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1984/05/21 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第19号
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1984/05/21 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第19号

#1
第102回国会 社会労働委員会 第19号
昭和六十年五月二十一日(火曜日)
   午前十時九分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十五日
    辞任         補欠選任
     抜山 映子君     藤井 恒男君
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     山東 昭子君     川原新次郎君
     森山 眞弓君     曽根田郁夫君
     片山 甚市君     和田 静夫君
 四月二十七日
    辞任         補欠選任
     川原新次郎君     斎藤 十朗君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤 政夫君
    理 事
                佐々木 満君
                関口 恵造君
                高杉 廸忠君
                中野 鉄造君
    委 員
                石井 道子君
                大浜 方栄君
                曽根田郁夫君
                田中 正巳君
                前島英三郎君
                森下  泰君
                糸久八重子君
                浜本 万三君
                和田 静夫君
                中西 珠子君
                安武 洋子君
                藤井 恒男君
                下村  泰君
   衆議院議員
       社会労働委員長
       代理       稲垣 実男君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  増岡 博之君
   政府委員
       厚生大臣官房長  下村  健君
       厚生省児童家庭
       局長       小島 弘仲君
       労働省婦人局長  赤松 良子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       法務省民事局参
       事官       永井 紀昭君
       大蔵省主計局主
       計官       小村  武君
       労働省職業安定
       局業務指導課長  矢田貝寛文君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○児童扶養手当法の一部を改正する法律案(第百一回国会内閣提出、第百二回国会衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 児童扶養手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。増岡厚生大臣。
#3
○国務大臣(増岡博之君) ただいま議題となりました児童扶養手当法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 児童扶養手当制度は、死別母子世帯に対する年金制度の補完として昭和三十七年に発足し、これまで母子福祉年金にあわせて逐次改善が図られてまいりました。しかしながら、制度発足から二十年以上を経過した今日、年金制度の成熟とともに母子福祉年金の受給者はほとんど消滅する一方、離婚が年々著しく増加し、今や母子家庭の大宗は離婚による母子家庭で占められるに至っております。これに伴い、児童扶養手当の受給者数は昭和六十年度で六十五万人、これに要する財政負担も二千六百億円という巨額に達する見込みであります。
 今日、社会保障施策全般について、本格的な高齢化社会の到来と厳しい行財政環境の中で、自立自助の促進、社会的公正の確保、施策の効率化等の観点から根本的な制度の再編、見直しを行うことが急務とされておりますが、本制度については、第二次臨時行政調査会の答申においても社会保障政策上の位置づけ、費用の一部についての地方負担の導入等について検討が要請されていたのであります。
 以上のような諸事情にかんがみ、このたび行政改革の一環として、現行制度を基本的に見直し、これを母子家庭の生活安定と自立促進を通じて児童の健全育成を図ることを目的とする純粋の福祉制度に改めるべく本改正案を提出した次第であります。
 次に、この改正法案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、手当の額につきましては、これまで年収三百六十一万円未満の場合、一律に月額三万二千七百円を支給することとしておりましたが、これを所得に応じて二段階とし、所得税が非課税となるおおむね百七十一万円未満の場合は三万三千円、百七十一万円以上三百万円未満の場合は二万二千円を支給することとしております。この所得制限の額及び手当の一部制限額については政令で定めることとしております。
 第二に、離婚してもなお父は子に対し民法上の扶養義務を有することにかんがみ、父の離婚時の所得が政令で定める額以上である場合には、特別の事情がある場合を除き、本改正規定施行後の新規認定分から手当を支給しないこととしております。なお、この規定の施行については、衆議院において修正が行われております。
 第三に、手当の支給は、十八歳未満の児童を対象に原則として七年間とすることといたしました。ただし、七年を経過した時点で児童がなお義務教育を終了していない場合には、義務教育終了まで支給を継続することとしております。
 第四に、費用負担につきましては、一般の福祉施策と同様に地方負担を導入することとし、改正法施行後の新規認定分から国が十分の八、都道府県が十分の二を負担することとしております。
 なお、母が婚姻によらないで懐胎した児童に対する適用及び改正法の施行期日については、衆議院において修正が行われております。
 以上のほか、本改正に伴う所要の経過措置を講ずることとしております。
 以上がこの法律案を提出する理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#4
○委員長(遠藤政夫君) この際、本案に対する衆議院における修正部分について、衆議院社会労働委員長代理理事稲垣実男君から説明を聴取いたします。衆議院議員稲垣実男君。
#5
○衆議院議員(稲垣実男君) 児童扶養手当法の一
部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分について、その内容を御説明申し上げます。
 修正の要旨は、
 第一に、児童扶養手当の支給対象となる児童の範囲を現行どおり法律及び政令で定めることとし、いわゆる未婚の母についてもこの手当を支給することとすること。
 第二に、昭和五十九年十一月一日とされている施行期日を昭和六十年八月一日とすること。ただし、第四条に二項を加える改正規定に係る部分については、扶養義務の履行状況、父の所得の把握方法等を勘案し、政令で定める日から施行することとすること。
 第三に、その他所要の修正を行うこと。
 以上であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#6
○委員長(遠藤政夫君) 以上をもちまして、説明の聴取は終わりました。
 暫時休憩いたします。
   午前十時十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時二分開会
#7
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、児童扶養手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○糸久八重子君 本日本委員会で児童扶養手当法が提案されたわけですから、実際には来週から審議入りをするのが本来のあり方だろうと思いますけれども、きょうこれから審議があるということについては参議院改革協の方針にももとると思いまして、大変心外でございますし、不満でございます。しかしながら、大変重大な改正を含みます法律案でございますので、これから審議に入らせていただきたいと思います。
 まず、厚生大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、近い将来我が国が世界は類を見ない高齢社会を迎えることは周知の事実でございます。高齢者対策が引き続き充実されなければならないのは当然でありますけれども、また一方高齢化社会対策は、将来これを支えることになる児童たちへの配慮も重要な側面を持っていると考えられるわけでございます。
 そこで、法案の質問に入ります前に、児童家庭行政に対する大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#9
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように高齢化社会が来るということが言われておるわけでございまして、私は、高齢化社会というのは、それを克服していくためには単なる老人対策優先ということでは成り立たないというふうに思っておるわけでございます。むしろ、人生五十年であったのが八十年に長くなったわけでありますから、それぞれの年代に応じた施策というもの、それを全体として考えなくてはいけないということでございまして、なおかつ、その中でも高齢者の比率が高くなるということでございますから、若い方々、児童に対しましての施策というものが、これからより重要になってくるのではないかというふうに、社会全体として高齢化社会というものをとらえていかなければならないというふうに考えております。
#10
○糸久八重子君 審議されようとしておりますこの児童扶養手当制度ですけれども、これは母子家庭の重要な経済的な柱であるにもかかわらず、今回、大幅に改悪しようとしているわけであります。この前の百一国会の中で強行成立を図りました健康保険の自己負担の導入を初めといたしまして年金の改悪など、非常に厚生行政の後退が最近顕著でございます。本手当法も、臨調の地方一部負担導入提言をきっかけに制度全体の見直しに踏み込んできたわけでありますけれども、社会的弱者である母子世帯に及ぼす影響は非常に大きいものでありまして、私は本法案には強く反対をするということをまず冒頭に申し上げたいと思います。
 この手当法に対する大臣の御認識についてお伺いしたいわけですけれども、総務庁の統計局の家計調査によりますと、母子家庭の所得は勤労者世帯の可処分所得全国平均の半分の所得でしかない。そして生活には全くゆとりのない現状を示しているわけでございます。その上、母子家庭を取り巻く経済環境は年々、教育費も高額になってきておりますし、消費者米価が値が上がったり国鉄の運賃が値が上がったりというような公共料金の値上げが続いておるわけですけれども、そういうこととも相まってますます苦しい状況になっているわけであります。
 さらに、同じ母子家庭でも、死別に比べまして離別の母子家庭の収入というのは一段と低くて、児童扶養手当の持つ意義は決して小さいものではございません。法制定以来毎年のように改善の努力が続けられてきた本法の大改悪を実行しようとしている厚生大臣は、離婚という人生の試練を乗り越えてけなげに生きようとする母と子に支給される児童扶養手当の大切さについてどのように御認識をされていらっしゃるのでしょうか。
#11
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、母子世帯、特に離婚による母子世帯が経済的には大変苦しい状態におありになるということはよく承知をいたしておるわけでございます。私どもは、そういう状態であり、しかもその世帯数が急激にふえておりますことを考えます際に、この児童扶養手当の制度が永続できるものでなければならないということを考えておるわけでございまして、なおかつ、従来の手当が母子福祉年金を補完するものであったわけでありますけれども、その対象者がほとんどなくなったということでございまして、したがって法律の目的である対象者そのものの社会における態様というものが変化をしてきておるという、その双方に着目をして今回の改正に踏み切ったわけでございます。
 したがいまして、従来から言われております、母子世帯、特に離別の方々の世帯に対しましての物事の考え方といいますか、政府が社会福祉政策としてお手伝いしなければならないということ自体には、私どもは何ら変更はないものと考えておるわけでございます。
#12
○糸久八重子君 中曽根内閣は、福祉よりも防衛費の伸びを大きくするのに大変熱心な内閣であります。今回のこの改正案も、児童扶養手当に要する財政負担の増加に恐れをなした財政当局とか、財界やその意向を受けた厚生省が手を打つべく行った福祉切り捨ての一例ではないかと思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。
#13
○国務大臣(増岡博之君) よく防衛庁の予算の伸びが問題になるわけでありますけれども、厚生大臣といたしましては、五十九年度に比べて、実額においては防衛予算の伸びよりも厚生予算の方がたくさんふえておるわけでございまして、また省庁間全体の関係で申しますと、私どもは防衛庁予算の三倍以上の予算をいただいておるわけでございますのでそれだけ責任が重いわけでございますけれども、しかし厳しい財政の中で、何とかそういう大きくなっていく福祉の水準というものを保っていきたいということが私どもの中心課題であろうと思うわけでございます。
 したがって、そのような意味合いから今度の改正案も御提案申し上げておるわけでございますので、何とぞ、その点につきましては御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。
#14
○糸久八重子君 ただいま厚生大臣が防衛庁予算の伸びと比べるととおっしゃいましたけれども、伸び率からいいますとこれは防衛庁予算の方がもう突出的なものでございまして、全体的な予算額というのは、厚生省予算、これは国民生活関連のものですから当然余計なのは当たり前であります。そういう意味で、伸び率からいえば非常に国民関連の予算としては小さいものであるし、防衛予算は非常に大きいものであるということを私の方からも申し上げておきたいと思います。
 大臣、もし大臣が急に病気になって病院へ行っ
たといたします。病院ではあなたの面倒を見ることができないと言われましたら、いわゆる診療拒否だとか患者のたらい回しという状況になるわけですけれども、そのような目に遭いましたら大臣はどう思われますか。
#15
○国務大臣(増岡博之君) 幸い健康なものですから、そういうことを深刻に考えたことはないわけでございますけれども、間々そういうことを聞くわけでありますけれども、そういうことがあってはならないわけでございますから、これからもいよいよ厚生行政に関しましては気持ちを引き締めてやらなければならないというふうに思います。
#16
○糸久八重子君 この法案の提案理由の説明で、大臣はこうおっしゃっていらっしゃいます。「離婚が年々著しく増加し、」「児童扶養手当の受給者数は昭和六十年度で六十五万人、これに要する財政負担も二千六百億円という巨額に達する見込み」である、だから地方負担の導入をして費用の肩がわりをしてもらったり、新たな支給要件や支給制限を厳しくして対象者を締め出そうとしているのではないのですか。
 福祉が必要な対象者が増加をしたら、それに見合った充実を行うのが本来の筋でございます。先ほどの診療拒否のようなことを、大臣みずからが行おうとしているわけでありますけれども、大変矛盾があるのではないのでしょうか。いかがですか。
#17
○国務大臣(増岡博之君) 私は、この制度改正によりましてそういういわば必要な方々に対する福祉が行われない、締め出しを食うというようなことはないと思っておるわけでございまして、先ほど申し上げましたが、年金制度を補完するものから純然たる福祉政策に転換をせざるを得ない。これは対象者が死別の方から離別の方に移っていったという経緯からやむを得ない措置であると思うわけでございます。
 したがって、そういうことから地方負担をお願いすることになっておるわけでございまして、地方負担が生ずることによって必要な方々に福祉が行き届かないということは厳に慎んでいかなければならないことであるというふうに思っておるわけでございます。
#18
○糸久八重子君 児童扶養手当の受給対象児童数はどのくらいですか。
#19
○政府委員(小島弘仲君) 受給者数で見まして、五十九年十二月が六十二万、それから総対象児童数で九十九万一千八百六十三人でございます。
#20
○糸久八重子君 大変な、百万人に近いわけでありますけれども、今回の改正案提出のいきさつから見まして、臨調財政再建の路線に乗って財政対策にのみ走って、そして世界各国と比べて老齢人口の占める割合の高い我が国の二十一世紀の高齢社会を支える中核となる児童の福祉への配慮が不足しているのではないか。百万人も対象があるということでありますから。
 そういう子供たちを立派に育て上げることは、家庭と国の共同責任ではないのかと思いますけれども、その辺はいかがですか。
#21
○政府委員(小島弘仲君) 御指摘のように、最近の児童の出生数を見ましても、世代再生産に必要な、一婦人が生涯に二・一三人生むというようなことを大きく下回りまして一・八、出生児童数も百五十万を割るような状況になってまいっております。したがいまして、今後はこれらの児童の資質の向上を図りながら、健全に、健やかに育成するという施策の重要性はより増大していると考えておりますし、さらには社会全体として、子供の数の問題を初め子供の問題について目を向けていただきたい。両親と協力しながら、それらの子供を社会的にも健全育成施策というような制度の仕組みをより整備する必要があるというふうに考えております。
 ただ、それらは単なる現金給付だけでございませんで、母子保健から児童の健全育成のためのあらゆる施策があるわけでございますので、それらも最近の社会環境の変化あるいは家族意識、家族関係の変化等に伴いましてまた新たな問題が出ていることも事実でございます。そこら辺につきまして、母子保健あるいは健全育成施策、さまざまな施策のより拡充を図ってまいらなければなりませんので、児童福祉施策全体としてはバランスのとれた施策をとっていけるように、また既存の制度につきましても、必要な見直しは必要なものと考えております。
#22
○糸久八重子君 手当制度見直しのポイントについてなのですが、五十六年七月の臨調第一次答申とそれから五十八年三月の最終答申がこの児童扶養手当に対する見直しのきっかけになったと思うわけですけれども、そこで指摘されている点はどういうものでしたか。
#23
○政府委員(小島弘仲君) 第二臨調で御指摘いただきましたものにつきましては、児童扶養手当制度、従前からいろんな、不正受給というような問題もございました。そういうことを踏まえられたものと思いますが、その適正な執行を期するために一部給付費に対する地方負担も導入してはどうか、あるいは社会保障施策全般の中での位置づけをもう少し明確にすべきではないかという二点が御指摘の中心であったと記憶しております。
#24
○糸久八重子君 そういう法改正の具体的内容以前の問題といたしまして、今回の法改正の経過手続について疑問があるわけでございます。今お尋ねいたしましたように、法案は、臨調答申において児童扶養手当の社会保障政策上の位置づけ、そして費用の地方自治体一部負担の導入等検討が要請されたことから、事務次官の私的諮問機関として設けられた児童福祉問題懇談会の報告を受けて厚生省は立案したものですね。その点はいかがですか。
#25
○政府委員(小島弘仲君) 御指摘のとおりでございます。
#26
○糸久八重子君 児童扶養手当法というのは制定以来改善が行われてきているわけでありますけれども、今回の改正案というのは大改悪なんですね。この改悪案の母体となったのが児童福祉問題懇談会の報告であるわけであります。
 そもそも懇談会というのは、厚生省の事務次官の私的諮問機関にすぎないわけでございます。児童扶養手当制度の見直しは、昭和五十六年七月に臨調の指摘があって以来二年越しの懸案となっていた大問題であったわけでございます。ところが、この懇談会というのがどんな力を持っていたのかわかりませんけれども、懇談会の報告が五十八年十二月に出ますとこの難問に決着がついた。法律に基づかない私的諮問機関に大改悪の指針づくりをさせる。そして、その主要メンバーというのは、母子家庭の貧困な生活など全く念頭にもないし、御存じもないような天下りのポストで高給取りの高級官僚OBでございます。これは、従来とかく言われてきました行政の隠れみのとしての私的諮問機関の悪い面がすべて露呈しているのではないかと私は思うわけでございます。実際行政当局の思惑どおりの大改悪の旗振り役となったのがこの懇談会であるわけですけれども、大臣はその点そうお思いになりませんか。
#27
○政府委員(小島弘仲君) 確かに児童福祉問題懇談会は私的なものでございます。いわば法律に基づく審議会ではございません。ただ、本問題が地方負担というような新たな問題を抱えておりますこと、あるいは社会保障全体として地方と国とでどういうふうに対応するかというようなことから、地方の自治体の代表の方々とか、地方行政に堪能な方、あるいは社会保障制度に堪能な学者の方々、あるいは行政のOBという方々に参画願って審議をしたものでございます。その審議に携わっている行政機関のOBの方々も、児童扶養手当の制度に携わったことのある方も含まれておりますし、社会保障全般の中でいろいろ常に御認識をいただいている方でございますので、母子家庭の状況に認識がないというようなことはなかろうと考えておりますし、何よりも地方の意見も十分聞いた上でというようなことからこういう懇談会を設置いたしまして御審議を願ったというのが実態でございます。
#28
○糸久八重子君 やはり法律で正式に設置されている審議会が有効に働くのが正しいわけでありま
して、特に母子及び寡婦福祉法の第六条に、「児童福祉審議会は、母子家庭の福祉に関する事項につき、調査審議するほか、」諮問に答え、「又は関係行政機関に意見を具申することができる。」、そう定められているわけでございます。それゆえに、法律に基づいて設置されておりますこの中央児童福祉審議会に制度の見直しを任せるべきではなかったかと思うのですが、いかがですか。
#29
○政府委員(小島弘仲君) 一つには、これは厚生省だけではなくて、自治省とか関係省庁に絡む問題もあったというような配慮から、このような各般の代表者に加わっていただいて御審議願うということで、中央児童福祉審議会とは別途の審議機関を設けて審議を願ったわけでございます。
 この件につきましては、衆議院段階におきましても正規の審議会というものをもう少し活用すべきじゃないかという御指摘も受けております。御指摘ごもっともな点もあると考えておりますので、今後こういう問題につきましては、審議会の部会というようなものを活用しながら、できるだけそういう正規の審議会で審議をしていくというふうな配慮もしてまいりたいと考えておりますが、本件につきましては、確かに正式に御意見を求めてはございませんでしたが、厚生省の政府原案の法律改正案を作成いたします折に審議会に御報告申し上げ、また御了解もいただいておるという経緯でございます。
#30
○糸久八重子君 今後はそういうことのないようにとおっしゃいますけれども、今回の改正につきましては、先ほども申し上げましたとおり非常に大改革なんですね。したがって、やはりこの審議会の働きを十分に活用しなければならなかったのではないか、そう思うわけでございます。そして、本法案は本来的手順を無視して立案されたものと考えられるわけですけれども、社会保障政策上の位置づけがどうあるべきなのかを改めて論議するのではなくて、専ら費用の削減を実現するためにどのような制度にしたらいいのかということを検討課題としたのではないか。このような立法手続を経てきたということは公的審議機関を無視するものであるし、また国会までも形骸化することになりはしないかと非常に私は懸念をするものでございます。
 ただいま局長からお話しがございましたけれども、もう一度この点につきまして局長の御意見を聞かせてください。
#31
○政府委員(小島弘仲君) 繰り返しになりますが、確かに中央児童福祉審議会に御諮問申し上げるということはいたしておりませんが、中央児童福祉審議会につきましては、法令上の規定につきましてもこれは必要的な諮問機関とはされておりませんで、随時御意見を伺うような形になっております。したがいまして、先ほど申し上げましたように今後の問題としてはそういう運用にも心がけてまいるつもりでございますが、もう一つ社会保障制度審議会は、これは必要的な諮問機関でございますので、御諮問申し上げ、御答申もいただいた上で国会に提案しているところでございますので、審議会軽視あるいは国会軽視というような御批判は当たらないのではないかと考えておるところでございます。
#32
