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1984/04/18 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第16号
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1984/04/18 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第16号

#1
第102回国会 社会労働委員会 第16号
昭和六十年四月十八日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     斎藤 十朗君     森山 眞弓君
     小笠原貞子君     安武 洋子君
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     和田 静夫君     久保田真苗君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤 政夫君
    理 事
                佐々木 満君
                関口 恵造君
                高杉 廸忠君
                中野 鉄造君
    委 員
                石井 道子君
                大浜 方栄君
                曽根田郁夫君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                前島英三郎君
                村上 正邦君
                森下  泰君
                森山 眞弓君
                糸久八重子君
                久保田真苗君
                浜本 万三君
                中西 珠子君
                安武 洋子君
                抜山 映子君
                下村  泰君
   国務大臣
       労 働 大 臣  山口 敏夫君
   政府委員
       外務大臣官房審
       議官       斉藤 邦彦君
       労働大臣官房審
       議官       白井晋太郎君
       労働省労働基準
       局長       寺園 成章君
       労働省婦人局長  赤松 良子君
       労働省職業安定
       局長       加藤  孝君
       労働省職業能力
       開発局長     宮川 知雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       外務省国際連合
       局外務参事官   P崎 克己君
       労働大臣官房政
       策調査部長    岡部 晃三君
       労働省婦人局婦
       人政策課長    松原 亘子君
       労働省婦人局婦
       人福祉課長    川橋 幸子君
       労働省職業能力
       開発局能力開発
       課長       石岡愼太郎君
       労働省職業能力
       開発局海外協力
       課長       木全 ミツ君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案(第百一回国会内閣提出、衆議院送付)(継続案件)
○連合審査会に関する件
○職業訓練法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十七日、小笠原貞子君、斎藤十朗君、また本日、和田静夫君が委員を辞任され、その補欠として安武洋子君、森山眞弓君及び久保田真苗君がそれぞれ選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(遠藤政夫君) 前回に引き続き、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○久保田真苗君 私、衆議院、それから参議院での審議をずっと聞いておりまして、皆さんのいろいろな疑問や議論が福祉というものの概念に集中したことを覚えております。これは皆さんが福祉というものの枠でとらえることについての疑問を繰り返し繰り返し表明したわけでして、労働省はこれに対して非常に広い福祉の概念というものを説明しておられるんですけれども、しかし、このままではやはり納得のいかない気持ちが相当大きくこの部分について残ると思いますので、この考え方をきょうできれば整理しておきたい、こう思うわけでございます。
 そこで、まずお伺いしたいのは、この本法案に言う「福祉」ですね、これと労働省設置法の三条で言う「福祉」とは同じものか違うものか、伺います。
#5
○政府委員(赤松良子君) お答え申し上げます。
 労働省設置法は、労働者の福祉の増進を労働省の任務の一つとして定め、広義には労働省の所管事務を包括するものとして、「労働者の福祉の増進」という言葉を使用しているわけでございます。
 本法案における「女子労働者の福祉」と申しますのは、これまた非常に広い概念として使っておりまして、女子労働者の幸福につながるあらゆる措置を含む、雇用の分野で男女の均等な機会あるいは待遇が確保されるということまでを福祉の中に包含をしているわけでございます。
 したがいまして、両方非常に広いということでございまして、労働省の設置法の中の「福祉」が、「婦人の地位の向上その他婦人問題の調査及び連絡調整」というようなものを後に掲げられていることから申しましても、この「福祉」の言葉の内容は共通しているものというふうに考えております。
#6
○久保田真苗君 共通しているとおっしゃったんですけれども、労働省設置法では、「労働省の任務」として、非常に簡明率直に労働省の任務を二つの言葉であらわしているんですね。それは、「労働省は、労働者の福祉と職業の確保とを図り、もつて経済の興隆と国民生活の安定とに寄与するために、左に掲げる国の行政事務及び事業を一体的に遂行する責任を負う」と、こういうふうに書いてあるわけです。したがいまして、労働省設置法における労働省の任務は、「労働者の福祉と職業の確保」、その二つのことによって労働省の任務を極めて的確にあらわしていると私は思うんです。そういたしますと、これはこの一方だけでは到底労働省の任務はあらわせないと思うんですね。
 ここでは、憲法に定める、十四条「性別」によって差別されない。二十二条「職業選択の自由」。二十五条「健康で文化的な最低限度の生活」。それから二十七条、すべての国民の「勤労の権利」、そして「勤労条件」ですね。二十八条「団結する権利」。このような憲法上の基本的人権をこの二つの言葉をもって実に的確に受けとめていると、こう思うんです。これは一方だけでは成立しないのであって、この場合、もし労働省の任務が「労働者の福祉」に限られるのであれば、それは昔のように厚生省と一緒でよかったのじゃないか、こういうふうに思うわけです。そうじゃないでしょうか。
#7
○政府委員(赤松良子君) 「労働者の福祉と職業の確保」というのが、相矛盾する概念、お互いに排斥し合う概念だからこういうふうに並べたというふうには、私は必ずしも思えないわけでございます。
   〔委員長退席、理事関口恵造君着席〕
 今御審議中の法案の、「福祉の増進」と女子労働者の「地位の向上」、これが並べてございますが、これまた排斥し合う概念ではなくて、「福祉の増進」の中には「地位の向上」も含む、このように従来から御説明をしているわけでございまして、そのように御理解をいただきたいと思います。
#8
○久保田真苗君 だれも排斥し合うとは言ってないんですね。確かにこの二つの概念であらわし、これを一体的に行うんですよ。しかし、法律上の言葉でございますから、この二つが合わさって一体となって労働省の任務をあらわしているわけですね。もちろん三号にある「婦人の地位の向上その他婦人問題」、婦人局の業務を行う根拠になっているこれもこの二つに当然かかっていると見られるわけですが、そうではありませんか。
#9
○政府委員(赤松良子君) 「婦人の地位の向上その他婦人問題」云々というのも、最初の「労働者の福祉と職業の確保を図り」ということを実現するための具体的な内容であると思っております。
#10
○久保田真苗君 そういたしますと、私が非常に残念に思いますのは、このここにあらわれた「福祉と職業の確保」というこの労働省の任務を受けまして、現在の勤労婦人福祉法はこのうち福祉に寄った筋の仕事をしているということで、福祉の増進ということでよかったかもしれません。しかし、今回第二章というものを加え、ここに「均等な機会及び待遇」、これを打ち込んだ、その第二章を受けるものとしては、より直接的に「職業の確保」というところにかからねばならない。したがって、この「職業の確保」という概念をこの法案の中から、決して心の中ではこれを没却したおつもりではないでしょう。しかし、表現上、この一方の「福祉の増進」ということに偏った古い枠組みをとっているということにおいて、皆さん方がこの福祉の枠にとらわれ過ぎているという批判は、私は正しいと思うんですが、どう思われますか。
#11
○政府委員(赤松良子君) 福祉の概念が広いということから、その枠の中にはいろいろのものが入り得る。しかも、「目的」の中に従来から「福祉の増進と地位の向上を図ることを目的とする。」と書いてありますことから、現在の規定で、いろいろな御意見は何度か伺ったわけで、理解できる点もいろいろとございましたけれども、ただいまのこの法案の文言が間違っているというふうには思わないわけでございます。
#12
○久保田真苗君 余り結論を早く急がないでいただきたいんですね。
 そういたしますと、この法案に言う「福祉」は、設置法に言う「職業の確保」を設置法に言う「福祉」にプラスして職業確保これを全体を含むもの、こういうふうに理解されるわけですか。
#13
○政府委員(赤松良子君) 先ほども申し上げましたように、福祉というのは非常に広い概念でございますから、職業の確保とか婦人の地位の向上だとかということが入ってきてもおかしくない概念だと思っております。
#14
○久保田真苗君 そうしますと、労働法令の中で、今回の法案が福祉について特別の広い概念を持つ、こういう結論になりますね。つまり、設置法においては、労働省の任務は「福祉と職業の確保」と言っている。本法案では、この「福祉」の中に、福祉と職業の確保を含んだものである。したがって、設置法に言う「福祉」よりも本法案に言う「福祉」は少なくとも倍の広い概念を持つ、こういう解釈になりますか。
#15
○政府委員(赤松良子君) 倍というのは必ずしも適切ではないのではないかと思います。
 先ほど申し上げましたように、ただいま御審議中の法案にも、「女子労働者の福祉の増進と地位の向上」というふうに書いてあって、その「地位の向上」というのは、後の方をごらんいただきますと、まあ消えているではないかという御指摘もございましたが、これは消えているわけではなくて、福祉の増進というのが広い概念で、もともと地位の向上というのは福祉の概念に含まれてもいい内容である。しかし、福祉が狭い意味で使われることも間々ございまして、その場合には地位の向上というようなことではなくて、もう少し、最低生活水準の確保というような意味で使われる場合もあり、また、今回の審議でたびたび御指摘がございましたような、上から恩恵的に与えるものというようなふうに使われることもあるということを考えまして、そのような意味では必ずしもないということを明らかにするために、「地位の向上」をわざわざ特記をして、本法の目的の理解に誤解のないようにしたということでございますので、先ほどのような、倍というような御指摘は、必ずしも私の意図するところではございません。
#16
○久保田真苗君 福祉の中に地位の向上が含まれるんですか。それとも地位向上に福祉が含まれるんですか。今何とおっしゃいましたか、繰り返してください。
#17
○政府委員(赤松良子君) 福祉の中に地位の向上も含まれると申し上げたつもりでございます。
#18
○久保田真苗君 私が伺っているポイントについてお答えいただきたいんですね。
 つまり、労働省の設置法に言う「福祉」と本法案に言うところの「福祉」は範囲が違うわけですね。結局それをはっきりしていただかないと、労働省設置法の「福祉」を、こっちが先の法律ですから、この「福祉」を本法案の「福祉」と、これに並べて考えられたときに非常に迷惑が起きるわけですよ、現実に。ですから、もしこの「福祉」という言葉はあくまで維持されるのであれば、ここに言う本法案の「福祉」は設置法に言う「福祉」よりも、職業の確保を含み、かつ婦人の地位向上を含むとてつもない広い概念だということをこの際はっきりしていただかなければならない。さもなければ、同じ労働法令の中でございますから、福祉という概念の平仄を合わすのは私はむしろ当然だと思うんですね。その出発点に立ち戻って福祉にそれなりの位置を与え、かつ職業の確保、そして婦人の地位向上と、この三本を目的及び基本理念の中ではっきりと明確にしていただかないと、これは後々非常に問題だと思います。
 どのようにお考えになりますか。
#19
○政府委員(白井晋太郎君) 先ほどから局長が答えておりますが、労働省設置法の第三条の「労働者の福祉と職業の確保とを図り、」というのは対立するあれではなくてむしろ混然としたものでございまして、それの遂行を負う行政機関として一号から九号まで掲げてある各施策を労働者の福祉と職業の確保を図るために行うということでございまして、そこに婦人の地位の向上とかその他婦人問題の調査等も入っておりますし、その他もろもろの施策も入っているわけでございまして、概念としましては、先ほどから局長が答えているとおりではないかというふうに思います。
#20
○久保田真苗君 私がこの問題点を取り上げていますのは、今回二章に持ってきたものはより直接的に職業の確保に結びついたものではないかということなんですね。ですから、この「職業の確保」という言葉を顕在化させてほしいということなんです。それがみんなの願いなんですよ。この「職業の確保」、労働省の任務にすれば「職業の確保」として表現されるこの言葉は、もとをただせば憲法二十七条に言うところのすべての国民の勤労権に根差していると思うんですね。私どもが繰り返し繰り返し婦人の労働権をちゃんと平等に担保する、それが基本的人権であるということを明らかに表現してほしい、それに基づいて法案をつくってほしいと繰り返し繰り返し言っているのはそこなんですよ。つまり、福祉の出発点にこのような混乱があるから、だから私どもは福祉という言葉に納得ができないんですよね。
   〔理事関口恵造君退席、委員長着席〕
 ですから、もう一度繰り返しますけれども、本法案に言う「福祉」は、さっき赤松局長の御答弁ですと、婦人の地位の向上を含む。しかし、婦人の地位の向上は設置法に言う「労働者の福祉と職業の確保」の両方にかかっている。これだけ二つを御答弁になっていますね。ですから、もし婦人の地位の向上がこの「福祉と職業の確保」の両方にかかっている概念であるならば、強いてここに「女子労働者の福祉の増進」というのを並べなくても婦人の地位向上の中に福祉と職業の確保が両方含まれるのであれば、ここにあえて「福祉の増進」を特記する必要はないと思うんです。どうですか。
#21
○政府委員(赤松良子君) 福祉の増進は、非常に広い、そして地位の向上が含まれるというふうに申し上げているわけでございますから、福祉の増進というのが、現在で言えば三章でございますが、この前からある三章を失わないで、二章と三章とを両方持っている法律として考えますならば、「福祉の増進」という言葉をなくすという今の先生の御指摘は余り適当ではないような感じがいたします。
#22
○久保田真苗君 それでは、「福祉」を維持なさるのであれば、この「福祉」の解釈として労働省設置法三条の「福祉」よりもここに書いた「福祉」は、職業の確保、それから婦人の地位向上も含む非常に広い概念だという、そういう解釈をなさるわけですね。
#23
○政府委員(赤松良子君) 労働省設置法の三条の「福祉」の概念は、既に地位の向上を含んでいる広い概念だと思っております。
#24
○久保田真苗君 前段の方をお願いしますね。婦人の地位向上が福祉とかかわっていることは確かですよ、それは。だけれども、これは職業の確保にもかかわっているんですよ、設置法では。ですから、婦人の地位向上というのは両方にかかわっているんですね。そして、そのうちここに「福祉の増進」を特記され、しかもこの法案のタイトルに「福祉の増進に関する法律」、こういうふうに言われておる以上は、この「福祉」は設置法の「福祉」とは違うものである、設置法の「福祉」よりも、職業の確保を含む幅の広いものである、こういうふうに御説明いただかなければ、この「福祉」でもって出発することできないんですね。
#25
○政府委員(赤松良子君) 設置法の「福祉」も非常に広い概念でございまして、職業の確保を排斥するような意味ではないというふうに最初に申し上げたわけでございまして、「福祉の増進と地位の向上」と並べてございますので、また法律の目的にも、福祉法時代にはなかった文言も、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇が確保されることを促進する」という新しい言葉をつけ加えまして、特に福祉の増進の中の地位の向上の方に強いウエートがかかったというふうに御理解をいただきたいと思います。
#26
○久保田真苗君 ですから、ここに言う「福祉」は、設置法の職業確保を含む概念ですね。イエスかノーかでお答えください。
#27
○政府委員(赤松良子君) 繰り返すようで恐縮でございますが、設置法の中の「福祉」が職業の確保を排斥する言葉ではないということでございます。
#28
○久保田真苗君 ですから、本法に言う「福祉」は、設置法の「福祉と職業の確保」を両方をあわせた「福祉」ですね、ここで言うのは。
#29
○政府委員(赤松良子君) 設置法の「福祉」が職業の確保を排斥しないと申し上げているのでございますので、何度もお答えいたしますように、設置法の「福祉」と本法案の「福祉」とは同じ意味だというふうに思っております。
#30
○久保田真苗君 設直法の「福祉」は職業の確保を排斥してない、しかしここには「福祉」と「職業の確保」を並べている。本法に言う「福祉」はつまり設置法の「福祉と職業の確保」、これ、両方を含んだものであるとお認めになりますね。
#31
○政府委員(赤松良子君) 入っているわけでございますから、そういうことになろうかと思います。
#32
○久保田真苗君 「福祉」の説明はこの法案にとっては非常に重要なんですよ。だから、前にある、設置法に言っている「福祉」とここで言う「福祉」との関係を明らかにしておかなければならないんです。だから、設置法の場合の「職業の確保」をこの本法案の「福祉」は含んだ上でここへ出しているということですね。もう一度。
#33
○政府委員(赤松良子君) そのようにお答えいたしております。
#34
○久保田真苗君 それでは、設置法の「職業の確保」を含むということであれば、ここへ設置法に言う「職業の確保」という概念を、せっかく二章を加えて抜本的な法律にしたわけですから、職業の確保という概念をこの中にあらわしていただきたいんですね。どうですか。
#35
○政府委員(赤松良子君) 概念をあらわすという点におきましては、「福祉の増進と地位の向上」ということを並べたことによってより明確にしていると思います。
#36
○久保田真苗君 そうしますと、要するに設置法で言う「福祉」とこの「福祉」とはいささか違うと、設置法は改めて「職業の確保」ということを書いているけれども、こちらの「福祉」は、設置法の「福祉」と職業確保を合わせたものとして見る、あるいは「女子労働者の福祉の増進」という「福祉の増進」というのに職業確保をも代表させるという、そういう意味で書いたものだというふうに承ってよろしいわけですね。
#37
○政府委員(赤松良子君) そういうふうに申し上げているつもりでございます。
#38
○久保田真苗君 一つの労働省の法令の中で、せっかくみんなが平等にと、平等という言葉を使ってくれと言っているのに、それにもかかわらず他の法令が均等だからというんで「均等」とお使いになったんですね。労働省の設置法の言うところの「福祉」とここでは大分これを広げた解釈を成り立たせるということは私は法律としては問題があると思うんです。私はむしろ、婦人の地位向上という概念で一本に絞られるのであれば、そういう疑問を残さない法文にした方がよろしいと思うんです。
 それから、労働大臣に伺いたいんですけれども、要するにこの法案が扱っている、女子を差別するような募集や採用をやめさせるということは、職業の確保ですね、女子労働者にとって。
#39
○国務大臣(山口敏夫君) そのとおりでございます。
#40
○久保田真苗君 次に、配置や昇進について女子が男性と同様に自分の専門や経験や能力を生かすことができる仕事への配置を求める、経済的にも自立する、そして仕事を通じて自分の自己を実現していく、そういう願望を持つということを、男性と同様に婦人にも大臣はお認めになりますか。
#41
○国務大臣(山口敏夫君) 御本人の意思をもってそういう考え方を持たれる方に、今先生の御指摘のような部分での差別や不平等をなくす、こういう気持ちを持った、理念を持った法案であるということでございます。
#42
○久保田真苗君 それをお認めになるというふうに一応理解しますと、それはやはり婦人にとって職業の確保になるわけですよね。婦人の働く権利になるわけですね。
 それから、この問題で時間をつぶしているわけにはいきませんから、私は職業の確保ということをもっと顕在化させ前面に出せば、皆さんがこれだけ納得できないというこの法案についての、仮に古い勤労婦人福祉法と合体したとしても、それだけの不満は起こらなかったと思うんですよ。ですから、これは考え直す必要があると思うんで
す。
 そしてまた、婦人の地位向上を取り扱う婦人局の立場からしますれば、私はやっぱり、この一見労働省には過ぎた命題を労働省が持っているんですね、婦人の地位向上という。それは教育にもかかるし、いろいろな社会保障にもかかるし、非常に広い範囲に及ぶと思うんです、婦人の地位の向上は。しかし、それにもかかわらず、労働省が総理府よりも先にできているために、その任務は労働省に負わされている。そのことの意味は、私なりに解釈いたしますと、女が働く権利を長い間いろいろな形で否定されてきたわけですね。結婚退職、出産退職、妊娠退職、若年定年、差別定年、入社試験からの締め出しですよ。今だってございます、こういう門前払いが。七割も大学生を締め出しているんですからね。こういう女の働く権利の否定を職業確保という労働省の任務でカバーしてもらいたいからこそ、この婦人の地位の向上を労働省が一見分に過ぎた概念を持って働いていることを私どもは支持しているわけなんですね。
 ですから、もしこの概念を積極的に打ち出していただけないのであれば、婦人の働く権利についての確保に労働省がこれを明文化してお出しにならないのであれば、ただ連絡調整の事務だけだったらむしろ総理府でやった方がよほど円滑にできるんですね。しかし、婦人の労働権というものが、婦人が苦しみ抜いてきた問題である、そのことの解決を労働省に期待するという意味でもって、これをキーポイントとして私、大臣に頑張っていただきたいんです。ですから、この婦人が働くということ、婦人にとって職業の確保であるということ、そのことについての平等を確保する、その視点を旧勤労婦人福祉法のこの枠組みの中に埋没されることなく、この総則の中で非常に顕在化して扱っていただきたい、このことを強くお願いしますけれども、大臣、頑張っていただけますか。
#43
○国務大臣(山口敏夫君) 今日のお互いの社会生活を考えましたときに、職業人としての男女問わず生活のウエート、また、そこに伴う生きがい等は非常に重大なものがある、そうした基本的な問題が女子という立場でそれぞれ雇用の機会において不当な差別といいますか、ハンディを背負っておる、こういう今日までの職業人環境というものに対しての大きな改善を進めていかなきゃならない、こういうことで今度の法案も、先生方の御論議もいただいてこの国会に提出する段階に至ったわけでございまして、先ほど来から久保田先生と婦人局長のやりとりも聞いておりまして、私といたしましては、そうした基本的な問題を、先生の御意見も貴重な御意見でごもっともだとも思いますし、また労働省としても、そういうことを進めるためにいわゆる設置法に伴う女性の職業の確保という気持ちを込めて男女均等法という法案そのものがそういう一つの意思を持っておるという点についても御理解もいただければと思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、そうしたこの法案の審議を中心として非常に男女の平等とか雇用の機会均等というものが大きな社会的な論議、関心を呼んでおるわけでございますし、使用者側、雇用者側にとってもこの機会にさらにそうした問題の改善、前進を図るべきだと、こういう機運もあるわけでございますから、労働省としても懸命に取り組むべき責任がある、こういうふうに考えておりますので、ひとつ今後ともいろいろな御指摘も賜りたく、お願いを申し上げたいと思うわけでございます。
#44
○久保田真苗君 必要なのは、私どもが理解することではなくてこの法案に理解させることなんですね。したがいまして、ここにある「基本的理念」は私はそういう角度から見るとき、一層これがアンバラな理念だと思うんです。昨日、野党五党推薦の主婦連の中村紀伊さんが四十八団体を代表して証言をしてくださったんですけれども、その中で強く言っておられますね。女性の働く権利の平等という、そのことを基本的人権としてはっきりと総則に、目的に打ち出してほしいと、こういうことを言っておられるわけです。もちろん皆様もおなかの中ではそれは打ち出したおつもりでしょう。しかし、言葉によって、文字によって表現されない限り、皆さんはそれが表現されてないと思っているんですよ。ですから、それはそうしたつもりだというのでなく、それが一目でみんなにわかるようにこの中で訴えられなければならないんですね。
 そういう角度からこの基本理念を見ますと、この基本理念というのは直接に事業主を縛るものでも何でもないんだけれども、しかし余りにも勤労婦人福祉法時代の文言そのままなんですよね。それはちょこちょこと文言の差しかえはなさっていますよ。しかし、これの主文を読んでみますと、こういうふうになるわけです。つまり、修飾語を全部外して、主な文脈になっている要請のところだけを見ますと、今回の提案の「基本的理念」は、「女子労働者は、」「その能力を有効に発揮して充実した職業生活を営み、及び職業生活と家庭生活との調和を図ることができるように配慮されるものとする。」、こうなるんです。そして、二章が全くなく福祉の筋でもって働いてきた現行の勤労婦人福祉法の「基本的理念」はこういうふうになります。「勤労婦人が職業生活と家庭生活との調和を図り、」「その能力を有効に発揮して充実した職業生活を営むことができるように配慮されるものとする。」、したがってこれは順序を入れかえただけで、この主文から見る限りこれは何らの変わりがないんです。
 私は、抜本的改正で少なくとも婦人の平等権の確保を目指した第二章を新たに追加したというのであれば、この基本理念もまた抜本的に書き改められなければならないんですね。この基本理念というのは今後にわたってこの法律を支配していく一つの哲学なんですから、こういうところに手抜きというのは後々非常に困るわけなんです。ですから、私としては、これを書き改め、まず第一に、四十八団体が強く希望するように、婦人の働く権利についての平等を基本的人権として認め、そして女子であることを理由として差別をされてはならないという原則をここへ打ち出していただかなければしようがないと思うんです。そして第二には、現行の福祉の措置を講じてきたポイント、すなわち女子労働者が母性を尊重されながら職業生活、家庭生活の調和を図ることがと、福祉の措置をここに受けたらいいと思うんですね。
 この点、どうでしょうか。
#45
○政府委員(赤松良子君) 先生が比べてお読みになったときに、残念ながら、私どもが非常に重要に考えております「母性を尊重されつつしかも性別により差別されることなく」云々というところはお読みにならなかったように思いますが、この文言こそが従来の福祉法の中にもあり、それが非常に今度の法案の中に受け継がれて最もふさわしい言葉だったというふうに考えているわけでございまして、そこの点を改める必要がないというのが基本的な認識でございます。
#46
○久保田真苗君 私はね、主文を読むと申し上げているんですよ。文法上の文脈で読んだんですね。「母性を尊重されつつしかも性別により差別されることなく」というのは、これは副詞句ですよね、どう見ても。これは修飾語なんです。第二章の平等確保がない勤労婦人福祉法時代でさえ、この「性別により差別されることなく」という修飾語は入れることができたんですよ。今、平等の措置を二章で不十分ながらもとろうとしているときに、副詞句でもって扱うというのは非常に片手落ちなんですね。私は、これは主語、述語に、ちゃんとした文章にしていただかなければ、この場合これは生きてこないと思うんです。どうですか。
#47
○政府委員(赤松良子君) 勤労婦人福祉法の場合には、現在御提案中の第二章がなかったためにこの「性別により差別されることなく」という言葉は単なる副詞句であったかもしれませんが、第二章が新たにつけ加えられることによって、この「性別により差別されることなく」という言葉の重みが従来とは比較にならず大きくなったというふ
うに考えられると存じます。
#48
○久保田真苗君 それは、あなたのお心の中ではそうなんでしょう。しかし、客観的な法文として見た場合、この副詞句の位置づけは毫も変わっていませんね。私はそれを客観的な位置を与えてほしい、こう言っているんです。そんなことは当たり前ですよ。あなたのお心の中であれはこうだこうだと、それはいいことを思っていらっしゃるに違いないんですよ。しかし、それは表現されなければ何にもならないんです。副詞句でなく主語、述語としての位置を与えていただきたい。
 大臣、どうでしょうか。ここは何にも、どこからも文句のつかないところですよ、これは。このことについてできる努力をしてほしいと私は言っているんですね。
#49
○政府委員(赤松良子君) 「基本的理念」は、先ほど申し上げましたように、「性別により差別されることなく」という言葉がさん然と光っていると思います。また、「目的」のところは、先ほども申し上げましたように、「勤労婦人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、」という文言を「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇が確保されることを促進する」というふうに、明らかに二章を受けた表現にしたわけでございます。
#50
○久保田真苗君 私は、今どういうお答えが出るかということよりは、要するに客観的に見て、この扱いが本当に公正なものかどうかということを大臣に御判断いただきたいんです。御検討いただけますね。
#51
○国務大臣(山口敏夫君) 伺っておりまして、率直に申し上げて、久保田先生の御指摘の部分も非常に正論だと思いますし、赤松局長の答弁も非常にこれまた正論でございまして、要は婦人の地位の向上と職業選択の確保、拡大、こういう社会の今までの通念をどう改善、改革をしていくか、こういう気持ちを持ってこの法案に取り組み、御論議もいただいておるわけでございまして、労働大臣といたしましても、私どもが提案さしていただいておる法案を、現在における女性問題の一つの理念というものを明確に打ち出し、そしてまた御審議もいただいておる、こういうことでもございますし、久保田先生が御心配していただいておるような問題につきましても、この法案の運用の中でそうした女性の権利や人権が十分確保でき得るように取り組むという中で私は解決されていく、また解決されていかなきゃならない、かように考えるものでございます。
#52
○久保田真苗君 基本理念を置く以上は、ああ変わったんだといろ、そういう影響がなければ意味がないんです。これは飾り文句なんですから、要するにここに書くことは、全体として。飾り文句ではあるけれども、その影響力によって人を変えていくという、そこに意味があるわけですから、より効果的でより的確な表現をここにとるということについては、大臣はそれに反対はなさらないでしょうね。
#53
○国務大臣(山口敏夫君) ですから、久保田先生の御指摘を私十分理解して受けとめておるわけでございます。ただ、私の方の考えとしては、そういう先生の御指摘の部分も含めて、男女雇用機会均等法という法案が先生方の御論議の中でこうして世の中に御審議をいただくまでの段階に立ち至っておるということ自体が、先生の御指摘されている部分を一つ表現している、私はこういう受けとめ方をしておるわけでございます。
#54
○久保田真苗君 そういうふうに表現されているとみんな思っていないんですよ、大臣。こんなところで失点するなんてばかなことはないんですよ、本当に。これは何も逆立ちして騒がなきゃならないようなことじゃないんです。こういうところで大臣の名前が後世に記憶されるというようなことは本当につまらないことだと私は思いますよ。赤松局長のお名前もなんです。そのことだけを申し上げて、どうぞ御検討をお願いいたします。
 次に第二章に入りますけれども、これはさんざん出たお話なんですけれども、私もやっぱりこれはどうしても言わなければならない。きのうの中村公述人もやはり言っていらっしゃいましたね。四十八団体の要望として、やはりすべての差別を禁止していくということが非常に大きな願望なんですね。そして、きのうの中村公述人の発言では、ここにはすべての差別を禁止するというはっきりした原則、この当たり前のことが必ずしも立ってない。特に入り口については努力規定になっているし、このことによって全部が崩れていくということは納得ができない。まるでざる法だ。こう言っているんです。
 私は、やっぱり婦人差別撤廃条約の趣旨から言いましても、差別をしてはいけない、差別は禁止されねばならない、この非常に単純明快な論理は認めなきゃならないと思うんですね。ただ大臣も、それから前の坂本大臣も繰り返して言われるように、いきなりのショックは困るんで、日本としては漸進的にやりたい、そういう御答弁が繰り返し繰り返しあるわけなんです。特に婦人少年問題審議会が五十九年三月二十六日に建議をしていますね。大臣あて藤田たき会長からです。その建議の中で、七条についてはこれは強行規定とは言わなかったんですけれども、八条、つまり配置と昇進については強行規定をとること。もちろんそれは労使の別論はございますよ、しかし、審議会としての本文には強行規定とすることとあるわけです。それは結局、配置、昇進と単純に言いますけれども、これは採用されてから定年なり何なりで退職するまで、国民年金、基礎年金の部分で言えば、二十歳から六十歳までの実に四十年間全部をカバーする機会について差別があってはならないというこの原則を打ち立ててほしいというのは、これは当然のことなんじゃないんでしょうか。
 大臣、四十年ですよ。四十年も公序良俗に頼って、裁判で一々やらなければならないということの私たちのつらさはわかっていただけますね。どうですか。
#55
○国務大臣(山口敏夫君) よくその辺もわかっておりますので、そういう部分の改善のための努力を今尽くしている、尽くすべきである、こう考えているわけであります。
#56
○久保田真苗君 それで、努力義務規定に七条、八条がなっていることについては、ショックを与えるような急激な方法はとらないということなんですけれども、しかし私は、今提案されている、努力義務にしてそして労働大臣の指針でその中身を具体的に定めるとおっしゃっていることについて、これを禁止規定をとって、やはり指針の中で具体的に定め、それを重点としてやる、こういうことでも成り立つんじゃないかと思いますけれど、この点はどうですか。
#57
○政府委員(赤松良子君) この法案の構成は、努力義務としたことについて、その努力すべき目標を明らかにする点を指針で決めるということにしているわけでございまして、禁止規定にした場合には、それはその条文の解釈ということになろうかと思います。
#58
○久保田真苗君 そういうふうにできるという意味ですか。
#59
○政府委員(赤松良子君) 法案のつくり方を御説明したわけでございまして、七条、八条について禁止規定にできるというふうに申し上げたつもりではございません。
#60
○久保田真苗君 七条、八条についてこれを禁止規定にするということは、中村さんの言われるように、本当に当たり前のことなんですね。そして、これが急なショックとおっしゃるけれども、この法律全部について労働省は命令も出せないんだし、罰則もないんですよ。そういうことから考えると、なぜそんなにガードを何重にも何重にもめぐらしてこの法案の趣旨が生きないようにするのか、私は疑問なんですけどね。
 この点について大臣はどういうふうに理解してこれをお出しになっているんでしょう。
#61
○国務大臣(山口敏夫君) 婦人問題に専門的に取り組んでこられて、いろいろな婦人の差別でありますとかまた障害等を聞き、また御論議されている久保田先生の立場からしますと、いろいろな、
満たされている部分よりも足らざる部分に対する大きな不満と、改善に対する要求があるということはよくわかるわけでございますけれども、私はやはりこの男女の問題、特に女性の職業の選択とまた確保の問題につきましては、先生も御承知のとおり、この十年を見ましても非常に女性の職場の進出というものが拡大しておる、むしろ男性の伸び率以上に女性の職業進出というものが拡大をしておる、こういう現実もあるわけでございます。ちなみに、一二四の伸び率に対して一三八の伸び率をしておると、こういうことで、基本的には、社会的なニーズとしても女性の職場における選択の自由あるいは確保というものは一歩一歩改善されておる、こういうことも言えるわけでございますし、また、民間調査等によっても女性の雇用の多いところに非常に企業の成長性があるという結果も出ておるわけでございます。
 そういうことで、私はやはりこの法案の持つ意味とそこから派生する男女の差別の改善、あるいは雇用の確保、拡大、昇進等の、いわゆるトータルとして女性の職業人としての生活というものが十分守られるべき一つの前提条件というものが確立をし、そこからこれをどうより一層改善、改革をしていくか、こういう手順というものも十分御検討もいただきましてこの法案がまとめられたという経緯は、もう先生重々御承知いただいておるわけでございますので、その接点を起点として今後の女性の職場における差別の問題、あるいは雇用条件の問題、改善の問題についても一層取り組んでいくということが大事なことなのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#62
○久保田真苗君 ここを起点としてというお言葉は、何度も繰り返しておられる。ここを起点として女性の状況もそしてこの法律に盛り込まれる措置も、ここを起点として向上させ改善するんだと、こういう御趣旨ですか。
#63
○国務大臣(山口敏夫君) 社会的なニーズがそれを必要としておると、こういう段階の中で先生の御指摘の趣旨というものが生かされる社会的、職業的環境になっていくと、この法案の持つ位置もそこにあるというふうに考えておるわけでございます。
#64
○久保田真苗君 ここが起点で、この法案の中身もまたここを起点として向上させねばならないという、そういう御見解ですか。
#65
○国務大臣(山口敏夫君) これは将来的な問題、特に高齢者時代、あるいは男女雇用、男女の平等、あるいは家庭の共同責任、いろんな意味で、例えば男性に育児休暇を与えるというような役所も出てきておるわけでもございますから、将来的には職業人としての女性の立場とか権利とかあるいは位置づけ、地位というものが十分一層改善されていくことはあっても、改悪されていくということはあり得ない。そういう中で、将来的な見通しにおいては十分先生の御趣旨というものも生かされるべきであるというふうに考えております。
#66
○久保田真苗君 大臣、男性にも育児休業を普及してくださるそうで、ありがとうございます。ただ、私今申し上げているのは、七条、八条の努力規定、これが不十分だから禁止規定にしてほしいというみんなの意向を大臣に訴えているわけですね。したがって、ここを起点として当然にこの法律は改善され向上されていくという御趣旨に承ってよろしいわけですね。
#67
○国務大臣(山口敏夫君) 状況の変化というものは、女子の職業人にとって私は一層よりよい環境に向かっていくというふうに確信をしておるわけでございますし、そういう将来的展望の上に立って、この法案が一層前進、改善されるということは、当然私はこの国会の御論議等もいただきながらあり得るというふうに考えております。
#68
○久保田真苗君 それまでの間にしても、皆さんが心配していらっしゃるのは、この努力義務規定としたことについて、これが裁判における公序良俗の違反の判示に悪い影響を及ぼすんじゃないかということは、衆議院時代からも繰り返し繰り返し質問がされてきたんですね。
 それで、私、どういう答弁が出ているかということを見ますと、これについては総理大臣、それから前大臣になりますけれども労働大臣が、努力義務規定は直接これを根拠として民事訴訟による救済を可能にするものではないが、公序良俗などの一般法理を排除する趣旨でこれらの規定を設けるものではないから、公序良俗違反等の理由で訴訟を提起することについて何ら影響を与えるものではなく、努力したことの立証のみをもって当然に免責されるわけではないと考えると答弁していますね。
 また、赤松局長はさらに詳しく、衆議院の社労で沼川洋一議員に対しましておおむねこういうことを言っていらっしゃるんですね。この法律ができたからといって、公序良俗の一般的な法理を排除する趣旨は全くない、これが一点。それから、労働者が特定の事案について公序良俗違反がありという裁判を提起したとすれば、そのことについての裁判の判断が行われるわけであって、努力義務ができたからといって、公序良俗であったものが公序良俗でなくなるということは考えられない、これが二点。それから三点目に、女子労働者が、公序良俗違反に加えて事業主が努力義務を怠ったかどうかというような立証をする必要はない。これが三点目です。そして、全体として、努力義務規定違反を主張するのではなく、公序良俗違反かどうかということを裁判で争うんだから、今までよりその点が女子労働者にとって不利になるということは考えられないと、こうおっしゃっているわけです。これだけの御答弁は一応していただいているんですけれども、なおかつ、このところは厳重に念には念を入れて吟味しておきませんと、もうこの努力義務規定のある部分については結局最終的には公序良俗違反で裁判所へ行かなきゃならないんですから、このところは念には念を入れて被害がないようにしておかなきゃならないので、私はもう一度これについてはっきりした御答弁をお願いしたいと思うんです。
 つまり、私の論点は、訴訟で公序良俗違反を争う場合に、まず差別があるかないかということを判定するわけです。けれども、差別があったとして、しかし、使用者はこの努力義務規定によって相当の努力をしたのだと、相当の努力をしたから免責されるということにはならないけれども、しかし、それは公序良俗違反であるとまでは言えないのではないかという、その本条の影響が懸念されるんです。確かめたいところは、たとえ努力をしても結果的に差別があれば差別は差別、差別があれば公序良俗違反になるという、この点について、労働省は、そして労働大臣は、確信を持ってこの点についての見解をお示しになれますか。
#69
○政府委員(赤松良子君) 衆議院でお答えいたしましたことを当院で変更するつもりは全くございませんで、先生が今おっしゃったことは、公序良俗について裁判で争う場合に、努力義務規定ができたことによって裁判所の判断が変わるというふうには考えられません。
#70
○久保田真苗君 このことはこれは大臣に御答弁いただきたい。大臣、この努力義務規定を置くことによって、裁判で公序良俗違反を争う場合に、この努力義務規定は公序良俗の判定上、何らのマイナス影響を与えるものではないと、この確信がおありになるからこそここに法案をお出しになっているんだと思うんです。もし、このことについてはっきりしたお約束がないのであれば、この法案はやめていただかなきゃならないんです。それはもう救いようのないことになるわけですから。ですから、大臣の御見解をこの際改めてお伺いします。
#71
○国務大臣(山口敏夫君) 先生御指摘のとおり、公序良俗の違反であるとしての訴訟を提起することについて何ら影響を与えるものではないと、立案者として確信を持ってお答えを申し上げられると思います。
#72
○久保田真苗君 まあいろいろとあります。ただ、私は、諸外国でやってきたこの男女雇用平等に関する立法から見まして、四十年にもわたる職業生涯そのものが、諸外国のように性別による差別禁止によって担保されていないということは、
