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1984/04/23 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第17号
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1984/04/23 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第17号

#1
第102回国会 社会労働委員会 第17号
昭和六十年四月二十三日(火曜日)
   午後三時七分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     抜山 映子君     藤井 恒男君
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     森山 眞弓君     斎藤 十朗君
     久保田真苗君     和田 静夫君
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     前島英三郎君     矢野俊比古君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤 政夫君
    理 事
                佐々木 満君
                関口 恵造君
                高杉 廸忠君
                中野 鉄造君
    委 員
                石井 道子君
                大浜 方栄君
                斎藤 十朗君
                曽根田郁夫君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                村上 正邦君
                森下  泰君
                矢野俊比古君
                糸久八重子君
                浜本 万三君
                和田 静夫君
                中西 珠子君
                安武 洋子君
                藤井 恒男君
                下村  泰君
   委員以外の議員
       発  議  者  片山 甚市君
   国務大臣
       内閣総理大臣   中曽根康弘君
       厚 生 大 臣  増岡 博之君
   政府委員
       内閣法制局第四
       部長       工藤 敦夫君
       総務庁長官官房
       審議官      手塚 康夫君
       防衛庁防衛局長  矢崎 新二君
       経済企画庁調整
       局長       赤羽 隆夫君
       外務省欧亜局長  西山 健彦君
       外務省経済局次
       長        恩田  宗君
       大蔵大臣官房審
       議官       大山 綱明君
       大蔵省主計局次
       長        保田  博君
       厚生大臣官房長  下村  健君
       厚生大臣官房総
       務審議官     北郷 勲夫君
       厚生大臣官房審
       議官
       兼内閣審議官   古賀 章介君
       厚生省社会局長  正木  馨君
       厚生省年金局長  吉原 健二君
       社会保険庁年金
       保険部長
       兼内閣審議官   長尾 立子君
       労働大臣官房審
       議官       野見山眞之君
       労働省職業安定
       局高齢者対策部
       長        小野 進一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       大蔵省主税局調
       査課長      薄井 信明君
       厚生省年金局年
       金課長      山口 剛彦君
       厚生省年金局数
       理課長      田村 正雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国民年金法等の一部を改正する法律案(第百一回国会内閣提出、第百二回国会衆議院送付)
○戦時災害援護法案(片山甚市君外五名発議)
    ─────────────
#2
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十八日、抜山映子君が、十九日、森山眞弓君及び久保田真苗君がそれぞれ委員を辞任され、その補欠として藤井恒男君、斎藤十朗君及び和田静夫君がそれぞれ選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(遠藤政夫君) 前回に引き続き、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○高杉廸忠君 本委員会における年金審議も大詰めを迎えました。年金審議に際し、今回の政府案に対しては、今日までその質疑を通じて同僚の和田委員、安恒委員、対馬委員、糸久委員の各委員がその問題を浮き彫りにしてまいりました。それは基礎年金の性格、水準、財源、経理区分の不明確、フルペンションを受給できない者の増大、無年金者を生ずること、全く不十分な資料提出の政府の姿勢、改正に伴う激変する者の放置、さらに婦人の立場から、真に独立した年金権の確立がなされていないこと、また、母性保障の立場からの配慮が全く欠落をしていることなどが明らかにされてきたところであります。したがいまして、私は、今日までただされてまいりませんでしたことを中心にして、以下、数点に絞って質問を行いたいと思います。
 まず、基礎年金と他の施策、生活保護との関係について伺います。
 国民共通の基礎年金が確保されるということになれば、老後の生活、所得保障として生活保護の位置づけはどうなるのか、まず伺います。
#5
○国務大臣(増岡博之君) 生活保護との関連についてのお尋ねでございますけれども、既に御承知のとおり、生活保護は憲法第二十五条の理念に基づきまして、生存権の最後のよりどころとして、すべての国民に対し最低生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的といたしておるわけでございます。したがいまして、生活保護は、年金を含めまして収入、資産、その他あらゆるものを活用してもなお最低生活を営むことが困難な場合に、その不足を補う程度において行われるものでありまして、この考え方は、基礎年金の導入によりましても変わっておるわけではございません。
#6
○高杉廸忠君 この問題について、年金局と社会局は十分協議をしましたか伺いたいんです。協議をしたなら、提案までに何回、いつ協議をしましたか。また、そこではどのような点が協議の問題として出てきていましたか。そして、その結論はどうなりましたか。
 以上の諸点について、明らかにしていただきたいと思います。
#7
○政府委員(吉原健二君) 基礎年金と生活保護との関係でございますが、今回の改正案を作成するに当たりましては、省内におきましても関係各局と繰り返し各種のいろいろな点で協議をし、相談をして今回の改正案をまとめたわけでございます。
 生活保護との関係につきましても、年金制度と生活保護の考え方、機能、目的の違い、現在の生活保護の基準額がどうなっているか、生活保護の運用の実態がどうなっているか、そういったことも十分社会局からお伺いをいたしまして今回の年金改正案の作成に当たったわけでございます。
 具体的には、年金といいますのは、言うまでもございませんが、収入とか資産、その他世帯の個個の状況というものにかかわりなく、いわばそういった面では画一的に一定の要件に該当すれば年金を支給するというものでありますけれども、生活保護はそうじゃございませんで、資産調査、収入調査を個別に行った上で、世帯の個々の状況、世帯人員その他個々の状況に応じまして最低生活を保障するためは必要な額を保障するものでございまして、両者は制度の目的なり機能というものを全く異にしているわけでございます。したがいまして、基礎年金と生活保護を水準の上でリンクさせる、合わせるというような考え方は、基本的に私どもとっていないわけでございますけれども、ただ、基礎年金のこの五万円という水準を設定をするに当たりましては、現在の老人世帯に対する生活扶助の基準の水準がどうなっているか、そういったことも十分踏まえまして基礎年金の水準というものを設定をいたしたわけでございます。
 十分社会局とも意見の調整をし協議をいたしまして、基礎年金の考え方、金額というものを決めた次第でございます。
#8
○高杉廸忠君 どうも今の答弁は縦割り行政の欠陥をまさに露呈しているのではないかと思うんです。
 本来、国民共通のものとして老後の所得保障としての基礎的部分を基礎年金に移行しようというのであれば、当然生活保護はそれを補完するものとして位置づけられるものである、それが理屈だと思うのです。いかがですか。
#9
○政府委員(正木馨君) 年金制度と生活保護につきまして、それぞれの制度の目的、機能につきまして今年金局長からも答弁があったわけでございますが、今先生のお話しの、生活保護というものは年金による所得保障を補完するものとして位置づけられるものではないかというお話でございます。まさにそのとおりでございまして、改めて申すまでもありませんが、生活保護法第四条は、「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。」ということで、他法、他制度におきますもろもろの措置、それによってなお最低生活の維持ができないものについてこれを補完するという生活保護法の性格については、先生おっしゃるとおりでございます。
#10
○高杉廸忠君 しかし、現在予測されるのは、多数の無年金者あるいはフルペンションを受給できない者の発生である。したがって、これらの人たちが他に収入を得る方途がない場合、公的な援助としてそれならどのように対処しますか。それを伺います。
#11
○政府委員(正木馨君) これも御案内の生活保護法第二条で、「すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護を、無差別平等に受けることができる。」と定められておるわけでございます。他制度、他施策というものを受給できない人たちという方々に対しましては、最終的には、最低生活の保障ということで生活保護の対象になるということは申すまでもないところでございます。
#12
○高杉廸忠君 本来、公的年金も公的扶助も国の制度でありますから、基礎年金ができたときには、生活保護との関係を明確にしておく必要があるのではないかと考えるのです。
 イギリス、スウェーデン等の外国においては、その関係はどうなっていますか、伺います。
#13
○政府委員(吉原健二君) 諸外国でも、所得保障として年金制度、公的年金とそれからそれとは全く別に公的扶助、我が国で言います生活保護の制度があるわけでございますけれども、その関係を申し上げますと、イギリスについて申し上げますと、イギリスは生活保護、サプルメンタリーベネフィット、補足給付というふうに言っているようでございますが、その水準を比較をいたしますと、イギリスにも基礎年金制度というのがございますけれども、生活保護と基礎年金の水準を比べますと、生活保護、補足給付の水準の方が高い。逆に言いますと、基礎年金の水準の方がやはり低い。公的扶助よりも、生活保護の基準よりも基礎年金の水準の方が低いようになっているわけでございます。
 それからスウェーデンでも、基礎年金と、それからその上に所得比例の制度が二階建て部分としてある。ちょうど二階建て年金構想を持っているわけでございますが、スウェーデンでは、生活保護というのは国の制度としてではございませんで、全部市町村の制度として運営をされておりまして、その市町村の制度としての生活扶助の基準が、市町村によってまちまちでございます。違いがあるわけでございますけれども、大体基礎年金の額の前後で生活扶助の基準を決めているようでございます。
 それから、基礎年金という仕組みをとっていない諸外国について申し上げますと、フランスでございますが、フランスでは、従前賃金の高にかかわらず定額部分の年金が支給されることになっておりまして、それが最低保障額と呼ばれているわけでございますけれども、フランスの場合には、三十七年半拠出した場合に年金の額は邦貨に換算をいたしまして六万八百六十三円、六万円ちょっとの金額でございますが、老人の生活扶助基準に相当いたします老人ミニマムの額はどうなっているかといいますと、六万三千円ちょっとの額でございまして、フランスにおきましても、生活保護の基準と年金の最低保障額を比べてみますと、むしろ生活扶助の基準の方が高いという実態になっております。
 それから、西ドイツ、アリメカでございますが、こういった国につきましては、年金制度に定額部分でありますとかあるいは基礎的部分、基礎年金といったものがございませんので、ちょっと先ほどのような比較が難しいわけでございます。
#14
○高杉廸忠君 我が国では、社会保険方式をとっていくためにその間の調整が逆に必要ないという不自然な形になっていると思うのですね。なぜならば、真に全国民共通の基礎年金になっていかないと予想されるからであると、こう思うのです。本来、国民共通の基礎年金を目指すならば、そこではそれが貫徹されることを前提として公的扶助のあり方も見直していく、あるいは位置づけを明確にしていくというのが筋道であると思うからであります。
 そういった点でも政府の検討は全く不十分であると言わざるを得ない、どうですか。
#15
○政府委員(正木馨君) 先ほども申し上げたわけでございますが、生活保護法は国民に対する最低生活の保障という最後のよりどころであるということで、生活保護にもろもろの原則があるわけでございますが、一つの大きな柱は、やはり保護の補足性ということだと思います。やはり、他法、他制度というものが充実され、そしてそれを活用することによってなお最低生活が維持されない場合には生活保護制度というものによってバックアップをしていく、これが我が国の公的扶助の基本的な体制でございます。こういった公的扶助の基本的な建前ということについては今後も守っていかなければならないというふうに私ども考えておるわけでございます。
#16
○高杉廸忠君 これはぜひとも老後の生活の所得保障として位置づけられていくように、要請をしておきます。
 次に、特別障害者手当について伺いますが、従来の福祉手当は手当の額も月額一万八百円と少額で、その性格は大変あいまいでありまして、この際、この特別障害者手当の性格、金額の算出根拠等についてひとつ説明をいただきたいと思うんです。
#17
○政府委員(正木馨君) 障害者の所得保障の問題につきましては、昭和五十六年の国際障害者年を契機としまして障害者問題がいろいろ論議されましたが、その一つの柱であったわけでございます。
 それで、障害者の所得保障のあり方ということにつきまして、障害者生活保障問題専門家会議で検討をなされまして、それが障害基礎年金、それから特別障害者手当の創設という問題の一つの御意見として浮かび上がってきたわけでございますが、特別障害者手当は、端的に申しますと、現在ございます福祉手当を再編構築する制度でございます。この特別障害者手当の創設につきましていろいろ議論があったわけでございますが、現在の福祉手当は、先生ただいまおっしゃいましたように、重度の障害者に一万八百円ということでございますが、これは主として障害福祉年金の受給者に出されるということでございます。それで、障害福祉年金は三万八千四百円、福祉手当は一万八百円ということで、合わせて四万九千二百円となるわけでございますが、現在御審議いただいておる障害基礎年金は一級の場合六万二千五百円ということで、障害福祉年金と福祉手当を合算した額を超えるということでございます。
 それで、福祉手当は本来重度障害者に対する慰謝、激励的な性格も持っておったわけでございますが、実際問題として障害福祉年金と拠出制年金との格差がある。この格差を縮小するという働きを持っておったわけでございます。したがって、障害基礎年金ということでその水準が上がることによりまして、一つの意見としては、福祉手当の使命はもう終わったんではないかという意見もございました。しかし、障害者生活保障問題専門家会議におきましては、この点についても議論がなされまして、「現行の福祉手当制度についても、所要の見直しを加え、障害の特に重い者のニーズに的確に応えられるよう給付の重点化を図る必要がある。」ということが示されました。したがって、従来の福祉手当よりもさらに重度な障害者の方々に、その障害による特別な負担というものも考慮いたしまして給付をしようというのが特別障害者手当でございます。
 その額につきましては二万円ということでございますが、これも、今の専門家会議で述べられておりますのは、「最重度の障害者への給付額は、現行の福祉手当給付額の二倍程度を目途とすることが適当である。」ということが述べられております。この御意見を十分参考にいたしまして二万円ということでお願いをしておるわけでございます。
#18
○高杉廸忠君 昭和五十年この制度が創設される際の国会審議においても、当時の社会局長はこう言っているんですよ。「内容としていわゆる精神的慰謝と申しますか、あるいは肉体的な負担に対する慰謝と申しますか、そういうことを含めた額でございまして、必ずしも介護あるいは監護そのものに着目した金額ではございませんので、いわゆる精密なる算出根拠というものはないわけでございます。」と、このように答弁しておるわけなんですね。この答弁でもその性格のあいまいさはわかると思うんです。
 今回、成人の重度障害者にはこの制度をやめて、今お話しのように月額二万円特別障害者手当を創設しようとしているわけでありますが、しからばこの手当の性格はどのように説明するんですか。また、二万円の算出根拠、この根拠についてはどうですか、伺います。
#19
○政府委員(正木馨君) 先生今お話しのございました、確かに昭和五十年の四月でございましたか、福祉手当の性格をめぐりまして片山甚市議員の御質問に答えて当時の翁社会局長が答弁をいたしております。その中身につきましてはまさに先生のおっしゃるとおりでございます。
 この福祉手当の性格につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、昭和五十年度に創設されたわけでございますが、福祉措置の一環として、在宅の重度障害者に対して、その障害による精神的、物質的な特別の負担に着目する、そして慰謝、激励的な性格のものとして創設されたわけでございます。しかし、一方におきまして、これも先ほど申し上げましたように、福祉年金と拠出制障害年金との格差を縮小するという事実上の効果も果してきたわけでございます。
 今回の特別障害者手当というのは、障害者生活保障問題専門家会議でもいろいろ議論をされましたが、障害者の所得保障といった問題を考える場合に、軽度の障害者の場合と重度の障害者の場合とそれはいろいろ考えなければならぬのじゃないかということで、障害基礎年金的なものによって生活の基盤というものを確立する一方におきまして、重度の障害、特に常時特別な介護を要するような重度の障害者に対する所得保障の一環としてこの制度を設けようということで創設をお願いしておるのが特別障害者手当でございます。その額につきましても、専門家会議では、現行の福祉手当というものを再編して重度の方々に重点的に給付するということで、現行福祉手当の二倍程度が妥当ではないかというような御意見が示されておるわけでございます。
#20
○高杉廸忠君 どうも明確でないですね。ちょっと困るわけですよ。一級の障害福祉年金六万二千五百円と合わせると八万円ですね。この程度の額を所得保障として確保しようという、そちらの方から私は額が決まってきているのじゃないか、こう思うんです。だから、それに後から説明をつけ加える、こういうのが実態だと思うんですね。どうですか。
#21
○政府委員(正木馨君) 繰り返すようでございますが、やはり特別障害者手当というものの額を定めるに当たりましては、先ほど申しました専門家会議の意見というものも十分参考にいたしたわけでございますが、やはり常時特別な介護を要する障害者の場合には、一般の障害者に比べて特別な負担というものが生ずる、こういった面を考慮して、やはりそういった方々についても生活の基盤となる給付というものをどの程度考えるべきかということをいろいろ検討いたしました結果、専門家会議の御意見等も踏まえまして、特別障害者手当は二万円ということでお願いをいたしておるわけでございます。
#22
○高杉廸忠君 それならば、さらにちょっと深く質問したいと思うんですけれども、今後手当の改善の考え方の基準は何に依拠していくつもりですか。この際、明らかにしていただきたいと思うんです。どうでしょう。
#23
○政府委員(正木馨君) 特別障害者手当は、常時特別な介護を要する障害者の方々の特別な負担に着目して設けようというものでございましたが、現在、この創設について御審議を願っておるわけでございます。
 ところで、今後の問題ということでございますが、やはりこの特別障害者手当の趣旨というものを十分踏まえまして、また、一方におきましては障害者に対する他施策あるいは他制度の動向というものを踏まえながら、そのあり方というものを絶えず考えていかなければならないというふうに思っております。
#24
○高杉廸忠君 ところで、従来の福祉手当もそうでありましたが、これが特別児童扶養手当等の支給に関する法律の中に規定していく意味がどこにあるのか。どうもこういった措置の延長線上に制度のあいまいさがあると思えてならないんです。その点はどうですか。
#25
○政府委員(正木馨君) 特別障害者手当についての定める法形式についてのお尋ねでございますが、現行の福祉手当制度、これも現在の特別児童扶養手当等の支給に関する法律の中に規定をされておるわけでございます。これはやはり障害児・者を通じての手当についての法律として特別児童扶養手当法の中に位置づけたものであるわけでございます。
 今回の特別障害者手当というものは福祉手当を再編構築して新たに設ける制度でございますが、対象は単に身体障害者だけではなく、精神障害者の方々、精神障害と身体障害を重複された方々とか、そういった方々も対象としておるわけでございまして、やはりそういう障害者に対する手当制度というものを考えました場合に、現在の特別児童扶養手当法に定め、そして現在の特別児童扶養手当法に定める手続に従って給付を行うというのが適切妥当ではないかというふうに私ども判断をいたしたわけでございます。
#26
○高杉廸忠君 次に、支給対象者でありますが、現在の重度障害者の定義は、「別表第二に定める程度の障害の状態にあるため、日常生活において常時の介護を必要とする者」、こうしているわけです。これに対して新しい法律では特別障害者という概念を持ってきて、「政令で定める程度の著しく重度の障害の状態にあるため、日常生活において常時特別の介護を必要とする者」、こうしているんですね。従来の福祉手当支給対象者と異なった感じを与えているんです。私は、手当受給者に不安を与えていると思うんです。
 その間に相違があるのかどうか、その点伺います。
#27
○政府委員(正木馨君) 先生おっしゃいますように、現在の福祉手当は、「日常生活において常時の介護を必要とする者」、こう定められております。特別障害者の場合には、「政令で定める程度の著しく重度の障害の状態にあるため、日常生活において常時特別の介護を必要とする者」ということで、現在の福祉手当の受給者よりもさらに常時特別な介護を要するような特に重い障害者の方方を対象とするということで考えておるわけでございます。
 この考え方は、先ほどもちょっと申し上げたわけでございますが、障害者に対する年金水準というものが現在の福祉年金から障害基礎年金ということで大幅に向上することに伴って、福祉手当制度というものはいわばのみ込んだと申しますか、という水準になるわけでございますが、障害者の専門家会議におきまして「現行の福祉手当制度についても、所要の見直しを加え、障害の特に重い者のニーズに的確に応えられるよう給付の重点化を図る必要がある。」ということが述べられております。そういうことで、現在の福祉手当制度の対象よりもさらに対象を絞ると申すとなんでございますが、重い方々を特に対象にいたしましてこの制度を考えていこうということでございます。
#28
○高杉廸忠君 それでは、支給対象者数にどの程度の相違が出てくるのか、その数をちょっと示してください。
#29
○政府委員(正木馨君) 対象者につきましては、政令で範囲を定めるということでございますが、現在私どもが考えておりますところを申し上げさせていただきますと、現在の福祉手当の支給対象者は六十年度予算におきまして約四十一万人程度と見込んでおります。このうち二十歳以上の方は約三十五万人でございます。特別障害者手当の支給対象者、これは常時特別の介護を要する方々ということで、現在のところおおむね十五、六万程度というふうに見込んでおります。
#30
○高杉廸忠君 大臣ね、お聞きになったような状態ですから、特に大臣にお尋ねをするんですけれども、障害者の自立を助けるために障害者の所得保障を充実させようとするときに、行政の裁量で手当の受給対象から外されるということは何の制度改善か。改善ならばもっと多くの方が対象になるわけです。明確な基準を設定するとともに、その基準設定に当たっては障害者の自立促進という観点からやはり温かい態度で臨まれることを、私は大臣から明確にひとつこの際お約束をいただきたいと思うんです。大臣、いかがですか。
#31
○国務大臣(増岡博之君) 今回の特別障害者手当につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、現行の福祉手当を再編するわけでございまして、そうして常時特別の介護を要する重度の障害者に給付しようとするものでございまして、障害者の所得保障の一環として重要な制度であると認識をいたしておるわけでございます。
 したがいまして、対象者の範囲の設定に当たりましては、制度の趣旨を十分踏まえて、介護を要する障害者の実態に即したものとなるよう対処してまいる考えでございます。
#32
○高杉廸忠君 次に、これも大臣聞いていてもらいたいんですけれども、具体的なケースについて、障害者の無年金者の救済について伺います。
 国民年金任意加入の中途障害者のケースについてですけれども、現行国民年金法施行当時障害者でなかったため障害福祉年金の適用がされなかった方がその後障害となった場合、たまたまその人が国民年金の任意加入者で――御承知のとおり二十歳以上の学生または被用者の妻でありますが、国民年金制度に加入していなかったときは、障害福祉年金も、また拠出制障害年金も、いずれも支給されない無年金者のままになっているわけですね。このようなケースについて、今回の改正を契機に救済する措置をとるべきである、こう思うんです。
