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1984/06/18 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第26号
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1984/06/18 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第26号

#1
第102回国会 社会労働委員会 第26号
昭和六十年六月十八日(火曜日)
   午前十時四分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月七日
    辞任         補欠選任
     佐藤栄佐久君     田中 正巳君
     小山 一平君     糸久八重子君
     野田  哲君     和田 静夫君
 六月十八日
    辞任         補欠選任
     田代由紀男君     岩崎 純三君
     前島英三郎君     水谷  力君
     村上 正邦君     吉村 真事君
     浜本 万三君     片山 甚市君
     和田 静夫君     小野  明君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤 政夫君
    理 事
                佐々木 満君
                関口 恵造君
                高杉 廸忠君
                中野 鉄造君
    委 員
                石井 道子君
                岩崎 純三君
                大浜 方栄君
                斎藤 十朗君
                曽根田郁夫君
                田中 正巳君
                水谷  力君
                森下  泰君
                吉村 真事君
                糸久八重子君
                小野  明君
                片山 甚市君
                和田 静夫君
                中西 珠子君
                安武 洋子君
                藤井 恒男君
                下村  泰君
   衆議院議員
       社会労働委員長  戸井田三郎君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  増岡 博之君
   政府委員
       厚生大臣官房長  下村  健君
       厚生大臣官房総
       務審議官     北郷 勲夫君
       厚生省健康政策
       局長       吉崎 正義君
       厚生省保健医療
       局長       大池 眞澄君
       厚生省社会局長  正木  馨君
       厚生省児童家庭
       局長       小島 弘仲君
       厚生省保険局長  幸田 正孝君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       小村  武君
       大蔵省主税局税
       制第一課長    濱本 英輔君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○優生保護法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
○栄養士法及び栄養改善法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
○児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○社会保障制度等に関する調査
 (昭和六十一年度の厚生省予算編成に関する件)
 (退職者医療制度の運営に関する件)
 (医療法人北九州病院の医療費不正請求等に関する件)
 (聖マリアンナ医科大学における輸血拒否事件に関する件)
 (臓器移植、脳死等生命倫理に関する件)
 (心身障害者小規模共同作業所に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、田代由紀男君が委員を辞任され、その補欠として岩崎純三君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(遠藤政夫君) 優生保護法の一部を改正する法律案及び栄養士法及び栄養改善法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 まず、提出者衆議院社会労働委員長戸井田三郎君から順次趣旨説明を聴取いたします。戸井田三郎君。
#4
○衆議院議員(戸井田三郎君) ただいま議題となりました優生保護法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。
 本案は、都道府県知事の指定を受けて受胎調節の実地指導を行う者が受胎調節のために必要な医薬品を販売することができる期間を、昭和六十五年七月三十一日まで延長しようとするものであります。
 以上が本案の提案理由及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 次は、栄養士法及び栄養改善法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。
 近年、人生八十年時代の到来とともに、成人病等の慢性疾患が国民の疾病構造の中心的部分を占めるようになってきており、国民の健康を確保し活力ある社会を建設していくためには、これらの疾患と関連の深い食生活の改善指導の充実を図ることがますます重要となってまいりました。
 このため、本案は、専門職としての栄養士及び管理栄養士の資質、ひいてはその地位の向上を図るとともに、特に栄養改善上の必要性が高い集団給食施設について、専門職である管理栄養士の指導の確保できる体制を整備しようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、栄養士免許は、すべて厚生大臣の指定した養成施設を卒業した者に対して与えるものとし、栄養士試験は廃止するものとすること。
 第二に、管理栄養士の登録は、すべて管理栄養士国家試験に合格した者について行うものとし、大学である栄養士養成施設のうち、特別の指定を受けたものを卒業した者について無試験で管理栄養士の登録を行っているこれまでの制度は廃止するものとすること。
 第三に、栄養改善上特別の給食管理が必要な集団給食施設の設置者は、その施設に一人以上の管理栄養士を置かなければならないものとすること。
 第四に、この法律は昭和六十二年四月一日から施行することとし、栄養士の免許及び管理栄養士の登録についての所要の経過措置並びに栄養士試験についての暫定措置を講ずるものとすること。
 以上が本案の提案理由及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#5
○委員長(遠藤政夫君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
    ─────────────
#6
○委員長(遠藤政夫君) 次に、児童手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。増岡厚生大臣。
#7
○国務大臣(増岡博之君) ただいま議題となりました児童手当法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 児童手当制度は、昭和四十七年、次代の社会を担う児童の養育の場である家庭の生活を安定させ、児童の健全な育成と資質の向上を図るための制度として、とりあえず、第三子以降の児童を対象として発足いたしました。
 この制度については、その後の社会経済情勢の変化等を背景として、昭和五十六年七月の臨時行政調査会第一次答申において制度の見直しの要請がなされ、これを受けて、同年十二月、いわゆる行革国会で成立した行革関連特例法により、所得制限の強化及びこのため手当を受給できなくなる被用者等に対する特例給付の支給という措置が実施されております。
 この法律では、本年六月を目途として制度全般を見直す旨が規定されており、さらに、昨年七月の臨時行政改革推進審議会の意見書でも、制度の見直しを速やかに実施するよう要請されております。
 このような背景から、これまで児童手当制度について抜本的な制度改革を行うべく検討を重ねてまいりましたが、次代を担う児童の養育費を社会的に分担し、児童の健全育成の基本的な場である家庭の経済的な基盤強化に資するという児童手当制度の意義に照らし、また、我が国の近年における出生数の減少傾向、人口の高齢化の進展をも考慮し、児童を養育している者が広く手当の支給を受けられるようにする必要があるとの観点から、当面、給付面について所要の改正を行うため、本改正案を提出した次第であります。
 次に、改正案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、支給対象児童の範囲につきましては、第三子以降としている現行制度を改め、第二子以降を支給対象とすることとしております。
 第二に、支給期間につきましては、支給対象児童の大幅な拡大を勘案し、小学校入学前の期間を対象とすることといたしております。
 第三に、手当月額につきましては、今回新たに支給対象となる第二子については二千五百円、第三子以降の児童については現行制度と同様五千円とすることとしております。
 第四に、改正制度の実施時期につきましては、行革関連特例法の適用期限との連続性等を考慮いたしまして、昭和六十一年六月一日とすることとしております。
 第五に、制度改正の実施の方法につきましては、現行制度の受給者に配慮し、制度の移行を円滑にするため、三年間で段階的に実施するという移行措置を講ずることといたしております。
 第六に、将来の制度のあり方につきましては、費用負担を含め本制度について幅広い論議を深めつつ、引き続き検討を重ね、所要の措置を講ずる旨を明らかにすることとしております。
 第七に、当面の所得制限額の設定につきましては、今回の改革が財政再建下という厳しい状況下での制度の再出発でありますので、昭和六十六年五月までの間現行水準程度とすることとし、この所得制限によって手当を受給できない被用者等につきましては、引き続き現行特例制度と同様の特例的な給付を実施することとしております。
 そのほか所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上がこの法律を提出する理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#8
○委員長(遠藤政夫君) この際、本案の衆議院における修正部分について衆議院社会労働委員長戸井田三郎君から説明を聴取いたします。戸井田君。
#9
○衆議院議員(戸井田三郎君) 児童手当法の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分について、その内容を御説明申し上げます。
 修正の要旨は、就学猶予者及び免除者については、十五歳になるまで手当を支給しようとするものであります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#10
○委員長(遠藤政夫君) 以上で趣旨説明及び修正部分の説明の聴取は終わりました。
 それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#11
○糸久八重子君 児童手当法の一部を改正する法律案の審議に際しまして、まず、大臣の基本的な児童手当観についてお伺いをしたいと思います。
 児童の養育は親の責任でありそして私的扶養でもって足りる、自分の子供も育てられないような人間は親となる資格がないというような、そういう指摘も聞くわけですけれども、このような見解に対しまして、大臣はどのような所感をお持ちでございましょうか。
#12
○国務大臣(増岡博之君) 児童につきましての認識でございますけれども、今高齢化社会の到来ということを目前に控えておるわけでございますけれども、そういう観点から考えますと、単に家庭だけが養育をするということのみならず、世代と世代の間の連帯ということも考えなければならない面があるというふうに考えておるわけでございます。
 したがって、この児童手当制度は世代間の連帯によって児童家庭の援助を行っていくべきものという制度、また、そういうことを国民の皆さんに十分理解をしていただきたいというふうに考えております。
#13
○糸久八重子君 大臣がおっしゃられましたとおり、この児童手当制度というのは、子育ての社会的側面に着目した制度であると思います。将来の社会の担い手となる子供を社会の子として健全な子育てが行われるよう社会全体で責任を負っていこうとする制度であると思うのですが、この点はよろしゅうございますね。
 中央児童福祉審議会の意見具申では、将来の高齢者扶養との関係で制度の積極的位置づけを求めております。これも大臣がおっしゃられたわけですけれども、今後の制度の改善についての大臣の基本的認識も、この際、お伺いしたいと思います。
#14
○国務大臣(増岡博之君) 先ほど申し上げましたような立場から、この制度をしっかりしたものに確立していくためには、やはりこれまで以上に国民の十分な理解をいただいて、費用の負担の面についても御認識をいただきながら検討を重ねて、制度の充実を図らなければならないというふうに考えております。
#15
○糸久八重子君 老人の社会的扶養との関係についてなのですけれども、現在の公的年金制度の財政方式は修正積立方式と説明されていますけれども、厚生年金の老齢年金の中味を分析いたしますと、年金中に占める本人、事業主の保険料拠出分の割合は、現在でも一割強にすぎませんし、残りの約九割は現役世代の負担する租税と社会保険料であることを厚生省ではお認めになっていられますね、その点。
#16
○政府委員(小島弘仲君) 御指摘のとおりでございます。
#17
○糸久八重子君 制度の成熟段階では、公的年金の財政方式は賦課方式に移行して、そして現役の勤労世代が老齢世代を完全に社会的に扶養する方向で既に政策選択がなされていると考えられますが、こう理解してよろしゅうございますか。
#18
○政府委員(小島弘仲君) 基本的にはやはりそういう面が強まってくると思います。
#19
○糸久八重子君 高齢者の方たちは、自分の養育した子によってではなくて、子の世代である勤労世代によって公的年金制度を通じ社会的に扶養されるわけですから、将来の高齢社会の担い手である児童についても社会的に扶養することが、大臣のおっしゃられました世代と世代、それから子のある家庭と子のない家庭との公平性を確保するために当然求められることになると思いますけれども、この点、大臣いかがでございましょうか。
#20
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、将来は今の児童が成長して、それによって高齢化社会が支えられるという面も非常に大きいわけでございますから、私どもも現在の厳しい財政状況下ではありますけれども、将来支えられる立場にあります我々が、将来支えてくれる児童たちに対して今何をしておくべきかということは、非常に大切なことだと思っております。
#21
○糸久八重子君 高齢者は社会的に扶養して、そして児童は家庭で責任を負えというような考えもこの児童手当の中には含まれているような気がしますけれども、そうなりますと、何か片手落ちのような気もしないでもないですが、その点はいかがですか。
#22
○政府委員(小島弘仲君) 現在の児童手当制度は、そういう意味で極めて不十分な姿かと思いますが、基本的な児童手当の考え方は、先生御指摘のように、やはり老人と同様に、次の勤労世代になる児童につきましては社会的にその養育を援助しようという趣旨のものでございますので、老人の支えと児童の支えというのは、将来やっぱり車の両輪として考えていってもいいんじゃないかと思います。
#23
○糸久八重子君 児童を社会的に扶養していくということが当然のことであるならば、それにふさわしい手当額を保障すべきであると思うわけです。現在の手当額というのは月額五千円という額なんですけれども、余りにも低額なのではないかと思うわけです。その辺の金額的な問題で、大臣の率直な見解をお伺いしたいのですが。
#24
○国務大臣(増岡博之君) 私も、この現在御提案申し上げております制度が完全なものであるとは思っていないわけでございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、この制度に対する国民の理解というものが十分でなかったということもございますし、また、現在の財政状況でございますので、一応この形でお願いをせざるを得なかったというのが実情でございます。
#25
○糸久八重子君 制度も不十分であるし、また、国民の理解も十分でなかったということをお認めになっていらっしゃるようですけれども、今後どのような形で制度を改善していかれるおつもりなのか、その辺をお伺いしたいと思います。
#26
○政府委員(小島弘仲君) まず、御提案申し上げているような制度改正を実施させていただきますと、大体この年代の子供を養育していらっしゃる家庭の九割が支給対象者になりますし、そのうちの八割に現に手当が支給されるという形になろうかと考えております。
 そういうことを基盤としながら、児童手当制度の今後の社会における必要性というふうなものについての十分な広報活動をいたしますと同時に、また、今後さらに審議会等におきましてあるべき姿についての検討を含めまして広くそれを世論に問いまして、国民の選択を求めていくということにしたいと考えております。
#27
○糸久八重子君 既に高齢化社会に突入しておりますヨーロッパの諸国では、高齢者と児童の双方について、等しく社会的に扶養する制度を完成していると聞いているわけでございます。人類史上未曾有の高齢化社会の到来を目前にした今日、我が国でも児童手当制度の拡充は非常に重要な政策課題であることだと思いますけれども、この点につきましてはいかがでございますか。
#28
○政府委員(小島弘仲君) 昨年末にいただきました中央児童福祉審議会の意見具申におきましても、御指摘のように、まさしく本格的な高齢化社会を迎えつつある我が国においては、やはり今の時期にしっかりした制度を構築できるように努力する必要があるという御指摘をいただいております。
#29
○糸久八重子君 それではこの際、ヨーロッパ諸国の児童手当制度の概要とか、その内容として支給対象の範囲とか、給付額とか財源調達の方式等等について、簡単に御説明をいただきたいと思います。
#30
○政府委員(小島弘仲君) 現在世界で児童手当制度を実施している国が六十六カ国ございますが、そのうちの大部分は、五十八カ国は第一子から支給をいたしております。また、御提案申し上げているような第二子以降としている国はフランスほか四カ国、それから第三子以降としている国は我が国を含めまして三カ国というふうな状況でございます。先進諸国のうちでソ連が第四子から、あるいはアメリカが児童手当制度はないという状況がありますが、ヨーロッパ諸国、先進諸国はすべて児童手当制度を持っております。その大部分は第一子からという状況でございます。
 また、支給対象児童の年齢を見ますと、おおむね義務教育終了時まで、日本の大体十六歳未満というような対象になっておりますが、中にはフランスやドイツのように、大学在学期間中も支給を継続するというようなところもございます。
 所得制限につきましては、所得制限を実施している国は、日本、あるいはヨーロッパではスイスなど七カ国でございまして、大部分の国は所得制限を実施していないというような体制をとっております。その反面、税制の扶養控除との調整を行っているような傾向が見られまして、児童手当制度創設のかわりに税制による子供の扶養控除を廃止したり、中には西ドイツのように、最近に至りましてさらに税制の扶養控除も復活するというような動きも見られます。
 あと、金額でございますが、これもなかなか区区ではございますが、おおむね一人平均いたしますと一万円程度の金額が出ている。例えば西ドイツで見ますと、第一子は我が国のように四千六百九十五円、五千円を切っております。第二子が九千三百九十円、第三子になりますと二万円、第四子以降は二万二千五百三十六円というような金額になっております。イギリスは大体一万円で、子供の出生順位にかかわらず一万円。またフランス等におきましては、第二子以降でございますが、第二子は一万五千円強、第三子が一万八千円強、第四子が一万九千円強というような姿が見られます。イタリアは日本同様に三千円をちょっと上回る程度の金額になっております。
 大体以上のような状況でございます。
#31
○糸久八重子君 ただいま御説明をいただきましたヨーロッパ諸国の実情から見ますと、例えば支給対象児童の範囲にいたしましてもまた金額にいたしましても、現行の我が国の制度というのは非常に立ちおくれているということを言わなければならないと思うわけでございます。そういう意味では、やはり現行の制度をもっとよりよく改善していかなければならないということがこれは本当のやり方ではないかと思いますけれども、そういう意味では非常に問題があるというふうに思うわけです。
 この児童手当制度というのは四十六年度にスタートしたわけでございますけれども、当時の内田厚生大臣も国会で、小さく産んで大きく育てるということを約束しておったようでございます。しかし、それにもかかわらず、小さく産んだということはいいわけですけれども、大きく育ったかどうかということですけれども、これはとても育つどころか、だんだんだんだん小さくなってしまったということが言えるわけで、非常に私はこの点遺憾に思うわけでございます。発足当時は月額三千円であった、それが昭和五十年以降五千円になっている。それも、所得制限も強化されてきたために支給率というのは、全額事業主の拠出による特例給付を含めてもピーク時の九二・五%から七九%程度まで引き下げられているというのが現状でございます。この間、福祉年金とか、それから特別児童扶養手当とか、それから児童扶養手当額等については非常に伸びを示しているわけです。これから見ますと児童手当制度の停滞ぶりというのは、非常にひどい状況にあるというふうに言わなければならないと思います。
 大臣は、発足以来のこの制度の推移をどう総括されているのか、その辺をお伺いしたいと思います。
#32
○国務大臣(増岡博之君) 率直に申しまして、所期の意図というものが実現されていないように思います。これは石油ショックその他の社会経済情勢の問題もあったわけでございますけれども、それともう一つ、先ほどから申し上げておりますような、この手当に関する国民の理解が十分でなかったということに起因するのではなかろうかというふうに考えております。
#33
○糸久八重子君 児童手当制度の基本的なあり方につきましては、中央児童福祉審議会が五十五年に、義務教育終了前の第一子から支給対象とする、そして、原則として所得制限なしである程度の価値ある額を支給することを骨子とする意見具申をしているわけです。私は、この児童手当制度が目指すべき究極的な目標というのは、この意見具申で述べられているような方向であると確信をしますが、大臣はこの意見をどう評価していらっしゃるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
#34
○政府委員(小島弘仲君) 給付面につきまして、確かに中央児童福祉審議会の五十五年答申というのは、基本的な児童手当制度の本来の役割から見ましてあるべき姿を的確にお示しいただいたものだと評価いたしております。
