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1984/04/11 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第13号
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1984/04/11 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第13号

#1
第102回国会 社会労働委員会 第13号
昭和六十年四月十一日(木曜日)
   午前十時六分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十日
    辞任         補欠選任
     対馬 孝且君     糸久八重子君
     藤井 恒男君     抜山 映子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤 政夫君
    理 事
                佐々木 満君
                関口 恵造君
                高杉 廸忠君
                中野 鉄造君
    委 員
                石井 道子君
                大浜 方栄君
                斎藤 十朗君
                曽根田郁夫君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                前島英三郎君
                森下  泰君
                糸久八重子君
                浜本 万三君
                和田 静夫君
                中西 珠子君
                安武 洋子君
                抜山 映子君
                下村  泰君
    国務大臣
       労 働 大 臣  山口 敏夫君
    政府委員
       外務大臣官房審
       議官       斉藤 邦彦君
       労働大臣官房審
       議官       白井晋太郎君
       労働省労働基準
       局長       寺園 成章君
       労働省婦人局長  赤松 良子君
       労働省職業安定
       局長       加藤  孝君
    事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
    説明員
       外務省国際連合
       局外務参事官   瀬崎 克己君
       外務省国際連合
       局社会協力課長  馬淵 睦夫君
       厚生省社会局老
       人福祉課長    阿部 正俊君
       厚生省児童家庭
       局母子福祉課長  木本 忠男君
       運輸省地域交通
       局自動車業務課
       長        永井 隆男君
       労働省婦人局婦
       人政策課長    松原 亘子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○公聴会開会承認要求に関する件
○雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案(第百一回国会内閣提出、衆議院送付)(継続案件)
○職業訓練法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十日、対馬孝且君及び藤井恒男君が委員を辞任され、その補欠として糸久八重子君及び抜山映子君がそれぞれ選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(遠藤政夫君) 公聴会の開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案の審査のため、来る四月十七日午前十時に公聴会を開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(遠藤政夫君) 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案を議題といたします。
 法案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#7
○糸久八重子君 きょうから本法案の質疑に入るわけでございますけれども、まず質疑に入ります前に委員長にお願いがございます。会期末まで本法案につきましては三回の質疑が行われるわけでございますけれども、本法案は非常に重要な法案でございますので、その三回はきっちりと本法案の審議をさせていただきたいということをまず冒頭にお願いをしておきたいと思うわけでございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、まず大臣にお伺いをいたします。
 労働大臣はみずから進んで労働大臣のいすをお望みになりました。大変大きな抱負を持っていらっしゃるようでございますけれども、まず男女平等に対する大臣のお考えをお聞かせいただきたいのです。
#8
○国務大臣(山口敏夫君) 高齢化時代を迎えまして国民生活の安定の基盤である労働問題、労働行政あるいは雇用の問題、そういう問題にぜひ取り組みたい、こういう気持ちを持ちまして労働大臣を拝命したわけでもございますが、その中でも非常に大きな問題の一つに男女の雇用の機会均等の問題ということもございます。そういう雇用の中における男女問題に限らず、大きな社会の激動期を迎えまして、教育の問題あるいは家庭の問題、いろいろな意味で男女のパートナーシップというものが今こそ再確認といいますか、一つの価値観を享有していかなければならない、かように考えるわけでございます。今日、家族の問題というのが新たに一つの社会的な議論としてもさまざまな論議を呼んでおりますが、これも私は男女のパートナーシップの一つの問題点でもあろうと思うわけでございます。
 そういう意味で、私の基本的な認識はこの男性、女性、それぞれ社会的役割、分担と同時に、お互いの立場や長所を十分尊重し、評価をし合いながらよりよい社会共存の家庭を創出していく、創造していくということが大事ではないか、そういう認識の上に立って男女の問題を私自身はとらえさせていただいておるような次第でございます。
#9
○糸久八重子君 ちょっと前の話でございますけれども、大臣が御就任の際、昨年の十一月の初めだったと思いますけれども、そのときのインタビューで女性を保護する施策が女性の権利、能力を奪っている側面もあり、女性の能力を発揮してもらうためにこの点で均等を図っていくのが信念だと、そう申されておられるわけでございます。保護規定があることで女性の権利やそれから能力を奪っている、そういう部分は全女性労働者のうちにどのくらいあると認識していらっしゃいますか。
#10
○国務大臣(山口敏夫君) 率直に申し上げまして、私は女性ではございませんので女性における職場の保護規定というものがどれだけ女子の職域あるいは役職、また給与の問題で現実的に差別を受けているかということを立証、検証せよということはなかなか類例を明示する以外に私自身として申し上げる立場にもないわけでございますが、むしろ糸久先生なんかのように、実際職場の第一線で何年となく御活躍をいただいておる経過の中で、むしろそういう点についても男女の雇用の一つの差別というものが、どういうプロセスとまた結果の中で出てくるかということは御承知いただいておるのではないかというふうに思うわけでございます。私は極めて基本的に、一つの権利を獲得するためには、それなりの不断の努力といいますか、平等公平な諸条件のもとで一つの権利というものが獲得され守られていく、そしてまたそれぞれに適応した能力が発揮される環境、条件が提供されるというふうに考えるわけでございまして、もちろん女性における一つのハンディキャップといいますか、保護規定というものの必要性というものは私は十分認めておるところでございますけれども、同時にそういう枠を取り払う努力を女性の勤労者自身が、あるいは職場における責任分担という立場においての努力義務といいますか、努力志向というものが真の男女の平等、公平に大きく役立つのではないか、こういう認識を率直に述べさせていただいたわけでございます。
#11
○糸久八重子君 それでは、労働省の方にお伺いいたしますが、総務庁統計局の労働力調査というのが出たわけですけれども、その中に女子労働者の全体の数とか、専門的技術者、それから管理的職の従事者というのが出ておりますね。ちょっとそれを教えていただけますか。
#12
○政府委員(赤松良子君) お答え申し上げます。
 総務庁の労働力調査によりますと、女性の総人口は昭和五十九年には六千九十八万、十五歳以上人口は四千八百万、労働力人口は二千三百四十七万、就業者数は二千二百八十二万人、雇用者数は一千五百十八万人となっております。そのうち先生お尋ねは管理的職業従事者という名前で調査されておりますが、これはだんだんにふえてまいっておりますが、なおその数は今もって少ないわけでございまして、昭和五十九年の同調査によりますと十三万人でございます。
#13
○糸久八重子君 専門的な技術者。
#14
○政府委員(赤松良子君) 専門的技術職業従事者は同調査昭和五十九年で二百八万人と出ております。
#15
○糸久八重子君 大臣、今、赤松局長が申されましたとおり、専門的技術者とそれから管理的職業従事者というのが両方足しますと二百二十一万でございます。そうしますと、女子労働者が千五百十八万、そのうちの二日二十一万なんですね。パーセンテージにいたしますと一四・六%でしかないわけなんですね。ですから、それ以外の約八六%の働く婦人が保護を外されることによって過重労働を強いられるようなそういうマイナス面が大きくなるのではないか、そう思われませんか。
#16
○国務大臣(山口敏夫君) 昔の時代ならまたいろいろな男女の差別といいますか、いろいろな問題もあったと思いますけれども、私は今日のような情報化時代、非常に公平平等を一つの大きな社会のテーゼとして、これは党派分派を超えて、あるいはあらゆる立場の方々がそういう基本的理念をつくるべくそれぞれの立場で努力をされておる、さらには情報化時代とか、こういうこともございます。非常に男であるとか女であることの差別ということより以上に、これはやっぱり人間としてのそれだけ差別を受けている、あるいは非常に厳しい労働条件のもとに置かれておる、こういうことでありますれば、これはやはり社会がこれを放置しておかないというふうにも思うわけでございますし、こういう国会のような、あるいはいろいろな議会の場面でもいろいろそういう権利を取り上げて守られるべく努力がふだんなされておるわけでございますから、私はその保護規定が、何でもかんでも取っ払っちゃえというのじゃなくて、むしろ私ども率直に考えて、その保護規定が逆に女子の雇用における平等、権利、当然の権利といいますか、能力自体も否定されるような逆なマイナスの側面もあるということは、これはやはり客観的に見てそういう指摘も成り立つと思うのです。そういう意味でやはりある程度女子労働者といえども、男子に比べてやはりチャレンジすべき努力目標というものを一つ一つ改善していく必要が女子の方、労働者自身にもあるのではないか。それからまた、社会的なニーズといいますか、雇用における一つの責任分担という立場からも検討すべき点ではないかという考え方の上に立って、一部保護規定の部分をむしろ女性の権利確保という立場から、基本的認識から、そういう取り組みもなされておるということも御理解いただければ幸いと考える次第でございます。
#17
○糸久八重子君 それは大臣がそういうふうに見るのであって、先ほども申しましたとおり、大臣の一方的な見方なんですよ。とにかく、権利、能力を奪う側面というのは、全働く労働者のうちのたった一五%、一割ちょっとでしかないんですね、そのほかの人たちは一体どうするんだと、それを私、今聞いたわけなんです。
 そこで、最近は非常に共働きの夫婦がふえておるわけですけれども、大臣のお考えになります模範的な共働き夫婦のありよう、それはどうお考えですか。
#18
○国務大臣(山口敏夫君) やはり女性がどうしても職場においてハンディがあるということのいろいろな理由があると思うのですけれども、なぜ男女の雇用がなかなか確保されないのだろうか、こういう法律的な整備を伴わなければなかなか促進されないのだろうかということを考える中で、私はやっぱり家庭における責任分担というものが非常に女性の活躍の領域を束縛をしているという部分はあると思うんですね。そういう意味で、やっぱり共働きの御夫婦に限らず、私はやはり家庭責任、子供の教育の問題、あるいは料理の問題一つにいたしましても、家庭科の問題に属する問題等におきましても、ひとつ男性の社会的な意識変化と同時に、男性の努力というものがそこに求められるというふうに考える次第でございます。私どもは共働きではございませんけれども、女房が盛んに選挙運動を専念していただいておりますので、家庭においては私の世話はむしろ自分のことは自分でやる、こういう努力をしておるわけでございますし、やはり教育的な面からいえば、教育課程の中において家庭科というようなものの一つの項目を起こすことによって男社会の意識変化というものを図ると同時に、やはり個々の努力というものを家庭内において進めていくということの中で、一つの男女の平等といいますか、女性の働きやすい、動きやすい環境、条件が整っていくのではないか、こういう認識を持っております。
#19
○糸久八重子君 女子差別撤廃条約の前文で、男女の完全な平等の達成のためには、従来の、男は仕事、女は家庭という伝統的な役割分担を変更していかなければならない、そう強調しているわけでございますけれども、ただいまの大臣のお話を聞きまして、この伝統的な役割分担というのはやはり変更していかなければならないんだということでございますね。確認してよろしゅうございますね。
 それで、私は先の百一国会の中でも首相の女性観をお伺いいたしました。その中で、女性はよき妻でありよき母親であることを私は望むんだと。母親ということについてはわかるんだけれども、よき妻ということはどういうことだということに対して、母として一〇〇%立派な母になっていただきたいんだけれども、女性の横暴になるから一〇〇%よい妻とは言えませんかというような、そういう発言をなさっているわけでございますけれども、やはりその中に妻、つまり夫に従属する妻という、そういう観念がこの言葉の中に大変あらわれているような気がしてならなかったわけでございます。
 実は、せんだって新聞の記事を読みまして、労働省の描く模範的な夫婦のありようというのはこういうものだということが書いてございました。それは記者がそういうふうに書いたので、そのように見たんじゃないかと思うのですけれども、労働省にお勤めになっていらっしゃる女性の方が、やはり仕事も十分やると、そして家庭では家庭の仕事も十分やっている、つまり一人二役をこなしている、それが労働省の描く模範的な働く夫婦のありようじゃないかというようなことが書いてあったわけですね。ですから、そういうことですと、やはりそれだけの力のある方ならばそういうことはこなせるかもしれないけれども、今働く女性というのは職場でも一人前の仕事をする。そして家庭に帰れば家事、育児もしなければならないというような状況だと、本当に一人二役どころか一人三役もの重荷を背負っていかなければ、今の世の中ではやはり女性というのは働いていけないんだと、それをやはりよく認識していっていただきたいと思うわけでございます。雇用平等の理念と申しますのは、やはり家庭生活の責任を平等に分担して、そして分担をしている男女は社会生活とか、特に職業生活において平等で扱われるべきであるという、そういう考え方に立っているのではないかと思うのですけれども、ちょっとその点をやはり確認をいたしたいので、大臣のお考えをもう一度お聞かせください。
#20
○政府委員(赤松良子君) もともと男性は仕事、女性は家庭という観念は広く我が国のみならず世界の多くの国に普及していた考え方であったというふうに思われますが、それが近年、女性が職場に進出するという大きな流れの中で次第に変わってまいったことは確かでございます。また、それを国際条約あるいはILOの条約、勧告等の中にはっきりと明言をされるというようなこととも相まちまして、次第に多くの国にその変更がもたらされ、今日ではそのような習慣はまだ多く残っておりましょうが、それを固定的に男子には仕事のみ、女子には家庭のみと、そういう固定観念を押しつけるということをだんだんになくしていこうという風潮が強まっていることは事実であり、また私どももその方向で政策を推進してまいったつもりでございます。
#21
○糸久八重子君 国際婦人年が始まりました一九七五年に、国連が報告した「世界の女性の状況」というのがございます。婦人は世界の人口の五〇%、つまり二分の一である。そして公的労働力の三分の一を占めている。全労働時間の三分の二を占めているのにもかかわらず、世界の所得の十分の一しか受け取っていない。そして世界の生産の一%しか所有していないんだと、こういう状況をやはり変えていかなければならないと言っているわけでございますけれども、あれから十年たちまして、恐らく世界のこの状況というのは、日本でも同じ状況であったわけですが、前進した面というのは見られますか。
#22
○政府委員(赤松良子君) 先生の御指摘の資料は、国連が発表したさまざまな資料の中で最も印象的なかつショッキングなものの一つだったというふうに非常によく記憶をいたしております。
 我が国におきましては、その分布というものが、例えば人口が半分というようなことは、それはどこの国でも恐らく変わらないと思いますが、その後、労働人口も約三分の一以上、それから、労働時間についてはやや我が国の場合は女性の労働時間は統計上は短く出ておりますから、ILOの統計とは多少ずれがあるように存じます。
 また、収入につきましてもあの統計に示されているほどの差はないかと存じますが、やはり男女間の格差があるというふうに承知をいたしております。しかし、そのこと自体がだんだんに国連婦人の十年の中の変更の中で締まってきているということもまた事実でございまして、その格差の縮小というものは非常に望ましいことであり、私どもが最大限努力を尽くしたいというふうに考えている次第でございます。
#23
○糸久八重子君 今回の法律の改正整備はそもそも婦人差別撤廃条約批准のための国内法を整備するものでございまして、ここで求められているのは男女差別を撤廃することである。そしてそのためには、雇用の不平等があるからそれをなくすために法律をつくっていくということでございますね。間違いございませんね。
 そして本法律案の名称は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保に関する法律」という名前でよいと思うのですけれども、特にその中で「待遇の確保等女子労働者の福祉の増進」という部分をつけ加えてあるわけですけれども、非常にこれが不可解なんですね。第一条の「目的」の中に「職業能力の開発及び向上、再就職の援助並びに職業生活と家庭生活との調和」と、それから「福祉の増進と地位の向上」という、その「目的」のための手段として位置づけられておりますから、女性が雇用において均等に取り扱われること自体を権利として保障するものになっていないんじゃないかというふうに感ずるわけでございます。
 撤廃条約の十一条一項の中にも書いてありますとおり、この撤廃条約が求めているというのは女性の労働の権利を基本的人権として確保するものではないか。そしてそのために雇用上の女性差別を撤廃することなのではないか。この意味から言って、働くことが女性の基本的人権であるという、そういう視点が全く見られないわけですね。特に先ほど出しましたとおり、「女子労働者の福祉の増進」という言葉を入れた、その辺のところの問題についてお伺いしたいのです。
#24
○政府委員(赤松良子君) まず最初御指摘のございました法律の題名でございますが、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の」という「等」でございますが、これはこの法律の構成が第二章が「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の促進」でございまして、第三章が、これはもとの勤労婦人福祉法の時代から引き継いだ規定でございますが、「女子労働者の就業に関する援助の措置等」という規定がございまして、「職業指導等」あるいは「職業能力の開発及び向上の促進」、「再就職の援助」、「再雇用特別措置の普及等」、「妊娠中及び出産後の健康管理に関する配慮及び措置」、「育児休業の普及等」、その他もろもろ女子労働者がその能力、意欲を有効に活用して職業においてそれを発揮できるようにというための援助を規定しているわけでございます。
 したがいまして、第二章だけでございますれば「均等な機会及び待遇の確保」だけでよろしいわけでございますが、この法律の横成が第二章と第三章とを合体させ、そしてそれに総則をつけたという構成になっておりますために「等」という言葉は必要であろうかと存じます。
 それからこの法律が条約との関係で権利の認識が足りないのではないかという御指摘でございますが、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するためのもろもろの規定を設け、その措置を講ずることによって、条約が要請しておりますことを具体的に保障しようとしたわけでございまして、文言として権利という言葉で書かれているかどうかということよりも、それが具体的な規定の中で実現されることによって、その権利は具現化する、このように御理解いただきたいと存じます。
#25
○糸久八重子君 法律案の名称についてもう一つやはりこだわりを感ずることですけれども、私たちは今まで撤廃条約については婦人差別撤廃条約と、そう申しておりましたけれども、「婦人」というのを「女子」という名称に変えたということを三月になってから閣議決定なされたそうでございますね。そして、実は一月の再開国会の中で総理や外務大臣が「女子差別」という言葉を使いまして、実は私たちあっとびっくりしたわけですね。もっとも婦人というのは大人の女というのを意味している。そして条約は雇用の問題だけではなくて、教育から国籍まであらゆる女にかかわることだから、やはり婦人から女子にしたということはわかります。わかりますけれども、私どもといたしましては、やはり女子という言葉に何か問題があるのではないか。つまり女子というのは何か女、子供という、そういう発想があるような気がいたしますし、よく新聞やテレビで、一つ気になる言葉もあるのですけれども、海外の帰国子女なんて言いますね。あの海外から帰ってくる子供たちをどうして帰国子女と言わなければならないか。女ばっかりが帰ってくるわけじゃないのですけれども、帰国子女と言う。そういう意味で何か女子という言葉に問題があるのではないかというような気がするのですね。特に女性という性の側面、女性には生む性という男性にない性があるわけですけれども、そういう女が生まれつき持っている女という性をやはり鮮明に女子という言葉はあらわしていないのではないか。差別撤廃条約というのは性にかかわる差別の撤廃を問題の核心としているわけですね。ですからそういうような女子差別撤廃条約という女子という名前に変えたということは、法案のいろいろな内容につきまして、撤廃条約を批准するための幾つかの抵触する部分があるということでいろいろと気配りがあったということはわかるわけですけれども、そういう気配りばかり考えて、実質的な平等を骨抜きにするような、そんなものであっては困ると思うのですけれども、女子という名称に変えたというそのあたりをちょっとお知らせいただきたいと思います。
#26
○政府委員(斉藤邦彦君) 女子差別撤廃条約が通称婦人差別撤廃条約と言われておりましたのは事実でございます。政府といたしましてこの条約の正式な日本語名を決定するに際しまして、内閣法制局あるいは国語の専門家と協議いたしました結果、婦人という言葉は日本語におきましては一定年齢以上の女性を意味するので、この条約が年齢のいかんにかかわりなく女子を対象としているということから不適当であろうということになりました。他方、女性という言葉につきましては、これは今まで我が国の法令上一度も使われたことがないわけでございます。したがいまして、この条約の扱っております対象から考えまして、それから我が国の法令上の慣用から考えまして、女子という名称が一番適当であろうということで正式に女子差別撤廃条約という名前にした次第でございます。
#27
○糸久八重子君 日本語といいますのはなかなかニュアンスがございまして、今の女子とか女性だとか婦人とか、英語を訳しますといろいろな意味に訳せるわけですよね。それと同じように、この法律の中で、衆議院の段階でも問題になりましたけれども、例えば均等と平等はどうなのかとか、それから労働と勤労はどうやって違うのか、いろいろ問題があると思うんですが、私はそう言葉のことにはこだわりたくはないんですけれども、やはり今まで歴史的にいろいろ私たちが受けてきたものをその言葉の中に感ずるわけなんですね。だから、これからはそういうことも直していかなければいけないと思うのですけれども、たまたまその女子に変えたということについては国民の中にもいろいろ議論がございます。したがって、国民的なコンセンサスも得ないで、法律用語が女子が多いからということで、じゃ女子に変えようと、いきなり本会議で女子なんて言われて私たちもびっくりしてしまったというような経過があるわけですけれども、そういうことで、本題の方に入っていきたいと思います。
 まず、本法案が勤労婦人福祉法の改正という形をとった立法形式、これにやはり大きな問題があると思うわけでございます。立法形式がどうであろうと、それが根本的に改正されて中身が勤労婦人福祉法と全面的に変わっているというならば、そう私も問題にしたくはないわけですけれども、勤労婦人福祉法をそのまま受け継いだ国家による福祉法なのではないかというふうに私は感ずるわけです。そして権利保障という考え方が本法案の中で欠けているのではないかと、勤労婦人福祉法というのは、働く婦人に家庭生活と職業生活の調和のとれた両立を実現させるための福祉政策を行うことを目的としてつくられたと、そう目的の中に書いてございます。だから一個の人間として、男女が平等に働く権利のこれは保障ではないわけですね。そして、勤労婦人福祉法は家庭生活の全責任を負担しながら働く婦人に対して、家庭と職業の両立を実現させるためのいろいろな福祉政策の採用に努力をするという宣言にすぎないと私は解釈しているわけでございます。
 衆議院の段階で赤松局長が、雇用における男女平等という法案をつくったその法の骨子というのは、企業の経営者の中に女性の能力が低いとか、それから家事責任を負っているからという一般的理由で女性を差別している部分がある、その態度を改めてもらいたいということが法の骨子であると、そう答弁をなさっていらっしゃるのですね。その企業の態度を改めさせるためにはどんなことを企業に要求をしていらっしゃるのでしょうか。
#28
○政府委員(赤松良子君) 勤労婦人福祉法と本日御審議を願っております新法案とでは抜本的な改正があるというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。先ほど申し上げましたように、第三章というのは、これは勤労婦人福祉法の時代からそのまま引き継いだ部分でございますから、そこはほとんど変わりはございませんが、第二章は全く新しくつけ加えられた部分でございます。したがいまして、その規定の仕方も従来の勤労婦人福祉法の性格からは考えられなかったような規定の仕方、つまりこれこれをしてはならないというような規定を含んでいるわけでございまして、それは勤労婦人福祉法の性格そのものを第二章をつけ加えることによって変えたとも言えるというふうに考えるわけでございます。
 そしてその規定は、強行法規であればそのことは直ちに民事的な効力を持つことになるわけでございまして、権利としての保障がないということを言うことはできないわけだと思うわけでございます。そしてまた、必要な部分について制裁を課して禁止をするという点についても満たしているわけでございまして、その点、現在御審議中の法案につきましては、使用者に対してそういう規定の仕方で態度の変更を迫っているというふうに御理解いただきたいと思います。
#29
○糸久八重子君 法案の四条に「関係者の責務」というのがございます。そこに「事業主並びに国及び地方公共団体は、前二条に規定する基本的理念が具現されるように配慮して、女子労働者の福祉を増進するように努めなければならない。」と、そう書いてあるわけですけれども、この四条というのは旧法、つまり勤労婦人福祉法と同じなんですね。ここに「福祉を増進」とありますけれども、これは一体どんなことを指しているのでしょうか。
#30
○政府委員(赤松良子君) もともと勤労婦人福祉法のときもそうでございましたが、福祉という言葉は広い範囲の意味で使われることもあれば、狭い範囲で使われることもございますが、私どもが使っておりますのは非常に広範囲の意味で福祉という言葉を使っており、その中には婦人の地位の向上、あるいは女性が差別されることなく取り扱われるということを含んでいるわけでございます。ちなみに労働省の設置法におきましても、労働者の福祉の増進を労働省の任務の一つとして規定しておりますが、このような労働省全体にかかる任務に福祉の増進という言葉が使われておりますことからもわかりますように、非常に広義で労働関係の法律の場合には使っているというふうに考えている次第でございます。
#31
○糸久八重子君 第一条の「目的」の中に、「女子労働者の福祉の増進と地位の向上を図ることを目的とする。」と書かれてあるわけですね。しかし、四条にいきますと「女子労働者の福祉を増進」というふうに書いてありまして、「地位の向上」というのが抜けているわけなんですね。この「地位の向上」というのを入れてない理由は何ですか。
#32
○説明員(松原亘子君) 現行の勤労婦人福祉法の目的は、先生御指摘のとおり、女子労働者の福祉の増進と地位の向上にあるということでございますが、現行法でも第二条はおきましてその理念は何かということを書いているわけでございますけれども、そこには「勤労婦人が職業生活と家庭生活との調和を図り、及び母性を尊重されつつしかも性別により差別されることなく」という文言があるわけでございまして、現行法におきましても既に機会の均等、待遇の平等が実現されることが必要だという基本的考え方は含まれているわけでございます。ともすれば「福祉の増進」という言葉が、先ほど局長が答弁をいたしましたけれども、先生がおっしゃいましたように、ややもすれば非常に狭い意味にとられる場合もあるということから、ここにつきましては、広く言えばすべてが福祉の増進ということで包括されるわけでございますけれども、そういう誤解を避けるためにといいますか、意味を明確にするためにわざわざ一条の目的の規定におきましては「福祉の増進と地位の向上」と、福祉の増進の中に含まれておりますけれども、地位の向上をわざわざ明記をしておるというふうに私どもは理解をいたしておるわけでございます。
#33
○糸久八重子君 衆議院の論議の中でも、福祉の持つ意味は広いんだというようなことの答弁をしていらっしゃるわけですね。勤労婦人福祉法の中に含まれている福祉の中身というのは、見てみましたところが、三章の福祉の措置として職業指導だとか、それから職業訓練だとか、健康管理、育児についての便宜供与、それから相談、講習とか、つまり働きやすい条件づくりといいますか、そういうものを述べていまして、労働の権利ではないわけなんですね。だから、ここでやはり一番大事なことは、まず働くということを権利として保障することなのではないかと思うのです。働くこと、そしてその権利を保障して、そのための条件づくりとして、例えば育児に関することとか訓練とか、それから職業指導とか、母性の保護も含めてそういうようなことを入れていく、つまりこれが福祉であるのではないか。だから、やはりここの部分では地位の向上ということを入れていかないと、福祉という部分にだけ重点が置かれてしまうのではないかなというような、そういう危惧があるわけでございます。
 そういう意味からいいますと、雇用における男女平等を実現することが福祉というのであれば例えば高齢者の六十歳定年の延長とか、それから身障者の雇用率達成というようなそういうものを、労働省の考えの中でいくとこれも福祉の中に入っちゃうんじゃないか、そして、そういうものも全部含めたものが労働福祉法という形になるのではないか、そんなような感じがするのですけれども、それについてはいかがでしょうか。
#34
○政府委員(赤松良子君) 福祉という言葉は確かに大変広いわけでございますから、何かを入れようと思えばそれは入れることは可能だと思います。そしてこのたびの改正もそれを入れたわけでございます。しかし、それを特記して出しておくということももちろんできるわけでございまして、なかなか変幻自在な概念であるというふうに思うわけでございます。
 第三章の福祉というのは、福祉法の時代におきまして、その中のかなり大きな部分を占めていたわけでございますが、それ以外は何も入らないというような性質のものではなかったわけです。そこで第二章をつけ加えるということは可能になったというふうに思うわけでございまして、第二章の規定の仕方は、先ほども申し上げましたように権利と申しますか、女子労働者が仮に不当に解雇されるというようなことがあれば、働く権利をそこで非常に損なわれるわけでございます。定年によって差別され、早くやめなければならないということがないようにというような保障をしているということは、裏を返せばその方たちの権利が保障されるわけでございまして、そのことを通じて女子労働者の福祉が向上されるというふうに私たちは考えているわけでございます。
#35
○糸久八重子君 福祉についていろいろおっしゃいますけれども、この法律の中には労働の権利ということはきちっと規定されておるのですね。
#36
○政府委員(赤松良子君) 先ほど申し上げましたように、不当に解雇されることを禁止している規定は、とりもなおさず労働者の権利がそこで保障されることになる規定だと思います。
#37
○糸久八重子君 働く権利というのは不当な解雇だけではないんですね。まず最初の採用の段階からこれはきちっと労働の権利ということを認めてもらわないと、やはり婦人の働く権利というのは確立されないのですよ。
 そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保というものを福祉の概念でとらえているということは、条約の趣旨をやはり歪曲するものではないか、そして差別撤廃条約の実現に正面切って取り組みたくないというような、そういう姿勢として私は感ずるわけですけれども、大臣はこの部分についてどういうお考えをお持ちですか。
#38
○国務大臣(山口敏夫君) 私もかつて厚生省で政務次官をしておりまして、福祉問題にもいろいろ取り組んだ経過もございますが、先ほどから赤松局長からの答弁にもございますように、やっぱり福祉という問題の基本的理念、概念というものは非常に広範多岐にわたる、単に保護であるとか援助であるとか、そういう一つの概念ではなくて、もっと積極的な意味も福祉という言葉の概念の中には私は織り込まれているというふうに考える次第でございます。
 そこで、確かに男女の雇用の平等という問題は、それぞれの現場に参りますと、かなり現実厳しい雇用条件、あるいは就職等における問題にもハンディを持たされておるということも私どもわかるわけでございますし、そういう何びとといえども男性に対して女性は能力がない、こう思っておる人は今どきいないと思うのです。能力はある、にもかかわらず、なぜ雇用の機会が均等に保持されないかという問題の部分を、この法律の理念、さらに社会的な一つの啓発、実際的な運用の中でそれをどうクリアしていくかということが、この条約の批准と並行して、条約の批准以上に国内の社会的な公平、平等、特に女性の雇用の問題に対する大きな一つの意識改善というものの中に、この論議が皆さん方と進んでおるというふうに私考えておるわけでございます。
