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1984/05/30 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第23号
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1984/05/30 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第23号

#1
第102回国会 社会労働委員会 第23号
昭和六十年五月三十日(木曜日)
   午前十時六分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     添田増太郎君     田代由紀男君
     竹山  裕君     村上 正邦君
     柳川 覺治君     森下  泰君
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     田中 正巳君     出口 廣光君
     村上 正邦君     松岡満寿男君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤 政夫君
    理 事
                佐々木 満君
                関口 恵造君
                高杉 迪忠君
                中野 鉄造君
    委 員
                石井 道子君
                大浜 方栄君
                斎藤 十朗君
                曽根田郁夫君
                田代由紀男君
                出口 廣光君
                松岡満寿男君
                森下  泰君
                糸久八重子君
                浜本 万三君
                和田 静夫君
                中西 珠子君
                安武 洋子君
                藤井 恒男君
                下村  泰君
   国務大臣
       労 働 大 臣  山口 敏夫君
   政府委員
       労働大臣官房長  小粥 義朗君
       労働大臣官房審
       議官       中村  正君
       労働大臣官審
       議官       野見山眞之君
       労働省労政局長  谷口 隆志君
       労働省労働基準
       局長       寺園 成章君
       労働省職業安定
       局長       加藤  孝君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       外務省国際連合
       局社会協力課長  馬淵 睦夫君
       労働省職業安定
       局雇用政策課長  齋藤 邦彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、田中正巳君が委員を辞任され、その補欠として出口廣光君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(遠藤政夫君) 前回に引き続き、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○浜本万三君 ただいま提案をされております法案につきまして、質問をいたしたいと思います。
 まず、本法案に対する基本的な考え方でございますが、この法律案は衆議院で修正が行われましたが、私の考えるところ、なお多くの質疑をしなければならない点が残っておると思います。非常に重要な問題を抱えておる法案であることが明らかになっておるわけでございます。この法案は、派遣労働者のみならず正規の雇用労働者の労働条件の保護、労働基本権の保障及び我が国の労働法制にとっても極めて重要な影響を及ぼすものだと思います。事実上、労働基準法の改悪、労働組合法の無視など、重大な打撃となる危険性も多いわけでございます。したがいまして、私は非常に慎重な態度で十分審議を尽くす必要があると思うわけでございます。そういう立場でただいまから質問をいたしたいと思います。
 また、最近の新聞等を拝見いたしますと、参議院に対しまして慎重な審議を進めるように要望する記事が非常にたくさん載っておるわけでございます。特に参議院のあり方を問われておる重要な時期でもございますので、国民のそういう声に照らしまして、なお一層慎重な態度で審議を尽くしていかなければならないと思っております。
 そこで、まず伺いたいんでございますが、この法案を審議するに当たりましては、十分な基礎資料をもとにいたしまして法案の審議をしなきゃならぬわけでございますが、先般、我が党の和田委員が質問をいたしましたときにも、厳しい態度で指摘をしたわけでございますが、十分なる基礎資料がないわけでございます。私も、昨日まで労働省に対しまして、的確な基礎資料をお示しいただくようにお願いをしておったところでございますが、昨日その資料をいただきました。しかし、その資料は昭和五十五年に派遣事業問題調査会が調査をされた資料でございます。一応私が要望いたしました資料の内容にはなっておりますけれども、何しろ五十五年でございますから、非常に古いわけでございます。今まで各関係省庁の提出法案がございましたときに、その基礎資料なるものを見ますと、古いもので二年前、新しいものは昨年度の資料をもとにして多くの法案が提出されておることを見ますと、この派遣法案は非常に古い資料で法律案が提案をされておるということがわかるわけでございます。なぜ、このような古い資料をもとにいたしまして重要な法案を審議しなければならないのか、労働省、特に労働大臣の御見解を承りたいと思うわけでございます。
 それから、ついでに申し上げておきますが、先般同僚委員からも質問がございまして、五十八年調査をされました若干の資料の説明がございまして、各委員の手元にお配りをいただくことになっておるわけなんでございますが、私が入手いたしました資料によりますと、労働省の労働組合の方方が昭和五十八年九月から十一月にかけまして調査した資料があるわけでございます。これは相当新しいわけでございます。労働省の労働組合が調査できるのに、組織も資金も十分ある労働省当局がなぜ最も新しい時点における調査をやられなか
ったのか、この点も大変疑問があるところでございますので、その点について、まず大臣の御回答をいただきたいと思うわけです。
#5
○国務大臣(山口敏夫君) 浜本先生にも、この派遣業の問題また労働者福祉の問題でいろいろ御提言もちょうだいしておるわけでございまして、今回の法案に対する資料その他いろいろ御指摘もちょうだいしたわけでございますが、先生も御承知いただいておりますように、この派遣業の問題につきましては、国会等からも、労働者保護をどうすべきか、こういう御指摘等をいただきながら、審議会における七年越しの慎重審議の経過をちょうだいしておったわけでございます。したがいまして、その折々に提出しておる審議に必要な資料ということで、中には五年前のものもあるいは四年前のものもございます。しかし、最新の資料といたしましては、五十八年に労働省でいろいろ調査をした資料等も、審議会、国会等にも御提出できる資料をもちまして最終的にこの法案への取りまとめ、参考にさしていただいた、こういう経過でございます。
 そこで、先般和田先生初め御質疑にも御答弁申し上げておるわけでございますが、これは労働経済市場が非常に大きな変化の中にある、そういう中で、本来の伝統的な終身雇用、常用雇用というこの伝統を守り発展すると同時に、膨大な労働人口に仕事をどう分配していくか、こういう問題もございますし、また就業する側のニーズとして、常用を拒否して能力主義あるいは必要主義に応じて労働を提供したい、こういうニーズもございます。そういう双方の事情の中でこの派遣業的な形態というものが非常に拡大をして、そして一部には先生方が御心配のような労働者の保護が必ずしも適切でないというような業種もあったことも事実でございまして、そういう中で派遣労働者の人権あるいは労働基本権をいかに守っていくか、こういう観点からこの今回の法案をまとめさせていただいた、こういう経過でございますので、我々といたしましては、いろいろ御意見、御批判もございますけれども、あくまで派遣労働者の基本的人権、労働権を守るということと、中期的に見た雇用の安定と確保、こういう立場から、ぜひひとつ慎重な御審議の上にこの法案に対する御理解、また成立を願いたい、こういう気持ちで今御審議をちょうだいしておるわけでございます。
#6
○浜本万三君 大臣から今お話しございましたが、雇用の安定と労働者の福祉を守る、そういう目的でこの法案を提案しておるというお話なんでございますが、最近参議院で審議をする中で私どもが非常に感じますことは、法律の専門家であります弁護士会の諸団体、労働団体など、国民の批判が非常に強まっておるわけでございます。せっかくお出しをいただいておりますけれども、今の時点でのこのような強い国民の批判に対して、大臣はいかように御認識をなさっておられますでしょうか。
#7
○国務大臣(山口敏夫君) 参議院におきましても、参考人等からの意見を聞いていただいておることも、その内容もつぶさに私報告も受けておるわけでございますが、そうした法律の専門家の方の御意見と同時に、第一線で汗しておる労働者側の中にも、これが労働者保護の第一段階になる、こういう理解、支持をしていただいておる団体もあるわけでございます。
 私ども、国会で先生方にお取り上げいただいておる問題点等々、問題がない、こういう認識ではございませんで、そういう問題点は、ある意味において共有しておるつもりでおります。それゆえにこうして今の状況というものをそのまま放置、あるいは労働者保護というものを行政的な立場から手をこまねいているということでなく、国会の御審議をいただきながら、その法案の実を上げることによって労働者の基本的人権をいかに守るべきか、搾取的な業種というものがあるとするならば、いかにそれを公明正大に是正していくか、こういう立場に立って取り組みをしたい、こういう前向きな姿勢の中で、先生方の御批判、御意見に対しましてもひとつ取り組んでいきたい、こういう認識でおるわけでございます。
#8
○浜本万三君 労政局長が見えていますから、労政局長に質問するんですが、労働者の権利と福祉を守るということは、労働者みずからの団結でその目的を達成していかなきゃならぬと思うわけでございます。ところが、これは労働者の怠慢かどうか知りませんけれども、最近日本の労働組合の組織率が年々低下しておる、こういうことを聞くわけなんでございますが、労働組合の組織率がだんだん低下しておる原因はどういうところにあるんでございましょうか。
#9
○政府委員(谷口隆志君) 労働組合の組織率につきましては、戦後間もなくのころには五〇%近くの組織率のこともございましたが、三十年代に入りましてからは大体三〇%台、三三%から三五%台ぐらいで推移をいたしておりまして、第一次オイルショック後の昭和五十年代に入りましてから少しずつ組織率が低下いたしまして、五十八年で三〇%を割って二九・七%、五十九年は二九・一%、こういうような組織率で推移しているのが現状でございます。
 そこで、お尋ねになりましたこの組織率低下の原因についてでございますが、基本的には、分母になります雇用労働者が非常にふえておる、これは第一次オイルショック後、生産活動が非常に低下いたしました後におきましても、一、二年たちましてからはやはり雇用労働者自体は非常にふえてきておるということが大きな原因でございますが、また、産業構造の変化等によりまして、比較的組織率の高い製造業が雇用労働者が減っておるとか、あるいは官公庁部門におきまして、行財政改革あるいは行財政問題等の関連で職員が減ってきておるとか、そういうようなこと、あるいはまた、逆に第三次産業で雇用労働者がふえ、そこでは従来からなかなか組織率が低いような現状がございましたが、そういうような問題、あるいは形態別に見ましても、パートタイマーのような方がふえておられるとか、あるいは女子の雇用労働者の方がふえておられるとか、また労働者意識の変化もございますが、そういうもろもろの原因から今の組織率の現状に推移をいたしておるのではなかろうかというふうに見ておるところでございます。
#10
○浜本万三君 お話しがございましたように、日本の産業構造が変化した、その中で第三次産業が増加した、こういうことはよくわかるんでありますが、労働省の方もその政策の重点として労使の安定ということを非常に考えられていらっしゃると思うんでございますが、一番根本的な原因は、かつて戦後のような労働組合の育成強化、そういう点について努力を欠かれたところに原因の一つがあるんじゃないか、かように思うわけなんでございます。私は、労使の安定の源泉は、やっぱり労働組合が強くなる。労働者が団結をしてそして強くなる。そのためにはやっぱり労働組合を結成いたしまして労使対等な力を持つことに初めて問題の解決があるというふうに思うわけでございます。
 そういう点について今後一層努力をしてもらいたいと思いますが、大臣いかがでしょうか、ひとつ大臣の決意のほどを明らかにしてもらいたいと思います。
#11
○国務大臣(山口敏夫君) この間自治省の選挙スローガンを見ておりましたら、社会に出てからは政治は必須科目ですという、若い青年男女をモデルにしたポスターがございましたけれども、選挙におきましても民主主義の立場から投票の呼びかけをするわけでございまして、健全な労使関係、労働環境というものをつくるためには、やはりそうした大勢の労働者の方の労働運動への参加ということは、一つの民主的な労働運動の展開、ひいてはそれが健全な労使関係の発展にもつながると私自身も認識をしております。
 そういう意味におきまして、労働側のいろいろな催しにも労働大臣といたしましても積極的に参加をさしていただいておるわけでもございますが、ただいま労政局長からも答弁ございましたけれども、我々も、労使の問題であるということで
あると同時に、今先生の御指摘のような趣旨も十分この行政の場でも認識をして、それなりの努めを果たすということも責任の一端ではないかというふうに考える次第でございます。
#12
○浜本万三君 以下、法案の中身について御質問をいたしたいと思います。
 まず最初に、派遣事業と職安法等の関係につきましてお尋ねをいたしたいと思います。
 労働者派遣事業は、急成長をしておると言われております。派遣労働者は今日では百万とも三百万とも言われておるわけでございます。
 まず、派遣事業の増加の経緯、それから現状及び今後の見通しについて、お尋ねをいたしたいと思います。
#13
○政府委員(加藤孝君) 労働者派遣事業が、近年におきます経済社会の発展に伴いまして労働力の需要供給の両面で著しい変化が生じてきておる、こういうようなことを背景として増加をしてきておる、こんなふうに考えておるわけでございます。
 労働側についてこの点を見ますと、自分の専門的な知識、技術、経験、こういうものを生かして、いわゆるスペシャリストとして働くことを希望する者がふえてきておる。あるいはまた、自分の都合のよい日あるいは時間に都合のよい場所で働く、こういうことを希望する者も増加しておる。あるいはまた、特定の企業内の人間関係に煩わされないで働くということを希望する、こういうような労働者層もふえてきておるわけでございます。
 一方、需要側の企業側におきましては、経済社会活動の高度化、多様化に伴いましていろいろ仕事が専門分化してきておる、そういうために専門的な知識、技術、経験、こういう者に仕事を行わせる必要のあるような、そういう分野が増加をしてきておる。また、一般の従業員とは異なるような労務管理、雇用管理を必要とする業務、あるいはまた、特別の教育訓練を行わなければならないために、自社の従業員に行わせるよりも外部にゆだねた方が効率的に処理される、こういうような分野が増加をしてきておる、こういうような事情が、労働力の供給側、需要側においてそういった変化が進んでおる、こういう中でいわゆる人材派遣業的な事業が増加をしてきておる、こんなふうに見ておるわけでございます。
 この増加の現状についてでございますが、今回の法案で制度化を御提案申し上げております派遣事業そのものは、もちろん現行法体系のもとでは制度的には存在をしないわけでございますが、そういう意味におきまして、これと類似した形態で行われておるいわゆる人材派遣事業、こういったものにつきましての事業所の数、あるいは労働者の数、こういったようなものについても、そういうものの統計的な把握というものが率直に申しましてなかなか困難でございます。
 そういう意味で、あえてこうした形態の事業が比較的多く見られる業種というものにつきましてその数を挙げますと、まずビルメンテナンスにつきまして、昭和四十七年度には約二千五百事業所、従業者数が十二万五千ということでございましたが、これが十年後の五十六年度には約八千事業所、従業者数が約三十万人、こんなふうにふえておるわけでございます。また、情報処理サービス業につきましては、四十七年度に約千四百事業所、五万四千人、こういう事情でございますが、約十年後におきましては、これが約五千事業所、従業者数は約十六万人、こんな状況になっております。それからまた、事務処理サービス業というものにつきましては、今日なお明確な定義がございませんために正確な数の把握はできないわけでございますが、これまでのところ、約百八十社ないし二百社、登録スタッフで約十万ないし十二万、こんなふうに推定をされておるわけでございます。しかし、これは先ほどもお断りいたしましたように、今日いわゆる請負事業の形態をとって行われておるということでございまして、すべてが労働者派遣事業を行っているとか、あるいは派遣労働者である、こういう数字でないということについては御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 労働省が五十八年度に実施をいたしました「業務処理請負事業における派遣的労働の実態」、この調査によりまして、ビルメン業、情報処理業、事務処理業の派遣的労働者の職種について見ますと、ビルメン業では、「清掃員、ガラスふき、洗浄員」、こういったものが七四・八%。情報処理業では、「システムエンジニア、プログラマー」、こういった業務が四六・九%。「キーパンチャー」というのが二八・四%。それから「電算機オペレーター」というのが一九・七%。こういうような状況でございます。また、事務処理業では、オフィス事務員が四九・七%。「和文・英文・カナタイピスト」、これが一三%。こういったような業務が比較的高い割合を占めておるわけでございます。
 なお、この調査は、これらの業務を営む事業所のうち、派遣的労働者ということでこういった人を雇用している事業所を対象としたものでございまして、これすべてが派遣事業を行っているとか派遣労働者というわけではない点も御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 なお、今後の見通しについてでございますが、こういうような状況がふえてはおりますものの、基本的には、これまでの日本的雇用慣行というものを維持しようとする意向は労使ともに根強いというふうに見ておるわけでございますし、また、行政といたしましても、従来のこういう日本的な終身雇用慣行、こういうものとの調和を図ることを基本としていくべきものである。こういう立場に立っておるわけでございまして、今回の労働者派遣事業の運営に当たりましても、こういう観点から運営に当たる、あるいはまた、正社員の行う業務分野とか派遣労働者に行わせる業務分野、これがある程度分かれてくるということ等によりまして今後急速にこういう派遣事業が増加する、あるいはまた派遣労働者が急速に増加する、こういうことはないと、こんなふうに基本的に考えているところでございます。
#14
○浜本万三君 見通しにつきましては、若干私は所見を異にするものなんですが、それはそれとして、答弁によると需要と供給のニーズによってこういうものがふえたということなんですが、答弁の中ではしなくも告白されておりますように、特に事務処理請負業などは非常に把握しにくいというお話がございました。そういう点から言いまして、単に需要供給のニーズだけでなしに、労働省の行政の怠慢がこういう結果を生んでおるのではないか。むしろ積極的に、請負業についてあいまいにしておるから問題が出ておるんではないか。さらに厳しく言えば、職安法第四十四条の適用を厳しくやっていないからこういう問題が起きているんではないかというように私は思うわけなんであります。その例として、昭和五十三年の七月に行政管理庁が、労働者派遣事業、これは業務処理請負業ですね、これは職安法四十四条との関係で問題があるということを指摘されておるわけでございます。こういう指摘に対しまして厳しく労働省が対処しなきゃならぬと思うのでございますが、私は寡聞にして、厳しく対処されたという実績を承知していないわけであります。
 そこでお尋ねするんですが、労働省は、その後この問題についてどのような検討を行い、また、法違反に対していかに対処されたのか。例えば改善命令であるとか報告であるとか、特に立入検査なんかやられたのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
#15
○政府委員(加藤孝君) 御指摘ございましたように、五十三年の七月に行政管理庁から「民営職業紹介事業等の指導監督に関する行政監察結果に基づく勧告」というものが行われております。
 その内容は、こういういわゆる業務処理請負業について、職安法で禁止する労働者供給事業に該当する疑いのある事業所が見られる。そして、産業構造あるいは労働者の社会的地位などの変化の中で、現行の職安法及び施行規則の認定基準を一律に適用した場合、かえって実際的でないことが
懸念される。こういうような現状分析が行われた上におきまして、この業務処理請負業に係る需要の動向、事業の運営の形態、労働者の労働条件の実態を把握して、業務処理請負事業に対する指導、規制のあり方について検討する必要がある。こういうことが指摘をされておるわけでございます。
 労働省では、この勧告に対処するために、この問題を含めて広く的確な労働力の需給の調整を図るための有効なシステムあるいはその法制のあり方、こういったものについて検討をする必要がある。こういうことで、その年の十月から学識経験者から成る労働力需給システム研究会というものにおいて検討を開始をしていただく。あるいはまた、五十五年五月からは公労使の委員等から成ります労働者派遣事業問題調査会というところにおきましてそれぞれ検討をお願いしたわけでございます。さらにまた、この具体的な規制措置のあり方について検討するために、五十九年の三月に中央職業安定審議会に公労使の委員から成ります労働者派遣事業等小委員会というもので検討をお願いする。こういうような経緯を経てきておるものでございまして、この間におきましても、私どもいわゆるこういう中間搾取であるとか強制労働であるとか、こういうようなものについては当然取り締まりをやっておく必要がある。こういうことでこの間の事業所への立入検査、関係者の質問、実態把握というようなことは進めてきたところでございます。
 最近におきます取り締まりの実績を見ますと、五十五年度で六十六件、五十六年度で三十三件、五十七年度五十九件、五十八年度六十七件、五十九年六十五件、こういったような違反指導あるいは違反認定等を行ってきておるところでございます。
#16
○浜本万三君 私は、これだけ数が多くなった中で、今報告を受けました件数程度ではとてもこれは問題にならないというふうに思います。この職安法四十四条は厳然としてあるわけなんでございますから、これに基づいて厳しく対処されなかったところに問題があるのではないかと思うわけでございます。特に労働者供給事業に近い形態の請負業につきましては、職安法施行規則第四条第一項で定義をされておりまするし、現行法に基づいて厳しく労働者派遣事業を規制しておれば今日のような状態にならなかったのではないかというふうに私は考えておるわけなんでございます。
 なぜこの四十四条の規定に基づきまして厳しく対応できなかったのか、その理由をもう少し具体的に述べてもらいたいと思います。
#17
○政府委員(加藤孝君) 昭和二十二年に制定されました職業安定法では、率直に申しまして、強制労働、中間搾取というような形で戦前行われておりましたいわゆる人夫請負業、こういったものを職安法で厳しく取り締まる。こういうことを基本といたしましてこの労働者供給事業というものが禁止をされてきたわけでございます。
 しかし、今日におきましてこの職安法違反の関係の問題について見ますと、こういう強制労働とか中間搾取とかいう観点よりは、施行規則四条におきます請負というその形態のいわば違反、こういうような形での問題が多くなってきておるということでございます。労働者供給事業も、この制定当時には今日のようなこういういわゆる人材派遣業的なものは意識されていなかったというようなこともあろうと思うわけでございます。そういう意味で、施行規則四条というものの適用関係というものの中で、これが請負という形で完璧になっていないというものについての違反をどう是正していくか、こういう形の問題が中心になってきておるというのが現状でございます。
 そういうものにつきまして行政として進めてまいりましたことは、それが請負の形でぴしっと行われるようにと、こういうことで指導をしてきたということであり、また、これを直ちに違反、あるいは取り締まるというような形で根絶するというふうなことが、そうした最近の派遣事業というものが一方においては高齢者であるとかあるいはまた家庭の主婦等の職場の確保というような面でも一つの役割を果たしてきておるというような社会的な事実を考える場合に、これを反社会性の強いものとして絶対なくさなきゃならぬものかどうか、こういう問題も一方にあるわけでございます。
 そういう意味におきまして、この問題について、五十三年の行管勧告を一つの契機といたしまして、その問題の扱い方を含めましての今後のこういう需給調整システムのあり方の検討が行われてきた、こういうことでございまして、現在はおきましてももちろんこういう中間搾取であるとか強制労働であるとかいうものが明確なものについてはこれはもう厳しく取り締まる、是正させる、こういう基本的な姿勢で臨んでおることは変わらないわけでございます。
#18
○浜本万三君 今の答弁、極めて不満なんですが、これ以上質問いたしましても繰り返しになると思いますので、角度を変えてさらに質問をいたしたいと思います。
 今お話しがございましたように、昭和二十二年に職安法が制定をされまして、戦前の下請制度を排除いたしました。全部直用とするようになったわけでございます。今度は二十七年の規則の改正によって、社外工、下請が認められるようになったと私は思います。そのことによって我が国の雇用情勢が一変するような状態になったのではないかと思うわけです。つまり二十七年の規則改正というものは、日本の雇用制度に極めて重要な影響を与えたと私は思うわけでございます。この点は衆議院の審議の段階におきましても、我が党の多賀谷議員が指摘をいたしまして明らかになったところでございます。
 したがって、私はここで質問をいたしたいのは、この規則の改正の背景、それから内容、通達の解釈問題について簡潔にひとつ、大体局長は答弁が長いですから、簡潔にひとつ説明をしてもらいたいと思います。
 それからまた、二十七年の規則改正当時、この私の方で調べました「労働者派遣事業問題をめぐる経過」という中に、一九五二年七月二十三日、職発五〇二号、これは職業安定局長通知ということで福岡県労働部長に回答されたものでございますが、この回答の内容は、「「機械、資材等が註文主から借入れ又は購入されたものであっても」ょい、」。つまり、これは偽装的請負契約を容認するようなそういう文書が出されておる。したがって、この当時から日本の雇用関係に重要な影響を与え、特に労働者派遣事業を生む要因になったのではないかというように私は思っておる次第でございます。すなわち、業務処理請負業という形での労働者派遣事業が増加してきたわけでございます。そこで、法律規制と実態との関係もここで明らかにしてもらいたいと思います。
 なお、この際、請負事業の規定を再検討いたしまして、より厳格なものに改める必要があるのではないかと思いますが、その具体的措置につきましてもあわせて御回答をいただきたいと思います。
#19
○政府委員(加藤孝君) この労働者供給事業につきまして施行規則が定められ、その施行規則におきましては、請負の形式をとりながら実態においては実質上労働者供給事業に当たるというものを禁止する観点から、請負事業としての要件を定めたものでございます。この間におきまして、労働者供給事業違反については、当時駐留軍等の大変強力な指示もあり、急速な変化、急速な人夫供給業的なものの違反是正、こういったものを進めてきたわけでございますが、二十七年までの間にその規制の効果が相当に上がりまして、親事業者も下請事業者もその業態の整備が進んできた。そうして、この施行規則四条というものが、企業運営の実情に必ずしも適合しない、こういうような事態も見られるに至った。こういう経緯を踏まえまして二十七年の二月に、この施行規則四条の運用を企業運営の実情に適合し、もちろんまたそういう中間搾取とか強制労働といったものの排除というものとの合理的な調整を図る、こういう観点か
ら、二十七年当時の企業運営におきまして専門的な経験を重視する実態というものを踏まえて、こういう専門的な経験を持って行われる作業であるならば、労働者供給事業として禁止すべき弊害も考えられないということを考慮いたしましてこの改正が行われた。具体的には、従来、専門的な企画、技術、こういうふうにされておりましたものを、「企画若しくは専門的な技術若しくは専門的な経験」、こういうふうに改められたものでございます。この賃貸借契約の関係につきましては、これは、請負をする者がみずからの所有する機材、こういうことにつきまして、それが賃貸借契約によって使用するものであるならば差し支えない、こういうようなことでの解釈が出た、こういうことでございます。
 今後におきます請負についての再検討の問題でございますが、基本的に施行規則四条というものは私ども堅持すべきものである、こういうことでおるわけでございますが、さらにこの派遣法の施行との関連で、派遣事業と請負というものについてのさらに明確な基準というものは当然設けていかなければならないであろう、あるいはまたこの施行規則四条、当時におきましては主として製造業というものを頭に置いての規定でございますが、今後はサービス業といるものについてもさらに請負の関係の規定を明確化する、こういうような作業が必要であろう、こう考えておるところでございまして、これらにつきましては職安審議会におきましても、施行までの間にそれらを審議会において十分いろいろ実態調査等も踏まえながら規定の明確化を図っていく、こういうことで審議会からの答申もいただいておる、こういうことでございます。
#20
○浜本万三君 今の請負と派遣事業の関係につきましては、後でまた資料を示しまして見解を承るわけでございますが、次の質問をいたしたいと思います。
 労働者派遣事業の出現によりまして、現在職業紹介事業、それから供給事業、請負事業に加えまして今度は派遣事業が実体として存在をし、機能することになっております。この区分は一層複雑でかつ難解なものになろうとしておるわけでございます。
