじゃ困るけれども。
 さて、過去四年間、小規模作業所の件で請願を出してきたわけです。その都度参議院では採択されているんです。ところが、厚生省のお答えは、前年の文章をそのままコピーしたようなものなんです。時間がありませんので全部読むわけにはいきませんがね。これなんか国会をばかにしたような感じなんです。ここにございます、これ。四枚ありますが、全部同じなんです、答えが。これ読んでみたらわかりますよ。これ、全部読むと長いですからね、時間がありませんので。どうしてこんな同じ文章でしかお答えができないんですか。今局長が、お言葉を返すようだがこういう方向に向かっていますとおっしゃっていたでしょう。何で大臣――無理ですね、まだ大臣になったばかりだから。歴代の大臣、みんな同じなんだ。どうしてこんなお答えしかできぬのですか、これ。
#94
○政府委員(正木馨君) どうもその答弁の文章につきましては、同じような形になっておるという御指摘でございますが、その点につきましては、どういった点にこの共同作業所についての問題があるのかという点を特に申し述べたという点におきまして、文章的には同じようになったわけでございますが、その間におきましても、私どもとしましては、かねてからの懸案、課題であるということで、十分検討を進めておるということは御理解をいただきたいというふうに思います。
#95
○下村泰君 そうね、もう少し作文をうまくして、我々の目をごまかせるようにしなきゃいかぬですね、これは。
 時間がなくなりました。大臣にお伺いいたします。
 大臣の地元は広島だそうで、広島の方の小規模作業所を視察なさったそうですけれども、大臣の目で、厚生大臣としての目で施設をごらんになった御感想をひとつ承りたいと思います。
#96
○国務大臣(増岡博之君) 私は衆議院で長らく社労委員会におりましたので、その当時からそういう施設をたびたび見ておりますけれども、今おっしゃった中で、やはり身近にあるということで、従来は土地が安いとかいろんなことで、あるいは外部の人が考えて風光明媚なところというような考え方から遠いところにあったのでありますけれども、身近なところで、社会の中で生活をしながら通えるという施設でございますから、これはその方向というのは間違っていないことでございますから、厚生省としましても、そういう面のあり方を明らかにして、いろいろな社会福祉体系の中で真剣に考えていかなければならない問題だと、そういうふうに考えております。
#97
○下村泰君 今、大臣のお言葉の中に、風光明媚な場所へとおっしゃいましたけれども、これはちょっと違うんじゃないんですか。まことにつまらぬような反論かと思いますけれども、身体障害者の施設というのは風光明媚なところへ持っていったわけじゃないですよね。できるだけ町から遠ざけるために持っていったんですから、遠くの方へ。そこのところはちょっと違いますから、それだけお断りしておきます。
 どうぞひとつこれからもこういった無認可の小規模作業所がふえつつあるという現状をよくごらんくださいまして、こういう方たちにも温かい行政の手を差し伸べてくださることを心からお願いします。いかがでしょうか。
#98
○国務大臣(増岡博之君) 御趣旨の線に沿って、できる限りのことはやってまいりたいと思います。
#99
○下村泰君 ありがとうございました。
#100
○委員長(遠藤政夫君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#101
○委員長(遠藤政夫君) 次に、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。増岡厚生大臣。
#102
○国務大臣(増岡博之君) ただいま議題になりました国民年金法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。
 近時我が国の社会経済は、人口構造の高齢化の進行、産業構造・就業構造の変化等により大きく変動しつつあり、これに伴い、年金制度のよって立つ基盤そのものにも重大な変化が生じております。
 年金制度は、国民が安心して老後生活を営んでいく上で最も重要な柱であり、このような社会経済情勢の変化に的確に対応しつつ、長期的に安定した制度運営が維持されなければなりません。とりわけ、我が国社会が高齢化のピークを迎える二十一世紀においても、健全で安定した年金制度の運営が図られるよう長期的展望に立った制度全般にわたる見直しと改革が迫られております。