○糸久八重子君 先ほどのお答えの中で、地方負担の導入も考えるので、したがって審議会ではなしに私的諮問機関を活用させたということをおっしゃったわけですけれども、地方負担を導入するということに対しては全国知事会などで猛反対をしていた事実がありますね。さらに地方制度調査会も、国庫負担の一部を都道府県負担に振りかえることは行うべきではないと総理大臣に意見具申をしているわけでございます。臨調の見直しの指摘から法案提出にこぎつけるまでの難航ぶりもその点にあったのではないかと思いますけれども、地方負担導入に反対していた自治省とか知事会などにはどういう説明をして、そして了解をとりつけたのでございましょうか。
#33
○政府委員(小島弘仲君) 確かに地方公共団体サイドにおいて、従来全額国費であったものを地方に一部負担をさせることは納得できないという御意見があったのは事実でございますが、先ほど大臣からも申し上げましたように、これは年金とか何かでございますと全額国が給付について責任を負うということでやっておりますが、他の社会福祉政策、社会保障施策というものは、大方ある程度の地方負担があるのが通例でございます。したがいまして、今回の制度改正が、母子福祉年金の補完制度、年金と一体となって動くような制度ではなくて、福祉制度本来の姿に改めるという趣旨を十分御説明申し上げ、そのような形として福祉施策で通例であるように地方の一部負担をお願いするということで御了解を願ったわけでございます。
 先ほど御指摘がありましたように、地方公共団体からの御意見もありますので、今後こういう児童扶養手当制度をどう持っていくかということには、都道府県の代表の方、あるいは地方行政に御堪能な方も加わっていただいて十分御論議するのが適当と考えて、先ほど申し上げましたような児童福祉問題懇談会で十分御意見を伺い、また、それをもとは成案を得まして、先ほど申し上げましたような趣旨で、今後は年金の補完制度ではなくて、福祉施策一般として他の福祉施策と同機な形で実施していく、また、その必要性を御説明申し上げまして御了解を得たところでございます。
#34
○糸久八重子君 地方負担の導入というからには、厚生省としては、地方自治体に頭を下げてお願いする立場であったわけですね。
#35
○政府委員(小島弘仲君) いや、お願いするという言葉が適当かどうか、社会保障というものにつきましては、国、地方がそれぞれ内容によって大分負担の区分も違いますが、相協力して国民生活の安定を図るというのが趣旨でございますので、今後こういう性格の施策に改めるのだから応分の御協力をお願いしたいということで、いわば御理解を求め、また、その御了解を得たということでございます。
#36
○糸久八重子君 政府の福祉への基本的な取り組みは、みずから進んで積極的に引き受ける姿勢が全く感じられないわけです。例えば児童扶養手当法の現行法の第一条では、「この法律は、国が、父と生計を同じくしていない児童について児童扶養手当を支給することにより、児童の福祉の増進を図ることを目的とする。」と定められておるわけですね。これは、不幸にして父と生活をともにできない児童の経済的困難な現状が人々にその対策の必要性を痛感させて、そして国が積極的に児童の福祉を図ろうとする意気込みで昭和三十六年に制定されたものであるわけでございます。
 ところが、本改正案では、国が社会的施策の実行責任者という積極的な位置づけが全く消えうせてしまいました。改正案の第一条は、「この法律は、父と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、当該児童について児童扶養手当を支給し、もって児童の福祉の増進を図ることを目的とする。」となっておりまして、現行法とは著しく異なっているわけであります。第一に、手当を支給して児童の福祉を増進する主体者が国であるということを改正案の第一条では欠落させてしまいました。その一方では、第四条で、「国」から「都道府県知事」へと改めておりますね。その他の条項におきましても「厚生大臣」とあるところを「都道府県知事」と直し、国の施策として今後も充実を望まれている児童扶養手当制度はすっかり地方の事務に模様がえをされてしまっているわけであります。
 このような国の責任の主体性の不明瞭化の行き着く先は、今後のなし崩し的な国庫負担の削減や地方負担の増大へとつながってくるのではないかと危惧されますけれども、そのあたりはいかがですか。
#37
○政府委員(小島弘仲君) 法律で、実施責任者として改正案では御指摘のように「国」という文字が消えております。これは、通例の福祉施策全般を見てみましても、実施責任を都道府県知事にお願いし、しかも地方の負担をある程度お願いするという場合には、このような国というようなものを持ち出さないのが最近の立法例でございますの
で、それに倣ったわけでございます。なお、従前からこの事務は機関委任事務として都道府県にお願いした事務であることは変わりがありませんが、地方の負担が生ずるということもありまして、都道府県知事を実施責任者として法文上も第一義的に明確にしたというのが経緯でございます。
 近年地方公共団体等から、福祉施策も含めまして国の機関委任事務のあり方全般につきまして、さらに地方の権限をふやしてくれ、機関委任事務の見直しというようなことも要望されておりますので、福祉施策全般につきましても、今後の体系整備の一環としてその事務の実施のあり方等については当然検討をしてまいらなくちゃならぬというふうには考えております。ただ、いずれにいたしましても、地方に実施責任を負わせる、あるいは実施背任の度合いを強めることによってその内容が低下するとかということのないような配慮は当然必要であろう。福祉施策全般についてバランスのとれた必要な施策が滞りなく行われるようにしていくのが我々の責務であると考えております。
#38
○糸久八重子君 大蔵省にお伺いしたいのですけれども、六十年度予算はおいて、地方への高額補助金を一年限りで十分の八から十分の七といたしました。来年度についてはどうお考えですか。
#39
○説明員(小村武君) 六十年度予算につきましては、補助金の整理合理化に重点を置きまして、先生御指摘のとおり、高率補助につきましておおむね一割程度の削減を図ったわけでございます。
 六十一年以降の問題につきましては、これはこの論議の過程でもいろいろ各方面からも指摘がございまして、国と地方の役割分担、費用負担のあり方等を踏まえて、新たに六十一年度以降の補助率についても十分検討をすべきではないかということがございまして一年の暫定措置としたわけでございまして、この点につきましてさらに我々としては論議を深めていかなきゃならぬというふうに考えております。
#40
○糸久八重子君 今回の改正案で地方負担が導入されることになりますと、児童扶養手当もその対象にねらわれてくるのではないかと大変心配になります。
 厚生大臣は、来年度予算編成に向けまして、大蔵省の要求に屈することなく福祉予算を守ると約束し、決意のほどをお聞かせいただきたいのですが。
#41
○国務大臣(増岡博之君) 本年度の予算編成をいたします際にも、今大蔵省から説明のありました費用負担のあり方等があったわけであります。私は、その間終始一貫、実質的な福祉の水準が低下しないようにということを中心に対応いたしたわけでございまして、今後もそのような姿勢で終始をいたしたいと思います。
#42
○糸久八重子君 大臣の御決意を伺いましたので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。大蔵省、どうもありがとうございました。
 臨調から指摘を受けたもう一点ですけれども、児童扶養手当の社会保障上の位置づけの明確化でございます。これは法律案要綱の「改正の趣旨」の中で、「離婚の急増等母子家庭をめぐる諸状況の変化にかんがみ、年金制度の補完として発足した現行制度を基本的に見直し、母子家庭の生活安定と自立促進を通じて児童の健全育成を図ることを目的とする福祉制度に改めること。」、そうされているわけでございます。この「福祉制度に改める」ということは、どうして未婚の母への手当打ち切り――このことにつきましては衆議院の修正で阻止をされましたからいいわけですけれども、まだほかに、離婚した父の年収によって手当を支給しないこととか、それから支給期間を七年間に限定することとか、それから所得制限を大幅に強化することなど言われているわけですけれども、このこととどうつながるわけですか。全く必然性がないと思われるのですが。
#43
○政府委員(小島弘仲君) この児童扶養手当制度発足そもそもの経緯は、先生御承知のとおり、国民年金が発足いたしまして母子福祉年金という制度ができました。これは死別の母子家庭が対象になる制度でございます。したがいまして、同じような母子家庭の状況にありながら離婚が保険事故として取り扱われない。したがって、保険の対象にならぬということだけで生別の母子家庭を、同じような母子家庭の状況ということに着目すれば、非常にそこは不均衡があるんじゃないかというような御意見もありまして、母子家庭一般の対策といたしましてこの児童扶養手当制度が、いわば母子福祉年金制度を補完するような形で、それと一体となってすべての母子家庭を対象として母子福祉年金相当の現金給付が受けられるというような制度の仕組みができたわけでございますが、この母子福祉年金という制度そのものが今回の年金改正で基礎年金に組み込まれてしまいますし、近年の状況を見ましても、母子福祉年金の受給者というのはもう千を割っているというような状況になってまいっております。補完すべき本来の制度がそういうふうに変わったり、もう消滅するということに着目しまして、今回この時期に、今後の母子家庭対策としての児童扶養制度はどうあるべきかということを福祉施策全般の中での関連で検討した結果、今回の改正案を取りまとめたわけでございます。
 衆議院で御修正があったわけでございますが、いわゆる未婚の母子家庭を対象といたしませんでしたのは、今回は、この児童扶養手当の支給というものを、離婚等によるその家庭の生活状況の激変ということに着目いたしまして、そのような母子家庭が自立なさるまでの間の経済的な援助措置という性格に位置づけよう、こう考えたわけでございます。したがいまして、未婚の母ということにつきましては、従前から夫たるべき人と申しますか、父親によってその母子の生計が維持されていたという状況がないわけでございますので、生活の激変という事態がないということで、支給の対象外という取り扱いにしたわけでございます。
 また、父親の所得によります支給制限という考え方につきましては、民法上いかに離婚いたしましたといたしましても、父親は終生その子供についての扶養義務があるわけでございます。未成年の子につきましては特に重い扶養、生活保持の義務があるわけでございますので、福祉施策である以上まずそういう義務を、それを先行させて考えるべきじゃなかろうか。ただ、父親の所得が低い場合には、その義務の履行も、あると期待しても十分なことは期待できないであろうということで、所得十分位法に基づく一番上の所得階層、法案提案当時は六百万ということでございましたが、現在では七百万程度になっていようかと思いますが、それぐらいの収入のある方、これは、扶養家族なしの場合の所得でございますので、仮に扶養家族があればもっと高い額になります。父親が別れた後一人で生活している場合月収五十万というふうな階層でございますので、そういう方にはまず民法上の扶養義務の履行を期待すべきが当然じゃなかろうかという考え方から、別れた父の所得による支給制限というものを組み込んだ次第でございます。
 いずれにいたしましても、その子供の健全な育成、経済上の困窮により健やかな生活が妨げられないような措置を講ずるという考え方に変わりありませんが、まず公的な一般財源はよる対策を講ずる前に私的な扶養義務をということを理解するのもまたこれは一つの当然の考え方ではなかろうかという判断で、そういう整理をした次第でございます。
#44
○糸久八重子君 父親の扶養義務につきましてはまた後ほどお伺いいたしますけれども、ここでは特に申したくはないんですけれども、今局長がおっしゃいましたが、未婚の母の場合には生活の激変がないとそう言われましたけれども、しかし、一人身であった場合と身二つになった場合というのは、やっぱり生活の激変があるわけですよね。だから、そういう意味では激変があったというふうに考えなければいけないのではないかと思います。
 母子福祉年金の補完的な制度から福祉制度に改
めるということの本当のねらいですけれども、年金制度の枠内だと給付費の負担というのは全額国庫負担であるという、そういう主張に反論できないから、補完的な制度から福祉制度に改めたのだということではないのかと、そう思われるのですね。福祉制度に改めることによって、他の福祉制度がおおむね十分の二の地方負担がなされているということを理由として、地方負担導入を正当化するための布石ではないのか。離婚した父の年収によりまして手当を支給しないこととか、支給期間の有期化とか、それから所得制限の大幅締めつけなどは福祉制度に改めることと直結をしないわけですから、厚生省としては内心地方負担導入ができれば満足なのではないんですか。
#45
○政府委員(小島弘仲君) 決して御指摘のようなことではございませんで、今後やはり社会情勢の変化、国民生活の変化とともに、福祉面でも常に新たな行政需要が出てまいります。そういうような新たな行政需要に対応しながら必要な施策を十分実施していくというためには、やはり必要な財源配分というものを考えてまいらなくちゃならぬことは当然でございます。したがいまして、今後に予測される社会情勢、福祉の需要ということに対応していくための体質を整備するためには、やはり既存の制度につきましてもその機能、目的から見直しを行い、必要な改正を加えるべきだと考えております。
 今回の児童扶養手当制度の改正もそういう趣旨で、福祉制度の一環としてどのような役割をお願いし、また、それを円滑に進めるとすれば、国と地方がどのような協力関係を結ぶのが妥当かという見地から検討したものでございまして、単に二割負担の導入を実現するために、給付費を切るというようなことでいろんな改正を考えたというわけでございませんで、全体が一つの今後の体系として問題意識を持って見直した結果の改正案の御提案でございます。
#46
○糸久八重子君 先ほども申し上げましたけれども、法の目的の変更についてなんですけれども、改正案の第一条の中で、生別母子家庭など児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため手当が支給されるということに変更されているわけです。低収入など、母子家庭の大変厳しい生活の状況は大臣も御承知なのではないかと思いますけれども、大臣、どのように現状を把握して、また認識をされていらっしゃいますか。
#47
○政府委員(小島弘仲君) 先生先ほども数字を御提示いただきましたが、我々が行っております全国の母子世帯等調査結果に基づきましても、これは五十八年八月一日現在の数字でございますが、一般家庭の収入、これは平均世帯人員が三・四二人になっておりますが、この所得が当時四百四十四万という水準でございましたのに母子家庭は平均いたしましても二百万。なお、死別の場合は二百四十万。それから離婚世帯では百七十七万。世帯構成人員に多少の差はございますが、確かに平均を相当下回っているということは事実でございまして、今後、こういう状態にある母子家庭の自立対策というものにつきましては、さらに関係省庁とも協力しながら、施策の拡充を図ってまいらなくちゃならぬ、このように考えております。
#48
○糸久八重子君 離別の母子世帯の平均収入金額が百七十七方、そしてそれに児童扶養手当を約四十万加えたといたしましてもやっと二百万ぐらいなんですね。その程度で生活の安定ができるかどうかは大変疑問であります。まして自立の困難性ということは言うまでもないことでありまして、自立の促進ということは、大変言葉の響きはいいんですけれども、その裏に込められている意図というのは、臨調路線の福祉切り捨て、自立自助論ではないか。母子家庭の経済的自立の困難さを思えば、自立の促進ということが、言葉は非常に美しいんだけれども、当該母子家庭に対して心理的な圧迫を加えるものになりはしないかと思うわけです。
 さらに、受給資格審査事務の際に、受給者に向かって制度からの追い出しを容易にするための口実になりはしませんか。
#49
○政府委員(小島弘仲君) 決してそのようなことを考えておるわけではございません。母子家庭の調査をいたしましても、非常に自立の意欲は旺盛でございます。したがいまして、できるだけそういう機会を準備する、またはそういう機会を十分活用できるような能力、資質の向上を図るというようなことを十分今後やっていく必要があると考えておりますし、この制度の運用上、先生御心配いただいておりますような、支給を受けるのが非常に後ろめたいとか、またできるだけ追い出そうとしているというような受け取り方をされないような、本当に母子家庭の自立の促進を図ることをお手伝いできるという意味で、積極的な前向きな機能をいただくような運営をということについては、今後とも十分地方公共団体と協力しながら配意してまいりたいと考えております。
#50
○糸久八重子君 昭和五十一年の第七十七回国会で、児童扶養手当の支給対象の児童年齢が、義務教育終了前の者から十八歳未満の者までに引き上げる改正が行われたわけです。これは、母子家庭等の、せめて高校ぐらい行かせてほしいという切実な願いを酌み取った非常に実のある改正であったと思うわけです。
 しかしながら、今回の改正案というのは、原則として支給開始後七年間で支給を打ち切ることとして、ただし、義務教育終了までは支給を継続するという、言ってみれば非常に非情な仕打ちを母子家庭に行おうとしているわけでございます。現行の十八歳に達するまで手当を受給できる権利というのを一部無効にしてしまうような、そのような論理がもし万が一あるとするならば、それは合理的かつ明確な理由がなければなりません。七年間で給付を打ち切る理由は何なのか。そしてまた、どんな根拠に基づいてこうなさったのか。お伺いしたいと思います。
#51
○政府委員(小島弘仲君) 改正案の目的規定にも示しておりますように、これは、「父と生計を同じくしてない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、」こういう手当を支給して、もって児童の健全育成を図ろうと、福祉の増進を図ろうという形でございます。したがいまして、「自立の促進」ということに非常にウエートを置いて今後は考えていこう。そういたしますと、従前の母子家庭におきます生活保護の受給の状況、あるいは母子寮において福祉の措置を講じております状況等を見ますと、大体七年間で九割以上の方々がそういう生活保護を脱却したり、あるいは母子寮をいわば巣立って自立なさっているというような状況がありますので、一応自立までに必要な準備期間として七年という期間を考えるのが妥当ではなかろうかと考えまして七年という有期の支給期間を考えたわけでございます。
 なお、七年と、そういう場合でありましても、子供が非常に小さいというような場合にはなかなか困難な面もございますので、七年を超えても、お子様が義務教育にまだ在学なさっている場合は、義務教育終了時まで、七年を超えても支給の延長を行うという措置を講じているところでございます。
#52
○糸久八重子君 母子世帯が生活保護から脱却している、それから母子寮の入居期間を見ても大体七年間で退寮している、それはわかりましたけれども、ちょっと聞き漏らしたのですけれども、児童扶養手当の場合はどうなんですか。恐れ入りますがもう一度お聞かせください。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
#53
○政府委員(小島弘仲君) 一般に、手当の平均的受給期間を見ますと、これは単純に平均しますと五年間ぐらいになります。七年間では四分の三程度の方が受給を終えられている。四分の一程度の方が七年を超えて受給なさっているといる実態がございます。こういう方にも、今後はこの七年間という期間の中で一層その自立への努力をお願いすると同時に、それを御援助できるような施策も拡充してまいりたい。七年間あれば自立願えるような方向に持ってまいりたいと考えているところでございます。
#54
○糸久八重子君 大体七年間ぐらいで手当の受給
が終わっておると、そうおっしゃったわけですね。私は、今おっしゃいましたこれらの表現の差に注目したいと思うんですけれども、生活保護や母子寮については大体七年間で自立という言葉を使っているわけですね。しかし、児童扶養手当については、決して七年間で自立とは言っていない。制度から離れていると、つまり手当の受給が終わっておると、そう局長はおっしゃいました。この表現の違いこそが問題が隠されているのではないかと、そう思います。
 まず、お聞きしますけれども、七年で制度から自立するということと、七年で制度から離れるということはイコールだとお思いなのですか。
#55
○政府委員(小島弘仲君) これは必ずしもイコールだとは考えておりません。一般的にその自立の期間ということを見ますのには、児童扶養手当の受給期間というものは必ずしも適当ではなかろう。支給期間の平均をとりましたり、どの程度がその期間かということになりますと、自立なさって、あるいは所得制限をオーバーして支給をお受けにならないという場合と、従前の十八歳という年齢に到達したがために支給が打ち切られた方とが一緒になって計算されておりまして、その区別がちょっとできませんので、それは両方の要素が児童扶養手当の方の受給年限の問題についてはあろうかと考えております。
#56
○糸久八重子君 母子家庭が自立するということは、どうなることなのでしょうね。
#57
○政府委員(小島弘仲君) まあいろんなケースがあろうかと思いますが、母子家庭のままの状態で自立なさるということは、今までの、いろんな外的な援助がなければなかなか生活ができないというものが、お母さんの就労とか定職の獲得というようなことによって他の援助がなくとも生計を維持し、子供の養育が可能な状態になるということだと考えております。
#58
○糸久八重子君 確かに、母親の稼働能力が高まること、それからあとは再婚すること等だろうと思いますけれども、再婚するかどうかというのは本人の問題ですけれども、母親の稼働能力を高めるということは、行政の支援が必要だと思います。
 そこで労働省にお伺いしたいのですけれども、自立促進のための条件整備はどうなっておりますでしょうか。
#59
○政府委員(赤松良子君) お答え申し上げます。
 母子家庭の母等の自立促進のための条件整備についてでございますが、母子家庭の母等の雇用を促進するためには、この方々が育児等の家庭生活上の負担をも負っておられるということが一つございますので、その負担を軽減する必要があろうかと存じますが、職業の面に重点を置いて考えますならば、これらの方が技能あるいは職業経験というものに乏しいという状況がかなり多く見られるように存じます。そこで、この方たちに対しましてよりきめの細かい職業相談をすることによって職業につく際の援助をするということ、あるいは職業訓練や就業援助の措置というようなものをとることによりまして、より安定した、あるいはより収入の高い、具体的に言えばそういう職業に就業できるように援助をするというようなことが大切かと存じます。
#60
○糸久八重子君 国の施策の中に、具体的に一つ一つ挙げていただかなかったわけですけれども、寡婦等雇用奨励金制度というのがございますね。これについては、どのくらいの実績があるんですか。
#61
○説明員(矢田貝寛文君) 御説明申し上げます。
 今先生のお話しになりました奨励金制度といいますのは、その後、特定求職者雇用開発助成金というふうに名称が変わってございますが、その支給対象実績でございますが、五十八年度におきましては約八千人余り、五十九年度で九千人余りといったように一〇%程度伸びてございます。
#62
○糸久八重子君 母子家庭の母親の自立促進のための労働省の施策も幾つかあるわけですけれども、例えば職業訓練とか訓練費とか相談員だとかということで設置いたしましても、そこにいらっしゃる方が、実際に母子家庭の母親であるのか、それとも一般の婦人であるのかということについては、はっきりと把握できないんじゃないだろうかと思いますし、またそれらを聞き出すということがやはり個人のプライバシーに関係するということ等もあるのではないかと思います。
 実は一九七七年の五月に、衆議院の社労委員会に、我が党とそれから公明党、共産党の野党共同提案で、母子家庭の母等である勤労婦人の雇用の促進に関する特別措置法というのを提案しているわけでございます。つまり、婦人が適切な職業につくことを促進するよう雇用率の設定だとか、それから母子家庭等失業者求職手帳の発給等を講ずる必要があるとするものでございますけれども、こういうような雇用率の設定とか求職手帳の発給等についての大臣の御所見、そして労働省のお考えはいかがでございますか。
#63
○説明員(矢田貝寛文君) 雇用の促進の一つの手段といたしまして、雇用率を設定するといったような身障等の手法もございますけれども、母子家庭等の場合、いろんな、家族構成が変わるとか、なかなか対象を把握しにくい、あるいは変動が大変大きいというようなことで、法定あるいは行政指導上にしろ、そういった雇用率制度というもので雇用促進を図るということはなかなか技術的にも実態上も難しいだろうというように考えておりまして、したがいまして、そういった制度じゃなくて、むしろ先ほど申しましたような母子家庭の母等を雇用されました事業主の方々に対しまして賃金の四分の一とか三分の一とかそういった助成を続けるとか、先ほど政府委員の方から答弁いたしましたような訓練あるいはいろんな御相談等の体制で進めてまいりたい、そういったような方針で現在臨んでおるところでございます。
#64
