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1984/04/09 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第12号
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1984/04/09 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第12号

#1
第102回国会 社会労働委員会 第12号
昭和六十年四月九日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月四日
    辞任         補欠選任
     小笠原貞子君     安武 洋子君
 四月八日
    辞任         補欠選任
     糸久八重子君     安恒 良一君
 四月九日
    辞任         補欠選任
     安恒 良一君     対馬 孝且君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤 政夫君
    理 事
                佐々木 満君
                関口 恵造君
                高杉 廸忠君
                中野 鉄造君
    委 員
                石井 道子君
                大浜 方栄君
                斎藤 十朗君
                曽根田郁夫君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                前島英三郎君
                村上 正邦君
                森下  泰君
                対馬 孝且君
                浜本 万三君
                安恒 良一君
                和田 静夫君
                中西 珠子君
                安武 洋子君
                藤井 恒男君
                下村  泰君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  増岡 博之君
   政府委員
       厚生大臣官房長  下村  健君
       厚生大臣官房総
       務審議官     北郷 勲夫君
       厚生大臣官房審
       議官
       兼内閣審議官   古賀 章介君
       厚生省社会局長  正木  馨君
       厚生省年金局長  吉原 健二君
       社会保険庁年金
       保険部長
       兼内閣審議官   長尾 立子君
       労働大臣官房審
       議官       野見山眞之君
       労働省職業安定
       局高齢者対策部
       長        小野 進一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       大蔵省銀行局保
       険部保険第一課
       長        龍宝 惟男君
       厚生省年金局年
       金課長      山口 剛彦君
       厚生省年金局数
       理課長      田村 正雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国民年金法等の一部を改正する法律案(第百一回国会内閣提出、第百二回国会衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨八日、糸久八重子君が委員を辞任され、その補欠として安恒良一君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(遠藤政夫君) 前回に引き続き、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○藤井恒男君 我が国では、本格的な高齢化社会の到来を目前に控えて我が国の公的年金制度を高齢化社会にふさわしいものに改革することは、我々に課せられた急務であると考えております。現在、我が国の六十五歳以上の人口は総人口の一〇%を占めているわけでありますが、二十一世紀の前半、昭和九十五年ごろのピーク時には、実に二二%程度にまで達するものと推計されております。このような高齢化社会に対応するためには何よりも公的年金制度が中心にならなければなりません。みんなが安心して老後生活を送るためには安定的な公的年金制度の確立が不可欠であると考えておる次第です。
 基礎年金の導入、給付と負担の見直し、婦人の年金権の確立、これらを柱とする今回の年金改正法案は、二十一世紀においても年金制度を安定的に運営していくための基盤を確立する意味で極めて重要な意味を持っておるものと考えています。年金改正法案の基本的な考え方には、こういった面において私は同感であります。しかし、第三種の被保険者の問題、それから女子の保険料の引き上げの問題、これらについては衆議院段階でもかなり論議が深まっておるものと思いますが、本案について、私はなお一段の修正が必要であると考えておりますので、このことを明確に申し上げておきたいと思います。
 なお、この第三種の問題、女子の保険料の問題については、この後若干その細かい内容について質問をいたすつもりでありますが、それに先立ちましてまず厚生大臣にお聞きいたします。
 社会保障の基本理念について、大臣は所信表明の中で若干触れておられたわけでありますが、先ほども申し上げましたように、二十一世紀には我が国は本格的な高齢化社会を迎える、こういったときに、社会保障の分野において高齢化社会に対応した新しい理念というふうに大臣おっしゃっているわけでありますが、この新しい理念の基本的な姿勢について、まず大臣からお答えいただきたいと思います。
#5
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、これからいよいよ本格的な高齢化社会を迎えるわけでございます。これまで、ややともいたしますと高齢化社会につきましてその弊害が指摘され、暗いイメージがございましたけれども、私は、八十年まで生きられるということは、この世に生まれてきたからにはこれこそが本当の幸せであろうと思うわけでありますから、したがって、その八十年間を明るく充実をして過ごすためにはどのようなことを私どもが、行政側が考えていかなければならないかという意味合いからいろいろ勉強をしておるわけでございますけれども、その中でも、やはり健康であることはもちろん大事でありますが、年金制度のような長期間にわたる施策の安定をするということがまず基本的に必要であろうかと思っておるわけでございます。
 そのような制度も考えながら、その中で個人個人が自分の職業、趣味、スポーツ、レジャー等かみ合わせた上で、本当に文化的な生活ができるような、そういう社会を支援する体制を構築していくことを今考えておかなければならない、そういうふうに考えておるわけでございまして、それにつきましては、やはり社会保障制度の中で、もろもろの分野におきまして十分な対策を今後とも続けていかなければならないと思いますけれども、特に現在御審議いただいております年金法というものがその大きな柱となるであろうというふうに考えております。
#6
○藤井恒男君 この二十一世紀の高齢化社会を見据えた場合に大変気になるのは、例えば昭和百年ごろには国民の義務的負担がどの程度にまで達するかということなんです。
 先だって大阪で、公述人からいろいろと意見を徴したわけでありますが、その折にも私は公述の各氏に対して、諸外国と我が国などを瞥見して国民の義務的負担がどの程度まで許容されるものかということをお尋ねいたしました。非常に難しい問題だということでこもごも数字をお示しいただいて、そのことは過日のこの委員会で報告書をもって発表されたところでありますが、高齢者がふえれば年金給付費が増大するのは当然でありますしまた医療費もふえる。老人のためのもろもろのサービス提供に要する費用も相当ふえてくると思うんです。これに伴って社会保障負担、租税負担、これを合計したところのいわゆる国民負担が増加することは避けられない。
 しかし現在国民負担の対国民所得比はおおむね三六%程度だと承知しているんですが、厚生省としては、先ほど申したように昭和百年ぐらい、年金も成熟した段階、完全な高齢化社会を迎えた段階における社会保障負担、租税負担、これらを合算したものが国民所得に対してどれぐらいの割合になるのか。この年金改正を行った場合、年金について言えばどれぐらいになるのか。あるいは改正を行わないで現行の厚生年金、国民年金で推移した場合にはどういうことになるのか。これらの数字についてお示しいただきたいと思うんです。
#7
○政府委員(北郷勲夫君) 現在の負担全体で三六%というものの内訳でございますが、社会保障負担ほぼ一〇・八%。そしてこの内訳が年金が六・〇、医療保障が四・八。それから租税負担二五・二で、合計三六という形になっております。これは昭和六十年度の見通しでございます。
 これがどうなるかということでございますが、これはいろんな経済の働きとかいろいろございますので不確定な要素が多いわけではございますが、大ざっぱに申しまして、一つの前提として、医療保障につきましては、医療費の適正化対策と、こういうようなものを行いまして、現在の水準と同じ程度、五%程度、こういうふうにとどめることを一応目標にいたしておりますので、こういう前提を置き、また租税負担率も現在とほぼ同程度、こういう前提で考えますと残るのは年金でございますが、年金につきましては、現行制度のもとでピークを迎えます昭和百年ごろ、これは現在の制度のままでございますと現在の六%がほぼ一七%程度まで伸びる、こういう形が予測されます。
 今度の改正案を行いました場合にどうなるかといいますと、現在の六%が二倍の一二%というととに予測されるわけでございます。そういたしますと、足し算をいたしますと、改正前の現行の姿でいきました場合に、昭和百年の負担率と申しますか、租税と社会保障負担両方合わせましたものが四七%程度になる、改正案が実施されたとした場合には四二%になる、こういう形が予測されるわけでございます。
#8
○藤井恒男君 臨調などの答申の折にも、このいわゆる租税並びに社会保障を合算したものを国民所得から差し引いたのがいわゆる庶民の可処分所得になるわけですから、この視点を極めて重視していろいろと答申がなされていたわけです。ちょうど今ベースアップのさなかにあるわけだけど、最近の労働団体の御意見などをいろいろ承っても、問題は可処分所得だ、生活を実質的に左右するのは可処分所得であって、名目賃金というものの視点よりも可処分所得に重点を置くべきであるということに変わりつつあるわけなんです。
 私は、もっともだと思うんですが、俗に四五%、今四二%とおっしゃったんだけど、四五%を過ぎればいわゆる先進国病、いわゆる国民の活力をそぐ。したがって、何としても四〇%前半あるいはできれば三〇%台にとどめるべきじゃないかというのが、まあいろいろな意見がありますが、私は平均的な学者などが指摘していることじゃなかろうかというふうに思うわけであり、そういった面で行政も、また政治に携わる者も、高齢化社会を迎える中にあって、将来展望として、そういうマクロな話であるが、そういったところにメスを入れてあらゆる諸整備を整えていかなければいけないというふうに思っているわけで、厚生大臣もいろいろとこういった面についての御見識もお持ちでございますので、年金がどうということじゃなく、今私が申したことについて、大臣としてはどういうふうなお考えを持っているのか一度聞いておきたい。
 それから、あわせて、先ほど大臣が高齢化社会を迎えるに当たっての理念についておっしゃった、これは前にも所信表明の中で、人生八十年型社会懇談会というものを創設したいという御意向があったわけですが、先ほどおっしゃったことに尽きるのかもわからないけど、この懇談会でどういったことを検討してどういう具体的な作業手順を持っておられるのか、報告書を求められるわけでありますが、これをいつどろまでに発表しようとしておられるのか、この辺についても御用意があればお答えいただきたいと思うんです。
#9
○国務大臣(増岡博之君) 最初の国民負担率の問題でございますけれども、臨調その他で、西欧先進国よりかなり低いパーセンテージということで、具体的には数字をお挙げになっておられないわけでございますが、このことは西欧諸国が既に五〇%を超える負担率になっておることからそれぞれの社会の活力が失われておる、そのような事態になってはいけないということでございまして、そのことは一面から申しますと、先生御指摘のように可処分所得をふやそうということにもつながるわけでございますけれども、そういう意味合いでございますから、私はヨーロッパ各国よりかなり低い水準でやっていけるような制度を今からつくっておかなければならないというふうに思っておるわけでございます。そういう意味合いからもこの年金法案の中にもその趣旨が盛り込まれておるわけでございまして、ただ、何%ぐらいからという具体的な数字になりますとまだそこまで勉強いたしておりませんのでお許しをいただきたいと思うわけでございます。
 それから、人生八十年型社会懇談会につきましては、その内容が広範かつ長期にわたるものでございますので、結論をいつごろまでにという申し上げ方はいたしておりませんけれども、少なくともこの秋には中間的な御意見を承りたいというふうに申し上げておるわけでございまして、御論議いただきます内容につきましては委員の先生方に御一任申し上げて、本当に自由濶達な御意見を承りたいというふうに考えておるわけでございます。
#10
○藤井恒男君 それじゃ、次に移らしていただきますが、年金とまことに密接な関係にあります雇用の問題について、とりわけ定年制の問題について、大臣の御所見を若干お聞きしたいと思うんです。
 私は、過日労働大臣に定年制の問題についていろいろと意見を交換さしていただいたわけですが、労働省から発表しているデータを見てみますと、規模別に見た六十歳定年をとっている企業の現状をあらわした表があります。五千人以上という大手企業で六十歳定年を現在施行しているのが五七・九%、三百人以下、百人から三百人ぐらいの中小企業では四〇%程度。六十歳に改定することが必要だなと思われているところを含めると大手で八三・五、中小では五一。したがって、実態から見たら定年制六十をしいている企業の方が半分以下、大手企業で五七・九%というふうな数字が出ていますが、これは正直に申し上げまして、労働協約に六十歳というふうに明定されていても、実際には五十六、五十七ぐらいで退職金を支払って、後は定期昇給なしという形で雇用をつないでいるという程度のものです。しかも、そういった不安定な就労状況にある方たちは、景気がダウンすれば直ちにあらゆる名称を使って、本人の意志によらず職場から去っていかなければいけない、こういう立場に置かれているわけです。つまり、ほとんどの人、半分以上の人たちはいまだ六十歳まで雇用は保障されていない、こういうのが実態です。
 私は、そういった意味でこれまで政府がとってきた態度は、定年制というものはこれは労使で取り決めるものであって、まさにそれは労働条件であり、ギブ・アンド・テークの問題だというふうに言ってこられたんだけど、これから高齢化社会を迎えるということになれば、この定年制いわゆる就労の機会というものを真剣に考えなきゃいけない。ワークシェアリングという観点からも、私は雇用を確保しなきゃいかぬ。そうなれば、定年制というものはまさに法制化すべきものであるという考え方を持っているんです。
 就業の機会を失って年金生活へ移行するという移行段階というものがどの国でも非常に重要なポイントになっているわけだから、この定年制の問題については年金と極めて関係が深い。その所管は仮に労働省であるかもわからぬけど、厚生省としてもこれはやっぱり十分考えて提携して取り組む問題であろうと思うわけです。私は、理想としては、とにかく六十五歳までは働く意思があれば全部職場は確保されるという状況に今の日本の社会、産業構造を変えるべきだ、そのための法制化が必要だというふうに思うわけだけど、今の現状から見て直ちに六十五歳というまでには参るまい。であるなら、せめて六十歳までの雇用を保障する定年制法制化の問題は喫緊の課題であるというふうに思うわけです。
 労働大臣は、現在諮問機関にかかっている問題だから、大臣という立場で即断することは控えたいと思うがという前提であるが、しかし、法制化は必要なことであるというふうに言っておられるわけです。厚生大臣のお考えをお聞きしたいと思うわけです。
#11
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、人生八十年時代になりましたにもかかわらず、古い定年制度が、若干の改善はされながらも残っておるというところに大きなひずみが生じ、また、個人個人の生活を考えましてもいろいろな問題が出てきておると思います。私も実は先生と全く同じ意見で、六十五歳まで働こうという、そういう社会ができればと待望しておるわけでございます。
 実は、私は昨年十一月に組閣をされまして直後に労働大臣に、六十五歳まで働くような世の中にしようという申し入れをいたしました。その結果、労働大臣も同調してくださいまして、現在厚生省と労働省との間で高齢者雇用に関する協議機関をスタートさせております。
 そこで問題は、法制化するかどうかということとでございますけれども、私どもが日経連の幹部に内々で話をいたしますと、やはり自分のところで育った従業員を何とか長く使ってやりたいと個人的にはおっしゃるわけでありますけれども、それじゃ日経連として態度がどうかといいますと、法制化は真っ向から反対だ、こういうふうになるわけでございますから、その点の意思の疎通といいますか、そういう面の地ならしというものがまだ若干の時間必要ではないかというように思います。
 しかし私は、定年がどうであれ、実は中小企業なんかは、定年がありましても、一遍退職金をやって、また嘱託で雇って六十二、三まで働かせるということをやっている企業が随分たくさんあるわけでございますから、そういう手法も採用しながら、元気な間はできるだけ働くということの実現を期待しておるわけでございますが、担当大臣でございませんので、そのくらいの答弁で御勘弁願いたいと思います。
#12
○藤井恒男君 あなたの方から労働大臣の方に呼びかけてそういった協議機関といいますか、設置して、支援しておられるということは、大変意義のあることだと思うわけです。
 日経連が反対、個々人にすればそれは当然だというのは、言い得て妙でありますが、企業はそれぞれに同じ業種の企業と競争場裏にあるわけです。定年というのは、言葉をかえて言えばそれはコストである。企業にとってはコストでもあるわけだ。だから、競争の中ではコスト競争というのは非常にこれ重要な問題になってくる。そうだとすれば、一社が先んじて日本の将来社会のあるべき姿ということで勇断を持って踏み越えていくということがなかなか難しい。これはやはりまあ企業家のいい言葉を使えば、競争の中の公正労働基準というものを設定しなければ有効競争ができないということで、しわがこの面に寄ってくるわけですね。逆に言えば、だから法制化しなきゃいかぬ。だから、日本にある産業は、労働者を雇用したらすべからくそれは六十歳まで使用すべしという規制があれば、これはみんな同じ競争場裏に立つわけなんだから、児童労働をさせてはならないとこの基準法の縛りがあるから、戦前あった児童労働はなくなったわけなんだから、そういう意味で、もはや定年というものは一日の労働時間と匹敵する基本的な私は労働条件といいますか、社会の仕組みである。かかるがゆえに私は法制化を急がなければならない。それを法制化しなければこの厚生年金の問題にしてもあらゆる高齢化社会に対応する諸施策がすべて片手落ちになるというふうに思うわけです。そういった意味で、これからも労働省と密接な連絡をとって財界にも根回しをして、早急に法制化の道が開かれるように、大臣も賛成ということなんだから、どうぞ大いに頑張っていただきたいと思うわけです。
 次に、厚生年金の支給開始年齢の問題ですが、前回五十五年の改正のときにも、六十歳からの支給開始年齢を六十五歳に引き上げるような動きがあったわけです。今も私申し上げたように、数字の上では六十歳定年が過半を超しておるように見えるけれども実態はそれまでになっていない。こういう状況の中で、厚生年金の支給開始年齢は六十歳からという形は守っていかなければいけないというふうに思っているわけですが、これについて厚生省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#13
○政府委員(吉原健二君) 厚生年金の支給開始年齢をどうするかという問題、これはこれからの年金制度というものを考える場合に大変重要なポイントの一つでございますけれども、社会保険審議会でもいろいろ御審議、御議論をいただきました結果、今後の高齢化社会というものを展望するとき、この支給開始年齢の問題というのは避けて通れない問題である。しかしながら、現在の定年の動向あるいは高齢者の雇用の実態等に着目するとき、現時点でそれを引き上げることは時期尚早である。引き続き検討すべき問題であり、現時点においては現行の六十歳を維持すべきである、こういう御答申をいただいたわけでございます。
 その御答申に基づきまして、今現在御審議をお願いしております法案におきましても、厚生年金の支給開始年齢は当分の間現行どおり六十歳とするということにいたしております。
#14
○藤井恒男君 当分の間というのはどのぐらいというふうに見ておられますか。
#15
○政府委員(吉原健二君) 当分の間の時期でございますが、現在、具体的にいついつまでということは頭にございません。考えておりません。
 先ほど申し上げましたように、この支給開始年齢の問題は、やはり定年制の動向がどうなるか、あるいは高齢者の雇用実態がこれからどうなるか、そういった状況の推移を見守りながら各般の御意見を伺いながら結論を出すべき問題である、こういうふうに思っておるわけでございます。
#16
○藤井恒男君 まあ前段で私は定年制の法制化の問題を取り上げたわけだけど、私は、せめて六十歳定年というのが法制化される、完全に六十までは働く意思のある者は働く職場が確保されるという状況が生み出されるまではいじってはならない問題だというふうに思っております。いずれまた折を見て、こういった話し合いを詰めさせていただきたいと思うわけです。
 次に、六十歳以上の高齢者の生活を考えた場合に、六十五歳以上は年金が中心となるのは当然だと私は思うんですが、六十歳から六十五歳までの間というのは就労と年金の二本立てという形になるのではないかと思います。現在の六十から六十五までの人たちの実態を見れば、まさに就労による俸給とそれから年金と二つ合わせて生活を立てているというふうに思うわけです。
 厚生年金の在職老齢年金についてお伺いしたいわけですが、現行の制度ですと、六十歳から六十五歳までの人で、十五万五千円以上の月収があると厚生年金は全く出ない。月収がそれより低い場合には一定割合の年金が出るということになっているわけですが、今回の法改正でこの面がどうなるのか、お答えいただきたいと思います。
#17
○政府委員(吉原健二君) 現在の制度は、今お話しのございまましたように、標準報酬で申し上げますと、月額十六万円以上の方につきましては老齢年金が出ないということになっておりまして、それ以下の金額の標準報酬の方につきましては、その金額に応じまして老齢年金の二割、五割あるいは八割の年金が支給されるという三段階の制度がとられているわけでございます。
 今回の改正案におきましては、この六十歳から六十五歳までの間の在職老齢年金をどういうふうにするのが一番よいか、いろいろ御議論がございましたけれども、さらに今後引き続き検討するということになっておりまして、今回の改正案では、基本的な仕組みは従来どおりといたしておりまして、ただ、全額支給するかしないか、あるいは二割、五割あるいは八割の支給をする場合の標準報酬の水準といいますか、それを現在よりも若干引き上げるということを考えているわけでございます。
#18
○藤井恒男君 今お答えありましたように、いずれにしても、現行法でも改正案でも六十歳から六十五歳までは在職老齢年金という制度で、年金の収入とみずからの就労による収入の組み合わされた形で生活が成り立っているということであろうと思うんです。
 そこで問題なのは、就労から完全な年金生活への移行をどういうふうに結びつけるかということが私は非常に大切なことであり、それをスムーズな形で道づけしてやらなければいけないというふうに思うし、これは日本だけじゃなくて年金の成熟国である先進国においてもいろいろと工夫を凝らしておるようです。私どもは、その中でスウェーデンの部分年金という考え方が非常にいいんじゃないかというふうに思っているわけでして、このスウェーデンの部分年金を我が国で取り上げるというようなことにはならないのか、検討されたことがあるのか、この辺のことについてお聞かせいただきたいと思うんです。
#19
○政府委員(吉原健二君) スウェーデンの部分雇用、部分年金の考え方でございますけれども、そのスウェーデンにおける部分年金といいますのは、六十歳から六十五歳までの者につきましてパートといいますか、一体労働時間が何時間であったか、パートの度合いに応じて年金額を部分的に変えていく。先ほど申し上げましたような格好の全額か五割かあるいは三割かというような考え方の制度のようでございまして、我が国の場合は、先ほど申し上げましたように、標準報酬といいますか、賃金の額に応じて年金を出すか出さないか、あるいはどの程度出すかという仕組みになっておりまして、賃金とそれから労働時間、大きく分けましてそういった基本的な考え方の違いがあるわけでございます。
 将来六十歳から六十五歳までの在職の方の老齢年金を今までどおり賃金との関係で考えるか、あるいは今申し上げましたようなスウェーデンでとっておりますような労働時間との関係で考えるか、これは一つ重要な考え方の分かれ目だろうと思います。我が国におきましては、労働時間の短縮、そういった制度がまだ現在の雇用制度の中に十分根づいておらないというようなこともございまして、なかなか一挙にスウェーデンのような部分年金の考え方は私はとりにくいのではないかと思いますけれども、現行の賃金との関係で年金額を決めていくというやり方が必ずしも最善のものとは思っておりませんので、ひとつこういった諸外国の制度も参考にしながら、今後研究をさしていただきたいと思っております。
#20
○藤井恒男君 これは、スウェーデンの場合時間に視点を置いているということだけど、要するにフルタイムからパートタイムに移る――時間給という制度が確立しておりますからね。日本の場合には月給という制度で彼らの場合には時間給、時給という考え方が確立しているので、フルタイム、パートタイムというのが前面に出ると思うんだけど、要は、フルタイムからパートタイムに移ることによって減収されたものの半分を保障しようと、そのみそはこの半分という発想ですね。これは非常にユニークだと思うんですよ。だから、時給制度というのは日本にはまだまだなじまないだろうと私は思うわけですが、この減額した半分を補てんしていくという発想、これもちょっと大づかみかなとは思うんだけど、こういう発想が非常にいいんじゃないかというふうに思ったわけなんですけれど、どうでしょう。
#21
○政府委員(吉原健二君) 半分がいいかどうかは別にいたしまして、時間短縮、その程度に応じて年金を一定割合支給する、あるいは減額する、これは十分検討に値するといいますか、我が国においても参考にし得る制度ではないかと思います。その時間短縮制度、フルタイムからパートタイムというようなそういう労働時間の制度というものは、我が国においてはまだ定着といいますか、確立されておりませんので、なかなか今の時点ですぐそういった仕組みを取り入れることにはいろいろ問題があろうかと思いますけれども、将来のやはり検討課題ではないかと思います。
#22
○藤井恒男君 次に、きょうの新聞によると、公務員共済年金の改革案、これが共済審から諮問どおり答申が出たというふうに報ぜられているわけです。これは大蔵省、自治省にかかわる問題かと思うわけですが、中でも官民格差の是正という観点からお聞きしておきたいわけですが、基礎年金を全部導入するということで形を一つにしていこうという視点があるのと同時に、官民格差の是正というものも大きな視点ですね。
 この答申案については、厚生年金の場合妻の基礎部分も合わせて月額十七万六千二百円に対して共済年金は同じ条件で十九万千四百円と八・七%多くなる。これが今度の答申案のようでございますが、そうなりますと、三階建ての職域年金部分というのがそれだけ上乗せされた格差部分かというふうに私は思うんですが、年金における官民格差の是正という形でこの範囲のものは許容されるものというふうに理解しておられるのか。厚生省としては年金全般を将来にわたって統括する原局でございますので、この辺のことをちょっと聞かしてもらいたいと思うんです。
#23
○政府委員(吉原健二君) 今関係省庁で検討しております共済制度の改正案でございますが、これにつきましては、全体といたしまして、今お話しのございましたように年金制度間の不合理な格差、違いというものを解消していこう、是正していこう。具体的には、従来から指摘をされておりました年金制度の官民格差、公民格差というものを解消する。具体的に、今度の厚生年金、国民年金に合わせまして、共済制度の中にも基礎年金を導入する、こういうことが柱になっておりますので、私どもは、全体的には今回の共済制度の改革の考え方、具体案につきましては評価をしていいのではないかというふうに思っております。
 ただ、今お話しのございました、今後ともある程度の、共済年金につきましては厚生年金と比べまして若干の水準の上乗せを認めるという考え方に立っているわけでございます。具体的にはいわば三階部分と言われる部分でございますけれども、三階部分というものの水準を一体どういうふうに考えるか。これにつきましては私はいろいろな考え方、御議論があろうかと思いますけれども、共済制度というものが主として公務員を対象にした制度であるというようなことを考えますと、公務員制度の一環としてそういった三階部分の年金というものについての存在意義、合理性は私は認めてもよいのではないかというふうに思っているわけでございます。
#24
○藤井恒男君 今お話しありましたように、共済年金も基礎年金を導入する形になる。そうしますと、昭和六十一年四月から公的年金制度全体が新しい体制で基礎年金を同じ条件で導入した形で動き始めるわけですね。そうすると一階部分は一元化ということになる。次はこの二階部分ですね、三階はともかくとして二階部分が残っているわけだけど、この二階部分を含めた一元化というのが必ず私は一つの展望として道順がついてくるものと思うんだけど、そのあたりのスケジュールなどについて現在お考えでしょうか。
#25
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、一階部分につきましては来年の四月からということでございまして、これが導入されることが一元化についての大きな前進であろうかと思います。
 その後の日程につきましては、昭和七十年を目途に二階部分を含めて全体の一元化を完了するものと閣議で決定しておるわけでございますけれども、その具体的な内容につきましては、六十一年発足をさしていただきましてその以降の検討といたしたいのでございますけれども、いずれにいたしましても、公的年金制度全体としての給付と負担の公平性が確保され整合性のとれたものとなるように、今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#26
