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1984/04/16 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第15号
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1984/04/16 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第15号

#1
第102回国会 社会労働委員会 第15号
昭和六十年四月十六日(火曜日)
   午前十時十二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     前島英三郎君     添田増太郎君
     森下  泰君     松岡満寿男君
     浜本 万三君     安恒 良一君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤 政夫君
    理 事
                佐々木 満君
                関口 恵造君
                高杉 廸忠君
                中野 鉄造君
    委 員
                石井 道子君
                大浜 方栄君
                曽根田郁夫君
                添田増太郎君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                松岡満寿男君
                村上 正邦君
                糸久八重子君
                安恒 良一君
                和田 静夫君
                中西 珠子君
                安武 洋子君
                藤井 恒男君
                下村  泰君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  増岡 博之君
   政府委員
       厚生大臣官房長  下村  健君
       厚生大臣官房総
       務審議官     北郷 勲夫君
       厚生大臣官房審
       議官
       兼内閣審議官   古賀 章介君
       厚生省社会局長  正木  馨君
       厚生省年金局長  吉原 健二君
       社会保険庁年金
       保険部長
       兼内閣審議官   長尾 立子君
       労働大臣官房審
       議官       野見山眞之君
       労働省婦人局長  赤松 良子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       大蔵省銀行局保
       険部保険第一課
       長        龍宝 惟男君
       厚生省年金局年
       金課長      山口 剛彦君
       厚生省年金局数
       理課長      田村 正雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国民年金法等の一部を改正する法律案(第百一回国会内閣提出、第百二回国会衆議院送付)
○連合審査会に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、浜本万三君が委員を辞任され、その補欠として安恒良一君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(遠藤政夫君) 前回に引き続き、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○和田静夫君 まず、引き続いて賃金スライドの件ですが、私は年々の自動改定について、賃金上昇率が物価上昇率を上回るときは賃金上昇率にスライドさせるべきだと主張してきました。そして、財政再計算時には消費支出水準を勘案した国民生活水準指標とでも言うべき客観的指標を策定し、改定すべきだと考えますが、三たび見解を求めます。
#5
○政府委員(吉原健二君) この問題につきましては、今まで再三同じ御答弁をさしていただいてきておるわけでございますけれども、財政再計算期以外の年金額の改定につきまして、物価にスライドさせるか、あるいは賃金にスライドさせるか、大変議論があったところでございます。いろいろ審議会等でも御議論をいただきました上で、今後とも五%の物価スライドでいこうではないかという結論になりましたので、私どもの案におきましてもそうさしていただいているわけでございます。
 ただ、財政再計算のときに、五年ごとに原則として行うことにしておりますけれども、国民の生活水準その他の諸事情の変化というものを十分勘案をいたしまして年金額の改定をするということになっておりますし、国民の生活水準その他の諸事情の中には、その一番大きなものとして私は賃金水準、厚生年金につきましては賃金水準というものを頭に置いて過去においてもやってまいりましたし、今後ともそうやっていくつもりでおりますし、現在御審議をお願いしております財政再計算将来見通しにおきましても、そういったことを前提にいたしまして収支見通しを立てさしていただいているところでございますので、考え方におきましては、和田先生のおっしゃるようなことで今後ともやってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
#6
○和田静夫君 法案作成作業に携わった局長としては、大蔵の手前もあったり、あるいは与党政調の皆さんの前でありますから、それ以上の答弁は非常に無理だと思うのですが、しかし大臣、百歩譲っても何らかの形で年金改定の基準として賃金上昇を法文中に明記すべきだという主張をずっと私してきましたがね。これはやっぱり大臣の決断にかかっていると思うので、御答弁願いたいと思います。
#7
○国務大臣(増岡博之君) たびたび年金局長から御説明を申し上げておりますように、この問題は、先生も御指摘のように、なかなかいろんな方面との関係があり、難しい問題ではございます。しかし、これまでの御議論の経緯もございますので、その経緯を踏まえて今後検討をいたさせます。
#8
○和田静夫君 くどいようですが、私は三回同じような論議をしてまいりまして、それを踏まえて、局長の答弁というのはやっぱりどうしても無理がある。腹の中ではそうお思いになっていないんだろうと思うんですが。
 そこで大臣、今御答弁がありましたように、私の三回にわたる主張に大臣は今理解を示された。真摯真剣に対処されると理解をしておきたいと思いますが、それでよろしいでしょうね。
#9
○国務大臣(増岡博之君) そのとおりでよろしゅうございます。
#10
○和田静夫君 実は、この問題につきましては理事会預けにいたしていますので、今の答弁を踏まえまして厳正に委員長の元で対処していただきたい。
 なお、これ以外に五件理事会に私は預けてございますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。よろしいですか。
#11
○委員長(遠藤政夫君) 後で処理します。
#12
○和田静夫君 船員について、この前を踏まえて一言だけ。
 この移行に伴う不利益をある程度緩和する必要があると考えるのであります。少なくとも被保険者期間が長い方が年金が少なくなるというような逆転は排除すべきであると考えます。これにつきましては対馬委員に対する御答弁もありましたが、大臣に再確認を求めておきたいところです。
#13
○政府委員(吉原健二君) 基本的にはおっしゃるような考え方であるべきだと思います。
#14
○和田静夫君 国庫負担でありますが、政府案に含まれる国庫負担には、八十四年度価格で二〇一五年度にピークに達する。ということは、これは税収の方は名目GNP成長率掛ける税収弾性値で伸びていくわけですから、このピークの時点での歳出をそのままの構成比で維持をしますと余裕財源が生じてきます。より具体的には安恒委員が指摘を続けますが、その余裕財源で給付をふやしたり、逆に保険料率を下げることができることに我々の計算ではなるわけです。
 そこで、国庫負担の国税収入に占める構成比についてでありますが、一九八六年から二〇五〇年までの厚生省の試算を示してください。
#15
○説明員(田村正雄君) 二〇五〇年までの国庫負担の額でございますね。
#16
○和田静夫君 構成比です。国庫負担の国税収入に占める構成比。
#17
○説明員(田村正雄君) はい、わかりました。
 昭和六十年度でございますと五・九%でございます。昭和六十五年度は七・九%。昭和七十年九・一%でございます。昭和七十五年、ちょうど二〇〇〇年でございますけれども、一〇・二%、八十年一一・〇、八十五年一一・七、九十年一一・七、九十五年一一・二、百年一〇・七、百五年九・六、百十年八・六、百十五年七・九、百二十年七・五、百二十五年、二〇五〇年でございますけれども七・二と、こういうようなことになろうかと思います。
#18
○和田静夫君 ちょっと今のやつ、あなたにいただいたやつと違うんじゃないか。正確を期してくださいよ。おたくからもらった数字と違うじゃないですか。
#19
○説明員(田村正雄君) 先生のところでお伺いした資料に基づきまして再計算をいたしました結果でございます。
#20
○和田静夫君 変わったの、これ、また。
#21
○説明員(田村正雄君) はい。申しわけございません。――先生のところへお届けしてある数字をもう一回申し上げます。六十年度五・九%でございます。これは先ほどの数字と全く同じ、予算でございますから同じでございます。
 それで、先ほど申し上げましたのは、私ども先生の方からお借りした資料で再計算したものだったんでございますけれども、当初私どもが計算したものでございますと、昭和六十一年で六・九、六十五年で八・一、昭和七十年で九・六、二〇〇〇年、昭和七十五年で一〇・五、昭和八十年で一一・一、昭和八十五年で一一・六、九十年で一一・二、九十五年で一〇・五、百年で九・九、百五年で八・六、百十年で七・五、百十五年で六・七、百二十年で六・三、百二十五年で五・八と、こんなようなことになろうかと思います。
#22
○和田静夫君 そこで、厚生省試算では、二〇一○年に国庫負担の国税収入に占める構成比が今言われたように一一・六%でピークに達する。厚生年金ですが、この試算に従ってピーク時の構成比を確保して、その余裕財源を仮に保険料率を下げるために用いるとしますと、保険料率の上限二八・九%が下がるはずですね。二〇二五年度以降は保険料率を引き下げていくことができる。さらに二〇四五年、二〇五〇年度あたりの積立金を見ますと、これ五百兆、八百兆円という巨額な積立金が残る、こういう形になります。こんな積立金をため込む必要はないわけでしょう。積立金は四○から四五年には年率七・五%、四五年から五〇年には年九・九%で伸びていく。したがって、大臣、収支残がゼロになる二〇〇五年から二〇一五年には一定程度積立金を取り崩して対処しても四○年、五〇年に保険財政が崩壊することはない。ということは、政府試算のピーク時、保険料率を引き下げることも可能だし、給付もふやすことができる。そういうような発想ですから、負担と給付を再検討することが可能だと、こういうふうに私の結論なるんですが、大臣、どういう見解を表明されますか。
#23
○政府委員(吉原健二君) 将来の年金財政の姿を考えました場合に、一番苦しい時期といいますのは、今和田先生のおっしゃいましたように昭和八十年から昭和百年ぐらいまでの間、これがいわばピークになるわけでございます。この時点が一番年金財政としても苦しい時期である。先ほど国庫負担の国税に占める割合の御質問がございましたけれども、その数字で見ましても、一番高くなるのがおっしゃいましたように昭和八十五年、一二%近い率になるわけでございます。それより先はどうなるかといいますと、先ほどお答えいたしましたようにまた徐々に下がっていく。我々の一番心配しておりますのは、このピーク時の年金財政というものをどうやって乗り越えていくかということであることは確かでございます。それをにらんで今回のいわば年金の抜本的な改革案の御審議をお願いしているということでございます。
 積立金が数百兆になることも、その時点の名目価格では確かにおっしゃるとおりでございますけれども、そのときの年金の給付費もそのときの価格で言いますとやはり同じように数百兆になるわけでございます。今大体厚生年金の給付費が十兆にもいっておりませんけれども、そのときの、例えば昭和八十五年あるいは九十年の年金給付費の支出を見てみますと、大体昭和九十年で百八兆七千億円。将来はこれが、百二十五年には何と五百二十二兆というような大変な金額に改正案でもなるわけでございます。これ改正案の数字でございますけれども、現行制度のままにしますとさらにこれよりも三割以上も大きな数字になるということでございまして、私は、今の価格から言いますと八百兆とか数百兆という積立金がいかにも多いようでございますけれども、その時の年間の年金給付に必要な額、それと照らし合わせてみますと決してその積立金が多いことはない、二年分の積立金があるかないかと、こういう状態になるわけでございますので、やはり今回の改正案におきましても、そういうことも考えながら、一番苦しい年金財政のピーク時をどうやって乗り切っていくかというようなことを考えていかなければならないんだというふうに思っております。
#24
○和田静夫君 きょうは時間がありませんから、後ほどの論議にこれも譲りますが、税制改革の中で福祉目的税論議が出てくる可能性もありますし、それからむしろ積極的にそういうような論議を起こすべきだろうと考えているんですが、これは大臣いかがでしょうか。
#25
○国務大臣(増岡博之君) 福祉目的税のことにつきましては、一つの考え方で、見識でもあろうと思います。
 しかし、私の立場といたしましては、これから先、この一年間にわたっていろいろな作業をいたしますその段階では一応の参考にはさしていただきたいと思いますけれども、今すぐどうこうと言うことは、差し控えさしていただきたいと思います。
#26
○和田静夫君 私は主張だけ言っておきますが、税収確保の観点からも、所得再配分機能から考えてみましても、この年金財源として所得税を特定化していくことが合理的であると実は考えているんです、これは私見ですが。
 そういうような点も含めまして、社会保障給付を維持するために税制論議を厚生省としても積極的に起こしていくことが必要だ。私たちはそれをバックアップする意味で予算委員会その他でも大きく論議を展開をしたいと思っているんですが、そういうことについては大臣何かお考えございましょうか。
#27
○国務大臣(増岡博之君) 御支援いただきますことは大変ありがたいことのように思っておるわけでございますけれども、今直ちにそういう方向に踏み切るということは申し上げかねる状態でございますので、御理解をいただきたいと思います。
#28
○和田静夫君 まあ大臣、ひとつ記憶にとどめておいていただいて、御活用を願いたいと思うんです。
 もう一つは、厚生年金への国庫負担の件ですが、六十歳から六十五歳までの独自支給について、定額であっても国庫負担を私はつけるべきではないかと思うんですが、これはどういうふうにお考えでしょうか。
#29
○政府委員(吉原健二君) 新しい年金制度におきまして国庫負担をどうするか、これは大変大きな問題の一つであったわけでございます。やはり従来の制度ですと国庫負担のつけ方がばらばらである、これを何とか統一的な国庫負担にする必要がある、しかも公平な国庫負担にする必要があるということで、今回の年金改正案におきましては、各制度共通の基礎年金部分に国庫負担を集中をすると、こういう考え方をとったわけでございます。
 したがいまして、従来各制度ごとにばらばらであった国庫負担というものは、もうそれは原則として本人なり事業主の保険料でもって賄う。国庫負担は基礎年金部分にだけ集中をしてつける。ただ経過的に、一挙に、基礎年金で、ほかの国庫負担は一切六十一年四月からやめると、こういうわけにもまいりませんので、経過的には、経過措置として従来の国庫負担を部分的に残しておる面はございますけれども、基本的にはそういう考え方にしたわけでございます。
 六十歳から六十五歳に達するまでの間の厚生年金、これは独自給付として今後とも残るわけでございますけれども、従来厚生年金につきましては、定額部分それから報酬比例部分につきまして原則二〇%の国庫負担をしていたわけでございますけれども、それは今後はすべてやめる、原則的にやめる、基礎年金の部分だけに集中をする、ただ、昭和三十六年四月一日以前の、国民皆年金以前の期間については残す、こういうことにしたわけでございます。もし仮に厚生年金についてそういう従来の六十歳から六十五歳までの間の給付についても国庫負担をつけますと、共済についても同じようなことをしなくてはいけないというようなことになるわけでございまして、非常にまた制度ごとのアンバランスが将来とも残っていく、不公平な面が残っていく、こういうことに結果的になりますので、その辺も十分考えた上で基礎年金への集中ということにしたわけでございます。
#30
○和田静夫君 私の持ち時間ありませんので、今のことも問題提起で、後ほどの議論に譲りたいと思います。
 最後ですが、年金数理計算について、これまでの前二回の私の論議を経まして、厚生省の皆さんとずっと詰めさせてもらいました。詰めさせてもらいましたが、やっぱり依然として私を納得させ切ることはできませんでした。例えば、国民年金の満額受給できない人々の平均納付済み年数が十五年、そして平均免除年数が二十五年という想定で見通しが立てられているわけであります。こんな想定は到底受け入れられないわけであります。四十年間のうち二十五年も免除があるとは、これはとても信じられないわけであります。
 そこで、これらの問題は、私の二巡目の残った二時間の質問に引き継ぐことといたします。なおこれから担当者の皆さんと詰めさしていただきますけれどもね。そういうことを申し上げて、本日はこの程度にいたしておきます。
    ─────────────
#31
○委員長(遠藤政夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、前島英三郎君が委員を辞任され、その補欠として添田増太郎君が選任されました。
    ─────────────
#32
○安恒良一君 前回、基礎年金の財政調整のところで行き詰まって資料がなくて保留になりましたから、いただいた資料を確認をしていきたいと思います。
 まず、基礎年金の、この前問題にしましたのは、六十一年度における国民年金加入者の中の基礎年金受給者数、給付総額、それから厚生年金の加入者のうち、基礎年金受給者数、給付総額というのは資料六の十五ページ、この数字ということでいいですね。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
#33
○説明員(田村正雄君) そのとおりでございます。
#34
○安恒良一君 それから、同じく厚生年金加入者の国民年金拠出分はどのようにして計算をしたかという計算方法はきょう朝持ってこられた資料Eの三、これでいいですね。
#35
○説明員(田村正雄君) はい、そのとおりでございます。
#36
○安恒良一君 それから次は、したがって六十一年度からの拠出金額はどの程度になって、厚生年金基礎年金の受給者と拠出額はどうなっているか。それから、将来どの時期に受給額と拠出額は一致するのか等々の問いについて、これまた資料六の十五ページ、これでいいわけですね。
#37
○説明員(田村正雄君) そのとおりでございます。
#38
○安恒良一君 そうすると、ちなみに言いますと、昭和六十一年だったら国民年金の受給者は四百二十万、基礎年金給付費が一兆四千億、拠出の方が一兆二千億。そこで、国民年金の場合はマイナスの二千億。厚生年金の場合は、四百八十万人、基礎年金給付費は三兆二千億、拠出金が三兆四千億。ですから、厚生年金の場合はプラス二千億ということで、厚生年金の方は二千億これは出すということになりますね。そういうふうに読んでいいわけですか。
#39
○説明員(田村正雄君) そのとおりでございます。
#40
○安恒良一君 大臣、今お聞きのとおりで、ずっとこれ一覧表いただいています。ですから、この点については私は、前回も申し上げましたように、結論的には基礎年金特別勘定をしなきゃならぬということのこれは一つの資料として出していただいたと思います。そこで、きょうは少し中身を論争して、その結論については大臣から少し伺いたいと思います。
 次に、今回の基礎年金導入に伴いまして、今までのサラリーマンの無業の妻の任意加入者の積立金の扱いについて聞きたいと思います。これも資料をいただいていますから、資料のどれならどれでいいですが、現在の国民年金の積立累計額は幾らか。その累計額中、任意加入者の積立金の累計額は幾らか。今回の改正でこの人たちは三号被保険者に移るが、この任意加入者の積立金は厚生年金基金会計に移すのか、基礎年金会計に移すのか。これについて、資料はどの資料と、読み上げる必要ありませんから、見る資料をどの資料と、答えだけを言ってみてください。
#41
○説明員(田村正雄君) お手元のDの、資料七という番号がついております十六ページ、こちらに任意加入者の積立金の額が出ているはずでございます。
#42
○安恒良一君 Dですか。
#43
○説明員(田村正雄君) Dでございます。資料七。一番最後のページになろうかと思いますけれども。よろしくお願いします。
#44
○安恒良一君 これが私に対する答えですね。そうすると、いわゆる無業の妻の積立金というのは七千八百億と、こういうふうに承っていいですね。
#45
○説明員(田村正雄君) そのとおりでございます。
#46
○安恒良一君 そこで、今度は国民年金会計から見ますと、保険料は強制加入者も任意加入者も同額であります。今後一号被保険者は引き続き妻と夫と別々に被保険者として登録し、それぞれの保険料を納付する建前で継続されます。そして給付は、老齢基礎年金、障害基礎年金、それから遺族基礎年金のほかに死亡一時金、寡婦年金が給付される、そのように思いますが、それでいいですか。
#47
○政府委員(吉原健二君) 国民年金の一号被保険者については、そういうことでございます。
#48
○安恒良一君 そこで、今度は任意加入者は今後三号被保険者に移り、厚生年金会計の方に保険料、積立金は移ることになるのでありますが、その際、既得権として死亡一時金、寡婦年金の扱いについてはどういうふうにするつもりでありますか。そのことについて聞かしてください。
#49
○政府委員(吉原健二君) 従来、新制度が発足前に加入していた方につきましての過去の期間に係る死亡一時金等につきましては、従来どおり死亡一時金の支給の対象になるということでございます。
 ただ、寡婦年金につきましては、制度的にはそうでございますけれども、実際問題として寡婦年金というのは、夫が国民年金の被保険者であり、その夫が老齢年金の受給資格を満たしながらそれを受けることなしに死亡した場合に、その寡婦の方に六十歳から六十五歳までの間支給される年金でございますから、いわゆるサラリーマンの妻、任意加入をされておった奥さんにつきましては、寡婦年金の対象になるということは今後とも考えられないということでございます。
#50
○安恒良一君 今までは、サラリーマンの奥さんがいわゆる任意加入をしておった場合には、死亡一時金と寡婦年金はもらえたわけでしょう。今度の改正がなければ、今まではもらえたわけでしょう。
#51
○政府委員(吉原健二君) 制度的にはそういうことでございますが、死亡一時金は十分そういうケースも実際問題としてもあったわけでございますけれども、寡婦年金につきましては、サラリーマンの奥さんの任意加入については、現実問題、実際問題として全くゼロであったかどうかはわかりませんけれども、まず考えられないということでございます。
#52
○安恒良一君 いや、私はゼロではないと思いますよ。ゼロだったらゼロと言ってください。事務局と詰めたときも、ゼロとは言い切りませんよ、それは。
 そこで私は、この点についてはやはりこういうふうに既得権があるわけですから、死亡一時金は今までの期間の問題は継承する、こういうことですから、その意味から言うと寡婦年金も、現実の姿としてはなかなか今起こり得ないだろうと思う。しかし、万が一あったときはこれは考えてもらわなきゃ、既得権ですからね、これ。そのことは、私は現実の姿は非常に少ないだろうと思いますが、今までも皆無ではなかったわけですから、きょう事務局と詰めたときは皆無とは言わないんですから、ですからやはりその場合には、死亡一時金も寡婦年金も、現実に起こってきた場合にはやっていただくということでよろしゅうございますか、これは。
#53
○政府委員(吉原健二君) 過去の期間に見合う死亡一時金及び寡婦年金についてはおっしゃるとおりでございます。
#54
○安恒良一君 それじゃ、そういうことで。
 そこで大臣、ずっとこの前からの論争を聞いておられて、この点について申し上げたいんですが、例えば今問題になりました基礎年金について計算方法、それから各側からの拠出をする金額が出てきました。これに今度は共済年金が加わってくることになるんです。共済年金はここの委員会では審議しておりませんが、関連がありますから、連合審査その他のときはこの資料をつけてもらおうと思いますが、いずれにいたしましても、この数値を見ましてもまず厚生年金側は基礎年金については持ち出しになる、国民年金側がそれによって助けられる。それからある段階になると、今度は逆に、この数字を見る限りにおいては国民年金の老齢年金受給者数が伸び悩みますから、逆に厚生年金の方がふえていくということで、厚生年金側がもらい分になる等々がございます。ございますが、いずれにいたしましても、私は基礎年金会計というものは明確にこれはしておかなきゃいけないと思うんです。
 どうも今回の方向では、拠出された金は国民年金基金に一括振りかえ納入する、こういうふうに法律ではなっていると思います。しかし、私はそれはなぜいけないかというと、新しい国民年金会計は国民年金固有の積立金勘定と基礎年金積立勘定が一つの会計勘定の中に混在することになりますね。そして、国民年金会計は国民年金の年金受給者に老齢基礎年金等を給付する財源を調達するほか、国民年金固有の給付があります。したがって私は、この際に基礎年金基金勘定を独立させる、公明かつ透明な会計として取り扱うべきだというふうに考えますが、この点についての考え方を聞かしてください。
#55
○政府委員(長尾立子君) 先生から今お話しがございました基礎年金制度創設に伴います経理の処理につきましては、御指摘のとおり、基礎年金に関する経理を区分して明確にする必要があるというふうに考えております。したがいまして、この基礎年金勘定を区分できるような形で勘定項目を設けるといったことにつきまして、関係省庁と検討を進めてまいりたいと思います。
#56
○安恒良一君 私はこの点につきましては、勘定区分は設けられることは当然でありますが、やはり基礎年金の導入はただ単に会計勘定の中の収支の明細の問題ではなく、公的年金制度全体の給付総額から見ても、それから受給者から見ても、最も重要な点であります。ですから、基礎年金特別会計を独立させ、各保険者から収入と支出及び国庫からの負担金、これを詳細な貸借対照表にする、そして毎年国会に報告する、私はそれぐらい重要性のある問題だと思います。もう一遍申し上げますと、基礎年金特別会計を独立さして、各保険者から収入が幾らあった、支出が幾らあった、これに対して国庫はどういう負担金をした、その結果貸借対照表をまとめまして年度ごとにやはり国会にこういうものを出してくる、こういう分離独立する必要があると思います。
 でありますから、この点は既にもう事務当局の問題ではなくしてこれはいわゆる政治の課題ですから、この点はどういうふうにお考えになりますか、大臣答えてください。私はここはきちっとしておかないと、共済も一緒になりますといよいよ、会計を一つの中で勘定分けたぐらいでは国民は理解ができません。ですから、そういう点について大臣、これは政策的な問題ですから大臣のお答えを聞かせてください。
#57
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、基礎年金部分につきまして、国民年金勘定の中でその明細が明らかになるような措置は、私も必要であろうと思います。したがいまして、そのほかのことにつきましても、そのことについてやはり関係省庁もございますので、関係方面と協議をしてまいりたいと思います。
#58
○安恒良一君 それではこの扱いは理事会に預けますから。私はどうしてもこの際は、今申し上げましたように分離独立をしまして、だれが見てもガラス張りになっていると、各保険者が見ても、国が見てもガラス張りになって、公明正大に、国民が、だれがだれを扶養しているのか、そういう事実を明らかにする、国民相互が理解を深める、こういうことが必要ですから、どうしてもこれは勘定を分離してもらいたいと思いますから、後で理事会の方でひとつこの取り扱いについて御相談していただきたいと思いますが、委員長よろしゅうございますか。
#59
○理事(佐々木満君) わかりました。
#60
○安恒良一君 それでは、この問題はそういうふうにいたします。
 次に、私の時間が余りありませんから、少しずつ問題を何していきたいと思いますが、いわゆる福祉年金、老齢年金、それから恩給、これは文官、軍人、六十年度の予算と今後の年次別予算額、これも資料をいただいていますから、どの資料ということを言っていただけばそれだけで、読み上げる必要ありません。
#61
○説明員(田村正雄君) Eの資料の一番最後のページになると思います。ちょっとページがついていないかもしれません。
#62
○安恒良一君 そこで、この資料を見ますと、六十年度をピークにいたしまして昭和百年ごろになると老齢年金受給者はゼロになっています。恩給の方もほぼ昭和百年ごろになるとゼロになる。その結果、私はこれは検討してもらいたいと思いますのは、これを固定化するというのは、六十年度で例えば老齢福祉年金の給付費は六千三百八十五億円であります。予算ではこれは九千三百六億になっていますが、実際支払うのは約六千四百億です。ですから、その差が出てきます。ですから六十年度予算の九千三百六億、これを固定化をしまして、その差額を基礎年金の方に入れていくべきじゃないかということを私は主張したいのであります。
 それはなぜかというと、今度の案の決定的に弱いのは、基礎年金が五万円、しかもこれはミニマムとはおっしゃいませんでしたが、生活に最低必要な経費だということはこの前の論争で明らかになった。ところが、同僚の和田委員との論争でも明らかなように、実際五万円もらう人というのは四十年掛けた人だけでありますから、中には三万円だの二万円だのというのがこれは次から次へ出てくることになるんですね。生活の基礎部分だと言いながら、実際は五万円ない。だから、何としてでも私は五万円だけは六十五歳になったら全員がもらえるという方向に制度を改正していかなければ、基礎年金とは言えないということはこの前もかなり時間をかけて議論したし、ヨーロッパの例もそうなっているじゃないか。我が国だけじゃないか、こういう基礎年金はということで。
 その意味から言いますと、これはきょうここですぐうんとおっしゃるかどうかわかりませんが、大臣、財源があるということを私は申し上げておきますから検討してもらいたいですね。今言いましたように、国が払うべき老齢福祉年金の総額があります。それから国が払うべき恩給の総額がここにあります。ところが、年々受給者が減っていきますから、国側の出し分は減っていくんですよ。その出し分を減らさないままその財源を基礎年金に充てていったらどうか。少しでも基礎年金を、今言ったような落ちこぼれといいますか、五万円もらえない人を救う方向の財源にこれを使ったらどうか。こういう意味で厚生省に資料を要求して、一応財源は出てきております。大臣、ちょっと見てください。これは私は五万円を確保する一つの方法の、財源の一つとして国が今まで払っているわけですから、何も国の払い分をどんどんどんどん減らしていく必要はないじゃないか、こういう基礎年金の方に充てたらどうだ、こういう私の提案でありますから、この点についてはひとつ検討してもらいたい。
 それから、いま一つ私の提案としてこれも申し上げておきたいんですが、和田さんが五項目で理事会協議事項になっていますその中の一つの問題として、老齢福祉年金は月額二万六千五百円なんですよ。国民年金二十五年で今度は五万円でありますが、そうしますと、それに対する国庫の補助は三分の一とこういうことになっていますね。三分の一の補助になっています。ですから私は、既に老齢福祉年金を二万六千五百円も払っているんですから、少なくとも基礎年金に関する国の負担というのはやはり三分の一というのは少ないじゃないか。
 そこで、和田さんと私から要求して出していただいたこの前の国庫負担の推移、あれは五十九年度の価格を固定をして出されていますから、そうじゃなくて、いわゆる物価上昇率、それから同じく年金給付改善率、それを掛けた金額の表で少し、現行と国庫負担が昭和八十年はどう変わるのか、昭和百年はどう国庫負担が減るのかという金額を言ってみてください。
#63
○説明員(田村正雄君) 大変粗い計算になっておりますけれども、昭和八十年で申し上げますと、賃金上昇率五%、それから物価上昇率三%ということを想定いたしますと、昭和八十年では現行法だと十六兆九千億円、それが改正案では九兆八千億円でございまして七兆一千億ほどの差になる、こういうことでございます。
#64
○安恒良一君 昭和百年。
#65
○説明員(田村正雄君) 昭和百年は現行法では六十三兆、それが改正案では二十七兆一千億、差額は三十五兆九千億、こういうようなふうになろうかと思います。
#66
○安恒良一君 大臣、こういうことなんですよね。これは単なる名目じゃないんですよ。いわゆる年金も今言ったように、局長がこの数字を使って和田さんにこうなりますと反論していたように、現実の年金はそういう金額になるんですよ。これは物価が上がりますし、それからまた給与改定があります。そうすると、例えば昭和八十年では現行よりも国の負担分は七兆円減るんです。昭和百年では国の負担分が三十五兆円減るんですよ、三十五兆円。現行のままでいった場合の国の負担分とそれから今度の改正の分ではこれだけ大きな、いわゆる国の負担分が減るわけですね。減るわけですから、その限りにおいては私は、これもきょうここで直ちにわかりました、二分の一にしましょうとか、国の負担分をふやしましょうということは大臣の立場では答弁ができないだろうと思います。しかし、少なくとも基礎年金というものは何といっても五万円と決めたら六十五歳になれば五万円がみんながもらえる、これは生活の最低必要な金だと。厚生省はどうして計算したかというたら、いわゆる老人生計費をはじき出して、これだけの金は、一人五万円は最低必ず要るんだと、最小限度必要な金だとおっしゃったんですから、最小限度必要な金がみんなに払える方法をみんなで知恵を出すしかないんですよ。
 それがためには、これも和田さんとのやりとりの中で、私も宿題としておきますが、このままでいくといわゆる私が要求した資料全部を見ていきますと、将来は賦課方式に切りかえなければ、保険方式ではどうにもならなくなるのがこの数字で明らかなんですよ。それと同時に、基礎年金の財源というものを、私ども社会党はやはり所得型付加価値税方式ということを提案しています。基礎年金に必要な金は国民全体の理解を得てそういう方式で取るべきじゃないか。その上に各階の積み立てをやるべきだ。ここのところを私は大臣に、今度改正案を出していますから、すぐじゃその方向でとはよう答えられぬと思いますが、私は次の改正に向けて、お互いがやっぱり真剣に議論をすべき問題ではないだろうかと思うんですね。
 基礎年金を全員に一律の金額を払う。五万円なら五万円払う。それからその財源をどういう方法で、例えば一つの方法は保険方式と税方式の併用というのもあります。それから税方式というのもあります。それからあなたたちが言うように、あくまでも保険方式でやるというならば保険方式でやる場合に全員に五万円なら五万円が必ずこれは保障できるというシステムに変えていかないと、今回の改正の一番大きな弱点はそこにあるわけですから、そういう点について、私の以上の考え方について、大臣お考えを聞かしてみてください。
#67
○国務大臣(増岡博之君) 今回の改正に当たりまして、基礎年金を導入するということはこれは本当に大きな改正でございまして、したがいまして、その間におきましてこれまでの歴史、経緯というものと多少摩擦があるということは、私も先生御指摘のとおりであろうと思います。しかし、このことによって安定をした年金制度というものを確保してまいりたいと思うわけでございますけれども、ただいま申されましたように、将来にわたっての問題といたしましては、確かに一つの大きな課題であろうと思いますので、今後も真剣に検討してまいりたいと思います。
#68
○安恒良一君 それじゃ、これはぜひ真剣に、この場逃れじゃなくして、やはり次の改正に向けて真剣な御検討をこの際お約束を願っておきます。いいですね、それは。
 それじゃ、その問題を終わりまして次にいきますが、老齢厚生年金の支給開始年齢については「当分の間」というふうにされていますが、私がいただいた数字の資料では、一定の年限で三年ごとに支給開始年齢を上げてこの収支のつじつまが合わされていますが、それはどういう計算か。何年からどうするという数字の方を言ってみてください。
#69