 ただ、そういたしますと非常に大きな財源を必要といたします。したがって、このときにも、この財源調達の方法を含めてさらにこれは将来の目標として十分検討しろということでございますので、こういう目標に向かって具体的な手当制度のあり方、また、それを支える財源調達の方法等について、今後さらに十分検討してまいりたいと、こう考えております。
#35
○糸久八重子君 衆議院の論議の中で、将来的には第一子から所得制限なしで支給することになるだろうというような、そういう論議が交わされたというふうに聞いておりますけれども、この辺はいかがですか。
#36
○政府委員(小島弘仲君) 確かに、衆議院社会労働委員会で御審議いただきましたとき、本来あるべき姿としては、やはり第一子からであるのじゃなかろうかという御指摘をいただきまして、児童手当制度の本来の趣旨から考えた場合に、当然第一子から対象にするということを基本的に考えるべきものと思っておりますという御答弁を申し上げたところでございます。
#37
○糸久八重子君 やはり諸外国の例から見ましても第一子から、そして所得制限なしでということがこれは正しいあり方ではないかと思いますので、そういう方向で早期に改善をしていくことを要求をしたいと思います。
 それにつきましても、今回の改正案というのは、支給範囲を第三子以降から第二子以降に拡大するということで一定程度の進歩があったわけですけれども、逆に、手当の支給期間というのを義務教育就学前までに短縮するということでまたまた後退をしてしまったということなんですけれども、ただいまおっしゃられたことをお伺いいたしますと、大臣もおっしゃっておりましたけれども、こうした措置は、あくまでも財政的制約から当面の緊急的な問題を回避するという意味でこうしたんだというふうに受け取ったわけですけれども、そう受けとめてよろしゅうございますか。
#38
○政府委員(小島弘仲君) 大臣からも御答弁申し上げておりますように、厚生省としても、五十一年にこの児童手当制度につきまして世論調査を行いました。しかし、その評価は相半ばするような状況もございましたし、当面、やはり制度拡大については必ずしも賛意を示さないという層も多く見られたところでございます。
 したがいまして、今回の改正につきましては、こういう財政状況もございますが、大幅に財源措置を膨らますような改革ということはとてもとれないであろう。したがいまして、現行の財源の枠内で、それを言うならば満度まで活用するような形でまず児童手当制度本来のあるべき形に一歩でも近い形に持っていこう、そうして、児童手当制度本来のあるべき姿ということを目指しての議論は、今回の改革を基礎としてさらに論議を深めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#39
○糸久八重子君 大臣も再三おっしゃっておりましたけれども、児童手当制度というのは国民の理解が得られなかったということをおっしゃっておりまして、それらを背景にして、例えば廃止論とか無用論とかというのもあったわけですけれども、やはり国民の理解が得られなかったということは、基本的には厚生省の努力不足によるところがあったのではないか、そう思うわけです。
 制度が完全に根づかないで確固たる支持を得るに至らなかったという、そういう原因については、どう分析していらっしゃいますでしょうか。
#40
○政府委員(小島弘仲君) やはり我が国の小さく産んで大きく育てるというような、厚生省としてはそういう考えで第三子以降というような制度で出発したわけでございますが、支給対象となる家庭の範囲が余りにも限定されてまいってきている。そういたしますと、児童手当制度本来の趣旨ではなくて、多子家庭の防貧対策的な役割というような評価がむしろ一般化しつつあったのではなかろうか。そういう面に本来の児童手当が持つべき役割、機能に着目した評価を受けることができなかったところがあるんではなかろうかという反省もございまして、今回は二子からというふうにまず拡大を、支給期間を短縮してでも行うべきだというふうに考えたわけでございます。
 御指摘のように、国民性の違いもあろうかと思いますが、なかなか評価というものが定まってまいりません。それは手当制度が中途半端であるせいもあったかと考えますが、今後老齢化社会を迎えるに当たって、本来社会的な連帯をもとに国民生活の本当に安定を図っていくために必要な制度だと厚生省は考えておりますので、そういう趣旨で国民の正しい御理解を得られるような広報活動に今後さらに努力してまいりたいと考えております。
#41
○糸久八重子君 確かにおっしゃいますとおり、小さく生まれて、そしていまだに未熟児のままに終わっているその最大の原因というのは、制度の発足時のスタートにやっぱり問題があったのではないか。スタートが第三子からということ、つまり第一子から始めなかったということにやはり大きな問題があったのではないかと思うわけです。おっしゃられますように、第三子からの支給ということになりますと、やはり子供を多く持っている、しかも低所得世帯を対象した貧困の救済というような誤解を生んでいたということは確かだと思います。その後、支給対象の拡大とか所得制限の撤廃とか手当額の引き上げとかということに向けての努力、そして国民に対するPR活動がやっぱり大いに不足をしていたというふうに思うわけですけれども、それを未熟児のまま終わらせないでもっともっと大きく育てていくという、そのためには厚生省の最大の努力を今後とも必要とするわけですけれども、その努力が早期にされるように特に要求をしておきたいと思います。
 それから、第一子からの支給拡大の問題につきまして少々お伺いしたいんですけれども、第三子以降の出生の割合というのは非常に少ないんですね。どのくらいでございますか。
#42
○政府委員(小島弘仲君) 毎年の出生総数の一八%で、約二割を割っていると思います。
#43
○糸久八重子君 やはり、そういう一八%という非常に少数の家庭でしか支給がされなかったということにも国民の理解や支持が得られなかったという原因があったのではないかと思います。
 そうした意味で、支給対象が二子にまで拡大されてきた、そして児童手当制度とのかかわりのある世帯が大幅にふえる点は評価したいと思うのですけれども、第二子までに拡大して、どのくらい支給対象がふえることになりますか。
#44
○政府委員(小島弘仲君) 現在の所得制限を前提としておりますが、現在第三子以降で手当の支給対象となっている子供の数は二百十九万でございます。このほか共済組合の実施分が二十万程度ございますが、厚生省所管でやっておりますのが二百十九万。この数が、六十年度現在の数字で考えますと、第二子以降に拡大いたしますと四百五万程度に拡大するものと推算しております。
#45
○糸久八重子君 第二子までで二百十九万から四百五万と拡大をするということなんですけれども、これを第一子にまで拡大するということになりますと、どの程度になりますか。
#46
○政府委員(小島弘仲君) 就学前という支給年齢ですと、約三百二十万程度さらに増加するかと考えております。
#47
○糸久八重子君 私も何回も申し上げましたけれども、基本的にはこの手当の支給というのは第一子から支給というのがやはり原則であると思います。今回の法改正というのは昭和六十六年までの当面の措置であるというふうに伺っておるわけですけれども、それ以降の問題については今後検討されるということでございますけれども、その際はぜひとも積極的な形で、そして第一子までの拡大を求めたいと思いますけれども、大臣の御見解はいかがでございましょうか。
#48
○国務大臣(増岡博之君) もともとそのようなことが本来の趣旨であろうと思いますので、その間、十分検討してまいりたいと思います。
#49
○糸久八重子君 よろしくお願いしたいと思います。
 次に、所得制限の問題についてお伺いをしたいと思います。
 外国の例を見ますと、児童手当に所得制限があること自体が非常に少ないとさっきの御報告でもありましたけれども、財政事情を理由として所得制限の強化を行ってきているのですから、低所得者対策としてのイメージが非常にもう定着してしまっている。一般の理解を必ずしも得るに至らなかったのもむしろ当然であるのではないかと思います。制度の本当の趣旨からすれば、所得制限は撤廃の方向で検討されるべきだと思いますけれども、この点はいかがでございましょうか。
#50
○政府委員(小島弘仲君) 確かに、中央児童福祉審議会の御意見によりましても、制度本来の趣旨から考えますればヨーロッパの大多数の国のように、所得制限というのは設けないのが本来の姿であるという御指摘をいただいております。設けるとしても、ごく高額所得者に御遠慮を願うという趣旨の所得制限であるべきじゃないかというような御意見等もございました。
 ただ、御承知のような財政状況でございますので、これを有効に活用しようとすれば、ある程度の所得制限ということも現在の政策の妥当性としては御理解願えるんじゃなかろうかと考えておりますし、現状程度の所得制限でございますと、先生先ほども御指摘いただきましたように、対象児童の八割は支給対象になりますので、これが十分な形とは考えておりませんが、そう低所得者対策というふうに誤解される面は少ないのではないかというふうにも考えております。
#51
○糸久八重子君 義務教育の教科書は無償配付でございますね。そういう意味からいえば、児童手当もこれは当然所得制限等は必要ではないと思うわけですね。その辺の御見解はいかがでございましょうか。
#52
○政府委員(小島弘仲君) 確かにその考え方については、先ほど申し上げましたように、中央児童福祉審議会等におきましては所得制限はあるべきじゃないというのが基本的な考えでございますが、一方では、やはりある程度の所得制限を設けるというのが財源の有効活用から妥当ではないかというような御意見もないではありません。したがいまして、この点につきましては十分理論的な詰めも行いまして、さらにそれについての国民各層の御意見も十分承って、将来のあるべき姿を探求してまいりたいと考えております。
#53
○糸久八重子君 それでは次に、支給期間の問題についてお伺いをいたします。
 今回の短縮措置は、将来の一子まで拡大を含みとして二子にまで拡大するためのやむを得ない措置であるということだと私は解釈いたしますけれども、第三子以降という限られた世帯を対象とした現行制度を反省した結果、当面の財政事情からやむを得ず一時的に短縮を余儀なくされたと、そう理解をしたいのですが、これでよろしゅうございますか。
#54
○政府委員(小島弘仲君) 先ほど来御説明申し上げておりますように、国民の御理解等を考えましても、また、財政状況を考えましても、この際、大幅に財源を拡大し得るような余地はございません。したがいまして、そういう限られた条件の中で、まず、児童手当制度本来のあるべき姿、本来は一子でございましょうが、とりあえず二子に拡大する。その反面、財源も限られておりますので、やむを得ず支給期間にそのしわ寄せがいっているという形になったというふうに考えております。
#55
○糸久八重子君 児童福祉法において児童というのは満十八歳未満の者をいうわけですね。そしてさらに「乳児」と「幼児」と「少年」というふうに区分をされているわけです。児童という範囲は十八歳未満を児童という、この児童の定義から考えて、本委員会で児童扶養手当法も審議をいたしまして、そのときにもやはり児童の範囲ということで、十八歳ということに修正が決まりましたね。
 厚生省関係のいろいろの法律の中で児童という名前のついている法律を見ますと、例えば児童扶養手当の場合もそうですし、特別児童扶養手当というのがございますね、そして今回の児童手当というのがありますけれども、大変紛らわしいんですね。例えば児童扶養手当は十八歳まで、特別児童手当というのは二十歳まで、そして今度の児童手当というのが今度の改正案ですと就学前というふうに大変紛らわしいのですけれども、そういう意味からいいますと、やはり児童という定義からしますと、今度のこの児童手当につきましても就学前というような形にしないで、やはり児童の定義の十八歳というところまで支給をするのがこれはごく当たり前のことだし、また、大変混乱を避ける意味でもいいと思うのです。こちらの児童何とかいうのは何歳まで、こちらは何歳までと大変紛らわしい。そういう意味でやはり十八歳に統一をなさった方がよろしいのではないかと思いますけれども、その辺はいかがでございますか。
#56
○政府委員(小島弘仲君) 確かに、一般的に児童という場合には、障害児を対象といたします特別児童扶養手当を除きまして十八歳というのが一般的でございます。児童手当制度発足当時の御議論でもその辺のところは十分御議論があったようでございます。十八歳という説も相当強かったわけでございますが、義務教育終了後すぐ勤めておられる方もあります、そういう面で、公平を考えるとやはり義務教育終了時までに限るのが妥当ではないかという意見が多数を占めまして、義務教育終了時までという現行の姿になったわけでございます。
 諸外国の例を見ましても、一般的には義務教育終了時までというのが姿のようでございます。ただ、西ドイツやフランスにおきましては、さらにそれを超えて就学している場合、高等教育を受けている場合は出す。その辺の国民感覚として、働いておる者とのバランスはどうかという問題もあろうかと思いますが、この辺につきましては、今後さらに十分御議論をいただいた上で成案を得まして、また国民の御判断も仰ぎたい、こう考えております。
#57
○糸久八重子君 成立当時にいろいろ議論があったということもわかるのですけれども、しかしその当時も、義務教育終了時で既に仕事を持つ子供というのは非常に少なかったと思うんですね。しかも現在では、もう既に高校進学というのが進学率は九四%ですからほとんど義務教育に近いということですので、そういう古い論議を土台にしないで、やはり時代にマッチした新しい論議を進めていかなければならないのではないかと思うのですよ。
 それで、最近教育費が非常に高くなりまして、子供のいる世帯では児童の養育費がその家計の中において大きな比重を占めているということが各種の調査で明らかになっておりますけれども、児童養育費の現状と家計の負担能力の関係について、どう認識をしていらっしゃいますでしょうか。
#58
○政府委員(小島弘仲君) これも制度発足当初、児童養育費というのはどの程度かかっておるだろうという審議会の御審議の途中でいろんな調査がございましたが、その当時、大体義務教育段階の子供が二人いるような普通の家庭では家計の三割程度が養育費にかかっておる、また、三人おりますと四割程度になっておるというような集計が行われております。
 先生御指摘のように、現在、児童養育費について、教育費のとり方、いろいろ問題もあろうかと思いますが、やはり子供が二人程度おりますと家計の二割ないし三割は子供の養育費に占められているんじゃないか。やはり相当家計についての大きな比重を占めていることには変わりはないと、そのように考えております。
#59
○糸久八重子君 経済企画庁の国民生活白書の昨年度版を見てみますと、「ライフサイクルの余裕曲線」というのを見せてもらいました。そうしますと、大体四十代後半から五十代にかけて曲線が非常に極端に下がっているというわけです。そういうことで、やはり子供の養育費に関しては家計に占める割合が多くて非常に苦しい状況にあるということがこれについても言えるのではないかと思います。
 こういう状況から見ますと、児童の養育費用の負担軽減という目的を持つ生活保障そして所得保障としてのこの児童手当というのが、第二子では二千五百円、第三子以降五千円ということの状況はどうしてもやはり理解できないんですね。大変安価過ぎる。その点についてはいかがでございますか。
#60
○政府委員(小島弘仲君) 確かにこれも制度発足当初からのいろいろな御議論があったわけですが、社会的に援助するという場合に一体どの程度の割合を考えたらいいかというような御議論ございまして、子供の養育費の三分の一ないし二分の一程度になるようなことを一応の目標にすべきじゃないかというような御議論もいただいております。そういたしますと、現在、これは厚生省所管の養護施設でお世話している子供にかかる生活費の月額が大体三万七千円程度になっておりますので、その額等を参考といたしましても、御指摘のように家計への協力という面から見ますと二千五百円、五千円という額は極めて不十分な額だという御指摘は、そのとおりだと考えております。
#61
○糸久八重子君 手当額が三千円に設定されたその当時というのは老齢福祉年金の二千三百円を上回っていたわけですね。しかし、当時の社会保障制度審議会の答申、四十六年二月の答申なんですけれども、「本制度は、将来飛躍的に発展させなければ本来の目的を達成できない。」と指摘しているわけですね。また、当時の三千円の理解としては、昭和四十二年の厚生省の児童養育費調査結果における第三子の養育費の二分の一が積算根拠とされているように聞いておるわけですけれども、このような当初の意気込みからすると、二千五百円、五千円という額はとても児童手当と呼ぶに値しない額ではないかということが言えると思うのですね。
 そういう意味から言いますと、やはりこの際、今後の手当の大幅引き上げを約束をすべきではないかと思いますけれども、その辺の御決意のほどはいかがですか。
#62
○政府委員(小島弘仲君) 仮に、第一子から義務教育終了時まで現在の月額五千円程度を支給するといたしましても一兆数千億の財源を必要とする状況でございます。したがいまして、この点につきましては財源をどのように――いずれにいたしましても、最終的には社会的連帯という形で国民各層が負担しなくちゃならぬわけでございますので、その辺の財源との兼ね合いで十分これは真剣に御議論願わなけりゃならぬ問題だと考えております。
 ただ、我々といたしましては、やはり今後の社会情勢を考える場合に、児童手当というその使命、役割を考えますと、先生御指摘のように、ある程度本当に意味のある額を確保するような努力は必要だと考えております。それにつきましては財源負担の問題も含めまして広く国民的な合意が必要だと考えておりますので、十分あるべき姿というものを練りに練りまして、それを国民の前にまずお示し申し上げまして、さらにそれについての御意見を伺った上で成案を取りまとめてまいりたい、こんなふうに考えております。
#63
○糸久八重子君 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、当時老齢福祉年金というのは二千三百円、現在は老齢福祉年金というのは約十倍の二万六千円になっているわけですね。一番最初の質問でも申し上げましたとおり、やはり子供というのは社会の子であるということから考えれば、高齢者も子供も等しく、十分に生活ができるような保障をしなければならない。そういう意味からいうと本当にこれは立ちおくれていると言わざるを得ないわけですね。いろいろ御答弁をお伺いしておりますと、発足当時から問題であったということがちっとも解決をされていないということが言えるわけですけれども、やはりこれは今後しっかりと問題点を明らかにしながら内容の充実をしていっていただくようにお願いをしたいと思います。
 それでは、大蔵省はいらしておりますか。――児童手当制度に対する厚生省側の認識がただいま明らかになったわけでございますけれども、どうも財政当局の厚い壁に阻まれて、発足当時のいろいろの問題点が解決できないままになっているということがどうやら現状のようでございますけれども、大蔵当局といたしましては、この児童手当をどう見ていらっしゃるのか、積極的に取り組む考えはないのか、お伺いをしたいと思います。
#64
○説明員(小村武君) 将来の老齢社会を支える児童の健全育成というのは私どもも大変重要視をしているわけでございます。先生おっしゃるように、できるだけ多くの児童にできるだけ多くの手当を差し上げるということは、それ自体大変結構なことだと思っております。しかし問題は、社会保障施策の中でこの児童手当制度をどういうふうに位置づけるか、いわば優先順位の問題ではないかというふうに考えております。
 あえて財政の立場から意見を申し上げますと、まず第一に、我が国の給与制度は、諸外国と違いまして扶養手当とかといったものが組まれておりますし、こういったいわば私的扶養の考え方が原則としてあるんではないかということが第一点でございます。
 第二点に、児童手当について、家庭基盤の確立とかという、いわば所得保障的な考え方がございますが、所得保障的な考え方でございますと、お金を持っておられる方々までこうした手当を給付するのはいかがなものか。やはり所得制限という考え方が当然導入されていいんではないか。
 第三点としまして、児童の健全育成。いわば社会福祉的な考え方だろうと思うんですが、こういったものにつきましては、私どもはやはり金銭給付というものは大変間接的な効果しかない。例えば母子保健対策とか、こういった公的サービスの方がより直接的な効果があるんではないかというようなことを考えておるわけでございます。したがいまして、私どものこうした考え方と厚生省の考え方、いろいろございますが、やはり広く議論をして、あるべき姿を今後とも検討すべきではないかというふうに考えております。
#65
○糸久八重子君 ヨーロッパ諸国に比べまして私的扶養という考え方が日本の国にはある、確かに財政審報告等を見ましてもそのようなことが書かれているわけですけれども、これは厚生省側にも申し上げましたけれども、こういう親子の結びつきという思想を前面に押し出してくるならば、高齢者も公的年金ではなくて家庭内で扶養をしなさいという考え方になってしまうわけですね。それで、私的事情である子供の養育という問題は極めて社会的な意味をあわせ持っているわけですけれども、大蔵省としては、この子育ての持つ社会的な側面、それをやはり御否定なさいますか。その辺はいかがでございますか。
#66
○説明員(小村武君) 子育ての重要さ、あるいはそれに対して公的分野でどういうふうに関与すべきかというところの調整の問題だと思います。私どもといたしましても、児童の健全育成、子育ての問題というのはおろそかにしてはならないということは当然考えておるわけでございますが、それが公的な分野でどういうふうに関与していくか、ここの考え方の違いではないかと思っております。
#67
○糸久八重子君 児童養育家庭の三分の二は経済的な負担感を感じているというのが厚生省の意識調査の中でもはっきりしているわけですから、児童手当制度を積極的にやはり評価をしていかなければいけないと私は思いますけれども、大蔵省はいかがですか。
#68
○説明員(小村武君) 結局、国民の負担をどういう形で求めていくか、あるいは社会保障政策の中でどういう分野を優先さしていくか、限られた財源でどういう政策選択をしていくかという問題ではなかろうかと存じます。
 したがいまして、どれが一つ正しい答えだということではございませんが、私どもの立場から申し上げましたら、現在の財政事情に基づいて社会保障施策の中でいろいろな施策がございますが、児童手当というものについては、先ほど申し上げましたように、我が国の給与体系の問題としてサラリーマンの給与の中に扶養手当等が組み込まれているというような状況にある。これは、御老人が全く他に所得がないのと違った問題でございます。我が国のそういう給与体系の特殊性、これを所得保障政策として位置づけるのか、あるいは児童健全育成政策として位置づけるのか、あるいは人口政策として位置づけるのか、こういった面から考えて、公的分野がどういう役割を果たすべきかということを考えるべきだということを申し上げているわけでございます。
#69
○糸久八重子君 消極論の中にもう一つ、我が国の年功序列型の賃金体系というのが必ず出てくるわけですけれども、労働省の賃金構造基本統計調査で調べてみても、年功型の賃金というのはもう最近ではかなり薄れている、そして職務給とか職能給の体系へと変質しつつあるわけですけれども、自営業者とか農民等の非被用者グループは、この年功賃金とは全く無関係にあるわけですね。そういう意味で、この年功序列賃金でだんだん年齢が上がれば賃金が高くなるんだからという、そういう消極論の意見に対して財政当局はどうお考えでございましょうか。
#70