やはりこれは本当に何とかしなきゃならないことだと思うんです。それは確かにおっしゃるように、婦人労働者の意識とか実態とかということを今後勘案するという、そういうことはあるでしょう。しかし、婦人労働者の中には、当然職業人として自分は職業を頑張っていくんだ、それに生きていくんだという人、あるいは自分は経済的自立ということで一生やっていくんだと、こういうかたい決心を持ってやっている人もたくさんいるわけでしてね。そういう人たちに対して、問題が起こったときいつでも訴訟を起こされることは妨げませんなどというのでは、この雇用平等に関する立法をなさった労働省のお立場としては余りにも無責任だと思うんですよ。
 ですから私は、この方たちが不利益を免れない、そういう状態では正しい措置だとは言えませんので、このことについてやっぱりこれは考え直していただかなきゃならないと思うんです。そして、同時に、ひとつ十二条の指針の中で、当面努力義務であってもいろいろな大臣の指針で担保していくんだという御答弁が出ておりますから、ですからその指針についても少し伺わせていただかなきゃならないんです。それで、今までの御答弁では専門家会議で議論されました「雇用における男女異なる取扱いの現状」の中から幾つかの例示をなさっているんですね。私ここにその「男女異なる取扱いの現状」のいろいろなケースをここで挙げていますので、これについてお答えをいただきたいんですけれども、この中で指針に盛り込んで重点指導をするということについて難しいと思われる項目がございますでしょうか。
#73
○政府委員(赤松良子君) 男女平等問題専門家会議の報告で指摘されております「男女異なる取扱い」というのは、いろいろ挙げてあるわけでございますが、これがこのまま指針に盛り込まれるという趣旨では必ずしもございません。これは審議会で御検討をいただくことでございます。
 衆議院で申し上げた言葉をもう一度申し上げますと、原案は労働省が作成することになろうと存じますが、審議会にお諮りをして決めることでございますので、ここに挙げられておりますような事例は検討の対象になると存じますが、どれが指針の中でどういう位置を占めるかということを今日の段階で申し上げるのは適当でないと思います。
#74
○久保田真苗君 ここに出ている事例は、どれを見てもこれが対象にならないのでは大変困るという事例ばかりですね。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
要するに、女子であることを理由として全く異なる労務管理を行うということにおいて、その中にいる女子労働者の不利益をもたらすに決まっていることばかりなんです。ですから、この中からどれがというふうにこの中からちょびちょびとピックアップする程度であると私は全くこれはがっかりだと思うんですけれども、どうですか、大体この範囲はカバーできると、そういうふうな、勘でもってお答えいただいて大体この範囲はカバーできそうだという、そういう感じを持ってらっしゃいますか。
#75
○政府委員(赤松良子君) 余り勘でこういう場合に申し上げるのは適当でないと思います。
#76
○久保田真苗君 では、勘でなければどうなんですか。よく考えて、この中から大体この範囲はカバーできそうだというふうにお考えですか、従来の豊かな御経験に照らして。
#77
○政府委員(赤松良子君) ここに掲げられておりますことは、合理的な理由がなければ差別として解消すべき努力目標になろうかと存じますが、なお指針をつくる場合には審議会にお諮りをするわけでございますので、決定的なことを申し上げるのは適当でないというふうに存じます。
#78
○久保田真苗君 具体的に一々ということは言いませんけれども、大体ここに出ている典型的な差別の事例というものは、これは何らかの措置をとっていただかなければ困るものばかりなんですね。
 一つ私、具体的な展開方法というものについても大変興味があるんですけれども、募集、採用について、男子のみまたは女子のみの募集、こういうことが挙がっています。これを一応例にとりますと、大学へ行きますと募集はみんな男子ばかりですね。七〇%の企業が女子学生を締め出しているわけです。これに対して労働省はどういう働きかけをなさろうと思っていますか。やり方について幾つかの御提案があれば伺いたいんですが。
#79
○政府委員(赤松良子君) 男子のみを採用するという場合がすべてなくさなければならないというふうには必ずしも考えられません。例えば、女子が法令上つくことができないような仕事もまだいろいろとあるわけでございます。そのような仕事に女子を募集しないからといって、それをなくせというようなことは本来できない相談ではないかと思います。
 また、いろいろ……
#80
○久保田真苗君 委員長、ちょっと済みません。
 今おっしゃったことはわかっているんですよ。もう御答弁に出ているんですよ。ですから、私が伺いたいのは、具体的にどういうふうに大学にアプローチしますか、そこなんです。それを答えてくださればいいんで、今範囲は伺ってないんですね。
#81
○政府委員(赤松良子君) 大学に対する指導というようなことを現在の段階では必ずしも考えておりませんで、企業に対してそのような差別的な募集、あるいは採用がなくなるようにという指導をするつもりでございます。
#82
○久保田真苗君 でも、大学に対して、要するに大学が安定業務を一層がわりしているわけですから、大学に対しても当然いろいろな働きかけはなさる必要があるわけでしょう。それは行政指導と言うのか啓発と言うのか、依頼と言うのか知りませんけれど、そういうことは当然考えるべきでしょう。どうですか。
#83
○政府委員(赤松良子君) 一次的には企業を対象として考えておりますが、必要な場合に大学にするということを否定するものではございません。
#84
○久保田真苗君 ちょっと、安定所の窓口のことについてこの際伺いたいんです、募集に関係あるので。私、何度も伺ってまことに済みませんけれども、これはやっぱり公共機関のやることだものですから、皆さんがこれを範とするという点があるので、私は早急に改めていただきたいんです。
 大臣、安定所の窓口をごらんになったことありますか。――あります、じゃ御存じですよね。(資料を示す)ここにこういうふうに女子に対する赤い求職票、男子の求職票、パートは女子の赤い求職票にパと判が押してあるんですね。そして、これは求人票なんです。ブルーの男子の求人票、それで赤い女子の求人票。どっちでもいい事務員さんの応募が来ますと、どっちかに分けて書かなきゃならないんですね。こういうことになるわけなんです。それは実際上いろんな御指導をしていらっしゃるとおっしゃるかもわからないけれども、ともかくここにまで、入り口にこういうネックがあるんですね。それで、この書き込み要領ですね、男子は青、女子は赤と、わざわざ赤インクで書いてあるんです。「職種ごとに一組を作成提出して下さい。」と。それでは実際に集まった人間ですね、求職者、これをどういうふうに扱っているかといいますと、女子はピンクのカバーで四十五歳以下、四十五歳以上。男子ブルーのカバーで四十五歳以下、四十五歳以上。そしてそれが経理だとか、販売だとか、事務だとかと、そういう分け方になっているんです。ですから、求人者が若い男子がいいという頭で行った場合は、そのファイルしか見ない。仮に中高年者がそれに適格な資格や経験を持っていても、女子が適格な経験、資格を持っていても、求人者の目に触れるということはまずないんですよね。そういう窓口業務が行われている。
 このことについて、私は先般来御指摘をしまして、外務省にも今まで大臣から御答弁いただいたところなんですね。大臣は、男女別の募集、採用は原則として認められないと、そう言っていらっしゃるわけです、安倍外務大臣ですけれども。そ
して、これについては中央職業安定審議会で答申が出ているんです。求人の受理、職業紹介に際し、男女の機会均等が確保されるよう努めることが必要と。だから、外務省としては労働省がこれに基づいて検討しているものと承知していますと、こう答えて、その検討の進行状況と、当然これを改めていただけるんだと思うんだけれども、その辺どうなんでしょうか。
#85
○政府委員(加藤孝君) 今御指摘がございますように、公共職業安定所の窓口におきまして、企業が現在においては男女別にいろいろ採用計画を立てておるという現状、そしてまた女子につきまして、例えばそういう三交代の深夜勤務もあるとかいうような業務、あるいはまた就業制限のかかっているような業務については、女子についてそれを就職あっせんするわけにはいかないというようなこと等もございまして、現在、男女別の求人票、それから男女別の求職票というものをいたしておりますし、それからまた、ごく一部の安定所、全国でこれは九カ所ではございますが、ごく一部の安定所におきましては、女子の窓口、男子の窓口というような形でやっておることは事実でございます。
 ただ、職業安定法におきましては、職業紹介に当たりまして、こういう性による差別というものは禁止をされておるわけでございます。そういう意味で、安定所としましては、そういう紹介に当たっては求人求職の結合の際、それが能力、適性に応じて紹介が行われる、こういうことでやっておるわけでございます。今後、均等法でこの指針がこれから決められることになっておるわけでございます。それで、こういう女子に対して男子と均等な機会を与えるというように努めるということについての具体的な指針が定められていく、その論議の中におきまして私どものこの求人票、求職票のあり方、あるいはまた紹介窓口での具体的な取扱事務の仕方、こういったものも、そういう指針との関連においてやっていかなければならぬだろう、こんなふうに考えておるわけでございます。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
 この問題は久保田先生からもしばしば検討をすべき旨の御指摘をいただいておる問題でもあり、また私どもも、実際に安定所の窓口の実務をどう混乱なく、しかもこの法律なり、あるいはまた指針の目指していくものと合致させていくのか。これはもう要するに何十万枚、何百万枚という求人票、求職票のこの実務をどううまく仕分けていくかという大変大きな作業にもかかわっていく問題もございます。そんなようなこともございまして、私どももいろいろな角度から事務的な検討もいたしておりますが、現段階におきましては、そういう指針との絡み等もございまして、具体的にこうするという成案を得るまでにはまだ至っていない、こういうことでございます。
#86
○久保田真苗君 大臣、私この際一言申し上げておきたいんですけれども、婦人差別撤廃条約の二条の(d)というのがあるんですね。これは、婦人に対するいかなる差別行為または慣行も差し控え、かつ、公共機関がこの義務に従って行動することを確保すると、公共機関の義務を書いてあるわけですよ。そのことを頭に置いていただきまして、今後婦人局がいろんなお仕事をなさると思うんですけれども、安定局長もそういった今後のこの法律の具体的展開に従ってやるとおっしゃっている、したがって、婦人局の方は、大臣のもとにおいて安定所のこういうことが解消されるように頑張っていただかなきゃならないんです。
 私は少なくともこういう紙の取り扱いにつきましては、職種別に、そして男女、年齢込みでつづりをつくるべきだと思う、そこから出発すべきだと思うんです。そうでないと、高齢者の雇用が厳しいと皆さんおっしゃっている。自分で厳しくしているんですよ。女子が厳しいです、統計見ても。安定所の窓口は。それも自分でしているんですね。ですからぜひこの点は、まずおひざ元から姿勢を正すように大臣に頑張っていただきたいと思うんです。
#87
○国務大臣(山口敏夫君) 私も、先ほど加藤局長の答弁のように、現在ある求職票、特に青いカード、赤いカードと、こういうことで男女のそれぞれの雇用者側のあるいは求職者側の希望やファイルの合理性という立場で現状が採用されておる、こういう認識でもっておりますけれども、今久保田先生の御指摘のように、こうした求職票自体も女子の雇用の差別の問題でございますとか、あるいは女子の求職におけるいろいろ手続等、その他の効率性の問題に問題がある、こういうことでございますれば、局長は局長で答弁もいたしましたけれども、私は、職業安定所の機能はもっと改善されなきゃならない。そして今、いわゆる民間に職業紹介産業等がございますけれども、そういう点からいっても、民間以上に公的な機関としての職業安定所の国民サービス、勤労国民に対するサービス、その他の要求に対しては積極的にこたえていかなきゃならない、こういうことでございますので、この求職票という問題にかかわらず統合的にどういう点を改善、改革することが勤労国民の方のニーズにこたえられるかということでやっぱり検討すべきであるというふうに考えております。
 私の在任中においていま一度、国会で毎日毎日御審議いただいておりますのでなかなか出先へ訪問する機会もないわけでございますが、第一線で御苦労いただいておる職業安定所の職員の方々とも意見交換もし、先生の御指摘のような問題点も私も率直に受けとめている点もございますので、どういう形で改善への検討をすることが必要かという点についてもひとつ研究さしていただきたいというふうにお答え申し上げたいと思います。
#88
○久保田真苗君 次に、「教育訓練」と「福利厚生」に移ります。
 ここは一応部分的な禁止規定になっているんですけれども、私、このことにつきまして一つの重大な問題提起をしたいんです。それは、ここではまず教育訓練は大事ですからここに「事業主は、労働者の業務の遂行に必要な基礎的な能力」というところで、「基礎的な能力」というところで一つ縛りをかけまして、「能力を付与するためのものとして労働省令で定める教育訓練について、」「女子であることを理由として」「差別的取扱いをしてはならない。」、こうなっているんです。これ二重に、二重にといいますか、「基礎的な」というところで限定をしてその中身を省令で具体的に書く、こういうことになっているんですね。
 ただ私は、この教育訓練は非常に大事なものである上に、婦人条約の解釈として、この条約はそもそも「婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」というのが正式のタイトルなんです。そしてこの第一条それから第二条、特に第二条に、「婦人に対するあらゆる形態の差別を非難し、」そしてこの(b)項で、「婦人に対するすべての差別を禁止する適当な立法その他の措置をとる」、こう書いてあるんですね。でございますから、私は特にきょうここで強調したいのは、「すべての差別」という点なんです。ですからこの法律が、教育訓練の差別してはならない範囲というものをまず「基礎的な」というところで一つ限定し、そしてその中身を省令で書くということについては、かなり重大な形式上の問題があるんじゃないかと思うんです。
 それで、まず外務省に伺いたいのは、ここの条約の十一条に列記してございますいろいろの項目、この項目は特にと強調したんだと私は思いますけれども、ここに書いたもの以外についても当然に条約は差別撤廃、すべての差別を禁止する対象としているのだと思いますが、外務省どうでしょうか。
#89
○説明員(P崎克己君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のとおり、この条約の第十一条には(c)項でございますが、「職業を自由に選択する権利、昇進、雇用の保障並びに労働に係るすべての給付及び条件についての権利並びに職業訓練及び再訓練(見習、上級職業訓練及び継続的訓練を含む。)を受ける権利」と書いてございまして、まさに先生御指摘のとおり、本条約は女子に
対するあらゆる形態の差別の撤廃を求めているわけでございます。
 したがいまして、例えば職業訓練の形態といたしまして、十一条の一項(c)で特記しているものについてだけ差別を撤廃すればいいというわけではないわけでございます。
#90
○久保田真苗君 でございますから、その観点から見ますと、この九条というものの趣旨はどういうことになりますか。それとの関連では、省令で定める範囲、そして範囲外のものについてはどういうふうにお考えなんですか。
#91
○説明員(松原亘子君) 教育訓練につきましては、既に何回か御説明したかと思いますけれども、基礎的な訓練につきまして禁止規定の対象としておるということでございますが、この理由は、教育訓練というのはある意味では人材を養成するための投資だという面もございますので、かなり長期にわたってその投資の結果が得られるといいますか、教育訓練の成果が得られるというものもあるわけでございます。そういうものについてまで現時点における男女の勤続年数の差を無視して一律に禁止規定の対象とするということは我が国の実情にはそぐわないということから、このような規定ぶりにいたしたわけでございます。
 それで、今条約についての外務省の御説明がございましたけれども、条約では、十一条の柱書きで、「差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとる。」ということで、必ずしも禁止規定によって担保しなければいけないということまでは要請されていないというふうに私どもは理解をいたしているわけでございまして、この均等法案につきましては、四条でございますが、まず一般的な努力義務といたしまして、国、地方公共団体、事業主に対して、機会の均等、待遇の平等を確保することを含めます福祉の増進を図るように努めなければならないという一般的な努力義務がかかっているわけでございます。まず包括的にそういうことをかけているということで、私どもは当面の措置といたしましては条約上は問題はないというふうに考えているところでございます。
#92
○久保田真苗君 これは法律の形式としてはかなり問題だと私は思いますね。私はこういう疑問の生じるような法律の形にしない方がいいと思うんです。というのは、やっぱり省令に書かれたもの以外については、努力規定によってすらサポートされないんですよね。それは非常に問題だと思うんです。そして、現実に、事業主の責任において行われる教育訓練というのはそれこそ千差万別でいろんな格好があるんですね。私は、実務の面から見て、この省令が本当にできるんだろうか、そういう感じがするんですよ。
 私はむしろ提案したいのは、ここには「基礎的な」とか「省令」とかということを外して、全般的に教育訓練について差別してはならないと書いておいて、かつ、福祉対策基本方針等のところで、行政指導ですからね、これも結局は。行政指導の重点項目として特定のまず積極的に押さえるものを出していく、そういうことにした方がいいと思うんです。その場合、もしかすると労働者からそれ以外のものについても苦情があるかもわからない。ないかもわからないけれども、あるかもわからない。その場合は、私はそのケースはそのケースとしてやっぱり親切に調べてあげて、そしてそれについてアドバイスなり指導なりをされたらいいと思うんです。そういうケースが積み上がって初めて本当に労働省がこの仕事について生きた指導ができるということなんじゃないでしょうかね。
 私は、今のこの書き方から見て本当にこれが実務的にワーカブルかどうかということに非常に疑問を持つんです。そして、しかも条約の趣旨からいうと、明らかに、省令にまだ定まってないけれども、定めた段階で非常にこれは不均衡を生ずる。不均衡を生じた上、捕捉されないものなどが次々出てきて、収拾のつかないことになるんじゃないか、そういう感じがします。老婆心であれば結構ですけれども、条約の趣旨からいっても、私は国会としてはこういう法文の字面は大変困ると思うんです。ですから、これは改めていただかなければならないところだと思います。
 十条の「福利厚生」についても、全く同じことが言えると思いますけれども、時間がありませんから、この二つについて私は強く希望を出して先へ進みます。
 十一条ですね、ここについての問題点は、結局ここは、労働省のお言葉では非常に強い規定にしているんですよ。特に、この二項、三項の結婚、妊娠、出産について、強い具体的な書き方をしていますね。けれども、これはいずれを見ても基準法の産休及び三十日の解雇、それに対する制裁以外については命令もできなければ、制裁措置で、直接この法律で担保もできないんですね。そういたしますと、差別定年や差別解雇、そういうものが起こったときに一体どうするのか。特に、「婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。」と、そして現実にもそういう差別してはならないと、こうあるんですね。
 外務省にお聞きしたいんですけれども、ここの部分については、条約は特に制裁を科するというような強い表現を持っていますね。
#93
○説明員(P崎克己君) お答え申し上げます。
 この条約の審議の過程におきまして、この制裁の文字につきましてはいろいろ議論があったわけでございます。当初はペナルティーというような強い表現もあったわけでございますが、最終的にはサンクションということになりまして、このサンクションの意味合いでございますが、これは民事上の損害賠償請求権の付与を含んでいるということが一般的な解釈でございまして、ほかの西欧先進国も大体民事上の損害賠償請求権の付与が大勢であったというふうに了解しております。
#94
○久保田真苗君 それじゃ、労働省にお答えいただきます。
 命令もできず、もちろん罰則がないから担保できてないと。そうしますと、この禁止規定というのは、勧告なんかが受け入れられなかったとき、一体どういうふうに措置すればいいと私どもにおっしゃるんですか。
#95
○政府委員(赤松良子君) 強行規定でございますので、これに違反した契約は無効になりますし、また、その無効になった契約に基づいて解雇などが行われた場合には、不法行為による損害賠償の対象になると考えるわけでございます。したがいまして、民事上のそのようなサンクションがあるということをよく事業主に対して理解をしていただく、そういう指導をいたしたいと思います。
#96
○久保田真苗君 そうしますと、実際にはこのサンクションを得るためには民事訴訟によって行うと、裁判所だと、こういうことですね。
#97
○政府委員(赤松良子君) 最終的には民事訴訟になるというふうに考えます。
#98
○久保田真苗君  少なくとも妊娠とか出産とか、結局おなかに赤ちゃんがいてそういう事件が起こったときに、非常に母体にも胎児にも悪影響だと、こういうとき、非常に迅速を要するわけですよね。そういう場合に、妊婦が自分でもって裁判を起こさなければその担保が得られないというんではちょっと気の毒過ぎると思うんです。
 ですから、これは諸外国の例にもあるわけですけれども、この辺を突破口として労働省がこれの禁止規定が守られず、勧告や調停がけ飛ばされたときに自分が訴訟を援助していくという、そういう方法はとれませんか。
#99
○政府委員(赤松良子君) そのような方法は、現在の条文からはとれないというふうに思います。
#100
○久保田真苗君 現在とっていないことはもちろん皆さんよくわかっているんですね。とるべきじゃなかろうかと、そのくらいにしなければ実際には妊産婦の救済になんかならないんですよね。自分で訴訟するなんて、そういうことは。少なくともこの部分を突破口として、労働省はそういう方策を今後可及的速やかに打ち出すという、そういう考えにはなれませんか。
#101
○政府委員(赤松良子君) この問題については、婦人少年室による助言、指導、勧告が強行法規で
あるということを根拠に強いものとすることができると思いますので、裁判に持ち出すというようなことを待たずに解決するということを期待いたしております。
#102
○久保田真苗君 期待するなら、まあ期待なさるのはしようがありませんけれども、ただ、そういう場合も数ある中には起こり得ますよね。そのときに、私は婦人局のお立場としては、結局今回おとりになった制度は民事的な制度をおとりになっているんですよ。調停委員会というのは民事的な手続に訴えるという制度で、監督制度とは違うんですね。それをお選びになった以上、その最後をどういうふうに決着するかということは今後の重大な課題なんです。それはアメリカのように機会均等委員会が自分で原告になって連邦裁判所へ訴えるというのもありますし、イギリスやスウェーデンのように、労働者当人の労働裁判所の訴訟を金銭的、サービス的にこれを全面的に援助していくという方法をとるところもあります。しかし、このような方法をとった場合には、そういう最終的なサンクションに結びつくような原動力をこの委員会の責任者である人が起こさなければ、これはしょせん実効性があるとは言えないんですね。実効性がないのは余りにも明らかなんですけれども、そういう方向へ進んでいただきたいと、私は思うんです。
 それで、この調停委員会の実効性につきまして、私、予算委員会で言いましたからそれを繰り返すことはいたしませんけれども、まず、この調査権ですね。私は、婦人少年室の調査権、室長の調査権、これはぜひ訴えた個別のケースについて、一応必要の範囲内で実情を調査できるという趣旨のことをここに出していただきたいんです。どうですか。
#103
○説明員(松原亘子君) 第十四条につきましては、これは婦人少年室長は、解決のための援助を求められた場合には必要に応じまして助言、指導または勧告ができるということになっておるわけでございますので、当然のことといたしまして、明文上は書いておりませんけれども、その前提として必要な調査はできるものというふうに私どもは考えているところでございます。
#104
○久保田真苗君 実際にはおできになるかもしれないけれども、これはいわゆる婦人少年室が一般に行っているサンプル調査とかアンケート調査とかそういう一般的な性格のものとは違うんですよ。これは個別のケースなんです。基準法でいったら百条の二に当たる調査権に種類は似ているんです。ただ基準法ほどの強い権限がないけれども、しかし、この個別のケースについて室長が必要な範囲内で調査をやれるというふうにここに記しておく方が、私は余計ないざこざがなくていいと思うんですね。それが記せないということはないと思うし、本省だって、室長が調査してくれなかったら一体どういうふうに判断なさるんですか。これ、事務が停滞ですよ。だから私はやっぱりできるだけこれは頑張って、その方法を担保される方がいいと思うんですね。どうですか。
#105
○政府委員(赤松良子君) 婦人少年室が相手方の同意を得て立入調査をするということは可能でございます。しかし、その立入検査権を法律で明定して調査をするというような、いわば強い規定というものは、この保護しようとしております内容が、助言、指導、勧告あるいは調停というような方法によって目的を達成しようとしているものでございますから、そういう問題について、立入検査というような非常に強い手段を付与するということは、目的と手段の相当性がいささか不適当であるというふうに考えて、これらの権限はあえて規定をしなかったものでございます。
#106
○久保田真苗君 立入検査で、ほかの強い立法にあるように、これこれこれこれの台帳を閲覧するとか、そういう表現までとれとは言わないんです。必要の範囲内で実情を調査することができる、と書く、そのことは私は大事なことだと思うんですね。
 私、きょう時間があれば日本航空のことを伺いたかったんです。恐らく今調査なしでお答えになれないんじゃないかと思うんですけれども、どうですか。お答えになれますか、これに対しての判断を。
#107
○政府委員(赤松良子君) 調査が必要でないというふうには申しているつもりはございませんで、調査は必要だと思います。ただ、立入検査権のような調査は、必要というか、そういう規定をつけることが手段の相当性という観点から見て不適当だということを申し上げているわけでございまして、調査は必要だと思います。
#108
○久保田真苗君 調査は必要ならば――立入検査権と書けなんて私一言も言ってないんですよ。だからすれ違わないようにしていただきたいんです。必要な範囲内で実情を調査することができる。それくらい押さえておかなかったら委員会まで持って、これはちょっとその方が均衡を失していると思うんです。委員会だなんて、ともかくこれは新しい組織なんですからね。そのくらいのことを室がはっきりと書かなければしようがないと思います。これ強く希望しておきますね。
 それから、この間申し上げました例の不利益取り扱いについての記載は、これはやっぱり労働大臣の御責任でぜひ書いていただきたいと、こう思うんですね。そうじゃないと、大臣が幾ら辞表をお出しになっても本人の首は回復されないんですよ。ですから、今大臣がおできになる、責任をこのことについてお持ちになれるたった一つの方法は、今ここに、訴えたことによって不利益取り扱いを受けないと、そのたった一行のことをここに書く、それだけなんです。それのみが不利益処分を担保できるんですね。どうですか。お願いできますか。
#109
○政府委員(赤松良子君) これも従来からたびたび申し上げておりまして繰り返しになって恐縮でございますが、不利益取り扱いの禁止ということを明文で書くということは、他のこのような種類のものについては余り見受けられないことでございまして、不利益取り扱いは厳に慎むべきことであるということで、労働省としてはそのようなことがないように、ぜひ適切な指導をいたしたいというふうに思っております。
#110
○久保田真苗君 指導も必要ですけれども、労働者にとって首というのはこれは生き死にの問題なんですね。それを担保するたったら一つの方法は、こういう委員会やこういう機能をつくったそのときに、それを訴えたことによって不利益を受けない。それを書く、その一言に尽きるんですね。後から汗をかいていただかなくていいのです。余計なことをなさらなくていい。時間のむだです。ここに書くということによって担保していただきたい。
 次に、私は労働基準法の方に移りたいと思うのです。
 労働基準法につきましては、前々から大臣に検討をお願いしていた事項があるんですね。それは、年次有給休暇に関する通達と、それからスキーバス転落事故でたくさんの犠牲者が出た。あのような事故を再発防止する効果的な手段、このことについて、時間がありませんけれども、大臣から御自身で検討の結果をお聞かせいただきたいのです。
#111
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 年次有給休暇に関する問題につきましては、労働基準法第三十九条は、使用者に労働者が請求する時季に年次有給休暇を与えることを義務づけた規定でございまして、年次有給休暇の取得を理由とする不利益取り扱いの問題を先般先生御指摘されたわけでございますが、それは規定していないわけでございますけれども、したがって、賞与等の算定に対しましてはこれの不利益取り扱について直ちに基準法三十九条違反というものではございません。しかし、一般的には好ましいものではなく、同条の精神に反するので、この間御指摘いただきました通達等により、従来からその是正を指導しているところでございまして、今後ともこの線に沿って指導に努めてまいりたいというふうに考えております。
 それからもう一つ御指摘のスキーバス等の事故
の問題では、過重な労働時間の改善等について御指摘があったと思うわけでございますが、自動車運転者という特定職種につきまして、拘束時間という概念を取り入れていわゆる二七通達で自動車運転者の労働時間等の改善基準をつくって指導しております。これを今後とも遵守徹底するように図ってまいりたいというふうに考えております。
#112
○久保田真苗君 大臣、私はやはりこの意味合いをもう一回繰り返さしていただく必要があるんですね。
 年次有給休暇の通達におきましては、昭和三十七年の通達で、これは大要こういうことなんです。年休を取らなかった者に対してその日数に応じて賞与が支給される。そのことに対して労働省が出した通達なんですね。それはどういうことかというと、「過去における実出勤日数に応じて」、つまり年休をとらなかったというそのことに対して、「賞与を支給することは、労働基準法違反とはならない。」と。これは二十三年間通達はこれ一本で年休についての不利益取り扱いを指示してきたんです。そして、今もまだこの通達は生きています。五十三年になってもう一つ、さすがに別の通達を出したんですね。それは精勤手当の算定に関してなんですけれども、年休をとった日を欠勤または欠勤に準じて取り扱うことは法違反とは認めがたいと。認めがたいけれども、年休の取得を抑制する効果を持つものであって、基準法の精神に反する、また、その不利益取り扱いを定めた就業規則は年休抑制への、つまりそこで失われる賃金とか、それから年休抑制の程度によっては――また公序良俗ですよ、公序良俗に反して民事上無効と解される場合があるので注意しなさいと、こう言っているわけですね。労働基準法というのは自分の決めた権利の面倒も見られない法律なんでしょうか。そうじゃないんでしょう。そうじゃなくて、労働基準法で最低基準として決められたその権利を労働者が行使することに対して、それを事実上とれないようなそういう効果を持ついろんな不利益扱いをする、そのことを是認している労働省の解釈が問題なんじゃないですか。
 労働大臣、これ、つい先週この委員会でおっしゃったんですよ。年休の取得率は日本は悪くて、しかもそれがちっとも改善されない、こう言っていらっしゃる。こんなものが生きていたのでは改善のしようがないんですね。時間短縮についてこれは重大なポイントですから、私は何がなんでもこの通達を殺して、そして基準法の年次有給休暇の権利が堂々ととれるような、そういう状況にしていただきたいんです。大臣、どうですか。
#113
○国務大臣(山口敏夫君) 先週の私の答弁を御記憶いただいていて大変恐縮でございますが、私も今先生の御質問を承りながら、確かに御指摘の点を十分これは検討しなきゃいけない問題だなと、こういう受けとめ方で聞いておったわけでございます。
 いずれにいたしましても、今日までの通達の経過もございます。したがって、今審議官からもお答えいたしましたけれども、三十九条の精神に反する、こういう立場に私どもも立っておりますので、是正指導をひとつ一層進める、こういうことと、それといま一つは、労働時間法制のあり方の一環として、現在労働基準法研究会で調査研究をお願いしております。そういう中で先生の御指摘の部分も含めて大臣として検討改善をどう進めるべきか、こういうことをひとつ十分考えたいというふうにお答えを申し上げます。
#114
○久保田真苗君 ぜひ大臣の在任中にこれは何とかしていただきたい。
 もう一つ、スキーバス事故についてですね。これは一般国民に多大の被害が及んでいるケースなんです。そして、これに関連して私の指摘したい問題は、この運転手さんは休日労働をしていまして、二週間全く休日をとっていないんです、一日も。ほかにも一カ月間休日をとっていない労働者もいたんだそうですね。そして第二番目には、二週間の総拘束時間が百六十一時間二十七分に及んでいる。そして三番目には、継続する一勤務の拘束時間の長さが実に三十二時間三十分。そして、この三つとも労働基準法違反を構成してないんですよ。
 つまり、どういうふうに労働省はやっているかといいますと、局長名の通達で改善基準という細かなものをこしらえて、二週間に一回は休みを出しなさいよ、二週間で百五十六時間どまりに拘束時間してくださいよ、一勤務が二十時間ぐらいにしてくださいよと、そういうふうに書いているわけです。でも、これは労働基準法違反にはならない。そしてこの通達を何度破ろうと、これによって労働省はこの使用者を送検することができないんです。今度だって三重労働基準局が送検したのは、この運転手に対してでなくて他の労働基準法違反を見つけてやっと送検したわけでしょう。ところが、この二七通達という改善基準の違背とおっしゃっているんですよね、この立法まがいの通達は、他の省庁が過労の基準を見るときに使われるわけですね。私は、これはやっぱり立法でなさるべき基準だと思うんです。
 そして、さらに問題なのは、この改善基準違背自体が非常に緩いものであって、一つも国民の、乗客の安全を担保してくれていないということなんですね。このことについて、私はぜひこれを法令によって定めるということにして国民の安全を担保していただきたいと思うんですが、大臣いかがでしょうか。
#115
○国務大臣(山口敏夫君) これは、当時閣議におきまして、こういう特に余暇時間等も国民間において関心が非常に高まっている折でもございます、そういうサービス業務に従事しておる交通労働者が過密スケジュールや過重労働でかりそめにも人身事故を起こすことのないように、こういうことで私も閣議で発言をいたしまして、その当日でございますかあるいは翌日でございますか、参議院でも本会議で取り上げられまして、総理みずからが、人命尊重の立場からこの実態を十分把握して改善すべき点は十分検討したい、こういう答弁もあったわけでございます。
 しかし、実際問題として、自動車運転手という特定の職種について拘束時間を法令化するということは実情なかなか難しい点もあるということは御専門の久保田先生もよく御承知いただいているところでございますが、御指摘の労働基準局長の通達というものを十分遵守徹底を図る中で、この行政指導を通じて、現在のそういう勤務につく方が過重労働、過密スケジュールで人命軽視というような事態にならないように、十分これをひとつ督励をしていくということで改善を進めていきたいというふうに私は考えておるところでございます。
#116
○久保田真苗君 通達によってやるということについては、何度も事故が起こって、もう限界があることはおわかりだと思うんです。かてて加えて、労働基準法改正が日程に上ってきているのですからね。過重労働時間の特別ひどい業種で、しかも国民の生命にかかわりのあるこういうものについては、この際断固取り組んでいただかないと困るわけですね。いつまでも通達事項で長い労働時間を繰り返し繰り返し許すことは、この際労働省は自信を持ってやっていただきたい、こう思います。
 同じような種類のものがまた別にありますね。昭和五十七年六月三十日労働省告示六十九号。これによって「労働基準法第三十六条の協定において定められる一日を超える一定の期間についての延長することができる時間に関する指針」という題なんです。この中で、三十六条の協定を結ぶ場合であってもやはりこの労働省の告示ということで、法令ではなく、これによって一週十五時間、二週二十八時間、三週三十九時間、四週四十八時間となっているんです。でも、これに違反したってこれは別に送検もされないし、これは最終的には拘束力がないんですよね。こういう格好でやっている。しかし私は、こういう格好でやらざるを得ないこともまたわからないわけじゃないんです。というのは、日本の場合は一週四十八時間の上に、この四週四十八時間というこの数字を上積みですから、とても法令なんかに出せたものじゃ
ないと思うんですよ。ところが、今回のこの女子に関する時間外労働の緩和規制にはこれがちゃんと数字で載っかっているんですね。随分派手派手しいことをおやりになるものだと私は内心舌を巻いているんですよ。ともかくこれですと、国会がこれを通す場合には極端なことかもわからないけれども、一週四十八時間の上に一週に対して四十八時間の超過勤務も可能、一週九十六時間、一日十六時間なんということもあり得ないということじゃないんですね。この点についてどうお考えなんでしょうか。
#117
○説明員(松原亘子君) 今回私ども時間外労働の規制について検討いたしましたわけでございますけれども、男女の均等取り扱いを実現するという観点からは、本来は男女が同一の基盤で働けるようにすることが必要なわけでございます。そういうことから、労働省令で定めることができる非工業的業種の事業の時間外労働の上限は、今先生の御指摘がございましたように、四週四十八時間という三六協定の上限規制の目安とされているものといたしたわけでございます。
 しかしながら、今回の改正につきましては、本来の姿としては男女が同一基盤で働くということではございますけれども、現状においては、我が国の女子労働者はいわゆる家事、育児責任といいますか、そういったものをより重く負っており、そのことが就業のあり方に非常に大きく影響しているということも考慮せざるを得ないというふうに考えましたわけでございますので、この四週四十八時間がそのまま労働省令として定められるということでは必ずしもないというふうにお考えいただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、具体的な内容は、将来的には女子差別撤廃条約の要請もございますので、男女同一の基準に向かうことを目指しつつ当面どの程度の規制にするかにつきましては、関係審議会に御意見をいただいた上慎重に私どもも決定してまいりたいというふうに思っているわけでございます。
#118
○久保田真苗君 四週四十八時間を省令で定めるわけではないとおっしゃったけれども、そこのところは非常に重要なところなんですね。これについて赤松局長、大臣は、絶対に省令の中で四週四十八時間、一年三百時間の上限にまで持ってくるような内容はないんだと、そういうふうにお答えになれますか。
#119
○政府委員(赤松良子君) 考え方はただいま政策課長がお答えしたとおりでございますが、これを審議会の検討にお諮りしております以上、上限と下限の間で決めるということでございますので、絶対にこういうことがないとかあるとかということを申し上げるのは適当でないと考えます。
#120
○久保田真苗君 そうすると、やっぱりこれがあり得るということになりますね。
 そうすると、男子に対して通達でこっそりと目安時間で決めているものを、ここで法律へ持ち出しているということになりまして、とてもこの四週四十八時間、それを一週四十八時間制の上に四週四十八時間を積み上げるというような、そういうことを今この労働基準法改正が日程に上っている状態の中で、しかも日本の週長労働時間が国内、国外で皆批判の的になり、しかも貿易摩擦の構造的な原因になっているこの時点でもって、なぜ今先食いをしてこのような数字を出さなければならないのか。私は、そのことについて非常に疑問だと思いますし、これが今この際条約の要請されていることだと思わないんです。なぜなら、条約はただ定期的に見直し、必要に応じて廃止、修正、拡大する、こう言っているわけですね。ですから、必要に応じてこの部分は、この女子保護の内容というものは、これは必然的に今の日本の時間外労働、それから労働時間制の基本的な部分と結びつく以外に考えられないんですよ。
 それが、私細かいことは言えないけれども、各国について言えば、男子労働者に対して四十時間制の労働の上に時間外規制がまず大体一日二時間。そして、その日数を何日かにする。今の日本の女子の時間外規制よりももっとこれをしないようにしている。そういう状態と引き比べますと、これはとても国際的な場面へ出せるような、そういう法律じゃないと私は思うんです。逆に言えば、私どもはこれを使って一生懸命女子の労働時間を減らすようなそういう運動をすることもできるけれども、私たちはそんなことにならないように、政府が賢明な処置をされることを強く期待するものです。
#121
○政府委員(赤松良子君) 絶対にならないかとおっしゃるので、そういうことを申し上げるのは適当でないというふうにお答えいたしたわけでございまして、その四十八時間そのままに最長のものを省令にするということは適当ではなかろうというふうに考えているわけでございます。
#122
○国務大臣(山口敏夫君) 今久保田先生の御指摘いただいている部分が、この法案の極めて問題といいますか、でございまして、やっぱり女性が職業において、あるいは地位や昇進、給与等においていろいろな意味で差別がある、職業社会は男性社会である、こういう部分のやっぱり最大の要因は、男女の能力の差とか意欲の差ではなくて、どうしても時間はおける一つの基準というものがあると思うんですね。やっぱり女性の家庭や家族に対するロイヤリティーといいますか、責任意識というものの中での部分が、かなり職業人としての生活の中における地位や昇進の問題にも、あるいは終身雇用の問題においてもこれが影響が出てきておる、ハンディをしょっておる、こういうことでございます。
 私は、やはり基本的には、男女の職業における機会均等を拡げるためには、こうした時間外労働の問題も含めて保護規定はやはり同等の土俵に立つということが大事だと思いますけれども、しかし、現状千五百万人おられる女子勤労者の中の大半は、やっぱり家庭責任というものに対しても、あるいは子供の問題に対しても責任を負っておると、こういうことでございますから、私は、時間外労働の問題につきましても、上限が週四十八時間という問題は適当ではない。そういう上限をもって設定するという考え方に労働省も立つということではない、こういうふうに考えたいと思っております。
#123
○久保田真苗君 大臣、この間の社労で同僚委員が保育所の問題を取り上げておられるんですよ。その内容は御記憶と思いますけれども、保育所の時間延長の問題、それから夜間保育の問題、それからベビーホテルなんかの問題、私も驚きましたけれども、保育所で時間延長しているのが三百足らず。夜間保育をやっているのがわずか十七で、東京には一カ所もなし。こういうことになりますと、ともかく三次産業については、いずれにしたって今回相当大幅な残業規制が緩和されるわけで、これを使用者がやっちゃいけないとは申せないわけですからね、そんなことは。業務命令でやらせられるということは十分あるわけですね。そういたしますと、これに対して、この間非工業九百二十二万とお答えになっていましたけれども、このうちこういった時間外の延長によって勤められなくなる人、それから子供の世話でうんと困る人、こういう人が出てくると思うんです。
