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1984/03/28 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第9号
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1984/03/28 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第9号

#1
第102回国会 社会労働委員会 第9号
昭和六十年三月二十八日(木曜日)
   午前十時四分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     和田 静夫君     対馬 孝且君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤 政夫君
    理 事
                佐々木 満君
                関口 恵造君
                高杉 廸忠君
                中野 鉄造君
    委 員
                石井 道子君
                大浜 方栄君
                斎藤 十朗君
                田代由紀男君
                前島英三郎君
                村上 正邦君
                森下  泰君
                糸久八重子君
                対馬 孝且君
                浜本 万三君
                中西 珠子君
                安武 洋子君
                藤井 恒男君
                下村  泰君
   国務大臣
       労 働 大 臣  山口 敏夫君
   政府委員
       厚生大臣官房総
       務審議官     長門 保明君
       労働大臣官房長  小粥 義朗君
       労働大臣官房審
       議官       白井晋太郎君
       労働省労政局長  谷口 隆志君
       労働省労働基準
       局長       寺園 成章君
       労働省婦人局長  赤松 良子君
       労働省職業安定
       局長       加藤  孝君
       労働省職業安定
       局高齢者対策部
       長        小野 進一君
       建設大臣官房会
       計課長      望月 薫雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       北海道開発庁計
       画官       大久保庄三君
       労働大臣官房政
       策調査部長    岡部 晃三君
       建設大臣官房技
       術調査室長    岩井 國臣君
       建設省建設経済
       局労働資材対策
       室長       林  雄作君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○労働問題に関する調査(労働行政の基本施策に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、和田静夫君が委員を辞任され、その補欠として対馬孝且君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(遠藤政夫君) 労働問題に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○対馬孝且君 私はきょう、大臣の所信表明に関しまして一、二問考え方をお聞きをし、また、今日の不安定労働者、中でも一番課題になっております出稼ぎ労働者、季節労働者の対策等を中心に質問をいたしてまいりたいと思っております。
 まず、大臣にお伺いをいたしますが、過般の大臣の所信表明の中に、技術革新の雇用への影響対策という問題がうたわれております。特に大臣は非常に積極的に、ME化を中心とする技術革新にどう対応すべきかと、その中で一番問題は、ME機器の今日的状況の中で、生産部門あるいは事務部門を含めまして現状は相当やっぱり雇用が変化をするのではないか。特に、週刊ポストにあなたが所見を申し述べられておりまして、国民向けにわかりやすく言っておりますが、この十年ぐらいの間にME、あるいはOA、あるいはロボットという時代になれば、やっぱり日本も五百万失業時代が来るかもしれない、そういう時期を予測をいたして今から対応すべきであるという、まさに先見的な見通しの中で考え方を出されておりますが、まずこの点について大臣の所見を第一点伺っておきたいと思います。
#5
○国務大臣(山口敏夫君) 日本は資源のない国でございますから、また、貿易によって日本経済、国民経済というものを推進をしているという立場にもございます。そういう点からしますと、やはりこの技術革新の時代に大胆にそうした新技術を取り入れるということは避けて通れない。しかし同時に、その新技術が社会の主役たる国民生活、人間生活に与える影響というものは同時進行的にむしろ先取りをして考えていかなきゃならない課題であるという認識を持っております。そういう中で、確かにME化あるいはオフィスオートメーション、そういう新技術の時代は、省力化、オートメーション化ということが当然背景にあるわけでございますから、雇用の問題に対する不安というものも今から取り組んでいかなきゃならない非常に重要な課題であるというふうに考えております。
 しかし、現実の問題といたしましては、先生も御承知のとおり、ME化が、特にロボット等においては世界で一番数を誇っておるわけでございますが、その日本が国際諸国において一番失業率が低い状態で抑えられておるということからいたしましても、ME化あるいは技術革新が即雇用不安に連動しておるということは言い切れないわけでございまして、また、現に労働経済動向等を見ておりましても、ME化が即失業の増加というものにはつながっておらないという幸いな状況にもございます。そういう意味で、どうミスマッチをなくしていくか。そして、雇用不安ではなくて、むしろ雇用の拡大等にこれがつながるような方法、施策を今から労働政策の一つの重要課題として検討を進めていくということが非常に大事なことだというふうに考えておりますし、そういう新技術産業が労働市場の拡大の中でどう雇用の拡大に貢献するかということを労働省内においても研究チームをつくって、今いろいろ討議をしておる、こういう段階でございます。
#6
○対馬孝且君 今大臣から、ME化の雇用問題においての一定の認識と、また、労働省自体も検討をしているということでありますが、私はやっぱり大事な点は、今大臣から具体的なことは出ておりませんが、これは雇用促進事業団雇用職業総合研究所が出した、技術革新ME化に伴う雇用と労働問題というのが出ていますね。これはおたくの
方から出ておるわけでありますが、これを見ましても、やっぱり大事なことは、何といってもこれからかなりの配転、それから賃金、労働条件の問題、それから特に労働安全衛生問題。この中でもっとはっきり明快になっているのは、中高年齢者と女子の雇用不安、こういうことがやっぱりこれから重要な一つの問題としてとらえなければならないと、こういうふうに私なりに読まして勉強さしてもらいましたが、これ、出ていますね。だから、そこらあたり、大事なのは中高年齢者あるいは女子の雇用不安、配置転換、教育訓練。あるいはVDT、つまり、安全衛生という面でこういう問題等が、確かに研究はされているようでありますけれども、むしろ研究の段階ということよりも行政として、労働省としてのこれからの対応、具体的ないわゆる指針といいますか、そういうものをできるだけひとつ具体的に出すべきではないか。
 大臣が言われるとおり、先取りをするということは大事でありまして、現にある電機産業の例もここに出ておりますけれども、やっぱりME化に伴って四五%の配転が行われている。もちろん年齢別構成には変わりはありますけれども、そういう点を含めて、これから研究することはもちろんでありますけれども、それじゃ具体的に、六十年度として、今年度具体的にどういう研究段階からどのようにME化に伴う雇用対策の方針なり指針というものを出していくのか、これをこの機会に伺っておきたいと思います。
#7
○国務大臣(山口敏夫君) 六十年度の予算の中におきましても、いわゆる高齢化時代と技術革新の時代、こういう背景の中にどうこれを連動していくかということで、民間企業等におきましても新技術の開発やME機器の開発というものを進めていますけれども、これはどうしても利益優先ということにもなるわけでございまして、労働省としては、そういう高齢者が活用でき得るようなME機器の開発のために具体的な予算を計上しておる、そういう形の中に、やはり民間と並行して政府機関としても高齢化時代におけるME機器の開発、ロボット等の開発というようなことを具体的な施策として既に取り組んでおると、こういうことでもございます。
 それからまた、長野県の伊那谷地区等においては、そういうハイテク産業が、いわゆる高齢化時代でありますから、大阪とか東京といったような都市集中ということではなくて、地方において、むしろ企業の設備投資等仕事をふやす形の中で、難しい部分は機械やなんかが、ME機器がこれに取り組んで、易しい部分を、これは技術がなくても、あるいは高齢者でもでき得るというふうな形で、これからの時代に非常にふさわしいような新設工場等もございますが、そうした地域の実態等も、全国的に広げられるような方法はないものだろうかというようなことについても具体的に検討しておるという状況でございます。
#8
○対馬孝且君 今ME化に伴う例として、職業訓練ですね、職業訓練の機能強化という意味での一つの例を挙げられましたけれども、私は、これからの対応策としていろいろありますけれども、基本的には次の四点をやっぱり対応すべきではないか、このことについて大臣なり局長の考え方を聞きたいのであります。
 第一は、やっぱり雇用安定確保を図るべきであるという観点から、技術革新に伴う、今も話が出ましたが、職業訓練を充実強化する必要がある、これが第一点です。これは言葉で言ってもしようがない。私は現に函館職業訓練校、あるいは道立の職業訓練校、または総合訓練校、両方見ていますけれども、やっぱりいまだに相変わらずコンクリート土木とか、あるいは機械とか旋盤とか木工とか、その範疇にとどまっているんですよ。これでは実際問題として社会に出て職業につくということにならぬわけだ。現に今函館ドックは去年来ああいう結果になりまして、ことしは労働省の努力で大体五百六十名近く職業訓練校に入ることができましたけれども、私はやっぱりそういう意味では訓練の内容が、もちろんいきなりME化といってもなかなか簡単に、中高年者の場合はすぐ技術を習得をするということは困難性がありますけれども、僕は職業訓練校を見まして、先生方の話を聞きますと、そうでもないと言うんだね。かなり今日の習得というのは非常に早まってきている、必ずしも中高年齢者だから遅いということではない。こういうことからいくと、非常に今の訓練の内容そのものがME化の時代に対応する訓練科目になっていない、これははっきり私は指摘しなきゃなりません。そういう点でやっぱり改善強化をすべきである、これが第一であります。
 第二の問題は、当然のことでありますけれども、大臣も積極的に休日の問題、労働時間短縮の問題ということで出されておりますが、何といってもこれから労働人口が激変することは明らかでありまして、そうしますと、やっぱりこれからの対応策としては労働時間の短縮、休日の増加という問題がこれからの問題として取り上げられるべきではないか。
 第三としては、福祉面へのこういった還元というものをどういうふうにとらえていくか、あわせて労働災害、安全衛生、こういう問題にひとつ積極的な対応を今から取り組むべきであるというのが第三であります。
 第四の問題は、これはいろいろ私も調べてみますけれども、これは日経連あるいは日本生産性本部、日本経済調査協議会、総評あるいは同盟などのME化技術に伴う見解、今後の見通し、対応、そういうもので基本的に、出ていますが、言われておりますことは、一致しているのは、これからのME化に伴う場合の組合の対応というものは、やっぱり事前協議制ということが、これはずっと見ますと、大体この点は一致しておるようですね、各界とも。その方向に労働省としてはむしろ行政指導を強めるというか、そういう対応にはこれからやっぱりしていくべきではないか、こういう考え方で対応すべきである。こういう考え方を持っておりますが、この点につきまして政府としての、労働省としての考え方をお伺いしたいと思います。
#9
○国務大臣(山口敏夫君) 対馬先生の御指摘になりましたME化時代に伴う、あるいは高齢化時代に伴う、また、そうした雇用の問題、雇用環境等を含めました四原則、こういう御指摘については全く同感でございまして、特に労働省で進めております産業労働懇話会、いわゆる政労使の、労働界の代表の方々、経済界の代表の方々、そして労働省が座長役で進めておる会議における協議といいますか討議も、ちょうど先生から今御指摘いただいたような点を中心として考えていかなきゃいかぬと、こういう御指摘もいただいているわけでございまして、十分そうした先生の御趣旨、お考えを体して、我々としても労働行政の中にひとつそれを取り込んで、さらに雇用の安定のために努力をしたい、かように考えております。
#10
○対馬孝且君 今後の対応策につきまして今大筋として四点申し上げましたが、今大臣からまさに同一な見解であるというお答えでございますから、これからそういう方向でひとつ研究段階から一歩踏み込んでやっぱり実施段階に行政指導を強めてもらいたい、このように申し上げて、この問題はこれで終わりたいと思います。
 それでは、時間もありませんので、私は、特にきょうは、先般大臣にもお伺いをしておりますし、代表者もお会いしておりますが、全国の出稼ぎ労働者が七十二万と、こう言われておるわけであります。中でも北海道は三十万という季節労働者の問題がございます。この問題に対する考え方について、まず大臣にお伺いをいたしたいことは、建設労働者の通年雇用ということについての北海道の三十万人の実態なんでありますが、この点、しばしば代表団がお会いしていますけれども、大臣としてこの建設労働者の今日の雇用状況とそれから最近の景気の低迷に伴う公共事業の伸び悩み、これで全く仕事がない、こういう点の認識についてまず第一点、どういうふうにお考えになっているかお伺いしたいと思います。
#11
○政府委員(加藤孝君) 御指摘ございましたよう
に、公共事業が全般に前年並みに予算的に抑えられている。事業量的にはむしろ下がり気味であるというような状況があることは事実でございまして、それからまた、さらに北海道のような積雪寒冷地におきましては、冬期に仕事ができないというふうなことによるいろいろ事業の減の問題がございます。
 そういうような中で実は昨年の初めに、これは初めてのことでございますが、公共事業について特に求人倍率の低いところに優先、早期発注をする、こういうような施策に踏み切ったわけでございます。そういう中で、全体として非常に公共事業は伸び悩んでおりますが、例えば数字について見ます場合には、前年に比べまして全国比の北海道の公共事業の占める割合は高くなっておる。あるいはまた民間と公共事業との比率も、この五十九年度の今までの数字で見ます限りは、幾らか公共事業の割合が従来よりもさらに高くなっているというような需要は出ておるわけでございます。
 しかしながら、全体として見た場合には、こういう季節関係の労働者あるいはまた出稼ぎ関係の労働者、これはいろいろ高齢化の問題等もございます。あるいはまた事業量等の問題もございまして、全体として減少ぎみに推移している、こんなような状況にございます。
#12
○対馬孝且君 今加藤局長からお答えがございましたけれども、やっぱり去年は、五十九年度は、これは実態認識をはっきりしておかなきゃならぬのは、北海道の場合特にあれですけれども、全国的に、東北六県もそうですが、非常に仕事がないために、特例一時金というのは大臣も御存じだと思うのでありますが、月十一日稼働、六カ月通算をしないと特例一時金五十日の資格条件にならないわけですね。したがって、去年の場合はかなり天候のせいもあっただろうけれども、基本的には仕事がなかったということで、遅く始まって早く終わったと、こういう状況なんです。だから、六カ月労働というのはほとんど、実は期待をしておったんですが、やっぱり聞いてみますと、去年の実績をちょっと調べますと、約二割、一万二、三千から五、六千の方々が特例一時金の制度の資格ができなかった、適用できなかった。これは余り仕事がないということですよ答えは。はっきり言って。この点は道の労働部もお認めになっているわけでありますが、去年私も苫小牧その他関係現地へ調査に行っていますけれども、したがって今加藤職安局長の言われるとおり、ことしの場合は開発庁の公共事業のシェアが、若干北海道のシェアが、求人倍率の一番悪いところに最重点的に公共事業を拡大する、こういう方向に一歩行ったことは事実でありますけれども、私はつい最近ですが、一週間前に旭川でもこの話が訴えられまして、やっぱり早く仕事をおろしてもらいたい、早く仕事をつくってもらいたいというのが非常に切実な訴えなんですよ。
 これも後で申し上げますけれども、大臣、我々が言っているのは、通年雇用化を促進してもらいたいと、ここなんです第一点は。何も働かないことが目的じゃなくて、冬場であっても働きたい。通年雇用化をしてくれないか。これはもう率直な念願でございます。そういう点からいきますと、やっぱり通年雇用化はどうも、年々歳々進んでいるように見えるけれども、なかなかそういう方向には行っていない。だから私は、そういう意味では、労働省が札幌市北二十四条プラザホテル建設を冬場もやった、通年的に冬場も仕事を発注したということについては、非常に私はこれは高く評価しているんですよ。しかし問題は、きょう呼んでおりますけれども、開発庁なり建設省あたりが、どうしてそういうことができないのかです、問題は。通年雇用化がどうしてできないんだろうかということが一番問題でありまして、そこで私はお伺いしたいのでありますが、通年雇用化の促進ということは現状認識としては一応促進をしているという認識なのか、あるいはされていないという認識に立っているのか、その点どういうふうにお考えですか。
#13
○国務大臣(山口敏夫君) まあ今単身赴任の問題とかがいろいろ大きな労働政策の一つの課題になっていますが、季節労働者の方々はそれ以上に家族との離反の中で雇用を求めて外へ出なければならない。それのみならず、ここ数年の大変厳しい経済状況の中で、仕事等の問題においても大きく制約を受けている、こういう現状でございますから、対馬先生御指摘のように、やはり本人にとっても家族にとってもまた地域にとっても通年雇用というものが、特に北海道でありますとか東北方面の方々にとっては一番深刻な、また大事な経済問題であるというふうに認識し受けとめております。
 そういう意味で、今先生からも御評価いただいたように、北海道プラザのような問題を含めて、労働省としては、労働省だけでは予算も限られておりますし、またそうしたことをするのが本来の役所の仕事でもございませんので、建設省でございますとか他の省庁とも十分、そういう意味で社労委で取り上げられております立場から、次官会議でございますとか、またいろいろな各省間の協議の中で連携をとりまして、いわゆる産業基盤の整備のための諸施策、また地元の自治体との連携という中に、そうした工事の通年施工化のための努力を一層進めなければいけない、そういう中で通年雇用化の促進を進めていきたいと、こういう認識で取り組んでおります。
#14
○対馬孝且君 進めていこうということはこれは労働省の立場で、大臣の一応進めていきたいというこれもまた抽象論であって、だから私はきょう具体的に申し上げたいことは――開発庁、建設省来ておりますね。ちょっと今やりとりをきちっと大臣に聞いてもらいたいと思うんだけれども、こういうことになっているんですよ。
 通年施工化技術研究協議会というのがこれ五十一年に設置されているんですよ。これはどういう構成かと申しますと、建設省の建設技監を会長としまして、大臣官房、計画局、土木研究所及び東北・北陸地方建設局、北海道開発局並びに積雪寒冷地域の一道九県、つまり北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、新潟、富山、石川、この担当官によってこういう協議会が発足されているんです。
 これを見まして、私聞きたいのは、それじゃその後五十一年来具体的にどういうふうに通年雇用になったか。どういうふうに通年雇用になっておるかというと、さっぱりなっていないんだよ。それは労働省の場合は、確かに今言った例を挙げてプラザの問題を紹介しておるけれども。私も三年前スウェーデン、フィンランド、ノルウェーに行ってきました。現実に冬場にやっているんですよ、この北欧三国では。環境は同じですよ、北海道と。ただ雪が多いか少ないかというだけで、寒さについてはむしろノルウェーなんか、フィンランドなんか寒いわけですから。だから、こういう問題について、これは開発庁と建設省にお伺いしたんだが、この報告も、十年になるんだけれども、冬期間にも上物のコンクリート、あるいは橋梁あるいは下水道、こういう工事はできるのではないか。
 我々なぜそう言うかというと、冬場遊んで飯食えないようなことは我々したくないんだ、はっきり言って。女房と顔突き合わして金もないのに一緒にうちにいるなんてだれが考えても忍びないよ、はっきり言って。やっぱり男である限り、世帯を持っている限り、何とか働きたいというのは当然のことなんだよ。ところが、働きたくても働く場所がないということでしょう、問題は。言葉では通年雇用通年雇用と言うんだけれども。私はあえて聞きたいのは、これは資料持ってますよ、十年間の資料全部。今の実態はどうなっているかということと、具体的にこれからどういうふうに冬場の仕事をやるか。私はできると。さっき言ったようにプラザホテルを現にやったんだからできます。苫小牧で今博物館をやっていますよ。これだってちゃんと冬場に、上物は確かに秋口かかったけれども、一月から三月の間に内装とかをやって、ちゃんと季節労働者を雇用していますよ、やっぱり。やり方だと思うんだよね。やる気を起こ
せばできる。
 この通年雇用の中間答申を見ますと、何がポイントかといったら、やっぱり単価の問題なんですよ、はっきり申し上げて。冬場の仕事はこれは燃料代がかかる。それはあなた、設計だ設備だというようなことだって、機材だって同じですよ。冬場ですからコストが高くなるのは当然の話なんです。中間答申を見ると、これは出した数字が間違いなら別だけれども、九%の増高があれば冬場の仕事は可能であるという答申になっているんです、これ。これうそだったら指摘してもらって結構です。私もサンプラザの話も聞いたけれども、大体一割でしょう。一〇%増高で冬場の仕事ができたと、私はそう聞いているんです。これ間違いであれば御指摘してもらっていいんですが、そうだとすれば、どうして今日今なお、通年雇用、通年雇用と言って言葉では叫んでいるけれども、実態論としては何もそうなっていない。私は十年間この出稼ぎ労働の問題には携わってきているから全部わかっています。現場にも行っています。
 こういう点についてどういうふうに現状認識と対応策を考えているか。これは開発庁とそれから建設省にお伺いしたいと思います。
#15
○説明員(大久保庄三君) 公共事業の実施の指揮監督というのは、建設省、農林省、運輸省と、各省庁所管しているわけでございますけれども、北海道開発庁といたしましても、公共事業の実施に際しまして、先ほど先生がおっしゃっていましたように、北海道では季節労働者が三十万人、そのうち建設季節労働者が二十万人というふうに多数の季節労働者を抱えておるわけですから、重大な問題として受けとめておるわけでございます。