 したがいまして、条約法律の一文一文の中における言葉の解釈はそれぞれ議論があるところでございましょうけれども、要はこうした一つの法律の提起によって得る雇用の拡大というものをいかに確保するかということの中で、福祉という言葉につきまして赤松さんからも答弁ございましたように、女性の権利確保の拡大という意味も含めてこの四条に明記されておる、こういう御理解をいただければ大変ありがたいと思うわけでございます。
#39
○糸久八重子君 とにかくこの法律というのは、雇用に関しての男女の平等を規定していくという法律なんですね。だから、それを福祉という広い範囲の中の雇用というふうに考えると焦点ぼけしてしまう、そういうことを私申し上げているんです。だから、そういう広い範囲の中の福祉の中に労働権を含めていくというと、やっぱり労働権というのが薄まってしまって、婦人の働く権利というのはどこにいってしまうのだかわからないじゃないか。そのことはやはりILOの百十一号条約だとか、それから百五十六号条約だとか、第百六十五号の勧告だとか、それから国際人権規約にも反していくんじゃないかと、私はそう申し上げているんですけれども、大臣その点いかがですか。
#40
○政府委員(赤松良子君) 条約あるいは憲法等に規定されている男女の平等という内容が実現できるようにこの法律を改正したわけでございまして、先ほど申し上げましたような第二章の規定から言いましてそのことは明らかではなかろうかと思うわけでございます。例えば憲法にも、すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別云々により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されないと、こういうふうに規定されているわけでございまして、ここに権利という言葉が出てくるわけではございませんが、されないと書いてあることが具体的な法律の中で実現されるということが、とりもなおさずされないことの権利の実現でございまして、権利という言葉がないということで権利が保障されていないということにはならないというふうに考えている次第でございます。
#41
○糸久八重子君 労働権には、もともと労基法の一条の中に、人たるに値する生活に必要な労働条件のもとで労働する権利という内容が労基法の中には含まれていると思います。だから条約の言う労働権というのは、特に女性に対してこれと同様の内容でとらえ直してみると、差別されずに働き続ける権利というような意味になるのではないかと、そう思うわけですね。したがって、法の理念として、基本的人権としての労働権というのがやはり明言されなければならないと、そう思うのですけれども、いかがでしょう。
#42
○国務大臣(山口敏夫君) 先ほどから、福祉の概念が非常に抽象的で、労働権というシビアな問題に対する基本的理念の織り込みが明確でないのではないかと、こういう御指摘でもございますけれども、この二条にもございますように、その能力を有効に発揮して充実した職業生活、労働権といいますか職業生活を営み、及び職業生活と家庭生活との調和を図ることができるように配慮する、これはさっき糸久先生が保護の問題で冒頭御指摘がございましたけれども、どうしてもやはり女子労働者の問題を考えますときに、そうしたこの二条はこの四条の福祉という言葉と連動しているわけでございますが、そういう側面からもやはりこの労働条件といいますか環境整備に努めていかないことには、千数百万、あるいはさらにこれからますます二千万と広がっていく女子労働者の方の基本的な権利、労働権というものを、労働条件というものを守るということが難しいのではないか、こういうことでございますから、あくまで私たちはこの四条に規定されている問題を含めて、女子労働者の労働基本権というものをこの法案によって守り、さらに発展をさせていきたいと、こういう基本的な考え方の上に立って御審議をいただいておるということに、さらに御理解を賜りたいということを申し上げたい次第でございます。
#43
○糸久八重子君 今、大臣がおっしゃいましたけれども、家庭生活と職業生活の調和を図るということが、目的の中、つまり一条ですね、それから基本理念の二条の中にも、そしてまた相談とか講習、これは二十九条ですけれどもね、その中にも繰り返し規定されておりましてね、そして法案最大の理念というようなものになっていると思うんですね。このことは、やはり家庭生活と職業生活の調和を図るというのは、勤労婦人福祉法の精神がそのまま残っているんじゃないか。そういう意味からいっても、この法律は平等法ではなくて福祉法なんじゃないかということを指摘したいと思うのです。
 家庭責任は、前の論議でもありましたけれども、やはり男女労働者がともに担うものである。ILOの百五十六号条約にも、それから百六十五号の勧告の中にも採択をされているわけですけれども、これはもう国際的な趨勢でしょう。そういう意味から言うと、やはりもう既に否定されております一九六〇年代の百二十三号勧告、そして差別撤廃条約の宣言理念をまだまだそのまま維持していると、そういうふうに考えざるを得ないんです。これから新しくつくっていこうというこの日本の法律の精神が世界的な流れに対して逆行しているんじゃないかと、そう思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
#44
○政府委員(赤松良子君) ILOの百五十六号条約、あるいはそれと同時に採択されました百六十五号勧告が目指しでいるところが、家庭責任は男女ともに背負うべきものであるということにあるという点につきましての先生の御指摘は全くそのとおりで、私どもも我が国の現状を踏まえつつも目指すべき方向というものは見誤らないようにいたしたいというふうに常々念願しているわけでございます。しかし、我が国におきましては、他の国にも多く見られるわけでございますが、やはり現状では女性がより多く家事や育児の具体的な負担を背負って生活しているのが実情でございまして、その実態を全く無視することはできないと思うわけでございます。
 そこで、現在ございます勤労婦人福祉法の中の、新法で言えば第三章の部分でございますが、この部分がもはや無用のものになったのかということを考えますと、これは無用のものにはなってないというふうに思うわけでございます。新しくつけ加えられました、殊に再雇用の援助、再就職の援助という項目もございますが、これはむしろ現在一たん労働市場からリタイアした女性たちが、再び労働市場にあらわれて仕事を求めるという実態は非常にふえているわけでございまして、この方たちにその就業を客易にするためのいろいろな援助をするということは、その実態を認めた上で女性が就業することを容易にしようとすることでございまして、それをしも逆行ということにはならないのではないかというふうに思うわけでございます。
 第三章がやはり今日の時点で考えても必要で、女性にとっても有益なことであるということになりますと、この勤労婦人福祉法を全くやめてしまうということではなくて、新たにそれが欠けていた部分、つまり男女の平等を確保するための具体的な施策というものをつけ加えることによって抜本的に改正をし、法律の性格もその結果変わるということになったわけでございますので、決して時代の逆行ということではなく、現実を考えた上で進むべき方向に踏み出しているというふうに考えている次第でございます。
#45
○糸久八重子君 現在の勤労婦人福祉法がやはり大事なものであれば、そこのところの、現在の国際的な状況にマッチしない部分だけを改正して残しておいて、そして雇用の男女平等というのは新しい法律としてつくるべきが本来であったんじゃないんですか。それをやはりこの勤労婦人福祉法の改正という形で雇用の平等を持ってきたということ自体にやはり問題が大きく出てきているんじゃないかと、そう思うんですよ、それについてどうですか。
#46
○政府委員(赤松良子君) 法律のつくり方という点に関して申し上げれば、確かに新しい法律を制定するという方法がございますが、その方法が常に既存の法律の一部改正よりいいということも言えないわけでございまして、それは場合によって、その効果がどうすれば上がるかということを考えてつくられるのが適当ではないかと思うわけでございます。先ほども申し上げましたように、この新しい法案の中に含まれている第三章というものは、現在の時点で考えてもこれは有益な、女性にとってプラスになる条項であると思われますので、これにつけ加えたということは、いろいろ別の方法はあり得たかもしれませんが、今とられている方法が悪いということでは決してなかろうというふうに思います。
#47
○糸久八重子君 いろいろこういうふうに論議の的になるということは、やっぱり悪いんじゃないかというふうに私は考えるんです。
 いずれにいたしましても、今までの論議の中で、家庭の役割というのは働く男女両方が分担をしていかなければならない。そういう意味から言うと、今までのILOの百二十三号というのは、改めて百五十六号条約にしていかなければならない。そこで、衆議院の段階で百五十六号条約を批准することを目下検討中であるという答弁をなさっていらっしゃるわけですけれども、その批准のためにはどのような条件整備が必要なんでしょうね。そしてまた、その条件整備に今着手をしているのかどうか、それをお伺いいたします。
#48
○説明員(馬淵睦夫君) お答え申し上げます。
 御承知のように、今御指摘になりました百五十六号条約、それに同時にILOの総会で採択されました百六十五号勧告ございますけれども、家庭責任が男女双方にあるということを前提としての、家庭責任を持っている労働者の雇用の場での十分な機会均等を確保するということでございます。これは先生御高承のとおりでございます。しかし、条約につきまして、一たん条約を締結するということになりますと、我が国が負います義務の内容、それからかかる義務と現行の国内法制との整合性ということにつき十分検討を行って締結しなければならないところでありまして、それにつきまして今外務省といたしましても、労働省初め関係省庁等の協力も得まして検討を進めておるというところでございます。外務省といたしましては、その検討結果を得ました上で、批准が適当というふうに判断される場合には、また所要の国内措置をもお願いいたしまして、批准をしたいというふうには考えておるのでございますけれども、現在まだ検討中の段階にあるということでございます。
#49
○糸久八重子君 余り検討を長くなさらないで、やはり法的な整備をきちっとしていかなければ、日本の伝統的な慣習である男は仕事、女は家庭という意識というのは改まっていかないんじゃないかと思うのです。
 男像、女像の概念なんですけどね、やはり子供たちはもう学校に行く前からそういう意識を持っている。つまり、家庭の中でそういう意識というのがもう蔓延しているわけですね。というのは、子供が生まれたときから、男の子が生まれればああ男の子でよかった、おめでとうございますという言葉が出てくるんですよね。女の子が生まれると、次はきっと男の子ですよというようなことを言ったりするということもあるわけなんですね。子供たちに言わせると、お父さん像というのは会社人間であって、会社から帰ってくると家で寝そべってテレビを見て新聞を読んでいる、お母さんというのはいつも台所で仕事をしているお母さん像、それを描くわけなんですね。というのは、どこにそういう原因があるかといいますと、例えば小学校の教科書の中にも、女は女像、男は男像というような、そういう写真の掲載といいますか、図の掲載といいますか、そういうものがもう昔からあるわけですね。大変やかましく私たちも教科書編集に対して申し上げているわけですけれども、現在の社会科の教科書の中にも、やはりお母さんというのは掃除をし洗濯をしているのをお母さん像、これは小学校一年生の社会科の教科書なんですね。そして、お父さんはかばんを下げて勤めに行くと、そういうようなものがかかれているんですね。だから、やはり子供の時代から女というものはこういうものである、男というものはこういうものであるという、女づくりといいますか、男づくりといいますか、そういうものがされているということなんですね。だから、そういうことからまず直していかなければならない。そのためにも、どうしても百五十六号条約というものは早く批准をして、そして役割分担のこの社会的な慣習というのを変えていかない限り、やはり女性が十分に一人の人間として自立をしていくことができないのではないかというふうに考えるわけでございます。
 たまたま新聞にこんな記事が出ておりました。「働く女性が選んだ『ベスト・メン85』」というんですね。これはどういうことかといいますと、ある婦人団体が、その婦人団体が考えた理想的な男性、その男性を自立男性として、つまり男のかがみとして、そして記念品を上げようというようなことで選んだということが新聞に出ていたわけでございます。国連婦人の十年の最終年にちなんでのことだということだそうでございますけれども、やはり男性がここで選ばれた五人のように、みんなこういう形の自立男性、つまり男性というのは今は経済的には自立しているかもしれないけれども、生活的な自立というのが少ないわけですね。だから、そういう意味で生活的な自立のできる男性をやはりこれからつくっていかなければならない。とあわせて、女性の場合には生活的な自立はできるんだけれども、経済的な自立もまたさせていかなければならない。そのための法案というのが、あえて私は申しますけれども、この雇用平等法だというふうに考えるわけです。
 そういうわけで、先ほどお話し申し上げました教科書の中にもつくられる女というようなイメージがあるということも大臣によく認識をしておいていただきたいと思うわけですけれども、その辺の御見解いかがですか。
#50
○国務大臣(山口敏夫君) やはり一つの社会的な環境に対する問題と指摘だと思いますね。そういう意味で、先ほども御答弁申し上げましたように、やっぱり学校教育の場でも家庭科というような項目の中で、男子といえども家庭の責任を分担をするということを進める必要もありますし、また若い男性諸君の中にはそういう意識がもう既に生まれつつあると、そういう状況でございますから、さらにそれを改善促進していく必要がある。私はそういう意味では、この法案を提示しておる労働省といたしましても、文部大臣とも十分協議をして、そういう法案と並行して側面的な環境づくりを進めていかなければならないというふうに思います。しかしさっき先生が例に出したように、女の子が産まれるとああ女かと、こういうのは偏った情報でございまして、やっぱり被害者意識のゆえではないか、私ごとでございますけど、三人男でございまして、全部これ病院に見舞いに行かなかった、女の子であれば早速お祝いに駆けつけると、こういうこともあるわけでございますから、やはり社会的な一つの環境の変化というものの中でこの状況をどう生かすかということが男女の雇用の平等確保、拡大という一つの私は大きな転期にきていると、そういう一つのてことしてこの法案の持つ役割というものが位置づけられれば大変男女問題も前進するのではないかと、こういう考え方に立っております。
#51
○糸久八重子君 先ほど申しました「ベスト・メン85」の中に労働大臣が入っていなかったのは大変残念でございますけれども、ぜひ労働大臣もベストメンに選ばれるような男性になっていただきたい、そう思うわけでございます。
 次に、第五条の方の「啓発活動」のところに入っていきたいと思うのですが、これも先ほど申しましたけれども、国民の関心と理解の対象とされているのに、ここでも地位の向上というのが抜けているということですね。これは先ほどお答えいただきましたから特にそれ以上追及はいたしませんけれども、法文の中にある「女子労働者の能力の有効な発揮を妨げている諸要因の解消を図るため、」と書いてあるわけですけれども、その妨げている諸要因というのは具体的にどういうものをお考えなのですか。
#52
○政府委員(赤松良子君) 主として女子労働者の能力の有効な発揮を妨げる諸要因といたしましては、先ほど先生がるるおっしゃいましたような役割分担意識、あるいは職場にございますようないろいろな偏見というようなものが妨げている要因であろうかと存じますので、そういうものをなくしていきたいというふうに考えております。
#53
○糸久八重子君 それでは次に第六条の方にいきたいと思いますけれども、基本方針のところですね。ここで見る限り、女子労働者の福祉、そして地位の向上に関する施策の基本方針を定めるものと、やはりここでも地位の向上というのが入っていないわけですけど、この中に地位の向上ということを入れていくべきではないかと思いますけれども、そのお考えはいかがでしょうか。
#54
○政府委員(赤松良子君) 先ほど申し上げましたように、福祉の増進の中に地位の向上というのは含まれているというふうな理解を私どもはしておりまして、目的のところに特記いたしましたのは、そのことを明らかにするためにわざわざ明記をしたということで、この法案の中に貫いている考えは福祉というのはあくまで非常に広く地位の向上、男女の平等、そういうことすべて包含した概念でございます。
#55
○糸久八重子君 六条の三項の部分でございますけれども、「女子労働者福祉対策基本方針は、女子労働者の労働条件、意識及び就業の実態等を考慮して定められなければならない。」としているわけですね。さまざまな社会的、歴史的な要件の中で女性の意識とか就業意識というのは必ずしも男性と同じではないわけですね。今求められているのはこの差を縮めて男女平等の就業基盤をつくることではないかと思います。現状の女性の労働条件、つまり就業の実態を考慮して方針を決めるというそのことは、現状の差別の実態を変革することにはならないで、むしろ固定をしていっているのではないか、そういう意味ではこの方針の定め方に合理性はあるのでしょうか。その部分について。
#56
○説明員(松原亘子君) 私ども、この法案を立案いたしましたときの基本的考え方は既に何度か御説明いたしているかと思いますけれども、昨年の三月、婦人少年問題審議会から出されました建議のいわば総論部分、これは公、労、使三者の御意見が一致した部分でございますけれども、ここを基本といたしているわけでございます。そこで述べられておりますことは、法的整備というのは、将来を見通しつつも、例えば女子労働者の就業実態、職業意識、我が国の雇用慣行等々、我が国の経済、社会の現状を十分踏まえたものとする必要があるという御指摘があるわけでございます。この基本的考え方に立って今回の法案は立案いたしたわけでございますけれども、この基本方針を策定するに当たりましても、当然我が国の現状というのを十分踏まえなければいけないということは言えるかと思います。ただそれは、先生が御指摘されましたように、あくまで現状を固定するという観点から踏まえるわけではございませんで、現状を十分認識し、それを踏まえた上で先へ進む姿勢で策定をするということでございますので、ぜひその点は御理解いただきたいと思う次第でございます。
#57
○糸久八重子君 方針の中に差別解消のための具体的なプログラムというものは盛り込まれておるのでしょうか。例えば何年までにはこういう差別をこのように一掃するというような、そういう計画というのは含まれているのでしょうか。
#58
○政府委員(赤松良子君) 福祉対策基本方針はいろいろこの条文にございますようなことを考慮しながら、関係審議会の御意見を伺い、かつ地方公共団体の御意見も聞きながらつくるものでございまして、今後この法案が策定された後にどのような方針をつくるかということにつきましてはいろいろな条件を考慮して今後検討されていくものと考えております。
#59
○糸久八重子君 それでは先に進みます。
 事業主の努力義務規定の問題についてお伺いをいたします。
 雇用の入り口である募集、採用では女性に対する差別が非常に顕著で深刻でございます。入り口の差別はその後の賃金や昇格や昇進などすべての差別につながりかねないわけですね。したがって、雇用の入り口での差別を直すことなしに真の男女平等というのは実現することはできないと思うわけですけどね、どうしてこの入り口の部分の募集、採用を努力義務規定となさったのですか。
#60
○政府委員(赤松良子君) 募集、採用について、これが雇用の入り口であり、入り口こそが非常に大切という御指摘はこれまでもしばしば多くの機会に承ってきたわけでございます。その御指摘はごもっともな点も多々あるわけでございますが、我が国の雇用慣行というものを考え、その中になお今根強く定着いたしております終身雇用、それに伴う年功序列というようなものを考慮いたしますと、長く一つの企業の中で働くということは非常に大きな意味を持っているわけでございます。このことは、そういう慣行のない諸外国では一つの仕事本位に人が選ばれ、男女の差などというものは余り大きな意味を持たないかもしれませんが、我が国の場合は、まず学校を卒業したときに、この人は長く、一生この企業で働くのであろうかというようなことを考慮の外に置くわけにはいかないわけでございます。したがって、そういう点で男女の間にはなお大きな差があるということはこれは疑い得ないように思うわけでございまして、そのことが非常に大きな意味を持つという我が国の雇用慣行というものがある以上は、やはりこれを無視するわけにはいかないのではないか。しかし、雇用や採用の場において、それでは今ある差別がそのまままかり通っていいと思っているのかといえば、それは決してそういうわけではございませんで、そういう差別はできるだけ早くなくしていきたいと願っているわけでございます。しかし、法律の条文にいたします場合に、先ほどるる申し上げたような実態を考慮いたしますと、やはりこれが努力目標として差別がなくなるような具体的な方法をほかに講じながらも、やはり使用者に対しては努力をしてもらうという点にとどめざるを得ないというふうに現状を判断したわけでございまして、その努力規定が具体化するためには労働大臣が指針を定め、その中になくすべき差別を明らかにしていく努力目標をはっきりさせるというようなことを考えているわけでございます。
#61
○糸久八重子君 日本の終身雇用制のもとで、雇用管理においては勤続年数が重要な要素になっている。まあ女性の勤務年数が短いということなんですけど、それでは、今男女の勤続年数の平均値というのはどのくらいになっておりますか。
#62
○説明員(松原亘子君) 男子は十一・三年、女子は六・三年でございます。これは全労働者を平均いたしました勤続年数でございます。
#63
○糸久八重子君 男子が十一・三、女子が六・三、そんなに大きな差があるわけでないですね。そして、やはり今までの社会的な状況によって女性の勤務年数というのは確かに短い部分があったわけですけれども、最近は非常に勤務年数というのが長くなってきている、そういう社会的な情勢でありますから、女性の勤務年数が短いから、早くやめるから、やはり入り口の部分は努力義務規定になるんだということは、これは理由にならないのではないかと思います。
 それともう一つ、どうして女性の勤務年数が短いのか、これについて分析なさいましたか。
#64
○政府委員(赤松良子君) 先ほど申し上げましたのは平均でございますから、それより長い人も短い人ももちろんいるわけでございますが、平均でそれだけ違うということはやはりかなり差があるというふうに言うことができるだけの違いだと思います。
 なぜ女性がそれではそういうふうに勤続年数が短いのかと申しますと、これはいろいろな理由があるわけでございまして、とても一つだけというわけではございません。その中にはかなり大きな部分を占めると思われますのは、やはり女性が結婚をする際に、あるいは子供が生まれた際に自発的に退職をするということもあるわけでございます。それ以外には、労働条件が長く働くのにはふさわしくないというようなこともあろうかと存じますし、またこれまでで言えば、あるいは早く退職を迫られるというような実態もなくはなかったというふうに思います。いろいろな条件があって、これは一朝一夕には変えることのできない差ではなかろうかというふうに思います。しかし、それは先ほどは現時点についてだけ申し上げたわけでございますが、婦人労働者の勤続年数が次第に延びてきているということもまた事実でございまして、私ども常に申しておりますのは、十年選手と言われるような、一つの企業に十年以上働いている女性が今や二〇%に達したということも大いに声を大にして言っているわけでございまして、勤続年数の差というものも固定的なものというふうに考えているわけではございません。しかし、現在その差がなお厳然として存在するということを認めないわけにはまいらないと思います。
#65
○糸久八重子君 確かに女性の中には自発的におやめになる方もいるかもしれないですけれども、しかし、多くの企業の中では結婚とか、それから出産とか、そういうときに退職制を設けてみたり、それから若年定年制を設けてみたり、そういう差別定年制を設けて女性を早く退職させてしまうという制度を今まで設けてきたわけなんですね。だから、そういうことでやはり働きたくてもやめざるを得なかったという部分があったわけです。また制度として存在をさせなくても、例えば結婚した女性に対していやがらせをしていづらくさせるような、そういう状況をつくり出すという部分もあったのではないか、もちろんあるということも指摘をされているわけですけれども、そういうこともやはり考えていただきたいと思うのです。
 それからあともう一つは、いやがらせの例であるかもしれませんけれども、女性をやはり一人前の職業婦人として扱わないで、いわゆる補助労働という形でお茶くみとか、コピーをとるとかというような、そういう雑用しかさせない。そういうことになるとやはり勤労意欲は失ってしまうわけですね。そういうようなことで女性がやめざるを得ないんだという、そういう事情もあるということを理解をしていっていただきたいと思うのです。
 最近では年功序列賃金制度も大変この五年間では変わってきておりますね。そして雇用慣行というのは別に動かしていかなくても、もう余りにも日本人は働き過ぎが多いというようなことで、やはり労働の状況を分けていくということですね。よくワークシェアリングという言葉でおっしゃっておりますけれども、分けていくと、また男女でも分けていくと、そういうようなことで、この法案の中にも労基法の部分で残業の制限というものをなくしていくという部分もありますけれども、そうでなくて男性に制限をつけていく、そういうことがやはり大事でないかと思うのです。
 最近の失業率についでお伺いしたいと思うのですが、若年層とそれから高年齢の最近の失業率はどうなっておりますでしょうか。
#66
○政府委員(加藤孝君) 現在全般の失業率が二・五ないし二・六程度の状態でございますが、その中で注目されますのは男性の失業率は大体一定の状態できておりますが、最近においては女性の失業率の方が徐々に上がってきておると、こんなような傾向がございます。
 数字で申し上げますと、手元に五十八年の数字でございますが、男子の失業率が二・七、それから女子の失業率が二・六でございますが、その数字の上がりぐあいは、例えば昭和五十年時点で男子は二%でございましたのが五十八年に二・七になっておる。女性の場合は、五十年時点で一・七でございましたのが二・六になっておる。こういうようなことで女性の失業率が徐々に上がりぎみになっておるところが一つ特徴でございます。
#67
○糸久八重子君 お尋ねいたしました高齢者と若年層については。
#68
○政府委員(加藤孝君) 十五歳から二十四歳という層で見ますと、失業率が非常に高うございまして四・五%と、こうなっております。それから五十五歳以上というのが三・一%、こんなふうになっておりまして、全体の失業率がこの時点、五十八年時点の二・六に対していずれも高い、特に若年者の失業率が高いと、こうなっております。
#69
○糸久八重子君 その失業率から見ても若年層が失業率が多いということは、やはり一つの会社に勤めてずっとそれが長く雇用されているという状況ではないわけですね。つまり、ここの部分から見ても終身雇用制というのはもう既に崩れてきているんじゃないかということが言えるのではないかと思いますけれども、そういう意味でどう分析なさいますか。
#70
○政府委員(加藤孝君) 確かに最近若年層の意識変化というものが一つの問題になっております。よく言われます言い方としては、青い鳥症候群といいますか、要するにもっといい職場があるのではないか、もっといい会社があるのじゃないか、こういうようなことで転々と職場を変わりながら、結局しっかりしたものを見つけ得ないでいる状態の若者が相当ふえておる、こういうようなことが言われております。
 それからもう一つの問題といたしまして、いわゆる一人っ子問題というのがございまして、昔でございますと、非常に就職の機会が恵まれない地域の方々は、例えば大都会へ移転就職するというようなことが一般的にございましたけれども、最近は親の方も一人っ子だからなるべく仕事がなくても親のもとを余り離したくないというようなこと、あるいはまた本人もそういう中で甘えといいますか、積極的に仕事を求めてそういうほかの土地へ移転するというようなことを積極的にしないというような問題等いろいろございまして、確かにそういう若年者の失業率が全体の失業率に比べまして上がりつつあるということはあるわけでございます。そういう意味ではそういう傾向はございますが、しかし大勢といたしましてそれが終身雇用制が崩れたと、あるいは崩れつつあるということで大きく言い切るのは早計ではないかと、そういう現象が確かに起きておるということは確かでございますが、依然として基本としては年功序列体系というものは続いておるというふうに見ておるわけでございます。
#71
○糸久八重子君 崩れてきたわけではないとはっきりおっしゃらないわけですよね。そういう部分もあるのではないかというようなお言葉だったわけですけれども、その意味からいうと、例えば男女の平均の勤続年数も余り差がなくなってきた、そして青い鳥症候群が大変出てきたというようなことになると、そういうような理由で努力義務規定にするという理由はやはり崩れてきますわね。いかがですか。
#72
○政府委員(赤松良子君) 今の生涯雇用、年功序列というような非常に広く普及しております日本的な慣行がなくなったということになれば、先ほど申し上げました根拠も崩れるということが言えようかと思いますが、先ほど安定局長もお答えで申されましたようにその兆候は見られる、いろいろな現象があらわれているということは言えましても、まだ広く根差しているこの慣行がそう急になくなると言うことはできませんし、まして今日既に崩壊しているというようなことは言えないのではないかと思います。
#73
○糸久八重子君 男女の役割分担にいたしましても今の問題にいたしましても、社会的な状況が完全にそうなったから法律を変えていくんだというのでは法律の意味がないわけです。それを変えるためにやはり法律をつくって、そしてその中で悪い慣習は変えていかなければならない。そのためのつくる法律なのではないかと思うんですけれどもね。それは御返事はいただかなくても結構でございます。
 それから配置、昇進に係る問題につきましても、これを禁止としないで単に事業主の努力義務規定としているわけです。現状では女子に昇進の機会を与えないで一定の職務に女子を配置しない企業が多くなってきているわけです。それが女子の低賃金の大きな原因ともなっているわけでございますけれども、配置、昇進については婦人少年問題審議会の公益委員の案といたしましては、これは禁止規定としていたわけですけれども、特に法案では後退をして努力義務規定になっているというその理由は何でしょうか。
#74
○政府委員(赤松良子君) 先生御指摘のように、審議会の公益委員のたたき台というような段階で、昇進と中へ入ってからの部分と入る前、募集とか採用とかということについては分けて考えられておりました。そして、入ってからは義務規定としてよいのではないかという御意見が出ていたことは事実でございます。しかし、この公益委員のたたき台というものの大きな性格と申しますのは、やはり現状を考慮しながらも長期的な展望の上に立つという点により多く重点が置かれていたもののように私どもは理解をいたしております。つまり、やはり見通すべき方向というものはこうだということをより強く意識してお書きになったというふうに考えているわけでございまして、現行の法案がそれよりも後退したと申しますか、より現実の方に重点が置かれた規定になったということが言えるかと存じます。
#75
○糸久八重子君 より現実に近くなった、後退したわけではないと言いますけれども、努力義務規定というのは努力をいたしましたと、しかしそうはなりませんでしたという形で、違反しても直ちに無効になるわけでも何でもないわけです。だから、例えば裁判による民事上の救済を求める場合でも直接法律違反だよということを主張することができないわけです。ですから、やはり今まで行っていたように民法九十条の公序良俗違反という方法をとらざるを得なくなるわけです。この点についてはいかがですか。
#76
○政府委員(赤松良子君) 御指摘のように努力義務では直ちに無効ということにはなりません。
#77
○糸久八重子君 そうすると、裁判に持っていきますと、今までもそうだったんですけれども、非常に裁判が長期化をしてしまったり、また費用の面でも負担が重くなったりということがありますから、どうしてもしようがないという形で泣き寝りをしてしまうという例が今までもあったわけです。また、これからもこういう努力義務規定をしていきますと、もうしようがないんだ、裁判にかけてもしようがない。事業主に言ってもこれは努力義務規定でございますからということで逃げられてしまう、やり場がないですね。一体その実効性をどうやって担保していくんでしょうね。
#78
○政府委員(赤松良子君) この規定の実効性についてでございますが、これは法案の中に明らかになっておりますように、労働大臣は努力すべき目標、企業がなくすべき差別と考えられるようなものを指針という形で明らかにして、それをなくしていくための行政指導もできるようになっているわけでございます。
 また、個別の紛争に関しましては、調停委員会に申し立てをするということもできるわけでございまして、また、規定それ自体につきましては婦人少年室の室長の指導が及ぶわけでございますので、いろいろな形で、努力義務ではあっても、そのことによって差別がなくなっていくということを確保するようにいたしたいというふうに考えております。
#79
○糸久八重子君 指針というような言葉で書いてあるわけですけれども、その指針の内容として、例えば男子のみの募集、採用とか、女子についてだけ婚姻の有無だとか、子供の有無だとか自宅の通勤だとか、それから容姿だとか、そういう条件をつける。それから女性だということの理由で差別するだけではなくて、例えば採用条件として身長が百六十以上なければならないだとか、体重がどうであろうとかというような、そういう間接的な差別も対象に含めるのでしょうか。指針という言葉で書いてありますからわかりませんけれども、イギリスの性差別の禁止法とか、アイルランド、ベルギーの雇用平等法では、そういう間接差別も禁止の対象に含めているんですけれども、そういう意味では労働省の見解、いかがですか。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
#80
○政府委員(赤松良子君) 指針の作成につきましては、関係審議会の御意見を伺って決めることになっておりますので、どのようなものになるということを私がここで申し上げるのは適当でないかと存じますが、一応物の考え方というものを前国会にも衆議院でお答え申し上げたこともございますので、考え方についてならばお答えできるのではないかと思いますが、その点につきまして、先ほど先生が御指摘のような男子のみとか、女性については全然別の基準をつけ加えるとか、そういうようなことが、なくすべき差別の内容として指針をつくる際の検討事項になろうかというふうに考えます。
 また、後段で先生がおっしゃいました、例えば身長が非常に高くなければいけないとかというようなことでございますと、身長が高いことがその業務の遂行にとって特別の意味を持っているという場合であれば、それは合理的なことでございまして、その基準を設けた結果、その基準に達しているのは男性の方がはるかに多い。でも、女性も特別高ければ、それでも通るわけでございますから、男女の差別とはいえない。しかし、その基準自体が何の意味もないのに、女性を排除するために、それがつくられたというようなことが明らかであれば、それは合理的な基準とはいえないのではないだろうかという考え方も成り立ちますので、そのようなことについて指針をつくる際には検討を対象になるであろうというふうに考えます。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
#81