 今回提出いたしました改正案は、このような趣旨にかんがみ、年金制度改革に関する各方面の御意見をも踏まえ、慎重に検討し取りまとめたものであります。その主眼は、本格的な高齢化社会と人生八十年時代の到来に備え、公的年金制度の統合一元化を目指しつつ制度の長期的な安定と整合性ある発展を図るため、国民共通の基礎年金を導入するとともに、給付と負担の均衡を長期的に確保するための措置を計画的に講じることであります。今回の改正案においては、まずその第一段階として、国民年金、厚生年金保険及び船員保険について所要の改正を行うこととしております。
 以下、改正案の内容につきまして、順次御説明申し上げます。
 第一点は、基礎年金の導入と制度体系の再編成であります。我が国の年金制度は基本的には今後とも社会保険方式を維持することとし、国民年金制度をすべての国民に基礎年金を支給する土台の年金制度として位置づけ、国民年金の適用を厚生年金保険の被保険者及びその配偶者にも拡大することとしております。基礎年金の給付は、老齢基礎年金、障害基礎年金及び遺族基礎年金の三種類としております。
 一方、厚生年金保険制度は、原則として基礎年金に上乗せする報酬比例の給付としての年金を支給する制度に改め、いわゆる二階建ての年金体系にすることとしております。また、被用者独自に必要な給付として、三級障害についての障害厚生年金及び子のない寡婦等に対する遺族厚生年金を支給するほか、当分の間、六十歳から六十四歳までの老齢厚生年金を支給することとしております。
 このほか、船員保険の職務外年金については、
年金一元化の趣旨にかんがみ、制度的に同一の内容を有する厚生年金保険に統合することとしております。
 第二点は、将来に向けての給付水準の適正化であります。現行制度のままといたしますと、平均加入年数の伸びに応じて年金の給付水準が上昇し続け、現役の勤労者の賃金とのバランスを失するとともに、将来の保険料負担が過大となり、世代間の公平と制度の円滑な運営が損なわれることが確実に予測されます。そこで、今後発生する年金給付については所要の見直しを行い、給付と負担の均衡を図ることとしております。
 すなわち、将来、各制度を通じて平均加入期間が四十年になることを見込み、その場合の年金水準をおおむね現在程度の水準とすることといたしました。具体的には、基礎年金の水準を、昭和五十九年度価格で月額五万円、夫婦で十万円の定額とし、厚生年金保険につきましては報酬比例年金を加えて、ほぼ現在の厚生年金保険の標準的年金の水準を維持することとしております。そのため、厚生年金保険の定額部分の単価及び報酬比例部分の乗率を二十年の経過期間を設けて段階的に逓減することとしておりますが、施行日において既に六十歳に達している者及び既発生の給付については、原則として従来どおりといたしております。
 第三点は、婦人の年金権の確立であります。厚生年金保険の被保険者である被用者の妻につきましても、すべて国民年金を適用することといたしますので、改正後は、夫、妻それぞれに基礎年金が支給されることになります。これにより、従来からの課題であった単身世帯と夫婦世帯の給付水準の均衡を図り、妻の年金権の確立を図ることができることとなるわけであります。
 第四点は、障害年金等の改善に関する事項であります。
 まず、これまで障害福祉年金の対象であった二十歳前の障害につきましても障害基礎年金を支給し、額を大幅に引き上げるとともに、厚生年金保険の障害年金につきまして事後重症の五年間の制限期間を撤廃することとしております。
 なお、遺族年金につきましては、子のある妻、四十歳以上の高齢の妻に手厚い給付となるよう給付の重点化を図ることとしております。
 第五点は、基礎年金の財源等費用の負担についてであります。
 基礎年金の給付に要する費用は、国民年金の保険料、厚生年金保険の拠出金及び国庫負担で賄うこととしております。この場合、厚生年金保険の適用対象である被用者世帯につきましては、被用者及びその妻に関して厚生年金保険が拠出金としてまとめて負担することにしており、基礎年金の給付に要する費用の総額を厚生年金保険と国民年金がいわば被保険者数の頭割りで公平に負担することにしております。
 国庫負担は基礎年金に要する費用に一元化し、負担率は給付費の三分の一としております。厚生年金保険では拠出金額の三分の一ということになります。なお、これとは別に、経過的に特別の国庫負担が行われることとなっております。
 保険料は、国民年金の適用対象である自営業者等については、昭和六十一年四月から昭和五十九年度価格で月額六千八百円とし、その後も毎年度段階的に引き上げることといたしております。厚生年金保険の適用対象である被用者については、昭和六十年十月から保険料率を千分の十八引き上げて千分の百二十四にすることといたしておりますが、女子については、男子との格差を解消するため、引き上げ幅を千分の二十とし、その後も毎年千分の二ずつ引き上げることとしております。