○藤井恒男君 ここで基礎年金が六十一年四月から発足するということになり、今の案でいきますとそれが五万円ということになっているわけですが、前回の質疑の過程でもいろいろ同僚議員から質問がなされていたと私思うんだけど、改めて、この基礎年金の五万円が高いか低いか、この財源を国庫がどれだけ持ったら適正なのかというような問題、いろいろ意見が分かれているところですが、つまりは公的年金における基礎年金の性格ですね、性格をどのように意味づけているのか、これは明確に一度お聞きしておきたいと思うんです。
#27
○政府委員(吉原健二君) この基礎年金と申しますのは今回の改正の大きな柱でございまして、現在ばらばらになっている各年金制度の給付と負担をできるだけ統合一元化していこう、それで公平化を図っていこう、同時に、それに伴って財政的にも長期的に安定していくような制度にしていこう、こういうねらいで設けられるものでございます。
 具体的にその基礎年金の水準をどうするかということにつきましては、大変いろいろな議論があるわけでございますけれども、私どもが考えておりますこの基礎年金というのは、老後の生活のいわば基礎的な部分を賄うものにしたい、すべきであるという考え方に立っておりまして、その部分、老後生活の基礎的な部分を各制度共通の給付にする、その給付を行うのに必要な負担というものも各制度一つの物差しで公平に拠出金を負担をしていただく、こういう仕組みにしたわけでございます。
 同時に、やはり水準といいますのは、そういった各制度間の拠出金によって賄うという考え方に立っておりますので、各制度間の負担ということも同時に考えなければなりません。また、具体的には各制度の被保険者の負担能力とのバランスでもって基礎年金の給付水準を考えていく必要があるわけでございます。
 そういったいろいろな要素を考えまして、具体的にはこの基礎年金の水準を五十九年度価格で単身の場合に五万円、夫婦の場合に十万円ということにさしていただいているわけでございます。
#28
○藤井恒男君 基礎年金を老後生活の基本的なものに位置づけたいという趣旨だということです。そういった意味で今後は全国民共通した基礎年金という形がとられるわけだけど、こういった場合に、サラリーマンの場合には大体同じような条件でその上に報酬比例部分である二階が乗っかっていくんですが、自営業者の場合ですね。まあサラリーマンの経験があって、ある時点でリタイヤして自営業を営むという人はまたそれなりに、減額された形であろうとも報酬比例部分、二階が乗っかる。ところが、ずっと最初から自営業で過ごした人たちは、今の制度の中においてそうならない。こういった点について、この自営業者に対しても所得比例の保険料的なものを徴収して二階部分みたいなものを国が積み上げるというような発想もあるわけですね、老後生活ということを考えた場合に。まあこの所得捕捉ということが技術的に非常に難しいのかなとも思うわけだけど、厚生省でそういったことについて検討をされた経緯があるのかどうか、お聞きしてみたいと思います。
#29
○政府委員(吉原健二君) 自営業者につきまして所得比例の年金制度というものを導入できないか、これは実は国民年金が、今回の基礎年金のもとになっております国民年金制度が発足をしたときからの大きな問題であったわけでございまして、年金制度としては、おっしゃいますように所得の高い人がより高い保険料を納付をしてより高い給付を受けられるような仕組みをつくる、これは年金制度の魅力というものを増すためにも大変私は必要なことだと思います。
 ただ実際に、現在の国民年金の対象者は主として自営業者でございますし、その中には所得の低い方もあるいは所得の全くない方も全部強制適用の対象にしてしまっているというようなことを前提に考えますと、果たしてその所得比例の保険料を取って所得比例の給付を行うということが適正に行われるかどうか、所得把握の問題、それからそれを強制適用で適正な所得を把握してそれに応じた保険料を取るということができるかどうか、また、事務的にも可能かどうかというようなことがございまして、私ども、気持ちとしてはそういった制度を導入したいという気持ちを当初から持っておりましたけれども、なかなか具体的にこれならうまくやっていけるというような自信のある案ができなかったわけでございます。
 今回も、この基礎年金につきましては一律の保険料で一律の給付をすると、こういう仕組みにさしていただいておりますけれども、衆議院でもこの点につきましては大変御議論がございまして、法案の修正の中にそういった所得比例保険料、所得比例給付についても検討するようにというようなことが法案の中に、将来の宿題として法文に明記をされるようなことになりましたので、その考え方に沿って今後の宿題として検討さしていただきたいというふうに思っております。
#30
○藤井恒男君 今局長おっしゃったように、本来の保険というものは所得に応じて将来年金額が上がるといういわゆる魅力、楽しみというものがなきゃいけないわけなんで、その点ちょっと制度的には片手落ちだということもお認めでございますので、十分御検討いただきたいというふうに思います。
 保険料の問題についてお伺いするわけですが、今回の改正案では、将来の給付についての見直しをして、これにより将来の保険料もそこそこのところに抑えたいということを言っておられるわけだけど、実際のところ厚生省の出した試算を見てみましても、ピーク時にはおおむね二九%ぐらいにならざるを得ないという試算表が出ているわけですね。ところが一方、これも衆議院で随分論議されたようでございますが、年金の積立金の運用利子の問題ですね、現在四十兆円あるというわけですが、この七%の利回りを一%上げて八%にする。現在の状況の中では運用に当たって八%ということはそんなに難しいことじゃないというふうに思うわけなんだけど、今の厚生省の試算の利回り七%を一%上げて八%にしたときには、ピーク時の保険料率というものは私は今の厚生省試算よりは随分下がるだろうというふうに思っているわけなんだけど、こういった計算をしておられますか。
#31
○政府委員(吉原健二君) 現在の御審議をいただいております改革案の財政収支の見通しというのは、実は、その積立金の運用利回りというものは七%というものを標準的な利回りとして財政計算をしておるわけでございますけれども、仮に、この積立金の運用利回りを八%ということにいたしました場合には、最終的な保険料がどうなるか申し上げますと、厚生年金保険ピーク時に二八・九パーミリ、千分の二八・九%から二七・九%へ一%軽減をされるということになります。それから国民年金について申し上げますと、現在、一万三千円の保険料額に将来なるという推計をいたしておりますけれども、これが八百円減の一万二千二百円程度にとどまるという推計をいたしているわけでございます。
#32
○藤井恒男君 同じ保険料の問題ですが、使用者側が負担する保険料についてですけど、今の社会保険の考え方というのは、保険料は企業側からとってみればある意味の人頭税というような仕組みになっているわけです。したがって、労働集約型の企業では勢い大勢の従業員を擁しなければならない。それは作業の形態がそうせしめるわけですね。人を大勢抱えると今言う負担がふえていく。一方同じような業種にあっても、最近のいろいろな先端技術、オフィスオートメーションであるとか、あるいは現場の工程管理のロボットであるとか、こういったものが導入されてくると人数は省力化されていく。こういう形で、一つの業種間に不均衡みたいなものが出てくるんじゃないかなと私は思うんですが、こういった点についてお調べであればお聞かせいただきたいと思うんです。
#33
○政府委員(吉原健二君) 現在の社会保険料方式をとっている限りにおきましては、被保険者、具体的には雇っている雇用労働者、勤労者の数が多ければ多いほどその事業主の負担も大きい、こういうことになるわけでございます。これはやはり社会保険、老齢年金といいますのはやはり人に対する給付でございますので、保険料は人が負担をする、給付も人に対して行われると、こういうことでございますので、当然に人間を多く使っている企業におきましては、本人の負担の保険料も多くなりますし事業主の負担も多くなる。これは今の制度を前提にする限り私は、当然と言えば当然ですしやむを得ないと言えばやむを得ないと言えるかと思いますが、事業主の広い意味での事業主負担というものを考えた場合に、おっしゃいますように、人をそれほど使っていない事業主の負担が相対的に軽くなるというような結果はあろうかと思います。
 この点を将来一体どういうふうに考えたらいいかということでございますけれども、もし考えるとすれば、それはなかなか保険料負担の面で私はその辺の調整をするというのは非常に難しいし無理があるんじゃないか。むしろ仮にそういった面での調整、事業主負担を調整するとすれば、むしろ税という形での調整、何らかの形の税という形での調整ということにならざるを得ないのではないかという気がいたしておるわけでございます。ただ、税ということにするにいたしましても、税は税の理論として法人税なりあるいは事業税というものが別にあるわけでございますから、ロボットでありますとかOA、そういったものを多く使う企業について新たな税負担を課するのが適当かどうかという議論もまた出てこようかと思いますので、税の面についてもいろいろ議論があろうかと思いますが、保険料負担という保険料方式をとる限りにおきましては、なかなかその点の是正を今の方式を前提にする限り調整は難しいかなという感じを持っているわけでございますが、やはり私は将来のそういった面の調整も税との関係を考えながら検討していく必要があるというふうに思っております。
#34
○藤井恒男君 現在の仕組みがおっしゃるように保険料方式であるから、そこの辺までの配意というものが非常に技術的に難しいということは私もよくわかるんだけど、一方、納める側の立場に立てば、私は仮に人頭税ということで申し上げたんだけど、同じなんですね、出すのは。だから、今のOA機器の発達、それから先端技術による作業工程等の変化というのが余りにもピッチが遠い。だから、これから先を展望していくと、私は、これ随分変化するだろう。したがって、それは税金で補足すべきである。あるいは公平公正にいかなければいけないという立場から、この厚生年金というか、年金でいくのか、税でいくのか、そうなったときに、それじゃ基礎年金というものを三分の一の国税という形を変えて直接税その他から入ってきた税の中からもっと割合をふやしてカバーしていくのか、その辺非常に私は難しい問題だと私も思うし、かといって、これほうっておけば、この発想した時期と現状が随分違ってくるわけですから、だから、一たん決まったら手をつけないということでは済まされない問題になるんじゃないかなというふうに思っておりますので、これからひとつ格段の御検討をお願いいたしたいと思うわけです。
 余り時間もありませんので、次に、冒頭に申し上げました女子の問題です。
 女子の保険料率は、毎年〇・二%ずつ引き上げられるということになっているわけですが、私はこれは何としても働く女性にとっては厳しい内容に過ぎるというふうに思います。したがって、今度の改正案の基本的な姿勢については私も将来展望に立って同感しているわけでありますが、この女子の保険料率の取り扱いについては私は反対であります。したがって、これは格段の論議をこれから深めて手直しをしなければ、とてもこのままでは承服はできない。
 そういった意味において、局長並びに大臣のお考えを、とりあえず本日の時点でお聞きしておきたいと思うんです。
#35
○政府委員(吉原健二君) 女子の保険料率の問題でございますけれども、現在、男子については一〇・六、女子については九・三という違いがあるわけでございますけれども、今回の年金改正の基本的な考え方の柱の一つとして、いろいろな各種の被保険者間の扱いの違い、給付や負担面の格差の是正と同時に、男女間の保険料なり、あるいは給付水準、世帯の構造に応じた給付水準の違いというものを是正をしていこうという考え方に立っているわけでございまして、この女子の保険料率につきましても、従来は女子の方は勤務される期間も短いですし、かつては非常に短い勤務期間の脱退手当金で年金を受けられないような、年金に結びつかないようなケースが多かったということもございまして、支給開始年齢は五十五、それから保険料率も男子との差がかなりあるような取り扱いになっていたわけでございますけれども、もう各年金制度間の通算制度も発足して三十年近くになりますし、必ずしも女子についてそういった特別な制度なり措置というものをこれからも残しておく必要はない。できるだけ速やかに男女間のそういった年金制度面での格差というものをなくしていくべきだという考え方に立ちまして、社会保険審議会等の関係審議会の御審議、御答申を踏まえまして、今回女子の保険料率につきましてはできるだけ早く男子に合わせるというような考え方に立っているわけでございます。
 従来も女子の保険料率につきましては、男子とできるだけの格差を縮めるために毎年〇・一の引き上げを図ってきたわけでございますけれども、今回は、その格差というものをできるだけ早くなくするという趣旨から、従来よりもスピードアップをさしていただきまして〇・二という保険料率の引き上げというものを計画をさしていただいているわけでございます。考え方は、あくまでも、年金制度間における男女間の格差というものをできるだけ早く解消さしていただきたいと、こういうことでございます。
#36
○藤井恒男君 将来男女間の格差を縮めていくということは、これはこれまでも〇・一%ずつ引き上げてきたわけですから、そのことは私は必ずしも否定するものではないわけなんだけど、この公的年金制度の改革にあっては急激な変化というものはやっぱり避けなきゃいかぬ。余り遠い焦った形での改革をやることはむしろ職場に混乱を起こしてしまうということを危惧するわけでありまして、この点については、またこれからも十分論議も尽くしていかなきゃいかぬと思うんだけど、〇・二%のピッチに速めるというのは、私はやはり今の局長の答弁では納得できない。そこまで焦る必要はないじゃないか、もうちょっとゆっくりやったらどうなんだという気持ちを持っているわけで、これは、粘り強く私はこの委員会で問題を取り上げていきたいと思うんだけど、大臣、どうでしょうか、私の言っていることが無理なのかどうか、その辺のことをお聞かせください。
#37
○国務大臣(増岡博之君) 今度の年金改革全体が公平という観点でございますので、できるだけ早くそういう問題も解決をいたしたいという気持ちで御提案申し上げておるわけでございますけれども、御指摘のように、これからいろいろ御審議を詰めていただくことでございましょうから、私どももいろいろ勉強させていただきたいと思います。
#38
○藤井恒男君 それではこれは十分話を詰めて、得心のいくような内容に論議を深めさせてもらいたいと思います。
 次に、いわゆる三種の被保険者問題について申し上げたいと思います。
 現在、第三種被保険者問題として取り上げられているのは、もう御承知のとおりだと思いますが、船員それから坑内員の労働環境、労働条件というのはこれは非常に厳しいものであって、また危険性が非常に高い。災害発生率、死亡率も非常に高いわけですね。これは、現に私どもも鉱山に行ってその作業環境を見てみたり、あるいは船員の方たちの労働条件というものを見たとき十分うなずけるわけでありまして、それがゆえに労働保護法においても陸上の一般労働者とは別個な政策がとられている。船員は労働基準法によらずして船員法、あるいは坑内員には労働基準法に特例を設けている、こういう形がとられているわけです。海運・水産、また炭鉱・鉱山業、これらは国民生活に欠かすことのできない重要産業でありますし、船員は長期にわたって家族と離れて、また坑内員は、作業環境は御承知のようにお日さまの見えない地下の中で激しい労働に従事している。しかも、地下産業の場合にはどんどん長く、奥へ奥へと進んでいるわけでして、その意味からの危険性もどんどん増している状況にあると思います。この年金制度において期間計算の特例として三分の四倍の措置がとられているわけでありますが、これも、今私が申し上げたような船員、それから坑内員の労働環境、そして、その方たちの余命年数などをすべて勘案した上でとられてきた措置であると私は理解しているわけだけど、私のこの理解に間違いがあるかないか、お答えいただきたいと思います。
#39
○政府委員(吉原健二君) この第三種坑内員の方につきましての年金制度上の特例措置は二つございまして、一つが、年金の支給開始年齢の五十五歳というのがございます。それからもう一つが、今お話しのございました期間計算について一年を三分の四倍して計算をして年金に結びつける、十五年を二十年に計算するということでございますけれども、確かに、今お話しのございましたように、船員の方でありますとかあるいは坑内員の方につきましての労働環境、労働条件、そういったものの特殊性といいますか、厳しさ、そういったものを前提にいたしましてこういった二つの特例措置が創設をされたということはおっしゃるとおりだと思います。
 しかしながら、今の時点に立って、将来ともこの二つの、他の被保険者と比べました場合に大変際立った優遇措置といいますか、特例措置を今後とも残していいかどうかということを考えましたときに、支給開始年齢の問題につきましては今御指摘のございましたようなことを念頭に置きまして、これは今廃止するということではなしに今後とも存続をすべきであると、こういうことにいたしたわけでございます。
 それから、期間計算の特例につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、昭和三十六年に国民年金制度ができましてからは年金制度間の通算という、いわばもうどういった職業に移っても、どういった年金制度に移っても、その期間がずっと通算をされまして六十歳なりあるいは六十五歳からその入っていた期間に応じた年金というものが出るような仕組みがとられた。そういったことを考えますと、今後ともその期間計算についての特例までも残しておくのがいいのかどうか、あるいは残すべきなのかどうかという点が大変議論がございまして、その点につきましては支給開始年齢とは違った性格のものではなかろうかということで、この期間計算の特例につきましては今後、将来に向けてはそういった特例というものはなくする、こういうことにさしていただいたわけでございます。
 大変御議論がございましたし、審議会等でも議論のあった点でございますし、直接の関係者の方につきましては大変その点につきましては特例措置が廃止されるということになるわけですから厳しい措置でございますけれども、大変な議論の結果、審議会の答申を踏まえてかような取り扱いにさしていただいたわけでございます。
#40
○藤井恒男君 私は、この廃止措置というのはやっぱり、この三分の四倍というのができたゆえんのものを先ほど私は申し上げた。あなたもそれは肯定された。その後に例えば職場環境がどんどん改善されて目に見えるように職場環境も変わってきた、だからもうこの特例措置はやめますよというなら、これは私は一つの行き方だと思う。ところが、現場で働いている諸君は、そうじゃないと、地下資源を求めてどんどん奥へ奥へ深く深く入っていっているじゃないか、それは浅いところでやるよりなお危険が増しているじゃないか、そういうときに全廃と、それは一体どういうことだということで、これは大変な怒りを持っているわけで、私は、現場の人たちの話を聞くともっともだというふうに思っているわけです。
 したがって、私はなおこれは撤回すべきだという考えに変わりはないわけだけど、一歩下がって、どうしても将来にわたって労働条件も変わっていけばこいつは同じようにせざるを得ないという考えであったとしても、急激な変化――これは私は激変だと思う。激変ということは、それは私はいかぬ。だから、衆議院でも十分論議して附帯決議にもこのことは記されているわけだけど、あれではだめですよ。あれでは私は承服はできない。だから、何かの形を我々も考えるしするから、厚生省としても、一たん出した案だからもう動かせないんだということじゃなく、これは考えてもらわぬと困ると思う。
 同じようなことが、独自給付に係る年金額計算の経過措置の適用の問題にもかかってきますね。乗率と定額の問題があるわけでして、五年間一遍にぴしゃっと来るわけだから、非常にこれも私は現場におる方たちにとってみれば大変大きな問題だというふうに思うわけです。一方、これは、国家公務員の場合にはこういう条項があるんですね。施行日以後の新規裁定者の取り扱いという中で、施行日の前日において退職したならば受けることができた退職年金の額より少ないときは、当該退職年金の額をもって受けた共済年金の額とすること。こういう条項が入っていますね。
 だから、これらとの関係を見ても、時間の関係で細かい計算例もあるわけだけど、これを申し上げるいとまがありませんが、私はいわゆる第三種の問題について期間計算に関する問題、独自給付に係る年金額の計算の経過措置等を十分これから話し合って皆さん方に再考を求めていきたいというふうに思っているわけですが、これについても大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。
#41
○国務大臣(増岡博之君) 先ほど局長が説明申し上げましたように、長期安定ということから公平を旨とするということで、審議会等の御意見もありまして、期間計算の特例の廃止をしたいということでございました。しかし、今御指摘のような職場の現状ということも、それでは従来と現在と違っておるのかと言われますと、また御指摘の面もあると思うわけでございます。
 この保険者期間の計算につきましては、先生御指摘のように今後いろいろな角度から十分御審議をいただくと思いますので、私どもといたしましても、その御審議の結果によりまして対処をしてまいりたいと思います。
#42
○藤井恒男君 ここに対馬さんもおられて、これはまた対馬さんは私と違って専門家だからね。どうせ後でこの問題についていろいろとそういった立場からの御指摘があろうかと思うんだけど、いずれにしても、先ほど女子の問題、それから今の第三種の問題について大臣は、局長はシビアなことを言っておられるけれども大臣はさすが政治家でいらっしゃって、そこはひとつ十分話し合ってということでございますので、具体的な内容は私はここでは申し上げませんけれども、大臣のお考えを私はよく聞いたというつもりでおりますから、これから十分お話し合いをして、得心のいく内容に書きかえてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 きょうはこのぐらいにしておきます。
#43
○下村泰君 私、非常に素朴な質問をさせていただきますが、それぞれ年金制度というのは従来からあったものだと思うんですが、国民年金というのがなぜ昭和三十六年に施行されたのか、それをまず伺いたい。
#44
○政府委員(吉原健二君) 我が国の年金制度といたしましては、戦争中に一般の民間の勤労者、労働者、サラリーマンを対象にした厚生年金保険制度というのが昭和十七年に発足をしたわけでございまして、公務員あるいは軍人さんにつきましては恩給という形で年金にかわるような制度がそれよりも先にあったわけでございます。
 公務員でもない、軍人でもない、民間のサラリーマン、労働者でもない一般の自営業なり無職の方につきましては、全くその年金制度がなかった、こういった状態が戦後ずっと続いておったわけでございますけれども、昭和三十年代に入りまして、そういったサラリーマンあるいは勤労者以外の方にも年金制度を創設すべきではないかというような国民の世論といいますか、考え方というものが大変強く起こってまいりまして、そういった国民の強い声というものを背景に昭和三十四年に国民年金法というものが、大変これも議論がございましたけれども、御案内のような形で発足をいたしまして、無拠出の年金、それから拠出制の年金と、いわば二本立ての年金制度で発足をしたわけでございます。
 無拠出のいわゆる福祉年金につきましては、法律施行後できるだけ速やかにということで昭和三十四年に発足をいたしておりますし、拠出制の年金、つまり保険料を出していただいて、将来年金を支給するという拠出制の年金につきましては、一定の準備期間がございますので、二年後の昭和三十六年四月から保険料の納付を始めさせていただいて今日に至っている、こういうことでございます。
#45
○下村泰君 そうしますと、いわゆるその対象にならなかった方たちのためにできたということが言えるわけです。そうしますと、既にその前にそういう組織の中でこういったものをつくっていた方々にとっては、これはもうそのままの移行をしてきていることなんですから別に問題はない。ところが、そういった既にでき上がっていたものと新しくできてきたものと、これを今度さらに将来は統一しようとしていらっしゃるわけですね、何年後になるかわかりませんが。
 大体何年ぐらい先にこういうものを全部統一しようというお考えなんですか。
#46
○政府委員(吉原健二君) 昭和七十年をめどに、統合一元化を進めていくという考え方を持っているわけでございます。
#47
○下村泰君 今までそうして既成されてきたものと新しいものとを何とかして一つにまとめようとするところにいろいろな問題が起きてきて、今日こういうふうに改正が審議されている、こういうことになるわけです。私は余り年金の方には詳しくはございません。そういう社会におりませんでしたから非常に疎いんです。疎いから、非常に単純なことからお伺いしたわけなんですけれども。
 今回の改正の中に、障害福祉年金が障害基礎年金として大変引き上げられた。これはもう障害者の方たちはもろ手を挙げて賛成しております。もう一日も早く施行してほしい、この気持ちはよくわかります。それはそれとして、まだ取り残され、切り捨てられている人たちが多くいるということを思いますと、そう簡単には喜べないというのが、身体障害者のこういった方々のことを専門に私やっておりますので、そういう人たちのために喜んでいいのか、あるいは悲しんでいいのか、今非常に複雑な心境になっていることは事実なんです。それで、そういう人たちのためのことについて、いろいろとこれからお伺いしていきたいと思います。
 本来、この障害年金というのは社会保険方式の年金体系に組み入れられるべきではないと思うんですが、いかがでしょうか。
#48
○政府委員(吉原健二君) 年金制度におきましては、老齢年金というのが一番中心になる給付でございますけれども、障害給付、それから遺族給付というものも、我が国においてもそうでございますし、諸外国の年金制度においても取り込んでいるわけでございます。
 御案内のとおり、年金制度の方式といたしまして、大きく分けまして拠出制方式と、それから税方式というものがあるわけでございますけれども、そういった拠出方式をとる限りにおきましては、老齢給付も障害給付も、遺族給付も、当然同じような仕組みの中で考えていく、こういうことになるわけでございまして、老齢給付は拠出制、障害給付は無拠出といいますか、税方式と、そういった違った年金制度の仕組みをとるということは、なかなかいろいろ問題もございますし、難しいんじゃなかろうかと思います。
 今回のこの年金制度の改革案におきましては、拠出制という基本的な考え方はこれからも維持をしていくということにしておりますけれども、そういった障害の特殊性というものにも十分配慮をいたしまして、例えば年金制度に加入される以前の障害の方、具体的には二十歳以前に障害になった方につきましても、この制度で障害基礎年金を支給する、こういったようなことを取り入れまして、拠出制社会保険方式、税方式ということの違いによって、その障害者というものが年金を受けられたりあるいは受けられなかったりすることのないような配慮は、できるだけいたしておるつもりでございます。
#49
○下村泰君 例えば老齢というのは、だれしもが通っていかなければならない一つの過程であり――通っていかなきゃならないじゃない、通ってきた最後の段階ですわな、この老齢というのは。これは生活事故みたいなものだ。これは障害とは全然性質が違いますわね。それから、拠出制だと、今も局長がおっしゃったように、若年であったり加入期間が短い人が障害となった場合、無年金者や受給額の少ない人が出てくる、これは当然だと思うんです。これが防げないのではないだろうか、こういうことですわね。これに対してはどういうふうにお考えでございましょうか。
#50
○政府委員(吉原健二君) 拠出制の年金制度の中で障害年金、障害給付を考えます場合には、どうしても最小限の保険料の納付の要件、あるいは制度への加入条件、加入期間というものが、どうしても最小限の要件として必要となってまいりますので、それを満たし得なかった方については、おっしゃいますように、障害年金が出ない、こういうことにならざるを得ないわけでございますけれども、そういった加入期間なりあるいは保険料の拠出要件につきましては、できるだけ短くといいますか、多くの人がそういった障害年金の適用除外、受けられなくならないような措置を今回のこの改革案におきましても、できるだけ期間を短く、拠出要件というものを緩やかに設定をして、御指摘のようなことのないような配慮をしたつもりでございます。
#51
○下村泰君 若くして障害になった人は、貯蓄などが非常に困難な人が多いわけですね。ですから、その人たちと貯蓄可能な人たちとを同一体系で考えているというのはちょっとおかしいんではないか。それから、障害者は障害を持っているだけでさまざまな出費が迫られます。それはもう皆様方厚生省側の方がよく御存じだと思います。というような点から見ても、もっと抜本的な検討が必要ではなかろうか、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#52
○政府委員(吉原健二君) まあ障害者は、障害の程度もいろいろございますし、障害者の方の生活実態、これはさまざまだろうと思いますが、やはり年金制度の中におきましては、ある程度一定の条件を満たした人に一定の給付をする、こういう仕組みが基本でございますので、どうしても、一定の要件を満たし得ない方については年金が受けられないとか、あるいは、特に出費が多い人につきましても、全部の出費、生活費というものが年金によって賄われるというようなことにはなかなかならない。そういったことにすることが難しいわけでございます。
 しかしながら制度の許す範囲内におきまして、先ほども申し上げましたように、拠出要件を緩やかにする、それから給付の水準も、今回の改正案におきましては、障害者の年金につきましては特に大きく改善充実をするというような措置をとっているわけでございまして、平均的に障害福祉年金を従来受けておられた方につきましては障害基礎年金という形で約倍近い給付水準の引き上げが今回の改正案の中では計画をされているわけでございます。
#53
○下村泰君 ところで、厚生省側に伺いますが、障害というのは一体どういうことを言うのか、その概念についてどういうふうにお考えですか。定義があるならば教えていただきたいと思います。
#54
○政府委員(吉原健二君) 一般的に申し上げますと、制度によって多少の違いがございますけれども、従来の国民年金におきましては、何といいますか、疾病または事故によりまして、これは内部的な障害、疾病でもいいわけでございますけれども、身体の機能あるいは精神的な面も含まれますけれども、身体の機能等に日常生活の制限を受ける程度の機能障害、身体的な機能障害を生じた場合に障害年金の対象になるわけでございます。
 厚生年金等におきましては、労働能力に一定の制限を受ける程度の身体なり精神の障害を受けた場合に障害年金の対象になる、こういうことになっておるわけでございます。
#55
○下村泰君 これまでの日本の法体系においては、この障害というもののとらえ方が非常に弾力性に欠けているというふうに私どもは解釈しております。かつては固定という言葉を使った、現在は永続というような表現が使われているわけですね。一時的障害、例えば今一番問題になっているのが元総理大臣の田中角榮さん、あの方が入院すると、それはもう大変な騒ぎになっていますわな。脳梗塞による障害で、医価団の発表によれば二カ月先か三カ月先か、しかし相当程度の回復が期待できる、これでもやっぱり障害は障害だと思うんですね。
 だから、田中さんのように収入のたくさんある方はよござんすよ。いろんなことで、それは知る人ぞ知るでございますから、そういう人はいい。しかし、国民年金加入者の中には発病と同時に収入の絶える人が多いわけですね。そうすると、同じような状態でもやはり障害ではないかというふうに私は解釈するんですが、いかがでしょうか。
#56