 労働省としては、このうちのどのくらいのパーセントの婦人が学齢前の子供を持ち、かつこれによって影響を受けそうか、そういう推計をしておられますか。
#124
○説明員(松原亘子君) 省令によってどの程度の規制になるかということはこれからの問題でございますけれども、仮に労働省令で一定のレベルが決められたといたしましても、それが必ずしも企業内ですべての女子労働者がそこまで働くということになるわけではないわけでございまして、先生がおっしゃいましたまず後段の方から申し上げれば、省令が定められたことによってどの程度の女子労働者に影響が出るかということは、現段階では申し上げられないかと存じます。
 ただ、前段に御指摘ございました就学前の子供を持った女子労働者がどの程度いるかという点でございますが、前回、非工業的業種に従事する女子労働者というのは、この法律の範囲と全く同じ
範囲として把握したものはないわけでございますが、大ざっぱに、鉱業、建設業、製造業、運輸・通信業、電気・ガス・水道業以外、これら以外を仮に非工業的業種といたしますと、先生おっしゃいましたように、そこで働いております女子労働者の数は九百九十二万でございます。ただ、この九百九十二万人のうち、六歳未満の子供を持つ者はどれくらいいるかというのは実は調査がございませんで、ストレートには申し上げられません。ただ、別の調査、これは昭和五十七年の就業構造基本調査でございますけれども、これによりますと、妻が雇用者として働いている世帯において末子の年齢が六歳未満の妻の割合がどの程度いるかという数字がございますが、それは妻が雇用者として働いている者のうち一七・二%でございます。これはどの産業という産業のくくりはございませんので、必ずしも非工業的業種においてもこの割合ということは申し上げられませんが、一つの参考として申し上げれば以上のとおりでございます。
#125
○久保田真苗君 そうしますと、非常に大ざっぱだけれども、就学以前の子供を持つ人が二割近い、ざっと二、九、百八十万ですか、その程度のことは予想されるわけですね。その百八十万のうち、もちろん私は、すべての人が長い残業働くなんと言っているんじゃなくて、働く人も働かなきゃならない人も出てきますねと、そのうち働ける人は働くでしょう、夜間保育や保育所の延長ができるところは。わずかなところでは働けるでしょう。それ以外で子供の面倒を見る人がいないという、そういう状況の人はやっぱりやめざるを得ないでしょう。百八十万のうち仮にそれが一割だったとしたって十八万ですよ。
 大臣、本当にこれどうお考えになるんですか。何も私は保護法規の見直しをしちゃいけないなんて一言も言っていませんよ。それは場合によっては必要なものもあるんです。けれども、その見直しをするときには必ずこういう被害者が起こってくるということね、このことは頭に置いていただかなければならない。さしずめ十八万とか、あるいは二割なら三十六万とか、そういった数の人が困るかもしれないんですよ。だけれども、保育所の時間延長、夜間保育はこの一年の間にその数に見合うだけできないでしょう。そうしたら大臣どうなさるんですか。大臣、それでもって女子労働者がやめなきゃならなくなっていってもそれでも構わないんですか、大臣。
#126
○国務大臣(山口敏夫君) やはり女子労働者が職業人としての生活権利を遵守しつつ、家庭人としてもその責任を果たしたい、こういう両面の価値を十分満たされるような雇用関係あるいは社会的な環境整備というものは当然必要だと思います。
 したがいまして、私は中期的には、やはり今先生方の御指摘もございましたように、今厚生省と労働省で高齢化時代その他いろいろな調整すべき問題点がたくさんございます。そういう意味で、今までは縦割りで、こういう御審議でも労働省は労働省、厚生省は厚生省、こういうことであったわけでございますけれども、二省間協議も設定して協議も数回しております。そういう中に、久保田先生からも御指摘いただいたような保育所の問題も早急に大事な検討課題として研究をする、これが一つ。いま一つは、私はそうかといって、すぐきょう保育所ができる、足らない保育所が完成するというわけにも正直まいらない点もございます。そういう点については、個々の女子労働者の方がこの男女法が通ったことによってかえって時間外労働その他を強要されるような過程の中で実際職場を断念しなきゃならない、こういうことにならないように、十分きめ細かい行政的な配慮、協力も申し上げなきゃならない、こういう両建てから今先生の御心配のような問題を最小限度のものとしたい、こう考えます。
#127
○久保田真苗君 片っ方の手で残業の大幅緩和の法律を出してこれを通して、もう片っ方の手であなたたちこんなに残業さしちゃ困るんですよという、そんな矛盾したことはないんですね。政府のお立場とも思えないんです。
 私は、今大臣がこれについて女子労働者の首にならないそのことを担保なされるたった一つの方法は、この六十四条の二は少なくとも体制整備ができるまで棚上げにするということなんです。体制整備は二つの方法があります。今おっしゃった保育所等の整備、そういう調査をなさってそれに見合うものをがっちりこしらえるというのが一つです。もう一つは、一般的な労働時間の水準を、今もう基準法改正が日程に上がっているんですから、その上に立って考える。一般的な水準が改善されるその日は私は近いと信じているし、大臣はそれに一生懸命取り組んでいらっしゃるわけでしょう。その日までこの残業についての大幅緩和は棚上げにする、それ以外に大臣が女子労働者の首を切らないという方法はないんですよ。どうぞ頑張ってください、お願いします。御答弁を。
#128
○国務大臣(山口敏夫君) 大変恐縮なんですけれども、その保護規定の問題につきましては、前任者の大臣より私の方が、認識は非常に先生と異なりまして、やっぱり女性の地位あるいは職業人としての責任、あるいはこれからもますます拡大するであろう女子の職場での進出に伴う当然の権利と、また分配というものを考えましたときに、この保護規定という問題については、やはり漸進的に改善していかなきゃならない、私はそう考えるんです。しかし、今先生の御指摘のような大半の、家庭人としての責任によりウエートを置いておる女子労働者の方がその家庭責任を果たすために職業人としての生活が奪われるとか、あるいはその職場を追われるということはないように、行政がこの法案に伴ういろんな諸条件、諸問題に対してきめ細かい労使双方への働きかけをするということは、決して私は矛盾をしない、また、そういうことの矛盾を、やはりこの落差を埋めることが国民の期待にこたえる行政サービスを果たすことになるというふうに考えるわけです。
 したがって、先生の御指摘いただいておるその環境をつくるまでは、その部分の法改正はまず現行にしておきなさいと、こういう御主張もわかります。わかりますけれども、この男女法案が、均等法が出てくる時代的必然性、大勢の女子労働者あるいは女子の職業人が、まさに先生が指摘しているように三十年、四十年あるいは五十年の中で受けとめてきた現場での実体験の中でやはり男女の差別は改善されなきゃならない、こういうものをやはり今こそ改善への第一歩を踏み出す以上は、私は保護規定の問題についてもやはりある程度の改革への努力といいますか認識も、女子の労働者の方や職業人の方が受けとめるべきこの点はあるのではないかというふうに考えますので、保育所の問題、その他の問題については御指摘を受けて十分努力をしたいということと、その棚上げの問題については、私の一つの考えとしてぜひ御解理をいただきたい、こう申し上げたいと思うわけでございます。
#129
○久保田真苗君 これを漸進主義でやるということは、基準法改正の一般水準と絡めてやるということなんですよ。今これを先食いするということじゃないんですよ。私は何もこれを見直しちゃいけないなんて言ってないんですよ。見直す時期じゃないでしょうと言っているだけなんです。というのは、首になりそうな人に何も担保がないんです。女子労働者に担保がないだけじゃなくて、子供に対する担保がないんですよ。私、そういうことを政治家がなさってはいけないと思うんですよ。これは無責任ですよ。だから、その時期を見計らうべきだ、こう言っているわけですね。
 それで、総合的な水準の中でいずれかを決定すると、大臣、しきりに女性に家庭責任があることを、同情的なことをおっしゃっていただいているけれども、私、そんなことを同情的に考えていただく必要はないんです。私が今言っているのは、この日本の労働時間の水準が世界的水準から余りにもひど過ぎるということ、そのことを言っているわけでしてね。女子労働者が家庭責任を持ちながら、しかもこの労働基準の水準で一緒にやっていく、男子と一緒にやっていけることが当たり前のことなんですよ。私、そんなことをお願いして
いるんじゃないんです。労働水準の方を労働大臣の責任において何とかしてください、そのことをお願いしているわけです。よろしいですね。
#130
○国務大臣(山口敏夫君) 私は、女性の家庭責任に同情しているわけじゃなくて、尊敬し、評価して、その努力を十分男性自身も理解し、やはり台所に立つことが家庭責任を分担するということじゃなくて、台所に立つ主婦の立場を理解することも私は家庭における共同責任の一つだというふうにも考えるわけでございます。
 ただ、先生御指摘でございますけれども、私は率直に言って、大半の女子労働者の方は職業人としての生活と家庭人としての生活というものを考えたときに、家庭や家族に対するやはり連帯感といいますか、女性の責任感というものは非常に大なるものがある。一方、能力のある女性が、あるいは意欲のある女性が男性社会での同等の地位や権利やその能力を生かすことは社会の大きな前進にもつながるわけでございますから、そのためには何がハンディか、今までなぜ能力も意志も何ら男子に劣らない女子が何らかの形で差別をされておったかということの一つの要点として、この時間外の問題も含めたいわゆる保護規定の問題部分も多分にかかわりがあったのではないか。そういう点の改善も、これは条約の批准とあわせて検討、改善をされなきゃならない、こういうことでございます。
 私は、全体としては久保田先生の言われるように、労働時間短縮の問題とか、あるいは長時間労働の問題等の中で、確かに労働基準法の改正がタイムリミットといいますか、この一つのターゲット、舞台に上ってきておるということも事実でございます。したがって、わずか一年か二年の間だからその時間調整は政府としても考えるべきではないか、そういう御主張もよくわかるんです。わかるんですが、せっかく条約の批准とか、男女均等法という法案を御審議いただいておるわけでございますから、この問題はこの問題としてひとつ取り上げさしていただいて、そして全体の労働時間の問題については労働大臣としても早急に国際水準に十分達し得るような改善のための取り組みをあわせて進めていきたい。鶏が先か卵が先かという論議よりもはるかに深刻な問題であることは私も承知しておりますけれども、ぜひこの法案に対するこの我々の考え方も御理解をいただきたい、再度お願いを申し上げるところでございます。
#131
○久保田真苗君 一般的なお話は結構なんです。私が今言っているのは、その大臣のおっしゃる一年か二年の間に、首になる者は首になっていっちゃうんですよ。そのことを私は言っているんです。その被害が起こらないように、この被害が子供に及ばないように、そこのところは大臣、本当にしっかり押さえていただかないと、この一年か二年が問題なんですから。
#132
○国務大臣(山口敏夫君) 再度にわたって御指摘いただている部分について、私も十分その問題の重要性を認識しております。したがいまして、労働省としてでき得る最大のきめ細かい行政の権限を通じまして、労使双方に、また、労働省のいろいろ全機関を通じて、単に婦人少年室のみならず、労働省の機能し得る機関を通じて、その点の努力、調整については最善を尽くすということをお約束申し上げたいと思います。
#133
○久保田真苗君 私、時間が残り少なくなってきたもので、深夜業のところを急いでいきたいと思いますので、ひとつポイントをついたお答えをお願いしたいと思うんです。
 深夜業のところですね、一号から五号までの適用除外があります。このうち二号の、「女子の健康及び福祉に有害でない業務で命令で定めるものに従事する者」、これは現行であって、その内容はあるいは現行どおりでないのかもしれないけれども、その点はどうですか。
#134
○説明員(松原亘子君) この第二号に言います、「女子の健康及び福祉に有害でない業務」とは、基本的には、現行の労働基準法第六十二条第四項に基づきまして女子年少者労働基準規則に定められている範囲と同一のものでございます。
 現行法ではスチュワーデスですとか、女子寮の管理人等が規定されているわけでございますけれども、今後改正法に基づきましてどのような業務を定めるかにつきましては、個々具体的な業務の実態を検討いたしまして、関係審議会に諮った上決めていきたいというふうに思っているところでございます。
#135
○久保田真苗君 四号にございますね。「品質が急速に変化しやすい食料品の製造又は加工の業務でその他の当該業務の性質上深夜業が必要とされるものとして命令で定める業務に従事する者」と、こうなっているんです。
 伺いたいところは二点あるんです。その一つは、「その他の当該業務の性質上深夜業が必要とされる」という非常に抽象的な書き方をしてあって、御答弁は、今までのところ卸売市場と新聞配達だと、こうおっしゃっているんですけれども、この抽象的に書かれてあるこの意味、内容としてどの程度の限定といいますか、基準を考えていらっしゃるのか、そこのところをお聞かせください。
#136
○説明員(松原亘子君) 御指摘のございましたように、この四号の後段の部分につきましては、新聞配達の業務ですとか、卸売市場における生鮮食料品の卸売の業務等が今までの審議会等の経緯の中で検討の対象になってきましたし、今後省令を定めます場合にもそれらは検討の対象になるわけでございます。「深夜業が必要とされる」ということにつきましては、単に経営コストを下げるといったような観点から深夜業が必要というようなことまでこれによって入るというふうには私どもは考えておりませんで、国民生活の利便ですとか、その他公益上の理由から必要とされる深夜業というふうに、その当該業務の性質上どうしても深夜業が必要という観点からこれは検討いたすということにしているわけでございます。
#137
○久保田真苗君 公益上の限定を付すという御答弁なんですね。それはそれとしまして、今後出てくるもの、そういう観点からチェックなさるんだけれども、もう一つのチェックの方法として、この二号に、「女子の健康及び福祉に有害でない業務」とここに出ているんです。これは、「健康及び福祉に有害でない業務」というのが二号であるとすると、他の号については女子の健康及び福祉に有害であっても許可する、こういう趣旨になりますね。
#138
○説明員(松原亘子君) 二号とは別に三号から五号まで定めました趣旨は、三号から五号までに書いてあるものが健康及び福祉に有害であるという趣旨で書いているわけではございません。
 この三号から五号までにつきまして二号とは別に定めるということにいたしましたのは、これらが単なる「女子の健康及び福祉に有害でない」という観点だけではなくて、当該業務におきます深夜業の必要性ですとか、雇用の分野における男女の機会の均等、待遇の平等を実現するというような観点から深夜業を認めようというものでございます。したがいまして、二号の中に単に「健康及び福祉に有害でない」というふうに書いてある中に三号以下を入れるということは若干事実上難しい点はございますが、考え方といたしましては、三号から五号までにつきましては具体的に考え方を明らかにした上で別建てにすることが適当だということからこのような形にしたわけでございまして、三号ないし五号が健康及び福祉に有害であるということでこういうふうにしたものでないのはもちろんでございます。
#139
○久保田真苗君 でも、法律の立て方からいったらそういうふうに読めるんですよね。二号に現行の「健康及び福祉に有害でない業務」、これを中基審の議を経てこれをチェックした上で決める、そしてそこに幾つかの業務が挙がっているんです。特に、この二号に出たこの業務に酷似しているのが四号なんです。これは、例えば生めん、弁当でしょう、そういったものとそれからここに言うカニ、イワシ、それから映画とか寄宿舎とかという、まあ公益といいますかね、この趣旨という
のは極めてこれ一致しているんですね。片方がカニ、イワシは「健康と福祉に有害でない業務」であって、こっちにはその健康、福祉のかぶりがない、生めん、弁当には。これは非常に立て方が、もしおっしゃるように健康、福祉を排除するつもりじゃないとおっしゃるんだったら、これはやり直さなかったらしようがないと思いますよ、私。どうですか。
#140
○説明員(松原亘子君) 私どもの立案の意図は今御説明したとおりでございまして、そうだからといって今ここに書いてありますようなことを立て直しをしなければいけないということにはならないかと存じます。
#141
○久保田真苗君 立て直す、立て直さないの問題じゃないんですよ、私ども女性の立場から言うと。「女子の健康及び福祉に有害でない業務」、「福祉に有害でない業務」のかぶりがない、仮に有害であってもかまわないものがこの三、四、五の格好で拡大されていく、そういうふうに解されることが非常に困るわけですね。だから、労働省がいろんな格好で御答弁になっても、法律の立て方がそうなっていればこれはどうしようもないわけなんです。
 私は、これまでの御答弁の趣旨からいえば、深夜業というものを大幅に緩和するという頭は今おありにならないわけで、そういう観点からすれば、当然全部に健康、福祉に有害でないということがかかるような立て方にやり直していただかなかったらこれはちょっと問題ですね。困りますね。このままじゃ承知できませんね。
#142
○政府委員(赤松良子君) 従来から、「女子の健康及び福祉に有害でない業務で命令で定めるものに従事する者」というのがございまして、それとはカテゴリーの違うものを若干深夜業の緩和というふうに加える必要があると考えたわけで、そのように反対解釈で健康及び福祉に有害であるというふうにお読みいただかなくてもよろしいのではないかと思います。
#143
○久保田真苗君 苦しい御答弁なんですよね。だけれども、これはやっぱりここだけになぜ、アナウンサーやスチュワーデスにかかって生めんや新聞配達にはかからないのか、それはやっぱり変だと思いますよ、私。特に二号と四号は、これは合併してもいいんじゃないかと思うんですね、その仕事の性質からいって。あるいはこの立て方からいって。これを別にしている理由というのが私には余り見つからないんですよね。その点どうですか。
#144
○政府委員(赤松良子君) 二号と四号の違いはいろいろあると思いますが、二号になくて四号にある決定的なものは、「一日の労働時間が、常時、通常の労働者の労働時間に比し相当程度短いものとして命令で定める」云々というところは、二号には全くかかっていない条文でございます。
#145
○久保田真苗君 労働時間が相当に短いもの、どの程度の時間を考えておられますか、およその目安をどうぞ。
#146
○政府委員(赤松良子君) 「相当程度」というのは、普通常態としてはフルタイマーには考えられない程度短いものというふうに考えております。
#147
○久保田真苗君 ともかく、パートタイマーであっても健康、福祉に有害であるという、そういうことじゃ困る。つまり、健康、福祉に有害でないというチェックを審議会がすべきなんですよね。だから、これは私ちょっとやり直していただかないと困るので、強く申し上げ、検討のし直しをお願いします。
 それから、タクシーの運転手なんですが、これも個人にこれを認めるということ以上にこの書き方は雪崩を打ってきそうな書き方ですよ。使用者に申し出るという行為を基準にする場合、使用者側からの要請や採用時の条件にこれが持ってこられて、実際は歯どめがきかない状態になるんじゃないか。そして、ここにある「命令で定める事業に従事するもの」、この事業をまず伺いましょう。これは八条の事業ですか。
#148
○説明員(松原亘子君) 「命令で定める事業」は、必ずしも労働基準法八条の各号に列記されている事業そのまま持ってくるという趣旨ではございませんで、場合によりましてはその一部を指定するということもあるわけでございますが、この件に関しましては、いろんな機会に御説明いたしているかと思いますけれども、私どもといたしましては、当面タクシー事業を定めるつもりでございます。
#149
○久保田真苗君 ほかの場所で使っている事業というのは、みんな八条の事業なんですよね。タクシーの運転手ということであれば、むしろ業務ということで扱うべきだと私は思うんですよ。これは非常に理解に苦しむ書き方なんですね。道路運送業、四号の中のまたその小分けをして実際にはタクシーというそういう業種を持ってくるということであって、その中の運転手だという、そういう定めになるわけでしょう。そうしたら、それがわかるように書かなかったらこれはしようがないですよ。この事業というのはどう考えたって八条の事業で随分広いなという、そういう感じになってくるんですよね。
 それから、今申し上げた雪崩現象の場合、当面はタクシーだけと言っているけれども、上に当面とつくのが気に入らないんですね。それで、この当面タクシーと言うけれども、命令で定める事業の限定がないから、あらゆる場所でこれは起こってきそうなんです。その点は私はこれじゃ困ると思います。どうでしょうか。
#150
○政府委員(赤松良子君) 限定は、命令で定める事業に限って認めることになっておりますので、限定することになりますし、また先ほど、前の御質問でございましたチェックを審議会ですべきだとおっしゃる点については、まさに審議会でチェックをお願いすることになっております。
#151
○久保田真苗君 ともかく、私、念頭に置いていただきたいのは、他の主要先進国でもブルーカラーの深夜業というものは留保をつけている。そして、実際に今これをひっくり返すなんという国は余りないんですよ。そういうことを考えた上で、私はこういうものが三交代制の職場なんかへ、本人が申し出たということ、その形をとりながら実際には使用者からの要請でどんどんふえていくなんという、そういう歯どめをどうしてもしていただかなきゃならない。そういう御趣旨じゃないんでしょう。
#152
○政府委員(赤松良子君) 第五号につきましては十分に歯どめがあるわけでございまして、「命令で定める事業に従事するものに限る。」、これが一つでございます。これは命令は審議会のチェックを経て定める命令でございます。それからさらに官庁の承認が必要でございます。この承認をする際にチェックがございます。そして、全体にかぶっているものとして、本人が申し出をする。この三つの歯どめをつけた上で五号はつくられているということを御理解いただきたいと存じます。
#153
○久保田真苗君 命令でお定めになるのを信じないわけじゃないですけれども、ほかのところと違って、これは裸でもって「命令で定める」と言っているだけですからね。それで、しかも次が「事業」と、こうきていますからね。私はこの点が心配なんですね。だから、これはそうじゃないという形に何かの形で持っていっていただかないと非常に困るわけです。
 次に、危険有害業務の就業制限について伺います。
 さて今度、危険有害業務は妊産婦中心のやり方になったわけですね。そこで、まず伺いたいのは、この六十四条の五の題名が「危険有害業務」というふうになっていますけれども、本文の方では、「妊娠、出産、哺(ほ)育に有害な業務」となっていますね。これは危険業務を含むのかどうか。その点をどうぞ。
#154
○説明員(松原亘子君) 現行法におきましては「危険有害業務の就業制限」ということで規定がございまして、いわゆる有害業務と危険業務というようなことで分けられておりますけれども、この六十四条の五の第一項の「妊産婦の妊娠、出産、哺(ほ)育等に有害な業務」につきましては、危険業務と称されていたもの、危険業務として現行で
は把握されていたものであっても、妊産婦の、これら妊娠等に有害であるものについてはその対象になり得るものでございます。
#155
○久保田真苗君 現行と比べて、大体どの程度に考えていらっしゃいますか。妊産婦に対して外すものがあるか、あるいは加えるものがあるか、そういう角度からひとつ。
#156
○説明員(松原亘子君) この点につきましては、現在、医学的、専門的な立場の先生方にお集まりいただきまして、母性保護の見地から必要な検討を行うべしという婦人少年問題審議会の建議の趣旨にのっとりました御検討をいただいているところでございますので、現段階においてどの範囲の業務が規定されるかということは、ちょっと申しかねるところでございます。
#157
○久保田真苗君 要望です。
 妊婦は体のバランスが悪い、重い、そして敏捷さに欠ける、そういう時期ですね。産婦の方は基準法研究会の報告によりますと、三段階ぐらいで一年ぐらいまで体調回復にいろんな条件がある。授乳している、睡眠不足でもあると、そういう状態で危険率が高いわけですね。そういう観点から、特に今ある危険有害業務の、有害業務はもちろん問題ないと思うんですが、危険業務についても十分慎重な対処をしていただきたい。
 それから重量物の範囲ですね。これは妊産婦対象の場合、現行の重量物制限よりももっと制限されるのか、それとも現行のとおりなのか。
#158
○説明員(松原亘子君) この点につきましても、先ほどの検討の中で検討が行われているわけでございまして、その結果を踏まえて対処いたしたいというふうに思っておるわけでございます。
#159
○久保田真苗君 二項で妊産婦以外に準用される業務というのは、これはどの範囲を考えておられますか。
#160
○説明員(松原亘子君) 一項では、妊産婦の妊娠等に有害な業務を定めるわけでございますが、そのうち妊産婦でない者の妊娠または出産に係る機能に有害である業務について定めるというのが二項の趣旨でございますが、具体的な業務につきましては、これまでの御検討の中では重量物取り扱いの業務はこの妊娠、出産等に係る機能に有害であると考えられるのではないかという御指摘はいただいておりますが、それ以上につきましてはこれからの検討にゆだねられているところでございます。
#161
○久保田真苗君 それから、三項の「業務に就かせてはならない者の範囲」と、これは一体どういうことなんでしょう。どういう人たちはつかせてはいけなくて、どういう人たちはつかせていいと、こういうことになりますか。
#162
○説明員(松原亘子君) 三項は、一項二項に規定する業務にどういう人をつかせてはならないかということを「業務に就かせてはならない者の範囲」として定めるわけでございます。
 これにつきましては、第一項は「妊娠中の女子及び産後一年を経過しない女子」というのがくくられて書かれているわけでございますが、妊婦についてはすべてを対象とすることが必要な場合があるかもしれません。先ほど先生がおっしゃったように、バランスが崩れるとか、いろんな点ですべての妊婦は共通して規制しなければいけないというふうに考えられる場合がありましても、産婦につきましては先ほどの基準法研究会の報告、その前段にございました専門委報告によりましてもかなり個人差があるということが指摘されているわけでございます。したがいまして、場合によってはその個人差を勘案したような措置をとることが適当であるというような結論が出ることも考えられるということからこのようにしているわけでございますが、具体的には、先ほど申し上げましたような専門的な検討の結果を踏まえて規定をいたしたいというふうに思っているわけでございます。
#163
○久保田真苗君 こういうものの変更というのは、やっぱり相当の準備期間を置いて十分の手配していただかないと危険ですから、よろしくお願いします。
 それから、最後に一つ、再雇用制度について、この再雇用制度というものを今回お入れになったんですが、再雇用特別措置について、私の希望は、今後生産年齢人口の絶対数が減っていくという状況の中で、再雇用制度の普及はある程度あるかもしれないと思うんです。そこで、労働省が政府の政策として推進すべきことは、この再雇用になった人たちが再就職するときの労働条件の維持だろうと思うんです。
 その内容としては、専門であるとか職務上の地位であるとか、従前並みの給料であるとか、そういうものを含み、なおかつその休んでいた間に身につけるいろいろなものがそこへ加わってくるような、そういうプラスイメージの指導をしていただかなかったら、これは女子の就業実態はちっともよくならないと思うんで、そういう観点を政府としては重点を置いていただきたいと思いますけれども、この点はどうでしょうか。
#164
○政府委員(赤松良子君) 再雇用制度と申しますのは、育児休業とは違いましてかなり長期にわたって休むわけでございますので、その期間もある程度幅があり、それに対する特別な配慮もいろいろな要件を勘案して規定しなければならないかと存じますが、これはいずれにいたしましても法律に要件を書くというようなことではなくて、再雇用特別措置として国が援助をするというようなことでございますので、どういう特別措置が望ましいかというようなあり方につきまして今後調査研究を行ってまいりたいと考えております。
#165
○久保田真苗君 どうぞそういう観点からひとつやっていただきたい。さもなければ政府がやる意味なんてないんですよ、自然にただ再雇用されればいいなんてことは。よろしくお願いします。
#166
○委員長(遠藤政夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時五十分まで休憩いたします。
   午後零時四十七分休憩
     ─────・─────
   午後一時五十九分開会
#167
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 連合審査に関する件についてお諮りいたします。
 去る十六日、国民年金法等の一部を改正する法律案について、内閣委員会、地方行政委員会、大蔵委員会、文教委員会及び農林水産委員会から連合審査会開会の申し入れがあり、これを受諾することに決定いたしましたが、それに追加して、本日、運輸委員会から申し入れがありましたので、これを受諾することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#168
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#169
○委員長(遠藤政夫君) 休憩前に引き続き、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#170
○中西珠子君 私は、これまでの質問で、ほとんど重要な点は網羅いたしまして私の考えていることを申し上げましたけれども、まだ残っている点が少しございますので、それについて質問をしようと思いましたが、その前に一つ、この前お聞きした救済措置に関連してでございますけれども、けさの久保田議員に対する御答弁と、この前の四月十一日の社労における御答弁との間にちょっと食い違いがございましたので、その点につきましてもう一度お伺いしたいと思います。
 議事録がまだできておりませんけれども、私のメモによりましても、またこの前の委員会を傍聴した方からお聞きしても、正しい私の記憶であるというふうにおっしゃってくださる方もございますので、ちょっとこの点を確かめたいと思います。
 この前、第十四条に基づきまして女子労働者が
婦人少年室に差別を訴えて出た、殊に昇進差別を訴えて出たときはどのようになさいますかと申しましたね、私。そうしたら松原課長が、調査をいたしますとおっしゃったんです。じゃ、その調査をする根拠規定は何ですかと申しましたら、三十三条だとおっしゃいました。間違いありませんね、これは。私のメモにそう書いてあるし、聞いた方はそのようにおっしゃっています。間違いございませんね。
 その点を確認して、けさ久保田議員が、個別のケースについてもいろいろやはり婦人少年室に調査権限を与えなければ、いろいろ指導するにも勧告するにも困るのではないかという御質問に対して、個別のケースは調査をするけれども、明文では書いてないけれども調査はできる、行政指導に必要な範囲で調査はできるという婦人局長のお答えがございました。なお、相手方の同意を得て調査することは可能だと、こういうお答えでございました。しかし、私に対するお答えは、調査はできる、根拠規定は三十三条であるというお答えであったわけですね。そこのところで、明文の規定がないけれどとおっしゃったことと、三十三条が根拠規定である、そのために調査ができる、とおっしゃったことの間に食い違いはございませんですか。
#171
○政府委員(赤松良子君) 私のお答えでよろしいように思いますが、政策課長が何か言葉足らずであったのではないかというふうに考えられますので、政策課長にも答えさせます。
#172
○説明員(松原亘子君) 確かに、この間御質問ございましたときに、私、三十三条に基づいた調査はできる、一般的な行政指導の範囲内における調査としてできるというふうに申し上げて、さらに加えて十四条につきましてもう少し細かく三十三条との関係を申し上げるべきであったところを、そこで終わってしまったものですから、今先生の御指摘のような、若干答弁のそごがあるような印象をお与えしたことはまことに申しわけないと思いまして、心からおわびを申し上げます。
 けさほどの久保田先生の御質問に対する局長の答弁ございましたように、十四条の援助を求められた場合の調査につきましては、特段明文の規定はございませんが、勧告等ができるということになっておりますことから、当然の前提といたしまして調査ができるというふうに解しているわけでございます。三十三条につきましては、一般的な行政権限の行使としての調査でございますし、さらにそれに基づいて必要なときには三十三条に基づく勧告等が行われるということでございます。
#173
○中西珠子君 私は、三十三条に基づいて調査ができると言ったのが悪いと申し上げているんじゃないんですよ。何しろ根拠規定があって調査ができた方がいいと考えているから申し上げているわけでございまして、例えばこの三十三条の調査ができるということで、それに基づいて行政指導の範囲内で調査ができるということであれば、第十四条の中に、例えば関係当事者の双方または一方からその解決につき援助を求められた場合には、第三十三条に基づき調査を行い、と一言入れていただければ、そうすれば、婦人少年室長は調査をして、その上で助言、指導、勧告ができるということになりますので、そういうふうにしていただいたらどうかと思うくらいなんです。調査もしないで助言、指導、勧告がどうしてできるかということが問題なのでありまして、また、明文の規定がないということが問題なのでありまして、この前のお答えのように、三十三条が根拠規定ですから調査をちゃんとしまして、個別のケースでも調査の上、助言、指導、勧告をするとおっしゃったことにつきまして私は大変安心していたわけなんです。
 ですから、明文の規定がないということの方が重要でありまして、三十三条に基づいてできるということを今打ち消して、否定なさるわけですか。そうではないんでしょう。
#174
○説明員(松原亘子君) 三十三条に基づいて調査ができるということ自体を否定しているわけではございませんが、三十三条に基づく調査は、十四条によります勧告等を行う前提としての調査の根拠規定ではないということを改めてはっきり申し上げたわけでございます。
#175
○中西珠子君 それではこの前の発言は取り消しですね。この前私が十四条に基づいて、昇進差別があって、そして女子労働者が婦人少年室長のところに行けば解決できるんじゃないかと思って来たとき、そうするときどういうふうに具体的な措置をおとりになりますかと言ったら、まず調査をしますとおっしゃって、その後で根拠規定は何ですかと言ったら、三十三条だとおっしゃったわけですね。だから、そのお答えがだめだと私は言っているんじゃなくて、私はそのお答えで安心したんですよ。明文の規定があってこれが根拠規定になり得るのであれば、これはいいことではないかと思って安心したわけですね。
 ですから、これはもう一般的な行政上の問題であって、そしてそういった個別のケースには余り当たらない報告をつくったり、勧告をしたり、助言、指導をするための調査なんだとおっしゃるとすれば、この三十三条の調査の内容はどういうものになりますか。
#176
○説明員(松原亘子君) 三十三条は、具体的には労働者の申し立て等がない場合でありましても行政官庁が必要と認めたときには調査をするということでございますので、例えばその場合でありましても、もちろん労働者からの申し立てが契機になるということもございます。契機は何であるにせよ、行政官庁として必要な勧告等を行うことがあると考えた場合には、例えば事業場に行きまして就業規則を提出を求めるといったようなこともこの三十三条に基づいてできるというふうに考えているわけでございます。
#177
○中西珠子君 それでは十四条の個別のケースの場合は、調査は何に基づいてなさいますか。
#178
○政府委員(赤松良子君) 十四条は、特に明文の規定はございませんが、必要な助言、指導、勧告をするための前提として調査をすることができるということでございます。
 先生のお尋ねに対して全般的なお答えを申し上げた方がよろしいかと思いますが、先ほど立入調査というようなお話が出ておりましたが、そういうふうに非常に強い権限を行使して、相手が否定する、あるいは断っているにもかかわらず調査をするというような種類の調査でございますと、これは非常に根拠規定が明確でないとできませんし、また、その範囲も非常に限られたものになって、明文で規定している以外のことについてはできない。例えば労働基準法の百条の二の規定に基づいて婦人少年室長がする調査権限がございますが、こういうものは非常に強い規定であるかわりに厳格でございますから、その範囲を逸脱するとか、別の項目についてまあまあやってみるとか、そういうことはできませんが、先ほど来お話に出ております十四条とかあるいは三十三条とかいうのは、そういうふうに非常に強い権限ではございませんから、相手方が承諾があれば調査ができる、あるいは報告を求めることができるというような程度のことであれば、根拠がどこで範囲がどこ、というようなことを必ずしもごりごりと言わなくてもよろしいのではないかというふうに思っているわけでございます。
#179
○中西珠子君 やっぱりこの点は、働く婦人の方が大変心配しているところなんですね。婦人少年室長が助言、指導、勧告してくださるのは結構だけれども、本当にちゃんと調査をしてくださるのだろうかということが大変心配なところなんですね。そしてまた、相手方の同意がなければ調査ができないというような状態であったらば、本当にだれが真実を知ることができるかという問題に連なってくるのでありまして、ですから明文の規定があって、調査をすることができて、調査が前提になっているとおっしゃっても、ここに何にも文言としてあらわれていないということは、これは一つのやはり心配の種なんでございますね。ですからこの点は、三十三条がもし根拠規定であるのならば、三十三条に基づき調査を行いというのを一言入れていただければいいと思って申し上げた
わけなんです。
 それからまた、この間、救済措置としての調停委員会のことにつきましてもさんざん申しましたけれども、この調停に付すことすら非常な限定がついておりまして、そして募集、採用はもちろん持っていくことはできませんね。募集、採用以外のいろんな差別というものを持っていくことができても、それが婦人少年室長が「前条に規定する紛争」「について、関係当事者の双方又は一方から調停の申請があつた場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるとき」、必要があるとまず認めなくちゃいけない。もう一つは、「関係当事者の一方から調停の申請があった場合」、一方からだけではだめなので相手方の同意がなければいけないということになっていますね。調査も同意がなくちゃできない、それから調停に付すことすら同意がなければできない。この同意権というものはやっぱり乱用されて、使用者は調停なんかに付すのが嫌だと言っていつまでも同意しないかもしれないということがあるわけですね。ですから、そういうふうに相手方の同意がなければ調査もできない、また、調停もできないということではこういった救済措置というものはどこに実効性があるかということを非常に疑問に思うわけです。
 機会均等調停委員会には調査の権限がありませんね。ですから、この調査の権限を両方に、婦人少年室にもまた機会均等調停委員会にも与えるということが絶対に必要だし、また、この委員会の構成も、ただ学識経験者の中から三人労働大臣が任命するなんということではなくて、やはり労使、そして公益の委員の代表という三者構成にするべきであると思いますし、その点に関してはどのようにお考えですか。前の繰り返しになるけれども、今三者構成の問題はまたきょう追加して御質問しているわけですから。これは大臣のお答えをお願いいたします。大臣が御任命になるわけですから。
#180
○政府委員(赤松良子君) 調停委員会が調査の権限がないということでございますが、これは事務局として婦人少年室が機能するわけでございまして、先ほど申し上げましたように、抵抗を排してまでの立入検査というような強い権限はございませんが、調査をすることはできるわけでございます。そのようなものとして調停あるいは要請、指導というような、いわば強権力をもって迫るというような解決の方法でないということを前提にいたしますと、その程度の調査というものがふさわしいのではないか。抵抗を排して立ち入りをするというようなことまでを明記するということはいささか均衡を失しているというふうに考えてこのような規定にしたわけでございます。
 次の点の三者構成ということでございますが、労働委員会等、確かに三者構成になっておりますが、こういう紛争の場合に非常によく似たものとしては不当労働行為というものがあるかと思いますが、不当労働行為についての審判については、これは三者構成でするのではなくて公益委員のみの機能だというふうに承知しております。
 そこで、機会均等調停委員会につきましても、労使の御意見を聞くことについてははっきりと明記しているわけでございまして、御意見を聞く。しかし、判断をして調停案をつくり、その調停案の受諾を勧告することになるわけでございますが、そういう調停案を作成するについては公益委員が、公益委員と言いますか、この場合は調停委員でございますが、公益のみから成る調停委員がそのような判断をするのは適当なのではなかろうかというふうに考えた次第でございます。
#181
○中西珠子君 不当労働行為のような、準司法的な機能を持って、そして判定を行ったり、原状回復の命令を出したり、救済命令を出したりするというふうなものは、それは公益だけが構成する合議体で審査して、そして結論を出さなくちゃならないかもしれないけれども、これは別に、本当に調停なんでしょう。調停で、互譲の精神を発揮さして、そして何とか解決を図ろうというもので、準司法的な機能でも何でもないでしょう。だからやっぱり労使の意見の代表できる人、そうして公共の利益を代表できる人というものを入れた三者構成にやはりするべきだと思うんですね。
 それから、第十八条のおしまいから三行目のところですね。「都道府県婦人少年室の管轄区域内の主要な労働者団体又は事業主団体が指名する関係労働者を代表する者又は関係事業主を代表する者から当該事件につき意見を聴くものとする。」と書いてありますね。それで、これは本人を呼んで事情聴取をすることができるんですか、できないんですか。
#182
○説明員(松原亘子君) 調停でございますので、本人を呼んで事情を聞くというのは当然あるわけでございます。
#183
○中西珠子君 その本人を呼んで事情聴取をするときに、関係資料、必要な書類とか帳簿とか、そういったものを持ってきて、そうして事情聴取を行うことができますか。この法文でできますか。
#184
○説明員(松原亘子君) 第十八条に基づいてできるということではございませんけれども、調停というのは、当事者の言い分を十分聞いてそうして妥当な解決を図るために調停案を作成するというものでございますので、本人を呼んで事情を聞くということだけでなく、必要な書類の提出等をその本人に求めるということは当然できるわけでございます。
#185
○中西珠子君 私は、十八条に基づいてできますかと言っているわけではなくて、二十条、「委員会は、当該委員会に係属している事件の解決のために必要があると認めるときは、関係行政庁に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができる。」と書いてありますね。これは、関係行政庁というのは先ほどの御説明によると婦人局と婦人少年室ということにもなりますね。そして、婦人少年室は明文に基づいた調査の権限はないということですと、どの程度の資料をお集めになることができるんでしょうか。
#186
○政府委員(赤松良子君) 二十条の「関係行政庁に対し、」というのは、必ずしも婦人少年室だけに限るわけではございませんで、当該紛争に関係のあるという意味でもう少し広いわけでございます。具体的には、例えば募集、採用に関しましては公共職業安定所、教育訓練に関しましては都道府県、就業規則等に関しましては労働基準監督署等が考えられるところでございます。