○説明員(小村武君) 確かに、自営業者等いわゆるサラリーマンでない人たちに対しては、どういう形で扶養手当が支給されるかということになりますと、今申し上げたような観点からは必ずしも当てはまらないと思いますが、児童手当法の目的にありますように、児童の健全育成あるいは家庭基盤の確立という観点からの議論というのは、やはり同様に今申し上げたことが当てはまるんではないかというふうに考えております。
#71
○糸久八重子君 税の扶養控除の問題についてでも、所得控除方式を採用しているために逆に高所得者ほど恩恵が大きいという形で逆進的に作用する結果となっておるわけですけれども、将来、両者の関係を調整する必要があるとすれば、児童手当に統合すべきだと考えるわけですが、厚生省、大蔵省両当局はどう認識していらっしゃいますか。その点についてお伺いをしたいと思います。
#72
○政府委員(小島弘仲君) 五十五年の中央児童福祉審議会の意見などに、例えば、財源措置としては、税制で扶養控除をやめれば大体見合うような財源が出るんじゃなかろうかというような御指摘もございました。しかし、これはまた一つは、税制全体の体系の問題もあろうかと考えております。また、扶養控除に対する国民の評価というものもございますと思いますので、この点については、今後の十分な検討課題とさせていただきたいと考えております。ただ、中央児童福祉審議会、あるいは児童手当発足当時の児童手当審議会等の意見によりますと、やはり子供の養育費を社会的に分担する姿としては、控除というよりも児童手当の積極的な支給というものにより積極的な評価を与えるべきじゃないかというような御意見もありますが、この点については、今後この制度を発展させるためにも大きな問題でございますので、十分検討させていただきたいと考えております。
#73
○説明員(濱本英輔君) ただいまのお尋ねでございますが、例えば夫婦だけの世帯と夫婦子供二人の世帯を比較していただきました場合に、生計費にはおのずから差異があるわけでございます。所得税はその担税力に即した税負担をお願いするという建前の税でございまして、扶養控除制度といいますものは、そういった側面でこれにこたえようとしておるわけでございますが、実際所得税の計算をいたしますときには、先生御承知のように、扶養控除以外に基礎控除でございますとか配偶者控除でございますとか、諸控除を積み上げましたものを所得から控除し、さらにそれに一定の累進税率を適用いたしました累進構造の中で税額が定まってまいります。したがいまして、そういうふうに全体を眺望していただきますと、扶養控除といいますものは相互に関連いたします税体系の構成要素の一つのキーになっておるということでございますから、その部分だけを取り出しましてどうこう論じますことは、税体系との関連では非常に難しい問題を生ずるということは容易に御想像いただけると存じます。
 ところで、基礎的な生計費には踏み込まないという今の所得税の控除制度の基本的な考え方と、ただいま御議論にございます児童手当の考え方というのは、やはり側面をやや異にしている面があるというふうに私ども思うわけでございますけれども、例えば子供さんをたくさん持っていらっしゃる、児童をたくさん抱えていらっしゃる家庭については、扶養控除を廃止するということになりますと、その分だけ課税最低限は下がるわけでございますから、当該世帯にとりまして税負担は重くなるわけでございますね。そうして納付されました税金をまとめまして今度は児童手当という形で逆給付する。その結果、所得再分配の形がどのような形に定着するのかということを見定めますことは、非常に難しい問題がそこにあろうと思います。扶養控除といいましても、いろいろな扶養対象者に対して控除されるわけでございますが、その中から特にそういった特定の子供だけを抜き出した税体系というのは構成できるのかどうかという問題でございます。
 それからまた、歴史的に振り返って見ますと、今御指摘がございましたように、扶養控除制度が所得控除制度に改まりましたのは、たしか昭和二十五年のシャウプ税制でございますね。その後、基礎控除、配偶者控除、扶養控除の額がそれぞれ違っておる時期がございましたけれども、昭和四十九年でございましたか、この三控除の額を統一しましたときには、わかりやすい税制にしろというのが一番大きな御要請であったと思います。やっと確立されたわかりやすい税制でございまして、これをもし今御指摘のような形に改めるというようなことになりました場合に、少なくとも税体系としては今よりわかりにくくなることは確実であろうと思います。その場合に、それが公平のバランスを失することになるおそれというものもなしとしないということを恐れるわけでございます。そういった観点から、従来政府の税制調査会におきましても、この児童手当制度と扶養控除制度との関係につきまして、ただいまの御所論のような形の処理にいたしますことにつきましては問題が提起されてまいったいきさつがございます。
 以上でございます。
#74
○糸久八重子君 それでは今までの論議の中で、この法律というのは、生まれたままの、そのままの姿で少しも進歩をしない、つまり、小さく生まれて未熟児のまま終わっていて、大変多くの問題を含んでいる法律であるというふうに考えるわけです。しかも、今回の改正案というのは当面の措置である。そして、支給対象児童の範囲とか、それに対応する費用負担のあり方等については今後とも引き続き検討して改革が行われるということも答弁の中で伺ったわけでございますけれども、その際はこの児童手当制度の本当の趣旨に合致した制度の確立を要望したいと思いますし、また同時に、手当制度の充実だけではなくて、児童憲章とか児童の権利宣言でうたいあげているように、児童をめぐるいろいろな環境整備も求めたいと思うわけでございますけれども、最後に、これに対する大臣の御決意のほどを承りたいと存じます。
#75
○国務大臣(増岡博之君) 今後この児童手当制度を考えます場合には、先生御指摘のように、当初から子供は家庭の子であると同時に社会の子であるという観点からやらなくてはならないというふうに思うわけでございます。したがいまして、そういう意味では、今回の改正案は第二子までという範囲を拡大したということが一つの手がかりになろうかというふうにも思いますので、その趣旨を広く国民各界に御理解をいただくように努力をしてまいりたいと思います。
#76
○糸久八重子君 終わります。
#77
○高杉廸忠君 本法案の重要な事項と問題点については、先ほど来糸久委員より具体的に質疑がありましたので、私は、本法案についての基本的な問題を初めとして、本法案にかかわる周辺問題として、父子家庭問題、それから学童保育問題、保育所、さらに幼保一元化問題等について、以下ただしたいと存じます。
 まず、児童手当の基本認識について伺います。
 今日、若い世代を中心に家庭観や子供観、ないし子育て観は変化しつつあるのではないかと思います。それは一面では子育てをめぐるさまざまな問題が若い夫婦に負担感をもたらし、不安な気持ちを抱かせるといったことにもよるものと思われますけれども、子育ての持つ社会的な意義というものを大臣はどのように認識をされ、それに対して施策上でどのように対応されようとしているのか、まず明らかにしていただきたいと思います。
#78
○国務大臣(増岡博之君) 今後、高齢化社会の到来が目前に迫っておるわけでございます。そのときの担い手が現在の児童であるわけでございますので、その重要性はますます増すものと考えておるわけでございますから、児童の健全育成ということ、そのための児童福祉政策の充実というものに努力をしてまいらなければならないというふうに思っておるわけでございます。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
 そうして、そのためにいわゆる世代と世代との間の連帯意識と申しますか、そういうものに対して国民の理解がいまだ十分でないということも言えるわけでございますので、その点の理解を得ながら、費用負担面におきましても検討を続けまして、さらに制度の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
#79
○高杉廸忠君 現在の大人の世代の将来、これは今の子供が担うことになる。子を持たない家庭と子育てをする家庭との間の社会的公平、こういうものについて考えてみる必要性があるのではないかと思うんです。
 そこで大臣、どのようにお考えですか、伺います。
#80
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のとおりだと思います。将来を支えてくださるべき児童、それを実際にお育てになるという方々は、そうでない方方に比べまして大変な御苦労をなさっておられるわけでございますから、それを幾分かでも社会全体として協力をするということは非常に大切なことであると考えております。
#81
○高杉廸忠君 大臣からお答えがありましたが、それなら、そういった考え方から、来るべき高齢化社会の担い手となる子供に対する配慮として、子供の健全育成策と並んで児童手当制度の充実強化が図らるべきであるということになると思いますが、大臣いかがでしょう。
#82
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、今後も努力をしていかなければならないと思います。
#83
○高杉廸忠君 簡単なお答えですが、極めて重要でありますから、以下引き続き申し上げますが、財政当局は、かつて「歳出百科」等を通じて、「児童手当の問題点」として、「わが国の場合、児童養育費に関し、ヨーロッパ諸国に比べ親子の家庭における結びつきが強く、広く社会的に負担するというヨーロッパ諸国のような考え方はとりにくいのではないか。」、 こう宣伝してきました。私は、子育ての持つ今日的な社会的意義、これをもう全く理解していないのではないか、こう思うんです。
 そこで大臣に伺いますが、こうした考え方でいる財政当局をどのように説得をされて将来の充実した施策の道へつなげようとされるのか。この際、大臣の明確な姿勢と所見を伺います。
#84
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、我が国の財政事情が非常に厳しいということは事実であろうかと思います。しかし、児童の問題ということは、少なくとも数十年という先を見て判断をしなければならない問題であるわけでございますので、今後あらゆる機会に児童手当制度についての国民の理解を深めながらも、政府内におきましても、財源の調達方法を含めまして検討を深めてまいらなければならない、いわば当面の問題と将来の体系というものとの混同を来さないような姿勢で臨んでまいりたいというふうに考えております。
#85
○高杉廸忠君 社会的保障の最低基準を定めたILO百二号条約では、「家族給付」の条文で児童に対する給付を定めているんですね。この条約は、我が国は批准していますが残念ながら留保つきですね。この部門は、我が国の制度はその水準に達していないことは明らかなところです。
 そこで、確認の意味で伺いますが、ILOの百二号条約では、この家族給付についてどのように定めているのか、明らかにしていただきたいと思います。
#86
○政府委員(小島弘仲君) 御指摘のILO百二号条約で、第七部に「家族給付」という規定を設けておりますが、その中で、まず支給対象者の範囲を一定以上に保つべきことを言っておりまして、次のいずれかの要件を満たさなければならぬということで、「すべての被用者の五〇パーセント以上を構成する所定の種類の被用者」か、あるいは「すべての居住者の二〇パーセント以上を構成する所定の種類の経済活動従事者」、あるいは「給付事由の存する間における資産の価額が所定の限度額を超えないすべての」一定の資産以下の「居住者」、また、「二十人以上の者を使用する工業的事業所におけるすべての被用者の五〇パーセント以上を構成する所定の種類の被用者」。ある程度給付の対象者数が一定以上でなければならぬと同時に、もう一つ重要な点といたしましては、給付費総額を一応定めております。ここに定められておりますのは、「普通成年男子労働者の賃金の三パーセントにすべての保護対象者の子の総数を乗じて得た額」か、あるいは「普通成年男子労働者の賃金の一・五パーセントにすべての居住者の子の総数を乗じて得た額」というふうに定められております。
#87
○高杉廸忠君 この給付総額で、今お話しがありましたような不熟練労働者の賃金の一・五%掛ける子供数というのは、我が国の場合におおよそどの程度となるか具体的にその額を示していただきたいし、また、現在我が国の手当額、これは比較してどのぐらいになりますか。
#88
○政府委員(小島弘仲君) このILO条約で見ますと、普通成年男子労働者というのは、電気機械工業従事者以外の機械工業の未熟練労働者ということになっておりますので、それに基づきまして昭和五十八年度の賃金構造基本統計調査報告をもとにはじきますと、その賃金の額というのは月額で二十万五千円程度になろうかと思います。それに昭和五十八年度の義務教育終了前児童数が二千七百八十三万一千人でございますので、これを乗じますと一兆二百七十億円程度になろうかと考えております。そういたしますと、現在の厚生省所管の児童手当の給付額が千五百数十億円でございますので、これの六倍強になるということになろうと思います。
#89
○高杉廸忠君 大臣、今お聞きしたように、国際水準に達するまでには現実には大変な差があるわけですね。どのように認識をされて、さらに国際水準に追いつくためには具体的にどういうようなお考えをお持ちですか、伺います。
#90
○政府委員(小島弘仲君) 確かに、ILO条約の基準額から見ましても、給付規模につきましても極めて少ないということでございます。
 これにつきましては、先ほど来大臣からも御答弁申し上げておりますように、高齢化社会を迎えつつある我が国、特に子供の出生数がまだ減少傾向にあります我が国におきましては、さらにこの児童手当制度というものの意義は極めて高いと思います。しかし何分にも、理想的な制度を仕組みますには相当の財源を確保する必要がある。そういたしますと、やはりこの制度につきます国民の大多数の御理解と、あるいは支持を基盤とすることがなければ、なかなか制度の拡充を図ることは困難だと考えております。したがいまして、今後の社会情勢における子供の問題、数の問題を含めまして子供の問題については、さらに社会的な関心を高めてまいる必要があろうと思いますし、その一環といたしまして、やはり児童手当制度の今後の社会的役割について十分な国民の理解を得ながらこの制度のあるべき形を仕組んでまいりたい、こう考えております。
#91
○高杉廸忠君 特に大臣にお願いしておきますが、今お聞きのように、やがて二十一世紀を担う子供らでありますから、国際水準に達するように具体的なひとつ前進をされるように要請をしておきます。
 先般の中央児童福祉審議会の意見具申の中で、「児童発達学及び児童臨床学では、児童の人格形成に最も重要な時期は乳幼児期とされており、その時期に給付を重点化する。」こうしていますけれども、人格形成に重要な時期であるということと手当を出すということがどうも私はすっきりと結びついていないように思います。
 そこで、本法案では単に就学前までに給付を限定する、こういう説明しかしていないんです。そういうように考えるんですけれども、この点どういうように理解していますか、伺います。
#92
○政府委員(小島弘仲君) 今御指摘のは、昨年十二月の中央児童福祉審議会の意見具申の中の一筋でございますが、中央児童福祉審議会におきましては、今後の手当制度の改正につきまして、やはり現在の財政状況、あるいは国民の御理解の状況を考えますと、現行の財源の枠内での制度改正ということを一応の前提に考えざるを得まい、そういたしますと、まず何よりもこの手当制度を一般化し、さらに本来の趣旨で御理解を願うためには、第三子以降という限られている現行制度を、さらに、できれば一子、できなくとも二子からに拡大して、この制度の一般化を図る必要がある、それを通して国民の御理解を得ていかなきゃならぬという認識でございます。
 そういたしますと、財源をある程度膨らませることが困難だといたしますと、対象児童数を大幅に拡大いたします場合には、やはり支給期間というものをある程度限定せざるを得ない。どの時期に出すのが一番合理的かということで御論議をいただいた結果先ほどのような御意見になったわけでございますが、そうなれば、やはり生まれてから人格形成に必要な乳幼児期ということに重点を置くのが合理的ではなかろうか。あるいは、その時期は御両親の年齢も若い、そうすると可処分所得の絶対額も少ないんじゃなかろうか。あるいは、最近家庭婦人の就労がふえておりますが、子供の小さい時期にはなかなかそれも思うに任せない。事実、家庭婦人の就労率はもう五割を超えていますが、就学前というような子供さんを抱えている家庭は二割を割っているような状況でございますので、そういう点に重点を置くことが合理的ではなかろうかという考え方でございます。さらにもう一つ、この就学前ということになりますと、一般的に申し上げまして子供の養育責任、教育も含めまして専ら家庭の手にゆだねられる時期である、そういう意味で、この時期にまず手当を支給することが妥当ではなかろうかということで法案にも、短縮するに当たりましてまず就学前という時期を選択させていただいたわけでございます。
#93
○高杉廸忠君 時間の関係がありますから、次に父子家庭対策について伺います。
 御承知のように、離婚がふえまして、母が子供の面倒を見ているという固定的な男女の役割観が揺らぐ中で、父と子だけの父子家庭が急増していると、こう思うんですね。そこで伺いますが、父子世帯というのはどの程度になっているかというのが第一。それから、五十八年八月に全国実態調査を実施していると思いますが、そこで明らかになった問題点はどのようなことか。あわせて伺います。
#94
○政府委員(小島弘仲君) 最近離婚件数もふえておりますと同時に、父子家庭も母子家庭と同様に増加の傾向をたどっております。全般的に離婚なさる場合に子供を引き取るのは母親が七割、父親が三割というような結果も出ておりますが、五十八年の全国母子世帯等調査を行いまして、ここで初めて父子家庭の状況も調査したわけでございますが、総数で十六万七千三百世帯が父子家庭でございます。この中で離別が六割を占めているというような状況でございます。
 その悩みといたしまして、やはり一番に子供のしつけ、あるいは家事と、父親でございますので、勤めとの兼ね合いで、家事とか子供のしつけの面で一番大きな困難を感じていらっしゃる様子がうかがわれました。
#95
○高杉廸忠君 経済的自立を可能にするための援助を主眼とする従来からの福祉制度が、父子家庭は母子家庭より経済的に恵まれているとして行政の対象となり得なかったと、こう思うんです。しかし、家事や子供の養育、教育面は、経済的な保障や私的な対応だけではとても解決できない多くの困難な問題があると考えるんです。
 そこで伺いますが、こうした父子家庭の問題について、どのように対応するのか、明らかにしていただきたいと思います。
#96
○政府委員(小島弘仲君) 父子家庭の場合については、先ほど申しましたように、やっぱり子育てを中心とする家事に一番困難を考えていらっしゃるわけでございますので、一つには所得面では税制上の寡夫控除というような問題ございますが、子供のお世話につきましては、その困難の状況によりまして、特にとても手に負えないという場合には現在でも乳児院とか養護施設でお預かりするというようなことをやっておりますが、そうでない場合に、何とか昼間だけという場合には、昼間だけ面倒を見ていただければというような方につきましては保育所に対する優先的な入所措置をとるというようなことをいたしておりますし、また、子育て問題につきましては、児童相談所や福祉事務所の家庭相談室におきまして、さらにはボランティア等の協力も得ながらいろんな相談に乗っているというようなことを実施いたしております。さらに家事面につきましては、昭和五十年十月から父子家庭に対しても、お父様やあるいは子供がぐあいが悪いというような場合に、介護人の派遣事業というものの対象に父子家庭も加える等の措置を構じておりますが、さらに今後とも父子家庭の実態の把握に努めながら、必要な施策を展開してまいりたいと考えております。
#97
○高杉廸忠君 この五十八年八月の実態調査の中でも明らかで、先ほどお答えがあったように、母子家庭と父子家庭では悩み事に大きな差があると思うんですね。これは実態調査から明らかになっています。先ほどもお答えの、しつけがトップになっているし、それから父親の五四%が家事を一番に挙げているわけですね。今日の社会は都市化が進んで、血縁による援助が難しく、地域の人ともつながりが乏しいために、父と子が孤立してしまっていると、こう考えるんです。母と子供、父と子供、子供の福祉という立場から見れば同じことだと思うんです。こういう言い方がどうかわかりませんが、今の時代は男は決して強くないんです、と言えると思うんです。不幸な事件、子供に不幸な思いをさせないために、父子家庭対策を真剣に具体的に検討すべき時期に来ていると思うんです。
 そこで大臣、積極的な対応をお願いしたいと思うんですね、父子家庭に対して。いかがですか。
#98
○国務大臣(増岡博之君) ただいままで局長から御説明申し上げておりました、そういう見方というものがこれまでであったと思います。しかし、御指摘のようなこともあろうかと思いますので、これから十分検討をさせていただきまして、福祉推進に努めてまいりたいと思います。
#99
○高杉廸忠君 ぜひひとつ、大臣に期待するところ大でありますから、強く要請をしておきます。
 次に、保育行政について伺います。現在の保育所の受け入れ体制はどうなっているのか、これが第一。さらに具体的に伺いますが、保育所の数、定員、これはどうなっているのか。第二に、またそれは就学前児童の何%程度をカバーするものになっているのか。第三に、そしてそれは要養育児童を受け入れる水準に達していると考えているのかどうか。
 以上の三点具体的に。簡潔で結構です。
#100
○政府委員(小島弘仲君) 現在保育所の施設数は二万二千八百八十一カ所を数えております。収容定員は二百二十万程度を確保しておりまして、現在在籍をしておる児童は百八十一万程度でございますので、現在はまだゆとりがあるというような状況でございます。したがいまして、数の面では人口急増地域等を別といたしますれば、一応必要数を充足し得るような状況に至っているのではなかろうかと考えております。
 ただ、実態の保育需要を見ますと、夜間保育とか時間外保育とかという面につきましては、必ずしもそれに対応できるような体制が十分にできておりませんので、その辺に今後問題があろう、こう考えております。
#101
○高杉廸忠君 次に、保育所の在所率、どのように最近推移してきているのか。今後の見通しはどのように認識をしてきているのか。また、この数字は全国平均で、地域によってはまだまだ不足しているところもあるのではないかと思うんですが、今後は極めて細かく対応していく必要があると考えるんです。どのような対策をお考えですか、明らかにしていただきたい。
#102
○政府委員(小島弘仲君) 五十九年四月現在の在所率、定員に対する措置人員の割合は八五・六%でございます。これは五十二年の九四・四%以来、保健所の数も増加を図ってまいりましたので、一貫して低下の傾向にございます。今後状況がどうなるかと見ますと、最近の出生数は百五十万を割るような状況が今後しばらく続くと思いますので、六十年代を通して在所率はさらに減少の傾向をたどるのではなかろうかというふうに一応見ております。
 したがいまして、ある意味では保育所に余力も出てきているわけでございますが、全国的に見まして、御指摘のような在所率には差がございます。しかし、県レベルで総合いたしますと、どこでも在所率が下回ってきている傾向は見受けられます。ただ一部の市町村で、人口急増地域、団地ができたとかなんかについては、さらに増設の必要な地域もあろうかと思いますが、全体として在所率が下がってまいりまして保育所に余力が出てまいりましたので、こういう機会を活用して、と言うとなんですが、従来からの懸案であった夜間保育、さらには時間外保育等に対処できる体制を今後急速に整備してまいりたい、こう考えております。
 さらに、子育て面で家庭が従来のような能力を持っていないという面もうかがわれます。核家族の進行あるいは地域社会のある意味での崩壊等によりまして。したがって、保育所の持っている機能をそういう面でも活用するような施策を今後検討してまいりたいと考えております。
