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1984/04/02 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第10号
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1984/04/02 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第10号

#1
第102回国会 社会労働委員会 第10号
昭和六十年四月二日(火曜日)
   午後二時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     石井 道子君     加藤 武徳君
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     加藤 武徳君     石井 道子君
     対馬 孝且君     和田 静夫君
 四月一日
    辞任         補欠選任
     中西 珠子君     馬場  富君
     藤井 恒男君     抜山 映子君
 四月二日
    辞任         補欠選任
     馬場  富君     中西 珠子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤 政夫君
    理 事
                佐々木 満君
                関口 恵造君
                高杉 廸忠君
                中野 鉄造君
    委 員
                石井 道子君
                大浜 方栄君
                斎藤 十朗君
                曽根田郁夫君
                田中 正巳君
                前島英三郎君
                村上 正邦君
                森下  泰君
                糸久八重子君
                浜本 万三君
                和田 静夫君
                中西 珠子君
                馬場  富君
                安武 洋子君
                抜山 映子君
                下村  泰君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  増岡 博之君
   政府委員
       厚生政務次官   高橋 辰夫君
       厚生大臣官房長  下村  健君
       厚生大臣官房会
       計課長      黒木 武弘君
       厚生省健康政策
       局長       吉崎 正義君
       厚生省保健医療
       局長       大池 眞澄君
       厚生省保健医療
       局老人保健部長  水田  努君
       厚生省生活衛生
       局長       竹中 浩治君
       厚生省社会局長  正木  馨君
       厚生省児童家庭
       局長       小島 弘仲君
       厚生省保険局長  幸田 正孝君
       厚生省援護局長  入江  慧君
       社会保険庁医療
       保険部長     坂本 龍彦君
       労働大臣官房審
       議官       野見山眞之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       総務庁恩給局恩
       給問題審議室長  鳥山 郁男君
       法務省刑事局刑
       事課長      東條伸一郎君
       外務省国際連合
       局人権難民課長  増井  正君
       大蔵省主計局主
       計企画官     藤井 誠人君
       建設省住宅局住
       宅総務課長    木内 啓介君
   参考人
       環境衛生金融公
       庫理事長     加藤 威二君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和六十年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、昭和六十年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、昭和六十年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (厚生省所管、及び環境衛生金融公庫)
    ─────────────
#2
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨一日、藤井恒男君及び中西珠子君が委員を辞任され、その補欠として抜山映子君及び馬場富君がそれぞれ選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(遠藤政夫君) 去る三月二十九日、予算委員会から、四月二日の午後一時から四月三日の午後三時までの間、昭和六十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管、労働省所管、環境衛生金融公庫について審査の委嘱がございました。
 本委員会といたしましては、理事会で協議の結果、本日と明三日の午前十一時まで厚生省所管分を、明三日午前十一時から労働省所管分をそれぞれ審査することといたしました。
    ─────────────
#4
○委員長(遠藤政夫君) これより昭和六十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管、環境衛生金融公庫を議題といたします。
    ─────────────
#5
○委員長(遠藤政夫君) まず、参考人の出席要求についてお諮りいたします。
 本件審査中、環境衛生金融公庫の役職員を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#8
○委員長(遠藤政夫君) 予算説明につきましては、厚生、労働両大臣から既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#9
○浜本万三君 それでは、質問させていただきたいと思います。
 先般中曽根総理大臣も、今国会再開の冒頭の所信表明演説におきまして、人生八十年型社会への変化に合ったシステムの再構築を公約されましたし、また、厚生大臣も先般の所信表明の中で、国民生活を守る社会保障の実質的水準は低下させないことを基本とし、既存の施策の合理化、効率化を進めながらも、二十一世紀へ向けて新しい福祉社会を築くため、真に必要な健康対策などについては重点的に配慮することとしたというお話がございました。伺いまして、その意気込みは大変結構であると思います。しかし、意気込みとは裏腹に、社会保障予算は年々寂しいものになっておるわけであります。
 厚生大臣は、六十年度予算編成に当たってどのような方針で臨まれたのか、この際、改めてお伺いをいたしたいと思います。
#10
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、現在我が国の高齢化は諸外国に比べてかなり早いスピードで進行しておるわけでございます。そのことから予算につきましても毎年当然増が生じることになり、編成が厳しいことは御指摘のとおりでございますけれども、その国家財政の厳しい状況の中でも、厚生省予算についてはある程度の配慮がなされてもおるわけでございます。
 特に六十年度予算編成におきましては、厳しい国家財政のもとでいろいろ縮減方策を講じておるところでございますけれども、しかし、何としても国民に対する福祉の給付水準を低下させることのないよう必要な手当ては講じたつもりでございますし、今後もそのような姿勢で臨んでまいりたいと思います。
#11
○浜本万三君 今大臣からいろいろお話を承ったんでございますが、説明をどのようにされましても、厚生省の予算そのものを見ますと、最近の実情というものは国全体の一般会計歳出予算をマイナスにするために常に協力をさせられておる状況になっておると思います。つじつまを合わせているのが現実の姿ではないかというように考えられます。そして結果は、福祉切り捨ての政治に厚生大臣みずからが協力しておるんではないかというふうに考えられるわけでございます。ことしの六十年度予算の内容を見ましても、各種の繰り延べ措置あるいは政管健保勘定への繰入額の減額でありますとか、それから補助金の一律削減など、到底これは納得することができないわけでございます。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
 これらの措置について、今後厚生大臣とされて財政当局に対して積極的に立ち向かってもらいたいと思うんでございますが、そのような姿勢で今後進まれるのか、大臣の基本的な考え方を伺いたいと思うわけでございます。また、政府委員からは、具体的な対応策をもう少し明らかにしてもらいたいと思います。
#12
○国務大臣(増岡博之君) 現在の国家財政のもとでございますので、財政再建が政府全体の方針になっておるところでありますけれども、先ほども申しましたように、厚生省といたしましては、国民生活を守るために、社会保障の給付水準を低下させることのないよう財政当局にも御理解を求めるために最大限の努力をいたしておるところでございます。
 いろいろ縮減方策を講じておることは御指摘のとおりでございますけれども、今後ともそのような姿勢で実質的な給付水準を守るべく財政当局に対しても万全の働きかけ、努力をいたしてまいるつもりでございます。
#13
○政府委員(黒木武弘君) 今後の対応あるいは具体的な方針についてのお尋ねでございますが、現在六十年度予算の御審議をお願いいたしておるところでございまして、六十一年度の予算編成についてはまだ白紙でございます。
#14
○浜本万三君 六十一年度のことはまた後で伺います。
 いずれにしましても、厚生省の予算の性格というのは当然増があるのはこれはもうわかり切った話なんでございます。そうすると、ことしの場合には不足財源ができる、その不足財源については、高率補助の一割削減でありますとか、それから生活保護の適正運営でありますとか、あるいは医療費の適正化などによって約三千億円が捻出されております。そうしてようやく対前年度三千四百二十億円、率にいたしまして三・七%を増額した概算要求が提出されたわけでございます。しかし政府案を見ますと、それをさらに割り込みまして、対前年度に対しては二千五百三十六億円、二・七%増に抑制をされておるわけでございます。
 概算要求と政府案とのプラス要因といいましょうか、またマイナス要因といいましょうか、そういうものを明らかにしながらこの関係をひとつ説明してもらいたいと思います。
#15
○政府委員(黒木武弘君) 先生御指摘のように、概算要求段階では三・七%増の三千四百二十億の増で大蔵大臣要求いたしたわけでございますが、政府案として決定しました額は二・七%増の二千五百三十六億円の増であったわけでございます。
 この間の経緯と申しますか、どこがどうなったかというお尋ねでございますが、主要な項目について申し上げますと、編成段階におきまして要求から減になりました要素といたしましては、まず補助率の引き下げにつきまして十分の八を十分の七・二、つまり一〇%のカットで要求いたしたわけでありますけれども、政府案におきましては十分の八が十分の七、一二・五%のカットになったのが一点でございます。
 第二点目には、新たに政管健保の国庫負担の特例措置が講ぜられることになりまして、この間の減が九百四十億ほどあったわけでございますが、片や主要な増額の要素といたしましては、医療費改定に伴う増、年金手当の改善に伴います増がございまして、プラス要素、マイナス要素差し引きまして概算要求額に対しまして八百八十億円余の減ということに相なったわけでございます。
#16
○浜本万三君 私はその答弁を聞きましてまことにけしからぬと思いますのは、まず、高額補助の一律カットの問題につきましては、もう厚生省に一番影響が大きいにもかかわらず、八省にまたがる約五十九点の一律カットを一括して大蔵で審査する状態になったということは非常に不満だというふうに思います。一番影響の大きいのは厚生省でございますから、当然社労委員会において十分審査をいたしまして国民の皆さんに納得のいくような対策を講じなければならぬと思うんでございますが、それが大蔵で審議されておるということについては極めて遺憾に思うわけでございます。
 それからもう一つ私非常にけしからぬと思いますのは、先ほど答弁がございました健保勘定の九百三十九億円に上る収支残高が出たわけでございますが、これにつきましても、国庫負担額の削減に充当するということは、まさにこれは前代未聞の非常に悪い対応だというふうに私は思っております。本来、こういう健保勘定で出ました黒字につきましては、被保険者のための給付改善でありますとかあるいは保険料の引き下げに充てるべきであろうと思うわけでございます。
 そういう点につきまして、これは厚生大臣のしかとした御回答をいただきたいと思います。
#17
○国務大臣(増岡博之君) 今回の繰入措置につきましては、政管健保の財政が確かに黒字でございましたけれども、しかし、これが果たして長く続くことができるかどうか、高齢化社会を迎え、医学医術の進歩等がありまして、医療費がこれから先漸増することはほぼ予測されるわけでございまして、したがってこの黒字がうんと長く続くようでございましたら別でありますけれども、まだ単年度でございますので、先ほど申し上げたような将来の事態に対処するためそのことができるようにしておくことが望ましいと考えましたのが一点でございます。そのようなことから直ちに保険料率の引き下げを行うことは適当でないと考えたわけでございます。
 なおその上、さらに医療保険の給付のあり方につきましては、医療保険全体についてのほかの保険制度との給付と負担の公平あるいは将来の負担水準とも考えて定めるべきものであるという、そういうことから政管健保の財政状況のみに基づいて行動することではなく、今回の措置にとどまったわけでございますので、ぜひともこの点は御理解をいただきたいと思います。
#18
○浜本万三君 ここではっきりさしておきたいと思うんでございますが、九百三十九億円といえば料率に換算をいたしまして〇・二五%程度になるのではないかというように私思うんでございます。もしこれを保険料の引き下げ等に使用しないということになりますと、それだけ負担が増額をするというふうに考えても差し支えないじゃないかというふうに思います。
 今度の改正されました法律によりますと、後日健保勘定の収支の状況を勘案して繰り入れるというふうになっておるわけでございますが、また大臣は、先ほど単年度だけではその判断ができないというふうにおっしゃっておるわけでございますが、そうすると来年赤字になれば戻す、こういう理解に立ってよろしいんでございましょうか。また、来年もし黒字が出るということになればどうなるんでございましょうか。その点もう少し明らかにしてもらいたいと思います。
#19
○国務大臣(増岡博之君) 私がそういうことを申し上げては大変申しわけないんですけれども、もし赤字がすぐあらわれるというふうなことになりますと、私は直ちにその繰り戻しを行ってもらわなければならないと思っております。それから、その後も黒字基調が続くといたしまして年月がたって国の財政状況がよくなった場合には、もちろん繰り戻しをしていただかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、本年度予算につきまして御審議をいただいておる最中でございますので、将来のことをなかなかはっきり申し上げにくいと思うわけでございますが、少なくとも政管健保の適正な財政運営が損なわれることがないように対処してまいりたいと思います。
#20
○浜本万三君 私の気持ちから申し上げますと、遅くとも来年度は返してもらってそして被保険者のためになるような黒字の使い方をぜひやっていただきたい、かように考えておる次第でございますので、厚生大臣によろしくその辺はお願いを申し上げたいと思うわけでございます。
 それから、来年のことはまだ考えていないというお話なんでございますが、考えておる節が見えるわけでございます。厚生省は、六十年度予算の審議が今始まったばかりでございますが、にもかかわらず、事務次官が各部局に対しまして六十一年度の対応策の立案を急ぐよう指示したということが二月の三日、地方の新聞では一月の二十九日ごろだったと思うんでございますが、日経新聞で報道をされておるわけでございます。その点についてはどうなんでしょうか。
#21
○政府委員(黒木武弘君) 来年度の予算編成に向けての作業というお尋ねでございますけれども、大臣からもお答えいたしましたように、現在六十年度予算を審議中でございまして、六十一年度の予算作業についてはいまだ着手をしていないわけでございます。事務次官は勉強家であられることから、絶えずよく勉強しておけというふうなことは言われておるわけでございますけれども、厚生省として、来年度の予算編成作業その他にはまだ着手いたしておりません。
#22
○浜本万三君 よく勉強しておるところをひとつはっきりしてもらいたいと思うんであります、これは後の問題があるわけなんで。
 そこで、一つ質問をするわけなんでございますが、六十一年度も医療費や年金給付費などで、この新聞によりましても六千億から七千億円の当然増が見込まれておるようでございます。そういたしますと、またことしのようにあらゆる面の給付を切り下げるということになったのではますます社会保障関係の予算が後退をするわけでございます。したがって、勉強されておる点でよろしいですから、今日の時点で考えられる対応策というものはどういうふうになるわけでしょうか。六千億、七千億の当然増が見込まれるということになりますと当然今から考えておかなきゃならぬと思いますので、その点につきましてひとつお尋ねをいたしたいと思います。
#23
○政府委員(黒木武弘君) 厚生省予算としましては、六十一年度におきまして当然のことながら、高齢化現象に伴いましてある程度、場合によってはかなりの当然増は生ずるであろうということは私どもも考えておるわけでございます。新聞記事等は恐らく、ことし六十年度の当然増が六千五百億であったことから先生御指摘のような数字が報道されているのではなかろうかと思うわけでございますが、幾らになるか、まだ作業はいたしていないことは先ほどお答えしたとおりでございます。
 どんな歳出カットの道があるかということでございますが、厚生省といたしましては、本格的な予算編成は実は概算要求基準、シーリングというものが決まってから本格的な検討をいたすわけでございまして、そのシーリングが、概算要求基準が、私どもの先ほど申しましたような当然増経費等を積み込むような形でお認め願うならば、歳出カットというような問題は生じないわけでございますが、六十一年度の概算要求基準がどうなるのか、あるいは六十一年度の国の財政がどうなるのか、まだ私どもとしては大蔵当局から何も聞いていない状況でございますので、どういう歳出カットの方途があるのかというお尋ねでございますけれども、今お答えするような材料は持ち合わせていないわけでございます。御了承をいただきたいと思います。
#24
○浜本万三君 これは厚生大臣に伺いたいと思うんでございますが、臨調の方針によれば、来年度もことしと同じようにゼロシーリング、マイナスシーリングという形で歳出カットの要求があることは間違いないと思うわけであります。そういたしますと、厚生省における歳出カットはもう限界だと、こういうふうに私思うわけなんでございますが、大臣としては、まだ余裕があるというようにお考えでございましょうか。その点ひとつお答えをいただきたいと思います。
#25
○国務大臣(増岡博之君) 私は、今のところ余裕があるとも限界とも考えておりませんけれども、しかし、赤字国債依存が終わる時点まではかなり政府全体としての予算は厳しかろうと思います。したがって、私どもが厚生省の福祉水準を実質的に低下させないためには、これから先かなりな努力と働きかけが要るのではないかというふうに考えております。
#26
○浜本万三君 厚生大臣、期待をしておったのですがどうも余り自信のある発言でないので大変不満でございます。ただ、私だけでなしに国民の多くの皆さんが考えておられますことは、これ以上の社会保障予算の削減にはもう到底納得できないということではないかと思うわけでございます。
 厚生省の予算は、先ほど申し上げましたように、高齢化の進展過程の中で年々増額する性格を持っておるというふうに思います。このことは大蔵省の中期財政展望でも明らかにされておるところでございます。一般会計全体をゼロないしマイナスシーリングとする予算を組みますと、これまでの例によりますと、特定の省庁の予算が膨張いたしますと他の省庁が縮小されるという実態になっておるわけでございます。それが最近は、膨脹するのは防衛関係予算であって縮小するのは社会保障あるいは文教関係予算であるというのが現在の予算編成の姿ではないかというふうに思います。そういう意味では国民の福祉を担う厚生省当局に財政当局との折衝では一層頑張ってもらわなきゃならぬと思うんでございますが、大臣の決意を改めて伺っておきたいと思います。
#27
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のような趣旨に沿って最大限の努力をしてまいりたいと思います。
#28
○浜本万三君 次は、広島県の因島市の骨関節結核訴訟の問題について若干お尋ねをいたしたいと思います。この事件は、去る三月二十五日広島県の広島地方裁判所尾道支部で判決のあったことでもございますので、特に伺っておきたいと思うわけであります。私の立場で言えば、訴訟に立法府の我々が立ち入るとかあるいは介入するという気持ちは毛頭ございませんが、国、県などの行政の対応あるいは対策だけは明確にしておいていただきたいと思いまして質問をさしていただいておるわけでございます。
 まず、事件の概要について簡単に説明をしてもらいたいと思います。
#29
○政府委員(大池眞澄君) お答え申し上げます。
 御指摘のございました訴訟の事件でございますが、三月二十五日に判決がありまして、その結果は、原告らの請求を棄却するという判決であったわけでございます。
 本件は、昭和四十五年から四十七年ごろへかけまして、広島県の因島市の一医院へ神経痛等の医療のために通院をいたしておりました原告の方たちが、看護助手が肺結核に感染していたので骨関節結核に罹患したと主張いたしまして、知事及び保健所長が結核予防法上の適切な措置をとらなかったなどの理由で、昭和五十年七月二十九日、国家賠償法に基づきまして国及び広島県に損害賠償を請求するに及んだものでございます。
 五十九年の五月結審をいたしまして、六十年の三月二十五日に広島地方裁判所尾道支部におきまして先ほど申し上げましたような判決がなされたものでございます。
#30
○浜本万三君 ここで二つだけもう一回確認をしておきたいと思うんでございます。
 因島市並びに瀬戸田町において、今おっしゃいました奥医院に通院した者の中から、骨関節結核患者が通常の場合に比較をいたしまして非常にたくさん発生したと、そういう点はお認めになるわけですね。
#31
○政府委員(大池眞澄君) 結果として、同地域におきます発生状況を振り返ってみますと、異常な多発であったということは明らかになっております。
#32
○浜本万三君 もう一つ確かめますが、先ほど結核患者の見習い看護婦から感染したというふうなお話があったのでございますが、その看護婦が開放性の結核患者であり、そこから感染したのであろうということはお認めになるわけですね。
#33
○政府委員(大池眞澄君) その看護助手の方が結核の感染源であったかどうかについては、県の調査では確認できなかったというふうに承知しております。
#34
○浜本万三君 それでは質問の方向を変えてお尋ねするのですが、保健所あるいは県は、その事実を知り得たのはいつでございましょうか。また、県の方がその対策のために調査を実施したのはいつということになっておるでしょうか。さらに、奥医院の営業はその後どのように行われておったのでしょうか。それらの点についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
#35
○政府委員(大池眞澄君) 因島の保健所におきまして、保健所管内に発生を見ております骨関節結核の発生状況が、通常の形、パターンと違うんではなかろうかというふうに疑念を抱きましたのは、昭和四十六年の十月ごろと承知しているわけでございまして、十二月末には、この件につきまして因島保健所長から県に報告がなされております。昭和四十七年の七月には、肺結核患者の発見努力のほかに、骨関節結核患者の発見の手がかりをつかむべく、問診その他の検査項目を加えました特別の住民健康診断を実施いたしております。さらに、同年、四十七年の十月からは、それまでに登録されておりました骨関節結核患者等に対します実態調査に着手しております。
