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1984/02/26 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 文教委員会 第2号
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1984/02/26 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 文教委員会 第2号

#1
第102回国会 文教委員会 第2号
昭和六十年二月二十六日(火曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十二月二十四日
  委員美濃部亮吉君は逝去された。
 二月十二日
    辞任         補欠選任
     小西 博行君     栗林 卓司君
 二月十三日
    辞任         補欠選任
     栗林 卓司君     小西 博行君
 二月二十五日
    辞任         補欠選任
     小西 博行君     関  嘉彦君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         真鍋 賢二君
    理 事
                杉山 令肇君
                仲川 幸男君
                久保  亘君
                吉川 春子君
    委 員
                井上  裕君
                山東 昭子君
                世耕 政隆君
                田沢 智治君
                林 健太郎君
                柳川 覺治君
                粕谷 照美君
                中村  哲君
                安永 英雄君
                高桑 栄松君
                関  嘉彦君
   国務大臣
       文 部 大 臣  松永  光君
   政府委員
       文部政務次官   鳩山 邦夫君
       文部大臣官房長  西崎 清久君
       文部大臣官房審
       議官       菱村 幸彦君
       文部大臣官房会
       計課長      坂元 弘直君
       文部省初等中等
       教育局長     高石 邦男君
       文部省教育助成
       局長       阿部 充夫君
       文部省高等教育
       局長       宮地 貫一君
       文部省高等教育
       局私学部長    國分 正明君
       文部省学術国際
       局長       大崎  仁君
       文部省社会教育
       局長       齊藤 尚夫君
       文部省体育局長  古村 澄一君
       文化庁次長    加戸 守行君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐々木定典君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (文教行政の基本施策に関する件)
 (昭和六十年度文部省関係予算に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(真鍋賢二君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十五日、小西博行君が委員を辞任され、その補欠として関嘉彦君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(真鍋賢二君) 議事に先立ち、一言申し上げます。
 皆様既に御承知のとおり、本委員会の委員でありました美濃部亮吉君は、昨年の十二月二十四日、心筋梗塞のため逝去されました。まことに哀惜痛恨にたえません。
 ここに、皆様とともに、美濃部君の長年にわたる御功績をしのび、謹んで黙祷をささげ、御冥福をお祈りいたしたいと存じます。
 どうぞ御起立を願います。黙祷を願います。
   〔総員起立、黙祷〕
#4
○委員長(真鍋賢二君) 黙祷を終わります。御着席願います。
    ─────────────
#5
○委員長(真鍋賢二君) 教育、文化及び学術に関する調査を議題といたします。
 まず、文教行政の基本施策について、松永文部大臣から所信を聴取いたします。松永文部大臣。
#6
○国務大臣(松永光君) 第百二回国会におきまして、文教各般の問題を御審議いただくに当たり、所信の一端を申し述べます。
 申すまでもなく、教育は国家百年の大計であり、国家社会発展の基礎として一日たりともゆるがせにはできません。我が国の今日の繁栄は、これまで教育の振興に多くの困難を克服して取り組んできた先人の努力に負うところ大なるものがあります。