○国務大臣(山口敏夫君) 労働大臣の指針の効用についてのいろいろ御疑問もあるようでございますが、今たまたま進めておりますゴールデンウイークの休暇等の問題でも、行政指導だけで二〇%近く、四日以上の休暇を拡大するという、製造業等が中心でございますけれども、ふえておる、こういう実情もございます。この男女法と直接関係があるかということになるかもしれませんが、やっぱり私は各企業も、労働大臣の指針の策定については非常に大きな関心を持っておるし、また行政指導という立場において、かなりこの法案の持つ意味、そのまた目標というものが、国会での先生方の御論議と相まって、非常に雇用関係における改善が顕著に推進をされる、こういう私どもは一つの判断、確信を持っておるわけでございまして、いろいろ御心配の点もあろうと思いますけれども、そういう指針の内容等におきましては、国会等の論議を踏まえて、どういうものを検討項目に入れるかということは十分我々も考えるべきところでもございますし、そういう点も含めてこの法案の持つ意味と、それからこの今日的必然と、またこの中身につきましても、ひとつ御理解も広げていただければ大変ありがたいと私からも申し上げさせていただきたいと存ずる次第でございます。
#82
○糸久八重子君 今大臣が国会の論議をよく踏まえてということをおっしゃいましたね。確認をさせていただきます。これからもいろいろな論議が出てくると思いますけれども、それらをきちっと背景にした指針をぜひ設けていただきたいと思います。
 時間が半端になりますので、午前中はこれでやめたいと思います。
#83
○委員長(遠藤政夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十六分休憩
     ─────・─────
   午後一時四分開会
#84
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#85
○糸久八重子君 それでは午後からは救済機関のことについてお伺いをさせていただきます。
 十三条に関することでございますけれども、事業主は労使代表者によって構成される苦情処理機関に処理をゆだねる等の方法で自主的解決に努めなければならないとしているわけでございます。自主的解決ということが書かれてあるわけですけれども、すべての職場に労働組合があって、そしてあらゆる労使関係の問題が団体交渉によって自主的に解決されるということは大変望ましいわけですけれども、労働組合に組織されていない労働者が非常に多いわけですね。午前中にもお伺いいたしましたけれども、日本の婦人労働者の数が千五百十八万人、そして専業主婦の数を上回ったと婦人労働白書は述べているわけですけれども、ここでその婦人の労働者のうち労働組合に組織されていない労働者はどのくらいいるかおわかりになりますか、これ通告しなかったんですけれども。
#86
○説明員(松原亘子君) まことに申しわけございませんが、ただいま手元に資料がございませんので、また後ほどにさせていただきたいと存じます。
#87
○糸久八重子君 私の方の調査によりますと、二七・六%が組織されている労働者だと、そういう
資料があるわけでございます。こういうように大体七〇%の労働者が労働組合に組織されていないということなんですけれども、そういう労働組合のない職場にいる労働者は個人で使用者と対等に交渉する、そういうことは可能なのかどうかですね。職場に労働組合がある場合でも、大体活動の中心が男性だと、そして非常に少数である女性の労働者の利益というのはそういう中では十分に守られていると言えない部分もあるわけですよね。労使代表によって構成される苦情処理機関に苦情処理を委任するというふうに書いてあるわけですけれども、その自主的な解決というのは、あくまでも団交によって図られるのが原則であって、こういう状況では妥当ではないかと思うのですけれどもね。「当該事業場の労働者を代表する者」というのは一体何を指しているのですか。
#88
○政府委員(赤松良子君) 先生のおっしゃいましたような組合の組織率が高くないという状況のもとでは、労働組合だけというわけにはもちろんまいりませんで、この規定はそんなに硬直的な規定ではございませんで、どういう方でも代表にする資格があると思われる場合にはよろしいわけでございます。
#89
○糸久八重子君 そうすると、職場の中で信頼できる他の労働者という意味でございますか。
#90
○政府委員(赤松良子君) そのように理解していただいて結構でございます。
#91
○糸久八重子君 最近では、職場の中に複数の労働組合がある場合が多いわけですけれども、例えば労働組合の代表が仮に出てきたとしても、その複数の労働組合があるような場合にはどうしたらよろしいのでしょうか。
#92
○説明員(松原亘子君) ここの十三条におきます苦情処理機関につきましては、今先生御指摘のように括弧内でどういうものであるかということを書いてございますが、今御指摘のような点につきましては、当該事業場で労使間で自主的に話し合って決めていただくということが原則であろうかと思います。
#93
○糸久八重子君 なかなかやはり複数の労働組合の中で話し合うということは困難な場合が多いと思うんですね。例えば、自分の労組に属している組合員でないんだから私の方には関係がないよというような場合が出てくるだろうと思いますし、また例えば、うちの方の組合員だから私の方が出ていきましょうという形になっても、使用者が全体の中で話し合ってきた代表者ではないんだから、代表として認めないという場合も出てくるのではないでしょうか。
#94
○説明員(松原亘子君) 今のような点につきましても、基本的にはその当該事業場の中で話し合っていただくべきだと存じますし、またこの苦情処理機関につきましては必ずしも先生の御指摘がございましたような組合ということと直結して考えなければいけないということでもないわけでございまして、当該事業場においてそこの労働者を代表するという者を選んでいただいて、労使との間での話し合いのもとにこういう機関を設けていただくのが望ましいということで例示として挙げたものでございます。
#95
○糸久八重子君 当該事業場の代表というのは大変範囲が広くてわからないし、もし私はそうじゃないよという形になると代表者が出てこない。そうすると結局話し合いがつかない、自主的な解決ができないというような、そういう事態になるのではないかというような心配も出てくるわけですね。
 それで、あらゆる問題でやはり当事者が自主的な解決をするということはやっぱりこれは当然のことなんですけれども、それができない場合の救済の手段はやっぱり法でしていかなければならないのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#96
○政府委員(赤松良子君) 自主的な解決が望ましいということが書かれているわけでございまして、あらゆる場合において自主的な解決ができるということを予定しているわけでもございませんし、またそれを踏まなければほかの手続に移れないということでもございません。
#97
○糸久八重子君 「男女差別の苦情を処理し、男女平等の促進と婦人労働者の地位の向上に資するため」としまして、東京都に職場における男女差別苦情処理委員会が設置されているのを御存じですか。
#98
○政府委員(赤松良子君) 承知いたしております。
#99
○糸久八重子君 東京都が設置しているものでございますから政府の方の直接の問題ではないと思うのですけれども、実は私は、当委員会に東京都の苦情処理委員会に属している委員の方に来ていただいて説明をしていただきたいと、そう思ったわけでございますけれども、どういう理由かわかりませんけれども、要求してもそれがお呼びできなかったわけでございますが、御存じの範囲で設置の経過や委員会の仕事とか権限、簡単で結構でございますけれどもお知らせいただけますか。
#100
○政府委員(赤松良子君) 何分にもこれは国の機関でございませんので、設置についての背景だとか、よく調査が行き届いておりません。ただ、これは法律や条例等の根拠を持つものではないというふうに理解をいたしております。その点で、私ども今御提案中の調停委員会とは性格を異にするものでございます。
#101
○糸久八重子君 設置されたのは、聞くところによりますと、東京都の婦人問題会議から婦人行動計画が出されて、その中に、職場における男女差別を是正するための苦情処理機関という項目を取り上げ、労働審議会の答申でできたと、そう聞いておるわけです。つまり、国際婦人年の一環として、早速東京都が行動に移して、そして設置をしたということなんですが、私はこのことに対して大きく評価をしたいと思いますし、相談とかあっせんもかなりの数に上って、相当な機能を果たしていると聞いておるわけでございます。その苦情処理委員会と本法の調停委員会は権限が違うというふうにおっしゃられたわけですけれども、どう権限が違うのでしょうか。
#102
○政府委員(赤松良子君) 権限が違うというふうに申し上げたのではなくて、東京都の苦情処理委員会は法令等の根拠を持っているものではなくて、法案の中の調停委員会はその点で違うというふうに申し上げたわけでございまして、取り扱う内容等については、かなり類似の機能が大きいのではないかというふうに思っております。
#103
○糸久八重子君 東京都の場合には設置要綱ですね。そうしますと、これは単なる行政指導ということになるわけですか。本法とはどういうふうに違ってくるのでしょうか、私もちょっとその辺のところは詳しくないんですけれども。
#104
○政府委員(赤松良子君) 私ども入手いたしておりますところでは、これは「職場における男女差別苦情処理委員会設置要綱」という要綱を東京都がおつくりになって、それに基づいて設置をされたというふうに承知をいたしております。そして、「委員会は、知事の依頼に応じ、職場における男女差別の苦情の調整を行い、その結果を報告する。」ということになっております。委員の構成は、学識経験者三人、労働者委員二人、使用者委員二人と、それぞれ以内というのがついておりますが、そういう構成になっておりまして、知事がそれを依頼をし、知事は特別の事項を調査するため必要と認めるときは、特別委員を依頼することもできるというふうになっておりまして、「委員会又は部会は、調整に際し、関係者から事情を聴取する必要があるときは、関係者の出席をもとめることができる。」というふうに規定されているわけでございます。その他権限等につきましては、何分法律上の根拠を持つものではございませんので、苦情の申し立てを受けて調整を行うという程度のことができるというふうに承知いたしております。
#105
○糸久八重子君 そうすると、東京都の場合には設置要綱という形で決まっている。本法の場合には法律で決まるわけですから、権限はやはり本法の方があるということになるわけですね。しかし、東京都の場合には、これは設置要綱で行政指導はできると思うんですけれども、そうなると、東京都のいろいろな例を聞いているわけですが、なかなかそこにも問題がありまして、上がっていった内容が直ちに委員会で結論が出るというような問題でないものも出てきているというふうに聞いているわけです。だから、やはりそういう形の中で裁判に持っていかざるを得なかったという事例があるわけですけれども、行政指導というのは余り効果がないんじゃないかなというふうに私は考えるわけですけれども、その辺どうなんでしょうか。
#106
○政府委員(赤松良子君) 行政指導は、効果のある場合とない場合といろいろあろうかと思いまして、この苦情処理委員会が取り扱われたものがすべて効果がなかったというふうには言えないかと存じます。
#107
○糸久八重子君 じゃ、本法の方に参りますけれども、調停に付される事項が募集、採用についての紛争を除く紛争に限定をされているわけですね。現在、募集、採用の段階で女性に対する差別が非常に深刻であるにもかかわらず、それを明確に禁止する法律がなくって、そのために裁判に訴える例もごくまれだと。だから、このことに関しての救済というのは非常に困難な状況になっているわけですね。本法は募集、採用についての紛争を除くということになっているわけですから、あと募集、採用については恐らく行政指導に期待するということなんだろうと思いますけれども、差別された女性が紛争解決のために事業主との話し合いを求めることができる制度が確保されていなければ、現実の救済が図れないわけですよね。募集というのは、まだ企業に入ってこないといいますか、その前の段階だからということで調停にはならないんだ、そうおっしゃるかもしれませんけれども、そうなると、この募集、採用というのはどこでどうしたらよろしいんですかね。
#108
○政府委員(赤松良子君) おっしゃるとおり、募集、採用についてはまだ使用者とも言えるような状態でない方との間の紛争でございまして、調停にかけるということはふさわしくないというふうに考えたわけでございますが、それではどこでやるのかというお尋ねでございますが、労働大臣あるいは婦人少年室長に委譲された権限がございまして、婦人少年室長はそういう調停に はかけることのできない事項につきましても取り扱うということに法律上なっております。
#109
○糸久八重子君 そうすると、婦人少年室は、そういう男女別募集を行っている企業にどういうような方法をおとりになるのか、そしてまた指導に従わない企業にどういうふうにするのか、その辺をお伺いしておきます。
#110
○政府委員(赤松良子君) まず最初考えられますことは、実態を把握することであろうかと存じますが、実態を当事者から伺って、それを把握した後、当該事業主に対して指導あるいは助言等ができるという仕組みでございます。
#111
○糸久八重子君 十五条の方に入りまして、室長は、一方から調停の申請があった場合に、他の関係当事者の同意があったときに調停委員会に調停を行わせると条文にあるわけですけれども、婦人少年室の勧告に従わない者が調停にたやすく出てくるはずがないと思うのですけれども、その辺はいかがですか。
#112
○政府委員(赤松良子君) 調停にかけるかかけないかということも婦人少年室長が判断することになっておりますが、援助を求められた場合に、当該関係当時者に対して必要な助言、指導、または勧告をすることができるわけでございます。
#113
○糸久八重子君 勧告に従わない場合ですね、ただ説得をするわけですか、出るようにと。
#114
○政府委員(赤松良子君) 説得を続けるということになろうかと思います。
#115
○糸久八重子君 説得を続けまして、辛うじて出席したといたしますね。そうしますと、調停の中で形勢不利と見れば、途中から欠席することも考えられるわけですね。そうなりますと、調停不能になるわけですけれども、そういう場合はどうするのでしょうか。
#116
○政府委員(赤松良子君) 調停の性格上、そのような場合は調停が成立しないということになると思います。
#117
○糸久八重子君 調停委員の権限というのはどういう権限をお持ちなんですか。
#118
○政府委員(赤松良子君) 調停案を作成いたしまして、その調停案の受諾を当事者に対して勧告することになっております。
#119
○糸久八重子君 そうすると、そういう状況ではとても紛争の解決ということにはなり得ない。調停委員会というのはただ名ばかりで、余り効果は出ないのではないかと、そのように考えるわけですけれどもね。そして、その調停委員会の委員を三名としてあるわけですね。その理由は何でしょうか。
#120
○政府委員(赤松良子君) 調停委員会の委員は複数であることが望ましいということで、一人ではなく、三人が適当であろう、また余りに大勢の方にこの委員会の機能をお願いするということはかえって手数がかかると申しますか、時間もかかり、適当でないという観点から、比較的少数がいいのではないかということで三人としたわけでございます。
#121
○糸久八重子君 労働関係調整法の調停の場合はは、公益と労働と使用者側との三者という形になっておりますけれどもね。なぜこの本法は学識経験者としているんでしょうか。学識経験者で、しかも三名ということは、この公益、労働、使用者という含みがあるのでしょうか。
#122
○政府委員(赤松良子君) 三人はいずれも学識経験者ということでございまして、労働側、使用者側というような観点から三人としたわけではございません。労働関係の調停に関しまして三者構成というふうになっているものはございますが、不当労働行為等の場合には、その中で公益委員のみが案を作成するということになっておりまして、機能といたしましては、やはり公益側の機能であるというふうに考えております。
#123
○糸久八重子君 委員は大臣が任命するとありますけれども、大臣、この三名の委員で十分機能が果たせるとお思いですか。
#124
○政府委員(赤松良子君) 先ほど申し上げましたように、人数が多ければいいというものでもなく、また、一人というのでは判断の偏りもあるかと思いますので、学識の深い方を三人選ぶというのが適当な線ではないかというふうに考えます。
#125
○糸久八重子君 やはりこの場合には、学識経験者ということではなくて、調停委員会の性格からして、公益、労働、使用者側というような形の委員が出てくるのが一番正しいのではないかというふうに考えるわけです。そして、百一国会で、委員は女性もと、これは前坂本大臣がお答えになっていらっしゃいますけれども、これは大臣にお伺いしたいと思います。
 これは衆議院の段階でも、この法律は女性の法律なんですよというようなことを強調されていらっしゃるので、そうすると、当然調停委員会にかかってくるというのも女性だというようなことになりますから、これは女性を多くといっても、たった三名の中ですから、多くといったって数は知れているんですけれども、その三名の委員全部が女性であってもいいわけですよね。その点大臣はどう思われますか。大臣が任命なさるですから。
#126
○国務大臣(山口敏夫君) 適任者がおりますれば、全員女性であっても私は一向に差し支えないと思いますが、必ずしも女性が女性の立場を十分公平に評価するかどうかということもあるわけでございますから、やはり学識経験者の、いわゆる皆さん方の納得のいくメンバーに、いざというときにはこうした大事な問題の調停をお願いするということは、その方の権利を守るということにもつながると私は考えております。
#127
○糸久八重子君 女性の問題を女性が理解できなくて、男性が理解をすることというのは、これはまたまた大変なことだと思うんですよね。そういう意味で、やはり調停委員というのは、女性が調停委員になるべきじゃないかと私は思いますし、また任命の際には十分配慮をしていただきたいと
思うわけでございます。
 それと、これはある経営者団体のセミナーでのことなんでございますけれども、そのセミナーの席上で、調停の問題についてまず二つのことを言っております。しょせん労働者保護のための機関なんだから、使用者はこの法律については頼りにできないと。そして、調停中に資料を出すと調停が不調になった場合に裁判にでもなると情報公開の原則から裁判所へ資料が出てしまう。だから、以上の二つのことから企業は調停に乗らない方がよいでしょうと、そう指導したということですね。そういう意味からいうと、いかにここに書かれてある調停委員会というものの権限のなさがわかるわけです。そういうような企業側の指導もあるということをお教えしておきたいと思います。
 それから、法律で婦人少年室の人員は全国で百七十名になる予定ですね。そして、これを都道府県当たりに直しますと平均三名から四名。私どもの千葉県でも四名の人員のようでございます。やはり婦人少年室の人員を十分拡充して、その婦人少年室の人員の中に雇用平等監督官というような役柄の方を置く。そうすると、まあ非常に仕事は大変だろうと思うのですけれども、その雇用平等監督官に立入検査権等を与えて、そして監督をするようなことはできないのでしょうかね。
#128
○政府委員(赤松良子君) この法律全体の施行の責任を婦人少年室が担うことになるということから申しまして、その充実強化というのは非常に大きな課題であるというふうに認識をいたしております。六十年度の人員の要求の中で、機会均等指導官という職名の職員を、まだこれが施行になる前段階でございますので大変少ないわけではございますが、新たに設置が認められました。そこで、これは婦人少年室の強化のまず第一歩だというふうに私ども考えておりまして、これが来年度もし施行することができるようになりましたならば、そういう方向でなお全力を尽くして強化に努めたいというふうに思っております。
#129
○糸久八重子君 やはりこの法律は日本の流れを変えていく大変重要な法案なんですね。だけれども、この今出されている法案の内容から見ますと、そんなに変わるとは思えないわけです。でもやはり流れを変えていくような、そういう大事な法案ですからね、そのために必要なところにはやっぱり人をふやしていかなければいけないと思うんですね。財政再建と称して大変人減らしをしたり、福祉の切り捨てばかりしているのが法律の中身ではないと思うのです。
 今衆議院で審議をされております派遣事業法というのがありますけれども、これも婦人労働者に関係のある大変な問題のある法律なんですけれども、中央職業安定審議会が、もしこの法律を認めるとするならば職員の増員をして立入検査権を認めよと、そう言っておりますし、また政府から出されました派遣事業法を見ますと、その中に立入調査権も入っているし、とにかく大変整った法律になっているわけですね。そういう意味からいうと、派遣事業法の方が大事で、この雇用の機会均等法というのは派遣事業法よりも大事な法案じゃないのかしらというふうな気がするんですね。その辺のところはいかがでしょうか。
#130
○政府委員(加藤孝君) 派遣事業法は、提案いたしております考え方としましては、罰則つきの労働者供給事業違反という問題についてどう派遣事業の中でこなしていくか、こういうような関係の法律でございますので、労働者供給事業についてくっついております各種の立入調査あるいは監督権、さらにはまた罰則、そういったようなものとの絡みで、それとの関係でそういう各種の強行規定がくっついておる、こういう関係でございます。
#131
○糸久八重子君 確かにその中に指導、助言もあるわけですけれども、立入検査権そして罰則を課すことと、きちっとこう書いてあるわけなんですね。だから、やはりこういう立入検査権とか罰則というようなものも法律の中にうたっていかなければなかなか、やはり法律というのはどこかの抜け穴で走り去ってしまう。大きな目ざるの中に水を入れるのと同じようなことだと、そう思うわけですね。
 そこで、参議院の段階では政府の法案に対しまして対案というのを我が党は出さなかったわけでございますけれども、そういう意味で、衆議院に出しました対案の中身のように、やはり雇用平等官を置いて、そしてそれに権限を与えて、そして不服審査機関としては中央、地方に雇用平等委員会をつくっていく、そういうようなきちっとした法律をつくっていかなければいけないのではないかと思うわけですけれども、それについて大臣どう思われますか。
#132
○政府委員(赤松良子君) 衆議院段階で野党四党対案としてお示しいただいた法案についてはいろいろと検討させていただきましたが、政府の提出する案といたしましては現在提出中のようなものが最も適当というふうに考えております。
#133
○糸久八重子君 適当と考えていらっしゃるのは政府や労働省だけでございまして、きょうたくさんの傍聴の方も見えておりますけれども、やはり働く婦人は非常にこの中身に問題があるということできょうも傍聴席でじっとそのやりとりを聞いていらっしゃるわけですけれども、そういう意味でやはりこの法案の中身というのは非常に問題がある。特に午前中からの質疑の中でもお話し申し上げましたとおり、女が働くということは福祉の範囲内である、そういうような立場に立った、やはりこの均等法というのは、あくまでも家庭というのは女が責任を持つべきであるというそういう前提の中で、女子の労働者は家庭と職場の調和を図ることで、そして企業側は努力義務とするという程度のそういう法律になっていることで、非常に私は残念だと思います。
 やはりそういうような非常に各所に問題がある法律でございますから、これはもっともっと論議を尽くしていかなければならないと思いますけれども、それは他の党の方にもお譲りをいたしまして、そういう福祉法の範囲である均等法に加えて、労基法の女子保護条項というのがこの均等法という名のもとに削除または緩和されようとしている、大変そのことが問題でございます。保護規定を外して、残業とか深夜業をもっともっと強いて、そして長時間労働をさせようとする、その意図が見え見えであるわけですけれども、女性の低賃金と、それから男性の長時間労働というのは、これは諸外国から指摘されているように、日本の企業が海外競争に勝って、そして貿易摩擦を起こしているという、そういう現状もあるわけですね。男性労働者も非常に今長時間労働を強いられておりまして、夜遅くまで働いている。最近は勤め人の帰宅に合わせて商店なんかも割合に遅くまであけている。そうなると、日本じゅうの人間がみんなくたびれちゃうというような状況なんですね。そういう健康破壊が続いたり、帰宅がおくれれば当然家庭内の会話というものも失われてくるし、人間的な、人間らしい生活が失われてくるのではないかと思いますけれども、こういう状況を大臣いかがお考えですか。
#134
○国務大臣(山口敏夫君) やはり日本の長時間労働というのは諸外国からもいろいろ問題指摘を受けているわけでございますし、それからまた、高齢化時代を迎えてワークシェアリング的な考え方も今から検討していく必要もある。そういう点からも労働時間の問題は大いに前向きに取り組まなければならない。
 さらには今先生の御指摘のように、家庭の中におきましてもやっぱりこれだけ社会の変化が激しいという状況でございますから、子供さんの教育あるいは家庭の問題、家族の問題からしてもやはり男性の長時間労働、あるいは週休二日制、こういう問題も労働条件の改善とか、労働福祉の立場だけではなくて、あらゆる広範な立場からも検討する必要がある。土曜日のパパは僕のものというスローガンもヨーロッパの労働組合などにもございますけれども、そういう意味で週休二日制ということも考えていく必要がある。
 さらには今貿易摩擦の問題で総理が先頭に立ってやっていますけれども、こういう諮問委員会の
中にも労働時間の短縮や週休二日制によるいわゆる余裕期間の拡大というものが消費とか内需の問題、あるいは生活文化の向上にもつながる、こういうことでいろいろな理由を考えてみましても企業の持つ合理性や効率性という、あるいは日本の企業の持つ厳しい条件というものをできるだけ克服しながら、毎年先生御指摘のような労働条件、労働時間の環境改善というものは一歩一歩取り組んでいかなければならない。こういう立場からも男女の問題に対する一つの解決策、改善策にもこれがつながるというふうに考えておりますし、私は男女法とは別に労働時間の短縮、休暇の拡大の問題につきましては今国会でも与野党の協議すべき内容の一つになっておるわけでございますので、国会における結論もぜひ期待してその動向を見守っておる、こういうところでございます。
#135
○糸久八重子君 大臣ね、五月のゴールデンウイークが目前でございます。大臣は就任後、連続休暇を前面に出してその普及を提唱しておられましたね。私たちも大臣に随分と期待をかけました。三月二十八日の所信の質疑の中で、これは行政指導でするというような答弁をなさっております。行政指導というような形では今までどおりであんまり進展がないのではないのか。そして例えば有給休暇とか、年休をその時期に集中させるんだ、そう言っておられるわけですけれども、今大型連休という形で定着している企業は大体大企業なんですよ。それで中小企業に働く人たちというのは本当に休めない。メーデーの日だって働かなければならないという現状があるわけですね。行政指導でというようなことを大臣がおっしゃったわけですけれども、聞くところによりますと、特に中小企業の経営者側から大型連休をとることについて大きな反対があった、その辺の力に押されてしまったのじゃないのかしら。何か最初大分華々しかったんだけれども、非常に色あせちゃった感じがするんですけれども、その辺いかがですか。
#136
○国務大臣(山口敏夫君) 私は比較的辛抱強く忍耐強い方でございますので、今、先生のように期待をかけましたという過去形で済んでいるという認識には立っておらないわけでございまして、こういう問題は執拗に呼びかけ、問いかけ、そしてまた改善への努力に対して御協力をいただく、こういうことの中に一つの大きな意識革命というものが進んでいくと思うのです。
 先週の日曜日の新聞発表にもございましたが、ゴールデンウイークにおける連続休暇というものが、昨年までと比べまして約二〇%近くこれを採用するところがふえた。これは確かに製造業、大企業も多いわけでございますが、ことしの傾向は中企業や小規模企業にも努力の傾向が見られるという特色があるわけでございます。それから企業経営者が休暇に対して非常に冷淡だということは事実でございますが、同時に、私どもに対する批判は、使用者側だけではなくて、労働者側からも大変強い批判がございます。労働組合は別でございますが、一人一人の労働者からの、自分たちが働こうと言っているのに、なぜおまえたちが休め、休めと余計なことを言うな、こういう批判も大変強いわけでございまして、現にもう既に権利として保障されておる有給休暇の完全消化等にもなかなか前進、改善が見られない、こういう状況でございます。したがって、いろいろ御論議や御批判は当然だと思いますけれども、私どもはそういう壁に穴をあげるがごとくやはり一歩一歩そういう一つの労働条件の改善と同時に、勤労時間、また勤務の価値観と、今、先生が御指摘のような部分とをどう接点を理想的時点でこれを高めていくか、こういう不断の努力が必要であるというふうに考えております。
 ことしの連休の休日化という問題は物理的にも、私は当初からことしは無理であると、こういうことを言っておるわけでございますが、来年以降の問題につきましてはまだまだ各党の先生方の御理解と御努力によっては、もちろん労働省は政府として行政指導を中心に環境づくりを進めているところでございますけれども、これがさらに前進する余地は十分にある、こういうことでもございますので、一層のそういう御熱意、また御指摘もいただければ大変ありがたいと考える次第でございます。
#137
○糸久八重子君 労基研の中間報告によりますと、週四十五時間、そして一日九時間とか、それから三六協定方式を維持して、そして時間外労働の上限枠を設定していないのに、どうしてこうい状況で時間短縮ができるのでしょうね。時間短縮の実効性は何によって担保されるのでしょうね。
#138
○政府委員(寺園成章君) ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、時間短縮につきましてはかねてから行政指導を通じまして鋭意努力をいたしておるところでございます。
 一方、労働基準法の労働時間法制は、御承知のように、昭和二十二年に制定されまして以来そのままに推移をしてまいっております。その後の経済社会情勢に種々そぐわない面も出てまいっておりまして、産業界、労働界からもその改正についての御要望をちょうだいをいたしておるところでございます。
 そのような事情を踏まえまして、五十七年から労働基準法研究会におきましてこの労働時間法制についての調査研究をお願いをいたしまして、御指摘の中間報告が昨年の夏に出たわけでございます。これは中間報告ということでございますから、現在、労使、関係者などからヒヤリングを研究会としてしていただいております。それを踏まえながら、さらに調査研究を続けていただき、ことしの夏に結論をちょうだいできるものというふうに思っておりますが、その結論をちょうだいいたしましたところで、労働省といたしましては、関係審議会にお諮りしながら基準法改正等の所要の手続を進めてまいりたいというふうに思います。
 なお、九時間の問題あるいは時間外労働の問題について御指摘がございましたけれども、九時間の問題は、研究会の考え方といたしましては、労働者の余暇の増大あるいは第三次産業が多くなってきているというような実態を踏まえまして、一週の労働時間は短縮するけれども一日の労働時間はできるだけ弾力化しようと、そういう意味で、一週の労働時間を毎日毎日に配分いたしますときのアッパーリミットとして九時間という思想をとったものでございますし、また、時間外労働につきましては、研究会の報告は、現行の労使協定方式が適当であるという考え方を示されておりますけれども、その考え方も、我が国の終身雇用慣行というものを基礎に置いた場合には、法律で上限を規制をするというよりも労使協定にゆだねる方がより適当であろうという考え方に基づくものだというふうに理解をいたしております。
 いずれにいたしましても、現在まだ調査研究を続けていただいておるところでございますので、その最終結論を待って対応をいたしたいというふうに思っております。
#139
○糸久八重子君 これは先の話にはなると思いますけれども、今御答弁のように、やはり人間というのは生きているわけですから休みだめなんてできないんですよね。だからやはり正常な労働時間内に正常な労働をするというのが当たり前であって、夜中に仕事をしなければならないというようなことはやっぱりこれは異常な状況なんですね。そういうものもやっぱりだんだん少なくしていかなければならないというような、そういう世界的な潮流にあるにもかかわらず、労働基準法の中で緩和をしていくというのは大変問題があると、そう思いますしね。それから、日本の場合は、先ほども申し上げましたけれども、働き過ぎと諸外国から言われているわけですからね、そういう時間短縮を含めた男子労働者の労働条件の見直しを図るということがまず大事なのではないか。その上に立って、それでは女子のこの保護規定等についても考えよう、そういうふうに考えるのがこれはごく当たり前だと思うのですけれども、その辺はいかがでございますか。
#140
○国務大臣(山口敏夫君) 基準法研究会の問題につきましては、労働時間の問題あるいは週休二日制の問題をどうしたらいいだろうか、こういう立場で労働大臣が私的に学者の先生方に御検討をいただいたと、こういう形の中間報告でございますから、基準局長からも御説明がございましたように、週休二日制へ移行するためにはこういう考え方もあるということが、九時間問題としてそれがひとり歩きといいますか突出したと、こういう経過もございます。しかし、糸久先生御指摘のように、今までの八時間労働というものもあるわけでございますから、これが九時間が主流になるということは、私はそういうことにはならないのではないかと思いますが、しかし、まだ最終結論が出ている段階でございません。私の方で御協議いただきたいということでございますので、まだその中間の報告をそのとおり受けていると、こういう段階でございますので、そういう御議論も十分踏まえて今後対処したいというふうに思います。
 さらには、今御指摘の労働時間の短縮に伴ういろいろ改善措置の問題につきましても、そうした研究会の報告、あるいは基準法の改正等の問題との絡みの中で、ことしの秋以降いろいろ機関、委員会等の審議やお考えもいただきながら、今国会でもいろいろこうした問題があらゆる角度から御論議いただいておりますし、そういう点も踏まえて一つの見直し検討作業に入る、そういう段階に来ておるんじゃないか、かように考えておりますので、その辺も御理解をいただければ大変ありがたいと思います。
#141
○糸久八重子君 理解できないんですよね。やはり全体の労働基準法を考えてみて、そしてそれから派生して女性の問題について考えていくというのがこれはやっぱり普通じゃないかと思うんですけれどもね。最初に女性の問題を片づけてから全体的な労基法の見直しというのはちょっと逆ではないですか。
#142
○国務大臣(山口敏夫君) 男女法はいろいろ御論議が確かにございます。ございますけれども、そういう論議があるということは、言いかえてみればやはり女子の雇用の問題に一つの大きな変化、転換期に来ておると、そういう女子の能力あるいは実力、また意欲というものをどう社会がこれを受けとめ、またそれぞれの場に適用すべきか、こういう時代的必要性、必然性、そこへまた国連婦人年、条約の批准、いろいろ絡んでここで一気に世論の一つの大きな、特に女子労働者の要求等も踏まえてこの法案が整備されてきた、こういう経過もあるわけでございまして、理想論としては基準法を先にやって、その後雇用法の問題等といろいろ組み合わせ、スケジュール等の御指摘はございます。ございますけれども、私どもはやはりこの男女法をここで成立することによって、いろいろ仮に女子の職場における差別でございますとか、採用時における差別でございますとか、いろいろな問題が一歩一歩改善される一つの大きなてこといいますか、要素になれば、ここを契機にさらに大きく女子の労働条件、あるいは雇用条件というものの改善がなされるのではないかというふうに信じておるわけでございますし、あってもなくてもいい法案だという御批判もございましたけれども、やっぱりあることによって男女の雇用の拡大が確実に図られると、こういう一つの判断の上で提出しておるわけでございますので、ぜひひとつ、御理解いただけないということでございますけれども、御理解いただきたいと私は申し上げたいと思うわけでございます。