 御指摘の医院につきましては、四十五年十一月に閉院をいたしておりまして、ただいま申し上げましたような疑念を抱き調査等に着手をしたという時点では、もう存在していないということで、特段の措置はとっておりません。
#36
○浜本万三君 ちょっと事実関係で私が問題があると思いますのは、裁判所の記録を見ますと、昭和四十五年ごろに患者が多数発生をいたしまして、そして昭和四十五年の五月に開放性の結核患者でありました見習い看護婦、これは無資格の看護婦でございますが、これが死亡をいたしております。そして、保健所長がその事実を知り得ましたのは昭和四十五年の九月ということになっておるわけであります。そして、県の方が対策協議会を発足させまして、感染源その他について調査を開始いたしましたのが四十七年十一月二十四日ということになっておるわけでございます。
 それらの経過を総合いたしますと、保健所というのは、現行結核予防法に基づきまして、感染源、感染経路を調査するとか、いろいろな作為義務を負うということになっておるんじゃないかと思うんでございますが、余りにも、保健所長が知った四十五年九月から四十七年十一月二十一日の県の行動を開始するまでに相当長い時間を経過しておるように思うわけでございます。その点から申しましても、行政上の手落ちがあったんではないかということが考えられるわけでございますが、いかがでございましょうか。
#37
○政府委員(大池眞澄君) 当該保健所におきましては、昭和四十五年におきましても、予防法の定めその他によります肺結核患者の早期発見、早期治療対策の一環といたしまして、患者の登録でございますとか、保健婦の家庭訪問指導、住民健康診断あるいは医療費の公費負担等々の措置は行っているところでございます。
 御指摘の点につきましては、去る三月の判決におきましても、保健所において当該医院を感染場所とする院内感染、さらには接触感染の疑いを持つに至るべき時期は昭和四十六年九月初めごろだとされているように承知しているところでございまして、先ほど申し上げましたように、四十六年の十月ごろに、これはどうも普通の単なる骨関節結核等の多発とは違う、通常のパターンではないなという疑念を抱いたのは四十六年の先ほど申し上げました時期であったということでございます。
#38
○浜本万三君 この点非常に問題だと思うわけでございます。私が思いますのは、結局、保健所長がしっかりしておれば早くからこの実態は知り得たのではないかと思うわけです。実態がわかれば当然次の対策を打つことになるわけでございますが、非常にその点がおくれておったことを残念に思うわけでございます。
 そこで、もう一つお尋ねをするんですが、県の段階あるいは因島市役所の段階で、これらの患者に対しまして、それぞれ単独事業として見舞い金的なものを給付しておるというふうに聞いております。また、医療の給付も実際に行われておるというふうに聞いておるわけでございますが、その実態はどうでしょうか。また、その性格はどういうふうに理解したらよろしいんでございましょうか。
#39
○政府委員(大池眞澄君) ただいまお話しのございました見舞い金等の件でございますが、広島県より聞いて承知している点について御説明を申し上げたいと思いますが、国家賠償法上の責任とは別の観点でそのような措置をとったということでございます。
 すなわち、現に骨関節結核が集団発生をしているという事柄に着目しまして、その地域におきます患者の方々のできるだけ早い健康回復、生活の早期安定ということを願っての見舞い金等を支出、給付をした、また、医療の促進を図るために、医療費の自己負担分を支給するというようなことを行ったということでございまして、裁判上で言われるような責任を認めたものではないというふうに聞いておるところでございます。
#40
○浜本万三君 それは、国家賠償責任の訴訟を起こしておるんでございますから、そのことが国家賠償に当たるというような、そんなつまらぬ議論を僕はしておるわけじゃないんであります。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
これは医療機関の医療ミスであったということははっきりしておるんだし、医療機関の単なる医療ミスならば、県や市が余り気を使うこともないんじゃないかと思っておったんでございますが、その中間的な政策ともとれることをやっておられるものでありますから、したがって、この事件の経緯を考えて、やっぱり行政上にも何らか一半の責任があったような、そういう責任を感じてこのような措置をとられたんではないかというふうに私は思ったんでございますが、そうじゃございませんか。
#41
○政府委員(大池眞澄君) 繰り返しのお答えになるかもしれませんけれども、見舞い金等につきましては、先ほども申し上げたような国家賠償法的な責任という観点ではなく、あくまでも健康回復、生活の安定ということを願っての見舞い金である。原告の立場に立たれた患者さんあるいは遺族の方々に対しましては、当然結核予防法に基づきまして必要な健康診断とか医療費の公費負担とか、これは当然行ってきているところでございます。
#42
○浜本万三君 押し問答してもしようがないんで、簡単に私の意見を申し述べて、二、三大臣の決意を伺いたい、かように思います。
 まず、私の意見としましては、判決では、今おっしゃいましたように国家賠償の責任はないというふうになっておるわけでございますが、もう一面では、結核予防行政面において、一般的には、知事、保健所長はその権限を適正に行使し、結核の発病等を未然に防止する作為義務が生ずることがあるということを認めた上で、県が本件を知った時点では奥医院が閉鎖されているので、新たな結核感染の危険は消滅しているのだから、県側に危険防止のための何らかの対応策をとる義務は発生しないと言っておるわけでございますが、これでは余りにも行政側に偏った判決になっておるのではないかと思います。患者の皆さんや地域の皆さんは、この判決を聞かれまして大変憤慨をしておる、こういう情報が伝わってきておるわけでございます。
 そこで私は、因島保健所長は先ほど申し上げたような関係で言えば、一時的な異常な患者の発生を知る立場にあったはずであります。つまり、四十五年の九月には知る立場にあったはずでございますから、その段階で機敏な対応をし、適切な措置が講じられておれば私はもう少しこの被害を少なくすることができたんではないかと、かように思っておるわけでございます。私と同じような意見は、当日二十六日の中国新聞にも、広大の富井利安さんという大学の先生もその見解が発表されておるわけでございます。つまり、何となく割り切れぬというお気持ちがあの地元の人には非常に多いわけでございます。
 そこで、大臣に要望したいことは次の三つでございます。
 まず第一に、医療ミスを犯してその診療所が閉鎖するわけでございますから、民事上の損害賠償を請求しようと思ってもこれはなかなか無理な話でございます。しかし、こういうことが再び起きてはならないというふうに思いますので、このような事件が再び起きないような具体的な措置を今後講じてもらいたいということが第一でございます。
 それから第二は、今回の裁判の途中だったわけでございますが、昭和五十六年の十一月三十日、三十三回目の口頭弁論がありましたときに、当時の裁判長が和解の勧告の意向を示されたことがあったわけでございます。これはどちらが和解を拒否したのかは知りませんけれども、もう十五年以上もたった事件でもあるし、それから若干でもやはり行政上もう少し何とかならないかという声があるこの事件でございますので、和解の問題について大臣が原告側と話をしてみるお気持ちはないか。早期に解決をするためにはそれぐらいな決意を示していただきたいということでございます。
 それから第三番目は、患者や家族の皆さんに対しまして、できるだけひとつ親切な対応をしてもらいたい。
 この三つのことを申し上げたいと思いますが、これについて大臣のお答えをいただきたいと思います。
#43
○国務大臣(増岡博之君) 先生御指摘のように、この事件につきましての患者さんというのは、訴訟を起こした段階で直接の責任者が亡くなるという、ほかには例を見ないような状況でございました。その点、患者の皆さん、家族の皆さんのお気持ちは十分に理解できるわけでございます。今後、そのようなことが起きないように予防措置をとることは御指摘のとおり当然のことだと思いますので、これまでもそれぞれ十分やってくれたと思いますけれども、これからもっと念を入れて予防措置を講じなければならぬと思っておるわけでございます。
 二番目の和解の件でございますけれどもこれは今初めて先生からお話を承ったわけでございます。しかし、今控訴をされておるわけでございますので、裁判のそれぞれの段階でいろいろ局面があろうかと思います。その局面に対応してまいりたいと思うわけでございますけれども、今直ちに和解に応じるということを御答弁申し上げることができかねますので、この点はお許しをいただきたいと思うわけでございます。
 それから三番目の、患者あるいは家族に対して親切に対応してやれということでございます。これは、先ほど申しましたような私の気持ちからも、御趣旨に沿ってやってまいらなければならないと思っております。
#44
○浜本万三君 とにかく事件も長くなっておりまするし、患者の皆さんも、亡くなった方もたくさんありますけれども、年も相当とっておられますので、生活にも非常に困っておられる人もおるそうでございますので、早急に対応するように特に希望を申し上げておきたいと思います。
 それから次は、ことしは広島の原爆被爆四十周年に当たりまして、厚生省の方も若干の施策を講じておられるようでございますが、その中で特に原爆被爆者の実態調査の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 実態調査をするために調査委員会が設置されたということを新聞報道で伺っておるわけでございますが、どのような調査を期待されておるのか、これは厚生省の腹案を含めましてお伺いをいたしたいと思います。また、今後の審議日程あるいは今後の段取りといいましょうか、そういう内容についてもあわせてお尋ねをいたしたいと思います。
#45
○政府委員(大池眞澄君) 原爆被爆者の実態調査につきましては、御承知のとおり昭和四十年度及び五十年度の二回にわたりましてこれまでに実施したところでございます。その後十年を経まして、被爆者の方々の健康問題あるいは生活状態等の実態も変化してきていると考えられまして、昭和六十年度におきましてこれまでの調査のことも考慮しつつ、その変化を的確に把握すべく調査を実施し、今後の被爆者対策の基礎資料といたしたいということで現在既に準備に入っているところでございます。
 先ほど御指摘ございましたように、既に二月に調査委員会が発足いたしまして、熱心に御論議をちょうだいしている最中でございます。したがいまして、調査の具体的な内容あるいは具体的手法等々につきましては、現在御検討いただいている最中ということでございます。
 なお、調査そのものの実施は、厚生省といたしましては秋に実施したいと考えておるわけでございまして、そのためにも調査委員会におきます検討をできるだけ早い時期にお取りまとめいただくべく現在お願いしているところでございます。
 なお、調査結果につきましては、六十一年度に解析検討というようなスケジュールと相なっております。
#46
○浜本万三君 その調査内容に死没者の調査が入っておるかどうかということが非常に問題なわけなんですが、特にこの問題は、毎年の当委員会の附帯決議におきましても、「被爆者について、死没者の状況が十分把握されていないことにかんがみ、その調査を行うよう努めること。」というのが万場一致で決議されておるわけでございますし、また、ことしは被爆後四十年ということでございますので、四十年を経過した今日の時点において死没者の調査を決断しない限り、永久にその機会を失うのではないか、そういう気がしてならないわけでございます。世界で最初の被爆国として、また被爆地として、本調査を実施することは、ある意味では世界平和の実現にとっても意義深いものと考えられるわけでございます。
 大臣も広島の出身でございますので、ぜひこのような死没者の調査を実施してもらいたいと思うんでございますが、大臣の認識と決意のほどを伺いたいと思います。
#47
○国務大臣(増岡博之君) 私、厚生大臣になりましてから、この実態調査の中に死没者の調査についてもやってもらわなきゃだめだということをたびたびいろいろな機会に申しました。もちろん広島の現地でも、あるいは長崎の方々にも申し上げたのですけれども、一応その必要性は皆さんもちろん理解していただくわけでありますが、戦後四十年たったので、なかなか技術的に困難で難しいという話を聞くわけでございます。
 しかし、そのことを実際に企画立案しないでもって、あらかじめ予断をもってただ難しい難しいと言っておったのではいけませんので、今度のこの調査に当たりましても、調査委員会でその困難を克服することはできないか、あるいはまた、できる限りの手段を尽くしてくださいというお願いをいたしておるところでございまして、現在検討中でございます。
#48
○浜本万三君 その気持ちはあるがなかなか難しいという答弁なんですが、その気持ちがあるならばぜひ調査が実施できるように、秋までですからまだ機会があるわけですから、一層ひとつ努力をお願いをいたしたいと思います。
 それから、被爆者白書の作成のことについて伺うわけでありますが、渡部前厚生大臣のときには、被爆者実態調査や国勢調査等を活用することにより原爆問題の全体像、実相を集大成した被爆者白書を作成することについて積極的な意向を示されたわけでございますが、この点について、増岡厚生大臣は前大臣からどのような引き継ぎをされておるのか。また、白書ということになりますと、死没者調査はここでもやっぱり重要になってまいりますので、特に白書づくりについての大臣の見解、あるいは決意について伺っておきたいと思います。
#49
○国務大臣(増岡博之君) 被爆問題につきましては、白書といって銘打つかどうかは別といたしましても、ともかくそういう総合的な判断といいますか、これまでも広島、長崎両市において被災調査を初めいろいろ調査をしていただいておるわけでございますので、それを総合し総括することは大変有意義なことだと考えておりまして、また、前大臣からも承っておるところでございますので、私も、関係者の方々とこの具体的内容に関しまして相談をしてまいりたいと思います。
#50
○浜本万三君 ぜひしっかり実現するように、ひとつ御協力を願いたいと思います。
 それから、時間がもう少ししかございませんので、簡単に、最近問題になっております中間施設の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 最近、日本の状況を見ますと、四十八万人の寝たきり老人がいる、それから五十七万人の痴呆老人がいるということが推計されております。今後高齢化社会がさらに進行いたしますと、昭和七十五年には現在の二倍、百年には三、四倍になるということが言われておるわけでございます。そうなってまいりますと、当然これを援護するための政策が必要だということになるわけでございます。
 ところで、こういう人たちを介護しております人は主として女性の方が非常に多いわけなんでございますが、その女性の方も最近の産業構造の変化によりまして職場に進出をするということになっております。そうすると、家庭での介護力はますます低下をするというように考えられます。こうした事態に対しまして、これを何とかしようというので、社会保障制度審議会が「老人福祉の在り方について」ということで最近建議をされました。これまでの努力ではまだ不十分であるから、養護老人対策の充実を積極的にやったらどうかという提起のように私は受け取っておるわけでございます。
 政府としては、この建議を最大限に尊重してその施策を推進するというふうに思うんでございますが、その点についてはいかがでございましょうか。
#51
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、これから本格的な高齢化社会を迎えるわけでございます。その間におきまして、いわば介護のために家庭が崩壊するというようなことも言われておりますし、また、それでなくても核家族化が進んでおるわけでございます。また、いわゆるお年寄りの中にも、その健康あるいは病気の状態によっていろいろニーズが異なると思います。そういう視点から制度審議会で御指摘をいただいたところでございます。
 私どもも全く同感でございますので、今後、関係の学識経験者、専門家等から成ります検討会でもって幅広い検討を進めていく所存でございます。
#52
○浜本万三君 この検討委員会は、大体どういう日程で検討を始められるのか、およそのスケジュールについてお尋ねをいたしたいと思います。
#53
○政府委員(吉崎正義君) 六十年度予算で御審議をお願いしているのでありますけれども、お認めをいただきましたならば、できるだけ早く四月中にも発足をさせたい予定でございます。
 今後のスケジュールでございますが、問題の重要性にかんがみまして、できるだけ速やかに検討を進めていただくことを期待しておりますけれども、具体的なスケジュールにつきましては現在のところ未定でございます。
#54
○浜本万三君 新聞によると、その検討委員会が発足する前に厚生省では、厚生省内の意思統一を図るために健康政策局長を座長とする中間施設に関するプロジェクトチームが設けられ、中間施設の具体的な内容、法制面での問題点や費用負担のあり方、中間施設と他の施設との連携等が検討されておると言われておるわけでございますが、この点はどのように今進められておるわけでございましょうか。
#55
○政府委員(吉崎正義君) お話にもございましたけれども、検討委員会で御検討いただく予定にしております主題は非常に多うございます。大臣も幅広くとお答えになりましたが、お年寄りを全体としてどうやってお世話するのが最も適当であるか、現行の医療機関の体系と福祉施設の体系の問題点はどうか、我が国で中間施設をどう位置づけたらいいか、あるいはこの中間施設の類型はどのようなものがあるか。また、中間施設というものを考えます場合に法制面の整備が必要でありますが、そういうことがどうあるか。あるいは費用負担のあり方、それから整備を図るための方策その他でございますけれども、省内に設けましたプロジェクトチームにおきましては、ただいま申し上げましたような事柄につきまして、省内の関係部局も多うございますので、いろんな考え方、課題等について事務的に整理を行っておる、こういう段階でございます。
#56
○浜本万三君 その中で、費用負担の問題についてどうも気になることが発表されておりますので、時間がないのでその点だけを質問をしておきたいと思います。
 費用負担のあり方について、これは制度審の答申にも若干出ておるわけでございますが、費用負担は今後は医療費で見たらどうかという意味のことが、新聞にも載っておりまするし、また制度審の答申にも出ておるわけでございます。もし、税金で見ずに医療費で見るということになりますと、私から言えば二つの問題が心配になるわけです。
 一つは、税金で賄うということになれば、所得配分機能というものがより一層明確になっておるわけなんでございますが、医療費で賄うということになりますと、その機能が若干低下をする心配があるということ。それから、もう一つは、医療費で見るということになると、医療費がだんだん増額されるのではないか。つまり、医療費の負担が国民にとって多くなるのではないかという心配があるわけでございます。
 そういう点についてはまだ検討中だから何にも考えていないというふうなお答えがあるかもわかりませんが、いろいろ新聞に出ておることでありますから、厚生省の腹づもりで結構でありますから、お答えをいただきたいと思います。
#57
○政府委員(吉崎正義君) お話にもございましたように、この費用の負担の問題は極めて重要な課題であって、お話にもありましたのでちょっとお答えしにくいのでありますけれども、検討委員会の検討項目であるわけでございます。措置ということ、それから医療費ということ、また中間施設の類型によっても違ってこようかと思います。
 そのような状況にございますので、今のところまだ腹づもりというところには参っておりません
で、ちょっと歯切れが悪うございますけれども、御了解賜りたいと存じます。
#58
○浜本万三君 時間が来ましたので、終わります。
#59
○高杉廸忠君 私は、去る二日の二十六日、本委員会において厚生大臣の所信に対してただし、報徳会宇都宮病院問題について質問をいたしました。本日は引き続きまして、第一に宇都宮病院問題、第二に我が国における精神衛生行政について、第三に精神障害者の人権などについて、第四に参考人として加藤理事長の御出席をいただいておりますので、環境衛生金融公庫の融資について、以下順を追ってただしたいと存じます。
 大臣にまず伺います。ことしも八月に、ジュネーブで国連の人権小委員会が開催されることになりました。これに先立って、国連経済社会理事会で協議資格を持つ二つの非政府機関からの日本の精神衛生行政に関する調査団の来日がある、こういうふうに聞いているんです。また、国内では、去る三日二十六日、宇都宮地裁で石川文之進前報徳会宇都宮病院院長に対する一審の判決がありました。そこで、これらを踏まえて伺いますが、第一について、二点まず伺いたいと思うんです。
 私の記憶では、海外から我が国の精神衛生行政について、非政府機関とはいえ調査団が相次いで来日するのは初めてであると思うんです。御存じのとおり、ことしの国連人権小委員会では、精神障害者の人権に関するガイドラインの国際条約化の作業が行われます。ダエス報告の第二読会がそれでありまして、おおよそその見通しでは、この読会で同報告は承認をされまして、人権委員会、経済社会理事会を経て、早ければ来年中にも条約または国際的要請として可決されるのではないか、こうされているわけです。来日される二団体は、この作業の各段階で発言権を持つものであります。そこで、来日に対してどう政府として対応されるのか、これが第一であります。
 次に、三月二十六日の石川文之進前報徳会宇都宮病院院長に対する宇都宮地裁の判決であります。これは大方の予想を覆して、患者の人権を無視した石川文之進被告の姿勢、態度が病院の暴力支配の傾向を生んだ、医師としてはあるまじき行為であるとして、懲役一年、罰金三十万円の実刑とし、執行猶予を排したものであります。この種裁判で医師に実刑が言い渡されたのは初めてであるとされますが、これについて、厚生行政の責任者としてどうお考えなのか。
 以上二点について、まず大臣に伺います。
#60
○国務大臣(増岡博之君) 私も、非政府機関とはいえ調査団が来日するということは、厚生行政を預かる立場からも非常に残念だと思っておるわけでございます。しかし、この種事件は事実でございますけれども、大部分の医療機関はまじめにやっていただいておりますし、私どももそのように要請をいたしておるわけでございますから、来日される委員会のメンバーに対しましても、日本の精神医療の実態なり制度を正しく理解されるように積極的に対応をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 宇都宮病院の事件そのものはまことに遺憾なことでございます。このことによって精神医療全体に対する国民の疑惑、不信を招いたことは大変残念でありますけれども、今後、そのような事件の再発を防止するために、引き続き努力をしてまいりたいと思います。
 院長自身の判決があったわけでございますけれども、御承知のように、日本の裁判所は三審制ということになっておるわけでございます。その最終判決を待たずにどうこうと言うことは大変申し上げにくいかと思いますが、ともかくどのような処分が行われましても、医道審議会で御判断をしていただくべき事柄でございますので、私から具体的には御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
#61
○高杉廸忠君 大臣、確認なんですが、石川文之進医師に対する認定事実ですね、判決。これをどういうふうにお考えになりますか。
#62
○国務大臣(増岡博之君) 第一審でそのように判断をされたことは、それはそれなりに事実に基づいておるものであろうと思っておるわけでございまして、しかし、先ほど申し上げましたように三審制度でございますので、その点はいわば留保付きにせざるを得ないかというふうにも考えるわけでございます。
#63
○高杉廸忠君 ちょっと最後のところはっきりしなかったんですが、何ですか。
#64
○国務大臣(増岡博之君) 事実はそのとおりであろうと思いますけれども、三審制度がございますので、一〇〇%そのとおりだと言ってしまっていいのかどうかという、これは裁判所に対する行政側の態度は保留させていただきたいということです。
#65
