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1984/06/06 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第25号
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1984/06/06 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第25号

#1
第102回国会 社会労働委員会 第25号
昭和六十年六月六日(木曜日)
   午前十時十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月五日
    辞任         補欠選任
     竹山  裕君     村上 正邦君
    糸久八重子君     目黒今朝次郎君
     片山 甚市君     和田 静夫君
     小西 博行君     藤井 恒男君
 六月六日
    辞任         補欠選任
     田中 正巳君     佐藤栄佐久君
    目黒今朝次郎君     小山 一平君
     和田 静夫君     野田  哲君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤 政夫君
    理 事
                佐々木 満君
                関口 恵造君
                高杉 廸忠君
                中野 鉄造君
    委 員
                石井 道子君
                大浜 方栄君
                佐藤栄佐久君
                斎藤 十朗君
                曽根田郁夫君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                前島英三郎君
                村上 正邦君
                森下  泰君
                小山 一平君
                野田  哲君
                浜本 万三君
               目黒今朝次郎君
                和田 静夫君
                中西 珠子君
                安武 洋子君
                藤井 恒男君
                下村  泰君
   国務大臣
       労 働 大 臣  山口 敏夫君
   政府委員
       社会保険庁医療
       保険部長     坂本 龍彦君
       運輸省海上技術
       安全局船員部長  武石  章君
       労働大臣官房長  小粥 義朗君
       労働大臣官房審
       議官       野見山眞之君
       労働省労政局長  谷口 隆志君
       労働省労働基準
       局長       寺園 成章君
       労働省職業安定
       局長       加藤  孝君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、労働基準監督署並びに公共職業安定所及びその出張所の設置等に関し承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨五日、小西博行君、竹山裕君、糸久八重子君及び片山甚市君がそれぞれ委員を辞任され、その補欠として藤井恒男君、村上正邦君、目黒今朝次郎君及び和田静夫君がそれぞれ選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(遠藤政夫君) 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、労働基準監督署並びに公共職業安定所及びその出張所の設置等に関し承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。山口労働大臣。
#4
○国務大臣(山口敏夫君) ただいま議題となりました、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、労働基準監督署並びに公共職業安定所及びその出張所の設置等に関し承認を求めるの件について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 現在、労働省の地方支分部局として、労働基準監督署及び公共職業安定所が全国に配置されておりますが、これらに関して、現下の重要課題である行政改革の一環として、その一部を整理統合するとともに、近年の地域の実情の変化に伴い、その配置の適正化を図る必要が生じてきております。
 この案件は、昭和六十年度において行う予定の右の理由による再編整理に伴い、札幌東労働基準監督署ほか労働基準監督署五カ所並びに上越南公共職業安定所及び同所上越北出張所ほか公共職業安定所及びその出張所三カ所の設置等を行うことについて、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、国会の御承認を求めようとするものであります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御承認下さいますようお願いを申し上げます。
#5
○委員長(遠藤政夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
    ─────────────
#6
○委員長(遠藤政夫君) 前回に引き続き、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○和田静夫君 前回、いろいろ資料の論議を通じて労働省側が約束をし、かつ、遠藤社労委員長からも強い注意が労働省側に行われたのでありますが、きょうまでついに資料は整ったものとしては出てまいりませんでした。ピンはねの実態については、あのときもう既に資料があるにもかかわらず隠していて、ここだけは古いものを持ってきた。あとは就業規則の履行の問題であるとかあるいは二重派遣の実態等については、十分に納得させるものではない。そういう状態であることは大変遺憾でありますし、そういう状態の上で法律案の論議が行われるということは、これまた大変不幸な事態であると指摘をしておかなければなりませんが、それら資料提出の不備の問題については、引き続いて後ほど論議の中で少し指摘をいたしたいと思います。
 そこで、限られたわずかな時間しか残っていませんので、まず、期間制限でありますが、先日も申しましたけれども、フランス法でもあるいは西ドイツ法でも、派遣は一時的な労働というとらえ方をしているわけであります。それは常用雇用の代替を防止するという立法趣旨、こういうことであるわけでありますが、これに対する前回の答弁は大変不満なものでありました。したがって、少しは考え直されましたか。
#8
○政府委員(加藤孝君) 派遣先企業におきます常用雇用労働者の雇用の安定に影響を及ぼすことのないよう、派遣期間が長期間に及びます場合には、派遣労働者の雇用の安定、当該業務の処理の実情等に配慮しながら、派遣元事業主に対して適切な指導を今後行っていきたいと、こう考えております。
#9
○和田静夫君 派遣労働者が労働組合活動等の理由によって差しかえられた場合、派遣元が不当労働行為を行ったととらえることができる。よろしいですね。
#10
○政府委員(谷口隆志君) 労働者派遣事業におきましては、派遣労働者をだれにするかということは派遣元が決定されることでありまして、派遣先から派遣労働者について変更することを要求した場合におきまして、これに応ずるかどうかは派遣元がいわば自由に決定することができることでございます。
 この場合、派遣元が変更の要求に応じた場合には、派遣元の意思で派遣労働者を変更したことになりまして、派遣労働者が労働組合の正当な行為をしたこと等を理由として派遣労働者を変更することは、不当労働行為として禁止されるところでございます。
#11
○和田静夫君 したがって、不当労働行為になるおそれがあるものについては適切な指導を行う。こういうことでよろしいですね。
#12
○政府委員(谷口隆志君) 不当労働行為が起きるということは、当然のことながら好ましいことではございませんので、そういう事態が生じないように適切に指導を行ってまいりたいと思っております。
#13
○和田静夫君 政府案では、派遣先に苦情処理の義務しか負わせていないわけであります。これだけで派遣労働者の労働条件が保護されるというのは非常に心もとないと言わなきゃなりません。私は、団交応諾義務を課すべきだと考えることをこの間来随分と主張しました。百歩譲って、労働組合が派遣先と協議することぐらいは法定すべきである。いかがでしょう。
#14
○政府委員(谷口隆志君) 派遣先に団体交渉の応諾義務があるかどうかというような問題についてでございますけれども、今回の派遣法案は、労働組合法等の労使関係法の改正を伴うものではございませんで、また、これら労使関係法について従来とってきていた考え方を何ら改めようとするものでもございません。ところで、個々の事例についてだれが団交応諾義務を負うかについて争いが生じました場合には、裁判所または労働委員会において個々の事実に即して判断をされることになるわけでございます。そして、これらの具体的事例について裁判所または労働委員会で判断が示された場合には、労働省としてこれらの判決や命令の内容についてとかくのことを申し上げる立場にないことは当然でございます。
 御指摘のございましたような、派遣先におきます作業内容とか作業環境等をめぐる個々の具体的な苦情とかその他の問題につきましては、これらを処理する等のための法案の仕組みが派遣労働者の保護の観点から効果的に運用され、その所期の目的が達成されるよう十分配慮してまいりたいと思っております。
 具体的には、派遣先事業所において苦情その他の問題があります場合には、派遣労働者、派遣先責任者及び派遣元責任者との十分な話し合いを通じまして円満に意思疎通が図られ、これらの問題が迅速かつ適切に処理されるよう事業主に対する指導に努めてまいりたいと思っております。
#15
○和田静夫君 今のところは、労働者と派遣先、派遣元との三者協議という考え方が述べられました。私は、その労働者は労働組合と読みかえられるべきであろう、こういうように考えていますので、委員長、そこのところは今申し上げました法定の問題と一緒に理事会に預けておきます。
 それから、加藤職安局長、昨日の朝日新聞で、「この法律ができたら、派遣労働者の団結権が阻害されるとか、派遣労働の範囲がとめどなく拡大されるとかの意見は、誤りです。この法案のどこに、団結権を新たに制限する規定がありますか。団結権、団交権にかかわる労働組合法、労基法の規定も、この法案が成立したからといって適用されなくなるわけじゃない。」とおっしゃっていますが、これは私に言わせれば大変甘い認識でありまして、大甘な認識だと言ってよいと思うのでありますが、もう時間がないからそこの見解は承りませんが、この十年間以上にわたって労組法上の使用者概念の拡大が図られてまいりました。最高裁を初め裁判所、労働委員会などが、形式的な雇用関係がなくとも実際にその労働者を指揮監督し、労働条件に事実上の規制力を持つ者にも、労組法上の使用者と認定したケースは多数あります。この事実だけでよろしい、もう簡単な答弁でよろしい、この事実は労働省としてはまずお認めになりますね。
#16
○政府委員(谷口隆志君) 近年、いろいろな形で労働者が派遣されているような実態がございまして、そういうことについて労使関係法上の使用者がどうかというような問題が争われ、中央労働委員会、また最高裁でも一件、そういうことに関連する命令なり判例が出ておりますことは、私どもも承知をいたしております。
#17
○和田静夫君 そこで私は、裁判所や労働委員会が雇用関係がなくとも請負先や派遣先を使用者と認定するということはどういう法理によるものだろうかということを十分に考えてみなきゃならぬと思っておるのであります。
   〔委員長退席、理事関口恵造君着席〕
 したがって、念のために伺いますが、労働省としては、労組法の使用者概念は、形式的な雇用関係を結んだ当事者にはとどまらない、実質的な使用者は実態に即して把握されるべきだ、こう解釈をする。これはもう労働関係法というのは会社法的なドグマで言っちゃいかぬということはもう常識でありまして、実体法的なものなのでありますから、このことは否定はされませんね。
#18
○政府委員(谷口隆志君) 実は、こういう派遣の形で仕事をされている事例がいろいろ出てまいっておりますが、そういう実態が非常に区々でございますので、この派遣法案におきましては使用者の概念を明確にするとか、そういうようなことと同時に、またこれを派遣先事業主と派遣元事業主の間を律するなど、そういうことを通じて労働者の保護を図ろうとするものでございまして、この派遣法案では、そういう意味で派遣元の方で、労働条件に該当することにつきましては派遣元事業主の方で決めて、その枠組みの中での段取りあるいは作業の進め方等について派遣先で行われるということでございますが、そういうことをもとに制度の考え方を組み立てておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、労使関係法について従来とってきた考え方は別に変えようとするものではございませんで、あくまでもいろいろな実態があるわけでございますが、そういう実態についての労使関係法上の使用者がだれかということが争いになれば、当然のことながら労働委員会とか裁判所の問題になるというふうに考えております。
#19
○和田静夫君 個々のケースは労働委員会や裁判所が認定するにしましても、一般的に労組法における使用者というのは、形式的な雇用契約の当事者に限定されるわけではない、これはもう常識であります。派遣先が使用者として認定されるケースもある。このことは今の答弁の中で実態的なものとしてお認めになっているようであります。問題は、私が言いたかったのは、司法の判断を行政がどのように受けとめるかということについて、今も、裁判の結果なりにゆだねるんだと、こう言われるのでありますが、司法は司法で勝手に判断を下せばよいのだ、行政は行政で勝手にやってまいりますというのではこれは話にならなくなりますからね。司法の判断を行政は尊重して今後の行政に生かしていくということが行政に課せられたこれは当然の義務なんですから。
 個々のケースは個々の争いとして司法が判断する問題であることは御答弁をまつまでもなくわかっています。しかし、法律の一般的解釈をなぜ行政ができないのかということは大変不思議なところでありまして、これはやっていいんじゃないですか。したがって、事例は区々であるが、一般論としては、派遣先を労組法上の使用者として認定すべき事例もある、これはもう当たり前の話だ。したがって、あえて派遣元だ派遣元だというようなことに固執する必要はない。
 この辺のところは大臣いかがですか。お互い政治家の物の考え方としてですね。
#20
○政府委員(谷口隆志君) 先ほど御指摘のございました、労使関係法上の使用者はその実態に応じて判断されるべきだということは、そのとおりだというふうに私どもも考えておるところでございまして、問題は、実態的に考えた場合に、今回のこの法律に基づいた事実関係が、どちらがそういう労使関係法上の使用者としての権限なり実態の決め方をしているかというようなことをもとに判断した場合に、派遣元の方で労働条件を決めて、個々の派遣先でのいろいろな段取り等については派遣先で決められるわけだけれども、その点についての問題は、先ほど来申し上げておりますような苦情その他の問題処理で対応すると、こういう立て方で考えておりますので、実態的に見てそういうことになれば、労使関係法上の解釈としても派遣元が使用者になるであろうというふうに考えるわけでございます。
 先ほど来申し上げておりますように、しかしこの派遣法に基づく派遣のとおりでいかないようなケースもあるいはあるだろうと思いますし、いろいろな実態があるわけでございまして、それはやはり裁判所とか労働委員会の判断になることだというふうに考えておるところでございます。
#21
○和田静夫君 派遣先と団体交渉を持つということは、これはビルメンなどではかなり広範囲にやっているわけでしょう。労働省だってビルメンから派遣先になっておるわけですわね。そういうところであなた方交渉に応じていないわけじゃないでしょう。ちゃんと交渉に応じているでしょう。あなた方自身がやっているそれが実態でしょう。よもやこの実態をつかんでいないということは言わせないつもりであります。しかし、ここでその結果を出せと言ったってまた時間がかかりますから、実態はちゃんと労働大臣、あなたのところの足元にもあるんですから、毎日エレベーターにお乗りになっているわけですから、ということをよくこの機会に思い浮かべてもらいたいんですね。
 労働組合は派遣先、派遣元と多角的に交渉というケースは、これは大臣、いっぱいあるわけですよ。ところが、この法律は交渉権を派遣元に一元化することによって現に行われている多角的交渉を排除するということになる危険性がある。労政局長なんかは、そんなことは考えていないんだと、もう、実態的にあるんだから、それは認めていくんだというふうに腹の中では思っていらっしゃるだろうと思う。しかしながら、それはなかなか答弁にもあらわれてきませんし、法文上も出てきませんから、ここは労働者側としては心配するのは当たり前であります。派遣先経営者はこの法律を盾にとって交渉を拒否することが十分に予想される、ここのところが何としてでもこの論争を通じて排除しておかなければならぬところであります。
 この法律を盾に、これまで交渉に応じていた経営者が交渉を拒否することはあり得ない、拒否したら不当労働行為の疑いがあるという、そういう判断、こういう判断は持ってよろしいですね。
#22
○政府委員(谷口隆志君) 先ほど来お答えいたしております、労使関係法上の使用者が、その使用者である立場で不利益取り扱いをするとかいろいろなことをした場合に不当労働行為になるのが現行労働組合法の解釈でございまして、したがいまして、私どものこの法案の組み立て方は、これもたびたび申し上げておりますように、労働条件は派遣元で決めて、その枠組みの中での段取りは派遣先ということで申し上げておるわけでございまして、実態がそういう形で行われる場合、使用者として不利益取り扱いをしたとか、そういうような問題につきましては、派遣先の方では一般的には生じてこない。それに基づいて派遣元が、例えば正当な組合活動をしたことによって就労を拒否したり差しかえを求めたりした場合に、それを派遣元が受け入れて差しかえをするというようなことになりますと、派遣元との関係で不当労働行為というようなものは生じることがあるわけでございます。
#23
○和田静夫君 加藤職安局長は、この法律は団交権を新たに制限するものではないと、朝日新聞紙上で語られているわけですね。そうすると、それが実質的に使用者性が強いと認められれば派遣先が労組法上の使用者と認定されることも今後あり得ましょうし、また、この法律を盾にこれまで団交に応じてきた派遣先が交渉を拒否すれば不当労働行為になり得る、そういう可能性もある、そう理解するのは当然でしてね。
 大臣、そういう理解というのは間違っていないと思うんで、この辺で一言どうですか。
#24
○国務大臣(山口敏夫君) 先生の御指摘の部分も当然考えられるというふうに私も解釈します。
#25
○和田静夫君 派遣先が実質的に就業条件を決定している例というのは、私が調べただけでも多数あるんです。したがって、私は派遣先に交渉応諾義務をかぶせなければ労働者の保護にはならないと先日来主張しているわけです。
 そこで労働省、派遣元就業規則が派遣先によって変更されているケース、おたくの調査ではどうなったですか。
#26
○政府委員(野見山眞之君) 就業規則の履行状況につきまして、統計的に調査したものはございませんけれども、強いてその実態について、労働省の行いました「業務処理請負事業における派遣的労働の実態」の結果から、就業規則のある労働者のうちで所定労働時間、休日、残業のさせ方等の就業条件について派遣先からの指示を受けている者の割合を推定いたしますと、情報処理業においてはこれらの事項についてかなり高くなっているということから、派遣先からの指示によって就業規則が履行されていない場合もあるものと考えております。
#27