#187
○中西珠子君 この二十条で、関係行政庁に対してだけ「資料の提供その他必要な協力を求めることができる。」ということが、またこれ、働く婦人にとっては大変な心配なところなんですね。ですから、やっぱりここは関係労使及びというふうに、関係労使にも資料の提供や何かを求めるということをはっきりと書いていただきたいと思うわけです。もしできるとすればはっきり書いていただきたい。できるのでしょうか、できないんでしょうか。
#188
○政府委員(赤松良子君) これは、明文の規定はございませんが、そのような要請をすることはできると思います。
#189
○中西珠子君 明文の規定がないときは、できない場合の方が多いのではないですか。「関係行政庁」と書いてあるから関係行政庁だけだというふうに普通一般に解釈してしまいますね。ですから、関係労使からも必要な資料の提供を求めることができるということをはっきりとやっぱり法文の文言の中で明らかにしていただきたいと思うんです。ですから、例えば「関係行政庁に対し、」の前に、関係労使及び関係行政庁ということにしていただきたいと思うんですが、労働大臣はどうお思いになりますか。
#190
○説明員(松原亘子君) 関係労使という御趣旨が両当事者という意味でおっしゃっているのであれば、先ほど申し上げましたように、当然そういうことはできるということでございます。さらに、それよりもう少し広い範囲ということでありますれば、十八条に基づいて意見を聞くことがまずできるということになっておりますし、それに付随いたしまして、先ほど局長が申し上げましたように、必要な資料の提供を求めることもできるとい
うふうに考えております。
 二十条におきまして、「関係行政庁に対し、」ということだけをはっきり書きましたのは、組織といたしましてこの委員会と全く別個の行政機関であることから、その関係を明確に書いておくことが必要だというふうに判断したものでございます。
#191
○中西珠子君 ちょっとやっぱり無理な御答弁だと思いますよ。十八条を見ますと、「関係労働者を代表する者」「関係事業主を代表する者から当該事件につき意見を聴く」と書いてあるだけなんですね。「意見を聴く」ということの中に、必要資料もすべてちゃんと提供する、拒否しないで提供するということが含まれていますか。
#192
○説明員(松原亘子君) 今申し上げましたのは、拒否しないで云々ということまでを申し上げたわけではなくて、そういう資料の提出を要請することはできる。もちろん提出を拒んだ場合にそれを強制することまではこの法律は規定はしておらないわけでございます。
#193
○中西珠子君 要請しても全然出してこないというときもあるわけですね。ですから、やはりそういうところでは担保するものが何にもないという救済措置であるわけです。
 それで、とにかく相手方が同意しなきゃ調停にも持っていけない。それで調停にやっと入ったときには必要な資料を出さないかもしれない。また、挙証責任が一体どっちにあるんだということもはっきりしていない。それから調停案というものをつくって出しても、その調停委員会が出した調停案は、調停の性質上からといえば一言で片づきますけれども、法的に全然拘束力がない。両方がやっぱり自分の自由意思に基づいて受諾するかどうかを決めるわけですから、受諾の勧告も非常に弱いものである。その前の段階の、この調停委員会のあり方というものも、機能というものも、権限というものも非常に弱いものである。
 ですから、結局少なくとも同意がなくても調停に持っていけるというぐらいのところは、やはりこれは抜山先生の御専門であって、この前大いに力説されましたけれども、ほかの家事調停とか、民事調停とか、そういった面では相手方の同意がなくても調停に入ることができるわけで、そして調停の段階において互譲の精神が生まれてくる。そして何とか解決が見出されるということになるケースの方が多いわけでございますから、やっぱり「関係当事者の一方から調停の申請があつた場合にあつては、他の関係当事者が調停を行うことを同意したときに限る。」という括弧内は取っていただきたい。これはどうしても取っていただきたいと思います。
 それから、この前受諾期間、とにかく調停へ出しても、いつまでに受諾するという期間が全然ついていない。これもだらだらと長くなって、果たして解決が見られるかどうかわからないということを盛んに申しましたけれども、できれば受諾期間もつけていただきたい。しかし、まず第一に「同意したときに限る。」というこの括弧書きは、まるで後から思いついて入れたというよりも、使用者側から同意権をやっぱり行使したいから「同意したときに限る。」と書いてくださいと言われたような感じを与えるんですけれども、この点はいかがですか。
#194
○説明員(松原亘子君) この点につきましては、前回もお答えしたのじゃないかと思いますけれども、調停そのものの性格から、やはり労使がお互いに譲り合って解決の道を見出そうという姿勢でなくては調停そのものが成り立たないということから、まず開始要件として、一方の申請の場合においては、他方の同意を必要とするということにいたしたわけでございます。
 先生御指摘のように、あたかもこれが後から入ったかのごとく括弧書きになって麗々しく書いてあるというような御指摘でございましたけれども、これは決してそういうことではございませんで、単なる立法技術上こういうふうにしたということで、全くそういう意図ではございません。
#195
○中西珠子君 とにかくこの十五条は、限定が余りたくさんつき過ぎているんですね。とにかく都道府県の婦人少年室長が必要と認めたとき、または相手方が同意したときに限るというと、調停にかけられるケースというのは非常に少なくなるんじゃないですか。
#196
○政府委員(赤松良子君) 「必要があると認めるとき」というのは、やはりこれは書いておきませんと、どんな方からでも申し立てというのはできるわけでございますので、それは整理する必要は当然あるのではないかというふうに思うわけでございます。その判断は婦人少年室長がすることになるわけでございまして、正当な申し立てについて必要がないというような判断は婦人少年室がしないように、私どもとしては指導するつもりでございます。
#197
○中西珠子君 今、どの方でも申し立てができるようになっては困るというふうな御発言をなさいましたけれども、だれでも申し立てができるのじゃなくては困るわけでしょう。婦人少年室は、いわば婦人労働者が差別を受けたときに駆け込む、そして訴えるという、そういうものを受け入れて、そして調査してやって、助言、指導、勧告をしてくださるということですね。これは是正命令がないのは大変私は不満なんですけれども、いずれにしてもやってくださるということなんでしょう。
 それから、今度は、調停の申請をしたときには、なるたけ相手方の同意を得るように努力をしてくださって、そしてそこへ持ち込むということでないと困るわけなんですね。ところが、どの方からも申し立てができると困るので、必要があると認めたときに、また相手方の同意があったときに調停に持ち込むということは、本当に調停に持ち込まれるケースを非常に狭くしているということになりませんか。
#198
○政府委員(赤松良子君) だれからでも調停がされては困るということを申し上げたわけではございませんので、どなたからでも調停というものは申し立てることができるシステムになっているので、その調停になじむかどうか、必要性の判断というものはどこかでしなければ申し立て即調停ということにするのは適当ではない、その判断は婦人少年室が合理的に判断をしたいというふうに申し上げたつもりでございます。
#199
○中西珠子君 なじむか否かの判断をしてもらわなければ、調停にもかけられない。また、一方の申請ではだめで、両方の合意がなければいけない、こう二重に限定要件をつけられますと、本当に救済のために訴えて出るということもなかなか難しくなるし、おまけに不利益取り扱い禁止条項がないんでしょう、これはこの前私言いましたけれども。とにかく訴え出て、そして事によってなかなか調停にもいかないし、それから解決もできないといったときに、使用者側が調停には同意しないぞということになって、そして訴えに出たとはけしからぬではないかということで解雇したり、その他の不利益な取り扱いをしないとも限らないわけですね。それで、制裁規定は全然ないわけですから、行政指導をどれだけ担保しているかということも大変疑問であるし、また、この調停のあり方、また調停委員会の機能、権限というものを考えたときに、本当にこれでは救済措置として何の実効性もないと言わざるを得ないんですね。
 ですから、せめて「同意したときに限る。」というところだけは削っていただきたいということを重ねて申し上げます。
#200
○政府委員(赤松良子君) 答弁の繰り返しになって大変恐縮でございますが、同意がなくて、たとえ調停を始めることができたといたしましても、それは実効が上がらないという点では同じなのではないかというふうに思うわけでございます。調停はそもそも前提として同意をするというような態度が基本的になければ調停というものが最後まで成功するとは考えられないわけでございまして、そのような調停に長い時間をかけるというようなことは、かえって労働者の保護にとっても不適当ではないかというような場合もあり得ると思うわけでございます。
#201
○中西珠子君 婦人労働者の立場に立って見ますと、差別されたから訴えに出たということで、これはもう不利益取り扱い禁止条項がないんだから、もしかしたら首になるかもしれないと思いながら訴えに行くわけですよね。わかった場合は不利益扱いにされるかもしれないと思いながら。それでもあえて訴えに行くとしますね。そして、例えば十三、十四、十五の条項は、全部が前置きになっているような感じを与えるわけですね。それで、とにかく自主的に解決を図ったかどうかというふうなことを言われたり、それから調停にはなじまないものはだめだとか、相手方の同意がないときにはだめだというふうなことを言われて、そして引き下がらなければならないという人が多かった場合は、不満に思う人の方が多いんですね。能率的に、効率的に、調停に立ったものは全部解決ができるように、同意したときに限る、調停になじむものだけを必要と認めるというふうにして、調停にかけるものを非常に限定した場合、やっぱり婦人労働者の側においては救われないという不満が残るわけですね。そこはどうですか。大臣いかがですか。
#202
○国務大臣(山口敏夫君) その問題につきましては、今赤松局長からも再三御答弁申し上げておりますけれども、やはり男女の、特に女子の労働者の差別やいろいろな問題に対する救済の問題でございまして、相手の同意がなければ問題を取り上げられないということは、この法律が施行後さらにそういう今中西先生が御指摘のような心配の問題が非常にケースが多い、こういうことであれば、これは私率直に申し上げて、将来国会等の論議の中でやっぱり改正が必要になってくる、こういう場面もあると思うんですね。しかし、現在、六年間にわたっていろいろ審議した過程の中での一つの結論として政府側としてまとめさせていただいた案の中で、十分女子労働者の差別に対する提訴が改善、調整される、こういうふうに考え、努力する、こういうことでございますので、一応政府案を十分御理解をいただきたい、こういう考えでございます。
#203
○中西珠子君 この前も申し上げたんですけれども、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約、この二条の(c)に、「女子の権利の法的な保護を男子との平等を基礎として確立し、かつ、権限のある自国の裁判所その他の公の機関を通じて差別となるいかなる行為からも女子を効果的に保護することを確保すること。」、こうなっているわけですね。これは条約の要件でありますね。そして、この前も申し上げたことだけれども、条約の十七条に基づいて二十三カ国の専門家から成る婦人差別撤廃委員会というのができていますね。これに対して条約を批准した場合は一年以内に報告を出す。報告を出すばかりでなく、政府代表が行って説明をするということになっていますね。これはきちっと報告の書き方のガイドラインの中に書いてあって、いかなる効果的な救済措置があるか、また、婦人が差別を受けたときにどのように保護されることができるか、そういう保護され方、措置ばかりでなく、一体どのような公の機関またはどのような裁判所のシステムで差別からの保護を確保するのかということが聞かれているわけですね。これに対してやはり答えなくちゃならない。そして、ガイドラインに基づいた報告書を出して、報告書の審議をしている状況を私は国連本部へ行って読んできたんです。山ほど資料を読んできました。
 それで、全く簡単にまとめたものしか今ここに持っていないんですけれども、これは昨年の三十九回国連総会に出された先ほど申し上げました婦人差別撤廃委員会の審議状況のこれはサマリーです、要旨。この中にちゃんとやっぱり効果的な救済措置があるか、効果的な救済の機関があるかということをはっきりと聞いているわけですね。これに対して外務省それから労働省はどうお考えになりますか。これだけ実効性のない救済措置でいいんだということを言い張ることができますか。これは世界で、けさ久保田委員からいろいろあちらこちらの有効なる救済措置の話が出ましたけれども、これは本当に日本としてもう少し強力な実効性のある救済措置にしていただかなきゃ世界に対して恥ずかしいですね。この点に関して労働大臣、外務省どうお考えになるかお聞かせください。
#204
○説明員(P崎克己君) お答え申し上げます。
 先般来、この条約の評価につきまして御議論があるところでございますが、男女間の差別を撤廃するということで特定の項目につきまして努力義務が規定されておりまして、それについていろいろな御意見があるわけでございますが、これは私ども承知している限り、国内の審議会で長年の討議を踏まえて作成されたものであるということで、その内容を見ますと、確かに努力義務ではございますけれども、それを担保するような実効的な措置があるわけでございます……
#205
○中西珠子君 努力義務のことは聞いていません、今は。努力義務じゃない、救済措置のことを聞いています。
#206
○説明員(瀬崎克己君) この均等法の内容につきまして、私どもとしては十分に条約の実効性を担保しておるということで認識しております。
 それから、委員会に対する報告でございますが、批准の手続をとった後一年以内に報告するということでございます。
 それから、現在五十六カ国……
   〔中西珠子君「二条の(c)についてお答えください」と述ぶ〕
#207
○委員長(遠藤政夫君) 中西君、ちょっと待ってください、答弁中ですから待ってください。
   〔中西珠子君「でもね、聞いてないことを答えておるんですからね」と述ぶ〕
#208
○委員長(遠藤政夫君) 委員長に発言を求めて発言をしてください。
#209
○説明員(P崎克己君) ガイドラインに即しまして私どもとしては報告するということでございますが、これは条約批准後一年以内ということでございますので、これにつきましては関係省庁と御協議いたしまして、国連でつくりましたガイドラインに即して報告するということでございます。
#210
○中西珠子君 私、手を挙げて言ったつもりですけれども、済みません。
 私、二条の(c)についてお聞きしているんですよね。効果的な救済措置ということがちゃんと説明できますかと申し上げているんでございまして、それについて見当外れな御答弁だったものだから、努力義務規定、差別禁止規定ではなくて努力義務規定のことをおっしゃっておると思いまして、そうではありませんと言ったわけです。
#211
○説明員(P崎克己君) ただいまの救済の点でございますけれども、これは指導、勧告というものは、これに従わない事業主に対しまして強制することはできない、これは確かでございます。しかしながら、紛争は最終的には裁判所による救済にゆだねられる性格のものでございます。したがいまして、法律に明文規定の根拠を持つ指導、勧告は強制力がなくても十分その効果は発揮するというのが私どもの認識でございます。
#212
○中西珠子君 とにかく強制力というものはもちろん全然ないけれども、何の担保もないというこういう実効性のない救済措置では世界に恥ずかしいのではありませんかと言っておるわけです。なるだけ世界に恥ずかしくない、GNPが世界第三位を誇っておる日本なんですから、世界に恥ずかしくないことをやってください。そうしないと、やっぱり今の貿易摩擦も、構造的にその根源は個個の現象ばかりでなく婦人が非常に差別されているわけです。そして、非常な低賃金、輸出産業の電子機器では御承知のとおり男性の賃金を百とすると四十二なんですね、女性の賃金。そういう安い女性を使ってそうして男性の長時間労働の上に立ってそれでどんどんどんどん各国に輸出をしている、そういうところからやっぱりいろんな批判が来ているということでありまして、まずまず労働時間の短縮を行う、これは男女ともに行う。それと同時に、女性の差別というものをなくしていって、そして賃金の低いということはいろんな差別から派生してきて生じてくる現象なんですか
ら、そういったものをなくしていくということが絶対に必要なのであって、そしてとにかくけさほども出ましたし、私も申し上げたけれども、雇用の入り口から出口まできちっとした禁止規定というものにしていただかなければこれは困るわけなんですね。
 例えば第七条、「事業主は、労働者の募集及び採用について、女子に対して男子と均等な機会を与えるように努めなければならない。」と書いてありますね。ですけれども、これは条約の第二条の(b)「女子に対するすべての差別を禁止する適当な立法その他の措置(適当な場合には制裁を含む。)をとること。」という要件に絶対合っていない、要件を満たしていないということをはっきり言えると思います。そして、もしこれを、募集、採用を禁止規定にしたときはどのような弊害が起きるんですか。これを具体的におっしゃっていただきたいと思います。
#213
○政府委員(赤松良子君) 最後の御質問が、御質問としてお答えすべきことなのではないかと思いまして、募集、採用を禁止規定にした場合にどのような弊害が起きるかという点についてお答えいたしたいと思います。
 これは従来から申し上げておりますように、例えば募集を禁止規定にいたしますと、公募、縁故募集とさまざまな募集のうちの公募にのみ厳しく作用することになると存じます。そこで、事業主は公募を避けて縁故募集のみを多く行うというような結果が招来いたしまして、公募の機会が減少するという、いわば好ましくない事態が招かれるのではないか。それから採用につきましては、やはり我が国の雇用慣行に照らしますと、雇用管理における勤続年数が重要な意味を持ち、一方女子労働者を大量観察すれば、まだ勤続年数が短い、この勤続年数の点につきましては、今まで何度か繰り返して申し上げたわけでございますが、このことの持つ意味というのは今日の状態では無視することはできない。そういうような現実というものを無視して余りにそれからかけ離れた規定を持つということになりますと、その規定自体がワークしないという結果をもたらしたり、また、労働市場にもいろいろな混乱が起きるというようなことから、募集、採用については努力義務にすることが適当という判断をくだしたわけでございます。
#214
○中西珠子君 縁故募集がふえるとなぜまずいんですか。
#215
○政府委員(赤松良子君) やはり労働市場が適当な規模で募集採用が行われるということが望ましいわけでございまして、その場合に公募というものはある一定の水準で維持されるということは極めて望ましい形態であろうかと存じます。
#216
○中西珠子君 現在公募という形をとっているのは、新聞広告とかいろいろありますね。それからまた職業安定所に来るとかいろいろあるけれども、今募集、採用は公募だけで行われているとは考えられないんですね。いろんな形態のやはり募集が行われていると思うんです。ですから、縁故募集がふえるからこれは募集は差別禁止規定にできないというのは、これはちょっと論理的におかしいと思います。
 それから、どこの国でも募集は、西独を除いては全部差別禁止規定にしているわけです。それから、募集も採用も確かにそれは使用者側が裁量権も自由も持っているけれども、何も意欲もない、働く能力もない、職務遂行能力もない人を絶対採らねばならないということを言っているのではなくて、募集、採用の場合に性別による基準で応募者を判断してもらっては困るということを言っているわけで、これはやっぱり憲法十三条、十四条、二十二条、二十七条、もう一々詳しく申しませんけれども、そういうものの違反の状態で性差別が行われている場合には、これを直すためにはどうしても差別を禁止するという形にしなければいけないし、また働く権利というものは憲法二十七条に規定されているように基本的な人権なのですね。ですから、基本的な人権を侵しているということについてはそれは禁止していいんではないでしょうか。
 それからまた同じ議論になるけれども、とにかく終身雇用のもとでは勤続年数が物を言うから、女は勤続年数が短いから、だからここのところは差別禁止にできませんということもおかしいと思うんですね。終身雇用が日本全体の企業に及んでいるということは言えないと思うし、大企業だけだと思うし、そしてまた勤続年数がどうして女性は短かったかという社会的な要因とか経済的な要因とか、そういったものを考えてみますと、やっぱり企業の雇用管理において女というものは短期回転型の労働力なんだから、とにかく結婚したらやめるとか、出産したらやめるとか、非常に大きな定年の年齢差を設けて若年定年制というふうなものを設けたりしてきたという状況があって、そしてまた出産した場合に、非常に託児所も足りないし、家庭責任とそれから職業上の責任を全うすることができなくて自発的にやめていった人もいるかもしれないけれども、そういったすべてのいろんな要因から結局女性の勤続年数の短さというものが出てきたんだから、その現状を肯定して、その現状の上に立ってそれを固定したように勤続年数が短いから差別を禁止することはできないのだ、募集における差別を禁止することもできないし、採用における差別を禁止すことができないということは、これは言えないと思うんですがね。
 何回も同じことを言って悪いですけれども、もう一度御答弁願います。
#217
○政府委員(赤松良子君) 事業所の差別的な男女異なる慣行というものが存在して、それが女性の勤労意欲などを低下させるというような企業の側がつくり出した要因があるということは決して否定いたしておりません。その結果もたらされた勤続年数の短さというものがあることも否定いたしません。しかし、それを変えるという方向で努力をするには時間がかかるわけでございまして、幾らそれがよくないと申しましても、差別をなくそうという声をかけましても、それはあす変わるわけではないわけでございます。したがって、強行規定をもって迫ることは適当でないと言っているわけでございまして、差別がいつまでもあってよいと思っているわけでは決してないわけで、したがってこれまではそれについて何も触れられていなかった採用についても、募集についても差別をよしとせずに、機会を均等に与えなければならないというふうに明言をもって規定したわけでございます。
#218
○中西珠子君 女であるから差別をしてはならない、性別に基づく差別をしてはならないということが憲法による要請であり、またこの条約による要請としてどうしても必要だと思うんですけれども、女即勤続年数短い、終身雇用のもとではそれはだめという物すごく短絡的な発想で、そしてまたそういう現在の雇用管理を変えるのがいやだと使用者が言っていることのためにこれが努力義務規定として出てきているというふうに考えられるのでありまして、また、けさほども久保田議員から御指摘がありましたし、また、私も何回も過去において、本会議においてもまた予算委員会その他においても指摘したことですけれども、努力義務規定によってやはり司法上の救済が難しくなるということは否定できないと思うんです。
 行政的な面でトップの立場にいらっしゃいます労働大臣や赤松婦人局長が重ねて、その公序良俗の一般的な法理を排除するものではない、これは総理大臣もおっしゃいましたけれども、実際においてこれは長い長い年月を要する裁判にかかったときに、努力義務規定がむしろ、使用者は努力したからいいじゃないかという免責ということになってあらわれないという保障はどこにもないんですね。保障はございますですか。
#219
○政府委員(赤松良子君) 努力義務規定につきましては、指針をつくって具体的になくすべき差別というものを明らかにしていこうということはたびたびお答え申し上げたところでございます。
 その指針の内容が具体的になり、そのことが社会に普及し根づいてまいりますと、そのこと自体が公の秩序を形成するという効果も否定できない
わけでございまして、けさほど久保田委員に対してお答え申し上げましたように、公序良俗の一般法理を排除しないということはこれは一つはっきり申し上げたわけでございますが、それに加えて、今申し上げましたような効果も否定できないというふうに考えております。
#220
○中西珠子君 指針でございますが、これはこの前もちょっとお伺いしましたけれども、第十二条、指針が「必要があると認めるときは、」「定めることができる。」と、こう権限付与の形になっているんですね。もしそんなに指針が大事であるならば、どうして、定めねばならないという義務、責務というふうになさらないんですか。
#221
○説明員(松原亘子君) 指針は、再々申し上げているとおり、努力義務規定につきまして定めることにいたしておりまして、その定められた指針に盛られた事項について事業主が達成するように努力を求めていくということでございます。
 ただ、指針の策定に当たりましては、第六条の第三項にございます女子労働者福祉対策基本方針を定めるときに勘案する事項、すなわち女子労働者の労働条件、意識及び就業の実態等を考慮して定めなければいけないというふうになっておりますが、これを準用いたしておりまして、指針についてもこれらを勘案して定める。すなわち現状を漸進的に改革していくという観点から策定していくわけでございますので、その策定するときどきの社会の認識ですとか社会の実態等を踏まえて必要に応じて設定していく、策定していくというものでございますので、必要があるときという文言を入れて、権限付与という形にいたしたわけでございます。
#222
○中西珠子君 権限付与の形にしたのはなぜですかと、もし指針がそんなに重要ならば、ねばならないというふうにした方がいいんじゃないですかと言ったんですけれども、私が聞かないうちに先におっしゃったけれども、「六条第三項から第五項までの規定は指針の策定について、」「準用する。」ということですね、この今おっしゃった「女子労働者の労働条件、意識及び就業の実態等を考慮して」指針を定めるというところが、現状を固定するということにならないか、現状改革というよりもむしろ現状を固定するということにならないかという心配があるわけですね。
 そして、「同条第四項及び第五項の規定は指針の変更について準用する。この場合において、同条第四項中「聴くほか、都道府県知事の意見を求める」とあるのは、「聴く」と読み替えるものとする。」、こういうふうに書いてありますね。しかし、これが本当に今の差別のある現状を改革するという方向に働かないで、とにかくこういった準用規定があるがゆえに、理念的に高いものに進まないで、一層現状を固定するという方向に行かないかということは、私は、とにかく募集、採用は女性の勤続年数が短いから禁止規定にはできないとおっしゃっているその答弁から類推して、非常に心配するんですけれども、どうですか、その点は。
#223
○政府委員(赤松良子君) 現状に考慮を払うということは、どんな場合にも必要なことだと思います。しかしそれは、現状を固定するということとイコールでないことは言うまでもないわけでございまして、現状を変えていこう、しかしどういう現状かということに対して配慮を払わないわけにはいかないというふうに考えるわけでございます。
#224
○中西珠子君 現状に足を立てて、そしてより高きものにしていくという御配慮をいつもお忘れなくやっていただくようにお願いいたします。お約束くださいますか。
#225
○政府委員(赤松良子君) 現状を踏まえながら、しかも現状を変えていく努力をいたしたいと存じます。
#226
○中西珠子君 現状追認にならないようにお願いしたいんですね。例えば深夜業の問題なんかも、この前やったからまた蒸し返すのはおかしいけれども、今基準法違反で、ほかほか弁当とかそういうところで、女の人が真夜中休息時間も与えられない、休息の場所も与えられないで何時間も、それこそ七、八時間も働いているんですね、パートという名前でね。そういうものを現状追認に、深夜業の禁止が緩和になっているということもあるので、現状をよりよきものに変えていくという方向をいつもお忘れにならないようにお願いしたいと思います。今お答えいただきましたから結構です。
 その次、「配置及び昇進」、これはやっぱり婦少審の公益委員が、これは少なくとも強行規定にするべきだと言ったのにもかかわらずやはり努力義務規定になっているわけですね。これについて、禁止規定にするとどのような弊害が具体的にございますでしょうか。
#227
○政府委員(赤松良子君) まず、公益委員のたたき台は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保のための措置と女子保護規定の見直しについて、両方を考慮に入れて書かれたものでございます。一方だけを考えてたたき台をつくるというふうなことをされたというふうには私どもは理解いたしておりません。
 そこで、「現状を考慮しつつ」も、「長期的展望の上に立って」という点により重点があった。これを法案にするときには、その重点が、「長期的展望の上に立つ」という考えは捨てはいたしませんでしたが、「現状を考慮しつつ」という方にやはり重点は移らざるを得なかったということでございまして、配置及び昇進について、これは採用のところで申し上げましたような我が国の雇用慣行、つまり終身雇用、そして年功序列ということがやはり非常に大きく影響を持つ分野だというふうに考えざるを得ないわけでございます。
 まず最初労働者を採用して、それを配置する、どういうところに配置するかというときに、その労働者がどのような期間この企業の中で働き、どのように長い将来にわたって昇進を含めて待遇をしていくべきかということを考えた上でやるのが日本の採用あるいは配置の最初の仕方でございまして、これが外国で多く見られるように職務の性格というものをよく考えて、その職務に合った人を選ぶ、ただそれだけのファクターで選ぶ、長く働こうがどういう家族責任を持っていようが、そんなことはお構いなしで職務だけというような要素で人間を選ぶというのとは相当に違った慣行があるということは、よかれあしかれ事実でございます。
 そこで、そういうことが非常に影響が大きいという意味では、配置や昇進については、採用について申し上げたと同じようなことが当てはまるというふうに判断をしたわけでございます。
#228
○中西珠子君 同じことなんですね。配置と昇進においても女子の勤続年数が物を言うから、だから禁止規定にはできませんよとおっしゃっているんだけれども、例えば配置、昇進において、その人の意欲と職業遂行能力ばかりではなく、日本に今行われているような勤続年数をもその配置、昇進の基準にするとしますね。それでも私はいいと思うんですよ。女性であるがゆえに差別される、性に基づく差別というものを行ってはならないということがはっきりしていれば。勤続年数と、それからいろいろ統率力だとか職務遂行の上の細かい能力ですね、そういったもの。それから本人の意欲とかそういったものを昇進や配置の基準にするということは、それは性別にかかわらない基準であるからいいわけですね。
 ところが、ここでごっちゃになっているのは、女性即勤続年数が短かくて早くやめる。だから配置、昇進で差別をしてはいけないということは言えないんだという、そこのところがごっちゃになっていて、性別に基づく差別をしてはならないというただその一点だけ、女であるからということで差別をしてはならないというその一点がどうして禁止規定にできないかということが、どうしても私は理解できないんですね。女即短い勤務年限、だから終身雇用のもとではだめ、こういう非常に短絡的な論理構成で、この二つ、第七条と第八条が差別禁止規定ではなくて努力義務規定にしているということにしか受け取れないわけです
ね。だから、これはやっぱり憲法上の、差別をしてはならない、男女平等の原則というものがはっきりと雇用の場でも生かせるように、性差別はいけないんだという性差別だけを禁止するということは不可能ではないはずなんですね。
 そしてまた、先ほどから言っている条約に基づく要件というものは、あらゆる形態の差別というものはやはりなくさなくちゃいかぬ。また、差別とはどういうものかというと、個人としての尊厳を侵すものであり、また、基本的な人権、働く権利というものを侵すものであるというそういう要件、どうしてこれに合わないような――現在の日本の実情を考えないでよろしいとは私決して言っていないのでありまして、女性即勤続年数が短い、だから差別禁止はできませんというのはおかしいと申し上げているんですね。
#229
○政府委員(赤松良子君) おっしゃるように個別的に判断できればよろしいわけでございますが、配置のときに考えなければならない勤続年数の違いというのは、過去にどのぐらい働いたかということではなくて将来どのぐらい勤続するであろうかということを考えて配置をするわけでございます。ないし採用もするわけでございます。将来のことというのはわかりませんので、したがって平均的なことを考えざるを得ないだろうということになるわけで、それほど短絡しているわけではございません。
#230
○中西珠子君 延々とこれをやっていても仕方がないので、とにかく条約の要件に合って、そして憲法的な見地から、憲法における基本的理念を具現化するのだと局長はおっしゃいましたけれども、どうぞ何とかもう少しきちっと具現化していただきたいと思います。これは強い要望でございます。
 それから、結局基本理念の方にまた戻っちゃうんですけれども、この前もいろいろお伺いしてお答えもいただいたんですけれども、結局これは、公述人としてきのうおいでになった方々の中でも、大多数がやっぱり婦人の基本的な権利としての労働権をはっきりと明記してほしいということをおっしゃっていますし、また、差別というものは、さっきも言ったように、人間としての尊厳、基本的な人権を侵すというものだということをはっきりと明記してほしいということをおっしゃっていましたね。けさも「福祉」の内容が結局職業の確保と婦人の地位の向上というものを含むという御答弁がありましたけれども、どうしてもこの福祉というものに固執なさって、福祉という形でしか雇用上の機会均等と待遇の平等化が図れない、また図ることができないという御事情がおありになるのならば、それならば、その福祉というものをはっきりと定義してくだすって、この福祉の中には婦人の基本的な人権としての労働権、それを生かすための職業の確保、そして地位の向上というものを含むものだという定義を入れていただきたいと思うんですね。いかがですか。
#231
○政府委員(赤松良子君) 福祉の中でしか平等を実現できないと言ったことはないような気がいたします。福祉の中で図るということができる、福祉は広い概念だから、というふうに申し上げているつもりでございます。
#232
○中西珠子君 「福祉」は、結局「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保」を包含するわけでしょう。そういうお考えでしょう。そして職業の確保も入るとけさおっしゃいましたね。そして婦人の地位の向上も入るわけね。婦人の地位の向上は、職業を確保されることによって、また、余り職場で差別をされないで均等な機会と待遇の平等を確保されることによって地位も上がる、そして福祉も上がるということですね。そこのところがはっきりしてないんです、これ。ですから、皆さんが大変御心配になっていて、せっかく憲法で保障されている婦人の基本的人権としての労働権も確保されていない。また、条約十一条で、「すべての人間の奪い得ない権利としての」婦人の「労働の権利」を確保することが必要ということをちゃんと要件としてつけているんですね。これをなぜもう少しはっきりと言えないかということが我々は理解に苦しむし、また、働く婦人の方は、この点が非常に不満であるわけですね。
 この間の公述人の方々のほとんどが、その点において一致していらっしゃいました。それで、そこのところをやっぱり何とか変えていただかないと、ILOの百二十三号勧告、これは役割分担、結局婦人だけが家庭責任を持つんだという前提に立ってできているそういった勧告に基づいてできた勤労婦人福祉法の改正という形でこれをどうしてもやっていこうとなさるから物すごい無理があり、また、働く婦人に非常な抵抗を覚えさせているわけなんですね。抵抗ばかりでなく非常な落胆というものを感じさせているわけなんですね。ですから、ここのところは何とかもう少し直して、そして差別というものはどういうものかということと、それから婦人の働く権利は基本的な人権であるということをもう少し明確にしていただきたい。
 これは御答弁で、いやもう第二章以下で、憲法において保障されている基本的人権としての労働権は具現化するように努力されているからいいんだという御答弁でしたけれども、まだまだ私はそれでは納得できないんですね。労働大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
#233
○政府委員(赤松良子君) 憲法で保障されている基本的人権というのは、この場合は差別されないというのが基本的人権というふうに私どもは理解しているわけでございます。勤労の権利というのが差別されないで実現するということを目指しているのがこの法案でございまして、そのことは目的にもはっきりとうたわれているところでございます。
 そして、「性別により差別されることなく」、このようにはっきり書かれておりますのに、それが差別することをこの法案があたかも許容しているかのふうにもし思われているとすれば、大変な誤解ではないかと常々思っている次第でございます。
#234
○中西珠子君 この法案で差別が強要されているなんて、私一言も言いませんよ。言いましたか。言わないでしょう。だれがおっしゃいましたか知りませんが、この法案で差別が強要されているということは一言も言ったことがないと思います。その点については、もし私が言ったという非難であるならば、取り消していただきたいですね。
#235
○政府委員(赤松良子君) 先生がおっしゃったわけではございませんが、あたかもそのように――強要とおっしゃったのは聞き違いで、許容でございまして、この法案があたかも差別を許容しているかのごとき理解を持っておられる方があるとすれば誤解だというふうに申し上げたつもりでございます。
#236
○中西珠子君 差別を許容するものだという批判が出てくるのは、やっぱり差別から保護する実効性がないから御心配になって、差別を許容するんだ、こういう批判が出てくるんだと私は考えます。
 とにかく、先ほど言った、婦人差別撤廃委員会の審議の過程におきましても、差別をどのように考えていますかという質問が出ているんです。差別というものはどういうふうにとらえているかという質問がまず出ているわけです。差別とは何かということがこの法案では何にもはっきりしていないんですね。それでこの前お伺いしたら、それは条約で言っている差別ですという御答弁がありました。だから、条約で言っている差別ということであるならば、もう少しこれを敷衍して、差別というものはいろいろの定義が条約にありますけれども、最も根本的なところは、人間としての尊厳を侵すということなく基本的人権として考えられているものは平等に与える、そこのところが一番エッセンスであると思うんです。一番大事なところだと思うんですね。だから、それがもう少し読み取れるような表現に直していただきたいと思うんです。
 そしてまた、その役割分担の変更というものはもうちゃんと考えておりまして、そして女子のみが「家庭の一員として」すべてをやるのではなく
て、この「家庭の一員として」という表現が、女子のみがすべて家事の責任も育児の責任も負うのではない、家庭責任というものは男性も平等に負っていかなければいけない、また、社会的にも育児の責任というものは担ってもらわなきゃ困るんだという条約の理念は、きちっとこの「家庭の一員として」という言葉の中にあらわれているというふうにおっしゃいましたけれど、これをそのようにとる人はちょっといないと思うんですね。いかがですか。もう少しここのところを変えることはできませんか。「家庭の一員として」ということだけで、もう男女役割分業というものをなくすという気持ちがちゃんとあらわれているという御答弁があったんですけれど、これはちょっと無理じゃないですか。
#237
○政府委員(赤松良子君) この第二条の御説明を衆議院でいたしましたときにそのように申し上げたかと思いますが、それは「基本的理念」を、現在ある勤労婦人福祉法の「基本的理念」と読み比べていただくならばそのことは明らかだろうというふうに御説明したように記憶をいたしております。
 現行法は、「勤労婦人は、次代をになう者の生育について重大な役割を有するとともに、」云々と、こういうふうになっておりますが、「女子労働者は、経済及び社会の発展に寄与する者であり、かつ、家庭の一員として次代を担う者の生育について重要な役割を有する者であることにかんがみ、」というふうに改正したのは、この勤労婦人福祉法は特にILO百二十三号勧告そのものと直接かかわりのある法律だというふうには思っておりませんが、影響を受けて生まれたということは否定できないわけでございまして、その後の時代の推移、百五十六号条約ができ、百六十五号勧告が生まれたというような状況の変化も考慮に入れて、第二条の改正をしたわけでございます。
#238
○中西珠子君 この法律が制定されますと、改正前の勤労婦人福祉法と比べて読む人はいないんですね。だから、この法律自体ではっきりと理念が出ていなければいけない。「家庭の一員として」というのはそういう意味だという御説明があって、はあそうかな、ちょっと無理なあれだなと思ったんですけれどね。
 とにかく、この法律というものの基本的理念というものは、新たに生まれ変わって出てきたというふうなものがなければいけないし、もちろん勤労婦人福祉法の基本的な理念を少し変えて、そして役割分業というものはなくしていくという考え方に基づいてなすったということはわかりますけれども、それが一目瞭然に理解できるところではなくて、むしろこの「基本的理念」は男女役割分業を固定化するものではないかという批判が生まれているわけですね。だから、この「家庭の一員として」というところだけにもう非常に努力してこれの表現をおつくりになったとは思うけれども、これだけで男女役割分業というものは払拭していくのだという考え方は出てこないと思うんですね。ですから、やはりこれからこの法律が施行されていくに当たっては、「目的」と「基本的理念」が非常に大事なんですから、この部分はどうしてもやはり憲法の理念に沿い、また、婦人差別撤廃条約の理念に沿って、要件に基づいて、これは書き直しを要求いたします。
 それから、私まだ聞いていないところがいっぱいあるので戻りますけれど、育児休業とそれから再就職と、どちらが大事と考えていらっしゃるんでしょうか。並列的に書いていらっしゃるから、どちらが大事なんだろうなと思うんですけれどね。
#239
○政府委員(赤松良子君) 先生も御承知のとおり、婦人労働者は大変増加しているわけで、増加するということはいろいろなバラエティーに富んだ女性が出てくるということでございます。その中には、一度職業をやめて、育児が済んだ後もう一回労働市場に帰りたいという方もあれば、育児休業をとりながら仕事を続けてとどまりたいという方もあれば、育児休業もとらずとどまりたいというか、働き続けたいという、いろんな方が出てきているわけでございます。そういうふうにもろもろのパターンが出てきたということが現代的な現象だというふうに思うわけでございます。
 そのそれぞれの方たちが利用できるような援助の制度、措置というものがあるということが望ましいことであって、こちらの方がより大事だとか、こちらは少ししか重要でないというふうに、必ずしもその優劣をつけるというような必要はなくて、必要に応じていろいろな措置をとるということが女性の労働者にとってプラスになると信じているわけでございます。
#240
○中西珠子君 おっしゃるとおり、やはり再雇用も大事でしょうし、そして再雇用特別措置も大事でしょう。それから育児休業も大変大事だと思うんですね。ただ、今までずっと育児休業を、奨励金を出して民間の育児休業を普及するように努力をしていらっしゃいましたけれども、なかなかその普及がはかばかしくないわけですね。六十年度からは二年にわたって、初めが六十万、それからその次の年が四十万というふうな相当な奨励金を出して、大いにこれ普及していこうというお気持ちと努力は大変買うわけですけれども、実際に民間の育児休業の普及率というのは大変低いんじゃないですか。「婦人労働の実情」に出ている育児休業の普及率として一四・三%、これは結局義務教育諸学校の女子教育職員、それから国公立の医療施設それから社会福祉施設で働く看護婦さんとか保健婦さんとか助産婦さんとか、そういった人たちに適用している法律の利用者というか、恩恵を受けている人たちの数も入っていますでしょう。そうすると、純粋に民間のというのは非常に少ないんじゃないですか。数がおわかりになっていますか、比率が。