#103
○高杉廸忠君 在所率が八〇%を超えているという反面、多くの無認可の保育所、それからベビーホテル、これを生み出しているんですね。私はこれが現実の姿ではないかと思うんです。現在の保育所が母親のニーズに対応できなくなっている姿というのがそこにあるように見受けられるんです。
 五十六年の児童福祉法の改正で、これらの施設への立入調査等の権限を与えられたんですね。現在、これら無認可施設の実態、これをどのように把握をされて、今後どういうふうに対応するのか。それからまた、最近のベビーホテルの調査の結果、これによる指摘事項、具体的にひとつ挙げていただきたいと思うんです。
#104
○政府委員(小島弘仲君) 無認可保育所と言われるものにつきましては、総数はなかなか十分把握できない面もございますが、一応推定値でございますけれども、事業所内、職場での小規模の保育施設も含めますと、約六千程度に達するのではなかろうかと考えております。
 御指摘のように、このような無認可保育所というものは児童の本当に十分な保育という面で考えた場合にはいろいろ問題点があります。にもかかわらずこういう無認可保育所が相当数を占めているということについては、先生御指摘のように、その地域の保育所がそれぞれのお母さんや地域の家庭の保育需要に十分対処し得ない面がある、これは御指摘のとおりだと思います。あるいは費用面の問題もあるかもしれませんが、やはり一番は対応する体制がとられていないということだと思いますので、こういうところに頼らなくてもいいように正規の保育所を、そういう保育需要に十分対応できるような対策を考えてまいりたい。ただ、一番問題になりますのは、ベビーホテルと言われているように、一晩じゅうお預かりするというのは公的施設になじむかどうかという問題もございますので、この辺はさらに検討を要する事項だと考えております。
 最近立入検査した事項で問題としてとらえられておりますのは、これはやはり安全上の問題でございますが、非常災害に対する措置が十分講じられてないというところが最も多うございます。調査対象四百四十一の中の三百六十を占めている。その次に多いのが保育室等の構造設備や面積が指導基準に合致していない。あるいは、保育室を二階以上に設ける場合の諸条件が十分整備されていないというようなところに難点を持っております。
#105
○高杉廸忠君 お話しがありましたとおりに、五十六年十月から夜間、あるいは延長の保育等が実施されたんですね。しかし私は、余り普及していないというのが実態だろうと思うんです。また、ゼロ歳児の保育も余り進展していない。これが現実ではないかと思うんです。施設に余裕があっても手間がかかる児童を受け入れない傾向がある。これが、さっき在所率の説明がありましたが、在所率が低下している原因、こういうふうになっていると思うんです。
 その点は、局長はどういうふうにお考えです
#106
○政府委員(小島弘仲君) 確かに保育需要が多い場合には、普通のと申しますか、一般的、標準的な保育所の運営でも十分あると、その改善をお願いしてもなかなか改善できない面がある、一般的な需要に対応するのがまず優先的という形があったのかと思います。最近在所率も低まってまいりましたし、保育所側にも、本当の保育所の使命という面から、今後さらに体制を充実しなきゃならぬという機運も盛り上がっておりますので、こういう機会をとらえまして、従来ややもすれば欠けていた御指摘のような夜間保育、延長保育、乳児保育というようなものについて対応できる体制を急いで整備してまいらなきゃならぬと考えております。
#107
○高杉廸忠君 大臣、今日改めて保育所行政のあり方というのが問われていると思うんです。そこで、施設経営者の知恵を出していただいて、十分な検討を行うべき時期に来ているのではないか、こう考えるんです。大臣、いかがでしょう。
#108
○国務大臣(増岡博之君) 先ほどからのお話の中にございますように、保育所の児童数が設備に比べて減っておると申しますか、空きがあるわけでございますから、したがって、それを今日の必要なニーズに対応できるような体制に持っていくことができないかなということを今考えておったわけでございまして、そのような方向で対処してまいりたいと思います。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
#109
○高杉廸忠君 時間の関係で、次に、学童保育について大臣に要請をしたいと思うんです。
 児童の健全育成面で重要なのは、学童保育、いわゆるかぎっ子の対策です。これらの需要が急速に高まっていると思うんです。現在、国の対策としては、都市児童健全育成事業の中で行うことになっていますけれども、どうも働く親のニーズに合っていないように思われるんです。
 そこで大臣、重要な学童保育についても、ひとつ前向きの中で具体的な施策をお考えいただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
#110
○国務大臣(増岡博之君) 留守家庭の学童の場合には、これまで児童育成クラブ等、いろいろ地域の実情に即して弾力的に運営してきたわけでございまして、しかし、その実態はなかなか地域によっていろいろであろうと思うわけでございます。
 これまで国が補助事業として実施しております児童育成クラブ、育成指導者等、一単位当たりの組織としていろいろ考えておったわけでありますけれども、今御指摘のお話を承りまして、そのようなことが保育として学童をお預かりする方法が、どのような実際の制度、施策等、現実的な面も考えてみなければならないと思うわけでありますけれども、ともかく再検討いたす必要はあろうかというふうに思っております。
#111
○高杉廸忠君 これまた大臣に、特に学童保育については文部省との関係もありますから、両省でひとつ協議をいただいて、具体的に学童保育の実現ができるような、また、親たちのニーズに合うような学童保育を実施していただきたい。この機会に要請をしておきます。
 次に、幼保一元化について伺います。
 乳幼児時期と行政とのかかわり合いでは、極めて古くて新しい問題として幼保の一元化問題がある、御承知のとおりです。現在、幼稚園と保育所の両面の沿革と機能の相違から一元化の困難性が強調されているんですね。ところが、昨年の臨時教育審議会設置法の審議の際にこの問題が取り上げられまして、当時の森文部大臣、これは大臣は、政府の責任で一元化を進めていかなければならない、こういうふうに言っておられるんですね。また、一方、渡部厚生大臣は、一元化は混乱を招くと、こう既に文部大臣と厚生大臣の中でも意見が対立している。その後の臨時教育審議会でも、去る四月に、就学前教育の問題として俎上にのせましたけれども、増岡厚生大臣、どのようにこの問題に取り組もうとされているのか、この際、明らかにしていただきたいと思うんです。
#112
○国務大臣(増岡博之君) 保育所と幼稚園の問題につきましては、従来から長年いろいろ言われておるところでございますけれども、しかし、その両者は目的と機能を異にしておるわけでございます。特に保育所は、市町村長の決定によりまして、保育に欠ける子供を一日八時間以上預かり、教育的な配慮も加えておるわけでございまして、一方、幼稚園は、三歳以上の児童を一日四時間教育するというものでありまして、本質的な性格が違いますので、簡単に一元化できるものではないというふうに考えておるわけでございます。
 臨教審におきましても、これまで保育所の役割、幼稚園との違い等について十分説明をいたしておるわけでございますので、御理解いただけたものと考えておりますけれども、しかし、今後もそのような姿勢は崩さないで、注目をしておかなければならないというふうに思うわけでございます。御指摘のように、臨教審の審議の経過によりましてはあるいはということも考えられますので、その動向に十分注意をいたしまして、児童福祉の増進が図られるよう努めてまいりたいと思います。
#113
○高杉廸忠君 今大臣のお答えでも、どうも厚生省、文部省両省の論議というのは、幼稚園、保育所のエゴイズム、それから両省のセクショナリズム、こういうものに引っ張られまして、乳幼児保育問題の本質的問い直しが忘れられているんではないかと、こういうふうに思うんです。そのことはまことに私は残念であり、遺憾だと思うんです。この前提として、保育と教育を何か対立した概念としてとらえているのではないか、こういうふうに考えるんです。確かに規定の上では幼稚園は幼児に学校教育を施すところ、保育所は保育に欠ける児童の保育を行う、こういうふうに定められているんです。しかし、有配偶の女子の就業率の増加など社会状況の変化する中では、私は、こういったことでいつまでも対立するようなことであってはいけないと、こう考えるんです。
 そこで大臣、そういうような現状の理論のままでいいと、そういうふうにお考えですかどうか。これ大事ですから。そうではなくて、もっと前向きに、これやっぱり、そういう問題は子供たちのためにどうするかということを真剣に具体的に取り組んでいただきたいし、もうその時期ではないかと、こう思うんです。大臣、どうでしょう。
#114
○国務大臣(増岡博之君) 今日の婦人の就業の状態等を考えますと、私は保育所というものの存在価値がうんと重くなっておると思います。また、実際に社会からのニーズも保育所の方にあると思うわけでございますので、私といたしましては、その方向で一元化されるのならば、今の社会情勢に対応した措置であるというふうに思っております。
#115
○高杉廸忠君 保育所、幼稚園の問題等については、機能、役割分担、こういうことから見てもいろいろ議論があることは私も承知しております。大変難しいと思います。しかし、これはいつまでもほうっておくわけにいきませんね。もう臨教審でも教育のあり方、基本的な問い直し、これをされているわけでありますから、ですから、保育、教育、福祉、これはきちっと位置づけられて、一元化をして、心身ともに健やかな成長をされるようなやっぱり国の施策というものを一本にまとめていく、こういう姿勢であってほしいと思うんです。
 残念ながら時間が参りましたから、締めくくりとしてさらに申し上げてみたいと思うんですが、私は本法案の審議に際して、特に児童福祉の増進と向上のために幾つかの要請も行いました。また、提案も行いました。臨調行革路線によって福祉の切り捨てあるいは後退と言われている今日、財政上の理由で次代を担う子供らにその犠牲を強い、福祉の切り捨てや児童福祉の後退、これは断じてあってはならない、このように思います。御承知のように、我が国の憲法を初めまた、児童憲章にも、
  われらは日本国憲法の精神にしたがい、児童に対する正しい観念を確立し、すべての児童の幸福をはかるために、この憲章を定める。
  児童は、人として尊ばれる。
  児童は社会の一員として重んぜられる。
  児童は、よい環境のなかで育てられる。
そして、
  すべての児童は、心身ともに、健やかにうま れ、育てられ、その生活を保障される。とうたわれている。さらに児童権利宣言にも、「児童が、幸福な生活を送り、かつ、自己と社会の福利のために」「権利と自由を享有する」と、崇高な理念が示されているわけであります。
 大臣、今国会も間もなく終わり、次いで来年度予算について具体的な取り組みの時期を迎えることになるわけですけれども、このようなときに当たって特に増岡厚生大臣に期待するところもまた大きなものがあると思います。私は、恐らく今国会における本委員会での発言もこれが最後の場かと考えます。この際、福祉前進、特に二十一世紀を担う子供らの未来のためにその福祉の増進を図る諸施策の積極的な取り組み、その実現のために、大臣の所見をいただきたいし、大臣にお願いいたしますが、最後になりますので、どうかひとつ歯切れのいい強い決意をこの際お聞かせをいただき、私はこれをもって質問を終わりたいと思います。
#116
○国務大臣(増岡博之君) ただいまお話しいただきましたように、来年度の予算編成につきましては、やはり環境としては大変厳しい国家財政の中に行われることとなると思います。しかし、先ほども申しましたように、数十年先、百年の大計ということを私どもは考えておかなくてはならないわけでありますから、そのための国民の生活を守り、必要な福祉施策を推進していくことは私の重大な責任であるというふうに痛感をいたしております。特にその中でも、本格的な高齢化社会を迎えるに当たりまして、次代を担う児童の健全な育成を図ることが非常に重要な課題の一つであることは御指摘のとおりであると思います。そのため、福祉施策の推進につきましては、今後も全力を傾注してまいる決意でございます。
#117
○委員長(遠藤政夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後三時三十分まで休憩いたします。
   午前十一時五十七分休憩
     ─────・─────
   午後三時三十分開会
#118
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、浜本万三君及び和田静夫君が委員を辞任され、その補欠として片山甚市君及び小野明君がそれぞれ選任されました。
    ─────────────
#119
○委員長(遠藤政夫君) 児童手当法の一部を改正する法律案及び社会保障制度等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を続けます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#120
○中野鉄造君 私は、まず最初に、大筋の点からお尋ねいたしますが、五十九年の十二月六日に、児童家庭局長は、「基本的な方向としては、第一子から考えるべきであろう。」と、こういうような答弁がなされておりますが、この考えは今でもお変わりございませんか。
#121
○政府委員(小島弘仲君) 変わっておりません。
#122
○中野鉄造君 いずれにしましても、この児童手当制度の改革というものが、今日の財政の実情を踏まえての結果である、こういうようにしか考えられないわけですけれども、本当に福祉国家、健全なる福祉社会の実現のためということであるならば、何もこれは改正しなくても今のままでもよかったんじゃないかと思います。
 そこで、今回のこの改正というものは、福祉というものを全般的にとらえた場合に、これは後退しているとお考えでしょうか、向上しているとお考えでしょうか。
#123
○政府委員(小島弘仲君) 財政規模そのものを見ますと、給付費は増加しておりますが、国庫負担が減っている、総体のこの児童手当につきまして。そういう問題はありますが、全般的に見ましては、児童手当本来の趣旨に沿った方向で、厳しい財政状況のもとではありますが、そういう方向に沿った改革措置であって、将来の発展の基盤になり得るものと考えております。
 現行制度をなぜこの時期に手直しするかというのは、審議会の中でもいろいろ御議論がございました。しかし、考えてみますと、やはり児童手当制度本来の趣旨として、国民の間に理解されないのは、やはり三子以降というごく限られた家庭を対象としている現行制度の一つの限界かなと、それが非常に低所得者対策というような方向のための制度ではないかというような誤解を招くもとにもなっているかなと考えておりますので、同じような財政規模ではございますが、本来児童を養育している家庭一般を対象とする方向へ向かっては一歩前進であって、これを基礎に国民の理解を求めながら、さらに次の発展を期してまいりたいと考えているところでございます。
#124
○中野鉄造君 要約すれば、将来的には今後の福祉の発展に寄与するためのものであるということであるけれども、現行制度と今度の改正案と、その二つだけを比較した場合は、やはり後退しているということになりますか。
#125
○政府委員(小島弘仲君) これはそのようには考えておりません。
 昨年の十二月に御意見をいただきました中央児童福祉審議会におきましても、この際、やはり今の現行制度と比べますと支給対象児童の範囲はぐっと広がるわけでございますが、その反面支給期間が大幅に短縮している。これはいろんな評価があるところだと思いますけれども、児童手当本来の趣旨から考えれば期間の短縮というのは非常に残念な措置ではございますが、財政状況を考えれば、やはり児童手当本来のあるべき姿に近づけた改革措置だと考えております。
#126
○中野鉄造君 かなり支給年数が短縮している。対象は二子からということでわずかばかりふえるということにもなりましょうけれども、支給年限が非常に短縮した。そして、今もおっしゃったように、そういうようにせざるを得ないということには、その背景に大きな財政的事情がある、こういうことから考えますと、やっぱり端的に言ってこれはもう後退だ。今は、後退していると、そうしか言いようがないじゃないですか。
#127
○政府委員(小島弘仲君) 厳しい財政状況のもとでの制約、あるいは国民全般に十分な御理解を得られないという状態のもとでの改正措置でございますが、本来の趣旨からいけば、むしろ一歩前進じゃなかろうか、決して後退という御批判は当たらないじゃないかというふうに考えております。
#128
○中野鉄造君 そうでしょうか。なかなか納得いかないところでございますが、じゃ、この児童手当制度がほかの社会保障制度とは異なっていろいろ制度の無用論だとか廃止論というものがつきまとうというのは、何といってもこの支給要件だとか支給額、あるいは所得制限が厳しいからである。そして現状としては低所得階層に対する多子貧困救済策となっているというような見方があるわけなんですね。そして今回の改正案は、中央児童福祉審議会の、制度本来の趣旨に照らして、子育てを行っている者が広く手当を受けられるという意見具申を取り入れてはおりますけれども、財政事情が今もおっしゃるように厳しいから、現行の枠内で何とかやっていこうと、こういうもので、これまでの枠そのままでありまして、これは改革ではなくて、二度にわたって児童手当を無用論、廃止論のもとに置くというようなことに結果的にはなっていくんじゃないかという気がしてならないんです。
 そこで、この改正案の附則第四条では、「費用の負担のあり方を含め、その全般に関して更に検討が加えられ、その結果に基づき、必要な措置が講ぜられるべきもの」であると、こうして制度の検討が規定されておりますが、これはもう改革をいたずらに先送りしたと言ってもいいのではないかと思いますが、これに対する大臣の見解をお願いいたします。
#129
○国務大臣(増岡博之君) この児童手当制度の本来の趣旨から考えました場合には、附則四条で見直しを認めておるわけでございますので、問題を先送りしたという見方をされるのもある程度やむを得ないかと思うわけでありますけれども、しかし基本的には、この手当を支給する範囲を拡大することによりまして国民の理解も深まると思いますし、また、我々の側も、制度の意義、目的について周知徹底を図るということで、今後に期待を抱いておるわけでございまして、今後は制度の本旨にのっとった改革案を作成し、制度の充実に努力をしてまいらなければならないと思っております。
#130
○中野鉄造君 今回の改正案が、児童手当法に照らして、これはいささか法律に違反しているんじゃないかというような私は懸念もするわけでございます。
 と申しますのは、我が国の社会保障の最後の一部門として制定されたもので、しかも小さく産んで大きく育てるとされたこの児童手当制度が、現在必ずしも法の目的にそぐわないものになっている、こういう気がするわけでございまして、第三子から支給しているという国は、世界各国で六十六カ国がこの制度を実施しているわけですけれども、三子からというのは我が国を含めてわずかに三カ国である、こういうような実情から考えてみまして、しかも所得制限は、扶養義務者が六人家族の場合で四十六年度で、児童手当が二百万円、児童扶養手当、特別児童扶養手当百八十万円でありましたが、翌四十七年には児童手当が二百三十三万円、児童扶養手当、特別児童扶養手当が二百五十万円と逆転しているわけですが、それ以後はその格差がだんだんに開いておる。しかもこの六十年案では、所得制限限度額は児童手当六百万円、これは被用者の場合ですが、非被用者の場合は四百九万四千円。これに対して児童扶養、特別児童扶養手当は老齢福祉年金と同じで八百七十六万円であります。一方手当額は、もう御承知のようにこれは五十年以来五千円に据え置かれているわけでございまして、本改正案においても、所得制限、手当額が依然としてこれは改善されないままになっておるわけです。
 そういうところから見ますと、この児童手当法第六条第二項に、児童手当の「額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに改定の措置が講ぜられなければならない。」と、こういうように規定されておりますが、こういうように、厚生省が所管する手当における格差及び児童手当法に手当の改定規定がありながら、この手当額が手当の名に値しない低額にあることに対して、これは厚生大臣はどのようにお考えになりますか。今も冒頭申し上げましたように、これは法律違反を厚生大臣が行っているんじゃないのかと、こういう懸念さえもするわけですが、いかがですか。
#131
○国務大臣(増岡博之君) この児童手当の制度が思ったほど伸びていないということでございます。これは主に、制度が発足をいたしまして、制度として成長、定着をするいとまもない間に石油ショック、財政危機という事情が重なった結果、制度が伸びておりましたら国民の理解も広く得られるところであったと思うわけでありますけれども、その理解が十分に得られなかったということの悪循環と申しますか、そういうことが結果的に現在のような状況にとどまらざるを得ない状態になったと思うわけでございます。
 しかし、先ほどから局長からも申し上げておりますように、この改正で支給を受けられる世帯の数が大幅にふえるわけでございます。また、これからも私どもが努力をいたしまして国民の理解を深めて制度の充実に努力をしていかなければならないというふうに思っておるわけでございまして、そのようなことでございますので、御理解をいただきたいと思います。
#132
○中野鉄造君 先ほども申しておるように、格差がだんだん開いて、逆転どころか格差が開きっ放しであるということ、それと今申しますように、この第六条第二項に規定されてあるこの文言はまさに形骸化しつつある。そして、そういうものは置いてきぼりにしてだんだん問題を先送りにしておる、こういうことがどうも私納得いかないんですが、その点をお尋ねしているんですが、いかがですか。
#133
○政府委員(小島弘仲君) 確かに、この制度の趣旨等について十分な国民の理解を得ることについての我々の努力が十分でなかったのかという反省はしております。
 ただ、この制度が五十年までは手当額の引き上げというようなこともやってまいってきたわけでございますけれども、その後の経済情勢、あるいは社会保障全体系の中で優先度が低いのではないかというような御批判や、先生御指摘のように、極端なのは無用論までありまして、なかなかこれを改善していくというような国民的な基盤がなかったということで、残念ながら、現状のそのままの形で据え置き、あるいはさらに昨今の行革特例法絡みでさらに一層、三子以降というようなところに注目された結果だと思いますが、こういう財政難状況で公費の一層の削減を図るべきじゃないかというような御意見もいただきまして今日に至っておることは、制度を主管する者として極めて残念だと考えております。
 したがって、そのような誤解を招くことのないような、あるいはさらに国民各位の広い理解を得やすいような制度として今回は組みかえさしていただきまして、これを基盤として試案を作成し、それを率直に問いかけながら、国民の御意見も承って制度の拡充を図ってまいりたいというのが我我の悲願でございます。
#134
○中野鉄造君 ですから、結局今までのそういう努力の足りなさというものは反省しつつも、しかしいかんせん財政事情の上からどうしようもないと、こういうことなんですね。
#135