○和田静夫君 ここのところは大臣、若干誠意を持って一覧表をつくってお持ちになりました。しかしこのデータは、派遣先が労働時間、休日等の個別の労働条件を指示しているということを意味していることなんですね。したがって、皆さん方が実態調査をやられたあの一覧表の中にはこの表は出てこないわけであります。派遣先が指示しているからといって必ずしも派遣元就業規則と違うとは言えないと私は思うんですね、これ。そうなると、派遣元就業規則の履行状況という私の資料要求にはこたえていないわけです。したがって、私は冒頭これだけ時間をかけてみたけれども、二週間たったけれども、結局あなた方は私の要求にこたえ得なかったということを言っているわけであります。
   〔理事関口恵造君退席、委員長着席〕
 私がもう一度強調しておきたいのは、現実に労働条件を派遣先が決定するケースの方が、情報処理では皆さん方のあれで見ても多い。事務処理でも半分近くが派遣先の決定になっているでしょう。そういう現実からするならば、苦情処理などというなまはんかな形態では労働者を守ることはできない。よって、交渉応諾義務、譲歩して協議応諾義務を派遣先に負わせるべきだと考える、そしてこれは法定化すべきである。その法定化をすべきだということはきょうの理事会に預けましたから、再度預けておきますが、あなた方は不十分な資料しか出さないで私を納得させようとするわけですが、それは非常に無理ですよ。したがってこの法律案が、きょうからずっとこの国会をかけて、こういうような形でもってこの法律案が議了へ持っていかれるということに対しては、大変私たちは不満を抱かざるを得ないわけでありまして、したがって、ここのところはぜひ資料上の問題を含んで解明をしてもらいたいと思っている。
 苦情処理で十分で、あとは行政指導でやりましょうと、そのことに自信を持っておっしゃるなら、この法律によって一〇〇%派遣元就業規則が遵守されるということを、先ほど来派遣元のことを言われていますから、そういうことを遵守されるということを約束できますか。現に今いただいた資料によれば情報処理においては七割方が派遣先の恣意という状況を、この苦情処理で覆すことができるか。
#28
○政府委員(加藤孝君) 今度この派遣法案の御審議をお願いしておりのも、これまでそういう実際の就業規則的なものを決めるところがどこなのか必ずしもはっきりしていない。また、それを遵守する義務をどちらが一体負うのか、そういったような点で必ずしも明確でない、そういうはざまの中においてこういう派遣的な労働者についてのいろいろ就業条件、雇用安定の面での問題がある、こういう中でこういう派遣法案のような仕組みで明確にして保護を図っていこう、こういうことをねらいにするものでございます。
 そういう意味で就業規則を派遣元において定めさせる、そしてそれをきちっと守らせていく、こういう仕組みでこの法案は御提案しておるわけでございまして、私どもとしては、当然そういう仕組みの中で法律がきちっと守られていくような指導していく責任があると、こう思っております。
#29
○和田静夫君 それだから、一〇〇%守られるという保証がありますかということに対しては、指導されていくということです。しかし指導されていったって、大体労働省の通達なんて多くのところで守られてきませんでしたから、監督署その他で摘発をしているところの事例を見たってあなた方が一番よく知っている。そこのところが多角的交渉事項になるんだというのが当然でありまして、単なる苦情でもって処理ができるなどというふうには何といっても考えられません。今のような答弁では済まされる問題でありません。
 もう一つ私は、今の答弁も答弁でありますが、労働省は法律も成立していないのに基準局の課長補佐が労担を集めた労働講座に講師として出席しているというこの事態は一体どういうふうに説明されますか。許可される業務とは何か、あるいは派遣先の使用者責任はどうなるかというふうにその講座で述べる。今まさに立法府が真摯に議論をしている。少なくとも私と労働省の皆さんとの論議では、二週間前のこの委員会は、私の部分に関する限りとまっている。そしてお互いが真摯に調査の結果に基づいて基礎的なデータを出そうじゃないか、論議のベースになるものをつくろうじゃないかと約束をした。社労の委員長もそのことを皆さん方に注意をした。それにもかかわらず、おたくの課長補佐は出ていって、これから許可される業務というのはこういうふうになるんです、派遣先元の使用者責任はこうなるんです、こういうようなことが平然とやられる。
 これは大臣、一体どういうことなんですか。これは私たち社会労働委員会がなめ切られているという状態でしょう。法律はでき上がっていないんですよ。これはどういうことを述べられたか、どういう質疑があってどういうふうに答えられたか、その全記録を出してください。
#30
○国務大臣(山口敏夫君) 今、和田先生から御指摘いただいた事実関係、大変恐縮でございますが、私の手元まで報告をさせましてその真意と講演の中身等につきまして早速御報告を申し上げたいと思います。
 また、今私どもといたしましては、大事な法案の審議をしていただいておるわけでございまして、この審議の経過というものを十分尊重し、踏まえて今後の行政的な対応をする、こういう基本的な姿勢でございますから、もし御指摘いただくような点があるといたしますれば大変遺憾なことでございまして、大臣としておわびを申し上げておきたいと思います。
#31
○和田静夫君 総合労働研究所が主催をされて五月二十二日、六月五日。募集要項出ていますからね。課長補佐の名前も挙がっていますし、みんな挙がっていますから私の言っていることはでたらめ言っているわけじゃありませんので、今大臣の答弁はまじめに行われるだろうということを前提に置いてその結果を待ちたいと思います。
 それから、登録型の場合ですが、就業規則がどのように作成されるのだろうか。労基法九十条によれば、就業規則の作成というのは、「過半数で組織する労働組合」または「労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。」ということに今なっていますね。この「代表する者」という趣旨は、労働者自身の代表、正確には選挙によって選ばれ、代表と解される。登録型においてそれが可能だろうか。登録型の場合は、だれが従業員であるかわかりにくいシステムになっているわけですね。日常的に職場で顔を合わせているわけじゃない、したがって、従業員が何人いるのか、住所、氏名などは経営者しかわかっていない。そういう状態で、労働者の過半数を代表する者を当該の労働者が選べるだろうか。
 労働省は、労基法九十条の実効性をどのように担保されるのか伺いたいんですがね。
#32
○政府委員(寺園成章君) 就業規則を策定しますに当たりましては、過半数を代表する労働者の意見を聞いて策定をするということになるわけでございます。その場合の過半数の計算といたしましては、雇用されておる労働者ということでございますので、登録型の場合におきましては、派遣をされている人がその母数になるということになろうかと思います。
 御指摘の、代表者をどのような形で選び得るかという問題でございます。通常の一般事業所における一般労働者の場合と派遣労働者の場合は就業の形態が違いますので、派遣労働者に見合ったような形の工夫が必要かと思います。例えば、立候補者につきまして信任投票をする、その信任投票に当たりましても回覧というような方式を使うということも考えられると思います。また、各事業所ごとに代表者を選び、その代表者がさらに代表者を選出するという方法もあろうかと思いますし、また、事業所ごとの代表者が連名で労働者の代表としての役目を果たすというような形も考えられるのではないか。
 いずれにいたしましても、派遣労働という就業形態の中にあって、それらの人たちの意見が反映されるようなそういう形のものをとっていくべきであろうというふうに考えております。
#33
○和田静夫君 もう時間がなくなってきましたからね。少なくとも基準局長、従業員名簿を閲覧させる必要があると考えますが、いかがでしょう。
#34
○政府委員(寺園成章君) 具体的の場合に、どのような形で代表者を選ぶことができるかという問題の一環としての御提案でございますけれども、そのような御提案の形のものを必ずしなければいけないということになるかどうか、それは個々の派遣元における派遣労働者の実態との関係で考えられるべきことでありまして、一律にそうすべきであるということは言えないのではないかというふうに思うわけでございます。
#35
○和田静夫君 いやいや、少なくとも一般については、求められればその名簿ぐらいは閲覧をさせなければ、どういう人間が登録型の中にいるのかというのはわからぬわけですから、それぐらいのことを――私は今ここで強く義務づけろなんて言っているわけじゃありませんでね、求められれば当然のことでしょう、これは。
#36
○政府委員(寺園成章君) 就業規則を策定いたします派遣元といたしましても、当該事業所におきます労働者の代表者の意見を十分聴取をして就業規則を定めるというのが基準法の精神でございますし、そのことがまた就業規則を実際上適用するに当たりましても実効性があるゆえんのものであろうかと思います。
 そういう意味で、派遣労働者の適正な代表者を選出するに当たって、登録者の名簿というものが必要であるということであれば、事業主としてそれを示すということも一つの方法であろうというふうに思います。
#37
○和田静夫君 最後ですが、前のときの懸案の問題、登録型のピンはね規制問題ですがね。一九八〇年に調査会が調べたいわゆる請負額に占める賃金比率、要するに中間搾取率、まあ大まかではありますがようやく資料が出てきたわけであります。これはもうあの私の質問のときにあることはわかっておりながら言っているのに、なかなかあのときお出しにならなかったんですがね。
 大臣、この比率が少なくとも七割以下ということはピンはねの部類に入ると常識的に考えるんですがね。一言だけ。
#38
○政府委員(加藤孝君) 売り上げと、それからその中における労働者の賃金との比率が、これが何%であればピンはねとかピンはねでないとか、これはもう業種業態によっていろいろ違うわけでございます。
 また、ピンはねという言葉の意味がもし仮に中間搾取という意味でならば、私どもは、派遣労働というものは、この派遣法の仕組みで行われるならばこれは中間搾取ではない、こういうことで御説明を申し上げておるわけでございます。
#39
○和田静夫君 そこのところは後でちょっと反駁しますが、時間がありませんからね。
 この八〇年の調査会では調査対象に入っていたものが、なぜ昨年十二月のあなた方の実態調査にこれ入れなかったのかというのが私は非常に疑問なんですよ。あなた方はそのピンはねの実態を隠ぺいしようとして故意に落としたんじゃないの、この実態調査の中から。
#40
○政府委員(加藤孝君) 五十五年当時の調査におきましては、これはとにかく派遣的な形態のものということで、我々調査をするについて、そのこと自身が例えば労基法違反として直ちに問題化されるのではないか、こういうような観点のいろいろ問題もある中での調査でございまして、そういう意味では、こういう調査に協力をしていただけるところということでの調査でございまして、いわゆるサンプリングをやりましての調査というものではないわけでございます。そういう意味ではそういう資料を収集できるところについての調査ということでございまして、そういう意味で私どももそういったものについてある程度突っ込んで聞くことができたということでございまして、今度の五十八年調査におきましては、そういうものについてとても一般的にそういったものを来すことがいわば統計的に難しい、こういうことで対象になっていないということでございます。
#41
○和田静夫君 いや、それはもう納得できません。統計的に出すことが難しいから対象のあれになっていないというのは、私は前にも提案をしましたけれども、その工夫はあなた方の頭脳をもってすれば幾らでもできることを、あえて避けているのがどうもわからぬのですがね。
 中間搾取というのは、他人の労働関係に介入して利益を得ることであって、派遣の場合は雇用関係がある、だからそれが何割であろうがピンはねではないという趣旨のことを今言われましたが、それは私は誤りだと思いますよ。仮に派遣元事業主と形式的に雇用関係が存在しても中間搾取はあるんでしょう。――ありますね、これは。一言。
#42
○政府委員(加藤孝君) 要するに、中間搾取かどうかということは、基準法六条の規定に該当するような事実があるかどうかということでございますので、これは派遣の場合にそういう、形式的にやっておるけれども実態として実はこれは六条に該当するんだというような、例えば雇用関係ありというふうに装っておりながら雇用関係が事実上ないような形でそれが行われておるというようなことがあれば、もちろん六条の違反の場合はあり得るということでございまして、しかし、派遣法上の規定に基づいてちゃんとやっておられれば、それは他人の就業に介入したことにはならない、こういう意味で申し上げておるわけでございます。
#43
○和田静夫君 とにかく、あると一言言ってもらえればいいんです。
 それは何といったって昭和五十三年十月十七日の東京地裁の花王航空事業株式会社に対する判決は、これはもう明確でありますね。被告人が労基法六条の中間搾取に該当すると判決したわけですから、あれは。この事件は地裁で確定しているでしょう。この会社は当該労働者と雇用関係をきちんと結んで、そして社会保険、労働保険も適用していた会社でしょう。そういうような会社であっても中間搾取が成立しているという判例でしょう、これ。あなた方の解釈は、この判例理論を完全に無視していると言わなきゃならない。したがって、その限りにおいてはあなた方の中間搾取論は答弁の中から撤回すべきなんですよ。
 もっと私に言わしてもらえば、この事件というのは、その後契約関係が派遣元にあるのか派遣先にあるのかが民事として争われましたね。そして地裁は、五十四年十一月二十九日に花王と花王の労働者との間に実質的な契約関係があったと認めたでしょう。実質的な労働契約関係が派遣元との間に存在していても、職安法四十四条労働者供給または労基法違反が成立する、そういう事例です、これは。したがって、単に雇用関係があるだけで中間搾取が成立しないということは言い切れない。また、派遣料に占める賃金額の割合というものを、これは明確に皆さん方は調べる必要がありますよ。五年前のああいうようなデータでは話にならない。
 私たちは既に衆議院の対案において、当該労働者に派遣料を開示すべきであることを主張して、多くの論議が衆議院でなされたことを知っています。そこで大臣、少なくとも登録型につきましては派遣料の開示を義務づけるべきだと私は強くずっと主張しているんですが、ちょっと見解を承ります。
#44
○国務大臣(山口敏夫君) 衆議院の修正によりまして、標準的な派遣料金を行政庁に提出させる、こうした資料等に基づいて事業運営の実態を把握して派遣労働者の労働条件の向上、その他福祉の増進に努めると、こう考えております。
#45
○和田静夫君 労働省は、派遣労働者を中間搾取から、あるいは劣悪な低賃金からどういうように保護されようとしていますか。
#46
○政府委員(加藤孝君) この法案によりまして、派遣元におきまして雇用者としての責任を果たさせるという観点からの仕組みを設けておりますし、それからまた、派遣元におきますいろいろな苦情その他の問題につきましての処理の仕組み、そして両方の責任者というものを置かせるというような形での仕組みも設けて、今までそういう問題が起きたときに一体どちらへ相談したらいいのか、どちらに問題の解決の責任があるのかというようなことについての関係についても明確にしておるわけでございますし、さらにまた、就業機会の確保、あるいはまた教育訓練等を通じましての能力の開発向上の面等につきましても努力義務を課していく、こういうような形をいたしております。また、いろいろ公序良俗違反になるような派遣契約の面での問題点については派遣契約が無効になる、こういうような規定を置きまして、そういう公序良俗違反のような形によります派遣労働者の身分の不安定というものを守る、こういうようなことでの規定も設けております。
 これらを通じまして、派遣労働者がこれまでいろいろ問題にされておった面の改善をこういう仕組みの中で図っていきたい、こう考えておるわけでございます。
#47
○和田静夫君 ここのところは後ほど目黒委員からさらに継続的に論議がありますからそこに譲るとして、あと簡単に二つだけ、前回で懸案の問題でちょっと確認をしておきます。
 前回の質問で、私は運転手派遣業、それから大新東株式会社の東京運転代行会を問題にしたわけですが、その際の局長答弁というのは、これはどうしても受け入れるわけにはまいりません。特に運転代行については一人請負であるなどという答弁をこれは了とするわけにはまいりません。これは派遣業です。自動車の運転にいかなる専門性があるか開陳してみなさいよ、法律との関係で。これはまさに単に肉体的な労働力の提供ですよ。
#48
○政府委員(加藤孝君) この運転代行業務につきましては、前回もお答えいたしましたように、一定の場所へ参りましてその車についての運行を請け負う、こういう形になっておるわけでございまして、向こうでの指揮命令を受ける、こういう形にはなっていない。いわば注文を受けてそれを請け負う、こういう形になっておるというのが一般でございまして、そういう意味で直ちにこれを労働者供給事業との関係で問題がある、こういうふうには私どもは考えていないわけでございますが、いろいろ御指摘もございますので、さらに関係者からの事情聴取等によりまして実態の把握に努め、もし問題があればもちろん適切に措置をしていかなければならぬ、こう考えておるわけでございます。
#49
○和田静夫君 大新東の場合、この間も述べましたが、請負契約の形式をとっていますけれども、明確に偽装請負であります。その何よりの証拠は、会社自身が内部資料で運転手派遣システムとはっきり言っているわけですからね。会社がみずからの業務を派遣だと認識しているにもかかわらず、労働省はこれを請負と認定するというのはどうしても解せない。したがって、今答弁がありましたが、これは十分に調査をされましてそして対応してもらいたい。
 それから、最後ですが、ここのところが明確にならないと派遣法が実はざるになるんですよ。私が具体例を上げるのはなぜかといえば、これほどはっきりした派遣業がもし請負と認定されるのであれば、だれも無理して派遣業とは名乗りませんよ。請負を偽装すれば何をやっても野放しだ。そんなメリットを捨ててだれが派遣業の許可、届け出をしますか。偽装請負を認める限り、現在のような野放し状態を続けるのであれば、こんな法律は無理して通すことはないということになるわけであります。ここのところを十分に本委員会は吟味をしなきゃならぬ。
 なお、懸案の問題としては、三十二条二項の抜本的修正の問題や兼業禁止の問題や、あるいは職安法の施行規則四条の法制化への格上げの問題や、三六協定の実効性を確保する問題など理事会に預けている問題がありますが、この辺は、残余は我が党の質問者が続けることにいたしますが、今のところは答弁いただきますよ。
#50
○政府委員(加藤孝君) 御指摘のように、偽装請負というものについては、これはもちろんこういうものについては法の趣旨を没却するものでございますので、派遣事業と請負との区分につきましては今後明確に具体的な認定基準というものを定めていくことが必要であると考えておるわけでございまして、この点は中央職業安定審議会においても今後具体的認定基準を定めるということで作業をすることが既に示されておるものでございます。
 それで、この検討の方向といたしましては、派遣先の指揮命令のもとに業務に従事させるものであることということが一つのポイントでございまして、その判断といたしまして、一つには、労働者の具体的な業務内容についての個別的な指示を行っているかどうか。二つ目としまして、出退勤などの労働時間の管理を行っているかどうか。三つ目といたしまして、労働者を混在させ、共同で業務を遂行させているかどうか。こういったようなことが一つの決め手になるような判断でございまして、これらを総合的に勘案いたしまして判断していく、こんなことで今後検討を進めていきたいと考えております。
 また、二番目の大きな柱といたしまして、業務の遂行に関して事業主としての責任を負うものであることということが一つの柱でございますが、その具体的な判断といたしましては、その業務の遂行がその事業主の有する能力、資格等に基づいて行われるものであるかどうか。二番目といたしまして、その業務の遂行のために必要な経費について事業主がみずからの責任で調達支弁するものであるかどうか。こういったようなことを総合的に勘案して行っていくべきものである。こういう基本的な考え方のもとに、これらについてのさらに具体的な認定基準を、労使のいろいろまた御意見等もいただきながら、具体的に詰めて定めていきたい、こんなふうに考えておるところでございます。
#51
○和田静夫君 大臣、どうですか。
#52