○糸久八重子君 制度から離れるということが、母親の本当の自立と言えない状況があるわけですけれども、例えば五十八年度の「社会福祉行政業務報告」で見てみますと、すべての対象児童が十八歳に達したこと、そして母親が再婚したことを理由として受給できなくなった者が約七七%という数字になっておるわけであります。こういうことが制度から離れた理由の実態なんです。だから改正案の第一条の「自立の促進」ということは、やはり細かな施策を立てない限りなかなかできないことでありますし、また、有期化ということは、母子家庭が自立しようがまだ自立できないという状況にあろうが制度から出ていけということではないのか。そして、七年間という数字についてもごまかしが含まれているとしか言いようがないのではないか、そのように考えるわけでございます。
 児童扶養手当というのは、児童福祉法に言う「児童」、すなわち十八歳未満を基本的な対象としているわけでありますから、満七年を経過しても対象児童が十八歳未満であって、なおかつ母親が経済的に自立できない場合には給付を打ち切る理由がないのではないか。この点はどう御説明なさいますか。
#65
○政府委員(小島弘仲君) 確かに児童福祉法上の「児童」は十八歳未満の者を言うことは御指摘のとおりでございます。また、現に子供が十八歳に達するまで受給を続けられて、それで打ち切りになったという方があることも、先生数字を挙げて御指摘いただいたとおりでございますが、今後この制度といたしましては、やはり母子家庭の母親にも自立の自助努力をさらに一層お願いしてまいりたい。それと対応して、今労働省でも御説明ありましたが、厚生省といたしましても、保育所の整備とか、あるいは家庭介護人の派遣事業とかさまざまな指導とかということを一層整備いたしまして、七年間の期間に自立願えるような環境づくりを進めてまいる。同様に、七年間の間にやはり期間の目標を立てながら自立への努力をお願いしたいという趣旨でこういう期間を設けたわけでございます。決してただ一方的に打ち切るためということではございませんで、他の関連施策と相まって、一応七年という期間があれば自立への自助努力と相まってそういうことも可能であろうとい
う期待のもとにこの七年間という期間を設定した次第でございます。
#66
○糸久八重子君 ここに、元厚生省児童家庭局長の翁久次郎氏がお書きになりました「児童扶養手当法特別児童扶養手当等の支給に関する法律の解釈と運用」という本があるのですけれども、その三十四ページに、「児童扶養手当は、手当としての性格上、一定の状態に着目して、その状態が継続する間支給されるものである。したがって、母が児童を監護している状態が継続していれば、その間手当が支給され、」と書かれているわけでございます。これは法理上の真実を述べているわけでありまして、この本は初版が昭和四十九年でございまして多少古いものでありましても、真理の価値は変わるものではないと思います。このことと、今回の改正案のあいまいな数字に基づいた支給期間の有期化のごり押しとは相入れないものがあるのではないか。翁氏が言われるような真理を正しく進めるのか、それとも厚生省が主張するこじつけを押し通すのか、どうけじめをおつけになりますか。
#67
○政府委員(小島弘仲君) 今先生御指摘のその解説書が手元にありませんので、正確な表現を確めるわけにいきませんが、お読みいただいたようなことが書いてあっても当然だと考えております。これは、当時の法律、改正前のいわゆる現行法をもとにその解釈と運用を示したものでございますので、そういう解説になることは、有期化ということがございませんで一定の児童の年齢までということでございますので、当然そういう説明が加えられているものと考えられております。その当時、先生先ほど御指摘のように、翁さんがお書きになったその本が発行されたときは、まだ支給対象児童の年齢は義務教育終了時までであったと思います。その後十八歳まで延長されたという改正が行われております。したがって、義務教育終了時まではそういう一定の状況、要件が充足する限り手当を支給するというのは当然のことでございます。
 今回の改正によりましてそこの期間を、一応自立に必要な期間という形で、有期化という観点からの改正を行おうとするものでございますので、そこで、その辺の解釈と運用は当然異なってきてしかるべきものと考えております。
#68
○糸久八重子君 何か、どうしても七年で打ち切りたい、そうおっしゃっているようでございますけれどもね。財政上の理由でどうしても打ち切りたい、そうおっしゃるのならば、六年目を終えて七年目に入った時点で、厚生省当局が労働省の協力を得まして雇用あっせんなどの具体的な自立促進をすべきなのではないか。それさえもできないならば、経済的な自立ができない場合は、引き続き十八歳になるまで支給をするのが筋なのではないかと思いますけれども、いかがですか。
#69
○政府委員(小島弘仲君) これは全体としての比較を考えた問題も一つございます。御指摘のとおり、これは母子家庭の児童を対象とする制度でございまして、全児童を対象とする制度ではございません。したがって、いろいろ御議論があるところでございますが、父子家庭あるいは両親がそろっている家庭でありますと、所得水準がどんなに低くともこの手当は支給されません。むしろ所得税の非課税限度額をちょっと超えるぐらいの父子家庭なり一般家庭だと、所得税を納めながらも一方手当は支給されないという状況もあるわけでございますので、そういうものとの均衡を考えましても、ある程度の自助努力ということも期待しながら制度の有効活用を図っていくということが今後のあるべき姿じゃなかろうかと考えて、手当の有期化ということを取り入れた次第でございます。
#70
○糸久八重子君 母子家庭が自立をしていくための環境は、婦人の就労機会の増大だとか、先ほども局長おっしゃいましたけれども、保育所の整備だとか貸付金制度の充実、児童扶養資金の創設というのがあるわけでございますけれども、それから例えば修学資金のような、生活資金のような、この貸し付けとの関係、これはどういうことになっておるのでございますか。
#71
○政府委員(小島弘仲君) 修学資金等につきましては、高校を卒業するまでお貸しするということでございまして、これは無利子でございます。今度の新たなこの児童扶養手当制度の改正絡みで準備しようとしております福祉資金につきましては、これは、従前手当を支給をされて対象になっている方が今後対象にならなくなった、あるいは手当の二段階制を取り入れておりますので、所得が一定以上であるために低い方の手当額になるという方々につきまして、やはり高校を卒業なさるまで要望に応じて無利子の貸付金を貸し付けることにいたしました。これは給付ではございません、貸し付けでございますが、そういう制度の御活用と相まちながら母子家庭の自立の条件をより整備しようという考え方から用意いたしました一つの制度でございます。
#72
○糸久八重子君 こういう貸付金の制度等をつくったので、例えば十八歳で打ち切りという場合に、高校生が卒業できないで手当が打ち切りになってしまう、そういうような場合にはこういう貸付金を使ったらいいじゃないですかと、そうおっしゃりたいと思うのですけれども、やはりこういうような貸付金制度というのは、幾ら無利子とは言いながらあくまでも貸し付けなんですよね。貸し付けだということはこれは返還の義務を負うものでございます。児童扶養手当にしろ児童扶養資金にしろ、それは児童を養育するための資金でもあり、また生活費でもあるわけですね。生活費として借りたものの返還がいかに困難なものであるかということは、サラ金等の悲劇が今たくさん出ているわけですけれども、そういう例を引くまでもないことだろうと思います。
 そういう意味で、こういう制度の創設をしたからいいじゃないかとおっしゃるかもしれませんけれども、やっぱりこういう制度の新設が本当の意味の救済措置ではない。そしてそれが児童扶養手当の支給要件を厳しくしたことを緩和するような印象を与えるだけのむしろ欺瞞的な措置ではないかというふうにも考えられるわけです。したがいまして、やはり十八歳まで、先ほどの翁氏の例を引くまでもないことですが、できれば同じ状況が続いている高校卒業までの支給ということはぜひともお考えいただきたい。これは私の強い要望でございますけれども、特に要望をしておきたいと思います。
 続きまして、昭和四十四年の第六十二国会でこの手当法が改正されましたときに、所得制限額が法律事項であったのを政令で定めることとされたわけでございます。所得制限額を政令で定められようとした趣旨は、受給者に有利な方への改定を弾力的速やかに実施する趣旨であったと思いますけれども、どうでしょうか。
#73
○政府委員(小島弘仲君) 所得制限につきましては、これは母子福祉年金の所得制限と当時あわせて運用していた経緯もございまして、いろいろな条件に速やかに対応できるような措置といたしまして、法律事項から政令事項におろさしていただいたという経緯があったと思います。
#74
○糸久八重子君 従来三百六十一万円の限度額が今回三百万円となるわけですけれども、これほど大幅な所得制限の締めつけはかってなかったんではないか、そう思いますけれども、いかがですか。
#75
○政府委員(小島弘仲君) 少なくとも児童扶養手当制度につきましては、所得制限を引き下げたというのはこの改正が初めてになろうかと考えております。しかし、福祉施策として内容を母子福祉年金と切り離して考えてみました場合に、一体こういう援助の措置の対象がどの程度の経済水準の方々、所得水準の方々までが妥当かというふうな目で見直したわけでございます。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
そういたしますと、二人家族ですと、国民の生活意識調査でございますけれども、大体普通の生活であると感じられている方が二百九十万円台の収入でございます。したがいまして、普通の生活と考えられている方々以上のところには手当を支給
するというふうなことを差し控えても、福祉の措置としてはしようがないのではなかろうかという判断から、他のいろいろな福祉制度とのバランスを見直した結果、今回福祉の措置としてこのような所得制限を設けさしていただいたわけでございます。
#76
○糸久八重子君 普通ならば、一般所得水準は年年上昇するわけですから、同時にその限度額も上がっていくのが本当ではないかと思うんですね。そういう意味で、大幅に切り下げたということを大変疑問に思うわけです。以前に福祉年金の所得制限を廃止してもらいたいという請願を受けたわけでありますが、厚生省に問い合わせてみましたところが、それに対しまして、福祉年金は全額国庫負担によるところから、余裕のある方々には御遠慮願っているところであり、所得制限は撤廃できないのですという趣旨の回答があったわけです。
 ここで改めて所得制限を設ける趣旨をお伺いしたいのですけれども、福祉年金や手当に所得制限の制度を設ける趣旨というのは、所得制限額を超える受給者は、今局長がおっしゃいましたけれども、若干経済的なゆとりがあると考えられるから遠慮してもらったのだということなのですね。この所得制限額というのは、当該受給者が経済的にゆとりがあることを示す必要にして十分なメルクマールでなければならないと思います。しかし、今回の案の上限額の三百万円というのは、そういう意味のメルクマールとしては果たして妥当な額なのかどうか、大変私は疑問に思うのですけれどもね。
#77
○政府委員(小島弘仲君) 先ほど申し上げましたように、生活の意識調査をいたしましても、二人家族、母子家庭で子供が一人の場合が三百万ということでございますので、子供の数がふえますとそれに応じましてどんどん額は増加することになりますが、二人家族で年収三百万ということが意識調査上大体普通の生活という御認識をいただいている所得の水準でございますので、それを上回るようなところについては、福祉年金もそうですが、いわば全額税金で賄うような手当というものの支給を差し控えさせていただいても社会的な不公平あるいは問題を生ずるというようなことはないのではなかろうかという判断のもとにこういう制限を設けさせていただいているわけでございます。
#78
○糸久八重子君 私がここで所得制限額を問題にするのは、統計の上から見ますと、所得制限額を超えたため支給停止を受けている者というのが母子家庭の自立というイメージに一番近いと思われるからでございます。つまり、「社会福祉行政業務報告」の「児童扶養手当受給者の異動状況」というものの項目の中で、「すべての対象児童が十八歳に達した」、それから「母が婚姻した」という二つの理由が圧倒的に多い、これは先ほども申し上げたとおりでございます。しかし、これは自立とは言えないわけですね。これに対しまして、所得制限で支給停止になった者、これは五十八年度末の全受給者数五十九万一千八百九十八人のうち八千三百三十人、つまり、パーセンテージで言いますと一・四%でございます。これが所得制限額が大幅に締めつけられますと、数字の上では母子家庭の自立イメージが高まるわけでありますけれども、実際には逆に実態を正しく反映しないことになります。そういう意味で、この制限額というのは若干のゆとりのある額にしておかなければいけないのではないか。所得制限額は、大臣がここで据え置くと決断すれば済むことなのでございます。母子家庭をいじめる厚生大臣という汚名を着たくなければ、ぜひこの辺の所得制限、決断をしていただきたいと思うのですけれども、大臣いかがでございましょうか。
#79
○政府委員(小島弘仲君) 先ほど来御説明申し上げておりますが、年金制度では、年金ですと所得制限というのは本来ないわけでございますが、福祉年金ということに着目しまして所得制限が母子福祉年金にも設けられている。年金でございますので比較的高いところに所得制限が設けられております。
 児童扶養手当も、従前その所得制限に合わせてきたという経緯もございますが、今回、本当にこういう形で助成の必要性のあるというところ、あるいは福祉家庭の子供との関係、一般家庭の低所得者との関係を考慮いたしましても、普通の生活レベルというふうに意識される層以上に支給するということは、他の家庭との均衡を考慮してもかえっておかしなことになりはせぬか。今まで支給を受けられていた方々には、今後支給されないということになりますので非常にお気の毒な面もあります。したがいまして、低い方の手当額ですけれども、そういうような経過措置的な配慮をいたしまして、一年間は受給を継続願うという配慮もいたしておりますので、今後本当に経済的に子供の福祉の増進が困難な家庭を対象とするという趣旨でこの手当制度を御理解願いまして、改正の趣旨を御了解願えればと考えておるところでございます。
#80
○糸久八重子君 とても了解できないんですけれどもね。
 それから、今回の法律改正の改善点というのは、手当額のたった三百円のアップですね。たった三百円なんです。その一方、地方負担導入とか所得制限の大幅強化とか、それから二段階制など、そういう国庫負担削減の意図が明白でございます。手当額は、物価上昇の折にもかかわらず三百円アップだけれども、この三百円アップしたという根拠は一体何でございますか。
#81
○政府委員(小島弘仲君) 三百円という額について、額の面で非常にいろいろ御議論があろうかと思いますが、従前三万二千七百円であったものを、低所得階層につきましては約一%程度アップいたしまして三万三千円という額にさせていただいたわけでございます。
 この額というものは、御指摘のように将来にわたって不変のものではございません。財政状況、他の福祉政策との均衡あるいは物価の上昇、生活状況等を勘案しながら、必要な見直しは行ってまいる所存でございます。
#82
○糸久八重子君 三つの数字を並べるよりも二つの数字でゼロをくっつけた方がわかりやすいという程度の改正案だというふうに判断いたします。
 こういう法改正に伴う国庫負担の増額要因並びに減額要因に区別しますと、それぞれどのくらいの額になりますか。
#83
○政府委員(小島弘仲君) これは、まず六十年度で申し上げますと、三百六十一万円を三百万というような形に所得制限をいわば強化いたしましたその財政効果が七億七千万、それからその所得の百七十一万を超えて三百万の層の手当額を二万二千円とすることで考えておりますので、従来の額との効果を比べますと、これが二十八億一千万程度、それから三万二千七百円を三万三千円に三百円引き上げます財政負担の増が六億六千万というような状況になっております。
 それから、有期化に伴います財政効果は、今後でございませんと出てまいりません。新たな認定、これから改正法施行後七年間ということでございますので、七年後でなければこの財政効果は出てこないということになります。
 それから、地方負担がほぼ四億程度になろうかと考えております。
#84
○糸久八重子君 今、二段階制導入のことについての金額もおっしゃっていただきましたけれども、百七十一万円以上と百七十一万円未満の二段階制を導入したその意図をお知らせください。
#85
○政府委員(小島弘仲君) これは年金というような権利的な、今まで保険料を納めたその見返りということではございませんので、福祉政策として母子家庭の必要度に応じて手当額に段階をつけるのはより合理的ではなかろうか。いわば所得税の非課税世帯が百七十一万ということでございますので、非課税世帯につきましては高い方の手当を差し上げる。それを超えまして普通の生活状況と意識されている層につきましてはそれの約三分の二の額であります二万二千円という額にさせていただいたわけでございます。
 その額の段差のつけ方等いろいろ御議論あろうかとも思いますが、これは一つは、やはり制度の本来の趣旨から見まして、経済状況にある程度対応した手当額に改めるのが妥当なんではなかろうかということを考えますと同時に、先ほど来申しておりますが、父子家庭とか一般家庭は、低所得層でございましてもこの手当は出ておりません。母子家庭を対象とする児童扶養手当でございますので当然でございますが。一方では、そういう層はむしろ税金を納めながらも手当をもらっていないということでございますので、そういうところとの均衡を考えれば、所得税を納付なされているような母子家庭につきましては、やはりある程度低所得者とは違った形の、それより額を引き下げる形の手当を支給するのが妥当というふうに判断した次第でございます。
#86
○糸久八重子君 社会保障制度が、予算を伴う以上国家財政事情も考慮するということも考えられますけれども、しかし、それだからといって、子供の成長発達権が脅かされて、また、社会的、経済的に弱者である母子世帯が生活に困窮してよいという理由はないと思うのですよ。厚生省の調査によりましても、かなり母子世帯の年間収入というのは低い。
 私のところに、幾つかの母子世帯の家計簿というのが来ているわけですが、ちょっと参考までに二、三申し上げたいと思いますけれども、東京都の方で三十六歳、小学校五年生の男の子が一人いる方であります。収入が、月額ですけれども十四万四千円、そして児童扶養手当を三万二千七百円、それから東京都ですから児童育成手当というものをもらっているわけですね、これが七千五百円。そういうことで約十八万五千円で生活をしている。この人は実家から月に一、二回はお米とか野菜とか日用品をもらう、それでぎりぎり生活ができるということをおっしゃっておられるわけです。
 それから埼玉県の方です。三十三歳で四歳になる女の子を持っている方です。カルチャースクールの受付事務をしているわけですけれども、この方はパートです。パートの時給が六百五十円、したがって月給が十万二千四百円でございます。児童扶養手当をもらって、二カ月に一回養育費をもらっている、そういうケースですね。収入が十六万五千円。この人の住居なんですけれども、姉の家の一軒家を無料で借りている、だからこれで生活が成り立っているということをおっしゃっておられます。
 それから神奈川県横浜の二十八歳の方でございますけれども、この方はパートで時給が千円だそうでございます。三歳の男の子を持っておりまして保育園に通わせている。給料が十三万五千円、児童扶養手当の三万二千七百円を加えて十六方七千七百円の収入がある。そして家賃が、先ほど一番最初に申し上げました方は四万四千円ですけれども、この方は実家のアパートを借りているので二万円で済んでいるのですが、やはり家賃負担はかなりかかるのです。しかし児童扶養手当は子供の教育費のために貯蓄をするように極力努力をしているということをおっしゃっておられるわけです。
 それからもう一つここに三十八歳の方のものがありますけれども、この方が手記を寄せております。離婚までの別居期間が約三年間あり、蓄えはすべてなくなりました。調停で取り決めた解決一時金はほんの一部受領したのみで、毎月の収入も手取りの十九万円が十四万円に下がってしまいました。別れたときに冷蔵庫とかテレビとか、みんな持っていかれてしまった。だから、ガスコンロも扇風機もないような暮らしをしていたから、いろいろそういうものを買い整えるためにかなりお金は使ってしまった。食費については、ここでは月額四万円かかっておりますけれども、近所に父親や妹が住んでいるから、ときどきそういう人たちと一緒に食事をしているから四万円で足りるんだと。子供が保育園に通っているから外食等をすることも多いということなんですね。そういう苦しい生活実態が挙げられておるわけでございます。
 それからやはりこの調査の中に、一つ私大変気になることがあったんですけれども、鹿児島県の方で、こういう手記を寄せられました。「規制され、監視つきの生活保護」というのですね。よく母子世帯の場合に、生活ができなかったら生活保護もありますよということをおっしゃるわけですけれども、いみじくもここに書いてありますね。
  児童扶養手当の改悪について厚生省は「夫婦の離婚は当人同志で解決すべきこと、国のお金を頼るのは筋違い。生活に困るのなら生活保護という手段がある」といいますが、現在その生活保護を受けている私の生活を報告します。
  長男が二才三カ月、次男が生後一カ月。その状態では働けないだろうとのことで受給することができました。ところが下の子が一才になるまでは面倒を見るとのことですが、その後ケースワーカーに会うたびに「早く自立を……、仕事をみつけてください」と催足されています。
  下の子がようやく九カ月になり(本当はもっと自分の手元で育てたいのですが……)いざ仕事と思っても鹿児島では、女性なら八万〜九万がやっと。これでどうやって暮していけるのでしょう。
  もちろん私だって、いつまでも生活保護のお世話にはなりたくありませんが、別れる時一銭のお金も持たず、他にどうしようもありませんでした。
というような生活実態が挙げられているんですね。
 そのように、幾つか例を挙げましたけれども、とにかく母子家庭の生活というのは大変苦しい実態だし、今の幾つかの例を見ますと、三万二千七百円の児童扶養手当をやはり生活の大きな収入源として、それを使っているということがいみじくもこの申し上げた中に出ているのではないかと思います。
 母親が今どういう職業についているかということも御紹介申し上げましたけれども、離別女性の年齢というのは大体が三十歳、四十歳代が八〇%ぐらい占めているようですね、厚生省の調査によりますと。つまり中年なんですよね。そして子供がいる。しかも専門的な知識だとかそれから技能の持ち合わせもない。そういうような状況の中で就職をするというのは、本当に難しい現実があるんですね。だからやはりパートという非常に安い給料の仕事しかない。
 それから、いろんなアンケートの中に住まいのことも書かれてあったわけですが、家賃の高いこともさることながら、母子家庭といいますと簡単に家主さんが家を貸してくれないというのですね。そして、貸してくれたとしましても、契約期間というのが二年といたしますと、その契約期間が過ぎれば必ず追い出しを食う。だからやはり家も転々としなければならない。家を転々とすることになれば、小さな子供を連れての什事なんですから、当然仕事もまたかえなければならない。したがって高い給料をもらうような仕事にはつけないというのが実は母子家庭の母親の実態なんです。そういう意味から考えますと、母子家庭の場合にはやはり住宅の面も考えていかなければならないと思うんですね。例えば公営住宅に優先的に入居させるとか、そういうことが母子家庭の母親の自立のためにも大きな手助けとなるのではないかと思いますけれども、その辺の部分はいかがでございますか。
#87
○政府委員(小島弘仲君) 母子家庭の実態調査をいたしましても、困っていることの内訳を見ますと、やはり一番、家計の悩みを持っていらっしゃる方が四割ぐらい、それから仕事が二七%で、あと住居についてというのも二割ぐらいの悩みを持っていらっしゃいます。やはり住居の確保というのは生活の一つの基盤でございますので、厚生省本来の施策といたしましても母子寮の制度というものもありますし、また、母子寡婦の福祉法に基づきまして、公営住宅についての母子世帯向けの「特別の配慮」というものをお願いしているところでございまして、五十八年度末の数字で見ますと
二万八千戸程度の住宅が母子世帯向けに用意されているという実態でございます。
 母子世帯の数の状況、またその中での住居に困っている方々の数の状況を見ますと、決して十分な数ではございませんので、今後とも関係省庁とも連絡を密にしながら、必要な自立条件の整備の一環といたしましてそういう面にも配慮をしてまいる所存でございます。
#88
○糸久八重子君 よろしくお願いいたします。
 では次に、改正案第二条の第二項として新設されました「児童扶養手当の支給は、婚姻を解消した父等が児童に対して履行すべき扶養義務の程度又は内容を変更するものではない。」、そういう規定を提案されておりますけれども、この理由は何ですか。
#89
○政府委員(小島弘仲君) これは、要するに児童扶養手当の支給というものが、民法上の父の扶養義務というものを変更する内容ではない、ですから児童扶養手当制度というものが設けられても依然として、民事上と申しますか、民法上の別れた父の子に対する扶養義務が依然として残っているんだという趣旨を入念的に明示したものでございます。