 いろいろ質問前の折衝でもなかなか困難のようであります。以上のようなケースは、保険料不払いによる資格欠如と異なって、全く合法的な対応の中で無年金者となったのでありますから、当然救済措置が必要である。大臣、聞いていてわかると思いますが、救済する必要があると思うんです。いかがですか。――大臣からお答え願いたい。
#33
○政府委員(吉原健二君) 被用者、サラリーマンの奥様等で、従来任意加入できる方が任意加入していなかった、そのときは障害者になられた場合には、国民年金に入っておられなかったわけですから障害年金が出ないわけでございます。
 今回の改正におきましては、サラリーマンの奥さんも国民年金に皆さん当然加入ということになるわけですから、仮に障害になられますと、障害年金を奥様御自身が受けられるようになる、こういうことになるわけでございまして、そういった婦人に対する年金、あるいは離婚の場合にも年金が出るということが今回の改正点の一つの大きなねらいといいますか、柱になっているわけでございますが、今回の改正前にそういったケース、御指摘のように決してなかったわけではございませんが、社会保険方式の年金制度のもとにおきましては、任意加入できるのに任意加入しなかった、その期間に障害という事故が生じた場合に、過去にさかのぼって年金の対象にするということは、率直に言いましてなかなか難しいわけでございます。
 今御指摘のような問題につきましては、現行制度の建前ではなかなか困難でございますけれども、ひとつ今後の課題として、検討させていただきたいと思います。
#34
○高杉廸忠君 大臣ね、お聞きしたようなところで、私はこの改正を契機に当然救済措置は考えるべきだと思うんですよ。それは検討いただくということですから、私の方も救済できるように大臣に強く要請をしておきます。
 次に、五人未満事業所の適用問題について伺うんですが、先般来の質疑の中で、全国民に適用となる基礎年金について、その水準の低さと、一方で負担の重いフルペンションを受給することの困難さ等が明らかになったわけであります。また、そういう中で、国民年金と厚生年金受給者との不均衡が拡大することも明らかになりました。また、本案提出前社会保障制度審議会も、五人未満適用事業所の未適用の問題に関連をして次のように言っているわけですね。「五人未満事業所等の被用者に対する厚生年金保険の適用の問題の解決に着手しないと」「被用者との不均衡が拡大する」、こう言っているわけであります。端的に言えば、被用者保険に加入できなければ老後の所得保障として不十分だと、こう言っているわけであります。
 大臣、この点どのように認識されておりますか。大臣から見解を伺います。
#35
○国務大臣(増岡博之君) 年金制度の改正に際しましては、また、そうでなくとも、常時適用拡大の必要性は重要な問題でございまして、御指摘のとおりでございます。
 この際、その前進を図りますために、今回の年金制度改正におきまして、五人未満の法人の事業所へも適用拡大を行うことといたしたものであります。また、個人の事業所につきましては、適用の際に技術的な困難な問題があることから制度上は強制適用対象とはいたしておりませんでございますけれども、今回の適用拡大対象事業の今後の状況を踏まえまして、それが円滑に行われた後、将来の検討課題として引き続き研究をいたしてまいりたいと思います。
 当面は、任意包括適用の計画的推進を行う等の手段によりまして拡大に努めて、その間でも拡大に努めてまいりたいと思います。
#36
○高杉廸忠君 先般の本委員会において同僚委員が触れましたけれども、未加入者は何人で事業所数は幾つあるのか、この際、明らかに示していただきたいと思うんです。
#37
○政府委員(長尾立子君) 昭和五十六年の十一月に実施いたしました健康保険、厚生年金保険適用状況調査の結果によりますと、未適用従業員数は三百六十五万五千人、未適用事業所数は九十万四千カ所であると推定をいたしております。
#38
○高杉廸忠君 臨業所で九十万四千、それから三百六十五万五千人、これ、昭和五十六年十一月現在ですね。そうすると、昭和五十六年の十一月からといいますと、もう既に三年以上は経過しておる、こう思うんですが、私の方の手元にも、昭和五十六年十一月現在で九十万事業所、三百六十万、こうなっているわけです。現在、その数は増加しておるのではないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
#39
○政府委員(長尾立子君) 今回の法律改正によりまして、ただいま大臣からお答えいたしましたように、法人の五人未満事業所についての適用をいたすということを予定いたしております。したがいまして、今回の適用拡大に当たりましては、今先生御指摘のようにこの実態の推移を把握する必要があると思っておりまして、本年九月にこの事業所につきましての実態調査を行いたいと思っております。
#40
○高杉廸忠君 それじゃ、さらにちょっと掘り下げてお聞きしますけれども、今五人未満の適用については大臣からお答えがありましたが、それじゃ五人未満事業所を適用の対象とできなかった理由ですね、法人であれ何であれ。同じ社会保険でも、私は特にその方の業務をしておりますから一番よくわかるんですが、労働保険の雇用保険や労災保険というのはこれは全面適用なんですね。どうして厚生の方では全面適用にならないかというのはこれは不思議でならないんですよ。どうなんですか。
#41
○政府委員(長尾立子君) 五人未満事業所の適用の難しさということについてでございますけれども、五人未満事業所の場合には、単にその事業所としての規模が小規模であるということではございませんで、雇用されておりますということの事実の確認、把握というのが大変難しいということがあります。具体的には、御家族でお仕事をしておられて、そこにだれかほかの御家族以外の方を雇用されておるというような実態でございますと、移動率も非常に激しいということもございますし、また、雇用されておりますことの証拠といいますか、名簿等が大変不十分である、就業規則等もないというようなこと、それから賃金の支払いというようなことを把握できる帳簿類も大変確実でないといったような要素があるわけでございます。
 それで厚生年金の場合には、先生御承知のように、非常に長期間にわたりましてその方の標準報酬を決定いたしまして、その記録をずっと保険者側はとっていくということをやっておるわけでございます。したがいまして、ただいま申し上げましたような状況でございますと、雇用されている方の標準報酬を決定いたしまして、それをずっとこちらの方で記録していくというようなことの事務処理上の体制がなかなかとりがたいという要素があるわけでございます。
 先生御指摘のように、確かに労働保険の方はこういった五人未満事業所についての適用をやっておるわけでございますが、御承知のように、労働保険の場合にはその標準報酬といったようなものがいわば事後は把握するということはあるわけでございますけれども、保険料は四月から三月までの一年間に支払った総賃金をもとにしてその年の五月に申告して納付するという仕組みをとっておりまして、こういった仕組みの違いであるとか、そういう保険としての性格の違いがあるということではないかと思っております。
 しかし、私どもとしても、先生先ほど来御指摘いただいておりますように、雇用者であれば雇用保険の体系の中で保障を考えていくというのは基本であると思っておりまして、こういったことについては十分工夫をさせていただきたいと思っております。
#42
○高杉廸忠君 それじゃ、さらに伺いますけれども、先ほどの九十万四千事業所、人数で三百六十五万五千人のうち、どの程度のものが適用になっていくと考えていますか。これが一つであります。
 また、段階的に適用するということでありますけれども、どのようにこれを適用していくのか、その考え。
 さらに、その期間に三年を要することになっていると思いますけれども、もっと早い期間に実施できないのか。
 以上の諸点について、それぞれひとつ明確にしていただきたいと思います。
#43
○政府委員(長尾立子君) 今回の適用拡大による対象被保険者数及び事業所数でございますが、この数は先ほど申し上げましたように九月に実態調査をやりたいと思っておるわけでございますが、先ほど申し上げました五十六年度の調査の数字で申し上げますと、事業所数にいたしまして二十三万二千カ所、対象被保険者数にいたしまして百二十一万九千人であるというふうに見込んでおります。
 具体的な適用方法でございますが、まず最初に六十一年の四月一日から非適用業種、つまり現在適用になっておりません、業種別の方で適用になっておりません非適用業種の常時五人以上の従業員を使用する法人の事業所をまず適用していきたいと思っております。これがおおむね六千事業所、八十一万八千人ぐらいであると思っておるわけでございます。これ以後、六十四年の三月三十一日までの間に段階的に常時従業員を五人未満使用している法人の事業所を適用することとしたいと考えております。
 この段階的な適用の方法でございますが、これは具体的ほは政令事項とされておるわけでございまして、具体的に適用状況を見ながら定めていきたいと思っておりますけれども、一応従業員の規模、五人未満と申しましても一応の規模があるわけでございますが、こういう規模を段階別に考えていってはどうかというふうに思っておるわけでございます。
 適用の拡大に当たりましては、まず事業主の皆様のこの制度についての理解をお願いしなくてはならないと思っておるわけでございまして、こういった事業主の方々への重点的な指導、広報を行うことが必要でありますことと、こういった適用事業所の適用、これは各社会保険事務所におきましても事務処理体制の整備を図っていかなくてはいけないということでございますので、これも計画的にやらしていただかなくてはならないというようなことであると思います。したがいまして、この三年間で段階的に実施をさせていただきたいというふうに思っております。
#44
○高杉廸忠君 今の答弁でも明らかになったように、九十方のうちの二十三万、三百六十五万のうちの百二十一万ということになりますと、三分の二以上の個人事業所というのは落ちこぼれていくんですね。
 先ほど大臣から法人ということでお話がありました。しからばその法人に限った理由、その理由はどこにあるんですか。
#45
○政府委員(長尾立子君) 法人に限った理由でございますが、個人事業所に雇用されておりましても法人事業所に雇用されておりましても、雇用者としてというのは同じという御指摘だろうと思います。
 しかしながら、先ほど来御説明をいたしておりますように、適用拡大に伴います適用技術上の困難性ということを考えますと、法人になっておりますと先ほど来申し上げておりますように帳簿類等もある程度のものが備えられておるとか、事務処理上もある程度の明確さがあるのではないかというふうに考えるわけでございます。例えば五人未満でございますと、御家族じゅうでお仕事をやっていらっしゃると、そこに家族以外の雇用者が何人か入っておられるというようなケースが多いかと思うのでございますが、個人の場合には、例えば御夫婦で御商売をおやりになっている場合に、奥様分のサラリーというような、奥様は雇用者という形ではっきりととらえられているかどうかということが個人の場合にはなかなか明確になっておらないのではないか、法人の場合はその点はある程度の仕分けをしていただいておるのではないかということでございます。つまり、雇用実態の把握というものが法人になっておられる場合には比較的容易なのではないかとか、その事業所としての事務処理能力が一定程度の期待ができる、それから公簿等によりまして事業所としての成立そのものがある程度確認できるというようなことがございますので、今回は法人の事業所を強制適用対象として拡大をするということにいたしたものでございます。
 それで、個人の事業所につきましては、今申し上げましたように家族ぐるみでなさっておられるというような形が非常に多いのではないかと思いますので、適用上大変困難な問題があると思いますが、法人の事業所の適用が円滑に行われました後の将来の検討課題としては引き続き研究させていただきたいと思っております。個人の事業所の中でもそういったもののしっかりしているところがあるんじゃないかという御指摘もございますが、この点につきましては、当面任意包括適用制度を活用させていただきたいと思っております。
#46
○高杉廸忠君 私は、事業の経営形態として、個人の形態をとるか法人の形態をとるかは全く自由だと思っているんです。本来、何ら強制されるものじゃないと思いますし、また、そこで働く人には何ら責任のないところなんです。個人形態の事業所にも適用をしていかなければ被用者保険の社会保険として私は不合理だと考えるんですが、その点はどうですか。
#47
○政府委員(長尾立子君) 先ほど先生に非適用業種の対象事業所数を六千というふうに申し上げたかと思いますが、一つけたを間違っておりまして、六万の間違いでございますので、訂正させていただきたいと思います。
 それで、先生御指摘のように、確かに個人の事業所におきましてもおっしゃるように五人未満事業所としての適用、つまり被用者保険としての適用ということを考えていかなくてはならないというのは御指摘のとおりと思っておりまして、その点につきましてはいろんな、例えば労働保険の方で御工夫をいただいておりますような事務組合を考えていくとか、それから社会保険労務士といった専門家の方の御協力をいただくとか、いろんな工夫を考えていきたいと思っておりますが、さしあたりは法人の事業所を適用させていただきまして、その次の課題とさせていただきたいと思います。
#48
○高杉廸忠君 ぜひそういう社会保険労務士とか、せっかく専門家がいるわけですから、業務執行面の懸念があるようでありますが、できるだけ適用を拡大していく、こういうことでこれまた要請をしておきます。大きな改革を実行して長期にわたる制度を打ち立てようとしている現在でありますから、私は将来に禍根を残すものであっては困ると思うんです。
 そこで大臣、政府においても十分知恵を絞ってひとつ適用事業所を個人にも及ぼすように再検討をお願いしたいと思うんです。大臣いかがですか。
#49
○国務大臣(増岡博之君) 先ほど年金部長から説明がありましたように、多少事務的な難易度ということもあろうかと思います。しかし、御指摘の点はごもっともでございますので、今後とも検討をしてまいりたいと思います。
#50
○高杉廸忠君 それでは、次に、在日外国人問題について伺います。
 五十六年の改正で、拠出制国民年金の被保険者要件のうち国籍要件が取り払われて、在日外国人も加入できるようになったのですが、三十五歳以上の在日外国人は二十五年の加入期間を満たさないために老齢年金受給の可能性がなく、大きな問題になっているわけであります。したがって、今回の基礎年金導入に際してこの点についてどのように対処していくのか、確認も含めて伺いたいと思うんです。いかがですか。
#51
○政府委員(吉原健二君) 御指摘のとおり、五十七年一月から、難民条約の実施に伴いまして国民年金の国籍要件を撤廃いたしました。したがいまして、在日外国人の方々にも国民年金が適用され、国民年金に加入されることになったわけでございますけれども、ただ、そのときもう既に三十五歳を超えている方につきましては、国民年金の老齢年金の資格期間二十五年というものを満たし得ませんので、実質的には年金につながらないというような問題点が残っていたわけでございます。
 そこで、今回の改正案におきましては、そういったことでせっかく外国人の方にも適用の道を開きながら実際には年金が受けられないというような事態というものをなくすために、五十七年の前の期間のうち、昭和三十六年四月以降の、つまり国民年金が発足をしました時期以降の期間、もちろんその御本人が二十歳以上の期間に限られるわけでございますけれども、そういった期間をこの新しい制度による老齢基礎年金の資格要件として見る、資格期間に算入をするという取り扱いをすることにいたしまして、そういった方々が老齢年金に結びつくような措置を今回の改正でとらしていただいたわけでございます。
#52
○高杉廸忠君 今回の政府案の改正で見ますと、昭和五十六年以前の期間については資格期間として見ているだけであって、実際問題としては昭和五十七年一月以降の加入期間だけでは年金額が低いんですね。救済の実は上がらないと思うんですよ。
 そもそもこれらの方々は制度的に適用を除外されていたのであって、このことについてこれらの方々には何ら責任はないと考えます。一方国民年金の体系には、保険料を納めなくとも免除期間分は国庫負担で給付する、こういう考え方があるし、また、国民年金制度制定時には、加入期間を満たし得ない者には福祉年金を支給した、こういう経過もあるわけであります。また、そもそも在日外国人の方々は、これまで税金も納めてこられたわけでありますね。このように考えれば、これらの方の五十六年十二月以前の期間について、年金額計算上何らかの特例を講ずべきではないか、こういうふうに考えるんです。
 大臣、どういうふうにお考えになりますか。
#53
○政府委員(吉原健二君) 確かに資格期間に算入いたしましても、実際に年金の計算の基礎になりますのは今後将来に向けて保険料を納めた期間、その期間に応じて年金額が計算をされるわけでございますから、年金額としてはそう高い年金額にはならないわけでございますけれども、ただ、保険料の納付を要件とした拠出方式の年金をとっております場合に、一定の人を一定の時点から加入対象にすると、その場合に過去の期間にさかのぼって保険料を納めてもらう、あるいは国の負担をつける、そういったことはなかなか理論的にも実際上にもいろいろ議論があるところでございまして、私どもとしては、今の制度の仕組みにおきましては、過去にさかのぼってまで保険料なり国の負担をつけるといったことが率直に申し上げてできないということで、大変残念なことではございますが、資格期間として見るということが私どもとしては精いっぱいの措置であったわけでございます。
#54
○高杉廸忠君 だんだん時間も迫りましたから、次に、本委員会における年金審議に際しまして、特に和田委員、安恒委員、対馬委員、糸久委員を初め各委員より、それぞれ検討すべく要求された事項について、以下順次確認をいたしたいと存じます。
 まず第一に、基礎年金については、その会計を独立して設けるべきではないか、こういう要求であります。
 確認いたしますけれども、大臣いかがですか。
#55
○国務大臣(増岡博之君) 基礎年金につきましては、国民年金特別会計の中に基礎年金独自のための特別の勘定を設けまして、その経理を明確に区分して行うことといたしたいと存じております。
 なお、特別会計の新設につきましては、将来の検討課題として大蔵省とも十分相談、協議してまいりたいと考えております。
#56
○高杉廸忠君 第二に、第一号被保険者の被保険者資格認定業務を強化をし、無年金者をなくす努力をすべきではないか、こう考えます。
 確認いたしますが、大臣いかがですか。
#57
○国務大臣(増岡博之君) 第一号被保険者につきましては、該当者を的確に把握いたしましてその適用の促進を図り、無年金者をなくするよう最大限の努力を払ってまいりたいと思います。
#58
○高杉廸忠君 第三に、保険料免除制度の趣旨を徹底をして、無年金者をなくすよう努めるべきではないか、こう考えます。いかがですか。
 これまた確認であります。大臣いかがですか。
#59
○国務大臣(増岡博之君) 保険料納付に努力されてもなお保険料納付が困難な低所得の方々につきましては、免除制度の趣旨を十分徹底いたしまして、適正な運用を図り、無年金にならないよう最大限の配慮を払ってまいりたいと考えております。
#60
○高杉廸忠君 第四に、追納保険料の納付方、納付額の決定に当たっては、従来の経過を十分しんしゃくすべきだと思います。
 この点についても確認をいたしますが、大臣いかがですか。
#61
○国務大臣(増岡博之君) 今回の改正におきましては、免除を受けて追納する者と一般の被保険者との公平を図るために、免除を受けた当時の保険料に一定の加算をした額を追納額とすることとしておりますけれども、追納者の負担が過大なものとなることのないよう十分配慮してまいりたいと思います。
#62
○高杉廸忠君 第五に、年金額の改定に当たっては、賃金スライドを採用すべきではないか、こう考えます。
 これまた確認をいたしますけれども、大臣いかがですか。
#63
○国務大臣(増岡博之君) 財政再計算に伴います改正時には、従来から国民の生活水準、賃金その他の諸情勢の変動に応じて年金額を改定してまいったところであります。
 今後とも、賃金の変動をも十分考慮して年金水準の見直しをしてまいりたいと思います。
#64
○高杉廸忠君 第六に、二十歳以上の学生が障害となったときにも障害基礎年金を支給すべきである、こう考えます。
 これまた確認であります。大臣いかがですか。
#65
○国務大臣(増岡博之君) この問題につきましては、衆議院において学生の取り扱いについての規定が設けられました。その趣旨に沿って、今後検討してまいりたいと思います。
#66
○高杉廸忠君 第七に、年金の毎月支払いを実施するとともに、プライバシーを守るため支払い通知書は封書化すべきではないか、こう考えます。
 これまた確認でありますが、大臣いかがですか。
#67
○国務大臣(増岡博之君) 年金の毎月支払い並びに封書化の問題につきましては、支払い通知の簡素化とあわせて、関係省とも十分に協議の上六十一年度中にも実施の具体的方策を立てるべく努力してまいりたいと思います。
#68
○高杉廸忠君 最後でありますが、第八に、年金福祉事業団の民主的運営と被保険者の意向尊重の確保についてどのようにお考えですか。
 これまた確認であります。大臣いかがですか。
#69
○国務大臣(増岡博之君) 年金福祉事業団の事業運営につきましては、保険料拠出者の意向が十分反映されるよう、鋭意努力をしてまいりたいと存じております。
#70
○高杉廸忠君 以上で予定をしました私の質問を終わりますが、なお引き続き中曽根総理大臣に質問をする予定であります。
 そこで、質問を終わるに当たって、大臣から最後に所見を伺うんですが、同僚委員からも指摘をし、多くの問題についても今確認をいたしました。私も幾つかの要請もいたしました。先日の本委員会において同僚の対馬委員もこう述べられました。ラスキの言葉をかりて言うならば、政治のよしあしは二つのものを見れば足りる。老いたる者の姿を見よ。幼き者の姿を見よ。この言葉が引用をされました。私は、現在における政治のよしあしというのは、これに加えて障害者の姿を見よ、こう述べたいと思っております。今まで指摘いたしましたように、障害者の方々の今日的姿を見て、これで十分な温かい福祉の国家であるかどうか、私は極めて疑問を持っております。
 私も本審議を通じて幾つかの要請をいたしました。大臣も、社会保障や福祉や年金や医療の充実について、この行政の長として責任を感じておられると思うんです。今回はまさに二十一世紀を展望して歴史的な年金改革だと考えております。こうした時期に、私は最後に大臣の所見を伺って質問を終わります。
#71
○国務大臣(増岡博之君) 今日まで具体的にいろいろお尋ねをいただき、御指摘もいただいたわけでございます。最後に、政治姿勢としての御訓示をいただきました。まさにそのとおりの精神で今後対処してまいらなきゃならぬ、深くみずから言い聞かしておるところでございます。
#72
○中野鉄造君 先般、私はたまたま障害年金受給権者の国民年金加入者の数をお聞きいたしましたが、あの時点ではその数については不明と、こういうことでございましたが、きょうはおわかりでしょうか、いかがでしょうか。
#73
○政府委員(長尾立子君) 先日お答えを申し上げましたように、私ども、国民年金の任意加入被保険者につきましては、その任意加入の事由、つまり他制度におけるどういった年金を受けておられるかということについての統計をとっておりませんので、そういう意味でお答えを申し上げられないというふうに申し上げたわけでございまして、業務統計上は、その数字を正確にお答えするということはできないわけでございます。
#74
○中野鉄造君 あの際、大臣は、これら障害者の方々の国民年金加入者に対して、本法が施行されるということになりますとそれまで納付した保険料については前向きに検討するという、こういうお答えでございました。
 その際の前向きに検討されるというそのお答えが具現化した場合ですけれども、今まで納めた保険料を返却するという形になるのか、あるいは支給という形をとられるのか、その点いかがでしょうか。
#75
○政府委員(吉原健二君) 十分御審議をいただきたいと思っております。現在の時点で、私どもはっきりした明確な考え方を持っているわけではございません。
#76
○中野鉄造君 今、どういう形でそれが善処されるかわかりませんけれども、その場合、障害者の中で内臓疾患等を持った人で、将来もしそれが治癒したと、こういうときには、その方は当然障害年金受給椎を失うわけですけれども、そうすると、それまでにもう何らかの形で支給なりあるいは返戻なり、そういうことになって国民年金の受給権もないと、こういうことになりますと、その人はそれこそ無年金者と、こういうことになりますが、そこいらに対する配慮はなされておりますか。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
#77
○政府委員(吉原健二君) おっしゃるようなケース、十分考えられるわけでございますので、そういったような、年金が何ももらえなくなるというようなことの生じないような措置、そういった措置を十分頭に置いて配慮すべきだと思います。
#78
○中野鉄造君 今回の年金改革案は、全体として非常に、何と申しましょうか、皮肉な言葉で言えば、もうまさに名人芸的な、職人的なつなぎの技術というか、ある制度の加入者が気がつかないうちに、自然にいつの間にか既得権や期待権が切り崩されておったと、こういうような感じがしないわけでもないんですけれども、こうした各制度の有利な条件にある人たちが、今申しますように余り気がつかないうちに制度間の調整をするとか、あるいは知らないうちにだんだん政府の負担というものが軽くなって被保険者の負担が重くなっていっておったと、こういうような気もしないわけじゃないんですけれども、この点について、実はそうなんだとは答えられないでしょうけれども、いかがですか。
#79
○政府委員(吉原健二君) 私ども、今回の改正案を作成するに当たりましては、今御指摘のございました既得権は無論のこと、期待権といいますか、今の制度の仕組み、それを前提にして、国民お一人お一人の方に加入をしてきていただいたわけでございますから、そういった期待といいますか、信頼というものを損なうことのないように、十分配慮をいたしたつもりでございます。
 ただ、そうはいいましても、三十年後、四十年後の一番高齢化のピーク、その時代を年金制度が乗り切っていくためには、やはり今の制度のままではそういった乗り切りが困難だということで今回の改正案をお願いをしているわけでございますので、そういった意味におきましては、どうしても今の制度と違った面というのが出てくるわけでございまして、その点につきましては国民の方々にも十分御理解を得たいと思いますし、そういった違った面の出方につきましては長い経過期間というものを設けまして、急激にそういったことの起きないように、徐々に徐々に新しい制度に移行するといったような措置は十分とったつもりでございます。