○政府委員(吉原健二君) 障害年金の場合、障害年金の支給対象にしてよい障害かどうかの認定をしなければならないわけでございますけれども、その認定に当たっての基本的な考え方は、障害の原因となる病気なり事故が起きました日から一年半、一年六カ月を経過した時点において認定をする。その前にその障害というものが固定をした場合には、その固定をした日から一年六カ月たたなくても、すぐでもいいわけでございますけれども、障害の状態が固定をした場合には、その日から障害者として障害年金の支給の対象になる、こういうことになっておるわけでございます。
#57
○下村泰君 認定の件についてはまた後でお伺いします。
 もう一つだけ伺いますが、元来福祉年金、これはどういう趣旨のもとに導入されたんでしょうか、お聞かせください。
#58
○政府委員(吉原健二君) 福祉年金は、一般的に申し上げますと、先ほどの御質問にも関係をいたしますけれども、国民年金ができますときに既に障害になっておられた方、あるいは既に七十歳以上の老齢になっておられた方、その方々につきまして改めて保険料を納めていないから年金を出さないというわけにはまいりませんので、そういった方々を対象に制度発足時、既に老齢なり障害の状態にあった方、それからその後に障害になった方でありましても拠出側の制度に加入して保険料を納めていたけれどもその納付の期間が年金を受けられるまでの期間に満たなかった方――一定の資格要件、納付期間が必要とされますので、その拠出制の年金を受けられるような期間を満たし得なかった方につきまして、全額国、税金の負担による福祉年金を出そうということで設けられたのが障害福祉年金でございます。
#59
○下村泰君 それぞれについて御質問しておりますけれども、今局長のお答えくださったことをもろもろの基礎にいたしまして、これからもいろんなことを伺っていきたいと思っております。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
 今度は給付水準についてちょっとお伺いしますけれども、私なりに考えてみまして、まず三つのケースがございます。国庫から幾ら出ているのか。仮定としまして、成人で三十歳、進行筋ジストロフィーで身障の一級、東京在住で借家住まい、介護を他人に頼むといたします。そうしますると、これは私なりに試算をしたんですけれども、そちらの方ですぐお答えが出ますかしら。――いいですよ、出なければ私の方にありますから。
#60
○政府委員(吉原健二君) 障害年金の額は、どの制度に入っていたか、それからサラリーマンの方ですと標準報酬、それから保険料の資格期間を満たしていたかどうか、そういったことによって、どの制度からどういう年金が出るか、さまざまなケースがございますので、申しわけございませんがすぐにお答えすることができません。
#61
○下村泰君 まず、Aを生活保護を受ける場合。障害基礎年金も含めて項目扶助別に。Bを生活保護を受けず、在宅ですね。Cが国立療養所。こういうふうに分けますと、在宅をしている場合が生活扶助三万二千四百七十円、それから住宅扶助というんですかね、一級が九千円だそうで、特別基準というのがあるそうです。三万二千三百円。障害者加算が二万二千七百円、重度加算が一万八百円、他人介護料が三万六千五百円。そのほか二点ありますな、これは、二万九千五百二十円でしょうか。これで十六万四千二百九十円、これが在宅のAです。これは生活扶助の方です。今度は、今申し上げました生保を受けず在宅していらっしゃる方。この方は、今度改正になりまして、障害基礎年金が六万二千五百円に特別障害手当が二万円で、合わせて八万二千五百円。国立療養所の方へいきます。これは八四年度の試算ですけれども、日用品として約一万四千二百九十円、指導訓練費が九万一千百円。これは全部約です。指導訓練材料費というんですか、これが八百円、期末一時扶助、これが三百六十六円、年金が六万二千五百円、これが入ります。そして十六万九千五十六円、こういうふうになります。
 そうしますと、こういうふうな差額というのが出てくるんですけれども、これは一体どういうところに試算をしてこういうふうな相違が出てくるのか、これをちょっとお尋ねしたいんです。
#62
○政府委員(吉原健二君) 今御質問の、生活保護を受けられる場合、生活保護の基準というものもその世帯の構成、年齢、それから住宅があるかないか、そういったことによって生活保護の基準が大変違ってまいりますし、病気の方につきましては医療扶助の適用もあるわけでございます。そういった個々の障害者の置かれている状態によってそういった給付の額に当然違いが出てくるわけでございます。
 そういったことで、年金の場合には一定の条件に該当する場合には一定の給付が出るということになりますけれども、今御質問のは恐らく生活保護についてのケースだろうと思いますので、その障害者の方の置かれた状況によっていろんな給付の水準に違いが出ている、これはそういうことだろうと思います。
#63
○下村泰君 よく障害者の方々が私どもに訴えてくるのは、今の障害基礎年金は八万二千五百円、大変結構なことだと思いますよ。ところが、これで生活ができるかというと、できないわけですね。さらに何かそういった方々が要求があれば、それじゃおまえさんたちは生活保護でも受けなさい、こういうふうに言われるわけだ。そうすると、生活保護を受けるには今局長がおっしゃったようなもろもろの条項があるわけですね。その規制にとらわれるためにみんな嫌がるんですね。
 障害者自身はやはり自立更生したいんですから、自分で働いて自分で生活したい、これが望みなんですよ。そうしますと、こういったところに何となく差ができていて御本人たちの自立更生をするという意思を阻んでいるというふうに私どもは感じておるわけです。趣旨は違いますけれども、基本的には、憲法の二十五条で言う健康で文化的な最低限度の生活を営むことを保障するためのということになります。そうすると、この保障するための施策というものをどういうふうにお考えになっているのかということに疑問が出てくるわけですが、これはどういうふうにお答えいただけますか。
#64
○政府委員(吉原健二君) 身体障害者の方に対する福祉の施策といたしましては、今お話しのございました生活保護、これはもちろん最低生活の保障としてあるわけでございますし、生活保護の適用を受けない方につきましても、身体障害者福祉法によってさまざまな福祉施策、福祉措置というものが講ぜられることになっておりますし、それから身体障害者の方を対象にした福祉手当というものが、今の御質問の中にもございましたけれども、一定の条件に該当する方については年金のほかに支給をされる、こういうことになっているわけでございまして、いろいろな制度によっていろいろな援護措置というものが講ぜられる、こういうことになっているわけでこざいます。
 やはりそれぞれの制度がそれぞれの目的に応じて機能している、また身体障害者の方の福祉なり生活を守っていくためには、そういった状態がばらばらではなしにいろんな目的のいろんな制度によって守られていく、こういった体制というものがむしろ望ましいといいますか、必要なのではないかというふうに思っているわけでございます。
#65
○下村泰君 先般、国民生活実態調査というのが行われたんですが、政府としては、こうした基準や額というものを、何か私らの受け方では、いいかげんな数字や根拠で引き出しているんじゃないかななんて疑いたくなるんですけれども、これはさておきまして、今回、二級障害者の基礎年金が五万円ということになっておるんですが、この五万円というのはどういう根拠からこの額が出てきたのかを教えてください。
#66
○政府委員(吉原健二君) 年金の給付水準を考える場合の一番出発点といいますか、軸になりますのが老齢年金の基準でございまして、老齢年金の基準に障害年金は原則的に合わせるという考え方を従来からもとってきているわけでございます。
 今回の年金改正案におきましては、老齢基礎年金の額、給付水準というものを五万円ということに設定さしていただいたわけでございますけれども、それに合わせまして障害基礎年金の額も五万円ということにさしていただいたわけでございます。ただ、障害の程度によって、障害の重い方、具体的には一級の障害の方につきましては、それよりもさらに二五%増しの六万二千五百円の障害基礎年金を一級障害基礎年金として設けているわけでございまして、五万円というのは二級障害の方を対象にした年金額でございます。
#67
○下村泰君 一九七五年十二月九日に国連において障害者の権利宣言というのが決議されております。これの七のところですね。七のところに、「障害者は、経済的社会的保障を受け、相当の生活水準を保つ権利を有する。」また、「障害者は、その能力に従い、保障を受け、雇用され、または有益で生産的かつ報酬を受ける職業に従事し、労働組合に参加する権利を有する。」、こういうふうに決められております。ここで「障害者は、経済的社会的保障を受け、相当の生活水準を保つ権利を有する。」と、こういうことが決議されておるわけなんですけれども、こういうふうにあることに関して厚生省側はもちろんこれはもうよく御存じのことと思います。
 そこで、給付水準についてもう一つ伺いますけれども、国民年金の場合、厚生障害年金のような二階建て部分がないわけなんです。その制度のあり方は違いますが、心身障害者扶養保険制度というのがあります。こうした制度をうまく利用なり改善することで障害基礎年金にもこの二階建てという部分をつくるような考えがあるかないか伺わせてください。
#68
○政府委員(吉原健二君) 国民年金に二階建て部分ができるかできないか、これは先ほどの当委員会での御質疑にもございましたけれども、年金制度としては、障害年金それから老齢年金いずれも二階建て、所得の高い方については高い保険料を払っていただいて高い給付年金が出るようにする仕組み、できればこれをとれれば一番望ましいわけでございますけれども、先ほども申し上げましたような理由から、なかなか自営業者を対象にした国民年金につきまして、つまり具体的には基礎年金につきまして二階建ての給付をつくるということは、現時点ではなかなか技術的にもいろいろな難しい問題があるわけでございます。
 これは将来の検討課題にさせていただきたいと思いますけれども、その中で障害基礎年金についても、そういったことができるかどうか、十分勉強させていただきたいと思います。
#69
○下村泰君 今度は認定についてお伺いします。
 昭和五十八年七月二十八日に、「障害者生活保障問題専門家会議報告書」というのが提出されております。これによりますると、基本的な考え方として、「「完全参加と平等」という国際障害者年のテーマにもみられるように、障害者対策の基本的目標は、障害者が障害に伴う様々なハンディキャップを克服し、自立した社会人として健常者と平等に社会参加することを容易ならしめることにある。」、こういうふうに決められております。この第二項目の中に、「すべての成人障害者が自立生活を営める基盤を形成する観点から、所得保障制度全般にわたる見直しを行うべきである。」、こういうふうになされておりますけれども、これに対するお考えはいかがでしょうか。――それじゃその後ちょっと補足しますから。
 ただいまの項目の後に、「障害者の所得保障は、障害により失われた稼得能力の補てんと、重度の障害により特に要する費用の補てんの双方の観点を踏まえて行われる必要がある。」、こういうふうに報告書が述べております。これに関してどういうふうに御所見をお持ちでしょうか。
#70
○政府委員(正木馨君) ただいま先生のお話のございました障害者の生活保障問題専門家会議の報告が昭和五十八年の七月二十八日に出ておりますが、これはもう今さら申すまでもございませんが、昭和五十六年の国際障害者年を契機としましていろいろな問題提起がなされたわけでございますが、障害者の問題について、今報告書をお読み上げいただきましたが、基本的考え方がまさに先生述べられたとおり述べられております。
 そこで、この専門家会議では、障害者問題を考える場合には、所得保障、リハビリテーション、施設サービス、在宅サービス、就労対策、そういったものを総合的に進めていかなければならない。また、障害者におきましても軽度の方、重度の方、いろいろな方がおられるんで、その辺についてのきめ細かい問題についての配慮が必要であるということが述べられておるわけでございまして、基本的には私どもこの考え方に即した進め方をしていかなければならないという考えを持っております。
#71
○下村泰君 そうしますと、厚生省側としてはこの報告書に対する異議はないわけで、これの線に沿ってこれからも施策を行っていくというふうに思っていらっしゃるわけですか。――はい、ありがとうございました。
 現在、身体障害、精神障害、精神薄弱、内部障害、こういう方々の数はどのくらいと見ていらっしゃいましょうか。
#72
○政府委員(長尾立子君) 障害者の数でございますが、これはそれぞれの制度によりまして障害者の範囲、いわばどのくらいの障害の方から障害者という形の範囲に入れていくかということが異なりますことと、それから統計的な資料が十分ではないのでございますが、そういう意味で丸めた数字で申し上げさせていただきたいと思います。
 一つは、身体障害者福祉法上の障害者でございますが、社会局の推計によりますと、二十歳以上の身体障害者数は二百二万人というふうに推計をいたしております。このうち外部障害者が百八十二万人、内部障害者が約二十万人でございます。
 次に、精神衛生法上の精神障害者でございますが、これは私どもの保健医療局の推計でございますが、この場合には二十歳未満の方も含めて申し上げさせていただきますが、精神障害者数は約百五十万人というふうに推計をいたしております。
 次に、精神薄弱者の問題でございますが、精神薄弱者につきましては、精神薄弱者福祉法上の精神薄弱者でございますが、さきに申し上げました精神障害者と一部重複する点はあろうと思われるのでございますけれども、児童局の調査によりますと――これは児童局でございますので十八歳以上ということで申し上げさせていただきますが、十八歳以上の精神薄弱者数は約十九万人というふうに考えておるわけでございます。
#73
○下村泰君 内部障害の方は出ませんか。
#74
○政府委員(長尾立子君) 失礼いたしました。今申し上げましたように、身体障害者福祉法上の推計によりますと、内部障害者は約二十万人というふうに推計をいたしております。
#75
○下村泰君 そうしますと、現在、国民年金法の障害年金及び障害福祉年金受給対象者は何人ぐらいいらっしゃいますか、今御報告くださいました数の中で。
#76
○政府委員(長尾立子君) 障害年金の受給権者でございますが、昭和五十九年の三月末現在の数字を申し上げます。
 厚生年金保険は約二十四万人でございます。国民年金が、福祉年金それから拠出制、両方合わせまして九十五万人でございます。
#77
○下村泰君 そうしますると百十九万ということになります。ほかの方はもう全然対象になっていない、こういうことになりますね。
#78
○政府委員(長尾立子君) 先ほど申し上げましたように、精神衛生法上の精神障害者、または精神薄弱者福祉法上の精神薄弱者、身体障害者福祉法上の障害者、これは、それぞれの法律上の目的の上で対象者として把握をしておられるという方々でございますので、今先生御指摘のように、このうち現実に年金を受けておられる方は、全体といたしまして四百万弱ということかと思うのでございますが、そのうち百二十万程度の方が年金を受けておられる、こういうことになるかと思います。
#79
○下村泰君 そうしますと、そのお答えをそのままひっくり返せば、それ以外の方は全然こういうものの対象になってないと、こういうことになるわけですね。そうですね。
#80
○政府委員(長尾立子君) おっしゃるとおりでございまして、国民年金にいたしましても厚生年金にいたしましても、障害年金としての対象者につきまして、ある一定の障害の程度につきまして、先ほど局長からも御説明を申し上げましたように、日常生活において相当な支障があるとかそれから労働能力において相当な支障があるというような一定の水準を置きまして、それを年金の支給対象というふうに考えておりますので、例えば身体障害者福祉法の体系上、施設にお入りをいただいて福祉のいろいろな措置を、訓練とかそういうものを受けていただくべき対象の方と若干差があるということではないかと思っておるわけでございます。
#81
○下村泰君 この国民年金の障害の等級、一級、二級というのがあるんですね。それから身体障害者福祉法、この福祉法によりますると一級、二級、三級、四級、五級、六級、七級まであります。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
この両方を見合わせますと、何か非常に疑問が生まれてくるんですけれども、この国民年金の障害等級表は、こっちの方は身障者等級に読みかえた場合には、どの障害の何級までなら受給の対象になるかということなんですが。
#82
○政府委員(長尾立子君) 今、先生おっしゃいました身体障害者福祉法上の等級で申し上げますと、おおむね四級程度というふうに考えております。
#83
○下村泰君 そうしますと、四級までが一級ということになりますか。
#84
○政府委員(長尾立子君) 一級、二級が一級。三級、四級が二級という感じだと思います。
#85
○下村泰君 ところで、この認定の方法なんですが、一体基準というのはどういうふうになって、だれがどういうふうにやるのが今認定になっているんですかね、この認定基準というのは。
#86
○政府委員(長尾立子君) まず、厚生年金について申し上げます。厚生年金の障害認定、障害の範囲をどのように考えていくかという基本的な線は法律の別表にあるわけでございますが、現実には障害の程度がさまざまでございますので、この認定の要領というものが非常に複雑になるわけでございます。厚生年金の障害認定につきましては、社会保険庁本庁の業務二課におきます障害認定医というものが、本人から御提出をいただきました診断書、添付されたレントゲンフィルム等をもとに認定をいたすわけでございますが、この場合に、障害認定要領というものを庁が定めておりまして、具体的にはその基準に沿いまして業務二課において認定をいたします。
 国民年金でございますが、国民年金におきましては、これは各都道府県に置かれております障害認定医がやはり御本人から御提出をいただきました診断書、添付されたレントゲンフィルム等によりまして判断をしていくわけでございますが、これにつきましても、各県によりましてこういった認定に差があってはいけないわけでございますので、私どもの方から障害認定基準というものを示しまして、これによりまして認定をするようにいたしておるわけでございます。
#87
○下村泰君 そうしますと、精神薄弱とか精神障害、あるいは内部障害、こういう方たちの認定というのはどういうことになりますか。
#88
○政府委員(長尾立子君) 今申し上げましたこの場合は、御本人から添付された診断書というようなことになるかと思いますが、こういうものに基づきまして、この障害認定基準に基づきまして認定をさせていただいております。
#89
○下村泰君 ところで、先ほどの専門家会議報告書の中に、第三のところに、「現在の障害の評価・認定は、身体の生理学的・形態的評価を中心に行っているが、これを稼得能力と日常生活能力をより的確に反映する合理的な評価・認定の仕方に改める必要がある。」と、こういうふうに言われておるんですけれども、これに対してどういうふうにお考えか。どういうふうに対応なさいますか。ちょっとお聞かせください。
#90
○政府委員(長尾立子君) お答えを申し上げます。
 確かに法律で現在定まっております別表につきましては、沿革的なことを申し上げますと、四肢の欠損と申しますか、手足を機械で切断されたというような方を中心に考えていたというような沿革的なものがございます。その中で内部障害というものをその後設けてきたという経緯がございます。したがいまして、内部障害の方の認定または幾つかの生まれつきの障害が併合した形であらわれる方についての認定というものが、ほかの認定に比べてやや問題があるのではないかという御指摘ではなかろうかと思っておるわけでございます。
 今回の改正におきまして、障害者の年金は障害基礎年金という形で一本化されていくわけでございますので、これは私どもといたしましては、現在の国民年金の障害認定を中心にいたしまして、障害の認定基準、認定内容というものをここに統一的に持っていきたいと思っておるわけでございますが、ここで述べられました御方針、これは具体的には、例えば身体障害者福祉法の方では別表といいますか、認定におきまして改正が行われたというふうに聞いておるわけでございますが、私どももそういった方も参考にさせていただいて、今後の障害の認定というものを新しい制度の中で考えさせていただきたいと思っております。
#91
○下村泰君 今度の改正案は、政令で等級が決められるようになるわけですか。そこのところをちょっと聞かせてください。
#92
○政府委員(吉原健二君) そういうことでございます。
#93
○下村泰君 そうしますと、この報告書にあるように、先ほどの局長のお答えがあったように、この報告書にのっとればもっと拡大できるのではないかというふうにこちらは受け取れるんですけれども、いかがでしょうか。
#94
○政府委員(吉原健二君) 障害年金の対象となる障害等級表の統一ということを考えてやるわけでございますけれども、その場合には、基本は現在国民年金の障害等級表が日常生活能力の障害といいますか喪失、それを基準に決めている。それから厚生年金の方が労働能力の喪失なり支障というものを基準に障害の程度を決めているわけでございますが、それを国民年金に合わせまして、国民年金の考え方を基本にした一本の障害等級表にしようということでございまして、今この際に障害等級、障害年金の対象となる障害の範囲というものを広げるという考え方は持っておりません。
#95
○下村泰君 少なくとも今の状態からいくと、今一級、二級ですけれども、三級というところまで設けるお気持ちがあるかどうか。いかがでしょう。

#96
○政府委員(吉原健二君) 厚生年金につきましては三級障害という制度があるわけでございますけれども、基礎年金につきましては現在の一級、二級を基本に合理的な等級表というものを決めたい。国民年金基礎年金の中に三級障害というものを設けるという考え方は現時点では持っておりません。
#97
○下村泰君 これから先の問題ですよ。先の問題として、そういうことも考える余地はあるかどうか。いかがでしょう。
#98
○政府委員(吉原健二君) 将来の問題といたしましては、常に障害等級の範囲、あるいはその等級の決め方、そういったものが果たして合理的かどうか、現在のままでいいかどうか、それは将来の検討課題としてさらに検討を続けなければならないというふうに思っております。
#99
○下村泰君 実は、先ほども長尾さんがお答えくださいましたけれども、各県でばらつきのないように、一定の基準を設けて認定をするんだというふうにお答えいただいたんですが、当事者の障害者の皆さんにお会いすると、実は物すごくばらつきがあるんですね。例えば東京近県でまいりますと、東京を取り巻いているのは千葉があり、茨城があり、埼玉、群馬、山梨、神奈川、そして栃木も取り巻いております。そこらで認定されるのと東京で認定されるのとは違うんですね。向こうで三級だなんというと東京へ来れば二級、一級になるんですよ。そういうような認定方法にばらつきがある。そのために障害者にとっては、これは受給する場合にはえらい差が出てくるわけですね。こういうことが本来あってはいけないんですよね。もちろんそれは長尾さん自身もお答えになっていらっしゃいましょうけれども。
 それからもう一つ、私はいつも申し上げるんですけれども、現にここに見本がおりますから――いや失礼、どうも私は昔のくせが出ますからね、八代君とか八代英太なんて私は言いたくなるんですけれども、今前島先生ですから。例えばそういったハンディのぐあいによって稼得能力が十分にある人でも一級。そうかと思いますと、この間、私の部屋を訪れてくださった方が五級で脳性麻痺なんですね。私のあの会館の部屋はもう皆さん御存じでしょう、広さは。あの部屋から廊下へ出るまでに五分以上かかっておるんですよ、脳性麻痺ですから。これ、五級なんですね。十分に上半身が存続して、上半身十分に稼得能力のある人と、見た目には確かに指五本あり、足の指五本あり、五体そろっていますわな、形だけは。ところが、歩くとなったらこれ歩行困難で廊下へ出るまで五分。私ちゃんと時間はかっておったんですわ。五分かかるんですよ、廊下に出るまで。廊下へ出てからエレベーターまで行き、そのお体でエレベーターをおりて東京駅まで行き、東京駅から新幹線に乗って帰る。この人が五級なんですよ。
 ここなんです、私は皆様方に考えていただきたいのは。この人が五級で稼得能力がある人が、もちろんそれはいろいろとまた障害者の方々にとってはそれぞれの御言い分があると思います。けれども、こういうところに大きな差が出てきているということを、この認定方法というのはもう一回考え直して、もう一度もう少し精密に認定する方法があるんじゃないか。また、そういうところへ来ているんではないかというふうに考えるんですが、大臣、いかがでしょう。大臣もそういった施設を十分に御見学になっていらっしゃるようですから。
#100
○国務大臣(増岡博之君) 御質疑をお聞きいたしておりまして、いろいろの面で問題点があるようでございますけれども、また、それぞれ問題ごとに詳細に詰めを行うしっかりした勉強をする必要があるんではないかというふうにも考えておるわけでございます。その方々ができるだけ公平な処遇を受けますように、今後検討してまいりたいと思います。
#101
○下村泰君 ありがとうございます。
 厚生年金ではある程度稼得能力を配慮した等級となっておりますけれども、国民年金との統一を考えているようなんですけれども、具体的にその辺はどういうふうに統一なさるのか、お答え願いたいと思います。
#102
○政府委員(吉原健二君) 先ほども申し上げましたように、障害等級の統一に当たりましては、現在の国民年金の障害等級表を基本に統一を考えていくという考え方をとっているわけでございます。
#103
○下村泰君 次は、失権についてちょっと伺いたいんですけれども、障害が一時的に軽くなりますね。そうすると、この該当の等級でなくなっちゃうことがある。ところが、それをまたすぐに再発することもある。こういうことはどういうふうにお考えでしょうか。
#104
○政府委員(吉原健二君) 考え方から言いますと、今まで一定の障害の程度に該当することから障害年金を受けていた、ところが、その障害の程度がなくなった、病気が治癒をしたというようなことで障害の程度がなくなった場合にはそれで失権と、年金がもらえなくなるということになるわけでございます。
 その後また新たな障害が生じた場合には、その新たな障害が生じた時点で一定の要件を満たしているかどうかによってまた新たな障害年金が受けられるかどうかということが決まるわけでございますが、実際問題として、新たな障害か、あるいは従来の障害が一たん治ったのがまた悪化をしたのか、その点は必ずしもはっきりしないことがあろうかと思いますけれども、その点につきましては医師を中心にした専門家の認定なり判断によって適切に判定をしていくということにしているわけでございます。
#105
○下村泰君 今、三年という期限があるんですか。
#106
○政府委員(吉原健二君) 現在の制度でございますが、一度障害が軽くなりまして、三年経過をして失権者が同一の事由に基づきまして再び障害の状態になりました場合には、今の制度におきましては障害年金は支給されないことになっているわけでございます。
 これは、通常、障害等級に該当しない状態が三年も続きますと再び同じ障害状態に戻るというケースは極めてまれである、そういう考え方で、そういう扱いになっているわけでございます。
#107
○下村泰君 ところが、難病者には意外とあるんだそうですよ、こういうケースというのは。
 厚生年金の事後重症制度の五年という期限を撤廃したんですか。
#108
○政府委員(吉原健二君) 今回の改正案におきまして撤廃をしようとしているわけでございます。
#109
○下村泰君 ならば、ついでにこの三年というのも撤廃なさってはいかがですか。
#110
○政府委員(吉原健二君) その五年の期間の制限とこの失権の場合の三年というのは違いまして、あれは、五年以内の障害という期限を撤廃してできるだけ障害年金が受けられるようにしようということでございまして、この失権の場合の三年というのは、まあ三年にするのがいいか、一年がいいかあるいはさらに五年にするのがいいか、いろんな議論がございますけれども、三年も同じような障害のない状態が続けば再び同じ障害が再発をするということは通常考えられないという考え方でできているわけでございますので、障害年金の事後重症の五年の制限とは性質を異にするわけでございます。
#111
○下村泰君 将来撤廃するお気持ちはありませんか。
#112
○政府委員(吉原健二君) 現在の制度で差し支えないのではないかと、今のところ私どもはそう考えております。
#113
○下村泰君 以前、こういうことがあったんです。
 大阪の方の悪徳医者です。これはもうはっきり言って悪徳医者。この人はついに廃業になりましたよ、追い込まれて。この人の検査方法というのは物すごいんです。水虫を治療に行ったら脳検査をしたというんです。これは、覚えていらっしゃいますか、私いつか予算委員会でやったんですが、水虫を治療に行ったら脳の検査までしたと。これは医学上考えられるんですかと言ったら厚生省の方が、これは白癬菌ですから、これが血管の中に入って脳へ行くことも考えられる、ですからその医師の判断によってそういう検査をすることもあるでしょうと。ではちょっと伺いますが、常識的に皮膚科の医者はやりますかと言ったら、常識的には考えられませんと、こういうことを言いましたね。
 時々常識的には考えられない事故も出てくるわけですよね、話は非常に飛躍しますけれども。こういう常識的には考えられないことも起きるんですから、三年を撤廃する気はありませんかと私は言いたい。
#114
○政府委員(吉原健二君) 年金の場合には、ある程度事柄を、何といいますか、要件をかなり厳格に考えるかどうかは別にいたしまして、すべての場合に年金が出るようにというのはなかなか、ごくまれなケースを想定して年金が出るようにというのは実際問題として難しい場合がございまして、今回のこの障害の場合につきましても、常識的に、三年も同じ状態が続けば同じ障害が再発することはまずないという今までの経験則といいますか、あるいは専門家の判断といいますか、そういうものに基づいて一応三年という期限がつけられているわけでございますので、私どもとしては、まず大部分のケースの場合には、現在の制度で支障がないのではないかと、こう思っているわけでございます。
#115
○下村泰君 「桃栗三年柿八年」で、これは水かけ論で、いつまでいってもどうにもなりませんからこの辺にしておきましょう。
 併給問題でちょっと伺いますが、これは東京新聞に三月十二日の火曜日に出ていた記事なんですが、これは局長ももう多分おわかりのことと思いますけれども、「厚生年金などから障害年金を受給している者が、国民年金に任意加入すると、現行制度ではその期間に応じた年金も併給されることになっているが、新制度では全く出なくなるため「今まで掛けた保険料が掛け捨てになってしまう」」といって大変な悩みの声を上げていらっしゃる方がいるわけです。
 これに対して厚生省の方のお答えが出ていましたな。厚生省の見解は、「障害の程度が軽くなったり、内部性疾患なら治ったために失権(障害年金がもらえなくなる)する人が出てくる可能性があります。そういう人のために老齢年金を残しておく必要があったわけです。つまり、任意加入を認めたのは、二つの年金を支給するためではなく、無年金者を救うというのが基本的な考え方です。障害の状態がずっと続いた場合は”結果的に”二つの年金がもらえるということであって、それが目的ではなかったという点を理解していただきたい。”掛け捨てになる”というお気持ちはよくわかるのですが……」(年金同年金課)」と、こういうことになっています。
 そうすると、この人たちが、わずかな額ならよござんすが、これ、二年も三年も掛けていた人がいるわけですね。そうしますと、これは大変な額になっておるわけです。まさかお役所がやらずぶったくりということはないと思うんですがね。これどういうふうに措置なさいますか。
#116