○説明員(田村正雄君) お手元のAという資料の十八ページにあると思いますけれども、私どもの数字計算の一つの試算といたしまして、昭和七十三年から三年ごとに支給開始年齢を一歳ずつ上げてまいりまして、昭和八十五年までに六十五歳まで支給開始年齢を上げていった場合に一体どういう状況になるのかということを試算してみたものでございます。
 これは必ずしもこういう改正をするという意味ではなくて、単なる一つの試算でございます。
#70
○安恒良一君 単なる試算といっても、収支のつじつまを合わせるやつはそうなっていますから。
 そこで大臣、お約束をしてもらいたいんです。老齢厚生年金の支給開始年齢の引き上げについては「当分の間」となっていますが、少なくとも今六十歳定年制が完全にできておりません。私は、六十歳定年制が完全にでき上がると同時に、本人が働く希望があった場合は六十五歳まで働ける。ですから、わかりやすく言うと、六十五歳定年制だと思います。まずそういうものができないときにそこだけ上げられますと、例えば現在の事例を言いますと、五十五歳や五十七歳の定年の人は六十歳まで待っているわけですね。これが六十五歳になると十年近く待たなければならぬわけですよね。ですから、少なくともここのところは、この私の手元に来ている資料は、数字の計算では、既にもう言ったような年齢から三年ごとに一年支給開始年齢を引き上げてなっているわけですが、そんなことはない、少なくとも定年制と年金支給開始年齢は必ずドッキングをしていく、こういう考えだということについて、大臣のお考えを聞かしてください。また、そのように努力するということについて。
#71
○国務大臣(増岡博之君) 私も御指摘の点は、基本的には同じようなことを考えております。したがいまして、今回も一応六十五歳ということを掲げておりますけれども、実際にはそのことには手をつけないことにいたしておるわけでございます。
 今後も、今おっしゃいました雇用の動向等を勘案しながら、十分その点を見きわめて総合的に判断をいたしたいと思います。
#72
○安恒良一君 まあ雇用の動向等を勘案しつつなんというのは、これは事務当局が役人の文章で書いているんですから、わかりやすく私は聞いているんですよ、わかりやすく。あなたそのまま読み上げておるがね。そうじゃなくして、人間が、六十歳定年なり六十五歳定年制ができ上がる、そうでないと、働きたいと意欲を持っても、それがない限りは働けないんですよ。そして、年金開始年齢だけが上がったんじゃ困るでしょう。だから、私が聞いていることは、定年制と年金の支給開始年齢をドッキングする、こういうことでいいでしょうねと聞いているんですからね。こんな事務当局がつくり上げた文章を読み上げたってしようがないです。それは大臣の答弁じゃない。それは局長が言うことなんです。
 大臣に私は、少なくともあなたも私と同じ気持ちだと思うんだね。人間が働きたい、六十五歳まで働きたいと思ったら働けて、それから年金をもらう。外国の場合でもいわゆる働ける意思がある間は例えば六十五歳支給開始であっても六十七歳まで働くときは年金がない。そのかわり後でその分はプレミアムをもらう。こういうふうにきちっとでき上がっているんですよ。それで六十五歳というのが外国の支給開始年齢。ほとんどがそうなっているんですよ。だから日本の場合も、定年制と年金支給開始年齢をやはりドッキングさせる、こういうことで努力してくれますかと、こう言っているんです。そういう方向でやりますかと聞いているんだ。やりますならやりますというように答えてくださいよ。
#73
○国務大臣(増岡博之君) 先ほど申し上げましたように、私も先生と同じような考え方を持っておるわけでございまして、その方向で努力をしてまいりたいと思います。
#74
○安恒良一君 それじゃこの点も、老齢年金の支給開始年齢の扱いについては理事会の方に預けますから、少なくとも歯どめをきちっとかけておいてください。いいですね。
 次に、年金を毎月支給してもらいたいと、こういう要望は非常に強いんです。今まで何回この委員会でその方向に向かって努力しますとか、検討をしますというふうにあなたたちは答えたんですか。回数を答えてみてください。
#75
○政府委員(長尾立子君) 先生御指摘のとおり、毎月支払いを検討せよという御指摘は、予算委員会またはこの社会労働委員会でいただいておりまして、今まで、私どもが考えますと、各先生方から、現在まで七回いただいておるのではないかと思います。
#76
○安恒良一君 大臣、お聞きのとおりなんですよ。きょうもまた、事務当局だったら、先生の意思を体して努力いたしますと答えて逃げちゃうんです。もう七回です。私はもう社労委員を当選以来かなり長い間やっておるわけですから、年金の改正のたびにこれ僕出してきたんです。というのは、今や年金の金額は上がって生活の基礎部分でしょう。基礎部分だったら毎月払うのが当たり前じゃないですか。三カ月も四カ月もためて一遍で払うという、そんなばかなことないじゃないですか。せめて今回基礎年金を導入するようになったら、生活の最低基礎部分だということであるならば、これについては毎月払いますと、こういうことを私は約束をしてもらいたいと思いますが、このことについての大臣のお考えを聞かせてください。
#77
○政府委員(長尾立子君) 毎月支払いの問題でございますが、先生御承知のように、年金の支払いでございますけれども、現在、毎支払い期ごとに年金受給者の方、厚生年金、国民年金、大体千四百万の方になっておるわけでございますが、支払い通知書、払い込み通知書をお送りをいたしておるわけでございます。こういった支払い通知の方法自体を簡略化し得るのではないかというのが問題点の一つでございます。
 それから、これは今三カ月に一回でございますので、当然この関連の業務が三倍になるわけでございますが、こういった業務量増に対応いたしまして全体の私どもの業務の量をどういうふうに考えていくか。現在庁といたしましてはオンライン計画を進行させておりまして業務の改善を図っておるわけでございますが、こういった長期計画の中で、この業務量増をどういうふうに吸収していくかというのが問題点の二点でございます。
 もう一つは、毎月支払います場合におきましては、自治省と今まで協議をいたしました、現段階におきましては、地方税法上特別徴収義務は免除することができないということを自治省が言っております。これにつきましては、先生から特例を設けることができるのではないかというような御示唆もいただいておりますので、自治省となお積極的にこの点は協議を続けてまいりたいと思いますが、以上三点の問題があるわけでございます。
 今回、改正法案におきまして、通算老齢年金につきまして支払いを年四回にするという増を六十一年度中に実現をするという方向でお願いをいたしておりますが、私どもといたしましては、この次の問題といたしまして、つまり六十一年度中にこういった問題についての結論をつけまして先生におこたえをさしていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#78
○安恒良一君 大臣、私はきょう朝長尾さんとやりとりしたけれども、不勉強というのか、準備が――例えば会計法上に何があります、税法上に何がありますと、こう言うんだよ。自分たちが国民から金を集めたり、厚生年金勘定を繰り延べたりするときはすぐ会計法の変化をぱっと持ってくるじゃないですか。この国会にも、後からこっちに大きい法案が来るじゃないですか、一括法案ということでね。自分たちがやるときは、会計法上いろんなことがあろうと何であろうとぱっぱっぱっぱっ改正して出しながら、今度は年金受給者がもらいたいというときには、今言ったように税法上の問題があります、会計法上の問題があります、業務量が大変多くなりますと。何ということですか。それもきのうきょう僕が言い出したわけじゃないんだよ。何年間も言って、今これだけコンピューターが発達をして、業務量なんて、あなた、コンピューターがこれだけ発達しているんだから大したことないんですよ。やる気になればできるんだ、これは。会計法上の問題なんかどんどん変えりゃいいじゃないですか。いろんなことで毎年のようにこの国会の中で、大蔵省はゼロシーリングにする、マイナスシーリングにするために必要な会計法はどんどんどんどん変えよるじゃないですか。
 ですから、この点は大臣、ぜひとも私は年金について、もうここまで老齢者がふえ、毎月の生活に必要だというときに、毎月払うという方向について、大臣約束してくださいよ。これももう事務当局の答弁じゃないんですよ。大臣が、あなたとして、厚生大臣として、国民のニーズが非常に強いんですよ、毎月払ってくれというのは。このことについてはやっぱりこたえなければいかぬ。そして、決して不可能なことじゃありません。私がきょう朝聞いた限りにおいては、簡単なことです。やる気があればすぐできます。与野党とも協力しますよ、このことについては。恐らく与党側も、それは反対と言う人は一人もおらぬと思うんですよ。大臣、どうですか。
#79
○国務大臣(増岡博之君) 私も、もらう立場から考えれば毎月の方が便利であるし、そうであろうと思います。しかし、たびたびの先生の御指摘にもかかわらず踏み切れないということにつきましては、やはり事務的には何かの障害があるだろうと思いますので、今後も先生の御指摘を踏まえて、十分検討さしてまいりたいと思います。
#80
○安恒良一君 それではこれも理事会に預けます。
 私は、なぜかというと、きょう聞いた限りにおいては支障がないんですよ。やる気があればできます、やる気があれば。簡単なことで、大変なことじゃありませんから。ひとつ後で、これも理事会に預けておきますから、理事会で結論を出してください。できるんです、これはできるんですから。いいですね。
#81
○理事(佐々木満君) 検討します。
#82
○安恒良一君 次です。次はこれと関連をしますが、年金の支払い通知の方法ですが、今はがきで来るわけですね。そうすると、プライバシーで、おじいちゃんが幾らもらっている、おばあちゃんが幾らもらっているということで、これ、つまらぬことでもめちゃうんですよ、つまらぬことで。
 ですから、これについては、私は封書で、まあ封書といっても普通の封書じゃなくて、今は簡易封書というのがございますからね。簡単にできるんですよ。そういう方向にこれはいって、他人に見られないように、そしていろんなことでおじいちゃん、おばあちゃんとお嫁さんの間でもめたり、何だかんだいろんなことがあったり、息子との間でもめたりしたらいけませんから、そういうふうにしてもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
 これは毎月支払うということとの関係がありますから、その場合の通知方法は今のように、私はこれこそ今度はスライドしたときに、年に一回、あなたの年金はこうなりましたよと、毎月の支払いはこれから一年こうなりますよと、一年に一回でも僕は今までと違っていいと思う。今は、御承知のように、はがきを持って郵便局の場合にはもらいに行きますが、もう郵便局も全部オンラインになりましたからね、都市銀行も郵便局も全部オンラインになりましたから、私はこの支払い通知書を封書で出す。そのかわり一年分なら一年分知らせるなら知らせるという方向も含めて私はやっていいと思いますが、このことはどうでしょうか。考え方を聞かしてください。
#83
○政府委員(長尾立子君) 確かに、現在受給者の方に支払い通知、振り込み通知をはがきでお送りをいたしております。これを今先生おっしゃいましたような感圧封筒方式という形に改めていくということを考えますと、経費の面では、まあ郵送料の点は確かに五割増しということであろうと思います。現在の郵便料金を前提といたしますと五割増しでございます。印刷費の点では、現在の封書を封筒に、今感圧封筒方式にやりますと、印刷費の面では五倍になるのではないかと思います。
 こういう意味では、予算、定員の分の確保は必要になってくると思いますが、先生おっしゃいましたように、支払い通知の方法自身を簡略化するということが会計法令等との関連でできるか、所得税法、今所得を源泉徴収を幾らしているかということを通知をいたしておりますが、こういった部分を検討させていただきたいと思います。
#84
○安恒良一君 大臣、この毎月の支払い方法と通知の方法、これは裏腹の問題ですから、私は毎月支払われるようになれば通知を毎月もらうことは要らないんですよ、これは。もしくは三カ月に一遍もらうこと要らぬわけですから。ですから経費は若干かさんでも、少なくとも今お年寄りの皆さん方がもう年金を中心に生活をしている、そうすると、毎月払ってもらいたい。そうでないと、今度の改正は、給付は下げるわ、保険料は上げるわ、国の負担は減らすわと、せめて毎月払うぐらいのサービスは私はあっていいんじゃないか、毎月支払うというようなことは。
 それから通知についても、はがきを簡易封書にするとか、そういうぐらいのことは私はぜひやってもらいたいと思いますから、以上、これは裏腹の問題ですから、既に年金の毎月支払いを理事会に預けておりますから、裏腹の問題として検討してもらいたいと思いますが、大臣もこれは意欲的に、実行できるように努力すると、このことをお約束してください。どうですか大臣。
#85
○国務大臣(増岡博之君) 先ほど毎月支払いのことでも申し上げましたけれども、今支払い通知のことにつきまして大変有益なサゼスチョンまで加えていただきました。その双方に関しまして検討をいたしてみたいと思います。
#86
○安恒良一君 それじゃ、もう時間をちょっとオーバーして同僚の時間に食い込んだと思いますからこれでやめたいと思います。
 ただ、一つだけ申し上げておきたいと思いますが、これから年金は昭和百年がピークで大変な時期になる。そうすると、和田さんからも話がありましたが、私はやっぱり年金数理についてもう少し厚生省、労働省協力をしてきちっとした数理を持っておく必要がある。それは私が最後まできちっと納得できないのは一つは労働力の需給の推移についてです。これはこれから第一次産業、第二次産業、第三次産業がどういうふうに労働人口が変遷をしていくだろう、その中における男女の問題ですね。特に最近女性の職場進出が非常に大きいわけです。その男女がどこに進出するか、一応の資料をいただきました。ところが、この資料たるや全くお粗末で、今までのやつをいわゆる数学方式で伸ばしております。しかし、事女性の問題を今までの就業構造と今後の就業構造を今までのやつを伸ばすなんというのはお粗末きわまるんですよ。
 最近急激に女性の就業者がふえています。しかもそれが第三次産業へふえているわけですね。これは私の手元に第一次、第二次推計された資料が出てきています。しかし、こういうことで私は次の年金改正の議論をするのには余りにも資料がお粗末過ぎると思います。それはなぜかというと、第三次産業に行った場合に、いわゆる三号被保険者になる場合と、自分がみずから掛ける場合と、いろいろ出てくると思うんですね、これは。それから第三次産業の場合には残念ながら、これも資料をいただいておりますが、厚生年金未適用職場というのもかなりあるわけです。そういうふうに人口構造が変わっていきますから、変わっていきましたら正確な数理計算が出てこないと思うんです。
 それから今、一つの例を挙げると、これは私この前から、予算委員会でも問題にしましたが、ロボットというのが急激にふえてくるわけですね。これは世界で一番。特に去年とことしを見ると、去年の倍ふえるだろうと、最近新聞が報道しています。そうすると、ロボットがふえることは、今度はそれだけ人手が要らなくなるわけですから、保険を掛ける人がいなくなるわけです。この問題についても、私はやっぱり真剣に議論すべきところにきていると思うんですよ。どんどんどんどんロボットがふえて、それだけ労働者がいなくなったら掛金掛ける人は減っていくんですから、その場合にこれをどうするか。これは和田さんも提起し私も提起したように、税の方式を含めて考えなきゃならぬことだと思う。税の方式も含めてロボットに対してどういうことをするのか、ロボットというのは付加価値を生むから今の法人税でいいのか、それとも新しくロボット税を出すのか、それともロボットというものを一人とみなして年金なら年金の掛金を掛けさせるのか。これは給付は受けないんですから非常に財政上助かるわけですが。
 そういうことをあらゆる角度から僕はやっぱり検討しなきゃならぬ。そうでないと、今の労働力人口の状況をそのまま推計で伸ばしていって年金数理を計算をするということは、私は非常に危険があると思いますから、今回は残念ながら、けさまで労働省を呼んだり厚生省を呼んだりして詰めましたけれども、残念ながら間に合いませんでした。いただいた資料は資料としてありますが、これでは私はお粗末だと思いますから。
 それからいま一つ、衆議院の議論というのは基本的な概念的な議論が多かったと思いますが、参議院に来て数字の議論をし出しました。そしたら驚くなかれ、ここに私の机の上だけでも大変な資料があるんですね、こちらが要求すると。それは大変でしたでしょう。私もきのう夜の十時ごろまで電話でやりとりして、最終的にけさになってまたいただいた資料もあるわけですね。A、B、C、D、ナンバー何ぼと振らなきゃならぬ。しかしこの次の審議からは、私どもが要求したような資料、基礎数字というのをまず出してしかるべきなんですよ。私どもがあれ出せ、これ出せと。そして見てまたここが足らぬ、あそこが足らぬということで、けさまでかかって、恐らくおたくの方もけさまで寝ないでやった資料もあるだろうと思いますよ、それは率直なことを言って。そういう仕組みは私は間違いだと思う。少なくとも年金というものについては、これもまた社会保障制度審議会から年金を議論する場合にはこれだけの基礎数字を十分勘案をしてしなさいという立派な答申が内閣総理大臣に出ていますからね。そういうものに基づいた資料というものが、まず法案を提出をすると同時に委員のところに提出をされる、それを委員が十分見てお互いに論争をする、こういうことをしなきゃならぬと思います。私は今回つくづくそのことを考えました。どうしてこんなに基礎資料が出るのか。どうかそういう点について大臣のお考えを聞かしていただいて終わりにしたいと思います。
#87
○国務大臣(増岡博之君) 先生の御意見を十分参考にして、今後対処さしていただきたいと思います。
#88
○糸久八重子君 私は、婦人の年金権問題を中心にお伺いしたいと思います。
 まず、今回の年金改革の大きな柱が、基礎年金導入と婦人の年金権確立となっていますけれども、その理由を簡単に御説明ください。
#89
○政府委員(吉原健二君) 現行、我が国の年金制度についての一番大きな問題が、各制度ごと非常にたくさんの制度が分立をしておりまして、その制度ごとに給付の面あるいは負担の面に不公平、アンバランスがある、それを是正をしていく、解消をしていくべきであるということがかねてから指摘をされておったわけでございます。今回の改正の柱にしております基礎年金の導入というのは、まさしくそういった過去のこれまでの長い御指摘、御批判、そういったものの反省の上に立って各制度共通の基礎年金というものを設けて、その基礎年金については国民ひとしく公平な給付をし、同時にその費用についても公平に負担をしていくということにしたわけでございます。
 それからもう一つ、婦人の年金でございますけれども、現行の制度でございますと、婦人というものが、いわば男性が働き、女性が家庭にいて主婦として仕事をする、家庭にいるというような形で年金の仕組みができていたわけでございまして、そういった意味におきまして、特にサラリーマンの方、家庭の奥さんについてのいわば年金権といいますか、年金を受けられるような資格要件、権利というものが非常に不十分な面があったわけでございます。今回の年金制度の抜本的な大改革に当たりまして、そういった御婦人の方、特にサラリーマンの奥さんの方に対する年金保障というものをしっかりしたものにしたいということで、それももう一つの柱として今回の改正案をお願いをしているわけでございます。
#90
○糸久八重子君 制度上の問題についてお伺いをいたします。
 現行の国民年金は個人単位で、そして被用者年金は世帯単位であったわけですね。今度の改正で無年金者をなくして一人一年金制を確立すると言っておりますけれども、本当に一人一年金制になっているのでしょうか。この点について。
#91
○政府委員(吉原健二君) 従来国民年金は、今お話しのございましたように個人単位である、厚生年金あるいは共済年金はいわば世帯単位であるということになっていたわけでございますけれども、今回の改正案におきましては、基本的に年金というものを個人個人が保険料を掛け給付を受けるというような個人単位の考え方、一人一人が、基礎年金というものはだれもが受けられるような仕組みにするというような考え方に立って改正案を作成をしたわけでございます。
#92
○糸久八重子君 社会保険制度における被保険者の資格要件とは一体どういうものなのでしょうか。
 そしてまた、年金の受給権の要件はどういうものでしょうか。
#93
○政府委員(吉原健二君) 社会保険方式をとります限りにおきましては、いわば加入資格というものと年金の受給資格というものがあるわけでございますけれども、加入資格というのは制度によっていろんな決め方があるわけでございます。通常被用者年金におきましては、一定の事業主との雇用関係を前提にして加入資格を決める、こういうことになっているわけでございますけれども、被用者関係にない自営業でありますとか、職業を持っておられない無業の方につきましてはそういった雇用関係を前提にすることができませんので、国民年金におきましては、二十歳から六十歳までといういわば年齢でもって加入資格というものを決めているわけでございます。
 それから受給資格でございますけれども、受給資格は通常の場合年金の給付の種類として、もう申し上げるまでもないと思いますけれども、老齢、障害、遺族と通常この三つの種類の給付というものを中心にして組み立てられているわけでございますけれども、老齢の場合には、社会保険方式におきましては一定期間の拠出、保険料の納付というものを条件にして一定の年齢以上に達したときに老齢年金を支給をするということになっているわけでございます。厚生年金の場合にそうでございますし、国民年金の場合にも、二十歳から四十歳までの加入期間のうち一定期間以上保険料を納めた方に対して、一定年齢以上の方に老齢年金を支給をするということになっているわけでございます。
 その場合のいわば保険料の納付期間、それから一定年齢、老齢年金の支給開始年齢は制度によって若干の違いがある、こういうことになっているわけでございます。
#94
○糸久八重子君 受給資格なんですけれども、被保険者みずからが保険料を払うということでございますね。確認をいたします。よろしゅうございますね。
#95
○政府委員(吉原健二君) 基本的には被保険者みずからが保険料を払う、こういうことでございま
す。
#96
○糸久八重子君 サラリーマンの妻は、法律上何と規定されておりますか。
#97
○政府委員(吉原健二君) サラリーマンの妻は、被用者の被扶養配偶者という形で厚生年金保険等の対象になっているわけでございます。国民年金、この新しい制度におきましては、いわば第三号被保険者として、第二号が従来の厚生年金の適用を受けている被保険者、第三号被保険者がその第二号被保険者の被扶養配偶者、こういうことになっているわけでございます。
#98
○糸久八重子君 被扶養配偶者というのはどういう者を指しますか。
#99
○政府委員(吉原健二君) 扶養されているといいますか、その夫の収入によって生計を維持している、扶養されている配偶関係にある者ということだろうと思います。
#100
○糸久八重子君 夫が国民年金に加入している例えば自営業者のような場合、そういう場合のその妻は、被扶養配偶者ですか。
#101
○政府委員(吉原健二君) 自営業の場合に被扶養配偶者と言えるかどうかというのは、これはその自営業の中で女性の方、奥さんの方がどの程度その自営業に関与しておられるかということによって違いが出てくると思います。一概に被扶養配偶者である、あるいはそうでないということは私は言い切れないと思いますけれども、年金制度の上におきましては、自営業の奥さんにつきましては被扶養配偶者ということではなしに、その奥様自身を独立の被保険者として扱っているわけでございます。
#102
○糸久八重子君 配偶者というのは、法律上の妻とかそれから生計関係を維持されている内縁の妻とかというのを普通配偶者と言っているわけですよね。そうしますと、サラリーマンの妻の場合でもこれは被扶養者でありますし、それから自営業の奥さんの場合でも、これは今局長が説明なさったことは、保険法上からいうと例えばこれは被保険者である、そうおっしゃられるわけですけれども、実際的にはやはり法律上の妻であるということには変わりはないわけですよね、自営業者の奥さんの場合。サラリーマンの奥さんの場合もこれは法律上の妻ですよね。
 そういうわけで、国民年金加入の奥さんは被保険者である、そしてサラリーマンの妻は被扶養者である、ちょっとその辺がよくわからないのですけれどもね。なぜ国民年金加入の妻は被保険者なのでしょうね。その辺の理由はどう御説明なさいますか。
#103
○政府委員(吉原健二君) その点が、国民年金をつくりますときに実は大変苦労をした点でございまして、自営業をやっておられる方に年金制度というものを適用する場合に、自営業をやっておるいわば事業主、つまり具体的には御夫婦で商売をやっておられるような場合に、御主人だけを被保険者としてつかまえればよいのか、あるいは御主人だけじゃなしに奥様も、サラリーマンと違ってその自営業には多かれ少なかれ関与、寄与をしておられるわけですから、その奥様、女性の方も被保険者としてとらえた方がいいのか、大変実はいろいろ議論があったわけでございます。
 ただ、これからの年金制度を考えます場合に、自営業の場合におきましても、夫のいわば、何といいますか、言葉は適当でないかもしれませんけれども、いわば従属者としてとらえるよりか、やはり独立の人格を持った、年金制度の上でも独立のいわば人格を持った被保険者として扱う方がよいのではないかという考え方に立って、実は厚生年金の被扶養配偶者と違った取り扱い、つまり自営業の奥様も独立の被保険者として年金制度への加入を、ひとつそういう制度にしていこう、こういうふうに踏み切ったわけでございます。
 厚生年金とのバランスの問題からいいますと、おっしゃるようにちょっと違いがあるじゃないか、おかしいじゃないかという御議論は当時からあったわけでございます。
#104
○糸久八重子君 今、自営業者といいますと一般の商店なんかを想定するわけですけれども、ちょっとお伺いしますが、例えば開業医の場合には、その奥さんは被保険者ですか。
#105
○政府委員(吉原健二君) 開業医の方の奥さんも、国民年金では独立の被保険者になられるわけでございます。
#106
○糸久八重子君 自営業者、商店なんかの場合ですと夫と妻が協力をしてその商売をするといいますから、今局長がお話しになりました独立の人権を持った人間としてその保険を適用するということはこれはわかりますよね。しかし、開業医の奥さんなんかの場合には、例えば薬剤師やなんかの免許を持っておりまして、そしてそれを有効に使っているという場合にはこれはわかりますよ。しかし、大体開業医の奥さんというのはおうちでふんわりとした奥さんというのが多いわけですよね。そういう場合に被保険者であるということはやっぱりおかしいですよね。いかがですか。
#107
○政府委員(吉原健二君) それをおかしいと考えるかどうか、確かにおっしゃるように商店の場合と違いがございますし、医師といいますか、医療という事業には一定の資格、それに従事するためには一定の資格というものが、厳格な資格が必要とされるわけですから、普通の自営業、商店などの場合と違うことは確かですけれども、年金制度の上で同じ扱いにすることがそれほどおかしいものかどうか。おかしいという御議論もあるかもしれませんが、年金制度の上では同じ扱いにしてもいいんじゃないかという考え方でこれまでの国民年金制度はつくられたわけでございます。
#108
○糸久八重子君 今の国民年金加入の奥さんが被保険者だということは、結局妻の名義で保険料を納めて、そして妻の名義で手帳が出ているということでございますね。
#109
○政府委員(吉原健二君) そういうことでございます。
#110
○糸久八重子君 今まで国民年金に任意加入をしていたサラリーマンの家庭にいる妻は、今回の改定でどうなるのですか。
#111
○政府委員(長尾立子君) 現行の制度におきましては、配偶者の一方が被用者年金に加入をしておられます場合には、その配偶者は任意加入と、こういう扱いになっております。したがいまして、女性の方で任意加入をしておられる方を考えますと、多くの方がこの今回の新しい法律で該当いたします三号被保険者になられるのではないかと思いますが、問題は、被扶養認定ができるかどうかという問題があると思います。つまり、例えば奥様の方が相当に所得が高いといったようなケースにつきましては、三号の条文上は被扶養対象配偶者にならないということがあるわけでございます。したがいまして、私どもは今回の法律が御承認をいただきました後に、現在の任意加入被保険者につきましてこれが被扶養配偶者、つまり三号該当者であるかどうかということにつきましての調査をいたしたいと思っております。
 三号該当者につきましては、今後三号の方としてのお扱いをさせていただく。それ以外の方につきましては一号被保険者ということになっていくかと思います。
#112
○糸久八重子君 一号、二号、三号というのはちょっとややこしいですから簡単に言いますけれども、とにかくサラリーマンの無業の妻も、それから自営業の妻も、それから法律上であろうと内縁関係の妻であろうとやっぱり妻には間違いないと先ほども申し上げましたけれども、片方は被扶養配偶者、そして片方は被保険者というのは、考えるとどうしてもやっぱりおかしいんですよね。もう一度御説明ください。
#113
○政府委員(吉原健二君) 私ども、年金制度の取り扱いとしては、おかしいという御議論もわかりますけれども、いわばこれしかないのではないかということでございます。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
 恐らく糸久先生のおっしゃろうとしていらっしゃることは、自営業の奥さんは自分で保険料を払うのに被扶養配偶者、サラリーマンの奥さんは保険料を払わないで年金がもらえるようになる、これはおかしいではないか。まあ恐らくそこまでのことを考えての御発言かと思いますけれども、それはそれとして、またなぜそういうふうにせざるを得なかったかということをお答えしなければならないわけですけれども、年金制度の上でそういった扱いの違いがあっても、それはそれほど私どもはおかしいことではない。やはり何らかの形で御婦人の方に、サラリーマンの奥さんであろうとあるいは自営業の奥さんであろうと年金に結びつくようにするためには、実際上どういう扱いが一番いいかという、いわば形の上でのおかしさ、不自然というよりかは、実際にその年金に結びつくようにするためにはどういう扱いにするのが一番いいかという観点から実は決めさせていただいたわけでございます。
#114
○糸久八重子君 一つの法律の中で配偶者を二つの見方にしているということ、やっぱりそのことがおかしいんですよね。
 法律上の定義から見ると、これはどうなんですか、法律上では。
#115
○政府委員(吉原健二君) どういうふうにお答えしていいかちょっとわからないんですが、法律上の定義が、法律の定義といいますのはつまり年金法上の取り扱いというものを先ほど申し上げましたようにいわば違った、サラリーマンの妻と自営業の奥さんの場合を違った扱いにしている。一方を一号被保険者にし、一方を三号被保険者にしていると、こういうことでございます。
#116
○糸久八重子君 とにかく年金法上の妻は違うんだと、そして民法といいますか、その場合の妻というのは同じなんだというところにおかしさがあるわけですよね。やっぱりすっきりしないわけですよ、その辺のところで。一人一年金とおっしゃっておりますけれども、年金という一つの枠組みの中で、国民年金の妻とそれからサラリーマンの妻というものが位置づけが変わってくるというのがやっぱりどうしても納得ができないわけですよね。
 そういうことから言うと、全部が国民年金の被保険者、つまり政府がおっしゃるのは、自営業の妻の場合にはこれは国民年金に強制加入しているわけですから一号被保険者、そしてサラリーマンの無業の妻の場合にはこれは法律上では被扶養配偶者と言うんだけれども、これイコール三号被保険者と言っているわけですね。さっきの定義からいいますと、被保険者というのはみずからが保険料を掛ける者を被保険者と言うわけですから、この場合、三号被保険者という名前にしたというのもやっぱりそもそもおかしいと、そう思うわけですよね。
 ですから、そういう意味からいうと、サラリーマンの、被用者の妻というのはやっぱり被保険者とすべきではないのでしょうかね。その辺はどうなんですか。
#117
○政府委員(吉原健二君) 法律上は被保険者にしているわけでございます。ただ、その場合の保険料負担というものを自分の夫の保険料の中で自分の将来の年金給付が確保されるような資格を与えられていると、こういうことでございまして、法律上被保険者である点につきましては自営業の奥様と全く同じ扱いにしているということでございます。
#118
○糸久八重子君 ちょっとよくわからないんですけれども、被保険者というのは保険料を納めるのが原則なんですよ。だから、被扶養配偶者である者を三号被保険者と規定して、何だかわけのわからないようなことにしたというのがそもそもおかしいということなんですけれども、この原則論をどう説明なさいますか。
#119
○政府委員(吉原健二君) 被保険者というのは、通常の概念ですと保険料を納めるのが原則であろうとは思います。ただ、今回の場合に、恐らく非常に答弁がなかなか御納得いただけないわけでございますけれども、じゃ、実際にサラリーマンの妻を逆におっしゃいますように自営業の奥様と全く同じ扱いにして果たしてうまくいくかどうか。それが形の上ではきれいであっても、現実的に保険料を納めていただいて、年金給付にできるだけ多くの人が結びつくようになるかということを考えますと、なかなか難しい。
 いろいろ御議論がございますけれども、そういった形にするのはかえってサラリーマンの奥さんというものを、先ほど来いろいろ御議論がございますけれども、結果として無年金を多くするということになりかねないということを心配をしているわけでございます。
#120
○糸久八重子君 通常の概念とおっしゃいましたけれども、通常でない概念というのは何ですか。
#121
○政府委員(吉原健二君) 被保険者といいますのは、社会保険方式におきましては、通常みずから保険料を納付し、みずから給付を受ける、これが通常の社会保険における被保険者なり受給者の概念でございます。
#122
○糸久八重子君 通常でない場合。
#123
○政府委員(吉原健二君) 今私どもがお願いしておりますサラリーマンの妻の扱い、これは確かに従来の社会保険の概念から言いますと、少し違った形にしている、通常の概念からはやや外れる面がある。保険料は直接は納めませんけれども、年金の資格としてはみずからの権利として資格を付与されるわけでございまして、その意味におきましては従来の概念とはちょっと違っているということは確かでございます。
#124
○糸久八重子君 大いに外れているわけですよね。
 先ほど局長が、サラリーマンの妻の場合には自営業者の妻の場合とはちょっと違って無年金者が出るだろうというようなお話がありましたけれども、現在サラリーマンの妻は一千万と言われていますね。そのうち七百万人はこれは任意加入しているわけですよね。ですから、そういう意味ではやはりできるんじゃないんですかね。
 結局、できないんだできないんだと。一千万のサラリーマンの無業の妻のうち半分も任意加入していないというんならわかるんですけれども、七割がしているんですよ。ですから、そういう意味ではやはり今の局長の答弁というのはちょっと納得できないんですよね。
#125
○政府委員(吉原健二君) 私も、おっしゃるような考え方は十分わかるわけでございまして、だからこそ国民年金におきましてサラリーマンの妻の扱いというものを一体どうすればいいか。七百万人も任意加入をしておられるんだから、入っておられないあと三百万人ぐらい、その方も強制加入にすればみんな保険料を納めていただけるかどうか、そういう道も一つあるわけでございます。その道をとるか、あるいは任意加入制度というものをやめて、厚生年金の自分の御主人の保険料の中で保険料の納付についてはいわばカバーされるような形にするのがいいか、議論としては、おっしゃるように私は両論あると思います。
 どちらの道を選ぶか、いろいろこの立案の過程においても議論がございまして、糸久先生のおっしゃるような考え方、国民年金に一人一人強制加入を、自分で保険料を納めて自分で年金を受け取るような仕組みにすべきでないかという御議論も強かったことは確かでございます。しかしながら、いろいろその両方の考え方を比較考量をいたしまして、むしろ御主人の保険料の中でカバーされる形にした方が長い目で見て、あるいは全体的に見てベターであるという判断でこういうことにしたわけでございます。
#126
○糸久八重子君 これらはまたいろいろな問題が派生的にありますから、おいおいただしていきたいと思うわけですけれども、いずれにいたしましても、夫が納めた保険料の中に妻の分も含まれている。それが、妻の分が含まれているといって妻の分の掛金がその中に金額的に入っていれば問題ではないんですけれども、例えば単身者の場合と月給が同じ場合に掛金が同じだというところもやはり大変納得がいかないし、おかしいんですね。
 そういう夫が納めた中に妻の分が入っているという場合に、もし仮に夫が失業した場合、自動的に妻も資格がなくなっちゃうわけですけれども、そういう場合どうするんですか。
#127