 したがって、私はここで的確に承っておきたいのは、それぞれの区分を明確に具体的に説明をしてもらいたいと思います。
#21
○政府委員(加藤孝君) この職業紹介事業、労働者供給事業、請負事業、派遣事業、こういったものにつきましての私どもの基本的な考え方、あるいはまた法律上の定義というようなことで申し上げてみますと、まず、職業紹介は、紹介所が求人及び求職の申し込みを受けて求人者と求職者との雇用関係の成立をあっせんするということであり、紹介所と求人者あるいは紹介所と求職者との間には、そういう雇用関係とかいうものは一切なく、紹介以外には特段の関係は存在をしない、こういうものでございます。
 次に、労働者供給、これは労働者供給を行う者が、自分の支配従属下にあります労働者を、供給契約に基づきまして他人に提供し使用させるということであり、労働者供給を受ける者と労働者との間に指揮命令関係なり、あるいは雇用関係が生じるという性格のものでございます。
 それから請負は、これは請負の発注者と請負業者が請負契約を結びまして、請負業者がその雇用する労働者を使用いたしまして作業の完成に当たるということであり、この発注者と労働者との間には何の関係も生じないというのが請負でございます。
 労働者派遣、これは派遣元事業主が雇用する労働者を労働者派遣契約に基づいて派遣先に派遣をする、そして派遣先の指揮命令のもとに労働に従事させる、こういうことで定義をいたしておるわけでございまして、この派遣先と派遣労働者との間には指揮命令関係が生じる。
 こういうそれぞれ四つの関係についての私どもの法律上の定義なり考え方でございます。
#22
○浜本万三君 一応の区分はわかるのですが、私が問題にしたいのは、もともと問題でありますところの請負と派遣事業との関係なんであります。したがって、この判断基準をもう少し明らかにしてもらいたいと思うわけでございます。これは今までの審議の過程から申しますと、政省令で決まる、こういうことになっておるわけでございます。例えば、労働者をみずからの指揮命令のもとに業務に従事させるものであることとか、業務の遂行に関し事業主としての責務を負うものであることとか、非常に抽象的な表現でまとめられておるわけでございます。これではなかなかわかりにくいと思いますので、具体的に示してもらいたいと思います。
 特に、この点につきましては審議会に諮ってということでございますが、少なくとも、この重要な法案を今国会で審議をしておる最中でございます。しかもこの法案の命脈とも言われるような中身でございますので、私は国会の場にその内容をさらしまして、十分検討をする必要があると思うわけでございます。
 さらにまた、区分の困難なサービス業につきましても、請負か派遣かの認定基準をそれぞれの業務について明らかにしていかなければならないと思いますが、この点についてのお答えをいただきたいと思います。
#23
○政府委員(加藤孝君) こういう請負か派遣かということが、今後の派遣法の適正な実施という面で大変重要な判断であるということは御指摘のとおりでございまして、この点につきましては、先ほども申し上げましたように、この後審議会におきましていろいろ具体的な実態把握というようなもの等を通じまして的確な判断基準を設けていくという、審議会の答申でもそういう考え方でおるわけでございます。
 これまでの審議会のそういう論議の中で、一応私どもが考えております考え方を一つ申し上げておるわけでございますが、まず労働者を指揮命令して業務に従事させるものであるか否かということにつきまして、例えば労働者の具体的な業務内客についての個別的な指示を行っているかどうか、また、出勤退勤などの労働時間の管理を行っているかどうか、あるいはまた、派遣先の派遣労働者と自社の労働者が混在をしておるかどうか、そして、共同で業務遂行を行っておるというような実情にあるかどうか、こういうようなことが一つの重要な判断基準であろう。また、業務の遂行に関して事業主としての責任を負うものであるかどうか、こういう関係につきましては、その業務の遂行が当該事業主の持つ能力、資格に基づいて行われるものであるかどうか、あるいはまた、業務の遂行のために必要な経費について、その事業主がみずからの責任で調達をし、支弁するものであるかどうか、こういったような事情を一つ中心に据えながら、その他いろいろ細部についての事情も加えて総合的に判断をしていく、こういうような一つの考え方を示しております。
 いずれにいたしましても、今後さらに基準についての調査を深める中で、適切なこういう基準、明確な認定基準というものを作成していかなければならないというふうに考えておるわけであり、また、その際にはサービス業などの実情も踏まえました形にしていきたいと考えておるわけでございます。これは、特にサービス業とか、何業別、こういうことではなくて、やはりサービス業等の実情も踏まえて、やはり一般基準というような形での基準を作成していくということで考えておりまして、具体的に業種別の基準というものを作成するというところまでは現在考えていないところでございます。
#24
○浜本万三君 今答弁をいただきました考え方、私がいただいておる参考資料の中で、「請負等と労働者派遣事業の区分について(メモ)」というやつでございますが、これはいつから天下にさらしておられるわけですか。いつごろ発表されておるわけですか。ひとつそれだけ聞きます。
#25
○政府委員(野見山眞之君) この資料につきましては、中央職業安定審議会におきまして、労働者派遣事業の制度化に関する法的措置についての考
え方につきまして小委員会で検討された際に、その補足的なメモといたしまして、とりあえずの労働省の考え方について小委員会に提出して御検討をいただいたものでございます。
#26
○浜本万三君 そうしますと、二月五日付の中央職業安定審議会労働者派遣事業等小委員会の報告を出すまでの審議の過程でこれはお出しになったということですね。
#27
○政府委員(野見山眞之君) 御指摘のとおりでございます。
#28
○浜本万三君 この文書を見ましても、要するに請負の範囲を非常に拡大をする、つまり規則四条の規制というものを緩める方向でこれもお出しになっておるわけですよ。
 だから、いずれにしましても労働省は常に不安定雇用を生み出すような、そういう文書をもって答申を受けられておる形跡があるんですが、その点どうですか。
#29
○政府委員(加藤孝君) 先生のそういう御指摘ではございますが、このメモの「基本的考え方」でも申し上げておりますように、今後、「製造業や建設業等について請負契約の形式により行われるものだけを対象とするものではなく、サービス産業等におけるものも念頭においてこれを定める必要があるものと考える。その場合、現行の請負の範囲が変更されるものでないことはいうまでもない。」、こういうことで、現行の請負の範囲を変更するということは私どもも考えておりません。
#30
○浜本万三君 ぜひそういう決意で進めていただきたいと思います。そうしませんと、もう全然ざる法になってしまう危険性があるわけでございます。
 次は、今お話しの政省令によって各種の契約関係の区分基準が決められましても、実際に複雑な形態で存在する事業について、果たして十分な監督指導ができるのかという疑問が強く生まれるわけでございます。したがいまして、本法の適用についていかなる措置がとられようとしておるのか、この点につきましてもお尋ねをいたしたいと思います。
#31
○政府委員(加藤孝君) この法律が制定されました後におきましては、先般の衆議院での附帯決議も踏まえまして、この派遣労働者の雇用の安定が本当に図られるように、適切な就業条件を確保していくように、そしてまた、我が国の雇用慣行との調和が保たれるように、そういうような観点での運用が基本的に重要であると考えておるわけでございます。そのためには、ただいま先生も御指摘ございましたように、やはりこういう派遣事業と請負、それからまた労働者供給事業と請負、こういったようなものの区分の認定基準というものが実際にさらに行政実務の面でも明確化されるように、そしてこれが有効に機能するように定めていく、明らかにしていくということがやはり一つ基本的に大事であろう、こう思うわけでございます。
 そしてまた、その上におきまして、関係者に対する制度の周知徹底、あるいはまた許可、届け出制度の適切な運用、あるいはまた、法律違反事業主に対する指導監督の徹底ということが大事であると考えておるわけでございまして、そのために当然職業安定行政としての行政体制の整備、またそのための増員あるいは内部のいろいろ監督体制の整備を図るのはもちろん大事なことでございますが、それに加えまして、安定機関と労働基準監督機関との連携体制の確保というものが一つ非常に大切である。そういう意味で、これについての常設的なそういう連携体制をつくっていきたい、こんなふうに考えております。さらにまた、これの本当に適正な実施のためには、広く民間の協力体制の整備ということも必要である、こう考えておるわけでございます。
 また、民間の協力体制の整備のためには、例えば労使による協力員制度というようなものの発足であるとか、あるいはまた、業界の自主的なコントロールシステムというものの体制づくりというようなものを勧奨していくとかというようなことなどもあわせてやっていくことが大切である、こんなふうに考えておるところでございます。
#32
○浜本万三君 次は、政省令にかかわる一つなんですが、対象業務の範囲についてお尋ねをいたしたいと思います。
 対象業務につきまして、労働者派遣事業問題調査会の報告では四業種に限定されておったわけでございますが、中央職安審小委員会報告では十四業務が挙げられております。これは試案として添付されておるようでございますが、これは現存する業務のほとんどがもう網羅されておるというふうに言う人もおるわけでございますが、この点そうなのか。また、今後無定限に拡大をしていくのではないか、こういう心配の向きがあるようでございますので、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
   〔委員長退席、理事関口恵造君着席〕
#33
○政府委員(加藤孝君) 業種指定方式につきましては、この審議会の前に行われました、昭和五十五年から行われました労働者派遣事業問題調査会という検討の過程でこの四業種は限定して議論してはどうか、こういうような意見等がございまして、これを踏まえまして、ビルメンテナンス業、警備業、情報サービス業、事務処理サービス業、こういったものに代表される分野について何らかの新しい対応が必要ということで議論を続けていただいたものでございます。ただ、この調査会の報告書におきましても、最終的には事務処理サービス業とか情報サービス業、ビルメンテナンス、警備に代表される分野での業務に限定することが適当と、こういう考え方が述べられてあるわけでございまして、今度の業務指定の考え方もそういうものを頭に置きながらの業務指定の考え方によって整理をされたというふうに基本的に理解をいたしております。
 こういう十四業務の例示は、これはこの小委員会におきまして関係業界からのヒヤリングをずっといたしてまいりました。そして、そういうヒヤリングの中から業務指定の基準に合致していると思われる業務のうちから、当面対象業務として検討の対象となり得る、こういうことで公労使の意見の一致を見た十四業務についての例示がされたものでございます。今後、そういう経緯を受けましてこういう十四業務というものが中心に調査が行われ、そしてまた関係労使のヒヤリング等が行われ、広く関係者の意見を聞いて職安審の審議を経て決める、こういうことで考えておるわけでございまして、こういう社会的な合意が得られた業務に限って認めていく。そしてまた、今後仮にいろいろな社会的ニーズの変化に伴って見直しが必要だ、こういう場合につきましても、当然基本的に、これが終身雇用制を崩すような広がり、形になってはならないということを基本に置きながら慎重に行っていくべきものである、こんなふうに考えておるわけでございます。
#34
○浜本万三君 ちょっと資料についてお尋ねするんですが、五十九年二月付で出されておる労働者派遣事業問題調査会の報告書で書かれておる「対象分野の限定」ということと、それから五十九年十一月に出されておる中職審の派遣事業等小委員会報告で書かれておる「対象分野」というのは、精神は変わっておりませんか。
#35
○政府委員(加藤孝君) 先ほども御説明いたしましたように、そういう精神は全く変わっていない、具体的な展開の仕方において、そういう業種で申し上げてもなかなかはっきりしない、むしろ業務という形でそれを明確にした方が明らかになる、こういうことで、それを業務的に展開をしているというのが基本的な考え方であり、そのほかにそういう小委員会の場におきましてヒヤリングをいたしました中で新たに若干加わったものがある、こういう仕組みのものでございます。
#36
○浜本万三君 僕が読み取ると、大いに変わっておるんですよ。
 例えば、二月のこの調査会報告書で非常に重要な点が書かれておるのは、どういうことがあるかというと、つまり「対象分野の限定」の(1)のところで、
 B 労働者派遣事業の対象としても、事業活動
の状況からみて、後述の規制を加えることにより、労働者の保護と雇用の安定を図ることができ、また、職業安定法がその排除を目指した強制労働、中間搾取といった弊害が生じるおそれがない分野であること。
という、これは非常に我々にとって重要なことが書かれておる。ところが、五十九年十一月に出された小委員会の報告書によると、それに相当するところを読んでみますと、「対象分野」として、
 (1) 労働者派遣事業を制度化するに当たっては、労働者派遣事業が有する需給調整機能を有効に発揮させるようにするとともに、派遣される労働者の保護を図るという観点だけではなく、労働者全体の雇用の安定と労働条件の維持、向上が損なわれることのないよう配慮する必要がある。このため、新規学卒者を常用雇用として雇い入れ、企業内でキャリア形成を図りつつ、昇進、昇格させるという我が国の雇用慣行との調和を図る必要がある。また、業務の特性に対応して講ぜられる特別の雇用対策との関係についても考慮する必要がある。
 (2) このような観点から、労働者派遣事業を行い得る業務の範囲、すなわち、対象業務については業務の専門性、雇用管理の特殊性等を考慮して、次の考え方により限定することが適当である。
という文章になっておる。
 つまり、私が非常に重要に考える中間搾取であるとか強制労働ということが落ちておるんですよ。だからこそ十四業務にして何でもできるようなそういう対象にしようとしているのではありませんか。これは非常に重要なことなんです。どうですか。
#37
○政府委員(加藤孝君) この調査会におきましての、今先生御指摘ございましたような「安定法がその排除を目指した強制労働、中間搾取といった弊害が生ずるおそれがない分野であること。」ということは、これはいわばこの派遣法においての一つの根底になる哲学というふうに申し上げてもいいものだと思うわけでございます。そのゆえに、この派遣法の冒頭におきましても、そういう職安法の精神の遵守を申しておる、こういうことであるわけでございます。
 そういう意味におきまして、今後この小委員会報告という形で述べられておりますことも、そうした基本的な考え方というものをいわば具体的に展開をしておる、あるいはまた、需給システムの観点からそういったものの説明をずっと述べておる、こういうことでございまして、そういう意味では、この基本精神は当然小委員会報告にもそれの具体化の形で貫かれておる。また、法律におきましても、職業安定法の第四十四条におきましてこういう具体的な問題のあるものについては特に排除もいたしておる、こういうことでございます。
#38
○浜本万三君 今の答弁の中で確認をするんですが、私どもが心配をしておるところの中間搾取の排除、強制労働の排除ということは法の基本的な精神である、それは報告書には書いていないけれども、法案の根幹として生きておるんだ、こういうふうに理解してよろしいかどうか。
 もう一つは、十四業務というふうに言われておるが、衆議院の答弁におきましては、これがふえることもあるし減ることもある、こういうなまはんかな答弁をされておるわけなんでございますが、私どもはできるだけこの範囲を限定したいという考え方を持っておるわけです。それは局長の答弁でも、そういう意思が、私は読み取れておるわけなんです。だから、十四業務の範囲内で業務は限定したいと思うと、そういう答弁をきちっとしてもらいたいと思うんですよ。それは三年後には見直すという規定もあるのだから、そのときに問題があれば見直せばいいのであって、今あやふやな答弁をされるからますます世間に疑惑を持たれるわけなんです。
 二つの点についてはっきりと答弁してもらいたいと思うんです。
#39
○政府委員(加藤孝君) 例えばこの小委員会の報告書の冒頭におきましても、労働者供給事業禁止の規定の「歴史的意義やその果してきた役割には極めて大きなものがあり、今後ともその立法精神を堅持していく必要がある。」と、こういうことであり、それを受けまして、今度御提案しております法案の第一条におきましても、職業安定法と相まって労働力の需給の適正化を図るということで職業安定法の精神を述べておるわけでございます。そして今後私どももこの十四業務の関係の問題につきましては、何度も申し上げておりますように、日本の終身雇用制というものを壊すような形でこれが普及をしていく、広がっていくということがあってはならない、こういう基本的な考え方のもとに、これを限定してやっていくべきだという基本的な考え方であり、法律の構造もそうなっておるわけでございます。
 十四業務のことにつきましては、これは、今後実際にこれを適用対象にしていく業務かどうか、こういうことについては、さらに法施行までの間に突っ込んだ実態調査を行い、そして関係者の合意あるいはまた審議会での審議というようなものを経ながら決めていく、こういう意味におきまして私どもこの十四業務を中心としてということを申しておるわけでございまして、これは審議の、調査をいろいろいたします過程におきまして適当でないということがあれば、十四業務から落ちていくものも当然あるでございましょう。それからまた、現実に調査の過程におきまして、労使とも異議なく、これは問題がない。そしてまた、これが今後終身雇用制を壊すような形で作用するものではない。さらに言えば、こういう強制労働、中間搾取のおそれはないというような要件が整っておるというものがあれば、これを全く否定するということを今申し上げるところまではいっていない。そういう意味において、私ども主として十四業務、そして限定的にいきますということを申し上げておるわけでございまして、これは本当にこれからこういう十四業務中心にぎりぎり実態調査をしていった後のいわば判断として出てくる問題でございますので、ここを十四で限るとか、十四だとか、限定的に申し上げかねておる。そこを御理解を賜りたいと思うわけでございます。
#40
○浜本万三君 局長流の答弁でようわからぬことが多いんですけれども、とにかく僕は、やはり範囲は限定すべきである。できるだけその線を限定すべきであるという意見を持っておるわけでございます。
 それからもう一つ言えば、労働者派遣事業、認める範囲を業種でなく「業務」に変えたということは、結局広い分野で派遣事業を認めていこうということになるので、私はもう基本的に問題だというふうに思っておるわけでございます。
 そこで、法第四条一項の問題についてお尋ねするんですが、これは具体的にどういうふうになるんでしょうか。これは政省令に関する点も含めて説明していただきいたと思います。
#41
○政府委員(加藤孝君) この第一号の「専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務」というのは、その業務を迅速かつ的確に処理するためには、単純労働者ではなくて、専門的な知識、技術、または経験を有する労働者で行われることが一般的に必要とされておる業務というものを言っておるわけでございます。この場合におきます専門性というものについて一律に論ずるというのはなかなか難しいことでございますが、やはり個々の業務ごとに事情を異にはいたしますが、少なくともいわゆる単純労働者というものでできる、これはもう当然これには該当しない、こういうことになると考えます。
 それからまた第二号の、就業形態、雇用形態などの特殊性によって特別の雇用管理を必要とする業務といいますのについては、こういう就業形態あるいは雇用形態が特殊であることによりまして特別の雇用管理が一般的に必要とされる業務というふうに考えております。この場合、例えば就業形態について申し上げれば、この就業場所、就業時間、こういったものが特殊である、あるいはま
た、雇用形態というものの特殊性ということでは、労働者の雇用に関する形態の特殊性というようなことであろうと考えます。こうした特殊性について、例えば就業形態については、屋外での就業が一般的であるとか、あるいは夜間における就業が一般的であるとか、あるいは雇用形態については、短時間雇用や断続的な雇用が一般的であると、こういうようなことがこれに該当するのではないかと考えております。それからまた、特別の雇用管理といいますのは、我が国に行われております一般的な雇用管理、すなわち新規学卒者を雇い入れまして企業内においてキャリア形成を図りながら昇進、昇格をさせる、こういう雇用管理、これと異なったタイプの雇用管理というものが考えられるわけでございます。
 いずれにいたしましても、こうした基準に該当するかどうかということは、やはり具体的には個個の業務ごとに判断していくということになるわけでございますが、その際には、これらの業務につきましての実情を十分踏まえ、広く関係者の意見を聞いて、審議会の意見に基づいて定めると、こういうことになるわけでございます。
 それで、こういう対象業務の限定をすることにいたしておりますのは、何度も申し上げておるわけですが、派遣先の常用労働者の代替促進を防止していくということが一つ重要な観点でございます。そのために、業種に着目するよりもどういう業務を限定していくかということにしていった方が適切である、こういうことで業務に着目した規定の仕方をいたしておるわけでございます。
#42
○浜本万三君 全くようわからぬのですよ。それで二、三例を挙げて質問するものですが、まず一つは、この前、参考人の意見を伺ったときにも出たことなんですが、粉じん作業は派遣事業の対象業務となるんでしょうか。
 それから、時間がないので続いて聞きますと、製造業の直接生産工程に従事する業務については、派遣事業の対象となるのでしょうか。
 三番目は、男女雇用均等法が成立したことによりまして、専門的な知識、技術等を持った女子は派遣労働者として深夜の業に従事させることが可能となるのでしょうか。
 以上三つ、具体的にお答えいただきたいと思います。
#43
○政府委員(加藤孝君) 粉じんが発散する場所における作業というものが、これが一つの可能性としてはないわけではない。例えばコンピューターの作業をそういう粉じんの発生する場所において行うというようなこともあり得ないわけではないので、このじん肺法の規定を念のためかぶせておる、こういうことでございます。
 また、製造業の直接生産工程に従事する業務につきましては、審議会の小委員会報告におきましても、あるいはまた衆議院の附帯決議においても、対象としないことが盛り込まれておるわけでございまして、当然労働省としてもこれを対象とすることは適当でないと考えております。
 また、今度の男女雇用機会均等法におきましての規定の中で、専門的な知識もしくは技術を必要とする業務に従事する者で一定のものについては、深夜業の規制を適用除外するということにいたしておりますが、これらのものの具体的な範囲につきましては、今後審議会に諮った上で省令で定める、こういうことになっておるわけでございまして、こうした業務に従事する労働者に、派遣労働者であるかどうかにかかわらず、深夜業に従事させることが可能となるというものも入ってくる、こういうことでございます。
#44
○浜本万三君 答弁の訂正はありませんか。――いいですか。
 いずれにしましても、対象業務の決定に当たりましては、我が国の雇用慣行との調和に留意をして、常用雇用労働者の代替を促すことがないようにすべきであると思います。これは法の精神にもそういうことも書いてありますが。しかし実際には、派遣事業の認可拡大によって相当の影響を与えていくものと私は思うわけでございます。
 この点についての労働省の見解を承っておきたいと思います。
#45
○国務大臣(山口敏夫君) やはり我が国の雇用システムというものは、終身雇用、常用雇用というものが伝統的に労使双方から支持されているわけでございますし、それが今日失業率を低く抑え、この厳しい経済社会の中におきましても一応の安定的な経済的な運営を維持しておる、こういうことでもございまして、先ほど来加藤局長からも御答弁申し上げましたけれども、常用雇用労働者の代替促進という弊害を防ぐ、対象業務については厳格な限定措置を講ずる、こういうことにつきましては強い決意で臨みたいと考えております。
#46
○浜本万三君 大臣から力強い御答弁をいただいたのですが、もう一つ具体的に積極的な回答をいただきたいんですが、派遣先における派遣労働者の受け入れについて、派遣先における常用雇用の代用の規制をするため、受け入れ理由の制限、特に恒常的に存在する業務については原則として六カ月以上派遣労働者を受け入れてはならないとする等の規制措置を講ずるわけにはいきませんでしょうか。フランス等も相当厳しい規制をされておるようでございますので、せっかく大臣がああいう前向きの答弁をされたんですから、こういう点についても御確約をいただきたいと思います。
#47
○政府委員(加藤孝君) 今御指摘の問題につきましては、職安審の小委員会等におきましてもいろいろ論議のあったところでございますが、こうしたものが小委員会報告において述べられていないのは、結局、受け入れ理由の制限というものをやりましても、受け入れ理由が業務の性格などによってさまざまである、あるいは一律の受け入れ理由を設定するというのがなかなか難しいということ、あるいはまた、個々の受け入れにつきまして、その受け入れ理由をチェックするということがなかなか行政的には非常に困難でございまして、制度の実効確保が期待しにくい、こういう問題が一つあるわけでございます。
 それからまた、派遣の受け入れ期間の制限につきましては、受け入れる必要のある期間というのは、業務の性格によりまして短いのもあればまた長いのもあるということで、いろいろ調査いたしました中でもさまざまでございまして、一律の規制というものが業務の的確な処理の面でも問題が多い。あるいはまた、この一定期間を限るということが派遣労働者の雇用の安定の面で一方は問題が出てくるということ、それからまた、諸外国の制度の例を見ましても、結局また代替要員が、かわりの派遣労働者が入る、こういうような形で、なかなか制度の実効確保という面が難しい。こういうようなことで、審議会においても論議の結果報告書に盛られなかった、こういう経緯のある問題でございまして、いろいろ御指摘の趣旨はよくわかるわけでございますが、要は、この法案におきましてはそういう制度での措置ではなくて、こういう常用雇用の代替を促すことのないようなことを配慮しながらの対象業務の限定、そして運用に当たっての雇用慣行の考慮、こういう形でこのあたりの規定を設けていくことが実態に即していることであると、こういうような形でこの仕組みをつくり上げておるものでございます。
 諸外国の例で今御指摘のようなのがあるのは承知をいたしておりますが、日本の現状、事情からいたしますと、御提案申し上げておるような形で規制をしていくのが最も実態に即するものであろうと、こういうふうに考えておるところでございます。
#48
○浜本万三君 次は、労働者派遣事業と労働者派遣についてお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、派遣事業の形態でございますが、これは労働者派遣事業には一般と特定という二つの事業形態がございます。また、一般の企業も派遣事業を行うことができますが、業として行うものでなければ届け出は不要なんでございましょうか。そういう点、ちょっとお尋ねしたいと思います。
#49
○政府委員(加藤孝君) 現在、現行法におきましても、業として行うものでなければ職業紹介についても、あるいはまた労働者供給についても、あるいはまたいわゆる出向というようなものについ
ても、特にそういう許可とか届出というものを要しないわけでございます。そういう法制との関係もあり、また、実態的な必要性の面からも、業として行うものでなければこの労働者派遣につきましても、特にそういう許可とか届け出という規定は置いておりません。
#50
○浜本万三君 次は、俗に言う常用雇用型というのがございますね。これも私は届け出制を許可制とすべきではないかと思います。また、許可の期間も二年程度としてはどうかという意見を持っておるわけです。
 その理由と申しますのは、現行職安法では有料職業紹介事業も、無料職業紹介事業も、労働組合による労働者供給事業も、すべて労働大臣の許可が必要とされておるわけであります。弊害除去の実効を確保するためには許可制とすることが望ましいのではないかという考え方でございます。また、現行職安法では、有料職業紹介事業の許可の有効期間は一年、無料の場合でも二年とされておるわけでございます。労働者派遣事業についても、許可の有効期間は、少なくとも、その更新制を採用した上で二年以内とするのが妥当ではないかと、かように思うんですが、いかがでしょうか。
#51
○政府委員(加藤孝君) 今回この派遣事業を制度化する趣旨は、労働力の需給調整機能を発揮させて円滑な労働力の需給結合を促進させると、こういうことでございますが、この場合、常用雇用労働者のみで行う労働者派遣事業というものにつきましては、既に安定した雇用機会というものは確保されておる。問題は、派遣形態で就業していることに伴う必要な規制が履行されているかどうかということを行政的に担保していくと、こういうことが必要であり、また、それで足りると、こういう観点から届け出にしておるということでございまして、民営職業紹介事業、あるいはまた労働者供給事業というものにつきましては、その労働者については雇用の安定というものはいまだ確保されていない。それが的確な紹介をすることによって雇用の安定というものが確保されていくという関係にあるわけでございまして、そういうことが可能な体制をとっておるかどうか、こういうことのやはり審査というものが必要であり、そういう意味での雇用の安定性というものとの違いから、特にこの許可制、届け出制の区分をいたしておるわけでございます。
 それからまた、許可の期間というものについてのお話でございますが、この点につきましては、行政の適切なチェックの必要性、制度の適正な運営の確保のための必要性、それから効率性、それから関係労働者の安定的な就業機会の確保、あるいは関係者の負担、こういったことなども考慮して定める必要があるわけでございまして、今回の改正におきまして、無料職業紹介事業についても三年ということに御提案を申し上げておる。また、労働組合の行う労働者供給事業につきましても、三年に改正することを省令で予定をしておるわけでございまして、こうした事情を勘案いたしまして三年ということにいたしておるところでございまして、この間におきましても不適正な事業運営が行われれば許可の取り消しであるとか、あるいはまた事業の廃止命令であるとかというような処分も可能でございまして、有効期間が三年であっても適正運営は確保できると、こういうふうに考えておるところでございます。
#52