#90
○糸久八重子君 全国母子世帯等調査によりますと、離婚した父親が子の養育費を支払っている例というのは非常に不満足な状況ですね。現に養育費を受けている母子家庭というのは一割ぐらいしかない。
 扶養義務を確保する制度というのは一体どうなっておるんでしょうか。また、その制度に欠陥はないのか。民法など改正すべき点がありましたら、法務省から御説明を願いたいと思います。
#91
○説明員(永井紀昭君) ただいま御指摘の点でございますが、離婚後の扶養料の支払いの状況とか、なぜ支払われていないかということなどにつきまして、私ども法務省としては十分把握しておりませんが、ただ、いろいろ推測はされるわけでございます。事実上の問題以外にも法制上の問題もあることは確かに御指摘のとおりではないかと思っているわけでございます。しかし、例えば取り立て制度そのものを議論する以前の問題といたしましても、例えば協議離婚制度という、世界的にもある意味では珍しいといいますか、進歩した制度があるんですが、これ自体に一つ問題があるということも従来から指摘されているわけでございます。
 こういったことを含めまして、最高裁判所あるいは厚生省等とも協議を重ねていきたいと、こう思っております。
#92
○糸久八重子君 確かに日本の場合には協議離婚というのが大体六〇%から七〇%、もっと占めているんでしょうか、七八%ぐらいでしょうか、非常に多いわけですね。
 裁判によって養育費の支払い確保の制度というのはどうなっておりますか。
#93
○説明員(永井紀昭君) 家庭裁判所に必ず調停前置で申し立てをしなければなりませんので、家庭裁判所に行くことになっておりますが、ちょっと統計を調べてみましたところでは、未成年者の扶養に関する調停ないし審判事件は、五十八年度で約七千件強あるようでございます。それで、ただいま委員もちょっと触れられたと思いますが、扶養料の家庭裁判所におきます履行勧告もやはり六千八百件ぐらいあるようでございます。
 以上でございます。
#94
○糸久八重子君 家庭裁判所の履行勧告制度と、もう一つ強制的取り立て手段としての強制執行というのがあるわけですね。いずれにいたしましても、裁判に持ち込みますと、一般の人は手続がどうやっていいのかわからない。そして、弁護士に依頼しなければならない、そうすると大変費用も時間もかかるというようなことで、強制的取り立て手段、強制執行というのは敬遠されがちになっているのではないかと思います。したがいまして、裁判の場合でも、簡易、迅速、安価、しかもかつ確実な養育料の支払い確保制度というのが存在しないようなそういう現状では、実態から遊離してしまうということですね。したがって、やはり養育料の問題についてはもう少しきちっと決めていかなければならないのではないかというふうに考えているわけでございます。
 厚生省、この養育料の問題については、司法上の問題は今御説明願ったとおりでございますけれども、厚生省といたしましての考えをお伺いさせていただきたいと思います。
#95
○政府委員(小島弘仲君) 確かに、残念ながら我が国の離婚というのは、ある意味では離婚の自由が非常に徹底している国でございまして、協議離婚の件数が九割近くを占めているかと思います。そういうこととの関連も相まちまして、先生御指摘のように、現に養育料を支払っている別れた夫というのは一一・三%ぐらいしかございません。こういう状況ではございますが、こういう児童扶養手当という制度の将来を考えた場合に、やはり第一義的に、相当収入のある、ゆとりのある父親の扶養義務というものを履行していただくのが筋ではなかろうか。そういう扶養義務の履行あるいは母親の履行請求ということに期待しながら、今回、極めて高い所得水準の父親につきましては、その別れた父親の所得による支給制限という制度を組み入れたわけでございます。
 この件につきましては、社会保障制度審議会に御諮問申し上げたときにも、その履行の確保を担保できるような方法を別途検討しろという御指摘もいただいておりますので、現在、厚生省内部に関係の方々、専門家の方々に集まっていただきまして、そういうことも含めました離婚制度等研究会を設けまして研究をしているところでございますが、いまだ結論を得るには至っておりません。
 そのような状況でございますので、先ほど衆議院側から御説明がございましたように、衆議院で、履行の状況、あるいは父親の所得の把握の仕方ということとの関連をもって、そういう方法を勘案しながらこの規定を動かす時期を決めるというような修正が行われておりますので、我々としては今後さらに関係方面と協議を重ねながら、その研究会の成果を踏まえまして、父親の扶養義務の履行というものを促進できる、あるいは確保できるような方途を検討してまいりたいと考えておるところでございます。
#96
○糸久八重子君 今局長がおっしゃいました離婚問題研究会、これは局長の私的諮問機関であるということですけれども、やはり私的諮問機関が、先ほども冒頭に申し上げましたように私的諮問機関としての悪弊に陥ることのないように、どこまでも離婚後における子供の幸せを確保するにはどうしたらよいかという観点から検討がされることを特に要望をしておきたいと思います。今御説明がありましたとおり、養育料の支払い確保制度が確立していないという現状を放置したまま父の所得制限を導入するということ、これは衆議院段階では凍結をしたという状況になっておるわけですけれども、これは凍結をしたわけでありましていつ解凍するかわかりませんから、そういう子供の成長発達権を侵害するような結果にやはり父の所得制限導入ということはなるのではないかというふうに大変心配をするわけでございます。
 それで、改正案の第四条で、離婚した父の離婚日の前年の所得が政令で定める額以上のときは支給しないと、新たに支給要件を厳しくしておりますね。衆議院においてこの規定に係る部分の施行期日が修正されて、先延ばしの措置がとられることになっておりますけれども、条文が残っておりますから大変不満足なんですけれども、別れた父親が子の扶養義務を果たしていないということは大変遺憾なことですけれども、父親の年収と子への養育費がリンクするわけではないんですね。こういう事情が改善されない限り、手当を支給するかしないかということはひとえに当該母子家庭の経済的な困窮度に置かれるべきでありまして、別れた父親の年収を要件とするなどは、考慮すべきでないものを考慮するという誤りを犯しているのじゃないかと私は思いますけれども、その辺はいかがでございますか。
#97
○政府委員(小島弘仲君) 父の子に対する扶養義務は民法上も極めて重いというのが学説の通例で
もございます。大体、未成年の子供につきましては自分と同程度の生活を営ませる責務があるというふうに重い位置づけを与えられておるというふうに理解をしております。したがいまして、父の所得が非常に低い場合には十分な扶養義務の履行ということは困難な場合もあろうと思いますが、父の所得が非常に高いということになりますと、先ほども言いましたように、ひとり身で年収六百万というようなことを考えておりまして、現行の価格ですと七百万程度になるわけでございますが、そういたしますと月収が五、六十万ということでございますので、これは一人で扶養家族がない場合ですので、当然十分な履行義務を期待できる客観情勢にあるのではないかというふうに考えております。
 そういう形で、こういう機会に行政的にも父の責任の重大性ということを十分また周知徹底を図りながらこういう仕組みを考えてまいりたいとしたところでございますが、先ほど御説明申し上げましたように、衆議院において、この関係の施行期日は別途政令で定めるという形で今回の改正の施行とは一応切り離されておりますので、先ほど御説明申し上げました研究会等の成果を踏まえ、また、関係省庁の御協力を得ながら、父の子に対する扶養義務が履行されるような条件の整備に努めてまいりたいと考えております。
#98
○糸久八重子君 今局長おっしゃいましたとおり、父の所得とか義務の履行状況とかというものの状況等を勘案し、「政令で定める日から施行する。」というふうになっておるわけですけれども、これらの状況を勘案するというのはだれが勘案するのかというと、政府自身が勘案するわけですね。社会保障制度審議会答申の中でも、「民法上の扶養義務が十分に履行されるような手だてなしには、児童の福祉が確保されないことにもなりかねない」、だから、「この方面に対する検討を別に行われたい。」と、そうありますね。扶養義務が十分履行されるような手だてが確立して初めて私は制度の改革がなされるのがこれは当然なのではないか、そういうふうに考えるわけですね。だから結局制度の改革が先走ってしまって、それに対する十分な手だてというのが後追いになっているというのが今回の改正案の中身であります。しかも、こういう規定が発効するかしないかということをまず政令へゆだねていく、このことは国会の審議の機会あるいはチェック機能を奪うものではないかというふうに考えます。
 したがいまして、今回はこの支給要件の項目を削除してしまって、そして民法上の改正とセットにして出し直しをすることが本来のやり方なのではないかと思いますけれども、その辺はいかがでございますか。
#99
○政府委員(小島弘仲君) 確かに現行法制上、父の扶養義務の履行を担保しようとしますれば、母親あるいは子供御本人の父親に対する請求という裁判上の手段、最終的には本人の請求という裁判上の手段しかないわけでございますので、その点、諸外国の制度等と比べまして大変不備な点があることは御指摘のとおりでございます。ただ、民法上の整備ということになりますと、離婚の取り扱い方、特に子供を持っている御夫婦の離婚の取り扱い方という離婚制度そのものとも結びつく問題が出てまいります。したがいまして、そういうところまでいかなけりゃならぬのかどうか、また、それ以前にいろんな方法があるのか、また、生計を公的に御援助申し上げたり、実行を確保できるような道がありはせぬかということも、あわせて今後十分検討してまいりたいと考えております。
 ただ、こういう制度ができたからますます父の扶養義務が履行されない、児童扶養手当制度があるからますますそういうことがなおざりになるというようなことではいかぬわけでございまして、先ほど御指摘いただきましたこの改正案に挿入された条項も、児童扶養手当制度があるからといって父の子に対する養育責任、扶養責任というものはいささかもその内容を変えるものではないということを入念的に規定されております趣旨からも、十分そういう父の扶養義務ということについての意識の喚起を図りながら、特に高額所得者につきましては、十分な扶養義務の履行をお願いできるような方向に持ってまいりたいと考えたのがこの改正の趣旨でございます。
#100
○糸久八重子君 問題はたくさんあるのですけれども、時間も大分少なくなりました。
 請求期限五年という部分ですね。父の所得によって支給除外となることを決めている四条の部分です。それは離婚した日の前年を基準にしているわけですね。これと改正案の六条の請求期限五年の創設というのは連動していると思われるわけですよね。六年以上たって請求したら、ずっと前の、離婚日の前年の所得はとても把握できない、だから五年で区切ろうということなのですか、これは。
#101
○政府委員(小島弘仲君) 一つには、先生御指摘のような要素も一部としてございます。所得状況の証明につきましては、余り年限がたつとその実態の正確な把握が難しいという面がございますし、先ほど申し上げましたように、この児童扶養手当制度というものが、離婚等によります母子家庭が、今まで父親に生計を支えられたという状況が激変した場合の当面の激変緩和対策ということで七年間の支給期間を設けているところでございますので、五年間というような期間も請求をしなくとも済んでおるというような状況については、もうこの児童手当に頼るというような状況はなくなっているんじゃなかろうかというようなことも勘案いたしまして、一応こういう請求の期限を設けさしていただいたということでございます。
#102
○糸久八重子君 この手当法が制定されてからもう二十四年もたちますね。だけれども、二十四年もたった現在でもこの手当法の存在すら知らない母子家庭があるんですよ。これは広報活動が不十分なのか、いろいろ原因があるんじゃないかと思いますけれども、事実が発生してから五年間も申請しない人がいるということは、そういう事実もあるということから考えますと、やはり五年ということを規定するということはどうなのかというふうに考えるわけです。そして現況調査が、大変個人のプライバシーに深く立ち入る内容があったり、それから、手続も非常に煩雑だから申請しないんだというような人も中にはいるようでございます。
 その個人のプライバシーの問題なんですけれども、アンケートの中に書かれてある問題で、係官の対応でこんなものがあるというんですね。例えば、不正な受給をしていないか調べると言われたとか、送金があるかとか、会っていないかとか、それから、自分のわがままの後始末を行政にさせるのかというような嫌みを言われたとか、別れた夫から養育費など金銭的援助を受けていないことを証明する一筆を持ってくるようにとか。そういうことができればこういう心配はないんですけれどもね。それから、別れた夫のことや、どうして別れたのかということをしつこく聞かれたとか、離婚の動機だとか現在の状況、そして身の上話を根掘り葉掘り聞かれたというような、そういうような状況もあるんですね。だから、そういうことで申請するのが嫌になってしないというような人も中にはいるようでございます。
 こういう、国の広報活動も足らないという部分もあるでしょうし、それから制度自体に問題点がいろいろあるわけですけれども、これらをどう改善していったらいいのでしょうか。
#103
○政府委員(小島弘仲君) 確かに、施行後相当長期間になっております。もう二十年以上になっているわけでございますが、それでもなおかつ、我我としてはもう二十年もなじんだ制度だと思いがちでございますが、対象者は年々新たになるという要素もあるわけでございますので、こういう広報活動につきましては今後とも十分な配慮をして、少なくとも、制度を知らないためにこういう制度を利用できないというような人がないようなことにしてまいりたい。さらに一層広報の仕方につきましても工夫を重ねながら努力したいと考えております。
 それからもう一つのプライバシーとの関係でご
ざいますが、こういう手当の性格上、どうしても受給対象者の生活の実態、あるいは送金の有無というようなこと、また同居の有無というようなことを伺わなくてはこの制度の的確な運用ができないという性格があります。ある意味ではどうしてもプライバシーに立ち入らざるを得ないというのがこの制度の宿命だと考えておりますが、少なくとも担当する職員あるいはお願いする民生委員等につきましては、不要なプライバシーにまで立ち入らないような配慮、あるいは非常に嫌な思いを申請者にさせることのないような配慮というのは、御指摘を受けるまでもなくそれは当然考えていかなければならない問題だと考えておりまして、その運用については常日ごろ注意しておることでございますが、さらに調査の内容等についても再度見直しを行い、できるだけ本当に必要最小限度の調査事項に絞る努力もする、また、それを担当する職員の言動等についてもさらに注意を促してまいる所存でございますが、いずれにいたしましても、生活の実態をよく伺わなければ制度の的確な運用ができないというのがこの制度の仕組みでございますので、その辺の調査についてはやっぱり御理解をいただかなきゃならぬ、御協力もいただかなきゃならぬと考えております。やり方につきましては、繰り返しになりますが、十分注意いたしまして、必要最小限のことで、申請者に嫌な思いをさせることのないような注意を十分今後とも払ってまいるつもりでおります。
#104
○糸久八重子君 時間が来ましたけれども、一言。
 支給要件を備えて、現実に支給の必要性があるにもかかわらずその支給の道を閉ざすということは、困窮状況にある母子家庭の子供を救済しようとするこの法の目的に背を向けるようなことになるのではないかと思うわけです。私は、まだ併給関係の問題とか、障害等級表の問題だとか、事実婚の問題だとか、まだまだ内容についてはたくさん問題点があるわけですけれども、非常に残念ながらもう時間が来てしまいました。私は今まで法案の順序に沿ってかなりいろいろ問題点を挙げてきたわけですけれども、このように大変問題のある児童扶養手当制度というものは、どうしても政府案のような改悪はさせてはならないと冒頭にも申し上げましたとおり、私はこの法案の内容につきまして強く反対をするということをもう一度申し上げまして質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#105
○藤井恒男君 きょうは、「児童扶養手当法の改正について(問答)」というのが厚生省から出ておりますが、この中から御質問申し上げたいと思うんです。
 最初に、「問三 今回このような改正をしなければならない理由は何か。財政的理由からの福祉の切り捨てではないか。」という問いについてずっと書いておられるわけだけど、その1の中ほどに、「母子福祉年金の受給者は今やほとんどいなくなっています。」というくだりがあるんです。母子福祉年金の受給者がほとんどいなくなっているという状態は、この同じ問答集の中で十五ページに図示されておりますね。三十八年ごろ二十一万五千人いたのが現在八百人、なるほどこういった数字をたどっているわけですが、これはどういった状況なのか、内容を教えていただきたいと思います。
#106
○政府委員(小島弘仲君) これは、三十四年だったと思いますが、国民年金法ができまして、そのときには被保険者が新たに発生するものですから、従前、法施行前にもう既に母子家庭になっていたというような被保険者の方を経過的に福祉年金というような形で救ってまいったところでございます。そのほかに経過的に、所定の期間、被保険者期間の保険料の納付を満たさないというようなことで母子福祉年金を受給なさっている方もおりますが、これは極めて少数でございます。ほとんど経過的な、そういうような三十四年当時の姿でつくっておりますので、もう今やそういう方々は、子供も卒業されちゃった、そういうことから、この母子福祉年金はほとんどなくなってきているという事情にございます。
#107
○藤井恒男君 そうすると、これはこの後どうなっていきましょうか。どういうふうに見ておられますか、その母子福祉年金について。
#108
○政府委員(小島弘仲君) 改正国民年金法、この前御審議、御議決いただきました改正によりまして今後は基礎年金に吸収されてしまいますので、六十一年度以降は母子福祉年金という制度はなくなります。
#109
○藤井恒男君 六十一年ですね。
 そして今の、問いに対して「母子福祉年金の受給者は今やほとんどいなくなっています。」というくだりは、何を意味するんですか、これは。
#110
○政府委員(小島弘仲君) この書いた気持ちは、そもそも今御審議をいただいております児童扶養手当制度というものが、母子福祉年金ができましたときに、母子家庭として対象になりますのは、保険事故であるという性格上死別の母子家庭だけが対象になるわけでございます。そういたしますと、母子家庭という状況だけに着目いたしますと、死別も生別も母子家庭という状況には変わりないんじゃないか。したがって、年金で救えないのなら別な制度で生別の母子家庭も母子福祉年金と同じような手当が受給できるようなものをつくってはどうかということが現在の児童扶養手当制度創設のそもそもの動機であったというふうに考えております。
 したがいまして、本来死別は保険料を納めていない人でも母子福祉年金で救われている、生別の方は救われていないんだからこっちを救えということでできまして、本体の死別の方はだんだん細くなりまして、今申し上げましたように今度六十一年からはなくなるという状況でございますので、補完する制度本体がもうなくなってしまった。この際、年金制度というものとは切り離しまして、この児童扶養手当制度というものは今後の社会保障制度の中でどういう役割をどういう形で果たしていくべきかということをもう一回再検討する時期を迎えているという認識のもとに書いた表現でございます。
#111
○藤井恒男君 わかりました。要するにこれは経過的な措置として書いているというだけのことですね。
#112
○政府委員(小島弘仲君) はい。
#113
○藤井恒男君 それから十四ページにあります「母子世帯の原因別構成の推移」という中にある「病死以外の死別」、それからその次に「離婚」、「その他の離別」とありますね。この「病死以外の死別」そして「その他の離別」というのは、事例としてどういったことになりましょうか。
#114
○政府委員(小島弘仲君) これは母子世帯全体を挙げておりますので、病死以外としては事故死みたいなもの、それから典型的な戦死なんというものがわりかたこれは大きな層を占めておりました、戦後は。それで、「その他の離別」と申しますのは、手当の対象となる母子世帯の原因でございますが、遺棄とか行方不明とかいう問題がございます。
#115
○藤井恒男君 「病死以外の死別」が今言われたような意味でずっとしぼんでくるということはこれはよく理解できるんだけど、「その他の離別」というのがふえていますね。これはどういうことですか。
#116
○政府委員(小島弘仲君) これは、遺棄とかそれから未婚の母みたいな形で、母子世帯であるけれども、まあ離別というのは適当かどうかと思いますが、そもそも事実上の結婚関係もなくて子供をお産みになったというような家庭も入っておりますし、それから遺棄というようなもの、行方不明というようなものが、特に遺棄家庭なんかが最近増加している傾向もうかがえます。
#117
○藤井恒男君 問四の中に、「改正に当たって正式に審議会等の意見を聞いたか。」という中で、先ほどもちょっと質問が出ていたのですが、社会保障制度審議会から出ている意見の中の、「真に援助を要する者が対象からはずされるおそれのないように十分に配慮するとともに、離婚後の夫の扶養義務が十分に履行されるような手だてを別に検
討されたい」。先ほどもちょっと質問があったわけだけど、厚生省として、この案をつくる折にいわゆる手だてというものは検討をされたのですか。
#118
○政府委員(小島弘仲君) これにつきましては、実態はある程度承知しておりましたが、手当については、特別に行政上とか制度上の仕組みとしてこういう手当をつくるべきじゃないかという検討まではいたしておりませんでした。
 と申しますのは、まず、父親の所得によって所得制限を行おうといたしますのは、別れた父親が非常に高額所得者である場合に限って、限定して考えておりましたものですから、履行しやすい客観的条件はある。また、そういう家庭については、現在最終的に、請求してもどうにもならぬという場合には、裁判上母親なりお子様本人が請求する以外に方法はないわけでございますけれども、そういう高額所得者については、そういうような積極的なみずからの履行も期待すると同時に、また母親も、子供のためにそういうどうしても払わないという場合は、裁判上の請求も含めてそういうような履行の追求をしていただきたいというふうに考えておりまして、特別に行政上それを担保できるような制度というところまでは考えておりませんでした。
#119
○藤井恒男君 月収五十方ぐらいといえばこれはかなり高額だと思うんで、それを対象としていたからと言われるわけだけど、これ、実態面から考えると、難しいからやらないのか、サボったのかしらぬが、これは衆議院でこういったぐあいに修正なされていますけどね、私はなかなかこれは難しいことだと思いますね。きちっとしている人は問題ないわけであって、きちっとしないから問題になってくるんだし、その人が五十万、六十万もらっていようがいまいが、やらないわけなんだから、だから私はいずれこれ、先ほどの表現であれば解凍される時期が来ると思うんだけど、これは法的なものだけじゃなく、先ほどからも裁判裁判ということをおっしゃるけど、アメリカと違ってなかなか日本は裁判というものはなじまないのであって、とりわけ、失礼な言い方だけどこういった御家庭の方たちが、あなた裁判でやりなさいと言ったってなかなかそれはできることじゃない。したがってこれは潔くやめた方がいいと思うんだよね。
 まあいずれこの審議の過程で折々御相談さしてもらいたいんだけど、厚生省としてはなおこれ検討して、審議会から言われておる別に手だてを検討するということに取り組むつもりですか。
#120
○政府委員(小島弘仲君) 先ほどの糸久先生への御答弁でも申し上げましたが、既に各専門家、家庭裁判所の関係者と法務省の民事局の参事官の方とか、それから民法の学者の方とか、現に母子家庭のお世話をなさっている関係の方とかいうような方々に御参加願いまして、諸外国の制度も参考としながら研究会を設けて、今検討を行っておるところでございます。
 まあ非常に徹底しようとすれば、先ほども申し上げましたが、子供がある御夫婦の離婚について、諸外国のように必ず裁判所を絡ませるとか、裁判による離婚しか認めないという制度もあるわけでございますが、一方では離婚の自由というようなものとの兼ね合いもございますので、それは非常に難しい問題があろうと思います。ですから、離婚制度そのものに踏み込まないでいける方法があるのかどうか、十分知恵を出し合いながら検討をして、そういう手だての確立を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
#121
○藤井恒男君 次に、問五に、「死別は本人の意思によるものではなく、予期しがたい事故」である、「離婚はいろいろな事情があるとは思いますが、本人の意思あるいは夫婦間の協議によるもの」であると、これを分けて書いておられるので、これは何を言おうとしておられることか。
#122