○政府委員(吉原健二君) 会社に勤めておられた御主人が失業された場合には、雇用関係がなくなるわけですから、厚生年金の被保険者でなくなる。そういたしますと、年金制度の上では国民年金の被保険者になる。御主人がそうなると同時に奥様の方も国民年金の被保険者に当然なるわけでございます。国民年金の保険料をそれぞれ払っていただくということになるわけでございますけれども、失業で所得がないという場合におきましては、御案内のとおり免除制度というものの適用が受けられる、こういうことになるわけでございます。
#128
○糸久八重子君 それらの保険料の徴収等については午後からお伺いいたしますけれども、いろんなことが考えられるわけですよね。例えば失業中に自動車事故で障害を起こしたような場合、そういう場合にも大変問題になるんじゃないかと思いますし、かなりこの辺の問題は多くあるんじゃないかと思います。
 そういうことで、今私がお伺いいたしましたのは、とにかくサラリーマンの無業の妻が夫の被扶養配偶者というような形の中で、それがイコール三号被保険者という何だかわけのわからないような状況になっている。言ってみれば、サラリーマンの無業の妻の分の年金を取りやすくするというのか、何かそういう便法的なものとして考えたのではないかというようなことも考えられるわけですけれども、そういう意味では、サラリーマンの無業の妻を三号被保険者としたということはどうしても納得はできませんし、これを一号被保険者、つまり完全な被保険者とすべきではないかということが私の主張でございます。
 あと、ちょっと区切りが悪いですから、時間が早いんですけれども、あとの分は午後に回したいと思います。
#129
○委員長(遠藤政夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時三分開会
   〔理事佐々木満君委員長席に着く〕
#130
○理事(佐々木満君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、森下泰君が委員を辞任され、その補欠として松岡満寿男君が選任されました。
    ─────────────
#131
○理事(佐々木満君) 休憩前に引き続き、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#132
○糸久八重子君 それでは、午前中に引き続きまして、婦人の年金権の問題について続行をさせていただきます。
 国民年金の保険料はどういう形で納付をされておりますか。
#133
○政府委員(長尾立子君) 法律上は納期限、これは年四回あるわけでございますが、その納期限までに前三カ月の分をまとめて納入をしていただくという方法になっておるわけでございます。
 それで、その場合の納付の方法でございますが、これは地域によって若干差がございますので、それを御説明させていただきたいと思います。
 現在、いわゆる納付組織という形で納入をしていただいております形のものが、全体といたしまして約四割近い方々につきまして納付組織という形で納付をしていただいておるわけでございます。この場合には、その納付組織の世話役の方が各被保険者のおうちを回りまして納付をしていただくという形をとっておるわけでございます。本来、国民年金の保険料の場合には、市町村から納付をしていただくべき案内書をお出しいたしまして、それに基づきまして納付をしていただくわけでございますが、そのいわば市町村の行います仕事の補助といいますか、そういう形のお世話をいただいておるわけでございます。それから、今申し上げましたように、市町村が納付案内をいたしましたものを直接市町村の金融取扱機関、これは郵便局とかそれぞれの金融機関でございますが、そういうところにお持ちいただきまして納付をしていただきますケース、また、現在そういった金融機関に口座を開いておられましてそこの口座から振替をしていただくケース、こういうような、おおむね申し上げまして三種類のような形で納付をしていただいておるわけでございます。
#134
○糸久八重子君 そうしますと、そういう三種類の場合ですが、例えば先ほどお尋ねいたしましたけれども、自営業者などの場合に御夫婦で納める場合、この場合には夫と妻の分を一緒にまとめて納めるという方法はよろしゅうございますね。
#135
○政府委員(長尾立子君) それぞれ独立の被保険者でございまして、それぞれ独立の保険料の納付義務を負っているという形を一応とっておりますので、御一緒にお納めいただくのも結構でございますし、また、別々の形で納付をしていただくということも結構かと思いますが、現実問題としては、同一の世帯で生活をしておられますので、御一緒に納めていただいておる、同じような形で納めていただいておるというのが実態ではないかと思います。
#136
○糸久八重子君 納入の便法としてそのようなことが行われているわけですけれども、仮に一緒に納入した場合、その記録はどうなりますか。
#137
○政府委員(長尾立子君) 各それぞれの被保険者の方、奥様は奥様分、だんな様はだんな様の分という形で記録をいたしております。
#138
○糸久八重子君 個人個人の記録ということになるわけでございますね。
 それでは、厚生、共済の被用者保険の場合にはどうなっておりますか。
#139
○政府委員(長尾立子君) 厚生年金の場合で申し上げさしていただきます。
 厚生年金の場合は、被保険者としての資格の取得の届け出を事業主の方にお願いをするという形になっております。事業主は、具体的には、ある方を雇用いたしまして、厚生年金の被保険者となられましたときに、その方についての届け出を社会保険事務所にしていただくわけでございますが、そういたしますと、私どもはその方につきましての具体的な被保険者番号というものをその方に付するわけでございます。その場合に事業主の方は、御自分のところに雇用されておられます全被保険者についての保険料をまとめまして、御本人分及び事業主負担分両方をまとめて月単位で納入をしていただくわけでございますが、私どもは、それぞれの月単位で納入されました保険料がそれぞれのその事業者に雇用されております被保険者のそれぞれが納入されたという形で、この場合は、厚生年金の場合は標準報酬、つまり月給の高というようなものも記録をそれぞれしていくわけでございますが、それぞれの被保険者どとに記録をとっていくという形をしております。
#140
○糸久八重子君 具体的な数字でちょっとお伺いいたしますけれども、今男子の標準報酬はどのくらいでございますか。
#141
○政府委員(長尾立子君) 第一種の被保険者ということで申し上げさしていただきます。
 昭和五十八年度末の数字で標準報酬額二十四万八千四百四十八円になっております。
#142
○糸久八重子君 そうすると、夫の保険料の掛金は、今の標準報酬の場合ですけれども、二十四万八千四百四十八円に保険料率の一〇・六を掛けたその金額が納入金額になるわけですけれども、厚生年金の場合には世帯単位ですからこの中に妻の分が入っているということになるわけですか。――現行です、改正ではございません。
#143
○政府委員(長尾立子君) 現在の給付は、老齢年金の受給資格を得られた場合に、御一緒に生活をしておられます奥様も含めまして加給年金もつけましたいわば世帯単位という形で給付が構成されておりますので、先生が今お話しになりましたように、現在のこの二十四万八千円余について納入をしていただいております保険料、それが総体といたしましてこういった形の給付に反映されておるということであると思います。
#144
○糸久八重子君 今の場合、妻が働いていない場合ですけれども、もっとも今度もそうですが、妻が国民年金に加入している場合ですけれども、そうなりますと今の掛金が大体二万六千円近くになりますね、その二万六千円と、それから国民年金の任意加入分が六千七百四十円ですから約三万四千円くらいの掛金をするわけですね。改正の場合ですと、保険料率というのは一二・四%になるわけですから、そうしますと、標準報酬にこの料率を掛けていきますと約三万一千円程度になりますね。そうなりますと、現行、今行われている国民年金とそれから厚生年金、つまり妻が働いていない無業の妻の場合で国民年金に加入しているその世帯は、大体三万一千円程度の保険料の掛金があるわけです。今度、改正した場合に三万一千円程度ですね。そして現行の場合には任意加入分を含めると三万四千三百円といいますと、今度改正した方が安くなるわけですよね、この世帯といたしましては。――よろしいですか。
 もう一度申しますか。というのは、現行の場合、標準報酬に一〇・六を掛けますね、保険料率を。そして約二万六千円くらいですか、その金額が掛金になるわけでしょう。そして妻が国民年金に任意加入をしていた。そうすると、任意加入の分が六千七百四十円ですから、両方足しますと約三万四千円くらいになるわけですね。これは現行です。今度改正になりますと、標準報酬に、料率が高くなりまして一二・四%かかるわけでしょう。そうすると約三万一千円の保険料になる。そうすると現行よりも改正の方が保険料は安くなるわけですね。
#145
○政府委員(長尾立子君) 世帯としての保険料の負担額は、今先生がおっしゃったとおりでございます。
#146
○糸久八重子君 政府は、高齢化社会になっていくので高負担にたえられないというようなことで改正をしている一面があるわけですけれども、そうすると、被用者年金の保険料というのは今までより安くなるということは、今まで取り過ぎていたということになるんですか。
#147
○政府委員(吉原健二君) 保険料の取り方と言うとちょっと適切な表現じゃございませんが、保険料の取り方と給付の仕方と、今までの制度と今度の新しい制度では仕組みが全く違ってくるわけでございます。特にサラリーマンの奥様については、国民年金の任意加入制度から被用者年金の方でカバーをする。保険料はみずから保険料を払わなくてよいことになる。自分の御主人の保険料の中で自動的に保険料を払ったという取り扱いにされる。言ってみればこういうふうに仕組みが大きく変わりますので、確かに先ほどもお答えしましたように、サラリーマン世帯としての、何といいますか、少なくとも奥様が国民年金に任意加入されていた場合を想定いたしますと、御夫婦が合わせて納められる、負担をされる保険料負担は軽減をされるということは事実でございますが、これはあくまでもその制度の体系が変わる、保険料の負担の仕方、それから給付の仕方、仕組みというものが全く個人単位に変わってくる、そういうことの結果でございます。
#148
○糸久八重子君 次に、共働きの場合についてお伺いいたしますけれども、女性の標準報酬額というのは今幾らでございますか。
#149
○政府委員(長尾立子君) 第二種の被保険者全体といたしますと、先ほど申し上げました昭和五十八年度末の数字で十三万七千百四十九円でございます。
#150
○糸久八重子君 そうしますと、今度改正になった場合に、先ほどお伺いいたしました夫の場合が約二十四万八千円。二十五万としましょうね。そしてそれに保険料率の一二・四%を掛ける。それから妻の場合が十三万七千円で、今度改正の場合には一一・三%の料率になるわけですね。掛けますね。そうしますと、夫の方が約三万一千四百円、そして妻の場合が一万五千四百円、合計しますと約四万六千九百円の保険料を掛けるということになるわけですね。
 妻の保険料が、さっきのサラリーマンの無業の妻の場合夫の分に入っていると言われているんですけれども、共働きの場合はこの妻の場合はどうなるんでしょうね。
#151
○政府委員(吉原健二君) 共働きの場合には、奥様が御自分で厚生年金の本人の被保険者になられる、そして御自分の賃金といいますか、標準報酬を得ておられるわけですから、その賃金なり標準報酬に一定の率を掛けたものを保険料として納める、こういうことになるわけでございまして、家庭におられる主婦の方とは扱いが違ってくる、こういうことになるわけでございます。
#152
○糸久八重子君 共働きの場合は、妻が働いていて自分の基礎年金分は自分で払う。そうすると、サラリーマンの無業の妻の場合には夫が妻の分を払ってくれるということなんですから、共働きの場合の夫というのはその分掛金が安くなってもいいわけではないんですか。
#153
○政府委員(吉原健二君) 保険料の負担というその面だけを見ますと、確かに糸久先生のおっしゃるような理屈も、理屈といいますか、考え方も私は成り立つと思います。その場合に、夫の分の保険料を安くするなり、あるいは無業の奥さんがおられる場合にはその奥さんの分の保険料として別に加算をして払っていただくという仕組みがバランスをとる意味においては一つの考え方としてあろうかと思うんです。
 果たしてそういうことまでして共働きの場合の家庭と、それからそうでない奥様が家庭におられる場合のバランスをとるのがいいかどうか。やはり保険料というのは、給付の面での違いはあるわけですけれども、一定の賃金なり標準報酬に一定の率を掛けた、同じ率を掛けたものを保険料として負担をしていただく、給付は給付としてみんなが基礎年金を受けられるようにする、そういう仕組みにした方がいいのではないか、こういう考え方で今回の私どもの改正案はできているわけでございまして、確かに一つの考え方として無業の奥さんを、家庭におられる奥さんを持っておられる方については御主人の保険料を高くするという考え方もあると思います。
 ただ、従来社会保険ではそういう扱いになっておりませんで、健康保険にいたしましても、単身の方もそれから共働きの場合の御主人の場合も奥さんの場合も、それから家庭に奥さんがおられる場合の保険料も、皆同じ、賃金、月給なり標準報酬に一定の率という形で健康保険なんかも同じように扱われているわけでございます。そういったことを考えまして、年金につきましてもそういった無業の奥さんがおられるかどうか、共働きかどうかは問わずに標準報酬賃金に一定の率を掛けて保険料を負担をしていただく、こういうことにしたわけでございます。
#154
○糸久八重子君 今いろいろ健康保険の例などをお挙げになったんですけれども、いずれにしましても、共働きの場合には余計に払い過ぎているということになるわけですよ、午前中の論議のやり方から言いますと。
 だから、先ほども申し上げましたとおり、共働きの場合には夫の方の保険料を安くするなり、それとも夫が妻の分の保険料を掛けているんだからということでもって妻の分を安くするなり、そうしないとやっぱりバランスがとれないわけですよね。そうなりますと、女性は自分で働かないで、夫が保険料を支払うことによってそれに依存をする、そうしてそれの方がやっぱり――損得の問題ではないんですけれども、家庭にいた方がいいじゃないか。そうなるとやっぱり女性は働くなかれ、家庭にいるのが一番いいんだということになりはしませんでしょうかね。
#155
○政府委員(吉原健二君) 年金制度の上での扱いがこういうことだから女性の方が家庭にいた方がいいということに果たしてなるのかどうか。私どもは、やはり女性もこれからはできるだけ社会に出て働きたい、そういう方がふえていくと思いますし、年金制度のこういった新しい制度での取り扱いがそういったことに、何といいますか、さお差すようなことにはならないように、私どもとしてはそういうふうに考えておるわけでございま
す。
#156
○糸久八重子君 制度の問題の中に逃げ込んでらっしゃいますけれども、それなら社会保障というのはやはり納入の義務があって、そして給付を受ける権利がある、これが社会保障なんでしょう。そういうことからいってもやっぱりおかしいわけですよね。その辺はいかがですか。
#157
○政府委員(吉原健二君) 原則的にといいますか、基本的には保険料を納めた者が給付を受ける、こういうことでございますが、サラリーマンの妻の場合には夫がかわって保険料を納めている、こういったことによって奥様の将来の年金受給の権利が、資格が与えられる、こういうことにしているわけでございます。
#158
○糸久八重子君 やっぱり、どうしても論理がかみ合わないですね。
 次に、独身者についてお伺いいたします。
 今、標準報酬の妻帯者と、それから標準報酬の独身の男性がいたといたしましょう。妻帯者の保険料は二十五万四千円に一二・四%掛けますね、三万一千四百円。それから同じく標準報酬の独身の男性の場合も一二・四%を掛けますから三万一千四百円程度。つまり同額でしょう。保険料は同額でございますね。そうすると、三万一千四百円の中に妻の分が入っているということになりますと、独身男性は払い過ぎているんじゃないのでしょうか。これ、どう説明なさいますか。
#159
○政府委員(吉原健二君) 保険料の負担を、その標準報酬との関係だけで見ますとおっしゃるようなことになっているわけでございますが、社会保障における負担の公平というものを一体どういうふうに考えるかということなんですけれども、やはり基本的には給付の公平、それから負担の公平ということになりますと、負担能力に応じた負担というのが一番負担の面での公平ということになるのではないかと思います。
 そういった意味で、負担能力は一体何を物差しにして負担能力というものを考えるのか、はかっていくのかということになりますと、サラリーマンといいますか、勤労者の場合にはどのくらいの賃金なり月給であるか、その賃金なり月給の額に応じて保険料を負担をしてもらう、そして必要なところに給付をしていく。これはやはり何といいますか、相互扶助といいますか、社会連帯といいますか、そういったものを思想的な基盤に置く社会保障の負担のあり方としては、私はその方がむしろ大きな意味での公平な負担ということが言えるのではないかと思います。
#160
○糸久八重子君 相互扶助とか社会連帯とかというようなことをおっしゃったわけですけれども、無業で奥さんが家庭にいる、そういう世帯とそれから共働きの世帯とどちらが生活が裕福かということなんですよ。結局やはり生活が大変だし――生活が大変という場合だけではないんですけれども、最近は働く女性が多くなっているわけですから。しかし、今の現実から見ますと、大体家庭に奥さんがいるというのは比較的裕福な家庭なんですね。そういう裕福な家庭の奥さんに優遇をして、そして大変な家庭の奥さんから、何か今のお話からすると独身の男性も、何だか知らないけれどもよその妻の分の保険料を払っているというふうなことになってしまうわけでしょう。そうしますと、どう見てもこれはおかしいわけですよね。お答えはいただけますか。
#161
○政府委員(吉原健二君) 共稼ぎの家庭が裕福でなくて、奥様が無業で家庭におられる方の方が裕福だと果たして言い切れるのかどうか。それから今後だんだん女性の方が職場に進出して働く方がふえていかれる、それは果たして貧乏というか。貧しいから、あるいは裕福でないからというだけでそういうことになっていくのか。私はその辺は必ずしも従来といいますか、過去の時代と違ってこれからの時代はそういうふうには言い切れない面もたくさんあるんではないかと思います。そのことと保険料の負担の面だけで、今度の新しい制度を何か共稼ぎの世帯を厳しくして奥様が家庭におられる方を優遇をしているというふうにあるいはごらんになっているのかもしれませんが、少なくともそういう気持ちはございませんし、そういう見方は必ずしも私どもとしてはとっていただきたくないというふうに思うわけでございます。
 それよりも、むしろやはり無業の奥様、家庭におられる奥様に対する年金の保障というものをどういう仕組みでやっていくのが一番いいのか、もし政府案というものがそういったことでいろいろまずい、納得できないということであれば、何かもっといい方法があるのかどうか、そのこともあわせて私どもとしては考えていかなければならない問題ではないかと思います。
#162
○糸久八重子君 やはり現実は、結局妻が家庭にいるということは家庭が裕福なんですよね。それがやはり現実なんです。
 もう一つは、例を挙げてみますけれども、同期同条件で同じ職種に勤務している男女の場合で見てみます。これは、同期同条件というのは、例えば四年制の大学を卒業して、同じ職場で同じ賃金体系のところに勤務している。例えば学校の教師のような場合ですね。この場合、男子は妻帯者、女子の場合は独身です。これは拠出保険料というのは同額でございますね。そうですね。同額の保険料を拠出いたしました。そして退職をして年金生活に入った場合なんですが、妻帯者である男性は奥さんの分の基礎年金の五万円が毎月入るわけですね。そうしますと、保険料は同じなんだけれども、独身女性よりも月額五万円の基礎年金分だけは余計にもらうわけですね。そうしますと、月額五万円で年額は六十万、平均寿命が十八年生きたといたしますと、大体一千八十万だけ独身女性よりも余計に給付を受けるわけですよね。この世代間の不均衡はどう説明をなさいますか。
#163
○政府委員(吉原健二君) いわば先ほどからの延長線での問題点の御指摘だろうと思いますけれども、やはり妻帯者の場合につきましては同じ保険料、同じ率で同じ保険料、男子と女子とは現在では保険料率が違うわけでございますけれども、いわば標準報酬に一定の率を掛けた保険料を払って、給付の方ではおっしゃるように男性については奥様の基礎年金というものがつくわけですから独身の女性の方にはそういったものがつかない、そういった面で、総体として給付の面で違いがでてくる、これは確かでございますし、やはりそれはそれとして、私は負担の面でも公平であるし、給付の面でも、国民だれもがその基礎年金を制度の仕組みの上で受けられるようにするためには、これはいわば当然と言ってはあるいは言い過ぎかもしれませんけれども、その辺の差はやはり御理解いただきたい差異であるというふうに思います。
#164
○糸久八重子君 今局長がおっしゃいましたけれども、ちっとも負担の面では公平ではありませんし、また、給付の面も公平ではございませんよ。
 今までいろいろとただしてまいりましたけれども、要するにサラリーマンの無業の妻については保険料を納めるのは夫であって、その中から妻も一緒に給付を受けるんだと、そして共働きの場合には妻は自分で納めてそして自分が給付を受けるんだと、それから単身者も自分で納めて自分で給付を受けるんだと。そうすると、サラリーマンの無業の妻の年金権というのは、これはやはり夫の保険料に従属することになるのではないか。先ほども申しましたけれども、保険料を支払う者が給付を受ける権利を持つという社会保険方式の原則にやはり反するのではないかと思うのですけれどもね。もう一度お願いいたします。
#165
○政府委員(吉原健二君) 社会保険方式に反するというふうなところまでは私ども考えていないわけでございまして、現在の制度でも、例えば一万五千円の配偶者加給というものが配偶者のおられる方についてはそういった加給がつく、配偶者のおられない全く単身なり独身の方についてはつかない、しかし保険料の払い方、保険料の額というものは一緒でございます。そういった意味におきまして、保険料は同じだけれども、給付に違いがあるというのは現行制度でもあるわけでございます。
 やはり社会保障の面におきましては、負担の額は一緒だけれども給付に違いが出てくるというのは、その給付を受けるときの条件といいますか、状態といいますか、世帯構成といいますか、あるいは子供の年齢といいますか、そういったものによって違いが出てくる、これは社会保障の面では私は当然あっていい、むしろそういうものがあってこそ社会保障としての年金と言える面があるのではないかというふうに思います。
#166
○糸久八重子君 大臣にお伺いいたします。
 とにかく今までいろいろ申し上げてきましたけれども、政府が今度の年金の改正の中で一人一年金という個人年金を樹立するんだということを盛んに言っていたわけですけれども、今までいろいろバランスの崩れる部分などがあったりいたしまして、やはりそういう原則が有名無実になってしまうのではないか。そして、婦人の年金権の確立といいましても、ここでこの改正案で言っているサラリーマンの無業の妻の年金権というものはあくまでも妻。妻なんですよね。というのは、夫に従属する。これせんだって雇用の機会均等法の問題の中で、これは前の国会のときでしたけれども、中曽根首相の女性観の中に、母として妻としてということをおっしゃられました。妻としてというのは、その含みの中に夫に従属するという意味がかなり入っている部分があるんじゃないかということで私申し上げましたら、非常に言葉を濁してお逃げになったわけですけれども、やっぱり妻という言葉の中には夫に従属するという部分があると思うのですね。そうなると、結局サラリーマンの無業の妻の年金権というのは妻の年金権であって、これは婦人の年金権ではないのではないか、そう思うのですけれど、大臣、いかがですか。
#167
○国務大臣(増岡博之君) ただいままでの御質疑をお聞きいたしておりまして私考えましたことを申し上げますけれども、婦人の年金権ということから考えますと、これまでの現行法は、もし仮に無業の妻が国民年金に入っておりませんと、この方がむしろ御主人に附属したような格好になるわけでございまして、先生御指摘のように、確かに保険料の支払いは御主人であるかもしれませんけれども、一たび年金権となりました限りにはその奥様の年金でございまして、そういう意味合いから、やはり現行法より今度の方が婦人の年金権を確立できたということが言えるのではないかと思うわけでございます。
 ともかく、このことは今回の改正の重要課題の一つでもございますので、十分な御議論はいただきたいとは思います。
#168
○糸久八重子君 大臣がおっしゃいましたように、今までのサラリーマンの無業の妻は自分で国民年金に入っていた、そうしないと従属することになるとおっしゃいましたよね。確かにそうですね。今度の場合には、国民年金に自分が入らないんですよ。夫の保険料の中に自分の分が入っているということですから、これは明らかに従属していることになりませんかね。
 それで実はせんだって、仙台の公聴会に私は参加をいたしました。そのときに公述人の中に、サラリーマンの無業の妻が公述人としておいでになりました。その方がどうおっしゃっていたか、ちょっとお聞きいただきたいと思います。
 私のようなサラリーマンの妻も、保険料を納めなくとも六十五歳になると老齢基礎年金が支給されるということです。保険料を納めないで年金を受給できるのだから、これ以上のものはないのではないかと言われるかもしれませんが、余りよい気分ではありません。それは、夫の厚生年金の附属物として扱われているという不快感を感じるからです。婦人差別撤廃条約の論議がされておりますが、婦人も一人の人間として、平等に生きる権利を持っているという理念に逆行するものであり、同じ率の保険料を納める働く婦人との間に不公平感が生じるのではないでしょうか。千五百十八万人も婦人が職場に進出しているときに、働かなくても年金は受給できますよ、家庭に戻りなさいと言われているようなものですと、公述をしているんですね。
 まさにこういうことではないかと思うのですよね。大臣、それについていかがですか。
#169
○国務大臣(増岡博之君) やはりお働きになった方が比例報酬部分がございますので、それだけの見返りはあるものと考えておるわけでございます。
#170
○糸久八重子君 何だかよくわかりませんでした。
 いずれにいたしましても、私が今まで申し上げたことは、サラリーマンの無業の妻の基礎年金分が夫の中に含まれている、つまりそのことは妻が夫に従属をしているということがはっきり言えるのではないか、そのことを今まで申し上げたわけでございます。
 そこで、サラリーマンの無業の妻の保険料というのは夫が拠出している保険料の中に含まれているということになりますと、例えば保険料率が一二・四%ですけれども、どのぐらいになるんですかね。何%ぐらいになるのでしょうか。基礎年金部分です。
#171
○説明員(田村正雄君) お答えいたします。
 標準報酬の三・三%程度と、こういうことになっております。
#172
○糸久八重子君 そうなりますと、先ほども申し上げましたとおり、共働きの妻は当然一二・四%のうちから三・三%は引いて納入するのが当然だということになりますね。それから独身の男性も同じですね。妻の分が入っているということになれば一二・四%から三・三%引かなければならないというような理屈にはなりますね。
#173
○政府委員(吉原健二君) おっしゃるような考え方に立って保険料を分ければそういうことになるわけでございますけれども、そういった分け方が果たしていいかどうか、また、可能かどうかというその点を私どもは考えまして、同じ賃金、同じ標準報酬については、妻帯者であると否とを問わず同じ保険料の納付の仕方ということにさせていただいているわけでございます。
#174
○糸久八重子君 大変こだわりますけれども、サラリーマンの妻には収入がない、そして負担能力がないといって、世帯としての負担能力は必ずしもないとは言えないということは先ほども申し上げました。
 しかし、例えば未亡人だとかそれから母子家庭だとか離婚した妻とか、そういう人たちは、夫のいるサラリーマンの妻よりも非常に劣悪な状況の生活をしているわけですよね。だけれども、こういう母子家庭とか未亡人とかという人たちは非常に、そしてこういう方たちは例えば中途で雇用をされたりなんかいたしますと当然低賃金で働かざるを得なくなるわけですけれども、そういう低賃金の中でも自分の保険料というのはサラリーマンの夫と同じ料率で、これは女性は少々低いわけですけれども、最終的には同じになるわけですけれども、払っていかなければならないというような状況だと、やはりどうしても公平を欠いているんではないかと、そう思うんですよね。何か再検討の余地はございませんか。
#175
○政府委員(吉原健二君) 先ほども申し上げましたけれども、今のような私どもの考え方、仕組みというものが絶対にこれしかなくて、糸久先生のおっしゃっているような考え方がおかしいとか間違っているというようなことは私ども毛頭考えておりませんで、確かに御指摘の点、不合理である、あるいはアンバランスである、こういうことはよくわかるわけでございます。そういったことがございますがために、実はサラリーマンの妻の扱いを一体年金制度の上でどういうふうにしたらいいかということが国民年金をつくりました昭和三十六年以来ずっと数十年にわたって私どもが実は迷い続け、悩み続けてきた問題でございます。
 これからの年金制度のあり方としての議論も、おっしゃいますようにサラリーマンの妻も全部国民年金に強制加入をして一人一人、任意加入者だけじゃなしに皆さんにその保険料をみずから払っていただく、こういう仕組みをとるべきだという考え方も大変強かったんです。しかしながら、一方、そうは言っても大体自分で御収入のない方ですから、そういう仕組みをとるよりか、御主人がサラリーマンで保険料を払っておられる場合には、やはりその給与の中から奥さんの分も同時に払っていただくという仕組みにした方が、将来奥さんが離婚をされたり、あるいは障害になられた場合、もちろん年をとられた場合も同じでございますけれども、みずからの年金権に間違いなく結びつく。そういう仕組みにするためには、今の私どもの考え方の方が、ベストではございません、もう本当に何といいますか、ちょっとの差でベターなんではないかというようなことで、こういった案をとらせていただいたわけでございます。
 おっしゃるように大変議論があった点でございまして、私どももどちらがよいか判断に迷った点でございますけれども、一応審議会等でも議論をしていただきましてこういったような扱いにさせていただいたわけでございます。
#176
○糸久八重子君 まだまだ問題はたくさんあるんですよ。少し先に進みます。
 婦人の年金資格の管理と認定の問題なんですけれども、夫の被保険者資格というのはどこで認定いたしますか。
#177
○政府委員(長尾立子君) 御主人様が厚生年金の被保険者ということで考えさせていただきますと、これは事業主からの届け出に基づきまして、社会保険事務所を通じまして社会保険庁が管理をいたしておるわけでございます。
#178
○糸久八重子君 事業所から社会保険事務所、そして社会保険庁という経路でいくわけですね。
 先ほどの確認の中で、夫の保険料の中に妻の分が入っているということなんですけれども、被扶養配偶者の資格はどこで認定をいたしますか。
#179
○政府委員(長尾立子君) 第三号被保険者の被保険者管理の問題の御質問と思います。
 この点につきましては、こういった全体の仕組みにつきまして国会で御承認をいただきました上で、私どもとしては最終的に事務処理を決めていくものだと思うのでございますが、現在私どもが検討しております案を申し上げさせていただきます。
 現在、被用者の妻と言われる方々につきましては、国民年金の被保険者であられますし、市町村がこういった被保険者の方の第一線の窓口としての事務処理をやっておるわけでございます。私どもといたしましては、現在の仕組みを大幅に変えることなく新しい仕組みに移っていきたいというふうに考えておりますので、現在の市町村の国民年金の被保険者管理の仕組みをそのまま踏襲いたしまして、第三号被保険者につきましても市町村に届け出をしていただきまして、市町村から社会保険事務所と、こういうようなルートで管理をさせていただきたいと思っております。
#180
○糸久八重子君 それでは、夫は事業所、そして妻は市町村で行うということでございますね。
 今妻がパートとして働きに出た場合、常雇用の四分の三の時間、つまり八時間労働ですから六時間働いている場合には、被用者保険には加入できますか。
#181
○政府委員(長尾立子君) パートというものの勤務の実態、今先生がちょっとお話しになりましたけれども、実にさまざまだと思うのでございますが、常雇の労働者とほぼ変わりのないような、今先生がおっしゃいましたような状況にある方につきましては厚生年金の被保険者としての適用をするようにというふうに指導いたしております。
#182
○糸久八重子君 それでは加入できるわけですね。
 パートで適用されるということになりますと、先ほどの被扶養配偶者が、つまり三号被保険者ですね、それが今度雇用されて厚生年金に入りますと二号被保険者に移るわけですね。そうすると、この場合事業所は先ほど言いましたとおり社会保険事務所に届けますね。そうすると、市町村の方はどうなりますか。
#183
○政府委員(長尾立子君) 現在におきましても、国民年金と厚生年金の間を異動される方というのはあるわけでございますが、現在の仕組みでも両方の制度を二重適用するということはございませんで、一方の資格を喪失していただきまして新しい資格に移っていただくという仕組みをとっております。
 それで、現在は年金手帳を一本にいたしておりまして、こういった制度間を変わられます場合も、同じ手帳を出していただきまして、制度を変わられたという形の手続をさせていただいておるわけでございます。
#184
○糸久八重子君 本人自身が一々市町村に行って届け出をするということになるわけですね。パートというのは短期間雇用といいますほど非常に就業期間が短い場合があるし、今の雇用の状態ですと常雇用のように非常に長く勤務をしているということもないし、勤務先が転々と変わる場合も多いわけですよね。そうしてその間には職がなくて家庭にいるという場合も恐らくあるわけですよね。そうすると、もう市役所に行ったり来たり行ったり来たりしなければならない、そういうことになりますけれども、随分煩わしいですね。いかがですか。
#185
○政府委員(長尾立子君) 先生の御質問は、厚生年金の被保険者としての適用がそういった非常に就業形態の安定していない方についてどういう取り扱いになるかという御質問ではないかと思います。
 厚生年金は、臨時的な業務に従事する方、また日々雇い入れられる方、いわゆる日雇いという形の形態でございますが、こういう方々につきましては厚生年金は適用しないという形になっております。したがいまして、今の先生のお話、これは一つの例としておっしゃったのだと思いますので、実際は常用的使用関係として雇用されたけれども、事業所の方が急に休業になってしまったというようなケースはもちろんあると思うのでございますが、常用的使用関係にあればその適用をする。臨時的なものであることが明らかにわかっておればこれは厚生年金は適用しないで国民年金の適用ということにさせていただいております。
#186
○糸久八重子君 先ほどもお聞きいたしましたけれども、時間でいった場合には常雇用の四分の三の時間、そして臨時的でない場合には厚生年金の適用だということですね。
 そうすると、あと収入との関係なんですけれども、例えば時間給が六百円であった。そして先ほど申しましたとおり一日六時間働いた、そして月に二十日間働いたとしますね。そうしますと、時給六百円の六時間で三千六百円、そしてそれの二十日間ですから七万二千円ですね。七万二千円の一年間で八十六万四千円、こういう場合に、四分の三の時間就業すれば、これは適用いたしますか。
#187
○政府委員(長尾立子君) これは現在御審議いただいております法案の三号の定義のところに、主として第二号被保険者によって扶養されているという条件がついておりますので、今の先生のお話は、今のような収入水準の場合に、これは雇用されなくても、例えば内職とか自営業とかで収入がおありになるというケースもあると思うのでございますが、そういった収入の場合に被扶養者というような、被扶養配偶者という認定ができるかという問題になるかと思います。
 今私どもが検討いたしておりますのは、健康保険、医療保険等におきまして被扶養者というものの一定のラインを決めておるわけでございますが、大体九十万ぐらいだったかと思いますけれども、こういった水準を参考にいたしたいと思っておるわけでございますので、今先生おっしゃいました金額は、ややちょっとすれすれでございますが、主として二号被保険者によって扶養されている者という認定に入るのではないかと思います。
#188
○糸久八重子君 そうすると、常雇用の四分の三の時間働いていても、扶養控除の九十万に達しない場合には、これは結論的には入れないということなんですね。
#189
○政府委員(長尾立子君) 私の説明が舌足らずであったかと思いますが、厚生年金で適用すべきかどうかということは、労働時間、労働日数、就業形態、それから職務内容等を総合的に判断しろといっておるわけでございまして、この場合には、収入が今先生おっしゃいました金額よりも少なくても、総合的に判断いたしまして常用的使用関係にあれば、これは厚生年金が適用になりますので、厚生年金保険法の体系で適用になりますので、この場合には三号被保険者とはならないということでございます。