 今後ともこの制度の実施に当たりましては、そういった面につきましての国民の方々、被保険者の方々の十分な御理解が得られますように、広報なりPRに努力をさせていただきたい、こう思います。
#80
○中野鉄造君 次に、年金の水準という問題についてお尋ねいたします。
 そもそも年金の水準を考える場合に、特に勤労者の年金を考える場合ですけれども、年をとって収入がなくなった場合、その失った収入を補い償うという意味と、働いていたときの生活水準を維持させるという意味のこの二つの組み合わせた形で水準は考えていくべきではないかと思うんですが、どのようにお考えですか。
#81
○政府委員(吉原健二君) 基本的には、サラリーマンといいますか勤労者の年金というのは、老後においてできるだけ従前の所得を年金という形で保障していく、こういう性格のものだと思います。
 そういった意味におきまして、年金の水準というものも過去の自分の給与なり所得というものがある程度反映をするというような仕組みをとっておりますし、同時に、年金を受ける時代におきまして、その時代に保険料を負担する現役の労働者なり勤労者の方々の賃金水準とのバランス、それともバランスのとれたものにしていく。いわば両面を見ながら老後の生活保障として十分機能していくための水準というものを考えておるつもりでございます。
#82
○中野鉄造君 そうしますと、今回のこの改正案が実施されるとして、特に基礎年金のみしか受給できない国民年金加入者の人たちは、今お答えになったようなそういうところから考えますと、随分と下回る結果になるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
#83
○政府委員(吉原健二君) 先ほどの御質問それからお答えは、サラリーマン、つまり勤労者を頭に置いた場合の年金の考え方を申し上げたわけでございますが、自営業者の方につきましては、少しその年金の考え方というものが違うのではないか。基本的には、もちろん老後の生活保障という点では同じでございますけれども、年金の水準として考える場合に、サラリーマンの方の年金と自営業者の方の年金の水準とでは若干の違いがあってもいいのではないかというふうに思うわけでございます。
 その理由でございますけれども、やはり現役のとき、現に働いておられるときの生活の態様、所得の稼得方法といいますか稼得手段、そういったものがサラリーマンと自営業者の場合には全然違うわけでございまして、自営業者の場合には、普通土地なり資産を持っておられる、自分の、あるいは自営業者用のと、いろんな形があるかと思いますけれども、そういった資産の有無という違いもございますし、同時に、サラリーマンの場合ですと、退職ということによって従来の獲得手段というものを退職の日からすぐに失ってしまうというようなことがあるわけでございますけれども、自営業の方についてはそういったようなことはないわけでございまして、そういった意味におきまして、年金に対する依存度、あるいは逆に言いますと年金に対するニードというものが、その両者の間では違いがあるのではないかというふうに思うわけでございまして、従来からも国民年金の水準と厚生年金の水準とでは、そういった意味におきまして若干の違いがあったわけでございます。
 その違いをどこまで合理的なものと見るか、あるいは少し違いがあり過ぎると見るか、いろいろ御意見のあるところだろうと思いますけれども、基本的には今申し上げたような考え方でこの新しい改正案もお願いをしておるわけでございます。
#84
○中野鉄造君 私はこの間から特にこの国民年金加入者の人たちについてのお尋ねをしているわけですが、今おっしゃった自営業者、自営業者といってもピンからキリまであるわけでございまして、今局長が言われる自営業者というのは、どちらかといえばまあ中以上の自営業者ということになるのじゃないかと思います。二、三日前の新聞に、「功ならず名とげず年金たよられず」こういうような川柳が載っておりました。本当に、そういう自営業者と言われる人たちの中でも、五人未満の事業所で働いておる人たちだとか、それこそ年金をもらうにしても国民年金だけしかないというような人たちにとっては、今申しましたその水準は、これから考えてかなりこれは過酷な結果になるのじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#85
○政府委員(吉原健二君) 確かに、一口に自営業者あるいは国民年金の対象者といいましても本当に種々雑多な方がございますので、なかなか先ほど申し上げましたようなことがすべての方に通ずるというふうには考えておりません。だからこそ国民年金の制度の上での仕組みが非常に難しいということがあるわけでございまして、それだけに今のような制度の仕組みは、ある人にとっては非常に物足りないし、ある人にとってはまた大変保険料負担等の面においてきつい面があろうかと思います。
 そういったことで、今までいろいろ御審議もいただき、問題点も指摘をいただいたわけでございますけれども、なお国民年金のあり方につきましては、保険料の負担の仕方、あるいは給付の設計の仕方、二階部分をどう考えるか、今後とも検討させていただきたいと思います。
#86
○中野鉄造君 次に、これももう今までの質疑の中で言い尽くされたことでしょうけれども、将来は、軍人恩給だとかあるいは老齢福祉年金というものがだんだん減っていくということは十分予想されるわけです。したがって政府の負担が減っていく。そういうところから、基礎年金に対する国庫負担というような面では必ずしも困難なことではないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#87
○政府委員(吉原健二君) 老齢福祉年金なりあるいは恩給に対する国の負担が減っていくことは事実でございますけれども、私どもとしては、それ以上に拠出制年金、厚生年金なり国民年金といった拠出制の年金に対する国庫負担がこれから大変な勢いでふえてまいりますので、老齢福祉年金等で減る分をすぐまた国庫負担率の引き上げ等に回すということはなかなか難しい面があろうかと思いますけれども、しかしながら、できるだけ国の負担、この制度に対する責任というものを十分頭に置きまして、今後とも年金制度全体の給付の内容の改善に努力していかなければならないと思っております。
#88
○中野鉄造君 国民年金は、このままでいきますと付加年金もないという形になりますから、この問題につきましては、これは近い将来に付加年金部分は、所得補足というものが困難ですから、選択制にして、選択的段階的な、数段階設けてその段階を選ばせる。それをポイント制によって年金給付に計算していく、こういうような方式を導入すべきではないかと思います。
 今私が申しましたようなこういうことを含めて、国民年金の将来展望というものについて、先ほどから申しておりました国民年金だけに頼っていくという、そういうような方々に対してのお考えは何かありますか。
#89
○政府委員(吉原健二君) 国民年金のあり方につきましては、現在の定額保険料、定額給付についていろいろ問題点の指摘をいただいているわけでございますし、同時に、やはり国民年金についての二階建て部分をどうするかということもこれからの一つの検討課題だと思っております。
 そういったことを通じまして、この国民年金のあり方につきまして、いろんな面から改めてその検討を進め、できるだけ早い時期に今具体的に御指摘のいただいたようなことも頭に置きながら具体案というものをつくっていきたいというふうに思っております。
#90
○中野鉄造君 次に、将来、所得税だとかあるいは保険料が自然に高くなっていくのではないかということはもう十分予想されるわけですが、そういう場合の現役の賃金とのバランスを、可処分所得で六九%にするとか、あるいはそうでないのか、こういう点は、これはもう明確にしておく必要があるのじゃないかと思うんですが、その点いかがですか。
#91
○政府委員(吉原健二君) 将来の租税負担なりあるいは社会保障負担、そういったものが一体どういうふうになっていくか。傾向としては現在よりもだんだん大きくなっていくということは避けられないかと思いますけれども、そういたしますと、現役の労働者、勤労者の生活の水準と老齢年金受給者、高齢者の生活水準とのバランスというものは、単に名目の収入というよりか、やはり実質的にどれだけ実際の生活費に充てられ得るか、充て得るかという、おっしゃいました可処分所得、そういったものによって比較をする、バランスをとっていくというようなことが必要になってくると思います。
 今の時点では、まだそういった考え方にすぐには立っておりませんけれども、将来はやはり可処分所得との比較において年金の水準を考えていく、これは避けられない考え方ではないかというふうに思っております。
#92
○中野鉄造君 私が申しますのは、要するに、標準報酬と総賃金との比率もこれは現存の比率がこのままずっと続く、そういう理由は何もないわけでして、そういう点から、やはりこれは一応の基準、そういったようなものも決めておく必要があるのではないかという意味でお尋ねしているわけです。
#93
○政府委員(吉原健二君) よくわかります。
#94
○中野鉄造君 次に、厚生年金の在職年金と共済の在職年金との非整合の問題ですが、この一種の格差の問題、そういう点もこの機会に合理的な観点からこれは調整していく必要があるのではないかと思いますが、この点についてはまだ明快なお答えは出ておりませんが、いかがですか。
#95
○政府委員(吉原健二君) 共済年金を受けておられる方が民間の会社に勤務をされて厚生年金の適用を受けた場合に、その年金、共済年金の方の取り扱いでございますけれども、現在の共済年金制度におきましても、全くその共済年金が丸々出るということではございませんで、共済年金の額が百二十万円以上である場合、それから、年金を除く給与所得、その会社の賃金なり月給の額が年間で六百万円以上という場合につきましては、その百二十万円を超える年金額の二分の一相当額が支給停止になる、とめられるということになっているわけでございますが、こういった扱いが、実は厚生年金で第一の職場を退職をして第二の職場に行かれた場合と大変大きな違いがあるわけでございます。
 そういったことが公務員の共済年金と民間の厚生年金とのいわば不合理な制度間格差の一つの例として指摘をされてきたわけでございますけれども、今回国会に提出されました共済年金の改正案におきましては、この共済年金の受給者が後年の適用事業所で勤めている場合の共済の支給制限、これが先ほど申し上げました現行よりも大変強化をされる、具体的な姿は政令にゆだねられている部分もあるようでございますけれども、その収入に応じまして年金の額が最高九〇%まで支給がとめられるというようなことになるというふうに聞いております。そうなりますと、現在の厚生年金とのバランスにおきましては、今まで指摘されたような問題は、解消といいますか、是正をされたと見ていいのではないかというふうに思います。
#96
○中野鉄造君 これはこれからの問題はなりますが、共済年金はできるだけ早く基礎年金に合流しなければならない。というのは、つまり共済年金加入者の妻がこれは適用除外になっているからでございますが、ここいらのところに対する考えはどんなお考えですか。
#97
○政府委員(吉原健二君) 今回の私どものこの改正案におきましては、公務員、共済組合員の被扶養の配偶者、妻の方につきましては、共済年金の改正が行われない限りは国民年金から適用除外されるということになっておりまして、今までのような任意加入の道もなくなってしまうと、そういうことになっているわけでございます。したがいまして、仮に共済年金の改正が行われませんと、そういった被扶養の奥様方は基礎年金の支給対象にもなりません。その期間については基礎年金の支給対象にもちろんなりませんし、また万一その期間に障害という事態が起きますと、障害年金はもらえない、こういうような事態になってしまうわけでございます。
 したがいまして、私どもとしては、基礎年金導入のための共済法の改正案、これは何としても早く成立をさしていただきまして、明年四月からの同時実施をぜひお願いしたいという気持ちを持っておるわけでございます。
#98
○中野鉄造君 これも今まで言い尽くされたことですけれども、官民格差の是正の問題、これを今後どういう形で統合されるのか、この基本的なお考えがあったらお聞かせいただきたいと思うんです。
#99
○政府委員(吉原健二君) 従来官民格差、民間の厚生年金等と公務員の共済年金の格差として言われておりましたのがいろいろございますけれども、第一に年金額の計算の仕方の違い、したがいまして水準が一般的に共済の方が高いという問題がございました。それから支給開始年齢につきましても、現在共済は徐々に六十歳への引き上げの計画が進んでおりますけれども、そういった支給開始年齢の問題、それから先ほどの御指摘にもございました、共済年金の受給者が厚生年金の適用を受けた等の場合の支給制限の取り扱い、そういった面でいろいろ格差が指摘をされていたわけでございますけれども、そういった格差是正というものを一つのねらいとして今共済の改正というものが国会に提出されたと聞いております。
 そういった意味におきまして、今回共済年金の改正が成立をいたしますと、従来から言われていたいわゆる官民格差、年金制度の面における官民格差というものはまず解消される、是正をされると見てよいのではないかというふうに私どもは考えているわけでございます。
#100
○中野鉄造君 次に、この公的年金以外の各種年金の再検討というものもこの際ひとつぜひお願いしたいというふうに思います。
 これは、例えば農業者年金基金、厚生年金基金あるいはその他各種互助年金、こういった種類の年金も、この年金法の改正に伴って国庫負担のつけ方がいろいろこれは変わってくると思いますけれども、それと見合いができるような整理を全般的に見通した立場から行われなければいけないんじゃないかと思うんですが、大蔵省はこの点についてはどのようにお考えですか。
#101
○理事(佐々木満君) 主税局ですが、いいですか。
#102
○中野鉄造君 じゃ、局長の考えでいいです。
#103
○政府委員(吉原健二君) 厚生年金、国民年金それから共済年金以外の年金制度、いろいろな年金制度があるわけでございますけれども、今も御質問の中にございました農業者年金につきましては、今回の厚生年金、国民年金の改正の趣旨に沿いまして全面的な見直しをし、もう既に農業者年金基金法、農業者年金法の改正を国会に提出をして御審議をお願いしているというふうに承知をいたしております。
 それから、厚生年金と非常に関係の深い厚生年金基金の制度、これは公的年金制度であると同時にいわゆる企業年金の一つの形態でございますけれども、企業年金のあり方につきましても、私どもこの次の課題として、今回の厚生年金の改正に見合って今後厚生年金基金をどうするか、これにつきましても基本的な見直し作業に着手をしたいというふうに思っているわけでございます。
 そのほかのいわゆる私的年金につきましても、公的年金との関係をどういうふうに考えていくか、そういったものを踏まえまして、公的年金と私的年金との合理的な調整というものも検討してまいりたいというふうに思っております。
#104
○中野鉄造君 過般の公聴会におけるお話にも出たわけなんですが、そこでこういうお話が出ておりました。
 そもそも年金というのは一体性格はどういうものなんだということについて厚生省では、それは老後保障の一環であると。それじゃ、その老後保障の一環であるものに税金をかけるというのはおかしいじゃないかということを言うと、そのことについてはもうかねがね大蔵省に再三言っているけれどもと、こういうような答えが返ってくる。大蔵省にこのことを聞きに行くと、年金というのは給与の後払いなんだと、だから税金をかけるのは当たり前だと、こういう答えが返ってきた。こういうことなんですが、両方の御見解、いかがですか。
#105
○説明員(薄井信明君) 税金の立場から、年金がどういう性格のものかということの御質問かと思います。
 私ども、いかなる所得であれ収入がありますと、そこから経費を差し引きましてこれに課税をする、その際に、どの方にも基礎控除を初めとしていわゆる課税最低限という形で一定の額までは税金をおかけしないという制度をとっておるわけでございまして、所得があるとそれに常に課税がされるということではない。そういう意味では、年金というのも基本的にはほかの所得と同じように所得であるというふうに理解しております。
 ただ、その年金の性格をどういう範疇で考えるかといったときに、ただいま所得税法では十種類の所得の種類を考えておりまして、そのうちでは給与所得に当たるということで、給与所得控除も適用している、むしろ配慮がそこでされているというふうに理解しておるわけでございます。
#106
○中野鉄造君 大臣お願いします。
#107
○国務大臣(増岡博之君) この特別控除につきましては、今大蔵省から説明がありましたけれども、給与所得控除を適用され、さらに六十五歳以上の方につきましては老年者年金特別控除が認められておるわけでございます。私どもこの特別控除は老人福祉政策の一環として考えておりまして、昭和四十八年以来今日まで大きな役割を果たしてきておるわけでございまして、先般も昭和六十二年度末まで二年間延長する措置法の改正を御成立いただいたわけでございます。
 そういう意味では、現在の年金税制は年金受給者の間に既に定着をしておるわけでございますので、今後ともその趣旨や役割を踏まえまして、大きな不安を与えることのないように受給者の立場に立って対処してまいりたいと思います。
#108
○中野鉄造君 今大臣お答えになりました受給者の立場になって対処していくということは、少なくともこういう年金については課税の対象にならないようにしていくと、こういうお考えであると、このように理解してもいいんですか。
#109
○国務大臣(増岡博之君) 先ほど申し上げました、現在の制度を維持してまいりたいと考えております。
#110
○説明員(薄井信明君) 年金の現行税制、先ほど来大臣から御答弁ありましたような形になっております。
 ただ、私ども今政府の税制調査会から宿題をいただいておりますのは、年金制度がこうして変わってくる、それから私的年金とか企業年金とか、いろんな意味で老齢化社会に対応した年金制度が樹立されていく、そういった中で、年金受給者の比率というのは非常に高まってくると思います。私どももしばらくすると老人の部類に入るのかと思いますが、その時期になりますと、少ない若い人たちが老齢の方々を支えていく、こういった時代に、どういう形で年金なり他の所得に税負担をお願いするかということ、この辺はこれから検討していかなければならない課題かと思っております。
 ただ、現行制度上は、最初に私申し上げましたように、給与所得に分類いたしまして幾つかの配慮がなされている、そういうふうに分けて考えておる次第でございます。
#111
○中野鉄造君 先ほども同僚議員が最後に申しておりましたように、政治のスポットというものは、生活の上、中、下に分けた場合に、やはりその一番下の方にスポットを当ててこそ本当の血の通った政治ということが言えるのではないか、私はこのように思います。
 今厚生大臣お答えになりましたけれども、これから急速に迫りくる高齢化に対して本当に血の通った政治の実現、これはもう一に厚生大臣の肩にかかっていると、こう言っても過言ではないと思いますが、それらを含めて最後にひとつ大臣のお答えをお聞きして、私の質問を終わります。
#112
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、いよいよ本格的な高齢化社会が参るわけでございます。その高齢化社会を切り抜けていきますためにもいろいろな制度の改善が必要でありましょうけれども、その中でも御指摘のような弱い立場の方方を守っていく、これが福祉の基本であろうと思いますので、そのような所存で対処してまいりたいと思います。
#113
○安武洋子君 今年金法が審議をされております。この本法と申しますのは、二十一世紀にまで大きな影響を与える、年金制度の根幹を揺るがす大改悪でございます。ですから、国会としてはそれにふさわしい審議を尽くしていくべきでございます。審議はまだ始まったばかりでございます。私自身も質問要求時間十時間に対しましてまだ八時間ほどを残しております。私どもは、そういう状況でございますから、審議未了、廃案、これが当然である、そのことを要求いたしました。他党も要求時間が残っておりますが、他党はいざ知らず、私どもは、審議は全くまだ尽くされていない、こう主張したにもかかわらず、総理を呼び、審議を打ち切り採決をする、この時間に合わせて、今の私の質疑時間わずか二十分、こういうことで質疑を打ち切り、採決をしようといたしておりますが、私はここで、審議未了、廃案にすべきであるということをもう一度重ねて主張いたします。
 まず、六十五歳支給についてお伺いをしてまいります。
 年金課長にお伺いをいたします。
 前回の財政再計算期、これは昭和五十五年ですけれども、この改正案の審議の際に厚生省は、厚生年金の六十五歳の支給案、これを諮問しております。ところが、社会保険審議会の厚生年金部会は、時期尚早、慎重の報告をしております。だから六十五歳支給案は提出できなかったはずです。
 この慎重諭の根拠というのは何であったか、お伺いをいたします。
#114
○説明員(山口剛彦君) 御指名でございますので、私から御答弁をさせていただきます。
 支給開始年齢の問題につきましては、先生御指摘のような経緯がございまして、そのときの審議会の意見におきましては、年金の支給開始年齢は勤労者の老後の生活設計において重要な地位を占めているばかりでなく、現在の高齢者が置かれている極めて厳しい雇用環境を考えれば、その引き上げについてはとりわけ慎重でなければならないということで、それぞれ御意見がございまして、公益委員の方々は、段階的に長期の年月をかけて引き上げるべきだという御意見もあったわけでございますけれども、被保険者代表、事業主代表の方々につきましては、現時点では着手すべきではないということで御意見をいただきました。
 種々の経緯がございまして五十五年改正では結局実現をしなかったわけでございますけれども、いずれにしても、今回の改正におきまして、私どももこの問題につきましては相当有識者調査等をいたしまして御意見もお伺いをいたしましたし、審議会でも御意見をお伺いしたわけですけれども、まだ現段階の雇用情勢では、今回の改正でこの問題に手をつけるのは時期尚早という御意見でございましたので、その御意見等を体しまして、今回の改正ではこの問題については手をつけていないという経緯でございます。
#115
○安武洋子君 要するに、雇用と年金の継続性が必要、こういうことなんでしょう。
#116
○説明員(山口剛彦君) 支給開始年齢の問題については、雇用の状況がどうなるかというような状況を十分総合的に勘案をして判断をすべき問題であるという御指摘を受けているというふうに受けとめております。
#117
○安武洋子君 大臣に確認をいたします。
 雇用と年金の継続、この結合、これは私は当然のことながら大切なことだというふうに思っておりますが、大臣はいかがお考えでございますか。
#118
○国務大臣(増岡博之君) 現在の高齢者の雇用状況がまだまだ非常に困難である状況でございますので、六十五歳にしないで六十歳にいたしておるわけでございます。そういう意味では継続性と言われるかもしれませんけれども、定年というのが企業によってばらばらでありますから、現在のように六十歳以上の方が就業なさっておれば幾らか減らすという制度も残しておかなくてはならないというふうにも思っておるわけでございます。
#119
○安武洋子君 継続しなければ労働者の生活が脅かされます。ですから、雇用と年金の継続には大臣は一体努力されるのかどうか、そのことを御答弁いただきたいんです。
 そうして法律上というのは、今六十歳云々とおっしゃいましたけれども、そうはなっていないんじゃないんですか。――大臣の御答弁をいただかないといけない。
#120
○政府委員(吉原健二君) 法律上も、厚生年金の支給は当分の間六十歳から、こういうことになっているわけでございます。
#121
○国務大臣(増岡博之君) 私は、雇用と年金ということを考えますと、今のような長寿社会になりましたから、元気な間はできるだけ働くことがその人の人生の幸せ、充実につながると思っておるわけでございます。そういう観点から、今労働省と厚生省との間で高齢者雇用問題に関しましての協議会をつくっておるわけでございまして、そういうことの結果を踏まえて対処してまいりたいと思います。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
#122
○安武洋子君 だから、働くことを保障し、そして年金と継続をさせないと、皆の生活が脅かされる、そういうことでしょう。ですから私は、そのために努力されるのかどうかということを聞いております。
 それから、国民年金法二十六条、これは老齢基礎年金を六十五歳から支給するとなっているはずです。それから厚生年金保険法四十二条、これは老齢厚生年金は六十五歳から支給する、こうなっております。どちらも六十五歳ではありませんか。
#123
○説明員(山口剛彦君) 御指摘のように、支給開始年齢につきましてはそういう規定が今回の改正でされております。
 この基本的な考え方は、今回の制度改正の基本は、基礎年金という国民共通の給付を設けてそれを共通の給付とし、また、負担面でも共通に公平に負担をしていこうという考え方でございますので、基礎年金というものをベースにして、ほかの制度につきましてもできるだけそれに整合性を合わせていくという考え方が基本でございます。したがいまして、基礎年金が六十五歳支給でございますので、いわば二階の部分に当たります厚生年金についても、原則として六十五歳支給ということを本則に書かしていただいたわけでございます。
 しかし、先ほど申し上げましたような経緯もございますので、当面は六十歳の支給を厚生年金の独自給付とするという法律上の構成をとりましたために、今御指摘のような規定になっている次第でございます。
#124
○安武洋子君 私の質問時間を短くするときに、政府に簡潔に答弁させるとおっしゃったんです。政府は簡潔に答弁してください。聞きもせぬことを答えないでください。
 ですから、国家公務員、それから地方公務員、この共済組合法も、法律本体は六十五歳、こういう書き方と思いますけれども、どうですか。
#125
○説明員(山口剛彦君) そのように承知をいたしております。
#126
○安武洋子君 附則八条で、老齢厚生年金の特例で、先ほど言われたように、「当分の間、」六十歳支給とする、こうなっております。じゃ、当分の間とは一体いつまでですか。
#127
○説明員(山口剛彦君) 「当分の間、」という規定を置きましたのは、先ほど申し上げましたような背景でございます。したがいまして、現時点で当分の間はいつまでという判断はいたしておりません。
#128
○安武洋子君 昭和七十年度をめどにすべての年金の一元化を図る、こういう閣議決定があります。当分の間とは、一元化完了の七十年ということではありませんか。
#129
○説明員(山口剛彦君) 政府全体として七十年を目途に一元化をするという目標を立てておりますけれども、支給開始年齢の問題につきまして、それまでに例えば六十五にそろえるというような判断を、現時点ではいたしておりません。当然それまでの検討の課題になってくる問題だと思いますけれども、現時点では判断をいたしておりません。