 私はここに予算の資料を持っているんですけれども、育児休業奨励金は、一般の民間の奨励金、予算よりずっと少ないんですね、実績は。それで、昨年度は百九十八人奨励金をいただいて育児休業をとったということですけれども、「義務教育諸学校等の……」という長い名前の法律に基づいて、国公立の医療施設の看護婦やなんかは育児休業がとれるわけだから、民間の同じような看護婦さんやなんかの人たちにもとれるようにしようということで、特定職種育児休業利用助成給付金というのをお出しになっていますね。これについては五十八年度はたった二件なんですね。こういう遅々としてしか進まないような育児休業の奨励の仕方であっては、もう大変な労力を費やして、また、育児休業を指導する人員もほんの少しだけどことしはふやしてやっていらっしゃるという涙ぐましい努力というものが、果たしてどの程度の効果を持つかということを大変疑問に思うわけですね。
 それで、とにかく私どもは育児休業というものを法制化していかなきゃならないと考えているのでございますが、労働省ではどのようにお考えでいらっしゃいますか。労働大臣、いかがですか。
#241
○説明員(川橋幸子君) お答え申し上げます。
 先生お尋ねの育児休業の普及率は、労働省、私どもで行っております女子保護実施状況調査によりますと一四・三%と、そういう現状にございます。
 こういう現状を踏まえまして、昨年三月の婦人少年問題審議会の建議におきましては、現状におきましては法制化は困難である、当面は行政側の積極的な指導、援助によってさらに一層の普及を図ることと、そういう建議をちょうだいしておるところでございます。
#242
○中西珠子君 一四・三%は、義務教育諸学校等の女子教育職員、それから国公立の社会福祉施設だとか医療施設だとかで働く看護婦さんとか、そういった人たちの数が入っているわけです。いわゆる公共部門の育児休業の数が入っているわけです。
 だから、純然たる民間の企業の育児休業の普及率はどの程度ですかとお聞きしましたら、数字が出てこなかったわけですね。ですから、しようがないから私は、この予算の中の予算と実績の数字を申し上げたわけでありまして、これはつかんでいらっしゃらないんですか、いらっしゃるんですか。どっちですか。
#243
○説明員(川橋幸子君) 育児休業の普及率の調査でございますけれども、私どもの行っております女子保護実施状況調査は、従来から公営、民営含めた形で設計しておりまして、民営だけは出ていないわけでございますけれども、五十六年にサービス業の中に教育を含んだと。教育の分野といいますとやはり国公立の女性の数が多いわけでございますね。そういうことがございますけれども……
   〔中西珠子君「私そんなことお聞きしてないんですよ。私はそんな事情はよく知っているんです」と述ぶ〕
#244
○委員長(遠藤政夫君) 中西委員に申し上げます。
 答弁中ですから。発言の許可を求めてください。
#245
○中西珠子君 そうじゃなくて、民間の企業の育児休業の普及率を把握していらっしゃいますかとお聞きしたんです。把握していないとおっしゃるから、この数字を出してきて、そしてこれではなかなか遅々として進まないんではないですかとお聞きしているの。婦人労働者の保護状況を調査しているその中にそれを入れたからなんということはもう百も承知しているんですよ。だから、そんなお答えは要らないんです、もう時間もないのに。
 私もう一つだけお聞きしたいのは、「坑内労働の禁止」ですね。この禁止の緩和をなさるわけですけれども、この中でどのようなものを緩和して、そして入ってもいいということになさるのか。これは「命令で定める」と書いてございますけれども、大体どのような業務をお考えになっているかお聞きしたいのです。もう私、時間も過ぎたので委員長にしかられるけれども、一つだけ。
#246
○政府委員(白井晋太郎君) 坑内労働につきましては、臨時の必要のため坑内で行われる業務について禁止を解除することとしておりますが、臨時の必要のための坑内で行われる業務とは、通常は坑内で行われない業務であって、臨時の必要に応じ一時的に坑内で行われるものをいうのでございまして、審議会の審議の過程を踏まえますと、例えば新聞記者の取材の業務、医師及び看護婦の治療、看護の業務等は検討の対象として考えられておりました。
 具体的には、法案成立後関係審議会に諮った上労働省令で定めることとなっております。
#247
○中西珠子君 私、これについてまたいろいろ申し上げたいことありますけれども、もう時間が超過したから、これはこの次に続行してやらしていただきます。
#248
○安武洋子君 婦人の自立とか社会的地位の向上、そしてこの社会的地位の向上ということは、婦人の経済的な基盤の確立、これと密接不可分な関係にございます。賃金の問題と申しますのは、雇用におきます男女平等の一つの中心課題でございます。条約の中にも、十一条の(d)に、「同一価値の労働についての同一報酬(諸手当を含む。)及び同一待遇についての権利並びに労働の質の評価に関する取扱いの平等についての権利」、これがうたってございます。
 ところが、我が国の場合ですが、他の先進国に比較をいたしまして、男女の賃金格差、これはとりわけ大きいように思いますが、この点いかがでございますか。
#249
○政府委員(赤松良子君) 賃金格差は、いろいろな調査がございまして、何で比べるかというのによって多少開きが違うわけでございますが、私どもよくお答えいたしております賃金構造基本調査によりますと、日本は男子一〇〇、女子五八・七。しかし、これでも他国と比較いたしますと、アメリカ六五、イギリス七〇、西ドイツ七三、フランス八八というふうになっております。ただ、フランスのような場合には、これは実収入ということではなくて、賃率のように聞いておりまして、賃率と実収入と比べるというのはそもそも無理なような気もいたします。
#250
○安武洋子君 だれもフランスと比べてくれと言っておらないわけで、ですから、世界的に比べれば日本の男女の賃金格差は大きいということは間違いないと思うんです。
 賃金につきましてさらにお伺いいたしますけれども、学歴、年齢、勤続年数、これを同一にそろえた場合の賃金でございますね。これは製造業で標準的な労働者の年齢、階級別男女間の格差、これを男子を一〇〇としますと女子は幾らになるでしょうか。
#251
○説明員(松原亘子君) 五十八年の賃金構造基本統計調査によりますと、御指摘の製造業のいわば標準労働者の所定内賃金の男女格差を旧中・新高卒者について見てみますと、男子を一〇〇といたしまして十八ないし十九歳層は九二・四、二十ないし二十四歳層で八七・九というように、二十歳代前半までは約九割という状況でございますけれども、二十五から二十九歳層になりますと七九・五と約八割、三十歳代以降は約七割の水準になっておりまして、具体的には三十から三十四歳層で七三・二、三十五から三十九歳層で六九・八、四十ないし四十四歳層で六七・六、四十五から四十九歳層で六八・九、さらにその上の五十ないし五十四歳層では六六・九というふうになっております。
#252
○安武洋子君 学歴、年齢、勤続年数、これ同一にいたしませんと、よく政府は、女子は勤続年数が短いんだ、だから賃金格差があるんだというふうにおっしゃいますが、こういうふうにそろえてみましても、男子と比較をいたしますと男子労働者の七割を切るというのが婦人労働者の実態です。
 大臣は、こういう現状についてはどのようにお思いでございましょうか。御所見を伺います。
#253
○国務大臣(山口敏夫君) 男女それぞれの平均賃金の比較、今聞いておりまして相当程度の格差が見られます。これは、今先生も御指摘ありましたけれども、男女間の就業分野が異なる、あるいは年功序列賃金制度のもとでの女子の勤続年数が短い、あるいは男女の学歴構成差、また、男子に比べて女子の労働時間が短い等々、理由は一つではなくて、それぞれの職場における一つの落差というものが男女間の賃金に残念ながら反映をしておる、こういうことでもあろうと思います。
 そこで、女子差別撤廃条約第十一条第一項(d)号では、同一価値の労働についての男女の同一報酬の権利を確保することを目的として、すべての適当な措置をとることを規定しております。
 我が国におきましても、女子であることを理由にした賃金差別については既に労働基準法第四条において禁止しておるところでございまして、条約のこの要請を既に担保しているところでありますけれども、一層改善に努力をしなきゃならない、かように考えております。
#254
○安武洋子君 大臣、私は学歴、年齢、勤続年数、それを同一にしてどれくらいの格差があるかということで御質問をして、そして数字を出していただいたんです。そうすると、大臣の御答弁というのは、先ほど学歴とか労働時間が短いとか、あるいは勤続年数が短いとかという条件があるからとおっしゃいましたけれども、それを同一にしてもまだ七割だと、七割を切るんだと私は申し上げております。ですから正確に聞いておいていただかないといけないわけなんです。
 こういうふうな婦人労働者に対する差別的な賃金と申しますのは、これは一生つきまとうわけですよ。これは厚生年金の差を見てみますと、男子が大体平均十四万、女子は八万というふうになっております。こういう差別ですけれども、これは金額的に見てみても巨額なものになってしまうわけです。
 大臣にもう一度お伺いいたしますけれども、婦人差別撤廃条約、これが目標としておりますのは、こういうふうな差別を改善して平等を目指す、そういうことだと思いますけれども、大臣はいかがお考えですか。
#255
○国務大臣(山口敏夫君) 先ほど私が申し上げた賃金格差のいろいろな理由づけは、そういう同じ条件であっても賃金格差があるという御指摘でありますけれども、さらにその複数の要素の中で現
状そういう格差が出てきておると、こういう分析を申し上げたわけでございまして、私は男女の能力の差というよりも仕事の量といいますか、あるいは職業意識といいますか、いろいろ多面的な要素も日本の職業人の生活の中において男女の賃金格差として一つの結果が出てきておる、それをどう改善するかというための労働条件、あるいは女子であるために賃金格差があってはならない、こう労働基準法等でも規定しておりますけれども、さらにその一層の改善を進めるためには、こういう今回御審議いただいておるような法案等を通じて、一層男女間の賃金格差あるいは職域における権利の拡大というものを進めたいと、こう考えておるわけでございます。
#256
○安武洋子君 御決意のほどは結構なんですよ。しかし、私は学歴、年齢、勤続年数、これを同一にしても七割を切る差別があるんだと、こう申し上げております。そうすると、複数の要素の中に大臣がつけ加えられたのは、仕事の量、職業意識。では、この七割を切るというふうに婦人が劣悪な賃金実態であるというのは、職業意識とかそれから仕事の量とか、そういうことなんでしょうか。
#257
○国務大臣(山口敏夫君) それはやはりきのうきょうの問題じゃなくて、長い間における男女間の職業に参加するこの一つの伝統的なものも私は率直に言ってあると思うんですね。やはり仕事において、会社の仕事にのめり込んで亭主から離婚されたという女性よりは、女房から離婚されたという人の方が多い場合もこれはあるわけでございまして、やはりそういう論争では、いろいろな論争はできますけれども、現実の労働社会においてそういう賃金の格差というものが、政府としては賃金の格差があってはならない、こういう基本的な方針で取り組んでおりますけれども、職場の現場においては、いろいろな問題を含めて賃金の格差が、今先生からも御指摘のような、十に対して七なり八なりというのが実情の部分もある。
 それをどう改善していくかということについては、この法律でありますとか、あるいは政府の行政指導で進めると同時に、また労使間の努力、さらには女子労働者のそういう格差是正に対する意欲、取り組みというものがやっぱり心底なければ、そういった状況をつくり出すということは自由経済社会においてこれはあり得ないわけでございまして、やはりお互いが努力をしながら男女間の賃金格差あるいは職場における権利の平等をかち取らなきゃならない、そう私は考え、進めることが政府のまた一つの仕事でもある、こう言っておるわけでございます。
#258
○安武洋子君 大臣の御認識がいかに私はいいかげんなものであるかということを今から論議の中で明らかにしていきたいと思います。
 というのは、差別をなくそうなくそうとおっしゃってくださる、そのことは結構なんですよ。しかし、差別をなくすというのは、一体その原因がどこにあるのかということを正しく把握しない限りは、これは直らないわけでしょう。ですから、私は企業の雇用管理に男女差があるんだと、要するに、企業の雇用対策、賃金政策、そこに主な原因があるということを申し上げたいんです。ここにメスを入れない限り賃金格差はなくならないわけですよ。私はまず確認をしておきたい。
 大臣にお答えをいただきたいんですけれども、現在、男女の賃金格差があるわけです。本法案でこの差別的取り扱い、格差、こういうものがなくなる、そういう保証がございますか。
#259
○国務大臣(山口敏夫君) 私は、社会の半分を背負っておるのは女性でありまして、そういう家庭の中においても社会的にも非常に重要な役割と評価を得ておる女性に、職場における賃金の格差やいろいろな問題があるのは、やはり今この委員会で再三取り上げられておるような問題と同時に、また、女子労働者の一つの問題意識、あるいは自分たちの環境改善に対する取り組みへの熱意というものもなければ本当の解決にはならないという認識は、決して男女の問題に対する認識が誤っておるというふうには思わないわけでございまして、先生の御指摘ではございますけれども、私の考え方は考え方として申し上げておきたいと思います。
   〔委員長退席、理事関口恵造君着席〕
 そこで、今の御質問の問題につきましては、今度の法案を通じてそういった賃金あるいは雇用条件その他で大いに改善の傾向が出てくる、こう私は確信をしております。
#260
○安武洋子君 大臣の御答弁を聞いておりますと、男女の賃金格差、これが生じる原因というのは、女性の問題意識あるいは環境改善への取り組み意欲の欠如、そこにあると言わんばかりでございますが、そういうことですか。
#261
○国務大臣(山口敏夫君) そういう部分もやはり、女子自体の考え方の中に家庭責任の比重というものが多いのも、私は率直な話、事実だと思うんですよ。やはり職業人としての生活の意識と家庭人としての生活の意識を個々の労働者に気持ちを聞くならば、私は最大公約数というのはまだまだ家庭人としての比重の方が多いという部分もなきにしもあらず。これは私は現実の社会の中においては否定しがたいところがあると思うのですね。
 しかし、この大きな時代の変化、女性の職場、職業に対する意識というものが大きな変化を来たしておりますし、よりよい職場進出への意欲というものがある。そういう状況の中において男女の雇用均等法というものもこうして国会で取り上げられ、いろいろ審議をされている。こういう時代的な客観的な認識というものを持たなければ現状を改善していくことはできない、こう私は申し上げているわけでございます。
#262
○安武洋子君 労働大臣に婦人問題のお勉強をしていただかなければならない、その必要を私は痛感いたしますが、現在、労働基準法の第四条、これで同一の労働同一の賃金、この原則がうたわれております。それにもかかわらずに、女子が男子労働者と学歴、年齢、勤続年数、これを同一にいたしましても賃金は七割以下。それで先ほどのように、本法が本当に有効に作動してこういうものが解消できるということにもならないというふうなことになりますと、私は半永久的に先進諸国の中でも最も大きな賃金格差、こういうものが固定化されてしまって、ちっとも改善されない。放置されたままになる。また、男子労働者自体の賃金が非常に世界的にも低いわけです。なおその上にその七割以下というふうな状態に婦人労働者が置かれていく。
 本当に一体労働省、労働大臣は、本気で男女の賃金格差の是正、それから改善、それに向けて努力をしようという、そういう決意がおありなんですか。もう一度聞きます。
#263
○国務大臣(山口敏夫君) 心底、この男女の差別の改善、賃金格差の是正に取り組みたい、こういう決意でございますので、率直に現状認識も、あえて御批判を承知で申し上げているわけでございます。
#264
○安武洋子君 それは大変ありがたいことで、では今から私が申し上げますので、こういう賃金格差をどういうふうにしてなくしていただけるかということでお答えいただきたい。
 私は、企業が今非常に巧妙な、実体的な男女別の賃金を行っている。これを是正しなければ、男女の賃金格差はなくならないと思うんです。
 一例を挙げます。
 まず、株式会社東芝、これは我が国の代表的な、世界的な大企業なんです。私は賃金表を持ってまいっております。これ、ちょっと大臣にも差し上げてください。――この賃金表は男女別になっておりますけれども、これは一応標準的な賃金ということになっております。
 これを見てみますと、中学卒と高卒・技能と高卒・事務技術、この三つに分かれております。それぞれ男女別になっているわけです。給与の内訳というのは、本給と仕事給と能力給、この三つに分かれております。高卒技能、高卒事務技術、これは二十歳の出発は男女ともすべて一緒でございます。中卒は、これは本給と能力給、女子がやや
高くなっております。ところが、二十一歳になりますと、たちまち中卒、高卒・技能、高卒・事務技術、この三つのすべての部門で本給で男子が高くなって、それからずっと差がつきっ放しということになります。
 それから、仕事給というのは先ほど申し上げました三つの分野とも、二十歳、二十一歳、二十二歳、ここまではすべて男女同じでございます。ところが、二十三歳になりますと、この三つのすべての分野で男女差がつけられて男の方が上がっていく、こういうことになります。そして仕事給は中卒女子は四十一歳までしか表に出ておりません。男子は二十三歳から四十一歳までに六ランク上がるんです。ところが、これは女子は十八年間全く同じ。ランクは上がらないということになりますから、男子は八万一千四百円になりますけれども、女子は十八年間放置されたまま四万三千六百円に据え置かれます。ですからほぼ半額です。
 それから高卒の技能、これは女子は三十六歳までしか表にございません。男子は二十歳から三十六歳まで五ランク上がっていきます。ですから三万二千四百円の昇給をいたしまして七万六百円になります。ところが女子は、同じ二十歳から三十六歳までで、男子が五ランク上がるのに女子は二ランク、そして男子の三万二千四百円に対して一万八百円しか昇給しないということで、四万九千円になるわけで、この差は二万一千六百円出てきます。
 そして今度は高卒の事務技術、これは男子、女子とも二十歳から四十歳まで、先ほどの高卒技能とほとんど同じ傾向をたどるわけですけれども、男子は九万七千六百円、女子は五万四千四百円、この差は四万三千二百円、こういうことになってくるわけです。今申し上げたのが仕事給です。
 じゃ、能力給はどうか。男女二十歳、高卒の技能、事務技術もみんなこれは同じなんです。仕事給は同じなのに、ところが二十一歳になりますと差がつくんです。二十一歳になれば、技能の方では二十七円の差、それから事務技術で五円の差。能力で五円の差というのはどういうことかよくわかりませんけれども、これが中卒で四十一歳になりますと一万一千八日二十五円の差に開いていきます。高卒技能で三十六歳で八千三百七十四円に開いていきます。それから高卒事務技術、これが一万五千百六十八円、こういう差になっていくわけです。
 これは明らかに個々個々の問題ではなくて、女子という性による差別、差別賃金以外の何物でもないわけです。このような差別賃金につきまして、私は、先ほどの労働大臣の御決意に照らして、一体どのように対処をしてくださるんでしょうか、お伺いいたします。
#265
○政府委員(赤松良子君) ただいまの、非常に細かい数字でございまして、私も目が悪いので一生懸命見ているわけでございますが、なかなかすぐにはこのあらわしているところが読み取りにくい面もございます。
 しかし、御指摘のケースが、実際に従事している職務の内容や資格等が男女で異なっていないのに適用される俸給表が男女で違うというようなことでございますならば労働基準法四条に照らしまして問題があるように考えますが、細かい検討の時間をまだ与えていただいておりませんのでただいま印象的なことで恐縮でございますが、基準法四条の上で問題があるやに感じ取られました。
#266
○安武洋子君 これは個々個々の能力とか仕事の違いではないわけなんです。私はここにこういう大きな資料を持ってきておりますけれども、これは「東芝の賃金関係規則・規程集」、こういうものでございます。この中にこのバックデータもあるわけなんです。ですから、この問題点はどこにあるかと、ここの中から私は読み取ったわけですが、大企業ですから、今までの古典的な、男女二本立て賃金をそのまますとんと適用するというふうなやり方をしていないわけなんです。でも実際的には男女二本立て賃金になるということを申し上げたいんですが、この中には事細かく昇給それから昇任、そういう基準が全部出ております。
 この中で私が問題だと思いますのは、例えば仕事給を例にとってみます、そうしますとこの仕事給の内容につきましては、七つの要素、五段階、こういうことで分けております。これは「熟練度」の中も二つに分かれているわけですね。これは「知識」と「習熟」に分かれる。それから「精神的負荷」、これも二つに分かれて、「緊張持続性」と「注意集中度」。それから「肉体的強度」、「危険度」、「共同性」とそれぞれこの中でもランクをずっとつけているわけなんです。
 じゃ百九の職種について、この七つの要素と五段階でどうなるか。この仕事は一体どうなるんだという点数でずっとあらわしているわけなんです。一つ一つの仕事をA、B、C、D、E、こういう職群のどこにランクづけするかということで、職群を分けているわけです。ここに私はそれ持っておりますが、例を挙げてみますと、まず男子が主についているA群、職群でAとランクされるところ、これは「電気溶接」などというのがあります。知識に七十点をつけております。そして肉体的負荷に八十点をつけ、総合点で三百二十五点をつけております。それから「放送機調整」、これで知識が百点、それから習熟度が九十点、総合点が三百二十点でこれはBということになっております。ところが女性が多くついている職種、これを見てみますと、「テレタイピスト」、知識二十、注意集中度三十、総合点百九十。それから「会計機パンチャー」、知識二十、注意集中度三十、それから共同性というのがうたわれているのですけれども、女子がついているようなところの共同性の点数というのはみんな五点ぐらい、女性は共同性がないということなんでしょうか、それはよくわかりませんが、総合点でこの会計機パンチャー百九十点。こういうふうに、仕事にずっと点数をつけて職群を決めているということなんです。その職群を、女性が多い仕事というのは評価を低くしている。そしてDとかCとか、こういう職群にする。そこのところに女性を集中させて、いつまでも放置したままだと。
 だから、この「職群・等級別人員と構成比」、これも私が出した資料でなくて東芝の資料ですけれども、それで見てみます。これはA、B、C、D、E、五ランク中で女子がAにランクされているのはわずかに三人なんです。男子は三千七百八十人。ですから、女子の中でA群にいるのは〇・一%。男子は二〇・四%。Bになりますと女子は四十一人、〇・九%。男子は六千九百三十六人、三七・六%。そして女子はCになりますと八百十五人、急にふえます。一八・六%。男子が五千七百八人で三〇・九%です。そしてD、何と女子は三千五百二十二人で八〇・三%。男子は二千四十三人で一一・一%。ということは、女子はC、Dだけで九八・九%。ほとんどはこのランクにひしめいている。男子というのはAに二〇・四%、Bに三七・六%、両方で五八%。これは、女子が多い仕事は低く点数をつける、そして評価をする。評価の低い職種に女子をつけたまま放置して、構造的に男女差別賃金になるようにしている。私は明らかな実質的な男女別賃金だと、こう思います。
 大臣、今の私の説明をお聞きになって、どのようにお考えでございましょうか。
#267
○国務大臣(山口敏夫君) 今、安武先生の御指摘になったような大企業よりも、中小零細企業等における職場においては、さらに、ほとんど同じ業務の仕事に携わっていながら、女子であるというがために賃金がやはり低く抑えられている、こういう実情もございますし、先ほど婦人局長が言ったように、労働基準法の四条における違反という問題からの改善を進めるということと同時に、こうした男女均等法等の成立を見て、これはやっぱり大きく、全体として職場における男女の差別や格差というものを改善をしていくということで、基本的に一歩一歩改善をしていかなきゃならないというふうに私考えるわけでございます。
 ですから、そういう仕事の内容、特に今までの女性の職場におけるやはり大半の方の就職から結婚、退職、こういう経過、あるいは再就職という
中でどうしても、例えば入社のときからの社員教育の問題とかあるいは職場における配置づけとかいろんなところからもそういう一つの格差というものも出てきてしまう。したがって女性が、何というんですか、年数によって、早くかわってもいいような職場に女性が大勢いて、そこの職場の評価が低い、こういう御指摘の結果でもあるというふうに思うんですね。
 ですから、先ほど来から論議しておりますように、やはりこういう今の時代的な社会背景において法律が守られているかどうかという立場からの点検と、そしてこういう法案の成立によって真の差別の改善というものに取り組んでいくということが肝要かと考えるわけでございます。
#268
○安武洋子君 おっしゃるように本法案の中でうたわれているようなそういうことでできている差別ではありませんよと、女性が入っていったら初めから構造的に、女性は低くなるような賃金の仕組みができているんですよと、こういうことに対してどう答えられるのかということで私は論議をしてきているわけです。
 私は、こういう差別賃金こそ婦人差別撤廃条約の精神に沿って速やかに是正するということをなさるべきだ。これは労基法四条違反でもございます。ですから私は、こういう差別が放置されてきた、そういう結果、中小企業のことをおっしゃいましたけれども、日本を代表するような大企業、世界的にも本当に日本を代表するような企業なんですよ。そこで婦人労働者がどのような処遇を受けているか。
 ここに賃金表をもらってきました。これを見てください。これは東芝の場合です。中卒で四十二歳、勤続が二十六年です。基準賃金十五方八千八百五十八円。そして、これは健康保険料とか厚生年金とか雇用保険とか所得税とか地方税とかと、こういうものを引かれていくわけです。手取り何と十三万六千九十三円、勤続二十六年です。それから、中卒三十八歳、勤続二十二年、基準賃金十五万一千円、手取り十一万八千八百三円です。そして日本電気を持ってきました。この日本電気は、四十二歳、勤続二十四年、高卒です。これで時間外の五千六百四十円を含みまして支給総額十九万五千五百円、手取り十五万三千五百円です。
 私は大臣にお伺いしたいんですけれども、いずれもこれは日本を代表するような企業です。日本を代表するような大企業の中で女子労働者が受けているこの賃金処遇、大臣はこれで十分な給与であるというふうに思われるでしょうか。
#269
○国務大臣(山口敏夫君) 十分な給与であるかどうかは労使双方の就業契約の中で最終的に決まる問題でございますが、いわゆる同じボリュームの仕事に従事し責任を果たしておる、そういう現実の中で、男女の間に不当に賃金の格差がある、こういう問題につきましては、これはやはり法律的な立場、あるいは行政的な立場も含めて、改善のための取り組みをしていかなきゃならない、こう考えます。
#270
○安武洋子君 労使云々というよりも、私は、今こういう本法をここで審議をしているわけでしょう。私はこういう劣悪な労働条件、これはどう大臣が正当化しておっしゃろうと、著しく社会正義に反すると思いますよ。社会公正として許容される範囲を超えていると思います。私はなぜこんなことが起こるのかということを、実質的な男女差別賃金の構造的な仕組みの中にあると、そのことを申し上げております。
 少なくとも、婦人差別撤廃条約の理念とか目標、これからはほど遠いと、強くこういうことを是正していくというのが条約の精神に沿うことじゃないんですか。大臣、お伺いいたします。
#271
○政府委員(赤松良子君) 賃金格差については、大変いろんな複雑な要素がございまして、是正できるファクターもあれば、それは努力をしても是正はなかなかできないというファクターもあるように存じます。
 先ほど先生が御指摘になりましたのは、賃金の問題なのか、むしろ配置の問題なのかという疑問がちょっと伺いながらしておりまして、詳しいデータを拝見しないと、これは何とも言えないなというような気もいたしました。初めお配りくださいました方は、このまま男と女というふうに適用になっているのであれば、基準法四条の上から問題になるのかなというふうに思いましたが、その後での御説明を聞いておりますと、あるいは配置上の問題なのかなというような気もいたしたわけでございます。
 例えば、昇進や昇格が著しく男子に有利に行われているということであれば、均等法上の問題でございますし、本来同じ賃金を払うべきであるのに賃金に差異をつけているというのであれば労働基準法上の問題でございますし、また単に、もっと別の要素で査定がされているということであれば、これは何ともその中にまで立ち入って指導するというようなことはなかなかしにくい問題でもございまして、一概には言えないわけでございます。
 しかし、一般論として申し上げるならば、最低賃金を下回らない額で払われている以上、社会的に不公正というのはなかなか言いにくいのではなかろうかというふうに思います。
#272
○安武洋子君 私は先ほどるる申し上げました。二十歳、二十一歳、二十二歳全く差がなくって、仕事給変わらないのに能力給だけが変わっていくという部面もありますし、女子のついている職種というのを低く評価している。そしてそこに女子を放置している。だから私は、大企業の巧妙な賃金の差別のやり方であると、こう申し上げているわけです。
   〔理事関口恵造君退席、委員長着席〕
 ですから、こういうことに、男女で賃金格差の出ていることにすべて有効に働くような法案でなければいけないわけでしょう。これはできないんだとか、これはできるんだとか、そういうものでなくって、現存するこの男女の賃金格差にどう対処するんですかと、それに有効に働くような男女の均等法でなければいけないわけでしょう。それなのに、何か私は、今のおっしゃり方というのは、主客転倒していると思うんです。こういう実態を労働省は把握されているのかどうか。私は、どうしてこういうことが起きるのかという、この差別の取り扱いについて、急いで実態調査をなさるべきだと、こう思います。大臣、やっていただけますでしょうか。
#273
○政府委員(赤松良子君) 賃金に関する調査というのは、先ほどもお答え申し上げましたが、いろいろな種類の賃金調査がございまして、統計調査というような観点からはかなり詳細に把握できるような仕組みになっていると存じます。日本の賃金というのはそういう調査でよく把握をしておりますので、先生が御指摘になるような賃金格差というものもかなり正確に出ているということではなかろうかと思います。
#274
○安武洋子君 では、私が申し上げました東芝のこういうふうなバックデータの中から出てくる一つ一つの仕事の決め方、そういうものから出てくる明らかに構造的に男女の賃金が二本立てになるようなこういう仕組みについて御存じだったんですか。
#275
○政府委員(赤松良子君) 個別企業の中の賃金表まで一々は存じておりません。
#276
○安武洋子君 今大企業でこういうことが、私は全部とは言いません、しかしたくさん行われているということは事実なんです。だから私は、調査をされるということになぜすぐ同意なさらないんですか。調査ぐらいおやりにならないと、是正をしよう是正をしようと、そしてこの均等法が有効に働くんだと、そんなことをおっしゃったって、だれも信用しないんじゃありませんか。調査をするということぐらいはまずお約束されたらいかがですか。
#277
○政府委員(赤松良子君) どういう種類の調査をしろとおっしゃっているのかもよく理解いたしかねまして、先ほど申し上げましたが、賃金に関する調査というのはかなりよくできているということでございます。
#278
○安武洋子君 だから、大企業の巧妙な賃金の男
女格差をつくるようなやり方について私は調べてくださいよと、そういうことを御存じないから大企業の巧妙さにごまかされてなさるんでしょう。だから、一見して古典的な二本立て賃金なんていうのは今ごろありませんよ。だけれども、巧妙に二本立て賃金、古典的な二本立て賃金にかわるような仕組みというのが大企業の中に取り入れられている、そのことを重視されて私は調査をされるべきだ。それでなければ、なぜこんなものを出してきて、そしてこれで賃金差別がなくなるというふうなことをおっしゃれるんですか。ちゃんと調査をしてください。
#279
○国務大臣(山口敏夫君) 賃金の男女間における格差というものが、いわゆる賃金格差なのか、男女差別からくるものであるか、こういう問題もございます。また、個々の具体的な賃金の原則に違反するか否かということは、一般的な調査によって判断するということは困難という立場もございます。したがいまして、いつも公労協等におきましても、賃金はもう労使双方で当局の話し合いでと、こういうことで、先生方にも時々くぎを刺される場面もあるわけでございます。
 まして民間の場合は、一つの就業条件の中で、労働組合と使用者側との中での条件、環境整備、こういうこともあって賃金というものを決定すると、こういう経過もあるわけでございますから、我々はやはり全体の産業あるいは労働市場の範囲の中で、特に女性であるがために不当、不法に賃金の差別を受けておる。こういう現状に対しましては、労働基準法の四条でそういうことは違反としてもう規定をしておるわけでございますし、また全体的な問題としては、なぜそういう格差というものが諸条件の中で生まれてくるのか、こういう問題について、ひとつ改善、前進を図るべく、先生方の御論議もいただいて、こうして現在男女雇用均等法というものを御審議いただいておるわけでございますから、労働省としても、労働省が賃金差別の元凶ということではなくて、賃金差別があるとするならばその改善の大きな旗振りとして取り組んでおる。こういうことでひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#280
○安武洋子君 ILO百号条約、これは「同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約」ですね。これは、労基法の第四条で、同一労働同一賃金の原則を掲げられているというふうなことで、この批准をしております。しかし実態は、先ほど私が申し上げたようなことも含めて、男女の賃金格差は現存しているわけですよ。この根本原因というのは、私はこれは財界の雇用管理政策、それから賃金方針にあると思いますけれども、しかし私は、今のような労働省の姿勢というのがそのことを許してきた。労働省の責任は大きいと思うのです。――大臣、手を振られてもだめです。
 というのは、私が先ほどから申し上げている、国会でこのように申し上げているのに、しかしそのことをお認めになろうともしない。調査もしようともなさらないとは何事ですか。均等法が通ればこういうものが一切なくなるとでもおっしゃるのですか。均等法をここに提出なさっているけれども、こういうこと一つお認めにならないで何が均等法ですか。私は、男女同一労働同一賃金というならば、実態的にとらまえるべきなんです。そのこともおできにならないで均等法なんというのは本当にナンセンス。世界で最も甚だしいのが日本の男女の賃金格差でしょう。その是正すら、そういうふうな姿勢ではどうしてできるんですか。私は差別撤廃条約の精神に真っ向から逆行するというふうなことになると思います。そして、こういうふうな姿勢を続けられる中で、本法案のような均等部分というのはこれは全く実効性がない。そして労基法の改悪。二重三重に婦人に対する攻撃をかけられるというふうなことに対して、私は心の底から憤りを覚えずにはおれません。そういうふうな労働大臣並びに労働省、政府の姿勢に対して、私は心の底から抗議をいたします。
 きょうは大変短い時間で本当に残念です。この重要法案なのに、私は職業訓練法なんて我が党の反対を押して審議をするなんというようなこと、本当に許せないと思うんです。まだまだ問題があります。私はもっとこの審議を続けると、そのことを申し上げまして、きょうは時間が来たので、残念ですがここで質疑を終わります。
#281
○抜山映子君 前回、本社労委員会におきまして労働大臣は、夫婦はパートナーシップである、そのように申されましたけれども、具体的にはいかなる形のパートナーシップが理想の型とお考えでしょうか。
#282
○国務大臣(山口敏夫君) 必ずしも私どもの家庭は理想的にやっているという自信はございませんが、家庭につきましては、やはり男性の職業人ととしての生活の精神的肉体的な負担等に対しまして、女性の立場での十分理解、認識こういうことも大事でございましょうし、また、女性の家庭における、あるいは職業を有しておる場合におきましても、特に女性に比重がかかり過ぎる嫌いのある家庭責任におきましても、十分理解と協力が男性側にも必要だ。そういう意味でパートナーシップというものが一つの理想、あるいは夫と妻の、男性と女性の一つの役割分担という中に社会的、家庭的な責任が果たされるのではないか、私はかように受けとめておるわけでございます。
#283
○抜山映子君 多少抽象的だったと思うのですけれども、具体的には、どちらも職業人であることがパートナーシップとして好ましいのか、それともM字型に、一時家庭に入ってまた出るのが好ましいのか、それとも専業主婦としているのが好ましいのか、時にパートとして出るのが好ましいのか、理想の形としてどれが好ましいとお考えになっているか、そういうことをちょっとお伺いしたかったんです。
#284
○国務大臣(山口敏夫君) それはやはりそれぞれ個人差もあろうと思いますし、先生御承知の西欧合理主義のような社会におきましても、必ずしも女性が社会に出て男性と均等な権利や職場における活躍というものだけを望まずに、家庭における責任を果たすことによって女性としての誇りや責任を全うする、こういう認識を持つ方もおるわけでございますし、私は、結婚まで職場にいて、結婚して子供が育つまで家庭におられて、そしてまた仕事につく、こういうことも私は一つの生き方でもあろうと思います。
 いずれにしましても、やはりその方々の考え方あるいは適性を生かし、伸ばしながらやはり社会に参加している、こういうことが一つの生き方であると思いますし、これからの家庭も含めて、普遍的な社会の中におきまして、やはり積極的に社会参加をする、職業を通じて社会参加をするということもやはり個人の充実の一端でもなかろうかというふうに私は考えております。
#285
○抜山映子君 多少質問をぼかされたように思いますんですけれども、世の中にいろんなそれぞれの立場、適性に応じていろんな形のパートナーシップがあることはこれはそのとおりでございますけれども、私が大臣の答弁を聞いておりますと、女性というのはいろんな形があって、基本は、職業人としての男性の助けというのが基本にあるような気がするわけなんです。私のみにとどまらず多くの女性は、理想の形としてはやはりともどもに職業を持って、自分の能力を力いっぱい発揮していきたい、それが多くの女性の願いなのではないか。したがって、パートナーシップといっても、双方が職業人、そして双方が家庭人としてパートナーシップを持っていきたい、それが女性の願いだと思います。
 大臣のお考えになっていらっしゃるような一つの、例えば専業主婦の場合ですと、男性が欠けた場合には直ちに母子家庭となって就職の機会もなく家庭は崩壊してしまうというような形は、実はこれからの日本の社会として望ましくないのではないか、こういう認識を持っていただいた上で、この均等法案を検討していただきたいと切に望むわけでございます。
 そこで、調停の問題なんでございますけれども、調停は、解決がつきません場合には最終的には裁判ということになると思うのでございます。
しかし、調停がずるずると延びておりますと、関係当事者の引き延ばしで時効にかかって司法の救済が認められなくなる、こういう場合があると思うのです。したがいまして、調停に時効中断の効果を認めてもらえれば大変に安心なのですが、いかがでしょう。
#286
○政府委員(赤松良子君) 調停に訴えを提起することに上って時効の中断に当たるかという問題でございますと、これはなかなか難しいように思うわけでございます。しかし、調停が長引いて、もはや余り効果かないということを当事者がお感じになったときは、いつにでも調停を打ち切ることもできますし、また、調停を絶対に裁判の前置としているわけでもないことは従来から御説明いたしているとおりでございます。
#287
○抜山映子君 一般の素人は、調停に係っておる以上は大丈夫だと思っているうちに時効期間が経過してしまう、こういう可能性があると思うのですが、その点はいかがですか。
#288
○政府委員(赤松良子君) そのような危惧をお持ちになるというのはよくわかる気もいたしますが、調停が非常に長引いている場合には、例えば婦人少年室長が先生御指摘のような時効というようなこともあり得るというようなアドバイスをするということは十分可能でございます。
#289
○抜山映子君 ぜひアドバイスをしてあげてください。
 前回局長さんは、この調停は行政サービスだ、こういうように言われたわけですね。私、サービスという言葉をあわてて辞書を引いたのですけれども、尽力、世話、貢献、奉仕とかいろいろあるんですけれども、どうも行政サービスというのに当たるのには困るんじゃないか。やっぱり権利の擁護機関ということでなくちゃいけないかと思うんですけれども、それじゃ行政サービスという場合に、ほかにどういうものがあるか、局長さんのお考えをお聞かせください。
#290
○政府委員(赤松良子君) サービスという言葉、確かに広いいろいろな使い方がございまして、テニスのサービスというのもございますが、もちろんこの場合は援助というようなつもりで申し上げたわけでございまして、この種の紛争を簡易、迅速に解決するように行政が側面から援助をすることによって女子労働者の救済に資するというつもりで申し上げたわけでございますので、行政サービスを、余り厳格な分析を弁護士の立場でなさいますとあるいはお気に召さなかったかとも思いますが、そのような、行政が側面から援助をするということを指して言っていたというふうに御理解いただきとうございます。
 また、例としては、本委員会のような合議体ではございませんが、都道府県知事が行うべきあっせんまたは調停を調停員に行わせることとした小売商業調整特別措置というようなものもやはりそのような行政からの援助措置というふうに考えております。
#291
○抜山映子君 大変に物足らないわけです。
 普通サービスというのを使いますと、メディカルサービス、医療援助と言いますか、あるいはソーシャルサービス、社会奉仕とか、こういう言葉でよく出てくると思うんですけれども、この調停をそもそも行政サービスという位置づけでもって規定しようというところが、スタートが誤りではなかったか、こういうように思うわけでございまして、ぜひとも外国並みに権利擁護機関としてあらゆる条文を検討していただきたい、このように切望するわけでございます。
 それから、調停ですが、先ほど中西議員からも話がございました、調停を始めるにつきましては二つの制約があるわけでございますね。一つは、「必要があると認めるときは、」、これは局長さんの方から、調停になじむかどうかという基準が(必要があると認めるときは、」ということである。そしてもう一つの制約が、相手方の同意を要する、この二つの制約がかぶっておるわけでございます。そして「必要があると認めるときは、」という制約がある以上、みだりに調停を申し立てるものにつきましてはこの条項ではねることが十分にできると思うんです。したがいまして、同意の条項はぜひ外していただきたいと思いますが、もう一度御回答いただけませんでしょうか。
#292
○政府委員(赤松良子君) 「必要があると認めるときは、」という文言は、先ほど中西先生にお答え申し上げましたように、いろいろな方からの申し立てがあり得るわけでございますから、中には全く調停になじまないようなものであるにもかかわらず申し立てをされるという方があることは否定できないわけで、そのようなときは、これは調停でやれるようなことではありませんよというお話しをすることはやはり必要ではないかと思います。そして、そのことと同意事項を入れたということは、必ずしも同じことを防ごうというようなことではございませんで、同意事項を括弧書きで入れましたのは、従来何度か繰り返してお答え申し上げておりますように、この調停の本質が、相手方が調停に応じ、そして調停案をある程度理解をするというような基本的な態度がなければ、幾ら呼び出してみても意味をなさないのではないかという考え方によるものでございます。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