#190
○糸久八重子君 そうすると、今この人たちは適用になると、だから三号被保険者ではないとおっしゃいましたね。
 一般に、扶養控除九十万以内で働いた場合には、夫が保険料を払っているから年金には加入をしない人が多くなってくるんじゃないか。また、事業所が、あなたの夫はとにかくあなたの分の基礎年金分を払っているんだから、ここでわざわざ年金の掛金をしなくてもいいじゃないかということを事業所でそのように指導をしてくるのではないかと思うのですけれども、その場合はどういたしますか。
#191
○政府委員(長尾立子君) これは、厚生年金保険法のいわば適用の問題になるかと思います。
 厚生年金保険は、被用者としての身分を持つ方につきまして厚生年金保険法の体系で保障をするという考え方に立っておるわけでございますので、非常にかた苦しい言い方で恐縮でございますが、被用者としての認定がされる方につきましては、これは厚生年金の被保険者として扱っていくというのが基本的な姿ではないかと思うわけでございます。
#192
○糸久八重子君 今私が申し上げたのは、確かに法律的には認定されるということなんだけれども、実際に働いているその事業所の事業主が、何も加入をしなくたっていいじゃないかと、あんたは夫が掛金を掛けているんだからいいじゃないかと言う場合が恐らくこれは出てくると思うんですよね。だから、そういう心配があると、そういうことを申し上げたのです。
#193
○政府委員(長尾立子君) 大変形式的な答弁になって恐縮でございますが、先生お話しのような、事業主が御自分の保険料負担というものを軽減したいがためにそういう方向をとるということにつきましては、私どもは法律の基本的な運用からすれば問題であるというふうに考えております。
#194
○糸久八重子君 別居関係にある夫婦の場合、別居していても本人が働かない場合は何号被保険者になりますか。
#195
○政府委員(長尾立子君) 先ほど申し上げましたように、主として二号被保険者に扶養されておるという実態があるかどうかという問題になるかと思います。
 別居ということでも、例えば御主人が単身赴任されておるというような形で、住居は別にされておられましても生活はその御主人の方がすべて見ておられるというようなケースでございますと、これは三号被保険者に該当すると思いますが、事実上何と申しますか、生活が別になっておられて、その扶養されておるという実態がなくなっておれば、これは三号被保険者ではなくて一号被保険者、またはそれは厚生年金の被保険者であれば当然二号被保険者、こういうことになるわけでございます。
#196
○糸久八重子君 実際的に生活が全く別になって別居している場合には一号被保険者になるとおっしゃいましたけれども、この場合に、だれがそれを認定するんですか。
#197
○政府委員(長尾立子君) 先ほど申し上げましたように、現在国民年金の被保険者の管理の第一線になっております市町村長になるかと思います。市町村長は住民登録を持っておるわけでございますし、それから本人からいろいろな医療保険の方の被扶養配偶者になっておるかというような資料等も出していただきまして判定をしていくということになるかと思います。
#198
○糸久八重子君 しかし実際に別居の状況になっているのを余り公にしないで別居しているという状況も多いんじゃないかと思うんです。そうなりますと、当然妻は三号被保険者でしょう、公にしていない場合には。三号被保険者ということになりますね。よろしいですか。
#199
○政府委員(長尾立子君) 先ほど来申し上げておりますように、同居しておられましても扶養をされているかどうかという要件がございます。現在は国民皆保険でございますので、そういった方々について医療保険上の適用関係を見ますと、御主人との関係が医療保険上はある程度明確になってくるのではないかと思いますので、そういう点で御主人との扶養関係というのはある程度認定がつくのではないかと思っております。
#200
○糸久八重子君 別居していましても、医療関係の保険の名前を削除するようなことというのは、すぐにはしないわけですよ。そうなりますと、やはり妻という形で残っているわけですから、その場合には三号被保険者でしょう、あくまでも。
 もしそういう状況の中でその奥さんが働いた場合、働きに出た場合、その場合はこれは当然二号被保険者になるわけですね。
#201
○政府委員(長尾立子君) 厚生年金の適用事業所に常勤的雇用ということでございますと、厚生年金の被保険者になられまして三号から外れるということでございます。
#202
○糸久八重子君 そうなりますと、夫は妻の分を払っているわけですね、先ほどからも言っているように。そうすると、別居中の妻も、例えば厚生年金の適用になって払っている。そうなるとダブってしまいますね。
#203
○政府委員(長尾立子君) それは先ほど来局長から御説明を申し上げておりますように、いわば別居中で扶養対象配偶者のない方は独身の男性と同じような意味で保険料を同じような形で負担をしていただき、奥様の方は厚生年金の被保険者という形で保険料の負担をお願いする、こういう仕組みになっておるということでございます。
#204
○糸久八重子君 そうすると、やはりこの妻は夫からも基礎年金部分を払ってもらい、自分も基礎年金分を払うという状況になってくるわけです。
 今そういう別居中の状況があったときに、夫に内縁関係の女性ができて同居していたという場合、その場合を想定いたしましょう。そうすると、この夫の保険料で適用を受ける三号被保険者はどちらですか。
#205
○政府委員(長尾立子君) 大変微妙な御質問でございますけれども、国民年金法上は、配偶者というものの定義には内縁の者も入ると思います。しかし、この場合の内縁といいますのはいわゆる重婚関係というような方を含みませんで、何らかの理由で届け出がおくれておられるというような方を考えておるわけでございます。それで、問題はそういった今の重婚的な内縁関係ということになりますと、いずれの方につきましても、前の、前といいますか、法律上の奥様については扶養されているという実体がない。後の方については配偶者ということにならないというようなことになりまして、いずれも第三号被保険者に該当しないということになるのではないかと思います。
#206
○糸久八重子君 被扶養配偶者というのはどういうものを指すかといいますと、法律上の妻と、それから生計維持の内縁関係にあるものを被扶養配偶者としているんです。今例を挙げましたけれども、この場合は実際に同居して生活しているんです。つまり、生計維持上の内縁関係にあるわけですから、これは被扶養配偶者で三号被保険者になるんじゃないですか。
#207
○政府委員(長尾立子君) 問題は、その配偶者の定義の中に、今のおっしゃいましたような重婚関係の配偶者を含めて考えるかということだと思います。この配偶者の定義は、この三号の被保険者にとどまりませんで、例えば遺族年金の受給権者というものを考えます際にもこの配偶者というものが同じように出てくるわけでございますが、従来の各裁判におきます判例等を見ましても、この配偶者につきましては、重婚的な関係については配偶者として認めないというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味で先ほどの御答弁を申し上げたわけでございます。
#208
○糸久八重子君 そういう資格の認定というのは、いつ、だれが、どこでするんでしょうか。
#209
○政府委員(長尾立子君) これは市町村がするわけでございますが、先ほど申し上げましたように、市町村は住民登録を管理いたしておるわけでございまして、それからもう一つは、医療保険においての被扶養配偶者としてそちらの方が登録されておられるかというような両方の要件を見るわけでございますので、判定はできると思います。
#210
○糸久八重子君 少し先へ進みます。
 完全年金、いわゆるフルペンションの受給要件が四十年と非常に長期に設定されていますので、かなりの人が五万円完全年金に達しないだろうと思われるんですけれども、次の事例を数字で示していただきたいのです。
 一九八六年四月から新発足するものとして、条件は夫が民間企業の労働者であるということ、そして六十歳で退職をする、妻は夫より三歳年下という、こういう条件で国民年金に任意加入をしていなかった、このサラリーマンの妻の年齢が三十五歳、四十歳、四十五歳、五歳刻みで五十五歳まで、これらの人たちがどのくらいの基礎年金がもらえるのか。これは通告しておきましたのでお調べいただけたと思うのですが、それぞれ六十五歳になってから受給できる金額です。
#211
○説明員(山口剛彦君) 御指摘のケースにつきまして、施行日における妻の年齢に応じまして申し上げますと、施行日の妻の年齢が三十五歳の場合、五十九年度価格で月額三万六千二百四十二円でございます。妻の年齢が四十歳の場合三万二千八円でございます。四十五歳の場合二万七千七百五十円、五十歳の場合二万五千二百七十七円、五十五歳の場合二万一千三百四十一円ということでございます。
 ただし、このケースはいずれも妻は六十歳に達するまで、たとえ夫が退職した後におきましても、妻自身の保険料をきちっと加入期間すべて納めていただいたという前提で計算をいたしております。
#212
○糸久八重子君 政府は今度の改正の中で、個人の年金権の確立だと、そして無業の妻の場合も五万円の基礎年金が出るんだということを盛んに宣伝をなさいました。確かにそう聞きますと、みんな一律に五万円をもらえるのかという幻想を抱くわけですけれども、今おっしゃったように五万円もらえる人というのは、今の例の三十五歳の人も三万六千円でしかないわけですからね、五万円の全額もらえる人というのは非常に少ないわけです。そして二十五年の資格期間、そして四十年の納付期間がなければこれは五万円というのは受給できない、だから五万円五万円というのは本当に遠い幻想でしかない、そう言わざるを得ないと思うんですね。
 六十歳定年までに四十年間完全に納めるのには、これは二十歳から納め始めなければならないわけですね、四十年間納めるということは。今大学の進学率というのが大体三五%、大学にストレートに入ってそして卒業したといたしましても二十二歳なんですよね。中には浪人をしたり大学院に進んだりということで勤務をするのが二十五歳くらいになってしまうという方もいると思いますけれども、そうしますと、六十歳定年までの間には三十五年しか納めることができない。これは四十年の完全な基礎年金の資格期間にはならないわけでしょう。
 そういう意味で、二十五年の資格期間と四十年の納付期間というのは非常に長過ぎるのではないか、そう思うんですけれども、その辺の御見解いかがでしょうか。
#213
○政府委員(吉原健二君) 今御質問のケース、大学を仮に二十五歳で卒業して勤め始めますと、六十歳まで勤めても三十五年でございますから確かに四十年を満たさないわけでございますけれども、実際六十を過ぎて第二、第三の勤めで雇用を継続するということもあり得ると思いますし、もしそうでなしに完全にサラリーマンを引退をしたという場合に、国民年金の適用は六十歳まででございますからそれ以後は強制加入の対象にはなりませんけれども、この新しい制度におきましては、六十歳以降でありましても五年間はいわば任意加入で国民年金に加入することができるというような道も開いておりますので、そういった任意加入をしていただければさらに五年間、六十五歳までですから五年間任意加入をした場合に四十年の資格期間を満たすことができるわけでございます。
 大変四十年という加入期間が長いというお話でございますけれども、これからの長い人生、八十年時代というふうに言われておりますけれども、八十年のうち四十年は保険料を納めていただく。半分でございます。長い一生のうちの約半分の期間。四十年だけをとらえますと大変長いように思いますけれども、人生八十年のうち半分は保険料を払っていただく、そして約二十年程度の年金受給期間が保障される、こういう関係になるわけでございます。
 それから四十年のうち年金の資格としては二十五年でつく、こういうことになっているわけでございまして、加入期間は四十年、資格期間が二十五年、つまり四十年のうち半分ちょっと保険料を納めていただければ、金額はともかくといたしまして年金の資格かつく。長い人生の間での一つの要件としては、私どもとしてはそれほど厳しいものではないというふうに思っております。
#214
○糸久八重子君 五年間任意加入の道が開かれているとおっしゃいますけれども、やはり六十歳定年で退職をしてその後までも保険料を納めるというのは、現実からいってやはりこれ難しいんじゃないかと思うんですよね。局長が今二十五年の資格期間があればと言いますけれども、二十五年とか三十年とかしか納めなかった場合には、金額がどんどんどんどん減っていくわけですから、やはりそういう意味ではせめて大学を卒業して就職をして六十歳定年になるまでという形で期間を短くしていったらどうなのか。
 その辺、外国ではどうなっておりますか。
#215
○政府委員(吉原健二君) 外国の制度、それぞれ国によって制度の仕組み、要件が違いますので、一概に比較することができないわけでございますけれども、イギリスの場合を申し上げますと、フルペンションが受けられますのは十六歳から加入をいたしまして六十五歳までの四十四年間加入をした場合にフルペンションが受けられるということになっております。これは男子の場合でございまして、女子の場合ですと、十六歳から六十歳までの三十九年間掛けた場合にフルペンションが受けられるということになっているわけでございます。
 フランスの場合には、三十七年半保険料を納めた場合にフルペンションが受けられるという仕組みになっております。
#216
○糸久八重子君 もう少し諸外国の例わかりませんか、イギリスとフランスだけではなくて。これなんか長い例のような気がしますわね。
#217
○政府委員(吉原健二君) 国によって制度の仕組みが違いまして、フルペンションという概念がそういう考え方をとっている制度と、そういったフルペンションというような考え方を全くとっていない国、制度というものがあるわけでございまして、フルペンションをとっている国は先ほど申し上げましたイギリスとかフランスの例でございますけれども、それ以外の国におきましては非常に短い、それよりも短い、いわば資格期間だけ決めておきまして、その資格期間に応じた年金を出す、期間比例の年金を出す、そういう仕組みの制度をとっている国もあるわけでございます。
#218
○糸久八重子君 いずれにいたしましても、この二十五年の四十年というのは大変長過ぎて、やっぱり現実には合わないということなんですね。これはまた後で、婦人の労働とのかかわり等もあるわけですけれども、そこの中でただしていきたいと思います。
 もう一つ、未加入者の問題をお伺いしますけれども、厚生省の行政基礎調査によりますと、公的年金に加入すべきであるのに加入していない者が七・七%に上っている、そう言われていますね。四十年後には六十五歳以上の人口というのは二千七百万人と見込まれているわけですけれども、こ
の未加入者七・七%をこの二千七百万に掛けてみますと二百八万人の人が無年金者になっちゃうということですね。この七・七%の未加入者というのは、やはり零細企業に勤めている方であったり、それからキャバレーなどで働いている女の方たちであったりするわけですけれども、こういう人たちを全員国民年金に加入できますか。
#219
○政府委員(長尾立子君) 先生御指摘のとおり、現在年金権に結びつかないという可能性がある方が、この前御説明いたしましたように、将来においても百十万を超える方が推計されるということは、業務の実施に当たっております私どもとしては、大変問題だと思っておるわけでございます。
 それで、国民年金の適用の促進ということになるかと思うのでございますが、現実には適用の難しい方々、つまり住民登録というものを、ある市町村から何らかの理由で転出をされましても次の市町村で住民登録をなさらないというような、住民登録上なかなか把握しがたい方もございます。こういった点でなかなかに適用の難しい実態はあると思うのでございますが、私どもといたしまして、適用促進の方向といたしましては、市町村の段階で公簿上洗い出される方につきまして強制的に適用していく、適用を勧奨していくという方法がございます。これはいろいろな公簿等、国民健康保険等の公簿等から見まして国民年金の対象者ではないかという者の洗い出しをいたしまして、この方々に国民年金の保険料を納入していただくように勧奨するという方法でございます。
 それからもう一つは、具体的には二十になられました世代のところで、成人式というような人生の節目を市町村からお通知を差し上げる、また、ある団体からお通知を差し上げるということによりまして、国民年金への加入を勧奨していくということの努力をいたしたいと思います。国民年金への関心が大変高まっておるわけでございますので、こういった方法をさらに強化いたしまして、できる限りの方が年金制度の適用を受けていただけるように努力をさせていただきたいと思います。
#220
○糸久八重子君 まあお役所では加入をお勧めするとそう申していますけれどもね、やはり現実的にはこの辺は大変問題ではないかと思うんですね。そして、将来的には国民年金の保険料というのが今の六千七百七十円から一万三千円にまで、これは夫婦でもって二万六千円になるわけですよね。そのように引き上げられるわけですから、ますます国民年金からの脱落者というものが多くなっていくんじゃないか。多くなっていくということはイコール無年金者がふえてくると、そういうことになるわけですね。
 先ほども申し上げましたとおり、二十五年間保険料納入、そしてその資格期間が満たなければ年金は受給できないということですから、これまた大変なことになってしまう。やはり、午前中にも申し上げましたとおり、人間の一生の中には、商売がうまくいかなかったり、夫が失業したりということで、いろいろな条件の中で掛金が納入できない人がふえてくるんではないかと思うんですよね。そして、無年金の大多数というのは、やはり現在のように婦人が多いのではないかということが予想されるわけですけれども、こういう人たちの救済をどう図っていらっしゃるおつもりですか。
#221
○政府委員(長尾立子君) 重複したお答えになるかと思いますが、今回の改正を検討いたします際に、各方面の有識者に対しまして私どもで調査をさせていただいたわけでございますが、その中で、やはり基本的に現在の厚生年金、国民年金のような社会保険方式で保険料を納入していただいて年金権に結びつけるという方式につきましては、多くの方から一つの基本的な方向として御賛同はいただいているように思います。こういう前提に立ちますと、社会保険庁といたしましては、先ほど先生から御指摘をいただきましたけれども、多くの方々ができる限りこういった年金制度の適用の網の目の中に組み込まれていくような措置というものを十分に考えていきたいと思います。
 また、確かに保険料が上がっていきますと、所得の低い方にとっては納めにくいという要素が出てまいります。冒頭にも御質問がございましたように、現在保険料はまとめて納入をしていただくような仕組みになっておりますし、御本人が金融機関に出向かれて納入されるというようなこともまだ相当に残っております。こういうことを考えますと、これを毎月納付にしていくこと、また口座振替を推進していくことなど、保険料を納めやすくしていくというような努力もさせていただきたいと思っております。
#222
○糸久八重子君 保険料の免除制度というのがありますけれども、現在免除者はどのくらいおりますか。
#223
○政府委員(長尾立子君) 保険料の免除でございますが、これは法律上免除になります方、例えば生活保護を受けておられます方等が法律上の免除になるわけでございますが、そのほか所得がない等の理由によって申請して免除をお受けになる方と両方ございますが、その両方合わせまして免除率は五十八年度で一六・七%になっております。これは、免除の制度は強制適用の被保険者の方にしかございませんので、そういう比率でございます。
#224
○糸久八重子君 一六・七%、人数に直すとどのぐらいになりますか。
#225
○政府委員(長尾立子君) 三百九万人ほどでございます。
#226
○糸久八重子君 そうしますと、この保険料免除者と、それから先ほど申し上げました未加入者と合わせると、かなりな数に上るわけですね。そういうわけで、今政府が進めております社会保険方式の中では、やはりどうしてもこういう人たちというのは、一人一年金とはいっても救われない、そう思うわけでございます。
 若くて夫を失ったり、それからまた夫が失業したりした場合に、次の雇用が保障されるまで生活ができないわけですけれども、自立するために、例えば職業訓練やなんかをしなければならない場合もありますわね。そういった場合に、基礎年金受給のためには国民年金に入らなければならないけれども、夫が亡くなってしまったり、それから失業したりするということはやっぱり生活的に大変苦しいわけですから、国民年金に加入して国民年金の保険料を払うということも非常に大変になってくるわけですよね。このような場合に、例えば職業訓練中などに保険料を免除するというような、そういう措置はとれないものでしょうか。
#227
○政府委員(長尾立子君) 現在、免除をする仕組みについて御説明をさせていただきたいと思います。
 法定免除については、先ほどちょっと申し上げたわけでございますが、申請免除の点でございますけれども、これは被保険者御本人または被保険者の世帯主、被保険者の配偶者につきまして所得税法上の前年分の所得税額があるときには免除になりません。それから、被保険者、被保険者の世帯主、被保険者の配偶者がいずれもその年度分の市町村民税が賦課されていないときはこれは免除をするということになるわけでございます。
 今先生御指摘のような方につきましては、問題は、昨年はある程度所得がおありになって、ことしになってそういうような事態になられたというケースだと思いますが、こういう方々につきましては、申請時の所得状況が前年と著しく異なる場合にも、やはり市町村長の審査によりまして都道府県知事が免除に該当すると認定することができますので、今先生御指摘のケースにつきましては、ほぼ多くの場合、免除に該当するのではないかと思います。
#228
○糸久八重子君 わかりました。
 四十年納めて年金受給となったとしましょう。基礎年金は夫分が五万円、そして妻分が五万円、それから比例報酬部分が標準報酬によりまして二十五万四千円の千分の七・五の四十年で七万六千二百円、こうなりますね。そうしますと、合計して十七万六千円の年金の所有権というのは、妻が五万円で夫が十二万六千二百円ということなんですね。これは生計を同じくしているのにどうして妻が五万円であって夫が十二万六千二百円なのですか。
#229
○政府委員(吉原健二君) つまり、年金の受給権というものを、夫については定額基礎年金部分と報酬比例部分十二万円相当額、それから妻につきましては基礎年金だけと、そういう仕組みにしたわけでございます。
#230
○糸久八重子君 私の言いたいのは、妻の基礎年金が五万円で夫が十二万六千二百円ではなくて、この場合は、生活を一緒にしているんだからやはり全額の十七万六千円の半分ずつが夫と妻との年金の権利ではないのか、そういうことを申し上げたいんですよね。
 例えば西ドイツで最近年金法が改正になったと聞いているんですけれども、どうなっておりますか。
#231
○政府委員(吉原健二君) 御質問の趣旨、わかりました。
 夫婦の分合わせまして十七万円の年金を、夫と妻の半分ずつの権利にすべきではないかという御質問でございますけれども、そういう考え方も、考え方としてはわからないわけではございませんが、今、これは言うまでもございませんが、夫の収入なり夫の賃金、現役で働いている間の賃金なり収入でございますね、これはやはり夫の収入、夫の所得ということになっているわけでございまして、確かに夫の働きにつきましては奥様、妻も相当の、何と言いますか、寄与をされているわけでございますけれども、収入そのものは夫の収入になる、こういうことになっているわけでございます。
 年金もいわば退職後の賃金という性格を持っているわけでございまして、従前の賃金に見合った、あるいはそれとバランスのとれた所得保障、これが年金でございまして、年金についてもやはり夫の年金。もちろん、実質的にはその年金については妻の寄与分というものも当然実際上はあるというふうに思いますけれども、収入名儀、名儀的には夫の収入になって私はよいのではないかと思います。
#232
○糸久八重子君 このことがやっぱり結局離婚をした妻の場合にはね返ってくるんですよね。というのは、中高年で離婚をした場合に、結局妻の場合には五万円の基礎年金部分だけということになるわけでしょう。そして、その後夫が今度別の妻をもらった場合、別の妻をもらって何年もしないでその夫が死んじゃった、そういう場合には、遺族年金が全部後から来た、何年も一緒に住んでいない妻の方に行ってしまうわけでしょう。そうすると、婚姻期間に夫に尽くしたと言いますか、それが全く報われない状況になるわけですよね。もし、年金の受け取る部分の半々が夫と妻のものであるというならば、これは離婚した場合には問題ないわけでしょう。そういう場合どういたしますの。
#233
○政府委員(吉原健二君) なかなか年金制度の上だけでは考えにくい難しい問題が含まれていると思いますけれども、年金と言いますのは、今の制度でもそうでございますけれども、障害とか遺族、生計中心者の死亡ということ、そういったいわば制度の中で保険をされている事故、事故が起きたときの時点で受給要件、受給者というものを決める、こういうことになっているわけでございまして、遺族年金というのは夫が死亡したとき、いわばその死亡時点において、生計を維持していた配偶者なり子供がいる場合に、その者に遺族年金が支給される。これは、年金制度においてはそのことのために遺族年金が設けられているわけでございまして、それ以前に仮に既に離婚をした奥様がおられる場合に、果たして社会保障としての遺族年金を支給する必要性があるのかないのか。仮にそういった方にも支給するとした場合に、現在の残された配偶者、再婚後の奥さんに対する遺族年金は一体どうすればいいのか。婚姻期間によって案分をすればいいではないかというあるいはお考えかもしれませんけれども、そういたしますと、遺族年金の額が、それぞれの場合に婚姻期間によって非常に少なくなってしまう。特に死亡時点において正規の奥様、再婚後の奥様でいらっしゃった方には非常に短い婚姻期間であるがゆえに、非常に少ない遺族年金しか出ないという場合もあり得るわけでございます。逆に、離婚をされた女性の方が既にほかの男性の方と再婚をされていたような場合を考えますと、その方に一体遺族年金を出す必要があるのかどうか。そういう場合も考えられるわけでございまして、私は離婚をしたら当然に、かつて夫であった人の遺族年金を離婚をした奥様にまで支給をする必要があるかどうかについては、いろんなケースが考えられますけれども、一概にそうしなければおかしいというふうには私どもとしては考えないわけでございます。
 やはりこの年金制度、特に社会保障としての年金制度としては、できるだけ必要な人にその必要な年金、できるだけ高い年金をという考え方で制度を仕組んでおりますので、単に夫が死んだ場合の年金はそれ相当の婚姻期間を有する女性に分けられるべきだという考え方は、社会保障としての遺族年金に今の時点ですぐ取り入れるのはいかがかというふうに思っているわけでございます。
#234
○糸久八重子君 結婚期間の貢献度から考えれば、当然これは結婚期間の長かった妻にそれだけのものが行くのが当たり前のことではないかと、そう思うんですよね。
 ちょうど遺族年金のことが出ましたので、遺族年金のことについてお伺いしたいのですけれども、夫が死亡したときに夫の報酬比例分の四分の三、これが遺族年金として出るわけですね。また後でお伺いしますけれども、今まだ女性の賃金というのは男性に比べますと非常に低いわけですから、そうしますと自分の年金額よりも夫の報酬比例分の四分の三の方が高いという場合が多く出てくるのではないかと思うんです。そうなりますと、どちらかを選択するということになるわけですけれども、夫の方の遺族年金を選択して自分の年金は放棄をするという場合に、今までずうっと長いこと掛けてきたその掛金は結局掛け捨てになってしまうわけですよね。この辺はどうするんでしょうね。
#235
○政府委員(吉原健二君) これは、今の厚生年金におきましても、例えば共稼ぎの場合を想定をいたしますと、夫が死んだ場合に遺族年金の対象になる。同時に自分が老齢になった場合には自分自身の老齢年金の受給資格を得るわけでございますけれども、その自分の老齢年金と夫の遺族年金のどちらかを選択をする。当然高い方を受けられるということになると思いますけれども、選択をするということになるわけでございまして、遺族年金というのは夫が掛けていた保険料に見合うもの、それから老齢年金というのは自分が掛けていた保険料に見合うものと、そういうものではございますけれども、やはり年金としては二つ出るのではなしに一方を選択すると、こういう仕組みが既に今の制度の中にあるわけでございます。
 やはり先ほどのお話と関連いたしますけれども、社会保障の年金としては必要なところに必要な給付をしますけれども、重複して年金を出す、二つ以上の年金が一人の人に、たとえその事故が違うからといって、出るようなことがないようにする。もしその分の余裕があれば、本当に必要なところに必要な年金をより高いものにして支給をする、こういう考え方に立っているわけでございまして、現在でもそうなっておりますし、今回の新しい制度におきましても、遺族年金と自分の老齢年金とはどちらか一方を選択していただくと、こういう考え方になっているわけでございます。
#236
○糸久八重子君 この不公平が存在するということについては、せんだっての委員会のときに、島田参考人からも実は指摘があったわけでございます。
 島田参考人が申しますのは、アメリカの遺族年金が、今夫の年金の一〇〇%支給になっているそうでございます。そして妻分が全く支給されない、つまり掛け捨てという部分があるわけで、非常にそれが論議の的になっている、そういうことをおっしゃいました。今アメリカでもって論議をされていることをあえて日本で導入する――新しくこれ導入するわけでしょう。それはどういうことですか。
#237
○政府委員(吉原健二君) 必ずしもアメリカの事情をつぶさには承知をいたしておりませんけれども、今申し上げました二つ以上の年金が出る場合に一方を選択するという仕組みというのは、先ほども申し上げましたように新しく導入するわけじゃございませんで、従来から厚生年金の中でとっていた仕組みでございます。これを今回新しい制度におきまして、異なった制度間においてもとろうと、原則としてそういった考え方をより徹底したものにしていこう、そういうことでございまして、今議論になっているものを新たに取り入れるという考え方でやっているわけじゃございませんし、やはりこれからの年金のあり方としては、二つ以上年金が出る場合には有利な方、高い方を一つ選択をして支給をする、こういう仕組みはやはり御理解いただきませんと、重複給付、あるいは二以上の併給というものを制限なしに認めていくということにいたしますと、やはり本当に必要なところに手厚い給付ができないというようなことになるわけでございます。
#238
○糸久八重子君 私が先ほど出し上げましたこと、誤りでしたから訂正いたします。確かに新しく導入するのではなくて、今アメリカで論議の的になっているものをやはり日本でもって行っているのは一体どういうものか。特に今年金の大改正ですから、その中でそういうことも含めて考えていかなかったのか、そう申し上げたかったわけでございまして、誤りですから訂正をさせていただきます。
 とにかく遺族年金の場合でも、それから午前中からずっとお話しいたしました、働いている妻の場合とか大変不公平感というのが非常に多いというのが今度の改正案だということでございます。
 先に進めたいと思いますが、女性の場合には、出産後五年から十年程度育児のために家庭にとどまる場合が多くなりますね。そうして、子供が学齢に達したころまた職につくというような、いわゆるM字型雇用と呼んでいますけれども、そういう雇用形態が一般的になっているわけですけれども、こういう家庭にある間は当然厚生年金保険の被用者保険制度から脱退を余儀なくされてしまうわけですね。そうすると、これは夫の方の基礎年金部分に加入をせざるを得ないという形になるわけですけれども、ただでさえ婦人というのは賃金が低くて、そしてその賃金を反映した年金になるわけですから低年金になってしまうわけですね。
 だからそういう場合に、こういう家庭にある間、つまり育児とかそれから老親の介護や何かで家庭にある場合に、例えば免除するとか保険期間をつなげるとかというような、何かそういうお考えはいかがでしょうか。
#239
○政府委員(吉原健二君) 諸外国でも既に一部そういった考え方に立つような仕組みを取り入れている国がございますので、我が国においてもあるいはそういった制度、仕組みを取り入れる時期がいずれ来るかもしれないという感じは持っておりますけれども、今現在の時点ですぐそういうことができないかと、こう言われますと、実は、いろんな前提条件が必要ではないかというふうに思っているわけでございます。
 といいますのは、やはり厚生年金は、共稼ぎ等の場合を想定して考えますと、厚生年金というのはあくまでも一定の雇用関係、使用関係を前提にして制度が組み立てられておりますので、会社をやめて厚生年金の適用がなくなった、その期間についてまで厚生年金を適用していく、当然に適用して保険料を払わなくても資格期間に見るとか、あるいは年金の計算の基礎に入れるというようなことは、今の制度の仕組みを前提にする限りは、なかなか私は難しいだろうと思います。やはり育児休業制度というものが仮にもう少し充実したといいますか、はっきりした形で制度化をされまして、一定の育児期間については、例えば雇用が継続をする、場合によっては賃金なり月給の一部も会社から支払われるというような育児休業の制度というものがしっかりした形で制度化された場合には、私はそれに見合った年金制度上の取り扱い、年金の資格期間の継続算定、年金の計算の基礎に入れるというようなことも可能かと思いますけれども、そういう雇用関係が全く切れてしまった中で育児期間を年金制度の中だけで特別に見るというのは、私はなかなか難しいのだろうと思います。
 それから、今回の制度におきましては、基本的には今申し上げましたようなことでございますけれども、共稼ぎの場合を考えますと、共稼ぎの方が育児ということで会社をおやめになりますと、その期間は御主人が働いておられる限りは基礎年金についてはいわば期間としてつながっていく、期間としては育児期間も生きていく、こういうことになるわけでございまして、その辺が先ほどからいろいろ御議論がございましたけれども、夫の保険料でもって妻の基礎年金の資格がつながるというような仕組みをとっております関係上、今申し上げましたような育児期間の取り扱いについてはむしろ非常によい影響といいますか、よい結果になってきているわけでございます。
#240
○糸久八重子君 育児休業の制度化とか、これだけでなくて看護休暇ということもございますけれども、これは労働省に関係のあることですけれども、確かにそういうことも必要です。
 やはりこれもせんだっての委員会で村上参考人の発言の中に、イギリスの年金制度でホーム・レスポンシビリティーズ・プロテクションという制度があるというお話を伺ったのですけれども、大臣、この制度について御認識ですか。
#241
○国務大臣(増岡博之君) 私はよく存じておりません。
#242
○糸久八重子君 じゃ、ちょっと説明をいただけますか。
#243
○政府委員(吉原健二君) 私も不勉強でございまして、御質問があるということで勉強さしていただいたわけでございますが、イギリスのホーム・レスポンシビリティーズ・プロテクションといいますのは、育児とか介護、年老いた老親の介護かと思いますけれども、そういった子供の育児、老親の介護等のために労働活動を行うことができなかった期間について、基礎年金給付がそれにより減少するのを防止をするために、今申し上げましたようなホーム・レスポンシビリティーズ・プロテクションの期間を本来の加入すべき年数から控除をするという仕組みでございます。
 ただし、そのホーム・レスポンシビリティーズ・プロテクションの期間にはいろんな条件がございまして、育児期間というのは十六歳以下の子供について児童手当を受給している期間であることが必要だという条件がございますし、それから介護につきましては、少なくとも週三十五時間以上介護手当受給者の介護に従事している期間、介護手当受給者の介護に従事しているということが条件になっております。それから三番目に、老人や障害者等の介護に従事し、補足給付、これはイギリスに特別な社会保障給付として補足給付というのがございますけれども、補足給付を受給している期間、そういった単に事実上子供を育児しているとかあるいは老親を介護しているということだけではございませんで、いろんな国の制度の上で児童手当を受けているとか、あるいは介護手当受給者の、介護に携わっている、一定時間以上そういったことに従事している、そういった条件に該当する場合に限ってイギリスの基礎年金を受けるために必要な加入すべき年数の中から控除をされると、こういう扱いになっているわけでございます。
#244
○糸久八重子君 社会的、経済的に非常に重要な役割を果たしているそういう家庭婦人について、イギリスのようなそういう制度を積極的にやはり評価をしていっていただきたいと、そう希望を申し上げるわけでございます。
 女子の支給年齢引き上げと雇用の確保の問題についてお伺いいたします。
 改正案では、厚生年金保険の女子の支給開始年齢は七十五年に六十歳支給になるよう十五年間の経過措置をとることと、段階的に引き上げるようになっているわけですけれども、その間の雇用の確保ができる、定年の年齢が確実に延びると見込んでのことなのでしょうか。