○高杉廸忠君 大臣、判決に当たって宇都宮地裁の藤井登葵夫裁判長はこう言っているんです。同病院では無資格者診療が蔓延していたが、人件費を減らす方針をとっていた。診療するのを嫌がった患者には退院をさせないと強要した。これは医師としてのモラルを欠いた言語道断の行為である。法が医療に資格要件を決めているにもかかわらず、このように広く無資格者診療を続けていた節度のなさ、医の倫理の欠如は許されない。病院の監督責任、精神病院に対する社会的信用を一挙に失墜させたことを見逃しはできない。患者の人格を無視した医師としてのあるまじき行為は、社会の正義、倫理の観点から執行猶予はつけられないと。こうして断罪をしたんです。私はその判決で指摘しているように同感であります。
 そこで伺いますが、医の倫理の問題でもある、このことは論をまたないわけであります。具体的には医の倫理はどこでどういうふうに扱うんですか、大臣。
#66
○国務大臣(増岡博之君) 私も、裁判の結果は別といたしまして、この病院の事件というものは行政サイドから考えてもまことに残念な事態であると思っておるわけでございます。
 今先生が御指摘になりました医の倫理を裁くということにつきましては、医道審議会が従来から御判断をしていただいておるわけでございまして、今回も確定をいたしましたならばその場で御判断をいただきたいと思います。
#67
○高杉廸忠君 それでは伺いますが、これまで医道審議会の議を経て医師免許が取り消しされた事例がありましたら、その事例とその理由、これをあわせて聞かせていただきたいと思うんです。
#68
○政府委員(吉崎正義君) 過去におきまして、医道審議会の議を経まして免許取り消しの処分を受けた事例はございます。
 若干の例を申し上げますと、凶器による殺害、わいせつ行為、チフス菌入りバナナ等を喫食させ障害を起こさせたもの、要指示薬の販売を容易にするため白紙の処方せんを薬局に渡したもの、覚せい剤取締法違反などでございまして、いずれも医の倫理に照らして悪質であると判断されたものと考えております。
#69
○高杉廸忠君 さらに伺いますけれども、私は、この石川文之進は、医師法第四条免許の相対的欠格事由三並びに同法の第七条の二に当然該当するものと考えます。それが一つ。
 それから、この際でありますから申し上げますが、私は、人命を預かる医師たる者は、最も高い倫理性が要求されて当然であると考えるんです。一審判決で罰金刑以上の判決を受けた場合は、私は免許停止を諮るぐらいのことは当然だと、こういうふうに思うんです。いかがですか。
#70
○政府委員(吉崎正義君) 石川文之進の行った行為の事実関係が確定いたしますれば、お話にございましたように、医師法第四条第三号の「医事に関し犯罪又は不正の行為のあった者」に該当いたします。したがいまして、七条にも該当いたします。
 次に、一審判決で罰金刑以上の判決を受けた場合についてでございますけれども、ただいま申し上げましたように、その行為の事実関係が確定いたしますならば、医道審に諮りまして厳正に対処
すべきものであると考えます。
 どのような処分が行われるかということにつきましては、医道審議会で御判断をいただくことでございますので御了解賜りたいと存じます。
#71
○高杉廸忠君 私は、こういうことを申し上げて、即刻大臣に医道審議会の議を経て免許の取り消しをしていただきたい、こういうことを申し上げているので、あなたの答弁については納得いかない、これだけは申し上げておきます。
 それから法務省の方に伺いますけれども、今回の判決は筋を通したものであって当然であるとは思うんです。石川文之進医師の姿勢と態度が暴力支配を生んだ、この結果患者が職員によってリンチされ、殺された。この点に関する石川文之進の責任を問うた点もそれであると、こう思うんです。しかし被告は控訴をした。その趣旨ですね、控訴をした趣旨。それがわかっていれば聞かしていただきたいと思うんです。
#72
○説明員(東條伸一郎君) 去る三日二十六日に、先生御指摘のように、石川被告に対しまして判決がございました。それに対して即日控訴の申し立てがございまして、現在控訴中ということになるわけでございますけれども、いまだ控訴理由の提出もございませんので、現段階でどのような理由で控訴をしたかということは私どももちょっとわかりかねるという状況でございます。
#73
○高杉廸忠君 それじゃ次に、角度を変えて、作業療法の件について伺います。
 裁判所は、二、三の例を挙げて、宇都宮病院における作業療法なるものに関してこれを使役である、こう厳しく批判しているわけですね。同病院では言うことを聞かない者についてはリンチ行為、こういう構図です。
 同病院の作業療法と称する強制労働について、厚生省はどういうふうにお考えになっていますか。
#74
○政府委員(大池眞澄君) 判決の要旨におきまして、本来正規の職員に担当させるべき病院の業務などをわずかな作業報償金で患者に代替させるということは使役にほかならないというふうに、その判決の要旨においては判断されているように報じられておりますが、使役的に患者さんを利用するというようなことは、あってはならないことと考えておるわけでございます。
 なお、厚生省におきまして、現在作業療法に関連するガイドラインの検討をお願いしているところでございますが、そういう専門家の方々のお知恵も十分織り込みまして、作業療法のあり方について少しでも実体上有効なガイドラインができ上がればと、現在努力中でございます。
#75
○高杉廸忠君 そうすると、作業療法そのものについての定義、というものは、どういうふうになるんですか。
#76
○政府委員(大池眞澄君) 作業療法につきましては、いろいろな言い方、考え方等が内容としてはあること、御存じのとおりでございます。
 一応作業療法におきましては、生活指導とかレクリエーション療法とか、さらには木工、手芸等の作業を通じまして精神障害者を活動的で規則的な日常生活へと導き、各種の精神症状の改善を図ることを目的とする、そういう精神医療におきます治療の一つであるというふうに理解しております。
#77
○高杉廸忠君 宇都宮病院の特徴というのは、私が指摘するまでもなく、裁判でも立証されたように、精神衛生法で拘禁をして行動制限規定をフルに使って、治外法権を確立をして、殺生与奪の権を握って使役に患者をこき使った。反抗は一切許されない。すれば命がない。この暴力組織の長が石川文之進であった。こういうことが裁判でも立証されているわけです。
 大臣、このことはどういうふうに思いますか。――大臣に聞きます。
#78
○国務大臣(増岡博之君) その判決のとおりであれば、私どもの考え得ざるような状態であると思います。
#79
○政府委員(大池眞澄君) まさに、言うまでもないことでございますが、精神衛生法におきましては、患者の医療保護を図ることが目的でございまして、同法で定めのございます行動の制限の問題につきましても、入院中の者について、その医療または保護に欠くことのできない限度において、その行動について必要な制限を行うというふうに極めて限定的にその趣旨が説かれているわけでございます。
 当該病院におきましてこのような趣旨が全く無視されているとすれば、まことに遺憾であると考えるわけでございます。
#80
○高杉廸忠君 判決、控訴のこの動きに対して、新しい事態といいますか、新たな告発が起こってきているんですね。これまで判決を見守ってきた人たちの中から、こういうことでは許せない、こういう怒りが上がってきているんです。この人たちは、リンチで殺されたのは決して二人だけではないんだ、新患が入ってくると必ず看護人が指示をして、配ぜんなどを含めた数人で、新人が来たぞ、焼きを入れろ、そんな者は死んだってどうってことはない、こういうようなことを広言するんですね。しかも、後はどうにでもなるさ、こう言って、特製の角材、木刀、バット、こういうもので暴行を働いていた暴力常習グループ、これを徹底的に事実に基づいて摘発をする、こういう構えでいるんですよ。私ども、これらの人たちを支援をして、今調査をしております。これを強めようと考えています。宇都宮病院事件は今回の判決で終わるものではない。大臣、まだ序の口なんですよ。これで終わり、厚生省がこういうふうに思ったら、これは困るんです。
 こういう新しい告発をしつつある今日の状況、これを厚生省ではどういうふうにお考えになりますか。
#81
○政府委員(大池眞澄君) ただいま御指摘の点につきましては、去る二月二十六日の社会労働委員会におきまして、既に専門の部門から政府としての答弁が行われたところでございますが、厚生省の立場からも、そのような内容を承りまして、捜査当局によりまして一連の非常に厳重な捜査も行われ、その結果厳正な刑事手続が踏まれてきておるというふうに理解しているところでございます。
#82
○高杉廸忠君 大臣、先ほど局長からの御答弁がありました医師免許のことね、これはこの前の二月二十六日の所信に対する私の質問に対して、厳正に対処する、こういうふうにお答えになった。これは判決前のときです。
 そこで、医師免許の取り消しの権限というのは、医師法によりますと厚生大臣にあるわけですね。厚生大臣は医道審議会の意見を聞いてと、こうなっておるんです。ですから、今申し上げましたような、もう大変な注目をされている、そして医の倫理が問われている今日でありますから、大臣、即刻、厳正にと言われたら実行していただきたいんです。それは取り消しをしていただくことなんです。大臣、どうですか。
#83
○国務大臣(増岡博之君) 医道審議会の意見を聞くことになっておりますけれども、私といたしましては、その場合厳正な態度で臨みたいと思います。
#84
○高杉廸忠君 この際でありますから、再度厚生大臣に要請をしておきます。即刻決断をいただきたい。石川文之進の医師の免許については即刻厳正な決断をしていただく、こういうふうに要請をしておきます。
 それから、宇都宮事件の公判について伺うんですけれども、今回の石川文之進院長の件とは別に、リンチ事件で傷害致死などの罪に問われている四人の看護職員に対するものがありますが、これらの公判の進行状況はどうなっていますか、伺いたいと思うんです。
#85
○説明員(東條伸一郎君) 看護助手等に対するいわゆるリンチ事件というのが現在公判中でございます。
 簡単に公判経過を申し上げますと、昭和五十九年の六月五日に第一回の冒頭手続が行われまして、その後検察官立証等が行われているわけでございます。何分裁判所が主宰される手続でございますので、今後の見通し等については申し上げる確実な見通しができないわけでございますが、現在まで計九回の公判期日が開かれ、証拠物の取り調べ、書証の取り調べ、それから証人の取り調べ等が行われております。次回期日が五月十四日ということになっておりますが、それ以後いわゆる被告人質問が行われる予定でございまして、御承知のように、被告人質問というのは大体公判の最終段階で行われることになっておりますので、これが終わりますと結審、論告、弁論、それから判決の言い渡し、こういうことになろうかと思っております。
#86
○高杉廸忠君 次に、外務省の方に伺います。
 外務省は、昨年八月二十日に、国連人権小委員会において国際人権連盟などのテキストに対して答弁権の行使をされた。その中で、宇都宮病院事件では、職員の暴行による患者の死亡、強制労働の事実は確認していないと反論をしているんですが、裁判所の判断は、患者作業という使役だと言っている。また、今公判の進行状況でもお話しがありましたとおりに、四人の看護人に対する判決も近いようであります。事実に関する争いがなく、事実は全く明らかである、しかるに事実は確認されなかった、こういうふうに外務省が言われているんですね。このことはまだ主張されるんですか、どうなんですか。
#87
○説明員(増井正君) ただいま御案内の本件の対応ぶりにつきましては、当時、精神衛生行政をやっていらっしゃる厚生省に取りまとめをお願いいたしまして、それをもとに答弁を作成したものでございます。
 最近の裁判所の判断等につきましては、私ども、新聞等の報道で無資格診療の話だとか、病院の暴力支配等の傾向があった等々が指摘されていることにつきましては承知しているわけでございますけれども、本件につきましては、外務省としては実態を把握できない、したがってまたその判断もできる立場にないということで、厚生省の方で判断をお願いしたいというように考えております。
#88
○高杉廸忠君 これは、外務省か厚生省かいずれか、私の方へお答えをいただければいいんですけれども、一つは、昨年の五月三十日、国際法律家委員会事務局長からの問題ですね。二つは、昨年九月十七日に、国際人権連盟会長から、それぞれ内閣総理大臣あてに文書が寄せられているんですね。これらについての扱い。それからその返事、これを出したのかどうか。あるいは出していないのか。出していないとすればその理由。これらについて伺います。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
#89
○政府委員(大池眞澄君) ただいま御指摘のそれぞれの文書でございますが、第一の文書につきましては、まだ文書としては未到着でございますが、その内容については別の形で報道されまして、内容はそのようなものであろうかと承知しておるところでございます。それから、第二の手紙は、こちらの方に到着しております。
 いずれにいたしましても、それぞれの国際組織の責任あるお立場からの、日本の精神衛生に向かっての一つの提言というような形で私どもとしては受けとめておるところでございます。
#90
○高杉廸忠君 さらに外務省に伺いますけれども、国連小委員会で答弁権を行使された際、ミスがあり、訂正をされたそうですね。その内容と手続について伺いたいと思います。
#91
○説明員(増井正君) ただいま先生が御指摘の点は、要するに、強制入院として精神衛生法上の措置入院の説明をいたしましたくだりで、その他は同意による入院、という表現がなされた点であろうかと理解しております。
 我々といたしましても、その表現が、本人の同意を意味するがごとき誤解を与えかねないということに気づきました結果、その後厚生省と協議さしていただきまして、そこでその部分は削除するということで、ジュネーブの日本政府代表部に対しまして訓令を発した経緯がございます。しかし、その過程で事務的な手違いが生じまして、実際の発言テキストにはそれが残るというような事態が生じたわけでございます。
 本件訂正といいますのは、この小委員会の事務局をやっております国連人権センター、これはジュネーブにあるわけでございますが、それとともに、非政府団体でございます国際人権連盟及び身体障害者インターナショナルというのがございますが、この二つの団体に対しまして、我が国政府説明のうち、その他は同意による入院である、との部分は、事務上の手違いによって挿入されたものであるので削除すべきであったということを通報した次第でございます。
#92
○高杉廸忠君 今の訂正の内容は、これは極めて重要な内容なんですよね。それが削除されたかされないかでは、大変に全体像を異なったものにしてしまうんです。私どもは、三十三条によって精神障害者本人の意に反して入院させられる者が八割近いと見ているんです。したがって訂正措置が、意に反して入院させられた者は四万人、一二・三%であったと実態を偽るための措置である、こう言わざるを得ないんですね。
 このようなことは隠せないんですよね。もう海外にもどんどん、情報化の時代ですから知ってますよ。何でかたくなにそんなことをごまかしたり訂正したり隠したり、こういうことをしようとするのか。私は大変遺憾だと思うんです。しかも、訂正をしたのも、今のお話のように、国連人権小委員会への提出資料としたわけじゃないんですね。人権委員会の提出資料としたわけでもないんです。単に人権小委員会事務局へ提出した、これにすぎないんですね。そうでしょう。どうなんですか。
#93
○説明員(増井正君) ただいま先生御案内のような、そういう誤解を招くというおそれもあるということに我々十分配慮いたしまして、削除すべきであったという旨の通報を行った次第でございます。ただ、先ほど申し上げましたように、本件は完全な事務上の手違いによって発生したものということでございまして、外務省といたしましては全く他意がなかったということを御理解願いたいと思っております。
 しかしながら、外務省として、こういう不注意があったためにこういう手違いが生ずるということは行政官庁として許されないことだというふうに厳しく受けとめております。非常に遺憾なことと受けとめております。したがって、今後、このような重要な問題に関しましてそごのないように、十分に慎重な対応を図りたいというふうに考えております。
 それから第二点目の、人権センターに対する通報、それからあとは二つの団体に対する訂正措置という御指摘でございますけれども、差別小の事務局がその人権センターとなっておるということで、人権センターに通報することによってほかの関係する委員にもそれは当然通報されるという理解のもとで人権センターに通報したということ、それからあとの二つの団体につきましては、特に日本の精神病患者の問題、精神衛生問題というものに対しまして関心を示した団体ということでございましたので、直接我々から手紙を出して訂正をし、その真意を伝えたということでございます。
#94
○高杉廸忠君 外務省の専門家がそういう言い逃れをしては困るんですよね。あなたも知っているように、国連人権小委員会事務局へ資料を送っても、事務局ではファイルにとじるだけでしょう。人権小委員会に送らなければ訂正の意味がないんです。あなたも知っていると思うんですよ。事務局へ出したからといって、事務局からはその資料が行かないことはあなたも御承知だろと思うんです。
 ですから、確認をしますけれども、人権小委員会が開催される、よしあしは別として、政府でもこの五十八年の精神衛生実態調査、これを出しているんですよ、これを。だから、私は、一つは、小委員会並びに人権委員会用提出資料として、具体的に出していただいた方が早い、明らかになる。これが一つ。それから、そういうことをしないと、ことしも非政府団体の方々がこれは告発する。日本政府が告発されるんですよ。そのぐらいなことは外務省も御存じだろうと思うんですよね。そういうみっともない、国際的に恥をかくようなことを外務省みずから招くようなことをしないでほしい。いかがですか。
#95
○説明員(増井正君) 先ほど申しましたように、いろいろの機会がございますので、今後とも我が方の考え方というものを十分関心ある関係方面に対しまして説明を行ってまいりたいというふうに思っております。
#96
○高杉廸忠君 外務省ね、余りこだわらない方がいいと思うんです。それは、昨年の人権小委員会で国際人権連盟から告発があったときに、小委員会が一瞬ざわめいた。一つは議題が科学技術と人権ということで、人権委員会の人権侵害のテーマのもとで発表すべきこと、こういうことで、議題か違うんじゃないかというざわめきがあったかもしれない。もう一つは――ここが大事なんです。先進国である日本で、まさかそんな問題がという国際的な驚きですよ、ため息、ざわめき、こういうものがあった、こう言われているんです。そこから、二つのNGO、非政府団体から、ほとんどの例のない、先進国我が国に調査団を派遣するということになったんでしょう、あなた御存じのとおり。そうでしょう。もうこそくなことは許されない国際情報化の時代なんですよ。だから、こんなことをやっていると、本当に経済先進国日本、人権後進国日本、こういうレッテルを張られるんですよ。そういうことがないように厳格に、やっぱり訂正すべきはきちっと各国々にいくようにやるべきが外務省の仕事である、こう思うんです。
 厚生大臣、お聞きになっていると思うが、そういう国際的恥辱の今日の状況、こういうことがないようにひとつ措置していただきたい。大臣、いかがですか。
#97
○国務大臣(増岡博之君) 私どもは、この事件は事実といたしましても、日本全体としてはそのようなことばかりが行われておるのではありませんで、患者のためにも真剣に取り組んでいる医療機関もあるわけでございますので、今後外務省ともよく話し合いをしまして、そういうことのないように措置をしてまいりたいと思います。
#98
○説明員(増井正君) 外務省といたしましても、我が国における精神衛生行政というものに対する国際的な関心が特に昨年来非常に高まってきているということは重々承知しておるところでございます。その関連で今回の調査団派遣ということにつながっておるんだろうと思いますけれども、その受け入れにつきましては、できる限りの協力を現在進めておるところでございます。調査団が我が国の実情を正確に把握されんことを、我々としては非常に期待しておる次第でございます。
 また、外務省といたしましても、先生御指摘のいろいろの点を踏まえまして、厚生省とも十分な連絡協議をいたしながら、今後とも国際的な視野から厚生省に協力していきたいというふうに考えている次第でございます。
#99
○高杉廸忠君 外務省の方に、今お答えになったことを厳格に実行していただくように、再度要請しておきます。
 そこで、余り時間がありませんから、次に職住供給システムについて、要請も含めお尋ねをしたいと思うんです。
 大臣は、精神障害者の問題というのは、社会、つまり国民の皆さんの理解が得られにくい、こういうところに大変さがある、こういうふうに前回も申されました。私もこれは同感なんです。そこで、国民の方々の理解を促進するためにどうすることが今必要なのか。大臣としてどうお考えになっているか。ぜひひとつ具体的にこの機会にお聞かせをいただきたい、このように思うんです。
#100
○国務大臣(増岡博之君) 精神障害者に対しまして、いろいろな対策があると思います。先生御指摘のようなこともその大きな柱になると思うわけでございます。
 私ども、そういう正しい理解、あるいは精神衛生活動への積極的な参加を促してはおるわけでございます。また、毎年精神衛生普及運動の実施も行っておるわけでございますけれども、しかし、この課題は非常に難しい問題でございまして、一朝一夕に国民すべての理解を実現できるものでもなかろうと思います。しかし、それが難しければ難しいだけに、関係者初め諸先生方の意見も十分に伺いながら、あらゆる機会を通じて国民の理解の促進に努めてまいりまして、必要な対策を講ずることができるように、職住の関係もあわせて努力をしてまいらなければならないと思っております。
#101
○高杉廸忠君 大臣、私どもはこの間三月四日に第二次調査として七人の議員で宇都宮病院を見て、渡邉知事、栃木県の新知事でありますが、知事とも懇談をしたんです。栃木県の精神病院協会の幹部の方からも貴重な意見をいただいて帰ってきたんです。
 これらの中から幾つかのことを伺っていきたいと思うんですが、まず、現在の宇都宮病院の在院の患者数、そのうち退院をさせなければならない者の数、これが全員退院するとなると何人になるのか、この際ちょっと明らかにしていただきたいと思うんです。
#102
○政府委員(大池眞澄君) 三月三十一日現在で県で掌握しております数字を報告を受けておるわけでございますが、入院しておられる障害者数は四百八十一名でございます。この中で、昨年実施いたしました実地審査の結果、医学的に入院不要と判断された者は、六十二名であるということでございます。
#103
○高杉廸忠君 三月二十四日付の新聞記事によりますと、現在宇都宮病院には、入院の必要なしとされたのに未退院の六十六名を含め約五百六十名が入院している、こういうふうになっているんですね。これは私どもが見た範囲ではおおむね事実だと、こう思うんです。
 そこで、退院してよろしいというのに退院できない理由、これはどういうふうに把握されていますか。
#104
○政府委員(大池眞澄君) 退院できない理由として県の方から伺っております主要なものを申し上げますと、まず帰っていく家がない、あるいは家族がいない、あるいは家族がいろいろな理由によりまして引き取ることが現実的に困難である、あるいは困難であると強くおっしゃっているというような事例が多いというふうに聞いておるところでございます。
#105
○高杉廸忠君 大臣、聞いていただきたいんですがね、最近、人身保護請求に対する裁判で最高裁判所に調査をしていただいた結果によりますと、この宇都宮病院の入院患者が、人身保護法に基づく救済を求めた裁判において、本年三月八日宇都宮地方裁判所は、昭和五十五年十二月六日からの入院については、保護義務者による同意があったとは認めがたく、精神衛生法の定める入院手続などに著しく違反があったとし、病状についても、多少うつ状態にあるが、通院治療で十分であり、明らかに継続入院の必要はないのに拘束されていると認められるという理由で、同病院に拘禁されている患者を釈放するとの判決を言い渡し、この判決は、三月十一日確定したとのことであるわけです。
 そこで、大臣もお聞きのように、この即日退院を命ぜられた四十一歳の方は、三回入院しているんですね、この方は。これは第一回の入院に際しては、実母の方が保護義務者として同意を得ていた。その後の入院には、この保護義務者の同意書が宇都宮病院になかったんですね。そして、その同意書がないままにその実母が、お母さんが亡くなった。したがって、三回目の入院については、保護義務者の同意は同意と見ることはできない、こう思うんです。要するに、簡単に言いますと、途中から保護義務者が亡くなった。簡単に言えば、もう保護義務者の同意がないままというふうにずっと放置をされた、こういう経過なんですね。