○政府委員(小島弘仲君) 確かに所得制限等の措置を強化したというような面がございます。それにつきましては、特例給付というようなことを事業主団体の御理解も得まして実質的な給付水準の切り下げを来さないような配慮もしておりますし、今回の改正についてもぎりぎり現行の財源を最大限度に活用すると、決して制度の縮小につながらないという方向で努力したつもりでございますので、今後我々の課題として拡充は十分考えておりますので、制度改革の趣旨その他については御理解をいただければと考えております。
#136
○中野鉄造君 今も申される、この児童手当の所得制限が非常に強化された。支給率は制度創設時から五十二年まではずっと上昇したわけですが、五十二年の九二・五%をピークに以後はずっと落ち込みっ放しなんですね。そして現在は七九・〇と、こういうようになっておりまして、これを老齢福祉年金や特別児童扶養手当、福祉手当と比較すると、ここにそれぞれの停止率というものが出ておりますけれども、これはもうまるで話にならないわけですけれども、児童手当がこういう高い停止率、こういうような現状、それから今申しましたように、どんどんどんどん落ち込んで今や七九%にすぎないと、こういうようなこと、この結果を反省はされると、こうおっしゃいますが、これ、今後どのようになさいますか、この現状を踏まえて。
#137
○政府委員(小島弘仲君) 現行の所得制限、今老齢福祉年金の本人所得制限の基準として所得制限を定めることにいたしておりますのは昭和六十五年度の財政再建までの期間でございます。その後はあるべき姿に向かって、特例給付というようなものとの兼ね合いもございますが、支給率が十分趣旨、目的を達せられるような方向で所得制限が定められるように努力してまいります。
 それとあわせまして、本改正法案を御可決いただければ、直ちにまた次のステップに向かっての検討を進めてまいりまして、六十五年というようなことにこだわることなく、できるだけ早い機会に本格的な改正案を世に問いたいと考えております。
#138
○中野鉄造君 くどいようですが、大臣にまた確認の意味でお尋ねいたしますが、この児童手当の所得制限については、五十五年九月の中央児童福祉審議会の意見においても、「「社会の子」としてとらえていることからして、原則としてこれを行うべきではない。」という反対の意見が出されておりますが、ここらを踏まえて、厚生大臣、いま一度御答弁をお願いします。
#139
○国務大臣(増岡博之君) 私も、児童手当制度が本来の姿に戻るためにはそのような措置も必要であるというふうに思っておるわけでございます。
 ただ、今回につきましては、厳しい財政事情でございますので、将来の飛躍に備えての芽を残しておこうということが主眼になって第二子以降ということになったというふうに考えておるわけでございますので、御指摘の趣旨にのっとって今後も努力をしてまいりたいと思います。
#140
○中野鉄造君 次に、高齢化社会への対応としての児童手当の充実、この点についてお尋ねいたします。
 人口の高齢化の社会的経済的影響として、これはやはりもう申し上げるまでもございませんけれども、生産年齢人口に対する年少人口、それと老年人口の割合がどうなっていくかという問題が横たわってくるわけですが、出生率低下により年少人口が減少するために、現在から昭和七十五年ごろまでは四五%前後と、働く世代の負担が最もこれは軽くなる。しかし、老人の増加によって七十五年には五〇%、九十年には六〇%、百十五年には七〇%に働く世代の負担がふえてくるわけです。現在十人の働き手が三人強の子供と一人強の老人を養っているのに対して、やがては三人の子供と三人強の老人を養わなければならない、こういうときがやってくるわけです。
 ところで、この高齢化社会の対応として、既にもう年金改革が行われたわけでございますが、種種の対応に加えて、年少人口の量的増加、あるいは児童の健全育成、資質の向上を図ることも高齢化への重要な政策であり、社会保障の基本でなくてはならない、こう思うわけですけれども、我が国にはこれといった人口政策というものはございませんし、この人口政策それ自体、これはなかなか難しい面があるとは思いますけれども、去る五十七年の合計特殊出生率というのが一・七七人、五十八年は一・八〇人と回復しまして四十九年以降の低下にブレーキがかかったようではございますけれども、この間の人口問題研究所の推計も、五十八年度は一・八〇人で推計して、その後は低下をしていくであろうと、こういうような推計を出しております。
 そこで厚生省では、この合計特殊出生率の低下ブレーキをどう見ているのか、その推移についてはどのように見ておられるのか。
#141
○政府委員(小島弘仲君) 昭和四十年代は、合計特殊出生率が二に近いところでおおむね推移したかと思いますが、五十年代に入りますとそれがだんだん低下をしてまいってきているという状況が見受けられます。年によって多少いろいろ増加したりぶれたりということで、この動きいかんということは極めて難しい問題であろうと思っておりますが、諸外国、例えば特に西ドイツなんかで見られるように、現在の生活をエンジョイするためには子供がかえって邪魔になるというような意識、子供を産むことを余り欲しないという人たちがふえてきたというようなことも言われております。その辺の国民の意識がどう変わるか、あるいは結婚年齢等々、それから私的な生活設計のあり方というようなこと、いろいろあろうと思いまして、なかなか単純な問題ではございません。
 ただしかし、先進諸国を見ますと、どこも人口の減少傾向に悩んでいるのが現状でございます。したがいまして、我が国としては、今後の出生数ということには極めて楽観を許さない状態にあるんじゃなかろうか。先生御指摘のように、今後深刻な高齢化社会を迎えるわけでございますが、この高齢化率を高めているのは、一つにはやっぱり出生率の低下の問題が大きな要因として占めている。したがって、中国でとられておりますような――これは逆で減少例ですが、直接的な人口政策というものはなかなか難しい問題があろう。したがいまして、我々といたしましてはやはり将来に向かっての人口構造というような問題も、十分国民の理解を得ながら、数の問題も含めまして子供の問題に対する社会的な関心をより呼び起こしていかなくちゃならぬのじゃないか。
 みんなで将来を考えるという機運を高めてまいらなくてはならぬと考えますと同時に、子供によって生活がそう苦しくならない、子供があってもなくてもそう生活の上に変動を来さないというような社会保障施策と申しますか、その一つが児童手当だと考えておりますが、そういう施策を充実する必要性が今後さらに増してくるんではなかろうかと考えております。
#142
○中野鉄造君 ならばこそ、先ほどもちょっと触れましたように、一方ではこの児童手当法の廃止論というものもあるわけですけれども、また一方では、今こそこの児童手当法を本当に充実して、そして人口政策として推し進めるべきだ、こういう意見も非常に強いわけなんです。
 そこで、先ほどから申しておりますように、当面の財政対策のためにこの制度が犠牲にされる、そして改善充実が行われないというようなことがあったならば、これはもう悔いを千載に残すということになりはしないかと思うわけでけれども、いま一度厚生大臣のこの人口問題から考えた場合の御見解をお願いいたします。
#143
○国務大臣(増岡博之君) この児童手当のことについて御議論なさる場合には、どなたも気持ちの中には人口問題、あるいはそこまでの意識がございませんでも、数が減るのが困るという、そういうお気持ちも持ちながら御議論をいただいていると思うわけでございます。
 ただ、今日の自由主義をとっております立場から、明らかに露骨な、即効性のある人口政策ということはなかなか難しゅうございますし、人口政策という言葉自体を使うということも非常に何となくはばかられるという状況でございますので、したがって、そういう点から、どっちつかずというような印象は免れないものと思うわけでございますけれども、ともかく私どもといたしましては、この制度を広く普及させ、そのことによって国民に御理解をいただく。そして自発的な出産率の向上ということが望まれる、向上ができますなればという考えは持つわけでございますので、今後もその方向で努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#144
○中野鉄造君 次に、少し具体的な細かな問題に入っていきますが、支給対象が第二子に広がった、そしてその額は二千五百円である。率直に申しまして、この二千五百円の根拠というのは何でしょうか。
#145
○政府委員(小島弘仲君) まず、今回の改正につきましては、将来のことも考えまして、また、児童手当本来の趣旨からということで、支給対象児童の範囲の拡大を第一義的に考えました。その結果、支給期間について大幅に短縮せざるを得なかった。同時に、三子以降につきまして従来の五千円という給付水準を維持しようとすれば、率直に申し上げまして二千五百円という金額が現在の財源の枠内で賄える満度であったということでありまして、特にこういう根拠でという数字じゃございません。もう財政状況からやむを得ず何とか現在の半額程度、拡大する第二子についてはそれを確保できたというのが現状でございまして、特に積極的な意味はあるわけではございません。
 強いて、それで何ができるかというお尋ねがあるといたしますれば、例えば、養護施設なんかの子供の養育費で考えてみますと、年代によっても違いますけれども、大体被服費、月当たりの衣料代の全額あるいはその二分の一程度はこれでカバーできる、あるいはミルク代の二分の一ないし三分の一という程度でございますし、幼稚園なんかの場合、公立でございますと四、五千円というところが多いようでございますので、その半額程度は何とか援助できるかというようなことでございます。決してこれは十分な数字だということではございませんが、しかし、全く意味のない数字だということでもなくて、極めて低額ではございますが、これを基盤といたしましてみんなでひとつ児童手当の今後を考えていただければと考えております。
#146
○中野鉄造君 俗に、児童とは何歳ぐらいまでを言うんですか。
#147
○政府委員(小島弘仲君) 一般に児童という場合には十八歳末満でございまして、障害児を対象といたします特別児童扶養手当等については二十歳という例もございますが、十八歳未満というのが我々施策でとらえる場合の児童の対象でございます。
#148
○中野鉄造君 先ほどおっしゃったように、ミルク代だとか何だとかというお話も出ましたけれども、まるでこれは幼児手当じゃないですか。
#149
○政府委員(小島弘仲君) 先ほども申し上げましたように、今回の改正で、第三子以降というものを第二子まで、二番目の子供まで支給対象を拡大いたしました。その結果、支給対象の範囲は、支給対象の年齢と申しますか、支給期間は、小学校に入るまでという期間に限定せざるを得ませんでした。
 ちょうど幼児の定義に当たる段階まででございますのでそういう御批判も出てくるかとは存じますが、我々決してこれを十分だと考えておるわけではございませんで、不十分ではございますが、児童手当本来の制度に沿うように、児童を養育する家庭の大多数が対象となるというような制度に組み直しまして、これを基盤といたしましてさらに将来のあり方を問うてまいりたいと考えておるところでございます。
#150
○中野鉄造君 どう考えても今は児童手当じゃなくてこれは幼児手当であると、こういうように認識せざるを得ないんですが、これ、将来はまた児童手当に戻りますか。
#151
○政府委員(小島弘仲君) 我々決して就学前の期間が十分だと考えているわけではございませんで、今回の改正措置としてはここまでが限度いっぱいだということでございます。
 特に諸外国の例を見ましても、義務教育終了までというのはごく一般的なことでございますし、将来のあり方といたしましては、さらに高校という問題の御意見もあろうかと思います。いろんな御意見はあろうかと思いますが、やっぱり名実ともに家庭の児童の養育に協力し、援助するという機能を営ましめるような内容のあるものにつくりかえていくのが本筋だと思いますし、そういう方向で努力してまいる考えであります。
#152
○中野鉄造君 将来の理想としてではなくて、本当にこれは真剣に努力していただきたいと思うんです。
 今、諸外国のお話がちょっと出ましたけれども、例えばILO百二号条約は、傷病給付、失業給付、老齢給付、業務災害給付などの部門で国内制度がILOの最低基準を満たしているとして既に我が国もこれは批准したところでありますけれども、家族給付部門はいまだにその条約の批准をしていないわけなんですね。
 児童手当の給付総額を見ますと、五十四年、五十五年が最も多くて、約一千七百八十五億円から一千七百七十七億円でありました。六十年度案が約一千五百億、改正案が実施されたとしましても約一千六百億で、その後は給付総額はだんだん減っていくわけです。そうしますと、この児童手当額の五千円、あるいは二千五百円では、到底この百二号条約の家族給付部門の基準にもう満たないわけでありまして、これについてはどういうお考えですか。
#153
○政府委員(小島弘仲君) 御指摘のように、ILO百二号条約を我が国は批准しておりますが、家族給付については留保しておる、批准に至らない状態であるという点は御指摘のとおりでございます。批准をいたしますと、先生お尋ねの給付規模につきましても、先ほど高杉先生からもお尋ねがございましたが、やっぱり一兆円を上回る給付規模になりませんと批准要件を額の面では満たせない。それに比べますと、六分の一弱というようなところ――現行はそういうことでございますので、給付期間、給付額について大臣からも御答弁申し上げておりますように、これでもう将来とも十分な額だ、あるいは十分な措置だと考えているわけでは決してございませんので、将来の制度改正を前提としながら、当面の財政状況あるいは国民の御支持の状況等を考えた場合には、当面の改善策としてはやむを得ない、とり得る最善の策であると考えております。
 したがいまして、今後のこの手当の社会保障制度の中におきます位置づけ、あるいは国民の支持を基礎といたしますその拡充等につきましては、我々に残された宿題であり、当面その解決を急がなければならない緊急の課題であると考えております。
#154
○中野鉄造君 財政事情のためにやむなくこうなったと、こういうことですね。
#155
○政府委員(小島弘仲君) 先ほど御指摘がありましたように、財政事情と、もう一つは、財政上どんなに苦しくとも優先順位の高いもの、あるいは必要なもの、本当に国民の支持のあるものというものについては相当具体化できる分野もあろうかと思いますが、財政状況が非常に厳しいということと、この制度に対する全面的な支持というものの広がりがまだ十分にない、この財政状況の中で、さらに財政規模の拡充した改革案というものを提出できる現在環境にないというふうに、我々は残念ながらそういう判断をしたところであります。
#156
○中野鉄造君 またこの支給期間に戻りますけれども、厚生省が就学前までとしたその根拠はどういうところにありますか。
#157
○政府委員(小島弘仲君) まず、支給期間といたしましては、こういう第二子は二千五百円、三子以降五千円という金額にいたしましても、二子に拡大するためには六年程度の支給期間しか保てないというところでございます。
 どの期間に重点的に支給するかという問題があったわけでございますが、総理府の国民生活調査の家計調査によりますと、子供が高校、大学にいる時期が一番家計が苦しいというような調査もないわけではございません。しかし、我々が、生まれてから就学まで、人生の初めの期間に重点を置きましたのは、児童福祉審議会におきましても、やはりその辺が一つは人格形成上一つの重要な時期である、あるいは、家庭の御両親も比較的若年でございまして、可処分所得の絶対額が低い、しかも、家庭の状況を見ましても、専ら父の所得に頼るのが一般的だと、共稼ぎもなかなかしにくいというような状況もあります。そうすると、絶対額の必要度ということを考えるとやっぱりその時期ではなかろうか。むしろ高校、大学という時期よりもその方が重要ではなかろうかということを考えましたのと、もう一つには、就学前ということでございますと、その養育、教育も含めまして、専ら家庭の手にゆだねられている期間でございます。義務教育になりますればこれは教育の面で、養育とはちょっと違いますけれども、公費負担という面もありまして公的な協力もあるわけでございますが、就学前ということになりますと専ら家庭にその責任をゆだねているという期間でございますので、ここにまず着目いたしまして、まずここから始めようという判断をしたわけでございます。
#158
○中野鉄造君 先ほど局長おっしゃいましたように、財政事情と、国民のこの法律に対する世論、あるいは意識というものの変革がやっぱり連動してくるというお話がありましたけれども、そうすると、この支給期間ですね、この問題については、将来はこれは考え直すという、そういう用意はあるわけですね。それとも今のこの改正案に出ておるような、ずっと今後も義務教育就学前までと、これを続けられるわけですか。どちらでしょう。
#159
○政府委員(小島弘仲君) 先ほども御答弁申し上げましたように、限られた財政状況の中で支給対象児童の範囲を広げるためにやむを得ない措置と考えておりますので、我々これが十分なことだと考えておりません。少なくとも家庭の児童の養育に対する援助ということを考えますればどんなに短くとも義務教育終了時までというのがあるべき姿だと考えておりますので、将来はそういう方向に向かってこれの改善を図るべきものだと考えております。
#160
○中野鉄造君 この改正案では、六十一年から六十三年度まで段階実施されますけれども、低所得者に対する加算二千円を六十一年度からいきなり廃止すると、こういうようになっておりまして、低所得者に支給されている現在の七千円を五千円に引き下げるというのは、これはもう時代の流れに逆行するんじゃないかという感じがしてならないんですが、現状を維持していかなければそういう人たちはやっぱり何かと大変じゃないかと思うんですけれども、これまたやはり財政事情のもとにやむを得ないという措置でしょうか。
#161
○政府委員(小島弘仲君) 諸外国の例を見ましても、児童手当については一般制度ということでございまして、低所得に加算というようなことが行われないのが通例のようでございます。
 我が国の場合は、五十年度までに三千円から五千円までに引き上げてまいりましたが、その後財政状況がなかなか引き上げを許さない状況が出てまいりました。したがって、やむを得ず緊急に、手当増額を必要と考えられる低所得者の加算という制度を五十三年度から発足させた。これはいわば一般的な手当の引き上げが困難な状況でやむを得ざる選択であったかと思いますが、児童手当制度本来の姿ということを考えた場合に、必ずしも妥当かどうかについては疑問がなしとしないところだと考えております、諸外国の例に徴しまして。
 今回改正に当たりまして、額も何も不十分なままに低所得者加算をカットしたという点については、これは御批判、御意見のあるところだと考えておりますが、あるいはさらに、従来どおり三子以降は五千円という金額、これもまた御批判のあるところでございますが、しかし第二子まで拡大いたしますために、第二子に二千五百円、不十分な手当額ではございますが、せめてその半額という額を維持するためには、低所得加算を残す余地のない財政上の状況であったということが一つございます。
 それともう一つ、今度二子から合算して世帯に給付される額になりますと、三子までの家庭ですと七千五百円という給付になります。今までは三子以降でございますので五千円でございました。支給年齢のカットという問題がございますが、世帯単位で見ますと支給対象児童につきましては低所得階層も含めまして、三人以上の子供がいらっしゃる家庭については従前よりも給付額が下がるという状態は実質は出ないという判断も実は一つはございましたが、これは支給期間の問題等がございますので必ずしもそう言えないということは承知しておりますが、支給対象児童を持っておる家庭で見ますと、従来は三子以降であったのが二子からに拡大すると、三人子供がいらっしゃる場合には従来は五千円だったのが世帯単位で見ますと七千五百円という給付額にもなるわけでございますので、この際、低所得者の加算というものにつきましてはカットさしていただきました。
 将来は、低所得者階層というよりも、全体としてやっぱり本来のあるべき給付額ということで考えていくのが筋ではなかろうかと考えております。
#162
○中野鉄造君 第二子に支給される二千五百円は、私どもは、これはこのくらいのお金で何ができるだろうかという気持ちもしないわけじゃないんですけれども、しかし、そういう意味から考えれば、低所得者に対して打ち切られる二千円というものは、これもまたやっぱりそれなりの影響が大きい金額ではないかということが言えるんじゃないかと思うんですね。
 この改正案は、児童手当制度の改革というよりは、今までるる御答弁がありましたそういうようなものを総合して勘案しますときに、しょせんは現行の財源内で改定して、そして第二子まで支給範囲を広げていく、そして社会のこの制度に対する理解を得て何とかこの制度を維持していこうという厚生省の苦悩の跡というものがありありとうかがわれるわけですけれども、一方で、五十五年の中児審の意見具申において、「税の児童扶養控除との調整も、財源問題解決の有力な一方法として考えられる。」というようなことが披瀝されております。
 そこでお尋ねいたしますが、五十五年の中児審の意見についてどのように検討しておられるのか。大蔵省とこの問題について協議をされたことがあるのか。いかがでしょうか。
#163
○政府委員(小島弘仲君) 我々としては、五十年代に入りまして児童手当についての厳しい世論も出てきたということから、この際、三子以降というような現行制度にとらわれずに、あるべき児童手当制度というものを一回示しておこうというのが五十五年の中児審の意見具申であったと考えております。当時の意見具申も、それが直ちにできるとは考えておられませんで、将来の課題としてということでお示しいただいたものでございます。引き続いた昨年の中児審の意見も、やはり基本的には五十五年の意見具申の線を目標に据えて考えるべきだという御意見でもございますし、我我としても、基本的にはそのような方向で制度を考えていくのが筋だというふうに考えております。
 その後の状況をお尋ねでございますけれども、これをもとにいたしまして成案を得て財政当局といろいろ相談するというところまでは、残念ながら現在まだ厚生省としては至っておりません。
#164
○中野鉄造君 この制度の検討時期についてですが、今回附則第四条で、「児童手当制度については、費用の負担のあり方を含め、その全般に関して更に検討が加えられ、その結果に基づき、必要な措置が講ぜられるべきものとする。」と、こういうようにありますけれども、その検討のタイムリミットといいますか、これはいつごろになるのか。つまり、附則第五条、第六条にあるように六十六年の五月ということでしょうか。それとももっとこれは早い時期に必要な措置を行うということになるでしょうか。いかがでしょうか。
#165
○政府委員(小島弘仲君) 附則四条の規定そのものについては時期は特定していないのは御指摘のとおりでございます。直接的に特例給付の終了する昭和六十六年の五月までという制約も特にはございません。ただ、我々といたしましてはできるだけ早く、この期間にとらわれずに検討結果を取りまとめまして、まず世論の御批判も仰ぎたい、こう考えております。一つには五十五年の意見具申も、新聞論調等におきましても、一般的には非常に厳しいものが多かったというふうに記憶しております。そのため、我々は、試案をお示しする場合にもやはり児童手当の今後の我が国社会における必要性というものについてある程度国民的な理解が浸透しておりませんと、いたずらにまた将来に課題を残す、問題を残すことにもなりかねませんので、その辺の兼ね合いを考えながら十分制度の成案を急ぎまして、できるだけ早い時期に試案を世に問う方向で努力してみたいと思っております。
#166
○中野鉄造君 最後になりますが、これは大臣にお尋ねいたしますが、この手当に対する財源の問題でございます。