#245
○政府委員(吉原健二君) 女子につきましても、いわば男子と同様に定年制の延長ということに努力がされているわけでございますし、実際問題として、男女を通じて定年年齢が六十歳が一般化しつつあるということは確かだろうと思います。
 そういったことが一つ背景にございますが、この女子の支給開始年齢をこの際十五年かけて六十歳にさしていただきますというこの理由でございますけれども、やはり現在の時点で考えますと、男子を六十歳にし女子を五十五歳にしておく理由というものが、現在の時点ではもうなくなってきている。かつてこういった差が設けられました背景には、女子というのは年金制度に加入する期間が非常に短くて、しかも年金を受け取るといいますか、年金の資格に結びつくことが少なかった。つまり、短い期間年金制度に加入をして、脱退手当金で制度から出ていったというようなことが大部分であったというようなことが背景で実は男子と違った支給開始年齢が設けられたわけでございます。
 現在はもう国民皆年金制度になりまして、仮に女子が仕事をやめましても、国民年金に当然加入をしてその期間がつながるということになっておりますし、支給開始年齢につきましても、平均寿命から見まして女子の場合の方が男子の場合よりもはるかに、一般的に五歳ぐらい平均年齢が長いということもございます。女子の場合には、五十五歳以後の平均余命だけを見てみますと、二十五年以上というような長い期間平均余命があるわけでございまして、そういったことを考えますと、女子について今の時点で五十五歳から年金をどうしても出さなければならない、今後ともそういった制度を残しておかなければならないという理由がなくなってきている。そういったことから、長い時間、十五年という期間をかけて昭和七十五年をめどに男子と同じ六十歳にさしていただきたいという御提案をしているわけでございます。
#246
○糸久八重子君 今脱退一時金の問題がちょっと出ましたので、実は多くの婦人の中から、脱退一時金をもらって職をやめたということで、貴重な年金の加入期間を失ってしまった、大変それは残念だから、今、もらった脱退一時金を返すから加入期間を何とかつなげてくれないかというような実は声もあるんですね。これは難しい話ではないかと思いますけれども、そういう一般的な声もあるということをお伝えしておきたいと思います。
 現行五十五歳の老齢年金支給開始年齢を六十歳に引き上げるということは、やはり中高年婦人層の職場環境が大変厳しいだけに大いにこれ問題があると思うのですね。やはりこれは実効性を持つ雇用平等法の実現などにも関係があるわけですけれども、まず、労働条件の中の性差別をなくしていかなければならない、そのことが先決だと思うわけです。
 そこで労働省にお伺いいたしますけれども、女性の場合で六十歳定年制をしいている企業ですね、どのくらいございますか。六十歳とか、それからあと小刻みになっていると思いますけれども、大体五十歳ぐらいまで。教えていただきたいのですが。
#247
○政府委員(赤松良子君) お答え申し上げます。
 女子の定年制でございますが、これまでのところは五十五歳あるいはそれ以下の定年というのが非常に多かったわけでございます。これは、男子の定年と女子の定年とが差がある場合もございましたので、そういう場合には、その差をなくすということを目的に行政指導を続けてきたわけでございますが、だんだんに減ってはおりますが、なおまだ存在をしているという実情でございます。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
 そこで、男子の定年制を、非常に一般的であった五十五歳から六十歳に延長するということを、労働省としては、昭和六十年に六十歳定年の一般化を、というようなスローガンのもとに重点的にいたしまして、六十歳の定年が非常にふえたわけでございますが、女子の六十歳定年についてはまだ非常に少のうございまして、今手元の資料では、女子について六十歳以上の定年を持っている事業所は三・一%でございます。
#248
○糸久八重子君 確かに、六十歳以上は三・一%でございますね。ちなみに、私の持っておりますこの資料から申し上げますと、五十歳の定年というのが二二・六%、五十一から五十四が九・一%、五十五歳というのが四三・四%、五十六から五十九というのが七・三%なんですね。実に五十歳と五十五歳の定年制というのが全体の六六%なのですね。だから大変多いわけで、そういう定年制、非常に早いうちにやめさせられるということ、そのことがやはり低い年金につながるのではないかと、そう思うわけですね。
 男性の場合には、これも私の方で申し上げてしまいますけれども、六十歳定年というのが四九・二%、これ五十九年度です。それから五十六から五十九の間が二七・三%ですから、定年制の問題は男性の場合ではかなり進んでいるわけですけれどもね。
 こういうふうに女子の場合には非常に定年制も低い、それがやはり低年金につながるんだと、そういうことなのですけれども、大臣、その辺の所感はいかがでございますか。
#249
○国務大臣(増岡博之君) 確かにこれまではそのような状況であったと思いますけれども、これから先は徐々にそういうことも改善されるものと期待しておりますし、また、私どももそのように努めてまいらなければならないと思っております。
#250
○糸久八重子君 定年差別をしている企業というのはだんだんと減っていくのではないかという大臣の御答弁だったわけですけれども、その定年差別をしている企業が減った分だけ、また定年が延長した分だけ支給開始年齢を引き上げていくというのがやっぱり合理的ではないかというふうに考えるわけですけれども、こうした措置について御検討の用意はございますか。
#251
○政府委員(吉原健二君) 基本的には、今朝も御議論ございましたけれども、定年と年金の支給開始年齢、できるだけ連動するような形で持っていくのが一番いいと思います。そういった意味におきまして、男女を通じまして雇用の動向、特に定年制の動きとにらみ合わせながら支給開始年齢を上げていく、基本的にはそういう考え方でやっていくべきだというふうに思っております。
#252
○糸久八重子君 厚生年金の女子の保険料率について、男子との格差是正のピッチを毎年〇・二%と急激に上げていくという方法がとられておるわけですけれども、従来どおりのなだらかな引き上げを望みたいんです。〇・一%くらいで二十年ぐらいかけてということを考えたいのですが、お願いをしたいのですけれども、その用意があるのかどうか。
 そして、四月九日の本院の社労委員会で大臣はアップ率を〇・一%ぐらいにするということをおっしゃったということが実は毎日新聞に載っているんですよね。その辺は、確認をいたしたいのですが。
#253
○国務大臣(増岡博之君) 私といたしましては、そのように改めるということをはっきり申し上げた記憶はございません。そのような新聞記事になりましたのは、そういう点を十分御議論いただきたい、年金法の改正案につきまして全体につきましてもそういう趣旨で申し上げたことがそのような記事になったのかと、これは私の想像でございますが、思います。
#254
○糸久八重子君 新聞にはこう書いてございます。厚生大臣の修正発言は、藤井委員の質問に対して答えたものであると、そして、「厚生年金の保険料率は現在、男子が標準報酬月額の一〇・六%、女子が九・三%となっているが、改正案では「負担の公平化」を理由に女子の保険料率を毎年〇・二%ずつアップして、男子と同じにする予定。厚相はアップ率を〇・一%程度とすることなどを示唆した。」と、そう書いてあるわけですよね。ですから一応確認したわけですけれども、今のような、やはり雇用関係は非常に女子にきつい関係にあるわけですから、こういうようななだらかな引き上げということもぜひ頭に入れておいていただきたいということを御要望を申し上げたいと思います。
 労働省にお伺いいたしますが、先ほど賃金の問題が出たわけですけれども、男子一〇〇に対して女子の賃金は大体何%ぐらいになっておりますか。
#255
○政府委員(赤松良子君) 種々な調査がございまして、何で比較するかということもいろいろあるわけでございますが、ただいまの御質問に対して、一応所定内給与で男子一〇〇として女子を出しますと、昭和五十八年で五八・七でございます。
#256
○糸久八重子君 現金給与総額で比較しますと五一・八%ということでございまして大変少ない。つまり、賃金が男性の半分でしかない。そういうことですから、何回も申し上げますけれども、賃金も男性の半分である、したがって年金額も少なくなっていく、さらに勤務年数も少ないんだからそれに比例してやはり年金額も低くなっていくということで、やはり婦人の年金権というのは現在の状況では十分に確立されたとは言えない。そして、午前中からも申し上げましたとおり、今度の改正は決して婦人の年金権の確立ではなくてこれは妻の年金権の確立ではないか、そう言わざるを得ないと、そう思うわけでございます。
 ILOは、一九七五年に「女性と社会保障」をテーマとする専門家会議を開いて、その報告書の中に、「女性が年金上、法的に男性と同等の地位を得ること、特に被用者中心の制度において、家庭婦人が夫の年金権の権利によって保護を受けるのでなく、自分自身の権利として年金の受給権を持つことがその第一歩である。世界各国の制度は今やこの方向に向かって改革がゆっくりと進みつつある」と述べているわけですね。ですから、そういうような意味から考えますと、家庭婦人が夫の年金権の権利によって保護を受けるのではなく、明らかにILOが言っているとおり、そういう年金権の確立をしなければならない。
 その意味から言うと、今度の改正案の婦人の年金権というのは婦人の年金権、つまり一個の独立した人間としての年金権の確立ではなくて、あくまでも夫の庇護を受ける、夫の従属物としての妻の年金権でしかないということを私は強く抗議を申しまして私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#257
○中野鉄造君 まず最初に、厚生大臣にお尋ねいたしますが、ただいままでのいろいろな質問のやりとりの中でもわかりますように、この国民年金加入者の実態というものは、これは将来決して安易なものではないという気がしてなりません。御承知のように、現在保険料が六千二十円、こういうときでさえも払えない人が五十九年度末で約二百五十万人、それが六十一年四月から改正になりますと六千八百円の保険料、こういうことになってきますと、もう夫婦で一万三千円を超すわけですけれども、こういうような加入者の動向、それが申請免除者数への推移というようなものをどのように試算されておりますか。
#258
○政府委員(長尾立子君) 先生御指摘のように、ただいまのところ免除率は五十年代に入りまして非常に上昇をしておりまして、現在一六・七%という数字を示しておるわけでございます。
 この傾向というものが今後どういうふうに推移していくかということになろうかと思うのでございますが、この点につきましては、保険料を納めていただくいろいろな環境の整備というものを考えまして、毎月納付でございますとか口座振替を実施していくというようなことによりまして保険料の納入をできる限り進めていきたいと思っております。しかしながら、この免除率が一体どう今後推移していくかということについては、ちょっと推計が難しいというふうに考えております。
#259
○中野鉄造君 かつての老健法あたりと違って今回のこの年金改正、本当に未知のものであるだけに、果たしてこれから先どういうように推移していくだろうかということは本当に専門家の皆さん方にでもこれはその推計が難しいと、こういうように思います。
 しかし、そこで果たしてうまくいくかということになりますが、スタートの時点からかなりの人たちが非常に戸惑いだとか、それからかなりの負担に耐えられないというような人たちが出てきて、スムーズに健全な財政運営ができるだろうか、こういう懸念がいたしますけれども、その将来的な確信はおありですか。特に国民年金の場合にそれが言えると思いますが。
#260
○政府委員(長尾立子君) 今回の改正の仕組みでございますが、現在の国民年金の適用者グループが一号被保険者という形になりまして、ほぼ従来と同じような形の保険料納入をお願いをするということになるわけでございます。それから、従来の任意加入グループのほとんどの方が今回は三号被保険者として御主人の加入されております被用者年金の方から保険料を負担していただくという仕組みになってくるかと思います。したがいまして、財政全体を考えますと、保険料をいわば御自分で納付していただく仕組みの国民年金の本来の被保険者、つまり一号被保険者の方々についての保険料納入というものの実績がどういうふうに推移していくかということになってくるかと思います。
 このためには、これは各方面から御指摘をいただいておるわけでございますが、現在の国民年金についてのいろいろな私どもの事業運営上の努力をさらにさせていただきますことと、それから今回の改正の中で保険料の負担というものを考えまして、余り過大な負担を避けるような全体の設計になっていっておるわけでございまして、私どもとしては、今回の制度がうまく実施できるように、現在以上のような保険料の納入の成績が上がらないことのないような運営をやらしていただきたいというふうに思っております。
#261
○中野鉄造君 これは、仮定の問題を聞くのもいかがかと思いますけれども、私は、これはもう将来の問題として非常に厳しいものではないかと思うんですけれども、今もお尋ねいたしましたように、これがうまくいけばよし、いかなければこれはまた再改正というようなことにならざるを得ないと思うんですけれども、そういう次善の策というようなことも大臣、考えておられますか。
#262
○国務大臣(増岡博之君) ただいまのところは、現在考えられますことをいろいろ考えました結果御提案申し上げておりますので、そのような準備はございません。
#263
○中野鉄造君 いわば背水の陣でこの改正案に臨まれるわけです。
 そこで私、提案でございますけれども、ひとつぜひこれは実現してもらえればと思うことは、つまり、四十年間加入して五万円の基礎年金をいただけるという、特にこの一号被保険者、こういう人たちのために現在厚生年金は二十歳前でも被保険者となり得るわけですけれども、国民年金は、仮に二十歳から六十歳までが被保険期間ということになっておりますけれども、これは少しでも欠ければ結局フル年金ということにはならない。したがって、つまり五万円というものはもらえないわけです。一方厚生年金の方は、二十歳前でも就業すれば被保険者となる、先ほど申しましたように。ですから、これらを考えると、国民年金にも十五歳ぐらいから、つまり具体的に言えば義務教育を終えた時点から任意加入の門戸を開く、そういうような制度をつくっておけば、フル年金をもらえる機会が多くなるし、何よりも有効な無年金者対策ということになるのではないかと考えるわけですけれども、これに対しての大臣の前向きな御答弁を期待しますが、いかがですか。
#264
○政府委員(吉原健二君) 大臣がお答えされる前に、事務的な考え方を申し上げさせていただきます。
 国民年金の対象者というものは、就業状況から見ましても、あるいは所得の面から見ましても、
非常に多種多様であるというようなことから、厚生年金等と違いまして、一定の雇用期間を前提にしない年齢でもって被保険者期間、加入資格というものを決めているわけでございます。そういったことから二十歳から六十歳までの四十年間と決めているわけでございますけれども、二十歳未満で例えば義務教育を終了して既に自営業に入っておられる方についても、何か国民年金の適用を認めたらどうかという御提案だと思うわけでございます。
 確かに、年齢は二十歳未満でありましても既に自営業に従事し、若干の、ある程度の所得を得られる方がおありであることは確かでございますから、一つの考え方としてはわかるわけでございますけれども、果たしてそういった方だけ二十歳以下の適用を広げていいかどうか。仮に任意加入という形にしても広げていいかどうかということが一つございます。特に公的年金制度においては任意加入の対象を広げるということは、よほど慎重にやりませんと、後でいろんな問題なり影響が出てまいりますので、なるべく任意加入という道はとりたくないということが一つあるわけでございますけれども、それはそれとして、仮に広げたといたしましても、仮に二十歳未満でお入りになった場合に四十年という資格期間を一体どうすればいいのか、その方が例えば十五歳でお入りになって五十五歳で四十年という資格期間を満たされたという理由でもってもう加入を打ち切っていいのかどうか。やはり考え方としては、たとえ二十歳未満でお入りになりましても、六十歳までは加入期間として保険料を納付すべきでないかという考え方も私はあるだろうと思うわけでございます。
 では、その場合の年金額は一体どういうふうに決めたらいいのか。四十年以上納めて、年金額を四十年で打ち切るというのはいかがだろうかというような、実は前向きで考えてみましても、任意加入なり強制加入にした後の問題としていろいろ検討すべき難しい問題がございますので、私は、これからの問題としてひとつ前向きに検討させていただければというふうに思っているわけでございますが、大臣からお答えをしていただきます。
#265
○国務大臣(増岡博之君) ただいま年金局長から御説明申し上げましたような難しい問題もございますけれども、御指摘の点もごもっともな点もあると思いますので、今後前向きに検討させていただきたいと思います。
#266
○中野鉄造君 先ほど年金局長からも御答弁がございましたように、これはやはり仮に十五歳から加入したとしても四十年、五十五歳で、コンスタントにずっと納めていけばそれで終わるわけですけれども、やはり中には病気になってみたり、いろいろな事情で毎月掛けられなかった、怠ったというようなことも出てくるかもしれない、そういうときのためにも早くスタートをするということはいいのではないか、こう思いますし、また、五十五歳以降の掛金をどうするかといったようなこと等については、それこそ今おっしゃるように、いま少し事務的にも御検討をいただいて、ぜひともこの制度をひとつつくっていただきたい、門戸を広げていただきたいということを要望いたしたいと思います。
 次の質問に移りますが、国民年金加入者の中で何らかの都合で途中から保険料を滞納をしておる、そういう滞納せざるを得なくなったような、いろいろな免除申請を出す制度もあるんですけれども、そういう制度があることを知らずにそのまま放置している人もかなりいると思いますが、こういうような方々に対しては今後どういう対応をなさっていきますか。
#267
○政府委員(長尾立子君) 現在、国民年金の被保険者の方の保険料全体の納入状況でございますが、これはいわば、人数と申しますか、保険料として納付していただくべき対象の月数に対する比率で申し上げますと、現在九四・六%ということになっておりますので、この差の方が先生お話しのような保険料を滞納しておられるというケースになるかと思います。確かに具体的な免除基準に該当いたしまして保険料を免除をいたしました場合には年金権に結びつくわけでございますが、こういった方々につきましては、その滞納分が確かに年金権の確保という点につきましては空白になってしまうわけでございます。
 私どもといたしましては、こういった方々につきまして保険料の納入をできる限りお願いをしていくという形で、なおこの検認率の向上ということに努力をさせていただきたいというふうに思います。
#268
○中野鉄造君 私が聞きたいのは、そういうように早く納付をされるように努力をしていくということですけれども、御本人としても納めたい気持ちはあってもなかなか思うに任せない、かといって、そういう申請免除の制度等があるということもわからないままに歳月が過ぎていってしまって、しかも過去を振り返ってみればもう既に十数年は保険料を納めておる、しかしその後が空白になっている、そして受給期間が到来してもそれはもらえなくて、その間の何十万か納めたものはそれこそパアになってしまう。こういう人たちに対して何かの措置はないものかということをお尋ねしているわけです。
#269
○政府委員(長尾立子君) 確かに先生御指摘のお話ごもっともでございますが、原則的には、社会保険方式で保険料を納入していただいたということを年金給付の基礎として考えていくという原則は崩せないのではないかというふうに思います。そういった事態のないように、三十五歳というようなある一定の曲がり角のときに年金の滞納のないような勧奨をさせていただいておるわけでございますが、それでも六十歳になられまして期間が足らないというケースも先生おっしゃるようにあるかと思います。
 今回の改正におきましては、こういった方々につきまして六十五歳まで保険料の納入ができる、期間を満たすことができるという仕組みを開いておるわけでございまして、以前の法律に比べますと、その点につきましては期間を満たしていくということができるようになったということでございます。
#270
○中野鉄造君 次に、大蔵省お見えになっていますか。――これは前回もちょっとお尋ねした問題ですが、大蔵省は三月の二十八日に保険審議会で、高齢化社会に対応した私的年金制度充実の一環として生命保険業界に夫婦年金の創設を認める方針を打ち出した、こういうようなことが新聞に出ておりましたけれども、この夫婦年金の中身について、また、この私的年金の今後の推移についてどういうように見ておられますか。
#271
○説明員(龍宝惟男君) 御指摘のとおり、保険審議会の生命保険部会というのを昨年の九月から開催をいたしまして、高齢化社会の到来に備えるため生命保険事業がどうしたらいいかということを御審議をいただいております。その中の一環といたしまして、今後の個人年金のあり方について検討をしていただきます際に、個人ごとではなくて御指摘のように夫婦としての年金の保障ニーズに合わせた連生年金というのが一つの検討対象になった次第でございます。保険審議会の審議、現在審議の途中にございまして、これからもいろいろな点から検討が行われる予定になっておりますけれども、一応ことしの夏の前までにはその答申を得まして、それを踏まえて行政として夫婦年金についても答申の成果を反映をさせてまいりたいというふうに考えております。
 それから、夫婦年金の仕組みでございますけれども、これは形としてはいろいろあるわけでございますけれども、保険審議会の場に私どもが御説明をいたしましたものは、単生年金と申しますか、夫は夫、妻は妻という形で年金に入りますと、例えば片方の方が亡くなった場合のことを考えますと、なかなかそのニーズに合った適切な年金額の設定が難しい。例えば仮の計算例といたしまして、夫婦が二人とも生きている場合には年金が仮に月十万円必要だ、しかし、片方が亡くなった場合には月七万円でいいというふうなことを考えますと、今までの夫も妻も別々に入るというやり方ですと、五万円、五万円にそれぞれが入るか、あるいは七万円、七万円にそれぞれが入るか、そのどちらかのコースしかあり得ないわけでございます。そうしますと、五万円、五万円にいたしますと、片方の方が亡くなった場合に二万円不足をしてしまう。七万円、七万円に入っておきますと、片方が亡くなったときのニーズに合うんですけれども、両方とも生きていらっしゃるときには十四万円ということで保険料が高くなってしまう。そういう仕組みを適正なニーズに合わせるために、両方生存している場合には十万円、それから片方だけになった場合には七万円、こういう仕組みの年金が考えられるわけでございます。審議会の場で、私どもといたしましてはそういう形はどうだろうかということで、審議の材料ということで提供をいたしております。
 これからの個人年金がどういうふうにあるべきかと、そういうお尋ねでございますけれども、私どもといたしましては、公的な年金制度、これが全国民に共通的な基礎的な年金保障を提供するものである、したがいまして、老後の所得保障の中核的なものは公的年金ではないか。しかし、それを超えるいろいろな多様なニーズというのがあることも事実でございます。したがいまして、民間年金保険会社の年金保険商品というのは、そういう公的年金がカバーする部分を超えるいろいろなニーズ、これは所得とかあるいは家族構成とかいろいろ違うわけでございますけれども、それに合わせて、それぞれ生命保険事業の中でいろいろなよい商品を開発し普及をしていく。夫婦年金も同じでございますけれども、そういう意味で各社がいろいろ創意工夫をするものを尊重いたしまして、魅力のある年金商品が提供されるように行政としては指導をしてまいりたいと、このように考えております。
#272
○中野鉄造君 そうすると、この夫婦年金の場合ですが、俗に言う掛け捨て、そういうようなことにはならないわけなんですね。
#273
○説明員(龍宝惟男君) 生命保険会社が提供いたします年金商品の場合には、保険数理を適用いたしまして、あらかじめ死亡率その他を組み込んでございます。したがいまして、確定年金とかあるいは一生涯保障のある終身年金とか、いろいろな形がございますけれども、いわゆる保険数理の中にそういう問題が組み込まれて保険料が設定されておりますので、そういう意味では広い意味での掛け捨てということにはならない、それは保険数理の中で解決をされているというふうな仕組みになっております。
#274
○中野鉄造君 今お答えになりましたように、今後そういった商品が逐次国民のニーズに合わせたいいものが出回ってくるのではないかと思いますけれども、そういうことが先ほどから論議しております国民年金、特にこの一号被保険者あたりの加入、あるいは持続して保険料を掛けていくというような期待感だとか、そういったようなものを妨げないかどうか。その点については大蔵省どう考えますか。
#275
○説明員(龍宝惟男君) 先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、やはり全国民に共通する基礎的な部分、これは公的年金がいろいろな仕組みの中でカバーをしていくんではないか。私的年金というのはその上に乗っかりまして、共通的な基礎的な部分を超えますと、所得とか家族構成とかいろいろなものによって多様なニーズ、非常にニーズがいろいろございますので、それに合ったような年金を上乗せといいますか、補完する形で提供していく、そんな感じで考えております。
 したがいまして、私どもといたしましては、やはり公的年金制度が中核的なものとしてあって、それを補完する意味でいろいろな形の私的年金が国民に提供されていく、このような位置づけで個人年金を考えております。
#276
○中野鉄造君 先ほどから何回もくどく申しておりますように、国民年金の場合は相互扶助という、そういう立場にある保険でございますから、その理念というか、それはよくわかりますよね。しかし、国民の一人一人の感情から考えた場合に、片方はややもすれば掛け捨てになるかもしれない、なる可能性もあり得る、片一方は絶対に掛け捨てにはならない、こうなった場合にどうなんでしょう。老後の保障というような面も含めて考えた場合にどっちが補完なのか。主客転倒するんじゃないかというような考えさえ持つんですけれども、この点、年金局長いかがでしょうか。
#277
○政府委員(吉原健二君) 私どもは、先ほど大蔵省からお答えのございましたように、やはり老後生活の基礎的な部分、共通的な部分は公的年金でしっかり支える。そのいわば上の部分を個別のニーズにこたえた形で個人年金でやっていただくと、こういうことでございますから、掛け捨てになるならないの問題もございますけれども、おのずとその制度の持つ役割なりねらい、機能が違うわけでございますから、相互補完的に併存する形で、言いかえれば共存共栄的な形でやっていけるのではないか。また、そういうふうにやっていかなければ、老後の本当の国民のいろんな方々の老後の多様なニーズにはおこたえすることができないのではないか。
 そういったことから、当然その制度の、何といいますか、保険料の額でありますとか掛け方、仕組み、給付の仕組み、そういったものの違いが出てくる。公的年金の場合には、どうしてもある程度非常に定型的なものにならざるを得ない。個別年金、私的年金の場合には、非常に多種多様な弾力性の多いものになっていかざるを得ない。そういった違いは御理解をいただかざるを得ないというふうに思うわけでございます。
#278
○中野鉄造君 国が行う年金制度、今度の改正、私この前もちょっと申し上げましたように、確かにマクロな面から見れば、健全な年金財政の将来を保っていくためには、今回の改正、これは結構だと思うんですけれども、ミクロな面から見た場合に、特に先ほどから申しております一号被保険者あたり、特に国民年金の中にはそれこそピンからキリまでいろいろな人たちがいらっしゃる。老後に本当にそういう社会的保障を必要とする人たちは、この国民年金の加入者の方々にたくさんいるわけですけれども、こういう人たちの保険料、あるいは年金の受給額、こういったような個々のいわゆるミクロな面を見たときには、今回の改正というものは非常に過酷なものになっている、そう結論づけることができるんじゃないかと思うんですが、この点いかがでしょうか。
#279
○政府委員(吉原健二君) 確かに今までの当委員会での審議でもいろいろ御指摘がございましたけれども、ミクロというお話がございましたが、そういった面から見ますと、まだまだ不十分な面は私ども十分に認識をいたしているわけでございます。
 ただ、どうしても国民年金の難しさといいますのは、繰り返し申し上げますけれども、非常に多種多様な方、所得のある方ない方全部ひっくるめて強制加入をして、一定の保険料を納めていただいて、長い期間加入をしていただいて年金を出す、こういう仕組みをとっておりますので、どうしても個人年金に比べますと魅力に乏しい面もございますし、あるいは掛け捨てになるという側面も率直に言ってあるわけでございますけれども、その点はやはり社会保障としての年金と私的年金との違いということで御理解いただきたいと思いますし、私どもも競争するつもりはございませんけれども、またその必要もございませんけれども、国民の方々にとってできるだけ魅力のある公的年金、国民年金というものに今後とも仕上げていく必要があるというふうには思っております。
#280
○中野鉄造君 大蔵省としては、先ほどから出し上げておりますように、今後いろいろな国民のニーズに応じていろんな商品が出てくると思うんですけれども、今後どんどん認可していくというか、今年金局長お話しになっておりました、決して競争していくつもりはないとおっしゃっておりますけれども、先ほどからもお伺いしておりますように、国民皆年金を妨げるものではないというそういう立場に立って、今後もどんどんそういうものは認可していかれますか。
#281
○説明員(龍宝惟男君) 先ほどから申し上げておりますように、私どもとしては、やはり公的年金がまず中核にございまして、その上にあります個々のいろいろなニーズにうまく対応できる個人年金、これをやはり開発、普及していくことが国民のニーズにこたえ得る道ではないかと思います。
 たまたま生命保険事業というのはそういう役割を担っているわけでございますから、これは各社今後それぞれ創意工夫を凝らしていくと思いますので、そういうのを尊重し、魅力のある年金商品というのが開発されるように指導をしてまいりたいと思います。
#282
○中野鉄造君 厚生大臣、今大蔵省はそういうお答えがありましたけれども、こうなってきますと、単純に考えて、本当に国民の老後の、お年寄りの生活というのが非常に貧富の格差というものがひどくなってくる。それはいろいろ節約をして老後のためにそういう備えをした人なんだから当然だといえばそれで終わりかもしれませんけれども、そういうような現象が出てくると思うんですけれども、この点についてはどういうふうにお考えですか。今大蔵省は、今後どんどんいいものはつくっていくと、こうおっしゃっていますが。
#283
○国務大臣(増岡博之君) 私どもは、たびたび申し上げておりますように、老後の生活の基本的な部分というものに着目いたしまして、それを保障するという意味で物価スライド、生活水準にスライドするという、これは一面では私どもの年金のメリットといいますか、セールスポイントにもなるのではないかというふうにも思っておるわけでございます。しかし、なおその上必要に応じてみずから自助努力でなさるものにつきましては、もちろん総体的に言えば歓迎すべきことでございましょうと思います。
 ただ、私どもの年金が世代間の連帯といいますか、次の世代におんぶをするというような格好になるシステムでございます。片一方、個人年金の方は恐らく自分が出したお金をそのまま金利をつけましていただくというシステムでございますので、このことがすぐ貧富の格差を拡大するということにはつながらないんではないかというふうに思いますけれども、自助努力をなさる方となさらない方との差は若干あり得ることではないかというふうに思っております。
#284
○中野鉄造君 この問題について論議すれば切りがありませんので次に移ります。
 この老齢福祉年金の現行額に対して、五年年金、十年年金の年金受給額が、これは非常に低いように思いますけれども、特にこの五年年金、十年年金の受給者は自分の老後の生活確保の上からも一生懸命この保険料を拠出されているわけですけれども、それでも出せないという人もいらっしゃる。しかし、今申しますように、保険料を出した人と出さない人と、これは若干の差しかないわけなんですね。例えば、老齢福祉年金と五年年金の受給者と比べますと、わずか二百五十八円の差しかない。十年年金との差は四千七百七十五円。特に今申します五年年金との二百五十八円の差というのは、これはもう片一方は掛けた人、片一方は全然掛けていない人、これはいかがなものかと思うんですが、この点についてはいかがですか。
#285
○政府委員(吉原健二君) この五年年金、十年年金、これは国民年金のいわば拠出制年金としての年金でございまして、福祉年金は全額国の負担による、税の負担による無拠出年金でございますけれども、実は制度の発足当初におきましては、御案内のとおりもっと差があったわけでございます。しかしながら、福祉年金の受給者、これは拠出制年金に加入したくても、制度発足時にはもう相当の年齢に達していたために加入ができなかった人たちである。加えて、こういった今の老齢福祉年金の受給者は、今日の日本の繁栄、発展のために大変貢献をされた方々である。そういったことから、できるだけこの福祉年金の額というものの水準を上げるべきであるという考え方に立ちまして、国の財政事情もそれを許すような条件があったわけでございますけれども、できるだけ拠出制年金に近づける、あえてそういうふうな政策というものがとられてきた。こういったことから、現時点におきましては、おっしゃいますとおり、五年年金と福祉年金とはごくわずかな差しかなくなってきているわけでございます。
 これにつきましては、本来の制度のあり方、金額の決め方としてはどうだろうかという御議論も確かにあるわけでございますけれども、従来、これまではできるだけ福祉年金の年金額というものを年金らしい額に上げていく、またその必要があるではないかと、政策的にも必要だという観点からこういった姿になってきているわけでございます。
#286
○中野鉄造君 今の年金局長のお話、それは現在の結果でございます。ですから、これの発足時にはそういう多少の差があったけれども、今や差がない、だから、それをこのままでいかれるおつもりですか。
#287
○政府委員(吉原健二君) 今後ともこの差でいくかどうか。いわば五年年金と福祉年金の差がほとんどなくなってきているということがございますので、福祉年金の額は五年年金の額よりも高くすると、こういうわけにはまいりませんので、福祉年金の額も、今後国の財政の許す限りできるだけその水準を上げていくということは必要だろうと思いますけれども、それは同時に五年年金、十年年金の額に影響してくる。さらに五年年金、十年年金が、十五年なり、現在受けておられる方は十九年年金がいわば最長の年金でございますけれども、そういったものにまた影響してくる。ひいては二十五年なり四十年を掛けられましたこの新しい制度での五万円の給付水準にも影響してくるわけでございますから、今後年金の水準につきましては、福祉年金も含めまして全体への影響というものを考えながら、バランスのとれた水準というものに今後意を用いていく必要があるだろうというふうに思います。
#288
○中野鉄造君 次に、厚生年金及び国民年金の受給平均期間について、五十八年度時点を見た場合、どういうふうになっておりますか。
#289
○政府委員(長尾立子君) 本来、老齢年金の受給者の平均受給期間は、支給開始年齢と平均余命との差ということになろうかと思います。
 それで、現実の問題といたしましては、先生今御議論がございましたように、国民年金の被保険者の場合には、人口構成全体で見ますと、高年齢層はいわば福祉年金グループに入っておられますので、受給者といたしましては世の中の人口構成全体を表現しておりませんで、若い世代の、若い老齢年金受給者という構成になっておるわけでございます。そういうような影響がございますので、五十八年度中に亡くなられた方という方をとって平均を見てみますと、厚生年金の場合は、男子の方で約十年、女子の方で八年、国民年金の場合は男女とも約六年ということになっております。
#290
○中野鉄造君 今お答えがありましたように、約六年ですね、国民年金の場合。厚生年金で男が約十年、九・五年、女性が七・八年、こうなっておりますが、個人年金と違いますので、年金の掛金に比して元を取ったとか元を取らないとか、こういう論議もおかしいとは思いますが、四十年掛けた割にはその受給期間がこういう六年ないし七年、これは、その元を取ったとか取らなかったとかいう図式の計算でいきますと、元を取らないままに死んでいくということになるわけなんですが、この点についてはいかがお考えですか。
#291
○説明員(田村正雄君) お答えいたします。