#143
○糸久八重子君 とにかく女性にも男性並みの、今男性の労働条件が非常に劣悪だという中で、女性にも男性並みの残業とか深夜業が要求されるとすると一体どうなるのか、本当に大変になってしまうと心配してしまうわけですけれどもね。
 ここにその影響がはっきりあらわれるであろうという職場の実態が一つあるわけです。
 ある大学病院の看護婦さんの例ですけれどもこの病院の夜勤回数というのは、組合の協定で一人につき平均八日以内と決められているそうですけれども、実際には平均九回から十一回、病棟によっては十二回の人もいるそうです。変則三交代のために八時から十六時までの日勤の日の夜にまた深夜勤務、これは二十三時から翌朝の八時までですけれどもそれについたり、それから準夜動、これは十五時から二十三時までだそうですけれども、十五時から二十三時まで働いたその翌日に日勤についたりするということもざらにあるというんですね。だから、ほとんどの看護婦さんというのが疲労の蓄積を訴えているわけですよ。人員の不足がありますから年次有給休暇も十分にとれない、そして年休は深夜勤に入るための休息として半日休暇の形でとっている例が非常に多いんだと。当然そういう状況ですから、体の異常を訴える人も多いわけでして、例えば胃腸障害とか、腎炎とか、妊娠異常とか、異常出産とかという比率が非常に高くなっている。そういう深夜勤の母性に与える影響というのは非常に無視できないものがあるわけでして、これはもう男性も同じだろうと思いますけれども、深夜業の緩和の前に深夜勤のあり方自体を改善していかなければならないのではないかと、そう思うのですけれどもいかがでしょうか。
#144
○政府委員(寺園成章君) 深夜業につきましては、いろいろの生体に及ぼす影響等々医学的な側面を加えた検討が必要であろうというふうに思っております。先ほど申し上げました労働基準法研究会におきましても、この深夜業の時間規制のあり方について御研究をいただいておるところでございます。事柄の性格上、医学的な知識というものも加味しながらの検討が必要であるということから、専門家の検討もお願いをしながら調査研究を続けていただいておる段階でございまして、これも先ほど申し上げましたように、本年の夏ごろに出ますこの研究会の最終報告をまって、私どもとしては適切な対応をいたしたい、法制的にはそのように思っております。
#145
○糸久八重子君 男性の深夜業の実態調査を労基研の調査研究の一環として行っていると衆議院で答弁がございましたね。そして調査票は集まっていて順次内容分析をしているということでしたけれども、それが去年の七月ですからもうそろそろ結果は出ているのではないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
#146
○政府委員(寺園成章君) 深夜労働、深夜交代制勤務を検討いたしますに当たりまして、深夜交代制労働の勤務実態等の実態を把握するための資料を収集をいたしまして、昨年の夏に出しました中間報告にもその一部を盛り込みまして公表をいたしたところでございます。
#147
○糸久八重子君 この均等法ができる前にそういうような調査もしないで均等法をつくっていくというのもやはり片手落ちじゃないかと思います。聞くところによりますと、一部働く女性の中から深夜業を解禁していかなければいけないんだというような要求がある。特にタクシーの運転手さんたちからそういう要求があったということも聞いておりますけど、一体タクシー、ハイヤーの運転手さんの中で女性の運転手さんというのはどのぐらいの割合いるんですか。
#148
○説明員(松原亘子君) 運輸省の調査によりますと、五十九年三月末現在の数字でございますけれども、タクシー運転者の総数が四十二万二百九十三人、うち女子の運転者の数が千六百五十三人というふうに承知いたしております。
#149
○糸久八重子君 タクシーの女性ドライバー、非常に少ないわけですよね。その非常に少ない千六百五十三人の方たち全員が深夜業を解禁して、とにかく夜中も働きたいんだとおっしゃったわけではないと思うんですね。私はタクシー運転手さんの状況を調べてみましたけれども、こういう状況ですよ。タクシー乗務員の勤務というのは月十三回出番がある、朝八時に出庫してから翌日の午前二時に帰る、そして出庫前とそれから帰庫後に前後で一時間とされているけれども、現実は午前二時じゃなくて午前四時過ぎに帰るのが普通であって、その後お金を数えたり、それから洗車をしたりすると大体一時間ぐらいかかってしまうのが普通なんだと、こういう労働時間を計算してみますと、年間実労働時間というのは二千八百時間超えちゃうんですね。そうなりますと当然病気になる人もあるだろうし、急死する例というのが増加をしているわけですよね。また、タクシーの運転手というのは、夜中の仕事になりますと、それはお金になるかもしれませんけれども、男性のドライバーでも非常に身の危険を感ずることが多いわけですよね。だから女性のドライバーがこぞって夜中も仕事をしたいということを要求するということはとても考えられないことだと、そう思うわけですけどね、そういう一部の声を聞きながら深夜業の解禁をすると、そういうことはやっぱり大きな問題があるのではないかと思うわけです。
 きょう私は三時間という予定でたくさん用意をいたしましたけれども、用意をした半分も質疑を行うことができませんでした。したがいまして、冒頭に委員長にもお願いいたしましたけれども、とにかく問題だらけのものでございますから、徹底的に審議をさせていただくということを再度お願いをいたしまして、時間参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#150
○中西珠子君 女子差別撤廃条約を批准するということは日本の国際公約であるわけでありまして、これに対して国内の法制上の整備をするということで今審議中の雇用機会均等法案を政府は出してこられたわけでございますが、現在女子差別撤廃条約の批准国はどのくらいありますか、外務省お願いします。
 それからついでにILOの百十一号条約、職業、雇用上の差別を禁止する条約の批准国はどのくらいありますか。
#151
○政府委員(斉藤邦彦君) 現在女子差別撤廃条約を批准しております国の数は六十六でございます。
 ILO条約の方は今調べて御返事いたします。
#152
○中西珠子君 ILO条約の方はことしの一月現在で百七と思いますが、後で確認してください。
 このように女子差別撤廃条約の批准国も六十六カ国もあり、ILO百十一号条約、職業、雇用上の差別を禁止する条約の批准国も百七という多数を教えておりますし、また、一九七一年の初めごろから欧米におきましては、御承知のとおり同一労働同一賃金法だとか、男女雇用平等法が制定されておりまして、雇用上の差別をなくし、女子の労働権を基本的な人権として確立するということが世界の風潮となっているところでございます。ところが日本ではまだまだ雇用上の差別が非常に多く存在しておりますし、労働省の五十六年の女子雇用管理調査でも、これは労働省の方がよく御存じの数字ですけれども、危険有害業務でもないし、また役職でもないのに全然女性をつけていない職種があると答えた企業は八三・四%もあるし、昇進の機会は全然女子には与えていないと答えた企業は四五%以上もあります。それからまた、募集、採用におきましては四年制大学を卒業した女子は企業の八・九%しか採用してないわけです。これは私が計算した数字なんですが、雇用管理調査に基づいて計算しますとそういうことになります。とにかく教育訓練の面でも女性には全然教育訓練の機会を与えないというのが二〇%あるし、また教育訓練をするけれども、男性と全然内容の違う教育訓練しか与えないという企業は三九%もあるわけです。このような差別の実態がございますし、もっと数え上げれば切りがありません。私は働く婦人の会の人たちと面接調査をしていろいろ差別の実態を聞きましたけれども、本当に基準法の女子保護規定が守られないどころか、何年たっても同じ仕事をして、何年たっても家族手当ももらえないとか、住宅手当ももらえないとか、もういろいろな婦人に対する差別があるわけでございますが、日本国の憲法は三十八年前からきちっと男女平等の原則というものをうたっているわけでございますね。十三条の個人の尊重、十四条の法のもとの平等、また二十二条の職業選択の自由、二十七条の勤労の権利、これは全部男女平等に保障されているわけでございます。ところが実際には職場ではいろいろな差別があるということは、憲法違反の状態、違憲の状態があるというわけでございますね。こういった状態をなくしていかなければならない。そのなくするためにはやはり職場におけるあらゆる差別、雇用の入り口から出口までのあらゆる差別を禁止する規定が設けられなければ本当の意味の雇用上の差別をなくす法律とは言えないわけでございます。
 また、これから批准しようとする女子差別撤廃条約におきましては、二条の(b)項におきましてやはりあらゆる差別を禁止する立法その他の適当な措置をとれということを言っておりますし、また差別から婦人を保護するための効果的な救済措置もつくれということを言っております。また、十一条におきましては、あらゆる人間の奪い得ない権利としての労働の権利を男女平等に確保しろ、保障せよということを言っているわけでございます。
 そしてまた、日本が既に批准しております国際人権現約におきましても、あらゆる分野における男女平等の原則を確立しなければならない、保障しなければならないということを言っているわけでございまして、日本は国際的にもそのような義務を負っているわけでございますが、このような差別の実態を大臣はどのように把握なすっていらっしゃいますか。また、現在御提案中のこの法律で差別が効果的になくなるとお思いになっておりますか。また、婦人の雇用機会がどんどん広がって、そして雇用条件もよくなるとお思いになっていますか。先ほど雇用機会が広がって雇用条件もよくなるとおっしゃいましたけれども、もう一度お伺いいたします。
#153
○国務大臣(山口敏夫君) 中西先生からいろいろ御指摘いただきましたように、やはり女性の職場条件あるいは雇用条件その他いろいろな社会的な面において大きな差別や認識のおくれがあると、こういうことは現実認めざるを得ないような場面もしばしばございます。そうした意味におきまして、どうして能力のある、あるいはやるべき意欲のある女子がそういう雇用の機会均等に恵まれないか、こういういろいろな問題の中の部分をそれぞれ今御指摘もいただいたわけでございまして、いろいろの伝統的な問題、あるいは家庭責任等の負担の問題、また企業が女子労働者に対する能力開発といいますか、育てる意識が薄い。確かに男性職員で結婚を契機に私このたび結婚しますので会社やめさしていただきますという男性はほとんどいないわけですが、女性はしばしばそういう方もおるわけでございまして、そういう点の長い習慣も、企業側が女子を能力があると認めながらも投資して育てると、こういう意識を喪失してしまうという部分もあろうと思います。
 それからまた保護規定が逆に非常に意欲のある、努力すべき意識のある女子の職域の拡大を阻んでいる、こういうこともこれは正直あると思うんです。そういういろいろな問題がありますが、要は基本的にこの社会の意識の問題、長い伝統的な中で、差し支えがあるかもしれませんが、能力ある女性が単に相手が男だというだけで、何で能力のない男性の上司の下で従わなければならないかというような部分もあろうかと思いますが、そうした点も含めて、やはりこの意識の変革という問題とあわせて、こうした問題が大きな社会的な論議、議論の中で、経過の中で一つ一つ現実を知っていただき、改善への意思をやはり享有していただくということが大事なことだと思うのです。
 中身に対するいろいろな御議論、御不満は、先ほど、衆議院においてもこの委員会においてもさんざん御批判、御指摘もいただいておるわけでございますが、私は基本的にはこうした法案がそれぞれの長い経過と論議を踏まえて国会に提出をさしていただき、そしてこういう委員会を中心にあらゆる角度から問題点を指摘していただく中で、社会的にも職場においても男女の問題が非常に客観的に公平に情報としてとらえられていただいて、そしてまた改善への意欲が端緒につくと、こういうことでこの法案自体の持つ意義は極めて重要である、こういう確信の上に立って御論議、御批判を仰いでいるところでございます。
#154
○中西珠子君 大変もっともらしいお話を伺ったわけでございますけれども、私はどうしても、なぜ福祉法である勤労婦人福祉法の改正という形をとって機会均等と雇用上の平等を促進する法案をお出しになったのか、そしてまたそれと抱き合わせにして労働基準法の、皆さんが改悪とおっしゃるようなものをお出しになったのかという点につきまして、どうしても理解ができないわけでございます。
 どの国の男女雇用平等法を見ましても、西ドイツを除いては雇用のあらゆる段階において差別を禁止しているわけです。西ドイツでも募集は努力義務規定にしておりまして、努力をするようにということになっておりますけれども、ECの加盟国でございますから、EC裁判所に訴えて、そしてこれはECの指令違反だという判決をかち取っている例がございますし、行く行くは直さなくちゃいけないということが目に見えているわけでございます。ところが、日本はECに加盟しているわけでもない、また批准も行っていないから、どの程度条約で拘束されるかということはわかりませんし、労働大臣の指針などもできますから、それによって行政指導なさるから募集、採用の段階における差別は禁止しないで努力義務規定とする。また女性の勤続年限は非常に短いから終身雇用制、年功序列制のもとでは勤続年数の長さというものが非常に重さをなすから絶対にここは差別禁止規定にはできないのだ、現状に基づいたよりよきものとして努力義務規定にしているのだという御説明を何回も聞いたわけですけれども、だけれども女性が長く勤められない理由というのは、先ほど出産や結婚や何かによって自発的に退職する人も多いという答弁がございましたけれども、自発的に退職する人は非常に少ないんじゃないかと私思うわけです。例えば子供を預ける託児所が整備されてないし、長時間保育をやるところもなければ、とにかく夜間に預けるところもないというふうな状況であるし、非常に設備の整った、またよい保母さんなんかのいる託児所が近辺にないというふうなこともあるし、絶対数が足りないということもあるし、それからまた会社の側で出産退職、結婚退職、また若年定年制というふうなものも、これは労働省は大変努力なすって大分減ってきてはおりますけれども依然として存在している。そういった制度がなくても嫌がらせでやめさせられるというふうな状況もある中で、婦人がやはり長く勤められない条件というものが余りにも多過ぎる。その中でやはり現状肯定的に婦人は短期回転型の労働力であるから責任ある仕事もさせない、男性の補助的な仕事しかさせないのだという考え方で、そして短期でやめてくれることを望みながら使用者側が女性を使ってきたという、その女性と男性の雇用管理を全然別個にしているという点にも非常に問題があったわけで、これをよりよきものにしていくためには現状肯定で努力すればよろしいんですよというふうなことではなかなかよくはならないと思いますし、また先ほど四年制大学の卒業生の就職状況も八・九%しか雇い入れる企業はないということを申し上げたけれども、中高年だってほとんど、さあ再就職しようと思うとパートぐらいしかないというふうな状況でありますし、これを打開するためにはやはりよりよきものにしていく、そして企業側は、それはもちろん企業側の裁量権、自由というものはありますけれども、性別によって差別することのない禁止規定ということはできないわけはないと思うんですね。
 それからまた、配置と昇進におきましても、配置される仕事によってやっぱり職務給や職能給を導入しているところでは賃金がどうしても低くなる、それによって差別が起きてくるということはあり得るわけですから、配置と昇進という面においても、絶対これは差別禁止規定にしていただきたい。それで、もちろん女だから甘くして採ってほしいということでは絶対ないし、結果の平等を目標として言っているわけでもございませんで、能力と意欲に基づいて均等な機会を与えるように、女であるがゆえに差別をしないという意味の禁止規定、強行規定にはできないものでしょうか。これはもう一度お伺いいたします。
#155
○政府委員(赤松良子君) 今までも何度も申し上げていることで、先生にもおわかりいただいている部分もあろうかと存じましたが、もう一度ということでございますが、確かに女性を一人前の労働者として取り扱わないという長い慣行が女性を長く働かせなかったという面は否定できないと思います。そして、そのことがまた女性に対する認識を低めるという悪循環にもなりまして、これは鶏と卵のような悪循環の関係を生み出しているということはあろうと存じます。その悪循環を断ち切るために必要なものが今度の法制の枠組みだというふうに私どもは考えているわけで、これがいつまでも続いていいというふうには決して思っているわけではございません。しかし、そのような現在存在しているものを変えるにはやはり時間はかかるし、それを余り急激に、しかも現状と離れた法制をつくったのでは、かえって陰湿な違反を生むというような悪い結果も生みますので、努力義務規定にして指針を定め、なくすべき差別というものを明らかにしていきながら、時間をかけてそのような悪循環を断ち切るという努力をするという段階が必要ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
#156
○中西珠子君 それでは指針の内容として、募集、採用という面でどのようなものだったら差別になるというふうに指針をお定めになるのか、内容をお漏らしいただけますか。例えば男女別の募集なんというのはどうですか。男の人だけ、女の人だけというような募集は。
#157
○政府委員(赤松良子君) 指針の内容につきましては審議会にお諮りすることになっておりますので、このようなものというふうに断定的にお答え申すことは適当でないと存じますが、ただいま先生の御指摘のような男のみというような、女性を明らかに性別によって排除しているような条件でございますれば、なくすべき目標に該当することになるかと考えられますので、指針をつくる際の検討事項に当然なろうかと思います。
#158
○中西珠子君 この点に関しては、糸久さんも大分詳しくおっしゃいましたので、配置、昇進についてはいかがですか。これは公益委員のたたき台、いわゆる試案では強行規定になっていたわけなんですけれども、この法案では努力義務規定になっておりますが、配置、昇進についてはどのような指針をなさるおつもりですか。審議会でやるから、審議会で答えが出ればそれ次第だというふうなお答えでは私は満足しないんですね。やはり国会で審議する以上はある程度の目に見えるとはいわなくても、手で触れることができなくても、とにかく輪郭ぐらいはお示しいただかなければ、このまま省令で委任し、審議会で審議なさってそれでお決めになれば結構ですとは申し上げられないんで、まことに難しい質問かもしれませんけれども、どのようにお考えか、少しお漏らしいただきたいと思います。
#159
○政府委員(赤松良子君) すべて審議会にお諮りするので何らお答えできないというふうには今までも申し上げておりませんで、考え方につきましては申し上げられる範囲でお答えしてきたつもりでいるわけでございます。
 配置につきましては、例えば女子については一定の仕事にしか配置をしないというような方針をつくるというような場合、それから配置転換のルールも男女別に全く違ったルールで配置転換をする、その結果女子には全く昇進の機会が与えられないというようなことになるというような基準を設けているというような場合とか、昇進につきましては一定の試験で昇進をさせるというふうにしておきながら、女性にはその試験を受けるチャンスを与えないとか、そのようなものが例として考えられると思いますが、そのような内容のものをなくすべき差別として目標に掲げ、それを審議会にお諮りをすると、このように考えているわけでございます。
#160
○中西珠子君 配置、昇進に関連しまして、殊に昇進に関連して教育訓練というのは大変重要な要素を持つわけですね。日本では企業内の教育訓練を受けなければ昇進できないというふうなシステムを持ったところが多いわけです。それで第九条の教育訓練については「労働者の業務の遂行に必要な基礎的な能力を付与するためのものとして労働省令で定める教育訓練」となっていますけれども、「基礎的な」というのは入社時のオリエンテーションとか、そういった本当の初めの段階での基礎的な訓練という意味なんですか。そしてまた労働省令の内容というのはどんなものをお考えになっているか、これもやはりお漏らしいただきたいと思います。
#161
○説明員(松原亘子君) 法律に書いております労働者の業務の遂行に必要な基礎的な能力を付与する教育訓練といいますのは、今、先生御指摘ございましたような入社時に行うオリエンテーションですとか、新入社員研修ですとか、そういったものに限られず、例えば入社後一定期間たった後の中堅社員としての研修ですとか、新たに係長なり課長なりに登用された人に対する新任管理職研修といったようなもの、そういうそれぞれのステージごとにおきます基礎的な能力を付与するための教育訓練であれば、そのレベルをとかく言っているわけではないわけでございます。したがいまして、単に入社時のみにこの条文が限られるということではございません。
 ただ、その法律の解釈はそういうことでございますけれども、具体的に、ではどの範囲の教育訓練について禁止規定の対象にするかということにつきましては、法案にも書いてございますように、今申し上げたような範囲のうち、労働省令で定める一定のものということにいたす予定にいたしております。
#162
○中西珠子君 労働省令で定める一定のものというのがちょっとまだわからないんですけれども、あらゆるレベルにおける基礎的な訓練ということはわかりましたけれども、なるたけ具体的にお教えいただきたいと申しましても、まだこれからいろいろお考えになるということですが、せっかくこれ強行規定はなっているんですし、余り限定をしないで、できる限り男性も女性も教育訓練は平等に受けられるというふうな方向で考えていただきたいと思います。
 それから福利厚生という面では、一応これも「住宅資金の貸付け」などというふうな例示が出ておりまして一応強行規定になっているんですけれども、やはりこれも「労働省令で定めるもの」となっているわけですね。これは大体どういうことをお考えなんですか。
#163
○説明員(松原亘子君) 福利厚生といたしましては、例示として「住宅資金の貸付け」というものを挙げてございますが、「その他これに準ずる福利厚生の措置であって労働省令で定めるもの」といたしております。この「準ずる」というのはどういうことが準ずるかということでございますけれども、私どもといたしましては住宅資金の貸し付けと同様、経済的な価値が労働者にとってかなり高いものという点に着目して、その後の労働省令を検討いたしたいと考えているわけでございます。この省令で定めることにいたしましたのは、福利厚生の措置というのは企業によって多種多様、さまざまでございますし、物によりましては法律の規制になじみにくいというものもあるわけでございます。供与の条件がはっきりしているものでありますとか、はっきりしていないもの、経済的価値の高いもの、そうでもないもの、いろいろあるわけでございますので、禁止規定の対象にするという必要性からは、労働者にとって経済的価値の高いもの、住宅資金の貸し付けに準ずるような高いものが適当であるというふうに判断いたしまして、このようにいたしたところでございます。
#164
○中西珠子君 例えば福利厚生施設としていろいろなレクリェーションのための施設があるといたしますね。そして、そこで運動をするとかいろいろな施設があるとして、そこでは女子は入ってはいけないなんていう、そういうもし規則がある会社があるとしますね。そういうときはどうですか、経済的な価値の高いものとはみなさないからそういう差別は構わないということですか。
#165
○説明員(松原亘子君) 個々具体的なケースにつきましては実態判断をした上でないと何とも申し上げられませんが、今御指摘ございましたようなレクリエーション施設の利用について女子は利用させないというようなケースがあるというのは私どもは聞いておりませんので、当面の問題にはならないのではないかと思います。
#166
○中西珠子君 日本ではないかもしれませんけれども、外国では、例えば英国あたりでは女人禁制のクラブがあるとか、そういう施設もあるというようなこともありますので、だから日本でももしかしたらあるかもしれないと思ったわけでございます。
 それでは、条約の方にも二条の(c)で「女子の権利の法的な保護を男子との平等を基礎として確立し、かつ、権限のある自国の裁判所その他の公の機関を通じて差別となるいかなる行為からも女子を効果的に保護することを確保すること。」というふうに書いてございまして、法案の中にも救済措置が規定してあるわけでございますけれども、これをもし具体的に女子労働者が、第十四条です、都道府県婦人少年室のところに行きまして、そして昇進の面で差別を受けたという訴えをしたといたしますね。そうすると、婦人少年室長はどのようになさいますか。
#167
○説明員(松原亘子君) そういう女子労働者からの訴えがありましたら、まず事実関係を調査いたすということになろうかと存じます。
#168
○中西珠子君 調査とおっしゃいましたか。調査の権限の根拠はどこにございますか。
#169
○説明員(松原亘子君) 法案の三十三条でございますが、第一項に「労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、報告を求め、」というふうにございます。これは具体的に調査というふうには書いてございませんけれども、今申し上げましたような紛争の解決の援助を求められたような場合の調査につきましては、私どもとしては行政指導の範囲内でなし得るというふうに考えているところでございます。
#170
○中西珠子君 それでは、この三十三条というのは一般論だけではなくて個々のケースがあった場合にも調査の権限がこれに基づいて生ずるということですね。
 それで、やはり当事者を呼んだり当事者の事務所に対しては立入検査をするということ、それはできますか。
#171
○説明員(松原亘子君) 立入検査につきましては、いわゆる検査権として規定いたしているところではございません。それは先ほど来御説明いたしたかと思いますけれども、この法律におきます救済措置というのが労使の互譲のもとに紛争を解決していくということを基本といたしておりますので、そういう強制的な立入調査権等を規定することは手段と目的の相等性ということから適当でないというふうに判断してそういたしておりますが、ただいま申し上げましたようなことは、いわゆる行政指導の範囲といたしまして、特段の規定なくとも調査というのはその範囲においてなし得るというふうに考えているところでございます。
#172
○中西珠子君 それで、必要な助言、指導または勧告をすることができるということでございますが、その調査をして必要な指導、助言、勧告をなさる前に、個々の事業所で自主的な解決を図りましたかということを必ずお聞きになりますか、それは前置ですか。
#173
○説明員(松原亘子君) 条文は「紛争の解決の援助」の前に「苦情の自主的解決」が規定されておりますけれども、これは必ずしも前置というつもりで書いてあるわけではございません。ただ、私どもとしては基本的には、この種の問題に関します紛争は労使が自主的に企業内で解決されるということが最も望ましいということは基本的に考えているところでございます。
#174
○中西珠子君 苦情処理機関はぜひ置くように指導なさるわけですか。
#175
○説明員(松原亘子君) 十三条で苦情処理機関を例示として書いておりますのは、こういった苦情処理機関があるところは、こういうところを利用して苦情が自主的に解決されるのが望ましいとい
うふうに考えて例示をいたしたわけでございますけれども、この条文から直ちに苦情処理機関を企業が設けなければいけないとか、苦情処理機関を設けるように行政指導するといったようなことが直接出てくるわけではございませんで、仮に苦情処理機関がないようなところにありましては、企業の人事担当者がそういう苦情の吸い上げの窓口となって、自主的な解決が図られるようにするということでも足りるというふうに考えているわけでございます。
#176
○中西珠子君 婦人少年室の現有勢力でこの紛争の解決の援助ができますですか。
#177
○政府委員(赤松良子君) 現有勢力は、先ほど糸久先生のお話にも出ておりましたように、各室三人、四人、五人といったような程度でございまして、微力ではございますが、充実強化を図るということを最大の課題にもいたしておることでもあり、それを図りつつ万全を期したいと思っております。
#178
○中西珠子君 それから機会均等調停委員会でございますが、この委員会にはやはり調査権もなくて、そして関係当事者からの報告の聴取権もない、それから関係の文書や物件を提出させる権限もないということでは、これで調停案をつくることができるんでしょうか。
#179
○説明員(松原亘子君) 調停の性格上、これはお互いに労使が譲り合って物事を解決していくという建前でございますので、今、先生が御指摘ございましたような調査ですとか立入調査、それから意見を聞くといったようなことにつきましては、あくまで任意にそういうことに応じていただけるという前提がなければ、調停そのものがそもそも成り立ち得ないというふうに考えられますので、先ほど室長の紛争の解決の援助について申し上げましたように、強硬な、例えば立入調査権等を規定するということは、その調停の目的から照らして適当でないと考えて特段法律上明記はしなかったものでございます。
#180
○中西珠子君 調査権がなくて調停案が出せるとは思わないんですけれどもね。これはやっぱりどうしても調査権というものをもう少し強化する必要があると思います。
 それから「調停の委任」におきまして、十五条の「(関係当事者の一方から調停の申請があった場合にあっては、他の関係当事者が調停を行うことを同意したときに限る。)」という括弧書きがあるわけですね。それで、家裁の調停なんかは、一方が調停を申請したら他方を一生懸命呼び出して、そして調停を何とかしてくださるということになっているのに、なぜここは初めから申請者のもう一方の側、すなわち多くの場合使用者側だと思いますけれども、その同意がなければ調停に付すこともできないというふうになっているんですか。わざわざこの括弧書きをつけたのはどういう理由ですか。
#181
○政府委員(赤松良子君) 調停の性格でそもそも、先ほど御答弁の中にありましたように、双方の互譲をもとにしたものでなければできないというようなことから、他方の同意も必要とするというふうにしたわけでございまして、先生御指摘の家庭裁判所の例は、やはり多少その裁判所の任務といいますか権限といいますか、そのようなものがこの調停の場合とは異なった種類のものだというふうに理解しておりまして、家庭裁判所の調停が呼び出しをかけるというようなことから、これも同様のものにできるというふうには必ずしも言えないのではないか、性格の違うものなのではないかというふうに考えております。
#182
○中西珠子君 使用者側が同意権を乱用してしまってなかなか、その調停に付託させることを妨げるというふうな危険性があると思うんですけれどもね、そういう場合はもう初めからだめだと投げていらっしゃるわけですか。そういう場合にも婦人少年室は非常に一生懸命同意をするように努力をなさいますか。
#183
○政府委員(赤松良子君) そのような場合には、婦人少年室長が調停が必要と認めかつ企業が同意しないという場合は大変遺憾なことでございますので、鋭意調停に応じるように助言、指導をいたしたいというふうに思います。
#184
○中西珠子君 まあ余り権限が婦人少年室長に与えられているわけじゃございませんでしょう、行政指導ということはできても。強制力のない行政指導というもので一生懸命嫌がる使用者側を同意させてそして調停に持ち込むということはなかなか難しいことじゃありませんでしょうかね。行政指導のやっぱり限界というものはあると思うんですよ。世界に冠たる行政指導、それはわかっていますけれども、なかなかこれは難しいと思いますんですね。それでやはり是正命令権が出せるような、名前は何でもいいです、男女雇用平等監督官でもいいし均等待遇の促進官でも何でもいいけれども、何かもう少し権限を与えてそして調停なら調停に持っていけるようにしないとまずいんじゃないかと思いますね。
 それから、調停案の受託期間の定めがないんですね。これはなぜでしょうか。
#185
○説明員(松原亘子君) 調停案はいわば強制力が背景にあるというものではございません。これはあくまでも調停委員会がこれによってお互いに解決することが適当であると判断した案を労使双方に提示をするというものでございますので、そういった強制的なものでないということから法律上は今御指摘のような受託期間等の規定は置かなかったわけでございます。
#186
○中西珠子君 それでも調停案がいついつまでに出なかったときにはもうあきらめて裁判所に訴えてもいいというふうなめどがありませんと、延々と調停案を待つわけにもいかないし、何か受託の期間というものは定めた方がいいんじゃないですか。いついつまでに調停案を出すとか受託する場合はいついつまでにやった方がいいというふうなことは全然なければこれはちょっとおかしいんじゃないですか。もちろんその調停案の受託は労使双方が任意にやるわけですからね、拘束力は一切ないわけですから、そんなものはなくていいとおっしゃるのかもしれないけれども、でも、延々としてやっぱり調停にかけたんだから何とかして調停案が出るのを待っていましょうという気持ちがやっぱり訴えた労働者は多いだろうし、これはやはり受託期間の定めがあった方がいいんじゃないかと思いますけれどもね。
 それから、それじゃその点に関連してですけれども、婦人少年室長のところに差別されましたと訴え出る、これは口頭でも第三者でも何でもよろしいわけですか。
#187
○政府委員(赤松良子君) 特に細かい規定を設けておりませんので、文書でなければならないというふうには考えておりませんが、第三者でもいいかという次のお尋ねにつきましては、個別の紛争につきましてはその当事者の訴えということに限りたいというふうに思っております。
#188
○中西珠子君 当事者の訴えということでありますと、やっぱり自分は差別されて本当に困っているんだけれども、もしそれが使用者側に知られた場合には首になりそうだから恐ろしいと、もう行きたいのはやまやまだけれども申し立てができないというふうな、そういう心配を持つ女子労働者は多いと思うんですよ。そういう申し立てをやったがゆえにとか調停を申請したがゆえに不利益の取り扱いをしないという不利益取り扱い禁止条項がこの法案にはないんですね、なぜないんですか。
#189
○政府委員(赤松良子君) 不利益取り扱いの禁止規定があるような他の法令について検討いたしましたが、そのような例ではその本体の法律が非常に強い規定でございまして、一定の権利の行使を保障することを目的としているというような例でございます。この法案につきましてはそのような例とは異なるものでございますから、均衡上そのような強い禁止規定を設けるということが難しいというふうに考えております。
#190
○中西珠子君 法律の均衡上、均衡上とおっしゃいますけれども、婦人労働者が本当に安んじて訴えができるということの方が大事なんじゃないですか、法律の均衡よりも。婦人労働者が差別は泣
き寝入りしなくちゃならないという状況の方がまずいんじゃないですか。その点をぜひ、不利益取り扱い禁止条項をぜひ入れていただきたいということを要望いたします。
 それから、先ほどの調停の問題ですが、括弧内ですね。「(関係当事者の一方から調停の申請があった場合にあっては、他の関係当事者が調停を行うことを同意したときに限る。)」、これはもうどうしても取っていただきたいと思うんですね。
 それからもう一つ、調停案の受託期間の定めがないというのは、これはもう本当におかしなことなので、やっぱり受託期間の定めというものはつけていただきたいと思いますが、いかがですか。
#191