○政府委員(吉原健二君) 私どもとしては大変つらい御質問でございますけれども、今度の年金改正におきましては、できるだけ本当に必要な人には手厚い給付をするという考え方に立ちまして、同じ人が違った制度から二つ以上の年金をもらうというケースはできるだけなくしていこう、その場合にはどちらか一つを選択をする。もちろん高い方を選択されるということになると思いますけれども、一つを選択をして、同一人が二つ以上の年金がもらえるような仕組みというのは、これはもう制度としてなくしていこうと、こういう基本的な考え方に立っているわけでございます。
 従来も一つの制度の中、厚生年金なら厚生年金の中でしたら、障害年金を受けながら働いていて老齢になった場合にもやはり保険料は月給の中から天引きをするような形で納めますけれども年金はどちらか選択と、こういうことになっていたわけでございます。今までは制度が違いますと制度が違うからという理由だけで今おっしゃいましたように任意加入の道が開かれている。任意加入すると厚生年金の障害年金とそれから国民年金の任意加入期間に基づく老齢年金というものが出る、こういうことになっていたわけでございますけれども、最初に申し上げましたような、何といいますか大変理屈っぽい考え方で恐縮でございますけれども、あくまでも給付をできるだけ重点的に必要なところに手厚いことをするために、そういった一人の人が二つ以上の年金をもらえるようなケースというものは御遠慮いただく、こういうことにしたわけでございます。
 今度の年金改正全体としては障害者に対する年金、大変充実改善をいたしておりますので、御質問のような方のケースにつきましては、お気持ちは十分よくわかりますけれども、何とか御理解をいただけないかなというふうに思っておるわけでございます。
#117
○下村泰君 御理解ができないから私は今聞いているんですがね。私自身の問題じゃないんです、これはね。神奈川県の難治性疾患団体連絡協議会事務局の榎本ひとみさんという方のお話なんですよ。加入した人たちは任意加入ですからね。ほとんどの人が役所の人に熱心に勧められてと。これは何回もこの委員会でも厚生省の皆さん方がお答えになっていたわけですね、これ。任意を徹底するためにはどうのこうのと。随分前にやったことありますよね、何年も前にもやったことありますわ。もう少し国民年金というものを徹底周知させる方法はないのかと、こういうパンフレットもつくりました、こういうふうにやっております、こういうふうに一生懸命徹底しておりますと。これお答えになったのは皆様方の方ですよ。皆様方のその意を酌み取って役所の出先の機関の人たちが一生懸命勧めて、勧められた方は、こういうものに対する知識の余りない人はそのままうのみにしますよ、だれでも。それが今度の改正になって打ち切りだって、それはあなた、中には目の不自由な方もいらっしゃいましょう、そういう方が一生懸命六年間も任意加入していて、三十万円以上掛けていて、それが今度の改正でおまえあきらめろって、それちょっと無理じゃないですかね、これ。あきらめろと言う方が無理じゃないですか。
 これは局長を幾ら責めてもしようがない。大臣どうしますか、こういうケース。これ何らかの救済方法をとらなかったら、随分いるでしょう、こういう人たち。一人や二人じゃないでしょう。知らぬ顔して横向くというわけにはいかぬでしょう、花札の鹿の十じゃないんですから。
#118
○国務大臣(増岡博之君) ただいま局長から御説明申し上げましたような建前から、まことにお気の毒だと思うわけでございます。しかし、御指摘の趣旨もわからないではございませんので、この法案成立後にでも何か手だてができる方法があるのかないのか、私今わかりませんけれども、研究をさしていただきたいと思います。
#119
○下村泰君 これはやっぱり、昔からよく言うじゃありませんか。例えばテレビの時代劇なんかでもよく言うでしょう。法というものは人間がつくったもの、その法の中に血道が通わなかったら法なんというものは生きてこないでしょう。また、生きた法とも言えないわけですよ。国を信頼をし、国に一生懸命納めて、それで法令が変わったからおまえらあきらめろって、これじゃあなた、国民がいないのと同じじゃないですか。これは私はぐあいが悪いと思う。やっぱり国民の方に向かって物を言えるような状態にしておかなければ、本当の行政でもなければ政治でもないというような気が私はするんですよ。
 ですから、あえてこの問題を取り上げて、何とかしてこういう方たちに御損をかけませんよというような形のものをつくらなければ、何らかの方法でつくらなければ、私は、この年金制度なんというものは形があったって中身がないということになりはせぬかというような気がするんです。あえてもう一度お答えをお願いします。
#120
○国務大臣(増岡博之君) 今後、よく検討をさせていただきたいと思います。
#121
○下村泰君 まだたくさんお聞きしたいことがありますけれども、まだ審議の時間はたくさんあると思いますので、次回に譲らしていただきます。
#122
○委員長(遠藤政夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時半まで休憩いたします。
   午後零時二十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十六分開会
#123
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#124
○和田静夫君 前回に引き続いて、国民年金の給付水準ですが、大臣、過去の推移をたどりますと、これまで国年と厚年の格差をそんなに拡大をさせないという方針できたわけです。福祉元年と言われた一九七三年、厚年、国年の水準それぞれ幾らですか。
#125
○政府委員(吉原健二君) 四十八年の厚生年金の標準年金の水準でございますが、五万二千二百四十二円でございます。国民年金の方でございますが、二十五年で二万円でございます。
#126
○和田静夫君 これは五万円年金ということで両制度の水準をあのとき合わせたんですね。老後の所得保障という考え方からするなら、両制度の給付水準をそろえていく、合わせていく、そういう考え方をとるべきです。その後、年を追うごとに厚年と国年の給付水準の格差は拡大をしてきたわけですね。国年加入者が試算面で有利だとこの間言われたんですが、それなら、七三年当時に同一水準にそろえたというそのことは誤っていたというふうに認識され直したわけですか。
#127
○政府委員(吉原健二君) 厚生年金と国民年金の水準をどう考えるか、その間のバランスというものをどういうふうにとっていくかということは、従来におきましてはできるだけ厚生年金の水準と、それから国民年金におきましては夫婦二人の水準をバランスのとれたものにする、実はこういう考え方で来ていたわけでございますが、今回の改正におきましては、必ずしもそういうことではございませんで、厚生年金につきましては従来と同様直近の男子の平均賃金の六〇%以上という考え方をとっておりますが、国民年金につきましては、国民年金の適用対象者の生活実態といいますか、そういったものを勘案をいたしまして、厚生年金とは必ずしも同じようなレベルといいますか、バランスということに、従来の考え方でのバランスをとる必要はないということで改正をしてきたわけでございます。
#128
○和田静夫君 今の考え方もちょっと了とできませんがね。
 自営業者にはむしろ退職金などといったまとまった収入はないわけでしょう。国民年金加入者、すなわち自営業に携わっている場合の方が体力の衰えとともに大変なのかもしれません。多くの国民年金加入者というのは、今提案されているところの年金改革案が示されるまでは現行制度のまま推移するということで、五年後、十年後、二十年後の老後の生活設計を立ててきたわけですよ。現行制度のまま夫婦二人四十年加入したとすればその年金額は幾らになりますか。
#129
○政府委員(吉原健二君) 現行の国民年金制度ですと、四十年加入の場合年金額が七万八千六百円でございますので、夫婦の場合にはその倍ということになります。
#130
○和田静夫君 それが一人五万円、夫婦が十万円になるということでは、三分の一以上削られるということになるでしょう、今の答弁からいって。全く今日まで加入者をだましてきたということになるわけですよ。もちろん経過規定を置いて年齢によって四十年加入しなくても五万円になることは知っておりますよ。今日まで五万円支給の人がまだ出ていないことをいいことにして、五万円を超える加入期間にいわゆる達する者が生ずる寸前にこういう改正をするというのでは、多くの国民はだまされたといった感じを持つのは当たり前じゃありませんか。
 大臣、これどうですか、常識的に。
#131
○国務大臣(増岡博之君) 私どもはこれから迎えます本格的な高齢化社会に耐え得るように、数十年先の将来に向けての適正な水準を考えて策定したわけでございます。
#132
○和田静夫君 答弁になっていませんがね。
 厚生年金のモデルは、現行と改革案ではどういうふうに変わりますか。その引き下げ率はどの程度となるんですか。これにももちろん問題はあるのですが、国民年金だけの加入者、いわゆる五万円あるいは夫婦十万円だけになるものとの比較で、国民年金の給付水準の低下は妥当だと考えていらっしゃいますか。給付水準からだけ言えば全く不合理です。今まで国民年金加入者と厚生年金加入者との性格の相違と言ってこられているわけですが、国民年金加入者にも多くの雇用者がいることは御存じのとおりであります。これで世代間あるいは世代内の平等、公平などと言えるか。したがって、こういうような水準を基礎年金とするのであったならば、理論的必然として国民年金についても二階建て構想が出てきてもおかしくない、私はそう思いますが、いかがですか。
#133
○政府委員(吉原健二君) 今回の改正案の基本的な考え方は、今大臣から申し上げましたように、現行制度のままでいきますと、今後の年金受給者、高齢者の増加に伴って年金給付費というものが大変な額にふえていく、その給付の総額といいますか、それをできるだけ抑制をして年金制度として安定的に将来も機能できるようにしていく。同時に、その年金給付費を賄う現役の勤労者の方々の負担の適正化を図る、こういったことがねらいであるわけでございます。そういったことから、今御指摘がございましたけれども、将来に向けて給付水準というものを、現行制度の場合に比べますと確かに下がるといいますか、適正化ということになるわけでございますけれども、それはあくまで今後二十年、三十年、さらに今後永続的に制度というものを有効に機能させていくための改正でございます。
 御質問の、厚生年金、国民年金、いずれも現行の現在の受給者の受けておられる給付水準は維持しながら、徐々に経過措置を設けまして給付水準の適正化を図るということにしているわけでございますけれども、厚生年金と国民年金の給付水準の適正化、私どもは今の受給者の水準というものを維持するという前提に立つ場合におきましては、やはり今御審議をお願いしております改革案というものがバランスのとれている姿になっているのではないか、これ以外にやむを得ないのではないかという考え方を持っているわけでございます。
 それから、国民年金の二階建ての問題につきましては、先ほど来の御審議にお答え申し上げておりますけれども、私どもとしても、将来の検討課題として今後取り組んでまいりたいというふうに思っております。
#134
○和田静夫君 政府は、給付水準のことを言いますと、今のように直ちに負担のことを口にされます。それはある意味で私は当然だと思っていますが、世界広しといえども定額保険料、加入期間比例の定額給付、そういった制度をとっている国は一体あるのだろうか。これで社会保障の所得再配分の機能が果たせていると本当にお考えになっているのだろうかというのは大変疑問であります。したがって、今前向きに検討されると言われたのでありますから、国民年金にも二階建てをもう設けるべきであります。
 これ、私は提案をいたしまして委員長にお預けをいたしますので、ぜひ理事会で御協議願いたい。よろしいでしょうか。
 国庫負担ですが、厚生省、政府案による西暦二〇五〇年までの国庫負担額を五年ごとにお示しください。同時に、現行法による国庫負担を幾らと同じような形で見込んでおられますか。
#135
○説明員(田村正雄君) 国庫負担の推計は大変難しいのでございますけれども、ごく粗い推計でございますけれども、申し上げます。
 まず、現行法でございますけれども、一九八六年二兆七千億円、一九九〇年三兆四千億円、一九九五年四兆四千億円、二〇〇〇年五兆五千億円、二〇〇五年六兆五千億円、二〇一〇年が七兆五千億円、二〇一五年が八兆一千億円、二〇二〇年が八兆二千億円、二〇二五年が八兆三千億円、二〇三〇年が八兆二千億円、二〇三五年が八兆円ちょうど、それから二〇四〇年が七兆七千億円、二〇四五年が七兆六千億円、最後になりますけれども二〇五〇年が七兆三千億円、こういうことでございます。
 これに対しまして改正案ではどうなるかということでございますけれども、改正案の方は、大変推計が難しいのでございますけれども、先ほど申しましたようにごく粗い推計でございますけれども、いたしますと、一八八六年、改正直後でございますけれども、現行法と同じ二兆七千億円でございます。そして五年後の一九九〇年には三兆三千億円、一九九五年には四兆一千億円、二〇〇〇年になりますと四兆七千億円、この辺から少しずつ現行法と差が出てまいりますけれども、二〇〇五年になりますと五兆二千億円、二〇一〇年には五兆七千億円、二〇一五年には五兆八千億円、二〇二〇年には五兆七千億円、二〇二五年には五兆六千億円、二〇三〇年には五兆一千億円、二〇三五年には四兆七千億円、二〇四〇年には四兆四千億円、二〇四五年には四兆三千億円、そして最後となりますけれども、二〇五〇年には四兆二千億と、こういうようなことに相なるかと思います。
#136
○和田静夫君 今おっしゃった国庫負担は、改正案による年金特会の収支試算に含まれる国庫負担と一致いたしましょうか。
#137
○説明員(田村正雄君) 財政見通しが私どもから出ておりますけれども、あの数理計算の時点では最終的な国庫負担のあり方はまだ決まっておりませんでしたので、細かい点では少し違っております。
#138
○和田静夫君 違っていますよね。そこのところが非常に頭をひねらなきゃならなかったところですが、そこでこれは資料の要求をしておきますが、ここで答弁求めても無理でしょうから。厚生のケースの五、それから利回り七、六十歳ですね、の場合の五年ごとの保険料収入、平均標準報酬、運用益収入を要求したいんですが、私あと二時間ぐらい持ち時間を残しますから。よろしいですか。――出ますね、これは。
#139
○説明員(田村正雄君) 用意さしていただきます。
#140
○和田静夫君 そこで、先日、大臣の御答弁では、一九九五年度の国庫負担を確保すると約束された。そして九五年度の国庫負担は八四年度の価格で四兆七百億円。これを仮に年率三%で引き直してみたんです。そうすると、一九九五年度の名目国庫負担は五兆四千七百億円。この金額を賄う税収がそのまま確保されたとする。その税収の伸びはGNP成長率六%から五%として、税収の弾性値を一・一、これは大蔵の財政展望から引いた一・一。そうすると、西暦二〇二五年度には二十八兆七千百二十億円になる。厚生省試算では、二五年度の名目国庫負担というのは十六兆六千七百十億円で、十二兆円余の余裕財源が生ずる。GNP成長率は高齢化社会を勘案して低減していくと想定しても、厚生省試算の国庫負担よりもはるかに高い税収を見込むことができると私ははじいた。さらに、所得税に財源を求めてみましたが、所得税の弾性値というのは高い、これは一・三。これはしかし過去五年の最低限。そうすると、二〇二五年の余裕財源は二十一兆七千五百八十億円にもなるわけです。
 先日局長は、税収はGNP程度しか伸びないというふうに私におっしゃった。その見通しはこれは誤りですよ。なぜならば、税収は直接税中心主義でありますから、GNPよりも高いというのはこれは税理論の常識ですよ。税収の伸びを国庫負担に回すだけで厚生省試算よりもはるかに高い国庫負担が可能となる。
 大臣、私のこの試算に対して何かコメントがありますか。
#141
○国務大臣(増岡博之君) ただいま御説明申し上げた数字もかなりラフな数字であり、予測が必ずしも正確とは言えないと思いますけれども、と同時に税収の方もやっぱりいろいろなことが言われておりますし、これからの成長率その他でありますが、基本的には、先生御指摘のように弾性値を幾らに見るかということは非常に難しゅうございますけれども、成長とそのまま横ばいということはあり得ないかと思います。
#142
○和田静夫君 この税の弾性値問題というのは私は予算委員会でやってきたばかりでありますし、同僚の安恒委員もいますが、二人で税収問題をずっとやったんで、ここのところは中曽根総理以下大蔵大臣もちゃんと確認をしていることですから、この数字は動かないんです。
 そこで厚生省、一九九五年度の税収をそのまま税収の伸びに合わせました。そして確保してみた。そうすると、保険料率はおたくの試算より低くなるということになりました。それで、再計算を示してもらいたいと思うんです。これも、ここでやれと言ったらまた何か意識的にこの委員会をとめるということになるといけませんから、これは出してください。あるいは、これだけの国庫負担を確保すれば基礎年金給付も高くなる、これは私の考え方です。そういう再計算を要求をしておきますが、要求にこたえられますか。
#143
○政府委員(吉原健二君) 結果が御指摘のような姿になるかどうかわかりませんが、御指示に従って試算をさしていただきたいと思います。
#144
○和田静夫君 次に、この前の最初の質問に戻るんですが、賃金スライドです。大臣、まあ局長でもいいんですが、先日の私の想定、標準報酬上昇率年率六%、物価上昇率二・四七%、これでいきますと、財政再計算直前時点では年金額の標準報酬に対する比率は、年金局作成のパンフにあるように六九%となるのではなくて、六〇・六%まで落ち込んでしまう。ことは確認できますね。
#145
○説明員(田村正雄君) そのとおりでございます。再計算直前の時点で申し上げますと六〇・六、そのとおりでございます。
#146
○和田静夫君 それからもう一つ。おたく作成のパンフのように六九%を維持するためには、年々標準報酬上昇率と同率の年金額自動改定が必要である、この点も確認できますね。
#147
○政府委員(吉原健二君) 毎年毎年の給付水準というもので六九%を維持するためには、おっしゃるように、毎年その賃金に見合った改定というのが必要になってくるわけでございますが、この改正案においては、五年ごとの再計算のときに賃金水準に見合った見直しを行うと、その間の毎年の取り扱いにつきましては前年度の物価上昇率にスライドをする、そういう考え方をとっているわけでございます。
#148
○和田静夫君 前段私のを認められたからそれでいいんです。後の方は、ちょっとこれ、往復でございますので、時間の関係がありますから、端的な答弁で結構です。
 年金局長は先日私に、財政再計算時に標準報酬にスライドさせる根拠、これは厚年法の二条の二に求められている。しかし二条の二は、「国民の生活水準その他」とあるだけで、賃金にスライドさせるとはどこにも書いていないわけです。そこに私はかなりこだわった。二条の二はあくまでも努力義務規定にすぎません。賃金にスライドさせるというのは行政裁量でおやりになっていることである。そこで、財政再計算時は賃金スライドさせる根拠というのは厚年法にないわけですから、厚年法の体系から物価スライドは出てくる。この解釈というのはそれでいいわけですかな。
#149
○政府委員(吉原健二君) 厚年法の解釈、全体を総合的に解釈いたしますと、先ほど申し上げましたように、五年ごとに財政の再計算が行われるわけでございますから、そのときに保険料も見直し、同時にこの二条の二による生活水準の変動に見合った給付水準の改定を行うと、こういうことになっているわけですから、私ども実質的には賃金に見合った賃金スライド的な見直しをやってきたわけでございます。法律的にはその間の毎年の取り扱いにつきましては、先ほどの繰り返しになりますけれども、消費者物価にスライドをする、こういうことになっているわけでございます。
#150
○和田静夫君 国民の生活水準をあらわす指標というのは、これは賃金上昇率だけではないわけです。おたくのスライドは、先日も言われましたが、所定内賃金にしかスライドさせていないわけです。国民の生活水準をあらわす指標というのは、労働省の毎勤統計の現金給与総額もその一つです。あるいは総務庁の家計調査の勤め先収入もそうです。あるいは八三年度には年金額は現金給与総額のわずか三八%、勤め先収入の二九%、つまり実質的な収入の三割しかないんですよ、これは。これはもう総理府統計と合わしてみたってそうなる。大臣、国民の生活水準の三割なんですよ、三割。これで二条の二の趣旨が生かされているというふうにはどんなに抗弁をされてもなりません。割り増し賃金も一時金も生活給的性格を強めているわけであります。その証拠に家計調査の消費支出は、決まって支給する現金給与を上回っているわけであります。
 したがって私は、国民生活水準に応じた改定というのであったならば、割り増し賃金と一時金を含めた賃金水準を指標とすべきであると考えます。百歩譲っても、教育費を除いた消費支出を指標とすべきであります。これは一番合理的だと思うんですが、いかがお考えになりますか。
#151
○政府委員(吉原健二君) 年金の給付水準の考え方は、平たく言いますと、勤労者の平均賃金を基準にしてその六〇%以上ということでこれまでやってきたわけでございますけれども、実際には平均標準報酬という、これもう和田先生御案内のそういった賃金を平均標準報酬に換算をして、それでもって年金額の計算をする、こういうことになっているわけでございます。
 そこで、厚生年金の年金額の改定の考え方でございますけれども、確かに生活水準その他の諸事情というのは非常に広い概念でございまして、むしろ今御指摘の、決まって支給する現金給与でありますとか、現金給与総額でありますとか、勤め先収入、それから、あるいは家計における消費支出の額、そういったものをむしろ全部包括した概念というふうに私どもは理解をしているわけでございまして、単に賃金というよりか非常に広い概念、そういった広い概念をもとにして年金の給付水準というものを見直していく、こういうふうに考えているわけでございます。
#152
○和田静夫君 そう言われるのなら、年金局長、二条の二の「国民の生活水準その他」、この「その他」というのは一体何ですか。
#153
○政府委員(吉原健二君) 生活水準といいますと賃金水準、それから家計の生活費の水準、消費支出の水準、そういったものもあると思いますし、それから物価の変動、恐らく「その他の諸事情」の中には、物価の変動等も私は入ってくるというふうに考えております。
#154
○和田静夫君 いずれにしましても、厚年法あるいは政府案には賃金スライドの明文規定はありませんね。厚年法体系では物価のみが明文規定なわけです。これはきちんと確認しておいていただきたいところですがね。
#155
○政府委員(吉原健二君) 賃金スライドについての明文の規定はございません。
#156
○和田静夫君 国公、地公の両共済の答申もきのう出ているわけですけれども、御存じのとおり私たちは長い年月かけて国家公務員等の給与、あるいは地方公務員給与という明文を共済規定の中に、法の中に盛り込んできた経過があるわけです。これが将来の統合問題等の中で消えていくということが予想されることを許すわけにはいかぬわけであります。まあ答弁されている局長を除くすべてのそこに座っている国家公務員の皆さんだって、私の言っていることに期待をしているはずであります。あなたも、あるいは腹の中では期待しているかもしれない。
 したがって私は、国民生活水準に従って改定するのなら、年々の改定は賃金にスライドさせる、財政再計算時には、割り増し賃金、一時金、そして消費支出を勘案した国民生活水準指標を算出して、それにスライドさせる。これを私はやっぱり法律に明記させるべきだ、そういうふうに思いますが、いかがですか。
#157
○政府委員(吉原健二君) 年々の年金の給付水準を一体何にスライドさせるか。賃金をとるか、物価をとるか。確かにおっしゃるように賃金をとるという考え方もあるわけでございます。今度の改正案の御審議に当たりましても、社会保険審議会でいろいろ御議論があったわけでございますけれども、最終的には、やはり従来どおり年々の給付水準の改定は物価でいったらどうだろうという結論になったわけでございます。
 今度の年金改正は、厚生年金、被用者を対象とした年金だけではございませんで、国民年金という一般の自営業者等を対象にした基礎年金も含まれておりますので、そういった基礎年金の水準を考える場合に果たして賃金スライド的な考え方でいいのかどうか、むしろ物価にスライドという方がなじみやすいのではないか、そういう御議論もあったと聞いております。そういったことで、年々の年金水準の改定は従来どおり物価でいく、五年ごとの全体的な平均水準の、年金水準の基本的な見直しに当たっては、賃金その他の生活水準の諸指標、それを総合的に勘案して見直しをする、こういうことにしているわけでございます。
#158
○和田静夫君 物価スライドを私は何も否定をしていませんから、一方に偏ったことを言っているつもりはないのでありまして、それじゃ例えば今答弁をされたことを法律の中に明記をされるということになりませんか。
#159
○政府委員(吉原健二君) 今申し上げましたことは、現在の法律の規定の中で従来から運用してきておりますので、今の規定で十分今後とも対応できるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
#160
○和田静夫君 そういうふうに、私が言ったことのように運用されていない。すなわち、あなた方は所定内賃金でのみ運用してきている、五年のときにも。そこのところが非常に問題なわけでありますから、ここのところはやっぱり明文化をしないからそういうことになるわけですからね。
#161
○政府委員(吉原健二君) 賃金といいます場合にも、そういった、今御指摘の一時金等を含めるか含めないか、それから一体どの程度の規模の企業の給与なり賃金を指標にするのか、非常にいろいろ難しい議論があるわけでございます。そういったこともございますので、特に賃金をさらにどういうふうに限定をするか、もっとはっきりさせたものにするかにつきましてはいろんな御議論がある、そういったことを踏まえまして、むしろ一般的な賃金水準、さらにそれより広い概念で生活水準という考え方を現行制度ではとっているんだろうと思っております。
#162
○和田静夫君 まあ同僚議員が後を詰めますが、これは委員長、この前のときに預けてありますから、今の意見を含んで御検討願いたいと思います。
 それから、基礎年金給付費の見通しについて、これは再質問でありますが、厚生省、無年金者の現状をこの間答弁なかったんですが、過去五年間で何人、それから西暦二〇〇〇年以降の無年金者を出してください。
#163
○政府委員(吉原健二君) 前回も申し上げましたとおり、無年金者の推計は大変難しいわけでございますけれども、厚生省がやっております厚生行政基礎調査におきまして、六十五歳以上の人口の中で年金を受けていない者の割合という調査をいたしております。それをもとにして推計をいたしますと、過去五年を申し上げますと、昭和五十五年、六十五歳以上人口に対しまして、割合で言いますと八・八%、人数で申し上げますと九十四万人でございます。五十六年は八・一%、八十九万人。五十七年は七・九%、九十万人。五十八年は七・四%、八十六万人。五十九年は七・七%、九十二万人。こういうことでございます。
#164
○和田静夫君 将来はどうですか。
#165
○政府委員(吉原健二君) 将来でございますが、今申し上げました率というものが将来どういうふうに推移していくかということで大変違ってくるわけでございますけれども、私どもといたしましては、これから制度的にも無年金者が出ないような配慮、措置をこの制度の中でとっておりますし、これから行政努力で保険料の納付について国民の方々に御理解を得ながら進めていきたい、こういう考え方をとっておりますので、将来の無年金者の推計、全くゼロにするか、あるいはそれに近い数字にするか、努力はいたしますけれどもなかなか難しいと考えておりまして、非常に大ざっぱな見当でございますけれども、せいぜい五%ないし六%、六十五歳以上の人口に対しまして五%ないし六%の無年金者ということではないかというふうに推計をするわけでございます。人数で申し上げますと、昭和八十年におきましては百十万人から百三十万人、九十年におきましては百四十万人から百六十万人、百年におきましては百四十万人から百六十万人ぐらいではないかと推計をいたします。
#166
○和田静夫君 大臣ね、私は今の数字で考えるんですが、なぜ成熟時点でもこれほどの無年金者が出るのだろうか。それは、局長がおっしゃるように、拠出制の欠陥から生ずるんだと私は思うんです。したがって、無年金者をゼロとするためには賦課方式で、そしてミニマム保障をする必要がどうしても生じてくる。そういう理屈になるわけなので、これはお互い政治家の問題ですから、大臣、ことのところはひとつやっぱりそういう見通しを立てながら直していくことが必要じゃないですか。
#167
○国務大臣(増岡博之君) 現在保険制度をとっておりますので、保険料を納めていただけなかった方々に対しましての対策が、一人残らず行われるということはなかなか難しかろうと思うわけでございます。
 しかし、年金に対する認識その他の不足によってそういう事態が出ておるといたしましたならば、これは行政努力によって修正しなければならないと思っております。
#168
○和田静夫君 局長、私の質問に対してどうですか。
#169
○政府委員(吉原健二君) 私ども、率直に言いまして将来とも無年金者をゼロにするということはなかなか難しいというふうに思っているわけでございます。
 それはなぜかといいますと、厚生年金の適用対象のように強制加入の形にいたしますと、保険料も自動的に納める形になる、強制徴収という形で天引きされるということで、必ず年金に結びつく、つまり、厚生年金の適用対象者につきましては一〇〇%年金を受けるということになるわけでございますけれども、問題はやはり国民年金でございまして、国民年金のように、強制適用という建前はとっておりますけれども実際にはみずから進んで保険料を納めてもらわないと年金に結びつかない、こういう制度上の仕組みになっているわけでございます。また、適用対象も厚生年金の適用を受けていない、まあいわば所得のない人、納められない人、いろんな多種多様な人を全部ひっくるめて年金の対象にしているわけでございますから、行政努力はいたしましてもなかなか、全部全員の方が一人残らず年金を受けられるような結果にするということは、言うべくしてなかなか難しいんじゃないかと思います。そういったことで、これから努力はいたしますけれども、どうしても若干の無年金の方は残ると考えざるを得ないと思います。
 ただ、だからといって、社会保険方式ではだめなんだ、これを一律ほかの方式、例えば六十五歳になればだれでも年金がもらえるような、税金で年金がもらえるような仕組みにすることが果たしていいかどうか。また、そういったことが財政的にも成り立つかどうかということになりますと、今の時点では大変難しいんではないかというふうに思っております。
#170
○和田静夫君 ところで、先日数理課長が私に答弁されまして、西暦二〇二五年には受給者は国年で六百十七万人と言われました。厚年で千七百八十万人、合計二千三百九十七万人ということになりますね。無年金者は百四十万から百六十万が今局長の答弁ですから、そうしますと共済グループが百五十万から百七十万人となるんですが、それでいいでしょうかね。
#171
○説明員(田村正雄君) 先日申し上げました数字の中には、共済の方の受給者も含まれております。
#172
○和田静夫君 共済も含まれている――そんなことないでしょう。
#173
○説明員(田村正雄君) 基礎年金は、厚生年金、国民年金、共済組合、全体を通じた給付でございますから、共済の方も自動的に入ってくる、こういうことでございます。
#174