 しかし一方、近年における社会の急激な変化や教育の量的拡大等は、これまでの教育のあり方に対しても大きな影響を与えており、今や教育改革に対する国民の期待と関心はまことに大きいものがあります。
 臨時教育審議会においては、現在、総会における審議と並行して、四つの部会においてそれぞれ精力的な審議が行われているところであります。私は、同審議会の審議が円滑に進められるよう、担当大臣として最大限の努力を払うとともに、また、審議の結果がまとめられた場合には、これを尊重し、国民的課題である教育改革の推進に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
 また、文教行政の当面する次のような諸課題については、以下のとおり着実に施策を進めてまいる所存であります。
 第一は、初等中等教育の改善充実であります。
 初等中等教育につきましては、児童生徒の豊かな人間形成を図ることを基本とし、個性、能力に応じた教育を一層推進してまいります。
 特に、道徳教育の充実に加えて、しつけなどの基本的生活習慣を確実に身につけさせ、他人を思いやる心、国、郷土、家族を愛する心を育てることなどを重視した心の教育を推進すべく努力してまいります。また、過熱した受騒競争を緩和し、高等学校の多様化に対応できるよう、高等学校入学者選抜の改善に最善の努力をしてまいる所存であります。
 学級編制と教職員定数の改善計画につきましては、昭和六十年度において、児童減少市町村内のすべての小学校について、いわゆる四十人学級を実施する等の改善措置を講ずることといたしておりますが、今後とも財政事情を考慮しつつ、その改善に努めてまいる所存であります。
 また、引き続き教員の資質向上に意を用いるとともに、教科書無償給与制度を継続してまいります。
 さらに、幼児教育及び特殊教育の一層の振興充実を図るとともに、学校体育、学校保健、学校安全の充実、豊かで魅力ある学校給食の推進に努めてまいります。
 公立学校施設については、新たに大規模改修費補助の地域制限の撤廃、小中学校屋内運動場の基準面積の改定などの制度改善を行うとともに、引き続き過大規模校の分離の促進、教育方法の多様化や特色ある学校づくりに対応した施設整備の推進に努めてまいります。
 校内暴力等の児童生徒の問題行動については、やや鎮静化の傾向はあるものの、この問題の原因、背景は複雑で根深く、依然として予断を許さないものがあります。その解決を図るためには、学校が教育の専門機関としての責任を十分に果たすとともに、学校、家庭、社会がそれぞれの教育機能を最大限に発揮しつつ、相互に連携し、一体となって取り組んでいくことが肝要であります。
 このため、文部省としては、特に自然教室推進事業の一層の拡充など、児童生徒の健全育成のための関係施策の充実にさらに努めてまいる所存であります。
 第二は、高等教育の充実についてであります。
 高等教育につきましては、今後の十八歳人口の急増、急減に留意しつつ、国民や社会の要請に適切にこたえるため、各高等教育機関それぞれの特色ある発展を図るとともに、相互に、また社会に対して、より開かれたものとし、また、その国際化を一層推進していくことが重要であります。
 国立学校の整備については、新たに鹿児島大学に医療技術短期大学部を併設する等、努めて精選しつつも、教育研究の推進上必要な整備充実に力を注ぐこととしております。また、放送大学につきましては、いよいよ本年四月から、本放送を開始し、学生を受け入れることといたしております。
 大学入試につきましては、受験生の立場に配慮しつつ、国公私立の各大学における入学者選抜方法の改善、工夫に一層の努力を促し、学歴偏重の社会的風潮の是正や各大学の整備充実等の施策と相まって、その改善の実を挙げるよう努めてまいりたいと存じます。特に、共通第一次学力試験を取り入れた入学者選抜方法につきましては、これまでの実施の経験等を踏まえつつ、その改善についての検討を積極的に進めてまいる所存であります。
 また、育英奨学事業については、前国会における育英奨学制度の改正の趣旨にのっとり、今後ともその充実に努めてまいります。
 第三は、私学の振興についてであります。
 私立学校は、建学の精神に基づいた特色ある教育研究を行うことにより、我が国の学校教育の普及と発展に多大の貢献をいたしてきております。このような私学の果たす役割の重要性にかんがみ、引き続き、その教育条件の維持向上に努めてまいりたいと考えております。また、専修学校についても、社会の多様な要請に即した特色ある教育の振興を図るため、適切な配慮をしていく所存であります。
 第四は、学術研究の振興についてであります。
 大学を中心とする学術研究の発展は、科学技術を初め、国家社会のあらゆる分野の発展の基盤を形成するものであります。特に、今日我が国が直面している先端的科学技術の振興や、がん、防災対策等の重要課題の解決のためにも、独創的、先端的な学術研究の一層の推進が急務であります。
 このため、科学研究費の充実、すぐれた若手研究者の育成等、長期的、総合的観点に立った研究基盤の整備充実に努めるとともに、宇宙科学、加速器科学等の重要基礎研究の推進を図ることといたしております。また、研究体制整備の一環として、文部省所轄の統計数理研究所を国立大学共同利用機関に改組、転換することといたしております。