○浜本万三君 次に、正社員については労働協約、または就業規則におきまして労働者派遣の対象となる旨の定めがあってもなくても、派遣労働者としようとするときは、その同意を必要とすること、という衆議院修正が行われておりますが、その趣旨は簡単にどういうことでございましょうか。
#53
○政府委員(加藤孝君) 派遣事業におきまして、派遣労働者が反復継続して派遣をされるということが通常の業務形態になるわけでございまして、派遣労働者であるかどうか、そうなるかどうかということは重要な労働条件であると、こういうことで、特に派遣元事業主に派遣労働者であることの明示、あるいはまた同意を義務づけたものでございます。
 衆議院におきましての修正は、こうした立法趣旨を踏まえまして、正社員が容易に派遣労働者化されるという懸念を払拭するために、その趣旨をさらに徹底しようと、こういうことで行われたものであると理解をしておるわけでございます。
#54
○浜本万三君 そういう御説明がございましたが、実は二十九日に参議院の社会労働委員会で意見を承りました参考人の方の御意見、その文書には、次のようなことが危惧されて記録されております。また述べられております。
 内容を申し上げますと、法案で非常に重要な点として言われておることは、
  本法案によって、正規常用労働者の派遣労働者化が野放しにされることであります。衆議院における法案三二条第二項の一部改正は残念ながらこの危険を解消しておりません。
  本法案はその略称が労働者派遣事業法から法案提出直前に労働者派遣法にかわったことが象徴しているように「労働者派遣」という法律概念を定義(法案二条一号)し、「業としない」労働者派遣は自由であるという考えに立ってつくられています。
  正規常用労働者について「業として行なうもの」でなければその労働者を派遣労働者にすることについては「業務範囲の制限」(法案第四条)も、「派遣労働者の同意の必要」(法案第三二条第二号)もなにひとつありません。衆議院審議で政府は「余剰人員の対策として行なわれるものである限りは、これは業として行なうものではございません。」と答弁しています。また新日鉄などの延一、〇〇〇名におよぶ他企業「派遣」も業としてではないだろうという趣旨の答弁をしています。こうなると現在の労使関係のもとで「終身雇用制」を信じ、入社し、結婚し、子供を作り、家を建てた正規常用労働者も又、いつでも派遣労働者にされることになる。
という心配がある。これでは労働者とその家族の人生設計に大きな狂いが生じるという趣旨のことを述べられておるわけでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。
#55
○政府委員(加藤孝君) 先ほども申し上げましたように、この派遣法案は、基本的に派遣事業というものについてのルール化というものを目指すものでございます。そういう意味におきまして、現在、職業紹介につきましてもこれが業として行われるものでなければ、あるいはまた、労働者供給につきましても業として行われているものでなければ、特別な規制はないわけでございます。そういう意味におきまして、この派遣につきましてもそれが業として行われるものでなければ、この法律についてはその点についての規制をいたしていないわけでございまして、そういう意味におきましてこの法律ができることによって自由になるとか自由にならないとか、そういう性格のものではないということを御理解賜りたいと思うわけでございます。
#56
○浜本万三君 それではさらに伺うんですが、最近の厳しい経済運営、企業経営のもとにおきまして、出向のほか労働者派遣も行われることになるだろうと思うんです。種々の事情から派遣労働者となることに不同意をした場合、不利益を受けないよう実効のある保障措置が必要ではないかと思うわけでございます。これは非常に現実的な心配があるわけでございますから、その点について御答弁をいただきたいと思います。
#57
○政府委員(加藤孝君) それがもし仮に業として行われるということであればこの法律に基づく規制を受けるわけでございますが、まさにその企業の存立をかけてこういう余剰人員のどう就労の場所を見つけるか、こういうような形で出向とか派遣とかいうような形のものが出てきました場合に、それについてはこの法律は関与していないところでございます。
   〔理事関口恵造君退席、委員長着席〕
しかし、一般論として、できる限りそういったものが労働者の理解、同意の中で行われるというこ
とが望ましいものであることはもちろんでございます。
#58
○浜本万三君 次は、兼業禁止の問題についてお尋ねします。
 この条文は、「料理店業、飲食店業、旅館業、古物商、質屋業、貸金業、両替業その他これらに類する営業を行う者は、職業紹介事業を行うことができない。」と定められています。労働者派遣法は職安法の規定、委任を受けて定められるものとされているのでありますから、同条を準用するのが当然であろうと思うわけでございます。したがって職安法第三十三条の四を労働者派遣事業についても準用することとしてはいかがかと思いますが、いかがでしょうか。
#59
○政府委員(加藤孝君) 民営職業紹介事業におきまして兼業禁止規定を設けております趣旨は、これは求人者と求職者の雇用関係の成立をあっせんするということにとどまるものでございまして、雇用主としての責任を負うものではないわけでございます。したがいまして、この紹介事業者は法律上の雇用責任というものを負わない、これに伴いまして労働基準法による強制労働の禁止であるとか足どめ防止に関する規定であるとか賠償予定の禁止、前借金相殺、強制貯金、こういったような関係の規定の適用を受けない。そういうことから強制労働などの弊害を防止するために、当時の社会情勢も踏まえつつこういう兼業禁止規定を設けられたものでございます。今度の派遣事業の場合には、これは雇用主としての責任を負うものでございまして、労働基準法による弊害防止の規定が直接これに適用されていくということで、まず基本的にそういう弊害発生の禁止措置が適用がある、こういうことでございます。
 また、この事業の許可、届け出の資格のある人につきまして、欠格条項というものを設けておりまして、禁錮等のそういう刑を受けた、こういうような方についてのいろいろ制限も設けておりますし、また、実際に許可する場合につきましての雇用管理能力、あるいは事業遂行能力、こういったようなものについてのまた審査をいたしまして、そういう的確な事業遂行能力のない者を排除する措置を講じておりますし、さらにまた、事業の適正運営のための改善命令、停止命令、許可の取り消し、こういうようなことをいたしております。さらにまた、これがいわゆる暴力団というようなことがかかわるというような懸念があるような場合におきましては、当然警察庁とも緊密な連絡をとりながら対処していかなければならないものである、こんなふうに考えておるわけでございまして、そういうような仕組みの中におきましてこの事業を適正なものに運営していく、いき得る、こういうことで、特に職業紹介事業におけるような兼業禁止規定を設けていないものでございます。
#60
○浜本万三君 次は、手数料の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 労働基準法第六条では、中間搾取を禁止しております。また、有料職業紹介事業では手数料をこれは規制をしております。一割、六カ月間ということで規制をしております。さらに、先ほど例示いたしました五十三年七月の行管庁の監察結果による業務処理請負業の手数料の問題が出ておると思うんでございますが、これはどの程度手数料を取っておるという報告がなされておるのでしょうか。これが第一点。
 また、現在労働者派遣事業の手数料はどの程度取られておるのでしょうか。
 そういう点、事実関係に照らしましてひとつ明らかにしてもらいたい、かように思います。
#61
○政府委員(加藤孝君) 五十三年七月の行管調査結果によりますと、これは業務処理請負事業十六事業所の請負収入に占める派遣労働者の賃金総額の割合、こういう形で見ておるわけでございますが、それが五〇%以上六〇%未満というのが六事業所で、この十六のうちの六、こういうことでございます。九〇%以上というものが二事業所ございます。一方、四〇%以上五〇%未満というところも五事業所ある、こういうような報告がなされております。
 それからまた、この点につきまして業務処理請負事業実態調査という形で、あくまで業務実態についての調査に協力をしていただけるところについて五十五年に労働省が実施をいたしましたところでの派遣労働者に支払った賃金の派遣事業による売上高というものに占める割合を見てみますと、七〇%から八〇%が八十二事業所、これが二三・二%ということで最も多くなっております。六〇から七〇%が七十七事業所、これが二一・八%、こうなっております。九〇%以上というのが十五事業所で四・二%。五〇%未満というのが四十九事業所ございまして一三・八%、こういう調査結果を持っております。
#62
○浜本万三君 今お示しになりました五十五年の資料、私も今見ておるわけでございますが、局長御答弁のとおりであります。ただ、これを見ますと、五〇%未満が一三・八%ということを言われました。五〇%から六〇%が一七・二%。この二つを加えますと、六〇%以下というのが約三割あるということでございます。したがって相当手数料を徴収しておるということがわかるわけでございます。
 したがって、本法案では手数料等について何らの規定もなかったわけでございますが、この点は衆議院で修正をされております。衆議院で修正された内容は簡単に言えばどういうことでございましょうか。
#63
○政府委員(加藤孝君) 衆議院におきまして標準料金というものを、許可の申請あるいは届け出という際に添付する事業計画書、それから定期的に提出をする事業報告書というものの中に、派遣元が派遣先から受け取る労働者派遣に関する標準料金を記載して提出しなければならない、こういうものでございまして、そういうことによりまして、料金問題につきまして適正な運用指導をする指針にしていく、こういう考え方のものでございます。
#64
○浜本万三君 私は、中間搾取をなくするためにも、直接的な規制、間接的な規制を積極的に実施すべきではないか、かように考えております。
 直接的な規制として考えられますのは、労働者派遣を行う場合、派遣先との契約料金それから派遣元の手数料、それから派遣労働者の賃金などについて明細に記入するような措置をとったらどうかということなんでございますが、この点いかがですか。
#65
○政府委員(加藤孝君) 派遣に際しましてのいろいろ派遣契約の内容というものをできるだけ詳細に規定をいたしまして、そして、派遣元と派遣労働者との労働条件の関係はできるだけ明らかにしていく、こういうことで今回の法案は提出をいたしておるわけでございます。しかし、それはあくまで就業条件をめぐるトラブルの発生を避ける、その関係を明確化していくと、こういうことでございまして、派遣元と派遣先との関係でどういう派遣の関係についての料金が設定されたかということについてまで法律で義務づけるということは少し無理ではないか、こんなふうに考えておるわけでございます。
#66
○浜本万三君 これは法律で決められなければ行政指導の面でできるようにしてもらいたいと思いますが、この点、後でひとつ御答弁をいただきます。
 じゃ、一歩下がって、間接的な規制として次のようなことができないかということであります。
 まずその一つは、派遣契約については当該派遣労働者が請求した場合は派遣元はこれを提示しなければならないこと。これはなぜ私がこういうことを申し上げるかというと、先般の参考人からの意見聴取のときに、参考人の先生の発言によると、情報開示の権利、つまり知る権利があるんだということを主張されておるわけでございます。そういう意味からも、第一の派遣元はこれを提示しなければならないということはできないか。
 それから第二は、少なくとも派遣料金についてはそのような法的措置を講じた上、必要な場合は労働大臣が改善命令、是正命令をなすことができ
るようにすべきではないか、こういう私は意見を持っておるわけなんですが、この点いかがでしょうか。
#67
○政府委員(加藤孝君) 現在の一般の企業というものにつきまして、賃金とそれから会社の利益というものについて、例えばそういう労使協議等の場で企業経営の内容、そして賃金との関係等、いろいろ協議され論議されている場面がございますが、これは法律でそれを強要しておるといいますか、強制しておるといいますか、そういう性格のものではないわけでございます。派遣労働者についてだけそういうものの明示を法律的に義務づけるということは、一般のそういう現在の労働法制からいいまして、派遣労働者だけ特にそういうものをやっていくということについては無理があるのではないか、こんなふうに考えております。
#68
○浜本万三君 なぜそういうことを申し上げるかというと、これはどれだけ具体的に料金の額を記載するのかわからないわけでございまして、しかも派遣労働者が閲覧できるわけでもありませんし、派遣労働者が派遣料を知ることは結局できないと思うわけであります。したがって、中間搾取の実態を明らにすることもできないと思います。それでは中間搾取の弊害を除去することもできないわけでございますので、できるだけ派遣労働者に契約の実態、手数料の実態、そういうものを知らしてあげる必要があると思うわけでございます。そのためにそういうことを申し上げておるわけです。
 また、衆議院で言われる標準賃金というのは、例えば時間給でそれぞれの職務ごとに表示をされるのか、その点について具体的にお尋ねいたしたいと思います。
#69
○政府委員(加藤孝君) 派遣元あるいは派遣先、それから派遣労働者、この三者間において就業条件というものを明確にする、そして派遣をめぐるトラブルを防止する、こういう観点から、派遣先における就業条件の定めを派遣労働者に対して明示させる措置、こういうものを講じておるわけでございまして、その他の事項についてまで提示義務を法律上負わせるということについては、難しい問題があるのではないかと考えております。
 もちろん、標準料金というものにつきまして、これは決め方については今後検討しなければなりませんが、当然業務の内容によりまして料金も異なってくるということがございますので、それは業務別に定められなければ、その点が明確にならなければならないのではないか、こういうことは考えておるところでございます。
#70
○浜本万三君 ということは、業務別に時間かあるいは一カ月かわかりませんが、要するにはっきりわかるようなそういう発表の仕方をするということですか。
#71
○政府委員(加藤孝君) これは先ほど申し上げましたように、許可申請、あるいは届け出の際、あるいは事業報告書を提出する際に提出してもらう料金表でございます。したがいまして、そういうときに提出される料金表についてはこういう内容のものをということで、今後労働省令で定めることになるわけでございますが、それが抽象的な形で提出されても、いわば有効な判断というものに使えないものでは意味がないわけでございます。
 そういう観点から、今後そういう内容については検討し、詰めていく必要があらうと、こう思います。
#72
○浜本万三君 午前の最後の質問になりますが、なぜ中間搾取の問題らしきものについて私どもは厳しく規制をしたいかと申しますと、結局、労働者の生活の改善を、あるいは福祉の増進を図る、そういう目的を達成するためには、そのことが非常に重要な事柄だと思っておるからでございます。
 既に関係機関において派遣労働者の実態が報告をされておるわけでございますが、それによりますと、花形産業と言われておる企業に勤めておる派遣労働者の賃金とか労働条件というものが余りにも悪いという報道がなされておるわけでございます。五月二十五日の中央紙の報道によりましてもそのことが指摘されておるわけです。これは時間がないので読み上げませんが、非常に中間マージンが多いという報道がなされておるわけでございます。そういうことになってまいりますと派遣労働者の保護ができないということになりますから、保護の観点から、適正な手数料及び賃金を保障するための具体的な措置を講ずることが必要ではないか、かように私は思うわけなんでございますが、その点いかがでございましょうか。
#73
○政府委員(加藤孝君) 派遣事業におきましては、派遣元が派遣労働者に対して雇用主としての責任を負っておる、そしてその賃金は派遣労働者と派遣元とで自主的に決定される、こういう仕組みのものでございまして、一方、派遣先から派遣元が受け取る料金というものは、派遣先から依頼された業務を処理するというサービスの対価でございまして、この両者が直接関係をする、こういうものではないわけでございまして、この点では請負と委任の場合というものと異なるものではない、こういうことでございます。また、派遣元は派遣労働者を自己の責任において雇用しておるということでございまして、これは他人ではないわけでございます。したがいまして、「他人の就業に介入」しているということには当たらないということで、基準法上の中間搾取の問題は当たらない、こういうふうに考えております。今後こういう労働条件という面で、しかしいろいろ問題のある企業も少なくないと、こう言われておるわけでございますが、私ども、そういったものについてのさらに事情調査等は深めながら、この事業の適正運営について指導していかなければならない、こう基本的に考えております。
 ただ、職業紹介事業において手数料というものを定めておるその理由について御理解をいただきたいわけでございますが、これはまさに求人者と求職者という、自分が雇用しているのではない、そういう間に立っていわば利益を得る、こういうものでございます。したがって、職業紹介事業の場合には、まさに「他人の就業に介入」して利益を得る、こういうことでございますので、特に法律で認められている以外はこれは当然基準法の中間搾取に当たると、こういうことでございますので、それについて法律なり省令なりに基づきまして手数料というものを規定をいたしておる、こういうことでございまして、こういう職業紹介の事業の場合の手数料とこの派遣事業の場合の関係とは異にしておるという点についての御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#74
○浜本万三君 これで、午前の部を終わります。
#75
○委員長(遠藤政夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時六分休憩
     ─────・─────
   午後一時三分開会
#76
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、村上正邦君が委員を辞任され、その補欠として松岡満寿男君が選任されました。
    ─────────────
#77
○委員長(遠藤政夫君) 休憩前に引き続き、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#78
○浜本万三君 それじゃ、午前に引き続きまして質問をいたします。
 今度は、不安定な派遣労働者の身分の確保について質問いたしたいと思います。
 まず最初は、労働者派遣は派遣先とは雇用関係がなく、したがって派遣先企業は、労働者が不要となれば派遣契約の解除もしくは打ち切りができると思います。殊に登録型派遣では、派遣打ち切
り即解雇ということになるわけであります。したがって身分が極めて不安定ということになると思います。これらについて、法案ではどのような規制が行われておりましょうか、伺いたいと思います。
 また、労働者派遣契約を解除された者等についての救済措置については、どのようなお考えでございましょうか。
#79
○政府委員(加藤孝君) 派遣契約につきまして、契約の一般原則に従いまして、契約上の債務不履行があった場合、あるいは派遣契約に特約があるような場合に限って一方から解除できる、こういうことでございまして、派遣労働者が不要と、こういうふうな理由によりまして自由に解除するということはできないと考えます。
 しかし、仮に派遣契約が解除されたという場合におきましても、本法案におきましては派遣元に対して雇用主としての責任を負わせるという仕組みをとっておるわけでございます。したがいまして、派遣労働者と派遣元事業主との間に設定された雇用関係は、派遣先のそういうことに関係なく維持される、こういうことでございまして、この雇用契約には通常の労働者と同じように労働者保護法規が適用される、また、解雇制限の法理が適用をされるということでございまして、この限りにおきまして、派遣元の雇用されている労働者、こういうことで雇用の安定は図られるという構えをとっております。また、派遣先による不当な派遣契約の解除によりまして派遣労働者の雇用の安定が害されることのないよう指導に努めていく。あるいはまた、派遣元がこういう公序良俗に反するような理由で派遣契約を解除する、こういうことのないような規制を設けておるところでございます。
 それで、派遣契約を解除された場合の救済でございますが、契約上の債務不履行あるいは派遣契約上の特約などが特にないにもかかわらず派遣先から派遣契約を一方的に解除される、こういう場合には、派遣先に対しまして損害賠償の請求が可能であると考えます。また、派遣労働者は派遣契約が解除されてもこういう派遣元事業主との間の雇用関係は影響されることなく維持される、こういうことでございまして、派遣契約の解除のみを理由として派遣労働者から派遣先へ救済を求めるということはできない。しかし、派遣元が派遣契約の解除を理由として派遣労働者を解雇しようとするときは、通常の労働者と同じく労働者保護法規、具体的には基準法の三条、二十条、それから労組法の七条、こういったものが適用されまして保護を受ける。あるいはまた、解雇制限の法理は適用されるということによりまして、派遣労働者と派遣元の間で行政的な救済、司法的な救済が可能であると考えております。
#80
○浜本万三君 そういう制度があるということはよくわかりますが、本当に労働者の身分保障をするためには、不利益な取り扱いを受けないように禁止する措置を講じる方がよろしいんじゃないかと思います。労働者として、法律違反の事実があると考える場合には監督機関に申告することができることにして、派遣元事業主及び派遣先は、労働者のその行為を理由として労働者に対して不利益な取り扱いをしてはならないというふうにすべきだと、かように思いますが、いかがでございましょうか。
#81
○政府委員(加藤孝君) 事業主がこういう労働関係法規に違反いたした事実があります場合に、労働者が、指導、監督権限を有する行政機関に対して是正改善が求め得ることはもちろんでございます。仮に、派遣法違反の事実がある場合に、こういう関係行政機関に是正改善の求めがあった、こういう場合には、速やかにその改善是正のために行政機関も努力をする、こういうことでございまして、当然その際に、そのゆえをもって派遣労働者に影響を生ずることのないように十分配慮していかなければならぬ。また、そのため関係者に対して十分周知を徹底していかなければならないものと考えております。
 それで、そういうような法に違反する事実が生じた場合には、早急に対応をするということが先決でございまして、特にこれについてあえて法律上措置するということまでは、他の一般的な法律体系との絡みにおきましても、特にそこまですることについては必要ないのではないか、こう考えております。
#82
○浜本万三君 しかも本法案におきましては、労働組合法の適用について何も規定していないわけでございますが、派遣先は団交当事者となるようにすべきだと思うわけでございます。これは使用者責任の拡大という油研工業事件の最高裁の判決の内容、あるいは各地労委での命令などの動向を否定することになるのではないかと思うわけです。したがって、そういう意味ではこの法案は欠陥があるんではないか、かように考えますが、いかがでございましょうか。
#83
○政府委員(谷口隆志君) 派遣をめぐりますいろんな就労の実態が現状非常に区々さまざまでございまして、使用者責任がどちらにあるか不明確であるというような例もまま見受けられました状況を踏まえまして、今回の派遣法案におきましては、雇用関係は派遣元事業主との間に明確にするとか、あるいは派遣元と派遣先との関係を律するとか、そういうことを通じて派遣労働者の保護を図ろうという考え方をもとにしておるわけでございまして、そういう点から考えまして、現行の労働組合法上におきます使用者というものは、労働条件の決定をめぐります当事者、すなわち雇用関係上の使用者を意味するものでありまして、労働条件の決定の当事者である雇用関係上の使用者だけが団交応諾義務を負うというふうに従来解釈されておるところでございます。
 そういうことを前提に考えまして、労働条件の決定をめぐる団体交渉は派遣元事業主と派遣労働者との間において行われる、こういうような考え方で整理をいたしてきたわけでございまして、したがいまして、そういう派遣元と派遣労働者の間で取り決められました労働条件の中で、就労の、あるいは作業の運用をどうするかとか、また、段取りをどうするかというようなことについての個個の問題、あるいは苦情等につきましては、先ほど来申し上げておりますこの派遣法案の全体の立て方の中で、そういう問題に適切に対応するために派遣先、派遣元両方にそういう責任者を置きまして、派遣に関する問題とか苦情に適切に対応するようにしようと、こういう考え方で法律の全体の立て方が組み立てられておるというふうに考えておるところでございます。
#84
○浜本万三君 先ほど私が申しましたように、かつての判例におきましても、雇用関係はなくとも使用従属にあるものは団交権がある、こういうことがはっきりいたしておるわけでございます。
 昨日も参考人として出席されました方の御意見によりますと、労働者が指揮命令権を有する使用者と団体交渉をする権利を保障することは我が国の団結法制上基本的な問題に属することであり、法案が、派遣先に派遣労働者に対する指揮命令権を付与する一方これに対応する団体交渉応諾義務を課さないというのは極めて不合理である、また、これまでの判例法理や労働委員会の命令を否定するものと言うべきである、労働者派遣法の目的が派遣労働者の保護にあるならば、派遣労働者が派遣にかかわる労働条件について派遣先に対する団体交渉権を有することを明記することは最低の要件であるというふうにも述べられておるわけでございます。
 そういう点から考えますと、当然団体交渉の応諾義務をつけるということは必要なことではないか、かように思いますが、いかがでございましょうか。
#85
○政府委員(谷口隆志君) 先ほどお答え申し上げましたように、このたびの派遣法案で考えておりますのは、従来の就労の形の中で、使用者がどちらか不明確であるとか、あるいは労働条件の決め方が不明確であるということからいろんな問題が出てくるところを、雇用関係は派遣元の方と決められるということを前提に組み立てられておるわけでございまして、そういう意味からしまして、
現行労働法上の使用者というもの、集団的労使関係における使用者というものは派遣元にあるというふうに解されるわけでございます。
 ただ、いろんな具体的な就労の形につきましての問題につきましては、当然のことながらそういう問題が起きた場合は事実関係に即して労働委員会とか裁判所で判断されることになろうかと思いますけれども、この法案で考えておりますのは、雇用関係がどちらにあるかということをはっきりさせる、そういうルールをつくりまして労働者の保護に対応しようということで考えておりますので、団交の応諾義務は派遣元に置き、その範囲内でのいろんな問題については両方に責任者を置いて対応していく、こういう考え方でつくっておるところでございます。
#86
○浜本万三君 もう一つ確かめておきたいと思いますのは、そうすると、逆に、派遣先での団体交渉権はこれは認めていないけれども、今まで労働団体が運動の上でかち取ってきた最高裁判所の判決並びに労働委員会の命令における使用者の範囲というものを拡大しておることについて否定するものではない、こういうことなんですね。
#87
○政府委員(谷口隆志君) 正確に申し上げますと、この法律におきまして雇用関係が派遣元事業主との関係においてある。したがって、いろんな労働条件は派遣元が取り決めますので、それに関する団体交渉の応諾義務は派遣元の方が応ずる形になる。これは私どもといたしましては、現行労働組合法上の使用者なりあるいは集団的労使関係での使用者というものはどういうものかということで考えた場合にそういうふうに解釈されるというふうは思っておるところでございます。
 ただ、個々具体的な問題が起きた場合の判断は、これは委員会とか裁判所が判断されることになるということでございます。
#88
○浜本万三君 今の答弁極めて不満でございますので、後でまたこれは理事会等でも詰めていただくようにお願いをいたしたいと思います。時間も経過しておりますから、次の質問に移ります。
 労働基準法等の適用に関する特例の関係についてお尋ねをいたしたいと思います。
 労働基準法等の適用をめぐる幾つかの問題点についてただすわけなんでございますが、その第一は、派遣法案は賃金の支払いに関する使用者責任を派遣先に認めていない。派遣先は現実には労働者から労務の提供を受けていながら賃金の支払い義務を負わされないとされております。これでは、もし派遣元が倒産等の事態が発生しました場合に、派遣労働者の賃金の支払い確保は極めて不十分になるのではないかと思います。そこで私の気持としては、派遣先にもその一半の責任を持たすべきではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
#89
○政府委員(寺園成章君) 先生仰せのとおり、この法案におきましては派遣労働者の雇用主は派遣元でございますし、賃金の支払い義務者は派遣元になるわけでございます。したがいまして、派遣先あるいは派遣元が倒産いたしましたいずれの場合におきましても、派遣元事業主に賃金の支払いの履行を求めることになると思います。
 ただ、それでもなお賃金の支払いが不能であるという場合におきましては、賃金の支払の確保等に関する法律によります立てかえ払い制度の対象になり得ると、そういう形で救済をいたすということになろうかと思います。
#90
○浜本万三君 次の質問に移ります。
 派遣法案では、労基法三十二条二項や三十六条については派遣元の使用者が行うことになっております。もともとこの三六協定というのは企業単位ではなく各事業場ごとに結ぶのが原則であろうと、かように思います。各労働者の派遣先は異なっておりまするし、同一の協定を結ぶことは現実的でないのではないかと思いますが、どうでしょうか。
 また、各派遣先に常時分散しておる派遣労働者の過半数を代表するものを云々してみましても、どうして決めるかは極めて困難になるのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
 この点について私どもが調査したところによれば、衆議院でもはっきりしておりますように、例えばマンパワージャパンという会社がございますが、これは御承知のように一番歴史の古い会社であります。また一番大きい会社で、従業員は八千人とも九千人とも言われておるわけでございますが、この一番古くて一番大きい企業がいまだに三六協定を締結していない、こういう実態が明らかになっておるわけでございます。そのもとは何かといえば、就業規則ができないというところにあると思うのでございます。
 そういう状態から考えますと、以上質問いたしました二つの点は極めて重要な問題だと思いますので、お答えをいただきたいと思います。
#91