○和田静夫君 ちょっと私は先日の答弁がどうしてもわからないんですが、一号被保険者で満額受給する者は四百六十三万人ですね。この人々は年額六十万円を受給する。そうすると、受給総額イコール拠出金は二兆七千七百八十億円ですね。二、三号の方は千七百八十万人でしょう。これに六十万円掛けてみたが拠出金総額は十兆六千八百億円でしょう。これを厚生省資料の基礎年金給付費の見通しと突き合わせますと、実はつじつまが合わないんですよ。二号、三号の方は厚生省見通しでは九兆八百五十九億円にしかならぬ。一号の方は厚生省見通しとの差が六百七十七億円しかない。この六百七十七億円は満額以下の受給者の拠出分ですから、このうち三分の一は国庫負担でしょう。正味の拠出分は約四百五十億円。私の計算式によれば、この人々の平均納付済み年数というのはわずか二年にしかならないんですね。こういう想定というのは全く非現実的だと思っているんですが、これ、ちょっと完璧に理解できるように解明してみてくださいよ。
#175
○説明員(田村正雄君) 先生の数字を詳しく検証させていただきたいと思いますけれども、まず、基礎年金の給付の成り立ちをちょっとお話し申し上げますと、基礎年金給付費総額といいますのが出ていると思いますけれども、その中には、共済組合、厚生年金、国民年金全体を通じた基礎年金分の給付費が含まれております。それにプラス現在の障害福祉年金の給付費も含まれております。その中から拠出金の対象になりますものは現在の障害福祉年金の四〇%分、それから免除期間に相当する給付費、それから現在国民年金の経過年金と申しましょうか、経過年金のかさ上げ分の国庫負担、そういうものを除きましたものが拠出金の算定対象額になっております。
 先生お持ちの数字で申し上げますと、例えば二〇二五年のところの数字で十四兆二千三百九十三億という数字をお持ちかと思いますけれども、その数字の中、それが実際に各制度から拠出していただく拠出金の総額でございます。そのうち国民年金の負担分が二兆八千四百五十七億、それから厚生年金の本人の負担分が六兆四千百二十億、それから厚生年金の被扶養配偶者の分が二兆六千七百三十九億ということになっておりまして、この三つを合計いたしましても実は十四兆二千三百九十三億にならないわけでございますね。これは先生検証なさったと思いますけれども、それは一体何か、こういうことでございます。それは実は共済組合の方の本人の拠出額とそれから共済組合の被扶養配偶者の分の拠出金、こういうことになっておるわけでございます。
 そういうことでございますから、先生お話しのようなことになるかどうか、今の時点でちょっとチェックはできませんからまた後ほどお伺いさせていただきたいと思いますけれども、そういう要素があるということを御理解いただきたいと思います。
#176
○和田静夫君 今、私一つ聞きたいのは、平均納付済み年数というのは大体どのぐらいになるんですか。それも後ですか。
#177
○説明員(田村正雄君) 後でちょっと説明させていただきます。
#178
○和田静夫君 実は、ことがはっきりしないと給付費から拠出金額かつかめないんですね。
#179
○説明員(田村正雄君) 先ほど申しましたように、基礎年金給付費総額、例えば二〇二五年では十四兆六千三十四億という数字がございますが、その中から拠出金でいただく分というか、拠出金で各制度から拠出していただくのが十四兆二千三百九十三億、こうなっておりますけれども、それを分解いたしますと、各制度の持ち分になるわけでございます。それを、先ほど申しましたけれども、共済の分をちょっと手元にございますので申し上げたいと思いますけれども、ここにございます例えば二〇二五年で申し上げますと、今の時点のところでございますけれども、共済組合の本人負担分が一兆五千九百六十一億でございます。被扶養配偶者の分が七千百十六億、合計いたしまして二兆三千七十七億が共済組合からの拠出金、こういうことになっておるわけでございます。
#180
○和田静夫君 私のあれに答弁をされない――それじゃ、あと少しやって、若干時間を残させてもらいましょう、今のところ出てきませんから。ちょっとここのところ飛びます。それで、ここのところを後で突き合わせてからもう一遍再質問をいたします。
 経過措置についてですが、午前中もありましたし、それからこの後対馬委員が詰められますが、興味のあるものだけちょっと聞いておきたいんですが、船員ですが、経過措置が大変厳しい。標準報酬月額二十五万で計算しますと、改正直前と直後とでは、五十五歳で年四十四万円の受給格差が出ますね。これでは格差の出過ぎです。なだらかな経過措置が必要と思われますが、いかが考えますか。
#181
○政府委員(吉原健二君) 船員あるいは第三種被保険者、坑内夫の方の年金額の計算の上での乗率の決め方でございますけれども、御案内のように、一般の被保険者につきましては六十歳から年齢を二十年掛けまして徐々に乗率を下げていく、低くしていくという考え方をとっているわけでございます。坑内員の方あるいは船員の方につきましても、同じ年齢につきましては同じ乗率にするということにしておりますので、今御指摘のような例につきましては、五十四歳の方でやめた方とやめない方、かなりの差が出ることは事実でございます。
 これはなぜそういうことになったかといいますと、けさほど来の御議論にもございますように、実は船員や坑内夫の方の支給開始年齢をどうするか、現在の五十五歳をそのままにしておくかあるいは一般の被保険者と同じ扱いにするかということがいろいろ議論になりまして、年齢につきましては現行の五十五歳のままにしておこうじゃないかということにした結果、この乗率の扱いが年齢によって第三種や船員の方については、六十歳から五十五歳、その間は一般の被保険者と合わせた格好になるものですから、結果的に非常に差が出てしまった、こういうことになったわけでございます。その部分だけを言われますと大変その差が大きいことも事実でございますけれども、もしこれを是正しようとしますと、またその第三種の坑内員の方やあるいは船員の方につきまして別に年齢別の新たな乗率をつくらなければならないというようなことにもなるわけでございまして、その段階とかあるいは差という点だけからはいろいろ御議論があるかと思いますけれども、そういったことでこういった結果になっている、支給開始年齢を五十五歳にしたことに伴う段階であり差であるというふうに私どもは御理解をいただけないかというふうに思っているわけでございます。
#182
○和田静夫君 詰めは後ほど対馬委員がやられますから、入り口だけ私やっておきますが、私は、少なくとも共済年金並みの取り扱いをとるべきだと実は考えているんです、これ。その点が一つであります。
 それから、保険料率触れられましたが、この引き上げについても、これは船員に限らず、坑内員、女子についても同様ですが、厳し過ぎます。これはもう再考されるのがしかるべきだ、そういうふうに考えます。これも後ほど論議がありますから、私の時間がなくなってきましたから、私の意見を述べておきます。
 そこで、これの最も前提になるもので財政統合についてですが、船員保険の昭和五十九年度時点における未積立債務、それから平準の保険料率、積立金比率、これ出せますか。
#183
○説明員(田村正雄君) 先生御指摘の数字、全部はちょっと手元にございませんけれども、積立比率を申し上げますと、昭和五十八年度末で船員保険は三・九八、こういうことになっております。
#184
○和田静夫君 あとの二つについては後で出ますか。
#185
○説明員(田村正雄君) 未積立債務というのはちょっと私どもつかんでおりません。
#186
○和田静夫君 つかんでいない。
#187
○説明員(田村正雄君) はい。それはこういうことだと思います。未積立債務という概念は企業年金での概念だと思うんでございます。それで、厚生年金あるいは船員保険ではそういうものを特別に区別しないで平準保険料を出す、こういうような考え方を今までとってきているのだと思います。そういうことでございますので、未積立債務ということで債務を二つに分けまして、積み立てられている分、積み立てられていない分、こういうふうに分けるということは従来からやっておりませんので、それはちょっとわからないのではないかと思います。
#188
○和田静夫君 国民年金の方は、今言ったやつは出ますか。
#189
○説明員(田村正雄君) 国民年金についても、厚生年金と同様でございますから、未積立債務というような概念はございません。ただ、積立比率というようなものはございます。例えば、昭和五十八年度末でございますと一・六三、こういうことになってございます。
#190
○和田静夫君 平準保険料率は後から出してもらう、ここのところ若干時間残しておきますから。
 厚生大臣、ちょっと思いついたのですが、筑波の中毒一一〇番が廃止の憂き目に遭っているわけですね。これは七億円以上の医療費の削減というメリットを持っているわけで、厚生省としてもぜひ存続に力を注ぐべきだと思うんですが、どう考えていますか。
#191
○国務大臣(増岡博之君) お尋ねの件につきましては、私十分承知いたしておりませんので、至急調査をいたしまして検討いたしたいと思います。
#192
○和田静夫君 厚生大臣、これ、ぜひ存続させるべきだと思うんですね。意見を述べておきますので後ほど返事をもらえばいいです。
 単身者加給ですが、基礎年金で夫婦が十万円、単身者が五万円、落差が非常に大きい。一人五万円という水準も最高額ですから、最悪の場合は単身者で三万円程度しか受給できないというケースが続出する可能性が強い。そこで一つの提案なんですが、単身者の加給制度をつくるべきじゃないか。夫婦で十万円だから単身者は半分でよいという理屈は立たぬ。例えば、家賃というのは夫婦二人であろうが単身者であろうがそんなに違わないわけです。食料品でも単身者だから二分の一でよいということにはならない。つまり、単身者の場合、支出が夫婦二人の二分の一でよいという理屈は成り立たないわけです。
 そこで、まず大蔵省にお尋ねしますが、生保の連生年金で夫婦二人が生存している場合十万円のニーズが生じて、そして夫婦のいずれか一方のみが生存している場合には七万円のニーズが生じるというわけですが、額の水準はともかくといたしまして、単身者が夫婦二人の二分の一ではなくそれ以上のニーズがあると考えた方が合理的だということでしょうね、これは。
#193
○説明員(龍宝惟男君) 御説明いたします。
 私ども保険審議会の生命保険部会というのを昨年の九月から開催をいたしておりまして、高齢化社会の到来に備えて生保事業はどうあるべきかということを御審議をいただいております。その一環といたしまして、先生御指摘のありましたように、今後の個人年金を検討する場合に、個人ごとではなくて夫婦ごとの年金、いわゆる連生年金というものを一つの検討材料としたわけでございます。ただ個人年金は、御承知のように公的な年金制度が提供する全国民に共通的な、あるいは基礎的な年金保障を超えるニーズでございますから、所得の状況であるとか世帯の状況によって大分いろいろとニーズが違ってくる。したがいまして、標準的な個人年金の額を想定することは非常に難しい性格でございます。ただ、保険審議会の審議の参考に供するために、あくまでもその一つの仮定といたしまして、夫婦で十万円の個人年金のニーズがある、単身の場合には七万円の個人年金のニーズがあるという場合の試算をいたしたわけでございます。
 そこで、お尋ねの十万、七万というその数字でございますけれども、実は今二つの保険会社が、夫婦の場合には一〇〇%で、片方が亡くなりまして単身になった場合には夫婦の場合の五割あるいは六割という商品を、既に二商品提供をいたしております。したがいまして、個別の商品を個々の会社の名前をつけて保険審議会の参考に出すということは非常にまずいということでございまして、五割と七割というのは既に商品としてございますので、その上の七割をとって十万、七万のケースを中立的なケースとして審議会の場に提供をした、こういうことでございます。
#194
○和田静夫君 そこで大臣、この政府案ですと、単身者は夫婦の二分の一となる。これは生活実態を踏まえると全くナンセンスな設計であろうと私は思う。単身者加給制度というのは十分に検討に値する制度だと思うんですが、そういう修正は受け入れられますか。
#195
○政府委員(吉原健二君) 今回の改正案におきましては、給付水準というものを適正化する、その場合に基本的には年金の水準というものを単身を基準に考えるということにしたわけでございます。単身を基準にして考えますが、実際にその世帯として受ける年金は夫婦二人の場合と単身の場合と合理的な違いが出てくるように配慮をするということにしているわけでございます。
 具体的には、サラリーマン家庭の場合におきましては、夫婦の場合には標準モデル年金で十七万六千円程度の水準でございますけれども、単身になりますと十二万六千円。基礎年金の五万円がないわけでございますから、五万円と上の二階建ての報酬比例部分で十二万六千円。まあ十七万円と十二万円でございますから、一方を一〇〇としますと七〇と、こういう水準になっているわけでございます。
 恐らく御指摘は、基礎年金が単身の場合五万円、夫婦の場合十万円というのはそうなってないじゃないか、それを何か考えるべきじゃないかという御指摘だと思いますけれども、その基礎年金の場合に定額保険料、保険料が一人一人月額幾らで決まっている、そのときに一人一人何年納めた場合に幾らという給付の決め方でございませんと、なかなかその年金の給付設計ができないということが一つあるわけでございます。同時に、今までの国民年金を基礎年金に発展させようとしているわけですけれども、基礎年金も一人一人の保険料に応じて同じ額の年金が受けられる、こういう仕組みになっているわけでございまして、今までの制度との連続性、そういったものを考えました場合にも、やはり基礎年金については単身五万、夫婦十万、つまり一対二の関係、これでもって考えざるを得ないではないか。私ども立案の過程におきましては、そういった単身と夫婦の場合で一対二ではなしにもう少し何か差をつけられるかつけられないか、いろいろ検討はいたしましたけれども、なかなか制度の仕組みとしては難しい、こういうことになったわけでございます。
#196
○和田静夫君 それじゃ、あと十五分ほど残して、資料が出てきてからやらしていただきますが、私は、この単身者加給制度というのもこれは十分に検討に値する制度だと思うんですよ。ぜひこれは強く要望しておきます。
#197
○安恒良一君 まず、私は大臣 に直接お聞きしたいんですが、現在議題となっています年金改正案の国会審議に対して、大臣並びに政府はどのような態度で臨んでおられますか。
#198
○国務大臣(増岡博之君) 国会におきましてできるだけ御理解をいただきまして、できるだけ早く御可決いただきますようにお願いを申し上げておる立場でございます。
#199
○安恒良一君 できるだけ早く通してくれ、できるだけ御理解をと、こういうことなんです。
 そこでお聞きしたいんですが、実は私予算委員をしておりまして、予算が上がった本会議の夜、今度の社労で質問をするということになりまして、官房長がその夜よろしくというごあいさつにお見えになったんです。今私の手元にこれだけ資料がたくさんございます。これは審議促進のためにもぜひ必要な資料なんですが、土曜日全然お持ちになりませんから、厚生省だけは週休二日を完全に実施されているなと思いましたし、月曜日になったらおいでになるだろうと思って日曜日の午前中まで待っておりました。ところが、午前中お見えになりません。そこで、やむを得ず私の方から官房長に電話をしましたら、三時過ぎに資料が来ました。また、けさこれだけ膨大な資料が来たんですね。こういうものを見て、私がすぐ質問をすることができるとお考えでしょうか。
 そして、例えば皆さんの方が、質問通告をされてから、時間があるとかないとかよく議論が出てくるわけです。私は少なくとも既に先週の金曜日の夜に、今度質問に立つということにしているんですから、どうして資料を――あなたがおっしゃったこととまるっきり違うじゃないですか。国民の前にすべての資料を提示して、政府の意図するところを、改革の趣旨をすべての国民に理解をしてもらうと。同時に、国民の代表としての国会議員にそれは当然やるべきことじゃないでしょうか。それをなぜやらなかったんですか。意図的にそういうことをされたんですか。この結末、どうつけてくれますか。
#200
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のことにつきましては、昨日官房長から経緯を聞きました。まことに内部の連絡不行き届きでこざいまして、この点は責任者として私からおわびを申し上げる次第でございます。今後そのようなことがないように十分配慮してまいりたいと思いますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
#201
○安恒良一君 本質的なことに入らなきゃなりませんから、これはこれで終わりますが、大臣並びに関係局長によく申し上げておきますが、こういうことを今度されたら質問に入れませんからね、それだけは言っておきますよ。今回はこれで免罪にしましょう。しかし私は、資料というものはやはり早急に提出。少なくとも審議してもらうのにまず法律の資料を持ってこないなんてばかな運営はないんですよ、そんなばかな運営は。私は国会議員を七年しておりましたが初めてです。ですから、最近厚生省はそこまで堕落をしたのかと僕は思います。それだけ言っておきます。
 それでは質疑に入っていきます、具体的に。
 まず、既に何人かの委員から出ておりますが、私は、基礎年金というものが今回の改正の中心になっておりますから、基礎年金とは何だろうか、それからその根拠をひとつ明らかにしてほしいと思います。
#202
○政府委員(吉原健二君) 基礎年金と申しますのは、今回の年金制度の改革のいわば第一の柱でございまして、現在幾つもの年金制度が我が国にございますけれども、その各制度の共通の給付として基礎年金というものを設ける、同時にその基礎年金に係る財源の負担は各制度が公平に負担をする、こういったことによって、従来から指摘をされております年金制度間の給付の格差、あるいは負担の格差というものを是正をする、同時に基礎年金につきましては、各制度が共通に経費を負担することによりまして負担の公平も図っていく、こういうねらいで基礎年金制度を導入したわけでございます。
 その基礎年金の水準の考え方でございますけれども、これは先ほど来いろいろ御審議いただいておりますけれども、私どもといたしましては、あくまでも老後生活の基礎的な部分を賄うに足りる年金額とする、同時に、それはその基礎年金を負担するに必要な保険料の現在及び将来の負担というものを十分考慮し、それとのバランスで給付水準を設定する、こういったことで今回の基礎年金の審議をお願いをしているわけでございます。
#203
○安恒良一君 いろんなことを言われていましたが、統合一元化をする、負担と給付の公平、それから共通の負担、老後生活の基礎的な部分、こういうことになりますね。そうすると、この老後生活の基礎的部分という中身が私はわからないんですね。少なくとも私は、年金を議論するとき一番必要なのは、いわゆる老後生活に必要な、憲法に保障された最低生活費というものと、今あなたがおっしゃったところの老後生活の基礎的な部分というところの関係について御説明願いたいと思います。
#204
○政府委員(吉原健二君) 私どもが頭に置いております老後生活の基礎的部分といいますのは、老後の生活費、さまざまな消費支出がございますけれども、その中で衣食住、それから光熱費、そういったものを中心にした消費支出、これが老後生活の基礎的な部分に当たる消費支出ではないかというふうに考えているわけでございまして、それ以外のいわゆる雑費というのがございますが、逆に言いますと、各種の消費生活費の中からいわゆる雑費を除いた衣食住を中心にした生活費、これを老後生活の基礎的な部分というふうに考えているわけでございます。
#205
○安恒良一君 それが五万円ということですか。
#206
○政府委員(吉原健二君) 具体的にどのような水準を老後生活の基礎的な支出あるいは基礎的部分を賄う支出、金額ということかということになるわけでございますけれども、一つの参考にいたしましたのが昭和五十四年の全国消費実態調査というのがございますが……
#207
○安恒良一君 それは根拠はよくわかっているから、それが五万円なのかどうかと、端的に言ってもらえばいい。
#208
○政府委員(吉原健二君) それをもとにして推計をいたしますと、単身の場合に現在の五十九年度の価格で約四万七千円が私が先ほど申し上げた水準に当たりますし、夫婦の場合には約八万三千円が私が先ほど申し上げた水準に当たるわけでございます。
#209
○安恒良一君 そうしますと、短絡的に言うと、もう老後生活の基礎的部分は五万円だと、単身の場合ですね。夫婦の場合は十万円だと、こういうことになるんです。
 そこで、今度は大臣に聞きたいんですが、そう一方において答弁をしながら、この場合に、これから新しく発生する人は四十年掛けなければ最高五万円にならない。これはもう今までの議論の中ではっきりしていますね。それから無年金者、これも和田さんの追及でたくさん、こんなに無年金者が出るということもこれもはっきりしているんですね。にもかかわらずに、今あなたが言ったところの今回の改正のかなめが、その中のかなめが基礎的な年金である、それの一つの重要な要素は老後生活の基礎的な部分をこれによって賄うんだと、こう言っております。その金額は五万だと。ところが、実際に五万円もらえない人がざらざら出てくる。こういうことで基礎的な部分を確保できたということが言えるんでしょうか。
 私は少なくとも年金をつくるときには、いわゆる国民が憲法に保障された最低生活の保障年金、それが必要だと思います。しかしその言葉は、あえて言葉のやりとりよりも、今言った考えを聞いただけでも、四十年掛けた人がやっと五万円になるということで五万円にならない人がたくさんできるというこの現実を、大臣、今の私と年金局長のやりとりでどうお考えになりますか。それで本当に保障ができるんですか。基礎的な部分の保障はできてないじゃないですか、全然。
#210
○国務大臣(増岡博之君) 将来の姿を考えてみますと、恐らく四十年ぐらい掛金をお掛けになるのが標準的であろう。また、その金額につきましても、先ほど局長から御説明申し上げたとおりでございます。大宗はそういうことでございます。四十年未満の方もあるいは出てくることは御指摘のとおりだろうと思います。
#211
○安恒良一君 答弁になっていません。僕が聞いているのは、二十歳から六十歳まで四十年間の保険料を納めた者に最高で五万円の基礎年金を保障するというのが今回の法律なんです。ところが現実に、後から詰めていきますが、これからいわゆる四十年掛金を掛けられない人が出てくる。それから現在もたくさん、和田委員が詰められましたように、いわゆる保険料免除者、無年金者、例えば昭和五十八年では国民年金の一六・七%の人がそういうことに、保険料免除に該当しているじゃないですか。そういう方々はみんな五万円にならないんですよ。だから五万円にならない人が全体の受給者の中で二〇%も三〇%も出るんですよ、あなたたちの計算でも。それなのに、五万円がどうしていわゆる生活の最低を保障する基礎的な部分だということが言えるんですか。そのことを大臣に聞いているんです。あなたの言ったこと答えになっていません。大臣、どうですか。
#212
○政府委員(吉原健二君) 考え方といたしまして、おっしゃいましたように四十年納付で五万円でございますけれども、確かに所得が低いために免除を受ける、そのために五万円を下回るということは十分予想しているわけでございますけれども、しかし大半の方、大多数の方は、確かに長い期間ではございますが、国民年金の保険料を払っていただく、サラリーマンの方につきましては、これは滞納ということがあり得ないわけでございますから、一〇〇%基礎年金の五万円の受給者になるわけでございますが、考え方といたしまして、四十年で五万円、これでもって老後生活を賄うに足りる年金にしたいと、こういうことでございます。
#213
○安恒良一君 そんなごまかし答弁してもだめです。サラリーマンの方に滞納がありませんか。五人未満の事業所で何人働いておると思う。それ言いなさい。それで、その中で厚生年金適用が何人おる、五人未満で。そんなごまかし言ったらいけないよ。サラリーマンというのは五人以上の事業所だけの人を言うんじゃないんだよ。五人未満で何人働いておって、厚生年金を何人適用受けておるか言ってください。すぐあなたが言うことがごまかしだということがわかる。
#214
○政府委員(長尾立子君) 昭和五十六年の調査で申し上げます。
 現在厚生年金の無適用事業所に働いておられる方は、私どもは三百六十五万五千人というふうに推計をいたしております。これらの方々につきましては厚生年金が適用されておりませんで、先生御指摘のとおり、国民年金の被保険者として保険料の納入をお願いいたしておるということでございます。
#215
○安恒良一君 大臣いいですか。サラリーマンは滞納がないと彼は言う。三百万以上の――あれは古い。統計五十六年ですからね、今はもう違います。まだふえています。五百万ははるかに超していますよ。五人未満で働いている人は五百万を超えています、現在では。そういう人々が国民年金。国民年金の場合にはいわゆる保険料がこれから毎年三百円ずつ上がっていく。今ですら掛けづらいんですが、最終的には一万三千五百円、一人ですよ。そういうような中で、現在既にこの保険料免除者、無年金者の合計というものが、この前の和田さんのあれでは一六・七%出ていたでしょう。そしてきょう、ラフに、将来は減るだろうと、こう和田さんの追及について言っていますけどね、こういうような状態で本当に生活に必要な基礎的な部分を賄える五万円の年金が保障されていると言えるんですか。ここのところは大臣、考え直すべきじゃないでしょうか。それはなぜかというと、少なくとも北欧型、スウェーデン、英国、カナダ、オランダ、ノルウェー、どこの立法例を見ましても、すべて均一年金額なんですよ。すべて均一。日本のように、基礎年金だ、そして基礎的な部分をこれは保障するんだと、こう言いながら、すなわち最低生活保障年金的な性格をこれは欠落をしているじゃないですか。これが今回の改正の基礎になっているというところが私は非常に重要だと思う。
 あなたたちがおっしゃったように、年金が八つに分かれてばらばらだ、負担も給付も不公平だ、そこで横並びに国民には一つの年金を保障しようと、この考え方は私たちも評価します。また、これは何もあなたたちが言い出したわけじゃなくて、既に制度審が、日本の現在の年金は八つの法律によってばらばらに縦割り年金である、財政の行き詰まりと年金格差の拡大などの欠陥を是正するために北欧型の横割り年金を採用し、年金の統合を実現をするようにと、そういう答申を出しているわけです。そういうものを受けて出された年金に、基本的な基礎年金においての致命的な欠陥があるじゃないですか。
 しかもけしからぬのは、年金局長が、大多数の人はとか、多くの人はと。そんな感覚でよく年金局長務まるね。基礎的な部分といったら、一人も漏れなくそれが適用されるというふうにしなけりゃならぬ。あなただって言ったでしょう。老後生活の中から、いろんなものを除いていわゆる衣食住、本当に必要なものを計算したら一人こうなりましたと、二人でこうなりましたとあなた言ったでしょう。それがみんなにやはり保障されるということが制度審が――この制度審というのは、御承知のように各省の事務次官も全部出ていますよ。総理直属の機関です。そしていろんな人が出て、そこでその方向に向かってのこれは改正であるはずです。それが一番大きな欠落をしたことは、いわゆる二十歳から六十歳まで四十年掛けた人が初めて五万円もらえるというところに大きな欠落があることはお認めになって、今度のこの改正で、参議院段階で修正できるのか、そうでなければ次の段階においてはそういう欠落者が一つも出ないようにする、これぐらいのことは大臣お考えになったらどうですか。
 これは数理的な答弁じゃないんです、これは今回の改正の基本に関することですから、私は例えば、それじゃこの次は少なくともここのところは検討をきちっとして、やはり北欧型に、均一的な年金を全体の国民に保障するんだと。すなわち、六十五歳なら六十五歳からもらえるといったときには、みんなが最低の五万円はもらえるならもらえるという方向にいかなきゃいけないんじゃないですか。既に制度審がそのことをきちっと答申を総理にしているじゃないですか。大臣、どうですか。
#216
○国務大臣(増岡博之君) さすが専門家の安恒先生、大変傾聴に値するお言葉でございます。
 しかし、私どもの今考えておりますのは、今考え得る中で将来にわたって長期的に安定をする年金にしようということの方が中心になって御指摘をいただいておると思います。したがいまして、私どもは現在の案が今の中では一番堅実な案であると考えておりますけれども、一応この年金が御審議をいただきましてスタートさせていただきました後の課題としては、私ども十分に受けとめてまいりたいと思います。
#217
○安恒良一君 大臣、あなたは重大なことをお抜かしになっていますね。将来安定をするということと同時に、ただ単に安定するんだったら二万円なら二万円やっておけばみんな安定するんですよ。それじゃだめじゃないですか。あなたたち自身が五万円の基礎を、老後生活の基礎的部分はこれによってすべてを賄うんですと言ったばっかりじゃないですか。それで今度私から言われたら、いや、保険財政の収支を合わせる、保険制度が将来安定すればいいんだと。将来安定するだけで、基礎的な部分が、生活が賄えないような年金が世界の先進資本諸国にありますか。あなたはまた後進国に後戻りするんですか、大臣。そうじゃないでしょう。今すべてに五万円を全部に払うという場合に財政がどうということならわかるけれども、二つのことを忘れたら困るね。
 年金を決めるときには、年金制度が安定しなければなりません。収支が償うということも重要なことです。私はそのことを否定しません。しかし、それによって年金を受ける者の老後生活が、少なくともあなたたちの言葉をして言うならば基礎的な部分、私から言うと生活の最低保障というものは年金によってしなければ、これからいわゆる高度経済成長が終わって、非常に高年齢の、こういう国家に今なろうとしているじゃないですか。そのときに年金を考えるときにこの二つは、制度の安定と同時に少なくとも老後生活の基礎的な部分が安定するということを考えなきゃいけないんじゃないんですか。
 そういう意味で私は、例えば今度修正ができなければ次回のときには十分そこのところは検討する、そしてその方向に向かうなら向かう。各国は全部やっていることなんですから。いま一遍そこのところを大臣、答弁をしてください。あなたはどうも肝心なところが一つ抜けている。
#218
○国務大臣(増岡博之君) 先生の御指摘の趣旨を踏まえまして、将来の検討課題として確かに受けとめてまいりたいと思います。
#219
○安恒良一君 それでは、ここはそういうことでひとつ今後詰めていただくときにまた十分お考えをお願いをしておきたい、このことを申し上げておきます。
 それでは、今度の中身を見ますと、国民はこの改革は被保険者の負担を増大させ、給付水準を引き下げ、国庫負担の減額を目的としたもので、大変な不満があります。ですから、きょうもこんなにたくさんの方が傍聴にお見えになっているわけです。そういう指摘が当たっていると思うのですが、このようなごく素朴な疑問に対して、十分な資料を出して説明をされているというふうに思いますか。どうでしょうか。
#220
○政府委員(吉原健二君) 私ども、法律にございますように、五年ごとに財政の再計算をし、保険料の水準、それから給付の水準について見直しをし、改定をするということを過去においてもしてきたわけでございます。その際に、再計算の結果による将来の財政の収支見通し、そういったものを、直前のそのときまでの社会経済情勢の変化というものに合わせながら財政収支の見直しをし見通しをお示しした上で、こういうふうに年金制度を改正したいという御議論をお願いしてきたわけでございます。
 今回の改正に当たりましても、私どもは私どもなりに大変な時間をかけまして、各方面の御意見も参考にし、私どもがやりました財政収支の見通し、それの試算、幾つもの試算というものを審議会等でもお示しをした上で、今回の改革案を法律として国会に提出をさせていただいたわけでございます。
#221
○安恒良一君 それじゃ少し具体的に聞きましょう。私は十分でないと思いますから、ひとつ具体的に指摘をしていきたいと思います。