 この財源確保については、今までいろいろな案はもう出尽くしているわけですけれども、やはり考えられるところは、一つには国庫負担。二番目に企業の家族給との整理。三番目に税制の扶養控除との調整、統合。四番目に租税、事業主拠出金のほか、自営業者、農民等からの拠出。こういうようなものが挙げられるかと思いますが、今もいろいろ申してまいりましたように、制度の検討がどうも先送りされている嫌いがするわけですけれども、この改正案で当面制度を維持しながら、先ほども申しましたように国民の理解を得るためには将来の児童手当制度に対するやはり厚生省としてのビジョンというものが国民の前により明らかにされていかなければ、国民の理解、関心というものを高めるわけにはいかないと、こう思うわけですけれども、この児童手当を充実改善していく場合に、それには何といっても財源問題ということになってまいります。
 私が今申しましたこの四つの方法について、厚生大臣はどのようにお考えになっておりますか。――大臣、お願いいたします。
#167
○国務大臣(増岡博之君) 負担の問題は、やはり将来において避けて通ることのできない課題であると思います。しかし、今私どもがあるべき姿の年金制度というものをおぼろげながらも示すことなしには、なかなかその問題に踏み込むことも難しかろうと思います。したがって、それまでの間いろいろな作業を進めながらも、今おっしゃいました四つの方法の中でどれが実現可能であるか、あるいはまた負担に応ずるだけのいわゆる金額的な能力があるかないかということも検討を進めてまいらなければならないと思うわけでございますが、やはり今挙げられましたことはすべて検討の対象になるのではないかというふうに考えております。
#168
○中野鉄造君 どうもみんなそれは大事でありますけれども、今言ったような中から特にどういうようなものにその重点を置いていこうとするのか。そして、今申しますように国民の前にこれの将来展望と将来像というものをより明らかにしていく、それがなければだめじゃないかと思うんですよ。いかがですか。
#169
○国務大臣(増岡博之君) 私どもの方は、まだ国民の前にあるべき姿をお示しする成案を得るに至っていないわけでございますので、したがって、その負担の源というものをどれがということは現在では検討いたしていないわけでございまして、これからの作業になるかと思いますけれども、これは本当に将来の予測ということで考えますと、その中でも国庫負担というものはなかなか避けて通ることのできない方法であろうというふうに思います。しかし、そのほかの方法につきましてもあわせて検討していかなければならないというぐらいが今日ではお答えできる限界ではないかというふうに思います。
#170
○中野鉄造君 終わります。
#171
○安武洋子君 まず最初に、大臣にお伺いをいたします。
   〔委員長退席、理事関口恵造君着席〕
 御承知のように、この児童手当制度、これは我が国の社会保障制度の中でおくれて発足をいたしております。四十七年の一月の実施でございますが、この制度につきまして四十八年度の厚生白書、ここの中では、
  児童手当制度は、児童を養育している者に対して児童手当という現金給付を行うことによって、児童養育費が家計に与える負担を軽減し、更に、これを通じて積極的に児童の健全な育成と資質の向上を図ろうとするものである。
  今後、急速な老齢化が予想される我が国の人口構造の変化を考えれば、現代の児童が大人になったときの社会的扶養責任は、今日の私達以上に重いものとなるわけであり、児童が十分にその資質を伸ばし、能力を高めることが望まれるが、この意味で、児童手当制度の役割が期待されるところである。
こういうふうに言っております。
 そこで、大臣、こういう厚生白書の認識でございますが、この認識とか姿勢、これは今後とも変わりございませんでしょうか、お伺いをいたします。
#172
○国務大臣(増岡博之君) 児童手当につきましては、従来から、次の時代の担い手である児童の健全育成ということを目的といたしておるわけでございまして、それは来るべき高齢化社会におきましても世代間の連帯が不可欠の要件となるということでございますから、そういう面におきましては現在でも変わっていないと思います。
#173
○安武洋子君 その後、経過を見てみますと、「児童手当制度の役割が期待される」、厚生白書ではこう書いてあるわけです。ところが期待どおりに改善されてきたとは残念ながら言えないと思います。
 端的にお伺いいたしますけれども、この制度は財政当局や臨調から私はずっとねらわれてきたというふうに思うわけです。制度の存廃も含めてとか、抜本的に見直せとか、こういうことであったのではないでしょうか。
#174
○政府委員(小島弘仲君) 確かに臨調の御指摘は、先生御指摘のような方向でございました。それはやはり現在の姿の児童手当というものが現在の社会保障体系の中で十分機能しているのかどうか、本来の期待される役割を担っているのかどうか、それについては抜本的に見直せという御指摘だというふうに理解しまして、本来のあるべき姿というものを考えながら、それをねらい、さらに今後の一層の発展を期しまして現在のような改革案を御提案申し上げたところでございます。
#175
○安武洋子君 これが一層の発展かどうか、そういうことをおっしゃっていただくと大変困るわけですが、児童手当制度というのはもともと難産でございました。それこそ制度の発展というのが期待されながら、私は一方では受難の歴史であったのではなかろうかというふうに思うわけです。
 手当額の現行の月五千円、これは五十年十月から据え置きになったままではないんでしょうか。
#176
○政府委員(小島弘仲君) 御指摘のように、五十年十月から五千円に据え置きのままでございました。ただわずかに、五十三年度から低所得者に対する加算制度というものができまして、現在では、市町村民税の均等割の非課税世帯に対しまして二千円の加算ということで現在に至っております。
#177
○安武洋子君 だから、手当額現行の月五千円、これが五十年の十月から据え置きのままだということになるわけです。
 それでは、物価上昇分、これを引きますと、五十九年度価格にいたしますと、実質価格、この五千円というのは一体どれぐらいになるんでしょうか。
#178
○政府委員(小島弘仲君) 実質価格ということになりますと、逆に引いていくわけでございますので、五十年度価格にいたしますと三千二百円程度になるかと思います。逆に、五千円をどのくらい上げなくちゃならぬかというと、七千円ちょっと上回る額に上げなくちゃ五十年度の五千円の価格を維持したことにはならぬ、このように考えております。
#179
○安武洋子君 だから、五千円を据え置いてきた、それが現在では三千二百円の実質価格になってしまっているということなんです。しかもその上に所得制限を強化をいたしております。
 支給率九〇%、これが五十六年度から八〇%になってきている。これは間違いございませんね。
#180
○政府委員(小島弘仲君) 五十六年度以降、従前の九割が八割程度に落ち込んでいるということは、御指摘のとおりです。
#181
○安武洋子君 それで、五十七年の行革一括法、これでさらに所得の制限を強行してきたわけです。そして、特例給付制度を導入はいたしました。その特例給付、これを入れましても支給率が約八〇%、こういう状況なんです。
 そこで大臣にお伺いをいたしとうございます。私が今申し上げました経過、我が国の児童手当の現状といいますのは、国際的な水準とかあるいは児童憲章、児童権利宣言、こういう理念などから見ましても決して十分とは言えない、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
#182
○国務大臣(増岡博之君) その点につきましては、私も決して今日の改正案が十分なものであるとは申せないというふうに考えます。ただ、将来に向けては、支給範囲対象を拡大することによりまして飛躍の芽を育てることができたというふうに思っておるわけでございますので、今後の課題として懸命な努力をいたさなければならないというふうに思っております。
#183
○安武洋子君 大臣は、対象を拡大して飛躍の芽をつくったんだというふうにおっしゃいますけれども、諸外国の話がもう出ておりますので私は諸外国との比較の話をここでは出しませんけれども、やっぱりこれは諸外国に比べましても大変恥ずかしい現状でございます。そして、父母の所得の現状とか、それから児童養育費から見てみましても、とても児童手当法の目的には――この目的として掲げておりますのが、「家庭における生活の安定に寄与する」、こういうことになっているんですよね。そして、「次代の社会をになう児童の健全な育成及び資質の向上に資する」と、目的は大変よろしいです。しかし、家庭生活の安定に寄与しと、こういう目的を掲げているにしては、実質は、先ほどお答えになったような五千円と三千二百円、実質価格がこれぐらいの程度になってしまっている。こういう現状の中で、これは私は児童手当の目的に沿っているんだというふうにはとっても言えないんじゃないか。大変恥ずかしい話じゃないか、こう思いますけれども、その点、どうお考えなんでしょうか。
#184
○政府委員(小島弘仲君) 確かに制度発足当初から、子供にかかる費用、いわば児童の養育費の三分の一ないし二分の一程度の額というようなことを目標にすべきじゃないかと、それが妥当であろうという御意見もいただいております。また、諸外国の例に徴しましても、現在の額、あるいは改正案に盛り込んでおります額が決して十分な額であるということは申せません。これらにつきましては、今後やはり必要な財政措置も十分詰めながら必要な額を給付できるような方向に持っていかなければならぬと考えております。
#185
○安武洋子君 子供に要する必要な額の三分の一から二分の一ということになりますと、実質三千二百円、私はどこから考えても、こういう数字は出てこないんじゃなかろうかというふうに思います。そして、やはり第一子から支給をしていかなければならないというふうにも考えます。
 五十五年の九月ですけれども、中央児童福祉審議会の意見具申、これは児童手当制度の意義や内容についてどんな意見を具申しているでしょうか。概略をお知らせください。
#186
○政府委員(小島弘仲君) 将来の日本の人口構造、あるいは老齢人口の増加というようなことを考えた場合に、やはり社会連帯の基盤を強化しなければならぬ。そうすると、老人の問題というのはとりもなおさず子供の問題でもある。次代の担い手としての子供を高齢者と同様に考えるべきだということから、基本的には児童の養育につきまして家庭だけの責任にゆだねられることなく、社会もそれに協力しなければならぬというのが基本的な考え方でございまして、そうだとすれば、手当の支給というものは第一子からということで、すべての児童を支給対象とすべきではなかろうか。また、支給期間もやはり義務教育終了時までということを考えるべきであろう。さらに、所得制限は原則としてつけるべきではない。また、手当の額についてもある程度価値ある額とする必要があるというふうに考えられておるのが示された大筋でございます。
#187
○安武洋子君 今御答弁があった趣旨、私は大体そのとおりであると思うんですが、児童は社会の子として社会的に配慮する必要性を強調して、そしてその上に立って、制度の内容につきまして、まず第一子から義務教育終了前までを支給対象にせよということが第一点ですね。それから第二点としては、手当額というのはある程度価値ある額、これを支給せよというふうにもなっております。それから第三点といたしましては、所得制限は原則として廃止、こういうことをうたっているわけです。
 そこで大臣、こういう意見が具申をされておりますけれども、国際比較の問題もあります。それからこういう意見具申、これを踏まえてみますと、我が国の政府の姿勢というのは、長らく第三子からの支給というふうなことをやってきている。しかも、手当額というのはずっと据え置きを続けてきている。しかも、支給率というのは低下をしてしまうというふうなやり方をしてきている。こういう政治姿勢というのは私はまことに遺憾であると思いますが、担当大臣としての御所見を伺わせていただきます。
#188
○国務大臣(増岡博之君) 今日、この今おっしゃいましたような状況になっておりますのは、やはり制度が発足して国民意識の中にまだ定着をしていない時代に、石油ショック、財政危機を招いたということ、その双方が原因であろうというように思っておるわけでございます。
 昭和五十五年の意見具申は長期ビジョンをもってその方向を示しておられるわけでございますので、今回行いました改正をてこにして、何とかもう一度国民各層の御理解をいただけるように私どもも努力していかなければならないというふうに思っております。
#189
○安武洋子君 同僚議員との質疑の中でも、それからまた今大臣の御答弁の中でも、国民意識が定着をしていない、国民の全面的な支持がないというふうな御意見が出ておりますけれども、私はこれは、一つは、第一子から支給をするというふうにやらないで大変この制度そのものをいびつな形で発足をさせている、そういう一つのゆがみというものが国民意識の中に反映をしているんだということと、厚生省のPRの不足ということであろうというふうに思うわけです。
 そこで大臣にお聞きいたしますけれども、いろんな困難な問題ございます。しかし、とにかく児童手当制度の改善には努力をしていただかなければならない、こういうふうに思いますけれども、これはお約束を願えるわけでしょうか。
#190
○国務大臣(増岡博之君) できるだけ早い機会に本来のあるべき姿というものを策定いたしまして、皆さんの御理解をいただきたいというふうに考えております。
#191
○安武洋子君 では、大臣のあるべき姿とおっしゃるのは、先ほどの五十五年九月十日の中央児童福祉審議会の意見具申の方向、こういうことでございますか。
#192
○国務大臣(増岡博之君) 基本的にはそのとおりでございます。
#193
○安武洋子君 私はぜひその方向で努力をしていただきたいと思いますし、当面、私どもの党が修正を出させていただきます。その修正案の内容、これは第二子、第三子ともに手当額というのは五千円、現行どおり義務教育終了まで支給をする、そして低所得者には配慮をすると、この程度のことなんです。私は、この程度のことというのは早急に実現するように努力をしていただきたい、こう思いますけれども、御所見をお伺いいたします。
#194
○政府委員(小島弘仲君) 成案を得ました場合に、段階的に実施するかあるいは一挙に持っていくかという問題がございます。これらにつきまして一番の問題は財源の確保の問題だというふうに考えております。
 我々といたしましては、第一子から、やはり五十五年の意見具申に示されたような方向を基本として見据えつつ、やはり本来の児童手当の趣旨を目的として、十分機能できるようなものに組み立てるべきだと思いますので、そういう方向を目指しまして、そういう最終の姿で、まず国民の御意見を伺うのが筋じゃなかろうか、こう考えております。
#195
○安武洋子君 私が今御質問申し上げたのは、当面、私どもの党が修正案を提出をいたします、こういう内容程度、この程度は早急に実現するように努力をしていただけないものか。それで私は内容を申し上げたわけです。これは、第二子、第三子ともに手当額というのは五千円だ、現行どおりに義務教育終了まで支給するんだ、そして低所得者には配慮をしていくんだ、私どもはこの程度の修正を出すわけなんです。私は、この程度のことは早急に実施をするという、そういうことで努力をしていただくというのはできるんじゃなかろうかということでお伺いをいたしております。
#196
○政府委員(小島弘仲君) お示しいただきましたような修正事項で考えてみますと、所要給付額が六千六百億程度になろうかと考えております。そういたしますと、現行の財政規模の四倍程度になるわけでございまして、いずれにしても大幅な財源措置ということを考えていかなきゃならぬ、そういたします場合に、お示しのようなものは段階実施の中間の形の一つの姿ではあろうと思いますが、我々として財源措置を考える場合には、その段階実施というようなことがなじむのかどうか、費用の確保の方法といたしましては、やはり一挙に第一子からやらなくちゃなかなかその制度を仕組めないという問題も出てくるのではないかというようなことも考えおります。
 確かに一つのお考えではあろうと思いますが、現在としては、一番国民の御理解の得やすい形で得やすい内容のものをつくり、しかもそれを本来あるべき姿に持っていきたいということを考えておりますので、これからどういう手順でこの制度の拡充を図っていくかということにつきましては、まだ今後の宿題としてお許しいただきたいと考えております。
#197
○安武洋子君 今の御答弁でやっぱり問題になってきますのが附則四条だろうというふうに思うわけです。この「制度の検討」の問題でございます。ここには、「この法律による児童手当制度については、費用の負担の在り方を含め、その全般に関して更に検討が加えられ、その結果に基づき、必要な措置が講ぜられるべきものとする。」ということになっているわけです。私は、基本的には五十五年の意見具申の方向で検討すべきだ、こういうふうに考えますけれども、おっしゃるように国民的な合意がそれは必要です。そのために、第二子支給、これが完成をするという時点がありますけれども、その後で、国民の認識とかそれから希望、これが明らかになる実態調査、これを行う必要があるのではないかと考えるわけです。
 国民の要望を踏まえまして、調査に基づいて、この調査を基礎にしまして私は制度の検討を行うように希望をいたしますけれども、この点、いかがでございましょうか。
#198
○政府委員(小島弘仲君) 確かに、制度の発展を考え、必要な財源を確保するということになりますと、御指摘のように国民の支持というのは不可欠でございます。したがいまして、我々としては、今後のあるべき姿、趣旨、目的、本当に今後の社会でどういう意味で児童手当が必要かということについては、まず、国民の御理解を得るように努めながら、それにこたえるあるべき児童手当制度というふうなものの試案を策定しまして、御指摘のようにそれを国民の世論に問いたい。こういう考えでこうしたいと思うけれどもいかがであろうかということで国民の声を十分聞きまして、それを基盤としてさらに案を練りまして成案をまとめたい、こう考えております。御指摘のように、国民の声を十分聞きながら成案をまとめるということの必要性は十分認識しておりますので、そのような手順で運ぶつもりでおります。
#199
○安武洋子君 私はここで御要望申し上げておきますけれども、私どもの修正案、第二子、第三子云々ということについては、第一子からもというふうな基本的な姿勢を持っているんだというふうにおっしゃいました。それはおっしゃるように第一子だって児童でございます。ですから私は、この目的に掲げましたように、児童手当制度の基本的な目的が十分に達成できるような、そういう制度にするように、調査をしていただきまして、その調査に基づいて制度を充実していただきたい、そのために努力をしていただきたい、私はこういうふうに思います。
 その点で、大臣の御決意をここで一応お伺いをさせていただきます。
#200
○国務大臣(増岡博之君) 五十五年答申が長期にわたりましての目標であるわけでございまして、したがって、それを私どもがこれから検討して、国民の皆さんに御批判を仰ぐという手順に相なるわけでございます。したがって、これからの作業でございますので、今、どういうものをまず第一にやる、どういうものを二番目にやるということは申し上げかねるというふうに思うわけでございます。ともかく、抽象的ではございますが、国民各層の理解を求めるためには何が一番大事かということをこれから模索をしなければならない段階だというふうに考えております。
#201
○安武洋子君 しかし、改正の趣旨でもうたっていらっしゃるわけです。これは、「児童の養育費を社会的に分担し、児童の健全育成の基本的な場である家庭の経済的な基盤強化に資する」ということですので、私は、この改正の趣旨からも、どうしてももっと制度の充実ということをやっていただかないと、社会的にまだ国民の意識の中にこれを全面的に支持する云々とおっしゃいましたけれども、これはあくまでも、今の制度が余りにもいびつである、十分に行われていないところからくるものであるという認識に立っていただきたい。そういうことで、ぜひこの児童手当の根本理念に立ち返って制度を充実していただきたい、このことを重ねてお願いをいたします。
 それから、児童手当勘定から補助事業として実施をしております学童保育対策、都市児童健全育成事業、これについてお聞きをいたします。
 都市化とか遊び場の不足とかあるいは核家族がふえているとか、あるいは子供を持った有子勤労婦人の増加とかというふうなことによりまして学童保育の要望というのが大変強くなってきております。厚生省は、こういう強い要望、厚生省にも届いていると思いますけれども、どのように受けとめてどのようになさろうといたしておりますでしょうか、お伺いをいたします。
#202
○政府委員(小島弘仲君) 確かに、生活圏に児童の活動の拠点、特に学齢児童を中心といたしまして、それより小さい者も含めまして活動の拠点が必要だ、また、そういう施設が必要だということで考えております。特に、今後の児童問題を考える場合には、児童がグループ活動で創意工夫を凝らしながら積極的に活動をするということを助長してまいる必要があろうと思います。
 そういう見地から、児童の生活圏に児童館とか児童センターというふうなものを整備してまいりたい、こう考えて整備を進めてまいっておりますが、まだその整備が間に合わないということもございまして、都市児童健全育成事業の中で、かぎっ子児童のための児童育成クラブに対する補助等を実施しているところではありますが、毎年御要望にこたえまして、その補助対象数、補助単価を増額する等の措置を講じておりますが、いずれにいたしましても、児童の健全育成という見地からの必要な施設、施策の拡充につきましては今後ともさらに努力してまいる考えでおります。
   〔理事関口恵造君退席、委員長着席〕
#203
○安武洋子君 学童保育の現状を私は地元の兵庫県下で調査をしてまいりました。これを見てみますと、学童保育、これは全国で六百六十自治体で行われております。兵庫の場合は十二市一町、約二百五十カ所で行われているわけなんです。その内訳といいますのは、公立公営、これが尼崎市、芦屋市、宝塚市、伊丹市、川西市、姫路市、加古川市。それから公設民営、西宮市です。それから共同保育というのが、補助がある分、神戸市、高砂市、明石市。共同保育で補助のないのが豊岡市。それから個人経営が、補助がありますが、御津町というふうな学童保育の状況になっております。
 これに対しまして父母たちがどんな声を寄せているかというふうなことで聞いてまいりますと、学童保育があって本当に安心して働ける。それから、学童保育に行くようになって子供が生き生きしてきた。また、子育ての話がみんなでできてとても学ばされた。まあいろいろありますが、主な意見でございます。しかし、こういう意見が出ておりまして、親も子供もどれほどこの学童保育というのが喜ばれているかというふうな実態があるわけなんです。
 ところが、この児童育成クラブ設置・育成事業費、これで一クラブに五十二万九千円しか出ていないんですね。この三分の一が国補助、あと三分の一が県補助ということになっております。このわずかな補助も二百五十カ所で全部やられているかといいますと、五十六単位にしか行っていない。二百五十カ所の五分の一です。私は、父母たちが今強い要望を上げておりますけれども、これにこたえまして事業の育成のためにせめてこの五十二万九千円、これは余りにも少な過ぎます。これをやはりふやしていく。あるいは五十六単位、五分の一しかこういう補助が行き渡らないというふうな状態でなくて、せめてこの補助がもっと行き渡るというふうに、今努力をしたいとおっしゃいましたので、せめてそういう努力をしていただきたい、こう思いますが、いかがでございます
#204
○政府委員(小島弘仲君) 児童の健全育成対策を考える場合に、かぎっ子のみならず、やっぱり広く子供のグループ活動というもの、あるいは遊びを通じての健全育成ということが重要だと考えております。したがいまして、そのような児童の諸活動を促進できるような助成措置の拡充については今後とも十分努力してまいりたいと考えております。
#205