○政府委員(寺園成章君) 三六協定を締結いたします単位は事業場単位ということでございますが、ここで言います事業場といいますのは、雇用主であります事業主の事業場でございます。派遣労働者について見ました場合には、派遣元事業主の事業場というのが三六協定の締結単位になるわけでございます。
 また、代表者の選任につきましては、先生御指摘のとおり、派遣労働者の場合は異なる派遣先に派遣をされておるということで、一堂に会して代表者を選出するということが困難な場合があろうかと思います。そのような場合の措置といたしましては、代表者となります候補者を選定をいたしまして投票によって選挙をする、あるいは回覧による信任を行うというような方法も考えられますし、また、派遣先ごとに代表者を選びましてその話し合いによる選任を行う、あるいは派遣先ごとに代表者を選びましてその連名によって三六協定を締結するというような方法も考えられるというふうに思っております。
 なお、マンパワージャパンにつきましての御指摘がございましたが、マンパワージャパンにつきましては、三六協定が締結されまして所轄の監督署に届け出はされております。ただ、事情を調べましたところ、手続に問題がございますので、適正な手続になるように指導をすることにいたしておるところでございます。
#92
○浜本万三君 それにしても、八年間も無協定の状態というのはおかしいんじゃないですか。ですから、きのうきょうの問題じゃないんですから、そこのところをはっきり答えてください。
#93
○政府委員(寺園成章君) マンパワージャパンにつきましては、先ほど申し上げましたように、現時点におきましては三六協定が監督署に届け出られております。ただ、代表者の選任方法について適正な手続が経られておらないという事情が判明いたしましたので、適正な三六協定が締結されるように指導をいたしたいというふうに思っておるわけでございます。
#94
○浜本万三君 とにかく今お聞きのように、一番古くて一番大きい会社、それがいまだに無協定であるということは、他の小さい企業においてをやでございます。これは判断するのに、もう極めて明確に、三六協定というものはなかなか難しいんじゃないかという事情が判明するわけでございます。つまり、結局もう有効な三六協定を結ぶことができなくなって、派遣先の言うとおり長時間の労働、残業がまかり通るのではないかと思うわけでございます。
 そうなってまいりますと、ますます日本の長時間労働に対する国際批判が強まる、貿易摩擦の理由にされる、そして全体の日本の労働者の長時間労働はいつまでたっても解決できない、こういうことになるのではないかと思いますが、このような問題を解決するためにどう対処されますか。
#95
○政府委員(寺園成章君) 派遣先の事業主が派遣元事業主に対しまして、事業活動の一環として労働時間について申し出をするということはあり得ることであろうと思うわけでございます。ただ、派遣労働者の労働時間が適正に管理されなければならないということは当然のことでございます。三六協定は監督署に届け出られることになっておりますので、届け出の際に、恒常的な長時間労働を可能とするような三六協定につきましては、現
在目安時間というものを私ども持っておりますので、それを基準に適切な指導をしてまいりたいというふうに考えております。
#96
○浜本万三君 この派遣法案では、産前産後の休暇に関する責任は派遣元が負う、こうなっております。したがって派遣先は負わなくてもよいということになるんだろうと思います。仮に、派遣に対して産休を請求いたしたとします。その場合、派遣先は派遣との労働者派遣契約を解除することが予想されるわけであります。実際上産休を取得することができなくなるおそれがあると思います。これはどうしたら実効性を確保することができるか。実効性を確保するための具体的な担保というものはどのように考えておるんですか。
#97
○政府委員(寺園成章君) 産前産後の休業中は、基準法におきまして解雇制限になっておるわけでございます。したがいまして、産前産後の休業に当たる者は派遣元事業主は解雇はできないことになろうかと思います。そういう意味で当該労働者の雇用は保障をされるということに法制的には相なろうかと思います。
 派遣契約との関係で申しますと、派遣先事業主がさらに同種の派遣労働者を必要とするというような場合には、一般的には派遣元事業主は他の労働者を派遣をするということで対応することになるのではないかというふうに思います。
#98
○浜本万三君 次は、派遣法案は、労働安全衛生法それからじん肺法の適用につきましては使用者としての責任を派遣に認めながら、基準法の災害補償に関する規定におきましては派遣先に適用を認めていないわけでございます。これはどういう理由によるものでしょうか。こういうことになりますと、災害発生時の責任をあいまいにすることにはならないでしょうか。
#99
○政府委員(寺園成章君) 災害の補償責任につきましては派遣元に負わせることにいたしておりますが、その考え方は、一つには派遣が雇用主であり、賃金支払い義務者であるということがございますし、また、派遣元事業主は、労働者の派遣先を任意に選択できる立場にあるわけでありまして、派遣先事業主と派遣者が派遣契約を締結をいたしまして、それに基づいて労働者を派遣したことについての責任があるということが一つございます。また、派遣元事業主は派遣労働者を雇用し、自己の業務命令によって派遣先の事業主において就労をさせているという関係でございますので、派遣労働者を雇用している者として、派遣先の事業所において派遣労働者の安全衛生が確保されるよう十分配慮する責任があるということも、これは法律ではっきりしておるところでございます。
 また、災害補償の内容は、性格的に見ますと稼得能力の補てんということでございますので、賃金に代替するものという性格を持っております。そういう性格からいたしまして、賃金支払い義務者である派遣元事業主に災害補償責任を負わせるということが適当であろうという考え方に基づくものでございます。
#100
○浜本万三君 次は、派遣労働者にかかわる社会保険等の適用問題についてお尋ねをいたします。
 まず第一は、派遣労働者への社会保険、労働保険の適用の促進について、労働者派遣事業問題調査会報告書の中で、「社会保険等への加入義務が派遣元事業主にあることを明らかにして、その適用を促進する必要がある。」と述べております。したがって、労働省とされまして、労働保険の適用促進についてどのような方策を講じようとされるのか。特に登録型が問題でございますから、登録型の人材派遣の場合が非常に難しいと思うのでございますが、どうされるのか。この点についてお尋ねをいたしたいと思います。
#101
○政府委員(加藤孝君) 社会保険、労働保険につきましては、それぞれの保険法において定めております要件を満たす場合に適用される、こういうことは当然でございまして、派遣労働者についてもそういう要件を満たせば適用される、こういうことについて変わりはないわけでございます。しかし、御指摘ございましたように、実態的には、特に登録型におきまして、臨時雇用的な形が中心になるという結果といたしまして適用されていない、あるいはまた適用しにくい、こういうような実態があると考えるわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、登録型の場合、法に定める要件を充足しながら適用されないということになりがちでございますが、この点についてはもちろん問題であるわけでございまして、今回の法案では、派遣元事業主に福祉の増進のための努力義務を課す、これによりまして、特に保険の適用関係については、十分この推進について努力をする必要があると考えておりますし、また、この点については、衆議院における附帯決議におきましても、そういった点についての御指摘を受けておるわけでございまして、この派遣労働者の福祉の向上を図るよう、適用関係のあるものについてこれが見落とされることのないよう、そしてまた適用があり得るような形でこの派遣契約というものをできる限りつないでいく、こういうようなことでの派遣元の雇用者としての努力を促していく、こういうような形で適用の促進を図ってまいる考えでございます。
#102
○浜本万三君 局長も答弁されましたように、非常に難しい問題があるということなんでございますが、要するに六カ月間で資格ができるとして、しかし申請をしなければこれはどうにもならないわけでございます。ところが、臨時ですからぽつぽつと就業するという場合があるんじゃないかと思いますから、そういう場合には、派遣元の使用者の方が十分つなぎの対策を行わなければ問題が出ると、かように思います。
 したがって、これは附帯決議ではだめなんでありまして、何か特例をつくるような規定をこの際考えるべきだと思いますが、これはいかがでしょうか。
#103
○政府委員(加藤孝君) 保険の適用につきましては、これはいろいろ論議もあるところでございまして、私どもも内部的にはいろいろ検討をしてみてはおるわけでございますが、派遣労働者だけについて特別の保険の新たな適用の仕組み、仕方というものを特に設けるということは非常に難しいということで、現在までのところ、そういう判断でおるところでございます。
#104
○浜本万三君 これは答弁非常に不満でございますので、さらに検討を願いたいというふうに思います。
 それから次は、行政体制の整備の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 小委員会報告を見ますと、職安での増員、専門的知識を有する職員の配置などにより、行政の指導監督を強化すべきであると、こうされております。しかし、厳しい行財政改革の中でなかなか難しい条件もあると思うんでございますが、この実現を図るためにはどうされるつもりか、お尋ねをいたしたいと思います。
 また、きょうの日経新聞にはその対策が報道されておりましたが、それらの内容についてお答えをいただきたいと思います。
#105
○政府委員(加藤孝君) この法律の適正な運用を図り、また、必要な立入検査というようなこと等も実施をしていかなければならない。あるいはまた、この周知徹底という問題が極めて重要でございます。そういう意味で、そのための行政体制の整備ということが必要であり、私どもとしては専門官の増員を初めといたしまする行政体制の整備、あるいはまた基準関係の監督機関と安定関係との連携の確保、あるいはまた民間の協力体制の整備、こういうようなことについて整備を図っていかなければならないと考えております。特にこの安定所と監督署との連携関係というものが極めて重要になってまいりますので、この両機関の間の相互通報制度というものを新たに常設的に設けるというようなことなども現在考えておるところでございます。
 なお、きょうの朝刊に出ております「”派遣監視員”千人を起用」、あるいはこういう「派遣元、派遣先事業所を監視をする”派遣Gメン”を」と、こういう記事が出ておりますが、この辺につきま
しては、現在この実効確保、あるいはまたこの法律の周知徹底という面でどう対応していくかということで、いろいろ内部で議論をしております過程のものが一応記事として出ておるということでございまして、まだ検討中の、まだ過程にある内容のものでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、職員の増員というだけでこれをやっていくというわけにはまいりませんので、特にこれは審議会等でも御提言をいただいておりますが、労使の協力員制度というものを設けて、そしてそういう民間の御協力というものも得ながらやっていく必要があるであろう、それについての具体的な仕組みというものを私どもも今後考えていかなきゃならぬ、こういうことを基本的に考えておるわけでございます。
#106
○浜本万三君 その千人のGメンの起用という新聞記事の中に、ちょっと気になることがありますから、私の所見を申し述べて局長の回答をいただきたいと思います。
 つまり、その千人をどうして調達するかということなんですが、これは、「企業の役員など民間の有識者を起用して、派遣先事業所が派遣労働者を契約通り扱っているか、無許可、無届けで派遣をしているところがないかなどを監視、問題があれば通報する体制をとる」というふうに、千人のGメンになる人の対象と役割が書いてあるんですが、これは使う者だけでやったんじゃ意味がないと思うんですよ。だから、働く仲間の中からもこういう者をたくさん選びまして、そしてそういう不正な派遣事業が行われないようにみんなが監視をする役目を果たさせていかなきゃならぬと思いますが、この点どうですか。
#107
○政府委員(加藤孝君) 御指摘のとおり、民間からの御協力をいただくという場合に、企業側といいますか使用者側だけではなくて労働組合あるいは労働者という方々の御協力も当然必要でございまして、審議会の答申におきましても労使のそういう民間の御協力、こういう仕組みを提言をされておるわけでございます。
 そういう意味で、私ども、「企業の役員」とこう書いてございますが、当然、そういう使用者側の方だけのということは毛頭考えていないわけでございます。
#108
○浜本万三君 時間が参りましたので、締めくくって私の質問を終わりたいと思います。
 本法案は、質問をしてまいりましたように、多くの重要な問題点がある、かように思います。法案が成立いたしますと重要な影響が出るんではないかということを私は危惧しておるものでございます。さきに経済同友会が発表いたしました中間労働市場の提案によりますと、「ME化による余剰人員圧力の顕在化あるいは新しい人材需要の急増という事態に対して、外部労働市場への放出、またはそこからの採用」等については新たに中間労働市場が必要であると述べております。また、労働者派遣法がその機能を果たすものだとも言われておるわけでございます。
 また、経済企画庁の「二〇〇〇年に向けての激動する労働市場」によりますと、二〇〇〇年には臨時社員への依存度が現在の六人に一人から三人に一人に激増するだろうとも言っておるわけでございます。今後企業において、必要最小限度の正社員のほか、多くの身分不安定な派遣労働者、パート、アルバイトといった労働者構成とならないだろうかということを心配しておるわけでございます。
 したがいまして、先ほどから労働省が答弁をされておりますように、我が国の労働慣行は本法の制定後でも守っていって、労働市場に大きな影響を与えないんだという御答弁でございました。もちろんそういうことは誠実に実行してもらわなければなりませんが、私はやっぱり抜本的にこの法案を改めることが必要ではないか、かように思っております。したがって、この法案の提案を引っ込められまして再提出をするようなお気持ちはあるかどうか、最後にお尋ねをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#109
○政府委員(加藤孝君) 経済同友会の提言、あるいは企画庁の報告等々ございますが、大きな方向として構造変化がいろいろ進んでいく、こういうものについては私どもも的確にこれまた対応していかなきゃならぬということで考えておるわけでございますが、しばしば御説明申し上げておりますように、この労働者派遣事業の制度化につきましては、これまでの日本の終身雇用制というものをこれが崩すことのないよう、対象業務についても厳しく限定をしていく、あるいはまた、これにつきましての許認可、届け出というような面についても適正に実施をしていく、こういうようなことで、これが我が国の雇用慣行を崩さないように運用していく、また、そういう制度にしていくということがやはり一番重要な柱であろうと思っておるわけでございます。
 そういう意味におきまして、私ども今後の大きな構造変化には的確に対応していかなきゃならぬということでございますが、少なくともこの法案がそういう日本の終身雇用慣行をこの法律によって突き崩していくということのないような制度の仕組み、そして運用の面でそういうことのないように十分留意して対応していくべきものと考えておるところでございます。
#110
○浜本万三君 委員長にお願いしますが、先ほど質問の中で問題点を大部分は指摘いたしましたので、あとは理事会の方で十分御検討いただきまして、善処ができるようにひとつお取り計らいを願いたいと思います。
#111
○中西珠子君 私はこの前の委員会でもいろいろ質問いたしましたので、引き続き質問さしていただきたいと思います。
 今の浜本議員の最後の御質問が、私が最初にお聞きしようと思ったことの質問項目であったわけですけれども、経済同友会が中間労働市場の必要性を提案しているという、そういう事実につきまして、やはりいろいろと批判がありまして、今回の派遣労働の法案はそれに呼応してできてきたものではないかという批判もあるわけでございます。今まで局長の御答弁は、そういうことは絶対なくて、常用雇用の代替というものも起きないだろうし、日本の特殊な雇用慣行である終身雇用というものはなるたけ崩さないでやっていきたいと思うと、そして、この法案の二十五条にも運用上の配慮というものがありますし、こういった条項も特に入れられているのだから、そして法案の仕組みもうまくできているつもりだから、結局そういうおそれはないという御答弁がこれまであったし今もあったばかりだと思うのでございますけれども、やっぱり派遣労働者というものがどんどんふえていきますと、派遣先の常用雇用労働者に与える影響も非常に多いし、また、派遣労働者の賃金、労働条件が、同じ派遣先の同種の経験も資格もほとんど同じぐらいの労働者の賃金よりもずっと低いという状況もあるし、また、労働条件もやはり長時間労働を強いられているという実態もあるし、また、福利厚生面でも、派遣先の常用雇用の労働者が享受していることは一切享受できないというふうな、本当にいろんな気の毒なと言っていいような実態があるわけでございます。
 外国の法制では一体これはどういうことになっているか、賃金の面でやはり派遣先の同種の労働者よりも賃金が下回ってはならない、労働条件も下回ってはならないという規制をやっている外国の法制があると思うんですけれども、そういう例を挙げていただけませんか。
#112
○政府委員(野見山眞之君) フランス、西ドイツ、ベルギー等、先進諸国において派遣事業が制度化されておりますが、その中で、今御指摘になりました点につきましての規制状況を申し上げますと、フランス、ベルギーにおきましては、派遣先における同種の労働者に支払う賃金額以上であることというような規定がございます。
 今回の派遣法案につきましてこのような規制がないことにつきましては、我が国におきましての賃金は、一般的には企業内における労使交渉で決定されるものでございまして、しかも年齢、学歴、勤続年数等がその大きな決定要素となっておりまして、欧米主要国に見られるように、社会的
に職種概念が確立してその職種ごとに統一的な賃金、通常の場合全国的な賃金というようなものが設定される仕組みには、日本の場合なっていない。また、派遣労働者が派遣先において同種の労働に従事する場合もございますけれども、その場合におきましても、派遣労働者にとっては、例えば登録労働者の場合に、自分の都合のいい時期、期間だけ自分の持っている技能を生かしてその対価を得たいという形で働いている人たちの賃金でございますし、また、派遣先の同種の労働者は、その企業におきまして入職してからの勤務年数、あるいはその間のキャリア形成を経ながら、いわゆる終身雇用という形の中で賃金が決まってくるという労働者の賃金でございますので、私どもとしては、同種の労働者が派遣先にいるということだけをもってその賃金を直接的な形で比較することが適当かどうかというようなこと等もございまして、派遣労働者の賃金規制については今回の法案では行わないということにしたような状況でございます。
#113
○中西珠子君 今賃金のお話が出ましたけれども、このごろは年功序列型賃金体系が大分崩れてきておりまして、職務給の導入とかそういった傾向が出てきているわけですね。また、例えばシステムエンジニアのような人の場合、大体経験も同じぐらい、そして資格も同じぐらいというふうな人がだんだんふえてきているんで、向こうに行ってみれば派遣先のシステムエンジニアの人は大変厚遇をされているのに、派遣されていった方の労働者は物すごく毎晩のように徹夜をさせられたり、そして賃金は非常に安いというケースが非常にあるわけですね。ですから、全然賃金の規制もやらないで、そして料金を、標準のものを事業報告書とかそれから事業計画の中に入れさせるようになったからという衆議院の修正をもってこれで足りるというふうにはちょっと考えられないわけですけれどもね。
 賃金における規制ばかりでなく、福利厚生の面でも同じように扱うということが要件として派遣元の事業主と派遣先の事業主との契約の中に入れられるというふうな法的な規制を行っている国もありますでしょう、福利厚生の面で。
#114
○政府委員(野見山眞之君) 福利厚生そのもの自体について規定をしていることについてはちょっと掌握しておりませんけれども、ただ、派遣契約等におきまして、例えばフランスの場合に、派遣の職務の特徴ですとか、必要な技能等について派遣契約で定めるとか、あるいはベルギー等におきましても、派遣先における就業時間や必要な職業的資格、派遣先の所管する労使同数委員会あるいは労使同数の小委員会の名称、番号等々を記載すること等によって派遣先における派遣労働者の就業の保護、規制をしていくというような状況かと存じます。
 また、日本におきまして、派遣労働者の業務処理請負事業の実態調査、実態把握をした場合におきまして、派遣労働者が派遣先の施設において休養室あるいはその他の福利施設を使っているかどうか、使わせることにしているかどうかといったような状況等も把握はいたしておりますけれども、一般的に、派遣先における福利施設について、食堂を使わしてもらうとか、先ほど申し上げたような福利的な面においても配慮しているケースが見られることを把握しております。
#115
○中西珠子君 配慮していないケースも見られるわけですね。派遣されて行った人は、派遣先ではお茶すら飲めない。それも筋肉労働者というふうなものではなくて、れっきとしたシステムアナリストとして働いているような女性たちからの訴えであったわけですけれども、派遣先の企業に行くとお茶すら飲めない。じゃ勝手にお茶をわかして飲んでいいかというと、それもやっぱり遠慮で、勝手にかき回してお茶をわかして飲むわけにもいかないというふうな、そういう差別が存在しているということは確かなんで、そういった面でも配慮をしていただきたい。
 この前委員会の質問でちょっと申しましたけれども、賃金の支払いの保障ですね。派遣先が料金として派遣元に払わなかったから結局派遣元の払うべき賃金は払わないというふうな場合だとか、それから破産した場合の賃金の保障ですね、そういったものをきちっと決めている外国の法制がございますでしょう、例が。
#116
○政府委員(野見山眞之君) 派遣元会社、派遣元は、賃金及び付加給付等の法律に定める手当等について、金融上の保障をしなければならないという規定が設けられております。
#117
○中西珠子君 どこですか。ちょっと聞き漏らしました。
#118
○政府委員(野見山眞之君) フランスの例でございます。
#119
○中西珠子君 これは英国にもデンマークにもありますし、もちろんフランスにもございますね。ただ、この今回提出されている法案には賃金不払いに対する保障の条項がはっきりとはないですね。その点いかがですか。
#120
○政府委員(加藤孝君) 今回のこの法案の中にそういう規定はございませんが、先ほど基準局長からもございましたように、賃金不払いの場合の確保法がございまして、それで最終的には対応するという仕組みが適用されるわけでございます。
#121
○中西珠子君 賃金支払いの確保に関する法律で必ず対応してくださいますね。これはお約束していただきたいと思います。
 それから、この法案には派遣期間の規制が全然ございませんね。これはけさも御質問の中に出てきまして、そしていろいろ御説明になったと思いますけれども、やっぱり派遣期間の定めがないということは、何年でも派遣労働者として派遣先に行くというふうなケースも考えられますし、また、派遣の理由の限定という、どういうケースだったら派遣していいという限定も全然ないわけですから、よほどうまく二十五条でも運用して、強力に常用雇用の代替をやらないということでやっていただき、また、対象業務の限定を非常に厳密にやっていただかないと、どうしても常用雇用の代替という傾向が出てきて、そしてもう最小限度の少ない常用雇用者を中核的に使って、あとは全部派遣労働者またはパートにするという傾向が出てくるということは、経済同友会の中間労働市場論を読んでいても非常に危惧されるところでありますので、やはり派遣期間の規制をある程度やるとか、それから受け入れのケースの、どうしても派遣労働者を使わなくてはならないケースというものの規制をある程度やっていただきたいと思うわけですけれども、この点はいかがですか。
#122
○政府委員(加藤孝君) この派遣期間の制限の問題、あるいはまた派遣事由の制限の問題につきましては、小委員会等におきましても論議がございましたけれども、各業務によりまして派遣の期間が短いもの、長いものいろいろあるわけでございますし、また、そういう短い期間というものを定めて、逆にこれがまた派遣労働者の雇用の不安定ということにもなりかねないという問題、さらにはまた、そういう規定を設けましても、結局企業として他の労働者をまた派遣で受け入れる、こういうようなことを禁止するというのはなかなか難しい問題等もございまして、こういう派遣期間あるいは派遣の理由につきましての制限規定は置いていないわけでございますが、基本的にこの制度が日本の終身雇用制というものを崩すことのないように対象業務を限定していく、こういうところが一つ大きく諸外国の派遣法と異っておるところでございまして、こういう対象業務の限定という形の中で、そういう日本の終身雇用制度を崩すことのないような対応をしていく、そういう方針で御提案を申し上げておるわけでございます。
   〔委員長退席、理事関口恵造君着席〕
#123
○中西珠子君 イギリス、フランス、西ドイツ、もう本当にたくさんあるんですね。デンマークもノルウェーもそうだし、ブラジルもそうですし、派遣期間の規制をやっているんですね。それから受け入れ理由を決めているところは、フランスなどの例はけさも挙がっていましたけれども、とにかく派遣労働者がうんとふえるという心配を日本じゅうの常用雇用を今やっているところの労働者の
方々は本当に心配して、終身雇用制が揺らぐのではないかということを心配されているということは事実だと思います。また、派遣労働者の保護は絶対必要ですけれども、派遣先の労働者との差が余りあり過ぎるという状況はやはり防がなければいけない。そして、中間搾取はないとおっしゃいますけれども、中間搾取というか、余りにも派遣労働者を扱う企業、一般と特定と二つに分けていらっしゃいますけれども、こういった企業が営利をむさぼることのないように、これはもう厳密に取り締まっていただきたいということでございます。
 けさも出ましたけれども、兼業の禁止がないということは、大企業が余剰労働力を何とか処理したいということで、これまでの常用雇用労働者を派遣の方に変えてしまって、そして派遣をやるということになるのではないかという心配も非常にあるわけでございますので、特定の労働者派遣事業、これは届け出制になっていますけれども、やはりこれは許可制はした方がいいのではないかと私は考えるんですけれども、いかがでしょうか。
#124
○政府委員(加藤孝君) 一般労働者派遣事業につきましては許可制にいたしておりますが、常用雇用労働者のみで派遣事業を行われる場合においては届け出制にしておるわけでございます。これは、その派遣労働者については常用雇用というものが既に図られておる、こういう前提があるわけでございますので、あとはこの労働者の派遣先での就業の仕方、秩序、そういった観点からの規制をかぶせていくということでいいのではないか。そういう意味で、こういったものにつきましては許可制ではなくて届け出で足りるということにしておるわけでございます。
 一般派遣事業の場合、あるいはまた職業紹介事業の場合、あるいはまた労働者供給事業の場合には、これは労働者の雇用の安定をまだ図られていない、これからそういう紹介、供給、あるいはまた派遣という形において雇用の安定が図られていく、こういう仕組みのものでございますので、そういうことをなし得るような能力、資格等があるかどうか、そういった観点からの審査が必要でございますので、そういう意味でこれらについては許可制をとっておると、こういう振り分けをしておるわけでございます。
 もちろん、届け出制でやるとはいいましても、その事業の運営の仕方が適正でない、この法違反になるような場合には、もちろんそういう事業の改善なり停止命令なり、そういった行政措置の根拠を置いて、それが適正に行われるような措置をとり得るような制度、仕組みにいたしておるわけでございます。
#125
○中西珠子君 雇用の安定に資するというふうなことをおっしゃいましたけれども、一般労働者派遣事業は雇用の安定に余り資することにはならないのではないかと思っているんです。派遣されるときだけ雇用契約を結んで、そして三日なり三カ月なり一年なりという派遣期間は定めがないわけですから、派遣先の需要が終わって、そしてもう仕事が要らなくなれば結局帰ってくるわけです。とにかくその派遣期間だけ雇用関係がある、雇用契約が結ばれるということで、それでその後は登録はしてあっても全然賃金も払われるわけではないし、そしてその間は別に雇用関係にあるわけじゃないから雇用が安定しているわけではないんですね。
 結局、一般の労働者派遣事業というのは許可制にして、非常に厳しくいろいろ要件を調べて、そして欠格事由なども書いてあるし、こういった法律の条項に照らして、また政令、省令なども決めて厳しくやっていくからむしろいいというこれまでの御答弁でございますけれども、どうも一般労働者派遣事業を一応許可した場合、有効期間の三年というのは私はちょっと長いと思うんですね。これは一年もしくは二年、まあまあ二年ぐらいにするというふうなことは考えられないものでしょうか。
#126
○政府委員(加藤孝君) 現在、民営の職業紹介事業につきましては、ILO条約との関係で一年ということでいたしておりますが、これにつきましても、今回の法案ではこれを更新制にしていくということにいたしておるわけでございます。また、無料職業紹介事業につきましては、これまで二年ということにいたしておりましたものを三年にする、あるいはまた労働者供給事業につきましても、許可期限が一年でございましたものを、今後の省令改正において三年にしていく、こういうようなことを予定しておるわけでございます。
 もちろん、この事業の適正な運営という観点からこういう許可の期間をもっと短くするという、おっしゃる点はよくわかるわけでございますが、一面におきまして、こういう行政の効率性の問題、あるいはまた事業の安定性の問題等々の面からいきまして、そういうほかの制度の今後の三年という原則にこれも合わせておるということでございます。
 しかし、もちろんこういう許可の有効期間中でございましても、この法律の規定によりまして、もし法に違反するような事態があれば、それはつきましてのいろいろ是正命令なり、立入検査等を通じての改善指導なり、あるいはまた必要な場合には許可の取り消しであるというようなことも当然行われ得るわけでございまして、私どもとしては、三年ということで有効期間を定めても、特にそういう取り締まりの面での問題が起こることはないのではないかと、こう思っておるわけでございます。
#127