○国務大臣(山口敏夫君) 和田先生の御指摘の点は、非常にこの派遣法の運営に対して大事なところでございますので、今局長からも答弁ございましたが、事務当局を十分督励して、適切な運営が図れるように私としても努めたい、かように考える次第でございます。
#53
○目黒今朝次郎君 私は、第一番に、海上労働者派遣の問題について実態例を述べて、この法案との関係をひとつ冒頭ただしておきたいと思います。
 海上労働者の派遣というのは、外国船への労務提供という形で行われておるわけでありますが、国会でもマルシップ問題とかの関係でいろいろ議論もされてまいりました。具体的に、ことしの五月二十六日スペイン南部でタンカーが炎上爆発した、この問題で、もう時間がありませんから、一々答弁を求めていると時間がなくなりますから、私の調査した範囲で、間違っていれば後ほど運輸省なり労働省、あるいは厚生省で指摘をしてもらいたい、私の方の調べたことだけきちっと言います。
 このタンカーには日本人六名、韓国人二十三名、合計二十九名が乗っておりました。この日本人六名のうち二名は、後ほど申し上げる会社の社員、四名はいわゆる海上の派遣労働者、こういう形になっています。二名は常用社員、四名は派遣労働者――派遣海員ですね、こういう格好になっております。それで、この四名のうち今回亡くなったのは二名であります。船長の海辺さん、それから賄い長の井原さんという方が死亡いたしました。これは派遣の海員であります。
 この派遣の海員の雇用形態を調べてみましたところ、この方々はいわゆる船員の雇用センターの離職登録者である、いわゆる登録型の、登録されておる方であることが一つ。雇用センターが、太洋産業貿易、これはいわゆるあなた方の言う元ですね、太洋産業貿易を船主代理人としてロス・ナベガンテスに職業紹介をした。雇用契約は、太洋産業からその海外ペーパー子会社であるロス・ナベガンテス社との間に結ばれた。外国船主、派遣先企業とは契約は行われていない。いわゆる派遣先とは契約は行われていない。賃金の支払いは太洋産業が行っておる。一番大事な船員保険、陸上労働者でいえば労災保険でありますが、この船員保険については、当該の方々、船長の海辺さんあるいは井原さん、こういう方々が、船乗りであるから船員保険にはぜひ加入させてほしいということを派遣元と派遣先両方に要請したけれども、そんなことはできないといって、船員保険は掛けないまま出航した、こういうのが雇用形態の実態です。
 それで、この方が今回災害に遭ったわけであります。災害に遭って一番問題になっているのは、船長の海辺さんも賄い長の井原さんも船員保険を掛けていませんから、陸上で言ういわゆる業務災害補償、あるいは労災補償、そういう意味での補償は全然ない、この船長さんは。ところが、この船長さんの経歴を調べてみますと、昭和二十年の九月に清水高等商船学校を終わってかれこれ三十五年ほど船員保険を掛けて、たまたま解雇になって、失業してこの雇用センターに登録された登録人である、こういうのがいわゆるこの事故の実態です。
 それで、まず運輸省にお伺いしますが、この船員の雇用センターの法律をつくる際に、いわゆる労働条件、船員保険を含んだ労働条件等については、現在の海員組合なりあるいは船通労働組合などとの労働協約、あるいは労働組合の意向を十分尊重する、こういうふうに、これは昭和五十二年十二月八日、運輸委員会において、当時のii運輸大臣、運輸大臣は、この議事録の三ページ、私の質問に対してii運輸大臣は、私は労働大臣を経験しておる運輸大臣であるからそういう点は十分わかる、したがってそういうことのないように十分指導しますという大臣答弁をしているんですが、この大臣答弁と雇用センターと、今私が言ったような実態、こう三点を見ますと、どうも雇用センターの指導に大きな誤りがある。派遣先でぜひ船員保険に入れてほしいと言っても船員保険に入れてくれなかった、したがって遺族は、今回は一切の業務上死亡の補償はもらえない、こういう、泣くに泣けない、まあこういうように新聞に、――泣いているんですがね。海の男が船に乗るのに船員保険を掛けられないという、こんなばかなことがあるんですかといって家族が泣いている。
 したがって、まず運輸省、船員部長、こういう船員のあり方について、大臣答弁と雇用センターを運輸委員会で審議して成立させた過程を考えると、この雇用センターなり太洋産業のやり方についていかようにお考えか。まず、船員部長からお伺いします。
#54
○政府委員(武石章君) お答え申し上げます。
 今先生おっしゃいましたとおり、この非常に不幸な事故で亡くなりました方々のうち、四名の方は、日本船員福利雇用促進センターのあっせんを受けまして、ロス・ナベガンテス社との間で雇用契約を結んだ上、乗船したものでございます。実は、このロス・ナベガンテスという会社は、先ほど先生からちょっと御指摘がございましたけれども、これは海外の子会社ではございませんで全くの別の会社でございます。そこの代理人といたしまして全日本海員組合との間で労働協約を締結しております。その労働協約では、労働時間とか時間外労働あるいは賃金、時間外手当、安全衛生、災害補償、その他休日、有給休暇の問題とか、各種の労働条件、雇用条件に関する中身を協定いたしておりまして、それに基づいてこのロス・ナベガンテス社が四人を雇用しているという形で出ておるところでございます。
 船員保険の適用に関連しまして、実はこの適用が法律上難しいものでございますので、この全日海との間の労働協約では、SP保険といいます、シーマンズ・パッケージ・プラン、いわば船員総合保険というものでございますが、その保険に加入しておりまして、死亡時には三千万円と給与の千日分、さらに葬祭料というものが支払われるという内容の契約が行われておりまして、そのように履行されるものと私どもは考えておるところでございます。これは現在の船員保険にほぼ準じた内容になっておるということでございます。
 それから、船員保険をこういう方々に適用するか否かという問題につきましては、これは、船員保険を所管しておられる厚生省の方で御判断いただくことかと思いますので、私どもとしてお答えする立場にございませんので、その点を御了解いただきたいと思います。
 それから、労働条件その他につきまして、センターの運営が今後どうあるべきかということでございますが、この日本船員福利雇用促進センターは、先生御指摘いただきましたように、船員の雇用の促進に関する特別措置法によりまして五十三年の五月に指定を受けた法人でございます、船員の雇用の促進と技能訓練等に関する業務を行っているところでございますが、センターは、雇用促進事業の一環として外国船への配乗のあっせんを行う場合に、従来から外国船に乗り組む船員の安全とか労働条件等を確保するために、外国の信用ある海運企業を中心に開拓を行うということで配乗のあっせんに努めているところでございます。今後とも適正なセンターの運営につきまして指導をしてまいりたいと考えております。
   〔委員長退席、理事関口恵造君着席〕
#55
○目黒今朝次郎君 今の言葉じりをつかまえるわけじゃありませんが、あれですか、船員保険に見合う金額を補償する措置をとっているということを言ったんですが、それは確認していいですか。船員保険に見合う労災の補償を措置するということを、議事録はすぐありませんが、そういうふうに私受け取ったんですが、それ、確認していいですか。
#56
○政府委員(武石章君) ほぼ同様の内容の補償がされるという内容になっておるということでございます。技術的に適用のできないようなものはございますけれども、それ以外はほぼ同様と考えております。
#57
○目黒今朝次郎君 私はレクチャーで具体的問題を提起しているんですから、海辺船長と賄いの井原さんの問題についてどうですかということをレクチャーでちゃんと具体的問題やっているんですから、特別の例云々なんということ、そんなことは要らないですよ、国会の質疑では。私は一般論で質問しているんじゃないんですから。きのうは、船長の海辺さん、賄い長の井原さんと。ですから、今あなたが言う船員保険に見合う補償がされるということになれば、遺族の請求に対して支払わないということは、じゃ、これは支払わない方が悪いんですね。あなたは国会答弁で、船員保険に見合う支払いをすると断言したんだから。それは確認していいですか、もう一回。
#58
○政府委員(武石章君) 保険契約ではそういうことになっております。
#59
○目黒今朝次郎君 だから私は、この井原さん、海辺さんはどうですかと質問しているんですから、船員部長に。
#60
○政府委員(武石章君) お二人について、そういう保険契約が結ばれております。今申し上げましたような内容の保険契約が、このお二人について結ばれておりますので、当然に支払われるものと考えております。
#61
○目黒今朝次郎君 じゃ、遺族と太洋産業ですか、太洋産業貿易がこの扱いでいろいろなトラブルがあった場合には、あなたは責任を持って、今国会答弁に合うような賃金の支払いを遺族に補償できるように行政上の責任をとれますね、太洋産業と遺族の間で。それは確認していいですか。あなたは契約上補償されると言うんだから、この泣いている遺族に払うようにしますね。
#62
○政府委員(武石章君) 私が個人的に保証するというわけにはまいりませんけれども、保険会社がこの保険金を円滑に支払うように指導してまいりたいと思います。
#63
○目黒今朝次郎君 大臣、私がこの例を言ったのは、この案件が起きてからいろいろ遺族と太洋産業なりあるいは派遣先ですね、いろいろトラブルがあるんですよ。トラブルがあって、今運輸省の船員部長の言うとおり円満におさまっていれば何も私はここで取り上げる価値がない。ところが、円満にいっていないから私はここで取り上げたんですよ。
 だから派遣元の、いわゆるこの法案で言う派遣元の太洋産業、これが海員組合と協約を結んでいる。それから派遣先の外国船主。船に乗るとき、私は今から乗りますけれども、船員保険がないんじゃ心配だ、船員保険掛けてくれ、掛ける掛けないといってトラブルやっている間に出航しちゃった。結果で言えば掛けないまま出航しちゃった。こういう話なんですよ。だから、派遣元にも問題があり、派遣先にも問題がある。ところが本人が死んじゃった。こういうことでありますから、私は今和田先生の話を聞いておって、派遣元、派遣先、やはり船長という労働者、賄い長の井原さんという労働者から見れば、双方に関係があるんですよ。だから、元締めでやったから派遣先ではいいんだというようなことには、これはならない。やはり実態論として元締めもあるけれども派遣先もあるんだということを立証することを兼ねて、具体的な、一番国際的な問題になったこのスペインの事故を取り上げたんですよ。
 ですから、そういう点でひとつこの問題についてはきちっと、派遣先、派遣元あるいは船員雇用促進センター、そういうことでやはりきちっとしてもらいたいなということと、今船員部長が言ったとおり、これは協約上最大限努力します、こう言い切ったんですから、これが可能になるようにひとつ行政上最大の責任を持ってもらいたいということを要請をして、大臣もこれはたまたま国務大臣としておるんですから、雇用センターはこれは政府の機関ですから、船員雇用促進センターは失業船員関係をやる、この労働者派遣法と同じような意味を持つんですから、それで大臣にも、今船員部長が言ったことを含めて最大限の努力をしてもらいたいなということを大臣に要請しますが、いかがでしょうか。
#64
○国務大臣(山口敏夫君) 先生に国務大臣としてという御指摘いただきましたように、運輸省の所管としてどうこれを進めるかということでございますけれども、話の中身はよく理解をいたしましたので、実情もよく私なりの立場で調べさせていただきまして、また私なりの措置をどうするかということを検討させていただきたいというふうに考えます。
 また、派遣元、派遣先の問題につきましても、いろいろこの派遣法の中で派遣元と雇用労働者との契約関係、責任関係ということの明確化の中で労働者保護を図る、こういうことでございますけれども、当然派遣先との労働力供給の中におけるそれなりのやはり役割分担、責任というものもこれはあるわけでございまして、これは法律的にどうかということになれば派遣元、こういうことでございますけれども、その相互における関連の中で派遣労働者の労働条件の改善や保護がなされていくべきである、こういう考え方に立って労働省としては進めるべき中身もたくさんある、こういう私は認識を持っておるわけでございます。
#65
○目黒今朝次郎君 船員の雇用促進センターを議論する際にも、これは職業紹介の一つの形態だということで我々議論したんです。それで、職業紹介の一つの形態だという議論をやる際に、ILO九十六号の問題について我々も議論したんですがね。
 労働省に伺いますが、このILO九十六号は昭和二十四年に採択されて、昭和三十一年に第三部を日本が批准をした、こういうことについては、事実関係間違いありませんね。
#66
○政府委員(野見山眞之君) 日本は、ILO九十六号条約を批准いたしております。
#67
○目黒今朝次郎君 批准している、第三部を。それで、スウェーデン政府がILO事務局長にこの労働者派遣の問題をめぐって質問書を提出して、ILOの事務局長が回答した、そういう中身については承知しておりますか。
#68
○政府委員(野見山眞之君) スウェーデン政府がこの九十六号条約の点についてILO事務局に照会したということは承知しております。
#69
○目黒今朝次郎君 照会の内容は、派遣元が派遣先の注文に応じて労働者を雇用し賃金を支払う、派遣先が指揮命令系統を持つ、こういう形態については九十六号規制の対象かと、こういう質問だった、簡単に言えばそういうことであります。その回答の訳文がここにあります。回答の訳文はいっぱいありますが。
 これを私なりに簡単に説明すれば、回答は、元請が労働者を雇用し、労働者の賃金を支払う、しかし労働の中身、サービスの内容の決定は派遣先が行う、それから労務の遂行の監督も派遣先が行う、こういう形態であるから、当該事業は、労働者にとっては職業、使用者にとっては労働者のあっせんを受けるいわゆる仲介業、こういうふうになるから、この行為は九十六号条約の対象である、こういうふうにこの文書は書いておりますが、今回提案されたこの法案は九十六号の対象である、こういうふうに私はこの法案の骨格からいって考えますが、そういう理解で間違いありませんか。
#70
○政府委員(野見山眞之君) スウェーデン政府が照会いたしましたケースについてのILO事務局の回答の中で、その紹介所が該当するとした判定の理由の幾つかの中で特に二つ申し上げますと、労働やサービスの内容を決定するのは派遣先が決定するんだということ、あるいは派遣先が労働者の職務の遂行を監督して、すなわち労働者を第三者の自由、いわゆる派遣先の自由にゆだねるような配置の仕方をしているという前提条件のもとで九十六号条約に該当する、こういう回答をいたしておると承知しております。
 したがいまして、今申し上げましたような前提条件等と今回の派遣法案において派遣元において労働条件等の設定、派遣契約の遵守等を定めていること等から見て、スウェーデン政府の照会したようなケースと今回の派遣法案とは異なるものというふうに理解いたしております。
#71
○目黒今朝次郎君 ちょっとお伺いしますが、和田先生の質疑応答を聞いておって、私も労働者の端くれですよ、国鉄にも鉄道整備とか日食とか弘済会とか、いろんな派遣事業あります。それで、あなた方が言った、元締めで根本的な労働条件を決める、元で賃金は幾らとか労働時間は幾ら、福利厚生は幾らとこういうことを決める。しかし、実際に派遣者が働く仕事の態様、サービスの中身、仕事のやり方、それは派遣先の企業が決めるんでしょう。違いますか。仮に賃金とか労働時間とか年休とか、そういうのは元締めで結んだ、こういうふうに肯定しても、実際の毎日の仕事のやり方というのは派遣先の監督、指揮命令に従って動いているんじゃありませんか。これはその実態の認識だから、この実態についてそれは違うというならどこが違うと、違わないとしたらそのとおりと、違うというのはどこが違うんだか教えてくださいよ。私は毎日毎日仕事の実態を見ていますからね。私の実態の認識は、労働者的にも使用者的にも間違いないと思うんですが、いかがでしょう。
#72
○政府委員(野見山眞之君) 先ほど、業務処理請負事業の実態に関する調査の中では、現実には派遣先といいましょうか。派遣先において時間なりそういうものを決めているケースが多いという調査、現実にはそういう実態であるということは御説明申し上げたとおりでございますが、今回の派遣法案におきましては、労働者派遣契約におきまして派遣元と派遣先がどういうような条件のもとで就業するのかということを派遣元との契約のもとにおいて設定し、すなわち派遣元がその内容を承知し、かつ派遣労働者にその派遣先での労働条件、就業条件を明示した上で派遣するということでございますので、派遣先の労働、サービスの内容すべて派遣先にゆだねているものではないわけでございます。
#73
○目黒今朝次郎君 そうすると、仮に一歩下がって、それは私は、大枠を決めるということは何も否定していない。大枠を決めるけれども、その大枠に従って具体的な態様、具体的な労働、具体的な仕事のこなし方というのは、やっぱり派遣先の指揮命令系統で動くんじゃありませんかということを私が聞いている。
 例えば鉄道整備が国鉄と契約した、契約して私の長町機関区に派遣されている。長町機関区に派遣されている三十名、五十名の派遣労働者は、現実に長町機関区の検査、修繕、機関区の運営という前提に立ってみな指揮監督を受けているんですよ。それは鉄道整備ですからいわゆる中小企業のように余り劣悪ではありません。ありませんが、作業の形態としては、根本を国鉄側と鉄道整備が決める、そして整備会社が職場に派遣する。派遣された皆さんはみな、長町なら長町機関区の作業の形態に従って、だれだれはこうやれ、こうせい、いや超過勤務だ、あれだ、これだ、みなやっているんですよ。だから、一歩下がって骨格は決めたといって肯定したとしても、実際の作業内容はその派遣先の指揮命令系統で作業しているんじゃありませんかということです。それは否定するんですか。
#74
○政府委員(加藤孝君) これは先生のおっしゃいますように、派遣先においてその指摘命令によって仕事をするというのが派遣労働であるわけでございますので、そういう個別具体的な指揮命令が派遣先で行われるということはもうおっしゃるとおりでございます。
 ただ、申し上げておりますのは、労働時間の問題であるとか、仕事の大枠の枠組みの問題等は、すべて派遣契約において派遣元においてそれが派遣労働者に対して明示をされていくものであって、その限度において派遣先で指摘命令を受けるということであって、派遣先がその労働者を自由自在にどうにでも使えるというものではない。そういう意味においてスウェーデンでのケースと違うということを申し上げておるわけでございます。
#75
○目黒今朝次郎君 まあ国柄が違いますからぴったり合うわけではないことは私も認めますが、しかし九十六号条約が示している方向、あるいは有料職業紹介に関する規制という方向については私はやっぱり相通ずるものがある、こういうふうに考えるんですよ。
 そういう視点から考えますと、この条約の中で、「第三部 有料職業紹介所の規制」、その中で、「権限のある機関の裁量で更新される有効期間一年の許可証」と、一年になっているんですね。これは三年になっている。それから、ピンはねの関係で重大な関係のある(c)で、「権限のある機関に提出してその承認を受け、又は権限のある機関が定めた金額表による料金及び経費に相当する額のみを徴収しなければならない。」、ここで中間搾取、中間搾取というのは語弊がいろいろありますが、いわゆる有料職業紹介所はピンはねをしてはならないということで、条約の第三部できちっと決めているわけですね。これを日本が批准しているんですから、少なくともこの労働者派遣法の俗称ピンはね論の問題については、そこのところは条約の線に従ってきちっと、衆議院の修正にまつまでもなく、きちっと行政が、この条約を批准しているんですから、その精神にのっとってやっぱりピンはね規制なりあれをきちっとすべきだ、こういうふうに私は理解をするんですが、なぜできなかったんでしょうか。できないとすれば、行政上、あるいは批准したことの関係で何か支障があったんだろうか、こう考えますがね。この点はどうしても疑問として残る、こう思うんですが、いかがでしょう。
#76
○政府委員(加藤孝君) この九十六号条約におきます有料職業紹介の定義、これはスウェーデンでのそういうケースがございますが、これはあくまで事務局の解釈ということで、有権的な解釈ではないという前提でのものでございますが、そういう解釈のものとしてスウェーデンのケースがございますが、私どもは、先ほどから申し上げておりますように、御提案申し上げております派遣事業の内容においては、派遣元において雇用責任をしっかり負う形でのいろいろ仕組みになっておるわけでございまして、この条約に言う有料職業紹介事業には当たらない、こういう基本的な考え方でございます。