○政府委員(赤松良子君) 先生の強い御意見はよく伺いましたが、先ほど来申し上げているような理由で現在の条文のようにしたわけでございますので、なかなか直ちに先生の御意見に従うというようなふうにまいらないのは残念に思います。
#192
○中西珠子君 十五条の括弧内は後からくっつけたような感じなんですね。使用者側から言われて同意がなければ調停に付さないでくださいよと、こう言われて慌ててくっつけたような感じなんですけれども、どうですか。
#193
○政府委員(赤松良子君) この調停の性格が、両当事者が当初から参加をして調停に応ずるというものでなければ、いたずらに調停に幻想を抱くとか、あるいは過度の期待を抱いて調停の結果を待つというような時間の空費ということもございますので、やはり調停に相手方が応じるという条件というものは必要であろうと、そのことを明らかにしておく方がよろしかろうということで書いたものでございます。
#194
○中西珠子君 そうすると、実際には調停なんかに応じたくない使用者側が多いですからね。同意権の乱用ということがやはり起きてきて調停にも付すことができないと、調停そのものが非常に実効性のある救済措置ではないわけですよね。迅速でそして低廉で、とにかく泣き込めば何とか救ってもらえるというものを長い間働く婦人は熱望していたわけですね。裁判に訴えても長い年月がかかってお金もかかると。だからもう早く効果的な救済をしてくださるところがほしいというのが長い間の念願であったわけですね。それを調停委員会がやっとできたと思ってよく見ると、同意がないととても調停に持っていけない。それから、いつになったら調停案が出てくるかもわからない。調停案はもう調停の性質上仕方がありませんけれども、何の法的拘束力もないわけですよね。これではもう本当に差別を救うことができないんじゃないですか。
#195
○政府委員(赤松良子君) 調停の性格がそのようなものであるということは、これは調停のその他の例を見ましても同様なものであろうと思います。
 そこで、強制的な権限を持つ差しとめ命令権というようなものを持つ機関というのが考えられないかということに議論が発展するかと存じますが、これにつきましては、そのような強制的な権限を持つ機関であれば全く現在考えられているような調停委員会というようなものでは足りないわけでございまして、厳格な証拠調べ、厳格な手続、そういうものを規定しなければこれまたそういうものの性格上おかしい規定になるわけでございます。そういたしますと、そのような厳格な手続や規定というものはこれまで類似のものもないわけではございませんが、裁判と同じような手数がかかり、時間がかかり、結局は迅速な解決というものからはほど遠いようなものになってしまう、そういうことも考えまして、そのような強い権限を持った機関をつくるということをしないで、このようないわば行政サービス的なものに考えて調停委員会という性格にしたわけでございます。
#196
○中西珠子君 サービス的なものとしても余り効果があるとは思えないんでございますね。
 それで、第二条の(c)に「女子の権利の法的な保護を男子との平等を基礎として確立し、かつ、権限のある自国の裁判所その他の公の機関を通じて差別となるいかなる行為からも女子を効果的に保護することを確保すること。」と書いてあるんですね。この条約の要件を今の法案にある救済措置で満たしていると大臣はお考えでいらっしゃいますか。
#197
○政府委員(赤松良子君) この条約の条文は、権限のある自国の裁判所によって女子を守ることができるという点で満たしていると思います。
#198
○中西珠子君 大臣にお聞きしたんでございますよ。
 それで、裁判所だけのことをお聞きしたのではございません。「裁判所その他の公の機関」というふうになっていますがね。
#199
○政府委員(赤松良子君) このような技術的なことでございますので私からお答えさせていただきますが、「裁判所その他の公の機関」という場合に、裁判所があれば、それはこの条文は満たしているものというふうに私は思いますが、あるいは外務省の方から御答弁いただいた方が適当かと存じます。
#200
○中西珠子君 条約の十七条に基づきまして、二十三人の専門家から成る差別撤廃委員会ができておりますね。十八条に基づきまして、条約を批准した場合は一年以内に報告書を出しますね。それから、その後は毎四年ごととかというふうにその委員会が決めたインターバルというか、間隔において出すわけでございますね。それで、まず条約を批准した場合、一年以内にどうしても総長あてに報告書を出します。国内の法令、慣行すべてをひっくるめて、どのような措置をとられたかということもひっくるめて出しますが、それが二十三人から成る十七条に基づく委員会にかけられるわけですね。その報告書はちゃんとガイドラインができてますね。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
どういう方式に基づいて、またどういう点を網羅して報告書を出すべきかというガイドラインができてますね。その中に効果的な保護からの救済措置がありますかということが聞かれているわけですね。これについて、ただ紙に書いた報告書を出すだけではなくて、御承知のとおり、その委員会の場に行って政府の代表が説明するわけでございますが、日本のこの法案における救済措置が果たして効果的であるかということをどのように御説明になりますか。
#201
○説明員(瀬崎克己君) お答え申し上げます。
 この国内法を御審議いただきまして、それから条約につきましては衆参両院の外務委員会でお諮りした上で御承認いただければ批准するということを考えているわけでございますが、その後の委員会に対する報告等につきましてはさらに慎重に検討していきたいということで、現時点では特にどういう方向でいくということについてはまだ未定という状況でございます。
#202
○中西珠子君 この政府案を通して、そして条約批准に持ち込みたいわけでしょう。そうすると、政府案は条約の要件を満たしていなければたたかれるわけですね。それを、まだ先のことだからわからない、どういうふうに言うかわからないとおっしゃっているのは、何と無責任なことですか。この条約を批准するための国内法の整備が必要だということでこの政府案が出てきているわけですね。この政府案の内容が条約の要件に合っていないとすれば、これはやはりその二十三名から成る差別撤廃委員会でたたかれるわけでしょう。たたかれないようにするには説明しなくちゃいけませんね。これが無傷で、無修正で通った場合、どのように御説明になりますかと聞いているわけ。
#203
○説明員(瀬崎克己君) この均等法が条約の要請を満たすか満たさないかという御下問でございますが、この点につきましては、外務省といたしましては、国内均等法がそのままで条約の要請を満たすという判断に立っているわけでございます。
#204
○中西珠子君 全体で満たすとはどういう意味ですか。
#205
○説明員(瀬崎克己君) この均等法は一部、すなわち第七条におきます募集、採用、それから第八条の配置、昇進、これにつきましては努力規定ということで強行規定でないわけでございますが、努力義務規定となっておりますけれども、同時にこの条約の趣旨を実効的に確保するための労働大臣の指針の策定等実効性のある措置を内包しているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この均等法そのものが条約の雇用分野における要請を満たすという判断に立っているわけでございます。
#206
○中西珠子君 努力義務規定が、労働大臣のおつくりになります――これをつくることができるという権限付与になっていますね。必ずつくらなくちゃならないというふうになっていませんね。ただ、必要なときにはつくることができるというふうになっているその指針で、とにかく努力義務規定の内容に対するガイドラインをお与えになって、そして努力義務規定が実施されるということに果たしてどれだけの担保がありますか。おまけに努力義務規定では、裁判所に訴えたときの、やはり努力したからいいんじゃないかという免責が生じやすいということもあるわけで、この二条の(c)というものも効果的に満たされないということになるわけですよ。
#207
○説明員(瀬崎克己君) この国内均等法の作成につきましては、婦人少年問題審議会におきましてかなりの長い年月をかけまして御審議いただいた結果、こういうことでまとまったというふうに理解しているわけでございます。したがいまして、指導、勧告、これは確かに従わない事業所に対しまして強制力はないわけでございますけれども、他方、先ほど来御議論いただいておりますように、最終的には裁判所による救済にゆだねられるという救済措置もあるわけでございますし、
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
法律に明文規定の根拠を持つ指導、勧告は、強制力はなくても私どもといたしましては十分に効果を発揮し得るというふうに考えているわけでございます。
#208
○中西珠子君 すぐ審議会というふうな隠れみのにお隠れになりますけれども、婦人少年問題審議会は結局一本のまとまった建議ができなかったわけですね。三論併記だったわけですね。その三論併記ということは、結局政府がげたを預けられて政府の裁量でなすったということで、この法案は、そういう本当に政府の大変な御努力は認めますよ。しかし、やっぱり条約の要件を満たしてないということは、これはいいかげんな説明では通らないと。今回は通るかもしれないけれども、必ずや国際的な非難を受けて、ここはだめということになると思うんですね。
 それで、とにかく水かけ論ばかりやってないで次に進みますけれども、私の時間ももう余りなくなってきましたから。ただ、女性の労働権を基本的な人権として確立も保障もしていない。そして、差別というものは人間の尊厳を侵すものだという常識が、これはもう国際的にはっきりと認知されているわけですね。そして、とにかく差別というものは人間の尊厳を尊重するという原則にも反すし、また権利の平等にも反するものだということがはっきりとこの条約の中にもうたわれているし、また日本が批准している国際人権規約にもはっきりと書かれているわけですね。そういったものを明確にしないで、そして福祉というあいまいな非常に大きな概念というもので包み隠して、そのほかにいろいろ機会均等、待遇の平等を女性に確保するにはいろいろな援護措置も必要なんだから、ですから勤労婦人福祉法というものの改正案にしましたとおっしゃる。それもわかりますよ。現実のやはり家庭責任を負っていて、そして社会的にもなかなか条件がそろわない、また労働環境も悪い中で家庭責任を負っている婦人が働いているという現状はわかるけれども、その現状を少しでもよくしていくためにそれをなすったのか。福祉というものが大きなものであって、婦人の地位の向上も、それから労働条件の向上もみんな含んでいる大きな概念だとなさると、なぜ労働基準法の改正というものを勤労婦人福祉法改正案にくっつけなきゃならなかったか。現在の段階を考えた場合、本当に家庭責任を負っている女性は、労働時間の規制が緩和されたり、深夜業の規制が解除されたりしたら、本当に働けなくなるという状況にあるわけですね。それを男女平等にするのだから保護はやめなければならないとか、現在国際的に非常に非難を受けている男性の長時間労働、それからまた労働条件だってよくないですよ。労働条件も大企業ではいいかもしれないけれども、安全衛生の面から中小以下の企業では決していいとは言えない。そういった男性の低い労働条件に女性を合わせなくちゃいけないということは、これは福祉にも反すると思うんですね。それで、やっぱり労働基準法の改正部分は、これは私は絶対切り離していただきたい、これを強く要望いたします。大臣のお考えはいかがですか。
#209
○国務大臣(山口敏夫君) 中西先生とも、この問題に限らずいろいろ御議論いただいておりまして、九割近くは私もう全く同感という部分が多いんですが、この問題に関しましては、私の持論としてもやっぱり女性の能力と意欲を社会的に公平に評価をいただき、いろんな意味でそのお仕事に御貢献をいただくというためには、どうしても私は全部取っ払っちゃえということではなくて、やっぱり保護規定の改善すべき部分についての御理解と御認識をいただきませんと、なかなかやはり女子の本当の真の意味における雇用の場における平等、また若い人たちの、女子就業者の採用という問題にどうしてもそこが企業側といいますか使用者側の一つの拒否権のネックになってしまうという部分は率直にあると思うのですね。だからといって終夜まであるいは時間外労働を奨励しているということではなくて、そういう部分における改善努力というものを伴いつつ、もっと大きな舞台を提供できるようなことがひとつよろしいのではないかというふうにも考えるわけでございますし、いずれにいたしましても、今先生御指摘のように三論併記という部分で、これはもう当分議論がまとまらないから先送りにしようじゃないかと、こういう意見もある中で、やっぱり今ここが一つの大きな労働問題、特に女子の労働問題といいますか、雇用問題の大きな転機だということで、出すことにおける一つの大きな社会的な意味といいますか啓発といいますか、という部分を考えましてまた出していただいた、こういう経過もございます。したがって、基準法と婦人法の改正の部分が一緒にと、こういう御指摘もございます。御批判もございますが、我々としてはそういう諸条件を整備するという中で、この両方をひとつ同時進行的に取り上げさしていただき、基本的には男女の平等、雇用の拡大と、こういう考え方であるということをまたひとつ御理解いただければありがたいと思うわけでございます。
#210
○中西珠子君 条約の第十一条は、これは労働の権利、「すべての人間の奪い得ない権利としての労働の権利」ということから始まっているのですけれども、「男女の平等を基礎として同一の権利、特に次の権利を確保することな目的として、雇用の分野における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとる。」となっているんでございますが、「作業条件に係る健康の保護及び安全(生殖機能の保護を含む。)についての権利」というのが(f)にあるわけですね。これは、結局、母性保護以外はみんな男性と女性を同じにしなくちゃいけない、そして男性の現在悪い労働条件に女を引きずりおろさなくちゃいけない、労働時間も時間外労働規制なんかはやめて、現在の三六協定さえ結べばほとんど無制限に時間外労働ができるという男性のレベルまで持っていけということでは絶対ないわけです。作業条件に係る健康を保護し、また安全を確保しなくてはいけないということが書いてありまして、男女ともに底上げをしていかなくちゃいけない、男女ともに労働条件をよくし、労働時間を短縮しなくてはいけないという前提に立っての話なんですね。それが全然無視されているわけでございまして、この同じ十一条の3に「この条に規定する事項に関する保護法令は、科学上及び技術上の知識に基づき定期的に検討するものとし、必要に応じて、修正し、廃止し、又はその適用を拡大する。」とあるんです。この適用拡大ということは、これは男性に対しても女性の保護規定を必要なものは拡大して、男女ともに危険なもの、有害なものから保護されなければいけないし、男女ともに労働時間の短縮というものを推し進めていかなければいけない、そうして人間らしい生活を男女ともにできるようにしていかなくちゃいけない、こういう趣旨であると思うのでございますが、いかがでしょうか大臣。
#211
○政府委員(斉藤邦彦君) この条約は目的といたしまして男女間の差別の撤廃を目指しております。いわゆる女子保護規定につきましては妊娠、出産、保育、これにかかわる措置を除きまして、これが女子の雇用機会を阻害する結果になるという考え方からこれらのいわゆる女子保護規定、これも究極的には廃止すべきことを条約は目的としているわけでございます。したがいまして、我が国の国情に沿いまして一部の女子保護規定の見直しというのを今回の法律で行っているわけでございます。ただいま御指摘の男女の水準を合わせるのは低い方ではなくて高い方であるべきではないかという点でございますが、そこは労働政策上の問題でございまして、この条約が男女の水準をどの辺に置くべきかという絶対的な水準を云々しているわけではないわけでございます。
 したがいまして、今度のこの男女雇用機会均等法、これはこの女子差別撤廃条約の目的とするところに沿っているものだというふうに考えている次第でございます。
 それから、先ほど大変失礼いたしましたけれども、ILO第百十一号条約の批准国は御指摘のとおり百七でございます。
#212
○中西珠子君 この条約の前文にもございますけれども、「国際連合及び専門機関の主催の下に各国が締結した男女の権利の平等を促進するための国際条約を考慮し、」とか、こういろいろ書いてありますよね。これみんな読んだら大変時間がかかりますから読みませんけれども、やはり日本のようにILOの一号条約、一日八時間週四十八時間の条約も批准していないというふうな国と、それからもう週四十時間が本当に完全に普及している国、週休二日制も完全に普及している国との男女の労働条件、労働時間のレベルというものは違うわけでして、この条約がやはりその前提にしているのは公正な国際基準に基づいた時間であり、労働条件だと思うわけです。ですから、今国際的に批判されている男性の労働条件、それからまた長時間労働に合わせてよいということでは決してないわけですから、これは改めて何度も強調いたします。
 それから、例えば、今度は、基準法の女子保護規定の改正ということでいろいろ出ておりますけれども、時間外労働の規制というものは、これはどうして工業的な職種とそれから非工業的な職種というふうにお分けになったんですか。今MEがどんどんどんどん導入されていて、いわゆる工業的な職種と非工業的な職種というのは余り労働条件において差がなくなってきているわけですね。それで両方ともやはり非常な疲労というものを引き起こすというふうな、また健康の危険というものもあるし、安全を脅かすということもあるわけですけれども、どうしてこういうふうに二つに分けて規定をなすって、そして労働時間の規制の緩和をなさるのか、その理由をお聞きします。
#213
○説明員(松原亘子君) 工業的業種、非工業的業種に分けました点でございますけれども、工業的業種に比べまして非工業的業種におきましては労働の態様等から見て労働に対する負担の程度が相対的に軽いということ、それからまた、非工業的業種におきましては事業の特殊性から業務の繁閑というのが非常に大きいわけでございますので、そういうことから労働時間を弾力化することについての要請が高いということ、また、非工業的業種におきましては、特に最近女子労働者数というのは非常にふえておりますが、特にそういった第三次産業部門といいますか、非工業的業種において女子の能力の発揮をする機会というのが非常にふえており、そこへ進出する女子がふえているということ。これらを相対的に考えますと、やはり非工業的業種につきましては、工業的業種とは違った規制をするという考え方も必要なのではないかというふうに考えたわけでございます。
 これは時間外労働のみならず深夜業についても考えられる点でございますけれども、今回の改正については深夜業については、特にこういう考え方を入れておりませんが、例えば最終的な建議が三月に出されましたが、それをまとめるに当たりまして、公益委員がたたき台というのを二月に示したわけでございますけれども、そこにおきましてもこの労働時間ですとか深夜業についての規制については、先進諸国の例ですとかILO条約の例等を挙げられまして、工業的業種と非工業的業種というのを分けて考えるべきではないかというようなお考えも示されたわけでございます。そういう点も私どもは参考にさせていただいたわけでございます。
#214
○中西珠子君 先ほど来から労働大臣もおっしゃっていましたけれども、今労働基準法研究会が労働時間の問題を審議していらっしゃるわけでしょう。そして中間報告として一日九時間週四十五時間なんというものが出てきて各方面からたたかれたという経過もあるわけです。今労働時間の問題を審議していらっしゃるときに、なぜ女性の時間外労働の規制の緩和と深夜業の禁止の解除、部分的解除ですが、それを急がなければならないんですか。基準法の見直しをしなければならない一応転換期に来ているということも先ほど大臣もおっしゃいましたし、それからとにかく女性の職場への進出というものが非常に急激にふえているというふうなことも踏まえて確かに一種の転換期にあることは確かなんですけれども、全体の見直しをするということが一応日程に上るというか、必要だという論議がされている中で、どうして女性のものだけ先に急いでやらなければならないかということがわからないわけですね。
 それで、やはり基準法の改正を全般的にやるという前提に立って、そしてこの女性の基準法の改正はもう少し時間をかけて、もう少しよく調査をしてからやっていただきたいと思うわけです。いかがですか。
 例えば、次に申し上げる危険有害業務の就業制限の廃止ですね。ああいったことはやはり抜本的見直しをするということでやっていらっしゃるのだけれども、個々の危険有害業務について既に調査をなすったのかどうか。そういった面もお聞きしたい。とにかく今これから調査をするとか、これから審議して、そして答申が出るという段階になぜ女性のだけ早く急いでやらねばならないか。これはどうしても理解ができないので、この基準法の改正部分は切り離していただきたいということを再度要望いたします。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
#215
○政府委員(赤松良子君) なぜ現在の時点で基準法を改正しなければならないかという点につきましては、どうしても条約の批准ということを頭に入れて考えた場合にはそういうことになるというふうに私どもは考えております。条約一条の男女の差別ということに、労働基準法上の女子に対する特別な保護規定というものが違う規定であることは言うまでもありません。そして、四条の「母性保護」については、差別とはみなさないということが確かにございますが、この条約での母性に対する保護というのは決して女子に対する一般的な保護規定というような広いものというふうには解せられていないわけでございまして、産前産後の休業、それに続くごく短い期間の保育というようなものに直接かかわりのある規定のみがこの条約での母性に対する保護というふうに考えられるわけでございます。そういたしますと、それを解消するということはこの条約の求めるところでございます。
 したがいまして、審議会等におきましても、かなり広範に女子保護の規定を廃止するという建議が途中の段階で出されているわけでございますが、しかし、日本の現状から考え、先ほど来先生がるるおっしゃいましたような点も考慮に入れた上で、現在の時点でできることをしようとしたのがこの御審議いただいております基準法の改正でございまして、ごらんいただけばわかりますように、女子に対する保護規定をすべてなくしたわけではございません。かなりの部分が残っているわけでございます。まして深夜業については、女子に対する深夜業の禁止というものは原則そのまま残されているわけでございまして、そのようなことは、先ほど来の先生の御指摘を考慮したからこそそのような形になっているわけでございます。
#216
○中西珠子君 三十数年前に決められた労働基準法の女子保護規定が全部いいものだと私は言っているわけじゃないんでございますよ。現在審議会なり基準法研究会なりでいろいろ審議して、そして全体の見直しをしようという時に当たって、なぜ女性のだけ早くしなければならないかということを申し上げているのであって、やっぱり全体の見直しをし、やはりよく実態調査を重ねた上で結論をお出しになっていただきたいということです。
 それから条約につきましては、女子保護規定をそのままにして批准している国もあるわけです。それから、例えば深夜業だけは留保をするという形で、例えばオーストリアなんかそうですが、批准している国もあるわけです。
 ですから、急いで慌てて基準法を手直ししなければ条約の批准ができないということでは決してないわけで、一応留保するなり、留保しなくても、とにかく今検討中だからということを言うということはできるわけでございまして、差別禁止規定にしていないけれども、指針を定めて、行政指導を行うから効果が期待されますという御説明をなさるのならば、基準法についても目下検討中でございますから、少し留保するなり少し間を置いてから、こちらは手をつけるということが言えないはずはないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#217
○政府委員(赤松良子君) 留保するという方法は、確かにそういうやり方をとっている国もございますので、全く不可能なことでは理論的にはないと思いますが、先ほど申し上げましたような理由で現在改正を提案しております部分については、この程度はやはり踏み出すということが、基準法の改正と均等法の規定との両方考案した場合には必要であろうというふうに考えたわけでございます。
#218
○中西珠子君 それでは、いわゆる工業的職種は、一日二時間という時間外労働の規制が廃止されました。それでも困る人が非常に多いと思うんですけれども、非工業的職種といわれる部分につきましては、非常にややこしい規定がございますね、六十四条の二の二ですね。これはとにかく何言っているかさっぱりわからないのだけれども、これを考えてみますと、一応「週に六時間以上十二時間以下の範囲内で命令で定める時間に当該週を単位とする期間の週数を乗じて得た時間」ということは、結局四週間として考えますと、週に二十四時間から四十八時間ということも可能になるというわけでございますね。これはもちろん四週間にまたがってそれだけの上限が決まるということでしょうけれども、これを一週間にまとめて時間外労働させることも可能だということになりますね、これから読みますと。
 もちろんそんなことは命令では定めませんとおっしゃると思いますけれども、また定めていただいたのでは困るわけですけれども、これをこのように読めるものを、そのまま国会として命令に委任することはちょっとできないんですけれども、どのような内容をお考えになっているかということをお聞かせいただきたい。と申しますのは、今度基準法の研究会で一日九時間、週四十五時間というふうな答申が出るといたしますと、とにかく、週とか年の単位の労働時間を決めるけれども、一日は弾力性を持たす労働時間にするというふうなことも言われていますので、真偽のほどはわかりませんけれども、もしそういうふうなことになりますと、九時間プラス一日に例えば三時間としても既に十二時間になってしまうし、それから通勤の時間も考えなくちゃいけないし、それが五日も続いたというふうになりますと、家庭責任を持っている女子労働者はどういうことになるか、子供が一体どういうことになるか。女子労働者はもうへとへとになって死にそうになるであろうし、子供の方は、もう本当に一体お母さんがそういう時間外労働を長時間させられるということに対してはどういう状況になるかと私は大変心配なんですけれども、いかがでございましょうか。そういうふうな心配は全然ないとおっしゃっていただければ大変ありがたいんですけれども。
#219
○政府委員(赤松良子君) 労働省令で定めるということになっております書き方は、確かになかなか複雑な表現をしておりますが、先生のおっしゃったような内容になり得るということはそのとおりでございますが、それはあくまで省令を定めるときの上限でございまして、上限で定めるというようなことをまるで決まったかのようにおっしゃる場合も耳にいたしましたが、そのようなことは、女子が家事や育児の責任を負っているというような状況を考えて審議会にお諮りするということでございまして、もうあたかもこの法律が通れば週四十八時間にというようなことではないということでございます。
 それから、事業活動の状況等を考慮するということは、これは女子の就業がいろいろとバラエティーに富んだものになってきている、そういうことに着目いたしまして、やはりそれにふさわしいいろいろなバラエティーのある規定の仕方というものは法律よりも省令で決める方がいいのではないかというふうに考えたわけでございます。
#220
○中西珠子君 そういうことも可能でございますねと申し上げたんで、まさか省令でそのような上限をお決めになることはございませんでしょうねと申し上げたんで、ないでしょうね。――ございませんね、そんな省令を労働省がお決めになるわけはありませんね。大臣はいかがですか。この六十四条の二の二の上限に基づいた省令をおつくりになることはありませんでしょうねと言っているんですよ。
#221
○政府委員(赤松良子君) 上限と下限が決められているわけでございますので、もちろんその中で決められるということでございます。
#222
○中西珠子君 上限と下限の真ん中辺ですか。
#223
○政府委員(赤松良子君) どの辺になるかということは、その業態の実情等につきまして必ずしも一つだけということでもないのではないかと思います。
#224
○中西珠子君 そんなあいまいな状況ですべてすべてこれは省令に委任いたします、また審議会がお考えくだされば結構でございますとは私どもとしては言えないんですね。ですから、これは本当に困りますね。だから、この条文は全面的に修正していただくか削除していただくかどちらかということになりますね。
#225
○政府委員(赤松良子君) 私どもは、審議会の長い御審議の中でこのような条文にまとめたわけでございまして、その上限と下限の中で審議会にお諮りをして、公労使三者構成の公正な審議を経て省令を定めたいというふうに思っております。
#226
○中西珠子君 審議会に諮って定めるとおっしゃるということはやっぱり国会審議を軽視なさるということではございませんですか。やはり先ほど労働大臣は、国会審議を踏まえてとおっしゃってくださったわけですけれども、とにかく審議会で諮ればいいんだ、その後で省令をつくればいいんだというやり方は、どうも私ども婦人議員としては、ちょっとこのまますべて御委任いたしますということを言って大丈夫かなという気がするんですけれどもね。
#227
○政府委員(赤松良子君) すべて審議会にということではございませんで、法律にある限定をした条件で書かれているわけでございまして、それ以上とかそれ以下にはならないということでございます。そういう技術的な委任を法律が命令あるいは政令に委任をするということは日本の法律のつくり方からいって妥当なものではないかと思っております。
#228
○中西珠子君 日本の法律のつくり方からして妥当だとおっしゃっても、上限と下限の幅が余りにも長過ぎるんですね。その長い幅の中においてどこに決まるかということが大変これははっきりしない状況のままで命令に委任する、省令に委任するということはちょっと私どもとしてはできかねる、働く婦人の立場を考えた場合もできかねるということでございまして、これは保留いたします。
 次の六十四条の二の四です。「第一項及び第二項の規定は、満十八才以上の女子のうち、労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者又は専門的な知識若しくは技術を必要とする業務に従事する者で、命令で定めるものに該当する者については、適用しない。」、こうありますね。これもやはり「命令で定める」となっていますから、一体どの範囲なんだろうということがまず疑問として出てくるわけでございますが、現行の労働基準法の中の第四十一条第二号に「監督若しくは管理の地位にある者」となっていますね。この四十一条の二号で、労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用除外を既に受けていることとなっている者と、今回の御提出の法案の中のこの六十四条の二の四ですね。これとはダブっているのですか、それとも範囲がずっと広いのですか。どのように違いますか。
#229
○政府委員(赤松良子君) 四十一条の第二号の管理、監督者とこのたびの法案での内容は、もちろんダブっている面もありますが、必ずしも全く同じというふうには考えておりませんで、改正案の方がやや広いのではないかと思います。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
#230
○中西珠子君 どのような範囲を考えていらっしゃいますかお漏らし願えますか。
#231
○政府委員(赤松良子君) 改正案の中身では「労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者」となっておりますので、業務遂行上の単位組織の長としてそこに属する労働者に対して仕事の割り当て、仕事のやり方などを指示し、具体的な業務の遂行について指揮命令をし、その組織の業務の遂行について責任を持つという職務上の地位にある者というふうに考えております。
#232
○中西珠子君 その単位が非常に小さくて二、三人のグループでもそこのグループのリーダーであれば入るわけですか。
#233
○説明員(松原亘子君) 必ずしも自分の下にいる人の数が二人とか三人とかいう数によってこれを決めるということが適当かどうか、これは今後の検討でございますけれども、むしろそれよりもそういう地位にある人が具体的な仕事の割り当てですとか、仕事のやり方の指示を自分の部下にやっているのかどうか、また具体的に時間外労働についての指示等がどのような形で伝達されていくのかといったようなことを総合的に考える必要があるのではないかと思っておりますので、今おっしゃったように例えば部下の数が三人ならどうかというような機械的な数字によって判断するのは必ずしも適切ではないのではないかと存じます。
#234
○中西珠子君 同じ項に、「専門的な知識若しくは技術を必要とする業務に従事する者で、命令で定めるもの」という、これにつきましては衆議院の段階で大分具体的な例を局長がお挙げになりましたが、それからふえておりますか。
#235
○政府委員(赤松良子君) 特にふえておりません。
#236
○中西珠子君 それでは、深夜業についてでございますけれども、現行法において深業楽の禁止から除外されているものにまたちょっと加わったわけでございますが、「品質が急速に変化しやすい食料品の製造又は加工の業務その他の当該業務の性質上深夜業が必要とされるものとして命令で定める業務に従事する者(一日の労働時間が、常時、通常の労働者の労働時間に比し相当程度短いものとして命令で定める時間以内であるものに限る。)」、こうなっていますね。これは結局「品質が急速に変化しやすい食料品の製造又は加工の業務その他の当該業務の性質上深夜業が必要とされるものとして命令で定める」、これはどのようなことをお考えになっていますか。
#237
○説明員(松原亘子君) まず、「品質が急速に変化しやすい食料品の製造又は加工の業務」といたしましては、例えば仕出し弁当ですとか、生めん等の製造加工の業務がこれに該当するというふうに考えられます。
 また、「その他の当該業務の性質上深夜業が必要とされるもの」というものといたしましては、例えば新聞配達の業務ですとか、卸売市場におきます生鮮食料品の卸売業務、このようなものが婦人少年問題審議会におきます審議の過程で検討の対象として挙げられたところでございます。
#238
○中西珠子君 括弧内の、「通常の労働者の労働時間に比し相当程度短いものとして命令で定める」ということは、これはパートという意味ですか。例えばほかほか弁当で夜中に十時から明け方の午前五時ごろまで一度も休むことなく働いている人というのはたくさんいるんですね、パートで。これはやっぱり基準法の違反なんですが、こういった人を法的に認知するということになりませんか、こういうパートの人が入るわけですね。
#239
○説明員(松原亘子君) ここに書いてございます括弧内、今先生どういう御趣旨でパートとおっしゃったのかは十分わからないのでございますけれども、これは単に労働時間が短いということだけを言っておるわけでございまして、パートであるかどうかというようなことは特段何も言ってないわけでございます。
#240
○中西珠子君 パートの定義はなかなか難しゅうございますけれども、その企業で働いているほかの労働者の所定内労働時間より短いものをパートとするというふうに労働省は最近なすったんでしょう。そうすると、「通常の労働者の労働時間に比し相当程度短いもの」というのは、これはパートにならないですか。
#241
○説明員(松原亘子君) パートという趣旨が労働時間が短い労働者ということで使うとすれば、ここに括弧内に書いておりますのは今御指摘があったようなパートタイム労働者という場合が多いかとは存じます。
#242