 そこで、今の判決にありますように通院で可能だと、こういうふうに言っておりますけれども、引き取り手がない。本人は退院をしたいが家族はいない。もしくは家族が引き取らない。こういう場合、保護義務者が引き取らない、こういったときの退院ができない状態、大臣、これはどういうふうにお考えになって、どうしたらいいと思いますか。
#106
○政府委員(大池眞澄君) まず、同意入院の場合、そのようなケースにおきましては、あくまでも病院、特に主治医の判断によりまして、家族を含めました関係者とよくお話しをして、理解をしてもらって、積極的な意味で在宅医療で本人の回復を図り、また、社会復帰の促進を図っていく、これが一番望ましいわけでございます。
 しかし、それが何らかの物理的事情その他どうしても在宅ということが困難である。しかし医学的な側面から見た場合に、入院という形でなくて治療が十分可能だという者につきましては、各種の形態の社会復帰のための施設というふうな形で受けとめていくということが今後とも必要になってくるであろうかと、かように考えるわけであります。
#107
○高杉廸忠君 時間がだんだんなくなりましたから、結論的に大臣にお願いを申し上げながら質問をしたいと思うんです。
 この今までのお話、私もずっと話をしてきましたとおりに、宇部宮病院の入院の最高時のときには約千名、九百八十名だったわけですね。ところが、今日約五百名、半分になっているんですね。わずか一年足らずで半分なんです。半分は入院をしている必要のない者なんですね。かつて武見太郎日本医師会長は、精神病院経営者をこういうふうに言ったような記憶があるんです。精神病院の経営者を牧畜業者だと、こういうようなことを言われたことを今思い出しているんです。
 そこで、仮に精神病院の入院一人一カ月十七万、こういうふうに仮定して、五百人の一年分とすると、試算をすると十億二千万となるんです。段階的に退院をされていますから、それだけでどうこうということでないと思いますけれども、計算上はそういうようなことになって、この間栃木県の六十年度の予算を見ても、かなりの金額が今年度は昨年度よりも少なくなっているんです。
 そこで大臣、実地審査をして、今入院をしている人でも即刻退院をさせなけりゃならない。そうなりますと国の精神衛生費も少し削られてくる可能性もある。少なくとも退院をする必要がある、いつまでも病院に置いておかなくてもいい人たちを、しかし家族の引き取り手がない。そうなりますとどこか社会へ、施設とかそういうところで、退院を希望する人たちが行かれるような職と住、こういうことは必要だと思うんです。ですから今申し上げましたような実地審査をした結果、かなりの通院患者が出てくる場合の対策、これは極めて大事だと思うんですね。そこでそういう方向へひとつ国、各都道府県の予算も有効に使っていくべきだと、こういうふうに考えるんです。
 時間がありませんから、建設省、労働省からあわせてコメントをいただいてこの問題については終わって、あと、理事長がいらっしゃいますから、衛生金融公庫の方に質問をしたいと思うんです。
 大臣、締めくくりとして幾つか要請をしましたから、この問題はまだ決して終わっていません。機会があるごとに私は大臣のお約束に基づいて、石川文之進の厳正な処分も含め、織住のそういうような社会システムの省庁間の具体的な協議の上の実施、こういうことも要請も含めてしておきますから、きょうはひとつ大臣の決意を伺って、それから建設省、労働省もせっかくおいでになっていることでありますから、そのお答えをいただいて、あと締めくくりにしたいと思います。時間も余りありませんから、簡潔にひとつ大臣決意を伺いたいと思うんです。
#108
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、入院の必要でなくなった方々に対する仕事や住宅の保障は非常に重要なことであると思います。
 厚生省としましても、社会復帰がスムーズに行われるようにこれまでもいろいろ対策を考えて講じてきたわけでありますけれども、今後その必要性がますます重大になってくると思いますので、関係省庁とも十分な連携をとってまいりまして、社会復帰施設の整備、通院、リハビリテーション等の施策を充実さしてまいりたいと思います。
#109
○政府委員(野見山眞之君) 精神障害から回復された方々の職業安定につきましては、医学的管理の問題、プライバシーの問題、社会生活指導等問題があるにいたしましても、社会適応の上で重要な問題でございますので慎重な対応が必要ではございますけれども、私どもとしては、この雇用の促進のために、職業安定機関におけるきめ細かな対策等を通じまして職業安定に寄与するよう努力してまいりたいと思っております。
#110
○説明員(木内啓介君) 先生御承知のように、精神障害者を含めました同居世帯につきましては、一応公営住宅等につきましても入居の倍率優遇等の優遇措置が講じられております。ただ、御指摘の精神障害者の単身入居というところまでは現在の制度としてはいっておりません。
 この問題、程度の問題その他非常に難しい問題がございますので、他の公営住宅の入居者との関係、それから公営住宅を管理しております地方公共団体の実情、そういったものを考慮しながら、建設省としましても慎重に対処してまいりたいと考えているところでございます。
#111
○高杉廸忠君 最後に、せっかく理事長おいでになっているわけですから、環境衛生金融公庫の融資についてお伺いをいたしたいと思います。
 貸付計画の総枠は千八百五十億円と承知していますが、このうち、小企業等設備改善資金特別貸付分、これほどの程度確保されているのか伺います。
 また、来年度、これらの貸付条件はどのように改善していくお考えなのか、あわせまして伺いたいと思います。
#112
○参考人(加藤威二君) 来年度の当公庫の貸付枠は千八百五十億でございますが、そのうち小企業の貸付分は二百十億でございます。
 来年度の貸付条件の改善につきましては、貸付条件につきましては、利率の問題それから償還期限の問題、貸付限度額、この三つが主な貸し付けの条件でございます。そのうち、利率につきましては、振興事業計画という、これは業種によって振興事業計画をつくってもらいまして厚生大臣が認可するという制度でございますが、この振興事業計画をつくりました分につきましては利率を七・六%から七・一%に下げるという改善を行っております。それから償還期限の延長につきましては、汚水等の処理施設の貸し付けについて十年を十三年に延ばす。それからクリーニング業等の産業廃棄物共同集積施設、これも償還期限を十年から十三年に延ばす。それから限度額につきましては、興行場等につきまして現在五千二百万円を来年度は六千二百万円に引き上げる。このような改善を図っておるわけでございます。
#113
○高杉廸忠君 小企業等設備改善資金融資に係る事故ですね、事故率が依然として高い水準にあるように思うんです。その改善のために具体的にはどのような指導をなさるつもりか、これを伺いたい。
 また、そのために融資の査定が大変厳しくなっては、私は本末転倒だと思うんです。どのように対応するおつもりなのか、あわせまして伺います。
#114
○参考人(加藤威二君) 小企業につきましては、これが無担保、それから無保証人と申しますか、保証人も要らない、こういう制度でございますので、やはり、一般貸し付けに比べまして事故率として約倍ぐらいあるということでございまして、今後できるだけその事故率がふえないように抑えていかなければならぬ。
 その具体的な対策といたしましては、小企業に融資をいたします場合に、各部道府県に経営の特別相談員あるいは経営指導員という人たちがおりまして、そういう人たちの指導を受けて、その上でそれぞれの同業組合の審査会を経て、そして国民金融公庫の窓口に申請する、こういう手続になっておりますが、その場合に、やはり相談員とか指導員の指導の徹底を図ってもらうということと、それから審査会の審査を相当注意深くやってもらう、こういうことを今後とも続けてもらうとか、それから、貸し付けの窓口が国民金融公庫でございますが、国民金融公庫に対しましても、単なる書面審査じゃなくて、やはり借り受け人に直接面接するとか、あるいはその施設に直接出向いて実地を調べる、そういうことをぜひやってもらいたいというようなことを私どもの方から申し入れております。そういう努力をいたしまして、できるだけ事故を抑えてまいりたいと思います。
 なお、そのために角を矯めて牛を殺すような結果にならないように配慮したいと思いますが、現実に、一般貸し付けでは申し込みに対して貸付率が約七〇%でございますが、この小企業貸し付けにつきましては、申し込みに対して貸付率が九〇%でございます。そういう点で、私どももこの小企業貸し付けが十分零細企業の人たちに行き渡るように配慮してまいりたいと考えております。
#115
○馬場富君 私は、戦傷病者の恩給並びに援護関係の改善について質問いたします。
 戦後四十年、戦争で傷ついた多くの人たちは、大変長年月のために障害とあわせて老齢化のために生活的にも大変苦しんでおる現実が多うございます。その点で何点か要望事項について申し上げながら質問していきたいと、こう考えております。
 第一点は、傷病者の援護法の関係で、特に交通機関の関係の取り扱いの是正についてですが、特に介護者の単独利用ということを非常に皆さんが希望しておりますが、この点についてはいかがお考えかという点と、私鉄についての見解とをお尋ねいたします。
 続きまして、戦傷病者の妻に対する特別給付金支給等の改善の問題でございますが、六十一年にこれが切れることになりておりますが、これはぜひ継続をお願いしたいし、改善等もぜひお願いしたい、当局の御一考を賜りたいと、こう考えております。
 続きまして、戦傷病者の福祉事業助成委託費の問題でございますけれども、この点についても改善の方法をぜひ考えていただきたい、こう考えております。
 もう一点は、国税並びに地方税の免除制度がございますが、この控除額の増額等についてもぜひ御配慮賜わりたい。
 この四点についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#116
○政府委員(入江慧君) 第一点の、交通機関の利用でございますけれども、戦傷病者の方々から、介護者が単独に利用される場合にも無料にしてほしいという御要望があるわけでございますが、私どもとしましては、戦傷病者が入退院する場合に、それの介護を行う介護人の方々の片道、入院される場合はその帰りの、要するに介護者が戦傷病者を病院に入れてから帰る場合の単独利用、あるいはその逆の場合につきまして、これまで関係機関にお願いしてきておるわけでございますが、残念ながらまだそれが認められておりませんので、この問題については引き続き要望を続けていきたいというふうに考えております。
 次に、戦傷病者の妻に対します特別給付金支給法でございますが、御指摘のように六十一年度で最終償還が終わりますので、その後の措置につきましては、これまでの同種のいろいろな給付金等もございますので、そういうようなものの過去のいきさつ、あるいは関係者の御意見等を勘案しながら検討していきたいというふうに考えております。
 第三点の戦傷病者福祉事業助成委託費でございますが、これは冒頭御指摘になりましたように、戦傷病者の方々は老齢化もしておられますし、身体的にハンディキャップを持っておられるということで、これらの方々の福祉増進ということは私ども一番気を使っておるところでございまして、最近では健康審査あるいは健康相談、生活更生相談等々の専業をこの委託費でやっておるわけでございまして、この事業費につきましては、これまでも内容の充実あるいは増額に努力しておりますが、今後ともその改善に努力していきたいというふうに考えております。
 最後の第四点、国税及び地方税の問題でございますが、御存じのように、控除額の引き上げにつきまして毎年税務当局に要望しておりまして、逐年とはまいりませんが、その要望額がたんだん引き上げられております。この点につきましては、今後ともその実現に努力していきたいというふうに考えております。
#117
○馬場富君 今御答弁いただきましたように、ぜひひとつ、先ほど趣旨は申し上げましたが、こういう人たちに対する一歩でも前進された対策、本当に苦労が報いられるようなそういう対策をぜひお願いしたいと思います。
 ここで大臣にお尋ねいたしますが、全国にはかつての戦争で非常に厳しい状況の中で戦傷を負い、大変苦しんでおる人たちがたくさんございます。先ほど申しましたように、もう四十年間ですから、あわせまして高齢化ということも重なりまして、よく耐え、頑張ってきたという人が多くおるわけです。そういう点で、この援護法に対して、その関係を今何点か質問いたしましたが、今までいろいろな対策がなされておりますけれども、そういう方々にもう一歩突っ込んだ対策をぜひお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#118
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、戦傷病者は、自分の意思にかかわりなく国家の強制によって戦いに赴き、傷つかれた方々でございます。
 実は、私も二年余り戦争に行ってまいりまして、当時の状況はよく承知をいたしておるつもりでございますので、今後も特段と対策の充実に努力をしてまいりたいと思います。
#119
○馬場富君 もう一点、恩給局の関係の方々に来ていただいておりますが、質問いたします。
 今までいろいろ陳情等も出ておりますが、戦傷病者の恩給法の関係ですが、特に目症者への配慮というのは今までも何年か陳情がなされておりますけれども、この人たちは程度が軽いということで今まで何らの対策、そういうやはり年金についても支給がなされておりません。私は、額の多い少ないのはともかくとして、やはり戦争によって犠牲になった、多少程度は軽いということはあったにしても、何がしかやはりこれはお考えいただくことが当然ではないか、こう考えるわけでございますが、その点ひとつよろしくお願いしたい。
 それからもう一つは、有期から無期への促進化でございますけれども、この前も私質問いたしましたが、全国的に見まして現在五%ぐらいの方が有期になっておる、このように聞いておりますけれども、更新にも大変、診断書やそういう点で二年も三年もかかっておりますし、そういう点で、できるだけ有期から無期の方に、四十年間の経過を経ておりますので、もう診断書等を見ればわかると思いますので、そういう点でこの点も御理解いただきたい。
 それからあわせまして、皆さん方が大変不審に思っておるのは、有期の方々が診断書を提出した場合、その診断書に対しまして必ず検診制度というものがあって、もう一回どこどこの病院で受け直す、こういうようなことがあるわけです。戦傷病者で認められながら今日まで何年もきた人たちが疑いの日で見られるようなそういう診断の仕方というのは、僕はやはり改善すべきではないか。傷ついた人がまた大きく傷つく原因にもなる。だんだん年々亡くなっていく人ばかりです。そして、その数もどんどんと減ってきております。そういう状況下ですから、できる限り私は温かい目で見てあげて、恩給関係の再検診につきましても、また配慮なされるべきだ、こう思いますが、いかがでございましょう。
#120
○説明員(鳥山郁男君) まず第一点の、目症程度の軽度傷病者に対する処遇の問題でございますが、この目症程度の方につきましては、戦前におきましても一時金だけでございまして、年金は支給されていなかったわけでございます。また、現在他の公的年金あるいは各種保障制度におきましても、この目症程度の方々に対しまして年金を支給するというような制度はないわけでございますので、私どもも長い間御要望が続いておる問題であることは十分承知いたしておりまして、これまでも検討を続けてまいったわけでございますが、極めてそういう意味におきまして難しい問題であるということを御理解を賜りたいと存じます。
 それから、第二点の有期恩給の無期化の問題でございます。
 先生御承知のとおり、有期恩給と申しますのは、傷病恩給はやはりそのときどきにおける症状の程度に応じた恩給を差し上げるというのが基本でございますために、病気の性格等において将来症状が軽快する、あるいは程度が低下する可能性を秘めておるというような疾病につきましては五年を限った恩給を差し上げておる。もちろん期限が切れたときにまだ障害が残っておればその障害に見合った恩給を差し上げることは当然でございます。この対象となっております疾病というのは主として胸部疾患あるいは精神障害等でございますが、やはり建前といたしましてはそういう将来軽快する可能性のある疾病についてまで受傷後長年月を経たという理由だけで終身恩給を差し上げるのはいかがかというふうに思っておりますが、しかし実態は、先ほど先生御指摘のとおり恩給受給者も相当お年を召してまいりましたために、恩給局におきましてもそういうことを総合勘案しながらできるだけ有期恩給を無期恩給に切りかえるような操作をいたしておるところでございます。現在では約九〇%程度の方が無期恩給の受給者になっておるという実態でございます。
 なお、最後の検診の問題でございますが、検診制度と申しますのは、御提出の資料だけでは症状の状況が把握できないという場合に、診断料あるいは検査料といったものを国が負担いたしまして再検査をしていただくという制度でございまして、基本は何と申しましても傷病恩給の適正な査定ということにあるわけでございますので、請求者の正当な権利を擁護するという意味合いにおきましても、どうかひとつ御協力を賜りたいと、このように思っております。
#121
○馬場富君 特に今の目症者の年金の問題でございますけれども、年金という立場ができなければ他の何かの方法を講じてでも御研究をいただきたいと、こう思っております。
 それから今の検診の問題につきましても、検診をやることが悪いのではなくて、この診断書だからだめだからこうだということではなくて、そういう一つの基準はあります、これは厳しく守らなければなりませんが、もう長年月耐えて耐えて耐え抜いてきた人たちですから、そういう点でやはり関係当局やそういうところに温かい目で検診等についても見てやってほしいということを私は言いたいんですが、その点いかがでしょうか。
#122
○説明員(鳥山郁男君) 目症の問題につきましては、先生の御質問の次第もございますので、引き続き勉強、研究してまいりたいと存じます。
 また、検診制度につきましては、確かに先生御指摘のとおり一部に誤解を招いている向きがあろうかと存じます。これは私どもも実務上いろいろ反省すべき点はあるかと思いますので、御趣旨を踏まえて十分検討してまいりたいと存じます。
#123
○中野鉄造君 私は、まず最初に医療保険制度の統合一元化についてお尋ねいたします。
 昨年の健保法改正後の医療保険に関する問題として、いろいろたくさんございますけれども、その中でも一番大きなものとしては医療保険制度の統合一元化、あるいは一元化の問題であると、このように理解いたします。
 昨年、健保法改正が成立して間もなく、自民党と日本医師会など三師会とで医療保険制度の統合一本化を五年後に行う、こういうことで七項目の覚書が交換されておりますけれども、一方厚生省は、昨年の健保法改正の審議段階でいわゆる長期ビジョンを示して、そこでは六十年代後半までに医療保険制度のあり方については給付と負担の両面における公平一元化を図る、こういうようにしております。
 そこでお伺いいたしますが、大臣はこの覚書についてどういうふうに認識されておりますか。
#124
○国務大臣(増岡博之君) その覚書にあります趣旨は、現在あります医療保険各制度の間に基本的な問題について早急に解決を図らなければならないという、御指摘のようないわば給付と負担の問題についてと考えられますけれども、三師会との間で約束がなされたものと理解しておるわけでございまして、今後も関係各方面の御意見をよく聞きながら幅広く検討してまいりたいと存じております。
#125
○中野鉄造君 この覚書で言うところの統合一元化と厚生省が言われておるこの一元化と、これをどのように立て分けて理解していけばいいでしょうか。
#126
○政府委員(幸田正孝君) 一本化あるいは一元化、意味するところは私は必ずしも、関係者によりましていろいろな用いられ方がしていると思います。私どもが申し上げておりますのも、また自民党と三師会との間の覚書においても、特に強調されておりますのは、負担の公平と給付の平等を図る、こういうことでございまして、私は一本化といい一元化といい、その目指すところは今申し上げました負担の公平と給付の平等を図るということでございまして、何ら隔たりのある考え方ではない、こう理解をいたしているつもりでございます。
#127
○中野鉄造君 そうしますと、この覚書に言われておりますように、五年後にはこの一元化が実現する、このように理解してもよろしゅうございますか。
#128
○政府委員(幸田正孝君) 私どもも、昨年の健康保険法の改正の際に、医療保険の一元化につきましては六十年代の後半ということを申し上げたのでございますけれども、特に当時の渡部厚生大臣からは、六十年代の後半のできる限り早い時期に、こういうことを申し上げておるわけでございまして、私どもそれに向かいましてこれから検討を進めるところでございます。
#129
○中野鉄造君 次に、医療費適正化対策におけるレセプト電算処理についてお尋ねいたします。
 先日、二月の二十一日の本委員会での所信表明で、厚生大臣は、医療保険制度については今後とも医療費の適正化、効率化を進めていく、このように表明されたわけですが、予算で見ますと、今年度は約六百億円の国庫補助を医療費適正化によって節減すること、こういうようになっていますが、まず第一に、六十年度の医療費適正化対策をどのように進められるおつもりなのか、大臣の所信をお伺いします。
#130
○政府委員(幸田正孝君) 昭和六十年度におきます医療費の適正化、効率化につきましては、前年度、五十九年度とほぼ同じような手法に相なると思いますけれども、指導監査の徹底、あるいは乱診乱療の防止、あるいは医療費通知の徹底といったような問題を初めといたしまして、私どもあらゆる方面につきまして各方面の御理解を得ながら医療費の適正化を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#131
○中野鉄造君 そこで、この適正化の項目に、「レセプト審査の充実強化」として「保険のレセプト点検におけるコンピューター利用の検討」が挙げられておりますが、この現状はいかがですか。
#132
○政府委員(幸田正孝君) 御指摘のとおり、現在はレセプトを用紙を用いて行っておりますために非常に事務的に煩雑である、こういう指摘が前からございます。このために私どもレセプトを磁気媒体によりましてコンピューターで処理をするということによりまして一貫した整合性のあるシステムを導入をいたしたいということで、昭和五十九年度を初年度にいたしまして十カ年程度でこれを整理をいたしたい、条件が整いました都道府県から逐次実施をいたしたい、かように考えまして、五十九年度におきましても、また御審議をいただいております六十年度予算におきましても所要額を計上さしていただきたいところでございます。
#133
○中野鉄造君 これにつきましては、昨年十一月に明らかにされましたように、五十八年度の指導監査の結果、監査を受けた保険医療機関、保険医とも史上最高であったし、返還された額が二十五億円に上っております。こうした数字からも医療費の不正請求防止のためにもレセプト電算処理計画をこれは早く実現すべきだ、このように私思うわけです。
 ところが、一部で最近聞くところによりますと、この電算処理が実施に移されるということが厚生省と医師会とで合意されておったものが、最近日本医師会がそれに反対しているといったようなことも聞くわけですけれども、ここのところ、この問題について日本医師会との話し合いはどういうふうになっておりますか。
#134
○政府委員(幸田正孝君) 先生お話しのとおり、日本医師会と、このシステムを導入をする、で、一、二の府県におきまして試行的に実施をするということで、一応内々の合意に達していたのでございますけれども、一部報道機関におきまして、このシステムが、不正請求などの審査を強化をいたしまして、不正請求を排除する、こういうことのために行われるという報道がありましたために、関係の医師会におきまして非常に混乱がございまして、現在、関係医師会と調整中でございます。私ども、こういった誤解が払拭をされますように、さらに努力をしてまいりたいと考えているわけでございます。
#135
○中野鉄造君 先ほども申しました、この二十五億円という史上最高の返還額、これは不正請求ですか。それとも、何でございますか。
#136
○政府委員(幸田正孝君) その大半は不正請求でございますけれども、医学常識から見て非常にかけ離れたという意味での不当の部分も、若干ながら含まれております。
#137
○中野鉄造君 この問題については、ひとつ早く医師会との協議をしていただいて、この実現を図っていただきたいと思います。
 次に、昨年の健保法改正による受診率の低下の件についてお尋ねいたします。