 第五は、社会教育及び体育・スポーツの振興についてであります。
 今日、生涯にわたって自己を啓発し、また、芸術文化や体育・スポーツに親しむとともに、健康で文化的な生きがいのある心豊かな人生を送ることは国民の強い願いとなっております。
 本年は国際青年年でありますが、心豊かでたくましい青少年を育成するためには、豊かな生活体験を与えることが肝要であり、少年自然の家等の青少年教育施設の整備充実を図るとともに、青少年のボランティア活動や団体活動の促進、家庭教育の充実等に一層努めてまいります。
 また、生涯学習についての国民の強い願いにこたえるため、社会教育の指導者の養成、確保と施設の整備、充実に努めるとともに、新たなメディアの活用等による適切かつ多様な学習機会及び学習情報の提供等の諸施策を進めてまいる所存であります。
 なお、本年は「国連婦人の十年」最終年に当たり、これまでの成果を踏まえ婦人の地位向上のための施策を推進してまいります。
 さらに、地域における体育・スポーツ活動のための施設の整備、指導者の養成、確保、学校体育施設の開放、生涯スポーツ推進事業等の施策を一層進めてまいります。
 また、本年は、我が国において、大学スポーツの祭典であるユニバーシアード大会の開催が予定されておりますが、これを契機に今後とも国際競技力の一層の向上に努める所存であります。
 第六は、文化の振興についてであります。
 我が国における民族の歴史的蓄積である伝統文化の継承と、新しい芸術文化の創造発展を図ることは、私たちに課された重要な責務であります。このような認識のもとに、芸術文化活動の奨励、助成や芸術鑑賞機会の充実、いわゆる第二国立劇場の設立準備を初めとする国公立文化施設の拡充整備を行うなど、芸術文化及び地方文化の振興を図り、また、貴重な国民的財産である文化財の保存整備について諸般の施策を講じてまいります。
 また、近年における社会の急速な進展に対応し、著作権者等の権利の適正な保護に資するための施策に取り組んでまいります。
 最後に、教育、学術、文化の国際交流及び国際協力の推進についてであります。
 これらの分野における国際交流、協力の推進は、我が国及び世界の学術、文化の発展に寄与することはもとより、諸国民との相互理解を深め、真の友好関係を築いていくためにも極めて重要であります。特に、近年における我が国の国際的地位の向上と役割の増大に伴い、その重要性はますます高まっております。このような状況にかんがみ、研究者、専門家等の国際交流や各種の国際的な共同研究、共同事業等を積極的に推進するなど、関係施策の一層の充実に努めてまいります。
 とりわけ、留学生の交流は、諸外国との相互理解と友好を深めるとともに、開発途上国の人材養成にも寄与する点で極めて重要であり、国費留学生の増員、留学生受け入れ体制の充実に努めるなど、二十一世紀に向けてその飛躍的充実を図ってまいる所存であります。また、海外子女教育につきましては、日本人学校の増設等その充実を図るとともに、帰国子女受け入れ体制の整備にも努力してまいる考えであります。
 以上、文教行政の当面する諸問題について所信の一端を申し述べました。文教委員各位の一層の御指導、御協力をお願い申し上げる次第であります。
#7
○委員長(真鍋賢二君) 次に、昭和六十年度文部省関係予算について鳩山文部政務次官から説明を聴取いたします。鳩山文部政務次官。
#8
○政府委員(鳩山邦夫君) 昭和六十年度文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 昭和六十年度の文部省所管予算につきましては、現下の深刻な財政事情のもとではありますが、文教は国政の基本であるとの認識に立ち、教育、学術、文化の諸施策について、我が国の文教施策の着実な推進を図るため、所要の予算の確保に努めたところであります。
 文部省所管の一般会計予算額は、四兆五千七百四十一億二百万円、国立学校特別会計予算額は、一兆六千六十三億三千七百万円でありまして、その純計額は、五兆千百七十七億七千九百万円となっております。
 この純計額を昭和五十九年度の当初予算額と比較いたしますと、百五十六億千五百万円の増額となり、その増加率は、〇・三%となっております。また、文部省所管の一般会計予算額は〇・〇五%の増加、国立学校特別会計予算額は〇・三%の増加となっております。
 以下、昭和六十年度予算における主要な事項について、御説明申し上げます。
 第一は、初等中等教育の充実に関する経費であります。
 まず、義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の改善計画につきましては、児童減少市町村内のすべての小学校について、いわゆる四十人学級を実施することとしたほか、教職員配置についてほぼ前年度同様の改善を行うこととしております。なお、義務教育費国庫負担金等のうち、教職員旅費及び教材費については、一般財源措置に移行することといたしております。
 次に、教職員の資質の向上を図るため、新規採用教員等研修、新任教務主任研修、免許外教科担任教員研修、教員の海外派遣、教育研究グループ補助、教育研究団体への助成など、各種研修を実施することといたしております。また、近年の情報化、高度技術化等に対応する教育方法開発のための特別設備について新たに助成する等の措置を講ずることといたしております。