#130
○安武洋子君 もうちゃんと課題にしているのではありませんか。この「厚生 一九八四・四 特集年金制度改正のすべて」、ここに「保険料(率)の見通し」、こういうのが出ております。この中に、六十五歳支給と仮定した場合の保険料率の見通し、これが出ております。「昭和七十三年度から昭和八十五年度までの間に六十五歳まで段階的に引き上げていくものと仮定してある。」と、ちゃんともう仮定してこういう計算までしているじゃありませんか。いかがですか。
#131
○説明員(山口剛彦君) 支給開始年齢の問題につきましては、今回の制度改正を御審議いただきました審議会等におきましても、労使とも、今後の高齢化社会を展望するとき避けて通れない問題であるという御指摘がございます。私どももこの問題は将来の課題だというふうに考えております。
 今回の数理計算をいたします場合にも、そういう御意見等もございますので、一つの参考の資料としてこういう計算をさせていただいたということで、具体的に七十三年から支給開始年齢の引き上げを図ろうという方針を決めているというふうなことでは決してございません。
#132
○安武洋子君 じゃ、七十三年には六十五歳に引き上げないと確約ができるんですか。それともあなたたちは六十五歳を虎視たんたんとねらっている、そういうことなんですか。どちらですか。
#133
○説明員(山口剛彦君) 将来の課題だと考えておりますけれども、現時点では先ほど来申し上げておりますように、今後の雇用情勢等を総合的に判断をいたしまして最終的な結論を出したいと考えております。
#134
○安武洋子君 ではわかりました。まずここのところにもこういう図をかく、そして将来の課題だと言って虎視たんたんと六十五歳導入をねらうということですね。そういうふうに解釈をいたします。
 ということになりますと、雇用と年金の継続なしに六十五歳支給、こんなものを安易にやるべきではありません。先ほど大臣は答弁をされておりません。ですから本当に大臣は――雇用と年金の継続なしには国民の生活は安定しないわけなんです、ですから雇用の方を確保し、そして年金とつないでいくというふうな先ほどの御答弁の趣旨かとも思いますけれども、この雇用と年金の継続なしには安易に六十五歳、こういう支給に引き上げるべきでないと、私はそう思います。ですからこういう点で雇用と年金の継続性、これを図るために努力をされるかどうかということをお伺いいたします。
#135
○国務大臣(増岡博之君) 私どもは、今の雇用情勢では六十五歳ということは無理だということで六十歳からということにいたしておるわけでございまして、その状況が変わらない場合には、同じ考え方でまいりたいと思います。
#136
○安武洋子君 低年金者、無年金者、これでお伺いをいたしていきます。
 厚生省は、先日の委員会で、昭和百年の推計として満期年金五万円年金を受給できる人の割合、これは厚生年金で一〇〇%全員だと、国民年金で七五%、こう答弁されておりますが、間違いありませんか。
#137
○説明員(田村正雄君) そのとおりでございます。
#138
○安武洋子君 本気でそう考えているなら根拠を示してください。簡略に。
#139
○説明員(田村正雄君) 先日御説明申し上げましたように、厚生年金の場合ですと保険料を一〇〇%納入していただけると、こういうことでございますから、この方々については恐らく皆さん五万円もらえるだろうということでございます。ただ、国民年金の場合ですと、免除規定、それから未納の場合も当然予測されますので、現時点で得られております実績をベースにいたしますと、ほぼ二五%ぐらいの方が免除、未納の期間を持ったような状態になるんだろうと、こういうことでございます。
#140
○安武洋子君 厚生年金で、大学の卒業者、これは二十二歳、これはもうわずかですが、二十三歳で大体就職をいたします。ということになりますと、六十歳まで勤めましても三十七年から三十八年です。三十八年なら四万七千五百円、こういうことになります。これでどうして一〇〇%の五万円年金が受給できるんですか。
#141
○説明員(田村正雄君) 確かに国民年金の期間はそういうことになるかもしれませんけれども、厚生年金の加入期間が六十五歳まででございます。そういうことでございますので、実質的には五万円というものを確保できる、こういう見方でございます。
#142
○安武洋子君 それ、いいかげんじゃないですか。六十歳でしょう。六十歳が基本になっているのに。六十歳支給ですからね。一〇〇%切るじゃないですか。
 中小企業の労働者、これは倒産とか家庭の事情、労働条件によって転職が多いわけです。中小企業の労働者というのは、平均勤続年数、これは現在で八・一年です。大企業に比較をいたしますと非常に短いわけですよ。中小企業労働者というのは全労働者の過半数を占めます。その上に五人未満の事業所にも法人の場合は強制適用する、こういうことから見ましても一〇〇%なんて全くでたらめじゃありませんか。どう考えてなさるんですか。
#143
○説明員(田村正雄君) 五人未満の話は、先ほど部長からもお話しございましたけれども、中小企業に働いている場合には国民年金に入っていただいているわけでございます。その期間とそれから厚生年金に入った期間が通算されて基礎年金が計算される、こういうことになっておりますので、私どもはそういう期間が欠けるということはないだろう、こういうふうに見ております。
 それからなお、六十歳で切れるというお話でございましたけれども、厚生年金の実際の支給開始年齢、平均いたしますと大体六十二歳でございます。そういうことから見ましても、恐らく皆さん実質的には五万円いただける、こういうことになっているのではないかと、こういうふうに見ているわけでございます。
#144
○安武洋子君 あなたたちは、法案の精神に沿ってなぜちゃんと答弁なさらないの。都合のいいことばかり自分たちの現状に当てはめておっしゃっている。私は、六十歳から支給するんでしょう、それまでに一〇〇%にならないと申し上げているわけですよ。それと中小企業の平均勤続年数というのが八・一年、しかもこれは何度かわられるかというふうなことは、政府は統計もとっていないじゃありませんか。しかし、私の周りで五回、六回、八回ざらです。こういうことでどうして一〇〇%ということになるんでしょうか。
 それから国民年金の場合です。七五%程度、こういうふうに御答弁なさっておられます。保険料の免除率、こういうことを見てみますと、現行の水準どおりに推移をいたします。そうしますと、七五%程度の人がやっと五万円の満額の年金が受けられる。逆に言いますと、政府の答弁だって二五%以上の人が五万円の年金を受けられない、こういう制度ですね。
#145
○説明員(田村正雄君) 国民年金といいますか、一号被保険者については先ほど来お話し申し上げておりますようにそのとおりでございます。ただ、先ほど来五人未満のお話ございますけれども、私ども計算上では、幾ら転職いたしましてもそれは必ず期間が通算されるということでございますから、中が抜けるということではちょっと計算しにくいということではないかと思いますけれども。
#146
○安武洋子君 余りいいかげんなことを言ってもらっては困るんですよ。私は、先ほどの話に返りますけれども、国民年金の場合二五%ぐらいの人が五万円年金を受けられない、こんな程度だというふうに心得てなさるんですか。
#147
○説明員(田村正雄君) 心得ているではなくて、先ほどちょっと御説明申し上げましたように、私ども計算を始めた時点、昭和五十八年度末でございますけれども、その時点までの実際の国民年金の保険料の納入状況を見てみますと、大体一五%ぐらいの方が保険料の免除を受けている。そのほかに保険料未納の方が幾らかいるということで、長期的には今の状態がそのまま推移するとすれば、二五%ぐらいの方が何らかの形で保険料を納めない期間をお持ちになるだろう、こういうことで推計したということでございます。
#148
○安武洋子君 二五%ぐらいで済まないですよ。
 私はここで時間があればちゃんと数字をそちらの方から言っていただきたい。しかし時間がありませんので私の方から言いますけれども、保険料の免除状況、これは五十三年から見てみますと、五十三年は九・一%です。それが五十四年には一〇・五、五十五年に一一・八、五十六年一三・一、五十七年一五・〇、五十八年一六・七、こうふえ続けます。それから国民年金保険料の納入状況、これは検認状況ですけれども、これも五十三年が九六・二、五十四年が九六・一、それから五十五年が九六・一、五十六年九五・七、五十七年九五・二、五十八年九四・六。保険料免除、これは毎年ふえているわけです。保険料の滞納者も毎年ふえているんです。納入者は毎年減っているんです。
 五十八年度の保険料というのは五千八百三十円。ちょうど五十八年しか出ておりませんからこの五十八年に合わせますと、五千八百三十円です。これでも一六・七%の免除者、そして五・四%の滞納者、こういうふうな人たちが五万円の適用は受けられないわけです。そして、保険料は将来一万三千円に上がります。これは五十九年価格です。そして、免除率、納入率とも現行のまま推移するとは考えられないわけです。この点どうですか。
#149
○説明員(田村正雄君) お答えいたします。
 私どもは、今お話しのありましたように、免除率がどうなっていくか、あるいは未納率がどうなっていくかということは大変見通しがしにくいということで、これは従来からの手法でございますけれども、現時点までにわかっております状況をそのまま将来に向かって投影するというのが基本的な方法でございますので、そういうことで作業をさしていただいているということでございます。
 ただ、これから先四年なり五年なりたちまして、次の再計算の時期が来ました時点で事態が変わっておりますと、またその要素を再計算に反映させていく、こういうのが従来からの手法になっているということでございますから、この時点で将来どうなるかということまで見通した上でやっているというわけではございません。
#150
○安武洋子君 大変無責任で、法案は二十一世紀にも及ぼうか、しかし将来を見通していない、私はこんな無責任なやり方というのはないと思います。過大な負担に耐え切れないで、政府の予測をはるかに超えるというふうな多くの無年金者、低年金者、これが出ることは必至なんですよ。そのような仕組みになっている。
 何が証拠かと申しますと、それはそこにおられる年金局長がちゃんと言っておられるんです。これは座談会の中でちゃんと言っておられます。どうおっしゃっているかというと、「五十年代に入って、一四、一五、一六%とだんだん上がってきている。」、これは免除者ですよ。免除率が非常に上がってきている。「したがって、将来どうだといわれますと、決して心配ないといい切れない面があります。」、そして、それから少し飛びますけれども、「できるだけ頑張って保険料を払うのだという気持ちがない限りは、率直にいってこの基礎年金も将来、われわれが考えているようにはいかないかもしれないという心配はあります。」。もう御心配になっている全くそのとおりではありませんか。年金局長さん、いかがですか。
#151
○政府委員(吉原健二君) やはりこの基礎年金の考え方が、拠出制といいますか、保険料を払っていただいて基礎年金を支給するという制度の建前でございますので、やはり国民一人一人の方ができるだけ保険料を払うというお気持ちを前提にしておりますがゆえに、そういったことにつきまして御理解といいますか御協力がございませんと、基礎年金制度というものは、なかなか私どもが考えているようにいかない心配がある、それは確かでございます。
#152
○安武洋子君 私は、それなのに全く根拠のない、こういう希望的な推計を国会で表明するなんて、全く不誠実だ、そのことを強く申し上げます。
 そして私は、また、婦人の年金権の問題、物価スライドの問題、各種準備をしてまいりましたけれども、もう時間がありません。私はここで、本法案の目玉の一つ、こういうふうに政府が宣伝をされております婦人の年金権について一言だけ申し上げておきたい、こう思います。
 本法案で、婦人の厚生年金支給開始年齢を六十歳に引き上げる、こういうことで保険料も男女同一化をするということ、そして婦人については毎年特例で千分の二引き上げるというふうになっております。こういう措置というのは機械的な男女平等論です。そして、実際の婦人労働者の置かれている現状を無視したものです。我が国の賃金の男女間格差というのは先進国の中で最も大きいです。男子を一〇〇としまして女子は五二・八、こういう状況です。こういう格差が年金にも反映をしております。男子が月十四万円、これに対しまして女子は八万円という状況です。こういう賃金上の格差や差別的な状況、これは一向に改善されません。そして、年金制度上の男女同一化のみが先行する、こういうことになりますと、婦人が不満を持つのは当然です。私はこのような措置に断固反対です。このことを強く指摘をしておきます。
 そして私は一般質疑が終わるに当たりまして、先ほども申し上げましたように、私はまだ問題をいっぱい持っているわけです。審議はできておりません。審議未了、廃案を強く主張いたしまして、一応私の質問を終わります。
#153
○下村泰君 この改正法案の審議に入りましてつくづく感じたことなんですけれども、多くの国民、殊に働く方たちがこれだけ反対しているのに、何で早く審議をして早く上げなきゃいけないのかなという疑問が素直にわいてまいりました。しかし、国会の中でございまして、いろいろの議事の進行上こういうふうになるんでございましょうけれども、例えば庶民的な感覚で申し上げれば、この年金給付に対して予算がない、財源がない、それなら自衛隊の飛行機の二機分か三機分回せばいいじゃないか、こういうふうに考えるのが庶民の感覚なんです。一番これは素直な考え方だと思います。しかし、今これを取り上げましても、飛行機が二機、三機減るわけございませんでしょうから、法案の中について、私が今まで質問をいたしましたことを確認させていただきたいと思います。
 前々回四月九日、前回四月十六日に伺いました障害年金受給者の国民年金任意加入の問題についてお尋ねいたします。
 中野委員からもお尋ねがあったと思いますが、この点につきましては、多くの関係者から何とかしてほしいとの声が上がっております。現に一定の修正がなされたようには聞いております。私がここで指摘したいのは、障害者やその家族は、お役所の指導によって加入したと言っておられる方がほとんどなんですね。本人は気がつかなかったけれども、加入なされると、これこれこういうふうに併給してもらえますよ、二つの年金があわせてもらえますよと言われた。これが一番の魅力であったわけです。もともと障害者やその家族は、制度がどのようになっているのか、どうすればよいのかといったことは、詳しく知りません。今回の改正につきましても、制度がどう変わるのか、正確な情報を関係者が周知するよう格段の御配慮をお願いしたいと思いますけれども、どういうふうなお答えでございましょうか。
#154
○政府委員(吉原健二君) 今回の改正は大変大きな改正でございますし、内容的にも大変複雑な仕組みになっております。そういった意味におきまして、この改正の法案が成立をさしていただきましたならば、改めてその改正の考え方、趣旨、内容につきまして、細かく、正確に、適切に、国民の方々に周知徹底できるようなPR、広報活動を十分やってまいりたいというふうに思っております。
#155
○下村泰君 五十三年か五十四年のときでございましたが、私も当委員会で申し上げたことがありますけれども、三十六年に施行されまして、国民年金にお入りなさいと。ところがほとんどの国民は知らない。これをどういうふうにあなた方はPRなさいますかとお尋ねしたときに、今の局長と同じ答えだったんですね。今の答えと同じだったんです。
 三十六年から今日まで二十四年たちました。そうしましたらまたこういう問題にぶつかってきた。この方たちにどういうふうに徹底させるのか、今の任意加入した方々をどういうふうに処置されるのか、もう少し具体的にお答え願いたいと思います。
#156
○政府委員(吉原健二君) 一般的な広報なり周知徹底の方法につきましては先ほどお答えをさしていただいたとおりでございますが、国民年金に任意加入をされました障害者に対する御説明、PRにつきましては、この御審議の結果によりまして、具体的にどういう形になるのか、その内容というものを十分承知をさしていただきました上で、個別に、あるいは一般的なPRを十分さしていただきたいと思います。
#157
○下村泰君 修正案が出ておりますけれども、修正案より新聞の活字の修正案の方が早いわけですね。新聞活字の修正案によりますと、任意加入期間に応じて一時金の支給ということになっております。
 この一時金というのは、例えばその方が加入期間に積まれた額をそっくりそのまま返すのか、あるいは何年から何年までの人はこれだけですよといって返すのか、あるいは申しわけございませんでしたと、これは我々の政府の方の手落ちでございます、まことに申しわけがありません、これは定期預金並みに利息をつけてお返しいたしますと、こういうふうになるんですか、一体どれを選ばれるんでしょうかね。まだその具体的なところまで出ていないと思いますけれども、新聞にはそういうふうに報道されておるんですけれども、どういうふうにお答えになりますか。
#158
○国務大臣(増岡博之君) そのことにつきましては、まだ改正法案の御審議をいただいておる最中でございますので、政府といたしましては、その結論を十分尊重してまいらなければならないと思います。
#159
○下村泰君 大臣がお答えになるんですから、恐らく内容はよい方にできてくるんじゃないかという期待をいたします。よろしくお願いします。
 今回のこの年金改正ほど悲喜こもごもの状況を呈しているものはないと思われるんです。どういうところかと申しますと、障害福祉年金が引き上げられます。しかも基礎年金として倍額になります。これは障害者にとりては大変すばらしいこと、のどから手の出るほどの状態です。一日も早く施行されることを望んでおるわけです。ところが、それ以外の方々から見れば、これほど改悪な法案はないという、まさに明暗が二つに分かれておるわけです。
 そこで、障害者の等級及び認定について伺いますけれども、今回の改正案では、国民年金も厚生年金も障害等級の内容は政令で定められることとなっております。これらの法律の障害等級表がどうなるのかは関係者にとってはこれ極めて重大な関心事であるわけです。前の委員会でも御説明いたしましたけれども、この厚生年金の障害認定とそれから国民年金の障害認定とはそれぞれ違います。殊に身体障害者に対する身障者の保険の場合、年金の場合、これがえらい違ってきます。前にもこれ御説明しましたけれども、脳性小児まひの方で五級になっている方が私の部屋から廊下へ出るまで五分以上かかる、そのような大変な御苦労をなさる方もいらっしゃる。ところが等級ははるかに低いわけです。これはそれぞれのやり方が異なるところがある。そろえてほしいという声が非常に多くあるわけです。
 そこで、今回改正において障害等級に関する政令はどのような考えで定められる予定か。また、障害の認定に関する取り扱いはどのようになさいますのか。これはひとつ大臣のお考えをお聞きして私は終わりたいと思います。
#160
○政府委員(吉原健二君) 障害等級の等級表の統一の問題でございますが、今私ども考えておりますのは、国民年金の障害等級表一級、二級、これを基礎にして厚生年金とできるだけ統一をしていく、基本的にはそういう考え方に立っているわけでございます。
#161
○国務大臣(増岡博之君) ただいま年金局長から説明をいたしましたけれども、その間におきまして、できるだけ温かい配慮を加えてまいりたいと思います。
#162
○下村泰君 とにかく、この間もお話ししましたけれども、ばらつきがあるというんですよね。東京都で認定されるのと東京都外の近県で認定されるのとは大変ばらつきがある。おかしいんですわな。認定の方法が決まっていながら、しかも同じ障害を持っていながら都と県では違う。しかも過疎の方に行けばなお違うというような状況もあるんです。
 ですから、そういうことがあったんでは、幾ら年金法の改正をしても何をしても、やはり国民全般に対して、そういう政府の願っていることに反するようなことが政府の直属下において起きてくるんでは、これは何にもならないと思いますね。仏つくって魂入れずになりますから、どうぞひとつその点はよくよくの御配慮の上お願いをいたしたいと思います。
 終わります。
#163
○委員長(遠藤政夫君) 本案に対する質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#164
○委員長(遠藤政夫君) 戦時災害援護法案を議題といたします。
 発議者片山甚市君から趣旨説明を聴取いたします。片山甚市君。
#165
○委員以外の議員(片山甚市君) 私は、ただいま議題となりました戦時災害援護法案につきまして、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘を代表いたしまして、提案の理由を御説明申し上げます。
 既に戦後三十九年を経て、あの忌まわしい戦争への記憶が一段と風化し、新しい戦争への危険さえもささやかれる中で、なお戦争の傷跡が生活を圧迫し、生命と健康を失った多くの一般戦災者が、国から何らの援護を受けることなく、戦争犠牲者として傷病苦と生活苦にあえぎながら余命をつないでいる現実を放置することはできません。
 私は、これら戦災者の心情と、報われることなく高齢化し、亡くなられる方々の続出する日々に思いをいたすとき、援護の手が一刻も早く差し伸べられる必要を痛感せざるを得ないのであります。
 振り返ってみますと、さきの大戦では、原爆投下を含め米軍の無差別爆撃によって、銃後と思われていた非戦闘員とその住居までも一瞬にして戦場に変え、我が国全土にわたる諸都市が焼き払われました。
 昭和二十年四月十三日の状況窮迫せる場合に応ずる国民戦闘組織に関する閣議決定は、「新たなる兵役義務により、兵として動員し、統帥権下に服役せしめ得る必要な法的措置を講ずること」を決め、昭和二十年六月二十二日に、即時公布された義勇兵役法では、「国民義勇隊に参加せしむべきものは、老幼者、病弱者、妊産婦等を除くの外は、可及的広範に包含せしむるものを徴兵する」とし、いわゆる国民皆兵体制をつくり上げたことによっても、当時既に平和な銃後は存在せず、戦場そのものとなっていたことは明白であります。
 これによる一般市民の死傷被害は、沖縄を除いても優に八十万人を超え、罹災人口は実に一千万人を超すといわれています。中でも昭和二十年三月十日の東京大空襲は、わずか二時間余の爆撃によって全都の四割が一瞬にして灰じんと化し、炎の中で約十万の都民の生命を奪いました。その惨状は、イギリスの一物理学者をして、原子爆弾攻撃による荒廃化を除けば、今までになされた空襲のうち最も惨害をほしいままにした空襲であると指摘させるほどでありました。
 昭和十七年二月二十四日に公布された戦時災害保護法では、昭和二十一年に廃止されるまでの間に十二万七千人の民間戦災者、傷害者、同遺族に対し、救済、補償もなされました。戦後、政府は、今日まで戦争犠牲者対策を、軍人軍属及びその遺家族など、昭和五十九年末現在約十一万人に限定してきているのであります。その後、準軍属と言われる人びとなど、わずかな範囲の拡大はあったものの、銃後の犠牲者に対する援護の手は、基本的は皆無に等しいまま、今日に至っているのであります。
 一方、今次大戦の同じ敗戦国である西ドイツでは、既に昭和二十五年に戦争犠牲者の援護に関する法律を制定し、公務傷病と同視すべき傷害の範囲を極めて広範に規定したため、援護の手はあまねく一般市民にまで及び、その対象は昭和五十二年六月末現在においても実に二百十七万八千人にも上っています。
 我が国の戦争犠牲者対策は、原爆被爆者に対する特別措置は別として、あくまでも軍人軍属等に限定しようとするものであり、こうした政府の態度は大戦の過ちを衷心から悔い改めようとする姿勢に欠けるばかりか、軍事優先の思想が根底にあるのではないかとの疑念さえもうかがわせるのであります。
 戦後三十九年を経て、いまだに放置されたままの一般戦災者に対し、国の援護措置を望む国民の声は戦災地域にとどまらず、それ以外の自治体からも決議、意見書が多く寄せられており、一夜にして十万人近い人々の命を奪われた東京では、特は最近犠牲者を悼み、反戦平和を願う大集会が催され、その都度一般戦災者に対する援護が強く求められているところであります。本案は、このような国民の声を背景に、本案成立の日までは、いまだ戦後終わらずとの確信を持って作成し、再び提案するものであります。
 次に、本案の要旨について簡略に申し述べます。
 さきの大戦で空襲その他の戦時災害によって身体に被害を受けた者及び死亡した者の遺族に対し、戦傷病者特別援護法及び戦傷病者戦没者遺族等援護法(以下それぞれ特別援護法、遺族援護法という)に規定する、軍人軍属等に対する援護と同様、国家補償の精神に基づく援護を行おうとするものであります。ただし、遺族に対する援護については、遺族年金にかえて一時金たる遺族給付金百万円を支給することとしております。
 援護の種類別に申し上げますと、第一は療養の給付、療養の手当二万二千五百円支給及び葬祭費十一万三千円を支給することであります。第二は、更生医療の給付として、補装具の支給及び修理、国立保養所への収容並びに日本国有鉄道への無償乗車等の取り扱いであります。第三は、障害年金または障害一時金を支給することであります。以上、支給要件、給付内容はすべて軍人軍属等におけると同様であります。第四は、遺族給付金、五年償還の記名国債として百万円の支給であります。遺族の範囲は、死亡した者の父母、子、孫、祖父母で、死亡した者の死亡の当時、日本国籍を有し、かつその者によって生計を維持し、またはその者と生計をともにしていた者といたしております。第五は、弔慰金五万円の支給であります。遺族の範囲はおおむね軍人軍属等におけると同じであります。
 なお、この法律による援護の水準を、特別援護法または遺族援護法による軍人軍属に対する援護の水準と同じレベルにしたことに伴い、これらの法律はよる準軍属に対する援護で、なお軍人軍属に対する援護の水準に達していない者については、同一レベルに引き上げる措置を講ずることといたしました。
 最後に、施行期日は、公布の日から一年以内で政令で定める日としております。
 何とぞ、御審議の上、速やかに本案の成立を期せられんことをお願いいたしまして提案理由の御説明を終わります。
#166
○委員長(遠藤政夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。
 これにて暫時休憩いたします。
   午後五時三十四分休憩
     ─────・─────
   午後六時三十一分開会
#167
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、前島英三郎君が委員を辞任され、その補欠として矢野俊比古君が選任されました。
    ─────────────
#168
○委員長(遠藤政夫君) 休憩前に引き続き、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#169