 昨年の健保法改正のときに、十割給付でも七割給付でも受診率にそう大きな差が見られないから、九割給付になっても受診率の低下は見られない、それよりも一日当たりの診療費に影響してくるだろう、こういうように厚生省は答弁されておりましたけれども、さきに明らかにされました新健保法による医療費調査によりますと、一カ月だけの結果ではありましょうが、外来は受診率も一日当たり医療費も下がり、入院は一日当たり医療費が四・二%上がった、こういうふうになっております。
 そこで、政管健保本人では受診率が対前年度同月比で五%下がって、中でも外来は六・六%も減っておる。入院でも四・五%下がっておる。したがって、こういうことでさきの健保法改正時の厚生省答弁とかなり異なった結果になっているわけですが、ここの辺のことについて、今後の九割給付での医療費の方向、これをどのようにお考えですか。
#138
○政府委員(幸田正孝君) 昨年十月健保法改正直後におきます受診率、政府管掌本人でございますが、御指摘のとおり、入院で四・五%のマイナス、入院外で六・六%のマイナス、歯科では二・五%の増加ということで、平均いたしますと、本人につきまして五%の受診率のマイナスになったことは御指摘のとおりでございます。
 ただ、私ども、こういった受診率の低下が今後長期的に続くかどうかという点につきましては、なお数カ月模様を見てみたい、こういうことでございますが、同時に、私ども東京の一部の健康保険組合、六健康保険組合でございますけれども、抽出調査を実施をいたしましたところ、長期間にわたって受診しているケースでは受診率の減少が見られますけれども、初めて受診をするケースについては、受診率の低下は相対的に小さいということの調査もあるわけでございまして、私ども健保法改正の際に申し上げました早期受診、必要な受診が妨げられているという実態にないのではないか、こういう気持ちを持っておりますが、もうしばらく模様を見てみたいということでございます。
#139
○中野鉄造君 ところが、これに加えて、この三月一日から診療報酬が三・三%引き上げられる。健保法改正による一割負担実施に追い打ちをかける患者の負担増ということになるわけですが、こういうような負担増というのは今も申し上げましたその数字以上にサラリーマンあたりの健康維持には非常に悪い影響を及ぼすのじゃないかと危惧をするわけですが、いかがですか。
#140
○政府委員(幸田正孝君) この三月から医療費の改定がございますけれども、薬価基準の引き下げを差し引きますと実質的な医療費の改定は一・二%程度でございます。
 サラリーマンの受診について、早期受診を妨げるのではないか、こういうお話でございますけれども、本人の受診率とそれから家族の受診率、先ほど御指摘のございました七割なり八割給付の家族の受診率等を比べてみますと、現在でもなお家族の受診率よりも本人の受診率が八・七%程度、これは昨年の十月以降の数字でございますけれども高い、こういう状況でございます。サラリーマン本人のコスト意識の喚起にというような当初の目的ももちろん果たしていると思いますけれども、サラリーマンの必要な受診が妨げられていることはないのではないか、こういう気持ちを持っているわけでございます。
#141
○中野鉄造君 では次に、六十年度予算編成に当たっての国庫補助金の一率一割カットの問題についてお尋ねいたします。
 このことについては、予算委員会の総括でも私大臣にお尋ねしたところでございますけれども、重ねて厚生大臣にこれは念を押しますけれども、六十一年度からは従来どおりの姿に戻すということが前提であると、このように理解して間違いございませんね。
#142
○国務大臣(増岡博之君) この措置につきましては、私どもは従来からずっと補助率のいかんにかかわらず福祉の水準が低下してはならない、そういう立場で今後も一貫してまいりたいというふうに思っておるわけでございまして、そこで今回の措置は六十年度における暫定措置でありますことは間違いございません。
 それから、今後のことにつきましては、国と地方とがどれだけの役割を分担するのか、費用の負担はどうなるのかということを政府部内で検討をすることとしております。私もその際はやはり福祉の後退があってはならないという立場から議論いたしたいと思いますけれども、そういうことになっておりますので、検討の結果を踏まえて適切に対処してまいりたいと存じております。
#143
○中野鉄造君 厚生省として、この国庫補助率引き下げによる影響額はどのくらいですか。
#144
○政府委員(黒木武弘君) お答えいたします。
 高率補助の引き下げに伴います国庫補助の影響額は、二千七百五十二億でございます。
#145
○中野鉄造君 厚生省の影響額二千七百五十二億円、この項目の中身を見ますと、その中で生活保護費が千五百十億円、児童保護費等補助金が六百六十七億円、老人保護費補助金が三百二十二億円、その他とこうありますけれども、生活の暮らしに直接かかわるものが多いわけでして、こういうことから結果的に見てどうしても福祉切り捨てじゃないか、こういう結論にならざるを得ないわけです。だからといって、国が財政的に非常に大変だというようなことで地方に押しつけるということもこれもいかがなものかと思うのです。
 そこで、このことについて大蔵省にもう少しお尋ねいたしますけれども、この削減分の補てんについて、国は、国庫補助負担率の一律引き下げの分を完全に補てんした、こういうように言っておりますけれども、確かに個々の団体に対しては交付税の基準財政需要額算入だとか、あるいは建設地方債の増発によってとりあえず六十年度は支障がないようにしたということでありましょうけれども、国と地方という大きな枠で考えた場合、国が完全に補てんしたとは言えないのじゃないかと思われるのですが、この点いかがですか。
#146
○説明員(藤井誠人君) お答え申し上げます。
 いわゆる高率補助率引き下げに対しまして、国と地方の特に財政面の手当てをいかに講じたかということにつきましては、昨年末の予算折衝の過程におきまして大蔵大臣と自治大臣の間でセットされたわけでございますが、その内容は、先ほど先生がおっしゃいましたように、いわゆる厚生省予算高率補助率の引き下げ相当額二千七百五十億強あるわけでございますが、それに加えまして、いわゆる非公共全体で国費の節減額というのは二千九百四十八億あるわけでございます。これに伴いますいわゆる経常経費関係への、地方財政へのはね返り分としまして総額二千六百億になるわけでございます。この二千六百億に対しまして一千億の交付税の特例加算をいたしました。それから残りの千六百億につきましては、建設地方債の増発ということで対応したわけでございます。
 したがいまして、これは臨調答申あるいは行革審意見等にも指摘がありましたとおり、いわゆる地方財政計画全体の措置の中で地方財政に遺漏なきを期すということで私どもと自治省との間でセットさせていただいたわけでございます。
#147
○中野鉄造君 そうしますと、今お答えになったその点はわかりますけれども、では、不交付団体分については地方債の発行を認めるということにはなっておりますけれども、その償還に対する措置は何もなされていない、このように思うんですが、いかがですか。
#148
○説明員(藤井誠人君) 今回の高率補助率の引き下げの考え方というものにつきましては、既に先生も御案内のとおりでございますが、いわゆる高率補助につきまして幾つか問題点が指摘されておるわけでございます。
 その中の問題点の一つに、例えばでございますが、財政資金の効率的使用意欲を減殺するとか、あるいは財政状況で地方公共団体間にもかなりばらつきが見られる。特に国と地方の関係の財政状況というものを今日時点あるいは近い将来で見ましたときにも、国の方がいわゆる極めて厳しい財政状況にあるわけでございますが、地方公共団体の中でもおっしゃいますように幾つかばらつきが見られるわけでございます。したがいまして、いわゆる不交付団体に対しては、先ほどおっしゃいましたように元利償還についての特段の措置は講ぜられないことになっておるわけでございまして、したがって、これは交付税措置で講じている以上はそういう形にならざるを得ないわけでございますが、その不交付団体の地方税の自主財源によって償還が行われるということになるわけでございますが、ただ、現下の厳しい財政状況というもとにおきましては、このような措置によりまして財政力に余裕のある不交付団体の理解を求めざるを得ないのではないかというように考えておる次第でございます。
#149
○中野鉄造君 それ、理解を求められますか。
#150
○説明員(藤井誠人君) 私どもといたしましては、昨年末の経緯等を踏まえて理解を求めていきたいというように考えております。
#151
○中野鉄造君 次に、投資的経費系統の三千二百億円についてもお尋ねいたしますけれども、これは全額建設地方債が充当されるということになっていますね。これは純然たるカット分相当額の二千億円の元利償還分の二分の一を交付税特別会計に後年度繰り入れるということになっておりますけれども、ところが、その残りの二千二百億円の償還が、これは全部地方への負担となっておりまして、結局その償還を交付税の基準財政需要額に算入するということは、言いかえればこれは将来の地方の財源である地方交付税を先食いすると、そういう結果になるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#152
○説明員(藤井誠人君) その点につきましては、先々の地方公共団体の財政事情がどういうようになるかというような不確定要素を踏まえて考えていく必要があるわけでございまずが、実際問題としまして、いわゆる元利償還負担分を基準財政需要に算入するということによりまして、もし地方の財政事情が極度に厳しいというようなことでいわゆる財源不足額というものが見受けられる場合におきましては、いわゆる基準財政需要に算入することによりましてマクロベースで地方財源不足に対する対策が講じられるわけでございますので、その意味におきましてはあながち地方にしわ寄せをするものではないというように考えられるかと存じます。
#153
○中野鉄造君 先ほど冒頭で、経常的経費系統の財源不足額二千六百億円のこの措置についてもいろいろ答弁がありましたけれども、これは結論的に言えば、経常経費の財源にするための地方債の発行を戒めている地方財政法第五条の精神にも反するというようなことじゃないかと思うのですが、いかがですか。
#154
○説明員(藤井誠人君) 確かにおっしゃるとおり、地方債の発行というものについては地方財政法の五条で規定されておるわけでございますが、ただ実際問題としましては、地方の場合にはいわゆる建設地方債という形で財源対策が講じられておるわけでございますし、実際問題として、またその額がいわゆる巨額に膨れ上がっていくことのないように格段の注意を払いながら地方財政措置を講じておるわけでございますので、その限りにおいて特に問題はないと考えております。
#155
○中野鉄造君 これを適法化するためには、この地方交付税上の操作を予定しているわけですけれども、すなわちその地方交付税制度というのは経営経費は本来一般財源で賄うべきものとするその建前をとっておりまして、この基準財政需要額の計算に地方債を予定していないわけです。そのために国庫補助金等の特定財源が減額された場合は一般財源の増額で補てんされるということになっておりますが、しかし今回はこの経常経費の国庫補助金の削減分を直接地方債で措置するために、これは地方交付税では基準財政需要額の投資的経費に建設地方債を充当したという、こういう想定で投資的経費を削減して、その分を経常経費の基準財政需要額の増加をするという、これは非常に巧妙な脱法行為じゃないかと、私はこういうように思うのです。したがって赤字地方債の増発を建設地方債に見せかけただけのこれは偽りの姿であると、こういうように結論づけられるんじゃないかと思うのですが、いかがですか。
#156
○説明員(藤井誠人君) その点につきましては、先ほど申し上げましたように、地方財政全体を所管しております自治省と大蔵省との間でセットさせていただいたわけでございまして、その意味におきまして、いわゆる特段の脱法行為に該当するものではないというように考えておる次第でございます。
#157
○中野鉄造君 どうも、何といいましょうか、俗にいう大将に過ちなしというか、あなた方が言うとなると脱法行為ではない、いろいろと折衝をした、こういうようなことで、決してこれは脱法ではないと、こう結論づけられるのですが、どう考えたってこれはそういう法に抵触するんじゃないかと思うんですけれども、何とも納得しがたいんですが、いかがですか、間違いないんですか。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
#158
○説明員(藤井誠人君) 先ほど申し上げましたような観点で対応しておりますので、私どもとしましては、いわゆる経常経費関係二千六百億円につきましても、全体の地方財政計画の中で対応さしていただいたというように考えておる次第でございます。
#159
○中野鉄造君 この財政の問題については、これからまた突っ込んでいけばいつまでも切りがありませんから、もうこの程度でこれは後日に回します。
 次にお尋ねいたしたいのは、臨時行政改革推進審議会からことしの二月十二日に「民間活力の発揮推進のための行政改革の在り方」というものが出されました。その中で、「個人生活部門の活性化」というタイトルで、「特に、今後は、より豊かな社会に向けて、国民のニーズは福祉の多様化を求めていくこととなるが、「福祉はすべて無料」といった従来の考え方を改め、公的給付・サービスの重点化、効率化を図っていくため、」云々と、こういうように提言されておりますけれども、まずこの中で、「「福祉はすべて無料」といった従来の考え方を改め」ということについて、これはどのように厚生省としては受けとめられますか。
#160
○国務大臣(増岡博之君) 福祉につきましては、私どもは福祉サービスを必要とする人にはすべて手を差し伸べなければならないと思っております。その際には所得のいかんを問わずということでありますけれども、しかし、一方負担能力というものを考えた場合には、負担能力のある人とない人と一緒でいいのかということから、負担能力と受益の限度に応じてふさわしい負担をお願いしていこうということが社会的な公平という観点から必要であろうという、臨調もそういうお考えであろうと思いますし、私どももそういう姿勢でやってまいりたいというふうに考えております。
 したがいまして、負担能力のない方々につきましては今後も必要なサービスが提供されるように十分に配慮をしてまいりたいと思っております。
#161
○中野鉄造君 次に、児童扶養手当の今後の方向についてお尋ねいたします。
 この件につきましては、さきのこの委員会でも同僚の議員からいろいろと質問が出されました。厚生省の答弁、ここに議事録もございますけれども、その際に、具体的に申しますと、離婚した場合前の夫の扶養の義務の履行については今後ともいろいろと個々にわたっていろいろ状況が違うというようなことで今後検討をしていくと、こういうことを答弁されておりますが、あれから一年たちまして、その検討の結果何かあればお知らせいただきたいと思います。
#162
○政府委員(小島弘仲君) 現在まだ検討を継続中でございまして、はっきりした結論を得るに至っておりません。
    ─────────────
#163
○理事(佐々木満君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日馬場富君が委員を辞任され、その補欠として中西珠子君が選任されました。
    ─────────────
#164
○中野鉄造君 前回、この扶養の義務とあわせて未婚の母ということについてもいろいろと論議が交わされましたけれども、この未婚の母というのが、いろいろな場合の未婚の母というものがあると思いますが、これはもう全部一律に未婚の母としてみなされるわけですか。
#165
○政府委員(小島弘仲君) 御指摘のとおり、未婚の母となる過程と申しますか、姿形の上にはいろいろなものがあろうかと思いますが、今回の法律の改正につきまして取り扱っておりますのは、今までの法律も同じですが、未婚の母という形で一括した取り扱いといたしております。
#166
○中野鉄造君 この中で未婚の母の取り扱いについて、未婚の母は対象外となっている。しかし、現在既に未婚の母として支給をされている人は引き続き支給をされる、こういうようになっておりますが、この理由は何ですか。
#167
○政府委員(小島弘仲君) 従前の制度を改正するわけでございますが、従前の法律では未婚の母も対象として取り上げておりましたので、それを経過的に、その方につきましては今後七年間やはり支給の対象としてまいろうと、こういうことでございます。
#168
○中野鉄造君 それは非常に、現在までの人はいい、これからは認めませんよと、これはちょっとどうも説明がつかないんじゃないですか。既得権のある人はもうしようがないというような、そういうようなことだけではちょっと説明つかないんじゃないでしょうか。
#169
○政府委員(小島弘仲君) この取り扱いにはいろんな考え方があろうかと思いますが、従前の制度が、母子福祉年金に準じたいわばそれを補完するような形のものとして運用されてまいっておりますので、いわば年金等の例に倣いまして、先生の御指摘のように既得権者という意味ではございませんが、必ずしも年金と同じような既得権という観念が成立するわけではございませんけれども、従前受給された方々につきましてはそのまま、いわば年金の既得権に準ずるような形で受給権を認めていこうと、こういう形でございます。
#170
○中野鉄造君 まあこれについてもなかなか釈然としませんね、はっきり言って。
 それで、この間の委員会のときも問題になったんですが、中西委員からも提起されました、つまり、児童福祉問題懇談会、この中にもあるいは制度審の中にも女性はいらっしゃらない。そういうようなことで、やはり女性の声、母性の声をこうした審議会あるいは懇談会に反映させるための女性の代表を選出して、そしてその意見を聞くべきじゃないかという、こういうことが言われたんですけれども、特に今回のこの改正の発端となりましたこの児童福祉問題懇談会、ここにもそういう女性の方々はいらっしゃらないわけなんですね。そういうような女性の声というものが聞かれないままにこうした改正への結論が出されてしまう、こういうことはこれはいかがかと思うんですが、今の時代の流れからいってもどうしたものかと思うんですが、これもこのままでいいんですか。
#171
○政府委員(小島弘仲君) 今回は地方負担という大きな問題もございましたので、地方自治制度あるいは地方財政制度に御理解の深い方々、並びに社会保障制度に御理解の深い方々六名を委員にお願いいたしまして、懇談会という形で今後の制度のあり方を詰めてまいったわけでございます。
 先生御指摘のように、このメンバーには女性の方は含まれておりません。ただ、審議の過程におきまして、母子相談員等いろいろ実際の福祉施策を担当なさっている方々の御意見を聞いたということにとどまっているわけでございます。
 政府の方針といたしましても、審議会等につきましてはできるだけ女性の参加を高めていくという方針を打ち出しているところでございますので、今後十分そういう面での配慮をしてまいりたいと考えております。
#172
○中野鉄造君 これはもうやはり、今こういう時代になりまして、しかもこうしたことは女性に最もかかわりのある問題でございますし、そうした意味からもやっぱり女性の声というものは大いに意見を傾聴していかなくちゃいけないと、こういうように私理解いたしますし、今後ひとつその方向で努力していただきたいと思います。
 なお、この問題についてはまた後日同僚の議員からいろいろ論議されると思いますので、次の問題に入ります。
 老人介護への基本的姿勢と対応についてお尋ねいたしますが、今二十一世紀に向かって我が国は高齢化社会へ急速な速度で進んで行っておりますけれども、先ほどもちょっとお話が出ておりました中間施設の問題ですが、中間施設の問題に入ります前に、現在特別養護老人それから養護老人ホームの定数と実際入所されている人数をお聞かせいただきたいと思います。
#173
○政府委員(正木馨君) 特別養護老人ホームの入所定員と現員、特別養護老人ホームで申しますと、現在定員は十一万二千人程度でございますが、確定数字で、五十八年で申しますと、定員は十万五千八百八十七人、現員が十万五千四百五十九人、入所率といたしまして九九・六%でございます。一年さかのぼりまして、五十七年は定員が九万八千九百三人、現員が九万七千九百十九人でございます。
#174
○中野鉄造君 いただいているいろいろな資料を見てみますと、今のお話にもありましたように、特別養護老人ホームでは二十七の都道府県、七政令指定都市で定員に不足しておりますけれども、養護老人ホームに至っては四十七都道府県のうち四十五都道府県が定員までいっておりません。政令指定都市において全部の指定都市が定員に達していないわけなんですけれども、今入所待機者がもうそれこそメジロ押しでいるこの現状で実態はこういうわけなんですけれども、なぜ定員に満たないんですか。
#175
○政府委員(正木馨君) 特別養護老人ホームと養護老人ホームでは、時代の推移とともに若干情勢が変わってきておりますが、先生おっしゃいますように、特に現在寝たきり老人、痴呆性老人という方々がふえてまいりまして、特別養護老人ホームに対する入所需要というものは高まってきております。
 現在養護老人ホーム、定員十一万二千人でございますが、各県の調査を集めますと大体一万五千人程度の方が待機をされておるという現状にございます。一方、養護老人ホームにつきましてはほぼ横ばいといいますか、それほど需要というものの高まりはないという状況でございます。
 ところで、御質問のそういう待機者がありながら定員がいっぱいになっていないのはどういうことだということでございますが、先ほど申しましたように、特別養護老人ホームで申しますと、五十八年は入所率九九・六%、五十七年も九九%、若干のずれがございますが、これはやはり老人ホームの入退所の時期にずれがあるために、摩擦的なずれだというふうに考えておりますが、御希望が多いわけでございますから、できるだけ有効に施設を活用するようにということで今後とも努力をしていかなければならないというふうに思っております。
#176
○中野鉄造君 去る二月二十一日に、厚生省は、現行の老人医療福祉制度の抜本的な改革を目指した老人に関する新医療・福祉施策体系構想というものを固めまして、四月に設置される中間施設検討委員会で検討してもらうと、こういうように新聞でも報道されておりますが、その構想の概要というものはどういうものですか。
#177
○国務大臣(増岡博之君) これはまだ確定したものでもございませんけれども、頭の中で物の考え方を整理したというところが実態であろうかと思います。したがいまして、抽象的でございますけれども、ともかく人口構造が高齢化しました。あるいはまた疾病構造の変化がございます。特に老人を中心に長期慢性疾患があります。したがって、日常の生活介護を必要とする方々が大幅に増加していくものと思われます。またさらに、その態様によってニーズも多様化しておる。そういうことから、現在の病院、福祉施設ということのみでは対応し切れないのではないかということで、保健医療と福祉の中間的なもの、あるいは施設と在宅との中間的なものも考えなければならないんではないかという施設体系の望ましい姿を考えようということでございます。したがって、これには総合的な施策、施設体系の確立を図ってまいらなければならないということから、いわゆる中間的機能を有する施設ということでございまして、今後、学識経験者や関係の専門家によりまして検討会を開いていただきまして、幅広い検討を進めていただきたいと思うわけでございます。
 最初に申し上げましたように、現在のところ具体的な構想を固めておるわけではございません。
#178
○中野鉄造君 発表された中身を見ますと、六十年度中にその方向を明らかにしていくというようなことが書かれておりますけれども、今の御答弁にもありますように、全くまだ漠然たるものしかない。しかし、六十一年度からはそれが実施されるものと、こういうように理解しておってもいいんですか。
#179
○国務大臣(増岡博之君) できるだけ早く検討していただきたい、できれば六十年度中ということも考えておるわけでございますけれども、しかし、総合的な福祉の体系の中で見直すわけでございますので、あるいは時期も多少ずれることがあろうかとも危惧をいたしておるわけでございますけれども、しかし、時代の要請であることは間違いございませんので、できるだけ早くという気持ちで対処いたしております。
#180
○中野鉄造君 それと、この建議では、介護費用について、医療における看護に準ずるものとして医療保険の財源を導入すると、こういうことが提言されております。
 介護費用は、現在国や地方公共団体の公費負担で賄われておりますけれども、こうした福祉サービスの面に社会保険を適用する考え方というものはこれは大きな方向転換であると思いますけれども、政府としてはこれを採用する考えですか。
#181
○政府委員(吉崎正義君) 先ほどもお答えをいたしたわけでありますが、また大臣からもただいま幅広く検討をお願いするとお答え申し上げたところでございますけれども、お話にありましたように、建議にそのようなことも書いてございます。いろいろと多角的に今後検討する必要があると思いますけれども、厚生省として、今そのようにすべきであると、案を固めておるわけではございません。