 また、既にこの条約を批准しております例えば西ドイツとかフランスとかいうようなところにおきましても、こういういわゆる人材派遣法というものはいろいろ実施をされておるわけでございまして、そういう意味におきましても、また私どもは現在のこういうものが条約に言う職業紹介には当たらない、こういう基本的な考え方のもとにおるわけでございます。
#77
○目黒今朝次郎君 我々もILOに何回か行って、多くの国が集まっていますからいろんな議論あります。ありますから、今の事務局長の見解が公的な云々だということも、まあ都合の悪いときはそういう解釈もあるのかなと、都合のいいときは事務局長解釈で代表なんかになるんですかね。しかし、現実に争いなり見解の相違があることは事実。ですから、我々は九十六号条約の対象だと、したがって、条約の中身から見るとこの法律は抵触する、こういう見解を持っているんですがね。何か日本の組合でも、六つか七つの組合が、この問題が強行されればILOに提訴する、こういう動きもあるようですから、国際的な貿易摩擦でまたしっぺ返しを食わないように十分対応することを老婆心ながら言って、ILOの理事会でもう一回けんかし直しましょう。
 それから、時間ないですが、もう一つ最後に港湾労働の関係で、この条項では港湾労働法に匹敵するやつは除外になっている、港湾と建設労働法。
 それで、港湾でお伺いするんですが、港湾労働法は六大港しか対象になっていないんですよ。六大港以外の九十三港については、私は港湾の労働の実態、あるいは昔のタコ部屋、暴力団が巣をくっている、こういう形態から見ると、六大港とその本質において変わりがない、こう思うんですが、そういう点から言うと、やっぱり地方港の九十三港も原則的には対象外という立場で取り組むべきだ。運輸省に本当は説明求める予定ですが、もう時間がありませんから、三十分までだそうでありますから、この九十三港の問題について見解を聞かせてもらいたい、こう思うんです。
#78
○政府委員(加藤孝君) 港湾運送業務につきましては、港湾労働法において特別の雇用調整制度が設けられておりますために、法律上適用対象業務から除外することにいたしておるわけでございます。しかし、その業務の特性は、御指摘ございましたように他の九十二港湾につきましても同様でございます。また、それらの港湾における業務につきましてこういう労働者派遣事業を導入するとすれば、港湾労働法による雇用調整制度にもいろいろ悪影響を及ぼす、こういうことにもなるわけでございまして、こういう業務を適用対象業務にすることは考えておりません。
#79
○目黒今朝次郎君 最後に要望ですが、港湾労働、建設労働と非常に似通った形態を持っているのが林業労働者。ですから、社会党が林業労働法案を国会に提案して、やはり港湾労働法なり建設労働法と同じような形で民間の林業労働者に、まあ国有林は林野庁がありますから、民間の林業労働者について対応すべきだということで社労にも提案しているんですが、この民間林業労働者も、今局長が言った答弁の趣旨から言うと十分に検討に値する問題であると、除外に値する問題だと、こう考えますので、この民間林業労働者の除外の問題についても積極的に検討してほしいということを要望しておきますが、いかがでしょうか。
#80
○政府委員(加藤孝君) 林業労働につきましても、いろいろ先生今御指摘のような諸問題もあるわけでございまして、これを派遣対象の業務とすることについては考えておりません。
#81
○目黒今朝次郎君 考えておりませんとは、除外すると考えてよいのですね。そう確認してよいですか。
#82
○政府委員(加藤孝君) 適用の対象業務から除外するという方向での考え方を申し上げておるわけでございます。
#83
○目黒今朝次郎君 はい、わかりました。
 質問を終わります。
#84
○中西珠子君 大臣にお伺いいたします。
 私は、この前の委員会で派遣期間の制限がないと派遣先の常用雇用の代替となる危険があるということを指摘いたしまして、派遣期間を制限している外国の法制の例を挙げまして、派遣期間の制限を強く要望いたしました。それに対して事務レベルの御答弁は否定的でありまして、二十五条の運用上の配慮と適用対象業務を限定するということでやっていくというお返事だったんでございますけれども、私はどうしてもこれだけでは足りない、派遣期間の制限がなければ派遣先の常用雇用の代替を防ぐことができないと思いまして、公明党・国民会議としてもこの点を強く検討していただくことを要望しているわけなんでございますが、この点に関しては、大臣はどのようなお考えでいらっしゃいますか。この前私が御質問したとき、ちょうど大臣は大変重要な御用でおいでにならなかったかもしれませんので、大臣の御意見を伺います。
#85
○政府委員(加藤孝君) この派遣期間の問題につきましては、これが派遣先企業におきます常用雇用労働者の雇用の安定に影響を及ぼすことのないよう、派遣期間が長期間に及ぶという場合につきましては、派遣労働者の雇用の安定、それから当該業務処理の実情、こういったものに配慮しながら、派遣元事業主に対して適切な指導を行っていく考えでございます。
#86
○中西珠子君 もうこの点は適当な指導とおっしゃらずに、やはり法案の中に、派遣期間の制限というものをやっていただきたいと強く重ねて要望いたします。
 それから、前々回だったかもしれませんか、派遣先の団体交渉応諾義務について質問をいたしましたところ、説明を受けてもどうしてもやはり納得がいかないということでございまして、これを蒸し返しても平行線をたどるばかりで、また、私の与えられた時間が大変短いのでこれは申しませんけれども、この法案では派遣労働者は派遣先に対して苦情を申し出ることしかできないというわけで、派遣先と派遣元の責任者がその苦情を処理することになろうかと思うんですけれども、苦情を訴えても、やはり派遣先の方がお得意先なんですから、派遣元の責任者というのはお得意先に対する遠慮があるでしょうし、また、苦情を言うような派遣労働者は他の派遣労働者と差しかえるというふうなことにならないでしょうか。これは非常に心配な点でございます。また、苦情処理ばかりでなく、派遣先が業務の指揮命令権を持っているんですから、日々遂行する業務についても派遣先に対して何とも我慢ができなくなって苦情を申し出るということだけではなくて、やはり建設的、積極的な、業務遂行にはこうした方がいいんじゃないかという提案とか、それからまた、やり方についての協議というふうなことも行い得る余地を少なくとも与えるべきであると思います。
 そして、これにつきましても強く要望いたしまして、何とか御検討を願えないかということを私は申し上げているわけでございますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。
#87
○国務大臣(山口敏夫君) 派遣労働者の保護ということの立場を踏まえてこの法案の御論議をいただいているわけでございまして、しかし、法律的に派遣元と派遣労働者の明確な雇用関係、こういうことでございまして、具体的な事例については、先ほど来論議いただいておりますように、裁判所あるいは労働委員会の判断等も含めまして派遣労働者の保護をどうするか、こういう立場に私どもとしては立っておるわけでございます。
 しかし、当然派遣先におけるいろいろ業務あるいは仕事を通じてのいろんな問題等につきまして派遣元がすべてこの責任を管理しているということでございますけれども、派遣先等におきましてもそうした労働者保護というものが十分行き届くように、労働省としては行政的な立場でこれをきちっと運用を誤りなきようにする、こういう責任は当然認識しているところでございます。
#88
○中西珠子君 大臣は、労働行政は労働者に対して六割、それから使用者に対しては四割ということでやっていくというふうなお席を所信表明のときにおっしゃいましたけれども、その大臣の姿勢をお忘れなく、派遣労働者に対する保護を本当に行き届いたきめの細かいものにしていただくように強く要望いたします。
 それで、これは大臣のお返事でなくてもよろしいんです、ちょっと非常に細かい質問なので。これは、今大臣も、派遣労働者の保護に大いに努めたい、そのためにこの法律ができているのだ、保護を目的としているのだということをおっしゃいましたけれども、派遣労働者は、派遣元と派遣先の事業所が例えば労基法の違反をやったという事実がある場合、労基法百四条に基づいて申告することができますか。
#89
○政府委員(寺園成章君) この法案におきましては、派遣労働者の保護を図りますために、基準法の適用について特例を設けておるところでございますが、この特例によりまして適用されます労働基準法等の規定に関しまして、派遣元または派遣先にそれらの法令に違反する事実がありました場合に、基準法百四条等の規定に基づきまして監督署に申告できることは当然のことでございます。
#90
○中西珠子君 この前、法案の中身についてお聞きし始めまして、時間が来て、全部終わっていないんですけれども、きょうも限られた時間でございますが、簡単にお答え願うということで、私は少し中身について伺いたいと思うんです。
 第四条の適用対象業務の範囲について、専門的知識、技術、経験の範囲ということが出ておりますが、専門的な知識というのはどういうことを考えていらっしゃるか。また、技術、経険というのはどういうことを考えていらっしゃるか。それをまずお聞きしたいと思います。
#91
○政府委員(加藤孝君) 第一号の「専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務」というものにつきましては、これはいわゆる単純な労働ということではなくて、まさに専門的な知識、技術、経験というものを一般的に必要とされる業務でございまして、この場合の専門性というのは、必ずしも一律に論じられるものではなくて、やはり個々の業務ごとに判断をされるということではございますが、少なくとも、いわゆる単純労働で行うことのできるような業務というのは、これはもう該当しないということでございます。
 それから、第二号の、「就業形態、雇用形態等の特殊性により、特別の雇用管理を」必要とする業務という点につきましては、例えば就業場所、就業時間、こういったようなものにつきましての就業形態が特別である、あるいはまた、労働者の雇用に関する形態、雇用形態が特別である、こういうようなことでございまして、例えば就業形態で申しますと、屋外での就業が一般的であるとか、あるいは夜間における就業が一般的であるとか、あるいはまた雇用形態の面で申しますと、短時間雇用、あるいはまた断続的な雇用、こういうようなものが一般的であるというようなことがこれに該当する、こんなふうに考えるわけでございます。特別の雇用管理という点につきましては、我が国の一般的に行われておりますような、いわゆる新規学卒者を雇い入れて、企業内におきましてキャリア形成を図りながら昇進、昇格をさせる、こういう雇用管理とは異なったタイプの雇用管理ということが一般的な考え方でございます。
 いずれにいたしましても、こういう基準に該当するかどうか、そして該当してもなお適切かどうか、こういうような観点から、個々の業務につきまして広く実態調査を行い、関係者の意見を広く聞き、そして審議会の意見を聞いて対象業務を決めていきたい、こう考えておるところでございます。
#92
○中西珠子君 実態調査が不十分だと思っておりますので、実態調査を早くやっていただいて、そして関係者の意見もよくお聞きになって、適用対象業務は中職審にやはりおかけになるわけですけれども、その前に実態調査を行うことと、関係者の意見もよくお聞きになるということでやっていただきたいと思います。
 とにかく新しい法律でございますし、これがどういうことになるか、一たん法律ができてしまうとこれを改正することはなかなかできないわけですから、本当に慎重に審議をしなければならないと考えているわけでございますが、与えられた時間が短いのでちょっと急いでお聞きしますけれども、二月五日に労働省がお出しになりました法案の要綱の中に派遣事業の兼業禁止があったわけですけれども、法案では削除されている理由は何でございましょうか。
#93
○政府委員(加藤孝君) この諮問の要綱におきまして、民営職業紹介事業につきまして兼業を禁止されておりましたこれまでの営業についての見直しを行いまして、今日の経済社会の事情から見て、真に必要と考えられるものに限って兼業禁止をする、こういう考え方で御諮問申し上げ、その際、派遣事業についてもこの民営職業紹介で設けられた新たな兼業禁止と同様の規定を設ける、こういうようなことで御諮問を申し上げた、こういうことでございます。
 しかしながら、新たな兼業禁止規定ということでの民営職業紹介事業についての規定の仕方、これが昭和二十年当初において定められておりますこういう規定について今後どう改めるかについては、これは現在の業務のその後の状況の中からこれを変えるということについてはなかなか簡単にいかないという問題がございまして、そういう意味で、民営職業紹介についてはこれまでどおりの兼業禁止規定をそのまま置いたということでございます。
 これとの関係におきましても、また、実質的に申しましても、派遣事業の場合には実際には基準法の適用があるわけでございます。したがいまして、例えば前借金の関係であるとか、強制労働の関係であるとか、そういったような関係での禁止規定がかぶってくる。あるいはまた、実際の許可という段階におきまして、事業の欠格条項というもので一定の方はできないような排除がある。また、事業運営能力あるいは雇用管理能力、こういったものについての審査が行われる。こういうような実体的な規定の中でそういう実質的な弊害の除去ができるのではないか、こういう観点から兼業禁止規定と、形は民営職業紹介事業のような形をとらなかった、こういうことでございます。
#94
○中西珠子君 やはりいろいろ好ましくない事態も起きてきて、兼業を禁止していないがゆえに好ましくないような営業を行っている人とか、例えばサラ金とか風俗営業とか、そういったふうな面で派遣事業を行うというふうなことがないとは限らないわけですから、許可の段階で本当に厳しく審査をしていただくことを強く要望いたします。
 それからその次、第十七条ですね、この第十七条に「新たに」という言葉が入っておりますけれども、新たでなければ欠格事由は適用しないんですか。短くイエスかノーかでお答えくださいませ。――十七条です。十七条の「事業開始の欠格事由」ですね。「新たに特定労働者派遣事業の事業所を設けて当該特定労働者派遣事業を行ってはならない。」、ここへ「新たに」というのが入っているんですね。新たにでなければ欠格事由は適用しないのか。
#95
○政府委員(野見山眞之君) 新規に事業を開始する場合の要件として欠格事由の該当を定めておるわけでございますが、既に営業をやっている者がこの欠格事由に該当するに至った場合には、別の条項により事業停止ないし廃止の命令ができるということでございます。
#96
○中西珠子君 それでは次は第二十一条でございます。
 第二十一条の第二項、「労働大臣は、特定派遣元事業主がこの法律(第三章第四節の規定を除く。)若しくは職業安定法の規定又はこれらの規定に基づく命令若しくは処分に違反したときは、期間を定めて当該特定労働者派遣事業の全部又は一部の停止を命ずることができる。」、こうありますね。第三章第四節の規定を除いた理由は何でしょうか。
#97
○政府委員(野見山眞之君) 基準法の特例部分についてを外したわけでございますけれども、これは、特に派遣事業主であるがゆえに他の一般の事業以上に基準法の特例についての遵守義務を課すことは適当ではないんじゃないかという観点から基準法の特例適用部分を外したわけでございますす。
#98
○中西珠子君 基準法の適用部分だけじゃなくて、安全衛生法の特例、じん肺法の特例、作業環境測定法の特例も含まれていますでしょう。
#99
○政府委員(野見山眞之君) 今先生御指摘のとおりでございます。
#100
○中西珠子君 これは、除かれていてもちゃんと施行上誤りのないよう、また、漏れのないよう気をつけてやっていただかないと困ると思うんですね。
 それで、とにかく時間がなくてあれですから、次に移ります。
 第二十七条「契約の解除等」、「労働組合の正当な行為をしたこと等を理由として、労働者派遣契約を解除してはならない。」、こう書いてありますね。それで、この派遣労働者の組合が例えば派遣先に団体交渉を申し入れた場合、これは労働組合の正当な行為というふうにはみなされないわけですか。イエスかノーで、簡潔にお願いいたします。
#101
○政府委員(谷口隆志君) 先ほど来申し上げておりますように、この派遣法案では、使用者の責任とかその他を明確にするために、労働条件につきましては派遣元と決める、そういう意味で労使関係法上の使用者は派遣元の方でございますので、団体交渉はそちらとの関係でのみあるということでございます。
#102
○中西珠子君 ですから、正当な行為とはみなさないということですね。
#103
○政府委員(谷口隆志君) どういう事態かですが、派遣先との団体交渉について派遣先がそれに応じる義務はないわけでございまして、それに応じなかったから正当でないということにはならないと思います。
 ただ、先ほど来申し上げておりますように、この法の立て方はそうでございますが、いろいろ個々のケースについて争いの起きた場合は労働委員会とか裁判所の判断になる、こういうことでございます。
#104
○中西珠子君 時間がないのでこれ以上追及いたしませんけれども、例えばその次に第二十八条がございますね。「労働者派遣をする事業主は、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者が、当該派遣就業に関し、この法律又は第四節の規定により適用される法律の規定(これらの規定に基づく命令の規定を含む。第三十一条において同じ。)に違反した場合においては、当該労働者派遣を停止し、又は当該労働者派遣契約を解除することができる。」、こうなっておりますが、「違反した場合」というのはだれが認定するのでしょうか。
#105
○政府委員(野見山眞之君) 一般に、契約に別段の定めがある場合とか、あるいは契約当事者の合意がある場合等を除きまして、法定の解除事由に該当しない限り一方的に契約の解除はできないわけでございますけれども、法二十八条は、派遣元が適正な派遣就業を確保するためにこのような特別の定めをしたわけでございまして、まず、このような判定は、派遣先が派遣法に違反したかどうかの判断は、一次的には派遣元がするわけでございます。その判断に従って派遣契約の解除が可能となるわけでございますが、この解除の適否が争われた場合には、これは最終的な判断は裁判所が行うということになりますが、第一次的には派遣元であります。
#106
○中西珠子君 基準監督官とか職業安定所というものはそこには全然介入してこないで、もう裁判所ということになるわけですか。やはり派遣先の事業でいろいろ派遣契約にも違反しているし、基準法の違反とかいろんなことがあった場合、派遣元の事業主が判断するというのは、お得意さんに対してやはり遠慮があるから、余り変なことを言うとお得意さんがなくなってしまうと困るというふうな気持ちの方が先に立って、なかなかこれは派遣先と派遣元の力関係からいって有名無実というふうな感じを受けるわけなんですけれども、結局裁判所に訴えるより仕方がないということになるわけですね、今の御答弁では。
#107
○政府委員(野見山眞之君) ただいま契約の解除に係るものでございますので、最終的な法的争いがあれば裁判所でございますけれども、第一次的判断は事業主であり、派遣元でございますし、またそれが派遣事業の適正な運営上行政当局とも十分指導を仰ぐとかそういうようなケースの場合には、行政当局としても、その解除について必要な助言その他をすることは言うまでもございません。
#108
○中西珠子君 これはやっぱり現在の行政体制ではなくて、これを法律として運用、施行するということになりますと、現在の行政体制を相当強化して、そしてやっぱり基準監督官とか安定所の職員が判断の助けをするという指導が必要ではないかと考えているわけなんです。
 次に、四十三条にいきます。四十三条は、「第三十九条の規定は、労働者派遣の役務の提供を受ける者であって派遣先以外のものについて準用する。」、こうなっているんですね。「派遣先以外のものについて準用する。」ということは、派遣先が二重、三重にほかの方に派遣してもいいということを前提としておっしゃっているのかどうか。どうなんでしょう。二重、三重――多重派遣を前提としておっしゃっているんですか。二重派遣はいけないということは衆議院の附帯決議なんかにもありますけれども、四十三条はとてもいろんな疑問を起こさせる、準用しているからいいんだといういわば親心ではないかというふうなおっしゃり方もなすっているのを聞いたんですけれども、ちょっとこれは紛らわしい。「派遣先以外のものについて準用する。」ということは、二重、三重派遣というものを前提としているのではないかという邪推をしたくなるわけですけれども、この点はいかがですか。