 それで、こういった季節労働者、公共事業の実施に際しましても季節労働者の就業対策等を十分考慮いたしまして、国庫債務負担行為あるいは早期発注を通しまして工事の発注時期の調整を行っているところでございます。
 それで、積雪寒冷地の北海道のような地域におきましては、今御指摘の公共事業の冬期施工につきましては、建設省におきまして通年施工化技術研究協議会というのを設けて調査研究しているわけでございまして、冬期に工事を行うということについては、建設省の方でもコスト高の問題とかいろいろな問題、困難な問題等があるようでございますけれども、北海道開発庁といたしましては、やはり地域の経済の活性化を促進して雇用の拡大に役立つように考えられなきゃならぬというふうに考えておりまして、今後とも建設省等関係行政機関とも十分連携をとって、可能な限り工事施行の標準化に努めたいと考えております。
#16
○説明員(岩井國臣君) 通年施工を進める上で問題になりますのは、夏期といいますか非冬期に施工する場合に比べまして、先生御指摘のとおり、冬期工事の場合は作業の能率が落ちる、あるいは排除雪費だとか仮設費、あるいはコンクリートの養生費等が上積みになりましてコスト高になるということでございます。このため、冬期施工を積極的に進めていくためには、作業能率の改善あるいはコスト高の改善が何よりも必要でございまして、現在これらの点について技術的な調査研究を進めておるというところでございます。
 コストの問題につきましては、先生御指摘のとおり、調査によりまして約九%ぐらいではないかというふうに考えております。
 先生御指摘のように、建設省では通年施工化技術研究協議会というものを設けまして、いろいろな技術的な問題の研究調査を進めておるわけでございますが、コストの点につきましては、五十三年から五十六年にかけまして北海道及び北海道開発局の工事を対象にいたしまして、冬期工事の工事原価がどのようになっておるか、あるいは原価を構成する費用にどれだけ差が生じておるか、あるいは原因は何かというようなことを把握するために実態調査をやったわけであります。その結果、平均的に言いますと約九%ほど多くコストがかかるということでございます。もちろん工種別に見ますといろいろ差がございまして、例えば道路工事だとか海岸工事の場合には平均よりもやや高めになっていますし、それから砂防工事だとか河川工事の場合には平均よりかやや低目になっておるということはございますけれども、やはり平均的に見ましてまあ九%ほど、約一割弱コスト高になるということでございます。
 それで、やはりそういった中で通年施工、まあ冬期の施工の量をふやすということになりますと、やはり夏場の仕事を少し減らしてその分を持ってくるということが必要なわけであります。特別に通年施工用の予算というのがあれば別ですが、全体の枠の中で冬期施工の量をふやすということになりますと、夏場の仕事を少し減らしてその分を持ってくるというようなことにならざるを得ないと思うわけですが、ここ数年非常に厳しい財政事情の中で、なかなか夏場の仕事も必要な量が確保できないというような厳しい状況になっておりますから、なかなかその辺に困難性があるのではないかということでございます。
 しかしながら、先生御指摘のように、通年雇用といいますか、冬場の雇用機会の増大を図るために通年施工を積極的に進めていくということは極めて重要なことであるということでございますので、公共事業の冬期施工につきまして前向きに検討する必要があるのではないかというふうに考えてやっているところでございます。
 当面は、先ほど言いましたようなコストの問題その他、あるいは作業環境の問題がございますので、技術的な調査研究が中心にならざるを得ないと思いますが、そのほかいろいろ検討しなきゃならない問題、先ほどゼロ国債の活用の話もちょっと出ておりましたが、そういった問題、その他の問題を含めまして、できるだけ幅広い勉強を行っていく必要があるのじゃないかというふうに考えておるところでございます。
#17
○対馬孝且君 一応建設省の今の答えは前向きで、私の指摘したとおりお認めになっているわけですな。しかし問題はやる気があるかないかということなので、私はこれをなぜ言ったかというと、これは全体の公共事業枠というのはもちろん問題だけれども、先ほど加藤局長が答弁したわけでしょう。求人倍率というのはこれは労働省の調査に出ていますけれども、これが誤りであれば別だけれども、大別的にブロック別に言うと、北海道は五十九年度分でいって〇・三八ですよ。沖縄県とほとんど同じなんですよ。四十七都道府県で一番悪いんだから。沖縄か北海道かというんだから。中でも室蘭なんというのは〇・一八ですよ。これは労働省が確認していると思うが、鉄鋼が冷え切って、造船がああいう状態になって〇・一八。これは去年の十月、私は現地函館に行ったんだ、函館は今〇・二一ですよ。こういう劣悪な条件の中で労働省の方では、今加藤局長のお答えを聞くと、そういうところには優先的に公共事業を拡大をしていくんだ、こう言っているわけでしょう。あなたは今前向きで検討するとは言っているけれども、やり方があるんじゃないか。
 中間報告を見ると、こういうやり方になっているでしょう。冬期工事のやり方としては、コンクリートのように、防寒の囲いなどをして三月までにやるのがある程度可能な工事、また、翌債型工事というのがあるんだ。これは二月、三月に発注する翌債型工事があるんだよ。言葉では前倒しと随分しゃべっているんだよ。前倒しができるくらいならどうして翌債工事で発注をふやすことができないの。これを見ると冬期施工型工事を翌債型工事、それから中断型工事と大体三種類に分かれているんだよ。翌債型というのは、二月、三月ころに発注する。前年度に発注をやっておいて四月にそれをやる、こういう仕組みの工事が翌債型工事というんだとこう現に書いてあるんだ。それから中断工事というのは、冬場はばっちり中断しちゃう、こういう三つに分類しているんだ。これはあなた方の資料だよ。私が書いているんじゃないんだ。協議会で中間報告として出ているのに三つ書いてあるんです、大臣。そのことを私言っているわけです。だから、そういうことをどうして生かすことができないのか、これ生かせばできるじゃないですかと言っている。
 もう一つ言いたいことは、開発庁にも言っておきたいけれども、少なくとも季節労働者を扱う業界に対しては積極的に公共事業を優先発注する、こういう方向に建設省も行ってもらわぬといかぬ。これは、季節労働者は仕事にあぶれているんだよ。そういう状況をなくするためにどうしていったらいいかということを私は建設的に言っているんだ。だから、あなたは前向きで検討すると言うから前向きで検討は結構なんだけれども、ひとつ具体的に、仕事は四月にして、予算はもちろん四月の段階で自然成立ですから、終わり次第すぐに仕事を発注させてください、これは開発庁、建設省も同じですけれども。そして十一月いっぱいつないでもらわないと、さっき言った特例一時金の五十日をもらわなければ生活できないんですよ。これを私は言っているわけだ。そういう方向でひとつ検討してもらいたい。どうですか、この点について。もう一度開発庁と建設省。
#18
○説明員(大久保庄三君) 北海道開発庁としても、一つは、先生御案内と思うんですけれども、北海道の開発予算の確保を通じまして季節労働者の雇用の場の確保を図ることが必要だということでこれまで努力してきておるわけでございます。ちなみに、先生も御案内と思いますが、六十年度予算につきましては約一兆百五十四億の史上最高の北海道開発事業費を確保しているところであります。
 また、公共事業の実施に当たりましても、道内の景気動向を考慮いたしましてこれまでも可能な限り工事の早期発注に努めているところでありまして、六十年度におきましても十分これまでのことを念頭に置きまして、季節労働者の就業の場の確保について努力してまいりたいと考えております。
#19
○政府委員(望月薫雄君) 冬期施工のいわゆるコスト高の問題とか、技術的な問題については、先ほど調査室長から御答弁申し上げたとおりでございますが、ただいま先生のお話しになったいわゆる翌債施工等の面で具体的に配慮せよという御指摘、一々ごもっともだと実は思います。
 ただ、公共事業全体を取り巻く環境が非常に厳しいことはもうあえて申し上げるまでもないわけでございまして、そういった全体のパイが制約されている中で私どもも可能な限りの措置をさせていただいておるということで、特に五十九年度のいわゆる翌債施工、いわゆるゼロ国債、これでちょっと申し上げてみますと、先般の私どもの建設省関係予算の補正でつきましたいわゆるゼロ国を含む増加分というのは二千三百億になりますけれども、このうちの一五・三%を実は北海道地域に配分しておる。ちなみに、当初予算ベースでは一〇%弱のものでございましたけれども、そういったふうないわゆる翌債工事、いわゆるゼロ国債、こういった制度も機動的に使いながら、与えられた条件の中で、可能な限りで頑張らしていただいておる、こんな状況でございます。
#20
○対馬孝且君 これ時間もありませんから、開発庁も今そういう促進をするということですから、今建設省も翌債型工事というのがわざわざ出ているわけだから、これをふやしていけば、これは当然通年雇用化に結びつくということは明らかなんですよ。ところが、これはっきり申し上げて、さっぱり通年雇用はふえてないんだ。その点、今お答えがあったから、これぜひやってもらいたい。
 そこで、今度は労働省ですけれども、今のやりとりで大臣わかるでしょう。我々は通年雇用を求めているんだよ。求めても政府の対応自体が通年雇用にならない。だから、何回も代表団も来て大臣にもお会いしてやってますけれども、お伺いしたいのは、現実に今季節労働者の実態がどうなっているかということはしばしば申し上げていることでくどく申し上げませんけれども、去年の実績見ますと、大臣、北海道の季節労働者の平均の年収というのは百七十四万ですよ。それから、最近出たことしの確定したのを見ますと、生活保護基準の五十九年度、標準世帯四人、最低生活扶助で何ぼになるかといったら、これ夏の場合と冬の場合を全部通算をして十二カ月で見ますと二百六十九万五千五百八十円ですよ、生活保護者が標準世帯で。ところが季節労働者は百七十四万なんだ。ここに私が持っているのは道庁の調べですよ。道庁の調べでもって去年は百七十四万なんだ。これはどういうことですか。現実の問題として、三十万の労働者が生活保護以下の生活しているんだよ。そこで、通年雇用はなかなか促進はしない。生きる道はない。そうなると、結果的にこれはやっぱり現行制度の冬期雇用安定奨励金あるいは冬期職業講習助成給付金制度、それからこういう三つの工事の方式を採用してもらうほかにはないんだ。これ、どういったって生きる道がないんだから。大臣、今やりとり聞いてわかるでしょう。我々、一刻も早く通年雇用を求めたい、こういうことなんだ。
 そこで、時間もありませんから、加藤職業安定局長、しばしば当委員会で私は申し上げておりますけれども、労働省はことし初めて昭和六十年度、地域開発促進事業という科目を設置しました。これは私も当委員会で長年しゃべってきたことでありますけれども、いわゆるふるさとの雇用対策が大事だ。ふるさとの雇用対策というのはどうしてつくっていくか。たまたま北海道横路知事、大分県の知事が一村一品運動を提唱して、そして何とかこの際雇用創出をできないか。これ、目下北海道でも随分やってます。そこで、幸い労働省が一つの考え方を出した。一カ所九千万円、額としては今日の情勢ですから私は多いとは思いませんけれども九千万円、モデル五カ所、これはやっぱり通年雇用化への一つの道であり、一村一品運動のふるさと町興し村興しの一つの起爆剤になる、私はそう思います。そういう意味では評価をするのでありますが、この点、どういう考え方でこれをやろうとしているのかということが一点。
 それから、今のやりとりでもわかりますように、冬期のこれからの現行制度を一体どういうふうにしていくかという問題の認識についてまずはお伺いするが、その前に、生活保護基準以下と、季節労働者の実態がそうなっている、これは事実ですから、はっきり言って。こういうことがあっていいかどうかということですよ、聞きたいことは。生活保護以下の生活を季節労働者にさせておっていいか。大臣のこういう点の認識をまず僕は聞きたいということが一つ。
 それからもう一つは、加藤安定局長にお伺いしたいのは、通年雇用化のための農山村地域雇用開発推進事業、こういう科目でありますが、これは結構なことなんで、どういう基準というか、どういう目的でこれをやろうとしているのか。この点を大臣と局長にお伺いしたいと思います。
#21
○政府委員(加藤孝君) 確かに、季節労働者の方々の生活が非常に厳しい状態にあるということは私どもも認識しておるわけでございます。そういうような中で、特に冬期の季節労働者の失業された方についてのいろんな援助等もまた行っておるわけでございます。ただ、先生が今お示しの生活保護との比較というのは、生活保護費が世帯単位のものであり、季節労働者の収入というのは個人単位というようなこともございますので、単純な比較はできないと思いますが、いずれにいたしましても、その生活が厳しい状態にあるという基本認識は持っておるところでございます。
 それから、今先生もお話しございました、農山村地域において雇用開発推進事業というものを六十年度に始めよう、この考え方は、これまでこういう季節出稼ぎ関係の方々が、仕事がないためにその時期出稼ぎに行かなきゃならぬということであり、そのためにいわゆる農村へ工業導入というような形で、大都会から農村への工業再配置ということが進められてきたわけでございますが、これも必ずしも計画どおりにいっておりません。いろいろそういうような中で依然として季節出稼ぎ労働者の問題が続いておるという中で、やはりこの問題の原点を振り返ってみると、何も東京や大阪から工場を持ってこいというだけではなくて、地元も見直してみれば、出稼ぎに行かなくともその地元のいわば地場産業というものを興して何ら
かの就労の場というものをまた興すことが可能ではないだろうか。また、そういう努力、そういう地域の自立振興というような面もぜひ必要なことではないだろうか、こう考えるわけでございます。
 例えば北海道の場合でございますと、夕張メロンであるとかあるいはまた池田ワインであるとか、いろいろそういう地元の皆御努力がそれなりに実っております。もちろん全部成功するわけではございませんが、やはりそういうことを通じての、いわばそういうこれまで出稼ぎに行かざるを得なかった地域で何らかの雇用の場ができてくるというのは、実はそういう芽を育てていくというのは大変大事なことじゃないだろうか。そういう意味で、やはり出稼ぎ問題が起こる原因の原点を振り返ってみますと、やはりそういういわゆる一村一品運動というような形で行われておるようなものをそれぞれのそういう農山村地域においていろいろそういう試みを始めていくということをぜひ促進したい、こういうようなことで全国一応五カ所ということで六十年度試みを始めてみよう、こういうことで考えたわけでございます。
 現在考えておりますのは、やはりその地域で何らかの地場産業的なもので可能性のあるものを選ばなければならぬだろう。それからもう一つは、そういう環境の中にあって現実にその市町村なりあるいはまた商工会のようなもの、あるいはまた農業団体、あるいはまたその地域の季節労働者などの方々がやはりそういうような考え方で取り組もうという意欲なり連携などがとれるところというようなことを一応念頭に置き、かつ、これが基本的には出稼ぎが非常に多い地域というようなところを選定をいたしまして、まずそういう試みをスタートをさせよう、こんなようなことで考えておるわけでございます。
#22
○国務大臣(山口敏夫君) 景気がやや上向きかげんになってきたと、こういう状況とは言いながら、ここ数年来の経済の停滞や厳しい財政予算、こういう中で、特に積寒地域の季節労働者の方々の雇用の問題や生活環境に大変厳しい状況が続いておると、こういうことにつきましては、今、対馬先生があらゆる面から御指摘をいただいて、政府としてさらに努力せよと、こういう御指示でございました。お話を承っておりまして、我々も一層関係省庁とも連絡をとりながら、労働省も雇用という立場から積極的にこれに取り組んでいかなきゃならない、かように考えた次第でございます。
 ただ、地方自治体等でも北海道でありますとか、あるいは東北、北陸等、地方自治体の中でも、なかなか積寒地の冬の仕事というのが、国と同じように自治体も予算が厳しいために、通年雇用というのが考えはあってもなかなか実行が難しいという点もあるようでございますけれども、その点も含めまして、地方自治体とも政府が緊密に連絡をとりながら、両方が抱き合いの中で仕事をふやすというようなことも可能なのかどうかという点についてもまた考えていかなきゃならない。いずれにいたしましても、北欧三国では現実にもうそういう厳しい積寒地方において仕事をやっているじゃないかと、こういう御指摘もございました。我々もそうした点も、建設省や北海道開発庁も来ておられるわけでございますけれども、労働省も、さらにこの御論議を踏まえていろいろ各省と協議をして、そういう実行可能なものから一つ一つ取り上げていく必要があると、かように考えておる次第でございます。
#23
○対馬孝且君 今大臣から、関係省庁と十分協議をして対応していきたいというお答えですから、これはきょう関係者も陳情団も来ておりますけれども、きょう十一時四十分から開発庁長官にもこのことで会うことになっているんです。だから大臣に積極的にひとつ取り組んでもらいたいのは、工事の発注はもちろん開発庁、それから建設省が所管ですから、ただその省庁との横の連絡をひとつ呼びかけていただいて、そしてそれぞれの省の責任者を決めてもらって、ぜひこれはひとつ対応をし、具体化してもらいたい、このことを、大臣からも答弁ございましたので、特に申し上げておきます。
 そこで、最後になりましたけれども、現行制度、これは今やりとりをお聞きになっていればもう何回も言っているからおわかりだと思うのであえてくどくど私は申しませんけれども、これは毎年私はこの場でやっておるわけですよ。ことしをもって冬期職業講習助成給付金制度あるいは事業主に対する制度、これらの制度はことしをもって切れるわけです。したがって、私は現行制度を――通年雇用を目指してはいるんだけれども、現行制度を延長できないというのであればもう北海道三十万人季節労働者は死ねということだという率直なこれは声です。もしそれを延長できないというのであれば、三十万人全員生活保護世帯として認知してもらいたいと、こういう悲痛な訴えと叫びが続けられているわけですよ。ところが大臣、今やりとりしてわかっているとおり、我々は通年雇用を求めたいんだ、求めたいけれども、政府の対応としてそうなっていないんだから、それらの人が生きるとしたら何があるかといえば、やっぱり今の制度を延長してもらう以外にないんですよ。これは大臣、何もこれを求めるのでないけれども、本来なら、我々に言わせれば、当時にも問題になった、九十日を五十日に引き下げられた。基本的にはもう一回九十日に復活をすべきであるというのがこれは我が党の主張であります。衆議院では議員立法を出すことになっております、正直に申し上げて。九十日復活の法案を出すことになっているが、今それを言ってみてもこれはすぐ法になるとか、あすの生活につながるわけではありませんから、私が言いたいのは、やっぱり原則として現行制度を延長をして、――もちろん大蔵省の関係もあるし、関係省庁との関係もありますから、私もわからぬわけではないが、特に大蔵との関係あることも承知をしています。しかし、労働省として、しかも季節労働者保護の省としての立場として、大臣として、ひとつこの現行制度延長の方向に最善の努力をしてもらいたい、こういうふうに考えているが、これは大事な点ですから、ひとつ明快なお答えをお願いしたいと思います。
#24
○国務大臣(山口敏夫君) 制度の存続が優先するんだ、こういうことですといろいろ問題もあると思いますけれども、先生御指摘のように、やはり仕事は大いにしたいんだ、ただなかなか通年雇用の環境が整っておらない、こういう実情ゆえに今の制度をさらに検討する必要があるんじゃないか、こういう御指摘でもございます。そういうことで、六十一年度以降のこうした今御指摘の季節関係給付金制度の延長の問題でございますけれども、これは、制度の創設の経過、また関係自治体等の事業主の工事の通年施工化の努力等、経過を十分勘案させていただいて、十分検討して、誠意を持って対応してまいりたい、かように考えております。
#25
○対馬孝且君 誠意を持って現行制度を検討していきたいということは、これは現行制度延長について誠意を持って検討するということでよろしゅうございますね。誠意を持って検討するということは、誠意を持って努力すると、こう理解していいですね。
#26
○国務大臣(山口敏夫君) 今、私御答弁申し上げたとおりでございます。
#27
○対馬孝且君 わかりました。ひとつぜひこの問題、今大臣から誠意を持って現行制度を検討するということですから、そういう方向で必ず現行制度が延長されるよう、私強く要望しておきます。いずれ次の段階でもまた申し上げたいと思いますけれども、何よりも、北海道三十万、それから東北六県七十一万の方々がこれを見守っているということが今実態でございまして、やっぱり通年雇用化を我々は促進してもらいたいということがこれは基本でありまして、そのことを基本に物を考えているということはもう今やりとりでわかっているとおりでありますから。
 そこで、特に私申し上げておきたいことは、三省賃金、これは労働基準局になるんでありますが、労働省の立場で、また建設省でありますけれ
ども、本州から比較しますと、土工、建築工で大体二千円ぐらいずつ安いんですよ、賃金が。それだけ単価が安いかどうかというと、公共事業は元請は変わらぬでしょう。それから、単価だって、はっきり言うけれども、下請、元請で本州と北海道は違うということはないわけですから、結果的にはこれピンはねされていることになるわけですよ。そのことのいい悪いは時間もありませんから今ここで言いませんけれども、ただ建設省に言っておきたいことは、三省賃金の行政指導をひとつ強めてもらいたい、これが一点です。
 それから二つ目は建退共、建設業退職金共済制度ですね、これ、北海道は若干上がってきておりますけれども、全国的に言うとまだ三〇%ラインです、全国では。北海道では最近少し上がってきましたけれども。この季節労働者、出稼ぎ労働者の退職金共済制度できて二十年になるんですよ。ことしは、たしか五年ごとの見直しの時期でしょう。そういう問題等もありまして、ひとつぜひこれの促進方を、強力な建退共の加入促進、それから三省賃金の行政指導、労働省の立場でこれらをひとつ強めてもらいたいということを最後に申し上げます。
#28
○政府委員(寺園成章君) 建退共につきましての加入促進、それから証紙の確実な貼付の問題につきましては、かねてから力を入れてまいったところでございますけれども、今後とも関係機関とも相協力しながら強力に進めてまいりたいというふうに考えております。
#29
○対馬孝且君 建設省。
#30
○説明員(林雄作君) 三省協定の設定労務単価でございますが、これは先生も御承知のように、農林省、運輸省、建設省の三省が公共工事の予定価格を積算するために、建設労働者の実態を調査いたしまして、都道府県別、職種別の平均値をもとにいたしまして設定いたしておるものでございます。したがいまして、個々の労働者に支払われる賃金を定めるものではございません。また、このようにこの労務単価は平均賃金によって決めておりますので、労務単価より低いものもあるわけでございますし、また高いものもあるわけでございまして、したがいまして、この労務単価どおりに賃金を支払うというふうな指導はなかなか難しいと思っております。
 しかし、調査自体につきましては、今後とも実態を正確に把握するように的確な調査をいたしますとともに、賃金の支払いにつきましても、従来から労働基準法あるいは最低賃金法等の関係法令を遵守するように指導の徹底をいたしておりますが、こういうことをさらに徹底いたしますとともに、五十三年に策定いたしました元請下請関係合理化指導要綱によりましても同様の趣旨の指導をしておりますが、これにつきましても、さらにその趣旨の徹底を図っていきたいというふうに考えております。
#31