○政府委員(小島弘仲君) ですから、同じ母子世帯と申しましても、離婚と死別ということは――要するに本人の意思でどうにかなるというものは保険事故になじまないものですから、これは保険制度の対象にはならぬというようなわけでございます。ですから、離婚の家庭については保険制度でない福祉制度として対象を考えていかなきゃならぬ。したがって、社会保険制度とは別な方法論、あるいは仕組み、考え方があってしかるべきじゃないかという趣旨のもとに書いた表現でございます。
#123
○藤井恒男君 それがこの新たに生まれてくる児童扶養手当の中でどういうふうに、その今言われたことが表現されるのですか。
#124
○政府委員(小島弘仲君) 一つには、これも御批判のあるところですが、まず所得制限を強化しております。これは従前福祉年金でも九割程度の支給率になるような定め方をされておる、非常に高いところにございます。それに倣っておりましたので、母と子の二人の家庭で現行では年収三百六十一万というような所得水準になっておりますが、二人世帯で考えてみますと、家計調査なんかによりますと、普通の生活状況と意識なさっている方の収入の状況が三百万を割っているような状況でございますので、今回年金と切り離して考える場合には、普通程度以上の生活をなさっているという意識を持っていられる所得水準の方々には手当の支給をしないということも、福祉制度として仕組む場合には一応合理的じゃなかろうかという意味で所得制限の強化も従前と比べまして一つ強化を図っております。
 さらにもう一つは、支給額につきましても二段階制度を設けておりまして、所得税非課税の階層については本来手当額と申しますか、三万三千円の手当を支給する、百七十一万を超えまして三百万までのところはその三分の二に当たります二万二千円を支給する。これも福祉制度としては、所得の状況に対応して手当額を差をつけるのも一つ合理的じゃなかろうか。
 それからもう一つ、それこそ非課税を超えるような、百七十一万を越えるような家庭につきましては、これは先ほども申し上げましたが、父子家庭でございますと手当はもらえません、一般家庭でもこういう手当は出ません。しかし税金は納めている。そういうものの財源も含めて一般財源からこの手当は支給されているのだということを考えれば、やはりその手当額を、母子家庭という状況に着目いたしましても、本当の非課税家庭、非課税状況というような所得水準の家庭よりも、手当に差があってしかるべきじゃないかというようなことを考えております。
 したがって、本来的に母子家庭に対する福祉の措置、母子家庭の児童に着目した福祉の措置として組み立てれば、手当紙額その支給制限のあり方、あるいはもう一つ支給期間を有期化しておりますが、これも七年間ということは一つは母子家庭が離婚というような生活の激変に耐えながら自立するまでの間の援助の措置というふうに位置づけていこうということも考えているわけでございまして、これらもろもろ福祉制度として年金と切り離して見直した結果の改正事項として組み込んだものでございます。
#125
○藤井恒男君 今局長言われたことは、所得制限ということで二段階にした理由としてはそうだと思うんだけど、私が言っているのは、この問五で言っているのは死別と離婚というのを分けておるわけでしょう。どちらかと言えば、死別は気の毒だ、はっきり言えば離別はいろんな理由があるにしろ本人の意思じゃないか。だから、この字面の裏にあるものは、その意味において差があってしかるべきだということを言いたいんだと思うんだよ。だから、あなたが言うのは、年金から手当に変わったという趣旨においてはそれは理解できるけど、あえて二つのランクをつけるとしたらAランクとBランクがあるんだよという意味にこれはとれるわけで、それと今度の手当がどういうふうになるんだということです。
#126
○政府委員(小島弘仲君) なるほどそういうふうな御理解もあるかな、そうなるとちょっと舌足らずの点があったか、こう思っておるわけでございます。
 そもそも死別というのは、保険事故として保険の給付の対象にすることになじむけれども生別に
ついてはなじまない性質のものだ、こういう趣旨でございまして、したがって死別については年金制度、これからまた基礎年金で一応基本的には対応することになろうと思いますが、そういう制度が一つある。それと同じようなものを生別の方にも仕組みを考えるということにはどだい無理があります、これは分けて考えてしかるべきじゃないか。片っ方はあくまでも保険料納付を前提とする保険給付だという前提で、そうでありますと所得水準に関係なく出るというのが保険のあり方でございますし、片っ方はそういう保険制度ではなくて、いわゆる拠出とか何かを前提としない一般の福祉施策ということになれば、やはり生活の需要度に対応した仕組みというふうに考えていっていいんじゃないか。だから必ずしも年金制度と同じように考えるわけにはいきませんという趣旨でございまして、Aランク、Bランク、それは確かに給付の中身から見るとそういう御認識、御理解もやむを得ないかと考えますが、そういう趣旨でございますので、年金制度とは全く別の制度というふうに仕組まざるを得ませんと、こういうことでございます。
#127
○藤井恒男君 これは普通に読めば、それは年金制度と今度のは違うんだよという意味の例示と見れぬことはないけど、これだけを読むと、手当の中にも二つつくってもいいんだよというようにとるのが普通じゃないかなという気がしましてね。
 次に、問六の中で、「所得が低く真にこの手当を必要としている母子世帯への給付をより手厚くするためです。」というふうにこの二段階方式は言っているわけですね。そうだとすれば、先ほどの「改正に当たって」というところにも触れていることだけど、私はこの書いておられる趣旨に全く賛成なんだけど、そうだとすれば、二段階にした百五十一万円以下の層と百五十一万から三百万までの層、この二つについて、もっと差をつけていいんじゃないか、極端に言えば。だから、本当に困った人たちに手厚くということを言っていながら、現在三百円上げるだけでしょう。だから、ここを大きく振り上げているけど、もっとアクセントをつけるような施策の方が正しいんじゃないか、百五十一万以下に。そういう気がするんだけど、そういう発想はなかったのかどうか。どうでしょう。
#128
○政府委員(小島弘仲君) 確かにいろんな対応の仕方はあると思うんです。所得税非課税の世帯、今百五十一万、これが百七十一万ぐらいになっておりますので、そういう運用をしてまいるつもりですが、そことやっぱりいろいろな差をつけるということは必要だと考えておりましたが、どれだけの差をつけるのが合理的か、これはまたいろいろ御議論のあるところだと思いますが、率直に申し上げまして、現在までの受給者は一率の手当であったというような経緯も考えまして、三分の二というような線を一応行政的に妥当ではなかろうかという判断のもとで御提案申し上げているところでございます。
#129
○藤井恒男君 だから、全体的に見れば、今までの年金とそれは違うんだからということで、しかも全額国庫による――国庫というか、地方もあるが、まあ税金で賄うんだというようなことがあるわけだけど、しかし、別な見方をすれば、全体的な国民生活のレベルは上がってきていますわな。その上がってきている中で困窮している人ということを考えると、相対的なものですからね、困窮度、困窮感というものは。だから、従前の金額に拘泥せずに、むしろその層にぐっと厚いものをつけていくというのが本当の意味の福祉じゃないかな。生活レベルというのは、国民一般の生活レベルがずっと全然動かないんだというんなら別として、やはり逐年上がってきているのが実情なんだから、そういった中でこの百五十一万というレベルも上がっておるわけでしょう、今現に。そうすれば、それ以下の層に対する福祉としての手当てというものは、もう少しこれドラスチックな形でやらなかったら、この言っている趣旨にはならぬなというふうに思う。
 これ以上言うと修正の問題になるけど、どうですか、あなたの真意として。
#130
○政府委員(小島弘仲君) 確かに二段階がもっときめ細かな配慮もあってもいいんじゃないか。あるいは低所得者階層にはもっとより厚くという御判断もあろうかと思いますが、先ほど申し上げましたように、従前の手当のあり方というような兼ね合いも考えまして、二段階でこういう制度の仕組みにさしていただいたわけでございます。
 なお、福祉全般につきましては、保育所の利用料につきましても、低所得者等については、所得階層別に十七段階ぐらいの階層区分をし直して、福祉全般としては低所得者ほど手厚い措置を講ずるように考えておりますので、そういう全体の中での兼ね合いとしては、一応このような区分も全体の中の位置づけとしては御了解いただけるかと考えております。
#131
○藤井恒男君 問十一の中に、「都道府県の二割の負担については、国において、別途、地方交付税による財源措置が講じてあります。」、これは講ずるじゃなくて、「講じてあります。」ということですわね。これはどういうことですか。
#132
○政府委員(小島弘仲君) これが地方負担ということが実現すれば、その「講じてあります。」という表現、ちょっと問題があろうかと思いますが、地方交付税算定の基準財政需要額の中に、こういう都道府県が二割の負担をするという要素を組み入れまして都道府県の必要財政額と申しますか、財政需要額を算定する方法に変えていただいておりますので、そういう面で、都道府県がそういう負担をするということに全く何らの手を打っていないんじゃなくて、むしろ基準的な財政需要額として交付税を交付する場合の算定の基礎に入れておりますので、そういう面での配慮をしているところでございます。
#133
○藤井恒男君 それはもう現にそういうふうにしているわけですか。
#134
○政府委員(小島弘仲君) これはそういう仕組みになっております。
#135
○藤井恒男君 私ちょっと不勉強だったんだけど、そうだとすれば地方自治体が負担をすることにならないんじゃないですか。国が負担するんじゃないんですか。
#136
○政府委員(小島弘仲君) 確かに交付税でございますけれども、基本的には一般財源として配付するわけでございますし、それからまた、特に富裕団体等については交付税の必要のないところもございますので、全般的にはこれは地方の二割負担、しかし財政力に応じまして交付税の交付の基準額の中にそういう要素も加味して交付税を算定することにしておりますので、非常に財政力の弱いと申しますか、必要な財源を賄うことができない地方公共団体には交付税という形でその所要財源が配付されるという仕組みでございます。
#137
○藤井恒男君 どうもはっきりしないんだけど、児童福祉、老人福祉、生活保護等の各種の福祉制度に合わせて国が八割負担、都道府県が二割負担、これが原則だ。したがって、新たな制度が発足したんだから、これは地方で二割負担してくださいよと、素直にそう考えますわな。ところが、あなたが今言われるのでは、もう現にそれは加味してお金を渡していますと。そうするとこれは二割負担じゃなくて、国がオンしているんだから、負担にならないんじゃないですか。
#138
○政府委員(小島弘仲君) これは生活保護でも児童福祉でも、やはり同じような取り扱いをしているわけでございます。ですから、基準財政需要額を算定する場合にこういう負担があるんだということを考慮に入れながら財政力を見、必要な交付税の額を決めている、こういう仕組みでございますので、そういう一般に倣ったということでございます。
#139
○藤井恒男君 そうすると、これは新規認定分からのものであって、従前のものはそれにさらに国が負担するわけでしょう。そうすると、国としてはトータル勘定で見た場合には結局どうなるんですか。
#140
○政府委員(小島弘仲君) 御指摘のように、改正法の施行後、新規認定分から地方の二割負担とい
うものが入ってまいります。したがいまして、従前認定分については丸々国が見るわけでございますので、地方の完全な二割負担ということが出てまいりますのは、やはりこれは十四、五年たたないとそういう姿にならぬ。それまでは、総額から見ますと地方負担というのは二割未満で、特に制度発足当初の十年ぐらいは一割負担程度以下の負担の状態で推移するという姿になります。
#141
○藤井恒男君 これは臨調の答申を受けた形で出ているわけですわね。今言ったような財源配分の問題については、臨調などでもそういった理解のもとに二割負担ということを言っているわけですか。
#142
○政府委員(小島弘仲君) これは先ほども御質問に答えましたが、先生御指摘のように臨調の答申が一つ契機になったことは事実でございますけれども、先ほど申し上げましたように、母子福祉年金制度がもうなくなるということに着目しまして、全体の見直しとして臨調の御意見も参考としながら検討した結果の御提案でございます。
 臨調の御指摘の中では、地方負担も考えろ、こういうことでございますが、新規認定分からとか、二割とかいう線は一切出ておりません。これは我々、福祉制度全般の中の位置づけを考えまして、他のものとのバランスを考慮しながらこういう仕組みを考えたわけでございます。
#143
○藤井恒男君 これはどうなんですか。自治省を入れた形で話し合ったわけだけど、全国知事会、いろいろなこともあったんでしょうが、そういう面でどちらかといえば地方自治体に負担は余りかけることを避けようという意図によるものですか。そうじゃなくて、こういったやり方というのはもう当たり前のことでというふうに見た方がいいのか、どうなんですか。
#144
○政府委員(小島弘仲君) これはそのときによってやり方がいろいろあろうと思いますが、今回の仕組みにつきましては、新規認定分から御負担されるという形で御了解も得、御納得も願ったということでございまして、制度の仕組みとして、既存の分に立ち返ってその負担区分を変更するということもないわけではございませんが、こういう制度を今後円滑に実施していく場合には、新規認定分から御負担をお願いするというのが妥当なものと判断してこういう形にいたしました。
#145
○藤井恒男君 きょうはこのぐらいにしておきます。
#146
○中野鉄造君 児童扶養手当法の第一条の精神に沿って、すべての母子世帯に児童扶養手当を支給することにより、「児童の福祉の増進を図ることを目的とする。」、こういうことがうたわれておりまして、これは大変に大事な問題であると思いますが、先ほどからいろいろ論議されております今回の改正案の中で、所得制限とかあるいは前の夫の所得だとか、そういうことがこの扶養手当法の精神にどうして踏み込んでくるのか、そこのところがちょっと私理解いたしかねますが、いかがでしょう。
#147
○政府委員(小島弘仲君) 従前の制度というものは、先ほども御説明申し上げましたように、いわば年金制度の母子福祉年金の補完的な制度というような形で発足したものでございます。したがいまして、同じような母子家庭でありましても、死別という事故以外の母子家庭成立の要件と申しますか事故が、保険事故になじまないという面がありますので、保険の対象に取り入れられない、保険制度としてはそういう離婚の母子家庭なんかの救済は無理であるということで年金制度がああいう仕組みになっているわけでございます。したがいまして、当時、同じような母子家庭であって生別と死別で区別するのもいかがであろうかという御認識もございまして、同じような母子家庭についてはその原因を問わずに広く救済していくような制度として年金制度と相まった母子家庭対策という仕組みに一つは構築されたものと考えております。
 しかし、母子福祉年金制度というものももうなくなるわけでございますので、今後は補完すべき本体がなくなるわけでございますので、この際、全社会保障体系、特に児童福祉施策の中でどのような役割、どのような形の制度として仕組み直すのが一番いいのかというふうに考えますと同時に、今後、いろいろ新たな事由も出てまいります児童福祉、母子家庭対策というようなもの等の新たな施策の円滑な推進ということにも配慮をしなければなりませんので、そういう趣旨から今後のあり方を見直した結果、本当にこの手当制度が必要な母子家庭に支給対象を限定してまいりたいというようなことからこういう仕組みも考えましたし、また、手当の額等についても、母子家庭の経済状況に着目して、一律でない方がいいんじゃないかというようなことから二段階制というものを考えたわけでございますし、支給期間等についても、最近の女子の就労状況、職場のあり方、あるいは母子家庭の自立への意欲等を勘案いたしまして、自立に必要な期間の有期の手当制度にしてはというようなことからこういう改正を考えた次第でございます。
#148
○中野鉄造君 そこで、できるだけ今までの質疑との重複を避けながらお尋ねしていきたいと思いますが、まず、五十九年の二月十七日に社会保障制度審議会からの答申が出されまして、その中に、「今回の改正が、財政対策にとらわれるあまり、真に援助を要する者が対象からはずされるおそれのないように十分に配慮されたい。」と、こういう注文がつけられておりますけれども、この点はどのように今回の改正案の中にこの答申を尊重した形での具現がなされていますか。
#149
○政府委員(小島弘仲君) これにつきましては、やはりこの全体の改革をする必要性等についても一応の基本的な御理解は審議会でも得ているというふうに理解しておりますし、これにつきましては、やはり低所得階層ほど手厚く、どんなに財政状況が悪くなったからといっても、少なくとも現行制度を切り詰めるような形は低所得階層にはしない。したがって、所得税非課税世帯を超えるようなところについては、その経済状況に対応して、所得税非課税世帯に支給する手当よりも、その三分の二に減額した手当を支給するというような配慮を行っているところでございます。
#150
○中野鉄造君 それで、所得制限についてですが、五十九年度、扶養親族一人の場合においては三百六十一万円、扶養親族三人の場合が四百三十三万五千円、扶養親族五人の場合が五百六万円と、五十九年度までは横ばいないしはやや増額をされて所得制限を設けてきておったんですが、六十年度が、この法改正に伴って所得制限額を引き下げるということは、児童福祉法に基づいて考えてみますと、どういう趣旨に沿ってなされたものであるか、その点を聞きたいんですが。
#151
○政府委員(小島弘仲君) 従前の所得制限が、考え方が、少し抑えぎみになっているところもありますが、全く母子福祉年金に合わせてきたというのが制度発足以来の長い所得制限のあり方であったわけでございます。母子福祉年金ですと、その支給率を九割以上に維持するというような配慮のもとに、所得制限を行ってきていたわけでございますが、今回の、本当に必要なところに手当を支給する、また、そういう形で有効な制度の活用を図っていくということを考えました場合に、一体所得制限というのはどのぐらいが妥当かということを考えたわけでございます。
 そうすると、まず所得税の非課税世帯というようなところにつきましては、これはもうやっぱり現在程度の支給はどうしても必要である。しかし、所得制限を上回る層をどこまで出すか。所得税非課税を上回る所得ならばどこまで出すかということを考えたわけでございますが、家計の意識調査をいたしました結果、二人家族でございますと年収三百万未満、二百九十何万でございましたかの程度が普通の生活と意識している所得レベルでございますので、それ以上の方、生活状況を普通以上と考えていらっしゃる方については、今後の仕組みとしては、もう手当を支給しないということで差し支えないのではなかろうかということで、従前の所得制限の三百六十一万を三百万の層まで引き下げることに、厳しくすることにいたし
ました。
 その間の層と申しますか、二人家族の場合ですが、所得税が課税になるけれども年収三百万までの層についてどのような手当を出すかということを考えたわけでございますが、この層の母子家庭についての一番の悩みは、経済的な困難性ということが大きな悩みであることは事実でございます。なかなか収入の道も必ずしも十分ではないという状況があります。ただ一方、父子家庭であり一般の家庭で所得税の非課税額を上回りますと税金を取られる。しかもこういうような手当は事の性質上支給されないということの均衡を考えますと、やはり本来の手当額より減額した手当で妥当ではなかろうかということで、本来手当三万三千円の三分の二に相当する二万二千円の手当額ということに改正案では設定させていただいたという経緯でございます。
#152
○中野鉄造君 所得制限が大幅に引き下げられても児童扶養手当を受けられないと見られる人が三%ということですけれども、一方、一年間の経過措置というものを設けておりまして、しかし、この三%という数字が実態であるならば、あえて法を改正して後退させるようなことはなかったのじゃないかという気もいたしますし、また一年の経過措置を終えればこの三%の人たちが扶養手当が受けられないということになるわけですけれども、これらの人たちに対するそれから後の調査というか、どういうように対処していかれるのか、お考えを聞かせていただきたい。
#153
○政府委員(小島弘仲君) 確かに、わずか三%でないか、この際それを切るのは酷じゃないかという御批判、御判断があることも、それは一つ当然であろうと考えております。しかし、今後の施策を考えました場合に、やはり本当に必要な対象者に制度の対象を絞っていくということも、他の施策、さまざまな施策の重要度がますます増大してくるわけでございますので、そういう施策の円滑な推進というようなことを考えた場合には、それがたとえ引き下げになりましても合理的な改正は許されるべきではなかろうか。たとえ三%の方に御遠慮願っても、それはやむを得ないのではなかろうかというふうに考えております。
 と同時に、このような形で、従前手当はもらっていてこの所得制限の結果手当が支給されない。一年間は猶予期間ありますが、それでも手当が減額されると一年間は二万二千円になるわけでございますので、そういたしますと、やっぱりそういうような生活状況の変化ということも考えていかなきゃならぬ。そういう場合には、手当の支給というわけにはいきませんが、やっぱり手当額と同額の無利子の福祉資金を貸与するという制度を母子福祉資金貸付制度の中に新たに起こしまして、そういう資金の活用をお願いするというようなことを考えておりますし、今後、要すればこれは母子家庭の自立を助長しながら児童の健やかな育成、福祉の増進を図っていこうという制度でございますので、そういう対象者につきましては、自立につながるようなさまざまな助言なり御指導なり、あるいは便宜を供与するということもあわせて講じながら、施策全体として児童福祉に支障のないような運用を図ってまいる所存でございます。
#154
○中野鉄造君 そこで次に、今回の改正案では、今後は地方自治体が二割負担を強いられる、こういうことになっておりますけれども、各自治体では反対の意見書を厚生省に提出されていると思います。
 御承知のように、意見書を提出するに当たっては全会一致ということが前提でございますけれども、そういうことでたくさんの自治体から、今回の二割負担に対するいろいろな反対の意見書が出されている。このことについて、自治省見えていますか。――それでは厚生省は、この意見書についてどのようにお考えですか。
#155
○政府委員(小島弘仲君) 先生御指摘のように、県議会で五十九年には六件、それから六十年には一件。市町村議会では五十九年度百七十八件、それから六十年度十三件というような意見書が厚生省に寄せられております。
 従前地方に負担がなかった制度を地方負担を起こすということにつきまして、それはそういう意味で、今まで国が全責任を負ってやっていた制度を地方の責任に押しつけるのかという御批判、これも一つはごもっともなことかと思いますが、ただ、先ほど申し上げましたように、従前国が十割負担しておりましたのは、年金制度の補完制度、いわば年金と表裏一体をなすような制度という位置づけでございますので、母子福祉年金に合わせて全額国の一般財源で負担していたという仕組みでございます。今後はこういう形で見直して、福祉制度として母子家庭対策の一環として、特に母子家庭の児童対策の一環として考えていくんだということで御理解をお願いいたしまして、新規認定分から地方負担を入れるということで御了解をいただいて、法律の提案に踏み切った次第でございます。
#156
○中野鉄造君 そうしますと、地方の二割負担、六十年八月施行と仮にしてみまして、三億八千万円という額だそうですけれども、六十年度の場合は十二月支給ということ、一回の計算であろうと思いますが、そうしますと、年々地方負担額が増加されていくわけですけれども、ざっと計算して、向こう十年間の単年度別にどのくらいになりますか。
#157
○政府委員(小島弘仲君) 三億八千万、これが衆議院の修正を加味いたしますと四億程度になろうかと、こう考えておりますが、これは新規負担、新たな認定分からでございますので、なかなか計算がややこしゅうございます。現行程度の受給者であって現行程度の支給額というようなことを前提として、現行程度の規模ということで考えてみますと、満年度化するには十二年ほどかかろうかと思っておりますが、その時点の地方負担額としては四百億程度になるのではなかろうかというふうに一応試算いたしております。
#158
○中野鉄造君 地方自治体による二割負担に関して、衆議院の社労委員会における厚生省の答弁としては、地方自治体二割負担というのは不正受給の防止施策の適正化につながるというものでありましたが、二割負担することが不正受給の防止施策の適正化ということに果たしてなるのかという私は疑問を持つものでして、そういう不正受給といったようなことについてはもっと事務上の手続を完備することによってそういうものは防止できるのじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
#159
○政府委員(小島弘仲君) 全く御指摘のとおりだと考えております。
 ただここは、衆議院の社労段階で御答弁申し上げましたのは、臨調の御答申の中で、適正化を図るために地方負担というものを考えていいのじゃないかという御指摘がございました。それはやはり地方公共団体にもみずからの負担による実質責任を課すことによって、これは通常社会通念でございますが、より事業の適正な執行も図られるという要素も確かにあろうかと思っております。