○安武洋子君 十分に努力していきたいというお答えはさっきも出たわけなんです。それで、私がその中身を申し上げて、いかに今の補助体制というのが貧弱であるか。兵庫県で十二市一町で二百五十カ所で行われているが、そのたった五分の一の五十六単位にしか、そして一クラブに対して五十二万九千円しか出ていないよということを申し上げている。これをもう少し充実するというような方向で、私はこういうようなのは全国にももっとたくさんあると思いますよ。だから、そういう努力をしていただきたいということで御質問を申し上げております。いかがですか。
#206
○政府委員(小島弘仲君) 御要望の趣旨、わかりますので、十分検討いたしまして、拡充に結びつくような方向で努力してまいりたいと思います。
#207
○安武洋子君 終わります。
#208
○藤井恒男君 法案に入る前に、二、三厚生省にとって今日的な問題についてお伺いしておきたいと思います。
 その一つは、六十一年度の厚生省の予算編成にかかわる問題でございますが、このところしばしばマスコミに報道されているところですけど、六十一年度を展望するときに、当然増経費だけで一兆六千億程度に達する。こういう状況の中で、来年度の予算概算要求基準の設定が非常に難しいというふうに報ぜられているわけです。
 我が党は、これまでも本会議の席でも、高齢化社会を迎える、あるいは医療費の増高等を配慮してもろもろの施策を講じてきてはいるのであるが、なおかつ当然増が将来見込まれることであり、財政上の問題からゼロシーリングというような形で聖域を持たないということも行われてきているわけだけど、社会保障という観点から、この種の厚生省にかかわる予算については別枠でやるべきじゃないかということを本会議でも述べてまいったわけです。きょうは本会議での質問じゃありませんので、ざっくばらんに、私どもは当然これは別枠でやらなければ予算編成できないよという気持ちを持っているところでありまして、こういった厳しい厚生省の予算編成について基本的にどういうふうに考えていらっしゃるのか、ざっくばらんにお聞かせいただきたいと思います。
#209
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のように、私自身も六十一年度の予算編成に関しましては大変厳しい状況の中でやらなければならぬということは覚悟いたしておるわけでございます。しかしながら、そういうことをもって福祉の水準を下げるということは許されないという気持ちでございまして、したがって、厚生省自体にもゼロシーリングという枠がはまるのかどうか。実はまだ正式な話はございませんので、新聞に報道されておるだけでございますけれども、そういうことはなかなか承服いたしかねるというふうに思っておるわけでございまして、そういう際にいろいろな手だてがあるではないかというような御議論も承っておるわけでございます。
 何しろ現在の時点におきましては厚生省内部でいろんな考え方を勉強しておるということでございますけれども、現在の私の心境といたしましては、あらゆる手段というものに対しての選択肢というものは確保していかなけりゃならないという心境でございます。
#210
○藤井恒男君 当然増というのは消すわけにいかぬわけですからね。このことが、今ここで論議されておる児童手当のごとく、一般的な財政事情の中からせっかくの福祉の施策が後退し、あるいは負担増という形で帳じり合わせということになることを非常に心配するわけです。
 今大臣おっしゃったように、単に一律のカットだとかゼロシーリングというようなことじゃなく、もろもろの選択肢という表現をなさったわけだけど、私は、思い切ってこれは別枠だという、これは国民の切実な問題ですからね、大臣、力いっぱい折衝すべきだ、そのことについては我々も国民の立場に立って応援しなきゃならないというふうに思っているところです。これはひとつよろしくお願いしたいと思います。
 それから、退職者医療制度の加入者が大幅に見込み違いになっているわけですが、少しの違いならともかく、これだけ違ってくるということになると、せっかく苦労をして私どもつくった制度、まだ日も浅いわけなんだけど、この状況から見ると一時的な現象じゃないというふうに見られるわけです。これは金の面からも非常に問題ではあるが、制度としてもこれでずっと糊塗していくということで済むのかどうか。この辺のことを含めて一度お聞かせいただきたいと思うんです。
#211
○政府委員(幸田正孝君) 退職者医療制度につきましては、当初見込みました加入者数に比べまして、現在のところ相当見込みを下回っているということは御指摘のとおりでございます。
 ただ、私ども退職者医療制度をつくりましたねらいは幾つかございますが、退職をすることによって国民健康保険に加入をする。そのために給付率が従前に比べますと低下をするというような問題がこの退職者医療制度をつくりました理由の一つでございますが、そういった意味合い、あるいは退職者医療制度によりまして国民健康保険財政の問題も考慮できるといったような側面、いろいろな面がございまして、私ども制度自体の問題につきましてはそれなりに十分意味があるものだと、こういうふうに考えております。問題は、当初見込みに比べまして相当数加入者数が減少しているという事態でございますから、この問題につきまして現在私ども調査を進めております。
 いずれにいたしましても、その調査結果を見まして国民健康保険事業が安定的な、永続的な運用が図られますような措置を講じてまいる考えでございます。
#212
○藤井恒男君 次の問題ですが、このところ医療行政に関して、サラリーマンの医療費一割の自己負担が導入される等、老人医療制度の問題など、最近次々と自己負担という形で増高する医療費についてメスを入れるという形がとられてきたわけだけど、しかし一方、京セラに見られるように多数の病院が無許可の人工関節を使って料金を不正に保険請求する、これだけでも十億円、あるいはその他悪徳医師の不正請求というものも後を絶たないわけなんです。
 今の我が国の制度が現物給付、出来高払いという制度というような中で往々にしてこの種の問題が発生するすき間があるわけなんだけど、またしても北九州病院が基準看護料の不正受給事件というものを起こして五十億円という問題、大きく報道されているところです。これはまだ捜査中のことでありますので全容がはっきりしていないと思うけど、これは看護婦の問題だけじゃなくて、国立大学の医師までが名義貸しをして謝礼をもらっているというようなことまで報ぜられてくると、医療費の問題はわからぬじゃないが、しかし、患者に負担を強いている中で一体医療行政というのはどうなっているんだという怒りが国民の間に蔓延してくる。こういった、不正請求の事実が判明したものに対しては返還を求めるのはこれは当然でありますが、もっと厳しいチェック機能というのがないのかどうか、この辺のところをお伺いしたいし、また、今問題になっております北九州病院、これは事件の全容がまだ判明していないことであるが、これについてももし報ぜられることが事実であればこれは厳しい態度で臨まなければいけないというふうに思うわけです。
 その辺について、厚生省としての責任上どのように考えているのか。また、奨学寄附金というのは一体どういう性格のものなのか。この点についてもお聞きしたいと思います。
#213
○政府委員(幸田正孝君) 社会保険の診療報酬の請求につきまして不正事件が最近相次いで報道されておりますが、私ども、できる限りこういったことのないように、支払基金なり国民健康保険連合会の診療報酬の審査の問題、あるいは指導監査といった面を活用をいたしまして、努めているつもりでございますけれども、何分にも数多い医療機関でございまして、十分に手が回りかねるといったようなことから、こういった事件が最近特に引き続いて起こっておりますのはまことに遺憾でございます。
 私ども、こういったことのないように、実は昭和六十年度の医療保険行政の最重点施策は医療費適正化対策であると、こういうことで、各都道府県にもそういったことの指示をいたしてございますけれども、こういった事件の頻発にかんがみまして、改めて明日各府県の担当者を呼び集めまして再度指示をいたすことにいたしております。特に最近では、国民健康保険につきまして、特に高点数のものにつきまして特別審査委員会を国民健康保険中央会に設置をいたしまして、六月診療分から特別審査を実施をいたすことにいたしております。そういった問題も含めまして明日指示をいたしたいと思っております。御指摘のようなことのないように、私どもも気を引き締めて今後の運営に当たってまいりたいと思っております。
 御指摘の北九州老人病院の問題でございますけれども、現在福岡県に対しましてその全容をできる限り早く把握をいたして報告をするように指示をしてございますが、現在捜査当局が入っておりまして、特に基準看護に関する関係書類の相当部分が県警本部に押収をされておりまして、現在のところ明確な事実関係は十分には確認をされないと、こういう状況でございます。六月の初めに福岡県といたしまして独自に北九州老人病院に立ち入りまして調査を行っております。できる限り早く押収資料の返還を求めまして監査を実施をいたしたいと考えております。監査の結果、不正請求の事実が確認をされましたならば、その不正請求額の返還はもちろんのことでございますし、保険医療機関の指定取り消しということも含めまして厳正な措置をとってまいることにいたしております。
#214
○藤井恒男君 やはり都道府県にいろいろ連絡をとって不正のないように注意を払うことも当然のことでありますが、診療報酬支払いのシステム、これは基金が今やっているところでありますが、ここが医療費の不正とむだということを第一義的にチェックする機能を持っているわけですね。年年コンピューターを導入するなどの措置もとられていることは承知しているんだけど、いかんせん大変なレセプトを処理しなきゃいけないという事情にある。したがって、この機構、機能といいますか、これ、予算を伴うことでありますが、人的なものなども含めて、審査会のあり方なども含めてもう少し抜本的に考えてみるということも必要じゃないんでしょうかね。
 私も予算編成のときに要員の問題などいつも基金の方の人たちと話し合う機会があるんだけど、大変なことでして、一度マスコミに報ぜられたわけだけど、細かい点まで見れないというのが現状でして、だから、その辺をもうちょっと考えてみるということをしなければ、こういった大きな問題はマスコミに報ぜられて国民の耳目に映るわけだけど、そうじゃない不正請求といいますか、割り増し請求というようなものは大変な数に上っているわけなんです。これ全部国民に公表したらびっくりするだろうと思うんだけど、そういった点についてひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#215
○政府委員(幸田正孝君) 御指摘のとおり、支払基金なり国民健康保険連合会では極めて膨大なレセプトを審査をいたしているわけでございまして、私ども、現在の技術革新の時代でございますから、できる限り機械でこれを処理することができないかということでコンピューターを導入をいたすことをここ年々努力をいたしております。
 また、非常に厳しい財政、定員事情でございますけれども、支払基金の審査委員を中心にいたします審査体制の強化のための人員増も図っているところでございます。また、審査のために、今御指摘のとおりいろんなケースがございますので、従来の都道府県の審査委員会一本やりという体制を改めまして、審査委員会の中に特に点数の高いものを審査をいたします審査特別部会を設置をいたしますとか、あるいは特に高額なレセプトは中央で審査をするということで、支払基金本部なり国保中央会の中に特別審査委員会をつくって高額レセプトの一層の審査をいたしておるわけでございますが、やはり長い目で見ました場合に、御指摘のとおりそういった工夫ではおのずから限度がございます。現在の非常に技術革新が進んでいる情報伝達の方法がすぐれている時代でございますから、そういった方法も今後取り入れるという格好で、何とかこの問題に対応してまいりたいということで、私どもも現在いろいろ検討をしている最中でございます。
#216
○藤井恒男君 先ほどちょっとお尋ねした奨学寄附金の問題。
#217
○政府委員(吉崎正義君) 一般論といたしまして、医療法人も寄附を禁止をされておる、こういうものではないわけでございますけれども、医療法人は、本来病院、診療所の開設を目的としておりますので、その事業に支障を及ぼすような寄附は許されない。
 それから、今回の場合とは直接関係がないかと存じますが、医療法人は医療法によりまして剰余金の配当を禁止されております。それで、それを逃れるための脱法的な寄附、これはもとより許されないと思うものであります。
 そこで、お話しのございました大学等に対する奨学的な意味の寄附金、お話にもございましたが、この実態が必ずしも明確ではございません。その究明を急いでいるところでございますが、それの確認を待ちまして、適正を欠くと判断されました場合には是正するよう厳正な指導をしてまいる所存でございます。
#218
○藤井恒男君 この奨学寄附金というのは、要するに医療法人が剰余金を生んだ場合に、医師を派遣していただいている例えば学校等に対する謝礼的なものを意味しているのかどうか、その辺どうなんですか。また、金銭の動きというのはどういうことになるんですか、奨学寄附金というのは。奨学寄附金というからには一つの定着した制度になっているんでしょう。そうじゃないんですか。
#219
○政府委員(吉崎正義君) その実態が必ずしも明らかではございませんけれども、きちんとした仕組みではない。やはり医療法人でも医療の向上のためにその許される範囲で寄附をするということはあり得るわけでございます。今回の場合、今お話しのありましたように、何か医師の派遣のために定期的にそういうことをやっておったかどうか。その辺が必ずしも明らかではないので、今そういう実態の把握を急いでおるところでございます。
#220
○藤井恒男君 よくわからない、実態がわからなければ答えられぬということだろうから、実態がわかったら一度知らしてください。
 それじゃ時間がありませんので、次もう一つお伺いしておきたいんだけど、これも大変ショッキングな出来事が川崎市で起きました。もうマスコミに大きく報道されたところですが、大けがをした学童の輸血を信仰上の理由で両親が拒んで、学童は失血死するということがありました。非常に難しいことでありますが、宗教と医療というはざまで人命が失われる、しかも幼い人命が失われるということで、国民ひとしく重い気持ちになったわけでありますが、このことがある意味で医師に対する、医者の行動ですね、医者の行動というものが、これは宗教上の問題から出たことなんだけど、人命を扱う医者の行動は宗教に揺るがせられないという統一見解というものができないものかどうか。私も不勉強でありますが、ヨーロッパあたりではもうこのことはとっくに卒業している。とりわけアメリカあたりでは裁判所がきちっとした措置をとっているということも、これはマスコミを通じて私は知ったわけなんだけど、このことをよく考えなければいけない。
 一面、こういったものとは別に、臓器移植の問題をめぐって、これも幼い命が、臓器移植を待ちつつどうすることもできずに命を失うという問題が起きたわけなんだけど、国会の中にも生命倫理に関する議員懇談会というのができて今勉強している最中なんだけど、この死の判定、臓器移植ということになると死の判定、脳死ということが認められるのかどうか。これは倫理の問題、あるいは宗教の問題、哲学の問題、いろんな問題が絡んでくることでありましょうが、これも外国の例を見ますと、先進国ではほとんどこれはもうクリアしている問題だけど、我が国だけが、どちらかというと宗教上のあつれきが余りない我が国が、こういった現実に宗教の中から幼い命を失うという問題を引き起こすし、また、目の前で臓器移植を待ちつつどうしようもできないという形で人命を失う。大変これは難しい問題であろうと私は思うんだけど、こういった医療行政の基本にかかわるこの種の問題について、厚生省が沈黙しておるという手はない。また、逆の立場になると、今度は医師が萎縮診療という形で、本来やるべき診療行為を萎縮して手を引いてしまう。これも人命にかかわっていくことなんだ。非常にこれは重要な問題なのでひとつ大臣、個人としてで結構だけど、この一連の出来事などに関してどうあなたは思っているのか。
 それから、今言う脳死をめぐる死の判定、マスコミも全国会議員を対象にアンケートもとったりしているわけだけど、なかなか提出する人がいない。わからない、どっちに書いていいかわからぬというふうなことで、国会議員自身が国民の世論というものをリードしなければならない立場にありながら一歩手を引いているというような状況にあるわけだ。ひとつ大臣のお考えを聞かせてほしいと思う。
#221
○国務大臣(増岡博之君) 本来医学の問題は、科学に根拠を持って、それによって得た結論には従うというのが原則だろうと私は思っております。したがって、輸血の問題にしましても脳死の問題にしましても、これは問題は別でありますけれども、その根底にはやはり科学尊重という気持ちがなければならないというふうに考えております。特に脳死の問題につきましては、純粋科学的な議論からいきますと、脳死の判定をする基準が定かでないということが科学的にはまだ一歩問題があるわけでございまして、それが秋ごろにはその一定の基準といいますか、たたき台のようなものができるであろうということで、それが医学界の通説となりますと、脳死へ向けての一つの大きな前進になろうかというふうに思っておるわけでございます。
 しかし、世の中にはそういう科学的な判定について、この間の輸血の問題のように宗教的な理由から反対をされる方々もおありになるわけでございます。その間の国民的な合意というものを早急に得なければならない、そういう際にやはり科学的な根拠というものを中心にして考えざるを得ないかなという気持ちを現在では強く抱いております。
#222
○藤井恒男君 世論も分かれるところで非常に難しい問題でありますが、私どもも超党派の立場で勉強会を熱心にやっているわけでございますし、やはり厚生省としても、この種の問題、懇談会ですか何か持っておられるようでございますが、もうちょっと一歩先に出て物を言うというようなことも必要じゃないかな、もうその時期に来ているんじゃないかな、この脳死の問題。今言う宗教と医療、医療というか医師の診療行為という問題について、もうちょっと勇気を持って物を言ってもらいたいというふうに思います。
 時間がほとんどなくなりましたので、法案について二、三まとめてお尋ねして御見解をお示しいただきたいと思います。
 一つは、児童手当に関して臨時行政調査会が指摘したことは、そのポイントはどういうことだったのか。そして、指摘したことと今回の改正はこの指摘の趣旨に沿うものなのかどうなのか。とりわけ今まで出た中で、ある程度価値ある額を確保しなきゃいかぬという意見も出ているわけなんです。その価値ある額というもの、そしてその対象は一体何だという点をお聞きしたかったんです。
 それからその次に、諸外国で児童手当制度を人口政策という面からの視点で行っている国はあるのかどうか。純粋に人口政策ということにウエートを置いたものですね。また、人口政策という視点で見た場合、今回の改正はどういった意味を持つのか。我が国の場合ですね。それから制度再検討ということが附則四条で触れられているわけだけど、その手順ですね。具体的にその手順はどうやっていくのか。これだけのことをまとめてお聞かせいただきたいと思います。
#223
○政府委員(小島弘仲君) 今回、児童手当法改正の案をまとめる前提となりましたのは、五十六年の臨調答申が契機になっていることは御指摘のとおりでございます。臨調答申では、「児童手当については、公費負担に係る支給を低所得世帯に限定する等制度の抜本的見直し」を行えと、こういう御指摘でございました。この中身を見てみますと、全社会保障制度体系の中で現行の姿の児童手当制度については、その機能面、役割面からいくと疑問がある、多子世帯対策なら低所得者に限るとかということを考えるべきじゃないかという御趣旨だと考えております。これを契機といたしまして、児童手当制度の社会保障制度の中での位置づけ等を中心に児童福祉審議会でも御検討をいただきましたし、それに基づいて我々の今回の案をまとめたのでございますが、やはり今後の我が国の社会を考える場合に、児童手当制度は不可欠であるという認識を持っております。それで今回は、児童手当制度本来の姿により近づける、また、今後の抜本検討の基礎とするという意味で成案を得ましたものでございますから、臨調の御指摘にも沿うものになっているというふうに考えております。
 第二点の、外国において児童手当を人口政策と関連づけているところがあるか。具体的にそういう人口政策と関連づけた明文の規定を持っておりますのはフランスだけでございます。諸外国については直接人口政策的な観点はございません。ただ、いろいろ伺っておりますと、西ドイツ等におきましては、人口の減少傾向に何とか歯どめをかけたいということで、その施策の一環といたしまして児童手当制度の拡充、あるいは税制における扶養控除の復活というようなことも人口増加対策の一環として考えられているように承っております。
 我が国の場合も、西ドイツほどではございませんが、合計特殊出生率で見ますと、かつて人口減少が心配されたフランスの数字を大きく下回っている状態でございます。したがいまして、将来の我が国の社会保障制度の運用というものを考えた場合に、やはりここで児童の絶対数の問題、出生数の問題も含めまして、国民全体が子供の問題、子供の育成ということについてもっと関心を持ってもらわなくちゃならぬ時期に来ているという意味で、児童手当制度の本来の姿を再び問い直す、あるいはそれを一般化するために第二子から支給対象とするということについては、人口問題ということの御議論の一つの契機にもなるものと考えておりますし、そういう意味でも機能し得るものと考えております。
 今後の改革、附則四条関係の手順でございますが、まず何よりも財源措置も含めまして今後のあるべき姿というものを一つ考えて試案をつくる。それと同時に、国民各層につきましては、児童手当制度が今後どのような意味で我が国の社会に必要なのかという趣旨も十分御理解を求めつつ、そのような試案を一回世間にお示しいたしまして、世論の御批判を仰ぎながらそれをもとにさらに最終的な成案をまとめてまいりたい、このような手順で考えております。
#224
○藤井恒男君 終わります。
#225
○下村泰君 法案に入ります前に、まことにしつこいようでございますけれども、無認可共同作業所の問題について、再度ちょっとお尋ねしたいんです。
 と申しますのは、大阪の岸和田というところがございまして、ここにいずみ野福祉会、これは社会福祉法人として認められておるんですけれども、このいずみ野福祉会というところを訪ねてまいりました。たまたま八周年記念行事だというので参りました。六年前に参りましたときは、ここは岸和田市の市役所の一部をお借りして、たしか沼町という場所でございましたけれども、それは大変ぼろぼろの作業所でございました。
 ところが、この岸和田というところは、この重度身体あるいは心身障害者、こういう方々の親御さんがこの沼町に開設した方々の行動に大変理解を持ってくださいまして、市ぐるみで運動を展開してくださいました。そうして岸和田の市長さんで原fさんという方がいらっしゃんですが、この原市長という方も大変理解を示してくださいまして、苦しい市の財政の中からも多少なりとも援助金を出してくださるようになりまして、そうしてこれに携わっている方々の必死の努力によりまして市民の皆様方にも深い理解をいただくようになりまして、そしてあらゆる方法、お金になるものなら何でもする、泥棒以外は。というような方法で資金をつくりまして、四年前に作業所を立派なものをつくりました。もちろん、これは社会福祉法人を認められたものですから、厚生省の方からの多少の御援助があったようです。
 そうして今第二の岸和田作業所、これはまだ無認可でございました。しかしながら、その無認可の方にも二十人、三十人という大勢の方々が通っていらっしゃる。この間も局長にお尋ねして、局長の方からもう決まった御返事しかいただけなかったんですけれども、とにかく二十人以下、下手すると十五人以下というのがこの共同作業所の六〇%以上を占めているのが実態なんですね。ですから、もう少し枠を緩めていただけないか。あるいは何かうまい方法はないか。再度お尋ねします。