 先ほど年金部長がお答えいたしましたのは、実際の受給者の平均の受給期間でございましたけれども、先生の御質問にお答えする内容といたしましては、むしろ平均的にこれからどれぐらい受給する方が出てくるだろうかと、こういうお話ではないかと思います。
 そういたしますと、これは例えば国民年金の場合でございますと、国民全体の平均余命、例えば年金受給年齢からの平均余命と、そういうふうにお考えいただければよろしいわけでございまして、例えば私ども今の財政計算で使っております死亡率によりますと、六十五歳からの平均の受給期間といいますのは、男の場合で十四・六年でございます。女の場合は十七・七年と、こんなふうになるんじゃないかと思います。
#292
○中野鉄造君 では次の質問に移りますが、現在障害者の方が、障害年金を受給をされておる方で国民年金に加入しておられる方、どのくらいいらっしゃいますか。障害年金を受けながら国民年金にも加入しておられる人、どのくらいいらっしゃいますか。
#293
○政府委員(長尾立子君) 先生の御質問は、厚生年金の障害年金受給者という意味でございましょうか。――厚生年金の障害年金受給者は、五十八年度末現在で二十三万九千人ほどおられるわけでございますが、国民年金の場合に、現在任意加入被保険者の方は七百二十一万人ほどおられます。
 それで、実はこの任意加入被保険者の種分けでございますが、国民年金法上任意加入できますのは、今先生御質問のように、障害年金を他制度から何かの年金給付を受けておられる方、それから多くの場合が被用者年金の配偶者ということになっております。それで、業務統計上は任意加入の原因別にとっておりませんで、任意加入であるか強制加入であるかという種別とそれから男女別という形で統計をとっておりますために、先生の御質問の具体的な数ということになりますと、業務統計上はちょっと申し上げられないということになるわけでございます。
#294
○中野鉄造君 今数はわからないということですけれども、かなりの方がいらっしゃると思います。そこで私はこの点についてお尋ねいたしますけれども、これまで並列的であった年金制度が、今回の改正で国民年金を土台とする制度に統合するために、通算の老齢年金は廃止されて六十一年の四月以降新しい制度として発足するということになっていますけれども、ところが今も申しますように、障害年金を受給している方がわざわざ国民年金に加入して通算老齢年金のために備えてきた、その加入期間と保険料が全く掛け捨てになってしまうというこのことですね。
 障害年金を受給している方でも国民年金に加入すればその分についての通算の老齢年金が受給できますよという現在の制度、また、そういう約束に従って加入してこられた方々が、六十一年四月でそれこそ何の経過措置もなく、配慮もなく、あっさりと完全にこれはもう打ち切りになってしまう。決してこういう方は不正な方法で加入したわけでもない。保険料を払わないで来ているわけでもない。それなのに、今言うようにこの人たちは打ち切られるわけですけれども、長期間、中には長い年月入っている人はそれこそ十何年か障害年金を受けながら国民年金に加入し、保険料を納めてきたという人たちもいらっしゃるわけです。そういう人たちにとってみれば、今まで納めた保険料、何十万という人たちが六十一年四月を境にそれは水泡に帰するわけですが、そういうことから考えると、本当にこれはこんなことでいいだろうか。制度がこういうように改正されたからしようがないと簡単にあきらめられる問題でもないと思います。
 しかも、全国にこういうような人が今何人いらっしゃるか的確にはわからないということでありますけれども、この人たちは、こういうようなことに六十一年の四月からなるということを御存じなんでしょうか、それがまず一つですね。そういう人たちにはどういうようにしてそういうものはすべてこれから先は無効になりますよということを通知してあるのかないのか。御本人たちは多分これは御存じないと思うんですよ。しかもそういう人たち、今何回も申しますように全然これは無に帰してしまうわけですけれども、今までのこの人たちの納付の経過を見てみましても、納付がちょっとおくれると督促状も来ておった。また、資格の区別はあったとしても保険料は同額であった。そういうようなあげくに今度こういうことになってしまったわけです。
 何回も申しますように、こういう人たちに対してはこの際何らかの経過措置というものをとってしかるべきじゃないかと思うのでありまして、悪いのは制度であって制度に従ってきた人じゃないということを強調したいんです。こういうような全く寝耳に水というか、やぶから棒にいきなり営々として納めてきた保険料、しかもそれが健康な人ではない、障害を持った人たちが長年納めてきた保険料がある日突然一片の制度改正という名のもとにそういうものが打ち切られてしまう、こういうことがあっていいものか、そういう憤りを感ずるわけです。
 今も申しますように、何としてもこういう人たちには経過措置として、六十一年三月までの国民年金の任意加入期間はその人が六十五歳になったとき特例の老齢年金として生かす、支給する、こういう方法をとるとか、あるいはそれができないならば、せめて六十一年三月まで納めたその任意加入期間の保険料は戻してもらう。相手は障害者なんです。そのくらいの措置はあって当然じゃないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
#295
○政府委員(吉原健二君) この問題につきましては、前回の当委員会においても御指摘を受けた問題でございますけれども、私どもの考え方を申し上げますと、既に現在の厚生年金保険制度の中では、障害者の方が引き続いて厚生年金に加入をしておられる。そういたしますと老齢年金の資格を受けられるわけですけれども、その老齢年金と障害年金とはどちらか一つ選択をすると、こういう仕組みになっているわけでございます。そういった一つの制度間のいわば併給の調整、年金は二つ受けられる場合でも一つを選択するという仕組みを今度は国民年金も含めましてその適用を広げたために、従来厚生年金の障害年金を受けておられた方が国民年金に任意加入をしておられた場合、従来ですと両方受けられるという制度の仕組みになっていましたものを、同じような考え方で今後は併給を調整していく、一つ選んでいただく、こういう仕組みをとったために御指摘を受けるような事態になったわけでございます。
 考え方として、私どもできるだけ一人の方に二つ以上あるいは三つの年金、そういったたくさんの年金が出ないようにして、本当に必要な方には手厚い給付を受けるようにという仕組みを徹底させるという趣旨でこういった措置をとったわけでございますけれども、御指摘を受けまして、やはり従来任意加入でせっせと障害者の方が自分の老齢年金のために保険料を納めてこられたわけですから、大変申しわけないという気持ちはいたしているわけでございます。
#296
○中野鉄造君 それは申しわけないは当然ですけれども、これは申しわけないで済む問題じゃないと思うんですね。何らかの措置をしていただかなかったならば、この人たちはまさに踏んだりけったりだと思うんですが、いかがですか。
#297
○国務大臣(増岡博之君) このことは、一人一年金という原則を貫いたがために生じた問題であろうと思います。
 一人一年金という趣旨には合理的なものがございますけれども、しかし、御指摘のような障害者ということもございますので、御趣旨を踏まえまして検討させていただきたいと思います。
#298
○中野鉄造君 重ねてお尋ねいたしますが、趣旨を踏まえて検討するということですが、前向きに検討するとお約束していただけますか。
#299
○国務大臣(増岡博之君) 前向きに検討をいたします。
#300
○中野鉄造君 次に、厚生年金の件でございますけれども、国民年金の抜本的改正に伴って基礎年金部分を取り入れ、今までサラリーマンの妻は国民年金に任意で加入しておったものが、厚生年金加入者の六十一年度よりの保険料一二・四%に含まれて基礎年金部分を賄ってもらうという、そういう形をとるわけですけれども、四十年加入して現役男子の平均標準報酬月額二十五万四千円の六九%に当たる十七万六千二百円、月額年金として支給を受けることになるわけですけれども、この試算から見まして、一人の勤労者が四十年間に保険料をどのくらい納めることになるわけでしょう
か。
#301
○説明員(田村正雄君) 申しわけありません。手元に今計算した数字がございませんので、後でまたお示ししたいと思います。
#302
○中野鉄造君 では、この問題は後回しにして次に参ります。
 年金給付額が各種年金ごとにいろいろなばらつきが大きくなっておりまして、御承知のように、例えば月額二万五千円程度の老齢福祉年金、三十万円を超す共済グループ、年額で一千万円に達する年金の受給者、こういうようないろいろなばらつきが発生しておりますが、月額三十万円前後の年金を受給している人は、これは当然現役時代にはかなり高い報酬を長期間にわたって所得しておった人たちですけれども、こういう経済的にも恵まれている老人、そういう老人に対しまして補助金を一人当たり百四十万ですか、出す必要があるのかとこういう考えも出てくるわけですけれども、今回の全体的バランスを見て、この大改革にふさわしい検討をしていただくべきときではないかと思いますが、この件についてはいかがですか。
#303
○政府委員(吉原健二君) 恐らく国庫負担のあり方についての御質問だと思いますけれども、確かに、今までの年金給付の一定割合に対して国庫負担をするという考え方をとっておりますと、年金額の高い人にはそれだけ高い国の負担がつく、低い人には低い国庫負担しかつかない、こういうことになるわけでございまして、そういった意味におきまして非常に不公平といいますか、アンバランスがあったわけでございます。そういった御議論も踏まえまして、新しい制度におきましては、国の負担というのは基礎年金部分、各制度共通の基礎年金部分、具体的には四十年納付した方に対する五万円の三分の一相当額を国が負担する。総体としての年金額がどのような額であろうとも、国の負担は一番底の部分の基礎年金部分、共通部分の五万円の三分の一を国が負担をする、こういう基本的な仕組みに国庫負担を改めたわけでございます。
 そういった意味におきまして、この新しい制度におきましては、国の負担の面におきましても国民共通の非常に公平でかつバランスのとれた姿になったものというふうに考えております。
#304
○中野鉄造君 やはりおっしゃったような意味において、年金の一律スライド主義は不公平きわまりないと思うんですけれども、そうお考えですか。
#305
○政府委員(吉原健二君) 一律スライド主義といいますか、年金額に対する一定割合の国の負担というやり方は非常に不公平であるというふうに思います。
#306
○中野鉄造君 次にお尋ねいたしますが、同じサラリーマンでありながらサービス業だとか、あるいは小さな零細の商店など五人未満の事業所の従業員の方々は、現在、自営業の方々と一緒に年金制度は国民年金に加入しているのが現状でございますが、法人組織になっておりながら条件の悪い国民年金に加入させられているサラリーマンの方々もかなりいらっしゃると思うんですけれども、現在、こういう立場の人たちがどのくらいいらっしゃいますか。
#307
○政府委員(長尾立子君) 五十六年十一月現在の調査で申し上げさしていただきます。
 先生の御質問は、法人組織を持っていながら未適用事業所になっておるものの、それに勤務しておる従業員数ということと思いますが、この数字で申し上げますと、百二十一万九千人ということになっております。
#308
○中野鉄造君 今のお答えは、法人組織に限って言われたと思いますけれども、法人になっているといないとにかかわらずいわゆる五人未満の事業所、そういったようなものはいかがでしょう。
#309
○政府委員(長尾立子君) 失礼いたしました。個人の場合を合計いたしますと三百六十五万五千人でございます。
#310
○中野鉄造君 事業所の数は。
#311
○政府委員(長尾立子君) 事業所の数は九十万四千と考えております。
#312
○中野鉄造君 それを、今回の改正によって全体的な実施時期を三年間の幅を設けられているようですけれども、これは相当前向きに取り組んでいかなければ具体的な法の施行というのは難しいんじゃないかと思いますが、実際問題としてどういうような取り組みをしていかれるおつもりですか。
#313
○政府委員(長尾立子君) 今回の改正案におきましては、法人組織を持っております未適用事業所につきまして適用をしていくということになっております。
 この法人組織を持っております未適用事業所のうちに、業種別に見まして、例えばいわゆるサービス業等、飲食業等によりまして、五人以上の従業員を持っていながら未適用になっておるものがあるわけでございますが、法人の事務所、事業所じゃなくて事務所の方につきましては既に適用になっておりますので、いわば従来ある意味で私どもとの適用関係があるグループでございますので、こういう観点から見ますと、との未適用業種の事業所についての適用をまず最初にやっていきたいと思います。
 その次に五人未満事業所の適用をやっていくわけでございますが、先生御指摘のように、なかなかにその事業の実態が非常に不確実な要素を持っておるところでございますので、その適用のやり方が大変に難しいと思っておりますが、私どもとしましては、年次計画で、例えば規模別に計画を立てていく、それから各業界のこういった組織に協力をお願いするという形で適用を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
#314
○中野鉄造君 ところが、例えば事業主のいろいろな無理解で、なかなかこれが簡単にはいかないのではないかということが想像できるんですけれども、そういうような、何回言ってもなかなか事業主がそれに応じようとしないというような場合には、何かペナルティーがあるんですか。
#315
○政府委員(長尾立子君) これは、今回の法律改正によりまして、この法人組織を持っております未適用事業所につきましては強制適用ということになるわけでございますが、実際、現在法律に規定しております罰則等はかかっていくわけでございますが、そういった罰則の適用以前に、先生御指摘の各事業主の御理解を得るための努力を一生懸命にやらしていただきたいというふうに思うわけでございます。
#316
○中野鉄造君 まあ直接関係はないかもしれませんけれども、大蔵省としては、この法人組織となっているそういう事業所、事業主に対しては、厚生年金加入に努力を怠るような場合が生じたら、大蔵省としても何か行政指導をしていくというような対応はないのですか。また、先ほどから申しておりますような点については、厚生省とよく横の連携をとっていくというような用意もありますか。
#317
○説明員(龍宝惟男君) 御説明いたします。
 いわゆる企業年金の分野につきましては、私ども直接所管するところではございませんが、いわば受託者として生命保険会社でありますとかあるいは信託銀行がこれをやっているわけでございます。そういう意味で、厚生省とは常々いろいろ御相談をさせていただいておりますけれども、加入者の普及とかその辺の問題につきまして、大蔵省が直接的にそれをやるということはなかなか難しい面があるんではないかというふうに考えております。
#318
○中野鉄造君 次に、厚生年金と国民年金の保険料積立金の累積見通しについてお尋ねします。
 六十年度五十一兆九千九百六十八億円、こういうように試算されておりますが、この年金積立金の運用について、全額を資金運用部に預託するのではなくて、一部国債購入等の自主運用に回して運用益を年金加入者に還元すべきだと、こういうように思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
#319
○政府委員(吉原健二君) 現在はこの年金積立金につきましては資金運用部に預託をいたしまして、その一部を還元融資として受けまして、それを被保険者の福祉に役立つ分野に融資をしているということでございますけれども、私ども、この年金積立金につきましては、できるだけ保険料を拠出した事業主なり被保険者の福祉に役立つと同時に有利にこれを運用して、将来の年金の給付の原資に充てていくと、こういう考え方をとっているわけでございまして、特に最近は有利運用に対する要請が大変高まってきているわけでございます。一方、この年金積立金は、資金運用部に預託されますと国の他の資金、郵便局の郵便貯金等と合わせまして国の財政投融資の一環として運用されているわけでございますので、大蔵省といたしましては、なかなか国の資金の統一的な運用ということをできるだけ確保したいという強い意向を持っておりますので、この年金積立金についてだけ特別な利子をつけるとか、あるいは特別な使途に回すということが困難だというのが大蔵省の考え方でございます。
 しかしながら、私どもとしてはやはりこの年金積立金は法律に基づいて強制的に事業主なり被保険者に拠出をしていただく、将来これは年金の給付の大変重要な原資になるということでございますので、できるだけ今後有利な運用ということで、大蔵省とさらに折衝を続けてまいりたい。同時に、やはりこの運用の仕方につきまして、拠出者の意向というものがよりよく反映されますようなやり万につきまして、大蔵省とも協議を続けてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
#320
○中野鉄造君 社会保険審議会の厚生年金部会からの意見書でも、やはり自主運用を基本とする方式を採用すべきだということが言われておりますけれども、大蔵省はいかがですか。
#321
○説明員(龍宝惟男君) 私、本件につきまして所管ではございませんので、お答えしにくいわけでございますけれども、ただいま厚生省からお答えがありましたように、この問題につきましては、従来から大蔵省と厚生省との間でいろいろ調整、検討、また折衝が行われている問題でございますので、今後とも引き続いてそういうものが続いていくのではないかというふうに考えております。
#322
○中西珠子君 私は、きょうは婦人の年金権に関してお聞きいたします。
 職業を持っていて本人が厚生年金の被保険者として保険料を支払っている独身の女性、そしてまた共働きの妻というものを、厚生年金加入者の無業の妻と比較した場合に、自分が保険料を払わなくても夫が四十年間保険料を支払えば基礎年金五万円は確保される。四十年間で五万円という年金の額が大変少ないということは今のところは別問題として、後でまたこの問題を取り上げますけれども、とにかく夫が四十年間保険料を支払えば基礎年金五万円は確保されるという専業主婦と比較した場合、専業主婦の方がずっと有利となる。専業主婦のこれは優遇策である。早く言えば女は家庭へ帰れという政策から端を発している発想である。こういう批判が働く婦人の中から出ておりますが、厚生大臣のお考えをお伺いいたします。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
#323
○国務大臣(増岡博之君) 私どもは、決してそういう意図を持ってやっておるわけではございませんで、むしろ、家庭婦人の場合に未加入でありました際には、離婚とか障害とかいろいろの場合に保障の面で欠けるところがございますので、そちらを安定をさして差し上げるという意味合いから全員加入にいたしておるわけでございまして、決して御指摘のような意図を持ってやっておるわけではございません。
#324
○中西珠子君 しかし、いろいろ独身の働く女性、また共働きの妻というものの場合を考えましたら、なかなか不利な点があることは否めないと思うんでございますね。例えば共働きの婦人の配偶者が死亡した場合、夫の遺族年金と自分自身の老齢年金とを併給防止のために選択するということになりますが、御承知のとおり、婦人の平均賃金は男性に比べて非常に低いわけですね。全産業で男性を一〇〇とすると婦人の賃金は五二・二、製造業では四三と、そういった状況であるときに、選択を迫られればやはり夫の遺族年金の方が高いから自分自身の固有の年金というものを放棄して夫の遺族年金の方を選択するということになる場合が多いのではないか。これでは婦人の年金権の確立と言えないと思います。これが一点。
 それからまた、そういった選択を行った場合は、自分自身が支払ってきた保険料は掛け捨てになるということを非常に働く婦人の方々は主張しておられるわけでございますが、この点に関しては厚生大臣はどのようにお考えになりますか。これでも婦人の固有の年金権は確立されているのだとおっしゃいますか。
#325
○政府委員(吉原健二君) この問題につきましても、先ほど来再三お答えをさしていただいているわけでございますけれども、やはり一つの制度から同一人に対しまして二つ以上の年金が出る、その場合にはどちらか選択をしていただく。これはやはり私保険の場合と違いまして、社会保障としての公的年金の中ではやむを得ない。そのことによって本当に必要な方にはできるだけ手厚い年金を出すような道をつくっていくと、こういうことでございますので、たまたま自分の老齢年金と遺族年金と受けられる場合におきましてどちらか一つを選択をしていただくということは、これは御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。
#326
○中西珠子君 国際婦人年日本大会の決議を実現するための連絡会というのがございますね。これは四十八の婦人団体からできている連絡会でございますが、そこが出しました要望書の中で、これは厚生大臣のお手元にも行っていると思うんですけれども、この点を非常に強く要望しているわけでございます。「夫と妻がともに厚生年金加入者である場合には、一方が死亡したときの遺族給付については、死亡した者の老齢厚生年金の全額を遺族年金として相互に支給することを考慮されたい。これはイギリスにおいてすでに制度化しているものであり支払った保険料への給付として当然の処遇と考える。」ということを強く要望しているわけでございます。
 この点に関して厚生省は考慮なすったことがありますか。一度も考えたこともなくて、併給防止ということだけを主張していらっしゃるわけですか。こういった制度をお考えになったことがありますか、こういった可能性もあるかどうか。余りにも不利にならないように考えてやろうではないかということをお考えになったことはございますでしょうか。
#327
○政府委員(吉原健二君) 基本的な考え方は、できるだけ重複やむだな給付は整理をしていく、その一方で必要なところにはできるだけ手厚い給付をしていく、こういう考え方で従来もやってまいりましたけれども、今回の新しい制度におきましては、その点を特に徹底をさしたということでございます。
 併給の調整につきましても、私保険の場合ですと二つ以上保険に入っていた場合には一定の条件に該当したときにその両方から年金がもらえる、これは当然でございますけれども、公的年金におきましては、やはりその辺の調整をいたしまして、どちらか一つの年金を受けられるようにする、そのことによってできるだけ低い保険料でいわば内容の充実した年金にしていく、こういう考え方をとっているわけでございます。国際条約、あるいはILO等の考え方も十分踏まえました上で、このような措置をとらしていただいたわけでございます。
#328
○中西珠子君 いずれにいたしましても、働く婦人が非常にその点に憤りを持って今度の改正案を眺めている、そして反対しているということはよく記憶にとどめておいていただきたい。そしてまた、何らかの救済措置があるならば考えていただきたいということを重ねて要望いたします。
 そして、なるたけ厚生年金の保険料は安くとどめたい、そのために併給防止をしたいとおっしゃいましたけれども、女性の厚生年金受給開始年齢を改正案は十五年かけて六十歳に引き上げること
にしていて、また、保険料率は〇・二%上げるというふうにしていますね、二十年の経過期間を置いて上げるということですけれども、これはやはり引き上げ幅をもっと少なくしてほしい、現行の〇・一%ぐらいにとどめるということを主張しているわけですが、この点に関してお聞きしたいんです。
 現在、六十歳定年を実施した企業は本当に半数しかなくて、その上女性の定年退職年齢は男性よりもずっと低いという差別的な定年制がまだまだ存在しているという実情にありますから、これを十五年かけて六十歳に引き上げるということは少し酷なのではないか。女子の六十歳支給ということを実現するにはやはりそういった定年年齢というものを考えていただいて、二十年の経過期間ぐらいを置いていただきたいということを要望したいんです。
 それから、〇・二%は〇・一%程度になだらかに引き上げるというふうにしませんと、低賃金で働いている、そして厚生年金に入っている女性の立場というものは非常に困難になると思いますが、この点はいかがですか。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
#329
○政府委員(吉原健二君) 女子に限らず、できるだけ低い保険料で早い年齢から高い年金をもらいたい、これは率直に言いまして国民のだれもが望んでいることだろうと思いますが、今日の我が国の年金制度の置かれている状況、あるいはこのままでの将来の姿というものを考えました場合に、やはりそういったことではなかなかやっていけないということがはっきりしているわけでございます。
 女子の現在の支給開始年齢五十五歳というのは、決められましたのはこの厚生年金ができました昭和十七年でございますけれども、そのときの女子の平均寿命というのはやはり五十歳前後でございました。五十歳前後の平均寿命のときに女子の支給開始年齢が男子と同じ五十五歳であったわけでございます。現在は御案内のとおり女子のゼロ歳のときの平均寿命でもう八十歳になっているわけでございますし、五十五歳以降の平均余命というものを考えますと、何ともう二十五年を過ぎまして三十年に近いような長い年数になっているわけでございます。そういったときに、昭和十七年にできました女子の支給開始年齢をそのまま今後とも残しておくのがいいかどうか、また残しておくべきかどうか、また、それが可能かどうかを考えますと、やはり将来の女子に対する年金制度の安定、しっかりしたものに確保していくということを考えますと、やはり長い時間をかけて徐々に五年間程度の支給開始年齢の繰り延べ、これはひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 女子の保険料率につきましても、従来ともなかなか女子の方については年金に結びつかないがゆえに保険料率も低い料率ということで設定をされてきたわけでございますけれども、今日の姿におきましては必ずしもそうではないわけでございます。できるだけ早く男女の保険料率の差というものを是正していくべきだというのが審議会等の御意見でもございましたので、従来よりも若干ピッチは速くなりますけれども、女子の保険料率というものをできるだけ早く男子に合わせていくというような考え方で、かようなことにさしていただいているわけでございます。
#330
○中西珠子君 女性の平均寿命は非常に男性よりも長いわけですね。だから、もうとにかく五十五歳よりも引き上げて六十歳の支給開始年齢ということに早くしなければいけない、保険料ももっと上げなければいけないということは、結局働く婦人の立場ということを余り考えないで、財政面からだけの考慮というものが先行しているように思えるんですね。ですから、この点は私はもう少し働く婦人の立場、現況というものを配慮していただきたいということを重ねて要望いたします。
 それから、同じ四十八団体から出ている要望なんですが、働く婦人が育児とか老人介護のためにどうしても退職を余儀なくされたとき、厚生年金保険の被保険者資格を失ってしまって、家庭に戻って育児や老人介護をやった間というのは結局中断されてしまうわけです。それで、払うことができれば基礎年金のみの加入ということになるということですね。これはだんなさんがいて厚生年金の加入者である場合はその夫の保険料によってカバーされるということになりますが、これが独身であったり――独身というのはおかしい言い方ですが、独身で年をとった父親や母親を介護するとか、また母子家庭であってどうしても仕事が続けられなくなった場合には、やはりこれは国民年金の保険料が払えないというふうな状況も出てきますね。そういった場合、やはり育児及び一定期間以上の老人介護を行った婦人については被保険者期間に一定年数を加算するということをお考えいただきたいわけでございます。
 フランスでは、一児の養育について二年の加算というものを実施しておりますね。十六歳になるまでの九年間について一児の養育につき二年間の加算というものがありますし、西ドイツでも、妊娠出産の一定期間について、保険料の拠出がなくても退職直前の賃金を基準に保険料が払われたものとみなすという制度がありますし、イギリスでは、十六歳になるまでの育児期間についてはフルペンションの期間計算から除外して納付すべき期間に対する保険料納付済み期間の割合を計算する。これは障害者の介護、老人介護の場合にも同様に扱うという、このような制度が既にヨーロッパにおいては確立しているわけでございますから、このようなこともやはりお考えいただきたいと思いますが、厚生省の方では考えられたことがありますか。――全然ございませんか。育児とか老人介護、障害者の介護のために仕事をやめなければならなかった期間というものの加算というものをお考えになったことがありますか。
#331
○政府委員(吉原健二君) 先ほどもお答えいたしましたけれども、将来は外国の制度等も参考にしながら、そういうことが適当かどうか、可能かどうかは研究をさしていただきたいと思いますけれども、現在の時点でそういうことがすぐ可能かといいますと、なかなか、そのいわば前提条件ですね、育児休業の制度でありますとか老人介護の制度というものが、実はよその国では国の制度としてかなりしっかりしたものができ上がっているわけでございます。育児期間というものはある程度雇用関係は継続をする、それで保険料相当額を賃金の一部として支払うと、そういうような制度ができておりますがゆえに、年金制度の上におきましてもその期間を年金制度の上に反映をさせる、年金額にも反映をさせるということが可能になっているわけでございまして、我が国の現状は残念ながらそこまでいっていないわけでございます。
 そういった育児休業の制度あるいは老人介護の制度というものが、もう少し公の、あるいは国の制度として、あるいは雇用の制度としてしっかりした段階におきましては、あるいは年金制度におきましてもそれへの対応が可能になるのではないか、その時期までじっくりやはり検討をさしていただきたいと思います。
#332
○中西珠子君 将来の検討課題として、本当に検討してくださることをお約束くださいますか。
#333
○政府委員(吉原健二君) 諸般のいろいろなそういう労働条件あるいは雇用制度、それから児童に対する育児手当制度、そういったものの動向を見ながら、年金制度の上でもそれは研究をさしていただきたいと思います。
#334
○中西珠子君 先ほど、四十年加入した場合五万円が支給されるということは大変低いのではないかということを申し上げました。五万円というのはいろいろ根拠があるというお話がこれまで出てきて御説明があったわけですけれども、五十九年度の二級地の生活保護基準よりも低いわけですね。その上四十年の加入期間がない場合は減額にするということでございますから、本当にこれは、無年金の人をなくすという建前ながら、加入期間が短過ぎて、そして保険料が払えなくて、強制加入でありながら要件を満たさないという人が出てきて、ほとんど無年金のような状況の人が出てくる、最低の生活すら維持することができないような状況の人が出てくると思うのですが、こういった人に対する救済措置というものはお考えになっていますでしょうか。
#335
○政府委員(吉原健二君) 五万円の年金が受けられるのは四十年納めた方でございまして、いろいろな事情で四十年納められなかった方につきましては五万円を下回る年金額になると、こういうことでございますけれども、四十年保険料を納められない方、これはもういろいろ当委員会でも御審議ございましたけれども、保険料を納められなかった、能力のなかった方、所得の低かった方については免除制度があるわけでございますし、それから滞納された方につきましては、言い方は適当でないかもしれませんが、この方について何らかの手だてというのは、社会保険主義といいますか、拠出主義をとっております限りにおいてはなかなか私は難しいだろうと思いますし、年金制度というのは本来はやはり従前の所得の保障あるいは保険料を納めた方に対する所得の保障でございまして、最終的には年金制度だけが社会保障制度ではございません。ほかにも生活保護その他いろいろな福祉施策があるわけでございますので、そういった方々について全く国の手が差し伸べられないという状況にはならないわけでございます。
 そういったこともございますので、年金制度の面ではできるだけの配慮を今回もいたしておりますけれども、他の諸施策、諸制度というものもあわせ考えまして、そういった人たちに対する手当てといいますか手だてというものは、考えていきたいというふうに思います。
#336
○中西珠子君 年金制度の中でも、例えば国民年金の定額保険料というものを見直すというお考えはないのですか。定額の保険料が払えない、これからだんだん上がっていく定額の保険料が払えない人はたくさん出てくると思うんですね。そういった場合、やはり落ちこぼれを防ぐために、保険料を均等割の部分と所得割の部分に分けて、均等割の部分はできる限り多くの人に負担させていく、しかしあとは所得割にするというふうな、そういったことは考えられないんですか。
#337
○政府委員(吉原健二君) 国民年金の定額保険料を所得に応じて段階的なものにする、これは考え方としては十分あり得る考え方でございまして、できれば私どももそういった仕組みをとりたいという気持ちは持っておりますけれども、国民年金の適用対象者というものがサラリーマンではございませんで所得の把握が難しい、しかもその公平な的確な把握が難しい階層でございますし、同時に、所得の非常に低い方あるいはない方が相当含まれているということがございますので、なかなか、考え方としては十分あり得る考え方ではありますけれども、実際問題、現実問題として二段階制がとりにくいわけでございます。
 しかしながら、この問題につきましては衆議院でもいろいろ御議論がございまして、衆議院の修正で、こういった保険料の段階的な所得比例的な取り方、決め方というものにつきまして今後検討をすべきであるというような修正が衆議院の段階で行われておりますので、今後のひとつ宿題として取り組みたいと思っているわけでございます。
#338
○中西珠子君 今後の宿願としてぜひ取り組んで、いい答えを出していただきたいと思います。
 それからあと二、三分ございますのでお聞きしますけれども、婦人のパートタイマーに対する厚生年金の加入を促進する政策をとっていらっしゃいますか。
#339
○政府委員(長尾立子君) 厚生年金の適用でございますが、常態としての雇用労働者とほぼ同じような形態をとられておられるいわゆるパートの勤務者につきましては、私どもとしてはこれを厚生年金の被保険者として扱っていくようにという指導をいたしておるわけでございます。この場合、労働時間、労働日数、就業形態、職務内容等を総合的に判断をするということになっておるわけでございますが、一日また一週間の所定労働時間及び一カ月の所定労働時間がその事業所の同種の就業者の四分の三以上になっているというような形を考えまして、これを一つの基準といたしまして指導をいたしておるわけでございます。
#340
○中西珠子君 私、時間が三十七分までで、一分間オーバーしてしまいましたのでここでやめますけれども、要求した資料はやはりちゃんとお出しいただきたいと思うんですね。これはまた後ほど私要望を繰り返しますのでお願いします。そして私はこれについて、本日は二十分間ということでございますので今はやめますけれども、まだ時間が残っているはずでございますから、将来におきまして質問をする、その時間を保留いたしておきます。
#341
○委員長(遠藤政夫君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#342
○委員長(遠藤政夫君) 速記を起こして。
#343
○安武洋子君 私、前回、本法案のような大改革をいたします場合、やはり政府のとる基本的な姿勢というのは、これは国民に正確な情報、資料を提供するというふうなことで、国民が正しい判断ができなくてはだめだ、こういう態度を基本に置くべきなのに政府の姿勢というのはまことに遺憾であるというふうなことを申し上げました。私はきょうは国庫負担のあり方、それから年金の財源、婦人の年金権、このようなことについて質疑をしてまいりたいと思います。しかし、時間が非常に限られているということが残念でございます。
 初めに私は、年金に対する国庫負担について聞いてまいりたいと思います。
 先日、年金改革の論議、これはいろいろあったけれども、国庫負担を減らせと露骨に言っているのは臨調だけであるということを指摘いたしました。これは吉原年金局長もそうだということを認めておられます。
 そこで聞きますけれども、年金に対する国庫負担額、これは昭和七十年、八十年、百二十年には現行制度と比べましてどれくらい減額になりましょうか。
#344
○説明員(田村正雄君) 御説明いたします。
 五十九年度価格で申し上げまして、現行法では昭和七十年には四兆四千億でございますけれども、改正案では四兆一千億ということで、三千億円の減ということでございます。それから昭和八十年では、現行法では六兆五千億でございます。それが改正案では五兆二千億でございますから、一兆三千億の減少、それから昭和百二十年ということでございましたけれども、現行法では七兆六千億ぐらいになろうかと思いますけれども、改正案では四兆三千億ぐらいに見込まれておりますので、差し引き三兆三千億ほど減になる、こういうような推計になっております。
#345
○安武洋子君 私が言った七十年、八十年、百二十年でお答えいただきたかったんですね。