○対馬孝且君 時間が来ましたので、建設省に一言言っておくけれども、これは北海道の建設業界あたりでもしばしば季節労働組合とも話し合いをしているんだよ。ところが、一応の基準賃金というのは、三省賃金は言うまでもなくこれは基準として出ているわけです。ところが、これは末端までいくと通達が全部ぼけちゃっているんだよ、とにかく。ばらばらになっているんだよ。むしろピンはねがしやすい仕組みになっているから、そこを私は、三省賃金の基準というものを守るように行政指導をやっぱり強めるべきであると、こういうことを言っているのであって、それはひとつぜひ守ってもらいたい、そういう指導を強めてもらいたいということを一言だけ申し添えて、時間も来ましたから質問を終わります。
#32
○説明員(林雄作君) 先ほどの繰り返しになりますけれども、労務単価どおりに賃金を支払うということを指導するのはなかなか難しいと思いますが、賃金の支払いの方法の指導につきましては、さっきお話し申し上げましたように、関係法令を遵守するとかあるいは元請下請合理化指導要綱の徹底を図ることによって指導していきたいというふうに考えております。
#33
○対馬孝且君 終わります。
#34
○浜本万三君 先般の労働大臣の所信表明に対する質問をさしてもらいたいと思います。
 先般、大臣は所信表明の中で、人生八十年時代の到来と新たな技術革新の急速な進展という末曽有の変化の中で、二十一世紀を展望しながら、積極的かつ効率的な労働行政を進めていく考えだというふうに述べられたわけでございますが、山積する重要課題が労働省にはたくさんあると思うんでございます。大臣は、これらの問題についてどういうような取り組みをなされるのか、もう一回改めて所信を伺いたいと思います。
#35
○国務大臣(山口敏夫君) 人生八十年時代ということを申し上げたわけでございますが、やはり現実の問題といたしましては、やはり日本の国民生活を考えますときに、これはもう二十一世紀を待たずして、人生九十年時代あるいは人生一世紀時代ということも十分考えておく必要があるのではないか。そうしたときに、やはり何よりも大事なことは、健康な高齢化時代というものに今から取り組まなきゃならない。そうしますと、社会保障や年金も大事でございますが、私は日本人の特性といたしまして、勤労を通じての社会参加、そこに一つの喜び、生きがいというものがあるということからしますと、やはり雇用の延長あるいは定年の延長を含めました雇用の安定というものが国民生活の基本的な必要条件であると、こういうことでございます。
 しかし、同時に国際競争力等から考えましても、技術革新、新技術に取り組まなきゃならない、そういうME化、OA化、さらには男女均等法に見られますように、女性の社会参加、職場進出というものもますますこれが広がりを見せてくる。こういう中に、労働行政としては何よりも雇用政策というものを総体的にとらえて、こうした社会的な環境、背景を十分踏まえた労働政策というものを確立をして、そしてそれを一つ一つ実行していくということが必要であるというふうに考えておるところでございます。
#36
○浜本万三君 そのために大臣は、就任後早々だったと思いますが、厚生大臣と話し合いをいたしまして、その政策の万全を期すというお話がございました。その機関は何か連絡会議というふうに伺ったわけでございますが、この連絡会議の目的でありますとか、議題でありますとか、あるいは連絡会議の構成など、今後の日程を含めましてもう少し明らかにしてもらいたいと思います。
#37
○説明員(岡部晃三君) 高齢化社会へ急速に移行するわけでございまして、この問題につきましては厚生、労働両省が深いかかわり合いを持つ問題を抱えているわけでございます。そのことにつきまして共通の認識を持ちまして、一体となってこの問題に対処をしようということで、両省大臣の発意によりまして両省間の連絡会議を設けたものでございます。
 これは大臣、事務次官、関係局部長で構成されているものでございます。この会議は、昨年十二月の十九日にその初会合を開きまして、今後人口高齢化、さらに労働市場の動向、高齢者の雇用と社会参加、高齢者の所得保障、健康というふうな議題につきまして適宜協議をしていくことにいたしておるところでございます。
#38
○浜本万三君 答弁によりますように、非常に広範な高齢化社会に対応する政策について協議をされるということなんでございますが、一方労働省の方としても、所管の役所といたしまして中長期的視点に立って高年齢者の雇用就職対策の基本的あり方を見直すという態度が表明されておるわけでございますが、一向に内容が我々にはしっくりこないわけでございます。もう一回大臣からその基本的内容についてお示しをいただきたいと思います。
#39
○国務大臣(山口敏夫君) これは、一口に申し上げれば、五十五歳定年が主流をなしておる今日の雇用関係において、六十歳までの定年の延長、さらに六十五歳までの雇用の延長という問題を、具体的にどうこれに取り組むか、こういうことでございます。
 欧米等におきましては、若年労働者の失業等もありまして、むしろ定年を切り下げまして年金生活を奨励しておるという部分もございますが、日本の場合には、どうしても勤労をとうとぶ、それがまた生きがいだと、こういうことでございますので、企業の持つ経済的合理性、効率性というものとのいろんな兼ね合いもございますけれども、労働省としては六十歳定年ということをぜひ推進をしたいということで、具体的に雇用審議会、中央職業安定審議会等を通じてこの中身を討議すると同時に、同時進行で行政指導で高齢者の雇用の延長を今進めておる、こういう段階でございます。
#40
○浜本万三君 雇用失業情勢は、結局日本経済の動向によって非常に大きな影響を受けるというふうに考えられます。そこで、昨年から多少景気が上向いたというふうには報道されておるわけでございますが、一方、日本の産業は輸出型であるから、したがってアメリカの経済の動向によっては大変大きな影響を受けるんではないかという見方もございます。つまり、それらを含めて不安材料もないではないというふうに思うわけでございます。今後の雇用失業情勢をどのように把握されておるのか、あわせて承りたいと思います。
#41
○政府委員(加藤孝君) 最近の雇用失業情勢について見ますと、景気が拡大を続けております中で、ごく緩やかではございますが、改善の方向に向いておるわけでございまして、内容を見ますと、求人が比較的高水準で推移をしておる。一方、求職者の方が減少ぎみであるというようなことで、ことしの一月には求人倍率が〇・六九倍まで上昇をしてきたわけでございます。ずっと〇・六四というようなレベルで張りついておりましたのが、そんなところまで求人倍率的に回復してきたということでございます。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
また、完全失業率につきましても、製造業あるいはサービス業を中心に雇用者が堅調に推移しております中で、今まで二・五あるいは二・八というような数字の続いておりました中で、ことしの一月には二・四というようなところまで低下の動きが見られた、こんなことでございます。
 しかしながら、今先生からもおっしゃいますように、今後の雇用失業情勢を展望いたしてみますと、高齢者の問題あるいは女子の職場進出の問題それからまた若年者の転職意識の問題というようなことで、失業状態というものが大幅に改善するということはなかなか難しい事情にもございます。さらにはまた、技術革新が進んでいきます中で、新規採用というものについて抑制的な進み方というものも特に製造業関係ではあるわけでございますし、さらにまたこういう技術革新の中で、求職者はあり求人はあっても、それがうまく技術的な技能的な面で結びつかない。そのために求人はあり、求職者はあってもなかなか結合がしにくい。こういうような問題もやはり今後の大きな問題でございます。
 そういうような問題点がございますために、今後の雇用失業情勢については、私どもも今ちょっと数字が下がってきたからといって、あるいはよくなったからといって、決して楽観できるものではない、一層行政努力を進めていかないと難しい、こんな基本的な認識におるわけでございます。
#42
○浜本万三君 若干好転しつつあるというお話であります。しかし不安材料もないではないということなのですが、確かに局長が言われますように、総務庁の「労働力調査(速報)」というのがありますが、この一月の完全失業者の数を見ますと百五十二万人、これは前年同月に比べますとわずか〇・三%ほど低下しておるというふうに報告はされておりまするが、あわせて前月の百四十二万人に比べますと約十万人ふえておるという状態でございます。したがって非常に予断を許さない情勢にございますから、答弁されておりますとおりしっかりひとつ対策を講じてもらいたいというふうに思います。
 同時にまた、失業の内容が私は問題ではないかというふうに思っております。最近の完全失業者の状況を見ますと、比較的若年者それから婦人労働者、そして中高年を含む老人の割合がふえておるというところに着目しなきゃならぬというふうに思います。これは比較的弱い層に完全失業者が集中しておるということと考えます。そうなってまいりますと、これは大変問題だというふうに思いますので、できれば階層別の完全失業者の内容をお示しいただくと同時に、六十年度のこの施策の中でこういう問題についてどのような積極的な対策を講じようとされておるのか、あわせて御回答をいただきたいと思います。
#43
○政府委員(加藤孝君) 確かに百五十二万という数字として前年比ではマイナスというような数字が出てきておりますが、内容を洗ってみますと、特徴的なのは、一つには男子の失業は好況期に減少をする動きがございますが、女子につきましては就業意欲の高まり、家庭の主婦等が職場に出たいというような動きなどを背景といたしまして労働力率が上がる、その中から失業がふえる、こういうような形で女子についての失業が傾向的に増加をいたしておるというのが一つの特徴でございます。
 それからまた、年齢階層別に見てみますと、若年層、特に二十前後の若年層の失業率が高いという問題がございますが、この辺についてはこの就業意識の変化等から離転職というものがふえておる、こんなようなことが一つ大きな背景にございます。それからまた五十五歳以上の高齢者の失業率が高くなっておりますが、これも、高齢者の就業意欲が高い中でなかなか就職できない、こんなような形で高齢者の就業が問題として残っておるわけでございます。
 この一月の男女別の完全失業率を数字で見てみますと、男子が二・四%、女子が二・五%ということで、失業率が女子の方が男子を上回っておるということでございます。また、失業率の年齢別に見ましても、十五歳から二十四歳の若年失業率が四・〇%ということでございまして、全体が二・四%の中の四・〇%ということで高い水準にございます。あるいはまた、五十五歳以上の高齢者については三・二%ということで、やはり高い水準にある、こういうことでございまして、今後問題といたしまして、まず女子の問題につきましては、職業訓練の問題、あるいはまたパートバンクというような形での結合の促進、あるいはまたパート労働対策、こういうような点についての対応を進めるというようなことを一つ考えておるわけでございますし、あるいはまた高齢者対策につきましては、これは先ほどから大臣も申し上げておりますように、本格的にこの高齢者対策については対策を打ち立てるべく今懸命の努力をしておるということでございます。
 また、若年者の問題につきましては、これはたまたまことしが国際青年年と、こういうようなこともございまして、ぜひ今後の高齢化社会を支える若年の問題というものもやはり一つ大きな問題として取り上げていかなきゃならぬではないか、こういう基本認識に立ちまして、六十年度におきましては若年者につきましての雇用問題の研究会を発足をさせる、あるいはまた、中野のサンプラザにおきまして若年者向けの職業ガイダンスセンターというものを設けまして、この若年問題について行政的にも対応を進めていく、こういうような新しい構えを進めようとしておるところでございます。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
#44
○浜本万三君 回答のありました女子の問題でありますとか若年労働者の雇用対策などにつきましては、また機会を改めましてお尋ねをしたいと思うんでございますが、きょうは高齢者の問題を中心に質問をしておりますので、その問題に絞って二つほどお尋ねをいたしたいと思います。
 高齢者の雇用対策の基軸となるものは、これは何といっても定年制ということだろうと思います。政府の方でも、昭和六十年度は六十歳定年一般化の最終目標年度にされておるというふうに私は思っております。
 そこで、今最終年度としての実情、実績ですか、また見込み、そういうものは一体どうなっておるのか。最終年度であればあるほどきちっとやっぱり押さえておかなきゃならぬと思いますので、まずこの点について質問をいたしたいと思います。
#45
○政府委員(小野進一君) 昭和五十九年一月現在における六十歳以上の定年の現況でございますが、一律定年制を定めております事業場の五二・一%が六十歳定年を定めております。五十五歳定年が二九・〇%ということで、三割を割っております。それから、現に六十歳への定年延長の過程にあり、あるいは六十歳への定年を予定している企業を含めますと三分の二、六五%と相なっているところでございます。六十歳定年が一応主流になるに至っているのではないかというふうに考えております。
 そして、先生御指摘のように、六十年度が六十歳定年一般化の最終年度でございますので、私ども決意を新たにしまして、もう一回その六十歳定年の機運の醸成と、それから六十歳定年が比較的おくれております百人から九百九十九人の規模の事業場について個別にもう一回指導に当たっていく、こういう心構えでおります。
#46
○浜本万三君 一般化したという認識のように伺っておりますが、そこで労働大臣はさきの衆議院の社会労働委員会、これは多分二月二十六日だったと思いますが、その委員会で、雇用審議会や中央職安審等で審議しておる定年法制化の問題をことしじゅうに取りまとめていただいて、その結論を待って法制化に向けてのもろもろの手続等を具体的な作業で進めていきたいと、こういうふうに積極的な答弁をされると同時に、また、とにかく六十歳定年の法制化の問題につきましても具体的な作業日程に取りかかるようにしたいというふうにも申されておるわけなんでございます。私は、大臣の大変積極的な姿勢については歓迎をするし、また、これを本当に進めてもらいたいというふうに思っておる次第でございます。
 そこで、その答弁の内容ですね。また、具体的にどういうふうな日程でこれを実現されようとしておるのか、もう少しはっきりしたことをお答えいただきたいと思うのです。
#47
○国務大臣(山口敏夫君) 先生も再三御指摘いただいておりますように、高齢化時代の一番大事な問題は、やはり一つの大きな柱が高齢者の雇用の安定的な確保、こういうことだと思うのですね。そういう意味で、私も昨年就任以来、本来ですとことしの四月以降、雇用審議会等における定年の問題が再開される手順になっておりましたけれども、昨年の十二月に加藤局長の方にも指示させていただきまして審議会を再開をしていただいたということで、それ以来数回、それぞれ関係委員の皆さん方に大変熱心にこの問題について御討議をいただいておる途中でございますけれども、しかし、実際問題として企業の側の代表の方々から言いますると、もう努力を、今一生懸命労働省の行政指導等も含めてやっておる、そしてもう半数を超えた。さらに、先ほど政府委員の答弁にもございましたように、約七〇%近くがこうした状況認識にあると、こういうことでございますので、法制化ということは今少し慎重にしてもらいたいと、こういう意見もございます。ございますが、いずれにいたしましても審議会の結論を急いでいただきまして、夏から秋までにそうした結論が出していただけると思います。その一つの審議会の結論を踏まえて、国会等における御論議も十分考慮しながら、政府として、労働省としてこの問題にどういう結論を出すか、こういう認識でおります。
 いずれにいたしましても、この法制化を急ぐ必要があるか、あるいは、さらに行政指導の中でもう少し合意点を広げるか、こういう二つの方法がございますが、結論といたしましては、高齢者の、特に六十歳の定年延長ということについては、労働省としても一つの大きな柱としてもう取り組んでいるわけでございますので、その実行の効果をどうするかというだけの一つの判断であって、進めるということについては一番最重点課題という認識を持っております。
#48
○浜本万三君 せっかく大臣が、これはと思って決意を込めて国会で答弁された法制化の問題ですが、確かに法制化するということにつきましては、いろいろこれ立場がある人が集まって相談するわけでございますから、問題は出るとは思うんでございますが、とにかく大臣が一たん男として口を切ったことなんですから、法制化を絶対に実現するということをもう一回、ひとつ決意を込めて約束してもらいたいと思うんです。
#49
○国務大臣(山口敏夫君) 考えとしては、私に限らず、浜本先生も御指摘いただいているように、これはやはり政治の責任だと私は考えておるわけでございまして、やはり政府、国会でこうして真剣に論議しておることも、ひいては経済社会や経営者側の利益にもつながるような、国民生活の安定の一つの柱なんだと、こういうことでございますから、私としては、御指摘のとおりの考え方の上に立って進めていきたいというふうに決意しておるところでございます。
 いずれにいたしましても、今審議会に御論議をお願いしておる、そういう最中に、大臣として、法制化をいたしますと、こう言うことは、、せっかく御審議いただいておる先生方に対する越権行為でもございますので、その審議会の結論は結論として十分御論議いただいて、と同時に国会での御論議ということも十分念頭に入れさしていただいて、労働省として一つの考え方を早急に出したい、こういう基本的な取り組みで今進めておるところでございます。
#50
○浜本万三君 次は、これは大臣就任以来の課題になっておる問題を二つ続けてお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、その第一は、ゴールデンウイークの連休法制化の問題でございます。
 五月一日、二日、四日の三日間を休日とするゴールデンウイークの連休法制化について、まず労働大臣の今日の時点における認識を伺いたいと思うんです。
#51
○国務大臣(山口敏夫君) これは、労働省としては、労働団体やそういう連続休暇の国民的な要望もございますが、やはり役所の立場としては、行政指導を通じてひとつ当面ゴールデンウイークの休暇の拡大に努めたい、こういうことで、政府の広報でありますとか、監督署、基準局等を通じましていろいろ各企業に御協力をお願いをしておる。同時に、中小企業団体、商工団体、農業団体、あるいは日経連、その他いろいろな各経済団体にも普及のための御理解と御協力を求めておるということでございます。
 その結果としては、昨年まで五四%でございましたゴールデンウイークの休暇を採用する企業が、ことしまでに六〇%まで拡大をしておる。これをさらに今年度は六五%から七〇%という一つの目標がございますけれども、ぜひそういう行政指導でも実質休暇を拡大する採用企業をひとつ広げさしていただきたい、こう考えております。
#52
○浜本万三君 確かに、日本の産業の構造的な要因から申しましても大変なことだと思います。また、現在の経済団体あるいは自民党の、与党内のいろんな御意見もあると思うんでございますが、やっぱり法制化いたしまして規制をしなければ、なかなか日本の休日というものはふえないという現状は、これは否定することができないというふうに思います。したがって、この実現に向けましては一層大臣の決意を込めた実効の上がる対策をひとつ要望いたしたいと思います。
 それから二番目は、大臣の就任以来いつも言っておられます例の労働外交の問題でございます。これは大臣非常に力を入れられまして、私どもも当初は、大変ユニークな発想であって、大臣の積極的な姿勢を評価いたしたわけでございます。しかし考えてみますと、なかなかやっぱり問題があるのではないかということを心配しております。つまり、政府と労使が三者一体になりましてミッションを派遣するといたしましても、こちら側の体制が十分整っていませんと、向こう側からいえば何だという批判のそしりを免れることができな
いと思うわけです。私が一番心配しておりますのは、後から問題になります日本の長時間労働の実態、また、後に法案審議されますけれども、男女雇用、まあ我々の立場からいえば平等法の問題、そういう問題が国際社会から見ると、日本は非常におくれているのではないかという批判があるわけですね。
 そういう問題をそのままにしておいて、幾ら政労使の立派なミッションを欧米に派遣されまして話し合いをしようといたしましても、到底これは先方としては快く歓迎すると、同時に、我々の気持ちを尊重してもらうことはできぬのじゃないか、かように思います。ですから、そういう内政問題の整備充実ということをまずおやりになって向こう側に派遣されるのが私としては望ましいというふうに思います。
 そういう事情から二つの質問をいたします。まず第一は、訪問国はどういうところをお考えか。それから派遣の時期、期間、派遣の人員、派遣の趣旨、目的等についてもう少し明らかにしていただきたいということ。それから第二は、申し上げました、向こう側では非常に問題にしております労働時間、賃金、それから女子の不平等なもろもろの条件を早く撤回していくというような問題についての大臣としての決意、そういう問題について。この二つ、まず伺いたいと思います。
#53
○国務大臣(山口敏夫君) 確かに浜本先生御指摘のように、労働外交の一つの施策として、政労使の国際的なミッションということは、今先生の御指摘された部分も含めていろいろ問題があることは事実でございます。特に、これは男女雇用均等法のような条約批准ということのための国内法の整備という性格のものではございませんが、確かに先生御指摘のように、国内における労働時間等の問題が解決していないのに外国との意見交換というものが果たして妥当なのかどうか、こういう御心配もございます。率直に言って労働団体はかなり国際交流が活発ですね。同盟、総評に限らず各団体が国際機関と非常に連絡をとっている。これはまた経営者側も労働界に負けず劣らず外国との折衝は多いわけでありますけれども、むしろこれはどちらかといいますと、貿易摩擦とか経済摩擦等を通じての買い付けミッションとか、いわゆる商売上のいろんなデリバリーでの交流、交換が多い。具体的に労働条件とか労働問題で経営者側がこの国際交流を進めているという例は意外に少ないというのが実情でございます。そういう中で、国内における産労懇等で政労使話し合ってみましても、経営者側と労働側で、かなり労働福祉、労働条件の改善の問題で意見の相違があることも事実ですし、また現実、日本の労働条件の中で長時間労働等がなかなか改善の兆しがまだ起こっておらないということでもございます。
 この間も、日経連等と労働省で政策説明会のときに、こんな厚い百ページもあるような予算書の中で、ある大手企業の会長さんでございますけれども、そういう細かい何項目かの中で政労使ミッションを取り上げまして、やっぱりさすがと思いましたけれども、これは問題があるんじゃないかと、こういう経営者側からの指摘もございました。それはある意味では、ECとかアメリカへ行きまして、飛んで火に入る夏の虫じゃないけれども、日本の長時間労働が逆にやり玉に上がって経営者側が苦境に立つ、こういう立場からの心配としての指摘でもあったわけですね。
 そういうように、いろいろ私はこれが実行していくまでには紆余曲折あろうと思います。思いますが、やはりこの内部の矛盾を少しずつ改善していくために、やっぱり外からの刺激や問題認識というものを共有していく、そういう中に一歩一歩改善へ向けて努力が図られるということに一つの意味もあるんじゃないかということが労働外交を提唱した理由でもございます。