#109
○政府委員(加藤孝君) この四十三条の規定は、こういう労働者派遣の役務の提供を受ける事業所の中には、派遣事業者から受けた派遣労働者の場合と、それからそういう業者でない、業とする者でないものから派遣を受ける場合とあるわけでございます。その場合に、業とする者から派遣を受けるものについては、この法律では派遣先と、こう申しておるわけでございます。業としない者から受けるというものについてはこの四十三条で規定しているということでございまして、これは今まで業としない派遣につきましては何ら法律の規定はなかったわけでございますが、そういう場合についても一応保護の規定をこういう形でかぶせておるということでございまして、決してそういう二重、三重の派遣というものをねらったとか、そういうものでは全くございません。
#110
○中西珠子君 時間がございませんから、次に移ります。
 第四十六条、じん肺法の特例をお認めになっていることは、結局、粉じん作業にも派遣労働者を従事させるということをお考えになってなすっているわけですか。
#111
○政府委員(加藤孝君) これは、じん肺法の適用を受ける、そういう事業所というものの中には、例えば、これは仮定の問題ではございますが、ある粉じんのところでコンピューター作業というようなものが行われるとかいう場合についての念のための規定でございまして、いわゆる粉じん作業そのものについて派遣をするという考え方ではございません。
#112
○中西珠子君 直接生産工程に従事するものには派遣労働者を使わないようにする、また、派遣をしないようにするというのが衆議院の附帯決議にもございますけれども、この適用対象業務につきましては、やはりこの法案の規定、それから先ほどもおっしゃいました基準を強く守っていただきまして、そして、政令委任なんですからどんどんどんどん範囲が広がる危険があるわけでございますけれども、その点は本当に厳密にやっていただきたいと強く要望いたします。
 それから、時間が来ましたので、最後に大臣に申し上げたいんですが、私どもが要望している点は、この法案どおりではなくて、いろいろまた御検討を願って、修正も願いたいと思っているわけでございますが、公明党・国民会議としてもいろいろ強く御要望申し上げている点は、これまでも申し上げてまいりましたけれども、この法案が通りました場合、一般労働者派遣事業の許可の問題、それから特定労働者派遣事業、これも本当は私は許可の方がいいと思っているんですけれども、その点は合意ができないということであっても、いずれにしても、今の行政の体制ではなかなか、書類の審査から何から、勧告から廃止命令から、停止命令からいろいろやらなくちゃいけないという審査の段階、そしてまた、実務上の日々の体制というもの、そういったものをうんと強化しなければできないのではないかと思っているわけですね。
 一方、派遣事業は法的に認知しても、公共職業安定所の機能というものはやはりうんと強化していただかなければいけないと考えるわけなんです。それと同時に、労働基準監督、これもやはり強化していただかなければならないので、職安行政の体制、また、基準監督行政の体制の強化、また、その増員ということも、行財政改革のときではありますけれども、これはやはり労働者の保護という立場からいろいろと規制をしていただかなければならないことでございますので、その点については大臣はどのようにお考えになっておりますか。
#113
○国務大臣(山口敏夫君) 確かに御指摘のように中曽根内閣として行政改革を最重点課題としておるわけでございますが、しかし、実際問題といたしまして、安定所の問題あるいは労働基準監督署の整備充実等の問題につきましては、この派遣法案の御論議以前から社労委の先生方からも御指摘をいただいておるわけでございまして、我々といたしましては、衆議院における附帯決議等の中にも、派遣労働者の雇用の安定、適切な就業条件の確保、その他この制度の周知徹底、許可制度の適切な運用、法律に違反する事業所に対する指導監督等の徹底を図ることは重要である、こういう立場から、安定行政としても十分機能すべき関係行政機関との連携、民間との協力体制等にも努めてまいりたいというふうに考えております。
 特に、労働基準監督機関につきましては、相互通報制度を新たに創設する等連携を確保して、御趣旨に沿って適切な運営を図るべく努力をしたい、かように考えております。
#114
○中西珠子君 ただいまのはお約束と受け取っておきますので、どうぞ必ずお守りいただきますように。
 それから、もっと具体的に申しますと、職業安定行政の中で、この法案が、修正を伴って施行されるということを希望しておりますけれども、とにかく成立しまして施行される場合はどのような体制にするということをお考えになっているか、具体的な例を事務レベルからちょっとお話しを願いたいと思います。もう私の時間が来ましたから、簡潔にお願いをいたします。
#115
○政府委員(加藤孝君) まず、労働省に需給システム担当の参事官を置きまして本省体制を固める。それからまた、都道府県安定所レベルにおきまして、こういった関係の業務を担当いたします責任者を定めるというような仕組みでございます。さらに、安定所とそれから監督署というものの連携体制を常設的にとるための行政機関を設ける。それからまた、民間の協力を得るということで、民間労使の有識者から協力員をお願いをする。さらにまた、業界、関係団体のいわば自主的なコントロールというものについての内部コントロールという面でのまた御協力もいただくというような形を行政的には考えておるわけでございます。
#116
○中西珠子君 終わります。
#117
○安武洋子君 けさほど、社会党の和田委員の御質問の中で、何か本日質疑の打ち切りがあるようだというふうな御発言がございました。理事会ではそういうことが出ていないので、なぜかと大変不思議に思っているところでございますが、審議はまだ入ったばかり、そして、実質審議は当委員会としても一日半でございます。こんなことで問題山積のこの希代の悪法を打ち切るということは断じて許せない、審議は続けるべきであるということをまず最初に申し添えまして、質問に入ります。
 最初に一つ要望いたします。
 築地の魚市場に、中央市場労働組合それから大洋荷役労働組合、これがございます。労働大臣の許可を受けまして労働者供給事業を行っております。市場内での魚の運搬業務でございます。かつて市場では暴力団が支配するようなことがあったということで、それは労働者が団結して排除して今日に至って、業務も定着をしているということで、混乱が生じないように従来どおり業務を続けたいというのが要望の趣旨です。適用業務にしないように十分に配慮していただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
#118
○政府委員(加藤孝君) 派遣事業の対象業務につきましては、この法四条一項の一号、二号に該当するものの中から、労働力需給の的確かつ迅速な結合を図るために必要なものとして、労使代表の参加する安定審議会の意見を聞いて定める、こういうふうにしておるわけでございます。その際には、雇用慣行や他の労働力需給調整システムの調和にも十分配慮して行うということであるわけでございまして、この御指摘の業務につきましては、現在、労働組合の行う労働者供給事業によって的確な需給結合が図られておる、こう承知をしておるわけでございますので、そうした点を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。
#119
○安武洋子君 ILO九十六号条約と本法案の関係についてお伺いをいたします。
 これは先ほども審議をされておりましたけれども、私はILOのスウェーデン政府への回答の翻訳文を持っております。これで見てみますと、先ほど政府はいろいろと御答弁をされておりましたけれども、つまり、本法案の一般労働者登録型派遣事業、これは全く同じケースが明確に有料職業紹介所ということで規定をされております。とりわけ十項十一項では明確にこのことを指摘いたしております。したがって、十四項で例外的に認められた場合、これは要件が必要となっておりますけれども、この本法案を見てみますと、(b)の一年に限られた許可、これはだめです。(c)の決められた額の手数料しか取ってはならない、これもだめです。また、国外への派遣は法令に定められた条件下のみで行い得る、このいずれもクリアしておりません。それで、明らかに本法案の登録型というのはILO九十六号条約に違反をしていると思います。
 それで、スウェーデン政府は疑問をILOに問い合わせをいたしております。本法案の場合もこれだけ明確な疑問がありますし、当委員会の中でも、私のみならず、この問題は再三取り上げられ、疑問が提出をされております。ということであれば、当然ILOに問い合わせをする、そして、その回答を得てから事をやるべきと、こう思いますが、いかがですか。
#120
○政府委員(加藤孝君) 先ほど申し上げましたように、私どもとしては、スウェーデンのケースとこの労働者派遣法案でお願いをいたしますケースとは、明らかに雇用者責任というものを明確にしておるという点で異なっておるという基本認識に立っておるわけでございます。そういう意味で、しかもまた、既にフランスあるいは西ドイツ等批准国においても行われておる、そういうようなこと等から、私どもは違反しているとは思っておりません。
#121
○安武洋子君 政府が違反していないとおっしゃっても、私どもはここに翻訳文を持ってきて、違反していると疑問を提出しています。なぜスウェーデン政府のように、この疑問に対して、ILOに問い合わせをしないのですか。あなたたちは一体どういう翻訳文を見て自分たちは違反をしていないというふうにおっしゃるんですか。正式な訳文をお持ちでございますか。
#122
○政府委員(野見山眞之君) 私どもの方におきましては、仮訳を持っておりまして、先生のおっしゃるように九項、十項等におきましても、紹介所の形式いかんではなくて実質の業務の性質によって見るとか、あるいは十項で、このスウェーデン政府の照会したケースについて、この条約は、労働者と紹介所の間に契約関係があり、労働者と紹介所から派遣を受ける人または企業との間に契約がない場合にも適用され得るということ等も承知いたしておりますし、これらの点につきまして、資料につきましては、私ども全部把握はいたしております。
#123
○安武洋子君 あなたたちの態度は何ですか。二日前に私が要求しました。翻訳はないと、こう言ったじゃないですか。原文を持ってきたじゃないですか。何という態度ですか。正式な訳文を出さない、そうして論議ができない、委員会をそんな状態に置いてあなたたちはいいと思うわけですか。訳も出さぬ、問い合わせもしない。国会は審議をするところです。国会を一体何と心得ていますか。これは本法が我が国が批准した条約に抵触しているかしないかというふうな、こういうことを明確にしなければならないという重要な問題ではありませんか。国会として、委員会として、そのことを明確にするというのが当たり前のことです。だから、正式な訳文をちゃんと出す、そして論議ができるようにする。まずそのことをあなたたちはやるべきだ。いかがですか。
#124
○政府委員(野見山眞之君) 九十六号条約とスウェーデン政府の照会の実質的な部分につきましては、私ども自身勉強しておく必要があるということで、抄訳等をつくりまして、九項、十項の趣旨についても我々は理解しておりましたけれども、全訳を御要求になりましたので、その時点ではつくっておりませんでしたけれども至急つくって差し上げたという状況でございます。
#125
○安武洋子君 何を言っているんですか。我が国が批准した条約に抵触するかどうかというふうなことを明確にしない限り、国会で論議ができないじゃありませんか。私が要求したら、あなたたちは翻訳はないとおっしゃったんですよ。そして持ってきたのは原文じゃありませんか。ここに持ってきていますけれども。どうしてこういうことをなさるの。私は残念ながらきょうたった三十分ですよ。こんな短い時間で審議をせよと言いますから、資料出してください。そして共通の基盤に立ってもっと論議しようじゃありませんか。
 進めますけれども、諸外国の労働者の派遣の制度について聞きます。ヨーロッパではイタリア、ギリシャ、スウェーデン、ここは労働者派遣事業を禁止しております。法制度化されている国もあります。これらの国というのは、大体一九七〇年代前半制度が発足をしております。しかし、七〇年代の後半から八〇年代にかけまして制度の見直しが行われております。その一つの動きといたしまして、一九八四年四月、EC委員会から理事会に、派遣労働者並びに臨時労働に関するECの指令提案、これが付託をされているはずです。これは七〇年代の前半から十年間実施をしてきた中で、派遣事業制度の問題点、これを解決しなければならないということで変革の方向を指し示しております。
 そこで伺います。そのEC指令の提案、二十五条までございますけれども、まず六条、これはどのような内容ですか。
#126
○政府委員(野見山眞之君) 八四年の指令第六条では、「臨時労働を取扱う業者又は臨時労働業界において別段の団体協定がある場合を除き、臨時労働者の受領する報酬は、利用者たる企業の同一職業能力、経験及び責任を有する労働者のそれと同等でなければならない。」ということを規定しております。
#127
○安武洋子君 文句を一つ言うておきますけれども、あなたたち、この資料もまたいいかげんですよ。私が要求したら、あなたたちの持ってきたのは一九八二年。今お答えになったのは八四年でしょう。本当にでたらめです。
 九条はどうなっていますか。
#128
○政府委員(野見山眞之君) 九条の要旨で申し上げますと、臨時労働を取り扱う業者が締結する団体協定において、特別の場合を除いては、臨時労働者の労働条件に関して、利用者たる企業の従業員に適用される法律、規則、行政措置等を等しく適用されるということが基本になっております。
#129
○安武洋子君 八条。
#130
○政府委員(野見山眞之君) 臨時労働者を採用することとした利用者たる企業は、企業の労働者代表に、相当の期間をもって、臨時労働者を採用する理由、雇い入れの期間等についてあらかじめ通知しなければならないという規定でございます。
#131
○安武洋子君 今のほかにも、二条の事業所の許可制、三条の利用目的の制限、それから四条の派遣労働者への社会保障の適用、こういうものもあります。でも、少なくとも先ほど挙げていただいた三項目というのは、いずれも当委員会でも問題だというふうに言われている点です。不当な中間搾取、買いたたきの防止、それから派遣先企業の使用者責任の明確化、派遣事業による常用労働者への影響防止、こういうことにかかわるものです。これらの点、なぜあなたたちは、集めている、そうして資料を持っていると言うなら、参考にしないのですか。
   〔理事関口恵造君退席、委員長着席〕
#132
○政府委員(野見山眞之君) 念のため申し上げますが、このEC指令でございますけれども、修正案が委員会に出ておりますけれども、理事会にはまだ、付託はされておりますけれども審議されていないという状況で、実質的にこれが今動いておるということではございません。しかしながら、私ども派遣法案の検討に当たりましては、我が国の雇用慣行その他の状況にかんがみながら法案の検討をしてきたという状況でございます。
#133
○安武洋子君 あなたたちは、付託されてまだ動いていないと。しかし、経過を私言う時間もうありませんけれども、この問題は、実質的に一九八二年の四月から取り扱われてきて、実施寸前である、実効があるというふうに言ってもいいような中身、しかも十年間の経験を踏まえてやられているということなのですよ。ですから、賃金の問題でも、必要性があるので比較は難しいとか、この委員会の答弁でおっしゃっています。いろんなことをおっしゃいます、外国と日本とは違うのだ。でも、起きる問題一緒じゃありませんか。委員会で既にもう指摘されているわけです。ですから、制度が先進的に出発しているヨーロッパ、こういう動きから見ても、遠からず本法案を実施するならこの問題が起こるとあなたたちは承知でこのことを抜かしているのですよ。というのは、企業だけが利用しやすければいい、必要なときだけより安く責任を負わずに派遣労働者をこき使えると、万全の配慮を行った。何か労働者の保護なのですか。
 実例を挙げます。これは五月十五日といいますのはこの本法案の審議の始まる前日です。そのときに、テレビ朝日の受付とかそれから電話交換に働く女性二十六名、突然派遣元の日本ビルメンテナンスに呼び出された。そして、五月末で職場をやめて二カ月の事宅待機をせよ、その間の給与は六割、二カ月後には新たな呼び出しかない場合は解雇、こういう通知を受けたわけです。このほとんどの人は十年前後、長い人は十八年働いているわけです、テレビ朝日で。その間の事情、なぜこうなったか。これは日本ビルメンに聞きますと、私はびっくりいたしましたけれども、派遣先のテレビ朝日が、過去二十年にわたって相対で契約してきた、それなのに突然競争入札に切りかえたのだと、こういうことなのです。ですから、このビルメン会社は去年の契約高の半分の額で入札をして落としたんだと。こういうことをしなければならないという事情、これもあったわけです。こういうふうになれば、この会社というのは、今までのやり方ではなくてパートにでもかえなければならない、こういうことで低い額で入札をして、それが労働者の方にしわ寄せがいったということになるわけです。
 それで、この彼女たちの解雇というのは、大臣も聞いておってほしいんですけれども、これは撤回はされたわけですけれども、その結果どうなったか。ビルメン会社は一年間に約三千万もの持ち出しをしなければならない、こういうふうな状況に置かれているわけです。しかし、何とか頑張ってもとどおり勤められるように取り計らいたいと、こういうことをこのビルメン会社の方がおっしゃっているわけです。
 私は、請負であれ派遣であれ、本件のように、従来から長期にこの契約関係を続けてきた、突然に派遣元の受け手側から労働者を解雇せざるを得ないというふうな額で契約させられる、こんなことが一体あってよいものか。私は、派遣であれ請負であれ、派遣された労働者の労働の提供の対価、こんなものが値切られてしまって労働者が解雇になる、このことに直面していく、こういうことについてどう思われますか。
#134
○政府委員(加藤孝君) 現在、派遣的な労働者につきましてのいろいろ問題的な実情というようなものがいろいろ指摘をされておるというような中で、私どももこの派遣法案の御提案を申し上げておるわけでございます。そういう意味で、現状こういう問題があるということと派遣法案がこれをそのまま肯定するという話とはこれは違うわけでございます。
 私どもも、こういうような事態というものが問題的な事態であるという認識は持っております。今後の派遣法の実施の中で、実態の把握、そうしてこういったものについてのいろんな苦情の処理の仕組み、あるいはまた派遣元との団体交渉の問題、それからそういう中での行政指導というようなものを通じまして、私どももこういう派遣労働者の労働条件の向上なり身分の安定なりに一層の努力をしていきたいと思っておるところでございます。
#135
○安武洋子君 派遣元と交渉したからこそこの人たちは身分が安定して解雇が一応取りやめられた。じゃ、今のような状態、本法で、一体どのようにして何条で救済ができるんですか。実情の把握なんて結構ですよ。実情ちゃんと言っているんですから。派遣元に交渉たって、ちゃんと彼女たちは交渉して、派遣元が、じゃ、それは撤回しましょう、自分たちのところで少々損になっても、ということにされているわけですよ。相手のテレビ朝日がそういう買いたたきをやっているんですよ。それに対して何条でどう有効に働くわけですか。
#136
○政府委員(加藤孝君) やはりこれは派遣契約というものが適正に結ばれ実施をされていくという形の中での問題だろうと思うわけでございます。そういう派遣契約というものが責任ある形で締結され実施されていくならば、言うならば極端なそういう低い入札というものは不可能でございましょうし、当然そういう中で、実際にいわゆる相場料金というようなものもまた形成されていくでありましょう。そういう全体の仕組みの中で、こういう極端な、低労働条件を可能にするようなそういう請負ということは、実際に請負料金というのは不可能になってくると思います。
#137
○安武洋子君 お伺いいたしますけれども、あなたのおっしゃっているのはおかしいんですよ。これは競争入札したんですよ、向こうが。労働の提供の対価、これを競争入札にかける。奴隷市場ですよ、これは。まるで奴隷市場じゃありませんか。そんなもので安く安く安く安くとなって買いたたかれていくんです、どうしてそのことが防止できるんですか。これはバナナの買いたたきじゃありませんよ。
 じゃ、こういうふうな競争入札をあなたは好ましいと思うんですか。それで適正な価格が保っていける、そう思われるんですか。