 それで、今七十年で三千億、それから八十年で一兆三千億、百二十年で三兆三千億というふうになるわけですが、これは率で見てみますと、現行法に対しまして七十年で九三%なんです。それから八十年で八〇%になり、百年になりますと六七%、百二十年になりますと五六%、ほぼ半額にもなろうかというふうな減額になってまいります。私はこの負担減を国民から見ますと、何と多額の国庫負担減、こういうことで納得ができないと思うのは当然であろうかと思いますが、こういう大きな負担減が出てくるわけでございます。国民が納得しないというふうに私は思いますが、一体大臣はどのように思われますでしょうか。
#346
○政府委員(吉原健二君) 国の負担は、現行制度の場合、それから改正案の場合でお答えをいたしましたような数字になるわけでございますけれども、現行の年金制度に対する国庫負担、これは六十一年度で二兆七千億円でございますけれども、これと比較をいたしますと現行法のままの場合はもとよりのこと、改正をいたしました場合にも大変な勢いで国の負担がふえていく、こういうことでございまして、誤解のないようにお願いをいたしたいと思いますのは、現在の年金制度に対する国の負担を将来だんだん減らしていこう、こういうことではございませんで、改正案におきまして
も現在よりもはるかに大きな勢いで実は国の負担が伸びていく、こういうことがあるわけでございます。
 もう一つ、なぜ国の負担が減ってきたかといいますと、将来の給付の全体の総額というものを抑制をいたしております。その結果保険料の負担も減ることになるわけでございます。当然国の負担も、現行制度のままに比べまして、お答えをしたような姿になるわけでございます。保険料の負担も減る、全体として国民の負担が減るということを御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#347
○安武洋子君 私が聞いておりますのは、国庫負担が現行法に比べて改正案では昭和百二十年、三兆三千億減る、現行法に比べたら五六%、ほぼ半額になるということなんですね。この数字は、これは歴然たる数字で、おたくの方からお出しになった資料ですから、これは間違いないというふうに思います。
 この数字自体、なぜおたくの方ではさっさとこのことを明らかにされなかったんですか。これは政府は最初全然明らかにしていなかったわけです。衆議院で追及されてやっと七十年までを出してこられたわけです。この七十年の資料ですけれども、実に簡単な資料を出してこられた。これです。私の方でも資料を事前に要求いたしました、質問の前に。この前は三月二十六日です。出てきたのがこれでございます。この委員会の中で追及をされて初めて今のような資料を出してこられたわけでしょう。なぜこういうことになるんですか。
#348
○説明員(田村正雄君) 御説明いたします。
 御存じのように、今度の改正によりまして国庫負担のつき方が大変大きく変わりました。厚生年金の場合で申し上げますと、基礎年金への拠出金に対する国庫負担がございます。それから、それ以外に経過的に三十六年四月前の給付には従来どおりに国庫負担がつくというようなこともございます。それ以外に、例えば国民年金サイドでございますと、障害福祉年金が基礎年金に取り込まれるというようなこともございます。それから免除期間についてはそのまま国庫負担が残る。さまざまな国庫負担のつき方がございまして、それを全部積み上げますのは大変大きな作業になるというようなことで、私ども鋭意作業いたしましたんですけれども、先生御指摘のように、衆議院の段階では昭和七十年まで計算するのがやっとであったと、こういうことなんでございます。
 それ以後も、いろいろ御要請がございましたので大変ラフな計算でございますけれども、お手元にお届けしてあるような計算をさせていただいたと、こういう経過でございます。
#349
○安武洋子君 私のところに御説明にお見えになったときには何とおっしゃったかと申しますと、出した数字に政府は責任を負わなければならない、責任を持たなければならない、だから七十年までしか出せないんだ、こういうことでございましたけれども、その理由は違うんですか。
#350
○説明員(田村正雄君) 責任を持たなければならないことは確かなんでございますけれども、そういうことで、先ほど来御説明申し上げておりますように、大変ラフなものであるという注意書きをつけた上で御提示したつもりでございます。そういうことでございまして、まだ私どもこの作業が全部終わっているとは思っておりませんで、もう少し精査したいという気持ちでおります。
#351
○安武洋子君 私、この前の質問の中で申し上げましたけれど、あなたたちは六十一年の四月の発足に対して二年の期間が必要だとか、あるいは一年半だとか、あるいは三月の二十六日、その時点で、もうぎりぎりのタイムリミットなんだとかと、こういうことをおっしゃった。それでもなおこの作業を急いで六十一年四月の発足に間に合わせるんだと、そうおっしゃる。こんな簡単な計算ですら十分できないで、なぜそういうことができるんですか。
 しかも、私が資料を要求している、委員会に出せるようになっている、それなのに私のところに持ってこないなんて全く失礼じゃありませんか。委員に質疑をさせないという姿勢なんですか。国政調査権を否定なさるという、そういう態度なんですか、厚生省というところは。お答えいただきます。
#352
○政府委員(吉原健二君) そういうことではございませんで、私どもとしては、できるだけお求めの資料、数字というものは明らかにさしていただいて十分御審議をいただく、こういうことできたわけでございます。
 国庫負担の問題につきましても、先ほど課長からお答えをいたしましたけれども、なかなか不確定な要素が大変多いわけでございます。特に国庫負担を金額でお示しすることにつきましては、なかなかはっきりしないといいますか、不確定な要素が多いことが第一。それからもう一つは、やはり今までの制度と、国庫負担の仕組みの考え方が全く違ってくるわけでございますので、こういった姿で出すことについては、やはり私どもとしては十分な検討の上出さしていただきたいということで大変おくれたわけでございますので、お許しをいただきたいと思います。
#353
○安武洋子君 こういう本案を審議をせよと出しておきながら、国庫負担のその計算も十分にできないんだと、そんなずさんなことがどこにありますか。
 申し上げますけれども、五十八年までの年金関係資料、ここの中にはちゃんと国庫負担という項目があるではありませんか。この収支見通しの中に国庫負担という項目がちゃんとありますよ。しかし、今回になってなぜ急に国庫負担というこの項目自体が落ちてしまっているんですか。あなたたちはこういう項目を落として、こういう数字を隠しているんじゃないですか。
#354
○説明員(田村正雄君) お答えいたします。
 先ほど局長からも御答弁申し上げましたように、今回改正案で国庫負担のつき方が大変変わったということが第一点で、前回と事情が違っている点でございます。前回までは、給付費の一定率が国庫負担ということで、大変簡単に算出できたわけでございますけれども、今回は、先ほど来申し上げておりますようにいろいろな部分がありまして、それぞれに国庫負担が違っております。それぞれを積み上げるというようなことで、そう簡単には出ないということだったものですから、国庫負担ということで別枠では出さずに、基本的な考え方としては、現行法の支給率とほぼ同じ、マクロとして同じになるというのが最初の方針でございましたから、そういう方針のもとで収入の中には国庫負担の額を入れたまま計算した、その結果を収支決算の結果として表示したと、こういうことでございまして、決して隠そうというようなことでやったわけではございません。
#355
○安武洋子君 改正案を提示しながら、その中での国庫負担がどう推移するかというふうなことが全然計算もできないんだと。そんな複雑なものをこの本委員会に出して審議をせよとは何事ですか。おかしいじゃありませんか。今までは、将来推計としまして、給付費それから保険料の収入、積立金の状態、それと国庫負担と。国庫負担の見通しだって、昭和五十八年度から四十二年間ずっと出しているんですよ。これは責任持たないで出した数字なんですか。そうじゃありませんでしょう。そうなんですか。ちゃんと答えてくださいよ。
#356
○説明員(田村正雄君) お答えいたします。
 四十八年から五十五年までのこの計算の結果については、その当時としては責任を持って出したと思います。
#357
○安武洋子君 その当時は責任を持ったけれども、今は持たないの。
#358
○説明員(田村正雄君) そういうことを申し上げているんではございませんで、今回は国庫負担のつき方が大変変わったので、計算の仕方が大変複雑になったということで、そう簡単には出なかったということでございます。
#359
○安武洋子君 複雑であろうと何であろうと、法案の改正を提案するんでしょう。そんな計算もし
ないでよくもそんなもの提案しますね。それで私どもに質疑をせい、審議をせよと言いますね。私は全く無責任だと言わざるを得ないと思います。私はせんだっての質疑の中でも、この年金制度の改変のねらいの一つ、それは国庫負担の削減だと、こう申しました。国庫負担の削減といいますのは、これは保険料の引き上げなどで結局は直接国民の肩にその負担がのしかかってくるわけです。このことは紛れもない事実として多くの国民が知って、それに批判の声を上げているわけです。
 私は、「年金実務」というこれは専門誌です。これを見てみましたけれども、ここで「年金大改正と今後の展望」という座談会があります。小林節夫さん、これは鹿児島経済大学の方で、元の朝日新聞の論説委員の方です。そして、私が前回指摘しました中で出てこられた小山路男さんなどとこの座談会をなさっておりますけれども、その中でも、「国庫負担を軽くしようとするねらいもあるような気がする」というふうなこともちゃんと述べておられるわけです。こういう批判をかわすために――複雑だ何だと言ったって、あなたたちは、二年なければできないという作業を、今がタイムリミットぎりぎりだと言いながら、何とか急いで六十一年四月に間に合わせると、そんなことができるんでしょう。それが、なぜこんなことが計算ができないというふうなごまかしを言うんですか。結局はそういう批判をかわし続けるために私は資料を隠してきたとしか思えませんが、いかがですか。
#360
○説明員(田村正雄君) 私ども、そういう意図は全くございませんで、例えばこの収支試算でございますけれども、これは何の目的で出したかということでございますけれども、私は国庫負担の見通しだけを見ていただくためにつくっているのではないと思っておりまして、むしろ保険料率がどういうふうになっていくかというところが一番のポイントだと思っておるわけでございます。そういう形で、私どもでは、この保険料率が一二・四に上げましたものが、一体どれくらいまで上がっていくのか、そういうところに焦点を絞って表をつくってみた、こういうことなんでございまして、国庫負担を出さないというふうなつもりでつくったものではございません。
#361
○安武洋子君 意図はどうあろうと、いろいろおっしゃいますけれども、結局、私が資料要求したのに、出せるような状態になっているのになぜお持ちにならない。やっぱりここのところで、国庫負担の削減というのが三兆三千億なんていう数字が上がってきますよね、そして、昭和百二十年になりますと五六%、国庫負担もうほとんど半分ぐらい減ってしまう。国民が見たらこんなもの納得しないです。だから私は、財政再計算の資料に今まであったのに、急にこの法案が出たとたん項目ごと姿を消すというふうなことになってきた、全くおかしいと言わざるを得ないということを申し上げておきます。
 政府が、高齢化社会が来る来るとこう言いながら、もっぱら国庫負担をこのように減らしていく、そして政府の責任を回避するというような姿勢をとり続けていると言わざるを得ないわけですけれども、政府は一体高齢化社会にどのように対応していこうとしているのか、そういう基本姿勢をまずお伺いいたします。
#362
○政府委員(吉原健二君) 高齢化社会への対応として各般の対策が必要かと思いますけれども、厚生省の所管行政で考えますと、医療の問題、年金の問題、福祉の問題、それから健康の問題、そういったことが柱になろうかと思います。
 健康保険の問題につきましては、昨年いろいろ御審議をいただいて法案を成立をさしていただいたわけでございますけれども、やはり高齢化社会への対応ということになりますと、何といいましても所得保障の柱である年金制度の改革、これはゆるがせにできない最大の課題であるわけでございます。そういったことで、昨年来この年金法の改正というものを、高齢化社会への対応のいわば健康保険と並ぶ最も重要な柱として私ども取り粗んでまいりましたし、法案の審議をお願いしているわけでございます。
#363
○安武洋子君 健保も大改悪いたしました。そしてまた年金の大改悪。私は、高齢化社会という人口構造が変化するわけですよ、それに伴って政治というものもそれに対応した政治をやるのが当たり前だと思うんです。高齢者に対して支出がふえていくというのは、これは当たり前じゃありませんか。普通の家だって、子供が大きくなってきて、そして高校に進むということになり、大学に進むということになれば、それに相応したように家の中の経済だってやっていくわけです。ところが、国が高齢化社会に対応すると言いながら、健康保険制度を改悪していく、あるいは年金制度を改悪していく。私は、予算全体の中で高齢者に対する支出というものをふやしていくというのが政治ではなかろうか、こう思います。大臣、いかがですか。
#364
○国務大臣(増岡博之君) 高齢化社会を迎えて支出をふやしていけというお尋ねでございますけれども、私は当然そうなってくると思います。この国庫負担につきましても、現行法よりか下がるわけでありますけれども、現在の年金に対する国庫負担のピーク時には倍以上になるわけでございますから、そういう意味では、支出がふえていくわけでございまして、したがいまして、今後その限界ぎりぎり、どこまで保険料の負担に耐え得るか、国庫負担に耐え得るかという模索をした結果が今回の給付の適正化ということであろうと思います。
#365
○安武洋子君 私は、高齢化社会が進む中で国民が求めているという年金制度の改革というのは、これは安心して老後を送る、そういう年金制度であってほしいということなんですよ。ところが、政府はこれにこたえて国庫負担を充実させていくという立場でない、逆に、先ほど申し上げましたように、少し国庫負担がそれはふえていくというふうにおっしゃいますけれども、現行制度に比べて三〇%から四〇%も削減していくと、逆行であるということを申し上げたい。私は、このような姿勢を政府がとり続ける限り、公的年金に対しての国民の信頼というのはこれは失われていきます。現に生命保険会社が一斉に夫婦セットの新型の個人年金、これ売り出そうとしているわけです。国庫負担を現行水準で維持するだけでも八十五年、九十年時点、ここで本法案の給付水準の改善ができます。そして、国民の大幅な保険料の引き上げを緩和もすることができるわけです。ですから、私は政府が何と言おうと、やはりこれは臨調答申に基づいて国庫負担削減を図っているんだと、こういうねらいであって、この負担を国民に押しつけようとしている。許しがたいことであるということを主張申し上げます。
 年金制度の問題ですけれども、その根本というのはこれは財源の問題であろうというふうに思います。政府は給付と負担のバランス論、こういうことを言っております。このバランス論と申しますのは、国庫負担を減らす、そして給付がふえると負担にも限度があると、こういうことで、給付は三割以上も抑える、負担は二倍以上にする、こういうものです。要するに現行の制度、すなわち国民の拠出によりましてその主な財源を賄うというこの方式ですね、これが私は果たして公平なものかどうかというふうに思うわけです。特に高齢化社会、これを迎えるときに、ほかに財源を求める方法はないかどうかということを一体検討されたことがおありなんでしょうか、お伺いいたします。
#366
○政府委員(吉原健二君) 年金制度の財源といいますと、何といいましても主は保険料の負担でございます。それから、それと同時に今御指摘のございました国の負担もそうでございます。その二つがいわば年金給付の財源としての柱になるわけでございます。積立方式、拠出方式をとっておりますために、積立金の運用収入もまた年金制度の財源になるわけでございますけれども、将来は積立金の比重というものがだんだん少なくなってまいりますので、何といいましても保険料が中心になって、国庫負担がそれを補うということになるわけでございます。
 国庫負担といいますのは、言いかえれば国民の税金の形による負担でございます。年金制度の将来の大変大きな財源というものを何で賄っていくかということになりますと、国民の負担というものを、年金制度だけではなしに健康保険あるいは租税一般、そういったものを含めて総合的に考えていかなくてはいけない、そういうことを考えてまいりますと、現行制度のままですと国の負担率というものが、現在はよく言われておりますように、租税と社会保険料の負担を合わせまして約三五%でございますけれども、それが五〇%近く、あるいはそれを超えることになりかねないということがあるわけでございます。そういうことから、やはりどんな形であれ、税の負担であれ保険料の負担の形であれ、国民の負担というものを適正なものにとどめる。そういったことから今度の年金改正案というものを立案をいたしているわけでございます。
#367
○安武洋子君 質問にぴちゃっと答えてくださいよ。私は財源を求める方法というのを検討したことがあるのかどうかということを聞いているんですよ。ほかのそんなこと聞いてませんよ。
 ですからそれと、次は我が国の厚生年金の保険料の負担、これが労使折半になっておりますでしょう。その理由と、二つ答えてください。
#368
○政府委員(吉原健二君) 年金制度の財源の負担としては、先ほども申し上げましたように、私は保険料の負担、それからそれを補う国庫負担、それから積立金がある場合にはその運用収入、この三つ以外に新たな財源を求めるということは、検討はいたしましたけれども、実際問題、また理論的にも、なかなか新たな財源の負担を他へ求めるということは、現在の時点では大変難しいのではないかと思います。
 それから、事業主の負担それから本人の負担、これが折半になっているということでございますけれども、これはもう長い歴史なり沿革があるわけでございまして、現在の日本の社会保険、健康保険にいたしましても、厚生年金にいたしましても、事業主と本人の負担は折半で出発をいたしましたし、運営をしてきたわけでございます。諸外国の例にもいろいろございますけれども、諸外国の例も参考にしながら、事業主、本人折半負担でやってきたわけでございまして、これを今変える理由というのはないわけでございます。
#369
○安武洋子君 長い歴史があって、出発当時からこういうふうにやっているからと。じゃ、今の年金制度そのものは今の社会に定着していないんですか。だから変えるんですか。
#370
○政府委員(吉原健二君) 年金制度も拠出制年金としては既に出発をして数十年という歴史を持っておりますし、既に定着をしていると思います。その保険料の負担のあり方としても、被用者、サラリーマンにつきましては、事業主と本人の折半負担というのが強く定着をしていると思っております。
#371
○安武洋子君 年金制度だって強く定着しているんでしょう。だけど変えるんでしょう。だったら、労使折半というのも強く定着していても、あなたたちは変えようと思えば変えるということができるわけでしょう。
 厚生統計協会の「厚生の指標 保険と年金の動向 昭和五十八年特集号」、これに欧米六カ国の労使の保険料負担割合が紹介されております。これによりますと、西独とアメリカは労使折半、こういうことですけれども、イギリスは労働者千分の九十、使用者が千分の百四・五です。フランスが労働者千分の四十七、使用者は千分の八十二。イタリアが労働者千分の六十八、使用者が千分の百四十七。それからスウェーデンが全部事業主負担で千分の九十四・五。いずれも労働者負担に比べまして事業主負担が多くなっている。私は、こういう負担割合にされている考え方の基本というのは、一体厚生省というのはどのように考えておられるんでしょうか。
#372
○政府委員(吉原健二君) 諸外国によって、御指摘のようにいろいろ違いがございます。また、タイプもございます。しかし我が国が、諸外国の年金制度、社会保険というものをいわば参考にしながら我が国の年金制度なり健康保険制度を発足をさしたわけでございますけれども、そのときに、やはりこういった健康保険なり年金保険というものを社会保険主義でやるか、あるいは税方式、そういった事業主負担を中心に考えていくかということによってその負担割合が違ってくるわけでございます。
 今御指摘のございましたいろんな各国の形態、タイプの中で、イギリスだとかあるいはスウェーデン、北欧諸国は、主として社会保険なり社会保障というものを保険主義というよりかいわば税金なりあるいは税金に準じた事業主の負担、そういったものを主たる財源にしてやっていこうと、そういう主義、考え方の国でございます。それに対しまして、西ドイツでありますとかあるいはアメリカもそうでございますけれども、カナダ、スイス、そういったところは社会保険主義で出発をして、事業主も本人もいわば折半、五〇、五〇の折半でやってきているわけでございます。
 恐らく我が国の場合でも、出発の際にいろいろな議論があったかと思いますけれども、恐らく今申し上げましたような本人と事業主と折半をやっている国、西ドイツでありますとかヨーロッパの主として大陸系の諸国の社会保険の方式というものを参考にしながら、それに倣った形で出発をしたんだろうと思います。それが既に定着をしてきているということだと思います。
#373
○安武洋子君 年金というのは、社会保障的な性格を持つわけでしょう。ですから、国や使用者の負担で賄われる部分を多くしていく、そうして本人の、国民の負担を少なくしていくというのは、これは制度の発展の私は当然の帰着であろうというふうに思います。ですから、我が国もこの点で先進国を大いに見習うべきなんです。
 我が国は、社会保障の財源負担というのは大変労働者に重くなっているんです。これが特徴なんですね。というのは、国会図書館の立法考査局、ここが編集をしております「国政統計ハンドブック」、これにILOの資料を使って、各国の社会保障を対比しております。社会保障給付費、これを見てみますと、国内総生産費に対する社会保障の給付費、これがアメリカ一二・九、フランス二二・五、西ドイツ二二・四、イタリア二〇・五、イギリス一六・三、これに対しまして日本はわずかに八・六ですよ。いかに少なくておくれているか歴然とするわけです。そして、さらに社会保障の収入の財源構成の労使の保険料の負担、これを見てみますと、事業主負担を一〇〇としまして被保険者の負担は、アメリカが六〇・三、フランスが三四・八、西ドイツが七一・八、イタリアが二一・九、イギリスが六〇%ジャスト。これに対しまして日本は何と八六・八%。驚くべき数字が出てまいります。これは私がやっているんじゃありませんからね。ここにちゃんと資料があるわけですからぬ。これを見ましても、労使の負担割合というのが我が国が群を抜いて労働者に対して重たいということがわかるわけです。そして、我が国の社会保障がいかにおくれているかの証明でもあるわけです。
 私は、やはり諸外国のこのような進んだ方向に我が国も合わせるべきだ、その方向を目指すべきだと、こう思います。大臣の御所見をお伺いいたします。――大臣の御所見です。
#374
○政府委員(吉原健二君) 私ども、せっかくの御指摘でございますけれども、国の負担が大きい、あるいは事業主の負担が大きいのがいわばすぐれている制度だとは思いません、諸外国の中には、国の負担が全くゼロの年金制度をとっている国もあるわけでございます。これからの年金制度の財源の負担といたしましては、国の負担とか事業主の負担、そういうこともございますけれども、やはりむしろその本人の保険料負担というものを中心に考えていく、こういうことでなければこれからの我が国の年金制度の発展といいますか安定というものはないというふうに考えているわけでございまして、その負担割合は国によってさまざまでございますけれども、やはりその国にとって一番望ましい、それからその国情といいますか、その国の置かれている経済的な社会的なあるいは財政的な状況の中でどういう負担の仕方が一番望ましいか、それから、今後の年金制度の長期的な安定、健全な運営のためにはどういった財源の負担の姿が望ましいか、そういったことを考えて、日本は日本として、日本に最もふさわしい適当な負担というものを考えていく必要がある、こういうふうに思うわけでございまして、現在御審議をお願いしております私どもの考え方、これはやはり現在の時点、それから将来も考えました場合に、一番現実的で望ましい適当な適切な負担ではないかというふうに思っているわけでございます。
#375
○安武洋子君 あなたの言葉を裏返しに言えば、労働者に重いのがすぐれている、こういうことになりますよ。そして、国民を苦しめる、これが年金制度の発展につながるんだと、こういうことになりますよ。そして、国情上、この国民を苦しめていって労働者に重い負担をかけるのが、これがふさわしいんだということになりますよ。まさに今の自民党、政府、厚生省の姿勢を端的にあらわした私は御答弁であろうと思います。
 それだけではありません。労働者の実質賃金、これは伸びないわけです。そして中小企業は経営難にあえいでいるわけです。その一方で、一部の大企業というのは史上空前の収益を上げているわけです。こういう中で、保険料負担の割合のあり方というのは大いに検討をすべきなんですよ。ところが、事業者側から保険料負担をとらえてみますと、これは端的に言えば人頭割方式で、要するに従業員数と賃金によって決まる仕組みになっております。これは否定はなさらないと思います。これだと人減らしをする企業ほど保険料の負担が軽減される、こういう結果になる。このことも否定なさいませんでしょう。
#376
○政府委員(吉原健二君) 企業の負担といいますか、社会保険料に対する負担は、いわば人を使っている企業が多いほど多くて、人の使い方、数が少ない企業ほど少ない、こういうことになるのは当然でございます。
#377
○安武洋子君 それで、従業員規模別の雇用者数の増減率、これを見てみます。これは製造業で見てみますと、昭和四十六年を一〇〇としまして昭和五十七年と対比をしてみましたら、従業員数一人から九人ですね、これがプラス一九・五です。それから十人から二十九人、この規模別で見ますとプラス一四・六です。三十人から九十九人、これはプラス一二・三です。百人から二百九十九人、これがプラス九・七です。いわゆる中小零細企業いずれもふえているわけです。ところが、三百人から四百九十九人、プラマイゼロです。五百人以上の大企業というのは何とマイナス一三・七人、大きく減少をしているわけです。こういう傾向をつかんでおられますか。
#378
○政府委員(吉原健二君) 承知をいたしております。
#379
○安武洋子君 さらに、売り上げに対する厚生年金負担率、これは資本金規模別に見てみますと、これは大蔵省の法人企業統計で八年間見てみたわけです。昭和四十七年から五十五年です。これで資本金の小さい企業ほど激しく負担率が上昇しているということがはっきりいたします。そして大企業ほど伸びが緩やかであるということが出てくるわけです。
 もう時間がありませんので数字は一々申し上げませんけれども、これは売り上げの伸びの違いもありますけれども、大きな要因としては、雇用調整、省力化、これが作用していると、こういうふうに思います。いかがですか。
#380
○政府委員(吉原健二君) その辺につきましては、そういう御意見もあろうかと思いますが、なお、さらに私どもとしても検討をさしていただきたいと思います。
#381
○安武洋子君 ちゃんと検討してから法案出すべきでしょう。
 それで、大企業と中小企業の負担が企業の持つ力から見てどうなっているか、これも調べてみました。何を基準に負担率を把握するかという問題もありますけれども、全産業的に把握するために、資本金規模別の売上高に占める厚生年金保険料の負担率、これは昭和五十七年度の法人企業統計、これをもとに調べてみたんです。そうしますと、全産業の負担率というのは〇・三六%、こういうことになります。しかし、資本金二百万円以下ですとこれが〇・五四%、二百万から五百万〇・四七%、五百万から一千万〇・四六%、一千万から五千万〇・四〇%、五千万から一億〇・三八%、一億から十億〇・三六%、そして全企業の負担率の平均が〇・三六なのに十億円以上になると〇・二五%。資本金十億円以上の企業、この企業のみが全産業平均の負担率を大幅に下回っているわけなんです。
 さらに続けますが、従来員規模別に売り上げに占める厚生年金の負担率、これを製造業で見てみますと、これは、五十七年の工業統計表で計算したわけです。三百人以下の中小企業の負担率というのは〇・六三%ですけれども、三百人以上の企業、すなわち大企業〇・四一%です。中小企業の方が大企業よりも五割以上も高い負担率になっているわけです。こういうふうに規模から見てみましても、規模の大きい企業ほど相対的に保険料の負担率が軽いということが明白になるわけです。こういう傾向認められますか。
#382
○政府委員(吉原健二君) 手元に資料ございませんのではっきりしたお答ができないので申しわけございませんが、傾向としては、そういうことがあり得るかとも思います。
#383
○安武洋子君 私は全部おたくたちが出されている資料に基づいて言ったわけですから、こういう傾向は否定できないと思いますよ。しかも、この傾向というのはますます強まっていくわけです。
 私は、一体企業というものをとらえる尺度としまして、今明治じゃないんですよ、だから従業員数だけでとらえるというような観点というのはこれはもう通用しない。これは資本主義の初期ならいざ知らず、現在を従業員数だけでとらえていく企業というようなことは今日的ではないと思います。大臣、どう思われるでしょうか。――大臣の御答弁をいただきます。
#384
○国務大臣(増岡博之君) 年金に関しましては、年金の被保険者個人に着目をした制度でございますので、その方々から保険料を掛けていただき、その方々に支給することになっております。
#385
○安武洋子君 大臣、私が言ったことにちゃんとお答えください。
 私が言ったのは、先ほどからるる数字を挙げました、当然おたくの方から答えていただくのが至当なんですよ。しかし私は、時間の関係もあるし、私がここまで調べたんだからということで親切にも数字をるる挙げまして、いかに今大企業の負担率というのが相対的に軽くなっているか、中小企業の方がうんと重いんだということをいろんな角度から挙げたわけです。この傾向というのは政府が出しているいろんな資料の中から私は引いたわけですから、この傾向は吉原課長、局長ですか、も認められたように否定しがたいわけでしょう。そうすると、この傾向はますます強まっていく。これは企業をとらまえる場合に非常に現実的でない。資本主義の初期、明治の初めならそれでよろしいですよ。しかし今はそうじゃないわけでしょう。これだけの大企業が非常に負担が軽くなるというような状態の中で、私はこういうとらまえ方、人員だけでとらまえていく、従業員数だけでとらまえていくというのはまことに今日的でない。
 大臣の御所見を伺っておりますので、これに対して答えてください。
#386
○国務大臣(増岡博之君) 先ほどお答いたしましたとおり、年金は働いておられる方々の個人個人に対する措置でございますから、数字の上ではそのようなことになっておりましょうという意味合いのことを先ほど申し上げたわけでございます。
#387
○安武洋子君 私、頭が悪いのかなあ、よくわからないですよ、大臣、そんな御答弁いただいて
も。
 財源を求める場合に、大企業だって高齢化社会の枠外にいるわけではありませんでしょう。だから、大企業などが社会的、経済的に力のあるものにふさわしい、その力にふさわしい特別なやっぱり負担をしていくべきなんですよ。これは社会的な公平という立場から考えたって当たり前であろうと思います。いろいろの指標を見てみましても、いかに大企業が中小零細企業などと比べて相対的に保険料の負担が軽くなっているかという動かしがたい現実があるわけですよ。その中で今の大臣のような御答弁というのはいただけない。基本的な方向として、社会的公正と言うなら、やはり力のあるものがその力にふさわしく負担をしていくというのが、これ以上の公平さはないと思うわけなんです。
 もう一度聞きますが、そういう立場に大臣はお立ちになりませんか。
#388
○国務大臣(増岡博之君) 大変申しわけございませんけれども、先ほどから申し上げておりますように、年金というものは働いておられる個人個人に着目をした制度でございますので、その方々の所得、いわゆる力のあるなしによって保険料は変わるわけでございますけれども、この基本というものは今日も外すわけにもまいらないと思います。
#389
○安武洋子君 それだから私は大企業本位だと言うんですよ。省力化は進んでいく、そして人減らしをやる、それを受け入れているのが中小零細企業です。これは従業員の増減なんかでもよく出ていますように。ですから企業全体の負担、これは随分と大企業が減っているわけでしょう。売上高、資本金、そういうものに占めるいろんな点でも負担率というものが減っているわけですよ。その中で、今のような大臣の御答弁で、国民に大きな負担を二倍以上押しつけていくわけでしょう。そういう年金制度をやっていかれるということは、先ほど吉原年金課長か局長か何かよくわからないけれども、労働者に重いのがすぐれているんだ、そして国民を苦しめる年金制度が年金制度の発展につながるんだとか、国情の上でふさわしいんだとかというふうな発言に裏返せばなると私は思うんですよ。そこに今のあなたたちの本質というのがはっきり出ているというふうに思います。
 私は、力のある企業に相応の負担をしてもらう、それが真の社会的な公正だ。そうして、そのような検討もしないで国庫負担は削減する、これはもう大変な削減でしたね、現行制度に比べて半額にもなろうかというふうなひどい削減です。そして、給付と負担のバランス論、これで国民に二倍以上の負担を押しつけていく、こういうやり方というのは、もう私は絶対に許せないということを申し上げます。真の国民の立場に立った年金制度、これを確立すべきですけれども、本法はそれにまさに逆行します。こういうものは早く成立させてほしいというふうなことで、この前のときもいろんなことをおっしゃって、本当にバナナのたたき売りみたいなタイムリミットの期間もおっしゃる、審議に値しないわけですよ。あの時点でもう審議はできないわけですよ。そういうことを言いながらも成立をさせようとなさるということはとんでもない。
 私の時間がこれで来てしまったわけです。大変残念ですが、まだ私の要求している質疑時間あと八時間ほど残っておりますので、その中で十分論議をさせていただくということで、そのことを申し上げましてきょうは一応終わります。
#390
○藤井恒男君 前回細かい問題について質疑いたしましたので、きょうは簡潔に、ちょっと疑問に思っておることについて承りたいと思うんです。
 四月の十二日に当委員会に参考人をお呼びいたしまして、参考人からそれぞれ御意見を承ったわけです。その折、参考人の池末さん、この方は精神障害者のケースワーカーという立場の方のようでしたが、幾つかの問題を出されまして、私ちょっと聞き取りにくかったので調査室に調べてもらったところ、内容が判明しました。それで、今から申し上げるこういったケースについて、ひとつ厚生省のお考えをお聞きしたいと思うんです。
 池末さんが出しておられた一つの例は、高校卒業後十八歳で就職して、そして厚生年金保険に加入した者が、障害年金の受給要件、六カ月ですね、これを満たす以前に障害の状態となる。そうすると当然障害年金は受給できない。一方、国民年金の障害福祉年金も他制度に加入期間中発生した障害については支給されないということになっているので、こういったケースの方は厚生年金、国民年金ともどもアウトになって置き去りになるんだ、こういうことを指摘されました。これについてどういうふうにお考えでしょうか。
#391
○政府委員(長尾立子君) 先生の御指摘は、障害年金受給者についての被保険者期間の要件の問題であろうかと思います。
 この障害年金の被保険者期間の要件につきましては、国民年金、厚生年金いずれも、なるべく短い期間において被保険者中に障害になられた場合には受給権に結びつくという措置をとっておるわけでございますが、他制度から移られた場合のことを考えまして、五十一年にこの期間をそれぞれ通算するという制度をとったわけでございます。できる限り被保険者中に発生いたしました障害につきましては年金制度の中で保障するという措置をとってきたわけでございますが、先生御指摘のように、非常にまれなケースではあると思うのでございますが、いかなる制度からも障害年金の受給権に該当しないケースが理論的にはあり得るというふうに考えます。
#392
○藤井恒男君 前回も下村先生の方から一つの例が出されて、先ほどもちょっとどなたからか質問が出ていたけど、まれなケースかもわからないけれど、国民年金の受給権が失するというようなお話がありまして、やはりこういう大きな抜本改正をやるときは、レアケースについてはなかなか捕捉できないと私は思う。しかし、現実に参考人などから意見を聞いてみますとそういった意見が出てくるわけですね。
 だから、こういった点については、小さいと言ったら語弊がありますが、少ないケースかもわからないけど、私はきちっとやっぱり補完していくべきだろうと思っておるわけなんです。したがって、これいずれそういった事例が幾つかこれからも出てくるんじゃないかと思うので、何らかの形でどういうふうに補足していくかということをまとめて作業をしていただいたらいかがかなという気がしておるんだけど、どうでしょうか。