#182
○中野鉄造君 いずれにいたしましても、これは例えば医師会の意見、あるいは社会保険の支払い側の考え方、あるいはその自治体の考え方、社会福祉法人という方々の考え方、利用者の考え方、これはもう多種多様な立場立場からのいろいろな思惑がそこに絡み合ってくると思いますが、これをどういうように整合され、実現を図っていこうとされるわけですか。
#183
○政府委員(吉崎正義君) 確かに複雑な問題であると思いますけれども、また御指摘のとおりいろんな関係者がございます。ですけれども、二十一世紀に向かいましてこのお年寄り対策を全体としてどうやっていくのが最も適当であるか、これは極めて重要な課題であると考えておりますので、今お話しになりましたようなそういう関係者も検討委員会の委員にお願いをいたしまして、できるだけ早く答えを出していただけるように努力をいたしたい所存でございます。
#184
○中野鉄造君 本当にこの問題は、言うはやすくなかなか複雑な難しい問題ではないか。いわゆる費用負担の面で結局計画倒れみたいなことになりはしないかと危惧するわけですけれども、ひとつせっかくそういう努力をしていただきたいと思います。
 次に、老人向け集合住宅の検討についてお尋ねいたしますけれども、高齢化社会への対応という視点から住宅政策の全般的見直しも必要でありますけれども、特に、従来の老人ホームと住宅との中間形態の老人向き集合住宅の建設についてでありますけれども、例えば欧米では、構造だとかあるいは設備が老人にとって非常に住みやすい住宅でありますシェルタードハウスというものが存在するわけですけれども、我が国においてもこういうような住宅の建設を考えるべきではないかと思うんですけれども、いかがですか。
#185
○政府委員(正木馨君) 御案内のように、住宅行政は建設省が所管をしておるわけでございますが、建設省におきましても、いわゆる私的諮問機関でこういった問題を論議されておりまして、先生今御指摘ございましたように、イギリスではシェルタードハウジングといったことで、そこに老人向けのケアが措置がなされておる。また、管理人が常駐しておるといったようなものが設けられておるといったことで、今後十分検討していくべきではないかというような御意見が出ております。また、制度審議会等でもそういうことを言っておられまして、これからの高齢化社会というものを考えますと、やはりケアつきの集合住宅というもののニーズというものは非常に高まってくると思います。
 私ども、建設省等ともよく相談をし、前向きに検討をさせていただきたいというふうに思っております。
#186
○中野鉄造君 次にヘルパーの増員についてお尋ねいたしますが、本当にこれからの急速な高齢化に対処するためには、どうしてもヘルパーの増員が必要になってきますけれども、現在厚生省は当面の目標として三万五千人としておるわけですけれども、状況としてはいかがですか。
#187
○政府委員(正木馨君) 老人家庭奉仕員というのは、今後の在宅福祉を進めていきます場合の一つの根幹になる施策であるというふうに思います。
 現在、家庭奉仕員の総数が一万九千九百八人ということでございますが、現在御審議願っております六十年度予算案におきましては千七百五人の増員をお願いいたしまして二万一千六百十三人ということに、増員を予定をいたしております。
 また、老人家庭奉仕員の活動というものをより効果的に発揮していくためには、やはり老人によりましてもいろいろなニーズの違いがある、ケアの仕方の違いもあるわけでございますので、経験豊富なチーフヘルパー制度というものを設けまして、さらに円滑有効な活動を図っていきたいということで、六十年度予算案におきましては主任家庭奉仕員百八十八人でございますが、その設置をお願いしたいということでおります。
 今後とも老人家庭奉仕員活動というものの充実につきまして努力をしていきたいというふうに思っております。
#188
○中野鉄造君 次に、在宅福祉の介護費用はどのくらいかかるものか。そのうち公費負担はどの程度なものになっておりますか。
#189
○政府委員(正木馨君) 老人対策で申しますと、大きく分けて施設対策と在宅福祉対策ということになるわけでございますが、在宅福祉対策といたしましては、先ほど申しました家庭奉仕員の派遣事業、それからショート・ステイ事業、デイ・サービス事業、それから日常生活用具の給付事業といったものが主たるものでございます。六十年度予算案でお願いしておりますのは、この関係の経費につきましては、国庫ベースで約八十五億ということでございます。
#190
○中野鉄造君 では、一方、特別養護老人ホームあるいは老人ホーム施設にかかわるものは、六十年度予算案でどのくらい計上されておりますか。そのうち入所者費用徴収率はどういうふうになっておりますか。
#191
○政府委員(正木馨君) 特別養護老人ホーム等施設の関係の経費は、国庫ベースで約二千三百億円でございます。
 費用の徴収でございますが、負担能力のある方からは費用を徴収するという仕組みになっておるわけでございますが、五十九年度で申しますと、費用の徴収が五・九%、約六%。六十年度におきましては七・六%程度ということを見込んでおります。くどいようでございますが、七・六%と申しますと、残りの九二・四%を公費で、国と地方公共団体で措置をする、こういう関係になるわけでございます。
#192
○中野鉄造君 そこで、今度は、一方在宅で六カ月以上寝たきりの六十五歳以上の老人が約二十七万人いらっしゃいますけれども、この方々の在宅福祉に対する六十年度予算はどういうふうになっておりますか。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
#193
○政府委員(正木馨君) 在宅でおられる寝たきり老人、痴呆性老人という方は数多いわけでございますが、そういう方々は家族の介護によって生活をされておられる。したがって、在宅福祉対策というのは、そういう家族介護をバックアップする施策でございますが、先ほど申しましたように、そのバックアップ対策というのは家庭奉仕員の派遣事業であるとか、あるいはショート・ステイ、デイ・サービスといったものでございますが、それ全体といたしまして、これは寝たきりだけということではございませんが、総額で申しまして国庫ベースで約八十五億円でございます。
#194
○中野鉄造君 要は、入所者と在宅の寝たきりのお年寄りに対するいろいろな費用の面では格段の差がある、こういうふうに思うわけですけれども、在宅の場合は在宅の場合で、家族のいろいろな肉体的、精神的な苦労というものはこれはまたもう本当に大変なものだろうと思うんですけれども、そういったような意味からも、やはり在宅福祉にもっともっと力を入れていくべきではないか。お金が多ければいいということではないんですけれども、ちょっと簡単に見ただけでも金額的にこれだけの開きがあるというのはいかがなものかと思うんですが、いかがですか、この点について。
#195
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、金額的に見ましても、一人頭から考えましても、金目の点については大変な格差があるわけでございます。しかしこの背景には、やはり在宅の場合には家族の介護を国が補強をする形でお世話をするということでありますし、老人ホームではすべてを賄っておるということで、コストに差が生ずることはやむを得ないと考えます。
 しかし、とはいうものの今お尋ねのような実態を考えます場合には、今後の老人福祉対策は在宅対策に重点を置いて進めるべきであり、予算面でも力点を置いて、そのような観点から配慮してまいりたいと思います。
#196
○中野鉄造君 次に、痴呆性老人問題についてお尋ねいたしますが、先般中野区では、高齢者を取り巻くさまざまな問題について、専門的な角度からいろいろな検討を進めて、最近、在宅痴呆性老人に対するデイ・ケア制度の確立について緊急提言を行ったようですけれども、この中野区の実例をどのように厚生省では把握されておりますか。
#197
○政府委員(正木馨君) 高齢人口が増加をする、特に後期高齢人口、七十五歳以上の老人の方々が非常にふえてくるといった中で、痴呆性老人の問題というのは、老人福祉対策の中でも、なかんずく非常に大事な事柄であるというふうに私ども認識をしております。
 そこで、現在五十数万人の痴呆性老人がおられるということでございますが、やはりこれから長い将来を考えた場合に、まず痴呆性老人というものにならないように予防対策というものを若いうちから進めていかなきやならぬということが一つ。それから、そうは申しましても、やはりどうしても痴呆性老人というものは今日よりもなお数多く出現するということを考えておかなければならない。こういった場合に、やはりその痴呆性老人を抱える家庭に対する在宅福祉対策、バックアップ対策というものを進めていかなければならない。これは中野区の事例でもありますように、老人に対するお世話と同時に家族に対する指導といいますか、助言といったようなものもあわせて進めていかなければならない。それから、痴呆性老人と申しましてもやはり非常にいろいろ開きがあるわけでございます。見当識障害と申しますか、平たく言えばTPOがちょっとわかりずらくなるといった程度の老人の場合と、いろいろな問題行動を起こす痴呆性老人の方もおられるわけでございます。その重度の痴呆性老人という方はどうしても施設でお預かりをして処遇をしていかなければならない。そういった面で、痴呆性老人に対する介護施設の充実というものもこれからさらに考えて進めていかなければならない。
 そういうことで、確かに先生の御指摘もございますように、痴呆性老人対策というものを特に念頭に置いた老人福祉対策というものを、今後とも私どもとしても、充実、推進をしていくという気持ちを持っておるわけでございます。
#198
○中野鉄造君 もう老年の痴呆ということについては、がんとともに人類医学の上で最も大きな課題になってくるんじゃないか、こういう気がするわけですけれども、特に今もお話しがありましたその原因の解明について、なぜぼけるのかという、そういう原因の解明については、臨床的に現在どういうような状況にあるんですか。少し曙光を見出しているんですか。
#199
○政府委員(大池眞澄君) 先ほどもちょっと答弁の中にありましけれども、老年痴呆の原因としましては、既に原因のある程度推定できているものと、まだ推定できていないものと大別できるわけでございます。
 それで、推定できているものにつきましては、循環器系の高血圧とかいろいろのもろもろの血管性の病変が脳の方にも起こりますと、脳の栄養が悪くなりまして、いわゆる痴呆の状態に陥っていく。これにつきましては、循環器系のいろんな予防対策の手段がございますので、一生懸命、今取り組んでいるところでございます。それに付随してのいろいろな研究もそれを支えているところでございます。
 他方、原因不明のもの、例えばアルッハイマー性の老人性痴呆とか、いろいろと列挙されておりますけれども、近年いろいろと医学の進歩に伴いまして、例えば何かビールスあるいはビールスに類似するような物質の感染のような仕組みが背景に絡んでいるんではないかとか、あるいは体の中の免疫の仕組みもそれに重大なかぎを持っているのではないかとか、いろんなことが逐次明らかになりつつございます。
 厚生省におきましても、神経センターを中軸にしまして、神経研究につきまして積極的に取り組
もうとしているわけでございますが、特に六十年度予算におきましては、その面の増額も考慮した計画として現在予算を確保しているところでございます。
#200
○中野鉄造君 最後になりますが、今そういったような痴呆性の老人を抱える家庭の方々の日常のいろいろな苦労は我々はかり知れないところがあると思うんですけれども、国として、介護家族の負担を少しでも軽減してあげようと、そういうところに力を注いでいくべきではないかと思いますが、そうした家族の方々のために、短期保護事業の実現、推進、つまり、家族が病気になったり、あるいは冠婚葬祭などでちょっと三日、あるいは一週間ぐらい家を空けるといった、そういう期間にその老人をお預かりする、こういう制度というか施設というか、そういうものをお考えになっておりますか。
#201
○政府委員(正木馨君) これも先生御指摘のとおりでございまして、やはりそういう寝たきり老人とか痴呆性老人御本人に対するケアというものも必要でございますが、同時に、それを介護している方々をバックアップするということも必要でございます。
 そこで、短期保護事業、これは現在も実施をいたしておるわけでございますが、特別養護老人ホームで一時お預かりをするということで、現在は社会的理由と申しますか、冠婚葬祭でどうしても介護できない、あるいは介護者自身が御病気になったといったような、そういうやむを得ない場合に限っておるわけでございますが、六十年度予算でお願いしておりますのは、さらにそれを広げまして、そういう理由だけじゃなくて、ちょっと一息入れたいと、介護疲れをいやすといったような場合にもお預かりをしようということで、対象を広げたいということを考えております。
 それから、デイ・サービスというのをやっておりますが、施設に適所していただいてサービスをする、こういったものも活用いたしまして、できるだけ家族に対する負担の軽減、それから、家族に対する助言指導といったようなものもあわせて行うようにということで、まさに先生おっしゃるとおり、そういう面でも充実をしていかなければならないというふうに思っております。
#202
○中野鉄造君 終わります。
#203
○安武洋子君 私は、退職者医療制度の実施に伴います国保会計への影響についてお伺いをいたします。
 昨年の健康保険法改正に際しまして、厚生省は、国民健康保険に対します国庫補助率の引き下げによって市町村への新たな負担とかあるいは保険料の負担増につながることはしない、こう言ってこられております。私は、昨年の七月十六日に本会議で質問をいたしましたけれども、その私の質問に答えられまして、「国保国庫補助制度の改正については、退職者医療制度の創設や医療費適正化対策の推進等により市町村国保の財政負担が軽減されることを勘案したものであり、今回の改正は市町村に新たな負担を求めるものではなく、保険料は全体として予測される水準以上に上昇するものとは考えておりません。」、渡部厚生大臣がこのようにお答えでございます。この御見解というのは今も変わっていないでしょうか、お伺いいたします。
#204
○政府委員(幸田正孝君) 退職者医療制度につきましては、私ども昨年来そういったことを申し上げたのは事実でございます。
 その当時私ども考えましたのは、退職者医療制度の対象者が四百万人強いるであろう、こういう推定をいたしまして、その結果に基づきまして今申し上げたようなことを御説明を申し上げてきたのでございますが、現在の段階では、一月現在でございますけれども、三百六十二万人程度と、対象被保険者の把握は当初の見込みに比べますと三分の二程度にとどまっております。
 私どもといたしましては、この四百万人といった対象被保険者が把握されますならば先ほど申し上げましたような保険料の水準は全体としては引き上げる必要はないと、もちろん医療費の自然増、その他さまざまな要因がございますから、そういったことは別にいたしましての話でございますけれども、先般来お答えを申し上げているとおりと考えているものでございます。
#205
○安武洋子君 四百万人が把握をされたら基本見解は、私への本会議の御答弁は変えない、しかし四百万人が把握されなかったら私へ本会議で御答弁くださったこの基本見解というのは変えられるということでございますか。
#206
○政府委員(幸田正孝君) 私ども、いろいろな統計資料を用いまして四百万人という推定をいたしたものでございまして、この数字はそれほど大きく違いはないものと考えております。何分にも十月から始まりましたばかりの制度でございますから、国民あるいは関係者の間の周知徹底になお手間取っておりますけれども、六十年度におきましても全力を挙げて対象者の把握に努めたいと思っております。
#207
○安武洋子君 では、この数字ですね、先ほどお答えになったのが、四百万人を見込んだけれども現在二百六十二万人だと、ということは六五%でございますが、この六五%が一〇〇%に、急速に埋まるというふうな御見解でございましょうか。
#208
○政府委員(幸田正孝君) 四百万人の推計に対しまして二百六十万人にとどまっております理由は幾つかあると思いますが、一つは、先ほど来申し上げております、新しい制度でございますから関係者の間に周知徹底をされてないということ、それからもう一つは、昭和五十九年中に新しく年金を受けられる方、大体四十三万人でございますけれども、それとその被扶養者、その多くは家族、奥様でございますけれども、そういった新しく五十九年中に年金を受けられる方につきましては、実は昨年の暮れに市町村にその名簿を送付したばかりでございます。そういったことで、ごく最近の間に年金を受けられるようになった方、あるいはその奥さんというのが一つ大きな山として残っております。
 それからもう一つは、年金受給者で四百万人対象者を把握をすることにいたしておりますけれども、年金受給を開始いたしましたときに比べまして、その後住所を異動されている方がかなり多いようでございます。こういった方々についてはなかなか把握がうまくいかないと、こういう状況でございますので、相当日時を経過をいたしますれば、私どもなおかなりの数の退職被保険者の把握ができるものと考えているわけでございます。
#209
○安武洋子君 じゃ、どれくらい日時を経過すれば、おたくたちのおっしゃる四百万、一〇〇%に近い把握ができるとお考えですか。
#210
○政府委員(幸田正孝君) 私どもの推計に狂いはないものと考えておりますが、やはり新しい制度でございますから、一年程度の日にちはいただきたいと、かように考えております。
#211
○安武洋子君 一年程度と、そうはおっしゃいますけれども、二月二十日付の全国町村会の緊急要望、これを見てみますと、「町村においては関係者の努力により退職者医療制度対象者のいわゆる「掘りおこし」はほぼ完了している状況にある」というふうに述べておられます。それから都市部でも、東京の世田谷区の場合です。制度出発当初受け取ったリスト、これは全部チェックしたと、百人ぐらいを除いて住民台帳でつかんだと、こういうふうに国保実務に書いておられます。ところが、十月末当時の対象者、これが五・三五%です。それで、最近の数字を問い合わせてみました。そうすると、五・七%です。今後伸びましても六%程度であろうと、こういうことで、先ほどそうおっしゃいましたけれども、掘り起こしというのはほぼ終わっているというのが実態ではございませんか。
 厚生省がおっしゃるのと、それから全国から上がってきている要望書、あるいは私どもが調べたこういう都市部でも、厚生省と随分と実態が違うと思いますが、いかがでございますか。
#212
○政府委員(幸田正孝君) 国民健康保険は、全国で三千三百の町村あるいは特別区で運営をいたしておりますから、町村なりその自治体によってい
ろいろな事情はあろうかと思います。一〇%の見込みであったものが八%、九%にとどまるという町村も少なからずあろうと思いますけれども、私ども、特に大都市における掘り起こしがなおこれから期待ができるんではないかと、こういうことでございます。
 それと、先ほど申し上げました五十九年中に新しく年金を受けられる方、これが四十三万人おられますから、こういった方々の把握になお全力を尽くしたしたいと思っております。
#213
○安武洋子君 四十三万人を二百六十二万人に足したところで三百万ということにもなりますし、厚生省は今そういうふうに御答弁でございますけれども、では、実態の把握をなさっておられるんでしょうか。実態を把握をなさっておられるなら、その具体的な数字を挙げてお示しください。
#214
○政府委員(幸田正孝君) 先ほど来申し上げておりますように、私どもが現在把握をいたしておりますのは一月末現在の数字でございまして、一月末現在で申し上げますと、退職者百七十四万人、それから被扶養者八十八万人、合わせまして二百六十二万人でございます。
 それで、当初の見込みに比べまして特に開きが大きいのは被扶養者でございます。退職者は二百三十万人の見込みに対しまして百七十四万人、被扶養者は百七十六万人の見込みに対しまして八十八万人ということでございますが、先ほど来申し上げておりますように、この退職被保険者、これは家族も含めて被保険者と呼んでおりますけれども、退職被保険者の把握につきましては、年金受給者のリストを中心に市町村にお願いをいたしております。そこで出てまいりますのが、一つは家族の把握がなかなか進まないという問題、年金受給者本人につきましては個人別のリストを市町村にお渡しをいたしておりますけれども、家族についてはなかなか把握が進まないという問題が今申し上げましたような数字にあらわれているのではないかと考えております。
 それからもう一つは、先ほど来申し上げております新しく年金を受けられる方四十三万人とそれの家族、これがなお残されている、こういうことでございます。
#215
○安武洋子君 私は、厚生省が各市町村の実態を把握されているかどうか、国保がどういうふうな状態になって重大な影響を受けているかということを把握をされているかどうかということを伺いたいわけです。
 そこで、私が調査をしてまいりました。これはもう大変な状態になっているということを申し上げたいんです。五十九年度分で軒並み負担増で、赤字分、これをどういうふうに処理しようとなさっているかといいますと、従来からの繰越金で穴埋めをするとか、あるいは基金を崩したりとか、あるいは一般会計から繰り入れたりとか、あるいは六十年度分を繰り上げ充用したりとか、こういうふうにしようとしているわけです。さらに六十年度分の予算では、この負担増が膨大になるというふうなことで、繰越金や基金まで充当できない。そこで市町村では、保険料の値上げというふうな形で住民に負担を求める。そして仮の財源を計上いたしまして、厚生省の措置を期待しているというふうな形で予算を組んだりしているわけです。
 そこで、例を少し挙げてみますけれども、一つは金沢市の例です。これは退職者医療制度移行者が国の想定を大きく下回ったというふうなことで、六十年度の予算では、国庫負担が医療費ベースから給付費ベースに変わった削減額等、制度改正に伴いましてのマイナス分というのが約二十六億五千万円です。そして退職者医療の給付費から保険料を引いたプラス分が十二億三千万円です。差し引き十四億三千万円の負担増になります。この三分の一を退職者特別調整交付金で調整されても九億五千六百万円の負担増になります。市当局としましても、この九億五千万円というのは制度改正の結果によるものということで、国に対しての善処を求めておられるわけです。そしてこの分を仮に財政調整金の名目にしまして歳入に掲げているわけなんです。
 私は兵庫ですので、地元を調べてみました。
 尼崎市ですが、二月末で六・二%です。六十年度約二十億の負担増、こういうことになります。そのうち三分の二を財政調整交付金で計上いたしましても、残りが六億八千万の赤字ということになりまして、赤字分は剰余金を崩して充てるというふうなことです。
 それから福崎町、ここでは退職者医療の加入率八・七%です。五十九年度は千六百万から千七百万円の負担増で、これは基金を取り崩してカバーをする。そして六十年度は五千万から六千万円、こういうことになりまして、保険料を二七%も引き上げる、こういう方向で運営協議会に事を諮ってなさるということです。
 加古川市というところがありますけれども、ここは二月末で加入者が一〇・二%です。国庫補助金削減によりまして六十年度の財政影響というのが三億五千六百万円も出ております。一般会計繰入金の増額と、一三%程度の保険税の引き上げということで対処しようとなさっている模様です。
 さらに柏原町というところがあります。ここは五十九年度決算見込みというのが一千三百万円。五十九年度は基金の取り崩しで対応するというふうにしておりますけれども、六十年度予算では世帯当たり八%、これは一人当たりにいたしますと一〇%の保険税値上げ、こういうことで対応せざるを得ないというふうな予算になっているわけです。
 青垣町というところに行きますと、五十九年度決算見込みというのが国庫負担金の削減によりまして二千五百万円となっております。繰り上げ充用がやられるということで決算をしようとなさっているわけです。国保の被保険者に占める退職者の比率、これは約二・六%と大変少ないわけです。六十年度は一層大きな打撃になるという予測がされるわけですが、保険税での調整というのはこれは一・四%程度にとどめて、空打ちの予算にして、国に改善を要求すると、こういうことになります。
 洲本市、この例も挙げてみますが、退職者の数というのは当初の支払い基金による通知の二千二百三十七人から千百人、半減です。被保険者に占める比率が約七%です。このために国庫負担金の減額が大きな打撃となりまして、退職者医療に係る支払い基金からの交付を差し引いても、減額というのが五千五百三十二万九千円、こういうことになります。ですから五十九年度決算の見込みというのは、前年度の繰越金があって黒字決算できるとしていますけれども、六十年度予算では一般会計からの繰入額を一千万円から一千五百万円にふやす、そして保険税を一八・八%も値上げをする、こういうことをしようとしているわけです。