○中西珠子君 それから、「深夜業に従事することを使用者に申し出た者(命令で定める事業に従事するものに限る。)」、こういうふうになっていまして、そういった人たちは申し出をすればその申し出に基づいて「命令で定めるところにより、使用者が行政官庁の承認」を受ければ深夜業に従事することができると、こうなっていますね。それで、先ほど糸久さんから聞かれたときに、大体千五百人ぐらいしかいないんでしょう、タクシーの運転手。その人たちのためにこういう本人が深夜業をしたいと申し出たときには許可をもらえばいいということになって深夜業に従事できるということは、その人たちの意思を尊重したことで大変いいんですけれども、本当に本人が深夜業をやりたいと思ってないときに使用者側が深夜業をやりますね、やりますねというふうに言って、やらないと雇わないよというふうなことを言ってそれでやらせるということになりました場合、これは基準監督署に使用者が、本人が言っておりますから許可をくださいなんて言った場合、どうやって本人の申し出であるのか、そうじゃなくて強制されたものかということを判断なさいますか。どのようにして調査して判断なさるんですか。
#243
○説明員(松原亘子君) この五号は「深夜業に従事することを使用者に申し出た者であって、当該申出に基づき、命令で定めるところにより、使用者が行政官庁の承認を受けたもの」と書いてございますけれども、私どもといたしましてはここの号に該当するものとして深夜業に従事したいということはまさにその意図が労働者の真意に基づくものであるということが非常に重要な不可欠の要件であるというふうに考えておりますので、今御指摘の点につきましては労働者の真意が十分確認できるような方法をこの手続規定、命令にゆだねてはおりますけれども、その中で確保したいというふうに考えておるところでございます。
#244
○中西珠子君 労働者の真意であるかどうかを絶対にこれは確認できる方法を考えてくださいませね。そうしないと大変危険ですね。とにかく深夜業をやらせないという建前ではなくてやらせたいという建前の使用者はどうしたって本人が申し出てますということを言いますからね。ですから、この点は非常に危険なところですから絶対にこれは確かめないといけないということで、また申し出た者にはやらせるというのは、これは基準法の精神に私はもとっていると思っているんです。
 それから、「品質が急速に変化しやすい食料品の製造又は加工の業務その他の当該業務の性質上深夜業が必要とされるもの」というこの言い方も非常に漠然としていますから、初め、上段はいいですよ、「その他の」後からは非常に漠然としているから、これは範囲をどんどん広げられるという危険性、可能性があると思います。ですから、これはやはり全般の見直しをやるまでちょっとこれは保留というか、とにかくこの点は削除というふうなことを私は要望したいと思うんです。この点に関しまして、もう私の時間過ぎましたから、労働大臣のお考えをお聞きしたいんですけれども、最後に労働大臣がどのように取り組むおつもりかということをお聞きしたいと思います。
#245
○国務大臣(山口敏夫君) 時間外労働とか深夜の問題、先ほど糸久先生の御質問にもございましたけれども、長時間労働や過重労働のタクシーの運転手さん等の問題については、これは労働時間改善の中で最重点業務として考えてもおるわけでございますし、基本的には労働省としては男子、女子に限らず長時間労働あるいは過重労働というものに対しては十分労働福祉の立場からひとつ改善していこう、こういう考え方でございます。しかし、いわゆる女性の保護の問題、時間外の問題については、先ほど来から御答弁申し上げてまいりましたように、これはやれやれと言って勧めているわけではないんで、そういう女性が必要に応じて本人の意思とまた仕事への参加的状況の中で一つのそれが逆にハンディになっている、保護が逆にハンディになって十分自分の能力や意欲が表現できない、活用できないという部分についての一つの改善の問題ということもございますし、婦人局長から言った条約の批准ほ伴う、これはILOの問題はむしろ中西先生の方が御専門でございますけれども、そういう国際的な諸国の女子の労働条件の立場からも、そういうものの批准に伴う改善、こういうことでもございまして、ぜひその点を行き過ぎのないようにというもちろん考え方はございますけれども、女子の雇用の平等と拡大のために一つの必要条件としてこれは女子自身の方方からもぜひ御認識、御理解をいただけるのではないか、いただきたい、こういうように考えているところでございます。
#246
○中西珠子君 国際的な公正な基準、ILOもお引きになりましたけれども、これは深夜業は男女ともに健康のためにはよくない、男女ともにできる限り避けることが望ましいということでございますが、社会サービス上必要なというものもございますね。その場合にはやはり適切な措置をとることが必ず必要条件となってきますし、それから労働時間の問題も労働条件の問題も男女ともによくなる、男女ともに危険有害なものから保護されるということがもう大前提でございますので、このことは絶対お忘れいただきたくないし、労働者の福祉ということをおっしゃるのでしたら、やはり今働いている女の人たちがもう今のままでやっと家庭責任と職業上の責任を何とかかんとか両立しているのに、この機会均等法案が労働基準法の改正つきで通りますと、もう本当にフルタイムでは働けなくなってしまう、パートでしか働けなくなってしまうという婦人の声にもやはり耳を傾けていただきたいと思うわけです。
 私はまだたくさん質問を用意しておりまして、坑内労働の禁止の解除の対象とか、再雇用の問題とか、育児休業の問題とか、もうたくさんまだございますのですが、委員長にお願いいたしまして、またこれを引き続き審議を十分にさせていただくようによろしくお願い申し上げます。
 これで私終わります。
#247
○安武洋子君 きょうから均等法の審議が始まったわけです。そして、ことしは国連婦人の十年の最終年に当たります。国連は「平等、発展、平和」こういう壮大なテーマを設けましてこの十年を設定いたしました。そして、我が国の婦人も積極的にこのテーマに取り組んでまいっております。
 我が国の現状を見てみますと、婦人は政治、経済、文化あらゆる分野で大きな能力と力を発揮いたしております。しかし、その能力と力にふさわしい処遇を得ているかどうかということになりますと、それは全くそうではない。とりわけ雇用の分野、これは全雇用労働者の三分の一を婦人労働者が占めるまでになっているわけです。しかし、この経済社会の発展に大きく寄与している婦人であるにもかかわらず、その処遇というのがやはりその地位にふさわしい処遇を受けていない、もうふさわしい処遇とはほど遠い状態に置かれている。ここに大きな問題があろうかと思います。
 それゆえに婦人というのは心から実効のある雇用平等法の制定、これを望んできたわけです。ところが、皮肉なことに、国連婦人の十年の最終年になって、婦人労働者は政府から全く自分たちの望みとは違うという処遇を受けようとしている。これが私は本法案であろうというふうに思います。本法案は、これは均等法部分は先ほどから論議が出ておりますように非常に実効性のないものである。一方、労基法の改悪、これが含まれているというふうなことで、私どもの党は、労基法の改悪の反対、そして実効のある雇用平等法の制定、また婦人差別の撤廃条約を批准すべしと、こういう立場で今までやってまいりましたけれども、きょうはこの審議に当たりまして最初でございます。ですから、まず法案提出に至る労働省の姿勢、これを主に問題にしてまいりたいというふうに思っております。
 まず最初に労働大臣にお伺いいたします。
 大臣は、この法案、これが働く婦人の期待や要求に本当に心の底からこたえている、そのように思っていらっしゃるんでしょうか。
#248
○国務大臣(山口敏夫君) 先ほど来から御答弁申し上げておりますように、いわゆるこの種の法案といたしましては三論併記と、それも五年も六年も審議に審議を重ねた上での、学識経験者、労使、いろいろな皆さん方の協議の結論でございまして、本来ですと、これはちょっとまとまらないから先送り、こういう考え方もあったわけでもございますが、しかし今、先生のお話もございましたように、女子労働者といいますか、この雇用の問題につきまして、一つの大きな社会変化の中で、それからまた男性自身も女子の能力や意欲というものを公平に、正当に評価せざるを得ない、そういう多年の女子雇用者の方々の積み上げた御努力、そういう経過の中でこれはやはりひとつこの際この法案を何とか取りまとめて、ひとつ理想と現実の接点ということで、いろいろ御批判はあろうと思いますけれども、まずは現状を一歩でも二歩でも改善、前進をさせるという一つの効果、また必要条件を満たすものではないかというふうに考えているわけでございまして、私も、就任以来衆議院審議の後を受けて継続してこの問題を担当しているわけでございますが、御質問の趣旨に沿いますれば、これはもう本当にまず第一歩をしるす非常に意味のある画期的な法案の一つの前提条件をなしていると、こう確信をしております。
#249
○安武洋子君 雇用におきます男女の平等というのは婦人の強い願いです。労働省にもかつてなく私は多くの要望、こういうものが寄せられているというふうに思います。その主な要望の一つ、それは実効ある雇用平等法の制定と、こういう内容だというふうに思いますけれども、その点確認しておきますが、いかがでございますか。大臣よかったらどうぞ。
#250
○政府委員(赤松良子君) 御要望を承った時代は私が多かったかと存じますのでお答えいたしますが、実効ある男女平等法をつくれという御要望が多かったというふうに記憶しております。
#251
○安武洋子君 労働基準法の改悪、具体的に言いますと時間外労働、それから休日労働、深夜労働、この規制を緩和せよと、こういう要求はございましたでしょうか。
#252
○政府委員(赤松良子君) 基準法の労働時間の時間等の問題につきましてもいろいろなところからいろいろな御要望があったというふうに考えております。おはがきだとか、あるいは要望書その他いろいろな形でございましたが、基準法の現在の規制が女子の機会の伸長を妨げるというような観点からの御要望も確かにございました。
#253
○安武洋子君 どんなところからどれぐらいありましたか。
#254
○政府委員(赤松良子君) 例えば、管理職や専門職からなる婦人団体からは、当然のことながら機会の均等の観点から、今の現在の規制を緩和すべきであるという御要望あるいは建築士の方からは現在の危険有害業務の禁止が建築士の仕事にとって妨げになっているという御意見、あるいは先ほど来たびたび出ておりましたが、タクシー運転手の方からは、タクシー運転手が深夜を就業できないということは非常に大きな収入上のマイナスになる。したがって深夜業ができるようにしてほしいという御要望でございます。卸売市場における業務、つまり平たく申しますと魚市場の方々が、深夜と申しましても明け方でございますが、それの業務ができないということは非常に支障があるというような御意見。また旅行業における添乗事務などに従事している女子労働者からの緩和についての御要望等種々ございました。
#255
○安武洋子君 種々じゃなくて今おっしゃったぐらいでしょう、覚え切れるほど。労働組合からはございましたか。
#256
○政府委員(赤松良子君) 労働組合からは、深夜業その他労働条件の労働基準法の規定の廃止についての御要望はなかったように承知しております。
#257
○安武洋子君 財界からは非常に熱心な要望があったと思いますが、これはいかがですか。
#258
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 財界からの御要望は、 昭和四十年代半ば以降幾つかの経営者団体から女子の時間外労働、深夜業等の規制の緩和について要望書が出されましたが、その後個々の団体につきましては、生めん、豆腐、総菜等の食品業界、新聞業界、放送業界、情報処理業界等から女子労働者の時間外労働、深夜業の規制の緩和について要望が出されております。
#259
○安武洋子君 財界、それから今おっしゃったような民放協会とかそういうようなところということで熱心な要望が出ている、それは承知しております。大多数の婦人団体、それから労働組合の婦人部、こういうようなところは本法案に賛意を表していない、先ほどの御答弁にも出ておりましたけれども、もう一度確認をいたしますが、それはそのようでよろしゅうございますね。
#260
○政府委員(白井晋太郎君) 労働組合からの特に御要望はなかったと記憶いたしております。
#261
○安武洋子君 ということであれば、差別解消を求めている当事者である婦人は雇用における男女平等、これを制定してほしいと強く望んでおります。しかし、だれも労基法を改悪してくれと、先ほど私は中身を言いましたけれども、時間外労働、休日労働、深夜労働、この規制を緩和せよとは全く望んでいないわけです。財界とごく一部の特別な条件を持っている婦人たちが要求をしているだけ。こういう人たちの要求をうのみにしてこういう本法案がつくられた。大臣、これでは私は大多数の婦人団体とか労働組合が反対するのは無理がないと思いますが、いかがお考えでございましょう。
#262
○国務大臣(山口敏夫君) 私もいろいろな婦人団体、指導者の方々、また大勢の皆さんの御意見を聞かしていただきましたけれども、基本的にこの法案に反対である、こういう考え方ではないようでございまして、むしろよりもっと理想的な、そしてまた現実を踏まえた一気に現状を打破するようなひとつ中身にしてもらいたい、こういう趣旨の御要求の方が強かったと思います。
 私は、やはり財界やその他の要望でこうした基準法の枠の問題が入ったということではなくて、先ほど来から御答弁申し上げておりますように、いわゆる条約の批准に当たっての一つの項目を起こしたということと、いま一つは、男女の雇用の均等、平等を主張する方々がどういうところで逆にこの保護規定がハンディになっておるかということの実感の中で、これはやはり率直に言って先生にもそういう現実的認識は持たれておられると思うんですね。ですから、そういう女子の家庭責任、いろいろな役割分担というものはあるわけでありますから、当然、その時間内は職場でお勤めして、そして家族や子供たちのロイヤリティーといいますか、責任を果たしたい、こういう女子雇用者もおりましょうし、もっと仕事の面において重点的にやりたい、こういう人もおりましょうし、そういういろんな中で女子の雇用の拡大のための一つの必要条件、環境整備としての条件づくりの一環でもある、こういうふうにも考えるわけでございます。
#263
○安武洋子君 大臣、先ほどからの論議を聞いていただかないとだめなんですよ。労働基準法の改悪――時間外労働、休日労働、深夜労働、これを要望してきた労働組合あるのか、ない、というふうに論議の中ではっきりしているんですよ。望んでもいないことをつくれば反対されるのは当たり前じゃありませんか。そして、これは婦人だけではありません。NHKの世論調査などもやっておりますが、男子も含めてやっている、こういうことがあるわけです。
 それを聞きますと、働く女性の深夜労働の禁止など、こういう保護を必要とするという人は見直すべきだという人の二倍以上、男女含めてあるわけで、労働大臣が随分とおくれてなさるというのが先ほどの御答弁。いろいろ言いましても、婦人の側から見れば均等法の部分は実効性が乏しい、そして期待を裏切るものです。一方、労働時間の規制の緩和など労働基準法改悪、この部分は鮮明に打ち出されているわけです。私は反対の声が出るのは当然だと申し上げておりますけれども、この法案が作成される過程というのが、いかに婦人労働者とそして国会、これを欺いた形で行われてきたかという点を私は指摘したいわけです。
 労働省は、昨年の婦少審の建議が出るまでですけれども、男女雇用平等法の早期制定をと、こういう質問に対しまして、一貫して、現在審議会で審議中であってその結論を踏まえて法案を作成したい、こういう答弁を繰り返し繰り返しなさってこられております。そういう立場であったということは、これは確認して間違いございませんね。
#264
○政府委員(赤松良子君) そのようにお答えしてまいったと存じます。
#265
○安武洋子君 本法案の労基法の一部改正六十四条の二の二項、これによりますと、非工業的業種の女子の時間外労働は週六時間から十二時間、そして年百五十時間から三百時間の範囲で命令で定めると、緩和されることになっております。この緩和方針につきましては、婦少審の建議が出される以前から労働省内でこれはひそかに決めておられたのではありませんか。
#266
○政府委員(赤松良子君) ひそかに決めるようなことはいたしません。
#267
○安武洋子君 じゃ、公然とかもしれませんが、この婦少審の建議が出る前に、こういう緩和方針を持っておられたか持っておられなかったか、その点をはっきりしてください。
#268
○政府委員(赤松良子君) 緩和については条約との関係もあり、何らかの緩和は必要ではないかと思っておりましたが、方針を決めたのは審議会の御答申をいただいてからでございます。
#269
○安武洋子君 本当にそういうことですね。もう一度確認します。間違いありませんか。
#270
○政府委員(赤松良子君) お答えしたとおりでございます。
#271
○安武洋子君 じゃ、男子労働者の残業、時間外労働のガイドライン、これを決められました。四週で四十八時間、月五十時間、この指針はいつ告示をされましたでしょうか。
#272
○政府委員(寺園成章君) 労働時間の規制のガイドラインにつきましては、五十七年の六月三十日に告示をいたしまして、五十八年の一月一日から
適用をいたしております。
#273
○安武洋子君 五十七年の六月三十日、この男子労働者の残業のガイドラインの告示の七カ月前、そして婦少審の婦人労働部会での審議の始まる半年前、これは昭和五十六年十一月です。当時の労働省の労働基準監督課長さん、現在大臣官房政策調査部長の岡部晃三氏、この方が日経連の中小企業問題特別委員会へ招かれて講演をなさっております。その中で岡部氏は、外国の残業規制というのは厳しい、日本の場合は、三六協定を結びますと男性は青天井になっている、こういうふうな青天井という規定というのは他国にはないので男子についても何らかの規制を設ける必要がある、こういうことで女子の残業規制の緩和の問題についても触れておられるわけです。その前提として、この問題は実は男女平等法問題につながるものだというふうにおっしゃっております。
 ここに資料がありますので、大臣も差し上げましょうか。ちょっと配ってください。
 これはどういうことを言ってなさるかと言いますと、途中から読みますが、「先述のように例えば、残業規制をして四十八時間超えということで計算をして月五十時間までというようなガイドライン、あるいは命令で定めるようにした場合に、女子にもそれを適用するということと表裏をなす。それから何らかの形の深夜業規制をするとしても、女子の規制を撤廃するという施策と裏腹になってくる訳である。」。これは結局どういうことかといいますと、男性の残業時間を月五十時間程度にすると。そしてなぜこういうことを設けるかというと、男女平等法をつくるときに女子の残業規制を男とそろえるんだと、そういうふうに緩和するために実は男のガイドラインを定めるのだと、まあこういうことを言っておられるわけです。
 基準局長に伺います。私はこれはまことに重大なことではないかと思います。一方で、国会では私どもの質疑に対して審議会待ちだ審議会待ちだと、こう御答弁をなさっていらっしゃる。ところが一方では、審議会のこの審議の始まる半年前に当時のこの岡部さん、労働基準監督課長が日経連に行って、そして労働省の方針だ、考え方はということで労働省の方針を述べておられる。まず男子の残業規制、この時間を定めて、これは平等法扱うときに女子をここにそろえるんだと、まあこういうことを言っておられるわけなんです。私はこれは初めから労働省はこういう方針を持っていた。審議会待ちだと言ってこういう方針を持っていたということではありませんか。いかがですか。
#274
○政府委員(寺園成章君) 残業規制につきますガイドラインにつきましては、まずは時間外労働協定において、一定期間について時間外労働の限度を協定することを義務づけます労働基準法の施行規則の改正とあわせて、目安時間というのを定めたものでございます。その趣旨は、確かに現行の基準法は労使協定でいわば青天井で時間外ができる仕組みに一見見えるわけでございますけれども、それは本来の労働基準法の趣旨ではございませんので、このようなガイドラインを設けて時間外労働の規制を図っていこうというふうにいたしたわけでございます。まさにそれだけの意図に基づくものでございます。まあ岡部氏が日経連でどのような意図で話したかはつまびらかにいたしませんけれども、労働省としてこの均等法案に盛り込まれた内容を決定をいたしましたのは、先ほど婦人局長が御答弁したとおりであるというふうに理解いたしております。
#275
○安武洋子君 大臣にも差し上げました資料にもあるように、岡部さんという方は個人的に話してなさるんじゃないんです。「労働省の考え方は、」ということで話をなさっておられる。ですから、ただ単に男子に対してガイドラインを設けたんですと今御答弁ですけれども、そうではないんです。岡部さん自身が、「男子についても残業の規制を何か設けることができないであろうか。これは行政指導でやるか、法令で行うかは未確定である。」というふうに話された後で、「なぜこんなことをしているかというと、この問題は、実は男女平等法問題につながるからである。」というふうなことで、先ほど私が読み上げましたように、女子もこういうことをするんだと、深夜業をするとしても、女子の規制を撤廃するという施策と裏腹なんだと、あるいは残業規制、「四十八時間超えということで計算をして月五十時間まで」、ぴったりですね、今度と。この「ガイドライン、あるいは命令で定めるようにした場合に、女子にもそれを適用するということと表裏をなす。」、ちゃんとこのように言っておられます。もう一度ちゃんと答弁してください。
#276
○政府委員(寺園成章君) 先ほど私も御答弁いたしましたし、また婦人局長からも答弁をいたしましたように、この法案は盛り込まれている内容についての労働省としての最終的な決定は、先ほど婦人局長が申されたように、審議会の結論を待って得たものというふうに理解をいたしております。
#277
○安武洋子君 そういうふうに理解をされていても、事実がはっきりしているではありませんか、結論が。結論が岡部氏の発言されたとおりになってきているわけです。男子のガイドラインが四週四十八時間、月五十時間、これに定められております。本法案では非工業的業種については上限では週十二時間、これを四週にしますと四十八時間までは可能と。まあ先ほど論議に出ておりましたように、実際には六時間から十二時間の範囲内で命令で定めると、まあそれもどこに定めるかということはわからない。まあ何せ審議会待ちだ審議会待ちだと言いますけれども、審議会待ちだ審議会待ちだと言って実は裏で自分たちの方針を持って、その方針どおりに結論が実現されているというところを、私は問題にしているわけです。
 ですから、今度でも規制緩和の方向というのは、岡部氏の発言どおりです。岡部氏のこの発言内容とその後の結果、これは見てみますと明らかに私は国会を欺いてきたと。審議会待ちだ審議会待ちだと、そう言っている。しかし、実際は当時、これは五十六年十一月十一日です、岡部さんが話してなさる。そのときは省内で緩和の方針、これを明確に持っていたということは明らかではありませんか。私はこれは国会と婦人労働者を欺いてきたことになる、重大なことだ。大臣にお伺いいたしますが、大臣はこの事態をどのように受けとめられますか。
#278
○国務大臣(山口敏夫君) まあやはり一つの政府として労働省が労働政策を進める上において、国会でいろいろ御論議いただいたことを大いに参考活用していただいて、それを政策的に織り込む場合もございますし、またいろいろの民間団体、労働団体からの意見、要望を政策的に、あるいは必要なものは法律的に取りまとめていく、こういう作業がございます。その中で、当然審議会等でそれぞれの学識経験者、労使双方の意見を聞いて、国会で十分御論議にたえ得るような客観的な中立的な意見もまあ網羅しながら、一つの考え方をまとめていくという作業は、先生にも十分御承知いただいているところでございますし、今、岡部当時の課長は、今御指摘いただいたように、政策調査部長ということで、五年先十年先の労働行政の問題のいろいろ今基本テーマに取り組んでおる立場でございまして、彼が一つの将来的な展望の中で一つの考え方を講演をしたからといって、これが国会を欺くとか、あるいは婦人団体のいろいろな御要望に背いて、独断専行、あるいは労働省が一体となってそういう作業を進めておったということは、大変そういうことはないわけでございまして、あくまで審議会における一つの取りまとめ、また労働省がいろいろな意味での政策的な議論、こういうものとはあくまで違うわけでございまして、国会の意見、論議というものを十分尊重しながら我々は政策を進めていく、こういうことでございます。
#279
○安武洋子君 国会の論議どころか、審議会に諮る前に既に労働省の方針なんだと、その労働省の方針はこうなんだと。だから、男子の方も岡部さんの発言どおりになってます。そして、本法案を見れば、またぴったり女子の方もこういうことになるということになれば、私は、今大臣がいろいろおっしゃいましたけれども、結局は労働省は方針を持っていたと、審議会は隠れみのにしたと。審議会隠れみのという論議、盛んに出ます。そして、国会の答弁は審議会待ち審議会待ち。婦人団体だっていろいろと審議会からいい答弁が出るだろう、こう思っているけれども、実はもう方針決めているじゃありませんか。これが国会軽視でなくって何なんですか。
#280
○国務大臣(山口敏夫君) いろいろ審議会については、予算委員会等においても中曽根総理の審議会方式に対してのいろいろな批判や改善要求等もございます。そういうことで、審議会自体がいろいろ論議の対象にもなっておりますが、労働省における審議会というのは、先生御承知のとおり、やっぱりきょうの問題、あすの問題、極めてまあ審議会の結論いかんによっては雇用の問題に非常に大きな変動を来すとか、日本経済のきょうの問題に非常にかかわってくるとかという場合がございまして、労働省の審議会の場合は労使双方そういう第一線に立って、実際専門的にあるいは問題認識を非常に幅広く持っている方々をできるだけ委員にお願いをして進めていると、こういうことでございますから、その審議会を隠れみのにしてと、こういうような御指摘の中身ではないと、こういうことを申し上げたいわけでございます。
#281
○安武洋子君 審議会にかける前から方針を持っていたと、その方針どおりにぴったりと物事が運ばれていると、私はこれを問題にしている。その間に国会でどう答弁されているか。審議会で御審議中ですのでその結論を得て、その結論を得てと、こういう答弁をされてこられた、この政治責任はどうなるんですか。だから私は審議会の中身の問題について、審議会のあり方について論議をしているんじゃないです。これもいっぱい問題あります。しかし、この政治責任についてどう処置されますか。
#282
○国務大臣(山口敏夫君) やはり労働省というのは、今春闘もやっていますけれども、いろいろな労働団体から政策官庁、経済官庁としてもっと大胆に、積極的に労働福祉条件の改善のために努力しろと、こういう御指摘やおしかりを受けることが再三でございまして、労働省の一人一人の担当者が政策努力といいますか、認識をやはり勉強するという中での問題でありまして、今先生から責任云々というような、いわゆる労働省の基本的な考え方、あるいは国会との関係、また審議会における協議の手続等々を逸脱して、一課長の発言によって労働省全体の考え方をそう意図的にそこに吐露さしておると、こういう性格のものでないということを御理解をいただきたいと思いますし、したがって、責任問題論議で御指摘をいただきましても、大臣としてどうのこうのと、こういう結論的な御答弁を申し上げられないような経過だというふうに承知しています。
#283
○安武洋子君 全然だめ。労働省の考え方はと、労働省の考え方として日経連で堂々と述べてなさる。私見じゃありませんよ。そして、私は日経連にも確めましたけれども、向こうは個人をお呼びしたんではない、労働基準監督課長に来ていただいたんだと。その方が労働省の方針だと、審議会に諮る前に既に緩和方針を出していらっしゃる、男子も女子も。それがぴったりと結論が一致すると、こういうことなんです。そして、なぜそういうふうになるかということを申し上げますから、春闘なんてそらさないでちゃんと聞いておってください。
 なぜ労働省の持っていた方針どおりに結論が出てくるかと。そういうふうにちゃんと労働省は手を打ってなさる。私はひきょうだと思います。なぜかと申しますと、この審議会の建議というのはこれは三論併規です。そして、公益委員の意見がたたき台になりました。これが本法案の基本になっております。公益委員は三人です。その三人のうちの一人、これが和田勝美さんです。この方は労働省のOBです。そして、以前から女子保護、この見直しについては本当に女子の保護は見直さなければならないと、大変極端な意見を言っておられる方です。労働条件の差別禁止につきましてこの方がどう言ってなさるか。これはこういうことを言っておられるんです。「平等に書けというのであったら、女子に対するいろいろの就業制限などは一切外せ、生理休暇とか産前産後一切外せと、「そう言う勇気がありますか」」というようなことまで言っておられる人なんです。こういう人を、労働省の意向が真っすぐに入るというOB、こういう考えの人を公益委員に任命する。そして、必然的に本法案のような労働基準法の改悪を内容とした法案が提案できるように仕組んだ。これはそう言われても仕方がないんじゃありませんか。大臣はこのような経緯を一体御存じでございますか。
#284
○国務大臣(山口敏夫君) いろいろ公益委員を任命するときに一つの考え方が、方針が決まっているという人を意図的に選考したのではないか、こういう御指摘でございますけれども、私どももその経過を報告を聞いておりますが、あくまで客観的に公平なメンバーを選考さしていただいた。和田さんのお名前が出ましたけれども、二十二年ほど前、私、石田労働大臣の秘書官のころ和田さん官房長でございまして、非常に公平な、労働省には数少ないフェミニストの一人だというふうに私評価をしておりますし、この間藤田たきさんの勲一等の叙勲のときも男性を代表して花束を贈呈したと、こういうことで女性問題については、これは正直申し上げて大変公平な考え方の持ち主であるということは大臣としても責任もって御推薦申し上げられる方だというふうに考えております。
#285
○安武洋子君 「平等に書けというのであったら、女子に対するいろいろの就業制限などは一切外せ、生理休暇とか産前産後一切外せと、「そう言う勇気がありますか」」と、これは労働省もちゃんとかかわっておられる「婦人と年少者」、機関誌ですけれども、この機関誌に出ているわけですよ。今の発言が非常なフェミニストなんでしょうか、大臣お答えください。
#286
○国務大臣(山口敏夫君) 時間外労働とか、終夜、深夜就業の問題が非常に家庭責任に大きな責任感といいますか、家族に対する女性のロイヤリティー、そういう立場から非常に抵抗があると、非常に批判があるということ私よく承知しております。承知はしておるんですが、しかし同時に和田さんの意見は、和田さんだけにとどまらずに非常に大勢の男性、また本当に職場の均等を、平等を願っている女子労働者の側からもやはり一つの考えはあると、ですからそれは非常に難しい問題で、私も和田さんと正直申し上げればそう意見が変わらないわけでありまして、やっぱり女性が本当に職場における能力、意欲を発揮するためにはやっぱりいろいろな保護規定は、母性保護その他は別として、できるだけ取り下げられるべきものは取り下げられる勇気と努力がこれから先必要だ。特に、八〇年代、九〇年代の労働市場は大変な戦国時代を迎えると、こういう状況――大事なことですからちょっと、政府の考え方でもございますし、そういうことで、女性の方のハンディの問題についても一つの基本的な考え方をぜひ取り組んでいただきたいというふうに思いますし、しかし、誤解のないように申し上げますが、それは終夜、深夜就業や長時間労働をせよということではなくて、そういうことを外すことができると、こういうことの規定でございますので、それが即長時間労働、過重労働にはならない、こういう点は誤解のないように御理解いただきたいと思います。
#287
○安武洋子君 大変な大臣の意見をお伺いしたもので、女子に対する就業制限一切外せと、産前産後も外せと、こういう意見に対してフェミニストかどうかということを私は聞いているわけですよ。
 そうして、私は先ほどNHKの世論調査のことも申し上げました。保護規定は要るんだと、こういう人は、保護規定を見直せという人の二倍以上、男子も含めてあると、こういうこともちゃんと申し上げております。
 こういう極論の持ち主、私ども女性からしたら許せないですよ。こういう極論の持ち主をも大臣はフェミニストだというふうに言ってかばわれるわけですか。そうして今るると労働省の姿勢を言われましたけれども、労働省はこんなものをかばうという、そういう立場に立っておられるんですか。それならそのように承らせていただきます。貴重な時間に余り綿々と変なこと言わないで、ちゃんと答えてください。
#288
○国務大臣(山口敏夫君) ですから、この法案は女子雇用保護法案ということじゃなくて、女子雇用の機会均等法案、女性の職場における地位あるいは役割また賃金、給与、あるいは採用、あらゆる面において女性の職場が平等、公平に確保されるという、その必要条件を満たすための国を挙げての法律と、こういうことになるわけでございますから、安武先生の御指摘している部分、それからNHKの世論調査を聞くまでもなく、そういう時間外労働とか、いろいろ保護規定が外されることに対する女子労働者や女性の勤労者の方の意見というものは我々もよく、政治家ですからわかります。わかりますけれども、その改善、やっぱりこれからの社会における女子労働者の、雇用者の職場の平等、公平、能力、意欲を正しく評価していくためには、そうした部分における取り組みもやっぱり避けて通れないのではないか、こういう一つの考え方の上に立った一つの基準法の問題もある。それだけで基準法改正したわけじゃございませんよ。しかし、そういうことも含めてやはりお取り組みをいただきませんと、私は真の雇用の拡大、平等というものがなかなか保障されないのではないかということについてはこだわらしていただきたいと思う次第でございます。
#289
○安武洋子君 私の意見もわかるけれども、しかし平等、公平のためには和田さんのこの意見を擁護なさるということで、これでは母性保護だって全部外すわけですよ。そして女子に対する就業制限一切外す、これがフェミニスト、もうそういうふうに承って……
#290
○国務大臣(山口敏夫君) 違う、違う。
#291
○安武洋子君 いいえ、違うと言ったってそういうふうにお答えですから。だから次に私は、もうとんでもない労働大臣だということで進ませていただきます。
 ところでお伺いいたしますけれども、残業規制の緩和の対象になる非工業的業種に働く女子労働者、これは何人で、全婦人労働者の何%を占めるんでしょうか。
 それからまた、一日二時間の規制が外される工業的業種、
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
これに働く女子労働者の人数は何人で、全婦人労働者の何%に当たるんでしょうか。
#292
○政府委員(白井晋太郎君) 本法案におきます女子の時間外労働については、今おっしゃいました工業的業種としては労働基準法第八条第一号から第五号までの事業、それ以外の事業を非工業的業種としているわけでございますが、この適用対象労働者数は正確には把握できません。しかし、仮に労働力調査によりまして今の号に該当します事業を拾ってまいりますと、これを工業的業種としました場合には、女子労働者は五百二十五万人程度、それから非工業的業種は九百九十二万人程度で、全労働者に占める割合は前者が三四・六%、後者が六五・三%ということになっております。
#293
○安武洋子君 この残業規制の緩和ということになりますと、今お述べになったように千五百万人、こういう大きな女子労働者に私は影響が出てくる。だから先ほどの労働省のやり方というのは私はけしからぬということを重ねて申し上げるわけなんです。
 それで、お伺いしますけれども、残業規制の緩和ということになりますと、それに伴って勤務時間が長くなる。じゃ、保育所の保育時間というのは延長が当然必要になってきますけれども、一体そのような措置が講ぜられておりますか。