 ただ、地方の二割負担をお願いすることにいたしましたのは、適正化というようなことよりも福祉施策全般のあり方といたしまして、年金制度と違いまして福祉全般のあり方といたしまして、生活保護でも御負担を願っている二割、今度一年間の経過措置後三割になりますが、児童福祉全般に対する措置等については大体二割の地方負担をお願いしているということとの関係を考慮いたしまして、施策のあり方、それと国と地方との責任の分担の仕方、協力の仕方ということを考えた場合に、今度改正する児童扶養手当制度についても、やはり他の福祉施策と同様地方の負担をお願いするのが妥当と考えて、こういう改正措置を提案さしていただいた次第でございます。
#160
○中野鉄造君 それで、児童扶養手当を受ける場合に、今日でさえもその手続をするためのいろいろな申請というか、その書類を私も見たことがございますけれども、本当にそれこそプライバシーを侵害するようなそういう項目にいろいろ書き込まないと申請が受け付けてもらえない。つまり、
別れた前の夫と月に何回連絡をしたかとか、何回電話をかけたかとか、あるいは何回訪問したかだとか、子供が何回行ったかだとか、そういったようなことまで細々と書かなければいけない。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
今でさえもそうなんですけれども、こういう地方における二割負担といったようなことになってきますと、さらにそういうような本当にプライバシーが侵されるというような事態が多くなってくるのじゃないかと思いますが、現在のそういう実態というものも含めて、今後こういう件についてはどのようにお考えですか。
#161
○政府委員(小島弘仲君) 現在の制度の仕組みそのもについても、先生御指摘のように、関係の方方からプライバシーを侵される、プライバシーの侵害になるので簡素化を図ってくれという御要望のあることも承知しております。ただ、この制度は、遺棄とか離婚とかということを原因とする母子家庭に対する給付でございますので、この制度の適正な運用を図ろうとすれば、やはりある程度生活の実態、別れた夫との、子の父親との関係、現在の生活状況ということもつまびらかにしていただきませんと制度の適正な運用が図れないという、この制度そのものの宿命が一つあろうかと思っております。
 しかし、そのようなお聞かせ願った事実は、これは公務員の守秘義務がございます。民生委員も同様でございますので、他に漏らすようなことは厳しくこれは法律で禁じられているところでございますので、そういう行政の施行の必要性ということを御理解願って、そういう守秘義務については十分注意するということで御協力と御理解を願っているところでございますし、また、その調査事項等についても、不必要なものまで聞いておりはせぬかということについては御意見もいただいておりますので、十分今後とも見直して、できるだけ行政簡素化の一環といたしましてそういう簡素化も図ってまいりたい。しかし必要なことだけはどうしてもこれは調査さしていただかなきゃならぬわけでございますので、その辺のことは十分事情を説明し、御理解を願ってまいる考えでおります。
#162
○中野鉄造君 それは当然でしょうけれども、実際問題として、先ほども申しました、前の夫と訪問したりされたりというようなことが何回あったかとか、子供が何回会ったかだとか、そういったようなことは、なし、なし、なしと書かないと実際満額の手当というものがスムーズにもらえない。そこに正直にあるとかなんとかということを、仮に一銭のお金ももらっていなくとも、何回か月に会っているとか何だとか、そういうことを書けば、必ずそこでさじかげんされる、そういうようなことが実態ではなかろうかと思うんですが、その点についてはいかがですか。
#163
○政府委員(小島弘仲君) 確かに別れた夫との交渉が全く切れているわけじゃないということになりますと、妻がどの程度会ったかということをまず第二次段階としてお伺いをする必要は出てくるわけでございます。これは本当に父親と生計をともにしていない児童を対象とするという制度でございますので、その辺の必要性等を兼ね合わせながら、今後さらに調査事項というようなものをできるだけいわば合理化、簡素化するような方向でさらに検討してまいりたいと、こう考えております。
 また、これは国の機関委任事務でございますので、大体国の基準で調査等も実行していただいているわけでございますが、都道府県段階でそれぞれ多少差があるような傾向も見受けられますので、これはいろいろ地域の事情もあろうかとは思いますが、国ももう一回入って、できるだけ地方の御意見も聞きながら、そういう制度の簡素化、合理化を図ってそういう施行の基準も統一してまいりたいと、こう考えております。
#164
○中野鉄造君 そこで、今も申しますように、この件につきましてはそういう形式のものがあるけれども、そこに正直に書けばもらえなくなってしまう、だからそのためには、もう悪いとは知りながらも一切なし、なし、なしとうそを書かないといけない、こういうようなことになってくるんですね。結果的には、それはもう本当に形式的なもの以外の何物でもないというようなことになってくるわけですから、ひとつそういうようなことのないように、何とかそこのところを指導していただきたい。委任事務であるだけに、ひとつその点をよろしくお願いしたいと思います。
 そこで、厚生省として、今まで離別母子世帯の実態調査をしたことはございますか。
#165
○政府委員(小島弘仲君) 離別母子世帯というのを取り出してそれ独自の調査というものはございませんが、全国の母子世帯等調査というものを、死別、離別を含めまして調査を実施しております。直近の調査としては五十八年八月の調査がございます。
#166
○中野鉄造君 いろいろ調査いたしてみますと、離婚件数というのは昭和五十六年には十五万四千件、五十七年には十六万四千件、五十八年には十七万八千件と増加の一途をたどっているわけです。
 それともう一つ最近の問題として、いわゆる未婚の母の問題がありますけれども、この未婚の母というものは年度別にどのくらいずつふえていますか。
#167
○政府委員(小島弘仲君) 未婚の母につきましては、手当の受給者という形の調査の分類の把握がございますが、手当の受給者で見てみますと三万六千件程度で、これは近年そう動きはございません。
#168
○中野鉄造君 受給者が三万六千件であるけれども、これは潜在的な件数はもっと多いはずなんですね、きっと。今後のこの未婚の母の増加というものについてどう見ていますか。ふえると見ていらっしゃるか、それとも横ばいと見ていらっしゃるか。
#169
○政府委員(小島弘仲君) なかなか難しい問題でございます。結婚観とかその生活の態様とかいろいろな問題があろうと思いますが、ただ心配しておりますのは、西ドイツ、ヨーロッパの例なんか見ますと、なかなか結婚しないでいわゆる同棲というような形態がふえてきているように伺っておりますので、これは国民意識の問題もありますし、生活態様の問題もあり、一概に言えないと思いますが、ある程度女性の自立が高まれば高まるほどそういう形態がふえる可能性はあり得るのかなというふうに考えております。
#170
○中野鉄造君 こういうような不幸な女性が増加するところには、これは必ず相手の不心得な、不心得といいましょうか、無責任なといいましょうか、そういう男性がいるわけですけれども、今後ふえる傾向性もあるというか、こういう時代の風潮から、私も局長同様にこれは増加の傾向にあると、こう思うわけですけれども、これ、そう極端な増加はないにしても、これからどんどんどんどんふえていく。そのときには、もう手をこまねいて自然に任せるのか、それとも何とかそれに対する手を打つというか、何か考えておられますか。
#171
○政府委員(小島弘仲君) これは、これこそなかなかプライバシーと申しますか、私生活に関与する部分で、行政上どんな対応があり得るかという問題は一つありますが、ただ我々厚生省、特に児童家庭局の立場から考えますと、子供の幸せということを第一に考えていかなきゃならぬ。やはり両親のそろっている家庭と比べますと子供の生育にさまざまな問題が生じている。欠損家庭と申しますか、母子家庭も父子家庭もいろんな問題があったり、また子育ての悩みは、両親がそろっている家庭と違った悩みをお持ちの実態もありますので、本当の子供の幸せということからやはり結婚生活を考えていただく、家庭というものを見直していただくというような意識の啓蒙、それから本当の子供の幸せとは何だ、子供に対する親ないしは社会の責任はどんなものかということをもう一回やっていただく、お互いにそういうことを考えていくということで、十分そういうことを理解した上で対処願うということは行政上どうしても必要なことではなかろうかと考えております。
#172
○中野鉄造君 やはり、今までのことについてはこれはいたし方ないにいたしましても、これは何らかの手だてというか歯どめと申しましょうか、そういうことをしていただいて、これ以上不幸な女性、そして不幸な子供の発生を未然に防ぐことに留意すべきじゃないかと思いますし、それがそのまま健全な青少年の育成にもつながるし、一番大切なことではないかと思いますので、この点についてはどうかひとつ関係省庁ともよく話し合っていただいて善処していただかなければ、西ドイツの例じゃないけれども、これからどんどんそういうのがふえていく。そして、今回の衆議院での修正案にもありますように、そういう未婚の母というものを支給の対象にする、こうなったときには、これは大変だと思うんです。どうかひとつそういう点については何らかの歯どめというか、それは口で言うのは簡単ですけれども、これは難しいことでありましょうけれども、関係省庁ともその対策に努力をしていただきたいと、こう思うわけです。
 次に、支給期間の七年間ということについての根拠といいましょうか、そういうことについても今までいろいろ論議されたわけですけれども、十八歳まで受給できた人が十五歳で打ち切られる、そしてあとの三年間というものは今度は受給できなくなる、こういうことになるわけですけれども、その十六歳から十八歳までの児童扶養手当を受けている人は現在どのくらいいらっしゃいますか。
#173
○政府委員(小島弘仲君) まことに申しわけございませんが、現在年齢階層別の受給対象児童数というのはちょっと把握しておりませんので、今手持ちにございません。
#174
○中野鉄造君 そうしますと、結局今はわからないということですけれども、それじゃ今までと、今回義務教育までというか七年間で打ち切られる、こうなりますと、その削減額というか、それはどのくらいになりますか。
#175
○政府委員(小島弘仲君) 有期七年による削減額でございますけれども、これは今後しばらくは、改正後七年間は全部保障するわけでございますので出てまいりませんが、制度が満年度化した場合には、これによる削減額というのは三百億程度になるかというふうに考えております。
#176
○中野鉄造君 そこで、今回のこの法案と直接関係はございませんけれども、離婚の増加に伴って、それに比例してやはり父子家庭もふえているわけですけれども、この父子家庭の対応にはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#177
○政府委員(小島弘仲君) その前に、先ほど手元に年齢別の直近の数字がありませんとお答えしましたが、これちょっと古くなりますが、五十七年の調査が一つございます。五十七年の七月時点の調査でございますが、十六歳から十八歳までの児童の構成比率が一三・〇%ということになっております。ただ、これはどこから受給を開始しているかということも兼ね合いますので、七年間ということでこれが全部落ちる対象になっているわけではございません。子供の年齢が比較的高い段階で離婚なさいました場合には、七年間となりましても十分そこはカバーできる形になりますので、そこを念のため申し上げておきます。
 父子家庭につきましては、今回初めて、五十八年の全国母子世帯の実態調査に合わせまして父子家庭の状況も調査しております。父子家庭のお父様が困っておられる状況というのは、母子家庭と対比しますと――父子家庭の所得水準も一般世帯と比べますと低いわけでございますが、ただ、悩みとしては、経済的な悩みよりも、家事とか子供のしつけというようなところに、子供の世話、家事、しつけというようなことは悩みを持っていらっしゃる方が非常に多うございます。したがいまして、こういうところにつきましては、そういう意味での御援助と申しますか、対応策をより充実していく必要があろうと考えております。
 ちなみに、従前の施策でございますと保育所というようなところで児童を、家庭で保育できない児童をお預かりするというようなことも、優先順位の極めて高い形で従来から位置づけておりまして、また、現在では保育所の絶対数はもうほぼ十分満たしておりますので、そういう意味での施策は十分対応できると考えております。さらに、ゼロ歳児等々、障害児の問題の保育なんかにも力を入れると同時に、一般の父子家庭でお父様が病気になったり、子供が病気になったりというときが非常に大変な困難が到来するという問題がございますので、家庭介護人の派遣事業という対象に取り入れるというような形で、そういう父子家庭の悩み、困難さに対応する施策を拡充してまいりたいと考えております。
#178
○中野鉄造君 先ほどから申しております七年間の打ち切りというか、それにかわるものとして母子福祉貸付金というものがあるということになってきますけれども、この母子福祉貸付金の現在の申し込み数と貸付件数の実態についてお知らせいだきたいんですが、五十七年、五十八年についてはどうなっていますか。
#179
○政府委員(小島弘仲君) 五十七年と五十八年の件数を、まず貸し付けの実績で申し上げますと、五十七年は件数で五万六千七百二件、金額で百九億七千万、五十八年では五万八千六百十件の貸付件数でございまして、貸付金額は百十五億八千万というような数字になっております。申し込み件数につきましては、これは五十八年で見ますと、新規分として三万二千百八十二件というような件数になっておりまして、これは貸付件数の方には継続の件数も含みますので、こういう数字になっております。ほぼ大体申し込みには十分対応できる資金的な余裕もございます。
#180
○中野鉄造君 この貸付金を受けるに当たっては、これは当然保証人が必要になってくるんじゃないかと思いますが、なかなか保証人を探すのにも大変じゃないかと思うんですが、この辺は実態はどういうふうになっていますか。
#181
○政府委員(小島弘仲君) こういう貸付金の性質上、物的担保というのはとてもなじまない問題があろうということで、御指摘のように、保証人の人的担保で対応しておりますが、こういうことにつきましては、母子家庭の関係団体による母子家庭の自立のためのお世話も願っておるわけでございますし、そういうメンバーに入っていただいたりしながら、母子福祉団体の役員等が、適当な保証人が見つからない場合は、適宜そういう方になっていただくというような指導をしておりますし、また、相互保証というような形で、お互いに自立を支えながらお互いに協力するというような相互保証というようなことも、母子家庭同士の保証というようなこともお願いしておりますので、保証人が得られないために貸付金を受けられないというような事態はないように配慮をしておりますし、現在のところそういう苦情は聞いておりません。
#182
○中野鉄造君 借りた、しかし返せないと、そういうことについてはどういうふうな処置をなされますか。また、今日現在、いうところのいわゆる焦げつきといいましょうか、そういう件数、額、わかりますか。
#183
○政府委員(小島弘仲君) なかなか償還の規定に応じていただけないというときには、先ほど申した母子相談員とか、それから母子福祉団体の方にお願いいたしまして、いろいろな指導、今後の取り組み方等にも御協力をお願いしております。決してそれは無理のないような配慮もしておりますが、貸付金の回収も十分できるようにというように、その自立の援助というようなこともあわせて行いながらそういう対応を急いでおります。
 累計による五十八年度の償還率は、幸いにもそういう御協力を得まして九六・九%と、比較的こういう貸し付けについては高率の償還率を保っておりますので、いろいろの面で御努力も願っているし、借りた母子家庭の方についても、返すということでいろいろ御努力を願っておる、そのたまものであると考えております。
#184
○中野鉄造君 そこで大臣にお尋ねいたしますが、先ほどからもいろいろお尋ねしてまいりました。この数年非常に離婚がふえつつあるわけです
が、今後これはますます増加の傾向にある。そこで端的に申しまして、過去十五年前あるいは二十年前とは、若い人たちの結婚観ないしは人生とのかかわり合い、そして離婚という問題に対する私たち中年以上のとらえ方というか、考えとはかなりの変化が生じている。それによるギャップが生じつつあると思いますが、その辺のことについてはどのように御認識していらっしゃいますか。
#185
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、最近の離婚の件数がふえておることは事実であります。なお、その上離婚について、相手に満足できないという比較的軽い意思決定といいますか、子供の将来のことまでいろいろ考えた上での離婚でない場合が非常にふえておるということではなかろうかというふうに思います。
 したがいまして、それがいい悪いは別といたしましても、私どもといたしましては、子供を守ってやらなければならない立場でございますから、このような状況を考える場合には、母子対策について今後どのような対策を講ずるべきか、厚生省としても真剣に検討をいたさなければならない、そういうふうに考えております。
#186
○中野鉄造君 やはり政府自体としても、この時代の流れというものをもっと認識された上でいろいろな措置をなさるべきではないかと思います。
 すなわち、元来我が国には、離婚ということに対して一種の悪と言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、そこまでいかなくても、ややもすればべっ視するという風潮が定着いたしておりました。ところが、最近の若い人たちの考えでは、離婚というものは少なくとも奨励することではないにしても、そしてまた不幸なことではあっても、悪いことではないと、こういう考え方が根強いんじゃないかと思うわけですけれども、我々中年の者が抱いていた感覚とは、こういうようにしてかなりの隔たりが出ていると思うわけですね。したがって、そのスタンスからの施策の発想が大切ではないかと思いますが、この辺のことについてはどういうふうにお考えですか。
#187
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、行政サイドといたしましても、そういう社会の変化に対応していく努力もいたさなければならないと思いますので、単に児童扶養手当とか、いろいろな金銭的な給付の面もやらなければなりませんけれども、それ以外にもいろいろ考えるべきことがあるんではないかというふうに思っております。
#188
○中野鉄造君 児童扶養手当法の「児童扶養手当の趣旨」、第二条に、「児童扶養手当は、児童の心身の健やかな成長に寄与することを趣旨として支給されるものであって、」云々ということがありますし、また「この法律の目的」、第一条には、「この法律は、国が、父と生計を同じくしていない児童について児童扶養手当を支給することにより、児童の福祉の増進を図ることを目的とする。」と、こうありまして、その額はとにかくとして、この法律の趣旨は形としては履行されていると私も思います。ところが、児童福祉の理念ということの中で、児童福祉法の第二条に、「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」、こうありますけれども、この件については、少なくとも今回の改正案の中にはどこにもその趣旨が具現されてはいないんじゃないか、こういうように私は思います。
 つまり、私が申し上げたいのは、今回のこの改正案では、手当の額だとか、あるいは受給条件がどうだとかこうだとかが今論議の焦点になっておるわけです。もちろん児童扶養手当法という法律の問題ですからそうなるのは当然でしょうけれども、しかし、見落としてはいけないのは、児童福祉法の理念の中にも示されているように、すなわち、「児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任」、こういうことが置き去りにされているんじゃないかということが私は気がかりになるわけでして、何かしらお金のことだけがひとり歩きしている感じを強くするわけです。もちろん児童の福祉の増進を図るということは当然でありましょうけれども、しかし、それと同時に大切なことは、やはり母と子が、特に将来ある子供をこれから先たくましく強靱な精神と自立心を備えた人間に成長さしていくことこそこの法律の奥底に流れる理念ではなかろうかと思うわけです。したがって支給額というものは、少ないよりか多いがいいに決まっておるわけですが、人の幸せというものは、幾らかのお金が多いとか少ないとかということで左右されるものでもないと私は思います。それだけで、児童の心身ともに健やかな育成などということはお金ではできない。
 したがって、今回のこの改正案を提出されるに際しましては、先ほどからも他の議員からの議論もありましたように、これから先、母と子がつましいながらも明るく伸び伸びと生活できるための施策、すなわち優先的に職場を与えるとか、授産場的な職場を設置してやるとか、あるいは特殊な技能を身につけさせるといったようなことだとか、住宅のあっせんとか、そういう生活の基盤となる諸条件を整えるなどの施策こそ充足すべきではなかったかと思うわけでして、そのためには、先ほども申しましたように新たな時代の認識と理解をしていただいて、単に金銭的な面だけではなくて、精神的に傷ついている母と子を温かく、そして力強く励まして、リハビリ的とも言えるような環境づくりを意識的に率先して政府がやっていただくべきではないかと思うわけです。それがなかったら、こうした不幸な母と子というのは、いわば皮相的ともいうようなこういうことの繰り返しでは、いつになったら自立心が芽生えてくるのか、いつになったら将来に希望が持てるのか、こんなことばかりやっていたんじゃもう本当にこの人たちはいつまでたってもたくましく胸を張って人生を闊歩するというようなことはできないんじゃないか、こういう気がしてならないんですけれども、この点について再度厚生省と労働省と、こうしたような施策についての今後の話し合い、それらも踏まえてお聞かせいただきたいと思います。
 まず、労働省の方からお願いします。
#189
○政府委員(赤松良子君) お答え申し上げます。
 労働省といたしましては、母子家庭の福祉のためには、その原因はともあれ、お母さんと子供とが自立をして、みずからの賃金で生活ができるという状態が望ましいのではないかというふうに考えまして、これらの方ができるだけ条件のよい就業ができるようにということを目指した施策を講じていきたい。従来からも、例えば職業安定所におきまして職業相談員がその就職についての御相談に応じるとか、あるいは母子家庭の母の就業については助成金を支給するとか、また、訓練については特段の配慮をして手当をお出しするとか、もろもろのことを講じてきたわけでございまして、これらはそれらの方々の自立のための援助というふうに御理解いただきたいと存じます。
#190
○中野鉄造君 しかし実態は、今そういう母子家庭のお母さん方が職を探すのが本当に大変だということもこれは事実でございまして、今局長おっしゃるようなそれがそのままなかなかスムーズにはいってない、こういうことであるわけですから、ひとつお母さん方が本当に自立して、そして立派な子供を育てる、育った子供が、本当にうちのおふくろは細腕一本で自分をこうして育ててくれたと将来母親を尊敬するような、そういう子供に育ててほしい。そういう上からももっとその実態というものを見ていただいて、厚生省とも連携をとりながら、ひとつそういうところに努力をしていただきたい、こう思うわけですが、厚生省の方、ひとつよろしくお願いします。
#191
○国務大臣(増岡博之君) 従来から母子家庭につきましては住宅、保育、貸し付け等、まず自立する前のもろもろの条件を整えてあげようということがございます。また、今労働省からもお話しのありましたように、自立するための雇用の機会をふやすということも考えてまいったわけでありますけれども、先ほど御指摘のように離婚件数がふえるという社会情勢でございますから、この際、そういう政策をもう一遍洗い直してみなければならないというような気持ちを今私は持ったわけで
ございます。もちろん、従来からの施策はそのとおりやらなきゃなりませんけれども、そういう反省の上に立って、本当に効果的な、実効が上がりますような施策をこれから真剣に検討してまいりたいと思います。
#192
○中野鉄造君 終わります。
#193
○安武洋子君 まず最初に、大臣にお伺いをいたします。
 大臣の本法案に対する提案理由、これをお伺いさせていただきました。私ども、提案理由をお伺いしてすぐに審議に入るということには反対でございますが、大方の合意で審議ということになったわけなんですが、まず大臣にお伺いしたいことは、この法案によりまして、母子福祉が一体前進するのか後退するのか。前進させようとなさっていらっしゃるのか後退するようになさっていらっしゃるのか、はっきりしないわけでございます。本法案によりまして母子福祉を前進させようとなさっているかどうかということをまずお伺いをさせていただきとうございます。
#194