 また佐用町というところでも、昭和六十年度で国庫負担金削減による減収見込みというのが一千五百万で、基金を取り崩して三百万円、一般会計繰り入れ二百万円、国保税の引き上げ一千万円、こういう処理をしようとしているわけです。
 私は、これは事態は極めて深刻であるというふうに思いますけれども、厚生省はこういう実態を把握されているのかどうか、そしてこの事態をどのように受けとめておられるのかどうか、お伺いをいたします。
#216
○政府委員(幸田正孝君) 先ほど来申し上げておりますように、三千三百の市町村でございますので、国保会計の態様はさまざまであろうと思います。特に、被保険者の年齢の分布あるいは退職被保険者の把握の度合い、あるいは高額な医療費の発生の度合い等によりまして市町村の国保財政はそれぞれ異なってくることとなると思いますので一概に申し上げるわけにはまいらないと思いますけれども、ただ私が申し上げたいのは、医療費の自然増というものが当然あるわけでございまして、これが年々、通常七%から八%の医療費の自然増がございます。それからもう一つは、老人保健の精算分というのが五十九年度については特にあるわけでございまして、これらを合わせますと八%から九%、場合によっては一〇%近い財源が必要であるということは、これは退職者医療制度の発足とは関係のない事柄として必要であるということでございます。
 もちろん私ども、四百万人の当初見込みに対しまして現在二百六十万人という把握にとどまっておりますので、こういった関係がどういう影響になって出てくるか、できるだけ早い機会に調査をいたして実情をつかんでみたいと考えております。
#217
○安武洋子君 どちらにしましても、これは今まで四百万だということですべて計算を立てられてきた。しかし、元来の四百六万が全員移行することが前提であるのに、まだ六五%であるということは、これは大きくあなた方の見込み違いなんですよ。一方、国庫補助金の削減というのは確実に行ってしまう、一方は見込みが違ってしまう、こういうことになっているわけですから、市町村の国保に重大な財政的な影響が出て当たり前です。
 私が今挙げましたのがごく一部のところだけということではないわけです、これは、国民健康保険中央会の定期総会の中で全国的な問題として、「国保保険料(税)の負担増はないとの国の言明にもかかわらず、国保の財政は急激に悪化し、深刻な事態にたちいたっている。」と、こういう緊急決議が出ておりますし、それから「国民健康保険財政に関する緊急要望」ということで全国町村会からも、町村においてはもういろいろとやってきたけれども、本当に国に適切な財政措置を講じてもらわないと困るんだと、こういう要望も出てくるといういうふうな緊急事態で、今厚生省の御答弁のような事態ではないんじゃありませんか。
#218
○国務大臣(増岡博之君) 先ほどから政府委員から御説明申し上げておりますように、現在の国保の窮状といいますか、それにつきましては、退職者医療制度以外の原因も多々あろうかと思います。しかし、この退職者医療制度が与える影響については、私どもが常時監視をしておかなければならないことであろうと思います。
 そこで、今の人数の点でございますけれども、一月末では確かにそのとおりの数字でございます。そうして、政府委員から説明申し上げましたように、今後も対象者の把握に努めるわけでございまして、対象者そのものが実在するかどうかということは、本人につきましては年金受給者でございますのでほぼ正確な数字であろうと思います。その把握ができていないというのが現状であろうと思うわけでございまして、その把握に努めておるわけでございまして、これから先、発見されました分も、昭和五十九年度にさかのぼって財政の調整を行うことといたしておるわけでございます。
 そういう努力も今後していかなければならないわけでございまして、特に先ほども申しましたような、新たな年金受給者という方々を中心に考えていかなければならぬ。今現在はそういう立場で、市町村国保に、この制度を適用できる人たちを把握をしてくださいとお願いをし、実行をしていただいておる段階でございますので、先行きのことをいろいろ申し上げることもいかがかと思いますけれども、しかし、市町村国保の実態ということは私どももよく承知しておりますので、その安定的な運営に支障が生じないような方策は今後検討をする所存でおります。
#219
○安武洋子君 掘り起こしはほぼ完了していると全国の町村会が宣言されているわけなんですね。ここが私は厚生省と事態の把握が違っていると思います。それはどんどん把握していただいたらいいわけですけれども、ほぼ完了してしまっているということなんです。それともう一つは、私の本会議質問に対してもお答えになったように、決してこれは市町村や住民に負担増をもたらさないということも約束なさっているわけですけれども、先ほど私が実態を挙げたように既に大きく影響が出てしまっているわけです。こういうことに対して私は、国が全部手当てをしていかなければならない、全額手当てをするのが当たり前ではないかということが一点です。
 それから、六十年度のこの会計、繰り上げ充用で措置をせよというふうな通達を町村会が出してなさるんですね。これは、全国町村会が、国庫補助削減等制度改正に基づく五十九年度の赤字分、これは一般会計からの繰り入れとかあるいは基金を取り崩しなどしないで、六十年度の会計からの繰り上げ充用で措置するようにと、各都道府県町村会長あてに文書を出してなさるわけです。ですから私はこういうことで、市長会とかあるいは町村会とか国保中央会、こういうところから、いろんな関係者から私は厚生省もこういう要望を受けてなさるというふうに思いますけれども、その点と、それから自治省も事態が大変深刻だということで厚生省に要請をするというふうなことを聞いております。自治省から何か話があったでしょうか。先ほどのと二つお答えください。
#220
○政府委員(幸田正孝君) 町村会がそのような話をしているということは、私も承知をいたしております。町村部につきましてはかなり把握が進んでいると思いますけれども、やはり大都市中心にいたしましてなお把握が進んでいない面があるのではないかというのが私どもの考え方でございます。
 それから、各団体から要請が来ておりまして、国保中央会あるいは町村会から来ているものはお示しのとおりでございまして、退職者医療制度の創設及びそれに伴う国保国庫補助制度の改正により国保財政の悪化を招かないようにということがその趣旨であるということは十分承知をいたしております。ただ、先ほども申し上げましたように、各町村の国保財政の状況というもの、仮に赤字になりましても、その中には退職者医療制度によりますものとそれ以外の、先ほど来申し上げております要因によりますものと、いろいろ混在をいたしておるわけでございまして、その辺につきまして、今後私ども調査を進めまして精査をいたしてみたいと考えているわけでございます。
#221
○安武洋子君 都市部が進まないとおっしゃるから、私は世田谷の例をきちっとお挙げしたわけです。ですから、都市部だってもう掘り起こしはほとんどおしまいになってしまっている。一年たって、いろんなことをおっしゃって、この数が埋まらないときにはどうなさるのか。政治責任は大変重要でございます。
 そこで、国庫負担の削減によりまして、五十九年度、六十年度市町村の負担増、これがあるわけなんです、現実に。ですから、これについて一体どのようになさるのか。その点をしっかりお答えいただきとうございます。
#222
○国務大臣(増岡博之君) 先ほども申し上げましたとおり、まだこの数字は確定していないわけでございますので、現在の時点ではその対策を申し上げるわけにはいかないと思います。
#223
○安武洋子君 それは細かい数字というのは決算を待たなければわからないでしょうけれども、しかし、傾向としては出ているわけなんです。明白に私は見込み違いであるというふうに思います。ですから、基本方向としてどうなさるのかということはこの時点でやっぱりお出しになるべきです。まだ把握できていないできていないとおっしゃいますけれども、これは数が随分と違うんです。あと十万とか二十万とか、この程度なら別ですけれども、六五%なんです。これからどれぐらい把握できるか。それは大して伸びないというのは、各市町村が、掘り起こしはもう終わってしまったんだと、こう言っている。そして、先ほどたくさん挙げましたけれども、財政的に苦慮している。そういうときに厚生省たるものが基本方向も示せないというのはおかしいです。基本方向を示してください。
#224
○政府委員(幸田正孝君) 先ほど申し上げました数字は一月末現在の数字でございまして、その後二月、三月あるいは四月ということもございます。日時の経過がございますし、また私どもも、できる限り早く調査を実施をいたしたいと思います。その結果に基づいてどういった措置をとるかはそのときの判断だと私は考えております。
#225
○安武洋子君 いつまでに調査されるんですか。
#226
○政府委員(幸田正孝君) この予算が成立をさしていただきましたならば、早々にも調査に着手をしたいと考えております。
#227
○安武洋子君 完了のめど。
#228
○政府委員(幸田正孝君) 三千三百の町村でございますので、その集計が終わるのには数カ月を要するのではないかと考えております。
#229
○安武洋子君 把握するのにあと一年、そして調査するのに数カ月だと。その間の市町村、これはどうなるわけですか。私は、厚生省がはっきりした立場でこの財源措置というものを大蔵省に交渉しない限り、これはどうにもならないわけでしょう。厚生省が市村町に迷惑を与えない、国民とかそういうところに負担増を押しつけないとちゃんと国会で答弁されている。それにもかかわらず、これほど明白に数字が違ってきているこの段階なのに、そういう態度をとられる。各ところから、自治省からも話があるという段階でそういう態度というのは、私は許せないと思います。
 もう一度お伺いします。これに対してどう責任をもって対処をされますか。
#230
○政府委員(幸田正孝君) 繰り返しのお答えになりますけれども、できるだけ早く調査をいたしまして、その結果に基づきまして、その時点で判断をいたすべき事柄だと考えております。
#231
○安武洋子君 そういうお答えばかり繰り返してなさいますけれども、特別財政調整交付金、これも五十九年度が三分の二でしょう。六十年度が三分の一でしょう。そして六十一年以降はゼロということになっていくわけなんですよね。しかも、この数字というのは今のところ六五%で、見込み違いというのは何と三五%もある。一月から四月、それは少しは進んだかもわかりません。今からやられてもある程度は進むでしょう。しかし、基本的にはもう掘り起こしは終わったんだと、実際に自治体がそう言っているわけです。自治体が要望を上げてきているんです。そんな段階で、ちゃんと調査をしなければ私たちは何にもしませんと、そういうことは許されないんじゃないですか。そして、この退職者医療制度の対象者が、当初の予測まで、それが埋まるまでに随分と長期間かかるというふうなことになったら、地方自治体はどうするんですか。国の約束が違うじゃありませんか。
 ですから私は、この国庫補助率三八・五%、これを落としたことが誤りである。やはりここで、国庫補助率の引き上げというふうなことも含めて、基本的に考えていくべきでないか、こう思います。大臣の御答弁を求めます。
#232
○国務大臣(増岡博之君) 先ほどお答えいたしました中に、まだ数字は確定いたしておりませんと申し上げました。先ほど政府委員から二月、三月と、そういうこともありましたし、私からも、六十年度に入ってからでも五十九年度にさかのぼって財政調整をいたします、そういうことを申し上げておるわけでございます。また、先ほど市町村国保につきましてはその実態を十分に把握した上で安定的な運営に支障が生じないように方策を検討する所存でありますというお答えを申し上げておりますので、御理解をいただきたいと思います。
#233
○安武洋子君 大臣、もう安定的運営に支障がきているわけですよね。その現実を私は申し上げております。そして、先ほどからいろいろと調整交付金のこともおっしゃっていますけれども、私先ほど申し上げたように、それも六十一年度以降はゼロということになってしまいますよと。しかも、この退職者医療への移行が当初の見込みの六五%ということでの負担増が出ているわけですけれども、この三五%という数字を制度改正当時の厚生省の資料をもとにして試算をしてみますと、そうしますと約四百億円、こういう数字が出てくるんです。それに加えまして退職者医療への移行者、これが当初の見込みよりも保険料の高い、そして医療費の低い人、これが多いわけです。したがって実際にはこの数字というのが大きく上回る。五十九年度では数百億、あるいは六十年度では一千億をはるかに上回るというふうになることは明白であるというふうに思います。この分というのは、本来財政調整交付金で埋めるというふうな性格のものでない。先ほど私が申しましたように、全額国庫で補てんすべき、これを埋めるべきであるということを申し上げとうございます。
 時間が参ってしまいましたが、先ほど大臣が安定が損なわれるようなことになればとおっしゃったけれども、今現在がもう安定が損なわれているということを、この実情、資料を私ははっきりお示しして申し上げました。これに対して、国会で御答弁なさったそういう責任ある態度を貫かれて、直ちに対処をしていただきたい、そのことを強く申し添えまして、私の質問を終わります。
#234
○抜山映子君 私は、昨今健康食品と銘打った食品が非常に出回っておりまして、ざっと二千程度は出回っておる。年間売り上げは四、五千億円とも言われますが、これは御存じのように食品衛生法の適用を受けておりますが、薬事法の適用は受けておりません。しかし実際には、食品として使われていない原料を使ったり、加工のときに非常に濃縮されたり、それから抽出するときの熱加工によって変質したり、いろいろ問題があるわけでございます。
 四月一日に厚生省認可の財団法人日本健康食品協会が発足したとのことですが、この事業目的についてちょっと御説明ください。
#235
○政府委員(竹中浩治君) お話しがございましたように、日本健康食品協会でございますが、実は昭和五十四年の十月に日本健康食品研究協会という財団法人が厚生省の認可で設立をされておりまして、今回この研究協会が寄附行為を変更をいたしまして、日本健康食品協会というふうに衣がえをいたしたわけでございます。
 この日本健康食品協会の事業でございますが、いわゆる健康食品に関します情報の収集、あるいは健康食品に関します調査研究、それから公衆衛生の見地からいたします基準の設定、健康食品に関する公衆衛生上適正な知識の普及、さらにその他必要な事業等を行うことによりまして国民の健康の保持増進に寄与することを目的とするということで、今申し上げましたようなことがこの法人の事業の内容でございます。
#236
○抜山映子君 これはあくまでも自主規制ということになると思うのですけれども、厚生省として、薬事法を改正するなりあるいは別途法律をつくるなりして、この健康食品を規制するというお考えはありませんか。
#237
○政府委員(竹中浩治君) いわゆる健康食品につきましては、医薬品に該当するものはこれは薬事法によりまして規制をいたしておるわけでございますが、それ以外の健康食品につきましては、すべて従来から食品衛生法に基づく規制の対象になっておるわけでございまして、有毒有害な物質を含む等々の人の健康を損なうおそれのある健康食品につきましては、これにつきまして販売禁止等の所要の規制を行うことといたしておるわけでございます。
 実は、お話しございましたように、健康食品というものが非常に種類も量も多く出てまいりましたので、昭和五十九年度に健康食品につきましての全国的な調査の実施を始めておりまして、昭和五十九年度ではセレン含有食品あるいはシアン含有食品といったような四種類につきまして全国調査をいたしております。六十年度も引き続いて健康食品についての調査を実施をいたしまして、その結果、必要なものについてはもちろん禁止等の規制もすると同時に、必要なものについては規格基準の設定等もするつもりをいたしております。それ以外に、私どもの規制にさらに全体として業界自身で自主的にもっときめの細かな基準をつくっていただいたらどうだろうか。そういうものについてはひとつこの業界が自主的にお決めをいただいたらどうだろうかというふうなことを考えているわけでございます。
#238
○抜山映子君 業界の自主規制ということは、消費者としては大変に心もとないわけです。やっぱりこの自主規制があるがためにかえって消費者にもうこれは効果や安全性が保証されたんだという錯覚を起こさせるもとになるとも思うわけで、有効性はもとより、長期に継続して服用した場合の安全性の確認等の問題もございますし、この薬事法の中には医薬部外品という項目もございます。そういうことで、ひとつ厚生省としてもう少し積極的にこの健康食品の規制について取り組んでいただきたいと思いますが、御見解はいかがでしょう。
#239
○政府委員(竹中浩治君) 先ほども申し上げましたように、食品衛生上の立場から必要な調査を行いまして、その結果によりまして、もし人の健康を損なうおそれのある健康食品というものが見つかれば、これは直ちに販売禁止等の規制を行うわけでございますし、また、その調査の結果、特定の健康食品につきまして規格基準等を定めないと危ないというようなものが出てまいりましたら、私どもといたしまして、それにつきまして食品衛生法に基づきます規格基準をつくりまして、それに従って製造をしていただく、あるいは製造販売をしていただくというふうな規制を考えておるわけでございます。
 ただ、食品の規制と申しますのは、法律で決めますもの以外にいろいろと細かな配慮も要るわけでございますので、従来からも自主基準の設定等、他の食品につきましてそういうこともいろいろ業界を指導しているわけでございまして、国が法に基づいてつくる基準のほかに、もっときめ細かなものとして業界が自主的に基準をつくるというようなことも、これもまた必要ではなかろうか。そういった面の指導をしていきたいと考えているわけでございます。
#240
○抜山映子君 先ほど厚生省独自の調査を行ったと言われましたが、昭和五十八年には経済企画庁と合同で健康食品の実態調査を行っているのではありませんか。
#241
○政府委員(竹中浩治君) ちょっと申し落としたわけでございますが、お話しのように、昭和五十八年度に最初これは経済企画庁が主体になりまして、それに私どもも参画をいたしまして、健康食品につきまして総括的と申しますか、あるいは全体をカバーするが予備的な、若干きめの粗い感じでございますが、そういう調査を実施をいたしておりまして、その調査の結果、私どもとして独自に、やはり公衆衛生上の観点からもっときめの細かな調査が必要であるということで、五十九年度以降厚生省独自の調査を発足をしておるわけでございます。
 経済企画庁が主体になりました五十八年度の調査の結果によりましても、やはり健康食品が公衆衛生上いろいろ問題があるということは先生御承知のように明らかになっておるわけでございます。
#242
○抜山映子君 どのような問題点が指摘されたか、ここで簡単に要約しておっしゃってください。
#243
○政府委員(竹中浩治君) 五十八年度の調査の結果でございますが、大まかに申し上げますと、一つは、原材料といたしまして従来食用に供されたことがなかったものが、例えば牛の骨の粉でございますとかクマザサでございますとか、そういったものがあるということ。それから二番目に、過度の物理、化学的な処理、つまり抽出、濃縮、加水分解等が行われているものがある、カキのエキスでございますとか卵黄油とかいったようなものがこれに該当するわけでございます。それから三番目に、製品によっては特定成分が極めて高濃度になっておるものがある。例えばシンカイザメのエキスあるいはインゲンマメの抽出、こういったものが極めて高濃度になっておるというようなことがわかりまして、今申し上げましたようなものにつきましては、安全性、衛生に対する配慮を、他の普通の食品に比較いたしましてもっと十分な配慮をすることが必要だというようなことがわかったわけでございます。
#244
○抜山映子君 そうしますと、薬事法では医薬品だけでなくて先ほど申し上げたように医薬部外品、それから化粧品なんかも規制の対象になっておるわけでございます。健康食品の危険性は、ただいま問題点を御指摘されましたように、多くの国民の健康に対する影響力のある問題点があるわけですので、やはり厚生省としても今後何らかの規制をとっていただきたいと思うのですが、前向きな御回答をいただけないでしょうか。
#245
○政府委員(竹中浩治君) 健康食品につきまして、医薬品に属する健康食品、いわゆる健康食品と言われているものの中で法律上医薬品に該当するというものにつきましては、これは薬事法に基づきまして厳正な規制が行われるわけでございますが、それ以外のものにつきましては、私どもの方の食品衛生法の規制の対象になるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、経済企画庁の調査の結果によりましてもやっぱり普通の食品以上に食品衛生上のいろいろな配慮が要るということが明らかになってまいりましたので、私どもが独自に行っております五十九年度、六十年度の調査の結果によりまして、必要なものについて販売禁止等の措置、あるいは規格基準の、これは食品衛生法に基づきます規格基準の設定、こういったものについて十分前向きに検討したいと考えております。
#246
○抜山映子君 有効成分の表示などもぜひ表示するように規制していただきたいと思うんですが、いかがですか。
#247
○政府委員(竹中浩治君) 食品衛生法上、法によりまして健康食品の表示をどの程度していただくかということにつきましては、これはいろいろ問題があるわけでございます。
 例えば、一方で一般の食品につきまして栄養成分をひとつ表示をしていただいたらどうかという議論がございまして、これは保健医療局の方でそういう検討会を今年度から発足をいたしまして検討が進められておるわけでございます。したがいまして、健康食品の中に含まれております例えばビタミン類等の栄養成分に該当するものにつきましては、一般の食品の栄養成分表示との関連のもとで考えていかなければならぬ。それ以外のものについて食品衛生法でどの範囲についてどういう形で表示をしていただくのかということにつきましては、これはまた健康食品の問題についての一つの大きな課題でございますので、ほかの面の検討の推移を勘案をいたしながら、必要なものについて検討をしてまいりたいと考えております。
#248
○抜山映子君 これは兵庫県の県立生活科学研究所がした調査なんですけれども、薬局や自然食品の店で売っております玄米酢なんですけれども、この玄米酢はアミノ酸含有量が高いということになっておるわけで、それが非常に有効だということになっているんですが、この含有量を測定いたしましたら、千ミリリッター当たり九百十ミリグラムから七十ミリグラムと、もうこんなに差があったわけです。普通の米酢が千ミリグラム前後含まれておる。そうしますと、玄米酢と銘打って健康食品として売っておきながら、実際には玄米の使用量が非常に少なくて、普通の米酢よりまだ悪いアミノ酸しか含んでいない、こういうケースがあるわけです。これは消費者の高価なものほど効くんだという、買い手側の思い込みを利用した悪徳商法だと思うんですね。
 こういうこともございますので、ぜひ表示の規制については積極的に取り組んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、老人ホームのことについてお伺いしたいと思います。
 有料老人ホームは花盛りなんでございますけれども、有料老人ホームの入所金が最近非常に高くなってきておりまして、二千万とか三千万とかいうところも少なくないわけです。これを普通の勤労者が、千七百万程度かと思いますけれども、退職金程度で入手できるような施策を国として立てなくちゃいけないんじゃないか、こういうように思うわけですけれども、この有料老人ホームを市街化調整区域に建設できないか、ひとつ建設省の方に働きかける御意思はございませんか。
#249
○政府委員(正木馨君) 現在有料老人ホームは全国で九十一カ所、約七千人の方々が利用されておられるわけでございますが、有料老人ホームは比較的健康にも恵まれ経済的にも余裕のある方々が入っておられる。老人福祉法で有料老人ホームについての規定があるわけでございますが、これは社会福祉施設というものではなくて、やはり老人の方々が入っておられるので何か問題があってはいかぬということであらかじめ届け出てもらうようにしておるわけでございます。
 先生おっしゃるように、有料老人ホームのニーズがどんどん高まってくると、より望ましい形の有料老人ホームというものを育成していかなければならないということは御指摘のとおりでございます。そういった面で、現在も年金事業団とか日本開発銀行の融資制度というものが一つございます。