○中西珠子君 外国の法制によりますと、許可の有効期間が一年とか一年半とか短いところが多いと思うんですけれども、たとえ三年や何かにしておりましても、許可するときに保証金を納めさせるというケースがありますね。どういうところに保証金のケースがありますか。許可を申請するときに、許可をもらうのと引きかえに保証金を納める。そうしないと、やっぱり零細な企業が派遣事業をやってもうけるというようなことがあっては困る、そしてそれが倒産などしたときに、賃金の支払いが確保できないので保証金を納めるということがありますけれども。
#128
○政府委員(野見山眞之君) 許可するに際しましての要件といたしまして、ベルギーの場合では百二十五万ベルギーフランの資産を有しているというようなこと等がございますが、今回の派遣事業法案はおきましても、一定の許可の基準の中にそのような趣旨の要件を予定しているわけでございます。
#129
○中西珠子君 許可要件として、資本金がどのくらいなくちゃいけないとか、資産がどのくらいなくちゃいけないということをお調べになるのは当然だと思うんですけれども、合の、許可と引きかえに保証金をちゃんと政府に納めておかなくちゃならない、それで許可取り消しのときにはそれを返してもらえるという国はあるんですね。それは、今ベルギーのことをおっしゃいましたけれども、ベルギーはやっぱり資産要件だけではなくて保証金を納めなくちゃいけない。それから、フランスもそうですし、ブラジルもそうなんですね。そういうふうな国もあるぐらいなんです。
 それで、とにかく一般労働者派遣事業というのは、私が聞いたところによると、本当に机と電話と紙と鉛筆ぐらいあれば、始めたらうんともうかるというような、ワープロとかタイプライターを自分のところの商品としては持っていなくても、借りてきたり、また納入したりして、それと同時に派遣事業をやればもうかるということで、一生懸命やり方を考えている業者も大分あるんですね。
 ですから、殊に一般労働者派遣事業については厳密にやはりお考えいただかないと困るのではないかと考えているわけでございますが、けさの新聞にも出ていましたけれども、昨日の委員会におきましても、殊に一般労働者派遣事業の方は日本が現在批准しておりますILOの九十六号条約、有料職業紹介所に関する条約、これに違反しているという御指摘が参考人の方からあったわけでございますね。それで、何を根拠にしてそうおっしゃいますかということを私が質問いたしましたら
ば、スウェーデンの政府に対するILOの一九六六年の回答がそれを示しているというふうなお話でございましたね。それで、民放労連とか出版労連とか、そういった六つの労働組合が既にILOの事務局長のブランシャールに対して提訴の前の段階の申し立てというのを行いまして、適正な措置をとってほしいということを昨日付で出したそうなんでございますけれども、これにつきましては政府はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
#130
○政府委員(野見山眞之君) ILO憲章におきまして、加盟国のILO条約の履行状況等に関しまして申し立て、情報提供することができるという規定がございますので、その憲章の規定に基づいて関係労働組合がILOに申し立てあるいは情報提供をされたものと理解しております。
 今お尋ねの、スウェーデン政府がILO事務局に見解を求めて、それに対して回答を得たことを理由にしてこの今回の関係団体の要請が送られたということでございますが、私ども、スウェーデン政府がILO事務局にILO九十六号条約、有料職業紹介所条約との関係について見解を求めたのは、スウェーデン政府におきまして批准しておりますこの九十六号条約との関係で、同国においては民営の職業紹介事業を禁じている法律があるわけでございますが、この民営職業紹介を自由化することが可能かどうかを明らかにするためにスウェーデン政府がILO事務局に見解を求めたというふうに把握しておりまして、あと、そのILOの回答等につきまして御説明の必要があれば御報告申し上げたいと思います。
#131
○中西珠子君 何か、民営の職業紹介所だけではなくて、やはりタイピストを派遣していたというんですね。派遣して、派遣先で仕事をさせていた、そして自分のところで賃金を払っていたという、そういう何かアムビュラトリー・タイプライティング・エージェンシーとかいうんだそうですが、それに対するILOの見解というのはどういうものだったんでしょうか。
#132
○政府委員(野見山眞之君) このスウェーデン政府の質問に対するILO事務局の回答につきましては、まず前提で、ILO事務局はILO憲章上条約の解釈権限をも有するものではないという留保のもとで行われているわけでございますが、その内容は、今御指摘のございましたように、一時的タイプライティング紹介所と言われているもの、具体的にはこの紹介所が雇用している事務員を供給することを目的としているものでございますが、派遣先が供給された事務員に対してどのような仕事をさせるかを決め、かつ、当該事務員を派遣先が監督する、このような事務員につきましては、ILO九十六号条約に言う有料職業紹介所に該当するか否かということが質問の要旨だったわけでございますが、回答は、今申し上げたような留保のもとに、仮に、契約関係が労働者と紹介所との間に結ばれ、労働者と実際に労働を提供する紹介された相手方との間に成立するものではないような場合でも、法的な形式ではなく、現実の関係が問題であるということを指摘した上で、今もお話しのありました紹介所は、この条約の適用を受けるということを回答しているわけでございますが、これにつきましては、これから申し上げるような前提があるわけでございます。
 すなわち、第一に、スウェーデン政府の照会したこの紹介所は、派遣先で行われている業務には原則として責任を負わないというのが第一点。それから第二点は、賃金はその労働者が派遣先に提供されたときのみ支払われるというのが第二点。第三点は、労働やサービスの内容を決定するのは派遣先であるということ。四番目に、派遣先が労働者の職務の遂行を監督するということで、全体として労働者を派遣先、いわゆる第三者の自由に任せるように配置しているというのがこの紹介所の場合の実態であるということでございまして、私どもの判断といたしましては、このILO事務局の解釈は、自己の雇用する労働者を他に派遣する事業、これはいろいろなケースがございますけれども、その、他に派遣する事業のうちの特定のタイプに関しての判断ではないかというふうに考えているわけでございます。
 これに対しまして、労働者派遣法案における労働者派遣事業におきましては、派遣労働者の労働条件につきましては基本的にすべて派遣元で決めるということでございまして、基準法の定める使用者責任も基本的には派遣元が負うということでございますので、派遣先は派遣元との間で決められた派遣契約の範囲内で派遣労働者を指揮命令するにとどまる。こういうことから本法案で考えております派遣は、労働者が派遣先で提供する労働やサービスを決定するのは派遣元であるということ、そして派遣労働者を派遣先の自由にゆだねるような配置をするものではないという意味で、スウェーデン政府が質問したケースの場合と異なっているという判断をしております。
 また、その後、ILO九十六号条約を批准しております西独、フランスにおきましても派遣事業を制度として設けているということ等から見まして、今回の法案におきましてもILO条約に言う有料職業紹介には該当しないというふうに考えておるわけでございます。
#133
○中西珠子君 外務省も同じような見解でいらっしゃいますか。
#134
○説明員(馬淵睦夫君) 当然のことながら、人材派遣法の有権解釈は労働省にあるわけでございまして、今の御説明を伺いまして、その御説明に基づくといたしますれば、本法案とILO第九十六号条約との間に抵触が生じるとは考えておりません。
#135
○中西珠子君 この申し立てでは、前述のとおり、本法案の一般労働者派遣事業は、まさにILOがスウェーデン政府に対して行った回答の対象と同一のものである、こういうふうに言っているのですが、今の御説明は、全く同じものだというふうには考えられないわけでございます。最近のILOの方の解釈につきましては、一九六六年のスウェーデン政府の解釈というものが事務局、事務総長が行った解釈であり、後に条約、勧告の適用委員会というものが、それを正しい解釈だということで一応確定した解釈ではあるのでございますけれども、この一九六六年以降いろんな国で労働者派遣事業というものができてきたという実態もありまして、そして多くの先進国で労働者派遣事業に法的な認知をする。そのかわり派遣された労働者は派遣先の労働者と同じような待遇をするとか、そのほか賃金、労働条件それから団結権、団交権その他の条項においてもいろいろな配慮がなされているということであれば必ずしも派遣労働者の問題、それから派遣を行っている事業というものは、この九十六号条約の範囲の外にある、範囲内ではないという解釈が最近事実認識をもってなされてきたらしいということは、理事会の最近の資料をずっと私は読んだんですけれども、そういうことになっていまして、スウェーデン政府は確かにこの九十六号条約のスウェーデン政府が問い合わせをやったことに対するILOの回答を非常に遵守していて、その解釈に対して全然疑義を挟んでいないわけでございますけれども、その他の先進国においては、むしろ有料職業紹介条約を派遣労働者並びに派遣労働者を扱う業者に適用をする、そして九十六号条約で禁止している有料職業紹介である、こう決めつけるよりも、むしろ新たなる派遣労働者と派遣を事業としているエージェンシー、そういうものを規制する条約をつくった方がいい。そしてその条約をつくるために、近い将来総会の議題にのせるという準備をやっているという、そういう報告が最近の理事会のドキュメントにあるのですけれども、それは御承知でいらっしゃいますか。
#136
○政府委員(野見山眞之君) つい最近、そのような動きがあるということを承知いたしました。
#137
○中西珠子君 それで私の方では、やっぱり法案は非常にたくさんの問題点を含んでいますので、ILOの九十六号条約の違反というふうには考えませんけれども、この法案は、こういった六つの労働組合の申し立てもあったことですし、そしてこの点についてはスウェーデン政府の解釈という
ものは遵守されておりまして、ILOの方は、結局他の政府からの違った解釈を求める動きというものに大分押されてきていて、新たなる条約を派遣労働者について行おうと、しかしそれについては、賃金、労働条件、安全衛生、その他団体交渉権、団結権、すべて含んだ新たなる国際基準をつくろうというふうに考えているらしいので、この現在の非常に問題のある法案というのはやはり慎重に審議をして、問題点というものを明らかにしていただきたいと考えるわけでございますが、いかがですか。
#138
○政府委員(加藤孝君) 先般来いろいろ問題点を御指摘をいただきながら御審議を賜っておるわけでございますが、私どもとしては、現在の日本のこういう実態の中で最も適切に派遣労働者を保護していく、そしてまた需給の適正な円滑な調整を図っていくというのににどうしたらいいか、こういう基本的な視点でお願いをしておるわけでございまして、ILOでのそういう新しい動きにこれがどういう形で条約案なり勧告案なりにまとめられるものであるかわかりませんが、いずれにしても、それはそれぞれ今後の動きということで十分注目はするにいたしましても、そういうものがどういうものとして固まるのか、未知の段階でどうこうということは断言できないわけでございます。
 私どもとしては、この派遣労働者というものが、言うなら現行法の谷間の中でいろいろ法律の適用関係が不明確である。あるいはまた、賃金とか労働時間とかいうものについて、どこへ問題を持ち込んだらいいか不明確であるとかいうような中でのそういう法律関係を明確化して保護を図っていこうということでございますので、そういう意味で、私どもはひとつ速やかにこの法律についての御可決をお願いしたいという基本的な立場でおるわけでございます。
#139
○中西珠子君 十分に質問しないと速やかに御可決できないんでございますけれども、とにかく一般労働者派遣事業の許可というものについても、有効期間が長いということも一つの問題だと思っていますし、許可の基準に関して、やはりこの前許可の基準が緩いのじゃないかということを申し上げましたけれども、少し法案に即して質問させていただきたいと思います。
 例えば「許可の基準等」、第七条の一項一号、これはいつもおっしゃっていることなんですが、第七条一項二号、「申請者が、当該事業の派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うに足りる能力を有するもの」、これは非常に抽象的な表現ですが、具体的にはどのようなことを考えていらっしゃいますか。
#140
○政府委員(加藤孝君) こうした許可基準につきましての詳細は、これは今後審議会の意見を聞きながら決めていく、こういうことになっていくものでございますが、私どもが現時点で考えております点は、例えば第二号について申し上げれば、選任を予定する派遣元責任者が雇用管理に対して専門的な知識、または経験を有する者であるということ、あるいはまた、雇用管理に関する専門的な知識または経験を有する役職員が適切に配置される、こういうような形での雇用管理体制が整備をされている。あるいはまた、派遣労働者に係る教育訓練に関する適切な計画が策定をされている。あるいはまた、教育訓練を行うに適した施設設備というものが整備をされておる、こういうようなことを私どもとしては現段階では考えておるわけでございます。
#141
○中西珠子君 三号の、「前号に掲げるもののほか、申請者が、当該事業を的確に遂行するに足りる能力を有するもの」というところですね、こういう関係では、一応資産的な面とか資本金とか、そういったものもお考えになっていますか。
#142
○政府委員(加藤孝君) 事業規模に応じました適切な数の役員、職員が配置をされるということなど、事業計画を本当に的確に遂行し得るような組織的な基礎があるかどうか、こういうような点。また、事業規模に応じました適当な額の資産、資金、こういったものが保有されているかどうか。そして、これによって本当に事業計画を的確に遂行し得るに足りるような経理的基盤があるかどうか。さらにまた、事業所の位置、面積、設備施設等が適切なものであるかどうか。あるいはまた、事業に関する帳簿書類等が整備されているかどうか。また、整備し得るような体制にあるかどうか。こういったこと等について審査をするということを予定をいたしておるわけでございます。
#143
○中西珠子君 それから、いろいろ省令に委任とか政令に委任のところが多いわけなんでございますけれども、そういった点に関して少しお聞きしたいと思います。
 特定労働者派遣事業につきましては、届け出のときには労働省令で定める書類を添付しなくちゃいけない、こう書いてありますけれども、どういう書類の添付が必要というふうにお考えでいらっしゃいますか。
#144
○政府委員(野見山眞之君) この添付書類、考えておりますのは、収支決算書、役員、派遣元責任者の履歴書ですとか身分証明書、法人登記、事業所の施設設備の状況を明らかにするような書類などを考えているところでございます。
#145
○中西珠子君 それだけで、特定労働者派遣事業はもう届け出だけすればいいということで安全なんでしょうかね。十分でしょうか。
#146
○政府委員(野見山眞之君) この法案におきましては、特定派遣事業の場合におきましても、欠格事由を設けておりまして、一般派遣事業と同様に、第六条で定めております、禁錮刑以上に処せられた者、執行が終わってから五年を経過をしない者等々、あるいは禁治産者もしくは準禁治産者または破産者で復権を得ないもの等々、許可の欠格事由が特定派遣事業についても設けられております。また、今御説明申し上げましたような書類において派遣事業を行うに十分でないと判断される場合には、さらに必要な調査、実態把握等を行うということ等もできると考えております。
#147
○中西珠子君 それで、結局第六条各号のいずれかに該当するときは、特定労働者派遣事業の廃止を命令なさるわけですね。――そうですね。
 また、廃止そのものを命令しなくても、結局「特定労働者派遣事業の全部又は一部の停止を命ずることができる。」という条項が二十一条の二項にありますが、これについての根拠は何なんでしょうか。
#148
○政府委員(野見山眞之君) この法律で目的といたしております、労働者派遣事業の適正な運営の確保を図るということ及び派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に好ましくない影響が出てくるというようなことが、この二十一条で申しております特定派遣元事業主が、職業安定法の規定ですとか、あるいはこの法律の規定に基づく命令、処分に違反したときは、今申し上げたような法律の目的に照らして、事業を行わせるに適当でないという観点から、「事業の全部又は一部の停止を命ずることができる。」という面の規定を設けたわけでございます。
#149
○中西珠子君 これは厳格にやっていただきたいんですね。廃止命令とそれから事業の全部または一部の停止、厳格に運用していただきたいと思います。
 事業報告書及び収支決算書の作成については、これは労働省令で決めるところによるとなっていますが、外国の例を見ますと、ちゃんとフォームが決まっているんですね。これはフォームというか定式。フォームをお決めになるつもりですか。
#150
○政府委員(野見山眞之君) この報告につきましては、省令でその様式を定めることにいたしておりますが、事業報告書及び収支決算書の提出すべき期間、一年に一回ですとかそういう期間、あるいは事業報告書にどのようなことを記載させるか。例えば、派遣労働者数、派遣先等あるいはその収支決算書の提出の手続に係る事項について、必要な程度詳細な報告を提出を求めるということを考えているわけでございます。
#151
○中西珠子君 次に、労働者派遣契約についてお伺いいたしますけれども、「労働者派遣契約の当事者は、労働省令で定めるところにより、当該労
働者派遣契約の締結に際し、次に掲げる事項を定めるとともに、その内容の差異に応じて派遣労働者の人数を定めなければならない。」、こう書いてございますね。そして一号、二号とずっとありまして七号がありますが、この七号は、「前各号に掲げるもののほか、労働省令で定める事項」となっていますが、この「労働省令で定める事項」というのはどのようなことをお考えですか。
#152
○政府委員(野見山眞之君) これは、必要によっていろいろ考えなきゃいけないと思っておりますが、現在とりあえず考えておりますのは、派遣契約で規定された就業日、始業・終業時刻を超えて就業することが可能となるような定めをするときは、その定めの内容等がとりあえず考えられるものでございまして、これは派遣事業あるいは派遣労働者の保護の上でどの程度のものが必要であるか、さらに検討を続けていく必要があるというふうに思っております。
#153
○中西珠子君 時間外労働をさせるときは、結局派遣元と派遣労働者が三六協定を結ぶことになっていますね。これ、この前もお伺いしたんですけれども、登録型の場合は、結局三六協定を結ぶのもなかなか、登録していてそして一堂に会することが余りないような、派遣労働者の中の組合がなければ、多数を代表する者を選び出して結ぶわけですけれども、これは実際には難しいんじゃないかと考えているんですが、この時間外労働の協定というものを結んでその届け出も結局また派遣元がやるというときに、そういった三六協定がある場合はこれにつけるわけですか。その三六協定自体の難しさというものについては労働省はどうお考えになっているかということをもう一度お聞きしたい。
 それから、派遣契約を結ぶときに三六協定を何とか結んで、つけて出して、そしてこれだけの時間外労働しかできないことになっていますというふうになさるのかどうか。そこをちょっと具体的にお話し願いたいと思うんですが。
#154
○政府委員(寺園成章君) せんだっての御質疑のときにも、派遣労働者の三六協定の締結の問題が御指摘がございました。その際にも申し上げたところでございますが、派遣労働者の場合、異なる派遣先に派遣されている場合が多いわけでございますので、一堂に会して代表者を選出をするということは困難な場合があろうかと思います。そのような場合には、代表者となります候補者を選定をいたしまして投票による選挙、回覧による信任投票を行うというような方法が考えられますし、また、派遣先ごとに代表者を選び、その話し合いによって代表者を選任をするということもあり得ようかと思います。また、派遣先ごとに代表者を選んで、その連名によって三六協定を締結をするというような方法も考えられようかと思います。また、三六協定に書かれます労働時間につきましても、最も長い事業所における時間を書くということもあり得ましょうが、業務の種類に応じてそれぞれの時間外労働の時間を協定をするという場合もあり得ようかと思います。
 いずれにいたしましても、一般の事業所における三六協定の締結とは違った形のものが工夫をされてしかるべきであろうというふうに思っております。
#155
○中西珠子君 この前の社会党の方の御質問にもありましたけれども、派遣先の力関係が非常に強いものですから、派遣先の意向に沿った三六協定ができる、それで結果的に非常な長時間労働が強制されることになるという、そういうケースも起こり得るであろうし、また、どの派遣先にも適用するような最大限の時間外労働を規定した三六協定ができるという可能性も非常にあるので、この点の御指導はもう厳しくお願いしたいと思うわけです。
 それから、大臣がせっかくおいでになりましたので――いかがでしたか仲裁裁定の根回しは。とにかく大臣が早くとお思いになっているのは私も大賛成でございますので、この,場をお立ちになっても結構だと申し上げたわけでございますが……。
 大臣、この労働者派遣事業の法案ですね、これ、見れば見るほど何かいっぱい問題がございます。この前も、派遣先との力関係を見れば、派遣元とだけ幾ら交渉しても問題が解決しない場合もあるでしょうから、結局、これまでの中央労働委員会の命令とか最高裁の判決とかもあって、事実上雇用者となっているとみなされ得るような仕事に対する指揮命令権を行使している派遣先とも、これは団交を全然拒否しないで応諾をさせる場合もあるというような柔軟性を持ったお考えでやっていただきたいということも一つですけれども、とにかく、余りにも問題が多過ぎるんですね。ですから、ILOにいらっしゃるから早くこの法案を上げてください、それをお土産に持ってILOに行くというふうなお考えではなく、ILO総会というのは御承知のとおり二十日以上長くやっていますね。七日から二十七日までやっているわけでございますし、これ、やっぱり十分法案を審議して、そしてやはりいろいろ委員の皆様方が疑問に思っていらっしゃる点、足らないと思っていらっしゃる点はせめて修正に応じていただいて、そして、やっぱりこの法案は長期的に見ますと、これまでの日本の終身雇用制というものを揺るがすことになるのではないか。雇用の安定を図るための法案だとおっしゃいますけれども、もちろん労働者の保護、使用者の義務を非常に細かくそれぞれ分けてお考えになってはいるけれども、一元的に雇用の安定が図られるとは言えないような法案でもあるし、そして、派遣先の労働者の常用雇用者の代替というものにつながるという危険も非常にあるし、また、派遣先の常用雇用である労働者の賃金、労働条件と、派遣された労働者の賃金、労働条件が余りにも違い過ぎるという場合もあるし、いろいろな問題をはらんでいるわけでございますので、これはやっぱり慎重審議をしていただきたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
 それに、さっき申し上げたんですけれども、けさの新聞にも出ていましたけれども、ILOに対して民放労連、出版労連などが、既に日本が批准している九十六号条約、有料職業紹介条約の違反ではないかという申し立てをやっているんですね。きのうの参考人の御意見の中にも、違反ではないかという御指摘があったわけでございますけれども、私は必ずしも違反と思っていないし、これについては非常にいろいろ意見の分かれるところございますから、今回の法案の中の、殊に一般労働者派遣事業が九十六号条約の違反ではないかということをILOに対して申し立てているというふうなケースもあるので、やっぱりこの法案は慎重審議していただきたいと思うのでございますが、余り急いでILOにいらっしゃることはないと思いますけれども、いかがでございますか。
#156
○国務大臣(山口敏夫君) 民放労連など六団体がILOに適正な措置を要請と、こういうことを私も新聞で拝見をいたしましたが、もうILO問題につきましては御専門中の専門でございます中西先生からも、自分も違反とは思っておらないと、こういう御判断もいただいたわけでございますけれども、我々としては、やはりこの人材派遣業というものが、働く側の条件が不安定なままでこういう現状を追認しているという状況は何としても改善されなきゃならない、こういう強い決意と判断のもとで人材派遣業をどう改善しながら雇用の安定と、また労働者の保護をしていくか、こういうことで、これは一労働省がこれが必要だということで審議会にかけてこの法案をまとめた、こういう経過ばかりではなく、国会におきましても、再三こうした労使関係あるいは労働条件というものが問題視されまして、そしてそういう経過の中で中央職業安定審議会にも審議をお願いし、先生も御承知いただいておりますように、七年にわたって慎重審議の上、一つの成案を得て今回労働省としても法案として取りまとめて、そして国会でいろいろ慎重審議をお願いしておる、こういうことでございまして、私も、現在の日本の伝統的な労使関係、終身雇用あるいは常用雇用、こういう今日までの労働史上、経済史上の安定のためには
大変な方々の御努力や歴史的な経過があって、世界の国の評価に足るまあまあの一つの労働環境が整いつつある、こういうことでもあろうと思うんですね。ですから、派遣事業に携わる労働者の問題、労使関係も、こうした御審議をいただきながら、一刻も早くそういう問題の指摘が改善されるような状況にしなきゃならない、こういうための法案でございますので、慎重審議をいただくと同時に、ぜひ現段階における御理解と御評価も賜りたい。
 また、ILOにおきましては、ブロック前アメリカ通商代表、新しい労働長官でございますが、こうした世界の労働大臣あるいはアジア諸国の労働大臣等も多数ILOの総会に出席をする、そういう場を通じまして、労働時間の短縮とか休暇の拡大の問題も意見交換をして、それを国内の新政策にも反映をしたい、こういうことでございますので、できるならば一日でも多くILOで各国の労働問題の専門家の方と論議する時間もいただければ大変ありがたいというふうに陳情を申し上げておきたいと思うわけでございます。
#157
○中西珠子君 各国の労働大臣とお話し合いになりまして、貿易摩擦、国際経済摩擦の原因ともなっております長時間労働、これについて、大臣が御主張になっているように、やはり日本はもう時間短縮をやることが急務であるということを一層お感じになってくださるように希望いたします。
 それからもう一つ大変問題にされていますのは、日本だけが男女の賃金格差がどんどん広がっているんですね。開発途上国におきましても、殊に韓国なんかは縮まっているんですね、男女賃金格差。ところが、日本だけはここ数年どんどん広がっておりまして、御承知と思いますけれども、殊に全産業では男性の平均賃金の五二・二%ですね、最近の統計が。それで、製造業はもっと悪くて、男性の平均賃金の四三%ですね。それから輸出花形産業である電子機器とか電気機器におきましては四二%なんです。ですから、やっぱり非常に低賃金の女性を多く使って輸出をしているということも言われるでしょうし、それが派遣労働者ですね。
 この法案、これは私は世界の法律と比べてみて、必ずしもすぐれていると自慢にはならないと思うんですよ。それで、もちろん日本の特殊性というものはございますけれども、派遣労働者の惨めな実態というものもさんざん聞いておりますから保護は絶対に必要だと思いますし、また、労働者派遣を業とする人たちが余りにも営利をむさぼらないように規制も必要だと思うし、いろいろ必要なことはわかっているんですね。ですから、長い間の懸案でもあったし、行政管理庁からの指摘もあったというふうないきさつもあるし、長い間時間をかけて調査していらしたのをまとめて法案として提出なすったんですけれども、まだまだ私は保護にも欠けるところがあるし、規制においてももう少し厳しくしていただきたいところもあると思っているんでございますので、早くやれやれと余り御催促にならないで、やっぱり慎重な審議を参議院でやらなければ、参議院はもう要らないんじゃないか、無用の長物だということにもなりかねませんし、それで、参議院が一応チェック機能を果たす良識の府というふうに考えられているわけでございますし、衆議院での修正も非常に多くのものを修正したわけで、労働大臣の方では非常に譲歩なさったと思うんですけれども、この上もう少しお考えいただいて、慎重審議の上修正をやっていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
#158
○国務大臣(山口敏夫君) 修正の問題は、これは社会労働委員会の問題でもございますが、政府としては、やはりいろいろな審議会の経過を踏まえてまとめさしていただきまして、これをまた衆議院段階で修正もいただいたわけでもございます。
 私は、やはり国権の最高機関でございますから、政府の考え方、さらに国民を代表する委員会の皆様方の御審議、そういう中によりよい労働者保護、また雇用の安定、こういうものが確保されることについては何らこだわる立場ではございませんが、やはり三年後の見直し、こういうことをあえて明記している法案でございまして、これはやはり一歩一歩、現在不安定な状況にある一部の派遣事業等も存在をしておるわけでございますから、そういう方々に、まず派遣業に働く労働者の保護と労働条件の改善、そして公明正大さというものの環境づくりというものがまずは肝要であるというふうに思うわけでございまして、慎重審議と同時に、一日も早く成立をいただきまして、派遣労働者の支持をいただいておる場面もあるわけでございますので、政府といたしましては、何とぞ御理解をいただいて成立方を再度お願いを申し上げたい、こう考えるわけでございます。
#159
○中西珠子君 大臣がいらっしゃる前に、この法案の中身につきまして、労働省令でお決めになるようなことの内容を少しずつお聞きしていたわけでございますので、この法案の中身についての審議に戻りたいと思いますが、労働大臣は、労働省に活を入れたと言われていらっしゃるんですからね、本当に労働者の保護のため、また、雇用の安定のために、また、世界から笑われないような日本の労働省とするために、大いに頑張っていただきたいと思いますので、大臣の御活躍を期待すると同時に、やっぱり足りないところは補っていくという大きなお気持ちもお持ちでいらっしゃると思いますので、その点はまた後ほどいろいろ委員長を通じてお願いすると思いますが、よろしくお願いいたします。
 じゃ、法案の方の質問に戻ります。
 三十二条の二のところに、「当該労働者にその旨を明示し、その同意を得なければならない。」、これは衆議院の修正に基づきまして、協約や就業規則に労働者派遣の対象となることを決めていても、同意が必要というふうになりましたね。ですけれども、これは同意は文書によるのか口頭によるのかということはちっとも明記していないんですけれども、労働省の方はどのように受けとめていらっしゃいますか。
#160
○政府委員(野見山眞之君) 法案におきましては、文書あるいは口頭のいずれかにしなきゃならないという特段の理由はございませんでしたので、法案においてはそれを定めておりません。