○高杉廸忠君 本委員会において現在審議をしております年金法改正の質疑に入る前に、私は中曽根総理に対して、当面する政治課題を初め基本的な問題について若干ただしたいと存じます。
 まず伺いますが、ボン・サミットを目前に控えて、総理はその折世界の首脳に何を訴え、また、何を協議してこられようとされるのか、この際明らかにしていただきたいと存じます。
#170
○国務大臣(中曽根康弘君) まだどういう議題にするかということは正式に確定しておりません。したがって、どういう議論が行われるかということは全く白紙の状態でございますが、せっかくのお申し出でございますから、私の感じを申し上げます。
 まず、ことしは終戦四十年という歴史の節目に当たります。そういう意味におきまして、過般の大戦を反省し、そして我々が新しくかち得ました自由、平和、民主主義の諸価値というものを確認をして、それをさらに力強く前進させる、そういう意味の結束をサミット構成国で確認し合う、そういうことはまた一つ大いに意味があるのではないかと思います。それは四十年の歴史の節目という観点から考えることであります。
 それから、やはりインフレなき持続的世界的繁栄という方向に経済を引っ張っていく必要があると思っております。これはウィリアムズバーグ、それから昨年のロンドン・サミットを経まして、世界経済の運営について一致したところでございますが、引き続き、その要請はさらに強いものがあると思っております。
 そういう中におきまして、各国は皆問題を抱えております。例えば我が国にいたしますれば膨大なる輸出超過、アメリカにしますれば財政赤字あるいは高金利、それからくる強いドル、ヨーロッパにしますると大きな失業問題、その背景にある産業調整の不活発さ、それぞれみんな問題を抱えておりますが、世界経済というものは、各国経済がお互いに合成し合って世界全体の動きが形成されるものでありまして、一国とか一地方だけで世界経済というものが形成されておるものではありません。これは同時的、同義的に世界経済というものが変化し動いておるものであると考えております。ちょうど天気図を見ますと高気圧があるから低気圧があるというようなもので、しかも気圧の流れというものは常に流動しております。どの地方が原因で天気が動いているというものではない、みんなそれぞれ相関関係と機能的連関を持って、そしてみずから組み立てつつまた組み立てられつつある、そういう関係に世界経済というものはあるんだろうと思います。そういう意味においてみんなが一緒に解決に努力しなければできるものではありません。そういう観点に立ちまして、この問題点の解決に向かって各国が協力し合う、そういうことに心がけてみたいと思うのであります。
 そして、特に発展途上国の問題につきましては、日本としては特に重大な関心を持ってその途上国のためになるように我々は努力してまいるべきであると思いますし、また、アフリカの飢餓の問題についても、我々は十分配慮を示すべきであると思います。さらに、中近東あるいはイラン・イラク戦争、あるいはベトナム・カンボジア問題というような地域的紛争の解決に向かって努力することも非常に大事ではないかと思います。
 最後に、やはりこの大きな事態を踏まえ、ジュネーブ会議が進行中でありますという状況から見まして、平和と核軍縮に向かってさらに強く進むように、私は特にレーガンさんとゴルバチョフ書記長さんの米ソ首脳会談ができるだけ早期に行われるように、そして世界が安心できるような態勢へ前進するように努力してみたいと、そう思っておる次第でございます。
#171
○高杉廸忠君 今総理からお話しがありましたとおり、第二次大戦終結四十年、我が国の被爆体験から四十年、この歴史的節目を背景とするボン・サミットが、不戦、非核の国際的誓約の場とならなければならないと考えております。
 そこで、さらに伺いますが、総理は、為政者として国際場裏で二度と戦争は起こさない、してはならないということをどのように具体的に訴えるおつもりでありますか、簡潔で結構であります、お答えをいただきたいと思います。
#172
○国務大臣(中曽根康弘君) 我が国の憲法は、日本が侵略的な戦争は行わない、専守防衛に徹する、そういう趣旨の憲法であると考えております。こういうような理念は非常に貴重な理念であると思っております。
 しかし、戦争を起こさせないというためには血のにじむような努力がなければそれはできません。不幸にして、人類の歴史を見ますと戦争と平和の連続した歴史であります。そういう意味からも、平和というのは戦争を起こさせない状態であるとすら歴史を見れば言えると思うのであります。そういう意味において、戦後におきましては、やはり抑止力というものによる平和というもので大国間における四十年間の平和が保たれてきた、これは最近の世界においても珍しいぐらい長い時間大国の戦争はなかったという時間帯になります。そういう実績も踏まえまして、特に核兵器のような恐るべき超弩級兵器が出現しますると、もう恐怖の均衡という形で手も足も出なくなって戦争が行われないという情勢も現実としてはあると思うのであります。
 そういう現実に目をそらすことなく、しかもそのような歓迎されないような考え方、いわゆる恐怖の均衡というようなものによらざる形で人類がさらに英知を使って平和、軍縮に向かって前進するということが私は大事であると、そう思って、核兵器の廃絶あるいは世界の恒久平和という面に向かって微力を尽くしてまいりたいと考えておるところであります。
#173
○高杉廸忠君 ぜひひとつ、二度と戦争を起こさない、してはならないということを強調していただきたいと思っております。
 また、経済面で見れば、米欧の燃え盛る経済摩擦の火が我が国にも押し寄せてきていると思います。貿易立国の我が国にとって、その解決と同時に、高失業の世界的不況の不安から世界の勤労国民を救い出す有効な処方せんを提起する責任と義務があると思います。総理はどのようなお考えをお持ちですか、伺います。
 また、総理がデパートなどで舶来品を購入するといったゼスチャーだけでは問題は基本的には解決しない、こう思います。いかがでしょう。
#174
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本の輸出が非常に膨大になりまして、外国からいろいろ指摘されている面もなきにしもあらずであります。それらの中には理由があるのもあり、いわれなきものもあります。我々は謙虚に受けとめまして、みずから正すべきものは自主的に正す、そういう考えに立ちまして、四月九日に一連の当面の対策及び中期的展望、対策を発表したところでありまして、これを誠実に実現していく、実行していくということによって現在の問題点を解消させようと努力をしておるところであります。
 また、それらは世界的に通用されることでありまして、発展途上国、ASEANの諸国等につきましても、同じように日本に対する貿易関係が順調になるように今後とも努力してまいりたいと思っておるところでございます。
#175
○高杉廸忠君 さらに伺いますが、先ほどもお話しがありましたように、世界を見渡したときに、飢餓に苦しむサハラ以南のアフリカ諸国や、累積債務にあえぐ発展途上国の姿を見逃すわけにはいかないわけであります。こういった諸国に対する経済的支援、農業再建、食糧自給や経済的自立のために先進工業国としてどのように責任と義務を果たしていったらよいのか、この際総理のお考えと、また、ボン・サミットにおいてどのように世界の首脳と検討されるお考えであるのか、明確に示していただければありがたいと思います。
#176
○国務大臣(中曽根康弘君) 我々は、昨年度におきましても、食糧援助といたしまして約一億五千万ドル以上のお金を拠出していると記憶しております。また、その食糧援助に回した食糧の数量は約七万トンに及んでいると記憶しております。
 今後も、これらの飢餓に悩む国、あるいは食糧の不足している国、あるいは難民の皆様等に対する援助につきましては、積極的に努力してまいりたいと思っております。
#177
○高杉廸忠君 次に、内政についてただしたいと存じます。
 昭和六十年度予算が成立をして、総理はこの面ではほっとされていると思いますが、すぐに七月には六十一年度予算の概算要求基準の検討に入らなければならない時期を迎えているわけですが、総理は今後の財政をどのように考えているのか。具体的に言えば、来年度も増税なき財政再建の旗印のもとに実質マイナス予算を編成していくお考えなのか、この際、総理のお考えを伺います。
#178
○国務大臣(中曽根康弘君) 臨調答申を尊重して、そして財政改革を行う、増税なき財政再建あるいは六十五年度赤字公債依存体質から脱却する、そういう路線を進みたいと思っておりますから、いずれにせよ厳しい状況のもとの予算編成にならざるを得ないと思っておりますが、具体的なことは目下のところ全くまだ白紙でおります。
#179
○高杉廸忠君 さらに伺いますが、マイナスの予算編成は五十七年度以降各種の国庫負担を先送りをして、繰り延べをしたり、さらに防衛費を突出させる一方で、福祉、文教予算等を削減しているのが現状であると思っております。
 総理も御承知のとおりに、高齢化の進行で増加をする社会保障予算の当然増も既定経費の削減で対処しているのが実態であります。厚生省内では既に本年度の予算審議が始まる前から、六十一年度予算に対して危機意識を持って検討を始めた、こういうふうに伝えられているわけであります。
 そこで伺いますが、総理は、今後の高齢化の進む過程で、社会保障予算にどのような姿勢で財源を確保していく考えがおありなのか、この際明確にしていただきたい。伺います。
#180
○国務大臣(中曽根康弘君) 本年度予算の構成を見ますと、国債費が十兆二千二百四十二億、地方交付税交付金が九兆六千九百一億で、社会保障費が九兆五千七百三十六億、公共事業費が六兆三千六百八十九億、文教・科学技術振興費が四兆八千四百九億、防衛費が三兆一千三百七十一億、こういうことで、社会保障費が一般行政費の中ではやっぱりトップを切っておりまして、私は、必ずしも冷遇されているとは思っておりません。
 しかし、高齢化社会を前にいたしまして、社会保障の体系を合理的に、そして負担と給付の均衡を維持しつつ、かつ、世代間の安定性を持続さしていくということは大事でございますから、そういう面からも社会保障というものについて非常に大きな関心を持ちつつ、それをできるだけ後退させないように努力していくべきことは当然であると思っております。そういう考えに立ちまして、社会保障を重視しつつ予算編成を行うべきであると考えております。
#181
○高杉廸忠君 それじゃ総理、来年度予算については社会保障費の削減はない、今よりもっと増大していく、こういうお約束はできますか。
#182
○国務大臣(中曽根康弘君) 来年度予算につきましては、先ほど申し上げましたとおり、まだ白紙であります。
#183
○高杉廸忠君 ぜひひとつ、来年度予算に向けては社会保障の後退がないように要請をいたしておきます。
 次に、防衛費について伺いますが、軍事大国家にならないそのあかしのためにも、GNP比一%枠は完全に守る、この決意について伺います。総理、いかがですか。
#184
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたように、防衛費三兆一千三百七十一億、社会保障費九兆五千七百三十六億、こういう比率を見ますと、外国における予算編成の比率から見ますと、日本の防衛費というのは非常に額は少なくなっておるのであります。こういうような状況をもって軍事大国ともし言う人がいるならば、世界の相当数の国が全部軍事大国になり、ソ連なんかは超軍事大国という形になるんではないかと思います。
 しかし、防衛費はやはり節度のある形にしておくことが適当であり、予算編成につきましてもそういうことで臨んでまいりたいと思っております。そして、一%の枠は守りたいと前から申し上げているとおりであります。
#185
○高杉廸忠君 日本国憲法のもとでありますから、今大きな政治課題であり、政治的問題でありますこの防衛費GNP比一%枠は単なる願望ではなくて、何回も申し上げますように、軍事大国家に断じてならないあかしとして、歴代の政府が約束をし守ってきたことを中曽根内閣も断じて守る、必ず守る、このことを強く要請をしておきます。
 次の質問に移りますけれども、今後さらに進展する高齢化社会に向けて、どうも行政の対応がばらばらであって横の連携がとれていない。また、総合的な調整がなされていないと国民は受け取っていると思います。先般の予算委員会の一般質問でも、藤波官房長官は、従来取り組んでまいったことを点検して、一層これを強化していきたいと答弁をしておられますが、老人対策本部は総理が本部長になっているわけであります。
 そこで伺いますが、この面での総理のリーダーシップ、これはほとんど見受けられない、実態として有名無実化しているのではないか、こう思うんです。高齢化社会への対応と老人対策とは違うと私は考えます。したがって、この際、老人対策本部を発展解消させて、政府部内に高齢社会への対応のための総合調整、横の連携をとる機関、これを設けることを総理は検討すべきであると、こう考えます。総理、いかがでしょう。
#186
○国務大臣(中曽根康弘君) 私も、老人対策本部というのはいかにも古めかしい名前で、単に老人だけを頭に置くというのは幅が狭過ぎる、やはり高齢化社会というものを対象にして、幅の広い対策が必要である、そういうふうに感じまして、いわゆる老人対策本部というものを再検討するように指示しているところであり、今事務的にいろいろ検討をしておるところでございます。
 各省庁間の仕事の調整につきましては、御趣旨に沿いまして、内閣を中心にして、これがそごのないように行われるように努力してまいりたいと思っております。
#187
○高杉廸忠君 総理、ぜひひとつ具体化をお願いをする次第であります。
 次に、今回の年金改革は、来るべき十年後の七十年に全制度の総合一元化を目指して、全国民に共通した基礎年金を支給をし、これによって老後生活の基礎的部分を保障したものであると説明しておられますけれども、今まで本委員会における質疑の中でも明らかにされたように、受給者の二五%もの人たちが月額五万円の年金を受給できない、このことが明らかになっているわけであります。また、このことは、当初から政府も予測をしていたことでもあると思います。
 総理、これでは制度あって年金なしといったそしりを免れないと思うんですが、それでも総理は立派な年金制度であると国民の前に胸を張って言えるのでしょうか。総理、いかがでしょう。
#188
○国務大臣(中曽根康弘君) 二五%は年金をもらえないというお話でございましたが、それは年金を一文ももらえないということではないのでありまして、拠出金を払うのを忘れたとか、あるいは出さないとか、そういう人々、ある一定の期間しか払わなかったとか、途中でやめたとか、そういう方々が五万円の基礎年金を全部もらえないという意味で、人によっては四万円になったり三万円になったりそういうことであるので、それはその人が拠出している状況にもよってくる。ゼロで、一銭も出さなかった人というような場合でも、政府負担分の三分の一、すなわち約一万七千円ぐらいでございますか、それぐらいはもらえる、そういうことであると私は承知しております。
#189
○高杉廸忠君 全部がもらえない、五万円もらえないと、こういうことになりますから、基礎年金五万円ですよと、こう政府が従来言ってきたんです。その五万円もらえる人が少なくなるということでありますから、全部が五万円もらえない、しかも二割五分以上の人がもらえないという結果が出ているわけですから、これは今度の年金改革については、私はひとつ政府は英断をもって完全支給ができるような方策を講ずべきたと、こう思うんです。総理、いかがですか。
#190
○国務大臣(中曽根康弘君) 皆さんに全部差し上げられればそれは一番いいことかもしれませんが、やはり国家財政、あるいは公平の原理、あるいは保険制度、社会保険、そういうような思想から見まして現在の状態は、つまり五万円という問題、基礎年金をつくりまして、そして拠出の状況によって変動がある、そういうことはやむを得ないやり方ではないかと思っております。
#191
○高杉廸忠君 総理も御承知だろうと思いますけれども、我が国の国年制度には負担の面でかなりの無理がある、こう思うんです。所得のあるなしに関係なく、また額の多少に関係なく全く同一の保険料、しかも給付も定額であります。国庫負担も均一なんであります。その結果、真に必要な者の保険料負担が相対的に重くなってきている、負担がし切れない。そうなりますとその分だけ年金額が減額される、こういうことになっているんです。これが今回の改革案なんです。
 そこで総理、諸外国と比べてこれが社会保障と言えるだろうか。これでも総理はベストの年金制度と、こう言うのか。この際、総理の見解をひとつ明確に示していただきたいと思うんです。
#192
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、世界の年金制度の平均水準はいっている制度ではある、そう思っておりますが、外国の例もありますので、詳細は政府委員から御説明させていただきます。
#193
○政府委員(吉原健二君) ただいまの御質問は、国民年金制度についてのお尋ねだと思いますが、御案内のとおり、国民年金制度の対象は、非常に多種多様な職業に従事しておられる方々を対象にしておりますし、所得の面から見ましても、所得のない方も全部その適用対象として取り込んでおりますので、所得の把握等の面においても大変いろいろ難しい問題もあるわけでございます。そういったことから、現時点におきましては一律は定額の保険料を納付していただいて、その納付期間に応じて一定の年金給付を出すという仕組みをとっているわけでございます。
 しかしながら、この点につきましては衆議院における修正で、負担能力に応じた保険料の徴収、それから給付のあり方、そういった所得比例保険料、所得比例給付等につきまして今後総合的に検討すべきであるという旨の修正が行われたことでもございますので、その趣旨を体しまして今後十分検討してまいりたいと思います。
#194
○高杉廸忠君 総理、今回の制度改革が行われますと、将来国庫負担が現行と比較して大幅に減額になる、このことを総理は十分御承知なんでしょうね。どうでしょう。
#195
○国務大臣(中曽根康弘君) 保険数理でいろいろ計算しまして、老齢人口それから生産年齢、そういうようないろんな数字で計算してみまして、紀元二〇〇〇年あるいは二〇一五年、二〇二五年、それぐらいの数値をずっとはじいてみまして、七兆ぐらいになるものを四兆ぐらいで抑えようと、そういう努力はして保険制度がパンクするのを防ぐ、また給付が比例以上に上がることを防止する、そういうような配慮でシステムはできていると私は思うのであります。
 これはやはり保険制度というものを、世代間の公平、安定持続を考えるという面から考えたことでありまして、それと同じように政府の支出も、これをほうっておいた場合に支出が膨大に伸びていくのはある程度抑えられる、そういう形になり得ると思います。これはやはり、拠出と相応じてそういうような制度がとられていると私は考えております。
#196
○高杉廸忠君 総理、当初政府は、現行水準の国庫負担は確保する、こうはっきり言ってきたはずなんです。私どもが審議を通じて明らかになったところは、大幅な国庫負担減になるわけです。これは一体どういうことなんでしょう。現行水準の国庫負担を確保する、こういうことは再度お約束できますか。この際伺います。
#197
○政府委員(吉原健二君) 新制度発足当初の国庫負担は、金額的に申し上げましても大体二兆七千億程度でございまして、現行法でもそうでございますし、新制度におきましても二兆七千億程度と、現行制度と同額程度でございます。
 将来の国庫負担でございますが、将来の国庫負担は、先ほど総理からも御答弁ございましたように、全体として年金の給付の増加というものを抑制する、総額の増加を抑制していく、いわば減量政策をとっているわけでございますが、そういったことから、年金額総額に対する国庫負担そのものが次第に減っていく、こういうことでございまして、国庫負担だけでございませんで保険料も、被保険者の国民の保険料負担も減っていく。そういったことによって年金制度というものを安定的に確実な制度にしていこう、こういうことなのでございます。
#198
○高杉廸忠君 私は、国民の負担面から見て、現行の社会保険方式というのは早晩限界にくると思います。したがって、この際政府においては早期に目的税を検討して、社会保険方式と税方式の折衷方式、こういうような段階的導入を検討すべきである、こう考えるのです。このことは去る大阪における公聴会でも、与党の方の御推薦の公述人の方からも、このことは税制上から見ても当然であるというような御意見も伺いました。
 総理、英断をひとつ期待したいんですが、いかがでしょう。
#199
○国務大臣(中曽根康弘君) そのお考えも、保険制度を長期安定的に持続していくという意味では一つの御見識であると思います。
 ただ私は、社会保険、保険制度ということでございますから、税というものと果たしてなじむかどうか。今まで保険でやってきたという国民の長い間の慣習と精神的ななじみというものがあります。それから、税というものに対する国民の嫌悪感というものもございます。そういう日本の体質等も考えてみて、果たして日本社会にすぐこれがなじむであろうかという感じが一つ実はしておるのであります。
 しかし、おっしゃることの趣旨は私も理解できる点もありますので、これは引き続いて研究してまいりたいと思っております。
#200
○高杉廸忠君 次に、婦人の年金権の確立について伺います。
 今回の改革で婦人の年金の支給開始年齢が引き上げられ、保険料率もまあ段階的に男子並みになってきています。しかし、男女の賃金差別、定年年齢にも差別がある状況の中で、実効ある男女雇用平等法を初めとする労働行政の発展がない限り、婦人の年金権の確立はない、こう私は思います。総理はどのようにお考えになりますか。
#201
○国務大臣(中曽根康弘君) 男女雇用平等の実現によりまして、婦人の雇用の機会均等、条件の無差別ということが実現されるように私も念願もし、一歩一歩前進するように法体系も今整備しつつあるところでございます。やはり、そういう基本的な給料、報酬の差というものはまだ男と女性にはあるようでございます。日本だけでなく、世界的にまだ残っておるようでございます。そういうところからくる一種の格差というものは生まれてきておりますが、これはまた現状ではやむを得ないものでありますが、できるだけおっしゃいますように基礎的部分の機会均等、無差別制というものを実現していくように、今後とも努力していくべきであると思っております。
 今回は、サラリーマンの奥さんについては独自に年金権を確立いたしましたが、これは一歩前進であると考えております。
#202
○高杉廸忠君 サラリーマンの奥さんが婦人の年金権が確立した、こういうお話ですが、私はそう思いませんけれども、これは保険料を、サラリーマンである夫が妻の保険料を納めるということでありますから、それ自体で婦人の年金権が確立をされた、こういうことは私はないと思います。これは総理、ちょっと何か思い違いじゃないんでしょうか。
 それからさらに、先進諸国のイギリス、フランス、西ドイツでは、働く婦人が出産、育児、老人の介護のため退職を余儀なくされたときには、年金制度上種々の配慮がなされているところでありますが、そういった母性保障の観点から、私はぜひとも配慮が必要であると思います。このことについて総理、どういうようにお考えになりますか。
#203
○政府委員(吉原健二君) サラリーマンの奥様につきましての年金権の問題でございますけれども、保険料は夫の保険料でカバーをされる、こういうことになりますが、その方が、サラリーマンの奥さんが障害になった場合には御自身の障害年金を受けられることになりますし、仮に離婚をされて単身になられましても、御自身の年金がつくことになるわけでございます。そういった意味におきまして、特にサラリーマンの奥さんである女性の方につきましては、しっかりした年金権が保障をされたということが言えると思っているわけでございます。
 それから、お尋ねのございました出産とか育児とか老人介護等の期間、保険の中で特別な、何といいますか、加入期間に入っていたというような措置がとれないかというような御質問かと思いますけれども、諸外国には確かにそういった育児期間も保険加入期間に算入をするというような制度があるわけでございますが、諸外国におきましては育児休業等の制度が非常にしっかりした例が、確立をしているというような場合が多いわけでございまして、我が国におきましても、そういった前提条件が制度的に確立をされました時点におきましてはそういったことも可能になる時期が参ろうかと思います。現在の制度におきましては、あくまでも厚生年金につきましては雇用関係というものを前提に適用しておりますので、雇用関係がなくなった者までも厚生年金の適用は、すぐには難しい問題だろうと思います。
 ただし、基礎年金の関係につきましては、女性の方がどんな状態に置かれましても四十年間通じで基礎年金の資格を保持していく、こういうことになっているわけでございます。
#204
○高杉廸忠君 総理、今お聞きしたとおりなんですよ。先進諸国ではそうした種々の配慮がなされているわけです。我が国の制度には全くそういったものが見受けられないわけであります。したがって、ぜひともこれはやっぱり年金においても、工業先進国だけではなくて年金についても先進国並みになるような配慮をすべきだと思うんです。総理、いかがでしょう。
#205
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり、雇用の実態面における前進に期待いたしたいと思っております。
#206
○高杉廸忠君 ぜひその実現のためにも、実力の中曽根内閣でありますから御努力をいただきたいと思います。
 そこで、だんだん時間もなくなってまいりましたから、二、三、与えられた時間で引き続き質問をさしていただきますが、次の世代の健全な育成発展のために、今お聞きしたような母性保障の観点からの配慮を年金制度上実施していくことについてひとつ改めて総理のお考えを伺い、この際、ぜひともその実現を期していただきたい。これはくどいようでありますが、本年金審議も大詰めでありますから、このこともぜひこの際、総理の御見解を再度伺う次第であります。
#207
○国務大臣(中曽根康弘君) 女性の経済的な独立性とか、あるいは男女の平等というような面につきましては、今後も大いに努力してまいりたいと思っております。
 また、女性特有の育児、そのほかの問題等につきましては、やはり我々も、これは雇用の実態面において、企業関係において次第に考慮されてまいるだろうと、そのように思っております。
 いずれにせよ、こういうような関係につきましては政府が余り強制的に介入すべき分野でなくして、労働協約等によりましてこれらが前進していくべきものであると思います。国際婦人年もあり、男女雇用平等という法律も今提出されてきておるところでございまして、そのような方面に向かいまして着実に前進されるように強く期待しているところでございます。
#208
○高杉廸忠君 残り時間も少なくなりましたから、最後に総理の所見を伺いたいと思うんですが、本委員会における年金審議は、まさに二十一世紀を展望し、年金の諸制度の歴史的改革にふさわしい審議を尽くし、今回の政府案が、今までの審議を通じても明らかなように、多くの問題点を抱えて矛盾があることを指摘してまいりました。基礎年金の性格、その水準、財源、経理区分の明確化、フルペンションを受給できない者への配慮、無年金者の救済、改革に伴う激変の緩和、さらに婦人の年金権の確立など、私も総理への質問の中で今までも幾つかの提案をいたしました。