#293
○抜山映子君 現状のままの規定でございますと、先ほどサービスと言われましたが、これじゃ間口が狭過ぎてサービスすらにもならない、こういうような気がするわけでございます。
 まあこの問題は、長くなりますので、次の問題に移らせていただきます。
 大臣にお願いしたいんでございますが、採用、募集のところを禁止規定にすると経済界に大混乱が起こるんだということを、経営者で公の雑誌で発言していらっしゃる方があるんです。そこで、大臣は果たして大混乱が起こるとお思いになるかどうか。大混乱が起こるとすれば、どのような形で起こるとお思いになるか、おっしゃってください。
#294
○国務大臣(山口敏夫君) 私は率直に言って、募集、採用、配置、昇進を禁止規定にしても、大混乱が起こるということは必ずしも言えないと思います。ただ、企業側も、やはり企業と雇用者との合理的、効率的な企業採算ベースにおける就業のニーズというものがあるわけでございまして、当然すべてのものは消費者にまたこれが転嫁される、こういう部分もあります。したがって、採用等におきましては、どうしても合理的、効率的な募集、採用と、こういうのが現状優先されておる。
 ですから、例えば先ほど先生から御指摘になったように、女性も職業人としても社会参加をし、夫と同じように家庭においてもまた家庭人としての分担をする、こういう考え方が私は女性の職業生活、女子労働者のすべてに今の男性と同じような意識の徹底というものがあれば、この禁止規定という問題も、そう心配するということではないと思うんですね。しかし、現状やっぱり、企業側の募集、採用に対する取り組みも改善してもらわなきゃならないと同時に、女子労働者が就業するときの会社なり組織なり生産にどう参加するかという意識の問題の継続性も、これはあわせて、そこに一つの枠と言うと語弊がありますが、何らかの安心というものがないと、なかなかいろいろ議論があるように、審議会でも議論が出ましたように、混乱をする、こういう場面も、心配を持つということもまんざら無理もないという点もあろうと思うんです。その辺の調整が必要だというのが一つの政府の考え方でございます。
#295
○抜山映子君 ただいま大臣から、禁止規定にしても必ずしも経済界に大混乱が起こるとは思わないと、こういう大変……
#296
○国務大臣(山口敏夫君) 前提がありますがね。
#297
○抜山映子君 前提があったかもしれませんけれども、そういうことを言われたのは大変前向きの姿勢でいいと思います。
 ただ、その後につけ加えられまして、企業の採算ベースのニーズというものがあるからやむを得ないのだ、こういうような御発言がございました。したがいまして、将来的に、大臣がそのように言明なさったということを念頭に置かれて、ま
だこれから審議もあることとて、禁止規定にしても混乱が起こらないということでひとつ各関係者を説得していただきたい、このように念願するものでございます。
 次の質問ですが、努力義務の挙証責任でございます。
 たしか赤松局長さんが、努力義務を怠っていないことの――私がここで繰り返すよりも、局長さんの口から言っていただいた方がはっきりすると思うので、もう一度挙証責任の問題をお教えください。
#298
○政府委員(赤松良子君) ちょっと御質問の趣旨がよくわかりませんが、努力義務につきましては、挙証責任を云々することの実益が余りないのではないかというのが私の認識でございます。
#299
○抜山映子君 私が言いたいのは、努力義務を怠っていることを立証するのは、申立人なのか、それとも努力義務を怠っていませんよということを言わなくちゃいけないのは事業者の方なのか、その点をお聞きしたかったわけです。
#300
○政府委員(赤松良子君) 従来、挙証責任のお話が出ましたのは、あるいは公序良俗の問題について出たのではなかったかというふうに記憶いたしておりますが、私は、先ほど申し上げました公序良俗違反に加えて、事業主が努力しなかったことまで立証する必要はないのではないか。努力義務規定の違反ということについて立証をどちらがすると言ってみても、余り意味がないように思うということでございます。
#301
○抜山映子君 それじゃ改めてお伺いいたしますが、採用、募集、昇進、配置、これらの努力義務を怠ったことはどちらが立証するのか、改めてお伺いいたします。
#302
○政府委員(赤松良子君) 原則的には、怠っているというふうに主張する側にあるということは変わりはないと思います。
#303
○抜山映子君 そうしますと、大変に申立人にとって厳しい状況が生まれるわけでございます。そういうことでございますと、特にこの条文の方の二十条、ここのところに、労使の関係者にも求めることができるというのを挿入しなければいけないと思うのですが、その点いかがでしょう。二十条に、「委員会は、当該委員会に係属している事件の解決のために必要があると認めるときは、」労使の関係者及び「関係行政庁に対し、」と、こういうように入れなくちゃいけないと思うんです。
#304
○政府委員(赤松良子君) 関係行政庁に対して資料の提供を求めるというような場合には、やはりこういう明文の規定がないと難しいかと存じますが、労使関係者に対して必要な資料の提供を求め、あるいは報告をしていただく、あるいは調査をこちらから積極的に行うというようなことにつきましては、そのように明文の規定がなくとも十分実質上できるものというふうに考えております。
#305
○抜山映子君 明文の規定がなくても実質上できるというならば、逆にむしろここにはっきり書いた方が余計によろしいのじゃないですか。
#306
○政府委員(赤松良子君) 大変優れたレトリックでございまして、そのようにも言えるかと存じますけれども、一応必要がないものと考えて提案をさせていただいたわけでございます。
#307
○抜山映子君 法律というのは、一般の人がこうなればこういうことになるのだという予見を持たせるという意味があるわけでございまして、ぜひ入れていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
#308
○政府委員(赤松良子君) 調停につきましては、十八条に書いてございますように、「委員会は、関係当事者からの申立てに基づき必要があると認めるときは、」云々で、「関係労働者を代表する者又は関係事業主を代表する者から当該事件につき意見を聴くものとする。」ということは書いたわけでございまして、その他必要なことは、実質上調査の対象にもなれば意見の開陳を求めることもできる、そのように御理解いただきとうございます。
#309
○抜山映子君 この点はよく御検討いただきたいと思います。
 ところで、タクシー業者から陳情があるということを言われましたけれども、女性タクシーの運転者、これは個人タクシーと法人に勤めている女性タクシー運転手ですね。この数はそれぞれ幾らでしょうか。
#310
○政府委員(白井晋太郎君) 今手元に資料がないので、調査して報告します。
#311
○抜山映子君 私が思いますのは、多分かなりの数個人タクシーがあると思うんです。個人タクシーの場合は、眠たくなると随時寝ることもできますし、途中でやめて帰ると、かなり自分の裁量があるわけでございますね。そういうわけで陳情が幾つか出てきたんじゃないかと思うんです。
 深夜業のあれを外すというのに、今のところ当面タクシー業者しか考えていない、このように局長さんが言われましたので、特にそれは当面でなくて永久的にしていただきたい。というのは、タクシーは十時以降は料金が二割増しになるわけでございます。しかも、ピークが十一時から三時でございまして、この間は道路は込まない、それから遠距離客が多い、そういうことで非常は経済的な追求意識の観点から希望がある。しかも、タクシーの場合は、普通の会社に勤務する場合と違いまして自分一人の世界でございます。したがいまして、働いておってもそれほど苦痛を感じない。ところが、一つの組織に入って深夜業をする場合には非常に制約を受けますから苦痛を感じます。そういう意味で、ぜひ、当面ということでなくて、もう永久的にタクシーの業界に限るということにしていただきたいと思いますが、このあたり御意見いかがでしょう。
#312
○政府委員(赤松良子君) タクシーのドライバーをこの規定の対象にいたしましたのは、まさに先生がただいまおっしゃったような理由によるものでございます。また、タクシーのドライバーからの陳情等が多かったのは自営業が多いからではないかという御指摘もございましたが、自営業の場合はもともと基準法の規制が外れるわけでございますので、陳情する意味というものはないわけで、ただ、ひまわり会というようなタクシードライバーの会は、これは自営業の方もそれから雇用者の方も両方含まれておりますから、おいでになった方の中に自営業の方がおられたということはあったかと存じます。
#313
○抜山映子君 そのことを私は言いたかったわけなんです。
 ところで、このたび専門職とか管理職について規制の緩和をしようということですけれども、最近、女性の専門職にいろんな名前をつけまして、スーパーバイザーだとかマネージャーだとか主幹だとか、いろんなそれらしき名前をつけて管理職にしてしまう。専門職の方も、最近は大なり小なりみんな専門的な知識、技術というものが要求される分野が多くなったわけでございまして、そういう意味で専門職、管理職という名前によってかなり普通の末端の女性が過酷な労働条件に追いやられないかということを心配いたしておりますんですが、この点、労働省の御意見はいかがですか。
#314
○政府委員(赤松良子君) この内容につきましては具体的に省令で定めることになっておりますので、単に名前でというようなことにはならないと存じます。
#315
○抜山映子君 ですから、ひとつ省令でお定めいただくときに、細心にそのあたりに考慮を払っていただきたい、私の申し上げたいことはそこに重点があったわけでございます。
 ところで、最近時短の、労働大臣も大変これに御熱心なようでございますが、時短の動きが日本を含め世界的に活発になっております。国際的水準は週四十時間制に移行いたしておりますが、ドイツの金属労連なんかはもっと、三十五時間というようになっておりますが、我が国の週四十八時間制、男子の時間外労働は法的には無制限である、このために男性の健康破壊があるわけですね。女性に家事、育児を押しつけて、辛うじて男性が青息吐息で働いているというのが日本の現状じゃないかと思うんです。このたびの改正案は、
こうした男性の実態に女性を合わせるもので、母性破壊を促進するんじゃないかと思うんです。
 この点につきまして局長さんは、衆議院の江田議員の質問に対して、男女の平等ということがより高い水準になることは望ましい、こういうように発言されたわけでございまして、この思想にのっとりますと、このたびの時間外とか深夜は男性のレベルに引き下げる、こういうことになると思うのですが、いかがでしょう。
#316
○政府委員(赤松良子君) 男女同じにするという仕方は、男性の方に女性を近づけるやり方もあれば、女性の方に男性を近づけるやり方もあれば、その中間へ両方を寄せるというやり方もあると存じます。できれば高い水準でそろえていくというのが望ましいというふうに思っていることに変わりはございません。
#317
○抜山映子君 それでは申し上げたいんですが、深夜の交代制労働と労働者の生活が非常ほ危機に陥っている。そもそも深夜労働というのは人間の生体リズムを狂わすものであるということはどなたも御存じのことと思います。ここに論文があるんですけれども、杏林大学の医学部の上畑先生がお書きになっているんですけれども、深夜勤務に従事する代表的な職業ですね、看護婦、電話交換手、スチュワーデスについて、慢性腰痛症、頸肩腕障害等の過労性の病気が多発している、こういうような研究論文があるわけでございます。ですから、そもそも深夜業というのは人間の健康にとっていけないものである。
 そういうものを、今回労基法とは別に男子のレベルに合わせて外すというのは、どう見ても私は家庭崩壊、母性破壊、こういうことにつながると思うのですが、この点いかがでしょうか。
#318
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 深夜業についてはいろいろ議論のあるところでございますが、医学的治験によれば、深夜勤務の場合には通常の生活様式における生体リズムに異なりまして、昼間睡眠、夜間活動という生活様式をとるため、生理的機能の乱れを生ずるということは言われております。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
しかしながら、その程度は労働の態様、職場環境等によっても異なり、また、その乱れが直ちに身体に悪影響を及ぼすものではないということも医学的に承知いたしております。
 いずれにしましても、深夜業全体につきましては十分の調査を今後進めてまいりたいというふうに思っているわけでございますが、今挙げられました腰痛とかそういうふうな問題は、むしろ深夜業からくる問題ではなくて、立って働くとかそういう問題から生ずるものだというふうに思われます。
#319
○抜山映子君 何となく苦しい御答弁のようでございますが、それでは、職種別に分娩に対する影響力についてちょっとここに、これは労働省婦人少年局でおつくりいただいた資料でございますね。これを見ますと、流早産、これが一般事務の場合は一〇・八、店員なんかの場合は九・八、こういうことになっておりますが、看護婦については一三・一、保母については一六・七、電話交換手についてはもっとふえて二三・二。それから、前早期破水というのが一般事務は一七・五、店員は一五・七であるのに対しまして、看護婦は二三、電話交換手は一七・九、こういうような数字が出ておるわけですね。先ほど、それは立っておるからだろうというような議論をなさいましたけれども、電話交換手なんかはこれ座っておるわけですよね。ですから、そのような議論は成り立たない。このように出産についても大変に深夜業というのは悪影響を及ぼす。こういうことについて強い認識を持っていただきたいと思うのでございます。
 たくさんあるんですが、外務省の方にお伺いしたいと思います。
 ILOの第一号条約ですね、これは労働時間関係で、「労働時間を一日八時間且一週四十八時間に制限する条約」なんですが、これすら、日本の残業時間が非常に多いために未批准であるわけですね。さらに婦人関係では、「工業に使用される婦人の夜業に関する条約」八十九号、「母性保護に関する条約」百三号、「雇用及び職業についての差別待遇に関する条約」百十一号、「男女労働者特に家族的責任を有する労働者の機会均等及び均等待遇に関する条約」百五十六号、いずれも未批准なんですが、この批准の見通しはどうなっておりますでしょうか。
#320
○説明員(P崎克己君) ただいま先生から御指摘いただきましたILO関連の条約は多数あるわけでございますが、問題は、国内法制との整合性の問題でございます。特に、労働時間につきましては、一週四十八時間の原則を定めている点につきましてはおおむね基準を満たしている点でございますけれども、まさに先生御指摘ございました時間外労働の取り扱いにつきましてはいろいろ問題がございまして、こういった問題を抱えている以上は批准に踏み切れないということでございますので、現在関係省庁の間でいろいろ御協議さしていただいているということでございまして、それではいっその特定の条約を批准できるかということについては、今の時点では明確にはお答えできない状況にございます。
#321
○抜山映子君 批准の見通しすら明確にできない日本の実情のわけでございます。我が国の年間超過労働時間は百九十一時間、有給休暇の消化は、十八・八日付与されておるのに八・八日しか消化されていない、こういうことでございますので、こういうような事情のもとで時間外、深夜、この規制が外れることは大変恐しい結果を生むのではないかと憂慮しておるわけでございます。ぜひこの点を勘案していただきたいと思います。
 最後に、大変ばかげた質問ではございますが局長さんに、もし三論併記とかこういう意見が出ずに、局長さんがこの条約の精神にのっとって自由に起案していただいたならこのようなものにならなかったと思いますが、いかがでしょうか。
#322
○政府委員(赤松良子君) 私が三論併記でない答申をいただいておりましたならば、その答申に従って書くわけでございまして、架空のものを書けるとは思っておりません。
#323
○抜山映子君 終わります。
#324
○下村泰君 連日にわたって労働省関係が痛められておりますが、気の毒だとは思いますよ。気の毒だとは思いますけれども、なぜこんなに責められるのかということを反省していただきたい。これが、今六対五ですわね、この間巨人が負けたのと同じなんですから。六が女性で五が男なんですね。今、六対五の比率なんですよ。六千万が女性で五千万が男なんだ。その多い六千万の女性がもろ手を挙げて、いいものができた、これで私たち女性の喜びが一つ倍加したという法案なら、これだれも問題にしやせぬわけですわね。余りにも手落ちが多過ぎる、至らないところが多い、まだまだ企業サイドの男側の方に寄ったものができ上がっているというところでおたくらが標的になっているのはこれは否めない事実だと思いますよ。大分お疲れのようですから、私は、いつも私の出番が参りましたときには、多少のゆとりをとって、少し脳をやわらかくして差し上げますから、人の話を聞きながらゆっくり休んでください、その後に攻撃を始めますからね。
 昨日の朝日新聞の「天声人語」、これ持ってきました。大変おもしろいんです。最近は非常に女性があらゆる会場へ来て、展覧会に限らずいろんなレクリエーションの場であるとかあるいはカルチャーセンターとか、ほとんど女性の方が多いということが書かれておりまして、
 劇団こまつ座の座長として全国を歩きはじめた井上好子さんの話によると、どこへ行っても八割、九割が女性の観客であることにびっくりもし、不安にもなったという。「びっくりしたのは、女性の文化吸収のすごさです。不安になったのは、いずれ女の方が男よりも文化的な水準がはるかに高くなるだろうということでした」。男性がビールを飲んで会社のぐちをいっている間に、女性はせっせと学び、観劇をし、という状態が続けば、文化的水準の格差は開くばかり
だろう。この地殻変動を「知らぬは男ばかりなり」であるのかもしれぬ。主婦の自由時間がふえたのは、育児の期間が短くなったことや家事の合理化が進んだためだろう。そして心の3C(カルチャー、クリエーション、コミュニケーション)を求める動きが強まってきた。男性がカタツムリのように会社人間という殻に閉じこもっているうちに、女性はボランティアや文化活動の分野で実力をつけつつある。この奔流がいかなる方向をめざすかはわからないが、既成の会社人間集団の価値体系に穴をあけることにはなるだろう。女性だけの会社「アイディア・バンク」を作った佐橋慶さんは、昨今の世相を「家父長制から家婦長の時代へ」と表現している。さらに「二一世紀は女性の自由謳歌の時代、しかも、男性の受難の世紀である」と書いている。
 これは大臣、大変なこっちゃ。このとおりになったら男はへらへら笑っておられませんぞ、これは。しかし、チリ津波ではないけれども、女性が目覚めていろいろの運動を展開して、もう男専横の時代ではないという意識が非常に高まってきていることは、これは日本だけじゃないでしょう。ひたひた来ているんですよ。まごまごしておられませんぞ。
 私は、つまらない雑学を求めて、また披露したりするのが好きでございまして、頭休めて聞いてください。
 「刀自」という字がありますわな、熟語が。刀自などというのは若い女には使いませんね。――女なんて言っちゃいけないんだ、若い女性には。若い御婦人には。これは男も交えてそうですがね、若い方々には。刀自というのは、少なくとももう中年以上、そしてある程度の位以上の御婦人に対して使う言葉が刀自。これは大変な敬語ですわな。これはどこから来たかといったら、戸主。ですから、その家の主ですね。戸主の約でもあるというわけですね。
 杜氏というのがありますね。冬の冬至じゃありませんよ。これはお酒をつくるときの長をいいます。これから転訛したという説もあるんですね。いろいろあります。これは、上古の時代というから、もちろん私は生きておりません。「口中に米を噛みて吐き、木びつに納む。口を経て酣酸、これを名づけて醴となす。故に今酒を醸すというのは噛みしためなり」、こういうふうに出ているわけです。この役を務めていたのが、ほとんどいわゆる上古の御婦人なんですよ、これは。
 じゃ、上古の御婦人は、その時代から女性はやはり男性に従属してそんなことをしていたのか。そうじゃないんですね。このころの男というのは、こういう御婦人あるいはお子さんを守るため、その食糧を求めて外へ出ていくわけですから、このころははっきりしておったわけです。
 ところが、物の本によりますると、このかんでつくったお酒というのを守っているのがこの刀自なんですね。刀自の役目なんだ。つまり女性の役目なんだ。この女性の許可がなければ男に一滴も酒が飲めない。偉いんですよ、そのころの女性は。そして、男が集まって祝い事をするときに、その戸長、戸主ですわな、家主たるべき刀自のつくり上げたお酒を、その方が来て初めて許可を得てみんなが飲んだというのが、これが始まりなんだそうですよ。そのぐらい偉かったんですよ、女性は家の中で。外でも。私の家なんかまるっきりこの調子ですからな。昔のままですよ、うちは。恐らく労働大臣のとこもそうだろうと思うんです。うわさに聞けば大変かみさん怖がっているそうですから。こういうふうなのが歴史の中でいつの間にかいわゆる暴力というもので、力というもので世の中を支配するようになった。歴史の事実はそうだろうと思いますよ。そして次第に今のような形になってきた。
 ところが、例えば女性が男と一緒に荷揚げ人足をやるとしますね、荷役に従事するとしますね。女性の方はできなかった。それは当たり前ですわね。重たい物を持ってあんなところ、はしけの上をとっとことっとこ飛んで歩けるわけがない。だけど今は違うんですわな。例えば大きな物を持つといったって、フォークリフトというのがあるんですよ。運転さえできれば女の子だって百キロでも二百キロでも、二トンでも三トンでもばあっと持ち上げられる。そういう時代になってきたわけでしょう。そうなるからこそ、初めて女性が職場に進出できるのは当然なことなんです。しかも女性のみででき得る仕事もたくさんふえてきた。にもかかわらず、男の方があくまでも優位で、女性がその下にいるからこういう大きな問題になってくるわけでしょう。それを全部受け入れられたらこんなことにはならないと思う。これがまず前段です。
 さあそこで始まりますよ。それで、この女子差別撤廃条約の根本精神というものは、女子に対する差別が、権利の平等の原則及び人間の尊厳の尊重の原則に違反するものである、男女平等は基本的人権であるという点にあるわけなんですね。条約の第十一条は、経済的な自立の基礎である労働権を、「すべての人間の奪い得ない権利」と規定して、女性の労働権を具体的に保障しようとしているものと、こういうふうになります。条約の理想とする姿を可能な限り追求していくとともに、正確に条文を解釈して実行していくことが大事であると私は考えるんですけれども、まず外務省からお答えください。
#325
○説明員(P崎克己君) 日本政府は多数の国際条約を締結するわけでございますが、その際は、一たん批准いたしました条約についてはこれを誠実に履行するということを大前提として批准するわけでございます。したがって、まさに先生のおっしゃったとおりでございます。
#326
○下村泰君 はい、労働大臣いかがでしょう。――いいですよ、十分に打ち合わせしてください。
#327
○政府委員(赤松良子君) この女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の条文を雇用の場面で実行するためにつくりましたのが、ただいま御審議中の法案でございまして、この法案で、この条約の条文は満たされているものと確信しております。
#328
○下村泰君 正確に条文を解釈しているとお思いですか、それならば。
#329
○政府委員(赤松良子君) 正確に解釈をいたしております。
#330
○下村泰君 それならそれで結構ですけれどもね。
 そこで伺いたいんです。条約第二条の(b)に、「女子に対するすべての差別を禁止する適当な立法その他の措置(適当な場合には制裁を含む。)をとること。」とあります。そして、第十一条の二項の(a)ですね。「妊娠又は母性休暇を理由とする解雇及び婚姻をしているかいないかに基づく差別的解雇を制裁を課して禁止すること。」と、こういうふうになっています。この「制裁」という言葉の意味をどういうふうに解釈なさいますか。まず外務省から承りたい。
#331
○説明員(P崎克己君) 「制裁」という文言は、この条約上二カ所、まさに先生が御指摘なさいました第二条と第十一条の当該規定にあるわけでございます。
 そこでこの条約でございますが、とにかく百カ国以上の国が集まってつくるわけでございますので、この特定の文言がいかなる意味を持つかということは、条約を作成するときの審議の過程をたどるとかなり明確になるわけでございます。そこで、この問題の「制裁」という文言でございますが、これにつきましてはかなりいろいろな意見があったわけでございますけれども、当初この二カ所の「制裁」の文言につきましては、ペナルティーという言葉を使ってあったわけでございます。ところが、この十一条二項(a)の審議の際には、特にこのペナルティーという文言については異論がなくてそのまま採択されそうになったんでございますけれども、他方二条の(b)の審議の際に非常に問題になりまして、このペナルティーというのでは強過ぎるという意見が出されまして、最終的にはこのペナルティーという文言を提案しておりま
したベルギーがこれを撤回いたしまして、サンクションという言葉に置きかえたわけでございます。
 そこで、問題はそのペナルティーとサンクションとの差でございますが、私どもの理解しておるところは、ペナルティーというのとは異なり、サンクションにつきましては相当広範囲な制裁が予定されているということでございます。特に民事損害賠償請求権の付与が含まれているということが最大のポイントでございまして、この均等法につきましてもそういった条約上の要件はきちんと満たされているというのが私どもの解釈でございます。
#332
○下村泰君 ちょっと外務省の方にあわせて伺いますけれども、まことに恥ずかしい質問なんですが、この条約、国際連合でこういうものが立案されたときに日本は参加していたんですか、全然蚊帳の外ですか。
#333
○説明員(P崎克己君) この当該条約の作成の際には、日本は参加しております。
#334
○下村泰君 おりまして、何で日本の方が向こうのその削除するのに同調したんですか。ベルギーが出した第二条のところありましたな、そこにペナルティーという言葉があった、それは適当ではないから削除したというんですが。
#335
○説明員(P崎克己君) 先ほど申し上げましたように、このペナルティーという言葉は、最初ベルギーが提案していたわけでございます。ところが、その審議の過程で、ペナルティーというのは非常に狭い。各国の法律の体系等を踏まえますと、もっと広範に措置する必要があるということで、最も妥当な文言としてサンクションという言葉がおおむね合意されまして、そこでその議論を踏まえてベルギーがペナルティーというのをみずから撤回いたしまして、そこでサンクションになったわけでございます。
#336
○下村泰君 労働省はどういうふうに受けとめていますか。
#337
○政府委員(白井晋太郎君) 労働省もそのとおり受けとめております。
#338
○下村泰君 そうしまして、条約の第十一条の二項の(a)では、「妊娠又は母性休暇を理由とする解雇及び婚姻をしているか否かに基づく差別的解雇を制裁を課して禁止すること。」となっているんですね。ところが、こちらの方は、婚姻、妊娠、出産等を理由とする解雇を、単に罰則なしの禁止規定にしかしてないんですよ。条約の方では「制裁を課して禁止すること。」、制裁を科するということは、ある程度でき上がっているわけでしょう。そして禁止する。ただ禁止と制裁を科してとはえらい違いがある。どうしてこういうふうにここのところ削ってしまったのか。これ、外務省にも伺いたいし、労働省も聞かしてください。
#339
○政府委員(赤松良子君) 「制裁を課して」という言葉の意味が、先ほどP崎参事官から御説明がございましたように、狭い罰則というような意味ではなくて、損害賠償を含む広い制裁、サンクションという言葉で置きかえられたということがここで生きてくるわけでございまして、この均等法の十一条の禁止規定は強行規定でございますから、これに違反した場合には不法行為に基づく損害賠償の対象になる。つまり、民事的な制裁というのはこの規定で十分満たされているわけでございますので、条約の十一条二項の(a)に抵触するということなく批准ができるわけだというふうに御理解いただきたいと存じます。
#340
○説明員(瀬崎克己君) 先ほどペナルティーとサンクションの違いについて申し上げたわけでございますけれども、条約の十一条二項(a)におきまして、妊娠、母性休暇、婚姻の有無による解雇に対し制裁を科して禁止することを求めている、これは事実でございます。しかし、御説明しましたとおり、ここに言う制裁の中には、民事上の損害賠償請求権の付与が含まれているわけでございまして、均等法政府案のかかる項目についての規定の仕方というのは、私どもとしては条約上全く問題がないという解釈でございます。
#341
○下村泰君 そういうふうに御解釈なさってもそれは結構ですがね。
 ところが、ここにこういうのがあるんですよ。これは日経連タイムス、ここの記事なんです。「日経連の婦人差別撤廃条約に関する公開質問状(昭和五九・三・二)」ということで、前文はやめましょう。
     記
 一 「婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」は、昭和五十五年七月十七日、鈴木内閣発足の当日署名されたのでありますが、署名することを決定した閣議は、その前々日七月十五日伊東首相臨時代理の内閣においてなされており、このような企業経営に重大な影響をもたらす条約の署名について事前に我が方になんの御連絡もなかったように記憶するのであります。政府としては、たいした影響をもたらさないという御考えであったのでしょうか。
こういうのがまず第一ですな。
 二 いきさつはどうであれ、政府としては、署名した以上、国会の批准に持ちこみたいという御意向でありましょうが、どのように現行法現を改正すれば、あるいはどのような内容の新しい法律を作れば、この条約批准のための最低要件を満たすと御考えでしょうか。
以上二点お答えくださるようお願いいたしますと。そして
  (宛先)
 内閣総理大臣 中曽根康弘殿
 労働大臣 坂本三十次殿
 外務大臣 安倍晋太郎殿
こういうふうになっています。そして、これに対するお答えが、
  さきに日経連から総理、外務、労働三大臣あてに出した、婦人差別撤廃条約の署名当時の事情および批准の最低要件に関する質問状に対し、労働省・関次官および白井審議官は、三月二十七日午後、日経連・松崎専務理事らと労働省において対談し、口頭で大要次のような回答をよせ、かつ、「これは政府全体を代表する意見である」ことをつけ加えた。
口頭だから、私がこれ読んでも、後はどうにでも逃げ隠れできますわな、そんなことを言った覚えありませんって、それでおしまいだ。
 一、 昭和五十五年六月になって婦人団体を中心に本条約に署名せよとの意見が高まったのであるが、労働省はもちろん、各省とも条約のもつ重大性については重々認識しており、署名については、事前に検討すべき種々の問題点があるという態度であった。しかしこの頃は、五月十九日大平内閣による衆議院の解散、六月二十二日の衆参同時選挙、しかも六月十二日大平首相の急死という政局混迷のさ中にあり、政府としても本条約署名について時間をかけて討議する雰囲気にはなかった。労働省事務当局としても、本条約に署名することが簡単に決定されることはあるまいとの観測が強く、したがって事前に日経連はもちろん、労使双方に連絡はしなかった。
これが最初のお答えですわな。その次に、
 二、婦人差別撤廃条約の批准のためには、雇用の分野に関しては本条約第二条および第十一条に照らし、わが国においては、雇用における男女の機会均等および待遇の平等の確保について法的措置が講ぜられていない事項については、しかるべき法的措置を講ずることが求められているものと解される。そのうち本条約第十一条第二項(a)号に規定されている「妊娠又は母性休暇を理由とする解雇及び婚姻をしているか否かに基づく差別的解雇」については何らかの制裁を伴う禁止措置(最低限民事的強行規定)により担保しなければならないと解される。したがってその他の規定については強行規定でなくても批准可能であると考えられる。
と、こういうふうにこのときからもう答えているわけですな。もうでき上がっているんだ、このときから、作文は。
 これに関して、早稲田大学の教授で島田さんという方がいらっしゃる。この方は、「労働省は日経連の質問状にこたえて、みぎのような男女差別については「何らかの制裁を伴う禁止措置(最低限民事的強行規定)により担保しなければならない」としているが、これは「制裁」そのもの性格についてのまったく誤解にほかならない、」、制裁の持っている性格について、全く誤解にほかならないと、こう言っているんですよ。誤解だというんです、これ、こういうやり方は。
 制裁という言葉を日本的に解釈するとどうなるかというんです。道徳、慣習、または法規、申し合わせなどに背いた者に懲らしめのために罰を加えること。懲らしめのために。全然違うじゃないですか、こっちと。これをどういうふうに解釈したらいいんですか。
#342
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 この原本は、先ほど外務省から御説明ございましたように、英文になっているわけでございまして、そのサンクションというのを制裁と訳されたわけでございまして、その持っている意味は、先ほどから婦人局長、外務省から御説明さしていただいたとおりでございます。最低限損害賠償請求権の直接的な根拠規定が担保されればよいというふうに、サンクションという言葉については理解されるということでございます。
#343
○下村泰君 外務省も同じですか。
#344
○説明員(P崎克己君) 外務省といたしましても、ただいま労働省でお答えなさったとおりでございます。
#345
○下村泰君 これは要するに国と国との言葉の違い、しかもその解釈というのはそれぞれあると思うんですよ、それぞれ国によって。それはもう外務省当局が一番御存じでしょう。どうにでも解釈できる。大臣、情けないのは、この第三十条を見てごらんなさい。「この条約は、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とし、国際連合事務総長に寄託する。」と書いてあるんだ。日本語とは書いてないんだ、これ、情けないことに。これだけ日本は国際連合から軽く見られているという何よりの証拠じゃないですか。
 こういう国が勝手に自分のところで解釈して、しかも日本語には制裁という言葉の意味がこれだけ正しく書かれているのに、何でそんな中途半端なふうにするんですかね。そういう中途半端な条文の解釈をして以下文書をつくっていくから、例えば救済措置の問題であるとかあるいは調停の問題であるところが何となくぼけていくんじゃないですか、と私は思いますよ。
 ですから、この制裁という意味の持っている重さですね、それをなぜこの今回の法案の中に反映させなかったのか、そこのところをちょっと労働大臣、伺わせてください。
#346
○国務大臣(山口敏夫君) 今先生からいろいろ問題の御指摘もいただきまして、また、男女の雇用の問題、改善に対する一つのお考えというものに対して敬意を持って伺っておったわけでございます。
 そこで、労働省としては、先生御指摘のように、条約の批准に伴う国内法の整備の過程におきまして、まあ審議会の六年にわたる審議経過、そしてまた条約批准に伴う国内法の整備ということで、今先生の御指摘のように、いろんな団体から、これは経営団体のみならず婦人団体、労働団体、いろんなところからの要望やあるいはおしかり、御提案をいただきながら、政府として、まあ困難であるからしたがって先送りをいたしましょうと、こういう結論ではなくて、あえてこういう国会での御論議もいろいろ出ることも万々承知の上でもございますけれども、やはり一歩一歩改善、改革していくことが本当の、真の意味の女子労働者のあらゆる差別や条件の改善に役立つことも可能なのではないかと、こういう気持ちを持ちまして、勇気を持ってまあ自信を持ってというところまで言いたいところでございますが、勇気を持ってひとつこれに取り組み、国会での御審議をちょうだいをしておる、こういうことでございます。
#347
○下村泰君 今の労働大臣のおっしゃったことは、大変ミスがありますよ。というのは、今労働大臣がとにかく一歩一歩改善していくと、その改善というのは法文を改善するんですか。それとも、法案の内容を改善するのか。それとも、男女不平等であることを改善するのか。ここのところちょっと問題なんですね。この法案を字引きにして、男女間の差別を一歩一歩改善していくのか。それとも、時あればこの持っている法案の足りないところは毎年でも改善するのか。法を改正するのか。どっちなんですか。
#348
○国務大臣(山口敏夫君) これは、この法案を原点といたしまして、さらに女子労働者の福祉の改善、労働条件の改善等に一歩一歩取り組むと、こういうことでございまして、法案そのものは、私は現在における一つの理念と現実の接点として、十分現段階における男女の雇用均等に貢献し得るものと、こういう確信の上に立っております。
#349
○下村泰君 昨日も公聴会を行いましたところ、その公述人として出席なさった女性の方々が異口同音に言うには、法というものは一たん決められるとそう簡単には改正されない、ですから何とかしてこれをよりよきものに、あるいはよりよからなければ廃案ということを願うわけですわな。それは、私は別に女性の味方をしているわけじゃないが、何でも法というものをつくって、その法によって人のすべてのことをつかさどるとなれば、それはもう当然のことじゃないかと思いますよ。
 それだけに、私はこの法案に対する、この法案に対する反対意見というのが非常に何か強いように出ていますけれども、女性にとってはむしろ期待もあるんじゃないかと思いますよ。女性自身がこの法案によって自分たちの今まで虐げられていたレベルを男と同等にしてもらえるんだ、またしなければおかしいんだと、それが本来の女性差別を撤廃する条約の基本理念なんだというところに立って考えれば、この法案は歓迎されるべき法案。ところが、その歓迎されるべき法案が、あっち向いてもこっち向いてもちょっと二、三歩歩けばどかん、ちょっと三歩歩けばどかんと落とし穴がたくさんあるから、そこで首つられるのは嫌だから、何とかしてもう少し我々の側に歩み寄ったことにしてくれというのが、私は皆さんの本旨じゃないかと思うんです。
 そういう意味からいけば、労働大臣もわかりますよ、それは疲れるのは。疲れているのはわかるけれども、何とかしてその法を皆さんの意見に近づくように少しでも直していくのか。あるいは、野党側の全部の提案するように改正をするとかなんとかいうふうに答えられるのかどうか。これが大きな問題じゃないかと思いますが、どうでしょうか。
#350
○国務大臣(山口敏夫君) 下村先生が冒頭に総括をいたしましたように、やっぱり世の中の変化、特に高齢化時代でございますとか、こんな小さい小指ほどのコンピューターが世界の産業を動かす時代でもございます。そういうことはいわば男女雇用均等の象徴的な社会環境にあるわけでございますから、当然見直しというものが日に日に検討されるべきであるというふうに私は思うんですね。ですから、法案というものが一つ決まったらこれは絶対修正されないのだと、これは憲法ならまたいざ知らず、憲法でさえも三分の二の議決があれば改正条項というものはあるわけでございますから、ましてや日常の国民の暮らしを守るべき法律が施行された後、必ずしもその法案の目的のニーズにこたえておらない、こういうことであれば、もちろん政府としても真剣に取り組まざるを得ないわけでありますし、第一、国権の最高機関たる国会においてこれを容認するということは断じてあり得ないと私は考えるんですね。
 ですから、先生の御指摘ではございますけれども、率直に申し上げて、なぜこれだけの女性の能力、資質ですね、実力あるいは社会的な評価というものがありながら、今日これだけの近代社会において男女の雇用面における格差や差別が賃金、雇用、昇進、募集、採用等にあるのか、こういう
問題は、私は法律をてことしてやっぱり社会における大きな意識変化というものが必要なんじゃないか。先ほど安武先生がこんな法案はナンセンスだと、私はナンセンスじゃなくてルネッサンスだと、こういうふうに男女均等法を考えているわけでございます。
#351
○下村泰君 私、そういうこと聞いていませんけれども……。
 いずれにいたしましても、この問題だけで時間を費やすのはなんでございます。あとまだあります。けれども、まだまだ審議日数がございます。こちらはこの後まだ日程が詰まっておりますから、健康上よくありません。この辺で終わらしていただきます。
 ただ、外務省に言えることは、これだけの法案、これ胸張ってナイロビへ行かれますか。それだけお聞きしたい。こんな抜け穴だらけでどうするんですか。これ威張れるんですか、向こうへ行って聞かれた場合に。どうぞ。
#352
○説明員(P崎克己君) ナイロビにおきます世界婦人会議、これに対してどう臨むかにつきましては、関係省庁とこれからいろいろ御協議するわけでございますけれども、事均等法に関する限り、私どもといたしましては、国内で関係者が多年にわたって英知を傾けてつくった法案でございます。したがいまして、国際的に十分説明し得る、胸を張って行ける法案であるというふうに確信しております。
#353
○委員長(遠藤政夫君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 十分間休憩いたします。
   午後五時二十二分休憩
    ─────────────
   午後五時四十一分開会
#354
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 職業訓練法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#355
○高杉廸忠君 職業訓練法の改正案に関する問題についてただしたいと存じます。
 職業訓練法は、さきの昭和五十三年改正以降数年を経過しておりまして、この間に急速な技術革新の進展や高齢化社会の到来等、労働者の職業生活を取り巻く環境条件は大きく変化してきていると思います。また、これに伴いまして、現行の職業訓練制度のあり方が問われてきていると考えます。したがって、今回の法改正は時宜を得たものと言われますが、本法案提出に至る経緯及び改正の主要点等についてまず伺います。
#356
○政府委員(宮川知雄君) 現行法は、先生御指摘ございましたように、五十三年にかなり大幅な改正がございます。当時、技術革新、高齢化社会への移行ということが大変言われておりまして、特に高学歴化が進む中で、中卒就職者がかなり減ってまいりました。そういうこともございまして、国と都道府県が、公共職業訓練でございますが、その役割分担をするということ、それから能力開発という思想を多少取り入れまして、職業訓練法人と技能検定協会を一緒にいたしまして、民間の職業訓練を振興するということで職業能力開発協会というようなものができ、今日に至っているわけでございます。その間、数年を経過いたしまして技術の革新、あるいは高齢化社会への移行、ますますはっきりしてまいりました。
 いずれにいたしましても、国も都道府県も事業主も、官民挙げて能力の開発に積極的に取り組むべきである、こういう御指摘が大変強くなってまいりました。これを受けまして、昨年の十一月からことしの一月まで中央職業訓練審議会に慎重な御審議をいただいた結果、現在御審議をいただいております職業訓練法の一部を改正する法律案、これが策定された次第でございます。
 主要点といたしましては、現行の法律がいわゆる二次産業を中心とする職業訓練という概念からなかなか抜け出せないでおりましたものに対しまして、全方位の労働者に対しましてその職業生涯の全域にわたって能力の開発を図る、これを理念としてはっきりさせたということが一点でございます。
 第二点は、事業主の行う教育訓練、これがもちろん当然中心でございますが、量的にも中心と思いますが、これをはっきりやってもらうために、例えば職業能力開発推進者を置いてもらう、あるいは国としてもその環境づくりのためにサービスセンターを置いて情報の提供等を行う、あるいは各種の財政援助等を行うということで民間の教育訓練の環境づくりに努める、これが第二点でございます。