 第六点は、その他の改正事項でありますが、厚生年金保険の資格期間に関する四十歳以上の十五年加入の特例、坑内員等の被保険者の期間計算の特例及び脱退手当金は、将来に向かって廃止するほか、女子の支給開始年齢につきましては、男子と同じ六十歳に引き上げることとしております。これらについては、それぞれ所要の経過措置を講じることとしております。
 また、年金額の物価スライド制につきましては、実施期間を四月からとするほか、厚生年金保険について、適用事業所の段階的拡大及び標準報酬の上下限の改定を行うこととしております。
 以上の年金制度の基本的な改正の施行期日につきましては、業務処理面の準備なども考慮し、昭和六十一年四月一日としております。
 なお、政府原案におきましては、昭和五十九年度におきます年金額等の改定について、所要の改正を行うこととしておりましたが、別途議員立法により同様の措置を講ずることとされたことに伴い、関係規定が削除されております。
 また、夫婦がともに六十五歳に到達するまでの間における老齢厚生年金の水準、三級障害にかかる障害厚生年金の水準、子のない妻及び父母に対する遺族厚生年金の要件等につきまして衆議院において所要の修正が行われております。
 最後に、特別児童扶養手当等の支給に関する法律の改正について申し上げます。
 在宅の重度障害者に対する福祉の一層の増進を図る観点から、二十歳以上であって精神または身体の著しく重度の障害により、日常生活において常時特別の介護を必要とする状態にある在宅の重度障害者に対し、月額二万円の特別障害者手当を支給することとし、昭和六十一年四月一日から実施することといたしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#103
○委員長(遠藤政夫君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員丹羽雄哉君から説明を聴取いたします。丹羽雄哉君。
#104
○衆議院議員(丹羽雄哉君) 国民年金法等の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分について、その内容を御説明申し上げます。
 修正の要旨は、
 第一に、昭和五十九年度における年金額等の改定措置については、国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案において同様の措置を講ずることとされたことに伴い、所要の規定の整備を行うこと。
 第二に、子のない寡婦の遺族厚生年金に対する月額三万七千五百円の加算については、夫の死亡時に三十五歳以上である寡婦または夫の死亡時に十八歳末満の子を有している寡婦であって、その子が十八歳に達したときにおいて三十五歳以上である者が四十歳に達したときから行うものとすること。
 第三に、三級障害についての障害厚生年金の額について、その額が月額三万七千五百円に満たないときは、三万七千五百円とすること。
 第四に、遺族の範囲については、被保険者の死亡の当時五十五歳以上である夫、父母または祖父母を遺族とするものとし、その者が六十歳に達したときから遺族厚生年金を支給するものとすること。
 第五に、夫及び妻のいずれもが六十五歳に到達して老齢基礎年金を受給するまでの間における老齢厚生年金の将来の水準については、配偶者加給年金額に特別加算を行うものとし、その加算額は月額一万円とすること。
 第六に、自営業者等の保険料については、国民年金の費用負担、所得比例制等との関連を考慮の上、今後、総合的に検討が加えられ、必要な措置が講ぜられるものとすること。
 第七に、国民年金制度における学生の取り扱いについては、学生の保険料負担能力等を考慮して、今後検討が加えられ、必要な措置が講ぜられるものとすること。
 第八に、昭和五十九年八月一日から施行するとされていた部分及び同年十月一日から施行するとされていた部分の施行期日については、公布の日から起算して三カ月を超えない範囲内において政令で定める日からとすること等であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#105
○委員長(遠藤政夫君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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