#393
○政府委員(長尾立子君) 今回御審議をお願いいたしております法案につきましては、今私が申し上げましたように、期間の通算を経ても満たし得ないような短いケースの方につきましては、その保険料の滞納ということがなければ、まずほとんど年金権に結びつくというような改正をお願いをいたしておるわけでございます。
#394
○藤井恒男君 それから同じ方がもう一つの事例として出しておられたのは、病気やけがが回復して障害等級表に該当しなくなれば障害年金は打ち切られる、これはまあ当然だろうと思う。そして、打ち切り後三年間のうちに悪化すれば再び支給されるが、悪化しなければ失権となる。その後さらに症状が重くなった場合にもその方に対する手当てのしようがないということだけど、この三年失権の要件というのは、今度の措置で障害厚生年金に残ることになったんですか。どうでしょうか。
#395
○政府委員(長尾立子君) 先生御指摘の問題でございますが、現在厚生年金及び国民年金いずれにつきましても、三年間に障害の程度が軽くなりましてその状態が継続しましてそれ以上に軽くなられた場合につきましては、年金権が失われる、失権をするという仕組みになっておるわけでございます。今回の改正におきましては、この点につきましては同様の考え方になっておるわけでございます。
#396
○藤井恒男君 この間のケースワーカーをしておられる池末さんのお話、実は社労委員会でも精神障害者のセンターを訪問したことがあるわけです。その折も医師の方からお話を承ったのだけど、大変お気の毒なことだけど、そういった方たちは繰り返すらしいですね。どうしても完全治癒という形じゃなく、社会復帰ができてもまた戻ってこられる。そしてさらに治療を受けて社会復帰される。この往復する方が非常に多いようですね。それで、社会復帰された方たちをやっぱり温かく包み込む社会環境が必要だ。そうすればそれが持続する。しかしまた戻ってくる可能性も非常に強いということを私どももこのセンターを見にいって医師の方から聞かされて初めて知ったような状況でした。したがって、この種の例も私は精神障害者という状況の中からは非常にそういった範囲の方たちの中には今私が申したような失権の問題というのはたくさん出てきておるんじゃないだろうか。
 だから、全体から見ればそれは小さなことかわからないけど、そういった立場におられる方たちは真剣にこれを考えていることですから、これはやはりそういった面に対して落ちこぼれのないように、置き去りのないように手厚い措置が必要だと思うわけです。そういった考えについていかがでしょうか。
#397
○政府委員(吉原健二君) おっしゃるとおりだと思います。制度全体の大きな姿もさることながら、制度の隅々まで細かい配慮をしていくということも、私ども常に忘れてはならないことだと思います。
#398
○藤井恒男君 これは私はひとつどうしても、国民年金あるいは厚生年金、あるいは共済年金という大きな問題で論議が推移しているその陰にある問題ですから、しかもそういった人たちは社会的に弱い立場にあるということをよくお考えいただいて、手厚い対策を講じていただきたいというふうに思います。
 それからいま一つ、共済年金、いずれこれ論議されることになるわけですが、たしかきょうの閣議で決まったかと思うわけですが、いよいよ国会に提出される運びになる。
 このことに関して、前回もちょっと触れたんですが、公務員などの共済年金の改正案は、端的に言うと基礎年金と厚生年金部分は民間と同じにして、職域年金として厚生年金の二〇%を上積みする。いわゆる、そういった意味で民間との二〇%の差をつくる職域年金というものが三階建てとして出てくるというふうに言われているわけです。このことに関して、審議前の段階だけれど、官民格差を固定化することじゃないか、あるいは民間の企業年金は退職金の年金化で賄っている部分が相当部分あるわけだから、そうだとするならば、共済年金も退職金を取り崩すことにしなければ平等性を欠くんじゃないか、こういった意見も既にあるわけですね。
 こういった点について、衆議院でも一部これは論議されて、どなたかから、確かに民間の場合には退職金を取り崩しているといいますか、退職金を運用しているという向きもあるので、その点は考慮すべきじゃないかというような御発言を、私会議録で見ておるわけです。門田政府委員ですかがそういった答弁をなさっているわけです
 こういった点について今の格差と言っていいのかどうか、いわゆる三階建て部分と民間の退職金の年金化という形での企業年金との見方ですね、それをどういうふうに見ておられるんですか。
#399
○政府委員(吉原健二君) 今回の共済年金の改正案における三階部分の考え方、これは私ども現在の時点において詳細に把握をしているということではございませんけれども、今聞いておりますのは、三階部分というのは公務員制度の目的なり沿革といいました、まあ公務員制度の特殊性に着目をして設ける三階部分であるというふうな説明がされているというふうに聞いているわけでございます。具体的に公務員制度等の特殊性が何であるのか、あるいはそれに着目をした年金制度として今考えられている二〇%程度の三階部分が果たして適当なのかどうか、これはもう少しこれからの幅広い論議にまたなくてはなりませんが、現在の共済制度におきましても、一般の厚生年金なり国民年金と違った性格を一部持っているということが言われているわけでございますし、法律の目的などにもそういった違いがあるわけでございます。
 そういったものが今後の新しい共済年金制度の中で一体どういうふうな形に変わっていくのか。公務員制度の特殊性という考え方も、私どもの立場から言いましても全く理解できないわけではございません。しかし、その具体的な内容なり職域年金の程度なり、何といいますか、その水準、そういったものにつきましてはこれから幅広い論議をされるべき問題ではないかというふうに思います。
#400
○藤井恒男君 これは当然これから論議されることだけど、これは今から非常に問題になるところかなというふうに私も思っているわけです。そういった二〇%、特殊性というものを、私も余りよくわからないので勉強してみたいと思うんだけど、そういった状況は、民間の立場からいえば、それはやはり残った格差じゃないかという見方をしているんだけど、もう早手回しに既に大蔵省などは、企業年金のうちこの厚生年金基金については今回の抜本改正によって官民格差が是正される。よって、この厚生年金基金に対しては課税対象にすべきであるという論を国会でも既に述べておられるわけですね。
 ところが、現に格差がなくなったということになれば話は別だけれども、現在までの物の考え方は、厚生年金基会の積立金というのは準公的年金として位置づけられている。したがって、その意味から共済年金の水準を上回る部分に相当する積立金だけに一%の特別法人税を課税するということになっているわけですね。千を超える基金のうち十二、三ぐらいでしょう、今課税対象になっているのは。別な見方をすると、これは現実には非課税扱いというのと同じような状況になっている。私は実態面から見て、これを二〇%という三階建て部分が格差であるならば、この今大蔵省が述べておられることは論拠がないというふうに思うわけなんです。
 諸外国もこの準公的年金のような形である厚生年金基金的なものには課税していないというふうに私は聞いているんだけど、それらをあわせて、厚生省の立場としてこの課税対象の問題についてどういうふうに考えているのか、どうでしょうか。
#401
○政府委員(吉原健二君) 厚生年金基金の積立金に対する課税でございますけれども、現在は、今お話しのございましたように国家公務員の共済年金の水準に見合う積立金までは非課税、それを超える部分については特別法人税が一%かかっているわけでございます。今回、共済改正法によりまして共済の水準が端的に言いまして下がるわけでございます。そういたしますと、この積立金の非課税の対象となっております範囲もこれは当然に下がってくる。今までの考え方をそのまま踏襲をいたしますと、積立金の課税範囲が拡大をされて、基金に対しても相当数の基金が課税対象になる、こういうことになるわけでございます。
 私どもの考え方は、厚生年金基金を企業年金のいわば中核としてこれから育てていかなければならない、育てていきたい、厚生年金といいました公的な年金を補完するものとして、次の老後の保障の中核になるのはまず企業年金である、こういう考え方に立っておりますので、この厚生年金基金を中心にした企業年金制度というものをさらに育成をしていくという考え方に立ちたいと思っているわけですけれども、その場合に果たして、共済の水準が下がるからそれに見合う積立金については当然これからは課税が強化をされるということになっていいかどうかということになりますと、私ども大変問題だというふうに思っているわけでございます。
 この共済水準とは別に、今後厚生年金基金の育成あるいは企業年金の育成という立場から、その積立金についての課税のあり方については改めてその基本から見直していく必要がある、そういうふうに思っているわけでございます。
#402
○藤井恒男君 わかりました。
 それじゃ、次の問題をちょっとお聞きしたいわけですが、我が国の年金制度というものを長期的に展望すれば、とにもかくにも分立している年金制度の矛盾、あるいは官民格差、給付と負担の不均衡、こういったものを解決する。そのためには、大きな流れとして、端的に言うなら船員保険と同様に、厚生年金と共済というものは遠い将来には統合して、被用者保険として同一給付、同一負担という絵が描けると私は思うんです。それはいつかわかりませんよ。まず共済は共済、国民年金と厚生年金、こういう形になって基礎年金を共通さそうとしているんだけど、その先に描けるものは私が今言ったような姿じゃないかなというふうに思うんだけど、その点についてはどうでしょう。
#403
○政府委員(吉原健二君) 具体的にどういうふうな経過を経てそういうことになっていくか、また、どの程度の時間がかかるかは別にいたしまして、大きな流れとしては私も藤井先生のおっしゃるようなことに長い時間がかかって徐々にそういう方向に進んでいく、また進めていかざるを得ないのではないかという感じを持っております。
#404
○藤井恒男君 そういったときに共済が出てくるわけだけど、その中の国鉄、完全に財政が破綻して国家公務員共済などから財政援助を受けている状況にあるわけだけど、国鉄自体は民営化という流れは私は避けられない。いつの日か民営化される。考えようによっては指呼の間にあるように思うわけです。そういったときに、民営化の先達として電電、専売が民営化されたわけですね。片方国鉄の場合には大変な財政の状況にある。六十五年から抜本的に手をつけることになるんだろうけれど、そのころ以降がなお財政的には苦しい状況にある。したがって、この六十五年以降に対する具体的な対策というものを私は早急に確立すると同時に、そのことは同時に、さらにその先はどういう姿を歩んでいくのかということを明示した形のものにしなければいけないだろう、しかもそれはそう遠い先じゃないんですからね。
 今民営化されるという中で国鉄に勤めておられる方たち、一体おれたちの年金はどうなっていくんだという非常に不安を持っているわけです。したがって、これは六十五年だから、先のことだからちょっと時間をかしてくれよというだけでは済まぬ。もちろんここで的確な答弁が得られるとは思わないけど、そういった大勢の方たちのいら立ちというか、不安というものに対しても何らかの形で的確に答えていくことに努めていかなきゃいかぬなというふうに思うんです。そういった意味で、今お答えできる範囲のものがあればお答えいただきたいと思うんだけど、どうでしょう。
#405
○政府委員(吉原健二君) 大変大きな問題でございますし、なかなか今の時点でお答えしにくい問題でございますけれども、今後の我が国の年金制度を今回第一段階の大改正、大改革をお願いしているわけでございますけれども、昭和七十年に向けて年金制度全体をさらに統合一元化していくといういわば方針、考え方を既に閣議決定していただいているわけでございます。
 私は、そういった考え方の中で一つの問題といいますか、一つのテーマとして今御指摘のございました国鉄の共済制度をどうするかということが具体的な大きな問題の一つとして、時期は別にいたしましていずれクローズアップされてくるように思います。国鉄が公共企業体から基本的に民営ということになりますと、当然建前としては厚生年金の適用ということになるわけでございますし、しかしそうだからといってすぐに厚生年金の適用ということは可能かどうか、また、適当かどうか。長い歴史なり沿革、また国鉄共済の今置かれている状況というものを考えますと、そう簡単に建前諭だけで進むとも考えられませんし、なかなか国鉄全体をどうするかということとの関連におきまして、この国鉄の年金というものをどうするかは大きな国民的な問題になるのではないかと思います。そういったいろんな時点におきましていろんな角度から国民的な論議をいたしまして、検討を重ねて、一つの方向をいずれ見出していかなければならない時期が来るだろうと思っております。
#406
○藤井恒男君 これはいずれ共済が出てきたときにまた論議を交わして、よりよいものにしていかなければいけないと思います。
 最後に、大臣にちょっとお願いしておきたいんだけど、こういった大きな抜本改正というときには、あらゆるケースを見詰めて対応してきていることとは思うけれど、現実に、先ほど私申したように、それは少ない人数かわからないけど置き去りにされる人たち、あるいは法と法のはざまに入って不利な扱いを受ける方たちというのが出てくることはどうしても避けられないと思う。そのことを私は厚生省に手落ちじゃないかと非難したりする気持ちは毛頭ない。要は、そういったものが現実に出てくれば、年金というのはやはり国民から信頼されるものじゃなきゃいかぬという建前から、きめ細かい対応策というもの、そして不利益をこうむらないための手だてということのための努力をやっぱりすべきだろう。だから、これを改正するときにパンフレットも出して国民の皆さんに理解を求めることも随分なさっておられたけれど、これが終わったら終わった時点で、やはりケースをいろいろ拾った上で、こういった方たちにはこういうふうな特別な形としての対策をとるんだぞというようなものをつくって、そしてきめの細かい対応をしてもらいたいものだと私は思うんです。いかがでしょう。
#407
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、今回のような大改正を行います際には、やはり一応大原則というものをつくって、それを押し通すということも必要でありましょうと思いますけれども、その間におきまして、やはり従来からの経緯の上に考えますといろいろな摩擦も生じてくることと思います。したがいまして、おっしゃいましたように今後そういうきめの細かい配慮を十分いたしてまいりたいと思いますので、よろしく御理解をお願いしたいと思います。
#408
○下村泰君 先般の委員会のときに、私はこういう質問をさせていただきました。二つの年金がもらえるものと喜んでいたものが、今回の改正によりまして一つの年金しかもらえないという新聞の記事、私はこれを質問させていただきました。厚生年金など国民年金以外の年金制度に加入している人が障害者になって退職した場合、障害年金を受給しながら国民年金に任意加入できる、加入すれば通常六十五歳からその期間に応じた老齢年金をもらえたのが、改正案では、併給を認めないためにどちらか一つを選ばなければならない、こういうふうになっております。そして、老齢年金の方が有利という人はほとんどいない。したがって障害年金の方になる。それでは国民年金に掛けていた人はどうなるのかということをお尋ねさせていただきました。それに対して年金局年金課のお答えは、「障害の程度が軽くなったり、内部性疾患なら治ったために失権(障害年金がもらえなくなる)する人が出てくる可能性があります。そういう人のために老齢年金を残しておく必要があったわけです。つまり任意加入を認めたのは、二つの年金を支給するためではなく、無年金者を救うというのが基本的な考え方です。障害の状態がずっと続いた場合は”結果的に”二つの年金がもらえるということであって、それが目的ではなかったという点を理解していただきたい。”掛け捨てになる”というお気持ちはよくわかるのですが……」と、こういう年金課のお答えなんです。これをたまたま先般質問させていただきました。これを取り上げさせていただきましたときに、この委員の中に田中正巳先生がいらっしゃいます。田中先生は元厚生大臣の経歴のある方でございます。田中先生が、いやそれは気がつかなかったな、随分細かく勉強してみたつもりではいたけれども、そこには気がつかなかった、こういうお言葉をちょうだいしました。別に、元厚生大臣が言ったから何としても責任とれと言うんじゃありませんよ。たまたまそういうお話を伺ったときに、なるほどな、立案者側の、これをそしゃくしている側の政府与党の委員の中にも、なるほどそこには気がつかなかったなとおっしゃっている方もいるということを今例に挙げたわけです。
 それで、パーキンソン病にかかっていらっしゃる方々ですね。全国パーキンソン病友の会、こちらの方から事例を出していただきました。神奈川県にお住まい、五十歳の男性、仮にAさんとしておきます。この方は、パーキンソン病により退職し、四十一年四月より国民年金に強制加入し、五十九年九月まで保険料を払い込んでいます。この間、五十四年一月に厚生年金の障害年金の給付が決定され、現在に至っています。障害年金の五十九年度受給額は六十八万九千八百八十三円です。国民年金の払い込み保険料の合計額は四十三万五千八百七十円。ただし四十一年度より四十五年度までは、受領印だけで払い込み受領書が保存されていないため全額が不明であります。それでこれは含まれておりませんが、四十三万五千八百七十円。これはAさんの場合。Bさんの場合、この方は大阪府の五十歳の男性の方です。この方もやはりパーキンソン病により退職し、五十四年七月より厚生年金の障害年金を受給し、現在に至っております。この間、老後の生活設計のため五十七年十月より国民年金に加入し、五十九年十二月まで保険料を払い込み続けております。障害年金の五十九年度受給額は九十万六千三百三十二円です。国民年金の払い込み保険料の合計額は十五万七千二百六十円、これだけ払い込んでおるわけです。それで先ほどの年金課の方のお答えがこうなってくるんですけれどもね。
 私はつまらない神経の働く人間で、例えば厚生省、その「厚生」というのはどういう意味だろうと広辞苑を引いてみた。そうしたら、「厚生」ということは、「健康を維持または増進して、生活をゆたかにすること。」、「厚生省」というところには、「社会福祉・社会保障・公衆衛生の向上増進を任とする中央行政機関。」、そして厚生省の省」というところだけ見ますと、「はぶくこと」というんですね。省略の省なんです、これは。省かれちゃ困るんだ、これは。そしてまた、官庁あるいは宮中という意味になるんだそうですな。「中国で、唐代以降の中央官庁」のこと、また、「一八六九年(明治二)の官制改革で設けられた中央行政機関」と、こういうふうに広辞苑に載っていました。
 これ、大臣にいきなり伺います。大臣は、「社会福祉・社会保障・公衆衛生の向上増進を任とする中央行政機関」の最高の長でいらっしゃいます。そうしますと、今のこの方たちの、これないがしろにされていいものなんでしょうかということなんです。先ほどお話しましたように、厚生省の年金局年金課は、こういう答えを新聞の活字で答えています。活字になっております。これで済むことなんでしょうか。先般もお伺いしましたけれども、なおもう一度私は詰めてお伺いしたいんですけれども、こういう方たちを救済する方法をお考えなのか、お考えでないのか。先ほどの広辞苑のように省いてしまうのか、それとも省かないのか、ここのところをちょっとお答え願いたいと思います。
#409
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のことにつきましては、先ほど藤井先生からのお尋ねにも、原則を貫くことはやらしていただかなければなりませんけれども、そのためにきしみが来るようではいけませんから、細心の注意をしてまいりたいと思います、というお答えをいたしましたが、まさに先生今御指摘のことはそのことだろうというふうに思います。
 この間も御指摘をいただきましたので、御趣旨はよくわかっておりますので、今回の御審議を踏まえまして、今後検討してまいりたいと思います。
#410
○下村泰君 実は、私は、その検討とか善処というのはよくわからないんですよ、意味がね。ですから、誠意を持ってこれの解決に当たってくださるのか、そういうふうにひとつお答え願いたいんですが、いかがでしょうか。
#411
○国務大臣(増岡博之君) 私どもといたしましては、御提案申し上げたものを御審議いただいておりますので、私どもの方がみずから云々するわけにはまいらないと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、御審議を踏まえて十分検討いたしてまいりたいと思っておりますと申し上げておりますので、御理解をいただきたいと思います。
#412
○下村泰君 今ああいうふうに大臣はお答えになりましたけれども、局長どうですか。横からごちょごちょ余計な知恵をつけないで。事務レベルの方でもちゃんとやってくださるのかどうか。
#413
○政府委員(吉原健二君) 大臣の御趣旨に従って、私ども対応さしていただきます。
#414
○下村泰君 その御趣旨のところが危ないんだよ、これ。
 結局、世の中にはよくあるじゃありませんか、「おぼれる者はわらをもつかむ」という言葉がありますわね。ところが、わらをつかみたくてもつかめない、そういう人たちがいるわけなんですね。その人たちをどういうふうに面倒を見るか、どう手当てをするか。これが、やはり国民から負託されている我々であり、なおかつ、これをまた国の中の台所から何から全部仕切っているところの行政官庁ではないかと思うんですよ。そうでなければ、広辞苑はうそばっかりついていることになるんですからね。ひとつ広辞苑に書かれているとおりに、いろいろとこれから手当てをしていただきたいと思います。
 さて、そこで伺いますが、肢体の欠陥、要するに、見た目でもわかるとおりの四肢の欠陥ですね。こういう方たちはすぐその場でいろいろとお手当てになりますけれども、脳疾患、こういう方たちは非常に難しいと思うんです。殊に難病は。
 国民年金法の三十条に、支給要件のところですか、ことに、「初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治った場合においては、その治った日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに、その者に支給する。」とあるんですけれども、この中に出てくる「固定」というのはどういう意味なのか。その定義をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#415
○政府委員(長尾立子君) 症状固定の判断でございますが、これは御本人から裁定請求時に提出される診断書、それから添付されるレントゲンフィルムをもとに、厚生年金の場合には社会保険庁の業務二課で、その障害認定医が認定要領に基づきまして、また国民年金につきましては各都道府県の障害認定医が障害等級認定基準に照らして判定をしておるわけでございます。
 この固定ということの意味でございますけれども、厚生年金の障害認定要領におきましては、「その症状が安定し、長期にわたってその疾病の固定性が認められ、医療効果が期待し得ない状態で、かつ、残存する症状が自然経過により到達すると認められる最終の状態(症状の固定)」、こういうふうに決めておるわけでございます。
 国民年金の場合でございますが、今先生内部障害の御質問と思いますけれども、内部障害につきましては、「機能の障害であって、その症状が安定するか、長期にわたってその軽快が期待できないとき」「又はそれが将来とも回復する可能性のない場合」というものを固定というふうに考えております。
#416
○下村泰君 そうすると、心身あるいは内部の障害ですけれども、その障害の原因、症状そしてこれは個人によっていわゆる固定に達するのに差がありますね、それぞれ。それがなお病気の種類によっては容易に固定しにくいものもありますね。一年六カ月以上実際に必要とする人もあれば脳卒中などでは意外と早く固定する人もおります。そうすると、一年六カ月以前にそういう状態になった人の中で一年六カ月まで認定が延ばされる人もいるということを聞いておるんですけれども、そろそろその固定という考え方を改めるという方向にはいかないものなんでしょうか。
#417
○政府委員(長尾立子君) 今先生お話しの一年六カ月との関係でございますが、症状固定日といいますのは、厚生年金の場合、必ずしも一年六カ月を経過しないと症状固定と考えないということではございませんで、その以前に今申し上げましたような状態に達していると認められますればこれを固定として考えるわけでございます。これは、厚生年金の場合は私どもの庁でやっておりますので、それぞれの認定にそう相違があるとは思われないわけでございますが、国民年金の場合に今先生御指摘のようないろんなケースが起こってくるのかと思いますが、これはなるべく各年金の障害等級の認定の整合性を図るということについて努力をさせていただきたいと思います。
#418
○下村泰君 そうしますと、その一年六カ月というものにはこだわらない、こういうことですね。
#419
○政府委員(長尾立子君) さようでございます。今回の年金改正に伴いまして、厚生年金、国民年金の今の障害等級の認定の整合性も図るということを考えておるわけでございます。
#420
○下村泰君 それから、発症、発病と同時に収入の道を絶たれる人が非常に多いわけですね。そうしますと、これ一時的障害者の救済、年金支給の対象にするなんということは考えていらっしゃいましょうか。どうでしょうか。
#421
○政府委員(長尾立子君) これは社会保険の分野のいわば役割分担といいますか、そういうものではないかと思うのでございますが、固定的な考え方で恐縮でございますけれども、従来、医療保険の分野におきまして、傷病等によりまして収入の道が途絶えたという場合には、傷病手当金という形で、医療保険の体系でいわばその障害認定日までの所得保障をする。その以後症状が固定しまして障害に該当するという段階で年金保険が引き受けるというような考え方で、一応の割り切りをさせてきていただいたというふうに考えます。
#422
○下村泰君 例えば障害手当というのがありますけれども、厚生年金に加入している人はもちろん健康保険に加入しているわけですね。この人の方にはあるわけですな。ところが国民健康保険、いわゆる国民年金の加入者はほとんど国民健康保険に入っているわけです。こちらの方にはないんですな。これはどうしてないんですか。
#423
○政府委員(長尾立子君) 国民健康保険の内容について御説明するのはやや所管が変わりますものですから恐縮でございますが、制度的には、今のような私が申し上げました医療保険としての役割というものは、国民健康保険も制度としては対象に考えておるというものだと思います。それが現実に給付として現実の給付の中に生きていくかということになりますと、それぞれの各保険者の具体的な保険財政の問題に絡んでくることかと思います。
#424
○下村泰君 私にはちょっと要領がわからないんですけれどもね。
 国民健康保険の方の欄を見ましてもこの傷病手当というのがないんですよね。健康保険のこっちの方にはあるんですよね。
#425
○政府委員(長尾立子君) 現在の国民健康保険法の五十八条に、保険者は出産及び死亡に関する給付をすると一項にございまして、二項に、「前項の保険給付のほか、条例又は規約の定めるところにより、傷病手当金の支給その他の保険給付を行うことができる。」という規定がございます。
 それで、現実にこれを給付しております保険者はどれくらいあるかという数字については承知をしておりませんので、申しわけございませんがわかりません。
#426
○下村泰君 とにかく国民年金加入者の多くは国民健康保険に加入していると考えていいわけです。とすれば、症状が起きたりあるいは病気が起きたり、そうするとすぐに収入が断たれる人がいることを考えれば、先ほどから述べております年金支給対象を改めるとか、あるいは傷病手当の制度を設けるなどの措置を講じてはどうなんだろうかという考えになるんですけれども、いかがでしょうか。
#427
○政府委員(吉原健二君) なかなか今御指摘のございましたように被用者年金の場合と自営業者を対象にした年金の場合とで取り扱いが違うわけでございますけれども、国民健康保険の場合法定給付にはなっておりませんけれども、条例でそういった給付ができる道も開かれているというようなこともございますので、果たしてそういった給付を創設をする必要があるかどうか、これは新たな給付の創設ということになりますと年金制度の上におきましても大変大きな問題でございますので、ひとつ今後の検討課題にさしていただきたいと思います。
#428
○下村泰君 そうすると、次の質問がむだになったと、こういうことなんです。検討させていただくとおたくの方がおっしゃると、その次には予定といたしましては、固定の考えも変えない、そうかといって救済方法も考えようとしない、いつまでもこういう人は放置されていくのかと、こういう質問だったんですが、そうすると今の局長のお答えがこの答えになるわけですな。
 さて次は、先般もお話しいたしましたけれども、国連において決議された障害者の権利宣言の七における水準、さらに憲法に言う最低限度の生活とは具体的にどの程度のことをお考えになっているのかお聞かせ願いたいと思います。障害者の権利宣言の七、そして憲法に定める最低限度の生活。
#429
○政府委員(正木馨君) 先生今御指摘の国連の一九七五年の十二月九日に「障害者の権利宣言」というのが出されておりまして、いろいろ書かれておりますが、その中で、「障害者は、経済的社会的保障を受け、相当の生活水準を保つ権利を有する。」ということが言われております。それからお話しのように憲法二十五条も、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と、こう言っておるわけでございますが、障害者に対する所得保障の問題が非常に大きく取り上げられて、それが、先生のこの前のお話にもありましたように、国際障害者年を契機といたしましていろいろ議論をされ、障害者専門家会議でああいう御意見が出たということで、障害者に対する所得保障の充実ということが非常に大きなテーマになっておるわけでございます。
 そこで、一体どの程度の水準を確保するのかということでございますが、これはなかなか難しい問題でございますが、やはり障害者の生活の基盤となり得る程度の水準というものをできるだけ確保しようということが基本になるのではないかというふうに思います。
#430
○下村泰君 その基盤というところが難しいわけです。その基盤と考えているのはどの程度の額なんですか。別に額が決められたからといって、私はそれを非難する気持ちも何もありませんから、どうぞ御心配なく。
#431
○政府委員(正木馨君) これは先生、一体幾らであるというその額的なものはなかなか難しいわけでありまして、やはり一般的に見て障害者が生活をしていく、特に今回の障害基礎年金というのは二十以上の障害者に対して出されるわけでございますが、そういった障害基礎年金、それから現在特別児童扶養手当法の改正もあわせてお願いをしておるわけですが、特に重度の方についての特別障害者手当というものも新たに創設をすることといたしておるわけでございますが、一般的に見て障害者の、どうも言葉が繰り返しになりましてトートロジーのようになりますが、やはり基本的な生活の基礎となるような水準を確保しようということだと思います。
#432
○下村泰君 それはそれとしておきましょう。またいずれこのことに関してはいろいろとお話を聞かせていただかなきゃならないこともあると思いますから。
 現在、在宅の障害者がこの水準を得るためにどうすればいいとお考えになっているのか、年金だけで十分と考えていられるのか。先般は、さまざまな福祉サービスがあるというふうに言われていたんです。お答えいただいたんです。現実にそうしたサービスがどういうふうに障害者の人々の中で位置づけられているとお思いになりますか。自立を望む多くの障害者にとって最も必要なものは何だとお考えになりますか、お答えください。

#433
○政府委員(正木馨君) 障害者の福祉を考える場合に、幾つかの柱があると思います。しかし、一般的に申しますと、やはり国際障害者年が「完全参加と平等」というテーマで言われましたように、障害者も社会の一員としてみんなと同じ生活をしていくということを目指すものだと思います。そういうことになりますと、やはり障害者の福祉対策を考えていく場合に、障害者ができるだけ自立できるようにする。そして社会参加を促進していくということだと思います。
 そこで、これもこの前先生にお答えしたかと思いますが、専門家会議の冒頭に、やはり障害者の生活保障については、所得保障、リハビリテーション、施設サービス、在宅サービス、就労対策、そういったものを総合的に進めていかなければならない。だから、一つだけでは障害者の福祉対策というものは万全を期し得ない。いろいろな施策を総合的に進めていって、最初に申しましたような身体障害者の自立の促進、社会参加の促進というものを図るのが基本だというふうに考えております。
#434
○下村泰君 そうすると、今正木局長がお答えになった中に、先般お答えになったさまざまな福祉サービスがあるというのは、そういうことなんですね。今お話しになったようなことを含んでこれを言われたわけですね。
 それから、認定評価についてなんですけれども、先般の答弁で、国民と厚生の等級の統一について、国民年金を基本とした統一を考えているとおっしゃったんです。だけど、稼得能力中心の認定を提言している専門家会議の報告に対して、これは逆行するんではないかと思いますがいかがでしょうか。
#435
○政府委員(長尾立子君) 今回の改正は、国民年金を基礎に基礎年金というものを設定いたしまして、その上に厚生年金が特別なまた障害厚生年金を支給するという形の構成をとっております。そういう意味では、基本となります部分が国民年金でございますので、国民年金の現在の障害等級、それの認定の考え方というものを基本にしていくということになろうかと思います。
 今先生お話しの専門家会議の御報告でございますが、これは今局長からも御答弁申し上げましたように、今回総合的な対策といたしまして、障害者の方の所得保障の体系を基本的な分については、過去に拠出されたかどうかということではなくて、この保障を考えていこうということが基本にあるわけでございますが、その中で障害者の方から出されました御意見は、二十を過ぎてそういう形で本来自立をすべき世代の障害者というものを中心に所得保障の体系を考えてほしいという御要望が非常に強かったように思います。今回の改正案全体といたしまして、二十を過ぎられた方についてこの障害福祉年金の受給者の方に障害基礎年金の受給に、額の非常な向上になるわけでございますが、そういう形で拡大を図っていったわけでございまして、基本的には専門家会議の方向に沿ったものというふうに私どもは考えております。
#436
○下村泰君 そうおっしゃいますけど、これ、もし厚生年金の方を基本にした場合に、国民年金を基本にした方が有利というよりも大分予算の面でも浮く。厚生年金を基本にしたらば余計費用がかかる。国民年金の方を基本にした方が費用がそれだけかからない。ですから、まさに先ほど私が申し上げましたように、厚生省の省は省くというところに何か来るような気がしてならないんですが、厚生年金の方を基本にしたらわりかた有利になるんじゃないですか。国民年金の方を基本にすると、障害者にとってはその割に有利にならないというふうになるんじゃないでしょうか。
#437
○政府委員(長尾立子君) 今の御指摘は、現在の厚生年金保険では三級該当までございますが、国民年金には、厚生年金の三級該当の方の大部分の部分につきましては対象になっておりません。そういう意味で、現在の障害の範囲が違うという趣旨のことをおっしゃっておられるのではないかと思いますが、基礎年金として考えますと、さっき申し上げましたように、国民年金の現在の範囲をもとに考えさせていただくという構成をとっておりまして、厚生年金の三級障害については、厚生年金の独自給付という形で対応させていただくわけでございます。
#438
○下村泰君 常にこういう障害者の問題というのは置き去りにされていく人たちの方が数が多いわけなんですね。その人たちに何とかして手当てをしてあげたい、また、厚生省としてはしてくれなけりゃ困るというのが私どもの意見でございますので、これからも種々いろいろと御質問をさせていただきますが、本日はここでとめさせていただきます。
#439
○委員長(遠藤政夫君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#440
○委員長(遠藤政夫君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 国民年金法等の一部を改正する法律案について、内閣委員会、地方行政委員会、大蔵委員会、文教委員会及び農林水産委員会から連合審査会開会の申し入れがありました。
 当委員会といたしまして、これを受諾することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#441
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#442
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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