 次に、児童生徒の問題行動を未然に防止し、その健全な育成を切望している国民の期待にこたえるため、生徒指導の充実強化方策として、新たに家庭や地域との連携強化等学校内外にわたる総合的な生徒指導の実践研究を行う生徒指導総合推進校の指定、自然や社会環境の異なる地域にある学校の相互交流を促進するふるさと交流学習促進事業を実施するほか、自然教室推進事業の拡充を図ることといたしております。また、これに関連して新たに廃校となった校舎等を自然教室等受け入れ施設として転用するため、その施設整備に必要な経費の一部を補助することといたしております。このほか、中学校生徒指導推進会議等の開催、生徒指導担当教員の研修、教育相談活動推進事業の実施等の事業を行うことといたしております。
 義務教育教科書の無償給与につきましては、これを継続することとし、所要の経費を計上いたしております。
 幼稚園教育につきましては、保護者の経済的な負担の軽減を図るための幼稚園就園奨励費補助を行うほか、幼稚園施設の整備を図るとともに、新たに幼稚園と家庭の連携のあり方についての研究委託を行うことといたしております。
 特殊教育につきましては、特殊教育就学奨励費の充実を図るとともに、心身障害児の理解認識の推進等を行うことといたしております。
 教育内容・方法につきましては、その改善を図るため新たに個人差に応じた学習指導に関する特別研究、高等学校における教育課程の実施状況調査を行うことといたしております。
 また、海外子女教育につきましては、日本人学校の増設、児童生徒数の増加に対応し、派遣教員の増員を行うとともに、帰国子女教育研究協力校の指定、帰国子女教育受入推進地域の拡充を行うなど、帰国子女受け入れ体制の整備を図ることといたしております。
 さらに、児童生徒等の健康の保持増進にかかる事業の推進に努めるとともに、学校給食につきましても、豊かで魅力ある学校給食を目指して、学校給食施設・設備の整備を図ることといたしております。
 次に、公立学校施設の整備につきましては、校舎等建物の新増改築事業について、所要の事業量を確保するとともに、義務教育諸学校大規模改修費補助の地域制限の撤廃、小・中学校屋内運動場の基準面積の改定等の制度改善を行うこととし、これらに要する経費として、三千六百二十四億円を計上いたしております。
 なお、新たに産業教育にかかる調査研究を行うこととしたほか、定時制及び通信教育の振興、理科教育及び産業教育の振興、道徳教育の充実、英語教育の充実、地域改善対策としての教育の振興など各般の施策につきましても所要の経費を計上いたしております。
 第二は、私学助成に関する経費であります。
 まず、私立の大学等に対する経常費補助につきましては、昭和五十九年度と同額の二千四百三十八億五千万円を計上いたしております。このほか、私立大学等の研究装置等整備費の補助についても五十六億円を計上し、教育研究の推進に配慮いたしております。
 また、私立の高等学校から幼稚園までの経常費助成を行う都道府県に対する補助につきましても、大学等と同様昭和五十九年度と同額の七百十六億円を計上いたしております。
 日本私学振興財団の貸付事業につきましては、政府出資金四億円及び財政投融資資金からの借入金三百七十六億円を計上し、自己調達資金と合わせて昭和五十九年度と同額の八百五億円の貸付額を予定いたしております。
 また、専修学校につきましては、教員研修事業等に対する補助、大型教育装置に対する補助、生徒に対する奨学金の貸与、国費外国人留学生の受け入れの拡充等を図るほか、新たに専修学校教育の運営改善に関する調査指導を行うための経費を計上するなど、専修学校教育の一層の振興を図ることといたしております。
 第三は、高等教育の整備充実に関する経費であります。
 まず、国立大学の整備につきましては、鹿児島大学に医療技術短期大学部を併設することとしたほか、地方における国立大学を中心に、教育研究上緊急なものについて、学科等の整備充実を図ることといたしております。
 大学院につきましては、東京農工大学及び愛媛大学に、いわゆる連合。大学院方式による連合農学研究料を設置するなど、研究料、専攻の新設等を行うことといたしております。
 附属病院につきましては、新設医科大学の附属病院を年次計画に基づき整備するほか、既設の附属病院についても救急部の増設など、その充実を図ることといたしております。
 なお、国立大学の入学料、検定料につきましては、諸般の情勢を総合的に勘案し、昭和六十一年度入学者から、これを改定することといたしております。
 次に、放送大学につきましては、既に予告放送を実施中でありますが、昭和六十年四月から本放送を開始し、学生を受け入れることといたしております。
 また、育英奨学事業につきましては、昭和五十九年度に行った制度改正を学年進行により計画的に実施することとし、政府貸付金七百八十七億円、財政投融資資金百五十一億円と返還金とを合わせて、千二百七十九億円の学資貸与事業を行うことといたしております。
 このほか、公立大学につきましては、医科大学、看護大学等の経常費補助等について所要の助成を図ることといたしております。
 第四は、学術の振興に関する経費であります。