 質問を終わるに当たりまして、今日までの質疑を総括して、今申し上げました矛盾と問題点等々を含め、最後に総理に所見を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
#209
○国務大臣(中曽根康弘君) 今御指摘をいただきました基礎年金の性格、その水準、あるいは財源、経理区分の明確化、あるいはフルペンションを受給できない人への配慮、無年金者の救済、改革に伴う激変緩和、さらに婦人の年金権の確立などの諸問題につきまして御高見を承りました。
 今回の改正は、日本の未曾有の高齢化を迎える二十一世紀におきましても、年金が公平で揺るぎのないものにするような基本的改革を念願したものでございますが、御指摘のあった諸点は、今後の年金制度を考えていく上で貴重な御意見として参考にさせていただきたいと思います。
#210
○中野鉄造君 会期末も迫りまして、当院社労委員会に付託されたこの年金法案の審議も二十数時間に及んでおりますが、私は総理に対して、ごく基本的事柄について総理のお考えとその将来像を踏まえた施策についてお尋ねいたします。
 まず、今回のこの年金改革案の中で主要な問題となっております基礎年金についてでございますが、基礎年金というのはどういう性格のものであるのか、基本的な原理原則がないと、これは将来改革してさらに補っていく場合、ばらばらなものになってしまうというおそれがあるわけでございます。そういうことからはっきりとした基本原理原則を立てて首尾一貫した形で将来も年金改革を進め改善していく、こういう必要があるのではなかろうかと思いますが、この点についてはいかがですか。
#211
○国務大臣(中曽根康弘君) 基礎年金という概念は老後生活の保障の基礎的なよすがとなるべきものである、こういうように考えております。
#212
○中野鉄造君 私は、この基礎年金というのは、総理が今ごく簡潔におっしゃいましたけれども、第一に、この基礎年金というものは共通普遍的に条件に達した人すべてに支給されるものである。第二番目には、年金自体で国民の最低生活を保障する。第三に、長期的に国民の生活権として支給するという、こういう基本理念があっていいのではないか、こういうように私は思うわけでございます。
 しかし、基礎年金という名前ではございますが、政府は事実上、今言いましたような、一部しか条件を満たしていないという点で国民に一つの幻想を砲かしている、こういうような思いがするわけでございますが、これが本当に幻想とならないためにも基礎年金というものを本当に実あるものにする、いわゆる充実させるということが大切ではないか。それなくしては国民の年金制度に対する不信感をますます増幅させるものではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#213
○政府委員(吉原健二君) 基礎年金は、国民が六十五歳に達したときに、できるだけ大部分の方が支給を受けられるような条件で設定をする、これは当然のことでございまして、この改正案におきましても社会保険方式をとっておりますけれども、その社会保険方式の中で、できるだけ多くの人がこの基礎年金の受給要件を満たし、現実にそれが受けられるような仕組みにしているわけでございます。
 ただ、今申し上げましたように、あくまでも一定期間の保険料納付、つまり国民の自助努力といいますか、働ける間には一定の保険料を支払う、それを前提にして保険給付、年金給付を行う、こういう仕組みをとっておりますので、やむを得ない事情によって保険料が払えなかったというような方につきましては、ケースによっては五万円の基礎年金が減額をされるという場合があることはやむを得ないものと考えているわけでございます。
 それから、同時に最低保障との関係でございますけれども、先ほど来御議論がございましたように、国民の最低生活の保障としては生活保護の制度があるわけでございまして、この年金制度と生活保護の制度は、それぞれ目的、機能を異にしているわけでございます。年金制度というのはあくまでも、ミーンズテストを要せずに、画一的にその老後生活の基礎的な部分を保障しようと、こういうことでございまして、生活保護あるいは公的扶助のようにその人の置かれた個々の状態、世帯の状況あるいは資産の状況、収入の状況に応じて最低限度の生活を保障するという公的扶助の制度とは、その性格、目的、機能を異にするわけでございます。
#214
○中野鉄造君 次に、社会保障全体についてお尋ねいたします。
 私は、社会保障というものが体系的に総合化されなければならない、こういうように思います。例えば年金とそれに対する課税、あるいは定年制と年金、あるいはまた年金と雇用というように、これはもう密接不可分のものがありまして、単なる個と個というものの寄せ集めではなくて、寄せ集めたものはそれぞれ有機的に機能し合う組み合わせになっていなければならないと、こういうように考えておりますし、社会保障を取り巻く領域も一緒に織り込んでサポートしていかなければ社会保障というものは十分に機能できないのではないかと、このように私は思うわけですが、この点についてどのようにお考えですか。
#215
○国務大臣(中曽根康弘君) おっしゃいますように、社会福祉あるいは社会保障というようなものは包括的なもので構成される、各部分部分というものはみんな有機的に連関を持っていると思います。雇用関係あるいは退職の時期あるいは年金、医療あるいは老後の生きがいと申しますか、最近の状況では生涯学習と、そういうような問題までも含まれていくべきものである、そう思います。しかしこれは大きな理想でございまして、それが全部完備されたという国は外国でも余りないだろうと思いますが、あくまでそういう包括的なものの部分部分を充実させて、そして総合的に豊かなものにしていく、そういう考えが正しいものであると考えております。
#216
○中野鉄造君 そこで、今申しましたように、例えばこの年金と雇用の関係につきまして申しますならば、六十歳を過ぎた人が失業した場合、ある一定期間は雇用保険で給付する、それ以上は、今度は雇用保険の財政がもたなくなりますので、年金の早期受給を認める、こういうように雇用保険と年金を連動さしていくと、こういうようなことも可能ではないかと思いますが、この辺についてはどういうお考えですか。
#217
○政府委員(吉原健二君) 雇用と年金の有機的な連携といいますか、それが非常に大切であることは御指摘のとおりでございます。現行の制度におきましても、六十歳以上の方につきましては、働きながら、標準報酬賃金の額に応じて一定割合の年金を支給するという仕組みをとっておりますし、また、今回支給開始年齢を現行のまま六十歳にとどめておくことにいたしましたのも、年金と雇用との関係、現在の定年制その他の雇用の状況を勘案をしたからでございます。
 こういった意味におきまして、今後とも年金と雇用の関係につきましては、御指摘のございましたその有機的な連携、仕組みがしっかりと機能していくような形で今後とも制度を維持してまいりたいというふうに思っております。
#218
○中野鉄造君 そこで、年金だけではなくて、総じて社会保障による金銭の給付についてお尋ねいたしますけれども、社会保障の給付というのは生活水準を保障するものであると私は理解いたしますが、この生活水準ということにつきまして、先ほども私は厚生省の方にお尋ねいたしました。年金局長にもお聞きしたわけですけれども、そこにはいろいろと議論があると思います。
 そこで総理にお尋ねいたしますが、すなわち、平均的な生活水準なのか、当人の過去に到達した生活水準なのか、どのようにお考えになりますか。
 私の考えを先に申しますならば、私は少なくとも平均的な生活水準を維持するに足る給付水準が社会保障の現金給付の水準であるべきだと、こう理解しますが、いかがですか。
#219
○政府委員(吉原健二君) 率直に申し上げまして、年金の給付水準としては、実は両面を持っているわけでございます。その人の個々の、その人ごとの過去の収入なり所得に応じた年金水準というものと、それから同時に、年金を受ける世帯とそれからその年金を支払うための保険料を負担する世帯、その現役世帯と年金受給世帯のいわば生活水準のバランス、そういったものの上に年金の水準というものは決まってくる、両面を持っているというふうに私どもは考えております。
#220
○中野鉄造君 総理、いかがですか。
#221
○国務大臣(中曽根康弘君) 憲法二十五条の前段は、生活保護等に関係するものだろうと思います。それから後段の方は、社会福祉、社会保障に関係してくる。それで、その中が基礎年金と二階建ての部分と、こうなると思いますが、基礎年金はいわゆる老後の保障のよすがという意味がありますし、それから二階建ての部分は、過去の自分の業績に対する報酬、つまり、過去の自分が拠出した分に対する報酬、そういう面が出てまいりまして、いろんな性格が組み合わさっているものだと思います。
#222
○中野鉄造君 これも先ほど私は大蔵省の主税局にお尋ねしたわけですが、今お答えになったようなそういうことであるならば、この年金というものに対する課税、これもこの際いささか考え方を変えていかなくちゃいけないのではないかと思うんですけれども、厚生省の年金に対する考えと大蔵省あたりで考えておられるこの年金というもの、そしてそれに対する課税というものが必ずしも一様ではないような気がいたしますが、ここいらの点について、将来のことを踏まえてどういうようにお考えですか。
#223
○国務大臣(増岡博之君) ただいまのお尋ねは、老年者の特別控除のことであろうと思います。大蔵省は年金も一応所得の範囲内という、これは税法上の考え方を持っておられるようでございますけれども、私どもは老人福祉施策の一端だと思っておるわけでございまして、また、特に長年の定着をした問題でございますので、さらに今回の国会におきましてその措置の二年間延長が認められたわけでございますから、私どもはお年寄りの不安がないような立場で、年金者の立場からこの考え方を支持してまいりたいと思います。
#224
○中野鉄造君 総理、この両者のお考えに対して、これからはどのように対策を立てていかれますか。
#225
○国務大臣(中曽根康弘君) ただいまの厚生大臣の御答弁のとおりでございます。
#226
○中野鉄造君 今まで年金改正というのはどちらかといえば受給者の立場に立って年金額をふやすということに比重がかかっておったのではないかという嫌いもありますけれども、しかし、もうこれから先、急速な高齢化ということから見ますと、将来の負担する側に立って十分に考えていかなくちゃいけない、こういうように思うわけでございますが、この点についてどういうようにお考えですか。
#227
○政府委員(吉原健二君) おっしゃいますように、今までの我が国の年金制度に関する施策といいますのは、どちらかといいますと給付水準を改善をする、上げてくる、できるだけ諸外国の給付水準に近づけるというようなことで制度の改善、充実に努めてまいってきたわけでございますけれども、御案内のとおり、現在の時点におきましては、給付水準というのはもう諸外国に遜色のない、あるいはむしろそれよりも高いぐらいなところまできているわけでございます。今後の高齢化社会の到来というものを考えますと、給付水準を上げるというよりか、むしろ負担との関係で将来の年金の給付を適正なものにしていく、そういったことが必要な時期にきているわけでございます。
 そういった意味におきまして、給付水準の適正化、それからそれに伴う国民の負担の水準の適正化、そういったものが今後これからの年金制度を運営をしていく上で極めて重要なことだというふうに考えているわけでございます。
#228
○中野鉄造君 次に、少し論点を変えますけれども、私は、元来政治というものは、社会の中の弱者にこそ政治のスポットを当てるべきだというのが持論でございます。そういう持論を持ってはおりますけれども、また一面、私感ずるところもありますのでお尋ねいたしますが、つまり、この年金制度そのものについては、これは重要な制度であるということはだれよりも痛感しております。しかしまた一面、昔と違いまして人生八十年と言われる今日では、健康な人であるならば、六十五歳あるいは六十歳といっても気持ちの上ではまだまだ五十歳代くらいの気力の持ち主はざらである、こういうことも事実でありまして、そういう観点からお尋ねいたします。
 もともと日本人と欧米の人との勤労観だとかあるいは退職ということに対する考え方の違いと申しますか、そこいらでございますが、欧米人は、人間はなぜ働かなければならないのかと申しますと、エデンの園から祖先が追放された、そして我我子孫は働かなくちゃいけないんだと、つまり彼らにとりまして働くということは苦しく汗を流す、こういうことだと、こういうことを本に書いてあるのを私読みました。しかし、我々日本人の多くは働くことのうちに人生の楽しみを見出しておる、できればもう死ぬまで働きたい、極端に言えば年金生活などは潔しとしないと、こういう人たちがおられるのもまた事実でありまして、私は英語の方は総理のように達者ではありませんのでよくわかりませんけれども、この間聞いた話では、いそしむという言葉はなかなか横文字にはできない、こういうお話を聞いたことがありますが、このいわゆるいそしむというのは、働きながら人生をエンジョイするというか楽しむ、こういう日本人の特有のといいましょうか、持っている特異な概念ではないかと思いますが、この辺について総理いかがお考えですか。
#229
○国務大臣(中曽根康弘君) 非常に高遠なるお話を承りまして、私も深く考えさせられたところであります。
 確かに勤労観においては、欧米人と日本人と違うところがあるように思います。大体苦役というような言葉は外来語でありますが、まあハードワークとかワークハードとかというハードという言葉はつらいという言葉が出てくるわけであります。これが勤勉者というような意味にもなっているようであります。しかし、日本語のいそしむという言葉の中には、やはり喜びというようなニュアンスが、確かに言われてみると入っているような面がありまして、そういう面において、ああさすが違うなと、中野さんも随分御見識をお持ちであると感激した次第です。
 私らもう六十ですけれども、五十代の気力、いや四十代ぐらいの気力を私は持っていると思いますが、一生懸命いそしんでまいりたいと思っておる次第です。
#230
○中野鉄造君 そこで、そういう人たちがおられるというのもまた今申しますように確かに事実でありますので、このいろいろな各種年金基金の活用にも、こうした人たちの働く場所を生み出す方向への使い方だとか、あるいはそのための研究が検討されてもいいのじゃないか、こう思うわけですが、今も申しますように、そういうふうな方向に政府が努力されることがひいては年金財政の維持のためにも、あるいは六十歳、六十五歳以上になったお年寄りの人たちも喜んで自発的に年金権を返上してでも働きたくなるようなそういう生きがい、働きがいのある環境なり機構、あるいは機会、方法をつくり出すことが大切じゃないかと思いますが、この点についてのお考えなお聞かせください。
#231
○国務大臣(中曽根康弘君) まさにそこは社会保障の我々の最大の目標ではないかと思います。社会保障あるいは福祉政策というものは、単に物的な配慮あるいはいわゆる政策を行うということではまだ一〇〇%ではないのでありまして、精神的な優越感、満足感を用意することがやはり福祉の最大の目的ではないかと思います。
 そういう意味におきまして、六十になりあるいは六十五になって、それ以降でも生きがいを持つということが大事で、日本人の場合は生きがいはどこにあるかと言えば、やっぱり孫と一緒にいるとか、あるいは働くとか、孫を抱きながらお店番をするとか、そういうような形がまた喜びなんですね。決して一人で養護老人ホームにぽつんとおるのが喜びではない。その辺はまさに御指摘のとおりであると思います。
#232
○中野鉄造君 年金制度というのは、社会保障制度の重要な柱であるというふうに思います。すなわち、国民一人一人が職域や事業所の規模、あるいはその他によって左右されるというようなことではなくて、公平、公正に適用されるべきだと思います。
 そういう意味から、これからの問題でございますが、特に共済年金との一元化の件につきましては、これはもう長い歴史もありますし、もちろん労働諸条件との関係も無視するわけにはいかないところがありますので、しかしながら、だからといってそれを労働条件と同列の既得権として主張されることについては議論があるところではないかと思いますが、この点についてはいかがですか。
#233
○政府委員(吉原健二君) 共済についてのお尋ねかもしれませんが、一般的に年金制度におきましては、もちろんできるだけ既得権、期待権というものを尊重するということも大事でございますけれども、今の我が国の年金制度が抱えている問題は、何といいましても、今もお話しございましたように、各制度間のいろいろな不合理な違い、格差がございますし、不公平、不公正な面が多いということでございます。そういった意味におきまして、期待権、既得権の論議もさることながら、できるだけ速やかにこういった不公平や不合理な格差をなくしていくというようなことが大切だろうと思います。
 今回の基礎年金の導入も、そういった意味での年金制度の統合一元化の第一段階、第一歩だと思っているわけでございますし、共済についても同様な改正をお願いしているわけでございます。
#234
○中野鉄造君 終わります。
#235
○安武洋子君 本法案は、二十一世紀にも及びます大改悪でございます。私ども、国庫負担の問題で、これは将来現行法に比べまして半分近くまで削減される、そして給付と負担のバランス論、こういうふうなことを申しまして、給付は三割以上の削減をする、そして保険料は二倍以上も引き上げる、これが本法案の本旨であろうというふうに思います。要するに、軍拡と財界奉仕、そして国民生活破壊の臨調路線、これに基づきまして、福祉切り捨て、これを公的年金制度の分野まで拡大をしてきているというふうなものであろうと思うわけです。
 こういうふうなやり方と申しますのは、高齢化社会を迎えるに当たりまして、老後の生活の安定を望んでいる国民にとりましては、本当に不安に陥れられる、不安を感ぜずにはおれないというふうなものでありまして、この年金の改悪を国民の要求にこたえる道だと、一体総理はそのように思ってなさるのでしょうか。これは、財政的な視点、すなわち国庫削減の視点、こういう立場に立ちまして、給付は三割以上のカットをする、そして保険料は二倍以上も引き上げていく。国庫負担のみ半分近く削減する。いずれにしても、国民に対しては大変なしわ寄せでございます。一体、国民がこのようなことを望んでいる、そういうふうにお考えなのか。私は、こういうふうな二十一世紀にもその影響が及ぶような改革については、これは国民の合意を何よりも得る必要があるのではなかろうかというふうに思います。
 ここあたりの総理の御所見をお伺いいたします。
#236
○国務大臣(中曽根康弘君) 改悪ではなくして改善であると思います。
 と申しますのは、急激な高齢化社会に日本は見舞われまして、今の現状でこのまま推移するとしますれば、年金会計、年金制度というものが維持できなくなる、パンクする危険性が出てくるわけでございます。たしか二〇一五年から二五年ぐらいになりますと、三人の若者が一人の老人を支えるというときが来ると思っております。二五年ですね。そういうような将来もずっと考えてみまして、そのときに年金会計がパンクして、日本の今働いている人、あるいは小さな子供たちが年金が受給できなくなるというようなことを、我々が今日安易になじんでやったら、これこそ政治的罪悪であると我々は考えております。そういう面から、長期的な安定、負担と給付の公平、世代間の公平、そういうものも考えまして、今ここで思い切った改革をやって、そして長期的な年金制度の持続を考えてやっておるわけであります。今皆さんが望むような甘いことばかり申し上げたいという気持ちは我々もたくさんございますけれども、これだけの高齢化、世界で最大の高齢化時代が急激に日本に来るという現状をもってすれば、何らかの改革を行わなければとても済む状態ではないわけなのであります。
 そういう意味におきまして、全体をある程度削減しつつ、そして保険金もそのかわり削減する、そのかわり国庫負担も減らしていただく、しかし給付は現状より後退させない、そういう非常な苦心の策が今日の考え方なのでございまして、その点はぜひとも御理解をいただきたいと思うのであります。
#237
○安武洋子君 ちょっと確認いたしますけれども、給付を後退させない、総理は今こうおっしゃいましたか。
#238
○国務大臣(中曽根康弘君) 政府委員から説明させます。
#239
○政府委員(吉原健二君) 総理がおっしゃいましたのは、現行の水準を維持しつつ、維持しながら将来に向けて給付水準というものを適正化していく、こういう御趣旨だろうと思います。
#240
○安武洋子君 給付を下げないということと適正化ということとどう連なるんですか。給付を絶対に下げない、こう承ってよろしいですか。
#241
○政府委員(吉原健二君) 現在の給付水準は維持しつつ、将来に向けて給付水準というものが、例えば加入期間が長くなればそれに応じて年金額も上がっていく仕組み、それを直していくということでございます。
#242
○安武洋子君 だから、要するに給付水準を後退させないとおっしゃいましたが、それは、今の現行制度に比べて、将来給付が今の現行制度に比べれば三割以上カットされるということはないということなのかどうなのか。答えてください。
#243
○政府委員(吉原健二君) 厚生年金について申し上げますと、現在、大体勤労者の平均標準報酬賃金の六八%の水準になっているわけでございます。その六八%の水準というものを、この改正案におきましても年金の水準としてはほぼ同程度、厳密に言いますと六九%ぐらいの水準は維持していくと、こういう考え方をとっているわけでございます。
 給付水準の適正化といいますのは、現在の制度の仕組みのままにしておきますと、加入期間が現在大体三十年ちょっとでございますが、三十五年、四十年になるに従って給付水準がどんどん上がっていく。その六八という水準が七〇になり八〇になり、人によっては九〇近くになる。そういたしますと、そのときに働いて保険料を負担していただくその世代の賃金の水準と著しくアンバランスな状態になる。そういったことを回避するために給付水準の適正化といいますか、働いている人の生活水準とのバランスをとった形の年金の水準にしていくと、こういうことでございます。
#244
○安武洋子君 私の質問に的確に答えてください。
 私は、給付の後退をさせないということ、額でそうなんですかと。今の現行に比べまして給付を下げない、後退をさせない、維持をしていくということは、だから三割の額の後退を将来はやらないと、こう承っていいんですかと聞いておりますので、この点にだけ答えてください。
#245
○政府委員(吉原健二君) その点についてお答えを申し上げておるわけでございまして、現在の年金の給付水準は維持していく、これは間違いございません。将来に向けて、加入期間に応じて年金額がたんだんと高くなっていく、それが働いている人の賃金なり月給の水準に比べて非常にアンバランスに高くなっていく、保険料負担も大変な料率に高くなっていく、それを適正なものにとどめておこう、抑制をしていこうと、こういう趣旨なのでございます。
#246
○安武洋子君 今、あなたたちは改正と言われるこの改悪、制度の根幹にかかわるような、制度の仕組みを変えようとなさっていらっしゃるわけでしょう。
 そうすると、この制度によって給付は後退させない、総理はそう言われた。私は率のことを言っておりませんよ。額で、将来三割この給付水準が削減されていくというふうには絶対に今の制度でならないと、こういうことで保証されるわけですね。そうならそうで結構なんです、ありがたいことですが。
#247
○政府委員(吉原健二君) 繰り返しお答え申し上げますけれども、現在の水準は維持していくと、将来の給付水準が過度に過大になり過ぎる、それを適正化していくと、こういうことでございます。
#248
○安武洋子君 だから、現行制度に比べて給付は後退すると、こういうことになるんでしょう。金額的にそうでしょう。それならはっきり答えてくださいよ。
#249
○政府委員(吉原健二君) 例えば四十年加入した場合の年金の金額が、現在の制度の仕組みの場合よりも少なくなるということは確かでございます。
#250
○安武洋子君 それなら給付は後退するということに歴然となるではありませんか。
 総理、答弁を今訂正してください。
#251
○政府委員(吉原健二君) それは私どもは給付の後退、福祉の後退とは考えていないわけでございます。
#252
○安武洋子君 あなたたちが考えようと考えまいと、給付は後退はさせませんと、こう言った限りは――こういうふうな額で三割のカットというふうなことは私が出したわけですよ。そうすると、あなたたち、総理は、そういう給付の後退はありませんと。私はここのところで給付は三割以上の削減だねと、保険料は二倍以上も引き上げるんだねと、これが本法案の本質だということで御質問を申し上げているわけなんです。それに対して総理が給付は後退をさせませんと、しませんと、こうおっしゃった。私のこの質問にかみ合うような御答弁として承りますよ、もちろんね。ということになりますと、四十年たったら云々と、後退することがあるんだとおっしゃれば、本法律の改正によってやはり給付は後退していくと、こういうことじゃありませんか。ごまかさないでください。
 私は総理に申し上げます。私どもは当初から本法案というのは年金制度の大改悪である、総理は改正であるとおっしゃいますけれども、大改悪であるということを指摘してまいりました。そして、大変不十分な時間でございます。しかしその中でもそのことはますますはっきりしてきていると思います。
 政府は、国庫負担の見通し、これがどうなるか隠し続けてこられていたわけですよ。やっと追及されて資料を出してこられた。今までは、財政再計算の資料、これを出してこられて、その中にはちゃんと保険料の収入あるいは年金支給総額、こういう将来見通しとともに国庫負担のこの欄があったわけですよ。ところが、今回の資料からはその欄が欄ごと姿を消してしまっている。これがやっと出てきたわけですけれども、現行に比しまして、これは昭和百年には二兆七千億、現行の六七%。昭和百二十年には三兆三千億、五六%。半分近くまで国庫負担が減っていくわけです。こういうふうになりまして、国民の保険料負担が二倍以上に引き上げられる。こういうことで国民が納得するというふうに一体総理はお考えなんでしょうか、お伺いいたします。――総理にお伺いしているんです。
#253
○国務大臣(増岡博之君) ただいまのお尋ねにお答え申し上げますけれども、この数字はやはり三十年、四十年、五十年というような遠い将来でございますので、一応の仮定を置いて、不確定要素があるということは、そういう前提で数字をお出し申し上げておるわけでございますけれども、それにいたしましても大体の趨勢というものはあろうかと思います。その結果、先ほど申し上げましたような、給付水準がその当時働いておる現職の人よりも年金の方が高くなるというようなことを防ぎましたがために、保険料も安くなりまして、現行のままでいきますと四倍ぐらいになるわけでございますけれども、三倍ぐらいに減らされておるということでございます。