#294
○政府委員(赤松良子君) 女子労働者の就業と家庭生活との両立を可能にするための条件整備の一つとして、保育施設の充実ということは非常に重要な問題だというふうに私ども認識をしておりますし、婦人少年問題審議会の建議におきましても、保育施設の充実と家庭責任は男女共通の問題であるという社会全体のコンセンサス形成を図ることが必要と、このように書かれているわけでございます。
 保育所の実際の運営に関しましては、これは厚生省の所管でございますが、婦人の就業形態が多様化した、あるいは通勤時間も長いというようなことから、保育時間の延長に対する需要が次第に高まるということも認識されて、午後七時ごろまでの延長の保育所、保育時間を午後七時までにするというような特別対策を実施しておられるというふうに聞いております。労働省は直接保育所に対する指導というものはできないわけでございますが、そのような保育施設のあり方につきましては厚生省とも十分に協議をしてまいりたいというふうに考えております。
#295
○安武洋子君 では夜七時ごろ、特別対策、そういう延長保育をする保育所というのは、一体目標はどれぐらいに置かれて、どれぐらい現在あるんですか。
#296
○政府委員(赤松良子君) そのような具体的な数字等につきましては厚生省の所管と存じます。
#297
○安武洋子君 だから無責任。私は残業規制の緩和ということを打ち出しながら、婦人がそれで働けなくなるということに対しては、この延長保育、一体目標はどれぐらいなんだとか、現在はどれぐらいなんだとかと、それぐらいな数字はちゃんと把握をされるのが当たり前ではないかと、こういうことをやってから残業の規制緩和というふうなことを考える。逆立ちになっていると思います。
 私が数字を申し上げます。これは目標が千カ所なんです。ところが五十九年末現在、二百九十七カ所しかありません。一体、夜間保育、この十時ごろまで、この今の状態というのを御存じでしょうか。
#298
○国務大臣(山口敏夫君) 先ほど来から言っているように、時間外労働とか、終夜、深夜就業の緩和ということは、それをやれということじゃございませんけれども、今安武先生おっしゃったように、保育所の問題とか、いろいろ家庭責任を持つ女性の立場というものも、女子雇用者の立場というものもあるわけでございますから、そういう資料その他についても労働省として十分把握して、厚生省等々との両省協議の中でやはり論議をしていく大事な問題だ。御指摘についてはそのとおりだと思いますので、厚生省、労働省で二省間協議もやっておりますが、こういう問題についても労働省の立場からもひとついろいろお願いすべきものはお願いしたい、かように考えます。
#299
○安武洋子君 協議は大いに結構ですけれども、私が把握している数字、これは目標が三十カ所、今十七カ所、これ小さな市町村ならそれでいけるでしょう。全国なんですよね。こういう状態を一体どう思われますか。
#300
○国務大臣(山口敏夫君) 保育所は、深夜の保育所に限らず、全体として非常に要求に対してなかなか施設がおくれておる、こういう現状でございまして、社労委員会なんかでも保育所の増設等につきましてはいろいろ御注意をいただいておるところでもございます。しかし今、そういう意味で保育所そのものの確保、拡大ということは当然大事なことだと思いますけれども、いわゆる緩和規制を取っ払ったから即全員時間外労働を強要され、あるいは深夜就業を強制されて、赤ちゃんや育ち盛りのお子さんがいるお母さん労働者、勤労者が非常に職場から強い規制や強制を受ける、こういうことになるということではないわけでございまして、やはりそれぞれの女子労働者、勤労者の勤労条件あるいは就業要求に即応した一つの判断ということは十分尊重されるわけでありますから、男女の法案の中における今の緩和規制という問題が即お子さんを持つお母さん勤労者が職場から追放される、こういうことにはならないということも御理解いただきたいと思います。
#301
○安武洋子君 子供を持つ人は今の状態だって勤めにくいわけですよ。保育所に子供をとりにいくのに駆け足でいかなければならない。時間を気にする。そこのところで残業の規制緩和なんでしょう。厳しくするんですか。それならよろしいですよ。規制を緩和しようとしている。
 では、私が先ほど申し上げたように、延長保育夜七時ぐらいまでと、こういうことは二百九十七カ所、これだけしかないんですよ。そうして夜十時ごろまで、十七カ所しかないんですよ。こんな状態のもとで残業規制が緩和されたら、幼い子供、大臣、一体こんなときには子供をどこに、預けたらよろしいんですか、婦人労働者は。どこに預けるんですか、答えてください。
#302
○国務大臣(山口敏夫君) 私は、男女法案というのはそういう非常に家庭に対しても熱心な方が、この男女法が通ったことによってそういう今までの職場条件や労働条件が百八十度転換してしまうということじゃなくて、今までそういう状況にあった、あるいは七時に保育所へお子さんを迎えに行かなきゃならないというお母さん勤労者も逆にこの法案によって十分その立場あるいは権利というものがやっぱり保護されるという部分の効果も十分考えられるんではないか。そういうことも、今までの法案が、女性の平等とか雇用の公平というものを確保するための法案によって現在ある女子労働者の雇用条件が逆に悪化される、こういうことがあってはならないわけでありますし、そういう点は十分我々も配慮してこの法案の正しい運用というものを考えているわけでありますから、その辺もひとつ御理解いただきたいと思います。
#303
○安武洋子君 理解できない、そんなものは。残業を規制していくんでなくて緩和をしていく、男とそろえようというんでしょう、先ほどからずっと言ってきたように。そうしたら、今でも婦人は子供を持っていたら保育所に、預けるところも少ないし、その時間も本当にとりにいくのに急いで行かなければならないとかいろんな条件があるのに、一体残業を強制された場合に子供をどこへ預けるんですか。大臣のところに預けるわけにもいきませんでしょう。
 それで大臣、私はもう時間が来たんです、残念ながら。ですから、まだ私はきょうが最初ですからもっともっとこの問題、審議をさせていただかなければならないというふうに思いますけれども、私は先ほどからの論議を通じまして、労働省は男女平等、男女平等、こうは言います。しかし、男女平等を本当に願っている婦人の願いを逆手にとりまして、そして審議会待ちだ審議会待ちだ、こういう国会答弁を繰り返して、そしてひそかな期待を抱かせる。どういうことをしていたか。労働省はひそかに労基法政悪の方針を持ってそれを実現するために労働省のOBまで送り込んだ。大臣お褒めになりましたけれども、女子の規制全部外してしまったらいいと、こんな極論の持ち主です。ですから、改悪の方針が出てくる、本案の土台が出てくるというふうな仕組みまでもつくってきたというふうなこと。そして、これは財界が望んできております、はっきりとこの要望を見てくればわかるように。これは実際の当事者である婦人、労働組合、こういうところからは全く労基法改悪の要求なんか出ていないわけです。ですから私は、今挙げましたような保育所の問題だけではありません、時間があれば私は国際的な時短の問題とかあるいは婦人労働者の健康の問題とか、それがどうなるかとか、そういうところから見てもいかに本法案がとんでもないものであるかというふうなことを私、この審議の中で明らかにしたかったわけです。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
 時間が制限されておりますからきょうは残念ながらこれで終わりますけれども、この法案が決して女子労働者のために出されたのではない、私は労働省のやり方というのはまことに遺憾である、強く抗議をいたしまして、質問を終わります。
#304
○抜山映子君 待ちに待った男女雇用平等法案であったわけですけれども、実際に出てきたものを見ましたら、勤労福祉法案に接ぎ木をした形での男女雇用機会均等法案であったわけで、しかも労基法の改正というありがたくないおまけまでついてきたわけです。この名称が変わった、この最初の発議なさったのはどなたなんでしょうか。簡単にお答えください。
#305
○政府委員(赤松良子君) 名称が変わったというふうにおっしゃいますが、名称はいろいろと新聞などでは仮称で男女雇用平等法などというふうな名前が出ておりましたことは承知しておりますが、あくまで仮称というふうに出ていたわけでございまして、正式に法案として出たのはこの現在の名前でございまして、変わったというものではないというふうに思います。
#306
○抜山映子君 じゃ、均等法に接ぎ木をしようというアイデアが出てきたのはどこからでしょうか。
#307
○政府委員(赤松良子君) 均等法に接ぎ木と……
#308
○抜山映子君 失礼しました。勤労福祉法案に接ぎ木という形で出てきたのはどういうわけでしょうか。
#309
○政府委員(赤松良子君) 接ぎ木と申しますか、現在ある勤労婦人福祉法は勤労婦人のための基本法というべき性格の法律でもともとございますから、勤労婦人に関する規定をする場合にはこのもともとある勤労婦人福祉法をどうするかということは論理必然的に出てくる問題でございます。
#310
○抜山映子君 私は勤労婦人福祉法案がどなたからの発議で出てきたかということをお尋ねしたんですが、お答えいただけないので、これ以上追及はいたしませんが、この接ぎ木の形で出てきたことの原因を明らかにすることができないのはやっぱりこれは誇るべきことではないとお考えになっていらっしゃると考えまして次の質問に移らせていただきます。
 さて、勤労婦人福祉法に従って
#311
○委員長(遠藤政夫君) 抜山君、抜山君、質問のときは立ってください。
#312
○抜山映子君 失礼しました。はい。
 育児休業を認めている会社はどれぐらいございますでしょうか。
#313
○政府委員(赤松良子君) 育児休業の普及率は、現在私どもが把握いたしておりますところでは、一四・三%となっております。
#314
○抜山映子君 このように勤労婦人福祉法案は実際には訓示規定で非常に奨励金まで交付してやっておるんですが、実際には一四%ぐらいである、こういうわけですね。これに接ぎ木をしたわけで、この均等法案によっていただけるものは非常に少ない、一方奪われるものは非常に大きい、こういうことはだれが見ても言えると思うのでございます。
 先ほど大臣からこれは三論併記の中から、しかも四年も五年もかけて審議をして三論併記の中から出てきたものである、こういうように言われましたけれども、そうしますと大臣は三論併記の妥協の産物であって、女子差別撤廃条約の求めているところからかなりレベルダウンしているということはお認めになりますでしょうね。
#315
○国務大臣(山口敏夫君) 本来政府の取りまとめる法案でございますから、三論併記のようないろいろ論議の多い問題につきましては率直に言って先送りというような部分がございます。ございますけれども、御承知のとおり国際婦人年あるいは男女の批准の問題等のことがございまして、この批准に適応したような国内法の整備をしなければならない、こういうことでこの法案を政府として取りまとめさしていただいた、こういうことでございますので、三論併記ゆえに妥協の産物だという中身ではなくて、批准に伴った国内法の整備というレベルで私どもは責任を持ってこの法案を取りまとめさせていただいた。ただ理想と現実の一つの接点という部分の中でもうちょっとこういう形がいいではないか、ああいう形がいいではないかということについては御論議もいただいているわけでございますが、我々としてはこの中身についてひとつ最善の内容をそれなりに努力し取りまとめさせていただいた、こういう考え方の上で国会で御論議をいただいておるところでございま
す。
#316
○抜山映子君 今の大臣の御答弁は非常に逃げておられると思います。条約の第二条に「差別となるいかなる行為からも女子を効果的に保護することを確保すること。」、こういうように明記されておるわけですね。先ほど来大勢の質問者より、まず入口が、募集、採用、昇進、配置、これが努力規定であること、あるいは不利益取り扱いの禁止規定がないこと、あるいは調停に相手方の同意を要するなどということが付記されていること、こういうことからして効果的に保護されているとは言えないことをさんざん指摘してまいりました。それなのに、大臣は三論併記の中から妥協のものとして出てきたこの法案がこの条約のレベルからダウンしていないとおっしゃるんですか。大臣にお伺いしています。
#317
○国務大臣(山口敏夫君) 私は、そういうこの批准に伴う国内法の整備が必要だ、そういう基本的な認識の上に立って、政府みずからの努力でこうした審議会の経過を踏まえてこの法案を取りまとめさせていただいた、こういうことでございます。
 そこで、私は、男女法についてはいろいろ御意見がございます。ございますが、それぞれの家庭における女性の地位、評価、また社会における女性の役割、評価、これを否定できる人は何人といえどもおらないと思うんですね。そういう中にもかかわらず、なぜこういう法案が必要であるかという、この雇用の面における差別とか問題ということはこの法案の整備だけではもちろん達成することはできない、大きな社会的な意識革命、変化、また女性自身のやはり問題認識、いろんな中であると思いますけれども、政府としてはそういう条件を十分踏まえて、ひとつこの男女の平等が一層促進される決意と願いを込めてこの法案を取りまとめさせていただいた、こういう考え方に立っております。
#318
○抜山映子君 これは論議をしても始まりませんが、女子の労働基本権を、勤労の権利を効果的に保護しているとはどう見ても言えないと思います。
 先ほど赤松局長が、現実に合わせるために後退したということも明言されました。そうしますと、これはやはり妥協の産物でありまして、条約の目指しているところからは確かに劣っているということが言えると思うのです。そうしますと、少なくともこの最初の目的のところは、女子の勤労権は基本的権利であるというところをはっきりうたっておいていただかないと、これはこれからいろいろオフィスオートメーションも発展しますし、いろいろ経済事情も変わってまいります。そういう場合に基本的理念がやはりしっかりしていないといけない。そういうことで、ひとつ女子の勤労権は基本的人権であるということをうたっていただきたいと思いますが、この点について大臣、お約束いただけませんか。
#319
○政府委員(赤松良子君) 先ほど来御指摘がございますが、この法案は条約の内容を実現するために決してレベルダウンしたものではないと存じます。先ほど、後退したというような表現、あるいは私がいたしたかも存じませんが、それはたしか審議会の公益委員のたたき台と現在の法案とが違うという点につきまして、たたき台の場合はより長期的な展望といいますか、あるべき姿という方に重点を置き、法案は現実的な配慮というところに重点を置いたための違いであるというふうにお答え申したように記憶をいたしております。
 また、目的につきましては、この法律は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇が確保されることを促進するとともに、」とまず目的の最初に書かれているわけでございまして、この点からもこの法案の目指しているところは明らかかと存じます。
#320
○委員長(遠藤政夫君) 政府委員に申し上げます。答弁は簡潔に願います。
#321
○抜山映子君 それでは質問を変えてみましょう。
 諸外国で最も申し立てが多いのは、募集、採用に対する苦情でございます。この均等法案は募集、採用については努力規定にして、しかもこれを調停の対象から外すことにしておるわけです。このような均等法案を骨抜きにするような内容、これは他の先進サミット国の各男女雇用平等法案に比してかなり見劣りがすると思いますが、それはお認めになるでしょうね。
#322
○政府委員(赤松良子君) 各国はそれぞれにいろいろな形で男女の雇用機会の均等、待遇の平等を確保するために法律をつくったり、あるいは現存の法律を改正したわけでございまして、それぞれの実情に応じた規定の絞りをしております。
#323
○抜山映子君 ここであえてもうこれ以上論ずる必要はないと思います。
 自主的解決をうたっておりますが、日本の中小企業の数は九九%を超えており、しかもそこで働く従業員の数は八〇%を超えておるわけです。しかも、二十人以下の零細企業で働く人の数がこのうちさらに八〇%いる、こういう実情でございまして、欧米のような企業構造、産業構造とはかなり違うわけでございます。この中にあって自主的解決をうたうことはほとんど実効がないと思われますが、この点についていかがでしょう。
#324
○政府委員(赤松良子君) 先生の御指摘のように、日本が中小企業、そこに働く女子労働者が多いということはそのとおりでございますが、自主的解決というのは労働組合があることを必ずしも条件とするわけではございません。労働組合がある方がベターであることは申すまでもございませんでしょうが、労働者と使用者との話し合いでまず解決が図られるということを望ましいものとして規定したにすぎないわけでございます。
#325
○抜山映子君 組合がございませんと、団結権、団体交渉権ございませんから、非常にやりづらい。しかも、不利益取り扱いの禁止条項がないわけです。局長は先ほど、なぜ不利益取り扱い禁止を認めていないのかという質問にお答えになって、一定の権利行使を認める強いものではないから不利益取り抜い禁止を認めていないんだ、こういうように言われましたけれども、例えば不当に解雇されない権利、これはまさしく一定の権利じゃないでしょうか。不利益取り扱い禁止がぜひなければならないと思いますが、もう一度お答えいただけませんでしょうか。
#326
○政府委員(赤松良子君) 調停につきましては、一般的に調停にかかる事項というものが強い権利の保障のためでないということについて申し上げたように記憶をいたしております。
#327
○抜山映子君 調停にかかるものが強い権利でないというのも、これは間違っておると思いますよ。民事調停、家事調停、それぞれ裁判所に申し立てることができるんですから、これもやっぱり権利でございます。ちょっと思い違いがあるように思うんですが、ひとつ不利益取り扱い禁止条項を設けていただくように切にお願いいたしまして、これ以上の議論は避けます。
 ところで、労基法の改正、むしろ改悪と言うべきものでございますが、先ほど来タクシーの運転手、女性からの要望があった、こういうように言われましたけれども、これは実際にはどういう団体から要望があったのか運輸省の方お答えください。
#328
○説明員(永井隆男君) お答えいたします。
 今、先生の方から御指摘のありました陳情のありました団体でございますが、ひまわり会と称する会から、かつて五十八年の十一月当時に女性タクシー運転者の深夜業を労働基準法の適用除外にしてほしい旨の陳情がございました。
#329
○抜山映子君 このひまわり会のメンバーは何人で、どこの県の方ですか。
#330
○説明員(永井隆男君) ただいま申し上げましたように、五十八年の十一月当時に陳情がございましたんですが、その当時に聴取したところでは、このひまわり会という会は千葉県それから埼玉県の女性タクシー運転者の一部で組織されている団体であるというふうに聞いております。それ以降具体的な接触がございませんので、どのような組織になっているのか、またどのような活動を行っておられるのか、会員がどのくらいおられるのかという詳しい点については承知しておりません。
#331
○抜山映子君 このひまわり会のメンバーは、埼玉の場合はタクシー事業者二社から六名、千葉から個人タクシーが一名、タクシー事業者から六名、この七人、合計十三人の人からの要望書ではなかったのですか。
#332
○説明員(永井隆男君) 現在、埼玉県下で女性のタクシードライバーの方々六十三名おられます。千葉県下には、今御指摘がございました個人タクシー事業者の方一名を含めまして十九名の方がおられまして、これらの方の一部がそのような団体を構成しておられるというふうに承知しております。
#333
○抜山映子君 そうしますと、女性タクシー運転者千六百八人のうちのわずか十三人が陳情したということで、いきなりマスコミではタクシーの女性運転者からの要望があったと大々的に取り上げられているわけでございまして、この均等法の深夜業の規制の緩和もそれに基づいてやったように言われておりますが、これはかなり実態の要望と違うんじゃないでしょうか。
#334
○政府委員(赤松良子君) タクシーの運転手の方からの要望は私どもにも何回かございまして、非常に熱心にいろいろなところに働きかけておられるような印象でございました。したがって、マスコミ等でもそのような働きかけに応じた報道をなすったのではないかと思います。
#335
○抜山映子君 私がタクシーの、これは「女性ハイ・タク運転者の深夜労働問題調査結果」というのを入手いたしました。これによりますと、反対の県も多数ございます。推進に反対というのは石川、島根、中部沖縄。これの理由は「事故、乗務中のトラブルなど管理責任の会社負担が増大する」、これは石川県の一つの理由。もう一つ石川県が理由にしておりますのは「家庭持ちがほとんどで深夜労働に従事しない。」。島根県の方では「むしろ残業規制を緩めて男性並にすることを希望する。」、中部沖縄では「女性は深夜労働には適任でない。」、こういうように言い切っております。その他北海道、新潟、秋田も「現行通りでよい」ということを言っておりまして、それらの理由は、女性はタクシーの深夜運転になりますと、どうしても密室になるわけでございまして、治安の維持上も非常に悪い、まずい。それから、実際に入浴施設、仮眠施設というのがございませんで、そういう状態であるのに女性に深夜の運転を認めるのは困る、こういう理由が挙げられております。
 こういうように女性ドライバーのごく一部が希望しておるわけでございますけれども、大体希望によって深夜労働を認めるということは、では採用のときに君は深夜をやってくれるね、ちょっと困りますと、じゃ採用は見合わせてもらうよと、こういう動きになるわけでございまして、そもそも女性が希望する希望しないにかかわらず、女性は深夜労働には適しないから労働基準法で縛っておるわけでございまして、この均等法案の六十四条の三、五のところはぜひ削除していただきたいと思うのでございますが、いかがでしょう。
#336
○政府委員(赤松良子君) タクシードライバーにつきましてはいろいろな議論がございまして、その業界全体を深夜業の規制から除外するという方法もあったわけでございますが、それは先ほど先生御指摘のようないろいろそれには反対という方もいらっしゃるというような実態からいって、タクシードライバー全体を外すということは適切ではないのではないかというふうに判断したわけでございます。
 そして、使用者に本人が申し出た者というふうに限る方がそれの制限にはふさわしいのではないか。それから、深夜業に従事することを申し出た者についてすべてこれ除外するという規定では決してございませんで、「命令で定めるところにより、使用者が行政官庁の承認を受けたもの」に、二重、三重に限定をしているという点について御理解をいただきたいと思います。
#337
○抜山映子君 今タクシー業界では女性の運転者をむしろもう雇わないようにしているということを個人的に聞いております。この括弧書きの「(命令で定める事業に従事するものに限る。)」とありますが、これはタクシー業界に限るように局長は答弁されたことがおありでしょうか。
#338
○政府委員(赤松良子君) 前国会で私ではございませんでしたが、労働基準局長がそのように答弁したことがございます。当面というのがついておりましたが、当面タクシードライバーに限ると考えるというふうに答弁がございました。
#339
○抜山映子君 その当面をどれぐらいの期間と考えてよろしいんでしょうか。
#340
○政府委員(赤松良子君) 現在のところそれを変更する考えはございません。
#341
○抜山映子君 それでは、この四号の方なんでございますが、「当該業務の性質上深夜業が必要とされるもの」とございます。これは大変に広いわけでございまして、一体どの業務が性質上深夜業が必要なのか非常にあいまいでございます。したがいまして、このような広い範囲のものを命令、省令に委任してしまうということは国会の審議軽視になると思うんです。したがいまして、この「当該業務の性質上深夜業が必要とされるもの」は削除していただきたい、このように思うんですが、いかがですか。
#342
○政府委員(赤松良子君) 「品質が急速に変化しやすい食料品の製造又は加工の業務」と、ここまではよいが、「その他」以降を削除せよという御趣旨かと存じますが、やはり先ほど婦人政策課長がお答え申し上げましたが、いろいろな社会生活上の必要性からいって必要な仕事もあるわけでございますので、この「業務の性質上深夜業が必要とされるものとして命令で定める」ものというのは無制限に広げるという趣旨では決してございません。この命令は、またもや審議会ではございますが、審議会の審議を経て決める命令でございますので、そのような御心配はないものと存じます。
#343
○抜山映子君 実際この均等法を見ますと、省令に委任している箇所が異常に多いわけでございます。二十以上もあったと思いますが、しかもその委任事項が非常にあいまいである。局長さんはそういうつもりはございませんというように言われますけれども、これ担当者がかわることもあるわけでございまして、まあ委任事項は法律の上からもかなりはっきりしていないと我々も審議をしようにもたたきどころがないわけでございます。したがいまして、私は希望として「その他の当該業務の性質上深夜業が必要とされるもの」というようなあいまいな規定はぜひ削除していただきたいと、このように切望するものでございます。
 それから、先ほど安武議員からも出たわけでございますが、延長保育所それから深夜保育所の数が極端に少ないわけでございます。まあそのほかに今有名なベビーホテルというものがございますが、これかなり劣悪なものが多いことは前に国会でも問題になりました。このベビーホテルの数が幾つあって、それが劣悪、整備されていないということで改善を指導中のものが幾つあるかお答えいただきたいと思います。
#344
○説明員(木本忠男君) お答えいたします。
 ベビーホテルの数でございますが、五十九年三月末現在で四百四十八カ所でございます。これらのベビーホテルに対しましては年一回の立入調査を実施いたしまして必要な改善を指導しておるということで、その件数は大体三百件程度でございます。
#345
○抜山映子君 今お聞きのように、四百四十八カ所のうち三百カ所も現在指導中であると、要するに劣悪であると、こういう数字が挙げられました。
 保育所の数は全部で二万三千カ所ぐらいであると思います。そのうち、延長保育所が一割ちょっとの二百九十七カ所、夜間保育所が十七カ所。この十七カ所の場所はどこかと申しますと、京都が割に多くて六、大阪市が二、名古屋が二、長野、大阪府、岡山、熊本、札幌、北九州、福岡で各一でございます。したがいまして、東京にも夜間保育所はないと、こういうような事情でありながら女子の深夜業の規制を外してしまうということは全く実情を無視したものであると思うんですね。ですから、先ほど中西先生が質問されたと思いますけれども、労基法の改悪の部分は後日慎重に検討して、そして条約の方は留保して批准するという方法があると思うんですが、これは理論的にあると先ほど局長もお答えになりました。この点いかがでしょうか。
#346
○政府委員(赤松良子君) 深夜業につきましては、女子に対して深夜業の禁止を続けるという方針でございます。これまで女子について深夜業の禁止の例外規定がいろいろとございましたが、その例外規定に必要最小限のものを加えたのが今回の改正でございまして、あたかも深夜業を女子ができなくなるという原則が変わって深夜業を無制限に女性がすることになるというような御理解ではないと存じますが、決してそういう改正ではございませんので、その点は重ねて申し上げたいと存じます。深夜業については必要最小限の改正しかいたしておりません。
#347
○抜山映子君 ただいまのお言葉を聞いて大変うれしく思いました。ひとつ省令をつくっていただくときには深夜業の規制を取り外すのはごくわずかにとどめていただきたいと切望するものでございます。
 それでは一方、老人の介護は今女性の肩にかかっておりますけれども、特別養護老人ホームの数は幾つでございましょう。
#348
○説明員(阿部正俊君) お答え申し上げます。
 特別養護老人ホームは寝たきり老人等をお預かりするホームでございますけれども、五十九年度の推計でございますが、約千五百カ所で、入所定員が十一万余というふうな数であろうというふうに認識しております。
#349
○抜山映子君 入居待機者、それから病院に寝たきり老人であって収容されている者、あるいは自宅で寝たきり老人になっている者、この数字を教えてください。
#350
○説明員(阿部正俊君) 待機者の数というのはなかなか掌握するのは難しいのでございますが、都道府県の推定等を集計いたしますと、大体約現在で一万五千名程度ではないかというふうに思っております。それから、在宅の方の寝たきり老人等でございますが、五十九年度の調査によりますと在宅の方が約二十六万六千名、それから病院に入院されている方が約十万人というふうな数字になってございます。
#351
○抜山映子君 そうしますと、かなり入居を待っている方が多いわけですが、これが増設計画はどういうことになっておりますか。
#352
○説明員(阿部正俊君) 御指摘のように、現在社会福祉施設の中でも、特に特別養護老人ホームに対する要望が強いわけでございますので、私どももこれから重点を置いて増設しなきゃならぬというふうに考えているわけでございますが、年度によって違いますけれども、ここ数年の推移で見ますと約百カ所程度全国で増設しておりまして、定員にしまして八千名程度毎年ふえてきておるというふうな実情でございます。これからも、さらにもっと力を入れて増設に努めなきゃならぬのじゃないかと、こんなふうに考えております。
#353
○抜山映子君 毎年百カ所ずつ増設されておって、一方老人の数もふえていくわけでございますが、寝たきり老人のほかにもぼけ老人というものもあって、大変に女性の荷が重く、時には家庭崩壊にまでつながっておるようですが、寝たきり老人のトータルの数、ぼけ老人のトータルの数についてお教えください。
#354
○説明員(阿部正俊君) 寝たきり老人といいますと、私どもの調査では、六カ月以上の寝たきりといいましょうか、臥床しておりまして、病院と在宅というようにおるわけでございますけれども、おおよその数を申し上げますと、全くの在宅といいましょうか、これが先ほど申し上げましたように二十六万六千名ぐらいではないか。それから特別養護老人ホームに入っておる方が、先ほど申し上げましたように十一万名、それから病院に入っておられる方が約十万ということでございますので、トータルいたしますと約四十八万人という数字になろうかと思います。
 それから、ぼけ老人と通称されておりますが、痴呆性老人の数でございます。これはなかなか推計が難しいのでございますけれども、大体六十五歳以上人口の中で四・六%ぐらいの数ではなかろうかというふうな推計が一般的でございまして、それからしますと約五十万人程度ではないかというふうに推計してございます。
#355
○抜山映子君 ホームヘルパーの数も大変に不足しておるように聞いておりますが、現在何人いて、毎年どういう計画でふやしているかおっしゃってください。
#356
○説明員(阿部正俊君) ホームヘルパー――家庭奉仕員でございますが、現在一万九千九百名というふうな、これは予算上の一つの数字でございますので、実態は多少狂っている場合もあろうかと思うんでございますが、大体二万名弱というのが現状でございます。来年度におきましても千七百名余増員することにしてございますので、来年度といいましょうか、六十年度に入りましたけれども、六十年度で千七百名ぐらいを増員する計画でございますので、二万一千六百名ぐらいになろう。これはこれからの計画としても、今先生不足と、こういうふうに言われましたけれども、私は、長期的にはこれからふえていくだろうと思いますけれども、現在そう極端な不足状況といいましょうか、予算が足りないので置けないというふうな状況ではございません。ただ、これから先はやはりもっとふえていくだろうと思いますので、六十年度で千七百名でございますので、それくらいのスピードでふやしていく必要があるんではなかろうか。こんなふうに考えております。
#357
○抜山映子君 ところで、工業的業種と非工業的業種とに分けておるわけですけれども、これは実際、オフィスオートメーションの進行に伴ってかえって非工業的業種の方が肉体的疲労が大きいということも言えると思うのでございます。
 これは労働省からいただいた資料でございまして、一般の労働者の場合とディスプレー装置操作作業のある労働者と分けて体の症状のパーセンテージを出しております。これによりますと、ディスプレー装置操作の作業がある労働者については、一般の労働者よりも目が疲れるというのは、一般が三六・五%ですか、ディスプレーの方は五八・五%とずっと高いわけでございます。そのほか手指がしびれる、腕がだるい、肩が凝る、背中が痛む、これ全部ディスプレー装置操作作業の方の労働者の方がパーセンテージが高いわけでございます。したがいまして、法技術的に工業的業種と非工業的業種を分けることはやめた方がいいんじゃないか。このように思うんですが、いかがでしょう。
#358
○政府委員(寺園成章君) 均等法におきます基準法で非工業的業種と工業的業種を分けました趣旨は、先ほども説明がございましたように、非工業的業種につきましては肉体的負荷の多い作業が少ないこと、また手待ち時間が多いなど、労働による身体の負担が工業的業種に比しますと軽いということが一つございます。また、ストックのきかないサービスの提供が業務の多くを占めておるというようなことから業務活動に繁閑の差が大きい、したがって、労働時間について弾力的な取り扱いをする必要があるということがまたございます。さらに女子の進出及びその能力発揮が期待される分野でもございますので、労働条件についてもその均等取り扱いを推進する必要が工業的業種に比しまして相対的に大きいというようなことを勘案をいたしまして、非工業的業種と工業的業種に区分をして取り扱いを変えておるところでございます。
 なお、御指摘のVDT作業に従事することによります目の疲れあるいは手、腕への影響というものは確かにございますので、それらにつきましては既にガイドラインを設けて指導いたしておるところでございますし、また、産業医科大学あるいは総合産業医学研究所におきまして共同研究を今実施をいたしておりますが、その結果を待って指導指針をつくりたいというふうに思っております。
#359
○抜山映子君 さらに時間の制約が、時間外の経費については週単位の制約あるいは日単位の制約といろいろ法技術的にはあると思うんですけれども、この六十四条の二は、先ほどから皆さんが指摘されたように、大変に読みづらいし、週単位でくくっておるわけでございまして、この上限に近いようなことにはならないんだと言われましたけれども、それぐらいならもう初めから日単位に時間外の制約を定められたらいかがでしょう。
#360
○政府委員(赤松良子君) 一日当たりの規制というものにするという考え方ももちろんございますが、週単位の規制の仕方というのは最近の傾向では非常に普及しているわけでございまして、週単位の規定の仕方が多少規定ぶりが複雑で理解しにくいということはございましょうが、それは解釈例規などで明らかにすることができるわけでございまして、週単位の規制よりも日単位の規制がよいというふうには私どもは考えていないわけでございます。
#361
○抜山映子君 時間もなくなってまいりましたので調停の問題に戻りますけれども、調停の開始に相手方の同意を要するとなっておることについて互譲の意思が必要なんだからと、こういうふうに言われたと思うのですけれども、互譲の意思は調停が始まって調停中におのずから芽生えてくるものであって、最初開始するときに互譲の意思というのは、家事調停にしろ民事調停にしろないのが普通でございます。この点いかがですか。
#362
○政府委員(赤松良子君) 確かに互譲の意思が後で出てくるということも全く否定はできないと存じますが、このような案件におきましては、テーブルにつくという決定のときに最もはっきりあらわれるものであって、だんだんに変わってくるというものは全くないとは言えないかと思いますが、なかなか困難なものではなかろうかというふうに思います。その点民事調停、家事調停について行える場合は裁判所によって行われる、調停が不調の場合には、調停にかわる裁判や審判があるというようなこともありまして、途中で気持ちが変わるというようなこともあろうかと思いますが、また、家庭問題であるということも性格が多少違うように思うわけでございまして、テーブルにつくかどうかというときに調停に応ずる気持ちがないということでは、無理やりつかしても余り意味がないのではないかというふうに思っております。