#161
○中西珠子君 口頭では、やはりいろいろ争いのもとになるんじゃありませんか。
#162
○政府委員(野見山眞之君) この法案で予定しております、派遣労働者として同意を得るというその同意の確定、あるいはそれがはっきりとした内容となるようにするためには文書が望ましいとは存じますけれども、一律に文書でなければならないというような規定をここにおいて設けることはいかがかということで、ここでは定めておりません。
#163
○中西珠子君 外国は何でも文書にしますね。文書でないと効力がないというふうに、非常に何でも文書にするところが多いわけですが、結局、おまえは余剰労働力だから派遣労働者になってくれということを言われたときに、ノーとは言えないでしょうし、そして、それが書面であれ口頭であれ非常な力関係で、いやでもイエスと言う場合も多いでしょうから、書面でなければならないという規定をしても余り意味がないかもしれませんけれども、とにかく書面による同意という方が争いがなくていいのではないかと考えます。
 それから、私この前も言ったかもしれませんけれども、有料職業紹介所、これは許可の有効期間も今度はお延ばしになるということですけれども、現行では手数料が一割で六カ月だけということになっていますね。これと、今度の派遣事業を許可してさせる場合の、また届け出によってさせていく場合のバランスの問題はどのようにお考えになっていますか。
#164
○政府委員(加藤孝君) この点につきましては、職業紹介事業の場合には、まさに「他人の就業に介入して」利益を得る、こういうことで、基準法の六条の中間搾取の規定に該当するわけでございまして、そのために手数料等につきましての法律、省令等によります規制があるわけでございます。派遣事業の場合につきましては、他人の就業
に介入してということではなくて、自己の雇用する労働者によりましてサービスを提供していく、こういうことでございますので、この基準法六条に言う「他人の就業に介入して」ということではございませんので、これについてそういう手数料的なものについての規制を入れていくという法律上の必要性というものはないものと考えます。
 また、実態といたしましても、これがいろいろ業務の種類等によりましてその労働者につきましての例えば訓練費用、あるいは訓練のためのいろんな施設等の関係など、その労働者につきましてのいわば費用を負担をしておるとか、いろいろ今後訓練計画等も要請をされるわけでございまして、そういうような労働者を使いまして幾らで派遣をしていくかということは、まさにそれぞれのいわば経営活動のうまさといいますか、経営活動の上でのそれぞれの腕であり競争であるということでございますし、その労働者を幾らで雇用するかということはその労働者と派遣元とのまた話し合いということになるわけでございます。そういう中で決まるものでございますので、特にその間のそういう手数料的なものについて介入していく、規制していくという考え方はございません。
 しかし、実際問題といたしまして、この派遣元に雇用される労働者につきましては、これはいわゆるその派遣元に終身雇用されるというようなことを初めから考えておる種類の人たちではないわけでございます。したがいまして、もしそこで、例えば賃金というものが非常に安いというようなことであれば他の派遣元の方にかわるというようなことはこれはまた可能でございます。そういう中から、おのずからやはり相場賃金といいますようなものもまた出てくるであろう、こういうことは考えられるわけでございます。
#165
○中西珠子君 労基法六条にはもちろん該当しないと思いますよ、派遣労働者を派遣する事業を行っている者は。しかし、有料職業紹介所の方だって、労基法六条に該当するかもしれないけれどもこれは特別の事情があるし、特別の職種だから許可していらっしゃるわけでしょう。それについてまた手数料を取ることを認めていらっしゃるわけですね。
 その場合に、手数料というものはこれから先はやはり少し引き上げるとかなんとか、中職審に諮問して改定をお考えになっているわけでしょう。そういうことは全然今回考えていらっしゃらないんですか。
#166
○政府委員(加藤孝君) この手数料の関係につきましても、中職審におきまして、今後どのような額等が適当であるか、そういったことにつきまして検討していくことを予定いたしております。
#167
○中西珠子君 次に三十八条についてお聞きいたしますけれども、三十八条で、「第三十三条及び第三十四条の規定は、派遣元事業主以外の労働者派遣をする事業主について準用する。」、こうあるんですけれども、「派遣元事業主以外の労働者派遣をする事業主」というのは、具体的にどういう事業主ですか。
#168
○政府委員(野見山眞之君) 三十八条で準用しておりますのは、労働者派遣を業として行わない事業主、これらの人たちにつきましても三十三条あるいは三十四条、すなわち業としない事業主が労働者を他の企業に派遣する場合に、派遣先で雇用されるとか、そういうような契約を結ぶとか、そういうことは好ましくない。あるいは三十四条におきますように、業としない事業主であっても、派遣を行う場合にはどういう条件で派遣されるぞということについて就業状況を明示することが労働者保護の立場から好ましいということから、業としない関係の労働者派遣についても準用するということにしたわけでございます。
#169
○中西珠子君 この法案で、一般労働者派遣事業は許可制、それは登録型。それから常用雇用だけを扱っている労働者派遣事業は特定労働者派遣事業として、一応届け出制にしてやらせるということなんですけれども、業として労働者派遣をやっているんじゃないけれども労働者派遣をやっていいということになるわけですか。そういうことを前提にしているわけですか。
#170
○政府委員(野見山眞之君) 現行法におきましては、事業主が人事上の都合その他によって他の企業に労働者を派遣するということ、これを業としない形で行うこと自体については何ら規制がないわけでございますが、今回の法制化に当たりまして、業として行うものの労働者派遣について規制することはもとよりでございますが、業としない派遣についても、労働者保護の観点から適当なものについては、業とするものと同様な規制を講じてはどうだろうかということで、今申し上げましたような準用規定、あるいは労働基準法の適用の特例等が加わったわけでございます。
#171
○中西珠子君 もう私の時間おしまいになりましたけれども、そうすると、在籍出向という形の派遣が今まで随分行われてきましたけれども、そういったものにもこれは適用されますか。
#172
○政府委員(野見山眞之君) いわゆる在籍出向の定義でございますが、これは確定的な定義があるわけじゃございませんけれども、労働基準法研究会等におきましては、出向元企業においては雇用関係があることはもちろんでございますが、出向元企業との雇用関係を維持しながら出向先の企業において就業規則に服するとか、そういった形で出向先とも雇用契約を結んだ形となる、いわゆる出向元、出向先との二重の雇用契約関係に入るものが在籍出向というふうに考えられるわけでございます。
 今回のこの法案におきます労働者派遣は、派遣元との雇用関係を維持した上で雇用関係を持たない派遣先に派遣されて仕事に従事するということでございますから、そういう意味で派遣先との雇用関係はない。出向先との雇用関係があるという意味で、労働者派遣と在籍出向との違いがあるわけでございます。
#173
○中西珠子君 残念ながら時間が来ましたので、また引き続き質問さしていただきたいと思います。
#174
○安武洋子君 私は、前回、労働省がお出しになっております「派遣的労働の実態」、この調査票をもとにいたしまして、派遣労働者に対する労働者のニーズというふうなことで御質問を申し上げました。その中で、派遣労働の中で、労働者がどういう不満を持っているかということで、調査票ではこれ十一項目設問されております。ところが、報告書では八項目しかまとまっておりません。これは、「定期昇給がない」、「賞与・一時金がない」、「派遣期間が切れた間の賃金などの支払が受けられない」というふうな、賃金にかかわる労働者の最も関心の深いこういう三項目、これが回答集計からすっぽり抜けているというふうなことで、この御答弁というのが、三項目ともそれぞれ大した数字ではないので、これは「その他」の項目に入れたのだというふうな御答弁でございました。しかし、余りにもおかし過ぎるので、私はその三項目別に数字を示してほしいということでお出しいただく約束をいたしておりましたが、集計結果、それはどうなりましたでしょうか、お尋ねをいたします。
#175
○説明員(齋藤邦彦君) 前回先生から御質問がございましたときに、この賃金に関します三項目の集計は「その他」というところでまとめて集計をしたと、こういうふうに御説明をいたしました。先生から御指摘がございまして、その後再度原票をすべて当たりまして集計をいたしました。その結果、私が前回お答え申し上げました点について若干誤りがございましたので、この機会におわびを申し上げさしていただきたいと思います。集計中の手違いでございまして、「その他」というところには入っておりませんでした。その後、改めましてすべて集計をいたしました結果を御報告をさせていただきたいと思います。
 既にお配りしてございます二十四表、十二ページでございますが、この同じ様式で御説明をさしていただきたいと思いますが、まず、ビルメンテナンス業のをとりますと、「定期昇給がない」というところが、計で四・七、男で三・九、女性で五・三。それから「賞与・一時金がない」というと
ころは、計で三・二、男性二・四、女性が三・六。それから「派遣が切れた間賃金等の支払いがない」という項目、計が一・一、男性一・二、女性が一・一でございます。
 それから次に情報処理業の場合でございますが、「定期昇給がない」、計が一・四、男性が〇・九、女性が二・三。それから「賞与・一時金がない」、計が四・二、男性が一・九、女性が八・五。それから「派遣が切れた間賃金等の支払がない」、これが計が〇・七、男性が〇・六、女性が〇・八でございます。
 次に、事務処理業でございますが、「定期昇給がない」、計が二九・一、男性が二・六、女性が二九・五でございます。次に「賞与・一時金がない」でございますが、計が七一・六、男性が七・〇、女性が七三・一。それから「派遣が切れた間賃金等の支払がない」、計が五四・六、男性が二・三、女性が五五・八。
 以上でございます。
#176
○安武洋子君 それが若干の誤り、若干の手違いなんでしょうか。
 私は、御答弁に二つの大きな問題があると思います。一つは、三項目、それを「その他」に含めて集計していると、これが全くのうそだったということです。それから二つ目には、三項目の不満の率は非常に低い、数字が小さいんだというふうなことでおっしゃったのが、これは全くのうそ。事務処理業で、先ほどの御答弁をお伺いいたしますと、これは、「定期昇給がない」、二九・一%、「賞与・一時金がない」、七一・六%、「派遣が切れた間賃金等の支払がない」という不満、五四・六%。もう低いどころか驚くほどの高い数字でございます。この二つのうそをおっしゃって、それを若干の誤りである、手違いである。
 私は、こういうものを集計どきに見落とすというふうな、労働省というのはそんな仕事のしぶりの通るところなんですか。個人調査票でちゃんと十一項目設問する、ところが八項目、これを集計して、そんな誤りも見落としてしまって、それを堂々と、そういうミスにも気づかないで国会に出して、これで現状把握しているんだと、だから国会はこれに基づいて審議をせよというふうなことで公表して提出をしてくる。労働省、そんないいかげんな仕事をしているんですか。
#177
○説明員(齋藤邦彦君) 先ほど申し上げましたように、前回の御質問のときに、私は「その他」のところに集計されておるはずだということを申し上げたわけでございます。私ども、集計の段階におきましてそういうようなつもりでこの集計を命じたわけでございますが、その指示等がうまく伝わらないというようなこともございまして、「その他」のところの項目の集計が、全く、本当の調査票の「その他」と書いてあります項目のところのみで集計をされてしまったというようなことが、原票をすべて当たりましたところで判明をいたしたわけでございます。
 こういうような事態を起こしまして、まことに申しわけないというふうに反省をいたしておる次第でございます。
#178
○安武洋子君 大臣、前回私が、この件につきまして大臣どう思われるかという質問を申し上げました。そのときに大臣は、これは問題ないんだ、作為はないんだ、「その他」に集計してあるんだと、こういう御答弁でございました。この御答弁が明らかに間違いである。こういうふうに二つとも私が申し上げましたようにうそだったということがはっきりしたわけでございますが、大臣、前回の答弁に照らし合わせていかがでございますか。
#179
○国務大臣(山口敏夫君) 安武先生の御指摘には多少誤解があるんではないかと思いますが、それは別といたしまして、今、政策課長から御答弁申し上げましたような資料集計を掲載を補てんした、こういうことでございまして、労働省としてもそういう調査項目をきちっと出しまして、一応調査票にはこれが掲載をしてございますので、事務的な手順の違いとして御了解いただければ大変ありがたいと思います。
#180
○安武洋子君 私が何を誤解しているというんでしょうか。私、何も誤解なんかしていないんですよ。前のときに私は、個人調査票で十一項目調査したのに、集計のところでは八項目。賃金に関する主なやつがずぼっと抜けてるよ、これは作為的であろう、おかしいですよと言って東京都のことも示したわけです。それは五〇%以上も、四割でしたか、占めていると。そういう数字が「その他」の中にはいれるわけがないというふうなことを申し上げた。大臣の御答弁が、別に作為はない、問題はないんだ、「その他」のところに含めているんだということで御答弁になったけれども、「その他」のところには含まっていないということを今おっしゃったわけ。そうして出てきた数字というのが大変高いわけです。ですから私は、前回の大臣の御答弁は、これは陳謝されるのが当たり前じゃないかと思うんですが、私が何、誤解しているんでしょうかね。
#181
○国務大臣(山口敏夫君) 作為がないんだということの答弁はあったかもわかりませんが、他の項目の中にこれが掲戦をされておる、こういう専門的な資料に基づく答弁は、私が先生にお答えをした、こういうことではなかったわけでございまして、その点が御指摘の部分の一部誤解があるのではないかと、こう申し上げたわけでございます。
 この資料その他につきましては、今齋藤政策課長から補足的に御答弁を申し上げたことですべて尽きるわけでございます。
#182
○安武洋子君 じゃ、大臣は、その説明員の説明どおりに受けて、私に対してこれは作為も何もないんだというふうなことをおっしゃったけれども、やっぱりこんなものを国会に出したという責任というのは、これはやはり大臣、お感じになりますでしょう。
#183
○国務大臣(山口敏夫君) 派遣労働者に対する労働者保護と、その労働条件の改善、また雇用の安定、こういう決意と考え方をもちましてこの法案をまとめ、御審議いただいておるわけでございまして、その中で資料も調査をいたしまして、そして国会に御提出をしておるわけでございまして、一部の事務的な最終集計の構成表の作成の中で齋藤課長から御答弁したような経過があった、こういうことでございまして、これが我々が派遣労働者に対する労働条件の改善、こういう取り組みに対する熱意に何ら後退はない、こういうことでございますから、よろしく御理解のほどをお願い申し上げたいわけでございます。
#184
○安武洋子君 大臣、悪いけれども理解できない。資料を提出したのが間違っている、そのことについて何ともお感じにならないんですか。私はおかしいと思う。これは客観的に見た場合に、作為がないとおっしゃるけれども、客観的に見た場合に、三項目、これは労働者の一番関心の深いところ。そして数字はもう極めて高い。
   〔理事関口恵造君退席、委員長着席〕
そこがずっぽりと調査結果からは抜けているわけ。そして、こういう資料をお出しになって、資料が不足だ不足だ、資料が適切でないという指摘は、委員会の中でどの委員からだってたくさん出ているわけですよ。その中で、昨日参考人として来られた高梨さん、これは小委員会の中で何と段ボール箱に十ぱいの資料があるんだ、こういうふうにおっしゃっている。ところが国会にはこんな資料。しかも重要なところ、それが抜けているのをお出しになって、単なるミスだ、こうおっしゃる。こういう不正確なものを出しておいて、そしてそれは単なるミスでございましたと、こういう説明員の説明どおりでございますと、大臣、それで済むものでしょうか。重ねてもう一度お伺いをいたします。
#185
○国務大臣(山口敏夫君) 安武先生も労働省での御経験もあるわけでございまして、全国の労働省の職員が労働者の環境改善のためにそれぞれ最大の努力をしておるということは御理解をいただいておると思うわけでございまして、我々も、今ここでおわびすることは別にどうでもいいわけでございますけれども、先生のそのロジックの中での説明の中で私が答弁をいたしますと、意図的にそ
の資料を構成をしたというような誤解を招くわけでございますので、これはあくまで構成表の問題でこれをすぐ補てんして、こういうふうに国会に御提出をしたわけでございますから、資料を意図的にこれを埋没させる、こういうようなことではない。ただ、必要な資料をできるだけ正確に早急に国会に御提出をするということにつきましては、今後とも最善の努力をする、それが政府の責任であろうというふうに考えております。
#186
○安武洋子君 大臣ね、今の御答弁は非常に私は政治的ですよ。こういう資料を提出しておきながら、それを謝れば意図的に隠したと思われるから謝らないんだと。そんなことがどこにありますか。こういうふうにして、私はいよいよやはり隠されたというふうに思わざるを得ないわけですよ、今の御答弁からね。おかしいじゃないですか。意図的でなければこんなもの、なぜさっさと出さないんですか。それも、私がこの前のときに審議できないということでやっと出してこられたということを申し添えておきます。けしからぬですよ。そして、私が労働省でとおっしゃいましたけれども、こんなずさんな仕事はしていません。こんなこともわからないような仕事をしていませんからね。
 私は、労働者のニーズということで、労働者のニーズには全くこたえていないんだということを前回の質疑を通じて明らかにしてきたわけ。今度は、資本の側のニーズについて労働省はどのように把握しているかということについてお伺いいたします。
 企業は、このニーズ、これを満たすことによってどういうふうな雇用の姿をつくろうとしているのか。労働省はどのように把握されているのか。簡潔でよろしいから答えてください。――質問通告してあるんだから、早く答えてください。
#187
○政府委員(野見山眞之君) 雇用管理調査におきまして、派遣労働者を就労させた理由につきまして集計したものを申し上げますと、比較的容易に必要な要員が確保できるからというのが二一%、特別な知識技能を必要とする業務が一時的に発生したためというのが五六・七%、通常業務の一時的な人員補充のためというのが一五・八%等、雇用管理調査における企業側が派遣労働者を就労させた理由からそのニーズの一端がうかがえるかというふうに思っております。
#188
○安武洋子君 そんなこと聞いていない。企業はその希望しているニーズを満たすことによってどういうふうな雇用の姿を描いているのかと、労働省はどういうふうに把握しているのかということを聞いているわけですから、そんな資料見ないでもさっさと答えられるでしょう。答えてください。短く。
#189
○政府委員(加藤孝君) これはもう何度も御説明申し上げているところでございますが、企業側としては、専門的な業務というものについて自分のところでそれを養成するというような形で対応できないというようなものについて、一時的にそういう派遣労働者を求める、こういうような場面、あるいはまた、雇用形態が一般的な雇用形態と違うために、それを派遣労働に求める、こういうようなニーズ、それからさらにまた、一時的急激な労働需要というものに対応するために派遣労働者を求めるというような形で企業側のニーズにもこれが合っておるというような場合において派遣事業が行われておる、こういうことでございます。
#190
○安武洋子君 悪いけれども、そんなに甘いものではありません。
 これは昨年十月に、経済同友会の労使関係のプロジェクト、ここが「ME化の積極的推進と労使関係――”中間労働市場”の提案」ということで発表いたしております。その内容というのは、企業としては、他社で訓練されて短期雇用ができて、ME技術を駆使できる知識、技能、経験を持った者が必要となる、その一方で余剰人員が生まれる、その雇用調整のメカニズムとして中間労働市場が必要になる、こうした上で、具体的な人材の仲介派遣組織として三つのタイプを挙げているわけです。一つは、ME化推進に必要な人材を集中的に抱え、必要に応じて供給し、必要がなくなれば引き取るというタイプである。二番目には、現場の技能工を中心とした短期雇用の必要性にこたえるタイプだ。三番目は、余剰人員を一時的に預かって海外も含めて他企業に供給する人材仲介組織だと。さらに、この中間市場育成のためには解決すべき制度上の問題があるとしているわけです。それには、一つは職安法四十四条の労供の禁止。これは、禁止は、提案しているこの三つのタイプの人材仲介派遣組織のいずれをも否定するものである、だから阻害のないような改定、運用が必要だとこう言っております。二番目には、職業紹介事業の制限の適切な対応が必要だ。三番目には、組織の制度の確立が必要だ。こういうことを挙げております。端的に言うなら、ME化に対応した派遣労働者化も、それから余剰人員の吐き出し方も、どちらも職安法四十四条に拘束されない組織と法律を求めているわけなんです。これにこたえるのが本法案にほかならないではありませんか。いかがですか。
#191
○政府委員(加藤孝君) まず、基本的に申し上げておきたいことは、経済同友会が五十九年の十月に発表いたしましたこの中間労働市場の提案というものは、これはいつごろから研究されたものか知りませんが、要するに五十九年の十月に発表されたものでございます。私どもが御提案申し上げておりますこの法案は、まさに五十三年の行管の勧告を受けてずっと長年検討してきたというものでございまして、これが、何か両方が相呼応してというような性格のものでないことは、こういう時系列的な関係からも御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 それからまた内容でございますが、私ども、この経済同友会のこういう提言がございますが、基本的にこれが日本の終身雇用制というものについて非常に慎重さを欠いておる面があるんではないか。もちろん、この提言の中におきまして、こういう終身雇用制を配慮しつつということではございますが、そういう意味で一つ問題があると思いますし、それから三つのタイプに分けてございますが、例えばME化が進むとこれが余剰人員ということでございますが、私ども、ME化の進展の中においてもこれが失業をもたらさないようにということを基本の方針として対応しており、現にまたME化の中で例えばソフト労働者などはどんどんふえておるということでございまして、ME化が人が要らぬ、こういう話ではないと思います。それから第二のタイプの問題でも、これは短期雇用比率をふやすというようなことで、本当に企業としてやっていけるかどうかという問題。それから第三のタイプでも、こういう形のものについて今後の余剰人員というものをこれを外へ出す、そういうような形でこれが解決していくということについては基本的に問題があり、これはできる限り労使の努力の中で企業内の配置転換等によって対応していくべきものだということでございまして、こういう報告があるからといって、それに呼応してという考え方はございません。
#192
○安武洋子君 長いわね、答弁。――私は、同友会だけと呼応してなんて言っていませんよ。ここに象徴的にあらわれているという例として挙げているんです。
 ほかにもあります。五十八年度の経済企画庁の委託調査です。これは、労働市場システムの展望に関する調査、この中でもこの点は明確なんです。企業へのアンケートのまとめで、今後五年間の正規従業日数の見直し、ここは事務部門では二六・四%の正規従業員を減らすと答えております。千人以上の大企業では何と実に三五・七%の正規従業員を減らす、こう答えているんです。これは全従業員の三分の一以上なんですよ。現業部門では一四・一%減らす、こういう回答です。このような部門というのは、まさに派遣労働者の対象業務のところです。さらに、業務請負会社、人材派遣会社からの派遣社員の今後の利用見通しにつきましては、現在利用している企業のうちで今後さらにふやしたい、こう答えている企業というのは事務請負で約三〇%、それから人材会社から
約二〇%、こういう回答なんです。現在利用していない企業も今後活用をしたい、こういうところも多いわけです。この調査からも、正規の職員を派遣労働者に大幅に入れかえる、こういう意図というのがはっきり出ているわけ。企業の意図はここに明白なわけなんです。
 だから、本法案が成立すると、こういうことが加速的に進んでいくということになるではありませんか。――答弁短く。
#193
○政府委員(加藤孝君) この調査報告につきましても、私ども、こういう量的な面では若干疑問を持っております。これまでの傾向線でずっと二〇〇〇年まで全部傾向線を引いていく、こういうような形での推計には若干問題があるのではないかということでございまして、大きな方向として一つの見方を示したものとしては理解できるのですが、量的には疑問に思っております。
 また、私ども何度も御説明いたしておりますように、派遣事業というもの、これを日本の終身雇用制というものを壊さないような運用をしていくということで制度的にもそう仕組んでおるものでございまして、たとえ企業が今後派遣事業というものをどんどん使っていくんだ、どんどんこれにかえていくんだということをおっしゃっても、そういう制度としてこれを仕組んでおるわけではないし、また、業務の限定ということもあるわけでございますし、これは審議会の場におきましても、そういう無限定にふやしていくというような考え方は全くないわけでございますので、企業がそう希望しておるというだけですべてそうなっていくというものではないということは御理解いただきたいと思います。
#194
○安武洋子君 企業がそれを望んで、そうしようとしているわけですよ。ですから、一週間前に発表されました経済企画庁の「二〇〇〇年に向けて激動する労働市場」、こう題します委託調査、この報告の中でも、正規雇用は今後どんどん減っていく、二〇〇〇年、つまり十四、五年後ですね、これは大手企業の三人に一人はパートや派遣労働者などの非正規雇用者になるであろう、こういう試算が出ていますね。そしてその一方で正規雇用者と不安定雇用者の間の賃金の二重構造が深刻化する、そして年功序列処遇が崩れる、中高年層の流動化が進むので、中高年層はいつでも転職にたえられるよう企業から自立できる資質の養成が望まれると、こうまで指摘をしているわけでしょう。これも経済企画庁ですよね。私は、それに呼応するように現実に企業はもう雇用戦略として具体的にプランを持って計画を進めているということを申し上げたいんです。
 ここに私は、我が国のトップ企業の中長期の人材活用計画、これを持ってきているわけです。これを見てみますと、まず、雇用形態というのは、核になる部分は終身雇用の正規社員、それ以外は期限つきの雇用の者と。
 そして、どの部門にどういう人材を投入するのかという基本的な考え方ということで、まず、管理部門、これはOA機器を積極的に導入して人員を徹底的に減らす。一番目はコンサルティング、企画業務などの少数のスタッフ、これは正規でいく。そしてOA機器のオペレーター、これは派遣会社の若い女性だ。データのメンテナンス要員、これは正規社員で中高年を活用する。それから一般事務、これは別会社(高齢会社)とそれから派遣社員とパートの若い女性で賄う。
 次に営業部門、これは女子、中高年技術者を積極的に活用する。そして、一番目はセールスエンジニア、これは中年技術者を積極的に投入する。次は宣伝・セールス、これにはキャリアウーマンを投入する。そしてこれは正規と社外で賄う。それから営業の補助、これは正規社員の中高年層と派遣社員の若い女性。
 次に技術部門。まず、基幹的な仕事、これは正規社員でやらせる。そしてすそ野的な仕事は女性と派遣社員、これでやらせる。三番目は新規事業の分野、これは正規社員と外国人技術者でやる。それから四番目は海外の技術援助、これは正規社員の中高年層でやる。
 ざっとこういうことなんです。――ここにありますからね。要するに、余剰人員は削減する。必要なところに派遣労働者を大量に入れかえにしてしまう。中心部門だけ終身雇用の正規社員で賄う、他は有限の雇用の労働者にする。こういう企業の派遣労働者に対するニーズ、これは一例です。しかし、もう銀行とか保険会社などではこういうことがやられているわけですから、こういうことをしていきますと、不安定雇用労働者を大量につくり出す。そして大企業では、こういう人たちは三分の一になろうかと、こういう計画を具体的に企業は持ってもうそれを進めている。
 私は大臣に聞きます。大臣は、このような不安定労働者が大企業の中で三分の一以上も占めていくような、こういう不安定労働者をふやすというふうなことを望ましいと考えて、そしてそれをバックアップなさろうとするのでしょうか、お伺いいたします。
#195
○国務大臣(山口敏夫君) 先ほど来から御答弁申し上げておりますように、我が国の雇用の安定は、この終身雇用、常用雇用というものが労使双方に生活梅の一つの安定を生み出している、こういうことでございますから、この伝統的な習慣はあくまで維持し発展をさしていかなきゃならないということが一点でございます。
 それから、今先生の御指摘の中で、ME化、OA化に伴う時代の中で一番我々が心して取り組まなければならない問題は、新たな労働災害からどう労働者の生命を守るか、健康を守るか、こういうことでございます。後の問題につきましては、先生の御指摘のような状況というものにならないように努力すると同時に、労働経済市場の展望は、そういう認識に私は立っておらないわけでございます。例えばOA化の問題にいたしましても、OAが、MEがひとりでこれが普及されるわけでないわけでございまして、一社に一台、一軒に一台のものが、例えばパソコンにしても、一つのデスクに一台、個人に一台、こういう形でこれからOA化時代も進んでいく。それに伴い当然必要な労働人口というものも期待されるわけでございますし、先生も御承知のとおり、これから第三次産業、サービス関連産業が約七割を占めるという産業構造の展望に立つときに、今先生の御指摘のような労働環境で果たして企業が企業として採算が立つかどうかということを考えますと、私はもっと人を中心とした、人を尊重した雇用市場でなければ経済社会の発展というのは望めない。そういう立場からも、今の先生の御指摘のような経済認識ではなくて、もっとこういう派遣法等も含めた労働者保護の整備をする中で、十分労働市場の安定と雇用の拡大というものを進めていく、そういう政策が必要だ。また、そういう時代認識を私は持っているということを御答弁申し上げたいわけでございます。
#196
○安武洋子君 終身雇用というのが我が国の伝統的な雇用形態である、それを保持し発展させたい、そして新たな労働災害から労働者を守りたいというのを突き崩すのが私はまさに本法であるということを申し上げます。