 また、政府の国庫負担につきましても、ピーク時には現在の実額の倍以上、そういう数字になっておることも御理解をいただきたいと思います。
#254
○安武洋子君 理解できないわけで、高齢化社会を迎えれば高齢者のために国庫の支出をふやしていく、これが政治ではありませんか。高齢化社会を迎えるときに、私は、先ほど総理が財政がパンクするとかなんとか言われた。これは口実です。そして三人で一人を支えなければならない、まるでGNPを固定化して考えてもおられます。ですから、一家の家庭だって子供の成長に合わせてどこに支出がたくさん要るかということで考えるわけですから、要は財源の問題なんです。社会的な公平から、私どもは大企業が中小企業に比べて非常に負担が軽くなっているということをこの委員会の席上でも明らかにしました。ですから、政治的な本当に知恵があるなら、大企業から特別の負担を求めて社会的に公平にするべきであるということを私は申し上げとうございます。
 そこで、私に与えられた時間というのが本当にばからしいほど少ないんですね。ですからもうたくさんのことをお伺いしたいと思いますが、なかなか聞けないんです。そこで、総理に聞きますけれども、基礎年金五万円、こう政府は宣伝をいたしております。政府が宣伝するものですから国民はそう思っております。夫婦で十万円だと、こういうふうに理解しているわけですけれども、私が先ほどの質疑の中でも明らかにしましたように、低年金者が大量に出るというふうなことで、総理は何だかこのことを、先ほどの、答弁をお伺いしておりましたらお知りのようです。私はけしからぬと思います、そういうことを御存じでこういうものを出してこられるということは。四分の一以上の人が初めから五万円出ないわけです。これは政府の答弁でも満額支給者七五%というふうに言っておられるわけですから、これをはるかに私は上回ると思います。昭和百年の国民年金の平均年金額、これが三万三千六百円なんです。政府答弁でも二五%の低額年金者がいるという。そして国民年金の平均月額三万三千六百円。総理は先ごろ百貨店で外国製品を買われた、ネクタイをお買いになりましたけれども、総理のネクタイ二本分です。こんなわずかな額でどうして国民の老後の生活の安定ができるというふうにお考えなのでしょうか。総理の所見をお伺いいたします。――私は総理に聞いている。あなたに聞いたってしょうがない。
#255
○政府委員(吉原健二君) 基礎年金の五万円の考え方でございますけれども、これは当委員会で繰り返し申し上げておりますように、現在の老齢者の生活費が実際どのぐらいかかっているか、その調査をもとにいたしまして、現実のお年寄りの方の生活費の中で衣食住を中心にした基礎的な支出の部分の額、それを参考にいたしまして五万円という金額を設定をさせていただいたわけでございますし、この五万円の額は、今後の経済の成長あるいは物価の上昇に従ってこれを引き上げていくという考え方に立っておりますので、この基礎年金で老後生活の基礎的な支出というものは今後とも賄えるものであるというふうに思っております。
#256
○安武洋子君 私の時間は超過している。そして総理に聞いているのに、どうして年金局長、あなたが立つんですか。私はわずかな短い時間にあなたの答弁なんか聞かなくたっていいですよ。それなら一般の質疑をもっともっとやるべきなんですよ、あなたがまだ立ってくるほど答弁があるなら。私は総理に聞いている。そして、ここでもう締めくくらなければなりませんから、私は総理に抗議をしたいです。
 このように国民が納得もしないような、合意も得ないようなそういうものを強引に押し通そうとなさる。そして、給付は後退させない、こういう御答弁をなさる。明らかに後退するのにこういう御答弁をなさるということについて、私は心の底から抗議をいたしまして、総理がちっとも答弁にお立ちにならない、大変卑怯である、このことを申し添えまして、質問を終わります。
#257
○藤井恒男君 総理に二、三問お伺いいたします。
 最初に、御承知かと思いますが、我が党は二十五年前に議会制民主主義の確立と福祉国家の建設を国民に向かって提唱してまいりました。今日では、社会保障政策や雇用政策などは制度的にはかなりなレベルに達しつつあるというふうに見ておるわけであります。しかし、二十一世紀に向けての中期的な展望に向かって、より高次の、質の高い新たな高度福祉社会づくりに進まなければならない。すなわち人口の高齢化は今後急速に進むし、先ほども総理お述べになりましたように、世界で有数の超高齢国家になることは必至であります。こうした高齢化社会へ円滑に移行していくためには、雇用とそれから年金、医療、住宅、福祉サービスなどについて総合的な充実というものを急がなければいけない、総合化を図らなければいけない、このことを痛切に感じているわけでありますが、総理が現在抱いておられるところの基本的な認識と福祉ビジョンとでもいいましょうか、二十一世紀を展望した超高齢化社会へ向けての福祉ビジョンというようなものをまずお聞かせいただきたい。
#258
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり最終的に人間が望むものは長命であり長寿である。そして、そのときに生きがいを持てる人生というものが一番幸せであるだろうと思います。その中には仕事もありますし、また、家族との喜びを分かち合うという生活もあるだろうと思います。したがって、社会保障や福祉政策というものが物的充実にのみ焦点が向けられているということはまだ不十分であると思います。物的充実は精神的喜びを与えるための一つの手だてである、そういうふうに考えていくべきではないかと思います。
 そういう考えに立ちまして、おっしゃいますように、雇用関係からあるいは年金や医療関係やら生涯学習に至るまで、ポイント、ポイントを充実させて、総合的に調和のある体系をつくっていくということがやはり理想ではないかと思っております。
#259
○藤井恒男君 この委員会でも私お尋ねした経緯があるんですが、超高齢化社会の到来というのは、我が国の経済に大きなインパクトを与えるというふうに思っております。人口の高齢化それ自体平たく言えば経済成長が鈍化するというふうな見方もできるわけでありまして、このことは、国はもとより地域や企業のともすれば活力を損なうということにもなりかねない。こういった状況の中でなお重要な問題は、国民の負担の問題、現役で働いておられる方たちの負担の問題だというふうに私どもは認識しているわけです。
 現在、租税と社会保障負担、これを合わせた国民負担率はおおむね三六%。これが十年前は二五・九%、約二六%。したがって十年間に一〇%上がっている。この水準それ自体は国際的は見てまだまだ低い状態にあることは承知しているわけなんだけど、これから先ほども申したような高齢化社会を迎えていくという状況の中で活力のある福祉国家づくりということを考えると、ある意味での自立自助、互助連帯というものも培っていかなければならないけれど、しかし、やはり突き詰めるところはこの負担の問題、それをどの辺に抑えていけばいいのか、これが非常に重要になってくる。いろんな見方はあるわけだけど、総理としてはその辺を欧州の実態等も見きわめて、どういうふうに考えておられるでしょうか。
#260
○国務大臣(中曽根康弘君) 我が国の税及び社会保険等の負担率等を見ますと三六%前後でございますが、欧米では五〇%を超している国は既にかなりございます。臨時行政調査会の答申を読み、また、それを受けて我々がつくりました八〇年代の指針等におきましては、欧米の水準よりかなり低い水準に抑えるように努力しよう、そういう目標を掲げておりまして、具体的数字は盛っておりません。私はこの臨調答申を守っていくのが正しいと、そう考えております。
#261
○藤井恒男君 次に、高齢化社会を迎えての、先ほどもどなたかおっしゃいましたように、働く意欲というものが極めて旺盛である、これが今の我が国の高齢者の実態であろうと思うんです。また、そうでなければならないというふうに考えているわけです。とりわけ高齢化社会を迎えるならば、その人たちの雇用の確保、ワークシェアリングという立場からもこれを真剣に考えていかなければいけない。
 ところが、我が国の現在の定年の実態というものが、千人から五千人ぐらいの企業で、六十歳定年の労働省の調べで四五・七%です。中小企業百人から三百人ぐらいのところで四二・九%です。五千人以上の大企業で五七・九%。これが六十歳定年の実態です。しかし現実には、実際数字づらどおりにはなっていない。一たび不況が来れば、これは肩たたきその他が行われる。あるいは希望退職という名のもとに、職場で働きたい意欲がありながら職場を去らざるを得ない。六十定年にしていながら高齢者からどんどん省力化していく。こういう状況になっているわけです。公務員も六十歳定年というのが実現したわけですね。そういった意味で、私は高齢化社会をこれから迎えるという状況の中でもうぼつぼつ――ぼつぼつというよりも私自身はもう次期通常国会ぐらいには定年制の法制化というものを打ち出していい時期に来ているんじゃないか。過日も、労働大臣にこの場でいろいろと質疑いたしました。労働大臣も、現在の我が国の状況を見るとき、その必要性は十分わかるというふうにまで言っておられるわけです。
 そういった実態面を見た上で、総理はこの民間産業における基本的な労働条件となりましょうか、六十歳定年の法制化ということについてどう考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
#262
○国務大臣(中曽根康弘君) 公務員につきましては六十歳定年というのが法律でつくられておりますが、民間につきましては、政府が法律等をもってそれに介入することはまだ時期尚早ではないかと思います。こういう問題は、現在の日本においてはまだ労使の交渉において取り計らうべきことが適当であると考えております。
 ただしかし、雇用審議会等におきましてもこの問題は審議されておる状況でございまして、我々は一面においてこれらの答申を見守りたいと考えておる次第でございます。
#263
○藤井恒男君 これは、総理のお考えと若干我々の考え方は違うわけで、まさに雇用審議会でも論議をされているさなかですから、そういった時期に政府は軽々に口を開くことは難しいかもわからない。しかし、これからひとつ総理、この労働問題をお勉強いただきたいと思うんだけど、これまでの政府の御答弁は、何回もこの問題私国会で取り上げているんだけど、これは労使にかかわる問題だから行政その他が介入すべきじゃないという姿勢を持ち続けておられるわけです。しかし一方、民間産業というのは競争場裏にあるわけですね。企業間競争、熾烈な競争をしているわけです。したがって、定年というものはコストなんです。だとすれば、どのように協約にこれを記載していこうとも、企業は一たん不況に陥るとその協約がほごになる。そうしたときの働く人たちの生活、しかも厚生年金のスタートが六十歳からでしょう。こういうことを考えると、やはりこの問題こそ法律できちっと、例えば児童労働を禁止する、婦人の深夜業を禁止する、こういったぐあいに法制化すべき問題であるし、その時期に来ている。
 厚生大臣も産業界のことをよく御存じだから前にもお聞きした。厚生大臣は私個人の考えとしては極めて重要な問題だとお答えいただいたわけなんで、これは総理もひとつこれからよく勉強していただきたいし、御理解を持っていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょう。
#264
○国務大臣(中曽根康弘君) よく研究してみたいと思います。
#265
○藤井恒男君 それからいま一つ、最後にお聞きいたしますが、先ほどもちょっと触れましたように、現実の勤労者の生活というのは、六十歳で仮に定年になっても六十歳から年金があろうとも、やっぱり健康のために、励みのために働く、そして六十歳から少なくとも六十五歳ぐらいまでの間は、就労による賃金と年金を並列して生活を営んでいるというのが私は実態だろうと思うんです。そうだとすれば、しかも六十歳の定年が実現していないという状況にあるわけだから、私はこのいわゆる雇用と年金生活とのつなぎというものが上手にかみ合うまでの間は老齢年金の支給開始年齢を六十五歳にすべきじゃない、軽々にやるべきじゃないというふうに考えておるわけですが、総理の口からそのことについてのお考えをお聞きしたいと思います。
#266
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、雇用と年金というものはやはり常に念願に置かなければならない問題であろうかと思います。確かにまだ六十歳定年も半数に達するか達しないかであるわけでございます。そういう状況でございますので、今回六十五歳ということは一応掲げてありますけれども、その実施に踏み切りませんで六十歳からということにいたしておるわけでございます。
 したがいまして、そういう雇用関係、実は先日も申し上げましたけれども、厚生省と労働省とで高齢者の雇用問題協議会をつくって協議をいたしております。そのような中で、高齢者の雇用状態が現在と変わらないうちに六十五歳に引き上げるということは、私としてはいたさないつもりであります。
#267
○藤井恒男君 終わります。
#268
○下村泰君 ラストバッターでございます。もう少し御辛抱願いたいと思います。
 私は、この参議院というところへ参りましてから身体障害者の問題一つに絞らせていただきまして、今日までいろいろとお尋ねをし、また、いろいろのお願いをしてまいりました。今回の年金改正案におきましては、障害者の所得保障を充実するということが大きな柱となっています。確かに厳しい財政事情のもとで、どちらかといえば額を引き下げる話の方が多い中で、障害福祉年金を二倍程度に引き上げるということは、これはもう画期的な改善と言えます。障害者にとりましては長年の願いがかなえられたということで、関係者はこの改善が一日も早く実施されるのを待ち望んでいます。しかしながら、これだけで十分かといえば決してそうではありません。人間というのは、やはりこれだからどうだいと言われたときに、必ずまだまだ不満足というものはあります。また、不満足の点が多いからこそこういう声が起きてくるのだとは思います。
 また、話はちょっと変わりますけれども、現在ちまたでは、総理のことをタカ派総理であるとか、あるいは軍拡総理であるとか、行革に名前をかりた福祉打ち切り総理というような言葉も言われております。しかし、私は個人的には本当の総理はそういう方ではないと思います。総理というよりは、私はむしろ中曽根康弘という方はそういう方ではないと思っております。何か大変おべんちゃらのように聞こえますけれども、ここへ入る前、私は私的に中曽根さんとはおつき合いをさせていただいておったことがあります。かの世界の喜劇王と言われたチャーリー・チャップリンが日本へ参りましたときに、我らの先輩であり喜劇王と言われた榎本健一氏と話をしたときに、あなたは生まれた国を誤ったと、もし私と同じように世界の国々をまたにかけて演じていたならば、あなたは恐らく私以上の喜劇王になったであろうということをチャップリンが榎本健一氏に言ったと聞いております。その榎本健一氏が脱疽を患いました。そしてついに片足切断という不遇な目に遭いました。二度と舞台に立てないのではないかと苦しんだときの姿というのは私はもうはた目でも見ていられませんでした。そのときに、当時の中曽根康弘さんが音頭を取って、激励会を東京会館で催してくださったことは私の記憶にまだ新しいんです。非常に喜劇というものを芸術的に高めた榎本健一という方の芸術を解する人が中曽根総理であったと思います。その方が総理大臣になると、軍拡総理であるとか、行革に名をかりた福祉打ち切りの総理と言われるのは大変私は寂しいと思います。ですから、本来中曽根総理というのは大変文化の高い人だと思います。文化が高いということは福祉にも強い観念をお持ちの方だと思います。温情あふるる総理大臣として私は対面したいと思います。
 障害者の気持ちに立って、次の点についてぜひ総理のお考えをお伺いしたいと思います。
 それは障害者の雇用問題です。障害者の気持ちといえば、年金や手当をもらうこと自体はうれしいことですけれども、本当は胸を張って働き、自分の力で賃金を得たいということなんです。現にさまざまの法律によりまして身障者の雇用を促進するための仕組みがつくられておりますけれども、現実には企業経営者や職場の仲間の理解がなければ身障者というのは働き切れません。したがって、国自身が率先して身障者の雇用を行い、また、積極的に企業関係者を指導すべきだと考えますけれども、温情総理としてはどういうふうなお考えをお持ちでしょうか。
#269
○国務大臣(中曽根康弘君) 下村さんがおっしゃいます身体障害者の雇用の問題は、生きがいという面から見ましても大事な問題であると思います。五体健全な者ですら生きがいを求めておるんですから、いわんや身体に故障のある方々は、我我以上に生きがいを求めておられると思うのであります。
 そういう意味において、私もこの問題については非常に深い関心を持って、自分でもそういう職場も見てまいりました。静岡県の天竜厚生会にも行ったし、この間、大分県で太陽の家を見てまいりまして、生産工場で非常にいそしんでおられるのを見まして、涙が出る思いがしたのであります。
 身体障害者の望むところは、社会に一緒になって参加する、自分も一人前にやっているんだという喜びを持つことだ、そう思いまして、そういう機会をできるだけうんとつくるべきであると思います。
 政府の方もその目標をつくってやっておりますが、政府の方は一応目標の率には達しております。達したらもっと水準を今度はふやすべきだと思います。ただ民間の方は残念ながらまだその水準に達しておりません。その点につきましては、政府としては積極的に各省を督励いたしまして、民間に対してもそのように奨励していきたいと思います。特に太陽の家やあるいはそのような福祉工場を持っておやりになってくれるようなところは、今までも非常に助成措置をやっておりますが、これらをどんどんふやしていくというためにも積極的に助成策も講じていきたいと考えております。
#270
○下村泰君 厚生大臣、今総理がああいうふうに大変温かいお言葉をお述べくださいました。この趣旨に沿ってひとつ今後とも動いていただきたいと思います。お言葉要りません。
 次に、障害者の在宅対策についてお伺いします。
 今回の改正案におきましては、年金とは別に特別障害者手当が導入されまして、特に重度の在宅の障害者に対しまして月額二万円の手当が支給されるようになっております。これも結構なことなんですけれども、今回改正のポイントの一つであると思いますが、在宅の重度の障害者の場合、年金や手当さえあればよいというものではない。現実に合わせて、在宅の障害者やその介護者に対してさまざまなサービスが用意され、また、これらの家庭が地域社会で理解され、励まされるような環境をつくっていかなければ、在宅で生きていくことはできないと思います。したがいまして、障害者の在宅福祉対策をどのように進めようとしておられるか、お伺いいたします。
#271
○国務大臣(中曽根康弘君) 在宅福祉という面も、また非常に重要な政策であると思います。これは、私がきょうここで申し上げた点でも御理解いただけると思うのであります。
 政府は、障害者に関する長期計画を昭和五十七年につくりまして、日常生活の基礎的訓練あるいは就労促進、あるいは所得保障、社会参加促進対策等、各種施策を総合的に実施してきております。例えば、一面においては、保健医療の面におきまして、いろいろな施策を行うと同時に、教育やあるいは育成の問題、あるいは雇用や就業の問題、あるいは福祉や生活環境の整備の問題等々につきましても、計画的にこれを実施しておるところでございます。
 今後ともこの線に沿いまして、充実さしていきたいと考えております。
#272
○下村泰君 ここでひとつ厚生大臣にも一言お願いしたいと思います。
#273
○国務大臣(増岡博之君) ただいま総理からお話しがございましたように、身体障害者の方々に対する対策は、あらゆる方策を動員しなければならないと思います。先ほど先生から御指摘がありましたけれども、地域社会から理解をされ、支援をされなければならないということも、これは大きな柱であろうと思います。
 したがいまして、私どもから考えますと、そういう面でありますとか、ボランティアでありますとか、いわば社会の中で生きていくということをお手伝いする施策というものに今後は重点も置かなければならないというふうに思っております。
#274
○下村泰君 ほかの問題はほかの先生方が全部お尋ねになっておりますので、私はこの二点だけをしっかり聞かせていただきましたので、どうぞひとつ今後とも身体障害者のためにはよろしくの御配慮をお願いいたして、終わりにさせていただきます。
#275
○委員長(遠藤政夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」「反対」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
#276
○委員長(遠藤政夫君) 質疑を終局することに賛成の諸君の挙手を求めます。
   〔賛成者挙手〕
#277
○委員長(遠藤政夫君) 多数と認めます。よって、質疑を終局することに決定いたしました。
 佐々木君から発言を求められておりますので、これを許します。佐々木君。
#278
○佐々木満君 私は、ただいま議題となっております国民年金法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、民社党・国民連合の共同提案に係る修正の動議を提出いたします。
 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 よろしくお願いします。
#279
○委員長(遠藤政夫君) それでは、佐々木君提出の修正案を議題とし、趣旨説明を聴取いたします。佐々木君。
#280
○佐々木満君 ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党・自由国民会議及び民社党・国民連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 修正の要旨は、
 第一に、坑内員及び船員であった期間について、被保険者期間を計算する場合においては、施行日から五年間は十分の十二倍すること。
 第二に、厚生年金保険の女子被保険者の保険料率について、毎年の引き上げ幅を千分の一・五ずつとすること。
 第三に、施行日前に国民年金任意加入期間を有する障害年金受給権者については、政令の定めるところによりその任意加入期間に応じて一時金を支給すること。
 第四に、基礎年金の水準、費用負担のあり方等については、社会経済情勢の推移、世帯の類型等を考慮して今後検討が加えられるべきものとすること。
 第五に、厚生年金保険の年金たる保険給付の額は、国民の生活水準、賃金その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、速やかに改定の措置が講ぜられなければならないものとすること。
 第六に、二十歳未満の自営業者等の取り扱いについては、厚生年金保険の適用事業所に使用される者との均衡等を考慮して今後検討が加えられ、必要な措置が講ぜられるものとすること等であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#281
○委員長(遠藤政夫君) ただいまの佐々木君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。増岡厚生大臣。
#282
○国務大臣(増岡博之君) ただいまの修正案につきましては、政府としてはやむを得ないものと考えます。
 御可決された暁には、その趣旨を体し、国民年金制度等の適切な運用に一層努力してまいる所存でございます。
#283
○委員長(遠藤政夫君) それでは修正案に対し、質疑のある方は御発言願います。質疑は簡潔に願います。
#284
○安武洋子君 修正案につきまして、御質問いたします。
 当委員会の質疑時間というのは大変わずかでございました。しかし、そのわずかの中でも数々の問題点が浮き彫りにされております。私は、修正案が出された今一番問題になるのは、この修正案で政府案、この中に盛り込まれております改悪部分、これに修正案がどのような影響を与えるかということでございます。そういう点でお伺いをしてまいります。
 まず一点です。国庫負担、これが昭和百二十年に半分近くに削減されるということがこの審議の中でも明らかになりました。この修正によりましてそれがどう変化をするのでしょうか。
#285
○佐々木満君 簡単に結論をまず最初に申し上げますと、私の修正案によっては、国庫負担が変わるか変わらないかは、現段階ではお答えできません。
 その理由でございますが、私の手元に、今先生もおっしゃいましたけれども、現行制度の仕組みのままでまいりますと、国庫負担がずっとふえてまいります。それから政府案によりましても国庫負担はふえてまいります。ずっと将来になると横ばいになりますが、当面はかなりふえていく。今おっしゃいましたが、例えば昭和百年をとりますと、現行の仕組みでまいりますと国庫負担は八兆三千億、それから政府案によりますと五兆六千億、こうなります。さらに五十年後というと国庫負担は現行制度だと八兆円、それから改正案だと少し減って四兆七千億、こうなります。ですから、今の仕組みのままで計算したのと改正案とでは落ちるわけですが、改正案そのものによりますとだんだんふえていくと、こういう関係になっています。
 しかし、私はこれから四十年後、五十年後の将来というのは大変これは世の中が変わってくると思います。それまでにはとても今のような考え方ではもたないと思っております。それなればこそ私は、この修正案の中に見直しの規定を入れているわけでございまして、世の中が変化しましたならば、費用負担のあり方を含めて国庫負担も見直しなさいと、こう申し上げているわけでございますから、現段階で私の修正案によって直ちに国庫負担が幾ら変わるかということはお答えが申し上げられないわけでございます。
#286
○安武洋子君 見直ししない限りは国庫負担が昭和百二十年に半分近く削減されるということには影響を及ぼさないと承りました。
 では、給付が将来三割程度削減されますけれども、この修正でこの点はどうなりましょうか。
#287
○佐々木満君 これは今の第一問と同じように、修正によって直接影響するものではございません。この規定は、私の理解では、要するに年金をいただくOBの方と、それから年金を負担する現役の方とのバランスをどこでとったらよろしいかという観点からの、私は給付の適正化と申し上げておるので、先生がおっしゃっておる削減とかというふうには私は理解しておらないわけです。これは御承知のとおりでありますが、さっきもお話しございましたけれども、厚年で申しますと、黙っておけば現役サラリーマンは八三%の年金が出る。これを時間をかけてなだらかに六九%にしていく。それから国年で申しますと、四十年加入で八万円になる。これを時間をかけてなだらかに五万円にする、こういうことであります。これはもう一にOBと現在とのバランスをどこにとったらいいかという点でありまして、私は政府案がこれは正しいなと、こう思っております。