 第三点は、公共職業訓練自体の活性化を図るということでございます。公共職業訓練につきましては、相当の施設を擁しながら時勢におくれているではないか、こういうような御批評も時々いただくところでございまして、新しい世の中の動きに十分対応できるように、例えば訓練基準の弾力化、あるいは指導員資格の見直し、こういうことを行いまして、また、都道府県に対する助成措置、補助の仕組みも改正を行いまして、都道府県がそれぞれの実情に応じて的確な訓練を展開できるようにと、こうしたことを考えたわけでございます。
 こうしたものを受けまして、能力開発、従来の職業訓練を全方位の能力開発ということとして確立しようということでございまして、法律の名称も職業訓練法から職業能力開発促進法と、こういうように変えたい、これが主要点でございます。
#357
○高杉廸忠君 次に、高齢化社会の到来と改正内容との関係について伺います。
 最近の景気拡大に伴い、雇用失業情勢も改善の兆しが見られるといいますが、中高年齢者については依然として厳しいものになっている現状であると思います。
 そこで伺いますが、中高年齢者の失業率の状況、そして再就職率の状況、これはどのようになっていますか、伺います。
#358
○政府委員(宮川知雄君) 中高年船者の失業率ということでございますが、実数にいたしまして、五十九年で見てみますと、全部の計で百六十一万の失業者がございますが、四十五歳から五十四歳までが二十四万、五十五歳から五十九歳までが十六万、六十歳から六十四歳が十三万、六十五歳以上が五万。率といたしますと、全体としては二・七の完全失業率でございますが、四十五歳から五十四歳は一・九、平均よりも低うございます。五十五歳以上になりますと、五十五歳から五十九歳は三・四、六十歳から六十四歳は四・七、ここが大変高くなっております。六十五歳以上はまたいろいろ事情がございまして一・七と下がっております。
 有効求人倍率は、五十九年で二十九歳以下が一・〇三倍であるのに対しまして、四十五歳から五十四歳は〇・四七倍、五十五歳以上は〇・一一倍と大変悪い状況になっております。
 新規求職者に対する就職件数の割合、再就職率でございますが、五十九年で見てみますと、全体では三〇・二%の就職率であるのに対しまして、四十五歳から五十四歳は三一・五%、ここはちょっとようございます。五十五歳から五十九歳は二九・七%、六十歳から六十四歳は一九・八%、六十五歳以上は一二・八%と、当然のことながらかなり低い数字になっているところでございます。
#359
○高杉廸忠君 次に、公共職業訓練における能力再開発訓練修了者の就職率、これはどのようになっておりますか。
#360
○政府委員(宮川知雄君) 公共職業訓練の修了者は、生産現場で直接役立つ知識、技能というものを直接に身につけているわけでございまして、就職状況はおおむね良好と言われておりますが、五十八年度で見てみますと、能力再開発訓練をとってみまして、修了者三万九千百九人のうち、直ちに就業した者が二万四千六百五十三、就業率六三%ということに相なっております。
 ただ、この六三%は、修了いたしまして直後の
状況でございます。その後、かなりの割合でこの就業率が高まっているようでございます。
#361
○高杉廸忠君 先ほどお答えをいただきましたけれども、中高年齢者の雇用確保が困難だ、こういうようなことが言われたわけですけれども、それならその要因ですね。その要因は何があるのか、どこにあるのか。
#362
○政府委員(宮川知雄君) 我が国は、実際にはかなり就業の移動ということが行われていると思いますが、全体の傾向といたしましては、やはり若年時に一定の企業に入り、終身その企業に勤務するというような形を最も好ましいとする風潮がございます。そうした形が、企業側におきましてもどうしても若年者に目が行きやすい。そういう意味で、中高年齢者は雇用の確保という意味ではどうしても割合が低くなる、そういう現象かと思います。
#363
○高杉廸忠君 次に、訓練制度における問題点及び今回の法改正による改善点、この際明らかにしていただきたいと思います。
 また、特に技術革新と高年齢者の職業訓練内容の改善措置等について、具体的にひとつ御説明をいただきたい。
 また、ME機器等についての高齢者、身障者向けの開発研究の今後の方針、これはどういうようなものがあるか、具体的にひとつ示していただきたいと思うんです。
#364
○政府委員(宮川知雄君) 特に中高年齢者につきまして訓練をする場合の問題と申しますと、一般に就職する意欲といいましょうか、生活に対する責任感と申しましょうか、大変強うございますので、よく教育訓練を受ける、よく勉強するというプラス面がございますが、今先生ちょっとおっしゃいましたように、ME化を中心といたします技術革新が大変進行しておりまして、年がいくに従いましてそれに対応しにくい、なかなか覚えにくいという現象があることも確かでございます。これが一つ問題点だろうと思います。
 その改善のためには、特に技術革新の改善との関係におきましては、特にME関係の機器を中高年齢者向けの訓練科にも導入する。特に中高年齢者に比較的人気のあるもの、あるいは就職率が比較的よい訓練科目というものをどしどし新しくつくるようにしてございますが、そうした中において、なるべくME関連機器の比較的簡単な操作のできるものを取り入れる、こういうことで現在対応しているところでございます。
#365
○説明員(岡部晃三君) 高齢者向けのME機器の開発研究のお尋ねでございます。
 労働省におきましては、高齢者の職域の拡大、安全衛生の確保、言うなれば高年齢者とME機器の共存といいますか、そういう観点を重視をいたしまして、高齢者お助けロボットというふうなものを研究開発し、その試作までいくということで、これは数年間にわたりまして二十億程度と予定をしておりますが、研究を始めることにしているところでございます。
 これは具体的には労働省の附属関係研究機関あるいは民間の研究機関等の力を総合いたしましてよいものをつくりたいと、こういうふうに考えているところでございます。
#366
○高杉廸忠君 身障者向けのMEの関係は。
#367
○説明員(岡部晃三君) 身障者につきましても同様でございまして、MEと新技術の応用によりまして、これまで就業が困難でありました重度障害者にも新たな職域が生まれる可能性も摸索しているところでございます。
 したがいまして、障害の種類、特性に応じたME機器でございまして、障害者の欠損機能を補って障害者が容易に操作できるようなもの、その研究開発、これも昭和六十年度から計画的に実施に着手したところでございます。
#368
○高杉廸忠君 次に、公共職業訓練制度について伺います。
 今回の法改正では、民間の重視と、それから公共職業訓練の自主的、弾力的実施を行う、こういうようにしていますけれども、具体的にはどういうことになるんですか。この点をお伺いします。
#369
○政府委員(宮川知雄君) 今回の改正の主要点は、先ほども御答弁申し上げましたが、民間の当然行われるはずの自主的な努力の重視と、それから公共職業訓練の活性化、この二つが中心であると申し上げたところでございますが、内容的には、民間の自主的な職業能力の開発向上の促進のためには、企業に職業能力開発推進者、これをまず置いてもらいたい、そのためにいろいろ努力してもらいたいわけでございますが、公共といたしましても、この推進者を対象として講習その他これとの連携を十分保つということ、それから生涯にわたります能力開発給付金制度、これを拡充強化いたしまして、民間の自主的に行う教育訓練あるいは労働者の自発的な意思に基づく教育訓練、こうしたものを助成強化することといたしております。また、特に中小企業を中心といたしまして職業訓練、教育訓練に関するノーハウの不足ということが大変強く言われておりますので、職業能力開発サービスセンターを六十年度以降新設いたしまして中小企業に対するノーハウの提供を積極的に進めたい、こうした形で事業主の行う職業訓練あるいは教育訓練の環境づくりに努めたい、これが民間重視の一つでございます。
 それから、公共職業訓練の自主的、弾力的実施の件でございますが、訓練基準の弾力化あるいは指導員資格の見直し等により、時勢といいましょうか事態に即応できる教育訓練を行うとともに、公共職業訓練だけにとどまらず、専修学校等を活用いたします委託訓練等も場合によっては積極的に活用して、公共職業訓練としてより有効な施策を進めたい。
 また、今回特に問題となりましたのは都道府県に対する助成制度の変更でございます。従来の負担金、広い意味での補助金でございますが、これを交付金化することによりまして都道府県の実情に応じた職業訓練がよりスムーズに展開できるようにと、そうした意味で交付金方式に改め、公共訓練の自主的、弾力的な実施がより可能になるような仕組みを考えたところでございます。
#370
○高杉廸忠君 関係者の責務について伺うんですが、この改正案によりますと、第四条第二項で「国及び都道府県は、事業主その他の関係者の自主的な努力を尊重」する旨の規定をしています。この場合の自主的努力については今御説明がありましたが、具体的に考えまして、その自主的努力を尊重するための措置として、国は具体的にはどういうような方策を講ずる用意があるのか。これまたあわせて伺いたいと思います。
#371
○政府委員(宮川知雄君) 職業訓練、これも広い意味の教育の一つでございますが、当事者がその気にならなければ、関係者が周りでいかに努力いたしましても効果を上げることは、当然のことながらできません。そういう意味で、関係者、特に事業主の自主的な努力、こうしたものを強く打ち出しているわけでございます。
 内容的には、例えば職業能力開発推進者、これは企業に置いてもらって公共との連携等を保ってもらうための者でございますが、これに対しまする講習会の実施、あるいは能力開発推進者同士が集まっていろいろ意見交換をするような場所の提供、あるいは各種の給付金制度等、事業主が自主的に教育訓練がやりやすいように、それを助けるための各種の給付金制度、特に有給教育訓練休暇制度をこれから一層推進してまいりたいと思います。特に有給教育訓練休暇と申しますと、労働者の自発的な意向というものがこれまた大変大事になっております。そうした意味で、公共としては、環境づくりをすることによって自主的な努力を推し進めることかできるようにしていきたい、かようなことでございます。
#372
○高杉廸忠君 さらにちょっと改正案の内容をもう少し掘り下げてみたいと思うんですけれども、「職業を転換しようとする労働者その他職業能力の開発及び向上について特に援助を必要とする者に対する職業訓練の実施、事業主、事業主の団体等により行われる職業訓練の状況等にかんがみ必要とされる職業訓練」、こうなっているんですね。具体的にはどのような訓練を指すのか。具体的に
明らかにしていただきたいと思います。
#373
○説明員(石岡愼太郎君) 四条で関係者の責務が書かれておりますけれども、この趣旨は、国がいろんな先ほどから申しておりますような給付金の支給その他を通じまして公共職業訓練やあるいは技能検定を受けやすくする、さらには幅広い教育訓練を受ける機会を与えていくということをねらっているものであります。
#374
○高杉廸忠君 さらに具体的に伺いますけれども、公共職業訓練施設の入校率の推移、これはどういうふうになっていますか。
#375
○政府委員(宮川知雄君) 最近の公共職業訓練施設への入校状況は、次のようでございます。
 新規学卒者等若年者を対象とする養成訓練につきましては、いわゆる進学率の上昇等に伴い微減する傾向にございますが、五十九年度の入校者数は、いわゆる養成訓練で三万一千二百五十三人、入校率は八八・九%となっております。
 それから、在職労働者を対象といたします向上訓練におきましては、このところ入校率は七割ないし八割を前後してございますが、これは定員というもの、計画数が例えば五十四年は十一万五千でございますが、五十八年度は十九万六千とほぼ倍増するような状況にございます。そうした中での入校率が大体七八%前後ということでございます。
 それから能力再開発訓練、新しく仕事を求めたい、仕事を変わりたい、失業して新しい仕事につきたい、こういう人の能力再開発訓練でございますが、一番新しい数字が五十八年度でございますが、計画数八万一千に対しまして入校者数七万三千で、入校率は八九・五%と比較的高い割合になっております。
#376
○高杉廸忠君 逆に、充足率が悪いんじゃないかと思うんですよね。これは私は魅力に乏しいんじゃないかというふうに思っているんですが、これはいかがですか。
#377
○政府委員(宮川知雄君) 公共職業訓練と申しますと、まあ何と申しましょうか、どうしても比較的安い費用でできる、あるいは場合によってはむしろお手当をもらってできるというようなところから、最近の風潮でまいりますと、どうも安いものは何か問題があるのではないかというような見方があるのかと、私ども一種ひがみのような感じを持っておりますが、現実には入校率といたしまして七八%あるいは八九%、養成訓練にまいりますと大体八八%でございますので、いわゆる充足率といいましょうか、入校率でございますが、訓練校の入校率としては決して低い数字ではない、かように考えております。
#378
○高杉廸忠君 私が聞いているのは、それは入校率はさっきお聞きしましたが、充足率が悪いんではないかというふうに考えるわけですから、この点ちょっと確認ですけれども、どうですか。――まあ後でお答えいただいて結構であります。いずれにしましても、私は技術革新に対応した訓練内容になっていないためではないかと思うんです。後でお答えいただくにしても、そう思うんです。
 そこで伺うんですけれども、訓練課目別の就職率、これはどうなっていますか。
#379
○政府委員(宮川知雄君) 比較的多くの公共職業訓練施設に設置されております訓練科目として、養成訓練では自動車整備科、機械科、建築科等が多うございます。また、能力再開発訓練でまいりますと、溶接科、塗装科、配管科等が多うございます。
 公共職業訓練施設に設置されております上位十訓練職種の就職率で見てみますと、五十八年度におきまして上位十種の計は、養成訓練でございますが、九四%の就職率となっております。大体養成訓練は九四、五%。科目として一番多いのは塗装、その次が機械、三番目が電気機器、四番目が配管、五番目が溶接というようなことでございますが、大体九四%前後に養成訓練はなっております。能力再開発訓練につきましては、就職率は今申し上げましたように上位十訓練科目の計でまいりますと六十八%。少し低くなってまいりますが、その中で比較的高いものは、例えば電気工事七三%、溶接七二%、それから機械、これが七五%というようなのがございますが、比較的低いものといたしましては塗装の六一%というような数字がございます。
#380
○高杉廸忠君 それではさらに伺いますけれども、公共職業訓練施設におけるME機器の整備状況、これはどうなっているのか。私の手元に資料もありますが、これを見ますと、昭和五十八年四月現在のものが示されているんですけれども、全体的に見て、雇用促進事業団関係の九百九台に対して都道府県はその三分の一、それから身体障害者職業訓練校はわずかに五十七台にすぎない状況なんです。この間の事情をあわせてひとつ御説明をいただきたいと思います。
#381
○政府委員(宮川知雄君) 先生御指摘のように、五十八年四月段階の都道府県立の職業訓練校のいわゆるME関連機関は三百十台でございます。これに対しまして、雇用促進事業団関係の訓練施設におけるそれは九百九台でございます。
 これは五十三年の法改正におきまして、雇用促進事業団の訓練施設は、より高度の中堅的な技能者、技術者を養成するための短期大学校と、それから特に向上訓練と能力再開発訓練をねらいます技能開発センター、この二つに転換していく。都道府県は、養成訓練のうちの特に初歩的なものについてこれを行うということで、この数年振り分けが行われてまいりました結果、今申し上げたような乖離が生じてきたものでございますが、現在はこのME関係の機器の整備には大変力を入れておりまして、五十八年四月の三百十台は五十九年十二月、一年ちょっと後の昨年末におきましては、この三百十台が五百六十三台。それから身障校につきましては五十七台が六十四台、多少ではありますがその整備に努めているところでございます。
#382
○高杉廸忠君 各種訓練校におけるME機器の整備あるいは技術革新へ対応した職業訓練の改善方針を、この際、示していただきたいと思うんです。
 また、全体の、第三次職業訓練計画から第四次の訓練計画についての構想ですね、この際、明らかにしていただきたいと思うんです。
#383
○政府委員(宮川知雄君) 現在、技術革新の波は、生産部門の労働者だけでなくていわゆる事務部門にも浸透してまいりました。しかも、OA機器の操作につきましても、単に操作だけでなくて、例えばハード面のメンテナンスまで場合によっては要請される、あるいは情報の収集、分析、そうした能力も要請されるというように、非常に高度のものになってきております。こうしたものを労働者にしっかり身につけてもらうことが必要でございまして、ME関係の教育訓練といたしましては、具体的にそうした事態に対応できるような幅広い能力をつけた労働者を養成することを目的にしております。したがいまして、従来から実施されている職業訓練職種におきましても、可能な限りME関連機器を導入するとともに、例えばストレートにそうであります電子計算機科あるいは情報処理科等の増設、あるいはこうした科への転換を図っているところでございます。
 それから、現在第三次の職業訓練基本計画施行中でございます。六十年度までございますので、六十一年度から第四次の計画、職業能力開発基本計画ということで施行したいと思いますが、その際、特に基本的な理念となりますのは、今回の法改正でお願いしてございます、事業主の行う職業訓練の確立とそれから公共職業訓練の活性化、自主的な運営と、こうしたものがはっきり出るような形で、しかも、すべての労働者の職業生涯の全域にわたって能力開発が図られるような形での計画をぜひ立てていきたい。具体的には、この新しい法律をお認めいただきました場合には、公労使三者構成でございます審議会の場で十分この点を御審議いただきまして、六十一年度以降の第四次計画につきまして誤りなきを期していきたい、かように考えております。
#384
○高杉廸忠君 次に、事業主等の行う認定訓練制度について伺うんですが、小規模企業の事業主が
行っています認定訓練のうち、建設関係技能者の実施状況はどうなっているのか。それから、私が聞くところによりますと、訓練生の減少と負担の増大等によって養成及び成人訓練の継続が困難になっているというふうに言われているのを聞くんですけれども、その実情ですね、これはどうなっていますか。
#385
○政府委員(宮川知雄君) 事業主の行います認定職業訓練中、いわゆる中小企業につきましては、これにつきまして国と都道府県協力しまして手厚い補助をしているわけでございますが、特に建設関係について見ますと、五十八年度におきまして認定職業訓練を受講しました関係の訓練生、建築科及び左官科で見てみますと、養成訓練につきまして七千三百七十五人で、養成訓練生総数三万四千五百八十人の中におきましては約二〇%となっております。また、向上訓練、これは在職労働者の教育訓練を公共職業訓練が引き受けるというものでございますが、この向上訓練におきましては十三万人中二万五千四百六十八人ということで、やはり割合は二〇%となっております。
 これをさかのぼって昭和五十五年度と比較いたしますと、養成訓練においては訓練生総数で約一八%の減少となっているのに対し、養成訓練自体が低下しているわけでございますが、建設関係のものは一八%に対して四二%の大幅減少となっております。また、向上訓練におきましても、総数で六〇%の伸び、先ほども向上訓練には特に力を入れていると申し上げましたが、六〇%の伸びに対しまして建設関係の訓練生では約一一%の伸びにとどまる。そういう意味では大変低調な状況が続いております。
 この原因としてはいろいろ挙げられると思いますが、何せ建設関係での最近のいわゆる停滞、これが一番基本的に問題だろうと思いますし、また、大変零細な企業が多くて、なかなか教育訓練あるいは人の採用にまで手が回らない。それともう一つは、従来こうした分野に人を送り込んでいました新規中卒就職者、これがこの十数年大変減ってまいりました。そういうようなことがございまして、今申し上げましたような建設関係の訓練生の相対的な低下をもたらしているわけでございます。
 それで、比較的小人数になってまいりますと、当然一人当たりの負担ということも高くなってまいります。そうした意味で、大変大事な教育訓練でありながら、なかなか認定訓練としてやっていくことが難しいというような状況のものも出てきておりますが、今後におきましては、可能な限り、そうした訓練機関が幾つか集合して一つの認定訓練を行うというようなことまで工夫することまで含めまして対策を考えていきたい、かように考えております。
#386
○高杉廸忠君 この制度に対して、補助金の総枠を設定をして整理合理化が進められているようですけれども、具体的にはどういうふうになっているんですか。
 また、その各補助金についての助成内容の推移についてはどうなっているんですか。あわせてひとつ伺いたいと思うんです。
#387
○政府委員(宮川知雄君) 中小企業主等が認定職業訓練、労働大臣の定めます基準に合っているということを都道府県知事が認定した訓練、これが認定訓練でございまして、それが中小企業の場合には国と都道府県から助成を行うわけでございますが、過去三カ年間の交付実績を見ますと、昭和五十六年度が二十億四千万円、五十七年度は二十二億九千万円、五十八年度におきましては二十一億七千万円とほぼ横ばいの状況が続いております。
 認定訓練事業費の単価でございますが、運営費につきましては、例えば養成訓練は、一訓練科当たり五十七年度八十八万二千円であったものが六十年度は九十五万二千円となっている。それから施設費につきましても、一カ所平均五十七年度千七百九十万であったものが六十年度は一千八百万になっているというわけでございますが、特に御指摘の、総枠というようなものを決めてその中でやっているのではないか、いわば給付についていわゆる合理化を進めてだんだん補助を少なくしているのではないかという御質問かと思いますが、補助金の総枠を設定し整理合理化を進めるということは全くいたしておりません。かえって毎年単価の改善、必要枠の確保に努めているところでございまして、予算の推移を申し上げますと、五十五年に二十三億二千万であったものが六十年におきましては二十九億九千万と、それなりにその増枠といいましょうか、増額を図っているところでございます。
#388
○高杉廸忠君 大企業と零細企業を比べてみますと、大企業及び中堅企業にあっては各種の訓練機会に恵まれていると思うのです。また、技術革新に対応した施設が順次講じられていると考えるのです。このような大企業、中堅企業と比べて零細企業における養成訓練というのは、私は労働省の方でも相対的に軽視されているのではないかと思うんですけれども、大臣、これはどうですか。
#389
○政府委員(宮川知雄君) 大臣に御答弁いただきます前に、今申し上げましたように、認定職業訓練と申しますのは、製造業で三百人以下、それからサービス業で五十人以下ということでございますが、この中小企業に対しまして一定の条件に当てはまった教育訓練が行われる場合に助成しようということでございまして、特に小零細企業を対象にしているものでございます。
 ただ、先生御指摘のように、大変零細な企業になりますと補助を受けることすらできないという事業所があることも確かでございますので、今後はこの認定訓練制度、さらには能力開発給付金制度、あるいはサービスセンターを設けての相談、こうしたものを丁寧にやってまいりたい、かように考えております。
#390
○国務大臣(山口敏夫君) ただいま局長からも御答弁申し上げましたように、中小企業における認定職業訓練の促進には、今後とも鋭意努めていきたいと、こう考えております。
#391
○高杉廸忠君 しかし、現実は零細企業はなかなか深刻な状態だと思うのです。というのは、建設産業の将来を担う若者たちの入校というのは年々減少している状況だと思うのです。私は将来憂慮すべき状況になっていると思うんです。若い人たちが将来展望が持てる訓練制度とするように、国としての方策を具体的に示すべきではないか、こう考えるんです。
 そこで労働大臣に伺いますけれども、伝統ある建設関係の技能者に対する職業訓練についての役割分担を明確に位置づけて、国としての助成ですね、保護をきちっとすべきであると考えるんです。大臣、どうでしょう。
#392
○国務大臣(山口敏夫君) 基本的に高杉先生の御提案、御趣旨には賛成でございます。
 私も、労働省におきまして、都道府県の建築大工、左官等の建設関係技能者の養成、確保のため、特に中小企業事業主等が認定訓練を実施した場合には、その運営費及び訓練を行うために必要な施設設備に要する経費の一部について助成をしているところでもございますし、なお、公共職業訓練におきましても、建築大工、左官等の訓練科目を設置する等、建設関係の訓練に努めておるというところでもございます。
 労働省といたしましても、建設関係技能者の養成、確保の重要性にかんがみ、今後ともこれらの施策の充実を図ってまいりたい、かように考えております。
#393
○高杉廸忠君 ぜひ、山口労働大臣に期待されているところですから、実現をしていただきたい、要請をしておきます。
 次に、教育訓練休暇制度を有する事業所について伺いますけれども、この事業内教育訓練実施状況及び費用に関する調査、その結果を見ますと、教育訓練休暇制度を有する事業所の割合というのは、産業別には建設業の一一・〇%を除いて他の産業はすべて一割にも満たないんですね。規模別には、大小を問わずすべて一割にも満たない状態にあるんですが、この実情の背景と今後の行政の教育訓練休暇の普及対策、これはどういうふうに
なさるつもりですか。
#394
○政府委員(宮川知雄君) 先生御指摘のとおり、建設業で教育訓練休暇制度を有しているもの一一%、これがすべて建設業の場合には有給でございますが、そのほかは平均して三ないし五%でございまして、全体の割合がわずか四・八%、有給ということになりますとさらに四・三%に下がってしまうという状況にございます。まだまだ有給休暇をもらって勉強に出るということが、もちろん事業主側については大変なむだといいましょうか、大変な負担のように感ぜられる段階にあるということと、労働者側から見ましても、まだ、有給教育訓練休暇をもらってその資質の向上に努めるというような認識ができていない。つまり、労使双方においてまだまだこの有給教育訓練休暇というものを伸ばしていくような状況にないということだろうと思います。
 それで、今後におきましては、この制度も発足いたしまして何年かたってまいりましたので、今回これを法律上、この法律上は努力義務ではございますが、事業主は能力開発のために各種の施策を講じなくちゃならない、そういうような形で、努めなければならないという中に一つ有給教育訓練休暇も具体的に挙げているわけでございまして、事業主に、罰則つきの強制ではございませんが、社会的に強く要請したところでございます。
 また、職業能力開発推進者、これを事業所ごとに置いてもらうわけでございますが、こうした人に対する講習の際には、特に有給教育訓練休暇制度についての趣旨あるいはこれについての助成の制度、こうしたものをよく説明することによりまして、有給教育訓練休暇制度が少しでも前に進んでいきますように今後努めてまいりたいと思っております。
#395
○高杉廸忠君 次に、企業の教育訓練実施率について伺うんですが、労働省の五十七年の調査結果によりますと、これは事業内教育訓練実態調査ですね。これによりますと、教育訓練を行っている企業の割合が、産業別では製造業八三・一%、サービス業では八七・三%で、企業規模別では三十人から九十九人が八六・二%、百人から二百九十九人規模が九一・八%ですけれども、こうした実態、その背景、あるいはこういう実態を踏まえて今後どういうような対応をされるのか、これについて伺います。
#396
○政府委員(宮川知雄君) ただいま御指摘の調査は、五十七年の十一月に実施されました事業内教育訓練実態調査の数字をお挙げになったものと思いますが、八八・一%という数字はかなりの数字だと思っております。ただ、産業別規模別の実施率に大きな差は見られませんが、製造業規模別では、小規模のところでやや実施率が低くなっているということでございます。
 事業所の中で教育訓練を実施するに当たっての問題点といたしましては、やはりノーハウの不足、それから施設の不備、資金の不足といったものを挙げる企業が多くなっておりますので、特に今回は職業能力開発サービスセンターを設置いたしまして、能力開発、教育訓練に関するノーハウの提供等を積極的に行うとともに、再々申し上げております職業能力開発推進者、これを置いてもらいまして、これとの連携を保ち、また、こういう人々についての講習をしっかり実施する。そういうことをやる傍ら、生涯能力開発給付金制度をより充実し、また、公共職業訓練自体、施設を積極的に提供する、あるいは指導員を民間企業に派遣する、こういう対策を講ずることによりまして、企業の中における教育訓練が円滑に行われるように、つまり環境づくりに努めてまいりたいと思っております。
#397
○高杉廸忠君 補助方式の改正による都道府県職業訓練施設の弾力的運営について伺いますが、今回の法案では、都道府県立職業訓練施設の運営費についての補助方式を、従来の個別積み上げ方式による定率補助方式から交付金方式へ改めることとしていますね。そこで、補助金方式から交付金方式へ切りかえることが都道府県の実情に応じた職業訓練校の自主的、弾力的な運用を促進するとのことですけれども、なぜ弾力化になるのか、この点が一つであります。
 また、交付金方式に改めた場合のメリットですね、幾つかあるかと思いますが、それがあれば示していただきたいと思います。
#398
○政府委員(宮川知雄君) 今回の法改正の一つの大きな眼目といたしまして、都道府県立の職業訓練校、身体障害者職業訓練校に要する経費のうち特に運営費につきましてこれを交付金化するというのがございます。運営費は特に人件費を中心としたものでございますが、現在の定率でまいりますと、非常に細かい積み上げをいたしまして、それの例えば二分の一とか、かような措置をとるわけでございますが、そういうことをいたしますと積み上げた段階で仕事の内容がほぼ決まってきてしまうという面がございます。そうした意味では、従来、過剰に都道府県の行政に介入しているのではないかと、こういう批判もあったところでございます。これに反しまして、定額の交付金化といたしますと、職業訓練という大枠の中での使用を求めるわけではございますが、その中では都道府県がそれぞれの地域の実情に応じて重点を置くところを決めて機動的にお金を使える、こういうことでございます。
 なぜやったのかという御質問につきましては、臨調の御指摘もございましたが、都道府県の自主性をより尊重するということでございますし、また、メリットといたしましては、いろいろな事態、例えば離職者が急激に発生したとか、それからいわゆるME関連の新しい業態の事業所が特定地域に比較的急激に集中するというようなこともございますが、そうしたことに機動的に対処できる、これが大きなメリットであると思っております。
#399
○高杉廸忠君 これは確認ですけれども、現行の補助金の実績というものを下回ることはないかどうか、確認したいと思うんです。
#400
○政府委員(宮川知雄君) 今、負担金という名の補助金から交付金化するわけでございますが、現実には、従来の線から大きく変化があっては実際都道府県の職業訓練大変問題が生じますので、そうしたことのないように、特に物価あるいは賃金水準等の変動がございましたときには、今申し上げましたような形で都道府県の職業訓練に影響が及ばないように、財政当局とも十分話し合いをして実績を確保してまいりたいと考えております。
 現実に、大変些少ではございますが、五十九年度の補助金と六十年度の交付金を比べますと本当に些少でございますが、多少ふやしてもらったというところでございます。
#401
○高杉廸忠君 定率の補助金から定額の交付金制度にすることによって、将来的に人件費や物価等が上昇すると、相対的に事業規模の縮小を招くおそれがあると思うんですが、額は固定的なものかどうか。必要に応じて増額をしていくのかどうか。これまた確認でありますが、伺います。
#402
○政府委員(宮川知雄君) 定額ということでございますから、その限りにおいては非常に安定的なものと考えております。安定的なものといいますと、減らされることもないけれどもふやされることもないというような面がないわけではございませんが、一定の職業訓練の行政の水準を確保するためには、当然一定の額が必要でございます。したがいまして、経済情勢の変動等がございました場合には実績が確保されるように、私どもとしては最大限の努力を尽くすつもりでおります。
#403
○高杉廸忠君 交付金制度の導入によりまして、都道府県の職業訓練体制が後退することになっては私は元も子もないと思うんですね。充実した予算の確保や適正な指導を行うことが大事であると、こういうふうに思うんです。
 そこで大臣、交付金総額について今後の事業量、それから経済情勢の変動等が生じた場合には、事業の円滑な実施に支障を来さないような所要の財源確保を図るべきであると、こう思うんです。大臣のこれからの取り組みについての決意を伺い、また、何点か要請を申し上げましたことも含めて、大体私の持ち時間が来るようであります
から、大臣の決意を伺い、要請事項に対するコメントもいただいて、私の質問を終わります。
#404
○国務大臣(山口敏夫君) 都道府県立の職業訓練校の運営に必要な交付金額につきまして、事業量の変動や経済情勢の変化等に伴い、職業訓練の円滑な実施のため必要がある場合は見直しを行い、職業訓練校の運営に必要な経費が十分確保されるよう配慮してまいりたいと、かように考えております。
#405
○高杉廸忠君 要請については、実現の方向でひとつ取り組んでください。
 終わります。
#406
○中西珠子君 今回、技術革新の進展、高齢化社会の到来等、激しく変化する経済社会情勢に対処するため、従来の制度を発展させ、民間の自主的な教育訓練を重視するとともに、公共職業訓練を自主的、弾力的に行うことにより、職業生活の全期間にわたる労働者の職業能力の開発向上を総合的に促進することができる体制を確立するという御趣旨で、今回職業訓練法の改正案を出されましたことは時宜にかなっておると思います。しかし、私その中身につきまして、少し具体的な問題をお伺いしたいと思うわけでございます。
 先ほど高杉委員から、公共職業訓練を自主的、弾力的に行うことはどういうことだとか、民間の自主的な教育訓練を重視するとはどういうことだというふうな御質問がありまして、私も聞きたいと思っておったんですけれども、一応御説明がございましたから、時間もないことですから、非常に夜も遅くなってきましたから、重複を避けまして、具体的なポイントについてちょっとお伺いいたします。
 今回、職業訓練の民間への委託の積極的な活用を図っていくということだそうでございますが、その理由、そして現在民間への委託をなすっている訓練科目、五十九年度のは既に資料をちょうだいいたしましたからわかっておりますが、これから先どういった訓練科目を民間の委託ということの対象にお考えになっているかという点につきましてお答え願います。
#407
○政府委員(宮川知雄君) 公共職業訓練で十分訓練ができます場合には、公共職業訓練を使ってもらう、あるいはその中でやるということはもう基本でございますが、現実には、離職者の発生ということは予測しがたい面もございますし、また、この公共職業訓練が従来いわゆる二次産業を中心として行われてきたというような歴史的な経緯からいたしまして、特に今後展開、発達が予想される知識あるいは技術集約型関連職種、あるいはサービス職種に対するそれにつきましては、公共職業訓練施設で賄うことは多少弱い面がございます。こうしたものに対応するためには、公共職業訓練で間に合わない場合には、積極的にそうした民間の機関を使おうということでございまして、従来は比較的制限的に考えておりましたが、今後は対象者につきましても、公共職業安定所長の特に指示した者というようなことで幅広く考えていきたいと思っております。
 これから委託を考えます科目につきましては、公共職業訓練施設の科目の設置状況等も勘案しながら、特にサービス関連業種、こうしたものを中心に新しく委託訓練を考えていきたいと思っております。
#408
○中西珠子君 生涯能力開発給付金というふうに一応名称を一括されまして、そして一層援助というか給付金を拡大強化して、そして大いに生涯における職業能力の開発というものを促進していこうというお考えだったと思いますが、これまでの予算というものと実績を拝見いたしますとまだまだギャップがあるように思えるわけでございます。殊に有給教育訓練休暇給付金の予算とそれから実際に受給した企業、人員というものが、まあ大企業は割といいけれども、殊に中小企業は悪いというふうな傾向が見えるのではないか。
 それからまた、生涯能力開発給付金という中高年齢者に対する方も、なかなか予算と実績のギャップがあるわけでございますが、これについてはどのように御説明なさいますか。それから、改善についてはどのような対策をおとりになるおつもりでいらっしゃいますか、お伺いします。
#409
○政府委員(宮川知雄君) 生涯能力開発給付金につきましては、毎年着実に普及が進んでいると思っております。
 五十八年度における予算と実績について見ますと、二つございますが、一つの能力開発給付金につきましては、予算額三十八億二千五百万円に対しまして対象人員十五万三千人でございますが、十一億二千五百万円、対象人員約七万五千人の実績となっております。それから、有給教育訓練休暇給付金につきましては、予算三億七千六百万円、人員五千三百人に対し、二億五百万円、人員五千百人と、ほぼ見合う実績となっております。
 能力開発給付金は、今申し上げましたように、実績としては毎年伸びてきていると思いますが、特に有給教育訓練休暇でない方のもう一つの方につきましては、これは五十七年度からでございますが、制度が創設されてまだ十分企業にその趣旨が浸透していないということがございます。それから、どうしても中高年齢者を対象にしておりましたので、若い人に特に出したいという場合にこれがうまく使われない。それから手続が煩瑣であるというようなことから、予算と実績との間にギャップがあったものと思われております。
 今後はこの普及に努めますとともに、特に能力開発給付金につきましては、特にその場合中小企業に限りますが、二十五歳から三十五歳未満、現在は三十五歳以上でございますが、そうした若年層についても中小企業については対象にするということ、それから手続等につきましても思い切って簡素化を図るようにするということ、それから有給教育訓練休暇につきましては、大学等に戻りまして本式に勉強するというときには現在百五十日が一番長期でございますが、これを二百日、ほぼ一年間は大学に戻れる、こういうような形をとることによりまして、積極的にこの制度の普及を図ってまいりたいと考えております。
#410
○中西珠子君 とにかく五十七年度から始まった制度でございますから、なかなか普及というか周知徹底がしてないということも言えると思いますし、手続の煩瑣さということはもうしょっちゅう言われていることでございますので、これはなるだけ簡素化していただきたいし、せっかくいい制度なんですから、普及のための御努力を一層強化していただきたいと思います。
 それから、ちょっと関連がございますが、有給教育訓練休暇を大いに推進して労働者の自発的な訓練意欲というものを援助しようという、これは大変結構なことなんでございますが、環境づくりも大変だし、それからまた意識の問題も、なかなか労使ともに進まないということもあると思いますが、この有給教育訓練休暇の対象となります教育訓練というのが一応出ておりますが、Aが公共職業訓練施設または職業訓練大学校の行う職業訓練、Bが高等学校、大学または高等専門学校の行う学校教育、Cが各種学校等の行う教育のうち労働大臣の指定するもの、こうありますが、労働大臣の指定するものというものの内容を御説明いただけますか。
#411
○政府委員(宮川知雄君) 専修学校または各種学校の行う教育につきましては、一定の水準に達していてもらうことが必要でございます。そうした意味で授業時間数が、例えば一課程の授業時間が百七十時間以上、一日の授業時間数が三時間以上、しかもこれが昼間行われるものであって、工業技術、医療、保健、衛生等、特に医療、保健、衛生等につきましては、いわゆる公共職業訓練がなかなか対応しにくいところでございますので、また、こうした面を指定しているところでございます。
 各種学校の行う教育のうち、各種学校等でございますが、この等といたしましては、職業能力開発協会が、中央、地方にございますこの協会が行うものでございまして、この場合は一課程が二日以上、総時間数十二時間以上、一日の教育時間が三時間以上であって、専修学校または各種学校の行う教育の課程に準ずるものというような形で指
定をしているところでございます。
 現在、この基準により指定しております専修学校または各種学校のそれは、全国で約二百校、課程はして六百課程でございます。
#412
○中西珠子君 職業能力開発推進者というものを今度は選任なさって、そしてそういった制度を推し進めていく。それでことしは予算化している内容としては、こういう職業能力開発推進者の講習会だとか、その場所の提供だという御説明が先ほどありましたけれども、職業能力開発推進者というものを結局各企業に選任させる。これ、努力義務でございましょうから、なるたけ選任するように奨励するということだそうでございますが、なぜこういうものを選任させるようにしようとお思いになったのかということ。
 それから選任方法ですね、これはもう各企業に任せておくから企業の経営者の方が一方的に選任すればいいのか、それとも労働側の、組合がある場合には組合だし、また、労働者の多数の代表が加わって選任に参画するのかというふうな問題。
 それから、とにかくこういったものをつくっていく方がいかに効果的に職業訓練、職業能力開発が促進できるかというふうなことについて少し御説明を願いたいと思うんです。
#413
○政府委員(宮川知雄君) 職業能力開発推進者を企業の中に設けていただきたい、これは努力義務でございます。どうしてもそういうものを必要はないとおっしゃられればそれっ切りでございますが、なぜ私どもがこうしたものを必要と考えたかと申しますと、経営を取り巻く環境というものは、技術革新、高齢化社会への移行等で激変しているわけでございますが、そうした中で、特に計画的に能力開発を進める必要性というものが大変高まっております。ところが、いろいろ調査等によりますと、組織が不備である、何をしていいかわからないというのと同時に、担当組織の不備がこの計画的な能力開発の運行を阻害している、そういう面がございます。そうした意味で、その核になってもらう人がぜひほしい。また、企業に対しまして、国ないし地方公共団体がいろいろ指導、助言、給付金の支給というような形で環境づくりに努めようと思いますときにも、企業側にそれに対応する部局あるいは担当者がいることが大変望ましい。これがないと上滑り、空回りになってしまいます。それから、特に有給教育訓練休暇等の制度を使いまして労働者の自己啓発意欲を刺激しようといたしますと、企業の中でこうした人人の相談に乗るという人がどうしてもほしい。そうした人がいることによって制度がよりうまく回っていくということもございます。こうしたものを加味いたしまして、今回職業能力開発推進者を企業の中に設けていただきたいと、努力義務ではございますが、お願いしたところでございます。
 選任につきましては、まだまだこれからのことでございますので、どういう事業所ならば何人とかというようなことまで申し上げるところではございませんで、何はともあれ置いていただきたい。したがって、例えば中小零細企業等ではある程度まとまって置くというようなことも考えていただいていいのではないかと考えております。
 それから、組合等の意向を聞くべきであるという御意見でございます。まさに教育訓練、能力の開発というものは、労使がお互いに十分立場を理解し合って意思の疎通が行われるところにより有効な教育訓練が行われる、これはもうそのとおりでございます。ただ、計画等の作成とちょっと違いまして、能力推進者といいますと、やはり企業の中で一種の職制のような形をとろうかと思われます。そうした意味では、事業主の雇用管理の自主性の尊重、こういうことも一面大変大事なことでございますので、余り強く組合の意見を聞くようにというわけにも現段階ではなかなかいかないと思いますが、今申し上げましたように、労使が十分話し合うということが大事でございますから、形を変えたものであっても労働組合ないし労働者の意向が十分考えられるような仕組みを、私どもとしても、事業主ないしは事業主の団体といろいろ相談してまいりたいと考えております。
#414