#363
○抜山映子君 実は無理やりつかすことが大事なんですね。家事調停にしても民事調停にいたしましても、不出頭の場合は五万円の過料の制裁を科して、しかもこれはすぐ執行できるように執行力ある債務名義と同じ扱いをしている。こういうようにして互譲の意思のあるなしにかかわらずまず調停を開始するように、これは家事調停にとどまらず民事調停もそのように決めておるわけでございます。そして私、弁護士としての二十年以上の経験からいっても、調停のスタートはみんなお互いの意思が相反しております。だからこそ調停に持っていくわけで、調停のスタートラインにおいては互譲の意思はどちらも持っておらないのがほとんどだということを申し上げたいと思います。
 この点はぜひお考えいただくとして、相手方の同意を要するという括弧書きのところでございますが、これは大変に異常なケースだと思うんですね。どの法律を見てもそういうような法律、私今まで見たことございませんし、相手方の同意を要するのでは実質上調停を封じることになってしまうと思うのですが、いかがでしょう。
#364
○政府委員(赤松良子君) 繰り返しになって恐縮でございますが、この法案が予定いたしております紛争というのは家庭問題とはやや趣を異にした内容の調停でございますので、相手方の同意が必要ということにして、そもそも互譲の精神がなく、調停に応じる気持ちのない者に無理やりに調停に臨ませるということをしなかった次第でございます。
#365
○抜山映子君 家事調停、民事調停とどう性格が違うのか、どう考えても私わからないのでございます。労働する権利は基本的人権で、これは憲法の二十七条にも保障されてございます。家事調停も民事調停もそれぞれ個人の権利の問題でございます。特に遺産分割なんかの問題については、これ遺産を相続する権利でもあります。借地借家の問題もこれも居住権、権利の問題でございます。どこに性格的にそのような差があるのか、もう一度御説明いただきたいと思います。
#366
○政府委員(赤松良子君) そちらの道の御専門家でいらっしゃる先生にそういうふうにおっしゃられるとなかなか苦しいわけでございますが、民事調停及び家事調停については確かにおっしゃるとおりでございますが、その場合は、調停が不調の場合は、調停にかわる裁判や審判というような強権的な措置がとられたり裁判手続に移行し得るものであるというようなこと、成立した調停が調書に記載されることによって確定判決と同様の効力を持つものであることなどという効果があるという点が違うように思います。そして労働問題につきましては、労働関係調整法に第三章調停という項がございまして、調停を行う場合として、「関係当事者の双方から、労働委員会に対して、調停の申請がなされたとき。」というふうになっているわけでございます。
#367
○抜山映子君 まあ議論をしても始まらないので、私は、この調停の開始に相手方の同意を要するということは、つまるところは事業者の同意を要すると、こういう結果になることはもう明白だと思うのです。そうしますと、幾ら申し立てても事業者が同意してくれなければもうこの調停はどうすることもできないと、こういうわけでございまして、ひとつ、このいかにも後から挿入したことが、条文の体裁からも括弧書きで入っておるわけでございまして、これを取ることはそんなに難しいことではないと思いますので、この削除をぜひ、ぜひ切望いたしまして私の質問を終わらせていただきます。
#368
○下村泰君 午前中から長い時間にわたって、各党の代表なされる婦人の先生方が一生懸命に質問をなさっていらっしゃいました。党の組織の方はいわゆる婦人議員の方がいらっしゃいますから、ピンチヒッター、パ・リーグのDHでもって出られるんですが、私の方は男ばかり集まった三人の小会派でございますから、花畑の中に黒一点という感じでございますけれども、黒というよりは汚れ一点という感じもします。私自身は男であり、男として今日まで生き延びてきたわけですから、女性の心理、女性の立場、それから現在日本の社会機構の中に置かれている屈辱的な女性の立場といいましょうか、ですから切実に私自身は、感受してないという言葉は余りぴんときませんが、よくわかりません、正直申し上げます。けれども、いろいろな点で不審な点はあります。
 まず、外務省の方に伺いたいんですが、いらっしゃいましょうか。一つ伺いたいんですが、こういった例えば今回のようなあらゆる婦人に対する差別を撤廃せよという条約を批准する場合、ほかの国ですよ、日本以外の国で国内法を整備しなくても批准を先にする国ありますか。そういう国の例は。
#369
○政府委員(斉藤邦彦君) 一般論でお答えすれば、そういう国も多少はあると存じます。
#370
○下村泰君 そうしますと、これだけ反対の大きい、むしろ廃案にした方がいいとか、あるいはこんなもの出すなという意見の多いときに、何でこんなに慌てて、どさくさに紛れて、何とかしてこの法案を審議しなきゃならないのかというその理由が私にはわからないのですが、そこのところを御説明願えませんか。
#371
○政府委員(斉藤邦彦君) この条約は男女間の差別を究極的に撤廃することを目的としておりますが、条約批准の段階ですべての目標が一〇〇%達成されていることを要請されているわけではございません。ただし、だからといって何もしないでいいかというと、そうではございませんで、それぞれの国の事情に応じまして、この条約の目的が相当程度の実効性を持って確保できるという体制を整えてから、初めて条約の批准ができるものと我々は考えております。
 我が国の場合は、条約を締結いたします場合、その条約を誠実に実施できるような国内体制を整えてから、初めて条約を締結するというやり方をとっております。今度の条約について申し上げれば、この我が国の国情に応じまして相当程度の実効性を持ってこの条約を実施できるだけの体制を整えた上で、初めて批准ができると考えております。ただいま御審議いただいております男女雇用機会均等法は、このような観点から、長年の検討を経てここに作成された法律でございますので、このような法律が成立した上でなければ我が国としては女子差別撤廃条約を批准することはできないというふうに考えております。
#372
○下村泰君 確かに批准する場合に、私どもの国はこれこれこれこれ、こういうふうにおたくの勧告どおりにいたしましたと、こういうふうにいたしました。女子の方にも喜んでもらえるような法案になりましたと、これならいいんですよ、これならば。だけど、これだけ物議醸し出して、けさからこれずっと並んでいらっしゃる諸先生方の質問に、同じ女性同士で局長も課長も、それこそ青息吐息で答弁しているでしょう。ときによっては答弁しかねることを答弁していますよね。それもどちらかというと、私はこういう余り国会用語というのは好きじゃないんですけれども、前向きとか後ろ向きとかって余り好きじゃないんですけれども、それこそ後ろ向きで答弁していますよ、一生懸命。何とか逃げようという答弁。そんな足りないところが多過ぎる、それからなくたっていいものもあるような、そんなものを何で急がなきゃならないのか。これはもう外務省の方は結構です。労働省側お答えください。
#373
○政府委員(赤松良子君) この法案につきましては、いろいろ不十分なところがあるということを御指摘いただいているものと存じます。また、中にはもちろん基本的に反対というお考えの方もおいでになるというふうに思いますが、多くの方が、それではこの法案がない方がいいとお思いかという点につきましては、先生のお考えと私どもとは認識を異にしているものでございまして、この法案の不十分なところを指摘しつつも、やはりこれは前へ進む第一歩というふうに評価がされているというふうに私どもは確信をいたしております。
#374
○下村泰君 その点私もわかるんですよ。ないよりはいいかもしれない。ないよりいいかもしれないけれども、そこのところだ、問題は。あったってしようがないところは切り捨てるべきだと、こういうふうに先ほどからずっと各先生方がおっしゃっている。それに対して明確に、じゃこれは切り捨てましょう、それだけ反対が多くて実施する場合にそこから生まれてくる諸問題があるとすればこれは切り捨てましょうというような御返答はなかったわけですよね。そこのところに大変私は疑問を持つんですよ。それはないよりはいいでしょう。一歩前進ですからね。ところが一歩前進して三歩後退したんでは何にもならない、これは。一歩前進ということはやはりよりよきものにつくり上げていくのが一歩前進であって、みんなが反対する条項をそのまま実施していくんだったらこれは前進どころか後退に近いんじゃないか。これが私の考えなんですけれどもどうでしょうか。
#375
○国務大臣(山口敏夫君) この間もある大手企業といいますか、有名企業でも新入女子社員が採用された。たまたま後になって婚約といいますか、結婚の日程が入っておったということで採用をひとつお取りやめいただけないかと、こういう実例がございました。しかし、そういうような我々がちょっと想像できないような女子の就職におけるいろんな差別や偏見もあるわけですな、結婚そのもの自体が女子の就業とか能力と全然関係ないわけでありますからね。そういう問題がこの雇用法等の問題のいろいろな国会での御論議や法案の整備の中において非常に改善をされまして、予定どおり採用していただいた、こういう経過もございます。私は、いろいろ先生方が女性問題や婦人問題の専門的な立場から、それから何年もこういう問題をお取り組みいただいた立場からこの法案の中身を見ますと、あれも足りない、これも足らないということもございますし、また平等を確保するための必要条件の整備のための部分があるいは率直に言って女性のために女性の側から見れば良薬口に苦しでいろいろ逆に保護規定が女子雇用者の条件を大幅に変えてしまうのじゃないか、こういう危惧もございます。ありますけれども、私は今赤松局長からも答弁ございましたように、この法案をいろいろ御論議いただき、また成立する過程において、明らかに今までのいわゆる雇用の全ステージにおける女性の勤労者の方の立場、位置づけ、発言力、また評価というものがそれなりに公平公正に評価される一つの前進につながる、かように考えるわけです。これは二千年来男と女の社会的な力関係や引っ張り合い、いろいろあったわけですけれども、日本にとってはまさにこういう法案が初めて世の中に登場して御論議いただいておるわけでございますから、そういう社会的なこの法案が生まれてくる必然性、背景の中で一つの最大公約数をまとめた、こういうことで、先生の御指摘にもありましたけれども、我々は現状においては最善のものを取りまとめて国民の代表たる国会の先生方に御審議いただいておる、こういう基本的な確信に立っておるということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
#376
○下村泰君 ここに昨年の三月二十七日に出ましたこれは朝日新聞のコピーなのですけれども、これを拝見しますと、婦人少年問題審議会の報告の要旨というのが、大変うまくまとめているのですね。これだけのことに一年かかったというのですが、六年かかって結果が出ていないのですね、これきちんと。まとまっていない。いわゆる先ほどから問題にされている三論併記というやつなのですけれども。これ見ますと、例えば「定年・退職・解雇」、こういうところを見ると、「合理的理由のない男女異なる取り扱いを禁止」と、こういうふうに、これは問題の今度の法案なんでしょうけれども、公益委員側は「募集・採用は努力義務規定、配置・昇進・昇格・教育訓練・福利厚生は禁止規定」、労働者側の委員は「すべて禁止規定」、使用者側委員は「当分の間すべて努力義務規定」。それからこの中で一番、目についてびっくりしたのは、「生理休暇」のところです。これ公益委員は「廃止すべきだが、生理日の就業が著しく困難な者については何らかの配慮が必要」、それから労働者側の委員は「母性保護のため必要であるので現行通り」、使用者側委員「母性保護措置ではないので廃止」、こういうことを言ってますね。それから産前産後の場合でも、使用者側委員は「産前産後休業の拡充は必要ない」。もうまるっきり意見が違うんですね。三者が同一的に同調できるところもあるんです。ところが、肝心のところが一番、つまり女性というものを保護しなきゃならない――幾ら男が威張ったって女性がいなきゃ生まれてこないんですからね。労働大臣でもお母さんがいるんですからね。だから一番最後に偉いのは女ということになるんです、我々の社会では。
 私らのおりました芸能界には男女差別はないんです、私たちはね。杉村春子さんが座長ならこっちは下っ端になっちゃうんですから。山本富士子さんが座長なら我々も下っ端なんですから。私らのおりました社会には男女差別というのはないんです。むしろ女性の方が有利なんです。
 ところがこれを見ますと、これはもう明らかに真っ正面から意見が合ってないんですよね。これが出てきて、そうして婦人労働部会で六年間に近い論議を尽くしてもまとまらない。それを労働省側がまとめたわけでしょう。これ大岡裁きでいくと三方一両損なんです、この結果はね。どこかが一両ずつみんな損しておる。企業の方も一両ぐらいの損ならというところであきらめて、妥協しているわけだ。けれども、実際のことを言ったら、企業側の方の、使用者側の方の御意見を伺うと、これまるっきり反対ですわね、頭から。そういう感じしか受け取れないんですよ。ですから、先ほどから私が言っておりますように、大臣初め皆様方は画期的であると、日本の二千年の有史以来の画期的なことであるとおっしゃっているんだけれども、画期的どころか、どっかでこれ妥協してでき上がったものとしか私には思えないんですよ。そういうところから、この法案にはちょっと無理があるんじゃないかなと申し上げるのはこういうところが原因なんです。
 さて、次へ参りましょう。ここに、私の手元の資料に「女子の昇進機会の有無別企業構成比」というのがあるんです。これ、労働省からの資料ですけれどもね。昭和五十二年と五十六年では大分違っています。五十二年に、「女子にも役職への昇進の機会がある」と答えた企業が、パーセント一〇〇として、四七・七%が、五十六年、これは五十六年の調査ですがね、最終的には、五四・九%になっていますね。それで、「部長相当より上位の役職も可能」と答えているのが五十二年が一一・二が、五十六年になると一四・三、「部長相当まで」というのが五十二年が四・一で、五十六年は五・四、「課長相当まで」が五十二年が二七・三、そして五十六年が二四・八、これ下がっておるんです、逆に。それから「係長相当」、五十二年が四〇・五で、五十六年が三五・六、これも下がっておるんです。「その他」というのがありますけれどもね。これは恐らく女性だけの職場、女性だけで構成しているような職場がありますわな。例えばデパートであるとか、そういったところの僕はこれ企業のあれじゃないかと思うんですが、どうなんですか。
#377
○政府委員(赤松良子君) この調査対象は決して女性だけで構成しているような事業場ではないというふうに承知しております。
#378
○下村泰君 そうすると、男半分、女半分、あるいは男の中に女性が入っているくらいの企業でもそういうことがあるというふうに御認識なさいますか。
#379
○政府委員(赤松良子君) 男女混成の企業の中で比較的女性が上位の管理職につくことが非常に少ないということをこの調査は物語っていると思います。
#380
○下村泰君 と申しますのは、その次に、「女子には昇進の機会がない」という企業があるんですよ。これは半分以上、五二・三から五十六年には四五・一に減っておる。そして「昇進の機会がない理由」というのがあります。「女子は勤続年数が短い」「女子は管理能力統率力が劣る」「女子の補助的業務の性格から無理」「女子には法制上の制約があるので無理」「その他」、こういうふうになっています、これはもうパーセンテージは要らないでしょう。こういうことが「昇進の機会がない理由」だというんですね。ところが、考えてみればこれは企業側がつくっているでしょう、こういうふうに。
 例えば「勤続年数が短い」、最初から女は結婚すべきものである、いつまでも働いているんじゃないよというところから非常にあれが短いわけでしょう、契約期間が。例えば放送局なんか例にとりますとたしか二十五年までだ。もうそこで定年ですよ、女子社員。それから社内で結婚した場合にはおやめなさい。社外の男と結婚した場合にはまだいい、いられるんです、これはある放送局の例ですがね。
 それから芸能を主とする大きな会社があります。その会社でもそうですね。自分の希望する職場にいたければ二十四歳まで。そこで社員扱いになると今度は配転されるわけですね。自分の好むと好まざるところへぶっ飛ばされる、これはもう当たり前だろうと思いますがね。ここもやはり女子の定年制があります。そういうところがここに出てきているわけですよね、「昇進の機会がない」というやつが。だから当然こういうこともあるから、今回の法案がそれにかわるべきものであるというふうにお考えでしょうね。まず労働大臣、恐らく自慢したいでしょう、今度のことで。
#381
○国務大臣(山口敏夫君) ですから、先ほど来から御論議いただいておるように、女子には法制上の制約があるので無理と、こういうことも含めていろいろ役職とか管理職等への門が閉ざされておったり制限されたりしておるような状況である。私は、女子の雇用者の場合には、やっぱりあくまで仕事を持ってはいるものの家庭に対するウエートが比較的重い方と、それからあくまで家庭は亭主と平等、分割して仕事の面においてそれなりに、むしろ中心にスタンスを置いてやっている人と両極端、両方、大ざっぱに分けて分けられると思うのですね。そういう中の問題ありますけれども、この男女法についてはそういう双方ともども、その基本的な就職だとかあるいは賃金だとか、また勤務条件でありますとか、出産があった、育児があったという点も含めて雇用が継続できるような、そういう環境条件を企業側にも使用者側にも持ってもらう。
 それでまた、いわば今の民間の調査機関等においても女子の雇用者を積極的に採用する企業が比較的成長しておるという事態もあるわけですね。私は、先ほど下村先生が我々は男だからという話をされましたけれども、私は使用者側といえども女子をもう基本的に差別してこの門戸を閉ざしているという人はおらないと思うのですよ。ただ、長い慣行やいろんな女子雇用者の職場条件といいますか、社会条件が入社時と何年かたつと変わっていってしまう、そういう現実の中で対応せざるを得ない部分も私はあったと思うんですね。ですから双方が、こちらが拒否しているから風穴をあけるんだということではなくて、双方が歩み寄る形の中で女性の能力や意欲というものが平等、公平に確保されるような社会的、労働的条件を確立しなきゃならない、こういうことですからね。この法案の持つ一つのイデオロギーというものは、私はいろいろ御批判いただいている先生方も十分その点については御認識をいただけるというふうに思うわけです。
 そこで、どうこれを一歩一歩、これを一つのスタート時点として、今先生が御指摘のような真の平等、公平な職場条件、それから同時に家庭であるとかお子さんを、育ち盛りのお子さんを持っている、育児もしなきゃならない、家庭責任のある主婦雇用者に対してはどういう職場的な条件が守られるか、こういうこともあわせて女子の雇用者の労働条件を整備していく、そういう端緒に私はなり得ると、こう確信をしてやまないわけでございます。
#382
○下村泰君 そうしますと、今の大臣のお言葉の中をちょっと整理させていただいて私なりに考えたんですが、そうしますと、この法案を一応基準にしておいて、これから先手直しをして、何とかしていい方向に持っていくというお考えはあるんですか。
#383
○国務大臣(山口敏夫君) これは現在において一つのいろんな論議の経過の中で政府原案として取りまとめたわけでありますから、この法案を一つの起点として、これから私は女子の雇用者の職場条件というものに大きな社会的な変化が起こり得ると、こういう一つの見方をしておるわけですね。と同時に、それは今言ったように法制上の制約その他の問題もありますし、また女子雇用者の意識の問題もありましょうし、また女子雇用者が今までは多少、赤ちゃんが生まれたり、いろいろ条件が違うと何となくいづらいという意識を持って、勤めていたくてもやめてしまうというのを、こういう法案の保護によって職場が継続されていく。そういう中に、男性の社員と同じようないわゆる終身雇用までいかなくても、雇用の延長といいますか継続というものも図られていく、そういう一つの結論として、男子雇用者に変わらない女子雇用者の能力というものも公平に評価されるチャンスもまた拡大をしていくと。私は、鶏が先か卵が先かという論議の中で、結果的には今先生方が御指摘いただいたような、女子が不当不法に差別されているという現状は、先生も御指摘いただいた点は確かにあると思うんですね。それをどう改善していくかという具体的なそれじゃ改善策というものは何があるかということになると、こういう法案の整備と論議の中で一歩一歩社会的な環境条件を変えていく、また女子雇用者の問題認識もひとつ新たな視点で考えてもいただく、こういう総合的な社会変化というものが伴わないと、これはもう二千年来の不平等というものがなかなか一朝一夕に改善されるものではないと、こういうふうに私は考えるわけです。
#384
○下村泰君 そうしますと、これから先、つまりこの法案が不備な点がこれから直されていくと受け取っていいわけですね。
#385
○国務大臣(山口敏夫君) この委員会における修正とかそういう問題は、これはいろいろ政府としては、我々としては一応最良の法案ということでお出しいたしているわけでございますから、それを御論議をいただきたいと、こういうことです。
 しかし、将来の問題として今いろいろ努力目標を、あるいは罰則の問題とか禁止規定とかいろいろな問題は、私は使用者側の一つの信頼関係といいますか、女子雇用者に対する一つの信頼感といいますか連帯感といいますか、そういう問題、社会的な大きな環境整備の中にやっぱり一つ一つもっと基本的に、採用時においても、あるいは出産とか育児の問題においても、あるいは終身雇用的な問題においても、これがやはり女子の雇用者を採用する使用者側の意識変化といいますか、というものも、これはもう全く変わってくるということは十分想像できるわけでありますし、そういう方向にこの法案が貢献するということを我々は願っているわけであります。
#386
○下村泰君 それは先々になりましてこの法案の不備な点は直しますというふうに明言なさっても安心だと思いますよ。五年も十年も恐らく労働大臣やっていられないと思いますからね。
 職業安定局長にお伺いしますけれども、今日本の労働者の総数、それからその中に占める女性の数、どういうふうになりましょう。
#387
○政府委員(加藤孝君) 五十九年現在、全雇用者数が四千二百三十六万、そのうちの常用雇用が三千八百七万ということでございます。そのうちの女子の割合でございますが、これが千五百八万という割合になっております。
#388
○下村泰君 それで加藤さん、伺いますが、男性と女性の賃金の格差、男一〇〇に対して女性はどのくらいでしょうか。
#389
○政府委員(赤松良子君) お答え申し上げます。
 賃金格差と申しますのは、いろいろな比較の仕方がございますので、どういう標準でそれを出すかということでございますが、調査もいろいろございまして、どの調査をとるかというのはなかなかいろいろ分かれるわけでございますが、たまたま労働省が賃金構造基本統計調査というのをいたしておりまして、これはいろいろな条件をそろえて男女格差を見るという点ですぐれているかと思います。いろんな条件が違いますと、格差が広がったりするのは当たり前でございまして、やはりある程度条件をそろえたところで見た方がよろしいかと思うわけでございます。そこで、そろえたもので見ますと、男女賃金格差は、昭和五十八年が一番新しいわけでございますが、男子一〇〇として決まって支給する給与は女子五五・五、所定内給与というふうに限定をいたしますと、女子が五八・七というふうになるわけでございます。
#390
○下村泰君 実はここに諸外国の雇用平等法等の概要というのが、森山眞弓さんがお書きになっておる。その中からこれを見ますと、賃金格差を申し上げますと、アメリカが女子六三なんですね、一〇〇に対して。全部一〇〇に対してです。イギリスが七三・五、西ドイツが、工業関係の方の女子の賃金で男子の一〇〇に対して七三%、そして商業関係が六八%、それからカナダが五九、やや日本に近い。デンマークが八八ですね。スウェーデンというところが大変高いなと思ったんですけれども、これは意外とその割りじゃないんですね。女子が七七、パートを含めると女子が六〇というふうな数字が出ています。こういうふうに今申し上げましたけれども、雇用面から見てもやっぱり日本の女性というのは虐げられていると、こういうことになりますな。今の国々の賃金格差からいっても、やはり日本が一番低い。今局長がおっしゃったように五五・五、それからもう一つの業種の方でいくと五八・七、幾らか上がっているように見えますけれども、やはりほかの国に比べると大変少ない。だからこそ余計きちんとした法案でなければいけない、こう思うんです。安定局長に伺いたいんですが、私この法案逆作用しやしないかと心配なんです。企業側の方が女子の採用を手控える、変に規制ができてくると、そんな感じがするんですが、職業安定局長としての勘を働かしてどういうふうに感じますか。
#391
○政府委員(加藤孝君) この法案についていろいろ御意見が出ておるわけでございますが、この法案の基本的なスタンスは、我が国のこういう現状を踏まえないままに、女子差別撤廃条約で目指す男女平等の姿を一挙に実現しようということでやれば社会的影響も非常に大きい、そういう意味において我が国の企業の雇用の慣行、あるいはまた女子の就業実態等々を踏まえまして漸進的に進めていく必要がある、こういう基本的な考え方のもとに立案をされたものだ、こういう性格のものと考えておるわけでございます。また、この法律によりましていろいろ機会の均等、待遇の平等というような関係の問題ございますが、それはそういう機会をいろいろ与えていく、雇用の場につく機会であるとか、いろんな仕事につく機会、昇進昇格の機会、教育訓練の機会、こういうようなものについて男女を問わず等しくこの機会が確保される、こういうことでございまして、結果として、例えば男女を同じ数だけ採れとか、管理職を男女同じ数にしろとか、そういうようなことまで言っておるものではないわけでございます。そういうふうな意味におきましても、この法案によりまして事業主も募集、採用、昇進等の面につきまして今後具体的に策定が予定されています指針に基づいて均等を目指しての努力を要するものではございますが、この法案によって、女子の取り扱いというものがここで一挙に極端に変更するというようなことではまたないわけでございます。
 そういう意味におきまして、この法案のねらいと逆に、女子の雇用が妨げられる、減少するというふうなことにはならないと思いますし、また、この法の施行、運用につきましても、まさに目的に沿って雇用が拡大をされるような形での運用が図られていくべきだ、こんなふうに基本的に考えているわけでございます。
#392
○下村泰君 実はこういう本があるんですね、「労働時報」。これ八四年の五月。この中に八ページから「雇用における男女の機会の均等及び待遇の平等の確保のための法的整備について」というタイトルがつきまして、その下に「婦人少年問題審議会の審議をふりかえって」といって四人の方々がちゃんと写真入りで載っているわけです。この中に、経営者側の方がいらっしゃるわけですね、名前を挙げることもないでしょう、別に。その方が述べていることをちょっとこれ読んでみます。
  五三年当時はともかくとして、署名された頃から今ぐらい議論が沸騰しておりましたら、今頃、コンセンサスとまでいかなくてもこの問題についての理解はかなり浸透していたのではないでしょうか。そして、業界、企業の対応の仕方も、ある程度は進んでいるような状態になっていたのではと思います。あの頃は婦人差別撤廃条約の内容も全然分かってない状態でした。外務省から具体的に説明を受けたのも、昨年の九月が初めてでした。婦人差別撤廃条約の内容、性格、批准のためにどういうことをやらなければならないのか、批准すればどういう影響が出る可能性があるかということについては、まるっきり分からない状態でずうっと来たわけですよ。そこで専門家会議の報告書の第二章に具体的に男女異なる取扱いとはどういうことかずらっと並んでいるでしょう。これが全部禁止されるということになれば大変なことになるということで、内部の研究会で具体的に検討してみたわけです。その時、これは革命じゃないかという声が出てきた。そして、一挙に、絶対に法制化反対ののろしを上げろという強硬論が上からでなく下からきました。しかし、そのうち、法律を作ることぐらいはやむを得ないということにするけれど、その代わり強制力は絶対持たせるなということになったわけです。しかし、具体的には、どう対応しなければならないのか分からない。それで、もっと時間をかけなければならないということになったわけです。
 こういうことを一番最初に述べているわけですね。これに対して中で女性の方々がいろいろな反論をしております。
  とにかく、この法律は考えれば考えるほど、ヨーロッパやアメリカ向きの法律ですね。これに日本の歴史的伝統的実態を強引に調整して合わさせていくということになると思います。世の中が構造的にまるっきり変わってくるんですよ。特に企業の中は。
というふうに述べていらっしゃいます。それから、
  しかし、女子保護規定が、現実に平等実現のための阻害要因になっている面は、かなりあるんですよ。
 こういう発言もなさっていらっしゃいます。そして、
  どうも心配なのは、先進諸国で起きている家庭の主婦労働の軽視とか、ひいては家庭自体をないがしろにするという社会現象が日本にも起きないだろうかということです。
 これはほかの国に比較してということなんですけれども、こういうふうな発言をなさっていらっしゃるわけです。この方は当然、こういう審議会に出られる方なんですから、業界の中でも相当にこういう問題に詳しい方じゃないかと思います。その方がこういう発言をしているわけですね。ですから、こういう考えの方々が企業側におったのでは必然的に避けていくんではなかろうか。ですから、女性に対して雇用の機会を均等になんて表題はついておりますけれども、むしろ逆の作用が出てくるんじゃないか、私はそういう懸念を持つんです、心配もするんですよ。ですから今安定局長に伺ってみたんですがね。そうすると、安定局長はまさかひょっとしたら腹の中で賛成しているかもわからない。そうかな、そんなことがあるかもわかりませんなと思っているかもわからない。かといって、職業安定局長の立場でそんなこと一緒になって言ったらえらいことになりますからね。言えないだろうと思います。だけどね、そういう心配が当然出てくると思います。
 それから、例えば女性の肉体というのは非常に微妙ですわな。とにかく私は男ですからわからぬのですがね、まことに残念なんですが。実は私は職業を通じまして四十年以上芸能界におりましたがね、乗り物に乗っても生理が急変する方がいるんですね。例えば汽車に揺られて北海道へ行きます。北海道行くときには大体あのころ十四時間以上かかります。そうしますと生理が始まる歌い手さんがいるんですよ。中には歌が歌えなくなるくらい苦しがる人もおる、畳ばりばりつめで削る人もおるんですよ。私はその子の背中いつも乗った経験があるから覚えているんですがね。そういうふうに女性というのは非常に微妙なんですよね。それだけに、先ほどからいろいろ出されています深夜の仕事とかなんとかということは、大変に私は母性を傷つけるということは事実だと思います。そういった不備な点がたくさんあるんですから、ますますこれは審議を尽くしてやらなきゃならないということになります。このお答えは要りません。
 もうお時間でございますから、労働大臣も長いことそこにいじめられているから気の毒ですからもうこの辺で解放しましょう。しかし、まだこれから先もあることでございますから、十分にひとついろいろとお考えをまとめておいていただきたいと思います。
#393
○委員長(遠藤政夫君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#394
○委員長(遠藤政夫君) 職業訓練法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。山口労働大臣。
#395
○国務大臣(山口敏夫君) ただいま議題となりました職業訓練法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 近年、技術革新の進展、高齢化社会の到来等経済社会の変化は著しいものがあり、これに伴って労働者の職業生活を取り巻く環境条件も大きく変化しつつあります。今後、このような環境条件の変化に対応して労働者の職業生活の充実と産業社会の一層の発展を図るためには、労働者の職業能力の開発及び向上がその職業生活の全期間を通じて段階的かつ体系的に行われる必要があります。このような状況にかんがみ、事業主の行う多様な職業能力の開発及び向上を促進する施策を充実するとともに、公共職業訓練について、地域の経済社会の実情及び環境条件の変化に即応して弾力的な訓練を実施する事ができるよう職業訓練法を改正することとし、中央職業訓練審議会の答申をいただき、ここに職業訓練法の一部を改正する法律案として提案いたした次第であります。
 次にその内容の概要を御説明申し上げます。
 第一に、職業能力開発を促進するという今回の改正の趣旨に合わせて、法律の名称を職業訓練法から職業能力開発促進法に改めることといたしております。
 また、職業能力開発の促進の基本的理念について、職業生活の全期間を通じて段階的かつ体系的に行われるものとして明確にするとともに、職業訓練は訓練を受ける労働者の自発的な努力を助長するように配慮して行われるものといたしております。
 さらに、国及び都道府県の責務について、事業主その他の関係者の自主的な努力を尊重しつつ、事業主の講ずる措置の奨励に努めなければならないものといたしております。
 第二に、事業主がその雇用する労働者に対して行う職業能力開発促進の措置について、多様な方法により職業訓練を実施するほか、必要に応じ、他の者の設置する施設により行われる職業に関する教育訓練を受けさせることまたは有給教育訓練休暇の付与その他必要な援助を行うこと等の措置を講ずることにより、労働者の職業能力の開発及び向上を促進することといたしております。
 また、事業主はこのような措置に関する計画を作成するように努めなければならないものとするとともに、計画の作成、実施及びこれらの措置に関する相談、指導等の業務を担当する職業能力開発推進者の制度を新たに設け、事業内において職業能力開発を促進する体制を整備いたしております。
 さらに、国及び都道府県が事業主等に対して行う援助の措置についても、職業能力開発推進者に対する講習の実施、情報、資料の提供、相談等を適切かつ効果的に行うために必要な施設の設置などについての規定を設け、その充実を図ることといたしております。
 第三に、公共職業訓練施設について、委託訓練制度の積極的活用を図るとともに、訓練基準の弾力化を図るよう改正し、また、職業訓練指導員についても、有能な人材を登用できるよう規定を整備し、より円滑かつ効果的な運営を図ることといたしております。
 第四に、都道府県立職業訓練施設の運営費についての補助方式を負担金方式から交付金方式に改めることとしております。これは、さきの臨時行政調査会の答申の趣旨を踏まえ、これらの施設が地域の実情に応じて一層自主的かつ弾力的に運営されるようその機能の強化を図るためのものであります。
 その他、職業訓練計画及び職業訓練審議会の名称の変更等所要の規定の整備を図るとともに、この法律の施行を一部の規定を除き、昭和六十年十月一日からといたしております。
 以上、この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げました。
 何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#396
○委員長(遠藤政夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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