 例えば、年金財政の安定と長期的な発展を図るためには、年金制度の持つ潜在的な将来の債務の大きさについても正確に把握し、そのことに関して国民の十分な理解と認識を得る必要があると私は思います。そのためには、社会保障制度審議会のいわゆる年金数理部会から昨年の一月に非常に立派な報告が提出をされております。この中にもそういうことがすべて書いてありますが、今回は単なる再計算じゃありませんね。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
いわば我が国の年金の基本的な大改革なんです、これは。これから二十一世紀を展望した大改革なんでありますが、その大改革に当たって、私の手元にはやっときょうの朝ばらばらな資料が出てきましたが、本当にここで指摘をされているような諸資料というものを十分に社会保険審議会の段階においても、また衆議院の段階においても、参議院の審議の段階においても、あなたたちは出したというふうにお考えでしょうか。
#222
○政府委員(吉原健二君) 将来の年金財政の収支見通しの基本的なデータといいますか、例えば各制度ごとによる将来の被保険者数、受給者数、それから給付費の額、それから改正案に基づくそれぞれの被保険者数、受給者数、給付の額、それから将来の財政収支試算、そういった基本的な資料につきましては、社会保険審議会、それから社会保障制度審議会の御審議の過程で提出をし、審議の参考にさせていただきました。衆議院におきましても、できるだけ資料のお求めに応じまして、私ども手持ちの資料をすべて御提出をさせていただいたわけでございます。
 安恒先生には、先ほどおしかりを受けましたけれども、大変不十分でございましたことをおわびをさせていただきます。
#223
○安恒良一君 うそを言ってはいけませんね。いまさっき数理課長が来て、私が要求した資料で、できていないものもたくさんあると言っているんですよ。
 聞きますが、まず、今後六十年ないし七十年の長期にわたって、次の項目において将来の見通しを作成すべきであります。
 被保険者数、年金種別受給者数、標準報酬、俸給総額、年金種別給付費総額、成熟度、修正成熟度、換算成熟度、純付加保険料率、給付報酬比率等が必要でありますが、例えばこの中で明らかになっていないと思いますのは、保険料の料率の基礎となる標準報酬、俸給総額等が将来にわたって、きちっと私がきのう資料要求していますが、資料を読み上げる必要はありません、この中で、これとこれとこれとはできております、これはできておりませんと、はっきりしてください。それだけ言ってください。
#224
○説明員(田村正雄君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の中では、換算成熟度というお話がございましたけれども、この点につきましては、換算成熟度と申しますのは共済組合の整理資源がある場合だけに適用される数字でございますので、これは私どもには該当しないということで計算をしておりません。
 それからもう一つ、純付加保険料ということがございますけれども、これも実は段階的な保険料をとっておりますので、こういう純付加保険料ということを算出する必要がないのではないかということで作業はいたしておりません。
 それから最後になりましたけれども、給付報酬比率というのが、実はまだ作業としてはできていない、こういうことでございます。
#225
○安恒良一君 給付報酬比率も作業を行っていない。それから、保険料の基礎となる標準報酬、俸給総額、これから五、六十年分の資料をきょういただいていますか。大変小さい字でいただいていますから、いただいた資料の何ページなら何ページと言ってみてください。これのどれですか。
#226
○説明員(田村正雄君) 御説明申し上げます。
 被保険者数と、まず順序から申し上げまして……
#227
○安恒良一君 いや、そうじゃない。今私が聞いたことだけでいいんだ。
#228
○説明員(田村正雄君) 標準報酬の額でございますけれども……
#229
○安恒良一君 俸給総額ね。
#230
○説明員(田村正雄君) はい、そうでございます。四枚目にあるんではないかと思います。四枚目に、「標準報酬の推計」ということで、「(1)標準報酬指数」という欄と、その次に、「(2)被保険者一人当たり平均標準報酬月額の見通し」、こういうことでございます。これが先生お話しの標準報酬総額の計算のベースになっているわけで、この標準報酬月額に、この前にございます被保険者数を掛けますと標準報酬総額が出てくる、こういうことでございます。
#231
○安恒良一君 人に出す資料で、掛けますとできるなんていうのはだめじゃないの。掛けたやつをきちっと出してこなけりゃ。私は総額といって聞いているんですよ。ここでこれから計算機ではじくんですか。そんなばかなことないじゃないですか、あなた。私はきのう、このことについては全部資料をちゃんとつくってきなさい、こうあなたたちに言ってあるでしょう。
#232
○説明員(田村正雄君) 申しわけございません。もう一枚めくっていただきますと、そこに給付費と一緒に書いたものですのでちょっと気がつきませんで申しわけございませんでした。四の「給付費の推計」と書いてあるところの欄でございますけれども、これ、給付費だけと思いましてちょっと見落としまして申しわけございませんでした。
 この欄の一番左の側に「標準報酬総額」という欄がございます、現行法と改正案の。六十一年で六十九兆という数字が出ております。それが標準報酬総額でございます。
#233
○安恒良一君 まず、これナンバリング振ってくださいよ。これじゃわかりません。何にも書いてないですよ。ページも書いていないです。まずきれいにナンバーを振ってから、見やすいようにして議論しましょう、時間がもったいないですから。ちょっとナンバー振ってください。(「わざとわからぬようにしているんじゃないの」と呼ぶ者あり)それはけしからぬじゃないか。不規則発言を慎んでください、与党議員であんなばかなことを言うのは。委員長、注意して。
#234
○理事(佐々木満君) 静粛に願います。
#235
○安恒良一君 わざとあなた、わからぬようにしているなんて失礼じゃないか、人がこういう質問をしているのに。そういう不謹慎発言はいけません。
#236
○理事(佐々木満君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#237
○理事(佐々木満君) 速記を起こしてください。
#238
○安恒良一君 それでは、今あなたがお認めになったやつでできていないやつは、きょうここでそのことを議論してもしようがありませんから、私要求しておきますから、資料として次までにつくっておいていただきたいということで、ここは次に行きます。
 政府は、現行のままで推移した場合は、二十一世紀の厚生年金の受給額はどのようになるというふうに考えていますか。四十年加入の場合が一般的になった場合、厚生年金はどうなるのかということであります。
#239
○説明員(山口剛彦君) 従来私どもが用いておりますモデル年金の水準で申し上げますと、四十年加入で平均標準報酬を二十五万四千円、五十九年度価格で計算をいたしますと二十一万一千百円でございます。
#240
○安恒良一君 それでは、現行の制度のままでいった場合、二十一世紀となる西暦二〇〇一年には老齢年金受給者はどの程度の数になり、その支給に要する額はどの程度になりますか。どの資料のどこと言ってください、いろいろもらっていますから。あるならどこにあると。
#241
○説明員(田村正雄君) 申しわけございません、先生のところには届いてないと思います、それは。申しわけございません、ちょっと番号ついておりませんから、多分そうだと思います。――申しわけございません、ちょっと番号ついていませんでした、落ちております。
 それで、数を申し上げますけれども、老齢年金受給者数は千二百八十万人でございます。そして給付費は二十二兆五千八百億円でございます。それで平均額は十四万六千九百円でございます。どうも申しわけございません、間違えまして。
#242
○安恒良一君 そうすると、その結果一人当たりの月額は、今あなたがおっしゃったように十四万六千九百円ですね。そうすると、その数字は、現役の労働者の八三%にはほど遠い数字ではありませんか。どうですか。
#243
○説明員(田村正雄君) 先ほど年金課長の方から御答弁さしていただいたモデル年金でございますけれども、これは極めて加入期間の短い方も含めました全体の平均値でございます。そういうことですから、モデル年金とは一致しないということではないかと思います。
#244
○安恒良一君 そうじゃないじゃないですか。あなたたちの盛んに説明されたのは四十年の加入者が一般的で厚生年金の場合は五十九年度価格で二十一万一千円になりますよと、そしてこれは、その当時の現役の労働者が二十五万四千円の平均賃金からくると八三%になりますと、こう言っているじゃないですか。それで今になったら、私が計算をもらったやつで見ると、昭和百年に一人当たりの給付が幾らかと言ったら十四万六千九百円にしかならぬ、こういうことじゃないですか。政府の説明のその数字は、現役の労働者の八三%にはほど遠いと思いますね、これこの結果で見ると。
 それじゃお聞きしましょう。そうすると、四十年加入が一般的になったというなら、それは西暦何年になったらそういうふうになるというふうにお考えなんですか。今の数字の突き合わせでは、残念ながらあなたたちがこうなるとおっしゃったやつがならないものだから、西暦何年ごろになるとそういうふうになるんでしょうか。いただいたこの表から見るとこれは大変だと思いますが、どうですか。
#245
○説明員(山口剛彦君) 先ほど私が御説明いたしましたのがちょっと舌足らずでございまして、私どもが従来モデル年金として考えております水準は、男子の平均の加入期間が二十年以上の方々の平均の年金額でございます。この方々につきましては、大体私どもの推計で昭和八十年、二〇〇五年あたりに大体平均的に見てその加入期間が四十年ぐらいになるであろうという見通しを立てております。その方たちの水準が現行制度でいきました場合に五十九年度価格で二十一万一千円ということでございますので、御指摘ございますように、女子も含めあるいは期間の短い方々もまだおられますので、平均的な年金額は御指摘のように低いということでございます。
#246
○安恒良一君 これも資料を要求をしておきますから、もう一遍計算をし直して出してください。今のように口頭でべらべらべらべら言ったことを私が追及すると舌足らずと言って言い直すようでは審議はできません。ですから、このこともひとつ次回までに数字を、今言ったようなことをきちっと中身を分けて、そうでないと国民が正確に理解できないじゃないですか。
 あなたたちが言うようなことを見ると、何となくああそうかと、四十年加入が一般的になると二十一万一千円もらえるんだなと思っちゃうんですよ、これ。それが一番怖いんです。そうじゃないんだよと、正確に、こういう条件ならこういう条件をした場合はこうだと、女性はこうなるならこうなると、こういう上でこの案に賛成か反対かという議論をここでしなきゃならぬのですよ。ですから、これは今ここでこれ以上このことで議論をしてもどうにもなりませんので、どうぞ次回までにそこのところはきちっと資料を整え精査をして出していただきたい。
 いずれにせよ、今の疑問にも率直に言って答えられない。委員長、資料は出てないんです。したがって私は、どうも政府は結果の数字だけを示して、実態とかけ離れているということを言わざるを得ないのであります。でありますから、その説明には説得力がありません。説得力がないんです。大臣どうします。どうですか。実態とかけ離れた数字、これでは説得力ないんですよ。この点について大臣、どのようにされますか。
#247
○国務大臣(増岡博之君) できるだけ早く正確な数字を提出して、お示しいたしたいと思います。
#248
○安恒良一君 それではできるだけ早く、次回までに正確な数字を出してください。これも保留しておきます。
 そこで、この将来の見通しには相当な不確実性を伴うものでありますが、社会保障制度審議会がこのようなことを言っています。将来の平均余命、被保険者数、標準報酬、俸給上昇率、消費者物価上昇率、年金改定率、運用利回りについて幅のある将来見通し、例えば楽観的なケース、中間的なケース、悲観的なケースの三ケースを設定するぐらいの努力は当然行うべきであると言われてます。この点についてどうなっているのか。例えば雇用の伸び、労働力率、特に女性の将来をどう見るか、こういうことは非常に重要であります。そこでこの点については、労働省にも来ていただいておりますが、労働省がどういうふうに見ているのか、厚生省がどういうふうに見ているのか。それから私が今言った将来を推計するに当たって挙げました項目の中で、既に私の手元に来ておる資料は、これとこれとこれは来ておるということで結構です。これを読み上げられたら時間がたまりませんから、私は専門屋ですから見ればすぐわかりますから、これとこれは出ております、これはまだ出ておりません、このことをはっきりしてください。以上。
#249
○説明員(田村正雄君) 御説明いたします。
 先ほどの楽観的な場合、中間的な場合、悲観的な場合ということにつきましては、平均余命につきましては、残念ながら私ども一通りだけにしております。考えられます見込みといたしましては、平均余命はまだ延びるだろうとこういうことがあるのでございますけれども、もう平均余命は大分長くなっておりますので、改善はそれほどないのではないかということで、私どもは、ちょっとこれは私どもの言葉で言いますと過小評価になっているということかもしれませんけれども、一通りしかやってございません。それが先生にお届けしないことでございます。
 それからそのほかに楽観的な場合、中間的な場合、悲観的な場合ということにつきましては、先ほど先生が御指摘になりました賃金上昇率、それから年金改定率、物価上昇率についてはそれぞれ三通りずつを想定してございます。
#250
○安恒良一君 資料のどこ。
#251
○説明員(田村正雄君) それは資料の十八でございます。ナンバー十八に、「標準報酬上昇率と利回りの組合せによる最終保険料(率)」とこう書いてございます。これは結果だけでございますけれども、どういう前提があるかということがここに書いてあるわけでございまして、例えば利回りでございますけれども、六・五、七・〇、七・五と、これは利回りが高いほど楽観的な見通しと、こういうことでございます。
 それから標準報酬の上昇率というのは、賃金上昇率とイコールと考えていただいてよろしいのでございますけれども、これについては四%、五%、六%ということで、これは賃金上昇率が高いほど年金財政的には悲観的な要素になるとこういうことでございます。
 物価上昇につきましては標準報酬より二%ずつ低いというものをセットしておりまして、合計三、三が九通りのケースを私どもとしては試算しておるとこういうことでございます。
 もう一点、女子の雇用率についてどうかということでございますけれども、資料の十二をごらんいただきたいのでございます。資料の十二に、「厚生年金保険被保険者数の対人口比の推計値」こういう表題がついております。これは私どもの被保険者数の推計のベースになっております基礎資料でございますけれども、私どもが女子の被保険者をどういうふうに見ているかということの根拠でございます。実際の作業はここに書いてございますように年齢階級、五歳階級に区分いたしまして、それぞれの年齢階層の被保険者が今後人口に対してどういう割合で伸びていくだろうかということを推計しているわけでございます。例えば二十五歳から二十九歳と、二十歳代後半のところを見ていただきますと、〇・二一三四七という数字にアンダーラインが引いてございますけれども、そういうのが実績でございますけれども、それが将来に向かってだんだん上がってまいりまして、例えば昭和百年ごろまでには二五%まで上昇するだろう。こういうことで、現在の女子の雇用率が将来に向かってはさらに増加するだろう、こういう見通しで被保険者数の推計をしているとこういうことでございます。
#252
○政府委員(野見山眞之君) 労働力人口の将来の見通しにつきまして、特に女子の関係で申し上げますが、労働力人口全体といたしましての特徴としては、今後高齢化が進んでいくこと、女子の職場進出が進むこと、産業構造の変化が進んでいくというふうに見通しておりますが、女子につきましては、一昨年政府が立てました雇用対策基本計画の中の参考資料によりまして、昭和五十七年から七十五年までの労働力人口の伸びを約七百三十万人程度と見ておりますが、男子につきましては四百二十万人程度、女子については三百十万人程度と予想しておりまして、年率の伸び率で申し上げますと、男女計が〇・九%程度というのに対しまして、男子の場合は〇・八、女子は一・一%ということで、女子の就業意欲の高まりあるいは女子の就業しやすい第三次産業等における就業機会の拡大等によりまして女子の労働力人口の伸びは男子よりも高いテンポで進んでいくものと見通しております。
#253
○安恒良一君 これも非常に資料不十分だと思いますね。
 というのは、問題は、今度は一種、二種、三種と、こういうふうになりますからね。ですから、女子の場合も一種、二種、三種がどうなっていくのかということを見なきゃこれは正確に出てこないんです。それから、御承知のように、第一次産業、第二次産業、第三次産業、これの中において労働力率がどう上がっていくのか。第一次産業から第二次産業へ、第二次から第三次産業へと移動していきますね、この資料を見ると。そういった中で女子がどういうふうにふえていくのであろうか。これを見ないと将来のいわゆる数理計算は出ないと思います。
 ですから、今私が要求しました楽観的なケース、中間的なケース、悲観的なケースについても、私が挙げたウエー卜の中で一部分だけを取り入れられていますね。ですから、これも今ことでまた論争してもしようがありませんから、これについても、もう一遍言いますと、将来の平均余命、被保険者数、標準報酬、俸給の上昇率、消費者物価上昇率、年金改定率、運用の利回り等々を入れて、楽観的なケース、中間的なケース、悲観的なケース、特にその場合に被保険者の中身については男女、それからいわゆる今申し上げた一、二、三種になりますね、今回は。それによって違ってくるわけです。それから雇用の伸び、労働力率、特に女性の将来をどう見るかということは厚生省だけの示す一つの予見で論ずることは危険であります。労働省と厚生省との間で十分その点を話し合いをされて、実は、労働省の資料の中にも不十分なところがあったから指摘をしておきましたが、きょうは持ってこられないということでありますから、計算してもらわなきゃなりませんので、説明ができるようにひとつあれをしていただきたいと思います。そのことを要求しておいて次に入ります。
 次に、将来の見通しに基づいて各種の経済変数の仮定、拠出保険料率の計画見通し等に基づいて長期的な年金財政の年次別収支計画、この見通しを作成すべきだと思いますがどうでしょうか。
#254
○説明員(田村正雄君) 先生お尋ねの資料は、先ほどナンバーリングをつけました資料ではございませんで、横長の大きな資料がお手元に行っていると思いますけれども、けさほど届いたというふうに私伺っておりますけれども、横長の資料でございます。それの、おしまいから数えた方がよろしいと思いますが、これはページが三通りございます、一番最後のくくりの四ページをごらんいただきたいと思います。これが私ども今提案しております改正案の厚生年金部分の収支の見通しでございます。
#255
○安恒良一君 これは厚生年金、国民年金全部ありますね。
#256
○説明員(田村正雄君) 御説明申し上げます。
 国民年金は二ページでございます。三つくくりがあると思いますけれども、最後のくくりの部分の二ページでございます。それが国民年金であります。
 それから四ページが先ほど申し上げました。
 それから国民年金についてはもう一つ前のくくりのまた二ページでございます。よろしくお願いいたします。
#257
○安恒良一君 じゃ、こういったケースごとに次の事項が示されている資料が、私は不十分だと思いますが、ございますか。きのう言ったからつくられたかもわかりませんが。
 収入合計、括弧して保険料収入、利子収入、国庫負担収入。支出合計、支出残、年度末積立金、拠出保険料料率、収支比率、積立比率、拠出比率等が明らかになっていますか。どの資料のどれと言うてください。
#258
○説明員(田村正雄君) 先ほどページ数を確認していただきました厚生年金の場合で申し上げますと二ページでございますね。申し上げますと、「収入合計」というのがございますけれども、収入の内訳が出ておりません。これは、先ほど和田先生からの御要望の数字でございますので後でおつけするという予定になっておりますけれども、収入の合計だけが出ております。それから支出の合計も出ております。それから収支差し引き残も出ております。それから積立金の額も当然出ておりまして、一番右の欄に支出分の積立金ということで、これが積立比率ということでございます。さらに数字を左の方へ戻りますと、保険料率ということの表示になっておりますけれども、これが拠出保険料、こういうことでございます。それが横長の資料でございます。
 そのほかに、私ども後の方で作業いたしました小さな紙を差し上げていると思いますけれども、収支比率というのがございますけれども、これは今ナンバーをつけられました九枚目の表をごらんいただきたいんでございますけれども、九枚目に改正案に基づく収支比率というものが計算をされておるわけでございます。
#259
○安恒良一君 委員長お聞きのとおり、和田さんの質問に対しても、私の質問についても、なかなか数字的に全貌が明らかにならないんです。そこで、私はここで指摘したような資料と説明を、国会でこういう資料要求がなくても、私が指摘するまでもなく当然出されて、そして審議をお願いをする、こういうふうにあってしかるべきだと思うんです。
 大臣、お聞きのとおりなんです。数理課長以下かなり専門屋がそこにたくさんおりますが、それでも私が要求する資料についてきょうできないのが、現実に今わずかな時間でたくさん出てきたじゃありませんか。そういう中で、この年金法は一日も早く上げていただきたい上げていただきたいじゃ、上げるわけにいかないんですよ。私たちは、こういう数字を正確に議論をし合って、それで国民に対して理解を得るということがあれだと思います。
 そこで、これは幾らここでしかりつけたってどうしようもありませんから、以上足らないところの資料は全部早急に次回までに出していただきたい、こう思いますが、大臣よろしゅうございますね。
#260
○国務大臣(増岡博之君) そのとおり出させます。
#261
○安恒良一君 それでは、その点は保留をしておきます。
 では次に、将来の負担の問題について、厚生年金は将来の負担が二八・九%あるいは二三・九%になると、こう予測しておりますね。国民の年金の掛金は一面三千円にも達する、そういうふうでありますが、給付費の見通しは、これは昭和百二十五年まで明らかになりました。そしてきょう国庫負担額の将来推計費が初めて和田さんの質問の中で出されたんですが、これ極めてラフな資料と思いますが、きょう出されたこれは計算的に間違いございませんか。
 わかりやすく言うと、例を挙げておきましょう。これで言うと、昭和百二十五年、現行法だったら七兆三千億ですか、これは。それが本来国が出さなきゃならぬ国庫負担がこの改正案では四兆二千億に減っておりますね。これはかなりラフだと思いますよ、この計算は。このさっき和田さんが説明された資料、私にも来ておりますが、本来なら七兆三千億国庫から出さなきゃならぬものを、今度の改正案の結果これは四兆二千億しか持たぬでいい。そうすると三兆一千億国は国庫負担を免れる、節約になるというんですが、これはいいですか。
#262
○政府委員(吉原健二君) 現行制度のままにいたしますと御指摘のような数字になるわけでございまして、改正案にいたしますと国庫負担の額が御指摘のとおり減るということは確かでございます。これは将来の年金の給付費が総額として現行制度のままよりも改正案の場合の方が総額として抑制をされる、その結果国庫負担も減ってくる、こういうことでございます。
#263
○安恒良一君 いろんなことを言わぬでいいんだよ。国庫負担が減ることは間違いないのかと聞いているから、間違いなかったら間違いないといわなきゃ時間がもったいないわな。要らぬこと言ったらまたそれに質問が行かなきゃならぬようになるから。
 あなたたちが出した数字を見ると、七兆三千億が四兆二千億しか国は持たぬでいいようになっておるが、そうなのかと聞いているんだ。そうならそう、そうでないならないと言ってください。間違っていますか、これ。
#264
○政府委員(吉原健二君) そういうことでございます。
#265
○安恒良一君 それでは、今回の改正では年金財政ではどのような効果を持つことになりますか。今回の改正案というのは、年金財政ではどのような効果を持つことになりますか。
#266
○政府委員(吉原健二君) 年金財政における効果でございますが、最初に申し上げましたように、今回の改正案の最大のねらいが、今後長期的に年金財政を安定さしていく、今後の高齢化社会の到来におきましても年金制度というものが有効に機能していくようにしていく、こういうことがねらいでございまして、その結果、この年金財政に対する影響というものは非常に安定的なものになる。一言で申しますと、年金財政の長期安定化ということが最大の効果でございます。具体的には、今申し上げましたように給付の総額を抑制をし、同時に、給付を賄うに必要な保険料負担というものを適正な水準にとどめるということでございます。
#267
○安恒良一君 もう一遍聞きますが、今回の改正で、年金財政上の問題でどのような効果を持つのか。今あなたが答えたこと以外ありませんか。
#268
○政府委員(吉原健二君) 給付水準の適正化を図ることによりまして、総体としての今後の給付費の増大を抑制をするということが第一でございます。それから第二が、その給付を賄うに必要な保険料負担、現行制度のままですと国民の負担能力、負担限度を超えることになる、それを適正な負担能力の限度内にとどめる、負担能力、負担水準の適正化ということが第二でございます。
 そういったことによりまして負担と給付のバランスをとり、年金財政の長期的な安定化を図るということでございます。
#269
○安恒良一君 えらいうまい言い回しをしているようですが、今回の改正で、数字的に見ますと、一つは被保険者の負担増というのがやはりありますね。あなたがおっしゃった以外に被保険者の負担増というのがありませんか。それから、国庫負担の軽減は実際あるじゃないですか。そのために私は聞いたんですから。国庫負担の軽減がありますね。そうでしょう。
 それからいま一つ大きい問題をあなた忘れてはおりませんか。財政上では制度間の調整というのがありはしませんか。制度間の調整はありませんか。制度間の調整があるでしょう。だから私は二回念を押して聞いたんだよ。何で肝心なところを言わないの。制度間の調整という問題があるでしょう。不勉強だよ君は。正確に言ってください。私は、あなたが言った一面はそれは認めながらも、そのほかにありませんかと、今回の改正で年金財政上どのような効果を持つのかということについて、制度間の財政調整というのがあるじゃないですか。そうでしょう。国庫の負担も低減しているじゃないですか。それから被保険者の、これは厚年、国民年金を含めて被保険者の負担増というのもやはり出てきているじゃないですか。それはどうなんですか。
#270
○政府委員(吉原健二君) まず、保険料の負担につきましては、今後とも保険料の負担を増加させていかなければ、保険料率の引き上げを図っていかなければならないことは確かでございますけれども、現行のままにしておきますと、その上限が料率で申し上げますと三八%、四〇%近い上限になるわけでございます。改正案によりますと、それが二九%、三〇%を下回る程度になる。そういった意味におきまして、今後とももちろん現在の保険料率より上げていかなければならないことは確かでございますけれども、その上限を抑制をするという効果があるわけでございます。同時に、やはり国の負担というものも、今後とも国の負担も金額におきましてはかなりの勢いで伸びてまいりますが、その上限というものが、やはり給付費の抑制に伴って国庫負担の金額も、国の負担というものも総体的には抑制をされるということになることも確かでございます。
 それから、御指摘の制度間の財政調整というお話がございましたけれども、私どもは、今回のこの改正案が必ずしも制度間の財政調整であるというふうには実は考えておらないわけでございます。あくまでも基礎年金制度、国民年金というものを全国民に適用拡大をする、サラリーマンも含めた全国民に拡大をするということでございまして、その国民年金を基礎年金を支給する制度に基本的に改めまして、その基礎年金の財源を各制度からの拠出金でもって賄う、こういうことでございまして、あるいはおしかりを受けるかもしれませんけれども、制度分立をさしておいて、その間の財政調整をするというふうな考え方をとっておりませんので、私どもは今回の財政効果として財政調整ということを申し上げなかったわけでございます。
#271
○安恒良一君 素直に言った方がいいんじゃないの。国庫負担は低減でしょう。あなたは料率の負担増のときには現行制度のままいったら三八になるとか四〇になるから今回は抑えると、そう言うのだよ。そして今度は国庫負担の方にいくと、現行制度と今度の改正で見ると、明らかに国庫の負担が減ることはもう実際じゃないですか。そうしたら国庫負担の低減に通じますなら通じますということを言えばいいんじゃないの。そういう言い方を三百代言というんだよ。自分のいいとこ取りするのを三百代言というんだ。だから、国庫負担の低減であることは数字的に明らかに出ているじゃないですか。現行制度でいった場合と今度改正でいった場合には、これだけ国庫負担が減るということは明らかになっているでしょう。でなければ前の論理がおかしくなってくるじゃないの。現行制度でいくと料率の負担がうんとふえるから負担の上限を抑えることにこれは作用しておりますということを前のときには使って、後のときには何で使わないの。そういうのを、もう一遍言うけど三百代言という。そういう答弁は困る。注意しておくから、まだこれから質問するのだから。
 それから制度間の調整というのは、私は制度というのは財政上ということを聞いている。これから聞いていくけれども、あなたは基礎年金について財政上のいわゆる調整がないというふうに答えたことは間違いないね。それ念を押しておきますよ。ないね。財政は基礎年金についても制度間の財政調整はない。あなたが今言ったように、今度はないんだと。いわゆるみんなから拠出してもらってここでつくるからないんだと。間違いありませんね。財政調整はありませんね、基礎年金について。もう一遍答弁してください。その上で次の質問続けますから。
#272
○政府委員(吉原健二君) 通常言われております財政調整というのは、二つの制度の間の財政赤字の補てんというような意味合いを持つことが通常言われている財政調整だと思いますけれども、この年金制度におきましては、制度の分立を前提にして財政間のやりとりを行うということはねらいではございませんので、そういった意味での財政調整ではないということを申し上げたわけでございます。
#273
○安恒良一君 ちょっと、おかしいじゃないの。私の質問正確に聞いて答えてください。今回の改正は年金財政の上でどのような効果を持つのかという中で、私は基礎年金については財政調整があるんじゃないですかと言っているんだよ。何もあなたに通常のことを聞いているんじゃないんだ。だから大きな声を出したんですよ、吉原さん。私の質問を正確に聞いて答弁してください。時間がもったいないんだよ。私は自分の言うことを正確に言うためにちゃんと書いて読み上げながら言っているんですよ。私自身も過ちを起こしたらいかぬと思うから。答弁してください。
#274
○政府委員(吉原健二君) 大変くどいようでございますけれども、普通言われている財政調整では、私どもの今回の改正案はそれではないというふうに考えているわけでございます。
#275
○安恒良一君 普通言われているということを言っているんじゃないですよ。基礎年金において制度間の調整は、財政調整はあるのかないのか。通常のことを聞いているんじゃないです。そのことについて答えてください。
#276
○政府委員(吉原健二君) 基礎年金の所要財源というものを各制度間でお互いに持ち寄って、拠出し合って負担をするということでございまして、おしかりを受けるかもしれませんが、財政的な調整ではないというふうに思っております。