 まず、科学研究費補助金につきましては、独創的、先端的な研究を推進し、我が国の学術研究を格段に発展させるため引き続き充実を図ることとし、昭和五十九年度に対して十五億円増の四百二十億円を計上いたしております。
 次に、重要基礎研究につきましては、エネルギー関連科学、加速器科学及び宇宙・地球環境の解明についても一層の進展を期するとともに、「対がん十カ年総合戦略」に関連する研究の推進を図ることとし、これら重要基礎研究に要する経費として四百六十三億円を計上いたしております。
 なお、学術研究体制の整備につきましても、文部省所轄研究所である統計数理研究所を国立大学共同利用機関に改組、転換するとともに、すぐれた若手研究者の養成に資するための特別研究員制度を創設するなど、各般の施策を進めることといたしております。
 第五は、社会教育の振興に関する経費であります。
 まず、地域における社会教育活動の拠点となる公立社会教育施設につきましては、引き続きその整備を図ることとし、これらの施策に要する経費として百十二億円を計上いたしております。
 また、社会教育活動の振興を図るため、社会教育主事、社会教育指導員等の社会教育指導者層の充実に努めるとともに、青少年のボランティア活動を一層推進するほか、青少年、成人、婦人、高齢者など各層に対する学習機会を提供、地域連帯意識を醸成するための地域活動の促進、新たなメディアの活用など、社会教育の幅広い展開を図ることとして所要の経費を計上いたしております。
 さらに、青少年の健全育成に資するため、家庭教育の充実に努めるほか、大型のキャンプ場を南蔵王山麓に新たに設置することとし、その工事に着手するとともに、計画的な設置を進めております国立少年自然の家につきまして、鹿児島県鹿屋市に第十番目の少年自然の家の設立準備費など、所要の経費を計上いたしております。
 第六は、体育、スポーツの振興に関する経費であります。
 国民の体力つくりとスポーツの普及振興につきましては、広く体育、スポーツ施設の整備を進めるため、社会体育施設、学校体育施設について、その整備に要する経費として百六十八億円を計上いたしております。
 また、学校体育につきましては、学校体育実技指導者の資質向上に努め、格技指導推進校の充実を図るとともに、学校体育大会の補助についても所要の経費を計上いたしております。
 さらに、生涯スポーツ推進事業について一層の拡充を図るなど、家庭、学校、地域における体力つくり事業の充実を図り、たくましい青少年の育成と明るく活力ある地域社会の形成に資することといたしております。
 なお、日本体育協会の行う選手強化事業や国際交流事業等に対して補助を行うとともに、国民体育大会の助成など各般の施策につきましても所要の経費を計上いたしております。
 第七は、芸術文化の振興と文化財保護の充実に関する経費であります。
 まず、地域社会における文化の振興につきましては、こども芸術劇場、青少年芸術劇場、中学校芸術鑑賞教室、移動芸術祭等を実施するための経費を計上いたしております。
 また、芸術文化創造の援助等につきましては、芸術関係団体の創作活動に対する補助、芸術家研修、芸術祭について所要の経費を計上するとともに、中国引揚者に対する日本語教材等を作成するための経費を計上いたしております。
 次に、文化財保護につきましては、国民の貴重な文化遺産の保存、活用を図るため、国宝、重要文化財等の保存整備、埋蔵文化財の発掘調査、史跡の整備・公有化を進め、また、天然記念物の保護及び食害対策を進めるとともに、国立劇場の事業を充実するなど、伝統芸能等の保存伝承を図ることといたしております。
 また、文化施設の整備につきましては、地域社会における文化振興の拠点となる文化会館、歴史民俗資料館等の地方文化施設の整備を図るとともに、国立文化施設については、かねてより準備を進めてまいりました第二国立劇場について建設に必要な建築設計競技、基本設計準備調査等を行うこととし、そのための経費を計上いたしております。
 第八は、教育、学術、文化の国際交流、協力の推進に関する経費であります。
 まず、発展途上国への協力等の観点から、国費留学生の新規受け入れを拡充するとともに、大学等における留学生受け入れ体制の整備、日本語教育の充実など、二十一世紀を目指して、留学生に関する事業を積極的に推進することとし、そのために要する経費として百億円を計上いたしております。
 さらに、ユネスコを通じた教育協力、国連大学への協力等についてもその推進を図ることといたしております。
 また、学術の国際交流、協力を推進するため、二国間、多国間にわたる各種の国際共同研究を進めるとともに、拠点大学方式によるASEAN諸国との学術交流事業、先進諸国等との研究者交流の促進を図ることといたしております。
 以上、昭和六十年度の文部省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
#9
○委員長(真鍋賢二君) 以上で文部大臣の所信及び昭和六十年度文部省関係予算の説明聴取を終わります。
 なお、本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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