○国務大臣(増岡博之君) 今回の改正につきましては、従来からのいわゆる年金という分野に属しておられる方々の対策であったわけでありますけれども、それが離婚の増加によって法がお支えしております対象者が、死別から離別、生別の方に移ってきたという経緯がございます。したがいまして、年金という制度から、一般の社会福祉という制度でなければこの制度を維持していくわけにはまいらない事態が起きるのではないかということから、恒久的な制度を維持するために今回の措置を行ったわけでございます。
 したがいまして、私どもは、従来から一貫して母子福祉対策を充実をさせなければならない、そのための手段として、年金をとり得ないとするとこのような姿になるわけでございますので、今後はこの法の基づくところによりまして母子福祉対策の充実に努力をしてまいりたいと思います。もちろん、この法律だけではございませんで、母子福祉の面におきましてはいろいろな面がございますので、相協力をしてやっていかなければならないと思います。
#195
○安武洋子君 現行のままでいくとこの制度が維持していけないようになるんじゃなかろうかというような御発言でございましたが、六十年度で支出されるお金というのは二千六百五十二億、一体離婚がどれぐらいふえていくというふうなことをお思いなんでしょうか。これぐらいの支出で今の制度が維持できないというふうなことというのは考えられないというふうに思います。発足以来手当額を引き上げる、それとともに支給要件は緩和して社会の進歩に合わせてきなさったはずなんです。ところが今回は、こういうふうにして所得の制限を導入されるというふうなことですけれども、私は決して現行でこの制度が維持できないというふうなものではなかろうと思います。
 国家の支出、この削減をねらってなさるということはよくわかります。しかしそれにしては、本法案の目的というのは、母子家庭の生活安定と自立促進を通じて児童の健全育成、福祉増進を図るというふうにうたっていらっしゃるわけです。しかし私は、今の御答弁あるいは中身を見ておりますと、今の若い人というのは「せこい」という言葉をよく使います。これはこそくだという意味だそうですけれども、私、この法案でおやりになろうとしていることは、この言葉がぴったり、弱い人をいびっているというふうにしか思えないというふうに思うわけです。ですから、余りのひどさに衆議院で一部修正をされるというふうなことになったと思いますけれども、それにしましても、母子家庭の実情を十分に踏まえた本法の改正、改正じゃない改悪ですけれども、ではないというふうに私は思っております。
 それで、本法案の第一条でございます。この目的から「国」という主語が消えております。これは一体どういう意味なんでしょうか。これは国の責任を後退させるということにつながる、私はこう思いますが、いかがですか。
#196
○政府委員(小島弘仲君) 御指摘のように、今回の目的規定の中で、「国が」という用語が削除されております。これは、年金を補完するというふうな性格を持っておりました従前の児童扶養手当制度は、年金に準じまして給付費を全額国が負担しておりました。しかし今回は、福祉制度というような形で位置づけを見直しまして、新たな機能を見直したわけでございますので、他の福祉制度に合わせまして地方負担というものも導入しております。そういたしますと、一般の児童福祉の規定に倣いまして、国だけが費用負担するわけではございませんので、「国が」という表現を落として、国と地方が一体となってこういう制度を運用していくんだという趣旨を明らかにするために「国」という表現を落としたものでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、改正案で御提案しておりますように、地方負担は二割で国は給付費の八割を負担するという仕組みでございます。したがいまして、国が最も重い責任を負いながら、しかも国の機関委任事務として地方にもその実施をお願いするという性格は変わっておりませんので、この制度の適正な運用につきましては国が第一義的な責任を負いながら実行してまいることになるわけでございますので、その点は従来とは変わっておりません。
#197
○安武洋子君 費用負担を地方自治体に押しつけるというふうなことで「国」ということを削除されていると言いますが、母子家庭の生活安定と自立促進を通じて児童の健全育成、福祉の増進を図るというふうなことは、国が全面的に責任を負っていくべき問題です。こういうふうに本法案の目的を掲げながら「国」というのを削除するということは、地方自治体にその責任をしわ寄せをしていくというふうなことでけしからぬことではないかというふうに私は思うんです。
 そこで、国庫負担の現状について聞きます。
 本法で国庫負担というのは一体どれぐらい減っていくんでしょうか。これは六十年度を満年度にした場合をお伺いをいたします。
#198
○政府委員(小島弘仲君) 児童の福祉についても国が最も重い責任を負っておることは御指摘のとおりでございますが、児童の健全育成、福祉の増進というのは国だけの責任ではございませんで、これは、先ほども中野先生から御指摘がありましたように、児童福祉法の二条を見ましても、「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」、この一環としての児童扶養手当制度でございますので、専ら地方に押しつけたという御批判は必ずしも当たらぬのではなかろうか。内容に応じまして国と地方がどんな形で責任を分担していくのが妥当かというのは、福祉全体の中で十分考えられてしかるべきものだと考えております。
 どの程度の財政効果が出るかという試算でございますが、これはなかなか難しゅうございます。数がどう動くかというようなことの要素もありますが、現在のような形、六十年度で仮に満年度化するというようなことを考えてみますと、所得の二段階制によりまして百四十億程度、それから七年間という有期化を導入したことによって……
#199
○安武洋子君 それだけしか聞いておりませんよ。
#200
○政府委員(小島弘仲君) はい。
#201
○安武洋子君 何を言っているんですか。それならどうして「国」という主語を抜くんですか。今おっしゃったような反論なら、「国及び都道府県」とちゃんとうたえばいいでしょう。第一義的に責任があるなら、「国」をわざわざ削除する必要は全くないはずでしょう。私はその点は国の責任を放棄する、後退させるということにつながるんだということを言っているわけです。
 さらにお伺いいたしますけれども、本法案が定着すると見られる数年先に、六十年度をベースにした場合にどれぐらい国庫負担が減るんでしょうか、それをお伺いいたします。
#202
○政府委員(小島弘仲君) 全体の額になるわけでございまして、全体の規模として、先ほど申し上げましたように、所得の二段階制、所得制限というふうな形で百四十億、それから七年間の有期化
によって三百億、それから、地方負担の導入によりまして四百億程度、四百億から四百四十億程度の間だと考えております。仮に四百億としますと、合わせまして八百四十億程度の国庫の支出減ということになろうかと思います。
#203
○安武洋子君 八百四十億と言われましたね。そして、六十年度の支出が二千六百五十二億ということになりますと、約三分の一国庫負担が削減になるわけなんですよね。だから私は、国がこのような膨大な削減を図っているんだということで、第一条からも「国が」というのを削除されるということとつながるというふうに思うわけです。八百四十億というこれは、金額にしましたら、国全体の予算の中からはこれぐらいは大したことはない、しかし、二千六百五十二億という中からは三分の一にも当たるわけなんです。これだけ国庫の支出を削減して、それを何と一番弱い母子家庭にしわ寄せをする。だから、私が先ほど言ったように、弱い者をいびる法案であるというふうに申しげても申し上げ過ぎではないと思います。
 それで、今児童手当も国庫負担の削減ということでねらわれております。これは臨調路線だ臨調路線だと、こういうことで、老人の医療費、それから医療保険、年金制度、次々次々こういうふうにして大改悪をなさってきているわけです。改悪の名目というのは、高齢化社会に備えるというふうなことを言ってこられましたけれども、本質というのは、これはいろんな制度を改悪して国民の負担増で賄うのだというその基本路線を貫いてなさる、これが臨調路線ですけれども、国庫負担、これを一貫して削減しようというのがねらいになっております。この制度も児童手当も同じことです。新聞報道を見てみますと、補助金の一割カット法も、固定化して制度化が予定をされているというふうな報道がございます。このように国庫負担を本法の場合三分の一も削減していく、これは私は国の責任の回避ではないかと思いますけれども、大臣はこれに対していかがお考えでございましょうか。大臣の御所見を伺います。
#204
○国務大臣(増岡博之君) 一応表面上の負担は八割と二割となるわけでありますけれども、その二割につきましては地方財政計画にその負担額を織り込んでまいるわけでございますので、広く言えば国庫負担は同じということが言えるわけでございます。ですから、先ほど局長からお話し申し上げましたように、半分以上は国の負担から依然として出るということでございます。
#205
○安武洋子君 そうはおっしゃいますけれども、政府の姿勢というのは一貫していると思うんです。といいますのは、ここに私は政府の広報紙を持ってきております。「今週の日本」五月六日号、これは児童福祉週間の特集でございます。ここの中を拝見いたしますと、「離婚の増加による家庭の基盤の脆弱化」云々というふうにいろいろ書いてあります。「こうした諸問題から子供を守り、健全に育てていくためには、家庭や社会が協力して、適切な対策を講じる必要があります。」、どこを見ましても、国の責任を果たします、国はこういうことで責任を持っておりますということが全くなくて、健全な子供を育てていくためには家庭や社会が協力せよと、適切な対策を講じると、こういうことなんですね。
 私は、これもまた、先ほど申し上げたように、第一条から「国が、」という主語を削除し、そして国庫負担を三分の一も削減するということにつながっている、こういうふうに思います。ここの中には家庭や社会がということがありまして、政府の責任とか努力目標、これが全くないわけです。私は、こういうことでは児童憲章とか児童権利宣言とおおよそかけ離れてしまっていると、こう思いますが、大臣はいかがお考えでございますか。
#206
○国務大臣(増岡博之君) 子供が健全に育つためには、家庭や社会が大切であることはどなたも疑いのないことだと思います。また、政府の方といたしましても、この改正法案によりましても依然として直近におきましては二千億円以上の出資をいたすわけでございますから、その意味での国の責任を回避しておるわけではございません。依然として八割は国が負担するわけでございます。
#207
○安武洋子君 生活が困難になるような所得制限を導入するというふうなことをなさっている。そして、国が責任を持つなら、私は、こういうふうな広報紙の中にも、あるいは法の目的の中にも、国はどういうことを果たすのかというふうなことで、一般化しないで――それは家庭や社会が協力することは当たり前です。でも政府の責任、努力目標はどうなんだというふうなことをきちっとうたうことが児童憲章とか児童権利宣言、この精神にのっとったことになるというふうに思います。
 さらに伺ってまいりますけれども、児童扶養手当の支給率、これは一体どれぐらいなんでしょう。六十年度で約六十五万人に支給をされておりますけれども、支給率というのが私はちょっとわかりません。所得の制限が強化されてまいりますけれども、これで該当の母子世帯全体に対する支給率、これは何%になるんでしょうか。
#208
○政府委員(小島弘仲君) 支給率と申しますと、本来何らの制限はないのに所得制限で支給率がどのぐらいになるか、こういうことが一般的だと思いますが、現在、母子家庭について全体が所得制限がなければどの程度の受給者になるかという統計は持っておりませんので、その支給率という形で正確にお答えすることはできない、こういうふうに考えておりますが、今回の所得制限の強化、三百六十一万を三百万に変えることによりまして支給を受けられない方は三%程度というふうに推算しております。
#209
○安武洋子君 どうして統計がないんですか。
#210
○政府委員(小島弘仲君) 全体の児童扶養手当の支給対象になるような形の調査というものがございませんものですから、母子家庭であっても現にいろいろな生計の維持をされている方というものは児童扶養手当の支給要件に該当しない形になります。父が依然としてその生計を維持をしているというようなものについては対象になりませんので、母子家庭の総数の中で比べるということも困難な問題があります。したがいまして、現在の三百六十一万の所得制限によってどの程度の支給率になっているかということについては、正確な数値を申し上げる資料はございません。
#211
○安武洋子君 それはおかしいでしょう。児童手当の支給率というのは約八〇%、それから老齢福祉年金では八六%、これは五十八年度ですけれどもね。福祉制度というのは所得の制限があるという、そういう関係で支給率というのはおよそ明らかになるというのが当たり前でしょう。私はわからないということが全然わかりません。離婚の趨勢なんというのは、こんなものは大体今までのあれでわかりますし、それから離婚というのは、届けでも出てくるわけでしょう。なぜこういう統計も持ち合わせないわけですか。
#212
○政府委員(小島弘仲君) 児童手当でございますと、その児童の状態は全く問わない、これは一般制度でございますので全体の対象となる。今ですと義務教育終了時までの第三子以降の子供ということでございますから基礎数がしっかり出ます。しかし、所得制限がなければ児童扶養手当の支給対象になるであろう母子世帯の数というものの調査は、これはまさしく手当も支給しないのに調査をするわけにもいきませんので、そういう調査は手持ちにございません。
#213
○安武洋子君 趨勢はちゃんとつかめるじゃありませんか。行政をしていこうというときに、その行政がどれだけ効果を及ぼしているのか、行政効果があるのかということもわからないような、数字もつかんでいないということは大変なことじゃありませんか。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
大体離婚なんて届けもきちっと出ますし、それから今までの趨勢もわかるしということであれば、そんなのわかりませんと平然とお答えになる方がよっぽどおかしい。いろいろいろいろおっしゃいますけれども、結局は支給率が極端に低いとか、何かそういうことで公表できないというようなことなんでしょう。
#214
○政府委員(小島弘仲君) いや、そういうことで
はございませんで、ただ、この母子家庭と比較する母集団がなかなか正確に現在まで把握する道がないということでございます。
 児童扶養手当の支給対象となりますのは、純然たる母子世帯のほかに、遺棄とか、父親が拘禁されたり、あるいは母子家庭でない、祖父母が孫を養育している、別れた娘の子を養育しているのも対象になるというふうな、母子世帯よりもふくらむ分野があります、支給対象となる母子家庭につきましては。一方、母子家庭でございましても、父親がその子供の生計を見ているというような家庭は、母子家庭であってもそもそも児童扶養手当の支給対象に挙がってきませんので、なかなかそこの比較が困難な問題がありまして、比較対照できる母集団を正確に把握することは難しいということを申し上げているわけです。
#215
○安武洋子君 傾向はきちっとつかめるわけですよ。傾向ぐらいで大体、何十何人までつかむということはそれは無理でしょう、しかし、大枠ぐらいはつかむのが当たり前のことですね。
 お伺いしますけれども、五十七年、五十八年、子供がある、有子離婚をした件数というのは、これはそれぞれ幾らですか。
#216
○政府委員(小島弘仲君) 五十七年の有子離婚の件数は十一万三千七百七十四件、五十八年は十二万五千三百九十一件でございます。
#217
○安武洋子君 では、これに対応します年の児童扶養手当の受給者の離婚による増加数、これは、五十六年度に対して五十七年度は約四万人、それから五十七年度に対しまして五十八年度は約四万人弱と。有子離婚の場合は二十歳までの子供を連れた離婚ということになりますので、児童扶養手当の年齢の十八歳、この間には差はあります。しかし、一般的に二十歳近い子供を連れた離婚というのは、これはごく少ないわけです。こういうことから考えてみましても、受給者というのは極端に低い、少ないのではないですか。
#218
○政府委員(小島弘仲君) まずそのとらえ方でございますが、有子離婚、先生御指摘のように二十歳、十八歳と年齢の開差がございます。それからもう一つは、有子離婚の場合で母親が子供を引き取るというのが大体七割でございます。三割は父親というようなことになります。したがいまして、その有子離婚の全部が母子家庭と言うわけにはまいりません。したがって、そのような対比が必ずしも十分にできる問題ではございませんが、例えば五十八年の調査でございますけれども、離婚による母子世帯、これは二十歳までが入っております世帯の数でございますが、その数が三十五万二千五百というような程度でございます。そこに未婚の母の三万八千とかあるいはその他のもの二万七千というものを加えましても、大体児童扶養手当の支給者層をむしろ下回っているような数でございますので、その辺のそういう意味での比較もなかなか難しい問題がございます。
#219
○安武洋子君 おかしいでしょう。五十七年は十一万三千七百七十四件、そして約四万件が増加しているというふうなことで、そして五十八年は十二万五千三百九十一、それで四万弱ということになりますと、この年齢の乖離というのがありますけれども、父子家庭は三割、そうすると十八歳から二十歳までが約三分の二近くもいるんだと、そんなおかしなことになってしまいます。ですから、これは十一万三千件から十二万五千件という中で四万弱しかふえていないからあとは受けていない、その三割が父子家庭であっても、そして、十八歳から二十歳であっても、大きな層が受けていないということが歴然としているじゃありませんか、この数字から。
#220
○政府委員(小島弘仲君) これは先ほども申し上げましたような数の問題、母子家庭になるのが有子離婚のうちのどれぐらいの割合かという問題もありますし、それから受給者の増という増加数で申し上げましたのは、毎年毎年新しく入ってくると同時に子供が十八歳に達したり所得制限に引っかかったりして失権する方があります。その差し引きが今先生お示しの数でございますので、必ずしも新しく離婚した件数との見合いでふえていないじゃないかと。これはネットの増加数でございます。失権と増加を差し引いた数でございますのでそういう数字になりますので、必ずしもそういう御指摘のような問題ではないと考えております。
#221
○安武洋子君 何をおっしゃるんですか。それはある程度近い数ならそういう理由も通るでしょう。しかし、十二万に対して四万弱だというふうなことが出ているわけですから、そういう理由は私は通らない、こう申し上げます。
 私はさらに聞きますけれども、厚生省が行いました全国母子世帯調査、これは五十八年の母子世帯数というのは七十一万八千百世帯、こういうふうになっています。これ間違いありませんね。
#222
○政府委員(小島弘仲君) 間違いありません。
#223
○安武洋子君 母子世帯になった理由というのは、離婚が四九・一%、三十五万二千五百世帯。間違いありませんね。
#224
○政府委員(小島弘仲君) 間違いございません。
#225
○安武洋子君 全国の母子世帯実態調査の時点、これは五十八年八月一日です。その時点で離婚による母子世帯というのは三十五万二千五百人です。一方、離婚による児童扶養手当の受給者というのは、厚生省の資料によりますと、五十八年度は四十二万四千人です。母子世帯が三十五万二千五百、そして受給者は四十二万四千人。母子世帯よりもたくさん受給する、七万人も受給者が多い、どうしてこんなおかしなことになるんでしょう。
#226
○政府委員(小島弘仲君) この児童扶養手当というものは、今の事例は離婚のケースでございますが、監護している母か、母が監護しない場合には、その母にかわって養育しているという方にも出るわけでございます。したがって、生活の実態として母子世帯になっていない、母は子供を連れて離婚したけれども、その子供を例えば実家の祖父母に預けているということになりますと祖父母に児童扶養手当が出る格好になります。したがいまして、形は母子家庭でない状態の児童も対象になるという問題がございます。
 それから、母がみずから監護している場合でも、例えば寄宿舎に入れて生活の面倒は見ておる、しかし生活は母親が一人でしているというような家で、ほかに預けてちゃんと監護をしているというような問題についても出る格好になりますから、離婚の母子世帯の数よりも離婚を事由とする児童扶養手当の受給者数の方が多いのはそれは不合理じゃないと思います。
#227
○安武洋子君 祖父母に預けている、そちらの方に出る、母に出ないわけでしょう。そうするとおかしいじゃありませんか。七万人なんですよ。七万人というと、先ほど言いましたように一年の増加件数というのが四万弱だと、その倍ほどの人数が、母子世帯よりも上回るわけなんですよ。そんな例外的なことが、それは一つもないと私は言いません。しかし七万人も、こんなにたくさん――大体三十五万二千五百人の中で四十二万四千人が受けている、こういう不思議なことが世の中にあっていいんですか。
#228
○政府委員(小島弘仲君) 今申し上げたようなもののほかに、調査の時点のずれが一つはあります。離婚による受給者数は、例えば五十八年の七月末、これは八月一日に直近の数字でございますが、それが三十九万七千二百四十三人、それが年度末では四十二万四千二百九十三人に膨らんでおります。したがって比較する場合は、四十二万四千二百九十三人と比較するよりも三十九万七千二百四十三人と比較するのが妥当だと思います。そういたしますとその差は約四万件でございます。そうすると全体の受給者の約一割程度はそういうケースがあってもそうおかしくないと考えております。
#229
○安武洋子君 私が先ほど確認いたしました数字というのは、何も私の数字じゃなくて、一々確認したのはこれは厚生省の数字だからです。四万人ぐらいはたくさんでもおかしくないと、そうおっしゃいますけれども、では、どういうことなんですか。先ほど私が、一体支給率というのはどれぐ
らいなんだというふうなときには、あなたは、基礎数はわからない、つかんでいないんだと、こうおっしゃったんじゃありませんか。そして今それは当然ですと。
 こういうように数字がばらばらばらばら、いいかげんなものがいっぱい出てくるわけですよね。そして全部の母子世帯をさらに上回って、あなたたちの数で言えば四万人、私は七万人。この時点は何も変わっていないんですから、五十八年八月一日調査ですからね。だから、そんなことになっておかしくないんですか。そんなに、百何%の支給率なんですか。
#230
○政府委員(小島弘仲君) 繰り返しになりますが、先生にお示しした数字に、多少はっきり申し上げなかった点がありますれば、その失礼はおわびさしていただきますが、普通、受給者数というのは各年度末でとっておりますので、五十八年度の年度末の数字をお示ししたのかと思います。母子世帯の実態調査は五十八年八月一日現在で行っておりますので、離婚の増加というのはだんだんふえてくる傾向がありますので、七月末と比べますと、七月から三月まで八カ月程度の開差があるわけでございますから、その間に離婚による受給者数も四万三千件程度になりますか、大分ふえてきたということでございますので、その点のずれはやむを得ないかと思います。
 さらに、先ほど申し上げましたように、離婚による支給対象者であっても、受給者が必ずしも母親になっておりません。それは子供の養育の仕方によって変わってきますので、そういう意味で、母子家庭というふうなとらえ方と離婚による受給者のとらえ方というのはどうしても差が出てまいりますので、そこは実態としてこういうものであろう、こういうふうに我々認識しております。
#231
○安武洋子君 七カ月間で四万人近くも離婚がふえたんですか。今の数字だったらそういうことになるんですよ。そして先ほど言いましたように、この制度の――聞いておられるの、あなた。後ろ向いて。大体そんなふうにせぬとわからぬぐらいなんでしょう。だからいいかげんなのよね。だから私は申し上げるんですけれども、七カ月に四万人も離婚がふえるんですか。先ほどは一年間で四万弱という数字が二年間出てきて、それが一般的な傾向でしょう。いかに離婚がふえるといったって、倍になるというふうなことになるのかどうか。
 それから、あなたたちはそうおっしゃいますけれども、こういう支給率が一〇〇%をはるかに上回っていくなんて、そんなことが一般的に、今の世の中を見た場合にそんなことがあり得るはずがないんですよ。どこかの数字がおかしいわけですよ。そんなことで一生懸命ごまかそうとなさらないで、もう少しはっきりと現実を見詰めていただいて数字をきちっとやっていただきたい。それでないと、制度が一体どれぐらい普及しているのか、間違って百何%も支給しているということになってしまいますよ。こういう制度の改正、まあ改悪ですけれども、こんなものを審議するときに、その前提の支給率というものもちゃんとわからない、こういうことであれば、国会は判断のしようもないではありませんか。ですから、今のところあなたたちはいろんなことをおっしゃる。数字が狂っているからこれをごまかすのにきゅうきゅうとなさっていらっしゃるけれども、支給とか不支給とかいうのは申請があった場合にそれを決めるだけなんだというふうにやってこられている。だから私は何のための母子福祉であり、厚生省は何のために存在するかわからないというふうに思います。これでは審議なんてできないというふうに思うんです。