 それから、先生お話しのございました市街化調整区域ですが、市街化調整区域は社会福祉施設については適用除外になっておるわけですが、有料老人ホームは社会福祉施設でないために対象になっていないということで、これも建設省の方といろいろ協議をいたしております。ただ、建設省の方は、それじゃ一般のマンションとどう違うんだというようなことで、有料老人ホームだからすぐこれを認めるというわけにはなかなかいかない。私どもとしても、有料老人ホームであっても、健康で入られるけれども後で寝たきりとか障害が生じた場合にどういう措置をとるかとか、あるいは必要なケアというものを十分にするような有料老人ホームというものを今後伸ばしていかなければならない。そういった面での基準づくりもあわせてやっていかなけりゃならぬのじゃないか。そういった検討も踏まえながら、建設省とも今御指摘の市街化調整区域の問題についてもさらに本腰を入れて検討していきたいというふうに思っております。
#250
○抜山映子君 老人ホームの建設に住宅金融公庫並みの融資はできないものでしょうか。御検討いただけませんでしょうか。
#251
○政府委員(正木馨君) 有料老人ホームにつきましては、やはり一般の社会福祉施設と違いまして、対象者が経済的にも余裕のある方である、採算ベースに合った入所料を取るというのが今現在の姿でございます。そういった面で、現在のままで低利融資というものをやるということはやはりもう一つ問題があるのではないか。
 先ほど申しましたように、優良な有料老人ホームと申しますか、より望ましい形の有料老人ホームというものはどうあるべきかといったような基準づくりとあわせまして、そういう政策誘導措置というものもこれから考えていかなければならぬじゃないかというふうに思っております。
#252
○抜山映子君 有料老人ホームに入る方が一番心配されるのは、入居後倒産してしまう事例とか、あるいは寝たきりになってしまうと退所を要求されるとか、入所当初は医師とか看護婦がいたがそのうちいなくなってしまうとか、あるいは食事がだんだん貧相になっていくとか、こういうもろもろの問題があるわけで、これでは安心してとらの子のお金を出して入所できない、こういう問題があるわけですね。したがいまして、例えば倒産したときには入所金を返還できるような保険のシステムを考えるとかいうことも政策的には可能だと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
#253
○政府委員(正木馨君) 確かにその点が非常に頭の痛いというか、考えなければならぬ点であると思います。入ったときはいいけれども、経営不如意でこれが倒産をするとか、あるいは寝たきりになった場合にさあ出ていってくださいということになった場合には、本当に、何といいますか、ケアを必要とするときに困ってしまうわけでございます。
 そこで、現在も私ども有料老人ホームについて設置運営についてのガイドラインをつくる。それから社団法人の全国有料老人ホーム協会というのがあるわけですが、そこで入居金に係る返還金の保証制度等を検討されておるとか、あるいはまた、こういう協会とも力を合わせながら、経営不振等によって老人の福祉を損なう可能性のある場合には事前の調査、勧告をするとか、手を打っていかなければならないというふうに思っております。
 それから、先ほど申しましたように、やはり有料老人ホームが、御老人の方ですからだんだん体も弱くなる、いろんなことがありますので、そういった面での本当に介護を要するようになったときのつながりを、措置をどう築き上げていくか、これがこれからの大きな課題ではないか。先ほど申しましたように、そういった有料老人ホームをできるだけ育てていく、そういった面では政策誘導という面で一工夫も二工夫の余地もあるんじゃないかということで、十分検討していきたいというふうに思っております。
#254
○抜山映子君 ただいま政策誘導という言葉が出ましたが、ひとつ入居時の契約書なんかも、これは素人は一々条文を見るわけでもございませんし、かなり不当な契約条項も含まれている場合があると思いますので、そういうものについてもチェックするシステムをつくっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#255
○政府委員(正木馨君) 先ほど申しましたように、有料老人ホームは社会福祉施設でありませんが、老人福祉法で間違いがないようにということで、有料老人ホームをつくる場合には事前に届け出てくださいということになっております。届け出のときには、設備とか運営方法とあわせまして、どういったような契約になっておるのかといったものもチェックをするということにいたしております。現在もそうしておりますが、さらにそういう面での徹底というものは図っていかなければならないというふうに思います。
#256
○抜山映子君 それでは、現在関心の的になっている中間施設についてお伺いしたいと思います。
 厚生省はプロジェクトチームをつくって四月から具体的に案をつくっていくと、こういうことですが、現在どのような構想をお持ちでしょうか。
#257
○政府委員(吉崎正義君) 先ほど来お答えいたしておりますけれども、現在は医療機関の体系、福祉施設の体系、今どういう問題があるか、中間施設の位置づけはどうすべきか等々につきまして、内部で問題点の整理等を行っておる段階でございまして、まだ構想にまでは立ち至っておりません。
#258
○抜山映子君 女性を中心として中間施設を考える会が発足して、いろんな提案を行っておりますが、このプロジェクトチームにこうした女性の声を反映させるべく、プロジェクトチームの委員に加える御意思はございませんか。
#259
○政府委員(吉崎正義君) 中間施設に関する検討会の委員につきましては、現在のところ具体的には決めておりませんけれども、お話しのような、女性の委員を加えるという御意見は、まことに貴重な御意見だと考えます。今後幅広い観点から検討してまいりたいと存じます。
#260
○抜山映子君 では次に、身体障害者の社会参加の問題について伺いたいと思います。
 雇用率は民間企業は従業員の一・五%となっておりますが、この未達成企業に対する行政指導の強化をお考えいただけませんでしょうか。
#261
○政府委員(野見山眞之君) 法定雇用率未達成の事業所に対しましては、特に雇用率の低い大企業を中心に身体障害者を雇い入れるための計画の作成を命令し、また、その計画が適正に実施されるように指導していくという適正実施のための勧告制度等を活用しながら、雇用率達成のための行政指導を進めているところでございまして、この雇い入れ計画を作成する企業の範囲につきましても、従来は雇用率が〇・五%未満のところから指導しておりましたけれども、これを〇・七五%未満の事業所等に引き上げるなど、この計画作成命令の制度をさらに厳格に運用しているところでございます。これによりまして法定雇用率の未達成事業所の改善が進んでいるわけでございますけれども、なお法定雇用率の達成のおくれている業種等を中心に労使会議等を開催いたしまして、さらに積極的な業界ぐるみの指導をしているという状況でございます。
 しかしながら、最近におきましては、新規雇い入れが進む一方で身体障害者の離転職等が目立ち始めておりまして、そのために雇用率の改善を鈍らしているという要素もございますので、私ども
といたしましては、身体障害者の職場への適応を高めるような対策も同時にさらに強力に進めていきたいというふうに考えております。
#262
○抜山映子君 現に雇用率を達成していない企業がかなりあるわけですから、それならばひとつ雇用納付金の引き上げということをお考えになってはいかがでしょう。
#263
○政府委員(野見山眞之君) 納付金の基礎額につきましては、身体障害者雇用促進法に基づきまして、事業主が身体障害者の雇用率を達成するに至るまで障害者を雇い入れるとした場合に、身体障害者一人につきまして通党必要とされる特別費用、例えば身体障害者を雇い入れるための、あるいは一雇用を続けていくための施設、設備の設置ですとか、整備に要する費用の平均額を基準として定めるということになっているわけでございまして、これにつきましては、納付金の額はこの規定に基づいて実態調査によって把握される特別の費用の額を基準として定めているところでございます。
 この引き上げ問題につきましては、身体障害者雇用審議会の答申に基づきまして、五十七年度から基礎額を三万円から四万円に引き上げたところでございます。この納付金が身体障害者の雇用促進のために経済的な側面から促進されるような観点から、さらにこの額につきましても、六十一年度につきましては身体障害者の雇用率の見直しの年にも当たっておりますので、さらに実態調査等必要に応じ、実施してまいりたいと思っております。
#264
○抜山映子君 それでは最後に、障害者が望むのは、働く職場を得たいということが一番痛切なものがあると存じます。そういうわけで、障害の種別、程度に見合った職業訓練の拡充と新しい職種の開発ということを考慮していただくようお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#265
○下村泰君 大分時間が遅くなっておりますので、大臣もお疲れだろうと思いますが、色よい返事をしていただけりゃすぐにもやめますから、どうぞひとつお願いをいたします。
 まず最初に伺いますけれども、大臣、この間民間テレビ局でたまたま取り上げられた発言で随分苦しめられたことと思いますけれども、先ほど大臣もちょろっとお話しになっていたようですけれども、今度の大戦にはやはり従軍なさっていらっしゃったんですか。――どちらの方ですか。
#266
○国務大臣(増岡博之君) 終戦のときは台湾におりました。
#267
○下村泰君 軍籍にある身は自分の体一つですから別に問題はないんですけれども、とにかく、現在の中国の東北圏ですか、当時の満州と言われているところへは、国の施策におだてられ、乗せられたと言っても過言ではないと思いますけれども、出かけていって、そして終戦直前になりますとソ連軍の急激な参戦によりまして、そういった同邦の生命、財産を守らなければならない軍隊、当時の関東軍が、無防備のいわゆる非戦闘員の方々をほうり出して先に逃げてしまった。そのために残された邦人はひどい目に遭っているわけですね。そしてその後遺症として、残留孤児という形になって今問題になっているわけなんです。
 実は私も血液検査をするときの六万円という費用を肉親の方が受け持つなんということは全然頭になかった。むしろ厚生省がそれは払うべきものであるというふうに私は感じておったわけです。それに対しての発言がたまたま取り上げられて問題になっていたわけでございますけれども、そんなことは二の次の問題といたしまして、衆議院の予算委員会の分科会で大臣が、今後は費用負担が重荷になる人にはこちらが肉親側の気持ちを察してあげて善処したい、こういうお答えをなさっていらっしゃる。私にしてみればむしろこれはもう国の方が全面的に面倒を見るべきだと思うんですけれども、どういうふうに今お考えでございましょう。
#268
○国務大臣(増岡博之君) テレビのインタビューの時点のことにつきましては、表現が適切でなかったと反省をいたしておるところでございます。そのインタビューを受けましたときに、血液鑑定料六万円の話が出ました。私はその場で、それは省内で相談いたしましょうという御返答を申し上げておったわけでございます。
 そこで、いろいろ厚生省内部でそのことについて議論をいたしておるわけでございますが、私は基本的には、孤児の方がせっかく訪日されて、いろいろ周辺の状況その他が肉親であるかどうか状況判断だけではできない状態の中で、血液鑑定が経済的な理由からだけで行われないということは、その孤児の人がいわばあいまいな気持ちでお帰りになるということが耐えられないという気持ちでおるわけでございまして、できれば御指摘のようなことにいたしたいと思うわけでありますけれども、省内の方のいろいろなこれまでのいきさつは、孤児の方々は引揚者として扱うということになっておりまして、そういうことから孤児の方の鑑定料は国が持っておりましたが、日本国内におられる肉親の方はそうはいかなかったという事情があったようでございますけれども、私は今後はそのようなことはないようにいたしたいという気持ちでおるわけでございまして、ただ、ほとんどの方はみずから進んで費用も弁済され、孤児との間柄を確認したいというお気持ちでいらっしゃるわけでございますから、何が何でもその分は国がと言っていいものか、あるいはどうなるかというそこの踏ん切りがまだつかないんですけれども、少なくとも経済的な理由で血液鑑定ができないということは防がなきゃならぬという現在の心境でおります。
#269
○下村泰君 そうたくさんの数ではないと思うんですよ。いわゆる血液鑑定をされる方は全部が全部じゃないと思うんです。ですから、厚生省の方でも、その費用をお持ちになってもさほど予算に響くような額ではないと思うんです。できるだけひとつ気楽にやれるような措置を講じていただきたいと思います。よろしくお願いします。
#270
○国務大臣(増岡博之君) できるだけの工夫をしてみたいと思います。
#271
○下村泰君 小規模作業所、二月の二十六日に質問をさしていただきましたが、またもう一つ押させていただきたいと思います。
 と申しますのは、これは東京都でございますけれども、障害児の学校の先生方が、都立の盲、聾、養護学校五十校ですね、これを昨年の春に卒業した七百五十七人の進路調査というものをまとめて、昨年の九月の二十八日に発表されております。内訳を見ますと、一般企業への就職が二百十人、二七・七%、民間作業所百十七人、一五・五%、社会福祉施設入所九十八人、一二・九%、進学九十二人、一二・二%、区とか市立の通所訓練センターなどへ八十八人、一一・六%、福祉作業所四十九人、六・五%、職業訓練校十九人、二・五%、そして在宅しているのが二十七人ですか、その在宅も、適所希望の、社会福祉施設の空きを待っているのが十八人、それから就職待機が三人、自宅療養が二人、こうなっております。
 この数字を見ますと、もちろん一般企業への就職はなかなかうまいこといきません。けれども、民間作業所、こちらの方へ百十七人と圧倒的に数が多いんです。
 それから、「小規模障害者作業所の現状と今後を考えるシンポジウム要綱」、これは、ことしの一月二十日に共同作業所全国連絡会の皆さんが集まりましていろいろとお話しをなさいました。その要綱の中にも皆さんが調査した結果が発表されております。これを見ますと、昨年の末までで全国で八百二十五の小規模作業所があります。それから、二月の二十六日にお尋ねしたときは、厚生省の方でお調べになっているのは、これは五十六年の十月の調査で六百三十八カ所。もう六十年ですから四年たっていますから、この中でも私お話ししましたけれども、今もう千百カ所に膨れ上がってます。ですから、シンポジウムを開かれた共同作業所全国連絡会がこの意見をまとめたこのころに八百二十五で、既に千を超しているんですね。その激増ぶりは大変なものなんです。結局はこの小規横作業所がこういう方々をほとん
ど拾い上げているのが現状なんです。これが無認可なんです。ですから、何とかして認可をしていただいて、何らかの助成をしてほしいということを再三申し上げておるわけなんです。
 私の方がこの共同作業所全国連絡会が発表した八百二十五という総数を調べてみました。そうしますと、定員が五人以下ですね、ゼロから五人、これが十二カ所、一・四五%。そして六人から十人が百六十八カ所、二〇・三%。十一人から十五人が二百十三カ所で二五・八%、これが圧倒的に多いんですね。十六人から二十人までが百七十で二〇・六%。この八百二十五の作業所のうち二十人以下の作業所が六八・二%と、半分以上なんですね。もちろん、どうして認可していただけないのかというふうに私がお尋ねすれば、もう局長の方の御返事は二月二十六日にいただいておりますから、これをもう一回読む必要もないと思う。やはり所定の範囲の中でちゃんとしてもらいたい、こういう御返事が決まって返ってきますね。事実「小規模ゆえの無認可」という、こういう新聞の記事がございます。それで、厚生省側のお答えになっているのは、「苦しい事情はわかるが、行政の立場としては、補助金を使う以上、経営の安定度、設備、職員の労働条件などにも目を配らなければならない。効率の面からも、一定以上の規模が必要と考えており、作業所側も認可条件を満たすよう、なんとか努力してもらいたい」、もうこれ以上の答えが返ってこないこと私もわかります。今局長はどういうふうにお考えですかとお尋ねしても、やはりこれと同じだろうと思うんです。うんうんとうなずいているからこれは間違いないだろうと思うんです。ただ、今申し上げましたように、こういうふうにとにかくもう半数以上、この小さい作業所の半数以上が無認可なんですよ。そして世間で受け入れていただけない方々を一生懸命受け入れていらっしゃるわけですね。これ、ほっておくわけにはいかないと思うんですよ、私は。
 それから、この前お尋ねしたときに、厚生大臣が大変いいことを答えてくださっているんですね。「認可、無認可の問題でありますけれども、私は、本来建物の大きさとか面積とかよりも、むしろその果たしている機能というものを重視すべきである」、こういうふうにお答えになっているんです。ただ、この後に「しかし」がついているからちょっといただけないんですけれども、結びの言葉として、「障害の特牲によっても処遇を異にするという難しい点もあるかと思いますけれども、しかしやはり今後もそういう課題に取り組んでいかなければならないだろう。検討さしていただきたいと思います。」、こういうふうにお答えになってくださっているわけです。大体善処とか検討というのは、大抵やらないというふうに私は受け取っておりますけれども、大臣が検討すると言っているんですから、まさかあなた、グローブはめて殴り合う拳闘だと私はそう受け取っておりません。あくまでも中身はきちっとしていただけるように受け取っております。
 先ほども申し上げましたが、厚生省は五十六年の調査で発表なさっていらっしゃる。私の方はもう近々の発表で話を進めているんですね。そうしますと、四年経過してまだ厚生省がこのぐらいの把握の仕方では、これは検討も対処もできないと思うんですよ。局長はこれどういうふうにお考えですか、もう四年たっているんですよ。これだけふえている。これ以上まだふえると思うんです。これを全部把握するにはまだ日にちがかかると思います。どうなさいますか。
#272
○政府委員(正木馨君) 先ほど先生からお話しもございましたように、二月二十六日に社会労働委員会で先生の御質問がありまして御答弁申し上げたわけでございますが、繰り返すようになりますが、先生おっしゃいますように、小規模作業所といってもいろいろ態様の違いがあります。やはり障害者の方々をお預かりするということになると、これも先生十分御案内のように、事務員も必要でしょうし、指導員も必要でしょうし、万一の場合に備えてお医者さんの嘱託というものも必要ということで、一定の職員というものをどうしても確保しておかなきゃならない。それからまた、構造上も安全に配慮したものをきちっとつくらなければいかぬということになりますと、先生お挙げになりましたように五人以下とか十人以下というところがあるわけですが、それだけの職員を置いてきちっとやっていくというのは現実問題としてなかなか無理であります。ですから、小規模作業所の中には本当によくやっておられるところもあると思いますが、代がかわった場合にはどうなるのかとか、非常に安定性に欠けるという面があるわけでございます。やはり本当に障害者の立場に立っていい施設というものでなければならない。
 一方におきまして、先生御指摘のように、私ども増設に努めておりますが、身体障害者の収容授産施設とか通所授産施設というものはまだまだ不十分なために十分需要を満たしていないという面もあると思いますが、そういった面での努力を一方やっていかなきゃいかぬ。それからやはり経営の安定という面から考え、また、障害者に対する処遇の適切というものを考えた場合に、この前も申し上げましたが、小規模作業所の方も一緒になって認可施設たり得るような設備、運営の基準を満たすように努力をしてもらうという必要もあるんじゃないか。
 それから、やや長くなって申しわけないんですが、先ほど先生の御指摘のありました「小規模作業所の現況調査結果」というのを見てみますと、その中で、定員数が多くなっておっても法的な通所授産施設になっていないというものがあるわけであります。それはどういう事情があるのかもしれませんが、我々が定めている設備なり運営の基準の面で認可がとれないというような事情があるところがあるので、それはやっぱり入っておられる障害者の立場を考えて認可基準を満たすようなことの努力をしてもらうということも必要ではないか。私どもも、現状ですべてもうこれで先生御心配ありませんと胸をたたけるほどにはなっていないということは認めますが、さればといって、小規模作業所についての認可基準を下げるべきではないかと言われますと、やはりちゅうちょするものがあるというのが現状でございます。
#273
○下村泰君 今お尋ねしましたけれども、その四年間、厚生省の調べとそれから我々の調査と大分開きがあるんですけれども、全国的に小規模作業所の把握をするための御努力はどうなさいますか。
#274
○政府委員(正木馨君) この小規模作業所というのも実際問題として無認可のものでございますから、調査というのはなかなか難しいわけでございますが、私どもとしては、各県におきます実情把握というものをよくとらえていきたい。また、関係団体等でもいろいろなデータというものがあるわけでございますが、そういうものを十分参考にさせていただいて、今後の指針づくりというものの参考にしていきたいというふうに思っております。
#275
○下村泰君 大臣にお伺いしますが、二月二十六日に、私、冒頭に当たりまして、所信表明の「労働大臣と話し合い、高齢者雇用問題等に関する両省の連絡会議を設置いたしました。」、こういうことにつきましてお伺いし、その中に高齢者雇用問題ばかりでなく身障者の問題もお話し合いになってほしいということを申し上げました。そのときに大臣も快くその私の意見は聞いてくださいましたけれども、この身障者の問題は、殊に小規模作業所とかこういう問題は、労働者と厚生省と両省ががっちりスクラムを組んでいただきませんと、なかなか解決できない問題なんですよ。授産所だ、これは厚生省。作業所だ、労働関係になるとこれは労働省と。こういうことにつきましては、共同作業所全国連絡会の皆さんも正直に中で言っております。小規模作業所の安定化を妨げている要因ということの中に、縦の制度になっていること、縦制度ははっきりしているけれども横制度がうまくいかない。これは私毎度毎度申し上げておりますけれども、これ、やくざの世界と一緒なんですよ。縦割りはよくいっているのに横の制度がなかなかうまくいかない。組が違うと大変なことになる。これと同じなんだ。厚生省と労働省、両方にまたがっている問題であるにもかかわらず、両方の話し合いがない。こんなばかなことはないと思うんですかね。
 このことに対して大臣、どういうふうにこれから努力していただけますか。
#276
○国務大臣(増岡博之君) 私も、従来からそのような感じを持っております。実は、身体障害者リハビリセンターというのがございまして、そこでは、敷地内に労働省の建物もございまして職業訓練をやっていただいております。そういうことがほのかにおっしゃるような御期待に沿いつつある一本の糸かなというような気持ちがいたしておりますけれども、ともかく私どもといたしましても、この間申し上げましたような線で、労働省と今後鋭意話を詰めていかなければならないと思っておるところでございますので、御指摘の線に沿って努力をしてまいりたいと思います。
#277
○下村泰君 労働省の方へ行けば納付金制度とかそういうものがあったりなんかして、ところが厚生省の方では一切そういうものはない。また文部省にもかかわってまいりますわね、学校問題になりますると。とにかくこういったかかわっている方々がお互いにやはり連絡を取り合ってやっていただかないと、この問題はなかなか片づかない。事実、厚生省だけでは無理ですわ、これは。ですから、例えば助成金を出すにしたって、厚生省と労働省と少しずつ出し合えば別にどうという――私ら簡単に物を考えますからね。両方から少しずつ出し合えば、同じ助成するんでも厚生省が全面的に引き受けるとなればそれは大変でしょうけれども、両方が少しずつ出し合えば何とかなるというふうに私たちは簡単に考えるわけです。余りにも行政の縦割りがしっかりし過ぎていて、かえってそういったものが、簡単にやれるようなことが簡単にやれないところに私はネックがあると思うのですね、組織の上の。
 ですから、そういうところをひとつ考え合わせていただきまして、できるだけこういった方々に少しでも温かい手が差し伸べられるような方法を今後とも考えていただきたいと思います。お答えは要りません。これでおしまいです。
#278
○委員長(遠藤政夫君) 本審査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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