#138
○政府委員(加藤孝君) 基本的に、契約自由の原則というのはあるわけでございます。そういう中におきまして、競争入札というものが、これがけしからぬとか不当だとかいうことは一般的に言えないと思います。
 ただ問題は、そういう入札をするにしても、そこに派遣労働者の労働条件というものを守っていくという雇用主としての責任、義務がしっかりこれからかかっていくという中で、そういう極端な入札というものはこれはやはりできなくなるであろうということでございます。
#139
○安武洋子君 派遣元がどうして労働者の労働条件を守れるようになるんですか。人間を奴隷市場のように競争入札する、そのことがいいんですか。
 労働大臣に伺いますけれども、現にそういうことが競争入札、こういう形でやられているわけです。本法で歯どめがありませんでしょう。私は、全体の労働者を保護するという立場に立つ労働省が、この労働の対価、労働者を競争入札してバナナのように買いたたいていく、そういうことがいいと思っているのかどうか、その点だけ答えてください。
#140
○国務大臣(山口敏夫君) 私は、労働者がバナナのように買いたたかれるような立場に位置づけされておるという先生のお考えには立たないわけでございまして、当然、使用者側と労働側の場合には、支配あるいは被支配という関係ではなく、それぞれの生産活動を通じての対等平等な関係でございまして、この派遣法をめぐる論議の中で、派遣元に対する問題や不信ということも再三御懸念が取り上げられたわけでございますが、今先生の問題の場合には、派遣元が派遣労働者に対する派遣元責任を果たすべく努力した、こういうケースでございまして、派遣先に対しての経済協約が妥当であるかどうか、こういう立場からの御指摘でございます。
 私はそういうように、自由経済の中とはいいながらも、今先生がこの問題を国会でお取り上げいただいておりますように、当然の社会的常識あるいは経済的な信用関係において、労働者が不当、不法な立場でこれが抑圧されたり賃金が抑えられる、こういうことのないような公平公正な経済運営の中で、労働側の保護、同時にこれを派遣先等の経営的な立場における責任、こういうものが改善をされていく。先ほど加藤局長からも御答弁申し上げましたように、やはり契約ということと同時に、それが双方にとって十分成り立つ経済的な一つの素地がなければこれは契約関係も成り立たないわけでございますから、その点も含めて、派遣労働者の保護というものはいかにあるべきか、こういう問題も含めて今後とも努力しなきゃならない、こう考えておるわけでございます。
#141
○安武洋子君 大臣が私の考えに立たないとおっしゃいますけれども、現実がそうなっているんですからしようがないんですよ。その現実に対して、派遣元と派遣先がどうして対等平等であるんですか。そんなことにないからこういうふうな買いたたきが行われる。前年の半額で入札しなければその仕事が落ちないというふうなことが現にあるわけなんでしょう。社会的な常識が通らないようになっているんですよ。競争原理というのはそういうことになってしまうんです。
 というのは、こういう不当な買いたたきとかピンはね、これは派遣労働者の賃金水準を本当に守ろうと思えば、大臣の今おっしゃったようなことではだめなんですよ。最低賃金さえクリアしておればよいというふうなことでは不可能なんですよ。EC指令の提案のように、利用企業の同種の労働者との賃金比較規定、これを設けなければだめなんです。本法ではピンはねをなくせないというのは、今の御答弁の中からもはっきりするわけなんです。EC諸国でも、デンマークを徐きまして、利用企業の同種の常用労働者との賃金比較規定、これがなかったということで、最賃の下支えしかない、労働組合の力も乏しい、こういうことで、派遣労働者は他の労働者よりも非常に低い賃金水準に置かれた。そしてそれが常用労働者にも悪影響を及ぼした、こういうことがあったわけです。そこで、EC指令に基づきましてこの均等待遇のような条項を設けるというふうなことになってきたわけなんです。こういうふうなことを情報として私どもはつかんでいるんだとおっしゃる、そう言いながら参考にしようともしない。先ほどの御答弁からもわかるように、まさに、労働者は買いたたかれてもしようがないよ、ピンはねは容認するんだよ、こういうことじゃありませんか。
 御答弁をもらっていたら私の限られた時間もうありませんので、私は本当に残念ですけれども、対等、平等だとおっしゃるから、団結権、団交権で聞きます。
 先ほどのような派遣先の企業の契約料金の買いたたき、労働条件の悪化とか解雇、こういう事態が生じる。これは幾ら派遣元と交渉しても解決できないわけですよ。派遣元の企業に団交権を行使しても、派遣先にやらない限りだめなんですよ。労働者が、自分に指揮命令をしている、そういう相手に自分の労働条件を守るために交渉ができない。団交権を行使する、これは当たり前のことですのにそれができない。本法がそれを否定する。私は何のための労働者保護かと言いたいわけですけれども、じゃ、派遣先の企業が派遣労働者の組合に支配介入して不当労働行為を行った場合――派遣元が支配介入しているんじゃありませんよ、派遣先が支配介入してきた場合、一体だれを相手に救済の申し立てをするのか、一体だれを相手に団体交渉すればよいのか、教えてください。
#142
○政府委員(谷口隆志君) 不当労働行為制度につきましては、私から申し上げるまでもないわけでございますけれども、使用者による雇用関係上の支配権を利用した団結権の侵害から労働者を守ろうとする制度でありまして、この派遣法におきましては、先ほど来御説明いたしておりますように、使用者性が不明確であるとか、いろんな実態が区々であることから基づきます問題をできるだけ解決しようという趣旨から、労働条件の決定は派遣元で行う、そういう意味で派遣労働者と派遣元事業主の間において雇用関係があるわけでございまして……
#143
○安武洋子君 そんなのわかっているんだから、さっきの答えだけでいいんですよ。
#144
○政府委員(谷口隆志君) そういう意味では派遣先の事業主は不当労働行為制度上の使用者には当たらないし、通常の場合ですとそういう行為は考えられないところではないかと存じます……
#145
○委員長(遠藤政夫君) 傍聴人、静粛に願います。
#146
○政府委員(谷口隆志君) ただ、いろんなケースもありましょうし、派遣先事業主が派遣先の労働組合の弱体化をねらったというようなことが出てくれば、それは不当労働行為の成立が問題になる余地はあると存じます。
#147
○安武洋子君 そんなこと聞いてないですよ。自分に指揮命令する派遣先が労働組合に介入しない保証がどこにあるんですか。介入したときのことを聞いているんですよ。派遣先が不当労働行為を行った場合、だれに対して救済の申し立てをし、だれに対して交渉するんですか。どうしたらなくなるんですか、その不当介入は。その点だけでよろしい。私はあなたの言うことをわかって質問しているんだから、それにだけぴったり答えてください。
#148
○政府委員(谷口隆志君) 先ほど来申し上げておりますように、労働条件につきましては派遣元で決める、その枠の中での具体的な運用、段取りは派遣先事業主が決めるということがございますけれども、労働条件について決める派遣元の方が事業主でございますので、そういう事業主ないし使用者の方からの不当労働行為ということは通常考えられないということでございまして、ただ労働組合に関する正当な行為を行ったから、派遣先から差しかえ等が求められたときに派遣元がそれに応じれば派遣元との関係で不当労働行為が成立するとか、あるいは派遣先で派遣先の組合の支配介入というようなことがあれば派遣先との関係で不当労働行為の問題が起きるという余地もあるということで申し上げておるわけでございます。
#149
○安武洋子君 なぜあなたは派遣先が労働組合に不当介入しない、そんなことが考えられないと言うんですか。大いにあり得ること。それに対して一体だれを相手に救済の申し立てをし、団体交渉をすればいいのかということは答えられないわけでしょう。
 本法はどういうことをやっているか。派遣先、すなわち利用企業に都合のよい権利、これは従来の法の枠を破る、常識を破る、そして企業に与えるわけですよ。派遣労働者からは労働者の基本的な権利を奪っているんですよ。だからあなたは変な答弁しかできないんです。派遣労働者に指揮命令権を持ち、そして団交の応諾義務はないんだ。憲法や労働組合法、労基法、こういうことに定められた労働者の基本的な権利、これをたった一片のこんな悪法であなたたちは奪おうとするんですか。私は重大問題だと思いますよ。使う企業のメリットだけ考えて、どこに労働者の保護なんというのがつめのあかほどもありますか。派遣労働者が就業の場で団結権、団交権を奪われる、無権利な状態にさらされる、労働者がどんな状態にあるか。あなたたちはその状態を御存じですか。私は胸が痛みます。実情をいろいろお伺いいたしましたけれども、いろんな方がおられます。その方たちが一番胸にこたえることは、労働条件のこともいろいろあります、しかし、そこの中で人間らしく扱われないことだ。物を言えば解雇される、だから思ったことを言えない。いつ契約を切られるかわからない、こういう状態の中で、結局は正規職員の後ろについておとなしく言いなりにならなければならない。自分の労働者としての誇りが傷つけられる、屈辱感を持たざるを得ない。そして生活は不安なんです。私は、こういう職場の中で屈辱を強いられる。労働者から労働者の基本的な権利、これをこんな悪法で奪ってしまうというふうなことを絶対に許すことはできません。
 労働者を本当に保護するというのが労働省であるなら、私は、こんな法案、これは廃案にすべきだ。もう私は断固としてこの法案に反対をします。そして、あなたたちは団結権、団交権、こういうものを奪ってしまう。それだけではないんです。人間から人間らしい尊厳さ、それも奪おうとしているんだ。そのことを私は申し上げて、本当に残念、きょうの質疑はもう時間が来てしまいました。しかし、まだいっぱい問題が山積しておりますので、引き続いて質疑を私は続行してやる、そのことを言いまして私の質問を終わります。
#150
○委員長(遠藤政夫君) 傍聴人は静粛に願います。
#151
○下村泰君 身体障害者の雇用促進法に基づいてちょっと伺いますけれども、先般もお伺いしましたけれども、テンポラリーセンターが一万五千人、マンパワージャパンが登録者が九千人、管理職が百十人。テンポラリーの方は管理職何人ですか聞き忘れましたけれども。それからコンピューターサービス、これは東京にあるそうですが、ここが従業員が三千七百四十六人。それからインテックというのが富山に本社があるそうですね。ここが千五百四十九人。それぞれ雇用関係は違いましょうけれども、身体障害者が果たしてどのくらい働いていらっしゃるのか、労働省の方はおわかりでしょうか。
#152
○政府委員(野見山眞之君) 個別企業につきまして、人数をこの場で申し上げることはちょっと差し控えさしていただきたいと思います。
#153
○下村泰君 差し控えるというのは、わかっていないということですか。それとも、この会社に対して、雇っているか雇っていないか調べていない。あるいは言えない。どういうことですか。
#154
○政府委員(野見山眞之君) この会社の身体障害者の数は、私ども把握いたしております。
#155
○下村泰君 果たしてどのくらいの身体障害者の方がここで働いているかというのはつかんでいないというわけね。
#156
○政府委員(野見山眞之君) 数は把握しております。
#157
○下村泰君 しております――じゃ、それちょっと言ってみてください。
#158
○政府委員(野見山眞之君) この会社における雇用されている身体障害者の数は把握いたしておりますが、個別の企業の雇われている身体障害者の数をこの場で申し上げることは差し控えさしていただきたいということを申し上げているわけでございます。
#159
○下村泰君 企業別に。――何で。
#160
○政府委員(野見山眞之君) 身体障害者雇用促進法におきまして、身体障害者の雇用率の達成状況につきましての個別の指導等は行っておりますけれども、未達成企業における公表措置がございますけれども、未達成企業等において、公表をする前にできるだけ達成指導をしていこうということで現在指導をいたしておりますので、身体障害者の数を申し上げることはその企業における身体障害者の雇用率を申し上げることにもつながりますので、現段階では差し控えさしていただきたいと申し上げているわけでございます。
#161
○下村泰君 早い話がやっていないということだ。企業別に発表できないということは、企業の中に全然雇用していない会社が多いということ、だから発表できない、こういうことでしょう。本来行政指導しなければならないんですものね。じゃ、この問題は後で、いずれゆっくりやりましょう。
 さて、今も議題になっているこの法案なんですが、私は労働者としての経験は余りございません。勤労者となった期間はあることはあるんです。しかしそれは戦前の話でございまして、今日のようなこんな複雑怪奇な世の中になっての労働の経験はありません。したがって、こちらの方の問題に関してはほとんど無知です、正直申し上げて。ところが、今度の法案を読んで、この無知なる、実に単細胞なる私の頭でもってしても、何でこんなに手抜かり法案なのかなと思うんです。私が読んでわかる。私が読んでそう感じるんだから、こういうことを専門にやっていらっしゃる委員の方から見れば、これ、下手すれば噴飯物に近いでしょう、内容的に。ですから、この法案の審議が始まってから、労働省のお役人の皆さん方が、いろいろな立場の専門家の立場でお答えはしているんでしょうけれども、明快なる答えというのがあったためしがない。八幡のやぶ知らずを説明しているようなものだ、いつでも。
 私は私なりに問題点をちょっと出してみました。まずそれを読んでいきます。それからまた後のお楽しみにしておいてください。
 まず、労働者は具体的就労場所である派遣先を選択する自由がなく、転々と動かされる事態が予想される。派遣地域、派遣の職種、派遣期間など重要な内容について雇い入れどきの条件としては何ら規定していない。
 二番目。派遣元は、派遣の対価からみずからの派遣事業費を取得するため、派遣労働者の賃金からの中間搾取は避けがたい。派遣元による中間搾取に対する規制が不十分である。衆議院の修正で派遣料金を事業計画書等に記載するとしたが、これが果たしてピンはねの規制になるだろうか。
 三番目。派遣先は派遣労働者を現実に使用、指揮命令しながら、労働雇用契約関係は成立していないとされているため、使用者としての責任を免れ、派遣労働者の犠牲においてさまざまな経済的メリットを得ることができる。労働派遣法案は、労働力需給調整システムとして派遣事業を位置づけることに急で、労働者保護の視点に欠けている。派遣労働者の身分が不安定である。派遣先の都合による一方的な派遣打ち切りに対して何らの制限がなく、また、派遣契約を解除された派遣労働者に対する具体的救済措置を定めていない。
 法案では、時間外労働、休日労働の協定――三六協定ですね、届け出は派遣元の使用者が行うことになっているが、実際に働くのは他の会社であり、派遣先は各自異なっており、同一の協定を結ぶのは現実的ではなく、結局労働者は長時間労働を強いられる。これが五つ目。
 今度は六つ目ですよ。派遣労働者と派遣先企業の間の団体交渉の規定がないこと。派遣労働者が組合を結成すれば、派遣先が派遣受け入れを打ち切ることで事実上労組づくりの足を引っ張るのではないか。
 これが私が今度の法案から書き出してみた疑問点です。これはもうずっとやられてきているわけです。それに対して明快な答えは一つもありません。
 そこで、これは新聞の名前もはっきり言っておきましょうかな。三月二十六日の火曜日の東京タイムズ、これ、新聞社としては余り力のある会社じゃありません。しかし、この会社の拾ってきた――拾ってきたと言っちゃ失礼ですな、調査した記事、これはなかなかすぐれております。今私の申し上げた六点というものを頭の中に置いて、この記事を読みますから聞いていてほしいと思います。先ほどコピーして差し上げたと思いますけれどもね。
  「頭脳労働でカッコいいと思われがちだが、その実態は長時間肉体労働ですよ」と話すのは林淳さん
お年は三十三歳、仮名ということになっております。
 中堅のソフト派遣会社に雇用されて、大手コンピューター会社に派遣され、ニューメディア関係のシステム開発を担当している技術者だ。
  「九年前に電算機の専門学校を出て入社。いきなり商社の電算機室に行けと言われ驚いた。派遣のことを知らされていなかったんです。そこに四カ月いました」
  その後の派遣先は、スーパーに六カ月、電子メーカーに七カ月、広告会社に三カ月、別のソフト派遣会社の下請けの形で大手電機会社へ一年。次は、その電機会社の人間として同社の系列会社へ八カ月……。林さんは六年半の間に九つの職場を渡り歩いた。
  「通勤ができないので三回も引っ越したけれど、独身だったからできた。いまはとても……。二重、三重の派遣で”一体オレはどこの社員なんだろう”と思うこともありました」
  現在の仕事は大きなシステム開発だから二年半の長期派遣が続いている。システムを分割して、そのいくつかを担当しているが、それぞれに納期が決められている。一つでも遅れると全体の作業に響くから、納期を守ることは絶対だ。
  コンピューターは夜間しか空いていないから納期直前は徹夜の連続。休日出勤もしょっちゅう。「密度が濃く体力が勝負だから、年配者は無理ですね」。林さんの平均残業時間は月七十時間、月収は約三十万円。納期前だと残業が二百時間近くにもなる。
  担当部門には、派遣会社二社から送り込まれた五人の技術者がおり、その上にメーカーの技術者一人がついて仕事の総括をしている。「作業の指揮・命令は直接彼がやる。徹夜の残業には付き合わないくせに、たまに早く帰ろうとすると”予定通りいくのか”と嫌味もいわれる」という。
  急激な技術革新の時代。勉強しないと、知識がすぐ時代遅れになる。「でも金と時間がなくて」と林さんは嘆く。
  派遣先のメーカーの主任技術者に会った。「派遣の人は勉強不足だね。でも急成長で人手不足だから仕方なく使っている。そりゃ若い人の方がいい、無理がきくから」
これがこの東京タイムズの記者の方が林さんという方にいろいろ質問をしてまとめ上げた記事なんです。
 そして、同じ記事の下に「派遣労働者問題に積極的に取り組む東京法律事務所の井上幸夫弁護士の話」が斬っております。
  労働者を直接雇用すると、税金や保険料などで月々払う賃金の二倍は費用がかかると言われている。そのため各電算機メーカーでは安上がりですむ派遣労働者を使っているわけだ。それに辞めさせたい場合は契約解除でいつでも簡単に辞めさせられる利点もある。
こういうふうにはっきり言っておるんだ。
 しかも、この記事の中に、日本でも優秀な大きな会社があります。その会社がコンピューターを開発してプログラムを組む場合に、第一、第二、第三までの下請を頼むんだそうです。ところが、この会社は大変雇用関係をうまくやっているそうです。名前はあえて言いません。
 こういうふうに、今私が問題点として取り上げた、その問題点が全部この今の文章の中に入っておるわけですよ、この今の林さんという方の労働条件を見た場合に。これに関して何かありますか、労働省側は。それはこれこれこういうふうにやられております、その心配はございません、その頃に関してはこういう手だてがありますと。これ、言えないでしょう、一つも、満足に。例えばここにあるでしょう。私が申し上げた、派遣地域、派遣の職種、派遣期間ということがありますね。その派遣地域。この人は、独身だから転々としてあっちゃこっちゃ行って勤められたというんだ。一つ一つ、全部これ解決されていません。それでなおこの法案で事足りるとお考えですかね。
#162
○政府委員(加藤孝君) 今先生から御紹介がございましたこのレポートについて見ますと、例えば派遣のことを全く知らされないまま派遣労働者にされたということがあるわけです。そういうスタートは、今後はこの法律で許されないということでございます。これは本人の同意を得て派遣労働者になる、こういうことでございます。
 それから、通勤ができないので引っ越しをしたという関係がございますが、少なくともこういう苦情につきまして、派遣元におきましてもそういう問題について相談に乗る責任者を置くという形で、その問題への対応処理を今後していく仕組みがあるわけでございます。
 それから、二重、三重の派遣、こういうことでございますが、これは、この法律の仕組みからいいまして、二重派遣、三重派遣というのは明らかに労働者供給事業違反になります。そういう意味で、もしそういう実態があればこれは労供違反ということで処分をされるということでございまして、こういう形のものは今後なくなるということでございます。