 ですから、支給率とそれから母子世帯の該当有資格の正しい数字を私はやっぱりきちっと出していただきたい、こう思いますけれども、これは抽出調査ということで不十分であるというふうなことも言われているわけでしょう、厚生省が調査なさって。だったらもっとしっかりした数字を出してきていただきたい。それでなければ、最初の話と、そして先ほど申し上げたように百何%もの支給率である、こういうおかしな話になってしまいますから、いろいろ例外的なことを言われておりますけれども、そういうものが全然ないと私も申し上げません。しかしそれにしても、現実を見た場合にこれはなかなかもらえない、この制度を知らないという人が多いわけですよ。それなのになぜ百何%もの支給率になるのか。全くこれでは解明ができません。ですから私は、ちゃんと審議ができるように、有資格の母子世帯の正しい数字、それから支給率、これをきちっと出していただきたい、そのことを要求いたします。
#232
○政府委員(小島弘仲君) 先ほどの七カ月で四万件というのは、計算間違えまして、二万七千件ぐらいの増加でございます。
 先ほど申し上げましたように、あくまでも離婚による母子家庭の児童の健全育成のためという趣旨でございますので、離婚した場合の、母親が子供を監護している場合、母親以外の人が監護している場合を問わずに支給をしているというのが実態でございます。したがいまして、離婚による母子世帯の新規増加分それ以上のカバー率が出るというような格好になりましても、それは母子世帯という形で調査したものと離婚による受給者ということとはずれがございますので、どうしてもそういう形になるわけでございます。
 それから、母子家庭の実態調査、抽出調査であることは事実でございます。一方は支給認定の実数でございますので、精度の点につきましてはそれは抽出調査である限界はあろうかと思いますが、一般的に行政手法といたしまして、できるだけ正確なように、統計上の数理を用いまして抽出率等も考えた調査にしております。したがいまして、この根っこの数字というのはそう大きなずれはないものと考えております。
#233
○安武洋子君 二万七千にしても、これは四万から五万までの数字と、一年の増加率よりもはるかに上回るような数字、これが出てくるわけですよ。ということになりますと、一〇〇%を上回るんですよ。そんなことがどこにあり得るか。
 私が今憂えていることは、これは申請主義だということでPRが手抜きされる。こういうことになりますと、児童の福祉増進とうたっておられますけれども、それが欠けてしまうというふうなことになるわけです。そういう人がまだたくさんいるわけです。この制度が発足してもまだ知らない人がたくさんいるんだという答弁をなさっている。けさほどからそういう場面もありました。ですから私は、この周知徹底をちゃんとやっていただかなければならないし、お出しになっているこの資料というのは余りにも不思議過ぎるということで、次に私はこの点も含めて質問をさせていただく。残念ながら時間が来てしまいましたので、大変時間が圧縮されたということにも私は抗議を申し上げるわけですが、そういうことでやむを得ずきょうは質問を終わらせていただきます。
#234
○委員長(遠藤政夫君) 時間は圧縮されておりません。
#235
○下村泰君 この法案なんですがね。先ほどから各委員からもいろいろと御意見が出ているようでございますけれども、「この法律の目的」というところに、「この法律は、父と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、当該児童について児童扶養手当を支給し、もつて児童の福祉の増進を図ることを目的とする。」、こちらの旧法の方を拝見しますと、「この法律は、国が、父と生計を同じくしていない児童について児童扶養手当を支給することにより、児童の福祉の増進を図ることを目的とする。」。先ほどこれは安武委員よりも、「国」をどうして外したかということに関して、地方自治体とともにやらなきゃなりませんのでと、いつまでも国が全面的にやるというのはおこがましいからというので「国」を外したと。本当は外してもらいたくないんですが、外しちゃった以上しようがない。ただしその後です、「父と生計を同じくしていない児童について」のところが、「父と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立」、この字句の入ったのはどう
いう意味なんですか。
#236
○政府委員(小島弘仲君) 従前からの児童扶養手当制度、改正前の児童手当扶養制度につきましても、先ほど来申しておりますように、母子福祉年金制度の補完的制度という形で出ておりますので、離婚により、夫による生活の支柱を失ったという家庭生活の変化に着目いたしまして、その母子家庭の生活の安定を図るために出したということに変わりありません。ただ出す趣旨、目的が、児童のための手当であるということは今も変わっておりませんが、今回手当の支給期間を有期化するというようなことで、七年間ということを御提案申し上げておりますが、要するにこの手当を支給するという趣旨が、生活の安定を図るとともにその母子家庭の自立を促進することによって、その自立をするまでの間のいわば激変緩和措置として手当を支給するという性格を明示しながら、そういう福祉の制度に改めましたという趣旨をより明確にするためにこの字句を挿入させていただいたわけでございます。
#237
○下村泰君 まだ生活力もないような子供さんを抱えているお母様方に、「家庭の生活の安定と自立」、こういう字句を見せて、これはどういうふうにしろというんですか。どういう状態をお役所の方は自立と見ているんですか、母子家庭の母親の。
#238
○政府委員(小島弘仲君) 自立ということについてはいろいろな見方があろうと思いますが、特にここでは母子家庭の経済的な困窮に対する手当て、現金給付でございますので、経済的な困窮ということが一番問題であると思います。したがって、自立できないというのは、自分の稼ぎと申しますか収入で生活を賄えない、あるいはいろいろな形の援助が必要だという形がまだ自立し得ない状態であると考えております。したがいまして、子供の世話を、生計費を賄いながら、その母子家庭が他の援助を受けることなく生活できる、しかも児童の育成も図られるという状態が母子家庭としてのここで言う「自立」というふうに考えております。
#239
○下村泰君 その場合でも、実際に月々の収入がこのくらいになれば自立できるんだという目安があるわけでしょう。それは何ら示されてないで、ただ自立自立と言うわけですね。みずから立つということはみずから努力しろということですね。
 この過程を振り返りますと、第四十一国会、昭和三十七年にこれが審議されまして、その過程で拝見すると、大変いいことがたくさんあるわけですわな。所得制限の緩和であるとか、あるいは十八歳までとかというふうにいろいろ改正されてきています。これは七十七国会、昭和五十一年、十八歳未満に引き上げることというようになっています。私は、この段階までは、この手当を支給されるお母さん方はまことに喜んだと思いますよ、日本という国は何というすばらしい福祉国家であろうかと。ところが、今ここへ来て目の前真っ暗になるわけですな。しかも、自立自立とおっしゃいますけれども、じゃ自立してこの資格を失った家庭がどのぐらいあるんだろうか。つまり自立して、今局長のおっしゃったようなみずからがそれだけの経済を確保できて資格を失う、むしろこれは喜ばしいことだ、同じ資格を失うんでもね。じゃ、その家庭がどのくらいあるかということですよ。――いいですよ、私の方にあるから。
 資格喪失事由別件数というのがある。支給停止者数、五十七年、総数五万九千八百一。この資格を喪失したいわゆる事由ですな、早い話が。これの一番多いのが、十八歳に達したというのが一番多いんですよ。十八歳に達したというのが二万六千五百七十七なんですね。公的年金を受給したというのが千百五十四。受給者が死亡した、お亡くなりになったというのが七百七十四。母が婚姻した――結構なことですな、これが一万八千三十七。遺棄ではなくなった、千九十六。未婚の母の児童が認知された、四百五十二。その他が一万一千七百十一となっておるんです。これ、自立したんでも何でもないんです。早い話が十八歳に達したから打ち切られたんです。これで自立と言えますか。こういう停止された状況で。
#240
○政府委員(小島弘仲君) 確かに失権の事由といたしましては、十八歳までということになっておりますので、十八歳ということが四七%程度出ているかと思います。
 母子家庭の実態の状況を見ますと、生活保護の受給の状況を見ましても、母子寮でお世話を受けている方々のその期間を見ましても、大体、母子家庭の場合のケースで見ますと、生活保護の場合も、七年間の受給で大体九割の方がその生活保護を脱却していらっしゃる。それから母子寮なんかについても、七年たちますとやはり九割以上の方が母子寮から出て自立する道を歩んでいらっしゃるということから、一応七年程度の自立までの準備期間ということが妥当じゃなかろうか。その間いろいろ、こういう手当の支給等もすると同時に、労働省なんかとも協力しながらさまざまな、職業訓練とか、あるいは保育所等による、児童をお預かりして就労の態勢を整えていただくというようなことを通して自立の努力もしていただきたい、また必要なそういう面での助成策についても拡充してまいるということで考えております。
#241
○下村泰君 今局長は、母子寮にいる方も大体七年ぐらいでとおっしゃいましたね。どういう理由で七年間ぐらいで出ていくかおわかりですか。本当に母子寮にいて七年ぐらいで出ていったお母さん方の話を聞くと、今局長が簡単に、母子寮に入っている方も大体七年ぐらいたつと出るんだ、九〇%出ていかれるんだそうですというふうにおっしゃっていますが、出ていかなきゃならない理由を押しつけられて出ていくのが多いんですよ、母子寮に入っている方は。
 例えば、一つ一つのお話を伺うと、大人の集まって入っているところに、時間の制限がある。あるいはちょっと男の人から電話がかかってきたらもう周りでがさがさ言われる。つまりいびり出されるわけだ、早い話が。それで、ここにはいつまでもいられないと、ない金を無理して、あるいはあちらこちらから融通して出ていくという人が多い。大体それで七年ともたないんだ、みんな。だから七年以内に出ていくから、局長の方ではそういうデータを集めて、七年ぐらいたつと大体いなくなる、こういう言い方をしているわけですよ。
 本当だったらみんな入りたくはないですよね。一戸建て、まあ一戸建ては無理かもしれませんが、一部屋に入りたい、これは当たり前だ、人情として。しかしそれも許されない経済状態だから、できればお助けくださいで母子寮へ入るわけでしょう。入ったら、その母子寮に管理人みたいな変な薄らじじいがおって、こいつらがいろんなことを言ったり、薄らばばあなのかそれは知りません、私は。そういう、いわゆる自分が管理しているという、その管理職をかさに着ていろんなことをやるやつが多いからそういう状態が生まれてくるんですよ。もう目に見えるようですよ、これは。今なんかでも学校の問題になっている中学生のいじめとこれは大して変わりないんだ、大人になっても。
 それと、この制度というのは、もともとは御主人に亡くなられたお母さんとお子さんのため。それが、そういう御家庭よりも離婚の方が多くなった。ですからこういうふうになった。これはまた結構だと思いますよ、それはそれなりに。しかし、この社会福祉六法を拝見しましても、この中の児童と名のつく法の中では全部、児童とは十八歳未満から二十歳未満と書いてあるんだ。そういう子供を守らなきゃいけないのに、今度は義務教育までと、こういうことになるわけです。それともう一つ、児童憲章なんか拝見しますと、子供さんというものをいかに国が大事に扱わねばならないかということがうたい上げられているんですね。この一文一文を拝見していくと、いかにも子は国の宝。お子さんが、将来国を背負って立ついかなる大人に育たないとも限らないわけでしょう。そういう大事な子宝をいいかげんな扱いにしてよろしいはずがない。局長うなずいているけれども、いいかげんにしつつあるじゃないですか、この問題。
 そしてしかも、死別した場合には、御主人が亡くなられた、いろんな事情があってお亡くなりになった、お気の毒だからお母さんとお子さんは面倒見ましょうと。ところが離婚の方は、おまえら勝手に別れたんじゃないか、しかも五体満足だ、地べたはってでも勝手に生活しろ、足りないのは何ぼかやるよ、こういう感じなのね。それがもっとひどくなるわけ、今度は。それが如実にそういう形になるわけだ。これはしかし、今受給しているお母さん方が納得しませんよな。一たん出したものを引っ込めるというのはよくないです、これは。ですからもう少し何とか方法を考えなきゃいけないんじゃないかなというような気がするんです。私が厚生大臣なら大盤振る舞いしますよ。自分の金じゃないから楽だからね、これは。
 それと、今申し上げました教育の問題ですけど、十五歳で打ち切られますわね。高校へやりたいんです、みんな。この厚生省からいただいた各資料とかそういうのに基づきますと、大変皆さんやりたいわけですね。修学させたい。殊に女の子の場合にはもう半分以上ですわ。それから男の子でも、大学へ行くのは半分。高校へ行くのと大学へ志望しているのとほとんど同じ数ですわ、志望者の数が。そうすると、十五歳で打ち切られて、大学へやるまでのその三年間、どんな手当ての方法がありますか。
#242
○政府委員(小島弘仲君) 七年間ということになりますと人によって、十八歳までの人もありますし、小さいときから受給しているという場合には義務教育終了時までで打ち切られるというケースが出てくるのは御指摘のとおりでございます。これらにつきましては、そういうような形で支給期間の七年間とか義務教育終了時までということに該当して手当が受給できなくなったというような方につきましては、児童扶養資金というものを母子福祉資金貸付制度の中に新たに起こしまして、手当相当額三万三千円を無利子でお貸しするという制度を新たに設けることにしておりますし、また、母子家庭のお子様については、従来手当を受給していらっしゃった方についても無利子で高校卒業まで修学資金をお貸しするという制度も実施しておりますので、そういう面を御活用願うということをあわせて考えておりますと同時に、先ほど来御議論のあります母親の自立のためのいろいろな便宜供与と申しますか、施策の拡充を図ってまいることを考えております。
#243
○下村泰君 それはまあ局長にしてみればそういう言い方しかできないと思いますけれどもね。
 私の手元にある資料に、「現行児童扶養手当制度の概要」というのがありまして、その中に「支給状況」というのがあります。これは昭和五十九年八月末になっております。児童扶養手当を受けていらっしゃる方が六十一万二百六十七人。そのうち離婚が四十四万三千五百四十三人、死別が三万四千六百八十五人、未婚の母子が三万五千九百十六人で、未婚の方が死別を上回っている。父障害が三万二千七百五十六人、遺棄が五万一千二百五十五人、その他が一万二千百十二人と、こうなっています。これを率的に割ってみますと、受給者数の七二・六八%、これが離婚なんですね。四十四万三千五百四十三人、これだけ多いんですよ、今や。最初にこの手当のできた趣旨と現在とはもうまるで内容と形が変わってきているわけですね。それだけにやはりもう少し何か考えなきゃならないんじゃないかなということを私自身は思うんです。
 それと、死別の御家庭とそれから生別、離婚の御家庭とは違いますわな、お手当ての方法が。当然死別の方が幾らかいろいろな理由でふえてきますわね。これはこれでしようがないことだとは思いますけれども、ただやっぱりそこのところなんですね、納得のいかないのは。片方はお亡くなりになった、片方は別れたっていったって、別れるについてはいろいろな理由がありますわね。
 私も民間放送で身の上相談というのを引き受けたことがあるんですよ、五年ばかり。そのときに、御夫婦の問題で、こんな問題は当事者同士ですぐに解決できるようなことじゃないかと思うような問題でも、最近の二十代、三十代くらいの人というのは見当つかないのね。昔は棟割り長屋があって、町内の世話役がいて、その町内の世話役のところに行くと何でもなく解決したような問題なんです。私自身の生活状態から考えてそういうのがあるんですよ。そんな問題でも、二十代、三十代の前半の人だと重要問題でわからないんですよ。そんな問題も来ますよ。その中で、私は夫と別れたいという離婚の理由の一番大きいのが暴力と酒乱ですな。これが一番多いんですよ。暴力、酒乱の夫と別れて、例えばさっき局長がおっしゃったように、十五歳から三年間何とかして資金を受けて子供を学校へやりたいというようなことで手続をとりますわな。ところがこれ、ばれるんだ、父親の方に。酒乱と暴力の父親の方に。そのために受けにくい、受けられないという人もいるんですね。そういう相談もかつて私は受けたことがあるんですよ。
 そういうことを考えますと、こういう制度があるからどうのこうのとはおっしゃいますけれども、中にはそれをやりたくてもできない人、これは事実いるんです。先ほど中野委員からも御発言がありましたけれども。それをよくひとつ頭の中に入れておいてほしいんですね。そうしないとこういうのは生きてきませんからね。
 それからもう一つ伺いたいのは、この制度を利用するという場合に、申請しなきゃなりません。その申請の手続というようなこと、私よくわからないんですが、ちょっと説明していただきたいんです。
#244
○政府委員(小島弘仲君) 申請の手続につきましては、申請書に所定の、いわゆる状況を説明する資料を添付していただきまして、市町村の窓口に提出していただくというような形で、その認定は都道府県知事が行うという仕組みになっております。
#245
○下村泰君 その場合によく民生委員という方の名前が出てきますけれども、その民生委員という方は、やはりいつも地域の中にいらっしゃって、大体そういう方に相談したりなんかするわけでしょう。そうすると、そういう方からそっちに行くわけですね、順序としては。どうですか。
#246
○政府委員(小島弘仲君) これは、申請については必ずしも民生委員が関与しなくてはならぬというものではございませんが、その申請の事実がそのままであるかどうかというようなことを調査いたします場合に民生委員を煩わせるということは、この制度の運用上やっておるところでございます。
#247
○下村泰君 話に聞くと、その民生委員という方が非常によくない方がおるんだそうですな。局長、とぼけたような顔をしてもだめですよ、ここに現に資料があるんだから。「各都道府県民生主管部(局)長殿 厚生省児童家庭局企画課長」と、これで通達を出していますね。この通達の中にはこういうことをちゃんと書いてあるんですよ。
  児童扶養手当は、その支給要件が離婚、遺棄、拘禁、事実婚の解消、未婚の母、事実婚の不存在等個人の秘密に属する事項に係わるため、受給資格の認定に当たっては、プライバシーの問題に触れざるを得ないところであるが、必要以上にプライバシーの問題に立ち入らないよう事務運営に当たって配慮するとともに、職務上知りえた個人の秘密を漏らすことは、地方公務員法によっても禁止されているところなので、かかることのないよう十分留意されたい。
  特に、遺棄調書、未婚の母子の調書及び事実婚の解消に関する調書の取扱いについては、プライバシーの保護に配慮するとともに、父の暴力を逃がれて家出した母子が、居所を知られたため父に暴力を受けるという事例もあるので、たとえ児童の父と言えども不用意に母子の居所等を漏らすことのないよう留意されたい。
  児童扶養手当法上事実婿の解釈については、昭和五十五年六月二十三日児企第二十六号本職通知をもって示したところであるが、本手当の趣旨に鑑み、同通知の記の一の(1)及び別添の第一の問九の答中「ひんぱんに定期的な訪問があ
る場合」を「ひんぱんに定期的な訪問があり、かつ、定期的に生計費の補助を受けている場合」に改めることとしたので御了知願いたい。なお、「ひんぱんに定期的な訪問」の解釈については、事実関係を総合的に勘案のうえ、社会通念に照らし判断されたい。
これ、ちょっとした解釈の間違いでどえらいことになるわけですわな。
 そうすると、いわゆる民生委員という方々、それは悪い人ばかりじゃないでしょう。でも、中にはそういう職権を利用する人もいないとも限らない。中には性的魅力のあるお母さんがいて、迫らないとも限らない、こういうのは。第一民生委員が、これは望遠鏡どころじゃないでしょうけれども、母子家庭に対する男の出入りを監視するとか、あるいは母子家庭の子供さんを電話口に呼び出して、おまえのところは男が来るのか来ないのかとか、こんなことまで調査する必要があるんですかね。そこのところをちょっと私伺いたいんだけど。
#248
○政府委員(小島弘仲君) 民生委員につきましては厚生大臣が委嘱しているわけでございますが、まず市町村長の段階で民生委員の推薦委員会、それから都道府県段階は審査委員会というようなことを通しまして間違いのない人、本当に福祉に情熱を持って理解のある方を委嘱するという格好に考えておりますので、そういう先生御指摘のような問題がないことに万般の配慮をしておるところでございます。
 その職務執行につきましては、さらにこういう事柄の性質上十分な配慮をお願いするというので企画課長から入念的に通知をいたしましたり、あるいは制度の取り扱い、運用を改めました場合にその要点を御通知申し上げて、こういう制度の全体としての運用に支障のないように配慮しているところでございます。
 事柄の性質上、やはり生活の実態、あるいは母の事実上の配偶者に養われているというような実態があるのかどうか、あるいは父が生計を同一にしていないということになりますと、父の仕送りがあるのかどうかというふうなこともやはり調査いたしましてその事実を確認いたしませんとこの制度の適正な運用ができないというこの制度の宿命でございます。したがいまして、不正受給とか何かという御批判もいろいろ出てくることでございますが、なかなか難しい問題でございますけれども、プライバシーの侵害ということには十分配慮しますが、事実関係を正確に御報告願わないとこの制度が適正に運用できないという問題がありますので、受給者あるいは申請者の方にはそういう面での御理解もお願いしながら、民生委員がいろんな調査したり事実関係を調べる場合にも特段の配慮をお願いしているところでございます。
 いつも監視しているというふうな表現をいただいておりますが、そういうことではなくて、生活の実態を調べる、生活保護世帯なんかも同様、その地区の生活の実態を的確に把握しておくというのが民生委員の本来の仕事でございます。それに対応していろんな福祉の措置を知らせたり、また、いろんな行政機関に助言をしたり、協力したりというのが民生委員の職務でございますので、そういう観点からも先ほど申し上げましたような慎重な手続で人選しておりますし、また、万が一民生委員として不適格な場合は解嘱をする手続もございます。そういうことで万般遺憾のないように今後も努めてまいりますと同時に、先ほどもお答え申し上げましたが、実態の調査等、必要最小限度で、しかも無用にプライバシーの侵害に触れるようなことがないような配慮をします。それと同時に、民生委員も特別職の公務員という資格を得るわけでございますので、守秘義務がございます。したがって、それを職務上必要限度で必要なところに報告するだけでございますので、漏れるということはあり得ない仕組みになっておりますが、そういうことが確実に実行されるような配慮も重ねて常にしてまいりたいと考えております。
#249
○下村泰君 何か局長、いままでいろんな委員の方に答弁した中では、今が一番自信のある答弁でしたよ。
 と申しますのは、きのうの月曜日ですけれども毎日新聞に出ているんですよ。「児童扶養手当一千万円着服」、これ伊勢崎でこういうことが起きている。八十世帯分。これ、けさの新聞見ると捕まりました。当たり前だ、これは。こういうのがいるんですよね、実際に担当しているやつで。これはあんた、悪質プロダクションなんかよりもっとひどい、こういうのは。役人というやってはいけない立場にいる人がこういうことをやるんですからね。ましてあなた、人に頼まれてやる民生委員、逆にこの監視の目の届かない方の民生委員の方がよほどやりやすいわけだ。
 そういう人たちのちょっとしたことによって母子家庭のお母さんにしても、お子さんにしても大きな精神的打撃を受けた。そのことが原因でどういうふうになるかわかりませんよ。そうしますと、ここにうたわれている趣旨と全然違った方向へその子供が行かないとも限らないわけでしょう。こんな恐ろしいことはないんですよね。私らの子供の時代でもそうですけれども、大人のちょっとした不注意、大人のちょっとした愛情のなさ、それから出た一つの行動、それから人の心臓をえぐるような一つの言葉、これによって人間の性格がどういうふうに変わっていかないとも限りませんからね。そういうことについては十分ひとつ気をつけてやっていただきたいと思います。
 厚生大臣、これについて一言だけお答えをいただきたいと思います。
#250
○国務大臣(増岡博之君) 伊勢崎市の不正の件はまことに遺憾なことでございます。今後、このようなことがないようにいたさなければならないと思います。
 同時に、御指摘のように、人の心に関するような問題は、現場の直接担当者の方々の配慮、思慮を必要とするものでありまして、社会的に極めて弱い立場の方々でございますので、その面につきましては特段の注意を行ってもらうように、私からも配慮をしてまいりたいと思います。
#251
○下村泰君 ありがとうございました。
 終わります。
#252
○委員長(遠藤政夫君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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