 私は、この本法の内容というのは全く重大で、企業が求めている短期雇用の労働者、これは本法により派遣労働者として企業は堂々と大量に受け入れて使うことができる。現在の正社員の中には、先ほどもあったように、中高年になれば、派遣労働者にとってかわられて余剰人員にされてしまう。企業から独立するような資質を身につけなければならないとまで言われる。余剰人員になったら、これは現在の出向はもとより、業としない派遣で海外も含めてどんな仕事でも企業の言うがままに派遣されてしまう。出向させられる。さらに子会社の派遣会社に出向させられて、低賃金で派遣労働者としてたらい回しにされていく。労働災害が新たに起こるということも十分考えられます。そして労働条件も、たらい回しの中で劣悪化されてしまうし、企業の望む雇用調整、これが企業にとっては本当によだれが出るほどうれしいことです。これが本法によって可能になるわけです。労働者にとってはまことにゆゆしい希代の悪
法だと私は申し上げたい。
 企業は、派遣労働者を受け入れることによりまして、必要なときには労働者を雇い、いつでも解雇できる。職安法に縛られることもない。みずからの指揮命令で働かせられる。そして労働者の苦情は、それは派遣元へ言えばよいと、こういうことで知らぬ顔をして済むということになります。一方、派遣元は職安法を気にすることもないというふうなことで、中間搾取、ピンはね自由、最低賃金さえクリアしておけばいいんだということで、まことに笑いがとまらない。
 では派遣労働者はどうか、これは今現実に抱いている不満というのは、先ほども私は問題にいたしました労働省の調査の、重要な項目が三項目抜けておりましたけれども、では本法案によって今の派遣労働者が抱いている不満、この事項が解消されるのかどうかお伺いをいたしますけれども、その一項として、仕事がとぎれる、企業を渡り歩く、家庭もまともに築いていけない、家庭が崩壊するということを招くことにもなるというふうな不安定雇用です。この不安、不満を一体本法案によって解決できるんでしょうか。
#197
○政府委員(加藤孝君) この法案におきましては、まず、現在業務処理請負業として行われております派遣事業の設置運営につきまして、一定のタイプに応じましての届け出制、許可制という形で、しかも一定の業務の限定の中で行われているというものであり、また、こういう事業を行うものにつきましての欠格事由というようなものを定め、あるいはまた、事業停止命令というようなものも行えるようにしておるわけでございます。
 さらにまた、派遣労働者の労働条件の整備に関するものといたしまして、とかくこの辺が明確でないということにつきまして、具体的な就業条件というものを明定させるということにしておる。あるいはまた、派遣元に対しまして派遣労働者の就業機会や教育訓練の機会につきましての確保努力義務、あるいはまた、就業条件の明示というようなことを義務づけをいたしております。
 さらにまた、派遣先につきましては、派遣労働者についての苦情の処理等の努力、あるいはまた派遣先責任者を選任させる、こういうような形での適正な就業管理を行わせる。
 さらにまた、基準法の適用関係につきましても、どちらが使用者責任を負うのかということについても明確化をする。こういうようなことをいたしておるわけでございますし、また、この法律施行のために必要な指導、改善命令、立入検査あるいは罰則規定の適用、こういうようなことをいたしておるわけでございまして、これらを通じまして派遣労働者の保護、雇用の安定というものを図っていく仕組みを御提案申し上げておるわけでございます。
#198
○安武洋子君 今、長々とおっしゃったことで不安定雇用というものが解決するのかということを聞いているわけです。派遣期間の賃金、派遣のない期間の賃金、これが保障されないという不満があります。これも解消できるんですか。今、長くおっしゃったやつで。あれは繰り返しは要りませんから、本法によって解決できるのかどうか。イエスかノーか答えてください。
#199
○政府委員(加藤孝君) ただいま申し上げましたように、就業機会の確保努力義務を派遣元に課しております。そういう中で、さらにそういう仕事がとぎれるということをできるだけつなげるような努力をしていただく、また、そのための行政指導もしていくということでございます。
#200
○安武洋子君 要するに、本法によってそんなこと解決できませんよ。できるわけないでしょう。
 さらに聞いていきます。
 登録型の業者の場合、マンパワージャパンのような大手、ここでも厚生年金とか健保とかにはだれ一人はいっていないというふうに聞いております。はいりたいがはいれない、こういう不満もあります。サービス業ではありますけれども、任意包括ではいれるということの道もありますけれども、この場合は、労働者の四分の三の同意などということは、これはもう無理です。ということになると、事業主に進んで加入をせよという行政指導が必要になってくる。こういう点はどうですか。
#201
○政府委員(加藤孝君) こういう社会保険、労働保険の関係につきましては、一定の適用の要件がございます。そういう適用要件に該当をしながらその適用がおくれておる、こういうものについては、もちろん改善の努力を課していくわけでございますが、問題は、そういう適用要件を満たすための条件づくりという面では、そういう雇用機会をできるだけつなげていくという中から、また、その適用要件も確保されていくという関係でございます。
#202
○安武洋子君 何だか難しくてわからぬですよ。
 マンパワージャパンみたいな大手、ここでも厚生年金とか健保にだれ一人はいっていないわけでしょう。だったら、サービス業は任意包括という道がありますけれども、マンパワージャパンみたいなような場合に、労働者の四分の三の同意を得るなんということは、こんなことできっこないわけです。そういうところには私は行政指導をなすべきでないか。事業主に進んではいるようにというふうにやるべきでないか。いかがですか。
#203
○政府委員(加藤孝君) 私どもは、労働者の福祉の増進のために可能なことはできるだけ行政指導によって実現さしていく、努力をさしていく、こういうことは当然すべきであり、しなきゃならぬと思っております。
#204
○安武洋子君 じゃ、大いに行政指導でこういうところが一つもないようにしていただきたい。
 次に進みますけれども、本法案というのは、四条三項で、「何人も、適用対象業務以外の業務について」の派遣事業の禁止、それで五条一項で、一般労働者派遣事業の許可制、十六条一項で、特定労働者派遣事業の届け出、これが定められております。違反した者にはそれぞれ罰則が設けられております。一体何を基準に、違反して事業を行っているというふうに決めるわけですか。
#205
○政府委員(加藤孝君) 何に違反してという、そこの意味がちょっとはっきりいたしませんが。
#206
○安武洋子君 罰則を決めているんでしょう。この四条、五条、十六条、これに違反したら罰金だ、懲役だと決めているんでしょう。時間がないから詳しく言わないだけですけれども。じゃ、違反しているというのは、何を基準にこれは違反している、これは違反していないということにするんですかということを聞いているんですよ。
#207
○政府委員(加藤孝君) 例えば、許可を受けないで派遣事業をやっておる、あるいはまた、届け出をしないでやっておる、あるいはまた、指定業務以外のものが行われておること等々が、これ違反しておる、こういうことでございます。
#208
○安武洋子君 現行でも請負を偽装している。これは何も私が言っているだけでなくて、きのう来られた小委員会の高梨さんだってそういうことを発表されているわけです。
 そういう派遣とか労供、これが大手を振ってできるようなら、対象業務というものを幾ら決めたってだめなわけでしょう。その内でも外でも、幾らでも派遣や労供がやれていく。対象業務と考えられている業者の中でも、今でも請負業として認めてもらっているんだから届け出をしないと言っている業者もあるんです。聞くところによると、マンパワージャパンも、派遣事業の登録はしないというふうに言っているとかなんとかと聞いているわけなんですけれども、それはどういうことなのかということも御存じなら言っていただきたい。それでも私は、そういうことが出るということは、引き続き事業は行えるという判断に立ってなさるんだろうと、こう思うんですけれどもいかがですか。
#209
○政府委員(加藤孝君) マンパワージャパンの今後の対応については私承知いたしておりませんが、今後、請負と称して派遣事業が脱法的に行われる、これはそういうことのないように基準を、請負と派遣事業との関係の明確化を図っていくということで、審議会からもそういう御提言をいただいておるわけでございますし、当然これにつき
まして、具体的に行政的にも判断が可能なこういう基準の明確化がぜひ必要である、こう思っております。
 それが具体的な業務内容についての個別的な指示をやっているかどうか、あるいは出勤退勤等の労働時間の管理を行っているのかどうか、あるいは、労働者が派遣労働者と派遣先の労働者との混在があるかどうか、あるいは共同で業務遂行をしておるのかどうか、あるいはまた、業務の遂行に関して、事業主としての責任を本当に持つ能力資格等に基づいて行うものであるかどうか、あるいはまた、業務遂行に必要な経費について当該事業主がみずからの責任で調達し支弁するのかどうか、こういったような事情に加えましてさらに細目化した基準というものを定めまして、こうした脱法的なものの是正をしていく、押さえていくということを当然考えておるわけでございます。
#210
○安武洋子君 もし届け出がなかったらどうなるんですか。それは違反になるんですかどうなんですか。現在の登録型のような事業が法施行後も許可なく行われていた場合、これは違反なんですか。違反でないんですか。どちらか一言で言ってください。
#211
○政府委員(加藤孝君) これは、派遣形態でそれが行われておればもちろん違法でございます。
#212
○安武洋子君 じゃ、マンパワージャパンの場合などでも、今までどおりやっていればそれは違反でないということになるわけですか。大丈夫だからと思って届け出をしないというふうなことを考えていらっしゃるんじゃなかろうかと思いますけれども、じゃ、一体何のためにこの法律をつくっているのか。一体この大丈夫であるのか大丈夫でないのかというのは、どこら辺できちっと決めるんですか。
#213
○政府委員(加藤孝君) ただいまも申し上げましたように、派遣事業と請負という関係の基準を審議会等の議を経まして明確にいたしたいと考えております。その判断基準に基づいてそこが判断をされていくということでございます。
#214
○安武洋子君 審議会審議会って、今法案出しているんでしょう。この法案を審議しているときに、これをやったら違反なんだ、これをやったら違反でないんだと、そこが明確にわからないような法案というのは何ですか。そんなおかしなことがどこにあるんですか。そんなものは、法律をつくったってざる法になってしまいますよ。私はそんなのは大変おかしいと思う。国会というところは、まず法案だけは通しておけ。そして、罰則つくったんですよ、罰則つくったけれどもその罰則に合致するかどうかというのは審議会に今から諮って私どもが決めるんだ、国会が決めるんじゃないんだと。そんなおかしな法案というのがどこにありますか。
 あなたたちは罰則をはっきり決めているんです。だから、登録型など全く届け出しないままで今までどおりやられてもそれはどうなんですか、法違反になるんですか、ならないんですか。そこをはっきりしてください。
#215
○政府委員(加藤孝君) これは、派遣の形態をとりながら、実際に届け出もしない、あるいはもちろん許可も受けないということであれば、そういう法律の定める要件に合致していながらそういうことをやっておれば、もちろんこれは処罰を受けるというものでございます。
#216
○安武洋子君 今のような、現行でやっている形のままで届け出もしないでこの登録業者がずっとやっている、請負というのは偽装的であるというのは、だからこの法律が要るということになったわけなんでしょう。だから、そういうのも届け出は一つも登録型から出てこないで今までどおりにずっとやれるんだと、それでもいいということになりはしませんか。
#217
○政府委員(加藤孝君) その点を今後、今申し上げましたような基準をさらにまた詳細に定めまして、当然法施行の前におきましてそれを周知徹底する中におきまして明らかにしていくということでございます。
#218
○安武洋子君 労働省の見解を示しなさいよ。今法案を出していて、法律を成立だけさせてくれと国会に言う。そしてそこのところはわからないと言う。そんなことがどこにあるんですか。それは審議会にかけて諮るようなことと違うでしょう。労働省としてはこういう見解を持っておりますと。国会で法案を審議しようというときに、そこのところもはっきりしないで審議会だ審議会だ、罰則はつくっている、法律だけは成立させろ、そしてそのことはどうなるかわからない。現行のままで今のように登録型の業者が仕事をしている、全然届け出がなされない。こういうことが蔓延するというふうになったらどうするんですか。
#219
○政府委員(加藤孝君) その点につきましては、先ほど私どもの考え方を申し上げまして、例えば出退勤の関係の問題であるとか、あるいは業務内容についての個別具体的な指示を行っているかどうか、あるいは労働者を混在させてやっておるかどうか、共同で業務を遂行しているのかどうか、こういうような関係、あるいはまた、業務の遂行に関して事業主の持つ能力、資格等に基づいてやっておるのか、あるいはまた、業務遂行に必要な経費について事業主がみずからの責任で調達して支弁するのであるか、こういった事情などを、私どももそういうことを考えておるということで審議会等にも御説明を申し上げておるということでございます。
#220
○安武洋子君 残念ながら時間が来ましたけれども、最後にこれだけはきっちり答えてください。あなたたちは審議会審議会と、こう言う。じゃ一体どの法規のどの部分をどのようにして基準を明確にするのだ、こういうことなんですか。大体罰則を設けておきながら、この国会の審議の場で基準も、労働省の明確な意思も示さぬ、国会は法律だけを成立させろ、あとは自分たちで勝手にやるんだと、そんなことが通るはずはありませんでしょう。この点をはっきり答弁してください。
#221
○政府委員(加藤孝君) この法案におきまして、派遣の定義を明らかにいたしております。それに基づいて基本的には判断するということでございます。
#222
○安武洋子君 不満ですけれども、次また続けてやります。
#223
○藤井恒男君 昨日参考人をお呼びいたしまして参考人からの意見を徴したわけでありますが、その中で私は高梨参考人に質問をして、高梨参考人がちょっと私の質問の真意を解しておられないような印象を受けたので、労働省の考え方を聞いておきたいと思うのです。
 加藤局長もきのう出席しておられましたね。熱心に聞いておられたので御存じかと思うんだけど、それは、派遣された労働者の団体交渉権というものは、これは私は派遣元にあるというふうに思います。これは包括的な雇用責任が派遣元にあるわけですから、派遣先に労働条件に関する当事者能力がないというふうに判断されるからです。しかし、派遣先において団体交渉権がないとしても、これは非常に重要なことなんだけど、派遣先で働いている方たちの労働、いわゆる仕事ですね、仕事の仕組みというものは、これは逐次変化していくと思うんです。したがって派遣元と派遣先において契約がなされるわけであるが、その具体的な作業手順というものは、必ずしも契約したときの状況が踏襲されるものではない。それは変化していく。しかもそのことは、例えば灰皿なら灰皿一つをつくるという契約をしても、つくる工程というものは変化していく。その工程が変化するたびにその派遣先と派遣元との契約のやり直しということは、これは現実性がない。こういう場合には、私はそこに派遣された労働者は、これは団体交渉ではないが、日々の作業の実態、これは非常に重要な問題ですな、働く人にとっては。そのことについて、派遣先の使用者との間に私は話し合いをするシステムというものがあっていいと思うんですよ。
 これは既存の労使関係にあっては団体交渉じゃない、例えば事前協議制というような形で、作業工程の著しい変化だとか、あるいは職場における福利厚生の問題等について労使での話し合いの場
というものが設定されている。日々働く人にとってはそのことが本当に重要なことなんですね。それを一々、それは契約だから派遣先から派遣元との契約であって、そこで働いておる人たちは何にも言えないんだ、何にもないんだということは、これは現実性がない。だから、この辺のところは、私はこの法律そのものを一項加えて事前協議制どうこうというようなことじゃないが、あるいは団交権をどうしろということじゃないけれども、私はシステムとして、そのような形のものを行わしめる行政指導ということは、私は非常に重要なことだというふうに思っているんです。
 この点、高梨先生の場合には、私のそういった真意が、あるいは現場というものを御存じないのか、的確じゃなかったわけですね。労働省としてどういうふうな考えを持っておられるか、聞いておきたいと思います。
#224
○政府委員(加藤孝君) 先生御指摘のように、実際の現場でのいろいろ問題というものは、日常業務の処理、あるいはまた一定の期間の経過の中においていろいろ起こり得る、派遣元と派遣労働者、あるいはまた派遣元と派遣先との契約という基本的な枠組みの中におきましてもいろいろ問題は生じ得るわけでございます。そういう意味で、これを具体的、現実的に処理する仕組みといたしまして、派遣先におきましても苦情処理に当たる責任者をちゃんと定めさせる、置かせるというようなことも規定しておりますし、また、派遣元においてもそういう責任者を置かせることにいたしておるわけでございます。
 そういう仕組みの中で、これが派遣労働者がどのぐらいの人数があるか。例えば一人、二人というような場合にそういうような一つの仕組みのようなものにいくかどうか、これは現状に即して考えなきゃならぬと思いますが、相当多数の派遣労働者が行っておるという場合において、派遣先におきます苦情処理というものを解決する手段といたしまして、こういう実際の現実問題処理としてそこでの労働者と派遣先との話し合いというものが行われていく。そして、それがいわゆる先生のお考えになっておるような労使会議的なものになるような規模のものもまたあろうかと思うわけでございます。
 こういう現実的な問題解決のためのそういう仕組みというようなものは、これは円満な労働条件の設定なり、あるいはまた、円滑な派遣業務の遂行の上に適切なものであれば、私どもとしてもそういう話し合いの場を進めていくというようなことについては十分配慮をしていっていいものではないだろうか、こう思うわけでございます。
#225
○藤井恒男君 既存の労使関係にあっては大体労働協約を定めている、その労働協約の中には苦情処理機関というのがあるのが一般的です、団体交渉とそしてまた別に苦情処理機関というのがね。労働省は、苦情処理機関というと、大体労働協約を見たらどこでも書いているからそれを想定されるんだろうけれども、実際面では、苦情処理機関というのは日本的労使慣行、職場慣行の中では機能しない。あれは戦後アメリカから持ってきて、そしてどちらかといえばアメリカの労使関係の中から指導を受けてつくったものですよ。だから、現実には苦情処理機関というのは死に体なんだ。だから、苦情が起きたときに、その苦情を処理するためにショップスチュワードとの間に話を持ち上げていく制度なんです、あれは。しかし、そんなものは日本の職場慣行にはなじまない。また、苦情が起きる以前の問題なんだ、これは。
 例えば、わかりやすく言うと、ラジカセならラジカセ、あるいはカメラならカメラを組み立てるとしますか。これ、ベルトで組み立てている。そのベルトを直線で流していくか円形で流していくかということによってそこで働く人は、労働の量、そして労働の、何といいますか、いわゆる装備といいますか、これがもう変わっちゃうんですね、がらっと。組み立てに従事するということにおいては何にも変わらない。だから、派遣元と派遣先との間に、派遣された労働者はラジカセを組み立てる仕事ですといっても、その現に働くと、いうことにおいては、そのベルトが真っすぐ行くのか、回るのかでこれは大変な違いになる。だから、何も言うところないんだ、ある日行ってみたら直線だったのが円形になっていた、これは苦情処理で持ち上げたってどうしようもないんですよ。それはそのときに、やはり事前に、あなたたちが流れに沿って働いておられるけど、これを円形にしますと、その作業手順はこういうふうに変化するんだけどという話がなければ、これは日々の問題として非常に重要な問題だと私は思いますね。
 だから、これは登録型の一人、二人ということじゃないと思う。しかし、いろいろなデータを見てみると、かなりな人数が長期間にわたって派遣されるというケースがこれから出てくると思う。そうだとすれば、私は今ここであなたにそうしますと言えというようなことは言わないけれども、もうちょっと掘り下げてきめの細かい考え方をつくっておかなければ、現実対応として非常に問題になってくる。だから、四角四面に、団交権というものは派遣元にあるんですよ、派遣先において問題があればそれは苦情処理で処理するんです、あるいは著しい変更は契約の変更として派遣先と派遣元との間の話し合いだから、あなた派遣元に対して文句言ったらいいんですと、これだけでは私はだめだと思う。この辺のところはもうちょっと調べてください。よろしゅうございますか。
#226
○政府委員(加藤孝君) 日本の労働運動の歴史をいろいろ身をもって御存じの先生の御提言、よくわかります。現実に苦情処理というものが、いわゆる苦情処理機関という形で制度化されると、これが団体交渉あるいは労使協議とどう違うんだという中で余り機能してこなかったという点も、私どもも承知をしておるわけでございまして、そういうような形骸化するような形の苦情処理機関というものを設けることはこれは意味がないと思うわけでございます。
 したがいまして、この苦情処理というものをやる仕組み、これは規模等によりましていろいろ違うと思いますが、その苦情処理というものを、いわゆる狭い意味の苦情処理ということではなくて、先生の御提言のようなケース等も含めまして、こうしたいわば派遣労働をめぐる円滑な展開が図られていくという上にこれが有益なものであれば、そういったものを十分参考にさせていただいて行政指導にも生かさせていただきたい、そんなふうに思うわけでございます。
#227
○藤井恒男君 それじゃ、よろしくお願いします。
 次に、やはりきのう参考人から出ていた問題で、先ほど中西さんもちょっと触れておられたことだけど、いわゆる法第三十八条、派遣元事業主以外の労働者派遣をする事業主についての準用規定だけど、これは非常に紛らわしいわけです。もう一度改めてこの準用規定を設けた真意というものが何であるのか、聞いておきたいと思うんです。
#228
○説明員(齋藤邦彦君) 三十八条の規定を設けた趣旨でございますが、今回御提案を申し上げました労働者派遣事業と申しますのは、現行の職業安定法で規定をしております労働者供給事業のうちの一部を取り出したという形でございます。しかるに、現行の職業安定法で禁止しております労務供給は、業として行う者についてのみ禁止規定を置いております。したがいまして、業として行わない労働者供給というのは原則として法律の規制を受けていないというのが現行法の建前でございます。しかるに、今回法案を作成いたしますに当たりまして、業として行う者について、一定の基準のもとに許可ないし届け出のもとに認める、それでまた一定の制約を加える、そこに働きます派遣労働者についての保護を図るための種々の規定を設ける、こういう形にしたわけでございます。
 その際の法案立案過程におきまして、業として行う場合でない場合、要するに現行法におきましては何の規制もないような場合につきましても、労働者保護の観点からは一定の規制を加える必要があるんではないか、こういう議論がございまし
た。その議論をもとにいたしまして、業として行わない場合につきましても、労働者保護の観点から必要な者については準用する、こういう規定を設けたわけでございます。
 したがいまして、この三十八条が設けられたことによって、業として行わない場合の労働者派遣が新たにできるようになったとかいうことではないということを御理解いただきたいというふうに思います。
#229
○藤井恒男君 業として行わない労働者供給事業というのは、どういうふうに見ていますか。
#230
○説明員(齋藤邦彦君) 若干観念的な議論になるわけでございますが、今回の派遣法の中におきましては、労働基準法の適用関係を明確にするということで、労働者派遣、こういうような形態の場合について、労働者に対します基準法の適用関係を明確にしたわけでございます。したがいまして、それとの見合いで業としない場合を考えたわけでございます。
 したがいまして、具体的にといいますか、現実的にこういうような形態のことがといいますか、事態が行われているということを頭に置いてつくったわけではございません。いわば法律理論上の、何といいますか、論理的な帰結としまして、こういうような場合についても規定を設けておいた方がいいだろう、観念的にはこういう事態はあり得るわけでございますので、そういう意味で規定を設けたわけでございます。したがいまして、実際の、何といいますか、社会経済の現段階におきまして、こういうような事態が終始見られるというようなことを想定して設けた規定ではございません。
#231
○藤井恒男君 これは私どもは、この法律案の基本的な骨格というのは、法の第四条に言うところの適用対象業務があって、その上で一般、特定の派遣元があり、第二十六条で言うところの派遣契約があって初めて派遣労働という事実に結びつく――これはいいですわな。こういう形になっていくと思う。
 第二十六条第二項の規定は、派遣元は労働者派遣契約を結ぶとき、当該契約の相手方に対し、第五条第一項、第十六条第一項によるところの派遣元であることを明示することが義務づけられている。そして、第三十八条で言うところの「派遣元事業主以外の労働者派遣をする事業」とは一体何を指すのか。今言ったような経緯をたどっていくと、それは一体何を指すのか。だから、私はこの法律の制定に当たっての骨格的部分がこの条項によって非常にあいまいになる。現に、マスコミを初めとして本法に反対する大きな理由の一つとして、この準用規定をもって、業としない労働者派遣の自由化だ、こういうふうに言っておるんです。
 だから私は、今あなたがおっしゃったように論理的に考えていけば、業とする者を抜き取ってそして保護規定をつくったんだから、そうしない者についても、それは私は労働者保護という視点はあると思うんだ、準用しようということだから。しかし、あなたがおっしゃるように論理の問題だとなれば、これは法制局のやっぱり法律遊びだと思う。この準用規定があるがゆえに非常にあいまいな形になる、映りとしては。抜けるじゃないか、ざるじゃないか、これを促進しておるのかということに結びついておるわけだ、現に。
 だから、この辺を私は、ちょっとこれはミスじゃないかな。あなた方もいろんなこのことをめぐって批判を受けるとじくじたるものがあるだろうと思う。論理としてという、それは論理じゃない、現実の問題だから、あんまりこういうような書き方というのは、これがまた、これを活用するというか、悪用する者が出てくれば、何しているのかわからぬ。それは準用するんだから縛るんですよといえばそれまでのことだけど、業としない者が生きるんだということにもこれは解釈できるでしょう。これはちょっとまずい法律をつくったなという気がするんだけど、いかがなものですか。
#232
○政府委員(野見山眞之君) 今回の法律の中におきまして、業として労働者派遣を行う者、いわゆる労働者派遣事業につきましてルールを設けて、これを適正な運営を図らせるということでございますが、今先生御指摘の、派遣先に対して、届け出ないし許可を得た者であるということを明示させることは、業として行う者の場合には、正規に許可なり届け出をした者であるということを相手方に十分知らしめておく必要があるという趣旨で相手方への通知を必要としたわけでございます。
 それから第二点の業としない者につきましては、現在何らの規制がないわけでございます。これは、今回の労働者派遣事業、業として行う者についての規制を行うのみで、業として行わない者、現在自由に行われている者ですが、業として行わない者について何らの規定もしないということは、むしろ現行のままに野放しになっているといいましょうか、何らの規制を受けないという問題、あるいは基準法の適用が現在においても必ずしも明確ではないということの問題が、業としない派遣の場合には依然として未解決のままに終わるということもございまして、基準法の適用の問題及び派遣契約の明示、提示の問題等については、業としない場合においても一定のルールを設けた方が適当であるという考え方から、業としない者についての準用規定を設けたわけでございます。
#233
○藤井恒男君 それは同じことを言っているので、だから、それなら業としないのは何があるのか。業としないのはどんなのがあるのか。どうですか。行われておるのは何があるんですか。
#234
○政府委員(野見山眞之君) 業としない者につきましては、例えば一定の企業が雇用調整の都合その他もろもろの理由によって、あるいは相手先との契約等によって、相手方の雇用契約に入らないけれども、自己の雇用する労働者を相手先の企業に派遣をしてそこで従事せしめるというような業務の処理等が出てきた場合には、業としない労働者派遣となるということでございます。
#235
○藤井恒男君 そうすると、例えば親会社と子会社の間における一時的な応援という形、これもこれに入るのですか。法人格違いますよ、人格は。社名も違いますよ。しかし、資本系列、仕事の流れ、それは例えばコンビナートなどにあってはね、切れ目がないですよ。常にこれは応援やっていますよ、お互いに。それは入るのですか。
#236
○説明員(齋藤邦彦君) この法律の二条におきまして、「労働者派遣」の定義をいたしております。すなわち、「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」をいう、こういう定義をいたしております。したがいまして、先生御指摘のケースがこのケースに当てはまるかどうか、個々具体的な判断であろうというふうには思いますが、当たる場合もあるだろうと思いますし、また、俗に言います出向という形態で行われているという場合もあるだろうというふうに思います。一概に断定と申しますか、申し上げるわけにはまいらないということだろうと思います。
#237
○藤井恒男君 これは当たるも八卦当たらぬも八卦ということがあるけれども、これは私はあなた正直に言ったので、論理の帰結だと私は思うんだ。実際問題としてここは非常に紛らわしいね。だからこれは私はミスだなと今感じておる。
 だから、論理的に机の上で考えて、ぼっとこれ抜き出していって、残る者がある。しからば、残る者をほうっておけばこれは片手落ちじゃないか、だからといってぱっと網かけちゃったわけだ、読みかえる、準用だと。網かけただけですよ。だから、労働者保護という視点はいいよ。ところが、かけられる網といったら一体何だろうということになると、これは既存の労使関係、労働慣行というものの新たな問題をこれによって惹起することになる。
 だから、正常に行われていること、労働者がそれによって不利益を受けたり過酷な労働条件にさらされるということじゃなくて、もうある意味ではノーマルな姿として、労使もきちっと認めて、
そして円滑に行われているというような問題も、この解釈によっては非常に支障を来す、逆な意味でね。だから、これはやっぱりもうちょっと整理されたらどんなものだろう。どうですか、局長。