 またもう一つは、日本の労働事情、みんなが本当によく働いて一生懸命頑張っているから今日の成績が上がっているんだということに対する認識も、これはやはり同じ土俵の上で戦っている者は正々堂々と戦っているんだ、頑張っているんだということも理解してもらわなきゃならない、こういうことでもあろうと思います。政労使が一緒に行きますと、場合によっては日本株式会社というような印象を与える危険といいますか、側面もありますけれども、いろいろメリット・デメリットをトータルいたしましても、やはり要はそういう皆さん方の御理解と御参加をいただいて、こういう国際交流の中から日本の労働問題や労働条件の改善、あるいは日本の労働事情に対する理解も広めていくということがぜひとも国際化時代の日本の経済、日本の労働からしても大事なことなんじゃないかということで、いろいろ御批判を調整しつつ進めていきたいというふうに考えております。
 今のところ、春闘その他でいろいろ労働界もお忙しいわけですし、労使双方忙しいわけでもございますし、我々も予算委員会でくぎづけの状況でもございましたので、この四月以降、いろいろ時間調整を図りまして、そして労働界の各団体の代表の方、それから経済団体の各代表の方、そしてまた政府部内でのメンバー選考ということで、大体九月ごろに十分相手国と調整しながらこれを進めていきたい。安倍外務大臣も大変御理解をいただいて、ヨーロッパでありますとかアメリカでありますとか、そういう各国の首脳とか指導者の方々とも十分政労使ミッションの位置づけをアピールしていただきまして御協力もいただいておる、こういうことでございます。
 それから、余計なことでございますが、一点、私は、国会が終わりましたら韓国とか香港等にも労働大臣として訪問さしていただいて、今度は逆に後発の経済国の長時間労働、この兼ね合いも今から進めていきませんと、やはりそういう後発の経済国からの追い上げに対して、日本はそんなに労働時間短縮だけのこのこやっていていいのか、こういう批判や不安もございます。そういう点の問題も同時進行で、先進国との労働交流と同時に後発の経済国とのやっぱり意見交換もしておく必要があるんじゃないかというふうにも考えておりますので、いろいろ適時ひとつ御指示もいただければ大変ありがたいと思う次第でございます。
#54
○浜本万三君 諸外国を回ってみまして一番問題にされるのが、休日労働時間という問題があるわけですね。私も昨年ヨーロッパへ行きまして、けしからぬという話も大分伺ってまいったわけでございます。
 そこで、労働時間の短縮というのは労働政策としては非常に重要な課題であることは間違いない、かように思っております。特にことしは、労働界の方でも六十年を時短元年というふうにも何かこの文章を見ますと位置づけられておるようでございます。したがって、春闘でも賃上げと同じ比重で時間短縮の問題を取り上げていこうというふうに言われておるので、大変我々としてもこれは軽視することはできない状態になっておると思います。また、私考えますのに、憲法二十五条で言う健康にして文化的な生活を営む権利を保障していくためにも、どうしても労働時間の短縮ということが必要になってくると、かように思うわけでございます。
 それらについて、特に時短の問題について、労働大臣の認識あるいは決意について伺いたいと思います。
#55
○国務大臣(山口敏夫君) 労働時間の短縮は、単に労働者の福祉の改善や労働条件の改善にとどまらずに、私はやはり二十一世紀の日本の社会づくりに対して基本的な文化活動、意識革命にもつながるような問題だと思うのですね。週休二日制の問題にしましても、これだけ社会が複雑化してまいりますと、家庭というものに対しても、子供の教育に対しても、やっぱり母親だけに任しておくというような状態でなく、父親もともに共同責任を負わなきゃならない。「土曜日のパパは僕のもの」というヨーロッパの労働運動のスローガンがございましたけれども、そういう点からも労働時間の問題というのはとらえていかなきゃならないというふうに考えます。
 しかし実際は、一方においては労働時間短縮と
言うと怠け者をつくるのかと、こういう立場からの御意見もございますし、先生が言われたように、なかなか意識が共通されていない。私は子供の小学校や中学校を見てみましても、ヨーロッパとかイギリス、フランス、そういうところは夏休みが三カ月もある。冬休み、春休みもそれぞれ一カ月ある。子供のころからそういうよく学びよく遊べと、こういう一つの習慣の中で育ってきているし、また、年をとれば、六十で定年になれば、今度は年金でお金はそれほど自由でなくても、奥さんともども豊かにひとつ老後を過ごそうじゃないか、こういう習慣もございますが、どうも日本の場合には、なかなかそういう意識にすぐ転換できないという部分もございます。
 そういう意味で、労働界も時短元年一歩一歩、こういうことで取り組んでいただいておるわけでございますので、政府としても、そういう二十一世紀社会を展望して、総合的な政策の一つの大きな基本的認識としての立場からも、労働時間短縮というものをひとつ大いに啓発してひとつこの実行を進めていきたい、かように考えております。
#56
○浜本万三君 労働時間の国際比較を最近の資料で見ますと、日本の二千百時間台、アメリカの千八百時間台、英国の同じく千八百時間台、西ドイツの千六百時間台、フランスの千七百時間台というふうになっておりまして、この統計の上から見ても、一目瞭然、日本の労働時間は長いんじゃないかという批判は当然出ると思います。加えまして、やはり日本の経済の仕組みが、よそから物を買いまして、それを日本の優秀な労働者の手によって製品化して、さらにまた諸外国に買っていただくということになってまいりますと、そこで新たな貿易摩擦の問題が起きる、外圧が起きるということになるわけでございます。ですから、現在の日本の置かれておる立場から考えますと、そういう外圧、摩擦を少しでも解消していく。殊に、先ほど申した二十五条の精神、あるいは労働者一人一人の基本的権利を確保していくという面から考えましても、時間短縮の早期実現ということはこれはもう何をおいても重要な政策課題ではないか、かように思っておるような次第でございます。
 そこで、私が特に大臣にお尋ねをいたしたいと思いますのは、時間短縮をやっていくためには、まず第一は労使が協力をいたしまして、また労働省が積極的な行政指導をいたしまして、時間短縮の必要性についての認識を持ってそれをお互いに国民的課題として推進するということも必要でございましょうが、あわせて、行政はより積極的な姿勢を示す必要があると思っております。
 その中で私が特に問題にいたしたいと思いますのは、五人から九人の小規模事業所と申しましょうか、そういう小規模事業所に対しまして従来の基準法で特例を認めておったものを廃止したい、特例をもうやめたいと、こういう発表が労働省の方からあったわけでございます。特に四人以下の問題については三年後には見直したいと、こういう発表がございました。私は、やっぱり労働時間を短縮するためには、まずそういう設けておる特例を一つ一つ早く排除していくということが必要なので、これは非常にいい政策であるというふうに歓迎をしておったわけでございます。
 この点について、労働省が三月七日だと思いますが発表されました決意に変更はないのか。さらに、これを具体的に積極的に進めていくための決意を改めて伺いたいと思います。
#57
○政府委員(寺園成章君) 労働基準法四十条に基づきますいわゆる八時間労働制の原則に対する特例につきましては、五十六年以降段階的に廃止をしてまいっておりまして、現在残っておりますのは鉄道の一昼夜交代勤務の関係と、それから先生お述べになりました、十人未満の商業サービスの関係が残っておるところでございます。これが本年の三月三十一日に、さらに延ばすことが必要かどうかということについては中央労働基準審議会の意見を聞いて定めることになっておったわけでございます。
 そこで、中央労働基準審議会の意見を聞いて、先ほどお述べになりました結論を出したわけでございますけれども、その結論は、鉄道関係の一昼夜交代勤務につきましては、本年の三月三十一日をもちまして特例は廃止をするということでございます。それから十人未満の商業サービスの関係につきましては、現在のこれらの企業におきます労働時間の実態、あるいはこれらの企業の特性と申しますか、時差出勤が難しいあるいは交代制がとりにくいというようなその事業が持ちます特性をも考慮いたしまして、五人から九人の規模につきましては三年間この期間を延長する、一―四人の規模につきましては三年の時点で検討をするという結論になったわけでございます。これは省令という形で公布をいたしておりますので、この線で私ども進めてまいりたいというふうに思っております。
#58
○浜本万三君 五人から九人の商業サービスの関係は三年後という決定をなさったというんですが、これはやっぱりもう少し早めてもらいたいと思うんですよ。いずれにしましても、特例が多いとやはり全体の時短に大きな影響をするというわけなんでございますので、さらにこれを積極的に時期を早めるように行政指導を強化していただきたいというのが私の要望でございます。
 それからもう一つ、この時短がなぜ日本で成功しないかという基本的な問題について私が考えておる見解を述べたいと思うんでございますが、結局日本の労使関係で時間短縮が推進できるような基盤整備というものがなかなか整わないというのに最大の原因があるということはよくわかるわけです。例えば、労働者側でいえば、労働組合の組織形態がおおむね企業内組合であるということ、それから組織率は、最近は悪いことにだんだん低下いたしまして、三割を割るような状態になってきたということ、それから日本の産業構造の実情からいえば、第三次産業が非常にふえておるということ、それからまた、日本の賃金制度というものが、何といいましょうか、長い時間働かなければ一定の賃金が確保できないという仕組みになっておるということ、こういう点が労働者の側からいえば非常に大きな問題だろうと思います。
 一方、使用者の立場からいえば、日本の産業構造が、御承知のように大企業を頂点といたしましてたくさんの中小企業があって企業の格差が非常に大きいということ、そういう中でとにかく働かなきゃ企業がつぶれるんだと、こういう考え方が出ておるわけでございまして、そういう企業の生存競争の中に労働者も巻き込まれていってしまうというところに最大の原因があるんじゃないかと思うわけです。
 そこで、これを解決するためにはどうしたらいいかということが考えられるわけなんでございますが、最近国際的な資料を見ますと、フランスが時短の法制化をいたしまして、罰則を含む法制化をいたしまして相当の効果を上げた、こういうふうに報道されております。また、日本経済新聞の二月四日号で、慶応大学の辻村先生が罰則を含む法制化の問題について示唆をされておるという記事が載っておるわけでございます。したがって、余り法制化法制化と言うのは私の本意じゃないんでございますが、余り進まないものですから、何とかしたいという気持ちからそういう意見を申し上げるんですが、法制化の問題について、大臣はどのような御見解をお持ちか。法制化が望ましくないとするならば、先ほど申したような労使の基盤の中でさらに一層実効を確保するためにはどうしようとされておるのか、決意のほどもあわせて承りたいと思います。
#59
○国務大臣(山口敏夫君) 労働時間の問題は、今基準法研究会においてもいろいろ御論議をいただいておるわけでございまして、やはりもう時短元年と、こういうことでもございますが、ことしを契機に、石油ショック以降おくれております労働時間短縮の問題について取り組んでいかなきゃならない。
 ただ私は、先生も御承知いただいておりますように、やはり企業なり経済は生き物でございますから、その活力をそぐような形、いわゆる角を矯
めて牛を殺すような形でなく、一歩一歩そういう時短の問題の実行を進めていかなきゃならないというふうに考えているんですね。といいますことは、それは今先生からもお話が出ましたフランスなどでも、ミッテラン政権が誕生してから週三十九時間の法制化をいたしまして、その結果として、ミッテラン政権はいわゆるワークシェアリング的なことを考えたわけでもございますが、ところが結果として、その法制化をやった翌年逆に一%失業がふえた、それがことしはまた一%ふえたということで、今三年目を迎えているわけでございますが、七・八%だった失業率が逆に一〇%になってきておる、こういうことですね。これは私はワークシェアリング政策そのものが間違いじゃなくて、もう失業が七、八%、いわば糖尿病で言えばもう第三期症状になっているときに幾ら投薬をしても逆に傾向が悪い傾向になってしまったということであって、日本の場合は幸いにして二%ラインの失業率でございますから、浜本先生がお考えいただいているような労働時間短縮の問題とかワークシェアリング的な問題を今から一歩一歩取り組んでいけばフランスのような結果にはならないというふうに考えております。
 そのためにはやはり具体的に週休二日制の拡大でありますとか、それから連続休暇の問題もありますね。連続休暇も経営者側は大変抵抗といいますか意見がございます。ですからその辺も、有給休暇を集中的にとるようなことも含めた連続休暇ということも、やはり労働省としては行政指導の中に取り組んでいかなきゃいけないんじゃないか。単に休暇をふやすという形だけではなくて、既に労働者に与えられている権利である有給休暇を集中的に連休としてこれをとるということも含めて、連続休暇の拡大、週休二日制の問題というこの展開の中に労働時間の問題をトータルとして改善していくということが日本の社会における一番現実的な実行可能な労働時間短縮への一つ取り組みではないかというふうに考えておるところでございます。
#60
○浜本万三君 確かにおっしゃるように、自分たちがせっかく使用者と協定した有給休暇すら十五日のうち十日しかとれない、外国の人は全部とっちゃっておる。こういう事情もございまするし、これは労働者みずからが反省をしなきゃならぬ点もあると思うんでございますが、私はやっぱり行政当局としては行政指導を十分やりまして、そういう権利意識を高揚させると同時に、一方使用者としても、積極的に休暇をとらせるようなそういう施策をしてもらわなければ、とれないという段階ではこれは実行不可能でございますから、ぜひ大臣の一層の積極的な行政指導を期待いたしたいと考えておるわけでございます。
 時間が来ましたので、行政体制の整備の問題でありますとか、あるいは福祉事業の問題でありますとかいうことについて質問通告はしておったんでございますが、割り当て時間が参りましたので、以上でもって私の質問を終わらしていただきたいと思います。ありがとうございました。
#61
○委員長(遠藤政夫君) 本調査に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
#62
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、労働問題に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#63
○中西珠子君 労働大臣の所信表明に対しての質問をさせていただきます。
 労働大臣が時間短縮について大変御熱心でいらっしゃるということを結構なことだと思っておりますのですが、あちらこちらで使用者側の時短に対する抵抗が非常に強いようにお見受けいたしまして、大臣はどのような説得方法を用いてこれを推し進めていらっしゃるのか、私、お伺いしたいと思うのでございます。
 それがまず第一でございまして、それから同じ関連では、所信表明の中に、「労働時間短縮の展望と指針」というものをお出しになるということがございましたが、いつごろお出しになるのでございましょうか。また、その内容について、既に具体的なものをお考えでございましたらお漏らしいただきたいと思います。
#64
○国務大臣(山口敏夫君) やはりこういう経済社会でございますので、雇用の安定が何よりも国民生活の安定にとって一番大事な要素である、こう私考えているわけでございます。そういう意味において、高齢化時代の中で高齢者の雇用の延長等々、時代の必然として進めていくと、今の六千万の労働人口が、さらに五百万、六百万規模で拡大が予測される。私はやはり今日のような消費経済というものを考えますと、年金や社会保障も大事でございますが、労働を通じて得る報酬というものが確保されるところにやはり消費の活力というものも、当然国民の消費の活力というものも生み出されるわけだと、こういうことでございまして、特に三井争議等のころの国民総生産は十六兆円規模でございますが、今日は御承知のとおり三百兆円を超えているわけでございますから、そういう立場からも中長期的には経営者の方々もいわゆる雇用の延長に伴う一つの政策選択として、労働時間の短縮、いわゆるワークシェアリング的な一つの政策の取り入れが中長期的に見れば日本経済、国民経済にとっても必要条件だ、こういう立場からも、ひとつ企業人としての社会的な責任あるいは役割、同時に二十一世紀社会の日本の大きな施策の推進のために労働時間短縮というものを真剣にひとつお考え、お取り組みをいただきたい。こういう立場で、いろいろな中小団体、商工団体あるいは経営者団体等に対しましてもひたすらオルグを続けておると、こういう状況でもございます。
 労働時間の問題の指針と展望につきましては、ことしの夏以降を一つのめどとして、今基準局長のところでその作業日程を詰めておると、こういう段階でございます。
#65
○中西珠子君 ゴールデンウイークを連続休暇にということを御提唱になっているらしゅうございますが、これは議員立法か何かで出すという動きもある一方、非常な反対もあると聞いておりますが、見通しはいかがでございますか。
#66
○国務大臣(山口敏夫君) 御承知のとおり、労働省としては時短元年とは言いながら、性急な労働時間の調整というのは、逆に生き物である経済の活力をそいだり、また、流通業、中小零細企業等々たくさんございますので、全国の基準局を通じて、中小企業、商工業を行政指導で今進めておるわけでございます。
 幸い先生方のそういった御論議や各民間団体の連続休暇に対する要求もこれあり、先般衆議院で予算が成立する過程において各党間で減税要求等取りまとめの中に、労働時間短縮と連続休暇の問題が取り上げられた。私は、やはりこういう予算の修正過程においてこういった政策的な問題が、連続休暇とか時短の問題が与野党間の協議の中で検討するという項目が起こされたということは大変画期的なことだと思うわけでございまして、今政府の立場でございますので、その経過を期待を持って見守っておる。幸い、来週中に各党間で小委員会のメンバーを、委員の先生を決めていただいて、今週か来週にそういった時短の問題について協議に入ると、こういうことでございますので、その御論議を大変期待をして見守っておると、こういう状況でございます。
#67
○中西珠子君 欧米におきましては、御承知のとおり週四十時間というものがもう普及しているわけでございますが、日本の基準法におきましては一日八時間、週四十八時間ということで、そのほかにも特例が設けられておりますが、その特例でございます商業とかサービス業の小企業、そういったものの扱いというものはどのようになっておりますか。ことしの三月三十一日で一応撤廃され
るのではないかとひそかに望んでいたのでございますけれども、そうではなくて、来年どころか三年先まで一応持ち越すというふうなことが新聞に出ておりましたが、この点に関してはどういう取り扱いをなさるおつもりでいらっしゃいますか。
#68
○政府委員(寺園成章君) 労働基準法の八時間労働制の原則に対する特例につきましては、昭和五十六年以降段階的に廃止をしてきたところでございます。現在残っておりますのは、鉄道におきます一昼夜交代勤務の関係と、御指摘の十人未満の商業、サービス関係でございます。鉄道の一昼夜交代勤務につきましては実態調査をし、また労使の意向を十分お聞きいたしましたところ、何とか対応できるということでございますので、本年の三月三十一日をもって特例を廃止をし、原則に返っていただくという措置をとることにいたしております。
 十人未満の商業、サービスの関係についてでございますけれども、これにつきましては昨年の五月に実態調査をいたしました。その結果、八時間労働制への到達率は、過去の五十六年、五十八年に段階的に廃止をしてまいりました対象事業の到達率に比べますとかなり低い状況でございますし、また、経営基盤が弱いというようなこと、それから、この制度は罰則で担保をしていこうという制度でございますので、そのようなことを考えてみますと、本年の三月三十一日をもって直ちに廃止をするということはなかなか難しい情勢であろうという判断をいたしました。しかし、基本的にはこの暫定措置は廃止をしていくという方針でございますので、中央労働基準審議会の答申を得まして、労働省令を改正をいたしまして、その内容といたしましては、五―九人の商業、サービスにつきましては三年後に廃止をする。一―四人の規模につきましては、到達率は五―九人の規模に比べましてさらに低うございますし、また、小零細規模のために、時差出勤でありますとか、あるいは交代勤務というようなこともなかなかとりにくいという実情もそれなりに理解ができますので、これらの規模につきましては、六十三年の三月三十一日までにこの暫定措置の要否についてさらに基準審議会の意見を聞いて措置をするという措置をとることにいたしたわけでございます。
 いずれにいたしましても、これらの規模の基準法の関係につきましては、罰則で担保をするという制度はこういう措置をとるわけでございますけれども、いろんな行政手段を通じまして、行政指導を通じてできるだけ労働時間を短縮をしていくという行政指導は今後とも続けてまいりたいというふうに思っております。
#69
○中西珠子君 そういうことでありますと、六十五年前にILOが採択いたしました、一日八時間、週四十八時間制の第一号労働時間条約というものの批准もなかなかできそうもないという状況でございますね。いかがですか。
#70
○政府委員(寺園成章君) 一号条約で定めております基本的な部分につきましては、現在の我が国の労働基準法は条件は満たしておるというふうに思っております。
 ただ、労働時間制度はその国々におきます雇用慣行等々を背景としながら組み立てられるものでございますので、例えば我が国におきます時間外労働につきましては、終身雇用という慣行のもとに、景気変動に当たってはその時間外労働をもって対応をする、すぐに雇用には響かしていかないという雇用慣行がございます。その点はILO条約の第一号におきましては、公の機関で残業時間の上限を決めるということになっておりますが、その点につきまして我が国の基準法は適合をしないということでございます。また、変形労働制についても、条約と現在の基準法が一部適合しないというようなことがございまして、批准ができておらないということでございます。
#71
○中西珠子君 時間外労働につきまして、労働側でもやはり時間外労働をしたい、収入がそれだけふえるんだから時間外労働をしたいという気持ちがあるということは承知をいたしております。しかし、日本の時間外労働は、三六協定さえ結べば危険有害業務以外の男性は無制限に時間外労働をしてもよいというふうなことになっておりまして、これは国際的に非常に批判を受けているところでございます。
 おっしゃるとおりに、確かに終身雇用制のもとで雇用の調整の役目も果たしているということはある程度確かだと思うのでございますけれども、しかし、時間外労働の割り増し賃金というものが、外国ではほとんど、アメリカでも、それからイギリスは法制はないけれども労働協約に基づいて、その他のヨーロッパの先進工業国ではほとんど五割とか、十割とかという割り増しがあるんですね。日本は二割五分にすぎない。この点についてはやはりもう少し引き上げるべきだと思うんですが、労働大臣のお考えはいかがでしょうか。
#72
○政府委員(寺園成章君) 基準法上では、確かに先生御指摘のように三六協定はいわば青天井で決められるという形にはなっておりますけれども、基準法が考えておりますのは決してそのようなことではないというふうに私ども理解をいたしております。そういう観点から、残業時間につきましては、単に一日単位ということだけではなくて、週、月単位で決めるということを一つの柱にし、またそれの上限につきましても、目安時間というものをつくりまして指導をいたしておるところでございます。この目安時間につきましては、労使の御理解を得て、かなり浸透してきたというふうに私どもは理解をいたしておるところでございます。