#226
○政府委員(正木馨君) 先生今お話しがございました社会福祉法人のいずみ野福祉会、岸和田市にございますが、先生のお話にありましたように、二つの作業所を持っております。一つは身体障害者の通所授産施設として二十名の定員、それから第二の岸和田作業所は三十名の定員を持った精神薄弱者授産施設ということで、施設の基準に沿いました設備、運営、それから職員の配置というものがなされて認可になっておるわけでございます。
 ところで、今お話しのございましたのは、さらにその施設におきまして第三の作業所をつくりまして定員規模が現在十六名程度というふうに聞いておりますが、身障と精薄の方々を対象にして、これは無認可でありますが、経営をされておるというふうに承知をしております。どういう経過かということが私どもまだよく承知をいたしておらないわけでありますが、この前も申し上げましたように、やはり身体障害者と精神薄弱者、精神薄弱児とでは、障害の違いによって処遇の違い、いろいろな配慮の違いというものが出てくる、やはりそれ相応の職員なりを配置をしていかなきゃならぬということで、現在、共同作業所的なもので特に人数が一定程度に達してないものについては認めておらないわけであります。ここの岸和田作業所の例をとっていいますと、身体障害者の通所授産施設があり、一方において精薄の授産施設があるわけですから、それぞれの第一作業所、第二作業所との関連においてもう少し工夫の余地はないだろうかということが考えられます。この点は私ども、この法人あるいは岸和田市を通じましていろいろ相談に乗ってみたいと思っております。
 ただ、先生おっしゃいましたように、定員規模をもう少し下げられないかと、こういうことにつきましては、これは大変繰り返しのようでしつこくて申しわけないんでございますが、やはり安定した経営をやってもらわにゃいかぬ。それからそれぞれの施設には職業指導員も要る、生活指導員も要る、事務員も要る、それから嘱託のお医者さんも要るということになると、やはり施設の安定経営という面から見ましても一定の職員の配置というものはどうしても必要になってくるということで、この点については今認可基準を下げるということについては非常にちゅうちょするものがあるわけでございます。
#227
○下村泰君 これはもう何回お尋ねしてもやはりそれ以上のお答えは出てきそうもありませんから、順次これからまだしつこく私はやっていくつもりでございますので、きょうはこの辺でとめます。ただ、局長のおっしゃっている言葉の中に納得のいかないこともあるんですけれども。
 それはそれとして、せんだってもたしか申し上げましたが、障害者を持つ親御さん同士の融和というのはこれはなかなか難しい。例を挙げますと、今度行ってまいったんですが、大阪府の中に貝塚市というのがございます。ここなぞでは、ある一定の数だけお子さんを収容するということで親御さんが集まって、そこへ新しく入所してくると、後から来た方がはじかれるそうですよ。そういうようなことで、貝塚ではなかなか身体障害者の作業所の開設が難しい。そして大きく膨らんでいかないというような現状もあります。確かに理解のある方と理解のない方の地域ではえらい差が出てきます。けれども、そういうことに関しましても厚生省の方が各自治体を通じてできるだけそういう親御さんたちの理解を深めるように、そしてそういう方々が肩を寄せ合って集まれるようにというような適切な御指導をひとつ願いたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#228
○政府委員(正木馨君) その点は先生おっしゃるとおりでございまして、やはり身体障害者と精神薄弱児あるいは精神薄弱者の施設といったものを考えますと、障害の違いがある、それによる処遇の違いがあるということでなかなか一緒にできないという点が一つございますが、またその背景には、やはり親御さんの理解の問題とか、不安感とか、そういったものがあることも否定できないわけでございます。それはやはり一方において親御さん方にも理解していただく。仮にそういった施設をつくっていく場合には、それぞれの障害の度合いに応じた適切な職員の配置基準とか運営基準というものもひとつ検討していかなければならないというふうに思います。
 そこで、あえて申し上げさせていただきますと、前回もあるいはお答えしたかと思いますが、社会福祉法人の全社協の中で、授産事業基本問題研究会というのがございまして、ここで今後の授産事業のあり方についていろいろ研究をされまして、ついせんだって報告が出されております。その中で、やはり小規模作業所のあり方とか、身障と精薄との共同授産のあり方といったものの考え方が一つ示されております。これはいろいろ施設経営者等が入られて、ごく少数の方で意見をまとめられたわけですが、率直に申しまして、これ自身についても、私ども行政の立場から見ましてやや問題もあるんじゃないか、果たして大丈夫かなという点がございます。
 この基本問題研究会の報告は、やはり全社協の中の団体でございます授産施設協議会というのに上げる、この第一ページにも書いてあるんですが、研究会ではこういう意見をまとめたけれども、さまざまな意見があるんで、よくそういうものを吸収しながらこれを少しもんでほしいというようなことが出されております。したがって、私ども、こういう民間の立場でいろいろ研究されているということも十分耳を傾けていきたいし、議論も深めていきたい。一方におきまして、行政として、どういう点にネックがあるのか、ネックを排除していくためにはどういう努力をしていかなければならぬのか、そういう点についても、先生の御趣旨に沿った努力を続けていかなければならないというふうに思っております。
#229
○下村泰君 どうもありがとう。
 児童手当の方にちょっと触れさせていただきますけれども、資料を拝見しますと、イギリス、西ドイツ、フランスあたりは非常に高額な手当が出ているようなんですね。イギリスあたりは比較的低成長に入っている国の一つだと思うんですが、そういう国が、日本のようにGNP世界第二位なんて言われている経済大国に比べればはるかに手厚い手当てをしているわけですね。今回の改正によりましても、そんなに驚くほど、飛び上がって、はね上がって、今度の改正はよかったなと言えるものではまるでないわけなんですね。むしろ大したことはないわけですよ、こちらの低成長の国々に比べれば。しかも、日本に対して経済摩擦で、むしろ我が国にもっと品物を買ってくれないかと言っているような国々がこういう手厚い保護をしていて、日本がこれしかできない。一体法の趣旨というのは何なんだろう。とにかく我が国のこういったものの法の趣旨というのは、その目的はどれを取り上げても実にすばらしいんですね。一つの非の打ちどころもない。そのぐらいうたい上げられているんです、法の趣旨は。それで中身がからっけつなんですね。果たして今回の改正で本当にそれだけに手当てが行き届いているのか、どういうふうにお考えになるか、私はその点だけ聞きたいと思う。
#230
○政府委員(小島弘仲君) 今回の改正で児童手当制度の目的に対して十分かというお尋ねであれば、我々も決して十分だと考えておりません。ただ、現在、我々が十分と考える、あるいは児童福祉審議会がお示しいただいたような、あるいは諸外国のようなものに匹敵する制度をつくり上げるまでの、まだ国民的な基盤と申しますか、世論の動向も含めまして、大きな財源を確保してまで今ここでやれという御支援を背中に受けるような環境にないことも事実でございます。
 しかし、今後の我が国を考えた場合、我々は諸外国の制度を眺めましても、それに比べても劣らないような制度をつくっていく必要があるんじゃなかろうかと考えておりますので、今後はその必要性等についても十分な議論を深め、また、国民の方々の御理解、御意見も伺いながら制度の拡充を図ってまいりたい、こう考えておるところでございます。決して現状で十分だと考えておるわけでございません。
#231
○下村泰君 大臣ね、現在の出生率からいきますと、人口的にもどんどんどんどん逆三角になるわけですね。そうしますと、これから生まれてくる子供さんたちが大きくなるに従って、社会的地位が高くなるにつれて、そのころになると今の小さいお子さん、あるいはこれから生まれるお子さん方のいわゆる後代負担というのは非常に大きくのしかかってくるわけですよね。しかも、これ以上人口をふやすわけにいかない。これだけの狭い国土の中でどうにかして生きていかなければならないとすれば、人口の調節はもう当然の姿だと思うんです。しかし、これからの子供たちは、我々の時代と違ってさらに厳しくなると思いますね、世界から見る目が。そういう中で、我々の次の世代の人たちはすばらしい人間でなくてはいけない。また、すばらしく育ってほしいというような観点から言えば、こういう児童手当あるいは児童の育成ということは、これはこれからの国の大きな目的じゃないかというような気がするんです。
 大臣、いかがでしょうか、そういうことで、これからのこういった法律に対してどういうふうなお考えをお持ちでしょうか、お聞かせください。
#232
○国務大臣(増岡博之君) お尋ねの御趣旨は、将来の世代を担う児童を健全育成するに際して今日どのような気持ちで対処しておるか、そういう御趣旨だろうと思います。
 私は、御指摘のように、今日の子供が将来大きな世代間における負担を背負っていただくようになるであろうということは予想にかたくないところでありますから、将来支えていただく方の立場になる現在の働いておる世代が次の世代に何をしておくか、例えば、何十年か先に、あなた方も子供の時代にはこういうふうにしてもらったんだからということが言えるようなものを残しておかなきゃならぬということを深刻に考えておるわけでございますが、それを行う場合でも、厳しい財政状況でございますので、それぞれ制度間におきまして国民の理解の度合いの濃い薄いというものがあり、それがために今日この児童手当がおくれておる。と同時に、もう一つの理由は、児童手当制度のスタートがほかの社会保障制度に比べて遅かったという面と両面言えると思いますけれども、そのことは実は私ども現在の世代の者がもう少し将来の世代に対して理解を示すということが必要であり、そのことについては厚生省もこれから真剣な努力をしていかなきゃならぬというふうに思っておるところでございます。
#233
○下村泰君 今、大臣は大変一生懸命言葉を探してお答えくださいましたけれども、ますますひとつこういったことに努力していただきまして、やはり我々の世代がこういうことをきちんとして残しておけば、いわゆるスウェーデン方式みたいに、ある程度の年齢になればこれだけの年金がもらえるんだ、しかし働いている時代にはこれだけのものを拠出しなければならないんだというような、次の世代にそれがきちっと理解できるような方法をとっていけば、私はさほど苦しい財政をやりくりしなくてもできるような社会保障制度ができるのじゃないかというような気がするんです。どうぞひとつよろしくお願いをいたします。
 終わります。
#234
○委員長(遠藤政夫君) 以上で質疑は終局いたしました。
    ─────────────
#235
○委員長(遠藤政夫君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、前島英三郎君及び村上正邦君が委員を辞任され、その補欠として水谷力君及び吉村真事君が選任されました。
    ─────────────
#236
○委員長(遠藤政夫君) 本案に対し、安武君から修正について発言を求められておりますので、これを許します。安武君。
#237
○安武洋子君 私は、ただいま議題となっております児童手当法の一部を改正する法律案に対し、日本共産党を代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。
 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
#238
○委員長(遠藤政夫君) 安武君提出の修正案を議題とし、趣旨説明を聴取いたします。安武君。
#239
○安武洋子君 私は、ただいま議題となりました児童手当法の一部を改正する法律案に対する修正案について、日本共産党を代表してその趣旨を御説明申し上げます。
 本改正案は、現行第三子から支給される児童手当が義務教育終了までとなっているのを就学前までに短縮し、かつ、低所得者への特例支給を廃止することとしております。これは現行制度からの大幅な後退と言わざるを得ません。よって、第三子以降については現行どおりと修正するものであります。これが第一の修正内容であります。
 第二に、本改正案は、手当支給の対象を第二子まで拡大しているのでありますが、これも児童手当の本来の趣旨にかんがみ、義務教育終了まで支給期間を延長することとしております。
 第三に、第二子の手当額でありますが、本改正案の月額二千五百円では、法の目的である家庭生活の安定、児童の健全育成及び資質の向上に資するものとはなり得ません。よって、これを第三子同様五千円に引き上げるものであります。
 以上が本修正案の主な内容であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
#240
○委員長(遠藤政夫君) ただいまの安武君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。増岡厚生大臣。
#241
○国務大臣(増岡博之君) 児童手当法の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、政府としては反対でございます。
#242
○委員長(遠藤政夫君) 別に御発言もないようですので、修正案に対する質疑はないものと認めます。
 これより原案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
#243
○糸久八重子君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました児童手当法の一部を改正する法律案及び日本共産党提出の修正案につきまして、それぞれ反対の立場から討論を行うものであります。
 まず最初に指摘したいのは、制度創設以来今日に至るまで、児童手当制度の改善に対する政府の熱意が全く感じられない点についてであります。
 改めて申し述べるまでもなく、本制度は、子育ての持つ社会的側面に着目し、将来の社会の担い手である児童を社会の子として配慮していくため、児童養育家庭の所得保障と次代の社会を担う児童の健全育成や資質の向上を目指してスタートしたにもかかわらず、手当額も昭和五十年度以降は月額五千円にとめ置かれる一方で、逆に所得制限は強化されるなど、制度は全体として大きく停滞しているのが現状なのであります。このことは、特別児童扶養手当や児童扶養手当及び福祉年金等のその後の伸びと比較すれば一目瞭然であり、国庫負担額で見ても昭和五十五年度の七百四十七億円をピークとして年々減少しているばかりか、今回の措置によりなお一層の減額が見込まれるのであります。
 生産年齢世代が公的年金制度を通じて高齢者世代を社会的に扶養するというシステムのもとでは、将来の社会の担い手である児童についても社会的に扶養することが当然であり、本来児童手当は全児童を対象に所得制限なしで支給するのが国際的な常識であるにもかかわらず、今回の改正は、財政的な配慮のみを優先させた小手先のもので、将来に対する明確なビジョンが全く感じられないのであります。
 手当の支給対象が第二子にまで拡大される点は一歩前進のようにも映りますが、本来第一子から適用すべきであり、支給期間が義務教育終了前から義務教育就学前にまで九年間も短縮されるなどということは言語道断の措置であり、断じて容認することはできません。
 手当額も、第二子月額二千五百円、第三子以降五千円にすぎず、到底児童手当と呼ぶに値しない額なのであります。
 また、日本共産党提出の修正案も、第二子以降を対象としているばかりか、金額的にも不十分なものであり、今後の制度の検討にゆだねるのが相当と思料するものでございます。
 政府は、我が党が審議の中で強く主張した児童手当の理念を今こそ明確に認識し、次回の制度改革に当たっては本制度の大幅改善を行うことを強く要求して私の反対討論を終わるものであります。
#244
○関口恵造君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となっております児童手当法の一部を改正する法律案に賛成するとともに、日本共産党提出の修正案に反対の立場から討論を行うものであります。
 児童手当制度は、昭和四十七年、次代の社会を担う児童の養育の場である家庭の生活を安定させ、児童の健全な育成と資質の向上を図るための制度として発足いたしましたが、その後の社会経済情勢の変化等を背景として臨調答申、行革関連特例法等により、制度の抜本的改革が要請されていたのであります。
 政府原案は、このような要請にこたえて現行制度を基本的に見直すものであります。本改正案は、次代を担う児童の養育費を社会的に分担し、児童の健全育成の基本的な場である家庭の経済的な基盤強化に資するという児童手当制度本来の意義に照らし、また、我が国の近年における出生数の減少傾向、人口の高齢化の進展をも考慮し、児童を養育している者が広く手当の支給を受けられるようにする必要があるとの考えに立っております。この観点から給付面について所要の改正を行おうとする本改正案は、まことに適切な描間と考えられ、私どもとしては、これに賛意を表するものであります。
 これをもちまして、私の討論を終わります。
#245
○安武洋子君 私は、日本共産党を代表して、児童手当法改正案について反対の討論をいたします。
 御承知のように、我が国の児童手当制度は、遅くスタートした上に、政府の消極的な姿勢によって受難と後退の歴史を歩んできました。我が国の児童手当制度は第三子以降の児童が支給対象であります。このこと自体が先進諸国と比べて著しく劣悪な上に、財界や財政当局の圧力により、手当額五千円は昭和五十年度から据え置かれてきました。したがって、手当額の実質価格は、五十九年度価格で三千二百円にまで低下しております。さらに支給率も九〇%から八〇%程度へと抑えられてきました。その上に臨調は、制度の実質的廃止を含みとする抜本的検討までを言い出す始末であります。
 このような臨調や政府の消極的対応は、「人類は、児童に対し、最善のものを与える義務を負う」と明記した児童権利宣言や児童憲章の理念、児童手当制度の国際的水準及び我が国の児童をめぐる環境等、どの角度から見ても不見識であり、遺憾のきわみであります。本改正案は、このような政府の消極的姿勢と臨調方針に沿ったものであります。
 本改正案は、二千五百円の手当を第二子に支給する一方で、現行中学校卒業まで支給されている第三子以降の支給期間を小学校入学前までと大幅に削減しております。その上、低所得者に支給される七千円の手当まで廃止するものであります。私は、このような制度の後退を絶対に認めることはできません。
 昭和五十五年九月に中央児童福祉審議会が厚生大臣へ提出した意見書「児童手当制度の基本的あり方について」は、児童手当は本来第一子から「価値ある額」を所得制限なしに支給すべきであると述べています。私は、政府がとるべき政策的方向は、この意見具申の実現にあると指摘するものであります。そのためにも当面我が党が修正提案した内容、すなわち第二子、第三子ともに手当額は五千円とし、低所得者には加算する、また、支給期間も現行どおりとする程度の制度改正は早急に実現するよう政府の努力を要望するものであります。
 以上、私は改正原案に反対し、日本共産党提出の修正案に賛成する討論を終わります。
#246
○委員長(遠藤政夫君) 以上で討論は終局いたしました。
 これより児童手当法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、安武君提出の修正案を問題に供します。
 本修正案に賛成の諸君の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#247
○委員長(遠藤政夫君) 少数と認めます。よって、安武君提出の修正案は否決されました。
 次に、原案全部を問題に供します。
 本案に賛成の諸君の挙手を求めます。
   〔賛成者挙手〕
#248
○委員長(遠藤政夫君) 多数と認めます。
 以上の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、高杉君から発言を求められておりますので、これを許します。高杉君。
#249
○高杉廸忠君 私は、ただいま可決されました児童手当法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び二院クラブ・革新共闘の各派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   児童手当法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項につき、速やかに検討し、実現に努めるべきである。
 一、今後における児童手当制度の役割の重要性にかんがみ、社会保障制度整備の一環として、児童養育費が家計に及ぼす影響、出生数の動向等を勘案し、長期的展望に立って、将来における児童手当制度の位置づけ及び国民の費用負担の在り方について、可及的速やかに明確な基本方針を示し、国民的合意の形成を図ること。
 二、速やかに児童手当の支給対象児童の範囲、支給期間、手当額、所得制限、国民の費用負担方式等について抜本的に再検討し、制度の充実を図ること。
 三、新制度の実施に当たっては、新受給者が漏れなく手当の支給を受けられるよう、周知・徹底を図ること。
  右決議する。
 以上であります。
#250
○委員長(遠藤政夫君) ただいま高杉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の諸君の挙手を求めます。
   〔賛成者挙手〕
#251
○委員長(遠藤政夫君) 全会一致と認めます。よって、高杉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、増岡厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。増岡厚生大臣。
#252
○国務大臣(増岡博之君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
#253
○委員長(遠藤政夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#254
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#255
○委員長(遠藤政夫君) 次に、優生保護法の一部を改正する法律案及び栄養士法及び栄養改善法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。――別に御発言もないようですから、質疑はないものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようですから、討論はないものと認めます。
 これより採決に入ります。
 優生保護法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の諸君の挙手を求めます。
   〔賛成者挙手〕
#256
○委員長(遠藤政夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 次に、栄養士法及び栄養改善法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の諸君の挙手を求めます。
   〔賛成者挙手〕
#257
○委員長(遠藤政夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#258
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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