#277
○安恒良一君 それじゃいいでしょう。いずれ行き詰まるだけだからね、そこ。
 それじゃ次に行きましょう。
 国民年金、厚生年金間の制度間の財政調整はどうなるか、明らかにしなきゃならぬと思いますので、まず、制度の成熟度はどのようになっていますか。厚生年金、国民年金別にまず成熟度についてお答えください。
#278
○説明員(田村正雄君) お答えします。
 お手元の七枚目ですね、七ページという番号のついている資料をごらんいただきたいと思います。右側に「改正案」ということになっております。
#279
○安恒良一君 これでいうと「5、成熟度の見通し」、これですね、今あなたがおっしゃったのは。はい、わかりました。
 それでは次に、新しい制度で、例えば六十一年度における国民年金のみ加入の基礎年金受給者数、給付総額はどういうことになっていますか。また、厚生年金加入者のうち基礎年金受給者数、給付総額はどうなりますか。六十一年度の数。
#280
○説明員(田村正雄君) お答え申し上げます。
 基礎年金給付費、これは先ほど局長から申し上げましたように、制度の縦割りではございませんので、一本になっておりますけれども、基礎年金給付費は五兆九千十九億円というのが基礎年金給付費でございます。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
#281
○安恒良一君 あなたも私の質問に答えてください。何で時間をとるの。いいですか、新しい制度で、例えば六十一年度における国民年金のみの加入者の中で基礎年金受給者数は何人なのか。給付総額はどの程度になるか。また、厚生年金加入者の仲で基礎年金を今度受ける受給者数は何人なのか。給付総額はどうなるのか。このことをあなたに聞いているんです。
#282
○説明員(田村正雄君) お答えします。
 受給者数を申し上げます。厚生年金の場合ですね、基礎年金の……
#283
○安恒良一君 どの資料ですか。
#284
○説明員(田村正雄君) 三枚目でございます。三枚目の下側に基礎年金受給者というのが書いてございます。「改正案―基礎年金」と書いてありまして、「受給者数」という欄がございます。一千六十万五千というのが老齢基礎年金の受給者数と、こういうことでございます。
#285
○安恒良一君 いいですか。国民年金の基礎年金ですよ。国民年金の受給者数が幾らで、金額は幾らですか、給付総額は。それから、厚生年金の加入者のうち基礎年金をもらう人が六十一年度に何人出て、給付総額は幾らですかと、こう聞いているんですよ。どれですか。何ページのどことどこと言ってください。
#286
○説明員(田村正雄君) 申しわけございません。それは先ほど局長から申し上げていると思いますけれども、基礎年金は給付がそれぞれの制度が分けられないということで、作業をしておりません。
#287
○安恒良一君 困りますね。私は、これはきのう質問通告で、これを出しておいてもらいたいと。でなければ、彼が今言ったように財政調整をしたかしないかという議論にならないんだよ。どういうふうに制度間の財政調整が進むか、持ち出しが幾らあるかということの議論をするときには、これがないと議論ができないんですよ。そうでしょう。六十一年度なら六十一年度に、国民年金に加入している人がおります。その人が六十一年度で基礎年金受給者数はわかるはずなんだよ。それに必要な給付総額もわかるわけだよ。それから今度は厚生年金加入者の中で基礎年金を受ける人が何人おるか、それに要るお金が幾らかということになって、それがとんとんなら財政調整はないということなんだよ。彼は財政調整がないと言い切ったんだよ。私は基礎年金においてあるんじゃないかと思ってこのことを言っているんですから、そのことをまずはっきりしてください。でなければ、財政調整があるないの議論にはならないんだよ。私はこれは財政調整があると私どもの試算の中で思っていますから、だから聞いているんですから、そこのところをまずはっきりしてください。六十一年についてまず、それからずっと後年次別に聞きますから。
#288
○説明員(山口剛彦君) 先生御指摘の角度からの議論、私どもも十分わかるわけでございますけれども、私どもの、この基礎年金給付費を旧来の制度ごとに分けるというのが大変難しいということをちょっと御理解いただきたいと思うんですが、大変恐縮ですけれどもちょっと時間をいただきますが、昭和三十六年四月以降の期間を、従来の加入期間、加入制度にこだわらずに、すべて新しい国民年金の加入期間ということで基礎年金給付の基礎にしていこうという考え方でございますので、それぞれの方の過去のヒストリーごとに、どの制度に何年加入しておったということをさかのぼって検証をして給付を分けて計算をするという要素としては難しい点が一つございます。
 それからもう一つの要素といたしましては、今回、従来任意加入でありました国民年金の被扶養の妻につきましては、財政上は各被用者年金で負担をしていくという考え方をとっておりますので、その妻を給付の面ではどの制度にカウントするかという面でもなかなか困難な問題がございます。
 また最後に、今回、従来福祉年金として全額国庫負担で費用負担をしておりました障害福祉年金についても基礎年金を支給をするという、制度を大きく変えておりますので、なかなか従来の縦割りの制度に戻して給付費を出せという作業が大変難しいということを御理解いただきたいと思います。
#289
○安恒良一君 理解できません。私はそんな難しいことを言っているわけじゃない。例えば、六十一年度一年なら一年分について、現在国民年金加入者というのがわかっているわけです。厚生年金加入者もわかっているわけです。そして、六十一年度に基礎年金がもらえる条件を、いろいろ条件がちゃんとされていますから、これをはじき出そうと思ったらはじき出せます。それから、給付額はどうなるかということもはじき出せます。作業は大変だと思いますよ。大変だと思いますができないことじゃない。これがないと議論にならない。厚生年金加入者のうちで、来年度、昭和六十一年度発生する中において、基礎年金受給者が何人出てくるのかということですね。それから、給付総額がどうなるか。そんなことは、これを百年も二百年も先までやれと、こう言っているわけじゃないんですよ。とりあえずその数字をまずつかみたいということですから。これをこれ以上あなたと論争してもやむを得ません。私は理解できません。ですから、ここの点は保留しておきますから、次回まで資料をこれは出してください。
 そこで、もう少しこの中身を詰めていきましょう。厚生年金加入者の国民年金拠出分はどのような計算で行われますか。厚生年金加入者が今度は基礎年金の方に拠出しなきゃなりませんね。どのような計算方式で行われますか。それから、昭和六十一年度厚生年金加入者から拠出金額はどの程度取るつもりなのですか。また、厚生年金の場合の、今度は今申し上げた基礎年金受給額と拠出額の関係、これは前の質問と関係しますが、どうなるんですか。ここのところをひとつはっきりしてください。今度は厚生年金の立場から。
#290
○説明員(田村正雄君) お答えします。
 先生お手元の横長の資料、こういうのをお持ちだと思いますけれども、それをちょっとおあけいただきたいんでございますけれども、ページ数で三ページというのに、「基礎年金給付費の見通し(改正案)」と書いてある資料があると思います。ちょっとおあけいただきたいと思います。
#291
○安恒良一君 上から三枚目ですか。
#292
○説明員(田村正雄君) つづりが三つになって、二つ目の三枚目でございますね。表題としては「3基礎年金給付費の見通し」と、こういうふうになっておると思います。
 まず、六十一年度のところから御説明申し上げます。一番左側に「基礎年金給付費」という欄がございます。そこに五兆九千十九億円という数字がございます。これは基礎年金の総給付費でございまして、この中には先ほど年金課長から説明がありましたように、障害基礎年金なども含まれておりますので、拠出金の対象にならない分がございます。それを除きますと、その右の欄にございます五兆四千七百十四億円というのがございます。これはいわゆる拠出金の対象になります額でございます。これを、右から二番目の拠出金対象者数というのがございますけれども、それで割りますと、月額で八千百九十八円という一人当たりの拠出金の額が出ます。これが一人当たりの拠出金の額でございまして、この額を、一枚前の二ページでございますけれども、一枚前に「2拠出金算定対象者数の見通し」というのがございます。この中の「厚生年金被保険者(第二号被保険者)」と書いてございますけれども、これに掛けますと厚生年金の被用者本人分の拠出金が出る、こういうことになっております。同様にいたしまして、三号被保険者は一番右の千二十一万という数字がございますけれども、それに今の数字を掛けていただくと出る、こういう仕組みになっております。
#293
○安恒良一君 二ページと三ページ別々の表を出して、掛けますというのはだめだと言ったでしょう、私は。ここで掛け算しなきゃならぬでしょう。あなた何言うとるんかね。私が聞いているのは、計算方式はどういうふうにするのか、それから厚生年金加入者の拠出金額はどの程度になっているか、基礎年金の受給者数は幾らか、拠出金額はどうなっているのかというのを、今私に二ページと三ページ見てあんたここで掛けなさい、掛けたら金額が出るでしょうなんて、そんな説明はもうないよと言って、大臣が今さっき謝ったばかりじゃないの。だから、できてなかったらできてないと、後から出しますなら出しますと、こう素直に答えたらどうなの、あんたたちは。できてないなら、できてないから次回出さしてもらいますならもらいますと言うてもらわんと、掛けろというなら、じゃあ今から休んで計算機回さないかん、お互いに。どうするの、こんなこと。
#294
○説明員(田村正雄君) 申しわけございません。計算の方式を説明しようと思いましたものですから、ついそうなりまして申しわけございませんでした。
 厚生年金被保険者の方から国民年金の会計の中の基礎年金勘定に拠出されます額は、先生も開いていただいております三ページのちょうど真ん中辺に、「厚生年金被保険者分(再掲)」と書いてありまして、「被用者分」と書いてある二兆三千八百三十五億円、これが六十一年度の厚生年金の本人分の拠出金の額でございます。
#295
○安恒良一君 注意しておきますが、いいですか、これを見ても、五兆四千七百十四億のお金が要る。国民年金の負担分は一兆二千億の負担で、それから片方厚生年金の方は被用者分が二兆三千八百三十五億、またこういうふうに金額が違うことを年金局長よく覚えておかなきゃいけませんよ、あなた。
 それで、もう一遍間きますが、そうすると、今度は厚生年金の場合の基礎年金の受給額は総額は幾らですか。これは、拠出額はここで出ますね。受給額はどこで出ますか。厚生年金の方の受給額はどこで出ますか。
#296
○説明員(田村正雄君) 先ほど来御説明申し上げておりますように、縦割りでは計算できないということでございます。
#297
○安恒良一君 そんなことないでしょう、あなた。私が盛んに言っている六十一年度に厚生年金に加入をしておった人で基礎年金を受ける人の数ははっきりするでしょう。それをあなた、どうして計算できないんですか。計算できないことないじゃないですか。来年度、六十一年度に厚生年金加入者で今度基礎年金を受ける人をつかむことはできるじゃないですか。どうしてできないんですか。できないことはない。
 ですから、私はやっぱり一番問題になるのは、厚生年金と国民年金の受給額と拠出額というものがどの時点で一致するんだろうかということを知りたいわけなんですよ。どの時点で一致するんだろうかと。そうでなければ議論が進まないじゃないですか。だから、私はとりあえず六十一年度について今国民年金加入者の中で、今度はこの拠出年金をもらう人が何人で総額は幾らですか、同じく六十一年度に厚生年金の方からの拠出額が幾らで、今度は受給する人が幾らで、受け取る金額は幾らなんですか、こういうことを私は聞いているわけです。それができないと言われても、肝心のところがきちっとしなければ基礎年金の議論は進まないんじゃないですか。
 今の時点においては、この数字見ただけでも明らかに数字が非常に違っていますから、どこかの時点で、少なくとも厚生年金側から言うと、自分のところから出すやつと受け取る額がどこかで一致するのかしないのか、そのことを厚生年金加入者が知る権利を当然持っていますよ、あなた。厚生年金に今まで営々と掛けてきた人が、そんなこともわからぬで基礎年金制度賛成とか反対とか言えないじゃないですか。厚生年金加入者がどの時期において受給と拠出が一致するのか知りたいというのがこれはもう当たり前の話で、結果的に言うとこれは国民年金受給者のために拠出する、拠出をずっと続けるんですよ、これは。この表見てもそういうふうになっておるじゃないですか。この表見ても、昭和六十一年から昭和百二十五年までの基礎年金給付に要する費用がここに全部出ているじゃないですか。総額が出ています。国民年金の負担分がここに出ています。厚生年金の負担分がことにずっと出ておるじゃないですか。ずっと、これ。だから、私はそういうような中で将来どの時期にこういうものが、これまだこっちの方に受給金額入っていませんから、厚生年金の受給金額を挙げてもらえばどこで一致をするのか、こういうことを厚生年金側の被保険者が知りたいというのが当たり前じゃないですか。
 ですから、もう一遍私は言いますが、できるだけ作業を進めてもらいたいんです。ぜひやってもらいたい。これ以上議論私はできませんが、いいですか、厚生年金側から言わせると、国民年金のみの受給者のために拠出される額、年次推移、これはこれでしょう、これならこれでいいです。今度は、厚生年金側の基礎年金の受給総額と拠出額が一致する時期までこれを伸ばして明らかにしてもらいたいということを私は言っているんです。
 というのは、私は制度の調整に一概に反対するものではありません。しかしそれがためには全貌を明らかにしなきゃなりません。それぞれの制度加入者が、国民年金に加入している人も厚生年金に加入している人もみんながやっぱり納得しなきゃならないんです。みんなが納得しなきゃならない。そのときにおいて初めてこういうことができるのであります。でありますから、そういうものがないと年金改革の名に値しません。被保険者は理解をしないんです。ただ単に国民年金の経済が破綻をする、だからあなたたちは国民共通の基礎年金を持ち出す、こういうことだけしか考えてないように受け取れてしようがないんです。そうしたらあなたたちは、そうじゃないんだと、いやそんなことは関係なく基礎年金というのを外に出すんだと言っているんです。外に出すんだと言っている。現実の数字はそうなってないじゃないですか。私はこの財政負担の関係をあいまいにしたまま財政調整を行うことは断じて納得できません。ですから、きょうはその数字がなければやむを得ませんから、私の質問はこれで終わります。数字を出した上で議論をさしてください。
 以上です、委員長。残念ながら数字が出ません、きょうは。
#298
○委員長(遠藤政夫君) 厚生省の方でその数字出していただけますか。
#299
○政府委員(吉原健二君) 先ほど申し上げましたように、私どもの考え方ではなかなか厚生年金のいわばもらい分といいますか、出し分だけ明らかでもらい分がはっきりしない、こういう御指摘だと思いますけれども、制度ごとの、何といいますか、もらい分というふうなものをどうやって出していいか、大変、実際問題として振り分けができないということがあるわけでございますけれども、今のお話でございますので、もう一度先生と御相談さしていただきまして、できるだけのものが、御要請のものができるかどうか勉強させていただきたいと思います。
#300
○安恒良一君 大臣、これは当たり前じゃないですか。いいですか、厚生年金という二千六百万人の集団がおるんですよ。国民年金という二千六百五十万人の集団があるんです。それから加入者の妻、任意加入、この約九百万ぐらいの集団があるんですよ。このほかに、今度は共済年金という集団が六百万あるんですよ。その中からそれぞれ拠出金が出されるわけです。それがどういうふうに出されて、それをどのようにお互いが受け取って、どこの制度をどの程度助けているかということを理解をし合うということ、当たり前じゃないですか。それがないので、とにかく拠出年金五万円つくるから要る金だけ持ってこいと、それでどうしてそれぞれの加入者が納得するんですか。厚生年金の加入者が納得するんですか。
 まだ、私はさらにこの問題について質問を、私は最終的には基礎年金特別会計と国民年金基金の会計を独立させなきゃならぬと思っているんです。そこまで詰めていこうと思うのですが、数字が出てこないからきょうは議論できないんですよ。いわゆるこれの一番弊害は、国民年金基金会計をごっちゃにするから計算ができないできないと言っているんですよ。厚生年金から取った金を国民年金基金の方に全部入れてしまうんですよ。そこに問題がある。ですから、私から言うと、少なくともお互いが金を持ち出すならばそれは基礎年金特別会計というものをはっきりさして、そしてお互いが納得させなきゃいけないじゃないですか。厚生年金加入者を納得させなきゃいけないじゃないですか。また、今まで任意加入してきた奥さんたちの既得権をどう守っていくかという議論もやっぱりしなきゃならぬじゃないですか。そんな議論があって初めてこの案に賛成か反対かという議論になるんじゃないですか。そういうところを、肝心なところになると数字ができなくて難しい難しいでは、理解ができないんですよ、それは。
 私は決して無理なことを言っているつもりはないんです。私は、制度間の調整もやらなきゃならぬだろうと、それからある場合は持ち出しも続くだろう、しかしそれがどこで持ち出しがとまるのかということもないままどんどん、率直に言うと厚生年金に加入しているのは五人以上だから、給料から天引きできるから、しかも数が多数だからここから取ればいいじゃないか、そして国庫負担も減らす、それから国民年金の方も助ける、これじゃ厚生年金に加入している二千六百万の人間は救われませんよ。そうでしょう、大臣。取りやすいことは取りやすいですよ。免除もありません。滞納もありません。二千六百万の人は給料から天引きですから。しかし、その人たちが納得するためには、おれたちが出した金がどこにどう使われて、どういうふうになって収支がとんとんになるということになって初めて納得するんじゃないですか。大臣、この点どう思いますか。
 私はここのところをはっきりしてもらわぬとこれ以上審議はできません。理事会で話をしてください。肝心なところなんです、ここは。私は決して無理なことを言っているつもりはないんです。理事、一遍相談してください、これは。
#301
○国務大臣(増岡博之君) お話を承っておりまして、私はそういう数字は出せるんじゃないかと思いますけれども、事務当局が今まで御説明申し上げておることもどのような理由があるのか、至急に私が調査いたしまして御報告いたしたいと思います。
#302
○安恒良一君 これは納得できません。高杉理事、ちょっと相談してみてください。ここは重要なところです。ことのところの数字をきちっとしてもらって次に議論しますから。
#303
○委員長(遠藤政夫君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#304
○委員長(遠藤政夫君) 速記を起こして。
#305
○政府委員(吉原健二君) お求めの資料につきましては、次回の委員会までに提出をさせていただきたいと思います。
#306
○安恒良一君 それじゃ、あとの質問もこれに関連いたしますから、私はきょうは残りの時間を残して、次回にその資料に基づいて質問させていただきます。
#307
○委員長(遠藤政夫君) 暫時休憩いたします。
   午後四時十一分休憩
     ─────・─────
   午後四時十六分開会
#308
○委員長(遠藤政夫君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま安恒良一君が委員を辞任され、その補欠として対馬孝且君が選任されました。
    ─────────────
#309
○委員長(遠藤政夫君) 質疑を続行いたします。
#310
○対馬孝且君 私は、先ほど同僚議員の藤井委員、和田委員から第三種保険問題につきまして基本的な論議がございました。それを踏まえて、具体的に考え方を整理をし、きょうこの場でひとつ大臣を含めて明快な回答をしてもらいたいと思います。
 先ほど来ずっと聞いておりまして、やっぱり資料を出せないなら出せない、次回なら次回にするとか、考え方はこういう見解だけれどもこの点は不十分ならもう一度再質問の中で解明をするとか、どうも答弁聞いていると誠意がないんだ。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
ただ、ビジネスで、何か資料隠そう隠そうというような、何か資料をひた隠しにするような、出すんでもない、出さないんでもない、そういう態度が僕はよくないと思うね。やっぱり国民が聞いておって、ガラス張りの中で、あなた方も法案を提案をした限り、やっぱり国民にわかるように、専門家がわかるんでなくて国民レベルで理解がいくような、こういう審議の仕方が基本的に私は大事だと思います。そういう前提に立ってこれから質問申し上げますから、ひとつ明快に答えてもらいたい、こう申し上げます。
 先ほど和田、藤井両委員からございましたけれども、まず最初にお伺いしたいことは、現行の第三種被保険者制度は、なぜ第一種と区分して設けられたのか、このことについてどのように政府はお考えですか。
#311
○政府委員(吉原健二君) 今の厚生年金制度ができましたのが、先ほども申し上げました昭和十七年でございましたけれども、そのときに、一般被保険者と、坑内夫の方、第三種と言っておりますけれども、第三種被保険者の間で違った取り扱いを導入したわけでございます。その一つが支給開始年齢、一般は六十歳、当時はまだ五十五歳でございましたけれども、支給開始年齢を五歳早めるという措置が一つ。それからもう一つが資格期間の計算の上で一年を三分の四倍して計算をする。したがいまして、通常、老齢年金の受給資格期間は二十年でございますけれども、坑内員の方については十五年で老齢年金の資格がつくという取り扱いをしたわけでございます。
 これは、当時のいろいろな文献等を調べてみますと、やはり坑内員の方の労働条件、労働環境、それからもう一つが年金制度の通算制度がございませんで、稼働期間が短いまま坑内員から退きますと、年金受給に結びつかないというような実態がございましたので、そういったことから支給開始年齢と資格期間の計算についての特例を定めたというふうに承知しております。
#312
○対馬孝且君 これは今お答えがありましたけれども、「厚生年金法解説」の「第二章 被保険者」の中に、明確にこのようにあるでしょう。「坑内夫は、過激な労働から肉体的消耗が著しく、稼働期間が短いという特殊事情を考慮し、保険給付の条件を緩和する必要から第一種被保険者と区別されている。」、明快ですね。こういう明快な基準を、あなたはどうしてこれを明らかに説明しないんだ。これは現に「厚生年金保険法解説」の「第二章 被保険者」、厚生省が出した解説の中にあるんですよ。これは間違いありませんか。これは厚生省が発行した年金法の解説の中の第二章にあるんですよ。二百六十ページ。――そういうことだから困るんだよ。
#313
○政府委員(吉原健二君) 手元にございませんが、そういうことであれば間違いないというふうに思います。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
#314
○対馬孝且君 これもまたおかしな話であって、質問に対してそういうことであればなんて、先ほど来和田委員、安恒委員も言われたように、あればでなくて、現実に厚生省の「厚生年金保険法解説」の二百六十ページの中にちゃんとあります。第二章。間違いないんです、これ。はっきり申し上げます。
 そこで私お伺いしますけれども、今年金局長は、第一種と第三種との間の年金制度上の違いがどこにあるかということに対してお答えありました。もう一つ忘れていませんか。今あなたのお答えは、支給開始年齢を五十五歳とすること、それから加入期間については三分の四を計算をする、こういうことを言いましたね。これだけですか、違いは。一種、三種の違いはこれだけですか。あと大事なことがあるんじゃないですか。
#315
○政府委員(吉原健二君) 保険料率につきましても、一般被保険者と第三種被保険者の間には適いが設けられております。
#316
○対馬孝且君 そうでしょう。そういうことをはっきり答弁しなきゃだめだよ。
 今言われたように、第三種と第一種の違いというのは、保険料率が一・二%高い、これは間違いありませんね。一・二%高い、支給開始年齢が五十五歳、それから加入期間は三分の四。第一種と第三種の違いはこの三原則、三つの違いがあると、こういうふうに確認してよろしゅうございますね。
#317
○政府委員(吉原健二君) そのとおりでございます。
#318
○対馬孝且君 それでは、今回どういう理由でどのように改正しようとされるのか、この考え方と内容について説明を求めます。
#319
○政府委員(吉原健二君) 今回の改正の基本的な考え方が、繰り返し申し上げますけれども、各年金制度間のいろんな不公平、そういったものの是正、同時に被保険者の種別によるいろんな扱い、合理的な理由のない扱いの違いの是正、解消ということであるわけでございます。
 そういったことから、第三種被保険者についての取り扱いの今御指摘のありましたような特別な取り扱いというものを今後どうするかということが、この立案の過程、特に社会保険審議会等におきましても大変議論になりまして、御審議をいただいたわけでございますけれども、現在の時点で考えました場合に、将来ともこういった違い、特別な扱いというものを認めて残していくかどうかという点につきまして、支給開始年齢については今後とも残すべきであるという結論になりました。ただ、もう一つの資格期間の計算の特例については、段階的に見直しをすべきであるという御答申があったわけでございます。保険料率については特別に触れておりませんけれども、保険料率についても当然現在のままという考え方であったわけでございます。
 そういった社会保険審議会なり関係審議会の十分な御審議の上で、私どもも、大変その関係者の方には申しわけないと思いますけれども、資格期間の特例についてはこの際廃止をする、将来に向けて廃止をする、支給開始年齢については今後とも存続をする、こういう扱いにさせていただいたわけでございます。
#320
○対馬孝且君 私先ほど、現行第三種被保険者と第一種の違いの基本的な歴史的な問題というのは何かといって、私は読み上げましたね。あなたもそのとおりで間違いないと、こう言ったんだ。もっと本質的な問題があるでしょう。つまり、労働実態が変わったのか変わっていないのか。そういう労働実態がどのように変質をしたのか。こういう問題が基本でなかったらこれは変える理由がないんだよ。そのために私はさっき申し上げたんだよ。厚生省がこういう法の解説の第二章で第三種被保険者の解説をしている。こういう解説をあなた方がしておって、今言う理由、他の年金受給者とのバランスの問題云々と言う前に基本的な問題があるんではないですかということで、私冒頭に確認したんですよ。
 そうだとするならば、現在の地下産業の実態というのは一体どうなっているのか、それから二百海里時代の今日を迎えて船員労働者の実態は一体どうなっているのか、厚生省はどういう認識を持ってこれを考えているのか。その歴史的な過程を踏まえたとしてもこれを変える理由や根拠は一つもない。この点についての考えをお聞きします。
#321
○政府委員(吉原健二君) 船員の方、あるいは坑内員の方の労働の実態、これは一般の被保険者に比べまして、なお私は厳しい面があるというふうに思っております。やはりそういう労働の実態から言いますと各種の特例のうち支給開始年齢については、恐らくそれが最大の理由だったんだろうと思いますけれども、支給開始年齢については今後とも存続をすべきであると、こういう結論になっていったわけでございます。
 ただ、資格期間を三分の四倍して計算をする、一年の期間というものを、一年を三分の四で計算をするというようなことは、労働の実態ということもあったと思いますけれども、それよりもむしろやはり年金制度の通算制度がなかったということが私は最大の理由だったと思いますし、通算制度ができました昭和三十年代にこういった資格期間の計算についての特例というのはもう必ずしも必要性がないんではないか、そういう議論があったわけでございます。今回、この年金制度の大改革の際に改めて見直しがされた結果、期間の計算については、今後ともこれをずっと残しておくのは他の被保険者とのバランス上どうだろうかということで、繰り返しになりますけれども、審議会でもいろいろ御議論の末、今お願いしているような案になったというふうに理解をしているわけでございます。
#322
○対馬孝且君 局長、今の答弁はあんたなってないよ。どうしてなってないかということを具体的に申し上げますよ。
 今あなたは、開始年齢の五十五歳を残したというのは仕事の実態からだけではない、当時の年金制度のそういう経過を踏まえての一応の考え方ではないかと、こういうふうに申されましたね。そんなあんた失礼な話はないよ、はっきり申し上げるけれども。それは少なくとも当時厚生年金法を制定して第一種、第三種を決めるときに、当然これは時の内閣がベストとして提出をした法律制度でしょう。それを何か五十五歳をあたかも恩恵的につくってやったというような、そんな答弁だから問題が起きるんだよ。さっき同僚委員の安恒君にも同じことを答えた。これは恩恵的な問題ではないよ。時の内閣が年金制度を充実したときに、第三種を制定したときに、その法律論議の過程の中で、法律論としてこれを制定されているんだよ。
 あんたの言う答弁は、何か恩恵がましく、五十五歳があるから勘弁してもらってもいいじゃないかと、そんな答弁だから問題起きるんだ。当時の内閣はでたらめで法律を決めたのか。はっきり言うけれども、そんなことではないだろう。問題は、当時の内閣が法律を制定したときは、少なくとも当時の年金制度のあり方の中で根拠があって、五十五歳、三分の四、保険料率一・二と決めたんでしょう。これはやっぱり内閣としての権威を持った法律論拠を持ってやったんでしょう。
 だから、今あなたが言うような恩恵がましい答弁は当てはまらぬと言うんだ、私は。そうでないですか。そんな感覚で決めたんですか。もう一度答弁を求めます。
#323
○政府委員(吉原健二君) 恩恵的な措置では決してございません。ただ、やはり従来の制度というものを今改めて全面的に見直しをして、今後どうするかということを社会保険審議会でも重々御議論をいただいたわけでございます。そういったことで、今お願いしておりますような形で御審議をお願いするようなことになったわけでございます。
#324
○対馬孝且君 審議会の全般的な討論の中からそういう方向にならざるを得なかったとしたら、基本の問題を明確にしなきゃだめだと言うんだよ。これははっきり申しますが、僕も衆議院の会議録を全部読ませてもらった。今日第三種の改廃を検討するに当たって、社会保険審議会のメンバー、あるいは行政の責任ある者は、実態をつぶさに見て、体験に基づいて議論したんですか。これをまずお伺いします。――体験、実態を調べたかということだよ。
#325
○政府委員(吉原健二君) 社会保険審議会の委員の方は、公益代表、それから労使の代表の方が入っておられるわけでございますが、実際に坑内実態をごらんになったかどうかははっきり承知をしておりませんけれども、関係者の御意見も十分聞かれた上で審議を尽くされたというふうに私は聞いております。
#326
○対馬孝且君 厚生省はこの法案を決定するに際して、どういう実態を体験をいたしましたか。
#327
○政府委員(吉原健二君) 私ども、申しわけございませんが、直接には坑内実態というものを見させていただいたことはございません。
#328
○対馬孝且君 そこが一番大事なところであって、それで実態を把握をしましたという結果になっておるわけだ。あなた方はこの法案を出すに当たって、実態を踏まえて結論を出したと、こう言っているんだよ、衆議院段階でも。