 それから、割り増し率につきましては、割り増し率を上げろという御要望があることは承知をいたしておりますけれども、割り増し率を上げることが果たして残業時間を少なくしていくことにつながるだろうかということについてはいろいろ議論のあるところでございます。
 いずれにいたしましても、この残業時間の規制の問題あるいは割り増し率の問題は基準法の改正に絡まる問題でございまして、現在、労働基準法研究会で調査研究をお願いをいたしておるところでございます。この研究会は本年の夏ごろに最終報告をお出しいただくことを予定をいたしておりますので、その報告を受けまして私どもは所要の措置をとってまいりたいというふうに思っております。
#73
○中西珠子君 それではちょっと問題を変えまして、長野県でスキーバスの事故がございまして、死者が二十五名も出たということでございますが、この事故の原因は、三重交通の運転手の過酷な労働条件というものが原因の一つではなかったかというふうに私は考えているのでございます。
 このケースにつきまして、労働基準法の違反であったというふうな報道もございましたが、こういったバスとかトラックとかの運転手の労働時間、それから労働条件については二七通達というものがあるそうでございますが、この通達に基づいてどのように監督をしていらっしゃるのか、また、この二七通達の違背率というのはどのくらいあるのか、お聞かせ願いたいと思います。それで、このケースにつきまして、基準法違反としてどのような処置をおとりになったかということもあわせてお伺いしたいと思います。
#74
○政府委員(寺園成章君) 自動車運転者の労働時間等の労働条件の改善の問題につきましては、私ども、かねてから行政の重点課題の一つとして取り組んでおるところでございまして、五十四年の十二月にいわゆる二七通達と称されます「自動車運転者の労働時間等の改善基準」というものを策定をいたしまして、これに基づいて行政指導をいたしております。それで、一つの節目といたしまして、春、秋の交通安全週間におきまして重点的な監督をいたしております。
 この監督の結果の違背率でございますけれども、五十八年度におきます違背率は、トラック関係につきましては五一・八%、ハイヤー、タクシー関係につきましては五二・九%という状況でございます。一つの事項につきまして違背がありましてもカウントされるわけでございますので、このようなかなり高い率になっておるわけでござい
ます。
 ただ、この二七通達が策定をされました当時と比べますと、違背率は若干ではございますが下がっております。そういう意味では、徐々にではございますが、これら自動車運転者の労働時間の改善は進んできておるというふうに思っておりますが、まだ決して十分ではございませんので、今後とも力を入れてまいりたいというふうに思っております。
 それから、長野のスキーバス事故に関連する三重交通の関連の問題でございますが、事故発生後、現地の局、監督署が、三重交通につきまして労働基準法、それからいわゆる二七通達に照らしまして調査をいたしました。その結果、バスを運転していたと推測をされます運転者につきましては、労働基準法違反の事実は認められなかったわけでございますけれども、その他の運転者につきまして、時間外労働及び休日労働に関します基準法についての違反の事実がございましたので、三月十二日、検察庁に三重交通を書類送検をいたしておるところでございます。
#75
○中西珠子君 今、労働基準監督官は何名ぐらいいらっしゃるんですか。
#76
○政府委員(寺園成章君) 六十年度の労働基準監督官の定員は、三千二百二十二人にしていただくように予定をいたしております。
#77
○中西珠子君 ことし何名ふえるということですか、それは。
#78
○政府委員(寺園成章君) 大変厳しい行財政改革の中ではございますけれども、労働基準行政の柱として活躍をしてもらう労働基準監督官の増員につきましては、かねてから積極的に、かつ、熱心に取り組んできておるところでございます。
 四十九年以降毎年、監督官につきましては、この厳しい情勢の中ではございますけれども、三十人ずつの増員を認めてきていただいておるところでございます。
#79
○中西珠子君 日本はILOの八十一号条約、労働監督に関する条約を既に批准しているわけでございますね。それで、基準法の徹底的な遵守というものを行うためには、やはり基準監督官というものが十分な数がなくちゃならないと思いますし、財政難の中であっても必要な基準監督官は増員を要求していただき、また、私どももそれを支持するという方向に進みたいと考えております。
 ですから労働省は、その八十一号条約に基づきまして十分な基準監督官を確保するように努力していただきたいし、また、技術革新が物すごく進んでいく中で、基準監督官の訓練、再訓練というものをやっていただかないと、やはり技術革新に取り残されてしまって、いろいろわからないことが出てくるのではないかと恐れますので、そういった訓練の面でも大いにやっていっていただきたいと思います。労働大臣の御決意のほどをお伺いしたいと思います。
#80
○国務大臣(山口敏夫君) 行革等で人員削減いろいろ厳しい折ではございますけれども、中西先生からもそうした必要性を篤と御指摘いただきまして、その意に沿ってこの環境整備、また、訓練等につきましても十分努力をさしていただきたい、かように考えます。
#81
○中西珠子君 二七通達の中身なんですが、これはもう全面的にとは申しませんけれども、大体においてILOの一九七九年に採択いたしました百五十三号条約、すなわち、路面運送における労働時間及び休憩期間に関する条約の精神を体して二七通達をおつくりになったというふうにお聞きしているのでございますけれども、このILO百五十三号条約そのものの批准についてはどのようなお考えでいらっしゃるか、労働大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#82
○政府委員(寺園成章君) お述べになりましたとおり、現在の二七通達は、ILO百五十三号条約を踏まえて、基準法には規定がございません運転時間でありますとか拘束時間でありますとか、休息時間というものを盛り込んだ通達として出しておるわけでございます。
 ただ、百五十三号条約は、単に労働者に適用されるというだけではなくて、いわゆる一人親方でございますとか、賃金労働者でないその家族にまで適用対象を広げておる条約でございますので、現在の法体系の中では、我が国としては批准できないということでございます。
#83
○中西珠子君 過当競争のトラック運送業とかバス、タクシー、ハイヤーなどの業界で、やっぱり非常に人命を奪うような事故が多発しているわけでございますから、その業者には適用できない、自営業者には適用できない、そういう適用を求めているような条約は批准できないとおっしゃらずに、やはり百五十三号条約批准に向けて努力していただきたいと思うわけでございます。
 既に百五十三号条約批准の請願というものが国会に対して出ておりますが、これについては、これはトラック運転手の組合から出ているわけですが、そして署名運動を行って多くの人の署名を集めて請願を行っているらしいのでございますが、これについてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
#84
○政府委員(寺園成章君) 我が国は、ILO条約を批准いたします場合に、国内法制をILO条約との整合性を確保した上で批准をするという方針をとっておりますために、百五十三号条約は、先ほど申し上げましたような問題点がございますために批准が困難であるという現状でございますが、百五十三号条約の中に盛り込まれております内容につきましては、二七通達において整備し、それに基づいて行政指導を行っておるところでございます。
 特に問題の多いトラック、ハイヤー、タクシーの関係につきましては、二七通達で監督指導をするに当たりましての重点業種に指定をいたしておりまして、各地方局においてトラック、ハイヤー、タクシーの関係については非常に強力な行政指導をいたしておりますので、今後ともその方針で対処してまいりたいというふうに思っております。
#85
○中西珠子君 人命を脅かすような、そういう惨事、事故を防ぐためにも、労働者の労働条件の向上のためにも、労働時間の短縮のためにも、また、安全と健康のためにも、二七通達に現在は基づいて指導なさっていらっしゃるんですから、違背率も大変高いわけですし、どうぞ一層の労働基準監督を強化なさって御指導をしていただきますように強く要望いたします。
 それからILO条約ですが、日本の批准数はただいま三十七でございまして、百五十一の加盟国の中で三十五番目ですか、先進工業国としては余り誇るべき状況でもないわけでございまして、常任理事国の批准の平均数は五十七というところを見ますと大分劣るわけでございますが、今後ILO条約は国際的な最低の公正な基準として、批准に向けて大いに努力していただきたいと思いますが、いかがでございますか。労働大臣お願いいたします。
#86
○政府委員(谷口隆志君) ちょっと担当の局長がおらないようでございますけれども、ILOの条約の批准が、概して言いますとはかばかしく進んでおらないことは御指摘のとおりでございますが、この批准につきましての労働省なり政府の方針は先ほど基準局長が申し上げましたとおりでございますが、最近、労働団体を中心に関係の団体からも批准の促進について御要望もございまして、そういうことをもとに、ひとつ個別の批准していないILO条約についてどういう問題があるか、労使関係の方々にお集まりいただきましてその検討をしようということで、労使関係者にお集まりいただいて検討する場を設けておりますので、そういう場での検討をもとにできるだけ促進に向かって努力はいたしたいというふうに考えておるところでございます。
#87
○中西珠子君 フランスなどの例を挙げますと百七も批准しているわけでございますので、日本も先進工業国として多くの条約を批准していただきますように、どうぞ一層の御努力を強く要望いたします。――大臣、お答えいただきたいのでございますが。
#88
○国務大臣(山口敏夫君) 当然国際機関の一員と
して、そうしたまだ批准されてない問題につきましては、できるだけ批准すべく努力することは政府として当然でございますが、今労政局長からも申し述べましたように、国内法の整備でございますとか、いろいろ内部調整がまだおくれておるような問題もございます。そうした点も十分クリアしながら、基本的には批准案件を広げるべく努力する義務が政府にはあるという認識で考えております。
#89
○中西珠子君 どうもありがとうございました。
 別の問題でございますが、これ新聞報道によりますと、自治労の調査で学校給食の調理員の手の指が変形している。八人に一人が変形、女性で言いますと六人に一人の手指が変形しているということでございまして、自治労はこれを職業病としての認定を求めるという運動をするということだそうでございますが、労働省は、この点に関して独自に調査をなさる予定がございますかどうですか。また、職業病の認定の可能性につきましてお伺いしたいと思います。
#90
○政府委員(寺園成章君) 学校給食調理員のいわゆる指曲がり症と申しますか、この問題につきましては、私ども、新聞報道によってまず承知をしたわけでございますが、新聞報道がございました地方局に調査をまずさせまして、その調査をまた全国に流しまして、全国的にこのような事例があるかどうかという情報の収集に当たったわけでございます。その結果といたしましては、岡山県におきまして指曲がり症状を持つ者が十数名あるという報告は参っておりますが、その他の府県についてはそのような事例はないという報告が参っておるところでございます。
 この指曲がり症がいわゆる業務上の疾病であるかという問題につきましては、まだ専門家の間でこの症状と業務との関係について明らかにされておらない現状でございます。したがいまして、私どもといたしましては、今後とも実態の把握に努めますとともに、知見の集積に努めてまいりたいというふうに考えております。
#91
○中西珠子君 もっと徹底的な調査をしていただきたいということと、専門家による究明、そういうものをお願いしたいと思います。よろしいですか、やっていただけますか。
#92
○政府委員(寺園成章君) 情報の収集は当然のことながらその収集についての努力を進めてまいりますし、知見の集積についても、今後専門家のお知恵もかりながらやってまいりたいというふうに思っております。
#93
○中西珠子君 高齢化社会に向かいましていろいろな問題があると思うのでございますけれども、六十歳台の前半層の雇用就業対策に力を入れるということを労働大臣は所信表明の中でおっしゃっておりますが、具体的にはどのようなことをお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
#94
○政府委員(加藤孝君) 今後、六十歳台前半層のところで非常に人口がふえてくる、労働力人口がふえてくると、こういうような見通しになっておるわけでございます。これは、六十歳台前半層もまさに人生八十年時代の中で非常に元気な方が多いわけでございまして、たとえ定年等でやめた後でも、なおいろいろそれぞれの体力、能力に応じて、あるいはまた資産等の事情によって働きたいと、こういう方がおられるわけでございます。
 しかし、こういう方について一律に定年延長というのは、これは非常に個人差がございますので難しくなってきておるわけでございまして、それぞれの方々の事情に応じた多様な就業ニーズがあるわけでございます。それに応じた対策を講じていくことが必要である、こういうことで、一つは同一企業あるいは同一グループ内での六十歳を超える雇用延長制度、こういったものを促進していきたい。その中には、フルタイムの雇用ではなくて半日交代であるとかあるいはまた一日交代であるとか、こういうような短時間勤務形態のものも含んでそういう雇用延長を制度化していきたいと、こんなふうに考えておりまして、そのための助成金制度も設けておるわけでございます。それからまた、こういう短時間勤務者でも雇い入れをしようというようなことであれば、その雇い入れをする事業主の方にも助成金制度を設けましてその活用を促進していく、こんなことを考えております。
 さらにまた、自分の働きたいときに働きたい、こういういわゆる任意就業を希望する方に対しまして、短期的、補助的な仕事を提供するためのシルバー人材センターというものの育成援助を図っていきたいということで、三百三十というのをさらにことしは二十五ふやしていきたい、こういうようなことでおるわけでございます。さらにまた、いわゆる高齢者会社的なものについての検討であるとか、あるいはまたこういう六十歳台前半層についてのいろいろ企業で試みられておりますようなものをいろいろ今ヒヤリング等もいたしておりまして、そういったものについて具体的に六十歳台前半層の就業対策の体系として何かまとめていきたい、こんなような観点から、現在中央職業安定審議会の基本問題小委員会というところで御検討をいただいておるわけでございまして、そういったところの検討がまとまりますれば、そういったものについてのさらに制度化へ向けての努力をしていきたい、こんなふうに考えておるところでございます。
#95
○中西珠子君 六十歳定年制というものの普及率もいまだしというところでございますし、せっかく労働省が奨励なすっているのですけれども、なかなか企業の方の対応もいまだしということですし、今お聞きして、去年から始まっているということだと思いますが、六十歳台前半層の短時間勤務というものに対する助成ということもなすっているし、いろいろお考えで実施もお始めになっているわけですが、就労対策の体系化というものを急いでいただきたいと御要望申し上げますと同時に、年金の支給開始年齢が段階的に六十五歳に引き上げられるということでございますので、その六十歳台前半層の就業対策というものは本当に重要であるし、また、段階的にというか、漸進的に年金生活に入っていくというプロセスを経るということは大変重要なことだと思いますので、今の御施策を推し進めていっていただきたいということを御要望いたします。
 それと同時に、やはり老人対策というものは非常に総合的な見地からやっていただかなくちゃならないと、いつもその必要性を感じているのでございますが、この間厚生大臣の所信表明の中に、労働省と定期協議を始めたというのがございまして、これは大変結構なことだと思ったわけでございます。それで労働省の方では所管の対策、ことに雇用就業対策というものをお考えいただきたいし、それがやはり年金の問題とうまくリンクするようにお考えいただきたい。それからまた、保健医療、老人介護の問題、それからまた老人の施設の問題、またひとり暮らしの老人の住宅の問題、そういったふうな問題もすべて統合的に政府としては考えていただきたいということで、私は本当にこの必要性を何度申し上げても足りないぐらいだと思っているわけでございますが、定期協議をいつごろからお始めになったのか、また、その内容につきましてはどういうことをテーマとしてなすっていらっしゃるかについてお話し願えればと思いますが、いかがですか。
#96
○説明員(岡部晃三君) これは、両省の大臣が発案をなさいまして、世界にも類を見ない高齢化社会に到達するわけでございますので、高齢者の所得、就業、健康、生きがい、各般の問題につきまして、政府全体一丸となって、特に厚生、労働両省におきまして共通の認識を持って対策を講じたいということでございます。
 連絡会議は昨年の十二月十九日にその初会合を開きまして、両大臣、それから各省の事務次官、あるいは関係部局長集まりまして会議を開催いたしまして、今後とも適宜協議を続けるという予定に相なっております。
#97
○中西珠子君 ともすればセクショナリズムに陥りがちな行政でございますから、そういった点を克服なすって、そして緊密な連携をおとりになって、総合的な高齢化社会への対策をおとりいただ
くようにお願いしたいと思います。労働大臣の御決意のほどを伺いたいと思います。
#98
○国務大臣(山口敏夫君) 中西先生御指摘いただきましたように、各役所それぞれは大変な機能と役割を果たしていますし、能力のある官僚政策集団としての活動もしているわけでございますが、ややもすると、縦割り的な行政の弊害というものも確かにございます。そういう意味で、特に高齢化時代というのは、老人問題だけではなくて、若い人の負担の問題等の問題も含みまして幅広い問題認識と論議が必要だ。
 しかし、特にその中におきましても、厚生省と労働省が八十年時代に備えて協議すべき課題はたくさん山積しておる。政策部長からも今御説明いたしましたような問題点を中心として、ぜひこの論議を高めて、そして、既にもう論議の段階でない、実行に移すべき問題もたくさんあるわけでございますから、そうした問題を一つ一つこれを実現すべく推進をしていく、そういう両面の立場からこの二省間協議をひとつ大事にしていきたいというふうに考えますし、こういうスタイルが、各省がそれぞれ問題点を共有する形で、いい形でこれが推進をされていくということもこれからの行政にとって大切なことだというふうにも考えておりますので、ぜひこれを実のある形で成功させたい、かように考えております。
#99
○中西珠子君 よろしく、総合的な対策をお立てになる、そして推進なさるように、政府にお願いいたします。
 それから、ちょっと問題が変わるのでございますが、長い間日本政府は、それこそ二十数年来、公務員の労働基本権の制約の代償措置は人事院であり、人事院勧告であるということをILOの場で国際的に繰り返していらしたわけでございますが、五十七年来、どうも人事院勧告は、凍結されてみたり不完全実施されてみたりという状況でございます。そういう状況が続きますと、人事院が労働基本権制約の代償措置という機能を果たさなくなるのではないかという心配が非常にあるわけでございますが、労働大臣は、この点に関してはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
#100
○国務大臣(山口敏夫君) ここ数年大変厳しい財政事情の中におきまして、政府としても、公務員の労働基本権制約の代償措置と、こういうことでもございますし、その完全実施へ向けて大変苦慮しておったところでございますが、やはりこうした問題が公務員の仕事を進める上におきましての大きな士気の喪失にもつながりますし、何よりも生活権の問題でもございます。また、国際機関からも、そうした不完全実施という状況が指摘をされ、問題にもなりつつあると、こういうことでもございまして、政府といたしましては、官房長官談話に集約されますような見解で、完全実施に向けて最大限の努力をする。特に労働省といたしましては政府部内で完全実施を強く要求してきたところでもございますけれども、ことしはそうした問題点に立って、ぜひとも完全実施に向けて取り組みたい、かように考えておるところでございます。
#101
○中西珠子君 政府の中でせめて労働省だけは、憲法で保障された労働基本権の制約の代償措置である人事院勧告の完全実施というものを、今大臣がおっしゃったように生存権を脅かすものでもあり、労働基本権というものの制約というものを代償する措置というものは何とか生かしていかなければいけないという立場で、完全実施というものを主張していただくように強く御要望いたします。それで、今大臣もおっしゃいましたので、そのお言葉を心にとめて、また大いにこれからも頑張っていただきたいという御要望を重ねて申し上げます。
 ちょっと問題が変わってまいりまして、機会均等法についてお尋ねをしたいわけでございます。
 ILOの百二十三号勧告というのがございますね。これは「家庭責任を持つ婦人の雇用に関する勧告」というのでございますが、この勧告は一九七〇年ごろから大変評判が悪くなりまして、というのは、これは、婦人だけが家庭責任を負っているという前提に立った勧告であるからけしからぬということでこの勧告の見直しが行われまして、そして、一九八一年にこれが廃棄されて、家庭責任、家族責任を持つ男女労働者の機会均等と待遇の平等を促進するための条約、百五十六号条約でございますが、これが採択され、同じ名前の百六十五号勧告が採択されたわけでございます。
 私どもは、長い間、勤労婦人福祉法というのはこの百二十三号勧告、既に廃止になった勧告に基づいてこの精神を生かしてできたものだと考えていたわけでございますが、今回我々は、男女雇用平等法という単独立法を期待していた、また、これまでの審議会とか男女平等問題の研究会とか労働基準法研究会とか、そういったところでは、男女平等法という雇用上の平等法という単独立法が出てくると思っていたところが、この百二十三号勧告に基づいた勤労婦人福祉法の改正案となって出てきたというところで、非常にたくさんの働く婦人を驚かしたわけでございますね。
 なぜ勤労婦人福祉法の改正案という形をおとりになったのかということについて御説明を願いたいと思いますが、いかがですか。
#102
○政府委員(赤松良子君) 長い間労働基準法の研究会あるいは婦人少年問題審議会、その中での男女平等問題専門家会議等、男女の雇用機会の均等につきましては多くの方々に御審議を願ってきた問題でございますが、そのような審議の過程の中で、立法形式をどうするかというようなことにつきましては、これはすぐれて私どもの責任においてやることではないかというふうに考えておりましたので、形式そのものについてお諮りしたり、あるいは御審議を願ったりしたことはかつてなかったように記憶をいたしております。
 それで、立法いたします場合に、新しい法律をつくるという方法と、既にある法律を改正するという方法があるわけでございますが、どの方法をとらなければならないかということは、原則というものはないように存じます。そのときの立法技術上の便宜とか必要性とかというようなものを考えて新しい法律をつくってもいいし、既にある法律を改正するという形式をとっても差し支えないように考えております。
 そこで、勤労婦人福祉法を改正するという形をとったわけは、この法律が、先生先ほど御指摘の百二十三号勧告との関連は、その立法された時期から申しましても、その理念の一部を受け持っているということは否定はいたしませんが、しかし、百二十三号勧告そのものの法制化でないことはもちろんでございまして、いわば勤労婦人に関する基本的な法律、基本法的な性格を持つ法律であったというふうに考えている次第でございます。