 それから、長時間労働の問題でございますが、この点については、これは今後三六協定の締結という中での一定の規制が入りますが、ただ問題は、このコンピューター関係が、単に派遣とか、派遣でなくともこういう発展産業といいますか、業種の性格からいいまして非常に長時間労働になっておるという実態がございます。これはまあ派遣に限らずそういう実態がございます。そういう意味で、今後コンピューター関係のこういう業務につきましては、基準局とも連携をいたしまして十分実態の把握に努め、長時間労働の是正の指導の指針について検討をしていきたい、こう考えておるところでございます。
 いずれにいたしましても、この派遣法の仕組みの適正実施を通じましてこういうような実態の改善に努めていきたいと考えます。
#163
○下村泰君 今、ここに出ている箇条書きと、法案の中にたまたまそれをカバーするだけの条件があったから大変お答えやすかったと思いますがね。例えば、一つ取り上げてもそうでしょう。私が三番目に取り上げましたね、指揮命令は派遣先から受ける――派遣先にも責任者がいるわけですな。派遣元にも責任者がいるわけでしょう。ところが、この派遣先の責任者が、今言ったように、たまに早く帰ろうとすると予定どおり行くのかとか、こういう嫌みったらしいことを言うやつというのは大体人相わかるんだ、私は。上へ向かって威張れないから下へ向かって威張るタイプはみんなこういうんだ。こんなやつが派遣先の責任者でいたんじゃ、これはとてもじゃないがたまったものじゃない、出先に行った者は。これはだれが取り締まるんですか。例えば派遣された労働者がそういうようなことを言われて、我々の言葉で言うといびりというやつだ、それでやられた場合に、これ、どういうふうに処置したらいいの。私がそういうふうに質問をすれば、加藤安定局長は、それは派遣元とちゃんと話して派遣元からやる、こういうことになるわけでしょう。二十八条がそうなっていましょう。二十八条というのは、もろもろの労働条件その他一切のことを含めて、派遣先がもし規約に違反した場合には派遣元は解約することができるという二十八条がある。そんな簡単なものじゃないでしょう、業界は。
 それじゃ加藤安定局長に伺いますがね、派遣元は横一線に全部手を握っているんですか。派遣事業協会みたいのがあって、横にしっかり手を握っていますか。まず伺いたいですね。労働団体と同じように手を握っていますか、派遣元が。
#164
○国務大臣(山口敏夫君) 先生も御承知のとおり、派遣労働というものは特にここ数年、非常に雇用関係あるいは派遣元関係が拡大をしてきた、こういう経過でございますし、先ほど安武先生もいろいろ熱弁を振るわれましたけれども、各党もこうした問題の対応を、野放しであってはならない、こういう立場で、今、政府としてもこの法案を取りまとめた、こういう経過でございまして、新しい産業の形態として、私は、確かに下村先生から御指摘いただいているような不備な点も、あるいはこれからさらに改善を進めていかなきゃならない点も多々あると思います。それゆえに、この法案が三年先をめどにまた国会においてもいろいろ御論議いただいて、さらに改善または前進をして労働者保護の立場をより一層推進していかなきゃならない、こういう立場での法案になっておるわけでもございます。
 我々としましては、現在における野放し状態から、派遣労働者の保護をどこまでこれを改善できるか、こういう立場でございますので、いろいろ御指摘の点、それぞれ問題点決して否定しないわけでございますけれども、その点も含めてひとつ御審議の際に御理解も賜りたい、こう思うわけでございます。
#165
○下村泰君 私が申し上げたのは、要するに、派遣元が解約できる、それはもうやったっていいでしょう。派遣元が解約したときに、派遣元がもし横に大きな輪っかをつくって手をつないでいれば、どこそこの会社はこれこれこういうふうに派遣労働者を扱う、したがってあそこには出しちゃいけません、というふうに派遣元事業団体が手を握れるんだ。そんなことをしている派遣元ありますか。さっきから話を聞いていれば入札制度なんていうでしょう、あなた。そんなことをしていたら、ほかのがすぐその中へわっと割って入るでしょう。バスで並んでいるときの割り込みと同じですよ。そういう会社がいっぱいあるんでしょう。ウの目タカの目でねらっているわけでしょう、自分のところの利益を得るために。
 例えばこれを芸能界に置きかえてみましょう、芸能界に。芸能界に置きかえた場合に、週刊誌であるとかマスコミ関係がある特定のタレントを目指していろんなことをやりますわ。そのときに、音楽事業者協会というのがあるんですよ、その音楽事業者協会が横にすぐ連絡をとって、あの週刊誌はあかん、あのテレビ局はあかん、こうやれるんですよ。芸能界なんて弱い立場ですよ、そんなところは。それでもそうやって、自分のところの抱えている商品ですよ。商品は大事にせにゃいかぬ。派遣元という会社だって、自分のところで抱えている労働者は商品なんです。その商品が出先においてこっぱのように扱われた場合に、それを出している出し元の方がお互いに手を握って、ああいうところには出さぬというだけの強い力があるならばこの二十八条は生きてきますよ。何ら裏づけがないじゃないですか、こんなもの。何ら裏づけのないことを、こんなものをやったって何にもならぬですよ、これ。それでもまだ答えられますか。
#166
○国務大臣(山口敏夫君) ですから、先ほどの下村先生の、派遣労働における六原則的な認識というのは、私は、言いかえてみれば、芸能界的な一つの競争社会における、大スターかあるいはスターダストか、こういう天国と地獄の中における、競争社会における一つの規定の中になりますと、いろいろそういう御指摘の部分もある。
 しかし、私は、派遣労働の場合は、これはやはり労働側のニーズもある、また、使用者側のニーズもある。こういう中で、やはり先生が指摘した六原則ほど極端な形でこれが運営されている、こういうことならば、この産業そのものも伸びないわけでございますし、同時に、先ほど来申し上げているように、新しい産業、業種でございますから、芸能界ですら――すらというと大変問題がございますけれども、そういう横の連絡がようやっとあの激しい競争社会の中においても、やっぱりお互いのタレントの人格とかあるいは事業の存続という立場において一つのルールがつくられてきている、こういうことだと思うんですね。
 だから私は、派遣労働の分野におきましても、先ほど来安武先生からも御指摘があったような、不当、不法な低賃金で契約をする、こういう形態というものは、おっつけ業界の自然淘汰といいますか、近代化の中においてこれが十分改善されていく。私は派遣法の法案自体がそういう派遣労働者、あるいは派遣元、あるいは派遣先等における大いなる一つの改善へのてことして機能する、こういう確信の上に立ってこの審議をお願いし、成立方をお願いしているわけでございます。
 再三自信がないんじゃないかという御指摘もありますけれども、これは新しい業種ゆえに、確信を持ってこうだと、こういうことを申し上げる方がむしろ問題に対する不誠実だ、こういうことで、私は一歩一歩こうした問題への改善努力を進めていくという姿勢の中で御答弁申し上げているということをぜひ御理解賜りたいと思うわけでございます。
#167
○下村泰君 あのね大臣、三年、三年と言うけれども、こういう関係の仕事をしている人は、三十五歳でスクラップと言われているでしょう。おもしろい歌聞かせましょう。ここに出ている。「一つ 人貸して、もうけていながら低賃金…三つ見ると聞くとは大違いの花形職場…九つ こき使われて三十五歳でスクラップ…」と書いてある。こういう数え歌があるんだそうですよ、こういうところで働いている方々の。三年先なんていったらどうなるんですか、これは。三年先じゃぼろぼろになりますよ。
 もう施行して、悪しきところがあるならばすぐにどんどん改正するぐらいの意気込みがないと、今大臣がおっしゃったでしょう、新しい法律なんだから。しかも、これ労働者を守るための法律なんでしょう。ところが、今までのところ、ずっと案文見ると、何かにつけて派遣元、何かにつけて派遣元で、派遣先には何にも規制がないように感じるんですよ。そうすると、何かこの法案は派遣先保護法案みたいなものなんだ。ここのところがどうも納得がいかない。
 それから、もう一つ伺わしてください。一般派遣事業だから許可制になりますな。そうすると、暴力団が、幾らでも名前を変えてやることができる。例えば興行というのは、広域暴力団は取り締まりを食って全部はみ出されておるんです。しかし、ダミーの会社をつくれば幾らでも、現実にやっている。またやられている。そういう状況なんですよ。してみると、これでも同じことが言えるのではないか。また、建設業界の話はこの間安定局長にもしましたけれども、東京の山谷、大阪のあいりん、横浜の寿、ここじゃ皆やっておるわけだ、だから取り締まりができない。してみればこれは資金源になりゃせぬかという心配があるんですが、どうですか。
#168
○政府委員(加藤孝君) これは基本的にそういう方々がこういう業務ができないような欠格条項ということで規定をいたしておるわけでございまして、また名義貸しについても禁止の規定があるわけでございます。実態といたしまして、また先生が御指摘になるようないろんな脱法的な形でそういう方々が実際には運用されるというようなことであれば、やはり業務の適正な運用実施ができる体制にない、あるいはまたできていないという面での例えば許可の取り消しであるとか、事業の停止命令であるとか、そういう仕組みもあるわけでございます。もし、そういうような関係での問題があるところは、これまた警察庁とも十分連携をとりまして、そういうことのないようなやはり対応をしていかなきゃならぬとこれは思います。
#169
○下村泰君 向こうも巧妙ですからね、よろしゅうございますか。大阪のある暴力団は、頭がいいけれども学校へ行かれない子供を自分のところで引き取って、東大の法学部を卒業さして、法学関係の勉強を全部さして、しかも国家試験を受けさして弁護士のライセンスを取らせてこれを自分のところの顧問弁護士に育て上げようとした事実があったのですよ。よろしゅうございますか。これを、このやくざの親分が黙っていればいいものを、新聞に発表したために警察から弾圧食った。組の名前は言いません、私もやられるといけないから。怖いから。そのくらい彼らも考えている。非常に彼らの仕事の先々も変わってきています。今、彼ら多角経営になってきているんだから。そういうふうなことを考えると、今安定局長が言った、そんな簡単には取り締まりができない方法を向こうは考えていますよ。十分気をつけてください。
 さて大臣、先ほども申しましたが、この法案は、何だか知らぬけれども派遣先保護法案みたいな感じかするんです、どうお尋ねしても。私にはそれしか受け取れないんですけれども、最後に労働大臣の確たる御意見をひとつ伺っておしまいにしたいと思います。
#170
○国務大臣(山口敏夫君) 先ほど来から御答弁申し上げておりますように、派遣労働また派遣事業、こういう新しい業種というものが生まれ、あるいは社会的にも定着をしている、そういう中で、どうしても野放し的な部分が、労働者のいろいろ御指摘いただいているような問題を生み出している業種もある。そういう中で、我々といたしましては、この派遣法の成立によって派遣労働者の保護と派遣元あるいは派遣先における雇用者としての使用者責任というものをより明確にひとつ確立をする、こういう決意とお願いを込めましてこの法案を提出をし、審議をいただいておるわけでございます。
 そういう意味におきましてぜひ御理解を賜りたいということと同時に、これからの高齢化時代における非常に労働人口の増加というものが、六百万、七百万規模でこれが見込まれておる。国鉄の問題を見てもおわかりのように、いかにこれからの労働市場の問題解決へ取り組まなければならないか、こういうことも含めまして、ぜひ派遣事業、派遣労働における環境整備に努めたい、こういうことでございますので、一層の御理解のほどを賜りたいと思うわけでございます。
#171
○委員長(遠藤政夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、暫時休憩いたします。
   午後一時七分休憩
     ─────・─────
   午後四時四十二分開会
#172
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、目黒今朝次郎君、和田静夫君及び田中正巳君が委員を辞任され、その補欠として小山一平君、野田哲君及び佐藤栄佐久君がそれぞれ選任されました。
    ─────────────
#173
○委員長(遠藤政夫君) 休憩前に引き続き、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#174
○高杉廸忠君 本委員会におけるいわゆる労働者派遣法案の審議も大詰めを迎えました。私は、本委員会における審議の過程で、委員各位より本法案に対して多くの問題点の指摘がありました。修正すべき具体的事項の要求もありました。また、政府に対しての幾つかの要望、要請もありました。その基本は、派遣される労働者の労働条件、労働基本権とも言うべき団体交渉権、また、使用者の責任の明確化等々であると考えます。
 したがいまして、締めくくりとも言うべき質問として、私は以下十二項目にわたって確認の質問をいたしたい、順次行っていきたいと存じます。
 まず第一に、派遣元事業主が労働者派遣事業により不当な利益を得ることは問題であり、労働者保護の観点から、特に派遣労働者の賃金、その他労働条件の維持向上を図るための措置が不可欠であると思いますけれども、政府はどのように対応するのか、まず伺います。
#175
○国務大臣(山口敏夫君) 労働者派遣事業につきましては、労働者保護の観点から、事業運営の実情について行政として的確に把握しておくことが必要であり、標準的な派遣料金等を記載した事業報告書や収支決算書に基づいて事業運営の実態を把握し、派遣労働者の労働条件の向上、その他福祉の増進に努めるよう派遣元事業主を指導することといたしております。
 また、都道府県ごとに各地域の業務別の平均的な派遣料金に関する資料を収集し、その情報を提供することとし、さらに、派遣労働者の賃金水準についても必要に応じその実態を把握して、適宜その情報を提供することにより、派遣労働者の労働条件の改善向上が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
#176
○高杉廸忠君 それでは第二に、派遣労働者の保護を図るためにも、通勤不可能な遠隔地への派遣については何らかの規制を行うべきではないかと考えます。いかがでございましょうか。
#177
○国務大臣(山口敏夫君) 派遣元事業主に対しては、派遣労働者の希望及び能力に応じた就業機会の確保に努めるべき旨の義務を課しているところでございますので、派遣元事業主に対して適切な指導に努めてまいりたいと考えます。
#178
○高杉廸忠君 第三に、派遣労働者が組合活動をしたことなどを理由として、派遣先が派遣元に対して派遣労働者の変更を要求するようなことがあってはならないと思います。こうした場合、政府はどのように対処するのか、確認をいたします。
#179
○国務大臣(山口敏夫君) 労働者派遣事業の場合、派遣労働者をだれにするかは派遣元が決定することであり、派遣先がこれに関与することは、制度の趣旨とするところではございません。御指摘のような場合に、派遣元が変更の要求に応じたとすれば、派遣元の意思で派遣労働者を変更したことになり、派遣労働者が労働組合の正当な行為をしたこと等を理由として当該労働者を配置転換することは、不当労働行為として禁止されるものであります。したがって、そのような事態が生ずることのないよう適切な指導を行ってまいりたいと考えます。
#180
○高杉廸忠君 第四に、派遣先事業主が派遣元事業主に対して三六協定の締結に関し不当な介入を行い、事実上長時間残業を可能にしているという実態がありますが、このような事態に対して政府はどのように対処をするつもりか、この際、伺います。
#181
○国務大臣(山口敏夫君) 三六協定は労働基準監督署に届け出られるので、恒常的な長時間残業を可能とするような三六協定については、届け出の際に適切な指導を行ってまいりたいと思います。
 また、特に情報処理業務につきましては、その実態の把握に努め、適正な時間管理が行われるよう、指針等の策定について検討してまいりたいと考えます。
#182
○高杉廸忠君 第五に、派遣労働者の労働基本権を確保するためにも、派遣先に対して団体交渉応諾義務を認めるべきであると思います。いかがでございましょうか。
#183
○国務大臣(山口敏夫君) 今回の派遣法案は、労働組合法等労使関係法の改正を伴うものではなく、また、これら労使関係法について従来とってきた考え方を何ら改めようとするものでもございません。
 ところで、個々の事例において、だれか団体交渉応諾義務を負うかについて争いが生じた場合には、裁判所または労働委員会において個々の事実に即して判断されることになります。そして、これらの具体的な事例について裁判所または労働委員会で判断が示された場合には、労働省としては、これら判決や命令の内容について、とかくのことを申し上げる立場にないことは当然のことであります。
#184
○高杉廸忠君 第六に、派遣労働者が法律違反の事実を行政機関に申告した場合に、これを理由として派遣労働者を不利益に取り扱うことは許されないと思います。このような事態についてはどのように対処するつもりなのか、確認をいたします。
#185
○国務大臣(山口敏夫君) 派遣労働者が行政機関へ申告したこと等を理由として不利益な取り扱いを受けるというようなことのないよう、派遣労働者の適正な派遣就業の確保のため、適切な指導に努めてまいりたいと存じます。
#186
○高杉廸忠君 それでは次に第七として、違法な労働者派遣事業の存在、これを排除するために、派遣先事業主が、無許可やあるいは無届けの派遣元事業主から派遣労働者を受け入れることのないよう、適切に対応すべきだと考えます。この点、どのように政府ではお考えですか、確認をいたします。
#187
○国務大臣(山口敏夫君) 法案第二十六条において、労働者派遣契約の締結に当たっては、許可を受け、あるいは届け出を行っている旨を明示しなければならないこととされておりますので、この趣旨を派遣先事業主に周知徹底し、例えば許可証の提示を求めさせる等により適切に対応するよう、派遣先事業主に対して指導に努めてまいりたいと考えます。
#188
○高杉廸忠君 第八に、労働者派遣事業制度が適正に運営され、派遣労働者の保護と雇用の安定を確保していくためには、実効確保のための措置が不可欠であると考えます。例えば、地方職業安定審議会の活用などを含めて、体制整備にどのように政府が取り組むつもりか、この際、確認をいたしたいと思います。
#189
○国務大臣(山口敏夫君) 労働者派遣事業制度の適切な運営を図るため、関係者に対する制度の周知徹底、許可制度の適切な運用、法律に違反する事業主に対する指導監督の徹底等を図ることが何よりも重要と考えており、このため、
一、関係職員の増員及びこれら職員に対する研修の実施を初めとする行政体制の整備
二、労働基準監督機関との相互通報制度の創設等関係行政機関との連携の確保
三、労使協力員の設置等、労使を含めた民間の協力体制の整備
四、業界団体を通じての指導
五、地方職業安定審議会の活用等、地方における労使の意見が反映されるような措置等に積極的に取り組んでまいりたいと思います。
#190
○高杉廸忠君 第九として確認をいたしますが、労働時間等の規定は派遣先のみに適用されることとなっておりますので、同一の派遣労働者が複数の派遣先に派遣される場合に、派遣労働者の労働条件が確保されず、また、派遣先が罰せられなくなるおそれがあるように思われます。この点について、確認をいたしますけれども、いかがですか。
#191
○国務大臣(山口敏夫君) 派遣労働者の労働時間等の労働条件は、派遣元事業主と派遣労働者との間において労働基準法に定める最低基準を満たす内容で設定され、派遣元事業主は、この範囲内で派遣契約を定めて派遣することとなるので、たとえ派遣労働者が複数の事業所に派遣されたとしても、労働時間等の労働条件は確保されるものであると考えます。
 また、派遣先の使用者が労働者派遣契約に定める就業条件に従って派遣労働者を労働させれば派遣先の使用者が労働基準法に抵触することになる場合には、法案第四十四条第四項において、派遣元の使用者も罰することとしているところであります。
#192
○高杉廸忠君 第十として確認をいたしますが、労働者派遣事業の対象業務は、具体的には政令で定められることになっているけれども、労働者の就業の実態を考慮いたしますと、業務の内容を明確に規定しなければならないと考えます。例えば、秘書と称して自動車運転業務に従事させる等が考えられます。このような事実上脱法的行為が行われることにならないように、政府はどのように対処するつもりか、この際、確認をいたします。
#193