 しかしこれも、社会経済情勢が変わりますから、私の申し上げております見直し規定によって、世の中が変化したら、政府が改正しなければ国会で改正しようじゃありませんか。私はそういうふうに思っております。
#288
○安武洋子君 これもまた、世の中が変わったときに見直さない限りこの修正案では何の影響もないということがよくわかりました。
 では、保険料が二倍以上になっていくということは、修正とどのような関係があるんでしょうか。
#289
○佐々木満君 これも同じことなんでございます。現行のままでまいりますと国年の保険料というのは三倍になりますよ。それから厚生年金の保険料は四倍になりましょうか。これを政府案は、国年は二倍、厚生年金は三倍ぐらいというふうにしてあります。
 ただしかし、これも考えてみますと、今六千何百円のものを今の価格で一万三千円を自営業者が将来納めなければならない、国年の場合。私はこれは、自営業者は、いろいろな方がいらっしゃいますけれども、納められない人は将来相当出てくるのじゃないか。私はそれは心配しております。それがゆえにこそ、この問題については既に衆議院でも保険料のあり方を検討しろという法案の修正ができております。これに加えて、さらに私は念を入れてこの修正案で見直し規定を入れているわけでございますから、これからひとつ世の中の情勢、負担能力等を考えて、委員会でもよく検討していきたいものだと、こういうふうに思っております。
#290
○安武洋子君 すべて見直しをしなければならない、本法案とは関係がないということで承りました。
 では、婦人の年金権、これは六十歳ということになるわけですが、修正はこの点どうなさるんでしょうか。
 さらに、無年金者の問題でございます。無年金者、低年金者につきまして、昭和百年、国民年金の平均月額三万三千六百円、これが本修正案により改善されてまいるんでしょうか。
#291
○佐々木満君 婦人の年金権につきましては、私は五十五歳というのを約十五年ぐらいかけて漸次六十歳ぐらいまで上げていこうという政府原案は適当だと思います。しかしそれが達成されるためには、さっきもお話しございましたが、やはり条件を整備していくことが必要である。婦人も男子と一緒に六十歳ぐらいまでは安心して働けるような、そういう情勢を整備することが必要であります。その中で女子の定年制、まあ五十五歳定年制というものも余り普及しておらぬようですけれども、やはり定年制をだんだん上げていってそして六十歳までは働けると、こういう態勢を私は一日も早くとるべきだと思いまして、十五年間で徐々に六十歳まで上げていこうという政府案は私は正しいけれども、よほど努力しないとこれは実現できないのではないか。これもこれからの社労委員会の審議で実施状況を見ながらひとつ検討していこうじゃありませんか。
 それから無年金者、低年金者、これはこの委員会で随分長く議論されますけれども、私は本当にこれは、厚生省も一生懸命頑張って無年金解消をやっていますけれども、たくさんあるということは本当に残念に思います。これは私は後ほど附帯決議を提案したいと思っていますので、その際はぜひ安武さんにも御賛成願いたいと思いますけれども、これはもう全力を挙げてひとつ政府に頑張ってもらわなきゃならぬ。
 それから低年金者も全く同様でございまして、基礎年金というのはとにかくさっきからお話しのとおり、国民生活の、老後生活の基本部分だ、全部ではありませんけれども基本だと言っていますから、それにふさわしいものを受給できるように、国民の皆様にもやっぱり頑張ってもらわなきゃなりません、保険料を払ってもらわなきゃなりませんが、みんなで頑張っていくべき問題だと、こう思います。
 以上です。
#292
○安武洋子君 佐々木先生が随分と力説なさるんですけれども、この修正によって一体どう変わるんでしょうかという私の質問にはなかなかぴったりとお答えいただけなくて、世の中が変わらないと見直ししないぞというふうになってしまうわけですね。
 それで、これを最後にいたしとうございます、皆そういうことだろうと思いますので。支給年齢、これを六十五歳に引き上げる、これが本則でこうなっておりますけれども、これがこの修正によって変わるんでしょうか。お伺いいたします。
#293
○佐々木満君 同じことを答えてもしようがありませんから、申し上げますが、直接この修正では関係がないというふうに御理解いただいて結構でございます。ただ、この問題については後ほど私が提案する予定の附帯決議、この中で、ひとつ雇用と年金はやっぱり運動して考えるべきだ、これは恐らくこの委員会皆さん合意じゃないでしょうか。私は黙ってこうやって何日間も聞いておりますけれども、全くこれはもう合意ですよ。ですから年金と雇用、これは連動するように工夫をしていこうじゃありませんか。
#294
○委員長(遠藤政夫君) 他に御発言もないようですから(「委員長委員長、最後に」と呼ぶ者あり)これより原案並びに修正案について討論に入ります。(「委員長だめですよ。私まだ最後に」と呼ぶ者あり)
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。(「打ち切るなんてずるいですよ。私はまだ言いますよ」と呼ぶ者あり)
 時間です。(「まだ時間来ておりませんよ。私はもう一言言います」「最後だと言ったじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者あり)
#295
○安武洋子君 質問の最後ということで、締めくくりをまだやってないんです。
 私は、今の修正を聞きまして、そして御答弁を聞きまして、国庫負担を大幅に削減する、給付は三割削減する、保険料は二倍以上に引き上げる、大量の無年金者、低年金者が生まれる、こういうことが予測されます。しかし、まだその上に支給年齢、これを将来六十五歳に引き上げる、こういうことで、この改悪案の本質は修正によっていささかも変わらぬということがよくわかりましたので、私の質問を終わります。
#296
○委員長(遠藤政夫君) ただいまの安武君の発言は、提案された修正案と関係ありません。
#297
○糸久八重子君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となっております国民年金法等の一部を改正する法律案について、修正案並びに修正部分を除く原案に対し、反対の討論を行うものでございます。
 二十一世紀を目前にし、急激な人口の高齢化が進行する現在、老後の所得保障としての公的年金を充実させ、国民に老後の不安のないよう安定した制度を樹立することは、緊急に解決の迫られる政治課題であります。しかるに政府は、今日まで制度の検討をおくらせ矛盾を拡大させてきました。そうして、今回、今まで放置してきた政府の責任を棚上げにして、一方的は勤労国民に犠牲を強いる制度改悪を行おうとしているのであります。
 以下、具体的に反対の理由を申し述べます。
 第一に、政府は国民に対し、全国民各制度共通の基礎年金を創設し、四十年加入、月額五万円の年金を保障すると説明しておりますが、それが幻の年金である点であります。
 委員会における我々の質疑でも明らかなとおり、政府の説明でも五万円を受給できない者が、将来加入者の二五%も出ると予測しているのであります。これでは、むしろ本当に老後の所得保障が必要な人たちが切り捨てられてしまうのであります。
 第二に、基礎年金を導入し、各制度共通のものとすることを口実に、破綻に瀕する国民年金の財政を他の制度の負担においてなしくずしに財政調整をしようとしている点であります。
 そうして、国庫負担をも、現行水準は確保していくと言いながら、実は受給者のピークに達する二〇二〇年には、現行制度で推移していった場合に比し二兆五千億円と、三割も減額しようとしているのであります。一方で被保険者の保険料が二倍、三倍と引き上げられるとき、国庫負担だけは減額していこうとすることは、到底国民の納得できるところではありません。
 第三に、婦人の年金権が真に独立したものとなっていない点であります。
 婦人の年金権の確立が強く要望されている今日、政府の説明は、被用者の妻も全面的に国民年金の加入者とし、老後は基礎年金が受給できると宣伝しております。しかし、その保険料は夫の保険料に含まれ、夫の傘のもとに従属しているのであります。さらに問題なのは、共働き、独身者からも同率の保険料を徴収することにしていることであります。高額所得者の無業の妻の年金財源を、何で共働きの婦人が負担していかなければならないのでしょうか。
 第四に、年金水準が低位に抑えられ、その上被用者と自営業者間に格差が生じている点であります。
 我が国の福祉の水準が大きく前進し、福祉元年と言われた昭和四十八年には、五万円年金の名のもとに、国民年金加入の夫婦と厚生年金加入のモデル年金とを同水準にしたのであります。しかるに今回の案では、四十年加入で厚生年金モデル年金十七万円に対し、国民年金は夫婦で最高柳が受給できたとしても、十万円にしかならないのであります。厚生年金の水準を二〇%も低下させること自体問題でありますが、国民年金の基礎年金のみの受給者においては、三〇%を超える減額となっているのであります。この国民年金の水準の低さからも、国民年金に二階建て部分の必要が当然と言えるのではないでしょうか。こういった点にも何ら工夫が図られていないのであります。
 また、零細な五人未満事業所に働く二百万人を超える雇用労働者が、依然として厚生年金に加入する道が開かれずにいることも問題にしないわけにはまいりません。
 以上、原案に対し、反対の理由を数点に絞って申し述べてまいりましたが、自由民主党、民社党共同提出の修正案に対してもその内容が、我が党の修正要求にあります基本問題については全く触れられておらず、到底賛成できるものではありません。
 政府・自民党の猛省を促し、修正案並びに修正部分を除く原案に対する反対の討論を終わります。
#298
○関口恵造君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案につきまして、原案並びに修正案に賛成の立場から討論を行うものであります。
 我が国は、現在諸外国に類例を見ない超高齢化社会へと突入しつつあり、老後の所得保障の中核をなす公的年金制度の役割は、今後とも一層重要となることが見込まれる状況にあります。またその一方で、就業構造の変化や女子有配偶者のサラリーマン化の進展など、年金制度の前提となる社会経済状況の変化に対応し、二十一世紀の本格的高齢社会においても、年金制度を長期にわたり安定的に機能させるための制度全般にわたる抜本的改革は、もはや喫緊の国民的課題となっているのであります。
 今回の改正案は、現行の国民年金制度を全国民共通の基礎年金へと発展させることにより、三種七制度に分立している公的年金制度全体の整合性を図るとともに、長期的に安定した制度への再編成を図る足がかりとしようとするものであります。
 また、一人一個の基礎年金という形で重複給付が整理されるため、給付の効率化が期待できるほか、被用者の妻も含めすべての婦人に対し、かねてからの懸案であった年金権が確立されるとともに、障害者の所得保障についても、障害基礎年金の支給や特別障害者手当の創設による給付改善が期待できるのであります。
 次に、将来に向けての給付水準が標準世帯において、現役男子の平均標準報酬月額の六九%程度に適正化されるため、平均加入期間の伸長に伴う年金額と現役世代の賃金とのバランスが維持され、将来の保険料負担も大幅に軽減されることとなるのであります。すなわち、給付と負担の適正化、世代間の公平化を目指すものであり、そのための経過措置についても相当な配慮がなされているのであります。
 最後に、在外邦人等に対する年金保障の充実や五人未満事業所への厚生年金保険の適用拡大等についても改善が予定されており、全体として十分評価できる内容となっていることを申し添え、私の賛成討論を終わります。
#299
○中西珠子君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案について、修正案並びに本改正原案にも反対の立場から討論を行います。
 基礎年金導入の構想は、既に公明党が昭和五十一年に打ち出した国民基本年金とその大枠においては一致するものであります。その意味においては、政府が基礎年金の導入に踏み切ったことは評価するものであります。しかし、残念ながらその内容は、すべての国民が健康で文化的な最低生活を営むための恒久的な年金制度を確立するという基礎年金導入の基本理念が十分に生かされているとは言いがたい内容のものであります。
 第一に、政府原案は、四十年間拠出を続けた場合の基礎年金額を、生活保護基準や老人の必要最低限度の生計費にも満たない額である五万円に設定しているほか、老齢福祉年金受給者に基礎年金導入のメリットを全く与えていないことであります。第二に、現行国民年金の保険料の滞納等によって年金の受給資格が欠落している者に対する救済措置が講じられていないこと、第三に、国庫負担を現行制度に比して大幅に切り下げている反面、基礎年金の定額保険料が高過ぎて国民の負担にたえ得ないことなど、基礎年金が全国民に共通のミニマムの年金として確立されるための条件が欠けております。
 もちろん、基礎年金の導入によって障害福祉年金、母子福祉年金などが大幅に改善された面を認めないわけではありませんが、給付と負担の両面において財政の論理のみが先行し、底辺の階層に属する人たち、弱い者に対する配慮が欠けております。老齢年金保障を最も必要とする、しかし四十年という長期の拠出にはたえ得ない人々に対して冷酷とも言える政府原案は、公正な社会保障制度とは言えないのであります。
 また、政府・自民党は、この改正により婦人の年金権が確立したと言われますが、婦人の年金権の固有性は必ずしも定かとは言いがたいのです。確かに厚生年金加入者の無業の妻にも妻名儀の基礎年金が与えられることにはなりましたが、その保険料は配偶者の保険料に依存しているので、配偶者の失業など雇用動向やまた離婚の時期などによって拠出などの資格要件が左右されることになり、無年金に等しいほど減額された年金しか支給されないという状況も起こりがちであります。
 一方、共働きの妻にとっては、本人が厚生年金の被保険者として保険料を支払ったにもかかわらず、配偶者に先立たれた場合には、夫の遺族年金と自分自身の厚生老齢年金のいずれかを選択せねばならないことになっています。婦人の平均賃金は男性の半分ぐらいにすぎないのですから、夫の遺族年金の方が高額な場合が多く、その場合婦人は自分自身の固有の厚生年金の権利を放棄せざるを得ないということになります。これで婦人の年金権の確立と言えるでしょうか。ノーです。
 さらに、厚生年金女子保険料率の引き上げはもっとなだらかに行われるべきであり、公明党・国民会議は、女子保険料率の激変緩和措置を要求しています。また、子供のいない妻に対する遺族厚生年金の特別加算は四十歳を境に段差があり過ぎ、中高年の妻に対する配慮が十分でないので、夫死亡当時における妻の年齢によって、加算額に段階を設けることを要求しています。
 このほか、公明党・国民会議は、基礎年金額の引き上げ、拠出要件の緩和、国庫負担の漸増、基礎年金保険料を均等割と所得割にして徴収すること、無年金者の救済措置、三級障害年金額の引き上げなどを要求しています。要するに、政府提案の基礎年金制度は、憲法二十五条の理念を生かしておりません。
 したがいまして、私は修正案にも反対、本改正原案にも反対の意思を表明し、私の討論を終わります。
#300
○藤井恒男君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております国民年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案及び修正部分を除く政府原案に賛成の討論を行うものであります。
 御承知のとおり、我が国の平均寿命は予測を上回る延びを示し、いわゆる人生五十年時代から人生八十年時代へと大きく移行しつつあります。老後は平均で二十年以上となり、今日長くなる老後をいかに過ごすかが国民各層の重大な関心事となっております。老後生活を第二の人生にふさわしく豊かに生きがいに満ちた生活とするには、その経済的基盤が万全でなければなりません。
 老後生活を支える所得保障の最大の柱は、何といっても公的年金制度であります。しかし、公的年金制度はいわゆる官民格差、給付と負担の不均衡など多くの問題点を抱えていると同時に、制度が多岐に分立しているがゆえに、国鉄共済の例のごとく個別制度ごとに財政が破綻することにもなりかねず、苦労して保険料を納めても、年金が本当はもらえるのかという不安を国民に与えていることは否めない事実であります。それゆえ、老後の給付を支える現役の働く人々の保険料負担がたえがたいものにならないようにするとともに、給付内容については生活の基盤を支える適正なものとすることにより、将来にわたり財政の破綻を招かないようにする必要があります。かくて国民が信頼できる年金制度確立に向けての抜本改正が急がれてきたのであります。
 民社党は、他党に先駆け、基礎年金の創設と所得比例型年金の二階建て年金制度体系に改めるナショナルミニマムプランを提唱してまいりました。基礎年金構想は社会保険審議会や社会保障制度審議会でも論議され、その創設は国民合意となり、臨時行政調査会においても、五十七年七月の答申で、「全国民を基礎とする統一的制度により、基礎的年金を公平に国民に保障することを目標」としながら、段階的に制度を統合することを明記しております。
 今回の政府案は、こうした論議や答申を踏まえ、世代間の給付と負担の適正化を通じ、長期的制度運営の安定強化を確保するため、基礎年金制度の確立とそれによる女性の年金権の確立、障害者に対する障害年金の大幅改善等を中核とし、激変緩和の措置を含んで制度の抜本改正を行うものであり、その改正の骨格について我が党は基本的に評価するものであります。
 しかし、今回の改正は、抜本改正であるがゆえに、個別には多くの問題点があり、その修正を求めてきました。御承知のとおり、衆議院において、子なし寡婦の遺族厚生年金、三級障害年金、妻六十五歳前の老齢年金の水準、遺族の範囲、自営業者等の保険料のあり方の検討、学生の取り扱いの検討など、我が党の要求が受け入れられました。
 我が党はこの法案に賛成でありますが、なお、本院においても坑内員・船員の期間計算、女子の保険料率などを中心に再修正を求めてまいりました。
 その結果、まず第一に、坑内員・船員期間について修正がなされました。政府原案は現行の三分の四倍する期間計算の特例を法施行と同時に廃止する内容となっていましたが、我々の強い要求により、坑内員・船員であった期間は、被保険者期間を計算する場合においては、施行日から五年間は十分の十二倍することとの修正がなされました。
 第二は、女子の保険料率の引き上げ幅です。女子の保険料率は、現在男子の千分の百六を下回り、千分の九十三となっています。五十五年の年金改正で男女同一の保険料率とすることが決められ、以後毎年千分の一ずつ女子の保険料率が引き上げられてきました。ところが今回改正は、その上げ幅を千分の二ずっとなっていましたが、我々の要求はより、女子の毎年の引き上げ幅を千分の一・五ずつとする修正がなされたのであります。
 そのほか、障害年金受給権者の国民年金加入期間に関する修正、基礎年金についての検討を法律事項とすることの修正、厚生年金の保険給付の額の改正に賃金の変動を取り入れる修正、二十歳未満の自営業者等の取り扱いに関する修正等が行われました。これらの法案修正に対し、我が党はこれを評価するものであります。
 最後に、無年金者対策、五人未満事業所等への適用拡大、老齢福祉年金の充実、年金の毎月払いと支払い通知、雇用と年金の連動など附帯決議の事項について、政府がその実現を誠実に実行に移すよう強く要求しまして、私の賛成討論を終わります。
#301
○安武洋子君 私は、日本共産党を代表して、国民年金法等の一部を改正する法律案並びに同法修正案に対し、反対の討論を行います。
 最初に私が指摘したいことは、審議不十分のまま採決を行うということであります。
 すなわち、本法案が今後数十年にわたる我が国年金制度を決定するという、国民の権利にとって極めて重大なものであり、したがって広く国民の合意と納得を得るに足る慎重な審議が求められているのであります。にもかかわらず、当委員会での実質審議はわずか四日間、これでどうして十分な審議を尽くしたと言えるでしょうか。私は、この点について厳重な抗議を行うものであります。
 本法案に反対する理由を申し述べます。
 その第一は、給付と負担の適正化の名のもとに、年金水準を三割以上も切り下げながら、保険料を二倍以上にも引き上げるという、年金制度始まって以来の大改悪であるということであります。
 審議の中で明らかにされたように、政府の推計ですら成熟時に国民年金の五万円満額受給者は七五%、平均受給額は三万三千六百円にすぎません。さらに将来二倍以上にも保険料が引き上げられるならば、大量の無年金者や低年金者が政府の予測をはるかに超えて生まれるであろうことは明らかであります。このような制度の大改悪は絶対に許すことができません。
 第二に、年金の支給開始年齢を、将来、共済年金も含め、すべての年金制度にわたって六十五歳から支給する方向を明確にしているからです。高齢者の雇用実態とかけ離れたこのような改悪方針は、雇用と年金の断絶を招き、老後の生活保障に重大な脅威をもたらすことは必至であり、断じて容認できません。
 第三に、政府は本法案によって婦人の年金権が確立されるかのごとく宣伝しています。しかしその中身は、労働実態を無視して女子の支給開始年齢及び保険料の男女均一化のみを先行させる一方で、婦人の低い年金水準を放置しているからであります。
 第四は、本法案が国民に過重な負担を押しつける一方で、国の年金財源への負担は大幅に削減するとともに、中小企業に比較して低過ぎる大企業の保険料負担を放置したままのものであることです。高齢化社会を迎える中で、本来は年金への国庫負担を増額し、国民の老後生活の保障に努力すべきものを、逆に最高時には三兆円以上、現行の半分近くにまでも国庫負担を削減しようとするのは、社会保障に対する国の責任放棄以外の何物でもありません。
 同時に、委員会審議を通じて明らかにしたごとく、負担能力のある大企業への相応の負担を求めるべきであります。
 以上、本法案は、軍拡と財界奉仕、国民生活破壊の臨調路線に基づく福祉切り捨てを、老人医療の有料化、健康保険法政悪など、医療の分野から公的年金制度の分野にまで全面的に拡大するものであり、絶対に許すことはできません。
 また、修正案につきましては、政府原案の大改悪の本質を何ら変えるものでなく、政府原案を前提に、ごく限られた部分の改善にとどまるもので、修正の名にも値しないものであります。
 最後に我が党は、主に政府と大企業、資本家の財源負担により、六十歳になればだれもが夫婦で十万円、単身者七万円の年金が受けられる最低保障年金制度を確立し、安心して豊かな老後が送れる年金制度の根本的改善を目指して奮闘することを表明し、私の反対討論を終わります。
#302
○委員長(遠藤政夫君) 以上で討論は終局いたしました。
 これより国民年金法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、佐々木君提出の修正案を問題に供します。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#303
○委員長(遠藤政夫君) 多数と認めます。よって、佐々木君提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案全部を問題に供します。
 修正部分を除く原案に賛成の諸君の挙手を求めます。
   〔賛成者挙手〕
#304
○委員長(遠藤政夫君) 多数と認めます。よって、修正部分を除く原案は可決されました。
 以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
 この際、佐々木君から発言を求められておりますので、これを許します。佐々木君。
#305
○佐々木満君 私は、ただいま可決されました国民年金法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び二院クラブ・革新共闘の各派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    国民年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。
 一、自営業者等の保険料と給付のあり方については、他制度との均衡を考慮のうえ、今後総合的に検討を行い、必要な措置を講ずるものとすること。
 二、無年金者の問題については、適用業務の強化、免除の趣旨徹底等制度・運用の両面において検討を加え、無年金者が生ずることのないよう努力すること。
 三、老齢福祉年金については、老後の生活実態等を踏まえて、今後ともその充実を図ること。
 四、法人以外の非適用業種及び五人未満事業所の従業員に対する厚生年金保険の適用について、業種の拡大及び任意包括制度の計画的推進につき検討し、必要な措置を講ずること。
 五、在職老齢年金については、高齢者の雇用、賃金体系との関係を勘案して、事務処理の円滑な実施にも配慮しつつ、合理的な方策を検討すること。
 六、年金の支給開始年齢を検討する場合にあつては、定年制等雇用との連動が図られるよう十分留意するものとすること。
 七、年金の支払いについては、毎月払いを実施することにつき、事務処理体制等の整備を図りつつ検討するとともに、年金の支払通知については、極力個々の受給者のプライバシーの保護に努めること。
 八、在外邦人、在日外国人の年金保障の充実について検討を加えるとともに、年金通算協定の締結の推進に努めること。
 九、年金積立金の管理運用については、極力、有利運用を図るとともに、保険料拠出者の代表を運営に参加させるなど民主的な運用に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
 よろしくお願い申し上げます。
#306
○委員長(遠藤政夫君) ただいま佐々木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の諸君の挙手を求めます。
   〔賛成者挙手〕
#307
○委員長(遠藤政夫君) 多数と認めます。よって、佐々木君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、増岡厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。増岡厚生大臣。
#308
○国務大臣(増岡博之君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす所存でございます。
#309
○委員長(遠藤政夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#310
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後九時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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