 また、その中で「基本的理念」として書かれておりました文言の中には、先生も御承知のように、女子労働者、これは旧法では「勤労婦人が」となっておりますが、「勤労婦人が」「母性を尊重されつつしかも性別により差別されることなく」という文言がはっきりと書かれているわけでございまして、この点は先ほど御指摘の百二十三号勧告のそのままではないということもこれは明らかにしていると思うわけでございまして、機会均等という理念をはっきりと打ち出している、既にそういう内容を持った法律であったわけでございます。
 そして、その中に盛り込まれておりました規定も、それでは今日既にもう時代おくれになったから捨て去っていいものかどうかということになりますと、私どもはまだそういうことではなくて、勤労婦人福祉法の中に規定されておりますものが今日なお生きて、例えば育児休業の問題などをとりましてもそうでございますが、今日なおその趣旨を生かして実現に移した方がいいと思われるものもいろいろあるわけでございます。そこで、その既にある法律に全く新しい部分をつけ加えまして、立法技術といたしましては法律の改正という形をとった次第でございます。
#103
○中西珠子君 勤労婦人福祉法の改正という形をおとりになった理由は御説明を聞いてわかりまし
たけれども、しかし私は、雇用上の差別をなくすという目的にぴたっと沿った法律とは思えない。といいますのは、第一条「目的」においても、第二条「基本的理念」においても、差別とはどういうものかということが少しも明記されていないし、それから婦人の労働権は基本的な人権であるということもはっきりと書いていないわけでございますね。
 それで、とにかく第二条「基本的理念」におきましては、「女子労働者が、母性を尊重されつつしかも性別により差別されることなくその能力を有効に発揮して充実した職業生活を営み、及び職業生活と家庭生活との調和を図ることができるように配慮されるものとする。」と、こう書いてあるわけです。「配慮されるものとする。」というのは非常に恩恵的であって、当然基本的人権である婦人の労働権を認めていないという批判が働く婦人の中からあるわけでございますが、この点に関してはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
#104
○政府委員(赤松良子君) 差別の定義についてでございますが、私どもは、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の第一条に掲げられている差別の定義というものは国内的にも当てはまるものだというふうに考えておりまして、条約の差別と国内法の差別とが違う概念だというふうには考えておりません。
 また、第二条の「基本的理念」が、最後が「配慮されるものとする。」というふうになっているわけでございますが、内容的に「母性を尊重されつつしかも性別により差別されることなく」という文言がはっきり書かれているということでその理念は明らかになっているものと考えます。
#105
○中西珠子君 男女差別というものはいけないものだということは、これは憲法にはっきり書いてあるわけでございますね。それで、差別というものの概念については条約にも規定してあるし、それから憲法上保障されている婦人の労働権、職業選択の自由というものは、やはりこの雇用上の男女差別をなくす法律にはもう一度繰り返しはっきりと明記していただきたいと考えるわけでございますが、とにかくこの法律の目的と基本理念では、憲法的な視点も少し欠けているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#106
○政府委員(赤松良子君) この法律の目指すところと日本国憲法の目指す法のもとの平等という点につきましては、何らの違いもないと思います。
#107
○中西珠子君 何らの違いがなければ結構なんですけれども、しかし、憲法はやはり私法上のケースには直接には本当に援用ができないということでございます。しかし、雇用上の差別をなくすための法律というものが、今は労働基準法の第四条の賃金における性差別の禁止というものと、それから職業安定法の第三条の均等待遇以外にはないわけでございますね。ですから、やはり今度御提出になった機会均等法の中でも、憲法上の男女平等の原則というものをはっきりとうたっていただきたいと思うのです。それでないとこれから先、この非常にやわらかい、あいまいな優しい定義では、現在雇用上にいろんな差別があるということはこれは一種の違憲状態であるわけなんですけれども、これをなかなか排除することができないという状況にあるというときに男女差別をなくす機会均等法というものができるのでございますから、やはりその中で、憲法上言っているからいいんじゃないか、憲法に従っているからいいんじゃないかということではなく、やはり婦人の基本権として労働権を確立していただきたいし、差別はあってはならないということをはっきり明記していただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#108
○政府委員(赤松良子君) 憲法上の法のもとの平等と、この新しい法案の目指すところが同じだということを申し上げたつもりでございますが、もちろん憲法は、国、政府と国民との間の権利義務でございまして、私人間の権利義務を規制するものではございません。それに反しまして、この法案は私人間、もとより企業と労働者との関係を規制するものでございまして、より具体的に個々の事項に分けて規定をしているわけでございまして、憲法よりもはるかに具体的に雇用の場における男女の機会の均等を推し進めようとしているものであると御理解願いたく存じます。
#109
○中西珠子君 それではここはちょっと留保いたしておきます。
 次の問題に移りますけれども、婦人差別撤廃条約、政府は女子差別撤廃条約というふうにお変えになったけれども、その条約の第二条におきましては、婦人に対するあらゆる形態の差別は立法その他適当な措置によって禁止しなければならないというふうになっているわけでございますね。ところが、この均等法の条項を見ますと、最も大事な募集、採用、配置、昇進という点で差別は禁止ということにはなっていない。強行規定になっていない。使用者側の努力義務規定になっているわけでございます。これはどういう理由からですか。
#110
○政府委員(赤松良子君) 条約との関係におきましては、この法案が雇用における差別をなくすための適当な方法をとっている、しかも条約の中で制裁を科して禁止すべきだとしている項目については明らかに制裁を科しておりますので、条約との関係も十分満たしているというふうに考えております。
#111
○中西珠子君 私はあと一分しかないそうなので、これは継続してまた御質問をしたいと思うわけでございますけれども、条約との関係においては、私はどうも疑問がございます。むしろ、とにかくすべて雇用の入り口から出口まで禁止規定にするべきだと考えているんですけれども、この点において、ガイドラインに基づいて批准をした場合には報告をお出しになるということになっておりますが、禁止規定でないという点について御報告をなすって説明をなさるのが大変難しいのではないかと実は考えているわけなんですね。
 それからもう一つは、行政的な救済措置ですね。これは婦人が差別されたときに、迅速で低廉で、そして効果的な救済措置というものが必要だということが長い間の婦人の願いでありました。今回均等法において出してこられました救済措置というものは、実効性が余りにもなさ過ぎると考えているわけでございますが、この点に関しても、もう時間が来ましたので、この次の機会に局長、大臣のお考えをお聞きしまして、そして条約との関連を追及さしていただきたいと思うのですが、私の時間がアップになりましたので、まことに残念ながら、ここで一応継続ということにさしていただきます。
#112
○安武洋子君 私は、きょうは労働時間の短縮の問題についてお伺いをしてまいります。
 まず最初に、我が国の労働時間の現状がどうなっているかということを見てみたいわけですが、ここに私は労働省から資料をちょうだいいたしました。これは、年間実労働時間、こういうことで、製造業生産労働者推計値ということで書かれてございます。これは、見てみますと一九八三年、二年前ですが、日本の年間労働時間二千百五十二時間でございます。そしてアメリカが千九百八時間、西ドイツ千六百三十二時間、イギリス千九百三十七時間、フランスが千六百五十七時間、こういうふうに二千時間を超えておりますのは日本だけでございます。そして一九七八年の統計も出ておりますけれども、この一九七八年の日本の労働時間は二千百三十七時間、一九八三年が二千百五十二時間ですから、五年前に比較をいたしますと、当時の日本は現在よりも十五時間労働時間が短かった。逆に言いますと、五年間で十五時間も労働時間が長くなってきたということです。一方、アメリカ、西ドイツ、イギリス、フランス、この四カ国はすべて短縮をされております。フランスなどは百十五時間も短縮をされている。こういう中で日本のみが逆行している。この点間違いないかどうかまず確認をさせていただきとうございます。
#113
○政府委員(寺園成章君) 我が国の労働時間は、長期的に見ますと減少してまいってきておりますが、最近の経済の状況を反映いたしまして、特に
所定外労働時間が延びたことによりまして、総実労働時間の減少傾向に停滞があるということは事実でございます。ただ、所定内労働時間を見てみますと、これにつきましては着実に減少をしてきております。
 なお、国際比較でございますけれども、国際比較をいたします場合にはいろいろな制約がございます。したがいまして、できるだけデータのベースを合わせて推計をいたしました私どもが持っております一九八二年の製造業生産労働者につきましての数字を申し上げますと、我が国の場合は、所定内労働時間が千九百四十五時間、所定外が百九十一時間、総実労働時間が二千百三十六時間。アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランスについてはそれぞれ総実労働時間だけを申し上げますが、アメリカにつきましては千八百五十一時間、イギリスにつきましては千八百八十八時間、西ドイツにつきましては千六百八十二時間、フランスにつきましては千七百七時間ということでございます。
 総実労働時間を比較いたしますと、日本はこれらの諸国に比べてはやや長目であるということでございます。
#114
○安武洋子君 これは、私は労働省から資料をいただいて、そして数字を挙げさせていただいたわけです。一九七八年と一九八三年を挙げてこれで確認をしているのに、あなたはなぜわざわざ一九八二年の数字をおっしゃったりするんですか。まずそれがおかしいですよね。
 そして、私はこのおたくの資料で、総労働時間、年間実労働時間の確認をさせていただいている。私は何も時間外、所定時間内、このことを言っているんではありません。ということは時間外が多いということであろうと思いますけれども、私が確認したことに対してちゃんと答弁をしていただきたい。いかがですか。
#115
○政府委員(寺園成章君) 私どもが現在持っております一番新しい国際比較の数字は、一九八二年の数字を持っておりまして、一九八三年の推計についてはまだ完成をいたしておらないということで、最近時点の、一九八二年の数字を先ほど申し上げたわけでございます。
#116
○安武洋子君 私の持っている資料の出所は、労働省毎月勤労統計調査でございますが、おたくにこれがないんですか。
#117
○政府委員(寺園成章君) 今申し上げましたのは、国際比較をいたします場合には年次を合わせて国際比較をしないと意味がないわけでございますので、国際比較をいたします最近時点の国際比較年次は一九八二年であるということを申し上げたわけでございます。
 日本の労働時間につきましては、毎勤で出ております五十九年の年間の総実労働時間、これは調査産業の計でございますが、二千百十六時間ということになっております。
#118
○安武洋子君 一九八三年の日本の年間実労働時間が二千百五十二時間じゃないとおっしゃるんですか。労働省が出された資料が違うと言うんですか。
#119
○政府委員(寺園成章君) 先ほど申し上げましたのは、調査産業計の数字を申し上げましたけれども、二千百五十二時間というのは、製造業の生産労働者についての数字はそのような数字になっております。
#120
○安武洋子君 だから私が一番最初にそのことも断って、製造業の生産労働者の推計値ということで質問申し上げているんです。ですから、この数字を最初からお答えくだされば問題はないわけなんです。
 それで、この数字ですけれども、これは日本が年間二千百三十七時間ですから、これを基準にして考えてみますと、労働時間を月数に直してみる、こういうことをしますと、アメリカに比べまして一・四一カ月、西ドイツに比べまして三・八二カ月、イギリスに比べまして一・三三カ月、フランスに比べまして三・五八カ月、これだけたくさん働き過ぎているというふうなことになろうかと思います。
 細かい数字を言うと、またいろいろごじゃごじゃおっしゃると思いますが、先進国の中で最も長い労働時間である、このことだけは間違いないと思いますが、いかがですか。
#121
○政府委員(寺園成章君) 労働時間は、それぞれの国の社会慣行あるいは労働慣行によって枠組みが決められると思いますが、単に数字だけを比較いたしますと、アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランスに比べて日本の総実労働時間は長いということは事実でございます。
#122
○安武洋子君 時間のみを問題にしているわけですから、時間のみで答えていただければいいわけです。
 労働省は、「週休二日制等労働時間対策推進計画 昭和五十五年十二月」、これを出してなさいます。これはもう破棄をされたんですか。それともまだこれを推進するお立場なんでしょうか。それが第一点です。
 それから、この中には、六十年度中に年総労働時間二千時間、この二千時間を切るということを目標にされております。これは実現できるのでしょうか、お伺いいたします。
#123
○政府委員(寺園成章君) 週休二日制等労働時間対策推進計画は、昭和六十年度を一つの目標にした計画でございますので、現在生きております。
 その計画の中では、欧米主要国並みの水準に近づけることを労働時間短縮の目標といたしまして、標準的な生産労働者の平均的、一般的な水準として、年間総実労働時間が二千時間になるという姿を想定したわけでございます。
 我が国の労働時間は、先ほども申し上げましたように長期的には短縮をしてきておりますけれども、最近の経済情勢を反映をいたしまして短縮のテンポは鈍化をいたしております。昭和五十九年の年間総実労働時間は、先ほど申し上げましたが二千百十六時間、これは調査産業計でございますが、そういうことになっておりますので、このような状況から見ますと、この推進計画が一般的、平均的な姿として描いておる生産労働者の二千時間という姿の達成は厳しい状況であるというふうに認識をいたしております。
#124
○安武洋子君 逆に五年で十五時間も延びているわけですからね。
 それで、先進諸国の中だけでなくて、国際的に見てみましても国際的な流れがどうなっているか、その中で我が国はどういうふうな現状であるかというふうなことを見てみますと、この問題についての政府の姿勢というのがはっきりすると思うんです。
 一九八四年にILOの第七十回総会に提出されております労働時間に関する報告の中で、前回の一般調査以降に進歩のあった諸国、すなわち一九六四年の年次休暇、一九六七年の労働時間、これと現在、というのは一九八四年ですけれども、比較して、進歩のあった諸国を報告いたしております。労働時間の短縮とか年次有給休暇で前進ということでここに報告されている国は何カ国ございますか。
#125
○政府委員(寺園成章君) 五十八カ国でございます。
#126
○安武洋子君 五十八カ国というのは、二十年間で年休とか労働時間を法制度的に前進をさせてきた、短縮させた、そして年休をふやしてきた、こういうことなんです。
 この五十八カ国の中に日本は入っておりましょうか。
#127
○政府委員(寺園成章君) 五十八カ国の中に日本の名前は入っておりません。
#128
○安武洋子君 自慢できることじゃなくて、大変残念なことなんですね。これは、二千時間を切る、労働時間を短縮させる、こういう目標を掲げながら逆行してきたということは、私は財界の意向に屈したからではないか、こういうふうに思うんですけれども、労働大臣、その点いかがでございましょうか。
#129
○政府委員(寺園成章君) 労働時間の短縮につきましては、労働者生活の向上、あるいは長期的に見ました雇用機会の確保、さらには国際協調とい
うような視点を踏まえまして、かねてから行政の重要課題の一つとして取り組んできたわけでございます。
 長期的に見まして時間短縮は進んでおるというふうに認識をいたしておりますが、最近の状況は先ほど来申し上げておりますように、経済情勢を反映をいたしましてやや停滞ぎみであるということでございます。引き続き時間短縮については努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#130
○安武洋子君 五十八カ国が大きく前進させている中でそのようなお答えというのは、長期的に前進させているんだと、短縮してきているんだということにはならないんじゃないですか。五年間で十五時間も延びているんです。
 私がなぜそんなことを申し上げるかといいますと、一例でございますが、労働基準法研究会の中間報告に対する意見ということで、昭和五十九年の十二月に東京商工会議所が文書を出しております。この中で、「法定労働時間を弾力化することは賛成である。」が、「報告が具体的に提案している「一日九時間」の法定労働時間については、」「同程度の弾力化では不十分である」、「一日の法定労働時間を全面的に弾力化」せよと、こういうふうなことを言っているわけです。それから日経連の主張でございますが、六十年二月七日の日経連タイムスです。ここでも、「「時短」のみが正しいのか」と、こういうふうな主張を掲げまして、「時短のみが正しいという哲学は、いつでもまかり通るわけではない」、こういうふうなことを言っております。
 労働時間短縮の対策を掲げておりながら、逆に労働時間がふえるという背景には、私はやっぱりこのような財界の意向が働いているんではないか。そうでないとするなら、私は財界の意向に屈することなく時短を強力に進めるべきだ、こう思いますけれども、労働大臣の御所見をお伺いします。労働大臣答えてくださいよ。
#131
○国務大臣(山口敏夫君) 今安武先生御説明いただいたように、労働時間短縮の問題については、使用者側もまだ大変慎重な構えに立っておるということは御指摘のとおりでございます。しかしこれは、経営者側のみならず労働者側におきましても、いわゆる就業規則の中で、労使協約の中で認められておる年次有給休暇、こういう問題の完全消化というものがなかなかこれも達成されておらない。
 労働省といたしましては、先生御指摘のように高齢化時代、あるいは労働摩擦、また労働者のいわゆるよく働きよく学びよく鋭気を養う、こういうライフスタイルの立場からも、特にME化に伴うそういった労働時間短縮というものは政策的にも取り上げなければならないし、また労働条件の改善の立場からもこの実現を進めていかなければならないということで懸命な努力を進めておる最中でございますが、率直に言って労使双方からもいろいろその問題認識の、いわば意識革命とも言えるような一つのお取り組み、御理解をいただきませんと、実情はなかなか進まないという場面もあるわけでございます。
 そういう中で、今基準局長が再三御答弁申し上げておりますように、労働省としても時短元年といいますか、もう既に今までの経過を踏まえて、ことしはさらに労働時間短縮。また、それを一年のトータルとして進めるための連続休暇の拡大の中でこれも取り入れる。例えば週休二日制の拡大とか、いろいろの施策の選択肢のトータルとして労働時間短縮と、こういう経過になるように、今懸命に努力をしておる、こういうことでございますので、一層の御理解とまた啓発等についても御協力を賜りたいと思う次第でございます。
#132
○安武洋子君 私は財界の意向を、こういうふうに掲げているよということをお示しして、こういう意向が働いているからこそ労働時間が延びてきたんじゃないか、そういう意向に屈しないで労働省としてやっていただきたいと。だから、私どもにお願いしますとかそういうことじゃないということで、労働省としてはどういう決意を持っておられるのか、そこのところを重視して聞いております。
#133
○国務大臣(山口敏夫君) これは別に先生にお願いするわけじゃなくて、国民の皆さん方、特に労働者の方も含めて、労働時間短縮という問題については、これはやはり二十一世紀社会の展開の中で国民的な課題としても労働時間の問題はやはりみんなで取り組んでいかなければならない問題だ。そういう認識がございませんと、政府が幾ら笛吹けど踊らずじゃございませんけれども、労働時間短縮という問題はなかなか促進されないという側面があるということを私は申し上げたかったわけでございます。
 もちろん労働省としては労働政策の一つの主要な柱として、それから国際社会からのいろいろな問題、また、我が国の労働者の労働福祉の問題自体からいってもこれは極めて真剣に取り組まなければならない一つの問題である。したがって、その時短の展望と指針というものも今労働省として作業をしながら、大いに国民の皆さんに御理解をいただくべく、啓発啓蒙と同時に、基準法研究会等においてもいろいろ御論議をお願いをしておる、こういうところでございます。
#134
○安武洋子君 大臣、御答弁が長過ぎるのね。そしてその中身がね。これは、財界が労働時間の時短を阻んでいるということで、労働者が阻んでいるんじゃないんですよ、みんなでやろうというんですよ。これはそういう阻む意見を出している財界に向かってちゃんと言っていただきたい。
 また御答弁をいただくと長くなるので次に進みますけれども、先進諸国というのは、これは労働時間が本体が短いんですよ、週四十時間で週休二日と。その上に時間外労働も厳しく規制がされているわけなんです。ILOの報告によりますと、西ドイツは年三十日について日二時間、それからイタリアは日二時間、週十二時間、フランスは最大限日総労働時間で十時間、週総労働時間で四十八時間、年間時間外労働百三十時間と、このようになっていると思うんです。これはいかがですか。
#135
○国務大臣(山口敏夫君) 御迷惑でももう一回答弁させていただきたいと思うんですけれども、例えば、例が適当かどうかわかりませんが、長野県のスキーバスの問題も、これは私は固定給が少なくて、そしていわば時間外労働という立場で、これが過重労働につながっているんじゃないか、こういう心配もしたわけでございますけれども、実情はむしろそういうことではなくて、やっぱり時間外労働の問題についてもかなり労働者側の強い意思といいますか、意欲もこれあり、どちらかといいますとそういう長時間労働という実態がなかなか是正されない、こういう実情にある。したがって、先生の御指摘いただいているように、経営者側に対する時短への取り組みを啓発すると同時に、これは全体として考えていかなきゃならないということが一つ。
 それからいま一つは、先ほども御説明しましたように、フランスの労働時間短縮の問題も、その法制化によって逆に失業が二%もふえてしまった、こういう実情でございますので、要は、労働時間短縮というのは、やっぱり労働者の福祉と雇用の安定のために必要な環境整備ということでございますから、少し段階的にこの改善に取り組むということもひとつ御理解をいただきませんと、なかなか労働時間短縮の問題は解決しない、かように考えます。
#136
○安武洋子君 時間がないんだから、さっきの答弁してください。
#137
○政府委員(寺園成章君) 先ほどお述べになりました、ILOの七十回総会に提出されました資料の中に、そのような記載があることは事実でございます。
#138
○安武洋子君 大臣の御答弁、本当にけしからぬと思うんです。私もっと申し上げたいけれども、今いないからね。いないというのもけしからぬです。
 私、申し上げたいのは、労働時間、これが本体