○国務大臣(山口敏夫君) 労働者派遣事業の対象業務につきましては、中央職業安定審議会の意見を聞いて、政令において具体的に定めていくこととしており、その際には業務処理の実情を踏まえて、個々の業務の内容が明らかになるよう適切に規定してまいりたいと考えます。
#194
○高杉廸忠君 第十一として確認をいたします。
 労働者派遣事業の対象業務に関して、中央職業安定審議会の小委員会において十四の業務が例示されております。今後の具体的な業務指定に当たっては、安易に拡大されることがあってはならないし、できるだけ限定すべきものと考えます。この点、いかがですか、確認をいたします。
#195
○国務大臣(山口敏夫君) 対象業務の指定に当たりましては、常用雇用の代替を促進することとならないよう、中央職業安定審議会の意見を聞いて慎重に対処することとしており、御指摘の十四業務については、審議会の小委員会において公労使の委員の意見を踏まえて示されたものでありますので、今後の業務指定に当たりましては、これら業務を中心として検討が行われることになるものと考えております。
#196
○高杉廸忠君 最後に、第十二として確認をいたしますけれども、正規労働者が容易に派遣労働者となることを防止するために何らかの対応が必要だと思います。政府はどのように措置をするつもりか、この際、確認をいたします。
#197
○国務大臣(山口敏夫君) 派遣元事業主が、派遣労働者として雇い入れた労働者以外の者を新たに労働者派遣の対象としようとするときは、本人の同意を得なければならないこととされておりますので、その旨の周知徹底を図るとともに、労働者の意に反して労働者派遣の対象とされるような不適当な事業運営が行われる場合には、派遣元事業主に対して適切な指導を行ってまいりたいと考えます。
#198
○高杉廸忠君 以上、十二項目にわたって確認をいたしました。私は、本法案の質疑を終了するに当たりまして、最後に労働大臣の所見を伺いたいと考えます。
 大臣もお聞きのように、これまでの審議を通じて、本法案は我が国の雇用慣行や労働市場に重大な影響を及ぼすものであり、今後の展望を欠いたまま本法案を可決することの責任の重大性を強く感ずるものであります。
 したがって、その運用に当たっては、労働者の保護、権利、雇用不安のないよう、特段の配慮をすべきであると考えております。質問を終わるに当たって、この際、特に最後に労働大臣の所見を伺い、終わります。
#199
○国務大臣(山口敏夫君) 派遣事業における派遣労働者の労働福祉の改善、条件の整備が、今先生の御指摘いただきましたような十二項目の確認を含めまして適切な運営の中に、労働者保護、雇用の安定、そしてまた派遣事業自身のひとつ環境条件の整備ということに誠意を持って取り組んでまいりたい。この運営にひとつきちっと責任を持って適切な運営のために努めたいと、かように考えております。
#200
○委員長(遠藤政夫君) 以上をもちまして、両案に対する質疑は終局いたしました。
 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案に対し、佐々木満君より修正について発言を求められておりますのでこれを許します。佐々木君。
#201
○佐々木満君 私は、ただいま議題となっております労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、公明党・国民会議、民社党・国民連合を代表いたしまして修正の動議を提出いたします。
 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 よろしくお願いを申し上げます。
#202
○委員長(遠藤政夫君) それでは、佐々木君提出の修正案を議題とし、趣旨説明を聴取いたします。佐々木君。
#203
○佐々木満君 ただいま議題となりました労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党・自由国民会議、公明党・国民会議及び民社党・国民連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 修正の要旨は、第一に、派遣元事業主は、労働者派遣の期間については、労働大臣が当該労働力の需給の適正な調整を図るため必要があると認める場合において適用対象業務の種類に応じ当該労働力の需給の状況、当該業務の処理の実情等を考慮して、要するに労働大臣がこれらのことを考慮して定める期間を超える定めをしてはならないものとすること、これが第一点であります。
 第二点は、派遣先はその指揮命令のもとに労働させる派遣労働者から当該派遣就業に関し、苦情の申し出を受けたときは、当該苦情の内容を当該派遣元事業主に通知するとともに、当該派遣元事業主との密接な連携のもとに、誠意をもって遅滞なく当該苦情の適切かつ迅速な処理を図らなければならないものとすることであります。
 以上であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#204
○委員長(遠藤政夫君) 別に御発言もないようですので、修正案に対する質疑はないものと認めます。
 それでは、これより両案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
#205
○浜本万三君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております政府提案の労働者派遣二法案並びに修正案に対して、反対の討論を行うものであります。
 本法案は、政府の言うところの労働者の保護と雇用の安定に配慮した上で労働者派遣事業を制度化することとは全く逆に、本法案は、派遣労働者のみならず、正規雇用労働者の労働条件の保護、労働基本権の保障及び我が国の労働法制にとって、重大な影響を及ぼすものであることが明らかにされたところであります。
 なお、修正案につきましては、関係者の皆さんの努力を評価するものではありますが、なお、我が党にとっては不十分なところが多いわけであります。以下、主要な点を指摘し、反対の理由を述べさしていただきます。
 私は、まず第一に、現行の労働法制に違反する労働者派遣事業への政府の姿勢を基本的な問題点として指摘するものであります。
 御承知のとおり、戦後我が国は民主的な労働関係法によってすべての労働者が直用とされたのでありますが、昭和二十七年には職安法施行規則が改悪されたことにより、社外工等の下請事業が公然と復活し、増大する結果を招いたのであります。さらに政府は、業務処理請負業と称する労働者派遣事業を容認し続け、今日、百万人とも二百万人とも言われる派遣労働者を招来せしめたのであります。これにより、労働者の雇用契約関係は一層複雑となり、野放し状態となったことはまことに遺憾であります。
 我々は、職安法施行規則を厳格化し、法律として本則で規定するとともに、偽装請負事業を厳しく取り締まることを強く求めるものであります。
 第二は、対象業務が今後無限定に拡大するのではないかという懸念であります。
 対象業務は、当初の四業種から十四業務に増加しておりますが、本法案では特に限定する規定はなく、今後政府の定める政令によって広く対象業務とされる可能性が残されているのであります。対象業務は、法律上明確にし最小限に限定すべきであります。我が党は技術革新に対応するソフトウェア業務に限定すべきであることを提案しておるところであります。
 第三は、正規常用労働者の派遣労働者化が野放しにされるという危惧があります。
 そして第四は、派遣労働者は身分が不安定で、中間搾取による低賃金、長時間労働、職業病の多発といった実態が明らかにされておりますが、本法案には派遣先企業における団体交渉応諾義務はなく、また、派遣労働者の中間搾取の不安が解消されていないことであります。
 最後に、経済同友会は昨年の十一月、ME化による大量の余剰人員の放出と新しい人材採用のためには、新たな中間労働市場が必要であり、労働者派遣法がその機能を果たすものだとの提言を行っております。また、経済企画庁は、二〇〇〇年には臨時社員は現在の二倍に激増すると予測をしておるのであります。
 すなわち、本法案は我が国の雇用慣行及び労働市場に重大な影響を及ぼすものであり、今後の展望を欠いたまま可決することの責任の重大性を強く警告いたしまして、本法案に対する反対討論を終えるものであります。
#206
○関口恵造君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となりました労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案並びにただいま提出されました修正案につきまして、修正案及び修正部分を除く原案に賛成の意を表するものであります。
 近年、経済社会活動に大きな変化が見られます。特に産業構造、就業構造が非常に高度化してまいりました。具体的にはマイクロエレクトロニクスなど新たな技術革新の進展を中心として、第三次産業化、サービス経済化というような産業構造の変化が起こっておりますし、また、これに伴いまして、職業の専門分化ということが進んでおります。
 このような経済社会活動の高度化に伴いまして、企業内において各種の専門的な業務が生じてまいります。これを効率的に処理するために、専門的な知識、技術、経験を有する者にゆだねるようになってまいりました。これがいわゆる人材派遣業が発生し、また、今日のように飛躍的に増加してきた要因ではないかと考えます。いわばこれによって社会的分業の利益による効率的な業務処理を可能としていると言うことができましょう。
 一方、労働者サイドについて見ますと、高齢化社会の進展、女子の職場進出という状況の中で、我が国の伝統的な終身雇用慣行がとられている中では、このような高齢者や家庭婦人は、一般に就職の機会を確保することが困難となっておりますが、このような層にその希望する日時、場所等に合わせて、その専門的な能力を発揮させることができるのがこの人材派遣業ではないかと考えております。
 したがいまして、私としては、このような状況に対応して、早急に法的な枠組みを設定することが必要であります。
 このたびの政府案は、このような産業構造や就業構造の高度化に対応した新たな労働力需給調整システムを整備し、需給の的確な結合と派遣労働者の雇用の安定、その他福祉の増進のための措置が講じられ、これにより労働者の就業機会の拡大が期待できるとともに、十分な保護措置を講じたものであると考えます。さらに、しばしば指摘されております常用雇用あるいは雇用慣行との調和にも十分配慮したものであります。したがって、極めて時宜を得た適切な内容であると考えます。
 また、修正につきましても、常用雇用あるいは雇用慣行との調和にさらに特段の配慮を加えるとともに、派遣労働者が派遣先において適正な就業を確保するために、就業に伴って生じる問題の迅速な解決を図ろうとするものであり、いずれも妥当なものと考えております。
 以上の理由により、私は、修正案及び修正部分を除く原案に賛成することを表明して討論を終わります。
#207
○安武洋子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案に対し、反対の討論を行います。
 私は、まず最初に、我が国が戦後確立してきた労働基本権を真っ向から侵害する反民主的な内容を持つ本法案が、本委員会においてわずか十三時間しか審議されないまま他党の同意により採決されようとしていることに、断固抗議するものであります。
 さて、本法案は、現行の職業安定法が禁止している労働者供給事業の一部を労働者派遣事業として法的に認知するとともに、労働基準法で禁じられている中間搾取を公認するという、まさに人貸し業法、ピンはね公認法とも言うべきものであります。同時に、本法案は企業の都合で正規雇用労働者を一方的に他企業に派遣する道を開くものでもあります。
 本法案の基本的なねらいは、技術革新をてこに大がかりな人減らし合理化を推し進めようとする大企業の要請に一方的にこたえようとする点にあります。
 私の質問でも指摘したように、財界四団体の一つである経済同友会は、ME化、構造不況などで生まれた余剰人員の企業外への放出と、大量の短期雇用労働者の導入を可能にするために、本法案に当たるものを露骨に要求しておりました。また、経済企画庁の調査では、十五年後には大企業の労働者の三人に一人は不安定雇用労働者が占めると予測し、現実に各大企業は中核的な仕事を除いて派遣労働者化、臨時労働者化する雇用戦略を立て、みずからの子会社の派遣会社を次々とつくっております。
 正社員をいつでも派遣労働者化でき、必要なときだけ、安く、責任を持つ必要のない派遣労働者を気兼ねなく受け入れられる、この大企業の要請にこたえた労働者需給システムを法的に認知しようとするものがまさに本法案なのであります。
 また、政府は、本法案の目的がいかにも労働者保護にあるかのごとく述べておりますが、実際には全く逆であり、派遣先では労働者は無権利状態を押しつけられる内容となっております。
 私の質問で指摘したような派遣先の不当な契約によって労働条件が悪化したり解雇まで行われても、派遣労働者は元凶である派遣先企業に対し、団体交渉権、さらには争議権も保障されず、一方派遣先企業は不当労働行為を行っても何の制裁も及ばず、一切の責任から免責される仕組みになっており、野放しにされるのであります。
 これでは派遣労働者は中間搾取による低賃金、長時間労働に加えて、社会保険もボーナスもないという劣悪な労働条件を押しつけられた上に、派遣先企業の都合でいつ職場をやめさせられても文句が言えなくなります。このような人間的尊厳まで奪う無権利、人権じゅうりんを容認をし、戦後我が国労働者が血と汗であがなって獲得してきた基本的権利を根本から奪い去る希代の悪法であるこの本法案の成立を、私は断じて認めることはできません。断固反対であります。
 修正案は、あえてただすまでもなく、本法案の危険な内容を全く変えるものではないので反対であることを申し添え、私の反対討論を終わります。
#208
○委員長(遠藤政夫君) 以上で討論は終局いたしました。
 これより労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案について採決に入ります。
 まず、佐々木君提出の修正案を問題に供します。
 本修正案に賛成の方の挙手を求めます。
   〔賛成者挙手〕
#209
○委員長(遠藤政夫君) 多数と認めます。よって、佐々木君提出の修正案は多数をもって可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案全部を問題に供します。
 修正部分を除く原案に賛成の諸君の挙手を求めます。
   〔賛成者挙手〕
#210
○委員長(遠藤政夫君) 多数と認めます。よって、修正部分を除く原案は可決されました。
 以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#211
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 次に、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の諸君の挙手を求めます。
   〔賛成者挙手〕
#212
○委員長(遠藤政夫君) 多数と認めます。
 以上の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、高杉君から発言を求められておりますので、これを許します。高杉君。
#213
○高杉廸忠君 私は、ただいま可決されました労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘各派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について特段の配慮をすべきである。
 一、対象業務を具体的に定めるに当たっては、我が国の雇用慣行との調和に十分留意し、常用雇用労働者の代替を促すこととならないよう、十分配慮すべきであり、中央職業安定審議会の意見を尊重して、慎重に対処すること。特に、製造業の直接生産工程に従事する業務については、労働者派遣事業の対象とはしないこと。
 二、請負形式により実質的に労働者派遣事業が行われることを防止するため、請負であるか否かの認定基準の作成に当たっては、中央職業安定審議会の意見を聴いて、可能な限り客観的に明確なものとなるよう慎重に検討するとともに、その厳正な運用に努めること。
 三、派遣先における作業内容、作業環境等に関し問題が生じた場合には、派遣労働者、派遣先事業主及び派遣元事業主との十分な協議を通じて、これらの問題が円滑に処理されるよう、事業主に対する指導に努めること。
 四、労働者派遣事業は、労働力需給調整制度の一つとして位置付けられるものであると同時に派遣労働者の雇用の安定、福祉の増進に資することを目的とするものであることに鑑み、単なる企業内の余剰労働力の調整策として行われることのないよう適切な運用に努めること。
 五、いわゆる二重派遣は、労働者供給事業に該当し、禁止されるものであるので、その旨の周知徹底を図るとともに、二重派遣が行われることのないよう、厳格な指導に努めること。
 六、派遣元事業主から教育訓練に関する計画を提出させ、これに基づき、派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進が図られるよう、適切な指導に努めること。
 七、労働時間、休日等の労働基準法等の適用の特例については、労働者の保護に欠けることのないよう、その周知徹底に努めること。
 八、労働者派遣事業と有料職業紹介事業とが競合することにより、労働者の保護に欠けることのないよう、適切な調整に努めること。
 九、労働者派遣事業、労働組合が行う労働者供給事業その他の民間の労働力需給調整システムにより就業する労働者について、社会・労働保険の適用の促進その他福祉の向上が図られるよう、適切な指導に努めること。
 十、労働者派遣事業が適切に運営され、労働者の保護と雇用の安定が確保されるよう、関係職員の増員をはじめ、行政体制及び民間の協力体制の整備を図るとともに、労働力需給の変化に的確に対応するため、公共職業安定機関の機能の充実、強化に努めること。
 十一、いわゆる派遣店員について、その適正な就業を確保するため、派遣元、派遣先両者間の取り決め及び派遣店員の管理の在り方に関し、業界に対し適切な指導に努めること。
  右決議する。
 以上であります。
#214
○委員長(遠藤政夫君) ただいま高杉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の諸君の挙手を求めます。
   〔賛成者挙手〕
#215
○委員長(遠藤政夫君) 多数と認めます。よって、高杉君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、山口労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山口労働大臣。
#216
○国務大臣(山口敏夫君) ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存であります。
#217
○委員長(遠藤政夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#218
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#219
○委員長(遠藤政夫君) 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、労働基準監督署並びに公共職業安定所及びその出張所の設置等に関し承認を求めるの件を議題といたします。
 本件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。――別に御発言もないようでございますので、質疑はないものと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようですので、これより採決に入ります。
 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、労働基準監督署並びに公共職業安定所及びその出張所の設置等に関し承認を求めるの件を問題に供します。
 本件を承認することに賛成の諸君の挙手を求めます。
   〔賛成者挙手〕
#220
○委員長(遠藤政夫君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#221
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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