#238
○政府委員(加藤孝君) この法律の一つの立法形式といたしまして、労働基準法の適用をどういうふうにするかということでの一つ根っこの議論がございます。その場合に、派遣先における労働基準法の適用というものを振り分けるときに、それが業として行われておる派遣の場合も業として行われていない派遣の場合も、労働基準法の適用の振り分けという関係においてはこれは全く同じであろう。こういうことで、基準法の振り分けにつきましては、これはそういう業としてとか業としてでない場合を問わずこういう振り分けをいたしております。そういう振り分けとの絡みにおきまして、この派遣の場合におきまするこういう雇用制限の禁止あるいは就業条件の明示というものについても、こういう業としてでない場合についてもこれが規定をされたものでございます。
 ただ、先生がおっしゃいますようなそういう新しい誤解を生むではないかという点は、私どももよくわかるわけでございます。そういう意味で、これについては、何かこれがあるために新しく特別に一般の業でない労働者も何か派遣がどんどんされるような非常に印象を与えておる点については、私どもも大変遺憾だと思っておりますが、こういった点については、さらに私どもも十分そういうことではないんだと、今までどおりこれについては基本的には触れていない。ただ、あえてこういう雇用制限の禁止とか就業条件の明示という関係については、さらに業でない場合も特別の保護を与えたんだということをよく周知に努めたい、よく理解を得られるように努力をいたしたい、こう思うわけでございます。
#239
○藤井恒男君 その面はわかるんだよね。その面はわかる。だからそれは周知徹底しなきゃだめだよと。それはこの法律ができたためにそういったことをしてもいけないんだし、この法律の本当の立法趣旨というものをもっと明定するということは必要だ。
 しかし、今度これができたことによって、一面正常な関係にある――コンビナートなどでもパイプでつながっておるわけですわな、会社は違うんだけど。ところが、三百六十五日運転しておるマシンを年に一回シャットダウンしなきゃいかぬ。そうなると、パイプでつながっておるんだから、そっちの会社の人がこっちの会社に一月なり二月なり来て――これは業としないわけだ、雇用関係はそっちの会社にある。それで、こちら側の会社に来て、そしてそこの指揮命令に従ってシャットダウンの応援とか補修をやるわけだ。それは何のこともないんですよ。しかし、この新しくできた法律によって、それは三十三条、三十四条をこれは準用するんだよということになると、その既存の慣行化された問題が新たな問題として出てくるでしょう。かといって、それはほっておくんだ、今までやっておったんだからいいよといえば、それはまたそれで片手落ちになるでしょう。非常にこれは準用規定というのは問題があるなというふうに思うんですよ。
 だから、今局長がおっしゃったのは一つの側面だ。このリアクションが出てくるんだ、そこで。そのリアクションに対してどうするかということは、これは失礼だけれども、予測していなかったと思うんだよ。だから、これはやっぱり私は、あなたたちを追及するとかそういうことじゃないけれども、これは大勢の既存の労使関係に影響することなんだから、もうちょっと掘り下げてやっぱりこれも研究をされた方が私はいいと思う。そういう面でいかがなものかということを聞いたんで、私のそういった考え方というのが違っておれば指摘してほしいんだ。というのは、それは関係ないなら関係ないということであればまた話は別なんだけど。
#240
○政府委員(加藤孝君) 先生の御指摘の趣旨よくわかるわけでございます。ただ、私どもとしては、こういう派遣についての三十三条なり三十四条というものについて、この際さらに派遣についての基本的な問題について明らかにしておく必要があるだろうと、こういうことでやったわけでございますが、ただ、先生が御指摘になるようなケースが、これがまた派遣に当たるものなのかどうかと、こういうこともひとつ今後個々のケースについてよく検討もさしていただかなきゃなりませんが、御指摘の趣旨はよく意味はわかります。そういった点でひとつ研究、検討はさせていただきますが、私どもがこういうことについて規定をしたねらいは御理解を賜りたいと思います。決して一般の労働者をどんどん派遣をするためにこういう規定をしたのではないということでございます。
#241
○藤井恒男君 じゃ、ひとつよく検討してください。
 その次に、やはり昨日出た意見で、私もこれは重要だなと思ったし、また、本委員会で十分詰めてくれという要請もありましたのであえて申し上げますが、衆議院の修正第四項、これは特定企業へ恒常的に反復して労働者派遣を行うことを目的とする事業活動は禁止されるべきだということだと思うんです。これは主として事務処理サービスの分野で見られるものだと思うんですが、指摘された方たちも大勢おられますが、昨年の日経新聞に、金融機関を中心に大手企業の間で自前の人材派遣会社を設立するという動きが報道されて、大変大きな物議を醸しているわけでありますが、この問題について、専門的分野はいざ知らず事務処理サービスの分野は、OA化の導入とともに、新聞で報道されるような形で現に事が進めば、これは常用雇用に大きなインパクトを与えることはもう事実なんです。したがって、これは参考人からも十分指摘されていたし、同僚議員からも多く指摘されていることだけど、非常に重要な問題だと私も考えます。したがって、あくまでもこの事務処理サービスの分野は、専門的なもの、あるいは事務量のピークカットというような問題に限定するものでないと、やはり将来の常用雇用に与えるインパクトなどが問題として出てくる。こういった意味で、この第四十八条第二項の修正は私は非常に重要な問題だというふうに思うので、私はこの面について法施行後も特段の監視が必要になってくる。現に金融業で報道されるような、社名まで挙げて報道されるようなことになれば、これは非常に問題になってくるわけだから、このことをひとつ十分気をつけてもらいたいというふうに思うわけです。
 このことについて、局長お答えをいただきたいと思います。
#242
○政府委員(加藤孝君) しばしば御説明いたしておりますように、派遣事業が、これが常用雇用の代替が促されていくというようなことについては、これは十分そういうことのないようにしていかなければならぬ。こういうことであり、そういう意味におきまして、衆議院におきましてもこういう修正が行われたというふうに理解をいたしておるわけでございまして、私どももこの派遣のシステムがまさに常用雇用労働者の代替になるようなシステムというようなことで利用されないような、そういうやはり法律全体の運用というものについて十分注目しながら運用すべきものであるというふうに考えるわけでございます。
#243
○藤井恒男君 おおむね時間が来たので、きょうはこれぐらいにしておきます。
#244
○下村泰君 大分皆さんもお疲れのようですから、この五月二十五日に出ております東京の中央紙の記事なんですけれども、派遣事業で派遣されている人たちがこんなに酷使されているのかなという記事が載っています。これ読みますから、その間頭を休めてください。これは、コンピューター関係の派遣会社に勤めるシステムエンジニアのAさん、三十三歳の方の例ですが、
 コンピューターを動かす命令システム全体を設計するのが、彼の仕事。時代の最先端を行く職業だが、会社からの指示で、コンピューターを
持つあちこちの企業を転々とし、自分の会社にはほとんど戻らない。派遣先では、納期を迫られて、徹夜がザラ。派遣先の近くに会社が借りあげたアパートに、数カ月泊まり込むこともあった。その間、妻とは別居状態。派遣先の若い技術者に、あごで指図されることもあり、「こんな渡り鳥生活で、この先どうなるんだろう」。最新の機械に囲まれて、不安に包まれることの多いAさんだ。
  Aさんが五十一年に入社して以来、約十年間の派遣先は十カ所。短くて三カ月、長いところでは二年以上。この間、自分の会社で仕事をしたのは数カ月だけ。機械メーカーの在庫管理、クレジット会社のオンラインづくりなど、仕事の内容はさまざまだ。電機メーカーが売り込んだコンピューターのシステム設計をするため、そのメーカーの社員と身分を偽って派遣されたこともある。
  一口にシステム設計といっても、例えばいま、Aさんが仲間としている仕事は、コンピューターに対する命令が十五万個もある。命令書を床から積み上げると天井まで届く。納期が迫れば、残業、徹夜は避けられない。昼間は、コンピューターを派遣先が通常業務に使うので、ミスの点検や手直しはどうしても夜になる。Aさんの先月の残業は百七十時間にもなった。派遣元では、労働組合との間に「月八十時間まで」の残業協定が結ばれているが、「もちろん、派遣先では、それは通用しません。」数年前には、残業が年間千二百時間にものぼった。
  ほとんど座りっきりの作業。しかも、コンピューター室は冷房がきいており、痛めた腰に響く。システムによっては、命令をプリントするのに二、三時間もかかるので、コンピューターの前で寝袋にくるまって眠る。「プリンターのカタカタという音が、子守歌。不思議と、音がやむと目がさめるんですよ」
  Aさんの給料は、基本給が月額約十九万円。残業手当は月によってムラがあるが、平均で五万円。しかし彼は、自分がいくらで派遣されているか知らない。いっしょに働いている二十代の派遣先社員の給料が、自分より高いこともしばしば。
  コンピューターシステムの水準は日々進んでいく。「派遣労働者は勉強する機会が少ないから、どんどんとり残されてしまう」とAさん。ムチャな残業が続き、健康への不安が強い。三十五歳までもてばいい方と、しみじみ思うことが多い。Aさんの会社には千二百人の社員がおり、その八割がいつも派遣されているが、毎年二割が退職している。
 これが記事なんです。この中に、今出されている法案でいろいろ問題にされていることが、このAさんの語りの中に全部入ってますわね。
 私、不思議に思うのは、こんなことが今まで野放しにされていたんだろうか。しかも、この法案の中では、常に職安法の四十四条というものが問題になっているんですね。そういう規定がありながら、何でこういうお仕事が二十年代の後半から今日まで野放しにされていたのか。そこのところが非常に私は不思議なんですがね。どうして今まで野放しにされていたんですかね。
#245
○政府委員(加藤孝君) 今例として挙げられましたこのケースが、これは本当の意味での請負の形で行われておるのか、あるいは現在議論されておる派遣の形に実態としてはなっておるのか、この辺のところについては一つ問題があると思いますが、実態といたしまして、非常にこういうコンピューター関係業界というものについて、今お話しございましたような超過勤務というものが、大変長時間の超勤が行われておると、こういうようなことについては、単にこういう請負あるいは派遣の労働者だけではなくて、一般労働者についても実はいろいろ問題になってきておるというふうに考えておるわけでございまして、まず基本的には、こういう関係の業務についての超過勤務の規制というものについて、私ども、基準局、安定局両方で合同いたしまして、こういったものの一般的な改善指導のためのまた実態調査ということ等を進めていかなければならぬ、こんなふうに基本的に考えておるわけでございます。
 これが派遣という形で行われてきておるかどうか、その辺のところについてでございますが、これは今まで私どもとしては請負の形でやるということについて指導をしてきたということでございます。この仕組みについて、請負でなければこれは職安法の労供の規定、あるいはまた施行規則に該当するおそれありということでの指導をしてきたわけでございますが、この点について、そういう施行規則四条の関係で問題ありという形については、こういった規則四条に該当するようなものの是正指導というものは行ってきたということでございます。しかし、こういう長時間労働という関係、あるいはまた御指摘のありましたような賃金の問題、こういった点につきましては、率直に申しまして、こういう派遣のシステムか、請負のシステムかということとの関係とは別に、やはりこういう業界における最近の急成長の中での大変な問題点ということでの基本的なひとつ認識をいたしておるわけでございます。
 私ども、こういう派遣形態のものについて五十三年はこういう行管の勧告がございました。それを受けての検討が始まったわけでございますが、要するに、これが中間搾取とか強制労働というようなずばり労基法の規定という関係よりは、施行規則四条での請負なのかどうかというその規定の解釈をめぐっての問題点という事例のふえる中での対応としまして、その仕組みが、極端にそういう中間搾取、強制労働ということでない、いわば反社会性の少ないもので、これが今後高齢者あるいはまた女性の職場進出というような関係で一つの社会的なまた有効なシステムとして活用しているものをすべて職安法違反で取り締まっていくことが妥当かどうか、こういうことで今日まで検討をし、そしてこの法案の形で今後規制をしていくということで御提案を申し上げておるという経緯でございます。
#246
○下村泰君 私がお聞きしたいのは、法というのは、いろいろ法は照らし合わせて、例えば届け出制にしても許可制にしても、書類のつくり方それ自体が間違っていなければある程度許可されたり、届け出をそのまま認可されたりということはありますね。そういうことで今日まで来ていて、事実上の内容のことについては労働省としてはそれほど深く把握していなかったんじゃなかったんでしょうかね、その実態を。
 と申しますのは、今日までこの委員会が聞かれておりまして、そのさなかに、労働省の方が答えを把握していないようなことが非常に多かったわけです、今まで。そういうところから見ると、派遣事業といいますか、こういったいわゆる労働を提供するという事業が今日まで野放しにされていたということ、確かにそれはそれぞれの法に照らし合わせての条件があって、許可はされている、あるいはそれにのっとってやってはいたんでしょうけれども、余りにも野放しにされ過ぎていた、そういう私は感じがするんですよね。ですから、派遣先とあるいは派遣元とのもろもろのトラブルが裁判ざたになり、弁護士さんの方々も、今度の法案を見て、そういった数々の体験の中から、この法案は余りいいものではないというような意見がたくさん出ているような気がするんですよね。ですから私は、本来ならこの法案というのはもうちょっと間を置いて、こんなふうになるぞ、あんなふうになるぞというような、活字の上でいろいろこういう関係者をおどかしておいて、むしろおどかされている方が、もろもろの準備をする時分にきちんとしたものをつくる、その方がむしろいいくらいに思いますね。
 ここにいろいろな例がありますけれども、例えばお尋ねしたいのは、マンパワージャパンとかテンポラリーセンター、こういうところがあるんですね。それで、マンパワージャパンそれからテンポラリーセンター、これハどのくらいの人員を抱えてどのくらいのもうけがあるのか、年間どのくらいの売り上げがあるか、御存じならお聞かせく
ださい。
#247
○政府委員(野見山眞之君) 数字が整い次第お答えを申し上げます。ちょっと時間の余裕をちょうだいしたいと思います。
#248
○下村泰君 それじゃ、こっちから教えますよ。
#249
○政府委員(野見山眞之君) マンパワージャパンの場合でございますが、これは関係会社等からのヒアリングの結果でございますけれども、マンパワージャパンの場合、申告所得が二億六千六百万、対前期減が四四%、それから従業員の登録スタッフが九千人、それからテンポラリーセンターにつきましては、登録スタッフが一万五千人、申告所得を申し上げますと、一億二千百万という状況を把握しております。
#250
○下村泰君 これは五十八年度ですかな。――そうですね。
#251
○政府委員(野見山眞之君) 五十九年度の数字でございます。
#252
○下村泰君 五十九年度ですね。
 私の方にあるのが、売り上げというんでしょうかね、とにかく売上高が、マンパワージャパンが五十八年度が八十四億円、そして前年度の比が二一二・五%。それからテンポラリーセンター、これが七十六億円の売り上げがあって前年度の比較が三三・三%。驚異的な業種ですね、これは。これだけもうかったらさぞかしボーナスもあるだろうというふうに感じますがね。
 それで、マンパワージャパンの方が、管理職が百十人、登録者が九千人。テンポラリーセンターが一万五千人、これだけいるわけです。
 ところが、これだけの人間を抱えてこれだけの仕事をしていて、そしていわゆる三六協定というのがありますね。これに関しては何らこの会社は持っていない。例えばそういったことに関して、そちらの方で何かつかんでいますか、この三六協定に関して。
#253
○政府委員(寺園成章君) マンパワージャパン社の三六協定につきましては、三六協定を締結の上、監督署に届けられております。ただ、事情聴取をいたしましたところ、三六協定を締結するに当たりまして、手続上、適正でないところが認められましたので、適正な手続が行われるように指導をしているところでございます。
#254
○下村泰君 テンポラリーセンターの方はどうなんですか。
#255
○政府委員(寺園成章君) 実情を承知いたしておりません。
#256
○下村泰君 こうなると、一万五千人も抱えて、売り上げ七十六億円もある会社ですよ、こういうところがきちんとされてなくて、これでどうやってこの法案が作動するんですか、これから。
 しかもこれは、労働省の方々も御存じでしょうけれども、これは衆議院の方の四月の十九日、参考人の意見聴取の中で、マンパワージャパン株式会社の宮川さんという方が答えていますよね、ここに。お読みしましょうか。
  三六協定はその基本になります就業規則の届け出が必要だと思うのですが、就業規則自体は私どもかれこれ八年かけましていろいろ研究して案をつくりました。しかし、実態的に申し上げますと、働く場所、それから人数、その承認ということで実行がなかなか難しくなって、今保留になっております。したがいまして、フィールドスタッフの労働基準監督署への届け出はなされていないということでございます。
なされていないんですよ、これ。マンパワージャパンは。今、届け出があって指導していると言ったでしょう。これからじゃないんですか。四月の十九日に衆議院でこういうことが答弁されて、この宮川さんという参考人がしゃべって、それから出てきたんじゃないんですか。
#257
○政府委員(寺園成章君) 三六協定につきましては、以前から締結をされていたというふうに承知をいたしておりますが、衆議院社労委員会におきます参考人の発言をもとにいたしまして、監督署に届け出の件については指導した結果、届け出があったということでございます。
#258
○下村泰君 じゃ、これからなされたわけですな、この日以後。
#259
○政府委員(寺園成章君) 三六協定につきましては作成をされ、届け出がなされておりますが、その手続につきまして適正でないところがございますので、指導をいたすことにいたしております。
 それから就業規則の問題につきましては、衆議院の社労委員会におきます参考人の発言をもとにいたしまして、直ちに調査を行ったところでございます。調査の結果、マンパワージャパン社につきましては、内勤職員用の就業規則は作成の上監督署に届けられてありますけれども、いわゆる派遣社員用の就業規則は作成されていないことが明らかになりました。派遣社員用の就業規則を作成していないということにつきましては、基準法違反になりますので、速やかに作成の上監督署に届け出るように指導をいたしておるところでございます。
 なお、就業規則の作成届け出には若干の日時を要しますので、現時点では作成届け出はなされておりませんけれども、近日中に作成届け出が行われる旨の報告を受けているところでございます。
#260
○下村泰君 私は、このことを一つ取り上げてどうのこうのということを言っているわけじゃないんですね。
 つまり、マンパワージャパンというのが今一番標的、ターゲットにされているわけですよれ。そのターゲットにされているマンパワージャパンでさえがこの状態。しかも、テンポラリーセンター、こちらの方が登録人員が一万五千人ではるかに多いわけですよ、六千人も。この会社からはそういう届け出は出されていない。となれば、現在のこの法案で果たしてこういうことができるのか。派遣される労働者の労働条件がきちんとなるのかならないのか。もうずっと委員会でも問題にされていましょう。派遣元でどうにもならないものが派遣先で変わるわけがないんだよ。しかも、組合をつくるような人はもう雇わない。雇われない。向こうでも断られる。派遣元の方でも断られる。行き場がない。そうすれば、今度はもう黙って派遣先へ行かなきゃならない。
 しかもここで言っていることは、どうにもこうにもこれつくりようがないと言っているんでしょう、この宮川さんという人が。八年かかって研究してまだ、案をつくったけれどもどうにもならないというんです、これは。例えばこの方たちが働く実態において、仕事と正比例するわけですね、これ。向こうは一晩で片づくこの仕事を片づけてくれと言われたときに、これだけの人数がかかります、これだけの人員がいなきゃできません。そうすると、それだけの人員が来て、じゃ費用は幾らか、これこれこうです、ちょっと高いからまけろ。こうなると、それじゃ人間を少なくしなきゃしようがないでしょう。そうすると、少ない人間が向こうへ行って、与えられた大きな仕事をしなきゃならないということになる。こういうことが果たして今度の法案で守られるのかどうなのか。絶対に守られるという自信ないでしょう、加藤さん。職業安定って、ちっとも安定じゃないんだからね。下手すりゃ不安定局長だよ、本当に。そういうことで果たしてできるのか、できないのか。今のマンパワージャパンとテンポラリー比較してみて、テンポラリーというこんなに数の多い会社から何にもそんなあれが出ていない。となれば、ここから一体派遣されている労働者、どういうことになるんですか、これは。まるでごみみたいな扱いになっちゃいますよ、これ。この法案で何とかなるんですか。
#261
○政府委員(加藤孝君) 現在請負の形で行われております、いわゆる派遣的労働者の現状について、私どもはこれが非常に問題の多い現状にあるという基本的な認識を持っておるわけでございまして、例えばこういうどちらがいわば使用者なのか、実態的に必ずしも明らかでない。あるいはまた、基準法の適用が、一体どちらの方にその責任があるのか、必ずしも明らかでないということ、あるいはまた、いろいろ苦情等があります場合に、どちらへそれを持っていったらいいのか、こういうことについても必ずしも明らかでない。こ
ういうような中で、現在そういう派遣的労働者のいろいろ問題も出てきておる、こういう基本的な認識を持っておるわけでございます。
 そういう意味で、今下村先生御指摘のいろいろ問題的な現状について、私どもは弁護する気は毛頭ありません。むしろそういう状態を何とか改善していくような仕組みを一刻も早く仕組み上げていきたい、こういうことでございます。これまで既にいろいろその仕組みについての論議の中で、七年かかって御提案まできておる。こういうことでございまして、そういう意味では、私どもできるだけ早くこういう問題について何らかの保護の措置を、早く手を差し伸べたい。もし仮にそれがいろいろ問題があるならば、三年後の見直しということも審議会のレベルでも一応出ておるわけでございますし、また今度、衆議院でその旨の修正も行われておるということであるわけでございます。
 現在御提出しております中で、とにかく現状よりは相当前進した形のものが私どもは期待し得るのではないかということであり、また、今具体的に御指摘のありましたそういう就業規則絡みの問題につきましても、労働者派遣契約というものにおいていろいろ明示すべき内容もこの法律で定めるわけでございます。そういうことに関連をいたしまして、当然そういう関係の基礎的な就業規則というものも今後はこの法律をもとに当然仕組み上げられるものだというふうに考えておるわけでございます。
#262
○下村泰君 実際のことを言って、職業安定局長も余り自信はないんですよね、お答え聞いていると。何か自分自身に自分が言い聞かせているような答弁の仕方なんですね。そういうふうにしゃべることによって何か自分が納得したような感じなんですよね、私が聞いていると。失礼ですがね。私は四十年間舞台に立っていた人間ですからね、しゃべり方を見ているとわかるんですよ、大体。この人は今どういう感情でしゃべっているか。今になってみて、実に私はなさけない商売していると思うんですよ、自分で。だから、加藤職安局長の話を聞いているうちに、ああこの人はこういう感じでしゃべっているんだなと読める。わかるだけに実に嫌ですな、話が前に進みにくくて。
 そして先ほどの新聞に、
  大手派遣会社が得意先千社を対象に調べた結果によると、派遣労働者を導入したメリットとしては、「仕事の変動や社員数の増減に対応できる」(四〇%)、「随時、必要なだけ雇える」(三〇%)、「募集、採用の手間と経費が省ける」(一〇%)、「正社員より経費が安い」(九%)
どうも、私はこの「「正社員より経費が安い」(九%)」というのは、これはまゆつばだと思うんです。これが本当は一番上に来なくちゃいけないなという感じはするんですけれどもね。
 そうすると、これは何かというと三年後に見直しだ三年後に見直しだと言いますけれども、現在、七年間かけた割には各委員からいろんなところをいろんな角度からつっつかれている法案ですから、七年かかった割には中身が余りよくないという答えが今のところ出ているようですがね。ですから、これからも日にちをかけてまた審議されると思います。
 大臣がお帰りになりましたので、この間参考人の御意見をいろいろと伺ったときに、一つおもしろくない点がありましたので、それを御指摘申し上げたいんですがね。
 日経産業新聞というのがあるんです。これに二ページにわたってこういう広告がなされているわけですね。(資料を示す)ごらんください。これ上、下にあります。いろんなマークがついて、女の子の何というか、にこっと笑った、余りいい女じゃありませんけれどもね、写真が載っておるんです。これがいわゆる人材派遣事業を主としている会社の宣伝なんですね。はい、どうぞ大臣に見せてあげてください。――それ、そっちへ持っていきっぱなしじゃ困るのよ、その中身についての話があるんですから。
 私は、「労働法律旬報」というのも拝見したんですけれども、この中で、信州大学教授の高梨さんという方がいらっしゃいますが、この人が、」私は、中央職業安定審議会の労働者派遣事業等小委員会の座長を努め、今回、「労働者派遣業の立法化構想」をまとめた責任者であり、」と、こういうことを言っている。――ちょっと伺いますが、信州大学というのは国立なんですか、私立なんですか。
#263
○政府委員(加藤孝君) 国立でございます。
#264
○下村泰君 国立というと、この大学の教授は国家公務員になるわけですね。そうですね。
 そうすると、今の日経産業新聞にその方が意見を出しているんですよ、この高梨教授という方が。ところが、何と失礼なことに、それは四月十七日でしたかな、日にちは。そうですね。衆議院を通過したのは五月の十七日なんですよ。衆議院を通過した時点でこの法案がどうなるのかこうなるのかという説明がされる、あるいは新聞の記事にもよくありますよ、法案が通ると、解説なんというのが。四月の十七日といったらもうもめている最中じゃないですか。審議の最中ですよ。しかも、その新聞記事に――ちょっと失礼します、見ないとわからないから。大臣、見ましたね。――この新聞記事にはこういうことが書いてあるんですよ。これはあなた、野党の先生方、本来ならこれ大変な怒り方するんじゃないかと思うんだけれどもね、これ。「国会での審議がどうなるかはもちろん確言できないが、大筋では野党も賛成しているので今国会で可決、成立すると思っている。」と、こう書いてあるんですよ。四月の十七日の段階で。こんなこと言ってよろしいんですか、こういう場所にいる方が。
 それから、まだありますよ。間のところは抜くといたしまして、最後の方に、「人材派遣業の市場規模は六十三年度には一千百億円になる見通しだ。法制化を契機に、新たな飛躍が望まれている。」って、こんなこと書いていいんですか。しかも、これ立案の中心人物ですよ。座長なんですから。その方が衆議院を通過しない時点でこういうことを新聞に発表する、これできるものなんですか、本来。私、そこのところがまず疑問なんですがね。どうなんですか。
 同じ国家公務員の仲間として、職業安定局長どうお思いになりますか。こういうことが発表できるのかどうか。
#265
○国務大臣(山口敏夫君) 下村先生の御指摘のような事実関係があるとすれば、この派遣業法案をいろいろ御審議いただいた学識経験者の一人としていかがなものかと、こういう判断もございますが、私、今同じ広告のコピーを拝見してみますと、これからの派遣業市場がこういう見通しだと、こういう部分は解説の部分でございまして、高梨先生のお名前の記載の部分は、法案の動向と、こういう部門での御見解のコメントが掲載されているというふうに推察するわけでございます。また、「国会での審議がどうなるかはもちろん確言できないが、」と、こういうところにこの判断の主体が述べられていると、こういうふうに受けとめております。
#266
○下村泰君 ですから、これは私がこの高梨先生に申し上げたんですよ。インタビューされて答えたというんなら、それはそれでいいと言うんだよね。そんならインタビューの相手の名前も載せておかなきゃいかぬですよ。これは後になって、インタビュー受けてそのときに私がしゃべったように書かれているんだというのは、これだめなの、逃げ口上でね。まあ私らも始終やられるんです、これは、週刊誌から。電話でよろしいでしょうかと言うから、はい結構ですよと言いますと、向こうで勝手にいろんなことをしゃべっておいて、どういうふうにお思いですか、やっぱり妥当だと思いますかと。はい、と返事すると、私が言っているように全部書かれるんです。この手はいつでもあるんですよね。だから私はそういうふうに善意に解釈しますよ。だけれども、この方の顔つきを見ていると、どうもこの方自分でしゃべったような感じがするんだ、私は。
 だから、こういうことがあるということは、今
ここで審議されている諸先生方はばかですよ、これ。済みません、乱暴な言葉使って。だって、そういうふうになりますよ。これ四月の十七日ですもの。何回も言うように、五月の十七日の上がってきた段階で、今度の法案はこういうんだと、こういうことからこうなるんだと、それで参議院でなお審議されると言うんなら話はわかりますよ。大方の野党が賛成しているから可決されるだろうって、こんな言い方というのはないと思いますよ、これ。それは、国会で審議している先生方全部あほや、こういうことになる。いずれわしの言ったとおりになるんだから見てなさいと、こういうことになるわけでしょう。
 これは大臣、余りいいことじゃないですな。労働大臣もばかにされてますよ、これ。(「国会軽視だよ」と呼ぶ者あり)
#267
○国務大臣(山口敏夫君) 国会が国権の最高機関としていろいろな角度からこうして慎重審議をいただいておるわけでございますから、そうした厳然たる審議の事実の中で法案が御論議をいただいておる、こういうことが非常に私どもにとりましても、今後の法案の精神、趣旨を生かすための一層の努力を傾注すると、こういう決意にもなっておるわけでございます。
#268
○下村泰君 この辺でやめさせていただきます。ありがとうございました。
#269
○委員長(遠藤政夫君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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