が短い。その上に時間外労働も厳しく規制している。それなのに、我が国は全く逆じゃありませんか。労働基準法を改悪して女子の時間外労働の規制を緩和するという。世界の流れに逆行じゃありませんか。私は女子労働者が怒るのも当たり前だと思いますけれども、いかがですか。
#139
○政府委員(寺園成章君) 今お述べになりました問題は、労働時間一般の問題というよりも、現在参議院で審議をいただいております男女雇用平等法に絡まる問題であろうかと思います。
 したがいまして、労働時間法制全体の問題といたしましては、現在労働基準法研究会で検討をお願いいたしておりますので、その最終結論を待って対応をいたしたいというふうに思っております。
#140
○安武洋子君 世界が、本体の労働時間も短い上に時間外も厳しく規制している。全く逆行することをやって女子労働者が怒らないというふうに思われるかどうか、そこのところをきちっと御答弁していただかないと、だれも先ほどの御答弁のようなことは聞いておりません。
 私は、政府がとるべき方針というのは、これは男子労働者も含めまして全労働者の労働時間を短縮する、そして、時間外労働、深夜労働を厳しく規制する、こういうことをやらなければならないと思うんです。おたくたちが雇用機会の均等とか云々とか、私はこれは法案審議のときに申しますけれども、同一基盤同一条件と、こういうふうに言うなら、全労働者の時間外労働を規制する立場をとるべきなんです。それで国際的な流れにやっと沿える。現行の女子の規制でやっと国際並みじゃありませんか。こういうふうにやるべきだと思いますが、いかがですか。
#141
○政府委員(寺園成章君) 労働時間はそれぞれの国の社会慣行あるいは雇用慣行の中から枠組みができ、また、実際の労働時間が決められるということであろうかと思います。我が国の時間外労働につきましては、基準法上は上限規制はいたしておりませんけれども、行政指導といたしましての一つの目安時間は定めております。また、制度といたしまして、我が国の終身雇用制という雇用慣行から見ます場合に、雇用調整的な機能を時間外労働が果たしておるということも事実でございますので、現在の制度というのはそれなりの理由があるというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、この労働時間についての法制をどのようにしていくかということにつきましては、現在労働基準法研究会で研究をお願いをいたしておりまして、その結論がことしの夏にはいただけるものというふうに思っております。その結論をいただきましたところで、私どもとしての対応をしてまいりたいというふうに思っております。
#142
○安武洋子君 委員長、大臣がいないんです。私は大臣が席外してもいいなんて了承しておりません。大臣がいないので質疑できません。帰るまで待ちます。――質問者の了解を得て行ってください。
#143
○国務大臣(山口敏夫君) はい。
#144
○安武洋子君 ILOの一号条約、これも話が出ておりましたけれども、一九一九年の第一回の総会で採択された、六十六年前。これすら批准ができていないわけですね。結局残業が多いからできないというふうなことが大きな理由であろうと思いますけれども、今まで行政指導でやろうというふうになさってこられたけれども、逆に総労働時間が延長している。私はやはり法律を改正していくべきではないか。こういう検討をされておりますか。
#145
○政府委員(寺園成章君) 先ほど来申し上げておりますように、時間外労働の法制を含めて労働時間法制を今後どのようにしていくかということにつきましては、労働基準法研究会に調査研究をお願いをいたしておりまして、昨年の夏にその中間報告が出されたところでございます。
 その中間報告につきましては、労使双方から研究会としての意見を聞いていただいております。そのヒアリングの結果をも踏まえながら、研究会としては今後調査研究を続けていただき、本年の夏には結論がいただけるものと思っております。その結論をいただいた後、労働省といたしましては、労働基準法の改正を含めた所要の措置を関係審議会の意見も聞きながら進めてまいりたいというふうに思っております。
#146
○安武洋子君 先ほどから労働基準法研究会の報告を待って待ってと、そこに逃げ込んでおられます。しかし、これはきょう論議する時間がありませんけれども、こういう大事な問題を大臣の単なる私的諮問機関、こういうところに私は諮問するということ自体、それからまた、こういうルールということがおかしいということも申し上げておきたいですし、それから私は、大臣がどういう立場でこういう問題をやっておられるか、諮問の姿勢にも大きな問題があろうと思うんです。
 そこで、私は申し上げますけれども、先ほどお伺いいたしましたけれども、この「週休二日制等労働時間対策推進計画」、この中に「労働時間短縮の意義」というのが書かれてあります。
 時間がないから私の方から申し上げますけれども、この中には、十分な心身の疲労回復あるいは高度化する労働に対応して労働者のみずから啓発に努めて、創造性の開発、能力の有効発揮ができるように、また心身ともに健康で活力に満ちた生活を可能にするために、家族の団らんの機会をふやして、健全な家庭生活を営めるように、地域住民との話し合いも持ててその活動に参加できるようにと、こういうことがうたわれております。うなずいておられるから、ここにも書いてありますし、破棄はしていないとおっしゃいますからそのとおりであろうと思います。
 ということになりますと、私は、こういう労働時間短縮の意義をそのとおり実現しようと思えば、これは賃下げなし、総労働時間の短縮、そしてその場合も一日当たりの労働時間をどう短縮するか、ここが大変大事なところであろうと思います。人間は生体リズムを持っております。それを崩すようなことがあってはいけないわけです。ですから、私は、この意義を労働省としては必ず実現をしていくという立場で掲げられたわけですから、そういう立場に立つなら、大臣としても私は先ほどのように総労働時間を短縮していく、生体リズムを崩さないように一日当たりの労働時間をどう短縮するかと、そういう視点にしっかりと立ち、そのことが大変大事であろうと思います。
 大臣の御所見を伺います。
#147
○国務大臣(山口敏夫君) 今いろいろ御提起いただいたような問題認識の上に立って、基本的に労働時間短縮への取り組みということが労働省及び労働大臣の一つの大きな責任だという認識を持っております。
#148
○安武洋子君 だから、私が今申し上げましたように、総労働時間は短縮しないととても家族団らん、それから今の質的な変化を遂げてきた急速な技術革新に伴う労働の質の変化、それから都市化、過密に伴う通勤疲労等、この労働を取り巻く環境に対応できない、十分な心身の疲労回復が図れないというふうないろんな問題、もうみずから書かれているわけです。
 ですから、一日の労働時間を短縮していく、生体リズムを崩さないようにしていく、そういうふうにやられますね。
#149
○国務大臣(山口敏夫君) そういう問題認識の上に立って、一歩一歩労働時間短縮への大きな啓発と実行を進めていくということが私どもの一つの大事な責任だ、こう考えております。
#150
○安武洋子君 もう時間が来てしまいましたけれども、私は最後にきちっと大臣に申し上げておきたいと思うんです。
 資本主義国のうちで、国民総生産では世界第二位なんです。ところが、先ほど大臣はいろいろ言われました。私は大臣に対する反論あります。最後にああいうことで掲げているから、労働省がこの立場を実行していくんだとおっしゃいましたけれども、やはり今労働時間の短縮を阻んでいるのは、先ほども言いましたように財界の意向なんかが大きく働いているわけなんですよ。そこにしっ
かりと目を向けていただかなければならないわけですし、世界的な趨勢というのは労働時間本体が短い。その上に時間外も厳しく規制しているというふうなことで、全世界的に見まして五年間のうちで先進国は全部前進しているんです。ところが、日本だけが逆行しているんです。恥ずかしいことなんです。
 ですから私は、国民総生産世界第二位の経済大国日本なら、それにふさわしいような取り組みをすべきだ。国際的にも恥ずかしくないように週休二日制の実施などを確実に行っていくとか、あるいは有給休暇、これを完全に消化できるような体制というのを労働省が考えていくとか、あるいは残業の賃金の割り増しをきちっとしていくとか、規制を厳しくしていくとか、そういうことが抜かって時間短縮ということはあり得ない。こういう立場を踏まえて時間短縮をやっていただけるかどうかということを大臣にお伺いをいたします。
#151
○国務大臣(山口敏夫君) 今、先生が評価された先進諸国が、軒並み失業率が一〇%を超えておる、こういう現状も一面御認識をいただかなきゃならない問題点でございまして、我々は基本的には、先生が御指摘のように、労働時間短縮というものは、労働者の労働福祉の改善のみならず、家族の問題あるいは社会全体の問題、あるいは文化の問題、いろんな側面があるわけでありますから、労働時間短縮という問題については真剣に取り組んでいかなきゃならない労働省の最重要課題の一つであると、こういう認識と努力を今進めておるわけでございますし、特にこの国会においては与野党が予算修正をめぐって労働時間短縮と連続休暇の問題を一項目別に起こしてこれを協議する、実現に向けて協議するということは、これは大変な私は画期的なことだと思うのです。我が国の労働時間短縮の問題に対しては。
 そういう意味で我々も側面的にそういう一つの機運の環境づくりに努力をしたということもございますし、さらに、労働時間短縮の問題についてはこれは政府としても真剣に取り組んでいく、こういう考えでございます。
#152
○藤井恒男君 きょうは定年とそれから時間短縮問題のオンパレードでございますが、私もちょっと触れてみたいと思います。ただ、前に発言された方がもうお触れになったことは省略いたしまして、若干の御質問をいたしたいと思います。
 定年の問題について、「定年の法制化問題に関する審議が行われている雇用審議会等における論議を踏まえつつ、法的整備を含め、人生八十年時代に的確に対応する施策の樹立に努める」というのが、これは百二国会の労働大臣の定年に関する所信表明のくくりだろうと私は思うのです。
 労働省の資料を見てみましても、五千人以上のいわゆる大手企業の六十歳定年に関する調査ではやっと五七・九%ぐらいになっているわけですが、私は理想から言えば、人生八十年時代ということであるなら、定年は六十五というのが正しい姿だと思っています。しかし、現実にはまだまだ人生八十年時代における社会あるいは産業構造ができていない、率直に申し上げて。定年六十歳が五七・九%大手企業にあるというものの、この実態は俗に言う六十歳じゃないんです、これは。超一流の一部上場の大手企業、何万と抱えているような企業にあっても、なるほど定年は六十と労働協約には書いているんだけど、実態は五十五歳で退職金をもらうんですよ。後は、言ってみれば六十までは置いてあげるよということですな。だから、定期昇給も全部カットする、それからベースアップも普通の常態よりはダウンしてベースアップをする。まあ置いてあげようという措置です。それがすべてじゃないけど、大部分が私はそうだろうと思うのです。だけど、これが数字で出てくると、それは定年六十になっているのだ。だが実態は違う。
 それと同時に、オイルショックのときなどに見られるように、一たん不況になりますと、もう総じて希望退職が行われる。要するに減量経営という名のもとにね。これは企業が生きていくためにやむにやまれぬ措置かもわからないけれど、希望退職と言えば希望してやめていくというふうにとられるかもわからないけど、喜んでやめる人は一人もいない。仕方なく、職場の中の環境だとか周囲の状況から見て、年長者である自分がやめざるを得ないというのがこれ実態ですね。だから、やめていく人たちは労働組合も恨み、長年勤めた企業に対しても恨みを持ってやめていくわけなんだ。後は全部孫を抱いて悠々自適ということは全くないわけなんです。
 このように考えてきますと、この定年制というものは、現在審議過程にあるとはいうものの、私はやっぱり法制化しなければこれはだめだ。どうしても自由競争体制の中にあるわけですからね。私も過去もう何回となく予算委員会などでも法制化の問題を取り上げたんだけど、残念ながら歴代労働大臣あるいは総理は、これはすぐれて労使関係の問題なんであって、労使が円満に決めていくことで私どもが介入すべきことじゃない、法が支配することじゃないんだということで逃げてこられた経緯がある。だけど、私はそういった産業界の実態というものをつぶさに眺めるときに、大臣もお触れになったように、何が高齢化社会において大切かといえば、私はやっぱり、公的年金もさることながら、雇用の機会を長く持つ、そのことによって生きがいを持つということだと思いますね。過去には、我々が社会に入ったころは、定年五十五歳がもう当り前だったわけなんです。しかし今は六十といっても非常に若いわけですよ。政界に出ておる人なんか、六十といったってみんな子供みたいなものだ。だから非常に若い。六十歳になった人が毎日日曜日で、年金をもらっているからといって家にいたらこれどうなりますか。体力も落ちれば、また、家庭の中も非常におもしろくないことになる。あれやこれや考えると、私はやっぱりこれは法制化すべきだと思う。
 不況になれば低位に対する平準化作用が起きる。企業が生きていくために同レベルの同業他社を見比べて低位に全部平準化していくというのが過去の常ですね。そこの労働組合がどのように強い労働組合であろうとも、私は希望退職を守り切ることは不可能だと思うんです。なぜならば、残る人間が大多数でやめる人間がちょっぴりなんだから、どうしてもそういうことになる。そういったことはまた極めて不幸でもある。同時に、視点を変えて言うなら、高齢化社会を迎えていくという状況の中で、やっぱりワークシェアリングという視点を欠いたらいかぬと思う。就労の機会をお互いに持って、健康体である限りは長く気兼ねせずに働く場所をつくり上げていく、そういったフレームワークを早くつくらなきゃいかぬ。その柱が私は定年制の、当面は理想はすぐには到達できないから六十歳の法制化であり、やがてそれは六十五歳に法制化して、それに耐え得ない例えば中小企業などには、むしろそこに補助金を出していく。そしてとにもかくにも六十歳定年、あるいはさらに六十五歳の定年は、だれでも意欲があればやれるんだというような形を私はつくる道筋というものをやっぱり労働省が提示すべきだと思いますね。そのことがやはり、高齢化社会を迎えて、現在、うれしいうれしいじゃないですね、みんな不安だ不安だでしょう。それに対してきちっと道筋を示してあげる。今はだめだけれども何年後にはこういうふうにするんだということが、私は今の政治家の課題じゃないかということを真剣に考えておるんです。
 審議会をやっているから大臣が軽々に物を言うことはできない向きもわかるけれど、あなたは政治家としてそういった面深く関心を持っておられること、私よく承知しているんで、一遍そういう面における総括的な御所見を承っておきたいと思います。
#153
○国務大臣(山口敏夫君) 藤井先生が多年にわたって労働界でのリーダーシップを発揮してこられた、そういう現場体験といいますか、実情に即した現在の数字、あるいは六十歳定年へ民間企業が努力をしているものの実態の一側面等々の御指摘、私大変参考深く傾聴しておったわけでございます。
 私は、今先生からも御理解いただきましたように、やはり雇用審議会とか職業安定審議会等において六十歳定年の法制化の問題、あるいは六十歳から六十五歳までの雇用の延長の問題をいろいろ御論議いただいておりますので、大臣として、その結論を待たずに法制化への決意を持っているというような所信を申し述べるという立場にはございませんけれども、しかし、先ほど来から議論されている例えば労働時間短縮の問題等は、これはある面においては労使双方で、いろいろまた企業間の問題、大企業、中小企業あるいは零細企業、いろんな業種別の性格に基づいた労使協約の中である程度改善されるべき問題だというふうに思うんですね。しかし、雇用の延長とか定年制の問題は、これはかなり政府が、あるいは国会との御論議を踏まえて政治が解決すべき課題の最たるものだというふうに私は思うんですね。
 そういう意味で、欧米ならいざ知らず、日本の場合は好むと好まざるとにかかわらず、やはり労働が、勤労が一つの喜び、生きがいになっているわけでございますし、そういう長い習慣、伝統、教育の中で今日八十年時代を迎えているわけですから、これは率直に言って先生の御指摘に全くそのとおりですと、私もそういう方針でひとつ取り組みたいということを申し上げたいような、はっきりもう結論を申し上げたいような気持ちにかられるわけでございますけれども、今大臣の立場でございますので、審議会の御論議をいただいてと、こういうことでございますが、全く問題認識は同じである、こういう立場でおりますので、ひとつこれは、社労委はもちろんでございますが、国会でも大いに御論議をいただいて、何とか人生八十年時代の雇用の延長、定年延長の問題については、これは全政治的レベルでひとつ改善すべく取り組んでいただければ大変ありがたいと心から念願をし、またお願いもさせていただきたいと考える次第でございます。
#154
○藤井恒男君 山口さん、あなた労働大臣になられて大変精力的に、しかもユニークな活動をしておられる。一定のなかなか難しい枠があろうと思うんだけど、私、この点は大変評価していることで、大いに督励したいと思う。だから、言いにくい面よくわかるけれども、言っている趣旨はあなたも大体理解しておられると私は思うんで、これは審議会などで懇談の機会も多かろうから、やはり誘導してやってもらいたいものだなということもお願いしておきたいと思うんです。
 過日、これは私忘れちゃったんだけど、リクルートセンターだったかデータバンクかの調査で、六十歳定年後の人たちに対するアンケートをとったときに、特に体を痛めている人を除いて、おおむね一〇〇%の人が働きたいというわけですな。働きたいと。どういうところで働きたいかといえば、気兼ねなく働きたい、こうなんだ。同じ働いても、毎日出ていってみんなに、若い人に気兼ねして働くのは辛い。気兼ねなく働けるなら、給料はちょっとでいい。ちょっとでも結構だ。要するに、生きがいとして自分が蓄積したものを気持ちよく発揮して、そして働きたい。これは私は実感だろうと思いますね。
 先ほども言ったように、六十といったらまだ若いんだから、やはり六十歳前半、少なくとも六十五、六までは活力を持って働きたいというのが私はもうほどんどみんなの偽らぬ気持ちだろうと思う。だから、ここにも書いてあるように、六十歳台前半層の雇用の拡大、あるいは高齢者の雇用機会の拡大についていろいろ模索するということを述べておられるんで、私は定年六十五というのはやるべきだ、しかも法制化してやるべきだと思うけれども、それがすぐかなわないのなら、このことを非常に力を入れてやらなければいかぬ。ただ高齢者を雇い入れればその企業に対して補助金を出すというような行政指導だけじゃなく、例えば身障者のモデル工場を創設していますわな。ああいったような形で一つのものをつくる。そして、そのつくったものに対して国は助成して、そこに気持ちよく働く場所を求めてみんなが集まってくるというような形のものをやはり創造してみるべきじゃないか。それを地方に幾つかつくって広めていく。それに対して国は顕彰し、あるいは助成するというような形をとれないものかなと。下手をすると、これは表現が悪いけれども第二失対みたいになることもあるので、これじゃいかぬので、シルバー銀行もあるわけだけど、これはやっぱり間口が狭いわけですよ。だから、もう少しこれを広めて的確な方法をとってもらいたいものだと思うんだけどどうだろうか。
#155
○政府委員(加藤孝君) 六十歳台前半層の問題につきましては、私どもも今後の高齢化社会への対応をしていく一つの大きな対策の面でかぎになる重要な局面というふうに認識をいたしておりまして、これについてはシルバー人材センターもございますが、もちろんこれだけで対応できるものではない。そういう意味では高齢者会社など、現に既に民間で一部試みられておるケースもございまして、私どももそういう高齢者会社の現状などもいろいろ調査をしたりヒアリングして分析したりなんかもいたしております。
 それからまた、諸外国の場合でございますと、例えばスウェーデンなどではパーシャルペンションというような形で、半日労働といいますか、そういうような形でのワークシェアリングをしながらいわば徐々なる引退過程をとれるような、そういう労働の仕組みも例えばスウェーデンなどでは試みられておるというようなこともございますし、いろいろとにかくこれについては創意工夫を凝らして何か二十一世紀へ向けての仕組みを用意していかなきゃならぬぞと、こんな基本的な考え方でおるわけでございます。
 いずれにいたしましても、世界でも本当に初めての急速なこういう高齢化社会というものであるし、ヨーロッパ諸国のそういう高齢先進国の例を見て、それをそのまままねして乗り切れるものでもないということでございますので、まさに元気なうちは働きたい、そしてそれによって何らかの社会への貢献をし、生きがいも得たい、こういう日本的勤労観とでも申しましょうか、そういった高齢者たちの意欲というものをてこにいたしまして、この六十歳台前半層の雇用就業対策というものをぜひ仕組み上げていきたい、こんなような気持ちでおるわけでございます。
 いろいろそういうようなことで現在審議会の場で御議論いただいておりますが、私どももできるだけそんなことについての具体的なケースあるいは諸外国の例などもいろいろ資料として御提供しながらの今熱心な御論議をいただいておる、こんな段階でございます。
#156
○藤井恒男君 労働時間の問題にちょっとだけ触れさせてもらいたいんですが、私は、労働時間というものは基本的には、さっき大臣もお述べになったように、人間としてゆとりのある生活というものを定着させなきゃいけない。我々、戦後三度の飯も食えなかったわけです。そういった時代はとにかく残業がありがたいというのが一般的な物の考えであって、何しろ米の飯が食えないんですからね、昭和二十二、三年ごろというのは。そういう中で働いてきたわけなんです。その惰性がやっぱり僕はあるんじゃないかなという気もするんだけど、曲がりなりにも現在ではまじめに働いてきちっとした生活をすれば食えない人はいない。だけど、モア・アンド・モアという気持ちもわかるけれど、ゆとりのある生活、そのための環境整備も必要だけど、そのためにやっぱり労働時間短縮というものは先行しなきゃいかぬ。同時に、今日的な問題としては貿易摩擦の問題を避けて通ることができない。それとワークシェアリングという視点、この三つ絡めてやっぱり労働時間短縮というものは私は喫緊の問題だろうというふうに思うんです。
 そういった中で、データもいろいろもらったんだけど、このデータの中で、例えば現在もう基準法によって規定されている年次有給休暇を完全に取得したならば一体労働時間どういうふうに変化していくかなと。勤続の浅い方は初年度における年次有給休暇は完全取得しているかわからぬけれど、勤続十五年、二十年ということになって年次
有給休暇が加算された人は、ほとんどと言っていいほど半分も消化していない。管理職になれば三十日、四十日ということになるんだろうけれども、四、五日とればいいんじゃないですか。だから、これが法の精神に基づいて完全取得したならば、その面からの雇用機会というものももう物すごく伸びるし、また、労働時間というものも変化する。ヨーロッパにおける休暇取得というものはこれはまた私は別な要素があると思う。日照の問題からくる健康保持という意味から、とらなかったら参っちゃう。だから私はまた別なファクターがあると思うんだけど、だから私はそれと一概に比較することも難しいと思うし、それは余り意味もないことだと思うんです。しかし、現に労働基準法で定まったものの完全消化という形をとるならば、私は随分労働市場における環境は変わってくるだろうというふうに思うんです。そういった視点からの何かあれば教えていただきたい。
 それからいま一つ、そういった年次有給休暇の取得状況の中から、年次有給休暇の買い上げ制というのが出ている。この買い上げ制ということに対して、労働省としてはどういうふうに見ているのか。年次有給休暇といったら固有の権利ですからね。それを買い上げるということがどういうことなのか、この辺についてのお考えがあれば聞かせてもらいたいと思うんです。