○中西珠子君 今おっしゃいましたように、結局この職業能力開発推進者というものをなるだけ選任して、そしてそれが一つのコンタクトポイントというふうなものになるということは大事なことだと思うんですね。そしてまた、局長が大変よく御認識になっていて、労働者の自己啓発の意欲を促進するというためにも、また、話し合いというものによって職業能力の開発のためのいろいろのプログラムをつくっていくという意味においても、やはり労働組合や労働者の意見の尊重ということが大事だということをおっしゃってくださいましたが、これから大いに職業能力開発推進者の選任というものを推進していらっしゃるに当たりましては、こういったやはり労働者の自己啓発意欲の促進ということと、また、話し合いによってスムーズに職業能力の開発をやっていかなくちゃいけないんだという点を、行政指導におきまして、また、これを奨励なさるにおきまして、大いに強調していただきたいと思います。もし反感を持たれるような人が職業能力開発推進者になると、やっぱりうまくいかないと思うんですね。ですから、やはり労働者の多数の意見というものを尊重していただく、労働組合の意見というものを尊重していただくことが大事だと思いますので、その点よろしくお願いいたします。
 それからまた、これは大変細かいことでございますが、私がわからないのでお教えいただきたい。
 今度新設される職業能力開発サービスセンターというのがございますね。それと、一応これまで既存のものであるけれども増設する予定の地域職業訓練センターとの相違点というのはどういうところでございますか。
#415
○政府委員(宮川知雄君) 職業能力開発サービスセンターと申しますと、現在、大企業でもそうだと思いますが、特に中以下の企業におきましては職業訓練についてのノーハウが不足している。先日も、東京都の労働研究所が中小企業、製造業の一昨年の秋の職業訓練についての、特にMEとの関連での調査をしておりますが、その中でも、やはり知識の不備ということが非常に大きなウエートをもって挙げられているようでございます。
 そうした意味で、職業能力開発サービスセンターといいますと、国ないし地方公共団体のサイドに立ちまして企業に対していろいろな情報を提供する、あるいは相談に乗る、計画を企業ごとにぜひつくってほしいという希望も出ているわけでございますが、そうした計画をつくるに際しての相談を受ける。そうした意味でサービスセンターというものは設けられているわけでございます。
 これに対しまして地域職業訓練センターと申しますと、人口、特に工場等のある程度稠密な地帯につきまして公共職業訓練がなかなか対応できにくいような場合もございます。そうした地域もございますが、そうしたところに国として一定の施設をつくって差し上げ、その施設は、その土地の職業能力開発協会など民間の団体がその施設を運用して適宜傘下の企業等のために、あるいはその労働者のためにその施設を自分たちで運営する、これが地域職業訓練センターでございます。
#416
○中西珠子君 職業能力開発サービスセンターの方には職業能力開発プランナーというのをお置きになるわけですね。これはどういうことをするわけでございますか。結局、企業に対して情報を提供したり、また企業が訓練計画をつくるという相談を受ける人ですか。そういう意味ですか。
#417
○政府委員(宮川知雄君) 職業訓練につきましては、特に中小以下の企業におきまして、どこでどういうことをしていいかよくわからない、いろいろな給付金もある、あるいは各種学校等もあり、あるいは民間の教育訓練機関、もちろん公共訓練機関があるわけでございますが、どこでどうしていいかわからないという、そうした不満といいましょうか、不安といったものが絶えず各種の調査で上がってくるところでございます。そのために、今回サービスセンターを設けましていろいろな相談に乗ろう、あるいは情報の提供をしようと、そういうことでございます。
 特にプランナーの場合には、積極的に企業の中を回って相談に乗るとともに、企業がそれぞれ有給の教育訓練休暇制度、あるいはこれについての補助金を国からもらいたいというときには、計画をつくってもらわなければなりませんが、計画と一口に言いましても、中以下の企業についてはなかなかつくりにくい、そういうところがございますので、計画の作成等におきましても相談に乗る、これがプランナーでございます。
#418
○中西珠子君 先ほどもちょっと高杉さんの質問の中に出ましたけれども、公共職業訓練における能力再開発訓練、これの終了者の就職率は六割台だそうですね。というのは、これは終了直後の就職率だというお話でございましたが、これはやっぱりもう少し――養成訓練なんかは非常に高いわけですからね、就職率が。もう少しこれを向上させるために何かやはり方策を講じる必要があるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#419
○政府委員(宮川知雄君) 御指摘ございましたように、能力再開発訓練、これは職を失って新しい仕事につきたいというような人たちが中心でございますが、これの就職状況は、五十八年度におきまして六四%、これは終了直後でございます。終了直後でございますから、この後このパーセンテージはだんだん上がるわけでございますが、養成訓練に比べてみますとかなり低い数字であることも否めないところでございます。立場上やむを得ない面もあろうかと思いますが、能力再開発訓練そのものをよりよく運営するためにも、また、個個の仕事を求めている人々にこたえるためにも、このパーセンテージを上げる必要があろうと思います。
 それで、能力再開発訓練を受講している人の多くは、安定所における職業相談を経て安定所長の指示によって入校している人たちでございますので、訓練終了後直ちに就職できればよろしゅうございますが、就職できない場合におきましても、公共職業安定所自体が継続的に職業相談、職業紹介を行っているところでございます。
 いずれにいたしましても、中高年齢者の再就職が困難な状況にありますので、公共職業安定所、それからまた公共職業訓練機関、訓練校自体、これから中高年齢者の就職のために大いに努力していきたいと思っております。
 また、そのための一環としては、業界のニーズに応じた訓練内容、訓練科目等を積極的に考えていくことも必要なことと考え、そうした手も打っているところでございます。
#420
○中西珠子君 公共職業安定所とそれから公的訓練の場とが一層緊密な連携をお持ちになって、そして訓練を終了すれば何とか就職できるんだという形に持っていってあげていただきたいと思うんです。殊に、中高年の能力再開発訓練というものを受ける人は、やはり生活のために早く新しい技能を覚えて、そして早く就職したいという気持ちがいっぱいの人たちだと思いますから、それだけ一生懸命能力再開発訓練も受けているんだと思うんで、本当にその後もちゃんと公共職業安定所がフォローアップしてあげて、そして一〇〇%就職ということに持っていってあげていただきたいということと、もう一つ、どういうニードがあるかというエンプロイアビリティーというんですか、これを勉強すれば、これを訓練受ければ必ず就職できるであろうという、たくさんの需要のある訓練科目というものを指導をして、そしてその人に訓練を受けさせるように勧めてあげるということも大変必要だと思いますので、その点もどうぞ今後留意していただいて、就職とそれから訓練が結びつくようにお図りいただきたいと思います。
 それから、ME関係の訓練コースの増設につきましていろいろ御要望申し上げようと思いましたが、これはもう高杉さんが既になさいましたので、お聞きしないということにいたします。
 次に、十五条の改正として出ておりまして、「開発途上にある海外の地域において事業を行う者に雇用される者の訓練を担当する者になろうとする者又は現に当該訓練を担当している者に対して、必要な技能を習得させるための訓練を行うこと。」というのが公共職業訓練の業務の一つとして新たに加えられたというふうに理解しておりますが、具体的にはどういうことをなさるわけですか。
#421
○説明員(木全ミツ君) お答えいたします。
 職業訓練の分野におきましては、この二十年間世界の百ぐらいの開発途上国から日本に対する協力をば求めてきているわけなんです。それに対しまして、研修生を受け入れたり、海外で職業訓練センターを建てて御協力を申し上げてきたんですけれども、最近の大きな傾向の一つとしましては、海外で日本の企業がビジネスをしようとするときに、必ずと言っていいほどそれに伴って必要とされます各国の技能労働者の育成を日本の企業に、ある意味では契約の一つの条件として、ある意味では義務条件として要請をしてくるというのが大変大きな傾向になって、それに対して、日本が本当に国際社会で生きていこうとした場合には、きちんとこたえていかなきゃいけないというのが私どもの日本の抱えている使命になってきているわけです。
 したがいまして、各国で、そのような各国が必要とする技能労働者を育成するために当たる日本の企業の在職指導者、そういった方々を海外に派遣する前に訓練をして差し上げるということに対して、公共職業訓練施設も一役を果たさなければならないというのが時代の要請である、それにこたえていかなきゃいけないということでございます。
#422
○中西珠子君 全く同感なんでございます。そして、こういうものがもっと早くあってもよかったと思うぐらいなんでございますが、具体的には大変難しい問題である、また、訓練の内容というものをどのようにしていくかということは大変難しい問題だと思いますが、これは日本の国際的な責務でもございますから、大いに推進してやっていっていただきたいと思います。
 それから、もうあとちょっと。やはり訓練の科目というものは、総体的にいいまして公共職業訓練における訓練科目というものを全般的にやはり技術革新の進展とか高齢化社会の到来、また、経済の国際化といった面から見直しをしていただかなくちゃいけないと思うわけですねりその点が一点でございます。それと、見直しをなさるときに当たりまして、やはり婦人がいよいよこれから高齢化社会の中で、二十五年たつと二十歳から五十九歳までの生産年齢人口は四九・八%ということになりまして半数を割るわけでございますから、本当に職場に進出する婦人の数はふえざるを得ないという状況なんですけれども、婦人が低い技能のままで、狭い限られたいわゆる伝統的な女の仕事と考えられるような訓練職種の中で訓練されて出ていくということであれば、これはやはり婦人の潜在能力を伸ばさないということにもなりますし、全体的に見て人的資源の開発にとってはマイナスでもございますので、訓練科目の見直しをやっていただくときに、特に婦人に対しての職業能力の多様化というものをお考えになって訓練科目全般の見直しをやっていただきたいと要望いたしますが、労働大臣のお考えをお聞かせください。
#423
○国務大臣(山口敏夫君) 中西先生の御提案の趣旨も十分体しまして、この事業を進めていきたいと、かように考えております。
#424
○中西珠子君 大臣に大いに期待しておりますから、どうぞ頑張ってやってくださいませ。
 私、これで質問を終わります。
#425
○安武洋子君 今回の改正の背景、これはME化の技術の革新とか進展、それから高齢化社会への移行、サービス経済化の進行、こういうふうな社会的な変化がございます。それに対応したという側面もあると思いますが、同時に、その変化に伴いまして、職業訓練とかあるいは職業教育、その転換を主として企業の要請に沿った形で企業の中の訓練のあり方を転換するというふうなことで対応していこうとしているのではないかというふうに思います。
 そこで私、本法の改正によりまして労働者の教育権それから勤労権、この保障につながります公
共職業訓練の位置づけ、これが相対的に低下するのではというふうに懸念をいたします。職業訓練の重要な柱でございます公共職業訓練の位置づけ及び今後の拡充についてどういうふうに考えておいででございましょうか、御所見を伺います。
#426
○政府委員(宮川知雄君) 御指摘のように、技術革新、高齢化社会の到来あるいはサービス経済化あるいは女子の職場進出というような構造的な変化を背景にいたしまして今回の改正が考えられたわけでございますが、やはり企業が自分の従業員をしっかり教育する、教育投資というような言葉もございますが、これは本来当然のことでございまして、量的にも質的にも一番大事なものかと思われます。それを環境づくりをやることによって、特に中小企業を中心として企業の自主的な努力、当然行われなければならない努力を一層進めたいということ、それ以上でもそれ以下でもないところでございます。
 それから、公共の低下を招くのではないかという御心配でございますが、公共職業訓練につきましては、訓練基準の見直し等活性化を図り、あるいは都道府県に対する補助制度を改正することによりまして都道府県の自主性をより強く打ち出しているわけでございますが、公共職業訓練というものは公共でなければできないこと、例えば学校を出たばかりの人たちのための養成訓練、あるいは身体に障害のある人たちの訓練、あるいは離転職者の訓練、こうしたものはもう公共が当然やらなければならないことでございますが、それと同時に、中小企業、特に中堅以下の企業を対象にいたしまして、これについて各種のいろいろ助成を講ずる、これも公共の使命でございます。
 そうした意味で、公共職業訓練は今後一層拡充強化されなければならないものでございますし、この法律もそうした観点に立って展開されているものでございます。
#427
○安武洋子君 では、公共職業訓練の拡充に関連して、婦人の公共職業訓練の実施状況についてお伺いをしたいんです。
 まず、養成訓練、能力再開発訓練の実施状況、これはどうなっておりましょうか。これは入校比率もあわせてお伺いいたしとうございます。
#428
○政府委員(宮川知雄君) 女子の職場進出は、まさに構造変化をもたらすほどのものでございます。現在では雇用労働者の三分の一が女子、さらにその六割強が既婚者であるというような形になっておりまして、この傾向は今後さらに進むものと思っております。こうした就職状況の変化に伴いまして、女子一般におきましても、専門的な知識あるいは高度の技能、そうしたものを身につけたいという希望が大変高まっているところでございます。
 御質問の入校状況でございますが、養成訓練では五十六年度が四千二百六十六人、五十七年度が四千四百人、五十八年度が四千百四十七人、五十九年度は四千百六十五人というような状況になっております。また、能力再開発訓練で見ますと、五十六年度二万四千二百四十四人、五十七年度二万八千五百七十一人、五十八年度二万六千四百四十人となっております。
 女子のニーズに応じた訓練科としては、一般的に女子向きと言われるタイプ、一般事務等がございますが、最近は情報処理あるいは電子計算機等の科目を設置し、婦人、女子の就職の促進あるいは勉学の希望にこたえているところでございます。
#429
○安武洋子君 今の婦人の就業と申しますのは、パート労働者の増加ということが顕著でございます。いわゆるM型雇用の増加というふうなこと、さらには潜在的に多くの婦人が就職を希望いたしております。就業構造の基本的調査でもこのことが明らかになっているわけですけれども、その中で能力再開発訓練の入校率、これは私は一昨年、五十八年の四月十三日に決算委員会でこの点について御質問したんです。そのときの御答弁ですけれども、昭和四十九年度が三五%だったんですが昭和五十六年度には三九%に伸びた、こういう御答弁でございました。ところが今聞きますと、また三六%に下がるというふうな状況だというふうに思います。これは大変私は気がかりでございます。
 そこで、中央職業訓練審議会の答申でも、公共職業訓練のあり方等研究会報告書、この中で、「女子について多様な教育訓練ニーズを的確に把握しニーズに対応した教育訓練を推進する必要があること。」、こういう指摘がございます。こういう点、どのように努力をなさっていらっしゃるでしょうか、お伺いいたします。
#430
○政府委員(宮川知雄君) 訓練校入校者に占める女子の割合につきましては、今先生も御指摘があり、私も御答弁申し上げたところでございますが、特に公共職業訓練のあり方研からのそれも女子のニーズに合った訓練科目の開発ということが強く指摘されております。
 現在、婦人の入校率の高い訓練科といたしましては、英文タイプ、洋裁、洋服、美容、家政、給食、販売等がございますが、これだけではなくて、より高度の技能あるいは知識を身につけたいという女子の希望も高まっておりますので、電子計算機料、情報処理料等の科目を特は女子向けに設けることも行っているところでございます。
 また、現在婦人の専門訓練校が八校ございまして、北海道、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、京都と、こういう形でありますが、その定員千九百八十人に対しまして入校率――先ほど高杉先生から充足率というお話しございました。充足率は私どもで入校率と言っているところでございます。直ちに御答弁できなくて申しわけなかったと思いますが、この入校率で見てみまして、ほとんど九八%に達するような高い入校率となっております。
#431
○安武洋子君 婦人の職業訓練へのニーズという点で、訓練科目のニーズと同時に能力再開発訓練の場合家庭婦人も多いわけです。ですから遠くまで通って訓練を受ける、こういうわけにはいかないという婦人も多かろうと思います。したがって、もっと訓練校とか婦人の受講希望の多い科目、これはふやしてほしいというふうな希望もたくさんございます。婦人専門の職業訓練校、先ほどおっしゃいましたけれども、全国で八校ということではこういう要求に全くこたえられないというふうなことではなかろうかと思います。こういうニーズにも積極的にこたえていくべきではないか。今後どういうふうな計画をお持ちかということもあわせてお答えください。
#432
○政府委員(宮川知雄君) M型就業と申しましょうか、一たん子育てが終わってからの就業を希望する婦人がふえていることも確かでございます。そうした意味で、婦人の能力開発に一層努めるため婦人専門の訓練校を八校設けているわけでございますが、女子は何もこの婦人の専門訓練校だけではなくて、一般の訓練校にどしどし入校しているわけでございます。特にこうした形でやるのが効率的である、女子のニーズにも合うというところでこの訓練校があるわけでございます。
 それから、確かに御説のとおり、家庭婦人等が多くて遠くには通えないではないか、そういうことも実際ございます。そうしたことのために、従来委託訓練、公共職業訓練の一部を他に委託しましてこれを公共職業訓練とみなす措置をとっているわけでございますが、この委託訓練につきまして、今後はより拡大する方向で、つまり公共職業訓練ではなかなか対応できないような種類の科目、あるいはその地域にはたまたま公共職業訓練校が立地していない、そういうようなものにつきましては、委託訓練を大幅に拡大していきたいと思っております。その際、家庭婦人のそれにつきましても、状況等を考えまして、従来以上にこの委託訓練を、家庭から出てまいりました婦人が利用しやすいように考えてまいりたいと思っております。
#433
○安武洋子君 委託訓練をふやしていきたいということですが、その内容として、どのようなものをお考えになっていらっしゃるでしょうか。
 そして、今委託訓練はどのようなものをなさっていらっしゃるでしょうか。
#434
○政府委員(宮川知雄君) 委託訓練につきましては、現在公共職業訓練ではなかなか直ちには充足することのできないもの、あるいは性格的に、公共職業訓練が大体二次産業を中心にやってまいりましたので、三次産業の、特に医療関係等は公共職業訓練としましても不得手なところでございますので、そうした点を委託先として考えているわけでございますが、従来の委託訓練の科目といたしましては、女子向けといたしましては和文タイプ、一般事務、縫製、和裁、調理、洋裁、こうしたものがございます。今後は先ほど申し上げましたような、医療関係、工業計測技術、電子計算機、あるいは情報処理、そうした時代のニーズに沿ったものにつきましても委託訓練を考えていきたいと思っております。
#435
○安武洋子君 今回の改正案、これを見てみますと、事業主等の実施する職業訓練に対する援助、これが充実される一方で都道府県が設置をいたします公共の職業訓練施設の経費、この補助方式が現行の負担金方式から交付金方式に改められて定額化しております。長期的に見ますと、国からの補助が削減されるということになります。これによりまして公共職業訓練校、この縮小に私はつながるという心配をするわけですが、この点どのように対応されるおつもりでしょうか、お伺いいたします。
#436
○政府委員(宮川知雄君) 地方公共団体の運営いたします職業訓練校、身体障害者職業訓練校に要する経費のうち、特に運営費につきましてこれを交付金化するということでございますが、これは臨調の指摘もございましたが、お金を節約するためのものではございません。あくまで都道府県がそれぞれの地域の実情に応じて機動的、効果的に職業訓練を展開することができるようにと、そういう要請が強くございまして定額の交付金化を行ったところでございます。
 公共職業訓練のうち特に都道府県の占める割合は大変高うございまして、能力開発行政全体を考えました場合、都道府県の占めるウエートというものは今申し上げましたように大変高うございますので、これを後退させるようなことがあれば公共職業訓練あるいは全体の能力開発体制自体が後退することになります。これからの社会を考えますと、高度技術立国ということで、高度に技術、技能を維持する必要があります。そのための能力開発というものが強く求められているわけでございます。公共職業訓練を後退させることのないように十分努力してまいりたいと思っております。
#437
○安武洋子君 公共職業訓練校の後退を絶対に招かないようにということを私は強く要望しておきます。
 今回の改正で、職業訓練が職業能力開発と改められております。そして、一方で民間企業の訓練が大変重視をされているわけです。企業が広義に職業能力の開発をとらえた場合、この場合にはQCとかZD、こういうふうなことで生産性の向上とか企業への忠誠心、これを強化させる活動というふうなものも職業能力の開発の一環ということに今の現状からではなりかねないというおそれがございます。職業訓練の名のもとに企業の生産性向上活動、こういうものまでも取り入れることは私はあってはならないと思いますけれども、こういう点についてどのようにお考えでしょうか。
#438
○政府委員(宮川知雄君) 職業能力の開発という形で、従来の職業訓練からさらに一つ大きくなるといいましょうか、従来の比較的狭い観念からより高度の、あるいはより広い概念として能力開発を考えたわけでございまして、職業訓練あるいは技能検定あるいは有給教育訓練休暇、各種の民間の教育訓練機関の活用、そうしたものを総合的に利用いたしまして能力開発を計画的に進める、これが職業能力開発の基本理念でございますが、先生御指摘のQC活動、いわゆる小集団による生産管理活動といいましょうか、品質等の維持を目的とする小集団活動としてQC活動などがあるわけでございますが、これは品質管理のそれでございまして、直ちには職業能力の開発向上の動きとつながるものではないと私どもは思っております。
 ただ、生産性の向上ということになりますと、能力開発が適正に行われるならば当然のことながら生産性も向上し、労働者も企業もお互いに潤う、そういうことになってこようかと思っております。
#439
○安武洋子君 私はその教育、広い能力開発という中で、企業への忠誠心、こういうものは、単に技術が向上するとかそういうこととは別なんですよ。それまでもやはり職業能力の開発の一環というふうなとらまえ方をされるという危険があるのではないか。そういう点はどのようになさいますかということを私は伺っております。
#440
○政府委員(宮川知雄君) 企業への忠誠心ということでございますが、私ども、中小企業主と話をしておりまして一つ印象的なのは、教育訓練もいいけれども、教育訓練をするとお給料も上げなくちゃならないけれども、同時にどこかへ行ってしまう。だから教育訓練できないんだというようなお話も、これは決して冗談ではなくて、あると思います。
 今後の例えば有給教育訓練休暇制度を大いに促進しようと思っておりますが、これも仕事に直接の関係のあるもの、あるいはさらにその外側にありますいわゆる広い意味での職業能力、資質の向上を図るもの、こうしたものに使おうということでございまして、直ちにその日にその日の企業の生活と申しましょうか、生産に必ずしも結びつかないものであっても対象にしていきたい。つまり、広い意味で能力開発を図りたいということで、物によっては、企業忠誠心という言葉が今適当かどうかわかりませんが、そうしたものからむしろ乖離してしまうものも出るのではないかと私ども思っておりますが、それでも全体の水準が上がるということは大変好ましいことである、かように考えております。
#441
○安武洋子君 じゃ、職業訓練という名のもとに国がそこにお金を出す、しかしそこでやられることは、職業訓練という名前のもとに企業の生産性向上活動というふうなものまでも取り入れられていく、そういうことを容認なさる、こう承ってよろしいんですか。
#442
○政府委員(宮川知雄君) 私どもは、能力開発を積極的に進めたいと思いますが、それは、例えばQC活動のようなものを直接対象にしようとしているわけでは決してございません。結果として生産性の向上にもつながることも当然あるでしょう、そういうことをただ申し上げているだけで、私どもの能力開発行政というものは、別に企業への忠誠心あるいは依存心というようなものを特に盛り立てていこうというようなことを考えているわけでは決してございません。
#443
○安武洋子君 では、結果として云々とおっしゃいましたけれども、結局、職業訓練の名のもとに、企業の生産性向上活動というふうなものまでも取り入れるというふうなことは考えていないと、そういうことはしないというふうに承ってよろしいんですね。その点が間違いなければ、それを確認して、時間が参りましたので質問を終わりたいと思いますが、その点、もう一度お答えください。
#444
○政府委員(宮川知雄君) 私どもは、生産性向上運動のために能力開発行政を展開しているわけではございません。
#445
○抜山映子君 職業訓練法の一部を改正する法律案について、衆議院における我が党議員の質疑を踏まえて御質問したいと思います。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
 まず、十一条でございますけれども、職業能力開発に関し事業主の作成する計画については、会社の勤労課あたりが一方的につくるんじゃなくて、労働者代表が参画できるようにしてほしいわけです。これをどのように行政上担保をしていただけますでしょうか。
#446
○政府委員(宮川知雄君) 今回のこの改正におきましては、事業内における計画的な能力開発を促進することを重要なポイントとしております。このため、能力開発計画の作成、実施を諸施策の基本として位置づけ、これに基づいて、例えば生涯
能力開発給付金の支給等の措置が講ぜられるわけでございますが、この計画の作成に当たっては、いずれにいたしましても、労使の本当の意味の理解し合いというものが大変大事でございますので、労働組合の意見を聞くようにと、そういうことを省令で規定するなど、労働者の意見が十分この計画の作成に反映するように措置してまいりたいと考えております。
#447
○抜山映子君 同じことは十条の有給教育訓練休暇制度についても言えると思うんです。これが実効を上げますためには、ライフステージにおいて労働者の希望と自発性を尊重することが必要であるとともに、一方、この休暇がとれるようにするためには、会社内に予備員がなくちゃどうしようもないわけですね。このような観点から、やはり労使の協調、合意が重要であると思います。この点についても、行政上の担保をしていただけるようお願いいたしますが、お約束いただけますね。
#448
○政府委員(宮川知雄君) 能力開発の貴重な手段の一つといたしまして、有給教育訓練休暇制度が取り上げられているわけでございますが、労働者の自発的な意欲、こうしたものが大変大事でございますし、また、事業主のこれに対する理解、こういうものも大変大事でございます。そうした意味で労使が十分話し合うことがポイントになるわけでございまして、現在、この制度を普及するために財政援助を行っておりますが、そのための要件として、労働組合等の意見を聞いて職業能力開発計画を作成する、その中に有給教育訓練休暇制度が盛り込まれていると、こういうことを要件としているわけでございます。
 今申し上げましたように、有給教育訓練休暇制度は今後の能力開発の中心的な施策の一つでございますので、労使に対しその必要性を周知してもらうよう十分努める中で、労使が十分話し合えるような仕組み、これをつくっていきたいと考えております。
#449
○抜山映子君 十二条に、職業能力開発推進者を選任するようになっておりますけれども、これについては先ほどだれかが申し上げたと思いますが、これについても一方的選任にならないように、労働組合の同意を得るなどひとつ行政上努力していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#450
○政府委員(宮川知雄君) 計画の作成につきましては、その対象がストレートに労働者であるということで、また労使の理解があって初めて教育訓練がスムーズに動くということで、意見を聞いてもらうような仕組みを行政上も考えていきたいと思いますが、職業能力開発推進者と申しますと、訓練担当の、例えば課長、部長あるいは人事課長というような職制の人ということに一般的にはなろうかと思います。そうした意味では事業主による選任行為でございまして、直ちにこれを労働者側の意向にかかわらしめるということはなかなか難しいことと思います。
 しかしながら、今申し上げましたような、労使が真に話し合って事態を進める、お互いに理解し合うことが大変大事であるということを前提にいたしますと、実行上としては、何らかの形で十分労働者側の理解が得られるように、こうしたことを使用者側の団体等とも十分話し合ってみたいと思っております。
#451
○抜山映子君 私が申し上げたのは、公的な同意という意味ではなくて、ただいま御説明くださいましたような趣旨で労組の内々の意向を聞きながらと、こういう意味でございます。
 また、労組内に担当者を設けて、労使が協力して労働者の能力開発を推進する態勢が必要と思われますけれども、この点についてはもちろん行政上考慮していただけると思いますが、お約束いただけますね。
#452
○政府委員(宮川知雄君) 労働組合の意向を十分尊重しながら能力開発推進者が行動する、これはもう絶対の基本でございますので、当然労働組合等があり、また、推進者が置かれるようなところは、また組合としても十分それに対置するような人々がおるわけでございますので、そうした人々とも当然のことながら推進者は連絡をとるのがより望ましいと、講習会等の席上十分そうした話も進めていきたいと思っております。
#453
○抜山映子君 技術革新の進展が、ワードプロセッサーとかオフィスコンピューターの導入ということで、オフィスにおいて急速に進展していると思うのでございます。こうしたOA化の進展により影響を受けますのは、一般事務ということで、男子労働者よりさらに女子労働者の方が影響を受けている面が多いんじゃないかと思います。労働省は、このOA機器の操作にどの程度の女子労働者が従事しているか、把握していらっしゃいますか。もし年齢別の状況がわかれば、明らかにしてください。
#454
○政府委員(宮川知雄君) 私どもの方で、五十八年、一昨年の十月に技術革新と労働に関する調査をしてございます。その際ほ、OA機器等を使用している女子労働者の割合、これが調査の対象になりましたが、女子労働者全体の六割、女子全部で六割の人々がOA機器を使用しているということになっております。その際、三十歳未満で六五・四%、三十歳から三十九歳で五四・三%、四十歳から四十九歳で三五%、五十歳以上の女子では二五・一%ということになっております。
 ちなみに、これに対置いたします男子におきましては、OA機器を使用している者が全体として四六・七%。女子は六〇・一%でございますが、三十歳未満の男子は五八・五%と、ほぼ女子に匹敵する高い比率を示しているところでございます。あとは年齢が上がるにつれまして男子もだんだん使用している者の割合は低下しております。
#455
○抜山映子君 そうしますと、労働省はOA機器の操作を習得しようと努力している若い人たち、特に女性が多いわけですけれど、また年齢別に見ても男女とも若い人たちが大変に多いわけですけれども、そういう人たちのために、例えば有給教育訓練休暇制度を一層奨励して普及させて、新しい技術や技能の習得について援助すべきと考えますが、いかがでしょうか。
#456
○政府委員(宮川知雄君) 技術革新の進展の非常に激しいこの経済社会情勢の変化する中で、労働者がみずから目標を見出し、新しい技術や技能の習得等に努力する、これが大変大事でございまして、そうした意味からいきまして、今御指摘ございましたように、有給教育訓練休暇制度、これの普及を図ることが大変大事なものと思っております。このため今回の法改正におきましても、正面から事業主の行う必要のある措置の一つとして有給教育訓練休暇を取り上げて規定したところでございます。
 まだまだ普及が進んでいない状況が現実でございますが、今後事業主に対する各種の講習会あるいは資料の提供、相談等の機会を通じてその普及を図ってまいりたい、かように考えております。
#457
○抜山映子君 OA機器の操作に当たっての職業能力の開発、教育訓練は、先ほど同僚議員も質問されましたように、回答はかなり手薄のようでございます。
 一九八五年一月の全日本労働総同盟が行いました調査なんですが、「ME機器導入に関する組合員の意識調査」というものがございます。これによりますと、メーカー派遣、社外教育等による集中的教育訓練は三七・二%、自分で習得した者が二三・一%と、こういうような結果でございまして、その結果、そのときの教育訓練が十分であったと答えた者はわずか六・六%、不十分であったと答えた者が四五・八%でございます。したがいまして、OA機器の教育訓練、ひとつこれからも大いに充実していただきたいと切望するものでございます。
 それから女性の、特に母子家庭の母親でございますけれども、これらの人たちが受ける教育訓練というものが、その教育訓練を受ける期間についての生活条件が整備していませんと、せっかく機会を与えられても生かせないわけでございます。そこで、母子家庭の母に対する訓練手当は随時増額していくべきと思いますが、これまでどういう動きになって、これからどういうようなお考えで
いらっしゃるか、御回答ください。
#458
○政府委員(宮川知雄君) いろいろな事情で公共職業訓練をなかなか受けにくい人、しかも社会的にそうした人たちについて適切な措置をとることが要請されている人々につきましては、雇用保険の失業給付を受けていない場合には雇用対策法に基づく訓練手当が支給される、もちろん一定の要件のもとにでございます。その際、母子家庭の母親につきましては、公共職業安定所の受講指示により公共職業訓練、当然のことながら委託訓練を含んでおりますが、受講する場合には手当が支給されております。この手当は年々改善されておりますが、六十年度予算といたしましては、基本手当、技能習得手当を含め月額平均十万八千九百五十円でございまして、前年の五十九年度より二・二%増となっております。
 物価の上昇、生活費の増高等いろいろ考えますと、訓練手当をきちっと増額していくということは訓練の効果を高めるために全く必要なことでございますので、この手当の改善に今後とも努めてまいりたいと考えております。
#459
○抜山映子君 先ほど同僚議員の女子専門の訓練校が幾つあるかという質問に対してたしか八校というお答えがございました。これではとても需要にマッチするものではないと存じます。
 そこで、専修学校とか各種学校とか、現在非常に隆盛を見ております各種の教育訓練施設を活用して、女子労働者の能力開発の機会を拡大すべきと思いますが、いかがでしょうか。
#460
○政府委員(宮川知雄君) 女子専門の訓練校は八校でございますが、女子の入校は、一般の訓練校も原則として特に女子を拒むというようなことは一切ございません。相当の入校、それから訓練が行われているところでございます。
 ただ、御指摘のように専修学校等、各種学校現在非常に盛んでございまして、かなり優秀なものもございます。これとのタイアップということも大変大事なことで、新しいこの法律ではそのためのいわゆる委託訓練制度の拡充を意図しているわけでございまして、対象者の拡大、内容の拡大、訓練の期間の弾力的な運用等など見直しを図っているところでございます。
 こうした中で、女子の委託訓練の利用ももっと積極的に考えていきたいと、かように考えております。
#461
○抜山映子君 OA機器等の操作については会社で行う教育訓練の割合が約六割を占めておりますけれども、こうした教育訓練を行うに当たりましては、人件費等相当の負担が強いられると思うのでございます。企業に対する援助、助成措置の充実を図るべきだと思います。特に中小企業においてはそういうことが必要だと思いますが、いかがでございましょうか。
#462
○政府委員(宮川知雄君) OA機器には限りませんが、技術革新の波というものが全体を洗っておりますので、特に中小企業に対しましては、認定訓練、国と都道府県とで助成しておりますが、ME関連の場合には、特に割り増し的に手厚い助成をしてございます。また、五十七年度から能力開発給付金制度を実施し、能力開発給付金を支給しているところでございますが、特に六十年度からは経営基盤の弱い中小企業に限りまして、従来これは企業の大小を問わず三十五歳以上、特に四十五歳以上を手厚くしておりましたが、三十五歳末満のところが穴があいておりました。中小企業に限りまして、二十五歳から三十五歳までいろいろな教育訓練、新しい教育訓練をする場合にこれを助成すると、その制度を取り入れたところでございます。
#463
○抜山映子君 先ほど委託訓練制度、特に女子の委託訓練制度についても力を注いでいきたいという御回答をいただきました。従来、女子の委託訓練と申しますと、調理士の関係とか自動車教習所の関係が多いように聞いております。したがいまして、こういうことでは甚だ心もとのうございますので、ひとつこれも専修学校など開放策を講じていただいて、さらに拡充をお願いしたいと思います。
 私の質問はこれで終わります。
#464
○下村泰君 私の場合は、身体障害者に絞って質問をさせていただきます。
 なお、労働大臣が御都合があって少しでも早く行かなければならない場所があるんだそうで、それに合わせていきますので質問時間は若干短くなると思います。しかし、濃密なひとつお答えを願いたいと思います。
 この法改正の趣旨と身体障害者職業訓練の改善について御質問いたします。
 技術革新の進展、高齢化社会の到来といった経済社会の変化に対応して、今回職業訓練法を職業能力開発促進法に改めるというのではありますが、まずその御趣旨と、特に今回の法改正は身体障害者の職業訓練にどのように改善となるのか、具体的に御説明ください。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
#465
○政府委員(宮川知雄君) 現行の職業訓練法は、どちらかといいますといわゆる二次産業の、しかも入口での養成訓練において手職をつけるというような印象が強うございますが、新法におきましては、全方位の労働者の全職業、生涯を通じて段階的、体系的に能力開発を図ろうと、そうした意味で公共におきましても、事業主におきましてもそれぞれ一生懸命努力して能力開発を進めたいと、そういうことで、法律の名称も職業能力開発促進法と変えたところでございます。
 特に身障者のそれにつきましては、法律の三条の二の基本理念のところの一部におきまして、「身体に障害がある者等に対する職業訓練は、特にこれらの者の身体的事情等に配慮して行われなければならない。」と明言されているところでございます。
 これを受けまして現在身体障害者職業訓練校は、国のものが十二校、都道府県のものが六校で身体障害者の職業訓練を行っているわけでございますが、一般健常者と一緒に教育訓練を受けることが本来一番望ましいというように、これは世界的な理念としても確立されているところでございます。したがいまして、健常者とともに教育訓練を受けることのできる人についてはそうした一般校に入ってもらう、そのための施設の改善等を積極的に進めているところでありますし、また、どうしても障害が重篤あるいは重複化しているということで一般訓練校には入りにくい身体障害者の人々につきましては、この身体障害者訓練校、事前にいろいろな導入訓練あるいは適応訓練的な訓練を行い、また、雇用促進事業団が各部道府県に設置しております心身障害者職業センターがございますが、ここでの特別のカウンセラーによって適性の判断をし、その判定を受けて公共職業訓練校あるいは身体障害者職業訓練校においてもそれぞれの特性に応じて、あるいは作業用補装具がどうであるか、あるいはどういう訓練方法がいいか、どういう訓練科目がいいか、訓練期間はどのぐらいがいいかと、きめ細かに一人一人について方策を立てた上で訓練を進めているところでございます。
 今後とも、この法律の趣旨も踏まえ、より一層きめ細かい訓練を進めてまいりたいと考えております。
#466
○下村泰君 今おっしゃったように、大変すばらしいとは思いますけれども、事実を直視しますと、例えば十七校が五十七年に一校ふえて十八校になった、ところが入校率は五十七年以降順次減少の傾向にあるんですね。それから就職率も、五十五年以降毎年減ってきているんです。これはどういうところに理由があるのか、把握していらっしゃいましょうか。
#467
○政府委員(宮川知雄君) 御指摘のように、入校率が五十五年六五・三%、計でまいりますと六六・三%が五十六年六八・六%、それから五十九年で見ますと六六・九%と、大体横ばいに推移しているようでございます。入校率が、全体のその枠からいたしましてかなり余裕があるということは、一面、大変悲しいことでもございます。
 その一つとしましては、やはり症状の重篤化、多様化、あるいは複合化が確かに最近進んでまい
りまして、なかなか公共職業訓練施設、特に身障校をもってすら受け入れにくい人々がふえているというのが一面の事実であろうと思っております。
#468
○下村泰君 まだ細かく詰めていきたいんですけれども、大臣の都合もありますからね。
 先般の身体障害者雇用促進法の改正時につけられた附帯決議を受けて、精神薄弱者雇用対策研究会を労働省内に設置したと聞いておりますけれども、どういうことを研究するのか、今回の法改正においてどのように対処されるのか、あるいはされたのかお尋ねします。
#469
○政府委員(宮川知雄君) 障害者の職域拡大につきましては、障害者の適職に関する調査研究を進めるとともに、可能な限り障害者の就労が容易になるように努めているところでございます。
 現在、雇用職業総合研究所、身体障害者雇用促進協会、それから国立職業リハビリテーションセンターにおきまして、視聴覚障害者等就職困難者の職域拡大、障害の特性に応じた作業環境の設定、精神薄弱者等の職場適応指導等について研究を行っているところでございます。
 先ほど先生御指摘のそれに基づいての調査研究でございますが、地域レベルにおきましても公共職業安定所を中心といたしまして、障害者の雇用好事例の収集やその提供等を通じて障害者の職域拡大に努めているところでございます。
 なお、昭和六十年度から、先ほど御説明申し上げたところでございますが、職域拡大のため、欠損機能を補うものであって、障害者が容易に操作できるようなME機器の研究開発を五カ年計画で実施することとしているところでございます。
#470
○下村泰君 そのME機器についても詰めたいんですけれども、大臣、御要望がありましたのでこれでおしまいにしますけれども、今後のこの身体障害者職訓制度、職業訓練制度の充実と強化策について、つまり、名称を単に変えただけでなく、私は常に希望をいたしておりますこの身体障害者、精薄あるいは精神障害者、こういうすべてを含めてどういうふうにこれから対処していくのか、名称を変えただけじゃ何の役にも立たないんですから、大臣のこれからのあれに対する御見解を承りたいと思います。
#471
○国務大臣(山口敏夫君) 先ほど宮川局長からも御答弁申し上げましたけれども、健常者とともに職業訓練を受けるのが可能な方につきましては一般職業訓練校への入校促進、そして困難な方については身体障害者職業訓練校への入校促進、また障害の重度化等に対応し、吉備高原総合リハビリテーションセンター内の身体障害者職業訓練校の新設等を含めまして、私はそういった身体障害者の職業訓練、雇用の問題というのは非常に労働省としても重点的に取り上げなければならないということで、省議においても常に提唱しておるところでもございますが、これは具体的に予算の時期における獲得面でございますとか、そういった省内の施策の整備を通じておこたえをしていくということが私の責任であるというふうに考えております。
#472
○下村泰君 とにかく、いろいろと身体障害者の問題に関しましては非常に問題が多うございますし、そしてそう簡単に片づかない問題が多々あります。これだけやってもういいのかというとそれじゃ足りない。じゃ、こうしたらいいのかというとそれもだめというような問題にしばしば直面するんですから、どうぞひとつ意を体していただいて、事細かに面倒を見て差し上げていただきたいと思います。
 終わります。
#473
○委員長(遠藤政夫君) 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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