 実態を踏まえたのであれば、私はお伺いしたいんですよ。先ほど申しました、この法律を制定した時点と今日の時点の船員労働者の実態、坑内労働者の実態、炭鉱あるいは鉱山、二百海里時代に当たっての船員の実態はどうなんですか。これは私ははっきり申し上げますよ。私も炭鉱マンですから、私は国会に出て十一年になる。この間に私は大臣と坑内に入ったのが三回ある。私は、だれだれという名前は詳しく申し上げないが、夕張新鉱、太平洋、あるいは三井砂川と入った歴史がある。現に今大臣の中に残っている人もいる。坑内に入って入坑して上がってきて、僕は感想を一人一人の大臣に聞いたですよ、一人一人の前に行って。その一人の大臣がどういうことを言ったか。はっきり申し上げますけれども、感想として、これは人間の働く条件としては本当に最悪な条件だなと。もっと強力に言ったことは、人間が働くには、人間の労働としては本当に大変な場所だと。これが三人の入った大臣の率直な――厚生大臣は入った経験はないと思うけれども、時の通産大臣、労働大臣三人入っていますよ、私と一緒に。その上がったときの感想というのは、異口同音に私が言った言葉です。
 そういう実態を見ないで、そうして、いや実態を把握をいたしましたと、そういうことで最終的にはなっているということでございます。しかし、実際はむしろ悪化している、率直に申し上げますけれども。まあこれは私も責任ある立場で、御理解を願っているんだけれども、こういう坑内に入った三人の、名前は言いませんよ、私は。三人の率直な感想は、私が責任ある立場で、協力を願っておりますと、それが私の最後の理解だと、こういうことを私に言っているんだよ。
 ところが、現実にあなた幌内炭鉱、私は率直に申し上げましょう。幌内炭鉱は千百ですよ。千百のマイナスに対しまして、どうしても代表団が入ってもらおうと、それで最後のこの目的を完遂さしてもらおうと、こうなっているわけだ。ところがあなた、来ないわけだから、現実の問題として。そういう現実の問題で、坑内に入った方々のそういう状況を踏まえながら、この際第三種の問題は従来どおりやっぱり温存してもらいたい。しかし厚生省がこういう案を書いているわけですから、これはしようがないわけでありますけれども。ところが、坑内の場合は、幌内炭鉱が千百で、前から見ると五百メーター深さが深まっている。逆に災害がごらんのとおり、従来の落盤であるとか坑道事故だというんではなくて、ガス突出の事故、これが今最大の事故になっているでしょう。厚生年金法制定した時代から見ると、災害の悪質さは全く最大になっているんだ。ここをやっぱりきちっと、私は厚生省は踏まえていただかないと、何でそれを変えるかという根拠は出てこないんだよ、基本的に。
 それから漁業だって同じですよ。二百海里の線引きしたために、北海道の例を言うならば、北洋漁船船団が、当時は自由に最も近い海で漁業をやることができました。今現実に二百海里になって、旧千島列島、今ウルップ諸島とこう言っておりますが、あの遠い最果ての地まで漁業が出向かなければならない。一方アフリカでは、マグロの漁業など、何千海里向こうにまで遠海漁業に立ち向かっている。こういう悪条件で、二百海里時代を迎えて漁民が非常な苦労をしている。こういう実態なんですよ。
 こういう実態についてどういう御認識をしているのかということを私はお伺いします。――大臣ちょっと、今の問題は大臣だよ。
#329
○国務大臣(増岡博之君) 実は私も、もう二十何年前でありますけれども、宇部興産の鉱山の中に入ったことがございます。したがって、その当時の実態というものは承知いたしておるわけでございます。
 その後のことを考えましても、やはり何といっても地下で作業するということは、これはいかに百メーターでありましょうと五十メーターでありましょうとも、地上で作業することとは全く違うわけでございますので、その間の作業の実態というものは相当格差があると思います。
#330
○対馬孝且君 これ、法律ができた後の坑内実態というのは悪条件になっているんですよ、大臣認識してもらわなきゃ困ることは。当時は大体五百メーターラインだったんだ、坑内の深さというのは。今幌内炭鉱というのは千百二十三メーターいっている、千百二十三メーター。倍以上いっているんですよ。坑内の温度が今二十八度になっている。大変なこれはもうそれこそ肌着一枚で坑内労働しなきゃならぬということになってきている。これは鉱山も同じです。鉱山もやっぱり金、銀、銅、鉛の関係があって、だんだん奥へ奥へ入っていっているわけだ。私も入っていますけれども。
 こういう実態を考えますと、私は、あなた方の説明が、衆議院段階でそういうことでないという説明になっているものだから、その実態認識は全く違っている、こういう実態を素直にやっぱり認識をすべきではないか、こういうふうに考えるわけですよ。
 特に年金局長に聞きますよ。あなたどういうことを言ったか。多賀谷同僚議員の質問に衆議院でこう答えていますね。坑内労働に従事している者の平均寿命は、厚生省の人口動態統計からも、他の一般産業労働者に比べ著しく短いということになっていないのではないかと、こうあなたが答弁している。どういう答弁したか記憶にあるでしょう。局長答弁、五十九年十二月十三日、衆議院社会労働委員会で次のような答弁をしている。これは多賀谷先輩の言葉にあなたが答えている。「採石山、坑内夫の方たちの死亡率の問題は、働いている間のいわば災害等の事故による死亡率、それは高いわけでございますけれども、平均寿命が短いとか、あるいは年金の受給期間が短いということには必ずしも私はなっていないというふうに聞いております。」、これはあなたの答弁だ。間違いなら間違っていると言ってください。こういう答弁したこと間違いありませんね。
#331
○政府委員(吉原健二君) 間違いないと思います。
#332
○対馬孝且君 今大臣は坑内実態については非常に一般産業とは違って相当な厳しい条件にあるということをお認めになりました。ところが吉原局長の答弁でいきますと、従来よりは条件が非常に緩和されているという答弁になっているんですよ、あなたの答弁が。私は実態はそう変わっていないと言っているんだ、これははっきり言うけれども。この答弁もあります、はっきり申し上げて。どうして変わっていないのか。私今言ったでしょう。漁船の労働者も、二百海里にしたために北洋船団が釧路から出発して帰るのに四カ月ですよ、釧路港に帰ってくるのが。しかも二百海里線引きのために拿捕事件が起き、いまだにソビエトのハバロフスクに日本の漁船員が、抑留された漁船員がまだ六人残っている。こういう問題を考えた場合に、実態が緩和されているとか実態が変わっているということが言えるのかということなんだ。そのことをはっきり答弁して下さいよ。
#333
○政府委員(吉原健二君) 今いろいろお話を伺いまして、私も不勉強を恥じておるわけでございますが、労働環境は確かに今なお、あるいはもう昔よりも、かつてよりも厳しい面があろうかと思います。
 ただ、大変理屈を申し上げるようで恐縮でございますけれども、年金制度の上で、両方を、資格期間の計算の特例まで存続するかどうかにつきましてはいかがかという考え方で今回の改正案の審議をお願いしているんだろうと思いますし、労働実態、そういった点から考えますと、おっしゃることも私十分理解といいますか、考えていかなければならないというふうに思っております。
#334
○対馬孝且君 それは理屈にならないでしょう。さっき私の質問に大臣は、労働実態からいうならば、依然として労働の実態は、むしろ当時より悪い方向に行っていると言ったじゃないですか。どうしてそういう答弁になるの。それは、本質的な問題がそこにある。僕が冒頭に言った、厚生省が出した法の解説の中に、これもう一回読む必要はないけれども、労働の実態というものが基本になって三分の四計算というものはつくられた、五十五歳になった、保険の料率が一・二と、そういう三本柱でこれが制定をされたと。あなた確認したでしょう。確認したならそのことがどうして変わったか。他の年金とのバランス云々の前に基本的な問題が、さっきから指摘しているようにあるじゃないですかと、私はこう言っているんだよ。
 しかもあなたの答弁の中に、それは災害に伴う死亡率は高いけれども平均寿命は何も変わっていないと、こう言ってるんです。変わっておりませんか。その点、もう一回答弁してくださいよ。でたらめ言うんじゃないよ。どういうふうに変わってないんだ。
#335
○政府委員(吉原健二君) 私ども把握をしておりますデータの範囲内におきましては、坑内員の方の平均寿命と一般の被保険者の方の平均寿命、これは直接的に比較をしてどちらがどうというデータを持っておらないわけでございます。
 ただ、老齢年金の受給者の方の死亡による失権年齢というものを、一般の方とそれから第三種被保険者の方とを比較をしてみますと、坑内員の方の方が若干早いことは事実でございますけれども、余り大きな差がないというようなことが私どもの手持ちの資料では出てまいるものですから、衆議院の段階でもそういった趣旨での御答弁をさせていただいたわけでございます。
#336
○対馬孝且君 「昭和五十五年度 職業・産業別人口動態統計 厚生大臣官房統計情報部編 財団法人厚生統計協会」、これは間違いございませんね。
#337
○政府委員(吉原健二君) 間違いございません。
#338
○対馬孝且君 間違いなければ、この中の数字でたらめですか、この数字が。間違いありませんか。もう一度確認しますよ。間違いありませんか。この厚生省が出した「昭和五十五年度 職業・産業別人口動態統計」、間違いありませんね。
#339
○政府委員(吉原健二君) この表によりますと、男十五歳以上の方の就業者の就業の種類別の死亡率、訂正死亡率等が年齢の五歳階級別に書いてあるわけでございますけれども、採掘作業をやっておられる方の年齢階級別の死亡率が他よりも著しく高いという数字は出ております。
#340
○対馬孝且君 だから、最初は、もうほとんど他の産業とは変わりないと、こういうでたらめなことを答弁しておって――ちょっと伺いますけれども、炭鉱は定年は、坑内夫、採炭夫は何歳ですか。
#341
○政府委員(吉原健二君) 企業によってあるいは若干の違いがあるかもしれませんが、五十五歳が大方の定年ではないかというふうに思っております。
#342
○対馬孝且君 大方も何もないんだよ。今や採炭夫、坑内夫、掘進夫、運搬夫というのは、五十五歳で全部やめているんだよ、実態は。
 そうするとおかしいじゃないですか、あなた方が出したこの統計資料で言うと、例を挙げますと、農林漁業労働者、これは五十歳から五十四歳まで、十万人対で六一九・七、採石、掘進作業者、これは炭鉱労働者のことですね、地下産業ですが、一二二九・七でしょう、倍じゃないですか、倍出ているんですよ、死亡率が。人口十万人対で言うと。あるいは運送事業の欄を見なさいよ。四七七・一じゃないですか。一二二九・七というのはこれの三倍でしょう。もっと申し上げますか。五十五歳から五十九歳といったら、これ定年後だよ。もう働いていないんだよ。大臣、よく聞きなさいよ。これは二五〇九・八なんだ、地下産業の労働者が。それに対して農林漁業が八五一・六、運送事業が七〇〇・八、これだって約三・五倍強でしょう。
 なぜ私は五十五歳と聞いたかというと、これは私は今はっきり申し上げますけれども、かつて北大に故河村という――私は三井美唄炭鉱ですが、河村という院長がおって、十五年間の統計をとったことがございます。坑内労働を三十年勤めて、五十五歳で定年になった方は、ほとんど七年から八年でこの世を去っている、非常に悲しい出来事だということを、これは当時の北大の河村という名医がこのことを発表したことがございます。これを裏づける資料が出ているじゃないですか。六十歳から六十四歳になったら、どういうことなのこれは、あなた。三倍強でしょう。農林水産業が一一五六・九、採石地下産業の場合は三五七五・九、運送事業の関係を見れば一〇九三・七。今あなたも後段で答弁を訂正されたけれども、こういう実態がいかに過酷な労働であるか。こういう実態がいかに今なお深刻な問題であるか。何も災害があったからと、これはもちろんです。私が言っているのはそこを言っているんじゃないんだ。多賀谷眞稔議員の質問に当時あなた答えている。その答えというのは、災害等によって死亡率が高くなったというような意味のことを言っているけれども、そうではなくて、炭鉱労働者の定年は五十五歳である、その以降のことを私は申し上げたんだ。三倍とか、あるいは二・五倍とか三・五倍になっているでしょう、現実の問題は。こういう実態というのは、炭鉱労働者の根本は何かというと、太陽の日の目を見ないで三十年間坑内労働に入った場合は、これは俗に言うけい肺なり腰椎症の病気になり、よろけ病という炭鉱の言葉があるんだよ。よろけ病というのは、太陽の日の目を見ないで三十年間坑内で作業してきたことに対してよろけ病と言うんだ、上がったときに。そして七年、八年でもってこの世を去ってしまう。こういう当時の河村北大名医の実はお答えがあります。
 そういう実態を、あなた方は衆議院では全くでたらめな答弁をして、あなた今後半になってから、五十五歳以降の方々はそういう意味ではやっぱり一定の激増傾向にあるということを認めましたね。だから、こういう実態だということをどうして素直に確認できないんですか。もう一度確認しますよ、私は。
#343
○政府委員(吉原健二君) 改めて、今の実態をよくわからしていただきました。
#344
○対馬孝且君 今局長が素直にお認めになりましたから、私はそれ以上のことは申し上げません。こういう実態だということを踏まえて、少なくともやっぱり炭鉱労働者が三十年坑内に入った場合は、人生八十年としばしば厚生大臣が、あるいは中曽根総理も人生八十年と言っていながら、実際この坑内労働に携わった者は、悲しいかな定年後七、八年でこの世を去っていっている。私の友達もそうですよ。この一、二年間に私の同僚が三人亡くなっている。率直に申し上げますけれども。こういう実態というものを無視して現行法の改正をするということ自体に私はやっぱり問題がある。ここで厚生省は、政府は耳を傾けるべきではないかと、このことを私は率直に申し上げたいわけであります。
 それで私お伺いしますけれども、現実に、これが間違いであれば間違いと訂正して結構ですよ、私のこの手元にある資料で計算しますと、仮に勤続三十年坑内員で標準報酬二十万円という人が、厚生省の案によりますと、これは四月一日現在では十九万二千五百円月額になりますが、年額でいきますと二百三十一万五百七十円、こういうことになるんです。ところが、今度の改正は、先ほど論議がありましたけれども、一種の激変緩和の措置をそのまま第三種に適用するものですから、四月一日にもしやめなければこの方はどうなるか。一日違いですよ。もし私が当事者であって六十一年四月二日にやめたとしたならば、一日違いでマイナス一万九千円ダウンするんですよ。こういう経過措置になっている。それから六十二年、六十三年、六十四年、六十五年と、七十六年までこういくわけです。私ここに持っています、一日違いでいきなり一万九千円これ坑内地下産業あるいは船員の方々はダウンしちゃうんですよ。こんな極端なことをやって、そうでなくても今炭鉱困っていることはね、坑内労働者の要員確保で精いっぱいだ。こんなことを聞いたら、三分の四の期間計算をしても、一日違いで一万九千円ばあんと下がっちゃうんだ。この認識をどういうふうに考えていますか。これは間違いありませんか。間違いなら間違いという指摘してください。
#345
○政府委員(吉原健二君) 間違いないと思います。それは、先ほどから申し上げましたように、支給開始年齢五十五歳を存続をする、その結果六十歳から徐々に逓減をさせていった報酬比例部分の乗率の適用が五歳刻みになってしまった、五歳段階の乗率の適用が坑内夫の方については適用されることになってしまった、その結果でございまして、その部分だけ見ますと、大変私ども何とかもう少しいい方法はとれなかったのかなという感じが率直に言っていたしますけれども、その立案の段階におきましてはどうにもやむを得ないんではないかということで、かような扱いになっているわけでございます。
#346
○対馬孝且君 大臣、今年金局長と私のやりとりを聞いてわかると思いますがね、これ一日違いで一万九千円下がるんですよ。六十二年四月二日以降になると二万二千六百円下がるんだ。それから六十三年にいきますとこれまた二万六千円下がるんですよ。こういうふうにだんだん下がっていったら、大臣、どういう現象が起こるかといったらね、鉱山もそうです、炭鉱もそうですけれどもね、今でさえ幌内炭鉱では坑内の技術職員がいないために出炭量も割らざるを得ないということになってきているんだ。当時の目標の日産四千トンが達成できない、こういう現象が出てきているんですよ、大臣。
 私はここでなぜこれを強調するかというと、とれを見たら、一たん炭鉱をやめ、鉱山をやめ、船員をやめて何かで出直しということになるでしょう、はっきり言って。そうなった場合に、これは通産省も労働省もここにきょう来ていただいていますけれども、実際労務者確保が一体できるのか、地下産業労働者の労務者確保は果たして可能か、こういうことを危惧せざるを得ないわけです、私は。
 こういうことについてひとつ大臣から、今のやりとりを聞いておってどういうふうに大臣としては、今政府が、厚生省が出しましたこの計算、こういう激変緩和というものは全く実態に合っていない、そういう面で私は指摘せざるを得ないので、この点、大臣どういうふうにお考えですか、ひとつ聞かしてください。
#347
○国務大臣(増岡博之君) 今先生の御質疑を聞いておりまして、確かに各種特例の中でも期間計算の特例の見直しにつきましては、かなり問題があるように思います。
 このことにつきましては、局長からそのことを取り込んだ趣旨は申し上げたわけでございますけれども、しかし私どもといたしましては、現在御審議をいただいておる最中でございますので、その内容のよしあしの判断を下す立場にはございませんけれども、今後あらゆるる角度から十分御審議をいただきまして、その御審議の結果に対応いたしたいというふうに考えております。
#348
○対馬孝且君 私は今大臣から我々の意見を聞いてあらゆる角度から検討してまいりたいという考え方を聞きましたから……。
 それで私は、先ほども同僚議員の御意見もございましたけれども、やっぱりこれでいきますと、もうやめる以外にないんですよ、極論でなくて。こんな急激なダウンをするということはね。やり方としては、やっぱり緩やかな改革ということが一つあるでしょう。それからもう一つは、先ほども答弁あったけれども、再計算の時期が五年ごとに計算をすると、こう言っているわけだ。そうでしょう。だから、当面現行五年なら五年やってみて、その中でどういう緩やかな方法があるか、他の方法があるかというようなお互いに知恵を出し合って、そうしていくという方法も一つあるでしょう。
 そういう意味では、先ほど藤井先輩の質問に対してもお答えをしておりますけれども、十分話し合いをして、よい方法をひとつ検討していきたいという藤井先輩に対するお答えがございました。今大臣も私に対してあらゆる角度からぜひそういう方向をひとつ誠意を持って検討してまいりたいということですから、これでは炭鉱労働者も、鉱山労働者も、船員労働者もやめざるを得ませんよ。それじゃ産業破壊につながるでしょう。もう一つは地域雇用確保ができなくなるということですよ。こういう点を踏まえていただいて、大臣、今お答えがございましたけれども、ひとつもう一度この点については、やっぱりいつの時点にかというあいまいなことでは困りますので、はっきり申し上げます。
 いずれにしましても、どういう決着になるかは別にして、法案の成立に当たってやっぱり大臣としての、あらゆる問題について今私は指摘しましたが、急激なこういう既得権を剥奪をして、しかもマィナスになってやめていかざるを得ないというようなこういう実態無視のことをやめて、少なくとも誠意を持って検討するということは、当然今提案をされている以外の内容に従って誠意を持って検討する、こういうふうに御理解してよろしゅうございますか。
#349
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のような趣旨で、各党御議論をいただきたいと思います。
#350
○対馬孝且君 わかりました。
 今大臣からそこまでお答えが出ましたので、もちろん我々も十分議論いたしますけれども、ひとつ政府としてもとの時点で、今私が指摘したような、労働者が不安だけでなくて退職せざるを得ないようなことのないような十分な配慮をする案を、政府自身もひとつ検討してもらいたい、このことを踏まえてもう一度確認いたします。よろしゅうございますか。
#351
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のとおりでございます。
#352
○対馬孝且君 それでは、もうこの問題につきまして大臣からそういうお答えが出ましたので、この問題は以上のことで確認をさしていただきます。
 それでは次に、先ほども同僚議員の中から出ました在職老齢年金の支給制度の問題につきまして御質問申し上げたいと思います。
 民間の労働者、特に私は炭鉱マンの出身でございますけれども、民間の労働者の声が相当上がっておりまして、在職老齢年金制度のあのあり方というのは第一不平等じゃないかということと、もう一つは、はっきり申し上げますけれども、今六十歳から六十五歳までの間の労働者は非常に不安であります。なぜ不安かというのは、後で労働省にお伺いしますが、高齢者の雇用安定職場が非常にない、こういう現象ですね。この点は非常に不安であります。そういう点が一つと、ここで私は率直にお伺いしたいことは、先ほども藤井先輩の質疑のやりとりを聞いておりますと、労働省がまだ定年制の立法化の段階に至っておりません。間違いございませんね。六十歳定年の立法化しておりません。行政指導を強めている、こういう段階だということを先ほど答弁がございました。そうだとすれば、現在の厚生年金制度では、受給年齢の六十歳に達しても、在職中というゆえをもって年金給付においては賃金額に応じて二〇%、五〇%、八〇%という支給制限を受けているわけであります。
 そもそもどのような根拠で三段階の支給割合というもの、制限というものを決められたのか、この考え方をお聞かせ願いたいと思います。
#353
○政府委員(吉原健二君) 六十歳から六十五歳の方の働いておられる方の年金の支給というものをどういうふうに考えるべきか、今度の改正案の立案に当たりましても、審議会等でいろいろ御議論があったわけでございますけれども、現在の制度についても、確かに御指摘のようにいろいろな問題があるわけでございます。今お話しのございました現在の三段階制度につきましても、かつては四段階であった時期があったわけでございます。それを簡素化する意味で現行の三段階になっているわけでございますけれども、三段階にいたしましてもいろいろ賃金との関係で非常に不合理な面が生ずることも確かでございます。これをどうすればいいか。先ほどスウェーデンの部分雇用、部分年金のようなお話がございましたけれども、ひとつ在職の方の年金については少し時間をかけて今後検討しようじゃないかということになりまして、現行制度のままで御審議をお願いをしているわけでございます。
#354
○対馬孝且君 先ほどその答弁は聞いておりますので、重複した答弁は結構ですよ。
 現在在職老齢年金の受給者数はどの程度の人数、件数になっておりますか、ちょっとお伺いします。それと支給割合がどうなっているか。
#355
○政府委員(長尾立子君) 五十八年度の数字で申し上げます。
 老齢年金の場合でございます。老齢年金の在職者の受給者数でございますが、五十一万五百四十七人の方が受給しておられます。このうちいわゆる六十五歳以上に該当されます方が三十七万三千二百二十三人でございます。現在、お話しになっております六十歳から六十五歳の年齢層に該当しておられる受給者の方は十三万七千三百二十四人でございます。
 この方々の支給率別のパーセントを申し上げます。
 八〇%支給というところにおられます方が三六・三%、五〇%支給のところにおられます方が三五・三%、二〇%支給のところにおられます方が一九・七%ございます。あと若干差がございますのは、一たん受給された上で現在の限度額を超えられた収入があられます方は全額停止という形になっておりますので、今申し上げました数字全体で一〇〇にならないかと思いますが、差額は全額停止でございます。
#356
○対馬孝且君 私も持っています。今長尾部長が言われたとおり、その数字です。
 大臣、お聞きのとおりです。約五十万人の在職老齢年金の方々がおいでになるということを踏まえて考えてもらいたいんでありますが、私はどうも在職老齢年金のあり方について一番問題を感ずるのは、結局は賃金実態を逆に抑え込む結果になっているんですよ。年金を十万もらったら賃金の方は五万でいいじゃないか、そういうことでしょう。あるいは年金八万だったら賃金は七万でいいじゃないか。従来の十五万ベースからいきますとね。だから、こういうことからいきますと、結果的には賃金が、年金の支給制限をすることにおいて、賃金が年金額と合算をすることにおいて、むしろ高齢者の場合は逆に低賃金政策というものを押しつける結果になっていくんではないか。言うならば賃金の足を引っ張る、こういう在職老齢年金の性格というものは、そういう面で非常に私は矛盾を感じているわけです。そういう問題があるということが第一点。
 第二は、先ほど申しましたように、労働省は、今小野部長が来ておりますけれども、六十歳から六十五歳の中高年齢者、高齢者の雇用が非常になかなかうまくいっていない。こういう弊害は、結果的には今の在職老齢年金制度というものがかえって悪い方向にやっぱりいっているんではないか。こういう認識についてどういうふうにお考えですか。
#357
○政府委員(吉原健二君) 現在の在職老齢年金制度が賃金の面で低賃金化を促している面があるという点は、私どももそういう指摘はかねてから聞いております。そういった意味で、本来年金制度の側から言いますと、これだけの年金が出るから賃金が低くていいじゃないかというような考え方をとられることは甚だ不本意でございますけれども、実際問題として、どうもそういう面があることは事実でございますので、先ほども申し上げましたけれども、現行の今の制度が必ずしもそういった点でいいとは思っておりませんので、そういう問題意識を十分持っておりますことを申し上げたいと思います。
#358
○対馬孝且君 それじゃ労働省、雇用対策の面からどういうふうにお考えになりますか。
#359
○政府委員(小野進一君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、高齢者の生活は年金と雇用と退職金がバランスを持っていくことが大事だと思いますが、現在の在職老齢年金につきましては、御指摘のような問題がある一方、また、高齢者の雇用を伸ばしているのじゃないかという御指摘もありますので、こうした問題を含めまして、先ほど厚生省の方からもお話しもありましたように、高齢化社会における年金と雇用の関係についてさらに検討を重ね、厚生省との間で連携を深めてまいりたいと思っております。
#360
○対馬孝且君 今労働省からもそういうお答えがございましたが、先ほど藤井委員からも、スウェーデンのつまり部分年金というような問題との兼ね合いでの在職老齢年金のあり方ということも問題提起がございました。私は、やっぱり一面この問題について、今度の改正からいきますと、今までは十五万という一つのベースが二十万ということになりますね。これは間違いございませんか。
#361
○政府委員(吉原健二君) 現行制度では、標準報酬月額が十六万円以上の方につきましては全額を年金は支給しないと、こういうことになっておりますけれども、この十六万円という標準報酬の水準というものを、この改正案が成立いたしましたならば、政令でその金額の引き上げをしたいというふうに思っております。今考えておりますその水準が、二十二万ということでございます。
#362
○対馬孝且君 これ一つの、その意味での改正の水準というのは確かにそれは若干のあれはありますけれども、やっぱり根本問題として、先ほどスウェーデンのお話も出ましたが、私は本当に矛盾を解消するのには、決して共済年金はだめだと言っているんじゃないんですよ、共済年金の方々は、制度ももちろん違いますけれども、共済年金を受けながら働いた場合には当然これは併給をされるわけです。これは間違いありませんね。その点どうですか。
#363
○政府委員(長尾立子君) 先生お話しのように、原則としては併給という形でございますが、年金額以外に一定の給与所得があられる場合につきましては所得制限があるというふうに伺っております。
#364
○対馬孝且君 私が言っているのは、原則を言っているんです。いわゆる共済年金と厚生との違いは、二割、五割、八割はありませんねと、このことを言っているわけですよ。その点どうですか。
#365
○政府委員(長尾立子君) 他の給与所得が六百万円を超える所得がある方につきましては、十二万円を超える年金につきまして支給停止がかかっていくというふうに聞いております。――年額百八十万でございます。――失礼いたしました百二十万でございます。
#366
○対馬孝且君 そんなあなた確信を持ったようなお答えですけれども、まあ金額の間違いは、これは間違いはあることですからいいですけれども。
 私はそこで何を言いたいかといいますと、二割、五割、八割というものを見直す場合に、もちろん一つはスウェーデン方式の部分カットというものとの併合をどうしていくかということがありますけれども、例えば健康保険等級ありますね、あるいは厚生年金の支給等級があります、むしろ、この二割、五割、八割というような大ざっぱなことでなくて、もっときめ細かいやり方が残されているんじゃないか。例えば、二十三ランクとは言いませんけれども、もっときめ細かく、スウェーデン方式まで踏み切っていけないとするならば、当面やっぱりせめて三ランクをもうちょっと幅を広げて、できるだけ個々の矛盾は解消していく。そしてやっぱり働くことにも意欲を持ちながら、先ほど申しましたように、賃金の足を引っ張ったりあるいは高齢者の雇用対策に不安を持たせないような制度の改革というのはぜひ必要ではないか。今ここで何も私は決めようとしておるんじゃありませんけれども、そういうことも含めて、ひとつぜひ検討してもらいたい。これ、いかがなものでしょうか。
#367
○政府委員(吉原健二君) 一つのお考えだと思います。
 ただ、従来四段階のやつを現在三段階にむしろ簡素化してきているというこれまでの方向もございますし、余り細かい段階をつくりますと、事務的な適切な対応ができるかという問題も実はあるわけでございますので、そういったものもあわせ、総合的に検討さしていただきたいと思います。
#368
○対馬孝且君 大臣、今のやりとり聞いておわかりだと思いますので、この在職老齢年金のあり方の矛盾ということも大臣なりにこれは理解ができたと思います。したがって、今これから誠意を持って検討してまいりたいというお答えがございましたけれども、今言ったように幾つかの問題提起をしておりますので、これは藤井さんからも提案がございましたし、私からも今提案をしているわけですから、そういう総括的な討議をできるだけ早く行って、これからの在職老齢年金それ自体に雇用と賃金の面で不安のないように、また将来雇用安定なり、賃金の足を引っ張らない、こういう制度改革に総合的見地からぜひ取り組んでもらいたい、このことを申し上げまして、大臣の最後の答弁を聞いて、時間が参りましたようですから、私の質問を終わりたいと思います。
#369
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘の点を踏まえまして、さらに検討を重ねてまいりたいと思います。
#370
○対馬孝且君 それじゃ終わります。
#371
○委員長(遠藤政夫君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#372
○委員長(遠藤政夫君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国民年金法等の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#373
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#374
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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