#157
○政府委員(寺園成章君) 年次有給休暇は、基準法上は勤続年数に応じてふえていくという仕組みでございますが、平均的に見ますと、大体十四、五日が付与日数でございます。消化率は大体六〇%でございます。したがいまして、十四、五日といたしまして残っておる年休が大体六日程度になろうかと思いますが、これを完全消化いたしますと、例えば六日で一日八時間といたしますと、年間四十八時間は労働時間が短縮されるということになろうかと思います。
 年次有給休暇が完全消化されておらない日本の実情にはそれなりの理由があろうかと思いますが、私どもは、年次有給休暇は完全消化に向けてかねてから行政指導いたしておりますが、具体的にはやはり計画的にとるような慣習を育てていきたい。そのための一つとして、ゴールデンウイークなどにおきます連続休暇というものも進めておるところでございます。
 それから、買い上げ制度の話でございますが、基準法が定めておりますいわば法定分以上の年次有給休暇分につきましては基準法上の問題ではございませんけれども、基準法が定めます年次有給休暇につきまして、その買い上げを予約をし、これに基づいて年休日数を減じたり、あるいは請求された日数を与えないということは基準法違反であるというふうに考えております。
#158
○藤井恒男君 今あなたがおっしゃった数字、例えば残日数が六日であるというのは、我々がじっと見ている実感とはもう非常に違いますね。買い上げの実態ももうちょっと調べてもらいたいと思いますよ。これは年次有給休暇は、率直に言って部課長クラスで、最近笛や太鼓で夏期休暇はみんなとろうというふうに奨励している企業でも実際はとれないですよ。それはとれないんだ、いろんな環境から。だから、この辺はもう少し私は、中小企業でなくていいですよ、大手企業の方がとりやすいんだから、そのデータは。大手企業を調べたらいいと思うんだ。全民労協にでも調べさせて一遍データ握ってみたら私はおもしろいと思うんですよ。おもしろいと言っては言葉は悪いけれども。もうちょっとこの辺はメスを入れなきゃいかぬじゃないかなという実感がします。
 それからこの表の中で、私は、自分の国の労働時間を減らせばいいわけだけど、アジア諸国と比較すると、やっぱり韓国でも二千八百時間でしょう。台湾二千五百時間。今アパレル業界なんかは、もう台湾、韓国に追い上げられてどんどん倒産しておるわけだね、シェアを奪われて。労働時間というのはコストですからぬ。だから、一定の機械、キャパシティーのものをそれだけ回転さしているわけだから、コストはそれだけ下がる。それで国際競争力がつくわけだから、それで我が国の産業が、とりわけ中小企業がどんどんあおりを食っちゃって倒れている。これは私は、自分のところをきちっとしなきゃいかぬときによそに対して何だと言うのもいかがかと思うけれど、よそからこっちがたたかれているわけだから、これはやっぱり公正労働基準とでもいうように、国際的に公正な競争をしようというなら、一言穏やかな形で――これは労働外交かもわからぬけれども、物を言う必要があるなという気がしているんです。このことについてのお考えをお聞きしたい。
 それから労働外交の問題でまとめて言いますけれども、私はレーバーアタッシェの関係がどうなっているかと調べてみたら、我が国が外国に出しているのは十三、アメリカが四十五、ドイツが二十二。私はせめてドイツぐらいはレーバーアタッシェを派遣しなきゃいかぬのじゃないかなという気がしております。この辺に対する考え方をひとつ聞かしてもらいたい。
 いま一つは、これはユニークな発想で、政労使によるミッションを派遣するということ、これは結構なことで大いにやったらいいと思うんです。しかし同時に、例えばマレーシアにおけるルックイーストというものの見方がある。せんだって私はマレーシアに行って向こうの人たちと話してきたんだけれども、ルックイーストというものを言いつつ、ハウスユニオンというものに対するやはり依然として疑いを持っている。あるいは労働生産性向上というものについて、その本質についてまだ懐疑的である。こういった実態を私見てきたわけです。だから、ルックイーストとそのこととが非常に映りが違うわけで僕も唖然としたんだけど、そういう面からいうと、かつて昭和三十四、五年ごろに私はアメリカの国務省の招待で四十日ほどアメリカに行って、アメリカの労働事情を、向こうの国務省の招待で見てきたわけだね。そういう制度が今でも続いておるんですよ。だから我が国も、せめてASEANだとかそういったところの方たちを我が国に招く。こっちから行くんじゃなく、我が国に招くというような制度を創設してもいいんじゃないかなというふうに思いますので、その辺あわせてお聞かせいただいて、時間もぼつぼつ来るようですから、きょうはこれぐらいにしておきたいと思います。
#159
○国務大臣(山口敏夫君) レーバーアタッシェの問題につきましては、労働省としてはかつては大使や公使も出した、レーバーアタッシェはもちろんでございますけれども、出したこともあるわけでございますが、特にレーバーアタッシェの問題については、藤井先生も御承知のとおり、なかなか外務省の枠も厳しいわけでございますけれども、これからの労働問題は国際的な交流の中で位置づけなきゃならない、こういうこともありますから、ぜひ拡大の方向に向かって努力をしたい。
 それから先ほど加藤局長とのやりとりの中で、安倍外務大臣も、高齢化時代に備えていわゆるシルバー平和ボランティアのような形で、これは何万人もというわけにはいきませんけれども、いわゆる高齢者のいろいろ職能、技術や経験を持った人をそういった発展途上国やなんかにも派遣することによって、高齢者の一つの生きがいの先頭を走っていると、こういう立場からもやってみようじゃないかということで、今外務省と労働省でいろいろ協議をしておるところでもございます。そういう点も含めて諸外国との労働交流というものを積極的に進めなきゃならない、かように考えます。
 それからいま一つは、韓国の問題は、私どもの方の地元でも織物やなんかがありまして、これも香港とか韓国の長時間労働のコストの競い合いの中で非常に苦境に立っている、こういう現状もございます。それはそれとして、労働時間短縮の問題を言いますと、必ず経営者側からもそういう後発の経済国との労働時間調整はどうするんだ、こういう意見が出されるわけですね。現実これは相当将来において日本経済にとっては深刻な問題の一つだと思うんですね。幸い韓国の労働部、いわゆる韓国の労働大臣から私あてに招待が来ておりまして、今国会ですから当面は日程調整というわ
けにもいかないわけでありますけれども、こちら側から乗り込んでいって長時間労働について丁々発止やり合うということでなく、幸い韓国側から御招待をいただいておる経過もございますので、国会が終わりました後で、韓国とか香港とか、こういう後発の経済国家との問題に対してもひとつ意見交換をしていきたい。そしてまた、たまたま今韓国がILOに参加するかしないかということも非常に大きな関心になっておるわけでございますので、そういう点もあわせて、やはりそうした国々との労働問題をめぐる意見交換というのも大事なことだというふうに考えておりますので、今御指摘いただいた点については鋭意ひとつ日程を調整して実行していきたい、かように考えておりますのでよろしくお願いしたいと思います。
#160
○政府委員(小粥義朗君) ASEAN諸国との労使関係者の交流をもっと深めるべきであるという御指摘の点につきましては、労働省としてもそうした方向で従来からやっておりまして、日本労働協会あるいはILO協会を通じまして、労使協力事業として向こうから労使関係者を我が国に呼んだり、あるいは我が国の労使関係者のリーダーが向こうへ出向いていろいろセミナーを開くといったようなことをやっておりますので、今後とも充実さしていきたいというふうに考えております。
#161
○下村泰君 私は、三月の二十五日付の各紙に出ておりましたが、いわゆる石炭産業というのが大変華やかな脚光を浴びた時代がありました当時にこの作業に従事していた方々の、労働の条件の非常に悪い中で働いたために、じん肺というものに侵された方々の訴訟問題が長崎地裁の佐世保支部で判決が出たというニュースがあります。これを拝見しておりまして、たまたま労働総覧というのをちょっと見てみましたら、ここにはじん肺法とかあるいはこれに対するもろもろの法律が出ている。法律ができているのにもかかわらずこんなことになった、なぜかいなと思いましたら、この法律は昭和三十五年に施行されたものです。それ以前は全然なかったものなんでしょうか。それだけ先にちょっと伺わしてください。
#162
○政府委員(寺園成章君) じん肺法は昭和三十五年に制定されたわけでございます。それ以前にけい肺等特別保護法という形で法律がございまして、関係の規制をしたわけでございますけれども、じん肺問題の重要性にかんがみまして、三十五年にじん肺法として新しい法律を制定をしたという経緯がございます。
#163
○下村泰君 そうすると、その前にけい肺等特別保護法がありまして、そしてその後でこの法律が施行されたということは、どういう経緯でこっちへ変わってきたんですか。
#164
○政府委員(寺園成章君) けい肺等特別保護法では、けい肺という疾病に限定をしておったわけでございますけれども、その対象をじん肺全体に広げるという趣旨で、じん肺法という法律を新たに制定をしたという経緯でございます。
#165
○下村泰君 そうしますと、そういったじん肺の方に広げたということは、それだけ職種が非常に多くなってきている。最初はある一つの職業に限定していたものが、これこれこれこれの職に従事している人たちはこういうふうな災害に侵されると、こういうことが多く出てきたためにこういうふうな法律が出てきたんだろうと私は解釈しているんですが、間違いありませんか。
#166
○政府委員(寺園成章君) 仰せのとおりでございます。
#167
○下村泰君 そうしますと、今度の新しい法律で、これとこれとこれとこれはじん肺になるであろうと思われている職種、それは一体幾つぐらいあるんでしょうか。
#168
○政府委員(寺園成章君) 産業といたしましては、鉱山でございますとか窯業、鋳物、それからいわばトンネル掘削というような業務がこのじん肺にかかるおそれのある業務というふうに思っております。
#169
○下村泰君 実は私は、じん肺というものには余り知識がなかったものですから、ある記事を拝見しますと、「一定量以上の粉じんを吸うと体外にこれを放出できず、肺にたまる。肺細胞は防御反応を起こし、粉じんを無害なものにしようと繊維状の組織で包み込んでしまう。進行すると肺全体が繊維組織の”石の肺”になり、酸素と一酸化炭素のガス交換ができなくなる。せき、たん、動悸(き)、息切れがひどく、結核や肺がん、続発性気管支炎などの余病も併発しやすい。」と、こういうふうな症状がじん肺というんだそうですけれども、これ、読んでいるだけでぞっとしますわな。もし私らがこんなふうに侵されたら一体どうなるのかというような心配も起きます。
 長い間でなくて結構です、最近だけでも結構ですが、じん肺患者の数、それから認定を受けたじん肺患者、どのぐらいいましょうか。
#170
○政府委員(寺園成章君) 五十八年に新たに療養を必要とするじん肺患者となった者は約二千人でございます。従来から傷病補償年金を受給して継続して療養をいたしておりますじん肺患者の方は、約一万五千人でございます。また、じん肺につきましては毎年健康診断を実施をいたしておりますけれども、療養を必要としないけれどもじん肺の所見を有する者は約四万七千人でございます。
#171
○下村泰君 そうしますと、ある新聞の社説に、労災認定を受けたじん肺患者が五万人と、こういうふうになっておりますが、今言った四万七千人がこれで大体当てはまるということになりますか。
#172
○政府委員(寺園成章君) 今四万七千人と申し上げましたのは、療養を必要としないがじん肺の所見を有する者でございます。労災の対象になりますのは療養を必要とする者でございますので、この四万七千人というのは労災の対象者ではございません。
#173
○下村泰君 そうしますと、こちらの記事の方には、労災認定を受けた患者がもう既に五万人いると、こういうふうになっておるんですが、数字の上のことの論争はどうでもよござんすけれども、実際に新聞の活字になっているという以上は、これだけの患者がいるということはお認めになるわけですか。
#174
○政府委員(寺園成章君) 報ぜられております数字の根拠は私存じませんが、私どもが把握をいたしております数字は、先ほど申し上げましたように、労災で傷病補償年金を継続して受給し療養しておられる方の数は、約一万五千人でございます。
#175
○下村泰君 さて、何か、昭和三十五年に新しくこの法ができたときには、大変革新的ですばらしい法律がよく思い切ってできたものだというような評価があったんだそうです。ところが、これだけのものがありながら何でこうじん肺患者が出るのか。これだけ立派な法律があってこれがそのとおり施行されていたならば、これだけの数にはならないような気がするんですが、これはどういうふうにお受けとめになっていらっしゃいましょうか。
#176
○政府委員(寺園成章君) じん肺問題につきましては、その重要性にかんがみましてじん肺法を制定し、また、じん肺法以外にも、粉じん障害防止規則というものを策定し、また、三カ年計画などを策定をしながら、行政の重点の一つとしてやってきておるわけでございますが、じん肺患者の発生が後を絶たないというので、大変残念なことだと思っております。
 私どもは、この法律あるいは規則、それから計画等に基づきまして、じん肺の予防に最善の努力を注いでまいりたいというふうに思っております。
#177
○下村泰君 先ほどから各委員から出ております労働時間短縮の問題、こういう問題も、こういうところに若干ひっかかってくるような気もするんですが、それはそれとしておきまして、労働省がおととし行政管理庁から、何か粉じん障害防止指導が徹底しておらぬということで異例の勧告を受けたというんですけれども、これは事実ですか。
#178
○政府委員(寺園成章君) そのとおりでございます。
#179
○下村泰君 勧告を受けて、勧告後の処置はどういうふうになっていますか。
#180
○政府委員(寺園成章君) 先ほど申し上げました三カ年計画を策定をいたしたわけでございます。正式には粉じん障害防止総合対策というものを策定をいたしまして、これに基づきまして行政を推進をしておるということでございます。
#181
○下村泰君 労働大臣にお伺いしますが、こういったもろもろの、今施行されている法で救済される方々はまだまだとしても、その法以外で、まだ救済されない方もたくさんいらっしゃるんだそうですわね、実際は。
 そうして、この今度の北松鉱業所というんですか、これは筑豊炭田に次ぐ九州における第二の炭田地帯だったそうです。とにかく当時掘れ掘れ石炭で私たちも、私はもう今は芸能界のOBですけれども、現役のころに、昭和二十二、三年でございましたか、炭鉱慰問でこの筑豊炭田地区など歩きますと、当時もう一般の御家庭にはなかったバターはあり、それから牛肉、豚肉、すべてそろうんです。そうして黒ダイヤの戦士という言葉で皆さんおだてられて、それで掘れや掘れや、ワッショイワッショイやっておったわけです。それで私らその地へ行きますと、東京では見られない食べ物がたくさん見られて、ああ炭鉱の慰問に来るといいなと思ったことは再三再四。そして、ちょうどあのガラ山とかボタ山、向こうじゃボタ山と言います、北海道ではガラ山と言います。こういったものが、窓の外に見えるビルディングのようにボタ山が、石炭のかすがたまっているわけです。そして山を一つ越しますと次の炭鉱地区。もうとにかく山一つ越せば炭鉱で、穴を掘っているわけですね。向こうじゃ穴と言いません、坑と言います。それから石炭と言いません、炭と言います。そういう地区を毎日のように回って歩くんです。ですから、二十日間もいると二キロから三キロぐらい体重がふえています。そのくらい食物がよかったんです。ところが、その方たちは、一歩ひっくり返すとこういうふうな大きな災害が起きてくる場所にいたわけなんですね。
 その当時の方々の労働力が、いわゆる今日の経済の基盤になっていると言っても過言ではないと思うんですね。そういう人たちが今こういったような災害で日夜お苦しみになっているんです。これを法以外ででも救う手がないものか。あるいは、もう少しこういった職業病に侵されている方々を何か救ってあげられるような道がないものなのか。労働大臣のこれは私見でも結構です、お聞かせ願えれば幸いです。
#182
○国務大臣(山口敏夫君) 私も先生方と同じように、国会に出まして以来社労委でずっと務めておりましたので、食品公害とか薬品公害のいろいろな問題にも対処してきたこともございますけれども、今先生が御指摘のような労働災害の実情の一端を、お話を聞いておりまして、非常に重大な問題だと、こういう気持ちで承っておったわけでございます。
 先ほどから基準局長が御答弁申し上げましたけれども、こういった粉じん障害防止総合対策、こういうものを労働省としてもぜひ推進していかなきゃならないし、推進もしているわけでございますけれども、さらに、こうした御論議もいただいておるわけでございますので、全力を挙げてそうした徹底をいたしたい、こういう考え方で今承っておった次第でございます。
#183
○下村泰君 いずれにしましても、今法に定められている以外の救済方法というのは無理かもわかりませんけれども、とにかく今やこういう患者の出ない、出さない方法に全力を挙げる以外に手はないと私は思うんですね。
 それに関しまして、いかがでしょうか、担当者の方は。
#184
○政府委員(寺園成章君) 要は、治らない疾病でございますので、このような疾病にかからないようにすることが先決だと思います。そのためには、これらの粉じんに暴露されないような形の規制というものを現在行っております。そのような規制がきっちり守られて、このようなじん肺患者が新たに発生しないような最大限の努力というものを行政としてはしてまいりたいというふうに思っております。
#185
○下村泰君 私どもこの間社労委で、仙台の方の公聴会にちょっと行ってきたんですけれども、あちらの方でも問題になっているのが、スパイクタイヤによる公害、いわゆるタイヤ粉じんというやつ。これを分析したのが札幌鉄道病院呼吸器内科、平賀洋明、この先生がいろいろと分析なさったそうです。
 野犬を集めまして、札幌が三十匹、仙台が二十匹、それにスパイクタイヤをほとんど装着しない名古屋から十七匹、この野犬を集めましていろいろお調べになった。肺を摘出して調べた結果、気管支血管周辺の結合組織に粉じん沈着が認められたものは、札幌で三三・三%、仙台で五五・五%。それに対し、名古屋のものは一七・六%にとどまった。そして沈殿物を分析したところ、札幌、仙台の沈殿物には、名古屋では認められない鉄、アルミニウム、珪素、チタンが含まれていた。この成分は、札幌あるいは仙台で浮遊している浮遊じんの成分と一致したということなんですね。これは相手はお犬様ですからあれでござんしょうけれども、お犬公方の時代だったらえらいことになると思いますけれども、そのころ自動車ありませんからよござんしたけれども、もし人間がこれと同じ状態だったら、これもやはりえらいことになるというわけですね。
 これはどこの所轄になりましょうか。厚生省になるんでしょうか、あるいは建設省になるんでしょうか、道路行政ですから。あるいはそれを広げていくと、乗っている運転手は労働者ですから、労働省ということにもなるし、いろんな枠が広がっていきますけれども、これはやはり大きく横に連携を保っていただいて対策を立てていただかないとえらいことになるような気がするんですが、いかがでしょうか。
#186
○政府委員(寺園成章君) 仰せのとおり、スパイクタイヤの問題は非常に関係する省庁が多いように思います。どこが中心になってこの問題を検討したらいいのか、今すぐ申し上げることができませんけれども、どのような協議の場を設ければいいのかを含めまして、ちょっと勉強さしていただきたいと思います。(「環境庁」と呼ぶ者あり)
#187
○下村泰君 対馬先生から環境庁とお声がかかりましたけれども、これは環境庁だけじゃなくて、総合的に各省庁にわたって大きなプロジェクトチームをつくらないことには大変な問題だと思います。
 山口労働大臣も東北の方へお出かけになったことがあると思いますけれども、岩手県の盛岡の郊外なんかへ参りますと、スパイクタイヤをはいている部分だけはずっと道路が掘れていますわね。そうすると、あそこらの県の道路の補修費、これだけでも年間大変な予算だそうですよね。ですから、それを全部人間様が吸い込んでいるんですから、これは大変な大きな問題だと思います。どうぞそういうふうに横に広げて、何かひとつ考えていただきたいと思います。
 高齢者問題をお伺いしたいのですが、私のいただいております時間もなくなってまいりました。といって、中途半端にお伺いするのも腹が立ちますから、一つだけ聞かしてください。
 これは、大臣をおだてるわけじゃありませんよ。日本経済新聞に、「「シルバーベンチャー企業育成」労働省設立・運営に低利融資」といって、これは労働大臣の顔がどんと写っておるんですけれども、これはどういう発想で、どういうふうに今後お進めになるのか、もしお考えがあったら。これは労働大臣が考えたんじゃなくてほかの方が考えたんだったらもう頭にないでしょうが、そんなことはないと思いますけれども。
#188
○国務大臣(山口敏夫君) 正直申し上げまして、新聞記事に見られるような具体的な作業に入ったと、こういう段階の問題ではないわけですけれども、先ほど来各委員の先生方とも御論議申し上げているように、私は、高齢化時代の一番主要な役割を担っておる一つは労働省だと、雇用政策、高
齢者の雇用問題を通じたいわゆる健康な高齢化時代の担い手といいますか、責任を果たすと、こういう決意で、今各省議メンバーを初め、督励しながら高齢者対策に取り組んでいる。そういう構想の一端の中に、今先生から御紹介いただいたような問題点もございますし、先ほど藤井先生にお答えしましたシルバー平和部隊、こういうような構想もございます。さらには六十歳までの定年の延長法制化の検討の問題、そういうことも含めまして、高齢者の職域の確保、拡大、そしてまた、そういう方々が張りのあるといいますか、夢のあるというよりも張りのある一つの環境条件づくりというものに今こそ真剣に取り組まなければならない。特に私は、人生八十年時代とは今言っているだけのことで、やがては人生九十年時代、二十一世紀になると本当に人生一世紀時代ということが十分実現する可能性がある。そういうことでございますから、やっぱり今からそういう一世紀トータルプランといいますか、ライフサイクルを考えていかなければならない、こういう立場からの一つの構想の中の一端として議論されておる、こういう段階でございますが、全体としては高齢化問題に真剣に取り組んでいきたい、かように考えているわけでございます。
#189
○下村泰君 幾つかの例を挙げていろいろとお尋ねをしたいと思っておりましたけれども、時間に制限がありますからこれは次回に譲るといたしまして、新聞の記事によりますと、何か中国の方でも大変日本人の能力が歓迎されて、もっともっと人材をよこしてくれと。ところが運営資金がうまいこといっておりませんそうで、本当はこんなことについても大臣にお伺いして、少しでも援助してもらえるならば幸いであるというようなことでお伺いしようと思いました。とにかく英、米、仏、独、そういった老齢先進国というとおかしゅうございますけれども、比較的高齢者の多い国々に対して日本の高齢化社会に進んでいく進展度というのは物すごいスピードなんですね。ですから、老齢社会化オリンピックが開かれたら日本は金メダルが取れると思いますよ。そのくらいのスピードで今進んでいるんですから、労働省の方は余り落ちついていないで、慌てて施策をしてくださることをお願いをいたして、きょうはおしまいにします。
#190
○委員長(遠藤政夫君) 本調査に対する質疑は以上で終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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